ジャニー氏による性加害
「メディアの沈黙」
珍しく公の場に復帰 具体的なメディアへの批判
日本に 「メディア」は存在しません
特に
政(まつりごと)に係り 「メディア」は大事な役割を担ってきました
とは言え
いつの間にか
「忖度メディア」に成長しました
正面から 目に見える場面 風景 景色
文字 記事にしています 画像 放送しています
村社会 スクープはご法度
・・・
気楽な稼業と来たもんだ
文春に期待しましょう
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●忖度メディア史 |
●ジャニー氏性加害拡大招いた「同族経営の隠蔽体質」と「メディアの沈黙」 2023/8
●政治のうわさ話 2023/7 ●世襲政治 2023/6 ●首相長男外遊中「公用車で観光」 2023/1 |
●過去最大の国家予算 2022/12
●閣僚辞任ドミノ 2022/11 ●統一教会の解散命令 2022/10 ●財政健全化 麻生大臣 2022/10 ●安倍元首相殺害から国葬 海外メディア報道 2022/10 ●安倍元首相と統一教会 2022/9 ●第2次岸田改造内閣 2022/8 ●新型コロナ 第7波 第8波 2022/7 ●安倍元総理 国葬 2022/7 ●安倍元総理 暗殺される 2022/7 ●骨細の方針 2022/6 ●1ドル 130円 2022/4 ●岸田首相 施政方針演説 2022/1 |
●特別国会 2021/11
●「防衛費GDP比2%」は“平和ぼけタカ派”の空公約 2021/11 ●総選挙 2021/10 ●1億5000万円 ばら撒いた人 2021/6 ●原発汚染水の海洋放出 2021/4 ●政治に目を向けたくない 2021/3 ●監視メディア 死滅 2021/3 ●政治の話 2021/2 ●総理の息子 2021/2 ●後手ごての緊急事態宣言 2021/1 |
●Go To トラブル 延長 2020/12
●御用学者を大事にします 2020/10 ●菅新政権スタート 2020/9 ●安倍天皇 退位 2020/8 ●「国難」 とんずら総理 2020/7 ●どこにばら撒く 安倍総理懐の10兆円 2020/7 ●電通の「闇」 2020/7 ●「問題ない」 国会閉会 2020/6 ●ネコババ政治 2020/6 ●バラマキ青天井 コロナ補正予算 2020/5 ●犬の遠吠え 2020/5 ●「アベノマスク」の錯覚 2020/4 ●森友事件 自殺職員の「遺書」 2020/3 ●素晴らしい首相 2020/1 ●一事が万事 「桜を見る会」に見る忖度メディア 2020/1 |
●メディアの伝える 「桜を見る会」 2019/12
●公文書の消える国 2019/12 ●「忖度文化」の証明 2019/11 ●2887日 最長政権 メディアの風向き 2019/11 ●驕り傲慢 総理の花見 2019/11 ●「お詫び」一言で済む 任命責任 2019/10 ●スポンサー CMあっての民放です 2019/10 ●安倍総理応援演説 主張を聞こう 2019/7 ●野党は「恥を知りなさい」 2019/7 ●100年不安 2019/6 ●失言防止マニュアル 2019/5 ●専守防衛 観測気球 2019/4 ●レッドカードとイエローカード 2019/4 ●「利益誘導」の積み重ねが国家予算です 2019/4 ●忖度道路 2019/4 ●安倍総裁 四選を目指す 2019/3 ●悪夢の布団を敷いた自民党 3019/2 ●日露交渉 お金・時間の無駄遣い 2019/1 |
●内閣府 よいしょ「いざなぎ超え」好景気 2018/12
●「ややこしい質問受けます」 2018/12 ●安倍総理の夢 「奈落の底が見てみたい」 2018/11 ●お金バラマキ政権 2018/10 ●在庫一掃内閣 2018/10 ●政治不信 自浄能力を失った自民党 2018/8 ●安倍総理 「外遊」外交 2018/7 ●「文書改ざん 自由にやり放題です」 お墨付き 2018/6 ●疑念の増幅 愛媛県新文書 2018/5 ●放送制度改革 2018/5 ●記憶にございません 2018/4 ●トカゲの尻尾 頑張ってください 2018/4 ●加計疑惑 愛媛県職員は柳瀬さんに会う 2018/4 ●権力に逆らえば 抹殺 2018/4 ●忖度 トカゲ探し 2018/3 ●権力の座 座り心地快適 2018/3 ●アベノマジック 数字が踊る 2018/3 ●天上天下唯我独尊 2018/1 |
●もりかけ 悪魔の証明 2017/12
●お役人 忖度文化誕生の起源 2017/10 ●「国難」 詭弁録 2017/9 ●「勝」 解散の大義 2017/9 ●サプライズ 「仕事しない内閣」 2017/9 ●総理大臣 答弁書の読み間違い 2017/7 ●「こんな人たち」て誰 2017/7 ●全局「海老蔵」 忖度テレビの怪 2017/6 ●マスコミの踏み絵 「加計学園疑惑」 2017/5 ●忖度の「闇」 2017/3 ●「忖度」の証明 2017/3 ●役人の治める 「美しい国」 2017/3 ●テロ等組織犯罪準備罪 2017/2 ●忖度の神敬う 安倍晋三記念小学校 2017/2 |
●「日露間に領土問題はない」 プーチン大統領 2016/12
●馬鹿な女の子守歌 2016/12 ●驕る 民を忘れた自民党 2016/10 ●所信表明にスタンディングオベーション 2016/10 ●報道の濃淡 色合い 2016/9 ●国民置き去り お金バラマキ外交 2016/9 ●大橋巨泉の遺言 2016/7 ●シャンパンタワーで景気の好循環 2016/7 ●新聞も 明日に旧聞 古新聞 2016/6 ●日本の報道自由度 世界第72位 2016/4 ●退屈な委員会質疑 2016/3 ●餓鬼の要職 大盤振る舞い 2016/2 ●ニュースキャスターが消える 2016/2 ●報道指針 政治的公平性を欠かないこと 2016/2 |
●男の甲斐性 2015/12
●票欲しや財政再建遠くなりにけり 2015/10 ●600兆音頭 2015/9 ●新しい祝日 「憲法の命日」 2015/9 ●核兵器輸送の要石 総理大臣と国是 2015/8 ●報道規制の新三要件 2015/7 ●誰も理解できない安保法制 2015/7 ●NHKは判りやすい番組制作に励んでいます 2015/4 ●NHKは国営放送です 2015/2 |
●三本目の矢はデフレ音頭 2014/12
●一本矢が足りない「アベノミクス解散」 2014/12 ●お金の中間貯蔵施設 2014/11 ●検閲 不都合な新聞広告 「●●」黒塗りします 2014/9 ●原発凍土壁 太陽エネルギーにチャレンジ 2014/8 ●「慰安婦」報道 朝日新聞の言い訳特集 2014/8 ●集団的自衛権 2014/6 ●集団的自衛権 二択三択 世論調査 2014/5 ●皆が口を閉ざす「日本の農業」 2014/4 ●安倍首相 自民党の誤認 日本の未来 2014/2 ●新聞社の「ヤル気」と「覚悟」 2014/1 |
●「その他」の特定秘密 2013/11
●原発事故の七不思議 2013/10 ●野党惨敗の証明 党首の交代劇 2013/7 ●わけあり選挙 参院選 2013/7 ●「天動説」を信じる原発科学者 2013/3 |
●平成の大失敗 「アベノミックス」 2012/12
第2次安倍内閣 2012/12/26 - 2014/9/3 ●「デフレ」は悪者ですか 2012/9 ●日本再生のチャンスはない 2012/7 |
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●ジャニー氏による性加害 調査報告書の概要 |
当チームは、本日、株式会社ジャニーズ事務所(以下「ジャニーズ事務所」といいます。)に対し、ジャニー喜多川氏(以下「ジャニー氏」といいます。)の性加害問題に関する調査報告書を提出いたしました。調査報告書の概要は以下のとおりです。
●1.本件調査の概要 調査期間:2023年5月26日から同年8月29日まで 調査方法:被害者及びジャニーズ事務所関係者等のヒアリング(41名)、関係資料の精査、専門窓口の設置等 ●2.事実関係 本件調査の結果、ジャニー氏は、古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズJr.に対し、長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた事実が認められた。 ジャニーズ事務所は、これまで、ジャニー氏の性加害に関する週刊文春の特集とそれに関する裁判、暴露本の出版、BBCからの取材要請等があったが、ジャニー氏の性加害の事実を調査するなどの適切な対応をしなかったことが認められた。 ●3.原因 (1) ジャニー氏の性嗜好異常 (2) メリー氏による放置と隠蔽 (3) ジャニーズ事務所の不作為 (4) 被害の潜在化を招いた関係性における権力構造 ●4.本事案の背景 (1) 同族経営の弊害 (2) ジャニーズJr.に対するずさんな管理体制 (3) ガバナンスの脆弱性 1 取締役会の機能不全と取締役の監視・監督義務の懈怠 2 内部監査部門の不存在 3 基本的な社内規程の欠如 4 内部通報制度の不十分さ 5 ハラスメントに関する不十分な研修 (4) マスメディアの沈黙 (5) 業界の問題 ●5.再発防止策 (1) 本事案の本質 (2) ジャニーズ事務所がとるべき基本的対応 ジャニーズ事務所は、組織としてジャニー氏の性加害が事実であることを認め、被害者に真摯に謝罪し、すみやかに被害者と対話を開始してその救済に乗り出すべきである。 (3) 被害者の救済措置制度 ジャニーズ事務所は、被害者に対し、被害回復のための適正な補償をする「被害者救済措置制度」を直ちに構築すべきである。 (4) 人権方針の策定と実施 ジャニーズ事務所は、国際的に見て他の企業の模範ともなるべき人権方針を作成した上で、それを国内外に公表し、今後は、その人権方針を遵守し、二度と少年に対する性加害をはじめとする人権侵害を行わせないと明確に表明すべきである。 (5) 研修の充実 1 人権尊重に関する研修 2 性加害の問題に関する研修 3 ハラスメントに関する研修 4 タレント(ジャニーズJr.を含む)への研修 (6) ガバナンスの強化 1 ジュリー氏の代表取締役社長辞任と同族経営の弊害の防止 ジャニーズ事務所が解体的出直しをするため、経営トップたる代表取締役社長を交代する必要があり、ジュリー氏は、代表取締役社長を辞任すべきと考える。これにより、ジャニーズ事務所におけるガバナンス不全の最大の原因の一つである同族経営の弊害も防止し得ることとなる。 2 取締役会の活性化 取締役会が十分な監督機能を発揮できるように定期的に開催し、社内の問題点を適時に共有して適切な対応策を決定すべきである。 3 社外取締役の活用 社外取締役に期待された役割を十分に果たすことのできる体制作りをすべきである。 4 内部監査室の設置 内部統制システムの有効性を含め、業務の適正性と効率性を確保するために、他の部門から独立した内部監査部門を設置すべきである。 5 基本的な社内規程の整備 6 内部通報制度の活性化 内部通報制度を活性化させるために制度改正を行った上、内部通報の推奨を周知徹底すべきである。 7 相談先の拡充とアドボケイトの配置 ジャニーズJr.が悩み事等を相談する相談者やアドボケイトを増やすべきである。 (7) CCO の設置 外部から人権に関する専門家を採用してCCO を設置し、「人権方針の策定と実施」や「研修の充実」の責任者とし、「内部監査室」や「内部通報制度」を統括させ、取締役会に意見を述べる権限を付与するべきである。 (8) メディアとのエンゲージメント(対話) ジャニーズ事務所は、すみやかにメディアとのエンゲージメント(対話)を開始して、二度と同様の性加害の発生を許さないことを宣言し、そのために人権方針を定め、ガバナンス体制も整備して再出発するという強固な決意を明らかにし、今後はメディアとの相互監視、相互牽制により人権侵害の再発を防止していく姿勢を示すことが求められる。 (9) 再発防止策の実現度のモニタリング |
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●ジャニー氏による性加害報道 |
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●性被害拡大招いた「同族経営の隠蔽体質」と「メディアの沈黙」 8/29
ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川前社長による広範な性加害を認めた外部専門家による「再発防止特別チーム」は29日に公表した調査報告書で、「徹底的な隠ぺいを図ってきた」同族経営の体質と「メディアの沈黙」が被害の拡大を招いたと厳しく批判した。 ●親が子を守るようにかばい続けた 報告書はジャニー氏より4歳年長の姉で、創業以来ジャニーズ事務所の最高権力者の立場にあったメリー氏がジャニー氏の性加害疑惑に対して「一貫して否認する態度を貫いていた」と指摘した。 その背景として1性加害行為を強く否認する弟ジャニー氏の言葉をひたすら信じようとし、性加害疑惑から目を背け、事実かどうかを確かめようともせず、親が子を守るようにかばい続けた2性加害の事実を認識していながら、放置し、創業者の不祥事が露見することで事業に影響が出ることを危惧して、事実を隠蔽し続けた──と、二つの可能性を挙げている。 メリー氏は、ジャニー氏の性嗜好異常と、それによる少年たちへの性加害が続いていることを知りながらも、その行為を否認し改めようとしないジャニー氏の行動を止めるのを断念したことで「結果として放置する形となり、外部に対してはジャニー氏を守り切るために徹底的な隠蔽を図ってきたものと考えられる」と分析。「メリー氏が何らの対策も取らずに放置と隠蔽に終始したことが、被害の拡大を招いた最大の要因だ」と指弾した。 ●我慢すればいい夢が見られる 報告書によると、1970 年代から、ジャニー氏による所属タレントへの性加害は、芸能界では周知の事実として広く知られていたという。1980 年代にジャニーズ Jr.に所属したある被害者の証言を紹介。 合宿所でジャニー氏から性加害を受けた後に事務所に電話した際、事務所スタッフに「ジャニーさんが布団に入ってきて色々触られたんですが、どうすればいいですか。」と聞いたところ、「デビューしたければ我慢するしかない」と言われたことを明らかにした。 さらに「(ジャニー氏は)しょうがない人だから、(レッスンに)来てほしい。」「我慢すればいい夢が見られる。みんな通っていく道だ。」などと言われたとしている。 報告書は、ジャニーズ事務所が「『見て見ぬふり』に終始し、何らの対応もしないどころか、むしろ辛抱させるしかないと考えていたふしがある。このような長年にわたるジャニーズ事務所としての不作為も被害の拡大を招いた大きな要因となった」と批判した。 ●ジャニー氏死去後も… 報告書は、ジャニーズ事務所をジャニー氏とメリー氏が経営を主導してきた「典型的な同族経営の会社」とした。人気アイドルタレントのプロデュースにより、ジャニー氏のカリスマ性がますます強くなり、誰も文句を言えないという、同族経営の負の「企業風土」がより強く醸成されていったと推察した。 その結果、暴露本や文藝春秋との訴訟によってジャニー氏の性加害が明かされながらも、ジャニーズ事務所の役職員は、ジャニー氏による性加害の事実を黙認・否定し、徹底した調査を行って再発防止を図るなどの適切な対応を行うこともしてこなかった、と批判した。 一方、ジャニー氏死去後はジュリー氏が代表取締役社長として一手に会社を経営。「性加害疑惑に対する対応をとるに当たって、支障となる事情はなくなった」にもかかわらず、ジュリー氏は、事実調査や原因究明、再発防止、被害者救済といった対応を取ることはなかったと指摘。 性加害の点についても、ジュリー氏がそれを認めない以上、「なかったこと」にするという意識が役職員の間で継続していたと考えられる、とした。 ●マスコミの沈黙で被害拡大か 報告書では、元ジャニーズJr.が被害申告の記者会見を行うまで多くのマスメディアが性加害問題を取り上げてこなかったことも批判している。事務所のアイドルタレントをテレビ番組等や雑誌に取り上げられなくなるのではないかといった危惧から、ジャニー氏の性加害を取り上げて報道するのを控えていた状況があったのではないか、とした。 「性加害についてマスメディアからの批判を受けることがないことから、ジャニーズ事務所は、調査することもなく、その隠蔽体質を強化していったと断ぜざるを得ない。性加害も継続されることになり、さらに多くの被害者を出すこととなったと考えられる」と言及した。 報告書では他にも、人権尊重意識が希薄で、ジャニーズJr.を採用する際に契約を締結することはなかったとずさんな管理体制を指摘。 取締役会の機能不全や内部監査部門の不在、内部通報制度の不十分さといったガバナンスの脆弱性や、性加害やセクシュアル・ハラスメントが発生しやすい土壌がある業界の問題も事案の背景にあるとした。 |
●ジャニーズ事務所、調査報告書公表 8/29
ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐり、ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が29日、調査報告書を公表した。同報告書ではジャニー氏の性加害について「長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた事実が認められた」とした。 同調査は今年5月26日から8月29日まで行われ、被害者及びジャニーズ事務所関係者など41人のヒアリングしたほか、関係資料を精査するなどした。 同チームの調査の結果、「ジャニー氏は、古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズJr.に対し、長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた事実が認められた」と指摘。またジャニーズ事務所に対し「これまで、ジャニー氏の性加害に関する週刊文春の特集とそれに関する裁判、暴露本の出版、BBCからの取材要請等があったが、ジャニー氏の性加害の事実を調査するなどの適切な対応をしなかったことが認められた」と記した。 再発防止策として「ジャニーズ事務所は、組織としてジャニー氏の性加害が事実であることを認め、被害者に真摯に謝罪し、すみやかに被害者と対話を開始してその救済に乗り出すべきである」とし、ガバナンスを強化するため代表取締役社長・藤島ジュリーK.氏の辞任などを訴えた。 同チームは検事総長経験者、精神科医、性暴力などの被害者支を実践している臨床心理の研究者から構成し、同事務所とは一切関わりを持たず第三者委員会としての機能を有している。ジャニー喜多川氏からの性被害を申告する人たちに寄り添い、同事務所の過去の対応上の問題点を調査・検証し、ガバナンス上の問題に関する再発防止策を提言、実行を求める役割を担っている。 |
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●ジャニー氏性加害“誰も止められなかった”構造とは 8/30
ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長による性加害問題で、再発防止特別チームは29日、性加害はあったと認め「多くのマスメディアがこの問題を報道しなかった」と指摘しました。 ●マスメディアの沈黙…ジャニー氏の性加害“誰も止められなかった”構造とは 有働由美子キャスター「改めて、今回公表された調査報告書です。ジャニー前社長の『性加害はあった』として、その原因は、ジャニー氏の性嗜好(しこう)異常、姉のメリー氏による放置と隠ぺい、ジャニーズ事務所も『見て見ぬふり』に終始していた、などを挙げています。その背景には、同族経営で誰も止められなかった、そして“マスメディアの沈黙”、問題を正面から取り上げてこなかったということを指摘しています。小野さん、私たちメディアの大きな責任も問われています」 小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク「はい。過去に週刊誌が報じてきたのに、多くのマスメディアは取り上げてこなかった。調査報告書には、次のように書かれています」 ――ジャニー氏の性加害を取り上げて報道すると、ジャニーズ事務所のアイドルタレントを自社のテレビ番組等に出演させたり、雑誌に掲載したりできなくなるのではないかといった危惧から、ジャニー氏の性加害を取り上げて報道するのを控えていた状況があったのではないか。 ――(上記のようなこともあって)ジャニーズ事務所は当該性加害の実態を調査することをはじめとして、自浄能力を発揮することもなく、その隠ぺい体質を強化していったと断ぜざるを得ない。 ――その結果、ジャニー氏による性加害も継続されることになり、その被害が拡大し、さらに多くの被害者を出すことになったと考えられる。 ●“3月のBBC動画”報道しなかった日本テレビ 「性加害などの人権侵害あってはならない」とコメント 有働キャスター「具体的で、厳しい指摘です」 小野解説委員「重い指摘です。日本テレビはコメントで『ジャニー喜多川氏による性加害の事実について、〈マスメディアが正面から取り上げてこなかった〉などの指摘を重く受け止め、性加害などの人権侵害はあってはならないという姿勢で報道してまいります』としており、私自身も重く深く受け止めています。報告書の中でも指摘されていましたが、今年3月にイギリスのBBCがジャニー氏の性加害についてのドキュメンタリー動画を配信したのですが、その際にも私たち日本テレビでもこの動画についてニュースなどで取り上げることをしませんでした」 ●相互チェックで再発防止 ジャニーズ問題きっかけに 社会全体で人権を守る構造に 有働キャスター「調査チームは再発防止策も提言しましたね」 小野解説委員「はい。踏み込んだ提言でした。再発防止策として、事務所は事実を認めて謝罪をすること、被害者救済措置制度を構築すること、そして、ジュリー氏は代表取締役社長を辞任すべきである、また、メディアと対話して相互に監視・けん制する関係で人権侵害の再発を防止していく、といったことが挙げられています」 職場における性被害に詳しい日本女子大学の大沢真知子名誉教授は、今回の報告書を評価しています。 大沢真知子名誉教授「ジャニー氏個人を断罪して終わりでなく、それを見逃していた経営者に責任があり、さまざまな構造的な問題があったことを報告書は指摘している。ジャニーズの問題をきっかけに、 日本社会全体で人権を守れる社会・企業の構造について考えていかないといけない」 ●“外圧からしか変わらない日本”が浮き彫りに… どうやって抜本的な変化を? 有働キャスター「落合さん、この再発防止策では、利害関係のある企業がなれあうのではなく、互いにチェックする体制に、ということなんですが、どうすればいいと思われますか?」 落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)「これ、結構考えたんですけど日本のマスメディアに利害関係がない企業がほとんどないので、本当に難しい問題だと思います。メディア含めた日本社会は基本的に忖度で成り立っているので、利害関係のある企業がお互いにチェックするようになるのは、このままでは難しいかなと思います。改めて、日本社会は外圧からしか変わらないことが今回のことで浮き彫りになったと思います。たとえば、BBCが扱わなかったらいまの状態は起きなかったし、もし、日本のメディアが本気で変わろうとするならば、経営陣に外国出身者など日本の“なれあい文化”に絡め取られない人が入るとか、そういう抜本的な変化がないと難しいな、とは思います」 ● 有働キャスター「私自身も、メディアに身を置く1人の人間として、こうして指摘を受ける前に、行動を起こさなかったことを恥ずかしいと思っています。海外の人権問題は徹底的に批判するのに、もっと近くにあった問題はちゃんと取材して知ろうとしませんでした。きょう『マスメディアの沈黙』と指摘されましたが、私も含めたメディア1人1人に突きつけられている問題です。なぜ沈黙してしまったのか、重く問われているという覚悟のもとに向き合っていきたいと思います」 |
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●ジャニーズ事務所会見、藤島社長が辞任 ジャニー喜多川氏の性加害認める 9/7
日本ポップ界のスターを数多く生み出した故ジャニー喜多川氏が、創業したジャニーズ事務所の所属タレントに性加害を繰り返していたとされる問題で、同事務所が7日、記者会見を開いた。藤島ジュリー景子社長が辞任を発表し、喜多川氏による性加害を初めて認めて謝罪した。 この問題をめぐっては8月29日、事務所側が設置した外部の専門家による「再発防止特別チーム」が調査報告書を発表。喜多川氏が60年にわたるキャリアの中で「長期間」性加害を行っていたことが認められると指摘し、藤島氏の社長辞任や被害者への救済措置などを提言していた。 喜多川氏の姪(めい)にあたる藤島氏は記者会見で、「事務所としても、個人としても、性加害はあったと認識している。被害者の皆さんに心からおわび申し上げる」と述べた。 一方で、被害者の救済措置に取り組むため、今後も当面は代表取締役にとどまるとした。事務所の全株式も引き続き保持する考えを示した。 後任の社長には、同事務所の所属タレント、東山紀之氏(56)が就任する。東山氏も会見で喜多川氏の性加害を謝罪。経営に専念するために年内でタレント活動を引退すると述べた。 東山氏はジャニーズ事務所の初期にスカウトされたタレントの一人。喜多川氏による性加害については、「うわさとしては聞いていたが、私自身は被害を受けたことはない。受けている現場に立ち会ったことはなく、先輩たちからも後輩たちからも相談を受けることはなく、うわさには聞いていたが、自分から行動を起こすことはなかった。今後は反省を込めて対応していきたい」とした。さらに、「信頼を取り戻すのは大変なことだが、人生をかけて取り組んでいく」と述べた。 喜多川氏の名前を冠した社名の変更については、それを求める声があることは認識しているとしたが、すぐに変えることはないと、東山氏は述べた。 記者会見で、藤島氏らは事務所の構造改革についも触れた。同事務所が今後、変化を実施していくと広く見られているが、その変化がどのようなものか、所属タレントがどのように管理され、保護されるのかは分からない状態となっている。 長年にわたり華やかな名声の代名詞だったジャニーズ事務所の、ブランドとしての将来についても、多大な疑問が複数指摘されている。 ●当事者の会の反応 一部の日本メディアは、この会見の中継を見る「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の様子を伝えた。複数の被害者が、険しい表情を浮かべてジャニーズ事務所の会見映像を見ていた。 藤島氏の会見後、当事者の会は別の会場で記者会見を開いた。代表を務める平本淳也氏は、藤島氏が登壇したことを評価。「ほとんど下を見ずに、自身の言葉で発言していた救済のメッセージは、私たちにストレートに伝わった」と述べた。 会員の大島幸広氏は、「事務所側から認めてもらって心からの謝罪をしてもらいたいと言ってきたが、今日の会見では認めて心からの謝罪をしてもらったと思う。傷が消えるわけではないが、100のうち10くらいは楽になったと思う」と語った。 中村一也氏は、被害者であることは恥じることではないと語った。 「当初、自分は泣き寝入り状態だったが、行動すれば、見えなかった景色が見える。下を向いて歩くよりは、前を向いて勇気ある行動をしてほしいと思う」 ●ワインスティーン事件と同等の規模と影響 喜多川氏の問題は、その規模と業界への影響において、レイプや性的暴行で有罪判決を受けたハリウッドの元大物映画プロデューサー、ハーヴィー・ワインスティーン受刑者のスキャンダルに匹敵する。 喜多川氏は、日本のエンターテインメント業界で最も影響力のある一人だった。多くの少年がスターを目指して事務所に入った。 BBCが今年3月に放送したドキュメンタリー「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」は、喜多川氏の性的要求に応えなければデビューできないと恐れる被害者たちの心境を伝えた。ドキュメンタリーでは「合宿所」と呼ばれた喜多川氏の複数の自宅で、デビュー前のジャニーズ Jr.たちが、多くの場合ほかの少年がいるなかで、性的暴行を受ける様子や、性的搾取がパターン化して横行した様子が、繰り返し語られる。 生前から喜多川氏による性的搾取の疑惑がうわさされ、1999年には週刊文春による連続報道もあったが、事務所は改善策を取らず、逆に名誉毀損で週刊文春を訴えた。この民事裁判の第二審で東京高裁は2003年、文春の報道について、「セクハラ行為」に関する記事はその重要な部分において真実であることの証明があったと認めた(2004年に最高裁で確定)。しかし、喜多川氏の行動が、刑事事件として立件されることはなかった。 日本の大半の主要メディアは、事務所と文春の裁判についてもほとんど伝えず、一連の疑惑にも長年触れてこなかった。このため、日本のマスコミ全体が隠ぺいに加担したとの批判も出ている。 喜多川氏は2019年に87歳で死去するまで、少年のスカウトとレッスンを続けた。その葬儀は国家的な行事で、当時の安倍晋三首相からも弔電が届いた。 今年3月にBBCが喜多川氏の性加害について報道すると、それをきっかけに、カウアン・オカモト氏をはじめ複数の男性が虐待を受けたと名乗り出た。続いて、ジャニーズ所属タレントを応援する複数のファンが、第三者による全面的な検証・調査などを求める署名に1万6125筆を集め、事務所に提出したと発表した。 こうしたなかでジャニーズ事務所は5月、謝罪動画と関連の文書を自社サイトに掲載した。 座長の林眞琴前検事総長、精神科医の飛鳥井望医師、臨床心理士の齋藤梓博士からなる再発防止特別チームは、藤島氏以外にも、被害を訴えた23人を含む計41人に聞き取りを行った。 その結果、「古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては、1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズ Jr.に対し(中略)性加害を長期間にわたり繰り返していた」ことが認められたという。 8月末に発表された報告書では、同族経営が「ジャニーズ事務所におけるガバナンス不全の最大の原因の一つ」だと指摘。藤島氏の社長辞任を提言した。 藤島氏は当初、こうした第三者調査にも反対していた。5月の謝罪動画では被害者に謝罪したものの、性加害の事実を認めるには至らず、被害も認識していなかったと述べていた。 しかし報告書では、取締役に就任したころには疑惑を認識していたと認められるとし、「性加害の事実について積極的な調査をするなどの対応はとらなかった」とした。 国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会も8月上旬、喜多川氏が数百人の少年を虐待していたとの調査報告を発表。日本のエンターテインメント界には性的捕食者が処罰されることなく行動できる労働環境があると指摘した。 |
●「小学2年から100回の被害」「恐怖しかなかった」被害者の告白 9/7
9月7日、ジャニーズ事務所が記者会見を行い、新社長に就任する東山紀之(56)、社長を退任する藤島ジュリー景子氏(57)が出席した。 東山新社長は会見でこう語り、ジャニーズ事務所の新たなスタートへの意気込みを語った。 「まずは喜多川氏の性加害を認め、ここで謝罪させていただきます。被害に遭われた方々、長きにわたり心身共につらい思いをさせたことを本当に申し訳なく思います。今後はこの事実に真摯に向き合うため、私は年内をもって、表舞台から引退します。今後は人生をかけてこの問題に取り組んでいく覚悟です」 だが、親族であるジュリー氏が経営陣として残ることで、ジャニー喜多川氏の性加害問題は今後もくすぶり続けることになる。 今や国際問題になりつつあるジャニー氏の性加害問題。これまで「週刊文春」に証言したのは1970年代以降の被害者だった。だが、新たにジャニー氏がジャニーズ事務所を創業する前、1950年代に被害にあった人物も名乗り出ている。 その人物とは、国民栄誉賞を受けた作曲家の服部良一氏を父に持つ、俳優の服部吉次氏(78)だ。アメリカで良一氏の知遇を得ていたジャニー氏は、19歳頃から服部家に出入りしていた。 「彼は大体、土日に遊びに来る。遅いから泊まっていこうかなという話になり、母親が気楽に『よっちゃん(吉次氏)のところがいいんじゃない?』と。彼も『よっちゃん、一緒に寝ようよ、肩揉んであげるよ』って」(吉次氏) 吉次氏は当時小学2年生。2階の寝室で並んで寝ていると、ジャニー氏の手が伸びてきた。 「肩のマッサージから始まって、そこから手足をずっと揉んで、それで非常にスムーズにパンツの中に手が入ってきた。おちんちんを触られますから、こっちはまあ、びっくりしましたね。そこから発展して、彼が自分の口を使って、いわゆるオーラルセックスを始めた。後ろ(肛門)にもチャレンジしてきましたね。でも後ろは痛みを感じて、無理やり入ってこようとするから、どうしても拒否するかたちになった。その後に自分を慰めるような行為をしていた気配を感じました。それが最初の日です」 ●暗がりに車を停めてズボンを下ろし…… 翌朝、吉次氏は姉に、性器を触られたことを話したが、「そんな気持ち悪い話しないでよ!」と怒られ、両親たちには伝えなかった。その後、被害は2年半近くにおよび、実に100回程度の被害があったという。 吉次氏の友人である松ア基泰氏(79)も被害者だ。 ジャニーズ少年野球団で練習していた小学2年から1年半にわたって30回以上の被害にあったと証言する。ジャニー氏は松ア氏らを映画などに連れて行くと、必ず松ア氏を自宅に送った。暗がりに車を停めると、松ア氏のズボンを下ろし、口腔性交に及んだという。 「『帰りたい』と言ったんですけど、『もうちょっとだから』と。恐怖しかなかった。嫌だけど抵抗のしようがない。とうとう国連が乗りこんでくるという話だが、当然だと思う。ぜひきれいに洗い流してもらいたいというのが現在の率直な感想です」(松ア氏) 70年以上前から行なわれ、史上類を見ない性犯罪の様相を呈すジャニー氏の性加害。東山社長体制で果たして解決への道筋をつけることができるのか。世界中の注目が集まっている。 |
●デーブ・スペクター氏「BBC報道で動き出した。反省しないといけない」 9/7
故ジャニー喜多川氏による性加害問題について、7日、フジテレビの「イット!」に出演したテレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏は、「日本国内での懸命な取材や報道があったにも関わらず、BBCが報じたとことで動き出したというのは反省しなければならない」と述べた。 ジャニー氏による性加害問題を受け、ジャニーズ事務所は7日午後2時から午後6時過ぎまで4時間以上にわたり、初めて会見を行った。会見には、藤島ジュリー景子前社長、所属タレントで新たに社長に就任した東山紀之氏、井ノ原快彦氏、事務所顧問である木目田裕弁護士が出席した。 この会見についてデーブ・スペクター氏は、「言わなければならないことをちゃんと言っている。言いづらいことも結構言っているという印象だった」としたうえで、「これから(週刊誌などにより)ファクトチェックがなされると思うし、当事者の会の反論もあると思う。すべてをこのまま鵜呑みにしてはいけない」と述べた。 そして、「(性加害問題については)日本国内での懸命な取材や報道があったにも関わらず、外圧で始まった。3月にBBCが報じたとことで動き出したというのは反省しなければならない」と指摘した。 「イット!」には青山学院大学の原晋監督も出演。「東山新社長、井ノ原さんが真摯に受け答えされている」と会見の印象について語った。また、東山新社長については「実力のある俳優さんだから独立して、あるいはどこかの事務所に移籍して芸能活動できるはず。にもかかわらず、ジャニーズ事務所を立て直すために社長としてこれから頑張っていこうと。ジュニア期から40年余りお世話になっている、過ちを認めて、そこに対する恩返しを頑張っていこうという姿勢が感じられた」と述べた。 |
●ジャニー氏、ギネスもホームページから削除「記録の掲載は適さない」 9/7
「ギネスワールドレコーズ」は6日、故ジャニー喜多川氏の性加害の調査報告書を受け、「記録の掲載は適さないと判断し、公式ホームページから記録を削除した」と発表した。記録の抹消については、該当者が有罪となった際に精査するとしている。 ジャニー氏は2011年に、「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」として認定されていた。 |
●ジャニーズ事務所が午後に会見 性加害の認定は? 9/7
ジャニーズ事務所創業者の故・ジャニー喜多川氏の性加害を巡る問題で、事務所は7日午後2時から東京都内で会見を開く。出席者は明らかにされていないが、事務所の人間が会見で報道陣との質疑応答に臨むこと自体、きわめて異例だ。すでに事務所が設置した「再発防止特別チーム」がジャニー氏の性加害の事実を認定し、同族経営の弊害があったとして社長退任などを提言している。これを受け、事務所サイドは何を語るのか。注目が集まる。 性加害問題を巡っては、5月14日に事務所が藤島ジュリー景子社長の動画と書面を公開。ジャニー氏が亡くなっていることも踏まえ「被害の確認は困難」「知らなかった」などとして事実認定を避けている。 一方で、特別チームがとりまとめた調査報告書では、事務所内で1970年代初頭から2010年代にかけて長く広い範囲での性加害があったと認定した。事務所にも事実を認めて被害者に真摯(しんし)な謝罪と対話の開始を求めており、事務所が加害の事実を受け入れるかが、最初のポイントになる。 その上で、被害救済にどう取り組むのか。特別チームの提言では、外部専門家で構成する「被害者救済委員会」が、被害者の申告を検討して、補償の要否や金額などを判断し、適切な補償を行う仕組みを設けるよう示した。提言を踏まえ、事務所はどこまで具体性のあるものを提示できるか。スケジュールも含めて重要になるだろう。 報告書では、ジャニー氏の性嗜好(しこう)異常(パラフィリア)の存在と、事務所の最高権力者だった姉のメリー喜多川氏による問題の放置と隠蔽(いんぺい)、さらには事務所の「見て見ぬふり」という不作為が重なって、被害が拡大したと指摘した。藤島氏についても、取締役に就任した頃から、性加害の疑惑を認識し、社長就任後も性加害の事実を調査しなかった点が厳しく批判された。こうした批判にどう向き合うのか。 そもそも現社長の藤島氏が会見に出席し、自らの言葉で語るかどうか、事務所は明らかにしていない。藤島氏は性加害問題で5月14日に公式サイトで約1分の動画を公開したが、公の場では説明していない。面識のあるテレビ関係者は「彼女は人前で話すタイプではなく、会見(の受け答え)は厳しい」と話しており、その動向にも注目が集まる。 また、特別チームは藤島氏の社長辞任と、同族経営の弊害の防止を求めている。藤島氏の去就それ自体はもちろん重要だが、辞任だけをもって、「責任を取った」と受け取るのは難しい。 仮に辞任した場合でも、注目すべきは、藤島氏が100%保有している事務所の株式を手放すかどうかだ。藤島氏が取締役として会社に残るとの報道もあり、そうなれば、オーナーとして影響力を残す可能性もある。株式を手放す場合にも、譲渡先がポイントだ。 今回、藤島氏が辞任し、次期社長に所属タレントで最年長の東山紀之氏の就任が有力視されている。東山氏は少年隊のメンバーとして一時代を築いたトップタレントだが、経営者としての手腕は未知数だ。さらに、ジャニー氏やメリー氏と長く芸能生活をともにしており、ことあるごとに恩義も口にしてきた。事実上の同族経営にならないか、問われることになる。 |
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●江川さん、玉川さん「BBC報道きっかけ」に反論「恥じるべきはそうじゃなくて」 9/8
ジャーナリストの江川紹子さんが8日、自身のX(旧ツイッター)を更新。ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川元社長の性加害問題について、この日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」でコメンテーターの玉川徹さんが「BBC報道がきっかけ」などと発言したことに反論した。 玉川さんはジャニー氏の一連の問題について、メディアの責任を認めつつ、「これはやれないなとか、触れてはいけない空気みたいなものがあったんじゃないか」と指摘。「やりにくい雰囲気があった結果として、このような犯罪がずっと続いてしまったということはあろうかと思います」とコメントし、「恥ずかしいのはBBCの報道をきっかけに始まったこと。テレビは恥じなければいけない」と自省した。 これに対して江川さんは「恥じるべきは、そうじゃなくて、ずっと前に文春が報じ、それについての裁判所の判決が出ても報じなかったことでは?」と記述。BBC報道ではなく、過去の判決を黙殺したことを恥ずべきだと反論した。 |
●東山氏にも性加害疑惑、ジャニーズ事務所新社長に就任も批判や疑問の声 9/8
創業者の故ジャニー喜多川氏の性加害問題で揺れるジャニーズ事務所で、新社長になることが発表された東山紀之氏についても、少年への性加害疑惑が取りざたされている。 ジャニーズ事務所は7日、喜多川氏が所属タレントに性加害を繰り返していた疑惑にからんで記者会見を開き、藤島ジュリー景子社長が辞任を発表した。 東山氏も藤島氏と共に喜多川氏の性加害を謝罪し、経営に専念するために年内でタレント活動を引退すると述べた。 しかし会見では、東山氏による性加害行為の疑惑についても質問が相次いだ。 記者らは、元ジャニーズ Jr.による暴露本の内容について、繰り返し東山氏に質問した。本の内容は、同氏が少年たちの股間を足で刺激した、自分の性器を見せつけた、「僕のソーセージを食え」と発言したなどというもの。それについて東山氏は、「僕が性加害をしたのかということですか?」と聞き返した上で、「僕はしたことはないです」と返答。「事実ではないと思っています」、「ちょっとわかりかねます」とも述べた。 しかしその後、別の記者から「自身のセクハラ、パワハラに関連して」真実を語るよう促されると、「覚えてないことの方が、多くてですね、もしかしたらしてる可能性もあるし、もしかしたらしてないかもしれないし、ただやっぱりもちろん若気の至りがあったり、その時の自分の幼稚さであったりとか、そういうものもあったとは思うんですね。ただ記憶をたどっても、ちょっと覚えていないことも本当に多くて。僕もそうだと思うんですけど多分、いろんなことやってるんだと思います」、「記憶を呼び起こすのが難しい作業でもあったので、実際したかもしれないし、してないかもしれないというのが本当の気持ち」だとも述べた。 一方、喜多川氏による性加害については、「うわさとしては聞いていたが、私自身は被害を受けたことはない。受けている現場に立ち会ったことはなく、先輩たちからも後輩たちからも相談を受けることはなく、うわさには聞いていたが、自分から行動を起こすことはなかった。今後は反省を込めて対応していきたい」とした。 東山氏は同事務所の所属タレントで、東山氏はジャニーズ事務所の初期にスカウトされたタレントの一人。インターネット上では、東山氏と同事務所との数十年の関係から、社長就任を批判する声や、どのように事務所を変えていくのか、どうやってタレントを守るのかといった疑問の声があがっている。 東山氏は自身の社長就任について、「僕に資格があるかどうかは、これからみなさんに判断していただければ良いと思う」、「信頼を取り戻すのは大変なことだが、人生をかけて取り組んでいく」と述べた。 8日には、被害を明らかにしているカウアン・オカモト氏が記者会見を開いた。「一番誰がつらいかといえば、自分の母親だ」と述べ、涙を見せた。 「母がどういう思いでこの出来事を聞いて、日々生きているか。母に言えなかったことはいっぱいあるし、そういう思いにはもうさせたくない」と、オカモト氏は話した。 東山氏の社長就任については、「誰も社長はやりたくないはず(中略)リスペクトしたい」と述べた。 一方で、喜多川氏は自分にエンターテインメントを教えてくれたと発言。「僕自身はジャニーズ事務所という場についての感謝と、エンターテイメントの夢を見させてくれたジャニー氏を恨みきれない思いは、世間にグルーミングと言われても、今でもある」とも述べた。 ●メディアへの大きな影響力 喜多川氏は、日本のエンターテインメント業界で最も影響力のある一人だった。ジャニーズ事務所は何十年もの間、Jポップの代名詞であり、多くの少年がスターを目指して事務所に入った。 しかし現在、この事務所は性加害者の名前を冠している。 7日の記者会見で東山氏は、社名をすぐに変えることはないと述べている。 喜多川氏をめぐっては、2019年に87歳で死去する前から性的搾取の疑惑がうわさされていたが、刑事事件として立件されることはなかった。その葬儀は国家的な行事で、当時の安倍晋三首相からも弔電が届いた。 週刊文春による連続報道や暴露本での指摘はあったものの、疑惑は公然の秘密とされ、日本の大半の主要メディアも長年触れてこなかった。 しかし、今年3月にBBCが喜多川氏の性加害について報道すると、それをきっかけにオカモト氏を含む複数の男性が虐待を受けたと名乗り出た。 こうした動きが、外部の専門家からなる「再発防止特別チーム」による独立調査につながった。また、ジャニーズ事務所は5月、謝罪動画と関連の文書を自社サイトに掲載した。 8月に発表された調査報告書は、喜多川氏が60年にわたるキャリアの中で「長期間」性加害を行っていたことが認められると指摘。藤島氏の社長辞任や被害者への救済措置などを提言していた。 藤島氏は7日の記者会見で初めて、喜多川氏による性加害を認め、謝罪した。疑惑についても暴露本や雑誌記事があることは認識していたが、喜多川氏の権力はとても強く、「親族であっても物を申せなかったということが、弊社の歪なところだった」と述べている。 日本の芸能界に詳しいジャーナリストの松谷創一郎氏は、ジャニーズ事務所は日本の多くのメディアに多大な影響力を持っていると指摘する。 松谷氏は5月、朝日新聞に対し、テレビ局や雑誌の収入減がジャニーズ事務所のアイドルに視聴率を過度に依存する状況につながっていると話した。 たとえば同事務所は2019年、退所したタレントを出演させないようテレビ局に圧力をかけていたとして、公正取引委員会に注意されたことがある。 松谷氏は、問題の根本を解決しない限り、他のタレント事務所でも同じようなことが起こりうると付け加えた。 |
●英BBC「創業者の性的虐待ようやく認めた」…欧米・中国メディアも報道 9/8
ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害を認めた同事務所の7日の記者会見を、海外の主要メディアも大きく報道した。 ジャニー喜多川氏による性加害問題についてのドキュメンタリー番組を3月に放送した英BBCは、「日本最大の音楽タレント事務所の社長が、創業者の性的虐待をようやく認めて辞任した」と報じた。 BBCは「彼の虐待に関するうわさは何年も前から知られていたが、具体的な措置は取られなかった」と指摘し、BBCの番組によって「日本中で議論が巻き起こり、全容解明を求める声が高まった」と強調した。 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「預かった少年を創業者が食い物にしていたことを日本のタレント事務所が認めた」と報じた。米CNN(同)は「ジャニー氏の権力が大きく、要求に従わなければキャリアを失う恐れがあった」とする元事務所所属の歌手の発言を紹介した。 中国メディアも、共産党機関紙傘下の環球時報が「性的スキャンダルが衝撃を引き起こした」と会見内容を速報するなどした。 |
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●「最低」「何様」元ジャニーズJr.に繰り返される誹謗中傷 9/9
9月7日、ジャニーズ事務所が会見を開き、ジャニー喜多川氏による性加害を認めました。口火を切った元Jr.は今も誹謗中傷に苦しんでいます。当事者たちの受け止めを取材しました。 ●ジャニーズ事務所 会見で「性加害はあった」 村瀬健介記者「ジャニーズ事務所の記者会見が始まります。たくさんのカメラが集まっています。性加害の事実を認めるのか、被害者の補償をどのようにするのか、事務所側の説明が注目されます」 9月7日、ジャニーズ事務所が記者会見を行った。 藤島ジュリー景子前社長「ジャニー喜多川に“性加害はあった”と認識しております」 冒頭、藤島ジュリー景子氏は、ジャニー喜多川氏の性加害を認め、謝罪した。9月5日をもって社長を辞任。新社長には東山紀之氏が就任した。 村瀬記者「半世紀以上の長期にわたって、数百人の少年に対して性加害が行われていたという史上空前の加害行為になると思うんですけれども」 東山紀之新社長「喜多川氏と藤島氏の絶対的な存在がいましたし、僕らはそれを正しいと信じておりました。今となっては大変恥じておりますが、被害の拡大を生んだのではないかと考えております」 創業者に由来する社名「ジャニーズ」はそのまま。被害者への補償については、100%株主であるジュリー氏が事務所にとどまり、速やかに進めていくとした。 ジャニー氏の性加害については… 東山新社長「やってることは鬼畜の所業だと思ってます」 “最も多くのNo.1シングルをプロデュースした人物”として、ギネスにも認定されたジャニー氏。一連の性加害問題を受け、記録は公式サイトから削除された。 ジャニーズタレントを広告に起用していた企業も、今後は見送るなどの方針を明らかにした。 会見ではジャニー氏の性加害に対する認識についても問われた。 村瀬記者「東山さんは、性加害が行われていたことについて認識されていたのか。どのような行動を取られたのか」 東山新社長「恥ずかしながら何もできず、何の行動もしておりませんでした。ただ“噂としては”もちろん聞いておりました」 会見を見ていたジャニーズ性加害問題当事者の会のメンバーたちは… ジャニーズ性加害問題当事者の会 平本淳也代表「残念だね、ここだけね」 ジャニーズ性加害問題当事者の会 石丸志門副代表「東山紀之氏の発言は、真実性に欠けると思います。本当のことを語っているのかというところは、これから追及していきたいと思います」 ●70年前の被害者は「さらに追及して暴いていく」 9月2日、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の平本淳也代表は、服部吉次さん(78)のもとを訪ねた。作曲家、服部良一さんの次男である吉次さんは、8歳の時、ジャニー氏から性被害を受けたという。 服部吉次さん「僕の布団に入ってきて、パンツの中にも手が入ってきて」 2人が会うのは、この日が初めて。当事者の会の活動を見て、吉次さんのほうからオファーしたという。 服部さん「見離しちゃいけないなというか、放っておいてはいけないなと思って。発言しないと後で後悔することになるぞと思って」 長年、ジャニー氏からの性被害に苦しんできた2人。これまで抱えてきた思いを語り合った。 服部さん「僕が体験したことを翌朝になって、一番最初に姉に話したんです。冗談で通じると思ってたの。『やめなさい、そんな話』『汚い』って」 平本代表「自分が言うことの勇気とは何かっていったら、どう思われるかがすごく怖い」 今後は協力メンバーとして、当事者の会を支えていくという服部さん。事務所の会見についても厳しく言及した。 服部さん「全体的な印象として、大変綿密に彼ら(事務所)が作戦を練って、ほぼその通りに進行できたということだと思います。とにかく彼らの犯罪を、さらに追及して暴いていくことだと思います」 ●ジャニー氏からの性被害 口火を切った元Jr.は 最初に声をあげた人物は、その後、苦しんでいた。中学3年生でジャニーズJr.になり、ジャニー喜多川氏から、20回ほど性被害を受けたと明かしたカウアン・オカモトさん。SNSでは、こんなダイレクト・メッセージが カウアン・オカモトさんに届いたダイレクト・メッセージ 「最低」「何様」「早く死んでくれ!ゴミゴミ粗大ゴミさようなら!」 元ジャニーズJr. カウアン・オカモトさん「あまり開かないようにしているのですが」 ジャニーズ事務所や所属タレントが、苦しい立場に追い込まれたことへの怒りの声が浴びせられている。当時、オカモトさんは、ジャニー氏への感謝の気持ちもあると語っていた。 今、苦しんでいるのは、誹謗中傷だけではない。 カウアン・オカモトさん「誹謗中傷もそうですけど、一番辛かったのは『じゃあジャニーズを潰せ』という言葉だったり、『じゃあ、お前は誰の味方なんだよ』という言葉。僕自身は、誰かを傷つけたいとか、憎しみをもってやってなかったので、ジャニーズでアイドルとして一流を目指して全力でやっていたので、それを全部否定したくないんですよね。引くも、行くも、地獄みたいな」 オカモトさんは、過呼吸などパニック障害による発作にも襲われた。自ら命を絶つことも頭をよぎったという。 カウアン・オカモトさん「すごくネガティブになり、存在否定をしているんですね、自分の。だから、もう生きたくないというか。逃げられないですね。ずっと頭がぐるぐる回っちゃうというか。危険な状態ですよね」 それでも今、オカモトさんは日本と、両親の出身地ブラジルで、シンガーソングライターとして活動している。自ら書いた歌詞には、今の心境と重なる部分も多いという。 カウアン・オカモトさん「『差別を止めて進化をはかろう』という部分が、憎しみあったり戦争するんじゃなくて、自分の中に許しをもって」 最近、誹謗中傷は減り応援が増えてきたという。苦しんできたことは確かでも、後悔はないと言い切る。 カウアン・オカモトさん「後悔はないです。後悔よりもやっぱり常に希望をもって、未来に向かって歩いていけるというのを僕は信じているので、だから今も後悔していないし、この経験したからこそ人に希望を与えたいなって思っています」 |
●日本の公然の秘密……ジャニー喜多川氏の性的加害 9/9
日本有数の芸能事務所を作り上げたジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川氏が、所属タレントに性的虐待を繰り返していたとされる問題で、喜多川氏のめいにあたる藤島ジュリー景子社長は7日、喜多川氏による性加害を初めて認め、社長を辞任したことを明らかにした。 日本国内に衝撃が走ったのか? いや、走らなかった。 それよりむしろ、「みんな知ってたけど、誰も何もしなかった。それがついにおおっぴらになった」という感覚の方が強い。 喜多川氏にはもう何十年も、性的加害の疑惑がつきまとっていた。発言しようとする者は阻止された。芸能界で絶大な権力をもつ巨大な存在と、その帝国が繰り出してくるだろう訴訟の予感が、声を上げようとする人の前に立ちはだかっていたのだ。 加害疑惑の一部はすでに、事務所が週刊文春の報道を訴えた民事裁判で真実と認められていた。しかし、喜多川氏が刑事訴追されることはなかった。 喜多川氏は、性的に虐待する対象を常に追い求める「プレデター(捕食者)」だった。同時に彼は、スターを生み出すスターメーカーで、Jポップ界の数々のビッグスターにとっては恩師、恩人だった。権力と成功と、何百人もの少年の夢を、彼はずっと握っていたのだ。 日本で芸能界を目指す10代の少年にとっては、これがスターになるための「暗黙の代償」だったという書き方をした記事もある。 BBCが今年3月に放送したドキュメンタリー「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」で発言した被害者の1人は、「これを我慢しないと売れないから」と周りに言われたと話す。 喜多川氏は自分が育てたタレントたちに恐れられ、あがめられていた。 藤島氏らによる7日の記者会見を受けて、ほとんどの新聞は新社長となった東山紀之氏の写真を一面に掲載した。 「"父"ジャニー氏の性加害」という見出しを掲げた新聞もあった。東山氏はかねて喜多川氏を恩人として語り、「父のよう」に慕ってきたと述べていた。 BBCドキュメンタリーの3月放送後、現在は歌手として活動する元ジャニーズ Jr.のカウアン・オカモト氏が4月、自分も15歳の時に虐待被害にあっていたと公表した。そしてカウアン氏は事務所の謝罪会見翌日の8日、自ら記者会見。その中で、「僕自身はジャニーズ事務所という場についての感謝と、エンターテイメントの夢を見させてくれたジャニー氏を恨みきれない思いは、世間にグルーミングと言われても今でもある」と話した。 ジャニー喜多川氏に対する性加害疑惑は何十年も前からあり、日本のマスコミのほとんどは何十年にもわたりその疑惑を調べなかった。例外が、1999年に報道キャンペーンを展開した週刊文春だった。 TBSの昼の情報番組ではジャーナリストが、芸能事務所の社内文化を点検するだけでなく、事実上の疑惑隠蔽(いんぺい)につながったマスコミの慣習についても検証する必要があると指摘。なぜメディアがこれに触れてこなかったのか、自問自答しなくてはならないとも話した。 しかし、答えは簡単じゃないかと言えるかもしれない。権力だ。ハーヴィー・ワインスティーン受刑者がハリウッドで権勢を誇っていた当時のこと、強姦罪で有罪となる前のことを思えばいい。 喜多川氏の権力は、事務所の所属タレントだけではなく、そのタレントを積極的に使いたがる放送局、そして番組のスポンサーとなる広告主にも及んだ。マスコミと芸能が密接に絡み合う空間において、決定権を握っていたのは喜多川氏だった。 なぜこの事態がこれほど長いこと、しかもこれほど幅広く続いていたのか。それを理解するには、日本の恥と沈黙の文化も要素となる。 日本では、性的暴力を受けたと女性が発言すれば、その女性が激しい非難と攻撃にさらされることがある。 そこにさらに複雑な要素を何層も重ねていくと、このジャニーズ問題になる。スターになりたくて一生懸命な少年たちが、同性の年長者に気に入られようとする。その同性の年長者がそれを利用して、少年たちに性的加害を繰り返したのだ。 この一連の出来事が日本の芸能界にどう影響するのか、見通しは不透明だ。この国の少年アイドル文化の基礎を築き上げたとされるジャニーズ事務所において、あまりにたくさんの変化が必要とされている。 しかし、「新しいページ」をめくろうとする事務所の第一歩は、今のところあまり芳しいものではない。新社長の東山氏自身が、性加害疑惑を取りざたされている。 記者会見で自分に対する疑惑について東山氏は再三、質問されたが、それに対する答えは、「記憶を呼び起こすのが難しい作業でもあったので、実際したかもしれないし、してないかもしれないというのが本当の気持ち」という内容だった。 そして、藤島氏は社長の立場は退いたものの、代表取締役ではあり続ける。株式も100%保有し続ける。被害者の補償と救済に自らあたるためだという。 そして、ひとつ大事なことは変わらないまま続く。ジャニーズ事務所という名称だ。これには被害者の多くが驚き、落胆した。自分たちが経験したことに照らせば、その加害者の名前を事務所が冠し続けることは自分たちへの侮辱だというのが、多くの被害者の思いだ。 ジャニーズ事務所。英語名は「Johnny and Associates(ジャニーと仲間たち)」。この名前はかつて、日本の芸能界やJポップ・カルチャーそのものを意味するものだったかもしれない。それが今や、日本最大の性的虐待スキャンダルを引き起こした加害者の名前を冠する、汚名にまみれたブランドとなってしまった。 |
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●「サンモニ」青木理氏、ジャニーズ問題→忖度・萎縮→キャスター降板に変換 9/10
ジャーナリストの青木理氏が10日、TBS系「サンデー・モーニング」に出演し、ジャニーズ事務所に対する忖度(そんたく)に触れ、報道の姿勢についてコメントした。 ジャニーズ事務所の創業者・故ジャニー喜多川氏による性加害問題を巡り、前社長の藤島ジュリー景子氏、新社長となった俳優・東山紀之、ジャニーズアイランド社長のタレント・井ノ原快彦らが7日に記者会見を開いた。 青木氏は井ノ原の「得体の知れない、触れてはいけない空気があった」という発言を引き合いに出し、「得体の知れない、触れてはいけない空気みたいなものに、われわれメディアも完全に飲まれてたんじゃないですか」と苦言を呈した。芸能だけの話ではないとし「かつての1強政権下で、いろんなキャスターの方が辞めたと。そういうのも、そういう忖度とか萎縮とかみたいなものと無縁ではなかったんじゃないでしょうか、っていう問題もあると思う」と語った。 「芸能だけじゃなくて政治に対しても、あるいはありとあらゆる権力とか権威に対して、われわれ、きちんとファイティングポーズとってますかっていうところが問われる」と報道姿勢に注文をつけた。なお、さまざまなキャスター降板については、政権が介入した可能性は取りざたされているが、はっきりとした因果関係は伝えられていない。 |
●性加害の認識に立てず 鈍感だった新聞 ジャニーズ依存深めたテレビ 9/10
「性加害認める」「被害者の救済は」――。ジャニーズ事務所が、故ジャニー喜多川氏による性加害を認めて謝罪した7日の会見を、テレビ局はそんなテロップと共に時間を割いて伝えた。 調査会社のニホンモニターの調べでは、この日地上波では36番組が報道し、時間にして計18時間4分13秒に上った。新聞も翌朝1面で大きく扱った。 だが、マスメディアがこの問題を積極的に報じたのは極めて最近の話だ。事務所が設置した再発防止特別チームが先月29日に公表した報告書には「マスメディアの沈黙」という項目があり、こんな記載がある。 「テレビ局をはじめとするマスメディア側としても、事務所が日本でトップのエンターテインメント企業であり、性加害を報道すると、自社の番組に出演させたり、雑誌に掲載したりできなくなるとの危惧から、性加害を報道するのを控えていたと考えられる」 ・・・ |
●ジャニーズ問題の報道「力が弱まってきたから叩く」スタンスは「間違い」 9/10
脚本家の三谷幸喜氏が9日、「情報7daysニュースキャスター」に出演し、ジャニーズ事務所の創業者・故ジャニー喜多川氏による性加害問題の報道について警鐘を鳴らした。 性加害問題について、7日に俳優・東山紀之、ジャニーズアイランド社長のタレント・井ノ原快彦、前社長の藤島ジュリー景子氏らが記者会見を開いた。ジュリー氏は引責辞任し、東山が新社長に就任することが発表された。 三谷氏は当事者であるジャニー氏がすでに死去していることに触れ「先の展開が難しい」と事件の追求ができないことを指摘。さらにジャニーズ事務所の対応については「新体制に期待するしかない」と傍観者にならざるを得ないとした。 「忖度(そんたく)という形で黙認してきた社会というかぼくらの態度であって、これが、『ジャニーズ事務所が力が弱まってきたから忖度しなくていいんだ。だからこうやって叩いてるんだ』。だとしたら、それは間違いだと思う」と“ここぞとばかり”に畳みかけるスタンスには否定的。「今後、同じようなことが起きた時、力のない人が涙するようなことが起こった時に、ぼくらは忖度せずに向かい合うことができるか。向かい合わなければ今回の経験が何の意味もないことになっちゃう」と過ちを繰り返さないことが大切だと説いた。 |
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