体温の話

突然の発熱 咳と痰
体温を計る

37.8度 風邪にかかる

平均体温 1
10〜50歳 36.89度±0.34℃
65歳以上 36.66度±0.42℃ (平均体温は0.2℃低い)
平均体温 2
73%の若い人の体温 36.9±0.3℃
高齢者はやや低めに分布

体温36.9±0.3℃は「平熱」

 


 
 
●体温と平熱について
皆さんはご自身の平熱を答えられますか?ここ1、2年、新型コロナウイルスの感染拡大防止として、病院やお店などで体温の確認をされることが多くなりました。普段から血圧や脈拍を測ることが大切なように、平熱を知っていることも大切です。平熱の平均は一般的に36.6℃〜37.2℃とされていますが、この範囲に入るのは全体の7割程度であり、多少のずれは問題ないとされています。体温計で37℃と表示されると微熱があると思われる方も多いと思いますが、実際には37℃が平熱の方もいらっしゃいます。では発熱とは何℃のことなのか。感染症法では37.5℃以上を発熱、38.0℃以上が高熱とされています。ただしこの数値のみで判断するのではなく、線引きすることは難しいですが自分の平熱より明らかに高ければ発熱として受診や市販の解熱剤の服用を考慮していただくことが大切です。
次に体温を測る際のポイントについてお伝えしたいと思います。まず測定するタイミングです。体温は1日の中でも変動しており、午前4時が最も低く、午後から夕方にかけて高い傾向にあります。また、日中の気温の変化や環境によって多少のずれが生じるため、毎日同じタイミング、同じ場所で測定しましょう。また、食事や活動をすることによって体温は上昇するため朝起きた時、朝食前に測定するのが一般的です。もう一つお伝えしたいことは測定の方法についてです。一般的な腋窩(脇の下)測定の場合、体温計は脇の真ん中に「斜め下」から入れ、腕を脇に密着させるようにして測ります。その際に測る方の手のひらを上向きにすると脇がしっかり締まりきちんとした測定ができると言われています。より良いタイミング、正しい方法で測定をしましょう。
体温が頻繁に測定されるようになった世の中で、ご自身の平熱を知り、体調の指標として気にしていただけたらと思います。
 
 
●平熱が37度。これってダメなの?
体温を測ってみたら37度。もしかして風邪…?
37度というと、平熱にしては高めと感じる方が多いかもしれません。かつてはよく家庭でも利用されていた水銀体温計に表示されている37度のメモリが赤文字であったため、「37度=発熱」という印象が根付いているのかもしれません。このように、体温が37度を超すと「発熱」とみなしたり、普段から体温が37度だと、何かしら体調に異変をきたしているのでは?と不安に感じたりする人もいるようです。
日本人の平均体温は36.89度
実は、日本人の平均体温は36.89度±0.34度※と言われています。驚くことに、37度は日本人の平均的な体温の範囲に入っているのです。そのため、37度の平熱の人がいても決しておかしくはないのです。 しかし、平熱が37度の人がいる一方で、同じ37度の体温でも「発熱」と捉え、実際に体調がすぐれないと感じる人がいるのはなぜなのでしょうか?
平熱にも個人差がある
それは、身長や体重に個人差があるように、平熱にも個人差があるためです。平均体温は36.89度であるものの、実際には平熱が35度台の人から37度台の人までかなりの幅があります。 平熱が人それぞれなのですから、人によって発熱の基準も異なるというわけです。平熱が35度台の人にとっては、37度の体温であれば平熱より明らかに高く、発熱している状態と判断できるでしょう。 体調の変化に気づくためには日頃から自分の平熱を把握しておくことが重要です。
年齢によっても変化する体温
人によって個人差のある体温。しかし、同じ人であっても、一生涯同じ平熱ではない、という点にも注意が必要です。歳を重ねるごとに、体温も変化していくのです。 乳幼児は一般的に体温が高い傾向にあり、小学生、中学生に向かうにつれ、体温が落ち着いていくといわれています。特に生まれたばかりの赤ちゃんは体温が高めです。一方、高齢になると、体温は低下する傾向があります。
このように年齢によっても平熱は大きく異なるのです。ですから、一昔前に測った平熱が37度であっても、歳を重ねた今、その値より低下している可能性も。「37度なら平熱だから平気」と思えたのは過去の話。実際は、「発熱」している状態かもしれません。 健康状態をチェックする一つの指標として活用していくためにも、できるかぎり正確な平熱を把握しておきたいもの。平熱はライフステージの移り変わりとともに変化することを踏まえ、“今の自分”の平熱を把握するために、調子のよいときに測り直すことをおすすめします。
平熱を把握して健康管理に活かしましょう
「37度だから発熱」と一概に判断できないからこそ、個人個人がきちんと平熱を把握しておくことが健康管理において重要になります。ぜひ平熱を測り直してみて、身近で手軽な健康チェック法である検温を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
最後に、健康上の問題がなく平熱が高いというよりは、膀胱炎や脱水症状が原因の場合が見られます。体調が良好であっても熱がある場合には何かしらの健康上の原因があることがありますので、まずは医療機関に相談されることをおすすめします。
 
 
●健康な体温って一体何℃?免疫とも関係が深い体温について解説!
健康な体温って一体何℃?
皆さんの平熱は何℃でしょうか。36.5℃くらいという人もいれば、いつ測っても35℃台という人もいるかもしれません。このように平熱は人によって異なるものですが、健康な人の体温は36.6℃〜37.2℃程度になるといわれています。
   日本人の平均体温は36.89℃
10歳〜50歳の健康な日本人の平均体温は36.89℃です(ワキの下で検温した場合)。もちろん個人差はありますが、約7割の人が健康な体温と言われる36.5℃〜37.2℃の範囲に収まるとされています。
一方、平熱が36℃以下の人は「低体温」といわれます。体が冷えていて血流が悪く、放置すると自律神経失調症やアレルギー、便秘や肥満などの不調や病気につながる恐れがあります。
   発熱の定義は37.5℃以上
感染症法においては、発熱の定義を37.5℃以上、高熱の定義を38℃以上としています。とはいえ、人によって平熱には違いがあるため、自分の平熱よりも明らかに体温が高い場合は発熱の可能性があると考えてよいでしょう。
   体温は体の中心ほど高くなっている
体温は体の中心に行くほど高く安定しています(中核温といいます)。対して、末端や体表の体温は中核温より低く、外気などの影響を受けやすいことから、体温計で測った体温が37℃だったとしても、足先の温度を測ると10℃近く低い数値になることもあります。
確実な体温を知るには中核温を測ると良いのですが、日常の検温で体温計を体内に入れるわけにはいきません。そのため、一般的には耳やワキ(腋窩)、口(舌下)、直腸などで体温を測ります。しかし、これらの部位の平熱はそれぞれ異なるため、各部位の平熱を知っておく必要があります。
   体温は1日の中でも変動している
ヒトの体温には1日のリズムがあり、同じ部位で検温しても、時間帯によって平熱が約1℃の範囲内で変動します(概日リズムといいます)。
眠っているときには、脳の休息のために日中よりも体温が下がります。深く眠るとより体温が低下するため、1日のうちで早朝が1番体温が低い時間帯です。起床後は徐々に体温が上がっていき、夕方に1日のうちで1番体温が高くなります。そして、夜になると睡眠に向けて再び体温が下がっていきます。
そのため、起床後に測った体温と夕方に測った体温を比較して発熱したかどうかは判断できません。体調が良いときに起床時・昼・夕方・就寝前の平熱を測っておき、検温時と同じ時間帯の平熱と今回の体温を比較する必要があります。
平熱を測るときには、体温が上がる食後や運動後を避けて、食前や食間、運動前に測るようにしましょう。日によって体温が変わることもあるので、日をおいて複数回測ってみるのがおすすめです。
   年齢によっても体温は異なる
ヒトの体温は年齢によっても異なります。乳幼児期は体内で作られるエネルギー量が多く、大人と比べると体温が高めです。成長すると体温が下がっていき、10歳頃から安定してきます。
しかし、50歳を過ぎた頃から体温が下がってきます。加齢によって体温が下がる原因ははっきりしていないのですが、体のさまざまな機能の衰えとともに、体温調節機能も衰えてくることが原因だと考えられています。
若いころの平熱をそのまま今の平熱だと考えていると、実は思っていたよりも平熱が低かったということもあります。発熱にしっかり気づけるように、時折体温を測って今の自分の平熱を知っておきましょう。
体温は免疫力とも関係が深い!
私たちの体には、病気から体を守るための「免疫機能」が備わっていますが、免疫機能と体温には深い関わりがあります。
免疫機能においては病原体などの異物(抗原)を食べて排除するマクロファージや、抗体を作るB細胞など、たくさんの免疫細胞がたくさん働いているのですが、免疫細胞には温度が高いと活発化するという性質があるのです。
免疫細胞が正常に働ける体温は36.5℃。そこから体温が1℃上がると最大5倍〜6倍も免疫力が上がり、逆に1℃下がると免疫力が30%下がるといわれています。病気になったときに発熱するのは、体が体温を上昇させることで免疫細胞を活性化させ、病気と戦う力を上げようとしているからです。
そのため、発熱したときには無理に薬を使って熱を下げずに、できるだけ自然に任せたほうが、かえって早く治ることもあります(高熱で体調が悪化している場合は除く)。このように、免疫力をアップして病気に負けない体を作るには、健康な体温を保つことが欠かせないのです。
健康な体温&免疫力アップを目指す方法
近年体温が36℃を切っている、低体温の人が増えているといわれています。低体温になると免疫細胞が働きにくくなり、免疫力が下がってしまうため、体温を上げることが大切です。健康な体温&免疫力アップを目指すには、何をすれば良いのでしょうか。
   適度な運動
低体温の原因の9割を占めるといわれているのが、筋肉量の低下です。最近はいろいろと便利になり、昔に比べて日常生活の運動量が大幅に減っているため、意識して運動しないとすぐに筋肉が落ちてしまいます。
筋肉が作り出す熱量は体内最大なので、筋肉量が低下すれば体温が下がり、免疫細胞が元気に働けなくなって病気にかかりやすくなります。さらに血行が悪くなって全身に酸素や栄養が行きにくくなるため、冷え症や肩こり、肌荒れなどの不調が出やすくなります。
運動によって筋肉量が増えると体温が上がって免疫細胞が活性化し、全身に酸素や栄養が行き渡るので様々な不調も改善してきます。
   ストレス解消
ヒトはストレスを感じると、体内でコルチゾールというホルモンを分泌します。コルチゾールには筋肉を分解する作用があるため、ストレスを強く感じていると筋肉が痩せてしまい、体温が下がって免疫力が落ちやすくなります。
また、免疫機能は自律神経との関係も深く、活発に動いて交感神経が優位なときには抗原を飲み込んで退治する顆粒球が、リラックスして副交感神経が優位なときには抗体を作るリンパ球が増える仕組みになっています。つまり、免疫機能が正常に働くには自律神経のバランスが取れていることが重要なのですが、ストレス過多になると自律神経が乱れ、免疫機能が正常に保てなくなります。そのため、健康な体温&免疫力アップを目指すには、ストレス解消がかかせません。
適度な運動には筋肉量を増やして体温を上げる効果があるのと同時に、セロトニンやエンドルフィンなどのリラックス効果や精神安定効果があり、ストレス解消に役立つ物質を分泌させる効果もあります。自律神経のバランスを整えるのにも役立つので、ストレッチやウォーキングなど簡単なものから、普段の生活に取り入れてみましょう。
   入浴
お風呂はシャワーで済ませる人も多いと思いますが、健康な体温のためにはしっかり湯船につかるのがおすすめです。10分ほど湯船につかると、体温が1℃程度上がります。副交感神経が刺激されて体がリラックスし、ストレス解消にもつながるため、できるだけ毎日湯船につかるようにしましょう。
   温かい飲み物を飲む
もっと手軽に体温を上げたいという場合は、温かい飲み物を飲むのも有効です。とくに起床後は体温が下がっているため、白湯などを飲んで体をあたためると良いでしょう。
また、免疫細胞の約7割は腸に存在しているため、免疫力を上げるには腸内環境を整える効果が期待できるグレープフルーツジュース、緑黄色野菜を使ったスムージー、乳酸菌飲料などを飲むのもおすすめです。
   物理的に体をあたためる
腹巻きを巻いたり、湯たんぽやカイロを使うなど、物理的に体をあたためることも体温アップにつながります。女性はタイツを着用したり、ひざ掛けを使ったりする人も多いと思いますが、男性でも体を冷やさないように腹巻きを巻くなどしてみると良いでしょう。
   食事
健康な体温を目指すには、普段の食事も大切です。ショウガやにんにくなどに体をあたためる効果があることは、多くの人が知っているでしょう。そのほかに、ごぼうや玉ねぎなどの野菜や玄米、全粒粉のパンなどにも体をあたためる効果があります。これらの食材を意識して取り入れてみましょう。
また、免疫力アップのためには、腸内の有用菌(いわゆる善玉菌)を増やして腸内環境を整えるヨーグルトや納豆などの発酵食品、免疫細胞の働きを高めるビタミンが豊富な緑黄色野菜などを食事に取り入れるのもおすすめです。
 
 
●平熱が低い場合は何℃からが発熱か?
医者から「熱は出ましたか?」と聞かれて「36.8℃でしたが平熱が35℃台なので熱があると思います」と答え、医者から怪訝な顔をされたことはありませんか?
実は平熱が何℃であれ、36℃台では発熱とはみなさないのです。何℃からが発熱なのか? では何℃からが発熱なのでしょうか?特に決まりはありません。
ただ、日本の感染症法では37.5℃以上を発熱、38℃以上を高熱と定めているので臨床の現場ではこの数値を目安に発熱かどうか判断することが多いと思います。
少なくとも36℃台で発熱と捉える医療従事者はまずいないでしょう。日本人の平均体温は36.6℃〜37.2℃
10歳〜50歳の日本人3000人の平均体温を調べたところ36.89℃±0.34℃という結果だったそうです。
従って36.6℃〜37.2℃というのが日本人の平均的な体温と考えられています。
そもそも体温というのは個人差が大きいものです。
測定する部位が口なのか脇なのかでも体温は違ってきますし、測定する時間帯によっても体温は変動します。
体温計の種類が予測式と実測式とでも体温は変わってきます。
ですので36.6℃〜37.2℃の範囲から多少ズレたとしても問題はありません。
因みに体温が35℃台の人の殆どは正しく測れていないことが多いとも言われています。
 
 
●知っておきたい体温の話
37℃は発熱ですか?
37℃でも発熱とは限りません。“誤った常識”に惑わされず、正しい理解を。
子どもの体温を測ってみたら、37℃。「どうしよう、保育園が預かってくれない」「予防接種が受けられない」「プールに入れない…」。そう思う保護者が多いかもしれません。これは昔使われていた水銀体温計の37℃を示す数字が赤い文字で書かれていたことから生まれた“誤った常識”です。
平熱とは、健康な状態で安静時に、決まった部位を決まった方法で測定した温度をいいます。一般的には腋窩(えきか:ワキの下)で測った温度を指すことが多く、その範囲は多くの場合、36〜37℃におさまることが多いようです。ただし、37℃を超えたり、36℃を下回ったりしていても、必ずしも異常とはいえません。
平熱は誰でも同じですか?
日本人の平均体温は36.89℃。でも人によって、かなり幅があります。
子どもの平熱はやや高く、高齢者はやや低めです。自分や家族の平熱を知っておきましょう。
日本人の7割くらいは、体温が36.6℃から37.2℃の間。
10歳から50歳前後の健康な男女3,000人以上の体温の平均値は、36.89℃±0.34℃(ワキ下検温)でした。この調査によると全体の約7割の人が36.6℃から37.2℃の間に入りました。「平熱」にも個人差があって当然なのです。医学的に正しい測り方をすれば、37℃はむしろ平均的な平熱の範囲内だということがわかっています。
   図1
平熱が低い人は、37℃程度でも発熱を疑う。
人によって平熱に大きな違いがあるのですから、発熱の基準も一概にはいえません。自分の平熱より明らかに高ければ発熱だということになるのです。ですから、普通は発熱に入らない37℃程度の体温でも、たとえば平熱が36.5℃と低い人の場合は発熱のはじまりの可能性がありますので、すこし様子をみたほうがいいかもしれません。なお、感染症法では37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」と分類しています。
健康な時の体温はいつも同じですか?
体温は変動しています。24時間単位の体温リズムがあるのです。
体温は、熱が出る病気にかかっていなくても、運動、時間、気温、食事、睡眠、感情の変化などにより変動しています。女性の場合は月経周期の影響も受けます。また、そうした要因がなくても、体温は1日のなかで変化しています。睡眠・覚醒と同じように、ヒトは24時間単位の体温リズムを持っており、これを「体温の概日リズム」といいます。
1日のうちでは早朝が最も低く、しだいに上がり、夕方が最も高くなって、夜になると下がり始めます。高齢者は若者に比べて、朝は早い時間から体温が上がり始め、夜も早い時間から下がり始めます。
   図2 若者と高齢者の体温リズム
環境の影響も受けますが、変動幅は1℃程度とされていて、日常生活のなかで変化を実感するほどではありません。
   図3 健康な人の1日の体温リズム
体温はどこで測っても同じですか?
体温は測る場所によって異なります。体の内部は高く、表面は低くなるのです。
ヒトの体温は体の表面か内部かによって違います。また、表面であれ内部であれ、どの場所かによっても異なります。体の内部の温度を中心(コア)温、体表近くの温度を被殻(シェル)温といいます。
   図4
コア温は、脳や心臓などの大切な臓器の働きを保つために高く安定しています。通常の環境(25℃前後の気温で薄めの衣類を身に着けた、暑くも寒くもない状態)におけるコア温は37℃前後で、若い成人の男性ではほとんどの人が±0.3℃の範囲に入ります。
一方、シェル温は、体表から熱を放散されるためコア温より低くなります。とくに外界と接している皮膚の温度は低く、32〜33℃前後です。また、個人差が大きく、同じ人でも部位によって大きな違いがみられます。
体内の温度が反映される場所で測るのが一般的です。
そこで、体に負担をかけずに簡単に検温できる場所として、ワキ(腋窩)、口(舌下)、耳、直腸など体の表面に近い場所が用いられています。測定する部位ごとに検温に必要な時間や方法が異なり、得られる温度も異なります。平熱も部位により違うため、それぞれの部位の平熱を知る必要があります。
体温は本当に数十秒で測れるのでしょうか?
平衡温と予測式体温計 ※ワキ下で測る体温計の場合。
ワキで体温を測る時間は、ワキ下で数十秒。そんな“常識”をもっていませんか?ためしに、ワキをしっかり閉じて、10分間がんばって測ってみましょう。どうですか?思っていた“平熱”よりも高めにでていませんか。
実測式の電子体温計で測るには、10分以上が必要。
ワキが完全に温まるまで測るのが、正しい検温です。ワキの温度は「体の表面の温度」ですが、しっかり閉じることで体の内部の温度が反映されて温まります。完全に温まった時の温度を平衡温(へいこうおん)といいますが、これを測るのが正しい検温です。平衡温に達するにはワキを閉じてから、10分以上かかります。※この10分間はあくまでワキが完全に温まるのに必要な時間で、体温計が温まる時間ではありません。
はやく、正しく体温を測るのが、「平衡温予測方式」です。実測式の弱点ともいえる「測定時間」を短縮するために1983年にテルモが日本ではじめて開発した方式です。多くの人の体温上昇データを統計的に処理し、演算式にして、ワキであれば10分後の平衡温がどのくらいになるのかを、高い精度で短時間に表示します。したがって、予測式体温計は、数十秒の短時間で正しい体温を測ることができるのです。
   図5、図6
いつも何気なく体温を測っているけど…正しく測れているのでしょうか?正しい体温の測り方を教えてください
ワキでの正しい体温の測り方
<棒状体温計の測定方法>
1 ワキのくぼみの中央に体温計の先端をあてます。(体温計の先を下から上にむけて、押し上げるようにはさみます。)
2 体温計が上半身に対し30度くらいになるようにしてワキをしっかり閉じます。ワキが密閉されるようにしっかり閉じ、ヒジをわき腹に密着させます。手のひらを上向きにすると、ワキがしまります。さらに体温計をはさんだ方のヒジをもう一方の手で軽く押さえます。
3 平衡温になるまで、水銀体温計や実測式の体温計は10 分以上、予測式なら電子音がなるまでじっとしていましょう。
 
 
●37℃は発熱ですか?
37℃でも発熱とは限りません
“誤った常識”に惑わされず、正しい理解を
子どもの体温を測ってみたら、37℃。「どうしよう、保育園が預かってくれない」「予防接種が受けられない」「プールに入れない…」。そう思う保護者が多いかもしれません。これは昔使われていた水銀体温計の37℃を示す数字が赤い文字で書かれていたことから生まれた“誤った常識”です。平熱とは、健康な状態で安静時に、決まった部位を決まった方法で測定した温度をいいます。一般的には腋窩(えきか:ワキの下)で測った温度を指すことが多く、その範囲は多くの場合、36〜37℃におさまることが多いようです。ただし、37℃を超えたり、36℃を下回ったりしていても、必ずしも異常とはいえません。
多くの人の平熱は36〜37℃の範囲です
日本人の平均体温を調べたものとして、1957年に報告された、東京大学・田坂定孝先生の研究が有名です。東京都内の10〜50歳代の健康とみなされる男女3,000人余りを対象に、四季を通じて午前と午後のデータを集めたものです。測定方法は、椅子に腰かけた状態での水銀体温計による30分間の腋窩検温です。すると、全体の73%の人の体温は36.9±0.3℃の範囲にありました。図1は大学生150人ほどを対象に腋窩温度を10分間測定した、私の研究室のデータです。若年の男女に限られますが、データでは36.0~37.2°Cの間に大部分が含まれることがわかります。子どもではやや高めに、高齢者はやや低めに分布することが過去のデータからは示唆されます。37℃は発熱の目安というより、むしろ平均的な平熱の範囲内なのです。
    図1 腋窩温度を10分間測定したデータ
健康な時の自分の平熱を知っておきましょう
平熱は人によって違い、そこには約1℃の幅があるので、何度以上なら発熱といちがいに決めることはできません。健康な時に決まった方法で測った自分の平熱の値を覚えておけば、熱っぽい時、普段より体温がどれくらい上がっているかを正確に知ることができます。日ごろから体温を測定して、自分の平熱を知っておきましょう。
 
 
●平均体温
人間の体温は、脳や心臓など重要な臓器のはたらきを保つために、安定しています。体温を測定できる部位はいくつかありますが、一般的には測りやすく体への負担が少ない脇や口、耳などで測定します。
日本人の10〜50歳の男女では、脇で測った平均体温は36.89度±0.34度です。一方、65歳以上の男女では36.66度±0.42度であり、10〜50歳に比べるとおよそ0.2度低い平均体温になります。 
 
 
●平熱
二十歳のころ 外耳炎で入院
骨を削り取る
傷口が治り 平熱が36.2-36.3度になって退院
これ以来 何となく 平熱は「36.2-36.3度」と思うようになった   
 
 


2023/5