国民の敵

2018年春  お役人・政治家 おとぎ話

米軍機事故「何人死んだんだ」
粗悪データ 裁量労働制法案の撤回
森友学園 決裁文書の改ざん発覚
異例の調査 前川氏の授業
佐川氏証人喚問 「刑事訴追の恐れがございますので、答弁はご容赦・・・」
「TPP 新聞には一行も・・・」 
東京労働局 「皆さんの会社に行って是正勧告してもいい」
防衛省 陸自の海外派遣部隊日報 ありました
加計学園疑惑  柳瀬首相秘書官と面談・職員メモ見つかる
自衛官 「国民の敵」と罵声
財務次官 「セクハラ発言」
   「隠しテープを週刊誌に売って、ある意味犯罪だ」 下村氏
   「はめられたとの意見もある」  麻生財務相
厚労省局長のセクハラメール  

上が上なら 下も下  「箍(たが)」の外れた まつりごと
 


 

働き方改革国民の敵陸自日報問題国会空転
安倍首相麻生財務相語録
 
 
 
 
天上天下唯我独尊
 
 
 
●働き方改革 

 

改革の目玉 
お仕事の箍を外します
目的
忖度 御上のため
自分身内のため お役所お役人のため  外郭団体天下り先のため
解説
箍(たが)が外れる
「箍」は桶の枠組みを固定していた輪を指す / 外側から締付けて形を維持しているものがなくなり、それまでの秩序が失われる / 束縛や緊張が無くなり度を過ごす / 規律や束縛から逃れ締りを無くす / 緊張を解いて羽目を外す
 1/16
松本内閣府副大臣 米軍機事故「何人死んだんだ」ヤジ 辞任
傲慢 気配りのできない人
本音を言っただけです
判りやすい発言
 2/14
厚労省 粗悪データ問題 働き方改革関連法案から裁量労働制削除 
数字扱いの下手な省
経団連 期待を裏切られる
「こき使え」法案 経団連大喜び
 3/13
財務省 森友学園との国有地取引に関する決裁文書の改ざん発覚 
バレてしまいました
御身第一 忖度組織
忖度 トカゲ探し
 3/16
文科省、前川氏の授業 名古屋市立中に異例の調査
役人村の仁義 
裏切り者を威嚇 
権力に逆らえば 抹殺
 
 
 3/27
佐川前国税庁長官 証人喚問 
「刑事訴追の恐れがございますので、答弁はご容赦・・・」
トカゲの尻尾を演じきる
記憶にございません
トカゲの尻尾
 3/29
麻生財務相 「TPP 新聞には一行も・・・」
新聞大嫌い
自分の価値観が全てです
新聞を見ない 財務大臣
 3/30
厚労省東京労働局 勝田智明局長 懲戒処分・更迭
「何なら皆さんの会社に行って、是正勧告してもいい」
「ウソと脅し」は行政の始まりです
「是正勧告」
 4/4
防衛省 陸上自衛隊の海外派遣部隊の日報 ありました
昨年 稲田防衛大臣へは報告していない
たいした量ではありません  計435日分約1万5千頁  
 4/10
愛媛県中村知事 「柳瀬首相秘書官と面談・職員メモ」認める
加計学園 疑惑再燃
柳瀬首相秘書官  記憶力のないことを証明
加計疑惑 愛媛県職員は柳瀬さんに会う
 4/16 
自衛官 民進・小西議員「国民の敵」と罵声
自衛官もしかして  正義感 職務に忠実な方
まじめに 「国民のための野党になれ」と言いたかったのかも
 4/18
財務次官 「セクハラ発言」 
報道が煩く 仕事がやってられない辞任 
全体を見るのがお仕事 些細なことです
「セクハラ発言」
 4/22
自民・下村博文氏 
「隠しテープを週刊誌に売って、ある意味犯罪だ」
「日本のメディアは日本の国家を潰すために存在しているのか」
セクハラの理解なし
 4/24  
麻生財務相「はめられたとの意見もある」 
「セクハラ疑惑は少なくとも週刊誌報道だけで『あった』と認定するのはいかがなものか」
「はめられて訴えられている」との意見もあると指摘し  
「きちんと人権も考えて、双方の話を聞かないと」と続けた  
加害者も対等の立場にあるんだよ
 4/27
厚労省局長のセクハラメール 
厚労省の局長がセクハラ 女性職員に食事誘う複数メール
厚生労働省は27日、同省の女性職員に対してセクシュアルハラスメントに該当する行為があったとして、福田祐典健康局長を戒告処分にしたと発表した。2017年秋ごろから今年2月までに、特定の女性職員に、食事に誘うなどの内容の電子メールを複数回送っていたという。局長には今後、セクハラ防止に関する研修を受講させるとしている。
セクハラメール、健康局長を戒告 厚労省
厚生労働省は27日、同省の女性職員にセクハラが疑われるメールを繰り返し送ったとして、福田祐典健康局長を国家公務員法に基づき戒告の懲戒処分とした。同省は福田局長にセクハラ防止に関する研修を受けさせる。同省人事課は「幹部職員への研修などを徹底し、再発防止に努めたい」としている。
厚労省によると、福田局長は2017年秋ごろから18年2月にかけ、食事に誘う内容のメールを女性職員に複数回送っていた。
同省は行為や文面の内容を総合的に判断してセクハラに当たると認定した。さらに率先してセクハラ防止に取り組む立場にある幹部職員としての責任などを考慮。国家公務員法99条の「信用失墜行為の禁止」に当たると判断し、懲戒処分とした。
同省は福田局長以外の幹部職員にもセクハラ防止研修を受講させるなどの再発防止策をとる。
女性職員にセクハラメール、健康局長を処分
厚生労働省は27日、女性職員にセクハラメールを送ったとして福田祐典健康局長(58)を、懲戒処分の中で最も軽い戒告処分にしたと発表した。セクハラ防止の研修を受講させ、職務は続けさせるという。
厚労省によると、福田局長は昨年秋から今年2月にかけて、勉強会に関連して特定の女性職員に対し、食事に誘うメールなどを何度も送った。セクハラ防止に率先して取り組むべき幹部職員であることから、懲戒処分とした。調査に対し、福田局長は反省の言葉を述べているという。
健康局は、受動喫煙対策を強化するため、政府が今国会に提出した健康増進法改正案を担当している。
女性にセクハラメール 厚労省健康局長に戒告処分
厚生労働省は、福田祐典健康局長が、女性職員にセクハラにあたるメールを複数回、送ったと認定し、27日付けで戒告の懲戒処分を行いました。
厚生労働省の福田祐典健康局長は、女性職員に、セクハラにあたると疑われるメールを複数回、送ったと報じられ、厚生労働省が調査していました。
その結果、福田局長が、去年秋ごろからことし2月にかけて、女性職員に送ったメールの中に、食事に誘うなど、セクハラにあたる内容が複数、含まれていたことが確認されました。
これを受けて、厚生労働省は「率先してセクハラ防止に取り組む立場の幹部職員としての責任などを考慮した」などとして、福田局長に対し、27日付けで戒告の懲戒処分を行うとともに、セクハラ防止に関する研修を受講させると発表しました。
厚労省、健康局長をセクハラで戒告 食事に…特定の女性職員にメール400回
厚生労働省は27日、食事に誘うなどのメールを特定の女性職員に複数回送り、セクハラの内容を含んでいたとして、福田祐典(ゆうすけ)健康局長を戒告処分にした。福田氏は近く、セクハラ防止に関する研修を受講するという。
厚労省関係者によると、福田局長は勉強会を自ら主催し、特定の女性職員を泊まり出張も含めて誘っていた。メールは約1年間で、約400回に及び、その中にセクハラ内容が含まれていたという。
厚労省は2月末、福田氏にこの職員にメールを一切送らないよう口頭で注意。国家公務員法の「信用失墜行為の禁止」に当たるとして懲戒処分にした。
福田氏は医師資格を持つ医系技官。同省生活衛生・食品安全部長などを歴任し、昨年7月から健康局長を務めている。健康局は今国会に提出された受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案を担当している。
加藤勝信厚労相は「セクハラ対策を進める立場の厚労省として、こうしたことが取り沙汰されているのは誠に遺憾だ」と話していた。 
 
 
 
●「国民の敵」

 

 
「国民の敵」自衛官から罵声が 民進 小西議員 4/17
民進党の小西洋之参議院議員は参議院外交防衛委員会で、16日夜、国会近くの路上で、防衛省の統合幕僚監部に所属する現職の自衛官から、「お前は国民の敵だ」などと罵声を浴びたことを明らかにしました。
この中で民進党の小西洋之参議院議員は、16日午後9時ごろ、東京・永田町の参議院議員会館の前の路上で、現職の自衛官と名乗る男性から「お前は国民の敵だ」などと繰り返し罵声を浴びたことを明らかにしました。
小西氏が「現職の自衛隊員であれば発言は法令に反するのではないか」と諭すなどしたところ、男性は最終的に発言を撤回したということです。
小西氏は17日朝、警察から、男性が統合幕僚監部の現職の自衛官だと知らされたということで「自衛隊員としてあってはならない行為で、法令に照らしてしかるべき対処を行うべきだ」とただしました。
これに対し小野寺防衛大臣は、すでに報告を受けたとしたうえで「仮にそういうことがあれば自衛隊員の服務の問題になるので、事実関係を確認し、適正に対応したい」と述べました。
防衛省によりますと、民進党の小西参議院議員に不適切な発言をしたのは東京・市ヶ谷にある統合幕僚監部の指揮通信システム部に所属する30代の3等空佐です。
職場から帰宅したあとランニングに出かけた際、16日午後9時ごろ、参議院議員会館の近くでたまたま小西議員と会って発言したということです。
自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は17日午後、小西議員を訪ねて謝罪し、報道陣に対して「国民の代表である国会議員に対し、幹部自衛官が暴言ともとられる発言をしたことは大変不適切で、極めて遺憾だ。事実関係を調べたうえで、必要があれば処分を行う」と話しました。
自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は17日午後、参議院議員会館を訪れ、小西氏に陳謝しました。
これに対し小西氏は、厳正な処分やシビリアンコントロール・文民統制を徹底するための再教育などを求めました。
このあと小西氏は記者団に対し「身の毛がよだつような話だ。現職の自衛隊幹部が国会議員に対し『国民の敵だ』と何度も言い放った暴挙は民主主義において許してはならない。小野寺防衛大臣は即刻辞任すべきだ」と述べました。
小野寺防衛大臣は記者団に対し「不快な思いをさせたのであれば申し訳ない。国民の一人として当然思うことはあると思うが、それを口にするかどうかは自分が置かれた立場をおもんぱかって対応すべきだ」と述べました。 
 
民進・小西氏に「国民の敵」=自衛官罵声、統幕長が陳謝 4/17
民進党の小西洋之氏は17日の参院外交防衛委員会で、自衛官を名乗る男性から「おまえは国民の敵だ」とののしられたことを明らかにした。防衛省は統合幕僚監部指揮通信システム部の30代の3等空佐だと特定。品位を重んじるよう定めた自衛隊法58条に抵触する恐れがあるとして、処分を検討している。制服組トップの河野克俊統幕長は同日、小西氏に陳謝した。
防衛省などによると、3佐は16日の帰宅後、国会周辺をランニング中に、東京・永田町の公道上で小西氏に遭遇し、罵声を浴びせた。複数の警察官が集まり、小西氏が発言をやめるよう求めたが、3佐は発言を繰り返した。小西氏が防衛省の人事当局に携帯電話で連絡したところ、3佐は発言を撤回したという。
河野統幕長は17日午後、参院議員会館の小西氏の事務所を訪ねて謝罪。この後、防衛省で記者団に「自衛官としてあるまじき行為だ。国民の代表に暴言と受け取られるような発言をしたことは極めて遺憾で不適切だ」と述べた。
これに関し、希望の党の玉木雄一郎代表は17日の記者会見で「看過できない重大な問題だ。自衛隊という実力組織の統制そのものに大きな疑問を持たざるを得ない」と非難。立憲民主党の福山哲郎幹事長も会見で「驚くとともに憂慮すべき事態だ」と指摘した。 
 
民進・小西洋之参院議員への罵声は統幕3佐 河野克俊統幕長が謝罪 4/17
防衛省統合幕僚監部指揮通信システム部に所属する30代の男性3等空佐が16日夜、参院議員会館近くの路上で、民進党の小西洋之参院議員に暴言を繰り返したことが分かった。小西氏が17日の参院外交防衛委員会で「『おまえは国民の敵だ』と繰り返し罵声を浴びた」と述べた。制服組トップの河野克俊統合幕僚長が小西氏に謝罪した。防衛省は調査し、厳正に処分するとしている。
同省によると、3佐は帰宅してランニング中の16日午後9時ごろ、小西氏と偶然遭遇したと説明している。
小野寺五典防衛相は外交防衛委で、小西氏に対し「16日夜に(事務方から)報告を受けた。事実関係を確認して適正に対処したい」と述べた。
小西氏は国会で、陸上自衛隊のイラク派遣日報問題を追及。「安倍内閣は総辞職すべきだ」などと発言していた。 
 
民進議員に罵声は「30代幹部自衛官」認める 4/17
民進党の小西洋之参院議員は17日の参院外交防衛委員会で「16日夜に議員会館近くで現職の自衛官を名乗る者から『おまえは国民の敵だ』と繰り返し罵声を浴びた」と述べた。防衛省は17日、罵声を浴びせたのは同省統合幕僚監部の30代の幹部自衛官と明らかにした。
小野寺五典防衛相は「16日夜に(事務方から)報告を受けた。事実関係を確認して厳正に対処したい」と述べた。
小西氏によると、現場で対応した警視庁から「防衛省統合幕僚監部の現職職員と名乗った」との説明があったという。
小西氏は国会で、陸上自衛隊のイラク派遣日報問題を追及。「安倍内閣は総辞職すべきだ」などと発言していた。 
 
幹部自衛官、野党議員に罵声 問われる文民統制 4/18
防衛省統合幕僚監部指揮通信システム部に所属する三十代の男性三等空佐が十六日夜、国会近くの路上で、民進党の小西洋之参院議員に向かって「おまえは国民の敵だ」と罵声を浴びせていたことが分かった。陸上自衛隊のイラク派遣時の日報問題を巡る混乱が続く中、シビリアンコントロール(文民統制)のあり方が問われる不祥事が再び起きた。識者は「戦前の軍隊のようだ」と批判している。
十六日午後九時ごろ、三佐が国会周辺をランニング中、参院議員会館付近の路上で小西氏と偶然遭遇。小西氏によると、三佐は約十五分間、「おまえは国民の敵だ」「おまえの議員活動は気持ち悪い」などとののしったという。近くにいた複数の警察官が駆け付けた後も同様の発言を繰り返し、小西氏が制止してもやめなかった。小西氏がその場から防衛省の人事担当者に電話で連絡したところ、最終的に発言を撤回した。
小西氏は十七日の参院外交防衛委員会で「自衛隊員として許されない」と防衛省に事実関係の調査を要求。小野寺五典防衛相は「適正に対応する」と応じた。
統幕トップの河野(かわの)克俊統合幕僚長は同日、小西氏に謝罪。三佐について本紙の取材に「私の所に報告にも来るが、大変まじめな幹部自衛官」と評した。防衛省は「不適切な発言で、暴言とも受け止められかねない」として詳しいやりとりを調べており、処分などの対応を検討する。
小西氏は国会でイラク派遣日報問題を連日取り上げていた。取材に「自衛官が国会議員に暴言を吐くとは空前絶後の大事件で身の毛がよだつ。河野統幕長は即刻辞任すべきだ」とした。
イラク派遣日報問題で批判の矢面に立たされている防衛省・自衛隊内では不満がくすぶっている。陸自中央の佐官は、罵声を浴びせた三佐を「ばかなことをしてくれた」と切り捨てる一方、自衛隊の現状について「日報の探索の指示が不明確だったり、時間がない中で探索に追われている。隠蔽(いんぺい)と言われ続けることには憤りをずっと感じている」と漏らした。
統幕は陸海空各自衛隊から選抜された幹部を中心に構成され、指揮通信システム部は三自衛隊の統合運用の見地から、指揮通信の計画などを担当する部署。三佐は中級幹部に当たり、三自衛隊合わせて一万人いる。
昭和史に詳しい作家の半藤一利さんの話 何を考えているのか。一九三八年に衆院で国家総動員法の審議中、説明員の佐藤賢了(けんりょう)・陸軍中佐(当時)が、議員に「黙れ」と一喝した件があったが、当時を思わせる。国会議員は曲がりなりにも国民が選んだ選良で、それを敵だと言うのは選んだ国民を「敵だ」と言うのと同じこと。イラク派遣部隊の日報の問題を見ても、あるものをないと言ったり、首相や防衛相ら自衛隊を統制する側の文民も、される側の自衛官も、それぞれの自覚が無く、シビリアンコントロールや民主主義の形が分かっていないのではないか。  
 
小西議員へ罵声を浴びせた問題 防衛省が謝罪 4/19
民進党など野党6党は19日、「イラク日報隠ぺい」野党合同ヒアリングを国会内で開いた。ヒアリングでは、イラク日報隠ぺい問題以外にも、現職自衛官が小西洋之参院議員に罵声を浴びせた問題も取り上げた。
冒頭、防衛省の担当者は、現職自衛官の不適切発言を謝罪した。小西議員に対して罵声を浴びせたのが統合幕僚監部指揮通信システム部の幹部自衛官である3等空佐の30代男性で、この男性が「帰宅後ランニング中に、参院議員会館付近で偶然遭遇した小西参院議員に対し、暴言と受け取れる不適切な発言を行った」と説明した。
出席議員からは、「暴言と受け取れるとは何か」「小西議員の説明と食い違いがあるのか」という質問が出て、防衛省の担当者は「本人から聞き取りを継続中。まだ確定していないのでこのような言い方になっている」「現時点で聞き取った内容をこの場でつまびらかにするのは差し控えたい」などと答えた。
これに対し参加議員からは、「『国民の敵』だと本人は言わなかったと言っているのか」と声が上がり、「実力組織の幹部がこういう発言をするのは極めて重大な問題だ。個々人の単なる過ちではない。防衛大臣の責任も問われる問題だ」と厳しく批判した。
小野寺防衛大臣が小西議員へ謝罪の意を述べながらも、「若い隊員なので様々な思いがあり国民の1人として当然思うことはあると思う」などと発言したことについても問題視し、「国会議員を『国民の敵』と思うことは仕方ないという発言をしている」「(自衛官を)擁護するつもりがないならば大臣の発言を撤回してほしい」などと出席議員から指摘があった。防衛省の担当者は、「大臣の発言については国会等の場で答弁すると考えている」と答えた。
他にも「防衛大学校でどういう教育をしているのか」と疑問の声が上がり、小西議員は、「ヒアリングの場に防衛大学校でシビリアンコントロールに使われている教材集を出してほしい。しっかり調査をして、彼の発言も特定して、全自衛隊員のシビリアンコントロールと法令順守の再教育をやりなおして、どういうやり方をするか具体的計画を出してほしい」と要請した。
イラク派遣日報の問題については、昨年2月時点でイラク派遣日報の調査を国会で要求して省内を調査しているにもかかわらず、今月になって昨年3月27日に陸上自衛隊研究本部で見つかっていたとしていることに、「1年前に隠ぺいしているのではないか」と小西議員は指摘した。
さらに小西議員は、3月31日に小野寺防衛大臣に存在が報告されたイラク派遣日報を3月7日には文書課長が存在を把握していたことについて、「官房長にも事務次官にも大臣にも上げないことはありえないのではないか。大臣は早い段階から官邸から隠ぺいしろと指示されて31日に公表することにしたのではないか」などと疑念を表明した。 
 
「国民の敵」「気持ち悪いんだよ」と罵倒された小西議員 4/21
「おまえは国民の敵だ!」
防衛省の統合幕僚監部に勤務する30代の3等空佐が、野党議員に対して浴びせた罵声が物議を醸している。
4月16日午後8時40分頃、民進党の小西洋之参院議員は東京・永田町の参院議員会館を徒歩で出たところで、ジョギング中の3等空佐の男性と遭遇した。
小西氏がこう語る。
「歩道上で出くわしたところで、ぱっと視線を向けられたので、私は目礼しました。その男性は走りながら、何度も私のほうを振り返ったので、そのたびに目礼しました。国会図書館前の交差点で立ち止まると『小西か?』と声を掛けられました」
以下、小西氏の記憶をもとに事の経緯を詳述する。
「はい、小西です」と答えると、いきなり「おまえ、ちゃんと仕事しろ!」などと絡んできたというのだ。
「一般の方からもよく路上で声を掛けられ、励ましだけでなくご批判の言葉を頂くことがあります。ご批判の時は、私はいつも『信念に基づいて、国会議員として仕事をさせて頂いております。集団的自衛権の解釈変更について憲法違反であることを証明してきました』などとお伝えするようにしてきました」
この時も小西氏はそう答えると、男性は「俺は自衛官なんだよ。おまえは国民の敵だ!」と言い放ったという。
「あなた、自衛隊員なんですか?」
小西氏は驚きながらも話を続けた。
「憲法違反の戦争で、あなたがた自衛隊員が戦地に送られるのを阻止するために、政治生命を掛けて闘っています」
それでも男性は威圧的な態度で「おまえ、気持ち悪いんだよ」「国民の敵だ」「国会議員に意見して何が悪い?」などと罵り続けてきた。
3佐の発言は、自衛隊員の品位の保持や、選挙権の公使を除く政治的行為の制限などを定めた自衛隊法に違反する可能性がある。
小西氏は「自衛隊の服務規程や法令に違反する発言ではないか」と発言の撤回を求めたが、それでも男性は発言をやめなかったという。
「発言を撤回すれば許すことも考えるが、撤回しないのなら防衛省の人事当局に通報せざるを得ない。あなたは処分を受けることになりますよ」
小西氏は男性にそう告げたが、撤回を拒否されたため、その場から豊田硬防衛事務次官に電話して「自衛官を名乗る者から国民の敵だ、などと罵られている」と伝えた。折り返し、同省の武田博史・人事教育局長から慌てた様子で電話が入る。
男性は180センチほどの大柄な体格で、小西氏は対峙するためにも、近くで警備中の警察官を呼び寄せた。加勢の警察官も掛けつけ、所轄の麹町署からも警備課長が到着すると、ようやく男性は態度を変え始め、発言を撤回することになった。しかし、その言葉が「勉強になりました」であったため、周りの警察官たちからも失笑が漏れた。最終的には「すみません」との謝罪の言葉を口にして、その場を立ち去ったという。この間のやり取りは、およそ30分間近くに及んだ。小西氏が続ける。
「警察官は男性の名前だけ聞いて、所属を聞いていませんでした。私は当初、末端の若い自衛隊員だと思ったので不問にするつもりでした。武田人事教育局長から当日の深夜のうちに、事件があった以上は、防衛省として人物特定の調査を行うとも聞いていた。ところが、翌朝になって麹町署から統合幕僚監部の職員であることを知らされました。自衛隊を統率する部署であり、まさに南スーダン・イラク日報の隠蔽問題が問われています。このため、国民に対する責任から国会で取り上げることにしたのです」
そして、午後には人事教育局長から、「3佐」であることも知らされた。
「昔であれば、大本営の青年将校です。夕方に謝罪に来た河野克俊統合幕僚長に対しても、昨年の安倍総理の自衛隊明記の改憲発言について、幕僚長が『大変、有り難いこと』と違法な政治発言を行ったことも原因の一つだと指摘し、直属の部下の幹部自衛官の暴言の責任を取って、即刻辞職すべきと言い渡しました。戦前、青年将校たちが政治家に対して『国民の敵だ』と叫んでクーデター事件を起こした。だからこそ、どうあってもシビリアンコントロールを徹底させることが重要なのです」(小西氏)
この3佐は2005年に防衛大学校を卒業し、航空自衛隊を経て、現在は統合幕僚監部指揮通信システム部に所属する幹部自衛官だ。
よりによって、南スーダンPKOの日報隠蔽問題が取り沙汰されているさなかの“不祥事”だった。
小野寺五典防衛相は「小西議員に不快な思いをさせたのであれば申し訳ない」と語る一方で、「若い隊員なので様々な思いもある」と擁護するかのような発言もした。
4月19日の河野統合幕僚長の会見では、3佐が小西議員に「国民の敵だ」など何を具体的に言ったのかという質問が集中した。だが、河野氏は「調査を慎重に進めているので、コメントは控えたい」などと明言を避け続けた。
報道陣から「文民統制違反ではないか?」と指摘されると、幕僚長は平身低頭、こう釈明した。
「今回の(3佐の)行為を2.26事件や5.15事件と比較される報道もあります。そのような批判は厳粛に受け止めなければならないと思っています。しかし、いまは戦前とちがって、このような事態を自衛隊として絶対に許しませんので安心して頂きたい」
物騒な軍国主義時代が再び、到来することはない、という防衛省の主張はどこまで信用できるのか。
「防衛省・自衛隊と旧民主党は、ギクシャクしてきた。民主党政権当時、鳩山由紀夫首相が日米首脳会談でオバマ大統領に普天間飛行場移設問題について『私を信頼してほしい』と伝えたことに対し、1等陸佐が公然と首相発言を批判。北澤俊美防衛相が注意処分にしたことがあった。この1佐は、水陸軌道団が新設された相浦駐屯地に西部方面混成団長として就任するなど栄転。注意処分はその後の経歴にまったく影響していない」(軍事ジャーナリスト)
国会議員を面罵する隊員もいれば、面従腹背もまたお家芸か。 
 
 

 

 
小西議員罵倒の自衛官供述 “国民の敵”発言は否定 4/24
防衛省は24日、民進党の小西洋之参院議員が防衛省統合幕僚監部の3等空佐から罵倒された問題に関する調査の中間報告を発表した。小西氏が「お前は国民の敵だ」との罵声を浴びたとしているのに対し、3佐は「国民の敵」という言葉は発言していないと説明しており、両者の主張には食い違いが生じている。一方、3佐は「国益を損なう」「ばか」など不適切な発言を浴びせたことは認めた。防衛省は引き続き調査し、懲戒処分を含めた対応を決める方針だ。防衛省の調査に対する3佐の供述内容は次の通り。

○ 1、私は4月16日(月)20時ごろ、体調管理と、ちょっと太ってきたということから駆け足をしようと思い、アパートを出発しました。
○ 2、私は常々2つのランニングコースを設定しており、ひとつは皇居の周りを走るコース、もう一つは国会議事堂の周りを走るコースです。時間のないときは、国会議事堂の周りを走るコースを選んでいました。皇居のコースについては、家を出て帰り着くのに2時間半かかるため、主に昼間走っておりました。国会議事堂のコースは2時間弱で走れるのと、夜でも明るく平坦で見通しも良く、走りやすいため、夜は走っていました。当日は、出発時間が遅かったため、そちらの方に決め、おおむね20時30分ごろに国会議事堂の周辺について、議事堂をぐるっと一周しました。
○ 3、そして、最後の直線の議員会館の歩道を走っていたところ、民進党の小西議員と思われる方が私の左前方を私の走る方向と同じ方に歩いていました。追い越しの際、右斜め後方から顔が見えるという状況になりました。それで、追い越した際に小西議員かなと思って、また振り返ってみて、小西議員だと確信しました。その時、小西議員は、グレーのスーツにノーネクタイの状態だったと思います。
○ 4、2度目に振り返った際に、小西議員とも目が合い、小西議員は私に向かって軽く会釈をされました。私は特に会釈も何もせず走り続けました。進行方向の自民党本部側に渡っていく交差点の信号がちょうど赤信号になり、そこでしばらく待つかたちになりました。小西議員は、私から90度右側の横断歩道を渡ろうとしており、偶然そちらの信号も赤信号のタイミングだったため、2人が交差点角のそれぞれの横断歩道の前でしばらく待っている状態になりました。このときの二人の距離は7〜8メートルくらいでした。
○ 5、再度、交差点で振り返り、目があったとき、私の方をちらちら見ながら、この人は支援者なのか、そうでない人なのかを伺うような様子で会釈をしました。
○ 6、私はもともと、小西議員に対しては、総合的に政府・自衛隊が進めようとしている方向とは違う方向での対応が多いという全体的なイメージで小西議員をとらえていました。小西議員から会釈された際、私はあいさつを返すのもどうかと思ったし、最初に見たとき、一言思いを述べたいという気持ちが高まりました。そして、交差点で一緒になり、会釈された際に、私は小西議員へのイメージもある中、あいさつを返したくない気持ちもあり、無視をするのもどうかと思って、思わず「国のために働け」と聞こえるように、大きい声で言ってしまいました。
○ 7、それに対し、小西議員の方からも「国のために働いています。安倍政権は、国会で憲法を危険な方向に変えてしまおうとしているし、日本国民を戦争に行かせるわけにいかないし、戦死させるわけにもいかないから、そこを食い止めようと思って、私は頑張ってやっているんです」という反論がありました。おそらく、小西議員は日頃からネット上やさまざまなところで、いろいろな反対意見・批判を受けていて、そのたびに憲法や平和安全法制の話題で対立していたので、この種の反論になれているように感じました。
○ 8、「戦死」を身近に感じている私にとっては、小西議員の「戦死」という言葉の使い方が非常に軽く感じ、私のこれまでの災害派遣任務で経験したヘリから基地に空輸されてきたご遺体を目の当たりにしたときの強い衝撃や使命感、そしてすべての自衛官が持っている「事に臨んでは危険を顧みず」という覚悟を軽んぜられたと感じたので、「俺は自衛官だ。あなたがやっていることは、日本の国益を損なうことじゃないか。戦争になったときに現場にまず行くのは、われわれだ。その自衛官が、あなたがやっていることは、国民の命を守るとか、そういったこととは逆行しているように見えるんだ。東大まで出て、こんな活動しかできないなんてばかなのか」とむきになってしまい、言い返してしまいました。
○ 9、すると小西議員は、だんだん私の方に近づいてきながら「あなたは現役の自衛官なのか。現役の自衛官が、そんな発言をするのは法令に反する」といわれた際に、はっきりとは覚えていませんが「私の発言は、自衛官の政治的行動に当たりません」というようなことを行ったと思います。その後、おおむね以下のやりとりがあったと思います。
小西氏「名前と所属を言いなさい」
3佐 「言いません。なんで言わないといけないんですか」
小西氏「現役の自衛官がそんな発言をするのは許されない。これは大問題だ。名前と所属を言いなさい」
3佐 「いいえ、言いません。今は、一国民として私の思いを伝えています」
というやりとりだったと思います。その後、小西議員は「撤回しなさい。現職の自衛官がそんなことを言うのは問題だ。防衛省の人事局に今から通報する」といって携帯電話を出しました。このやりとりの際に、はっきりとは覚えていませんが、「何が悪いんでしょうか?」と類似するような言葉を使ったかもしれません。このときの二人の距離は2〜3メートル程度に縮まっていました。
私は、再び駆け足に戻ろうとしました。するとそれを止めるように、電話をしながら、少しずつ私から離れていき、小西議員側の向かいの交差点にいた警備の警察官に「お巡りさん、お巡りさん、現役の自衛官が・・・、来てください、来てください、お巡りさん!」と警察官を呼びました。その時、そのまま走り去ってしまうと、警察官からやましいので逃亡したと誤解されると思い、その場にとどまりました。
○ 10、そこで私も反論して「あなたは国民を代表する議員でしょ。私なんかよりも、何倍もの力を持っていて、なんだってできるのに、なんで一国民が訴えていることを聞いてくれないんだ」と言いました。小西議員は、電話をしており、私の話には取り合ってくれないような状況でした。このとき、小西議員は、私がそのまま駆け足に戻らないよう私の方に近づいてきており、距離が再び2〜3メートル程度に縮まっていました。
○ 11、その姿を見て、私は「あなたはなんで権力をかさに着るようなことをするんですか。国会議員だったら、一国民が言っていることをちゃんと聞くぐらい、いいじゃないですか。本当にそういう行為(人の話を聞かない、すぐ通報する、すぐ警察を呼ぶという男らしくない行為)が気持ち悪い」と言いました。小西議員は、電話先で「私は参議院の小西ですが、今、現職の自衛官と名乗る男性から私のことを罵倒したり、冒涜するような発言をしている者がいます。これは大問題ですから・・・」と通話しており、この後の語尾の方は、明確には聞こえませんでした。
○ 12、そうこうしているうちに私の左方向から自分より若そうな20代くらいの警察官1人が近づいてきて、私と小西議員のほぼ間に立ちました。私はその警察官に対し「勤務中に余計な仕事を増やしてしまい、本当に申し訳ないです。すみません」と言いました。その警察官は「はい」と返事をされ、そのまま最初に小西議員に何があったのか聞きました。小西議員は「この人は現役の自衛官らしいんですけど、いきなり私に国のために働けって、強く罵るんですよ。私は国民を代表する国会議員なんですよ。その国会議員に対してね、一自衛官がこんなことを行ってくるなんてあり得ないから。彼は自衛官でね、強力な武器も扱う、警察のあなた方もかなわないような実力組織なんですよ。実力組織の人間があんな発言をするなんて、恐ろしい」と言っているのが聞こえました。私は特に何も言わず、黙っていました。
その後、4人程度の警察官が合流し、この人たちにも「勤務中に本当に申し訳ないです。すみません」と言いました。私も警察官の一人から事情を聴かれました。そのため事情を説明し、身元を聞かれたので、住所、氏名、生年月日、所属など聞かれたことに答えました。その時の2人の距離は7〜8メートル程度でした。
○ 13、その5分後、麹町警察署の警察官3人が合流したので、この警察官たちにも同様に頭を下げ、もう一度同じ説明をしました。
この説明をしている間、小西議員は、警察の事情聴取に応じつつ、携帯電話で誰かと話をしている様子でした。会話の内容は聞き取れませんでした。
○ 14、その後、私の事情聴取が一通り終わった後、小西議員側の事情聴取が終わるのを2〜3分程度待つ状況でした。その待っている間、警察官と私は「駆け足の途中で寒くないですか」等の会話をし「どうする、謝っておくかい?」と聞かれ、私も事の重大さを認識し謝罪しようと思い始めていたため「はい、もちろん。ご迷惑をおかけしましたし、ぜひ謝りたいです」
と言いました。それから、小西議員側の話が終わった様子を見て、私から事情を聴いていた警察官が、小西議員とも話をして、その後、私に対し「もし何か言うことがあれば、今この場で言ってもらえるといいと思いますよ」と間を取り持ってもらいました。
○ 15、私から小西議員に近づき3メートルくらいのところで向き合うと、小西議員の方から「あなたのさっきのような、人格を否定するような罵ったところとか、私の政治活動を冒涜するようなこととか、そういったところを謝罪してもらえるんだったら、特に防衛省に通報したりとか、そういうことはしないから」と言われました。
○ 16、私も事の重大さを認識し謝罪しようと思い始めていたため、小西議員に対し、今回のやりとりで「ばか」「気持ち悪い」と言ったことについて「個人の尊厳を傷つけるようなことと、考えの違いはあるかもしれませんが、日々日本を良くしようとがんばっている政治活動を冒涜するようなことを言ってしまい、大変申し訳ありませんでした」と謝罪しました。
○ 17、私の謝罪に対し、小西議員は、ご自身の政治理念を述べられ、具体的には、はっきりとは覚えていませんが、70年前に総理大臣を殺して226事件や515事件など、クーデターが起きたことを踏まえ、シビリアンコントロールが大事というような趣旨のことを話していました。小西議員は「あなた、どう思う?」と問われたので、私は歴史のことではなく、今回の一連の案件を通じて「勉強になりました」と答えました。私の本意は、自分の立場を考えず、言いたいことをいってしまい、「自分はまだ未熟だな、ちゃんと社会人としてやっていかなきゃいけないな」という意味でした。
それから、小西議員が私の方に近づいてこられ、私に右手を差し伸べ、私もそれを両手で握りかえしました。小西議員は、そのまま手を強く握りしめ「見解の相違もあるけど、あなたも家族がいるでしょうし、組織の中でも若いだろうから、しっかりがんばってもらわないといけない。今回のことはそうやって言ってもらったから、防衛省には言わないから。あなたのような自衛官を殺させるわけにはいかないし、だからこそ憲法改正をなんとか辞めさせようと思っている。だから活動しているんだ。先日も、質疑の時に防衛大臣に服務の宣誓の意味を問うたけれども、あの人は答えられなかったんですよ。あなたはそのような人の下で働いてるんだってことをよく認識した方がいいですよ。そういうところを私は危機感を持っているから、がんばっている。あなたもまだ若いから、日本のために一緒にがんばりましょう」と言われました。私は、それに対してなにも反論せず、うなずきながら聞き、ただ「すみませんでした」とだけ言いました。
○ 18、その後、小西議員から「帰っていいから」と言われ、警察官の方も目配せして「行っていいよ」という感じだったので、その場から離れ、信号を渡って自民党本部の側から走ってアパートに帰りました。 
  
 
 
●陸自日報問題

 

陸自日報問題 国際活動教育隊でも発見 4/4
一連の陸上自衛隊の日報に関する問題に関連して、防衛省は4日、昨年2月の国会審議で当時の稲田朋美防衛相が、陸自の海外派遣部隊が作成した日報について「保管されていない」と答弁していた陸自国際活動教育隊に、過去の日報が保管されていたことを明らかにした。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題を巡る再発防止策の一環として、過去の日報の保管状況を調べる中で明らかになった。
防衛省によると、国際活動教育隊は、PKOなどの国際平和協力活動に関する教育訓練を担当する部隊。南スーダン派遣施設隊など過去六つの海外派遣に関する日報を保管していたという。 
イラク日報問題〜なぜ文書問題は起こるのか? 4/5
陸上自衛隊のイラク派遣の日報が見つかった問題で、実際には去年3月の時点で日報が確認されていたにも関わらず、陸上自衛隊の研究本部が発見の事実を当時の稲田防衛大臣らに報告していなかったことを、昨日小野寺防衛大臣が明らかにした。

飯田 / ないはずの日報が見つかったというこの問題です。公文書管理の話がいろいろな省庁で囁かれている中で、自衛隊の1年間塩漬けというのはいくらなんでもと思いますが。
鈴木 / 自衛隊だけではないです。財務省もあったし、厚労省もあった、文科省もあった。こうなってくると、こうやって書類がないと言ったものがあったり、あると言うものをないと言ったり、都合が悪いときには書き換えたり…。これがいわゆるある意味霞が関というか行政ですよね。こういうことやっていたのだなと。こういうものが我々国民の代表がいる国会、つまり立法府ですよね、ここに提出されて真剣に議論をして、そして法律が最後に決まっていた。もう前提が常にこういうことだったっていうこと。これは大問題ですよ。
この問題を考えるときに2つ考えなくてはいけないと思います。
1つはとんでもない行政と立法府の関係です。国会というのは国民ですから。国民をこうやって役所が平気で騙しているのか、これは霞が関改革というか組織改革までやらなくてはいけない大問題です。
もう1つは安倍政権の間にいくつか出てきたわけです。これは何か、よく言われているのは、安倍政権が内閣人事局を使って霞が関、役人に対して厳しい態度をとってきた。それによって役所側が忖度して、これは出さない方がいいだろうとか出した方がいいだろうとか、書き換えた方がいいだろうと忖度したと言われている。
僕は人事局を作ることは良いことだと思います。政治主導、霞が関の役人を押さえるための手段としては非常に良い。ある政権幹部に、2012年に安倍政権ができた直後に、何を一番やりますかと政策のことを聞きました。そしたら、いやいやまずやるのは人事局だ、とその人は言いました。今も政権幹部ですよ。で僕はなるほどねと、政治主導でやっていくのだなと思ったんですよね。
飯田 / 人事と予算というのは、人を動かす2つのファクターですからね。
鈴木 / 普通の会社でもそうじゃないですか。何となく上司に人事のことをされたら「はい、頑張ります」と言っちゃうようなこと。僕は手法としてはありだと思いますが、これだけ続くと何かしら忖度、もしかしたら官邸との何か政治的な関係があったんじゃないか、そんなことも当然疑われてくる。だからその2つをきっちり分けて考えていかなくてはいけないと思いますね。 
防衛省が公表 陸自イラク「日報」 4/16
防衛省は16日、これまで「存在しない」としてきた自衛隊のイラク派遣の際の活動報告(日報)を公表した。計435日分、約1万5千ページにのぼる。  
イラク日報、調査が難航 結果報告、大幅遅れか 4/21
存在しないとされた自衛隊のイラク派遣時の活動報告(日報)が陸上自衛隊で見つかった経緯などを調べるチームの調査が難航している。当初、今月半ばの結果報告を想定していたが、大幅に遅れる可能性も出てきた。
イラク日報をめぐっては、小野寺五典防衛相が2日に存在を発表。昨年3月下旬に陸自研究本部(研本、現・教育訓練研究本部)で見つかっていたにもかかわらず、防衛相への報告に1年余りかかった経緯などを調べるため、大野敬太郎防衛政務官をトップとする調査チームを4日に立ち上げた。
防衛省によると、これまでに少なくとも30人以上を対象に対面方式や電話による聞き取りを実施。研本教訓課(当時)の複数の担当者は「(日報の)電子データを行政文書と認識していなかった」などと説明しているという。
ただ、調査は予定通りには進んでいない。 
 
 
 
●国会空転

 

 
国会空転 与党、強行批判恐れる 4/21
自民、公明両党が加計学園の獣医学部新設に関し、23日の柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致を見送ったのは、野党が欠席する中で強行して、安倍政権のイメージがさらに悪化することを恐れたためだ。首相官邸は一時「与党だけで参考人招致をしてほしい」と打診したが、与党側から「『政権擁護のお手盛り』と批判される」と慎重論が出た。一方、証人喚問へ攻勢を強める立憲民主党など野党6党も、今後の展望は描けていないのが実情だ。
「強引にやるイメージは良くない」。自民党の森山裕国対委員長は記者団に、衆参の予算委員会集中審議と参考人招致を見送った理由を、こう説明した。参考人招致は全会一致で決めるのが慣例だが、野党が20日から審議を拒否し、実施するには与党が数で押し切るしかなくなっていた。
柳瀬氏は昨年7月にも参考人として加計学園問題で答弁。政府・与党は今回も「証人喚問ではなく参考人招致にとどめれば、何とか乗り切れる」とみている。与党関係者によると、国会で日米首脳会談の成果もアピールしたい官邸は「野党抜き」で集中審議を強行するよう要請。自民党からも「野党が来なくても淡々とやる」(国対幹部)と強気な声が出ていた。
しかし森友学園などを巡り、首相に近い自民党議員の質問が「政権擁護が露骨すぎる」と批判を浴びたこともあり、公明党は、厳しい質問の少ない与党だけの質疑では、世論の反発を招きかねないと懸念。結局、自公両党は「無理をするのはやめよう」と安全策を採った。公明党の井上義久幹事長は20日の記者会見で、「参考人招致は全会一致が基本だ」と語った。
一方、野党は麻生太郎副総理兼財務相の辞任や柳瀬氏の喚問を求め、審議拒否に踏み切った。ただ、もともと集中審議を強く要求していたのは野党で、首相らをただす「見せ場」を失ったことも否めない。
通常の法案審議については、与党は野党抜きでも進める構え。立憲など3党が欠席して20日に開かれた衆院厚生労働委員会は、18日と合わせて10時間、野党の質問時間を空費した。
立憲の福山哲郎幹事長は「異常事態を整えるのは政府・与党の責任」と反発したが、「追及材料は多いのだから、委員会で議論すべきだ」(民進党の桜井充参院議員)と疑問も漏れる。このため野党側では「十分な質疑時間の確保」などを条件に、集中審議に応じる案も浮上している。  
セクハラで空転する国会はデモクラシー末期 4/21
国会は今週ずっと、財務次官のセクハラ問題で審議が止まっている。野党6党は国会内で集会を開き、女性議員はセクハラ運動のプラカードを掲げ、喪服をつけて麻生総務相の辞任を求めた。これを見て私は、もう日本のデモクラシーは終わったと思った。
国会は法案や予算を審議する「国権の最高機関」であって、個人のスキャンダルを暴く場ではない。そんなことはいうまでもないが、ここ1年以上、国会は森友・加計やセクハラなどのくだらないスキャンダルで埋まっている。
こういう状態は、戦前の政党政治末期に似ている。1923年の朴烈事件では、政治犯が女と抱き合う写真が帝国議会で問題になり、野党は内閣の「監督責任」を追及した。議会はこのスキャンダルで空転し、若槻内閣は総辞職した。これが政党政治の行き詰まるきっかけだった。
スキャンダルに明け暮れる政党政治に国民はいやけがさし、金融恐慌で窮乏化した農村を救済すると称して北一輝などのファシストが出てきた。軍部は腐敗した政治家を追放して総力戦体制を築こうと満州に進出を図った。
戦前も今も大衆は政策には関心がなく下ネタが好きだから、野党はそういうわかりやすい不祥事を騒ぎ立てる。マスコミもそれを応援して、内閣が倒れるまでスキャンダルを煽る。こうして内閣が弱体化して政党政治が機能しなくなると、国民は軍部を熱狂的に支持した。
つまり戦前の政治がおかしくなった原因は、デモクラシーと軍部の対立の中で軍部が暴走したのではなく、普通選挙で大衆迎合に走ったデモクラシーの暴走だった。政党は1930年代末まで存在しており、政党を超える独裁政権が出てきたわけではない。むしろ政党は軍部の対外的膨張主義に積極的に「翼賛」した。それを煽動したのが新聞だった。
デモクラシーが第1次大戦以降に支配的になったのは、戦争に強いからだ。ドイツもオーストリアもオスマンもロシアも、帝政は戦闘で負けたわけではなく、国内の革命で崩壊した。デモクラシーは国民を主権者として「自分の戦争」に総動員するので、長期戦に強いのだ。
しかし普通選挙で過剰に代表された大衆の関心は金と女のスキャンダルに集中し、議会は機能しなくなる。戦前の場合はそこに軍部が出てきたが、戦後の自衛隊にはそういう求心力はない。官邸主導の安倍政権が終わると、またコンセンサスの得られない問題を果てしなく先送りし、内閣が毎年変わる「決まらない政治」が始まるのだろう。  
空転 与党、強行批判を恐れ/野党、追及戦略描けず 4/21
自民、公明両党が加計学園の獣医学部新設に関し、23日の柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致を見送ったのは、野党が欠席する中で強行して、安倍政権のイメージがさらに悪化することを恐れたためだ。首相官邸は一時「与党だけで参考人招致をしてほしい」と打診したが、与党側から「『政権擁護のお手盛り』と批判される」と慎重論が出た。一方、証人喚問へ攻勢を強める立憲民主党など野党6党も、今後の展望は描けていないのが実情だ。
「強引にやるイメージは良くない」。自民党の森山裕国対委員長は記者団に、衆参の予算委員会集中審議と参考人招致を見送った理由を、こう説明した。参考人招致は全会一致で決めるのが慣例だが、野党が20日から審議を拒否し、実施するには与党が数で押し切るしかなくなっていた。
柳瀬氏は昨年7月にも参考人として加計学園問題で答弁。政府・与党は今回も「証人喚問ではなく参考人招致にとどめれば、何とか乗り切れる」とみている。与党関係者によると、国会で日米首脳会談の成果もアピールしたい官邸は「野党抜き」で集中審議を強行するよう要請。自民党からも「野党が来なくても淡々とやる」(国対幹部)と強気な声が出ていた。
しかし森友学園などを巡り、首相に近い自民党議員の質問が「政権擁護が露骨すぎる」と批判を浴びたこともあり、公明党は、厳しい質問の少ない与党だけの質疑では、世論の反発を招きかねないと懸念。結局、自公両党は「無理をするのはやめよう」と安全策を採った。公明党の井上義久幹事長は20日の記者会見で、「参考人招致は全会一致が基本だ」と語った。
一方、野党は麻生太郎副総理兼財務相の辞任や柳瀬氏の喚問を求め、審議拒否に踏み切った。ただ、もともと集中審議を強く要求していたのは野党で、首相らをただす「見せ場」を失ったことも否めない。
通常の法案審議については、与党は野党抜きでも進める構え。立憲など3党が欠席して20日に開かれた衆院厚生労働委員会は、18日と合わせて10時間、野党の質問時間を空費した。
立憲の福山哲郎幹事長は「異常事態を整えるのは政府・与党の責任」と反発したが、「追及材料は多いのだから、委員会で議論すべきだ」(民進党の桜井充参院議員)と疑問も漏れる。このため野党側では「十分な質疑時間の確保」などを条件に、集中審議に応じる案も浮上している。 
吉村大阪市長「二度と来ない」と激怒 野党審議拒否で国会空転 4/24
財務省をめぐる一連の問題で空転する国会。24日の衆議院の委員会では参考人として大阪市の吉村市長が招かれましたが、維新を除く野党が出席しなかったため激怒しました。
24日の衆議院厚生労働委員会。生活困窮者の自立を促す法律について審議されましたが、維新を除く野党が出席を拒否したため空席が目立ちます。これに激怒したのがこの人です。
「法案審議を深めたいという思いで、様々な大阪市役所の業務がある中で大阪市から参っているわけです。なぜ、国会議員の皆さんががいないんですか?おかしいじゃないですか?」(参考人の吉村洋文大阪市長)
吉村市長は全国最多の生活保護受給者を抱える立場から意見を述べましたが、野党の欠席で実りある議論ができなかったと怒り心頭です。
「問題点は追及すればいいが、その手段として法案を人質に取るというのは、国民を人質に取っているのと同じことではと思います。もう二度と来ないですから、野党に呼ばれても来ないですよ」(吉村洋文大阪市長)
野党は、福田財務事務次官のセクハラ発言などの責任をとり麻生財務大臣が辞任することを審議復帰の条件としていますが、麻生大臣は自らの辞任を否定していて、国会の空転はまだ続きそうです。  
国会空転続く=麻生氏進退で野党強硬 4/24
立憲民主党など6野党は24日、相次ぐ安倍政権の不祥事への追及を強め、国会の審議拒否を続けた。財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑と決裁文書改ざんの責任を問い、麻生太郎副総理兼財務相の辞任を要求。審議復帰の条件に掲げて強硬な姿勢を貫く方針。これに対し、政府・与党側は麻生氏辞任には応じない考えだ。
6野党は24日午前の衆院厚生労働、環境両委員会を欠席した。成人年齢を18歳に引き下げる民法改正案に関する午後の衆院本会議も欠席。一方、福田氏のセクハラ疑惑に関し、合同ヒアリングを実施した。
立憲の辻元清美国対委員長は国会内で記者団に、麻生氏に対し「出処進退をよく考えてほしい」と辞任を促した。希望の党の泉健太国対委員長は、加計学園問題での柳瀬唯夫経済産業審議官の証人喚問を改めて求めた上で、「国会正常化は与党の役割だ。野党がわがままを言っているわけではない」と強調した。 
主な野党欠席のまま法案採決、自民から「解散」の言葉も 4/25
国会では辞任した福田前財務次官のセクハラ疑惑などを受け、主な野党が国会審議を欠席する中、与党側は重要法案の採決に踏み切りました。国会記者会館からの報告です。
衆議院厚生労働委員会では生活保護法の改正案などが採決され、立憲民主党などが欠席する中、与党の賛成多数で可決されました。
福田前財務次官のセクハラ疑惑などを受け、この1週間、野党側が審議に応じてこなかったことから、法案は実質的な議論がほとんど行われることなく、自民・公明などの賛成多数で可決しました。与党側が採決を急ぐ背景には、安倍政権が今の国会の最重要法案と位置づける「働き方改革関連法案」の審議入りを急ぎたいとの考えがあります。これに対し、野党側からは反発の声が上がっています。
「国会ではなくて、財務省と安倍政権が異常事態なんです。きちんとリセットしていただくと、それが審議を促進していくことにつながると思います」(立憲民主党 辻元清美 国対委員長)
与野党の対立が深まる中、自民・公明の幹部は25日朝、今後の国会運営について協議しました。審議に応じない野党側に対し、「解散」という言葉が出るなどいら立ちの様子も見せています。
「内閣不信任が出されれば、解散もひとつの内閣の選択肢なんだろうと」(自民党 森山 裕 国対委員長)
野党側は柳瀬元総理秘書官の証人喚問や、財務省の一連の不祥事の責任があるとして、麻生財務大臣の辞任などを求めていますが、与党側は「今答えられる精いっぱいの答えを出している。それ以上のものを申し上げることはできない」と述べるなど、与野党の対立を解消する糸口は見えていません。 
国会空転 歩み寄って審議で解明を  4/25
「森友・加計(かけ)」学園を巡る問題や財務次官のセクハラ疑惑など不祥事が次々と噴き出す中、国会の空転が続いている。
野党が審議に応じる条件として掲げた4項目を与党が拒否しているためだ。環境を整える責任は政府、与党にある。
一方で野党も、満額回答でなければ審議できないというのはいかがなものか。真相を解明するのは国会で行うのが筋だ。互いに歩み寄り妥協点を探らねばならない。
野党が求める4項目は、麻生太郎財務相の辞任、財務省による決裁文書改ざんの調査結果の月内公表、柳瀬唯夫元首相秘書官らの証人喚問、自衛隊の日報問題などの真相究明だ。
与党が「ゼロ回答」のため、野党は審議拒否を続け、23日の安倍晋三首相が出席する集中審議も見送られた。与党は26日の集中審議を提案している。
財務省では、福田淳一事務次官がきのう、セクハラ疑惑を否定したまま辞任が正式決定された。被害者に名乗り出るよう求めるなど調査方法への批判は強い。事務方トップの次官と国税庁長官が相次いで辞任するという異常事態だ。今なお決裁文書の改ざんを含め、納得がいく説明はほとんどなされていない。麻生大臣の責任は極めて重い。
柳瀬氏の国会招致について、与党は参考人の形で応じる構えだ。野党が拒んだのは当然だろう。昨年の参考人招致で、「記憶の限りではない」と条件を付けながら加計学園の関係者との面会を否定していた。それ以降、面会をうかがわせる文書が複数見つかっている。虚偽を証言すれば罪に問われる証人喚問で問いただす必要がある。
一連の問題で内閣支持率は急落した。だが野党の支持も伸び悩んでいる。野党は合同ヒアリングに官僚を呼んで追及しているが、本来は国会の場でするべきものだ。パフォーマンスが過ぎれば、冷静に見ている国民の理解は得られない。
与党内には、ここを乗り切れば大型連休で風向きが変わるのではという見方が出ている。有権者の疑念はそんな甘いものではないと知るべきだ。
国会が動かず、疑惑解明もあいまいなままでは、政治不信が強まる恐れがある。 
出口見えず 「働き方」法案、27日審議入り 4/26
野党6党の国会審議欠席が続く中、自民党の森山裕国対委員長は26日、立憲民主党の辻元清美国対委員長と会談し、打開策として5月7日か14日に改めて衆院予算委員会の集中審議を開くことを提案したが、野党側は拒否した。20日から続く対立はこの日も平行線。与野党ともに国会正常化の「出口」が見えないまま、大型連休を迎えることになりそうだ。
一方、6月20日の国会会期末まで2カ月を切ったことから、自民、公明両党は残業時間の上限規制などを柱とする働き方改革関連法案を、27日の衆院本会議で審議入りさせる方針。政府・与党は今国会の最重要法案と位置付けるが、審議の日程が既に窮屈で、焦る与党は野党欠席のままでも審議を進める構えだ。
26日の衆院議院運営委員会の理事会では、古屋圭司議運委員長(自民党)が27日の本会議開催を職権で決定。衆院厚生労働委員会でも、高鳥修一委員長(同)が同様に委員会開催を決めた。
森山氏は辻元氏に対し、来月の集中審議を提案しつつ衆院本会議への出席を呼びかけたが、辻元氏は加計学園問題を巡る柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問を改めて要求。「懸案を片付けてから審議すればいい。ベルトコンベヤーのようにどんどん進めるのはやめてほしい」と反論した。
森山氏は「参考人招致なら異議はない」と譲らず、物別れに終わった。さらに辻元氏は森山氏に「(連休の谷間の)来月1日に高鳥氏の解任動議提出を検討する」と電話で伝え、与党の審議強行をけん制した。
26日の参院議院運営委員会理事会では、決裁文書改ざんなどで野党が辞任を求める麻生太郎副総理兼財務相と、自衛隊の日報問題を抱える小野寺五典防衛相の海外出張に、野党が反対。両氏は訪米に続いて国会の了承がないまま、連休中に出張する見通しだ。
自民党の竹下亘総務会長は派閥会合で「(日米首脳会談を受けた26日の)集中審議を欠席した野党は、猛省してほしい。歴史の曲がり角にそういう態度はいかがなものか」と非難。与野党双方が「国会停滞の責任は相手にある」と、批判合戦の様相も呈している。 
国会空転、責任は安倍政権 4/26
○1、国会の視点  国会審議の前提壊し放置するのか 異常事態正す野党要求
政権ぐるみの公文書改竄や隠蔽の疑惑、セクハラ被害を拡大するような財務省の対応など、安倍政権の下で、政府と国会・国民との関係が異常事態に陥っています。国会では、審議の前提が壊されているのに与党がそれを放置。打開の責任も果たさずに、野党欠席のまま質疑や採決を進めるというさらに異常な事態が続いています。
政府・与党は、いまや七つとも八つともいわれる重大疑惑・不祥事を引き起こし、世論の批判の前に口では「ウミを出す」(安倍首相)などと言いながら、それにふさわしい打開策を何ら示していません。それどころか、真相解明と責任の明確化を求める野党に「ゼロ回答」を決め込んでいます。
一つでも内閣が吹き飛ぶような問題を起こしてきた政府・与党に対して、日本共産党など6野党が求めている、(1)麻生財務相の辞任、(2)柳瀬元首相秘書官ら疑惑関係者の証人喚問、(3)森友公文書改竄問題の調査結果の4月中の公表、(4)自衛隊「日報」隠蔽問題の真相究明―の4項目は最低限の要求です。
いま起きている一連の疑惑・不祥事で共通するのは行政府が国会に対して見え透いたウソとごまかしでことを進めようとしていることです。
加計問題では、官邸で加計関係者と会ったことを示す愛媛県作成の文書や政府内でやり取りされたメールが発見されているのに柳瀬氏が“記憶はない”と強弁しています。柳瀬氏は昨年7月、国会で参考人として答弁した際にも“記憶はない”と繰り返しました。ウソを言えば偽証罪に問われる証人喚問でただすしかないことは明らかです。
セクハラ暴言問題でも、福田前財務事務次官は、音声データの報道に加えて、テレビ局が自社の女性社員が被害を受けたことを明らかにしても、いまだに事実を認めず、居直り続けています。財務省は、被害者に名乗り出るよう求めるなど、二次被害を生みだし、社会全体の人権状況を後退させるような対応を繰り返しています。
さらに麻生財務相の「(福田氏が)はめられて訴えられたのではないかなどと、いろいろな意見がある」との発言は、政府・与党の異様さを示す新たな問題となっています。福田氏を罷免も処分もせず辞任を認めた安倍内閣の責任が問われています。麻生財務相は、森友公文書の改ざんの責任と合わせて辞任は当然の要求です。
防衛省が、存在しないとしてきたイラクや南スーダンの「日報」が大量に発見され、“戦場の真実”を覆い隠すために隠蔽してきたのではないか、「非戦闘地域」と言ってきたのが虚構だったのではないかということが大問題になっています。真相究明は不可欠です。
これらの問題で、政府・与党の責任ある回答が示されるまで、新たな日程に応じることはできないという野党側の主張は当然です。
国民主権も民主主義も破壊する大問題をそのままに審議再開などありえません。政府・与党は責任ある提案を示すべきです。世論調査でも圧倒的多数の国民が、疑惑の全容解明や麻生氏辞任を求めています。
ましてや「働き方改革」一括法案は、厚生労働省のデータのねつ造や過労死隠ぺいの「特別指導」の実態が暴露されて法案の根拠が崩れています。与党だけで審議入りをねらうなど論外です。(藤原直)
○2、政府に異常事態の責任 真相究明通じ政権追い込む 穀田氏会見
日本共産党の穀田国対委員長は25日、国会内で開いた記者会見で、「安倍政権のもとでの異常事態の責任は政府・与党にある」と指摘し、打開のためには野党6党が一致して求めている証人喚問など4項目に応えることが大前提だと述べました。
穀田氏は、野党側が要求している▽麻生財務相の辞任▽柳瀬元首相秘書官らの証人喚問▽財務省の決裁文書改竄の調査結果の4月中の公表▽自衛隊「日報」問題の真相究明―などは「道理ある要求だ」と主張。与党側がこれに背を向け「ゼロ回答」を続ける中、衆参予算委員会での安倍首相が出席する外交問題についての集中審議を26日に行うと決定したことについて「審議の前提が崩れているもとでの審議強行は許せない」と強調しました。
穀田氏は、「改竄、隠蔽、捏造、圧力、セクハラと続き、シビリアンコントロールの崩壊もある」と安倍政権が作り出している一連の異常事態を挙げ「審議の条件や土台を壊していることにまったく理解がなく、何の反省もない」と厳しく批判しました。
自民党の森山国対委員長が同日「内閣不信任決議案が出されれば、衆院解散も一つの選択肢だ」と述べたことについて穀田氏は「信任に値しないという政治的メッセージにどう喝でこたえることになる。国会運営で追い込まれている中で出た発言だ」と指摘。「市民と野党が協力し、真相究明を通じて安倍政権をさらに追い込んでいく」と表明しました。
○3、主張 セクハラ異常対応 人権・尊厳無視の政権は退陣を
辞任に追い込まれた福田前財務事務次官のセクハラ問題での安倍政権の対応、麻生財務相や自民党議員からの相次ぐ暴言に憤りを禁じえません。「はめられて訴えられたのでは(などの意見がある)」(麻生氏)「(今回のセクハラ告発は)ある意味で犯罪」(下村元文科相)などというのは、被害者を加害者呼ばわりするもので言語道断です。処分なしの福田氏辞任を了承した内閣の姿勢自体が大問題です。福田氏を擁護し、被害者に名乗り出ろと求めた財務省の対応に無反省の麻生財務相には資格がないのはもちろん、政権全体が厳しく問われます。
福田前次官辞任が閣議了承された直後の麻生財務相の会見は、セクハラ問題に反省のない安倍政権の姿を象徴したものでした。
「週刊誌報道だけでセクハラがあったと認定して処分するのはいかがなものか。はめられて訴えられたのではないかなどと、いろいろな意見は世の中にはいっぱいある」―この期に及んでもセクハラを認めず、被害者を侮辱する発言を平然と繰り返す麻生氏の認識と感覚は全く異常です。この麻生氏に財務相・副総理という「内閣ナンバー2」の要職を任せ続ける首相も同罪という他ありません。
だいたい辞任した福田前次官は、被害者が明らかになってもセクハラを認めず、裁判で争うと居直っています。福田氏が強気でいられるのは、財務省・政権が同氏の言い分を受け入れかばう姿勢に終始しているためです。問題発覚後、被害者に名乗り出ることを要求し、それがない場合はセクハラと認定できないとした財務省の対応は、セクハラ被害者救済、被害根絶にとって最悪・最低のやり方です。
尊厳や人権を侵害された被害者は深刻なダメージを受け、傷ついています。その人に向かって名乗り出よというのは、新たに二次被害を引き起こし二重三重に被害者の人権を蹂躙(じゅうりん)するものです。
しかし、財務省はこの呼びかけを撤回していません。名乗り出ることについて「そんなに苦痛なのか」と国会で答弁した財務省官房長が、福田前次官の職務を代行するとしています。反省のない財務省がまともにセクハラ問題に対処できるはずがありません。被害を認め、被害者に謝罪するのはもちろん、麻生氏は辞任すべきです。
安倍首相側近の一人とされる下村元文科相の「(福田氏は)はめられてますよね。ある意味で犯罪だと思うけど」という講演での暴言、自民党の長尾衆院議員による野党女性議員らに対する侮蔑的なツイッターへの書き込みは本音が漏れたものではないのか。形ばかりの「撤回」や「謝罪」ですむ話ではありません。自民党総裁としての安倍首相の責任は免れません。
政府・与党は麻生財務相の辞任や「森友・加計」での証人喚問などを求める野党の要求に一切応えず、数の力で国会審議を一方的に進め、「働き方」法案の審議入りも強行する構えです。さまざまな分野で疑惑や問題が噴出し、国民世論が真相解明と責任の明確化を求めているのに、それに背を向け暴走する安倍政権と与党が国会の異常事態をつくりだし、拍車をかけていることは明らかです。事態打開にも責任を果たさない安倍政権は退陣しかありません。 
与野党対立は深刻、集中審議に主な野党欠席 4/26
国会では主な野党が欠席するなか、安倍総理が出席して予算委員会の集中審議が行われました。集中審議に野党が欠席するのは異例で、与野党の対立は深刻の度を増しています。
「現在のように国会審議が政策論争以外に集中してしまう状況を招いたことは、率直に反省しなければならないと考えています」(安倍首相)
26日朝の集中審議。立憲民主党など主な野党議員の姿はありません。
「所属委員のご出席が得られません。やむを得ず議事を進めます」(河村建夫 衆院予算委員長)
欠席した野党は、審議に応じるには麻生財務大臣の引責辞任や柳瀬元総理秘書官の証人喚問が必要だとしています。
「与党だけで一人芝居をするのはやめていただきたいというような思いで、(国会審議を)見ておりました」(立憲民主党 辻元清美 国対委員長)
野党の質問時間になっても質問者は不在。聞こえるのは資料をめくる音くらいです。野党が欠席したまま集中審議が開かれるのは異例で、与党から激しい批判がわき起こりました。
「野党の諸君に対して、私は大変違和感を覚えますし、もっと言うと、猛省をしてほしい、という思いを持っております」(自民党 竹下 亘 総務会長)
「かたくなに棒を飲んだように、欠席を決めてかかるということは、いかがなものか」(公明党 山口那津男 代表)
27日の衆院本会議で最重要法案と位置づける「働き方改革関連法案」を審議入りさせたい与党は、野党側に来月7日と14日に改めて集中審議を開くことを提案しましたが、野党側はこれまでの主張を繰り返し、拒否しました。
「いろんなとこで改ざんだ、隠ぺいだ、いい加減な答弁だ、というものが相次いでいて、とてもじゃないけれども、本当の意味での議論が進まない」(立憲民主党 枝野幸男 代表)
さらに、大型連休中の麻生・小野寺両大臣の海外出張について、野党側はセクハラ疑惑や日報問題の対応を優先させるべきと主張。議院運営委員会で了承されず、政府判断で出張に踏み切るという、こちらも異例の事態になりました。不正常な状態は連休明けまで続くことが確実で、局面が打開されるメドは全く立っていません。 
安倍首相「財務次官が辞任に至ったのは誠に遺憾」 4/26
財務省の福田前事務次官によるセクハラ疑惑について、安倍総理は「次官が辞任に至ったのは誠に遺憾」と述べた上で、財務省に早急に調査を進めさせるとの考えを示しました。
「財務省の事務方のトップである財務次官が辞任するような事態に至ったことは誠に遺憾であります。前財務次官に関する報道については、財務省において早急に調査を進めさせ、適切な対応をとらせてまいりたいと考えている」(安倍首相)
また、財務省が顧問弁護士に委託してセクハラ疑惑の調査を行っていることについて「中立性を欠く」などと批判が出ていますが、矢野官房長は「より望ましいやり方があったのではないかということについては反省しているところだ」と述べました。 
国益より党利を優先するニッポンの政治家 4/26
○朝鮮半島の歴史が変わるときに、日本の国会は空転
国会が度々、空転している。
森友学園への国有地売却での決裁文書の改竄や口裏合わせ、加計学園の獣医学部新設をめぐって首相秘書官が「首相案件」と発言した問題、それに財務事務次官のセクハラなど、安倍政権の不祥事が一挙に噴き出し、真相の解明と責任の追及をしない政府・与党に対し、野党が反発しているからである。
その一方で日本の隣国の韓国や北朝鮮が歴史的な大きな節目を迎えようとしている。
今週4月27日には南北首脳会談が行われる予定だ。その後には国際史上初となる米朝首脳会談も控えている。
北朝鮮は核・ミサイルの開発を中止する意向を示している。しかしこれまで何度も国際社会を欺いてきた、したたかな北朝鮮を信用するわけにはいかない。
朝鮮半島が変わろうとしているなかで、日本はどうあるべきなのか。議論すべき大きな課題である。
○安保の強化と不祥事の真相解明は、どちらも重要
ところで4月12日付のこの連載の「安倍政権が“疑惑のデパート”になった原因」の中で、ジャーナリストの櫻井よしこ氏の主張を取り上げた。
「国際情勢が激変する中で、日本の政治家、政党はいつまで森友問題なのか」
「今こそ、全政治家に問いたい。日米安保体制を強化するとともに、なぜ、日本国の自力を高めるべく憲法改正に向かわないのか、と。憲法改正で日本国の歴史に名を刻む栄誉を担うのが政治家だ」
こうした櫻井よしこ氏の主張に対し、沙鴎一歩は「日米安保体制の強化などには反対ではない。ただ、森友学園の問題と同じ土俵で論じるべきではない」と反論した。
ここ最近、櫻井よしこ氏の主張をまね、安倍政権にくみする輩が多い。それは日本の社会にとってマイナスだ。それゆえあえて繰り返して訴えたい。
日本社会は安倍政権の不祥事に目をつぶってはならない。日米安保体制の強化も、不祥事の真相解明も、ともに国会で議論すべき重要な案件なのだ。
○朝日は「空転の責任は与党に」というが……
国会の空転はだれの責任なのか。まず4月24日付朝日新聞の社説を取り上げたい。
冒頭で「国会の空転が週明けも続いた。安倍首相が出席する衆参予算委員会での集中審議も見送られた」と書き、「政府内で不祥事が相次ぎ、立法府が厳しく行政監視の役割を果たすべき時に、時間の空費は決して許されない」と指摘する。
その上で朝日社説はこう主張する。
「この事態を招いた原因は、真相解明と政治責任の明確化を求める野党に『ゼロ回答』で応じた、与党の不誠実さにあると言わざるをえない」
見出しも「正常化の責任は与党に」だ。
さすが“安倍政権打倒”を目指す朝日新聞だけある。国会空転の責任を与党(自民党)に求める。「ゼロ回答」という批判文句も、組合運動が好きな朝日らしさが、にじみ出ている。
続けて「一例を挙げれば、加計学園の獣医学部新設をめぐり、(「本件は首相案件」と語ったという)柳瀬唯夫・元首相秘書官の証人喚問を拒否したことである」と書き出し、「柳瀬氏はその参考人として出席した昨年7月の国会で、『記憶がない』との答弁を繰り返した。今度は、偽証罪に問われる証人喚問で事実関係をただすのが当然ではないか」と訴える。
証人喚問には賛成だ。真相解明の手段として欠かせないからだ。しかし「空転の責任は与党に」という論調にはいささか疑問である。賛成はできない。
○日経は「不祥事続出でも審議が筋」と野党批判から始める
次に日本経済新聞の社説(4月24日付)を見てみよう。
「一連の不祥事は行政への信頼を揺るがしており、真相解明や責任追及は当然だ。だからといってそれが法案の審議などをすべて欠席し国会を長く空転させる理由にはなり得ない」
政府の対応に反発して国会審議を拒否している野党を批判する。見出しも「不祥事続出でも国会は審議するのが筋だ」と明確にそこを突く。
朝日社説とは正反対の主張である。しかも経済専門紙の日経新聞が他紙に先駆けて国会空転の問題を社説のテーマに選ぶのも珍しい。
日経社説は一連の安倍政権の不祥事を挙げた後、こう書く。
「安倍政権では森友、加計の両問題に加え、海外に派遣した自衛隊の日報の扱いなど国民の信頼を裏切る失態が続く。報道各社の世論調査では内閣支持率が急落した。一連の疑惑の解明と再発防止に向け、政府・与党が重い責任を負っているのは言うまでもない」
それなりに政府・与党の責任は認めてはいるのだが、まだ社説の中盤だ。この後の書きぶりが気になる。
○与野党双方に責任を求める日経は筋が通っている
そう思って読み進むと、次に「一方、今国会は重要法案の審議が軒並み遅れている」と指摘する。
そのうえで日経社説は審議すべき重要法案をひとつずつ挙げていく。
「生産性向上をめざす働き方改革や規制改革の関連法案は、与野党で政策論議を深めて早期に成立させる必要がある。成人年齢の18歳への引き下げや相続制度の見直し、受動喫煙対策の強化といった国民生活に密着した法案も多い」
「日本が主導して11カ国が署名した環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案や関連法案も今国会中に可決し、早期の発効に道筋をつけるべきだ。2国間の通商交渉を重視する立場を鮮明にして譲歩を迫っている米政府に対する、日本としてのメッセージにもなる」
日経社説は最後にこう主張する。
「政府への信頼は民主主義国家の土台だ。だが大きく変化していく世界のなかで、内向きの論争ばかり続けている余裕はない。国家的な課題と不祥事への対応を、ある程度は切り分けて論議していく必要が、与野党にはある」
この日経社説の結論には賛成だ。野党に国会空転の責任を問うのではなく、与野党に協力を求め、不祥事の真相解明と国家的課題の双方を国会で議論していくべきだ。国会の審議はだれのために行われるのか。間違いなく、すべての国民のために国会審議は存在する。
○諸悪の根源は「安倍1強」の無自覚さ
そもそも一連の不祥事がどうして起きたかを考えると、「安倍1強」という異常な体制に原因があったことがわかる。
2014年の内閣人事局の創設で、霞が関の主要官僚の人事を官邸が握った。霞が関の官僚たちは安倍晋三首相、官邸、それに閣僚政治家のご機嫌を取って自らの出世のテコにしようと懸命になった。そこから「忖度」という言葉がささやかれるようになった。
前述した朝日社説(4月24日付)は「行政の信頼を土台から崩す事態が後を絶たないのに、政権・与党の危機感の欠落ぶりは深刻だ」と指摘している。
その通りで、「安倍1強」の問題について、政府・与党はまったく気付いていない。
朝日社説は「国有地取引をめぐる財務省の決裁文書が改ざんされた森友学園の問題、財務事務次官が辞任に追い込まれたセクハラ疑惑は、財務省が今にいたるまで、まともな説明をしていない」と書き、「身内をかばい続け、責任の所在をあいまいにする麻生財務相の対応が不信を募らせ、混乱に拍車をかけている。政治責任、監督責任は極めて重大である」とも糾弾する。
○国民を無視し、ばかにした振る舞い
まともな説明をしない財務省と、身内をかばう財務相……。国民を無視し、ばかにした振る舞いである。
こうした諸悪の根源はやはり「安倍1強」政治にある。元凶は安倍首相本人の自覚のなさだ。そこを首相自身が理解しない限り、“疑惑のデパート”と呼ばれ続けるだろう。
いまは北朝鮮の核・ミサイル開発を完全に凍結させるため、国際社会がひとつになるべきときである。日本は、米国や韓国と協力して、朝鮮半島問題の解決に向けた道筋を立てなければならない。
朝鮮半島をはじめとする国際社会の激変に対応するには、政府が国民から信頼を得ている必要がある。そのためにも一連の不祥事については、証人喚問の実施など徹底した調査を行い、国民の信頼を取り戻さなくてはいけない。与野党ともに国会を空転させている場合ではない。  
 
 
国会空転、見えぬ出口 森友・加計、首相は型どおり答弁 4/27
衆参両院の予算委員会は26日、野党6党が欠席する中で安倍晋三首相も出席する集中審議を行った。与党は27日の衆院本会議で、政府が今国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案を審議入りさせる方針を決定。野党6党は審議拒否を続ける意向で、対抗策の検討に入った。
予算委員会の集中審議は、時の首相を追及できる場だ。ただ、野党6党不在では、風景が一変する。
26日の衆院予算委は、安倍首相のこんな冒頭発言で始まった。「北朝鮮に非核化に向けた具体的行動をとるように求めていく。こうした確固たる方針をトランプ米大統領と改めて完全に共有した」
17、18両日の日米首脳会談の成果を強調した報告を受け、最初に自民党の後藤茂之氏が質問に立った。
「トランプ大統領とここまで強い関係を築いているのは、世界のリーダーの中で他にいない」
これに対し、首相は「私はトランプ大統領に米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるよう要請し、トランプ大統領は『ベストを尽くす』と力強く述べた」と応じた。このエピソードは6回も登場。与党が外交の成果を尋ね、首相がアピールするという示し合わせたようなやりとりが続く。
今回の衆院予算委は「外交等」がテーマ。だが、河野太郎外相は海外訪問中で、呼ばれていない。
参院予算委では、与党も森友学園や加計(かけ)学園の問題を取り上げた。しかし、「国民の信頼をいかに回復するか。総理の決意をお聞かせ頂ければ」(自民・塚田一郎氏)、「総理のご決意を国民に届く具体的な言葉で伺いたい」(公明・河野義博氏)といった甘い質問に終始。首相は手元の資料を見ながら、「国民の行政に対する信頼を揺るがす事態となり、責任を痛感している」「信頼回復に向けて必ず全容解明し、うみを出し切る」と、型どおりの答弁を繰り返した。
野党ながら欠席戦術とは一線を画す日本維新の会の片山大介氏は、加計学園をめぐる柳瀬唯夫・元首相秘書官の面会問題をただした。柳瀬氏に関しては2015年4月に愛媛県職員らと首相官邸で面会し、加計学園の獣医学部新設計画を「首相案件」と伝えたとされる同県の文書が残る。
片山氏が「柳瀬さんに話をさせた方がいい」と持ちかけると、首相は「柳瀬元秘書官には様々な指摘に対し、知っていることを全て明らかにしてもらいたい」と踏み込んだ。だが、愛媛県職員らの官邸訪問記録の質問には「改めて関係各室への確認調査を行ったが、愛媛県や今治市の職員が官邸を訪問した記録は確認できなかった」と答えるにとどめた。
衆院予算委の開催に踏み切った与党の狙いは、野党の欠席戦術を責めることだった。河村建夫委員長(自民)は立憲民主党などの欠席にもかかわらず、2時間近く議事を続行し、首相や麻生太郎財務相、与党議員らが委員室で待ち続ける場面を演出。国会空転に対する世論の反発を促した。
ただ、自民党の石破茂・元幹事長は散会後、自らの派閥の会合で指摘した。
「『うみを出し切る』の言や良しで、早急に解明することが必要ではないか。説明責任は政府・与党にある。国民が得心するものを示すことは我々の責任だ」(斉藤太郎) 
空転、出口見えず 「働き方」法案、きょう審議入り 4/27
野党6党の国会審議欠席が続く中、自民党の森山裕国対委員長は26日、立憲民主党の辻元清美国対委員長と会談し、打開策として5月7日か14日に改めて衆院予算委員会の集中審議を開くことを提案したが、野党側は拒否した。20日から続く対立はこの日も平行線。与野党ともに国会正常化の「出口」が見えないまま、大型連休を迎えることになりそうだ。
一方、6月20日の国会会期末まで2カ月を切ったことから、自民、公明両党は残業時間の上限規制などを柱とする働き方改革関連法案を、27日の衆院本会議で審議入りさせる方針。政府・与党は今国会の最重要法案と位置付けるが、審議の日程が既に窮屈で、焦る与党は野党欠席のままでも審議を進める構えだ。
26日の衆院議院運営委員会の理事会では、古屋圭司議運委員長(自民党)が27日の本会議開催を職権で決定。衆院厚生労働委員会でも高鳥修一委員長(同)が同様に委員会開催を決めた。
森山氏は辻元氏に対し、来月の集中審議を提案しつつ衆院本会議への出席を呼びかけたが、辻元氏は加計学園問題を巡る柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問を改めて要求。「懸案を片付けてから審議すればいい」と反論した。森山氏は「参考人招致なら異議はない」と譲らず、物別れに終わった。さらに辻元氏は森山氏に「(連休の谷間の)来月1日に高鳥氏の解任動議提出を検討する」と電話で伝え、与党の審議強行をけん制した。
26日の参院議院運営委員会理事会では、決裁文書改ざんなどで野党が辞任を求める麻生太郎副総理兼財務相と、自衛隊の日報問題を抱える小野寺五典防衛相の海外出張に、野党が反対。両氏は訪米に続いて国会の了承がないまま、連休中に出張する見通しだ。
自民党の竹下亘総務会長は派閥会合で「(日米首脳会談を受けた26日の)集中審議を欠席した野党は、猛省してほしい。歴史の曲がり角にそういう態度はいかがなものか」と非難。与野党双方が「国会停滞の責任は相手にある」と、批判合戦の様相も呈している。 
 
 
 
 
 
 

 



2018/4
 

 

安倍首相が「逃げの答弁」をつづける事情 4/14
安倍晋三首相が苦しい「逃げの答弁」を続けている。今度は加計学園の獣医学部新設をめぐって、2015年当時に首相秘書官だった柳瀬唯夫・経済産業審議官が、首相官邸で愛媛県職員らと面会した際に「本件は、首相案件」と語ったとする文書がみつかった。安倍首相は柳瀬氏は発言を認めていないとし、「(柳瀬氏を)信頼している」と述べた。真実はどこにあるのか――。
○「言った」「言わない」の水掛け論でいいのか
安倍晋三首相は4月11日の国会で、2015年当時首相秘書官だった柳瀬唯夫・経済産業審議官が加計学園の獣医学部新設を「首相案件」と発言したとする愛媛県の文書内容について全面的に否定した。
安倍首相は柳瀬氏が発言を認めていないとし、「秘書官を信頼している」とも述べた。これに対し、野党側は「愛媛県の文書か、柳瀬氏かどちらかがうそになる」と詰め寄った。
このため11日の衆院予算委員会の集中審議は度々中断し、国会は混乱した。
このままでは「言った」「言わない」の水掛け論で終わってしまう。そんな終わり方では何とも情けないし、国民は蚊帳の外に置かれたままである。
要は白か黒かの簡単な話だ。国会は柳瀬氏の証人喚問を行うなど徹底解明に向けて努力してほしい。
いま日本の立場が国際的に大きく注目されている。北朝鮮問題に対する対応で正念場を迎えるときに、政権の信頼を損なうような事態を放置することは決して許されない。安倍首相は真相解明に向け、真摯に努めるべきだ。
○なぜ安倍首相は「首相案件などない」と明言しないのか
集中審議での安倍首相の答弁をもう少し振り返ってみよう。
柳瀬氏が「首相案件」と述べたとする愛媛県の文書をもとに野党が質問すると、安倍首相は次のような答弁を何度も繰り返した。
「愛媛県が作成した文書なので政府としてコメントできない」
「柳瀬元首相秘書官の発言を信頼している」
実に苦しい逃げの答弁である。国民の前で真相をはっきりさせるためには、県の文書かどうかは関係ないだろう。なぜ明確に「愛媛県の文書はうそだ。首相案件などもない」と答えられないのか。
柳瀬氏は2015年4月の県職員らとの面会や首相案件発言を否定し、「記憶の限りでは」とコメントしている。しかし自民・公明の与党内では「文書と記憶とでは勝負にならない」と受け止める議員が多い。
さらに集中審議では「安倍首相の答弁はうそだ」などと野党に攻められ、安倍首相が「うその証拠を示してほしい」と怒りをあらわにする場面もあった。一国の首相が国会答弁で興奮するようではこれまた情けない。
森友学園への国有地売却問題や、自衛隊の日報隠蔽への質問でも安倍首相の答弁は歯切れが悪く、与野党のやじの応酬に油を注くだけだった。
○一読では客観的にみえる読売の巧みな社説
今回は読売新聞の4月12日付の社説から読んでいく。
読売社説は「学校法人『加計学園』を巡る問題が再燃している」と書き、次のように論じていく。
「衆院予算委員会で野党は面会や発言の有無をただした。安倍首相は柳瀬氏について『私は元上司として、信頼している』と語ったが、面会記録への言及は控えた」
「事実関係について、柳瀬氏には積極的な説明が求められよう」
「問題の核心は、学園の加計孝太郎理事長の友人である首相が不当に関与していたかどうかだ」
ここまではいいだろう。客観的に書かれており、「不当に関与していたかどうかだ」の部分も分かりやすい。
しかし書いているのは、論じることに手慣れた論説委員たちである。読者はだまされてはならない。
○本当にプロセスに問題はないのか
問題は次だ。
「首相は予算委で、『プロセスに問題はない。私から指示を受けた人は一人もいない』と改めて強調した。国家戦略特区の指定から開学に至るまでの一連の行政手続きで、首相の直接的な関わりを示す事実は出ていない」
本当にプロセスに問題はないのか。安倍首相は指示をしていないのか。直接的関わりはないのか。すべて安倍首相周辺や霞が関官僚の「忖度」とでもいいたいのか。
読売社説を読むと、安倍首相のこれまでの答弁に、うそのかけらもないことになる。
決してそんなことはないだろう。「愛媛県の文書はうそだ。首相案件などもない」と明言できないところにその答えがある。
さらに読売社説は「事案の細かい経緯を巡って、水掛け論に終始するのでは、生産的とは言えまい」と言い切り、11日の集中審議での野党の追及を批判するが、果てしてそうなのか。
ここは水掛け論に終わらせないためにも、与野党が力を合わせて柳瀬氏の証人喚問を行うなど徹底解明に向けて努力すべきではないだろうか。
○加計学園の問題では政権擁護が一段強くなる
さらに読売社説はこう指摘していく。
「四国は獣医学部の空白地で、公務員獣医師らの確保が長年の課題だった。文部科学省の大学設置・学校法人審議会が専門的見地から検討し、開設を認めるよう答申した事実は重い」
これまでの安倍首相の答弁と同じ主張である。読売は安倍政権擁護の論陣を張っているが、なかでも加計学園の問題になると、その擁護が一段と強くなる。
「加計学園が新設した岡山理科大獣医学部獣医学科には、募集人員を大幅に上回る出願があった。1期生を迎えて今月開学しており、影響が出ないよう配慮したい」
この書きぶりもどうだろうか。若い新入生の学生たちを人質にとるような書き方である。1期生と加計学園問題をいっしょに論じるようでは情けない。
○政権側が「面会がない」との根拠を示せ
4月12日付の毎日新聞の実に分かりやすい。
その書き出しは「求められているのは基礎的な事実の確定である。首相秘書官が愛媛県の担当者らと面会したのか、しなかったのか。見解の相違で済ますわけにはいかない」で、見出しも「加計文書に『コメントせず』 首相答弁は、やはり苦しい」である。
毎日社説は「一般に裁判では、記憶に基づく証言より文書記録の方が証拠能力が高いとされる。県側が記録に残した面会の事実が『なかった』と言うなら、政権側はその根拠を示すべきだ」と主張する。
安倍首相が「首相秘書官と愛媛県職員との面会がなかった」という証拠をきちんと示せば、国民は納得する。9月の自民党総裁選にも、胸を張って名乗りをあげることができるだろう。
○自分に不利な文書にはコメントもしないご都合主義
さらに毎日社説は安倍首相の矛盾点を追及しながら社論を展開していく。
「この問題では、首相と学園理事長が友人であることを理由に政権側が便宜を図った疑いがもたれている。今治市が国家戦略特区に申請する2カ月前にこの面会があったかどうかは問題の核心部分である」
安倍首相は加計学園の計画を「2017年1月20日に初めて把握した」と国会で説明してきた。愛媛県の面会記録の記述が事実ならば、安倍首相のこれまでの答弁はうそになる。
毎日社説は「愛媛県が『加計ありき』で長年、獣医学部の誘致に取り組んできたと加戸守行前知事が発言したとき、首相はそれを積極的に引用し、首相の関与を疑うメディアへの攻撃材料にも使った。自分に不利な文書にはコメントもしないというのは、ご都合主義ではないか」
これもその通りである。安倍首相にはこれまでも自分の主義主張と違う新聞やテレビを攻撃してきた。安倍首相の鼎の軽重が問われている。
終盤で毎日社説はこうも指摘する。
「いくら記録文書が見つかっても、言った、言わないの水掛け論で終わる状況が1年近く続いている。今回もそうなるなら、国民の政治不信に拍車がかかるだろう」
これもまったくその通りであり、沙鴎一歩は賛成する。 
安倍政権の終わり方 「アッキード事件」と「日報」問題 4/9
この国はどうなってしまったのか。丸山眞男の「無責任の体系」を彷彿とさせる現象が目の前で進行している。最高責任者は自分だという人がその責任のとり方をうっかり明言してしまったところからすべてが始まった。「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞める」。きわめて明快である。この2017年2月17日衆議院予算委員会における安倍首相の答弁に合わせて、徹底した辻褄合わせが行われた疑いが濃厚である。
安倍昭恵氏が名誉校長となっていたからこそ、学校用地に対して、財務省近畿財務局は、会計検査院もびっくりという値引きを行ったのではないか。森友学園の籠池泰典元理事長の証人喚問を通じてその疑問が明確になっていくや、籠池氏は長期勾留という手法によって沈黙を強制され、その一方で財務省の決裁公文書の改ざんが行われていった。公文書改ざんというのは、「あったことをなかったことにする」むなしい作業、官僚たちにとっては屈辱的な行為であるがゆえに、ぼろが次々に出てくる。先週4月4日のNHK7時のニュースがスクープしたように、値引きの理由とされる「大量のごみ」が存在したことにするために、財務省職員は学園側に対し「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、嘘の説明をするよう求めていたという。地元住民がNHKニュースのなかで語っていたように、何千台ものトラックが出入りすれば誰もが気づくわけである。そんな低レヴェルの嘘をつくように依頼させられた財務省職員はさぞやつらかったことだろう。
マックス・ヴェーバーによれば、官僚制行政は「知識による支配」であり、そのポイントは、法規に基づく権限の原則、官職階層性、文書主義、専門的職務活動などである(濱嶋朗訳『権力と支配』(講談社学術文庫、2012年)48-51、221-286頁)。プライドが高い財務官僚たちが、これらの原則に反することを上司に要求される。合理的支配が崩壊すれば、恣意の世界となる。いまの安倍政権のもとで、財務省のみならず、厚生労働省(裁量労働制データ捏造事件等)、防衛省(「日報」問題等)、国土交通省(大阪航空局「廃棄文書路上散乱」等)をはじめとする省庁で、考えられないような失態が連日報道されている。悲しむべきことだが、他の省庁でも「爆弾」は出番を待っている。
その原因はひとえに、「安倍官邸」を軸とする「一強政治」が日本の官僚機構にもたらした負の影響にある。「安倍官邸」の二大要素は、政策面では経産省出身の今井尚哉首相秘書官、人事面(官僚の統制)では警備公安畑の杉田官房副長官(内閣人事局長)、北村滋内閣情報官である。「安倍官邸「役人殺し」の構造と体質」(『選択』2018年4月号52-53頁)の見立てによれば、この3人は、黒澤映画「隠し砦の三悪人」になぞらえて、「官邸の隠れ三役人」と評されている。国会答弁や記者会見などの表舞台には決して登場しないが、「モリ・カケ・ヤマ・アサ・スパ」のすべてにこの「隠れ三役人」は隠然たる影響力を行使している可能性が高い。
これまでも何度も論じてきたように、安倍首相とそのご一党(自民党とイコールではない)によって「国家運営の私物化」あるいは「権力の私物化」が行われてきた。およそ政治家として「ぞうきんがけ」レヴェルの人物が内閣や党の要職を占める。後述の稲田朋美前防衛大臣などはその典型だろう。また、どこの独裁国家でも、権力者の妻が「女帝」となって権力をふるう傾向にあるが、安倍首相の場合、「女帝」ではないが、「ファーストレディの暴走」は際立っている。「アッキード事件」(山本太郎参院議員)という言い方がリアリティを増してくるかもしれない。
先週、安倍昭恵『「私」を生きる』(海竜社、2015年)を、送料の方が高いという値段で入手した。サイン本である(冒頭の写真)。通勤電車の片道で読了した感想は、帯にある通り、「自分の心にまっすぐに」という人なんだなということ。何も考えずに現場に向かい、直感で動く。そうすれば必ずそこから突破口が開ける(35頁)。「私、つい誰でも信じてしまうんです」。そういう昭恵氏は酒を飲むのが人一倍速く、「特に「まずビール一杯」は誰よりも速い。自分より速い人がいると、「あっ、負けた・・・」と悔しがるほど。そのせいか酒を飲み始めると、わりと早いうちに人と打ち解けます」(121-122頁)ということで、どんどん人と出会い、その人の依頼を受けていってしまう。普通の飲んべえのおばさんならこれでいい。しかし、彼女は首相夫人なのである。そこにつけ込んで、さまざまな人たちが彼女に接近し、酒の機会をつくりつつ、「突破口」を開いていった。籠池氏もその一人にすぎなかった。日本会議人脈を使い、自らの小学校を安く立ち上げようと奔走し、そうした過程で昭恵氏に目をつけ、「名誉校長」というタイトルを与え、子どもたちにも会わせて、「感涙」にむせんでもらう。籠池氏はそれを近畿財務局との交渉カードに使ったわけである。
安倍首相は「私は指示していない」とか、「妻に聞いたらそんなことは言っていないと言っている」と答弁しているが、これは「総理大臣の職責」がわかっていない。「総理」は細かな指示を必要としない。その妻の一挙手一投足もまた、「総理の妻」としてみられ、扱われる。だから、森友学園の学校建設予定地の前まで行って、「いい田んぼができそうですね」と口にしただけでも、籠池氏が前後のやりとりをうまくつないで、「いい土地ですから前に進めてくださいと総理夫人に言われた」と財務局側に伝えれば、どういう「効果」があるかは明らかだろう。安倍首相は「進めてください」などとは言っていないと国会でいきり立つが、この幼稚な首相答弁に情けなくなる。刑事責任の場合は「疑わしきは被疑者・被告人の利益に」だが、政治責任の場合は「疑わしきは政治家の不利益に」が常識である。妻の言葉が財務局側を動かす力になったと疑われただけで、責任を自覚し、国会でそれなりの対応をすべきだった。まるで刑事裁判の法廷のように、証拠を出せと息巻く。改めて、安倍氏は「総理の器」ではないと感じさせる場面である。
『選択』4月号掲載の「安倍政権の「最善の終わり方」」によれば、3月19日に、森喜朗元首相と渡邉恒雄読売新聞グループ社主が会談して、「今からでも遅くない。私(安倍)が悪かったと謝れば全てが解決する。それをなぜしないのか」という点で完全に意見が一致したという。渡邉恒雄氏までもが安倍首相を見放しつつあるということか。ともかくも、すべては昨年2月17日の「首相も議員もやめます」答弁から始まったわけだから、ここまでくれば安倍首相のとるべき手段はただ一つ、総辞職以外にはないだろう。4月17日から日米首脳会談(ゴルフ付き)だそうだが、もはや安倍首相の対外政策は八方ふさがりである。国会売店で売られているお菓子も、今回は「日米関係は瓦せんべい」 とだじゃれモードで、「日米関係は変わらない、かもね(Maybe!!)」とあって元気がない。ちなみち、このせんべいの賞味期限は「平成30年6月6日」である。
さて、財務省の決裁公文書改ざん問題が表面化した、まさにそのタイミングで、これまで「ない」とされてきた陸自イラク派遣時の活動報告(「日報」)が「発見」された。外付けハードディスクなどに「隠れていた」というのだが、本当のところはわからない。当時の防衛大臣は稲田朋美氏。「次期首相候補」と言われたことがあるなど、もう誰も覚えていないだろう。その稲田大臣(当時)に陸自は「日報」が発見されていたにもかかわらず、報告をあげなかった。「ない」と国会で答弁した以上、「ある」ことがわかったら、「何よ?。答弁した私の立場はどうなるの?」と泣きべそをかくことは確実だったので、こんな大臣には報告しなくていいと陸自が思ったとしても不思議はないが、しかし、ことは実力組織にかかわる問題である。制服組が防衛省内局(背広組)に報告しなかったことも含めて、制服組の独走と言われても仕方ないだろう。4月5日、制服トップの河野克俊統幕長は記者会見で、「大臣および国会に対して、背信的な行為を行ったと言われてもしょうがない。“シビリアンコントロールに疑義が出ている”というご批判があることについては、真摯に受け止めなければならない」と述べた(TBSニュース「Nスタ」4月5日)。
10年前、イラクにおける航空自衛隊の空輸活動をめぐって、情報公開請求に対して、「週間空輸実績(報告)」という文書が開示された。この写真を見ると、2008年に浜田靖一防衛大臣(当時)が開示したのが真っ黒な文書。右側は民主党政権下の北澤俊美防衛大臣による公開文書である。これで、航空自衛隊のC130によって、「戦闘地域」のバグダット空港に、武装した米兵を輸送していたことがわかってしまった。今回の陸自の文書について、なぜ「ない」とされたかと言えば、国会で小泉首相(当時)が、自衛隊は「非戦闘地域」で活動するとしていたから、迫撃砲弾の着弾など緊迫する現地の状況を示す「日報」はこれに反することになる。森友学園問題における財務省の公文書改ざんと同じように、国会答弁に合わせて、現実を隠蔽して辻褄を合わせようとしたのだろう。
今回、重大な問題は、制服組が大臣や背広組に報告をあげず、ごまかし続けたことである。制服組がここまで大臣や背広組とは異なる動きをしたのには経緯と背景がある。14年前の石破茂防衛庁長官時代に、自衛隊は普通の軍隊とは違っておかしいところがたくさんあるということで、軍事的合理性に合わない仕組みに対して「挑戦」が始まった。そのあらわれが、統幕の権限強化と内局の防衛参事官制度の廃止である。その結果、政治と制服組との結びつきが強まる一方で、防衛省内局(背広組)の権限は次第に弱められ、制服の力が増していった。とどめは安倍政権下での防衛省設置法12条の改正である。
地上19階、地下4階の防衛省の建物で、11階に大臣、12階に内局、14階に統幕であるが、従来は12階が中心となって14階に調整をかけ、11階の大臣に伝えて補佐するという仕組みだった。それは、2015年の防衛省設置法12条の改正によって、12階と14階が対等の関係で11階を補佐するという形に変わった。その結果、河野統幕長の存在は大きくなり、「首相動静欄」を見ても、首相と会う機会は頻繁である。彼は安倍首相に気に入られ、2回も定年延長されて、異例の長期政権になっている。防大21期の彼が居すわっているため、統幕長職の陸海空ローテーションや防大22期以下の昇任人事に乱れが生じ、ワリをくった幹部がいる。
実は、河野統幕長は安保関連法の制定過程でも突出した言動で知られる。2014年12月の訪米の際、米陸軍参謀総長に対して、安保関連法案は「来年夏までに成立する」と語った。まだ法案審議にも入らない段階で、法案の成立時期を伝える。きわめて政治的発言だった。河野統幕長は同時に、米アフリカ軍(AFRICOM)と自衛隊との関係について何度も言及していた。米アフリカ軍の司令部はアフリカにはなくて、ドイツ西部にある。そこに自衛隊の佐官クラスが常駐するようになった。これは、自衛隊が海外展開の軸をアフリカに置くことへの布石ではないか。河野統幕長と同様、「政治的軍人」が目立つのは海上幕僚長からあがってきた人物である。いざ、海外派遣となると、陸上自衛隊は死者を出す可能性が高い。海は昔から米海軍と一体できたこともあり、頭は米国モードで、イケイケ型の「政治的軍人」が出てくる素地がある。安倍首相が異例の1年半もの定年延長をやった河野統幕長は、「日報」問題の責任をとって、今度こそ辞任すべきである。任期は5月末なので、野党は任期満了を待たずに、制服組トップの辞任を求めるべきである。
ここまで隠蔽が続くと、この国は北朝鮮や中国を批判できない。安倍政権下で、「報道の自由ランキング」(180カ国中)は2017年72位、G7で最下位に転落している。「安倍政権「最善の終わり方」」(前掲『選択』4月号)は、国民の批判が高まり、内閣総辞職に追い込むことだろう。その上で、情報公開をさらに進めるべきである。  
 
 

 

 

麻生財務相「朝日新聞の取材能力のレベルが分かるな」 3/9
麻生太郎財務相は9日の閣議後会見で、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐり、財務省が取引の決裁文書を書き換えた疑惑について同種の質問を重ねる朝日新聞記者に対し、いらだちをみせる場面があった。
麻生氏は書き換えの有無の調査結果の報告については、「地検の捜査への影響も十分に見極めながら対応する」と述べ、報告時期などの明言は避けた。
この発言に対し、朝日新聞の記者が「国民の関心事である書き換えの有無について、先に発表する予定はないか」と質問すると、麻生氏は「ありません。捜査に影響を与えないことが基準なので」と説明。
記者が「先に発表する考えはないということか」と再度確認すると、「捜査に影響を与えないのであれば(発表する)ということを申し上げている」と応じた。
だが、記者が「捜査に影響を与えないならば発表する可能性はあるのか」と食い下がると、麻生氏の表情は一変。「その質問を(これまで)5〜6回してない? あなた」と記者をただし、「捜査の答えが出ていない。捜査は終了したのですか」と逆質問した。
記者が「それは分かりません」と答えると、麻生氏は「朝日新聞の取材能力のレベルが分かるな」と吐き捨て、会見場を後にした。 
ついに辞任! 佐川国税庁長官のトンデモ発言総ざらい 3/10
佐川宣寿 財務省理財局長(当時)
○「売買契約締結をもって事案は終了しているので、記録が残っていない。速やかに事業終了で廃棄していると思う」 朝日新聞デジタル 2017年3月19日
3月9日、これまで“逃亡”を続けてきた前財務省理財局長の佐川宣寿国税庁長官が辞任の意向を固めたことが明らかになった。森友学園問題に関して、財務省理財局長として国会で行った答弁が「虚偽だ」と指摘されており、混乱の責任を取った形だ。では、どのような言葉があったのか、あらためて振り返ってみたい。
佐川氏は昨年の国会で森友学園側との交渉記録は「廃棄した」と何度も答弁してきた。その最たるものが、昨年2月24日の衆院予算委員会で発せられた冒頭の発言だ。そして、「廃棄」とともに繰り返されたのが「適正」という言葉である。
○「国有地は時価で売るのが基本で、適正な価格で売っている」 毎日新聞 2017年2月17日
「適正」だという根拠の交渉記録を求められると「廃棄した」と繰り返す。どうせいっちゅうねん。挙句の果てには、次のようなトンデモないことまで言い出した。
○「(電子データは)短期間で自動的に消去されて、復元できないようなシステムになっている」 朝日新聞デジタル 2017年4月10日
この“自動証拠隠滅システム”についてはネット上でも話題になり、発言の4日後の4月7日に中尾睦理財局次長が「自動消去機能というのは基本的にございません」と訂正した(毎日新聞 2017年5月16日)。
また、佐川氏は昨年3月15日の衆院財務金融委員会では次のように答弁している。
○「価格につきまして、こちらから提示したこともございませんし、先方から、いくらで買いたいといった希望があったこともない」 毎日新聞 2017年12月4日
佐川氏の答弁が虚偽だったことはすでに明らかだ。
佐川氏が「廃棄した」と答弁していた交渉関連記録は残されていた。財務省近畿財務局は今年1月、交渉に関連する文書5件を開示している。これらの文書には、「(新たなごみの)撤去費を反映させた評価額で買い取りたい」などとする学園側の要望事項や国の対応方針が明記されていた(朝日新聞デジタル 1月30日)。2月1日には佐川氏の後任の太田充理財局長が、これら以外にも内部文書が存在することを認めている。
また、森友学園の籠池泰典前理事長と財務省近畿財務局の担当者が事前に価格交渉していたとされる音声データの存在も明らかになった(日テレNEWS24 2017年11月27日)。売買交渉の中では、近畿財務局の職員が「1億3千を下回る金額というのはない」などと学園側に伝えていた(朝日新聞デジタル 2017年11月27日)。
昨年7月、佐川氏は国税庁長官に任命された。佐川氏は通例の就任に際する記者会見を開かず、“逃亡”を始める。「諸般の事情により行わないことにした」という国税庁の説明も話題を呼んだ(東京新聞 2017年8月9日)。
佐川氏が就任後、国税職員向けの訓示で「文書の徹底管理」を指示していたことも報じられた。
○「綱紀の厳正な保持に努め、行政文書・情報の管理の徹底に特段の配意をしていただく」 朝日新聞デジタル 1月10日
「まずお前が文書を徹底管理しろよ!」と思った人は少なくあるまい。野党側は再三にわたって佐川氏の国会招致を求めてきたが、与党は断固拒否を続けている。特に、安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相は、徹底的に佐川氏を擁護し続けてきた。
麻生氏は佐川氏が国税庁長官に就任したことについて、堂々とこう言い放った。
麻生太郎 副総理兼財務相
○「(佐川氏は国会で)丁寧な説明に努めてきた。適材だ」 毎日新聞 2017年7月22日
「丁寧な説明」に一番遠い人物をよりによって「丁寧な説明に努めてきた」と評してしまうのが麻生氏らしい。今年2月15日の衆院予算委員会では「極めて有能な役人だ」と評してみせた(共同通信 2月15日)。
また、佐川氏を国税庁長官のポストに任命した安倍首相は、昨年12月4日の参院本会議で野党に批判されると、次のように反論している。
安倍晋三首相
○「それぞれのポストに最もふさわしい人材を適材適所で配置する、という考え方に基づいて行った」 時事ドットコムニュース 2017年2月4日
しかし、かつては野党に対して強気の姿勢を貫いた佐川氏を「さえている」(『週刊文春』2017年7月13日号)と評価していた安倍首相も、最近は「佐川も定年だしね」と更迭を示唆していたという。佐川氏に責任を押し付けて首を切り、一気に問題の解決を図っていたようだ(『週刊文春』3月15日号)。
もともと森友学園問題は、安倍昭恵首相夫人が国有地に建つ予定だった小学校の名誉校長に一時就任し、行政側が忖度して不可解な値引きにつながったのではないかという疑惑から始まったものだ。
3月2日には、森友学園との契約時に財務省が作成した決裁文書が改ざんされて国会に提出された疑いがあると朝日新聞がスクープした。報道によると、原本には記されていた、森友学園側からの要請という部分や、特例的な内容となるという文言が削除、あるいは修正されていたという。報道が事実なら、佐川氏と財務省は組織ぐるみで公文書を改ざんし、隠蔽工作を行っていたということになる。
3月9日には、近畿財務局で森友学園との交渉を担当した職員が自殺したという報道があった。この報道が佐川氏の辞任とどう関わっているかはわからない。だが、一連の問題が佐川氏の辞任で幕引きとはいかないことだけは確かである。
麻生太郎 副総理兼財務相
○「理財局長時代の国会対応に丁寧さを欠き、混乱を招いた」YOMIURI ONLINE 2018年3月9日
3月9日夜、緊急会見を開いた麻生氏が最初に挙げた佐川氏辞任の理由がコレ。自分で「丁寧な説明に努めてきた」って言ってたのに! 
森友文書改ざん 麻生財務相の発言要旨 3/12
麻生太郎副総理兼財務相が12日、森友学園関連の文書改ざん問題を巡って財務省で記者団に語った要旨は次の通り。

私の指示で全省を挙げて職員への聞き取りと文書の確認を行った。捜査当局の協力で決裁文書の書き換えについて調査した。その結果、昨年2月下旬から4月にかけて、本省理財局で14件の決裁文書の書き換えが行われていたことが明らかになった。これは極めて由々しきことであり、深くおわびする。二度とこうした事態が起こらないよう、財務省として引き続き調査を進め、信頼回復に努力したい。
−−財務省本省職員の関与はあったか。
書き換えられた決裁文書は近畿財務局のものがほとんどだが、理財局の指示で書き換えられたものが出てきた。理財局の一部職員により行われたのは事実だ。
−−詳しいことをどう調査するか。
われわれは捜査を受けている立場なので、ある程度、大阪地検の捜査が終わった段階でなければ進められない。
−−森友学園に関する一連の報道があったので書き換えたのか。
そういう認識ではない。昨年2月下旬、佐川氏(宣寿前国税庁長官)の答弁と決裁文書にそごがあった。誤解を招くので、佐川氏の答弁に合わせて書き換えた。
−−野党は麻生氏の進退を問うている。
私の進退については考えていない。
−−責任を取るほどの事態とは受け止めていないのか。
いま答えた通りだ。
−−財務省は組織として問題があるのではないか。
理財局の一部の職員によって、ということは認めなければいけない。一部の者によって全体の信頼が失われた形になったのははなはだ残念だ。財務省全体の組織が(問題だ)と考えているわけではない。
−−何らかの圧力がないと書き換えないと思うが。
理財局の中で、局長の答弁と現場の資料にそごが出たということで(書き換えを)やったということだ。
−−資料に基づいて答弁すべきだ。
変だから処罰された。
−−その責任をどう考えるか。
佐川氏は減給のうえで辞めることになった。
−−自身の監督責任は?
まことに残念だし、まことに申し訳ないと思っている。
−−安倍晋三首相の妻昭恵氏の発言を削除したのはなぜか。
ほかの政治家の名前が挙がっている資料だったと記憶するが、それと一緒に書いてあったので、関係者の名前を全員書き換えたのではないか。
−−首相を守るために削除したのでは?
全然関係ないと思う、文脈からして。
−−麻生氏が書き換えの事実を知ったのはいつか。
3月11日かな。
−−政治家や政府へのそんたくが働いたと考えるか。
考えていない。
−−大蔵省時代には接待問題があった。
問題の本質はまったく違う。
−−書き換えの指示系統のトップは?
最終的な決裁は理財局長だ。当時は佐川氏が理財局長だった。
−−佐川氏の判断だったのか。
佐川氏が判断する前の段階だ。書き換えは当時の理財局の一部の職員によって行われ、最終責任者が佐川氏だということになる。
−−隠蔽(いんぺい)ではないのか。
当然だ。  
麻生氏のダンディな生き様  3/21
2007年12月、都内の高校で男子生徒から「社会に出る前に経験するべきことは」と質問された麻生大臣は、殴られてみる、働いてみる、女性に振られてみることの3つだと熱弁した。
麻生太郎伝説を紹介。麻生太郎財務相は1973年麻生セメントの代表取締役に就任。炭鉱業からセメント業への転換を成功させた。去年のG7でのファッションに触れ、帽子はイタリアの高級ブランドボルサリーノ製であることを紹介。また、麻生氏は社長業の傍ら1976年のモントリオール五輪にクレー射撃の日本代表選手として出場。好きな漫画はゴルゴ13。スタジオでは「わかりやすい」とのコメント。1947年に麻生塾小学校が作られた。生徒は太郎氏を含め4人だったため、実質太郎市のために作られたようなものだったという。母・和子さんは2.26事件に遭遇。経験なカトリックで太郎氏もクリスチャンに。
麻生財務相は「まねるべきは高橋是清」と話している。軍予算を切って暗殺されたことから、覚悟がないと財政再建はできないと語り、大臣在任期間も歴代2位の是清に迫りつつある。
2013年6月、コンビニ前でSPに囲まれながらスーツ姿で棒アイスを頬張る場面をTwitterに投稿され、かっこいいと評判になった。スーツにはこだわりがあり、針金を入れてシワにならないようにしているという。G20出席時のファッションはウォール・ストリート・ジャーナルが”Gangster-style”と紹介した。麻生氏の進退について、東国原さんは「僕は年内中にはお辞めになるつもりじゃないかと思う」とコメント。 
大阪地検、佐川氏立件のシナリオ 4/4
証人喚問で「刑事訴追の恐れがある」と証言拒否を50回以上も連発し、安倍首相や麻生太郎財務相を守り切った佐川宣寿・財務省前理財局長。だが、麻生財務相はイラついているようだ。
3月29日、「森友のほうがTPP11より重大だと考えているのが日本の新聞のレベル」と“舌禍事件”を起こし、30日、謝罪に追い込まれた。
「弁解の余地はないと思う。近畿財務局の方は自ら命を絶ったということも含め、深く反省して頂きたい」(鴨下一郎元環境相)と自民党内でも厳しい声が出た。足元の近畿財務局では佐川喚問後、不穏な空気が漂っているという。
「佐川氏は理財局で改ざんしたと言うが、実際には近畿財務局に押し付けてやらせた。なぜ、そう証言しないのか。やったのは下の者だが、自分が局長だったから責任はある、という言い方じゃないか。当初、それほどの数でなかった改ざん箇所が増えたのは、佐川氏ら幹部がチェックして、『そこもおかしい』とかメールや電話で指示したから。ここまできたら、大阪地検にきちんと調べてもらって、白黒つけてもらいたいくらいだ」(同局関係者)
佐川氏の答弁が揺らいだのは、自由党の森ゆうこ参院議員が「今井尚哉首相秘書官と森友問題で話をしたことは全くないか」と尋ねた場面。佐川氏は聞かれてもいない部下の話をしたり、「私の国会答弁に関して」今井氏と話をしたことはないと、質問にはない言葉を加えたりしてのらりくらりと逃げたが、森議員の追及に、3度目で「この森友問題について今井秘書官と話をしたことはございません」と、ようやく答えた。森議員は、「検察の捜査で今井氏との通話記録などが出てきたら偽証罪に問われる可能性があります」と語る。
真相解明については、佐川氏も喚問の最後に「それはまさに裁判、司法の方ということになる」と発言。その言葉どおり、財務省の“Xデー”が迫っているのだ。28日には東京都内の男性が、虚偽の決裁文書を前提に国会運営を行わせたとして佐川氏らを偽計業務妨害罪などで大阪地検に刑事告発したことが判明。すでに別の告発で近畿財務局の複数の職員が大阪地検特捜部に事情聴取されており、佐川氏への聴取もまもなく行われるとみられる。元東京地検検事の郷原信郎氏がこう語る。
「元々、今回の決裁文書の問題を公文書犯罪に問うことは難しいが、佐川氏があれだけ『刑事訴追の恐れがある』と繰り返したことで、世論を追い風に検察が無理筋の捜査に動く可能性も出てきた。財務省に強制捜査に踏み込むような展開になれば、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件から力を失っていた検察にとって、失地回復の大チャンスにもなる。起訴すれば裁判所もついてくると考えて、起訴する可能性もある」
渦中の財務省職員は、検察の捜査に戦々恐々としているという。
「すでに財務省の職員の何人かは大阪地検の取り調べを東京で受けているようです。マーカーでラインを引いて、近畿財務局に事細かく、改ざん指示を出したことは大枠では間違いないようだ。もう証拠は地検に握られている。どうあがいても、強制捜査(ガサ)はあるでしょう。芋づる式に何が出るか……。つい最近も大阪地検がガサに来るらしいという情報が省内を駆け巡り、マスコミからも問い合わせがあり、パニック状態になった」(財務省関係者)
そもそも決裁文書改ざんが露見した経緯は検察の取り調べだったという。
「財務省は最初の任意提出では、改ざん後の文書を出していたが、事情聴取の中である近財職員が『その話は決裁文書に出ているではないか』と話をした。近財の中では、改ざんを知るのは一部に過ぎず、近財内部でも矛盾が露呈して大騒ぎになった」(同前)
その後、特捜部が電子鑑識を行い、職員のパソコン内に残されたデータを復元して改ざんが判明したという。パソコンやサーバーのデータを消去しても、デジタルフォレンジックと呼ばれる技術で復元することができるのだ。
一方で捜査は一筋縄ではいかないという声もある。
「現場はイケイケドンドンで捜査は着々と進展していますが、幹部はかなり慎重になっている。佐川さんは腐っても前国税庁長官。捜査上、検察と国税の関係は深いですからね。証人喚問でついた弁護士同席での事情聴取となる可能性もあり、身柄はとらず、在宅起訴で決着するのではないか」(捜査関係者)
司法までも“忖度”の列に加わるのだろうか……。 
佐川証言より信用ならない安倍・麻生・菅の「偽証語録」 4/6
森友文書改竄問題で、安倍官邸は佐川宣寿・前国税庁長官にすべての責任をなすりつけるつもりだが、果たして「偽証答弁」を重ねてきたのは本当に佐川氏だけなのか。
安倍晋三・首相は3月14日の参院予算委員会で、文書の書き換えの事実をいつ知ったのかと問われ、「11日に報告を受けた」と答弁した。財務省が書き換えの事実を認め、世間に公表されたのは12日のこと。安倍首相は前日まで知らされていなかったということになる。
しかし皮肉なことに、それが嘘だと明らかにしたのは“女房役”の菅義偉・官房長官だった。15日の会見で、改竄前文書の存在は5日の段階で国交省から首相官邸に報告があり、翌6日には安倍首相と菅氏にも伝えられていたことを発表したのである。
安倍首相は加計学園の獣医学部新設をめぐり「総理のご意向」が働いたとする内部文書の存在が取り沙汰された際にも、“日付間違い”をしている。
新設計画を知った時期について、「申請が正式に認められた国家戦略特区の諮問会議、2017年1月20日に初めて知った」(2017年7月24日・衆院予算委員会)と述べていたが、その約1か月前には、「(加計学園が)今治市とともに申請した段階で承知した」(2017年6月5日・参院決算委員会)と答弁していたのだ。
加計学園をめぐっては、危機管理能力に長けているとされる菅氏も“ミス”を犯した。
内部文書の存在が取り沙汰された際、「怪文書みたいな文書じゃないか。出所も明確になっていない」(2017年5月17日)と会見の場で言い放った。その後すぐ、元文科省事務次官・前川喜平氏が会見を開き、「文科省の中で作成され、幹部の間で共有された文書で間違いない」(2017年5月25日)と断言した。
麻生太郎・副総理兼財務相もさすがの貫禄。逮捕された籠池泰典・前理事長との交流を指摘されると、「その種の珍しい名前なら覚えは良い方だから結構覚えているんですけど、まったく記憶にない」(2017年3月15日・参院予算委員会)と完全に否定。しかし、籠池氏は麻生氏に2回は面会していると言い、実際に長女・町浪(ちなみ)氏と籠池氏に挟まれた麻生氏が満面の笑みを浮かべているスリーショット写真も存在する。答弁が嘘でないなら、記憶力に問題があるのか。いずれにしても大臣としての能力に疑問が呈される。
そもそも文書改竄は、安倍首相が国会で、「私や妻がかかわっていれば首相も国会議員も辞める」(2017年2月17日・衆院予算委員会)と答弁した直後に行なわれている。ところが麻生氏は、「佐川の答弁に合わせて書き換えられた」(3月12日・囲み取材)と、佐川氏に責任をなすりつけるばかり。
そうなると、「(佐川氏は)極めて有能で適切な人材だ」(2月15日・衆院予算委員会)という答弁も虚偽になる。
いまや安倍首相自ら、「私の国会答弁は財務省による文書の書き換えに影響していない」(3月19日・参院予算委員会)と堂々と言い放つのだから、この国のトップは“問題のすり替え”には全く抵抗感がないようだ。彼らの矛盾だらけの「偽証答弁」は議事録に残されている。ゆめゆめ改竄、書き換えなどなさらぬよう。 
経済成長感じない人は「よほど運がない」 4/17
吉田博美参院幹事長のパーティーのあいさつ
「政権の安定があったからこそ、これまでの経済成長がずっと継続性を持たせられたのは間違いない事実であって、5年前より今の方が悪いという人は、よほど運がなかったか、経営能力に難があるか、なにかですよ。ほとんどの(経済統計の)数字は上がってますから。」  
麻生太郎財務相 名乗り出ない限りセクハラは認定できない 4/17
麻生太郎財務相は17日の閣議後記者会見で、事務次官のセクハラ疑惑について「被害者が申し出てこないと、どうしようもない」と話し、女性が名乗り出ない限りセクハラを事実と認定できないという考えを示した。 
福田淳一財務次官の辞任、閣議で承認 退職金の支払いは留保 4/24
セクハラ発言を繰り返したと報じられた財務省の福田淳一事務次官について、政府は24日午前の閣議で辞任を承認した。福田氏がセクハラをしたかどうかについては調査を続けるとして認定せず、処分は見送った。約5300万円にのぼる退職金の支払いは当面留保し、処分に応じて減額することもあるとした。後任は当面、同省の矢野康治官房長が代行する。
麻生太郎財務相が閣議後の記者会見で明らかにした。福田氏は今月18日、自身のセクハラ疑惑をめぐる一連の混乱を受け、「職責を全うできない」として辞任を表明し、麻生氏が辞表を受理していた。テレビ朝日は女性社員が福田氏からセクハラを受けたと抗議したが、福田氏はセクハラは否定し、裁判で争う考えを示している。
このため、財務省はテレ朝や福田氏から聞き取りをして、処分の前提となる事実認定を進める。野党は辞任前に処分するよう求めていただけに、今回の決定で反発が強まりそうだ。
12日発売の週刊新潮によると、福田氏は女性記者に飲食店で「胸触っていい?」などとセクハラ発言を繰り返したという。  
福田氏「はめられたの意見も」=麻生財務相会見の一問一答 4/24
福田淳一次官からの辞任の申し出について、本日の閣議で承認を得られたので、本日付で辞職させる。セクハラ疑惑での辞職は甚だ遺憾だ。矢野康治官房長に事務次官の事務代理を発令する。早急に事実関係を解明し、結果に応じて福田次官への処分を行いたい。
テレビ朝日にも納得いただけるやり方で話を伺う。今後の調査結果で懲戒処分に相当すると判断された場合は、その処分に相当する金額を退職金から差し引くこと、当面は退職金の支払いを留保することを福田氏に伝え、本人も了解している。
−−次官への処分について。
セクハラ疑惑の週刊誌報道だけで、セクハラがあったと認定して処分するのはいかがなものか。はめられて訴えられたのではないかなどと、いろいろな意見は世の中にいっぱいある。きちんと本人の人権も考え、本人と向こうの話と双方を伺った上でないとなかなか決められない。
−−自身の責任については。
今の段階で私の進退を考えているわけではない。  
相次ぐ不祥事…麻生財務相イライラも記者への“口撃”はHPから削除 5/6
学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改竄(かいざん)問題、福田淳一事務次官のセクハラ疑惑…。財務省で不祥事が次々と明らかになり、いらだちからか麻生太郎財務相の記者への“口撃”が目立ってきた。もともとぶっきらぼうな物言いで、記者への逆質問を多用する独特の記者会見スタイルを貫く麻生氏。最近はそれが特に際立っており、時折、“逆ギレ感”を漂わせたすごみをきかせ、記者を狼狽(ろうばい)させている。
「どうすればいいのですか? 具体的なこと言えよ」(4月17日・閣議後)
「さっさと、ぱっぱとやろうや。こっちは忙しいんだから。頼むよほんと」(4月13日・閣議後)
「あんた記者やってんだからさ、もっとまじめに人の話を聞いて」(3月28日・平成30年度予算成立後)
「はっきり言わないと聞こえないから。相手(自分のこと)は年寄りだからね」(3月9日・閣議後)
ぼやきなのか文句なのか、はたまた愚痴なのか−。森友学園をめぐる決裁文書の改竄問題が朝日新聞で報じられた3月以降、麻生氏の記者への口撃が止まらない。紹介したのは、数あるうちの一部抜粋だ。
特徴は、一連の不祥事で財務省の監督責任を厳しく追及する朝日や東京新聞の記者に対して、とりわけ厳しい対応をとることだ。4月24日の閣議後会見では、質問したNHK記者を朝日記者と勘違いし、厳しい逆質問攻勢をかける珍事もあった。
この記者はセクハラ問題で辞任した福田氏について、野党から「いったん官房付けにして、調査結果が出てから処分後に辞任を認めるべきだ」という意見が出ていることについて質問。
すると、麻生氏は「官房付けにして給料は誰が払うの?」「野党は税金で払うべきだと言っているの?」と矢継ぎ早に逆質問。記者が言葉を濁すと、「聞いてんだよ、俺が質問してるんだから」「野党がそう言っているのは分かったけど、そのときの給料は誰が払うのか? 野党が払ってくれんのか?」とたたみ掛けた。
記者が「税金で払うということだと思う」と答えると、間髪入れず「どうして? 問題があって辞めた人に対して何で税金で給料を払わなくちゃいけないの?」と反論。最後には「もうちょっと常識的なことを聞くようにしたら? 朝日新聞だったら」と締めくくった。
続いて質問した朝日記者が「さっきの(質問)はNHKです」と訂正したが、麻生氏は「ああNHKか」と受け流した。
会見に出席した報道陣には、NHK記者を気の毒がる雰囲気が漂ったが、麻生氏はマイペースで話を進めた。
麻生氏の会見内容は財務省のホームページ(HP)で確認できるが、同省が余計と判断した発言部分は削除され、麻生節とされる「べらんめえ口調」は当然のように丁寧な言葉遣いに書き換えられる。質問した記者の所属媒体も明示されず、会見の大まかな内容は間違ってはいないが、詳細な発言録ではないのだ。
例えば3月9日の閣議後会見。この日は決裁文書の書き換えの有無について財務省として発表する気がないのかと、質問を重ねる朝日記者に麻生氏がいらだちを見せる場面があった。
麻生氏が「(大阪地検による書き換えの)捜査の答えが出ていない。捜査は終了したんですか」と朝日記者に得意の逆質問。記者が「それは分かりません」と答えると、「朝日新聞の取材能力のレベルが分かるな」と吐き捨て、会見場を後にした−というのが実際のやりとりだ。だが、財務省のHPでは朝日記者の取材能力に言及した部分はカットされている。
3月2日にも朝日記者が書き換えを調査する予定があるか質問している。この際のやり取りを財務省HPでは、麻生氏が「報道機関の方、(財務省が)捜査に協力しないかのような印象で書かないでください。私は調査すると言っているのだから」と丁寧口調で答えたことになっている。
だが、実際は「朝日新聞は捜査に協力しないかのような印象で書くなよ。調査すると言ってんだからね。あんたの書き方は信用できんからね」と名指しで批判した。
また、3月13日には、東京新聞記者に、不祥事企業ではトップが関知していなくても辞任するケースが多いことについて問われ、「神戸製鋼所(の製品データ改竄)は20年ぐらい続いたのか?」と、ここでも逆質問。記者が「長年にわたって…」とうまく答えられずにいると「その程度の調査か」と、したり顔をみせた。当然のように、財務省HPでは「その程度の〜」の発言部分は削除されていた。
公文書管理に関する相次ぐ不祥事で国民から厳しい目で見られる官公庁。大臣会見の詳報くらいは包み隠さず、そのままの形で掲載しても良いと思うのだが、どこか忖度(そんたく)じみたものを感じてしまう。