村上様も 心のうち 大きく揺れました
WBC予選 4番
打たねばならない プレッシャーに負ける
安打僅か2本
WBC本戦 5番
4番の後押し役 プレッシャー和らいだか
ホームラン
「さらに目標を高く設定させられる大会になりました」
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ダルビッシュ有 |
プラスの言葉 ポジティブな言葉 後輩を励ます まとめ役 |
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大谷翔平 |
「憧れてしまったら超えられない」 WBC決勝・アメリカ戦直前の円陣で声出し |
決勝9回 最後のバッター 三振を取る 雄たけびを上げる 大谷なりの プレッシャーからの解放に見えた |
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選手 |
野球って こんなに楽しかったんだ 役割を果たす ベストを尽くす 強みを引き出す 3年後は成長した姿で |
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栗山監督 |
選手を信じる 勝たなければ伝わらないこともある 野球のすごさ すばらしさ感じてもらえた 日本でたくさんの人が応援 みなさんの思いが力になり 感謝でいっぱいだ |
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B組 予選 3/9-3/12 |
オーストラリア 韓国 チェコ 中国 |
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準々決勝 3/16 |
イタリア |
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準決勝 3/20 |
メキシコ |
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決勝 3/21 |
アメリカ合衆国 |
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●栗山監督、涙ぐみながら「野球すげーな。感動した」 WBC 3/21
野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は20日(日本時間21日)、米マイアミのローンデポ・パークで準決勝があり、日本がメキシコに6―5で逆転サヨナラ勝ちして3大会ぶりの決勝に進んだ。栗山英樹監督は記者会見で時折涙ぐみながら試合の感想などを語った。 ●村上は「世界がびっくりするバッター」 ――試合前に選手が勝ちたがっていると。今日の試合監督の目にどううつった。 ●思った通り相手は素晴らしいチーム。なかなか突破口ができないで苦しんでいる中、勝ち負けは別として、「野球すげーな」という、やっているほうが感動した。 ――明日は大谷翔平投手は投げる? ●それは体の状態を見ないとわからないが、試合前にも言いましたけど可能性はゼロではないので。 ――メキシコについて。 ●こっちにきてドミニカだったりプエルトリコだったりベネズエラだったりを見させてもらいましたけど、ほんとにどこもすごく良いチーム。 ――明日、大谷投手は? ●明日先発は今永(昇太)投手でいきます。もちろんこの登板間隔ならそんなにたくさんの球というところではないと思いますし、本人とは明日話さないと分からない。体の状況を見ながら。 ――日本にとってのWBCの意味。 ●今日の試合もそうだが準々決勝のプエルトリコとメキシコの試合だったりとか、ベネズエラとアメリカの試合だったり、日本もそうだがあれだけのトッププレーヤーがこの1試合にすべてをかけて戦う。ほんとに命がけになった時に、どんなすごいことが起こせるのか、見ていてすごく感動したし、こういう試合って野球の本質のような感じがした。いろいろ考え方があると思うが、WBCでいろいろな世界の人たちが、メジャーの選手も含めて全力で戦ってくれるのはすごく大きな意味があるし、僕自身も感動したし、これが広がってほしいなとすごく思う。 ――村上宗隆選手を最後まで信じた思い。 ●最後に打ちましたけど、たぶん本人の中ではまだチームに迷惑をかけてるという感じしかないんじゃないか。あんなバッターではないので。ほんとに世界がびっくりするようなバッターだと、僕はこのWBCで証明したいとやってきたので、その彼を信じる気持ちは揺るぎないものがある。ただ一つきっかけを作るためにはいろんなことをしなければいけないので。彼の能力を引き出すことさえできればいいので。今日は良かったが、本人はくやしいんじゃないかなと思います。 ――明日につながる。 それはずっと本人に言ってきたので。「最後お前で勝つ」と言ってきたので、僕は。 |
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●大谷翔平「憧れてしまったら超えられない」と鼓舞 イチローとの“共通点” 3/22
14年ぶりに王座を奪還し、日本中を勇気づけた侍ジャパン。そんななか、大谷翔平(28)がWBC決勝・アメリカ戦直前の円陣で声出しを担当し、その内容が「熱い」と話題になっている。 ロッカールームで栗山監督に指名された大谷は輪の中心に立ち、次のように話した。 「僕からは1個だけ。憧れるのをやめましょう。ファーストにゴールドシュッミトがいたりとか、センターを見たら、マイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたりとか。野球をやっていれば、誰しもが聞いたことのあるような選手たちがいると思うんですけど、今日一日だけは憧れてしまったら越えられないんで。僕らは今日、越えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは、彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう。さぁ、いこう!」 選手だけでなく見ていた日本中のファンも鼓舞した大谷。実は過去にも、大谷と同様の発言をした偉大な先輩がいた。それは2004年、当時シアトル・マリナーズにいたイチロー(49)だ。 イチローが年間通算安打で、1920年ぶりに新記録を樹立した際のインタビューで「野球少年たちに何かメッセージは?」と聞かれて、自身の体格はアメリカでは大きくないが大リーグでも記録を作れたことを引き合いに、次のように話した。 「まぁこれは日本の子供だけでなく、アメリカの子供もそうですけど、自分自身の可能性をつぶさないでほしい。そういうことは強く思いますね。日本にいた時よりもこちらにきて強く思いますね。あまりにも大きさに対する憧れや、強さに対する憧れが大き過ぎて、自分の可能性をつぶしてる人もたくさんいると思うんですよね。自分自身の持ってる能力を生かすこと、それができればすごく可能性は広がると思います」 「憧れを捨てて可能性に挑戦しよう」という考え方。さらには自国だけでなく野球界全体の未来へも心配りしている点も、大谷がヒーローインタビューで語った「日本だけじゃなく、韓国も台湾も中国も、その他の国ももっともっと野球が大好きになってもらえるように、その一歩として優勝できてよかった」という発言とも共通している。 イチローと大谷、こうした考え方にも2人が超一流たる所以があるのかもしれない――。 |
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●優勝会見でまず口にしたファンへの感謝「格好いいなと思ってもらったと思う」 3/23
世界一を果たした栗山英樹監督が優勝報告会見でまず口にしたのは、ファンへの感謝だった。「日本でたくさんの人たちが応援してくださったと感じました。感謝でいっぱいです」。帰国した成田空港で熱烈な出迎えが目に飛び込み、うれしさが増した。 「信じる」ことを貫き、勝ち取った栄冠でもあった。そのことに触れ「これだけの選手たち。状態が良かったり、絶好調にならなかったりはあるが、(信じることは)最初から決めていた」と語った。 世界一は次世代へのいいメッセージになったと感じている。「単純に見ていて、格好いいなと思ってもらったと思う。勝たないと伝わらないので、それは良かった」。勝ち切ったからこそ、野球の面白さが存分に伝わったことを喜んだ。 |
●WBC日本代表 帰国会見 栗山監督「感謝でいっぱい」 3/23
野球のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックで3大会ぶりの優勝を果たした日本代表の選手たちが帰国し記者会見に臨みました。栗山英樹監督は「みなさんの思いが力になった。感謝でいっぱいだ」と話しました。 野球の日本代表は現地時間の21日、フロリダ州マイアミで行われたWBCの決勝でアメリカを3対2で破り3大会ぶり3回目の優勝を果たしました。 大リーグでプレーする大谷翔平選手などを除く日本代表の選手たちは、チャーター機で23日、午後3時すぎに成田空港に到着し、最後の記者会見に臨みました。 この中で栗山監督は「日本でたくさんの人が応援してくれたということを空港で感じた。みなさんの思いが力になり、感謝でいっぱいだ」と話しました。 準決勝でサヨナラのタイムリー、そして決勝では同点に追いつくホームランを打った村上宗隆選手は「さらに目標を高く設定させられる大会になった。3年後の次の大会は全試合4番で出たい」と話していました。 また、アメリカとの決勝にキャッチャーで出場し、7人のピッチャーをリードした中村悠平選手は「みんなそれぞれすばらしいピッチャーで『強みを引き出してあげれば必ず勝てる』と思っていた。その一心でリードした。9回に大谷選手がマウンドに上がった時は『甘めでいいので、どっしり構えてください』と言われたので、そのとおりに構えていた」と明かしました。 日本代表は23日で解散し、選手たちは今後、それぞれの所属チームに戻ってシーズン開幕に向けた調整を進めることになります。 ●栗山監督「子どもたちに かっこいいなと思ってもらえたと思う」 栗山監督は、子どもたちへのメッセージを聞かれると「単純に見てもらい、かっこいいなと思ってもらったと思う。『こうなりたい』と思ったとき、人は頑張れると思うので、選手が見せてくれたものに向かって欲しい」と話しました。 また、就任から1年の間、新型コロナの影響で日本代表としての試合ができなかったことについては「試合ができなかった間はシーズン中のプレーを見たりチームに意見を聞きながらやっていった。時間があれば、もっと理解しなければいけなかったかなとは思うが、しかたがないことなのでこれから、そういった時間ができればいいと思う」と話しました。 さらに、野球界の将来のために今回、優勝したことの意味については「子どもの数が少なくなっている中で、スポーツだけでなくエンターテインメントなど夢の幅が広がっている。我々は野球のすごさや面白さなど先輩から引き継いできたことを残していかなければいけない。勝たなければ伝わらないこともあるのでよかったと思う」と話しました。 ●岡本和真「野球って こんなに楽しかったんだ」 岡本和真選手は「決勝でゲームセットになった瞬間が印象に残っている。野球って、こんなに楽しかったんだと実感しうれしかった。3年後も代表でもう1回野球がしたい」と話しました。 ●村上宗隆 3年後「全試合4番で出たい」 村上宗隆選手は「大谷選手が決勝でユニフォームが汚れながらもブルペンからマウンドに行く姿は夢のようなシーンだった」と振り返りました。3年後の大会に向けては「全試合4番で出たい」と力強く話しました。 ●源田壮亮「優勝して みんなが集まったシーンが印象に」 源田壮亮選手は「決勝でベンチの人が身を乗り出し、あとひとつのアウトで世界一だという瞬間の景色と、優勝してみんなが集まったシーンが印象に残っている。3年後もメンバーに選ばれたい」と話していました。 ●佐々木朗希「3年後は成長した姿で」 佐々木朗希投手は「吉田正尚選手が準決勝でスリーランホームランを打って救われた気持ちになった。3年後は成長した姿でプレーできるようにしたい」と話しました。 ●山本由伸「3年後も最高のメンバーと世界一目指したい」 山本由伸投手は「準決勝で感じた雰囲気、空気感が印象に残っている。3年後も最高のメンバーと世界一目指して野球ができるように頑張りたい」と話していました。 ●栗山監督「野球のすごさ すばらしさ感じてもらえた」 栗山監督は、選手をどのように信じていたのかという質問に対して「その時々の状態があって絶好調にならなかったりいろいろあるが、本当にすごいメンバーなので選手も信じてもらった方がやりやすいと思っていた」と振り返りました。そして「日本中の人が野球のすごさ、すばらしさを感じてもらえたと思う。たくさんの子どもたちが、また野球をやってくれると思う」と話していました。 ●佐々木朗希「真剣勝負でき すごく楽しかった」 佐々木朗希投手は「アメリカの球場でメジャーリーガーと真剣勝負できて、すごく楽しかった。応援ありがとうございました」と話しました。 ●村上宗隆「目標を高く設定させられる大会」 村上宗隆選手は「さらに目標を高く設定させられる大会になりました」と大会の感想を述べました。 ●白井一幸コーチ「準決勝 サヨナラ勝ちの場面 印象残る」 印象に残った場面について白井一幸コーチは「準決勝で村上選手がサヨナラのヒット打ったとき、周東選手がホームに返ってくる場面は、ここは回すか止めるか、三塁コーチとしては難しい場面だったが、選手全員30人のコーチがいて何も臆することなく回すことができたことが印象に残っている」と話しました。 ●栗山監督「野球ファン全員に感謝」 日本代表の栗山英樹監督は「日本でたくさんの人が応援してくれたということを空港で感じた。皆さんの思いが力になった。感謝でいっぱいだ」と感謝のことばを述べました。そのうえで、大会を振り返り「難しい試合もあったが選手たちが役割をやりきってくれた。すばらしいチームだ」と話していました。そして「野球ファン全員にありがとうと伝えたい」と話しました。 |
●侍ジャパン、帰国会見 栗山監督「日本の皆さんの思いが力になりました」 3/23
『第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』決勝でアメリカを下し、14年ぶり3度目の世界一を達成した日本代表が23日、午後5時30分ごろに成田空港近くのホテルで優勝帰国会見を行った。 22日、午前2時30分(日本時間の22日、午後3時30分)過ぎに現地で優勝会見を行った後に、アメリカに残るダルビッシュ有、大谷翔平、吉田正尚、ラーズ・ヌートバーを除くメンバーが帰国。その足で栗山英樹監督、コーチ、選手が会見に参加した。 栗山監督は会見の冒頭「まずは、日本でたくさんの人が応援して下さったんだなと、空港着いたときに感じましたし。選手たちが頑張って、勝ちきってくれたこと。日本の皆さんの思いが力になりました」とファンに感謝した。 続けて「国際試合になると、どっちに転んでもいいような展開、難しい試合の中で、選手たちが自分たちの役割をその場その場でやりきってくれた。本当に勝ちきってくれて、すばらしい試合、すばらしいチームだったなと思います」と伝え「僕からは『ありがとう』という言葉しかないんですけど、本当に野球ファン全員に思いを込めて、『ありがとう』という言葉を伝えたいです」と語った。 |
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●「和真のことが好き、ツボる」侍ジャパン清水コーチWBC秘話 4/3
日本中を熱狂の渦に巻き込んだWBC・侍ジャパン。コーチとして世界一に貢献した島根県浜田市出身の清水雅治さんが、4月から1年間、地元で野球指導などを行うことになりました。準決勝、「ムネ(村上宗隆選手)が長打打つ気がした」。WBCでの、貴重な裏話も教えてもらいました。 侍ジャパン外野守備・走塁コーチ 清水雅治さん「WBCでの大きな声援ありがとうございました、浜田市出身の清水雅治です」 3日、浜田市役所を訪れたのは、野球日本代表・侍ジャパンの外野守備・走塁コーチ、浜田市出身の清水雅治さん(58)です。 清水コーチと言えば3月23日、侍ジャパンの優勝報告会見で、こんなシーンが大きな話題となりました。 清水雅治さん「東京プールで岡本和真が走ってアウトになったんですけど、すいません、あれ僕が横から大ウソを教えてしまいまして、エンドランだと言いました。本当に申し訳なかったです。それでアウトになりました。申し訳ございません」 岡本選手へのエンドランのサイン間違いを告白。するとSNSでは… SNSでの反応「ここで謝れる事が凄い!!」「素直に謝れる上司って信頼できるし最高」「清水コーチ」がツイッタートレンド入りするなど話題となりました。 ●和真がネットで中傷され…「ヤバイ」と思った 清水雅治さん「和真に大ウソ教えたのも、その後で突っ込まれれば、僕が悪かったですという話をしたかったのですが、その日すぐ飛行機に乗ることもあって、誰からも取材を受けずにアメリカに行ったんですよ。だから後で聞くと、和真がネットで中傷されたりとか源田が間違えたんじゃないかとか、色々なことが書かれていると聞いて、これはヤバイと思って。私が悪いので正直に言いました」 その清水コーチ、今年度から地元・浜田市と業務委託契約を結び、地元の野球技術底上げを目的に小中学生の指導などにあたります。 3日は、担当の文化スポーツ課の職員らと、これからの活動内容などについて意見交換をしました。 そして、午後には母校・浜田高校へ足を運びました。清水さんは、去年から硬式野球部の特別顧問として選手たちの指導をしています。 2017年から日本代表コーチを務める清水さん。今回のWBCを振り返ってもらうと… 清水雅治さん「選手のおかげで最高の感動を頂きました」 清水さんはこれまで数多くの国際大会を経験してきましたが、村上宗隆選手のサヨナラヒットで逆転勝利を収めた準決勝のメキシコ戦は、特別な一戦となったようです。 清水雅治さん「皆が諦めずに1つになって、それを超えるサヨナラになって、本当に感動しましたね」 ●アイコンタクトで大谷選手が三盗する可能性があった その準決勝、9回裏のサヨナラの場面で、代走に送られた周東佑京選手に清水コーチが1塁ベース上で声をかけました。そこでどのような会話があったのか明かしてくれました。 清水雅治さん「3点ありました。1つはノーアウト1,2塁だったので、ライナーで飛び出すことは絶対ダメだったということ。 2点目はアイコンタクトで大谷翔平選手が三盗する可能性があったんですよね。だからそこに付いて行ってな、と。サイン出てなくてサードコーチャーとのアイコンタクトで三盗する可能性があったので、佑京も付いて行って欲しいと。 あと、ムネが長打打つ気がしたんですよ。本当にそういう気がして。長打を打つ可能性があるから、抜けたらホームまで帰れよって。その3点ですね」 そして、決勝でアメリカを3対2で下した侍ジャパン。14年ぶりの世界一を勝ち取りました。 清水雅治さん「まさか大谷とトラウトが最後になるとは…これすごいなと思いながら見ていましたね。抑えることしか考えていなくて、これが最後の場面で訪れるんだと思うと、鳥肌が立つような感覚で見ていましたね」 さて、優勝報告会見での清水コーチと言えば、岡本選手とのこんなシーンもSNSで大きな話題となりました。 Q今大会で一番印象に残っているプレー、シーンと、その時どんなことを思ったのか。ご自身のプレーでもチームメイトのプレーでも構いません。教えて頂きたいです。岡本選手お願いします。 岡本和真 選手「もう1回お願いします」 その瞬間、清水コーチは岡本選手の受け答えに思わず吹き出してしまいます。 ●「特に和真の場合はツボる」 その後も、岡本選手がしゃべるたびに、岡本選手の後ろで笑いをこらえられない清水コーチが、テレビの生中継で映し出されました。 SNSの反応 「清水コーチ爆笑してるやん」「清水コーチが笑いを必死に堪えてる顔がめちゃくちゃ笑える」「絶対に笑ってはいけない記者会見清水コーチ、アウトー!」 清水雅治さん「まさかカメラで抜かれているとは思いませんでしたけど、ああいう答え方ってしますか? 僕のツボに入っちゃって。マイクは探すし、マイクのスイッチを探して、質問が「え、なんでした?」っていう事だったので。もうおかしくて、お願いだから喋らないでくれと思っていました。その後思ったんですけど、僕、和真のこと好きなんですよね。ああいう所で笑えるっていうのは。みんな好きなんですけど、特に和真の場合はツボるって言うんですかね。そういうふうになったっていうことは、和真のことが好きなんだと思います」 浜田高校時代の3度の甲子園出場や、選手・コーチとしてプロ野球での数多くの経験を持つ清水さん。 これから1年間、侍ジャパンを世界一に導いたコーチングで、野球競技力の向上や指導者研修を行い、地元・浜田市に侍魂を注入します。 清水雅治さん「もっと底辺に対しても目を向けて、WBCも含めてですけど、野球人口が増えることを切に願っているので、少しでも貢献ができればと思って浜田に帰ります」 |
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●侍ジャパン栗山監督の入学式スピーチ、「信じ続けなさい」 4/4
ワールド・ベースボール・クラシックで7戦全勝、3大会ぶり3回目のWBC制覇を果たした日本代表の栗山英樹監督が、4月2日、昨年度から特任教授を務める北海学園大学(札幌市豊平区、学長:森下宏美)の入学式に出席し、新入生1968人に向けてスピーチを行った。 ●辛い経験からしか人は育たない みなさん、こんにちは。ご入学おめでとうございます。 実は私は1年間、北海学園大学に籍を置いてたのですが、野球の方がバタバタして、なかなかここに来ることができませんでした。侍ジャパンは、世界で戦って帰ってきたばかりですが、今回、一区切りつけて、みなさんの入学式に参加することができました。 みなさんは高校時代、コロナの影響できっと、なかなか思ったような高校生活を送れなかった。大変だったと思います。 ただ、逆にその大変な経験、難しかったり、困ったり、苦しかったりをくぐり抜けた経験でしか人は育たない。野球でも同じ、選手は成長しない、とずっと言ってきました。 ですからこれからはみなさんに、その経験を生かして、すばらしい学生生活にしてもらいたいと思います。 ●たった一人のウェイトトレーニング ひとつだけ、僕が学生時代に考えていたこと、経験したことを話させてもらいます。 僕は、学校の先生になりたいと思って、教員養成の大学に進みました。でも同時に、どうしても野球をやりたいというのもあった。 しかし、なかなか練習する時間がなかった。週に2回、アルバイトをしないと学生生活が送れない環境にあって困難でしたが、どうしても自分の夢が捨てきれず、プロ野球選手になりたいと思っていました。 だから、授業と授業の合間にたった1人で90分、ウェイトトレーニングをして、また授業に戻る、そういう生活をしていた。 まわりからは「お前何やってんねん?」と見られていましたが、やらずにあきらめたくはない、そういう思いで、ずっと続けていたんですね。そして大学4年の時、プロテストを受けて、まあ、今はテスト生制度はないのですが、幸いなことに合格し、プロ野球界に入っていけたという経験があります。 そして今回、たとえばWBCでも、あれだけ一流の人たちがあれだけの全力を尽くして、あれだけがんばると、多くの人に感動を与えられる。そういうことをみなさん、感じていただけたんじゃないかと思います。 ただ、そこに至る上で、選手全員が才能豊かだったのかというと、そんなことは決してないんだろうと思います。むしろ、誰にも知られない努力をずっと続けることによって、全員があそこに立って大好きな野球を精一杯やって、だからこそ、これだけ日本のみなさんに喜んでもらえたのだと思います。 ●「やるか、やらないか」それだけだ WBCでは、勝った瞬間は実は意外と冷静で、「ああ、勝ったんだな」くらいだったんです。でも帰ってきて、多くの人たちが「感動したよ!」と言ってくれた時、ああ、人が喜んでくれるということは、こんなにうれしいことなんだと実感しました。誰かのためにがんばれれば、みなが持っている力が、そのまま引き出されるんだと思います。 今は世界一の選手といわれる大谷翔平選手にしても、大会中、僕も感じたし、本人も感じていたと思いますが、ああいう舞台、自分の力が引き出される舞台があってこそ、さらにレベルが上がっていくんだと思うんですよね。 ですから、僕自身の学生生活の経験も含め、選手たちにもずっと言っていたのは、「できるのかなあ、できないのかなあ」と思うのではなく、「やるか、やらないか」だ、ということ。 高校から入ってきた選手たちはみなさんくらいの年頃だったと思いますが、とにもかくにも、自分が「やる」と決めてやり続けられれば、最後には何か必ず大きな答えが出ると信じています。 最後に、僕が選手にずっと言い続けてきた言葉をみなさんに送って、終わりにしたいと思います。 「挑戦し続けなさい、そして、信じ続けなさい」。 何かやっていると、とかくうまくいかない。そうすると、自分に能力がないのでは、と思ったりするものですが、絶対に大丈夫です。人の力というものは、だれしも、ものすごく大きいのです。でも、その大きな力は、自分が「だめなのか」と思った瞬間になくなってしまうのです。だから、自分を信じてあげてください。 本日はご入学、本当におめでとうございました。 |
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●WBC大谷翔平を侍ジャパン同僚の証言で振り返る 村上「言葉が出ない」 4/5
大谷翔平という男。WBCでは世界一に貢献し、二刀流でMVPにも輝いた。MLB開幕後もエンゼルスで大活躍を見せている。そんな大谷を、侍ジャパンでともに戦った同僚たちの証言で振り返る。 ●源田(阪神との強化試合の膝つきホームランをみて)「それでいくんだと思いました。すごいですね。ちょっとすごすぎですね。ホントに試合の流れを一気に変えるような選手。同じチームでよかった」 ●牧「最初は圧倒されすぎて、同じチームメートでしたけど、ファン目線。徐々に準備する姿とか、二刀流をやっている選手なので、ピッチャーの準備もして、なおかつバッターの準備も、不足なく、しっかりやられているので、すごく人間性というところでも勉強になることが多いと思います」 ●近藤(日本ハム時代の同僚)「まあ変わらず、普通の。生意気なガキですね(笑い)。生意気な後輩とでも言っといてください」 ●甲斐(大谷とバッテリーを組んで)「やっぱりものすごく考えながら投げているので。ものすごく考えているんじゃないですか」 ●ダルビッシュ「投打ですごくインパクトのある選手。クラブハウスでもグラウンドでも中心になって選手とコミュニケーションとっているので、すごく大きいと思います」 ●佐々木(アメリカ代表の打撃練習を見て)「初めてアメリカの選手見たので。大谷さん、一番すごいなと思います。僕的には、そう思いました」 ●大勢「バッティングもそうですけど、ほんとに次元が違うようなプレーをされる。まだまだ足元にも及ばないですけど、自分も声かけてもらったり、褒められたりもした。自信に変えて、もっともっと大谷さんの目に留まるような球を投げられるように頑張りたい」 ●伊藤「やばい。(打球の)初速が違う。(大谷と同じ左打者だが)アリンコみたいな(笑い)」 ●今永「いろんなことに興味を持って、いろんな練習して準備をして、じゃあ自分がそれを出来ているかというと甘すぎる部分が多い。それだけでも良い経験になった」 ●湯浅「エグいです。打球すごかったし、見てる自分たちがワクワクさせてもらいました。大谷さんに投げたいなって気持ちもありました」 ●ヌートバー「フィールド上やフィールド外でも自分自身をコントロールできることがすごく印象的。何かこう、僕自身も今までに見たことがないこと。人間的にも素晴らしい。やるべきことをやる、そこがすごく印象に残っている」 ●山川(打撃練習をみて)「レベルが上がってるし、もうあんなのは勝負にならない。バイバイって感じです(笑い)。はい、かないません!」 ●村上(打撃練習をみて)「もう初めて見たんですけど、すごかったですね。言葉が出ないというか。初めて感じたことがいろいろありました。なんていうんだろう、すごいなの一言でした」 |
●侍ジャパンの「WBC優勝賞金4億円」、W杯は「ベスト16で21.2億円」 4/5
WBCではMVP大谷翔平を筆頭にした侍ジャパンの激闘に日本列島が興奮した一方で、“運営方法の影”がつきまとう。ブラジル在住で準決勝・決勝をマイアミ現地観戦した日本人ライターがその問題点を整理した。 第5回WBCは、侍ジャパンの14年ぶり3度目の優勝で幕を閉じた。東京で行なわれた第1ラウンド4試合と準々決勝(対イタリア)は、結果的には圧勝の連続。マイアミへ移動してからは、準決勝メキシコ戦での劇的なサヨナラ勝ち、決勝の地元アメリカとの息詰まる投手戦、さらには大谷翔平とエンゼルスの同僚マイク・トラウトの一騎打ちという絵に描いたような幕切れと、侍ジャパンと日本のファンにとっては最高の内容にして結末となった。 ●どうしてもぬぐいきれない“WBCへの5つの疑問” その一方で――大会を通じて、多くのファンは以下のような疑問を抱き続けたのではないか。 1)なぜ開催時期がシーズン開幕前の3月なのか。 2)なぜ出場を拒んだり、出場を望んでも球団側の意向などで欠場を余儀なくされる選手がいるのか。 3)なぜ集中開催ではなく、いつも1次ラウンドは複数の場所で、決勝ラウンドはアメリカで開催されるのか。 4)日本では大人気なのに、なぜアメリカでの盛り上がりが今一つなのか。 5)なぜ球数制限などシーズンにはない制約があるのか。 フットボールやラグビーのワールドカップ(W杯)のような他競技の世界大会と比べて、不可思議な事柄があまりにも多い。参考までに――直近のFIFAワールドカップとWBCの違いを列挙してみよう。 ・世界の競技人口(推定)/W杯:2億6000万人、WBC:3500万人(約7.4倍) ・主催団体/W杯:FIFA(世界の全サッカー協会を統括する組織)、WBC:MLB(アメリカのプロ野球機構) ・主催団体創設年度/W杯:1904年、WBC:1876年 ・開始年度/W杯:1930年、WBC:2006年 ・開催回数/W杯:22回、WBC:5回 ・開催時期/W杯:通常、シーズン終了後の約1カ月、WBC:シーズン前の約2週間 ・予選を含めて参加した国と地域/W杯:210、WBC:28 ・本大会に参加した国と地域/W杯:32(26年大会からは48)、WBC:20 ・賞金総額/W杯:4億4000万ドル(約583.9億円)、WBC:1440万ドル(約19.1億円) ・優勝チームが手にする賞金/W杯:4200万ドル(約55.7億円)、WBC:300万ドル(約4億円※1次ラウンド1位通過の場合) ・直近の大会における日本の成績/W杯:ベスト16、WBC:優勝 ・日本が獲得した賞金:W杯:1600万ドル(21.2億円)、WBC:300万ドル(約4億円) ●賞金についてもW杯と大きな格差が フットボールと野球の普及度、W杯とWBCの歴史と規模の違いは一目瞭然である。 FIFAが100年以上前から普及に努め、93年前に真の世界大会を創設したのに対して、MLBは普及への努力が遅れ、わずか17年前に、それもかなり不完全な形で世界大会を始めた(注:FIFAは男子の年齢別W杯とクラブW杯、女子のW杯と年齢別W杯も開催している)。 大会の賞金総額は約31倍、優勝チームが手にする賞金も14倍違う。昨年のW杯カタール大会でベスト16に入ったサムライブルーが手にした賞金は、今回のWBCで優勝した侍ジャパンが獲得した賞金の5倍以上だ。 結論から言うと――冒頭に挙げた5つの疑問点はすべて、フットボールにおけるFIFAのように、世界各国のプロを含む協会やリーグを統括する組織が野球に存在せず、WBCを運営するのがアメリカのメジャーリーグベースボール(MLB。厳密に言えば、MLBとMLB選手会が設立した団体)であることが最大の原因と考えている。 野球にも、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)という団体がある。国際野球連盟(IBAF。1938年創設)と国際ソフトボール連盟(ISF。1952年設立)が2013年に合体した組織で、スイスに本部を置き、137の国と地域が加盟する。しかし、これはアマチュア野球を統括する団体であり、プロ選手を含む世界トップレベルの国際大会を開催する権限は持たない。 ●五輪競技から外れた中、過去WBCはトップ選手が 五輪ではフットボールは1900年大会以降、ほぼ常に正式競技として実施されており、非常に人気がある。これに対し、野球は1992年、ソフトボールは1996年大会で初めて正式競技に採用されたものの、メジャーリーガーが参加しないため最高峰の大会とはみなされず、2008年大会を最後に正式種目から除外された(2020年大会以降は、開催国の意向によって実施の可否が決まる)。 2005年、IOCが将来的に五輪から野球を除外する方針が明らかになると、野球の世界的な普及に危機感を抱いたMLBが「プロ選手も参加する世界最高の大会」という触れ込みでWBC創設を発表した。日本野球機構(NPB)と選手会はMLBに有利な利益配分を不服として一時は不参加を表明したが、最終的に参加を決断した。 2006年3月に第1回大会が開催されたが、時期がシーズン前とあって多くのMLB球団が選手の故障や調整上の問題を理由に選手の出場を認めなかった。また、出場に興味を示さない選手も少なくなかった。以後、回を追うごとにMLBの球団と選手から大会参加への理解と意欲が高まりつつあるが、W杯のように世界のトップ選手がこぞって出場する大会とは言い難い。 ●真の世界最強決定戦がなかなか実現しない“2つの理由” 今大会では、過去に比べて観客動員もTV視聴者も増えた。しかし、地元アメリカは野手こそベストメンバーに近い陣容だったが、投手陣は有力選手の多くが欠場。現地観戦やメディアに触れた身として、ファンの関心は、日本とは比べものにならないくらい低かった。 決勝ラウンドが行なわれたマイアミのローンデポ・パークの収容人員は3万7000人弱で、MLBの全30チームの本拠地の中で3番目に少ない。アメリカ代表の準々決勝ベネズエラ戦、準決勝キューバ戦では、対戦相手のチームのファンの方が多く「シーズン前の外国代表とのオープン戦」に近い扱いだった。 将来、野球でもFIFAのような国際組織が設立され、W杯のような真の世界最強決定戦が行なわれる可能性はあるのか――。冷静に考えると、その可能性は極めて低いとみなさざるをえない。その理由は、少なくとも2つある。 A)MLBとMLB選手会が既得権益を手放すとは思えない。 WBCを開催して得た利益はMLBに33%、MLB選手会に33%が渡され、収益の相当部分に貢献するNPBに渡るのは13%と報じられている。世界のトップ選手の大半がMLBの球団に在籍し、球団が許可しなければ選手は出場できない構図となっている現状で、MLBが既得権益を手放して国際組織の創設と世界大会の開催を認めるとは考えにくい。 B)MLBが世界のプロ野球界を牛耳っており、これに対抗できる組織がない。 野球の普及度が高いのは北米、極東、中米(オランダ領キュラソーを含む)と南米北部(ベネズエラ、コロンビアのカリブ海沿岸)。欧州、南米、アフリカ、極東以外のアジアにはプロリーグがほぼない。 中米と南米北部は、選手育成と選手の活躍の場をMLBに依存する。日本、韓国、台湾にはプロリーグがあるが、MLBに匹敵する収益を上げておらず、競技レベルでも及ばない。このため、WBCでは冒頭に示したようなことがまかり通っている。 ●“春先の国際オープン戦”という立ち位置で続くのか WBCの開催時期が3月なのは、MLBとアメリカの他の主要スポーツの都合を優先するから。アメリカでは4大スポーツのシーズンが分かれており、アメリカンフットボールのNFLが9月から2月まで、バスケットボールのNBAが10月から6月まで、アイスホッケーのNHLが10月から6月まで。MLBはレギュラーシーズンが3月末から9月までで、ポストシーズンが10月から11月まで。他競技との兼ね合い、そして気候上の理由からも、シーズン終了後にWBCを開催することなど考慮に値しないのだろう。 であれば、WBCを開催する年だけシーズンの開幕を早めればいいのではないかと思うが、MLBの各球団がそのような気遣いをする気はなさそうだ。これは日本も同様かもしれないが――MLBの球団が選手の参加に積極的でなかったり、出場に前向きでない選手がいるのは故障と調整不足を懸念するからだ。 球数制限などの特別ルールがあるのも、選手が故障するリスクを軽減するためだし、開催地の選択も、ほぼMLBの一存で決められてきた。 WBCを運営するのがMLBである限り、これらの問題点が解消されることは考えにくい。これまで通り、WBCは不完全な世界大会、いわば“春先の国際オープン戦”として存続し続けるのではないか。日本など限られた国の熱狂を生む一方で――W杯のように、世界中で興奮を巻き起こすのは難しいだろう。野球の競技人口が目に見えて増え、人気が急速に高まることも考えにくい。 ●実はフットボールも“英国限定”から変わるきっかけが それでは、このような残念な現状を変革する奥の手はないものか。 実は、フットボールでも創世期にこれと似た問題が起きた。 1863年にイングランドで競技のルールが制定され、1884年、英国4協会の代表チームが「ブリティッシュ・ホーム・チャンピオンシップ」という対抗戦を創設。以後、毎年開催した。このような状況で、フランスを中心とする欧州諸国が1904年、W杯開催を目指してFIFAを設立したが、英国4協会は見向きもしなかった。FIFAは1930年に第1回のW杯を開催したが、英国4協会は参加を拒否。イングランドが初めてW杯に参加したのは、1950年だった。 フットボールは英国から欧州諸国へ伝播し、フランスを中心とする欧州諸国が英国抜きにでも国際組織を設立したことからW杯開催を実現し、世界的な普及を実現できた。しかし、野球においてはフットボールでフランスが果たしたような役割を果たす国が出現しなかった。 ●変革すべき役割を果たすのは、日本なのではないか いや、実はそのような役割を果たしてしかるべき国がある。日本だ。 日本には野球の競技人口、プロリーグ、組織力、ファンからの支持がある。しかし、悲しいかな、国際的な視野とビジョン、政治力、交渉力に欠ける。このため、野球の世界的な普及に熱心ではなかったアメリカの欠点を補うことができず、現在もWBC運営におけるアメリカの横暴を正すことができていない。 この現状を覆す一手として考えられるのは、日本が韓国、台湾、中国と連携し、4カ国の経済力と競技力を背景としてMLBに国際組織に設立を働きかけるか、せめて公平で効率的な大会運営を促すことだろう。この4カ国抜きでは、WBCの運営と発展に支障をきたすのは間違いないからだ。さらに言えば、日本が1次ラウンドで対戦したチェコでは、初めて地上波テレビで野球中継がされたという。欧州など北中米、東アジア以外の地域での普及に対して、日本のファンを含めて関心を持つきっかけを作ったとも言える。 しかし、問題は日本球界が今挙げたようなビジョン、政治力、交渉力、実行力、説得力、胆力をMLBにぶつけられるかどうか。もしそれがなければ、今後もWBCはMLB以外の誰にとっても不完全で不公平な形で継続していくことになるのだろう――非常に残念ながら。 |
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●侍ジャパンのWBC優勝を「勝利」とするために…「トリプル・ミッション」 4/6
日本中が歓喜の渦に包まれた侍ジャパンのWBC優勝は、普段野球に接することのない方々にも野球の面白さを知ってもらうことができた、まさしく偉業である。野球界はこの熱気を一過性のものとせず、競技の発展に落とし込めるだろうか。 競技発展のメカニズムを分析するツールとして、早稲田大の平田竹男教授が提唱した「トリプル・ミッション」というフレームワークがある。「勝利」「資金」「普及」の3要素とそれら要素間の循環を分析することによって、発展性と課題を浮き彫りにできるこのモデルは、スポーツビジネス界では良く知られ、さまざまに活用されてきている。わたしも博士論文を含め、論文執筆の際に重宝してきた。このモデルをもって、今回のWBCが野球界の発展にどのように寄与できるか、簡単に分析してみたい。 まず「勝利」だが、ここでいう勝利とは試合における勝利だけを指すのではなく、チームや選手が勝利できる環境作り、つまりそのプロセスも含まれる。2014年に侍ジャパンを常設化し、またすべての世代の日本代表の総称ブランドとし、そして活動資金を捻出するために株式会社化(NPBエンタープライズ)した。燎原の火の如く、日本中に応援の輪が広がった現象は、栗山監督の選出にはじまり、代表選手の選出から宮崎での合宿、強化試合まで、一連のプロモーション活動の勝利でもあっただろう。 次に「資金」についても、侍ジャパンを常設化・株式会社化したことにより、日通や三菱UFJ銀行などから継続的なスポンサー支援を得られるようになり、また計画的かつ効果的な強化試合をマッチメークできるようになった。こちらも首尾上々といえるだろう。 こうしてできた資金を「普及」に回せるようになれば、トリプル・ミッションは完成。つまり市場拡大の好循環に入る準備ができているということになるが、そこにはまだ至っていないように見える。たとえば、WBC優勝で関心を持ったジュニア世代に対して、大プロモーションを打ちたいところだが、その掛け声が届く体制にはなっていない。 普及は居住地域、つまりミクロ単位の活動である。組織的な普及活動をするためには、中央から都道府県、市町村単位が有機的に整備された連絡網が必要だ。しかし、野球界には歴史的経緯から、競技を統括する統一団体が存在しないこともあり、顧客(指導者、競技者)関係を管理するまでには至っていない。 こうして見てくると、野球界の弱点はしばしば指摘されていることだが、普及の体制づくりということになるだろう。少子化で説明できない速度で野球離れが進む中、2016年に普及のための任意団体(日本野球協議会)が設立されるなど問題意識は共有されている。少子化は止まらない。あらゆる娯楽産業が洗練されたマーケティング戦略をもって、顧客の争奪戦を繰り広げている。侍ジャパンのWBC優勝を野球業界の「勝利」とするためには、本気印の普及活動に取り組めるかどうかにかかっている。 |
●最速164キロ!! 今季初先発・佐々木朗希の“圧巻”奪三振ショー 4/6
侍ジャパンの先発を担った21歳の剛腕が、今シーズン初白星を手にした。 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場したロッテの佐々木朗希が4月6日、本拠地での日本ハム戦に今季初先発。6回80球を投げ、1安打、無四球、無失点。三振は11個を奪う圧巻の内容でマウンドを降りた。打線も佐々木の力投に応え、6対1で勝利し、佐々木に今季初白星が付いた。 WBCでは3大会ぶりの世界一奪還に貢献した右腕は、本拠地ZOZOマリンスタジアムのマウンドでも躍動した。初回、先頭打者の五十幡亮汰への1球目に、いきなり160キロを計測し、球場の度肝うを抜いた。続く万波中正の5球目には、この日最速となる164キロをマーク。3月4日のWBC強化試合での中日戦でマークした自己最速165キロまで、あと1キロに迫る豪速球を記録した。 威力あるストレートと落差のあるフォークのコンビネーションが冴え、4回2死から6回1死まで5者連続三振を奪うなど、三振は11個を積み重ねた。許した安打は初回の万波に打たれた中安打のみ。6回1安打無四球と、ほぼ完璧と言っていい圧巻の内容だった。 若き剛腕の快投には、SNS上も沸いている。トレンドには『佐々木朗希』が急上昇し、「こりゃ打てんわ……」「佐々木朗希投手、凄すぎでしょ」「ナイスピッチング!」「風が強くてもコントロール乱さない朗希すごいな、オイ」と”令和の怪物”の奪三振ショーにコメント欄は沸いた。 なかには、「打線が死んでる日ハムに佐々木朗希を当てるのは禁止した方がいいのでは?」「こりゃ今シーズン終わったらメジャー行くべきだよ」「はよメジャー行ってくれ!!」とメジャーリーグ進出を願うコメントも寄せられている。 シーズン初陣で素晴らしいピッチングを披露した佐々木。WBCを経て一段と成長した”令和の怪物”に今季も大いに期待だ。 |
●栗山英樹監督が会見 WBC優勝を振り返る 4/6
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、侍ジャパンを3大会ぶり3度目の世界一に導いた日本代表の栗山英樹監督が、3月27日に都内の日本記者クラブで会見を行った。 冒頭から侍ジャパンの指揮官としての重圧について「最初の予選の4試合、予選落ちするわけにはいかないプレッシャーはあった。人生の中でこれから先、あんな感じに自分が追い込まれていくことはないんだろうな」と正直に吐露。大谷翔平(エンゼルス)やダルビッシュ有(パドレス)をはじめとしたメジャー・リーガーの招集については「みんなが夢を持てるようなチームをつくらなければならないというのは大きな使命だった」と振り返った。 アメリカとの決勝では8回ダルビッシュ、9回大谷という夢の継投が実現したが、「アメリカのメジャー・リーガーを最後に抑えるとしたら誰でも思い浮かぶのはあの2人。若いピッチャーからどんどん突っ込んでいったが、一人ひとりに聞いたら『足が震えた』とか『全然覚えてない』とか。後ろに行けば行くほどプレッシャーが掛かるので。最後、あの2人くらいしか超えられないかな」と説明。そして、「ただ、そこまでが僕の仕事だと思っていた」と、覚悟と信頼を持っての起用だったことを口にした。 一方、大会のあり方に苦言を呈す場面もあった。日本人MLB選手の参戦については「今の形のままではMLB選手は参加しにくくなる。それはファンにとっても面白くない」と語り、大会中の日程変更にも言及。「ルールを最初から決めておかないと。準決勝はアメリカだと思っていた。優勝したいという以上に、アメリカをやっつけたいと、そのためにピッチャーの起用も考えていたが、(実際には)アメリカとは決勝だと。結果的に良かったが、何年もかけて準備をしてきている。途中で変わるのはいくらメジャーが主催でも違う。それは訴えてきたし、ルールは決めてほしい」と言葉を強めていた。 「侍の四番」として重責を担った村上宗隆(ヤクルト)とのやり取りから、捕手3人の起用法、日系人選手として画期的な侍参戦となったラーズ・ヌートバー(カージナルス)の招集について悩みや葛藤があったこと、国内のフィーバーについて「1人でも2人でも子どもたちが野球をやってくれるかもしれない」という将来への期待まで、多くのことを振り返りながら侍ジャパンのWBCでの戦いを総括。自身の今後については「自分の夢というか、やらなければならないことに向かってしっかりやっていきたい。子どもたちに対して何かできることはやらなければならない。誰も僕に何かやれと言われなければ、何か探して一生懸命やっていく」と語った。 最後は「感謝」と座右の銘である「夢は正夢」としたためた色紙を披露。21年末の監督就任から務めた大役を、最高の形で終えた。 |
●大谷翔平、ヌートバー、吉田正尚…メジャーで躍動する 4/6
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が熱狂のうちに終わり、メジャーリーグが開幕。日本チームを優勝に導いた侍ジャパンの戦士たちの活躍は続いている。 ●大谷翔平選手 3月30日(日本時間31日)、2年連続で開幕戦の先発投手に指名され、「3番・投手」で出場。6回を10奪三振、無失点に抑えた。4回裏に折れたバットが飛んでくるハプニングがあったが、とっさの大ジャンプで回避。 4月1日(同2日)のアスレチックス戦では、藤浪晋太郎選手との同級生対決が実現した。藤浪選手は2012年のドラフト会議で、大谷選手とともに高卒で1位指名されプロ入り。対決では大谷選手がフェンス直撃のタイムリー2塁打を放った。高校当時、大谷選手が「藤浪に勝たないと」と、寮の自室に藤浪選手の雑誌記事を貼るほどライバル視していた。 エンゼルスの大谷翔平選手は、4月2日(同3日)開幕3戦目に「3番・DH」で先発出場。5回表に今季初アーチとなる特大136.2メートルの中越えソロホームランを放った。WBC決勝戦でアメリカ代表の最後のバッターとして大谷選手と対戦した、マイク・トラウト選手との2者連続弾となり「トラウタニ」が早くも実現。ベンチに帰ってきた際に「ピース」のパフォーマンスで喜びを露わにした。さらに翌日の試合でも、勝ち越し2ランホームランを打つ活躍。 ●ラーズ・ヌートバー選手 30日、大リーグ3年目で初の開幕戦スタメンを勝ち取り「2番・レフト」で出場したカージナルスのヌートバー選手。6回裏、レフト前に今シーズン初ヒットを打ち、塁上でポーズをきめた。“ペッパーミル“ではなく、両手をフリフリする“ソルトシェイカー(塩をふる)”パフォーマンスを披露した。しかし、その後3塁へスライディングした際に左手親指を痛め、負傷者リスト入り。早い回復が待たれる。 ●吉田正尚選手 レッドソックスの吉田正尚選手は、30日の開幕戦に日本人野手では初めて4番打者(4番・レフト)でデビュー。4打数2安打1打点の活躍で、本拠地フェンウェイ・パークのファンから大歓声を浴びた。開幕戦でのマルチ安打デビューは2001年のイチロー選手ら4人目で、15年ぶりの快挙となった。さらに3日(日本時間4日)には、左中間に特大のメジャー初本塁打を放った。 |
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