「 GDP 2% 」 一人歩き

GDPだけが 一人歩き

日本のGDP     536兆円
防衛費                2% (GDP比率)
国家予算       108兆円  20% (GDP比率)
日本政府の借金 1,200兆円   223% (GDP比率)

国の借金 無制限 
無責任な 政治の先生方 お役人様
財政健全化のお札 神棚の奥へ
今年も 後は野となれ山となれ ですか・・・

何のため
何を
何時迄に
どのように


[ 補正予算を加えれば 国家予算 25% (GDP比率) 近くになります ]  


 
 
●「防衛費GDP比2%」は“平和ぼけタカ派”の空公約 2021/11/11
「公約」は実現されるのか 日本は世界第3位の軍事大国に?
高市早苗自民党政務調査会長が衆議院議員選挙の公約として「防衛費を国民総生産(GDP)の2%水準にする」ことを掲げたが、総選挙で自民党が単独過半数を確保したから、この公約が実現することになるのだろうか。
今年の日本のGDPは595.5兆円と政府は見積もっており、その2%は11.9兆円だ。今年度当初予算の防衛費は5.1235兆円だから、公約を実現しようとすると、6.77兆円の「増額枠」を認めることになる。
仮に「GDP比2%水準」になって日本の防衛費が11兆円余り、約1000億ドルになれば、ストックホルム平和研究所の計算では、昨年の米国の防衛費が7780億ドル、中国が2520億ドルだから、日本の防衛費は世界第3位になる。ロシアは617億ドルだから、その約1.6倍だ。
「棚からボタ餅」に当惑 自衛隊の規模拡大は不可能
防衛費をGDPの2%以上にすることは、米国トランプ政権が2020年にNATO諸国など同盟国に要求したものだ。
中国との対決姿勢を示す一方で、「米国第一」で米軍の海外駐留経費を減らしたい思惑からだった。NATO(北大西洋軍事機構)加盟の30カ国中11カ国はそれに達しているが、ドイツは1.56%、イタリアは1.39%などにとどまっているのが現状だ。
一般的には予算要求は各省庁が計画している事業の経費を積算して行うが、防衛省にとっては、突然、防衛費が2倍以上になるというのは棚から巨大なボタ餅が落ちてくるような形だ。
防衛省の高官に使途を尋ねると、戸惑いながら「少なくとも来年度は防衛予算が急増することはありません。来年に次の中期防衛力整備計画(2024年から5年)や「防衛計画の大綱」を見直す中で考えることになる」という。腰の引けた応答になるのも当然だろう。
防衛費が急増しても自衛隊の規模を拡大するのはほぼ不可能だ。自衛隊は隊員の募集に苦労し、現在でも大きな定員割れになっている。
防衛省設置法では自衛隊の総人員は24万7154人だが、それほどは集められないとみて、今年度の「予算定員」は24万6748人に減らしている。だが昨年末の実際の隊員数は22万7442人で予算定員より1万9306人も少ない。
定員割れが続く中で2018年からは一般の隊員の採用を「18歳以上33歳未満」に広げた。
32歳の“新兵”が2士(2等兵)で入隊すると、その前年に18歳で入った隊員は1士(1等兵)に昇任しているから13歳も年下の先輩の指導を受けることになる。
感情的に難しいことも起きそうだが、自衛隊はとにかく員数を合わせることに必死にならざるを得ない。
特に海上自衛隊は法的定員が4万5329人に対して、いまの隊員数は4万2850人で2479人の定員割れだ。艦艇の乗組員は持ち場がそれぞれ決まっているから、定数より少ないまま出港するのは危険を伴うこともありうる。
このため従来の2000トン級の小型護衛艦は120人が定数だったが、その後継の護衛艦は3900トンに大型化しつつ定員は90人にする省力化を行っている。
また女性の応募者を増やすため、女性幹部(士官)の登用を進め、「第1護衛隊群」(横須賀)の「第1護衛隊」(軽空母1隻、護衛艦3隻)の司令に女性1佐(大佐)が任じられたこともある。
安保法制の成立の結果 隊員募集は一層、難しい
安倍政権時代の2014年7月に閣議で憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使を容認したことは自衛官の募集を一層困難にした。
内閣府が行っている世論調査では、2015年1月には、「身近な人が自衛隊員になりたいと言ったら賛成するか、反対するか」の問いに対し、「賛成」が70.4%、「反対」が23.0%だった。
だが2018年の調査では、「賛成」が62.4%で8%減、「反対」が29.4%で6.4%増となった。
「日本が戦争を仕掛けられたり戦争に巻き込まれたりする危険があると思うか」の問いに対しては、「危険がある」と答えた人が75.5%から85.5%に増え、「危険はない」と思う人は19.8%から10.7%に減っている。
政府や与党が北朝鮮のミサイル発射や中国の海洋進出などに危機感をあおるほど、子弟が自衛隊に入ることに反対する人々が増えるのは自然だろう。
それでは米軍の駐留経費を増やすことになるのだろうか。
駐留米軍に関する日本の負担は今年度で、すでに米軍のグアムへの移転や再編成などを含め6603億円(国有地提供に対する推定地代を含まず)に達し、米国の計算でも日本は駐留経費の74.5%を負担している。
これ以上、負担を増やすには米軍人の給料や訓練経費も支払うしかなく、そうなれば米軍人は日本の“傭兵”と化するような状況になってしまうから増加はできそうにない。
「増加枠」の大半は 装備費にあてられる
防衛予算の42.8%を占める人件・糧食費2兆2000億円や駐留米軍経費はあまり増えないとすれば、年間6兆円も増える防衛費の大部分は装備費に使われることになるだろう。
今年度予算では、装備などの購入費は9186億円(防衛費の17.9%)、研究開発費は1133億円(同2.2%)で計1兆319億円だが、それに6兆円の「増加枠」が加わればいまの7倍になる計算だ。
例えば、米海軍の最新鋭の原子力空母ジェラルド・フォード(10.1万トン)の建造費は1兆4000億円、艦載機を含むと2兆円余りになる。バージニア級の原子力潜水艦は1隻3000億円だ。
日本が毎年、原子力空母1隻と原子力潜水艦5隻を発注すると、計3兆5000億円だから、装備費の「増加枠」の半分強に当たる。
こうした装備拡張を10年も続ければ米海軍をしのぐほどの海軍戦力になる。もちろんこれは冗談で、空母1隻だけでも船乗りと航空要員計約5000人を乗せるから人手が足りない。
「敵基地攻撃」の効果は疑問 ミサイル発射準備の監視は至難
岸田文雄首相は選挙公約で、「相手の領域内で弾道ミサイルを阻止する能力を保有し、抑止力を向上する」と公表している。自民党議員にも「敵基地攻撃」を唱える人々が多い。
この状況を考えると、急増する装備費の大半は敵基地攻撃能力を整備するのに向けられそうな形勢だ。
だが攻撃をするにはまず敵の精密な位置を知ることが不可欠だ。自衛隊の将官の中にも偵察衛星で北朝鮮が日本に対し弾道ミサイルを発射しようとする状況が分かるように思っている人がいた。
だが、偵察衛星は時速約2万7000キロで南北方向に地球を約90分で周回し、毎日1回同じ時刻に同地点上空を通過するから、目標地点を撮影できるのはカメラの首振り機能を生かしても1日1分程度だ。
「静止衛星ではだめなのか」と質問されることも多いが、答えは「ノー」だ。
静止衛星は赤道上空約3万6000キロメートル、地球の直径の約3倍の高度で周回し、その高度では地球の自転の速度と同調するから、地表からは止まっているように見える。
無線の中継などには有効だが、当然その距離ではミサイルが見えるはずがない。発射の際に出る大量の赤外線を感知できるだけだからミサイル発射前に攻撃するには役に立たない。
ジェットエンジン付きの大型グライダーのような無人偵察機を、例えば、北朝鮮の上空で旋回させておけば常時監視が可能だが、領空侵犯だから対空ミサイルで簡単に撃墜される。無人偵察機が役に立つのは大型の対空ミサイルを持たないゲリラに対してだけだ。
領空外の海上などから無人偵察機が撮影しようとしても、日本海から北朝鮮の北部山岳地帯までは300キロもある。山腹のトンネルに潜むミサイル発射機が谷間に出てミサイルを立て発射するのは山の陰になるから発見できる公算は乏しい。
まして中国を想定すれば、はるか内陸に配備されたミサイルを監視することはほぼ不可能だ。
小型の衛星を多数周回させる案も米国ではあるが、24時間中の1分ほどしか目標地域の上空にいない衛星で常時監視をするために10分ごとに撮影するとすれば百個以上の衛星が必要だ。
しかも小型衛星のカメラやレーダーは解像力が低く、相手はダミーを使うから実効性は疑わしい。
発見できたとしても意図は分からず 法律論だけの「机上の空論」
1991年の湾岸戦争でイラク軍はソ連が開発した短距離弾道ミサイル「スカッド」の改良型「アル・フセイン」88発を発射した。
米英空軍は1日平均64機の戦闘機などを「スカッド・ハント」に出動させ、イラク南部と西部のミサイル発射地域を監視、また特殊部隊を丘に潜伏させて見張らせたが、発射前にミサイルを破壊できたのは1基だけだった。
特殊部隊への補給のため夜間飛行をしていたヘリコプターがミサイル発射の火柱を目撃、そちらに向かったところ、もう1基が発射準備をしているのを発見し、機関銃で処理したのが唯一の成功例だ。
それ以来30年間で精密なミリ波レーダーや赤外線探知などの探知手段が発達したが、一方で北朝鮮の中距離弾道ミサイルは液体燃料から固体燃料になり、移動や即時発射が容易になったから、発射前に弾道ミサイルを発見し破壊するのは一層困難になった。
「ミサイルが日本に向けて発射されようとしている際に、攻撃するのは自衛権の範囲内」との説は法律論としては成り立つが、効果は期待できない机上の空論だ。
相手のミサイル発射機がトンネルから出て、ミサイルを立てているところを仮に発見できたとしても、訓練や整備をしていることもある。実験のために海上に発射しようとしているとか、日本以外を狙っていることもあるから、日本に向けて発射しようとしているのか否かは知りようがない。
「朝鮮半島有事」となれば 米軍・韓国軍がミサイルを叩く
すでに北朝鮮軍と米軍・韓国軍が戦争を始めている場合には、日本の米軍基地も弾道ミサイルの目標となる公算が大だから、日本が狙われている確証がなくても日本が攻撃するのは現実的には許容されるだろう。
だがそのような状況では米軍、韓国軍は必死になって北朝鮮のミサイルを破壊しようとしているだろう。
北朝鮮は200〜300基ほどの弾道ミサイルを持つと言われるが、韓国は射程300キロの「玄武A型」から射程800キロの「玄武2C型」まで計約2000基の弾道ミサイルのほか、射程1500キロの巡航ミサイル「玄武3C型」も造っている。
韓国空軍は戦闘機、攻撃機計約500機を持つのに対して北朝鮮の空軍はもはやなきに等しい。このため、韓国空軍は防空の必要が低く、対地攻撃を主な任務としている。
米軍も日本に駐留する米空軍、海兵隊航空部隊、空母1隻で計約100機、在韓米空軍も約100機いるから、攻撃能力には全く不足がない。
仮に航空自衛隊が韓国軍の許可を得ず北朝鮮攻撃を行ったり、海上自衛隊が巡航ミサイルを発射したりすれば韓国軍にとってはむしろ邪魔になりそうだ。
また「同胞を日本軍が攻撃」するのは、韓国の国民感情に触れかねないから、韓国軍の発言力が高まっている米韓連合司令部が「日本の攻撃参加は見合わせてほしい」という可能性は十分考えられる。
湾岸戦争で米国などが「イスラエルが多国籍軍に加わればアラブ諸国が反発し結束を乱す」としてイスラエルの参戦を拒否したのと同様になりかねない。
韓国と北朝鮮のGDP比率はすでに100対1の大差があるから、通常兵器による戦争では、韓国は単独でも北朝鮮を比較的短期で制圧できるだろうが、崩壊に瀕するとなれば北朝鮮は自暴自棄となり、核ミサイルを発射する公算は高い。
韓国軍と米軍は血眼になって北朝鮮の弾道ミサイルやその指揮中枢を最優先目標として探し求めて攻撃するだろう。だが、北朝鮮が持つといわれる弾道ミサイルのうち核弾頭付きは30基とみられ、それを完全には破壊できず、北朝鮮が残存した核ミサイルを発射するリスクは残る。
それに対し米軍が韓国などに核汚染が及ばないよう低威力の核兵器で報復する構えを示し、北朝鮮の核使用を抑止しようとしても、滅亡が迫り「死なばもろとも」の心境になった北朝鮮には効果はないだろう。「抑止戦略」は相手の理性的判断を前提にしているのだ。
戦争を具体的に考えられない「タカ派」
日本で「敵基地攻撃」を主張している人々は、目標の位置情報の提供を米軍に頼ることを考えている。
しかし米軍・韓国軍が、まさに発射されようとしている弾道ミサイルを発見すれば寸刻を争って直ちに攻撃するはずだ。
日本に位置を通知し、わざわざ手柄を譲るような悠長なことをすることはまずあり得ない。
こんな甘い構想を抱くのは戦争を具体的に考えられない「平和ボケのタカ派」の論と言うしかない。
 
 
●防衛費のGDP2%達成は8カ国 NATO報告書 2022/3/31
北大西洋条約機構(NATO)は31日、2021年の年次報告書を発表した。国防費支出を国内総生産(GDP)比の2%以上に増やす目標を21年に達成したのは30加盟国中8カ国だった。前年から2カ国減った。
加盟国の国防費総額は実質で1.8%増えた。全体の7割を占める米国を除く、欧州各国とカナダの合計は3.1%増えた。記者会見したストルテンベルグ事務総長は7年連続で防衛費が増えているとして「新たな安全保障の現実に直面し、危機感をもっている」とさらなる増額が必要だと訴えた。
2%を上回ったのは、米国や英国、ポーランド、クロアチア、ギリシャ、バルト3国。フランスは2%をわずかに下回り、ドイツは1.49%だった。
今年に入ってロシアがウクライナに侵攻したのを受けて、防衛費の増額を表明する国が相次いでいる。ドイツは22年に2%以上に引き上げると発表したほか、デンマークやポーランド、ルーマニアなども増額を表明している。
足元のロシアの動きについて、ストルテンベルグ氏はウクライナへの追加の攻撃がありうるとの考えを示した。「ロシアは撤退しているのではなく、軍を再編成している」として、ウクライナ東部での攻撃を強化しようとしているとの見解を示した。
その上で「政治的な解決策を見いだそうとするロシア側の意思はほとんど見られない」と批判し、停戦に真剣に取り組むようロシア側に求めた。
 
 
●防衛費増へ自民がGDP比2%案 ウクライナ侵攻受け 達成なら米中に次ぐ規模 4/9
ロシアのウクライナ侵攻を受け、政府・自民党は防衛費の大幅増を目指している。政府が検討する敵基地攻撃能力の保有を視野に、自民党安全保障調査会は現在の国内総生産(GDP)比1%程度から2%へ引き上げる案を今後の論点整理として示した。2%なら米国と中国に次ぐ規模になる。憲法が掲げる平和主義の理念が一層、形骸化すると専門家は懸念する。
「党内で反対する人はいない」
岸田文雄首相は8日の記者会見で、ウクライナ侵攻を受けた日本の防衛力について「あらゆる選択肢を排除せず検討し、スピード感を持って抜本的に強化していく」と明言した。
防衛費を巡っては、1976年に三木武夫内閣が1%枠を超えないとする方針を閣議決定。86年に中曽根康弘内閣が撤廃したが、1%程度で推移してきた。安倍政権以降、増額が目立ち、当初予算で2022年度まで8年続けて過去最大を更新。本年度当初予算で約5兆4000億円だった。
ストックホルム国際平和研究所によると、20年、日本の防衛費は世界9位。GDP比2%は約5兆5000億円を上積みして11兆円ほどにする計算で、世界3位の規模になる。増加分は消費税2%分に相当する。
安保調査会の幹部は、ロシアのウクライナ侵攻を受け「もし中国による台湾有事が数年後に起きて日本にも危機が迫った時に、何も準備していませんでしたでは済まされない。部隊や装備の充実を急がないといけない」と強調。防衛相経験者は「党内で対GDP2%目標に反対する人はいない」と明言する。
識者「憲法違反が問われてくる」
政府・自民党は増やした防衛費を、相手国の軍事拠点をミサイルでたたく敵基地攻撃能力に活用する予算に使うことも視野に入れる。敵基地攻撃能力の保有は専守防衛を逸脱する恐れが指摘される。
自民党は昨年の衆院選で、欧米の軍事同盟・北大西洋条約機構(NATO)にならって対GDP比2%を目指すと公約した。同党は防衛力強化に関する論点整理を踏まえ、月内にも政府に提言を提出。政府は年末に改定する外交・防衛政策の長期指針「国家安保戦略」と防衛大綱、中期防衛力整備計画(中期防)に反映し、防衛力の抜本的な強化に乗り出す。
政府は防衛白書で「他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」方針を掲げている。日本体育大学の清水雅彦教授(憲法学)は本紙の取材に「日本は既に『軍事大国』だが、対GDP2%まで増やすようなら自衛隊を『軍隊ではない』という政府の主張はますます成り立たなくなり、憲法違反が問われてくる」と指摘。「ロシア侵攻から学ぶべきは、中国を含むアジア地域での安全保障の枠組みをつくることで、防衛費を増やすことではない」と話す。
●防衛費GDP比2%に拡大を 自民・安倍氏 4/9
自民党の安倍晋三元首相は9日、福井県小浜市で講演し、軍事的な威圧を強める中国に対峙(たいじ)するには、防衛費を国内総生産(GDP)比2%に拡大する必要があるとの認識を示した。安倍氏は「(ロシアのウクライナ侵攻で)ドイツですら防衛費をGDP比2%に引き上げる決断をした。日本も2%に拡大する努力をしていかなければならない」と語った。
●防衛費「GDP2%」に異論 安保戦略提言で自民調査会 4/18
自民党安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)は18日、防衛相経験者ら主要メンバーによる会合を開き、国家安全保障戦略の改定に向けた政府への提言案について協議した。北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に国内総生産(GDP)比2%の防衛費を求めていることに触れ、「5年をめどに同様の予算水準の達成を目指す」とした点に対し、「数字ありきでは駄目だ」との反対意見が上がった。
提言案は敵基地攻撃能力の保有を求める一方、攻撃対象にミサイル基地だけでなく「指揮統制機能」を含むよう主張している。この点についても「わざわざ言う必要がない」などと異論が出た。19日も議論する。
  
 
●2022年度補正予算成立に対する談話 日本労働組合総連合会 5/31
1.予備費発動には国民への丁寧な説明と効果検証が不可欠
5月31日、緊急経済対策を盛り込んだ2022年度補正予算が参議院本会議において可決・成立した。本予算には、原材料やガソリン・食料品など急速に進んだ物価高騰への対処として、石油元売りへの補助金の延長・拡充や低所得の子育て世帯への給付金など生活困窮者支援策が含まれており、機動的な補正予算編成には一定の理解を示せるものである。
一方で、今回の補正予算総額2.7兆円のうち、1.5兆円を予備費に充てるとしている。予備費は国会での議決を経ずに、政府がその使途を自由に決められるため、監視の目が届きにくい。また、既に予算化されたものと明確に区分して管理がなされていないため、政策効果がより一層不透明なものとなる懸念がある。したがって、予備費の発動にあたっては、財政規律の維持、強化の観点からも、国民への丁寧な説明や政策効果の精緻な検証が不可欠であるが、充分な議論が尽くされたとは言えず残念である。
2.生活・雇用・経済の安心と安定の確保に向け引き続き全力で取り組む
経済活動の再開による世界的な需要拡大に加え、ロシアのウクライナ侵攻の長期化による地政学的リスクの高まりなどから、資源や穀物価格を中心とした物価上昇圧力が一段と強まり、今以上に家計や中小企業経営を脅かすことが懸念される。
国民の命とくらしを守るためにも、経済運営の安定にむけて、急速な円安の進行に目を配りつつ、引き続き、機動的な財政措置を検討していくべきである。
同時に、人口減少に歯止めがかからない我が国において、持続可能な社会を将来世代に引き継ぐには、財政健全化が必要不可欠である。税財政一体での抜本的な改革とあわせ、中長期的な財政運営の評価・監視を行う独立財政機関を設置し、財政健全化への道筋を国民に示すべきである。
連合は、すべての働く仲間を守り、生活・雇用・経済の安心と安定の確保に向け、政策・制度要求の実現に引き続き全力で取り組んでいく。 
    
 
●バルト海周辺諸国、国防費「GDP2%」標準に 6/1
フィンランド、スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟申請により、バルト海ではロシアとの緊張が高まる。沿岸のNATO加盟国は軍備増強を急ピッチで進めている。
ポーランドは今春成立した国防新法で、兵力を倍増し、30万人規模にする計画を決めた。5月、全国で新兵採用キャンペーンが始まった。
30万人のうち5万人は志願兵とする方針。28日間の基礎訓練後、随時訓練や任務に就く制度で、ウクライナ侵攻後に希望者が急増した。政府は公務員としての採用優遇などの措置で、参加を促している。新法では、国防費を国内総生産(GDP)の3%にすることも定められた。
スウェーデンは3月、国防費をGDPの2%に増額する方針を発表した。「GDP比2%」は、NATOの目標値でもある。
スウェーデンはロシアの脅威増大に応じて2017年に徴兵制を復活させ、動員兵力を6万人から9万人にすることを目指す。バルト海では15年、機能停止していたゴットランド島の連隊基地再開を決めた。
フィンランドは4月、23年から4カ年の国防費を22億ユーロ(約3千億円)増額する計画を決定。ドイツは2月末、国防費をGDP比2%以上とする方針を示した。バルト三国もそれぞれ国防費増額を表明している。
国防費増額に伴い、フィンランドやドイツは最新鋭戦闘機F35の購入を決めた。シンクタンク「ノルウェー大西洋委員会」のケイト・ハンセン・ブント事務局長は最近の論評で、英国やオランダをあわせた北部欧州に、F35が250〜300機配備されることになると指摘。「NATOの強力な抑止力になる」と分析した。
●自民公約、防衛費「GDP比2%念頭」 原発は最大活用 6/9
自民党は9日の臨時総務会で夏の参院選公約を了承した。ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ防衛費は北大西洋条約機構(NATO)諸国が掲げる国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に置くと明記した。エネルギーの逼迫を受け安全性が確認できた原子力発電の「最大限の活用」をうたった。
公約のキャッチコピーは「決断と実行。」と強調した。キーワードに「日本を守る。未来を創る。」を掲げた。岸田文雄首相は同日の総務会で「万感の思いを込めて皆さんと一緒に参院選を戦っていく」と述べた。
外交・安全保障を前面に出した。「真に必要な防衛関係費を積み上げる」と訴え、「2023年度から5年以内に必要な予算水準の達成を目指す」と説明した。
ウクライナ侵攻や中国・北朝鮮の軍事力拡大に触れた。「弾道ミサイル攻撃を含む日本への武力攻撃に対する反撃能力を保有」と記述した。年末に予定する国家安保戦略の改定で詳細を詰める。
原油高・物価高対策で中小企業向けの支援策を並べた。具体的には賃上げの後押しや原材料費の上昇分の価格転嫁対策を列挙した。
憲法改正は「早期に実現する」と言明した。自衛隊の明記など改憲案4項目を念頭に「改正の必要性を丁寧に説明」するとの考えを示した。
首相が掲げる「新しい資本主義」の説明文も入れた。人材や先端技術、スタートアップに「官民連携して大胆な投資をする」と説いた。「賃金が上がり、消費が増えて、投資が拡大する好循環」や「25年ぶりの本格的な賃金増時代」を目指す。
脱炭素は「成長の起爆剤」と位置づける。20兆円規模の政府資金確保や、10年で150兆円超の官民投資の実現を打ち出した。再生可能エネルギーの最大限の導入や、安全性が確認できた原発の活用も提示した。
財政は「経済成長を実現し財政の健全化を進める」と展開した。規制緩和や税制など「政策総動員で魅力的な投資環境を実現」すると唱えた。
新型コロナウイルスなどの感染症対策は国産の治療薬・ワクチンの確保や司令塔機能の整備に取り組むと記した。
●いまさら防衛費「GDP2%」では足りぬ 装備、自衛官教育 「有事に・・・」 6/16
自民党の安倍晋三元首相と高市早苗政調会長が先週末、相次いで「防衛予算増額の重要性」を訴えた。ロシアによるウクライナ侵攻や、中国の軍事的覇権拡大を受けて、日本でもようやく防衛予算に関する議論が活発になっている。日本の置かれた現状を考慮すれば、もっと大きな声になっていいと思う。
安倍氏は12日、大阪市内の講演で、敵基地攻撃能力を言い換えた反撃能力を、「打撃力を持つということだ。この時代には当然要求される」と語った。国防費をGDP(国内総生産)比2%とするNATO(北大西洋条約機構)諸国の目標には、「国際標準となりつつある」と指摘した。
日本を取り巻く安全保障環境の激変を受けて、安倍氏は「防衛費を5年以内にGDP比2%以上」と訴えてきた。これは政府が閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」にも記された。
高市氏も同日、フジテレビの番組で、防衛費について「必要なものを積み上げていけば10兆円規模になる」と発言した。
2人の発言は一致している。だが、私は「それでは足りないのではないか」「有事に間に合うのか」と心配している。
防衛費の増額方針は大賛成だが、日本は長く防衛予算を1%以下に抑えてきた。中国が軍事予算を毎年2ケタ増にするなか、装備や人材に十分な投資をしないまま何十年も経過してしまった。
防衛予算をGDP比2%にしても、装備を統合的に整備するには1年や2年では無理だ。計画的に装備を購入していく必要がある。購入しても部隊で運用するには、自衛官を教育・訓練しなければならない。
防衛予算の増加について、過去に「人殺し予算」と発言した左派政治家がいた。彼らは「平和主義者」を自称していたが、安全保障の基本を理解せず、お門違いの批判を繰り返して、日本の危機を放置して、国力の低下を招いたことに気付くべきだ。
彼らは「外交によって問題を解決すべきだ」と訴えていた。確かに、それが理想だが、外交とは、軍事力・防衛力があってこそ高い効果を発揮する。防衛費に予算を投じない国の外交は脆弱(ぜいじゃく)なのだ。
米国は表立って、日本の防衛予算増を要求していないが、予算が十分だと考えているはずがない。防衛予算が少なければ、同盟国・米国の負担が増えることになる。これは同盟関係を希薄にさせる危険性がある。
「日米同盟の弱体化」をもくろみ、日本の政党やメディアなどに働きかけて、世論誘導している国や勢力はどこなのか。日本人はもっと危機感を持つべきだ。
今年夏の参院選(22日公示、7月10日投開票)では、国民の生命と財産を守るために、各政党、各候補には「現実的な防衛政策」を競い合ってほしい。有権者はもう、空想的平和主義から目覚めている。
 
  
●防衛大臣臨時記者会見 8/10
1 発表事項
〇 遅くまで皆さんお待たせいたしまして、本当にご苦労様でございます。大臣に就任いたしました浜田靖一でございます。これから皆様方といろいろな形でお話をすることになると思いますが、皆さん方からの問にしっかり答えられるように今後対応していきたいというふうに思いますので、また、いろいろな点でご指摘の点などありましたらお教えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇 大臣就任に当たっての抱負と今後の課題等について、防衛大臣を私自身が拝命をしたということは、国家の存立と国民の生存を守るという崇高かつ国家の根幹に関わる任務を担うこととなり、大変光栄に感じるとともに、自らの職責の重みを痛感をしてるところであります。今般の就任に当たり、岸田総理からご指示を頂いております。1つ目は、日本国及び日本国民の安全と繁栄を確保するため、国家安全保障会議の下、関係大臣と協力して、国家安全保障政策を一層戦略的かつ体系的なものとして実施する。その基盤となる国家安全保障戦略、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について、わが国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえ、関係大臣と協力して改定に取り組み、防衛力を5年以内に抜本的に強化する。その際、いわゆる「反撃能力」の保有も含め、あらゆる選択肢を検討する。年末に向けて、防衛力強化の内容、規模、財源をセットで検討し、結論を得る。2つ目は、国民の命や暮らしを断固として守り抜くため、弾薬の確保等による継戦能力の維持、AI、無人機、量子等の先端技術の研究開発、防衛生産・技術基盤の強化といった様々な課題に向き合い、防衛力の抜本的強化に取り組む。そして3つ目に、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米防衛協力ガイドラインの下、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していく。また、日米同盟の優位性を将来にわたって堅持するため、宇宙・サイバーの領域や先進技術の分野を含め、日米間の安全保障・防衛協力を拡大・深化させていく。4つ目に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米同盟を基軸としつつ、豪、印、ASEAN、欧州、太平洋島しょ国等との共同訓練、装備・技術協力を含む二国間・多国間の防衛協力・交流を推進をする。5つ目に、沖縄基地負担軽減担当大臣と協力して、普天間飛行場移設を含む在日米軍再編を進める中で、抑止力の維持を図るとともに、沖縄を始めとする地元の負担軽減を実現をする。6つ目に、わが国の領土、領海、領空の警戒監視について、関係大臣と緊密に連携し、緊張感を持って、情報収集を行うとともに、事態に応じてわが国の法令に基づき適切に対処する。7つ目に、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、平和安全法制に基づく自衛隊の任務の着実な遂行に万全を期す。最後に、相次ぐ自然災害への対応のため、必要に応じて迅速に災害派遣を行う。その際、最優先で人命救助を行うとともに、積極的に被災者からのニーズを把握して支援を行う。また、自衛隊は、これまでも新型コロナウイルス感染症への対応に取り組んできたが、ワクチン接種の推進のため、大規模接種会場の設置など、感染状況に応じて柔軟に対応する。加えて、平和安全法制に関する事務を担当し、国民の皆様に対して丁寧かつ分かりやすい説明を尽くすよう、併せてご指示をいただいたところであります。以上、挙げたような総理のご指示に基づき、防衛大臣として、約25万人の自衛隊員とともに、国民の皆様方の負託に応えるため、わが国と世界の平和と安定のために全力を尽くしてまいります。なお、旧統一教会との関係について、岸田総理から、国民の皆様の懸念を払拭するため、個々の政治家としての責任において点検し、厳正に見直すよう、ご指示を頂きました。私について申し上げれば、知り得る限り、当該団体との関係はないということを、この際、明確に申し上げておきたいと思います。
2 質疑応答
Q:冒頭総理のご指示にもありました、5年以内の防衛力抜本的強化に関してなんですけども、その裏付けとなる防衛予算、防衛費についての大臣のお考えなどをお伺いしたいと思っております。自民党の国防部会、安保調査会で大臣議論されてきておりましたけども、GDP2%以上という目標を掲げるべきだという人もいれば、積み上げていくべきだという人もいまして、総理自身も相当な増額という一方で、数字ありきではないともおっしゃっています。大臣はどういったお考えで防衛費増額に臨んでいくおつもりでしょうか。
A:今、お話にありました2%の基準というようなことに関してはですね、NATOの加盟国は対GDP比2%以上を達成することで合意をしているところであります。NATOという民主主義国家の集まりが、安全保障環境を維持するために各国の経済力に応じた相応の国防費を支出しているという点で、対GDP比は指標として一定の意味があるというふうには考えております。防衛省としては、現下の安全保障環境に対応できるように、必要な事業をしっかりと積み上げ、防衛力を5年以内に抜本的に強化していく考えであります。防衛費の内容や規模等については、新たな国家安全保障戦略等の策定や今後の予算編成過程において検討してまいりたいとういうふうに思っています。
Q:今の防衛費の関係なんですけども、NATO基準について、NATOの基準だと軍人の恩給費だったり、海上保安庁予算などが含まれていて、日本のように防衛省単独の予算ではありません。昨年度をみても防衛白書では日本の当初予算の対GDP比で0.95%と説明していますが、NATO基準で試算すると日本は1.24%となり、かなり開きがありますが、防衛費の増額の議論を進めていく上で、土台となるのはこれまで通り当初予算をベースにした対GDP比なのか、NATO基準なのか、どちらが適切だと考えますか。
A:NATO加盟国は対GDP比2%以上を達成することで合意をしているところでありますが、NATOという民主主義国家の集まりが、安全保障環境を維持するために各国の経済力に応じた相応の国防費を支出しているという点で、対GDP比は指標として一定の意味があると考えております。他方、わが国はNATO加盟国ではなく、NATO定義に基づいて所要の経費を整理しておりません。また、その運用は各国で一律ではなく、防衛当局以外の省庁が所管する予算などをどこまで防衛費に含めるかについては様々な議論があると承知しており、その範囲を確定することは困難であります。いずれにせよ、防衛省としては、現下の安全保障環境に対応できるよう、必要な事業をしっかりと積み上げ、防衛力を5年以内に抜本的に強化していきたいというふうに考えております。
Q:今の2問と関連するですけども、防衛費について伺います。今、総理指示でもありましたように内容、規模、財源セットで検討して結論を得るということですけども、防衛費の急激な増額に対してはですね、現場からはですね、対応しきれないとの声とか、あと、呉地方総監もおっしゃてたようにですね、社会保障費など他の予算との財源の兼ね合いについて懸念する声も聞かれます。財源については、大臣はどのようにお考えでしょうか。
A:今の安全保障環境というのは大変厳しいのは事実でありますので、防衛力の抜本的な強化は不可欠であります。防衛費についてはですね、新たな国家安全保障戦略を策定する中で、あらゆる選択肢を排除せず、具体的な、かつ、現実的にですね、議論をして防衛力の抜本的強化に必要となるものの裏付けとなる予算をしっかり確保していきたいということで、今後の議論においてですね、国民の皆様が混乱するような発言がないようなことについてですね、考えていきたいというふうに思いますし、また、財源のあり方について、政府として検討してまいりたいというふうに思っているところであります。
Q:足元の話についてお伺いしたいんですけども、ペロシ米下院議長の台湾訪問についてですね、中国と台湾との間の軍事的緊張が増しています。弾道ミサイルの発射で日本のEEZ内にも5発落下するという事案が起こりましたけども、大臣、ちょうど議員活動としてですね、台湾に訪問されたばかりだと思いますが、現下の台湾情勢というのはどう認識されていてですね、今後、防衛省としてですね、防衛力強化とあわせてどう対処していくのかという話、お考えについてお聞かせいただければと思います。
A:我々の台湾を巡る問題についてですね、わが国としては台湾海峡の平和と安定が大変重要であるというふうに考えております。対話により平和的に解決されることを期待するとの立場には変わりはございません。近年、中国が軍事力の強化を急速に進める中、中台間の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に変化し、その差は年々拡大する傾向がみられております。今般の中国軍の活動を含め、中国の軍事動向等はですね、国防政策や軍事力に関する透明性の不足と相まって、わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっており、防衛省としては今後も警戒監視に万全を期してまいるところであります。台湾を巡る情勢の安定はわが国の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要であると考えており、引き続き動向を注視していきたいというふうに思います。その上で、わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、政府としていかなる事態に対しても対応できるよう、平素から態勢の整備を含め、万全を期していくことは当然であります。我々とすれば、こういった姿勢で取り組んでいきたいというふうに思っております。
Q:今の台湾情勢にも絡むんですけども、防衛省は近年、鹿児島県の奄美大島始め、南西諸島に陸自部隊を配備したり、馬毛島で新基地整備計画を進めるなど南西防衛の強化を進めていますが、大臣この地域の重要性についてどのようにお考えか。それから、この南西地域の防衛力強化を今後どのように進めていかれるかということをまずお聞かせください。
A:わが国周辺にはですね、強大な軍事力を有する国家などが集中し、軍事力を強化し、軍事活動を活発化させるなど、わが国が直面する安全保障上の課題が深刻化する中、南西地域の防衛体制の強化はわが国の防衛にとって喫緊の課題であります。また、直近では、中国軍が台湾周辺で大規模な軍事演習を行い、わが国のEEZ内に着弾したと推定される弾道ミサイル5発を含め、わが国の近海に設定された訓練海域に弾道ミサイルを発射したことは、わが国の安全保障及び国民の安全に関わる重要な問題であります。平素から安全保障環境に即した部隊配置を行うため、防衛省としては、これまで、与那国島、奄美大島及び宮古島への部隊配備を行ってきたほか、本年度中に、石垣島へも部隊配備を行う予定であります。また、南西地域における航空自衛隊の編成を強化したほか、弾道ミサイルを含む各種経空脅威への対応として、那覇を中心に、ペトリオット・システムを運用する4個高射隊を配備しております。このような部隊配置は、わが国への攻撃を抑止する効果を高めるものであり、引き続き警戒監視活動等に万全を期すとともに、南西諸島における防衛体制を目に見える形で強化してまいりたいというふうに思います。
Q:重ねてもう一点お願いします。防衛省は昨年、地元対応を強化するために地方協力局の改編を行ったんですけれども、基地負担を担わされる地元には賛否様々な声があり、馬毛島計画では地域の分断など新たな課題も見えています。地元対応や地方との向き合い方について、大臣のお考えをお願いいたします。
A:これは、私は特に沖縄を始めとする地域の皆様方の声をできるだけしっかりと把握することによって、その深掘りをしながら、これからもですね、対話を続け、そしてまた、それを真摯に捉えてですね、対応をしていく、その姿勢が極めて重要だと思います。その意味で、その編成の意味というのは大きなものがあるというふうに思いますし、これからもしっかりと進めてまいりたいというふうに思います。
Q:佐賀空港への自衛隊オスプレイの配備計画なんですけども、現在、大臣のご地元の木更津に暫定配備されている状況です。佐賀空港への配備についての大臣の考え方と今後どうやってこの計画進めていかれるお考えかをお聞かせください。
A:その意味ではいろいろな形で、佐賀の皆様への説明含め、丁寧にですね、対応させていただいてきているのも事実でありますし、多くの佐賀の漁師の皆様方を始め、いろいろなお考えをもっている方がいるわけでありますので、そういった意味では、それに対して、未だ一生懸命、各担当がですね、働きかけをしておるところでもありますし、今、お話にありました、わが地元の木更津のオスプレイの部隊、5年以内という約束の中でですね、これを今、進めてきたところでありますけども、佐賀の方は、まだ明確に進んでおらないわけでありますけども、しかしその中で、約束は約束としてこれをどのように守るかというのは、我々に課せられた、お互いの信頼関係を崩すことのないように、今後とも議論を重ねている、そしてまた、今、この時点ですね、どうなるかというのは今、努力をしている最中でありますので、そのことに関してはまだ、私の方から今すぐどうこうという話ができない、お答えができないというのは正直なところでありますので、今はひたすら努力をさせていただきたいということであります。
Q:その努力をするというのは、5年の約束を守るための努力をするという意味合いでしょうか。
A:そうです。
Q:大臣、13年ぶりくらいですかね戻られて、また戻ってこられたことの率直なご感想と、あと2回目ということで、過去の経験、以前の経験を生かしてこういうことに是非やってみたいというのがあればお話ししてもらえたらと思います。
A:13年前は、それこそ北朝鮮からのミサイルが日本の本土を越えて飛んでいった時代でありましたし、しかし今の状態とは全く違った時代でしたし、今回この防衛大臣の職を受ける際にはですね、かなり厳しい環境の中で、この任を果たさなければならないということに対してはですね、大変緊張感をもって、今回この職に就かせていただいたというところであります。そして、今、そろそろ我々も変わらなければならないと思っているのは、あらゆる地域に目を向けて、そして邦人の皆様方の安心・安全というものを考えた時に、いったい我々はどのようなことができるのか、改めてそれをチェックしてですね、そして、それに対する実際の行動がどういうふうなものができるのかというのを、やはり突き詰めて考えていかなければならないと思いますし、そして、島しょ部の皆様方、そして沖縄を中心とする南西地域の皆様方に対してですね、どれだけの安心感を与えられるかというものを目指してですね、努力ができればというふうに思っているところであります。特に、存在する自衛隊から行動する自衛隊と呼ばれて久しいわけでありますが、まさにそれが、この地域の安定性というものを考えた時にはですね、やはりもっと踏み込んで考えなければいけないのかなというふうな思いでありますので、更に議論を進めていきたいというふうに思っているところであります。
Q:オスプレイの木更津駐屯地への暫定配備でお伺いしたいのですけれども、大臣のご地元の木更津からは暫定配備の5年間の期間の厳守を求める声もあがっております。場合によっては、期限の5年を超える期間延長という可能性も考えられるのでしょうか。大臣のご見解をお伺いしたいと思います。
A:今の時点で我々は一所懸命、佐賀で努力をしているわけでありますので、我々とすれば、この5年の期限というのは重く考えておりますので、その件に関しては、いま努力中ということでございますし、我々としては、その約束を守るために一所懸命やらせていただきたいと、今こういう答えだけで申し訳ないですが、それに目指して努力をしたいと思います。
Q:沖縄県の米軍の普天間飛行場についてお伺いします。名護市の辺野古移設について、沖縄県と政府で対立が続いていますが、辺野古移設についてどう進めていくのかお考えを伺いたいと思います。
A:普天間の飛行場をめぐる問題の原点というのは、大変その意味では市街地に位置をし、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の危険性を一日も早く除去することだということであります。普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない。これは、政府と地元の皆様との共通の認識であると思います。日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせた時、辺野古移設が唯一の解決策であり、この方針に基づいて着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながります。防衛省としては、引き続き、地元の皆様方のご理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現して、その基地負担の軽減を図るため、全力で取り組んでまいります。
Q:9月11日に沖縄県知事選挙がありますけれども、辺野古移設の大きな争点となっております。選挙結果が移設にどう影響するのか、どうお考えなのか教えてください。
A:いま、ちょうどその戦いが始まろうとしているところでありますけれども、防衛省としては、いまこの時点でお答えすべき立場にはないというふうに思っているところであります。
Q:旧統一教会について伺います。大臣は冒頭、「知り得る限り関係はない」というふうにおっしゃられましたけれども、保留条件をつけられましたが、保留条件をつけられた理由を教えてください。
A:基本的にですね、統一教会さんの方との関係というのは、私自身まったくお付き合いがないというふうに思っていますが、今、どこかで違った名前のところにですね、どこからかまた出てくる可能性があるかもしれないということの中での話だと思いますが、私が知っている限りにおいては、調査した中ではですね、そういった団体との付き合いは関係がないということを申し上げました。
Q:旧統一教会の関連団体すべてについては調べ切れてないという意味と、あるいは、秘書の方が勝手に祝電を集会に送ったというようなことまですべて含めて、把握しきれていないと、未だにということですか。
A:いや、そういうことではありません。特に私自身がですね、そういった団体との関係というのは昔からありませんので、そういった記憶もなければ、秘書の方からもその報告は受けておりませんので、その点については、私とすれば、団体と関係がなかったというふうに思っているところであります。
Q:各大臣にお伺いしているのですけれども、来週、終戦の日を迎えますけれども、参拝のご予定があるかどうかお聞かせお願いします。
A:国の内外問わずですね、国のために貴い命を犠牲にされた皆様方に対して、哀悼の誠を捧げ、尊崇の念を表すことは当然のことだと考えております。今後の参拝については、個人として適切に考えてまいりたいというふうに思います。
●なぜ「防衛費・GDP比2%」が争点となるのか 8/26
要旨
・「防衛費・GDP比2%」の「2%」は言うまでもなく、100分の2、つまりGDPに対する「比率」、別の言葉でいえばGDPに掛ける「係数」である。
・「GDP比2%」の意味は「即応性のための軍備の増強」とともに、より直接的には国内外に「政治的意思」を示すことにある。
・NATOでは経済力に対する応分の貢献、「GDP比2%」をガイドラインとしている。特に米国一強の下で安定した国際秩序を享受していた2000年代と異なり、中国の台頭によるパワー・バランスの変化、ロシアによるウクライナ侵略を背景に、米国以外のNATO加盟各国、あるいは日米同盟に関わる日本において、国内外から応分の貢献を求める圧力が高まっているのが現状と言えよう。
・中国と日本における防衛費の「比率」と「実額」の推移を比較すると、両国の防衛費の差に関し、経済成長の差が決定的に重要な役割を果たしている。仮に「2%」について国民の理解とともに政治的な決断ができたとしても、係数を掛けるGDP、すなわち経済成長が伴わなければ防衛力はいずれ相対劣後していく。
・「2%」の意思表示の議論は重要であるが、さらにその先を見据えて、岸田政権の「新しい資本主義」の下、人材育成やビジネス環境の改善を進めていくことが経済安全保障の確保や経済成長に繋がり、ひいては防衛力、国力を左右していくことをあらためて認識し、あらゆる手段を総動員すべきであろう。
1.「防衛費・GDP比2%」を巡る動向
現在、岸田政権の下で2022年末に向けて「国家安全保障戦略」・「防衛計画の大綱」・「中期防衛力整備計画」といった防衛に関わる基本方針の見直しが進められている。岸田首相がこれらの見直しを表明した後、2022年2月のロシアによるウクライナ侵略が発生し、同年7月の参院選でも争点の一つとなったこともあって、特に「防衛費・GDP比2%」(注1)がこれらの基本方針にどのように反映されていくのかが注目される。
2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵略は欧州諸国を震撼させ、一部の国で防衛費の見直しの動きが出ている。特にドイツのショルツ首相は侵略のわずか3日後の2月27日に、近年GDP比1.1-1.4%で推移していた防衛費を同2%超に引き上げる歴史的な方針転換を打ち出した。2014年に承認されたNATO(北大西洋条約機構)の“Defense Investment Pledge”(防衛投資誓約)では「2%」について2024年までの達成が求められているが、2021年時点で達成しているのは30か国中8か国のみである。今般のロシアによるウクライナへの侵略によって達成に向けた動きが加速することが想定される。
日本に目を向けると、自民党は2022年4月の「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」(注2)において、「NATO諸国の国防予算の対GDP比目標も念頭に、我が国としても、5年以内に防衛力を抜本的強化するために必要な予算水準の達成を目指すこととする。」とした上で、同年7月の参院選の公約においても同様の方針を示した。同年8月10日の内閣改造後の浜田新防衛大臣も就任会見の質疑応答のなかで、NATOの目標を引き合いに「対GDP比は指標として一定の意味がある」「防衛費の内容や規模等については、新たな国家安全保障戦略等の策定や今後の予算編成過程において検討してまいりたい」と述べている(注3)。日本の防衛費のGDP比は現状1%強にすぎず(資料3)、将来的に2%を目指すこととなれば、倍増に近い水準となる(注4)。
2.「2%」の意味は、より直接的には「政治的意思」
2%は言うまでもなく、100分の2、つまりGDPに対する「比率」、別の言葉でいえばGDPに掛ける「係数」である。もちろん比率だけでは防衛費の額は定まらない上、防衛費の使途が効果的なものとなる保証もなければ、より小さい比率で効果的な防衛力を確保するという発想もあり得よう。それでは、「比率」を示すことにはどのような意味があるのであろうか。自民党が念頭に置いているとするNATOの説明が分かりやすい。NATOホームページ上のトピックス“Funding NATO”(注5)では、NATO加盟国において、米国と米国以外のGDPはほぼ半々(51:49)にも関わらず、後者の防衛費は半分よりもずっと少ない(69:31)という、このアンバランスを指摘している(資料1)。そして「2%」のガイドラインについて、アンバランスの改善を通じて「同盟国の軍事的即応性(readiness)を確保すること」を企図するとともに、「NATOの共通防衛努力に貢献する国の政治的意思(political will)を示すもの」と説明している。「比率」は防衛費増から軍備の増強を通じて「即応性」に効果をもたらすと考えられるが、先述のドイツの方針転換のインパクト、あるいは日本における論争の通り、「政治的意思」に対してより直接的な効果をもたらしていると考えられる。
一般的に同盟とは、ある同盟国が攻撃された場合に他の同盟国にも防衛義務が発生する、言い換えれば他国のための犠牲を覚悟する、極めて強固な関係である。他国にも守ってもらう以上、同盟国として応分に貢献するのは当然であり、その「政治的意思」を示すものとして、NATOでは経済力に対する応分の貢献、「GDP比2%」をガイドラインとしている。特に米国一強の下で安定した国際秩序を享受していた2000年代と異なり、中国の台頭によるパワー・バランスの変化(注6)、ロシアによるウクライナ侵略を背景に、米国以外のNATO加盟各国、あるいは日米同盟に関わる日本において、国内外から応分の貢献を求める圧力が高まっているのが現状と言えよう。日本に限らず、社会保障費を始めとした国家予算のパイの配分、奪い合いのなかでどれだけ防衛費に割くのか、2%は国内外への「政治的意思」を示すものと言える。
3.「比率」と「実額」の推移:中国と日本
先述の通り、2%はGDPに対する「比率」であり、防衛費の「実額」が「比率」のみで決定されるものではないことは自明である。中国と日本の「比率」と「実額」の推移を比較すると、経済成長の重要性があらわとなる。
中国が大幅に軍事力を強化していることは、防衛費の「実額」をみれば明らかである。SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)のデータにおいて、中国は2000年から直近2021年までに防衛費を13.2倍に増加させている(資料2、公表値ベース(注7))。しかし、GDP比でみると横ばいからむしろ若干低下傾向にあり、その裏返しとしてGDPを同期間で比較すると14.5倍(名目$、IMF WEO Database 2022年4月)と防衛費よりも大きな伸びとなっている。米国防省の分析によれば、2021年の中国の防衛支出は公表予算よりも1.1倍から2倍多いとされる(注8)ため、単純化した議論には注意が必要だが、少なくとも公表値ベースではGDP比で2%に届かない抑制的な水準、かつ経済成長よりも緩やかなペースで防衛費を増加させてきた佇まいとなっている。
同様に日本の防衛費を概観すると、ドルベースの実額は為替の影響で多少の凹凸はあるものの、実額とGDP比は当初の微減・横ばいから直近では増加傾向となっており、2021年はGDP比で1.07%とされる。この間(2000-2021)、日本のGDPは0.99倍と経済成長は停滞した(名目$、IMF WEO Database 2022年4月)。両国の防衛費のGDP比が横ばい程度で推移したにもかかわらず、防衛費の実額でみると2000年時点で日本が中国の約2倍であったものが2021年には逆に中国が日本の5.4倍となったことについて、経済成長の差が決定的に重要な役割を果たしている。
4.「2%」を確保したとしても、経済成長なくして防衛できず
日本の防衛費のGDP比1.07%という水準は防衛費上位国では突出して低い(文末参考資料1)。2%水準への引き上げは5兆円規模から10兆円規模へとその実額に大きく影響する。限られた予算のパイの奪い合いのなかで、「2%」の政治的意思を国内外に示すことについて国民の理解を得ていく必要がある。昨今の国際情勢の下で、中国とロシアに囲まれている日本が「機会を与えない」「備える」ことの重要性を含め、政府による分かりやすい基本方針の策定と説明がなされるべきであろう。
しかしながら、「2%」はあくまでも「比率」あるいは「係数」であることにあらためて留意する必要がある。将来的に防衛費がGDP比2%の水準に到達したとしても、その後のGDPが伸び悩めば、防衛費は横ばいとなる。2021年の防衛費当初予算5.34兆円を念頭に、単純化のため将来ある時点のGDP比2%水準の防衛費が10兆円と仮定して、その後のGDP比を固定化したとすれば、GDPがゼロ成長を継続すればその10年後も防衛費は10兆円にとどまる。GDPが3%成長を継続すれば10年後に防衛費は13兆円を優に超える(10兆円×1.0310)。為替やインフレを捨象した単純な議論ではあるがこの差は小さくないと感じられる。3兆円あればどれほどの装備や研究開発に充てられるか。防衛装備庁によれば令和3年度の主要装備の調達実績は1兆8,030億円である(注10)。他国の成長がいかほどかにもよるが、仮にGDP比2%を確保する「政治的意思」の表明について政治的な決断がなされたとしても、経済成長が伴わなければ防衛力はいずれ相対的に劣後し、抑止や防衛が困難になっていくこととなる。
5. 人材育成・ビジネス環境改善が防衛力、国力を左右する
これまでみてきた通り、防衛力の向上のためには経済成長が決定的に重要となる。そして日本が苛烈な国際競争を勝ち抜いて経済成長していくためには、人材育成とビジネス環境の改善が欠かせない。経済成長と両輪になる経済安全保障の視点でも、「戦略的不可欠性」を担保する技術の存在が必要である(注11)。2022年5月には経済安全保障推進法が成立し、省令等の詰めの作業に入っているが、法制化のみでは不十分で、この先の技術の陳腐化を乗り越えてイノベーションが常態化するような環境を整備して初めて意味をなす。残念ながら、日本においては米国などと比してスタートアップやユニコーン企業が圧倒的に少なく、博士号取得者数も減少傾向にある(注12)など、見通しが明るいとは言えない。岸田政権下の「新しい資本主義」において視座を高め、高等教育、リスキリング・リカレント、起業家教育、産学官連携、起業促進、DXやweb3などに資する政策を推し進めていかねばならない。
「2%」の意思表示の議論は重要であるが、さらにその先を見据えて、人材育成やビジネス環境の改善が経済安全保障の確保や経済成長に繋がり、ひいては防衛力、国力を左右していくことをあらためて認識し、あらゆる手段を総動員すべきであろう。

注釈
1.GDP比の対象となる防衛費に含まれる費目は公表主体により異なるが、当レポートではその詳細には踏み込まない。なお、特に外国の事例を紹介する際は国防費・軍事費等の表現も一般的であるが、本稿では「防衛費」に統一する。
2.自由民主党「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」(2022)
3.浜田防衛大臣就任会見(2022)
4.NATO基準では防衛費に退役軍人への恩給費や海上保安庁予算なども含まれ、岸防衛大臣(当時)は2022年1月、NATO基準の場合、日本の2021年防衛費の当初予算・補正予算はGDP比1.24%になる旨の説明をしている。
5.NATOホームページ上のトピックス“Funding NATO”(2022年8月23日時点)
6.軍事費にまつわるパワー・バランスについては拙稿「世界軍事費ランキングとパワー・バランス」(2022)参照。
7.SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)のデータは各国政府等の公表値ベース
8.米国防省“Military and Security Developments involving the people’s republic of China 2021”(Nov 2021)(P142)
9.防衛省「令和4年版防衛白書」(P218)より防衛関係費(当初予算)の推移
10.防衛装備庁「中央調達における令和3年度調達実績及び令和4年度調達見込」
11.経済安全保障や戦略的不可欠性の概念は「ここが知りたい『なぜいま経済安全保障』なのか」参照。
12.2022年8月24日文部科学省「令和4年度学校基本調査(速報値)」によれば2022年5月1日時点で博士課程在籍者数は75,267名(前年度比28名減)と減少傾向が継続。
  
 
●防衛費、海保予算も含めた算定方法導入…「NATO基準」参考にGDP2%に 9/10
政府は、防衛費の増額に際し、防衛省以外の予算を計上する「北大西洋条約機構(NATO)基準」を参考にした算定方法を導入する検討に入った。海上保安庁などの安全保障に関連する予算を防衛関係費として一体的に位置付けるためだ。NATO加盟国は対国内総生産(GDP)比2%以上を目標としており、政府は新基準に切り替え、5年間で同水準を目指す。
複数の政府関係者が明らかにした。NATOが掲げるGDP比2%を目標とするには、同様の基準を参考にするのが妥当と判断した。NATOは、加盟国の国防努力を比較するため、GDP比の対象となる「国防関係支出」に含める項目を定めている。日本の防衛費には含まれない主な項目には、海保に相当する沿岸警備隊や国連平和維持活動(PKO)関連費、退役軍人らの年金などがある。
この基準を2022年度当初予算に適用すると、防衛費(約5・4兆円)に、海保予算(約2200億円)や旧軍人遺族などへの恩給費(約1100億円)などが加わり、防衛関係費は約6・1兆円となる。GDP比は1・08%だ。補正予算を含む21年度予算でみると、海保予算(約2600億円)などを加えた防衛関係費は約6・9兆円で、GDP比1・24%となる。
政府は、年4兆円を超える科学技術関係予算のあり方も見直す方向だ。関係予算のうち、文部科学、経済産業両省が6割強を占め、防衛省は4%だけだ。NATO基準では、軍事部分が明確な研究開発は国防関係支出として扱う。政府は、他省庁の所管でも、宇宙分野など防衛利用が見込める予算を防衛関係費として計上できないかどうかの議論を本格化させる。
 
 
●自民党選挙政策 軍事費GDP比2%超 / 総額11兆円超の大軍拡 10/23
自民党は総選挙向けの政策集(9日公表)に、軍事費をGDP(国内総生産)比2%以上を念頭に増額を目指すと明記しました。歴代政権が軍事費の目安としてきた「GDP比1%枠」の倍増を目指すもので、これが実行されれば、日本は米中に次ぐ世界有数の軍事大国に変容します。
2021年度当初予算の軍事費は5兆3422億円で、GDP比0・96%でした。仮に21年度の軍事費をGDP比2%まで増額すると11兆1900億円に膨張し、国債費を除く政策経費(約82兆8500億円)の8分の1を軍事費が占める大軍拡となります。この増額分の軍事費は、文教・科学関係予算(5兆3969億円)を大きく上回ります。この公約が実行されれば、コロナ禍で経済的な苦境に立つ国民の暮らしをさらに破壊するのは明らかです。
米国の要求
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が実施している世界の軍事費に関する調査では、20年の日本の軍事費は世界9位でした。仮に軍事費をGDP比2%に増額すれば、日本は米国、中国に次ぐ世界3位の軍事大国となります。
「軍事費GDP比2%超」は、元をたどれば米国の要求です。トランプ前政権は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に「米軍撤退」の脅しでGDP比2%の軍事費拠出を要求。米国に“見捨てられない”ため、日本も2%に踏み切るべきだという声が自民党内から上がっていました。
破滅への道
自民党は、桁違いに増やした軍事費で、F35戦闘機など米国製武器の爆買いを継続。さらに敵基地攻撃能力など専守防衛を逸脱した違憲の攻撃的兵器や、極超音速兵器、無人兵器など最先端技術の導入を狙っています。
自民党は中国の軍備増強を念頭に軍拡を狙っていますが、倍増しても中国の軍事力に追いつきません。そもそも「軍事対軍事」の道を歩めば、その先には破滅しかありません。
「安全保障=軍事力」という短絡的な発想から抜け出すことが不可欠です。日本共産党は、軍拡競争の悪循環から転換し、国連憲章と国際法に基づき、北東アジアに平和の地域協力の枠組みをつくるよう訴えています。
 
 
●“経済対策”補正予算案 閣議決定 一般会計の総額28兆9222億円  11/8
政府は、新たな経済対策の裏付けとして一般会計の総額が28兆9222億円にのぼる補正予算案を閣議決定しました。財源として昨年度の剰余金などを活用したうえで、新たに22兆円余りの国債を発行することにしています。
政府は8日の持ち回り閣議で、円安や物価高騰への対応として先月28日に取りまとめた新たな経済対策の裏付けとなる今年度の第2次補正予算案を決定しました。
経済対策のための追加の歳出として29兆861億円を盛り込む一方、今年度の不用な支出などを削減したことで一般会計の総額は28兆9222億円となっています。
このうち、家庭や企業の電気や都市ガスの料金の負担軽減や、燃料価格の抑制など「物価高騰・賃上げへの取り組み」として7兆8170億円。
妊娠や出産に際して合わせて10万円相当の経済的支援や、スタートアップの育成などを行う「新しい資本主義の加速」に5兆4956億円を盛り込みます。
また国際情勢の変化や災害の発生で経済的な対応が必要な場合に備えるためとして、新たな予備費を設け、1兆円を計上します。
一方、財源としては、今年度の税収が当初の予想より3兆1240億円上振れして過去最高の68兆3590億円と見込んでいるほか、昨年度の剰余金も活用する方針です。そのうえで、22兆8520億円の国債を新たに発行して賄う方針で、今年度の新規の国債の発行額は、ことし5月に成立した第1次補正予算の段階よりも1.5倍余りに膨らみます。
政府は、この補正予算案を今の臨時国会に提出し、速やかな成立を目指すことにしています。
相次ぐ巨額対策 予備費も懸念
今回の補正予算案について、政府はいったん、25兆円程度で検討していましたが、与党内から増額を求める強い要望が相次いだことを受けて、4兆円程度積み増されました。財源には昨年度の予算で使われなかった剰余金や、今年度の税収が上振れした分をあてるものの、追加の国債の発行額は、22兆8500億円余りにのぼります。
新型コロナの感染拡大以降、政府は巨額の経済対策を実施し、昨年度・令和3年度は一般会計の総額で35兆円を超える規模の補正予算を編成し、22兆円の国債を追加発行しました。
今回の補正予算案では、それを上回る規模の国債を追加で発行することとなり、財政の一段の悪化は避けられない状況です。
また今回の補正予算案では、4兆7400億円の予備費が計上されました。新型コロナや物価対策として設けた予備費に3兆7400億円を積み増すほか、国際情勢の変化や災害の発生で経済的な対応が必要な場合に備えるためとして、1兆円規模の新たな予備費も設けます。これによって今年度の当初予算と2度の補正予算で計上した予備費は総額11兆円を超える規模となります。
予備費は国会の議決を経ずに政府が支出できることから「予算の使いみちを限定すべきで、巨額の予備費は財政民主主義に反する」という批判もあり、今後、国会の審議で、増額の是非が問われることも予想されます。
電気・ガス 負担軽減に3兆円超
補正予算案には、LNG=液化天然ガスなどのエネルギー価格が高騰し、電気や都市ガスの料金が値上がりしていることを受けて、家庭や企業への負担軽減策として、合わせて3兆1074億円が盛り込まれています。
このうち電気料金については、来年の春以降、さらなる値上げの可能性があることから、来年1月分から8月分まで、1キロワットアワー当たり、家庭向けは7円、企業向けは3.5円補助します。政府は、毎月の使用量が400キロワットアワーの標準的な世帯の場合、料金プランにかかわらず2800円軽減されるとしています。
一方、来年9月分については脱炭素の流れに逆行しないよう、1キロワットアワー当たり、家庭向けは3.5円、企業向けは1.8円の補助に縮小するとしています。
政府は、どれくらい負担が軽減されたか、各家庭に届く毎月の請求書に反映される形にしたいとしていて、具体的な方法について、電力会社と調整することにしています。
また都市ガスの料金については、来年1月分から8月分まで、家庭や年間契約量が少ない企業に対して、1立方メートル当たり30円を補助することにしています。毎月の使用量が、30立方メートルの標準的な世帯の場合、月額900円が軽減されることになります。
来年9月分については補助額を1立方メートル当たり15円に縮小し、10月分以降については、電気と都市ガスともに補助を続けるかどうか未定だとしています。
ガソリンなどの補助に3兆円余
補正予算案には、原油価格の高止まりによる国民生活や経済活動への影響を抑えるため、ガソリンなど燃料価格への対策費用と合わせて3兆272億円が盛り込まれました。
現在、石油元売り各社に支給している補助金は年内が期限となっていますが、これを来年9月まで補助額を調整しながら継続することにしています。
具体的には現在、1リットル当たり35円を上限に補助していますが、これを来年1月から6月にかけて25円程度まで引き下げ、6月以降はさらに減らす方針です。
ガソリン価格などへの補助金は、ことし1月下旬に始まり、すでに年内分として3兆1781億円が計上されていますが、今回の補正予算案の分を加えると支出は合わせて6兆円を超えることになります。
省エネの推進
この冬も電力需給のひっ迫が懸念されるなか、政府は、家庭や企業の省エネを推進するため、設備の改修などにかかる費用を補助することにしています。
このうち家庭向けでは、住宅の窓ガラスや窓枠の取り替えといった改修工事への補助金として1000億円、少ない消費電力でお湯を沸かすことができる給湯器の導入を進めるために300億円を盛り込みました。
また企業向けでは、省エネ性能の高い生産設備などの導入を集中的に支援するため500億円を計上しているほか、工場やビルなどの省エネの取り組みについて専門家に診断してもらうための事業に20億円を計上しています。
子どもや子育て支援
子どもや子育て支援の関連では「出産・子育て応援交付金の創設」として1267億円が盛り込まれています。
妊娠や出産をした際に、育児用品の購入や、産前・産後のケア、子どもの一時預かり、それに家事支援サービスなどを利用する際の負担を軽減するため、合わせて10万円相当の経済的な支援を行うもので、ことし4月以降に生まれた新生児が対象となります。所得制限は設けず、自治体にクーポンを発行するか、現金を支給するかなどを判断してもらうということです。
また「こどもの安心安全対策」として静岡県で3歳の女の子が通園バスの車内に取り残され死亡した事件を受けて、保育所や幼稚園などの送迎バスに安全装置を設置する支援などのため234億円が盛り込まれています。
このほか、待機児童の解消に向けて保育所などの整備に349億円、困窮するひとり親家庭への支援のため25億円が盛り込まれています。
賃上げや雇用保険財政
補正予算案には賃上げを行う中小企業への助成金の拡充や雇用調整助成金の支給でひっ迫する雇用保険財政の安定化に向けた費用が盛り込まれました。
   賃上げ
最低賃金の引き上げに合わせて生産性向上の設備投資を行う中小企業向けの助成金を拡充します。これまで助成金の対象となる事業所の規模は100人以下に限っていましたが、この上限を廃止して助成の対象を広げるほか、30人未満の事業所への助成金の額を引き上げることにしていて、必要な経費として100億円を計上しました。
従業員の労働時間の短縮に合わせて賃上げに取り組む中小企業への助成金も拡充します。従業員が30人以下の企業で3%以上賃金を引き上げた場合最大300万円まで、5%以上の場合は最大480万円まで増やすとしていて、労働保険特別会計から28億円を充てています。
   雇用保険財政の安定
新型コロナウイルスの影響を受けた企業などに対する雇用調整助成金の支給が増えたことを踏まえ、ひっ迫する雇用保険財政を安定化させるために7276億円を盛り込みました。予期せぬ事態によって雇用情勢が悪化した場合にも失業給付などのセーフティネット機能を確保するとしています。
   リスキリング
補正予算案の編成に合わせて、新たなスキルを身につける「リスキリング」に関する新たな助成金のメニューを設けます。成長が見込まれるデジタル分野などの技術の取得を目指して従業員のリスキリングに取り組む企業に年間最大1億円まで助成するものです。従来、職業訓練を行う企業に対して年間最大1500万円の助成が設けられていましたが、新たにリスキリングを対象とし金額も大幅に引き上げます。
必要な経費は、今年度・令和4年度の当初予算から手当てできるため、補正予算案には金額を盛り込まず制度の改正のみ求めています。
マイナ保険証一体化費用も
補正予算案には、健康保険証を2年後に廃止し、マイナンバーカードと一体化するのに向けた費用として344億円が盛り込まれています。
具体的には、一体化されたカードの情報を対面の診療に加えて、オンライン診療でも利用できるようオンラインで確認できる仕組みの構築などに224億円。
健康保険組合や国民健康保険など医療保険を運営する機関のシステムの改修や、国民や医療機関への周知・広報の費用として56億円を計上しています。
インバウンド喚起 観光業再生にも
補正予算案には、円安を逆手にとって地域の稼ぐ力を回復させるため、外国人観光客の需要、いわゆる「インバウンド需要」を喚起するための費用が盛り込まれました。
このうち大阪・関西万博が開かれる2025年に向けて、集中的に取り組む対策などとして163億円が計上されました。姫路城の天守閣の限定公開など、「特別な体験」を提供できる催しや、スノーリゾートなど日本の自然に触れられる観光地について、情報発信を強化することにしています。
また、地域の観光業を再生し、付加価値を高めるための取り組みを支援する事業に1000億円が計上されました。老朽化した宿泊施設の改修や▽地域の景観を損ねている廃屋の撤去、さらに宿泊施設などの人手不足の解消や生産性の向上に向けてDX=デジタル化を支援することにしています。
東電 福島第一原発にたまる処理水放出関連
今回の補正予算案には、東京電力福島第一原子力発電所にたまる放射性物質を含む処理水の放出が来年春ごろから計画されていることを踏まえ、漁業者を支援する新たな基金を創設する費用として500億円が盛り込まれています。処理水の放出による風評被害への懸念があるなか、新たな基金では漁業者が将来にわたって安心して操業できるよう、新たな漁場の開拓などを支援することにしています。
半導体の開発・生産強化
補正予算案には、経済安全保障上、重要性が増している半導体の研究開発や生産の拠点を整備するための費用などとして、合わせて1兆3036億円が盛り込まれています。
このうち次世代半導体の分野では、ことし7月、日米両政府による経済版の「2プラス2」で共同開発に向けて合意したことを受けて、国内に研究開発拠点を整備し技術開発を進める費用などとして4850億円が盛り込まれました。
また、国内に最先端の半導体の生産拠点を整備するために設けた基金に、4500億円を積み増すことにしました。
さらに、スマートフォンや自動車向けの「センサー」のほか、産業用機械に使われる「パワー半導体」など、広く利用されている半導体についても、国内の生産能力を強化するための費用として3686億円が盛り込まれています。
食料安全保障の強化
補正予算案には、食料安全保障を強化するため、輸入に依存する穀物や肥料の国産化のほか、安定調達するための事業に合わせて1640億円が盛り込まれています。
この中では、国産の麦や大豆の増産に向けて水田を畑地にかえる事業などにおよそ420億円、輸入に依存している化学肥料の原料の備蓄や、たい肥の国産化に向けた施設を整備する事業などにおよそ270億円が盛り込まれています。
このほか、食品メーカーが原材料を国産に切り替えたり、新商品を開発したりする事業におよそ100億円が計上されています。
霊感商法含めた悪質商法への対策
補正予算案には、霊感商法を含めた悪質商法への対策として、国民生活センターの相談員などの態勢の強化や消費者教育の充実などへの費用、合わせて31億円余りが盛り込まれました。
霊感商法を含めた悪質商法対策に取り組む自治体を支援するために補助率を定額とした新規事業「悪質商法対策特別枠」の創設や、トラブルの早期発見など地方の消費者行政の充実、強化を図る費用として20億円が。
霊感商法に効果的に対応するために国民生活センターの相談員などの態勢の強化やオンライン研修の実施、それに消費者相談のデジタル化、相談情報の保存期間の延長などに10億円が。
被害を未然に防止するための消費者教育の強化や充実に1.2億円が、盛り込まれています。
鈴木財務相“必要な支出 改めて財政健全化に取り組む”
鈴木財務大臣は、閣議決定された補正予算案について、人々の暮らしや経済を守るため必要な支出だという認識を示しつつ、改めて財政健全化に取り組む考えを強調しました。
8日の持ち回り閣議のあと鈴木大臣は記者会見を開き「国民の命や暮らしを守るため、必要な財政出動は、ちゅうちょなく行っていく必要がある。電力やガスの高騰対策は家計への影響が特に大きい低所得の方々に大きな支援になる」として必要な支出だという認識を示しました。
一方で、電気料金などの負担軽減策については「巨額の措置を長続きさせるわけにはいかず、貿易赤字を通じた資源国への国富流出にも留意する必要がある。今回の対策では電気やガス料金の補助額を来年9月に縮減するなど、出口戦略についても考えている」と述べ、現在の措置について財政的な観点からいずれは縮小する必要があるという考えを示しました。
そのうえで、新たに22兆円余りの国債を発行することについては「財政状況が一層厳しさを増していることは事実だ。財政は国の信頼の礎でコロナ対応という例外からの脱却を図らないといけない。責任ある経済財政運営を進めることは重要だ」と述べ、財政健全化に取り組む考えを強調しました。 
●岸田首相、防衛費27年度にGDP2%に増額指示 財源で工夫を 11/28
岸田文雄首相は28日、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)の2%程度に増額するよう鈴木俊一財務相と浜田靖一防衛相に指示した。
鈴木・浜田両氏が首相との会談後、官邸で記者団に明らかにした。
岸田首相は、財源に関して、様々な工夫をした上で必要な内容を迅速にしっかり確保するよう指示した、という。
鈴木氏は財源、規模、予算を一体的に決めると述べた。
●27年度に防衛費GDP2%へ 11/28
岸田首相は28日、防衛費増額を巡り浜田防衛相と鈴木財務相を官邸に呼び、2027年度に防衛費と補完する関連予算を合わせ、国内総生産(GDP)比2%に達するよう予算措置を講じる指示をした。首相は防衛力強化に向け、歳出、歳入両面での財源確保の措置を年末に一体的に決定するとも述べた。面会後、浜田氏が明らかにした。
首相は浜田氏らに「防衛費は5年内に緊急的に強化を進める必要がある」と強調。関連予算は研究開発や公共インフラなど4分野の経費を合算した新たな枠組みを念頭に置いているとみられる。
鈴木氏は「残された時間は長くないが、防衛相と調整を進めていきたい」と語った。
 
 
●維新「防衛費GDP2%は不可欠」 財源は行財政改革を 首相に提言  12/7
政府が年内に改定する「国家安全保障戦略」などの文書をめぐり、日本維新の会が、防衛予算を「GDP(国内総生産)の2%まで引き上げることは不可欠」などとする提言を岸田首相に渡した。
維新の馬場代表らが岸田首相に渡した提言では、侵略を受けた場合の「反撃能力」について、ミサイル基地などに加え、「最高司令官の居所も含む司令部など」も対象とすべきだと指摘した。
また、防衛予算について「GDP比2%まで引き上げることは不可欠である」とする一方、財源をめぐっては「行財政改革を通じた徹底的な歳出削減」などを求めている。
日本維新の会・馬場代表「身を切る改革をはじめ、やはり行財政改革をやって、この防衛費を生み出していく」
岸田首相は「参考になるところが多々ある」と評価し、「最終の取りまとめに使いたい」と述べたという。
●防衛費GDP2% 歳出削減しても財源1兆円程度不足 政府試算  12/8
防衛費の増額をめぐり、5年後の2027年度にGDPの2%に達する予算を措置するためには、歳出削減などを行っても財源が1兆円程度不足すると政府が試算していることがわかりました。
岸田総理大臣は8日、与党に税制措置を検討するよう要請することにしています。
防衛費の増額をめぐり、岸田総理大臣は5年後の2027年度に防衛費と関連する経費を合わせてGDP=国内総生産の2%に達する予算措置を講じるよう指示していて、今年度のGDPの見通しをもとに計算すると11兆円規模になる見通しです。
防衛費を増額するための財源について政府が検討した結果、5年後には追加の財源としておよそ4兆円が必要で、歳出削減のほか、年度内に使われなかった「剰余金」を活用しても1兆円程度が不足すると試算していることがわかりました。
また、財源を確保するため、国有資産の売却などによる税金以外の収入を活用する「防衛力強化資金」という新たな枠組みをつくることも検討しています。
自民・公明両党の協議会は7日、歳出削減などを行ったうえでも不足する部分は税制措置を含めて対応する方針を確認していて、岸田総理大臣は8日、与党に税制措置を検討するよう要請することにしています。  
  
 
 
 
 
 
 
  
  
 
  
 
  
 
 


2022/12