政治後回し 延命 しがみつく岸田総理 

延命のためなら
何でもあり
税金バラマキ 政権維持

政治後回し 
総理 役職にしがみつく  



・・・ 政治家のいない国
 


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●自民党・派閥パーティー券問題が直撃 2024年岸田首相の政権運営は 1/1
自民党の派閥のパーティー券問題は岸田政権を直撃しています。岸田総理大臣はどう政権運営にあたるのか。江口記者のリポートです。
政治とカネの問題で、逆風が吹き荒れた12月。自民党内に「総辞職するのでは」といった声があることに岸田総理は、こう答えました。
岸田総理「今はそうした先のことを考えている、そういった余裕はないと」
総理自身は周辺に「自分が辞めて何か解決するのか。辞めて解決するならいつでも辞めてやる」と話すなど、まずは政治不信の払拭に全力をあげる考えです。
岸田総理「政治において結果を出すためにも、国民の信頼、そして政治の安定、これが何よりも重要だと」
政治とカネの問題にどう向き合うかは当面の最大の課題です。
ある閣僚経験者が「まずは岸田派を解散しないと何も始まらない」と述べるなど、党内には「派閥解消」にまで踏み込むべきとの意見もあり、総理の判断が注目されています。
また、1月に始まる通常国会では野党の厳しい追及を受けるのは避けられません。
立憲民主党・泉代表「自民党政権の延命を許さない。裏金政権の延命を許さない。派閥政治の延命を許さない」
ある立憲幹部は「通常国会は『パー券国会』になる。すでに岸田政権は崖っぷちだがさらに追い込む」と意気込んでいます。
今年は、衆議院解散・総選挙のタイミングをうかがいつつ、9月の自民党総裁選挙で再選を果たすことが最大の政治目標になるはずでした。
ただ、政治とカネの問題は大きな「足かせ」になっています。
政権発足以来、最も厳しい目が向けられている岸田総理。
総理として迎える3度目の年明けは困難な1年の幕開けになります。
●立民 小沢衆院議員 “野党間の連携深め政権交代目指すべき” 1/1
立憲民主党の小沢一郎衆議院議員は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について、自民党政権による思い上がりが招いたと批判したうえで、野党間の連携を深め政権交代を目指すべきだという考えを示しました。
立憲民主党の小沢一郎衆議院議員は1日、昼すぎ東京都内の自宅で新年会を開き、党所属の国会議員や地方議員らおよそ60人を前にあいさつしました。
この中で、小沢氏は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について「自民党政権でかつては考えられないような非常に幼稚でありえないような行為が、公然と当たり前のように続けられてきた。まさに権力の思い上がりだ」と批判しました。
そのうえで「本来なら岸田内閣を倒して自民党に下野を迫るような勢いを持たなければならないにも関わらず、立憲民主党からほとんど大きな声は上がらない。『日本維新の会は嫌いだ』などと言っていたのでは、いつまでも自民党の腐敗政治を許すことになり、立憲民主党が大きな心と目的を持ちほかの野党と協力を誓い合う年にしなくてはならない」と述べ、野党間の連携を深め、政権交代を目指すべきだという考えを示しました。
●裏金問題捜査で田崎史郎が「安倍政権時代なら法務省と官邸で内々に」 1/1
東京地検特捜部が松野博一・前官房長官、世耕弘成・前参院幹事長、西村康稔・前経済産業相、萩生田光一・自民党政調会長、高木毅・自民党国対委員長ら安倍派幹部への任意の事情聴取をおこなうなど、捜査が本格化している政治資金パーティ裏金問題。ある人物の発言がSNS上で注目を集めた。
それは、政治ジャーナリスト・田崎史郎氏が昨年12月16日放送『情報7daysニュースキャスター』で発したコメントだ。
「こういう事件の時は、法務省が官邸と内々に打ち合わせをして、黒を白にすることはないですけど、“このへんでね”という(妥協案の提示の)話が、行われるものなんですよ。安倍政権ではあったんです」
「それを岸田官邸は一切やってない。法務省の情報も東京地検特捜部の情報が全然、取れてないから分からない」
ようするに、安倍政権時は安倍官邸と法務省・検察が内々に“手打ち”していたが、岸田官邸はそれをやっていないから捜査情報を把握できていない、と田崎氏は言うのだ。
言わずもがな、検察は捜査権と公訴権を有する唯一の機関で、この国で閣僚クラスの大物政治家の汚職を摘発するのも実質的に検察だけだ。そのため検察は行政機関でありながらも政治からの中立性と独立性が求められる。しかし、安倍官邸は法務省を通じて検察の捜査に介入していた、というのである。
三権分立を踏みにじる安倍政権の横暴を、さも当然のことのように平然と語る政治ジャーナリスト……。これにはSNS上で田崎氏の倫理観を批判する意見が寄せられているが、問題は、安倍官邸が法務省と“手打ち”することで検察の捜査を歪めてきたという事実のほうだ。
あらためて振り返るまでもなく、安倍政権下では政治家絡みの告発がことごとく潰され、今回の裏金よりも悪質性が高いと思われるような事件でも検察は「不起訴」を連発してきた。田崎氏は「黒を白にすることはないですけど」などと言っていたが、まさに「黒を白にする」行為をしてきたのだ。
小渕優子の政治資金問題も、甘利明の1200万円賄賂疑惑も、なぜか不起訴に
その最たる例が、2014年に経産相だった小渕優子衆院議員や、法務相だった松島みどり衆院議員など、当時の安倍政権閣僚に次々と噴出した公選法違反疑惑だ。
小渕氏のほうは、選挙区内の有権者を含む女性支援者を集めて明治座を借りきって開催していた観劇会について、収支報告書では支出が収入を大きく上回る記載をしていることなどを「週刊新潮」(新潮社)がスクープ。その後も小渕氏の写真がラベルされたワインを有権者に配った疑惑なども持ち上がり、政治資金規正法違反や公選法違反(寄附行為)の疑いで告発された。一方、松島氏は似顔絵入りのうちわ(1本80円)を2万本作成し、自身の選挙区内のお祭りで無料配布していたことが発覚。公選法違反(寄附行為)の疑いで告発された。
だが、東京地検特捜部は2015年、小渕氏の元秘書が在宅起訴したが、小渕氏・松島氏ともに嫌疑不十分で不起訴処分に。とくに小渕氏の場合、東京地検特捜部が関係先を家宅捜査をする前にハードディスクを電気ドリルで破壊していたと報じられただけでなく、架空の資金移動や収支の過少記載によって裏金をつくり、その裏金で観劇会の費用などを補填。虚偽記載の総額は約3億2000万円にものぼっていた。いや、そもそも小渕氏の問題は、虚偽・不記載だけではなく有権者買収での立件も可能な事件だったのに、だ。
しかも、小渕氏が立件されないことを、かなり早い段階で安倍官邸は知っていたはずだ。小渕氏の問題では2014年10月20日に小渕氏が経産相を辞任し、30日には関係先の家宅捜査がおこなわれたが、小渕氏は自民党を離党することもなくこの年の12月におこなわれた総選挙に出馬したからだ。つまり、この時点から、安倍官邸と法務省・検察の一体化が疑われていたのである。
そして、安倍官邸と法務省・検察の一体化が露骨に浮かび上がったのが、2016年に発覚した、経済再生担当相だった甘利明氏の“1200万円賄賂疑惑”をめぐる一件だ。
この疑惑は2016年1月、千葉県の建設会社・薩摩興業の依頼で都市再生機構(UR)へ移転補償金の値上げを“口利き”した見返りに、甘利氏が少なくとも総額1200万円の現金や飲食接待の賄賂を受けとっていたと「週刊文春」(文藝春秋)がスクープ。薩摩興業の元総務担当者の告発によると、公設秘書ら2人に現金500万円、さらに甘利本人に50万円を2回、計100万円を手渡していたといい、「五十万円の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットにしまった」「甘利さんは『ありがとう』と言って、封筒を受け取りました」と証言。甘利事務所が現金を受け取ったことを証明する領収証や、甘利の公設秘書らがUR側に補償金アップの働きかけをする交渉を録音したテープなどの物証もあった。
この甘利氏の口利き、賄賂疑惑はあっせん利得処罰法違反はもちろん、刑法のあっせん収賄罪の対象にもなりうる案件だ。東京地検特捜部も2016年4月にURを家宅捜索、甘利氏の元秘書らを事情聴取するなど、明らかに立件を視野に動いていた。
ところが、それが2016年7月の参院選を前に事態は一転し、秘書を含め全員に「不起訴」の判断が下ってしまったのだ。
安倍官邸が検察・法務省に圧力をかけていたことを示す証拠文書も!「官邸も、法務省に何度も巻きを入れている」との記述
甘利事件の「不起訴」の裏には何があったのか。それは当時、法務省官房長で、2020年に賭け麻雀問題で東京高検検事長を辞任した黒川弘務氏の捜査介入だ。
当時、国会議員秘書初のあっせん利得法違反を立件すると意気込んで捜査をおこなっていた特捜部に対し、法務省官房長だった黒川氏は「権限に基づく影響力の行使がない」という理屈で突っ返し、現場が今度はあっせん収賄罪に切り替えて捜査しようとしたが、これも「あっせん利得法違反で告発されているんだから、勝手に容疑を変えるのは恣意的と映る」などと拒否。さらには秘書の立件すら潰してしまったのだという。実際、甘利氏の不起訴の方針が決まった後、現場の検事の間では「黒川にやられた」という台詞が飛び交ったという話もある。
この甘利事件を潰した論功行賞として、黒川氏は2016年9月に法務省事務方トップの事務次官に就任したのだが、じつは甘利氏が不起訴となった前後にも、告発を受けていた自民党の松村祥史参院議員による計3500万円の不記載、同じく自民党の島尻安伊子・元沖縄北方担当相の計1050万円の不記載の問題でも、検察は不起訴処分に。
さらに、同年11月には、国会でも問題となっていた下村博文・元文科相が自身の支援団体「博友会」を政治団体として届け出ずに年会費名目で政治資金を集めたり、同会からの寄付を会員からの寄付と偽ったりしたなどとして政治資金規正法違反の疑いで告発されていた問題が不起訴に。
さらに、検察・法務省の安倍政権に全面屈服していることをあからさまに証明したのが、森友学園事件だった。
森友事件では、公文書変造、虚偽公文書作成の疑いで財務省元理財局長の佐川宣寿氏らが刑事告発。また、国有地を8億円あまりも値引きし売却したことについても、近畿財務局と国土交通省大阪航空局の職員が背任容疑で告発された。しかし、大阪地検特捜部は2018年5月31日、告発された38人全員を不起訴とした。その4日後である6月4日、財務省はお手盛りの調査報告書を公表し、収束を図った。
しかも、この森友公文書改ざん事件では、官邸と財務省、法務省が完全にグルになって政治的決着をはかっていたことを示す証拠が存在する。国交省と財務省のやりとりが記録された内部文書に、法務省との交渉についても記されていたのだ。これは、2018年6月18日の参院決算委員会で日本共産党の辰巳孝太郎・参院議員が公表したものだが、文書にはこうした記述があった。
〈5/23の後、調査報告書をいつ出すかは、刑事処分がいつになるかに依存している。官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れているが、刑事処分が5/25夜という話はなくなりそうで、翌週と思われる。〉
つまり、大阪地検が不起訴処分を発表する前に官邸はその結果を把握しており、官邸は検察が捜査結果を早く公表するよう法務省に圧力をかけていたというわけだ。まさに、田崎氏の発言どおり、法務省を通じた“手打ち”がおこなわれていたのである。
また、2017年には、安倍首相の友人がオーナーの加計学園の国家戦略特区指定をめぐり、安倍首相本人や総理府・官邸が文部科学省に圧力をかえていた問題が浮上したが、これも検察は動かなかった。2018年8月には下村・元文科相が加計学園の秘書室長から政治資金パーティ券の代金計200万円を受け取りながら収支報告書に記載しなかった問題も不起訴となっている。
安倍政権下で数々の不祥事を潰してきた黒川弘務・元東京高検検事長 安倍内閣は黒川の定年を勝手に延長
森友・加計問題という安倍首相が深く関与していた重大事が、ことごとく不起訴になる──。そうして黒川氏は2019年1月、ついに東京高検検事長に就任。2020年1月14日には「桜を見る会」問題で安倍首相自身が背任罪で告発されるが、同月31日に安倍政権は黒川氏を検事総長にすべく、検察庁法で定められた定年を閣議決定によって勝手に延長。同じ日、安倍首相の背任罪の告訴は不受理となった。
ご存知のとおり、黒川氏はその年の5月、記者との賭け麻雀問題を受けて辞表を提出し、安倍首相も9月に辞任した。だが、これで抑えつけられてきた検察による政界捜査が真っ当におこなわれるようになったわけではない。
実際、やはり安倍元首相本人が公選法違反や政治資金規正法違反容疑で告発された「桜を見る会」前夜祭問題でも、検察はハナからやる気なし。東京地検は2020年12月、安倍元首相の公設第1秘書だった配川博之氏を政治資金規正法違反(不記載)の罪で略式起訴。しかし、前夜祭の費用負担が公選法違反の寄附にあたるとして告発された件では容疑不十分で2度にわたって不起訴となった。一方、安倍氏は公職選挙法(選挙区内の寄附)違反容疑などで不起訴となり、その後、検察審査会から「不起訴不当」の議決を受けたが、2021年11月に再び不起訴処分(容疑不十分)とした。
だが、2022年に明らかにされた前夜祭の開催にかかわった秘書らの供述調書を読むと、当初から前夜祭の費用を事務所側が負担することの違法性を理解しており、確信犯で費用の補填と収支報告書への不記載を実行していたことが浮き彫りに。いかに捜査がお手盛りのものだったかを裏付けている。
さらに重要なのは、河井克行・元法相と河井案里氏が引き起こした2019年参院選の大規模買収事件だ。
河井事件は安倍首相が黒川氏の定年延長にこだわった理由とも言われたが、結果的に安倍首相が在任中の2020年6月に河井夫妻は逮捕され、克行氏は懲役3年の実刑判決、案里氏は懲役1年4カ月・執行猶予5年の有罪判決が確定した。だが、河井事件で東京地検特捜部は、元広島市議に対して最高検察庁が取り調べが不適正だったと認める供述誘導をおこなう一方、検察は買収の原資については捜査のメスを入れず、公判でも解明されることはなかった。
しかし、今年9月になって、中国新聞が2020年1月に検察当局が河井元法相の自宅を家宅捜索した際に発見されたメモの存在をスクープ。そのメモには、自民党本部から振り込まれた計1億5000万円を指す記述の下に、「+現金6700」「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と手書きで記されていたという。つまり、河井陣営に対しては自民党本部からの支出のほかに、安倍首相や菅官房長官、二階俊博幹事長らといった当時の政権幹部から「現金」で計6700万円が提供され、選挙買収の資金に充てられたのではないかと見られるのだ。
ところが、時の総理大臣をはじめとする政権幹部が資金提供していたことが疑われる物証まで掴んでいながら、河井元法相の公判でも検察はメモを証拠として提出することもなかった。安倍・菅・二階・甘利という政権幹部4人は買収罪や買収目的交付罪に該当する疑惑が浮上していたというのに、家宅捜索はおろか、聴取さえ実施されなかったというのだ。
安倍政権下や安倍氏の在命中は政治家の疑惑はまともに捜査されず 検察は今度こそ徹底的な捜査を!
このように、安倍政権下や安倍氏の在命中には「政治とカネ」をはじめとする政治家の疑惑に対して真っ当な捜査がおこなわれず、闇に葬られてきた。検察がいまになって安倍派に捜査のメスを入れるという政界捜査を本格化させたのも、安倍元首相が亡くなったことにくわえ、岸田政権の支持率がだだ下がりでレームダック化していることと無関係ではない。
権力の大きさによって捜査が左右されるようなことはあってはならないが、この自民党政権の約10年で溜まりに溜まった膿を吐き出すためにも、今回の裏金捜査は重要な意味をもつ。
安倍派の裏金問題は、安倍派の事務総長を務めていた松野・前官房長官、西村・前経済産業相、高木・前国対委員長に加え、世耕・前参院幹事長、萩生田・前政調会長ら、安倍派5人衆の不正がかなり濃厚になっているが、彼らはまさに、安倍政権の検察メディア支配を支え、自らも官僚やマスコミに圧力をかけ、支配する安倍首相とそっくりの独裁体質を持つ政治家連中だ。
一部の政治勢力によって行政が歪められ、権力の不正が横行するような政治の再来を防ぐためにも、検察は今回こそ徹底した捜査を行う必要があるし、国民も最後まで検察の動向を監視し続ける必要がある。

 

●政策活動費、使途公開義務化を 山口公明代表 1/2
公明党の山口那津男代表は2日、自民党派閥の政治資金問題を受け、使い道を明らかにする必要のない「政策活動費」の使途公開を法律上、義務化すべきだとの考えを示した。東京・池袋駅前で街頭演説し、「使い道が明らかにされず政党幹部に配られている。不透明な政治資金の流れの温床となっていると言わざるを得ない」と指摘した。
山口氏は、パーティー券購入者名などを政治資金収支報告書に記載する基準を現行の1回当たり「20万円超」から「5万円超」に引き下げる考えも重ねて強調。党でまとめる政治改革案について「今月のできるだけ早い時期に提案し、国会論議に反映させ合意形成をしたい」と述べた。
●キングメーカーの麻生氏が描く「岸田政権は3月訪米と予算成立で退陣」 1/2
今年は解散総選挙が行われる可能性が極めて高い。
解散権を行使するのは、国民から見放されて内閣支持率が1割台まで落ち込んだ岸田文雄首相ではない。新しい首相だ。
岸田首相は3月上旬の国賓待遇の訪米と、3月下旬の予算成立を花道に退陣し、緊急の自民党総裁選を経て茂木敏充幹事長を新首相に担いでただちに解散総選挙へーーこれがキングメーカーである麻生太郎副総裁の描くシナリオである。
内閣支持率が続落する岸田首相に解散総選挙を断行する力はない。来年秋の総裁選で再選を果たすのは困難だ。麻生・茂木・岸田の主流3派体制を維持するには、岸田政権から茂木政権への移行を円滑に進めたい。
最大の問題は、茂木氏が国民にも自民党員にも人気がないことだ。
ライバルは、非主流派の菅義偉前首相と二階俊博元幹事長が担ぐ石破茂元幹事長である。石破氏は世論調査の「次の首相」トップに返り咲いた。無派閥の菅氏や石破氏は世論の支持が頼みだ。
総裁任期満了に伴う来年秋の総裁選は党員も投票に参加し、石破氏に有利、茂木氏に不利となろう。
そこで岸田首相に任期途中で電撃辞任してもらい、緊急の総裁選に持ち込む必要が出てくる。
緊急の総裁選は党員が投票せず、国会議員と都道府県連代表だけで決める短期決戦となる。これなら派閥の多数派工作で茂木氏が優勢だ。
最大派閥の安倍派は、集団指導体制を主導してきた5人衆(萩生田光一、西村康稔、松野博一、世耕弘成、高木毅の5氏)が裏金事件で全員失脚し、壊滅的状況にある。主流3派が結束して茂木氏を担げば、指導者を失った有象無象は「勝ち馬に乗れ」と主流3派になびくだろう。
安倍・麻生・茂木・岸田・二階の5派閥が裏金事件で刑事告発されたのに、検察当局が強制捜査に踏み出したのは最大派閥の安倍派と非主流派の二階派だけである。この捜査はまさにキングメーカーの麻生氏の意向に沿った国策捜査なのだ。
岸田から茂木へーー。麻生氏のシナリオは着実に進んでいる。
4月28日には旧統一教会問題やセクハラ疑惑で批判を浴びるなかで急逝した細田博之前衆院議長の死去に伴う衆院補選が予定されている。公選法違反で年末に逮捕された柿沢未途衆院議員や裏金事件で強制捜査を受ける安倍派の議員らが議員辞職すれば、補選の数は増え、自民大逆風の選挙となる。せっかく茂木政権が誕生してもいきなり補選で惨敗すればたちまち失速してしまう。
これを避けるには、新政権誕生の「ご祝儀相場」の勢いで補選前に衆院を解散し、4月28日投開票の日程で総選挙を行うのが一番だ。
そのためには4月16日の補選告示前に解散する必要があり、日程を逆算すると、3月22日ごろには予算を成立させ、岸田首相が退陣表明して、ただちに自民党総裁選に入り、4月1日ごろには新総裁を選出しなければならない。新内閣が発足して4月12日ごろまでに解散すれば、間に合う。
最大の懸念材料は、岸田首相が3月の訪米と予算成立を花道に、素直に退陣してくれるかどうかである。
岸田 崖っぷちの抵抗
岸田首相は就任当初から宏池会(岸田派)の歴代首相の在任期間を気にしていた。
すでに大平正芳と宮沢喜一を抜き、歴代3位になった。1500日を超える創始者・池田勇人は別格として、今年2月には鈴木善幸を抜いて歴代2位に躍り出る。老舗派閥・宏池会の歴史に堂々と名を刻むことができる。首相退任後も派閥のドンとして影響力を残すことも可能だろう。
何としても2月は乗り切りたい。それが岸田首相の願いである。
岸田最側近の木原誠二前官房副長官(現幹事長代理)も「2月まで首相をやればもう十分でしょう」と周囲に漏らしている。
麻生氏は3月の訪米と予算成立を花道に退陣させるシナリオを描いたのも「2月さえ乗り切れば」という岸田首相の心中を察してのことだ。
とはいえ、岸田首相本人としては「2月」は最低条件でしかない。来年秋の総裁選で再選を果たすことは難しいとしても、「1日でも長く首相を続けたい」と思っている。支持率さえ回復すれば、あわよくば総裁再選を果たしたいとも願っている。
岸田首相は訪米時期をできればゴールデンウィークまで引き伸ばしたかった。バイデン大統領に国賓待遇で招待されたのは岸田首相である。訪米が終わるまで、麻生氏も強引に辞めさせるわけにはいかない。
だが、訪米時期をめぐる駆け引きは、麻生氏の勝利に終わったようだ。日米両政府は3月前半で調整しているとマスコミ数社が報じている。外務省など霞が関はすでに岸田政権は長くはないとみて、キングメーカーの麻生氏の顔色をみて動いているのだ。
そこで岸田首相は通常国会の召集時期で巻き返しに出た。召集日をできるだけ先送りすることで予算成立も遅らせ、4月解散総選挙の日程を間に合わなくさせる狙いだ。
麻生氏は1月22日召集を念頭に置いていたが、岸田首相は裏金捜査の行方を見極める必要があるとして1月26日に先送りすることを画策。年末時点では、読売新聞は「22日軸」、共同通信は「26日軸」と報じ、政権内部で攻防が続いていることをうかがわせた。
もうひとつ抵抗する材料は、裏金事件を受けた政治資金規正法の改正や脱派閥といった政治改革だ。
政治改革を担う新組織のトップに菅氏?
岸田首相は年明けのなるべく早い時期に、裏金事件で失われた政治への信頼を回復させるための新組織を立ち上げ、政治資金規正法の改正に加えて派閥政治を解消するための施策を検討すると表明している。
一方、麻生氏は安倍派壊滅によって主流3派の優位が確立したのだから「脱派閥」の流れが強まることは阻止したい。政治資金規正法の改正を骨抜きにしたいのは麻生氏に限らず自民党内の大勢だ。
自民党は、旧統一教会問題では茂木幹事長をトップとする「党改革実行本部」で対応策をまとめた。麻生氏は今回のこの組織を使って政治資金規正法の改正や脱派閥への取り組みを玉虫色にして「軟着陸」させたい考えだ。
これでは岸田首相は3月退陣へのレールに乗せられて着実に進んでいくことになる。
岸田首相としては政治改革議論を盛り上げ、内閣支持率を回復させ、3月退陣の流れを食い止めたいところだ。麻生・茂木ラインから主導権を取り戻す必要がある。
そこで浮上しているのは、新組織のトップに麻生氏の宿敵である菅義偉前首相を起用する案だ。非主流派で無派閥の菅氏と電撃的に手を結び、脱派閥の機運を一気に高め、麻生・茂木に対抗する構想である。
岸田首相が麻生・茂木に対抗して菅氏との連携を探るのは初めてではない。昨年9月の内閣改造・党役員人事でも茂木幹事長を更迭し、菅氏に近い森山裕氏や茂木派の次世代ホープである小渕優子氏を幹事長に抜擢する「主流派組み替え」を画策した。
土壇場で麻生氏に猛反対されて断念し、茂木幹事長を留任させたが、ここから岸田政権は坂道を転がり落ちたという後悔が岸田首相にはあろう。今回の政治改革はいまいちど菅氏との連携を探ろうというわけだ。
だが、昨年9月の人事で麻生氏に押し切られたのに、今回の政治改革で麻生氏を突き放すことが岸田首相に本当にできるのか。「麻生氏からの自立」は岸田政権にとってなかなか果たせぬ課題なのだ。
当面は焦点は、通常国会の召集日と政治改革を担う新組織の人事である。キングメーカーの麻生氏と岸田首相の水面下の駆け引きに注目だ。
●田中真紀子「有権者を愚弄するのもたいがいにしな」… 1/2
岸田文雄内閣の「オワコン」化が止まらない。パーティ券収入を巡る組織的な裏金づくり疑惑の直撃を受け、自公政権では麻生太郎内閣以来の内閣支持率10%台に入った。報道各社が毎月発表する支持率は元々じわじわ下げていたが、完全に底が抜けた形だ。過去、竹下登内閣や森喜朗内閣で記録した1ケタ台に沈むことも見えてきた――。
キングメーカー然としていた森氏は雲隠れ
今回の問題が表面化して以来、自民党最大派閥、清和政策研究会(安倍派)は機能不全に陥っている。「最低限、現職議員1人は挙げ(逮捕し)ないと終われない」(関係者)という状況の中、派関係者や所属議員が相次いで検察当局の任意聴取を受ける。連日の報道を受け、仕事納めを前にした年末の永田町では、5人衆と言われる派閥幹部をはじめ所属議員の離党も噂されるなど、混乱に拍車がかかっていた。ただ、森喜朗内閣以降、主流派としてカネと人事を握り続けた清和会に対し、蓄積した嫉妬は深い。党内からは「盛者必衰だよ。令和の平家物語だね」と冷ややかな声も上がる。
そんな中、同派に強い影響力を持ち、キングメーカー然としていた森氏は雲隠れを決め込んでいる。
2023年夏、背骨を圧迫骨折して車椅子での生活を余儀なくされた森氏だが、その後も陰に陽に存在感を示してきた。ある自民党関係者は「あの人の強さの源泉の1つはマスコミだよ。自分のストーリーで情報を流して局面を有利に進める。政治の世界はしゃべることが、力の源泉になるからね」と話す。
森氏が定期的に連載していた地元・石川県の北國新聞で、派閥領袖に意欲を見せていた下村博文元文科相が土下座で懇願したと明かし、さらにその際2000万円を持参したとのエピソードも文藝春秋誌上で語ってみせたことは記憶に新しい。下村氏側は全否定しているが、こうした「暴露」が安倍晋三元首相の死後に繰り広げられた派のトップを巡る暗闘に、少なくない影響を与えたことは明らかだ。この件に限らず、とにかく森氏は多くの媒体に直接、間接を問わず自らの発言を露出させ、思惑を反映させられる環境づくりに勤しんできた。
北國新聞での連載も突如終了「あの人は全て分かっている」
そんな森氏の発信が、ぱたりと止まったのだ。2023年12月初旬、西村康稔経済産業相、世耕弘成参院幹事長(いずれも当時)と都内のホテルで会食したが、「肉声」が漏れることはなかった。北國新聞での連載も突如、終了が発表された。今回の問題について「あの人は全て分かっている」とされる森氏だけに、沈黙は意味深長だ。
パーティ券問題では、検察の任意聴取が名目上の派閥トップである「座長」に就く塩谷立衆院議員にも及んだ。捜査は基本的に公訴時効である5年前までが対象となるものの、「近頃突然始まった問題でないことは明らか」(全国紙社会部記者)だけに、歴代の清和会トップ経験者の動きにも焦点が当たる。しかし、存命者は少ない。
安倍氏や細田博之元衆院議長、町村信孝元衆院議長は死去し、中川秀直元幹事長、谷川秀善元参院幹事長も町村氏と集団指導体制の一翼を担ったに過ぎない。小泉純一郎元総理とて、森氏が政権を担っていた際の「名代」だ。清和会関係者は「四半世紀近く派閥を牛耳ってきたのは森さんだ」とした上で「塩谷さんが『キックバックはあった』と自白じみた不用意な発言で検察を本気にさせた。痛い腹だからこそ、下手に目立って探られたくないんですよ」と声を潜める。
黙っていれば、嵐が過ぎ去ると
「黙っていれば、嵐が過ぎ去ると考えているんでしょ。森先生は野党にも顔が広いからね」。ある自民党現職国会議員はこう語り、嘆息する。確かに、森氏の影響力は清和会だけにとどまらない。森氏と同窓の早稲田大出身者を中心に多くの政界関係者が森氏のもとに通い、持ちつ持たれつの関係を築いてきた。
ある永田町関係者は野党議員による『森詣で』として「立憲民主党の安住淳・国対委員長や辻本清美参議院議員は目立っていた」と明かす。この関係者は「森さんの雲隠れには、計算があると思いますね」とも語る。「安住さんが国対を切り回せるようになったのは、森さんが口添えして自民党国対の森山裕衆院議員との良好な関係を築けたから。安住さんは森さんに大恩がある。だから、パー券問題で追及はしても、森さんまで関わるような攻め方はできない、と見ているのでしょう」と分析する。
清和会所属の宮澤博行前防衛副大臣が「派閥から、(キックバックを)収支報告書に記載しなくて良いと指示があった」と暴露した。指示の真偽確認はもちろん、政治とカネを巡っての膿を出し切る上で、森氏の証言は大きな意味を持つ。しかし、現役議員から森氏ら引退組への言及する動きはない。ベテラン秘書は「最終的には自分たちに跳ね返ってくるんだから、言うわけがないよ。触らぬ『森』に祟りなし、だ」と吐き捨てる。
火中の栗を誰も拾いに行かない自民党の薄情
党内最大派閥はグリップが効かず、漂流している。自派の将来に黄信号が灯っている状況で、とても岸田氏を支え、再浮上させる余力はない。「そもそも、事実確認前に政務官を含めて全員の首を斬るなんて無茶苦茶だ。心情的に俺はもう非主流派だよ」(清和会中堅)との声も上がる。
主流派の平成研究会(茂木派)や志公会(麻生派)も火中の栗を拾おうとしない。
茂木敏充幹事長は政権の窮地に静観を決め込む。「今総裁に手を上げても逆風が強すぎる、と思っている。もちろん意欲が消えたわけじゃない。でも、タイミングが悪すぎる」。茂木氏周辺はこう解説する。実際、茂木氏は今のところ、高市早苗経済安保相が勉強会を発足させたような政局じみた動きは見せない。政治資金規正法の改正をはじめ「官邸のオーダーに従って、粛々と仕事をこなす」(茂木氏周辺)中で、局面転換を待つ。もちろん、それは積極的というよりも、消極的な支持だ。そんな空気を察してか、岸田氏の出身母体、宏池会(岸田派)の関係者は「茂木さんは心ここにあらず、という感じが見え見え。(岸田)総理はもともと茂木さんを信用していないが、今回の件でさらにそれは強まっただろう」と語る。
志公会も、麻生氏が高木毅国対委員長の交代を巡る「好き嫌い人事」で岸田氏を振り回した。パーティ問題を巡り辞任した高木氏の後任には、紆余曲折があったが浜田靖一元防衛相の起用が決まった。ただ、浜田氏は就任の条件として御法川信英元国対委員長代理の再登板を求め、これに麻生氏が難色を示していたのだ。
ご意見番気どりの石破茂に「また始まった」の声
かつてパーティならぬ「パンティー問題」で世間をにぎわせた高木氏は、国対委員長としての仕事ぶりが酷評され「『高木不在』ということで『ノーパン国対』と揶揄されていた」(永田町関係者)ほどだった。そんな高木氏に代わって実務を裁いていたのが御法川氏だった。岸田政権としては、通常国会の野党対策は予算通過などを見通す上で極めて重要だ。国対経験が長い浜田氏と、実務能力が高い御法川氏のコンビは、岸田氏側にとっても渡りに船の提案だったが、麻生氏側の意向から、決定するまで時間を要した。
「御法川さんは、サトベン(佐藤勉元総務会長)さんの仲間だからね。麻生先生にとっては、凶状持ちなんだよ」。党関係者はこう話す。令和4年2月、御法川氏は佐藤氏に同調し、計4人で麻生派を退会した。それ以来、「派内でこの4氏に言及することはご法度だ」(志公会担当記者)という。永田町では、「麻生氏サイドとしては、一度ならず二度までも国対委員長代理という要職に就くのは認め難いという意向だ」などとの噂が飛び交っていた。あるベテラン国会議員は「麻生先生が実際に何を考えているかは別として、党の緊急事態に『私情で人事を曲げた』なんて噂がでるような振る舞いはするべきじゃないよね」とこぼす。
「小石河」の一角、石破茂元幹事長も、予算通過後の退陣に言及し、自身の総裁選出馬にも含みを持たせる発信を続ける。ただ、これについては「いつもの『ご意見番』気取りがまた始まったって感じですよ。正論を言うけれど、『じゃあ汗をかくか』ってなると引く。だから誰も付いてこない。本当に空気が読めない」(自民党中堅議員)などと、広がりを欠く。逆風とは言えないが、少なくとも支持、支援の動きではないことは確かだ。
「解党的な出直しが必要だ」などと語る残念OB
清和会が機能不全で、残る主流派2派も領袖は岸田氏ではなく、「自身の思惑ファースト」を隠さない。「とてもじゃないけれど、一致団結って雰囲気じゃないよね。『岸田総裁のために』なんて、うちの先生も含めて誰も言わないよ」(ベテラン秘書)と政権には強い逆風が吹く。
自民党がこうした混乱にある上に、森氏不在≠ナ注目が集まると考えたのか、おなじみの党OBがにわかに発信を強めている。山崎拓元副総裁、亀井静香元政調会長の2氏は12月下旬、都内で小泉氏と会食した。事前に政治記者に情報をリークし、思惑通り集まった記者団に対し、山崎・亀井両氏は「解党的な出直しが必要だ」などと得意げに語ってみせた。自民党の若手国会議員は「さも自分たちは無関係だなんて雰囲気で偉そうにしゃべっているけれど、あんたたちも共犯だろうと思うよ。あの辺の爺さんたちは注目されたいだけでしょ。許せない」と憤りを隠さない。
他にも、水を得た魚のように活気づく御仁がいる。田中眞紀子元外相だ。今春に復刊した父、田中角栄元首相の著書『日本列島改造論』の序文で「はぐらかしと居眠りを続ける日本政治に危機感を抱いている」とぶち上げていた眞紀子氏は12月初旬に議員会館で勉強会を開催した。
有権者を愚弄するのもたいがいにしなさいよ
往年の眞紀子節は健在でこの日「有権者を愚弄するのもたいがいにしなさいよ」「自民党は抜け穴を見つけて裏金作りを続けてきた」「黙っていられない」などと吼えた。パーティ券問題が注目を集める中だっただけに、煽り上げた発言は、一部メディアが嬉々として取り上げた。野党系では「火ぃ付けてこい」発言で知られる泉房穂・元兵庫県明石市長もSNS上などで盛んに発信し、同郷の西村氏や岸田政権への批判を強め、スポーツ紙を中心にX(旧ツイッター)への投稿などを取り上げている。
マスコミは朝日新聞から産経新聞に至るまで、パーティ券問題を連日1面トップで取り上げ続ける。永田町では例年、各社が総力を注ぎ込む「1月1日付け朝刊の1面トップ記事」に、政界の超ド級のスクープが踊るとの観測も流れていた。
こうした状況に自民党関係者は「終わりの終わりだよ。(支持率が)1ケタになるのは時間の問題だよ」とこぼす。身内から見捨てられ、身一つで全方位からの攻勢に立ち向かわざるをえない岸田氏。終末の日は近いか―。
●バイデン米大統領、地震対応で支援用意 日本と「深い友情の絆」 1/2
バイデン米大統領は、1日に発生した能登半島地震について、米国は必要な支援をする用意があると表明した。
1日発表した声明で「緊密な同盟国として、米国と日本は国民を結びつける深い友情の絆を有している。われわれの思いは、この困難な時期にある日本の人びとと共にある」と述べた。

 

●安倍元首相銃撃は数十年にわたり「蓄積された悲劇」の果てに起きた 1/3
安倍晋三は人生最後の日の朝、奈良にいた。
五重塔で知られる古寺と、神の使いの鹿で有名なこの地方都市にやってきた目的はいかにも事務的で、市内の主要駅に面した街路の広い交差点で、地元選出の国会議員の再選を訴える応援演説をするためだった。
安倍は2年前に首相を辞任していたが、日本の歴代首相で最長の在任記録を持つ彼の名前には非常に大きな重みがあった。その日は2022年7月8日だった。
詰めかけた群衆が撮影した写真を見ると、後ろになでつけられた髪、チャコールの眉、気さくな笑みで安倍本人とすぐ認識できる男性が午前11時30分頃、急ごしらえの演壇に上がり、片手でマイクを握る姿がうつっている。
その周囲を自民党支持者の集団が取り巻いていたが、安倍の後方に立つ男に気づく者は誰もいなかった。グレーのポロシャツにカーゴパンツ姿で、黒いストラップを肩にかけていた。男は他の群衆が拍手を送るなか、ただ立ち尽くしていた。
安倍の演説が始まって数分後、2度の大音響とともに上がった白煙が演説の言葉をかき消し、安倍は地面に崩れ落ちた。
SPがグレーのポロシャツの男に走り寄る。男の手には、長さ約40cmの金属パイプ2本を黒のビニールテープで束ねた手製の銃が握られていた。首を狙撃された安倍は、数時間以内に絶命する。
山上徹也(当時41)は身柄を確保され、引き金を引いてから30分も経たないうちに犯行を認めた。さらに、あまりに突飛すぎてにわかに信じがたい動機を口にした。
彼は安倍をムーニーズの名で知られるカルト教団、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の協力者とみなしていた。彼の母親が全財産を教会に寄付したため、山上とそのきょうだいは満足な食事ができないほど貧しく、人生を破壊されたという。
暴かれた「安倍政権の偽善」
2023年1月の朝日新聞の記事によれば、 真の標的は旧統一教会の最高幹部である韓鶴子(ハン・ハクチャ)で、安倍ではないと山上は警察で供述している。教団創設者・文鮮明(ムン・ソンミョン)の寡婦である韓に近づくことができなかったため、高名な政治家で祖父・岸信介の代から教団と深い関わりのある安倍を銃撃したという。
調査の結果、この山上の荒唐無稽な主張が事実だとわかり、奈良県警は動揺した。彼らは短い会議のあと、安倍と旧統一教会とのつながりは、少なくとも現時点では明かすべきではない大変にデリケートな事案と判断したようだ。
2日後の7月10日におこなわれる参議院選挙の結果にも影響を及ぼすかもしれない。県警関係者は、銃撃事件当日の夜に開いた記者会見で、山上が「恨みを持つ特定の団体と、安倍につながりがあると思い込んだ」ために襲撃を実行したとだけ述べた。報道陣が追及しても、彼らは沈黙を守った。
参院選後、旧統一教会は山上の母親が信者だったと公式に認めた。これにより旧統一教会が、政権与党・自民党を長らく支えてきたことが明らかになった。安倍をはじめ多くの自民党議員は、旧統一教会信者を選挙活動に動員してきたのだ。彼らは秘密兵器的な存在として、選挙活動を支援した。
2022年7月、タブロイド紙の日刊ゲンダイは、教団と関係のある国会議員100人以上のリストを明らかにした。同年9月上旬、自民党は379人の国会議員のほぼ半数と旧統一教会の関係について、選挙協力要請、会費の支出、教団行事への参加といった何らかの接点があったとする調査結果を公表した。
さらに朝日新聞の調査に対し、都道府県議会の議員290人と知事7人も教団およびその関連団体と接点があったと回答した。
旧統一教会との関係が疑われる政治家の数が増えるにつれて、ありふれた風景に隠れていたスキャンダルがあぶり出された。それは韓国の右派カルト教団が過去70年の大半、日本を支配してきた保守政党と密接なかかわりがあったという事実だ。
日本国民は憤慨した。旧統一教会が自民党の政治家を利用しようとしただけでなく、そこに腹立たしい「偽善」があったからだ。安倍は熱烈なナショナリストとして、日本の国際的地位の再興に力を注ぎ、自国の帝国主義的な過去を堂々と誇っていた。
だが安倍と彼の政党は、旧統一教会と秘密裏に選挙で協力関係を結んでいた。さらにそのカルト教団は、過去の戦争に対する日本人の罪悪感につけこんで信者を洗脳し、巨額の金を搾取していた。
安倍の死を巡り深まる分断
山上徹也の生い立ちと、自民党と旧統一教会との関係が広く知られるようになると、奇妙な逆転現象が起こった。日本国民は暗殺犯に同情し、凶弾に倒れた犠牲者に怒りを表明するようになったのだ。
日本のある週刊誌は、「山上ガールズ」と呼ばれるファンなど、彼の支援者について特集記事を組んだ。山上に差し入れを送る者も現れ、数千人が安倍の国葬に抗議した。山上を悲劇の英雄に見立てた長編映画が急遽制作され、全国で上映された。内閣支持率は下がり、旧統一教会との関係の説明が不充分だとして、辞任に追い込まれる閣僚もいた。
この暗殺事件は、安倍のレガシーをめぐる国民間の深い対立を露呈させた。安倍は国際社会における日本の影響力を回復させたと称える声がある一方、好戦的な過去へ逆戻りさせる危険人物だと非難する声もあった。
旧統一教会が安倍と自民党に与えた影響については、いまも論争の的だ。岸田政権は2022年11月、党に着せられた汚名をそそぐため、宗教法人法の「報告徴収・質問権」に基づき、教団への調査を開始した。
この調査は統一教会にとって致命的な打撃となる可能性があり、宗教法人格がはく奪されかねない。さらに米国を含む他国における教団の位置づけに関しても、この措置は波紋を投げかけるかもしれない。
教団指導者らが何の罪にも問われていない現状で、宗教団体が善よりも害をおよぼしていると判断する決定権は我々にあると、日本政府は主張しているからだ。
人生に絶望したひとりの男が犯行に走らなければ、すべては隠蔽されたままだったかもしれない。刑務所の独房で裁判を待つ山上にとって唯一の慰めは、「歴史上最も成功した暗殺者」のひとりになったという自負だけだろう。
安倍の死から1年以上が経過したいま、彼が殺されたのは錯乱した一匹狼による無差別な凶行というより、数十年間にわたり蓄積されていった果ての悲劇のように映る。
日韓が「アダム」と「エバ」になった理由
安倍晋三元首相の暗殺後、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が依然として影響力を持っていることに多くの人が驚いた。米国でも日本でも、同教団の活動は下火になったと考えられていたからだ。
1980〜90年代にかけての教団は、不気味で全体主義的な体質、異様な合同結婚式、政治的な影響力を持つことへの露骨な執着で話題を集めた。文鮮明は米国で保守系新聞「ワシントン・タイムズ」を創刊したことでも知られる。
こうした教団の活動の屋台骨を支えていたのは、日本だった。旧統一教会の本部は韓国だが1970年代以降、多くの日本人が熱狂的な信者となり、活動資金の大半も日本から得ていたことに人々は驚かされた。
2017年に教団から追放された元幹部の桜井正上によれば、日本は「事実上、教団の資金源の“支柱”となっている」という。日本国内の旧統一教会の活動を取材するなかで話を聞いた人たち(旧統一教会の現・元信者、その家族、弁護士、ジャーナリスト、政治家、被害者支援団体の関係者など10人以上)のうち、桜井はただひとり、教団を嫌悪する人と崇拝する人双方の立場に共感を示す人物であるように思えた。
モーツァルトとシューベルトのピアノソナタが静かに流れる東京都内の喫茶店で会ったとき、彼はお辞儀をしながら両手で名刺を差し出す日本式の挨拶で私を出迎えた。
旧統一教会の冷酷な手口について話すとき、桜井の口調は重かったが、間違った教えの犠牲者と彼が考える信者について語る際は穏やかになった(彼は教団内で育った)。 ・・・
「祝福2世」との対面
日本で話を聞いた旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の信者はいずれも明るく、その率直さに驚いたが、彼らは違う世界に生きているという印象を受けた。
そのうちのひとりである小嶌希晶 (こじま・きあき)と名乗る20代の女性は、教団が「祝福2世」(合同結婚式で出会った信者の間に生まれた子供)と呼ぶ現役信者だ。
小嶌とは東京のオフィスビルの、商談向けに時間貸しされている家具付きの小部屋で会った。部屋には番号が振られてコードロックされ、長い廊下にドアがずらりと並ぶ様子は清潔な刑務所のようだった。
小嶌の母親も、山上の母親と同じく1億円を教団に献金したという。そのため貧しい子供時代を送り、質素な食事とお下がりを着て、大学進学の選択肢も限られていた。子供の頃の小嶌はごく一時期、自身の身の上に降りかかった窮乏を恨んだが、その後に受け入れたという。
旧統一教会が選んだ夫も受け入れた。夫はフィリピン人男性で、一度も会わないまま、2021年にオンライン上で結婚した(その後2人は実際に対面したが、相手はいまも日本に移住してはいない)。
新郎から3000キロ以上も離れた日本の教会でブライダルドレスを着て結婚式に臨んだ彼女は、身を乗り出してノートパソコンの画面越しに新郎とキスしようとしたと実演してみせた。その目には照れくささが浮かんでいるように思えた。
小嶌の口ぶりは、こうした結婚式が第三者には奇異に感じられるとわかっているかのようだった。それでも、「自分は教団のなかで育ち、教団に愛されていると感じている」と語る。 ・・・
安倍政権からの「大きな見返り」
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)は、選挙で奇跡の勝利を呼び込んだ見返りに、どんな利益を得たのだろうか? それほど大きな見返りは、必要なかったのかもしれない。
同性婚や女性の権利、伝統的な家族形態など、教団にとっての重要な関心事に対する自民党の保守的な見解を信頼していたのだろう(文鮮明には同性愛嫌悪があった。かつて彼は同性愛者を「糞を食らう汚らわしい犬」と表現した)。
とはいえ安倍政権は教団に少なくともひとつ、大きな見返りを与えた。
2015年、日本政府は旧統一教会の名称変更を承認した。この決定は物議を醸し、長年教団を批判してきた人たちを憤慨させた。一方、教団にとって名称変更には大きな意味があった。
1990年代半ば以降、日本では旧統一教会という名称は「キズもの」だった。現在、旧統一教会は「世界平和統一家庭連合」という無害な看板に掛け替えて宣伝に励むが、教団関係者以外はおおかた旧名称を使用する。
文部科学省の事務次官を務めていた前川喜平は、名称変更が認められたことをいまだに腹に据えかねている。
彼の執務室に到着すると、41ページに及ぶ宗教法人法の資料を手渡された。前川は私に、旧統一教会側からの変更申請は、当時の文部科学大臣だった下村博文によってすみやかに認証されたと語る。 ・・・
●安倍派「崩壊」で暗雲 首相の旧宮家復帰プラン 1/3
岸田首相の肝いりで昨年11月から始まった自民党総裁直轄組織「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」(皇位継承懇談会)が早くも頓挫しそうである。安倍派裏金問題の嵐のなかで、12月15日に予定されていた2回目の会合が急きょ延期された。首相は、旧宮家の男系男子を現皇族の養子にできる旧宮家復帰プランの実現を明言していた。
しかし、支持率が10%台にまで落ちた「店じまい内閣」に国家の根幹に関わる皇室典範改正などできるはずもない。
昨年7月8日、「安倍晋三元総理の志を継承する集い」に岸田首相は出席し、「憲法改正」「皇位継承」などで安倍氏の思いを引き継ぐと大見えを切った。ここまで安倍派に媚(こ)びるのは、今年9月に任期が切れる自民党総裁再選のため保守層の支持が必要だからである。23年9月13日には安倍派5人衆の一人、萩生田光一氏を政調会長として続投させた。
その萩生田氏は『産経新聞』(同9月27日付)1面に掲載されたインタビューで、皇位継承問題について意欲を語っている。首相から政調会長続投を伝えられた際、「安定した皇位継承策の見直し作業を急がなければならないという問題意識」を伝えられたことを明らかにした。そして、皇位継承問題は「この1年、党でそれほど動きがなかった」が、憲法改正と併せ「この2つの問題にしっかり道筋をつけたい」と自らがリーダーシップをとって議論を進めていくと表明したのである。
約束は反故にしない
岸田首相は、保守派対策の手をさらに打った。昨年10月26日に発売された月刊誌『WiLL』12月号で、ジャーナリスト櫻井よしこ氏と対談し、「私は一昨年(2021年)の総裁選において、旧宮家の男系男子が皇籍に復帰する案も含め、女系天皇以外の方法を検討すべきだと主張しました。そのときの約束を反故(ほご)にすることはありません」と明言したのである。
政府の有識者会議が、旧宮家に連なる男系男子が現在の皇族の養子になり皇籍復帰できる案(旧宮家復帰案)を含んだ最終報告書をまとめたのは21年12月。直後には、自民、公明、日本維新の会などが党内議論を始めた。しかし、過去2年間、動きは事実上なかった。
櫻井氏は「岸田総理は皇位継承の問題に取り組んでくれるのか―。そんな疑心暗鬼が生じていました」と首相の姿勢に疑念があったと率直に指摘した。それに対し首相は「国民の皆さんも強い関心を抱いている。今後は見える形≠ナ議論を進めていきたい」と応じたのだ。保守系読者がほとんどの雑誌で、保守の論客に向かって、リップサービスをする首相。一昨年の「安倍国葬」以来、自民党最大派閥の支持をつなぎとめることが、首相の最大の再選戦略であった。
『毎日新聞』の伊藤智永・専門編集委員は、LGBT理解増進法成立や、性別変更の要件に関する最高裁違憲判決などジェンダー重視の近年の潮流に対する危機感が強い保守派にとって、「皇位の男系男子継承維持」が、保守的家族観のシンボルになっていると分析する(『週刊エコノミスト』23年11月21・28日合併号)。その通りであろう。
「皇位継承」を利用
ところで、昨年11月17日に初会合が開かれた「皇位継承懇談会」は、会長に麻生太郎副総裁、会長代理に茂木敏充幹事長、副会長に森山裕総務会長と小渕優子選対委員長、事務総長に萩生田政調会長(当時)、事務局長に木原誠二幹事長代理と重厚に布陣した。テーマがテーマだけに党内有力者を揃(そろ)えた。委員は全16人で、中曽根弘文氏、衛藤晟一氏、山谷えり子氏、有村治子氏(いずれも参院)ら保守派が目立つ。
キーマンは萩生田氏だと見られていた。ところが、安倍派の裏金疑惑が降ってわいた。萩生田氏は昨年末、自民党政調会長を辞任した。「皇位継承懇談会」事務総長がどうなるのかは分からないが、こちらも辞任が筋であろう。
そもそも、岸田内閣はすでに国民の信を失っている。毎日新聞社が昨年12月16、17の両日に実施した全国世論調査によれば、内閣支持率は16%。前月より5㌽も減っている。不支持率は79%もある。敗戦直後の1947年以来、最も高い不支持率だ。瓦解(がかい)前夜の内閣だと言っていい。
皇位継承と憲法改正は、国家の形を決める重要な課題である。有権者の2割弱しか支持していない弱体内閣が取り組むべき問題だとは思えない。皇位継承を自らの権力基盤の強化のために利用したツケが、現在の不支持率につながっていないだろうか。
それ以前に、自民党は、皇室典範改正が簡単にできると勘違いしているようだ。事務局長である木原幹事長代理は「論点はそんなに多岐にわたるものではない」と述べている(23年11月17日)。その時点では、今年(24年)の「早い時期」に結論を出すという声さえあった(『毎日新聞』23年11月18日)。
無理であろう。旧宮家皇族復帰案が具体的に見えるに従って、その問題点が徐々に明らかになると考えられるからだ。一例をあげれば、皇族に復帰する旧宮家の男系男子がどのような人物で、皇族となるに値するかどうか、どのように審査するのだろうか。男系で血統がつながってさえいれば、その人物が希望したとき、誰でも皇族になれるのだろうか。議論さえなされていない。論点が多岐でないとか、今年の早い時期に決めるとか、認識が甘すぎる。
そもそも世論が支持しているのは女性天皇案であって、旧宮家復帰案ではない。そのことを忘れて、政権維持のために旧宮家復帰案を利用した岸田内閣そのものが沈没寸前である。議論は早く進めたほうがいい。だが、岸田内閣にその資格はない。
国会でも動きがあった。額賀福志郎衆院議長は昨年12月19日、立憲民主、日本維新の会、公明、共産、国民民主の5党の幹部と面会し、皇位継承策に関する各党の意見集約を進めるよう要請した。自民党の体たらくを見た議長がイニシアチブを取った形である。通常国会で何らかの協議体ができるかもしれない。だが、立憲民主党は、旧宮家復帰には慎重である。議論が早期決着する道筋は見通せない。
●民間の立場から国政を観察すると腹立たしいことばかり 「政治への信頼」 1/3
2023年4月に大阪市長を退任し、政治の世界から引退した。橋下徹元市長らと「大阪維新の会」を立ち上げて13年、大阪から日本を変えるために、私たちは「身を切る改革」を掲げて、政治改革や公務員改革、行財政改革、教育改革に走り続けてきた。引退から8カ月たつが、「やるだけはやった」という思いは変わらない。
現在、民間の立場から国政を観察していると、腹立たしいことばかりだ。岸田文雄政権や国会議員の方々には、「初当選直後の『国家や国民に尽くしたい』という決意を思い出せ」「政治家としての矜持(きょうじ)を無くしたのか」「国民の常識に寄り添うべきだ」と思う。
自民党派閥のパーティー収入不記載事件では、言い訳ばかりが聞こえてくる。
選挙で何回も当選している国会議員が、政治資金収支報告書への不記載という違法行為について、「派閥の指示だった」「派閥から『話すな』と言われた」などと被害者のように振る舞っていた。恥ずかしいと思わないのか。
不記載や過少記載は、支持者から集めた浄財を、政治・選挙活動以外に使っているとしか考えられない。やましくないなら、収支報告書に堂々と書けるからだ。最大派閥・安倍派(清和政策研究会)では「裏金は5年間で5億円以上」と報じられている。国民の「政治への信頼」は地に落ちたと言っていい。
岸田首相は臨時国会閉会後の記者会見で、「国民の信頼回復のため火の玉となって先頭に立つ」と語っていたが、具体的な改革案は明かされなかった。国家リーダーは「国民に具体的な方針を伝えて、約束したことは困難があっても成し遂げる」ことが重要だ。
私は2つの提案をしたい。
第1は、「政治資金規正法の厳罰化」だ。収支報告書への不記載や過少記載が発覚した場合は「議員辞職」など、厳しくすべきだ。民間では、数万円の不正でも逮捕される。政治家だけ特別扱いするのは「法の下の平等」に反する。岸田首相は「閣法」として国会に提出すべきだ。
第2は、月額100万円支給されながら報告義務のない「調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)」の全面公開だ。この旧文通費こそ、国会議員に特権意識を植え付け、お金の感覚をマヒさせる元凶である。領収書を添付した使途公開とともに、余った分は国庫に返納すべきだ。
岸田首相は、議長を務めた5月の広島G7(先進7カ国)サミット直後の衆院解散を見送った。その後、LGBT法で岩盤保守層が離れ、自民党女性局のフランス研修中などで、党の「緩み」「たるみ」「おごり」が露呈した。
自民党パー券事件は、自民党不信や政治不信を加速させている。一部の内閣支持率は10%台の「退陣水域」に突入した。岸田首相の求心力は急速に失われつつある。
東京地検特捜部にも注文したい。「捜査対象が、岸田政権の主流派以外(安倍派と二階派=志帥会)に偏っている」という指摘がある。刑事告発は自民党5派閥が対象になっている。国民の検察不信を招かないためにも、バランスの取れた捜査を期待する。
さて、2025年大阪・関西万博の会場運営費について、日本国際博覧会協会が、当初想定していた809億円から約1・4倍の1160億円に増額する方針を示したことが批判を浴びている。
運営費の多くは人件費であり、私が市長時代に出た試算は5年前だ。安倍晋三政権時代であり、安倍首相は毎年、経済団体に「春闘の賃上げ」を要請していた。5年たち賃金は上がり、人件費と比例する運営費も上がっている。
賃金増加は悪いことではない。博覧会協会と政府、大阪府市が知恵を出し、増額を上回る収益を出せばいい。
産経新聞に先日、「万博会場で30言語対応の翻訳アプリ無料提供へ 国際会議での同時翻訳も」という独自記事が掲載されていた。世界の人々の「言葉の壁」を取り払うもので、新たなビジネスチャンスも期待できる。
2023年は「政治への信頼」が失われた1年だった。24年こそ「信頼回復の年」にしてほしい。永田町の常識が世間の非常識ではいけない。
●年収「2000万円超〜2500万円以下」の給与所得者は日本にどのくらいいるか 1/3
コロナ明けでますます働き方の多様化がすすむこんにち。ご自身のキャリアを見つめなおし、年収アップを目指す計画を立てている人も多いでしょう。
さて、一般のビジネスパーソンの「年収」。毎月の給料や、勤務先の決算期末などのタイミングで支払われる賞与をあわせて年間収入(年収)とするのが一般的な考え方でしょう。
では、その年収、どのくらいの金額をどのくらいの人が手にしているのでしょうか。
そして、私たちの年収は今後、上昇していく可能性はあるのでしょうか。過去から見てきて上昇してきたのでしょうか。
今回は、国税庁の開示資料をもとに、詳細を確認していきます。
年収2000万円超〜2500万円以下の人数と割合は
2023年9月に国税庁が公表した「令和4年分 民間給与実態調査統計」によると、2022年の給与所得者の総数は5077万6000人。
そのうち年収2000万円超〜2500万円以下の給与所得者の人数は13万1000人。これは全給与所得者のうちの0.3%に当たります。
また、全給与所得者の上位0.6%に含まれる年収レンジです。
日本の給与所得者の平均年収は今後、上昇していくのか
最近では、岸田新政権下では「賃金アップ」が話題となっています。
今後、私たちの賃金は上がっていくのでしょうか。過去8年の推移についても目を向けてみましょう。
平成26年(2014年)に平均年収が420万円であったものが、令和4年(2022年)に457万円ですから、8年で37万円上昇です。
8年間の中でも、令和2年(2020年)から令和4年(2022年)の2年間での平均年収が22万円上昇し、伸び率が大きくなりつつあることが伺えます。
まとめにかえて
ここまで、給与所得者全体における、一定の年収幅の比率についてみていきました。
今回取り上げた年収2000万超〜2500万円以下の給与所得者の人数は13万1000人。これは全給与所得者のうちの0.3%でした。
給与所得者全体の平均年収、そして過去の推移についても俯瞰しましたが、過去8年間での推移の中でも、直近3年間の年収の伸び率が高いことが伺えました。
今後、政府の政策としてどのようなアクションが出てくるでしょうか。注目していきたいところです。
●新NISA、始動 非課税枠拡充、「貯蓄から投資」後押し 1/3
株式や投資信託の売却や配当などで得た利益が一定の範囲内で非課税となる少額投資非課税制度(NISA)が1月1日、大幅に変わった。
非課税の運用期間が無期限となり、投資額の上限も大きく引き上げられ、投資に一段と有利な仕組みになる。新NISAで個人金融資産の「貯蓄から投資へ」の移行は進むのか。岸田政権が掲げる「資産所得倍増計画」の成否も懸かっている。
NISAは、専用口座で取引すれば利益に通常課される約20%の税が免除される制度で、2014年に始まった。新NISAは、長期の資産形成に向くとされる投信を購入できる「つみたて投資枠」と、個別株なども買える「成長投資枠」で構成。年間投資枠は従来の2〜3倍に広がり、両枠の併用もできる。1人が生涯利用できる上限額は1800万円(うち成長投資枠1200万円)に上る。
新NISA始動を控え、SBI証券や楽天証券では口座開設の動きが加速した。SBI証の総合口座数は9月末時点で前年同期に比べ2割超多い1106万件に達した。
日本株への資金流入も見込まれ、SMBC日興証券は新NISAの効果で年2兆円が日本株に向かうと試算する。同社の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは「来年以降、日経平均株価の最高値更新などで個人投資家の評価が高まれば、流入額はさらに膨らむ」との見方を示す。
日本ではバブル経済崩壊後、デフレが長期化。お金の価値が相対的に上がるデフレ下では現預金で資産を保有する方が有利で、個人金融資産の過半を占めてきた。しかし、22年以降は物価高が続いており、この基調が定着すると現預金に偏る個人資産は目減りする。新NISAは個人の投資促進の起爆剤になる可能性がある。 
●長く続いた自民1強も政治とカネから支持率最低水準へ…2024年政治の構図 1/3
2024年は自民党・公明党が政権に復帰して12年を迎える。第2次安倍政権以降、長らく自民1強時代が続いているが、昨年末には派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が事件に発展。内閣支持率は政権復帰以降の最低水準に陥り、政権維持を危ぶむ声もある。前回の政権交代から干支(えと)が一巡する今年。衆院解散・総選挙で国民の審判を仰ぐべきだとの指摘もあるが、政治の構図に変化は起こるのか?
旧民主党の政権交代は3年余で終焉
「従来、次の選挙でしっかり議席を伸ばし、その次に政権にチャレンジすると言っていたが、その考えを私は捨てている。次の選挙こそ、勝負だと考えている。国民の政治に対する不信感をみていても、今こそ立憲民主党が前に出て、政権を目指す。それが来年だ」
昨年12月28日。立民の岡田克也幹事長は、党の仕事納めのあいさつでこう強調した。
09年、旧民主党は衆院選で大勝し政権交代を実現した。しかし、米軍普天間飛行場の移設を巡る混乱やマニフェストに掲げた主要政策の頓挫などがあり、わずか3年余で下野。その後、旧民主の流れをくむ勢力は離合集散を繰り返し、与党に対抗する「大きな塊」とはなれず、政権批判の受け皿にもなりきれていない。
ただ、自民の政治資金を巡る事件が表面化したことを受け、旧民主の系譜を引く立民は、ここに来て政権奪還に向けて意気軒高だ。
野党連携、勝負をかけられるか?
民主党政権で厚労相を務めた立民の長妻昭政調会長は取材に「われわれが政権を取るということもあるが、カネに汚い政治を変える、今やらないともう永久に変えられないという意味で09年以来の絶好のチャンスだ」と語る。一方で「政権を担った時にちゃんと運営できるか、国民に懸念があるのは事実。民主党政権の反省点はいっぱいあり、そこをきちんと説明して実感を持ってもらう」とする。
その上で、「どの国でも与党の失敗がセットにならないと政権交代は起こらない」と指摘。1月下旬に召集が見込まれる通常国会で、自民に「政治とカネ」を巡る改革を迫り、共感する他の野党とも連携して「勝負をかけることで、展望は開ける」と力を込める。
対する自民党。先月の報道各社の世論調査で岸田内閣の支持率はおおむね10%台半ば〜20%台半ば。共同通信の調査では、内閣支持率は22.3%で政権復帰後の過去最低を更新した。
こうした中、岸田文雄首相は「政治資金に関し、国民に疑念が広がっていることに深刻な危機感を感じなければならない」とし、年明け早期に党の信頼回復に向けた改革組織を設置すると表明。政治資金規正法改正の可能性にも言及した。
自民に逆風=野党の躍進、となっていない現実
ただ、自民に逆風が吹く状況ではあるが、野党の支持率も伸び悩む。先月の共同通信の調査では、政党支持率は自民が26%、次いで日本維新の会が12%、立民はそれに次ぐ9.3%だ。
野党時代も知る自民のベテラン議員は「政権復帰から12年もたつとおごりも出てくる。09年と似た状況だが、違うのは野党に期待感がないことだ」と指摘。「国民も民主党政権の失敗を受け、もう彼らには政権は任せられないとの思いだろう。今の自民は二度と野党になりたくないとの思いが強い。課題はたくさんあるが、最後は自浄作用が働き、まとまる」と強調する。
野党に政権奪還の術(すべ)はないのか。東北大大学院の河村和徳准教授(政治学)は「歴史的に見て政権交代が起こる時は地方で勝って国政へという流れがある。野党は世代交代を進めて新鮮さを打ち出し、地方選、特に首長選で勝って足腰を固めなければ盤石に政権交代はできない」と指摘。その上で「政治資金問題で今のシステムを変える有効な対策が示せなければさらに厳しくなる」とも語る。
●「自民でも共産でもない選択肢」はなぜ拡がらないのか… 1/3
自民党の支持率低迷に伴い、野党の「協力体制」が水面下で動いている。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「反自民で反共産の『ゆ党』の立場を取る維新や国民民主は遅かれ早かれ与党と野党のどちらの立場を明確に取るかを迫られるだろう。さもなくば党内での分裂は免れない」という――。
1強多弱から2大政治勢力へ
派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑で、自民党と岸田政権が急速に崩壊過程に入るなかで迎えた2024年は、野党陣営にも大きな変化を生んでいる。
野党第1党の立憲民主党が再び「野党の中核」の立ち位置を確立しつつあり、野党は予想を超えたレベルで、立憲のもとに結束を強めているのだ。昨年末の臨時国会終盤、立憲が提出した内閣不信任決議案に、同党と「野党第1党争い」をしてきた日本維新の会も、党首が与党への接近を繰り返してきた国民民主党も賛成し、全野党が「岸田政権NO」でまとまったのが象徴的だ。
敵失に負うものが大きいとはいえ、野党がこれほど大きな「構え」を築くことができたのは久しぶりだ。日本の政治は長く続いた「1強多弱」から「2大政治勢力による政権争い」へと、再びかじを切ろうとしている。
そしてこの状況下で、2024年前半にまず大きな変化を求められるのは、おそらく維新や国民民主などの「第三極」政党だ。彼らは否応なしに、与党・自民党と野党第1党・立憲民主党を中核とする二つの政治勢力のどちらにくみするかについて、何らかの答えを出すことを突きつけられるからだ。
共産、社民、れいわとの「大きな構え」
最初に、昨年末の立憲の「大きな構え」構築の動きを、簡単に振り返りたい。
立憲民主党はまず、2021年の前回衆院選で一定の選挙協力を行った共産、社民、れいわ新選組の各党と、市民連合を通じて次期衆院選に向けた共通政策に合意した(12月7日)。岡田克也幹事長は「自公政権の限界があらわになるなかで、野党が力を合わせて大きな政策転換を図っていきたい」と語った。
特筆すべきは、この共通政策の中に「消費減税」が盛り込まれなかったことだ。
消費減税は立憲にとって、自らの目指す社会像、すなわち「支え合いの社会への転換」との整合性が取りにくく、できれば強く主張したくない政策だ。しかし、他の野党(特にれいわ新選組)は常に消費減税を掲げることを強く求めており、立憲は調整に苦慮していた。
立憲は11月に発表した新しい経済政策に消費減税を明記せず「現行の軽減税率制度を廃止し、給付付き税額控除を導入する」と記述するにとどめた。立憲の姿勢に市民連合が配慮した形で共通政策がまとめられ、他党もこの政策に「乗る」形となった。
立憲はこれまで、共産党との連携を「立憲共産党」と罵倒されたり、他の野党との間に「消費減税」でくさびを打たれたりして、立ち位置に右往左往する局面もあった。しかしこの政策合意によって、どうやらこれらの「呪いの言葉」を乗り越えて、2021年当時の状態まで野党の連携の形を戻すことができたようだ(この経緯については、昨年12月31日公開の記事「政権交代の兆しが見えてきた…『自公政権はイヤ』の受け皿になれなかった野党勢力が変えるべきこと」をお読みいただきたい)。
維新と国民民主を野党陣営に引き戻した
驚いたのは、立憲がさらに、維新や国民民主をも野党陣営に「引き戻す」ことにも成功したことだ。
維新は21年衆院選で議席を伸ばして以降、立憲と野党第1党の立場を争っているし、国民民主は20年、立憲とのいわゆる「合流」を拒んだ議員で構成されており、玉木雄一郎代表は立憲の「逆張り」を狙うかのような言動を繰り返している。実際、臨時国会で成立した政府の2023年度補正予算案に、両党は野党でありながら賛成した。
二つの「ゆ党」の存在は、野党第1党の立憲に「指導力不足」というネガティブな評価を植え付ける要因となっており、立憲にとってはこれも頭の痛い問題だった。
ところが、自民党派閥の裏金問題が、この状況を劇的に変えた。
官房長官不信任案、内閣不信任案で見えた「大きな構え」
国民の関心が「立憲は内閣不信任決議案を出すのか」に向かうなか、立憲は松野博一官房長官(当時)への不信任案提出という「くせ球」を投げた(12月11日)。裏金疑惑への批判の高まりを受け、両党は松野氏の不信任案に賛成。それを見越したかのように、立憲は満を持して内閣不信任案を提出した。
松野氏の不信任案に賛成した維新と国民民主は、内閣不信任案にも賛成せざるを得なくなった。「立憲が提出した内閣不信任案に全野党が賛成する」という「大きな構え」が出来上がった。
立憲は、同じ国会で政府の補正予算案に賛成した二つの「ゆ党」を、最後に野党陣営に引き戻すことに成功したと言える。これらの動きを受け、報道各社の年末の世論調査では、自民党の支持率が急落する一方、立憲の支持率は目に見えて上昇した。野党全体に対する好評価の果実を、第1党の立憲が多く受け取った形だ。
自民党の延命を阻止するための「関係再構築」
臨時国会が閉会すると、立憲の泉健太代表は、記者会見(21日)で他の野党に向けこう訴えた。
「(野党が)『独立独歩でいきます』と言っていたら、自民党政権の延命を許してしまう。それは国民が望むことではない。自民党政権の延命を許さない、政治改革の政権をつくるんだと、各党に呼びかけていきたい」
発言は「維新、国民(民主)などと新政権目指す」と報じられ、党内には軽い動揺がみられた。過去に選挙協力の経験がある共産党などの野党と、「身を切る改革」をうたい、立憲とは目指す社会像が真逆の維新とでは、「協力」に対する党内の忌避感は大きく異なることをうかがわせた。
もっとも、泉氏の発言は、現時点で両党との連立を意図したものではないだろう。市民連合を介した政策合意によって、共産党や社民党など「目指す社会像が近い」野党との連携を再構築することに成功した立憲は、今度は「目指す社会像を共有できない」維新などの政党を、それでも野党陣営につなぎ止め、自民党の延命を阻止しなければならないのだ。
泉代表が他党の「一丁目一番地」の政策を列挙した理由
泉氏の会見で筆者が地味に注目したのは「(政策の)すべてをやるといったらものすごい時間がかかり、政策のすり合わせも大変になる」「(他党と)協定をつくるとか、合意文を作ることを考えているわけではない」などの発言だ。「他の野党と連立に向けた政策協議を行うつもりはない」ということだろう。
泉氏は、裏金問題を受けた政治資金規正法の改正に加え「文書通信費の全面公開」(維新)「トリガー条項(の凍結解除)」(国民民主党)など、各党の「一丁目一番地」である個別政策の名を、わざわざ列挙した。「これらの政策を立憲として実現する。だから自民党ではなく野党陣営についてほしい」ということだ。
泉氏は「立憲の旗のもと、他党に協力を求める」という建前を維持している。立憲が3年前の2020年、当時の枝野幸男代表が国民民主党に「合流」を求めた時のやり方を踏襲しているようにも見える。
立憲の「上から目線のメッセージ」の真意
ある意味「上から目線」ともみえる呼びかけに、維新や国民民主党が現時点で応じるとは考えにくい。維新の馬場氏も国民民主の玉木氏も、おそらく立憲を蹴り飛ばす。「立憲下げ」が大好きなメディアは「維新や国民民主にすり寄り、袖にされた立憲」と書き立てるかもしれない。
立憲はそんなことは織り込み済みだろう。それでも呼びかけるのは「いい加減『ゆ党』の立場をやめて、明確に野党陣営につくべきだ」という、両党に対する一種の警告だと思われる。あなた方が実現したい政策を立憲が全て実現すると言っているのに、それでも自民党にすり寄るのなら、自民党と「同じ穴のムジナ」と呼ばれることを覚悟すべきだと。
自民党の崩壊が進むにつれて「ゆ党」ではいられなくなる
大阪万博問題を抱える馬場氏も「非立憲」に凝り固まる玉木氏も、本音では2024年通常国会では、政府の予算案に賛成したいのかもしれない。だがそうなれば、両党は明確に「自民党の補完勢力」と位置付けられる。立憲との選挙協力は不可能になるだろう。
一方、すでに選挙区が埋まっている自民、公明両との選挙協力ができるはずもない。このままでは次期衆院選は、自民・公明の両党、立憲など野党4党、そして維新と国民のいわゆる「三つどもえ」の構図となる可能性が高い。
それで党内が持ちこたえるだろうか。維新の「勢い」に乗って当選したが、大阪万博にあまり強い思い入れのなさそうな、大阪以外を選挙区に持つ議員たちはどう考えるのか。国民民主で連合の支援を受け、立憲とともに戦いたい組織内議員たちは、この状況で戦うことをよしとするだろうか。
都合良く立場を使い分ける「ゆ党」の立場は、時がたち自民党の崩壊が進むにつれて、どんどん許されなくなる。やがて「与党か野党か」が厳しく問われることになるのは必定だ。小選挙区制中心の選挙制度とは、そういう性質のものだからだ。
「非自民・非共産」勢力は必ずまた失敗する
維新や国民がこの状況を打開するには、立憲民主党と国民民主党を分裂させて「非自民・非共産」勢力の結集を図り、新たな野党の「大きな塊」を作るしかないだろう。国民民主党を離党して、新党「教育無償化を実現する会」を結党した前原誠司氏が目指しているのは、おそらくこの形だ。6年前に自らが深くかかわった「希望の党騒動」の再現である。
だが、7年前に失敗したことが今回成功するとは、筆者にはとても思えない。
野党再編を成功させるには、主導する側に今の立憲を上回る求心力が必要だ。希望の党騒動の時の小池百合子東京都知事のような分かりやすい存在は、今回はいない。昨春ごろまでは勢いのあった維新も、大阪万博問題で陰りが見える。そもそも、立憲自身に分裂の芽がみられない以上、現時点での野党再編は絵に描いた餅に過ぎない。
維新、国民に迫る「分裂の危機」
維新と国民民主の両党は、立憲に「のみ込まれる」ことを覚悟で野党の立場を明確にできなければ、いずれ分裂の危機に陥る可能性がある。現に国民民主は一足早く「与党か野党か」のスタンスを突きつけられて分裂した。以前にも指摘したが、再分裂の可能性は否定できない。そして、その波は近い将来、維新をも襲うかもしれないのだ。
立憲の岡田克也幹事長は、昨年12月28日の記者会見で、次の衆院選で政権交代を目指す考えを明確にした。かつて同党が「次期衆院選で議席を伸ばし、政権交代は次の次の選挙で」と発信していたことについて「その考えは捨てている。立憲民主党が前に出て政権を目指す」と語った。立憲にとっても、時間をかけて野党を育てる悠長な考えが、もう許されない状況になったということだ。
状況が劇的に変動している今、問われているのは自民党だけではない。次の衆院選をどうやって「政権選択選挙」に持ち込むか、そして実際にどうやって自民党から政権を奪い、その後安定した政権運営につなげていくのか、野党各党の執行部、そして全ての所属議員が問われている。
彼らが今年、どんな政治的選択をするのか、興味深く見守りたい。
●岸田首相「自分がやめて問題解決するならいつでもやめる」 開き直り批判 1/3
昨年12月29日から年末年始の休暇に入った岸田文雄首相。30日夜には「ホテルニューオータニ」の「岡半」で裕子夫人、長男で元政務担当秘書官(6月に更迭)の翔太郎氏らと高級すき焼きに舌鼓を打った。
しかし、自民党派閥パーティーの巨額キックバック疑惑で東京地検特捜部が安倍派幹部を相次いで任意聴取、さらに議員の関係各所に家宅捜索が入るなかでの贅沢に、SNSでは多くの批判が寄せられた。
そうしたなか、「総理自身は周辺に『自分がやめて何か解決するのか。やめて解決するならいつでもやめてやる』と話した」と、1月1日に日テレNEWSが報じた。
「公職選挙法違反容疑で柿沢未途前法務副大臣が逮捕され、さらにキックバック疑惑で現役国会議員が逮捕されれば、政権には大ダメージです。そのため、自民党内に『首相は総辞職するのではないか』という声があがっており、それに対して、岸田首相が『(問題が)解決するならいつでもやめてやる』と語ったというのです。
年が明けた1月1日に能登半島で大地震が発生、翌2日には羽田空港で日本航空機と海上保安庁機が衝突炎上しました。
まずはこの対処に当たることになりますが、1月下旬から始まる通常国会前に、議員や事務所関係者などから逮捕者が出るとも言われ、しばらくは解散含みの展開が続きそうです。『2024年度の予算成立を条件に内閣総辞職するのではないか』ともささやかれています」(政治担当記者)
この「やめてやる」発言には、
《何なの?この開き直りは?》
《逆にあんたじゃなきゃ出来ないことって何よ? それに何も解決できないから不満が出ているんでしょ》
《少なくともこのまま続けるよりは別の人に任せた方がよくなる可能性もありますよね?》
《やめてくれたら、少なくても、日本人に対するいやがらせとしか思えない次々と繰り出す増税案、いつまでも一流国ぶって行う海外外遊の度のばらまき、元銀行員とは思えない頓珍漢な経済対策がなくなり、少しは経済好転しますよ》
など憤懣やるかたないコメントが殺到していた。
12月26日、岸田首相は都内の講演会で「国民の信頼あっての政治の安定であり、政治の安定あっての政策の推進であるということを、肝に銘じて対応していく」と語り、年頭の所感でも「先頭に立って国民の信頼回復に全力を尽くす決意だ」と述べているが、その「国民の信頼」が、いま大きく揺らいでいる。 

 

●「今こそ政権交代」「政策勝ち取る」 立民・国民代表が新年の決意 1/4
立憲民主党の泉健太代表と国民民主党の玉木雄一郎代表は4日、東京都内でそれぞれ年頭の記者会見を開いた。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、泉氏は「今こそ野党が立ち上がるべきだ。政権を早期に代える準備を進めたい」と述べ、次期衆院選で政権交代を目指す考えを示した。
泉氏は政治改革や教育無償化、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除などに触れ、「(野党が)共通政策で一致できれば選挙区調整も本格的に進む」と指摘。他党と協議を進めていく方針を訴えた。
玉木氏も「飛躍の年にしたい」と決意を表明。トリガー条項を巡る自民、公明両党との協議について「生活に密着した政策の実現を勝ち取りたい」と意欲を示した。
●公明、結党60年の岐路 「平和」原点回帰か 1/4
公明党は11月に結党60年を迎える。
党創立者の池田大作・創価学会名誉会長が昨年死去し、今後も党勢を維持できるかの岐路に立つ。自民党派閥の政治資金問題を受けた政治改革や、防衛装備品の輸出拡大といった党の原点に関わる課題にも直面。自民との関係に配慮しながらの難しいかじ取りが迫られる。
「今の政治の混乱をしっかり乗り切っていかなければならない」。山口那津男代表は2日、東京・JR池袋駅前で新春恒例の街頭演説に臨み、公明が政治改革をリードする決意を訴えた。「今、直ちに衆院解散をできる状況ではない」とも述べ、政治の信頼回復が急務との考えも示した。
公明は1964年11月に結党し、99年に自民との連立政権に参加。国政選の比例代表では2005年衆院選で過去最高の898万票を獲得したが、近年は支持母体・創価学会の高齢化による集票力低下が指摘される。22年参院選は618万票に落ち込んだ。党関係者は池田氏死去で「さらに得票数は減る」と危惧する。
政治資金問題で岸田政権の先行きに不透明感が増す中、次期衆院選の時期は公明執行部の「世代交代」にも影響しそうだ。今秋に代表任期満了を迎える山口氏の後継として有力視される石井啓一幹事長は衆院選小選挙区の候補。複数の党関係者は「夏までに解散がなければ山口氏は続投だ」とみている。
衆院選では議席増を目指して11の小選挙区に候補を擁立するが、昨年12月の党の情勢調査で支持率が下落する結果が出た。「自民と同一視されている」(党関係者)と危機感を強めており、公明は政治改革を最優先課題に位置付ける。
「清潔な政治」は結党以来の原点で、今月の通常国会召集までに改革案をまとめて存在感を発揮したい考えだ。山口氏は「政策活動費」の使途公開義務化を打ち出したが、自民の反発も予想される。公明幹部は「攻めと守りの両方が必要だ」とバランスに気を配る。
自公関係の新たな火種になっているのは、国際共同開発した防衛装備品の第三国への輸出可否の議論だ。自公実務者間で容認の方向性が出ていたが、公明執行部が昨年11月、慎重姿勢を鮮明にした。平和主義を掲げた池田氏の死去直後のため、原点回帰との見方もある。
政府・自民は2月末までに「容認」で結論をまとめたい考えだが、公明執行部は「完成品の輸出解禁という大転換なのに国民の理解が得られていない」と消極的。公明幹部は政府高官に「政府が期待する結論になるとは限らない」と警告した。
●自民に政治刷新本部 1/4
岸田文雄首相(自民党総裁)は4日、年頭記者会見を首相官邸で開き、自民派閥の政治資金規正法違反事件を踏まえ、総裁直属の機関として政治刷新本部(仮称)を来週立ち上げると表明した。
●能登半島地震 首相「被災者のなりわい支える息の長い取り組み求められる」 1/4
岸田首相は4日に首相官邸で行った年頭記者会見で、石川県能登地方を震源とする地震について、「避難の長期化も懸念される中、被災者の生活となりわいをしっかりと支えていく息の長い取り組みが求められる」と強調した。
●能登半島地震の予備費40億円に《やすっ!ケタが1つ、2つ足りない》批判の嵐 1/4
「命を守る観点から重要な被災72時間が経過する本日夕刻までに、総力を挙げて一人でも多くの方を救命・救助できるよう全力で取り組んでほしい」
首相官邸で4日午前に開かれた能登半島地震を受けた非常災害対策本部の会合。本部長の岸田文雄首相(66)はこう閣僚らに指示し、寒冷・避難所対策を強化するため、予算の予備費使用を来週9日にも閣議決定すると表明した。
最大震度7を観測した能登半島地震。生存率が急激に下がるとされる「発生から72時間」が迫り、予断を許さない状況が続いている。
岸田首相は会見で、必要物資を被災地の要望を待たずに送り込む「プッシュ型支援を一層強化する」と力を込めていたのだが、予備費の規模について問われると、2016年の熊本地震の23億円などを例に挙げつつ、「倍近く(40億円程度)になるのではないか」と説明した。
ウクライナ支援にはポンと6000億円だったが…
このニュースが4日昼に報じられると、怒りと動揺の声が広がったのがネットだ。
《やすっ!ケタが少なくとも1つ、2つ足りないと思うんは私だけ。にしても安いな》
《道路もめちゃくちゃ、建物は倒壊。焼野原のような街に使う予備費が40億円?たった》
予備費の使用を決める閣議決定はまだとはいえ、活用金額の少なさに驚きの投稿が相次いだらしい。
昨年12月に開かれたG7財務相・中央銀行総裁会合で、鈴木俊一財務相(70)は、ウクライナ支援に欧米諸国が消極姿勢に転じる中、45億ドル(約6000億円)を拠出する用意があると公表。SNS上では、この金額と今回の予備費の金額の差についての意見も。
《ウクライナにポンと6000億円。能登半島地震に苦しむ自国民にはショボい40億円》
《税金を納めていることが馬鹿らしくならんか。我々は誰のために増税されているのか》
岸田政権に対する逆風は依然として続いているようだ。
●渦中の議員は年末年始に地元で説明したのか?松野氏の地元に行ってみる 1/4
疑惑が一層深まる状況が続くなか、これまで沈黙を貫く渦中の議員たち。例年であれば地元に帰る年末年始、有権者に説明したのでしょうか。
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、東京地検特捜部が派閥事務所の家宅捜索を行ってから2週間あまり。
安倍派では、この年末にかけ、松野前官房長官のほか、過去5年間の派閥の実務を取り仕切ってきた事務総長経験者全員が任意の事情聴取を受けました。
岸田総理「強い危機感を持って、政治の信頼回復に努めなければと感じている」
政治改革に向けた新しい組織を自民党内に設置し、対応に乗り出す考えを示した岸田総理。
しかし、聴取を受けた議員からはそろって説明が行われていません。年末年始、地元の有権者にはどう説明したのでしょうか。
記者「千葉県市原市にある松野氏の選挙区の事務所の前です。中の明かりはなく、人の動きは確認できません」
千葉県市原市を選挙区とする松野氏。例年、正月には地元の神社で行事に参加していたようですが、今年はというと…
記者「私が到着して6時間ほどになりますが、今のところ松野氏の姿はありません」
結局、姿を現すことはありませんでした。
有権者「頭を下げて、悪いことは悪いこと。これからこうして今の名誉を回復しますので、という挨拶はあってもいいと思う。なのに一切ないですよね」
有権者への説明はないままなのでしょうか。
さらに、安倍派の議員側が、パーティー券収入の一部を「中抜き」した額が、過去5年間で少なくともおよそ8000万円あることが新たにわかりました。
派閥側から議員側にキックバックされ、政治資金収支報告書に記載されていなかったものを加えると、安倍派の裏金の総額は6億円近くにのぼることになります。
きょう仕事はじめとなった与野党の幹部からも裏金疑惑に関する言及が相次ぎました。
公明党 山口那津男代表「令和の政治改革元年と銘打って、いま、失われた政治への信頼、これを着実に取り戻していく」
立憲民主党 泉健太代表「自民党の岸田内閣に正当性はないということで、野党による政権を構成すべきだと。岸田政権を早期に変えていくということについて、我々としても準備を進めてまいりたいと思います」
今月下旬に召集予定の通常国会では「政治改革」が焦点の一つとなるなか、岸田総理はきょうの会見でどう言及するのでしょうか。
●長崎IRの崩壊「根っ子は全て同じ」 岸田政権に思う 1/4
我が国の転換期、天の「龍神」が怒っている
今年の干支の龍又は竜は、古来より「神」の世界の最高位を表すものである。世間は、かっ てないほど凄まじい昨年末からの新年である。
正に、天の神が世界とこの国の「偽善者達のとんでもない」行いに怒りを爆発させているかのようだ。世界はウクライナにイスラエル、この国では岸田政権下の体たらくーービッグモーター、ダイハツ、地震に津波、羽田の航空機事故ーー我が国と各組織の偽善者達、これら人間の行いが神の怒りをかい、上に強く戒められている。
「減点主義」がもたらした、人を育てない30年
筆者の予測通り、昨年末の12月27日、岸田政権はこの機に及んで、遅れていた「長崎IR」の政府承認をめぐり、表向きの理由を付けて、承認しないという結論を発表した。これは選挙の影響などを考慮した政治家たちの偽善的な結論である。
しかし、実際には、長崎IRの事実上の崩壊は、2022年9月に既に起こっていた。その際には、HISの澤田氏からハウステンボスが中国共産党習近平政権に近い中華系企業PAG社に売却され、同時に当時のハウステンボスの主要株主である九州福岡経済界の九州電力、西部ガス、JR九州なども株式譲渡を完了し、すべてが終了していた。
従って、長崎県の大石知事を筆頭にする各自治体関係者、さらには地元の九州福岡経済界の倉富九州経済連合会長なども含む支持者らによるこの「長崎IRの崩壊」に対するコメントは、非常に無知で偽善的な行動であると言える。
これらの関係者の発言は、異なる言葉で表現されていても、本質的には「同じことを言っている」ことが明らかで、自己保身のためのものであり、情熱や真剣さを感じられない。これは非常に浅薄なものだ。
岸田政権下で現在起こっている「表向き」の政治資金規正法違反に関連する発言、例えば「現在は検察の調査下で、その影響もあり差し控えます」とほぼ同じで偽善的なものであり、説明責任を果たそうという意志が感じられない。
近年の組織の指導者たちは、皆同じような傾向を示している。表向きは「神妙な姿勢」を保ち、残念などと心にもない表現をしているが、本音では自己保身考えている。これは非常に愚かしいことだ。彼らは「サラリーマン首相」や「サラリーマン議員」、「サラリーマン重役」に過ぎず、何事も成し遂げられないだろう。世界の笑いものである。
年末から年始にかけて組織関係者や偽善者たちが引き起こした問題の根本には、金融機関やマスメディアを含む、ここ30年間の国内の「病巣」が存在している。筆者はこれを「コンプライアンス・ガバナンス症候群」と名付け、組織の中でこれを言い訳にしている人々が日本中に広がっていることに警鐘を鳴らしている。
岸田首相を含む現政権下の政治家たちでは、例えば萩生田前政調会長や西村前経済産業大臣など一部の人々が、小細工や策略を考えているように見える。しかし、彼らはいわば「減点主義」の下で、小利口に育った人達であり、我が国の中心で舵取りをするなど出きるはずもない。
学校教育を含む全ての組織や人々は、評価の基準や仕組みを見直し、ここ30年の失敗を指摘する「減点主義」ではなく、人に対する「加点主義」に切り替えるべきだ。学業の成功だけを追求し、小さな失敗を過度に恐れる人々が組織の上にいる。しかし、失敗しないパーフェクトな人物などはどこにも居ない。「失敗は成功のもと」である。食品会社のCM「腕白でも良い。たくましく育って欲しい」のように大人になった者でないと、大きな事はできないだろう。今日ではこうしたCMはほとんど見られなくなった。
大阪中心の関西都市圏、後は福岡と東京の2大都市圏
連載の初めから、「東京都中心の関東都市圏」、「大阪市中心の関西都市圏」、そして「福岡市中心の北部九州都市圏」の3つの主要都市圏以外ではIR(統合型リゾート)は適さないと強く主張し、詳しく解説してきた(名古屋市中心の中部都市圏は文化的に異なるので除く)。
北海道苫小牧市や和歌山市、佐世保市にIRが求める規模の市場がないことは、誰でも理解できるだろう。さらに、安全保障上の懸念からも、中華系企業が所有・運営するハウステンボスが日米防衛にとって重要な位置を占める佐世保市にIRを誘致することは、誰が考えても無理だ。長崎県と佐世保市の関係者たちは、まだこの事実を理解していない。なんと愚かなことか。
最近、西日本新聞も「長崎IRは最初から無理だった」という筆者と同様の記事が掲載している。それならなぜ九州経済連合会の倉富会長やJR九州の石原元会長らがIR誘致に協力する行動に対して疑問を投げかけなかったのか。各マスメディアも各マスコミも忖度だらけの組織ではないか。
22年米国Bally's 記者発表
一昨年の3月、米国の老舗Bally's Corporation(米国ロードアイランド州、ニューヨーク証券取引所上場)は、福岡へのIR進出の可能性について、ホテルオークラ福岡に全国のマスメディアを招いて大々的な記者発表を行った。内容は現在でもネットで容易に確認できる(福岡 IR誘致促進委員会You Tube)。当時の在福岡米国領事館首席領事のジョン・テーラー氏の挨拶は非常に理解しやすく、一見の価値がある、
福岡市都市圏の市場規模は年間で来場者約460万人、売上額約2,500億円、税引き前利益約570億円を見込むとされている。対照的に、崩壊した長崎IRは年間の来場者数673万人(当初は840万人)、年間売上額2,716億円などとされていたが、これは「福岡IR」と比較しても驚くべき数字で、バラ色のとんでもない机上の計画だ。
まして「長崎IR」の中心施設であるカジノは、欧州の小規模業者であるカジノ・オーストリア・インターナショナルという、IR経験のない事業者が運営することが計画されていたにもかかわらずだ。 ・・・
● 立民 泉代表 “ほかの野党と協力し政権交代目指す” 1/4
立憲民主党の泉代表は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、岸田内閣の正当性が失われているとして、次の衆議院選挙でほかの野党と協力して政権交代を目指す考えを示しました。
立憲民主党の泉代表はことし最初の記者会見で、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について、「しっかりけじめをつけなければならない。裏金の認識がある議員は政界から一度、身をひくことが正しい選択で、岸田総理大臣の説明責任や任命責任も問わなければならない」と述べました。
そのうえで、「岸田内閣に正当性はなく、野党による政権をつくるため今こそ立ち上がるべきで、次の衆議院選挙で政権交代を目指す」と述べました。
また、ほかの野党との協力の在り方について、「政治改革を必ず行い、教育の無償化や『トリガー条項』の凍結解除など、国民生活に直結した優先事項で一致結束できれば選挙区調整も十分可能ではないか。虚心たん懐にそれぞれの思いを聞いて、新しい政権をつくる目標にまとめていくことが必要だ」と述べました。
立憲民主党の泉代表は記者会見で、「能登半島を中心に、まだ被害の全容が判明しておらず、救助が完全にできていない状況だ。一刻も早く人命の救助に向けて全力を尽くしてほしい。国レベルでは対応できない細かな物資が必要かもしれないので、党として、引き続き、現地のニーズに合わせて行動していきたい」と述べました。
●共産・志位氏「岸田政権は断崖絶壁」 解散総選挙に追い込む決意強調 1/4
共産党の志位委員長は4日、党の仕事始めにあたって記者団の取材に応じ、「岸田政権は、断崖絶壁まで追い詰められている状況だ」と述べた上で、「国民的な運動によって解散総選挙に追い込んでいくという攻勢的な戦いが必要だ」と決意を示した。
さらに志位氏は、「次の選挙はやはり自民党政治を倒していくということを大きな目標に掲げて私達も戦っていきたい。そのためには(他党との)共闘の再構築が必要になってくる」と指摘し、「(去年に)市民と野党の共闘で、共通政策を野党4党会派で確認するという一歩を踏み出しているので、そういうものも土台にしながら、一歩一歩進めていきたい」と他党との選挙連携に前向きな姿勢を示した。
これに先だって行われた党員への年始の挨拶では、自民党の派閥の政治資金問題について触れ、「徹底究明に全力を挙げる」と強調した。
●安倍派を潰して政権維持を図る岸田首相 1/4
東京地検特捜部による捜査が進む安倍派の裏金問題。政権の支持率は急落したが、岸田文雄・首相は今回の騒動を奇貨として、「数の力」で大きな影響力のあった安倍派議員を政権の要職から一掃。それによる政権維持を目論んでいる。だが、事はそう簡単に進むはずがない。通常国会を前に、恨みを募らせた安倍派の「死なばもろとも」作戦が迫っている──。
最大派閥の恨み骨髄
永田町は重苦しい新年を迎えた。
全国から動員した応援検事を含めて約100人の大捜査態勢を敷いた東京地検特捜部の裏金疑惑捜査はいよいよ大詰め、1月中に召集される通常国会開会までが政界捜査のタイムリミットとされる。自民党内は「何人の議員が逮捕されるのか」「大物議員の立件はあるか」と戦々恐々だ。
岸田首相はすでに「Xデー」に備えている。昨年末の人事で「女房役」の松野博一・前官房長官をはじめ安倍派の大臣、副大臣、自民党幹部を一掃し、“安倍派抜き政権”へと衣替えした。
だが、“派閥解体の危機”にある安倍派の議員たちは逆に結束を強め、首相の仕打ちに“憎悪”をたぎらせている。若手議員が語る。
「総理はうちの派閥の大臣を、有無を言わせず更迭しながら、二階派の大臣たちは派閥離脱でOK。そのくせ国民には『辞任は自発的なもの』とウソの説明をした。総理が安倍派というだけで一括りに罪人扱いしたせいで、我々は地元での風当たりがすごく厳しくなった。派内は怒り心頭だ」
閣僚経験者はこう言ってのけた。
「総理は安倍派から何人かを検察につき出して幕引きしたいのかもしれないが、これは岸田政権の終わりの始まりだ。最大派閥を排除して政権運営をやれるものならやってみればいい。政権が追い詰められようが倒れようが、我々は一切手を貸さない」
そんな安倍派の有力議員の1人が強く怒りの目を向けるのが岸田首相ら主流派による“政治資金スポンサー”への擦り寄りだ。
「こんな時に露骨な利権漁りをしてタダで済むと思っているのか」──。
特捜部が安倍派議員らへの事情聴取に乗り出していた昨年12月20日、岸田首相は国民が支払う医療費の積算根拠となる「診療報酬」の本体部分引き上げを決定した。
この診療報酬改定こそ、岸田首相の「カネ」に直結する最重要の政治課題だった。
安倍派が「露骨な利権漁り」と見ているものだ。
二階派を更迭しない理由
岸田首相は昨年末の安倍派の大臣更迭にあたっての記者会見で、わざわざ「診療報酬」の改定を挙げてこう意欲を示した。
「これから年末に向けて、予算、税制、診療報酬・介護報酬等の同時改定など国民の生活や国の基本政策に関わる重要な決定がめじろ押しで、まさに大詰めを迎えています。政府・与党として、国政に遅滞を来すことがないよう全力を挙げなければなりません」(昨年12月13日)
診療報酬引き上げは、自民党の「最大最強のスポンサー」と呼ばれる日本医師会が強く要求していた。
日本医師会の政治団体「日本医師連盟」は、2021年には都道府県の医師連盟からの寄附と前年からの繰り越し金をあわせて約22億円もの収入があり、自民党本部をはじめ各派閥、多くの議員に献金したり、パーティー券を購入している。さらに中央とは別に、都道府県ごとの医師会の政治連盟も地元の国会議員に資金提供を行なっている。
政治評論家の有馬晴海氏が語る。
「自民党と日本医師会は昔から切っても切れない関係です。国民が健康保険で病院にかかった時の医師の報酬は政府が決める公定価格で、診療報酬と呼ばれる。これが上がるか下がるかで医療機関の経営が左右される。そこで医師会は診療報酬を上げてもらうため自民党に医師会直系議員を送り込み、さらに党本部や自民党議員に広く献金、選挙の時には陣中見舞い(寄附)まで渡して医師会シンパの議員を増やしてきた」
岸田首相の安倍派排除人事によって、各派閥の大臣の数は裏金疑惑捜査で“無傷”だった麻生派が5人に増えたのをはじめ、茂木派3人、岸田派3人(首相を除く)と主流3派で過半数を占めたが、実は、医師会とのパイプが特に太いのが閣僚を増やした主流3派だ。
政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。
「自民党の派閥で伝統的に医師会に強かったのが保守本流の流れを汲む茂木派や岸田派、最近では麻生派です。保守傍流だった安倍派はもともと資金力が弱く、保守本流が有力スポンサーを持っていることに臍を噛んできた。だから医師会に食い込もうとしたが、安倍長期政権下でも、安倍派からは医師会に睨みが利く厚労大臣は出ていない」
第2次安倍政権以降の厚労大臣の顔触れを見ると、田村憲久氏(大臣2回。岸田派)、塩崎恭久氏(岸田派)、加藤勝信氏(3回。茂木派)、根本匠氏(岸田派)、後藤茂之氏(無派閥だが総裁選で岸田首相の推薦人)、現在の厚労相は武見敬三氏(麻生派)と岸田派が圧倒的に多い。
医師会応援団の自民党議員300人以上が参加する「国民医療を守る議員の会」の会長は茂木派の加藤氏、会長代理を岸田派の田村氏が務めている。
まさに主流3派の牙城と言っていい。
しかも、岸田首相は安倍派と同じく特捜部の強制捜査を受けた二階派に所属する小泉龍司・法相と自見英子・地方創生相の2人を派閥離脱だけで大臣にとどめたが、その自見氏は武見厚労相と並んで医師会の全面バックアップを受けて当選した「医師会直系議員」でもある。
「岸田総理は最大派閥の安倍派が捜査で身動き取れないのを好機と捉え、主流3派の主導で診療報酬改定を行ない、医師会利権を完全に手中に収めた。安倍派の大臣だけ切って、二階派の大臣を切らなかったのも、医師会に配慮して自見を大臣に残すためとしか考えられない」(安倍派関係者)
裏にあるのは医師会マネーの岸田首相への還流だ。
献金後に引き上げを決定
診療報酬の改定は2年ごとに行なわれるが、岸田首相は前回の改定時に日本医師会から巨額の献金を受けている。
2021年の改定では政府は当初、診療報酬を0.4%引き上げる方針だったが、医師会側はさらなる上乗せを要求して激しい陳情を展開した。
折しも自民党では菅義偉・前首相が退陣表明し、改定は次の首相の判断に委ねられることになった。同年9月29日に行なわれた自民党総裁選は事前の予想では岸田氏と河野太郎氏のどちらが勝つかわからない情勢だったが、決選投票で岸田氏が新総裁に選出され、総理就任が確定すると、日本医師連盟はその日のうちに岸田首相の資金管理団体「新政治経済研究会」にポンと1000万円を献金したのである。
タイミングから見ても、診療報酬改定を睨んだ“就任祝い”だったことは容易に想像できる。
日本医師連盟に献金について聞くと、「法律に従い適正な政治活動を行なっております」と答えた。
岸田事務所は「政治資金は法令に従い適正に処理し、その収支を報告している」と回答した。
法令に従うのは当たり前だ。だが、診療報酬改定の結果を見ると、献金の効果はてきめんだったことがわかる。
就任したばかりの岸田首相は医師会の要求通り診療報酬を上乗せして0.43%の引き上げを決定、「岸田裁定」と呼ばれた。この年の岸田首相への医師会関係団体からの献金総額は合計1400万円にのぼり、前年の250万円から5倍以上に急増した。
“こんなにおいしいのか”──首相がそう思ったとしても不思議ではない。
今回の診療報酬改定は前回以上に揉めた。医師会と財務省の大バトルとなったからだ。
日本医師会は、「医療従事者の賃上げが他の業界より低い」と診療報酬の引き上げを主張。
それに対して、財務省が全国の医院・クリニックなど診療所の2022年度の平均収益は1億8800万円と2020年度から2000万円増加し、利益剰余金も1900万円増えている──というデータを公表して「(診療報酬を上げなくても)賃上げはできる」と反論。政府の財政制度等審議会財政制度分科会も、「医療機関にコロナ補助金とコロナ特例診療報酬で2022年度だけで4兆円が支援された」と指摘して診療報酬はマイナス、とくに診療所の診療報酬を「5.5%程度引き下げる」との意見を政府に答申した。
危機感を強めた医師会側は自民党に猛烈なロビー活動を展開し、自民党では「国民医療を守る議員の会」が「診療報酬の大幅引き上げ」を決議。岸田派、茂木派の議員たちが岸田首相に申し入れ、最終的に医師会の要求通り「診療報酬本体部分」の引き上げで決着したのは前述の通りだ。日本医師会の松本吉郎・会長は「率直に評価をさせていただきたい」と歓迎した。
政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。
「診療報酬改定は揉めれば揉めるほど自民党にはおいしい。改定率はあらかじめ総理が決めているが、自民党議員は議連の決議や陳情を派手にやって『オレたちはこんなに貢献した』と医師会にアピールする。いわば政治パフォーマンスショーです。その貢献度合いが献金額に反映される」
前回の医師会巨額献金に味を占めた岸田首相が、今回は主流3派の有力議員たちに“どんどんアピールして献金を増やしてもらえ”と演技させたという指摘だ。
医師会利権に食い込みたくても検察捜査で身動きが取れなかった安倍派の幹部たちは指をくわえて見ているしかなかった。
疑惑を飛び火させる
自民党最大の資金源を握った岸田首相は、安倍派にさらなる追い討ちを掛けた。
岸田首相と麻生太郎・副総裁、茂木敏充・幹事長らは検察捜査で安倍派議員が立件された場合を想定し、“安倍派抜き”の党役員会で派閥活動の縮小など政治改革を議論する新組織立ち上げを“新年の初仕事”に掲げた。狙いは最大派閥・安倍派が立ち直れないように解体することにある。
「そこまでコケにするのか」と、安倍派は本気で逆襲の準備を始めた。
安倍派関係者が不気味な言い方をする。
「岸田がこっちを潰す気なら、こちらも遠慮はしない。野党は通常国会が始まれば、裏金問題で岸田政権を追及しようと手ぐすねひいて材料を集めている。
そこで野党をけしかけて岸田自身の医師会献金問題などもセットで追及させ、疑惑を主流3派にも飛び火させて大炎上させる。うちの派閥には安倍政権時代に身体検査のために集めた各派閥の議員のスキャンダル情報がある。材料ならいくらでも提供できる」
「死なばもろとも」と岸田首相を道づれにする暴露作戦に出るというのだ。
安倍派と主流3派の抗争激化で自民党内が分裂状態に陥り、国会が岸田追及一色となれば、2024年度予算案の審議が難航して年度内成立が難しくなり、岸田首相は追い込まれる。
そのさなかに地方組織からも“岸田おろし”が起きるという。安倍派が視野に置いているのは3月17日の自民党大会だ。
「党大会には全国から都道府県連幹部の地方議員が参加するが、その多くは安倍派が押さえている。県連幹部たちの会合で岸田批判を噴き出させ、党大会は大荒れになる。そうすれば岸田退陣への流れは決定的だ」(同前)
どちらが先に倒れるか、それとも共倒れか。
新年早々、岸田首相と最大派閥・安倍派の「自民党史上最も醜い足の引っ張り合い」のゴングが鳴った。
●山口代表「令和の政治改革元年 地に落ちた信頼の回復が次のステップ」 1/4
公明党は4日、「新年仕事始め式」を東京都内で開き、山口代表は「地に落ちた信頼を回復させる」などと新年の抱負を語った。
「新年仕事始め式」で挨拶した山口代表は、2023年から検察の捜査が続く自民党の派閥の政治資金を巡る問題をあげ「今、失われた政治への信頼を着実にとり戻していくために、令和の政治改革元年と銘打って、あるべき提案、あるべき姿を公明党として発信していきたい」と述べた。
その上で、「地に落ちた信頼を一歩一歩、回復させる軌道が描かれることこそが、次なるステージへのステップ」と強調した。
また、能登半島地震の被害者や被災者に、弔意とお見舞いの言葉を述べ、日航機の衝突事故については「現場の状況に冷静に対応した乗員、乗客の行動に敬意を表したい」と語った。 
●自民「政治刷新本部」顧問に菅前首相 派閥の政治資金パーティー問題受け 1/4
自民党の派閥の政治資金パーティー問題を受け、岸田首相は、来週「政治刷新本部」を発足させる。
その特別顧問に、菅前首相が就任することが明らかになった。
岸田首相「来週、自民党に総裁直属の機関として、『政治刷新本部(仮称)』を立ち上げることにいたします」
岸田首相は会見で、来週、自民党に政治刷新本部を立ち上げ、「1月中に中間とりまとめを行い、必要があれば関連法案を国会に提出する」と表明した。
複数の政府与党関係者によると、本部は、特別顧問に無派閥の菅前首相が就任し、党の執行部や外部の有識者も参加する。
菅氏は2023年末にも、党運営について「派閥を前提にした運営になっている」として、改革の必要性を訴えていた。
●岸田首相、地震対応で前面 初日に対策本部に格上げ 1/4
岸田文雄首相は4日の年頭記者会見で、能登半島地震に前面に立って対応していく考えを強調した。首相は1日の発災直後から救助活動や、要請を待たずに物資を送る「プッシュ型支援」の陣頭指揮にあたってきた。これまでも新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵略などに直面したが、政権の危機管理の力量が試される。
「今回の災害は令和に入って最大級だ。被災地の皆さんが再び平穏な生活を取り戻せるよう、私自身が先頭に立って努力していく。強い覚悟を感じている」。首相は会見でこう訴えた。
発災直後の1日時点では全容が分からず、政府内では防災担当相がトップを務める特定災害対策本部の対応で様子を見ようとの意見もあった。ただ、首相は「最悪の場合を考えるべきだ」として、初日のうちに自身がトップの非常災害対策本部への格上げを決めた。
事実、時間がたつにつれ、死者数は平成28年の熊本地震を上回る被害規模となりつつある。
首相は被災自治体の首長らと直接連絡を取り、自衛隊の増強などを判断。連日、記者団の取材に応じ、SNS(交流サイト)上にあふれた「偽情報」への注意喚起など、国民への発信にも努める。
ただ、課題は山積している。政府高官は「能登地方は山沿いに集落が点在しているが、そこにつながる道路が寸断されている。連絡がとれていない人が相当いる」と危機感をあらわにする。道路の復旧は徐々に進みつつあるが、なお支援物資の搬送は難航している。
東日本大震災では菅直人首相(当時)が発災直後に現地や東京電力に乗り込んで陣頭指揮の姿勢を示したが、逆に現場の混乱を招いた。岸田首相は現地入りの時期は慎重に見極める方針だ。今後は被災者の住居確保なども必要になる。
災害以外にも自民党派閥のパーティー収入不記載事件の対応なども迫られている。首相のリーダーシップが問われる。

 

●国民負担減の「救民内閣」を 次期衆院選、政権交代目指す―泉・前明石市長 1/5
前兵庫県明石市長で、退任後も積極的な発信を続ける泉房穂氏(60)は時事通信のインタビューに応じた。自民党派閥の政治資金規正法違反事件などで混乱する国政の現状について「転換が必要だ」と強調。国民の負担軽減を旗印とする「救民内閣」構想の下、新たな政治勢力を結集し、次期衆院選で政権交代を目指す考えを示した。
岸田文雄首相の政権運営について、泉氏は「政治が機能していない。官僚政治だ」と批判。「税金も社会保険料も上がり、国民がより苦しくなった結果、経済が回らなくなる悪循環が起きている」と指摘した。
所得に占める税金と社会保険料の割合を示す「国民負担率」にも触れ、「5割なのに生活が苦しいなんて、政治が間違っている以外に理由はない」と断じた。
その上で、次期衆院選について(1)消費税の軽減税率を5年間の期間限定で0%に引き下げる(2)医療、教育費を無償にする―ことを柱とする「救民内閣」構想を掲げ、与野党双方から賛同者を募る方針を表明。泉氏ら「国民の味方」と、自民党など「国民負担増を続ける古い方々」の一騎打ちの構図を作り出すと主張した。
ただ、自身が出馬する可能性に関しては「私は役者ではなくシナリオライターだ。脚本を書き、キャスティングをしたい」と否定した。
●岸田首相「国民から厳しい声」危機感強調 政治資金問題 1/5
岸田首相は自民党の年始の会合で、派閥の政治資金パーティー問題について「国民から厳しい声、疑念の目が注がれている」と危機感を強調しました。
岸田首相「多くの国民の皆さんから、厳しい声、そして疑念の目が注がれている。こうした時だからこそ政権与党の真価が問われる。我々議員一人ひとりの力量が問われると感じています」
また、岸田首相は「既に正月気分は吹っ飛んでいると思うが高い緊張感を持って気を引き締めて欲しい」と述べ信頼回復に取り組む考えを強調しました。
岸田首相は来週総裁直属の新たな組織「政治刷新本部」を立ち上げ、今月中に中間とりまとめを行います。
刷新本部の最高顧問には麻生副総裁に加え無派閥の菅前首相を起用する方針で、政治資金の透明化や「派閥のあり方」などについて議論します。
●岸田首相「正月気分は吹っ飛んだと思う」防災服姿で自民党仕事始め 1/5
自民党は5日、4年ぶりとなる仕事始めを党本部で開いた。岸田文雄首相(総裁)は、能登半島地震や羽田空港での衝突事故に触れた上で、党の派閥パーティーをめぐる政治資金問題に言及し「こうした時だからこそ政権与党の真価が問われ、我々1人1人の力量が問われる」と述べ、危機感を口にした。
元日以降官邸で能登半島地震の対応に当たっている首相は、防災服を着用しての党仕事始め出席となった。地震で亡くなった方への追悼の言葉、被災した方へのお見舞いの言葉を口にした上で「政権与党一体となり、震災対策に万全を期したい」と述べた。
その上で「年が明け震災が発生し、羽田空港における事故と困難が続いているが、そもそも昨年末から自民党の政治資金をめぐり多くの国民の皆さんから厳しい声、疑念の目を注がれている。それに加え経済、社会外交のあらゆる面において、我が国は本年大変な重要な年を迎える」と主張。「こうした時だからこそ、我々は国民の信頼を回復して政治の安定を確保し重要政策を進めていかないといけない」と口にした。
集まった党幹部や議員、職員に対し「すでに正月気分は吹っ飛んでいることかと思いますが、ぜひ高い緊張感を持ち気を引き締めてともに力を合わせ、未来を切り開いていこうではありませんか。ご協力を心からお願いしたい」と呼びかけた。
首相は4日の年頭会見で、政治資金問題に対応するため党内に自身が本部長を務める「政治刷新会議」を週明けに立ち上げる考えを示している。首相に続いてあいさつした茂木敏充幹事長は「運用面、制度面にわたる改革案、再発防止策を早急にとりまとめ実行することで、信頼回復に務めていきたい」と話した。
●これでは日本は国際的サプライチェーンから「外される」...不十分な脱炭素政策 1/5
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で日本の「気候変動イニシアティブ」のメンバー186団体が、2030年温室効果ガス排出削減目標と国際競争力の強化を同時に達成する「カーボンプライシング(排出する二酸化炭素に価格をつけ、企業に行動変容を迫る制度)提言」を発表した。
23年5月に成立した岸田政権の「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)」でカーボンプライシング導入の道筋が示された。しかし世界的に広がる炭素税や排出量取引制度に比べると日本の取り組みは不十分という。そこで東証プライム企業61社を含む140社と東京都など9自治体、37団体・NGO(非政府組織)が声を上げた。
GXは「グリーントランスフォーメーション」の略だ。岸田政権が示しているカーボンプライシング構想では、26年度に排出量取引制度を本格的に稼働させ、28年度に化石燃料の輸入事業者に対する賦課金制度を導入、33年度から発電事業者を対象に排出枠の有償割り当てを行う計画だ。
これに対して「気候変動イニシアティブ」の加藤茂夫共同代表は「現在示されている自主的な制度では削減効果が限定的で、導入も遅いため30年削減目標が未達に終わる懸念がある。自主的な制度参加ではコストを負担して排出削減に取り組む企業が参加しない企業に競争上劣後し、不利益を被る恐れがある」との懸念を示す。
日本はカーボンプライシング構想の強化を
さらに加藤氏は「不十分な炭素価格では日本の企業が炭素国境調整措置の対象となることや国際的なサプライチェーン・投資先から除外される恐れがある。世界では排出削減と再生可能エネルギーの導入が進んでおり、ビジネスの場として日本の魅力を向上させる制度が必要である」とカーボンプライシング構想の強化を求めている。
英誌エコノミスト(10月1日付電子版)は「いかに炭素価格が世界を支配しているか。世界の排出量の4分の1に適用され、その割合は急速に増加している」と指摘する。欧州連合(EU)の排出量取引制度(ETS)は「キャップ・アンド・トレード」の原則に基づき05年に導入された。温室効果ガスの排出量に上限(キャップ)を設定して取引する制度だ。
EU ETSの導入で、主な対象部門である発電・熱供給とエネルギー集約型産業で排出量は大幅に削減された。「多くの米政治家は炭素価格の導入が消費者の負担するコストを押し上げ、反動を引き起こすのではないかと懸念している。しかし驚くべきことに炭素価格は富める国にも貧しい国にも広がっている」と同誌は報告している。
二酸化炭素換算で年間6億2000万トンを排出する世界9位の排出大国インドネシアでも排出量取引制度を導入し、炭素市場を立ち上げる際、炭素取引のハブになる夢をぶち上げた。地元銀行は地熱エネルギー会社のクレジットを買い取った。23年初頭には世界の排出量の23%に炭素価格が適用された。10年のわずか5%から急拡大していると同誌は指摘する。
日本メーカーは再エネがないと輸出できなくなってしまう
国際通貨基金(IMF)によると、50カ国近い先進・新興市場が炭素価格制度を導入しており、さらに20カ国以上が導入を検討中だ。EUによる炭素国境調整メカニズムの移行期間が10月1日に始まった。炭素国境調整メカニズムはEU ETSに基づき域内の製造事業者に課されるのと同等の炭素価格をEU域外から輸入される対象製品に課す仕組みだ。
「カーボンプライシングにはドミノ効果がある。輸出国の政府にも国内企業が海外で関税を支払うのではなく自国で炭素価格を支払うインセンティブが働く。問題はドミノ倒しが十分に迅速に行われるかどうかだ。将来の政策立案者は気候変動の影響を最小限に抑えたいのであれば、対策をさらに強力なものにするしかない」(エコノミスト誌)
自然エネルギーを促進する日本の自然エネルギー財団(孫正義会長)シニアコーディネーター、高瀬香絵氏は「世界で戦っている製造業は日本国内の再エネがないと輸出できなくなってしまう恐れがある。その中で排出量の多い石炭を保とうとするインセンティブはいったいどこから来るのか。日本には浪費する時間もお金もない」と筆者に語る。
「2000年代、日本はエネルギー安全保障のため国内に石炭火力発電所をたくさん新設した。石炭火力を残すためアンモニア混焼という技術に莫大なお金を出している。それでは排出削減措置を講じたことにはならない。アンモニアや水素の100%燃焼にするのか。それより再エネの方が安上がりだ。移行ボンドを利用して再エネと脱石炭を進めるべきだ」
「政府は“伝統的な声”に耳を傾け過ぎ」
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は「排出削減措置が講じられていない(unabated)」の定義について「発電所から排出される二酸化炭素の90%以上を回収あるいはエネルギー供給から排出されるメタンの50〜80%を回収」と例示しており、高瀬氏は「日本独自の解釈は許されない。90%回収がスタンダードになる」と強調した。
第7次エネルギー基本計画が24年にも策定される。高瀬氏は「政府関係者にはこれまでの策定プロセスを見直し、基本政策分科会のメンバー選考を見える化することを求めたい。政府は“伝統的な声”に耳を傾け過ぎだ。ソニーやAGC(旧旭硝子)のような企業や気候イニシアティブに代表される新しい時代の声を聞くべきだ」と訴える。
ニッセイアセットマネジメントの大関洋社長は「私たちの株式ポートフォリオを見ると、わずか10%の企業が温室効果ガスの90%を排出している。10%の企業から投資を引き揚げれば90%の排出量を削減できる。これは容易な方法だが、全体としては排出削減につながらない」と語る。
大関社長によるとソニーや資生堂はネットゼロ(実質排出ゼロ)の目標を実現しているものの日本では多数派ではない。同社のポートフォリオで排出量の70%を占める世界の70社のうち43社が日本の企業。このうちネットゼロへの明確な戦略を立てているのはわずか3社だ。「なぜかと言えば、インセンティブを欠いているからだ」と解説する。
「欧州では再エネが普及しており、それを活用すれば対応できる。しかし日本では再エネの割合が極めて低い。そうした環境下でネットゼロを考えるのは難しい。政府が再エネのアクセルを踏まないと日本企業も立ち行かなくなる。米国企業も炭素税などの負担がかかれば、高排出の企業との取引を削らないと、重い負荷が財政にかかることになる」
「日本企業に世界からどうして(再エネに転換)できないのですかという圧力もかかってくる。グローバルにビシネスを展開する企業は政府に動いてもらわないと困るから仕方なく声を上げているのが実情だ」と大関社長は打ち明けた。気候イニシアティブは「25年を目処に実効性の高いカーボンプライシング制度を導入すべきだ」と提言している。
【気候イニシアティブが求める6原則】
(1)30年削減目標達成に向け25年を目処に実効性の高いカーボンプライシング制度を導入
(2)公平性担保のため一定の要件を満たす企業を一律に制度の対象に
(3)世界に比肩する水準で将来の炭素価格を明示(例えば30年130ドル/二酸化炭素トン)
(4)EUの炭素国境調整メカニズムなどの対象とならないよう国際的なルールに適合した制度に
(5)公正な評価のもと排出削減が困難な中小企業などをカーボンプライシング制度の収入で支援
(6)カーボンプライシングの立案・評価・更新の透明性を確保
●立民・泉代表「政府対応に一部遅れ」能登半島地震での激甚災害指定 1/5
立憲民主党の泉健太代表は5日、党本部で開いた仕事始めであいさつし、能登半島地震における岸田政権の対応が遅いとして、民主党政権時代の対応と比較しながら苦言を呈した。
泉氏は「元旦から地震、2日は羽田の航空機事故とさまざまなことが相次いでいる。緊張感をもって、国民の命と暮らしを守るために全力を尽くしたい」と述べた。
その上で、前身の民主党が政権を担っていた2011年3月に東日本大震災が起きたことに触れ「我々の中にも(当時政権で)活躍したメンバーが数多くいる」と述べ「東日本大震災の激甚災害指定は、発災の翌日に行った。また予備費の支出についても発災3日後に300億円を超える金額を決定している。そういった意味では、今現在、激甚災害指定が行われていないことや、(40億円の)予備費の執行が1月9日に予定されていることなど、政府の対応に一部、遅れがあるのではないかと考えている」と指摘。岸田政権の対応の鈍さを指摘した。
また「現地では被災者の救援のために多くの方に頑張っていただいているが、物資が一部の場所にかなり集積される状態になっている一方で、被災者まで届けられていないということも聞こえてきている。民間ヘリの活用も含めて、全力で被災者の方々に物資が届くよう(岸田政権に)求めていきたい」とも話した。
2024年について「まずは被災者支援に最優先に取り組みながら国民生活全般、賃上げ、経済再生にも取り組みたい」と述べ「4月は補欠選挙もあるので、それに向けても全力を尽くしたい。きたるべき総選挙においても勝利し、今の正当性のない腐敗政治を変えることにも向かっていきたい」と政治決戦への抱負も口にした。
仕事始めの冒頭には出席者全員で、能登半島地震の犠牲者に黙とうをささげた。
●野田元首相、ゾンビのように甦る自民党の派閥と世襲議員を断ち切るには 1/5
政治資金パーティーを巡る問題が連日報道されている。松野官房長官、世耕参議院幹事長、高木国会対策委員長、西村経済産業大臣、萩生田政務調査会長など、安倍派9人が辞任に至り、支持率が低かった岸田政権にはとどめの一撃といった感がある。
岸田首相はどこまで持つのか。これを機に、自民党の派閥政治は解体されるのか。政治資金改正法の抜け穴はどこまで解消されていくのか。1994年に政治改革関連法の審議に1年生議員として参加し、政治とカネの問題と戦うことが政治家としての出発点だったと語る、衆議院議員で元首相の野田佳彦氏に聞いた。
──1月20日に通常国会が始まるため、その前に特捜部は関係する議員を起訴する可能性があります。立憲民主党を中心に野党が衆議院の解散と岸田政権の退陣を求めていくことも予想されます。また、「衆議院解散選挙をすれば岸田おろしが始まるので、岸田さんは解散総選挙は望まない」という見方がある一方、自民党の石破茂さんは「来年度予算案が通ったら辞めますというのはありだ」とテレビ番組で述べました。通常国会が始まったら、どうなっていくと思われますか。
野田佳彦氏(以下、野田):1月20日に国会が始まるかどうかはまだ分かりません。特捜部の捜査の影響で、1週間ほど開会が遅れる可能性があります。足もとには様々な重要な政治課題がありますが、まずは政治を正さなければ日本は良くなりません。ですから、政治改革がテーマの国会になっていくと思います。
自民党が自浄作用を見せて、深い反省のもとに何らかの提案をしてくるかどうかが一つのポイントですが、それは難しいのではないかと考えています。
岸田さんにはトップとしての危機感が足りません。30年前のリクルート事件の時は、石破茂さんや岡田克也さん(当時 自民党)といった若手が怒り、改革の提言を出しましたが、そういった若手の提言は今の自民党の中から何も聞こえてきません。
こう考えると、自民党から提案を装ったものは出てくるかもしれませんが、抜本的な提案が出てくる可能性は低いと思います。我々野党こそが必要な法案を国会に提出しなければなりません。この点で、野党各党は共闘していける可能性は十分にあると思います。
多弱の野党がしっかりスクラムを組んで、自民党を追い詰めて法案をのませていく。もしその法案をのまないというのであれば、「岸田政権よ、国民に真意を問え」と、我々はさらに強く迫っていく考えです。この流れが、今年の前半の動きになるのではないでしょうか。
細田博之・衆議院議員が亡くなりましたが、現時点では、4月の補欠選挙は細田さんの地元でのみ行われる予定です。仮にもし今回の件で逮捕される議員が出てくれば(どれだけ逮捕者が出るかもにもよりますが)、解散の可否なども検討されていくと思います。
──30年前のリクルート事件の時に、自民党の若手が集まって「政治改革大綱」を作りました。しかし、今回はそのような動きを見せる若手議員が自民党にいない。なぜだと思われますか?
野田:政治家が劣化したのだと思います。あるいは、派閥単位で裏金作りをしているので、派閥に染まり「これはおかしい」と言える元気のある人がいないのかもしれません。極めて残念なことだと思います。
──政治資金パーティーを巡る問題で、安倍派や二階派は特に大きなダメージを受けたと思います。次の選挙では、こういった派閥に所属していることが大きなマイナスイメージになります。今後、自民党の派閥政治はどうなっていくと思われますか?
政治改革関連法に抜け穴ができた経緯
野田:50年前、福田赳夫先生の時にすでに「派閥解消」と言っていたのに、ずっと解消できないままにここまで来ています。
派閥の弊害を縮小しようという動きは昔からありました。政治改革大綱にも、政権入りした議員は派閥から抜けると書かれています。ところが、岸田総理自身がそれを守ってきませんでした。
今回も、派閥にいろいろ手直しを加えようとはするでしょうけれど、なんだかんだと言って、自民党の派閥というものはゾンビのように何度も復活してくるものです。これぞ「ザ・自民党」です。
──この状況では、派閥を縮小する動きは避けられないようにも思うのですが。
野田:今までどおりでは済まないでしょうね。しかし、やがては「派閥均衡で人事は行わなければならない」「派閥の推薦がある人がいい」などというところにまた戻っていくのではないでしょうか。ここはとことん、派閥解消に向けた議論が必要です。
──企業や団体から議員への献金は禁止されていますが、政党や支部への献金は認められています。野田さんは「企業・団体献金の禁止」を求めていくと語られていますが、これはつまり、政党や支部への献金を禁止していく必要があるということですか?
野田:そういうことです。1994年にできた政治改革関連法(政治改革四法)の中で、政党助成金を導入することになりました。そのことによって本当は、企業・団体献金を廃止していく方向でした。
ところが、抜け穴として政党と政党支部は受け皿になり得るという形にして存続させた。そして、事実上の企業・団体献金こそ、今日の政治資金パーティーです。これは献金です。これも含めて厳しく封じるべきだと思います。
──「企業・団体献金はダメだ」という議論はこれまで幾度もあったのに、どうして防げなかったのでしょうか?
野田:これは政党同士の土俵づくりなので、多数決で決めることではありません。すべての政党が賛同したほうがいい。ただ、全党に受け入れてもらおうと妥協する中で、抜け穴がすぽっと入ってきた。
ただ、今後もそんなことを許していたらきりがありません。国民の信頼は今、地に落ちています。
──政治資金規正法に、『何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く)に関して寄附をしてはならない。前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない(第二十一条の二)』という条文があることが問題だという見方があります。この条文を削る必要があると思われますか?
野田:企業・団体献金をスパっと禁止するためには、この条文はいらなくなると思います。ダメなものはダメ、分かりやすくやったほうがいい。抜け穴になりそうなものは作らない。穴を塞ぐということです。
世襲議員を生み出す政治資金の「相続」
──(政治資金パーティーの)パーティー券の購入は事実上の企業献金だと言われています。政治資金パーティーは、政府の予算編成にどの程度影響を与えてきたと思われますか?
野田:自民党にいたわけではないので、はっきりとしたことは分かりません。ただ、これは想像ですが、予算編成ばかりではなく、税制改正、法改正、規制緩和など様々なところに影響していたと思います。
多額の寄附をいただけば、その存在が頭に浮かぶ。頭に浮かぶから忖度する。その効果があると思うから、みなさんパーティー券を買うわけでしょう。企業は義理人情ではなく、経済合理性で動きますからね。効果がなければやりません。
──政治資金パーティーや、支部や政党への献金を禁止すれば、産業の硬直化も解消されていくと思いますか?
野田:そうです。歪みはなくなり、より公正なお金の使われ方になっていくと思います。
──立憲民主党は、国会議員が引退または死亡した時、政治団体や政治資金を配偶者や3親等内の親族に引き継ぐことを禁止する「政治資金世襲制限法案」を提出しました。これがどのような法案か教えてください。
野田:国会議員が亡くなった場合に、その議員の政治資金が残されます。政治資金はその議員の私物ではない。ところが、現状では、その資金を親族が非課税で相続できる。これこそ、世襲議員がたくさん出てくる一つの要因です。
世襲議員の方はたくさんいますが、数千万円単位でみなさん引き継いでいます。どんなに優秀な人が選挙に出たって、知名度で負けている。資金で負けている。これでは、新人が政治に入ることができません。大きな壁の一つがこの政治資金の相続にある。これは断ち切らないといけないし、それができれば、かなり景色は変わると思います。
昭恵さんが「晋和会」の代表になった意味
──安倍元首相が死去した後に、妻の昭恵さんが政治団体「晋和会」の代表を継ぎ、自民党支部など安倍氏の5つの関係政治団体から、計2億1470万円が寄附されていたことが報じられました。野田さんは、このことについてご自身の「かわら版」で言及されています。なぜ、政治団体「晋和会」は昭恵さんを代表に据えたのだと思われますか?
野田:安倍さんの死去に伴って、今年4月に山口4区で補欠選挙が行われました。この時に、ご夫人をそのポジションに据えると、後援会を動かしやすい、お金を使いやすいという判断があったのではないかと想像します。
ただ、閣議決定で、昭恵さんは私人になりました。その私人がいとも簡単に政治団体の代表になるのはやはりおかしい。
晋和会は普通の政治団体ではなく、政党支部のお金も集約している団体です。政党支部は公党の支部ですから党則があるはずです。民主的な手続きに沿って、誰を代表に選ぶのかというプロセスは明らかにしなければなりません。そのプロセスを県連であり、党本部が認める必要があります。
それにもかかわらず、夫人が代表になり、政治団体を晋和会に集約して、政治資金が億単位で相続された。しかも、非課税で。これはつまり、同じようなことが全国で起こっているということです。
※2019年11月、「桜を見る会」を巡り、政府は安倍昭恵さんを「公人ではなく私人」と閣議決定した。
──政治家の親族だと非課税で政治資金を引き継ぐことができる。これを問題視する声は以前からあったのですか?
野田:世襲を問題視する声はありましたが、世襲を作る問題の背景として、このような制度的な問題があることが明らかになってきたのは最近のことです。そこで、我々は「政治資金世襲制限法案」を提案しました。こんなことを続けているから、自民党の半分くらいが世襲議員になってしまうのです。
「安倍元首相の責任にするのはフェアではない」
──岸田政権は支持率を落としていますが、野党各党の支持率はもっと低い。政権交代を狙うには、野党が結集していくことが必要です。「教育の無償化」が、野党が合意できる政策テーマになると言われており、野田さんは先日テレビ番組で「選択的夫婦別姓制度などでも共闘していけるのではないか」と語りました。他にも、野党が結集する上で重要になる政策テーマはありますか?
野田:まさに「政治改革」です。まず、政治資金規正法を変える。世襲制限の項目を入れて企業・団体献金を廃止する。そして、政治資金を完全にデジタル管理してガラス張りにする。これは今後の改正で最も大切なことの一つです。
マイナンバーカードやインボイス制度で、国民を1円単位で税金逃れできないようにしておきながら、その体制を作ったほうが抜け道を自分たちに用意しているなどということは許されない。
こういったことを柱として、政治資金改正法を出すならば、あるいはそこに、日本維新の会が問題提起している「文書通信交通滞在費」や、私が安倍さんと約束したけれど、不十分な対応にとどまっている「議員の定数削減」など、いくつかの柱を加えてセットすれば、野党が共闘できる部分はいくつもあると思います。そうなると、迫力のある野党共闘になると思います。
これに加えて「教育無償化」も各党が賛成できると思います。しかし、とにかく基本は政治改革です。
──旧統一教会との関係や、今回の安倍派議員の政治資金収支報告書の未記載など、岸田首相は、かなり安倍さんの負の遺産に苦しめられているという印象を受けます。
野田:すべて亡くなった人の責任にしてしまうのはフェアではありません。安倍さんが生前「キックバックの未記載はダメだ」と言っていたという話が出ていますが、どうやらあれは事実のようです。
彼は派閥のトップになった時に、その実態を知り、「これは裏金になるので良くない」と周囲に注意していたようです。旧統一教会などに関しては、安倍さんの手法に問題があったと思いますが、この辺りはよく整理して見ないといけません。
「安倍さんの負の遺産」という見方をすると、まるで「岸田さんが可哀そう」という印象になってくる。しかし岸田さんは、政治改革大綱を守ってこなかった人です。安倍さんのせいにして片づける資格はありません。
安倍派を切った岸田首相の失敗
──政治資金パーティーを巡る問題が注目され始めた時に、岸田首相は清和会(安倍派)を9人交代させる意向を発表しました。キックバックの問題は安倍派以外でも行われていた可能性があるのに、全容を解明せず、まず安倍派を切るという判断をした。どう思われますか?
野田:失敗だったと思います。99人の最大派閥の心を離れさせる判断でした。もちろん、安倍派の問題は今回大きい。でも、キックバックを受けていない人もいるのに、全部まとめて同じ扱いをすれば不満が広がる。
私も短い間、政権運営を経験しましたけれど、政権運営とは、雪の中の坂道で雪だるまを押し上げていくようなものです。重たいし、冷たい。手を放す人が出てくれば、下に転がり、雪玉が大きくなってしまう。支え手をどんどん失えば、政策推進力は失われていきます。その局面に入ってきたと思います。
──野党が結集すると、総理経験を持つ野田さんはより重要な存在になっていくのではないかと想像します。何ができると思われますか?
野田:私は1993年の選挙で初当選して、1994年の政治改革関連法の審議に1年生議員としてかかわりました。このテーマは自分にとっては原点なのです。私は「政治屋ではなく政治家になりたい」と思ってきたし、「政治家以上に政治改革者になりたい」という意識を持って政治家になりました。ですから、あの頃の青い志が甦ってきています。
平成の政治改革には熱い気持ちで取り組んだし、達成感もあった。でも、振り返ると抜け穴だらけでした。令和の抜け穴のない政治改革をやり遂げたい。もう一回やり直すための仕事ならば、できることは何でもやらせていただきたいと思っています。 
●岸田総理、政治資金問題に「多くの国民から厳しい声や疑念の目」  1/5
岸田総理大臣は自民党の仕事始めで、能登半島地震や政治資金問題などにふれ「政権の真価が問われている」として、力を合わせて困難を乗り越えていきたいと呼びかけました。
「我々は国民の信頼を回復し、政治の安定を確保し、そして重要政策を進めていかなければなりません。こうしたときだからこそ、政権与党の真価が問われます」(岸田総理大臣)
自民党の派閥の政治資金問題について、岸田総理は「多くの国民から厳しい声や疑念の目を注がれている」と危機感を示しました。
茂木幹事長は、「改革案や再発防止策を早急に取りまとめ、実行することで信頼回復に努める」と強調しました。
岸田総理は来週、自民党に総裁直属の「政治刷新本部」を立ち上げる方針です。
●24年度予備費増額を指示 能登地震「切れ目なく対応」―岸田首相 1/5
岸田文雄首相は5日、首相官邸で鈴木俊一財務相と会談し、能登半島地震に対応するため、昨年末に閣議決定した2024年度予算案について、予備費を増額するよう指示した。首相はこの後、記者団に、当面は23年度予算の予備費で対応するとした上で、「復旧復興に至るまで切れ目のない対応が欠かせない。被災者が平穏な生活を取り戻せるよう、私が先頭に立って努力する」と語った。
●裏金「政権交代前夜の雰囲気」 自民・船田氏が危機感 1/5
自民党の船田元・衆院議員総会長は5日、自身のメールマガジンで、党派閥の政治資金パーティー裏金問題を巡り危機感を示した。「かつての政権交代前夜のような雰囲気になっており、一部議員の謝罪や辞職で済む状況にはない。われわれは解党的出直しを求められている」と訴えた。
岸田文雄首相が打ち出した派閥パーティー自粛などに触れ「小手先の改革では、国民の信頼を回復することは不可能だ」とも指摘した。
●与野党6党党首会談 能登半島地震受け岸田総理が協力を要請 1/5
能登半島地震を受け、与野党6党の党首が国会内で会談し、岸田総理は各党に今後の対応などについて、協力を要請しました。
国会では午後3時から与野党6党の党首が会談し、岸田総理は能登半島地震について「復興・復旧まで息の長い対応をしていかなければならない」などと訴え、各党党首に協力を要請しました。
岸田総理「災害対応に万全を期さなければならない。この点については与党・野党、立場に違いはないと信じています」
また、岸田総理は被災地支援などのため、今年度予算の予備費から47億4000万円を計上する方針や、来年度予算案の予備費の増額を検討していることなどを説明しています。
こうした与野党党首の会談はこれまで、東日本大震災や、新型コロナウイルスへの対応などの際に行われてきました。
立憲民主党 泉健太代表「『政府与野党震災対策協議会を設置し、今後も開催してほしい』という申し入れについては、『何らかの形で今後も続けたい』と総理の側から回答があった」
災害対応を誤れば内閣支持率の低下にも繋がることから、自民党幹部は「東日本大震災並みの危機感を持っている。当時、力を貸したわけだから、今回は野党にも力を貸してもらいたい」としています。
●“政治資金再発防止でキックバックせずを検討” 自民 幹事長 1/5
自民党の茂木幹事長は派閥の政治資金パーティーをめぐる問題の再発防止策として、パーティー券の販売ノルマを超えた収入を議員側にキックバックしないようにすることなどを、来週、立ち上げる「政治刷新本部」で検討する考えを示しました。
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、岸田総理大臣は来週、総裁直属の機関として「政治刷新本部」を立ち上げて、再発防止策や派閥のあり方などを検討する意向を示しています。
これについて、茂木幹事長は5日の記者会見で、「政治資金の透明性の確保を図っていくことは極めて重要であり、党としてさまざまな形で改革すべき点がある」と述べました。
そのうえで、再発防止策として
・派閥のパーティー券の購入は現金ではなく銀行振り込みとすることや
・販売ノルマを超えた収入を議員側にキックバックしないようにすること
・それに党が各派閥の収支を監査することなどを検討する考えを示しました。
また、各党との協議を踏まえて、政治資金規正法の改正や透明性を向上させる観点から、収支報告書を国に提出する前の段階で、党が独自に公表することも検討していく考えを示しました。
一方、派閥の在り方をめぐっては、「再発防止策などの改革案をまとめていく過程で検討していきたい」と述べました。
立民 泉代表「党としてどうけじめをつけるかが先」
立憲民主党の泉代表は記者団に対し、「裏金をつくった議員に対し、党としてどのようなけじめをつけるかが先ではないか。いくら会議体を作っても国民は納得しない。新しい組織も派閥を運営してきた人が入っていて、国民は期待していない。また、裏金は政治資金規正法を強化すればなくなる話ではなく、今の自民党に改正案を考える資格はない」と述べました。
維新 馬場代表「第三者機関にルールづくりを委ねることが大事」
日本維新の会の馬場代表は記者会見で「刷新本部には総理大臣経験がある麻生氏や菅氏が入ると側聞しているが、そういう人たちが自分たちでルールを決めることになればいろいろな問題が出てくるのではないか。自民党が抜本改革を行う姿勢を示すには第三者機関にルールづくりを委ねることがいちばん大事で、そこで決まったルールを必ず実行するという姿勢がなければ、地に落ちた国民の信頼は回復できない」と述べました。
公明 山口代表「『刷新』にふさわしい内容を期待」
公明党の山口代表は記者団に対し、自民党が来週立ち上げる「政治刷新本部」について、「『刷新』ということばを使って意気込みを示しているので、自浄能力を発揮する姿勢を国民に示していただきたい。必要に応じて公明党から意見を言うこともあるかもしれないが、国民の厳しい目がある中『刷新』にふさわしい内容をつくることを期待したい」と述べました。
共産 志位委員長「真相を明らかにすることが最優先」
共産党の志位委員長は記者会見で、「自民党は制度的な改善をする前にやることがある。誰がどれだけの裏金を得て、何に使ったのか明らかになっていない。真相をきちんと明らかにすることが最優先であり、それを抜きに『刷新』と言っても意味をなさない」と述べました。
国民 玉木代表「党の存亡をかけた真剣な議論を」
国民民主党の玉木代表は記者団に対し、「今回の派閥の裏金問題は政治に対する信頼を根底から揺るがすような問題で、抜本的な改革を自民党には求めたい。もし、なまはんかなものが出てくれば自民党自身が大きく信頼を失うことにもなる。党の存亡をかけた真剣な議論と結論を期待したい」と述べました。
●池田佳隆議員は相変わらず“雲隠れ”…自民党派閥の裏金問題 1/5
自民党派閥の裏金キックバック事件では、東京地検特捜部の強制捜査は、愛知県や岐阜県にも伸びました。議員事務所などの家宅捜索を受けた議員たちは、年始も公の場所に姿を見せていません。
2024年1月3日、愛知県春日井市で開かれた賀詞交歓会。
自民党愛知県連会長の丹羽秀樹衆院議員「我々政治家の信頼を失墜させるような大きな出来事、政治と金の問題が起きたのも事実であります。二度とこのようなことがないように、多くの皆さま方から信頼をいただけるような行動をとっていかなければならない」
例年であれば、万歳三唱などを行って華やかな雰囲気となるはずの会合です。
丹羽秀樹衆院議員「今までだったら同級生とかに、地域の行事なんかに出ると『よく来たな』なんて優しい言葉をかけていただいたんですけども。急にキックバックや裏金の問題とか、そういったことが話の第一番に出るようになってきましたので非常に悲しい」
暮れも押し迫った12月27日、東京地検特捜部の捜査は名古屋にも及びました。
安倍派からの4000万円を超えるキックバックを収支報告書に記載していなかった疑いが持たれている、愛知3区地盤の池田佳隆衆議院議員の事務所などが家宅捜索されました。
2日後には、岐阜県羽島市にある大野泰正参議院議員の事務所なども捜索を受けました。
任意の事情聴取に続き、裏金事件では議員個人として初めて強制捜査を受けた池田議員。去年12月から一向に公の場に姿を見せない「雲隠れ」の状態が続いています。
この年末年始も「年末年始の行事等への出席につきましては、主催者並びに関係者の皆様へのご迷惑をお掛けすることがないよう、自粛させていただくことと致しました」と関係者にFAXを送ったきりです。
これに対して、地元の支援者は…。
池田議員の支援者(12月27日)「秘書が応対せなダメ。分からんなりにも。だけどこういう形になったらもう終わり。『こんな政治家なの?』『秘書もそんなふう?』って長年やってきて」
池田議員の会計責任者を務める秘書の男性を直撃取材しましたが、問いかけに何も答えることはありませんでした。
池田議員と連絡が取れないのは、自民党愛知県連も同じです。
丹羽秀樹衆院議員「(池田議員)本人からまだ連絡はないというのが現状であります。我々政治家に対する国民の皆さま方の信頼が失墜したということは実感いたしております。国民の皆さま方から信頼されるような行動を、我々政治家一人一人がとっていかなければならない、そういう年だと思っております」
●政治資金パーティー巡り…安倍派最高顧問・衛藤議員「キックバック精査」 1/5
自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る問題について、安倍派の最高顧問を務める衛藤征士郎衆議院議員がTOSの取材に応じました。
自身へのキックバックについては「精査している」と答えるにとどめています。
衛藤議員は5日、大分県竹田市で新年互礼会に出席。会場を離れる際にTOSの取材に応じ、「政治不信を起こしたことをお詫びする」と派閥の問題を謝罪しました。
また、キックバックについては次のように話しました。
衛藤征士郎議員「派閥の方から、これを政治資金規正法に基づく収支報告書にしっかり書き込みなさいということを指示しなかった。それが一番大きな問題だ。私(について)は今精査をしている」
一方、衛藤議員が代表を務める資金管理団体と政党支部は先月下旬、おととしの収支報告書の訂正を行いました。
派閥とは異なる政治団体からの寄付金あわせて310万円が記載漏れとなっていましたが、衛藤議員は自身は知らなかったということです。

 

●西村氏が還流継続主導か 事務総長時に方針決着 1/6
自民党の派閥のパーティー収入不記載事件で、安倍派(清和政策研究会)が一昨年夏にパーティー収入の一部を所属議員にキックバック(還流)する慣例の方針継続を決めた際、当時の派閥事務総長だった西村康稔前経済産業相が主導した可能性があることが5日、関係者への取材で分かった。西村氏は還流分の政治資金収支報告書への記載方法も提案しており、東京地検特捜部は西村氏の認識について慎重に調べているもようだ。
安倍派は所属議員に課したパーティー券の販売ノルマ超過分について、収支報告書に記載せず所属議員に還流する慣例を長年続けていた。
関係者によると、西村氏ら安倍派幹部は令和4年5月のパーティーに先立って協議。還流停止を決めて議員側に通達したが、議員側が反発。同年7月に安倍派会長だった安倍晋三元首相が死去した後、幹部らは同年8月中旬ごろにかけて再び協議し、一転して還流を継続する方針が決まった。
また西村氏は、還流分を安倍派と所属議員の双方の収支報告書に記載しない慣例を改め、還流された所属議員の関連団体の収支報告書に個人のパーティー収入として記載する方法も提案したという。
西村氏は3年10月、安倍派の実務を議員側で仕切る事務総長に就任。4年8月10日に発足した岸田文雄改造内閣で経済産業相に任命された。事務総長は同25日、高木毅前国対委員長に交代した。
関係者によると、高木氏は還流に関する同年8月の協議に参加しておらず、高木氏が事務総長に就任した時点で還流を継続する方針で決着。その後、安倍派はノルマ超過分を議員に還流し、翌5年に提出された安倍派の収支報告書には還流分が記載されなかった。
特捜部は西村氏ら幹部を任意で事情聴取。西村氏らは還流についての認識は認める一方、不記載については認識を否定しているとみられる。
西村氏は産経新聞の取材に対し、期日までに回答しなかった。
●安倍派2議員の立件へ パーティー収入不記載疑い 地検特捜部 1/6
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、清和政策研究会(安倍派)からパーティー券収入のノルマ超過分を受領しながら政治資金収支報告書に記載していない疑いが強まったとして、東京地検特捜部がいずれも安倍派所属の池田佳隆衆院議員(57)=比例東海=と、大野泰正参院議員(64)=岐阜選挙区=を政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載)容疑で立件する方針を固めた模様だ。上級庁との協議を踏まえて最終判断するとみられる。関係者への取材で判明した。
不記載、虚偽記載の公訴時効(5年)にかからない池田、大野両氏の不記載額はそれぞれ4000万円超に上る見通し。安倍派では、ノルマ超過分のキックバック(還流)を派閥から受けながら収入として収支報告書に記載していない議員が数十人に上り、裏金の総額は5億円を超える可能性があるが、両氏の不記載額は最高規模となる。
安倍派には他にも数千万円規模の裏金化が疑われる議員がいるとされ、特捜部は立件対象を広げるか検討しているとみられる。
特捜部は2023年12月27〜29日に東京・永田町の国会議員会館にある両氏の事務所などを捜索した。同法の不記載、虚偽記載は会計責任者を処罰対象とするが、特捜部は両氏と会計責任者の共謀を立証できると判断した模様だ。
池田氏は20〜22年に派閥からの寄付計約3200万円を記載していなかったとして、自身の政治団体の収支報告書を訂正している。取材に、派閥から収支報告書に記載義務のない「政策活動費」として扱うよう説明があったと答えていた。大野氏は12月中旬の報道陣の取材に「しっかり精査する」と述べていた。
池田氏は日本青年会議所の会頭を務めた後、12年衆院選で愛知3区から出馬して初当選。現在4期目。大野氏は岐阜県議を経て13年の参院選で初当選し、現在2期目。
●田崎史郎氏、「ウェークアップ」で衆院解散を解説… 1/6
日本テレビ系「ウェークアップ」は6日、岸田文雄首相が4日の年頭記者会見で自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題を受け、総裁直属の「政治刷新本部」を来週発足させると表明したことを報じた。
スタジオでは今年の主な政治日程を紹介。司会の野村修也氏の「衆議院の解散はどうなりますか?」の問いにリモート出演した政治ジャーナリストの田崎史郎氏は「岸田さんの下での衆院解散は非常に難しい。できないんじゃないかと思ってます」と指摘した。
続けて「自民党内の空気は、内閣支持率低迷している、これは我慢しましょう、と。しかし、岸田さんが解散するのはやめてください、と。私たちが落ちてしまいますっていうことなんです」とし「だから、岸田さんが交代して新しい人になって新しい総理総裁が解散するパターンだと見ています」と解説していた。
●「原発3倍」賛同 再エネ加速こそ連携を 1/6
東京電力福島第1原発事故の災禍を経験した日本は加わるべきではなかったろう。津波が押し寄せた能登半島地震の光景を見て、改めてそう思わざるを得ない。
世界の原発の設備容量(発電能力)を2050年までに20年比で3倍に増やす宣言である。
先月の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の際に米国主導で打ち出され、日本を含む23カ国が賛同した。
気候変動対策の一環として、賛同国が協力するとしている。
岸田文雄政権は国内については想定していないとするが、次世代原子炉の開発や原発関連の輸出などにつなげたい思惑も透ける。
原発は安全性の問題のほか建設に時間を要し、喫緊の気候対策に役立たないと指摘される。高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分も多くの国は未解決だ。
日本には原発のリスクを世界に伝える責務もあるはずだ。原発推進ではなく、再生可能エネルギーの普及や化石燃料に頼る国の脱炭素化などの支援でこそ、国際的な連携を図っていくべきである。
宣言には原発稼働国のほか、ポーランド、ガーナといった建設計画段階の国も賛同した。
ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー安全保障の重要性が高まった。天候に左右されず、運転時に温室効果ガスを出さない原発が注目されている面はあろう。
だが福島事故後の安全規制強化で建設費は急増し、海外では1基当たり1兆円以上かかる事例もある。気候対策の本命である再エネ普及の妨げになりかねない。
国内外の環境団体が、誤った気候変動対策は真の対策を遅らせると訴えるのは当然である。
政府には原発産業を支援する狙いがうかがえる。特に小型モジュール炉(SMR)など岸田政権が推進する次世代炉の開発だ。
日立製作所は米ゼネラル・エレクトリック(GE)との合弁でSMRの開発に、三菱重工業などは高温ガス炉に取り組んでいる。
昨年11月には米国初のSMR建設計画が中止された。コスト増で採算が見込めないためという。
次世代炉にひそむリスクは未知数だ。岸田政権の前のめりの姿勢は危ういと言うほかない。
COP28では、世界の再エネの設備容量を30年までに3倍にする誓約も提起され、日本を含む116カ国が賛同した。
原発3倍の23カ国との大きな差が、世界の潮流を示していることを見誤ってはならない。
●野党3党首 政権構想を語る 共産党次期委員長は? 1/6
5日夜のBSフジ「プライムニュース」に野党3党の党首が相次いで出演し、自公連立にかわる政権構想などについて考えを述べた。
立憲民主党・泉代表「何でもかんでも全部やろうではなくて、必ず変えるという政策項目については、心あるメンバーで新しい政権を作れるのではないか」
立憲民主党の泉代表は、岸田政権に「正当性はない」として、特定の政策課題の実現を目指す「ミッション型内閣」の樹立を訴えた。
しかし、これに先立ち、日本維新の会の馬場代表は、憲法改正や安全保障分野の政策などで立憲の党内がまとまっていないとして、連立政権に難色を示した。
日本維新の会・馬場代表「泉さんが野党を結集させて野党政権を作るということであれば、まず自分の政党の中をまとめてください。わたしは宿題は立憲さんにあると思います」
一方、4年ぶりの党大会が1月に開かれる共産党は、委員長の交代の可能性が取り沙汰されているが、志位委員長は「大会で決めることなので勝手に言えない」と言及を避けた。
●「岸田おろし」だけじゃない。2024年は与野党党首の顔ぶれが一新か 1/6
能登半島地震が元日から発生し、波乱の幕開けとなった2024年。今年は年始から検察による自民党裏金問題の捜査が大詰めを迎え、岸田政権にとって多難の年となる。9月には自民党総裁選が予定されており、岸田文雄首相の去就が注目されているが、実は9月は他党でも代表が任期満了を迎える。党首の顔ぶれが一新する可能性もあるなかで、「岸田おろし」が加速するかどうかが焦点となりそうだ。
立憲・泉代表の任期も今年9月まで
「解散総選挙のタイミングによっては、代表を交代させるかどうか、かなり難しい選択を迫られることになる」
そう語るのは立憲民主党関係者だ。今年9月に予定されている自民党総裁選の陰に隠れて見落とされがちだが、立憲の泉健太代表も9月に任期満了を迎え、党の代表選が予定されている。
泉氏は次期衆院選で150議席を獲得するという目標を掲げており、達成できなかった場合は「代表を辞任する」と述べているが、「あまりにも高すぎる目標で達成はかなり困難」(立憲関係者)という見方が一般的になっている。
そのため、9月よりも先に衆議院が解散され、総選挙が実施された場合には、その後に泉氏が辞任をして、立憲では新代表を選ぶ代表選が行われる可能性が高い。
関係者が「難しい選択」と語るのは、9月までに衆議院が解散されず、総選挙が代表選よりも後の日程になった場合だ。衆議院議員の任期満了である2025年10月までに総選挙が控えるなか、立憲は9月の代表選で、代表を変えるかどうか選択を迫られることになる。
立憲内では「代表を変えても支持率が上がるわけではない、泉氏のもとで次期衆院選まで突き進むべきだ」という意見がある一方で、「泉体制のもとで立憲の支持率がなかなか上がらず、日本維新の会の台頭を許してしまった。衆院選を迎える前に代表を変えるべきだ」という主張も多い。
また、選挙日程との関係から、立憲関係者は「衆院選までの日程が短いなかで新しく代表になるのは、その政治家にとってもリスクになる。泉氏が150議席という大きすぎる目標を掲げてしまっただけに、選挙結果について代表が必要以上の責任を取らされる可能性もある」と解説する。
すでに次期代表選に向けて出馬の検討を始めている立憲議員は何人かいるが、最終的な決断は総選挙のタイミングしだいとなりそうだ。
公明は代表交代なら創価学会の意向が重要
9月に任期満了を迎えるのは、立憲の代表だけではない。
公明党の山口那津男代表もそのうちの1人だ。山口氏は15年間に渡って代表を務めており、2025年には参議院議員としての改選期を迎える。公明党の代表任期は2年間であるため、もし山口氏が代表を続投した場合は、来年の参院選で再選し、さらに追加で6年間の国会議員人生を歩むこととなる。
しかし、その山口氏もすでに71歳。参議院議員としてさらに任期を重ねるとなると、79歳ごろまで政治家をすることになるわけだが、公明党周辺からは「もう高齢で耳も聞こえにくくなっている。参議院議員としては今回の任期で終わりにすべきという声も多く、そのため今年9月の任期満了をもって代表を変える可能性が高い」という声が挙がっている。
公明党の代表を変えるとなると、重要になるのは創価学会の意向だ。公明党では党首を決める際に代表選という形はとっているものの、実際には複数の候補者が立候補して選挙が行われたことはなく、創価学会との調整を経て代表となる人物が選ばれ、1人だけが立候補して無投票で党首に選ばれることが習わしとなっている。
創価学会といえば、女性部(旧婦人部)が選挙期間中に積極的に電話掛けを行い、票田として機能している。そのため、女性部は学会内でも強い発言力を持っていることで知られているのだが、その女性部のお眼鏡にかなう、代表となる政治家がいるかも焦点だ。
山口氏は「なっちゃん」という愛称で知られている通り、女性部からの人気があるが、順当に考えれば次期代表の筆頭候補とみられる石井啓一幹事長には硬いイメージが先行している。
はたして「なっちゃん」に代わる政治家はいったい誰になるのか。池田大作名誉会長が亡き後の創価学会で調整が進められているとされている。
共産はイメージ刷新のため女性代表起用の可能性
そして共産党でも1月15日から始まる党大会で、志位和夫委員長が24年間にわたって維持してきた体制から、田村智子政策委員長に代表が交代する説が浮上してきている。
共産党では党首を党員による直接選挙で選ぶのではなく、中央委員会によって決定する民主集中制を取っている。これに対して昨年、党首を直接選挙で選ぶ「党首公選制」を求める主張が党内から相次いで出たが、その党員を共産党が除名処分としたことも話題となった。
党内の波紋を抑えるため厳しい対応を取ったかたちだが、志位委員長の体制が長く続き過ぎていることへの批判が党内からも出てしまった事態は無視できるものではない。そうしたイメージを刷新するために、女性の田村氏の代表起用に白羽の矢が立ったわけだ。
実際に共産党は昨年6月、参議院議員として活動してきた田村氏を次期衆院選に擁立して、衆議院議員に鞍替えさせることを決定。当時から「志位氏から田村氏に代表を交代する布石だ」(永田町関係者)と囁かれていた。共産党で初の女性代表が誕生するかどうかが注目されている。
このように、与野党各党で党首交代が取り沙汰されるなか、最も注目されるのが自民党総裁選だ。
支持率が10%台にまで低迷し、さらに裏金問題の捜査も待ち受けている「泣きっ面に蜂」状態の岸田首相だが、4月28日には細田博之前衆院議長が死去したことに伴う、衆院島根1区補選の実施が予定されている。
しかもこの4月補選、裏金問題を受けて辞職する議員が今後、続出した場合は、選挙の数が増えて「裏金補選」となってしまう可能性もある。そうなると、岸田政権や自民党にとっては厳しい選挙戦を強いられることになり、岸田首相のままで補選に臨むのかも含めて自民党では選択が迫られることになる。
そして、6月には通常国会の会期末、解散総選挙をするか否かを岸田首相が決断する、総裁選前の最後のタイミングがやってくる。この6月には所得税などの減税も行われるが、自民党総裁選で「岸田おろし」が本格化する前に、思い切って岸田首相が解散に打って出るのかが注目される。
さまざまな思惑のもとで与野党トップの顔ぶれが一新することになるかもしれない2024年。
ただ、いずれが党の顔になろうと、望まれるのは国民生活を豊かにするための議論であり、政治だ。くれぐれも国民を置いてけぼりにするような権力闘争に明け暮れることがないよう、政治家の方々には注意してもらいたい。
●岸田首相、被災地外への避難支援を表明 1/6
岸田首相は6日、官邸で開かれた能登半島地震非常災害対策本部会議で、「電気・水道などの全面復旧には時間を要する見込みだ」とした上で、「被災地外への避難先への移動を希望する方には、避難先を石川県と連携して用意するよう、きのう、指示した」と述べた。
その上で、「被災地外も含め、ホテル・旅館などの空き室を自治体で借り上げる『みなし避難所』を積極的に活用してほしい」と述べた。
また、「集団での避難生活の長期化もあり、疲労感やストレスが蓄積しているなど、悲痛な声が聞かれる」と指摘。
「各避難所への食料や水などの物資支援、仮設トイレの搬入、健康管理、Dマット(災害派遣医療チーム)の医師・看護師等による医療支援を行うとともに、パーティーションによるプライバシーの確保、ダンボールベッドの設置など避難所の環境改善にも一刻も早く取り組んでほしい」と指示した。
さらに岸田首相は、「災害復旧に必要な車両がいち早く到着し、支援物資を速やかに運搬するため、被災地につながる道路の交通量を減らすことが喫緊の課題だ」と強調。
「一部の区間の通行を災害復旧や救援物資輸送に関係する車両に特化するべく、道路交通法上の交通規制を石川県で調整している」とした上で、「国としても、石川県の措置を全力でバックアップしてほしい」と述べた。
●岐路に立つ政治 改革の骨抜きは許さない 1/6
政界は年明けから重苦しい空気に包まれている。自民党派閥による政治資金パーティーを舞台にした裏金事件は、東京地検特捜部による強制捜査が進む。
国会議員が特権を悪用して懐を肥やしていたことに対し、物価高にあえぐ国民の政治不信は沸点に達している。
政治資金の収入から支出までの流れを透明にすることが最大の政治課題だ。違反した場合の罰則も強化しなくてはならない。
自民党が裏金づくりの実態を明らかにすることが前提だ。派閥をどう見直すかも問われる。
一連の責任を負う岸田文雄首相は、9月末で自民党総裁の任期が切れる。政権運営は迷走し、内閣支持率は最低水準にまで落ち込んだ。岸田政権にとっては五里霧中の年となろう。
与野党挙げ法改正を
当面の焦点は、裏金事件で刑事責任が国会議員にまで及ぶかどうかだ。
特捜部は安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)を捜査しており、政治資金規正法違反(不記載など)の疑いで会計責任者を立件する見通しだ。
さらに裏金に関与した国会議員が罪に問われる事態になれば、政権への打撃は計り知れない。
捜査の行方にかかわらず、今月下旬に召集される通常国会では政治資金規正法の改正論議に多くの時間を費やすことになる。
1988年に発覚したリクルート事件などの反省から、政治資金に一定のたがをはめる改正を重ねたが、かねて欠陥が指摘される。
パーティー券収入は、20万円を超える購入者を政治資金収支報告書に記載しなければならない。これを小分けして処理すれば、公開されない裏金を容易につくることができる。「ザル法」と呼ばれるゆえんだ。
国会議員が自らを厳しく律する法改正ができるかどうか。ここで国民の不興を買うようでは、自民党は派閥どころか党が立ちゆかなくなると自覚すべきだ。
与野党を挙げて取り組む課題である。野党は連携して改正案をまとめ、与党を突き動かしてもらいたい。この機に、多額の資金を必要としない政治活動についても議論を深めたい。
与野党協議が難航することも予想される。行き詰まるようなら、政治改革を争点に国民の信を問う覚悟が必要だ。
政治の大きな転換点になり得る局面である。今度こそ骨抜き、抜け道を許してはならない。国民は各党の法改正案を注視し、政治改革に本気で取り組んでいるかどうかを見極めてほしい。
退陣論高まる可能性
岸田政権の命運は裏金事件の対応にかかっている。「事態を注視する」「信頼回復に努める」と繰り返すばかりでは、国民に危機意識は伝わらない。
4月には細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区補欠選挙がある。裏金事件で辞職者が出た場合は補選が増える可能性があり、自民は逆風を余儀なくされる。
岸田首相が「選挙の顔」では戦えないと、党内から不満が噴出すれば、2024年度予算が成立する春ごろに退陣圧力が高まることも考えられる。
首相は「国民の信頼あっての政治の安定、政治の安定あっての政策の推進だ」と語る。言葉とは裏腹に、信頼と安定を欠き、国民の痛みを伴う政策を先送りしているのが現状ではないか。
昨年末は、増額する防衛費や少子化対策の財源確保に道筋をつけられなかった。選挙を意識して国民負担を避け、増税前に減税をするちぐはぐな財政運営を繰り返してはならない。
一方で、岸田政権は殺傷能力のある兵器の輸出を解禁し、日本で生産する地対空誘導弾パトリオットを米国に提供することを年末に決めた。またも国会議論を経ず、与党内協議だけで安全保障政策を転換した。
国民を置き去りにする決定手法は認められない。これも今年の政治改革の論点と位置付けたい。
●迫る審判の機会 論議尽くせ 1/6
岸田文雄首相(自民党総裁)が政権を担って3度目の新年を迎えた。衆院議員の任期は残り2年足らずで、今年中の衆院解散・総選挙もあり得る。与野党は迫る審判に向け、日本の政治のあるべき姿について論議を尽くしてもらいたい。
本格論戦の場となる通常国会は今月下旬に開会見込みだ。会期は150日間で、解散の時期によっては、衆院選前で最後の国会になる可能性がある。優先して議論すべきは、最大震度7を観測した石川県の能登半島地震への対応になる。安否不明な住民らの捜索、救出に全力を挙げるのは当然だ。避難生活を強いられている被災者支援にも万全を期さなくてはならない。
国会は、そうした政府の取り組みを徹底検証し、足らざる所を補うよう促す必要がある。被災地の復旧、復興対策も審議の重要なテーマになろう。政府は、与野党党首会談で受ける提案などを踏まえ、最善の方策を取る姿勢が求められる。
政権の責務は、国民の「命と暮らし」を守ることに尽きる。岸田首相が衆院解散に踏み切った場合、今回の大地震で示される危機対応能力が問われると心すべきだ。
政治への信頼を失墜させた自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件への向き合い方も、岸田政権の命運に関わる。
安倍派はパーティー収入から6億円規模の裏金を捻出したとされ、東京地検特捜部は政権の枢要なポストにあった安倍派幹部などから事情聴取。通常国会までに、安倍派に加え、二階派の会計責任者らを政治資金規正法違反の疑いで刑事処分する方向だ。
首相は年頭の記者会見で党内に総裁直属の「政治刷新本部」を設置し、「国民の信頼を回復すべく党の体質刷新の取り組みを進める」と表明した。来週にも発足予定だ。最初の一歩は、関係議員が説明責任を果たすよう指導することだが、議員任せの態度に終始している。追及回避を狙った組織立ち上げであってはならない。
政策面で首相は憲法改正への意欲を強調したが、喫緊の課題ではあるまい。大地震対応などとともに、防衛力強化のための増税や、それと矛盾するかのような所得税などの定額減税の是非に関する再議論が先だろう。
4月には衆院島根1区補選が控える。裏金事件の捜査次第で議員辞職による補選数の拡大も考えられる。9月には、首相が再選を目指すとみられる自民党総裁選が予定されている。
首相がいつまで政権の座にあるか定かではないが、衆院選をはじめとする審判の機会に備え、国民も首相や与野党の主張を吟味するようにしたい。
●金正恩総書記が岸田首相に“異例”見舞い電報 能登半島地震 1/6
北朝鮮メディアは金正恩総書記が5日、能登半島地震を受けて岸田首相に見舞いの電報を送ったと報じた。
これは6日朝の労働新聞が伝えたもので、金総書記は電報を通じ「日本で不幸にも年初から地震で多くの人命被害と物的損失が発生したとの知らせに接した」として「深い同情と哀悼」を表明した。
そして、被災者が「一日も早く被害を解消し安定した生活を取り戻すことを願う」と伝えた。
韓国メディアは金総書記が日本の首相に電報を送った「前例は無い」とした上で、最高指導者として人道的な姿を強調する狙いがあるとしている。
また、日米韓が対北朝鮮で協力を拡大する中、日本に融和的な態度を示すことで3カ国の連携にくさびを打ち込む狙いがあるのではとの専門家の話も報じている。 

 

●30年後のいつか来た道 「政治改革」をやり直せるか 1/7
国会周辺にも白いものが舞った。東京23区は大雪注意報発令下だった。
94年1月29日未明、衆院内の一室は外気とは対照的な高揚感に包まれていた。当時の細川護熙首相と野党自民党の河野洋平総裁による「政治改革」合意の記者会見である。
リクルートに始まる金権事件の続発と底なしの政治不信。政界は塗炭の苦しみをなめ、身をよじりながら出した答えが、この合意だった。
30年後のいま、パーティー券裏金問題が広がり、永田町で再び政治改革の4文字が飛び交う。しかしそこに、かつてのような熱はまだない。
言葉だけで終わるのか、「第2の改革」が成就するのか。問われる年である。
派閥に手を突っ込め
かつて自民党が、政治とカネの問題の元凶として「解消」を決意したはずの派閥は、そのエネルギーを縮減させたとはいえ、なお健在だ。
当時は、旧田中派と、その流れをくむ竹下派が長く権勢を誇り、カネまみれの腐敗土壌を育む象徴的な存在と見なされた。
今回の裏金問題も、最大派閥によって長く続いた「安倍1強」支配のおごりや緩みと切り離して考えることはできない。
スキャンダルの背後に潜む構図は、30年の時を経ても相似形である。
衆院選挙制度の転換を核とする先の改革は、党執行部の権限強化をもたらしはしたが、内部統制のあり方については各党の自発性に委ねた。
いわば積み残しにしてきた古くて新しい課題を、これを機に改めて取り上げなければならない。
派閥、とりわけ権力派閥の振る舞いに手を突っ込まない限り、政治資金の透明化はおぼつかないというべきだろう。
資金問題だけでなく
30年前の改革実現に大きく寄与したとされるのは、与野党にまたがる当選1、2回の若手議員だった。
世論の逆風を肌で感じた彼らの危機感は尋常ではなく、各党幹部を激しく突き上げた。改革への慎重派や懐疑派が座る会議に押しかけ、文字通り肉弾戦を繰り広げる場面もあった。
まだ若手が比較的自由に物を言えた時代だったのだろう。それは皮肉にも、改革が諸悪の根源と見なした中選挙区制の効用だったかもしれない。同士打ちの激戦を自力で勝ち上がってきた議員には、「怖いものなし」とうそぶく者がいた。
小選挙区制の導入によって、首相と官邸、党執行部に権力が集中し、陣笠議員の比重はいよいよ軽くなった。選挙の度に生まれる「○○チルドレン」と呼ばれる新人は、おおむね従順でおとなしい。
若手に限らず、物言えば唇寒しの風潮も年を追って強まっている。
今回再浮上した政治改革論議をめぐり、風通しのいい党内論議がどれほど交わされるのか、心もとないといわざるをえない。
政治とカネが当座のテーマだとしても、改革を論じる機運がともかくも生じたのだとすれば、さらに幅広い論点への挑戦をためらうべきではない。
30年という節目にあたり、先の改革の功罪、あるいは不足と過剰といった点に着目した再検討は必須ではないか。
例えば、安倍元首相に典型を見る「強すぎる首相」という問題である。
その長期安定の見かけとは裏腹に、極めて短期志向の政権運営が際立った。任期を多く残して恣意(しい)的に衆院を解散し、その度に政策の看板を掛け替えた。
この間、国の借金や社会保障といった長期的な重要課題は閑却された。
岸田首相も先の通常国会でいたずらに解散風を吹かせ、「専権」をもてあそんだ。
首相の、正確には内閣の解散権をどう考えるか。これも古くから積み残され、先送りされてきた大問題である。
設計図作りの難しさ
先の改革は、「永久与党、万年野党」の55年体制を脱し、二大政党ないし勢力による政権交代のある政治をめざした。
冷戦終結や湾岸危機、バブル経済崩壊といった大状況のめまぐるしい変化に対応し、政治の決定力、実行力を手にしようとする試みであり、それは政治とカネへの取り組みと表裏一体の企図だった。
政権交代は確かに実現したが、全体としての展開はおよそ所期のもくろみとはかけ離れてしまった。
衆参両院のねじれは、決定力を欠く短命政権を立て続けに生み出した。二大政党、勢力への収斂(しゅうれん)は挫折の連続だったし、今後それが実現する兆しもまったく見えない。
国民の政治不信はますます深まり、無関心は広がり、選挙の投票率は下がり続ける。
多くの人間が関わる政治という営みは、描いた設計図通りにいくものではないという現実を思い知らされる。
改革を論じるなら、そのことを踏まえた上で重心の低い議論を進めてもらいたい。
●姥捨て楢山節考 1/7
映画「楢山節考」を再生してみた。山深い貧しい村の因習に従い、年老いた母親を背負って真冬の山奥に捨てに行く物語だ。映画では、白骨の散らばる山奥の岩陰に運ばれた老婆が、置き去りを躊躇する息子に早く行けと促す悲惨さが描かれる。
長野県の冠着山(かむりきやま)が俗称「姥捨(うばすて)山」と言われているのだが、実際には、そんな因習は無かったという。
姥捨て伝説は、各地にあるようだが、背中に負われた母親が、山道途中の枝を折ったり、白い灰を撒(ま)いたりして、息子の帰路の目印を残し、息子は親の愛の深さに堪(たま)らず、親捨てを止める。
あるいは、姥捨ては領主の命令だが、親を納屋に匿(かくま)っていたところ、領主に難題が持ち上がり、隠れていた老人の知識で解決し、領主が反省して姥捨て命令を廃止した―などと、姥捨て物語では、姥捨てを留(とど)まり、因習を否定しているようだ。
姥捨てや間引きはタブー
戦争中の集団疎開を扱ったドラマに、こんな話があった。疎開児童が増えたので村に食糧不足が起こり、老人たちが村はずれのお堂で自給自足の集団生活をする。それを子ども達が気付き、自分の食事を残して、おにぎりをお堂に届け、大人が反省して老人達を家に戻す。
口減らしは、その恩恵を受ける側にとっても残酷な行為なのだ。現実には、悲惨な状況もあったのかも知れないが、我が国の伝説や規範としては、姥捨てや間引きといった口減らしをタブーとしているのだ。
江戸時代、常陸国(現在の茨城県)南部に岡田寒泉という代官が就任した。彼は領内をくまなく見回ったところ、村々が疲弊していたので、貧困による幼児の間引きを防止するために「産児養育料」を支給し、凶作に備えて稗(ひえ)などの備蓄をさせるとともに、開墾事業の奨励、風紀の粛清など民生の安定に努め、小貝川の氾濫の際には素早く「お救い小屋」を建てて対応したという。
岡田寒泉は、松平定信の寛政の改革に関わった旗本であり、儒学者でもあったのだが、貧困の根幹を是正する統治政策を実践した人でもあった。
岸田政権の悪知恵政策
ところで、岸田政権の「異次元の少子化対策」では、財源の3分の1を、医療保険の掛け金から「支援」させるという。医療・介護保険は、必要な医療介護費用を算出し、保険制度の組合加入者が負担するわけだから、保険金に余裕はない。余裕があるとすれば、保険料を減額するのが筋だ。
その保険金を別の用途に回すとすれば、必要な医療・介護サービスを減らすことになる。学校給食費の納入金の一部を人気取り行事に流用して、給食の回数を減らすか食材の品質を落とすのと同じだ。要するに、「口減らし」だ。日本の老人は、子どものためと言われれば、少ない年金からでも、ひねり出すことは厭(いと)わない。
しかし、そのような、日本の老人の心情に付け込むような悪知恵政策は余りにも卑怯(ひきょう)だ。肝心の日本の子ども達は、子育て政策が老人の命を削る支援金で行われることを聞いたとき、喜ぶのだろうか?
●山口公明代表、進退「熟慮」 9月の任期満了で 1/7
公明党の山口那津男代表は7日のNHK番組で、9月に代表任期満了を迎えることを受けた自身の進退に関し、「次の大きな選挙との関係も含めて、党の力を最大限に発揮するにはどうしたらいいかという観点で熟慮していきたい」と述べた。自民党派閥の政治資金規正法違反事件によって次期衆院選の時期が見通せないことが念頭にあるとみられる。「世代交代は常に心掛けなければならないし、若い人材が育ちつつある」とも語った。
●岸田首相、解散「信頼回復後に考えたい」 震災、野党に協力呼び掛け 1/7
岸田文雄首相(自民党総裁)は7日放送のNHK番組で、衆院解散の時期について、「まずは信頼回復、次は政策の実現。今はそれに尽きる」としつつ、「それを行った上でその先については考えていきたい」と語った。9月の党総裁任期満了に伴う総裁選への再選出馬は、「重要な課題が山積している。そこから先の政治日程は今は考えていない」と述べた。収録は6日。
能登半島地震への対応や国会運営に関し「より多くの野党に協力していただく姿勢は今年も大事にしたい」と述べ、協力を働き掛けていく意向を表明。国民民主党の連立政権入りの可能性に関しては、「具体的にどの党と協力するか。場面場面でしっかり考えたい」と語った。
●安倍派池田衆院議員と秘書を東京地検が逮捕、党除名処分に−報道 1/7
自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件で、東京地検特捜部が7日、政治資金規正法違反の疑いで池田佳隆衆院議員(57)=比例東海=と秘書を逮捕したとNHKなど複数のメディアが報じた。岸田文雄首相は同日午後、逮捕を「承知している」と述べた。同問題では安倍派の現職国会議員が逮捕される事態に発展した。
東京地検と池田事務所に電話で連絡を試みたが、いずれも回答を得られなかった。
NHKによると、池田議員は会計責任者だった政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)と共謀し、2022年までの5年間に安倍派から約4800万円のキックバックを受けたにもかかわらず、自らが代表を務める資金管理団体「池田黎明会」の収入として記載せず、政治資金収支報告書にうその記載をしていた。
岸田首相は非常災害対策本部会議後に記者団に、池田議員の逮捕について「承知している」とした上で、「自民党所属の国会議員が逮捕されたことは、大変遺憾なことで重く受け止めている」と述べた。さらに池田議員を「除名する方針とした。党として強い危機感を持って政治の信頼回復に努めなければならないと改めて強く考えている」と発言した。
共同通信によると、安倍派は池田議員の逮捕を受け、「関係者の皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げます」との談話を発表した。引き続き捜査に真摯(しんし)に協力するとしている。自民党にコメントを求める電話をしたが、つながらなかった。
岸田首相は、最大派閥である安倍派の幹部を要職に起用することで政権基盤の安定を図ってきた。裏金化の疑惑を受けて松野博一前官房長官を含む全員を交代させたが、内閣支持率は21年10月の政権発足後の最低を相次ぎ記録。安倍派現職議員の逮捕は岸田政権に影響を及ぼす可能性がある。
信頼回復への取り組みが求められる中、岸田首相は1月4日の年頭記者会見で、自民党内に総裁直属の政治刷新本部を設置すると発表。外部有識者も含めて政治資金の透明化に向けた議論を進め、1月中にも中間取りまとめを行う方針も示した。
特捜部は安倍派「5人衆」と呼ばれる松野氏、西村康取りまとめ稔氏、高木毅氏の歴代事務総長と萩生田光一氏、世耕弘成氏のほか、派閥の座長を務める塩谷立氏からも任意で事情を聴いたと国内メディアが報じていた。政治資金規正法上、収支報告書の作成・提出義務がある同派の会計責任者は還流分の不記載を認めており、特捜部は同法違反容疑での立件を検討していたという。
国内メディアが行った直近の世論調査によると、岸田内閣の支持率はいずれも10−20%台に落ち込み、大半で12年12月に自民党が政権復帰して以降の最低を更新。一連の問題を受けて岸田首相の責任や指導力を問う声が強まっている。自民党の不支持率も上昇しており、派閥の解消を求める声も多い。
●安倍派池田議員ら逮捕=4800万円虚偽記載か、政治資金規正法違反容疑 1/7
自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件で、東京地検特捜部は7日、政治資金収支報告書に約4800万円の虚偽記載をしたとする政治資金規正法違反容疑で、衆院議員の池田佳隆容疑者(57)=比例東海、当選4回=と、会計責任者で政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)を逮捕した。特捜部は認否を明らかにしていない。
この事件で逮捕者が出るのは初めて。政界を揺るがす政治とカネの問題は、現職国会議員が逮捕される事態に発展した。
自民党は7日、池田容疑者を除名。清和政策研究会は「関係者の皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわびする」などとするコメントを出した。
関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券販売について所属議員の当選回数や役職によってノルマを設定。超過分の収入は議員側にキックバック(還流)し、派閥や議員側の収支報告書に記載せず裏金化していたとされる。
安倍派では還流の方法とは別に、10人以上の議員側がノルマ超過分を派閥に納めず裏金として中抜きしていた疑いもあり、時効にかからない2018〜22年の還流分と中抜き分を合わせると、派閥全体の裏金総額は6億円規模に膨らむ可能性がある。
池田容疑者の逮捕容疑は、柿沼容疑者と共謀し、資金管理団体の18〜22年分の収支報告書で派閥から還流を受けた計約4800万円を収入に含めず、過少に記載した疑い。
池田容疑者が還流を受けた金額は所属議員の中でも特に多いとされる。同容疑者側は昨年12月8日付で20〜22年分の収支報告書を訂正。安倍派からの寄付額が計約3200万円増えたほか、20年の収支報告書には収入の「前年からの繰越額」として約1600万円が追加された。
●長崎IRの崩壊「根っ子はすべて同じ」 岸田政権に思う 1/7
ネットプラットフォームは国際金融市場の集積地に併設
大阪、福岡、東京の各IRは近い将来、オンラインカジノ、オンラインゲーミング等の国際市場を開拓・展開するため、ネットプラットフォームを併設し、それらは急速に発展するものと思われる。
この現地でのネットプラットフォーム施設の併設は、世界でのネット国際金融における市場競争の「核」となる事業であり、どこの国・場所であれ必須である。そこにはビットコインなどに代表される仮想通貨が集積し、世界的にも巨大な金融市場が誕生し形成されることになる。近い将来、IRがもたらす売上や収益、税収などは現在の計画をはるかに上回るだろう。
我が国ではこれらはいまなおタブーであり関連の法整備は行われていないが、この世界のすう勢からはいずれの国も避けては通れず、我が国でも近年中に必ず実行されることとなるだろう。なお、福岡市は高島市長のもと行政と議会、経済界は「香港に代わる国際金融都市を目指す」ことをすでに公言している。
九州大学箱崎キャンパス跡地開発と福岡IRが連携されれば、「鬼に金棒」となる。JR九州と西鉄、市営地下鉄沿線で結ばれた利便性の高いエリアであり、福岡IRは高島市長が掲げる「福岡イースト&ウェストコースト」プロジェクトに適したすばらしい案件となり得る。
このように、ほかのプロジェクトを福岡都市圏で実現するうえでも、IR誘致開発は何よりもベストな選択だと断言できる。IR誘致に絡む世界の資金の巨額さは他に類を見ないものだ。
国際都市福岡の魅力と自然環境保護
海の中道海浜公園 イメージ 福岡IRの候補地は福岡都市圏、旧帝国陸軍航空隊「雁ノ巣飛行場」の跡地、戦後の米国陸海軍航空隊「キャンプハカタ」の跡地で、現在も米国文化と強いつながりを保つ土地である。
とくに国営の「海の中道海浜公園」にはそれらの名残が多く残っていて、福岡市民から親しまれる憩いの場であり、白い砂浜の続く長い海岸線はとくに美しい。一部は「玄海国定公園」となっていて、風光明媚で自然豊かな環境の国土交通省が所有管理する広大な国有地でもある(約540ha)。その分、長く続く海岸線の防風林、松の林と砂防柵などの保護管理に要する費用は莫大なもので、現況の水族館や市民プールなど夏場だけの入場・イベント収入では支出にまったく追いついていない。近年はこの国有地の民間利用を積極的に促し、その固定費を賄うための収入増を期待して、法制度改革が実施されている。
福岡市の中心地からは鉄道(JRと西鉄)で約35分、車(都市高速)でも約30分、博多港ベイサイドプレイスから福岡市営渡船でも約30分、このように交通インフラがすでに整備され、充実している点で国内唯一の候補地であるこの場所は、視察した米国企業をはじめ国際的にも高い評価を得ているという。
とくに、IR誘致開発の準備組織が自然環境保護活動の一環として、米国企業ならびに福岡市行政には、当該地隣接の博多湾「和白干潟の鳥獣保護を守る」の観点から、「ラムサール条約」への新規登録への地元保護団体との協力とその費用負担にも積極的に模索中だと聞く。
また、IR誘致開発の準備組織による自然環境保護活動の一環として、候補地に隣接する博多湾の和白干潟の鳥獣を保護するため、米国企業ならびに福岡市行政は「ラムサール条約」の新規登録について協力し費用を負担することを前向きに模索していると聞く。「環境保護」を口にするのは簡単がが、実際に実行するのは大変で、かつ巨額の費用を要する。IR開発・誘致のような高い付加価値と収益を産み出す事業だからこそのことだろう。また、世界および国内の富裕層による観光収入から賄えるということであり、優れた計画ではないか。
いよいよ福岡IRの出番が到来
IRは全国に3カ所、「長崎IR」の不認定により、残る2カ所は「福岡IR」「東京IR」で間違いないだろう。もし、米国の次期大統領にトランプ氏が返り咲くことにでもなれば、日米経済関係から確実に実行される。
今回の「長崎IRの崩壊」は、福岡財界が主体の九州経済連合会および若い経営者の集まりである福岡青年会議所は、長崎IRの関係組織への遠慮から、福岡IR誘致に積極的な動きはできなかった。しかし、彼らの本音は誰が考えてもIR誘致・開発に相応しいのは福岡都市圏というものだ。
現在、このニュースは世界的に広がっている。Bally'sに続いて著名な米国系IR事業者の福岡都市圏へのアプローチが早々に始まるだろう。これらは積極的な行動に出るものと推測される。言うまでもなく、中華系その他の同業者グループは間違いなく蚊帳の外だ。
とくに、過去、横浜や苫小牧、和歌山、長崎などへの進出の希望が断たれた米国系IR事業者は今後、現状では問題の多い「大阪IR」に比較して、既設のインフラが整っていて、人口など諸々の条件ですべてに引けを取らない当地「福岡IR」に集積することになるだろう。
乞うご期待だ。
●地震対応の予備費活用、迅速な対応と明確な説明を 1/7
新年早々、大変なことが起きてしまった。特に能登半島地震は被害の全容が判明していないが、復旧や生活支援のほとんどが政治の仕事。岸田政権には迅速な対応をお願いしたい。
国家予算には、震災対応など不測の事態に備える「予備費」というものがある。近年は新型コロナ禍の対応で積み増しされ、使い切れず余っていた。予備費は国会審議が不要で、閣議決定により出費できる。さらに岸田首相は今後の復旧・復興のために予備費を積み増す指示を出した。
昨年11月に発表した経済対策の中で現金給付と定額減税の時期を分けたり、減税を「税収増の還元」と理由付けしたりしたことは国民の支持を得られなかった。減税イメージを印象づけ、衆院解散・総選挙対策であることは見透かされた。旧統一教会との関係や政治資金パーティー裏金問題などは岸田首相自身の問題ではないが、内閣支持率が下げ止まらないのは都合のいい説明に終始する首相の姿勢にあるのではないか。
岸田首相はさまざまな課題に対策を講じ施策を打ち出してはきたが、結果にはなかなかつながっていない。すぐに成果が出るような政治的課題など一つもないことは分かっているが、国民からは理解されない。「異次元」とか「火の玉」などといった実態不明の抽象的な説明が、国民に意図を伝えられない一因ではないかと思われる。
予備費は迅速に対応できるという点で「便利な予算」ではあるが、国民の税金が原資でもある。閣議決定を経るとはいえ首相の思いの強さが活用の基準となるだけに、迅速な対応とともに明確な説明が必要だ。2024年は、岸田首相も説明に少し工夫を凝らしてはいかがだろうか。「増税メガネ」を国民目線の「国民メガネ」に替える必要がありそうだ。
●国民が知りたい「羽田事故」「志賀原発」に触れない岸田首相の年頭記者会見 1/7
岸田文雄首相が1月4日に官邸で開いた年頭の記者会見で、国民が最も知りたかったのは、11月1日に起きた能登半島地震で被害が出た志賀原発の状況2羽田空港で起きたJAL機と海保機の衝突事故の真相――だったと思う。
ところが、岸田首相はいずれも一切言及せず、そして官邸記者クラブに所属するマスコミ各社の政治部記者も誰一人質問しなかった。私は唖然とするしかなかった。
なぜこんなことが起きたのか?
首相の年頭記者会見は、伊勢神宮参拝後に現地で行うのが慣例だ。今年は能登半島地震が発生して伊勢参拝が延期され、首相官邸で開かれることになった。
岸田首相としては、能登半島地震の被災者支援と自民党安倍派などの裏金事件への対応をアピールし、1割台に低迷する内閣支持率を回復させ、政権与党内で強まる「3月訪米・予算成立を花道に退陣論」を押し戻す反転攻勢の起点となるはずだった。
岸田首相は地震発生後、対策本部会合が終わった後、連日、記者団の取材に応じている。このため、4日の年頭会見は地震よりも政治改革に軸足をおくことは、あらかじめ予想できた。
だが、1来週に自民党に「政治刷新本部」を立ち上げ、自らが本部長となる21月中には政治改革の中間的とりまとめを発表し、必要なら通行国会に関連法案(政治資金規正法改正案など)を提出するーーことを淡々と表明するだけで、具体的な中身はほとんどなかった。
能登半島地震についても目新しい発信はなく、被災者らの心に響く訴えもまったくなかったのである。
率直に言って、精彩を欠く記者会見だった。国民に向かって何かをアピールしようとする意気込みがまったく感じられなかったのである。
年明け早々、大地震と航空機事故というショッキングな出来事が相次ぎ、岸田首相は社会不安の高まりを痛感して、政権運営への自信を失ったのだろうかーー私はまずはそう感じた。
実際、日本テレビは元旦に「岸田首相が周辺に『自分がやめて何か解決するのか。やめて解決するならいつでもやめてやる』と話した」との内容を報じていた。かなり投げやりになってきたかもしれないと思ったのだ。
しかし、退陣論がささやかれる3月は、まだ先だ。岸田首相が一時的に投げやり気分になることはあっても、心は揺れ動き、結局のところ、支持率を何とか回復させることでギリギリまで続投の芽を残そうとするはずだと思い直した。
それにしても、せっかくの反転攻勢の好機である年頭記者会見に、これほど熱が入っていないのはなぜなのか。
実は記者から突っ込まれたくないテーマがあるため、簡潔に会見を打ち切ることを優先したのではないか。
そうだとすれば、そのテーマは、志賀原発か、羽田事故か。
志賀原発について、政府や北陸電力は地震発生直後に「異常なし」と発表していたが、その後、1外部電源を取り込む電気系統の一部が壊れた2水位が3メートル上昇し、防潮壁も傾いていた――などの被害が発生していたことを五月雨式に発表。まだ「伏せている事実」があるのではないかと疑念を招く事態に陥っている。
羽田事故は海保機の機長が管制の指示を取り違えた可能性がマスコミ報道で指摘されているが、それは国交省が公表した交信記録や国交省側のリークに基づくものだろう。海保機の機長の証言は食い違っているという。ここも未解明が部分が残る。
志賀原発にしろ、羽田事故にしろ、岸田首相にもとには国民が知らない情報があがっているはずだ。この日の記者会見で質問されたくない何かしらかの事情があり、その結果、岸田首相の発言は全体として勢いを欠き、記者会見も40分ほどで打ち切ることになったのではないかと想像したのである。
首相記者会見の最大の問題点は、質問者を官邸側の司会者が指名することにある。
官邸側は各記者にどんな質問をするのか事前に聞き取っている(これに応じない記者もいる)。官邸と記者クラブの馴れ合いだ。その聞き取りを踏まえ、今回は志賀原発と羽田事故を質問しそうな記者をあえて指名しなかったのだろう。
会見終了が告げられた後、フリーの犬飼淳記者が、原発関連の質問があると訴え、「再稼働をあきらめるべきではないか」と岸田首相に向かって叫んだが、首相は無言のまま立ち去った。
志賀原発に何の懸念もないのなら、首相の言葉ではっきりと国民に向かって語るべきだった。無言で立ち去る姿をみると、やはり志賀原発について触れられたくなかったのかと勘繰ってしまう。
いずれにせよ、情けないのは、官邸記者クラブ所属のマスコミ各社の政治記者たちだ。無言で立ち去る岸田首相に対し、なぜ、フリーの犬飼記者と一緒に抗議しなかったのか。
志賀原発や羽田事故について首相が一言も語らない年頭記者会見を容認した時点で、記者クラブの存在意義は失われたといっていい。
●派閥裏金問題で大荒れの自民党 “泥船”岸田政権の「ポスト岸田」は誰? 1/7
派閥の裏金問題で支持率が政権維持困難とされる20%前半まで落ち込んだ岸田内閣…。大荒れの自民党で「我こそは」と言うリーダーが居ないのはなぜか。そして“ポスト岸田”と言われる人物たちの現状は?
支持率24%、政権維持は黄色信号
66%という高い内閣支持率だった発足当初が想像できないほどの事態となっている昨今。2023年11月の世論調査では、相次ぐ政務三役の辞任に加え、所得税などの定額減税が「選挙対策にみえる」などと不評を買い、内閣支持率はついに24%と発足以来最低を更新した。
さらにその後、自民党最大派閥“安倍派”の裏金問題が明るみに出て岸田首相の自民党総裁としての責任が問われる事態となっている。大荒れの自民党では、2024年9月に自民党総裁選が予定されている。岸田首相は裏金問題を受け安倍派の閣僚を一掃する人事を行ったが、岸田首相に近い議員も「安倍派の応援がなければ総裁選には勝てない」と釘を刺す。
「我こそは」と言えないリーダーなき自民党
ではポスト岸田となりうる自民党議員は誰なのか。裏金問題のあまりの大きさに様子をうかがう議員が多いのが実情だ。
首相候補として名前が挙がるある議員は「誰が白で、誰が黒か、分からないうちは何も動き出せない」と周囲に吐露する。「我こそは自民党を立て直す」という議員が見当たらないのだ。過去の自民党であれば起こっていたであろう『岸田おろし』の動きが出てこない。
その理由は裏金問題の影響が未知数で捜査の着地点が見えないということもあるが、総裁選までまだ9か月ほどあること、衆議院議員の任期がまだ1年以上残っているという点も大きい。議員たちの危機意識が高まらず、『岸田おろし』が起こらないのだ。
では“ポスト岸田”の面々の現状はどうなっているのか。“将来の首相候補”と言われる議員は複数いるが、中でも“ポスト岸田”として名前が挙がる茂木幹事長、河野デジタル相、石破元幹事長、上川外相、加藤元官房長官、の5人について分析する。
進む道を決めきれない茂木幹事長
自民党の幹事長を務める茂木敏充氏。当選10回を誇る政策通で、党の政調会長のほか、経済産業大臣や外務大臣など重要ポストを歴任してきた。現在は党運営や資金面で絶大な権限を握る“幹事長”をつとめ、党内第3派閥“茂木派”の会長でもある。
将来、首相を目指す姿勢を常ににじませる茂木氏は、麻生副総裁とも良好な関係を築いている。一方で党内からはポスト岸田に同じ派閥の加藤元官房長官を推す声もあり、必ずしも足下が安定しているとは言い切れない。
さらに裏金問題について、茂木派ではほとんど問題がなかったため「茂木幹事長はどこか他人事だ」という批判まじりの声も聞こえる。また、本来、幹事長は首相を支えるポジションであるにもかかわらず、首相よりも先に政治資金規正法の改正について発信するなど、幹事長としての役割を超えていると指摘される行動も多い。
茂木氏がポスト岸田に名乗りをあげるためには、岸田首相を支え続け禅譲を狙うのか、どこかで別の路線に進むのか決断が必要になる。
“人気”を誇る河野デジタル相
国民的人気を誇り、歯に衣着せぬ発言や発信力で常に話題となる河野太郎氏も“ポスト岸田”の1人。これまで外相や防衛相などを務め、現在はデジタル相としてマイナンバーカードをめぐる一連の問題で陣頭指揮を執るなど、常に注目されているのが河野氏の強みだ。
前回の総裁選で岸田首相に敗れて以降、“仲間作り”にも力を入れている。毎週火曜日に勉強会を開催、政治家との会食も積極的に行っているという。さらに河野氏は、国民的人気が高い石破元幹事長、小泉元環境相とも近く3人の名前の頭文字を取った“小石河連合”の発信力は強力だ。
ただ実際に河野氏の“仲間作り”が結実してもポスト岸田に名乗りをあげるためには河野氏が所属する麻生派の麻生副総裁の意向が大きく関係してくる。麻生副総裁は「岸田政権を支える」というスタンスで、岸田首相が次の総裁選に出る場合は、河野氏の出馬を後押しする可能性は低い。
河野氏が“ポスト岸田”に近づくためには、派閥の領袖である麻生氏からの支持を得られるかが最大のポイントとなる。
世論調査“ナンバー1”の石破茂元幹事長
NNNと読売新聞が23年12月に行った世論調査で、ポスト岸田として20%という最も高い支持を集めたのが石破茂元幹事長だ。各社の世論調査でも人気が高い。安倍晋三元首相と一騎打ちでの総裁選を戦うなど、自民党内でも非主流派の顔として脚光を浴び続けていることから政府関係者からは「自民党が変わったと思われるためには石破氏しかいない」との声も出ている。
ただ、石破氏は裏金問題の発覚後、テレビ番組で岸田首相の責任の取り方について「予算が成立したら辞めますというのはあり」と、総辞職を迫るような発言をおこなった。こうした岸田政権を後ろから撃つような言動には、かつての石破派に所属した議員からも「いくら国民的な人気があっても党内に仲間がいない」「溺れかかっている人物を上から突いているようだ」など冷ややかな声が上がっている。
発信力は抜群の石破氏だが、党内に仲間を作るという長年の課題が重くのしかかっている。
初の女性候補と目される上川外相
2023年9月に行われた内閣改造以降、ポスト岸田として急浮上したのが上川陽子氏だ。法相を3回務め、2018年には、オウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫 元死刑囚の死刑執行命令書に署名をしたことも。「ミスをしない」「政策に強い」などの評判もあり、女性政治家としては首相の座に最も近い人物とされる。
上川氏は岸田首相が会長を務めていた“宏池会”に所属している。外相という重要ポストに上川氏を据えたことで、岸田首相が「次期首相候補」として経験を積ませようとしているのでは、との声も聞こえる。しかし、宏池会には、2023年12月、裏金問題で辞任した松野前官房長官の後任になった、林芳正氏がいる。林氏を飛び越えて上川氏を首相にする、という動きまでには至っていないのが現状だ。また、政策には強いが「政局観がない」など厳しい評価もある。
党内には「初の女性首相となれば自民党内からも誰も文句が言えない」など上川氏に期待する声もあるが、ポスト岸田となるためには「政局観」と「宏池会内の支持拡大」という2つの大きな壁がある。
ダークホース、加藤勝信元官房長官
菅政権で官房長官を務め、厚労相を3回も経験している加藤勝信氏もポスト岸田のダークホースとして名前があがる。加藤氏は党内に影響力を持つ菅前首相からの信頼が厚いうえに、二階派の事務総長である武田良太氏や安倍派の5人衆の1人、萩生田光一氏とも関係が良好で、各氏の名前の頭文字を取って「HKT+S」と呼ばれる会合を定期的に開いている。
加藤氏が首相候補として名乗りをあげた場合、菅氏が率いる菅グループ、二階派、萩生田氏に近い安倍派の一部議員など、「非主流派」の議員を中心に派閥横断的に集まるのではないかとみられている。
ただ、加藤氏は茂木幹事長が率いる“茂木派”に所属していて茂木氏がポスト岸田に名乗りをあげると、加藤氏も手を挙げるのは難しい。茂木派を飛び出してでもポスト岸田を目指すことがあるのか、加藤氏の動向からも目が離せない。
●岸田政権の課題 信頼回復急ぎ国難に対処せよ 1/7
政治資金の透明化をどう図るか
令和となって最大級の災害が発生し、内閣の危機管理能力が問われている。派閥の政治資金規正法違反事件で失墜した信頼の回復も急務だ。
岸田首相は自らが正念場にあることを自覚し、責務を果たさねばならない。
首相は年頭の記者会見で、能登半島で起きた地震を「国難」と呼び、「被災地に寄り添っていく」と述べた。生存者の救出は無論、物資の搬送、道路の復旧など様々な課題に、国は総力を挙げて取り組む必要がある。
問われる危機管理能力
政治資金規正法違反事件に関しては、自民党に総裁直属の「政治刷新本部」(仮称)を設置し、政治改革に取り組んで「党の体質を刷新する」と語った。
首相が、地震への対応でも政治とカネの問題でも「私自身が先頭に立つ」と述べて自らの指導力を強調したのは、それだけ政権運営が窮地に陥っていることの裏返しとも言えよう。
政治資金規正法違反事件を巡っては、パーティー収入の一部を裏金としていた疑いが出ている安倍派の幹部らが昨年末、東京地検特捜部の事情聴取を受けた。捜査の成り行きは、岸田政権の浮沈を左右しかねない。
首相は、今回の派閥のパーティー収入を巡る問題を徹底的に調査するとともに、党と一体となって改革を主導すべきだ。
政治資金規正法は、政治活動を国民が常に監視できるよう、政治資金の透明化を図り、公正さを保つことを目的としている。この趣旨を貫徹するための制度改正を実現することが重要だ。
現行法は、パーティー券購入者の記載義務を、1回につき20万円超の購入者に限っている。年間5万円超を公開の基準としている寄付行為と、基準を合わせる法改正は最低限必要だろう。
政治資金収支報告書をデジタル化して、有権者が点検しやすくするのも一案だ。
政治に一定のコストがかかるのはやむを得ない。企業・団体献金や政治資金パーティーをすべて禁じるべきだ、といった議論があるが、政治を汚いものと決めつけるかのような考え方では、民主主義が成り立たなくなってしまう。
先送りされた負担増
岸田内閣は発足から2年3か月が経過した。防衛力の強化や少子化対策など、これまで取り組んできた課題は時宜に 適 っている。
しかし、政策を実現するための財源措置などの具体策となると、先送りが目立つ。
政府は少子化対策の財源を確保するため、医療保険に上乗せして徴収する「支援金制度」の創設を決めたが、国民の負担額までは深掘りしなかった。
防衛力強化のための増税も、開始時期の決定を見送った。
政権に逆風が吹く中、負担増を伴う改革を進めるのは難しい、という判断なのだろうが、こうした姿勢が課題への取り組みに対する首相の本気度を疑わせ、支持率の低迷につながっている。
人口減少や少子化をどう反転させ、国力を維持するのか。悪化した安全保障環境への備えは万全か。課題を乗り越えるため、国民の理解を得ながら着実に施策を実行していく、という政治の役割を忘れてはならない。
衆院選に小選挙区比例代表並立制を導入した政治改革関連法や、政治資金に税金を投入することを定めた政党助成法は今年、成立から30年となる。
改革が目指した政党本位の選挙はある程度定着したが、 歪 みも浮き彫りになっている。派閥のパーティー券を巡る疑惑はその一つだが、問題はそれだけではない。
現行の選挙制度の下、司法は憲法の「法の下の平等」を投票価値の平等と読み替え、「1票の格差」の是正を重視するようになった。このため、小選挙区の区割りは頻繁な見直しが必要になった。
選挙制度改革の議論を
だが、地方の過疎化が進む中、格差是正だけを追求すれば、地方の議員定数は減り続け、都市部は増える一方となる。地方の民意は反映されにくくなり、有権者が代表に政治を託すという代議制民主主義が揺らぎかねない。
参院も同様の問題を抱えている。格差是正のため、「鳥取・島根」「徳島・高知」を合区したが、このまま都市部への人口流入が続けば、北陸などで新たな合区が必要になる、との指摘がある。
衆参両院とも、格差の是正を迫られ続ける現行制度が果たして妥当なのか。与野党は、根本から議論すべき時期に来ている。
●「防衛力強化」の是非が沖縄の争点に浮上へ〜「戦場化」への懸念を背景に 1/7
2022年末の安全保障関連3文書の改定を受けて、南西諸島の「防衛力強化」が急速に進む中、沖縄では自衛隊と「有事」への備えを巡る諸問題が、「辺野古」の次の争点として浮上しつつある。
一歩踏み出した知事
「子どもたちの未来が戦争の未来であってはならない。不穏な未来であってはならない」
2023年11月、那覇市の公園で開かれた「県民平和大集会」で、来賓として挨拶した沖縄県の玉城デニー知事は、慎重に言葉を選びながらも、「沖縄を再び戦場にさせない」という集会の趣旨にそったスピーチで、会場から大きな拍手と声援を受けた。
沖縄では長年、米軍基地や沖縄戦の記述を巡る教科書の問題などに抗議するため、政党や労組の主導で数万人規模の「県民大会」が繰り返し開かれてきた。
ただ今回の集会は「県民大会」とは異なり、市民団体や趣旨に賛同する個人が手づくりで準備したもので、参加者は主催者発表で1万人だった。
この規模の集会に知事が出席して挨拶するのは異例で、日米安保体制や自衛隊の存在を基本的に容認する玉城知事が、いわゆる「反撃能力」の保有を含む「防衛力強化」には批判的な姿勢で臨むことを、県民に強く印象づける形になった。
県民感情との“ズレ”広がる
ウクライナやパレスチナ自治区ガザ地区の惨状が伝えられるほど、沖縄ではせい惨な地上戦となった沖縄戦の記憶が呼び起こされ、県民の平和志向と反戦感情を強めている。
一方、東アジアの安全保障環境はいっそう厳しさを増しているとして、政府は沖縄県内の離島を中心に、ここ数年、自衛隊基地の新設や機能の強化を進める。
陸上自衛隊は2016年の与那国駐屯地、2019年の宮古島駐屯地に続き、2023年には石垣駐屯地を開設した。宮古島と石垣島には地対艦と地対空のミサイル部隊が配備され、当初は沿岸監視隊が中心だった与那国駐屯地にも今後、電子戦部隊とミサイル部隊を追加配備する方針だ。
防衛省は、「反撃能力」の保有に向けて現在開発している国産の「スタンド・オフ・ミサイル」を、予定より1年前倒しして、2025年度に配備する計画を公表した。具体的な配備先はまだ明らかにされていないが、やがて沖縄にも配備され、いわゆる「台湾有事」で攻撃目標にされるリスクが高まるのではないかとの懸念が、住民の間に広がっている。
離島自治体と県に温度差
一方、与那国町や石垣市など離島の自治体からは、ミサイルなどの攻撃から身を隠すシェルターの設置や、住民避難計画の詳細の確定を求める声のほか、有事の際の自衛隊や海上保安庁による使用に向け、空港や港湾の整備を国の支援で進める「特定重要拠点」への指定に期待する声も上がる。
こうした主に離島の自治体からの突き上げに対し、沖縄県は難しい立場に置かれている。
住民の安心や安全の確保は一義的な優先課題だとしても、「有事」に向けた備えの加速化が、かえって「有事」を呼び込むことにつながらないか、「国防」を名目としたインフラ整備が、健全な沖縄振興のあり方を変質させないか、といった行政としての懸念に加え、玉城県政の支持基盤が、防衛力強化だけでなく「有事」への備え全般に消極的な指向を持つことも、県の判断に影響しそうだ。
知事の求心力回復へ争点化も
米軍普天間基地の名護市辺野古への移設を巡る「代執行」訴訟で2023年12月に国が勝訴し、沖縄県が工事を止める手立てが乏しくなったことで、「辺野古移設反対」を最大の公約として掲げてきた玉城県政の求心力の低下が予想される。すでに対抗勢力からは、辞職や出直しの知事選を求める声も上がり始めた。
さらに2024年6月には現在与野党がきっ抗する県議会選挙が控えていて、玉城県政の「中間審判」的な意味合いも持つ。
そうした中、自衛隊と「有事」への備えを巡る諸問題で、政府と一線を画し、県民の平和志向に寄り添う方向へより踏み込むことで、玉城知事は県政継続の正当性をアピールすることができる。
2024年1月の台湾総統選挙を経た後の中台関係や、政府による「防衛力強化」の進め方次第では、「沖縄を再び戦場にさせない」というスローガンは今後、さらに県民的な広がりを見せるかもしれない。
玉城県政が、変化する状況の中でどのような路線を選択するのか、注目される。
●岸田総理いよいよ万事休すか… 政治記者の間で噂される「4人の首相候補」 1/7
透けて見える岸田総理の「自問自答」
筆者が勤務する在京ラジオ局では、毎年、年始に、政治ジャーナリストの後藤謙次氏が首相を相手に対談する1時間サイズの新春特別番組を放送している。
年末ぎりぎりに行う収録では、ときの首相に決まってリクエスト曲を尋ねているのだが、今回、岸田文雄首相が選んだ曲は、昨年のNHK大河ドラマ『どうする家康』のテーマ曲であった。
前回、岸田首相が「では、この曲をお願いします」と選んだのが、『鎌倉殿の13人』のテーマ曲。これも大河ドラマのテーマ曲であるため、無難なセレクションではある。
ただ、筆者には、鎌倉幕府初期と同様、権謀術数の渦巻く東京・永田町で、リーダーであり続けなければならない厳しさを、如実に表した選曲のように思えたものだ。
長年、ラジオ番組を制作してきた立場から言えば、ゲストが首相であれ、芸能人であれ、リクエストする楽曲には、その人の過去、現在、そして未来に対する思いが反映されることが多い。
たとえば、菅義偉氏が、首相や官房長官時代に選んだ『あゝ上野駅』という楽曲には、秋田から上京し、苦学を経て政治の世界に入り、首相まで上りつめた菅氏の思いが込められている。実際、菅氏自身、当時の特番内で、「これを聞くと原点を思い出すんですよ」と語っている。
その意味では、今回、1月2日に放送した特番で、岸田首相が『どうする家康』のテーマ曲を選んだ背景には、「政治資金問題での信頼回復」、「物価高を上回る賃上げの実現」、そして、「重要な選挙が相次ぐ国際社会の変化への備え」といった難題を前に、「どうする文雄?」と自問自答している姿があるように感じるのである。
ロッキード、リクルート事件も「辰年」に着手した
まさに、今年は、岸田政権にとって、上記の3つが大きなハードルとなる。加えて、1月1日に発生した能登半島地震への対応は、何をさておいても急がなければならない課題だ。
「こんな重い空気の事務所開き(仕事始め)は初めてだ。もう今年の漢字は、早くも、『揺』とか『震』で決まった感があるような大変な1年になる」(自民党無派閥衆議院議員)
自民党内では、こんな声が聞かれるが、当の岸田首相は、1月4日、首相官邸で行った年頭会見で、次のように述べた。その骨子を整理しておこう。
(1)能登半島地震への対応に万全を期す。被災者の生活と生業をしっかり支えていく。
(2)世界は重要な選挙が予定されているので、日本にとって今年は重要な年になる。今後10年を決める分かれ道の年になる。
(3)まず求められるのは政治の安定、信頼回復。私自身が先頭に立ち、自民党の体質を刷新していく。政治刷新本部(仮)を立ち上げ、外部有識者の参加も得て、透明性が高い形で進めていく。
(4)物価上昇を上回る賃上げの実現を推進していく。中小企業の賃上げにも全力で取り組む。
これらは、能登半島地震に関するコメントが増えただけで、1月1日に首相官邸が発表した岸田首相の「年頭所感」や、岸田首相がラジオの特番で語った内容と差異はない。ただ、いずれも「言うは易し、行うは難し」である。
とりわけ、東京地検特捜部が昨年のうちに歴代の安倍派事務総長に対する聴取を終えた政治資金パーティー券裏金事件は、1月26日とみられる通常国会召集までがヤマ場になる。「日本最強の捜査機関」と呼ばれる東京地検特捜部でも、年末年始を返上してまで捜査を進めることはほぼない。
年末まで、安倍派幹部への聴取を続け、数千万円のキックバックを受けたとされる池田佳隆衆議院議員と大野泰正参議院議員の関係先や自宅を家宅捜索したところに、伊藤文規部長率いる特捜部の「派閥の会計担当者を立件するだけでは済ませない」、「在宅起訴や略式起訴では終わらせない」という気概を感じる。
今年は辰年だ。思い起こせば、特捜部がロッキード、リクルート両事件で強制捜査に着手したのは、1976年と1988年で、いずれも辰年である。しかも今年は、政党助成法を含む政治改革関連法が成立してから30年の節目に当たる。
安倍派にまつわる捜査で言えば、一度、安倍元首相が派閥の会長に就任した2021年11月以降、悪しき慣習となってきたパーティー券収入キックバックの廃止を指示しながら、安倍元首相の死後、誰がその指示を撤回させたのか、その人物を突き止め、巨額のキックバックを得ていた議員らとともに、逮捕・起訴まで至ることを願うばかりである。
「裏金事件」は踏み込み不足
一方、「政治の信頼回復に努める」と繰り返す岸田首相は、と言えば、踏み込み不足の感が否めない。
これから始まる通常国会では、来年度予算をめぐる審議とともに、政治資金規正法などの改正案が焦点になる。
「政治資金パーティーをめぐるお金の透明性を高める、それと合わせて、政治に関わる様々な課題について、新しい組織の中で詰めていきたい」
ラジオの特番でこのように語った岸田首相。党内基盤が強くない岸田首相には言えるべくもないが、たとえば、「自民党総裁として派閥の解消を議論する」と述べる強さがあれば、いくらかでも内閣支持率の回復につながったのではないだろうか。
政治資金規正法などの改正は、泥棒に刑法を改正させるようなものだ。政治家が、自身の首を絞めるような大胆な改正に着手することは考えられない。
今現在は、能登半島地震や1月2日に起きた羽田空港での日航機と海保機の衝突事故に有権者の注目が集まっているが、この先、政治家が誰も逮捕されず、政治改革も不十分となれば、岸田政権はますます尻すぼみになっていくことだろう。
「3・6・9」危機が待ち受ける
今年は9月に自民党総裁選挙を控えている。もともと、総裁選挙がある年は、来年度予算案の採決を迎える3月、通常国会の会期末となる6月、そして、総裁選挙が実施される9月に政局となることが多い。
岸田首相の場合、能登半島地震が発生するまでは、自民党内で、
「予算の成立と引き換えに退陣もあり得るのでは?」
「その前に、麻生太郎副総裁あたりが、岸田首相に国賓としてアメリカを訪問させ花道を作るのでは?」
との見方があった。当面は、能登半島地震で被害を受けた地域への支援が最優先されるため、岸田首相の退陣につながりそうな動きは下火になるだろうが、永田町の一寸先は闇だ。
政治資金パーティー券裏金事件で、何人か自民党の現職国会議員が逮捕され議員辞職することになれば、4月28日に行われる衆議院島根1区補選(細田博之前衆議院議長の死去に伴う補欠選挙)に加え、複数の選挙区で補選が実施されることになり、その結果しだいで「岸田降ろし」に拍車がかかることも想定される。
では、政局となった場合、「ポスト岸田」は誰が最有力となるのだろうか。
政治記者の間で名前が挙がるのは、国民的に人気がある石破茂元幹事長や河野太郎デジタル担当相、保守層の票を集めやすい高市早苗経済安保担当相、そして、安定感があり語学も堪能な上川陽子外相といった面々である。
当然ながら安倍派は1回休みだ。かと言って、無派閥の誰かが推される可能性は低い。それほどまでに、政策集団と言いながら、実質はカネと権力でつながる派閥の力は強い。いくら国民に人気があり、保守層受けが良くても、安倍派、麻生派、茂木派、それに岸田派の主流4派が乗れる候補でないと総裁、総理にはなれない。
これは筆者の憶測の域を出ないが、岸田派の上川外相の可能性は残るとして、年齢で言えば40代から50代前半で閣僚経験もあって、いくつかの派閥が納得して推せるような人物が担ぎ出されることになるかもしれない。
もっとも、岸田首相は、安倍元首相らと比べ、あくが強くない分、反発を受けにくい。麻生副総裁ら重鎮が、「岸田でいい」となれば、再選される目もある。
政治が流動化している場合ではない日本
1月13日、台湾総統選挙が行われるのを皮切りに、11月5日のアメリカ大統領選挙まで、国際社会は選挙イヤーとなる。
台湾の立法府委員(国会議員)で民進党の郭国文氏は、先日、台北で筆者に、「中国の動きを考えれば、台湾総統選挙は日本に大きな影響を与える選挙になります。是非、関心を持っていただきたいです」と語っている。
選挙は、蔡英文総統の後継で中国とは距離を置く民進党・頼清徳氏と、中国寄りの国民党・候友宜氏のいずれかが勝つ可能性が高い。
筆者は、頼氏が勝てば、台湾は第2のウクライナになるリスクが高まり、候氏が勝てば、第2の香港と化す恐れがあるとみているが、どちらにしても日本への影響は避けられない。
アメリカ大統領選挙でも、トランプ前大統領が共和党の予備選挙や党員集会を勝ち抜き、本選でもバイデン大統領を破って返り咲いた場合、在韓米軍撤退やウクライナ支援停止に舵を切りかねない。そうなれば、国際社会の潮目が一気に変わってしまう。
そうなると、ほくそ笑むのは選挙がない中国や北朝鮮であり、大統領選挙はあってもプーチン一択しかないロシアである。
「どうする岸田文雄?」と自問自答している暇はない。大河ドラマ風に言えば、能登半島地震の被災地支援と政治改革を断行して『光る君』となれるのか、それとも表舞台から去るのか、注目の1年が幕を開けた。 
●岸田首相、能登半島地震「逐次投入」批判いとわず矢継ぎ早に対策 1/7
能登半島地震は8日で発生から1週間を迎える。1日の発災直後から岸田文雄首相が前面に立ち、一部野党による自衛隊の「逐次投入」との批判もいとわない姿勢で対応に当たった。ただ、道路の復旧など輸送面の課題は解消されておらず、被災者の避難生活の長期化が懸念される。今後も岸田政権の危機対応が問われる事態が続く。
「やるべきことは山積している。やれることはすべてやるとの姿勢で全力で進めてほしい」
首相は6日連続で開かれた7日の非常災害対策本部会議でこう訴え、救命救助、孤立状態の解消、水や電気などのライフライン確保や復旧を急ぐよう指示した。その後、記者団対し、今後の重点的な対応として、寒さ対策のための燃料や毛布などを確保していく考えを示した。
これに先立つ7日放送のNHK番組で首相は、これまでの対応について「まずは救命救助、並行して避難所物資などの支援に取り組んだ。今後、切れ目なく復興・復旧、生活、生業の再建に取り組む」と説明。9日には経費として令和5年度予算の予備費から47億4千万円の支出を閣議決定するなど対応を急ぐ。
自衛隊は1日夜から救命救助や生活支援、航空機による消防隊員、警察官を含む応援部隊の輸送支援、被害状況の情報収集などにあたった。2日には陸海空自による最大1万人規模の統合任務部隊を編成し、7日時点で約5900人を投入している。
自衛隊が小出しの「逐次投入」になっているとの批判もあるが、政府高官は「寸断された道を開き、人を増やしてやってきた。必要なところで必要な人員を投入している」と反論する。
道路の復旧を急ぐ一方で、渋滞解消のために自家用車の利用自粛を呼びかけ、必要な物資の輸送を進める。また、石川県による道路交通法に基づく交通規制を国として支援することも決めた。
首相は6日、避難生活の改善を図るため、避難所のプライバシー確保に加え、被災地外の宿泊施設を自治体が借り上げ避難所として活用するよう関係省庁に指示した。
今後に向け首相周辺は「日々新たに出てくる課題に一つ一つ対応していくしかない」と話している。
●岸田内閣の支持率27.1%で過去最低更新 不支持率も過去最高 JNN世論調査 1/7
岸田内閣の支持率が政権発足後過去最低だった先月の調査から、さらに1.8ポイント下落し、27.1%だったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。不支持率も先月の調査から2.4ポイント上昇し、70.4%で過去最高となりました。
また、政党支持率では、自民党の支持が前月の調査から1.0ポイント上昇し、29.1%、日本維新の会は0.8ポイント下落し、4.8%、立憲民主党は0.3ポイント上昇し、5.5%でした。
●初の逮捕者、自民に衝撃 震災さなか、首相対応に追われる―派閥裏金事件 1/7
自民党安倍派などのパーティー収入を巡る政治資金規正法違反事件は同派の池田佳隆衆院議員が逮捕される事態となり、党内に衝撃が広がった。政権へのダメージを和らげるため、自民は池田議員を直ちに除名。岸田文雄首相(党総裁)は能登半島地震の対策会議をこなしつつ、対応に追われた。
「重く受け止めている。池田議員は除名する方針とした」。首相は7日、首相官邸での非常災害対策本部会議の後、防災服姿で記者団に自民の対応を説明。議員辞職を求める考えはないか問われたが、「とりあえず除名方針を確定した。党として決めている方針は以上だ」と語るにとどめた。
今回の事件での逮捕は初めて。岸田政権では昨年9月の秋本真利、同12月の柿沢未途両衆院議員=ともに自民離党=に続く逮捕者だ。党内には在宅捜査にとどまるとの見方もあっただけに、党幹部は「打撃は避けられない」と指摘。閣僚経験者の一人は「政権立て直しは難しい」と語った。
安倍派では池田議員と同様に数千万円規模の裏金化疑惑のある大野泰正参院議員の関係先も東京地検特捜部による家宅捜索を受けており、松野博一前官房長官ら「5人衆」をはじめとする派幹部・ベテランも任意で事情を聴かれた。二階派の二階俊博会長らが聴取されたことも分かっている。
待ったなしの震災対応に加え、首相は事件の展開にも備えなければならない状況だ。自民関係者は「捜査がどこまで広がるかが焦点だ」と戦々恐々。閣僚の一人は「ここまでくると派閥幹部立件も視野に入れなければいけない」と身構えた。公明党からは「大変なことになった。早く政治改革を打ち出した方がいい」(関係者)と自民に議論加速を促す声も出ている。
野党は勢いづいている。立憲民主党の泉健太代表は千葉県市川市で記者団に「由々しき事態だ」と指摘。「ここに至るまで首相が指導力を発揮してこなかったことも問題だ。除名も後追いだ」と批判し、裏金疑惑が浮上している全議員を早急に処分するよう求めた。
日本維新の会の音喜多駿政調会長はX(旧ツイッター)に「トカゲの尻尾切りで終わらせてはならない」と記し、検察当局は政治資金収支報告書の不記載・虚偽記載額の多寡にかかわらず立件すべきだと主張。共産党の小池晃書記局長は「国会には真相解明の責任がある。関係者の証人喚問は急務だ」と書き込んだ。
●裏金で初の逮捕 自民に衝撃 1/7
自民党安倍派などのパーティー収入を巡る政治資金規正法違反事件は同派の池田佳隆衆院議員が逮捕される事態となり、党内に衝撃が広がった。政権へのダメージを和らげるため、自民は池田議員を直ちに除名。岸田文雄首相(党総裁)は能登半島地震の対策会議をこなしつつ、対応に追われた。
「重く受け止めている。池田議員は除名する方針とした」。首相は7日、首相官邸での非常災害対策本部会議の後、防災服姿で記者団に自民の対応を説明。議員辞職を求める考えはないか問われたが、「とりあえず除名方針を確定した。党として決めている方針は以上だ」と語るにとどめた。
今回の事件での逮捕は初めて。岸田政権では昨年9月の秋本真利、同12月の柿沢未途両衆院議員=ともに自民離党=に続く逮捕者だ。党内には在宅捜査にとどまるとの見方もあっただけに、党幹部は「打撃は避けられない」と指摘。閣僚経験者の一人は「政権立て直しは難しい」と語った。
安倍派では池田議員と同様に数千万円規模の裏金化疑惑のある大野泰正参院議員の関係先も東京地検特捜部による家宅捜索を受けており、松野博一前官房長官ら「5人衆」をはじめとする派幹部・ベテランも任意で事情を聴かれた。二階派の二階俊博会長らが聴取されたことも分かっている。
待ったなしの震災対応に加え、首相は事件の展開にも備えなければならない状況だ。自民関係者は「捜査がどこまで広がるかが焦点だ」と戦々恐々。閣僚の一人は「ここまでくると派閥幹部立件も視野に入れなければいけない」と身構えた。公明党からは「大変なことになった。早く政治改革を打ち出した方がいい」(関係者)と自民に議論加速を促す声も出ている。
野党は勢いづいている。立憲民主党の泉健太代表は千葉県市川市で記者団に「由々しき事態だ」と指摘。「ここに至るまで首相が指導力を発揮してこなかったことも問題だ。除名も後追いだ」と批判し、裏金疑惑が浮上している全議員を早急に処分するよう求めた。
日本維新の会の音喜多駿政調会長はX(旧ツイッター)に「トカゲの尻尾切りで終わらせてはならない」と記し、検察当局は政治資金収支報告書の不記載・虚偽記載額の多寡にかかわらず立件すべきだと主張。共産党の小池晃書記局長は「国会には真相解明の責任がある。関係者の証人喚問は急務だ」と書き込んだ。
●安倍派池田衆院議員と秘書を東京地検が逮捕、党除名処分に−報道 1/7
自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件で、東京地検特捜部が7日、政治資金規正法違反の疑いで池田佳隆衆院議員(57)=比例東海=と秘書を逮捕したとNHKなど複数のメディアが報じた。岸田文雄首相は同日午後、逮捕を「承知している」と述べた。同問題では安倍派の現職国会議員が逮捕される事態に発展した。
NHKによると、池田議員は会計責任者だった政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)と共謀し、2022年までの5年間に安倍派から約4800万円のキックバックを受けたにもかかわらず、自らが代表を務める資金管理団体「池田黎明会」の収入として記載せず、政治資金収支報告書にうその記載をしていた。
読売新聞8日付朝刊は、池田議員と同様に4000万円超に上る高額な還流を受けていた大野泰正参院議員(64)=岐阜選挙区=と谷川弥一衆院議員(82)=長崎3区=についても同法違反容疑で立件する方針を特捜部が固めたと報道。毎日新聞同日付朝刊は、両議員が容疑を認める意向を示していることが関係者の取材で判明したと伝えた。
ブルームバーグは東京地検と池田、大野、谷川各議員事務所に電話で連絡を試みたが、いずれも回答は得られなかった。
岸田首相は非常災害対策本部会議後に記者団に、池田議員の逮捕について「承知している」とした上で、「自民党所属の国会議員が逮捕されたことは、大変遺憾なことで重く受け止めている」と述べた。さらに池田議員を「除名する方針とした。党として強い危機感を持って政治の信頼回復に努めなければならないと改めて強く考えている」と発言した。
共同通信によると、安倍派は池田議員の逮捕を受け、「関係者の皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げます」との談話を発表した。引き続き捜査に真摯(しんし)に協力するとしている。自民党にコメントを求める電話をしたが、つながらなかった。
岸田首相は、最大派閥である安倍派の幹部を要職に起用することで政権基盤の安定を図ってきた。裏金化の疑惑を受けて松野博一前官房長官を含む全員を交代させたが、内閣支持率は21年10月の政権発足後の最低を相次ぎ記録。安倍派現職議員の逮捕は岸田政権に影響を及ぼす可能性がある。
信頼回復への取り組みが求められる中、岸田首相は1月4日の年頭記者会見で、自民党内に総裁直属の政治刷新本部を設置すると発表。外部有識者も含めて政治資金の透明化に向けた議論を進め、1月中にも中間取りまとめを行う方針も示した。
特捜部は安倍派「5人衆」と呼ばれる松野氏、西村康稔氏、高木毅氏の歴代事務総長と萩生田光一氏、世耕弘成氏のほか、派閥の座長を務める塩谷立氏からも任意で事情を聴いたと国内メディアが報じていた。政治資金規正法上、収支報告書の作成・提出義務がある同派の会計責任者は還流分の不記載を認めており、特捜部は同法違反容疑での立件を検討していたという。
国内メディアが行った直近の世論調査によると、岸田内閣の支持率はいずれも10−20%台に落ち込み、大半で12年12月に自民党が政権復帰して以降の最低を更新。一連の問題を受けて岸田首相の責任や指導力を問う声が強まっている。自民党の不支持率も上昇しており、派閥の解消を求める声も多い。

 

●能登半島地震の死者168人に 2次避難、降雪で一部延期 1/8
最大震度7を観測した能登半島地震は8日で発生から1週間となった。石川県内で午後2時までに168人の死亡が確認され、連絡の取れない安否不明者は323人。約400の避難所に約2万8千人が避難する。県は被災者を県内外のホテルや旅館などに移す「2次避難」を本格化させたが、行き先が決まるまでの一時滞在場所での受け入れを雪の影響で一部延期した。
死者は輪島市と珠洲市で各70人、穴水町18人、七尾市5人、志賀町と能登町が各2人、羽咋市1人。甚大な被害が出ている輪島市や珠洲市を中心に3300人以上が孤立状態にある。
インフラの復旧は進んでいない。石川県内で約1万8千戸が停電し、5万9千戸以上が断水している。滑走路が損傷した輪島市の能登空港は24日まで閉鎖される見通し。
被災地では雪が降り、8日午前8時時点で珠洲市13センチ、七尾市12センチ、輪島市9センチの積雪を記録。冷え込みも厳しく、朝の最低気温は七尾市で氷点下2・4度を観測した。
輪島市では地滑りの兆候などが見つかり新たに避難指示が出された。県は雨や度重なる地震で地盤が緩んでいるとして注意を呼びかけた。
避難所では低体温症などへの注意が必要となる。新型コロナウイルスの感染もみられ、断水や物資不足の中で感染防止を迫られている。一部自治体では、民間賃貸住宅を借り上げて無償で提供する「みなし仮設住宅」の受け付けが始まっている。
県も県内外の宿泊施設に被災者を移す2次避難の開始を見据え、一時滞在場所として金沢市の運動施設を確保。定員は約500人で8日から受け付けを開始した。ただ、降雪で道路状況が悪化した輪島市と珠洲市などの被災者については受け入れ延期を決めた。
●能登半島地震、石川県の死者168人に 安否不明者も大幅増 1/8
石川県は8日、能登半島地震の県内の死者が168人になったと発表した。
石川県の8日午後2時時点の集計では、安否不明者は323人。前日から大きく増えた。地震発生から1週間たった今も捜索活動が続いている。
ただ、被災地では悪天候が救助活動の妨げとなっている。大雨と雪による土砂崩れや建物倒壊への警戒が呼びかけられている。
死者の大半は、被害の大きかった輪島市(70人)と珠洲市(同)で確認されている。
死者は前日午後2時集計の128人から40人増えた。
安否不明者も前日同195人から大幅に増えた。輪島市が前日同86人から281人に急増。そのほか、8日午後2時時点で珠洲市(29人)、金沢市(5人)、津幡町(3人)などとなっている。
孤立状態の被災者も多数
マグニチュード7.6、最大震度7の地震は元日の夕方に発生。能登半島で多くの建物を倒壊させ、大規模な火災を引き起こした。
道路も甚大な被害を受け、石川県によると8日時点で、県内で3300人以上が孤立・要支援状態にある。緊急に開設された避難所で生活している人は約2万8000人に上っている。
安全上の理由などから自宅にとどまることができない被災者に対しては、自衛隊などが食料、水、毛布などの物資を届けている。
防衛省は7日、救援活動の支援のため自衛隊員約6000人を派遣したと発表した。
防衛省はまた、生存者発見に重要とされる「災害発生から72時間」が過ぎてはいるものの、救助を必要としている人がまだいると信じているとし、救出活動を続けるとした。
奇跡的な救出もみられる。珠洲市では地震発生からおよそ124時間たった6日夜、倒壊した住宅から90代の女性が救け出された。
被害が最も大きかった地域では、さらなる地震が続く中、警戒を続けるよう人々への呼びかけが行われている。
気象庁によると、1日から8日午後4時までに観測された震度1以上の地震は1221回に上っている。
日本は世界で最も地震活動が活発な国の一つ。能登地方では2020年末から活動が増えており、2023年末までの3年間で震度1以上の地震が506回観測されていた。
●能登半島地震1週間 被災地 積雪による建物倒壊 低体温症に注意 1/8
最大で震度7を観測した能登半島地震から8日で1週間ですが、能登地方ではいまだ活発な地震活動が続いています。
被害が大きかった能登半島では大雪のピークは過ぎましたが、相次ぐ地震で損傷を受けた建物では積雪の重みによる倒壊などに十分注意が必要です。
被災地では冷え込みが厳しく、ほとんど気温が上がらない見込みで、低体温症への対策も取るようにしてください。
大雪の影響、建物倒壊などの被害に注意を
能登半島地震で激しい揺れを観測した石川県をはじめ、北陸や新潟県では、上空の寒気の影響で局地的に雪が降りました。
石川県内の午後2時現在の積雪は珠洲市で12センチ、七尾市で10センチ、輪島市で8センチなどとなっています。
能登半島など北陸の大雪のピークは過ぎましたが、相次ぐ地震で損傷を受けた建物は積雪の重みで倒壊するおそれもあり、十分注意が必要です。
能登半島では地震の影響で各地で道路がひび割れたり陥没したりしていますが、路面が凍結しているところもあり、車を運転する際にはいっそうの注意をしてください。
雪はほぼやみ、晴れ間がのぞいているところもありますが、9日から10日にかけて能登半島などで再び雨が予想され、土砂災害やなだれなどには引き続き十分注意が必要です。
低体温症に注意を
避難生活の長期化や環境の悪化で健康への影響が懸念されている中、石川県では冷え込みが厳しくなっています。
8日朝の最低気温は七尾市でマイナス2.4度、輪島市でマイナス0.1度と氷点下の寒さとなりました。
日中も気温はほとんど上がらず、最高気温は、珠洲市と羽咋市、志賀町、宝達志水町で4度、輪島市と七尾市、穴水町、能登町、中能登町で3度などと予想されています。
過去の地震では避難生活の中で命を落とす災害関連死が多く発生しています。
低体温症に十分注意して、家族や周りに体調を崩している人がいないか声をかけあい、できるかぎり暖を取って定期的に体を動かすなど対策を心がけてください。
珠洲市中心部 雪は足首ほどの高さに
7日から断続的に雪が降り続けていた珠洲市では、8日朝、一面に雪が降り積もり、市の中心部では足首ほどの高さにまで達していました。
今回の地震で斜めに傾いた電柱や倒壊した建物の屋根にも厚く積もっています。
中心部の幹線道路はすでに除雪作業が行われていて、車がスピードを落としながら走行していますが、通りから入った住宅街の細い道路は除雪されていません。
ガソリンスタンドでは早朝から複数の車が給油のために並んで待つ中、従業員が雪かきをしている姿も見られました。
震度1以上の揺れ 1219回
能登地方やその周辺を震源とする地震活動は活発な状態が続き、震度1以上の揺れを観測した地震は、8日午後1時までに1219回にのぼっています。
気象庁は今後1か月程度は最大震度5強程度以上の揺れに注意するよう呼びかけています。
●「能登震災」から早や1週間/岸田官邸機能せず/林官房長官は報告待ち 1/8
支援遅れは「もはや人災」/「災害関連死」多発で支持率低下も
元日に能登地方を襲った能登半島地震は最大震度7を記録し、甚大な人的・物的被害をもたらした。その翌日には羽田空港の滑走路上で、被災地向けの支援物資を積んだ海上保安庁機と日航機が衝突し、海保職員5人の命が奪われる悲惨な事故も発生した。波乱の年明けを迎えた中で、岸田文雄首相のあまりにもお粗末な災害対応に批判の声が急速に高まっている。
自民党関係者は「政治資金パーティーをめぐる裏金問題で支持率が急低下した岸田政権にとって、今回の能登半島地震に正面から向き合えば、国民の支持を取り戻す機会にもなり得た」と指摘する。だが、震災から早や1週間が経過しても稚拙な対応ばかりが浮き彫りになり、災害ボランティアの受け付けすら整備できない有り様だ。被災地では「支援があまりにも遅すぎる」と政府に対する怒りが広がっている。「なぜ、ここまで災害対応が遅いのか。人命に ……
●能登半島地震、東日本大震災のような「復興増税」が出てくる余地はない 1/8
復興予算はどう調達されるのか
元日に能登半島地震、2日に羽田空港事故と2日続きで、激動の年を暗示するような事象が発生した。亡くなられた方々のご冥福を、心よりお祈りしたい。
さて、今年は1月台湾総統選、3月ロシア大統領選、4月韓国総選挙、6月欧州議会選挙、11月米国大統領選と世界中で政治が動く可能性がある。日本でも総選挙が行われるかもしれない。
その上で、能登半島地震の復興・復旧予算はどのように調達されるのか、東日本大震災の時のような増税につながる動きはないか、論じたい。
岸田首相が「予備費で40億円出す」と発言したところ、かつて東日本大震災では与党であったはずの野党の面々から「少なすぎる」と批判した。これは筆者も驚いた。
これは実務をやっていれば直ぐわかることだが、とりあえずの財政支出であり、全体の復興予算でない。当初段階では、人命救出が最優先であるために被害の全容を把握できない。被害の全容がわかるのは当分先であるので、現段階では復興予算を正確に見積もれない。
気象庁の震度データベースで1919年以降、震度7を記録したものを調べると、1923年9月1日関東大震災(当時首相は不在)、1995年1月17日阪神淡路大震災(当時村山富市首相)、2004年10月23日新潟県中越地震(当時小泉純一郎首相)、2011年3月11日東日本大震災(当時菅直人首相)、2016年4月14、16日熊本地震(当時安倍晋三首相)、2018年9月6日北海道胆振東部地震(当時安倍晋三首相)が起こっている。
今回の能登半島地震は震度7なので、これらと並ぶ大きな地震だ。これらの中で、阪神淡路大震災と東日本大震災の被害は群を抜いて甚大なものとして、今回の能登半島地震は熊本地震クラスと言えるだろう。
数千億円の予算規模に
熊本地震からの復興復旧で国の予算としては、2016年5月の1次補正で7780億円、8月の2次補正で4139億円(ただし予備費減額4100億円)、12月の3次補正で464億円(ただし予備費減額500億円)が計上されている。今回もおそらく数千億円程度だろう。
なお、1995年阪神淡路大震災のときも、2月に1兆223億円の補正予算が組まれている。2004年新潟県中越地震では、12月に1兆3618億円の災害対策費などの補正予算が組まれた。2018年北海道胆振東部地震では、他の豪雨災害などとともに10月に9356億円(地震への対応は1188億円)の補正予算が組まれた。
地震災害では、災害復旧事業としてまずは国の予備費が使われる。災害復旧事業とは、災害でこわれた道路や河川などの公共土木施設を復旧することだ。この作業は以下のように国ではなくまず都道府県で行われる。
まず、都道府県土木事務所の職員が現地を行き、また市町や地元の代表者などから報告された被害を確認する。市町の管理する道路や河川の被害については、それを管理している市町の職員がチェックしていく。
次にその被災した場所をどのように復旧するか、復旧にはどれくらいのカネが必要かを計算する。災害復旧事業は基本的に国の負担により行うものであるので、国に申請する。
地方自治体からの申請に対して、国の査定が行われる。査定は、国の防災関係の職員と予算関係の職員が一緒になって現地に行き、被害の状況や復旧の方法、復旧に必要な予算などを確認し行われる。地方自治体職員はそのときに被災した原因や復旧する方法を決めた理由などを説明する。その確認の結果、概ね復旧方法(工法)や復旧費用が決定されていく。
復興増税の余地はない
もちろん、予備費で賄えない場合には補正予算が組まれる。
熊本地震の時にも、こうした作業は1ヵ月間程度を要したので、今回も同じ程度の期間を要するだろう。今年度予算の予備費は5000億円、まだ4600億円残っているし、来年度予算の予備費も既に決まっている政府案では5000億円あるので、その範囲内になるだろう。まさに予見しがたい事態に対処するための予備費の対象になる。
もっとも、予備費を今回の能登半島地震で使ってしまう可能性もあるので、今年1月に開かれる通常国会に提出する来年度予算の予備費5000億円を1兆円に代えて提出するか、通常国会の冒頭で、今年度補正予算を予備費5000億円増で組んでおくなどの調整が必要だろう。
これまでも震度7クラスでは補正予算が1ヵ月程度後に組まれているので、後者のほうが望ましいが、いずれにしても、税収の上振れもあり、この程度の規模の補正予算では、とても復興増税なんて話が出てくる余地はないことは強調しておきたい。
自民、公明、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の6党は5日の党首会談で、所属国会議員による能登半島地震の被災地視察について、当面自粛することを申し合わせた。
災害時に迷惑なのは、(1)目立ちたいだけの無能な政治家、(2)非常識なマスコミやYOUTUBER、(3)物見遊山な一般人だ。ところが、この時期にこうした常識を持ち合わせず、現地入りしたれいわ新選組の山本太郎代表もいた。
やってはいけない行動に出た者も
能登半島には志賀原発がある。2011年度以降、1号機、2号機とも発電を行っていないが、この原発をめぐり、火災が起きたというデマが氾濫した。よりによって、それを鳩山由紀夫元首相がポストした。
北陸電力の公表では、そうした事実はない。また、一部反原発活動家が、震災直後に志賀原発に問い合わせをしたが、こうした行動はやってはいけないものだ。
なお、北陸新幹線はすぐに普及したので、被災地の周辺のインフラが機能しているところもある。ただし、能登半島のいたるところの道路は寸断されたままだし、海岸線の変形により港湾も使えない状況だ。
次に羽田空港で起きた事故だ。これは何とも痛ましい事故である。羽田空港でJAL機と海保機が滑走路上で衝突したが、海保機は能登半島地震の救援物資輸送のためのフライトだった。
この事故で、海保機で5名が殉職したが、不幸中の幸いとして、JAL機の乗員乗客379人全員は無事緊急脱出できた。
空港管制と機長との交信はほぼ公開されており、事故直後から、JAL機には着陸許可が下りていたが、海保機が待機指示を待つのみだったのはすぐにわかった。
もっとも、これらの情報は公的なものでないので、交信記録以外の情報も含めて公的機関から公式情報が出てくるのは時間の問題だ。
岸田政権の対応はまずまず
ただし、海保機が滑走路に進入したときに警戒が出ていたはずだが、それを管制がなぜ見落としたのかなど、疑問点はまだ残っている。
いずれにしても、滑走路上の事故では十分な記録がなされているはずだから、それにそって事故の再発防止原因の究明が進むだろう。
いずれにしても、今年のスタートから前途多難であるが、岸田政権の対応はまずまずだ。1月の通常国会でしっかりとした補正予算を打ち出せれば、低下した政権支持率も反転する可能性もある。
●どうする立憲!? 自民“崩壊”の危機で野党第一党はどう闘うのか? 1/8
自民“崩壊”の危機の中、なぜ高まらない?野党第一党「立憲民主党」政権交代への期待の声。
自民党支持率が下がる中、上向くことがない「立憲」の支持率。2009年の政権交代の時と、今の野党第一党は何が違うのか?ポスト泉は誰なのか?立憲のイマを徹底解剖する。
「今こそ政治を変えるとき」なのに・・・上向かない立憲支持
「今こそ政治を変えるとき」
立憲民主党の顔・泉健太代表が力強く、候補者を募集するホームページでこう訴えている。しかし、最大の問題は当の立憲民主党に対する国民からの支持が高まらない点だ。
NNNと読売新聞の2023年12月の最新世論調査でも立憲の支持率は5%と伸び悩んでいる。さらに、2023年4月から11月までは野党第二党の日本維新の会に後塵を拝していた。
ある立憲幹部は「岸田内閣の支持率が下がっても、立憲への支持に繋がらない」と嘆いていた。なぜ、期待が高まらないのか?3つの視点から、立憲民主党の現在地と今後の展望を分析する。
【分析:その1】「野党分断」の1年だった2023年
2022年は、日本維新の会と国会で共闘するなど「野党協調」で成果が出た年だったが、23年は立憲が「与党との対決」だけでなく「野党との協力」にも悩み、「野党分断」の1年になってしまった。ポイントとなる2つの局面があった。
1つ目は、6月の内閣不信任決議案をめぐる対応だ。
立憲が対決姿勢を示すために提出に踏み切った一方で、維新・国民は反対にまわり、野党の足並みは崩れた。その背景には、通常国会の戦略をめぐり、立憲が日程闘争を含めた「全面対決路線」をとった事に対し、維新側が「昭和のやり方」などと批判したことがあった。ある立憲幹部は「野党がバラバラになったせいで、国会が与党ペースになってしまった」と振り返る。
2つ目は、臨時国会の補正予算案をめぐる態度だ。
秋以降、立憲は岸田内閣が打ち出した「所得減税」が不評だったことなどもあり、攻勢を強めた。維新との連携では、いわゆる“統一教会”の被害者救済をめぐる法律では「共闘」が進んだが、補正予算をめぐっては反対した立憲に対して、維新・国民は賛成にまわった。「野党分裂」になった形だ。ある立憲幹部は「野党が一致結束して、攻めきれなかった」と不満を漏らした。
【分析:その2】 2009年「政権交代」と今…違いは「受け皿」
自民党内では、今の危機的状況について「政権交代前の09年に似ている」と指摘する声が多く出ている。
2023年11月の世論調査では内閣支持率が24%になった。これは12年の政権復帰以来で最低の数字だ。2023年12月には自民党の支持率が28%となったが、30%を下回るのは麻生内閣以来14年ぶりだ。内閣と自民党の支持率が下がる中、09年との違いは野党第一党の支持率が上がらないことだ。
政権交代がおこった09年8月の「民主党」の政党支持率は32.1%。一方、最新(23年12月)世論調査での「立憲民主党」は5%。一番多いのは「支持政党なし」の48%で、他に野党で5%をこえる政党はない。
民主党時代に政務3役を経験したある立憲幹部は「あの頃の民主党には勢いがあった。今は野党の数が多く、立憲と維新が野党第一党争いをしている状態では、国民が求める受け皿になれていない」とこぼす。
【分析:その3】 ポスト泉は? 来年の代表選の行方
野党としての存在感があがらない立憲民主党。立憲の議員を取材する中でその原因としてよく出てくるのが、トップ泉代表への不満の声だ。
泉代表は就任から丸2年を迎えるが、党勢が拡大しない原因についてトップの「指導力不足」「発信力不足」を問う意見が少なくない。
“安定重視” 名前が挙がる重鎮2人
では、「ポスト泉」は誰なのか。取材でまず出る名前は重鎮2人、枝野幸男前代表と野田佳彦元首相だ。
枝野氏は旧・立憲民主党を立ち上げた「創業者」。知名度も高く、今年、「枝野ビジョン」の改定版を発表するなど存在感を示している。しかし、枝野氏は21年の衆院選で敗北し、代表を辞任した経緯がある。党内からは「共産党と関係が近いイメージから、他の野党との協力がしにくくなる」「時計の針が戻ってしまう」という厳しい意見も根強い。
一方、待望論が出ているのが元首相の野田佳彦氏。安倍元首相の追悼演説を契機に与野党から再評価する声が出ていて、ある立憲幹部は「野田氏は増税を成し遂げた首相であり、それは自民党にとっても一目置かれること。経験と人柄から、他の野党との関係もうまくやれる」と評価する。中堅・若手からも「野田氏が代表になって立憲を立て直してほしい」という声も少なくない。
“中堅躍進” 代表選を見据えるエース
中堅議員で名前があがる「ポスト泉」は誰か。
まずは、知名度も高く待望論が強いのは、前政調会長の小川淳也氏。密着したドキュメンタリー映画が話題となり、前回の代表選では泉代表とも争った。ある立憲幹部は「枝野、野田ではフレッシュ感がない。若くて、情熱があり、ビジョンを持つ小川氏しか次のリーダーはいない」と話している。この1年は目立つ存在ではなかったが「代表選に備えあえてじっとしていた1年だった」と立憲若手は分析する。
もう1人の有力候補は、同じく代表選で泉代表と争った西村智奈美氏。立憲が力を入れる、いわゆる“統一教会”問題対策の責任者を務め、救済法では与党側との交渉担当者として汗をかいた。西村氏を推す中堅議員は「彼女はかなり肝が据わっている」、別の立憲議員は「女性リーダーへの渇望感は高い」と、代表へ期待する声があがっている。
もちろん、泉代表自身も次の代表選では候補者の1人だ。ある中堅議員は「代表は次の衆院選で目標の150議席獲得を目指す」と意気込む。そして、「代表選までに解散総選挙がなければ、泉代表の続投だろう」(周辺)と“泉おろし”の動きを牽制する。
どうする立憲!? 次のカギは「政治改革国会」
2024年は立憲にとっても勝負の1年となる。1月下旬から始まるとみられる通常国会は、冒頭から「政治改革国会」になるとみられる。ここで、立憲が政府与党をどう追及し、政治改革に向けた姿勢をどこまで示せるかが問われている。
立憲は、すでに提出している法案をベースに、企業団体献金禁止や収支報告書のネット公開の義務化などを求める方針だ。ある立憲幹部は「企業団体献金禁止を自民党にのませるのは高いハードルがある。一方、小幅な改正に終われば『野党も保身に走った』と厳しく批判される。どこまで攻めるのか難しい」と頭を悩ませる。
「政治とカネ」で最大の危機を迎えている、岸田自民党。立憲民主党が「自民党のピンチ」を「チャンス」として引き寄せ、さらに、国民の支持に繋げることができるのか。立憲民主党にとっても大きな1年となりそうだ。
●若狭勝弁護士 自民裏金事件、池田議員の今後を推測 1/8
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士が8日、フジテレビの情報番組「めざまし8」にVTR出演。自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件で東京地検特捜部が7日、政治資金規正法違反の疑いで衆院議員池田佳隆容疑者(57)=比例東海=と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)を逮捕したことに言及した。
岸田政権を揺るがす一連の事件で逮捕者が出るのは初めて。現職議員の逮捕に発展したことで、捜査は新たな局面を迎えた。特捜部は還流させた派閥側も調べ、裏金づくりの実態解明を本格化させる。
両容疑者の逮捕容疑は、共謀して2018〜22年、派閥から計4826万円の還流を受けたのに、その額を除いた虚偽の収入を資金管理団体「池田黎明会」の政治資金収支報告書に記入した疑い。安倍派の裏金は5年間で6億円近くに上る可能性があり、所属議員99人の中で池田容疑者側は高額だった。岸田文雄首相は「大変遺憾なことであり、重く受け止めている」と官邸で記者団に述べた。自民党は7日付で池田容疑者を除名処分にした。
若狭氏は、池田議員の起訴の可能性について「正式起訴で禁錮2年の求刑ではないか」と言い、「有罪なら執行猶予付き3年になる」と自身の見解を述べた。捜査のポイントとしては「還流金額が大きく、派閥内で誰がどのように関与しているかなど裏金システムに精通している可能性がある」とした。
●れいわ山本太郎氏「現場を見ろ 安心させろ」 能登地震の課題指摘、提案 1/8
5日に能登半島地震の被災地に入ったことを報告していた、れいわ新選組の山本太郎代表は8日までに、自身のX(旧ツイッター)を更新し、現地の深刻な実態や、国や石川県に対する要望を4つの投稿に分けて長文で投稿した。
与党や主要野党が、当面の間の所属国会議員の現地視察を見合わせる方針を示す中、山本氏は「現場を見ろ。安心させろ」という項目も記し、現地の現実を確認して支援体制を構築すべきとの認識を訴えた。
山本氏は、甚大な被害が報告されている能登町、珠洲市に入ったとし「当事者の声を約二日間に渡り、様々聞きとりした」と投稿。その中で、岸田文雄首相を含む国会議員の現地入りが見送られていることへの思いを、被災者に聞いたとして「『意味がわからないんですけど』『どうしてですか?』『ヘリで来れば良いじゃないですか』との意見が相次いだ」と指摘した。 「総理や政治家が役人からの報告やテキストだけでわかった気になり被災地のことを決めていくことへの不安感ではないだろうか。この極限状態を前に、現場を自分の眼で見ずに知らずに政治決定を行えるというなら、AIが代行すれば良いのではないか?」とも指摘。「AIなら裏金問題や一部の者だけへの忖度も、権力維持のことしか考えない振る舞いもしないだろう」と、自民党の政治資金問題のさなかにもある政権与党を皮肉るような記載もあった。
岸田首相に対して「目の前で困っているのは血の通った人間で、この国に生きる大切な宝だ。総理の被災地訪問の見合わせに対して、現場を直接見て、被災者の声を聞いて、しっかり取り組むと約束をして欲しい、との声が多かった。心配するな。国がちゃんとやる、と能登半島で約束をして、不安の中にいる能登の人々を安心させていただきたい」と提案。被災地の実態を自身で確認して、不安を払拭(ふっしょく)させる対応を取るよう、強く求めた。
投稿は「以下、総理(@kishida230)県知事(@hase3655)に提案する。特に県知事には政府に強く要求いただきたい」と、岸田首相と馳浩県知事のXアカウントを記した上で書き出されていた。「大幅増員のプッシュ型支援」「ニーズを聞きとるではなく、支援メニューを示せ」「いつまでに出来るかの見通しを示せ」「最悪の事態を想定しているか」など、複数のテーマに沿って実態報告と提案を記した。
●G7の主要国が指導力を失い、G20も機能しなくなった『Gゼロ状態』 1/8
なぜ世界で“リーダー不在”が広がっているのか
裏金問題などで国民の不支持は高まり、足元が揺らぐ岸田政権。しかし世界を見渡すと、アメリカ・バイデン政権やイギリス・スナク政権の支持率は低迷しており、G7の首脳たちも政権維持に汲々としている。
「確たるイデオロギーに基づいて国を司り、国際的なリーダーシップを発揮できる為政者は見当たらない」と指摘するのは経営コンサルタントの大前研一氏。いま、なぜ世界で“リーダー不在”が広がっているのか? 大前氏が解説する。
2024年の世界と日本はどうなるか? 残念ながら明るい展望は開けない。その理由は、リーダーシップのある指導者が世界にも日本にもいないことだ。
日本では、前号で指摘したように、岸田文雄首相が経済愚策を連発して内閣支持率が20%前後に落ち込んでいるにもかかわらず、それに代わる新リーダーは見当たらない。自民党の政治資金パーティー裏金問題もあって“日本丸”は羅針盤を失い、どこに向かっているのかわからない状況だ。
世界を見渡しても有力なリーダーはいない。
2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻に加え、2023年はイスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの間でも戦闘が起きた。しかし、これを誰も止めることができない。国連は機能不全で存在意義がなくなっている。
従来なら“世界の警察官”を自任してきたアメリカがリーダーシップを発揮すべきである。ロシアのプーチン大統領の暴走にストップをかけ、ウクライナのゼレンスキー大統領を交渉のテーブルにつかせられるのはアメリカだけだろうが、実際は“武器商人”と化して火に油を注ぐだけだ。
イスラエル・パレスチナ問題も、1993年に当時のクリントン大統領の仲介によって、イスラエルのラビン首相とパレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長との間でパレスチナが国家を樹立してイスラエルとの「2国家共存」を目指す「オスロ合意」が成立したのだから、アメリカはイスラエルにパレスチナ国家の樹立を支援するよう求めて共存を実現しなければならない。しかし、どちらの戦争解決も、バイデン大統領の指導力では不可能だ。
国連も1947年に「2国家共存」を決議していながら、何も決められないでいる。パレスチナ自治区の紛争地域に国連軍を派遣するなど、やるべきことはたくさんあるはずだ。
ネット言論の拡大が影響?
いま世界は、アメリカの政治学者イアン・ブレマーが2011年に指摘した「Gゼロ」(G7の主要国が指導力を失い、G20も機能しなくなった国際社会)の状態が、ますます加速して混迷を深めている。
G7の首脳は岸田首相とバイデン大統領だけでなく、イギリスのスナク首相もドイツのショルツ首相もフランスのマクロン大統領も指導力のない小粒なリーダーで、政権維持に汲々としており、いずれも“次”はなさそうだ。むしろプーチン、習近平、北朝鮮の金正恩のような国際秩序を攪乱する独裁者がいるだけに、「Gゼロ」どころか「Gマイナス」とも呼ぶべき状態になっている。
なぜ、このような“リーダー不在”が世界的に広がっているのか? その疑問を解消する明確な理由はわからないが、もし大きな原因があるとすれば、ネットやSNSの影響だろう。
ネットメディアやSNSの発達に伴い、既存のマスメディアとは異なる言論・情報空間が拡大して世界中で人々は賢くなっているが、その人たちの不満や怒りを集約化して受け皿になれるだけの政治家や政党はどこの国にも存在しない。
また、情報の拡散・共有が容易になったため、人々はネットメディアやSNSに自分の意見を投稿することでストレスを発散し、その空間の中で早々と不満や怒りを収めるという“熱しやすく冷めやすい”状況になっている。まさに「人の噂も75日」だ。このため、人々の関心は短期間で次の問題に移るようになり、そのスピードに政治は全く対応できていない。
さらに、世界は情報だけでなく、ライフスタイルも共通化している。たとえば富裕層の人たちは、欧米諸国であれアジア諸国であれ、自分たちの生活を妨害されない限り、政治には「我関せず」だ。
だから、どこの国でも政治家は選挙対策で人口の大多数を占める中間所得層以下の人々を対象にしたバラ撒き政策ばかり打ち出しているわけだが、それは結局、右傾化と財務の悪化を伴うポピュリズム(大衆迎合主義)でしかない。
1989年の冷戦終結後は「イデオロギーの終焉」と言われたが、いまや世界のどこにも確たるイデオロギーに基づいて国を司り、国際的なリーダーシップを発揮できる為政者はいない。だから「Gゼロ」が加速しているわけで、それは今後も続くだろう。したがって我々は当面、自分たちの生活防衛に徹しなければならない、ということになる。
●「派閥とカネ」問題で問われる自浄能力 指導力の発揮が試される岸田首相 1/8
「防衛力の抜本的強化」や「次元の異なる少子化対策」など国家的な課題が山積する中、またしても「政治とカネ」「派閥とカネ」の問題が自民党を揺るがしている。国民の政治不信は頂点に達し、岸田政権の政治運営に赤信号が灯る。かといって野党に対する国民の失望も重なる。2024年はグローバル世界も先行き不透明で、企業や国民も必死に生き抜かねばならないときだけに、政治への怒りは強い。
「裏金」疑惑が直撃
自民党内に衝撃が走っている。党内の各派閥が例年開催している政治資金を集めるパーティーを巡り、収入を政治資金収支報告書に適切に記載していなかったとして、大学教授が告発したのだ。
政治資金規正法は政治活動が国民の不断の監視の下に行われるようにするため、政治資金に関する収支の公開と授受の規正を定めている。パーティー券については20万円を超えて購入した購入者・団体の名前や金額を収支報告書に記載しないといけない。
告発は購入者が支出を報告しているのに派閥側には収入の記載がないケースがあったとしている。2018年から21年までの収支報告書で総額約4000万円にのぼるとされる。
その内訳は、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)が約1900万円だったほか、志帥会(二階派)約900万円▽平成研究会(茂木派)約600万円▽志公会(麻生派)約400万円▽宏池会(岸田派)約200万円─という。不適切な記載が常態化していたと受け止められても仕方ない。
自民党幹事長の茂木敏充はこうした状況を受け、それぞれの派閥の責任者に対し「収支報告書を適切に訂正すること。そして必要があれば説明し、再発防止に努めるように」と指示した。各派閥は相次いで報告書を訂正するなどの対応に追われた。
だが、それだけでは終わらなかった。安倍派が所属議員に課したパーティー券の販売ノルマを超えた分の収入を議員側にキックバックしていた疑惑が浮上した。収支報告書に記載されない「裏金」とされる。総額は約1億円に達するとみられ、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)容疑で調べているという。
自民党総裁で首相の岸田文雄は12月4日の党役員会で「政策グループ(派閥)の活動について、国民に疑念が持たれるとすれば遺憾であり、状況を把握しながら党としても対応を考えていく」と発言。茂木も役員会後の記者会見で「概要が把握できて問題点も明らかになってくれば、党として対応し、再発防止を図る取り組みを進めたい」と語った。
分裂する野党
自民党総務会長で近未来政治研究会(森山派)会長の森山裕は11月30日、岸田、茂木、副総裁の麻生太郎らと党本部で会談した後、派閥会合でこう語っていた。
「今後も色々な動きが続くと思う。今は自民党、岸田政権にとって極めて大事な時だ。一致団結して政権をしっかり支え、自民党の将来を間違いのない方向に持っていくことが大事だ」
岸田政権は物価高への対応で後手を踏み、政権浮揚の「切り札」として打ち出した所得税・住民税の定額減税も空振りに終わった。さらに、3人の副大臣・政務官の「辞任ドミノ」も起きた。森山の言葉通り、今度は「政治とカネ」の問題が自民党を直撃した。岸田にとって「弱り目に祟り目だ。政権運営に大きな痛手だ」(党中堅)といえる。
野党にとっては格好の「敵失」といえる。それにもかかわらず、岸田政権を厳しく追及し、追い込むだけの勢いはみられない。逆に野党間の足並みの乱れが露呈した。
立憲民主党などの野党は23年度補正予算案の国会審議で、自民党各派閥のパーティー券問題を巡り「毎年毎年、一定額が不記載になっている。組織的継続的と言わずして何と言うのか」などとただした。
それに対し、岸田は「報告を受けている範囲で『裏金』はなかった」といった答弁を繰り返し、議論が深まることはなかった。野党側の決定打を欠く、追及の甘さがあったといえる。
その結果、審議は混乱もなく淡々と進み、物価高対策を柱とした総額13兆円超の23年度補正予算は11月29日に成立した。採決では立憲民主党や共産党は反対したものの、日本維新の会と国民民主党は賛成に回り、野党が一枚岩でないことが鮮明になった。
日本維新の会は熱心に取り組む25年大阪・関西万博の会場建設費の一部が補正予算に盛り込まれていることから最終的に賛成に回った。国民民主党はガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除を与党と協議することを取り付けたためだった。
立憲民主党代表の泉健太は補正予算成立を受けて「万博、トリガーという弱みを握られて、予算に対し明確な意思表示ができなかった。大変残念だ」と語り、日本維新の会と国民民主党を牽制した。
さらに、岸田政権と対峙すべき野党勢力の溝が浮き彫りになる中で、国民民主党代表代行の前原誠司が党の方針に反発して離党届を提出した。そして、新党「教育無償化を実現する会」を結成することを表明。「非自民・非共産」勢力を結集させ、政権交代につなげる考えを明らかにした。
しかし、「前原新党」は同じ教育無償化を訴えてきた日本維新の会への合流を見据えた動きとされている。実際、前原は日本維新の会と事前に協議を重ねていたという。
国民民主党幹部は「仲間よりも他党と相談する。信念のない自分の就職活動だ」と批判した。今後、代表の玉木雄一郎らが自民党との連携を加速させるきっかけになりかねず、「前原新党は野党再編の起爆剤にはなりえない」との見方が支配的になっている。
野党勢力が分裂し、小政党化してしまっては、自民党との対立軸はぼやけてしまう。再結集が実現しなければ、政権交代などは絵に描いた餅に過ぎない。自民党が立ちすくむ中で永田町全体に閉塞感が漂っており、国民の政治不信が強まっていくことになる。
法改正の検討を
岸田はこれまで「政治の責任を果たすべく具体的な課題に向けて一つひとつ結果を出す」「先送りできない課題に臆することなくしっかり判断し、結果を出していく」などと訴えてきた。
岸田にとって、パーティー券問題が直撃した最大派閥・安倍派の影響力が弱まれば自分のやりたい政策を進めやすくなるだろう─。そんな見方も出ている。
だが、そう簡単ではない。多くの安倍派幹部が政権の主要ポストに就いているだけでなく、パーティー券問題が派閥単位の問題で収まらず、「党の体質だ」と冷ややかな視線がそそがれるからだ。
内閣支持率が過去最低にまで落ち込み、政権運営の「危険水域」とされる水準になっている一方で、自民党の支持率は比較的高い水準で推移してきた。それだけに、政党支持率まで急落することになれば、党総裁としての岸田の責任が問われることは必至だ。「遺憾だ」などと派閥任せの対応は許されない。
岸田は11月に入って、憲法改正や安定的な皇位継承など自民党を支える保守層が関心を寄せる課題に率先して取り組む姿勢をアピールしてきた。
臨時国会の答弁では、目標に掲げてきた「党総裁任期中の憲法改正実現」について、24年9月末の今任期中のことだと明言し、改憲論議を前進させる決意を打ち出した。政党支持率を意識して保守層をつなぎ留める狙いだとされる。
とはいえ、国民の支持を追い風にしなければ、「防衛力の抜本的強化」や「次元の異なる少子化対策」といった看板政策の遂行や、「デジタル行財政改革」などの大胆な改革断行はできない。特に国民投票で過半数の賛成が必要になる憲法改正は、そこに突き進むだけの「体力」と、国民の理解を得るための「信頼」は不可欠となる。
何度となく繰り返される「政治とカネ」の問題は、さかのぼれば自民党が下野し、「55年体制」が崩壊した1993年以前からあった。当時は選挙制度の変更や政党交付金の導入などの「平成の政治改革」につながった。
約30年が経ち、またしても「政治とカネ」「派閥とカネ」の問題の波紋が大きく広がった。与党内からは「抜け穴の多い政治資金規正法違反の罰則の強化をすべきだ」などの声が上がる。森山も5日の記者会見で「(政治資金規正法は)国民の皆さんに理解されるものでなければならない。その視点からの議論が必要だ」と述べ、法改正の可能性に言及した。
もっとも野党側にも危機感が募る。「自民党だけの問題ではない。政治不信の最たるものだ。政治家1人ひとりが真剣に考えないといけない」といった受け止めも広がる。
信なくば立たず
岸田は12月7日、首相官邸で記者団にこう語った。
「総理総裁の任にあるうちは派閥を離れるのが適切な対応であると考えた。私自身が先頭に立って、政治の信頼回復に向けて努力したい」
派閥パーティー開催を当面自粛することや、忘年会や新年会といった派閥の行事を自粛することを決めている。さらに、自身が率いる岸田派を離脱することで、中立的な立場で指導力を発揮しようと考えたようだ。
野党側は「自民党は徹底調査し、事実を明らかにしなければならない」(立憲民主党代表の泉健太)、「首相は自民党総裁でもある。責任は極めて重大」(共産党書記局長の小池晃)などと引き続き追及する構えだ。
だが、疑惑の徹底解明のためには、自民党との対立軸を明確に示すことができる強力な野党勢力の結束が必要となる。しかも、パーティー券問題が野党側に飛び火する可能性も否定できず、そうなれば国民の政治不信はピークに達する。
岸田は就任以来、最大の正念場を迎えている。国民の政治不信を払拭するため強力なリーダーシップを発揮すべきときといえる。
野党側は「自民党は徹底調査し、事実を明らかにしなければならない」(立憲民主党代表、泉健太)、「首相は自民党総裁でもある。責任は極めて重大」(共産党書記局長の小池晃)などと引き続き追及する構えだが、徹底解明のためには、自民党との対立軸を明確に示すことができる強力な野党勢力の結束が必要となる。
与野党とも、それができなければ、政治の自浄能力が発揮されず、永田町の閉塞感はますます強まることになる。
●物価上昇を上回る賃上げ実現へ “実感伴う成果を” 岸田首相 1/8
物価の上昇を上回る賃上げの実現に向け、岸田総理大臣は2024年、中小企業や国民の減税措置などの政策を集中的に進める方針で、国民の実感を伴う成果につなげたい考えです。
岸田政権が賃上げを最優先課題に位置づける中、連合の調査では、2023年の春闘での賃上げ率は平均で3.58%と、およそ30年ぶりの高水準となったものの、物価高騰を背景に実質賃金は依然、マイナスの状況が続いています。
岸田総理大臣は、2024年に物価の上昇を上回る賃上げを実現させたいとして
・春闘にかけて経済界への働きかけを強めるとともに
・従業員の給与を引き上げた中小企業の法人税を減税する「賃上げ税制」を拡充します。
また
・住民税の非課税世帯に7万円を給付するほか
・6月以降は所得税などの定額減税を行うなど
政策を集中的に進める方針です。
政府は、減税などの一連の政策効果を加えた来年度の所得の伸びは物価上昇率を上回るプラス3.8%になると試算しています。
岸田総理大臣は先月下旬、経済界の関係者を前に「改革努力が花開こうとしている。新たなステージのドアを開けられるよう政策を総動員していく」と述べていて、国民の実感を伴う成果につなげられるかが焦点となります。
●岸田首相 「解散は信頼回復後に考えたい」発言にあふれる絶望… 1/8
1月7日、岸田文雄首相は、『日曜討論』(NHK)に出演。政治とカネをめぐる問題について「率直にお詫びを申し上げなければならない。私自身が先頭に立って信頼回復に努めなければならない」と謝罪した。
また、衆院解散の時期について、「まずは信頼回復、次は政策の実現。いまはそれに尽きる」とする一方、「それをおこなった上でその先について考えていきたい」と語った。岸田首相の発言は、前日の6日に収録された。
「岸田首相は1月4日の年頭会見で、『政治刷新本部』を自民党内に立ち上げると表明しましたが、派閥について『政策集団』という表現で通し、『政策集団というのは、政策を研鑽し、若手を育成することを目的としていたはず』と語るなど、政治資金パーティーの禁止や派閥の解消には後ろ向きです。
1月7日、安倍派所属の衆院議員、池田佳隆容疑者の逮捕を受け、囲み会見に応じた岸田首相は、『大変遺憾なことであり、重く受け止めている』と語る一方、記者団から議員辞職を求めるかどうか問われると『とりあえず除名方針を確定した』と述べるにとどめています」(政治担当記者)
前兵庫県明石市長の泉房穂氏は1月7日、自身の「X」にこう書きこんだ。
《素朴な疑問だが、「大変“遺憾”」とのことだが、何が“遺憾”なんだろう。裏金を受け取っていたことが“遺憾”なら、金額の多い少ないにかかわらず、安倍派の90人に対しても、処分をすべきではないのだろうか。“トカゲのしっぽ切り”って言葉が思わず浮かんできてしまう・・・》
「岸田首相は1月4日の年頭会見後、『BSフジLIVE プライムニュース』に生出演し、ときおり笑顔を見せながら9月の総裁選の抱負を語りました。元旦に能登半島が地震に襲われ、救援もままならない状況で、『なぜいま生放送に出るのか』と大きな批判を集めました。
さらに翌5日には、経済3団体、連合、時事通信社の主催でおこなわれた3つの新年会に連続で出席。こちらも、地震で『非常事態宣言』が出るなかでふさわしい行動なのか、疑問の声が出ました。
1月6・7日、JNNが実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は前月から1.8ポイント下落し、27.1%と過去最低を更新。岸田首相が立ち上げる『政治刷新本部』に『期待しない』が59%。自民党の派閥を今後どうすべきかについては、『解体すべき』が52%にのぼっており、信頼回復は遠い道のりとなっています」(同)
岸田首相が「解散は信頼回復後に考えたい」と発言したことに、SNSでは《信頼回復は無理でしょう》と、絶望感が広がっている。
《【悲報】信頼回復しないと「解散」しない!? まさに生き地獄》
《「解散は信頼回復後に考えたい」って、裏金事件で捕まったらサッサと除名処分にしてトカゲの尻尾切りする奴らに信頼回復出来るとでも思ってんのか!》
《岸田政権が続く限り信頼回復は到底無理でしょう。つまり衆院議員の任期が終わる2025年の秋まで解散しないつもりでしょうか?たとえ内閣支持率が一桁に下落しても?》
支持率下落で解散を打てない岸田首相と、「岸田下ろし」にも動けない自民党。そんな状況がこのまま続くとなれば、SNSで絶望があふれるのも当然だろう。
●世界競争力ランキング2023で過去最低となった日本 1/8
世界の主要な64カ国・地域を対象に「経済実績」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4項目を評価する指標をもとに発表される、世界競争力ランキングで2023年、日本は過去最低となる35位となった。なぜそこまで日本の競争力は落ちてしまったのか。
日本は64カ国中35位
IMD(国際経営開発研究所)が、世界64カ国を対象にした2023年の「世界競争力ランキング」を6月に発表した。日本は、昨年より1つ順位を下げ、過去最低の世界第35位になった。
ところが、このニュースはあまり話題になっていない。日本の地位が低いことには、もうニュースバリューがなくなってしまったのだろうか?
もちろん、これは日本人にとって愉快なニュースではない。知らないで済ませられるならばそうしたいと、日本人であれば誰もが考えるだろう。しかし、だからといって、このニュースに耳をふさいではならない。
アジア太平洋地域で日本より下位の国は、インド、フィリピン、モンゴルのみ
アジア太平洋地域での日本の競争力の凋落ぶりには、驚くばかりだ。ここでの日本の順位は、14カ国・地域中で第11位だ。
第1位は、シンガポール(世界第4位)。続いて、第2位が台湾(世界第6位)、第3位が香港(世界第7位)だ。そして、中国は第5位(世界第21位)、韓国は第7位(世界第28位)だ。
日本より上位にはほかに、マレーシア、タイ、インドネシアなどが並ぶ。日本より下位は、インド、フィリピン、モンゴルだけなのである!
1989年の第1回のランキングでは、日本は世界第1位だった。その後、低下はしたものの、96年までは5位以内を保っていた。しかし以降順位を下げ、2023年には過去最低の順位となったのだ。
「政府の効率性」と「ビジネスの効率性」が低い
このランキングは、ここまで見てきた総合指標以外に、次の4つの指標で評価が行われている。
「経済状況(国内経済、雇用動向、物価などのマクロ経済評価)」では、日本は世界第26位だ(前年は第20位)。
「政府の効率性(政府の政策が競争力に寄与している度合い)」は、2010年以降、第40位前後と低迷しているが、23年は第42位にまで低下した(前年は第39位)。
「インフラ(基礎的、技術的、科学的、人的資源が企業ニーズを満たしている度合い)」では、第23位(前年は第22位)だった。
「ビジネスの効率性」は、昨年の第51位から第47位に上昇したが、低い順位であることに変わりはない。
このことから、「政府の政策が適切でないためにビジネスの効率性が低下する。その結果、全体としての競争力が低下する」という状況に、日本が落ち込んでしまっていることが分かる。
政府の能力の低下が浮き彫りに
政府の政策が適切でなく、非効率的であることは、さまざまな面で指摘される。
マイナンバーカードをめぐる迷走ぶりを見ると、いまの日本政府は基本的なことが実行できていないことがよく分かる。今後、マイナ保険証に関してさらに大きな混乱が発生することが懸念される。
デジタル化が経済の効率化のために必要なことは明らかだ。しかし、それを実現するための基本的な制度を日本政府は整備することができていないのだ。
マイナ保険証のような技術的問題だけではない。政治的な政策判断の問題もある。少子化対策のように効果が疑わしい政策に多額の資金を投入しようとしている。しかも、そのための財源措置を行っていない。防衛費も増額するが、財源の手当てがされていない。
日本政府は迷走しているとしか言いようがない。
そして、このような無責任な政府に対して、野党が有効なチェック機能を果たしていない。日本の野党勢力は、2009年に政権を取って政権担当能力がないことを露呈してしまった。その後は批判勢力としてさえも機能していない。民主主義国家で、野党がこれだけ弱い国は、世界でも珍しい状況ではないだろうか?
どうしようもないことだと諦めてはいけない
我々の世代は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界から称賛された時代を経験した。そのため、日本がインドネシアやマレーシアに抜かれてしまったと聞けば、異常事態だと捉える。そして、早急に対処が必要だと考える。
しかし、いまの日本では、諦めムードが一般化してしまったようだ。本章の最初に述べたように、「世界競争力ランキング2023」のニュースは日本ではほとんど話題にならなかった。しかし、実はこれこそが、最も危険なことだ。
なぜなら、少子化対策を行っても、そして、それが仮に効果を発揮して出生率が上昇したとしても、日本の人口高齢化は、間違いなく進行するからである。
それによって、経済の効率性は低下せざるを得ない。その厳しい条件下で人々の雇用と生活を支え、社会保障制度を維持していくためには、生産性を引き上げ、日本の競争力を増強することがどうしても必要だ。したがって、決して諦めてはならない。いまの状況は当たり前のことではなく、何とかして克服しなければならないのだ。
実際、一度は衰退したにもかかわらず復活した国の例は、現代にもいくらでもある。その典型がアイルランドだ。アイルランドは製造業への転換に立ち後れ、1970年代頃までヨーロッパで最も貧しい国の一つだった。しかし、IT化に成功して、90年代以降、奇跡的な経済成長を実現した。2023年の世界競争力ランキングで、同国は世界第2位だ。
日本人の基礎学力は世界のトップクラス
日本人の能力がわずか30年間でこれほど急激に落ちてしまったはずはない。実際に、OECD(経済協力開発機構)が行っているPISAという小中学生を対象にした学力テストの結果を見ると、これが分かる。
直近の2018年調査では、数学的リテラシーは世界第6位、科学的リテラシーは第5位だった。読解力は前回から下がったものの、OECD平均得点を大きく上回っている。このように、日本人の基礎的な学力は、依然として世界トップクラスなのである。
日本人は、このように高い潜在的能力を持ちながら、それを発揮できない経済・社会環境に置かれてしまっているのだ。
言い換えれば、かつて強かった日本が凋落した原因は、1990年代の中頃以降に取られた政策の誤りにある。
1990年代の中頃以降、政策面で何が起きたかは明らかだ。円安政策を進めたのである。これによって、企業のイノベーション意欲が減退した。
企業がイノベーションの努力を怠ったために、日本人が能力を発揮する機会を失ってしまった。これこそが、日本経済衰退の基本的なメカニズムだ。
この意味で、いまの日本経済の状態は異常なのである。そして、政策のいかんによって変えられるものなのだ。
●「日本でMMTをやってもいいことは起きない」「アメリカではすでに失敗」 1/8
賃金は上がらないのに物価高が止まらない。経済学者の野口悠紀雄氏いわく、日本の円安・物価高は世界的な情勢の影響を受けているからだという。だがそれに対しての有効な策を日本政府が打てていないことも事実だという。
補正予算で国債発行額が増加するパターンが定着
2022年度第2次補正予算案における一般会計の追加歳出は28.9兆円。この約8割に当たる22.9兆円は国債の増発で賄う。つまり、財政支出の大部分は国債発行で賄われるわけだ。
新型コロナウイルスの感染拡大に対処するため、さまざまな財政措置がなされた。その結果、補正予算で巨額の国債発行を行うというパターンが定着してしまったように見える。
財務省「国債発行計画」によると、2020年度当初予算における国債発行額は32.6兆円だったが、第2次補正後で90.2兆円、第3次補正後には112.6兆円となった*1。100兆円超えは、初めてのことだ。
2021年度では、当初予算で43.6兆円。それが補正予算で22兆円増加され、65.7兆円となった。
こうした財政運営がなされた結果、国債残高は増加している。財務省の資料によると、普通国債*2の残高は、2015年度末には805兆円だったが、2020年度末には947兆円となった。2022年度末には、今回の追加で1042兆円になる。
こうした急激な国債残高増が深刻な問題を起こすことにはならないかと、誰でも心配になるだろう。
*1 財務省の国債発行予定額では、新規国債のほか、借換債を含めた国債発行額も示されている。本稿の「国債発行額」は、新規国債発行額を指す。
*2 建設国債や赤字国債など。財投債を含まない。
MMTは国債で財政支出をいくらでも賄えるというが……
MMT(Modern Monetary Theory:現代貨幣理論)という考えがある。
これは、「政府が国債発行によって財源を調達しても、自国通貨建てであればインフレにならない限り、問題ではない」という主張だ。ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授などによって提唱された。
国債の市中消化を続ければ、国債発行額が増加するにつれ金利が上昇する。そして、国債発行には自然とブレーキがかかってしまう。
これを避けるためには、中央銀行が国債を買い上げる必要がある。すると今度は、貨幣供給量が増加し、物価が上昇して、ついにはインフレになる。
MMTの理論は、「いくら国債を発行してもインフレにならない」と主張しているのではない。「インフレにならない限りいくら国債を発行してもよい」と言っているのだ。つまり、最も重要な問題をはぐらかしているのである。
MMTは実際にインフレを引き起こした
いまのアメリカの状況を見ていると、多くの人がMMTに対して抱いていた危惧が、まさにそのとおりの形で現実に生じてしまったことが分かる。
新型コロナウイルスに対応するため財政支出を拡大したのは、日本に限ったことではない。アメリカでも大規模な財政支出拡大策が取られた。そして、大量の国債発行を容易にするために、金融緩和に踏み切ったのである。つまり、財政拡大と金融緩和を同時に、しかも大規模に行った。まさに、MMTが推奨する政策が実現したのである。
そのために、コロナからの回復が見通せる段階になって経済活動が復活すると、賃金が上昇し、それが引き金となってインフレを引き起こしてしまったのだ。
もちろん、現在のインフレは、これだけが原因ではない。2022年の2月以降、ロシアのウクライナ侵攻によって資源や農産物が値上がりしたことも、大きな原因だ。これによって、昨年の秋以降進行していた物価上昇が加速することになった。
日本ではインフレが起きなかった
それに対して、日本では2022年までは、ホームメイド・インフレは起きなかった。
日本でもこの数年間で財政支出が拡大した。そして同時に、金融緩和政策も継続されている。それにもかかわらずインフレが起きなかったのはなぜか?
もちろん、いま日本では物価が上がっている。ただし、少なくとも2022年までについては、国内の要因によって起きたものではない。第1には、アメリカのインフレのため、第2にはウクライナ戦争で資源価格が高騰したためだ。その結果、輸入物価が上がったからだ。つまり、日本で生じた物価上昇は、輸入されたインフレであって、直接の原因は、海外にある。
日本で大量の国債発行がインフレにつながらなかった理由は2つ考えられる。
第1は、財政支出が需要を増大させなかったことだ。コロナ対策で最大のものは定額給付金だったが、これは消費支出を増やさず、貯金を増やすだけの結果に終わった。
第2に、日本企業の生産性が向上しない状況が続いているため、拡大策を行っても賃金が上昇せず、需要が拡大しなかったことがある。
日本でMMTをやってよいことにはならない
日本でホームメイド・インフレが起きなかったからといって、MMTをやっていいということにはならない。
大量の国債発行を可能にするために、日本では、長期国債を大量に購入し続けているだけでなく、長期金利を人為的に抑えている。その結果、アメリカの金利引き上げによって、日米の金利差が著しく拡大した。このため、アメリカのインフレが日本に輸入されることになったのである。この意味において、国債の大量発行がインフレの原因になっていると考えることができる。
金利抑制策の悪影響は、それだけではない。長期金利は、経済の最も重要な価格の一つだ。これが抑圧されているために、金利が経済の実態を表さなくなり、その結果、資源配分が著しく歪められている。
財政規律がなくなってしまったのが、最大の問題だ。その結果、効果の疑わしい(その反面、公平性の観点から大きな問題を含む)人気取り補助策が、次々と行われている。
国債発行を増やすという悪循環が生じている。それだけではなく、経済全体の資源配分が歪められている。これは日本経済の長期的なパフォーマンスを劣化させることになるだろう。 
●岸田「海外バラマキ」に国民の怒り爆発! 戦略ゼロの外交で失われる未来 1/8
石炭火力温存でまたも「化石賞」を受賞
もちろん、岸田首相は「COP28」で演説した。そのために、ドバイに出かけたのだから当然だ。しかし、その演説はあまりに陳腐で、「日本の地球温暖化の取り組みはこれだけ進んでいます」ということを“口先”強調しただけだった。
それなのに、日本の多くのメディアは、『石炭火力発電所の新設せず COP28 岸田首相が表明 』(FNN)、『岸田首相 “対策ない石炭火力発電所の新規建設せず” COP28』(NHK)と、いかにも日本の取り組みが進展したかのように伝えた。
しかし、これは報道のトリックと言っていい。
岸田演説をちゃんと聞けば、日本は石炭火力発電所建設を止めるなどとは言っていない。止めるのはNHK報道にあるように「対策ない石炭火力発電所」だけであって、対策を施した(CO2排出の効率が低いとされる)発電所は建設するのだ。
世界の流れが、石炭火力の廃止に向かうなかで、日本は削減だけにとどめたため、今年のG7広島サミットでも各国から批判された。それなのに、今回もまた石炭火力温存を表明したのだ。
原発再稼働がままならず、再エネ転換も思うように進まないなか、エネルギー供給から見て石炭火力を温存しなければならない事情があるのはわかる。しかし、それでもなお「いずれ廃止する」と宣言しなければならない。
この毎回変わらない日本の態度に、環境NCO「CAN」はまたしても日本を「化石賞」に選出した。ただし、今回は、日本のほかに、ニュージーランドとアメリカも選ばれた。
ロス&ダメージ資金提供をケチるせこさ
なぜ、アメリカまで「化石賞」に選ばれたのか?
それは、今回のCOP28の大きなテーマである「ロス&ダメージ」のファンドの設立・運営に関して、拠出金があまりにも低くすぎたからだ。
まず、議長国であるUAEは1億ドル(約150億円)、ドイツも同額の拠出を約束した。英国は6000万ポンド(約112億円)を表明した。ところが、アメリカは1750万ドルにすぎなかったのである。
そして日本は?というと、なんと1000万ドル(約15億円)である。
すでに、岸田首相は総理就任直後に出席した2021年11月のCOP26で、途上国への気候変動対策支援に、今後5年間で最大100億ドル(約1兆5000億円)を拠出すると表明している。今回の1000万ドルがその一部なのかはわからない。しかし、もしそうなら、今回の額はあまりに低すぎる。
温暖化対策は、なによりも優先しなければならない、人類社会最大の課題だ。それが、エジブトやヨルダンのような2国間援助より低くていいわけがない。
首相就任以来、安倍政権時以上にバラマキ
岸田外交は、安倍バラマキ外交の踏襲である。それもそのはず、安倍政権時代に外相をしていたのだから、そうなって当然だ。しかも、安倍政権時代より、派手にバラまいているのだから呆れるしかない。
そのバラマキに戦略はなく、ただ世界にいい顔をしただけとしか思えない。
これまでの外交履歴からバラマキ状況を見て行くと、国内がコロナ禍に喘いでいるというのに、2021年の総理就任直後から海外向け援助が急増している。前記したCOP26での途上国援助のほかに、2021年10月13日にアフガニスタンに2億ドル(約300億円)の支援、2021年12月7日には途上国に向けに今後3年で28億ドル(約4200億円)以上の支援を表明している。
そして2022年、2023年と海外バラマキは度を越している。とくに、ウクライナ戦争が起こったことで、ウクライナに対していきなり55億ドル(8250億円)援助を皮切りに総額76億ドル(1兆1400億円)をこれまでつぎ込んできた。
●自民・麻生氏「信頼回復し政権担う」 1/8
自民党の麻生太郎副総裁は8日、福岡県直方市で講演し、派閥の政治資金問題を受けて党内に設置される政治刷新本部(仮称)の顧問に就任すると説明し、「皆さん方の信頼をきちんと回復して、引き続き政権党を担っていく」と強調した。「派閥の話であるとはいえ、党の中で起きた話でもある」と述べ、党として再発防止に取り組む考えを示した。
麻生氏は台湾海峡を巡る緊張が高まっているとも指摘。「戦争になった場合、台湾にいる日本人を救出せねばならない。それなりのしかるべき準備をしておかなければならない」と指摘した。
●上川外相「ウクライナに53億円」で比較される「能登地震支援47億円」 疑問 1/8
ウクライナを訪問中の上川陽子外務大臣が、首都・キーウで同国のクレバ外相と会談。NATO(北大西洋条約機構)の基金に日本円で約53億円を新たに拠出し、ウクライナに対無人航空機検知システムなどを供与することを発表した。さらに、ゼレンスキー大統領を表敬した際は「今後も、ウクライナとともにあるという日本の立場は決して揺るがない」と伝えた。
1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」に対し、政府が支出した金額は約47億円。SNSでは、この金額とウクライナ支援の金額を比較する意見があがっている。
《石川の被災地にはたった47億。なぜ同じ日本国内に生きる被災者の方々に対してそんなに冷たい対応ができるんだ‥》
《まだ日本国民の税金から出すの? 自国民への支援を優先しない日本政府は本当にどうなっている》
《今はウクライナに支援してる場合じゃないと思うんだけど。自国の方が大事でしょ?》
その多くは、「まずは自国の災害支援に取り組むべきでは」という、疑問の声だ。
「47億4000万円は初期の支出で、今後も支援は積み増していきます。しかし、政府の説明があまりにも下手なので、『47億円』という金額だけが一人歩きしてしまった印象があります。
それに、1月6日に岸田文雄首相が支出を了承しながら、正式決定するのは1月9日の閣議。あまりにのんびりしすぎと指摘されています。被災者を安心させるためにも、早い決断と実行が必要なのですが、岸田文雄政権はそれがまったくできていません」(政治担当記者)
これまでも岸田政権は、「ばらまきメガネ」と揶揄されるほど、海外への支援や援助を続けてきた。2023年はおもなものだけで、2月にはフィリピンに年間2000億円を超えるインフラや情報通信網整備資金の支援を表明、3月には、「グローバルサウス」と呼ばれるアジアやアフリカなどの新興国・途上国に、インフラ整備のため2030年までに官民で約11兆円を投じると発表。さらに5月には、ガーナに約735億円、12月にはイスラエルとイスラム組織ハマスの武力衝突で観光業に打撃を受けたエジプトに、最大約338億円の支援を表明した。
「こうしたことを背景に、『海外へばらまく金額で、どれほど被災者が楽になるか』といった国民感情が高まっています」(前出・政治担当記者)
海外支援も大事だが、まずは国内の被災者を安心させてほしい、と考える日本人が多いのも事実だ。
●「データ破壊は自民のお家芸」逮捕された池田議員「証拠隠滅」「ドリル優子」 1/8
自民党の「清和政策研究会」(安倍派)に所属する衆議院議員の池田佳隆容疑者(57)と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)が、2022年までの5年間に政治資金パーティのキックバック4800万円余りを政治資金収支報告書に記載しなかったとして、1月7日、政治資金規正法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。
「当初、自民党内では『逮捕されることはないだろう』という見方がほとんどでしたが、特捜部は身柄を取りました。金額の多さにくわえ、証拠隠滅や関係者との口裏合わせの可能性があったからです。
特捜部は昨年12月に池田議員の関係先を家宅捜索しましたが、その前に池田容疑者はパーティー券の販売先や参加者の名簿、キックバックの金額などを記録した資料の廃棄を秘書に命じていた疑いが出てきました。そのため、逮捕に踏み切りました」(事件担当記者)
そして、1月8日、NHKが「記録媒体が破壊」と報じたことを受け、SNSでは「ドリル優子」がトレンドワードになった。
「自民党の小渕優子選挙対策委員長が経産大臣だった2014年、政治資金問題が発覚しました。その際の家宅捜索を前に、事務所にあったパソコンのハードディスクがドリルのようなもので破壊されていたことから、SNSなどで『ドリル優子』というあだ名がつけられました。その後も、ネット上では、なにかにつけ『ドリル優子』の言葉が飛び交います」(同)
今回もそれが蒸し返された格好だ。「X」には、
《証拠隠滅と言うと忘れちゃならない小渕優子氏…かつて、政治資金規正法違反で世間に謝罪会見もしてないのに「誠意を持って説明させて頂いてきた」と説明責任を『もう済んだ事』にしてしまうドリル優子》
《データ破壊は自民党のお家芸! ドリル優子の二番煎じ!》
《データ破壊で証拠隠滅のおそれというのは 自民党の常套手段なのか?》
《『ドリル優子』ならぬ『ドリル池田』ってことですか?》
などと書き込まれ、お祭り状態になった。
「小渕議員にとってみればとんだ飛び火で、『もう、いい加減にしてくれ』という心境かもしれませんが、結局のところ、いまも繰り返し話題になるのは、本人が説明責任を果たしていないことが原因です。今後も、ずっと言われ続けることになるでしょう」(同)
国会議員に「説明責任」は馬の耳に念仏なのだろうか。

 

●能登半島地震で露呈した原発の「不都合な真実」 1/9
やはり原発はやめるべきだ。能登半島地震を見てそう思った方はどれくらいいるのだろうか。
「あの大地震でも志賀原発は事故を起こさなかった!」「やはり日本の原発は安全だ!」という原発推進論者の声も聞こえてきそうだが、そんな声に騙されてはいけない。
2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きるまで、日本では、「原発は安くて安全でクリーン」だという原発神話が存在した。事故でその神話が一旦崩壊した後、急速に発展する再生可能エネルギーとの比較からも、今では「原発は高い」「原発は汚い」という事実はかなり広く理解されるようになった。
しかし、「原発は危ない」という点については、少し状況が異なる。
福島第一原発の事故で原発の危険性を思い知らされ、「原発はいらない!」と強く思った多くの国民は、事故から12年を経て、あの想像を絶する原発事故の痛みと恐怖を忘れてしまったかのようだ。
原発推進論者が、「原発が動かないから電気料金が上がる」とか、(夏や冬のほんの一時期だけなのだが)「需給が逼迫して停電のリスクがある」とか叫ぶと、いとも簡単に、「それなら原発を動かしてもいいか」という反応を示すようになったのだ。
実は、今回の地震の結果を見るまでもなく、日本の原発は「危ないから」止めるべきだと考える十分な根拠がある。
私は、これを「原発の不都合な真実」と呼んでいる。意外と知らない人が多いのだが、今回の地震と併せて考えていただけば、理解が深まると思うので、この機会に一つだけその話を紹介したい。
「原発の不都合な真実」の中で、もっとも重要なのは、原発の耐震性に関する事実だ。
当たり前の話だが、原発の事故が起きても良いと考える人はほとんどいない。多くの人は、政府が、「世界最高水準の規制基準を満たしています」と言うのを聞いて、「福島の事故を経験しているのだから、さすがに動かして良いという原発は安全なものに決まっている」と信じているようだ。
日本の国土は世界のわずか0.25%しかないのに、2011年〜2020年でみると全世界のマグニチュード6.0以上の地震の17.9%が日本周辺で発生するという、世界で最も危険な地震大国だと言って良いだろう。その日本で世界最高水準の規制に適合していると聞けば、「原発は、ちょっとやそっとの地震ではびくともしない」と誰もが思っているだろう。
しかし、真実は全く違う。日本の原発は地震に極めて弱い。それをわかりやすく説明したのが、関西電力大飯原発を止めたことで有名な樋口英明元福井地裁裁判長だ。
私も樋口氏から直接話を聞いて知ったのだが、日本の原発は、民間のハウスメーカーが販売する耐震住宅よりもはるかに耐震性が低い。たとえば、三井ホーム、住友林業の耐震性は、各々最大約5100ガル(ガルは加速度の単位、大きいほど強い揺れを示す)、約3400ガルに耐える設計になっている。
一方、たとえば、四国電力の伊方原発の耐震基準は650ガル、高浜原発は700ガルと、日本の原発の耐震性は民間住宅の数分の1しかない。北陸電力志賀原発も建設当時は490ガル、その後600ガルに引き上げられ、現在は1000ガルということで安全審査を申請している。なぜ、耐震性が上がっているかというと、さすがに3桁では信用されないということで、いくつかのマイナーな耐震対策を施して耐震性がすごく上がったと説明しているのだ。
日本では2000年から20年までの間に、1000ガル以上の地震が17回、700ガル以上は30回起きていた。つまり、原発の耐震基準を超える地震はごく普通に起きるのである。ちなみに、日本で記録された最大加速度は2008年の岩手・宮城内陸地震の4022ガルである。2番目が2011年の東日本大震災の時の2933ガル。
この事実を知れば、原発の耐震性はこれらよりも強くして欲しいと思う。しかし、日本の原発の耐震基準の大半は1000ガル以下である(詳しくは、樋口氏の著書『私が原発を止めた理由』『南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々』〈いずれも旬報社〉を参照のこと)。
このような事実を知る人が増えれば、そんなに危ない原発が動いていたのかと驚き、今すぐ止めてくれということになるだろう。
今回の能登半島地震の最大加速度は、原発のある石川県志賀町の観測点で、東日本大震災に匹敵する2828ガルだったことがわかった。1000ガル以上も計7地点で確認されている。
だが、たまたま運が良かったのかどうか、あるいは計測に異常があったのかもしれないが、北陸電力の発表を鵜呑みにすると、志賀原発1号機原子炉建屋地下2階で399.3ガルだったということだ(それ以外の観測点でどうだったのかはわからない)。近隣に比べて何故かずいぶん小さな揺れだったということになる。
1000ガルの基準地震動から見れば余裕というところなのだろうが、その割には、かなり深刻な被害が出たのが驚きだ。使用済み燃料プールの水が大量に溢れる、冷却ポンプが一時停止する、複数の変圧器付近で配管の破損による大量の油漏れがあり、その影響で外部電源の一部系統が使用不能になるなどかなりの異常が発生した。これらの結果、放射能が外部に漏れたかどうかが気になるところだが、当初、モニタリングポストでは放射能漏れは観測されていないと発表されて胸を撫で下ろした。だが、なぜか4日になって、原発の北15キロ以上離れたところにあるモニタリングポスト14カ所でデータが確認できていないことが発表された。他のモニターの値が信用できるのか、また、より近くのモニタリングポストで計測不能になっていたらどうなったのかということも不安材料となった。
これらの異常の他に何があったかはまだ明らかにされていない。特に、敷地内で建物や道路に亀裂が入ったり、隆起や陥没があったりしたかなどはすぐにわかりそうなものだが、発表があったのは5日になってから。それも、1号機の原子炉建屋付近や海側エリアなどで最大35センチの段差やコンクリートの沈下などがあったという程度の簡単な情報提供だけだった。道路に段差があれば、消防隊などの活動に支障が生じたりするので実は深刻は事態だが、そのようなことを連想させたくないのだろう。
そして、何よりも気になるのが、北陸電力や政府の情報の出し方である。地震の発生後最初に伝えられた「志賀町で最大震度7」という情報を聞いた私は、真っ先に、これは大変だと思った。志賀町といえば原発だ。それがどうなっているのか、住民はすぐに避難しなくて良いのかということが気になった。しかし、テレビを見ていても、出てくる話は、津波のことばかり。もちろん、それが最も重要な情報であることはわかる。それを繰り返し流すことは必要だ。
しかし、原発の状況についても、万一のことを考えれば、決して後回しで良いという話ではない。ところが、原発の状況について政府が具体的に触れたのは事故から2時間以上経過した後だった。林芳正官房長官が会見で、「現時点で異常なし」と木で鼻を括ったような発言をしたのだ。だが、記者の質問が飛ぶと、突然、変圧器で火災が発生と驚くような話をして、すでに消火と言い添えた。変圧器で火災なら重大事故なのではないかと心配になる。現に、外部電源が一部断たれたわけだから、「異常事態」であるのは疑いようがない(火災については、のちに北陸電力が否定したが、官房長官は訂正せずに放置した。この官房長官発言が原因で、原発で火災という情報が拡散して混乱を生じさせた。ちなみに、北陸電力は、爆発音と焦げ臭いにおいがしたことやスプリンクラーが作動して水浸しになったことは認めたが、それでも火災はなかったと主張している)。
では、原発で火災があったという前提で、「異常なし」と涼しげに語った林氏の意図はどこにあったのか。何か特別の意図があったのではないかとどうしても勘ぐりたくなる。
志賀原発については、元々その敷地内に活断層があるのではないかということがずっと疑われてきた。もし、今回の地震で「異常」があったということになれば、あらためて活断層への疑念が深まる。それがなくても、基準地震動の見直しとそれに基づく対策の実施が求められる可能性も出てくる。コストの問題もありまた再稼働までの時間が延びることも必至なので、それは北陸電力としてはどうしても避けたい。だから、「異常」はなかったと言いたくなる。
むしろ、今回の地震を奇貨として、これほど大きな地震でも「何の問題もなかった」と言えれば、いかに志賀原発が安全かを示していると言えるとさえ計算していたのではないか。そんな疑いをかけたくなる林氏の対応だった。
疑念はこれだけにとどまらない。政府にとって、実はもっと大事なことがある。それは東電柏崎刈羽原発の再稼働だ。
東電は事故後倒産寸前に陥り、福島事故の後始末も自力ではできなかった。このため、政府は巨額の出資で資金を注入し、東電を政府の「子会社」とした。その資金を回収するためには、政府保有の東電株を高く売らなければならない。だが、東電は経営が苦しく株価が低迷している。柏崎刈羽原発が動けば、発電コストが下がり、利益が大幅に増える。その結果株価が上がり、政府も資金回収できるというシナリオを実現するために、何としても原発を動かしたい。
しかし、志賀原発で、耐震性に問題があったとなれば、同じ日本海側の近県に立地する柏崎刈羽にも影響が及ぶ可能性がある。それだけは何としても避けたいというのが東電のみならず、政府の強い願いだ。特に、嶋田隆首相秘書官は、次期東電会長とまで言われた経済産業省の元事務次官でもある。柏崎刈羽再稼働は、官邸にとっても最優先課題となっていた。それに水を差すことなどありえないのだ。
こうした裏の理由により、志賀原発は、何が起きても「異常なし」で通すしかないのである。
能登半島地震で、深刻な原発事故が起きなかったことは不幸中の幸いだった。
しかし、今回の原発での異常事態や周辺地域の壮絶な被害状況を見れば、日本のような地震大国で原発を動かす、いや、保有するだけでもいかに大きなリスクになるのかがはっきりわかる。
3.11から12年経って、事故の記憶が風化し、脱原発どころか、原発新増設にまで踏み込む原発推進策に舵を切ろうとしていた日本にとって、これは天啓ではないのか。これだけのわかりやすい材料を与えられて、なお、金に目が眩んで原発推進の方針を撤回できないことなどありえないと信じたいところだ。
しかし、それは楽観的すぎるのかもしれない。
原発事故の被害を想像する能力を失い、驕りと強欲の塊となった日本が過ちに気づくには、原発事故を待つしかない――それこそが「不都合な真実」ということなのだろうか。
国民は、与えられたこの機会に真剣に考え直して、政府に対して「原発をやめろ」と迫るべきである。
●政治とカネの問題を令和の政治改革へ…岸田首相が推進すべき「アレ」とは 1/9
2024年も「アレは続く」と誓う「A.R.E. GOES ON」を掲げるプロ野球の阪神タイガースが、1985年以来となる日本一を果たした2023年日本シリーズの初戦開始前、ベンチ入り選手の輪の中でベテランの原口文仁選手が 檄 を飛ばした。
「アレのアレへ向けてスタートする。38年前、頂点に立った時、このメンバー、誰一人生まれていない。タイガースの歴史の中で価値ある試合に挑戦できる」
2023年日本シリーズで38年ぶりの日本一を決め、胴上げされる阪神・岡田彰布監督(2023年11月5日)
同じ時間では経験しなかった栄光に挑む若い世代の「声出し」の映像を見ると、30年以上前の政治改革を現職として経験していないとはいえ、自民党を揺るがす「政治とカネ」の問題に若手が大きな声を出さない現状が寂しくなる。
贈収賄での立件が相次いだ1989年のリクルート事件のさなかに、自民党は「政治改革大綱」を制定した。具体化に向けて設けられた政治改革推進本部の長には伊東正義・元外相、代理に後藤田正晴・元官房長官が就いた。長老が「改革の象徴」となって若手を鼓舞したことは、5年後に非自民・非共産の細川護煕政権で政治改革関連4法が成立する布石にもなった。
ボタンの掛け違いもあった。自民党職員として大綱に携わった政治アナリストの伊藤惇夫氏はBS日テレ「深層NEWS」で、「後藤田さんが『政治とカネ』の問題は中選挙区制での自民党候補同士のサービス合戦に起因するから、選挙制度を変えなければと言ってスタートした」と振り返っている。長老の一言で、本来は優先するか並行して進めるべきだった地方分権や政党法の制定が棚上げされ、選挙制度さえ変えれば政治は良くなるとの幻想を生んだ。
改革派を自任した若手、有識者、メディアも幻想に熱狂し、副作用が分かった時は既に熱は冷め、再改革の機運も起きなかった。
自民党派閥のパーティー券問題の焦点である政治資金規正法違反は、実害のない「形式犯」で、贈収賄のような「実質犯」と違う――。かつてはそんな理屈で、規正法違反での立件に「厳し過ぎる」という恨み節も出た。依然、その感覚は自民党に残っている。
「平成の政治改革」を経験した石破茂・元自民党幹事長が「大綱を読み直せ」と訴えるように、大綱には今の問題にも有効な理念や改革メニューが並ぶ。裏を返せば、制定から30年以上、多くの中身が先送りか骨抜きにされてきた。
90年代前半に若手から改革派が次々と出たのは、衆院選が中選挙区制で、党執行部に逆らって公認されなくても当選できたことが大きい。勝者1人の小選挙区は、そうはいかない。「伊東・後藤田」の役割を担う長老も見当たらない。
大綱の制定時には衆院初当選の前で、「平成の政治改革」でも目立たなかった岸田文雄首相が、今のピンチを、ずっと放置されてきた課題解決のチャンスと考えて「令和の政治改革」を進めれば、潮目は変わるかもしれない。「平成の政治改革」の推進者だった新任の渡海紀三朗政調会長の使い方も、カギになる。 ・・・
●国民民主、政権との距離に苦慮 協調路線、裏金事件で目算狂う 1/9
国民民主党が岸田政権との距離に苦慮している。玉木雄一郎代表が「対決より解決」を掲げ、政策実現のため協調してきたが、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、厳しく対峙(たいじ)せざるを得なくなったためだ。対決姿勢を鮮明にすれば、他の野党との違いは分かりにくくなり、埋没するジレンマも抱える。
「極めて深刻だ。国民民主は政策本位と言ってきたが、その前提は政治に対する信頼が確保されていることだ」。玉木氏は7日のNHK番組で、自民党の「政治とカネ」の問題を厳しく批判した。
昨年11月、国民民主はガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除に向けた自民、公明両党との3党協議を再開するため、2023年度補正予算に賛成した。だが、派閥の裏金疑惑で状況が一変。自民に強い逆風が吹く中、立憲民主党が提出した内閣不信任決議案に国民民主も賛同すると、公明は「前提が崩れた」(山口那津男代表)と反発し、いまだ3党の実務者協議は再開していない。
そもそも協調路線は小所帯の国民民主の存在感をアピールするための「奇策」(玉木氏)という側面が大きい。自民内では国民の連立政権入り構想も浮上していたが、立ち消えになった。玉木氏も7日の番組で「連立は選挙協力など乗り越えなければならないハードルがあるので、なかなか難しい」と語った。
玉木氏は今後も「是は是、非は非」として「政治とカネ」の追及とは別に政策協議を進める「二刀流」を目指す。ただ、国民民主内にも「与党側が本気で協議を進める気があるのか」と疑問の声が漏れる。立民、国民両党を支援する連合は、両党の連携強化を再三、促している。
国民幹部は「野党として裏金問題を批判しないわけにはいかないが、政策は与党と話さなければ実現しない。難しい」と頭を抱えた。
●イーロン・マスクとゴジラ、そして創価学会に学ぶこれから日本が目指すべき道 1/9
実績上げても岸田政権の支持率が上がらない理由
岸田政権の支持率が上がりません。昨年後半からジワジワと支持率を下げ続け、既に各種調査では、いわゆる青木の法則と呼ばれる危険水準(内閣支持率と自民党支持率の合計が50を割る水準)に達してしまっているものも出てきていますが、なかなか上がる要素が見当たらないのが現状です。
そんな中、追い打ちをかけるように、年始に能登半島を大震災が襲い、死者が3桁に達し、まだ増える様相です。羽田空港でも、関連して痛ましい事故が起こりました。海保機の方で尊い5名の命が奪われてしまいましたが、日航機の方は幸いにして死者は出ずに済みました。
特に震災の方は、初動の遅れということも批判されはじめており、政府批判も高まりつつあります。列島中が休んでいた元日の悲劇ということもあり(羽田空港の事故は1月2日)、やむを得ない面はありますが、一つの目安とされる72時間を過ぎて救出される人も出ていることから、もう少し早くがれきの下の方々の救助が何とかならなかったのか、とか、これからの避難生活の支援がもう少し手厚くできないのか、など、政権批判も強くなる傾向にあります。
震災対応はともかく、政権発足からの日本の数々の危機に際しては、政権に近い人からは、「意外とちゃんとやっていて、諸課題に向き合い、ひとつひとつ誠心誠意、対処している」という肯定的な評価が聞こえてきます。実際、安全保障関係の対応(安保三文書改訂や防衛費増)やCOP28への対応(措置がなされていない石炭火力発電所の新設はしないと表明)、少子化対策(「こども未来戦略方針」を策定。年間で新たに3.8兆円の予算を投じるということで、予算的には「異次元」とも言える)、要望が強かったライドシェア解禁も、今年4月から一部実施することも決めました。
他にもあります。物価や賃金の上昇をふまえたマクロ経済スライドの発動を決め年金の支給額を若干ながら引き上げました。また原発の再稼働を政治決断で決めたことにより、上昇していた電気料金にいくらかブレーキをかけることもできています。これらは岸田政権の“成果”と評価してしかるべきものです。
このように岸田総理は地道にいろいろやっているのですが、支持率が上がらないという状況です。
なぜ支持率上がらないのか。その理由を私なりに分析してみました。ポイントになるのは、中長期的に見た時の期待感ではないでしょうか。
岸田総理は小テストが得意な優等生タイプ
岸田政権は、何か課題が降ってきた時には「わかりました。対応します」と即応する能力は高いと言えます。目の前の問題についての、短期決戦的な対応は得意なのです。
例えるならば岸田総理は、授業の理解度を測るための毎週行われる小テストを得意とする優等生タイプです。
しかしその一方で、「実力が問われる全国模試や入試本番には不安が残る」というタイプでもあります。そこに、国民は、将来に「そこはかとない不安」を抱いているのです。端的に言えば、岸田総理は中長期的な課題への対応が弱いのです。
たとえば物価が上昇しているのに、利上げもできないので預金金利に期待することはできません。低金利ですから円安が極度に進み、国際的に見た購買力はガタ落ちです。国民は将来の生活に不安を覚えています。
日本のGDPは、円安の影響もありますが、人口が我が国の3分の2程度のドイツに抜かれて世界4位に転落する見込みです。国際的にも、アジアの中でも、日本の存在感はどんどん小さくなっています。
また、少子化や人口減少を改善すべく子ども未来戦略方針を打ち出し、先述のとおり予算はかなり増やしましたが、問題解決の切り札になりそうなインパクトは感じません。そのほかにも、労働力不足、エネルギーや食料の自給率など、中長期的な課題に対する効果的な手が打てているとは言えません。そこに国民は潜在的な不満を持っているから、支持率に結びつかないのだと思うのです。
岸田さんには酷な言い方になりますが、どんなに真面目に、サラリーマン的に目の前の課題に取り組んで小テストの点数を積み上げても、一発勝負の全国模試や入試本番で勝ち抜けるほどの実力はつかない。簡単な確認テストではなく、難問を解く力を付けるには、相当のパワーを使って爆発的に頑張らないといけないのです。中長期的な日本を取り巻く難題を解くには、かなりのエネルギーを使って思い切った勝負をしなければいけないということです。
聖人君子ではないイーロン・マスク
そういう中で私が昨年後半、個人的に印象に残った“作品”が2つありました。
ひとつは、イーロン・マスクの評伝『イーロン・マスク』(文藝春秋)です。
この本で活写されているのは、品行方正なベンチャー起業家ではなく、無茶で乱暴なチャレンジャーの姿です。マスクは、まるで何かに取りつかれたようにチャレンジを繰り返しているのです。
なにしろバイタリティがスゴイ。20代の後半でフィンテックのベンチャーを立ち上げるだけでも驚嘆するのに、その会社を売却した資金を元手にEVメーカーのテスラを立ち上げたり、宇宙開発企業スペースXを立ち上げたりしています。ツイッター(現在はX)の買収でも世界中をあっと言わせました。
これだけ大きなことを次から次へと成し遂げていくマスクの仕事ぶりは、「働き方改革」を叫ぶような世界とは正反対です。仕事ぶりはまさに「モーレツ」と呼ぶにふさわしいものです。さらに言えば、会社のマネジメントも決して上手じゃありません。内部はかなりガタガタしているのです。それでも大仕事をやり切ってしまうのがイーロン・マスクという人物なのです。そのスケールといい、仕事への集中力といい、今の日本ではそうそうお目にかかれないタイプと言えます。
もうひとつの心に残った“作品”は映画『ゴジラ−1.0』です。もちろんゴジラ自体は架空の存在ですが、舞台となっている戦後の日本をリアリティ豊かに描いています。単に戦後まもない時代の日本の風景を再現しているだけでなく、戦後の精神、メンタリティーをもよく描いています。つまり、アメリカに負けて悔しい思いを抱えながらも、戦争で亡くなった人の分まで生き残った自分たちが頑張らなきゃいけないんだという使命感を持って生きる人々の逞しさです。映画を観て、まずそこに感じ入ってしまいました。
この両作品を通じて、個々の人間が秘めているパワーの偉大さを強く感じました。だれしも不安や危機意識を持っているものですが、結局それを乗り越えるのに必要なのは、それぞれの人間の頑張りだということです。そして、人にはそれだけのパワーがあるのです。
ところがいつしか私たちは、「ワーカホリックみたいに働くのは間違っている。無理をしない。ワーク・ライフ・バランスが何より大事だ」という考え方に過度に浸りすぎてしまい、何かにひたむきに打ち込むとか、自力で困難を乗り切るといった姿勢まで失ってしまったのではないでしょうか。
もっと言えば、「寄らば大樹」的に、ついつい国や自治体に頼ろうとする思考が強くなってしまったように感じます。しかし、国や自治体が「面倒を見てあげますよ、安心してください」と言っても、今は全く安心できる状況ではありません。国や自治体に余裕がないからです。
そういう意味では私は、日本の政治は限界に来てしまっているのではないかと考えています。政治家が「政策でこの困難を解決していきますので、国に任せてください、安心してください」と言えば言うほど、それが国民には虚しく響いてしまう。国民自身も、自力で困難を乗り越えようという気持ちが薄く、政治に対する不満ばかりが高まっていく。日本は、こんな「政治無理ゲー時代」に入っているのではないでしょうか。
なぜ創価学会は強いのか
昨年11月、創価学会の名誉会長である池田大作さんが亡くなりました。私は特に創価学会員でもありませんし、公明党の政策に共感しているわけでもないのですが、創価学会と公明党の組織的な強さには学ばなくてはならない点があると思っています。よく知られているように公明党は創価学会を支持母体として作られた政党です。
創価学会は日蓮大聖人の教えを信仰する法華経系の仏教団体ですが、宗教団体という側面のほかに、特に高度成長期に地方から都市へ出てきた労働者たちの不安に寄り添い、互いに助け合おうという互助会的な社会運動としての顔も持っていました。まずはそうした活動があり、それが人々の心を惹きつけた。そういう活動を続ける中でぶつかった課題を乗り越えるために、法改正や行政への働きかけが必要だと思い至った創価学会が政党を持った。社会変革運動がベースにあっての政党なので、だから創価学会員は公明党を熱心に応援する。それが公明党が選挙に非常に強くなった理由だと思うのです。
目指す方向は全く違いますが、日本共産党も設立の経緯はそういう流れだったと言えます。共産主義革命を理想とする人々がいて、それを実現するための政党としての日本共産党ができたわけです。だから共産党の支持者は今も熱心に応援しています。ただ「共産主義革命が必要だ」と考える人が日本では減少してきたので、それがそのまま現在の日本共産党の党勢に現れていると言えます。
公明党の退潮も、池田大作氏の不在も相まって顕著になってきていますが、社会運動としてのエネルギーの衰退が大きな要因と言えます。ただ、公明党も共産党も、主義主張は全く異なりますが、社会運動がベースにあり、そうしたプラットフォームの上のあくまでアプリケーションとして政党が乗っかっているという点では共通のものを感じます。であるが故に、長続きし、一定の強固な基盤があると言えます。
それに対して、最近の政党はどうでしょうか。
バブルが崩壊し日本が苦境に陥ってから、およそ10年おきくらいで「新党ブーム」を伴うような政治の激変が起こってきました。細川護熙さんを党首とする日本新党のブーム、新党ではありませんが、小泉純一郎さんの「自民党をぶっ壊す」ブーム(清和会の伸長)、さらに鳩山由紀夫さんらの民主党ブームです。そのほかにも、みんなの党や日本維新の会など、数多くの政党が誕生し、たびたび政治のうねりを作ってきました。
しかし、こうした「新党」を中心とするブームに、国民はもう飽き飽きしているのだと思います。新党の人たちは「政治で現代社会の課題を何とかします、そのために政権をとります、投票をよろしくお願いします」と選挙の時に頭を下げますが、有権者の方は「多くの議席を獲得したり、さらには政権交代を実現させたりしても結局あまり変わらなかったじゃないか」「これからも変わらんよ」と思っているのです。
既存の政党が「われわれに任せてください」と言っても、国民には全く響かない。新党が出てきても、国民は過去の数々の「尻すぼみの歴史」を見てきているだけに、期待することもできない。今はそういう時代になってしまっているのです。
そうであれば、創価学会と公明党の歴史で見たように、政治運動以前の社会運動が大事なのではないかと思うのです。
「政治家にさせてください」が先ではない
歴史に残るような偉大な宗教家は、地方に赴き、現地の人たちの声を聞き、教えを説き、そして信奉者を増やしていきました。それがだんだんと大きな組織になっていったわけです。
それに対して現代の政治家は、地域の支持者や社会運動の団体から押し上げられるというよりも、まずは「自分が政治家になりたい」という人ばかりです。選挙の時には「国会に送り出してもらえれば政権交代を実現します」「この政策を実現するためには国会での議席が必要です。なんとか投票をお願いします」と言い、当選したら当選したで、「政治にはカネがかかります。個人献金をお願いします」「パーティー券を買ってください」と言う。地域の集団や社会運動の団体から推された人とはそこが決定的に違うのです。
宗教を核にした社会運動を起こせと言っているわけではありません。共産主義革命を起こせと言っているのでも、もちろんありません。新たな社会運動をベースに、政党を作って政権交代を考えて行く、といったアプローチが求められているということです。
地域発の革命
その場合の社会運動の候補ですが、私は地域発の革命というのが一つの切り口になると思います。
各地で、国や自治体任せにするのではなく、地域ごとに経済的に自立しようとひたむきに頑張っている人たちの集団を形成するのです。高度集権国家から、分散型の国家に転換していく。地域で一番足りていないのは「食い扶持」なので、各地ごとに起業や第二創業、食い扶持づくりを促進し、いわば経済的な「独立国」の集合体に日本をしていく。
そうした取り組みのうねり自体が一種の社会運動ですし、さらにそこで政治の力が必要ということで、その社会運動を基礎にして政党を作っていけばいい。そうすることでしか、政治の再生はできないのだと思います。
そして地域の自立の核になるのは、やはり企業だと思います。私のこの考え方は、サン=シモン主義に近いものです。サン=シモン主義とは、フランスの社会主義思想家サン=シモンが提唱した考え方で、その要旨をざっくり要約すれば「産業資本家が困っている人を助けるべきだ、社会を救っていくのが産業資本家の責務だ」というものです。それをマルクスやエンゲルスは「空想的社会主義」と呼んで批判しましたが、私に言わせれば、マルクスやエンゲルスのような、国家が統制する計画経済で社会を豊かにしていく、という考えのほうがむしろ空想的です。
ともかく、地域ごとにベンチャー企業を育成したり、あるいは都心から企業の本社を誘致したりして、企業を核として地域ごとに経済的に自立できる社会を作り、その地域で発生した課題の解決のために必要ならば、そこで政党を立ち上げていく――といった方向に舵を切らないと、日本は緩やかな衰退への坂道を転がっていくしかないように思います。これこそが私が提唱する「シン日本列島改造計画」です。(〈「勢いを失ったいまの日本に必要な「シン・日本列島改造」〉2023.1.20)
個人個人ももっと仕事や地域の活動に真摯に取り組み、そして地域ごとに経済的に自立する。そういう社会を作らなければならない。その社会運動をベースに、新しい政党が生まれる。そんな時代の転換点に私たちは立っているのだと思うのです。2024年のスタートにあたって、そんなことを感じました。
●「イスラエルの戦争」を煽るばかりで本当にいいのか…「アメリカの論理」問題点 1/9
ロシア・ウクライナ戦争に続き、イスラエル・ハマス戦争の被害が深刻化している。評論家の八幡和郎さんは「岸田政権は、ロシアやハマスを一方的に『悪』とするアメリカに無批判に追従している。しかしアメリカの『正義の戦争』がこれまでに多くの悲劇を生んできたことを忘れてはいけない」という――。
米民主党政権に追従する岸田首相
岸田政権は、首脳会談やサミットなどでのふるまいは安定しているものの、ウクライナやパレスチナ問題で、米国の硬直的な外交姿勢に追従しているのはよろしくない。増税や政治とカネといった内政問題に注目が集まり、岸田外交には建設的な批判がなされていないように思う。
2024年は米国大統領選挙の年だ。トランプ大統領の時代には大規模な戦争は起きず、安倍外交は世界秩序の守護神的な評価を獲得し、日本の国益もよく守られていた。
ところが、2020年に新型コロナ禍が世界を席巻し、2021年にアフガニスタンから米軍などが撤退、2022年にロシアによるウクライナ侵攻、2023年にはパレスチナ自治区ガザ地区で紛争が勃発し、バイデン政権はその場しのぎの外交で悲劇を拡大させている。
それを止められない岸田政権にも落胆するが、所属派閥の宏池会は米国民主党にもともと近いから予想の範囲ともいえる。
アメリカの論理は決して万能ではない
しかし、安倍元首相の主体的な外交手腕を支持してきた保守派に、「岸田政権はアメリカ支持が足らない」と批判している人が多いのは不可解だ。彼らは、WGIP(War Guilt Information Program=日本人に戦争贖罪意識を植え込む戦略)から日本人は脱却すべきと言ってきたのにおかしな話だ。
いまこそ、米国の論理が万能でないことを警告するとともに、先の戦争について、米国の硬直的な姿勢にも問題があったことを想起させ、一方的に批判されてきた日本が一定の名誉回復をするチャンスであるにもかかわらず、だ。
中道リベラルの人々が無批判なのもおかしい。欧米以外の多く国は、ロシアに対する強硬策一辺倒に疑問をもっているし、日本にとって隣国ロシアとの関係が悪化することは平和への危機に直結する。また、イスラエルの暴虐に対して積極的な抗議をしているのは、米国のことなら何でも気に入らない過激な左派ばかりだ。
今回は、米国外交のどこが間違っているのか、日本はどう対処すべきかを論じたいと思う。
イスラエル首相はハマスと戦前の日本を同一視
世界は2年近く続くロシア・ウクライナ戦争にうんざりしているし、民間人を巻き添えにガザへの軍事侵攻を続けるイスラエルに批判的だ。一方、米国は「先に攻撃したロシアやハマスは殲滅されても仕方ない」という立場を崩さない。
これは、満州事変や真珠湾攻撃がけしからんとして、日本に無理難題を要求して戦争終結を遅らせたうえ、広島と長崎に原爆を落とし、ソ連の参戦を促し、占領下で憲法まで変えさせたのと重なる。
イスラエルのネタニヤフ首相も「米国が第2次世界大戦の真珠湾攻撃の後で停戦に応じなかったのと同様に、ハマスの奇襲攻撃を受けたイスラエルが戦闘停止に応じることはない」「ハマスに乗っ取られたパレスチナのより良い生活を望むなら、ハマスを破壊せよ。第2次世界大戦中の日本やドイツのように、有害な政権を排除しなければならない」と発言している。
安倍元首相は再登板時に、「戦後レジームの見直し」を唱えていたため、欧米は第2次世界大戦戦勝国がよってたつ歴史観に敵対する「歴史修正主義」ではないかと危惧した。しかし安倍元首相は、日清・日露戦争まで否定されたくない、日本が一方的に悪かったのではない、アメリカも原爆や戦後処理など行きすぎもあったと考える一方、歴史修正主義という批判を避けたいという意識を健全に持っていた。
また、インドを価値観同盟の仲間に入れることを提案し、プーチン大統領と信頼関係を築いただけでなく、イラン訪問や米国抜きのTPP発足、EUとの経済連携協定(EPA)などを実現した。
ロシアやハマスは全面的に「悪」なのか
安倍元首相であれば現在の状況でもう少し柔軟な外交を展開しただろうが、岸田外交は、アメリカに対して独自性を示さず、気前のいいATM的存在になってしまっている。
しかし、「ロシアやハマスは悪」として、ウクライナとイスラエルを支持する米国の論理を鵜呑みにしていいのだろうか。
〈「パレスチナとイスラエル、結局どっちが悪いの?」日本人が答えを出しにくい“世界の難問”を考える〉で整理したように、パレスチナの望ましい未来は、イスラエルがパレスチナの人々の権利を侵害したことを認め、その被害を償う意思を明確にしたうえで、パレスチナ人に有利な形で二国家共存体制を構築することしかない。
欧米人は長くユダヤ人を迫害し、ナチスによるホロコーストを防げなかった贖罪感から、パレスチナの人々の正当な権利を軽視しすぎだ。2000年前にユダヤ人の国があったからといって、勝手に建国することが正当なはずがない。
イスラエルの黒歴史が許されることはない
ユダヤ人による入植は平和裡でなかったし、イスラエル建国はテロの結果でもある。一方、国連決議でイスラエル国家の存在は認められたし、オスロ合意でパレスチナも二国家共存を容認したのだから、イスラエルの自衛権は否定できない。
ただ、現状が肯定されても、過去の黒歴史が許されるわけでない。欧州系の人々が、北米やオーストラリアにいることや、彼らの国家が存立することは合法だが、そのことが、先住民に対する暴虐の過去を許すものではないのと同じだ。
ハマスのテロは、容認されないが、反撃は被害に見合った規模と国際法で許された手段に限られるべきだ。イスラエルがそれ以上の軍事作戦を展開しているようであれば、国際社会は毅然として批判しなくてはいけない。
欧米はロシアの未来像を持ち合わせてない
ロシアのウクライナ侵攻は国際法違反だが、2004年のオレンジ革命では選挙で選ばれた親露政権転覆を米国が支援したし、ウクライナにNATOやEU加盟の夢をちらつかせて混乱を煽ったのも戦争の原因だ。法的にはロシアが悪いが、真珠湾攻撃したから日本がすべて悪かったという日本人にとって不愉快な歴史観と同じ理屈だ。
欧米がロシア周辺地域でいかなる国際秩序を目指しているのか理解しがたい。この地域で、地元勢力と西欧勢力が結んでロシアと対立する十字軍的試みは、800年も繰り返されてきた。ロシアはNATOやEUから排除するが、ほぼ同じ民族のウクライナは入れるというのは理不尽だし、核保有国のロシアを解体することは世界の安定を危機にさらす。
アメリカが支援するイスラエルやウクライナが、民主主義を体現しているかも疑わしい。イスラエルはアラブ系住民を差別し、ウクライナはロシア語話者を不利に扱ってきた。ネタニヤフ政権は司法の独立を否定しようとして厳しい反発を受けており、ウクライナは世界で最も汚職が横行し、腐敗している国の一つだ。
パレスチナの2006年総選挙で勝利したのはイスラム原理主義組織ハマスだったのに、欧米やイスラエルがファタハ(パレスチナ解放機構の主流派政党)を支持して政権に居座らせている。
日露関係が悪化する大きすぎるリスク
プーチンは、一応まともな選挙で選ばれ国民に支持されているし、ソ連解体のときには、ウクライナのほうが一人あたりのGDPが多かったのに、現在ではロシアの3分の1と逆転した。5200万人いたウクライナの人口は約30年間で4100万人に減り、今回の戦争で数百万人が逃げ出した。もしEUに加盟したとしたら半分も残るか疑わしい。
ソ連とロシアを同一視して、第2次世界大戦で不可侵条約を侵犯したとか、北方領土を不法占拠したというが、スターリンはジョージア人、北方領土問題の主役だったフルシチョフはウクライナ共産党のトップ出身、ブレジネフはウクライナ生まれでドニエプル川流域の軍事産業を基盤としていた。シベリア抑留はウクライナでも行われたし、北方領土の多数派住民はウクライナ系だ。
ウクライナは、中国に空母を売り、北朝鮮にミサイル技術を輸出した疑惑が報道されるなど(在日大使館は疑惑を否定)、日本に友好的とはいえなかったし、2023年のG7広島サミットではゼレンスキー大統領が原爆の悲劇をウクライナの現状と同等だと矮小化した。
一方、日本にとってロシアは隣国だ。経済協力の可能性、北方領土交渉、漁業、アイヌ、対北朝鮮・韓国・中国でロシアが相手方についたときの面倒を考えると、ロシアとの関係悪化がもたらすマイナスは計り知れない。
軍事侵攻を機に、大飢饉が「大虐殺」に
ウクライナやイスラエルの主張には、日本が困るものも多い。近代国家は同系統の民族を統一していくことで発展してきた。ウクライナは、ロシア革命前に独立国であったことがない。ロシアとの縁切りが唯一の正義なら、独立国だった沖縄はどうなるのか。無条件に欧米の論理に与することは、中国の沖縄への干渉を正当化しかねない。
ウクライナ開戦後に歴史認識が変更されたことも問題だ。1930年代にソ連の一員だったウクライナでは「ホロドモール」という大飢饉が起き、数百万人が餓死した。その原因は農業政策の混乱だった。
このホロドモールについて、ロシア南部やカザフスタンでも同様に犠牲者が出ていることなどから、これまでは欧米でもウクライナ人へのジェノサイド(大量虐殺)とするのは適当でないと考えられてきたにもかかわらず、ロシアの軍事侵攻を機に、欧米の一部でジェノサイドと認定されるようになった。これは、戦前の日本が悪意でやったわけでないことまで批判された経緯とよく似ていている。
アメリカの行為を日本が肯定する必要はない
たしかに日本軍が真珠湾攻撃を行ったことは事実であるから、それについて妙な弁解をしないほうがいいだろう。ルーズベルト米大統領が攻撃を事前に知っていたとしても理由にならない。日中戦争についても同様だ。中国側にも批判されるべきことは多いが、相対的には日本が悪い。
しかし、原爆を落とし、東京大空襲のような無差別攻撃をし、ソ連に不可侵条約を反故にさせただけでなく、戦後は根本的な体制変革を強制し、自分たちの国際法違反は棚に上げて東京裁判を押しつける米国の行為を、日本人が積極的に肯定する必要はない。
米国は、相手が降伏しない限り、自分たちの何十倍もの死者が相手方に出ても平気で戦争を続ける。太平洋戦争における日本の軍人・軍属民の死者は約230万人で米国は10万人、イラク戦争でも米軍死者の100倍の犠牲を出した。イスラエルもテロで死んだ自国民の何十倍ものパレスチナ人を殺している。
アメリカの「正義」の戦争で混乱が広まった
「正義」を掲げた戦争によって、かえって混乱が広まっても結果論で片付ける。日本との和平条件をつり上げたことの結果が、南北朝鮮の分断であり、中国の共産化だったが、米国は自分の責任だと認めない。平和は維持が容易なバランスの取れた勢力均衡のもとでこそ可能なのだ。
ウクライナに対する支援が、中国や北朝鮮の野望を挫くという人もいる。しかし、台湾や韓国の人は、アメリカや日本におだてられて、同じ民族で戦う羽目になることを恐れている。
この1月13日には台湾総統選挙と総選挙が、4月10日には韓国の総選挙が行われる。台湾総統選挙は野党分裂にもかかわらず、対中強硬路線を続けようとする与党・民進党と中国との緊張緩和を掲げる野党・国民党が接戦を繰り広げており、議会選挙は台湾も韓国もどちらも野党優勢となっている。
日本の保守強硬派のアジア認識は、偏っていて危うい。台湾の政治家も企業も、安全のために中国にパイプを持っていることは常識だと思うが、知らない人が多いのだろうか。
無条件な追従も敵対も馬鹿げている
逆に韓国は、尹錫悦大統領が対日改善に取り組んでいるのに、日本の保守派は応援しない。それどころか、松川るい参院議員のように対韓関係改善に熱心な議員は保守派から批判されて、「エッフェル塔写真」を発端にしたフランス研修問題が彼らに針小棒大に攻撃されて炎上した。
対中国でも、やみくもに敵対しては互いに損をするだけだ。バブル崩壊後の日本経済を、輸出、安い消費財などの輸入による生活防衛、観光客によるインバウンド需要などで支えてきたのは中国との関係だ。
外交は押したり引いたりしながら進めるもので、無条件の追従も敵対も馬鹿げている。日米同盟が外交の主軸であるから、基本的には欧米との共同歩調はやむを得ないが、ウクライナやパレスチナについては積極的に平和のために仲介の労もとるべきだろう。
イラク戦争で米国一辺倒だった小泉外交
しかし、日本にとってメリットがない話には、一番後ろでついて行けば十分だ。イラク戦争でブッシュ大統領(当時)の暴走を後押しした小泉首相の判断は、とりあえず日米関係を好転させてその場しのぎにはなったが、世界での評判を落としたし、愚行に協力してくれたからといって米国民に感謝されるはずもない。
同じ立場だった英国のブレア首相(当時)はそのために歴史的評価を落としたが、日本人が小泉氏を糾弾しないのはおかしいことだ。
岸田首相は、安倍氏がそうであったように、米国大統領から助言を求められ、影響力を与えられてこそ「外交の岸田」たりうる。
また、与野党の政治家もマスコミも、20年後に次の世代の人々に胸を張って説明できる発言をしてほしいと思う。
●正念場の岸田政権 震災対応と政治改革に力尽くせ 1/9
岸田文雄政権が正念場を迎えている。政治への信頼回復とデフレ脱却に加え、能登半島地震への対応といった先送りできない試練が続く。難航する安否確認や生活支援の現状は政権の危機管理能力が問われかねない。政治資金問題をめぐっては安倍派議員が逮捕され、政治改革への難路が想定される。賃上げの成果で支持率が浮揚するかは予断を許さない。まずは目の前の震災対応に「一意専心」(岸田首相)で取り組んでほしい。
元日に発生した能登半島地震の被災地は、現在も安否を確認できない住民が多数おり、断水や停電、道路の寸断などが被災者を苦しめる。岸田政権は、被災者の要請を待たずに行うプッシュ型支援をさらに加速してもらいたい。9日にも2023年度予算から47億円の予備費拠出を閣議決定する予定だ。飲食や燃料の支給など、差し迫った課題への対応を急いでほしい。
政府は能登半島地震を激甚災害に指定し、災害復旧に向けた国の費用負担を増やす方針だ。被災者の生活を支える支援パッケージもまとめる。岸田首相は24年度予算の予備費増額も財務相に指示した。捜査救助活動を第一に、長期化が想定される復旧への歩みを確実に進めたい。
被災地で厳しい生活が続く中、自民党の現職の安倍派議員が7日、政治資金規正法違反の疑いで逮捕された。組織ぐるみの可能性がある同党の「裏金」疑惑の全容を解明し、政治改革を進めなければ、政権の行方さえ危うい局面を迎えた。党内に新設する政治刷新本部(仮称)に有識者も参加し、再発防止と派閥のあり方を議論する。月内にまとめる中間案は実効性を担保できる内容なのか注視したい。
4月には衆院の細田博之前議長の死去に伴う補欠選挙が行われる。東京地検特捜部の捜査次第では議員辞職による選挙区の増加も想定され、自民党の派閥政治が厳しく問われる。秋の自民党総裁選も混沌としてくる。デフレ脱却で支持率回復を狙う岸田政権だが、震災で始まった24年は政権にとって試練の年となる。震災対応も政治改革も着実に歩みを進めてほしい。
●20代支持率が「50%→10%」に急落…岸田政権によって「若者の自民党離れ」 1/9
若者層の支持政党に変化が生じている。ライターの平河エリさんは「若者の自民党支持率が急落している。岸田政権は安倍、菅時代の貯金を食いつぶしたようだ」という――。
「ジリ貧」の岸田政権と自民党の支持率
岸田政権が、低支持率にあえいでいる。
毎日新聞の世論調査(12月16〜17日)では16%、時事通信(12月8〜11日)では17.1%と、複数の世論調査で10%台の支持率となり、多くの政治関係者に衝撃を与えた。
同じくして、自民党の支持率も低下している。朝日新聞世論調査(12月16〜17日)では支持率23%と、自民党の政権復帰後最低の支持率を更新するなど、少なくとも2012年からの自民党政権では最も定位の水準にあることは間違いないだろう。
原因は一つではない。岸田内閣自体の支持率はジリ貧で、2022年末から低下傾向にあった。春先から夏にかけて、ウクライナ訪問などの外交成果により一定持ち直したものの、そこから再び内政に目が向いたことで再び低下トレンドに入っていた。それに加えて、今般の自民党における派閥の不祥事により、ついに自民党にまで火がついた格好だ。
「岸田おろし」で総選挙に突入か
自民党は内閣支持率が落ち込むと「○○おろし」という形で看板の架替えを行い、「ご祝儀相場」が残っている間に解散総選挙を打ってしのぐ、という戦略を取る。
典型的なのは、まさに岸田内閣だろう。支持率低下にあえぎ、衆参の補選や横浜市長選で破れた菅義偉前首相は総裁選に出馬することを阻まれ、退陣を表明。就任と同時に岸田文雄新首相は解散を宣言し、議席こそ減らしたものの、絶対安定多数を確保するなど事実上勝利した。
このような状況を踏まえると、岸田首相で総選挙に突入する可能性は低いと見るのが永田町のコンセンサスだ。しかし、今回に関しては、前回の菅義偉内閣とは異なり、自民党自体の支持率が大きく低下するトレンドに入っている。つまり、自民党自体の比例得票数などにも影響する可能性は否めない。
また、仮に総裁選を行うとしても、安倍派・二階派が動けない以上、岸田派・麻生派・茂木派など、岸田政権を支えた派閥が主導して総裁選びが進むことになる。新総理の人選によっては、刷新感は薄れることになるだろう。
安倍、菅時代の貯金を使い切った岸田政権
岸田政権の支持率低下の特徴は何か。一つは、若年層の支持を急速に失っていることだ。
安倍政権時、メディアでは盛んに「若者の保守化」が唱えられていた。選挙の出口調査でも、10代20代の支持率は底堅いことが示されていた。
初期の岸田政権も、例外ではなかった。2021年の解散時には「なぜ若者は自民党に投票するのか?」という記事が掲載されている。
これによれば、自民党に投票する割合が最も高かったのは10代であり、続いて20代と、若年層による自民党の指示が底堅かったことが顕著だ。NHKの出口調査によれば、最盛期の2017年には20代投票者の50%が、比例で自由民主党に票を投じていた。
岸田政権の支持率が低下し始めて以降の世論調査では、全く異なる結果が出ている。例えば、時事通信が10月に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は26.3%であるが、そのうち29歳以下の有権者は10.3%と、極めて低い数値となっている。60歳代、70歳以上は30%を超えているのと対象的である。
安倍政権・菅政権においては、支持率が上下するものの、概ね若年層からの支持が底堅かった。岸田政権は、その貯金を失い、若年層の支持を失った結果、支持率の底が抜けていったと言える。
これらのことを考えると、「若者の保守化」というよりも、単に安倍晋三元総理が個人としての人気が高かったことと、野党第1党である民主・民進・立憲の忌避感が高かっただけであり、根本的な「岩盤支持層」は高齢層であったことがわかる。
与野党の第1党はどちらも、世論調査では高齢層の支持を中心としていると言えるだろう。
自民党の次に人気な国民民主党
では、新興政党はどうか。「若年層人気」という観点で、興味深い世論調査がある。
12月のNHK世論調査では、世代別の支持率がグラフとして公表されたが、国民民主党が39歳以下の支持率で自民党についで2番目の支持率となったことが話題になった。
国民民主党は党首である玉木代表が積極的にYouTubeなどでの発信を行っており、ネットを通じた知名度の向上に一役買っていると言えるだろう。
世論調査と実際の得票の「差」
年代や普段接しているメディアによって、政党支持は大きく変わる。
JX通信/選挙ドットコムの調査では、ネット調査と電話調査それぞれの数字を発表している。2023年12月の電話調査では、自民党の支持率は23.9%だが、ネット調査では9.3%だった。立憲民主党の支持率も、電話調査では11.6%だが、ネット調査では2.2%と、大きな乖離がある。
ネット調査は主に50代以下の層が多く、電話調査は高齢者層が主だ。精度の面では、自ら回答するネット調査にはややバイアスがかかる可能性があるが、ネット世代の意識を理解する上では重要である。
近年、国政選挙などでは、立憲民主党の獲得議席数が情勢予測より下回る傾向が続いており、他方で国民民主党は情勢予測では厳しい結果が出るものの、それを上回る結果を出すことが多い。
電話調査などを中心にした情勢報道で拾いきれる民意と、実際の得票の間の乖離が、拡大していると見るべきなのではないだろうか。
働き盛りを押さえる維新、捉えられない立憲
とはいえ、「若年層」の中にも大きな差がある。NHK調査では「39歳以下」となっている(39歳は「若年」ではないだろう)が、10代、20代、30代のそれぞれで支持傾向は異なるし、当然ながら1年経てば年代層も入れ替わっていくため、傾向は流動的に変わるからだ。
比較のために、2022年7月の共同通信の調査を見てみよう。
立憲民主党は50代以下の層からの支持が薄いが、特に低いのは30代と40代で、「働き盛り」の層からの支持が低いことがわかる。逆に10代からの支持は比較的高い。
2021年の朝日新聞による衆院選の出口調査でも、10代の17%が投票したと答えたのに対して、30代は14%と低い傾向だ。
日本維新の会は30代から50代までの働き盛り・壮年層の支持が厚いことがわかるが、10代、20代の支持は比較すると低い傾向にある。朝日の出口調査でも、40代が17%に対して10代が8%となっている。
国民民主党は、年代が下がるほど支持が高まる傾向にあり、特に10代と20代の支持が厚い。
テレビを中心として、(特に関西圏における吉村洋文知事、橋下徹元代表などの露出で)知名度を上げた維新と、YouTubeなどのネットを中心として知名度を伸ばしてきた玉木代表の違いが出ているとも言え、興味深い。
若者支持率では維新と肩を並べるれいわ
さて、通常であればこのような原稿は、次のように続くことが多い。
「立憲民主党は高齢者の支持に偏っており、政策的に若者の支持を得られていない。批判ばかりという印象が強く、何かを変えてくれるというイメージを与えられていない。ネット上の極端な意見の有権者ばかりの声を聞くのではなく、もっと若年層のリアルな声を聞き、政策に反映させない限り、永久に与党に勝つことはできない」と、このような具合である。
政治記事を積極的に読む方なら一度は耳にしたことがある意見ではないか。
上記のような意見は正しいのだろうか。これを考えてみたい。
年代別の支持率は、政策的な正当性を補強する論拠として使われることがある。とりわけ、野党第1党である立憲民主党(あるいはその前身の民主・民進)に対する批判的文脈を補強するデータとして使われることが多い。そして、その対比になるのは、自民党であったり、国民民主党であったりする。では、それ以外の政党を見ていこう。
ここまで触れていないが、れいわ新選組は各種調査で40代以下の支持が厚い。先程のNHKによる年代別調査でも、詳しい数字は公表されていないものの、20代では維新と同程度の支持を獲得していた。
YouTubeの登録者数はれいわがダントツ、次いで参政党
れいわ新選組のYouTube公式チャンネル登録者数は28.3万人と、他党と比較しても際立って高い。自民党が13万人であり、国民・玉木代表の個人チャンネルでも13.8万人であることを考えれば、その2倍以上となる(肉薄しているのは22.5万人の登録者を誇る参政党くらいか)。
ネットでの発信力が若年層の認知度・支持率に大きく貢献しているのではないか。
れいわ新選組に次いで、23万人のYouTube登録者数がいる参政党も見逃せない。参院選の若年層を分析した記事では「参政党に投票した人を年代別に見ると18、19歳では6.9%、20代は5.9%、30代では4.8%と若い世代ほど支持を広げていました」との記述がある。参政党はYouTubeだけではなくTikTokなどでも支持を広げ、テレビではほぼ主張が取り上げられないにもかかわらず、一定の支持率を得たわけだ。
このように見ていくと、政策的な方向性より「どのようなメディアを見ているか」という点のほうが、政党支持に大きく影響しているのではないか。
前述のような「批判ばかり」というようなイメージも、テレビ的、あえて言うならワイドショー的な価値観で、そのようなネガティブな認知すら持っていない若年層も少なくない。
なぜ政策のないガーシーが30万票も集められたのか
すでに「なつかしニュース」のようになってしまったが、昨年参議院選挙に出馬したガーシーのYouTube登録者はおおよそ120万人だった。個人名での得票は28万票の得票である。これをどう捉えるか。
ガーシーの10倍以上の登録者がいるYouTuberやインフルエンサーは複数存在する。彼らが出馬したとして、10倍の得票、つまり200万〜300万票が獲得できるのか。そう簡単にはいかないだろうが、考えてみる価値はあるだろう。
政策的な方向性がほとんどなく出馬したガーシーが30万近い得票を獲得できたことを考えれば、「政党」や「政治家」としての体裁を整え、拒否感を消す工夫をすれば、既成政党に対抗しうる台風の目となる可能性は十分にあるのではないか。
これまでの時代も全国比例には多数のタレント候補者が立候補してきた、アントニオ猪木氏のように政党を立ち上げたケースも存在する。
時代が異なるのは、個人の人気がメディアでの影響力に直結するということだ。
ネットを足掛かりに党勢を拡大するミニ政党
かつては、いくらテレビで人気の有名人でも、その人気はテレビなどの規制メディアを通じてしか発揮できなかった。つまり、「政治家」という枠にハマったとき、その力は大きく制限されてしまうわけだ。
しかし、インフルエンサーは違う。彼らは自ら発信できるメディアを持ち、支持する人にタイムリーに主張を届ける力を持つ。そして、公選法による規制を除けば、メディアのように横並びになることなく、かなり自由に活動することができる。
重要なポイントは、1年経つごとに新聞・テレビなどのマスメディアの影響力は落ち、インターネット、あるいはSNSの影響力は上がっていくということだ。
当たり前だが、今の10代は10年経てば20代になる。10年後の60代は今の50代である。今の50代のSNS利用頻度を考えれば、高齢層を含めてインターネットが唯一有権者にリーチする手段になってもおかしくない。
すでに、参政党やNHK党など、ネット発の政党が参議院の比例得票により議席を獲得し、国会で足がかりを作っている。
これが加速していけば、党首の影響力を中心とするミニ政党の全体的な得票が底上げされ、既成政党が圧迫されていくことになる。
自民、立憲は「語りかける力」がない
ここまで書くと、「有権者は政策など見ていない」というようなシニカルな意見の記事だと誤解されるかもしれない。
しかし、国民民主党・玉木代表や、れいわ新選組・山本太郎代表は、ネット上でも繰り返し政策を説明し、直接有権者に語りかけている。イメージや認知度だけではなく、政策が浸透していることが、ネット世代の底堅い支持になっているのではないか。
自民党の支持率低下、そして立憲民主党のネットでの支持の弱さも、政策をどうこうという以前に「語りかける力」のなさが見抜かれている、とも言える。
これからの選挙においては、有権者に直接語りかける力と発信力、両方が求められるのではないか。
ポイントは、自民党や立憲民主党は党首が頻繁に変わる上に、党内にさまざまな意見がある総合政党であるということだ。このような点は、党首イコール政党である政党に比べて大きなディスアドバンテージになる。
自民党は政府与党としてのアドバンテージがあるが、立憲民主党は腰を据えて、長期目線で代表の発信力強化に取り組む必要があるのではないか。首のすげ替えでメディアが取り上げてくれる時代は終わったとも言える。
環境変化に適応した政党だけが生き残っていく
ネット発の政党は「ミニ政党」といった規模であり、まだまだ国会において大きな影響力を持つには至っていない。この傾向が拡大していけば、ネット発の政党が大きなムーブメントとなり、政局を動かしていく日は遠くないだろう。
比例代表や基礎自治体など、数%の得票率でも議席が獲得できる選挙と違い、原則50%近くの得票が求められる日本の小選挙区制や都道府県議会の下で、どの程度まで勢力を伸ばせるかはわからないが、10年スパンで考えれば大きな変化が起きることは見えている。
ミニ政党がさまざまな方面から拡大していけば、極端な意見をそれぞれが言い合うだけの、対話を欠いた議会になる可能性は少なくない。しかし、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である」というダーウィンの言葉通り、環境に適応したものだけが生き残っていくのではないか。
未来を予測するのは難しいが、年代別の政党支持率は、明日の議会の姿を示している、と言える。
●自民の「政治刷新本部」、11日初会合へ 小泉元環境相も参加か 1/9
自民党は派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題をふまえ、岸田文雄首相(党総裁)の直轄で党内に設ける「政治刷新本部」の初会合を11日に開く方向で最終調整に入った。政権幹部が明らかにした。
メンバーは茂木敏充幹事長や森山裕総務会長、小渕優子選挙対策委員長ら「党7役」や、首相側近の木原誠二幹事長代理が中核となる予定。青年局長経験者も加える方向で、小泉進次郎元環境相や小倉将信前こども政策担当相らを念頭に検討している。最高顧問には首相経験者の麻生太郎副総裁と菅義偉氏が就任。首相周辺は「挙党態勢で臨むための人事だ」と話す。
刷新本部には外部有識者も参加。政権幹部によると、1月下旬に開会予定の通常国会までに中間取りまとめをする方向だという。首相は年頭の記者会見で「必要があれば関連法案を提出する」としており、政治資金規正法の改正まで踏み込むかが焦点となる。
自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化したとされる事件では、東京地検特捜部が7日に同派所属の衆院議員・池田佳隆容疑者らを政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕するなど、捜査が続いている。
首相は「中間とりまとめでそれなりの形にしたい」と周囲に意気込みを示すが、政権幹部は「議論は捜査の状況を見ながら」。さらに派閥の存在自体に否定的な最高顧問の菅前首相がどう出るかなど、議論の先行きは見通せない。
●岸田政権、秋までの退陣不可避か 自民「選挙の顔」刷新で政権維持図る 1/9
自民党安倍派を中心とする政治資金パーティー収入の裏金化疑惑が、岸田政権を直撃。支持率低下が止まらず、2024年は首相退陣が避けられそうにない情勢だ。
底なしの支持率急落にあえぐ岸田文雄首相は、1988年のリクルート事件以来とも言われる疑獄事件の直撃を受けた。昨年12月、自民党最大派閥・安倍派を中心に政治資金パーティー収入の一部を裏金化していたとされる事件が表面化。世論の政治不信は頂点に達し、岸田首相は今年9月の党総裁任期切れまでの退陣が避けられそうにない情勢だ。自民党は次期衆院選で苦戦必至とみて、「選挙の顔」となる首相を交代、速やかに衆院を解散して政権維持を図る展開が予想される。ただ、元日に発生した能登半島地震の影響で解散時期が制約されるとみられ、政局の行方は不透明感を増している。
「安倍派一掃」で支柱失う
疑惑が表面化したのは昨年11月下旬だ。安倍派が政治資金パーティー収入を所属議員に還流させ、組織的に裏金化していた疑いが持たれている。政治資金規正法上、収支報告書の不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2018〜22年の5年間で、裏金の総額は6億円規模に上るとされる。
とりわけ、松野博一官房長官や西村康稔経済産業相、自民党の萩生田光一政調会長ら政権中枢を占める安倍派幹部が1000万〜数百万円を裏金として受けていた疑いが明らかとなり、岸田首相はこれら幹部の更迭に追い込まれた。臨時国会閉幕後の12月14日、同党の高木毅国対委員長、世耕弘成参院幹事長を加えた安倍派のいわゆる「5人衆」を政権中枢から一掃。同派の副大臣5人も全員交代させた。
安倍派を政権の支柱として頼りにしてきた首相にとっては、計り知れない打撃となった。この日公表された時事通信の世論調査で、岸田内閣の支持率は初めて2割を切り、17.1%に落ち込んだ。排除される形になった同派は反発を強め、他派閥も含めて党内に首相を支えようという空気は乏しい。岸田政権は「もはや立て直しは不可能」(自民党ベテラン)という見方が広がっている。
行き詰まる政権運営
疑惑が表面化する以前から、岸田政権は行き詰まりつつあった。首相が政務秘書官に起用した長男の不適切な行動や、健康保険証の廃止を前提とするマイナンバー制度の混乱が批判を招き、支持率は昨年5月の38.2%をピークに急落。起死回生を狙った9月の内閣改造・自民党役員人事は不発に終わり、首相肝いりの1人当たり4万円の定額減税は既定方針の防衛増税との矛盾は否めず、「政権浮揚狙い」と見透かされ、民心の「岸田離れ」が鮮明になった。
疑惑が発覚した後の対応もお粗末だった。違法行為の疑いをかけられた松野官房長官が記者会見や国会で、一切の説明を拒んでいる様子が連日のように報じられた。ほかの安倍派の閣僚や党幹部も、悪びれもせず「職務を全うする」と言い放った。岸田首相は松野氏ら安倍派幹部を交代させるまで1週間近くにわたってこうした状況を放置し、人々の政治不信をどれだけ助長したか分からない。この人事に当たっては「国民の信頼回復のため火の玉となって自民党の先頭に立つ」などと大仰な言葉を口にしたものの、具体策は示さないままだ。年明けになってようやく、再発防止策を検討する新しい党組織として「政治刷新本部」(仮称)を設置し、1月中に中間とりまとめを行う考えを示した程度で、スピード感も指導力もうかがえない。
裏金疑惑は安倍派にとどまらず、東京地検特捜部の今後の捜査でどこまで波及するのか見通せない。12月の人事は「急場しのぎ」と言え、1月下旬とも見込まれる通常国会召集まで新体制が無傷でいられる保証はない。通常国会で2024年度予算案審議が始まれば、首相は引き続き野党の追及のやり玉に挙げられる。自民党の派閥政治に起因した今回の不祥事に説得力のある対応策を示せなければ、政権は立ち往生しかねない。
待ち受ける「政治改革国会」
大きな課題となるのが、政治資金の透明性を高めるための政治資金規正法の改正と、自民党の派閥の在り方見直しを含む政治倫理の確立だ。だが、過去の例を見ても、自民党は政治改革の諸課題に後ろ向きだ。リクルート事件を踏まえ、1991年の通常国会で最大の焦点となった政治改革関連3法案は、その柱となった小選挙区比例代表並立制の導入に党内の反対が根強く、廃案に追い込まれた。現行の小選挙区制に道筋が付いたのは自民党の野党時代だ。
派閥は弊害がクローズアップされるたびに解消が叫ばれ、歴代首相のほとんどが形式的にせよ派閥を離脱して距離を置いてきた。だが、岸田首相は就任以来、こうした慣例を無視。岸田派会長にとどまっただけでなく、派閥の例会にもたびたび顔を出していた。今回の疑惑発覚を受け、派閥離脱を表明したが、遅きに失したと言うほかない。
その首相が、疑惑追及と政治改革が焦点となる通常国会で派閥の弊害除去を唱えたところで、誰が耳を貸すだろうか。自民党に政治資金規正法改正案の内容を検討させようとしても、指導力を発揮しようがないだろう。自民党ベテランは「首相は信用をなくしてしまっている」と言い切る。もはや「岸田首相の下では選挙は戦えない」というのが党内の大勢だ。「ポスト岸田」有力候補の一人と目される石破茂元幹事長は、2024年度予算成立直後の首相退陣を唱えている。
だが、自民党の体質そのものが問われている局面だけに、首相を代えたところで信頼回復は容易ではない。世論の理解を得るには、政治資金規正法の改正は避けて通れないとみられるが、実効性のある改革に向けた党内合意の形成は難航必至だ。どうにか改正案の提出にこぎ着けたとしても、審議は予算成立後の後半国会以降に持ち越される。「ポスト岸田」をうかがう候補は、うかつに岸田降ろしに動けば火中の栗を拾うことになりかねない。むしろ満身創痍(そうい)の岸田政権に委ねた方が得策との打算が働きそうだ。
当面の政治日程
   1月下旬  通常国会召集
   3月下旬? 2023年度予算成立
   6月13日   G7サミット(イタリア、15日まで)
   6月20日   東京都知事選告示(7月7日投開票)
   6月下旬? 通常国会会期末
   9月      自民党総裁任期満了
次の節目は、6月の通常国会会期末だ。国会が閉幕するのに合わせて首相が退陣を表明し、秋の自民党総裁選を前倒し実施する案も取り沙汰される。同13日にイタリアで開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)を政権の総仕上げとする、いわゆる「サミット花道論」に通じる。ただ、東京都知事選が同20日告示、7月7日投開票の日程で行われることが決まっている。自民党は総裁選を国のトップリーダー選びとして大々的にアピールするのが常で、同じく注目度の高い都知事選との同時実施で世論の関心が分散するのを嫌う可能性がある。
政局の行方を読みづらくしているのが、能登半島を中心に日本海側を襲った大地震だ。甚大な被害を受けた石川県では3万人を超える住民が避難生活を強いられている。早期の衆院解散が困難になっただけでなく、自民党内での岸田降ろしの動きや、国会での予算案審議を妨げるような野党の戦術は、震災復旧・復興そっちのけの政争と受け取られれば世論の厳しい批判を免れない。こうした状況は、図らずも岸田政権の延命に手を貸すかもしれない。
総裁再選出馬は困難か
総裁選は前倒しがなければ、9月末の任期満了に伴い、秋に実施される。岸田首相は21年秋の菅義偉首相と同様、再選出馬はできずに退陣する公算が大きい。新総裁選びで各派閥は前面には立てず、候補者も石破氏や小泉進次郎元環境相ら無派閥議員や、麻生派所属ながら派閥横断的な支持を集めてきた河野太郎デジタル相ら、知名度が高い議員の争いが軸になりそうだ。
新総裁が選出されれば速やかに臨時国会を召集、首相指名選挙を経て新内閣発足の運びとなる。新政権は鮮度が落ちないうちに衆院を解散、公明党と合わせて過半数の維持を目指す流れになるとみられる。自民党にとっては逆風、公明党も組織力の低下が顕著で、厳しい選挙戦となるのは避けられない。
一方で、野党陣営に対しても期待が高まっているわけではない。立憲民主党は党勢立て直しの手掛かりがつかめず、日本維新の会も不祥事続きで一時の勢いは失われた。しかも、両党は政策も体質も「水と油」。小選挙区での候補者一本化は議論すら行われておらず、各地で競合して非自民票を食い合い、自民党を利する展開が繰り返されるとみられる。
ちなみに衆院議員の任期満了は25年10月。法的には来年への先送りも可能だ。ただ、来年の夏には参院選が控えており、年内の衆院解散を逃すと、来年はほぼ必然的に衆参同日選となる。東京都議選も同じ夏に予定され、都議会を重視する公明党が同時期の衆院選に強硬に反対するのは確実だ。自民党にとっても、衆参で一気に議席を減らしかねないダブル選はリスクが大きく、党関係者は「ダブルは絶対にない」と断言する。
自民党は今回の疑惑の広がりに危機感を強めながらも、野党の低迷を踏まえ、議席は減らしても政権を追われることはないと高をくくっている節がある。同党ベテランは「野党がだらしないから自民党に緊張感がない」と認める。自民党に真摯(しんし)な反省がない以上、今年の政治の一大テーマとなる政治改革は掛け声倒れに終わる可能性が高く、同党に向けられる世論の視線は一段と厳しさを増すに違いない。
●2023年の東京都内物価指数 3.0%上昇 41年ぶりの伸び率 1/9
総務省が9日発表した、2023年平均の東京都区部の生鮮食品を除く消費者物価指数は前年比3.0%上昇し、伸び率は22年の2.2%から拡大した。1982年以来41年ぶりの大きさ。
原材料やエネルギー価格の高騰を受け、食品などの値上がりが広がったことが上昇幅を押し上げた。
一方、12月の東京都区部の生鮮食品を除く消費者物価指数は、前年同月比2.1%上昇し106.1だった。
28カ月連続のプラスとなったが、11月の2.3%より伸びは鈍化した。
「食料」のうち、プリンが39.5%、鶏卵が22.7%、それぞれ増加し、「生鮮食品を除く食料」全体では6.0%の伸びとなったが、11月の6.4%から上げ幅は縮小した。
また、電気代が21.7%、ガス代が21.4%、いずれも低下したことも全体の上昇幅を抑える要因となった。
東京都区部の消費者物価指数は全国に先駆けて発表され、先行指標とされている。
●能登半島地震 予備費から47.4億円の緊急対応を閣議決定 1/9
政府は、能登半島地震の被災者を支援する緊急対応として今年度予算の予備費から47.4億円を活用することを閣議決定した。
岸田首相は9日開かれた、非常災害対策本部会議で閣僚らに対し「プッシュ型支援を加速させるため迅速に執行し、被災地の状況改善にあてるように」と指示した。
また、岸田首相は、避難生活が長引く中、避難所で、生活環境や衛生環境の悪化が顕著になってきている問題点を指摘し、病気の方やお年寄り、妊婦など特に配慮が必要な方を最優先に、二次避難を優先すべき避難所について確認するように指示した。 
●経団連の十倉会長、議員逮捕「非常に遺憾」 実効ある対策を 1/9
経団連の十倉雅和会長は9日の記者会見で、自民党の政治資金規正法違反事件で、池田佳隆衆院議員が逮捕されたことについて「非常に遺憾に思う。政治の責任において実効ある対策が必要だ」と指摘した。岸田文雄首相をトップとする同党の政治刷新本部での議論などを通じ、政治への信頼回復に努めるよう求めた。
●問われる政治の覚悟 1/9
ことしの日本の政治は、能登半島地震への対応で国民の命と暮らしを守ること。そして、政治とカネをめぐる問題で、国民の信頼を取り戻す道筋をつけることができるのかという課題に直面しています。ことし問われる政治の覚悟について考えます。
能登半島地震対応
岸田総理大臣は、年明け、二つの課題に先頭に立って取り組む考えを強調しました。
最優先の課題は、能登半島地震への対応です。記者会見で、「令和に入り最大級の災害で、被災地、被災者に寄り添い、努力しなければならない」と述べました。
被災地は厳しい寒さによって低体温症などで、避難生活の中で命を落とす災害関連死が強く懸念されています。被害の全容をつかみ、必要な支援を迅速に届け、被災者の命を守らなければなりません。
また、家や仕事を失った被災者の生活の再建や地場産業など被災地の再生に向けた息の長い支援も必要です。
さらに、被災した地域は、人口減少と高齢化が進み、行政や地域の支えあいにも限界があります。こうした地域で災害への備えをどう進めるのかも考えていなかなければなりません。
岸田総理は、与野党の党首と会談し、「災害対応に万全を期す点で、与野党の立場に違いはない」と述べたうえで、新年度予算案について、内容を変更して予備費を増額する方針を伝え、早期成立に協力を要請しました。
国民の命と暮らしを守ること、国民の安心・安全、将来に対する不安を取り除くこと。これは政治本来の役割です。その役割を果たす覚悟が、いま、与野党を超えて求められていると思います。
政治資金問題
もう一つ岸田総理が先頭に立つとしたのが、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題です。「国民の政治への信頼を回復すべく、自民党の体質を刷新する取り組みを進めていく」と強調しました。そして、総裁直属の「政治刷新本部」を発足させ、政治資金の透明性の拡大や派閥のあり方に関するルール作りを進める方針で、今月中に中間的な取りまとめを行い、必要に応じて関連法案を国会に提出する考えを示しました。
事態の深刻さ
私は、今回、これまでの政治とカネをめぐる問題とは違った深刻さがあるとみています。
まず、問題の広がりです。政治資金規正法違反の疑いで池田佳隆(いけだ・よしたか)衆議院議員が逮捕される事態になっていることに加えて、最大派閥の安倍派と二階派が捜査対象になり、不適切な資金の処理があったとされる派閥や国会議員、議員側の政治団体の数が多く、その額も億の単位という多額に上っています。
これに対して、自民党、各派閥からは、捜査中であることなどを理由に、実態について十分な説明は果たされてはいません。
さらに指摘しておきたいのは、自民党内で、この問題に対する具体的な行動が目立っていないことです。30年あまり前、リクルート事件の際には、議員が勉強会を作って改革案を提言したり、若手議員が改革を断行するよう執行部を突き上げたりもしました。事件の捜査状況を見極めたいという面もあるのかもしれませんが、今回、議員の多くが口をつぐむ背景に、不適切な資金の処理が日常化し、疑問を感じなかったうしろめたさ。世話になった派閥や有力者にはモノが言えないというような配慮があるのだとすれば、自民党の党運営が派閥依存の体質になっている深刻な事態を浮き彫りにしているともいえます。
派閥をどう考える
派閥は自民党の正式な機関ではありません。
リーダーを総裁に押し上げようとするグループという性格に加えて、政府や党、国会の人事は、派閥の意向も踏まえて、調整やポストの割り振りが行われてきました。また、選挙の支援や若手議員の指導、有望な新人を発掘する役割も果たしてきました。さらに、政策や政権構想を取りまとめ、党の方針やトップの政局に対する考え方など情報を共有する場でもあります。
しかし、議員が派閥のために資金を集め、派閥から資金の提供を受ける。それが議員を囲い込む原動力となっているのではないかと批判されてきました。
リクルート事件の後、平成元年に取りまとめられた自民党の「政治改革大綱」では、「政治倫理」「政治資金」「選挙制度」「国会」という柱とともに「党改革」の最終的な目標として、「派閥の解消」を打ち出し、派閥の弊害を取り除くとしています。
党の体質を刷新するというのであれば、政治刷新本部で、派閥の解消を含めた議論が行われるのかどうかが、焦点になりそうです。
党の主導権を得るために、人のつながりでグループができることは否定できない側面はあります。岸田総理は「派閥のあり方に関するルールを作る」という考えを示し、派閥の存在を必ずしも否定はしてはいません。派閥の存在を認めるのであれば、派閥がなぜ必要なのか、派閥のどこに問題があり、何を改めるのか、自民党、そして各派閥のリーダーが自らの言葉で国民に明確に説明すべきではないでしょうか。
国会での議論は
では、国会で各党は、実態解明と再発防止に向けた取り組みをどう進めるべきか考えます。衆参両院には、▽議員が法令などに違反し、政治的道義的責任があるかどうかを審査し、勧告を行う「政治倫理審査会」があります。▽政治倫理の確立と公職選挙法改正に関する特別委員会は、政治資金規正法の改正案を取り扱います。しかし、多くの場合は、衆参の予算委員会が、実態解明と再発防止の方向性を議論する場となってきました。
ただ、今月召集される通常国会で議論が始まる予算委員会では、能登半島地震への対応や新年度予算案に盛り込まれた物価高対策、賃上げ、少子化対策、防衛力の強化とその財源、外交・安全保障の基本方針など議論すべき重要課題が山積しています。
こうした課題の議論をおろそかにしてはなりません。予算委員会だけでなく、政治倫理審査会や特別委員会を並行して開くなど、議論の場を仕分けて、重要政策の議論も十分にできる工夫を与野党に求めたいと思います。
政治資金規正法は
再発防止を考えるうえで、ポイントとなるのが政治資金規正法を見直すかどうかです。論点は、すでに明確になっています。政治資金パーティーについては、現在、1回20万円以下ならば購入した人や金額を収支報告書に記載する義務はありません。この公開基準を引き下げるかどうか。
罰則の強化をめぐっては、立憲民主党、与党の公明党などからは、政治資金規正法に会計責任者だけでなく国会議員も処罰の対象とする連座制の導入。国民民主党からは、政治資金で問題があった政党の政党助成金を減額する措置を検討すべきだという意見が出ています。日本維新の会と共産党は、企業団体献金を禁止すべきだとしています。
政治資金をめぐっては、さらに課題もあります。政党助成金の制度があることを踏まえ、新たなに独立した機関を設け、政治資金をチェックすべきだという意見もあります。これは、政治資金の問題解決を政党や政治家に委ねてよいかという論点になります。
政党によって、政治資金の集め方や党の財政基盤は大きく異なります。また、政治資金そのものを集めにくくするような規制や制限を強めることで、金持ちや資産家でなければ政治家になれないような事態は望ましくないという指摘もあり、合意形成は容易ではありません。しかし、政治とカネをめぐる問題が後を絶たず、事件の捜査によって是正されることが繰り返され、政治の対応が先送りされれば、国民の不信は解消されません。
まとめ
能登半島地震への対応に万全を期し、内外の重要課題に十分な議論を行いながら、与野党が、今月召集される通常国会で政治とカネをめぐる問題で実効性のある答えを出し、国民に説明を尽くし理解を得られるか、政治に、これをやり遂げる強い覚悟があるかどうかが問われています。
●地震からの復旧・復興へ予備費を1兆円に倍増 16日にも閣議決定 1/9
政府は、能登半島地震からの復旧・復興に対応するため、新年度予算案に盛り込まれた予備費について、現状の5千億円から1兆円に倍増させる方向で検討に入った。16日にも閣議決定する。複数の政権幹部が明らかにした。
予算案は12月22日に閣議決定し、1月下旬に開会予定の通常国会に提出予定だった。短期間で修正し、再び閣議決定をし直すのは異例の対応。岸田文雄首相が5日、鈴木俊一財務相に積み増しを指示していた。
能登半島地震に対応するための財源について、政府は今年度予算の予備費約4600億円を順次、活用していく方針。9日には、被災地からの要請を待たない「プッシュ型支援」の財源として、この予備費のうち47億4千万円の支出を閣議決定。水や食料、乳幼児用粉ミルク、ストーブや毛布、衣類などの物資を購入し支援に充てる。
避難生活や生活再建支援の長期化も予想されるなか、年度が替わるタイミングでも切れ目なく対応するため、政府は予備費の積み増しを検討してきた。2016年の熊本地震では補正予算で7千億円以上を積み増したことや、今回の地震以外にも予測できない事態に備えておく必要性を考慮した。

 

●日本は「痛切な謝罪」をしたと主張する韓国国情院長候補 1/10
チョ・テヨン国家情報院長候補は9日、昨年3月の日本政府による「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」との発言は歴史問題に対する謝罪を含んでいると述べた。
チョ候補はこの日、野党「共に民主党」のユン・ゴニョン議員による「日本の植民地時代の強制動員と慰安婦の問題に関して、日本政府の正式な謝罪が必要だと考えるか」との質問に対する書面答弁書で、「日本は韓国側による強制動員賠償解決策の発表時に『金大中(キム・デジュン)-小渕共同宣言を含む歴代内閣の歴史認識の継承』を明示的に表明した。これは『過去の出来事に対する痛切な反省と心からの謝罪』を意味すると評価している」と述べた。
昨年3月6日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、日帝強占期の強制動員被害者に対する賠償問題の解決策として、韓国の財団を通じて賠償金(判決金)を支給する「第三者弁済案」を公式発表した。これに対し日本側は、謝罪ではなく岸田文雄首相が「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と述べる程度にとどまっている。
第三者弁済案は、日本製鉄や三菱重工などの日本の加害企業の賠償参加を強制していないため、屈辱的だとの批判にさらされた。チョ候補は、「第三者弁済案」は「国家レベルで韓国国民の痛みを引き受けるとともに、高まった国格にふさわしい姿勢で主導的な解決に取り組もうとした結果」だと述べた。
ユン・ゴニョン議員は「韓日関係において屈辱的な態度を取り続けてきた尹錫悦政権の素顔がチョ・テヨン国情院長候補の答弁でもあらわになっている。加害者は謝罪もしていないのに、被害者である韓国の政府が謝罪を受けたと主張するのは、強制動員の被害者にさらに苦痛を与える行為」だと述べた。
●自民・麻生副総裁、米政権高官と会談 日米韓関係の重要性を確認 1/10
訪米中の自民党の麻生太郎副総裁は現地時間の9日、ワシントンで、カート・キャンベル米国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官と会談した。中国や北朝鮮など東アジア情勢を念頭に日米韓3カ国の連携が重要だという認識で一致した。
キャンベル氏はバイデン米政権のアジア政策の司令塔役を務めている。昨年11月、米国務省のナンバー2に相当する次の国務副長官に指名され、「知日派」としても知られている。
同席者によると、両氏は約40分間にわたり会談。キャンベル氏が、昨年8月にワシントン郊外の大統領専用山荘「キャンプデービッド」で行われた日米韓首脳会談を「成果」だと振り返ると、麻生氏も3カ国の連携を「今までの土台の上に発展させていくことが大事だ」と応じたという。中国や台湾を巡る情勢についても意見交換した。
両氏はまた、今春の岸田文雄首相の国賓待遇での米国公式訪問についても議論し、日米同盟をさらに発展させるため、岸田首相の訪米成功が重要だという認識で一致した。
●能登半島地震の衝撃に便乗するのでは…改憲、増税、原発再稼働 1/10
能登半島を襲った大地震・津波により、2024年の幕開けは衝撃で覆われた。もちろん、引き続き被災者に応える最大限の災害対応は必要だが、だからといって、震災以外の疑惑・問題を覆い隠したり、災害に便乗した動きを見過ごすことはできない。政治とカネ、改憲、復興名目の増税、原発再稼働…「ショック・ドクトリン」にどう対応すべきか。
「この後も地震関係の公務がございますので、(質問は)あと2問とさせていただきます」
4日午後4時半から行われた岸田文雄首相の年頭記者会見。能登半島地震や「政治とカネ」問題などについて答えたが、内閣広報官はこう言って会見を幕引きした。当時の首相の動静を確認すると、確かにその後に15分程度、災害対応に当たる官房長官らと面談を行っている。しかし、テレビ出演のため官邸を出発する午後7時半ごろまで特に予定は入っていない。
テレビで語る岸田首相に批判相次ぐ
「今、テレビ出てる場合じゃないでしょ」。安否不明者の捜索や救助活動が進む最中の出演に加え、災害対応以外の党総裁選の再選に向けた展望などを語る岸田氏の姿にネット上で批判が相次いだ。さらに5日には、経済3団体や連合など三つの新年互礼会をはしごしてあいさつしたことへも疑問視する声が上がった。
同じ日には、立憲民主党の泉健太代表が熊本地震と比べ、自衛隊の活動が小規模になっていることに関し、「自衛隊が逐次投入になっており、あまりに遅く小規模だ」と批判した。
震災で政権の潮目が変わった?
ただ、こうした批判があっても、民放・TBS系列のJNNが6、7両日行った世論調査では、政府の対応が迅速に行われていると「思う」と答えた人は57%に上った。ほんの十日前には、政治資金パーティー裏金事件など「政治とカネ」問題で大揺れに見舞われていた岸田政権。共同通信の世論調査で22.3%まで下がり、2009年に自民党が下野する直前の14%台に近づきつつあった。震災で、いきなり潮目が変わったのか。
政治ジャーナリストの泉宏氏は「大きな事件事故は内閣支持率にプラスに働く。ずっと総理が前面に出て存在をアピールできるから」と話す。
だが、「岸田氏はそれを全く生かしていない。続けざまに新年会に出たり、テレビで話さなくてもよいことを話している」とも。年頭会見で岸田氏は「政治刷新本部(仮称)」を自民党内に設置するとした。しかし、派閥そのものが問題視される中、麻生太郎副総裁を同本部最高顧問に据える方針だ。「派閥解消なんてできっこない。麻生氏は派閥のボス。本気度を全く感じない」(泉氏)
「政治とカネ」トーンダウンも
7日には、池田佳隆衆院議員らが逮捕された。他の議員の捜査が大詰めとも伝えられ、本来、「政治とカネ」問題の報道や議論は今ごろピークを迎えたはずだが、報道量も世の関心も地震に集中する中で、トーンダウンの感もある。
さらに、通常国会が開会すれば、国会議員には国会会期中の不逮捕特権があり、例外的に逮捕する場合でも逮捕許諾請求が必要となるため、東京地検特捜部の捜査が進展しなくなる可能性もある。
元特捜部検事の高井康行弁護士は「これから安倍派の事務総長らを逮捕するとなると、通常国会に食い込む可能性が高い。逮捕許諾請求は証拠の中身を見せなくてはならず、検察にとってはハードルが高い」と話す。こうして結果的に、「政治とカネ」問題は抜本的改革なしで終幕する恐れもある。
「緊急事態条項」で、頭をもたげる改憲論議
一方、こうした大災害などで頭をもたげるのが、「緊急事態条項を盛り込め」といった改憲主張だ。
4日の年頭会見でも、岸田首相は「総裁任期中に改正を実現したい思いに変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力をしたい。今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速していく」と強調。昨年12月の衆院憲法審査会で自民党は、緊急事態時の国会議員任期延長や衆院解散禁止などの改憲条文案を作成するための作業機関を今年1月召集の通常国会で設置するよう提案している。
同党の改憲4項目では、大災害時に移動の自由など個人の権利を制限する緊急事態条項などが、自衛隊の明記とともに盛り込まれている。愛媛大の井口秀作教授(憲法学)は「緊急事態条項は東日本大震災の経験もあって話題になったが、今回の地震もいい事例とされてしまう危険がある」と指摘する。
「例えば、選挙の公示日前日に今回のような地震があったら、として議員の任期延長案を押し通すかもしれない。だが、よく考えれば、今回の地震でも選挙が難しくなるのは恐らく能登周辺だけ。全ての国会議員の任期延長が果たして必要なのか、など大災害時だからこそ冷静にみないといけない」と話す。
震災が増税のきっかけになる恐れ
「増税メガネ」の異名を持つ岸田首相なだけに、震災にかこつけて増税を図る可能性もある。実際、東日本大震災では復興特別税が導入された。だが、このうち復興特別所得税は事実上、恒久増税化されている。
「借金だらけの財政で、こんなに災害が起きているのに、災害が起きてから補正予算で対応するなど、いつも泣きっ面に蜂の状態に陥る。今回も国債を発行することになれば、結局その償還のための増税が必要となろう」と指摘するのは法政大の小黒一正教授(財政学)だ。
「こういう事後対応にならないために事前に対応をしておかなければならない」とし、例えば、震災を受けた地震保険の支払いに、大地震に備えて政府が再保険をかける「地震再保険特別会計」を挙げる。そして「復興財源の事前積立会計など、増税前にあらかじめ整備しておくべきことは多くあり、増税はそれをしてこなかったツケに過ぎない」と話す。
原発「異常なし」きっかけに再稼働進める可能性
原発推進を掲げる岸田政権だけに、大地震でも一応は「異常なし」となったことを奇貨として、北陸の原発再稼働を進める可能性もある。震源に近い北陸電力志賀原発(石川県)と昨年12月に原子力規制委員会が運転禁止命令を解除したばかりの東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)だ。
国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花事務局長は「多くの道路が寸断された。地震と原発事故が重なった場合、避難できなくなるだろう。各原発の避難計画の現実性も問われる。志賀原発周辺のモニタリングポストも計測不能になった。柏崎刈羽原発も含め地震想定が過小評価されていないかなど検証するべきだ」と話す。
大災害や大事件などの衝撃にかこつけて、別のことを前に進めるショック・ドクトリン。満田氏は「災害時は緊急事態を掲げて政府に都合よい政策を強権的に通す傾向がある。『政府を批判するとは何ごとか』といった言論への抑圧に影響されやすくなる」と説く。
国学院大の吉見俊哉教授(社会学)は「能登は日本の開発主義から切り離され、全く別の価値観で再生しようと探ってきた全国でも類いまれな地域だ。中世の文化が根付く文化的に大変奥深い場所だ」とした上で、こう語る。「能登の豊かさを改めて感じられれば、危機に乗じた『ショック・ドクトリン』などに構っていられない。強行すれば私たちの大切な可能性をつぶしかねない」と話す。
デスクメモ
新型コロナがまだ「新型肺炎」と称されていたころ、国会論戦の焦点は安倍晋三元首相の「桜を見る会」問題だった。しかし、ほどなく国内でも感染が広まり、「緊急事態宣言」が出るに至って、追及は沙汰やみに。まさにショック・ドクトリン。その再演を見過ごすことはできない。
●安倍派国会議員が年頭会見 杉田水脈氏 江島潔氏 1/10
自民党安倍派(清和政策研究会)所属の江島潔氏(参院山口)と岸信千世氏(衆院山口2区)が9日、山口県庁でそれぞれ年頭の記者会見をした。派閥の政治資金パーティー収入の裏金事件を巡り、江島氏は東京事務所の会計責任者の秘書1人が東京地検特捜部の任意聴取を受けたと明らかにした。
江島氏は、パーティー券の販売ノルマ超過分のキックバック(還流)や政治資金収支報告書への不記載の有無について「検察による捜査が進行中なので詳細については報告できる立場にない」と説明。安倍派では参院選がある年に改選対象の議員側に対し、販売ノルマ分と超過分の全額を還流させ、選挙資金に充てられた疑いが浮上している点についても「捜査中の案件で、しかるべき時期に報告する」とした。
岸氏は「議員活動はまだ半年。そもそもパーティー券のノルマ、販売実績が一切ない」とし、自身の問題はないとの認識を示した。父の岸信夫元防衛相の時期も含めた事務所関係者への特捜部の聴取については「聞いていない」と話した。
安倍派所属の杉田水脈(みお)氏(比例中国)も9日に県庁で記者会見を予定していた。しかし、直前に「次の行事のため10分間しか応じられない」と説明があったため報道側が応じず、後日開催の方向となった。
●中国が日本抜き自動車輸出トップ、背景にロシアの「助力」―米メディア 1/10
香港メディアの香港01は9日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を引用し、中国が日本を抜いて世界最大の自動車輸出国になった背景にはロシアの「助力」があったと指摘した。
中国自動車工業協会は昨年の中国の自動車輸出台数が526万台だったと推計。日本については430万台と推計しており、世界最大の自動車輸出国になったとみている。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事は、「中国はすでに電気自動車(EV)で世界をリードする存在ではあるが、従来の化石燃料車が成長の推進力になった」と分析。特にロシアで需要が急増していることを挙げた。
記事によると、中国乗用車市場情報連席会(乗連会)は「ロシア・ウクライナ戦争が始まってから中国メーカーは西側メーカーが撤退したことでロシアにできた空席を埋めた」と指摘。中国の2022年のロシアへの自動車輸出は16万台だったが、23年はその5倍以上に上ったと推定されている。
記事は「ロシアやメキシコなどの国ではこうした自動車(化石燃料車)の需要が依然として強い」と指摘している。
●「日本を抜いて世界最大の自動車輸出国に」 中国自動車工業協会 1/10
中国が昨年、日本を抜いて世界最大の自動車輸出国になったとみられる。
9日(現地時間)、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、中国自動車工業協会(CAAM)は昨年中国が526万台の自動車を輸出したという推定値を発表した。
日本では昨年11月の時点で約400万台の自動車を輸出したという統計が出ている。まだ発表されていない12月の輸出値を含んでも中国の昨年自動車輸出が日本より100万台近く多いというのがCAAMの説明だ。
中国が最大自動車輸出国になった理由について、ウクライナ戦争の余波で国際社会から経済制裁を受けているロシア市場を独占したためという分析が出ている。
2022年2月ロシアのウクライナ侵攻以降、西側の制裁と現地に進出した西側自動車企業などの撤退でできた空席を中国が埋めたということだ。中国は2022年ロシアに合計16万台の自動車を輸出したが、昨年は5倍を超える80万代以上を輸出したと推定される。中国自動車企業のうち、特に「奇瑞汽車(Chery Automobile)はロシア市場で急速な成長を遂げた。
同社は昨年90万代以上を外国市場に販売したことが分かった。中国最大の民営自動車グループ「吉利汽車(Geely Automobile)」もロシアに対する輸出が大幅に増加したという。
電気自動車(EV)分野の成長も中国の輸出の伸びを後押しした要因に挙げられている。中国EV大手の比亜迪(BYD)は米国のテスラを抜いて世界最大のEVメーカーになった。
中国でEVを作った後に外国へ輸出する多国籍企業も少なくない。フォード自動車は昨年中国で生産して外国に輸出する物量を10万台に増やした。フォルクスワーゲンは今年中国で傘下ブランド「クプラ(CUPRA)」のEV6万台を生産して欧州へ輸出する計画だ。
●日本がパレスチナとウクライナで取るべき立場 1/10
新年にあたり、岸田内閣がウクライナやパレスチナについて、あまりにも米国べったりの外交しかしないことはまことに腹立たしい。
かつて小泉内閣は、のちにアメリカの愚行だったと批判されるイラク戦争について、ブッシュ大統領をあおり立てた。
さしあたって日米関係は良くなったが、長期的にみて日本がアメリカの良き友であることを示せたとは思わない。それと同じことをしている。
ウクライナについては、日本にとってウクライナに味方するメリットは何もない。欧米と違ってイスラエルの人々に贖罪等する必要ないし、そもそも、ユダヤ人への贖罪を自分たちでなくパレスチナの人々の払うコストでやるべきでない。
ロシアのウクライナ侵攻もハマスのテロも100%間違いだが、そもそも彼らを追い込んだのはアメリカでありイスラエルだから、自衛といってもほどほどのところで留めるべきだ。
岸田内閣の対米追従も行きすぎだが、日本ではリベラルな人々までもアメリカに追随しすぎである。
そして保守派は、例外はあるが、ウクライナ紛争やガザ紛争で、かなり熱心にウクライナやイスラエル、そしてその背後にいるアメリカを支持している。
日頃から、WGIP(War Guilt Information Program=日本人に戦争贖罪意識を植え込む戦略)から日本人は脱却できていないといって、世界から歴史修正主義といわれそうな主張をする人たちが、世界でもっとも無条件にアメリカに支援された戦争を支持しているのだからおかしなことだ。
それどころか、バイデン政権ですらイスラエルに厳しく自制を促しているのに、そうした必要も無いと言わんばかりだ。
私が思うに、世界はウクライナ戦争にうんざりしているし、イスラエルには相当に批判的だ。いまこそ、アメリカの日本に対する戦争中の悪行に少し反省を求めるチャンスでないかと思うのである。
アメリカは、ウクライナへの軍事侵攻とかハマスのテロとかは、けしからんから、ロシアやハマスはとことん殲滅されても仕方ないという。だが、これは、満州事変や真珠湾攻撃がけしからんから、日本に無理難題を要求したり、原爆を落としたり、ソ連の参戦を促したり、占領して憲法まで変えさせたのと重なるところがある。
そのあたりを、プレジデント・オンラインの記事にまとめたので、詳しくはそちらを読んで頂ければと思う。
逆に韓国は、尹錫悦大統領が対日改善に取り組んでいるのに、日本の保守派は応援しない。それどころか、松川るい参院議員のように対韓関係改善に熱心な議員は保守派から批判されて、「エッフェル塔写真」を発端にしたフランス研修問題が彼らに針小棒大に攻撃されて炎上した。
対中国でも、やみくもに敵対しては互いに損をするだけだ。バブル崩壊後の日本経済を、輸出、安い消費財などの輸入による生活防衛、観光客によるインバウンド需要などで支えてきたのは中国との関係だ。
外交は押したり引いたりしながら進めるもので、無条件の追従も敵対も馬鹿げている。日米同盟が外交の主軸であるから、基本的には欧米との共同歩調はやむを得ないが、ウクライナやパレスチナについては積極的に平和のために仲介の労もとるべきだろう。 
●法律違反の政党は交付金減額 政治改革で論点整理―国民民主 1/10
国民民主党は10日、政治改革・行政改革推進本部の会合を国会内で開き、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けた政治改革の論点を整理した。国会議員が公職選挙法や政治資金規正法などに違反した場合、所属政党への政党交付金を減額するための政党助成法改正などが柱。来週にも正式に改革案を取りまとめ、通常国会での議論に臨む。
政治資金収支報告書の記載や提出に責任を負う者として、現行の会計責任者の他に政治団体の代表者(政治家)も加える政治資金規正法改正や、政治資金問題に関する調査や提言を行う第三者機関の国会への設置も盛り込んだ。
政策活動費を含めた政治資金の透明化を図るための銀行振り込みの義務付けや収支報告書のデジタル化に向けた議論も続ける。会合後、玉木雄一郎代表は記者団に「他の野党や公明党、自民党と早急に協議を開始することが重要だ」と語った。
●安倍派議員逮捕 不正の全容解明を急げ 1/10
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題は、現職国会議員の逮捕に発展した。派閥ぐるみの事件の全容解明が急がれる。
東京地検特捜部が、政治資金規正法違反(虚偽記入)の容疑で、最大派閥の安倍派の池田佳隆衆院議員を逮捕した。2018〜22年、派閥から約4800万円の還流を受けたにもかかわらず、政策秘書と共謀し、資金管理団体の収支報告書に載せなかった疑いが持たれている。
特捜部は「形式犯」ともされてきた規正法違反での逮捕に踏み切った理由について、「罪証隠滅の恐れが大きい」と説明した。関連のデータを廃棄し、事務所関係者同士のLINE(ライン)のやりとりを削除したという。
裏金疑惑が表面化して以降、池田容疑者は雲隠れし、自ら説明していない。渦中にあって証拠隠しに動いていたとすれば極めて悪質であり、言語道断だ。
安倍派の裏金は時効にかからない直近5年間で6億円近くに上る可能性がある。ノルマを超えたパーティー券の販売収入を所属議員に還流し、派閥側と議員側の双方の報告書に記載しない慣行が続いていたとされる。議員が派閥に納めず手元にプールする手口もあったという。
100人近くいる安倍派議員の大半が同じ構図で還流を受けたとみられる。中でも池田容疑者は高額だった。明るみに出た当初は報告書に記載不要な「政策活動費」と認識していたとし、報告書の訂正で済ませようとしていた。
国民の疑惑を招くことなく、公明正大に収受を行うとする規正法の理念をないがしろにする態度には、あきれるほかない。
特捜部は、歴代の事務総長を含む安倍派幹部や二階派会長の二階俊博元幹事長も任意で事情聴取した。裏金の額が大きい安倍派の大野泰正参院議員、谷川弥一衆院議員の立件も検討しているというが、金額の多寡で線引きすることなく捜査を徹底し、派閥が主導したカネの流れを究明すべきだ。
自民党は池田容疑者を除名処分とした。近く新設の「政治刷新本部」の初会合を開くが、党組織として実態を調査し、説明責任を果たすのが先ではないか。
岸田文雄政権が発足して2年余りで、自民議員の逮捕や起訴は4人目である。今回の逮捕を受けても首相は「大変遺憾であり、重く受け止めている」と決まり文句を繰り返すだけだった。これでは政治への信頼回復などありえない。
●自民党の政治資金問題 「なぜ裏金にするのか 書けない金だからですよ」 1/10
「小泉チルドレン」でもあった元衆院議員の杉村太蔵氏(44)は10日、テレビ朝日系「大下容子ワイドスクランブル」で、自民党安倍派のパーティーをめぐる政治資金事件に言及した。
同派に所属し、政治資金規正法違反で逮捕された衆院議員の池田佳隆容疑者(57=7日に自民党を除名)がキックバックを受けた4800万円あまりが「裏金」となる中、その使用目的が論議の的になっている。
杉村氏は「今、キックバックの話があるじゃないですか」とした上で「企業や団体に派閥のパーティー券を売りました。そこから議員個人にいったらダメだけど、派閥の政治団体から議員の政治団体への寄付は、政治的にさておき、法的には問題ない」という、一般では分かりにくい構造について説明した。
さらに「要するに(収支報告書に)書けばいいということ。これ、何で書いてないか、って言ったら、裏金ですよね」と語り「その裏金、って何でそんなに裏金にする必要があるの? って、言ったら書けない金だからですよ。(議員の)地元で飲み食いに使っていたとして、仮に、地元の有権者におごっていたら、これ、アウトですから」と両手を広げながら声を張り上げた。
その上で「あれ、何で自民党、って選挙強いの? あれ、パーティーやって裏金つくってバラまいていたの? って。そういう不信感があるから、岸田さんは徹底的にリーダーシップを発揮して改革しないと大変ですよ、というのがボクの考えです」と締めくくった。

 

●死人に口なし!自民党安倍派の還流処置は「会長マター」 1/11
自民党安倍派の裏金事件で、派閥の実務を取り仕切る事務総長だった複数の幹部が、東京地検特捜部の聴取に対し、政治資金パーティー収入のノルマ超過分のキックバック処理は、派閥の会計責任者である事務局長から会長に直接報告される「会長マターだった」と供述しているという。11日の毎日新聞が報じた。
安倍派の会長は2018年から21年11月までは、昨年11月に死去した細田前衆院議長、それ以降は22年7月に銃撃事件で死去するまで安倍元首相が務めていた。
同紙は、事務総長を務めた下村、松野、西村、高木の4氏のうち誰が死者に責任をなすりつけるような供述をしているかは明らかにしていないが、全員、収支報告書への不記載について事務局長との共謀を否定しているという。
まさに「死人に口なし」で、醜悪としか言いようがない。
●岸田首相、「鈍感力」で逃げ切りか…パーティー裏金は「安倍派の問題」 1/11
「派閥の罪」をどう問うか
自民党最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の池田佳隆衆議院議員(57)を派閥からキックバック(還流)された4826万円の政治資金を収支報告書に記載していなかったとして逮捕した東京地検特捜部は、ほぼ同額の不記載が明らかな大野泰正参院議員(64)と谷川弥一衆院議員(82)を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で立件する方針を固めている。
次の焦点は「ノルマ以上の還流分」を池田容疑者ら所属議員に還流させていた「派閥の罪」をどう問うかである。既に、これまでの捜査で安倍派事務局長の松本淳一朗氏が会計責任者として「不記載処理」の事実を認めており立件は可能だ。
だが、事務責任者に過ぎない松本氏が時効にかからない範囲の5年間で6億円近くを裏ガネとし、それを実績(ノルマ以上)に応じて議員に還流させる処理を、派閥幹部の政治家に報告せず、単独で行なうことなどありえない。
「本丸」は、「派閥ぐるみの裏ガネ化」というシステムを継続し、事務方にその運用を指示していた政治家である。直接の担当は事務局を統括する事務総長だ。この5年は、下村博文元文科相、松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業相、高木毅前国会対策委員長といった派閥幹部で回してきた。
特捜部は歴代事務総長に加え、座長の塩谷立元文科相や松野、西村、高木の3氏とともに「安倍派5人衆」と呼ばれる実力者の萩生田光一前党政調会長、世耕弘成前党参院幹事長らを参考人聴取しているが、いずれも不記載への関与を否定しているという。
松本氏ら事務方の証言だけでなく、政治資金規正法上の職務権限のない政治家の罪を問うには、会計責任者に指示したことを示すメモやメールなどの電子データが必要で、共謀共同正犯に問うためのハードルは高い。
首相の危機感は薄い
だが、検察が問おうとしているのは「派閥の罪」であり、その派閥を企業献金を禁じた法規制の抜け穴をつく形の政治資金パーティーで連綿と維持させてきた「自民党の罪」である。
スピード違反の取り締まりのように、「5000万円内外」といった検察が“勝手”に定めた基準に添って、末端の政治家だけを立件したのでは意味がない。
しかし「場合によっては安倍派議員止まり」という情報でも得ているのか、岸田文雄首相の危機感は薄い。
1月5日の党役員会後、立ち上げを表明した「政治刷新本部」について記者団に問われ、「党一丸となって取り組む。こうした組織を通じて我が党の信頼回復に努めなければならない」と述べたが、陣容も方針も信頼回復にはほど遠い内容だった。
メンバーは茂木敏充幹事長、森山裕総務会長、小渕優子選挙対策委員長ら党7役や首相側近の木原誠二幹事長代理が中核となり、最高顧問に麻生太郎副総裁、菅義偉前首相が就任する。
茂木、森山、麻生はいずれも派閥の長で、小渕氏はかつて秘書らが政治資金規正法違反に問われた過去があり、証拠のハードディスクにドリルで穴を開けたことから今も「ドリル優子」と揶揄される。
「刷新」などできるのか
木原氏は「夫人が前夫の死に絡んだのではないか」とする報道の際、「政治力を利用して事件潰しを行なったのではないか」という疑惑を指摘されながら取材にいっさい応じることなく、説明責任を果たさなかった。
「リクルート事件並み」と称される今回の派閥パーティー券事件だが、リクルート事件は「政治とカネ」の厳しい批判を引き起こし、89年に自民党は「派閥解消」の必要性を訴える「政治改革大綱」をまとめた。そのうえで政治改革に取り組み、94年1月、政治改革関連4法を成立させた。
小選挙区制と政党交付金制度の導入が柱だったが、結局、自民党は政治家が代表を務める政党支部への献金を許容し、なかでも政治資金パーティーは20万円以下の購入については記載する必要がなかった。
政治家と献金者の双方に使い勝手がよく、政治資金規正法の抜け穴となり、その“歪み”が今回の事件につながった。
派閥解消を成し得なかったばかりか、「カネのかかる政治」を除去する名目だった小選挙区制も金権政治の土壌を変えるに至らず、「国民ひとりあたり250円」を拠出する政党交付金は、政治と企業・団体との癒着を断つのが目的だったのに、政党支部での献金受け取りや政治資金パーティーによって、税金と企業献金の二重取りを許すことになった。
岸田首相は、政治改革の骨抜きやその結果生まれた今回の事件を真摯に受け止めてはいない。派閥会長が顔を並べ、過去の事件で説明責任を果たさなかったメンバーで、どのような「刷新」ができるというのか。
党全体が抱える問題
現時点での対応策が、「政治資金パーティー券の売り上げの振り込み」や「パーティー収入の党による監査」というのだから政治資金パーティーの存続が前提条件で、この人に「政治の在り方」を変える気などない。
派閥パーティー事件で国民が改めて感じたのは、政治家の身勝手な政治資金利用だった。中小零細業者は経費を細かく制限され、領収書なき支出は1円だって認められず、しかも昨年導入のインボイスで面倒な帳簿作成を余儀なくされた。
政治家は金額によって領収書なしの「秘匿」を認められ、しかも一切の使途を問われない「政策活動費」なるブラックボックスもある。政治資金規正法に連座制はなく、会計責任者の罪で終る例が少なくなかった。
企業なら代表がカネ絡みの不祥事の責任を取るのは当然のこと。政治家のように「政治にはカネがかかる」と税金と献金の二重取りをして野放図に使いながら、「不記載は知らなかった」が通るはずもない。
伊藤文規特捜部長は、昨年4月の就任会見で「正直者が馬鹿を見る社会をなくしたいという気持ちから検事になった。社会に潜む不公平、不公正な犯罪を摘発したい」と述べた。その言や良し――。
派閥パーティー券事件が安倍派中心の摘発となったのは、「安倍一強」の驕りから派生したものだけに無理はなかったが、「従」の立場で安倍派とともに家宅捜索を受けた二階派を含め、自民党全体が抱える「政治とカネ」にまつわる問題であることは明らかだ。
特捜捜査はなべてそうだが、限られた陣容から一罰百戒にならざるを得ず、検察捜査を報道で補完するマスメディアとともに、摘発後の自浄作用を期待する。
「鈍感力」で逃げ切り
岸田首相は、臨時国会閉会翌日の昨年12月14日、安倍派の松野官房長官を含む4閣僚と副大臣5人を交代させた。その後、萩生田、世耕の両氏も退任し、岸田政権から安倍派は一掃された。
最大派閥の枷が取れて岸田氏の血色はよくなり、発言にも余裕が出てきた。「派閥パーティー事件は安倍派の事件」という認識なのである。
1月26日とされる通常国会開会までにメドを付けるという検察捜査は大詰めを迎えている。池田容疑者ら3議員と、安倍派、二階派の会計責任者の立件は間違いないが、前述のように最後に残るのは、派閥と議員の双方が不記載という意味で悪質な安倍派で事務局長に指示を出した政治家を突き止め「派閥の罪」にできるかどうかである。
それを経て開会する国会では、政治資金規正法改正を含め、政治資金の在り方が問われる。検察は「社会に潜む不公正」の一端を明かして道筋はつけた。だが、岸田氏は安倍派排除のうえで派閥を温存する「鈍感力」で逃げ切りを果たそうとしている。野党もメディアも逃してはなるまい。
●実質的“派閥オーナー”森喜朗元首相逮捕!? 特捜部が一網打尽 1/11
石川県能登地方を震源とする最大震度7を観測した地震と、東京・羽田空港で日本航空と海上保安庁の航空機同士が衝突した事故は、今年が波乱の年になることを予感させるのに十分な出来事となった。
自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑はすっかりかすんでしまったが、被災地の石川を地盤にしていたのが安倍派の実質的オーナーである森喜朗元首相とあっては、何やら因縁を感じずにはいられない。
「地震が起きた瞬間、真っ先に頭に浮かんだのは森元首相です。森氏の子飼いで安倍派だった馳浩元衆院議員が石川県知事を務めていることからも分かるように、石川は清和会の牙城です。東京地検特捜部の捜査ばかりが注目されるのを忌み嫌った森氏が地震を招いたと言うのは不謹慎ですが、どうしても結び付けて考えてしまいます」
そう語るのは全国紙政治部デスクだ。地震が発生した1月1日。東日本大震災以来の大津波警報が発令され、輪島市の観光名所「輪島朝市」周辺では大規模な火災が発生するなど、国民に与えた衝撃は大きかった。
この日、産経新聞は朝刊1面トップで、安倍派の政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部が派閥の元会長である森氏の関与の有無について確認を進めていることが分かった、というスクープ記事を掲載した。
見出しは「東京地検 森元首相の関与有無解明へ」。同記事によると、特捜部から任意の事情聴取を受けた議員が、安倍派パーティー券収入の還流分の使い道を聴かれた際、使途先について「森氏が含まれていなかったか確認された」と話しているという。この議員は森氏への資金提供について否定したらしい。
使途先に含まれていようがいまいが、キックバックの仕組みを構築したのは森氏といわれ、永田町でも森氏が裏金疑惑に関わっていたのは、公然の秘密になっているという。安倍派議員の秘書はこう明かす。
「裏金に森氏が関わっていないなんてことはあり得ません。パーティー券の販売ノルマ超過分を議員にキックバックし、派閥の政治資金収支報告書にも議員の報告書にも記載しない手口は20年以上前から行われていた。20年以上前といえば森氏が会長のときですよ」
裏金関与≠実態解明!
森氏は20年以上前の1998年に清和会の会長に就任。00年の首相就任時に小泉純一郎元首相に会長の座を譲ったが、01年に小泉氏が首相となり派閥を離脱したため会長に復帰し、町村信孝元衆院議長に代わる06年まで務めた。つまり、先の秘書が話すように森氏が知らないわけがないのである。
そのためか、ネット上では《自民党の金権体質の権化と言ってもいい森喜朗までたどり着ければ大したもん》《この人に関しては五輪絡みのあれやこれやも深く追及して欲しい》、《新年早々幸先がいいねぇ! 検察頑張れ!》《老後は塀のなかへ》などのコメントが書き込まれたほど。
また、永田町では「特捜の本丸は森氏」と逮捕説までささやかれており、「サメの脳みそ、ノミの心臓」と揶揄された森氏はさぞや落ち着かなかったに違いない。地震が起きるまでは…。
岸田文雄首相は1月4日に行った年頭の記者会見で、党総裁直属の「政治刷新本部」の発足を表明したが、メディアの反応はあまりよくなく、地震で膨れ上がる死者数の話や、生存率が大幅に下がるとされる発生72時間経過後の奇跡の救出の話、航空機衝突事故の続報などにジャックされた。
特捜部のターゲットにされ戦々恐々としていた森氏は、この動きにホッと胸をなで下ろしたことだろう。
もっとも、裏金疑惑の話題がしぼんだかのように見えるのは、メディア上での話。
司法担当記者によれば、「特捜は地震があったからといって捜査を中断するわけもなく、通常国会の開会が予定されている今月26日までに捜査を終結させるべく、粛々と調べを進めている」という。また「森氏に対し任意聴取する可能性は大いにある」(同)というから、ホッとしている暇はないのだ。
一方、政治資金をめぐる話題が減ったことである意味救われたように見えるのが、一連の裏金問題などで退陣必至といわれていた岸田首相である。
政治資金収支報告書の過少記載が問題になっても、首相は各派に期限を区切って調査をさせることもせず、実態解明は何も進まないまま。そんな指導力のない首相を国民は見放しつつあり、それが内閣の低支持率につながっている。
もはや解散するだけの体力もなく、3月に24年度予算が成立した暁には、退陣するとの見方が強かった。だが、今後、能登半島の復旧に向けた取り組みも進めなければならず、退陣している場合ではないとの声が自民党内でも出始めている。指導力を発揮する機会が到来したとも言えるのである。
1月7日、東京地検特捜部は派閥(安倍派)から約4800万円のキックバックを受け、政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたとして、安倍派の池田佳隆衆院議員と会計責任者の2人を政治資金規正法違反容疑で逮捕した。
地震をめぐる権力者たちの悲喜こもごも。その行方から、しばらく目が離せない状況が続きそうだ。
●大迷惑!紙棒読みするだけ岸田首相の「被災地、観光旅行」を止めさせよ 1/11
岸田首相は13日にも被災地入りをするという。被災地では急ピッチでのインフラ整備が進む中での総理視察に、重い負担がのしかかることは間違いない。作家で元プレジデント編集長の小倉健一氏が解説する――。
突然の「内閣総理大臣の岸田文雄です」に唖然
1日に1度、政府、石川県、被災自治体が集まり、ウェブ会議で、連絡や調整や要望を伝える大事な会議が開かれている。災害対策本部会議だ。1月11日で第18回を迎える。1月1日夕方に発災した能登半島地震から、毎日、発災直後は1日に2度、開催されてきた。
Youtubeで一般に公開されているので、被災地の現状を知るのに非常に役に立つ。驚いたのは、1月9日の第16回災害対策本部会議だ。能登町の町長が、災害状況を伝えていると、突然、発言を遮り、「総理大臣が(ウェブ)会議に入ってきた」として、能登町の発言(動画では45分過ぎ)をストップ。どれだけ緊急を要する発言が始まるのかと思っていたところ、こんな話をしはじめた。
「内閣総理大臣の岸田文雄です。えー、本日は、石川県の、えー、災害対策本部会議に、参加する機会をいただきまして、誠にありがとうございます。えー、お亡くなりになられた方々に、心から、えー、哀悼の誠をお評させていただきますとともに、 えー、被災された全ての、ま、方々に、お見舞いを申し上げさせていただきたいと存じます 。えー、決して諦めることなく、え、救助活動が、ま、続けられて、えー、おりますが、あー、石川県内で・・・」
今週末、総理の被災地視察を調整中
全文を引用するのはやめておくが、この後、延々と、当たり障りのないメモをひたすら読み上げていく場面が続く。その模様は動画でも確認できる。
岸田首相によるダラダラと要領の得ない発言が続き、最後に「えー、常に皆さんと共に、心を同じくして、そして、 被災者、被災地の皆さんに寄り添った、対応に、全力、で、えー、取り組んでいく、全力を尽くしていく、 この覚悟を改めて申し上げさせていただきまして、私からのご挨拶とさせていただきます。どうか皆さん、今後ともよろしくお願いいたします」と、ようやく大演説が終わる。
当日(1月9日)の総理日程をみても、前後には官邸や閣僚とのミーティングがあるだけで、緊急を要するものはまるでない。原稿を読み上げるだけのことで、被災地の発言を強引に中断させる意味がよくわからない。
そして、この日に、岸田首相は、石川県へ「被災地視察」を伝えた模様だ。1月10日のNHKニュースにはこうある。
「能登半島地震を受けた政府の対応をめぐり、岸田総理大臣は、適切な支援を着実に進めていく上で被災地の実情を直接把握したいとして、早ければ今週13日にも現地を視察する方向で検討しています」
「ただ、天候や自治体の受け入れ態勢など状況しだいでは、翌14日以降にずらすことも想定していて、慎重に見極めた上で最終判断を行う方針」
「視察では、自衛隊機で現地に赴き避難所や支援物資の集積所を訪れるほか、石川県の馳知事をはじめ自治体関係者と意見を交わす案などが協議されていて、政府は日程とあわせて詰めの調整を続けています」
「ぜひきてほしい」態度を豹変させた馳知事
この報道を受けて、石川県の馳浩知事は、記者会見(1月9日)で、記者に「岸田首相が13日、被災地入りと調整という報道があります。知事への報告は来ていますか」と問われ、知事は「昨日連絡が来ました。私と石垣副知事が同行します。これまで私も正直、もうずっと被災地行ってみたい気持ちはありますが、私自身は、 発災以来ずっとこの県庁に住んでおります。知事室で24時間対応をし、さまざまな情報を踏まえて、決済をし、古賀篤防災担当副大臣と政府側との調整もし、 時には直接大臣や知事の皆さんとやり取りをするというミッションをしております。13日に岸田総理が来られた際に現地入りしたい」と述べている。
つまり、現地の知事ですら被災地入りをしていない状況で岸田首相がやってくるということ、被災地視察は現場の要望ではなく、岸田首相側の要望ということがわかる。
翌、1月10日の第17回災害対策本部会議では、馳知事は「総理におかれましては、ぜひ現地を視察していただきたいと思っておりまして。え、天候の様子も見てですね。 週末にはお願いしたいと思っております」と、態度を変えている。向こうがやってくることに、戸惑いもあったのだろうが、昨日の会議では、多額の復興予算を岸田首相に要望したばかりとあっては、機嫌を損ねないようにということだろう。被災地の苦労がよくわかる、態度の急変である。
総理視察のため、被災地で「掃除」を実施
一般に、総理大臣が官邸を離れ、地方を視察する際には、首相秘書官、SPのほか、関係省庁の担当者など数十人単位の人間が随行する。現地でも警備担当者、案内を担当する自治体の幹部など100人規模で動員されるのが普通だ。たった20分の視察だとしても、現場の側で準備にどれほど時間が必要かは、少し考えたらわかるのではないか。
被災地の視察も同様だ。大規模な震災発生直後はまず、人命救助と被災者救済が最優先に決まっている。自衛隊のヘリコプターにしても、総理大臣を乗せるよりも、孤立した地域の人々を救出したり、緊急救援物資を届けたりするために使うべきだということは誰でもわかる。現地の警察は被害状況把握につとめるべきで、総理のための警備に人員を割く余裕などあるわけがない。
被災地の救助、支援業務にあたる関係者は、こう語る。
「総理視察が現時点で有力視されている輪島市では、震災による火災での消失地域で、1月10日、警察消防による一斉捜索が行われました。官邸からの指示です。唐突な指示だったので、現場に戸惑いが広がりました。火災での消失地域に、生存者や生活支援を求める人などいません。いつかはやらなければならないでしょうが、今、やるべきことなのか。総理が現地入りする前に、メディアへの見せ場を綺麗にしておく掃除作業だとすれば残念です」
危機管理のプロ・飯島勲を起用せよ
危機においては、官邸に情報を一元化し、課題に優先順位をつけ、衆知を集めて指示を出す。そして、トップは大局を見据え、国民にビジョンを示す。これが日本のリーダーである岸田首相の今やるべき、仕事なのである。
これでは、総理視察ではない。ただ見に行くだけの「観光旅行」である。間違ったことを言わないためには原稿を棒読みするだけいいのだろうが、それが被災民の心を和らげることはないだろう。
自分の延命ばかりが気になっているのだろうが、被災地の負担を考えたことはないのだろうか。道路インフラがある程度復旧され、復興計画がまとまった段階で十分だ。視察をみて、被災地へさらなる支援を発表する段取りを組むなど、官邸も、岸田首相の低支持率に頭を悩ましているのなら、もう少し頭を使うべきだろう。
政治家は将来の大きな災害を想定して防災の方針を指示し、官僚はその指示に従いながら、突発的な災害に迅速に対応する。想定外の災害が起きたときには、同じ悲劇を繰り返さないように準備する。例えば、伊豆半島などは、能登半島と同じことが起きるのではないかと噂されている。現時点で、大規模な被災シミュレーションを実施しておくべきだ。
官邸には、飯島勲氏という日本史上最強の危機管理のプロがいたはずだが、岸田首相はなぜ積極的に活用しないのだろう。有事には有事の、プロフェッショナルに知見を求めるべきだ。
●焦る岸田首相、夜10時に「当日消費期限切れおにぎり」到着…お粗末舞台裏 1/11
元日に日本を襲った能登地震に対する政府対応が混乱を来している。官邸や防衛省の関係者、被災現場の声に耳を傾けると、岸田文雄首相が率いる官邸の拙い司令塔ぶりが浮き彫りとなった。
能登地震の被災住民から受けた 「現場写真」を含む情報提供
1月1日夕方、能登半島を大きな地震が襲った。筆者は、実家(実家の墓)が金沢市内にあり、石川県には浅からぬ縁を持っている。石川県は、北部の能登と南部の加賀で成り立っている。金沢市があるのは加賀で、幸いにして親戚や友人、知人で大きな被害を受けた人はいなかった。
また、金沢は1月6日の段階で、「完全に日常に戻ったとまではいかないまでも、普通に生活している」という情報を知り、1月7日に金沢へ入った。行ってみると、たしかにそこには普通の生活が存在していた。加賀にある旅亭懐石「のとや」の公式ホームページにはこんなことが記されている。
「旅亭懐石のとやですが、能登震源地から遠いこともあり、幸いにも現状大きな被害はございません。余震も全く感じることもなく、通常通り営業しております」
「被災を受けなかった私達こそ、今できることを頑張ろう、経済を回し、石川県全体を元気にしようと考えました」
被災地の近くまで行けたことで、被災者と直接話をすることができた。今回、筆者が被災した住民から受けた情報提供(写真を含む)も踏まえて、本稿を書く。
今、「不要不急」の人間(政治家、ボランティアなど)が被災地に入ることに大きな批判が巻き起こっている。それは単純に被災地で道路インフラがズタズタになってしまっていて、慢性的に渋滞してしまっているためだ。
金沢から能登へと向かうケースは、被災者であっても緊急を要さない場合、高速道路を使わずに一般道路を使うよう指示が出ている。道路にはヒビが入っており、たとえ一度は修復したものでも、余震が続いていてヒビがまた大きくなっていることがよくある。そのため、夜や雪道では相当に慎重な運転が求められている。
さらに、能登半島北部では村落や集落の孤立化が激しい。土砂崩れや陥没で道路の寸断が相次いでいるためだ。生活に不可欠な飲料水や物資が尽きかけた場所も多い。津波被害に大雪まで加わり、被災者の疲労は日に日に限界へと近づいている。
岸田首相率いる官邸の 調整機能欠如とむちゃ振りで大混乱
そこへ、岸田文雄首相率いる官邸の「プッシュ型支援」がやって来る。
「プッシュ型支援」とは、災害などの緊急時に、支援が必要とされる地域や人々に対して、その人々の要求を待たずに積極的に支援物資やサービスを提供するアプローチのことを指す。この方法は、支援の迅速化や効率化を目的としている。ただし場合によっては、実際のニーズと合わない支援が行われるリスクもあり、プッシュ型支援を行う際は、事前の情報収集や地域の状況把握が非常に重要となる。
「支持率が低迷する岸田首相は、何とか挽回のチャンスを得たいと焦っているようです。内閣府、自衛隊や警察の対応が思い通りにいかないと感じた官邸は、自治体のトップと岸田首相との『ホットライン』で得た情報を、『そのまま』『最優先で』『実行』するよう指示が飛んでいます」(防衛省関係者)
震災直後の自治体トップは冷静さを欠いていることがあり、これまでの震災の経験を踏まえた判断が官邸には求められるのだが、それを岸田首相はあえてしなかった。
「プッシュ型支援においても、内閣府が主体となって行う政府支援、経済産業省独自の支援、防衛省独自の支援が総合調整されないままに始まり、ニーズ取りも個別、物資の選定や輸送も個別で大混乱してしまった」(同)
「多少の混乱があるのは仕方ない面がありますが、被災地から『輸送された当日までしか消費期限がない大量のおにぎりが運ばれてきた』と抗議がありました。また、誰がまとめたか分からない出どころ不明の孤立者リストが出回り、これを『しらみつぶしにチェックしろ』という指示が飛んだのです。とにかく問題の根本は、岸田首相と自治体のトップとの直電話、ホットラインです。ホットラインを受けた岸田首相は『とにかく全力で何とかしろ』という指示を飛ばすのみ。冷静な判断力を失ってしまった」(同)
自衛隊が現場で得た実際の状況に関する情報や、緊急を要している行動の観点からはかけ離れた指示が最高司令官である岸田首相本人から飛んでくるのである。「現地の声を聞く、寄り添う総理」をアピールしたいのは分かるが、現地へマイクロマネジメントを仕掛けては混乱するだけであろう。
「混乱を極めたのは、官邸からの『被災地のニーズを確認するための御用聞き部隊を編成しろ』というむちゃ振りでした。そんなことに余力を割けるようなタイミングではなく、物資を支給する部隊が、配る際に住民からニーズをくみ取ればよかった。バックヤードで、混乱しがちな現場を落ち着かせる役目が本来、官邸には求められたはずです。しかし、官邸は混乱ばかりを招いてしまった」(同)
指揮系統がパニックに陥った結果 「消費期限切れ直前おにぎり」到着
また、現地の自衛隊が頑張れば頑張るほどに、官邸は怒りのボルテージを上げていったという。
それは、能登半島中部で、自衛隊による給食支援が始まった、1月4日昼のことだ。当時のことについて、防衛省・自衛隊(災害対策)のX(旧Twitter)アカウントは次のようにポストしている。
「#統合任務部隊 (#中部方面後方支援隊)は #輪島市 三井公民館において #給食支援 活動を1月4日昼から開始しました。自衛隊は引き続き、被災者の皆様のニーズに可能な限り応えられるよう全力を期して参ります #災害派遣 #石川県 #令和6年能登半島地震」(1月4日16時57分)
この迅速な対応が称賛されるかと思いきや、官邸の反応は違った。
「何で他の地域で支援が始まっていないんだ!今日中に始めろ!と激しい怒りの指示が飛びました」(官邸関係者)
誰もが急いで給食支援を行いたいのである。準備ができたところから開始したわけで、他の部隊がサボっているわけでも何でもない。小さな成功を称賛してこそ、現場は奮い立つのだ。
そして、怒りでパニックになった指揮系統によってこうしたことが重なり、先の防衛省関係者のコメントにあった「輸送された当日までしか消費期限がない大量のおにぎりが運ばれてきた」という事件につながっていく。
事実、1月6日に開催された「第13回災害対策本部員会議」(動画では30分過ぎに当該コメント)では石川県能登町の町長が次のように発言している。
「数々のご支援ありがとうございます。次から次と支援の方が能登町に訪れまして、たくさんのご意見をいただきながら勉強をさせて頂きながら対策を進めているところです。被害状況につきましては今日ようやく調査の指示を出したところです」
「これまでの支援を頂いて、ものすごく助かっていますが、昨日(1月5日午後)10時過ぎにおにぎり等の支援が到着しました。そのおにぎりの消費期限を見ますと1月5日であった。5日の晩に届いたおにぎりの消費期限が5日でありました。これを次の日になって被災者へお届けするのはいかがなものかと思いまして非常に悩みました。ぜひ、消費期限の少し長いものとか、できるだけ早い段階での物資の輸送をお願いしたい。文句を言っているわけではなくて、こういう事実があったということをご認識いただければと思っています」
司令塔の混乱ぶりをうかがわせるエピソードであろう。
「現場での被災者のための行動」と「総理、官邸による実績アピールのための行動」が乖離(かいり)し、総理のトップダウンによる災害対応は、被災者のためではなく、自身と政権のためでしかなくなっている。情けない限りだ。
●元徴用工訴訟の原告側、日立造船の「供託金」差し押さえ申請…勝訴確定 1/11
韓国の元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟で、昨年末に日立造船に対する勝訴が確定した原告側が10日、裁判所に預けられている同社の「供託金」の差し押さえを申請した。原告側が本紙に明らかにした。
韓国大法院(最高裁)は日立造船に5000万ウォン(約550万円)の損害賠償を原告の韓国人男性1人に支払うよう命じている。原告側が供託金を手にすれば日本企業に実害が及び、請求権問題が「完全かつ最終的に解決」したとする1965年の日韓請求権・経済協力協定に反することになる。
日立造船などによると同社は2審で敗訴した直後の2019年1月、「韓国内資産の強制執行を防ぐため」として6000万ウォン(約660万円)を裁判所に供託した。今回の原告側の申請は、この供託金を賠償金として差し押さえるための手続きだ。
18年の大法院判決で敗訴が確定した新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業の賠償金相当額を原告に支払うため、韓国政府傘下の財団が裁判所に預けようとしている供託金とは異なる。裁判所の判断には数か月かかる見込みという。
●子どもが3人いても「大学無償化」の対象にならない!?  1/11
2023年12月22日政府は「こども未来戦略」を閣議決定しました。この政策は、若年人口が急激に減少する2030年代に入る前に少子化が進む状況を転換させることを目指し、特に若者子育て世代の所得向上に焦点を当てています。
「こども未来戦略」では、具体的な施策として出産などにかかる経済的負担の軽減や児童手当拡充などが挙げられており、高等教育費の負担軽減の対象拡大も計画されています。しかし、この大学の授業料支援には不公平という声が多く上がっています。なぜ今回の大学無償化が批判されているのかを調査してみました。
不人気の理由は多子世帯が対象となる不公平感
今回の大学無償化に関する施策の中心は2025年度からの措置となりますが、実は現在も授業料免除などの支援は存在しています。
現行の制度では、国公立大学では約54万円、私立大学で約70万円(入学金は国公立約28万円、私立約26万円)を上限として授業料の支援が行われています。これが世帯収入によって全額支援、2/3支援、1/3支援など割合が変わります。
今回の閣議決定で発表されている支援では、所得制限が撤廃されていますが、その条件は多子世帯、具体的には扶養される子どもが3人以上の世帯が対象となっています。多子世帯でなくても今までと比較して損をするわけではありませんが、「あの家庭の子どもは全額支援対象になるのに、うちの子は対象にならない」という事象が発生することになります。
また、扶養される子どもが3人以上の世帯が対象となるため、第3子の大学入学時に第1子がすでに就職して扶養から外れている場合、第3子は対象となりません。子どもが3人いるから全員、大学授業料が免除されるわけではないということに注意しなくてはなりません。
そんなに短い期間で家族を増やすなんて経済的にできないと考える人が多いことでしょう。対象となる基準を満たすことが難しいという点が、この制度が批判されている大きな理由のようです。
大学の学費は国公立およそ200万円、私立400万円
文部科学省が公表している「国公私立大学の授業料等の推移」によれば、(学部等によっても異なると思いますが)年間の授業料は国立大学が53万5800円、公立大学53万6191円、私立大学95万9205円となっています。
大学生活を4年間と仮定すれば、授業料は国公立でおよそ200万円、私立では400万円程度となり、これ以外に入学金や仕送りなどを含めれば、さらに必要な金額は大きくなります。
この金額が子どもの人数によって変わってくるのであれば、子どもが2人の家庭などは不満を感じてしまうかもしれませんね。この大学無償化に限らず、条件(例えば世帯収入や子どもの人数など)を満たした場合にだけ受けられる支援というのは、不公平感が発生するために批判されることが多いように感じます。
扶養控除は減額も。子どもに関する支援は要チェック
冒頭で紹介したとおり、こども未来戦略では出産などにかかる経済的負担の軽減や児童手当拡充、金銭的な支援以外にも男性育休取得推進やひとり親などの子どもへの学習支援など様々な対策が講じられています。
一方で、16〜18歳までの扶養控除については、現行の所得税38万円、住民税33万円から、所得税25万円、住民税12万円に減額され、実質的な増税となります。
岸田政権は「異次元の少子化対策」を看板政策として掲げており、今後も子ども関連の税制改正などが行われる可能性は高そうです。現在子育て中の世代や、今後子育てを始める若い世代は、子育て関連の政策動向を注視しておくのが良いかもしれません。
●海外や軍事に湯水のように金を使うなら、同じだけ防災にも予算をつけろ 1/11
元日に北陸を襲った未曽有の大地震。その爪痕は予想を超えて深く、さらに追い打ちをかけるように降り積もる雪に救助は困難を極めている。
避難所の生活も万全ではなく、災害関連死が増加することが危ぶまれる。
それにしても政府の対応、とくに岸田総理を見ていると、無性に腹が立ってくるのはなぜだろう。
「初動の遅れ」を指摘する声もあるが、自衛隊派遣などは決して遅れてはいないという見方もある。
まず能登半島という特殊な地形。半島の入り口部分が狭まり道路が少ない。この道が寸断され車両が進めない。空路は能登空港に亀裂が走り着陸できない。では船はというと、接岸部分も隆起したりしていて、何よりも波が高く危険であった。
重機をホバークラフトで運んだのは4日。これも1日には準備されていたが、広島(呉にしかないらしい)から出発し、別の場所で重機を積んで最速で駆けつけた。自衛隊、警察、消防は本当によく頑張ってくれている。
だがそれにしても官邸は当初災害の規模を過小に評価していたのではないか。発生してすぐ日没だったということもあるが、2日の朝になって慌て出した印象がある。
能登が陸の孤島になり情報が入ってこない。津波警報が解除されるのが遅かったなど理由はあるだろう。しかしそれにしても東日本大震災の時のあの民主党政権のようなガムシャラさ必死さが感じられない。
4日に岸田総理は作業服を着て記者会見し、地震関連の発言の後、あろうことか憲法改正を語った。それ今言うことか。しかも、最後に質問できなかったフリーの記者犬飼淳氏(彼は総理会見に参加して1年3カ月一度も当てられていない)の原発に対する質問に完全スルー。薄笑いさえ浮かべて立ち去った。原稿以外に全く自分の言葉を持たないのだ。
しかもそれだけ急いで行った先はテレビ局、地震についても語ったが、その後は総裁選について笑顔で話している。
新年会のハシゴしている場合か
さらに次の日には新年会のハシゴ。ここにも作業服で出席。いや現場行かないんなら着なくていいだろ。しかもその作業服に来賓の赤い花をつけるというトンチンカンな格好。着させられるまま、つけられるまま。少しは自分で考えたらどうか。新年会はビデオ挨拶で済ませるとかの配慮はないのか。
災害が起こるたびに「想定外」と言うが、いまだに避難所の雑魚寝は昔のまま。海外や軍事に湯水のように金を使うなら、同じだけ防災にも予算をつけろ。大災害は毎年起こっているではないか。すぐに防災省をつくって、防衛費ぐらい金をつぎ込め。
「起こってから」ではない。「起こる前」にやれ。次は南海トラフが来るぞ。
●能登半島地震で問う、20年後に消滅する地域に多額の税金を投入すべきか 1/11
2024年の幕開け早々、能登半島北端の輪島市、珠洲市周辺を襲った巨大地震。山がちな半島特有の地形や寸断された隘路に悩まされていましたが、ホバークラフトが投入されるなどして、ようやく被災地に暮らしていけるだけの物資が輸送できるようになってきました。
大型の余震や豪雪などの悪天候もあり得る中で、ギリギリの人命救助や輸送作戦も行われています。石川県の皆さんだけでなく、応援に入られた各都道府県消防・防災ご担当者や防衛省・自衛隊、海上保安庁および電力会社や通信会社、医療関係者ほか各民間の皆さんのご努力には本当に感謝に堪えません。
総理の岸田文雄さんも、巨大地震発生の報が入るや発生1分後には対策室を設置。5分後には関係部門への指示出しを行うなど、きちんと初動の対策に力点を置き、状況把握や人命救助、物資輸送に尽力されました。
石川県知事の馳浩さんや副知事・西垣淳子さん以下、地元も不眠不休に近い激務にて対応を進めています。その結果、良い意味で、国と県・自治体および各省庁・民間の連携が取れたのではないかと思います。
余震も予想される中、気を緩めることなくご安全に対処を続けていただければと願っております。
災害関連死を含め、住民278人が犠牲になった2016年熊本地震では1万を超える自衛隊員が展開していました。それを踏まえ、一部のマスコミは自衛隊投入の規模や時期に関して岸田政権を批判する言動が見られます。
ただ、熊本にはもともと自衛隊基地や駐屯地がある土地柄です。また前述の通り、山がちな能登半島の場合、道路が寸断され、海面が隆起して港湾が使えなければ、陸路も海路もそう簡単には使えず、部隊を大規模に展開する平地も少ないという事情から、同時に大人数を投入することが困難であった事情は斟酌されるべきではないかと思います。
また、岸田政権に対する批判として、閣議決定で暫定的に出せる金額に過ぎない40億円前後の災害対策費が過少であるとの指摘もありました。ただ、これは国会審議を経る前に、政権の一存で出せる金額がまずは40億円であるというだけです。
2023年度(令和5年度)の予備費は4580億円ほど残っており、今月開催される通常国会で補正予算が順当に組まれれば、2月上旬には予備費を使い切るまでに充分な予算が投下できるようになるでしょう。現状では、岸田文雄さんは1兆円を超える復興予算を組むとされており、なかなか強烈なものがございます。
議論の仔細は大濱崎卓真さんが別で記事を書かれておりますので、そちらをご参照ください。
岸田政権によるここまでの激甚災害の対応を振り返ると、各省庁、石川県と関係事業者、医療関係者の活動を潤滑に進められるようセンター役に徹して、とてもうまく初動の災害対応は乗り切ることができたのではないかと思います。
他方で、石川県知事の馳浩さんが副知事の西垣さんと調整したうえで、奥能登の病院を一つにまとめる大胆な医療改革を元旦の新聞でぶち上げた夕方に、地震が起きたのはすごいタイミングでした。
ここでもし現地医療を支える珠洲総合病院や輪島総合病院、宇出津総合病院、穴水総合病院がなかったら、と思うと肝が冷える気がいたします。
もっとも、金沢大学など地元の医局もカツカツで回っている面もある中、この4病院は基幹病院としてはびっくりするほど不採算なので、能登半島地震の復興予算でこの辺の医療提供体制をどう扱うかという線引きを最初に決めておかないと本当に地雷だと思っています。そのぐらい、僻地での医療は大変なことなのだという思いを新たにしています。
今後は岸田文雄さんの現地入りと併せ、1月下旬に開幕する通常国会の前半では、1兆円規模と見られる能登半島地震の復興メニューに向けた政策議論が始まるのではないでしょうか。
さて、ネットでも米山隆一さんや飯田泰之さんら論客が復興のあり方について議論が重ねられていますが、目下問題になるであろう問題は掲題した「25年後には確実になくなっているであろう、珠洲市や輪島市などにある限界集落に復興予算をどこまでつぎ込むのか」です。
放っておいたらなくなる集落まで復興の対象とすべきなのか?
先に、この議論でよくある誤解を先に指摘しておくと、例えば、人口1万2000人あまりの珠洲市は高齢化率、つまり65歳以上人口(老年人口)の割合は51%を超えており、社会保障・人口問題研究所の推計では2040年時点の人口はおよそ7000人にまで減る可能性が示唆されています。激甚災害もあったことで、おそらくこの推計以上に人口減少は進むものと見られます。
これはあくまで市全体の人口推移であり、限界集落、超限界集落の高齢化率はほぼ100%。一部推計では完全有業者率(自ら何らかの業を営み生計を立てていて年金など何の政府補助も受けていない人)も、5%を切っていると見られます。
超限界集落した地域では、地域経済を支える存在は年金や生活保護などの政府扶助が主体とならざるを得ず、地域の文化を継承する次世代の住民もそう多くは見当たらないのが現状です。
問題は、例えば岸田政権が原案のまま1兆円ほどの能登半島地震の復興・再建プランを可決したとして、このような放っておいたらなくなる集落までも復興の対象とするべきなのかという議論が出てくる点です。
ここには、憲法第22条で国民に認められた居住、移転・職業選択の自由と、同25条のすべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、および同13条で定められた国民の幸福追求権・生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利との整合性を考えなければなりません。
理想論で言うならば、国民は住みたいところに住み、地域には長年にわたって育まれてきた土着の文化もありますので、そこに住む人がいる限り、可能な限り支援するべきだという議論はどうしても出ます。これはこれで正論と言えます。
他方で、国の財源に限りがある中で、そもそも人口が減少し、将来にわたって地域や集落の維持が困難である地域の復興にどこまで国費を投入するのかという点は議論が避けられない問題でもあります。
飯田泰之さんの指摘にもあるように、誤解が多く、総論賛成各論反対になりやすい論点であり、かつ画一的な被災集落の解体と移住を強要するものと誤解されてしまっている面もありますが、単に地域の人口を強制的に剥がしてきて都市部に集住させるという政策というわけではない点は、議論の前提として理解しておかなければなりません。
国土交通省や総務省などが検討を進めているコンパクトシティなど、自治体ごとに策定する都市政策と、これらの政策は別物であることも理解しておく必要があります。
「今回の復興では、人口が減り、地震前から維持が困難になっていた集落では、復興ではなく移住を選択する事をきちんと組織的に行う(促す)べきだ」と米山隆一さん問題提起したように、国民の権利選択の結果、勤労人口が過疎地域での就業を放棄して都市部に移り、猛烈な人口減少と高齢化が進んでいるのは間違いのないことです。持続可能性が絶望的な地域や集落に公費を入れて復興させる必要があるのかということは、議論しなければならない点の一つです。
もう一つは、これらの人口減少の事実をきちんと受け止めたうえで、国家が政策として人口減少による日本社会全体の縮退をどうコントロールするのかという話にもつながっていきます。
能登半島地震が問う冷徹な現実
熊本地震においても、復興不能な人口規模の地域は事実上の集落の解体が行われました。7700億円とも言われた復興予算も、それなりの割合が未執行(計画には盛り込まれたが、現地でのマンパワーや高齢化した住民のニーズに見合わず計画実施が見送られた)になっています。
さらに、地域の産業をどう復興させるかという論点もあります。
例えば、輪島市は日本でも大変重要な文化財でもある輪島塗の産地ですが、これらの産業を維持するために、政府が被災した事業者などに対して特融の制度を定めても、借り手の側がそのまま廃業してしまうリスクさえも存在します。
制度融資をいくら拡充しても、すでに借り手である事業者が高齢化している以上、仮に無利子無担保であったとしても、3年ないし5年の融資期間の先に自身で事業を担っているのかという点で確かなことは何も言えないからです。
結果的に、40代、50代の事業者のみが挙手をする形にならざるを得ず、文化を文字通り支えている70代以上の職人は廃業するか、他の事業者のもとで働くしかなくなるでしょう。
そもそも、輪島市や富山県氷見市も含め、日本海側の各地域に一定の人口が維持されてきた背景には、日本海側が長く我が国の海運の大動脈であり続けたという歴史的背景があります。
ただ、能登半島北端も、日本海側の海運の衰退とともに繁栄の理由を失って産業的な優位性を失い、結果として過疎化が進みました。いくら輪島塗が日本を代表する文化的事業であっても担い手を失いかねない現実に直面するわけです。
日本の“名宰相”とも謳われる田中角栄は、「山間部の60戸しかない集落では、病人が出たら戸板で運ばなければならない。そういう人たちのために12億円かけてでもトンネルをつくることが政治の役割だ」と喝破しました。
ただ、2C1Pacific氏も記載しているように、1億人の人口のうち高齢化率が1割程度であった70年代の日本と現在とでは、住民が求める生活の水準がそもそも異なります。
地域の電化率だけでなく、上水道やネットインフラはもちろんのこと、救急や産科小児科を持つ相応に設備のある基幹病院や子どもでも通うことのできる学校など、子育て環境がなければ地域で子どもを産み育てることができません。
その病院も含めた子育て環境も、厳しくなる人口減少と財政の問題から、石川県では奥能登の医療集約を進めようとしていたことは冒頭に述べた通りです。住民が安心して子どもを産める環境でなければ地域人口など増えるはずもないのですが、人口全体が減少してしまうとこれらの都市機能を維持することができません。
子育て世帯は勤労世帯ですので、結果的に子育て環境とよりよい仕事を求めて都市部に出ていくのもまた当然の帰結です。
このように、我が国の人口減少は画一的に起きていることではありません。子育てが可能で、地域で次の世代を育てることのできる地域以外は人口ボリュームを維持できず、生活機能と職場が失われ、衰退に拍車がかかるということです。
そういう地域に残るのは、どこに暮らしていても一定額の支給が得られる年金生活者と生活保護世帯、および市役所町役場などの公的部門だけです。
そういう生産性を失った地域が、今回の大地震のような激甚災害を受けて損害を被ったとして、その復興で災害の前の生活を取り戻すような公費を投じることが、どこまでならば妥当なのか、冷静に議論しなければならないでしょう。
これからの日本に必要な衰退のコントロール
必要なことは、どこまで縮小すれば、住民の努力である程度の自活ができるレベルまで地域が集約できるのかというブループリントをつくることです。
これらの災害対応で岸田政権をが打ち出す1兆円あまりの復興費用は、とりもなおさず税金であり、地域医療や年金という観点からすれば社会保障費そのものです。
災害復興が進んでも、地元の事業者が潰れて働き口がなくなれば、必然的に年金のみが収入の生活になる高齢者や生活保護を受けざるを得ない世帯が増えます。これらの財源は、日本の勤労世帯の社会保険料です。
地元の採算・生産性が回復する「良い復興」が進まなければ、国民の社会保険料負担はますます重くなるし、発行される国債が一層多額になり納税者負担となることを忘れてはいけません。
勤労世帯の社会保険料負担が重くなり、重税感が国民に広まっているにもかかわらず、こういった生産性が乏しく、自活が難しい地域の復興予算を充分に出すべきだという話が併存してしまうのは、国民の適正負担の観点から見ても公平性を欠くうえに、そもそも矛盾しています。
地震のような、誰のせいでもない災害に遭ってしまうことは、地域住民の責任ではなく仕方ないことなのだとしても、その復興がある程度、自力でできない限り、いつまでも公費で地域丸ごと被災者を助け続けることはできないということです。
もちろん、このような議論が行き過ぎれば人口減少の地方は姥捨て山なのかとか、今後激増が予想される未婚で貧困の高齢者に対する安易な安楽死議論のような極論もどんどん出てきてしまうことでしょう。
必要なことは、先にも述べた通り、人口減少で地方社会・経済の衰退は誰かが何をしようとも押しとどめることはできないのだから、せめて勤労世帯も高齢者も、あるいは都市生活者も地方在住も共倒れにならないように、衰退をきちんとコントロールしながら最善の経済縮小・撤退戦を日本経済は政策的に図っていかなければならないということに他なりません。
おそらくは、輪島市を中心に能登半島北部は自活できない自治体を集約して自治体再編をしましょうという議論も出ることでしょう。公費の投入も必要だ、復興も頑張ろうという話になることは間違いありません。
しかしながら、何をどこまで救うのか、これらの災害復興をトリガーにして、時計の針がもっと進むことになってしまう地方救済のモデルケースとして、ゆくゆくは日本全国にある、5万人に満たない地域の再々編も想定しておかなければ、何か地震や豪雨のような激甚災害があるごとに希少な国民の資源が投入され続けることになりかねません。
「何が、どこまで救済されるべきか」という線引きは、人口減少下の社会保障や災害復興政策では非常に重要になると思いますし、発生が予見される南海トラフ地震で、首都圏や東海地方などが重大な災害に巻き込まれた場合にも参考にしておく必要があろうかと感じます。
●麻生氏「派閥の解消はあり得ない」 菅氏「派閥は解消すべき」 政治刷新本部 1/11
政治刷新本部の今後の議論と課題について、自民党本部前から長田記者の報告です。
岸田政権の命運を左右するとも言える政治刷新本部の議論はきょう、キックオフを迎えましたが、「派閥の解消や派閥パーティーの禁止には踏み込めない」との見方が多く、自民党が国民の信頼を回復できるかは不透明です。
政治刷新本部では主に3つの論点を話し合います。
1つは派閥パーティー収支の透明性を向上させるための「党内のルール作り」です。具体的には、パーティー券購入は全て銀行振り込みにする、販売額に応じた各議員への還元の禁止などが検討課題としてあげられています。
2つ目は「政治資金規正法の改正など必要な法整備の在り方」について。
そして3つ目が「今後の派閥の在り方」についてです。最高顧問を務める麻生氏が「派閥の解消はあり得ない」との意見に対し、菅氏は「派閥は解消すべき」との立場で、協議は難航する情勢です。
岸田総理は周辺に「すぐに結論が出る話ではない。幅広い議論を戦わせれば良い」と語っています。
また、党関係者への取材で、派閥は「政策を研鑽する場であるべき」として議員個人へのお金の配布は自粛し、「人事の際には派閥からの推薦リストの提出などは行わない」ことを党のガバナンスコードに明記する案も検討されることが分かりました。
議論は始まったばかりですが、党内からは早くも「刷新する前に裏金疑惑の真相究明が先」などの意見が出ていて、国民の信頼回復に向けた結論を導き出せるのか、自民党は正念場を迎えています。
●岸田首相「自民変わらねばならぬ」 政治刷新本部が初会合 1/11
自民党は11日、派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件を受け、政治改革や再発防止の方策を検討する「政治刷新本部」の初会合を党本部で開いた。本部長の岸田文雄首相(党総裁)は「国民の信頼を回復し、日本の民主主義を守るためには自民党自ら変わらなければならない」と表明。無派閥の菅義偉前首相らは派閥解消を求めた。月内の中間取りまとめを目指す。
安倍派還流、裏金目的で考案か 20年以上前から存在―パーティー収入事件
首相は事件に触れ、「政策集団(派閥)、そして党の政治資金を巡って国民の厳しい目、疑念の目が注がれている。状況は極めて深刻だという強い危機感の下、一致結束してこの事態に対応していかなければならない」と強調した。
茂木敏充幹事長は政治資金規正法などの改正について「各党とも真摯(しんし)な議論を重ね、結論を得る努力が必要だ。政治資金の透明性、より厳格な責任体制の確立に向け、必要な法整備を検討していきたい」と語った。
刷新本部のメンバーは38人で、麻生太郎副総裁と菅氏が最高顧問、茂木氏ら党役員が本部長代行・代理に就任。小泉進次郎元環境相ら青年局長・女性局長経験者も加わった。
●中国の台湾への軍事圧力…衝突回避に日米等を通じ対話の必要性訴える 1/11
自民党の麻生副総裁は10日、訪問中のアメリカ・ワシントンで講演し、台湾への軍事的圧力を強める中国について、「性急な台湾の軍事統一は、国際秩序を混乱させるだけだ」と指摘し、衝突回避に向けた日米などによる対話の必要性を訴えた。
麻生副総裁は、シンクタンクが主催する会合で演説し台湾問題について「国際秩序の安定のため、大国としての責任をとるよう、中国を説得しなければならない」と呼びかけた。
その上で「中国が性急な台湾の軍事統一を選択することは、自国の都合で国際秩序を混乱させるだけだ」と指摘し「一つの中国という原則と、軍事力行使の間には、大きな距離があるはずだ」と述べ日米やASEAN=東南アジア諸国連合の枠組みなどを通じて中国との対話継続の必要性を訴えた。
麻生副総裁は、またTPP=環太平洋経済連携協定のアメリカの復帰を求めるとともに「韓国も参加すれば、安全保障と経済が表裏一体となり、地域の安定と繁栄がさらに強化される」との考えを示した。 
●前途多難な2024年 岸田首相は「聞かない力」と「鋼のメンタル」のみ… 1/11
2024年が明けて早々、激烈な震災や重大な事故が相次いでいる。前途多難な様相だが、昨年末に発覚した自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受け、「政治とカネ」の問題もさらに深刻化しそうだ。
まず、混迷する政局で焦点になるのは、4月28日だ。昨年亡くなった細田博之元衆院議長の島根1区のほか、衆参両院で出た欠員の補選が行われる。
岸田文雄内閣の支持率は「危険水域」で低迷しており、岸田首相を「選挙の顔」とすることを不安視する声は高まっている。補選をきっかけに、「岸田降ろし」が起きるとの見方も出ている。
ただ、岸田首相を引きずり降ろして、代わりに誰を立てるのか。任期途中で自民党総裁が欠けたとして、「党大会に代わる両院議員総会」で後継を選んでも、「主流派の傀儡(かいらい)」というイメージは拭えないだろう。
そもそも、パー券事件は派閥の問題だ。一切の「負のイメージ」を払拭するなら、党員党友も参加するフルスペックの党大会を開き、派閥の力学と無関係の新総裁を選ぶべきだ。新たなリーダーは、国民に一定以上の浸透度があり、国難に対応できる人物が求められる。必然的に、候補も絞られる。
日本の先行きが前途多難な大きな理由の1つに、岸田首相の「ジョー・バイデン米政権頼み」もある。岸田首相は日米関係を妄信しているかもしれないが、11月の大統領選でバイデン氏が再選される保証はない。
「民主党政権から共和党政権になれば、米国のウクライナ政策は180度変わる」と言われる。日本は後始末を押し付けられるかもしれない。
日本は、昨年12月に開かれたG7(先進7カ国)財務相・中央銀行総裁会議で、ウクライナに対する45億ドル(約6500億円)もの追加支援を表明した。枯渇する米国のウクライナ支援予算を補う目的とみられても仕方ない。
自公与党が衆参多数を握っている以上、岸田首相はいくら低支持率でも、内閣総辞職か衆院解散をしない限り、9月の自民党総裁選までは続投できる。岸田首相が「聞く力」を持っているなら、身を引くこともあり得るが、現状は「聞かない力」と「鋼のメンタル」を感じるばかりだ。
その強靱な精神力で、自民党内の反発を押し切って「派閥解消」でも断行すれば、国民の支持は少しは回復するかもしれない。
ただ、「宏池会愛」にあふれた岸田首相には、そんな発想は微塵もないだろう。そうこうするうちに、日本はますます世界から取り残されかねない。
●岸田首相、地震の被災者に「最大20万円貸します」であふれる憤激 1/11
能登半島地震が発生してから10日が過ぎた。石川県によると、1月10日午後2時の時点で、県内で206人の死亡が確認されたという。また、安否がわからない37人の氏名や年齢などを公表、情報の提供を求めている。
余震は続き、ライフラインの復旧も数カ月かかると言われるなかで、心配されるのが被災者の生活再建だ。そのためには生活資金の確保が欠かせない。
厚生労働省は10日までに、低所得者世帯などに生活費を貸し付ける「緊急小口資金」の対象に、特例として能登半島地震の被災世帯を加えることを決定した。
厚労省のホームページによると、貸付金額は原則10万円以内だが、「世帯員の中に死亡者がいる」「世帯員に要介護者がいる」「世帯員が4人以上」「重傷者、妊産婦、学齢児童がいる」などの場合は20万円以内になるという。所得要件などはない。
「返済は、据え置き期間1年の経過後2年以内なので最長3年となりますが、厚労省によると『猶予などにも柔軟に対応しますのでご相談ください。利子はつきません』とのことです。
当面の生活費として助かるのは間違いありませんが、被災して避難する状況では手続きもままならないはずです。申込書を直接、市区町村社会福祉協議会に出すのですが、役所も混乱しているでしょうから、使い勝手がいいとも思えません」(経済担当記者)
「X」には
《住むところも失い家族も失い20万貸付って岸田政権と厚生労働省は鬼か》
《被災地では仕事も無いし働く事も不可能 借金だなんて悪魔の所業だ》
《こんな酷い政府聞いたことないぞ》
などのコメントが寄せられている。ニュースサイトのコメント欄にも、
《返済しなければいけない貸し付けだから、生活の目途が立たない中で、安易には借りられないと躊躇する人もいるはず。この緊急小口資金は、大半の被災者に利用されない気がする》
《海外にあんなに義援金配ってるのに 国内にはたった20万のしかも貸付? この物価高に何を考えたらこの金額が出るのですか? もう少し検討してあげてください》
など、その少なすぎる金額に批判が集まっていた。
「被災地の現状や課題などを把握することが重要だ」と意気込んでいた岸田首相の姿勢のあらわれが「20万貸付」だとしたら、被災者にあまりにも冷たすぎる。
●「初動が遅すぎ」「逐次投入」と自衛隊の災害派遣に批判殺到 1/11
「後手後手」、「逐次投入」──能登半島地震に災害派遣されている自衛隊や岸田政権に対し、批判が殺到している。例えば秋田県の佐竹敬久知事は1月9日、自衛隊の派遣規模について「少し後手後手だ」と指摘した。
時事通信の記事によると佐竹知事は、自衛隊の投入は「最初から1万人」が必要だったと発言。「われわれ東日本大震災を経験した者として、非常に歯がゆい状況だ」と強く問題視した。
発言の背景として、被災地の深刻な状況があるのは言うまでもない。朝日新聞DIGITALが1月8日に配信した「『初動を甘く見た』首相批判も 能登地震1週間、被害の全容つかめず」の記事では、《いまだに被害の全容が見えない》と指摘。翌9日には多くのメディアが石川県内の死者が200人を超えたことを報じた。
能登半島地震では、地震の大きさを示すマグニチュードは最大で7・6を記録した。気象庁によると、関東大震災(1923年)のマグニチュードは7・9、阪神・淡路大震災(1995年)は7・3、そして東日本大震災(2011年)は9・0。能登半島で数千年に一度の頻度で発生する巨大な地震だと専門家は指摘している。担当記者が言う。
「国もマスコミも、今後の方針を見定める上で、2016年に発生した熊本地震を参考にしているようです。マグニチュードが7・3と近似しており、熊本地震では死者276人、負傷者2809人の被害が出ました。SNSなどネット上では『熊本地震を超えるような死者が出てほしくない』と祈るような内容の投稿が相当な数に上ります」
立憲・泉代表の批判
もっと早く、もっと多くの自衛隊員を被災地に派遣すべきではなかったのか──Xでも激しい議論が起きている。熊本地震との比較も論争に影響を与えているようだ。
「東京新聞は1月6日、自衛隊の災害出動に関する記事を配信しました。そこに掲載されていた表がXで大きな注目を集めています。熊本地震と能登半島地震で、災害派遣された自衛隊員の人数を比較したものです。これによると、熊本地震は2日目で2000人に対し、能登地震では1000人。5日目に熊本は2万4000人に達したのに対し、能登は5000人に留まっています」(同・記者)
佐竹知事も、「最初1000人、2000人、今では6000人」と苦言を呈している。ただし、Xで論争が巻き起こったのは、立憲民主党の泉健太代表の発言がきっかけだったようだ。1月5日に国会内で記者団の質問に答え、「自衛隊が逐次投入になっており、遅い」と岸田政権を批判したのだ。
翌6日、この批判に木原稔防衛相が「自衛隊の災害派遣について一部、逐次投入であるとか、初動が遅いといった指摘がある。私から少し詳しく説明をしたい」と記者団に呼びかけたことも注目を集めた。
木原防衛相の反論
毎日新聞(電子版)が7日に配信した「自衛隊派遣、増員が容易でない背景 能登半島地震と熊本地震の差」という記事は、Xで自衛隊の“逐次投入”に理解を示す層から「ちゃんとした記事」「しっかりした取材」と評価されている。この記事に木原防衛相の説明が紹介されている。引用させていただく。
《木原氏は、半島では陸路が限られるため、「道路の復旧状況や現地での受け入れ態勢の段階などを見ながら人数を増やしていった」と説明。自衛隊では活動可能なエリアの拡大に応じて人員を増強する手法をとっており、主に平野部が被災した熊本地震とは条件が異なるとの認識を示した》
一方、冒頭で紹介した朝日新聞DIGITALの記事では、《防衛省内からは「初動を甘く見た」との声も漏れ、かつて官邸で災害対応にあたったある省の幹部は「政治主導のパワーを感じない」と話す》との声を伝えた。
こうなると、“逐次投入”の批判も決して間違っていないことになる。Xでも「初動も遅く後手後手」「明らかに初動の自衛隊派遣が少な過ぎ」との意見は多い。
「Xの投稿内容を見ると、大きく分けて3つの論調があるようです。1つは『岸田政権も自衛隊も駄目』の完全否定、2つ目は『自衛隊は頑張っているが、岸田政権の初動は間違っていた』と官邸を批判するものです。そして3つ目は『岸田政権も自衛隊も最善を尽くしている』と国の対応に理解を示すものです。依然として激しい議論が起きており、どれが優勢というのは言えない状況です」(同・記者)
ロシア軍と同じ過ち
では実際のところはどうなのか。自衛隊関係者に取材を依頼すると、「能登半島の地理的条件から、むしろ“逐次投入”こそ最善の対応だったと思います」と言う。
「被災地では甚大な被害が出ています。『自衛隊は何をやっているんだ』という声が上がるのも仕方ありません。とはいえ、自衛隊が災害派遣で力を発揮できるのは、何より“自己完結”が可能だからです。食事、トイレ、寝る場所などを自分たちで確保できるのが最大の強みです。そのためには補給路の整備が必要です。補給が不完全なのに、いたずらに人員だけを投入し、それこそ現地の貴重な救援物資を自衛隊員が消費するようになっては本末転倒です」
自衛隊は救援物資を被災地に運ぶだけでなく、自分たちが必要とする物品を運ぶためにも補給路を確保しなければならない。そこに立ちはだかるのが能登半島の地理的条件だという。
「能登半島は北、東、西の3方向を海に囲まれています。陸路は南から北進するしかなく、しかも道路網に相当な被害が出ました。徒歩で救援物資を運んだ隊員も少なくなく、崖をよじ登る姿もテレビで報じられました。こんな状況で部隊を大量に投入すると、ウクライナ戦争の緒戦でロシア軍が大渋滞を引きおこしたのと同じことが生じたでしょう。消防や警察車両の通行を妨げた可能性もありました。海路も海岸線が津波の被害を受けたため、揚陸が困難だったようです。空路はヘリがフル稼働しましたが、悪天候の影響もありましたし、何よりトラックに比べると輸送量に限界があります」(同・関係者)
熊本との比較は問題
補給路が構築できないうちは、むしろ“逐次投入”のほうが合理的だという。
「そもそも逐次投入は、戦術の概念です。兵力を小出しにすると、敵軍に各個撃破されてしまいます。これを戒める用語であり、今回は災害派遣なのですから能登半島で戦闘を行うわけではありません。自衛隊は1月1日の時点で、8500人から1万人の隊員を待機させました。現地の状況を踏まえ、地元自治体のニーズを丁寧にヒアリングし、小出しに派遣人員を積み上げました。こうして被災地に悪影響を及ぼすリスクを減らしたのです」(同・関係者)
また熊本地震との比較も「フェアな観点ではない」と自衛隊関係者は指摘する。熊本市には陸上自衛隊の第8師団が駐屯しているからだ。
「言ってみれば、第8師団の“庭先”が被災地になったようなものです。師団本部は物品も資材も備蓄していますし、熊本県内は平野も多く、様々な道路が使えました。能登半島のように補給路を構築する必要はなく、本部から迅速に救援物資を届けることができたのです。また第8師団の人員は6100人で、隊員も被災者だったという点は考慮する必要がありますが、これだけの人数が最初から被災地にいたというのは大きいでしょう。金沢市には第14普通科連隊が駐屯していますが、こちらは1200人です」(同・関係者)
赤旗の批判
Xでは「水を食料をヘリで早く届けられないのか」といった疑問の声も多い。「空中から救援物資や医療品を投下できなかったのか」、「米軍ならヘリを強行着陸させたのではないか」など、様々な意見が飛び交っている。
「空中から水や薬などの救援物資を投下することは、技術的には可能です。ただ現地の担当者は、車や住宅に当たった場合の破損を懸念したかもしれません。まして人を直撃してケガを負わせたら大問題です。地元自治体も空中投下までは依頼しなかったと思います。また米軍と自衛隊のパイロットで技能が違うということもなく、重要なのは受け入れの環境でしょう。ヘリが運んできた物資を受け取るのは自衛隊員が理想的です。被災者に任せるのは危険だと言わざるを得ません。やはり陸路を確保し、ヘリ受け入れの隊員が常駐できるようになってからヘリ空輸を活発化させるのが最も安全な方法なのです」(同・関係者)
1月7日、陸上自衛隊の第1空挺団は千葉県の習志野演習場で「降下訓練始め」を行った。Xでは「今実施しなくても良いのではないか」、「支援物資積んで被災地に向かって欲しかった」と批判の投稿が相次いだ。
日本共産党の機関紙・しんぶん赤旗(電子版)は1月10日、コラム「きょうの潮流」でこの問題を取り上げ、《救援物資を積めるであろうヘリから降りてきたのは、銃を持った自衛隊員…。違和感を覚えたのは筆者だけでしょうか》と批判した。
自衛隊の“世界一のノウハウ”
「第1空挺団も批判は分かっていたと思います。アメリカやイギリス、カナダなど8ヵ国の軍も参加しましたので、中止は難しかったのかもしれません。ただ一般に公開したということは重要で、これは実施しても問題はないと判断したからでしょう。つまり被災地から応援の要請がなかったと考えられます。もし被災地でヘリも人員も足りていないのなら、降下訓練始めは中止されたか、規模を縮小したはずです」(同・関係者)
Xには「第1空挺団の隊員に薬や水を持たせ、被災地にパラシュート降下させればよかった」という意見も散見される。これも技術的には可能だが、隊員が孤立してしまう可能性がある。やはり“自己完結”が不可能となり、隊員が被災者になってしまう。
「率直に打ち明けると、熊本地震で自衛隊員の派遣人員が万単位になって以降、仕事のない隊員が目立ったのは事実です。また自衛隊は災害派遣が専門ではありません。災害派遣されると訓練が行えないため、軍隊としての練度は確実に落ちます。自衛隊は国防が最も重要な役目ですので、バランスを保ちながら適切な人員を被災地に送ります。そして自衛隊は東日本大震災を筆頭に様々な震災を経験してきました。災害派遣に関しては世界一のノウハウを持っています。そう簡単にミスを犯すはずもなく、今回の批判は的外れのものが多いと言わざるを得ないのです」(同・関係者)

 

●能登半島地震、死者215人に 降り続く雨で捜索難航 1/12
能登半島地震から12日目を迎えた。
これまでに石川県で亡くなった人は215人、安否がわからない人は38人。
安否不明者が集中している石川・輪島市では雨が降る中、一斉捜索が続いている。
輪島市の朝市通りから、FNN取材団・高橋耕平記者が中継でお伝えする。
地震直後の火災でおよそ200棟が消失した朝市通りでは、一斉捜索が4日目を迎えた。
朝から雨が断続的に降る中、警察や消防、自衛隊およそ200人による懸命の捜索活動が続いている。
捜索隊は12日午前9時ごろから、焼け跡に広がった家具やがれきを手作業で取り除きながら、安否不明者の手がかりを探す作業を行っている。
ただ、降り続く雨により、水分を吸い込み重くなったがれきが捜索の行く手を阻んでいる。
輪島朝市・冨水長毅組合長「このあと、いったいどうなっていくのかなと。生活の糧(であった店)も実際こういった形で、できるような状況ではありませんので、不安だという状況です」
一方、輪島市では、学校再開のめどが立たず、市内の中学生およそ400人の一時的な集団避難を検討している。
希望者は、石川県南部の白山市で授業を受けられるようにするという。
●能登地震発生時に「危機管理のトップが入院、不在」が呼ぶ不審と憶測 1/12
いずれも警察キャリア出身
石川県能登地方を震源とする地震への対応をめぐって、村田隆内閣危機管理監が入院中を理由に一時官邸に出勤していなかったことが震災の翌日に報じられた。1月3日には復帰し、岸田文雄首相との会議をこなしているとはいえ、この入院が憶測を呼んでいる。
内閣危機管理監は文字通り危機管理を統率する立場として、1998年から内閣官房に置かれた官職である。過去9人の危機管理監はいずれも警察キャリア出身で7人が警視総監、2人が警察庁警備局長の経験者だ。
「安倍・菅政権で長らく内閣官房副長官を務めた杉田和博氏も警察庁警備局長と内閣情報官を経て、危機管理監を務めました。警備のプロが任命されると言って間違いないでしょう」と、社会部デスク。
2022年1月から危機管理監に就任した現職の村田氏。その経歴を少しおさらいしておこう。
入庁は1984年。大阪府警刑事部長、沖縄県警本部長、警察庁警備局警備企画課長、警視庁刑事部長、警察庁長官官房総括審議官、大阪府警本部長、警察庁警備局長を歴任して退官。フィンランド大使を務めた後、危機管理監となった。
警備局長からフィンランド大使
「村田氏は警視総監の目もないわけではなく、本人も当然望んでいたようですが、警備局長で退官となりました。ちなみに警備局長の先代は松本光弘氏ですが、その後、警察庁長官官房長→警察庁次長→警察庁長官を務め、後任の大石吉彦氏は警視総監となっています。さらに国会対応を担う総括審議官の前任の沖田芳樹氏と後任の斉藤実氏はいずれも警視総監を務めました」(同)
警視総監や警察庁長官とはいかなかったものの、当時の長官で今も警察の人事をコントロールする栗生俊一内閣官房副長官の差配でフィンランド大使のポストが用意されたとのことだ。こうした差配は村田氏に限ったことではない。
「警察OBからは“フィンランド大使はなかなかの厚遇。栗生氏も気を遣ったのだろう”と言われていましたね」(同)
警察キャリアの場合、他の省庁よりもさらに綿密に「キャリア・プラン」が検討されるのだという。
「民間企業において警察の息のかかったポストは本当に多く、ほとんどが“玉突き”人事。ですから退官がまだまだ先の段階でも、どの企業に誰を再就職させるかといったことは、誰を 警察内のポストに就けるかということと同等に検討されることになります」(同)
映画館に行けない
話を震災発生時の村田氏に戻そう。
「今回の地震がなければ、正月早々に村田氏が入院していることは明らかにならなかったことでしょう。危機管理監は官邸から徒歩すぐにある官舎に住み、何か問題が発生すればただちに官邸にはせ参じる決まりになっているので、通常の行動範囲もかなり狭まります。常に携帯を手放せず、電波が入りづらい場所に立ち入ることは難しい。“映画館に行けないのが悩みでした”と現職時代を振り返った人もいましたね」(同)
危機管理を統率するにあたっては持ち場を離れることは難しいということで、人間ドックなどを着任前に念入りに済ませて長期入院などの可能性を取り除いておくことも努めなのだという。
「それでもこのタイミングで入院ということですから、かなり重篤な病気なのではないかと、情報が駆け巡ったのは事実です。が、入院が判明した翌日の3日には村田氏は出勤し、岸田首相らとの会議に出席しています」(同)
コロナかインフルエンザ説
もちろんこうした立場の人間の健康情報や動向は一種の機密にあたるのかもしれない。しかし元日にわざわざ入院していることを不審に思われるのは仕方がないところだろう。
「コロナかインフルエンザに罹患していたのではないかという話もありました。が、“それで入院するというのはかなり重篤なわけで、そう簡単に職場復帰できるものかなあ”との声がありました。さらに、“入院が報じられてすぐに出てくるってことは、そもそも入院していなかったのでは?”といった指摘もありましたね。以前に地方で飲酒してケガをしたこともあったそうで、それに似たようなことではないかとの見方もありましたが、なかなかハッキリとしていません」(同)
村田氏の不在時は、官房副長官補が代理として任務を遂行し、対応に支障はなかったとされているが……。
「しかし、危機管理のトップが不在でも回る組織なら、そもそもそのポストは要らないのではといったツッコミは各方面から出てきているようです。村田氏も就任から2年が経過しました。現在の小島裕史警視総監が近々交代と噂されており、そこで小島氏が危機管理監に就く可能性が出てきましたね」(同)
●災害の度に湧いてくる人々 1/12
被害状況と政府の対応
石川県能登半島で起きた地震から10日が経過し、徐々に能登半島全域の状況が判明し始めた。
能登半島全域に広がる高齢者を中心とした集落に向かうには、限られた道路を使わなければならないが、半島をぐるりと回る道路はあちこちで寸断されていて、地震の規模の大きさを物語っている。
幹線道路については地元業者を中心に道路の啓開作業が進み、また。復旧が間に合わない僻地については、自衛隊員が歩いて支援物資を担いで現場に向かう等、現場の状況が徐々に明らかになってきた。
消防、警察、自衛隊、周辺自治体、災害対策基本法の中で指定業者になっている企業は、自治体の要請を待たずプッシュ型で支援物資を大量に現場や自治体施設に送り込んでいる。
政府の対応が遅いとか、復興に向けて予算措置を行うのに対応が遅いと批判するSNSアカウントが見受けられるが、そもそも、災害時の政府決定は、発災時に遡って適用されるので、決定が少々、遅くてもあまり関係はない。
これまで、政府は、147億円の支援を閣議決定し、2復興・復旧の予算をこれまでプールしてあった予備費5,000億円から1兆円に倍増を閣議決定(予定)とした。
加えて、3初動で1,000人出動させた自衛隊員を直後に2,000人に増強、更に日を経ずして4,000人態勢に増強した。
よく東日本大震災や熊本地震を引き合いに出す人がいるが、そもそも、各地の災害を比べることがナンセンス。
状況はそれぞれの災害毎に全く違う。
今回の能登半島地震の場合、被災地へのアクセスが極端に難しい。まず、被災地にたどり着くための道路が壊れている。つまり道を作るところから始めなければいけない。それでは間に合わないから、自衛隊は荷物を担いで徒歩で被災地を目指している。
また、これまでの大規模災害に基づいて整備が進んだ災害対策基本法に基づき、自治体は発災時より、基本的な自治体の動きをマニュアルに頼ることになる。当然、マニュアルだけでは災害対策が困難であることは勿論だが、何をすべきか?は日本の自治体は手順が決まっている。そして何より最優先は、被災者の非難と、生き埋めになってる人の早期の救出だ。
海外からレスキュー隊派遣の申し出について、日本政府は断ったとの間違った情報が流布されたことも、注意が必要で、能登半島の被災地へのアクセスが難しい状況で海外のレスキューを受け入れたとしても対応が難しいことも容易に想像が出来る。また海外のレスキューが入ってきたとしてもそれをどう振り分けるか?という問題もある。
次に、よく言われるのが、地上からのアクセスが難しいなら、ヘリを使って空から向かえば良いではないか?との議論も聞かれる。
自衛隊は発災当初から被災地に向かう準備を行い、当然だがヘリによる救援物資の搬送、救援隊の派遣も行ってきたが、前述の通り、能登半島という地理的条件が空からのアクセスを難しくさせている。
救助に使うヘリやある程度の人数を運ぶヘリは相応の大きさを持ち、離着陸にも相応の面積と飛行技術を必要とする。力も強く、そのダウンウォッシュ(ローターが発生させる吹き下ろしの風)は、近くに軽四輪を置いていればひっくり返るくらいのパワーがある。そのようなパワーのあるヘリを被災している場所で使うのは、二次災害の危険性が極めて高い。
地震によって地盤は緩み、建物は余震の度に倒壊の危険に晒されている。
そのような状況で救助ヘリを飛ばすことは、何重もの危険性を伴う。軽はずみにヘリを飛ばせば良いというものではない。
自治体も自衛隊も、飛ばせるものならとっくに飛ばしている。飛ばさないのではなく、飛ばせないのだ。どうして子供でも分かるようなことを批判するのか、理解に苦しむ。
政府対応の違いについて
大災害が発生した時、自治体の対応や政府の対応が槍玉に挙げられるが、今回の「令和6年能登半島地震」でも同様のことが起きた。そして、批判するのは決まって野党よりの考えや野党支持者なのだ。いずれも政府対応を批判したがる。曰く、自民党は頼りにならないとか、金権政治で腐敗しきっている自民党には、日本の統治を任せられないという論旨だ。
ここで考えなければならないのは、先の東日本大震災の時と比較するとよく分かるのだが、自称原発の専門家である菅直人元総理が発災直後に福島第一原発も含め被災地を見に出かけたことが、大変なバッシングを受けた。そして、その批判な政府内からも聞こえてくるものだった。当時、経済産業副大臣が菅直人元総理の取り乱した様子を克明に述懐している。
未曾有の大災害が起きているのだから、誰だって取り乱すようなことはあるだろう。だが当時、問題になったのは、総理大臣が取り乱したことが問題なのだ。
当時の政府も今の岸田政権も、現場の刻々と変化する状況に対応すべく全力を尽くしたのは否定しない。否定しないが、肝心の中心がブレブレだった状況に最も危機感を持っていたのが、政府内の人々だったことは忘れてはいけない。
今更ながら、当時の旧民主党政権は今の岸田政権以上によくやったという声を聞く。
政府なのだから、その時に全力を尽くすのは当たり前であり、出来ることを最大限やり尽くすのは当然だ。
仮に当時の民主党政権が優秀だと言うなら、どうして民主党は下野したのだろう?それは国民が民主党に対して不信感を抱いたからではないか?
なんとかしてくれると政権を託したにも関わらず、国民の期待を見事に裏切ってしまったから、政権の座を追われたのではないか?
色々あってもやっぱり自民党に頼るしかないと、国民が判断したからではないのか?
これは歴史の事実であり、今の岸田政権と比較したい気持ちは分からないでもないが、東日本大震災当時を知る一人として思うのは、今が立憲民主党政権でなくて本当に良かったという感想以上のものはないと言うことだ。正直言って、立憲民主党政権だったらと思うと、背筋が凍るような思いがする。
それは東日本大震災を見てきたからだ。
今は度重なる大規模災害を通じて、災害対策基本法の中身が醸成されてきており、発災した自治体も政府も、即時対応が出来る素地が整っている。東日本大震災を通じて各種の災害対策特措法も充実してきている。それが全てとは言わないが、しかし、法に則り迅速な対応がやりやすくなったことは事実だ。
今回の「令和6年能登半島地震」のような大災害が起きた時、現場の状況が報じられることで、苛々することももどかしい思いをすることもあるだろうが、我々がまず冷静に見つめなければいけないのは、自治体と政府の対応を法律に則り分析することにあるだろう。
●岸田首相「最適な避難先を選定できるように」二次避難希望者への対応指示 1/12
岸田首相は12日、能登半島地震に関する政府非常災害対策本部で、二次避難者へのきめ細かい対応を指示した。
岸田首相は自身も昨夜、二次避難の検討促進を呼びかけたことを踏まえ「二次避難が必要な方といっても、様々な事情があることを忘れてはならない。例えば二次避難先でも施設による介護サービスや障害福祉サービスを必要とする方、安心して乳児幼児を育てるための環境が必要な方、これまで支え合ってきたご家族やご近所の方と共に避難することを希望される方もいる」と指摘した。
その上で「政府としても多様なニーズにきめ細かに対応すべく、旅館・ホテルのほか医療機関、高齢者施設、福祉避難所を含め、必要十分な数の二次避難先を確保している。高齢者が乗り降りしやすいタクシーや車椅子、ストレッチャーを積載できるタクシーを含めさまざまな移動手段の用意をしている」と強調し、準備の取り組みが被災者に伝わり、最適な二次避難先が選定できるよう、関係省庁に指示した。
また、岸田首相は、応急的な住まいの確保に努める方針を示した上で、仮設住宅についても「本日から輪島氏と珠洲市で、週明けから穴水町と能登町で建設に着手する」と述べ、「希望者に一日でも早く移っていただけるよう取り組みを進めてください」と指示した。  
●日本の「ウクライナ支援」のカネは一体何に使われているのか… 1/12
膨らむ「ウクライナ支援」
ウクライナを訪問した上川陽子外相が1月7日、ロシアのドローン攻撃に対処するため、北大西洋条約機構(NATO)の信託基金に約54億円を拠出する方針を表明した。だがこれは、ごく一部にすぎない。いずれ、米国の肩代わりに巨額の支援を迫られるのではないか。
日本がNATOに資金を拠出するのは、直接的な軍事支援を避けるためだ。苦戦を強いられているウクライナとすれば、喉から手が出るほど軍事支援が欲しいところだろう。原則として、武器輸出を厳しく規制している日本の建前との整合性に配慮した「苦肉の策」と言える。
この金額については、能登半島地震の発生と時期が重なったために、SNSでは「能登半島よりウクライナか」という声も出た。岸田文雄内閣は能登半島地震に約47億円を支出したが、これが「ウクライナ支援より小さい」というのだ。それも理解できなくはないが、岸田政権の「地震対応に対する不満の表れ」とみるべきだろう。
ウクライナ支援はこの先、大きく膨らむ公算が高い。
米国が共和党の反対で、追加のウクライナ支援にメドが立たない一方、日本は2月19日に東京で「日ウクライナ経済復興推進会議」を開いて、日本企業の参加も募ったうえで、大規模支援を打ち出す方向だ。
米国のジョー・バイデン政権は昨年10月、議会に対して614億ドル(約8兆8400億円)のウクライナ支援を含む総額1060億ドル(約15兆2640億円)の予算承認を求めた。だが、共和党は国内の国境警備強化を求めて反対し、承認される見通しが立っていない。
欧州でも、支援疲れが目立っている。たとえば、ポーランドは昨年9月、武器弾薬を追加提供しない方針を表明した。ハンガリーも、総額500億ユーロ(約7兆8500億円)に上る欧州連合(EU)のウクライナ支援に反対した。
それぞれの金額に注目してもらいたいが、米国の約9兆円、EUの約8兆円に比べて、上川外相が表明した54億円は桁違いに少ないのが、すぐ分かるだろう。ウクライナが必要としている金額は、数十億とか数千億円といった程度の話ではない。
軍事支援も求められる日本
キール世界経済研究所によれば、これまでの昨年10月までの支援総額でも、軍事、人道、金融の3分野を合わせた総額で最大の供与国は、EUで848億ユーロ(13兆3000億円)に上っている。次が、米国の714億ユーロ(11兆2000億円)だ。日本は68億ユーロ(約1兆670億円)にすぎない。
逆に言えば、米国と欧州の支援が止まってしまえば、ウクライナは、たちまち戦争を続けられなくなるのだ。だからこそ、日本への期待が高まっている。
金額だけではない。日本は軍事支援も求められている。
岸田政権は昨年12月に防衛装備移転3原則と、その運用指針を見直した。この見直しで、これまで認められなかった防衛装備品をライセンス元の国に輸出できるようになった。同時に、日本の事前同意があれば、第3国への輸出も可能になった。
岸田内閣は実際、見直しと同時に、地上配備型の迎撃ミサイルPAC3のライセンス元である米国への輸出を決めている。
事前同意と言えば、あたかも日本が厳密に審査する印象だが、運用指針によれば「我が国の事前同意に基づき第3国移転するに当たっては、当該移転先、またはその政府による当該第3国移転先に対する適正な管理の確認をもって、我が国の適正な管理を確保することも可能とする」と記されている。
つまり、最初に輸出した先がきちんと管理していれば、それで良しとする仕組みである。
これは将来、ウクライナに武器輸出する事態を想定しているようにも見える。米欧の支援先細りと2月の支援会議開催を視野に入れた見直しなのだ。そうでなければ、国会が閉じた年末の慌ただしい時期に、ドタバタと閣議決定した理由を理解しにくい。
そもそも「ウクライナの復興支援」という枠組みも分かりにくい。いま激しい戦争を繰り広げている当事国になぜ、いまから復興支援なのか。仮に発電所を建設したところで、そこをロシアに攻撃されれば、一発で破壊されてしまうだろう。
誤解のないように言うが、私は軍事支援を含めて、ウクライナを支援するのに反対ではない。むしろ、賛成だ。だが、支援するなら、目的と中身をきちんと国民に説明すべきだ。戦争当事国への支援なのだから、これは当然ではないか。
岸田政権は防衛装備移転3原則の見直しをはじめ、なにかコソコソとやっている印象がある。2月の会議も「復興支援」という名の下に、実質的にはどんな軍事支援をするのか、と心配になる。米国が、日本にそれを求めているに違いないからだ。
ウクライナが必要としているカネの使われ方
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は1月1日、英エコノミスト誌のインタビューに応じて、米国に大砲やミサイル、防空設備などを生産するライセンスを供与するよう求めた。軍事支援が止まる事態を見越して「ライセンスを与えてくれれば、自分たちで作る」という「プランB」を表明したのだ。
大統領は昨年秋から、このアイデアを口にしていたが、いよいよ「米国がもう支援してくれそうにない」と見極めて、カネがかからないライセンス要請に支援の中身を切り替えてきた。米国も新年から、慌ただしく動いている。ジェイク・サリバン米大統領補佐官は1月8日、米国の軍需産業トップたちと新たな支援について協議した。
こうした流れを見れば、ウクライナが必要としているカネが何に使われるのか、容易に想像できる。ウクライナは最新の武器を自前で生産するために、軍事工場を作ろうとしている。そんな工場は、必ずしもウクライナ国内に設置されるとは限らない。
カナダのメディア、ユーラジアン・タイムズは1月6日、ウクライナ政府元顧問の「ロシアの攻撃を避けるために、ウクライナと米欧企業のジョイントベンチャーは、ウクライナの国外、できれば、近くのNATO同盟国に工場を設置すべきだ」という提案を紹介した。「ロシアには、NATO同盟国を攻撃する覚悟はない」という見立てである。
日本がカネを出せば…
いずれにせよ、議論はここまで進んでいる。
日本の支援も、以上の展開と無関係ではありえない。カネに色は付いていない。日本がカネを出せば、巡り巡って軍事工場の建設に使われる可能性が高い。ゼレンスキー政権は国内のエネルギー復旧などを日本に任せて、その分の資金を自前の軍事力強化に使うだろう。
世界がウクライナとイスラエルで2つの戦争に突入した時代に、日本の支援は日本自身の平和と安定、繁栄に直結する。近い将来、中国が台湾に侵攻する可能性もある。日本がウクライナに、どれほど支援するのか。それは何に使われるのか。そして、なにより日本自身の守りはどうするのか。
岸田政権は全体像を示す必要がある。
●支持率16%の瀕死内閣…早くも「復興利権集団」と中抜き政治家の影! 1/12
2023年12月の毎日新聞世論調査では内閣支持率が16% と、各メディアで発足以来最低を更新し続けている岸田文雄内閣。国際政治アナリストで日本の税制にも詳しい渡瀬裕哉氏は「岸田政権は今こそ復興減税すべきときだ」と説く――。
復興増税で懸念すべきは利権に群がる政治家・役人たち
2024年1月1日、能登半島を中心に襲った大地震は多大な被害を同地域にもたらした。現在も余震が続いており、一瞬たりとも気を抜くことができない状況が継続している。
官民問わず、災害の救済及びインフラ復旧に向けた取り組みを実施しており、彼らの懸命な努力を行う姿には素直に頭が下がる。
1月5日、岸田首相は2023年度予備費残4600億円及び2024年度予備費5000億円を能登半島地震への対応に支出する方針を示した。災害規模は現状ではまだ確定していないものの、1兆円近い予算投入を早々に決定したことについては一定の評価はできる。一方、野党の一部には2024年予算ではなく、1〜3月で新たな補正予算を組むべきとする主張もあり、被災支援の財源については一定の議論が残っている。
ただし、いずれの場合においても、早晩、政治家、役人、その関係者が復旧・復興に絡めた公金支出に利権を求めて群がることになるだろう。そのような光景は東日本大震災時にも見られたことだ。
岸田政権は内閣支持率も低下し、その支持基盤が揺らいでいる状態だ。そのため、弱い内閣総理大臣に対して、ここぞとばかりに利権集団が集(たか)ることは容易に想像がつく。
財務省が復興増税の中抜きを狙っているか
また、岸田政権は昨年末に突如として打ち出した所得税定額減税によって、予算策定を牛耳る財務省との関係には亀裂が入っている。
したがって、岸田政権が今月に始まる通常国会での質疑を乗り切るために、様々なバラマキ財源の支出と引き換えに、財務省と妥協した「復興増税」の拡大・延長を新たに秘密裏に妥協する可能性もゼロではない。岸田首相は上述の予備費支出の他、追加で4月以降に補正予算を組むことを示唆しており、その線も十分にあり得る話だ。
当初の復旧作業にはインフラ投資予算は必要ではあるものの、その後の復興過程において、腐敗者たちによる中抜きを可能な限り防止していくことが望まれる。
岸田政権は今こそ復興減税せよ。減税なら中抜きはできない
岸田政権に対する様々な勢力による利権づくりに釘を刺すことは極めて重要だ。そこで、復興に群がる利権争いの勃発に先駆けて、岸田首相には早々に「復興減税」を宣言することを求めたい。
もちろん、既存の被災者に対する政策パッケージの中にも、国税や地方税の減免は政策のラインナップとして存在している。しかし、従来までの減税政策は既存の無数に存在する政策の一つに過ぎず、そして煩雑かつ複雑な内容である。現場の行政職員の負担も大きく、速やかな被災の認定すら難しいだろう。
その他の既存の省庁の政策に紐づけられた被災対策は、その過程における中間コストもかかりすぎることも問題だ。納税者は東日本大震災の復興予算の中抜き・流用事例を覚えている者も少なくなく、既存の政策パッケージに伴う腐敗にはセンシティブだ。
そのため、当初の救済・復旧のための予算を消化した後、被災地の復興政策に関して、地方税減免(住民税や固定資産税など)を簡素化・大規模化・長期化することを求めたい。
復興減税を石川県全体に適用すれば、奇跡の復興が起きる可能性も
復興減税をどのような基準と範囲で復興減税の対象とするか、は議論があるだろう。しかし、厳密な被災認定は、煩雑さ・複雑さはスピード感を削ぐとともにコストも増加させるだけだ。
仮に、被災地域として認定された地域に対して、特例措置として面的に減税することにすれば、その手続きは大規模かつシンプルな政策実行が可能である。
同地域全体の住民を復興減税の対象とすることで、直接的に被災者の生活コスト削減にもつながり、減税による経済効果によって地域経済は従来以上に強靭なものとなる。
たとえば、石川県の県民税総額は約1780億円(2021年度決算カード)であり、予備費の一部を回すことで、最大で複数年間の県民税を無税にすることも余裕だ。周辺県に関してもその被災度合いに応じて、県民税を大幅に引き下げることができるだろう。さらに、基礎自治体の住民税に関しても支援規模次第では大規模な減税が可能だ。
東日本大震災時に徴収された復興増税総額を復興減税として東北の被災県に投入した場合、その県民税を10年近く減税することも可能であったはずだ。仮にそのような政策を実行した場合、現在の東北地方にはヒト・モノ・カネが流入しており、既に見間違えるほどの大都市が生まれて、奇跡の復興を遂げていたことは想像に難くない。
減価償却の扱いを100%即時償却とすれば、石川県で新たな産業が勃興することもあるかもしれない
もちろん全ての地方税を減税することは非現実かもしれないが、税制はそれほど様々な主体の投資判断に影響を与える重要な要素なのだ。多少、不正のような動きも出るだろうが、そのような取り締まりこそ事後的処理として時間をかけて罰すれば良い。
さらに、地方税の復興減税を断行した上で、更に被災地域における設備投資に対して、減価償却の扱いを100%即時償却とすることを特例として認めることも併せて提案したい。
100%即時償却の導入によってほぼ確実に同地域において積極的な設備投資が起きることになる。石川県は元々機械工業が盛んな地域であるため、このような減価償却の特例を認めることで、新たな産業クラスターが強力に勃興する可能性もある。その場合、同地域は日本経済をけん引する地域に一気に生まれ変わるだろう。
東京のゼネコンやコンサルに抜かれるようなスキームではない、被災地に対する直接的な支援を実施することが重要だ。まして、その食い散らかしを復興増税で面倒を見るような過ちがもう一度繰り返されることがあっては断じてならない。
政治家、役人、その関係者によって、被災からの復興におかしな利権が組み込まれる前に、岸田首相は同地域において誰もが等しく利用することができる「復興減税」を断行するべきだ。
●経常黒字、1兆9000億円 11月として過去最大 10カ月連続の黒字 1/12
財務省が発表した国際収支統計によると、日本が貿易や投資でどれだけ稼いだかを示す11月の経常収支は1兆9256億円の黒字だった。
黒字は10カ月連続で、黒字額は前の年の同じ月と比べて1533億円増え、比較可能な1985年以降、11月としては過去最大となった。
エネルギー価格の下落などで、貿易赤字が縮小しているうえに、サービス収支が247億円の黒字と、4カ月ぶりに赤字から転換した。
海外での投資の利子や海外子会社から受け取る配当金などの第1次所得収支の黒字額は、前の年の同じ月より7392億円減ったものの、2兆8949億円と、11月として過去2番目の高い水準となっている。 
●岸田文雄は首相失格 時代が政治家を選ぶ 1/12
元日は能登で震災が起こり、翌2日、羽田空港で旅客機と輸送機が衝突し炎上。ただならぬ時代を予感させる新年の始まり。政界では、松も明けぬうちに国会議員が裏金作りで逮捕された。
地球は地殻変動が活動期に入ったらしい。日本の政治も長期政権が自己崩壊を始めた。どうやら、明日は昨日の延長線上に描けない。時代が求める政治家の資質も変わってきた。
空想の世界ではない別次元の事態
気象庁のデータを見ると「大きな地震」は毎年のように起きている。2000年10月鳥取県西部(マグニチュード7•3)、03年9月十勝沖(M7)、04年10月新潟中越沖(M6•8)、07年3月能登半島(M 6•9)、7月新潟中越沖(M6•8)、08年6月岩手宮城内陸(M7•2)、11年3月東日本大震災(M9)、12年12月三陸沖(M7•3)、13年10月福島沖(M7・1)、15年7月小笠原諸島西方沖(M8•1)、16年4月熊本(M7•3)、16年11月福島沖(M7•4)、18年6月北海道胆振東部(M6•8)、21年2月 福島県沖(M7•3)、22年3月 福島沖(M7・4)、24年1月能登半島。
地震は起こると「想定外の事態」となるが、こうして見ると「今年もどこかで起こる」と考えたほうがいいのではないか。
社会的な破壊力は、起きた場所によって決まる。火山の噴火も同様だ。近年起きた噴火は、以下の通り。
1986年伊豆大島、1990年雲仙岳、2000年3月有珠山、6月三宅島、2004年十勝岳、11年霧島山新燃岳、2014年草津白根山、2014年御嶽山、2015年口永良部島。九州では桜島や阿蘇山がしばしば噴火している。首都近辺では箱根で小規模な噴火が起き、富士大噴火の予兆ではないか、と心配する人もいる。
富士山は大きな噴火を何度も繰り返して今の姿になった。1707年、宝永地震の49日後に始まった宝永大噴火は、江戸市中まで大量の火山灰を降下させた。川崎で5センチほど積もったとの記録があり、いまこれだけの火山灰が降ったら交通や通信は壊滅的打撃を受け、首都機能麻痺(まひ)の恐れがある。
心配してもキリがない、と思われる人がほとんどだろうが、富士大噴火や南海トラフ地震は、いつか起きる。その時、明治維新や敗戦に匹敵する大混乱が起き、政治も経済も別次元に突入するだろう。そんな事態が空想の世界でなく、見えてきたような気がする。
天変地異に対応できない政治の乱れ
昔から「世が乱れると天変地異が起こる」と言われ、天の采配で権力の交代が起こる、とされてきた。天災は驕(おごる)権力者に対し、天が与える懲罰という考えだ。見方を変えれば、世が乱れている(政治が機能していない)と天災に的確な対応ができず、時の権力は力を失う、ということかもしれない。
能登半島地震への岸田政権の対応は「天変地異に対応できない政治の乱れ」が露呈したといえよう。
元日に震災が起きたのに記者会見で国民の前に現れたのは4日。その日の夜にはBSフジテレビに生出演し、政治評論家の田崎史郎氏らと秋の総裁選に向けた政局談義である。呑気(のんき)なものである。被災地では崩壊した家屋に押し潰された人が救済を待っているというのに。道路が寸断され、孤立した集落の被害状況さえ把握できない。生死を分ける被災後72時間を過ぎても到着さえできない地域があちこちあり、一刻も早く救援を、という現地からの声は首相の耳に入らなかったのか。事の重大性への認識や人命への配慮が決定的に欠けていたため、初動が遅れた。後手後手の対応で、救えたはずの命さえ救えなかった。
象徴的な動きは自衛隊出動の遅れだ。東京新聞(1月6日付)によると
「防衛省は地震発生翌日の2日、陸海空自衛隊の指揮系統を一元化した統合任務部隊を1万人規模で編成した。ただ実際に現地で活動するのは2日の段階で約1000人、3日は約2000人、5日も約5000人にとどまっている。発災から5日目で約2万4000人が活動していた熊本地震と比べて規模が小さく見える」。5日経って熊本地震の5分の1は少なすぎる。
防衛日報デジタルによると「東日本大震災では、発生当日に約8400人の自衛隊員が派遣され、2日後の13日には5万人超、1週間後の18日には10万人超の隊員が派遣された」という。
2日の段階で能登半島の道路は土砂で埋まり、陸路の救済は困難と判断された。救援は海と空からしかない、という判断だった。
孤立した集落への救援物資の投下や、重傷者の輸送はヘリコプターに頼るしかない。ヘリを一番たくさん持っているのは自衛隊である。中でも陸上自衛隊第一空挺団は落下傘降下やヘリからロープ1本で地上に降り立つことができる精強部隊だ。ホームページにこうある。
「陸上自衛隊の中でも超精鋭の集団『第一空挺団』。 航空機からパラシュートで降下し、任務を行う、日本唯一の落下傘部隊です。 活躍の舞台は、車両が到達できない場所での救助活動など。 東日本大震災や台風などの自然災害においても、難しい救助活動にあたっています」
活動の舞台は車両が到達できない場所。まさにこの部隊が速やかに投入されたと思った。ところが、第一空挺団には「出動命令」は出されなかった。精強部隊は何をしていたのか。7日に行われる「訓練事始め」の準備に忙しかったのである。訓練事始めは「消防の出初め式」みたいなもので、見物人を集めて日頃の訓練の成果を披露する新年恒例の行事である。自衛隊の広報活動として重要な任務で、今年は米軍や英国軍など同志国の部隊も参加して「離島の奪還」を想定した訓練を披露した。つまり「災害出動」より「恒例行事」を優先したのだ。
決断できなかった首相
1年前から綿密に準備をしてきた晴れの舞台を成功裡(り)に催したい。米英豪の部隊に参加していただいている。一緒に離島奪還の訓練をすることは中国への威嚇(いかく)になる。準備万端整っている、中止するわけにはいかない――。現場にはそんな事情があったのだろう。
だが、訓練出初め式と被災地救援とどちらが大事か。今しなければならないのはどちらか。極めて初歩的な判断を防衛省は誤った。防衛省の責任ではない。自衛隊の最高統括者は首相だ。
方向が決まると突き進むのが「軍人」。その行動が市民社会のルールと合致しているか判断するのが政治家だ。「文民統制」はそのためにある。「被災地に行ってくれ。出初め式は後にしよう」と言えば、それで決まりだった。この程度の決断ができなかった岸田文雄は首相失格である。
木原稔防衛相が第一空挺団に被災地支援を命じたのは9日である。この間に孤立集落で何人が犠牲になったのか。やっと「車両の到達できない場所での救援活動」が始まる。
危機に力を発揮する人材不在
危機に立つと人の地金が現れる。臆病な人は、目を瞑(つむ)り、耳を塞(ふさ)いでしまう。忙しいと、大事なことは後回しにして、目先のことに没頭する。一種の逃避だ。
岸田さんに頭の中は、自民党の裏金問題だろう。捜査の行方が気になる。党としてどう対応すればいいのか。政治刷新本部は、誰に任すか。
寒さと不安の中で救出を待つ現地の人々への思いはどれほどあるのだろうか。支持率が下がっている今こそ、自分を捨てて被災者に寄り添う姿勢を思い切り見せることが大事ではないだろうか。仮に周りが振り付けても、首相に本気がなければ、臭い芝居に終わるだけだろう。
誰とでも仲良しで、当たり障りのないボンボンのような政治家に首相が務まる時代ではない。自民党はサル山のボス猿選びで首相が決まる「平時の政党」だった。予定調和の時代はそれでよかった。明日は、昨日の続きではなく、「想定外」が日常的に起こる乱世が始まった。時代が政治リーダーを選ぶ。危機に力を発揮する人材はどこにいるのか。
●林氏ら4閣僚の資産公開 派閥裏金事件で就任 1/12
政府は12日、自民党安倍派の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件で同派の閣僚が全員交代したことに伴って就任した林芳正官房長官ら4閣僚の資産を公開した。
公開されたのは昨年12月14日の就任時の土地・建物(固定資産税課税標準額)、普通・当座預金を除く預貯金、有価証券など。生計を共にする家族分を含めた総資産は、松本剛明総務相1219万円、坂本哲志農林水産相4959万円、斎藤健経済産業相189万円、林氏1億4780万円だった。
●NTT法巡り通信3社と泥沼対立!米GAFAM対抗「グループ大結集」構想の試練 1/12
週刊ダイヤモンドの特集は「デジタル貧国の覇者 NTT帝国の野望」です。かつて時価総額世界一を誇ったNTTは、復権を掛けたグループ再編の真最中。そこに突如浮上したのが、およそ40年前に制定されたNTT法の廃止論です。NTTは「昭和の呪縛」から脱却する千載一遇のチャンスを掴もうとしている一方で、競合のKDDI、ソフトバンク、楽天グループは激しく反発しています。業界で完全孤立するNTTは、通信領域に侵攻する米GAFAMに対抗できるビジネスモデルを打ち立てて復活を果たすことはできるのでしょうか。
NTT vs 競合3社の泥沼対立! 「NTT法廃止」の奇襲で業界は大混乱
2025年をめどに必要な措置を講じ次第、NTT法を廃止する――。23年12月5日、自民党がまとめた提言で通信業界に激震が走っている。
1985年の旧日本電信電話公社(電電公社)の民営化に合わせて制定されたNTT法とは何か。政府が3分の1以上の株式を保有する義務や外国人就任が禁止されている他、研究成果の普及促進と日本全国にあまねく電話を普及させるという「2つの責務」や、取締役の選任に総務省の認可が必要になるなど、長くNTTの経営を縛る「足かせ」(幹部)になっていた。
NTTにとって自民党の提言は千載一遇のチャンスである。だが、KDDI、ソフトバンク、楽天グループの携帯電話会社楽天モバイルの競合3社は「NTT法廃止」に反対だ。全国のケーブルテレビ会社など総勢181社で結束して徹底抗戦の姿勢を鮮明にしており、日本の通信業界は「NTTとそれ以外」に完全に分断された。
今後のNTT廃止論をめぐる攻防は、総務省の情報通信審議会(総務相の諮問機関)の通信政策特別会合(有識者会議)の場で本格化する見通しだ。
すでに12月22日の有識者会議が示した第一次報告書案では、速やかに実施すべき事項として、研究成果の開示義務の撤廃と外国人役員規制の緩和を盛り込んだ。
今後、「電話」を対象にしたユニバーサルサービスをブロードバンド時代に対応させる議論のほか、NTT東西の業務範囲や外資規制なども対象に激しい議論が続くことになる。
折しもNTTは大規模なグループ改革を推進中だ。
NTT会長の澤田純氏は18年に社長に就任すると、禁断の組織再編に次々と着手。海外事業を統合する新会社の設立、不動産事業・電力事業の再編に続き、20年にはNTTドコモの完全子会社化を完了させた。
澤田氏が乗り出した改革は、22年に社長に就任した島田氏が引き継いで、NTTデータ(現NTTデータグループ)の下で海外事業の再編・統合を強力に進行中だ。そうした改革の中で、突如浮上したNTT法の廃止論だった。
実は、NTT法廃止を仕掛けた自民党の狙いは、国の資産を継承し、かつて時価総額世界一を誇ったNTTの復権だ。
NTTはとうの昔に世界の時価総額ランキング上位をGAFAMと呼ばれる米巨大IT企業に明け渡している。その上、GAFAMが通信領域に続々と参入してNTTの牙城に侵攻している状態だ。
米中対立が激化して地政学リスクが高まる中、NTTが巻き返しの一手として打ち出しているのが、次世代通信基盤「IOWN」である。電子技術に比べて小エネルギーの光技術を活用し、通信や電子デバイスの世界で「ゲームチェンジ」を起こそうとしている。
もっともNTTのグローバル展開はデータセンター事業で頭角を現している程度で、まだまだ存在感は薄い。
NTTは、グループ再編を貫徹するとともに、NTT法廃止の騒動で泥仕合を繰り広げる「通信ムラ」から脱却して、世界で戦えるビジネスモデルを生み出せるかという瀬戸際に立っている。
ダイヤモンドの総力取材で「NTT帝国の野望」に迫る
実は、NTT法をめぐってKDDIら競合が反発し、通信業界が真っ二つに分断する背景には、NTTの組織再編にまつわる長い歴史があるのです。
NTTは電電公社が85年に民営化して発足した特殊会社。当時の政府の狙いは通信事業への競争導入で、民営化の当初から課題になっていたのがNTTの「巨大性」と「独占性」でした。
当時の郵政省(現総務省)の審議会は「NTT分割・分割を提言。これに対して、当時のNTTは「国際競争力が低下する懸念」を訴えて反対。政府与党を巻き込む大論争になりましたが、その議論は民営化から14年でようやく決着します。
それが99年に発足した持ち株会社体制でした。NTT持ち株の下でNTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズに再編成され、ドコモとデータを含むNTTグループが誕生しました。
これによりNTTは資本関係の分離を回避してグループの一体性を維持したものの、当時から政府内部でも「持ち株会社方式での再編成は競争促進の趣旨とは異なる」との意見が根強く、分割賛成派と反対派の間を取った微妙な決着だったのは事実です。
以来、KDDIやソフトバンクをはじめとする競合は、「NTTの一体化」に警戒し続けてきましたが、その均衡を破ったのが18年に社長に就任した澤田会長と、その後を継いだ島田社長です。
20年に完了したドコモの完全民営化もKDDIら競合の激しい反発を受けたのは必然と言えましたが、澤田・島田政権によるグループ再編は今なお強力に進行中です。
そして、通信業界を大混乱に陥れた「NTT法廃止」の提言の取りまとめを主導したのは、岸田政権の経済安全保障政策や半導体戦略に強い影響力を持つ自民党前幹事長の甘利明氏です。
本号では、NTT法を巡って通信業界が分断するに至った水面下の動きを徹底取材しました。立役者の甘利氏に直撃すると共に、NTT法廃止反対の急先鋒に立つソフトバンクの宮川潤一社長のインタビューも掲載しています。
さらには、「大NTT」復活に向けたNTTグループ再編の行方を占うとともに、ドコモ完全子会社から3年が経過した内部の迷走や、33万人のグループを構成する巨大官僚組織の内部にも深層取材で切り込んでいます。
●丸川元五輪担当大臣を直撃 安倍派で複数の閣僚経験者が「中抜き」か 1/12
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、安倍派の丸川珠代元オリンピック担当大臣側がおよそ700万円の「中抜き」をしていたことが分かりました。記者の取材に丸川氏は…
記者「丸川さんすみません、TBSテレビなんですけど。政治資金の件について、受け止めよろしいでしょうか?」
記者の質問に一瞬振り向いた自民党の丸川珠代元オリンピック担当大臣。
丸川氏は政治資金問題で揺れる最大派閥・安倍派に所属する議員です。
安倍派は政治資金パーティーの収入の一部のキックバックや、議員側が派閥に納めない「中抜き」がおこなわれ、過去5年間で総額6億円近くが裏金化された疑いがもたれています。
その後の関係者への取材で、「中抜き」は事務総長も務めた下村元文科大臣側におよそ500万円、丸川元オリンピック担当大臣側にもおよそ700万円あることが新たに分かりました。
中抜きはあったのか、丸川氏は…
「(Q.丸川さんご自身はキックバックや裏金、中抜きはあったんでしょうか?)・・・」
JNNの取材に応じず、その場をあとにした丸川氏。JNNは改めて、下村氏、丸川氏側に書面で取材を申し込みましたが、期限までに回答はありませんでした。
こうした中、安倍派では『派閥』と『所属する議員』の収支報告書を近く訂正する方針であることが分かりました。
記者「岸田総理がこれから党幹部らとの面会に臨みます」
きょうも茂木幹事長ら党幹部と相次ぎ会談した岸田総理。裏金事件を受け、新設した「政治刷新本部」での議論の進め方など意見を交わしました。
岸田総理 (周囲に)「政策集団が残るのであれば、派閥というものはやめてもいいんじゃないか」
岸田総理はきのう、派閥から人事権と集金機能を切り離した「政策集団」という形にできないか、検討する考えを周囲に漏らしたということです。
一方、野党は…
立憲民主党 泉健太 代表「(派閥が)巨額の金を集めて裏金の温床になっているということであれば、それは解体すべきですよ。今ある組織を何となく衣替えをするぐらいではですね、私は根本解決にはならない」
自民党内からは政治刷新本部で“国民が納得する結論を得られなければ政権交代にも繋がりかねない”と懸念する声も上がります。
自民党 石破茂 元幹事長「自浄能力というのか、それ無かったんだねと、そうすると頼りないけど、野党にでもやらせてみましょうか、みたいな人が増える可能性は私は結構高いと思っている」
自民党はどう改革していけるのか、正念場を迎えています。
●自民「政治刷新本部」脱派閥と容認派、早々に真っ二つ 始める前から終わり 1/12
自民党安倍派(清和政策研究会)を中心としたパーティー券裏金事件を巡る対策立案のため岸田文雄首相(同党総裁)が立ち上げた政治刷新本部が、開始早々から「脱派閥」と「派閥容認」の2派に真っ二つの状態となっている。
最高顧問で無派閥の菅義偉前首相(衆院2区)が11日の初会合で「派閥を解消しないと国民の信頼を得られない」と明言したことがきっかけ。「無派閥は少数で、孤立無援になる」との首相周辺の楽観論を覆し党内外で「派閥無用論」が広がり始めている。
同本部メンバーの国会議員38人のうち10人が安倍派。無派閥は、批判を受けて自派会長を一時的に下りた岸田首相を含め同数の10人だ。安倍派をはじめとした派閥議員が多数を占めていることで「容認派優勢」の見方があった。しかし、世論の逆風が強いこともあって「会合でも容易に意見表明ができない」(派閥所属のメンバー)状態に陥っているようだ。
もともと安倍派が多数を占めたメンバー構成に党内からは「始める前から終わっている」(閣僚経験者)との批判も相次ぐ。同本部関係者は「青年局や女性局役員経験者からの人選でたまたま安倍派が重なった」と釈明。しかし、学校になぞらえた「校則を守っていない生徒に校則を作らせようとしている」(同)といった疑念が渦巻いている。

 

●自民党への国民の厳しい視線 「見誤ると政権の維持自体が困難」 1/13
自民党の石破茂元幹事長(66)は13日までに自身のブログを更新し、パーティーをめぐり政治資金問題に発展したことを受けて党内に設置された「政治刷新本部」をめぐり、現在の形の派閥について厳しい意見を投げかけた。
石破氏は、党改革を話し合う組織を昨年のうちに設置するよう総務会などで訴えてきたが、執行部は動かなかった。一方、11日に初会合が行われた刷新本部のメンバーには選ばれず、「石破氏抜き」となった顔ぶれについては、野党からも「茶番」(立憲民主党の長妻昭政調会長)との指摘が出ている。
石破氏は「昨日党本部に、総裁を長とし、40名近くの議員で構成される『政治刷新本部』が発足し、議論が開始されたと報道されています」と、報道をもとに言及。「派閥のパーティ券収入の『裏金化』問題は、派閥による自己解明がなされない以上、検察の捜査に委ねる他はありませんが、『政治刷新』と銘打つからには国民の多くが共感・納得する結論を得なければなりませんし、その中核に『派閥の存在』があることは論を俟ちません」と、指摘した。
「政策グループは政策研究や各種選挙の支援等、党本部ではカバーしきれない分野を補う機能を持つべき」としながらも「単なるポストと資金の配分機能に特化しているとすれば、国民のニーズとの乖離は明らかです」とも指摘。1988年に起きたリクルート事件を踏まえ自民党がまとめた「政治改革大綱」が、ほぼ機能しないままここまで来たことを踏まえ「『政治改革大綱』の理念は、二大政党制を前提として、政党の機能を強化するという方向性でした。今回もこの理念を踏襲するのであれば、ポストと資金配分の機能につき、一定の基準のもとに党に一本化することを考えることになるのでしょう」と私見を記した。
また、昨年末、地元(衆院鳥取1区)を回った感触に触れ「永田町の感覚とは大きな差があることを実感します。これは鳥取県のみならず、全国的な現象であるはずで、これを見誤ると政権の維持自体が困難になるように思われます。この現状を決して甘く見てはなりません」と述べ、岸田政権と自民党に向けられた有権者の視線の厳しさを認識すべきとの考えを、あらためて示した。
●「裏金派閥を解消しろ」菅義偉の主張に公明党がエールで「倒閣運動」が起きる 1/13
こうなった以上、派閥は解消しなければならない――。
自民党派閥の裏金事件をめぐる政治刷新本部の初会合を受けて、菅義偉前首相はズバリ言い放った。これに公明党からの「エール」が湧き起こり、岸田文雄首相の思惑が崩れつつある。世論の「派閥解消」の流れが強まれば、2024年度の予算成立後に「菅暫定内閣」に政局が一気に傾く可能性が出てきたのだ。
麻生太郎副総裁、菅前首相を政治刷新本部の最高顧問に据えたものの、派閥については継続議論に。政治資金規正法の罰則強化などで「お茶を濁す」ということが、岸田首相の考え方で、なにやら怪しい雰囲気になってきた。
公明党の山口那津男代表は1月11日に初会合が開催されたことを受け、次のように述べている。
「首相経験者で最高顧問として菅義偉前総理、麻生太郎元総理も入っている。無派閥でも総裁になられたという点で、菅前総理の意見も大いに党内論議の中で生かされていくべきだ」
岸田政権の後見人である麻生副総裁と、政権と距離を置く菅前首相を最高顧問に据える布陣。首相の狙いは「反岸田」も取り込むことで、党全体で政治資金の問題について議論した形をとることだ。すなわち菅氏の言う「派閥解消」は党内コンセンサスを得ることが難しいため、菅氏を立てる形をとりながら、麻生氏に軍配が上がるようにし、政権基盤を安定させることにある。
だが「公明党のエール」の影響もあり、自民党内で無派閥議員を中心に、「派閥解消」の意見が声高に叫ばれ始めた。自民党国会議員でない限り、派閥が「ミニ政党」の役割を果たし、各省庁との折衝、選挙での応援など、様々なメリットがあることは理解できない。
世間的には派閥は「金権政治」の温床であり、解消されるべきだとの意見は圧倒的に強い。派閥が存続するなら「国民一人あたり250円を負担する政党交付金は必要ない」との意見もSNS上にはある。ちなみに自民党には、140億円近い政党交付金が助成される予定だ。
連立を組むパートナーであり、菅氏と近い公明党が「派閥解消」を応援するなら、党内でも派閥解消の火は広がっていく。ましてや世間の後押しもある。小泉進次郎氏、三原じゅん子氏など、目立つ国会議員は菅氏側近であり、声はますます大きくなるだろう。
「派閥解消が大きな論点になり、菅氏陣営が優勢になれば、派閥解消論と岸田政権倒閣運動がセットになる可能性は十分にある」と全国紙政治部デスクは話す。
これだけの裏金スキャンダルが発覚した今、国民は自民党の「改革の本気度」をじっくりと監視している。
●「50代にリスキリングはいらない!」森永卓郎氏が断言、岸田政権の思惑 1/13
2023年12月22日に決まった2024年度予算案で、岸田政権が計2000億円を投じ、特に力を入れているのが、「リスキリング」支援の拡充だ。
リスキリングとは、ビジネスの変化や革新に対応するため、新たな知識やスキルを習得すること(パソナHPより)。大分県内の量販店に勤める三谷さん(54・仮名)は、かつて2度のリスキリング講習(公共職業訓練)を受けたことがあるという。
「当時勤めていた印刷会社が激務で、資格を取ってよりよい環境で働きたいと考え、第二種電気工事士の講習を受けることにしたんです。でも、途中で別業界の仕事が見つかり、やる気がなくなって……。講習後の資格試験には落ちてしまいました」
その後、三谷さんは介護職員初任者研修に挑戦した。
「今度は無事に資格を取得し、知的障害者の介護施設に就職したんですが、『適性がない』と、3カ月で解雇されたのです。“人生逆転”はかなわず、毎月7、8万円の給付金を半年間もらっていたのに、なんの成果も出せませんでした」
そう反省する三谷さんだが、岸田政権は今回、デジタル・グリーンなどの成長分野に未経験の高齢者を受け入れた場合、事業主に最大90万円を支給するという。
「冷静に考えたら、今までほとんどパソコンを使えなかった中高年が、半年勉強したくらいで、IT技術者になれるはずがないわけですよ」
そう憤るのは、経済アナリストの森永卓郎氏(66)だ。
「リスキリングは、中高年の雇用に対する企業の責任放棄です。これまで、日本は終身雇用のなかで、企業が中高年に職業能力の転換教育をしてきました。それが今回、中高年を切りたい会社側に、政府がお墨つきを与えたんです」
会社から放り出されても、中高年向けの求人は、高度な技能が不要な非正規社員の募集が大半だ。
「だから、いちばんいいのはミスをせずに“休まず・遅れず・働かず”で、会社にしがみつくことです。中高年が根本から職種を変えることなんかできるはずがないのに、あたかもできるかのようにメディアが宣伝してるんです」
その名も「NIKKEIリスキリング」というメディアを持つ日本経済新聞は、2023年8月に「リスキリング時代」という特集を連載し、2024年度予算案も「個人の学び直し支援拡充」と評価している。だが、経済評論家の鈴木貴博氏(61)は、全国民が学び直すべきだという風潮に懐疑的だ。
「企業が社員に、専門性の違う技術を身につけさせるには、30代がタイムリミットでしょう。50代に『リスキリングできないと会社に残れない』と言っても、頑張っても身につかず、“地獄”になってしまいかねません」
鈴木氏は、42歳のときに米国公認会計士試験に挑戦した。当時、本業としていた経営戦略コンサルタントと近い分野だったが、資格取得には苦労したという。
「最終的には合格したものの、20代で別の資格を取ったときと比べて、学習能力が低下していることに愕然としました。コンサルと会計士は、たとえば監査プロセスでも、アプローチの仕方がまったく異なります。近い領域だったぶん、それまで身につけた思考をいったん捨てる『アンラーニング』に苦労しました」
リスキリングで成功するのはほんのひと握りだ。
「役職定年になれば、たいてい人財価値や、給与は大きく下がります。私の友人で、メガバンクの支店長まで勤め上げ、資格を取って税理士事務所に転職した男がいますが、私の周囲では数少ない成功事例です。彼は新しいことを勉強し、新規の顧客を自分で取ってくる能力が並外れているから、それができたのだと思います。多くの人にとっては、そこで高望みをしたり、資格取得を目指すなどの無理は、したりしないほうがいいと思います」
なぜなら、政府の意気込みとは裏腹に、会社が50代以降のサラリーマンに求めるリスキリングは、それほど高いものではないからだ。
「若い世代が当たり前にできているスマホなどの活用スキルをきちんと身につけて、これまで部下にやらせていたことを、自分で調べて解決できるようになれば十分ではないでしょうか。2022年から高校の必修科目になった『情報I』の教科書を専門書店で買うのもいいかもしれません」
2015年、野村総合研究所と英オックスフォード大学が発表した共同研究結果は、世間に衝撃を与えた。
2025〜2035年には、日本の労働人口の約49%が就いている職業が、人工知能やロボットが進化し、代替することが可能だという推計結果が得られたというのだ。
だが、焦って新たなスキルを習得する必要はない。
『お金の賢い減らし方』(光文社新書)が9刷とヒット中の経済コラムニスト・大江英樹氏は、新卒で入社した証券会社を定年退職し、一度は再雇用に応じて働き始めた。しかし、「つまらないから」と半年で辞め、起業した経験を持つ。
「サラリーマンは、『自分には特別な能力はない』と考えている人が多いでしょう。しかし現実には、ひとつの部署で10年も仕事を続けていれば、世間から見ると十分にその道のプロです。私は50代を通して、『確定拠出年金』の仕事をしていました。すぐに収益が上がる部署ではなく、“窓際族”だったといっていいでしょう。しかしその10年間が、定年後の資産運用についての執筆や講演をおこなうという、現在の仕事に繋がっているわけです」
では、これまで培ったスキルを生かせるのなら、リスキリングは不要なのか。
「まったく必要ないとは言い切れません。定年後に始めたい仕事があって、そのために身につけておくべきスキルがあれば、やるべきです。私の場合は、サラリーマン時代にはまったくわからなかった帳簿上のお金の動きを把握するスキルが身につきました。しかしそれは、自分がやりたいことのために必要なことで、嫌々ではなく楽しんで習得したものです」
一方、好きでもないスキルを無理に磨く必要はない。
「私は証券会社に入社して以来、長らく地方支店で個人営業の仕事をしてきましたが、あまり好きな仕事ではありませんでした。そのため起業した当初は、営業はエージェントにまかせていました。その後はダイレクトに依頼が来ることが増え、現在も営業はせずに済んでいます」
やりたくない資格やデジタル技術の取得――。そんなリスキリングは、50代にはいらないのだ。
●「小出し」批判の自衛隊派遣…ちぐはぐな災害対応続ける岸田政権 1/13
能登半島地震発生から15日で2週間。岸田文雄首相が「総力を挙げる」とした政府の対応が問われている。家屋倒壊による生き埋め多発で「時間との闘い」となる中、自衛隊や消防は適切に派遣されたのか。司令塔である首相官邸の危機対応は十分だったのか。交通網寸断で陸の孤島となった半島での救助作戦も検証が求められている。
「総力を挙げて」と首相は言うけれど
「総力を挙げて一人でも多くの方を救命、救助できるよう全力で取り組んでほしい」。生存率が急激に下がる「発生72時間」を目前にした4日午前、岸田文雄首相は非常災害対策本部の会議で閣僚らに指示した。
だが、その要を担うはずの自衛隊の派遣を巡っては批判が噴出している。時事通信によると、秋田県の佐竹敬久知事は9日、「対応が少し後手後手だ」と批判。2日目に1000人、3日目に2000人、5日目に5000人と派遣規模を段階的に増やしていることについて「最初から1万人規模の投入が必要だった」「東日本大震災を経験したものとして非常にはがゆい」と訴えた。
部隊を小出し、旧日本軍に例えられ
熊本地震(2016年)では3日目に1万4000人余を投入しており、この違いも批判に拍車をかけた。立憲民主党の泉健太代表は、ガダルカナル島の戦いで部隊を小出しにして敗退を続けた旧日本軍になぞらえ、「逐次投入になっており、遅い」と指摘した。
7日には、陸上自衛隊第1空挺(くうてい)団が千葉・習志野演習場で米英など計8カ国でヘリなどを使う「降下訓練始め」を行い、SNSなどで「こんな時に行わなくても」などと批判を受けた。航空自衛隊は埼玉・入間基地で20日に予定されていた航空祭を、災害派遣活動を理由に中止している。
こんな時に陸自幕僚副長ら靖国集団参拝も判明
陸自を巡っては、小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)ら数十人が9日、靖国神社に集団参拝していたことも判明。宗教の礼拝所を部隊で参拝することを禁じた事務次官通達に違反している可能性があるとして、防衛省は調査を始めた。災害対応とは直接関係ないかもしれないが、「総力」を挙げている最中のはずだけにきまりが悪い。
「逐次投入」批判について政府側は、能登半島全体が被災して道路が寸断されるなど陸の孤島となった点を示し、「道路の復旧状況など見ながら受け入れ人数を増やしていった」(木原稔防衛相)と反論する。
東日本大震災では3日目で10万人体制
阪神大震災の対応に当たった陸上自衛隊の冨澤暉(ひかる)・元陸上幕僚長も「災害対応は隊員を送り込んで終わりではない。どこに宿泊するか、水や電源など補給は確保できるか、現地の状況が確認できなければ、二次災害の可能性もあり、大量動員はできない」と理解を示す。元陸自レンジャー隊員で災害出動の経験もある井筒高雄氏も「能登半島はもともと交通アクセスが限られている上、被災で余計にルートの確保が難しくなった。初日に1万人を突っ込むことはできないだろう」と述べる。
一方、防衛ジャーナリストの半田滋氏は「情報収集が先決なのは事実だが、今回は発生直後からヘリが現地に飛んでいた。なぜこんなに人員の増強がモタモタしているのか。後手に回っている」と指摘。岸田首相が現在も被災地に入っていない対応も疑問視。「東日本大震災の時は安全保障政策が弱点と言われていた民主党政権で、それもあってか2日目に5万人、3日目には10万人体制とした。熊本地震も安倍晋三首相のトップダウンが見えた。今回は岸田首相をはじめとする政治家の危機感が感じられない」
「5日の晩に届いたおにぎりの消費期限が5日だった」
「支援をいただいて本当に助かっているが、5日の晩に届いたおにぎりの消費期限が5日だった。これを次の日に被災者に届けるのはいかがなものかと思い非常に悩んだ。ぜひ、消費期限の少し長いものとか、できるだけ早い段階での物資の輸送をお願いしたい」
6日に開かれた石川県の災害対策本部員会議で、大森凡世・能登町長は、混乱する現地の様子をこう訴えた。
「司令塔として機能していない首相官邸」
被災地のニーズを把握し、「プッシュ型」で積極的に支援するとしている首相官邸。だが、政府関係者や被災地を取材する経済ジャーナリスト小倉健一氏は「岸田首相が政府内や地元との調整なく、現場を無視してトップダウンで対応を決めているため、混乱を来している。官邸の司令塔としての役割が機能していない」と指摘する。
小倉氏によると、出所不明の孤立者リストのチェックや、被災地のニーズを把握する「御用聞き部隊」編成などの指示もあったという。「首相は低迷する内閣支持率を何とか持ち直そうとするのに一生懸命。被災者のためではなく、自分や政権のために行動する姿が透ける」
当の岸田首相は「私自身が陣頭指揮を執る」として、地震発生後、連日政府の非常災害対策本部会議に出席。防災服姿で記者会見などにも臨んでいる。
5日には経済団体の新年会に参加
一方、5日には経済団体の新年会に参加。「震災対応に万全を期すため、政府総力を挙げて取り組んでいる」と述べつつ、賃上げや投資、株価の上昇に言及した。
地震対応の遅れも指摘される中だったが、官邸内の雰囲気はどうだったのか。ある自民党関係者は「当初から官邸はピリピリしている。首相はやれることは全力でやるという姿勢だ」と解説。ある官邸関係者も「緊張感を持って、淡々といろんな対応を考えている」と説明する。
半島という特殊な地域、危機管理甘く
だが、政治ジャーナリストの泉宏氏は「半島という特殊な地域での危機管理の認識が甘く、やるべきことが遅きに失している。官邸の危機管理体制が穴だらけであることを国民に印象付けてしまった」と指摘。「政府は危機管理体制を検証し、可及的速やかに『半島有事』の対応策を示すべきだ」と語る。
今回は、消防も発災直後から被災地での救助、救急活動を実施。総務省消防庁の災害対策本部の発表(消防のみの集計)では、12日発表の最新の救助人数は計359人、搬送人数は計1818人。
能登半島での地震「最悪の想定されていなかった」
そもそも「陸の孤島」である能登半島での備えは十分だったのか。神戸大の室崎益輝名誉教授(防災計画)は「能登半島で三つの断層が同時に動く地震が起こる最悪の想定が認識されていなかった」と指摘する。
半島や山岳部で救助隊がすぐ到着できない地域は他にもある。「本来は発生直後から大量の人員を派遣しないといけないが、直後には深刻な被害状況がつかめず、初動が遅れたことは問題だ。避難所での資材の備蓄なども想定が十分ではなく、阪神大震災や東日本大震災などの教訓が学ばれていなかった」として、こう戒める。
「国も地方自治体も油断があったのかもしれないが、陸の孤島で大災害が起きた際の対応が今後問われる」
デスクメモ
阪神大震災直後、市役所の隅で毛布をかぶり、ぼうぜんとしていた消防隊員が忘れられない。現在は消防も警察も自衛隊も応援態勢が整い、救助機材も充実。だが、今回は交通の途絶に年始や降雪の悪条件も加わっている。現場の人々を支える上層部の判断がこれまで以上に問われる。 
●岸田政権、台湾の平和と安定重視 中国動向念頭 1/13
岸田政権は、13日の台湾総統選で与党、民主進歩党(民進党)の頼清徳副総統が勝利した結果を踏まえ、台湾海峡の平和と安定の重要性を引き続き重視する方針だ。背景には、頼氏を独立派と見なす中国が軍事的圧力を強めかねないとの懸念がある。日台非政府間の実務関係を維持し、先端半導体分野などで協力と交流を深めていく。
上川陽子外相は頼氏勝利を受け祝意を表する談話を発表。日本と台湾は基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有しているとして「極めて重要なパートナーであり、大切な友人だ」と強調した。
頼氏は2022年7月、銃撃事件で死去した安倍晋三元首相の葬儀に参列。能登半島地震の発生直後に支援を表明しており、日本はさらなる関係発展を狙う。一方、台湾統一を目指す中国が頼氏への警戒感を強めるのは必至だ。
米下院議長が22年8月に訪台後、中国は台湾周辺で大規模軍事演習を行い、日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイル5発を落下させた。軍備増強を続ける中国の動向が、日本の安全保障に影響するとの見方が広がっている。
●道路デコボコ液状化被害 地盤が横方向に最大3m移動か 能登半島地震 1/13
石川県の内灘町では、液状化にともなって地盤が横方向に最大3mほどずれ動く「側方流動」が起きていたことが明らかになった。
1月1日に、最大震度7を観測した内灘町で撮られた防犯カメラの映像では、大きな揺れのあと、アスファルトの道路に亀裂が入り、いたるところから大量の泥水があふれ出していた。
地震の強い揺れで、土壌の結びつきが弱くなり、砂や水が噴き出す「液状化」とみられる。
内灘町では、傾いて倒れた電柱や、盛り上がり割れたアスファルトが確認できた。
町では、道路も波打つように凸凹ができ、かろうじて車が通れる状態。
1月6日から8日にかけて、現地を調査した東京電機大学の安田進名誉教授は、次のように指摘する。
東京電機大学(地盤工学)・安田進名誉教授「道路も1mくらい盛り上がっていたり、普通の液状化の被害と全然違う。液状化にともなって『側方流動』が起きた」
「側方流動」は、液状化にともない、傾斜に沿って地盤が横方向に動く現象のこと。
安田氏は地割れの大きさなどから、地盤の移動距離が3m前後に及んだと推定している。
東京電機大学(地盤工学)・安田進名誉教授「内灘町には砂丘がある。加えて(土地が)少し傾いているから、液状化するとズルズルと流れ出してくる」
そのうえで、今後、国や自治体の支援が必要と指摘する。
東京電機大学(地盤工学)・安田進名誉教授「(傾いた家の)中で生活していると、目まいがしたり、吐き気がしたり。自治体とか国と一緒に(なって)再建が必要」
●政治刷新本部の安倍派9議員側、還流やプールで数百万〜数十万円裏金化 1/13
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、岸田首相(党総裁)が設置した「政治刷新本部」に「清和政策研究会」(安倍派)から加わった9人の国会議員側が、派閥からのキックバック(還流)などによりパーティー収入の一部を政治資金収支報告書に記載していない疑いのあることがわかった。同本部は派閥のあり方や政治資金の透明性を高める方策を検討するために設置され、メンバー38人のうち安倍派所属議員は10人。
同派では2022年までの5年間に約100人の議員側が還流やプールにより総額5億7000万円超を裏金化した疑いがあり、うち約80人は現在の所属議員であることが判明している。
関係者によると、同派のメンバー10人のうち、本部長代理の岡田直樹・前地方創生相、副本部長の野上浩太郎・元農相と、幹事の佐々木紀、上野通子、太田房江、松川るい、吉川有美、事務局次長の藤原崇、高橋はるみの7氏は、5年間で数百万〜数十万円を関連政治団体の収支報告書に記載しなかった疑いがあるという。
東京地検特捜部は同派の会計責任者を政治資金規正法違反で立件する方針。派閥幹部の関与の有無について詰めの捜査を進めており、近く最終判断する見通し。
●政治資金巡り発足「政治刷新本部」 安倍派10人中9人不記載か 1/13
自民党の政治資金を巡る事件を受けて発足した「政治刷新本部」を巡り、参加する安倍派の議員10人のうち9人が、記載のないキックバックなどを受けていたとみられることが分かりました。
安倍派ではパーティー券の収入が議員側にキックバックされ、収支報告書に記載されていない疑いがあり、自民党は再発防止に向けて「政治刷新本部」を発足させています。
その後の関係者への取材で、刷新本部に参加している安倍派の議員10人のうち、岡田直樹前地方創生担当大臣、野上浩太郎元農林水産大臣ら9人が、記載のないキックバックなどを受けていたとみられることが分かりました。
おととしまでの5年間で、多い議員で数百万円に上るということです。
岸田総理大臣は、この9人を変えずに議論する考えを示しました。
岸田総理大臣「自民党が一致結束して、信頼回復のための議論を行うにあたって、特定の人間を排除するというような排除の論理は適切ではない」
●パー券裏金疑惑で安倍派幹部立件見送り報道に「検察仕事しろ」怒り噴出 1/13
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、ノルマを超過したパーティー券の売り上げを派閥の政治資金収支報告書に記載しなかったとして政治資金規正法違反容疑で任意聴取された最大派閥・安倍派(清和政策研究会)の歴代事務総長ら幹部議員について、東京地検特捜部が立件を断念する方向で調整していると13日、複数のメディアが報じた。
ネット上では、これまで「検察がんばれ」などの激励の言葉で捜査の行方を見守ってきたが、一転し「検察仕事しろ」「東京地検手を抜くな」などの関連ワードがトレンド入りし、「この国は法治国家じゃなかったのか? 一体いつから犯罪放置国家になったんだ?」などの憤りがあふれた。
さらに「納税の義務」がトレンド入り。度重なる裏金疑惑報道に怒りを募らせる市民は「政治家が税金払わなくて良いということは納税の義務が無いということ。ということは日本国民ではないということ。日本国民でないなら政治家であってはいけないよね」「国民には納税の義務があります。怠れば督促状、差し押さえなど問答無用に晒されます。では政治家の皆さんは一体何と言う民なのですか?」などの怒りが噴出。
このほかにも「東京地検特捜部が納税の義務を無視しました。納税せず脱税でも逮捕されないようです。まさか、一般国民だけ逮捕するなんてありえないよね」「国民の義務? 同じ上級『国民』が脱税してるんだからいいよね?」など強烈な皮肉まじりの厳しい声が飛びかった。

 

●岸田首相「今月中に1000億円以上の予備費の使用を決定」初の被災地視察 1/14
岸田首相は14日、能登半島地震の被災地を視察した後、石川・金沢市で記者団の取材に対し、1月中に1000億円以上の予備費の使用を決定との方針を表明した。
地震発生後、初めて被災地入りした岸田首相は、輪島市と珠洲市で避難所を視察したほか、現地で活動する自衛隊員などを激励。
また、石川県庁で馳浩知事らと意見交換した上で、記者団の取材に応じた。
この中で岸田首相は、「避難所を視察し厳しい避難生活の状況を確認した。家屋倒壊、市街地の火災跡、大規模な土砂崩れ、凄まじい地震の爪痕を目の当たりにするとともに、被災者から大変な苦労をされているという声、不安の声を直接、聞いた」と説明し、「被害の甚大さを実感した」と述べた。
その上で、「被災者のためにできることは全てやるとの決意のもとで、現下の震災対応、被災者の生活と生業の再建支援に全力で、取り組んでいく」と強調した。
そして、今年度予算で残っている予備費について、1月中に「1000億円を上回る規模」で使用についての決定を行うことを明らかにした。
予備費の使用決定は、9日に続く「第2弾」との位置づけ。
●安倍派の萩生田氏「おわび」自身の責任は言及せず 八王子市長選で 1/14
自民党安倍派で「5人衆」と呼ばれる有力幹部の萩生田光一・前政調会長は14日、選挙地盤の東京都八王子市で同日告示された市長選の候補者の出陣式に出席し、「政治資金パーティーの会計処理をめぐって政治不信を招くことになり、大変なご心配をおかけしていることを改めておわび申し上げたい」と述べた。派閥による裏金作りの詳細や、自らの責任には言及しなかった。
萩生田氏は自民党総裁の岸田文雄首相による政権中枢からの安倍派の一掃方針を受けて、昨年末、党三役の政調会長を辞任した。自らもパーティー収入の一部について裏金としてキックバック(還流)を受けた疑惑があり、東京地検特捜部が任意で事情聴取したことが関係者への取材でわかっている。
茂木敏充幹事長も出陣式に出席し、「国民に疑念が広がっていることを深刻に受け止め、反省しなければいけない」と述べ、「(自民の)総裁直属機関の(政治)刷新本部のもとで、再発防止策をとっていく」と語った。
刷新本部をめぐっては、安倍派からメンバー入りした10人のうち9人がパーティー収入の一部を裏金にしていた疑いがあり、同本部の正当性が問われる事態となっている。
●派閥の政治資金パーティーめぐる事件で塩崎議員「自浄能力問われている」 1/14
自民党・安倍派の塩崎彰久衆議院議員が、14日、地元の愛媛県松山市内で支援者集会を開き、派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受け「自民党の自浄能力が問われている」と述べました。
塩崎議員は、支援者らを招いた「新春の集い」で、能登半島地震の募金活動を行っていた際に「こんな時に自民党は何をやっているんだ」など厳しい声を掛けられる場面があったと振り返り、派閥の政治資金パーティーをめぐる事件について「党の自浄能力が問われている」と述べました。
この問題をめぐりあいテレビが先月、愛媛県選出の自民党・安倍派の国会議員3人に行ったアンケート調査に対して、塩崎議員は、政治資金について「適正に処理し、報告している」と回答していて、また、自身のSNSでも「私はキックバックなど、そういったものをいただいたことはございません」と明言しています。
塩崎議員は、14日の集会でも「私自身は今回一切キックバックを頂いておりません」と改めて強調。その上で「私個人がどうこうという、そういう次元の話ではもう既にないと思っている」と述べ、支援者に対し「地域でも厳しい声にさらされていることについて、本当に申し訳なく、心からお詫び申し上げたい」と謝罪しました。
また、集会で祝辞を述べた愛媛県選出で自民党安倍派の山本順三参議院議員は、派閥の政治資金パーティーをめぐる事件に触れ、「派閥というのは、どの分野でもありますよね。それを否定するというよりも、その派閥を解消する意味はどこにあるのか、何をすべきなのか、従来の従来の古い政治家ではなく、新しい政治家がリーダーシップを取って頑張って頂きたい」「皆さんの信頼を取り戻すためには、若い塩崎さんを中心として、新しい発想での改革を進めていかなければならない」と呼び掛けました。
山本議員は、派閥側からのキックバックについて問う、あいテレビのアンケート調査に対して「刑事告発されている件なので、慎重に事実関係を調査・確認し、適切に対応する」回答しています。
●自民党パーティー券捜査に「終結へ」報道 検察の“忖度”に集まる批判 1/14
通常国会召集日の1月26日が迫るなか、東京地検特捜部の「派閥パーティー裏金・キックバック事件」の捜査は、終結を視野に入れ始めたようだ。
これまでに、自民党「清和政策研究会」(安倍派)に所属していた衆議院議員の池田佳隆容疑者(57)と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)が、2022年までの5年間に、政治資金パーティーのキックバック4800万円あまりを政治資金収支報告書に記載しなかったとして、1月7日に政治資金規正法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されている。
今後、新たな逮捕者が出るのかが焦点になっていたが、共同通信は1月12日に《安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の会計責任者を立件する方針を固めたことが分かった》《受領した裏金が高額とされる同派の大野泰正参院議員(岐阜選挙区)、谷川弥一衆院議員(長崎3区)の立件に向け、詰めの捜査を進めている》と報じたのみで、身柄拘束となる逮捕者は出ないようである。
その背景について、日本経済新聞は1月14日に《(安倍派の)幹部らはパーティー収入を議員へ還流させる仕組みについて「報告を受ける立場にない」と説明。会計責任者との共謀を問うにはハードルがあり、幹部らの立件は見送られる公算が大きい》と報じている。
「今回の巨額裏金事件では国民の怒りが大きく、特捜部への期待も高まっていましたが、安倍派の事務総長経験者や『5人衆』と呼ばれる幹部たちの逮捕・立件には及びそうもありません。池田議員の場合は、金の出し入れを細かく指示したり、証拠隠滅の疑いもあったりしたことから逮捕になりましたが、ほかの議員は不記載への関与が少なかったということです。大野議員と谷川議員は、金額が4000万円超と突出しているので立件ということになりそうです」(事件担当記者)
検察への批判は高まっている。SNSには《安倍派5人衆 立件見送りって?? 会計責任者が独断で裏金作る訳ないでしょ!》《検察仕事しろ!! 検察忖度するな!検察全員逮捕しろ!!》《東京地検特捜部って、もう存在価値なくない? 弱い者は捕まえて、強い者には忖度して捕まえない》《検察特捜部ほんといらんわ。税金無駄遣いしてるだけで結果的には自民党と同じ。もう解散して》《デキレースだったのか?! 期待が大きかっただけに失望です》などの声が圧倒的だった。
泉房穂前明石市長も、自身のXに《『特捜部は、客観的な証拠が乏しく、共謀を問うのは難しいとみている』とのことだが、一般国民が相手だと、たとえ客観的な証拠が乏しくても、状況証拠の積み重ねで、あたりまえのように共謀を問うて立件もしている。特捜部よ、国民を騙すようなウソをついてはいけない・・・》と憤懣を書き込んでいる。
一方、今回も会計責任者になった秘書が、詰め腹を切らされている。「秘書が会計責任者になるのは『親分のためなら私が泥をかぶります』という、昔からの慣習。ボスである議員から頼まれたら断れませんから。特別手当? そんなもの、ありませんよ」と、ある秘書経験者は苦笑する。
こうして「秘書がやった」と逃れることが常態化している現状に、公明党は、会計責任者が有罪になったら議員失職する「連座制」の導入を検討しているが、橋下徹元大阪市長は《連座制という面倒くさいことをせずに、政治家が会計責任者になればいいだけ。これだけで永田町がシャキッとする》と自身のXで訴えている。自浄作用を期待したいところだが……。
●宮沢博行前防衛副大臣側が3年間で110万円余派閥に納入せず 1/14
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐり、安倍派に所属する複数の議員側が販売ノルマを超えて集めた分のパーティー収入を、派閥側に納入していないケースが確認された問題で、宮沢博行前防衛副大臣側が、おととしまでの3年間で110万円あまりを納入せず、手元に残していたことが関係者への取材でわかりました。
自民党の安倍派「清和政策研究会」では、複数の所属議員側が、販売ノルマを超えて集めた分のパーティー収入を、派閥側に納入していないケースがあることが明らかになっています。
この問題をめぐり、宮沢前防衛副大臣側が、おととしまでの3年間であわせて114万円を派閥側に納入せず、手元に残していたことが関係者への取材でわかりました。
宮沢前防衛副大臣は12月、国会内で記者団に対し、販売ノルマを超えて集めた分のキックバックを派閥から受けたことを認めていましたが、関係者によりますと、キックバックを受けたのは、2020年とよくとしの2年間であわせて18万円だったということです。
手元に残した分とキックバック分をあわせた132万円は、宮沢前防衛副大臣が代表を務める資金管理団体「宮柱会」の収支報告書に記載されておらず、関係者によりますと、宮沢前防衛副大臣側は全額を安倍派からの寄付として訂正する方向で派閥との調整を進めているということです。
宮沢前防衛副大臣は、NHKの取材に対し、事実関係を認めた上で、「ほかの議員からの情報収集で、派閥からのキックバックの手続きを省略する形で、ノルマ分だけ納めて手元に残すやり方があると聞き、そのやり方にのっとった。収支報告書に記載しなくていいといわれていたが、まずいなという感じはしていた。手元に残した分もキックバックと同じ形で訂正する予定だ」と述べました。
その上で、裏金化された資金を何に使ったのかについては、「政治的な活動として懇親会などに使ったと認識しているが、もう少し精査させていただきたい」と述べました。
●安倍派幹部らの立件見送り検討 政治資金巡り特捜部 1/14
自民党の派閥の政治資金を巡る事件で、東京地検特捜部が安倍派の幹部らの立件を見送る方向で検討しているとみられることが分かりました。
安倍派では、パーティー券の販売ノルマを超えた収入が所属議員側にキックバックされ、派閥の収支報告書に記載されていない疑いがあります。
その後の関係者への取材で、特捜部が安倍派の幹部らの立件を見送る方向で検討しているとみられることが分かりました。
幹部らは任意聴取に対し、キックバックの不記載について「派閥の会長と会計責任者で決めていた」と説明し、自らの関与を否定していたということです。
特捜部は会計責任者について、在宅での立件に向けて詰めの捜査をしているとみられます。
●輪島市の「朝市通り」で大規模捜索続く 能登半島地震から13日目 1/14
能登半島地震から13日目。石川・輪島市の朝市通りでは、安否不明者の大規模捜索が続いている。
地震後の火災でおよそ200棟が焼失した輪島市の朝市通りでは、13日も雪が降る中、行方不明者の手がかりを探す一斉捜索が行われた。
輪島朝市組合・中道肇理事「行方不明の方を捜すような形は、そのまま続けてほしいと思います。輪島の朝市という灯を消さないように何とかできないものか」
当初、捜索の予定は13日までだったが、14日以降も続けるという。
石川県内の死者は220人、安否不明者は26人となっている。
一方、大学入学共通テストが全国で始まり、石川県では、地震で被災した受験生などおよそ5,200人が試験に臨んでいる。
受験生「地震は不安だったんですけど、それをみんな乗り越えて一緒に頑張って勉強してきたので」
いまだに2万人余りが避難生活を続ける中、避難所となっている学校の再開の見通しが立っていない。
被災地では、中学生を県南部へ一時的に集団避難させる方向で、輪島市では、生徒およそ400人のうち250人の保護者が同意し、珠洲市と能登町でも検討されている。
●「米台連携」継続歓迎 日本政府、中国の動き懸念―台湾総統選・民進党勝利 1/14
台湾総統選で民進党の頼清徳副総統が勝利したことを受け、日本政府や自民党内では13日、従来の米台連携路線が続くとみて歓迎の声が上がった。国民党などが政権を奪取した場合、中国に対する姿勢で日米との足並みが乱れる懸念があったためだ。一方で、中国が台湾への圧力を強めるとして警戒感も広がった。
上川陽子外相は13日、「台湾は基本的価値を共有する極めて重要なパートナーだ。協力と交流の深化を図る」とした上で「台湾を巡る問題が対話により平和的に解決されることを期待する」との談話を出した。
政府は総統選について「結果次第で東アジア情勢に与える影響は相当大きい」(首相官邸幹部)と注目。岸田文雄首相は2024年の重要な海外選挙の一つに挙げ、「これからの10年を決める分かれ道になる」と繰り返し強調してきた。
頼氏は親日的な立場で知られ、たびたび来日している。22年7月には安倍晋三元首相の葬儀に参列。日台関係に関わる自民の閣僚経験者は取材に「台湾との絆がますます強固になる」と述べた。
「一つの中国」を掲げる中国の立場に配慮する政府だが、基本的に「親中」とされる国民党の政権復帰は避けたかったのが本音だ。蔡英文政権の対中政策継承を掲げた頼氏の姿勢には好感が広がっており、自民ベテランは「価値観が共通する日米との連携を通じ、中国の行動を抑える路線を取るだろう」と語った。
自民党は昨年8月に麻生太郎副総裁が台湾を訪れて会談するなど頼氏との関係を深めてきた。この1年余り、萩生田光一前政調会長らも相次いで訪台。今後も関係強化を図る考えだ。
民進党政権の継続に関しては、台湾海峡情勢の一段の悪化を危ぶむ声も上がる。蔡政権下で軍事的圧力を強めてきた中国について、日本政府関係者は「軍事活動の範囲を広げるだろう。緊張を高める動きに出るかもしれない」と予想した。
台湾有事への対処に関し、麻生氏は10日、「日本政府は存立危機事態と判断する可能性がある」と述べ、安全保障関連法に基づく集団的自衛権の行使に言及した。政府はこれまで以上に情勢変化に神経をとがらせることになりそうだ。
首相は就任以来、米国をはじめ各国首脳と「台湾海峡の平和と安定の重要性」を確認。台湾統一の野心を隠さない習近平政権をけん制してきた。引き続き国際社会に同調を呼び掛ける方針だ。
●岸田首相は被災地を視察すべきだが、国会議員は視察してはいけない!? 1/14
国会議員が能登半島地震の被災地を視察することの是非をめぐって論争が続いている。れいわ新選組の山本太郎代表が過去の被災地支援で親交を深めたNPOと連携して能登半島に入ったことが発端だ。日本維新の会の音喜多駿参院議員が山本代表を「迷惑系国会議員!」と批判し、賛否両論が沸騰した。
さらに、自民、公明、立憲、維新、国民、共産の与野党6党首が「被災地視察の自粛」を申し合わせたことへも賛否両論が相次いでいる。
そもそも国会議員の「視察」は、党職員や秘書を同伴させ、地元自治体の職員らを呼びつけるかたちで行うものであるという印象が広く根付いている。だからこそ、「被災直後の大変な時期に視察に行くなんて」「政治家の自己アピールのために被災地支援を邪魔するな」という議論が出てくるのだろう。
このように形骸化した国会議員の視察のあり方は根本的に改めなければならない。
しかし、山本代表には何度も被災地支援を重ねてきた実績があり、従来の「国会議員の視察」と同列に論じるべきではない。まずは現地に入ってともに体を動かし、被災した人々や支援する人々に寄り添い、励ますことに第一の目的がある。そのうえで国会議員として現地の空気を肌で感じ、問題点を把握し、国会質問や政府への提言につなげるという「本来あるべき視察」といっていい。
実際に現地では山本代表の訪問を歓迎する声が多いようだ。実情を無視した山本批判が政界やマスコミ界から飛び出していることには呆れるほかない。
そのうえに「国会議員は視察すべきではないが、首相や知事は視察していい」という言説まで飛び交っている現状にも私は驚愕した。
行政は不都合な事実を隠す。それを監視するのが野党やジャーナリズムの大きな役割だ。
今回の震災でも、志賀原発をめぐって当初発表とは異なる内容が次々に明らかになり、不信感が高まっている。災害支援の遅れも指摘されているが、実態がなかなか伝わってこない。
行政が隠蔽したり伏せたりする「不都合な事実」を知るには、野党やジャーナリストが現地に入り、自分の目で直視し、自分の耳で被災者から話を聞くほかない。
それなのに野党党首が与党党首の視察自粛で合意するのは責任放棄ではないか。内閣支持率の低迷にあえぐ岸田首相や地震が発生した元旦に都内にいた馳浩・石川県知事が率いる行政当局の発表を鵜呑みにし、国会質問や政府への提言などできるのか。
戦争や大震災・大事件の時は、従来に増して、国民の基本的人権が侵害される恐れが高まる。そういう時こそ野党やジャーナリズムは行政の発表を鵜呑みにすることなく、自ら現地調査に入り、行政が公正に行われるように監視する役割が求められる。
私はX (旧ツイッター)では政治家や著名人ら「強者」以外の批判は避けるようにしているが、さすがに「議会政治」が専門と公表して「25歳からの国会」という入門書を出している平河エリ氏の以下の投稿には異議を唱える必要性を感じて投稿したところ、大きな反響があった。
論争が続く中、さらに呆れたのは、立憲の泉健太代表の発信だ。
泉代表は「被災地支援の自粛」で合意した当事者である。ところが、岸田首相の被災地視察が決まると「総理は行っていいですよって我々は言ってます。総理まで行くなとは言っていません」と記者会見で発言。「災害の対策を指揮する中心人物ですから、空からの視察であれ、降り立てるところに降り立つということはできるわけですから、総理が躊躇する必要はないと考えています。避難所に行って、避難所の現状を確かめてくるのは極めて大事。1日も早く行っていただきたい」とまで言ってのけたのだ。
国会議員と違って首相は視察していいーーこれは、先述した平河エリ氏とまったく同じ認識である。
これでは野党第一党に政権監視の役割は期待できない。自公政権との対決姿勢が強まらないのも、政権交代の機運が高まらないのもうなづける。
立憲の国会議員たちは、泉代表の認識を是とするのか。野党としての存在意義そのものが問われている。
●裏金廃止に池田容疑者“反対” 自民・安倍派幹部にキックバック継続を要求 1/14
自民党・安倍派の政治資金パーティー収入の一部が裏金化された事件で、衆院議員の池田佳隆容疑者(57)が、キックバックの廃止が一度決まったあとに、派閥の幹部に継続するよう要求していたことがわかった。
池田佳隆容疑者(57)は会計責任者と共謀し、2022年までの5年間で、派閥からのキックバックおよそ4,800万円を収支報告書に記載せず、うその収入を記した疑いが持たれている。
安倍派では2022年、キックバックを取りやめる方針が決まったが、池田容疑者が、幹部にキックバックを継続するよう要求していたことがわかった。
その後、幹部らが協議し、廃止の方針が撤回されることになったという。
東京地検特捜部は、事務総長ら幹部からもキックバック継続の経緯についてくわしく聞いていて、早ければ来週にも告発された議員らとあわせて刑事処分を判断するものとみられる。
●韓国・釜山市が能登半島地震に10万ドル支援=韓国ネットは賛否 1/14
2024年1月12日、韓国・釜山日報は「M7.6の強い地震で数百名の死者が発生した日本に、釜山市が10万ドル(約1450万円)を支援する」と報じた。
釜山市は1976年に下関市と姉妹友好都市提携を結んで以来、福岡市と姉妹都市、大阪市と友好協力都市、長崎県と友好交流提携を結び、日本との交流を続けてきた。「地震による被害が早期に収拾され日本国民が平穏な日常を取り戻すことを願い、人道的支援が必要だと判断し救援金を送ることを決めた」と説明している。
市はこれまでにも、08年の中国・四川大地震に1億ウォン、13年のフィリピン台風に10万ドル、16年のエクアドル地震に5万ドル、20年の中国新型コロナに救援品、22年フィリピン台風とウクライナ戦争に各10万ドル、23年のトルコ・シリア地震に10万ドルを支援している。
パク・ヒョンジュン市長は「予想外の地震で被害を受けた犠牲者と遺族に哀悼の意を伝えるとともに、被災地の住民が一日も早く平穏な日常を取り戻すことを願います」とコメントしている。
この記事に、韓国のネットユーザーからは「いいことをしたよ。残酷な地震被害を受けた日本。これからは互いに助け合っていくべきだ」「ひとごとではない。近隣国の地震。周りが支援すべきだ」「両国関係にとってプラスになるといいいね」などの声が寄せられている。
一方で、「釜山にも暮らしに困っている人はいるのに」「釜山市はお金が有り余ってるのか?」「税金の無駄遣いだ」といった否定的なコメントも見られた。 
●内閣支持率が27%に回復も、能登半島地震の岸田首相の指導力に不満の声 1/14
共同通信社が13、14両日に実施した全国電話世論調査によると、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を踏まえ、政治資金規正法の厳格化や厳罰化などの法改正が「必要だ」は86・6%に上った。能登半島地震を巡り、岸田文雄首相が指導力を「十分に発揮しているとは思わない」が61・6%。地震の政府対応に関し「どちらかといえば」を含め「迅速だった」が54・6%、「遅かった」が43・8%だった。
内閣支持率は27・3%となり、岸田内閣として最低だった前回調査(昨年12月16、17両日)の22・3%を5・0ポイント上回ったが、3回連続の20%台。不支持率は前回調査から7・9ポイント減少したものの57・5%と高い水準で、首相は依然として厳しい政権運営が続きそうだ。
自民派閥について「解消するべきだ」と「どちらかといえば解消するべきだ」は合わせて80・2%に達した。裏金事件を受け政治刷新本部を新設した自民の再発防止の対応について「期待しない」は75・1%で「期待する」は22・4%にとどまった。
春闘での物価上昇を上回る賃上げは「実現しない」が85・0%に対し「実現する」は11・4%で、悲観的な見方が大勢を占めた。首相の在任期間に関し「できるだけ早く辞めてほしい」は33・4%、「9月の党総裁任期まで続けてほしい」49・7%、「次の総裁選で再選し、続けてほしい」12・2%だった。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、代執行に基づき工事に着手した政府の姿勢を「支持しない」が53・3%で「支持する」37・2%を上回った。
政党支持率は自民党33・3%(前回26・0%)、立憲民主党8・1%(9・3%)、日本維新の会8・8%(12・0%)、公明党4・4%(3・0%)、共産党3・9%(3・3%)、国民民主党4・4%(5・9%)、教育無償化を実現する会0・6%(1・8%)、れいわ新選組3・3%(3・2%)、社民党0・9%(1・3%)、みんなでつくる党0・3%(0・3%)、参政党1・3%(1・4%)。「支持する政党はない」とした無党派層は28・2%(29・1%)だった。
●岸田首相が能登半島地震の被災地入り 自衛隊員らを激励 避難所を視察へ 1/14
岸田首相は14日、能登半島地震で大きな被害を受けた石川・輪島市に到着し、安否不明者の捜索などに従事する自衛隊員らを激励した。
岸田首相の被災地入りは、地震発生後、初めて。
午前10時半過ぎ、航空自衛隊の輪島分屯基地にヘリコプターで到着し、現地で活動する自衛隊・警察・消防などの隊員らと面会した。
岸田首相は隊員らに対し、「令和の時代に入って最大級ともいわれる災害の発災時から現場に駆けつけ、救命・救助活動に全力であたってもらった」として、「心からの敬意と感謝」を伝えた。
その上で、「引き続き安否不明な方々の安全を願う家族の願いを受け止めて、安否不明者の捜索にあたってほしい」と述べた。
また、「過酷な環境の中でがんばってもらっている」と労い、「自身が被災された方々も多くいると思う」と気遣った。
そして、「厳しい環境だが、引き続き多くの被災者に寄り添い、心を通わせ、不安や将来への希望に応えてほしいと心からお願いする」と述べ、隊員一人一人の手をとった。
岸田首相は、この後、輪島市と珠洲市の避難所を視察するほか、金沢市では、馳知事ら自治体の関係者と、今後の対応などについて意見交換する予定。
岸田首相としては、視察を通じて現地のニーズを把握し、復旧・復興に向けた被災者支援の政策に反映させたい考え。
●安倍派の刷新本部メンバー、10人中9人が週内にも資金収支報告書を修正へ 1/14
自民党安倍派(清和政策研究会)を中心としたパーティー券裏金事件を受けて、岸田文雄首相(同党総裁)が党内に設置した政治刷新本部の安倍派メンバー10人のうち9人が、週内にも政治資金収支報告書の内容の修正を行う見通しであることが14日、同党関係者の話で分かった。同事件収拾のための対応という。  
刷新本部への安倍派議員の参加には党内外から批判が高まっていた。メンバー全38議員の中で無派閥と同数の10人を占めている上にそのうち9人までもが事件に連座した形となり、本部長を務め人選を行った首相の責任が問われる。求心力の低下も必至だ。
首相は「特定の人間を排除するのは適切ではない」(13日の取材対応)とメンバー更迭や入れ替えを否定し、党内からは「正気なのか」(幹部)と絶句も漏れた。「風紀を乱している生徒を風紀委員に起用」「校則を守れない人に校則をつくらせる」と冗談まじりだった党内批判も「泥棒に防犯策の指南を受けるようなものだ」(閣僚経験者)と厳しさを増すばかりだ。

 

●安倍派幹部立件見送りの検討に玉川徹氏「国民と検察で、かい離がある」 1/15
コメンテーターの玉川徹氏が15日、「モーニングショー」に出演した。
番組では自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、東京地検特捜部が安倍派の幹部らの立件の見送りを検討していることを取り上げた。大野泰正参院議員(約5000万円)、逮捕された池田佳隆衆院議員(4826万円)、谷川弥一衆院議員(約4000万円)、世耕弘成前参院幹事長(1000万円超)、松野博一前官房長官(1000万円超)、高木毅前国対委員長(1000万円超)、安倍派座長の塩谷立氏(数百万円)、萩生田光一前政調会長(数百万円)、西村康稔前経産大臣(約100万円)らがキックバック不記載の疑惑が持たれている。
玉川氏は「国民が感じてる部分と検察でかい離があると僕は思います。すでに1人逮捕されてるわけです。大野議員、谷川議員に関しては立件を視野に入れて進めているという報道もあります。1000万円超のキックバックを受けている中に幹部が入ってる。これを立件できない理由が、金額での線引きになるのかもしれないですけど。これは納得できないと思う」と指摘した。
続けて「検察はちゃんと会見して理由を言えと。例えば『4000万円以上はやりました。それ以下はやりませんでした』って一体なんだ。国民から検察に対して言っていいと思う。我々の感覚からすれば1000万円も4000万円も高額です。それを勝手に4000万円で線を引くということであれば、これは検察は信用できない。そのために検察審査会があるから、そっちだという話に進んでいくと思います」と憤った。
●安倍派8000万円裏金キックバック問題、誰が一番悪いのか… 1/15
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件は、最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の現職議員が逮捕されるという新たな局面に突入した。裏金事件を捜査する東京地検特捜部は安倍派が議員側にパーティー券収入の一部をキックバック(還流)していた経緯やカネの流れを調べているが、注目されるのは誰が“本丸”なのかだ。
自民党内に「やはりロックオンされているのは事務総長経験者ではないか」との見方が広がる中、政界事情に通じる経済アナリストの佐藤健太氏は「安倍晋三元首相が派閥会長時代、幹部たちとキックバックの取りやめを協議していた点が最大のポイントになる」と見る。
ついに安倍派池田議員逮捕。二階派へも強制捜査が行われた
99人の国会議員を抱える自民党最大派閥の安倍派は、岸田文雄首相の女房役である松野博一官房長官や西村康稔経済産業相(ともに辞任)を含め、大半の議員側が派閥からキックバックを受けながら政治資金収支報告書に記載していなかった疑いが持たれている。松野、西村両氏に加え、鈴木淳司総務相や宮下一郎農林水産相、さらに同派の副大臣5人らが事実上更迭され、派閥幹部の萩生田光一政調会長や高木毅国会対策委員長、世耕弘成参院幹事長が辞任した。
東京地検特捜部は12月19日に安倍派と「志帥会」(二階派)の事務所などへの強制捜査に入り、年末には3日連続で議員本人の関係先を家宅捜索。年明けの1月7日には、2022年までの5年間に約4800万円のキックバックを受けていた安倍派の池田佳隆衆院議員が政治資金規正法の疑いで逮捕された。
誰が4000万円超えのキックバックを受けていた本丸なのか
特捜部は高額のキックバックを受けながら不記載、虚偽記載だった議員らを対象に立件の可否を見極めているが、現職議員が政治資金規正法違反の疑いで逮捕されるという異例の事態に突入する中、自民党内で注目されているのは「誰が“本丸”なのか」という点だ。所属議員の大半がキックバックを受けていたとはいえ、その額は数十万円から4000万円超までと差がある。
ニュースやワイドショーでは、検察出身のコメンテーターが「どこかで立件するか否かの線引きせざるを得ない」などと解説しているが、仮に不記載・虚偽記載の多少が基準になるのであれば、立件されるのは「高額受領者」に限定されることになるのだろう。
安倍元首相の番記者だった岩田明子氏「安倍さんはキックバックをやめさせようとしていた」
ただ、その線引きとは別に2つの疑問点が残る。1つ目は、「誰がキックバックすることを指示・決定していたのか」ということだ。これまでのマスコミ報道で興味深いのは、安倍元首相が派閥会長時代の2022年春、政治資金パーティー券のノルマ超過分を議員にキックバックすることを疑問視し、安倍氏が中止を提案していたと報道されていることだ。安倍元首相に「最も食い込んだ記者」として知られる元NHK解説委員でジャーナリストの岩田明子氏は2023年12月13日の「ABEMA Prime」で取材結果をこのように披露している。
「安倍氏が2021年11月に派閥会長に就任後、2022年2月に『そういえばお金はどうなっているんだ』と会計責任者を呼んで報告を受け、初めてキックバックを知ったようだ。『このような方法は問題だ。ただちに直せ』と叱責した。4月に改めて『あの件はやめたんだろうな』と事務総長らにくぎを刺した。その2カ月後に安倍氏が亡くなり、話がうやむやになった」
同様の報道は他のメディアでもみられており、それが事実ならば少なくとも安倍派においてはキックバックのシステムが幹部間で共有されていた可能性が高い。毎日新聞の報道などによれば、この時に安倍氏は事務総長だった西村前経産相ら派閥幹部、会計責任者の職員と対応を協議していたとされる。安倍氏からはキックバックについて「不透明だからやめるべきだ」との趣旨が伝えられたという。
毎日新聞は、安倍氏と協議した可能性がある幹部5人と会計責任者に経緯を書面で尋ねており、安倍派座長の塩谷立元文部科学相と会計責任者は「事実関係を確認しています」などと回答。西村、松野、世耕の3氏や事務総長経験者の下村博文元文科相からは回答が得られなかったとしている。
会計責任者と安倍派幹部の共謀があったのかどうかがポイント
ここでポイントになるのは、会計責任者との「共謀」が認められるか否かだ。岩田氏や毎日新聞の“取材”が事実であれば、安倍氏は「問題」「不透明」と少なくとも認識していたことになる。ただ、派閥幹部は一度中止と決めたものの、所属議員から異論が相次いだため撤回。2022年はキックバックを継続することが確認されたとされている。
安倍派は2022年7月に安倍氏が死去し、その後は後継を決めることができず会長ポストが空席になっている。実質的に運営を取り仕切るのは、座長の塩谷氏に加えて西村、松野、高木、萩生田、世耕各氏の「5人衆」だ。報道されている協議に参加した「派閥幹部」にそれらの人物が入っていたのであれば、最大派閥の幹部たちは安倍氏の認識を共有していたことになる。
岩田氏の取材結果に基づく“証言”は、今後の捜査の最大のポイントと言えるだろう。ただ、会計責任者との「共謀」に関しては幹部による指示や了承を立証するハードルがある。すでに会計責任者を立件する方針を固めている特捜部は、西村氏や下村氏ら派閥幹部から再度の事情聴取を要請。キックバックの中止を一転させた際の協議内容などを詳しく調べる方針だ。
8000万円の裏金は安倍派の誰の手に渡っているのか
もう1つの疑問点は、所属議員がノルマ超過分の収入を派閥に納めることなく裏金化していた疑いが報じられていることだ。朝日新聞は元日に「所属議員が販売ノルマを超えて集めた収入を派閥に納めずに手元で裏金にした疑いがある総額が、直近5年間で少なくとも約8000万円に上ることが関係者への取材でわかった」と報道。こうした「中抜き」は十数人の議員で1千数百万円〜数十万円が確認された、と報じている。
この報道が事実であれば、所属議員が派閥の方針に基づいて裏金化していたのか否かが問われる。運用の取り決めがあったのならば、それは誰が指示していたのかということだ。さらにNHKは昨年12月25日、安倍派では参院選の年は改選参院議員に「全額キックバック」していたと報じた。改選を迎える参院議員はパーティー券の販売ノルマを設けず、集めた収入を全額キックバックしていたとみられている。少なくとも参院選があった2019年と2022年に開いたパーティーについては、こうした運用があったというのだ。報道通りならば、組織的に行われていた疑いが高まる。
ある政府関係者「特捜部の真の狙いは所属議員へのキックバック以外にある」
安倍派では直近5年間に5億円超の裏金化が指摘されているが、「中抜き」や「全額キックバック」をすべて含めれば、その総額はさらに膨らむだろう。キックバックは20年以上前から続いてきたとの見方がある。それを考えれば、時効の壁はあるにせよ、最初に決定・指示した人物の問題が問われるべきだ。
だが、少なくとも安倍氏が2022年春の時点で「問題」「不透明」と提起しながら、派閥幹部が中止方針から一転したというのであれば、キックバックを受けていた所属議員だけでなく、幹部の責任は決して軽くはないだろう。こうした点に特捜部は強い関心を寄せているもようだ。
「マスコミは『キックバック』という言葉ばかり使っているけど、そもそも特捜部は使っていない。その意味がわかる日が来るのではないか」。ある政府関係者は、特捜部の真の狙いは所属議員へのキックバック以外にあると声を潜める。1月下旬に通常国会の召集が迫る中、特捜部は“本丸”にたどり着くことができるのか。その答えはまもなく出る。
●安倍派の複数幹部、キックバックは「派閥会長が決定する案件」… 1/15
自民党派閥「清和政策研究会」(安倍派)を巡る政治資金規正法違反事件で、複数の同派幹部が東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、政治資金パーティー収入の所属議員側へのキックバック(還流)は「派閥会長が決定する案件だった」と供述していることがわかった。同派の政治資金収支報告書を作成・提出した会計責任者は還流分の不記載を認めているが、幹部らは「収支報告書には関わっていない」とし、会計責任者との共謀を否定したという。
同派では2018〜22年、パーティー収入のノルマ超過分を議員側に還流するなどして総額5億7000万円超を裏金化した疑いがある。この間、会長を務めたのは細田博之・前衆院議長(23年11月に死去)、安倍晋三・元首相の2人で、派閥実務を取り仕切る事務総長経験者は下村博文・元文部科学相(69)、松野博一・前官房長官(61)、西村康稔・前経済産業相(61)、高木毅・前党国会対策委員長(67)の4人。
関係者によると、事務総長経験者を含めた複数の幹部は特捜部の聴取に対し、還流について「会長と会計責任者がやりとりする案件だった」などと説明し、不記載に関する会計責任者との共謀を否定したという。
22年分については、還流を廃止する方針を示していた安倍氏が同年7月の銃撃事件で死去した後、事務総長の西村氏や会長代理の下村氏、塩谷立・元文部科学相(73)らによる協議の結果、還流が継続されたことが判明している。3氏らは同年分についても不記載への関与を否定したとみられる。
特捜部は週内にも幹部への聴取を終え、上級庁と協議して刑事処分を決める見通し。
●安倍派の裏金事件はやはり国策捜査だった!派閥幹部は立件見送り〜 1/15
自民党安倍派の裏金事件を捜査している東京地検特捜部が安倍派5人衆(萩生田光一前政調会長、西村康稔前経産相、松野博一前官房長官、世耕弘成前参院幹事長、高木毅前国対委員長)ら派閥幹部を立件しない方針を固めたと報じられ、検察当局への批判が高まっている。
特捜部はこれまで萩生田氏の舎弟として知られる池田佳隆衆院議員を逮捕したのに加え、大野泰正参院議員と谷川弥一衆院議員を立件する方針を固めている。いずれも裏金を受け取った金額が4000万円を超えたことが立件の決め手となったとされる。大野・谷川両氏は容疑を認めているものの、池田氏は容疑を否認して証拠隠滅に動いたとして逮捕に踏み切った。
しかし、安倍派で裏金を受け取った議員は約90人にのぼるとされる。4000万円以下でも違法行為であることに変わりはなく、そこで線引きする合理的理由はない。時間がかかっても、全員立件を目指すのが筋だ。
一方、裏金をキックバックした派閥で立件されるのは、会計責任者の派閥職員に限られるという。派閥会長だった細田博之前衆院議長と安倍晋三元首相はいずれも他界しており、焦点は過去5年間に事務総長を務めた下村博文氏、松野氏、西村氏、高木氏の4人の関与に絞られていたが、いずれも会計責任者との共謀を否認したことから立件を見送るのだという。
これでは世論はとても納得しない。これまでマスコミに捜査状況を大々的にマスコミにリークして世論を煽りながら、結局は尻すぼみに終わるとしたら、検事総長は記者会見して納得のいく説明をすべきであろう。
私は今回の検察捜査は「国策捜査」だとして当初からさほど期待していなかった。
今回の裏金事件はそもそも、しんぶん赤旗がスクープし、大学教授が刑事告発したことがスタートだったが、その対象は安倍派だけではなく、麻生派、茂木派、岸田派、二階派の5派閥だった。
ところが、検察当局が強制捜査したのは、リーダー不在で落ち目の安倍派と、反主流派の二階派だけで、岸田政権の主流派である麻生・茂木・岸田の3派は強制捜査を免れたのである。
この時点で、今回の検察捜査が、今年の自民党総裁選をにらんで安倍派と二階派を狙い撃ちする国策捜査である疑いは濃厚だった。内閣支持率が低迷して今年春にも退陣する可能性がある岸田首相ではなく、キングメーカーである麻生太郎副総裁の意向に沿った捜査だったと思われる。
すでに5人衆全員が更迭・失脚したため、安倍派を壊滅させる政治的目的は達成された。これ以上捜査が拡大すれば、自民党自体がますます危機に追い込まれ、主流3派にも批判が向く。麻生氏とすれば、このあたりが捜査の潮時であり、検察当局もそれに歩調をあわせたということだろう。
検察を「正義の味方」と持ち上げる論調があるが、それは大間違いだ。検察は「正義の味方」でも「国民の味方」でもなく、「時の権力者の味方」である。検察首脳たちにとって大切なのは、自分たちの人事と検察組織の防衛であり、時の権力者と激突することは絶対に避けるのだ。
そのため、時の権力者の意向を裏ルートで受け止め、時の権力者が許す範囲(もしくは期待する範囲)で捜査を進めるのである。それを「国策捜査」というわけだ。
私たち有権者が検察を「正義の味方」と持ち上げる限り、彼らはこれからも「時の権力者」の手先として働き続ける。中途半端な捜査終結を絶対に許してはいけない。
●岸田首相 やっと被災地初訪問も不満の声続々 1/15
「対応が遅い」「もう少し早く…」「信用できない」
岸田文雄首相が14日、能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県の被災地に初めて入った。避難所で厳しい暮らしを強いられている被災者の声に膝詰めで耳を傾けたが、発生14日目の駆け足の訪問には、冷ややかな視線も向けられた。
約550人が滞在する輪島市立輪島中に1日から身を寄せる井上美紀さん(75)は、一部の教室などを回って30分程度で視察を切り上げた首相の背中を見つめ「対応が遅い。体育館で皆を大声で励ましたりしてくれれば、心持ちも違うのに」と不満がった。
約310人が避難する珠洲市立緑丘中。炊き出しに励んでいた災害支援団体の井上陽平代表(34)は、首相のねぎらいの言葉に謝意を示しつつ「これほど深刻な状況だ。もう少し早く来ることができたのではないか」と首をかしげた。
自民党の政治資金パーティーを巡る事件が頭をよぎった被災者も。輪島中にいた女性(76)は「裏金問題があるから“何とかします”と言われても信用できない」とため息をもらした。
《支持率27・3%》共同通信社が13、14の両日に実施した全国電話世論調査で、岸田内閣の支持率は27・3%となり、最低だった前回調査(昨年12月16、17両日)の22・3%を5・0ポイント上回った。しかし、3回連続で20%台。不支持率は前回調査から7・9ポイント減少したものの57・5%と高水準で、厳しい政権運営が続きそうだ。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を踏まえ、政治資金規正法の厳罰化などの法改正が「必要だ」は86・6%。派閥について「解消するべきだ」と「どちらかといえば解消するべきだ」は合わせて80・2%に達し、自民の再発防止の対応について「期待しない」は75・1%だった。能登半島地震を巡る岸田文雄首相の指導力について「十分に発揮しているとは思わない」が61・6%だった。  
●2023年負債1,000万円未満の倒産495件 3年ぶりに増加も、低水準にとどまる 1/15
2023年(1-12月)「負債1,000万円未満」倒産状況
2023年の負債1,000万円未満の企業倒産は、495件(前年比20.7%増)で、3年ぶりに前年を上回った。負債1,000万円以上の倒産が増勢を強まるなか、同1,000万円未満の倒産も増加した。
コロナ禍で痛手を受けた小・零細企業の倒産が2020年は630件と急増したが、その後のコロナ関連支援で急激に減少をたどった。しかし、支援策の終了・縮小とともに、事業規模を問わず過剰債務に陥り、経営に行き詰まる企業の多いことを示している。
産業別では、サービス業他が229件(前年比20.5%増)で、負債1,000万円未満の倒産の4割超(構成比46.2%)を占め、突出している。サービス業他の業種では、食堂,レストラン(21件)、経営コンサルタント業(16件)、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所(14件)、酒場,ビヤホール(10件)など、小資本で開業可能な業種が多い。
原因別では、最多が販売不振の366件(前年比33.0%増、構成比73.9%)。資本金別では、1千万円未満(個人企業他を含む)が463件(同19.6%増、同93.5%)と9割強を占めた。
形態別では、破産が480件(同18.8%増、同96.9%)と大半を占めている。
負債1,000万円未満の倒産は、小・零細企業がほとんどを占める。経営資源が限られているため、業績が低迷すると経営再建は容易ではなく、破産による債務整理を選択するケースが多い。
コロナ禍から経済活動は本格的に再開しているが、ウクライナ情勢や円安などに伴う物価高騰、人手不足、人材確保のための人件費上昇など、さまざまなコストアップが収益を圧迫している。
さらに、ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の返済開始など、資金負担は増している。
政府は、金融機関に企業の再生支援に取り組むことを求めているが、負債1,000万円未満の企業は小・零細企業が中心で、支援が行き届かないケースが少なくない。また、金融機関も人的リソースに限界を抱えている。このため、支援の網からこぼれた企業にも再生ファンド等を含め、官民一体の支援整備が求められる。
※本調査は、2023年(1-12月)に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない、負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。
2023年の倒産495件、3年ぶりに前年を上回る
2023年の負債1,000万円未満の倒産は495件(前年比20.7%増)で、3年ぶりに前年を上回った。
2023年は3月、4月を除く10カ月間、前年同月を上回り、増勢が鮮明となった。
また、ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の返済が本格化する中、物価高や人材確保のための人件費上昇などのコストアップで、企業の資金負担は増大している。
小・零細企業では、こうした資金負担を吸収するだけの収益力は乏しく、今後も小規模倒産が増勢をたどる可能性は高い。
【産業別】最多がサービス業他の229件、構成比は4割を超える
産業別は、10産業のうち、建設業と金融・保険業を除く、8産業で前年を上回った。
最多がサービス業他の229件(前年比20.5%増)で、3年ぶりに前年を上回った。構成比は46.2%(前年46.3%)と半数近くを占めた。
このほか、不動産が14件(前年比27.2%増)が2年連続、運輸業が19件(同137.5%増)で2年ぶり、農・林・漁・鉱業8件(同33.3%増)と製造業21件(同5.0%増)、卸売業40件(同53.8%増)、情報通信業23件(同15.0%増)が3年ぶり、小売業が64件(同42.2%増)で5年ぶりに、それぞれ前年を上回った。
一方、建設業は75件(同7.4%減)で2年ぶり、金融・保険業が2件(同33.3%減)で4年ぶりに、それぞれ前年を下回った。
業種別では、食堂,レストランが21件(前年13件)、経営コンサルタント業が16件(同10件)、
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所が14件(同5件)、一般貨物自動車運送業が10件(同3件)、バー,キャバレー,ナイトクラブ(同6件)と自動車一般整備業(同2件)が各7件、貨物軽自動車運送業(同3件)と無店舗小売業(同4件)が各6件などで、前年を上回った。
【形態別】破産が9割を超える
形態別は、最多が「破産」の480件(前年比18.8%増)で、構成比は96.9%(前年98.5%)。
2023年の破産は、月次構成比は1月、2月、5月、6月、7月、9月、10月、11月の8カ月で100.0%だった。負債1,000万円未満の倒産は、小・零細企業がほとんどで資金的・人的な制約から自力で経営再建への取り組みは難しく、消滅型の破産を選択している。
「特別清算」は5件(前年比400.0%増)で、2年ぶりに前年を上回った。
再建型の「民事再生法」は4件(同33.3%増)で、3年ぶりに前年を上回った。「会社更生法」は、2009年以降の15年間では発生がなかった。
「取引停止処分」は6件(同200.0%増)で、5年ぶりに前年を上回った。
【原因別】販売不振が約7割
原因別は、最多が「販売不振」の366件(前年比33.0%増)で、3年ぶりに前年を上回った。構成比は73.9%(前年67.0%)だった。
このほか、「他社倒産の余波」が42件(前年比5.0%増)で2年連続、代表者の病気や死亡を含む「その他」が25件(同8.6%増)で2年ぶりに、それぞれ前年を上回った。
一方、「事業上の失敗」31件(同8.8%減)と「運転資金の欠乏」7件(同41.6%減)が2年ぶり、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が17件(同10.5%減)で2年連続で、それぞれ前年を下回った。
負債1,000万円未満の倒産は、小・零細企業が多く、資金余力も乏しいだけに、販売不振から抜け出すことはなかなか難しい。
【資本金別】1千万円未満が9割超
資本金別は、1千万円未満が463件(前年比19.6%増)で、3年ぶりに前年を上回った。構成比は93.5%(前年94.3%)で、0.8ポイント低下した。
内訳は、「1百万円以上5百万円未満」が183件(前年比18.8%増)、「個人企業他」が155件(同19.2%増)、「1百万円未満」が78件(同18.1%増)、「5百万円以上1千万円未満」が47件(同27.0%増)だった。
このほか、「1千万円以上5千万円未満」が32件(同39.1%増)で、3年ぶりに前年を上回った。
一方、「5千万円以上1億円未満」が2年連続、「1億円以上」が4年連続で、それぞれ発生がなかった。
●岸田首相の麻生氏、菅氏の政治刷新本部最高顧問起用は「取り込みと演出」 1/15
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏(65)が15日、カンテレの情報番組「旬感LIVEとれたてっ!」に出演。自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件について言及した。
事件を巡っては、衆院議員の池田佳隆容疑者(57)が逮捕された。18年からの5年間で計約4800万円のキックバックを受け、裏金にしていたとされる。
安倍派の複数の幹部は東京地検特捜部に対し、議員へのキックバックは「派閥会長と会計責任者で決定した」と供述していることが明らかになった。
鈴木氏は「よろしくない表現かもしれないが、『死人に口なし』って言葉がありますよね。今回の事件は全部、亡くなった安倍さんや細田さんにおっかぶせるんですか? っていうね。これは国民が納得しない」とバッサリ。続けて「幹部たちも今いろいろ報じられているけど、自分たちの口で誰ひとり説明していないんですよ。死んだ人のせいは世論が許さない。政治家として一番やっちゃいかんこと」と切り捨てた。
鈴木氏は、東京地検特捜部が池田容疑者ら多額のキックバックを受けていた議員を足掛かりに、派閥の組織ぐるみの責任を問えるかどうかが焦点とし、「政治資金規正法では会計責任者は事務方の人がいて、その人の責任になるが、その事務方の人が5億も6億ものお金を自由になんてできない。派閥の政治家が共謀なり指示していたんだろう」。
歴代事務総長を務めた下村博文元文科相、松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、高木毅前国対委員長の4人をリストアップし、「もし立件されるんであれば、この中で2人かな」。コメンテーターのハイヒールリンゴから「どの2人ですか?」と聞かれると、「まだ捜査中なんで言えないんだけれども、有名とかじゃなくて、それまでの仕組みを触ったことがある。仕組みを触った人は証拠が残っていて、そういう人が2人くらいいる」と明かした。
事件を受け、自民党は岸田文雄首相を本部長とする政治刷新本部を立ち上げた。最高顧問には派閥解消には否定的とみられる麻生太郎氏と、無派閥の菅義偉氏が就いており、意見が割れることも予想されている。
鈴木氏は岸田首相が2人を起用したことについて「取り込みと演出」だと指摘。「岸田政権は窮地に立たされているから、2人のキングメーカーに『よろしくお願いします』と取り込みたい。言葉は悪いけどこびを売ってる。2人が激突してまとまるかって話だけど、賛成と反対をガンガン言い合うと議論が盛り上がっているように見える。そうやって、最後に岸田さんがやってきて『私が決めました』っていう演出をする」と解説した。
その上で「自分たちのことを自分たちで決められるわけないんだから。そういう意味で私はこのメンバーを懐疑的に思っている」と切り捨てていた。
● 岸田内閣支持率「支持」26%「支持しない」56% NHK世論調査 1/15
NHKの世論調査によりますと、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、去年12月の調査より3ポイント上がって26%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は2ポイント下がって56%でした。
NHKは、1月12日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。
調査の対象となったのは2429人で、50%にあたる1212人から回答を得ました。
岸田内閣を「支持する」と答えた人は去年12月の調査より3ポイント上がって26%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は2ポイント下がって56%でした。
支持する理由では、「他の内閣より良さそうだから」が47%、「支持する政党の内閣だから」が25%、「人柄が信頼できるから」が16%などとなりました。
支持しない理由では、「政策に期待が持てないから」が45%、「実行力がないから」が29%、「人柄が信頼できないから」が11%などとなりました。
能登半島地震への政府のこれまでの対応を評価するかどうか尋ねたところ、「大いに評価する」が6%、「ある程度評価する」が49%、「あまり評価しない」が31%、「まったく評価しない」が9%でした。
能登半島地震では、最大震度7を観測し、いまも地震活動が続いています。
地震に対する備えをしているかどうか聞きました。
「十分している」が4%、「ある程度している」が40%、「あまりしていない」が42%、「まったくしていない」が13%でした。
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、自民党は、政治刷新本部を立ち上げて、再発防止策などの検討を始めました。
これが国民の信頼回復につながると思うか尋ねました。
「つながる」が13%、「つながらない」が78%でした。
今回の問題を受けて政治資金規正法を改正し、ルールを厳しくする必要があると思うかどうかについては、「必要がある」が83%、「必要はない」が9%でした。
自民党の派閥のあり方についても尋ねました。
「今のままでよい」が5%、「存続させても改革すべき」が40%、「解消すべき」が49%でした。
岸田内閣がことし最も力を入れて取り組むべき課題を尋ねました。
「賃上げ・経済対策」が31%、「社会保障」が17%、「災害対策」が16%、「政治改革」が13%、「外交・安全保障」が11%、「憲法改正」が4%となっています。
●岸田内閣支持率、震災対応で5ポイント上昇も…指導力「十分に発揮しているとは思わない」が61・6% 共同通信社調査 1/15
共同通信社が13、14両日に実施した全国電話世論調査によると、内閣支持率は27・3%となり、岸田文雄内閣として最低だった前回調査(昨年12月16、17両日)の22・3%を5・0ポイント上回った。不支持率は57・5%と前回調査から7・9ポイント減少した。
政党別でも自民党の支持率が33・3%と前回の26・0%から7・3ポイント回復した。
石川県で最大震度7を観測した能登半島地震の政府対応に関する質問では「迅速だった」(12・3%)、「どちらかといえば迅速だった」(42・3%)の合計が約54%と、「どちらかといえば遅かった」(25・0%)、「遅かった」(18・8%)の合計約43%を上回った。
大きな災害が発生した際、内閣支持率は上昇する傾向があるといわれる。2011年3月の東日本大震災発生当時も、同月26、27日に実施された共同通信の世論調査で、菅直人内閣の支持率は28・3%と、同年2月の前回調査から8・4ポイント上昇した。
一方、岸田首相が地震への対応で十分に指導力を発揮しているかについては「十分に発揮していると思う」は31・5%にとどまり、「十分に発揮しているとは思わない」が61・6%にのぼった。
元日の地震発生以来、岸田首相は連日のように報道陣の取材を受け発信を続けてきた。14日には石川県の被災地を視察、珠洲市の避難所では被災者に声をかけ「遠慮なくアドバイスしてほしい」と寄り添う姿勢を見せた。「私自身が先頭に立って生活再建支援に全力で取り組む」と決意を示すが、現状では有権者には十分響いていないようだ。
●一体なぜ?安倍派幹部“立件見送り”検討 1/15
自民党派閥の裏金事件で、安倍派の幹部らについて罪に問われない方向で検討がされているといいます。一体なぜなのでしょうか。
「起訴されたら議員辞める」
安倍派から約4000万円のキックバックを受け、収支報告書に記載していない疑いがある谷川弥一衆議院議員(82)。
自民党 安倍派 谷川弥一衆院議員「頭悪いね。言ってるじゃないの」
疑惑について説明せずに記者に逆ギレしたかと思えば、議場で居眠りしているような姿も。その谷川議員はこれまでに複数回、東京地検特捜部から任意の聴取を受けていますが、15日に地元の自民党長崎県連の会長を突然、辞任しました。
自民党 長崎県連 前田哲也幹事長「捜査がですね、終盤に向かってきたというなかでの判断だと思っております」
谷川議員はANNの取材に対して「近く最後の聴取があるので、そこで起訴されたら議員は辞める」とも話しています。
関係者によりますと、特捜部は谷川議員の立件に向けて詰めの捜査をしているとみられます。
安倍派幹部“立件見送り”検討
その一方、安倍派の幹部らについては立件を見送る方向で検討しているとみられることが、この週末に判明。
自民党ベテラン議員(麻生派)「証拠不十分ということだったんだな。検察が諦めたのなら仕方ない。『大山鳴動して鼠(ねずみ)二、三匹』だったということだ」
50代の人「おかしいよね、どう考えてもね。ほとんどの幹部が裏金やってたわけでしょ」
70代の人「ちょっとね、疑問を感じますよね。立件できないということになれば、やっぱり国民も納得しないんじゃないですかね」
キックバックは“会長マター”か
関係者によりますと、安倍派幹部らは特捜部の任意聴取に対してキックバックの不記載については「派閥の会長と会計責任者で決めていた」と説明し、関与を否定。不記載の指示についても共謀が認められないとみられます。
捜査対象となっている、おととしまでの5年間に安倍派の会長を務めていたのは細田前衆議院議長と安倍元総理大臣です。キックバックは派閥の会長マターだったのか、ある自民党議員はこう話しています。
自民党ベテラン議員(茂木派)「亡くなっている会長に責任をなすり付けるなんて、あってはならないことだと思う。会長マターでも前段に必ず幹部でも話し合いはしているはずだ。検察が立件を見送るのなら、その理由を説明しないと国民が納得できない」
キックバック“廃止検討”も撤回
複数の自民党関係者によりますと、安倍派に復帰した安倍元総理は当時、事務総長だった西村前経済産業大臣とキックバックをやめる方針を決めたといいます。おととしの4月ごろのことでした。その約3カ月後、銃撃事件が起きて安倍元総理が亡くなります。
キックバック廃止については一部の議員側から反発を受けたことから安倍派幹部らが協議した結果、撤回されたといいます。時期は安倍元総理が亡くなった翌月の8月ごろ。この8月に事務総長は西村前大臣から高木前国対委員長に交代していました。
幹部らの立件見送り検討について街で聞くと…。
70代の人「修正申告するとかで逃げるというのはひどいよね。国民はすぐ罰則を受けるわけだから。権力には検察も弱いのかなと、うたぐるというか、そう思うね」
●茂木幹事長10億円、二階氏は5年で50億円!使途公開不要「政策活動費」 1/15
自民党の政治資金パーティーをめぐる事件で1月7日、池田佳隆衆院議員が逮捕された。2018年から2022年にかけて、所属していた安倍派から約4800万円のキックバックを受けていたにもかかわらず、収支報告書に記載しなかった疑いがもたれている。
池田容疑者はキックバックについて「政策活動費だと認識して受け取った」としているが、この「政策活動費」に注目が集まりつつある。
「政策活動費とは、政党から政治家個人に支出される政治資金です。このお金については使途の公表義務がないため、『抜け穴』『裏金の温床』とも指摘されてきました」(週刊誌記者)
1月13日の「朝日新聞デジタル」が、この政策活動費について報じている。その額は2022年の1年間で約16億4000万円で、そのうち14億1630万円が自民党だったとしている。
受取額がもっとも多かったのは、自民党の茂木敏充幹事長で、党から計9億7150万円を1年で受け取っていたというから驚きだ。
また、二階俊博氏は、幹事長をつとめた約5年の間に約47億7000万円を受け取ったとしている。
これに対しSNSでは
《「使途報告する必要がない」この時点で政治資金規正法がクソ過ぎる》
《ほぼ自民党やん うちらってなんでこんな奴らに税金払わないといけないの?》
《自民党にこそインボイス制度を導入した方がいいんじゃないですか?》
など、憤りやあきれる声があふれている。
この政策活動費を以前から疑問視してきたのが、元大阪府知事・大阪市長の橋下徹氏だ。橋下氏は13日、ABEMAの『NewsBAR橋下』に出演し、「政治資金を確定申告の対象にすればいいんですよ」と提言。「国民のみなさんと同じように、確定申告の対象になって国税庁の監視を受けます――というような野党が出てきたら、簡単に政権交代すると思う」と、持論を展開した。
「自民と連立を組む公明党は、政策活動費の使途公開の義務化を訴えています。また、日本維新の会は14日、『政治とカネ』の問題の改革を検討する会議を近日中に立ち上げると発表。これまで、政策活動費の使途公開について後ろ向きだった維新ですが、一転して推進に転じるのでは、と注目を集めています」(前出・週刊誌記者)
「ブラックボックス」への批判は、さらに強まりそうだ。
●自民党政治刷新本部に参加 野上元農水相ら9人 キックバック収入を裏金化 1/15
政治資金を巡る事件を受け自民党内に設けられた政治刷新本部に参加する県選出で安倍派の野上浩太郎参議院議員などが派閥からキックバックされた政治資金パーティー収入の一部を裏金化していた可能性があることがわかりました。
自民党は派閥の政治資金をめぐる事件を受け、派閥のありかたなどについて議論する政治刷新本部を設置しました。
本部は、岸田総理のほか、合わせて38人で構成されていて、このうち安倍派は最も多く、県選出で元農林水産大臣の野上浩太郎参院院議員ら10人が起用されました。
その後の関係者への取材で、この10人のうち野上議員を含む9人が、派閥側から収支報告書に記載のないキックバックを受けたり、ノルマ超過分を派閥側に納めず自分の収入にしていたとみられることがわかりました。
金額は2022年までの5年間で、それぞれ数十万円から数百万円とみられます。
また、複数の関係者によりますと、安倍派が今週にもパーティー収入や議員へのキックバックを収支報告書に記載、訂正する方向で調整に入ったということです。
また、これにあわせて多くの安倍派議員が収支報告書を訂正するとみられています。野上議員側は取材に対し「コメントできる段階ではない」と答えました。東京地検特捜部は今週後半にも派閥側や各議員側の刑事処分について判断するとみられます。
●杉田水脈議員 人権侵犯の認定 “説明の機会なく遺憾で理不尽” 1/15
自民党の杉田水脈衆議院議員は、15日、山口市で行われた新年の記者会見で、過去のブログなどでの投稿が去年、人権侵犯と認定されたことについて、自身の言い分を説明する機会が与えられず、遺憾で理不尽だと主張しました。
自民党の杉田水脈衆議院議員は、平成28年2月、みずからのブログやSNSに国連の女性差別撤廃委員会に参加したときのことについて「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」とか「存在だけで日本国の恥さらし」などと投稿し、去年、札幌法務局と大阪法務局からそれぞれ人権侵犯と認定されました。
認定後、初めて記者会見に臨んだ杉田氏は、異議の申し立てはしないとした一方「私がどういうつもりでブログを書いたかなどの事情聴取が一切無く、その機会が設けられなかったことは誠に遺憾で、少し理不尽だ」と主張しました。
そして、杉田氏は投稿について「当時、委員会で大勢の活動家に囲まれ罵声を浴びせられた直後で、私がそのような感想を抱いたことはしかたがなかった。アイヌの方々を侮辱するつもりも差別するつもりも一切なかった」と説明しました。
杉田氏は一連の投稿は削除し、国会の場で謝罪済みだとした一方、自身の投稿で傷ついた人がいるかどうかは「わからない」とし、「もしもあのブログを読んでどなたも傷ついていないのであれば、謝罪をする必要はないと思っている」と述べました。
また、平成22年にアイヌ政策に関する支援事業で公金の不適切な執行があった関係団体に支援が続いていることについて、杉田氏は去年11月、SNSで「このようなことをした団体が解散もせず、いまだに補助金を受給できていることが不思議です」と投稿していました。
これについて、記者団から「裏金を作った自民党が解散もせず、今後も政党交付金を受け取ることはおかしいと思わないのか」と問われたのに対し、杉田氏は「アイヌの問題と自民党の問題はあまりにもかけ離れていて、一緒に論じることはできない。ダブルスタンダードと言っていただいて結構だ」と述べました。
このほか、杉田氏は安倍派に所属していることから、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、派閥からキックバックを受けていたかなどと問われたのに対し「派閥が刑事告発を受けていて、今の時点では回答は差し控えたい」と述べました。
その上で、東京地検特捜部から任意で事情を聴かれたのかと問われたのに対し「否定も肯定もしない。しかるべき時にはしっかりと説明させていただけるのではないかと思っている」と述べました。

 

● 谷川弥一衆院議員、自民党長崎県連会長を辞任…裏金疑惑 1/16
自民党長崎県連は15日、同党派閥「清和政策研究会」(安倍派)の政治資金規正法違反事件に関連し、4000万円超のキックバック(還流)を受けながら収支報告書に記載していなかった疑いがある谷川弥一衆院議員(82)(長崎3区)から県連会長辞任の申し出があり、承認したと発表した。
県庁で記者会見した前田哲也幹事長(県議)によると、谷川氏から同日申し出があった。谷川氏は県連を通じて「国民、県民、自民党員の皆様にご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる。捜査中のため詳細をお話しできないが、責任を取って会長の職を辞任する」とコメントした。
●キックバック廃止の方針撤回が「一連の事件で大事なポイント」裏金事件 1/16
元衆院議員で元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士が16日、フジテレビ系「めざまし8」に出演。自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件についてコメントした。
番組では安倍派の幹部が東京地検特捜部の事情聴取に対し、キックバックの処理を「会長案件」と説明していることや「キックバック廃止」を提起した安倍晋三元首相の死後、廃止の方針を撤回されたことなどが伝えられた。
若狭氏は「少なくとも会長案件っていう話は私も自民党の派閥に入っていたことがあるので、会長の権限っていうものを知っている立場からすると、こういう派閥にとって非常に大事なパーティー裏金キックバックとかいうことについてはやっぱり会長案件だなっていうのは思うんですよ」と話し「だからまんざらみんな口裏合わせしてうそをついたっていうわけでは私はないと思う」とコメントした。
一方で「次に話を出てくると思いますけど1回『派閥』『パーティー券』『裏金』っていう制度、システムを撤回した、中止したと。それを再開したと話として出ると思うんですけど、そっちに特捜部は光を当てて、この話が出てきた際には、これはいけると相当思ったと思います」と指摘。「私もやっぱりこれで特捜部はいけるなと思ったんですよね。だから、会長案件というよりも、次の話。撤回、そして再回という方が極めて今回の一連の事件においてというのは大事なポイントだと思います」と強調した。
●規正法改正は 派閥解消は 信頼回復険しく 1/16
能登半島地震は発生から2週間が経ったものの、いまだに孤立状態になったままの集落もある。一方自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題に国民の不信感は高まっている。
今年初めてのNHK世論調査から分かったことは、地震への政府の対応を評価する声の一方で一定の批判もあること。また自民党の派閥に引き続き厳しい視線が注がれていて1月の支持率は内閣・党ともに低迷している。
能登半島地震
【政府対応の評価】
能登半島の被災地への支援では1万6700人余りが避難所で過ごす中、体調を崩すなどして亡くなる「災害関連死」をいかに防ぐかが課題となっている。岸田首相は14日、現地を視察し、2次避難に向けた支援や仮設住宅の整備に全力を挙げる考えを示した。
政府の元日からの対応、国民にはどう映っているのだろうか。能登半島地震への政府のこれまでの対応を「評価する」という人は「大いに」「ある程度」あわせて55%。「評価しない」は「あまり」「まったく」あわせて40%だった。避難所には支援物資も届き始めているが、依然厳しい生活を強いられている。さらに生活再建に向け、住まいの確保やコミュニティーの維持、働く場の確保、教育環境の改善なども待ったなしだ。また野党側からは政府の初動が遅いなどといった批判も出ている。今は被災者への支援を最優先に、ただ状況を見ながら今回の対応の検証も必要になりそうだ。
【地震への備え】
私たち一人ひとりの備えも大事だ。地震に対する備えを「している」という人は「十分」「ある程度」あわせて43%。「していない」は「あまり」「まったく」あわせて55%だった。
ただ地域差もうかがえ、「北海道・東北」で「している」人は56%なのに対し、「九州」は31%にとどまる。西に行けば行くほど備えを「している」人が少なくなる傾向にある。被災後も自宅で過ごし自力で生活できるよう、また冬の避難に備えた防寒対策も大事になる。
自民派閥資金問題
【政治資金の透明化】
去年から続く自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で先週初めての逮捕者が出た。岸田首相は「自民党自らが変わらなければならない」として、党内で再発防止策などの議論を急いでいる。また公明党や野党各党からも意見が相次いでいる。
議論で急ぐべきは「政治資金の透明性」の徹底だ。事件の温床となったパーティー券について、購入者などを収支報告書に記載するよう義務つける公開基準を現在の「20万円超」から引き下げるのは必須だろう。また会計責任者だけでなく議員本人も法的な責任が問われる連座制の導入や違反行為のあった議員のいる政党への交付金の減額。さらに踏み込んで企業団体献金を禁止すべきだという意見も野党からあり、自民党の対応が焦点となる。
今回政治資金規正法を改正し、ルールを厳しくする必要があると思うかどうか聞いたところ「必要がある」は83%と圧倒的だった。一方で自民党が再発防止策などを検討しても国民の信頼回復に「つながらない」という人は78%に上ることからも信頼回復の道は険しそうだ。そもそもどんなに規定を見直しても、法律を作った議員本人が守らなければ、まさに「絵に描いた餅」に過ぎない。規正法が制定されたのは戦後まもなくの1948年。その後「政治とカネ」の事件が起きるたびに改正が繰り返されてきたが抜け道が多く「ザル法」などと揶揄されてもきた。来週から始まる通常国会で実効性ある再発防止策をまとめることができるか。とりわけ自民党はそれを守り抜く意志と覚悟があるのか。国民が注視していることを忘れるべきでない。
【自民派閥のあり方】
自民党が議論を始めたもうひとつが、「派閥のあり方に関するルールつくり」だ。岸田首相の意図や議論の方向性は判然としないが、岸田首相自身派閥の存続を否定せず、「政策を議論し、若手を育成する場」などとむしろその必要性を強調している。一方で派閥同士が衆議院の同じ選挙区で候補者の擁立を競い合っていた中選挙区時代と異なり、現在は小選挙区制のもと党の候補者は原則1人。公認権を握る党執行部の力が相対的に増した。このため現在、派閥に所属しない議員は80人近くと最大派閥の安倍派に次ぐ規模だ。今回、自民党の派閥のあり方についてどう思うか聞いたところ、「解消すべき」は49%。自民支持層でも37%が「解消すべき」とした。一方で存続を前提に「改革すべき」も40%に上ったが、「いまのままでよい」は5%にすぎなかった。
今回の不適切な会計処理は派閥が主導したとされるだけに、今後の議論の最大の焦点は派閥解消の是非だ。仮に解消しないとしても、パーティーなどを通じて資金を集め、派閥議員に配るやり方を続けるのかどうか。また人事の際派閥単位でポストを調整したり、要求したりするのを今後も認めるのかどうか。そもそもかつて自民党自ら決めた閣僚や党幹部に就任したら派閥を離脱するというルールの扱いをどうするか。周りの懸念をよそに、岸田首相は去年12月まで派閥の会長を務めてきたほか、今も執行部の多くは派閥幹部で占めている。
こうした点について、今回あいまいな形で終わらせたら国民は納得しないだろう。また議論の行方次第では党内抗争に発展する可能性もある。
内閣・自民支持ともに低迷
【内閣支持率】
内閣支持率は去年12月より3ポイント上がったものの26%。「支持しない」は56%。内閣の「危険水域」とされる30%割れは3か月連続だ。
【今の支持政党】
支持が低迷しているのは自民党も同様だ。自民党の支持率は30.9%。これに対し無党派層は45%と増加傾向にあり、岸田内閣になって最も高い数字だ。その差は14.1ポイントまで広がるなど、国民の政治不信の高まりがうかがえる。一方野党側は立憲民主党が5.3%と各党10%に満たない状態で、自民党に代わる政権の受け皿にはなり得ていない。
今年の政治は
政治の行方を考える。岸田内閣が今年、最も取り組むべきテーマを聞いたところ「賃上げ・経済対策」が最も多く31%。次いで「社会保障」「災害対策」などの順となった。ただ物価上昇を上回る所得の伸びを「期待しない」人は63%に上り、今年の景気は「変わらない」も63%と慎重な見方が大半だ。将来に対する不安を取り除き、日々の安心・安全を確かなものにしてほしいという国民の切実な願いにどう応え、解決策を見出すことができるのか。
各党・各議員が問われる一年となる。
●「まるで集団万引した人間に万引防止策考えさせるよう」 政治刷新本部 1/16
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で党内に設置された政治刷新本部。メンバーの複数の安倍派議員に政治資金収支報告書の不記載が判明し、批判が相次いでいる。そもそも裏金の規模が突出する安倍派から最多の10人を起用。幹部に麻生派会長の麻生太郎副総裁らが就き、派閥解消や抜本解決を求める声とはかけ離れている。本気度に疑問符が付く顔ぶれの狙いは何なのか。
渦中の安倍派から10人…首相「排除適切でない」
「特定の人間を排除する『排除の論理』は適切ではない」
政治刷新本部に名を連ねる安倍派議員に裏金疑惑が浮上した13日、岸田文雄首相は記者団に対し、議員の交代を否定した。
「排除の論理」は鳩山由紀夫氏らが1996年、旧民主党を結成する際、新党さきがけのベテラン武村正義氏らの入党を拒否したことを指して用いられ、流行語に。2017年には、小池百合子東京都知事が自身が代表の新党への他党からの合流について一部議員を「排除します」と発言。新党は急失速した。
ネガティブな意味で長年使われてきた言葉を否定することで、人事の正当性を主張した首相。だが、組織的な裏金づくりが疑われる安倍派の議員がメンバーに入ることには、当初から「裏金の世話になっている人が集まっているなら、国民の満足する改革案は出せない」(立憲民主党の泉健太代表)などと批判があった。
若手、青年局、女性局を重視したと言う割に
人選に当たっては「執行部を中心に若手、青年局、女性局など党を挙げ」(首相)たとされるが、ふたを開けると、本部役員38人のうち28人が派閥所属議員。最大派閥の安倍派が最多の10人で、同じく渦中の二階派も2人入った。派閥のバランスに配慮した従来型の人選に見える。
安倍派の10人は、共に参院当選4回で閣僚経験があるベテランの岡田直樹・前沖縄北方担当相(61)、野上浩太郎元農相(56)以外、党女性局長や青年局長を務めるなどした中堅・若手らが中心。大阪府知事を務めた太田房江氏(72)、北海道知事だった高橋はるみ氏(70)は自治体首長としてのキャリアはあるが、国会議員としてはそれぞれ参院で当選2回と、1回。自民党女性局のフランス研修中にエッフェル塔をまねたポーズで写真撮影して批判を浴びた松川るい氏(52)も参院で当選2回だ。
10人の中で目を引くのは、参院当選3回の上野通子氏(65)。裏金疑惑を巡って昨年12月14日、松野博一官房長官や萩生田光一政調会長ら政権の要職から安倍派議員が一掃された際に、首相補佐官を辞任した。1カ月もたたないうちに、改革する立場で復帰していたことになる。
10人の中からも裏金疑惑…「排除が適切」の声
そして今回、この10議員のうち複数に裏金疑惑が浮上。今月下旬とされる通常国会の開会が近づく中、折からの批判はさらに強まっている。
15日午後、東京・新橋駅前。政治刷新本部の話を聞くと「刷新されるべきなのはこの人たちでは」(20代の男性会社員)などと首をかしげる声が多かった。東京都世田谷区のアルバイトの女性(43)は「岸田さんは『排除は不適切』と言いますが、この場合は『排除が適切』なんじゃないですか。(刷新本部がどんな結論を出しても)この段階で信用するのは難しい」と話した。
派閥の「ボス」がにらみ
政治刷新本部の初会合は11日に自民党本部で開催。岸田首相は「国民の信頼を回復するため、日本の民主主義を守るため、党自らが変わらなければならない」と訴えた。16日に党所属議員全員が参加する会合を開くほか、17日には法律や会計の専門家など外部の有識者を招いて議論。月内の中間取りまとめに向けて意見集約を図るという。
ただ、派閥の政治資金パーティーが舞台となった裏金事件にもかかわらず、刷新本部の最高顧問には、麻生派を率いる麻生太郎副総裁が就いたほか、茂木派会長の茂木敏充幹事長が本部長代行となった。森山派会長の森山裕総務会長もメンバーに入る。
そもそも計38人のメンバーには、裏金疑惑がある安倍派の議員を含め、若手・中堅議員が多い。党として事実解明をしない上、派閥の「ボス」の面前で客観的かつ抜本的な議論ができるのか疑わしい体制となっている。菅義偉前首相や小泉進次郎元環境相ら無派閥も幹部に名を連ねて「派閥解消」を訴えるが、派閥存続を唱える茂木氏らとの間で意見集約は難航しそうだ。
本気なら第三者の起用が必須
再発防止策にどこまで踏み込むかも不透明。岸田首相は4日の会見で、党による派閥パーティー収支の監査や、資金の流れが分かるように収入の原則振り込み化などの案を挙げた。しかし▽第三者機関による政治資金の監査▽パーティー券購入団体・個人の公開基準を現行の「20万円超」から引き下げ▽政治家の責任も問う「連座制」の導入—といった野党などの主張に比べて甘さが際立つ。
組織不祥事を巡る「第三者委員会報告書」を評価する活動を行っている青山学院大の八田進二名誉教授(会計学)は、刷新本部の体制について「疑惑のある安倍派議員もおり、集団万引した人間に万引防止策を考えさせるようなものだ。身内のお手盛りで、客観性・公正性を担保できる会議体ではない」と指摘し、第三者の起用が必須と説く。
「本気で信頼に値する改革案を出したいなら、自民党の派閥とは関係のない第三者の独立メンバーに委ねないといけない。それができない岸田首相のリーダーシップと危機感のなさが一番の問題ではないか」
「小手先どころか小指の先の対応」
政治アナリストの伊藤惇夫氏は、刷新本部が一定の結論をとりまとめるまで実質2週間ほどという期間の短さに疑問を呈する。自民党がリクルート事件発覚を受けて、1989年に政治倫理の確立や政治資金の規制などを誓った「政治改革大綱」をまとめた際、自民党スタッフとして関わった伊藤氏は言う。
「当時は1年生議員が声を上げ、党独自で実態解明を進めて問題点を洗い出し、4カ月をかけて大綱を練り上げた。中身は今見ると問題点もあるとはいえ、今回は党として調査もせずに2週間で結論を出す。そんなものが、改革に値する内容になるとは思えない。小手先どころか小指の先の対応で終わるのでは」
選挙で根本から変えるしかない
なぜ本気度を疑わせる体制にしたのか。全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「誰が見ても問題のあるメンバーを入れて自民党内で政治決着を図る狙いが見え見えで、国民はしらける。能登半島地震もあり、原因を追及せずに問題が風化するのを待っているかのようだ」といぶかり、こう続ける。
「どうせ政治なんか当てにならないと、投票から遠のけば、一部の支持者だけの政治となり、民主主義の危機だ。今回の事件は、パーティー券のお金が、仮に賄賂に使われても分からないという根の深い問題だ。根本から変えるには、やはり選挙しかない。落選への危機感がないから、自民党も本気で対応しない。変えるぞ、という緊張感の中で、政治資金の問題も透明化に向けて前進するはずだ」
デスクメモ
「刷新されるべきなのはこの人たちでは」と街の声。言われてみれば「刷新」がよく使われるのは選挙だ。多選の現職と対決する候補が「市政の刷新」や「県政の刷新」を訴えるのが典型的。「国政の刷新」という言い方はなぜか少ないが、有権者は言葉の意味を正確にとらえている。
●地方議員がタカってくるから裏金が必要?4月の「補選」次第で政権崩壊… 1/16
派閥の裏金問題で、ついに現職議員が逮捕された。安倍派幹部の立件見送りが報じられているが、そうした中、次に逮捕される政治家は誰か。そして、安倍派幹部の姑息で悪質な手口とは。匿名だから明かせる国会議員の本性を、議員秘書たちが赤裸々に語りあった。
裏金の使い道
若手D 支部を通して地方議員の政治団体に寄付できるはずですが? 
ベテランA 政治資金ではなく、地方議員が小遣いとして使えるカネを寄越せと言ってきているわけだから、タチが悪いんです。こっちも裏金を作っておかなければいけない。最初の選挙で数百万円かかったが、その後もなにかにつけてタカってくるのが、保守地盤の強い地域の自民党地方議員の特徴です。このタカり体質は、今でも各地で残っていると思います。
中堅C また、派閥の幹部クラスだと、パー券をたくさん売って、派閥内で存在感を見せつける必要があったという点も指摘できます。ノルマ未達の後輩議員に少し融通してあげたり、キックバックされた裏金で子分たちと懇親会を行ったり。おカネはいくらあっても困りませんから。
中堅B 銀座のクラブや高級飲食店での飲み食いの代金を政治資金収支報告書に載せると、「こんないい店に行っているのか」と支持者や他の議員からやっかみを買いかねません。収支報告書には載せたくない支払いなどに裏金を当てていたケースも多いはずです。
若手D 政治資金収支報告書の訂正で、こうした実態が明るみに出れば、自民党の信用回復はさらに遠のきますね。
岸田総理の「鈍感力」
ベテランA 岸田政権の支持率は過去最低を更新し、まだまだ下がりそうですが、岸田総理自身は辞める気はまったくないそうです。
周辺に「自分が辞めて解決するならいつでも辞めてやる」と話したと報じられましたが、まさにこれが岸田総理の鈍感力。菅(義偉)前総理は、精神的に追い込まれてみるみる顔色が悪くなり、最後は総裁選不出馬に追い込まれましたが、岸田総理はああはならない。自ら辞める可能性はまずありません。
中堅B たしかに、能登半島地震の被害対応で「岸田おろし」の動きは見えなくなりました。裏金問題で内閣改造に追い込まれた昨年末には、3月の訪米と予算成立を花道に辞任するなどと言われましたが、それはなくなりそうです。
ベテランA たしかに民主党政権時代の菅直人元総理が外国人献金問題で辞任寸前だったのに、東日本大震災が発生し、政権の寿命が半年延びたケースもありました。
山場になる補欠選挙
中堅C しかし先送りになるだけで、「岸田おろし」は4月28日投開票の補欠選挙の結果次第でしょう。今のところ細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区だけですが、裏金問題などで3月15日までに議員が辞職すれば、同日の補選の数が増える。谷川氏の旧長崎3区や大野氏の参院岐阜選挙区、先に公選法違反の疑いで逮捕された柿沢未途前法務副大臣の東京15区などでも補選が行われる可能性があります。
若手D 先ほど名前の挙がった西村先生や高木先生、世耕先生まで起訴されたら、補選はそれだけでは済みませんね……。
ベテランA 自民党への風当たりは相当強いですし、この補選で全敗するようなことになれば、反主流派や非主流派の間で「岸田総理ではもう戦えない」ということなる。最後は麻生(太郎)副総裁がはしごを外して、茂木(敏充)幹事長も同調する形で、6月の所得税などの定額減税を花道に、総裁選出馬断念に追い込まれるでしょう。
茂木幹事長のギラつき
中堅B 新総裁は誰になりますかね。石破(茂)元幹事長は裏金問題で後ろから鉄砲を撃つような発言が党内の顰蹙を買っていて、支持を集められるか微妙です。
中堅C まずは順当に茂木先生なのでは? 周辺に聞くと、ギラつき方が尋常ではないようです。
ベテランA 自民党支持率が極端に下がると、上川(陽子)外相が浮上するでしょう。7〜8月に上川もしくは茂木新総理が誕生して、ご祝儀相場の勢いで秋口に解散する可能性もあります。
中堅B うちの先生(安倍派)は、いっそ清和研を解体してほしいとぼやいていますよ。自分から抜けると後で何を言われるかわからないし、安倍派所属のままだと選挙では必ず不利になる。このままでは落選すると、危機感が半端ではありません。同じように考えている先生も多いはずです。
若手D 岸田総理は新しく「政治刷新本部」を設置し、最高顧問に麻生副総裁と菅前総理を置きました。一方は派閥会長で、一方は無派閥。議論がまとまるはずがありません。しかもすでに派閥や政治資金パーティーの存続が前提になっていて、これで「政治とカネ」の問題が解消されるとは有権者は思わないはずです。国会が始まると、野党から集中砲火を浴び、支持率はますます下がる。
ベテランA だからといって、政治資金パーティーの禁止や派閥解消となると、若手議員の懐を直撃して、選挙活動もままならなくなります。
中堅C 裏金問題の着地点がどうなるのか。いずれにせよ、私たち議員秘書にとっても激動の1年になりそうですね。
●岸田政権の行方 1/16
昨年12月、大手メディアの世論調査で岸田内閣の支持率が軒並み20%台へ低下した。年末になり自民党派閥のパーティー券売上高還流問題が深刻化、内閣、自民党共に世論の目は厳しさを増しているだろう。国政選挙の近い時期であれば、岸田文雄首相は窮地に追い込まれていたと推測される。しかしながら、自民党内で「岸田降ろし」の動きは加速していないようだ。理由は、1)次の国政選挙まで最大で1年半の猶予があること、2)自民党主流派閥の安倍派、麻生派、茂木派、岸田派にとり一致して担げるリーダーが岸田首相の他に見出し難いこと、3)世論調査を見ると野党の支持も盛り上がっているわけではないこと・・・の3点と見られる。パーティー券問題に関する東京地検特捜部の捜査は通常国会の召集前がタイムリミットだろう。岸田首相は、令和6年能登半島震災へ対応しつつ、国会開会後の衆参両院での審議を乗り切り、3月と見られる訪米を支持率底入れの転換点とする意向ではないか。また、4月28日の国政補選が重要な意味を持つだろう。
支持率は下落傾向
昨年12月に実施された大手メディアの世論調査で、岸田内閣の支持率は軒並み20%台へ落ち込んだ。最も厳しい毎日新聞は16%、平均でも21.8%と20%割れ寸前になっている。年末に自民党の派閥によるパーティー券売上高の還流問題が深刻化、7日には安倍派の池田佳隆衆議院議員が東京地検特捜部に逮捕された。1月の世論調査は、岸田政権にとってより厳しい結果となる可能性が強い。
内閣支持率20%台は危険ゾーン
NHKの調査によれば、直近10代の政権の退陣時の内閣支持率は平均27.1%だ。任期満了で円満に退任した小泉純一郎首相を除くと24.4%であり、足下、岸田内閣の支持率は既に危険ゾーンとなっている。ただし、今のところ自民党内に「岸田降ろし」の目立つ動きはないようだ。衆議院の任期満了は2025年10月で、解散がない限り、年内に大型の国政選挙が予定されていないことが理由の1つだろう。
主流4派が結束なら岸田政権の継続も
自民党内の力学を考えた場合、所属議員98名を擁する最大派閥の安倍派がパーティー券問題で苦境に陥った。これは、同党総裁である岸田首相にとっても打撃だが、党内における安倍派の影響力低下は、同首相にとって必ずしも悪いシナリオではない。さらに、今、岸田首相を引きずり降ろしても、次の首相・自民党総裁が同じ逆風に晒されるのは必至だ。従って、岸田降ろしは起こっていないのだろう。
石破、小泉、河野3氏は国民の人気はあるが・・・
12月の世論調査では、4社が「次の自民党総裁(朝日新聞は次の首相)にふさわしい政治家」との質問を設けた。結果はいずれも石破茂元自民党幹事長がトップ、小泉進次郎元環境相が2位、河野太郎デジタル改革担当相が3位だ。もっとも、石破、小泉両氏は実質的に無派閥で、河野大臣も所属する麻生派の支持を得るのは難しい。総裁選は派閥の力が大きいとすれば、岸田首相には明確な対抗馬がいないのである。
自民党が野党を大きく引き離す
昨年12月の段階で、報道大手5社の世論調査を集計すると、自民党の支持率は25.5%だった。一方、野党側は、立憲民主党が8.1%、日本維新の会が7.6%であり、自民党との差が大きく縮小したわけではない。目先に国政選挙がなく、且つ野党の支持率が低迷していることで、自民党には時間を稼ぐ余裕があるのだろう今年9月には自民党総裁選があるため、それまでは岸田首相を支えるとの考えが同党内の大勢ではないか。
政権交代の鍵は野党の支持率
2009年8月30日の総選挙で自民党が下野した際には、参議院選挙において民主党が圧勝した2007年7月の時点で、同党の支持率は20.5%に達していた。一方、足下、自民党の支持率は29.5%、野党第一党の立憲民主党の支持率は7.4%、まだ20%ポイント以上の開きがある。具体的な政策を挙げて自民党を追い込んだ感のないことが、野党側の支持率が上がらない理由なのではないか。
通常国会会期中の1〜5月はほとんど解散のチャンスがない
自民党が結党された1955年以降、解散は22回あった。このうち、通常国会会期中となる1〜5月のケースは3回しかない。政権の置かれた現状から今年前半に解散があるとは考え難く、岸田首相は自民党総裁選後に解散を先送りする意向を固めたのではないか。結果として、次の総選挙は2025年7月の参議院選挙と同日になる可能性が高まった。過去2回の同日選は、何れも自民党が圧勝したからだ。
前半の注目は4月28日の国政補選
岸田首相にとり喫緊の課題は令和6年能登半島地震への対応、そして国会開会後は衆議院予算委員会での質疑だろう。さらに、4月28日には国会議員の補選が行われる。仮にパーティー券問題で辞職や失職する国会議員がいれば、当該の選挙区が補選の対象となる可能性は否定できない。この補選で十分な結果を残すことこそ、岸田首相が自民党総裁選で再選される必須要件になるのではないか。
岸田政権の行方・まとめ
岸田首相は、3月中に国賓として訪米、日本の内閣総理大臣で2度目となる連邦議会上下院合同会議でのスピーチに臨む方向で調整中のようだ。こうした外交実績を背景に、4月28日の国政補選で成果を残すことが、同首相の再選戦略の骨格を為すだろう。経済政策は、財政中心のばら撒き型となり、構造改革には踏み込まない可能性が強い。低支持率に喘ぐ「弱い内閣」である以上、国論を二分し、自民党内に亀裂を生じさせるような政策を解散前に実行へ移すことは困難なのではないか。
●台湾総統選で与党勝利も、中国の「武力行使はあり得ない」理由 1/16
台湾総統選挙は1月13日に投開票され、与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が勝利した。
しかし、勝因は野党分裂に乗じた「漁夫の利」。民進党は立法院(国会に相当)では過半数割れし、少数与党という不安定政権になる。
一方、アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席は、2023年11月の首脳会談で台湾問題の「一時休戦」を黙約しており(後述)、米中双方とも緊張激化は望んでいない。
中国は頼氏を「台湾独立」路線と非難していることから、武力行使の可能性を指摘する声もあるが、軍事的威嚇を強めることはあっても武力行使の選択肢はなく、日米両国が煽ってきた「台湾有事」も遠のく、というのが筆者の見立てだ。
「チャイナ・バイアス」
台湾海峡の緊張が高まる中、日米両政府とメディアは中国が台湾に武力侵攻すると煽ってきた。
しかし、それは中国の主張と論理への正確な理解を欠いている。
中国問題になると「チャイナ・バイアス(対中偏見)」のスイッチが入り、誤解がボタンを掛け違えるように台湾有事のリアリティを増幅させてきた経緯を忘れてはならない。
台湾問題に対する中国の認識と国際環境を整理すれば、中国が武力行使をしない理屈と、台湾有事が切迫していない現状が見えてくる。
まとめれば次のようになる。
台湾への武力行使は、日米両国との武力衝突を覚悟する必要があるだけでなく、世界と中国の経済を危機的状況に陥らせ、共産党支配を崩壊させかねない。中国にとって最もリスクの高い「自殺行為」であり、仮に軍事力でアメリカを上回った場合でも選択したくないシナリオだ。
しかし、頼氏の政策を「台湾独立」路線と断定してしまうと、台湾に武力行使しなければならなくなる。2005年に成立した「反国家分裂法」に規定された武力行使の条件に当たるからだ。
もし武力行使しなければ、共産党と中国軍は台湾統一という「歴史的任務」を放棄したことになる。
中国の台湾政策を主管する国務院台湾事務弁公室は1月10日、頼氏が前日に開いた記者会見で蔡英文(現総統)路線の継承を表明したことについて、すなわち「独立路線」だと批判した。
ここで注意しなければならないのは、台湾事務弁公室の表現に「“蔡英文路線”就是“台独”路線」と爪括弧(ダブル引用符)が付けられたこと。
多くのメディアは「中国は民進党を独立派とみなしている」と伝えるが、それは誤りだ。爪括弧は特別な意味を示した時に使用されることが多く、今回のケースで言えば、中国側が頼氏の政策をまだ「独立」とは認定していないことを示している。
中国にとって台湾統一は、建国100年を迎える2049年に「中華民族の偉大な復興」を成し遂げるため実現すべき息の長い任務だ。
台湾との社会・経済基盤を融合させ、それを基礎に平和統一を完成させるのが習氏の基本政策。中国はそのような既定路線を、頼政権の発足後も粛々と進めていくはずだ。
バチカンと断交も
では、頼氏に対し中国はどのような対応に出るのだろう。
南太平洋の島しょ国ナウルは1月15日、台湾と断交し中国を承認すると発表した。総統選の2日後というこのタイミングは、頼氏の当選に向けて中国が準備した外交揺さぶりだろう。
これで台湾と外交関係があるのは過去最少の12カ国となる。台湾の外交的孤立を印象付け、「一つの中国」の正しさを内外に示す狙いと思われる。
筆者と親しい中国の台湾問題専門家は、中国の次なる外交攻勢として、国交のある中で唯一ヨーロッパのバチカン(ローマ教皇庁)と断交する可能性も高いとみる。バチカン側も中国との国交樹立に意欲を見せている模様だ。
そのような外交的対応に加え、軍事的対応も予想される。
新政権と日米両国の対応を見ながら、アメリカが武器輸出や高官往来を再開するなら、台湾海峡での軍事演習を再開する。これまでなかった新たな演習によって統一への決意を示し、台湾民衆には新政権が反統一路線であることを理解させる狙いを込める。
さらに、頼氏の現状維持路線を「独台(すでに独立した国家との認識)」として批判、攻撃する。非軍事的な圧力や経済制裁に加え、サイバー攻撃など威嚇手段は他にもあり、それらの手法をより効率的に使う。
外部からは「中国の強硬姿勢で緊張が高まる」ように見えるが、むしろ内外にそう見せるのが目的だ。
米権威も「武力行使ない」と
アメリカと台湾の民間窓口「米国在台湾協会(AIT)」のリチャード・ブッシュ元会長も、中国は武力行使しないという見方をシンクタンクに寄稿している。
同氏は1997年から2002年までAIT会長を務め、アメリカで最も権威ある台湾ウォッチャーでもある。
ブッシュ氏は寄稿で、中国が武力行使に出ない理由として以下を挙げた。
1 頼氏は蔡氏の「現状維持」路線を追随する姿勢を示している
2 北京は武力行使が危険な行動であることを認識し、人民解放軍も「まだ準備ができていない」
3 非軍事的な圧力や恐喝など台湾を威圧する手段が他にもあり、それらの手法が徐々に効果を上げている
米中「一時休戦」の実情
バイデン氏と習氏が11月の首脳会談で台湾問題の「一時休戦」を黙約した、と冒頭で書いたが、ここでもう少し詳しく説明しよう。
バイデン政権が一時休戦を求める理由は、ロシア・ウクライナ戦争、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突に加え、中国との衝突という「三正面作戦」に対応できないからだ。
中東情勢は、米英軍がイエメンの反政府武装組織フーシ派の複数の拠点を爆撃し、ガザ地区の戦線が「点」から「面」に拡大。バイデン氏にとっては11月の大統領選挙まで対中休戦を維持するのがベターな選択だろう。
経済がなかなか好転しない中国にとっても、経済を中心に内政に集中したいのが本音。
首脳会談では、衝突回避の具体的措置として、米中国防当局間のハイレベル会合の再開などで合意した。それに基づき、米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長と中国軍の劉振立統合参謀部参謀長は2023年12月21日、オンライン協議を行った。台湾海峡での偶発的な軍事衝突を予防する狙いだ。
劉建超・共産党中央対外連絡部長が台湾総統選の投票日前日に当たる1月12日に訪米し、ブリンケン国務長官と会談して「関係安定の推進」を確認してみせたのもそれを裏付ける。劉氏は王毅外相の後任になる可能性がある。
バイデン政権はこの一時休戦を維持するため、頼氏率いる次期政権が中国を挑発するのを抑えねばならない。その役割を台湾側で担うのが、副総統に就任する蕭美琴・前駐米代表だ。
蕭氏は蔡総統と親密だが、頼氏との関係は良くない。バイデン政権には従順な対応をしている。
バイデン政権は岸田氏に台湾関与を求めるが…
一時休戦と言っても、バイデン政権は台湾問題を放置するわけではなく、台湾への関与を同盟国である日本に代行させようとしている。
頼氏は安倍晋三元首相が銃弾に倒れた直後、安倍夫人の要請で来日して安倍家を訪れ弔問、葬儀にも参列した。日本政府は本来なら台湾副総統の訪日は受け入れないが、この時は私人訪問として弔問だけを認める「特例」として受け入れた。
頼氏もこの訪日を意識して「親日」総統のイメージを押し出し、対日関係の強化を図るに違いない。
一方、自民党派閥の政治資金パーティー問題の処理に追われる岸田氏は、台湾問題への関与を麻生太郎・自民党副総裁に委ねるだろう。
麻生氏は8月に現職の副総裁として初めて台湾を訪問。台北市内で講演し、台湾有事を念頭に「戦う覚悟」が求められていると発言するなど、親台湾派で知られる。この時を含め、同氏は対中挑発の発言が目立ち、中国側を苛立たせてきた。
台湾関与を麻生氏に委ねれば、日中関係の改善にも悪影響を及ぼし、岸田氏が意欲を抱く日中首脳交流の再開にも支障をきたす可能性がある。
中国側は2023年末にも日本人旅行者へのビザなし渡航を認める予定だったが、東南アジアやヨーロッパ諸国に認める中、日本だけ延期された。台湾関与を強めれば、日中関係改善の障害になる隘路(あいろ)に直面しているのだ。
超低支持率に悩む岸田氏は、4月とも言われる国賓待遇での訪米を支持回復の最大のカードとしており、実現すればバイデン氏に台湾関与の強化を約束するに違いない。それを花道に退陣するとの観測も出始めている。
だが、4月には米大統領選挙が走り出しており、内向きな岸田氏の国賓招待の再検討を求める声が出て、訪米が中止になる可能性も否定できない。
米中一時休戦という決定的な情勢変化の中で、岸田政権は台湾問題への関与代行という損な役回りを演じさせられることになる。
●EVが追い風 中国の自動車輸出が初めて日本を抜いて世界一に 1/16
中国の自動車輸出台数が2023年に初めて日本を追い抜き、世界一が確実な情勢になっている。中国自動車工業協会の発表で明らかになった。それによると2023年の中国からの自動車輸出台数は前年比57.9%増の約491万台と過去最高を記録した。一方、日本は同年11月までの累積輸出台数が399万台と100万台近い差がついていることから、追いつけない見通しだ。
中国車輸出増の原動力となったEV
中国車の輸出が好調な理由には、ウクライナ侵攻の経済制裁で西側諸国の新車が販売できなくなったロシア向けの輸出増もあるが、電気自動車(EV)の成長が大きい。
再生エネルギー情報サイトのクリーンテクニカによると、2023年1〜11月のEV販売台数で中国の比亜迪(BYD)は255万6504台。米テスラの161万3465台を大きく引き離し、初めて世界一のEVメーカーとなるのは確実だ。
中国では景気停滞に伴いEV市場の成長が鈍化したことから、内需から輸出へシフトする動きが強まっている。EVの普及が進むEUでのEVシェアは、金額ベースで2019年から2022年までの3年間で0.4%から3.7%に上昇した。2023年にはBYDの躍進もあり、さらに存在感を高めているはずだ。
かつて中国製EVは低価格車が中心だったが、現在では500万円を超える中・高級EVも生産・販売している。蔚来汽車(NIO)のように約80万元(約1630万円)の超高級EVを発売しているメーカーも。1980年代に大衆車から中・高級車とシフトして世界一になった日本と同様のやり方で、中国車がキャッチアップしたことになる。
日本車は燃費が良く、排ガスがクリーンなエンジンで欧米車を凌駕(りょうが)したが、中国車はEVだった。両国とも、環境対応で自動車業界の主導権を握った。
EVの内需拡大が輸出を増やすカギ
国内需要で量産体制を整えてから、輸出に振り向けるのが自動車産業の「成功パターン」だ。輸出で存在感を示すには、EVの内需を高める必要がある。中国国内での2023年のEV販売シェアは約25%に達した。
日本は国内メーカーのEV投入が遅れており、2.2%と10分の1未満。しかも、国内で販売されたEVの約4割が日本規格の軽自動車「サクラ」で、国際競争力がない。しばらくは日本製EVの輸出が増加する可能性は低いだろう。
EVの内需が高まっているのは中国だけではない。EU主要国でも2023年の新車販売に占めるEVのシェアは30%程度に上昇しており、内需が好調なことから欧州のEV量産体制は整いつつある。これに伴いEUからのEV輸出も、さらに増えるとみられる。
2023年にはドイツのメルセデス・ベンツやBMWなどが2万2890台のEVを日本に輸出した。日本国内でのEV販売に占める輸入車のシェアは25.8%に達しており、高価格帯のモデルが多い。
幸いなことに円安もあり、日本車メーカーの業績は好調を持続している。日本車メーカーは豊富な資金力を活かして海外のEVメーカーを買収し、生産規模の拡大と開発時間の短縮を実現する必要がありそうだ。日本が逸(いち)早く自動車輸出世界一の座を取り戻すには、M&Aしか方法はないだろう。
●超える’24 危機下の日本外交 国際秩序の再生へ行動を 1/16
世界各地で武力紛争が発生し、大国同士の対立も深刻化している。さらなる混迷を避けるためにどんな役割を果たせるのか。日本の外交力が試される1年となる。
国際情勢はかつてないほど厳しい。ロシアによるウクライナ侵攻と、パレスチナ自治区ガザ地区での軍事衝突は出口が見えないままだ。中国を「唯一の競争相手」と位置付ける米国は、二つの紛争への対応で力をそがれている。
11月には米大統領選がある。バイデン政権は同盟国、友好国と連携することで「力による一方的な現状変更」の抑止を目指してきた。「米国第一主義」を掲げるトランプ前大統領が返り咲けば、その路線は行き詰まる恐れがある。
高まる米国追従リスク
米中対立が長期化する中、東アジアの平和と安定を確保することが日本にとってますます重要になっている。
日本は長年、米主導の国際秩序と自由貿易の恩恵を享受してきた。秩序が崩れ、岸田文雄首相が言う「強い国が弱い国を軍事的・経済的に威圧する弱肉強食の世界」になれば、これまでのような繁栄は続けられなくなってしまう。
米国のように強大な軍事力を持たず、経済面でも国内総生産(GDP)でドイツに抜かれ、世界4位に転落する見通しだ。影響力は相対的に低下しているが、持てる力を総動員し、世界の安定に寄与することが求められている。
まず取り組まなければいけないのが、国際ルールに対する信頼の回復だ。
日本を含む主要7カ国(G7)は、国連安全保障理事会の常任理事国ロシアによるウクライナへの侵攻を、「法の支配」への挑戦だと非難してきた。一方で欧米諸国は、ガザ地区攻撃を続けるイスラエルには及び腰で、グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国から「二重基準」との反発を受けている。
法の支配を確かなものとするには、発言力を増すグローバルサウスとの連携が欠かせない。欧米諸国の姿勢に対する新興国・途上国の反感を理解しつつ、自国の安全や経済成長には国際秩序の安定が大前提だと伝え続けなければならない。国際協調の要である国連の機能強化にも尽力すべきだ。
米国が「内向き志向」を強める事態にも備えなければならない。東アジアへの関与継続を強く促すとともに、価値観を共有する韓国やオーストラリア、欧州、インドなどと連携し、安全保障関係の重層化を図る必要がある。東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力も極めて重要だ。
こうした取り組みを進めながら、中国との対話を重ねるべきだ。首脳間、閣僚間で定期的に意見交換し、中国自身も既存のルールや国際秩序から利益を得ている面があると指摘し続ける必要がある。
中国との対話が重要だ
米中両国と深い結び付きを持つ日本にとって最悪のシナリオは、両国の対立が軍事衝突を招き、それに巻き込まれることだ。緊張の高まりを防ぐためにも、経済安全保障上の米国の懸念に配慮しつつ、日中の共通利益を追求していく努力が求められる。
冷戦初期、大国同士の対立緩和に向け、日本が主体的に行動すべきだと訴え続けた政治家がいた。今年生誕140年を迎える石橋湛山元首相だ。
1956年に首相に就くと「自主独立の平和外交」を唱え、米国と緊密に連携しつつ追従は避け、中国との関係強化に取り組む方針を打ち出した。退任後は国益と世界の平和を両立するため「日中米ソ平和同盟」を提案し、各国が共存する以外に「日本の生きる道は見いだし得ない」と訴えた。
理想を掲げ、それを実現する現実的な手段をとことんまで探り続けた。大国同士の衝突回避という難題に取り組まなければならない今の日本にこそ、そうした大胆な発想が必要ではないか。
岸田首相は「新時代リアリズム外交」を打ち出してきた。だが、未来を見据える大局的な視点は乏しく、状況の変化への対応に終始してきたように見える。
激動の時代に追求すべきなのは、力にものを言わせる強国本位の安定ではない。大小問わず全ての国が平等に扱われ、安全が保たれる世界に向けた取り組みだ。
その理想に少しずつでも近付いていくため、主体的な外交を全力で展開することこそ、平和国家としての日本の使命のはずだ。 
●「岸田政権は鬼か」能登地震被災者への20万円「特例貸付」1週間後 1/16
能登半島地震の発生から、2週間が過ぎた。石川県は1月15日までに死亡者222人、安否不明者22人と発表している。
「救助活動をおこないながら、次のステップである復旧と復興を視野に入れる段階になりました。政府は被災地支援のため、予備費から47億4000万円を支出することを決め、第2弾として、1000億円を上回る規模の支援を表明、さらに『予備費を5000億円から1兆円に倍増する』とも明言しました」(政治担当記者)
とはいえ、発生からすでに2週間が経ち、実際に「いつ、支援が始まるのか」がわからない。ジャーナリストの池上彰氏も15日放送の『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)で「スピード感を持ってほしいですね」と苦言を呈したように、岸田政権の対応の遅さは目にあまる。
その最たるものが、厚生労働省が都道府県知事に通達した「緊急小口資金の特例貸付」である。緊急を要して、一時的に生計の維持が困難になった低所得者世帯などに生活費を貸しつける制度を、特例として能登半島地震の被災世帯を加えることを決定したのが、発生から1週間以上経った1月9日のことだった。
この制度、貸付金額は原則10万円以内だが『世帯員の中に死亡者がいる』『世帯員に要介護者がいる』『世帯員が四人以上』『重傷者、妊産婦、学齢児童がいる』などの場合は20万円以内になり、所得要件などはない。ただし、貸付なので返済義務がある。据え置き期間1年の経過後2年以内なので、3年で返済しなければならない。
厚労省は「事情により猶予措置はあります」というが、これに世論が猛反発。SNSには《住むところも失い家族も失い20万貸付って岸田政権と厚生労働省は鬼か》《こんな酷い政府聞いたことないぞ》と、怨嗟のコメントが寄せられた。
さらに国民感情を逆なでしたのが、1月14日に被災地入りした岸田文雄首相が「被災世帯へ緊急小口資金の特例貸付を、1週間後をめどに速やかに受付を開始する」という発言である。
「地方自治体が受付窓口になるのですが、その自治体が被災して混乱しています。そのため、ある程度の準備期間が必要になるのはわかりますが、地震から3週間経っての『受付』というのは、いくらなんでも遅すぎます。このあと、支給されるまでどのくらいの日数が必要になるのでしょうか。生活資金がまったくない被災者がほとんどです。政府の対応は冷たすぎます」(週刊誌記者)
SNSにも《貸付けって悪魔》《厳しいなこれ。一年や二年で生活が安定するとは思えないんだが》と、岸田政権に対する怒りであふれていた。「被災者に寄り添う」という岸田首相の言葉を、みな信じることができない。
●裏金疑惑が岸田政権を直撃 経済再生や防衛力強化に影響 1/16
自民党安倍派の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑が岸田文雄政権を直撃している。岸田首相は、自身もキックバックが指摘されている松野博一官房長官の更迭に加え、閣僚・副大臣・政務官や党幹部から安倍派をほぼ一掃する大胆な策に出た。事実上の「内閣改造」で国民の信頼回復を図る考えだが、最大派閥・安倍派抜きの政権運営は不安定さを増すことが確実だ。
政治の空白は国民にとって肝心なことを目立たなくさせる。経済再生を後押しするはずの2024年度予算案の編成は、政治騒動の煽りでかすんだ。24年の通常国会では、国民の評判があまり良くないとはいえ、1人当たり4万円の定額減税を同年6月から実施するための関連法改正も待っているが、もはや話題に上ることが少ない。
ほかにも少子化対策や防衛力強化の財源問題など課題山積だが、政権が安定しなければ、どんな政策も理解されにくい。終わりの見える政権には、その実行力に疑問符がつくからだ。
とはいえ、岸田政権の後に果たしてどのような政権が誕生するのか。自民党の首相であれば、これまでの延長線上で疑惑の追及を受け続けることになるだろう。連続7年8カ月務めた安倍晋三元首相以前の、毎年トップが変わるような事態が生じかねない。
不安定な政権が続くことは外交でも日本の不利益になり得ることは、過去の経験則でもいえる。日本の顔が毎年変われば、まともな外交は機能しない。
ウクライナやパレスチナの悲惨な情勢はいまだ終息せず、24年は1月の台湾総統選、3月のロシア大統領選、4月の韓国総選挙、そして11月の米大統領選と大きな選挙が相次ぐ。軍備増強を続ける中国、核・ミサイル開発で挑発する北朝鮮は相変わらず脅威となっている。
内外に不確実な状況が続く中、日本のカジ取りをどう進めていくか大事な時。今はデフレ脱却の道筋が見え始めた時だけに、政治の果たすべき役割は重いものがある。
日本再生のビジョンを構築できず、政争に明け暮れていては国民のためにならない。与野党の責任はそれぞれに重い。
●派閥解消しないと「党がもたない」の声…意見集約できるのか 1/16
自民党は、全ての所属議員が参加できる形で「政治刷新本部」を開き、政治資金や派閥のあり方について議論しました。
――政権幹部から「派閥を解消しないと自民党がもたない」との声が上がっているということで、それだけ危機感が高まっているということですね?
そう言えると思います。
この政権幹部は以前の取材には「派閥の解消は難しい」と答えていたんです。
自民党に対する厳しい、冷ややかな世論を受け「派閥を解消せざるを得ない」と認識を改めたようでした。
また岸田総理は前回に引き続き、16日も最後まで出席し、全ての発言に耳を傾けました。岸田総理は17日に行われる有識者からのヒアリングにも出席する意向でこうした姿勢からは総理の本気度もうかがえます。
――肝心の岸田総理は派閥の解消についてどんな考えなんでしょうか?
岸田総理の周辺に取材したところ、総理本人は「派閥からカネと人事の機能をなくし、政策集団にするしかない」との考えを示しているということです。
今後は派閥の解消に慎重な麻生副総裁や森山総務会長らとの間でどう調整を図るかが最大のポイントとなります。
――麻生さんのような有力者が慎重な中で、意見を集約できるんでしょうか?
無派閥の議員の多くは派閥解消を訴えていますが、16日の会議でも派閥に所属している議員からは「派閥を解消しても問題解決にならない」という意見が出たほか、あるベテラン議員は「派閥による政策議論、若手育成といった役割は別におかしくない」などと話していて、調整が難しいことは事実です。
そのため、来週を目指している、議論の中間とりまとめでは、あまり踏み込まず、その後、何段階かに分けて改革案を打ち出すことも検討されています。
●石原氏「刑事事件にならない」 安倍派キックバック疑惑議員の刷新本部入りに 1/16
元衆院議員の石原伸晃氏が16日、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」に出演。自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件についてコメントした。
自民党は裏金事件を受けて新設された自民党の「政治刷新本部」を新設。38人のメンバーの中で安倍派は最多の10人。その内9人がパーティー収入の一部を裏金にした疑いがあることについて、石原氏は「その人たちが仮にお金をプールしていたら何のためにプールをしていたか。そしてどういう仕組みで誰が指示して『お前それプールしとけよ』って言ったやつが必ずいるわけですよ。それが誰なのか明らかに刷新本部で言う責任があるね。だって他の派閥関係ないんだから」と話した。
司会のフリーアナウンサー宮根誠司から「キックバックの疑惑ある人たちは入れてはいけないんじゃないんですか」と聞かれ、石原氏は「それは排除の理論になる。この人たちは当事者なんだから、自分たちがその資格ないと思うんだったら、入れるんじゃないってう世論があるんですけど『あなたどうですか』って聞いたらいい。『いやいや私は私の経験を生かしてよくしたいんです』って言う人がいるかもしれない。いなかったいないで。逃げているようなやつはやめたらいい」と強調した。
宮根は「キックバックしたお金はどこに行ったんですかって、この人らはしゃべるべきなんですね」と質問。「だってみなさん、なににどうしたんだって不思議に思いません? 私は不思議に思う」と答えた。パックンことタレントのパトリック・ハーランに「そうするならば調査対象にすればいいんじゃないですか? 調査する側に据え付ける必要はない」と問われると「いやいや、そういうことをやる機関は警察、検察ですけど、この人たちは刑事事件になるような人たちじゃないから入っているわけ。この人たちの責任において政治家のなんだから。『こういうことを事務総長から言われた。事務局長から言われた。で、取ってあってまだここにあります。これ実は会合時に使っちゃいました』とか、少なくともそれは明らかに。刷新会のメンバーにもなったんだから。ならなかったらそれはご自身の意志だけど引き受けたわけでしょ総理から」と話した。
●裏金自民党 卑劣7人衆が「全責任は死人に」まんまと口裏合わせの逃げ 1/16
自民党の諸派閥を舞台とした政治資金パーティーをめぐる「裏金事件」で、5年間で6億円近い裏金作りに手を染めていたとされる安倍派(清和政策研究会)の複数の大幹部が東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、「派閥議員への還流(キックバック)は、派閥の会長が決定する案件だった」と供述していることが明らかになった。
捜査情報を総合すると、「会長案件」との姑息な言い訳を口にしているのは松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業相、萩生田光一前政調会長、高木毅前国対委員長、世耕弘成前参院幹事長の「安倍派5人衆」のほか、塩谷立元文部科学相、下村博文元文部科学相という7人の面々。このうち松野、西村、高木、下村の4氏は、安倍派の実務を取り仕切る事務総長経験者でもある。
言うまでもなく、この間に安倍派の会長を務めた細田博之前衆院議長と安倍晋三元総理は、すでに死去している。全国紙司法担当記者が指摘する。
「7人の面々は特捜部の聴取に口を揃えて『派閥の会長と会計責任者がやりとりする案件だった』『自分は政治資金報告書の作成や提出に関わっていない』などと説明していると聞いています。これでは会長と会計責任者に全ての責任を負わせての言い逃れであり、まさに『死人に口なし』の卑劣な口裏合わせと言うべきものでしょう」
しかも特捜部は、7人の面々と会計責任者の「共謀」の立証を諦め、7人については立件を見送る方針を固めたというのだ。この報道が事実なら、大山鳴動の一連の事件は安倍派と二階派(志帥会)の会計責任者2人と、裏金の額が4000万円を超えるとされる池田佳隆衆院議員、大野泰正参院議員、谷川弥一衆院議員の3人を起訴して一件落着、ということにもなりかねない。司法担当記者が続ける。
「残念ながら『大山鳴動して鼠ウン匹』の公算は高い。今回の事件の告発人が再告発を行い、検察審査会で再審査される道も残されていますが、いずれにせよ国民世論は安倍派幹部らの逃げ切りを許さないでしょう。仮に司法で裁かれなかったとしても、今月下旬に始まる通常国会は大荒れに荒れ、自民党は泥沼の局面を迎えることになるはずです」
天網恢恢疎にして漏らさず。この期に及んでの逃げ得など、絶対に許されないのだ。
●能登半島地震の甚大な津波被害が明らかに 特徴的な海底地形など影響 1/16
元日に発生した能登半島地震では、震源に近い沿岸部を中心に北海道から九州にかけ、広範囲で大小の津波が観測された。地震発生後しばらく分からなかった甚大な津波被害の実態も研究者の現地調査や解析などで明らかになってきた。
日本海側では過去にも津波被害が発生している。沿岸部に到達するまでの時間が短いのが特徴で、今回も石川県珠洲市には遡上高(陸地をはい上がった高さ)が3メートル以上の津波が推定約1分で到達したことが東北大学災害科学国際研究所(災害研)の解析で判明した。特徴的な海底地形などが津波の複雑な伝わり方に影響したという。研究者は短時間で襲う津波避難の難しさと避難方法の再検討を訴えている。
半島の「海脚」を回り込んで襲来
気象庁は1日午後4時10分ごろの地震発生後間もなく、東日本大震災以来初めての大津波警報を能登地方に、山形県、兵庫県などに津波警報を、北海道、佐賀県などに津波注意報を発表した。現行の特別警報の区分制度ができてから初めての大津波警報だった。
林芳正官房長官は15日午後の記者会見で石川県の珠洲市、能登町、志賀町の浸水面積は約190ヘクタールに上ると述べた。例えば野球場のグラウンドは1ヘクタール前後とされ、今回広い範囲が津波被害を受けたことが明らかになった。
各地で大小津波を観測し、石川県輪島市の輪島港では午後4時21分に1.2メートルを観測したが、その後はデータが入らなくなった。珠洲市の観測地点では地震直後からデータが得られていない。同市の地盤の隆起が関係して観測不能になったとみられている。
海に面した珠洲市の鵜飼地区には漁港がある。現地からの報道によると、鵜飼川の河口付近では津波が低い堤防を越えて浸水し、川沿いの道路に漁船なども乗り上げた。東日本大震災の後にも沿岸部各地で見られた被害の大きさを示す光景だ。
東北大学災害研の越村俊一教授は、同研究所のほか、金沢大学、北陸先端科学技術大学院大学、金沢工業大学の研究者と「現地調査先遣隊」を結成し、4日に珠洲市に入った。そして同市の津波遡上高は3メートルを超え、沿岸部の建物は2.5メートル以上浸水していたことを確認した。
越村教授らは津波伝播のシミュレーション分析を実施した。その結果、能登半島の先端を回り込んできた津波が珠洲市に到達して大きな被害を与えたことが分かった。到達までの間「飯田海脚」に影響されて津波が拡大した可能性があるという。飯田海脚とは能登半島の北東部から東側に張り出す水深300メートルよりも浅い海底の台地。つまり能登半島から富山湾までの特徴的な海底地形が今回の津波伝播を複雑にしたという説明だ。
断層が沿岸部に近かったため第一波の到達早く
災害研の今村文彦教授らは、今回動いたとされる全長100キロを大きく超える断層のデータなどを基にシミュレーション分析した。
その結果、地震発生から約1分で珠洲市や輪島市沿岸に津波が到達したとみられることが分かった。石川県七尾市には約2分後、富山市にも約5分後に到達した可能性があるという。能登半島の東側の海底断層付近で津波が発生し、珠洲市方向と新潟県上越市の方向の2方向に津波が伝わったことも明らかになった。
今回の津波の特徴は、動いた断層が沿岸部に近かったため第一波の到達が早かったことだという。1.2メートル以上とされた輪島港の観測地点以外ではより高い津波が襲っていたとみられ、実際に現地調査で3メートルを超える遡上高が確認されている。
今村教授によると、地震発生から約2時間後にはロシア側の大陸や朝鮮半島に20センチ程度の津波が到達し、その後2時間で日本海沿岸部に戻ってきた。津波は高さこそ次第に低くなったが24時間以上継続。津波注意報も長く出されたままだったのはこうした現象があったためだという。
富山市にも短時間で津波が到達したとみられることについて今村教授は、富山湾の水深が深く、急勾配の海底地形や海底谷が多く、海底で地滑りが起きて大地震とは別の新たな津波が発生した可能性があると指摘している。
避難タワー設置などは喫緊の対策
今村教授は、今回の津波被害により船が沿岸部に流され、車が流された光景は東日本大震災の甚大被害を想起させるという。東日本大震災では高さ10メートルを超えるどす黒い大津波が多くの尊い命を奪った。恐ろしいことに最悪で32万人を超える犠牲者が出るとの試算もある南海トラフ巨大地震も、2018年時点で「30年以内に70〜80%の確率で起きる」と予測されている。
今回の能登半島地震に伴う津波は沿岸部にあっという間に到達した。今村教授は「日本海の地震で今回のように津波を伴うケースはこれまで頻度が低かったが、今後も起こると考えた方がいい」と警鐘を鳴らす。そして「地形や海底地形の解析や海底地滑りによる津波想定も必要だ」と指摘。「今回の津波の被害や分析結果で得られた教訓をこれから津波対策に生かさなければならない」と強調している。
ただ、今回のように津波到達までの時間が短い場合の避難は容易ではない。南海トラフ巨大地震では想定震源から近い東海地域などは特に短時間で大津波が到達するとみられ、避難対策の再検討が必要だという。今村教授は喫緊の具体的対策として、沿岸地域に緊急の避難タワーや避難ビルを設置することや重要施設の高台移転などを挙げている。

 

●能登半島地震の震源域 半島の北東断層ずれ動かず “注意を” 1/17
今回の能登半島地震で、震源域の断層の動きを専門家が分析した結果、能登半島の北東にある断層がほとんどずれ動いていなかったことが分かりました。専門家はこの断層で規模の大きな地震が発生すると新潟県の沿岸に津波が押し寄せるおそれもあるとして注意を呼びかけています。
政府の地震調査委員会によりますと、今回の地震の震源域は、能登半島の西から北東にかけてのおよそ150キロの範囲におよび、これまでに確認されている複数の活断層が関係している可能性が高いなどとしています。
東京大学地震研究所の佐竹健治教授は、各地で観測された津波の波形から、震源域の断層がどう動いたか分析しました。
その結果、能登半島の北側の沿岸に沿ったエリアと、隣り合う断層がそれぞれ大きくずれ動いた一方、最も北東側の沖合の断層はほとんど動いていなかったことが分かりました。
この領域では、今月9日にマグニチュード6.1の地震が発生していますが、新たにマグニチュード7クラスの地震が起きた場合、佐渡を含む新潟県の沿岸に高さ3メートル程度の津波が押し寄せるおそれがあると指摘しています。
佐竹教授は「能登半島でも地震活動が続くと思われるが、震源域が広いので周辺でも日頃から備えを確認してほしい。日本海で津波が起きると到達時間が短いので注意が必要だ」と話しています。
●玉川徹氏 自民の巨額裏金事件で「脱税の問題はどうなるの?」 1/17
元テレビ朝日社員の玉川徹氏が17日、コメンテーターを務める同局「羽鳥慎一モーニングショー」に出演。自民党が16日に派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて設置した政治刷新本部の全体会合を開き、党改革に向けた全党議論を実施したことに言及した。
派閥の政治資金が問われている事態を踏まえ、無派閥議員を中心に派閥を解消すべきだとの意見が相次いだ。一方、役割を肯定的に捉える主張も上がり、賛否は割れた。政治資金の透明化や厳罰化を求める意見も出た。
党によると、党所属議員約380人のうち150人前後が出席。50人以上が発言し、会合は3時間にわたった。本部長を務める岸田文雄首相は冒頭「国民の信頼を回復するため、日本の民主主義を守るために自民党は変わらなければならない」と述べた。
玉川氏は「自民党の動きもそうなんだけれども、キックバックの責任の話はどこいっちゃったんだろうなと。今後の話ばっかりして、今はキックバックの問題があったからこそ、こういう話になっている。そっちの責任の話はどうなったんだろうなというのがあります」と指摘。「明らかにしろっていう話もそうなんだけれども、今議論されている中で見落とされていると思うのが、近々、収支報告書を修正するという話がありますが、収支報告書を修正してチャンチャンですかって僕は凄く思うんですよ」と話した。
そして、「今、僕は確定申告をやろうということで一生懸命にやっていて面倒くさいんですよ。で、これ脱税の問題はどこにいきましたって話なんですよ。というのは、政治資金だからこそ税の問題が問われないんですよ」と言いつつ、「しかし、今回、安倍派の方から政治資金収支報告書に記載しなくていいという話を受けて記載してないということですよね。つまり政治資金じゃないということです。ということは、そのキックバックのお金というのは課税所得なはず。課税所得のはずなのに、それを修正申告すると、あれは政治資金でしたっていう話にするってことで、脱税の話がなくなっちゃうんですよね。これおかしくないですか?」と問い掛け、「われわれ、例えば1000万円の所得を申告しなかったら、確実にやられますよ。税金を払えという話が来ますよ。だけど、これ政治資金だから脱税の話になりませんよってしようとしているんですよ。それでいいのか」と問題提起した。
これについて、政治ジャーナリストの田崎史郎氏は「この後、不起訴にするかというところの問題点とは別に、自民党独自でこの問題にどうけじめをつけるのか。対策などは刷新本部でやっていますよ。それはそれとしてやってもらって、リクルート事件の時は、株をもらった人はそれを全部寄付しなさいと。そして、役職停止にしたんですよ。そういう措置は自民党として必要なのでは。自民党のけじめが求められるようになると思います」と自身の見解を述べていた。
●萩生田光一氏が「お膝元選挙」でアノ手コノ手の悪あがき… 1/17
波乱を呼びそうだ。
21日投開票の東京・八王子市長選挙は、自民党派閥パーティーの裏金事件が直撃。地元選出で安倍派の萩生田光一前政調会長が焦りまくっている。萩生田氏自身、販売ノルマ超過分のキックバック数百万円を収支報告書に記載せず裏金化したとみられる張本人。厳しい民意が支援候補に飛び火しかねないからだ。
選挙の構図は、萩生田氏が支援する自公推薦の元都庁職員・初宿和夫氏(59)、小池都知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」の元都議で、立憲や共産などの支持を受ける滝田泰彦氏(41)、元都ファ都議の両角穣氏(61)による事実上の三つ巴。
保守系の支持層が厚い八王子は「萩生田帝国」といわれているが“帝国崩壊”の危機にビビる本人は、あの手この手で策を弄しているようだ。
「昨年秋の時点では、初宿さんと滝田さんの一騎打ちになるとみられていたが、12月中旬に両角さんが出馬表明。これに先立ち、萩生田さんサイドが両角さん側に『出るな』と圧力をかけたそうです。両角さんは八王子市議時代に自民会派に所属していたこともあり、保守層から受けがいい。12年の市長選では『みんなの党』推薦で出馬し、6万票以上を獲得。自民推薦候補に詰め寄った。両角さんに保守票を食われかねないため、萩生田さんは焦っているといいます」(地元関係者)
“自分隠し”にも必死
“女帝”を取り込むためにも手を打っている。
「滝田さんを水面下で支える都ファの都議たちは、小池知事を応援に引っ張り出したい。ところが、知事本人は昨年末の江東区長選で子飼い候補を自公が推薦したバーターで、八王子市長選では『都ファの応援をしない』との密約をしたのではともっぱら。実際、応援入りの予定はなく、萩生田さんと握ったとみられています」(都政関係者)
告示日の14日に初宿氏はX(旧ツイッター)で「必勝」と記された小池知事の為書きの写真を紹介。〈小池都知事からのエールに感激です!〉と“女帝取り込み”をアピールしている。
さらに、萩生田氏本人は“自分隠し”にも必死だ。
「初宿さんの出陣式で、萩生田さんは裏金事件について『おわび申し上げます』などとサラッと話した後、聴衆に紛れてジッとしていた。『自分が表に出るとマイナス』と分かっているようです」(地元関係者=前出)
ある政党の情勢調査によると「初宿、滝田が横一線。両角が猛追」という争いになっているもようだ。“帝国崩壊”なら、次期衆院選で萩生田氏のクビは危うい……。
●谷川弥一衆院議員がキックバックされた現金を返還意向 1/17
自民党の派閥の政治資金パーティー裏金問題で多額のキックバックを受け収支報告書に記載しなかった疑惑が持たれている長崎3区の谷川弥一衆院議員(82)がキックバックされた現金を返還する意向であることがわかりました。
谷川衆院議員はおととし(2022年)までの5年間に4000万円以上のキックバックを受け、収支報告書に記載していなかった疑いがもたれ、東京地検特捜部の調べを受けています。
NCCの取材に対し谷川議員は不記載を認めていて「近く特捜部の最後の聴取がある。そこで立件されれば議員も辞職する」と話しています。
特捜部は週内にも谷川議員の聴取を終結すると見られ、谷川議員はその後、地元で会見を開く意向です。また4000万円を超えると言われるキックバックされた現金も「5年以内のものは明細も含めすべて保管している。支出した人に意向を聞き、返還を希望する人には返すつもりだ」と話しています。
谷川議員は現在7期目。衆議院の小選挙区の区割り変更で次の選挙から比例九州ブロックから出馬する予定でした。谷川議員が議員辞職した場合、4月28日に補欠選挙が旧長崎3区で実施されます。
●田崎氏 自民党批判に“反論”「内閣支持率は5P、政党支持率は7P回復」 1/17
政治ジャーナリストの田崎史郎氏が17日、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」に出演。自民党批判に“反論”する場面があった。
番組では、自民党派閥の裏金事件について議論。自民党が16日に派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて設置した政治刷新本部の全体会合を開き、党改革に向けた全党議論を実施、派閥の政治資金が問われている事態を踏まえ、無派閥議員を中心に派閥を解消すべきだとの意見が相次いだ一方、役割を肯定的に捉える主張も上がり、賛否は割れた。政治資金の透明化や厳罰化を求める意見も出たことなどを伝えた。
フリージャーナリストの浜田敬子氏は「35年前に派閥の弊害は言語化されていて、でもゾンビのように派閥は、何度も解消しようという議論はあったけれどもよみがえって、今日に至っている。ということを考えると、自民党に改革は無理だということですよね、分かったことは」と指摘した。
この意見に田崎氏は「そう思われる方はいるでしょうね」としつつ、「ただ直近の共同通信の世論調査だと、内閣支持支持率が5ポイント回復。自民党の政党支持率は7ポイント増えている」と説明。浜田氏の「それは震災の影響が大きいと思う。岸田さんが現地行くとか、こういった震災が起きた時は、どちらかというと政権側の支持率が上がるのは、いつも起きること」には、田崎氏は「野党の支持率は減っているんですよ」と“反論”した。
●「裏金無罪」絶対許すな!黒い政治家を徹底断罪しないと腐敗根絶できない 1/17
裏金疑惑がある安倍派9人が「政治刷新本部」のメンバーに
自民党の最大派閥である安倍派を中心とする裏金問題が発覚し、岸田文雄首相は1月10日、再発防止に向けた新しい組織「政治刷新本部」を自民党内に発足させた。
5億円を超える裏金があるとされる事件で政権幹部を担った人物が次々と捜査を受けている事態において、12月上旬には炎上していた案件に対して、何を悠長なことをやっているのかと怒りを感じた国民も多いのではないだろうか。とりあえず早急に組織だけは立ち上げておいて、中身は後から考えればいいだろうに。岸田首相の支持率が低い理由も分かる気がする。
その上、政治刷新本部のメンバーの正当性にも早速、疑問の声が上がっている。メンバー38人の中で、疑惑の渦中にある安倍派が最多の10人を数え、しかもそのうち9人に裏金疑惑があるからだ。さらに、フランス・パリへの自称「研修旅行」で「エッフェル姉さん」とやゆされて大炎上した、松川るい氏までその名を連ねており、大いに物議を醸している。
日本を含めて民主主義の下では、国民が政治家の決定に影響を与えることができる。しかし、政治家の決定がいつも国民の意向を反映していると感じる人は少ないだろう。
日本政治の腐敗を感じるのは今回の裏金キックバック問題だけではない。「ブライダルまさこ」と大炎上した自民党の森まさこ議員がぶち上げた、「少子化・インバウンド対策」だという「外国人が日本で挙げる結婚式の補助金」。過疎地域にそびえる立派過ぎる役所。前述のエッフェル姉さんご一行による自民党女性局の自称「研修旅行」など…。国民の目が届く範囲だけでもこれだけの腐敗が進んでいるのだから、国会議員全体ではどれぐらいの規模になるのか想像もつかない。
政治とカネを巡る問題が常に起き続けている現状を見ると、やはり権力は腐るものなのだなあと感じざるを得ない。では、どうすれば、抜本的な改革ができるだろうか。
政治資金の透明性を高めても「全くダメ」な理由とは?
いま、日本では「政治資金の透明性を高めよ」という議論が沸騰している。そこで先行研究を調べてみると、透明性を高めるだけでは全くダメだという結論にぶち当たった。
今回は、2018年に学術雑誌「Journal of Public Economic Theory」に掲載された「透明性は政治腐敗を減らすか?(Does transparency reduce political corruption?)」をひもといてみよう。この論文は発表後、すでに19以上の学術論文に引用されている。政治腐敗研究では有名な論文だ。
内容を簡単にいえば、以下の通りだ。
透明性を高めることが政治腐敗を減らす解決策だとよく言われている。しかし、この論文はそれに異議を唱えている。「たしかに透明性を高めることで腐敗は減少するかもしれないが、実際には腐敗に使われる賄賂の金額が増える可能性があるということ」だという。
「透明性が低いシステムでは、市民が政治家に影響を与える動機付けがあまりない。その結果、腐敗者は政治家に影響を与えるためにそれほど努力する必要がない。腐敗は広がるが、賄賂の額は低いのだ。一方、透明性が向上すると市民は力を得るので、腐敗者の影響に対してより積極的に立ち向かう。しかし、腐敗者も反撃し、賄賂の額が増える」
「透明性を高めることが悪い政策だと言っているわけではない。透明性が高まれば、政治家がより効率的な行動を取らざるを得なくなるので、期待される厚生が増加する。ただ、透明性の向上は、政治家の権力の影の価値をも高める。腐敗者はその権力に影響を与えるために、これまで以上に多くの賄賂を支払う準備ができているので、期待される賄賂は増加する」
簡単に言えば、政治家がどんなお金の流れで収入を得て、どんな政策決定をしているかが国民に分かるようになると、不正をしようとする人たちは奮起してさらに頑張ってしまうということだ。当然ながら、裏金キックバックの問題において、国会内でおそらく透明性を高める議論や法改正が行われるだろう。しかし、それだけでは不十分であり、むしろ汚職を広げる可能性があるということになる。
政治とカネの透明性を高めても 完全な情報を把握するのは難しい
どうしてこのようなことが起きてしまうかというと、結局のところ、政治家についての完全な情報を国民は得ることができないためだ。
例えば、実際に起きている話としては、政治家が乗っている運転手付きのリムジンが、実はタクシー会社のもので、その会社の取締役に政治家のきょうだいが就任している、といったものがある。その政治家のきょうだいのための社用車であるが、きょうだいが自由に使ってよいことから実態上は政治家事務所の車となっている。わざわざ秘書の車の名義まで確認するメディアはほとんどない。
また、ある会社が業務委託として契約した人物を、政治家事務所に「無報酬のボランティアスタッフ」として送り込んでいるケースもある。その人物が正社員の場合もあるが、その場合はフルタイムで政治家事務所で働いていることと整合性が取りにくい。一方、業務委託なら簡単な報告を日々するだけで問題は起きないようだ。
政治家のカネの一部分を透明にしたところで、いたちごっことなって腐敗がなくなっているのかどうかが分からないというのが、私の実感だ。むしろ狡猾(こうかつ)な世襲政治家がどんどん有利になっていくリスクが高い。
「競争効果」と「効率効果」で政治の腐敗を根絶する
では、現状の腐敗を根本からなくすためには、どうすべきなのか。その答えは、この論文にも登場する「競争効果」と「効率効果」にある。
まず、競争効果を利用することについてだ。
例えば、ある企業が政治家にお金を払って特定の政策を実行してもらおうとする。これが汚職だ。企業はその政策が自分たちに利益をもたらすから、政治家に影響を与えようとするわけだ。
一方で、私たち国民の側も政治家の行動に影響を与えたいと思っているが、私たちの目的は公共の利益を守ることだ。
ここで競争効果が登場する。それは国民が「企業の提供する金銭的な価値と同等かそれ以上の影響力」を政治家に与えないと、汚職が起こる可能性があるということだ。つまり、私たち国民が政治家に対して襟を正す十分な動機を提供しなければ、政治家はお金を払う一部団体の方へと引き寄せられていってしまうことになる。
今回の裏金問題でいえば、こうした裏金問題を起こした連中を完膚なきまでに、評判から名誉から何から何までたたき落として後悔させるしかない。そうすれば、2度と裏金問題を起こそうと思わないだろう。
次に、効率効果だ。効率効果とは、国民と企業のどちらが政治家に対して魅力的な報酬を与えられるかによって、政治家の政策が左右される現象のことだ。例えば、政治家が、ムダとしか考えられない補助金を出さないことを公約し、それが実行されたときに国民が投票や支持を約束することができれば、政治家は「効率的な」政策を採用しやすくなるということだ。
米国では、ほとんどの共和党議員が「任期中のあらゆる増税に反対する」という署名を行っているが、実際、この過酷な約束を実行すると、政策効果のない補助金などに支給する財源などなくなってしまう。しかし、共和党議員がこの署名をすると、選挙で保守系団体の強力なネットワークによる支持が得られ、選挙で優位になることは有名な話だ。
その結果、ムダな政策の原資も腐敗も絶たれていく。日本でもこうした政党が生まれることを期待しよう。
さて、今回の話をもう一度整理すると、以下のような結論に至るのではないか。
(1)透明性は高い方がいいが、政治資金の透明性を高めても腐敗はなくならない
(2)不正や腐敗には、厳しい姿勢で徹底的に臨む。やってしまったことを政治家に激しく後悔させる。今回は関係ないが、これからやりかねない政治家たちを震え上がらせる必要はある
(3)補助金や規制など腐敗を生む政策を原則しない、させない社会風土をつくっていく
この三つで、日本は腐敗政治から立ち直ることができるだろう。
●政府の少子化対策は「異次元」でも本質的でもない 1/17
政府の少子化対策は抜本的解決を期待できる範囲・レベルのものではなく、しかもこの視野の狭さは確信犯的だ。真に求められているのは、特に女性たちが安心して早めに結婚と子育てに踏み切ることができる社会構造だ。
日本政府のいわゆる「少子化対策」の中身と規模感、そして裏付けとなる財源の見込みを見ると、残念ながら抜本的に解決する覚悟が見受けられるものではない。「異次元」というにはあまりに小出しで、あまりに偏っているのだ。
岸田政権が打ち出した少子化対策は、1経済的支援、2サービス充実、3育休強化の3本柱で成り立っている。1はあくまで子育てへの経済的負担を軽くしてあげようという支援なので、これらはすべて「既に子育てに入っている人たちの今の困り事を解決してあげよう」という発想からの施策でしかない。
これで可能なのは、既に子どもを一人育てていて「もう十分」と考えてしまいがちな夫婦に「(先々の経済的余裕に自信が持てるようになれば)二人目の子どもを産み育てるのも悪くないな」と思ってもらう可能性を高めるくらいのことだ。やらないよりはずっといいが、「これで少子化対策はバッチリ」みたいなドヤ顔をされることは止めて欲しい。
この3本柱には、「未婚・晩婚化」と「晩産化」への対策という最も本質的な少子化対策視点が欠けている。すなわち、(1)経済的な不安が大きいため、(結婚したくても)結婚に踏み切れない人たちに「思い切って結婚しちゃおう!」と踏ん切らせる、(2)(結婚はしたけど)「自分のキャリア等を考えると、子どもを産み育てることを躊躇し先送りしてしまう」若い奥さんに安心して子どもを産む気になってもらう、という視点だ。
ではこの「視点の偏り」は、政府関係者および与党幹部がうっかり見落としていたためだろうか。そんなはずはない。政権の中枢にある政治家には中央官僚や学者をはじめとした様々なブレーン、つまり頭脳集団がついている。彼らが見逃すはずがない。つまり岸田政権の少子化対策が「既存子育て集団にだけ焦点を当てている」構図は、かなり確信犯的なのだ。
多分、長年にわたって何やかやと少子化対策をやってきたつもりの(しかもカネで解決することしか発想できない)中央官僚と与党政治家諸氏からすれば、上記の(1)と(2)の課題は(必要性は分かっていても)あまりに根が深くて、「打つ手なし」という認識なのだろう。
さすがに政治的には白旗を挙げることはできないので、既存子育て層にだけ焦点を当てて「やっている感」を出せばいい、と考えたのではないか。つまり「(本当は違うけど名称だけは)異次元の少子化対策」というのは一種のアリバイ工作なのだと解釈できる。
では本当に、真の少子化対策は「打つ手なし」なのだろうか。そんなことはないはずだ。少子化というのは、政治家・中央官僚たちがそこまでの危機感を持たずに安易に問題を先送りし続けた結果に過ぎないのではないか。
この問題解決のためにはまず、様々な政策研究集団や社会問題研究家たちが既に実施している分析に基づいて、「日本がなぜこれほどの少子化社会になってしまったのか?」という構造的要因から振り返ってみるべきだろう。
ずばり、若い世代、特に女性に対し経済的に不利な立場を押し付けてきた、高齢男性による同質的意思決定で固められたアンフェアな社会構造への、女性たちの無言だが怒りを秘めた抵抗が「未婚・晩婚化と晩産化による少子化」という形で出てきているように小生には思われる。
特に女性に対し補助的役割や非正規雇用という理不尽な役回りを押し付け、経済的に苦しい立場に追いやった結果、しかし高等教育を受けた現代女性は(昔の女性たちのような)すぐに「結婚に逃げる」方策はなかなか採らなかった。(上の世代から連綿と引き継がれてきた)男性側の「俺が養ってやるのだから妻は言うことを聞くべきだ」という鼻持ちならない優越意識がまだまだ消えていないことを敏感に感じていたためだ。
特に東京のような大都会で就職した女性たちはぎりぎりまで独身を謳歌した上で、またはキャリア上の機会を追求した上で、でもせめて一度は妊娠・出産したいので、「これ以上先延ばしできない」段階になってようやく結婚するという「精一杯の抵抗」を男性優位社会に対し行使してきたのだ。その結果、彼女たちの結婚年齢と出産年齢は軒並み上がり、一人の子どもを生んで育てるだけで「打ち止め」という状況を多く生じさせたのだ。
しかし彼女たち個々人の抵抗は総体としてはむしろ自分たちに跳ね返って、自らの首を絞める結果になりつつある。現役世代が高齢世代を支えるという年金や介護保険の構造のため、少子化が進むにつれて支える層が少なくなり、若い世代ほど一人当たりの負担は重くなる。
その一方で、彼女たちが本来抗議の意思をぶつけたかった対象である、今の社会構造を固定化させた元凶である高齢男性の元リーダーたちはとっくに引退しており、悠々自適の老齢期を過ごしているか、既に鬼籍に入っているため、少子化が幾ら進展しようと痛くも痒くもない。何とも皮肉な構図だ。
平成不況期を通じてしわ寄せは女性だけでなく結婚適齢期の男性全般にも及んだ。男性も女性も実質賃金が長いこと抑えられてきた結果、そもそも双方の収入を合わせても、子育てできる貯金もなかなか貯まらない、それだけの居住空間を確保することもできない。そんな経済的に見通しの立たない若いカップルが増えており、特に東京などの大都市に多い。そりゃあ子育てどころか結婚にも踏み切れないのも当然だ。
そして何とか結婚に至ったとしても、夫が家事・育児を分担する姿勢を見せない、または夫の職場が分担を許さない環境にあれば、ワンオペ育児を強要させられることを想像した妻が、子どもを持つことを躊躇するのは理の当然だ。
結局、本質的に少子化トレンドを反転させるためには、1若い世代の収入を上げること、とりわけ東京に集まる/留まる必要がないよう地方で若者が世帯を持てるだけの収入を得られる仕事を増やすこと、そして2夫婦が家事・育児をフェアに分担するよう、若い男性の意識とその職場の制度・運用を変えさせること、という極めて当たり前のことを着実に進めるしかないのだ。
確かに、そうした課題には中央の政治・官庁の幹部たちは思った成果を出せていない。だからこそ彼らは「もう打つ手なし」という認識に至っているのだろう。しかしそれは安易な責任放棄というものだし、本当に知恵を絞って思い切った策を採ってきたかというと極めて怪しい。手をこまぬいてきただけでなく非正規雇用の拡大などの悪手を繰り返してきた、過去の政治家と官僚の責任は重大である
三村明夫氏や増田寛也氏ら有識者のグループが「人口ビジョン2100」で提言するように、人口減少に歯止めを掛けるべく、官民挙げて対策に取り組む必要があるのは明らかだ。覚悟を決めて相当抜本的な対策に取り組まないと今の出生率トレンドを反転させることは容易ではないし、2030年までが最後のチャンスだろう。政治的なアリバイ作りにかまけている暇はこの国にはないのだ。
まずは若者たちを苦しめてきた、(一部の政商の言いなりになって安直に拡大してきた)非正規労働の対象・条件をもう一度強く規制し、安易な人件費抑制の手段にさせないことから、国の変革への覚悟を見せるべきだろう。
付け加えるなら、出生数推計の母数となる「出産適齢期にあたる若い女性の人口」が既に大幅に減った現在、単に彼女たちを早めに結婚に踏み切らせて子どもを生む気になってもらうだけでは、今の少子化トレンドに歯止めを掛けるにはもう遅いことも我々国民は理解すべきだ。したがって同時に実施すべきは移民政策であり、外国人居住者を大幅に増やす方策である。このための議論も避けてはならない。
●能登半島地震の復興・復旧に補正予算を組まず予備費で対応… 1/17
政府は16日、能登半島地震の復旧・復興に備え、2024年度予算案の予備費を1兆円に倍増する変更を閣議決定した。被災地には財政支援が不可欠だが、予備費の増額のみで補正予算を編成しないのは異例。新型コロナ禍を契機に国会の議決を経ずに閣議だけで使い道を決められる予備費が急拡大し、政府の「便利な財布」が常態化している。
過去は1〜2カ月で「補正予算」をスピード成立
能登地震の復旧・復興に向け、政府は予備費で対応する。23年度予算分は既に47億円の支出を決め、4600億円超が残る。さらに、これから審議が始まる24年度予算案で昨年12月の閣議決定から5000億円を積み増して倍増させる。新年度の予備費は物価高と賃上げ対策に限定した1兆円と合わせて計2兆円に上り、一般会計総額は計112兆5717億円となる。実際に使えるのは国会で予算成立後の4月以降だ。
過去の地震災害では、今回とは違って予備費と補正予算が併用されてきた。能登半島地震と同じ1月に発生した1995年の阪神大震災では約1カ月で最初の補正予算が編成され、2月28日の国会でスピード成立した。能登地震より死者数の少ない北海道地震(2018年)や新潟県中越地震(04年)でも1〜2カ月で補正予算が組まれた。
使い道を災害対応に限定せず
補正予算を組まない対応について、財務省幹部は「当面の支出は23年度予備費の残り4600億円で足りる感触だ」と説明する。その上で、7000億円の予備費を含む補正予算を編成した16年の熊本地震よりも被害が大きくなっても対応できるよう、新年度予算案で5000億円増やした。
熊本地震の際の予備費は使い道を災害対応に限っていたが、今回増額されたのは使途が限定されていない一般予備費。「特定の目的にすると対応の柔軟性が損なわれる」(財務省幹部)というのが理由だが、災害以外のことに使用される余地もある。
「政権が便利に使う常とう手段になっている」
例年は5000億円だった予備費は、20年のコロナ禍以降、一時は10兆円ほどまで急拡大した。財政に詳しい大和証券の末広徹氏は「コロナ禍以降、予備費のたがが外れ、政権が便利に使うための常とう手段になっている」と指摘。「年度内の支出が足りるなら、新年度に補正予算を組むか能登地震の対応に限った予備費にするべきだ」と話している。
予備費 / 災害や経済危機といった不測の事態に備え、事前に使い道を決めずに予算計上する費用。使途を限定しない一般予備費が5000億円規模で計上されてきた。コロナ禍に感染対応に限った巨額予備費が設けられるようになり、物価高対策や賃上げ促進などにまで別枠計上が広がっている。
●自民裏金疑惑 安倍派幹部立件見送りも、ほくそ笑む岸田首相… 1/17
「邪魔者は排除できた」「二階さんにも恩を売った」「支持率も少しだけアップ…」
「検察は巨悪を眠らせるな」「検察仕事しろ」1月中旬、X(旧ツイッター)にはこんな書き込みが溢れた。多くが「日本最強の捜査機関」の異名を持つ東京地検特捜部への怨嗟の声だ。「リクルート事件」以来ともいわれる一大疑獄事件となった自民党の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑だが、最終的に安倍派(清和政策研究会)の幹部の立件を見送る方針が伝えられ、世間の怒りが沸騰している。
「岸田さんは最も邪魔だった勢力を排除することができた」
「岸田さんの思い通りの展開なんじゃないですか」
こう苦笑いするのは、政界事情に精通する与党のあるベテラン秘書である。
「今回の事件が『岸田政権を揺るがす』という人もいますが、とんでもない。岸田さんは政権を運営する上で最も邪魔だった勢力を排除することができた。厄介払いができたというのは、言うまでもなく、安倍派のことです」
総勢99人が所属する自民党最大派閥の安倍派は、岸田首相にとって政権運営のカギを握る勢力だった。実際に「数は力」とばかりに同派は政権発足当初から影響力を発揮。安倍晋三元首相亡き後は結束力に陰りが見えたものの、閣僚や党役員の顔ぶれを見れば、首相ですらその存在を無視できないのは一目瞭然だった。
象徴的だったのは、「五人衆」と呼ばれた安倍派幹部の処遇だ。
岸田首相は2021年10月の第1次政権を皮切りに、2021年11月、2022年8月、2023年9月とこれまでに3度組閣しているが、松野博一氏は一貫して官房長官を務め続けた。西村康稔氏は要職の経産大臣を務め、萩生田光一氏は党内で各政策を議論する部会をまとめる政調会長の任に。世耕弘成、高木毅両氏もそれぞれ参院幹事長、選対委員長といずれも重要なポストを割り当てられていた。
だが、そんな彼らのキャリアが暗転したのが、件の「政治資金」を巡る疑惑だった。
「『特捜部が派閥のカネを洗っている』という噂が永田町に一気に広がったのが昨年11月末ごろ。当初から安倍派の金額が突出しているといわれていましたが、捜査対象になっている具体的な名前が出回り出したのは12月に入ってからでした」(全国紙政治部記者)
派閥から課されるパーティー券の販売ノルマの超過分を、議員側に戻す資金の環流が「キックバック」として報じられ、党全体に危機感が広がった。パーティー券購入者のうち、個人は5万円、団体は20万円以下の購入者は無記名とすることが可能になるなど、政治資金規正法の不透明な実態が明らかになったからだ。
「早くカタがついて欲しいというのが正直なところだよ」
特捜部の捜査リストに名前が上がらず、今回の問題では、比較的ダメージが小さいとみられている茂木敏充幹事長率いる茂木派(平成研究会)の中でも危機感は広がっていた。
「うちの場合、日歯連事件で政治資金では痛い目に遭っているから、派閥へのカネの『入り』と『出』については、きっちりと収支報告書に記載するようにしていた。パーティーのノルマ超過分の戻しは派閥からの寄付という形で処理していたが、それもキックバックといわれるとはなはだイメージが悪い。早くカタがついて欲しいというのが正直なところだよ」と声を潜めるのは、同派のある中堅議員だ。
日歯連事件とは2004年に発覚した疑獄事件。日本歯科医師連盟での汚職事件に端を発し、橋本龍太郎元首相ら平成研の幹部に日本歯科医師会側から1億円がヤミ献金として流れていたことが発覚し、会長の橋本氏の辞任に発展するなど、同派は壊滅的な打撃を受けた。
当時と同じように政権への逆風が強まるなか、岸田首相は昨年12月14日に松野氏をはじめとする安倍派の4閣僚を交代させる人事を断行し、局面打開を図った。このころには特捜部の捜査の狙いが徐々に明らかになってきていた。
「安倍派で危ないのは10人、と具体的な数字も出るようになった。内訳は安倍派の事務総長経験者に加えて、不記載のキックバックが4000万円以上の高額になる議員だ、と一斉に情報が回りました。同じタイミングで浮上したのが、『不記載を認めないと身柄を取られることもあり得る』という噂。いま思えば特定の議員への警告の意味合いも込めて検察がリークした情報だった気もしますが…」(前出の政治部記者)
衆院議員の池田佳隆容疑者(57)の周辺が騒がしくなったのもこのころだ。特捜部は1月7日、池田容疑者らを政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで逮捕。キックバックを受けた資金に関する証拠隠滅を図るなど悪あがきを続けた末に、在宅起訴が通例とされるなかで「異例」ともいえる身柄拘束に至ったのである。
9月の総裁選も乗り切って長期政権を築くのでは
一方、岸田首相は、民衆の中で高まる政権への批判の声を受け、政治資金制度の見直しを図るための党内組織「政治刷新本部」を立ち上げる意向を表明した。しかし、メンバーとなった安倍派の所属議員10人のうち9人に「不記載」が発覚するなど政治不信の払拭には至っていない。政権は、じりじりと追い詰められているようにも映るが、前出のベテラン秘書は異なる見方を示す。
「これまでの流れは、岸田さんのプラン通りにほぼ進んでいるのだろうと思います。思惑通りに安倍派を排除したし、二階(俊博元幹事長)さんも抑え込んだ。というのも、安倍派とともに捜査対象になっているとされる二階派では、安倍派のような資金環流は行われず、派閥内で資金をプールし、そのほとんどを二階さんが握っていたといわれているからです。特捜部は二階さんを所得税法違反の線で狙っていたようですが、どうやら捜査は本丸にまでは及ばなさそうです。
官邸と特捜部が捜査の落としどころについて擦り合わせているとすれば、二階さんに恩を売った形です。菅(義偉元首相)さんが、派閥解消を訴えて目立っていますが、政権をひっくり返すほどの大きなうねりは起こせていないし、安倍派も壊滅して自分の地位を脅かすようなライバルは当面出てくる気配はない。この調子なら9月の総裁選も乗り切って、長期政権を築くのではないかと見ています」
この見立てを裏付けるように、NHKが1月12〜14日に行った最新の世論調査では岸田内閣の支持率が昨年12月から3ポイント上昇し26%。共同通信の13、14日の調査でも昨年12月から5ポイント上がって27.3%だった。
相変わらずの低空飛行ではあるが、SNSで広がる「岸田離れ」とは真逆の民意が示された形だ。意外とも思える狡猾さでのらりくらりと政権運営を続ける岸田首相。ただ、その視線の先に国民がいないことだけは確かだ。 
●岸田首相、政労使会議の月内開催調整 春闘の賃上げ呼び掛け 1/17
岸田文雄首相は17日の政府・与党連絡会議で、政府と労働界、経済界の代表による「政労使会議」の開催を調整していると明らかにした。
首相周辺によると月内に開く方向。春闘を見据え、「物価上昇を超える賃上げ」を呼び掛ける。6月には定額減税を実施する予定で、支持率が低迷する中、政権浮揚につなげたい狙いもあるとみられる。
政労使会議は昨年3月と11月に続き、岸田政権で3回目。連合は春闘で昨年を上回る「5%以上」の賃上げを要求する方針を掲げている。
連絡会議で、首相は「官民が連携し、賃金が上がり可処分所得が増える状況を今夏には確実につくる。国民の実感を積み重ね、社会全体の意識を変えていく」と強調。医療、介護、障害者福祉の団体に対し、近く賃上げを要請する意向も示した。
●首相が政労使会議開催の意向 「物価目標上回る賃上げ」に意欲 1/17
岸田文雄首相は17日、首相官邸で開かれた政府与党連絡会議で、今年の春闘に向けて政府と経済界、労働界の代表が協議する政労使の会議の開催を調整していることを明らかにした。首相は「足元の物価高から国民生活を守り、物価上昇を上回る賃上げを必ず達成しなければならない」と意欲を示した。
前回は2023年11月に開いており、岸田政権発足後では3回目となる。首相は賃上げを最優先課題に挙げており、経済界に改めて春闘で積極的な賃上げに応じるよう促すとみられる。首相は「賃金が上がり可処分所得が増える状況を夏には確実につくり、国民の実感を積み重ねて社会全体の意識を変える」と強調した。
●第7次エネ基で自死しないために NDCとの断絶を 1/17
パリ協定では2025年に35年以降の数値目標についてのNDC(温室効果ガス削減の国別目標)を提出することとなっている。今年の年明けから、日本政府はエネルギー基本計画の見直しに着手することになっており、それと整合性のあるNDCを提出する、というのが今の行政の考えのようだ。
だが、これは危険極まりない。NDCに関する国際交渉での相場は跳ね上がっているからだ。温暖化防止国際会議・COP28では、35年に世界全体で60%削減(19年比)という数字が打ち出された。EUでは欧州委員会が1990年比で90%削減という無謀な法案をこの春に提出しようとしている。
どちらも産業、なかんずくエネルギー多消費産業に対する死刑宣告に等しい。
すでに2030年目標に向けての現在の政策すら、ドイツでは産業の大脱出(エクソダス)を引き起こしている。ドイツ最大手の化学企業BASFは中国へ100億ユーロ投資して工場を建設する。日本の大手鉄鋼会社もインドで高炉を建設する一方で、米国の鉄鋼会社を2兆円かけて買収すると報じられている。産業、なかんずくエネルギー集約産業は、CO2規制がむやみに強化されつつあるEUや日本から逃げ出している。政府が水素技術開発の補助金などを出したところで引き留めることは出来ない。これは企業判断としてはやむを得ず、ある意味合理的かもしれない。だが国家としては、存亡にかかわる致命的な失敗だ。
温暖化政策が政権支持率に影響 主要国の動向は
ここ数年間、EUでも米国でも左派リベラル的な政策を推進する政権が続いてきた。だがここにきて、まず野放図な移民の受け入れで国民の不満が爆発した。国民に負担を強いる脱炭素の推進も、それに次いで不満の火種になっている。EUでは国政選挙のたびに右派が勝つようになっており、今夏の欧州議会選挙でも右派が躍進するだろう。米国は今年末に共和党の大統領が誕生すれば、トランプであれ誰であれ、パリ協定から離脱し、グリーンディール(脱炭素のこと)を止め、ESG(環境・社会・統治)に反対する。
COP28では、グローバルサウスもロシアも、G7(主要7カ国)の偽善に満ちた「50年脱炭素」のお説教などに従わないことが改めて鮮明になった。グローバルサウスがG7に唯々諾々と従わないのはこの問題だけではない。対ロシア経済制裁でも、イスラエルとハマスの戦争においてもそうだ。
米国バイデン政権、ドイツの信号機連立政権(社会党、緑の党、自由党)のいずれも、支持率が低迷している。国民に支持されない中、国際交渉については行政府が担当しているので、左派リベラルの支持基盤を喜ばすために、これら政権はますますグリーンな方向に先鋭化している。
だが、米国は共和党が大統領選に勝てばグリーン路線は全て180度転換する。
EUはこのままではネットゼロ(脱炭素)による自死に至るであろう。だが今年にも政治の右傾化が進み、やがてネットゼロ目標は放棄されるだろう。
日本はやはり支持率の低い岸田政権の下、脱炭素の制度化が着々と進んでいる。慣性のついてしまった行政府は巨大な船のように方向転換が効かない。今後、その一貫として「野心的な」NDCが設定され、35年の国のCO2数値目標が無謀な数値にピン止めされ、それを各部門に割り当てた「積み上げ」計算をして第7次エネルギー基本計画を策定するとなると、一体どうなるか。
エネルギーコストは高騰し、企業のエクソダスには歯止めが掛からなくなり、日本経済は沈没する。
そのときには日本は中国の影響力を避ける術が無くなる。中国は日本の中立化を狙うだろう。中国は、それをただの中立に留めるのではなく、新中国的な中立化――日本のフィンランド化――を図るだろう。つまり日本は中国の属国になる。そこでは自由、民主といった我々が大事にしている価値が著しく制限される。これは事実上の日本の死である。
安保と経済いかに守るか 第7次エネ基に書くべきこと
日本を取り巻く地政学状況は深刻だ。エネルギー自死を避けるため、第7次エネルギー基本計画においては、安全保障と経済を重点とするほかない。経済が重要なのは、それが総合的な国力の基盤であり、国の安全保障に直結するからでもある。
基本計画に書くべきは以下の項目だ。
1 原子力の最大限の活用
再稼働はもちろん、新増設、SMR(小型モジュール炉)の導入、輸出などに踏み込み、原子力についてはリスクゼロを追い求めるのを止めるべきだ。原子力を利用しないことによるエネルギー安全保障上のリスクおよび経済上の不利益の方が大きい。化石燃料は輸入依存であるし、再エネは不安定で高価だからだ。核融合の実証も進めるべきだ。
2 エネルギーコストの低減
脱炭素に伴うエネルギーコスト増は国力を毀損し安全保障を損なう。エネルギーコスト、とりわけ電力コストについては低減すべく明確に数値でコミットするべきだ。政府による光熱費補助などではなく、根本的な低コスト化を計るべきである。それには、原子力の活用に加え、再生可能エネルギーの大量導入を止めることや、化石燃料の安定調達を図ることだ。米国共和党のデサンティスはガソリン価格をガロンあたり2ドルに下げることを大統領候補選の公約の柱としている。見習うべきだ。
3 化石燃料の安定調達
日本のエネルギー供給の柱は今なお化石燃料である。現行の第6次エネルギー基本計画では供給量の見通しが少なすぎて、燃料の調達や利用の妨げになってきた。この愚を避け、石油・石炭・ガスのいずれについても世界各地に多様化された供給源からの安定した調達を実現すべく、政府はコミットすべきだ。
4 化石燃料代替技術の技術開発
再エネや電気自動車、水素・アンモニア、メタネーションなどの合成燃料については、今なおコストが高いため、そのコストを低減する技術開発に注力し、結果として世界全体で普及させることを目指すべきだ。コストの下がる見込みが無いと判明した技術開発プログラムは中断して基礎研究に戻す。これら技術の国内での導入量拡大については、2のエネルギーコストの低減に寄与する限りにおいて行うべきだ。
以上の計画を進めた場合、うまく行けば、原子力が最大限導入され、電力コストが安価になり、EVやヒートポンプなどの電気利用技術も技術開発によって安価になる。結果、需要部門の電化も進み、日本のCO2は大幅に削減される。
そのような試算をしてもよいが、それはエネルギー基本計画の一部にすべきではない。独立した複数の機関があれこれ試算すればよい。米国はそのようになっている。エネルギー基本計画の一部とすると、そのNDCとの整合性を取るような圧力が働き、計画内のあらゆる数値が「数値目標」として運用されることになり、化石燃料の調達と利用に支障をきたすなど、安全保障と経済を損なう懸念があるからだ。
NDC自体は首相の意思としての国家の数値目標を掲げ、上記1、4などの政策を列挙しておけばよい。NDCとは普通はその程度のものである。エネルギー基本計画で数値を細かく積み上げてそれをNDCにする国など、日本以外にはどこにもない。
●細田博之前衆院議長後継の錦織氏が自民から立候補表明 衆院島根1区 1/17
「逆風の中でも立候補するなら自民しかない」
「細田氏の功績は総合的に考慮されるべきだ」
元財務省中国財務局長の錦織功政氏(54)=松江市在住=が17日、松江市内で記者会見し、細田博之前衆院議長の死去に伴う衆院島根1区補選に、自民党公認で立候補することを表明した。
岸田政権の支持率低迷や派閥の政治資金パーティーの裏金事件などを巡り、自民に逆風が吹く中で細田氏の後継として立候補することについて「経験と人材が豊かな自民以外ないと考えていた。数々の政治的、社会的な困難に立ち向かってきた政党で自己研鑽に努めていきたい」と述べた。
裏金事件に関しては「今後議論が進む中で法改正が必要ならば改正すべきだ。法令に基づいて政治資金を扱うのは当たり前のこと。国民が疑念を抱かないよう良識に従い、政治資金を公明正大に扱っていくことが大切だ」と強調した。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係性やセクハラ疑惑などを残したまま死去した細田氏については「厳しくも温かいご指導をいただいた。昨今、さまざまな報道がある一方、数々の功績もある。政治家の功績は総合的に考慮されるものだ。もう少し長く生きてくだされば、自身でしっかりと説明を果たしたはずだ」と話した。
高齢者の雇用や女性活躍の推進、東京一極集中の是正などに注力すると訴え、エネルギー自給の観点から中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)を含む国の原子力政策を進める必要があるとの考えを示した。
錦織氏は松江市出身。松江北高校、早稲田大政治経済学部を卒業し、1993年に旧大蔵省(現財務省)に入省した。復興庁統括官付参事官、財務省大臣官房地方課長などを歴任。2022年6月から同省中国財務局長を務め、23年12月19日付で退職した。県連の候補者公募に名乗りを上げ、16日に県連幹部と国会議員らでつくる選挙対策委員会が候補者に選んだ。
補選はこのほか、立憲民主党元職で党県連代表の亀井亜紀子氏(58)、共産党新人で党県常任委員の村穂江利子氏(55)が立候補を予定。日本維新の会が候補者擁立を目指している。補選は衆院解散・総選挙がなければ4月16日告示、28日投開票となる。
●丸山和也弁護士 パーティー券裏金問題に「ヤクザの上納金みたいなもの」 1/17
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題で、政治家への関心が高まる昨今。東京地検特捜部の捜索などを受け、岸田政権が大きく揺れている。
『行列のできる法律相談所』などに出演し、2007年に自民党の公認を得て参議院議員になった丸山和也弁護士(77歳)は、現在の政界をどう眺めているのか。最近では、あの関西弁でズバズバと発言する“丸山節”を聞かなくなっているような……。丸山弁護士が、「日本一高いビル」麻布台ヒルズの向かいにある「丸山総合法律事務所」でロングインタビューに応じた。
私が政治家を辞めたことを、知らない人もいるかもしれませんね。2007年から2期12年参議院議員を務め、2019年の選挙での苦杯を境に、そのまま政界からは身を引きました。
もともと、3期目の2019年の参院選に出馬する気はありませんでした。ところが、7月の選挙の3カ月前になって、先輩議員から「もう1回出ないと駄目だ」としつこく説得されてしまい、そこで心に迷いが生じました。そして、街中での評判も悪くないと感じ、出馬することにしたんです。しかし、その決断は決して強いものでなく、今になって思うと間違っていました。自分の認識の甘さがありました。
そのうえに不運が重なりました。2019年5月に日本維新の会の丸山穂高議員(当時)が北方領土に絡んだとんでもない問題発言(「戦争で取られた領土は戦争で取り戻せ」的発言)をして、約2カ月間毎日のようにテレビ、新聞、その他メディアが丸山議員批判を繰り広げました。また、国会では丸山議員の辞職勧告から、最後には前代未聞の糾弾決議まで可決されたのです。
そうしたら、彼と私を混同した人が大勢いて、ウチの事務所に「選挙に出るな!」とか「議員を辞めろ」などというクレームの電話やファクス、メールがたくさん来ました。丸山穂高と丸山和也は党も年齢もまったく違っているのに、「丸山議員」バッシングとしては同じになってしまっていました。私の方がはるかに知名度が上だったので、丸山といえば私となったんです。選挙は騒動直後の7月でしたので、この超ド級の風評被害には参りました。
「政治の世界には向いていなかった」
私は政治の世界は向いていませんでしたね。2007年に自民党公認で出馬したのは、塩爺(しおじい)こと塩川正十郎さんに「一回だけでよいから、やってくれませんかね」と乗せられたからでした。しかし、政治の世界は自由が利きません。例えば、議会で採決の際、私個人の意見とは違っても、自民党議員として賛成、または反対を示さなくてはいけない。どうしても党の方針に従えないときは、退席するのが精一杯でした。
実際、消費税に関する法案で、当時、野党だった自民党が与党の民主党を追い詰めようと、これまで主張してきた考えと反対のことを言い出し、与党案に反対しようとしたことがありました。このとき私は、いくら自民党の方針とはいえ、筋が通らないと思い、採決は棄権(退席)しました。衆議院では小泉進次郎君1人が同じ行動を取ったようでしたが。
でも、後で党の幹部に呼びつけられて、「なんで退席したんだ!」「今度そんなことをしたら自民党を辞めてもらうことになる」と責められました。私は人生哲学として、“自由”と“尊厳”が一番大事だと思っていますから、いくら議員であっても党利、党略のために信念が蔑ろにされることは本当に苦しかった。それでも議員の間、せめて貫いたのは、ポスト欲しさに魂を売り渡さない、という信念でした。だから、政治の世界では不器用で、「出世」とは無縁でした(笑)。
だからほんと、政治の世界は人間としての真実を貫こうとすると、実にくだらんですよ。いい加減すぎます。今、取り沙汰されているパーティー券収入の裏金問題だって、ずーっと昔からあったらしいですね。ヤクザの上納金みたいなもんです。安倍派もピンキリだけど、キックバックについてある駆け出し議員に聞いたら、「僕なんて数万円なんですけど……」ってボヤいていましたよ(笑)。ただ、それでも、そういう政治の世界にいる議員が集団として国を動かしているのも事実です。
敵は同じ党内の利権団体候補
一言いうと、僕のような参議院全国比例の候補者は、90%が組織団体の代表者として立候補しているんです。たとえば郵便局(郵政)、医師会、農協、自衛隊、看護協会、土木団体、歯科医師会などがバックにいて、候補者の面倒を全部見て、金集めも票集めもするんです。彼らには何十万、何百万という構成員が背後にいるうえ、全国で金集めしています。だから上位の票を集めるのは郵政と農協が支援する候補、と相場が決まっています。
ところが、私の場合はまったく何の組織もバックにない、ただの弁護士で、「俺は丸山だ」と単身で呼ぶだけで全国を相手に闘うんですよ。そして、同じ自民党内の全国比例代表候補者同士で票の取り合いするんです。そのうえで、得た票数の多い順に当選する仕組みなんです。だから、敵は同じ党内の同じ比例代表候補者、それも先程言った組織、団体の候補者なんです。
自分は刀一本で、向こうは戦車に機関銃みたいなもんなんですよ。同じルールの選挙とは言えないのが実情です。まあ、こんな刀一本で、組織にも金にも一切頼らず、2回もよく当選したのはあっぱれなんですよ(笑)。ほかに誰かやれましたか? ・・・

 

●「小池百合子首相」待望論、実現する可能性あるか 1/18
岸田文雄首相が、自民派閥パーティーをめぐる巨額裏金事件などでの政権危機に苦闘していることを受け、年明けの永田町では「ポスト岸田」候補の品定めがかまびすしい。その中で、一部でささやかれている小池百合子東京都知事の「首相待望論」も格好の話題となっている。
2016年7月の都知事当選後も、ことあるごとに初の女性首相候補に名前が挙がり、自らも意欲をちらつかせてきたのが小池氏。年末年始の記者会見でも、半年後に迫る都知事選出馬について「思わせぶり」(周辺)に明言を避けているからだ。
衆院解散の時期とも絡んで中央政界が注目する都知事選については、東京都選管が昨年11月末に「6月20日告示―7月7日投開票」との日程を決定した。ほぼ想定通りの日程だが、東京地検特捜部の裏金事件捜査との絡みで通常国会召集日が1月26日に決まったことで、中央政界では「衆院選との同日選は日程上困難」(自民選対)との見方が広がる。
会期末解散は「日程的にありえない」?
というのも、首相の解散断行は「会期末の野党による内閣不信任決議案提出」が“政治的条件”となるが、想定される提出時期は6月21日前後。その場合の衆院選投票日は、「公職選挙法上7月14日以降」(総務省)となり、選挙期間中に都知事選投開票という「政治的にありえない日程」(同)になってしまうためだ。
しかも、裏金事件に加えて能登半島地震への岸田首相の対応にも「後手批判」が付きまとい、年明けに底打ち傾向となった内閣支持率もなお低迷状態が続き、与党内では「通常国会での解散など不可能」(閣僚経験者)との声が支配的だ。
もちろん首相サイドは「解散は首相の専権事項。いつでも断行できる」(官邸筋)と強調するが、自民首脳の間でも「羽交い絞めしてでも止める」との声が少なくない。このため党内では「首相は9月末の総裁選前に解散できないまま退陣し、後継者が『選挙の顔』となる」(長老)との見方が広がる。
小池氏は「ポスト岸田」の“超大穴”
これを受け、「ポスト岸田」については「総裁選実施なら『本命・茂木敏充幹事長―対抗・高市早苗経済安保相―穴・石破茂元幹事長』、話し合い一本化なら上川陽子外相」との見立てがもっぱらだ。
ただ、“超大穴”として小池氏の名前も挙がっている。同氏は1992年参議院選での中央政界デビュー以来、常に日の当たる政治家人生を歩み、防衛相、自民党3役(総務会長)、総裁選出馬、そして都知事もすべて「女性初」。だからこそ「最終目標は初の女性首相」とみる向きが多く、2021年5月に死んだ愛犬「そう」ちゃんは小池氏自身が「総理を意識して付けた名前」といわれる。
そうした中、小池氏の支持母体である地域政党「都民ファーストの会」は、昨年12月の江東区長選を筆頭に、その前後の都内の各種地方選で連戦連勝だ。これも踏まえ、都民ファ内部から「小池さんは次期衆院選での国政復帰を狙っている」との声が漏れてくる。
小池氏は都知事就任翌年の2017年9月の衆院選に際し、都知事のまま「希望の党」を立ち上げて政権交代に挑んだが、いわゆる「排除発言」で挫折した。ただ、都民ファ幹部は「あのとき都知事を辞めて出馬していれば、結果は違ったはず」と述懐し、今夏の都知事選の出馬を見送り、次期衆院選での中央政界復帰の可能性にも言及する。
その小池氏は、年末年始の記者会見などでも、都知事選出馬について言及を避けている。都知事選日程決定後の記者会見で記者団から「小池都政の現状と、次期知事選出馬の可能性」を問われた際も「現状も何も、今やるべきことをしっかり取り組む、これが、私の責任だと思っている」と表情も変えずに素っ気なくかわした。
このため、その後の年末年始の定例会見でも記者団の間では「知事選出馬を問う質問はタブー視されている」(大手新聞の担当記者)のが実情で、「そのこと自体が、小池氏国政復帰との噂を広げる要因」(政治アナリスト)となっている。
小池氏の本心はどこにあるのか
ただ、小池氏を知る政界関係者は「そういう噂を流すのが小池氏の常套手段。年齢(71歳)からも本音は都知事3選しかない」(元都庁幹部)と明言する。確かに都知事選をめぐっては、小池氏サイドと自民党との連携が進む一方、野党にも有力候補擁立の動きがなく、小池氏の前回知事選(366万票、得票率約6割)以上の記録的圧勝確実との見方が多いからだ。
こうした状況から、多くの政界ウォッチャーも「小池氏の本心は、7月の都知事選圧勝でさらに立場を強化し、次期衆院選での自公敗北で政権交代・政界再編の機運が高まれば、都民ファを率いてそれに乗る戦略」と読み解く。
ただ、その大前提となる「ポスト岸田」の行方は、「春以降の政局展開次第で大きく変わる」(自民長老)との声も多い。ここにきて各種世論調査で支持率がわずかながら上昇し始め、来年度予算案も能登半島地震対応のための予備費増額などの修正が加えられたことで、野党も年度内成立に協力せざるをえない状況となりつつあるからだ。
このため、岸田首相サイドには「一時浮上した予算成立花道論はほぼ消えた。このままやるべきことをやり続けて支持率がさらに回復すれば、総裁選前の衆院解散も可能になるし、解散しなくても総裁再選はありえる」(岸田派幹部)との強気の声も出始めている。
「衆参同日選」視野に、まず都知事選圧勝狙い
その一方で、自民幹部の間では「岸田首相は『政治改革』に一定のメドをつけ、解散しないまま総裁選前に退陣表明したほうが影響力を残せる」(無派閥有力議員)と指摘する向きも多い。
その場合、誰が選挙の顔となるかを予測するのはまだ難しく、「結局、誰がなっても2025年7月の衆参同日選になだれ込むのでは」との見方も広がる。だからこそ小池氏は「衆院選出馬か都知事選圧勝の2つの選択肢を天秤にかけ、都知事選ぎりぎりまで政局展開を見極める構え」(側近)とみられているのだ。
そうした中、小池氏にとってのベストシナリオは「まず都知事選に圧勝し、そのうえで都民ファを率いて次期衆院選での政界再編・政権交代のリーダー役となり、状況次第で首相の座もうかがう」(同)とされる。しかし、中央政界の現状と今後の展開を想定する限り、「小池氏の思惑通りの状況となるかは極めて不透明」(自民長老)というのが実態だ。
●政治資金もデジタル化を ダボス会議で河野氏 1/18
河野太郎デジタル相は17日、スイス東部ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のイベントで自民党の政治資金パーティー収入の裏金化事件に言及し、透明性を高めるために政治資金をデジタル化すべきだと訴えた。
「透明性を通じた信頼構築」と題したパネル討論に登壇した河野氏は「大きな政治スキャンダルが起きている日本の政治家が、こういうテーマの討論に参加しているのを冗談だと思う人もいる」と述べ、会場の笑いを誘った。
●学習能力ゼロ。原発という「過去最大の災害関連死要因」を動かす無能政府 1/18
能登半島地震でも多数が犠牲に。災害関連死という人災
最大震度7を観測した今回の「能登半島地震」に関する日々の報道の中で、何よりも胸が痛むのは、報道のたびに増えて行く死者数です。そんな中、5日前の1月13日には次のような報道がありました。
石川県は13日、午前9時現在の死者数が215人のまま前日から変わらず、うち災害関連死は1人減って13人になったと発表した。
死者が1人でも減ったのなら…と、あたしは一瞬、喜びそうになったのですが、記事を読み進めると、次のように書かれていました。
県によると、災害関連死が減ったのは輪島市。地震による建物倒壊などで亡くなる直接死と確認されたためという。
亡くなったと思った人が生きていたのではなく、災害関連死だと思われていた人が直接死だった、ということでした。この災害関連死ですが、国の基本的な定義としては「災害による直接の被害ではなく、避難途中や避難後に死亡した者の死因について、災害との因果関係が認められるもの」ということになっています。つまり、地震や津波などの災害で直接亡くなった「直接死」とは違い、災害では一命をとりとめたものの、その後の避難生活によるストレスや持病の悪化、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)などで亡くなった人のことを指します。
この災害関連死という概念は、1995年の「阪神・淡路大震災」を機に生まれました。「阪神・淡路大震災」の死者数は6,434人ですが、このうち約14%に当たる921人が災害関連死として国に認定されています。災害関連死として国に認定されると、亡くなった人が生計を維持する人なら500万円、その他の人は250万円の災害弔慰金が遺族に支給されます。
しかし、災害関連死の認定は各市町村に委ねられており、統一的な基準がないため、地域によって認定にバラつきがあります。たとえば、同じ震災で同じような亡くなり方をしたのに、A町の避難所にいた人は認定され、B町の避難所にいた人は認定されなかった、というケースもあるのです。そのため、全国では認定されなかった人の遺族が、国に認定を求めて裁判を起こしている事例が少なくありません。
この災害関連死が注目されたのは、2004年10月に発生した「新潟県中越地震」でした。地震による直接死が16人だったのに対して、その後に亡くなった災害関連死が、直接死の3倍を超える52人に及んだからです。この52人の主な死因は、避難生活のストレスによる心筋梗塞や脳梗塞、長期の車中泊によるエコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)、また、エンジンを掛けたままの車中泊による一酸化炭素中毒で亡くなった人もいました。
さらには、避難所から仮設住宅に移ることができても、失職や孤立化というストレスによって持病を悪化させたり、心筋梗塞や脳梗塞を発症させて死亡するケースが相次ぎました。
こうした状況に対して、長岡市は「これでは埒(らち)が明かない」として「震災から半年以上が過ぎた場合は災害関連死ではないと推定する」という、いわゆる「長岡基準」を定めました。そのため、半年を過ぎて亡くなった人たちの遺族が、国に対して「災害関連死を認めてほしい」という裁判を次々と起こしたのです。
接死の4倍もの命が災害関連死で奪われた熊本地震
この「長岡基準」は、2011年3月の「東日本大震災」でも、多くの市町村が参考にしました。しかし「東日本大震災」は被害の規模も避難の実態も「新潟県中越地震」とは大きく異なっていたため、震災から半年を過ぎたケースでも、各自治体は個々の状況を踏まえて認定審査をしていると言います。
ここで、「東日本大震災」で最も被害の大きかった東北3県の直接死と災害関連死の人数を見てみましょう。これは復興庁の調査による最新のデータ、2023年3月のものですが、左が直接死、右が災害関連死の人数です。
岩手県 4,675人 470人
宮城県 9,544人 931人
福島県 1,614人 2,337人
これを見れば一目瞭然ですが、岩手県と宮城県の災害関連死が直接死の1割程度なのに対して、福島県だけは直接死より災害関連死のほうが遥かに多いのです。その原因は、今さら説明する必要もありませんが、福島第1原発事故なのです。こうした災害関連死は、避難生活が長期化すれば増加すると言われていますが、それでは、同じく復興庁の2023年3月のデータから、現在の避難者数を見てみましょう。
岩手県 895人
宮城県 1,924人
福島県 27,394人
こちらも一目瞭然ですね。原発事故という人災によって故郷を追われ、震災から13年経った今も自分の家に帰れない人たちが、福島県には2万7,000人以上もいるのです。ひとくちに13年と言っても、震災当時に小学1年生だった子どもたちは、今年で20歳になるのです。そして、この突出した福島県の避難者数は、そのまま災害関連死の人数に反映されているのです。
さらには、これは書くことを躊躇(ためら)うほど悲しい事実ですが、この2,337人という福島県の災害関連死のうち、少なくとも150人以上は「自死」なのです。原発事故によって故郷を奪われ、仕事を奪われ、生活を奪われ、生きる希望を失った多くの人たちが、自らの命を絶ったのです。
福島県のある酪農家は、牛小屋の壁にペンキで東京電力と政府への恨みを書き殴り、牛小屋の中で首を吊りました。死後2週間も経ってから仮設住宅で遺体が発見された高齢女性は、1人用のコタツの上に当時の安倍政権への恨みが書かれた遺書が残されていました。
災害関連死を考える上では、原発事故が原因の福島県は特例なので、自然災害のみのケースに戻しますが、特に極端な例が、2016年4月に発生した「熊本地震」です。「熊本地震」では、地震による直接死は50人ですが、その後、直接死の4倍を超える218人が災害関連死で亡くなっているのです。この地震では、18万人を超える住民が避難し、県内に約900カ所の避難所が開設されましたが、必要数の仮設住宅が整備されるまで、最長で7カ月以上の避難生活が続きました。
複数の病院や高齢者施設も被災したため、多くの高齢者を避難・転院させなければならず、その移動中に死亡した高齢者が少なくとも27人。また、プライバシーのない避難所を嫌い、避難所の周囲に停めたマイカーで車中泊していた被災者のうち、エコノミークラス症候群で亡くなった人が少なくとも33人と報告されています。しかし、これは一部調査の結果なので、実際には、さらに多くの人たちが同様の原因で亡くなっていると思われます。
震災以外でも、2015年9月の「関東・東北豪雨」では、死者21人のうち約60%に当たる13人が災害関連死と認定されました。また、2019年5月に発生した「令和元年房総半島台風」では、何と死者13人のうち、ほぼ全員と言っても過言ではない12人が災害関連死と認定されています。これらはすべて、当事の安倍政権の対応の遅れが原因と指摘されています。
昆虫並みの学習能力も持ち合わせていない政府の愚行
今回の「能登半島地震」の震災関連死は、現時点で13人と報告されています。しかし、3万人近い人たちが避難している上、被害状況から見ても避難生活の長期化は避けられません。今後、災害関連死をどれだけ最小限に抑えられるかは、すべて政府の対応に委ねられているのです。
これは政府もマスコミも分かっているようで、今ラジオを聴いていると、NHKも民放も震災関連のニュースを報じるたびに「車中泊をしている人はエコノミークラス症候群にならないように、定期的に車から降りて脚の屈伸運動などをしてください」という注意を補足しています。あたしの知る限り、こうした放送は初めてですが、たぶん「熊本地震」から学習したのでしょう。
しかし、そうであれば、どうして政府は「活断層だらけの日本で原発を推進することは極めて危険であり、最大の地震対策は全国の原発をできるだけ早期に廃炉にすること」だと学習しないのでしょうか?原発事故も災害関連死と同じ「人災」なのに、そして、その原発事故が災害関連死を増加させている最大の原因なのに、どうして政府は福島第1原発の収束も待たずに、半世紀以上も前に設計された福島第1原発と同じ旧型の欠陥原発、新潟県の柏崎刈羽原発を再稼働させようとしているのでしょうか?
それも、世界最大の柏崎刈羽原発は、複数の活断層に囲まれた場所に立地しているのに…。これは完全に、昆虫並みの学習能力も持ち合わせていない人たちによる最悪の愚行だと思います。
●労働組合は所得格差を縮める政策で強化をめざす国々 賃金上がらない日本 1/18
労働組合は時代遅れーーそんな認識が世界で変わりつつある。労働組合自身の奮闘に加えて、各国で政策的な見直しがすすめられているからだ。1980年代に新自由主義的政策による民営化の旗がふられ、行き過ぎた資本主義で生まれた格差に直面し、回帰ともいえるような動きが出始めている。
アメリカの経済学者が労組を再評価「経済成長育む」
労使関係に詳しい法政大の山田久教授は「ローレンス・サマーズのような主流派の経済学者が労組を再評価するとは」と驚く。
サマーズはハーバード大教授で、米クリントン政権で財務長官を務めた。自由貿易を重んじ金融業界の規制緩和を進め、2008年のリーマン・ショックにつながったとの批判もある。
そのサマーズが2020年の共同論文で「各先進国が(より安い労働力を見いだす)グローバリゼーションや技術革新による影響を受けたが、米国のように労組の組織率がより低下した国の方が、(もうけを人件費に回す)労働分配率が下がり、所得の不平等が広がっている」と指摘。背景には「労組の力をそぐ政策や株主の利益に偏重する経営」があるとした。
市場経済を重視し、労組に厳しいとされてきた米国の政策の現場でも変化が起きている。米財務省は昨夏、「労働組合と中間層」と題した報告書を初めて出し、労組回帰を印象付けたといわれた。
その著者の1人、ローラ・ファイブソン・ミクロ経済担当次官補代理は、米経済政策研究所による昨秋の講演会で「労組を強化し、組織率を高めることは、幅広い経済成長とレジリエンスを育む」と強調した。
報告書は、労組の組織率が低下する中で、大企業のCEOと一般従業員の報酬比がこの56年で20倍になり、不平等が広がっていると指摘。労組があれば組合員の賃金が10〜15%引き上げられ、人種や性別による格差を抑える可能性があると指摘した。
バイデン政権では、労働者が団結しやすくするための団結権保護法や、地方公務員に団体交渉権を広げる公共部門交渉自由化法の立法の検討などを進めている。
ドイツでも強化の動き「適切な解決見いだせる存在」
ドイツでも2014年に労働協約が組合員以外に広く適用されるよう条件を緩和。組合費の税制優遇など労組を強化する政策提案がでている。
ドイツが労組を重視するのは、独立行政法人労働政策研究・研修機構の山本陽大主任研究員によれば「団体交渉や労働協約により労働条件などを決めてきた伝統のあるドイツでは、DXなどで雇用の在り方が大きく変化するなかでも、労働組合こそが使用者団体との交渉・妥協を通じて適切・妥当な解決を見出すことのできる存在として捉えられている」という。
各国がこうした政策に取り組む背景には、働き手の手元に賃金が十分にあれば、個人消費が活性化し、経済発展につながるという考え方がある。それに加え、欧米では政権交代がしばしばおこり、政権をとった中道左派が労組の強い支持を受けている面がある。
山田教授は「賃上げは企業に任せていても十分に進まない。労組支援のような働き手の内発的な動きを強めることが重要だ」と説明する。
日本の「新しい資本主義」には労組が不在
日本でも法律上は労組に強い権限が与えられている。産業別組合がうまく機能すれば、業界の横の連携をいかしながら同業他社の交渉を圧力にしながら、交渉する環境を整えやすい仕組みになっている。
岸田政権は賃上げを重視し、分厚い中間層の形成をめざす「新しい資本主義」を打ち出した。ただその中に労組は担い手としては登場していない。
昨秋に新設した賃金・雇用担当首相補佐官に、労組の組織内議員だった矢田稚子氏を迎えたが、「政局的な分断の動き」と警戒する連合幹部も多かった。
どんな政策の支援がありうるか。連合総研と連合でつくる「労働組合の未来」研究会は、労働組合法の解釈の見直しを提起する。
同法7条に基づき、組合活動は組合費で就業時間外にやることとされ、行政機関もこれ以外は不当労働行為だと解釈してきた。賃金が発生しない形で、組合員による組合費だけでおこなわれることが組合の独立性を高めるとの考えからだ。
だが組織率の低下で、組合費が減る中で、韓国では法改正し、労組の専従者が組合費で手当てしなくても生活できるよう就業時間に組合活動することを認めるようになった。
連合総研の中村天江主幹研究員は、組合員への調査結果からも、日本でも共働き家庭が増える中で「男女ともに組合活動をおこなうための時間的な負担感は高くなっている」とみる。非正規で働く場合も、仕事以外に組合活動の時間を割いたり、組合費を払ったりするのが難しく、参加しづらい環境にある人もいるという。
このため、中村さんは「労組を必要とする幅広い働き手が参加しやすくするためにも、従来の労組のあり方からの変化が求められる。労組の財政に対する援助や、集団的な労使関係を有効に機能させるための法律の解釈・運用の見直しや法改正の検討が必要だ」と話す。
日本でも欧米各国と同じように、1980年代以降に民営化がすすみ、その後には不安定な雇用が増え、格差が広がってきた。さらに日本ではこの30年、賃金も上がらなかった。
日本も、社会の均衡を保つために労組の社会的機能を再評価して強化するよう政策のかじを切る米国やドイツのように、労組が活動を広げやすくするためには何が必要かを考え、議論を深める時に来ている。
●首相、コメント避ける 岸田派の収支不記載報道 1/18
岸田文雄首相は18日、東京地検特捜部が政治資金パーティーに関する収支を収支報告書に記載していなかったとして自民党岸田派の元会計責任者を立件する方針を固めたとの一部報道について、「捜査はまだ行われている。今の段階で何か申し上げるのは控えなければならない」と言及を避けた。
岸田派が同日、収支報告を修正するとの報告を受けたことも明らかにし、「事務処理上の疎漏だ。それ以上のことは承知していない」と述べた。首相官邸で記者団の取材に答えた。 
●岸田首相大ピンチ 岸田派・二階派も「不記載」疑惑 1/18
自民党の政治資金を巡る事件で、岸田首相が窮地に追い込まれている。東京地検特捜部は、岸田派でも収支報告書の不記載があったとして、19日にも元会計責任者を立件する方向で検討していることが分かった。
「政治とカネ」を巡る問題が、自ら会長を務めていた派閥にも及ぶことになった岸田首相。収支報告書への不記載の背景として「ミスの積み重ね」だとしているが、このような説明で国民は納得できるのか?
関西テレビ 神崎報道デスク:今回、岸田首相がトップを務めていた派閥から、会計責任者が立件されるということで、永田町では『流れが変わってきた』という話が出てきています。これは岸田首相本人の責任問題になるということで、次の通常国会は乗り越えられない、もう岸田政権はもたないんじゃないかという話も出てきています。
自民党の政治資金問題 今後の捜査は?
今後の捜査の方向性について
・18日に明らかになった岸田派の不記載について、東京地検特捜部は元会計責任者を立件する方針
・安倍派は、すでに池田衆議院議員が逮捕されたが、特捜部は派閥幹部については不起訴とし、一方で会計責任者と一部議員を立件する方針
・二階派は、派閥のトップである二階会長の事務所が3000万円を中抜きするなど裏金化していたことが分かっている。特捜部は二階派の会計責任者と二階元幹事長の秘書を立件する方針
一連の問題において、派閥の幹部クラスの議員の立件は見送られる方針となっている。会計責任者との共謀を問うことは、かなりハードルが高いのだろうか?
菊地幸夫弁護士:今の政治資金規正法は、国会議員の資金管理団体の会計責任者が収支報告書に記載する義務がある。議員にはその義務はない前提です。ですから会計責任者が立件されるんです。議員の立件というのは、議員と会計責任者の示し合い、話し合い、合意があったことが必要になります。裁判で有罪とするためには、議員と会計責任者の連絡についてある程度証拠を出せないとなりません。そこが否認されていて、立証にたどりつかなかったんでしょう。
「連座制」導入すべきという議員も
法律を見直すべきだという声が議員の間からも上がっている。立憲民主党の岡田克也幹事長は収支報告書に虚偽記載などがあった場合、会計責任者だけではなく、議員も処罰対象にすべきだとしている。
政治家にも立候補の制限などが科される「連座制」を導入すべきだとする国会議員の声もあるということだが、自民党幹部は連座制について「議論を経て方向性を見出していくことになる」としている。
「ザル法」と言われてきた政治資金規正法は見直されるのか
政治資金規正法には適用されていない連座制だが、連座制を導入することによって、事件の再発を防ぐことはできるのだろうか?
菊地幸夫弁護士:少しは効果があると思います。今だと議員は『会計責任者がやったことで、私は知りません。全然連絡を受けてません』となる。それで今回、首脳陣の立件には届かなかったわけです。連座制が適用されると、議員にも責任が及んで、公民権停止で立候補できないというペナルティーがありますから、少しは会計がクリアになると思います。ただ連座制どうこうではなくて、自分の資金管理団体のお金をちゃんと報告する義務があるのは当然で、会計責任者ではなく議員自身が記載義務者になればいいだけのことだと思います。
抜け穴が多く「ザル法」だと言われてきた政治資金規正法だが、厳しい見直しが行われるのか、しっかり見ていきたい。
●自民党支持率、時事通信調査で過去最低14%台 岸田首相の内閣支持率上昇 1/18
時事通信が18日、大手メディアで唯一の個別面接方式で12〜15日に実施した世論調査の結果を発表。自民党支持率が前月比3.7ポイント減の14.6%となり、1960年の調査開始以降で、野党だった期間をのぞくと最低になったと報じた(政権担当時の最低は2009年7月の麻生政権下の15.1%)。内閣支持率は1.5ポイント増の18.6%だった。
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件が影響しているとみられ、ネット上では「自民党支持率より内閣支持率が高いこともあるんだ?」「自民党支持率14%台とは驚愕!」「麻生内閣時を下回る」「国民の怒りが止まらないのは当たり前」などの声のほか、「自民党支持率が落ちて選挙で落選するのは当選回数の少ない未来を担うまだまだ正直な中堅や若手議員。今こそ自民党の中堅、若手が旗を振り下剋上を起こすべきだと思うんだけど…無理なのかなぁ」との提言も寄せられた。
●岸田文雄首相「岸田派解散を検討」報道、有権者らさまざまな声 1/18
自民党派閥のパーティー券収入をめぐる事件で、岸田派(宏池会)の元会計責任者が立件される方向で検討が進んでいると報じられた18日午後7時すぎになり、岸田文雄首相が昨年12月まで会長を務めていた岸田派の政治団体である「宏池政策研究会」を解散すると、NHKをはじめ複数のメディアが報じた。
ネット上では「岸田派解散検討の速報のせいで、(ニュース7で)大相撲飛ばし…」などの声があがった。
このほかにも、「岸田首相の大英断、内閣支持率上昇間違いなし」「どうせ検討止まりやろ」「証拠隠滅?」「派閥を解消したからといって、過去の不正が許されるわけではない」「解散は良いけど、ポケットに無い無いした金は、ちゃんと納税してや」「解散したからといって何がどうなるの?」「宏池会の解散って実現したら結構な歴史的イベントじゃないですか」「ついでに衆院も解散して信を問え」「ついでに自民党の解散しませんか?」など、さまざまな声が渦巻いた。
●岸田文雄首相「岸田派解散を検討」報道、国民は意見まっぷたつ 1/18
岸田文雄首相が18日、自身が会長を務めていた岸田派(宏池会)について「解散することを検討している」と表明したと報道各社が一斉に報道。これを受けてネット上では、名門派閥の解散決意を「英断」と受け止める一方、「いつもの検討では」と懐疑的に捉える声も目立った。
岸田首相は自民党派閥の裏金パーティーを巡る事件に関連し、岸田派解散への考えを問う記者団に首相官邸で返答。「政治の信頼回復に資するものであるならば、そうしたことも考えなければならないと思っている」と語った。
吉田茂の直系の弟子・池田勇人が旗揚げした宏池会は、岸田首相を含め、大平正芳、宮沢喜一ら首相5人を輩出した保守本流の名門派閥。昨年12月まで岸田首相が会長を務めていた。
報道を受け、X(旧ツイッター)などには、「すばらしい行動力」「これはすごいことかもしれない。全部派閥は廃止になる。岸田の英断だ」「ド派手なことやるな」と称賛する意見の一方、「あくまで検討」「お得意のめくらましか?」「話をすりかえるな」「一瞬内閣解散に見えた…残念」「自民党解散が妥当ではないのか」「昔も派閥解散させて名前変えて復活したよな?」などと怒りや批判、懐疑的な声も目立った。
国民民主党の玉木雄一郎代表はXで、「伝統ある自らの派閥を解散することは思い切った決断」と言及。「岸田派の議員が別の派閥に移ったり、より大きな派閥の形成(例えば大宏池会)につながるだけに終わる可能性もある」と、他派閥の解散が今後の鍵を握るとの考えを示した。
岸田派を巡っては18日、収支報告書にパーティー収入を記載しなかった疑いで、派閥の元会計責任者が立件される見込みと一部で報道。岸田首相は「事務的なミスの積み重ねと報告を受けた」と述べ、批判の声が挙がった。
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は、事務所名義のXで「岸田派も同じことをしていたのがバレちゃったから、ひとまず無くしちゃえと。それでこれまでの全てを闇に葬るつもり」と解散検討の背景を批判的に解釈。「引き続き説明する気はさらさらない。選挙向けの印象操作。必要なのは全容解明。岸田総理は逃げてはいけない」とつづった。
●自民派閥「解消を」56.3% 刷新本部、7割期待せず 時事世論調査 1/18
時事通信が12〜15日に実施した1月の世論調査で、自民党が派閥を解消すべきだと思うかを尋ねたところ「思う」が56.3%で半数を超えた。
「思わない」は15.4%にとどまり、「どちらとも言えない・分からない」は28.3%だった。
支持政党別で見ると、自民支持層でも「思う」が50.6%と過半数で、「思わない」は27.6%。「思う」と答えたのは、立憲民主党支持層で71.4%、日本維新の会支持層で82.2%、公明党支持層で64.9%だった。
自民派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件を受け、岸田文雄首相が設置した政治刷新本部に期待するかを尋ねた設問では「期待しない」が68.3%を占めた。「期待する」は12.6%、「どちらとも言えない・分からない」は19.1%だった。
自民支持層でも「期待しない」と答えた人が58.6%に上った。他党の支持層でも「期待しない」が「期待する」を上回っており、刷新本部を国民が冷ややかに見ていることがうかがえた。
●政治刷新本部は自民党支持層からも不評だった!政治資金問題 1/18
2024年1月17日に公開されたテーマは……最新!自民党裏金疑惑 政治刷新本部どう思う?
ゲストにJX通信社代表の米重克洋氏をお招きし、自民党政治刷新本部に関する意識調査の結果について語っていただきました。
政治刷新本部新設で政治資金問題は解決するのか?
【このトピックのポイント】
・自民党新設の政治刷新本部に疑惑のある安倍派議員の役員入りで不信感
・自民党支持層でも政治刷新本部への期待感は薄い
・納得感のある解決策を打ち出せなければ後々の選挙に影響する可能性も
自民党 政治刷新本部を新設も役員に疑惑の安倍派議員が複数
自民党は党内派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件を受けて、「政治刷新本部」を新設しました。しかし、役員に選ばれた複数の安倍派議員にパーティー券収入の一部を裏金にしていた疑いがあることが判明し、注目を集めています。
この人選について米重氏は、岸田総理がこれまで行ってきた派閥に配慮した人事の延長にあるものとし、実効性を持たせるために各勢力をバランスよく配置する必要性を感じてのものではないかとコメント。
一方で、政治資金問題の解決策としては「どこまで実効性があるのか、という疑問符が付くような人選になってしまっていることは否めない」と指摘しました。
また、政治刷新本部のメンバーについては最高顧問に麻生太郎氏、本部長代行に茂木敏充氏、本部長代理に森山裕氏といった派閥の領袖が名を連ね、「ブラックジョーク」といった声も上がっています。
米重氏は派閥の集合体である自民党において、決めごとに実効性を持たせるために派閥の実力者が議論のメンバーにいることは理解できるとしつつ、国民目線では派閥の問題の解決策を派閥の人間が議論することは不自然に見えると語りました。
派閥解消を訴える菅義偉氏を麻生氏と同じ最高顧問に据えることで自民党なりにバランスをとっていると見ることもできますが「結構微妙なところ」と米重氏。「自民党支持層もあまりピンと来ていない人選なんじゃないかという気はします」とコメントしました。
自民党の政治刷新本部 どう思う?
今回設置された自民党の「政治刷新本部」について、意識調査を行いました。
「政治資金問題の再発防止や信頼回復に有効な取り組みが行われると思いますか?」という問いに対し半数以上が「行われるとは思わない」と回答。「行われると思う」は1割以下に留まりました。
米重氏によると、この回答は自民党支持層に絞ってもほぼ同様の結果になるとのこと。政治刷新本部が機能すると考えているのは自民党支持層でも少数に限られるようです。
MC千葉佳織「自民党支持層も変わらないっていうのは、なかなか捉え方が厳しいですね」
政治刷新本部が有効な解決策を打ち出すことができず、さらに逮捕者が増えたり通常国会で激しい追及を受けたりすれば、政治資金問題がより注目され「自民党の支持率に下押し圧力が働く可能性がある」と米重氏。
「政治を託すのに信頼できる政治勢力だと支持層からも思われていない状態を放置すると、それは後々ダメージとして聞いてくる可能性が高い」とコメントし、今回の調査結果が「岸田内閣の命運に大きくかかわるもの」との見方を示しました。
MC千葉「もし派閥がなくなったら支持率に関係すると思いますか?」
米重氏「すぐ支持率がポッと上がるみたいな話ではないと思います」
米重氏は小泉政権時の郵政解散を挙げ、自民党内の対決構図ができればストーリーはイメージできるとしつつ、「岸田内閣はそういうことをしないだろう」とコメント。
しかし、派閥がなくなり政策集団になるだけでは、国民も問題解決を実感することはできないのではないかと続けました。
最後に、米重氏は政治刷新本部での議論や取り組みの行方について「本気で変わらないと、戦わないとまずいと、自民党内の方々が思うような状況になるかどうかというところだと思いますね」と締めくくりました。
●野上参議院議員「しかるべき時に説明責任果たす」と繰り返す 1/18
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、派閥のキックバックを収支報告書に記載していなかった疑いが持たれている富山県選出で安倍派の参議院議員で国会対策委員長の野上浩太郎氏は18日、国会内で取材に対し「しかるべき時期に説明責任を果たす」とこれまでの説明を繰り返しました。以下は記者とのやりとり(抜粋)です。
記者:国対委員長としては、安倍派の議員の方が委員長をつとめる委員会について、今後の審議の在り方として適当だと考えていますか。
野上浩太郎 参議院議員:それはまずは、やはりそれぞれが説明責任を果たしていくということが重要だというふうに思います。
記者:安倍派の政治金問題をめぐっては所属の議員が強制捜査を受けていて、あす(19日)議員総会が開かれます。こうした現状についてどのように受けとめていますか。
野上浩太郎 参議院議員:議員総会が19日に開かれるという案内は正式にきていない状況です。
記者:一連の現状についての受け止めは。
野上浩太郎 参議院議員:やはり、この件に関連して大きな政治不信を招いておりますことを心からお詫びを申し上げたいと思っております。それぞれが今捜査中の案件ですが、しかるべきときにしかるべき説明責任を果たしていかねばならないというふうに思います。
記者:国対委員長として個別に記者会見などを開いて説明に臨む考えはありますか。
野上浩太郎 参議院議員:これもですね、いま捜査中の案件でございますので、私自身もしかるべき時期に説明責任を果たしたいというふうに思っております。
●能登半島地震の広範囲隆起 映像分析した専門家「驚きの結果」 1/18
能登半島地震では、石川県輪島市や珠洲市の広い範囲で地盤が隆起していることが分かっています。NHKのヘリコプターで撮影した映像からも、半島の北側では海底が露出した地形が見渡すかぎり続いている様子が確認され、専門家は「今回の地震の規模の大きさを示す驚きの結果だ」と指摘しています。
専門家による「令和6年能登半島地震変動地形調査グループ」の調査によりますと、今回の地震で能登半島の北側では、東西およそ90キロの範囲で陸域がおよそ4.4平方キロメートル海側に拡大したことが分かっています。
地震活動に伴う地形の変化などを研究している産業技術総合研究所 地質調査総合センターの宍倉正展グループ長は、17日にNHKのヘリコプターが輪島市北側の海岸線を撮影した映像を分析しました。
それによりますと、輪島市渋田町や町野町付近では、ふだんは海中や海面上わずかに顔を出す大きな岩、岩礁がむき出しになっていたり、砂浜が拡大しているのが確認できました。
宍倉さんは「岩礁は通常、海面すれすれのところで作られる地形だが、今は完全に露出している。また、砂浜にある崖のような地形は、波に浸食されて作られるので、地震前は波がここまで打ちつけていた証拠といえ、今回の隆起で干上がった部分だ」と指摘しました。
また、映像からは、東の珠洲市の方向へ5キロ以上にわたって同じような地形が続いていたことも確認され、能登半島の北側では、さらに隆起した地形が広がっているとみられるということです。
このほか、映像では確認できなかったものの、能登半島の内陸でも局所的に地盤の隆起や変動が起きている可能性があるということです。
宍倉さんは「広範囲の隆起は地震の規模の大きさを示している。能登半島で過去に隆起があったことは地形の調査で認識はしていたものの、この現代に起こるのかと非常に驚きを感じた」と述べました。
過去の地震によって地盤が隆起した場所は、能登半島以外にもあるとしたうえで「南海トラフ沿いでも、静岡県の御前崎や和歌山県の潮岬、高知県の足摺岬や室戸岬の周辺は、地震で大きく隆起するおそれがある。地震で地盤の変動が起こることも認識しておく必要がある」と指摘しました。

 

●被害状況 19日 石川県で232人死亡 22人が安否不明 1/19
石川県によりますと県内であわせて232人の死亡が確認されているということです。
また、重軽傷者は県内全体で1061人にのぼっています。
石川県 232人の死亡確認(19日午後2時)
石川県によりますと県内で死亡が確認された人の数は19日午後2時の時点で、232人となっています。
市と町ごとにみますと珠洲市で99人、輪島市で98人、穴水町で20人、能登町で7人、七尾市で5人、志賀町で2人、羽咋市で1人となっています。
このうち、「災害関連死」の疑いは、珠洲市で6人、能登町で5人、輪島市で3人のあわせて14人となっています。
内閣府によると、「災害関連死」は、地震の揺れや津波などによる直接的な被害で亡くなるのではなく、その後の避難生活などで病気などが悪化したり体調を崩したりして、命が失われるケースを言います。
また、重軽傷者は、県内全体で1061人にのぼっています。
寒い避難所対策・車中泊 低体温症とエコノミークラス症候群予防
安否不明者22人(19日午後2時)
石川県は、19日午後2時の時点で、家族や親族などからの情報をもとに、自治体を通じてまとめた安否が分かっていない人、あわせて22人の名前、住所、性別、年齢を公表しました。
自治体ごとの内訳は、輪島市が18人、珠洲市が4人です。
年齢は、36歳から97歳となっています。
県は、この中には、転居などで連絡が取れないものの無事だった人が含まれている可能性があるとして、広く情報の提供を求めています。
避難者 359か所で1万3934人(19日午後2時)
石川県によりますと、県内の市や町が設ける避難所に避難している人は、19日午後2時の時点で、359か所で1万3934人となっています。
自治体別にみると、金沢市が9か所で341人、七尾市が26か所で1499人、小松市が1か所で4人、輪島市が128か所で4797人、珠洲市が45か所で2335人、羽咋市が2か所で93人、かほく市が2か所で20人、白山市が3か所で393人、能美市が2か所で17人、野々市市が2か所で97人、津幡町が1か所で28人、内灘町が3か所で115人、志賀町が37か所で1010人、宝達志水町が1か所で24人、中能登町が2か所で44人、穴水町が39か所で1656人、能登町が56か所で1461人となっています。
県は、被災者を対象に旅館やホテルなど、「2次避難所」への受け入れを進めています。
金沢市や加賀市などにある旅館やホテル、あわせて84か所の2次避難所には、2075人が避難しているほか、被災者を一時的に受け入れる「1.5次避難所」である金沢市の「いしかわ総合スポーツセンター」と「石川県産業展示館」、それに小松市の「小松市総合体育館」には、あわせて305人が避難しています。
住宅被害 少なくとも2万9896棟に(19日午後2時)
石川県によりますと、19日午後2時時点で県内では能登地方を中心に少なくとも2万9896棟の住宅で被害が確認されたということです。
自治体別にみますと、金沢市で全壊、半壊、一部破損があわせて3034棟、七尾市で全壊、半壊、一部破損があわせて7949棟、小松市で、半壊が20棟、一部破損が1268棟、加賀市で全壊が5棟、半壊が17棟、一部破損が889棟、羽咋市で全壊、半壊、一部破損があわせて1465棟、かほく市で全壊、半壊、一部破損があわせて869棟、白山市で一部破損が108棟、能美市で半壊が1棟、一部破損が364棟、野々市市で一部破損が15棟、川北町で一部破損が3棟、津幡町で全壊、半壊、一部破損があわせて922棟、内灘町で全壊、半壊、一部破損があわせて1212棟、志賀町で全壊、半壊、一部破損があわせて3443棟、床上浸水が6棟、床下浸水が5棟、宝達志水町で全壊、半壊、一部破損があわせて606棟、中能登町では全壊、半壊、一部破損があわせて1695棟、穴水町では全壊、半壊、一部破損があわせて1000棟、能登町ではで、全壊、半壊、一部破損があわせて5000棟となっています。
輪島市と▽珠洲市では多数の住宅に被害が出ていて、詳しい状況は把握できていないとしていますが珠洲市については、泉谷市長が18日、オンラインの会議で政府と意見を交わした際、住宅の被害について、市内のおよそ6000世帯のうち全壊が5割にのぼるという見通しを示しています。
停電 約7500戸(19日午後2時)
北陸電力送配電によりますと今回の地震の影響で、石川県の能登地方では19日午後2時の時点でおよそ7800戸が停電しています。
自治体別では、輪島市でおよそ4800戸、珠洲市でおよそ2300戸、能登町でおよそ340戸、穴水町でおよそ80戸、志賀町でおよそ20戸、七尾市でおよそ10戸となっています。
8市町 約4万9990戸で断水続く(19日午後2時)
石川県によりますと、19日午後2時の時点で、8つの市と町のあわせておよそ4万9990戸で、断水が続いているということです。
【ほぼ全域で断水】
輪島市のおよそ1万戸、珠洲市のおよそ4800戸、穴水町のおよそ3200戸、能登町のおよそ5900戸、七尾市のおよそ1万7800戸、志賀町のおよそ7000戸
【一部の地域で断水】
羽咋市のおよそ440戸、内灘町のおよそ850戸
●復旧工事を国などが代行へ 能登半島地震を「非常災害」に指定 政府 1/19
政府は19日午前の閣議で、能登半島地震を「非常災害」に指定しました。自治体が管理する漁港、海岸、港湾などの復旧工事を国や県が代行できることになり、早期の復興を目指します。
岸田総理 「今回の地震を大規模災害復興法に基づく、非常災害に指定する政令を閣議決定いたしました。権限代行を通じた実行面の支援についても環境が整いました」
岸田総理大臣はインフラの復旧とともに、倒壊した家屋の解体・撤去や仮設住宅の建設の加速化に向けて、全力を尽くすよう関係閣僚に指示しました。
また、能登地方の経済を支える農林水産業や伝統産業、観光業などへの支援も急ぐように指示しました。
●政府 能登半島地震を「非常災害」に指定を決定 1/19
今回の能登半島地震について、政府は、港湾などのインフラの復旧工事を、国が代行できるようにするため、大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定することを決定しました。
大規模災害復興法は、東日本大震災を受けて2013年に作られた法律で「非常災害」として指定されると、被災した自治体からの要請に基づき、港湾や道路などのインフラの復旧工事を国や都道府県が代行できるようになります。
今回の能登半島地震について、政府は、石川県内の漁港で地盤が隆起して海底が露出し、漁船が出港できなくなった地域があるなど、被害の甚大さを踏まえ、19日の閣議で「非常災害」に指定することを決定しました。
指定は2016年の熊本地震、2019年の台風19号、2020年7月の九州などで、大きな被害をもたらした一連の豪雨災害に次いで4例目です。
指定の決定のあと、岸田総理大臣は政府の対策本部で「すでに今回の災害を激甚災害に指定するなど、財政面での措置を講じているが、権限代行を通じた実行面での支援も環境が整った。引き続きインフラの復旧に全力を尽くしてもらいたい」と述べました。
●安倍派・藤原崇衆院議員、5年間で14万円還流 自民パー券問題 1/19
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、藤原崇衆院議員(岩手3区)が、所属する清和政策研究会(安倍派)から5年間で14万円のキックバック(還流)を受けていたことが明らかになった。政治資金収支報告書で本人からの寄付としていた収入名目の一部を派閥名に訂正する。
藤原氏の事務所によると、藤原氏は2018〜22年、派閥側に支出として記載されていない還流分を、自身が代表を務める自民党岩手県第3選挙区支部の報告書に、本人からの寄付などとして記載していた。報告書の保存期間の3年分に当たる10万円を同研究会からの寄付に訂正する。
藤原氏側が同研究会から還流分の処理を改めたいと連絡を受け、協議したという。
藤原氏は自民党の青年局長、政治刷新本部事務局次長を務めている。
●岸田派解散に根回しなし 安倍派は解散の方向 1/19
安倍派と二階派は19日午後に派閥の総会を開き、幹部が今後の対応などを説明します。派閥の解散まで踏み込むのかが焦点です。
岸田総理は、派閥の解散は信頼回復のためだと改めて強調し、他の派閥については「申し上げる立場にない」と言及を避けました。
岸田総理大臣「信頼を回復するために、政策集団のルールについては考えていかなければならない」
ただ、派閥の解散について岸田総理から他の派閥への根回しは一切なく、ある派閥の領袖(りょうしゅう)は「足並みをそろえなくてはいけないなかで、自分だけが格好良いことを言って抜け駆けだ」などと不快感を示しています。
一方、安倍派の塩谷座長は、19日午後6時からの臨時総会でノルマを超えたキックバックについて「若手や中堅の政治活動を助成する趣旨から始まったが、足を引っ張る結果となってしまった」などと謝罪します。
安倍派の若手らは、幹部への不満を募らせていて連日会合を開いています。
総会の前に塩谷座長に対して派閥の解散を申し入れる考えです。
幹部は「若手にとって一番良い方法を取るべきだ」と話していて、安倍派は解散する方向です。
解散に慎重な他の派閥の対応が問われることになります。
●谷川議員は記者に「頭悪いね」、政治家一族の大野議員 その経歴は 1/19
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、派閥から資金のキックバック(還流)を受けた清和政策研究会(安倍派)の2議員(いずれも離党)が在宅で立件された。2人はどんな議員なのか。
政治資金規正法違反で在宅起訴された大野泰正(やすただ)参院議員(64)は、1955年の保守合同による自民党結党を主導し、初代副総裁を務めた大野伴睦(ばんぼく)氏を祖父に持つ。父も元運輸相、母も元参院議員という政治家一族だ。
伴睦氏は東海道新幹線の岐阜羽島駅を誘致したとの評価もあり、駅前には伴睦夫妻の銅像が建つ。地元の岐阜県羽島市議によると、かつては「大野支持者にあらずんば羽島市民にあらず」と言われるほどだったという。
大野議員自身は小学校から大学まで首都圏の慶応系列の学校に通っていたが、県議を3期務めた後は大野家の知名度を生かし、参院選で2回の当選を果たした。
同法違反で略式起訴された谷川弥一衆院議員(82)は長崎県の五島列島出身。71年に建設会社を創業し、87年から県議に。5期の間に「谷川派」と呼ばれる強固なネットワークを県政界に築いた。2003年に衆院長崎3区から出馬し初当選。7期務め、農水政務官や副文部科学相を歴任した。
国会などでの振る舞いはたびたび話題になった。16年11月の衆院内閣委員会では質問後に「時間が余っているので」と突然、般若心経を唱えた。今回の裏金疑惑が浮上後、長崎市で記者団の取材に応じた際には、質問を重ねる記者に「頭悪いね」と言い放った。
地元のベテラン県議は「親分肌で仕事もできるが、政治を商売に使うところがある」と評する。
事務所関係者によると、谷川議員は10年ほど前に別の国会議員からキックバックの仕組みを耳にしたとみられ、派閥のパーティー券販売に精を出すようになった。自身が創業した建設会社社員に販売枚数を割り当て、社員を通じて下請け企業などに売っていたという。関係者は「みんな付き合いで買っていた。東京のパーティーに実際に行く人はほとんどいなかったのではないか」と話した。
●長崎3区の谷川弥一議員 略式起訴 自民党を離党 議員辞職へ 1/19
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部は、衆議院長崎3区選出の谷川弥一議員を政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で略式起訴しました。
谷川議員は自民党を離党し、議員辞職する意向を固めました。
略式起訴されたのは、谷川弥一衆議院議員と谷川議員の娘の三宅浩子秘書(47)です。
特捜部によりますと、谷川議員は三宅秘書と共謀し、おととしまでの5年間に安倍派から4355万円のキックバックを受けたにもかかわらず、みずからが代表を務める資金管理団体の収入として記載していなかったとして、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪に問われています。
特捜部に対し、谷川議員は虚偽記載を認めているということです。
略式起訴を受けて谷川議員は19日、自民党を離党しました。
そして、議員辞職する意向を固め、週明けにも衆議院に議員辞職願を提出することにしています。
谷川議員は五島市出身の82歳。
みずから創業した「谷川建設」の社長を務めたあと、県議会議員を5期務めました。
そして、平成15年の衆議院選挙で、虎島和夫元防衛庁長官の後継者として長崎3区から立候補して初当選を果たしました。
その後、当選を続けて現在は7期目で、これまでに農林水産政務官や文部科学副大臣、それに衆議院の文部科学委員長などを歴任しました。
大村市にある谷川弥一議員の事務所では、午前中から事務所や後援会の関係者数人が出入りをしていました。
そして、午後2時ごろ、事務所の責任者を務める男性が事務所から出てきましたが、記者の問いかけに対して、「何も話せない」と述べて足早にあとにしました。
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について、谷川弥一議員は先月10日、長崎市で報道陣の取材に応じました。
谷川議員は持参したコメントを読み上げる形で、「清和政策研究会のパーティー券の問題については刑事告発を受けている案件でもあり、事実関係を慎重に調査・確認をして、適切に対応してまいりたい。今後、事態が進展し、問題点や課題が明らかになってくれば、再発防止の取り組みなどを進めていく必要があると考えている」と述べました。
一方で、自身の進退やパーティー券の販売の実態などについては、「いまは答えられない」との回答を繰り返しました。
さらに、記者から、「派閥の中でキックバックがあったか」と問われると、谷川議員は「何を言ってもいまのとおり。頭悪いね、言ってるじゃない。質問してもこれ以上言わないって言ってるじゃない。わからない」と述べました。
そして、今月15日、谷川議員は「一身上の都合」として県連の会長を辞任しました。
谷川議員は県連を通じて、「このたびの事件に際し、皆さまにご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げる。現時点では捜査中のため詳細をお話しすることができないが、責任をとって会長の職を辞任させていただく」とコメントしました。
●裏金事件、自民・大野泰正議員ってどんな人? 祖父は「自民結党の立役者」 1/19
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件では、大野泰正(やすただ)参院議員(64)=岐阜選挙区、当選2回=も19日、政治資金規正法違反の疑いで立件された。
逮捕された池田佳隆衆院議員とともに派閥から多額のキックバック(還流)を受けていたとされる大野氏とは、どんな人物なのか。
キックバック多額議員の一人
安倍派では、パーティー券の販売ノルマ超過分を政治資金収支報告書の収入に記載せず議員側に還流。支出にも記載せず、受領した議員側も収入として書いていなかった疑いが持たれている。
大野氏は池田氏と並ぶ高額受領者で、時効がかからない2018年以降の5年間で5000万円超の還流を受け、裏金にしていたとみられる。
大野氏は昨年12月7日付で、資金管理団体「泰士会」の2022年分の収支報告書を訂正し、22年に3回実施された「大野泰正政経フォーラム開催事業」の収入を計450万円減額した。
東京地検特捜部は昨年12月28日と29日、大野氏の国会議員事務所など関係先を捜索していた。
安倍元首相とは祖父同士が因縁の関係
安倍派を率いた安倍晋三元首相とは、祖父同士が因縁の関係にある。
大野氏の祖父は、1955年の自民結党の立役者で、初代副総裁を務めた故大野伴睦(ばんぼく)元衆院議長。
祖父の伴睦氏は、安倍元首相の祖父、岸信介元首相と派閥抗争を繰り広げたことで知られる。日米安全保障条約の改定のため、岸元首相が「次の首相は大野氏に譲る」と政権禅譲を約束しながら、後に反故にしたのは有名な逸話だ。
大野氏の両親も元国会議員という政治家一家。父の明氏は運輸相、その後を継いだ母つや子氏も法務政務官を務めた。
大野氏は、慶応大法学部を卒業後、全日空に入社。両親の公設秘書を経て、岐阜県議を3期務めた後、2013年に参院議員に初当選した。安倍内閣で2016年に国土交通政務官を経験するなど、運輸関連の役職が目立つ。昨年10月からは参院内閣委員長を務めている。
父との対話通じ政治家志す
大野氏は、過去の本紙取材に、学生時代、野球やアイスホッケーに夢中だったとし、「次男だったから気楽に遊び回っていた」と話していた。
地方分権の推進が持論。若い頃、理想論を振りかざすと、父の明氏にたしなめられたという。時にぶつかりながら会話を重ね、「政治は人が生きることを支えて国を元気にするもの」と肌で感じてきたことが、政治家を志した原点だと明かしている。
●大野泰正・谷川弥一両議員が自民党離党 安倍派パーティー裏金事件で立件 1/19
自民党・安倍派の大野泰正参院議員と谷川弥一衆院議員は19日、派閥からパーティー収入の高額なキックバックを受けた事件で立件されたことを受け、自民党を離党した。
党本部に離党届を提出し、受理され、党紀委員会でも了承された。
大野・谷川両議員は会計責任者と共謀し、政治資金パーティーをめぐって派閥からキックバックを受けた収入を議員側の収支報告書に記載せずウソの金額を記した罪に問われ、東京地検特捜部は、大野議員を裁判を求める在宅起訴とし、谷川議員については、罰金刑を求める略式起訴とした。
●安倍派・二階派の会計責任者 岸田派の元会計責任者を立件 1/19
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部は、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で、安倍派と二階派の会計責任者を在宅起訴し、岸田派の元会計責任者を略式起訴しました。
また、安倍派から5000万円を超えるキックバックを受けたとされる大野泰正参議院議員を在宅起訴し、谷川弥一衆議院議員らを略式起訴しました。
一方、安倍派の幹部7人や二階元幹事長など、派閥の幹部については、会計責任者との共謀は認められないとして、立件しない判断をしました。
派閥側で在宅起訴されたのは、
安倍派「清和政策研究会」の会計責任者、松本淳一郎被告(76)と 二階派「志帥会」の会計責任者、永井等被告(69)で、略式起訴されたのは、岸田派「宏池政策研究会」の佐々木和男 元会計責任者(80)です。
東京地検特捜部によりますと、おととしまでの5年間で、安倍派の松本会計責任者は、合わせて6億7503万円、二階派の永井会計責任者は、合わせて2億6460万円のパーティー収入などを、派閥の政治資金収支報告書に収入として記載していなかったなどとして、また、岸田派の佐々木元会計責任者は、2020年までの3年間で合わせて3059万円のパーティー収入などを、派閥の政治資金収支報告書に収入として記載していなかったとして、それぞれ、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪に問われています。
一方、特捜部は、安倍派の幹部7人や二階元幹事長など、派閥の幹部からも任意で事情を聴いてきましたが、いずれも、派閥の会計責任者との共謀は認められないとして立件しない判断をしました。
議員側で在宅起訴されたのは、安倍派に所属する参議院議員の大野泰正被告(64)と 秘書の岩田佳子被告(60)で、略式起訴されたのは、安倍派に所属する谷川弥一衆議院議員(82)と 谷川議員の娘の三宅浩子秘書(47)
二階俊博元幹事長の事務所の梅澤修一秘書(55)です。
特捜部によりますと、大野議員は、岩田秘書と共謀し、おととしまでの5年間に、安倍派から5154万円のキックバックを受けたにもかかわらず、みずからが代表を務める資金管理団体の収入として記載していなかったとして、谷川議員は、三宅秘書と共謀し、おととしまでの5年間に、安倍派から4355万円のキックバックを受けたにもかかわらず、みずからが代表を務める資金管理団体の収入として記載していなかったとして、それぞれ政治資金規正法違反の虚偽記載の罪に問われています。
また、梅澤秘書は、おととしまでの5年間で、3526万円のパーティー収入を二階派に納入せず、二階元幹事長の資金管理団体の収支報告書に、派閥側からの収入として記載していなかったとして、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪に問われています。
関係者によりますと、特捜部に対し、大野議員は関与を否定していますが、3つの派閥の会計責任者や谷川議員、梅澤秘書は、いずれも虚偽記載を認めているということです。
また、特捜部は1月7日に、4800万円余りのキックバックを受けたとみられる衆議院議員の池田佳隆容疑者(57)と政策秘書を逮捕していて、勾留期限の1月26日までに刑事処分を判断する見通しです。
安倍派 元閣僚「政治不信を引き起こしおわび」
安倍派の閣僚経験者の1人は、NHKの取材に対し「政治不信を引き起こしたことを、安倍派の一員として大変申し訳なく思っており、心よりおわび申し上げる。一連の問題を深く反省し、信頼回復に向けて努力していきたい」と述べました。
自民 元閣僚「厳しい局面続くことは変わらず」
自民党の閣僚経験者は、NHKの取材に対し「結局、派閥幹部の立件がなく世論は納得するだろうか。今後、検察審査会に審査の申し立てが行われる可能性もあり、自民党にとって厳しい局面が続くことには変わりはない」と述べました。
●「世襲議員」の存在が政治不信を招く 選挙制度の見直しが必要だ 1/19
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件は、繰り返される「政治とカネ」の問題の根深さを浮き彫りにした。リクルート事件に端を発した平成の政治改革から約30年。当時の改革に足りなかったものは何か。問題の根絶には何が必要か。各界の識者らに聞いた。
選挙が「個人戦」になってしまっている
―今回の問題で、国会議員個人が多額の政治資金を集めて活動している状況が浮き彫りになった。
「多額の政治資金を必要とする原因は、今の選挙制度が『個人戦』になっていることにある。30年前の政治改革で、衆院の選挙制度を中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変えた際のテーマは『政党本位・政策本位』だった。議員(候補者)個人の資金力が影響しない選挙制度を目指したはずだったが、徹底できなかった」
―なぜ選挙が個人戦になったのか。
「小選挙区で負けた候補者が比例復活するには、同じ政党内で惜敗率を争わなければならず、参院や地方議員選挙では党内競争につながる中選挙区制がそのまま残った。完全な政党本位にはならなかった」
制度見直しは、政治が変わる大きなシグナルに
―選挙制度の見直しは必要か。
「必要だ。政治が変わる大きなシグナルになる」
―政治不信が続くとどうなるのか。
「自分たちが選んでいる人を信頼できなければ、独裁者を生みかねない。議会制民主主義の根本が揺らぎ、非常に危ない」
―何が政治不信を招いているのか。
「最大の要因は、世襲議員の存在だと思う。3代目、4代目が首相や閣僚を務めることで(一般市民が)『自分たちは議員になれるはずがない』という感覚を持ってしまっている。これは非常にまずい。親の遺産も政治団体を経由させることで相続税なしで受け継ぐことができ、『地盤・看板・カバン』が簡単にそろう。世襲政治家は圧倒的に有利で、親の選挙区からの立候補を禁じるなどの見直しが必要だ」
企業献金は禁止、個人からに切り替えるべき
―政治資金制度の見直しは。
「改革が不徹底に終わったのは政治資金も同じだ。企業や団体からの献金はばっさり禁止し、個人からの献金に切り替えるべきだ。パーティー券も個人しか買えないようにすれば良い。米国では、支持者がおしゃれをして党大会に出かける。個人で献金を出すから政治に関心をもつ。企業や団体から献金を集める仕組みが続けば、個人にアプローチするようにならないのではないか」
―自民党内からは「制度より意識を変えることが先だ」という声も聞く。
「意識を変えるには、まずは制度を変えることが重要だ。地方では議員のなり手不足が深刻で、すでに政治が崩壊している。もし小手先の改革に留まれば、日本は沈没する」
―派閥の存廃は。
「政策集団としての派閥はあってもよいが、金の流れを完全に明らかにする必要がある。アナログ時代の発想をやめ、現金の収受を禁止し、金融機関を通せば1円からすべて記録しデータ化することができる。われわれの研究費の支出も、すべてオンラインで処理され分かるようになっている」

衆院選挙制度改革 / 1988年に発覚したリクルート事件など「政治とカネ」を巡る一連の事件を受け、政治に金のかかる原因は同一政党の候補が争う中選挙区制度にあるとされた。89年に発足した第8次選挙制度審議会(首相の諮問機関)は90年、小選挙区比例代表並立制を柱とする改革案を答申。94年の法改正で同制度の採用が決まり、小選挙区300人、比例代表200人とした(現在は小選挙区289人、比例代表176人)。政党に小選挙区候補者の届け出などを認め、政党本位の制度を目指した。
●蓮舫議員「実態解明、徹底した説明が先」自民党岸田派解散検討を痛烈批判 1/19
立憲民主党の蓮舫参院議員が18日、自身のX(旧ツイッター)に新規投稿。岸田文雄首相が自民党岸田派(宏池会)の解散を検討していると報じられたことを受け、「実態解明、徹底した説明が先」などと批判した。
岸田首相はこの日夜、岸田派解散について「検討している。政治の信頼回復に資するなら考えなければならない」と語った。岸田首相は裏金事件を受けて昨年12月に離脱するまで同派会長を務めていた。
報道を受けて、蓮舫議員は「派閥解散の前に実態解明、徹底した説明が先でしょう」と指摘。さらに「しかも、党の政治刷新本部にも諮らずに自身の派閥だけ、ですか」と憤った。
フォロワーらからは「諸々の責任や批判を有耶無耶にするため、と感じてしまいます。『もう無い派閥の話だ』って」「会長も辞めて、自分だけ抜け駆け感半端ない」「解散しても誰も納得しないし、信頼回復なんて、100%無理」など厳しい声が届いている。
●政治資金パーティー問題 岸田派に飛び火 改革の足元揺らぐ 1/19
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件が岸田派に飛び火した。派の元会計責任者が刑事責任を問われる展開に、岸田文雄首相は岸田派の解散へ率先してかじを切る。だが野党の怒りがやむ気配はなく、首相に辞任を迫る。国民の信頼回復へ「火の玉になる」と宣言し、改革の旗を振る首相。その足元が揺らぎつつある。
「事務的なミスの積み重ねだと報告を受けている」
18日午前、官邸。首相は、岸田派の元会計責任者が政治資金規正法違反(虚偽記入)の疑いで立件されるとの報道を受け、記者団から自身の責任を問われると、淡々と言い放った。この時は反省の弁は一切なかった。
一転
首相が「事務処理上の疎漏」と釈明した背景には「パーティー収入を組織的に還流して裏金化していた安倍派とは違う」(岸田派幹部)との強烈な意識があった。昨年末、東京地検特捜部の捜査対象になっていることが表面化した際も、幹部は「事件化されないよ」と高をくくっていた。
風向きが変わったのは18日午後。首相は官邸に岸田派幹部をひそかに呼び込み「政治の信頼を回復するため、岸田派を解散しようと思う」と伝達。幹部の一人は「お任せします」と返した。
人ごとのようにも見えた午前の対応から一転、「首相自身、最も愛着を持っていた伝統派閥」(自民筋)の解散になぜ動いたのか。この幹部は党内で高まる派閥解消論に触れ「隗(かい)より始めよ、と判断したのだろう」と読み解く。
大なた
これまで安倍派の裏金事件を念頭に「党の体質刷新の取り組みを進める」「民主主義を守るため、党自らが変わらなければならない」とハッパをかけてきた首相。身内が立件される事態に、他派閥からは「ブーメランのように返ってきた」と皮肉る声も上がる。
ただ党内には「裏金は、あくまで安倍派の問題だ」とする議員も少なくなかった。それだけに岸田派も巻き込まれる流れに、自民若手は「全党的な問題となった。首相は逆に、遠慮なく改革の大なたを振るえるはずだ」と指摘する。
自民内では目下、派閥の存廃と議員本人への罰則強化が一大論点になりつつある。安倍派でも解散論が浮上したものの、他派閥が続くかどうかは分からない。自民重鎮は「議員に連帯責任を負わせる連座制は、やむなしだろう」と語る。
矢面
野党は、負い目を抱えた首相への攻勢を強める。立憲民主党の泉健太代表は「岸田派のトップは首相じゃないか。もう首相の資格はない。辞任すべきだ」と批判。長妻昭政調会長は、首相が本部長を務める自民党政治刷新本部の議論に言及し「茶番だ。民主主義を壊した張本人に民主主義を守るなんて言われたくない」と指弾した。
26日には通常国会が召集され、29日には裏金事件を受けた衆参予算委員会集中審議が開かれる。岸田派解散に踏み込むとはいえ、首相自身が矢面に立たされるのは必至だ。自民幹部は「相当紛糾するだろう。波乱の国会開幕だ」と早くも身構える。
当の首相。捨て身に映る岸田派解散の決断をたたえる周辺に対し、自らに言い聞かせるように力説した。「これをやらないと政権はじり貧になるんだ」
立件「線引き」 慎重に検討  自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件は、安倍派(清和政策研究会)など3派の会計責任者が19日に立件されるなど、一つの節目を迎える。捜査の端緒は、パーティー収入を過少に記載していたことを訴える刑事告発だったが、その後、還流による裏金づくりが発覚。還流や不記載は広く党内に浸透していたとみられるが、手口や金額に差があることから、検察当局は立件の「線引き」を慎重に検討した。
東京地検特捜部による捜査の端緒は、2022年11月以降に断続的に出された大学教授の刑事告発だった。当初は「単純ミス」という見方もあったが、任意提出されたパーティー券の販売記録や通帳を捜査する中で裏金疑惑が浮かび上がった。
安倍派では、派閥側の収支、議員側の収入全てに還流分が記載されず、議員側が派閥に納めずプールしていた分も含め、裏金の総額は6億円規模になる可能性がある。二階派(志帥会)でも、会長の二階俊博元幹事長ら複数の議員が同様にプールしていたとみられる。特捜部は年末から年始にかけ、両派の事務所などを家宅捜索したほか、中枢幹部を含む複数の議員を任意聴取した。
岸田派(宏池会)では、どの議員が売ったか分からないパーティー収入を元会計責任者が収支報告書から除外していたとされる。悪質性という点では最も軽いと判断されているもようだ。
裏金の額にも幅がある。最も高額とされているのが安倍派、大野泰正参院議員の5千万円超だ。池田佳隆容疑者=自民除名=の逮捕容疑は、還流された4826万円を除いた虚偽の収入を資金管理団体の政治資金収支報告書に記入した疑いだった。
●大きな節目を迎えた自民裏金事件 解説 1/19
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件が大きな節目を迎えました。
東京地検特捜部は19日、最大派閥の安倍派の会計責任者と、二階派と岸田文雄首相が会長を務めた岸田派の元会計責任者を政治資金規正法違反の疑いで立件しました。
自身の出身派閥にも飛び火したことで、18日には岸田首相の口から「岸田派の解散を検討する」との発言まで飛び出しました。
どんな事件?
安倍派などでは、派閥の政治資金パーティーで、パーティー券収入の一部を政治資金収支報告書に記載していなかった疑いが持たれている。
きっかけは、2022年11月の「しんぶん赤旗」の報道だった。2018年〜2020年に安倍派など5派閥の政治団体が、政治資金パーティーの収入計約2500万円を政治資金収支報告書に記載していなかったと報じた。
報道を受け、神戸学院大の上脇博之教授が、2018〜2021年の4年間を調べ直し、自民5派閥の政治団体において計約4000万円の不記載があったとして東京地検に告発していた。
2023年11月に入り、東京地検特捜部が派閥の担当者らを任意で事情聴取していることが明るみに出た。
どのようにして裏金に?
安倍派や二階派では、派閥の政治資金パーティーに関して、当選回数や閣僚経験に応じて所属議員に販売ノルマを設けているという。ある自民党関係者は「ノルマ以上の券を売ると議員個人の収入になる」(自民関係者)と証言する。
安倍派では、ノルマを越えた分のパーティー券収入を所属議員に還流(キックバック)しながら政治団体の収支報告書に記載せず、議員側が裏金化していたとされる。
所属議員側がパーティー券の販売ノルマ超過分を派閥に納めず、手元にプールしていたケースもあったとされる。
裏金は何に使った?
収支報告書に記載せず、裏金にしていた資金は何に使ったのか。誰もが抱く疑問については、いまだに明らかになっていない。
というのも、これまで疑惑が取り沙汰されている議員や派閥は、一度も公の場で説明をしていないからだ。
ある自民党議員の秘書は「ノルマは50枚(100万円)で、ノルマを超えた分が振り込まれました。後援会活動費として使っています」と明かす。
自民党のベテラン衆院議員の元秘書は「秘書の人件費や地元の会合の会費などお金がかかるのは確か。当選回数が少ないほど広報にも費用がかかる」と話す。
これに対し、立正大の金子勝名誉教授(憲法)は「自民党の論理で『政治には金がかかる』『選挙には金がかかる』という言葉を無条件に信じていいのか。私設秘書を雇ったり、買収で金を配る選挙をやったりするからではないか」と批判している。
政治資金パーティーとは?
政治家や政治団体が、パーティー券を売って政治資金を集めるのが主な目的。自民党では政治家や派閥の大きな収入源になっている。政治資金規正法は収入から経費を差し引いた残額を政治活動に充てることを認めている。
自民党の各派閥は、年1回政治資金パーティーを開くのが通例で、1枚2万円が相場とされるパーティー券を団体や企業などに販売することが最大の収入源だ。
自民党派閥の場合、1回で1億円以上を集めるケースもある。
裏金事件、何が問題なの?
政治資金のルールを定めた政治資金規制法は、派閥も政治家個人の団体と同じく政治団体で、秘書や党職員が務めることの多い会計責任者に収支報告書の提出義務を課している。
議員本人も不記載や虚偽記入について指示するなど具体的に把握していれば、会計責任者と共謀したとして罪に問われる。
パーティー券の場合は、20万円を超えて購入した個人や団体の名前や金額を収支報告書に記載するよう義務付けている。
虚偽記入や不記載には、5年以下の禁錮または100万円以下の罰金が科せられる。刑が確定すれば原則5年間、公民権が停止され選挙に立候補できなくなる。
緩いパーティー券の規制
一連の裏金事件で、「ザル法」と指摘される政治資金規正法の問題があぶり出された。
寄付の場合、5万円を超えると収支報告書に記載義務がある。寄付に比べて氏名等の公開基準が緩いパーティー券収入は政治資金集めの抜け道になると指摘されてきた。
安倍派の場合、2022年分の収支報告書で見ると、パーティー収入9480万円のうち、購入者の名前が記載されたのは、41の企業・団体で、購入額全体の23%(2218万円)にとどまる。ある自民議員秘書は「ブラックボックスどころかブラックホール。誰にどれだけパーティー券を売ったか分からない」と実情を語る。
2023年1月には、薗浦健太郎元自民党衆院議員が、自身の政治団体でパーティーの収入を実際より少なく記載していたとして政治規制法違反に問われ、罰金刑が確定している。
なぜ安倍派が…
派閥の中でも、収支報告書への不記載の額が多いとされているのが、最大派閥の安倍派だ。
所属議員99人の大半が還流を受けていたとされ、裏金は直近5年間で6億円規模になる可能性がある。
2023年11月に入って、安倍派の座長を務める元文部科学相の塩谷立氏と、安部派の有力者「5人組」にも裏金疑惑が持ち上がった。
5人組は、当時、松野博一氏が官房長官、西村康稔氏が経済産業相、高木毅氏が党国対委員長、世耕弘成氏が党参院幹事長、萩生田光一氏が政調会長と、いずれも内閣や党の要職にあっただけに、自民党内に激震が走った。
岸田首相は12月14日、安倍派の松野博一官房長官、西村康稔経済産業相ら4閣僚を交代させた。萩生田光一政調会長、高木毅国対委員長、世耕弘成参院幹事長も党役員の辞表を出。安倍派の有力者「5人組」を政権の要職から一掃した格好となった。
安部派の正式名称は「清和政策研究会」。「清廉な政治は人民を穏やかにする」という意味の「政清人和」が由来だという。
東京地検特捜部の捜査は?
東京地検特捜部は2023年12月19日、自民党安倍派と二階派を家宅捜索した。
安倍派では、派閥から4000万円を超えるキックバックを受けていた高額受領議員もおり、同じく特捜部の捜索を受けた。
12月27日には4000万円超の還流を受けたとされる池田佳隆衆院議員の関係先を捜索。28、29日には還流分が5000万円超とされる大野泰正参院議員を捜索した。
今年に入ると、一連の事件は現職の衆院議員の逮捕に発展した。
特捜部は1月7日、4800万円を裏金にしたとして、池田氏を逮捕した。一連の事件で初の逮捕者だった。
政治資金規正法では、会計責任者に収支報告書の提出義務を課している。ただし、派閥幹部や議員本人も不記載や虚偽記入について指示するなど具体的に把握していれば、会計責任者と共謀したとして罪に問われる。
一連の裏金事件において、収支報告書に記載しないことについて、派閥幹部から会計責任者に指示があったのか。あったとしたら、どのような指示だったのか。こうした点も捜査の重要なポイントだった。
安倍派では、「5人組」ら派閥幹部の関与も取り沙汰されていたが、報道によると、特捜部は立件を見送る方針を固めているという。
事件を受け自民党は…
自民党は、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、岸田首相を本部長とする政治刷新本部を設置。再発防止や派閥のあり方を見直すため、1月中にも中間とりまとめを行うとしている。
刷新本部設置に当たり、岸田首相は「国民の信頼回復のために火の玉となって自民党の先頭に立ち、取り組む」との決意を語っていた。
しかし、刷新本部のメンバーに入った複数の安倍派議員にも裏金疑惑が浮上。岸田首相の本気度に疑念の目が向けられている。
1月16日の第2回会合では、出席議員から「派閥を全廃すべきだ」という厳しい意見も出た。
岸田首相にも飛び火
事件後、「国民の信頼回復」をたびたび口にしていた岸田首相だが、自身が会長を務めていた岸田派にも飛び火した。
1月18日になって、東京地検特捜部が政治資金規制法違反の疑いで、岸田首相が会長を務めていた岸田派の元会計責任者を立件する方針を固めたとの報道が流れた。
岸田派は同日、2020〜22年分の3年間で、計3000万円の不記載があったとして収支報告書を訂正。岸田首相は、不記載について「事務的なミスの積み重ね」と釈明していたが、夜になって突然、岸田派の「解散検討」を表明した。
●不可解な能登地震の予算対応 来年度の予備費倍増というが… 1/19
岸田文雄政権は、能登半島地震の対策として来年度予算の予備費を倍増させるという。なぜ今年度ではなく、来年度なのだろうか。
政府は、能登半島地震からの復旧・復興に対応するため、新年度予算案に盛り込まれた予備費について、現状の5000億円から1兆円に倍増させる。
気象庁の震度データベースなどで1919年以降、震度7クラスを記録したものを調べると、23年9月1日に関東大震災(当時首相は不在)、95年1月17日の阪神淡路大震災(村山富市首相)、2004年10月23日の新潟県中越地震(小泉純一郎首相)、11年3月11日の東日本大震災(菅直人首相)、16年4月14、16日熊本地震(安倍晋三首相)、2018年9月6日北海道胆振東部地震(安倍晋三首相)が起こっている。
財政制度が同じ戦後でみると、1995年阪神淡路大震災のとき1兆223億円の補正予算が2月24日閣議決定、28日国会で成立した。
2004年新潟県中越地震では、1兆3618億円の災害対策費などの補正予算が12月20日に閣議決定し、05年2月1日に国会で成立した。
11年の東日本大震災では、4兆153億円の補正予算が4月22日に閣議決定され、5月2日に国会で成立した。
16年の熊本地震では、7780億円の補正予算が5月13日に閣議決定され、17日に国会で成立した。
18年の北海道胆振東部地震では、他の豪雨災害などとともに9356億円(地震への対応は1188億円)の補正予算が10月15日に閣議決定され、11月7日に国会で成立した。
こうした前例をみると、震災発生後1カ月少しで災害対策費などの名目で補正予算が作られている。
岸田政権では、来年度予算の予備費で対応するらしいが、そもそも予備費とは「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる」(憲法第87条第1項)ので、既に発生した災害を対象とするのはおかしい。
もし、3月末までの23年度内における地震、豪雪被害のように「予見し難い」ことに備えるなら、来年度ではなく23年度補正予算で対応すべきだろう。
24年度予算の成立は3月末だ。それまで新たな自然災害が起きない保証は誰もできない。例えば、再び震度7クラスの地震がどこかで発生したら、目も当てられないことになる。23年度補正予算をやらない理由は前例から見ても筆者にはさっぱり分からない。
23年度補正予算を2月初めに国会に提出し成立させて国民を安心させるべきではないか。石川県の馳浩知事も早期の補正予算を希望している。自民党関係者に話をしたら、「動いていないとおかしい」と言っていた。
国会日程が既に浮上している中、補正予算の話が表に出てこないのは不思議だ。国民を安心させるのが政治の役割ではないのか。
●岸田総理、午後に麻生副総裁ら党幹部と会談へ 岸田派解消について説明か 1/19
自民党の派閥の政治資金問題をめぐり、岸田総理が岸田派の解散を表明する中、きょう午後、麻生副総裁ら党幹部と相次いで会談することが分かりました。
関係者によりますと、岸田総理は午後、自民党の麻生副総裁のほか、茂木幹事長、渡海政調会長ら党幹部と相次いで会談する予定だということです。
岸田派を解散する経緯や、党内に設置した政治刷新本部の今後の議論について協議するものとみられます。
麻生副総裁と茂木幹事長はともに派閥のトップを務め、岸田政権を中枢で支えてきましたが、派閥の解散には慎重な姿勢です。
岸田総理は麻生氏らに相談することなく派閥の解散を表明した上で、「他の派閥のありようについて、何か申し上げる立場にはない」としていますが、麻生氏らの理解を得るのは難しい情勢です。
●岸田派解散を明言 1/19
岸田文雄首相(自民党総裁)は19日、岸田派(宏池会)の元会計責任者が政治資金規正法違反容疑で立件される見通しとなったことを受けて、「政治の信頼回復のために宏池会を解散する」と明言した。 
●安倍元首相が踏み込んだ「核の議論」はどこへ行ったのか 1/19
安倍晋三元首相は、日本の指導者として戦後初めて「核兵器の議論」に踏み込んだ勇気ある宰相だった。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が隣国ウクライナを蹂躙(じゅうりん)し、核兵器使用の恫喝(どうかつ)を行い、隣国の中国は核兵器の大軍拡の最中であり、北朝鮮も核武装を果たした。核の議論を始めるときである。
戦後日本の宰相たちは、60年安保騒動と岸信介首相の退陣後、安保論議を忌避し始めた。いつしか軽武装・経済成長の永続こそが、吉田茂元首相が敷いた路線であるという「都市伝説」が生まれ、米国が提供する安全保障にただ乗りすることが保守本流であるかのような歪(ゆが)んだ意識が生まれた。
戦後、安全保障上の最大の問題は、常に「核兵器の問題」であった。米国の核兵器を必死で模倣したソ連のスターリン、米国の後を追った英国、そして最後は、フランスと中国が核兵器開発に成功した。これら戦勝5カ国は、国連安全保障理事会の常任理事国であり、これ以上の核拡散を止めるべく、核兵器不拡散条約(NPT)体制が生まれた。その後、インド、パキスタン、北朝鮮、そして、イスラエルが核兵器を保有している。
冷戦中、西ドイツは焦った。米英仏が核兵器を保有している中で、NATO(北大西洋条約機構)の最前線で同族の東ドイツと銃を向け合う西ドイツは、欧州戦線が火を噴けば、核兵器で消滅するのは東西ドイツであり、その後、ドイツのいない欧州の平和が復活すると恐怖した。
西ドイツの執念は「NATO核の誕生」となって実を結んだ。ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギーの空軍は、核の応酬になればNATOが管理する米軍の核兵器を搭載して出撃する。
日本にも、米軍は核兵器配備を打診しようとしている。すでに米軍政下の沖縄には戦術核兵器が配備されていた。米兵と核兵器の前方展開は、米国にとって、その同盟国が死活的利益であることを示す。
しかし、日本は、広島、長崎の原爆投下、第5福竜丸のビキニ環礁での被ばく事件もあって、反核感情が強く出ていた。
佐藤栄作氏は首相当時、「沖縄の核抜き返還」を訴え、「非核三原則」を唱えてノーベル平和賞を獲得した。ただ、「ソ連の核攻撃から日本をどう守るか」という議論は欠落していた。
現在、日米間では拡大核抑止協議が開催されているが、国民には一切の開示がない。政府、自民党は「中朝露の核兵器から日本をどう守るのか」を、国民に対して誠実に語るべきである。日米同盟の核抑止はどう機能するのか、それは中国を抑止するに十分なのか。リアリズムに目覚めた国民は、政府の誠実な説明を待っている。
●岸田派解散で政権流動化、主流3派崩れるか 麻生・茂木派反発 1/19
岸田文雄首相(自民党総裁)が岸田派(宏池会)解散を突如打ち出し、二階派(志帥会)と安倍派(清和政策研究会)も後に続いたことで、政権の構図が流動化し始めた。屋台骨の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長は大派閥の領袖で、両氏周辺は首相に激しく反発した。岸田、麻生、茂木の「主流3派」が首相を支える構図は崩れそうだ。脱派閥論者で非主流派の菅義偉前首相や菅氏に近い無派閥議員は首相の決断を評価しており、今後の連携に発展するのか注目される。
18日夜の首相の解散表明は麻生、茂木両氏にとって寝耳に水だった。麻生氏は、事件はあくまで安倍派などの政治資金処理の問題ととらえ、麻生派(志公会)は存続させたい意向とされる。麻生派の閣僚経験者は「人気取りのパフォーマンス。立件されていない派閥まで解散しろというのは本質的ではない」と批判した。
茂木氏も派閥の力を足掛かりにいずれ首相の座を目指す考えだった。茂木氏は19日、不満げな表情も周囲に見せたが、記者団には茂木派(平成研究会)解散の是非に関し、「(党政治刷新本部の)中間取りまとめを念頭にグループ(派閥)の仲間ともよく相談していきたい」と淡々と語った。
刷新本部は派閥の見直しに関し、来週の中間取りまとめに向けて議論の最中にあり、政治団体の解散は賛否が二分している。茂木派幹部は「首相が先に方向性を決めるなら議論する意味がない。いつもの思い付きだ」と酷評した。
首相は政権初期から重要な意思決定の際、まず麻生、茂木両氏に相談した。ただ最近はもともとは非主流派だった森山裕総務会長、無派閥の渡海紀三朗政調会長らも含めた党幹部6人に重要案件の協議の枠組みを広げた。加えて今回の岸田派解消を巡る混乱で、政権の構図は変容しそうだ。渡海氏は周囲に「首相の決断は政治改革の流れを一気に早める」と評価した。
菅氏も周囲に「派閥を解消しないと収まらない」と語る。無派閥の石破茂元幹事長の側近の赤沢亮正財務副大臣は19日、「無派閥情報交換会」初会合で「(首相の)相当な覚悟、本気が見えた。敬意を払いたい」と述べた。
森山氏率いる森山派(近未来政治研究会)は19日昼に緊急参集し、中間取りまとめで示される方針に沿って対応することを確認した。政治資金収支報告書への過少記載で告発されていない森山派が解散を決断すれば流れが決定的となる可能性がある。一方で岸田派や安倍派などの消滅で終われば、首相は党内で孤立しかねない。
●岸田総理、午後に麻生副総裁ら党幹部と会談へ 岸田派解消について説明か 1/19
自民党の派閥の政治資金問題をめぐり、岸田総理が岸田派の解散を表明する中、きょう午後、麻生副総裁ら党幹部と相次いで会談することが分かりました。
関係者によりますと、岸田総理は午後、自民党の麻生副総裁のほか、茂木幹事長、渡海政調会長ら党幹部と相次いで会談する予定だということです。
岸田派を解散する経緯や、党内に設置した政治刷新本部の今後の議論について協議するものとみられます。
麻生副総裁と茂木幹事長はともに派閥のトップを務め、岸田政権を中枢で支えてきましたが、派閥の解散には慎重な姿勢です。
岸田総理は麻生氏らに相談することなく派閥の解散を表明した上で、「他の派閥のありようについて、何か申し上げる立場にはない」としていますが、麻生氏らの理解を得るのは難しい情勢です。
●赤沢財務副大臣ら自民無派閥議員が初会合…岸田派改散方針を評価 1/19
自民党の無派閥の中堅・若手議員によるグループ「無派閥情報交換会」が19日、国会内で初会合を開き、政治資金の透明性確保や派閥のあり方などについて意見を交わした。
初会合には10人が出席した。グループの発起人を務める赤沢亮正財務副大臣は会合で、岸田首相(党総裁)が岸田派を解散する方針を決めたことについて、「相当な覚悟が見えた。敬意を払いたい」と語った。
●「派閥解消」加速で持ち上がる「石破茂首相」誕生の現実味 “派閥力学” 1/19
1月18日に、岸田文雄首相が表明した「宏池政策研究会(岸田派)」の解散検討表明。これに、自民党内が大揺れだ。
「自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題で、宏池会が約3000万円を派閥の政治資金収支報告書に記載しなかったことから、19日に宏池会の元会計責任者が略式起訴されました。前日の18日昼すぎ、起訴が濃厚になることを知った岸田首相が『政治の信頼回復のため』として、同派の解散に言及したのです。しかし、他派閥のありようについては『何か申し上げる立場にない』とも述べています」(政治担当記者)
今後、派閥はどうなるのか。自民党議員秘書は「派閥解消の流れが加速するのではないでしょうか。派閥維持を唱えれば『守旧派』のレッテルが貼られて、悪者扱いされそうです」という。一方、政治アナリストの伊藤惇夫氏は「派閥は解消されたように見えても『勉強会』などに形を変えて、維持・結束することがあります。どこまで解体されるのか、見極めが必要です」と指摘する。
派閥がなくなることにより大きな影響が出そうなのが、2024年9月に予定されている自民党総裁選である。
「派閥の力の源泉のひとつが、派閥から総理総裁を輩出することです。派内が分裂して一本化しないこともありますが、定石では派閥のトップが候補者になり、一致団結します。しかし派閥がなくなれば、この“縛り”がなくなるので、各議員はフリーハンド、自由意志で投票するようになります。そうすると、世論調査や地元有権者の意見などを無視できなくなるので、“どんでん返し”が起きる可能性は高くなります」(自民党関係者)
その“恩恵”をもっとも受けると見られているのが、石破茂元党幹事長だという。たしかに、石破氏は世論調査でつねに「次の総理大臣候補」のトップになっている。そのため、これまで4回挑戦した総裁選では、党員党友による地方票ではトップになることはあったものの、派閥単位の応援が得られず、国会議員票が伸びずに苦杯をなめていた。
自民党議員からは「後輩の面倒見が良くない」「一緒に飲んでも政策論ばかりでおもしろくない」などの評価はあるが、派閥がなくなることにより“悲願”が達成するかもしれない。伊藤氏は「自民党がどこまで追い詰められているか次第でしょう」という。
「自民党が、政権から転がり落ちるほど危機的な状況であれば、石破氏に限らず国民的人気が高い候補者を選ぶことも考えられます。そうでなければ、派閥がなくなっても残る“派閥力学”のようなものが働き、従来のような総裁選になると思います」
派閥解散は、ポスト岸田にも大きな影響を及ぼしそうだ。
●メジャー・ダルビッシュ有投手 5000万円を能登半島地震義援金として寄付 1/19
メジャーリーグ・パドレスのダルビッシュ有投手が、能登半島地震の義援金として5000万円を寄付しました。
19日、ダルビッシュ有投手の弟・賢太さんが大阪府の吉村知事に目録を手渡しました。
賢太さん「よろしくお願いします」
大阪府 吉村洋文知事「ありがとうございます」
ダルビッシュ投手は大阪府羽曳野市出身で、先週、家族を通じて市に相談し、「大阪府義援金」への5000万円の寄付が決まったということです。
目録を受け取った吉村知事は「全額、被災地にお気持ちと一緒に届けます」と話しました。
ダルビッシュ投手は「全ての被災者の方に心よりお見舞い申し上げます。1日も早い復旧、復興を心から願っています」とコメントしています。
ダルビッシュ投手は2011年の東日本大震災の際にも、5000万円を被災地に寄付しています。
●萩生田氏は“わきまえない男” 安倍派幹部「立件断念」で裏金を演説ネタに 1/19
「東京地検に連れていかれることはございません」──裏金捜査をネタに「つかみはOK」だ。自民党の派閥パーティー裏金捜査を巡り、刑事告発された安倍派幹部7人全員の「立件断念」報道を受け、萩生田前政調会長が堂々と勝利宣言。支援者に軽口を叩き、悦に入っても、まだまだ「無罪放免」とはいかない。
萩生田氏の地元・八王子市は現在、市長選の真っ最中だ。21日の投開票に向け、萩生田氏は自公推薦の元都庁職員・初宿和夫氏(59)を猛プッシュ。萩生田氏の大放言は16日夜、初宿陣営が寺の集会所で開いた個人演説会で飛び出した。
応援弁士として「政治資金問題で地元の皆さまにご心配をかけて申し訳ない」と自ら裏金ネタを前振り。「しっかり襟を正して、やり直していく」と決意を語ったが、神妙な顔つきはここまで。
「そうは言ってもワイドショーを見ていると、だんだん私の写真が(疑惑議員の)真ん中に寄ってきて」
悪びれもせず言ってのけ、会場の笑いを誘うとニンマリ。「『大丈夫か』と街の中でみんなが話していたのだろうと思いますが、そういう問題ではなくて『修正をきちんとする』ということになっております」と、東京地検特捜部との「手打ち」までにおわせ、冒頭のように断言したのだ。
現場を取材したジャーナリストの横田一氏が言う。
「萩生田氏の支援者30〜40人が参加した『ミニ集会』の雰囲気でした。身内だらけで気を許したとはいえ、反省ゼロです」
捜査対象者にここまで軽口を叩かれるとは特捜部もナメられたものだが、「今週に入り、安倍派幹部が次々と検察が作成した供述調書に署名しているようです」とは政界関係者だ。萩生田氏も「一件落着」と安堵しているのだろう。目下の懸念の地元市長選でも心強い援軍が現れた。小池都知事が19日、初宿氏の応援演説に駆け付ける。
「対立候補で立憲や共産などが支持する滝田泰彦氏(41)は、小池知事が特別顧問を務める『都民ファーストの会』の元都議。小池知事の裏切りは、昨年の江東区長選で子飼い候補を自公に推薦してもらったバーターともっぱら。自民党都連会長の萩生田さんが裏で糸を引いたとも言われています」(都政関係者)
政敵だった“女帝”と握り、萩生田氏は「勝ったも同然」と思っているかも知れないが、裏金事件の逆風は収まっていない。不起訴になっても検察審査会の「市民感覚」による判断が待ち受け、加えて萩生田氏は他の幹部とは立場が大いに異なる。
都連会長として新たに政治告発された身
自民党都連でも政治資金パーティー収入の不記載が発覚。今月2日には都連会長の萩生田氏ら3人が、政治資金規正法違反容疑(不記載など)で東京地検に刑事告発された。都連の手口は安倍派とソックリで、告発した神戸学院大教授の上脇博之氏は〈大胆な不記載は代表者抜きに行えるものではない〉と告発状で萩生田氏と会計責任者らとの共謀の可能性を指摘。
つまり、萩生田氏だけは立件の判断が、まだ残っているのだ。
「安倍派内では裏金の使途として先輩議員への上納疑惑がくすぶっている。唯一、逮捕された衆院議員の池田佳隆容疑者は萩生田氏の弟分。彼の供述内容から、より大きな事件に発展する可能性もあり得ます」(横田一氏)
自分の立場をわきまえれば、萩生田氏は笑っている場合ではない。
●「キックバック再開」関与を否定 安倍派の現・前事務総長 派閥パーティー 1/19
自民党安倍派の高木毅事務総長と前事務総長の西村康稔前経済産業相は19日の記者会見で、同派による政治資金パーティー収入のキックバック(還流)再開への関与を否定した。
パーティー収入裏金化事件では、同派が2022年に還流廃止を決めた後、再開した経緯が焦点となっていた。
高木氏は「私は関わっていない」と明言。西村氏も「還付(還流)や政治資金収支報告書への不記載を指示したり了承したりしたことはない」と述べた。西村氏は事務総長在任中の22年4月ごろ、当時派閥会長だった安倍晋三元首相から「還付はやめよう」と聞いたことを明らかにした。
西村氏は21年10月から事務総長を務め、高木氏が22年8月に引き継いだ。 
●森喜朗元首相の意向は否定…安倍派幹部会見、キックバックの説明避ける 1/18
自民党安倍派(清和政策研究会)は19日、政治資金パーティー裏金事件を受けて派閥を解散する方針を決めた。
同日夜、塩谷立座長と高木毅事務総長が党本部で記者会見し、「清和研を解消するということを決定した」と述べた。
会見前の臨時議員総会に出席した60人超のうち、発言した20人のほとんどが解散を主張したという。会合では、18日に岸田文雄首相が岸田派の解散に踏み込んだ話題はほとんどなかったというが、塩谷氏は岸田派の解散について「影響があったと思う。あれで加速化したと思う」と述べ、岸田派の動向が影響したことを認めた。
1979年(昭54)に前身の清和会が立ち上がってからの歴史を持つ清和研の解散について「閉じるのは断腸の思いだが、また新たなスタートをするためには区切りとしてけじめをつけないといけない」と述べた。
一方、キックバックがいつから始まったかについては「分からない」と述べ、2022年に1度廃止を決めた後、所属議員の抗議を受けて復活させたと報じられていることについても、「今後裁判があるのでお話は控えたい」と明言を避けた。キックバックについては「若い人に活動費として還付するということはプラスになる仕組みと認識していた。これまで不記載できたというのは事件で初めて知った」と述べた。不記載となった還付金については「税務申告はまったくしていないと理解している」と述べた。
派閥トップとして、今回の問題について詳細に説明するのは、昨年12月19日の派閥事務所への強制捜査後、今回が初めて。キックバックが始まった時期や経緯、本当に「会長案件」だったのか、1度ストップをかけようとしたのは安倍晋三元首相だったのかなど、具体的な説明を求める質問が相次いだが、塩谷氏は「今も捜査が続いており裁判も続く」として、具体的な説明は避け続けた。
一方で、キックバックが森喜朗元首相の会長時代に始まった可能性や森氏の意向があったのかとの問いには、塩谷氏は「全くありません」と明確に否定した。
●自民党安倍派 派閥解散の方針を決定 政治資金めぐる事件で 1/19
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて、「清和政策研究会」=安倍派は派閥の解散を決めたと発表しました。
安倍派は19日夜、党本部で座長を務める塩谷 元文部科学大臣や「5人衆」と呼ばれる有力議員で、事務総長の高木 前国会対策委員長、常任幹事会のメンバーの松野 前官房長官らが出席しておよそ1時間半、議員総会を開き、派閥を解散する方針を決めました。
このあと、塩谷氏と高木氏が記者会見し、塩谷氏は「長年にわたる事務的なミスリードにより、議員の所属事務所に誤った処理をさせたことに対して幹部としておわびする。あたかも違法な支出のために裏金づくりをしたと報道されていることに対し、議員たちは心を痛めているが、決して不正な使い方をしたわけではないと思う」と述べました。
その上で、「清和政策研究会の総会を開き、今回の経緯について説明をする中で、われわれ幹部の責任のとり方や派閥の今後について十分に意見をいただき、結果的に清和政策研究会を解消することを決定した。発言したほとんどの議員が派閥解消を主張した」と述べました。
そして、「誠に残念で断腸の思いだ。しかし、国民に対して政治の信頼を大きく失った責任などを考えたとき、派閥を解散することが再スタートになるのではないかという多くの意見があった。区切りとして、けじめをつけなければならない」と強調しました。
また、議員へのキックバックについては「いつ、どういう形で始まったかはまったく分かっていない。収支報告書への不記載もまったく知らなかった。派閥内で具体的に問題にしたことも一切なかった」と述べました。
このほか、塩谷氏と高木氏はみずからの議員辞職や離党については否定しました。
世耕 前参議院幹事長「約1540万円バック 心からおわび」
自民党安倍派の「5人衆」と呼ばれる有力議員で、常任幹事会のメンバーの世耕・前参議院幹事長は記者会見で、2018年からの4年間でおよそ1540万円のキックバックを受けて政治資金収支報告書に記載していなかったと明らかにしました。
その上で、「政治資金の管理については秘書に任せきりの状況となっていた。長らく把握できなかったことについて、私の管理監督が不十分であったという指摘は否定できない。国民の皆様の政治不信を招き、関係者に多大なご迷惑をおかけしていることを心からおわびを申し上げたい」と陳謝しました。
高木 前国会対策委員長がコメント「心よりおわび」
安倍派の「5人衆」と呼ばれる有力議員で、事務総長を務める高木・前国会対策委員長は「国民に多大な政治不信を招き多大なご迷惑とご心配をおかけし心よりおわび申し上げる。
今後、できる限り速やかに収支報告書を訂正すべく関係者と相談していく。報告書の記載は適切になされていると考えていたが、結果としてこのような事態になってしまったことは猛省し、再発防止を徹底していく」というコメントを出しました。
西村 前経産相 「長年の慣行 私たちは関与することはなかった
安倍派の「5人衆」と呼ばれる有力議員で、元事務総長の西村・前経済産業大臣は記者会見で、「国民の政治への信頼を損ない、政治不信を招いたことを幹部の1人として深くおわび申し上げたい」と陳謝しました。
その上で、派閥側から議員側へのパーティー収入のキックバックについて、「歴代会長と事務局長との間で、長年、慣行的に行われ、私たちは関与することはなかった。収支報告書に記載がないことも今回の問題が表面化するまで知らなかった」と釈明しました。
また、2022年までの5年間で100万円のキックバックを受けていたことを明らかにした上で、裏金などの目的ではなかったと説明しました。
その上で、「私が還付や収支報告書への不記載を指示したり了承したりしたことはない。おととし8月に経済産業大臣に就任して以降、この話について幹部と話したことはない」と述べました。
一方、記者団から、今回の件を受けて総理大臣を目指す考えに変わりはないか問われ、「いまはしっかり誠実に説明責任を果たすことで頭がいっぱいなので、その後のことはまったく考えていない」と述べました。
下村 元政調会長「国民の不信増長 派閥解散は当然」
安倍派の下村元政務調査会長は記者団に対し、「多くの同志の議員がいるが、国民の大きな失望とともに、不信を増長させた責任をとらなければならない。派閥の解散は当然で、きょう、決めるべきだと私も話をした。国民の信頼を回復できるよう、派閥を解散して終わりではなく、私自身も説明責任を果たしていきたい」と述べました。
柴山 元文部科学相「残念だがやむをえない」
安倍派の柴山元文部科学大臣は記者団に対し、「解散は非常に残念だが、やむをえない。私自身も『解散はやむをえない』と発言した。きょう、派閥の存続を訴えた議員は皆無だったと思う。政治のあり方を抜本的に改めなければならず、私自身も含めてしっかりと肝に銘じたい」と述べました。
宮下 前農林水産相「『解散すべし』が圧倒的」
安倍派の宮下前農林水産大臣は記者団に対し、「解散が決まったことは大変残念だが、いたしかたない。多くの議員が『解散すべし』と発言し、反対意見はなかった。検察による捜査も踏まえたうえで、『解散すべし』という意見が圧倒的になったのだと思う」と述べました。
衛藤征士郎 元衆議院副議長「もっと早く説明すべきだった」
安倍派の最高顧問を務める衛藤征士郎 元衆議院副議長は記者団に対し、「解散は当然だ。ほぼ全員が解散すべしという意見だった。まず解散して、国民に政治不信を引き起こしたことに心からおわびと反省をし、政治の信頼を取り戻すために出直そうということだ」と述べました。
また、「今夜の会合では派閥幹部から『大変責任を感じている』とおわびがあったが、もっと早く事実を説明し、対応しておくべきだった。派閥からの資金の還流を知らない議員もいるし、それに対する説明が全くないまま、きょうを迎えたので、みんな大変、困っている」と指摘しました。
福田達夫 元総務会長「政治不信つくった けじめをつける」
安倍派の福田達夫 元総務会長は記者団に対し、「解散は最低限の判断で、国民に大きな政治不信をつくったことのけじめをつけるということだ。政治は国民の信頼がなければ動けないという原点に戻った上で新しいものをつくっていく」と述べました。
また、記者団から「清和政策研究会」を立ち上げた祖父の福田赳夫 元総理大臣の墓前にどう報告するかと問われ、「墓前に報告するまでもない。たぶん見ている」と述べました。
宮沢博行 前防衛副大臣「解散は当然のこと」
パーティー券収入のキックバックについて、かつて、派閥から「収支報告書に記載しなくてもよい」と指示があったことを明らかにしていた安倍派の宮沢博行・前防衛副大臣は記者団に対し、「派閥の解散は国民のみなさんへのけじめとして必要で、当然のことだと思っている。国民のみなさんに改めておわび申し上げる」と述べました。
また、総会での議論について、「還流が始まったことへの説明はほとんどなく、『慣行だった』という言い方だった。幹部に対して、『経緯について、自分の口で話すことが国民に対する説明責任ではないか』と申し上げた」と述べました。
杉田水脈 衆院議員「非常に悲しく寂しいような気持ち」
安倍派の杉田水脈 衆議院議員は「当選以来、お世話になった派閥なので、解散と聞くと非常に悲しく寂しいような気持ちだが、国民が不信を抱いてしまっている以上、信頼回復に向けて、まずはゼロからやり直すという意味で、これがいちばんではないか」と述べました。
その上で、自身についても、派閥からパーティー券収入のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかった可能性があるとして、派閥側での確認が終わり次第、説明する考えを示しました。
菅家一郎 衆院議員「幹部は責任持って対応すべき」
安倍派の菅家一郎衆議院議員は記者団に対し、「派閥を解散するというけじめをつけることは、国民の信頼を失ったことへの対応として分かりやすい。ただ、解散することによって責任を放棄するのではなく、今後、収支報告書の訂正などに幹部はしっかりと責任を持って対応すべきだという意見も出た」と述べました。
野上 参院国対委員長「大きな政治不信を招き心からおわび」
自民党安倍派の事務総長代理を務める野上 参議院国会対策委員長は記者団に対し、自らの事務所が2019年からの3年間で100万円分のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかったことを明らかにした上で、「大きな政治不信を招き申し訳なく、心からおわび申し上げる」と述べました。
その上で、今後も参議院国会対策委員長を続ける考えか問われたのに対し、「役職については関係者としっかり協議していきたい」と述べました。
橋本 元五輪相「政治不信を招いたこと深く反省」
自民党の橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣は記者団に対し、「政治不信を招いたことを深く反省している。派閥を解散したからと言って終わりではないので、しっかりと改革の方針を打ち出していかなければならない」と述べました。
その上で、自らの事務所が派閥から2057万円のキックバックを受けとったとした上で、「非常に反省しなければいけない。説明責任をひとつひとつ果たしながら、政治活動を続けていく中で、しっかりと責任を取っていきたい」と述べました。

 

●能登半島地震 石川県の住宅被害が3万戸を上回る 1/20
能登半島地震による石川県の住宅の被害は、20日午後2時の時点で3万1659戸と初めて3万戸を上回りました。
石川県の調べによりますと、住宅被害は前の日に比べて1800戸余り増えました。
これまで被害が大きい輪島市と珠洲市で損傷した家屋を把握できていないため多数としていましたが、20日に初めて輪島市が870戸の被害を発表しました。
まだ珠洲市で住宅被害の数を把握していないことや輪島市でも全容の把握が済んでいないことから、住宅被害の件数はまだまだ増えることが予想されます。
●石川県 能登半島地震の死者名を新たに公表 遺族同意の10人 1/20
石川県は、能登半島地震で亡くなった方のうち、遺族の同意が得られた10人の氏名や年齢などを20日新たに公表しました。
内訳は珠洲市が5人、金沢市が3人、輪島市と能登町がそれぞれ1人で、男性が7人、女性が3人です。
年代別で見ると10代未満が1人、20代が1人、40代が1人、60代が1人、70代が3人、80代が2人、90代が1人で、死因はいずれも家屋倒壊でした。
石川県内では20日午後2時の時点で、232人の死亡が確認されていて、このうち氏名などが公表されたのは今回で合わせて103人となりました。
103人の死因の内訳は家屋倒壊が91人、土砂災害が8人、津波が1人、非公表が3人となっています。
県はほかの亡くなった方についても、遺族の同意が得られれば、随時、公表するとしています。
●能登半島地震 被災地の広い範囲で雨 土砂災害に十分注意を 1/20
最大震度7を観測した能登半島地震の被災地では広い範囲で雨が降る見込みです。揺れの強かった地域では地震で地盤が緩んでいるため、少ない雨でも土砂災害が発生するおそれがあり十分注意してください。
気象庁によりますと、21日にかけて、前線を伴った低気圧が発達しながら本州の南岸を東寄りに進み、前線や低気圧に向かって湿った空気が流れ込む見込みです。
このため、西日本から東日本の太平洋側を中心に、21日にかけて大気の状態が非常に不安定になり、局地的に雷を伴って激しい雨が降るほか、関東甲信の山沿いを中心に、20日夜から大雪になるおそれがあります。
能登半島地震の被災地でも広い範囲で雨となり、その後も雨や雪の降る日が続く見込みです。地震の影響で地盤が緩んでいるところがあるため、少しの雨でも土砂災害に十分注意が必要です。
また、日中もあまり気温が上がらず、午前11時までの最高気温は輪島市で8度、珠洲市で7度、金沢市で6.1度などとなっています。
避難生活の長期化で体調を崩す人が相次ぎ、「災害関連死」の疑いで亡くなった人も確認されています。引き続き、低体温症に注意して、家族や周りに体調を崩している人がいないか声をかけあい、毛布などで体を暖めたり定期的に体を動かしたりするなど、体温が下がらないよう対策を心がけてください。
地震活動も引き続き活発
また、気象庁によりますと、能登地方やその周辺を震源とする地震は徐々に減少しているものの、地震活動が活発な状態が続いています。
19日も石川県で震度4の揺れを観測する地震があり、20日午前8時までに震度1以上の揺れを観測した地震は1475回に上っています。
気象庁は今後2、3週間ほどは最大震度5強程度か、それ以上の揺れに注意するよう呼びかけています。
●裏金事件の処分 国民は到底納得できない 1/20
組織的な裏金づくりが疑われながら、ほとんどの国会議員が不問になった。国民は到底納得できないだろう。
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で東京地検特捜部はきのう、政治資金規正法違反の罪で関係者を一斉に処分した。パーティー券の販売ノルマ超過分を議員にキックバック(還流)して裏金にしたとされる安倍派をはじめ、二階派、岸田派の会計責任者らと、安倍派の議員2人を立件した。
政界を揺るがす事件の捜査は一つの区切りを迎えることになる。だが、疑念が拭えたとは言えない。
違和感を禁じ得ないのは、安倍派の実力者「5人組」ら幹部議員が立件されなかったことだ。実務を取り仕切る事務総長経験者らもいるが、特捜部の任意聴取に対し、還流分が政治資金収支報告書に記載されなかったことは「知らなかった」と説明したとされる。特捜部も共謀を認めるのは困難と判断した。
最大派閥の安倍派では裏金づくりが長年の慣習で、所属議員99人の大半が還流を受けたとされる。直近5年間で裏金は6億円規模に上る可能性がある。組織ぐるみだったのは疑いようがあるまい。さらに2022年4月には、安倍晋三元首相の意向で還流の取りやめが決まり、同7月の安倍氏の死去後に幹部らが協議して、取りやめの方針を撤回する経緯をたどっている。
こうした内情に精通するはずの幹部が十分に説明していない。そもそも幹部でありながら「知らなかった」との説明には、大きな疑問がある。
安倍派幹部らの立件が見送られた背景には、政治資金規正法の構造的な問題もあろう。規正法では罰則の対象を会計責任者と定めている。政治家が罰金以上の刑を受けると公民権が停止されてダメージが大きいため、議員を立件するには具体的な指示や了承を立証する必要があって、ハードルが高いとされる。
それでも元東京地検特捜部長が「金を使っているのは議員なのに罰則の対象は事務方だけなのはおかしい」と指摘するのは理にかなった考えだと言えよう。事件を受けて与野党は議員も連帯責任を負う「連座制」の導入など罰則強化を検討している。事務方に責任を押し付ける「トカゲのしっぽ切り」のような仕組みは直ちに改める必要がある。
刑事処分が出たとはいえ、安倍派では複数の幹部らが派閥から1千万円超を受領したとされている。参院選がある年には改選対象の議員に販売ノルマ分と超過分を合わせた全額を還流して裏金にしていたとみられる。疑惑を抱えた議員は国民に説明を尽くさねばならない。
自民党は主体的に実態解明に取り組むことが求められる。なぜ裏金が必要だったのか、何に使ったのか―。自らで全容を明らかにしない限り、失った信頼は取り戻せないと自覚すべきである。
●岸田総理、「万事休す」と見せかけて…岸田派解散で「逆襲」が始まりそう 1/20
名門派閥の終わり
岸田文雄首相は1月19日、自身が会長を務めた宏池会の解散を宣言した。派閥事務所も廃止するため、故・池田勇人首相によって1957年に設立され、4人の首相を輩出した保守本流の名門派閥は、その歴史に幕を閉じることになる。
一昨年11月のしんぶん赤旗の報道をきっかけに、自民党派閥のパーティー券をめぐる一連の問題は、自民党の全ての派閥に広がった。最大派閥である清和会では、4000万円以上もの高額のキックバックを受けた3名の議員のうち、1月7日には池田佳隆衆院議員(自民党を除名)が逮捕され、19日には大野泰正参院議員が在宅起訴、谷川弥一衆院議員が略式起訴された。谷川氏に至っては、議員辞職を仄めかしている。
もっとも東京地検特捜部はさらに上層部を狙い、「5人衆」と呼ばれる清和会の幹部にも迫ろうとしたが、会計責任者の責任を規定する政治資金規正法では因果関係の立証は困難なために、やむなく断念したようだ。
なお6億円の裏金が発覚した清和会の会計責任者と2億円の裏金が発覚した志帥会の元会計責任者は在宅起訴、3000万円の裏金が発覚した宏池会の元会計責任者は略式起訴された。志帥会会長の二階俊博元幹事長の秘書も、3000万円の裏金問題で立件されている。
結果的には大山鳴動して鼠一匹という印象だが、岸田首相はなぜいま、宏池会の解散を決意したのか。それを解くキーワードは、岸田首相が繰り返して口にする「信頼回復」だろう。
まさかの支持率回復
新年に入り、岸田内閣の支持率が上昇している。共同通信の調査によれば、前回比5ポイント増の27.3%となり、NHKの調査でも26%と、前回比3ポイント増えている。個別面接方式で行われるため、よりきめ細かな数字が出るとの定評がある時事通信の調査でも、内閣支持率は18.6%と、前回から1.5ポイント増加した。しかもいずれの調査でも、不支持率は減少している。
だがこれらをもって、「岸田内閣の支持率が下げ止まった」と即断するわけにはいかない。
理由はこれら調査の数字には、1月1日に発生した能登半島地震の影響が見られるからだ。一般的に危機の際には、政権の支持率は上昇しやすい傾向にあるようだ。たとえば2011年3月に発生した東日本大震災を境にして、NHKによる調査を見ると、当時の菅直人内閣の支持率は2月には21%だったが、4月には27%、5月には28%と上昇している(震災が発生した3月のデータはない)。
しかしすでに始まっていた「菅降ろし」は止めることができなかった。西岡武夫参院議長(当時)が5月に読売新聞に菅首相の退陣を求めて寄稿し、与党・民主党内からも菅政権への不信任の動きが活発化。7月の内閣支持率は16%まで下落し、菅首相は8月27日に退陣することを表明した。
政権の延命を望む岸田首相なら、これと同じ轍は踏みたくないと思うはずだ。だが政治刷新本部を結成してみたものの、前述の時事通信での世論調査では68.3%が「期待しない」と回答。自民党支持層でも58.6%が「否定的」という結果が出ている。
何をやってもダメならば、いっそ派閥を解消した方がいいと岸田首相は決意したのではないか。ちなみに昨年12月13日の総理会見で、筆者の「派閥を解消すべきでは」との質問に対し、岸田首相は「自民党に対して、政治に対して、様々な厳しい声があることは承知している。
そうした声に応えて、自民党の信頼回復に務めなければならない」と述べたが、「事実の確認、説明のプロセスが求められると思っている」と明確な回答を避けている。
肉を斬らせて骨を断つ
それから1か月余りを経て、岸田首相が宏池会解散を決意したのは、9月の総裁選に向けて自らを引き下ろそうという勢力を牽制する意味もあったのではないか。
実際に党内では2024年度本予算が成立後、岸田内閣が総辞職して次期政権と交代すべしとの声が出ていた。「岸田総裁では、自民党は衆院選は戦えない」というのが彼らの主張だが、岸田首相が自ら辞任するはずがないし、そもそも自民党には総裁を辞任させる規定が存在しないのだ。
要するに岸田首相は総裁任期が満了する9月までその地位に居座ることができるが、問題はその後だ。もし権力を維持し続けたいのなら、自分の側近を後継者に据えるという策もある。森喜朗元首相はそのために、総裁選での地方票の比重を重くし、2001年4月の小泉純一郎首相のドラマティックな誕生に一役買ったのだ。
だが岸田首相にはそのような考えはなく、自ら続投することしか頭にないのではないか。昨年12月に宏池会を離脱すると宣言したが、岸田首相が事実上の宏池会のトップであることに変わりはない。そして派閥への批判が強い中で宏池会を解散すれば、他派閥も解体せざるをえなくなる。
人事とカネを握る派閥がなくなれば、党への権力集中がいっそう進む。自民党の総裁でもある総理大臣は、外部の声を聴くことなく自由に人事を行える。
「総理になったら、人事をやりたい」と述べた岸田首相は、ある意味で権力の真髄を熟知しているといえる。その権力のために先人たちが育て上げ、自らを育んだ宏池会ですら解消しようという岸田首相は、歴代最高にしたたかさと非情さを兼ね備えた総理大臣ではないだろうか。
●なぜ裏金問題が続出しても自民党は支持されるのか…立憲に足りないもの 1/20
NHKが1月15日に更新した世論調査によると内閣支持率は先月よりも3ポイントアップの26%。一方、不支持率は2ポイント下がって56%だった。昨年12月に発覚した自民党派閥が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していたことが、連日メディアで報じられたことで大幅な支持率下落が予想されていたが、結果的には信頼回復に向かっている。「今年の野党が果たすべき責任は大きい」と期待はされるものの、国民からイマイチ支持されない立憲民主党に“足りない”要素を政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏が指摘する。
2つの選挙は「自民の強さ」と「立憲の弱さ」を証明したのか?
世論調査の結果を見ると「自民党は依然として強い」というよりは、「野党第一党である立憲民主党が頼りない」という見方ができる。立憲は支持率5.3%となかなか二桁台に乗らない渋い状況が続いており、2023年12月に東京都で実施された江東区長選、武蔵野市長選では、いずれも立憲が推薦した候補者は自民党推薦の候補者に負けている。
とりわけ武蔵野市長選は昨年12月24日に行われ、裏金問題に伴う自民党バッシングがヒートアップ中で、立憲側からすれば、いわば“ボーナスステージ”だった。わずか339票差の接戦だったとはいえ、千載一遇のチャンスを逃したことを鑑みると、立憲の期待感の低さを感じずにはいられない。なぜ与党の問題が止まらないにもかかわらず立憲は支持を集められないのだろうか。
永田町で長年取材活動をしているジャーナリストの鈴木哲夫氏にその理由を聞いた。
まず江東区長選、武蔵野市長選での立憲の敗戦について、「東京都は小池百合子都知事の存在感が強い特殊な地域です。この2つの選挙結果から単純に『立憲が負けた』と決めつけてはいけません」と釘を刺す。
「江東区長選では与党の推薦を受けて元東京都政策担当部長の大久保朋果氏が出馬しましたが、都民ファーストの会も一緒に推薦しています。都ファは自民党の“天敵”だった小池知事が創設した政党であったのに、これまでは相容れなかった自民党と手を組むという異常事態が起きました。
都ファ所属の都議からその裏側を聞くと、江東区長選に向けて元都議擁立の準備などを進めていたようですが、幹部会で小池知事から『自公と一緒にやる』『大久保氏は都庁女性幹部として頑張って働いてきたいい候補であり、自公と手を組むくらい別にいいではないか』と突如言われたそうです。当然『自民党とは一線を画すべき』と反対の声もあったそうですが、知事の声は天の声。結局は与党と都ファが手を組む構図が決まりました」
江東区長選では“自民色”を消して“小池色”を前面に押し出して大久保氏が勝利した。ただ、武蔵野市長選では同様の動きは見られなかったが、鈴木氏は「都ファから候補者を出さずに“自公と野党がそれぞれ推薦する候補者の一騎打ち”という状況を作り、間接的に自公に協力しました」と語った。
自民党と都民ファーストは今後も共闘?
そもそも、小池知事が自公と組んだ背景は何なのか。鈴木氏は「前出都議によると『2024年7月に行われる知事選を見据えているのかもしれません。小池知事が出馬するかはまだ明らかになっていません。しかし、出馬とすれば自民党と協調路線にして対立候補擁立を出さないようにしてもらう狙いがあるのではと話しています』と口にしていました」という。
「しばらくは自民党と都ファの協力は続くかもしれません。そのほうが自民党にとって好都合なので。というのも、自民党東京都連の衆議院議員は『岸田政権の影響によって2023年9月の立川市長選、10月の立川都議補選、11月の青梅市長選、と自民党は3連敗しました。東京都における自民党の組織力をこれ以上弱体化させないため、小池知事とは今後も協力関係をとっていくかもしれない』と話していました」
都ファという新たな“仲間”を加えたことにより、自民党の巻き返しは加速しそうではあるが、鈴木氏は「武蔵野市長選は僅差の勝利であり、やはり自民党の逆風は依然として強いと思います」という。
   立憲が消費税減税に後ろ向きなワケ
次に立憲について聞くと、鈴木氏は「少しずつですが支持率は挽回してきています」と答え、より一層信頼を集めるために必要なこととして「与党が絶対にできない政策を立てればいい。例えば、消費税減税。自民党は財務省や厚労省など霞が関と親密なため、消費税減税は絶対できません」と説明。
時事通信が2023年11月に発表した世論調査によると「消費税減税に賛成」(57.7%)という回答は5割を上回るなど、消費税減税を求める国民は多い。ただ、立憲の泉健太代表は2023年11月下旬、都内の講演に出席した際に消費税減税について「選挙の政策はその時の経済状況を見て判断する」と発言するなど、後ろ向きな姿勢を見せている。
自民党には打ち出せず、国民が望む消費税減税を掲げない手はないように思える。しかし、現実には消費税減税を前面に押し出さない背景があり、「ある立憲のベテラン議員は『泉代表は党内の重鎮である野田佳彦元総理や岡田克也氏などに気を遣っている。野田氏らは財務省にも近く消費税は触るべきではないと考えているため、泉代表はその決断ができない』と言っていました」という。立憲も自民党と同じで、官僚に配慮するあまり、国民が望む政策を推進できないようだ。
カギはメディアを味方につけられるか
泉代表としても言いたいことも言えずに苦慮しているのだろう。それでも、野党第一党の代表としてリーダーシップを発揮してほしいところだが、2023年11月に法政大学で公演した際に「5 年で政権交代を考えている」と口にしている。この発言に落胆した人は少なくない。
なにかと後ろ向きな発言が目立つ背景として、「『5 年で政権交代を考えている』と発言した後に『前回(2021年)の総選挙で僕らが150議席を獲っていれば、次は当然政権交代と言いたい。もう一回再生していくには手順が必要。そういう意味で5年。次の総選挙でしっかりと基盤を築いて、ホップ、ステップで(政権を)獲れる。そういうものを目指している』と続けています。
前後までしっかりチェックすると『参院選も段階的に考えている』という、ある意味で筋が通っている内容でした。とはいえ、それを取り上げる際には、メディアは必ずこの『5年』を切り取り、『次の選挙では政権を獲る気はないのか』と書かれます。本人も気を付けていたため、前後でちゃんと説明していたと思うのですが、それでも切り取られました。この『5 年で政権交代を考えている』という発言の報じられ方からもわかる通り、立憲としては“コミ戦(コミュニケーション戦略)”が必要であり、党内でコミ戦部隊をしっかり作っていかなければいけません」
「今年の野党が果たすべき責任は大きい」
先月、元外相の田中真紀子氏は YouTube チャンネル『たかまつななチャンネル』に出演した際、政治の健全化のために「嫌でも野党に投票するしかない」と話していた。とはいえ、立憲の支持率は一桁台。政権交代するために必要な戦略は何なのか。
「政権交代と聞くと『政策もバラバラな野党が上手く共闘できるのか?』という疑問が浮上します。ただ、政権交代が起きた1993年では、8党派からなる細川連立政権が誕生しましたが、当然8党派の政策が全て一致するのは無理です。しかし、最も大きな“非自民党”のただ一点では一致しました。『一度長く続いた支配を終わらせて自民党にお灸を据えよう』という意識が広がって政権が変わりました。今回もそれで行くべきです」
政権交代で立憲が足りないもの
最後に政権交代を目指すうえで立憲に足りていない要素を聞くと「したたかさ以外にありません」とキッパリ。
「1993年に政権を奪取された自民党は翌年、対立が目立っていた自民党・社会党・新党さきがけと手を組み、“自社さ連立政権”という考えられない組み合わせで政権復帰しました。自社さ連立政権では、自民党は議員数が一番多かったのですが、社会党の村山富市氏を総理として担いで裏方で支える、という“したたかさ”を見せました。野党は立憲の議員数が一番多く、野党結集のためにかつての自民党同様に立憲がバックヤードに回り、他の野党を前に出してまとめる“したたか戦法”があってもいいかもしれません」
続けて、「政治に大きな2つの勢力が緊張感を持って対立することで初めて、権力は国民の声を丁寧に聞きます。今年の野党が果たすべき責任は大きい」と語気を強めた。裏金問題が発覚した幹部議員の立件が見送られるなど、もはや政治の歪みは禁じ得ない。もう一度お灸を据えるためにも野党、とりわけ野党第一党の立憲は例年以上に存在感を見せなければいけない。
●自民党3派閥が「解散」 安倍派「心よりおわび」 涙する二階派議員も 1/20
自民党の3つの派閥に対し一斉に刑事処分が出された“裏金事件”。岸田派、二階派に続き、19日夜、最大派閥「安倍派」の“解散”も決まりました。派閥の解散を受け声を上げ、涙する議員も…。
19日夜、自民党・安倍派の緊急議員総会が開かれました。
自民党・安倍派 塩谷座長「心より深くおわびを申し上げる次第でございます」
裏金事件で逮捕者も出した安倍派。どのようなけじめをつけるのでしょうか。
自民党・安倍派 宮沢博行議員(先月13日)「大丈夫かなとは思いました。しゃべるな! しゃべるな! これですよ」
そこには、派閥から収支報告書に記載しないよう指示を受けたなどと暴露した宮沢博行議員の姿もありました。総会が終わり、出てくると…
自民党・安倍派 宮沢博行議員「国民のみなさんのけじめとして、これは必要当然のことだと思っています。自分たちで腹を切って、そして介錯がある。それでいいのではないでしょうか」
安倍派が出した結論は、約100人が所属する自民党最大派閥の解散です。
自民党・安倍派 塩谷座長「結果的に清和研(安倍派)を解消すると決定させていただきました」
その“引き金”となった派閥のパーティー券をめぐる裏金事件。収支報告書への約5100万円の不記載で「在宅起訴」された大野泰正議員が19日夕方、カメラの前に現れました。
自民党・安倍派 大野泰正議員「経理面につきましては、全て事務所スタッフに任せておりました。私としましては、検察との間の意見の相違がございますので、裁判においてしっかりと自らの主張をしてまいりたいと思います。やましいことはございませんので」
自民党を離党しましたが、議員辞職は否定しました。
もう1人、議員で立件されたのが谷川弥一衆院議員です。不記載額は約4300万円に上ります。
自民党・安倍派 谷川弥一衆院議員(先月10日)「だから、今言った通りって言ってるでしょ、今言った通りって」
「略式起訴」された谷川弥一議員は自民党を離党し、議員辞職する意向も固めています。
谷川弥一議員のコメント「国民の皆様ならびに長崎県民の皆様に深くおわび申し上げます」
東京地検特捜部は、大野議員と秘書の岩田佳子氏を「在宅起訴」。谷川議員と秘書の三宅浩子氏を「略式起訴」としました。
そして、収支報告書に記載のないパーティー券収入の総額が約6億7000万円の安倍派の会計責任者を「在宅起訴」。不記載の額が約2億6000万円の二階派の会計責任者も「在宅起訴」。
一方、不記載の額が約3000万円の岸田派の元会計責任者は「略式起訴」。また、議員側では、二階派の二階元幹事長の秘書についても「略式起訴」しました。
一方で、事務総長経験者など安倍派幹部7人の立件は見送りました。
自民党・安倍派 塩谷座長「不記載という状況も我々、全く知りませんでした。派内で具体的に問題にしたことも一切ありませんでした」
――責任を明確にした方がいいと思うが?
自民党・安倍派 塩谷座長「今ここでお約束することはできません。今後検討していきたい」

岸田首相(18日)「宏池会(岸田派)を解散することを検討しております」
岸田首相が口火を切った“派閥の解散”。二階元幹事長の秘書が「略式起訴」された二階派でも解散を決定しました。
――解消後も政策の研さんの場で集まったりは?
二階俊博元幹事長「まあ、人は自然と集まってくるものですから、『派閥解消だからあっち行け』そんなこと言えないわね」
決定後、聞こえてきたのは、涙を流す二階派議員の声です。
自民党・二階派 宮内秀樹議員「まあね、でもねやっぱり、信頼を回復させるための大きな判断を二階会長がやったということですから」
6つの派閥のうち、3つが解散を決めた自民党の今後はどうなるのでしょうか。
日本テレビ 与党担当キャップ・前野全範記者「裏金の使い道などについて詳しい説明が求められる局面ですが、各派閥が解散するかどうかに論点がずれ始めています」
「麻生副総裁も茂木幹事長も派閥の解消には慎重な立場で、麻生派と茂木派の議員からは岸田首相の解散表明に反発する声が相次いでいます」
「岸田政権はこれまで、岸田首相、麻生副総裁、茂木幹事長の3人が中心の『三頭政治』で動いてきましたがパワーバランスが崩れ、政権が不安定化する危険性もあります」
派閥の解散で政治の信頼は取り戻せるのでしょうか。
●岸田首相の「派閥解散」は“偽装”の疑いあり 自身の「派閥離脱宣言」もウソ 1/20
「政治の信頼回復のために、宏池会(岸田派)を解散するということを申し上げた」──1月19日午前、岸田首相の「岸田派解散」宣言で自民党に衝撃が走った。続いて二階派、安倍派も解散を決定し、「派閥解体ドミノ」が始まったからだ。
この日は東京地検特捜部が自民党の裏金捜査の刑事処分を決定し、安倍派の3人の議員(池田佳隆・代議士は逮捕、谷川弥一・代議士は略式起訴、大野泰正・参院議員は在宅起訴)に加えて、二階派の会計責任者、岸田派の元会計責任者らが起訴された。首相はその刑事処分の発表前に、自ら岸田派解散を宣言するという博打に出たのだ。岸田派関係者が語る。
「岸田総理は特捜部の裏金捜査は安倍派、二階派止まりだろうと楽観視していたから、17日に岸田派も立件対象だとわかって大慌てになった。そこで岸田派の幹部10人ほどを官邸の裏口から呼び入れ、御前会議で有無を言わせず派閥解散を決めると、それを自ら発表することで政権へのダメージを最小限に食い止めようと考えたようだ」
岸田派ナンバーツーの座長を務める林芳正・官房長官は、会見で「首相の宏池会への思いの強さは私も重々承知していた。その上での首相の判断なので重く受け止めた」と語った。
だが、首相の発言は何かおかしい。
岸田首相は裏金問題が発覚した昨年12月7日、「総理・総裁の任にあるうちは派閥を離れるのが適切な対応だと考え決断した」と語って岸田派会長を辞任するとともに派閥を離脱したはずだ。かわって根本匠・元厚労相が同派のトップ(会長代行)に就任している。
派閥を抜けたはずの岸田首相が「派閥解散」を表明するのは筋が通らない。自民党の無派閥議員はこう不信感を募らせている。
「二階派は臨時総会を開いて会長の二階俊博・幹事長が会見で解散を発表し、安倍派も議員総会で解散を決めてトップの塩谷立・座長が発表した。それなのに岸田派だけは派閥の総会も開かずに派を抜けたはずの岸田首相が幹部たちと相談して解散を決め、トップの根本会長代行ではなく、”外部の人”のはずの首相が発表した。これでは首相自ら派閥離脱は見せかけだったと認めたも同然だ。
派閥の幹部たちを官邸に呼びつけたやり方も、まさに派閥会長そのもの。岸田派幹部たちも、首相の派閥離脱は見せかけで今も岸田首相が会長だと思っているから受け入れたのだろう」
はからずしも、岸田首相は「岸田派解散」宣言をしたことで自身の「派閥離脱」が偽装だったことを露呈したといえる。
過去にも”偽装解散“の歴史があった
その岸田派が総会を開くのは1月23日の予定だ。派閥総会での手続きも踏まずに首相が解散を言うのは民主的でさえない。「おやじ(派閥会長)が白だと言えば、黒でも白というのが派閥だ」(金丸信・元自民党副総裁の言葉)という派閥の論理そのものではないか。
しかも、岸田首相は同派の解散を表明したぶら下がり会見で、「他の派閥のありようについて何か申し上げる立場にない」とも語った。岸田派のことは自分で決められても、他派閥の決定には関与できないという言い分そのものが、自分が現在も「岸田派会長」だという認識を持っていることを示している。
「派閥離脱したとウソをついた総理が、いまさら岸田派を解散すると大見得を切ったところで、国民は信用しないのではないか」(前出・無派閥議員)と足元を見られるのは当然なのだ。
実際、自民党には危機に陥って派閥を”偽装解散”した過去がある。
リクルート事件、東京佐川急便事件で政治不信が高まり、自民党が総選挙に敗北して野党に転落した1994年11月、時の河野洋平総裁は自民党改革の目玉として「派閥解散」を決め、各派閥は事務所を閉鎖して看板を下ろした。だが、すぐに各派閥とも名称を変えて「政策集団」という名目で元通りに復活した経緯がある。
岸田首相は裏金事件を受けて設置した自民党政治刷新会議では、無派閥議員から「派閥解散」論があがっても”無視”を決め込んでいたが、いざ、特捜部の捜査が岸田派に及ぶと、政権と自分の保身のために派閥解散へと態度を豹変させた。
派閥離脱の時と同じく、首相の岸田派解散宣言などその場しのぎの”偽装解散”にすぎないことが透けて見える。
●岸田政権の能登半島地震における明らかな初動遅れ…劣化した災害対応 1/20
元日に発生した能登半島地震から20日間が経過した。政府の初動に誤りはなかったのか。2011年の東日本大地震、2016年に起きた熊本地震との比較を通して、安倍政権よりも劣化している岸田政権の災害対応の実態について、フリー記者・犬飼淳氏が指摘する。
能登半島地震の初動遅れ
1月1日16時10分に発生した能登半島地震が震度7であり、マグニチュード7.6であることは発生直後に気象庁が速報で発表していた。さらに、最大加速度が2828galであることは、当日22時45分(地震発生の約8時間半後)に防災科研が公表している。以下に記載した、直近20年間に日本で発生した他の震度7の地震4件と比べても、その地震規模の大きさは一目瞭然である。
【直近20年間に日本で発生した他の震度7の地震5件】
・新潟県中越地震(2004年):震度7、マグニチュード6.8、1750gal、津波なし、死者68人
・東日本大震災(2011年):震度7、マグニチュード9.0、2933gal、津波9.3m以上、死者19,729人
・熊本地震(2016年):震度7、マグニチュード7.3、1579gal、津波なし、死者273人
・北海道胆振東部地震(2018年):震度7、マグニチュード6.7、1796gal、津波なし、死者43人
・能登半島地震(2024年):震度7、マグニチュード7.6、2828gal、津波4m以上、死者232人(1月19日時点)
能登半島地震はマグニチュードも最大加速度も東日本大震災に次ぐ数値で、特に最大加速度は東日本大震災(2933gal)に匹敵する2828gal。さらに、東日本大震災と同様に津波もあった。政府は想定される被害の大きさに遅くとも地震当日の夜には気付けたはずだが、災害対応は極めて遅かった。
こうした批判に対して、「被害が甚大な能登半島北部への交通ルートが限定されていた」という地理的条件を理由に初動遅れを擁護する声がある。そこで本記事では能登半島地震、発災直後の「官邸の動き」に焦点を当て、初動の遅れについて検証する。
まず、地震発生1〜2日目に、初手誤りといえる動きを複数確認できる。
1月1日17時30分(地震発生の1時間20分後)に「特定」災害対策本部を設置。一見すると素早い設置に見えるが、この対策本部の種類に大きな問題がある。
対策本部設置の問題点とは
特定災害対策本部というのは、位置付けとしては非常災害対策本部よりも軽い災害時に設置するもので、総理は基本的に参加すらしない。つまり、この時点で政府は能登半島地震の被害を軽く見ていたことの証左といえる。(*過去の非常災害対策本部および特定災害対策本部等の設置状況は内閣府 防災情報参照)
現に、当日20時0分〜20時33分に防災担当大臣(自民党・松村祥史 参議院議員)を本部長とする第1回会議を開催したものの、岸田文雄総理は不参加。そして、この特定災害対策本部の開催はわずか1回でその役割を終えた。22時40分(地震発生6時間30分後)、より重大な災害向けの「非常」災害対策本部の設置をようやく決定したからだ。
これがまず、岸田政権の初手誤りを象徴する出来事といえる。
一方、直近20年で特に被害が大きかった2つの大地震では、いずれも迅速に非常災害対策本部以上の位置付けの本部が設置されていた。
・東日本大震災(2011年):地震発生28分後に緊急災害対策本部を設置
・熊本地震(2016年):地震発生44分後に非常災害対策本部を設置
(*緊急災害対策本部は非常災害対策本部よりさらに重い災害時に設置する位置付け。設置されたのは東日本大震災の1回のみ)
しかも、能登半島地震では非常災害対策本部の第1回会議が開催されたのは一夜明けて翌2日の9時23分から。設置決定から実に10時間43分の空白が生まれており、岸田政権のスピード感のなさを象徴している。こうした1〜2日目の初動がいかに遅かったかは、同じ自民党である第2次安倍政権時代の熊本地震と比べても明らかだ。
同地震は2016年4月14日21時26分(本震は約28時間後)に発生すると、当日22時10分(地震発生の44分後)に非常災害対策本部を設置。そのまま間髪を入れず23時21分(本部設置の1時間11分後)に第1回会議を開催。安倍晋三総理(当時)が本部長のため、当然ながら安倍総理も自ら参加。設置決定は同じ22時台なのに、翌朝に第1回会議を開催した能登半島地震とは大違いだ。
安倍政権、民主党政権との初動比較
その後、「72時間の壁」までの同本部の実施間隔も実に対照的だ。能登半島地震では第1回から継続して1日1回ペース。毎日午前10時前後に実施し、わずか20分程度で終了。一方、熊本地震では1日複数回の開催や、30分以上の開催も珍しくなかった。
また、熊本の本震発生時(4月16日1時25分)は土曜深夜だったにもかかわらず、午前5時10分(本震発生の3時間45分後)に第4回会議を実施。このように姿勢の違いが顕著なため、地震発生72時間後までの開催回数には2倍超(熊本地震:8回、能登半島地震:3回)の差がついた。
さらに、能登半島地震では「72時間の壁」を過ぎた後、岸田総理は地震と無関係なイベントに立て続けに参加し始める。筆者も参加した1月4日の年頭記者会見を「地震関連の公務」を理由にわずか43分間で打ち切った後、20時0分〜20時48分(首相会見より長い48分間)までBSフジテレビの報道番組に出演。翌5日には都内ホテルで3件(経済3団体、連合、時事通信)の新年会に出席。
岸田総理の振る舞いは、もはや被災地に関心がないようにさえ見える。ちなみに熊本地震の際に安倍総理は地震発生後5日間の期間でここまで地震と無関係なイベントには参加していない。つまり、同じ自民党政権ではあっても、現在の岸田政権による劣化や棄民政策は8年前より確実に悪化しているといえる。
ちなみに、一連の比較で熊本地震における安倍政権の対応は実にまともに見えたわけだが、その安倍政権も2年後(2018年7月)の西日本豪雨でいわゆる「空白の66時間」と呼ばれた初動の遅れを見せ、被害を拡大させている。安倍政権も決して災害対応に優れていたわけではなく、今回の能登半島地震に対する岸田政権の対応があまりに酷いから、振り返れば相対的にまともに見えているに過ぎない。
岸田総理は、安倍総理が「勤勉で真面目」に見えるほど「怠惰で不真面目」であることが浮き彫りになった。さらに言えば、「枝野寝ろ」というハッシュタグができるほど不眠不休で東日本大震災(2011年)の対応をした民主党政権とは次元が違い過ぎて、もはや横並びの時系列比較すら不可能な状況にある。
●岸田派解散、中北教授「自己保身」…細谷教授「政権の存続を優先」 1/20
中央大の中北浩爾教授、慶応大の細谷雄一教授、日大の岩井奉信名誉教授が19日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、岸田首相が表明した自民党岸田派の解散方針について議論した。
中北氏は「政権運営のための自己保身でしかない」と批判。細谷氏は「岸田派を犠牲にし、岸田政権の存続を優先した」と分析し、岩井氏は「派閥を解散すると言った方が(内閣)支持率は上がる」と指摘した。 
●自民・萩生田氏「信頼回復へ努力」 1/20
自民党の萩生田光一前政調会長は20日、地元の東京都八王子市で街頭演説し、所属する安倍派の政治資金規正法違反事件について「政治不信を招く事態となった。改めておわび申し上げたい」と謝罪した。同時に「しっかり襟を正し、信頼回復に向け、仕事をもって評価していただける努力をしていく」と述べた。
●天災と人災の直撃を受けた岸田文雄政権だったが…驚きの「支持率上昇」 1/20
支持率上昇の「なぜ」
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けない」――という言葉がある。この言葉を想い起こしたのは、直近のメディア世論調査の結果に接した時のことだ。
先ず、共同通信調査(1月13〜14日実施)。内閣支持率が前回比5.0ポイント増の27.3%、不支持率は7.9P 減の57.5%。NHK調査(12〜14日)は内閣支持率3P増の26%、不支持率2P減の56%。そして時事通信調査(12〜15日)が内閣支持率1.5P 増の18.6%、不支持率4.2P減の54%。依然として3社調査ともに不支持率が支持率を大幅に上回る。
次は政党別支持率のうち自民党と野党第1党・立憲民主党の支持率の比較である。共同通信:自民党前回比7.3P増の33.3%、立憲民主党同1.2P減の 8.1%。NHK:自民1.4P増の30.9%、立民2.1P 減の5.3%。時事通信:自民3.7P減の14.6%、立民0.9P減の3.5%。
数値に目を凝らすと驚くばかりだ。内閣支持率は共同、NHKともに20%台後半に上昇し、低い数値が出る傾向の時事も僅かながら上昇に転じた。さらに自民支持率は共同とNHKが30%をクリア、立民支持率は下落した。共同調査で自民支持率は立民のほぼ4倍、NHK調査が約6倍の差に拡大したのだ。
元日のマグニチュード7.6の能登半島地震と2日の羽田空港での日本航空(JAL)機衝突といった天災と人災の直撃を受けた岸田文雄政権。加えて、昨年末来の東京地検特捜部による自民党安倍派の政治資金パーティーを巡る政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)事件捜査で「政治とカネ」問題が連日連夜、テレビのワイドショーでも報じられてきたのに、この数値は一体どう理解すればよいのか。
その解はある。そう、立憲民主党を始めとする野党の岸田政権・自民党追及が有権者一人ひとりの心に響かなかったのだ。西側諸国のウクライナ支援疲れならぬ、野党の相も変わらぬ同じパターンの政権批判に疲れてしまったのではないか。野党の責任大である。
岸田首相批判のなかでよく耳にする言葉に「ブレる岸田」がある。捻くれた言いようだが、「ブレ、ブレ続けることにブレない岸田」とも言いうる。換言すれば、「鈍感力」になるだろうがこれまた「肝が太い(据わっている)」とも言える。
決して「めげない人」
要は、めげることを知らない岸田氏が9月の自民党総裁任期満了まで政権を維持する可能性が高いということである。筆者はこれまでに、岸田氏が4月頃に「派閥解体」を掲げて衆院解散に打って出る可能性を含め、自民党内からの「岸田降ろし」による政権瓦解の確率は殆ど無きに等しいと述べてきた。
すなわち、岸田政権の先行き見立てでは少数派であり続けた。そして「岸田に甘い」との指摘も受けた。だが、岸田氏の政権維持意欲に関わる小さなファクトを拾いながら、それをジクソーパズルのように埋めていくと見えて来る光景から、同氏の胸中を推し量ってきたつもりだ。その結果、岸田氏は決して「めげない人」に行き着いたのである。
では、具体的に何なのか。第1に、岸田政権個々の単発の政策は決して間違っていないということだ。確かに「新しい資本主義」というキャッチフレーズは意味不明である。しかし、「コストカット型経済からの脱却」はよく吟味すれば理解できるし、「賃上げを全てに優先する」も論を俟たず全く正しい。
事実、3月の春闘で賃上げ目標の4%もリアリティを帯びつつあり、名目経済成長率も昨年末の政府発表「24年度経済見通し」で示した3%達成も可能である。日本銀行の物価目標2%も政府の潜在成長率目標1%も同様である。この「4・3・2・1」を目指した上にベースアップ3%が視野に入ったからこそ、たとえ瞬間風速とはいえ東京証券取引所の日経平均株価が3万6000円超と成ったのだ。
岸田政権の鳴り物入りだった総合経済対策が国民に浸透しなかったのは、突然降って湧いた所得税定額減税が悪評芬々だったからだ。国民は賢明である。それは世論調査が証明している。所得税減税を「評価しない」と回答した人はその理由に「減税の次に増税が控えている」「将来の国家財政が心配だ」を挙げている(共同通信調査)。
問題は、「聞く力」ではなく一にかかって岸田氏の「説明力」と「発信力」である。それが問われる場は、1月26日召集の第213回通常国会の衆参院予算委員会における「政治とカネ」に関する集中審議(29日)、首相施政方針演説など政府四演説(30日)、各党代表質問(31〜2月2日)だ。続く5日からの衆院予算委員会が正念場である。
そこで岸田氏が自分の言葉できちんと説明し発信できれば、当分間、政権賞味期限を心配する必要が無くなるはずだ。果たして如何に。
●“キックバックの指示があったとしても、議員は守る” 「政治とカネ」の実態 1/20
自民党の裏金問題では、現役議員が相次いで起訴され、派閥解散の動きにもつながりました。特捜部の聴取を受けた安倍派幹部の会計責任者が取材に応じ、政治とカネの実態を語りました。
安倍派幹部の会計責任者が語る実態
今回の裏金事件で、東京地検特捜部の聴取を受けたという人物がいる。安倍派幹部の事務所で、会計責任者を務めてきた男性だ。聴取の冒頭、検察側から“黙秘権”の説明を受けたという。
安倍派幹部 会計責任者「『答えにくいことがあるなら、別に答えなくて構いません。それで(罪に)問われることはありません』そんな言い方だったと思います」
派閥から押収したとみられるデータをもとに、検察庁の庁舎や、ホテルの一室で、複数回にわたり、調べが行われたと話す。
安倍派幹部 会計責任者「よく調べているというか、全部、データを持ってるんだなと」
村瀬健介キャスター「例えばどういったデータ?」
安倍派幹部 会計責任者「入出金記録ですね。多分、通帳を押さえてるんだと思います。そこから全部見てるんじゃないですかね」
村瀬キャスター「金の出入りは全部知られている?」
安倍派幹部 会計責任者「みたいですね」
特捜部は19日、安倍派、二階派、岸田派の3つの派閥の会計責任者らを立件。
裏金として、高額のキックバックを受け取った議員側では、安倍派の池田佳隆 衆院議員に続き、大野泰正 参院議員、谷川弥一 衆院議員を立件した。
一方、安倍派「5人衆」と呼ばれる幹部や、事務総長経験者ら7人のうち複数の幹部が、特捜部の聴取に対し、キックバックについて自身の関わりを否定する説明をしたという。
「キックバックは会長案件だった…」
――派閥の会計責任者は“自らの判断で行った”と?
安倍派幹部 会計責任者「そう言わなきゃしょうがないだろうと。自分がその立場だったら、そう言うと思いますよ。間違いなく」
――たとえ議員から指示があったとしても?
安倍派幹部 会計責任者「あったとしても」
――議員は守るという?
安倍派幹部 会計責任者「守るということですね。やっぱり、この世界はそうでなきゃいけないだろうし。政治家の、政治団体の会計責任者をやるということは、そういうこともあるということです、最初から」
20年以上にわたり、続けられていたというキックバックの慣習。
派閥では、安倍元総理が会長だった2022年5月のパーティーを前に、キックバックを廃止する方針が決まったという。
――取りやめのお知らせは来た?
安倍派幹部 会計責任者「連絡もらいましたね。“今年は戻し(キックバック)は無いから”って。毎週、(派閥の)総会やってるじゃないですか。あの時に多分、発表があったんじゃないですかね」
しかし、派閥の議員からの反発を受け、その後もキックバックは、継続されることに。
――これをひっくり返す判断は誰が?
安倍派幹部 会計責任者「分からないですね。復活したこと自体も、実を言うと知らなかったぐらいの話なので。ただ、ひとつだけ言えるのは、ずっと続いていたことを止めるというのは、やっぱり安倍先生ぐらいの強権が無いと、無理だと思います。ただ、それを以前(キックバックを継続する)に戻すというのは、比較的簡単ではないかと」
特捜部は今回、会計責任者のみならず、議員との“共謀”を立証しようとしてきた。
男性は、キックバック分を記載するかどうか、最初の判断を、会計責任者だけですることは考えられないと話す。
安倍派幹部 会計責任者「(報告書に)載せないということに関しては、政治家が決めることだろうと。これは多分、会計責任者・秘書というよりは、先生方(議員ら)の問題だと思うんですけどね」
――秘書が決めるような話ではない?
安倍派幹部 会計責任者「ではないと思いますね」
「大野氏起訴は“尻尾切り”」
議員側で最高額の約5150万円の裏金があったとして、在宅起訴となったのは、大野泰正 参院議員だ。
19日、会見を開き、争う姿勢を示した。
大野議員「全て事務所スタッフに任せておりました。ですから、私が収支報告書に関与したことはございません」
大野議員の地元・岐阜県羽島市を訪ねると…
街の人「(大野議員は)おじいちゃんと比べると格段の差がありますから。政治家一家として、普通の政治家とちがいます?」
街の人「どうにもならへんやん!昭和の時代の政治家はみんな、国民の為に尽くしたけど、今の2代目3代目のおぼっちゃんは東京育ちなので…自分のお金のためにやっているだけだ」
大野議員は、父は元労働大臣、母も元参院議員という政治家一家に生まれた。祖父の大野伴睦氏は、自民党副総裁や衆議院議長を務め、「政治は義理と人情だ」という名言も残した。
当初、計画がなかった東海道新幹線「岐阜羽島駅」の開業にこぎつけ、“田んぼの中の政治駅”と騒がれたことも。今も、岐阜羽島駅の前には、大野伴睦氏の銅像が立っている。
18日、大野議員の後援会の元責任者が取材に応じた。議員が起訴されたことに、こう憤る。
大野議員の後援会の元責任者「“トカゲの尻尾切り”は、僕は許されないと思います」
元責任者によると、大野議員は、岐阜県議の頃から、“カネにはクリーン”だったという。
大野議員の後援会の元責任者「選挙違反になることは細かいことまで全てチェックし、派手な服を着ない、派手な車に乗るわけじゃない。本当に慎ましい生活をしながら、コツコツと上にあがられた人です」
5000万円を超える裏金疑惑について、こう断言する。
大野議員の後援会の元責任者「選挙の時に、あまりにも大きなお金がかかることが、そもそもの原因だと思います。上からの指示があって、それに従わざるを得なかったと僕は思っています。自ら率先して、キックバックを、不正に収支報告書に載せないような人ではないと僕は信じています」
谷川氏支援者「もうこれで終わり」
一方、議員本人の責任が大きいと語るのが、略式起訴された谷川弥一 議員の後援会長、島信行さんだ。
谷川やいち後援会 島信行 会長「谷川に対する支持は、もうなくなってると思います、後援会としてはですね。(後援会で)谷川さんも、もうこれで終わりだねと。我々も、もう今後は応援しないよっていうようなことは、いくつも聞いてますからね。私自身も、これを機にですね、今後、政治家との付き合いというのは一切やめようというように、もう決意しております」
去年12月、地元で取材に応じた谷川議員は…
――会派の中でそういったことがあった?
谷川議員「頭悪いね。言っているじゃないの。質問しても、これ以上、今日は言いませんって、言ってるじゃない?わからない?」
谷川やいち後援会 島信行会長「呆れたと言ったら失礼なんですけどね、我々に対しても、経緯をやっぱり説明して欲しいなと、本当に心底そう思ってます。そういうことがですね、今まで20年間支えてきた後援会のみんなに対する、ひとつの礼儀かなと」
実は、島さんは去年12月から、“誹謗中傷”を受けているのだという。
届いたハガキの文面「谷川議員の裏金問題は、貴方たち後援会が組織的に行ってきた事です。貴方の行動、振る舞いが一番「ガン」になっている。貴方も谷川議員から貰っていませんか?」
谷川やいち後援会 島信行 会長「私までね、地域振興を阻害している、ひとつの大きな“ガン”である、なんて言われてね、私は地域のために一生懸命、一生懸命あらゆることで努力してきたなと思ってるのにね。逆に我々も、ひとつの被害者だなと、このようにも思ってますね」
かつて谷川議員の政治団体に寄附をしていたこともあった、会社経営者の三宅敏彦さん。
谷川氏の元支援者 三宅敏彦さん「なんでそんな馬鹿なことをしたのかというのが本音ですね」
特に憤るのは、議員たちが支援者から金を集めながら、キックバックを報告していなかったことだ。
谷川氏の元支援者 三宅敏彦さん「コロナで売り上げがダウンしてですね、赤字が続いたんですけど、やっと回復してきて、やっと税金が払えるようになったなっていう、そういう気持ちなんですよね。我々みたいな零細企業から、1円でも取るっていうぐらい、もう本当に厳しくされますから。国を司ってる人たちが、本当は見本を見せていかないといけないんじゃないですかね」
●稲田朋美氏、還流82万円を不記載… 1/20
自民党派閥の政治資金規正法違反事件に関連し、稲田朋美・党幹事長代理(安倍派)の資金管理団体が、2021〜22年に派閥からキックバック(還流)を受けた82万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことがわかった。
派閥のパーティー券収入114万円も派閥に納めないまま口座で保管していた。
稲田氏側によると、事務所の担当者が21年に2万円、22年に80万円の還流分を受け取り、パーティー券の管理口座に入金するなどした。
稲田氏側はパーティー券の販売ノルマ450万円を常態的に達成できず、不足分を持ち出していた。しかし、21〜22年は新型コロナウイルス禍でノルマが230万円に引き下げられ、ノルマ超過分など114万円を同じ口座で保管していたという。計196万円は口座などに残ったままだとしている。
稲田氏は読売新聞の取材に文書で回答し、「口座の存在を把握していなかった。80万円は(安倍派の)会長不在の状況で権限なく渡されたもので、114万円は派閥へ支払われるべき売り上げだ。196万円を派閥に返還する。政治資金を扱う緊張感が欠けていたことを深く反省しています」とした。
●麻生・茂木氏は岸田首相に「派閥続ける」 森山派は「中間報告」踏まえ判断 1/20
自民党派閥パーティー収入不記載事件を受けた派閥解散の可否を巡り、麻生派(志公会)と茂木派(平成研究会)の会長をそれぞれ務める麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長が、岸田文雄首相(党総裁)に対し、派閥を存続させたいとの意向を伝達したことが20日、分かった。複数の党幹部や党関係者が明らかにした。
関係者によると、麻生、茂木両氏は19日、首相と個別に党本部で会談した際に意向を伝えた。首相は各派閥が判断すべきだとの考えを示した。
麻生氏は、事件は安倍派(清和政策研究会)などの政治資金処理の問題ととらえ、派閥には人材育成などの存在意義があるとの認識に立つ。茂木氏は、派閥の力を足掛かりに将来的に首相の座を目指す構えとみられる。
一方、自民の森山裕総務会長は20日、会長を務める森山派(近未来政治研究会)について、党が25日にも決定する政治刷新本部の中間報告を踏まえ、派閥の存廃を判断する考えを示した。鹿児島県霧島市で記者団に「党で議論が始まっており、その経過も見ながら決めたい」と説明した。
不記載事件を巡っては、関係者が立件された安倍派、岸田派(宏池会)、二階派(志帥会)が既に解散を決めた。自民6派閥で唯一、不記載問題で告発されていない森山派が解散を決断した場合、解散に否定的な麻生、茂木両派の動向にも影響を与えそうだ。
●116万円分還流、不適切処理 安倍派・長峯議員 1/20
自民党安倍派(清和政策研究会)の長峯誠参院議員(宮崎選挙区)は20日、宮崎市内で記者会見し、2018〜22年の政治資金パーティーでノルマを超過した計116万円のキックバック(還流)を受け、政治資金収支報告書に適切な記載をしていなかったと発表した。自民党派閥の裏金問題を巡り東京地検特捜部から自身が任意聴取を受けたとも明らかにした。
代表を務める資金管理団体の政治資金収支報告書のうち、パーティー券のノルマを超過した96万円分が不記載だった。22年に受領した20万円分は本来寄付と記載する必要があるが、派閥からの指示でパーティー収入として計上していた。

 

● 地震被害の珠洲市と能登町 中学生約140人 金沢市に集団避難 1/21
能登半島地震で被害を受けた石川県珠洲市と能登町に住む中学生およそ140人の集団での避難が、21日行われました。
珠洲市と能登町では、すべての中学校が22日には再開する予定ですが、金沢市での集団での避難を希望した生徒は21日に移動しました。
このうち、珠洲市内の集合場所となっている珠洲市民図書館には、スーツケースなどの大きな荷物を持った生徒たちが家族とともに集まりました。
3年生の竹中遙空さんは「受験勉強をするために避難することを決めました。残りの日は少ししかないので、一日一日を大事に過ごしたいと思います」と話していました。
母親の喜美さんは「家族のことを心配して避難するか迷っていたので、送り出すことにしました。友達も一緒に避難するので、みんなで協力して乗り越えてほしいです」と話していました。
生徒たちは午前10時すぎ、2台のバスに分乗して金沢市の医王山スポーツセンターに向けて出発しました。
そして、バスは午後2時ごろから順次、施設に到着し、生徒たちは雨の中、荷物を降ろして生活の拠点となる施設に入りました。
21日は、合わせて142人が避難したということです。
石川県教育委員会生涯学習課の新谷貴晴さんは「悩みや不安が出てくることも考えられるので、生徒たちの様子をしっかりと見ながら、カウンセリングや心のケアをしていきます。生徒の皆さんには、安全安心に過ごしてほしい」と話していました。
珠洲市と能登町の教育委員会によりますと、集団避難の期間は2か月ほどを見込んでいるということです。
また、避難先には授業を行う教員に加えて生徒たちの心のケアに対応するため、養護教諭も派遣するということです。
●「大きな政治不信 申し訳なく…」野上議員100万円キックバック不記載認める 1/21
政治とカネをめぐる問題です。自民党の政治資金パーティーの裏金事件で、派閥からのキックバックを収支報告書に記載していなかった富山県選出の2人の国会議員が19日、初めて取材に応じました。
このうち野上浩太郎参議院議員はキックバックが2019年からの2021年までの3年間で100万円あったと明らかにしました。(以下、記者とのやりとり)
野上浩太郎 参議院議員「まずはこの度、政治不信を招いたこと心よりお詫び申し上げます。私の事務所についてでありますが、私自身はいわゆる還流についてこれはないと認識していましたが事務所で慎重に精査をしたところ、平成30年から令和4年までの5年間のうち、3年間で超過分があり、収支報告書に記載していないことが判明した。具体的な内訳は平成30年は超過分はない。令和元年は2枚分、4万円が超過し返金されていた。令和2年は特殊なので後程、説明します」
野上議員「令和3年は2枚分、4万円が超過して返金されていた。令和4年は返金はなかった。それで令和2年についてはコロナ禍の年で当初予定していたパーティーが5月から9月に延期となり、割り当ても当初の110枚から55枚に引き下げ。事務所内で引き下げが認識されておらず、パーティー開催直前の時期まで、今回55枚を超えて101枚まで、46枚を超過て販売したとのことであります。その結果、この年だけ超過分が突出したということです。その超過分46枚のうち、返金されたものは直接口座に振り込まれたのは32万円。現金として手元に残っていたのは14枚分となります。これらは使用せず、事務所に残ってあった。以上、記載されていなかった額は令和元年が4万円、令和2年が92万円、令和3年が4万円であります」
野上議員「わたくし自身、全く認識していなかったのですが、今般、慎重に精査を致しました結果、わたくしの事務所においてこのような状況に発生したことは深く反省し、心からお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。大きな政治不信を招いたことについても誠に申し訳なく思っています。今後、政治改革を前進させ、政治の信頼回復に向けて尽くしてまいりたいと思います」
還流の仕組みは承知していなかった…
記者:還流分の使途についてこれはそのまま事務所に残してあったということですか。
野上議員「使わずに残してあった」
記者:キックバックの仕組みについて知っていたのですか。
野上議員「私自身はその還流の仕組みは承知していなかった」
記者:安倍派が派閥として解散したことについてはいかがですか。
野上議員「安倍派の総会が行われ、塩谷座長から冒頭、これまでの経緯が説明されて、派閥の件で国民の皆様に政治不信を招いたことへの謝罪、派閥のミスリードで収支報告書に記載しないでいいとの処理をさせてしまったことをお詫びがあったところ。この会で安倍派については解散すべきであるとという意見が多く出され、最終的には全員の総意で解散することになった」
記者:野上議員自身も安倍派は解散すべきという考えですか?
野上議員「私もそう思っています」
記者:派閥の在り方、考え方についてはいかがですか。
野上議員「派閥にはいろんな機能があるといわれてきて、人事の部分、資金の部分、あるいは人材育成や政策の立案、ただ、このような形になったことで派閥の在り方は抜本的に議論すべきで、私は派閥は解消する方向に議論すべきだと思います」
●「金融正常化」 しなければ沈んでいく、異常な円安にも終止符を打てる 1/21
金融の正常化は円安にストップをかけ、企業の収益に悪影響を与えるので、実現が遅れてきた。しかし、過剰な金融緩和の継続によって、日本経済の生産性が著しく低下した。ここからの脱却は、焦眉の課題だ。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。
2024年最大の課題は金融政策正常化
今年の金融政策の最大の課題は、金融の正常化の実現だ。ここで、金融の正常化とは、第1にマイナスの政策金利から脱却すること。第2にイールドカーブコントロール(YCC)を廃止し、長期金利の水準を市場の実勢に任せることだ。
1つ目について、コロナ禍で多くの国が政策金利をマイナスにしたが、その状態からは脱却した。**いま先進国の中でマイナス金利から抜け出せないのは、日本だけで、2つ目についていえば、もともと中央銀行の金融政策は、短期金利である政策金利を操作することであり、長期金利は市場の実勢に委ねるのが、伝統的な方法だ。市場で形成される金利体系に無理矢理に介入しようとする日本の金融政策は、下記のようにさまざまな問題を引き起こしている。
これまでの異常な金融緩和政策は、短期的な要請だけに動かされたものであり、低金利、円安、補助金漬けの経済をもたらし、その結果、日本経済の生産性が低下した。
生産性を低下させた理由は、次のとおりだ。
金利が低ければ収益性の低い投資が行われる。また、財政資金の調達が容易になるので、必要性の疑わしい財政支出がなされる。その結果、資源の無駄遣いが生じ、長期的に見た日本経済のパフォーマンスに負の影響を及ぼす。これは、「財政・金融政策の近視眼化」と言ってもよい現象だ。
また、日本の金利が世界的に見て(特にアメリカの金利に比べて)低すぎることは、過度の円安をもたらし、物価の上昇や、日本の国際的地位の急速な下落などさまざまな問題をもたらした。
こうした状況からは、一刻も早く脱却する必要がある。従って、マイナス金利とYCCからの脱却は、一刻も早く実現すべき課題だった。とくに、日銀総裁が交代した2023年の早い時期に、それが行われるべきだった。ところが、実際には、長期金利の上限見直しがなされただけで、上のような意味での金融正常化は、いまに至るも、行われていない。
金融正常化すれば、異常な円安から脱却できる可能性
2024年には、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)による金利の引き上げが終わり、場合によっては引き下げの過程に入る。これに加えて日本が長期金利の抑制策をやめれば、日米間の金利差が縮小する。
この結果、これまで数年間にわたって続いてきた異常な円安が終わる可能性がある。場合によっては、急激な円高に転じる可能性もある。
これは、上に述べた意味での円安の弊害をなくす意味で、日本経済の長期的パフォーマンスにとって望ましいことだ。しかし、短期的には多くの問題をもたらす。とりわけ、企業の収益に対して、大きなマイナスの影響があるだろう。
それを恐れて、金融正常化が遅れる可能性がある。しかし、円安による企業利益の増加は、数字上のものにすぎず、生産活動の拡大を伴うものではないことに注意が必要だ。 
金利が上昇すれば、国債による財政資金調達は、より困難になる(2024年度予算において、国債の利払い費の想定金利は、2023年度の1.1%から1.9%に引き上げられる)。
これは一般には予算編成を困難にするという意味で望ましくないことだと考えられている。しかし、2023年12月24日の本欄で述べたように、この数年間税収が順調に増加したために、財政規律が弛緩している。また、財政資金が潤沢なうちに基金として積み上げておき、後で自由に使おうという動きも広まった。こうした動きにチェックをかけることが必要だ。
金融の正常化は、経済の長期的なパフォーマンスを向上させるために、短期的には経済に負のショックを与える政策である。
短期的な効果は、前項で述べたようなものであり、はっきりと予測できるものが多いので、抵抗が大きい。
日本経済が衰退した基本的な原因は、このような短期的効果だけが考慮され、過度の金融緩和が長期的な経済の生産性に与える負の影響を無視されてきたことである。そうした政策が20年、30年の長きにわたって続いたために、日本経済はここまで弱体化したのだ。
しかし、政治資金問題などで弱体化した岸田政権が、果たして経済界を説得して金融正常化を支えられるかどうか、疑問だ。本格的な金融正常化は、現在の日本の政治状況の下では極めて困難な課題だと考えざるをえない。
もし、短期的な利害が優先されて金融正常化がさらに引き伸ばされれば、日本経済の衰退は決定的なものになってしまうだろう。日本は極限まで弱体化し、立ち直せなくなってしまう。日本は、いまその瀬戸際に立っていると考えなければならない。
こうした状況下で何よりも必要なのは、なぜ金融の正常化が必要なのかを、日銀が国民にわかりやすく説明することだ。
日銀債務超過問題をどう処理するか? 
なお、日銀は、これまでの金融緩和の過程で大量の国債を購入し続けた。その結果、国庫短期証券を除く国債・財投債の日銀の保有比率は、2023年9月末で53.86%という異常な事態になっている(2023年7―9月期の資金循環統計による)。
この状態で長期金利が上昇すれば、巨額の国債評価損が発生する。実際、2023年4〜9月期決算では、日銀が保有する国債の含み損は9月末時点で10兆5000億円となっている。
この問題は多分に名目上のものであり、日銀の業務運営に実質的な影響を及ぼすものではないのだが、放置しておけるものでもない。経済に攪乱的な影響が及ばぬよう、慎重な対処が必要だ。
なお、金融正常化として、以上では、金利の問題を中心にして論じた。もう一つ重要なのは、日銀が巨額のETFを保有しているという事実である。このような政策は、中央銀行としては、きわめて異例のものであり、OECDの対日政策審査で強い批判の対象となった。ETFの購入を停止し、残高を減らす(できれば、すべて売却する)ことが必要だ。
●企業・団体献金を禁止することが「新しい資本主義」 1/21
岸田派が解散するらしいです。
総理の素晴らしい決断だと思いますが、さらに岸田政権に提案したいことがあります。それは企業・団体献金を禁止すべきということです。
政治献金をできる存在として、政党・政治団体・政治家個人と個人、企業・団体と様々なアクターがいます。その中で、政党・政治団体への企業・団体からの寄付です。企業や労働組合は政党や政治資金団体に寄付が行えるのですが、その部分をと言うことです。もちろん、企業・団体に政治家の後援会なども含めます。
また、企業・団体献金の抜け穴になる可能性のあるケースも廃止すべきです。それは個人献金です。中でも、政府の公共事業を受注している、補助金・助成金をもらっている会社・団体の経営者・代表、そして組織メンバーからの個人献金は廃止しても禁止すきだと思うからです。
禁止すべき理由
企業・団体献金はその額、なんと24億円。禁止すべき理由の第一は、一部の企業・業界団体の政治的な影響力が政治に反映されやすくなっているからです。言い方は悪いですが、政治への影響力を買う行為と言っても過言ではありません。政党交付金ができたため、もともと廃止されるはずでしたが、結局残ってしまいました。
理由の第二に、企業の経営にマイナス、日本経済にもマイナスの影響を与えてしまいます。企業も献金やパーティー券購入など余計な出費を求められます。一部の企業・業界団体の政治的な影響力が政治に反映されやすくなると、経済政策が歪みます。
日本で力を持った既得権益の意見が通り、産業構造が進まず、失われた30年の経済停滞、伸びない賃金の根源的な問題と言えるかもしれません。経済的な力を持った企業・団体の影響力が低下し、是正され、政策重視の経済政策になる可能性が生まれるわけです。
企業・団体献金の額
では、実態を見ていきましょう。自由民主党への政治献金を取りまとめる一般財団法人国民政治協会という政治資金団体についてみていきましょう。
このように、医師連盟、自動車の業界団体、電機関係の業界団体、鉄鋼関係の業界団体は多額の献金をしております。個別企業については四季報オンラインで明らかなように、住友化学、トヨタ自動車、日立製作所、キヤノン、野村HD・・・・など日本の名だたる企業が名を連ねています。
圧倒的な影響力を持ちすぎ?例えば、日本医師会
例えば日本医師会。日本医師会の政治的影響力は、政治献金、人材・コネクションなど様々でありますが、やはり他と比較して突出していることは確かです。筆者はよく議員さんなどに連絡しますが、あまり相手にしてくれない議員もいます。医師会の関係者を通じて連絡したらあら不思議・・・・ってことになったら、それはそれで不公平ですよね?
いろいろ批判的に書きましたが、企業・団体の方々や政治家さんが悪いのではないのです。政治のルールやシステムが悪いのです。
企業経営者や団体代表の方の中には、立派な方もたくさんおられます。真の意味で「寄付だ」「何も期待しない」という行動をとられる方もいるでしょう。そのような「お金は出しても口は出さない」という人は、中にはいるかもしれませんが、そういった人は少数でしょう。世の中、ギブアンドテイク、何かしらの無形・有形の見返りを求めてしまうのが人間というものです。
他方、政治家さんもスポンサー企業・団体のいうことを聞かざるを得なくなることも多かったと思います。国民のための政治をやりたいのに、選挙の時に応援してくれる人たちのために配慮や関心を寄せなくてはいけない事態。それは、理想を求める政治家にとっても面白くはないことでしょう。
企業・団体献金が日本の経済政策に与えた過剰な影響力を考えると、そろそろ見直すべきだと思います。「新しい資本主義」は、企業・団体の影響力を排除することが前提になるのではないでしょうか。岸田政権に期待しましょう!
●自民支持率最低、党内に衝撃 「裏金」影響、下野直前下回る 1/21
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、同党の支持率が急落している。
時事通信の1月の世論調査では、野党時代を除いて1960年の調査開始以来最低の14.6%。有権者の厳しい視線が岸田内閣だけでなく党にも向いている状況が鮮明になり、衝撃が広がっている。
「数字は実態を表している。地元を回っていても信頼感の低下を感じる」。現職閣僚の一人は自民支持率の落ち込みについて、こう危機感をあらわにした。事件は、東京地検特捜部に関係者が立件された安倍、岸田、二階の3派が解散を決め、党を揺るがす事態に発展している。
昨年1月から10月まで、自民支持率は同調査で21〜24%台を推移していた。この間、内閣支持率は1月の26.5%から5月に38.2%へ回復し、10月には再び26.3%へ落ちており、党支持率は比較的安定していたと言える。
ところが、各派のパーティー収入問題が報じられだした11月を境に下落傾向が顕著になる。同月に19.1%と2割を切り、12月は18.3%。年をまたいでさらに3.7ポイントも下がった。内閣支持率は12月17.1%、1月18.6%と低迷しており、これが党に飛び火した格好だ。
自民政権下で党支持率1割台はそれほど多くない。リクルート事件が火を噴いていた88〜89年当時も2割を割り込むことはなく、初のケースは自社さ連立の村山富市政権だった95年6月。その後、橋本龍太郎、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三(第1次)、福田康夫、麻生太郎各政権下で1割台に落ちている。
これまでの最低値は麻生内閣時の2009年7月の15.1%。この翌月の衆院選で惨敗し、野党に転落しているが、今回はこれを下回った。
現時点で立憲民主党や日本維新の会の支持率はおおむね3〜4%台で伸びていない一方、「支持政党なし」の無党派層は今年1月の調査で前月比4.3ポイント増の66.8%となった。政権批判の「受け皿」ができれば、自民は一段と苦しくなる。
岸田文雄首相(党総裁)は19日、事件を陳謝した上で「再発防止に向け、政治刷新本部の議論を進めていきたい」と記者団に語った。だが、野党の攻勢も予想される中、ベテラン議員は「この状況で上向くわけがない」と顔を曇らせた。
●政治家も経済界も「賃上げ」を叫ぶばかりで現実は実質マイナス、なぜなのか 1/21
厚生労働省が1月10日に発表した、2023年11月の「毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)」によると、物価を考慮した1人あたりの実質賃金は前年同月比3.0%減でした。実質賃金は、20カ月連続でマイナスになっています。
安倍政権、菅政権、岸田政権、いずれも賃金上昇の必要性を強く訴えてきましたが、企業の反応は「暖簾に腕押し」という感じで、賃金上昇には結びつきませんでした。
最近になって、急激な物価上昇により賃金上昇圧力も強くなり、企業でも賃上げの動きが見られるようになってきましたが、物価上昇のスピードには追いつかず、実質賃金は依然として低いままです。日本ではなぜ実質賃金が上がらないのでしょうか。
企業の利益剰余金は11年連続で増加
アベノミクスでは、異次元の金融緩和によって市場にマネーを供給して、潤沢な資金を元に景気回復するシナリオを描きました。結果として投資マネーが増え、株価は上がり、低金利政策により円安が進行し、輸出企業を中心に最高益を出すなど一定の効果がありました。
経済の理論からすると、企業の利益が増えれば賃金が上がり、消費も増え、物価が上がることになりますが、実際には企業は儲かっても従業員の賃金を上げず、内部留保を続けたため景気の好循環には至らず、デフレが続きました。
結局、アベノミクスで恩恵が得られたのは、企業と株の保有者だけでした。企業献金を受け取り、富裕層と強い繋がりがある自民党総裁としては、十分満足の得られる結果だったのかもしれません。
その後の菅政権は、最低賃金を全国平均で28円引き上げましたが、約1年と短期間だったため、大きな賃上げには繋がりませんでした。岸田政権は、「新しい資本主義」と題して、1構造的賃上げの実現、2国内投資の活性化、3デジタル社会への移行、の3つを掲げています。
賃上げの具体的政策としては、リスキリングによる能力向上や成長分野への労働移動の円滑化が掲げられていますが、これもすぐに賃上げの効果が出るものではありません。
岸田首相は、経済3団体共催の「2024年新年会」で、「この令和6年は極めて重要な1年となります」と述べ、賃上げについても後戻りさせないようあらゆる手だてを尽くすと決意を示し、経済界に対し強い賃上げへの協力を要請しました。
これを受け、経団連の十倉雅和会長は、「日本経済がデフレからの完全脱却を果たすうえで、非常に重要な勝負の年である。実現に向けては、『成長と分配の好循環』を確かなものとする必要がある。千載一遇のチャンスを逃すことのないよう、構造的な賃金引上げの実現や、全世代型社会保障制度改革に全力で取り組んでいく」と意欲を示しています。
政府も経団連も賃上げについて強い決意を述べているように思われますが、どこまで本気なのかはわかりません。十倉会長の年頭挨拶を遡って見ても、前年の2023年、前々年の2022年の年頭の挨拶でも賃上げの重要性について述べているからです。つまり、年頭挨拶での賃上げの決意表明は恒例行事のようになっているということです。
実際、賃上げの決意表明にもかかわらず2022年も2023年も実質賃金は低いままです。それに対し、財務省の「法人企業統計」(令和4年度)」によると、企業が蓄えた内部留保に当たる「利益剰余金」は、前年度比7.4%増の554兆7777億円でした。利益剰余金の額は、11年連続で増加を続けており、過去最高を更新しています。
つまり、企業経営者は、表面上は賃上げすると言いつつ、相変わらず内部留保を増やし続け、わずかばかりの名目賃金を上げて、実質賃金は依然として低いままという状態なのです。
賃金が上がりにくい「非正規雇用」が4割近くを占めている
日本の賃金を押し下げる要因として非正規労働者の賃金が低いことがあります。厚生労働省の資料「『非正規雇用』の現状と課題」によると、非正規雇用の割合は、2022年度で36.9%になっています 。約4割の人が非正規労働者ということです。この4割の人の賃金が低いため賃金の平均値が低くなっています。また、安い非正規労働者がいることで、正規労働者の賃金も上がりづらいという構造になっています。
非正規雇用は、多様な働き方という点では良い面もあるものの、賃金に関しては極めて不利な状況におかれています。有期雇用社員の多くは1年契約で、更新されるかは企業次第なので、賃上げの交渉などできる状況にはありません。そのため、正規社員と同等の労働をしても、正規社員に比べ低い賃金に設定されています。
現行法に「同一労働同一賃金」の規定はありますが、罰則規定がないため、法律が遵守されていないのが実態です。法律を改正し、労働基準法にも明記し、罰則を設けるなどして規制を強化していくことが必要だと思います。
パート社員についても、「106万円の壁」や「130万円の壁」によって、収入を増やそうと思っても増やせない制度になっています。そのため、わざとシフトを減らすなどして収入を抑えている人がたくさんいます。これも賃金を押し下げている要因の一つです。
政府は、「年収の壁・支援強化パッケージ」という措置で年収の壁の緩和を図ろうとしていますが、時限的な措置であり、一時的なものに過ぎません。この点についても、抜本的な法律の見直しが必要だと言えます。
ストライキをしない労働組合、消極的な労働者側の動き
企業が賃金を上げようとするのは、賃金を上げなければ従業員が辞めてしまう、あるいは現在の賃金水準では人を採用できないという状況が発生した場合です。経営者からすれば、コストはできるだけ安い方が良いわけで、人件費というのは固定費として大きなウエイトを占めるので、経営者が給与をできるだけ低く抑えたいと考えることは当然のことです。
「利益が出ているのに、従業員に還元しないのはけしからん」という意見を言う人もいますが、従業員から「給料を上げろ」と主張もしないで自動的に給与が上がると考える方がおかしいと言えます。もちろん、従業員から積極的な賃上げの要求がなくても従業員のモチベーションを上げるために経営戦略的に給与を上げることはあるかもしれませんが、それはレアなケースと言えます。
アメリカは、高い給与水準 を維持していますが、賃上げのためのストライキをたくさんしています。ストライキをしても賃上げに応じなければ、従業員らは会社を辞めてしまいます。そのため、企業は賃上げに応じざるを得ないわけです。賃上げを自分たちの力で勝ち取っているわけです。
賃上げの要求をしたり、ストライキをしたりすることは大変な労力を要します。しかし、それをやらなければ残念ながら賃金は上がりません。今の組合はストライキもせず、実効性のない組織だと思われているので、組合への加入率が年々下がっています。賃上げの機運が高まっている今こそ組合が積極的に動く時です。
日本最大の労働組合の全国組織「連合」は、2023年春闘で「30年ぶりの高水準となる賃上げを実現した」と胸を張っていますが、実質賃金が低いままでは何の意味もありません。実質賃金が上がる水準まで強く賃上げを要求することが必要です。自民党と仲良くすることも結構ですが、それならもっと与党に働きかけをして政治を動かしていくべきです。
日銀の動きに注目
現在の日本の物価上昇は、世界的な物価上昇の影響を受けており、円安によりさらに負担が増えているという状況にあります。実質賃金は物価を考慮するため、物価の上昇が抑えられれば、実質賃金は上がりやすくなります。
日銀は、春闘での賃上げの状況を見極めた上で、金融緩和を解除するかどうかを判断するので、春闘の結果が出るまではどうなるかわかりませんが、もし金融緩和が解除されて円高になれば、コスト上昇による物価高は緩和されます。幸い、名目賃金は上昇傾向にあることから、円高が進めば、実質賃金の上昇につながるかもしれません。
まとめ:組合を中心として、積極的な活動を行うことが重要
実質賃金の上昇のためには、物価という外的要因の影響があるので、それを見越して賃上げをしていく必要があります。企業経営者はなるべくコストを抑制したいと考えるのが自然であり、政府の動きも期待できません。
結局、実質賃金を上げられるかどうかは自分たち次第であり、自分たちで動くかどうかにかかってきます。今は、急激な物価上昇があるため、賃上げを求めやすい環境になっています。この機会を逃せば、賃上げを要求することは難しくなります。
組合が中心となって、積極的な活動を行っていくことが重要であり、各所でそのような動きが見られるようになれば、企業経営者も重い腰を上げざるを得なくなります。春闘に向け大事な時期になってきますので、実質賃金の上昇に向けて頑張ってもらいたいと思います。
●岸田首相、政治資金規正法改正に意欲 1/21
岸田文雄首相(自民党総裁)は21日放送のBSテレ東番組で、派閥の政治資金規正法違反事件を踏まえ、26日召集の通常国会を念頭に同法改正を急ぐ考えを示した。「政治の信頼回復なく、政策の推進はあり得ない。最優先課題として取り組まなければならない」と強調した。番組は16日に収録された。
9月の総裁任期切れに伴う総裁選への再選出馬や、衆院解散・総選挙の時期に関しては「信頼回復と先送りできない課題に全力で取り組む。それ以外のことは考えていない」と述べるにとどめた。
●突然の派閥解散表明に…岸田派の田村氏「首相から事前に連絡があった」 1/21
自民党の岸田派に所属する田村政調会長代行と、立憲民主党の長妻政調会長が22日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演。岸田首相が表明した岸田派解散について田村氏は、首相から事前に連絡があったことを明かしたうえで、「非常に強い意志のあらわれだった」と強調。「これからの自民党の姿勢を見て頂きたいという思いだったのだろう」と説明した。一方、長妻氏は自民党の派閥解散の動きについて、「裏金と関係ない話で、完全な論点ずらし」と批判。さらに、「(派閥が)本当に解散することはあり得ないと思う」と述べた。また、番組コメンテーターの橋下徹氏は、「岸田頑張れ、みたいな、新しい政治を作ってくれ、みたいな雰囲気になるところを国民はしっかり見なきゃいけない」と指摘した。以下、番組での主なやり取り。
安宅晃樹情報キャスター(フジテレビアナウンサー): 田村氏は岸田派所属だが、今回のこの決定について、岸田首相から事前に話はあったか?
田村憲久氏(自民党・政調会長代行/岸田派・副会長): (岸田首相が発表する)寸前に連絡があった。非常に強い意志のあらわれだったと思う。今自民党がこういう状況で、色んな改革案を出しても、今の状態では多分、国民が耳を貸してくれないという判断の中で、自らこのような形で派閥の解散を宣言することによって、それで許されるとは思わないが、まずは、これからの自民党の姿勢を見て頂きたいという、そういうような思いだったんだろうと思う。
安宅キャスター: 岸田首相からは、相談ではなく事前に報告という形であったのか?
田村氏: 相談というか、報告というか、それはもう「阿吽の呼吸」だったというふうに思う。
梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー): 岸田首相の岸田派解散という決断を長妻氏はどう評価するか。
長妻昭氏(立憲民主党・政調会長): これは完全に論点ずらしだ。裏金と関係ない話だ。なぜなら、自民党の県連パーティーでも裏金疑惑がある。あるいは、薗浦健太郎氏という自民党の元議員は、個人のパーティーで裏金を作っていたわけで、論点ずらしに成功したと岸田首相が思っているとしたら、私は国民そんな甘くないと思うし、しかも、今の報道も含めて、自民党の中の反応も含めて、本当に(派閥を)解散するという前提で議論が起こっているようだが、私は本当に解散するなんていうことは、ありえないというふうに思う。福田達夫議員が早速、反省の上に新しい集団を作っていくことが重要だということで、おじいさんの福田赳夫さんが清和会(安倍派)を作った方なので、結局派閥が分裂して、新しい派閥になるということなので、あんまりそれを大きな論点として、マスコミや党が取り上げると全く裏金の話がどっかに行ってしまうような、目くらまし作戦じゃないか。いずれにしても30年前に自民党が政治改革大綱で、自民党自らが派閥はなくすいうのを30年前に決めておいて、30年間それを破ってきたので、きちんとケジメをつけてほしい。
梅津キャスター: 今の意見を聞いて、田村氏はどう思うか?
田村氏: 自民党のいわゆる派閥っていうものの要件が、実は暗黙の中にあって、一つは政治団体であること、つまり、お金が集められるということ。それから、事務所を持っているということ。もう一つは、木曜日の昼間12時に総会を開くこと。(派閥の)掛け持ちをさせないっていうこと。その上で、党の方に登録というか報告することになってる。この4つが派閥の要件になっているが、政治を、お金を集めるというもの、つまり政治団体というものをどう考えるのか、というところ。それから、掛け持ちをさせないっていう。今、福田達夫氏が言われているような、色んなグループっていうのは、多分自民党だけじゃなくて、色んなところにあると思う。問題は掛け持ちをするかしないか、っていうところなので、その掛け持ちをさせるのか、しないのかによってだいぶ変わってくると思う。ただ、何よりも、大きな集団をまとめるためには、そういう派閥のようなところがあった方が意思の決定、形成をしやすい。これがなくなった時に、みんなの合意を得ようと思うとかなり苦労がある。これは党の総裁を決めるだけじゃなく、意思を決定するにもかなりの手間をかけていかなきゃならないという中でのいろんな判断になっていくのだろう。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員): (派閥を)掛け持ちさせないっていう意味で、毎週木曜日に昼に各派閥が集会を開いて、そこで一箇所しか行けないっていう構図になっていたが、これも今後変わってくるのか?
田村氏: 今言った派閥の要件というもの、派閥というものを解消していくんだとすれば、また、今あるグループが形を変えていくんだとすれば、そういうようなお金を集める機能だとか、掛け持ちさせないというような機能、こういうものをどう見ていくかというところが、焦点になってくると思う。
梅津キャスター: 視聴者投票の結果が出た。岸田派の解散表明について岸田首相の判断にあなたは?という質問に対して評価するという方が26%、評価しないという方が62%、どちらとも言えないという方が12%、この結果をどう見るか。
橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事): 視聴者がよく理解していると思うが、ただ、(他の)世論調査を見るとね、岸田政権の支持率、上がっている。自民党の支持率はあんまり下がってない。むしろ野党の支持率が伸びずに下がってるところもある。長妻氏が言われた通り、今回のこの派閥の問題は論点ずらしだ。政治とカネの問題から全然違うところに行ってしまって、これはやはり、自民党ってしたたかなのか何なのか、意図しているのかどうかわからないが、これから岸田首相と麻生副総裁が派閥の解消をめぐって大バトル(をやる可能性がある)っていうことで、メディアが一斉に報じると思う。なんとなく岸田頑張れみたいな。新しい政治を作ってくれ、みたいな雰囲気になるところを、国民はしっかり見なきゃいけないと思う。だから、野党は、これからのメディアの報道に負けないぐらいの改革案を出して、(自民党内の)バトルというのはインパクトが大きいので、これを上回るだけの改革案を出してもらいたい。気になるのは、主要な野党、特に立憲民主と維新の方が、どうも政治とカネの問題についてはインパクトが弱いというか。今やっとメディアも報じてくるようになったが、政策活動費っていうものすごい“大きな闇金”がある。収支報告書への記載不要、領収書も不要、精算も不要、納税も不要、ものすごい裏金を主要野党である立憲民主党も維新の会もこれを使っている。維新の会などは、身を切る改革とか、日本を大改革すると言いながら、政策活動費の使途公開については、まだ後ろ向き。立憲民主党も今議論しているということだが、廃止でいいのではないか。
長妻氏: ちょっと(橋下氏に)誤解があるが、我々は(政策活動費は)廃止だ。我々も去年からこの政策活動費はやっていない、使っていない。それで、今後も政策活動費は廃止するということで我々は決めていきたい。政策活動費がなくても、きちっと政治活動はできるということなので、これは廃止をするということだ。
松山キャスター: 逆に自民党の田村氏にも聞きたいが、政策活動費、つまり党から各議員へのお金ってことになるが、この使途を明らかにするっていう議論がずっとある。これはどういうふうに取り組んでいくのか。
田村氏: これも党の中で議論していかなきゃいけないだろう。今日は政治改革に対して党を代表して出てないんで個人的な意見になるが、個人的には、昔の文通費(旧文書通信交通滞在費)。これなんかをもう(使途を)開示していった方がいいと思う。
橋下氏: 田村氏には是非党を引っ張ってもらいたい。
松山キャスター: 結局、派閥解散をしたとしても、何らかの形で似たようなものがすぐ戻るんじゃないかというふうに思ってる人も多いと思う。1994年の政治改革の後も半年ぐらいでだいたい政策集団ということで同じようなものが戻ってきたという経緯があるが、ここはどういうふうにしていくか。
田村氏: 先ほど申し上げたみたいに、政治団体であるだとか、つまりお金の問題だとか、他に掛け持ちを許さないだとか、そういうところをどう見るかっていうのは実態になってくると思う。それと、今回、岸田首相が自らの宏池会の解消というものを言ったのは、支持率というよりは、国民の皆様に対する覚悟。つまり今自民党が何言っても聞いてもらえない。だから、まずは聞くだけは聞いてくださいと。中身見て判断してくださいという、その覚悟を示したのだろう。私は宏池会に入って4ヶ月で入ったばかりなので、あの岸田首相も私に対して「あなた入ったばかりで申し訳ないけど」という話をしていたが、そこは岸田首相の覚悟というものを私も感じたので(派閥解消に)賛同した。
●岸田首相、捨て身の派閥解消 反転攻勢狙い、危うさも 麻生・茂木派が反発 1/21
岸田文雄首相が自民党岸田派(宏池会)解散という賭けに出た。派閥の政治資金パーティー収入裏金化事件で内閣支持率がどん底状態から抜け出せない中、1957年から続く名門派閥の解体で捨て身の反転攻勢を図る。首相を支えてきた第2、3派閥の麻生派と茂木派からは首相の独断に「徹底対決だ」と不満が高まっており、政権基盤が揺らぐ危うさをはらむ。
主流派に事前に伝えず
「『隗(かい)より始めよ』だ」。昨年12月まで約11年率いてきた岸田派の解散について、首相は19日、面会した党青年局メンバーにこう強調した。解散表明に先立ち、首相は18日、同派座長の林芳正官房長官に方針を伝達。所属する官房副長官や閣僚経験者にも短時間で根回しを済ませた。国民世論に派閥への批判が強まる中、首相周辺は「岸田派が率先しなければならない」と語った。
首相は以前から周囲に「派閥はやめてもいいのではないか」と漏らし、岸田派解散を腹案として温めてきた。同派の元会計責任者の立件方針が18日に報じられたことも背中を押したとみられる。
党内には動揺が広がり続けている。首相は麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長ら政権中枢の幹部に自身の決断を事前に伝えなかった。党政治刷新本部で派閥存廃が焦点となっている最中に「抜け駆け」した格好となったことに関し、党関係者は「派閥解消に抵抗があり、自ら打ち出した」との見方を示した。
首相の狙い通り、安倍派、二階派は19日に解散を決めた。安倍派からは「乗り遅れたらイメージが悪い」(ベテラン)、「岸田派に追随せざるを得ない」(閣僚経験者)との声が相次いだ。首相は記者団に「その派閥で判断されたことだ」と述べるにとどめた。
菅前首相は評価
一方、麻生派と茂木派は東京地検特捜部の立件対象にならず、派閥を維持する姿勢を崩していない。首相の意向に、麻生派幹部は「皆で横断歩道を渡ろうというのか」、茂木派幹部も「解散するいわれはない」と猛反発。森山派も様子見の構えで、「派閥全廃」へ進むかは不透明だ。
首相は党総裁とはいえ、党から独立した組織である他派閥への指揮権はない。強引とも言える手法に、政権を支えてきた麻生、茂木両氏が反抗し、3人の距離が急速に広がる可能性もある。
首相としては両氏の不興も想定し、菅義偉前首相の取り込みを図ったとの見方もある。関係者によると、菅氏は首相に「派閥解消まで行かないと世論は納得しない」と主張しており、首相の今回の決断を評価しているという。
「岸田降ろしに発展」
自民は政治資金規正法の改正に向け、政治団体の会計責任者だけでなく政治家にも責任が及ぶ連座制導入など罰則強化を打ち出す方針だ。政権が裏金事件で瀬戸際に立たされる中、党関係者は「首相は派閥解消と連座制で突破口を開こうとしている」と指摘。自民執行部の一人は「支持率も上がり、求心力も戻る」と期待した。
ただ党内では、安倍派幹部らの「不起訴処分」を受けて検察審査会の手続きが始まるとの見方は強く、影響が長期化する可能性がある。
かつて宏池会会長を務め、今も一定の影響力を保つ古賀誠元幹事長は関係者に「どうしようもない」と不満を漏らした。首相周辺からは「『岸田降ろし』に発展するのではないか」と不安視する声が出ている。
●岸田派解散、所属議員は 小林氏「自らけじめ」寺田氏「誠に残念」 1/21
岸田文雄首相が解散を表明した「宏池政策研究会」(岸田派、46人)。派閥の政治資金パーティーをめぐる事件に厳しい視線が注がれる中、同派に所属する広島県内選出の議員は釈明を行った。有権者からは、根本的な政治改革を求める声があがった。
「有権者は不信感を抱いている。国会議員としておわびを申し上げたい」
岸田派に所属する小林史明衆院議員(40)は地元の福山市に戻った20日、報道機関の取材に応じた。派閥の政治資金問題について謝罪したうえで、「派閥解散に賛同している。改革を進めるにあたって、自らけじめをつけて、新たなスタートを切る」と語った。
支持者からも「民間ではお金をきっちり処理しなくてはならないのに、なぜ政治団体は不透明なことが許されるのか」という怒りの声が届いているという。
小林氏は、岸田首相(党総裁)が立ち上げた政治刷新本部の事務局長代理を務めている。「政治資金規正法に違反した場合の厳罰化や、政治家本人が責任を取る仕組みなどについて議論になる」と語った。
3月に福山市内で計画している個人の政治資金パーティーについては、「うちの事務所は法律を守っている。活動費用を銀行口座で管理をして、透明化をはかっている」として、予定通り開催するという。
宏池政策研究会は宏池会と呼ばれ、竹原市出身の元首相・池田勇人氏(1899〜1965)らが1957年に結成した。保守本流の系譜にあり、ハト派で経済重視の政策志向で知られる。県選出議員からは、宮沢喜一氏(1919〜2007)も会長を務めて首相となるなど、広島と同派の縁は深い。
岸田政権下で総務相に起用された寺田稔衆院議員(65)の妻は、池田元首相の孫にあたる。
寺田氏は「政治改革はすすめなければならないが、私の地元発の歴史と伝統ある政策集団宏池会が解散の方向であることは誠に残念。志を同じくする同志メンバーと政策の研鑽(けんさん)はつづけていきたい」とのコメントを19日に出した。
有権者は何を思うのか。広島市中区八丁堀にある岸田首相の事務所近くで聞いた。
広島市中区の無職男性(78)は、「資金問題を起こしたからには、解散もやむを得ない。根本的に政治を改革してくれる政治家が出てくることを期待したい」。安佐南区の公務員の60代男性も「けじめをつけて(宏池会は)解散すべきだ。岸田首相には指導力を発揮して欲しい」と話した。
中区の自営業男性(64)は、派閥の解散を選択したことは良い判断だったとしつつも、「またすぐ同じような集団は作られるだろう」と話した。
●国民から「大ブーイング」の岸田総理、ここにきて「逆襲」がついにはじまった 1/21
「宏池会の解散」言及に激震
言うまでもなく、2024年は国際的に選挙イヤーだ。民進党の頼清徳(らい・せいとく)氏が勝利した台湾総統選挙を皮切りに、11月にはアメリカ大統領選挙が控える。その間に日本の政治も動く。
選挙は、誰が勝つかによって方向性が変化するリスクを伴う。選挙がない中国や北朝鮮、大統領選挙はあってもプーチン一択のロシアはそのままだとしても、日本、アメリカ、台湾といった民主主義国家や地域は、結果によって大きく揺らぐ危険性が多分にある。
この先、自民党総裁選挙が予定される9月にかけて大荒れになるのが日本の政治だ。2024年1月18日夜7時、岸田文雄首相が報道陣の質問に答えた。
「(岸田派=宏池会の)解散についても検討しております。政治の信頼回復に資するものであるならば、そうしたことも考えなければならない。このように思っています」
出身派閥であり、岸田首相が生まれた1957年に創設され、故・池田勇人氏以降、5人もの首相を輩出してきた名門・宏池会の解散に言及したのだ。
その顔は、苦渋の決断をしたというよりも、むしろ「してやったり」という表情で、「これで政治とカネの問題にけじめをつけ、どうにか通常国会を乗り切れる」という安堵感すら感じられた。
ただ、この発言で自民党には激震が走った。馬政治資金パーティー裏金事件で矢面に立たされている安倍派(清和政策研究会)や二階派(志帥会)も派閥の解散へと舵を切らざるを得なくなった。
「安倍派は解散すべき。私が介錯する」(安倍派・宮沢博行衆議院議員)
「悪しき慣習を引きずった派閥は解消すべき」(二階派・中曽根康隆衆議院議員)
確かに、岸田首相が岸田派の解散に言及した2日前の1月16日、自民党本部9階で開かれた「政治刷新本部」の会合では、中堅若手議員からこのような声が上がったが、自民党内には、「無派閥の菅義偉前首相だって当時の細田派(現・安倍派)や二階派の力で首相になれた」「派閥をなくしてもすぐに同じようなグループができる」といった声も根強い。
自民党無派閥のある議員は、次のように解説する。
「麻生先生(麻生太郎副総裁)らの反発は当然あり、派閥を維持したい議員からの怒りは岸田さんに向けられるでしょう。
それでも、岸田さんがまず先鞭をつける形で派閥の解散に言及したのは、『政治刷新本部』が近くとりまとめられる中間報告が、『派閥の政治資金パーティー禁止』程度だと国民の理解は得られない。つまり、総裁選挙での再選戦略も描けなくなる、という危機感があるからだと思いますよ」
これは言うなれば「岸田の乱」だ。根回しはあったにせよ、総理総裁というトップが起こしたクーデターとも言える。
現在は、能登半島地震での被災地復興を優先させる観点から、表立って「岸田降ろし」の声は聞かれない。
しかし、「岸田の乱」を契機に派閥解消ドミノが生じたことで、かえって自民党内の求心力を低下させる可能性もある。これに、時事通信社が発表した1月の内閣支持率(14.6%)のような想像を超える低支持率が続けば、日本の政治は、春以降、一気に流動化することになる。
加えて言えば、今回の事件の本質を「派閥の解散」にすり替えるのは正しくない。問題は、派閥の是非などではなく、岸田首相の下、政治資金の透明化と違反した場合の罰則の明確化が実現するかどうかである。
くっきり色分けされた台湾総統選挙
中国の動きに影響を与える台湾の政治情勢も危うい。
1月12日夜、つまり総統選挙の投開票日前夜、筆者は、国民党・候友宜(こう・ゆうぎ)氏と民進党・頼清徳氏の最後の大集会を取材するため、台北車站(台北駅)からMRT(地下鉄)で5つ離れた「板橋」という駅に向かった。
候氏は、新北市板橋区にある第一運動廣場、頼氏は第二運動廣場と、駅を挟んで同時刻に大規模な決起集会を行うからである。
翌日、敗れることになった候氏の集会は、60代から70代の高齢者の支持者が目立った。また、台湾の旗である「青天白日旗」のほか、「〇〇里」と書かれたプラカードや企業・団体名が入った幟が目に付く。聞けば「動員されたから来た」と言う。日本の自民党のように地域や組織を利用した選挙を徹底してきた結果だろう。
一方、勝利することになった民進党・頼清徳氏の集会は、台湾民衆党の柯文哲氏の集会ほどではないが、若い世代が圧倒的に多い。ただ、台湾の旗はあまり振られていなかった。
台湾の旗が、長らく「国父」と呼ばれた孫文の三民主義(民族の独立、民権の伸長、民生の安定)に由来し、旗の大部分を占める「赤色」が民族の独立を意味するからだろうか。
周りにいた支持者に、職業などを聞くと、半導体トップのTSMC(台灣積體電路)の社員こそいなかったものの、中華電信やデルタ電子(台達電子)といった有力企業の社員やITエンジニアなどが多かった。
蔡英文政権8年で脱原発や性的マイノリティー政策を進めてきた結果、一般労働者のための政党が、エリート集団の政党へと衣替えしてしまったような印象を持った。
中国によって「ゆでガエル」化する台湾
国民党=高齢者政党、民進党=高学歴で高収入のエリート向け政党となると、大多数を占める一般有権者の受け皿がなくなる。
今回、頼清徳氏が約559万票、候友宜氏が約467万票の獲得にとどまったのに対し、組織力で劣る柯文哲氏は約370万票も獲得し、同時に行われた立法院選挙でも議席を伸ばした。
これは、3人の候補者が勝つために、「政治改革」、「賃上げ」、「住宅費高騰の抑制」、それに「少子化対策」など公約のアイテムを増やし、その違いが鮮明ではなかったこと、そして肝心の対中国に関しては、受け皿を失った有権者の多くが「現状維持なら誰でもいいよね」という感覚になってしまったことが背景にあるように感じている。
台湾の民意が行き所を失えば、中国の習近平指導部はつけ込みやすくなる。中国は今、習近平総書記が2023年12月31日のテレビ演説で、総書記就任以降、初めて「企業は苦境に立たされ、就職が厳しく日々の暮らしに困る人もいる」と、国内経済の苦境を認めたように、台湾を軍事侵攻できるような状況にはない。
ただ、立法院選挙で過半数を失った頼清徳次期総統は苦境に立たされる。有権者の関心も台湾内部の問題に注がれている。習近平総書記としては、むしろ好機である。「一気に統一」は無理でも、緩やかに変化を加えて台湾を「ゆでガエル」化できるからだ。
今後は、総書記として4選がかかる2027年秋を視野に、立法院選挙で第1党となった国民党との「国共合作」で、中国への投資を促しながら、他方で台湾産品の輸入を規制するといったアメとムチ政策で台湾の民心を揺さぶっていくことだろう。
アメリカはトランプ恐怖政治かバイデン老齢政治か
最後はアメリカだ。アメリカは日本や台湾以上に危ない。81歳の民主党・バイデン大統領と77歳の前職、共和党・トランプ氏の間で争われる可能性が高いアメリカ大統領選挙は、「Make a better choice」(よりマシな方を選択する)もできない惨状と言っていい。
バイデン氏が勝てば、86歳まで大統領を続けられるのか不安がつきまとう。トランプ氏が勝てば、また独り善がりの恐怖政治が再現されてしまう。
特に、4つの事件、91もの罪で起訴されているトランプ氏にとっては、2021年1月に起きたアメリカ議会襲撃事件を扇動した問題が一番重く、憲法修正第14条3項で規定する「政府への反乱関係者の公職就任禁止に該当する」との理由で、出馬資格があるのかどうかがカギになる。
ここまでの司法判断は、コロラド州では「資格なし」、ミシガン州やミネソタ州では「資格あり」と判断が分かれている。今後は、2月8日、連邦最高裁での口頭弁論から始まる審理の結果を待つしかない。
ただ、「資格あり」となった場合、トランプ氏は、共和党候補者の中で早々に勝利を確定させ、バイデン大統領との本選でも勝つ可能性は十分ある。
事実、日本の外務省が、すでに「もしトラ対策」(「もしもトランプ氏が勝利したら」対策)に着手し、1月9日、自民党の麻生太郎副総裁が訪米し、名門・ロックフェラー家を仲介役にトランプ氏側と接触を図ったのは、トランプ氏再登板後の劇的変化を見定めるためにほかならない。
トランプ氏が返り咲けば、「輸入品に関税10%」、「在韓米軍の撤退」、「ウクライナへの支援停止」、「イスラエル擁護」など、自国第一主義の政治を推し進め、日本に対しても安全保障を材料に取引を迫るに相違ない。
アメリカ国内でも、批判勢力に対する報復政治も繰り返し、アメリカ社会の分断は一段と深刻化することになるだろう。そうなれば、中国や北朝鮮、それにロシアの思うつぼだ。
日米台での新しいスター誕生への期待
このように、民主主義国家や地域の政治が厳しい局面に立たされている2024年だが、わずかに光明もある。それは新しいスター候補の登場である。
台湾では、副総統になる蕭美琴(しょう・びきん)氏だ。神戸生まれで、台湾人の父とアメリカ人の母を持つ52歳の女性だ。駐アメリカ大使とも言えるポストを経験し、「彼女からの電話に出ないアメリカの議員はいない」と言われるほどだ。
何より演説がうまい。筆者は、1月11日と12日、2日連続で彼女の演説を耳にしたが、穏やかな口調から一転して強く「勇気を見せよう! 進歩を見せよう!」と訴えかける姿には、聴衆を感動させる力がある。言わば「台湾版のヒラリー・クリントン」である。
アメリカにも期待の星は存在する。共和党のニッキー・ヘイリー元国連大使である。1月20日で52歳。蕭美琴氏とほぼ同年代で、両親はインドからの移民だ。
ヘイリー氏は、共和党候補者選びの初戦、アイオワ州の党員集会で得票率19%と3位に甘んじた。しかし、1年前、大統領選挙への出馬を表明した時点での彼女への支持率は2%にすぎなかった。
それを10倍近くまで押し上げたのは、地道に訴えを続けた彼女自身の努力と、それに共鳴した共和党穏健派の若い世代の支持である。
アイオワでも若い世代が住むストリー郡などでは、トランプ氏と接戦を演じている。この先、穏健派が多く住み、共和党員以外でも投票できるニューハンプシャー州予備選挙や、彼女が38歳で知事を務めたサウスカロライナ州予備選挙などで勝てば、スター誕生への期待は高まる。
日本の政界にも有望株がいる。ラジオ番組を通じて親しくさせていただいている元衆議院議員の金子恵美氏が「うちの夫(宮崎謙介氏)よりカッコ良かった」と語る小林鷹之前経済安保担当相だ。
東大卒、ハーバード大学大学院を修了という学歴、財務官僚や外交官の経験もさることながら、186センチと上背があり49歳という年齢も魅力だ。
二階派所属だが、高市早苗経済安保相が、大臣就任時、「小林さんに続けてほしかった」と述べたほどの実力者で、自民党内で「ポスト岸田派?」と聞けば、石破茂元幹事長らの名前以上に、「コバホーク(小林鷹之が「鷹」をもじったXアカウント名)もいいんじゃない?」といった声も聞かれる。
日本をはじめ関係各国の政治事情はどこもお寒い限りだが、雪解けを待つように、新しい人材が芽吹き始めていることも事実だ。そこも注目していただけたらと思う。 
●岸博幸氏「政権守るために派閥解散か」岸田首相の対応批判 1/21
元内閣官房参与の岸博幸氏(61)が21日、TBS「サンデージャポン」に出演した。
自民党の裏金問題に関連して、岸田文雄首相(66)が岸田派の解散を明かしてから“ドミノ倒し”現象のように安倍派、二階派が次々に派閥解散を表明したことに言及。
岸田首相が派閥解散に言及したことには違和感をぬぐえないとして「今回、岸田総理、大ばくちは打ったけれども、パフォーマンスだよな、と」と切り捨て「みなさん、意外と忘れがちなんですが、岸田総理は1カ月前、昨年12月に派閥を離脱したんですよ。派閥を離脱した方が、派閥の解散を決められるのか」「(当時は)派閥離脱、って何じゃ、ってなったんですね。そういう方が、派閥離脱しているのに解散、っていったら、なんちゃって解散」と、首相の論理破綻ぶりについて説明。「加えて、問題は(解散表明)会見のとき、記者さんから『他の派閥、どうするんですか』と質問されて『他の派閥のありようついて申し上げる立場にない』と答えたこと。ということは、全部の派閥について解消するわけではない。そもそも、あなた自民党総裁ですよね? 本気になれば、自民党の派閥全部解消できますよね?」と述べた。
岸氏は「それをやっていないということは、麻生派、茂木派と、問題の起きていない派閥への配慮をしている。検察が安倍派だけ立件しようとしていたと思っていたら、岸田派も立件。責任を問われる前に自分の(所属していた)派閥を解散する。ある意味、自分の政権を守るために派閥をとりあえず解散した」と、岸田首相の岸田派解散表明に至る時系列と首相の思惑を推測しながら解説した。
その上で、新たな問題点として「でも(解散した)派閥も、政策研究会とか名前を替えられるわけですよ。だからほとぼりが冷めたら戻る可能性は十分ある」と指摘。“ゾンビ”のように復活する可能性に触れながら、警鐘を鳴らした。
●石川県 馳知事 安倍派から819万円キックバック 報告書不記載 1/21
石川県の馳知事は、国会議員を務めていたおととしまでの5年間に、所属していた自民党の安倍派から合わせて819万円のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかったことを明らかにし、陳謝しました。
馳知事は21日、石川県庁で記者団に対し、国会議員を務めていた際、所属する自民党の安倍派から政治資金パーティーの収入のキックバックを受けていたことを明らかにしました。
金額は、2018年からおととしまでの5年間で819万円で、全額を政治資金収支報告書に記載していなかったとしています。
今月11日に安倍派の座長を務める塩谷元文部科学大臣から直接連絡を受け、国会議員時代の秘書にも確認して判明したということです。
キックバックを受けた819万円の一部は旅費や通信費といった事務所経費に使ったとしていて、この秘書からは「派閥から政治資金収支報告書に記載しなくてもいいと聞き、それに従い処理した」と説明を受けたということです。
馳知事は「政治資金規正法にのっとって適切に処理されるべきものだ。私の監督不行き届きであり、おわび申し上げます」と陳謝しました。
馳知事は、政治資金パーティーをめぐる問題が明るみになったあとの先月、記者団の取材に対し「政治資金規正法に基づいて処理されているという認識だ」と述べ、自身は適正に行っていたと説明していました。
●高木毅氏(自民・安倍派事務総長)還流再開協議への関与をHPで否定 1/21
自民党の政治資金パーティーをめぐる問題で、キックバック再開協議への関与が指摘されていた安倍派の事務総長高木毅議員は関与を自身のホームページで否定しました。
高木氏は自身のホームページで「私を含めた幹部が協議して復活を決定した旨の一部報道がされていますが、
私はそのような協議に関わったことすらありません」と掲載しています。
所属する安倍派に関しては2022年夏にキックバック廃止方針が撤回された経緯が注目されていて、同じ頃に事務総長になった高木氏の関与が取り沙汰されていました。今月19日に派閥解散を決めた安倍派の議員総会後の記者会見でも、高木氏は「私は関わっていない」と否定しました。
高木氏は今週末に地元福井県内の自民党関係者に「迷惑をおかけして申し訳ない」旨の電話連絡していることが
同県内複数の関係者証言で分かりました。21日時点で地元説明会の予定は決まっていません。
●能登半島地震「2次避難」進まず依然16% 避難者は全体で1万5千人あまり 1/21
能登半島地震でホテルや旅館などの宿泊施設に設けられた「2次避難所」にいる人が21日時点で2607人になったことが、石川県のまとめで分かった。避難者全体1万5656人の16%にとどまっている。災害関連死の増加も懸念される中、自治体は2次避難するよう呼びかけている。宿泊施設が被災地から遠く、インフラ復旧の遅れで地元に戻れる時期も見通せないため、思うように進んでいないとみられる。
22日で発生から3週間。県は体育館など「1次避難所」への被災者の集中を解消するため、2次避難を求めている。1次避難所と、2次避難前の一時的な受け入れ先である「1・5次避難所」を合わせた避難者は21日時点で約1万3千人。

 

 

●能登半島地震3週間 活発な地震活動続く 23日から大雪の見込み 1/22
最大震度7を観測した能登半島地震の発生から22日で3週間です。今月1日以降、地震の回数は減っているものの、体に揺れを感じる地震は1500回近くにのぼるなど、依然活発な地震活動が続いていて、気象庁は今後2週間ほどは、最大震度5強程度か、それ以上の地震に注意するよう呼びかけています。
一方、23日から冬型の気圧配置が強まり、西日本から北日本の日本海側を中心に、被災地でも大雪となる見込みで、交通への影響などに十分注意が必要です。
気象庁によりますと、能登地方やその周辺を震源とする地震の回数は徐々に減少しているものの、依然、地震活動が活発な状態が続いています。
震度1以上の揺れを観測した地震は、22日午前8時までに1487回にのぼり、気象庁は今後2週間ほどは最大震度5強程度か、それ以上の揺れに注意するよう呼びかけています。
23日〜25日大雪のおそれ
また、23日から上空に、この冬1番の強い寒気が流れ込んで冬型の気圧配置が強まるため、25日ごろにかけて、西日本から北日本の日本海側の山沿いや山地を中心に大雪となる見込みで、平地でも大雪のおそれがあります。
24日昼までの24時間に降る雪の量はいずれも多いところで、新潟県で70センチから100センチ、北陸と東北で60センチから80センチ、東海と近畿、中国地方で50センチから70センチ、関東甲信で40センチから60センチ、北海道で20センチから40センチ、四国と九州で10センチから20センチと予想されています。
また、25日昼までの24時間では、新潟県で70センチから90センチ、北陸と東北で60センチから80センチ、近畿で50センチから70センチ、中国地方と東海で40センチから60センチ、関東甲信と北海道で30センチから50センチ、四国と九州北部で5センチから10センチ、九州南部で1センチから5センチの雪が降る見込みです。
北陸では、海上を中心に雪を伴った強い風が吹き、大しけになる見込みで、気象庁は積雪や路面の凍結による交通への影響や高波に十分注意するとともに、なだれや着雪、強風などに注意するよう呼びかけています。
能登半島地震で損傷を受けている建物は、雪の重みで倒壊するおそれがあり注意が必要です。
また、被災地では、避難生活の長期化で体調を崩す人が相次ぎ、「災害関連死」の疑いで亡くなった人も確認されています。
家族や周りに体調を崩している人がいないか声をかけあうようにしてください。
林官房長官「被災地の支援 きめ細かく対応」
林官房長官は午前の記者会見で「長引く避難生活で被災者の心身の疲労は蓄積しており、個々の被災者の状況やニーズに応じたきめ細かな対応が必要になっている。政府としては、物資の支援を継続するほか、現地に派遣されている専門家によって、衛生管理や避難所での健康管理に万全を期していきたい」と述べました。
そのうえで「2次避難が必要な方にもさまざまな事情があり、多様なニーズにきめ細かく対応をすべく、旅館やホテルに加え、医療機関や高齢者施設など必要十分な数の避難先を確保している。希望や条件を踏まえた最適な避難先が選定されるよう被災自治体をバックアップしていきたい」と述べました。
●岸田首相「何もしなければ自民党は終わり」…69年の派閥政治、最後の試験台 1/22
「何もしなけりゃ自民党は終わりだ」
岸田文雄首相は自身が率いる自民党内の岸田派(宏池会、46人)の解散を発表する前日である18日、周囲にこう決心を語っていたという。党内派閥の裏金問題で世論が悪化する状況で「派閥解散」という強硬姿勢を取らざるを得ないという判断だった。
岸田派に続き所属議員が96人の最大派閥安倍派と38人の議員が所属する二階派が19日に解散を宣言して日本政治勢力図に大きな変化が予想されている。1955年創党以来、自民党内の政策集団であり、「党内部の党」として機能してきた派閥が存廃の岐路に立った。所属議員数それぞれ2位と3位の麻生派(56人)と茂木派(53人)、その他の少数派閥である森山派(8人)が残っているが、自民党全体議員374人のうち70%は無派閥議員になる。
日本メディアは派閥解散宣言を岸田首相の政治的賭けと評価した。昨年秋以降、下降を続ける政権支持率は年末に危険水準と呼ばれる10%台まで急落した。もっと深刻なのは自民党の支持率だ。時事通信の1月調査で岸田政権支持率は18.6%で、昨年12月(17.1%)に比べて小幅で上昇したが自民党の支持率はさらに低い14.6%だった。60年調査開始以来、最低数値だ。
昨年末、東京地検特捜部の捜査を通じて明らかになった自民党の政治資金スキャンダルは、安倍派と二階派、岸田派が政治資金集めのためのパーティー券の収益金の一部を帳簿に記載せずに議員にキックバックし、裏金化していた事件だ。捜査が現職議員の拘束にまで及び「派閥解体」に対する世論も高まった。解散した岸田派は1957年に結成されて「宏池会」という名称で党内リベラル系名門派閥の歴史を継いできた。
首相は勝負の賭けに出たがメディアの評価は慎重だ。まず岸田氏が首相になるために協力してきた麻生派と茂木派が強く反発している。首相が問題解決のために「政治刷新本部」を作っても、その他の派閥と何の議論もせずに独断的に決定を下したという批判だ。麻生派を率いる麻生太郎自民党副総裁は「問題は派閥ではなく、政治資金の取扱方法」としながら派閥を存続する意向を岸田首相に伝達したという。
自民党は88年大型贈収賄事件「リクルート事件」以降も「派閥解体」を宣言したことがある。だが、その後は「政策研究会」という名称で議員の集まりが再び結成され、結局現在の派閥として復活した前例がある。
●萩生田光一氏、キックバックは5年で2728万円…報告書に記載せず 1/22
自民党安倍派の萩生田光一・前政調会長は22日、国会内で記者会見し、同派の政治資金パーティーを巡り、自身の資金管理団体が2018〜22年の5年間で、パーティー券販売のノルマ超過分として派閥からキックバック(還流)を受けた計2728万円を政治資金収支報告書に記載していなかったと明らかにした。
●最大の判断材料は「賃上げ」…“大規模緩和”維持の見方が優勢 日銀 1/22
日銀は22日から2日間、金融政策決定会合を開く。市場では、「“マイナス金利政策”を含めた今の大規模緩和は維持される」との見方が優勢。
会合では、賃金と物価が共に上昇する「好循環」が実現する見通しについて議論する。
判断の最大の材料となるのは「賃上げ」だが、大企業の一部で賃上げ方針の表明が相次ぐ一方、中小では慎重な姿勢を示す企業もあり、ばらつきが見られる。
能登半島地震の経済への影響が不透明なこともあり、市場関係者の間では、「今の金融緩和策の維持を決める」との見方が多くなっている。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長「日銀の判断のポイントになる賃上げへの気運は高まってきているが、春闘を前にデータはまだ十分にそろっていないのが現状。判断材料のもう1つは、賃上げ分をモノやサービスの価格に上乗せして値上げできる環境が整うかどうかで、日銀がマイナス金利解除などの政策変更に踏み出すのは、4月以降になるとの観測が強まっている。今回の会合は、物価・賃金の好循環達成に向けた今の時点での進ちょく度合いについて、どういう議論が交わされるのかが焦点になりそう」
●世間は「政治資金の話は興味あって憤っている」派閥解散には「何それ?」 1/22
俳優石原良純(62)が22日、テレビ朝日系の「羽鳥慎一モーニングショー」に出演した。
裏金疑惑で揺れる自民党が“政治と金”にまつわる問題で主要3派閥の解散にまで発展した。20〜21日で実施したANN世論調査(全国18歳以上男女2013人対象)では内閣支持率が「支持しない」が61.3%(先月比0.9ポイント増)、「支持する」は20.4%(同0.9ポイント減)となった。「自民党の派閥を解体すべきと思う」に関しては「思う」が69%、「思わない」は17%となった。
石原は「派閥解散が焦点になるって言っていた段階が先週金曜(19日)で岸田総理が(岸田派解散で)先手を打った。僕なんかはけっこう衝撃的だった。ただ、支持率は横ばいだと、それだけ政治不信というものがまん延しているというか、みなさんの意思なんだろうし」とコメントした。
さらに「僕、金曜あたりからいろんな人と話をしている中で、政治資金の話にはすごく興味もあって憤っているんだけども『派閥解散、何それ?』『だから、いつもやってんじゃないの?』『またまた、繰り返しでしょ?』って言って興味がないんですよね」と語った。
その上で「一般の人たちは政治家と違っている。政治家は派閥が解散すると大変じゃないですか。その辺は本当に意識が違うんだろうな」と述べた。
●6割が「岸田派解散」を評価 内閣支持率27.6%に 5.1ポイント回復も… 1/22
FNNがこの週末に実施した世論調査で、岸田内閣の支持率は27.6%だった。
岸田首相が、岸田派の解散を表明したことを6割が「評価」した。
岸田内閣の支持率は27.6%で、5.1ポイント回復したが、内閣の「危険水域」といわれる3割を3カ月連続で割り込んだ。
岸田首相が岸田派の解散を表明したことは、「大いに」と「ある程度」をあわせて6割超が「評価」した。
ほかの自民党の派閥については、「すべて解散するべき」が43.2%、「それぞれ判断すれば良い」が47.4%、「解散の必要はない」が6.9%だった。
政治と金をめぐる問題の再発防止について、自民党「政治刷新本部」に「期待する」は28.3%、「期待しない」は69.5%だった。
また、政治改革のために最も必要な措置について、最も多かったのは「政策活動費の使い道の公開」で36%、続いて「収支報告書へのうその記載で国会議員の責任を問う連座制などの罰則強化」が34.9%、「派閥の政治資金パーティー禁止」が10.5%だった。
政治資金規正法の改正については、「必要だ」との答えが9割を超えた。
こうした中、政治改革の実現について、岸田首相に「期待する」は37.4%、「期待しない」は61.7%だった。
岸田首相にいつまで首相を続けてほしいかについては、「すぐに交代」が18.5%、「3月末前後の2024年度予算成立まで」が23.8%、「国会が終わる予定の6月ごろまで」が16.8%で、最も多かったのは「9月の総裁任期まで」の29.3%だった。
能登半島地震への政府の対応については、「迅速だった」が「ある程度」も含め5割を超え、震災の支援・復旧について、岸田首相がリーダーシップを「発揮している」は40.6%、「発揮していない」は56.7%だった。
●内閣支持率は低迷続く、3派閥解散でも「危険水域」−世論調査 1/22
岸田文雄内閣の支持率は、先週末に実施された報道各社の世論調査でいずれも政権運営に影響が出る30%以下の「危険水域」に落ち込んだままだ。政治資金規正法違反で立件された安倍、岸田、二階の3派が解散する方針を表明したが、政治不信を払しょくできていない。
内閣支持率は朝日新聞が前回12月調査と同じ23%、読売新聞が同月の25%からほぼ横ばいの24%、ANNが同月より0.9ポイント減の20.4%だった。産経新聞とFNNの合同世論調査では同月より5.1ポイント増え、27.6%だった。
朝日調査では首相が岸田派の解散を決めたことについては61%が「評価する」と回答したが、自民党の派閥が解散しても政治の信頼回復に「つながらない」とした人は72%だった。
自民党は22日も岸田首相が出席して政治刷新本部の会合を開く。3派の事件を受けた再発防止策や派閥のあり方などについて月内に中間取りまとめを行うが、読売調査では同本部に「期待できる」は17%にとどまっており、信頼を回復できるかどうかは不透明だ。
林芳正官房長官は22日午前の記者会見で、派閥や自民党の活動に政治資金の観点から厳しい目が向けられているとした上で、「国民から疑念を持たれるような事態を招いているということは遺憾だ」と語った。
派閥の存廃を巡っては、麻生、茂木、森山の3派の動向が焦点となる。読売新聞は20日、3派は同本部での議論や世論の情勢なども見極めて最終的に判断する方針だとみられると報じた。
茂木敏充幹事長は21日、NHKの討論番組で、自身が会長を務める茂木派の対応について「派閥の存続というものを前提としない」と述べた。読売によると、麻生太郎副総裁は首相に対して麻生派を解散する意向がないことを伝えているという。
自民党支持率も低下傾向に
内閣支持率に加え、自民党の政党支持率も低下傾向にある。時事通信が12日から15日にかけて実施した調査で前月比3.7ポイント減の14.6%となり、1960年6月の調査開始以降で、野党時代を除き最低を記録した。これまでは2009年7月の麻生政権下の15.1%で翌月の衆院選で自民党は大敗し、政権交代に至った。ただ、野党の支持率は日本維新の会が3.8%、立憲民主党が3.5%にとどまり、他の党はいずれも2%以下だった。
読売の調査では自民党支持率は前回を3ポイント下回る25%で12年に自民党が政権復帰して以降、最低を更新した。朝日は24%(前回23%)だった。
●自民、派閥からの人事推薦とパーティー開催禁止へ 裏金事件受け 1/22
自民党は、政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、党政治刷新本部でまとめる中間報告に、内閣改造・党役員人事の際の派閥による推薦と、政治資金パーティー開催の禁止を盛り込む方針を固めた。政府・自民関係者が21日明らかにした。岸田文雄首相は、存続方針を示している麻生派など既存の派閥に加え、今後結成が想定される政策グループなども新たなルールの対象とすることで、派閥の実質的な解消を進めたい考えだ。
刷新本部は、26日の通常国会召集の前に中間取りまとめを公表する方針で、25日の党総務会で改革案の了承を得る日程を想定している。政権幹部は「カネやポストに派閥が介入することはあってはならない。国民の疑念を招かない状況を作っていく」と語った。
内閣改造・党役員人事を巡っては、各派閥の意向や規模に応じた人事が慣例化している。岸田政権下の内閣改造でも各派閥の領袖(りょうしゅう)が、衆院当選5回、参院当選3回以上の「入閣待機組」を中心に要望を首相に伝達。副大臣、政務官については、各派閥の事務総長らが、各派の中堅・若手の要望を聴取した上でリストを作成し、官房長官が中心となってポストの調整が行われてきた。改革案では、派閥推薦に基づく人事を禁止し、党に設置する新たな「人事局」を通じて調整する案が浮上している。
政治資金パーティーは派閥の収入の約8割を占める。これを原資に所属議員に「氷代」「餅代」と呼ばれる資金を支給し、議員の政治活動を金銭面でも支援してきたが、今回の事件では派閥の政治資金パーティーが裏金作りに使われた。自民は改革案にパーティー禁止を盛り込む方針で、実現すれば派閥の求心力、影響力は低下するとみられる。
自民6派閥を巡っては、岸田派、二階派、安倍派が解散を決定。一方、第2派閥の麻生派(56人)は、会長の麻生太郎副総裁が存続の意向を首相に伝え、第3派閥の茂木派(53人)、第6派閥の森山派(8人)は今後、派内で対応を検討する考えだ。首相は、各派閥に存廃の判断を任せる意向で、周辺に「派閥を解消するか、しないかは関係ない。全員が新たなルールに従って活動していく」と語った。
一方、与野党幹部は21日のNHK番組で「政治とカネ」を巡る問題を議論した。自民の茂木敏充幹事長は、派閥のパーティーに関して「このまま続けましょうということにはならない」と指摘。再発防止に向けた政治資金規正法の罰則強化にも触れ「きちんと政治家が責任を持つような制度を作っていかなければいけない」と法改正に前向きな考えを示した。
立憲民主党の岡田克也幹事長は、政党から政治家個人に寄付される政治資金「政策活動費」について「何に使うかが全く明らかにならない、非常に不透明なものだ」と述べ、禁止すべきだと主張。茂木氏は「もし、政党の政治資金について使途を考える、公開するということであれば、政党助成金も含めて議論すべきだ」と述べた。
●清和会(安倍派)創始者の孫・福田達夫氏のあまりに不用意な発言〜 1/22
自民党の最大派閥として20年以上にわたって君臨してきた清和会(安倍派)が解散を決めたとたん、清和会創始者の福田赳夫元首相の孫である福田達夫衆院議員(元総務会長)が「反省の上に新しい集団をつくっていくことが大事だ」と党本部で記者団に述べた。
派閥解散は名ばかりで、結局は新しい派閥に姿かたちを変えて存続していくだけだという印象が広がり、ネット上では福田発言に批判が殺到した。
清和会にはもともと福田系と安倍系がある。福田氏は当選4回の中堅議員だが、福田系本流であり、清和会の次世代ホープと目されてきた。
岸田政権発足当初は総務会長に異例の抜擢をされ、次は重要閣僚への起用も取り沙汰されたが、旧統一教会問題で「何が問題かよくわからない」と発言して批判を浴び、2022年8月の人事で党4役から外れた。
派閥会長の座を争っていた安倍派5人衆(萩生田光一、西村康稔、世耕弘成、松野博一、高木毅の5氏)が裏金事件で全員更迭されて失脚し、安倍派が解散に追い込まれたことで、中堅若手には次世代ホープの福田氏を軸に再結集を目指す動きが確かにある。しかし、当事者の福田氏が早々と「新しい集団」に言及したことは、派閥解散は「偽装」であるという印象を強く与えた。
あまりに間の悪い発言としかいいようがない。旧統一教会問題に続いて、再び「失言」で転んだ格好だ。
実際、自民党は1989年のリクルート事件で派閥解消を打ち出したが、派閥は存続してきた歴史がある。自民党が野党に転落していた1994年には派閥解消が強く打ち出され、清和会は「旧三塚派」、宏池会は「旧宮沢派」という呼称で報道された時期もあった。しかし、自民党が政権復帰した後はじわじわと派閥は復活し、現在に至っている。
総裁の座を選挙で争う以上、総理総裁を目指す実力者が中堅若手のカネや人事や選挙を支援する代わりに総裁選で支持を受ける集団(派閥)を形成することは自然な流れだ。中選挙区時代は自民党内の派閥同士の熾烈な戦いが続いたものの、小選挙区制度が導入された後は、派閥の力は弱かった。それでも総裁選の時期になると派閥の締め付けは強まった。
今回の派閥解散の動きは、第四派閥を率いてきた岸田首相が、第二派閥を率いる麻生太郎副総裁や第三派閥を率いる茂木敏充幹事長にいつまでも主導権を奪われることを打開するため、岸田派が裏金事件で立件されたことを機に派閥解散を打ち出し、派閥解消を旗印に自らの求心力を回復させることを狙ったともいえる。
これにより麻生・茂木・岸田の主流3派体制は崩れ、自民党内の権力闘争は熾烈を極めるが、岸田退陣ー総裁選の過程で派閥が再編され、党内勢力図が塗り替えられることはあっても、派閥そのものが完全消滅することはありえないだろう。
福田発言はそのような永田町の常識をそのまま口にしてしまったに過ぎないが、派閥解消を打ち上げて自民党の統制回復を目指すシナリオに早くも水をさす格好となった。
最大派閥・安倍派の約100人全員が福田氏のもとで再結集するのは難しい。
安倍系の一部は総裁選で右寄りの主張が重なる高市早苗経済安保担当相の支持に回り、高市派結成につながる可能性もある。
5人衆のうち、松野氏や高木氏が政治基盤を回復するのは困難だろう。森喜朗元首相が寵愛した萩生田氏は復権を目指すが、地元選挙区(東京都八王子市)は決して磐石ではない。総裁選出馬に意欲を示していた西村氏も安倍派事務総長として裏金捜査の渦中に身置いたのは痛手だ。世耕氏は参院議員の立場を利用し、参院安倍派のメンバーを束ねて影響力維持を狙うが、当面は表舞台に戻れそうにはない。
安倍派は次の総裁選で四分五裂する可能性が極めて高い。「清和会」の看板は福田氏が預かり、いずれ復活する可能性は残るが、20年以上にわたって自民党内に君臨してきた清和会の威光はすっかり陰ることになる。
●自民党派閥の解散 問題の本質すり替えるな 1/22
「急場しのぎ」の感は否めない。岸田文雄首相が打ち出した自民党岸田派の解散方針である。党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、東京地検特捜部が政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で岸田派の元会計責任者を略式起訴する方針を固めた際、突如表明した。
岸田首相は「政治の信頼回復のため」と説明したが、捜査機関の摘発を受け、批判をかわすために派閥解散を決めたのなら安直だ。「無派閥ならクリーン」となるわけではあるまい。
首相は昨年12月まで岸田派会長を務めていたが、政治資金問題を踏まえて岸田派離脱を宣言した。そもそも同派の解散を決められる立場なのか疑問だ。派閥という存在に問題があるのであれば、党総裁として全ての派閥解散を主導すべきである。
岸田首相の表明を受け、安倍、二階両派も解散を決めた。ともに岸田派と同様、東京地検特捜部に関係者が刑事処分された。一方、麻生派は領袖(りょうしゅう)の麻生太郎党副総裁が解散しない意向を首相に伝えた。茂木敏充党幹事長が率いる茂木派と、森山派は情勢を注視する構えを見せている。
麻生、茂木両氏は岸田政権を支えてきた屋台骨である。だが、今回の派閥解散の意向表明で首相から事前の根回しはなかったという。首相と両者の間に溝が生じ、今後の政権運営に影響を及ぼすことも想定されよう。
今回の事件は派閥主催の政治資金パーティーで、所属議員がパーティー券の販売ノルマ超過分を派閥から還流を受けたのに政治資金収支報告書に記載しなかったり、派閥の会計責任者が収入を適正に記していなかったりしたことなどが摘発の対象となった。
巨額の政治資金を集める派閥が舞台となったが、問題の本質は不透明な「政治とカネ」の関係である。還流分を収支報告書に記載せず裏金化した目的は何なのか。金の流れや使い道はどうなっていたのか。悪弊を断ち切るには実情の把握が欠かせない。
派閥を解消してしまったら、これまでの経緯や問題点などを誰が責任を持って解明し、説明するのか。その辺りの道筋をあいまいにしてはならない。再発防止に向けた議論を派閥の在り方という一点のみにすり替えることなく、背景を含めた全体像を明らかにする必要があろう。
自民党はこれまでも「政治とカネ」の問題が起こるたび、派閥の解消を議論してきた。リクルート事件を受け、1989年に策定した政治改革大綱では派閥パーティーの開催自粛、党幹部や閣僚の在任中の派閥離脱を明記していた。だが今では形骸化し、実効性を伴っていない。
「政治とカネ」の見直しは、政治資金規正法をどこまで抜本改正できるかが最大のポイントだろう。収支の透明性向上と罰則強化の具体策を打ち出さなければならない。
●岸田内閣支持率は再び最低の24%、政治刷新本部に「期待できない」75%… 1/22
読売新聞社は19〜21日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は2012年の自民党の政権復帰後最低だった昨年11月の調査と同じ24%で、昨年12月の前回調査の25%からほぼ横ばいだった。内閣不支持率は61%(前回63%)。自民党派閥による政治資金規正法違反事件を巡り、政治不信は高まっており、支持率低迷が続いている。
岸田首相が岸田派を解散する方針を表明したことについて、「評価する」は60%で、「評価しない」の29%を上回った。ただ、自民党が設置した政治刷新本部に「期待できる」は17%にとどまり、「期待できない」が75%に上った。一連の問題に関し、各派閥の幹部らが国民に十分説明しているかについて「思わない」が92%で、「思う」は3%だった。
政党支持率は、自民党が25%(前回28%)で、政権復帰以降最低を更新。立憲民主党が5%(同5%)、日本維新の会が5%(同5%)など。無党派層は48%(同48%)だった。
●岸田内閣支持率 政権発足後最低20.4% 1/22
岸田内閣の支持率が政権発足以降最低の20.4%になったことがANNの世論調査で明らかになりました。
ANNは20日、21日に世論調査を行いました。
岸田内閣を「支持する」と答えた人は先月より0.9ポイント減り20.4%で、政権発足以降最低となりました。
「支持しない」は61.3%でした。
政治資金を巡る問題で自民党の政治刷新本部の対策が再発防止に「つながる」と答えた人は16%で、「つながらない」が7割を超えました。
一方、自民党の派閥を解体するべきだと思う人はおよそ7割で、政治資金規正法を改正して会計責任者らが有罪になれば議員も失職する「連座制」を導入する必要があると答えた人は74%でした。
また、岸田派の元会計責任者が立件されたことについて、岸田総理大臣に「責任がある」と答えた人が9割を超えました。
●核禁条約3年と日本 「核なき世界」の入り口に 1/22
核兵器禁止条約がきょう発効から3年を迎えた。人間として核兵器を禁じる―。核の悲惨を身をもって訴えた被爆者の証言に基づく立脚点に賛同は広がり、批准は70カ国・地域に達した。
日本政府は依然、条約に背を向けたままだ。「核なき世界」を掲げながら米国の「核の傘」の下に身を置き、その依存度を強めている。矛盾を抱える被爆国は国際社会で、核廃絶論議における存在感や影響力の低下が懸念される。
ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領は核使用の脅しに加え、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を撤回。パレスチナ自治区ガザの戦闘でイスラエルの閣僚は核攻撃が「選択肢の一つ」と述べた。今、核リスクが冷戦以降で最も高まっている。
片や、昨年5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)は核軍縮に関する「広島ビジョン」で、核には核で対抗する核抑止力の必要性を認めてしまった。核兵器を持てる国、守られる国と、地球上からなくしたい国・市民との溝は深まるばかりだ。
そもそも核兵器が存在する限り、さまざまなリスクがつきまとう。敵対する国の指導者の暴走に加え、偶発的な事故やミスが人類を危機に陥れる引き金を引きかねない。自国中心の考えを改めさせる手だてが今こそ必要だ。
こうした中、昨年あった第2回締約国会議は政治宣言で核抑止論を否定し、「軍縮を阻害している」と指摘した。核保有国と依存国に脱却を迫るため、核兵器の非人道性はどんなものか、科学的証拠に基づく報告書を示すと決めた。核実験などの被害者救済や環境回復に向けた国際的な信託基金の設立を目指す。
多様な論点からの取り組みに敬意を表したい。広島・長崎が蓄積した知見やノウハウを生かせる局面でもある。しかしながら会議が設置した科学諮問グループの委員に、長崎の被爆者で医師の朝長万左男氏が落選した。日本政府の姿勢と無関係ではなかろう。
条約発効3年に合わせ、広島・長崎を訪問した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のメリッサ・パーク事務局長は、日本政府への期待と警告を示した。
広島での講演でパーク氏は岸田文雄首相が「核なき世界を目指す上での出口」と唱える条約の位置づけを否定。「入り口でなくてはならない」と強調した。廃絶への道筋は厳しさを増すが、よりどころとしての条約の意義はより重たくなったといえよう。
その上で「核の傘と決別し、条約に加わる責務がある」と迫り、少なくとも2025年の第3回締約国会議へオブザーバー参加するよう求めた。被爆者と、条約の下に集う国々や若者たちをこれ以上、失望させてはならない。
政府は非保有国や廃絶を目指す市民社会との関係を構築し直し、核「傘下国」から条約「参加国」へかじを切るときだ。被爆地は核被害を受けた他国の人々との連携や被爆の実態の発信をさらに進め、政府への圧力を強めたい。 
●政労使、持続的賃上げ確認 岸田首相「昨年上回る水準を」 1/22
政府は22日、今週スタートする2024年春闘に向け、政府、労働界、経済界代表による「政労使会議」を首相官邸で開き、持続的な賃上げ実現の重要性を確認した。
岸田文雄首相は「昨年を上回る水準の賃上げ」を要請。達成には中小企業の賃上げがカギを握ることを踏まえ、労務費の価格転嫁対策に「全力で取り組む」と表明した。
会議には首相のほか、経団連の十倉雅和会長、連合の芳野友子会長らが出席した。終了後、記者団の取材に応じた十倉氏は「価格転嫁がなかなか進まない日本社会の風習を直すことを確認した」と述べた。芳野氏は「(高水準だった)23年春闘以上の成果を連合として出していくことが役割の一つだ」と強調した。
政労使の代表が賃上げに関し一堂に会し議論するのは昨年11月以来で、岸田政権下では3回目となる。安倍政権下でも複数回にわたり行われたが、春闘がスタートする1月の開催は異例だ。
●泉房穂氏、派閥解散めぐる岸田首相の“一石四鳥”指摘 1/22
政治ジャーナリスト田崎史郎氏(73)と元明石市長の泉房穂氏(60)が22日、テレビ朝日系の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」に出演した。派閥解散を表明した岸田文雄首相と派閥存続を訴える麻生太郎氏との攻防について、それぞれの意見をぶつけあった。
岸田文雄首相が18日に岸田派の解散検討を会見で表明してから、安倍派、二階派も派閥解散を決定。麻生派と茂木派は派閥存続の方針を貫く見通しとなっている。田崎氏の取材によると、18日に派閥解散を表明した岸田首相に麻生太郎氏は電話で抗議したことで一時は険悪な雰囲気になっていたという。
さらに田崎氏によると、21日には都内で岸田氏は麻生氏と会食をして関係を修復していたという。
この自民党の一連の流れについて泉氏は「田崎さんとはスタンスが違うかも知れませんが、(派閥解散を表明した)岸田さんの決断を聞いたときに”一石四鳥”だなと思いました」と話し「1つは、決断力を示すことで支持率の低下を防ぐ。2つ目は、論点を企業団体の献金廃止という金の問題ではなく派閥の是非論や弊害論にもっていけば“本丸(政権)”は守れる」とした。
さらに泉氏はマシンガントークで「3つ目は、(派閥解散を)自分から先に言えば、安倍派や二階派を解散に追い込める。まさに政敵をやっつけられる。4つ目は、次の選挙のあとに、もともとご一緒の麻生派と合併するんじゃないかなと思われる。勝手ながら想像してしまいました」と続けた。
それを聞いていた田崎氏は「まあ、勝手な解釈ですね」とリアクション。
また、派閥解散を表明して「岸田の乱」とも言われたが、田崎氏が番組で明かした、岸田首相と麻生氏とのケンカ別れのような電話会談から、関係修復したとされる都内会食までの流れについて泉氏は疑念を抱いていた。「質問したい。田崎さんがお詳しいとは思うけど、ホンマにそうなのかな、と。舞台裏とか(テレビ画面で)タイトルつけてはるけど、テレビで舞台裏こうでしたなんて起こるんだろうか」と指摘した。
さらに泉氏は「振り返ると2005年のときに小泉総理は森元総理と会談してけんか別れをしたことにして、芝居を打って郵政(民営化)解散(の後の衆院選)で圧勝して。あれは2人で仕込んだ芝居だった」などと冷えたピザのチーズとアルコール飲料の空き缶を持ちながら囲み取材を受けた森氏のことを語った。
続けて泉氏が「今回、まさかその再来じゃないでしょうね、ってことを田崎さんに聞きたいですね」と話し終えた直後、田崎氏は「それも勝手な解釈ですね」と返した。
●世論調査 岸田首相の任期「9月まで」が最多 支持率微増も厳しい政権運営 1/22
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で、岸田文雄首相(自民党総裁)にいつまで首相を続けてほしいか尋ねたところ、「9月の党総裁任期まで」が29・3%で最も多かった。「9月以降も続けてほしい」は9・2%にとどまる一方、「すぐに交代してほしい」が18・5%に上った。
他の回答は「3月末前後の来年度予算が成立するまで」が23・8%、「国会が終わる予定の6月ごろまで」が16・8%、「分からない・言えない」が2・4%だった。
支持政党別では、自民支持層は「9月の党総裁任期まで」が45・9%で最多。「9月以降も続けてほしい」の回答は2番目に多かったが、18・8%と大きく差が開いた。連立を組む公明党支持層も「9月の党総裁任期まで」が最多の36・8%で、「国会が終わる予定の6月ごろまで」が28・3%と続いた。「9月以降も」は9・7%だった。
一方、次の首相に一番ふさわしい人物を尋ねたところ、石破茂元自民幹事長が20・3%(前回調査比2・1ポイント増)で最多。小泉進次郎元環境相15・0(同1・0ポイント減)%、河野太郎デジタル相9・2%(同2・7ポイント減)と続いた。自民支持層に限ると、石破氏20・7%、小泉氏17・2%、菅義偉前首相9・5%、河野氏9・1%−の順番だった。
●自民・萩生田前政調会長“5年間で2700万円超を不記載”明らかに 1/22
自民党・安倍派の幹部・萩生田前政調会長は、キックバックの不記載が5年間で2,700万円余りだったと明らかにした。
自民党・萩生田前政調会長「心よりおわび申し上げたいと思います」
会見で萩生田氏は、2018年から5年分の収支報告書に派閥のパーティー収入のキックバック、あわせて2,728万円を記載していなかったと明かした。
事務所の会計はスタッフに任せて把握しておらず、キックバック分はスタッフが引き出しに保管し、会合費などに使っていたとしている。

 

●石川県 能登半島地震の死者名を新たに公表 遺族同意の7人 1/23
石川県は、能登半島地震で亡くなった方のうち、遺族の同意が得られた7人の氏名や年齢などを23日、新たに公表しました。
内訳は珠洲市が5人、輪島市と金沢市がそれぞれ1人で、女性が4人、男性が3人です。
年代別で見ると60代が1人、70代が4人、80代と90代がそれぞれ1人で、死因はいずれも家屋倒壊でした。
石川県内では23日午後2時の時点で、233人の死亡が確認されていて、このうち氏名などが公表されたのは今回で合わせて121人となりました。
121人の死因の内訳は家屋倒壊が107人、土砂災害が8人、災害関連死の疑いが2人、津波が1人、非公表が3人となっています。
県はほかの亡くなった方についても、遺族の同意が得られれば、随時、公表するとしています。
●能登半島地震から3週間 地震の回数減も依然活発 大雪にも注意 1/23
最大震度7を観測した能登半島地震の発生から、1月22日で3週間です。1月1日以降、地震の回数は減っているものの、体に揺れを感じる地震は1500回近くに上るなど、依然活発な地震活動が続いていて、気象庁は今後1週間ほどは最大震度5強程度かそれ以上の地震に注意するよう呼びかけています。一方、23日から冬型の気圧配置が強まり、日本海側を中心に被災地でも大雪となる見込みで、交通への影響などに十分注意が必要です。
震度1以上の地震 22日午後4時までに1489回
気象庁によりますと、能登地方やその周辺を震源とする地震の回数は徐々に減少しているものの、依然、地震活動が活発な状態が続いています。
震度1以上の揺れを観測した地震は22日午後4時までに1489回に上り、気象庁は今後1週間ほどは最大震度5強程度かそれ以上の地震に注意するよう呼びかけています。
23日〜25日ごろ 被災地など大雪のおそれ
また、23日から上空にこの冬一番の強い寒気が流れ込んで冬型の気圧配置が強まるため、25日ごろにかけて西日本から北日本の日本海側の山沿いや山地を中心に大雪となる見込みで、ふだん雪の少ない東海や近畿、九州などの平地でも大雪のおそれがあります。
北陸や北日本では、海上を中心に雪を伴った強い風が吹き、大しけになる見込みで、気象庁は交通への影響や高波に十分注意するとともに、なだれや着雪に注意するよう呼びかけています。
能登半島地震で損傷を受けている建物は、雪の重みで倒壊するおそれがあり注意が必要です。
被災地は23日以降再び冷え込み 低体温症に注意
気象庁によりますと、能登半島地震の被災地にはこの冬一番の強い寒気が流れ込み、23日から気温が大幅に下がる見込みです。
金沢市の最低気温は、23日が2度と予想されていますが、24日と25日はマイナス1度と平年を下回り、その後も1度〜2度と厳しい冷え込みが続くと予想されています。
日中も気温が上がらず、23日は4度、24日は2度、25日は3度などと、平年を2度〜4度ほど下回る見込みです。
能登地方でも寒さが一段と厳しくなる見込みで、低体温症に一層注意が必要です。
避難生活の長期化で体調を崩す人が相次ぎ、「災害関連死」の疑いで亡くなった人も確認されています。引き続き、低体温症に注意して、家族や周りに体調を崩している人がいないか声をかけあい、毛布などで体を暖めたり、定期的に体を動かしたりするなど、体温が下がらないよう対策を心がけてください。
一方、気象庁が22日に発表した「高温に関する早期天候情報」によりますと、1月28日ごろからは寒気の影響を受けにくくなり、被災地をはじめ北陸では気温がかなり高くなると予想されています。寒暖差が大きくなるため体調管理に注意してください。
●能登半島地震 斎藤経産相「停電は一部除き概ね今月中に復旧見通し」 1/23
斎藤経済産業相は23日、能登半島地震による停電は、今月中にも概ね復旧するとの見通しを示した。
今月1日に発生した能登半島地震により、石川県内では一時3万軒を超える停電が発生し、北陸電力は他の大手電力からの応援を受け復旧作業を進めていた。
斎藤経産相は閣議後の会見で、石川県内で発生している停電について、土砂崩れ等により、復旧作業のための立ち入りが困難な箇所や、地震、津波、火災により配電設備や建物が甚大な被害を受けた地区の一部を除き、今月中に概ね復旧する見通しを示した。
北陸電力によると、23日正午時点で、輪島市や珠洲市を中心に約5100戸で停電が続いていて、斎藤経産相は「立ち入りが困難な箇所についても、道路状況などの改善に応じて、順次復旧作業を進める」と強調した。
●茂木氏「組織の解散ですべての問題解決しない」派閥解消に慎重姿勢を強調 1/23
自民党の茂木幹事長は23日の記者会見で、派閥の解消が政治の信頼回復や今回の政治資金問題の解決につながるかを問われ、派閥の解散ですべての問題が解決するわけではないと強調した。
茂木氏は会見で「今回は政策グループの政治資金パーティーをめぐり不適切な会計処理が行われたことが問題の発端となっていて、まず当事者がこの問題に真摯に向き合って明確な説明責任を果たしていくことが重要だ」と指摘した。
その上で、「政治責任のあり方も国民の信頼に大きく関わってくる。少なくとも問題が起きた組織を解散をすればすべての問題が解決するということではないと考えている」との認識を示した。
●安倍派 堀井巌参院議員 876万円キックバック不記載訂正へ 1/23
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐり、安倍派に所属する堀井巌参議院議員はおととし(2022年)までの5年間で、派閥からあわせて876万円のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかったことを明らかにしました。
堀井氏は近く政治資金収支報告書を訂正するとしています。
堀井氏は23日、県庁で会見し、自身が代表を務める「自由民主党奈良県参議院選挙区第一支部」で、おととしまでの5年間に所属する安倍派「清和政策研究会」からの収入、あわせて876万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことを明らかにしました。
収入は、パーティー券の販売収入のうち、ノルマを超えた分をキックバックとして受け取ったもので、東京事務所の政策秘書が管理し、派閥からの指示で記載しなかったと説明しました。
受け取った876万円は、現金のまま金庫に保管し、使用していないということです。
また、平成26年から29年分についてもキックバックを受けていたとし、保管している現金の総額は1000万円以上とみられるということです。
これらの現金について、堀井氏は先月(12月)、秘書から説明を受けるまで存在を知らなかったとし、堀井氏は近く政治資金収支報告書を訂正するとしています。
堀井氏は「政治資金の不適切な取り扱いにより政治不信を招き、深くおわび申しあげる。今後は法にのっとり、適切に対応し、信頼回復に努める」と述べました。
●塩谷・元文部科学相“230万円余不記載”地元市議などに説明 1/23
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐり、安倍派の座長を務める塩谷・元文部科学大臣が、おととしまでの5年間で派閥から230万円あまりのキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかったことを、地元の市議会議員などに説明していたことがわかりました。
関係者によりますと、塩谷氏は21日、地元の市議会議員や県議会議員を集めて浜松市内で会合を開き、この中で安倍派の政治資金パーティーをめぐる問題について、「これまで説明できず申し訳なかった」と謝罪したということです。
その上で、販売ノルマを超えて集めたパーティー券収入について、おととしまでの5年間で、派閥からあわせて234万円のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかったことを明らかにしたということです。
関係者によりますと塩谷氏は近く、収支報告書を訂正する方向で調整を進めていて、一連の問題について記者会見を開いて説明する考えだということです。
●谷川弥一氏…キックバックの金は飲食費、多額の金で「力付けたかった」 1/23
自民党安倍派の政治資金パーティー収入を巡る事件を受け、議員辞職願を提出した谷川弥一衆院議員(82)(長崎3区、政治資金規正法違反で略式起訴)は22日、長崎県大村市内で記者会見を開いた。「すべて私の責任。深くおわび申し上げます」と陳謝した一方、派閥から不記載とするよう指示があったのかについては「言えない」と繰り返した。
「このような事態に至ったことは認識に甘さがあった。国民の皆様に深くおわびする」。会見の冒頭、谷川氏は頭を下げ、東京地検特捜部の調べに対し、容疑を認めていることを明らかにした。
会見では、派閥からキックバック(還流)された金の使途についての質問が集中した。谷川氏は「人間関係づくりのため」として飲食費などに使っていたことを認め、多額の金を集めた理由については「力を付けたかった。長崎県の課題を解決するためだったが、勘違いしていた」と述べた。
ただ、自身よりも当選回数が少ない議員が閣僚になる中、自らは「大臣になれない」との思いを強くしたと説明。直近の5年分は飲食費などに使うのを控え、多くは保管していたとした。
また、今回の不記載について派閥から指示があったのかについては「派閥のことは一切言わない。私が悪い」「迷惑をかけたくない」などとして明かさなかった。
このほか、会見では、問題発覚後の昨年12月、報道陣に対し、「頭悪いね」と発言したことにも触れ、「配慮が足りなかった。撤回します」と語った。
●自民派閥幹部の説明「不十分」 山口公明代表 1/23
公明党の山口那津男代表は23日の記者会見で、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けた安倍派幹部らの対応について「説明責任を果たす努力をすべきだ。どう再発防止をしなければいけないか、その出発点が必ずしも十分ではない」と指摘した。
自民党が政治改革に関する中間取りまとめの骨子で派閥の存続を事実上認めたことに関しては、「自民党自身がしっかり国民の批判や期待に応えられるように議論を尽くしていくべきだ」と述べた。
●「岸田派解散」の後は「6月解散」に望みを託す 次のポイントは4月28日 1/23
総裁選前に選挙
岸田文雄首相が18日、自ら率いてきた宏池会(岸田派)の解散を表明したことで、永田町は上を下への騒ぎとなった。三頭政治として政権運営を共にしてきた麻生太郎自民党副総裁、茂木敏充幹事長にも事前に相談することがなかったため、2人との決別宣言ともなったといえるだろう。今回の思い切った決断に至る岸田首相の心のうちと、その後に見据えているという6月解散についてお伝えする。
「岸田首相が派閥解消を発表する少し前、16日とか17日くらいから、6月解散という言葉が出始めてはいました。ただ、それはあくまでも10日に立ち上げられた政治刷新本部で検討されている中身が漏れてきていたことに関連しています。そこでちょっとしたサプライズを演出することで低空飛行を続ける内閣支持率上昇のきっかけにし、予算委員会を乗り切って4月前半予定の訪米を成功させ、賃上げが期待以上となって……という好循環を想定した結果の6月解散説でした」と、政治部デスク。
昨年にもあった6月解散説
自民党総裁選は9月に予定されているが、その前に解散に打って出て勝利し、総裁選を無投票で乗り越えたい算段だ。岸田内閣の支持率は一部の調査では10%台に落ち込んでいる。
「月に3ポイントずつくらい回復していけば、通常国会が閉じられる6月ごろには40%程度で推移しているという希望的観測ですが、“現時点でそれは難しいんじゃないか”といった声が圧倒的で、まともに取り合っている人はほぼいなかったですね」(同)
振り返ってみると、2023年6月にも解散説が出て、それなりに現実味を帯びていたが、岸田首相は決断しなかった。あるいはできなかったのかもしれないが。
「ウクライナ電撃訪問や日韓首脳会談、G7広島サミットを議長国として取り仕切るといった外交面でポイントを重ねていましたね。岸田首相がそれらを成果として世間に信を問うことを検討していたのは事実のようですが、仮にそれに勝利して政権運営を継続していたとしても、今回の検察の捜査がなかったかというと、そういうことでもないでしょう」(同)
政治の信頼回復のために
話を今回の派閥解散に戻そう。今のところ、安倍派と二階派は解散、麻生派と茂木派は派閥解消せず、と対応が二分している。
「岸田首相は今回の政治刷新本部での議論が自身の政権を維持するための最後のチャンスと見て、大きな勝負に出てきたということになります。派閥解消の理由を“政治の信頼回復のために”と説明していましたが、政治改革やそれに関連する言葉が国民受けするキラーワードだということを認識した上での発言だったと思います。派閥解消に同調しなければ、旧態依然の勢力として国民から総スカンを食うとの見立てもあったのかもしれません」(同)
一方で、別のデスクはこんな見方をする。
「今回の検察の捜査では、安倍派、岸田派、二階派の会計責任者らが起訴されましたが、立証の高いハードルに阻まれ、安倍派幹部らは訴追を免れました。これについて世間は概ね“物足りない”と反応しているように感じています」
権力闘争をサバイブできるのか
「岸田首相はそういった世間の声にも敏感でしょうし、ある意味で検察から“政治改革への期待”というメッセージを受け取ったものと理解して、派閥解消に打って出たのかもしれません。首相は原理主義者や堅物キャラとされてきましたが、それを見せつけた格好ですね」(同)
今後、岸田首相は自民党内での権力闘争をサバイブできるのか。
「ハードルがあり過ぎますが(笑)、4月28日の補欠選挙がポイントでしょう。細田博之前衆院議長の死去を受けた衆院島根1区、今回の捜査で略式起訴された谷川弥一衆院議員の辞職を受けた長崎3区の補選は確定で、そこでの勝ち方・負け方いかんによっては岸田おろしに発展しかねないでしょう」(同)
岸田首相としては、麻生、茂木の両氏を抵抗勢力と見立て、世間の支持に期待する狙いも見え隠れするが、
「今回の派閥解消表明は相当なサプライズではあるものの、そもそも岸田首相が国民にあまり支持されていない中で、どれくらい支持率に寄与するのか疑問視する声は大きいですね」(同)
これまで以上に綱渡りの政権運営を強いられることになりそうだ。
●最高値が見えてきた日本株の独歩高は、一体いつまで続くのか? 1/23
日経平均株価は、1月19日に終値で3万5963円まで上昇、平成バブル崩壊直後の1990年2月以来の高値を更新した(17日にはザラ場で3万6239円まで上昇)。またTOPIX(東証株価指数)も、昨年の最高値を同様に更新している。2024年は1月19日までの上昇率で比較すると、米欧株が若干の上昇で推移している中で、日本株(日経平均)は約5〜6%程度も上昇率で凌駕している。
岸田政権の震災対応は「教科書どおり」で一定の評価
昨年2023年に起きた日本株高の要因としては、東京証券取引所によるPBR(株価純資産倍率)改善指針や、2024年からの新NISA(少額投資非課税制度)開始による資金流入、さらにはインフレ定着を伴う経済正常化への期待など、が挙げられる。2024年もこれらの要因が、引き続き日本の株高を支えていると見られる。
また、日本は年初早々能登半島地震に見舞われた。依然日常生活を取り戻せない多くの被災者の方々にとって深刻な問題だが、日本企業の生産活動などへの影響は限定的と見られる。震災などの有事においては、これに対処する政府の対応がより重要になる。
これに関連して思い出されるのが、2011年の東日本大震災後の、民主党政権(当時)の対応だ。震災復興の歳出とともに、復興増税策定が同時並行で進んだ。深刻なデフレの中で、インフラへの投資などであれば迅速な国債発行が正当化されるが、この対応が経済正常化を一段と遅らせたのではないか。
これを教訓にした自民党政権は、2013年の金融緩和への「レジーム転換」で脱デフレと経済正常化に強い意思を持って取り組んだ。2020年のコロナ禍対応でも、増税なしに大規模な財政支出を繰り出した。また2024年は所得税減税が予定されている中で、岸田政権では、復興を理由に増税が検討される気配は今のところ見られず、これまでのところ災害・有事に対して「教科書どおり」の対応が行われていると言える。
また、年初の大規模地震発生をうけて、為替市場でドル円相場が一時的に1ドル=143円台へ2円程度円安に動いた。
災害などの有事が為替市場にどのように影響するかは、明確な理屈があるわけではない。東日本大震災発生時に大幅な円高が起きた際には、日本企業による対外資産売却が要因とされた。だが実際には、大震災に対して政策対応が十分行われず、経済の停滞が長引いて、デフレが強まるとの連想が働き、これが円高をもたらした側面も大きかっただろう。
現在の円安は「日銀の機動的対応への期待」の証拠
経済の下振れが起きれば、中央銀行が金融緩和を繰り出すので、通貨安要因になる。今回は有事発生をうけて、2024年に予想される日本銀行のマイナス金利解除が遅れるとの思惑が、円安の一因になった。
元々1月22〜23日に開催される金融政策決定会合を機に、日銀が政策変更に踏み出すとの金融市場の思惑が早計だったことの反動がでている側面もある。だが、有事に対して日銀の対応は機動的に変わるという期待で円安が進んでいることは、経済失政が目立った2011年時と現在は異なっていることを意味する。
そして、円安によって日本株が他国の市場より大幅な好成績をおさめている構図は2023年に明確だったが、これは2024年も変わっていない。震災後の対応が教科書通りに行われ円安が進んだことが、年初からの日本株の独歩高の最大の要因だろうと筆者は考えている。
では、このまま日本株の上昇は続くのだろうか。1989年の平成バブル期ル期に記録した3万8915円という史上最高値が近づきつつあることで、「日本株市場もかなりバブルになっている」、と感じられる方が多いかもしれない。
だが、日本以外のほとんどの主要先進国では、株価指数は景気回復の度に最高値を更新している。過去30年もの期間に株価が高値を更新していない日本が例外であり、ようやく普通の国に戻りつつあるということである。
1990年以降の停滞から抜け出し、日本の名目GDPが1990年以降のレンジ(500兆円〜550兆円)から抜け出し、2023年にはっきりと超えたことでもそれは証明されている。
インフレ定着をともなう経済正常化が進んでいるからこそ、いわゆる「企業の稼ぐ力」が強まった。上場企業の利益も最高水準まで増えているのだから、バブル期の1989年まで株価が戻るのは正当化できる。またPER(株価収益率)などで見ても、1990年前のバブル期よりかなり低く、株価は割高とは言えない。長期的に見れば、今の水準の株高についても、「上がりすぎ」と警戒する必要はないだろう。
ただ、短期的な日本株の独歩高にはやや警戒すべきかもしれない。今回と同様に日本株が、米欧株を大きく上回った局面としては、直近では2023年4〜6月が思い出される。
当時は、就任直後の植田和男日銀総裁が慎重な対応を行う一方で、FRB(連邦準備制度理事会)が追加利上げを模索していた中で、為替市場で1ドル=130円前後から145円付近まで円安が進んだ。
このときとは違って、2024年は日米の金融政策をとりまく環境が変わっている。まず、日銀による1月日銀金融政策決定会合後のマイナス金利解除への思惑は後退した。だが、春闘賃上げの状況を踏まえ、4月会合では、日銀によるマイナス金利解除が行われると見られる。
一方で、アメリカ経済は底堅い中で、インフレ指標の下振れが明確である。FRBによる3月利下げ期待が強まる中、高官からは早期利下げ期待をいさめるような声も聞かれる。
それでも、最近のインフレの下振れを踏まえると、今後FRBのインフレ見通しが変わってもおかしくない。FRBが利下げに動く中で、過去2年弱続いたドル高円安の修正が起きると見られる中で、2023年4〜6月期のように大幅な円安が進む可能性は高くない。このため、年初から続く日本株の独歩高は長期化しないのではないか。
●「ポスト岸田」林芳正官房長官、地元山口3区に「内憂」あり 1/23
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、林芳正官房長官(山口3区)は政権中枢で難しい役回りを担う。一方で、将来的に首相を目指すと公言してきた「ポスト岸田」の一人として、地元山口では負けられない戦いを控える。3カ月後の美祢市長選である。
岸田文雄首相が岸田派(宏池会)解散を決意し、新聞各紙に「岸田派解散へ」の見出しが躍った19日、同派ナンバー2の座長でもある林氏の地元関係者に動揺が走った。次の衆院選で立候補を予定する新山口3区内にある出身地、下関市の支援者は本音を漏らす。
「総理は派閥解消に踏み込むことで、よりどころの麻生派と茂木派を敵に回すのではないか。場合によっては林の芽を摘まれるかも…」
岸田政権の支持率が低迷する中、美祢市では緊張感が強まっている。市長選(4月14日告示、21日投開票)は、林氏に近い現職に前職が挑む一騎打ちの様相だ。
今月9日、現職篠田洋司氏(60)は記者会見し、再選を期して無所属での立候補を表明した。リーフレットには林氏の応援メッセージ。自民党員の篠田氏は「特に林先生にはいろんな面でお力添えをいただいている」と良好な関係を強調した。
対する前職西岡晃氏(50)は昨年12月22日の記者会見で、無所属で立つ意向を示した。前回2020年4月の市長選で落選した後、自民党から党費の振込用紙が届かなくなり、党籍が消滅したという。「多分放り出されたんじゃないかな」
自民党山口県連は今月11日、篠田氏の党推薦を決定した。市内3支部のうち推薦願いを提出したのは1支部だけだった。
県連は「他の2支部にも推薦手続きを進めると伝え、異論はなかった」と説明するが、ある支部の党員は「地元の市長選に政党が出てこなくていい」と不快感を示す。党関係者によると、昨年11月下旬に林氏の後援会関係者が2支部の幹部を集めた場で現職への協力を呼びかけたという。「強引に現職推薦を固めようとして失敗した。長門のように荒れそうだ」
次の衆院選で区割り変更に伴い新3区に入る長門市はこれまで、下関市とともに、22年7月に死去した安倍晋三元首相が当選を重ねた4区だった。昨年11月の市長選は安倍氏と懇意だった現職ではなく入党1カ月の新人に党推薦が決まり、複数の支部党員が反発。新人と全面支援する林氏の2連ポスターが市内に張られ、林家とは中選挙区時代からのライバル関係だった安倍家の支援者の感情を逆なでした。
長門市で林氏が支持した新人が敗れただけに県連幹部は次の美祢市長選の重要性を強調する。「大事な戦い。人口は2万人余と少ないが、新3区の真ん中に位置するだけに市長選の結果は全域に影響する」
林氏に近い支援者からは警戒の声も漏れる。「昭恵さんが前職の後ろに付いているのでは」。安倍氏の妻昭恵さんは「安倍後継」の吉田真次氏(山口4区)の後援会長を務め、安倍氏から引き継いだ政治資金もある。20日には下関市で吉田氏の後援会発足式を開いた。
中選挙区時代、美祢市でも安倍氏の父安倍晋太郎元外相と林氏の父林義郎元蔵相が票を奪い合った。安倍氏を長年支えた元秘書2人の出身地でもあって縁は深く、「旧安倍派」が潜在する。
党関係者は市長選への昭恵さんの関与を否定した上でこう言う。「林派が神経質になるのも分かる。選挙の恨みは子や孫の代まで続く。林の名前が前に出過ぎるとまたミソがつくかもしれない」
●岸田派が総会で解散を正式決定 最古の派閥が66年の歴史に幕 1/23
自民党の岸田派(宏池会)は23日午後、国会近くの派閥事務所で総会を開き、派の解散を正式に決定した。
会の冒頭に、座長を務める林官房長官の「現在、政治資金パーティーをめぐる問題に端を発し政策集団に対して国民の皆様から大変厳しい目が注がれている。こうした中で宏池会幹部で相談の上、政治の信頼回復を図る観点から、大変重い決断になるが、けじめをつける意味で宏池会を解散する方針にさせていただいた」
「政治改革の議論を前に進めるためにも何卒ご理解いただけると幸いです。自民党で最も伝統ある政策集団であり、66年の歴史を持つ宏池会の幕を閉じることは、私自身も国会議員として28年お世話になってきた宏池会がなくなることに、率直に言って様々な思いが胸に去来している。ただすべては政治の信頼回復のため。何卒皆様のご理解をよろしくお願いします」とのメッセージが代読された。
岸田派の事務総長を務める根本元復興相は「総理から直接相談を受け、政治への信頼を回復するために派閥を解散・解消すると。私はそのときに総理の刷新本部長として、自民党総裁としての覚悟を感じたので了解させていただいた」と語った。
その後、出席議員の意見交換が行われた末、宏池会の解散を正式に決定した。
前会長で派閥を離脱中の岸田首相は出席せず、同じ時間に都内のホテルで麻生副総裁、茂木幹事長、林官房長官と昼食をとりながら会談した。
岸田派をめぐっては、岸田首相が18日に政治資金パーティー問題のけじめと国民の信頼回復のためとして解散の意向を表明し、岸田派幹部と個別に会談して方針を伝えていた。
宏池会は1957年に池田勇人元首相が設立した派閥で、今の自民党の派閥の中で最も長い歴史を誇る。池田氏のほか、大平正芳氏、鈴木善幸氏、宮沢喜一氏を総理大臣として輩出し、岸田首相は5人目の総理経験者となっていた。
1994年末には、自民党の政権転落後の改革として派閥解消が掲げられたのを受け、いったん解散していたが、翌年中には事実上復活し、その後正式に派閥として再始動した。
宮沢政権以降は、加藤紘一氏や堀内光雄氏、古賀誠氏が会長を務めた。また、かつては河野洋平元総裁や麻生太郎副総裁も所属していたが、加藤氏の会長就任に伴い宏池会を退会し、河野グループを立ち上げ、現在の麻生派に発展した。谷垣禎一元総裁もかつて所属していて、岸田派と麻生派と谷垣グループを合流させる「大宏池会構想」がたびたび浮上してきたが、実現することはないまま、宏池会は66年あまりの歴史に幕を下ろした。
●麻生氏、茂木氏は「真っ青…」岸田派解散 党内での好き勝手な振る舞い=@1/23
「岸田派に続いて二階派、そして安倍派まで解散を決定するに至り、今まで岸田政権の下で派閥政治の恩恵を思いのまま享受してきた麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長は、真っ青といったところだろう。それにしても岸田文雄首相は、随分としたたかな人物だ。これほどまでに思い切ったことをやる人とは、思わなかった」
自民党の有力国会議員がこう言う。
先週18日、岸田首相は、突如として自身が率いてきた岸田派を解散する方針であることを表明した。
そしてこの流れを受けて、自民党内最大派閥の安倍派、さらには二階派も解散することを決定したのである。
岸田首相が、前述したようなかなり思い切った決断をするキッカケとなったとされるのが、今月16日に全ての自民党所属議員を参加可能とした「政治刷新本部」が開いた会合だった。
その席上、完全無派閥の石川昭政議員が、裏金問題の原因は派閥にあるとした上で、岸田本部長(首相)にこう迫ったのである。
「まず『隗より始めよ』で岸田派から解消してほしい」
その石川議員がその時の様子についてこう語る。
「私は岸田首相の目をじっと見据えながら、そう言いました。岸田首相も視線をそらすことなく、見返していましたね。あの会合で岸田派の解散まで口にしたのは、私だけだった。私の発言で岸田首相が派閥解散を決断したとは思いませんが、岸田首相の決断に少しでも影響を与えたならば、発言したかいがあった」
裏金問題の刑事事件化をキッカケにする形で、ここへ来て一気に派閥解消の流れが加速している自民党だが、実は問題発覚以前から自民党内では一部の派閥の好き勝手な振る舞いに不満が高まっていたのだという。
「好き勝手振る舞っていたのは、麻生派と茂木派ですよ。政務三役人事や党役員人事をこの2つの派閥が好き勝手に決め、有力ポストを皆持っていく。適材適所もへったくれもない。なんでこの人が、というような能力もない、専門知識もない人が麻生派や茂木派というだけで、どんどん登用されていく。残ったポストを、やりたければどうぞと言わんばかりに、非主流派や無派閥に回してくるんです」(非主流派に所属する有力議員)
こうしたこともあって、自民党内では麻生氏や茂木氏に対する不満が爆発寸前だったという。
「そうした状況を岸田首相も内心では、苦々しく思っていたことは間違いない。そうした意味で今回の岸田派の解散は、岸田首相なりの麻生氏や茂木氏に対する意趣返しですよ」(岸田派幹部)
つまり岸田派解散は、岸田首相にとって麻生派と茂木派を切り捨てるという意味を持ってくるというのだ。
果たして今後、麻生氏と茂木氏がどのような動きを見せてくるのか、岸田首相のもくろみはうまくいくのか、要注目と言えるだろう。
●自民岸田派が解散決定 林氏「けじめつける」 1/23
自民党岸田派(宏池会)は23日、東京都内で臨時会合を開き、派の解散を正式に決めた。根本匠事務総長が経緯を説明し、了承された。座長の林芳正官房長官は会合にメッセージを寄せ、「政治の信頼回復を図る観点から、けじめをつける意味で、宏池会を解散する方針とした」と表明した。
根本氏は、昨年12月まで同派会長を務めた岸田文雄首相(党総裁)から事前に相談を受けたと説明。「党総裁としての覚悟を感じたので了解した」と語った。
岸田派は元会計責任者が2018〜20年分の政治資金収支報告書に計約3000万円の収入を記載していなかったとして略式起訴された。
●「バイデンさんに見捨てられたくない」岸田首相開き直り“派閥解消宣言” 1/23
1月18日、永田町に激震が走った。パーティー券問題の渦中のなか、岸田首相が突如、岸田派の解散を記者会見で公言した。その真意につき、さまざまな憶測が流れる中、背景にはアメリカとの外交があったとの指摘もなされている。
岸田文雄首相の国賓待遇による訪米は4月に先送り
政治改革に背水の陣で挑む覚悟を示したとも報道された今回の派閥解消について、政治部記者はこう語る。
「ぶら下りでも薄ら笑いを浮かべながら宏池会(岸田派)解散について言及する岸田首相を見て、記者はみな『この人はヤバイ』と囁きあっていました。つまり岸田氏は首相を続けるためには手段を選ばない人だ、というところが如実に見えたのです。独断で派閥解散を強行した理由は、派閥解消で支持率を上げて解散総選挙に持っていき、続投の道を拓こうという見方が有力です」
開き直りにも見える岸田首相のの派閥解散宣言。その背景には、東京地検が安倍派だけではなく、岸田派の元会計責任者を立件したことで岸田氏に批判が集中する可能性が高くなったことも理由のひとつにあげられるだろう。
岸田首相は「事務処理上の疎漏であると承知しているが、私自身、在任中から今日までそれ以上のことは承知してない」と強調したが、いかにも苦しい言い訳だった。パーティー券捜査が岸田派までに及んだことで支持率がさらに減少することは目に見えており、追い詰められていたのだ。
だが、岸田首相が焦る理由はもう1つ別にあったとも。岸田氏が派閥解散の意向を表明した日には、もう1つ重要なニュースが報道されていた。
18日、共同通信など各報道機関が、「日米両政府が岸田文雄首相の国賓待遇による訪米を4月に先送りし、首相とバイデン大統領の首脳会談を、4月10日を軸に実施する方向で調整していることがわかった」と報じたのだ。理由は「バイデン氏が3月7日に一般教書演説をする日程が決まり、会談が難しくなった」とされた。
岸田氏の訪米については昨秋から浮上しており、岸田首相がバイデン大統領から国賓待遇での招待を受け、米議会で演説を行うなどのプランが練られてきた。岸田首相にとって最大の後ろ盾の1つがバイデン大統領であるところは衆目の一致するところ。
バイデン大統領は、岸田氏が組んできたきた米国のメリットにもなる防衛費のGDP比2%への増額などを高く評価し、バイデン政権として広島サミットの開催や、ウクライナ電撃訪問などの岸田外交を強く後押ししてきた。もし、岸田首相の国賓級待遇での訪米が実現すれば、2015年の安倍晋三元首相以来、9年ぶり。“外交の岸田”を自認する首相にとって、国賓待遇での招待、そして米議会での演説は岸田政権のハイライトになるはずのイベントだった。
ところが――。
「岸田首相は年始の会見で3月6日の国賓訪米日程を発表して、意気揚々とアメリカに旅立つつもりだったのですが、会見での発表にバイデン政権が『待った』をかけたのです」(外務省担当記者)
トランプから「人を見る目がない老いぼれ」と罵倒されかねない
どういうことかというと、昨年末に自民党派閥の政治資金問題が噴出し、「岸田政権はもたないのでは」との観測が米政府側でも議論されるようになったのだ。岸田首相を国賓として呼んで議会演説をさせたとしても、その後すぐに退陣となれば、大統領選を控えるバイデンにとってはとんだ赤っ恥となり、トランプから「人を見る目がない老いぼれ」と罵倒されかねない事態となる。つまりバイデンは岸田首相を見限りはじめた、というのだ。
こうしたアメリカの動きに岸田首相は焦ったのだろう。そこで、1月に政治刷新本部を発足させ応急処置を試みたものの、逆風は収まらない。それどころか岸田派まで捜査の手が及ぶことがわかり、さらに追い込まれることになった。
同時にアメリカから訪米の延期が正式に通告されたのである。パー券疑惑批判が続く限り政権はもたない、政権が死に体のままではバイデンに見放される、という二重苦のなかで、急転直下、窮余の策として出たのが「岸田派解散」という一手だったのだ。
「これまで派閥均衡政治を続けてきた岸田首相が、なりふり構わず一人で決めたのが岸田派解散だったのです。これを受けて安倍派、二会派も続けて解散を発表した。この派閥解散という一手は、各派閥が謀議を重ねて”岸田降ろし”を画策する動きをしばらく封じることが出来るという効用もある。
どんな手を使ってでも政権を維持し、バイデンに岸田政権はこれからも続くということを見せたい。さもなくば国賓待遇での訪米は実現しない…開き直りの独断専行にはこうした背景があるのではないかと見られています」(前出・政治部記者)
4月または6月解散か?
岸田首相の「派閥解散」を受けて、早速、永田町では岸田首相が解散総選挙を打つという「解散風」が吹き始めている。岸田首相はこれまでも「解散」を上手く使ってきた政治家として知られている。まず2021年、自民党総裁選を経て岸田氏は、首相に就任してわずか10日後に解散を打っており、この就任から10日での解散は戦後最短記録だった。
「首相就任後、解散は少なくとも6週間は空ける」という慣例を覆して解散を強行したインパクトはいまでも強く残っている。昨年、岸田首相が思わせぶりな発言を来り返し「解散風」を政権維持に利用できたのも、”岸田解散読めない”というイメージが残っていたからに他ならない。そしていま、「派閥解散」政局が始まり、再び解散風が吹き始めたのだ。
「いま永田町では4月解散説、またはG7後の6月解散説が流れています。岸田首相周辺からは『派閥解消を実行しなければ国民から見放される』という声も出て意気軒昂ですが、しょせんは自民党内の話で“コップの中の嵐(狭い世界での内輪もめの意)”でしかない。
国民にとっては関係のない話でもあるので、どこまで支持率アップに繋がるかは不透明。岸田首相にとっては乾坤一擲の大勝負ですが、どこかズレているという声もあがっています」(前出・政治部記者)
岸田首相の訪米は3月から延期され4月で再調整される見込みだが、政治部記者は「4月訪米実現も五分五分ではないか」と指摘する。なぜかといえば、まず4月は日本で衆院補欠選挙があり、その選挙結果によっては再び岸田政権批判が高まる懸念がある。
一方で米国大統領選も3月のスーパーチューズデーを皮切りに本格化していく。11月5日の大統領選投票日までは、どう転ぶかわからない岸田政権に手を差し伸べることは控えたいというのがバイデン側の本音だろう。
もし4月訪米が再延期となったとき、岸田首相はバイデンに見放されたということを意味する。窮余の一策は、はたして吉と出るのか凶と出るのか――。 
●政治資金事件 自民派閥 いったい何が? 1/23
政界を大きく揺るがしている自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件。「そもそも」論から深まる疑惑、捜査の最新情報、それに岸田総理の突然の「岸田派解散」検討表明で急速に動く政局まで、徹底解説します。一連の取材では、生々しく問題の実態を語る証言も入手しました。いったい何が起きているのでしょうか?
Q.岸田総理は18日夜、「岸田派の解散」検討を表明した。狙いと自民党内の受け止めは?
A.岸田総理としては、60年以上の歴史を持つ派閥をみずから解散するという、いわば乾坤一擲(けんこんいってき)の一手を打ち出すことで、党内の議論をリードし、国民の政治不信の払拭につなげたい狙いがあるとみられます。
ある政府関係者は、こう明かします。
「岸田総理は『派閥が潰れても自民党は残す』と語っていた」(政府関係者)
一方、突然とも言える表明に、党内には大きな波紋が広がっています。
党の「政治刷新本部」では、派閥のあり方をめぐり議論が交わされている最中で、戸惑いの声が聞かれます。
「いままでの議論は何だったのか」(自民党内)
「事前に相談がなかった」(岸田派以外の党幹部)
今後の政権運営に禍根を残すという見方も出ています。
そして、その後、安倍派、岸田派、二階派の3つの派閥は解散することになりました。
Q.捜査の最新状況は?
A.19日午後、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、安倍派と二階派について、東京地検特捜部は、おととしまでの5年間で、安倍派の会計責任者は合わせて6億7503万円、二階派の会計責任者は合わせて2億6460万円のパーティー収入などを派閥の政治資金収支報告書に収入として記載していなかったなどとして、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で両派の会計責任者を在宅起訴しました。
また特捜部は、安倍派や二階派だけではなく、岸田派「宏池政策研究会」についても、元会計責任者は、2020年までの3年間で、合わせて3059万円のパーティー収入などを派閥の政治資金収支報告書に収入として記載していなかったとして、罰金刑を求める略式起訴をしました。
一方、特捜部は松野 前官房長官ら安倍派の幹部7人や、二階派の会長を務める二階 元幹事長など派閥の幹部からも任意で事情を聴いてきましたが、いずれも派閥の会計責任者との共謀は認められないとして、立件しない判断をしました。
ただ、二階 元幹事長の事務所がおととしまでの5年間で3000万円を超えるパーティー収入を派閥側に納入せず、元幹事長の資金管理団体の収支報告書に派閥側からの収入として記載していなかったとして、特捜部は二階 元幹事長の秘書を略式起訴しました。
Q.一方で安倍派の池田佳隆衆議院議員は逮捕された。なぜか?
A.東京地検特捜部は、池田議員を逮捕した理由について「具体的な罪証隠滅のおそれが認められたため」と説明しました。
特捜部は、1月7日、安倍派に所属する池田佳隆衆議院議員が政策秘書と共謀し、おととし=2022年までの5年間に安倍派から4800万円余りのキックバックを受けたにもかかわらず、みずからが代表を務める資金管理団体の収入として記載せず、政治資金収支報告書にうその記載をしたとして、政治資金規正法違反の疑いで逮捕しました。
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、初の逮捕者となりました。
実は、特捜部が先月=12月、池田議員の関係先を捜索した際、関係先にあったデータを保存する記録媒体が壊されていたというんです。
特捜部の調べに対し池田議員の一部の秘書が、「議員本人から証拠隠滅を指示された」という趣旨の説明をしていることもわかりました。
関係者によりますと、記録媒体には、工具のようなもので壊された跡があったほか、事務所関係者でやりとりした携帯電話の一部のメッセージなども消去されていたということです。
特捜部は、池田議員について、「会計責任者を務めている秘書との共謀共同正犯を認定できる証拠がある」としています。
一方、池田議員の資金管理団体は、2022年までの3年間に、記載していない安倍派からの寄付があわせておよそ3200万円あったとして、政治資金収支報告書を12月8日付けで訂正しています。
Q.ほかの安倍派議員の捜査はどうか?
A.特捜部は、多額のキックバックを議員側の資金管理団体の収支報告書に記載していなかったとして、19日、5000万円を超えるキックバックを受けたとされる大野泰正 参議院議員を政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で在宅起訴し、4000万円を超えるキックバックを受けたとされる谷川弥一 衆議院議員を略式起訴しました。
在宅起訴された大野参議院議員は自民党を離党しました。
略式起訴され自民党を離党した谷川衆議院議員は22日、議員辞職願を提出しました。
記者会見した谷川議員は「自身の認識の甘さがあったと深く反省している。おわび申し上げます」と謝罪しました。
関係者によりますと、特捜部の任意の事情聴取に対し、大野議員は関与を否定していますが、谷川議員は虚偽記載を認めているということです。
Q.そもそも、今回の「政治資金」をめぐる問題のきっかけは?
A.こちらをご覧ください。
告発状の提出内容。▽「清和政策研究会」がおよそ1900万円分、▽「志帥会」がおよそ900万円分、▽「平成研究会」がおよそ600万円分、▽「志公会」がおよそ400万円分▽「宏池政策研究会」がおよそ200万円分のパーティー券収入を記載していなかったとしています。
自民党の5つの派閥は2021年までの4年間にあわせておよそ4000万円分の政治資金パーティーの収入を政治資金収支報告書に適切に記載していなかったとして、大学教授が告発状を提出し、各派閥は対応に追われる事態となったんです。(総額など告発内容は2023年11月18日時点)
Q.なぜ政治資金パーティーなどの収入をめぐって問題が相次ぐのか?
A.私たちは取材を進めました。まず、こちらを説明します。
政治資金を集めるために行われる「政治資金パーティー」。
参加者は、一口2万円程度のパーティー券を購入。何口も買うケースも少なくありません。
数千人規模になることもあり、多いときで数億円のカネが集まります。
法律で認められた集金の手段ですが、特定の団体などとの癒着を防ぐため、次のような決まりがあります。
法律内容。特定の団体などとの癒着を防ぐため、同じ人や団体から1回のパーティーで20万円を超える支払いを受けた場合、名前などを収支報告書に記載しなければなりません。
しかし今回、派閥の政治資金パーティーの収入をめぐって、適切に記載されていないケースが相次いで明らかになったのです。
Q.一体なぜなのか?
A.自民党の派閥のパーティー券を毎年購入してきたという業界団体の関係者の証言を得ました。
「業界としてみれば、何かあったときにいろいろお願い事をすることもあるだろうと。もしもの時のためというか、『保険』じゃないけどかけておくみたいな」
各派閥のパーティーが開かれる時期になると、男性のもとにはパーティー券の購入を求める依頼が次々に舞い込むといいます。
「いろんなところから『お願いします』って電話がかかってくるわけですよ。(全然知らない人からも?)すごい数が来ます。本当に」
男性の証言から、不記載につながる要因の一端が見えてきました。
団体は、同じ派閥の複数の議員から同じパーティー券の購入を別々に依頼されることも少なくないといいます。
団体はパーティー券を議員ごとに購入。
その多くは、派閥側には記載義務のない、20万円以下だったということです。
ただ、元は同じパーティー。同じ団体からの支払い金額の合計が20万円を超えていれば、派閥側には記載の義務があるにもかかわらず、この団体のケースでは、記載されていなかったのです。
「正直なところびっくりしました。当然、正直に適正に報告はされているんだろうと思って、漏れているものがあるなんて思いもよらなかった」
Q.パーティー券を販売する側の事情はどうなのか?
A.自民党の関係者は、パーティー券を販売する側の事情について、こう明かしました。
「それぞれの議員が、どこに(パーティー券を)売っていてるかっていうのは分かりませんし、議員同士も、自分たちの大切な支援者をほかにあんまり言いたくないという心理も間違いなく働くんですね。結果として記載義務の必要があるものを記載できなかったというケースがあると思います」
Q.どういう事情かは分かってきましたが、今回の問題をどう考えたらいいのか?
A.政治資金の問題に詳しい専門家に聞きました。(インタビューは2023年11月下旬)
「もしパーティーに関する不記載が故意に、あるいは組織的に行われたということになれば、政治資金収支公開制度の根幹を失わせるといったような非常に重大な問題だと言わざるをえない。やはり、こういうことがないようなチェックやコントロールの仕組みというのを今後考えていく必要があろうかと思います」
Q.きちんと記載がされていなければ、不透明な金のやりとりや癒着が起きても、外からチェックすることはできなくなってしまうということか?
A.政治資金パーティーの収入の不記載について、さらに取材を進め、あることがわかってきました。自民党の関係者の1人は取材に対し、こう話しました。
「パーティー券の販売にはノルマがあり、ノルマを超えた分の収入は慣習として議員側に派閥からキックバックされていた」(自民党の関係者)
Q.「キックバック」とは、具体的にはどういうことか?
A.自民党の最大派閥、安倍派「清和政策研究会」の政治資金パーティーに関して、わかったのがこちらです。
複数の関係者によりますと、安倍派は、所属議員の役職や当選回数などに応じてパーティー券の販売ノルマを設定していました。
そして、所属する議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入を、議員側にキックバックし、派閥の収支報告書にパーティーの収入や議員側への支出として記載していなかった疑いがあります。
議員側にキックバックされた資金の総額は、2022年までの5年間でおよそ5億円に上るとみられます。
そして安倍派は、議員ごとのノルマ額、実際に集めた金額、議員側にキックバックした金額を記したリストを作成していたということです。
安倍派の所属議員のうち、複数の議員が、2022年までの5年間に1000万円を超えるキックバックを受けていたとみられています。
安倍派は、パーティー券の収入を専用の口座などで管理していたということで、口座への入金額と、安倍派の政治資金収支報告書に実際に記載されているパーティー収入の総額には食い違いがあり、議員側の政治団体もキックバックされた資金を収入として記載していない疑いがあるということです。
Q.安倍派でのキックバック、徐々に実態が明らかになってきましたね?
A.安倍派の所属議員の元秘書が取材に応じ、派閥のパーティー収入をめぐるキックバックの実態を生々しく証言しました。
「政治の世界に秘書として入って1年目から、キックバックというものがあると先輩秘書や派閥の事務局などから聞いていた。当たり前のように感じていたので、事務所の中でも悪いという認識はなかったと思う」
そして、元秘書は「年末が近づくと派閥の幹部から議員の事務所に連絡があり、本人が議員会館や派閥の事務所に出向いて幹部と面会していた。面会を終えた議員の胸ポケットには封筒が入っていて『先生、その胸ポケットのやつって、何かの資料ですか』と聞くと、『これは派閥からのキックバックだよ』と言っていた。封筒の中身を見たことはないが、現金以外には考えられない」と証言しました。
「キックバックを受けた分は本来、政治資金収支報告書に記載すべきだと思うが、派閥から『記載しないでください』と明確な指示があったので、一切記載していなかった。派閥の事務局に『これは裏金なのではないか。記載しないとやばくないか』と聞いたところ、『なので、逆に記載しないでください。記載してしまえば、裏金ではなくなってしまいます』と言われた」
Q.裏金化された資金は、いったい何に使われているのか?
A.事務所費の不足分やパーティー券の販売ノルマを達成できなかった分の穴埋めなど、永田町関係者から様々なケースの証言が出る中、自民党で議員活動への支援や選挙対策に携わっていた関係者が取材に応じ、実態を明かしました。
この関係者は「政治には金がかかるというが、どこにかかるかというと、大きくは、選挙と議員を支える秘書をどれだけ多く雇っていくかにかかっている」と話しました。
このうち秘書については「公設秘書以外は私設秘書として雇わなければならない。支援組織がある党はそこから送り込むことができるが、自民党は昔からよく『自分党』と言われるように組織があるようでないので、お金も人も自分で集めてこないといけない」と話しました。
さらに、こうした事情は選挙でも同じだとしたうえで「選挙で宣伝車を走らせる場合、ドライバーとウグイス嬢を雇用しなければならないが、いずれも適性のある人がそれほど多くないため争奪戦になり、甘くはない。さらに、永田町では陣中見舞いということばを使うが、自分の子分となる選挙区内の地方議員に金を配るので、それも相当な額になる。裏金がなければ、じゃあその金はどこから捻出するのかという形になる」と証言しました。
そして「裏金というのはどんな形にも使える自由な金なので、それを人件費に使おうと、銀座のクラブでの飲み食いに使おうと、選挙に使おうと、自由にその財布から出せる。裏金がなければ何もできない。今回の事件を受けて政治資金規正法を厳しくしてもいたちごっこだと思う」と指摘しました。
そして、みずからも選挙対策を通じて裏金に関わってきたことを反省しているとしたうえで「自民党にお願いしたいのは、政治とカネの問題や裏金づくりについて正直に有権者に謝罪することだ。このような使途不明の金は作りませんと宣言し、立党以来のうみをこの機にすべて出してほしい」と語りました。
Q.キックバックについて、連日、安倍派幹部の名前が挙がりましたね?
A.そうですね。
去年12月8日、事態が動きました。
安倍派幹部で官房長官を担っていた松野氏側が、2022年までの5年間で1000万円を超えるキックバックを受けていたことが関係者への取材で明らかになりました。
松野氏側の政治団体は、政治資金収支報告書に収入として記載していない疑いがあるというのです。
松野氏は、国会の質疑や記者会見で「みずからの政治団体の政治資金は適正に対応してきた」と述べる一方、具体的な説明は避けてきました。
そして14日、辞表を提出した松野氏は官房長官として最後の記者会見に臨み「政治資金について、さまざまな指摘がなされ、結果として国民の政治に対する信頼が揺らいでおり、国政に遅滞を生じさせないよう職を辞することにした。責任を感じている」と述べました。
そして、さらに深刻な事態が…。
松野氏のほか、いずれも安倍派幹部で、事務総長を務める高木国会対策委員長(当時)や世耕参議院幹事長(当時)など、10人以上の議員側が、2022年までの5年間で1000万円を超えるキックバックを受け、政治資金収支報告書に収入として記載していない疑いがあることがわかったのです。
さらに、安倍派の座長を務める塩谷元文部科学大臣や萩生田政務調査会長(当時)、経済産業大臣を担っていた西村氏など、派閥の幹部6人を含む安倍派の大半の所属議員側が、パーティー収入の一部についてキックバックを受けていたとみられることが関係者への取材でわかりました。
関係者によりますと、議員側の政治団体は、いずれも政治資金収支報告書に収入として記載していなかったとみられていますが、キックバックの金額は議員によって大きな差があるということです。
Q.派閥の「事務総長」とは、どういう役割なのか?
A.自民党の派閥の「事務総長」は、各派閥に1人ずつ置かれ、閣僚や党幹部の経験者などベテラン議員が務めるのが慣例です。
派閥の運営を切り盛りする役割を担い、トップの会長とともに人事などの要望を行うほか、各派閥の事務総長が集まって情報交換を行うこともあります。
安倍派の事務総長は◇2022年8月から高木氏が務めています。前任は西村氏で2021年10月から2022年8月まで、さらにその前は、松野氏が2019年9月から2021年10月まで務めました。
Q.ほかの安倍派の議員の反応で注目は?
A.事態の深刻さを示唆する発言も飛び出しました。
安倍派で、防衛副大臣を担っていた宮澤氏は12月13日、記者団に対し、2022年までの3年間にあわせて140万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことを明らかにし、「おわびしたい」と陳謝しました。
その上で「派閥の方からかつて政治資金収支報告書に記載しなくてもよいという指示があった。『大丈夫かな』とは思ったが、長年やっているのなら適法なのかと推測せざるを得ず、指示に従った」と述べました。
また今回の問題が発覚して以降「派閥から『しゃべるな』という指示もあった」と述べました。
Q.キックバック、ほかの派閥は?
A.二階派「志帥会」も、所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分を派閥の収支報告書に収入として記載していなかったとみられることが12月上旬、明らかになりました。
ノルマを超えた分は議員側にキックバックされ、所属議員ごとのパーティー券の販売ノルマや議員側にキックバックした金額などを記したリストを作成していたとみられます。
こうしたリストをもとに、パーティー収入の運用を組織的に管理していた疑いがあります。
ただ、安倍派とは違って▽キックバックした分は派閥の収支報告書に議員側への支出としては記載されていて▽議員側の政治団体も収入として記載していたとみられるということです。
また、岸田総理が会長を務めていた岸田派「宏池政策研究会」でも、派閥が実際に集めた収入より少ない金額が収支報告書に記載されていたとみられることが、関係者への取材で12月中旬、明らかになりました。
ただ、収支報告書に記載されていなかったとみられる収入の規模は、安倍派や二階派と比べ、少ないということでした。
岸田派も所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入を議員側にキックバックしていましたが、その分は派閥側の収支報告書に収入や支出として記載していたとみられています。  
Q.捜査当局は、どう動いたのか?
東京地検特捜部は12月19日、政治資金規正法違反の疑いで強制捜査に乗り出し、安倍派「清和政策研究会」と二階派「志帥会」の事務所を捜索しました。
この時点で、安倍派の議員側にキックバックされ裏金化した資金の総額は2022年までの5年間で、およそ5億円に上り、二階派でも派閥の収支報告書に記載されていないパーティー収入の総額が5年間で1億円を超えるとみられるということがわかりました。
安倍派と二階派では、派閥側の指示のもとでパーティー収入の一部を収支報告書に記載しない運用が組織的に行われていた疑いがあり、特捜部は、派閥の幹部や議員の認識など詳しい経緯について実態解明を進めたとみられます。
Q.派閥側を強制捜査した狙いは?
A.特捜部が強制捜査に踏み切ったのは、パーティー収入を裏金化する運用が、いつから、誰が主導して行われたのか、その指揮系統の解明のため、事務所などを捜索して関係資料を押収することが欠かせないと考えたからだとみられます。
今回の事件は、捜査の対象が複数の派閥にわたっているうえ、派閥側と、キックバックを受けていた議員側の政治団体、それぞれに収支報告書の記載義務を負う会計責任者と、国会議員がいるなど、捜査の対象となる関係者が多いのが特徴です。
このため、特捜部は全国から応援の検事を集めて捜査態勢を拡充していて、臨時国会閉会後のこのタイミングで強制捜査に踏み切りました。
その後、12月27日には、安倍派の池田佳隆衆議院議員の事務所、翌28日には、安倍派からおよそ5000万円のキックバックを受けていたとみられる大野泰正参議院議員の事務所など、関係先を捜索しました。
Q.一連の強制捜査に、政府・与党内からはどういう反応が?
「特定の政策集団のみならず、党全体、政権にとっても非常に深刻な事態になった。とにかく政策の遅滞を避けるべく取り組みを進めていくしかない」(政府高官)
特に、組織的関与も指摘される安倍派は、次のような声も出るほどでした。
「派閥存続の危機に直面している」(安倍派内)
強制捜査に関連して12月19日、安倍派は「多大なるご迷惑とご心配をおかけし、政治の信頼を損ねることとなり、心よりおわび申し上げる。重大に受け止め、捜査には最大限協力し、真摯に対応していく」というコメントを出しました。
また、12月19日、派閥の事務所の捜索を受けて、自民党二階派の会長を務める二階元幹事長は「多くの関係者にご心配とご迷惑をおかけしていることを心よりおわび申し上げる。捜査当局からの要請には真摯に協力し、事案の解決に向けて努力していく」というコメントを出しました。
Q.その後、実態解明はどう進んできたのか?
国会議員のうち、参議院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選されますが、安倍派では、少なくとも参議院選挙があった2019年と2022年に開いたパーティーについては、改選となる参議院議員にパーティー券の販売ノルマを設けず、集めた収入を全額キックバックしていたことが関係者への取材でわかりました。
一方、衆議院議員は解散があり、選挙の時期が不規則なため、こうした運用は行われていなかったということです。
安倍派では、2019年に改選を迎えた参議院議員側は、こうした運用によって、収支報告書に収入として記載していない金額が膨らんだとみられるということです。
また、新たな疑惑も明らかになりました。
安倍派と二階派に所属するそれぞれ複数の議員側が、販売ノルマを超えて集めた分のパーティー収入を、そもそも派閥側に納入していないケースがあることが関係者への取材でわかったんです。
こうしたパーティー収入は、派閥側や議員側の政治資金収支報告書に収入として記載されていない疑いがあり、収支報告書に記載されていないパーティー収入の総額はさらに膨らむ可能性があるというのです。
そして、安倍派では、その総額が、おととしまでの5年間でおよそ1億円に上るとみられることが関係者への取材で新たにわかりました。
こうしたパーティー収入は、派閥側や議員側の政治資金収支報告書に記載されていない疑いがあるということです。
関係者によりますと、こうした議員側の中には派閥の幹部らも含まれていて、1000万円を超えるパーティー収入を派閥側に納入していないケースもあるということです。
安倍派では大半の所属議員側にパーティー収入の一部がキックバックされ、収支報告書に記載されていない資金の総額が去年までの5年間で、およそ5億円に上るとみられることがすでに明らかになっていて、安倍派で裏金化した資金の総額は、合わせて6億円規模に膨らむ疑いがあるということになりました。
また二階派では、販売ノルマを超えて集めた分のパーティー収入を、そもそも派閥側に納入していないケースの総額が、おととしまでの5年間でおよそ1億円に上るとみられることが関係者への取材で分かりました。
二階派の会長を務める二階・元幹事長の事務所や、事務総長を務めた経験がある平沢・元復興大臣の事務所も、パーティー収入の一部を派閥側に納入していなかったとみられるということです。
二階派では、所属議員側にキックバックされ、収支報告書に記載されていないパーティー収入の総額が、おととしまでの5年間で1億円あまりに上るとみられることがすでに明らかになっていて、派閥の収支報告書に記載されていない資金の総額は、2億円を超える疑いがあるということになります。
この問題をめぐって、二階派「志帥会」は、おととしまでの3年間に記載していないパーティー収入が1億3600万円あまりあったなどとして政治資金収支報告書を訂正しました。
また、派閥の会長を務める二階 元幹事長など国会議員と元国会議員あわせて7人の側への派閥からの寄付、あわせて6533万円も書き加えられました。
記事の冒頭でも記しましたが、この事件で特捜部は、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で、1月19日に、安倍派と二階派の会計責任者について在宅起訴しました。
また、岸田総理が会長を務めていた岸田派でも、2020年までの3年間でおよそ3000万円の収入を派閥の政治資金収支報告書に記載していなかった疑いがあり、捜査を進めてきました。
岸田派の当時の会計責任者については罰金刑を求める略式起訴をしました。
関係者によりますと、岸田派の当時の会計責任者は特捜部の任意の事情聴取に対し、パーティー収入の一部を収支報告書に記載していなかったことを認めているということです。
そして、岸田派「宏池政策研究会」は、おととしまでの3年分の政治資金収支報告書を訂正しました。
このうち2020年には記載していないパーティー収入が896万円あったなどとしています。
岸田派は1月18日、「記載漏れは当時の会計担当者の帳簿作成上の転記ミスや会計知識の過誤などによって生じたもので、いわゆるノルマ超過分の還付を収支報告書から除外するなどの不適正な処理を意図したものではなく、事務処理上の疎漏によるものだ。深くおわびし、再発しないよう、今後は外部による監督を含め十分な管理体制を整備していく」というコメントを出しました。
Q.特捜部は、派閥の幹部らから任意で事情を聴いてきたが?
A.東京地検特捜部は、安倍派と二階派の事務所を捜索のあと、松野 前官房長官、高木 前国会対策委員長、世耕 前参議院幹事長、塩谷 元文部科学大臣、萩生田 前政務調査会長の安倍派の幹部5人から任意で事情を聴いてきました。
その後の関係者への取材で、松野 前官房長官ら幹部5人が、特捜部の事情聴取に対し、いずれも、派閥の政治資金収支報告書の不記載への関与を否定する趣旨の説明をし、「ノルマを超えた金額が議員側に還付されていることは知っていたが、パーティー収入の一部が派閥側の収支報告書に記載されていないことは知らなかった」などと話していることがわかりました。
一方、安倍派の会計責任者は収支報告書への不記載を認め、「収支報告書に記載しなければならないことはわかっていた」などと説明しているということです。
そして特捜部は、派閥の運営を取りしきる事務総長を務めた経験がある西村 前経済産業大臣や下村 元政務調査会長からも任意で事情を聴きました。
また特捜部が、二階派の会長を務める二階 元幹事長からも任意で事情を聴いたことが関係者への取材でわかりました。
特捜部は派閥の政治資金収支報告書にパーティー収入の一部が記載されなかった詳しい経緯などについて確認したものとみられます。    
Q.派閥の幹部やキックバックを受けていた議員の認識がどうだったかは、大きな注目点となったが?
A.捜査では、派閥の幹部、そしてキックバックを受け取っていた議員側が、収支報告書の記載内容をどの程度把握していたのか、そのやり取りの解明が最大の焦点になりました。
政治資金規正法は、パーティーなどの収入や支出を、主催した派閥などの政治団体が収支報告書に記載することを義務づけていますが、記載義務については、その団体の会計責任者やそれを補佐する人を対象にしています。
収支報告書の不記載や虚偽記載を具体的に指示するなど、積極的に関与して「共謀」した事実が認められた場合には、政治家本人も罪に問われることになりますが、そうしたケースは多くはありません。
政治家本人の立件には、一定のハードルがあるといえると思います。
この記事の冒頭でもお伝えしましたが、東京地検特捜部は松野 前官房長官ら安倍派の幹部7人や、二階派の会長を務める二階 元幹事長など派閥の幹部からも任意で事情を聴いてきましたが、いずれも派閥の会計責任者との共謀は認められないとして、立件しない判断をしました。
関係者によりますと、安倍派でパーティー収入の一部を裏金化する運用は、20年ほど前から続いていたとされていますが、おととし2022年のパーティーの前に、会長を務めていた安倍元総理大臣が「現金のやりとりは疑念を招く」などとして取りやめを提案し、派閥の幹部らで協議したということです。
しかし池田議員ら高額のキックバックを受けていた一部の議員から反対の声が上がったため、幹部らが再び協議し、運用が続いた経緯があることがわかっています。
特捜部は、派閥の運営を取りしきる事務総長経験者や「5人衆」と呼ばれる幹部7人から任意で事情を聴き、こうした経緯などついて確認を進めてきました。
しかし、幹部らはいずれも虚偽記載への関与を否定し「キックバックは知っていたが、派閥の収支報告書に記載されていないことは知らなかった」などと説明したということです。
また、会計責任者は「派閥の会長には、各議員のノルマやキックバックの金額を相談していたが、収支報告書の記載については会長や幹部らに相談していない」と説明しているということです。
特捜部は二階元幹事長からも認識について確認したということですが、いずれも会計責任者との共謀は認められないと判断したものとみられます。
一方、安倍派の所属議員側について特捜部は、1月7日、4800万円余りのキックバックを受けたとみられる衆議院議員の池田佳隆容疑者らを証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕しましたが、19日、新たに、多額のキックバックを議員側の政治団体の収支報告書に記載していなかったとして、5000万円を超えるキックバックを受けたとされる大野泰正参議院議員を政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で在宅起訴し、4000万円を超えるキックバックを受けたとされる谷川弥一衆議院議員を略式起訴しました。
安倍派では大半の所属議員側が裏金のキックバックを受けていましたが、中でも特に高額だったのが池田議員、大野議員、谷川議員でした。
特捜部の判断の基準の1つになったとみられるのが金額です。
かつては「1億円」の不記載や虚偽記載が検察の立件ラインとされてきましたが、その基準は下がってきていて、実際に、おととしには、薗浦元衆議院議員がパーティー収入など4000万円を超える虚偽記載などの罪で略式起訴されたほか、2020年には「桜を見る会」をめぐる問題で、安倍元総理大臣の秘書がおよそ3000万円の収支を記載しなかったとして略式起訴されました。
今回、3人の議員はいずれも4000万円を超える裏金のキックバックを受けていたとされ、略式起訴された岸田派の元会計責任者や二階・元幹事長の秘書の虚偽記載の金額は3000万円余りでした。
特捜部は、過去の事件との公平性などを考慮し、3000万円を一定の基準にして今回の刑事処分を判断したものとみられます。
Q・19日以降、安倍派「5人衆」はどう発言?
A.安倍派の萩生田 前政務調査会長は22日、記者会見し、パーティー券の販売ノルマを超えて集めた収入など2700万円余りを政治資金収支報告書に記載していなかったことを明らかにして陳謝しました。
そして、これまでに支出したおよそ955万円の使いみちについては、国会議員や外国の要人、マスコミ関係者などとの会合費や、海外に出張した際の活動費だと説明しました。
萩生田氏は「派閥事務局から収入・支出ともに記載を禁じられていた。会計に関することは詳細まで把握していなかったが、積極的に把握と指導に努めるべきだった。大変反省している」と述べました。
世耕 前参議院幹事長は19日、記者会見で、2018年からの4年間でおよそ1540万円のキックバックを受けて政治資金収支報告書に記載していなかったと明らかにし、「政治資金の管理については秘書に任せきりの状況となっていた」と陳謝しました。
安倍派事務総長の高木 前国会対策委員長はコメントを発表し、おととしまでの5年間で派閥から1019万円のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかったと明らかにしました。
元事務総長の松野 前官房長官はコメントを発表し、平成30年から5年間で、自身の資金管理団体において、派閥からの寄付あわせて1051万円分が不記載になっていると明らかにしました。
元事務総長の西村 前経済産業大臣は19日、記者会見で、派閥側から議員側へのパーティー収入のキックバックについて「歴代会長と事務局長との間で、長年、慣行的に行われ、私たちは関与することはなかった」と釈明しました。
また、2022年までの5年間で100万円のキックバックを受けていたことを明らかにした上で、裏金などの目的ではなかったと説明しました。
Q.今回の問題では、12月、官房長官ら安倍派の4閣僚が交代という異例の事態となった。人事をどう見たか?
A.12月14日の人事は、何よりも安定性を重視したと言えますが、体制を立て直すのは、そう簡単ではないと思います。
そして、必ずしも政権側が思い描いたとおりに人事が進んだとは言えません。
政府内では当初、安倍派の政務三役全員を代える案もありましたが、安倍派から強い反発の声があがりました。
「一連の問題に関与していない若手まで代えるのはおかしい」(安倍派内)
結果として安倍派の4閣僚・5副大臣は全員交代の一方、政務官の交代は1人となり、岸田総理は「一人一人の意向や事情を勘案した上で判断をした」と説明しました。
岸田総理には、政治資金問題に厳格に臨む姿勢を示したい思いの一方、最大派閥の安倍派とは対立を避けたいという判断もあったとみられます。
Q.4閣僚の交代人事、より具体的には?
A.閣僚の人事では、岸田総理は12月14日、松野官房長官や西村経済産業大臣ら安倍派の4人の閣僚を交代させ、後任に▽岸田派の林官房長官▽無派閥の齋藤経済産業大臣▽麻生派の松本総務大臣▽森山派の坂本農林水産大臣を起用しました。
この人事で、4人いた安倍派の閣僚が1人もいなくなりました。
新閣僚は、いずれも安倍派以外の派閥か派閥に所属していない閣僚経験者で、うち3人は、9月の内閣改造で閣外に出たあと、わずか3か月で呼び戻された形です。
閣僚として記者会見や国会審議をこなし、不祥事などを抱えていないと確認できていることもポイントで、政府関係者はこう話しています。
「即戦力で選んだという、ひとことに尽きる」(政府関係者)
Q.ほかの人事はどうなったのか?
A.自民党では、萩生田政務調査会長、高木国会対策委員長、世耕参議院幹事長も辞表を提出し、安倍派の「5人衆」と呼ばれる有力議員がいずれも閣僚や党幹部の役職を退きました。
安倍派の幹部が政権中枢から外れ、政府からすると窓口役がいなくなった形です。
ある政権幹部は政府・自民党内の調整が難しくなるのではないかと不安をのぞかせていました。
そして12月22日、党幹部の後任人事では、政務調査会長に渡海 元文部科学大臣を起用。
また、国会対策委員長には、浜田 前防衛大臣が起用されました。
岸田総理としては、安倍派の4人の閣僚らを交代させたのに続き、党の要職にいずれも無派閥のベテラン議員を起用して体制の立て直しを図り、2024年の通常国会に臨みたい考えです。
Q.人事以外に、岸田総理はどう対応?
岸田総理は12月6日、記者団に対し、「まずは政策集団のパーティーは、党として信頼回復に向けての取り組みを明らかにするまでは開催を自粛すること、年末年始の派閥の行事についても自粛することを確認した」と述べました。
さらに、7日、岸田総理は、総理大臣と党総裁の間は、より中立的な立場で国民の信頼回復に努めたいとして、みずからが会長を務めていた岸田派「宏池会」を離脱しました。
そして岸田総理は13日夜、記者会見を行い、14日に人事を行う意向を表明。
その際には、こう発言していました。
「国民から疑念を持たれるような事態を招いていることは極めて遺憾だ。国民の信頼なくして政治の安定はありえない。政治の信頼回復に向けて自民党の体質を一新すべく先頭に立って戦っていく」
「政治改革を求める国民の厳しい声に真摯に耳を傾けて、党所属の議員とひざ詰めの議論を集中的に進めていく」
「国政に遅滞を来すことがないよう全力を挙げなければならない。速やかに人事を行うことが適切だと判断した。国民の信頼回復のため『火の玉』となって自民党の先頭に立って取り組んでいく」
そして、年が明けて、自民党は、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、再発防止策や派閥のあり方などを議論するため「政治刷新本部」を設置し、1月11日、初会合を開きました。
冒頭、本部長の岸田総理大臣は「国民の厳しい目、疑念の目が注がれており、自民党をめぐる現在の状況は極めて深刻という強い危機感のもと、一致結束して事態に対応していかなければならない」と述べました。
その上で「私自身、最優先、最重点の課題として取り組みたい。信頼回復のため、日本の民主主義を守るためには自民党がみずから変わらなければならない」と述べ、党改革に全力で取り組む決意を示しました。
自民党の「政治刷新本部」は38人で構成。
岸田総理大臣が本部長を務め、麻生副総裁と菅前総理大臣の総理大臣経験者2人が最高顧問に就きました。
派閥ごとの内訳は、最大派閥の安倍派が10人で、麻生派が3人、茂木派が7人、岸田派が5人、二階派が2人、森山派が1人となっています。無派閥は派閥を離脱した岸田総理大臣を含め10人です。
中間的な取りまとめに向けては、政治資金の透明性を高めるため政治資金規正法を改正し、◇収支報告書にパーティー券の購入者を記載しなければならない金額を引き下げることや、◇虚偽記載があった場合の罰則強化も打ち出したいとしています。
そして岸田総理は、党内で無派閥の菅前総理大臣らが派閥の解消を主張する一方、人材育成などの観点から解消に否定的な意見も根強くある状況を踏まえ、派閥の役割や機能などについて丁寧に意見集約を進めていく構えでした。
Q.そうした中で、岸田総理が18日夜、「岸田派の解散」検討を突然、表明したということか?
A.そうですね。
岸田総理は記者団に、こう述べました。
「宏池会=岸田派の解散についても検討している。政治の信頼回復に資するものであるならば、そうしたことも考えなければならない」
岸田総理は、みずからが会長を務めていた岸田派を解散する意向です。
また、ほかの派閥にも同様に解散を求める考えはあるか問われたのに対し、「とりあえず、われわれとして信頼回復のためにどうあるべきか考えている」と述べました。
そして岸田派は、23日午後、岸田総理の意向を踏まえ解散することを正式に決めました。
Q.一方で野党側のこれまでの対応は?
A.国会会期末の12月13日、立憲民主党は、岸田内閣に対する不信任決議案を衆議院に提出しました。
決議案では「国民の内閣に対する信頼は完全に失墜した。岸田内閣は国民の声を聞く力も政策を決定し遂行する能力もない。国政の停滞は許されず、内閣はただちに総辞職すべきだ」としています。
岸田内閣に対する不信任決議案について、野党各党の国会対策委員長らが会談。
立憲民主党が賛同を呼びかけ、日本維新の会、共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党と、無所属の議員でつくる会派「有志の会」は決議案に賛成する考えを示しました。
このあと衆議院本会議で採決が行われ、決議案は自民・公明両党などの反対多数で否決されました。
野党側は、立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党、れいわ新選組などが賛成しました。
野党側は、岸田総理大臣や、安倍派と二階派の幹部らにも説明責任を果たすよう引き続き求め、通常国会で厳しく追及する方針です。
また、立憲民主党は1月18日、「政治改革実行本部」を開き、政治資金収支報告書に虚偽記載などがあった場合、会計責任者だけでなく議員本人も処罰の対象にするとともに、収支報告書にパーティー券の購入者を記載しなければならない金額を「20万円を超える」から「5万円を超える」に引き下げるなどとした政治資金規正法の改正を目指す方針を確認しました。
泉代表は21日、派閥からキックバックを受け、収支報告書に記載していなかった議員の証人喚問を引き続き求めていく考えを示しました。
「数千万円の裏金がありながら、今になって公表して何食わぬ顔で過ごしている議員もおり、自民党の裏金体質を絶対許してはならない。国民の声を高めてルール違反の議員を国会から一掃することが必要だ」
「自民党自身が事実上何もせず、派閥の解体に話をすり替えようとしているのはけしからん話だ。すべての裏金議員は議員を辞めるとともに、岸田派でも3000万円の不記載が分かったわけだから岸田総理大臣は辞任に値する」
Q.岸田政権は、このまま持ちこたえられるのか?
A.東京地検特捜部による強制捜査が政権へのさらなる打撃となるのは間違いありません。
今後の政権運営の道のりは非常に険しいと思います。
強制捜査より前のことですが、12月13日、岸田総理は、記者会見で声を詰まらせる様子が何度かみられました。
政府関係者は総理の思いがこもっていたと話していましたが、裏を返せば危機感のあらわれとも言えると思います。
一連の政治資金をめぐる問題も背景に、12月のNHKの世論調査では、内閣支持率が2012年の政権復帰以降、最低となりました。
最新の1月は、12月の調査より3ポイント上がって26%でしたが、低迷は続いています。
永田町で取材をしていますと「政権はいつまで持つのか」という話題を耳にするようになりました。
一方で、自民党内には「疑惑の目は党全体に向けられ、岸田総理を引きずり降ろしたところで、事態は改善しない」との声もあります。
野党側は「岸田政権の正当性は失われ、すでに機能も停止している」と批判を強めていて、検察による捜査の行方もみながら、2024年1月26日に召集される通常国会で攻勢をかけていく構えです。
Q.派閥の是非をめぐる議論は、どうなっていくのか?
A.検察から強制捜査を受けた安倍派や二階派については、岸田総理の「岸田派の解散」発言もあり、それぞれの派閥内から、解散せざるを得ないという声が相次ぎました。
「岸田総理が完全に流れを作った」(安倍派・二階派の各派閥内)
そして19日午後、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて「志帥会」=二階派の会長を務める二階・元幹事長は記者会見し、派閥を解散する意向を表明しました。
さらに最大派閥の安倍派も19日午後、議員総会を開き、派閥を解散する方針を決めました。
その一方で、党内第2派閥の麻生派や第3派閥の茂木派では、不快感を示す議員が相次ぎました。
「適切に対応していた派閥まで解散する必要はない」(麻生派・茂木派の各派閥内)
岸田政権は、岸田派に加えて、麻生副総裁や茂木幹事長といった、ともに派閥を率いてきた幹部が政権中枢を担い、複数の派閥によって支えられてきました。
麻生氏や茂木氏は、派閥の解消に慎重な考えだとみられていたことから、今後の政権運営に影響が及ぶことも予想されました。
そして、麻生派を率いる麻生副総裁は現時点では派閥を解散するつもりはないと岸田総理大臣に伝えました。
麻生氏は21日夜、都内のホテルで岸田総理と会談し、刷新本部での今後の議論の進め方などをめぐって意見を交わしています。
また、派閥を解散するかどうかが注目されていた茂木派は、会長の茂木幹事長が存続させる意向を固め、関係者に伝えました。
森山派は、25日にも取りまとめを行う方針の、自民党「政治刷新本部」の「中間的な取りまとめ」の内容や、世論の動向などを踏まえ、対応を判断する方針です。
派閥のあり方については、「政治刷新本部」で議論が行われています。
明らかになった中間とりまとめの案では、派閥について「カネと人事から完全に決別する」として、政治資金パーティーの開催を禁止するとともに事務所を閉鎖するなどとしています。
一方、政治資金の透明化に向けて与野党双方からは、収支報告書のデジタル化や、外部監査の義務づけ、それにパーティー券の購入者の名前などを収支報告書に記載しなければならない金額の引き下げや、悪質な会計処理があった場合、政治家も責任を負う制度の導入などが論点として挙がっていて、今後検討が進められる見通しです。
●自民派閥解散めぐり…岸田首相と麻生副総裁「手打ち」の裏の利害と打算 1/23
唐突に宏池会(岸田派)解散を打ち出した「岸田の乱」で注目されたのが、派閥存続を主張する麻生副総裁と岸田首相の関係悪化だ。岸田政権はここまで、麻生派、茂木派、岸田派の主流3派が土台となり、麻生氏が岸田氏の後見役かつ相談相手になってきた。裏金問題が火を噴いた昨年12月には3日連続で会談。安倍派閣僚一掃後の後任人事も麻生氏が仕切ったと囁かれるほどに頼ってきた。
ところが、今回の派閥解散については、事前に相談せず、麻生氏は寝耳に水。報道によれば、18日夜の岸田氏の解散発言直後、麻生氏は岸田氏に電話し、「私は派閥をやめませんから」と伝え、岸田氏は「うちの派に問題がある。麻生派は麻生派で」と応じたという。さらに、麻生氏は周囲に「岸田はもう総裁選には出ないんだな」と話したらしい。
翌19日に2人は党本部で向き合い、麻生氏はあらためて派閥存続の意向を岸田氏に伝えた。そして21日の日曜夜、2人は都内のホテルで2時間の会食。岸田氏の呼びかけで行われ、麻生氏に相談することなく宏池会解散を表明したことを陳謝したという。
「手打ちしたな、と思いましたよ。岸田首相が麻生さんと2人だけで一献。選んだ場所が『山里』ですからね」と言うのはベテランの政界関係者。ホテルオークラの日本料理店「山里」は過去に政界の重要局面で実力者が密議をこらした場所。昼間に茂木幹事長を含めた3人で会談する際も使われ、岸田氏・麻生氏2人だけの夜の会談でも使われている。
「派閥解散宣言に麻生さんが激怒したのは間違いない。岸田首相が初めて自分の意に沿わないことをやったわけだから。しかし、だからといって『岸田降ろし』をしても麻生さんにプラスはない。結局、今後の政局を考えたら、今まで通り2人が手を組んだ方が権力を掌握し続けられる。そんな利害の一致があったのだろう」(前出の政界関係者)
狐と狸の化かし合い
自民党の政治刷新本部が22日までにまとめた原案では、「いわゆる派閥の解消」をうたうものの、政策集団としてのグループ存続は容認。派閥の全面廃止には踏み込んでいない。岸田氏も刷新本部の役員会で、他派閥の今後については個別の判断に委ねると強調したという。前夜の「手打ち」の結果だろう。
もっとも、岸田氏と麻生氏の信頼関係“復活”かというとそうでもない。
「岸田首相は自分が総裁、つまりトップだという強烈な自負がある。それは副総裁の麻生さんに対してもです。宏池会解散で麻生、茂木両氏をアッと言わせてやろう、という気持ちはあっただろう。麻生さんも自分をコケにした岸田首相を苦々しく思っているはずです」(前出の政界関係者)
狐と狸の化かし合い。利害と打算にまみれている。
●自民・小泉進次郎氏「派閥からの決別、議員一人ひとりが」 1/23
自民党・小泉進次郎氏発言
(自民党政治刷新本部が議論してきた政治改革の中間取りまとめ案について)派閥から人事と金を切り離したという決断がいかに自民党の運営にとって大きいことか。派閥を残すという判断をするところがあったとしても、人事と金が切り離されるため、力を十分に発揮できない。
派閥は解消されても政策集団だとかグループだとか看板のかけかえで残ることになってはあまり意味がない、という声があることに対しては、地道な説明が必要だ。
(刷新本部長を務める)岸田文雄総裁からも「今日(の中間取りまとめ)は通過点だ」という話があった。今回明記したことを具体的に進めていけるかどうか、自民党の議員一人ひとりが見ていかなければいけない。(具体化が)出来なかった時は、今も既に信頼が失われている部分が大きいが、さらにその信頼を失うことになる。
●派閥解消巡り溝深く 事件関与の処分感情強し 政権与党の土台に亀裂 1/23
派閥のパーティー収入不記載事件を受けた自民党改革の中間取りまとめ案が事実上了承された。ただ、派閥の全面解消に踏み込まなかった内容を巡っては評価が分かれ、「中途半端」「分かりにくい」などと批判される余地を残した。事件への関与が疑われた幹部らの処分を求める声も相次いでおり、政権与党の土台は亀裂が生じている。
「派閥ありきの党から完全に脱却する。派閥からお金と人事の機能を切り離し、いわゆる派閥を解消する」。岸田文雄首相(自民総裁)は23日に開かれた党政治刷新本部の会合後、記者団にこう強調した。解散を決めていない麻生派(志公会)、茂木派(平成研究会)、森山派(近未来政治研究会)についても「党の新たなルールに従ってもらう。派閥ではなくなる」と語った。
もっとも、事件の温床となった派閥は政治資金規正法上、政策研究目的の政治団体との位置付けだが、中間取りまとめ案は政策集団の名目での存続は容認している。
無派閥議員の受け止めはさまざまだ。小泉進次郎元環境相は一定の評価を示し、記者団に「派閥の権力の源泉である人事と金から完全に決別というのは非常に重い」と述べた。菅義偉前首相は党内で派閥存廃の判断が分かれたことについて「党としてやはり方向性は一体であった方が国民から理解される」と言及。石破茂元幹事長は「派閥の数が減るだけだと何が変わるのかよく分からない」と答えた。
党幹部の一人は「全ての派閥が一度、完全に解散するのが一番分かりやすい」と指摘。その上で玉虫色の結論となったことに関して「(事件と直接的な関わりがなかった)派閥が『俺たちは関係ねぇ』と言うのも分かる」と語った。
一方、党内議論では事件が直撃した安倍派(清和政策研究会)の有力者「5人衆」らの処分を求める声が根強い。
茂木敏充幹事長は23日の記者会見で「刑事責任とは別に政治責任があるという意見がある。政治責任の在り方についても結論を得ていく必要がある」と述べた。
●政権の要・麻生氏との亀裂懸念 「岸田派解散」がもたらす暗雲 1/23
自民党政治刷新本部は、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けて、党改革の中間とりまとめ案を事実上了承した。政治資金については法改正の内容を明記せず、派閥解散も政策集団への「衣替え」にとどまる可能性がある。26日の通常国会召集前に取り急ぎまとめた格好で、抜本改革にはほど遠い内容となった。
中間とりまとめ案で、派閥のあり方については、全廃には踏み込まなかった。
「俺たちは変わるんだという姿を見せないと駄目なんだ。若手議員たちは『自民党は何も変わらない』と地元でたたかれ続けている。どうやって次の選挙を戦うかも見えない」
岸田文雄首相は周辺に、珍しく声を荒らげつつ、岸田派解散を突然表明した理由について、こう説明した。
「派閥がカネやポストに介入することはあってはならない。全員が刷新本部で決める新たなルールに従ってやっていくんだ」とも述べ、派閥の解散そのものより、人事や政治資金に介入させないことを重視する考えを示した。
首相がいらだつのは、こうした党改革を進めるためリーダーシップを発揮しつつ、政権基盤を担ってきた麻生太郎副総裁が会長を務める麻生派、茂木敏充幹事長が率いる茂木派との「3派連合」を維持することは容易ではないためだ。
首相は21日、東京都内のホテルの日本料理店で、麻生氏と約2時間にわたり会食した。首相の意向で日曜夜に急きょ会食が設定されたのは、岸田派解散について、麻生氏に理解を求める必要があったからだ。
麻生氏は岸田派解散表明直後の18日夜、首相に電話し「立件された者がいないのに派閥を解散するのは理屈が立たない。派閥はやめない」と語り、麻生派は解散しない意向を伝えた。首相は麻生氏に根回しをしておらず、両者の亀裂が懸念された。
首相にとって麻生氏は政権の要だ。2回目の挑戦だった2021年の党総裁選での勝利は、麻生氏から支援を取り付け、茂木派を含む3派連合による多数派を形成したことで実現した。
それでも、首相が麻生氏の反発が必至の岸田派解散に踏み切ったのは、政権運営が行き詰まっているためだ。報道各社の世論調査で内閣支持率は低迷しており、裏金事件でさらに打撃を受けた。岸田派の元会計責任者も立件され、背水の陣の首相にとって派閥解散は、危機を乗り切るための苦肉の策だった。ただ、全派閥に解散を強制せず「各派閥の判断」にとどめたのは、麻生氏への配慮ともいえる。
麻生派内には自派の数の力を借りて総裁選に勝利した首相が、率先して派閥解散を打ち上げたことへの憤りが渦巻く。「誰のお陰で首相になれたと思っているのか」(閣僚経験者)、「最近は大事なことほど相談してこない」(派閥ベテラン)などと不信感は高まっている。
首相は麻生派、茂木派との関係について周囲に「これからも当然連携する」と語るが、先行きは見通せない。茂木派も現状では派閥解散に慎重とされ、麻生派と足並みをそろえるとみられる。
首相は23日の刷新本部の会合で「政治改革には終わりがない。これからもさまざまな議論を続けていかなければならない」と述べ、同本部で選挙制度のあり方などの議論を続ける意向を示した。
裏金事件を受けて「党改革の旗振り役」の姿を示し続けたい首相。これに対し「守旧派」として世論の厳しい目にさらされながらも、派閥を解散せず、派内の結束を高めていく意向の麻生氏。異なる道を歩み始めた首相と麻生氏の溝はさらに深まるリスクをはらんでいる。

 

●石川県内 半数余が「自主避難所」中長期的な医療支援など課題 1/24
能登半島地震の発生から3週間余りがたつ中、石川県内では、いまも1万人余りが避難所で生活を続けていますが、被災した13の市と町にある300か所余りの避難所のうち、自治体ではなく、地域の人たちがみずから運営する「自主避難所」が、半数余りにのぼることが、県への取材で分かりました。「自主避難所」は、公的な支援などが行き届きにくく、中長期的な医療支援の態勢に懸念があり、どのように支えていくのかも課題となっています。
災害時に、各自治体は災害対策基本法に基づいて、建物の耐久性や立地条件などをもとに、学校などの公共施設を「指定避難所」として指定し、自治体の職員を派遣して運営にあたっています。
一方、山間地で避難が難しかったり、指定避難所に人が殺到して入れなかったりした場合などに、地域の人たちが「自主避難所」を設けて運営するケースもありますが、災害の発生直後、行政が場所を把握できないうえ、自治体の職員が派遣されないことが多く、公的な支援などが行き届かないことが問題となっています。
今回の地震では、1月21日の時点で、被災した13の市と町に合わせて327か所の避難所が開設されていましたが、このうち半数以上にあたる175か所が「自主避難所」だったことが県への取材で分かりました。
特に輪島市では、1月11日の時点で、167か所の避難所のうち8割を超える134か所が「自主避難所」で、中には山間地の電気が通じていない農業用ハウスなどが「自主避難所」になっているケースもありました。
NHKがこうした「自主避難所」に取材したところ、災害の発生後、しばらくの間は、
食料品や飲料水などの支援物資が全く届かなかったり、衛生状態が極端に悪化して、新型コロナなどの感染症がまん延したりしている事例が、複数確認されました。
現在は支援物資が届くようになってきているものの、一時、インフルエンザの感染者が10人以上出た場所があるなど、中長期的な医療支援の態勢に懸念もあり、こうした「自主避難所」をどのように支えていくのかも課題となっています。
「自主避難所」にも適切な支援を
内閣府によりますと「自主避難所」は、災害時に自治体が開設する「指定避難所」や支援が必要な人たちのための「福祉避難所」などと異なり、災害対策基本法などで位置づけられていません。
能登半島地震の被災地では避難者数が非常に多いことから、住民たちが自主的に集まって避難所として運営されるようになったとみられますが、「指定避難所」などと異なり食料や飲料水、毛布など避難生活に必要な物資の備蓄が十分でなく、自治体などからの支援が行き届かないおそれがあります。
内閣府では「自主避難所」も災害救助法で国が費用負担する避難所になるとして、県や自治体に対し適切な支援を行うよう呼びかけています。
専門家 “行政は自主避難者の状況や事情くみ取る努力必要”
防災心理学が専門で兵庫県立大学の木村玲欧教授は、自主避難所について、「今回の災害でも、山がちなところなど交通の便の悪さや、体調が悪いなどの理由で自主的に避難している人がたくさんいるが、さまざまな事情があるので、いたずらに集約ができるわけではない。自主避難している人たちの状況や、何を必要としているのかなどは行政からは見えにくいので、今後もローラー作戦などで、事情を細かくくみ取り続ける努力が必要になってくる」と指摘しています。
そのうえで、「健康への影響などを考えると、中長期的には自主避難所にとどまり続けることは難しいので、いずれは仮設住宅などに移動することが必要となってくる。行政には、被災者の方々と対話を続けながら今後の道筋を示していく必要が出てくる」と訴えています。
●「法律違反を犯した議員に国会議員の資格はない。全員、議会から追放すべき」 1/24
安倍派の裏金問題では、同派幹部たちが「(キックバックは)会長案件だった」と責任転嫁し、逃げ切りを図ろうとしている。特捜部も「幹部の立件見送りを検討」と報じられた。“大山鳴動してネズミ2〜3匹”では政治腐敗はなくならない。自民党大物OBが、政治家の“劣化”に怒りの声をあげた。
「政治資金収支報告書に書くと法律で決まっているのに、平気で法律違反を犯した議員に国会議員の資格はない。全員、議会から追放すべきだ」
そう声をあげるのは自民党総務会長や自治大臣、通産大臣を歴任し、現在も同党東京都連最高顧問を務める深谷隆司氏だ。88歳の大物OBの「喝」は痛烈だ。
「岸田(文雄)総理は政治刷新本部をつくって政治改革だなんだと言っているが、そうじゃないだろう。今回の問題は、派閥のパーティー収入は政治資金収支報告書に書くと決められているのに、それを書かずに裏金にしていた。明確な法律違反だ。こんなチンケなやり方で金を手にしようとするなど天下国家を語る政治家のすることではない。私はTOKYO自民党政経塾の塾長を2018年務めていて、政治家志望の人たちに『君たちが政治家を志望するなら、国のために身命を賭する覚悟を持て』と教えてきた。国のために命を投げ出す覚悟と、安倍派の議員のみみっちく金を掠め取る姿は相容れない。長年、国家のために命をかけてきた政治家として、こんなケチ臭いことをやって政治不信を招くなどガマンができない。政治家が法律や制度に違反するのであれば、国会議員でいる資格はない。そんなヤツはどんどん摘発して議会から追放すべきなんです」
法律を破った責任を取れ
キックバックを受けた安倍派の議員たちは、「政治資金収支報告書に記載しないように派閥から指示された」と釈明し、収支報告書の訂正で責任を回避しようとしている。深谷氏はそうした姿勢を一刀両断にする。(以下、「 」内はすべて深谷氏)
「派閥のトップの立場からすれば、(キックバックの金額を派閥の収支報告書に記載すると)A議員にいくら、B議員にいくら渡したという差がわかってしまう。だから隠そうということになる。受け取る議員のほうも、派閥に言われて、それは好都合だと自分の報告書に載せない。しかし、『派閥に言われたから』というのは言い逃れにすぎない。法律で記載しなければならないと決まっているのに、法律より派閥の指示を優先したということだ。当然、その責任は政治家自身が負わなければならない。この事件が発覚して、慌てて政治資金収支報告書を訂正した者もいるというじゃないか。5000万円近いキックバックをもらったうえに証拠隠滅を図った池田佳隆が逮捕されたが、少なくともあと2〜3人は立件されるだろう。でも、その他の議員たちも、事件が発覚し、世間でこれだけ騒がれてから収支報告書を書き直して誤魔化そうなんてまともな政治家のやることとは思えない」
深谷氏は1972年総選挙で初当選。自民党では河野一郎派を皮切りに、その流れを汲む中曽根派、渡辺派、山崎派に所属し、山崎派では会長に次ぐ顧問として派を支えた。2012年に引退。派閥政治の裏表を熟知する政治家だ。
「昔は派閥からのキックバックなんて考えられなかったね。自民党の派閥は、会長を総理総裁にする目的で集まった。派閥の会長は、天下を取るために大勢の議員を集めなければならない。当時は今のように政治献金の規制が厳しくなかったから、派閥の会長は多額の献金を集める力を持っていて、会長と有力な幹部たちが資金を集めて若手の資金の面倒を見た。だが、規制が厳しくなると、やむなくパーティーを開くようになった。山崎派時代は顧問という会長に次ぐ立場で派閥の資金を支えた。1枚2万円の派閥パーティーのチケットを500枚くらい引き受け、それとは別に自分でもパーティーを開いて、毎年2000万円くらい派閥に納めていた。それでも、その頃は、パーティーでは2万円の会費にふさわしい料理や酒を出せ、少なくとも、会が終わった時に食べ切れずに料理が残るくらいにしろ、と指示していた。支援者に喜んでもらうことで地盤が固まる。それがだんだん利益優先になり、今では飲食なしで2万円を取るパーティーも多い。これでは支持の拡大など望めない単なる金集めです。そのうえ、派閥のメンバー全員にパーティー券を売らせるようになり、ノルマを超えた分をキックバックするみたいなことが始まった。ノルマ以上に売った分をコソコソ自分のものにする“中抜き”とかみみっちいことが横行しているという。本当に政治家が小さくなったなと」
刷新本部は「議論のすり替え」
岸田首相は岸田派の解散を検討し、「政治刷新本部」でも、政治資金規正法の改正や派閥解消の議論が出ている。深谷氏は、それは問題のすり替えだと指摘する。
「リクルート事件の後、政治改革の基本ができた。規制も強化した。しかし、それが平気で破られるのは政治家の劣化が原因だと思う。決められた制度、法律を守れていないのはなぜかを反省し、謝罪するのが先でしょう。二番煎じの改革議論で問題をすり替えるべきではない。派閥解消論も出ているが、そもそも派閥の役割は、トップが多くの議員の意見を聞いて、政策を議論し、天下取りを目指すことにある。若手議員にとっても、自分の政策を直接国政に反映するのは難しいから、政策集団の中で提案することで国会に出してもらうわけです。それは悪いことではない。決してキックバックするための組織ではなかった。それが金を集めるための集団となっているという悪循環を断ち切らないといけない」
岸田政権はいまや風前の灯火。自民党の危機を乗り切り、国民の信頼を取り戻せる次のリーダーは現われるのか。
「世論調査では小泉進次郎、石破茂、河野太郎のいわゆる小石河連合の人気が高いようだが、3人ともまだまだ総理のタマじゃない。石破さんは党内野党の立場で物を言うけれど、党内の支持はない。進次郎さんも、賑やかなパフォーマンスは得意だけど、何をしたいのかよくわからない。お父さんの小泉純一郎氏に『50歳まで(総裁選に)立ってはならない』と言われているそうだが、親が出てくるようじゃまだまだ一人前とは言えない。河野さんは、若手で政策調査会のメンバーだった時、各部会長から上がってくる政策に、先輩でも構わずヒステリックに批判していた。岸田さんの他に総裁を任せられる候補がいないこともまた、自民党の窮状を表わしていると思います」
自民党の議員たちに、88歳の長老の箴言を“聞く力”は残っているのか。
●裏金事件「安倍派5人衆」責任追及の声高まるも…自民執行部「検討」どまり 1/24
さすがに自民党内でも、裏金事件で立件を免れた安倍派幹部「5人衆」への風当たりが強まっている。5人衆は東京地検特捜部の捜査が一段落した19日以降、派閥から還流された金額を相次いで公表。釈明しているが、裏金づくりの経緯や関与など踏み込んだ説明はゼロ。秘書に責任を転嫁する発言を重ね、離党や議員辞職も否定している。
党内からは「何らかの責任をとることが必要だ」という声が強まり、23日の政治刷新本部でも「党として処分すべきだ」など追及の声が相次いだ。中間とりまとめ案には前日の骨子段階にはなかった「政治責任に結論」との文言が盛り込まれ、安倍派幹部の説明と処分を求める党内の意見が反映された。
しかし、党執行部は自発的な対応を促すのみ。具体的な動きのない場合の処分は「検討」どまり。岸田首相は刷新本部の会合後、5人組を処分する考えを記者団に問われ、「政治責任のあり方については、党としても対応を考える」と語るにとどめた。
●自民・高木氏、5年で1019万円の還流 「記載漏れ」使途明言せず 1/24
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、清和政策研究会(安倍派)事務総長の高木毅・前国対委員長(衆院福井2区)は、裏金のキックバック(還流)が2018〜22年の5年間で1019万円にのぼっていたと、自身のホームページで明らかにした。政治資金収支報告書の「記載漏れ」との認識を示しており、報告書を訂正する方針だ。
裏金の還流は、高木氏が代表を務める資金管理団体「21世紀政策研究会」で受けていたという。使途は「全て政治活動費として政治資金収支報告書に記載できる性質のもの」「不正な支出はない」とした。具体的な使途は明らかにしていない。
高木氏の弁明について、裏金問題を告発した神戸学院大の上脇博之教授は「収入を記載していない時点で裏金であり、悪質だ。論点をずらして説明をごまかしている。この説明だけで済ませることはできない」と話した。
安倍派は19日に総会を開き、解散を決めた。その後の記者会見で高木氏は自らの議員辞職を否定した。地元の自民党関係者の間にも、高木氏に説明責任を果たすよう求める声が出ているが、自民党県連は「今後の検討」としている。
●末松予算委員長が還流分不記載で辞任表明 岸田首相は陳謝 1/24
自民党の安倍派に所属していた末松信介参院予算委員長は24日、派閥のパーティー券収入のキックバック分不記載があったことを認め、予算委員長の辞任を表明した。
末松氏は「パーティー券問題、政治資金収支報告書のことで、大変大きな政治不信を招いていることを、清和会(安倍派)元議員の1人として、政治家の1人として、深く詫びを申し上げます」と述べた。
24日の予算委員会では、立憲民主党の杉尾議員が末松氏の辞任表明について「極めて遺憾であり重大な問題と言わざるを得ない」と述べ、岸田首相に事態の受け止めと、他の委員長ポストの扱いについて質した。
これに対し、岸田首相は「政治資金をめぐる問題で政策集団、自民党に対して厳しい目が国民から注がれていることを深刻に受け止め、強い危機感を感じるとともに、国民の皆様方にお詫びを申し上げなければならないと感じている」と陳謝した。その上で、委員長人事については「委員会の運営に影響が出ることを重く受け止めなければならないが、他の委員会についてどうするかは国会関係者等とも相談して対応すべき課題だ」と述べた。
●西村前経産相「精進する」連発 還付金受領、地元で釈明 1/24
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題で、安倍派から還付金100万円を受け取っていた西村康稔前経済産業相は24日、地元の兵庫県明石市で駅頭に立った。国民の政治不信を招いたと「深くおわび」するビラを配布。自身の責任には触れず、記者団には「精進する」と連発した。
午前6時半ごろから2時間弱、JR西明石駅でビラを配った。還付金は裏金ではないとしたほか、還付や政治資金収支報告書への不記載に関する指示も否定。秘書の判断だったとして「目が行き届かなかったことは反省」すると記した。
西村氏は、厳しい冷え込みに「寒さが心にもしみる。この思いを真摯に受け止めて精進する」と語った。
●西村康稔氏「裏金一切ない」ビラ配り 大物の反発…“岸田の乱”尻すぼみ 1/24
安倍派5人衆の1人で、事務総長も務めた西村康稔前経済産業大臣が「裏金は一切ありません」と書かれたビラを地元で配っていました。
「お騒がせしました」気温3℃のなか…ビラ配布
23日午前6時半ごろ、まだ日が昇りきらない兵庫県・明石駅でビラ配りをしていたのは、西村前経産大臣です。
西村前経産大臣「おはようございます、西村康稔です。お騒がせ致しました」
気温3.6℃のなか、通行人にビラを配り続けます。足早に過ぎ去る人もいれば、温かく迎える人もいました。さらに、大臣経験者の辻立ちにびっくりする人もいました。
西村氏「キックバックは還付金」正当性を主張
気になるのは、配られていた白い紙の中身です。
政治資金パーティー問題について、キックバックを「還付金」と呼び、釈明しているビラには「皆様へ 説明責任を果たし、初心に戻り、これまで以上に精進してまいります」「裏金は一切ありません」と書かれていました。
派閥側から受け取った100万円について、検察は立件を見送っています。19日に開いた会見で、西村氏は「私は秘書に対して常々『ノルマ分を売ればいい』と伝えていた。これら清和会からの還付金について、私自身は把握をしていない」と述べ、自ら正当性を主張しました。
そして23日、突然始めたビラ配りの理由について、西村氏は「政治不信につながる、招いたことを反省しながら、初心に戻って、もう一度しっかり頑張りたいと訴えさせて頂きました」と述べました。
大臣経験者のビラ配りに、地元の人は「今回、お金のことがあるので、大臣というか、西村さんはもっとやれる人なんで、こんなことでつまづいてほしくはないという気持ち」と話しました。
一方で、街の人からは「説明責任がある時にはしなかったくせに、自分たちが起訴されないと分かると、言い訳を言うのは見苦しい」「一般的にはみっともない、かっこよくないと思う」という声も聞かれました。
“岸田の乱”専門家が指摘「総理の戦略ミス」
西村氏がビラ配りを始めてから、およそ12時間後。
岸田文雄総理大臣「派閥ありきの自民党から、完全に脱却をいたします」
自民党の政治刷新本部が進めている中間とりまとめ案が23日、示されました。派閥が金や人事と決別することは明記されましたが、派閥の全面解消は盛り込まれませんでした。さらに、政策などが近い議員が集まる政策集団は存続を認める内容となっています。
麻生派や茂木派などは「政策集団」として認める内容に対し、次のような声が聞かれました。
岸田派 小野寺五典衆院議員「(政治団体として)解散というような話も意見出ていましたけど、それもほとんど何も記載されていないので、後ろ向きのような印象をみんな持ったと思います」無所属 石破茂元幹事長
「全廃ではないと、残るのもあるということであれば、派閥の数が減るだけということになる。そうすると、何が変わるのかよく分からない」
突如、解散を表明し、勝負に出た“岸田の乱”。
23日、宏池会は解散を決め、66年の歴史に幕を下ろしました。
政治ジャーナリスト・細川隆三氏は「岸田総理の戦略ミスがあった」と指摘します。
細川氏「党内世論、それから国民世論、そういったものをよく見て派閥を解散した方がいいんだという、どこでその切り札を切るかというタイミング、これが非常に大事だったと思うが、それを早く切りすぎてしまった」
「もしかしたら、岸田総理は自分が先陣を切って、そういう意思を示すことで、そういう(派閥解消の)空気を作ろうとしたのかもしれない。麻生副総裁や茂木幹事長からしたら『我々はちゃんとやっている。なぜ解散しなきゃいけないんだ』。だから、結果的に失敗だったと思う」
●自民派閥「解消」も、政策集団としての存続は容認−政治刷新本部 1/24
自民党の政治刷新本部は、23日の会合で提示した中間取りまとめ案に政策集団(派閥)の政治資金パーティーを全面的に禁止すると明記した。「派閥の解消」にも触れたが、政策集団としての存続は容認する内容となっている。ブルームバーグが関係者から文書を入手した。
岸田文雄首相は会合後、同本部の案について「派閥から資金と人事を切り離す。そのことによっていわゆる派閥を解消し、真の政策集団になってもらう」と記者団に説明した。解散を表明していない麻生、茂木、森山の各派についても新たにルールに従ってもらうとして、「いわゆる派閥ではなくなる」との認識を示した。
中間とりまとめ案は「派閥の解消と党のガバナンス強化」を柱の一つに掲げた。派閥について「本来の政策集団に生まれ変わらねばならない」として夏季や冬季に行っていた所属議員への資金提供を廃止するほか、派閥単位での人事の働き掛けを行わないこととした。岸田首相によると、本部の会合で同案の扱いについて一任されたという。近く開く総務会で正式決定する。
政治資金規正法違反で立件された安倍、岸田、二階の3派が解散する方針を先週表明したが、その後の世論調査でも内閣支持率は20%台の「危険水域」に落ち込んだままだ。岸田首相は今回の案で「いわゆる派閥はなくし、派閥ありきの自民党から完全に脱却する」とも述べたが、麻生派などが「政策集団」と称して存続することに国民の理解を得られるかどうかは不透明だ。
自民党内からも疑問を投げ掛ける声が出ている。石破茂元幹事長は派閥の扱いについて「残るのもあるということであれば派閥の数が減るだけということになる。そうすると何が変わるのかよく分からない」と指摘。船田元衆院議員も「純粋な政策集団に変えていくということだが、看板の付け替えのように思われるのが一番だめだ」と語った。
一方、同本部の最高顧問で派閥の解消を求めてきた菅義偉前首相は「これからが大事だと思う。これに基づいて行動できるかどうか」だと記者団に語った。石破、船田両氏はANN、菅氏はNHKが発言場面をそれぞれ放映した。
読売新聞が19日から21日に行った世論調査で、派閥を「解散するべきだ」と回答した人は61%で、「現状のままでよい」は4%、「改革した上で存続させるべきだ」は31%だった。
残る3派のうち、森山派は解散する方向で検討に入ったと共同通信が24日報じた。
●自浄能力に「期待しない」が7割以上 派閥については、6割が「解消すべきだ」 1/24
毎日の報道で食傷気味になりつつある「派閥」の問題。社会調査研究センター(SSRC・さいたま市)の調査によると、政治資金パーティーをめぐる事件について、自民党の自浄能力に「期待しない」との回答が74%に上り、「期待する」は15%にとどまった。自民党の派閥については「解消すべきだ」が63%を占めた。
1月21日にスマホを対象とした「dサーベイ」で実施した全国世論調査。能登半島地震で大きな被害の出ている石川県を対象地域から外して実施。全国の18歳以上の約6500万人から無作為に抽出した2052人が回答した。
岸田首相が岸田派の解散検討を表明したことについては「評価する」が45%で、「評価しない」の32%を上回った。多額のパーティー券収入を裏金化していた安倍派については「解散すべきだ」が74%に上り、「解散する必要はない」は10%にとどまる。岸田内閣の支持率は19%で、昨年11月以降2割を切る厳しい状況が続いている。不支持率は70%だった。
●裏金おとがめなしの安倍派5人組、言い訳と開き直りと沈黙 1/24
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、安倍派(清和政策研究会)の幹部「5人組」が政治資金規正法違反による立件を免れた19日以降、派閥から還流された金額などを公表し、釈明している。国民の政治不信を招いたことを陳謝する一方で、「秘書が報告しなかった」などと責任を転嫁するような発言を重ね、離党や議員辞職もしない意向を示す。党内からは安倍派幹部の処分を求める声が広がっている。
2728万円キックバック「詳細まで把握してなかった」
5人組は、岸田政権で政府や党の要職を担った萩生田光一前政調会長、世耕弘成前参院幹事長、松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長、西村康稔前経済産業相。安倍晋三元首相の死去後、5人が中心となり派閥を運営してきた。
萩生田氏は2018年以降の5年間で2728万円の還流を受け、政治資金収支報告書に記載していなかった。元会計責任者が略式起訴された岸田派の不記載額約3000万円に迫る水準だ。22日の記者会見で「(スタッフから)おおむねの報告を聞く程度で、詳細まで把握していなかった」と釈明。還流分の不正使用もなかったと強調した。
「秘書の判断」「私は起訴の対象にならなかった」
世耕氏や西村氏も19日の会見で還流を知らなかったと説明。「秘書の判断」(西村氏)と、会計担当者に責任をなすりつけるような姿勢に終始。議員辞職の考えを問われ、世耕氏は「私は起訴の対象にならなかった」と開き直った。
不起訴が決まってからHPで「訂正する」
松野氏と高木氏は記者会見の場での説明を避けている。官房長官在職中、会見で裏金の認識を問われても「政府の立場」を理由に回答を拒み続けた松野氏は、不起訴となった19日、自身のホームページで、不記載の経緯と政治資金収支報告書を速やかに訂正する考えなどを表明しただけ。会見はいまだに開いていない。
安倍派が解散を決めた19日、現職の事務総長として会見に臨んだ高木氏は、自身の還流分などについては答えず。22日に記載漏れが1019万円だったと明らかにし、「いわゆる『裏金』と指摘されるような不正な支出はなかった」とのコメントを出しただけだ。
「党として処分すべきだ」が相次いだが
23日に自民党本部で開かれた政治刷新本部では、出席者から「党として処分すべきだ」などの声が相次いだ。岸田文雄首相(党総裁)は会合後、5人組や刑事責任を問われた議員を処分する考えがあるかを記者団に問われ「政治責任のあり方については党として結論を得ていきたい」と述べるにとどめた。
●岸田首相の頼みは「経済」…実質賃金プラスをしくじれば「6月退陣」に現実味 1/24
支持率が過去最低更新ラッシュの低迷する岸田政権。裏金問題を巡り、起死回生で打ち出した派閥解消も麻生派と茂木派が存続の方向で、“ハーフ&ハーフ”になってしまった。朝日新聞の世論調査(20、21日実施)では、派閥解散が「信頼回復につながらない」は72%に上った。
何をやってもうまくいかない中、頼みにするのが経済だ。
岸田首相は22日の「政労使会議」で労使の代表らに「昨年を上回る賃上げをお願いする」と訴えた。
「実質賃金は20カ月連続マイナスが続いていますが、株高、大幅な賃上げ、インフレの鈍化などの好材料がある。岸田首相は今年中に実質賃金をプラスに転じさせ、何とか政権を延命させたいと考えているようです」(霞が関関係者)
22日の日経平均終値は前週末比583円高の3万6546円で、終値としては約34年ぶりに3万6000円台に乗せた。内閣支持率の低迷に反比例し、株価はうなぎ上り。今年に入ってからの上げ幅はすでに3000円超だ。株価だけを見れば、日本経済の見通しは明るく見える。
春闘も大企業からは景気のいい声が聞こえる。今年の春闘賃上げ率(資本金10億円以上かつ従業員1000人以上の労働組合のある企業364社)の民間予測平均は3.85%。昨年の3.60%を上回る見通しだ。
インフレも鈍化傾向だ。12月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除く総合指数が前年同月比で2.3%の上昇となり、2カ月連続、伸び率は縮小している。
中小の賃上げ苦戦としつこいインフレ
これなら実質賃金プラスに手が届きそうな感じがするが、現実は甘くない。
「大企業は今春闘も昨年に続き、高水準の賃上げを実現するでしょう。しかし、中小企業は苦しい。人手確保のため、昨年は無理して賃金アップしたが、今年は難しいとの声をよく聞きます」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
城南信用金庫と東京新聞のアンケート(都内と神奈川県内の城南信金と取引がある中小企業832社に聞き取り)によると、約35%が「賃上げの予定なし」と回答。「予定あり」の27%を上回った。賃上げしない理由として6割近くが「賃上げの原資がない」だった。
インフレの収束も怪しい。消費者物価指数は2%台に落ち着いたように見えるが、カラクリがある。昨年12月は電気代がマイナス0.87%、ガス代がマイナス0.26%と、上昇率を大きく押し下げていたからだ。
「電気代とガス代の大幅なマイナスは、政府の補助金が大きく影響しています。今年5月まで延長されましたが、その後、打ち切られれば、前年比の物価上昇率は押し上げられることになるでしょう」(総務省物価統計室)
厚労省の毎月勤労統計によると、昨年11月の実質賃金(速報値)は3.0%減と深刻だ。今年の春闘を経ても、賃金上昇がインフレ率に遠く及ばない事態が続けば、賃上げ結果が反映される6月の岸田退陣が現実味を帯びる。
●「派閥解消」腰砕け 岸田首相、麻生氏押し切れず―自民党 1/24
自民党が23日に示した政治改革に関する中間取りまとめ案は、派閥の解散には踏み込まなかった。岸田文雄首相(党総裁)は岸田派の解散を決めたが、追随したのは政治資金パーティーを巡る事件で立件された安倍、二階両派のみ。首相の指導力に疑問符が付くのは必至で、政権運営の険しさは増しそうだ。
首相は23日の党政治刷新本部で、岸田派解散について「政治改革の先頭に立って議論を進めていかなければならない。その立場を考えた時にけじめは付けなければならない」と述べ、理解を求めた。
改革案は「派閥の解消」を掲げ「本来の政策集団に生まれ変わる。お金と人事から完全に決別する」とうたったが、派閥全廃には踏み込まなかった。首相は先んじて岸田派解消を打ち出したが、党全体には広げられなかった形で、党内からは「方向性は一体の方が国民から理解される」(菅義偉前首相)と不満の声が漏れる。
派閥解散の明記が見送られ、党内の評価はさまざまだ。派閥の政治資金パーティーを禁止し、「氷代」「餅代」と呼ばれる所属議員への還元を廃止。人事での働き掛けなども禁じたため、中堅議員は「派閥の機能は失われるも同然だ。もう力は残らない」との見方を示す。一方、岸田派の小野寺五典元防衛相は記者団に「後ろ向きな印象だ」と指摘。刷新本部でも「『本来の政策集団』とは何か」との疑問の声が相次いだ。
金銭・人事面でメスを入れたが、党総裁選では今後も動向を左右する可能性がある。閣僚経験者は「総裁選はグループ単位で動く。人事でも、推薦名簿をやめて電話で伝えればいい」と、早くも「骨抜き」に言及。党関係者も「数年たてば元に戻る」と口にした。
野党からは中間とりまとめ案への批判が相次いだ。立憲民主党の岡田克也幹事長は記者会見で「パフォーマンスだ」と断じ、「腰の引けた案だ」と糾弾。国民民主党の玉木雄一郎代表も「中途半端で再発防止につながるのか」と疑問を呈した。野党は通常国会で、首相の姿勢を厳しくただす構えだ。
こうした中、首相の政権基盤には不透明感が漂い始めている。派閥解消を巡り、政権を共に動かしてきた麻生氏、茂木敏充幹事長との間で姿勢の違いがあらわになった。麻生派中堅は「『岸田の乱』は不発だ」と酷評した。
首相は麻生、茂木、森山3派について、記者団に「新たなルールに従ってもらう。派閥ではなくなる」と述べたが、両氏にも配慮し「派閥解散」を見送ったとみられ、麻生派の一人は「ぎりぎりの落としどころだ」と評した。
しかし、自民党は世論の厳しい視線を受けており、党関係者は「存続した派閥の議員は批判を受けるだろう」と選挙に影響しかねないと懸念を示した。
●政治不信に直面する自民党 改革断行への覚悟≠ェ求められる岸田首相 1/24
自民党各派閥の政治資金パーティーを巡る「政治とカネ」問題は底なしの様相だ。強制捜査も始まり、永田町に激震が走った。2024年の展望は一気に視界不良となり、その影響は、国民生活にとって重要な税制などの政策決定にも及ぶ。日本のリーダーである首相・岸田文雄は、経済再生や国際的な紛争など、待ったなしの懸案に立ち向かうためにも、小手先に終わらない政治改革を今度こそ断行できるか。岸田の覚悟が問われる局面だ。
火の玉になる
「国民の信頼回復のために火の玉となって、自民党の先頭に立つ」。臨時国会が閉会した23年12月13日夜、記者会見した岸田は改革への決意を強調した。だが、その表情に冴えはなく、心理的に追い詰められている様子がありありと見えた。
決意のほどはともかく、具体的な踏み込みには乏しかった。今後の改革について問われた岸田は「事実を確認し、適切な対応を取る」と述べた。国会閉会後に本格化する捜査の行方を踏まえなければ、具体策や期限を考えにくいのは確かだったが、与野党から言及が出ていた政治資金規正法の改正についても「議論になることはありうる」と言葉を濁した。テレビで会見を見ていた与党関係者は「これじゃ火の玉じゃなくて、火だるまになるかもしれない」と力なくつぶやいた。
同時に岸田は閣僚人事を行う考えを表明した。国会が閉じ、野党の追及が一段落した直後の人事は異例だ。翌14日、内閣の番頭役だった官房長官・松野博一をはじめ、東京地検特捜部が狙いを定める安倍派の閣僚4人を更迭した。
これはその前週から、安倍派の政治資金パーティーを巡って「派閥から多額のキックバックを受けていた」との報道が先行し、松野らが極めて厳しい立場に置かれてしまったためだ。特捜部はメディアにリークする形で政権側に本気度を見せつけ、本格捜査への流れを作ろうとしたのだろう。温厚で仕事の手堅い松野に対しては、官邸スタッフの間に同情する声もあったが、流れには逆らえなかった。
安倍派で集団指導体制を敷いていた「5人衆」、つまり松野と党政調会長・萩生田光一、経済産業相の西村康稔、参院幹事長の世耕弘成、党国対委員長の高木毅は、軒並み辞任か更迭に追い込まれ、全員が特捜部の事情聴取を受けた。
岸田は、閣僚だけでなく政務三役から安倍派を一掃することも視野に入れていた。しかし、国会議員99人を擁する最大派閥を要職から完全に排除すれば、安倍派の暴発を招くだけでなく、党の人材払底にもつながりかねない。
「安倍派一掃」案が報じられると、萩生田は「若い人たちの芽まで摘まないで欲しい」と再考を求めたといい、結局は岸田もこの案を見送った。
問題の発生当初、岸田は対応を派閥任せにするかのような発言を繰り返していた。12月上旬に「各派閥のパーティー自粛」「自身の岸田派会長退任」を打ち出したものの、「対応が遅い」とさらに批判を浴びた。
だからこそ、安倍派一掃という思い切った措置に踏み切れば挽回の余地があった。ところが、一掃案が漏れた上に「数人の辞任・補充」にとどまったことで、またも中途半端な対応という印象を与えてしまった。
松野の後任は、無派閥の元防衛相・浜田靖一や安倍派以外の閣僚経験者らに次々と断られ、岸田派の重鎮・林芳正が火中の栗を拾うことになった。岸田派にもキックバック疑惑が浮上する中、林は「私はパーティー券収入の還流は受けていない」と話した。他派閥からは「万一、林さんに政治とカネの問題が出てきたら、岸田政権は本当に終わりだ」との声が漏れた。
深まる混乱
今回の政治資金問題は、本来あるべき政策決定と、今後の政局展望という2つの面で大きな混乱を招いている。
まず政局を巡っては、岸田が模索してきた衆院解散・総選挙の選択肢がさらに狭まった。安倍派5人衆のキックバック疑惑が浮上して以降、永田町では「もう岸田さんは解散できないね」という会話が半ばあいさつ代わりになっている。
それどころか、今後の解散シナリオとして語られてきた24年1月の通常国会冒頭、24年度予算成立後の3〜4月、通常国会会期末の6月などが「内閣総辞職のタイミングにもなり得る」という新たな想定が加わった。疑惑を巡って議員辞職があった場合は、24年春の補選も分水嶺になり得る。
23年12月13日、解散や自民党総裁選への対応を問われた岸田は「今は、そうした先のことを考えている余裕はない」と本心を吐露した。さらに「(政治改革などの)課題に全力で取り組む、それに尽きるんだという強い覚悟を示すことが重要だ」と続けた。この言葉を真摯に実行に移すことこそ、崖っぷちに立つ岸田が国民の信頼を取り戻す唯一の道であろう。
次に、政策決定の迷走である。象徴的だったのは、閣僚人事と同じ12月14日に決定された与党税制改正大綱だ。
岸田は22年末、防衛力強化の財源として法人税、復興特別所得税、たばこ税を増税して1兆円を確保する方針を決めている。ただし、増税の開始は「2024年以降の適切な時期」とぼかしてきた。定額減税との整合性を取るため、岸田や萩生田は24年からの実施はしないと明言したが、岸田は「開始時期だけは今回決めてしまいたい」と考えていた。
しかし、政治資金問題が政権を直撃し、岸田は方針転換を余儀なくされた。もともと党内の積極財政派は増税に消極的だった上に、「政治家はパーティーで儲けて、国民には痛みを強いるのか」という世論の反発も恐れたのだ。「今年(23年末に)決めることは、今の政治状況からして難しい」。党税調会長・宮沢洋一は先送りを表明した。
22年末に改定された国家安全保障戦略などの安保3文書に基づき、増税は27年度には実施されている必要がある。前回の税制改正大綱は「複数年かけて増税する」との方針も示している。このため25年までには開始時期を決めなければならないが、その間に党内から「防衛費は増税より国債で賄うべきだ」との主張が再燃しかねない。
ただし、日本の領土・領海・領空を守るための防衛力強化は、現在の「政治とカネ」とは全く別の重要課題である。政権は目の前の批判から逃避するのではなく、正面から国民に説明を重ね、負担増への理解を求めるのが筋だ。岸田と自民党には今後、その覚悟を問われる場面が必ず訪れるだろう。
野党の漂流
自民党税調の頭越しに岸田が表明した定額減税(1人あたり所得税3万円、住民税1万円の計4万円)は、24年6月からの実施が決まった。岸田は公平さを欠くとみて所得制限には慎重だったが、党側の要求により、物価高の影響が少ない年収2000万円超の高所得者は対象外とされた。
「国会議員も恩恵を受けるのか、と批判されないための予防策」と省庁関係者は解説する。政治資金問題を受けた党側の焦りは強く、岸田もそれを抑えられなかった。
野党にとっては、この状況は本来、千載一遇のチャンスである。政治改革の道筋を先に示し、岸田に「信を問え」と迫れる局面だ。にもかかわらず、臨時国会の最終盤、野党の連携は相変わらずちぐはぐだった。
野党第1党の立憲民主党は、内閣不信任案の提出に慎重な意見が強かった。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者を救済する特例法案の成立が危うくなること、そして「国会会期延長や衆院解散があれば、特捜部の捜査が遅れかねない」という理屈である。執行部の及び腰に、ある立憲議員は「いま不信任を出さず、いつ出すのか。世論も必ずついてくるのに」と不満を漏らした。
逆に、日本維新の会は、立憲に対して内閣不信任案の提出を要求した。「夏になれば盆踊りをするように、会期末になれば不信任案を出す」と、かつて代表・馬場伸幸は立憲を冷笑していたが、それを一転させた背景には、世論の高まりに加え、野党陣営を束ねる立場にないことからくる「軽さ」もうかがわせた。
立憲代表・泉健太の判断で、内閣不信任案は臨時国会の最終日に提出され、野党は軒並み賛成した(与党の反対で否決)が、内情はお粗末だった。
混乱は国民民主党にも及んだ。自民、公明、国民民主3党は、ガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除について協議してきたが、国民民主が不信任案に賛成したため、与党は税制改正大綱にトリガー条項に関する記述を見送った。
国民民主代表・玉木雄一郎は、凍結解除の実現に政治生命を賭けると公言してきたが、12月15日に記者団から問われると「不信任賛成に瑕疵はない」「悪いのは与党だ」と言い張った。そもそも与党は凍結解除に消極的で、「自公国」の枠組みも変わらざるを得まい。
「大綱」の価値
政治資金問題で自民がパニックに陥り、野党も勢力を結集できない現状は、国民にとって不幸というほかない。自民の非主流派や公明党からは、岸田に対して政治改革を求める声が強まる。公明幹事長・石井啓一は「次期通常国会は政治改革国会の色合いが強くなる」との見通しを示した。政治資金規正法の改正は焦点の一つだが、現在の惨状を見ればそれだけで済むはずもない。
そして、リクルート事件後の1989年5月に自民党が機関決定した「政治改革大綱」が、改めて政界の注目を集めている。大綱からは、30年以上を経た今にそのまま通じる危機感が読み取れる。
「政治資金は庶民感覚からかけはなれるほど肥大化し、本来の政策活動に要する資金さえ、国民から理解されない」
「派閥中心の党運営が続くならば、(自民)党が真の意味での近代政党、国民政党へ脱皮することは不可能である」
岸田は年明け、党総裁直属の政治刷新本部を設置すると表明した。自民党は、半ば忘れかけていた政治不信からの脱却という難題に今度こそ挑まなければならない。岸田は旗振り役として強いリーダーシップを示すときだ。野党も改革に積極的に参加することが求められる。
一方で与野党は、目下の物価高など、日本が直面する諸課題の解決にも並行して取り組む必要がある。24年の元旦には能登半島を震源とする大地震が発災し、被災者支援は急務だ。政治家たちが己の保身に汲々としている場合ではない。
●自民支持率最低14.6%! 鬼の岸田政権に残された道は「減税」のみ… 1/24
時事通信の1月の世論調査では、自民党の支持率は、野党時代を除いて1960年の調査開始以来最低の14.6%となった。岸田首相は国民からの信頼回復にむけて、派閥解散の意向を出したが、それに対して麻生太郎や茂木敏光が難色を示している。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「支持率を一気に回復する方法はある」と語るーー。
派閥解消に向けて難色示す麻生と茂木
岸田首相の突然の宏池会(岸田派)解散宣言によって、自民党に大激震が走っている。旧安倍派(清和会)、二階派(志帥会)の解散も決定し、残る派閥は麻生派(志公会)、茂木派(平成研)、森山派(近未来研)のみとなった。
報道によると、岸田首相の派閥解散意向に対して、麻生太郎・志公会会長、茂木敏光・平成研会長は難色を示していると言う。それもそのはずで、岸田派・麻生派・茂木派の三頭政治体制で、岸田派は人数が最も少ない脆弱な派閥でしかない。そして、現状では仇敵である安倍派を事実上機能不全に陥れ、麻生・茂木両氏は我が世の春を謳歌してきた人々だ。したがって、彼らが首を縦に振るはずがなく、岸田首相を支えてきた党内三頭政治体制は事実上崩壊したと言えるだろう。
孤立した岸田首相が頼るものは、国民からの声、しかない。岸田首相は前回の自民党総裁選時に「聞く力」を強調してきた。
あえてメディアからの袋叩きになる確実な悪手を選択した岸田
しかし、自民党の派閥政治においては、岸田首相は党内第四派閥に過ぎない岸田派の領袖に過ぎず、国民の声が聞こえてもそれを実行する力は無かった。そのため、昨年の内閣改造においても、閣僚人事や党幹部人事は各派閥の勢力均衡を図ることが精一杯で、副大臣・政務官には身体検査が甘い政治家たちを各派の意向に従って入れざるを得なかった。
その結果が相次ぐ副大臣や政務官のスキャンダルであった。不倫で政務官を辞任した山田太郎文部科学政務官を皮切りに、柿沢・神田副大臣2名がスキャンダルで逮捕や更迭された。党幹部人事では茂木派の内部事情に配慮し、選挙=スキャンダルの印象が拭えない小渕優子選対本部長人事の承認など、あえてメディアからの袋叩きになる確実な悪手を選択させられていた。
このような派閥政治に配慮した政治を実行し続けたことで、岸田首相の支持率は低迷の一途を辿ることになった。起死回生を狙った所得税定額減税も、財務省の影響が強い岸田派、麻生派、茂木派ら有力者の影響力が強い状態では、たった1年間の腰砕け、中途半端な内容にならざるを得なかった。
最大の危機であり最大のチャンスが生まれている
しかし、岸田首相が派閥解消を宣言したことで状況は大きく変化した。岸田首相を党内で支えた派閥は消滅し、今や自民党内からは総理官邸は孤立無援の状態となった。だが、自民党内を見渡しても、岸田首相に代わる首相代替案としての有力案は存在していない。この状況は岸田首相にとっては、最大の危機であり最大のチャンスが生まれていると言える。
岸田首相が政治と官僚が癒着した古い政治を破壊する「日本のトランプ」になれば、岸田首相には政権延命の可能性が生まれてくる。旧来までの因習を全て破壊し、国民とダイレクトに繋がる政治を実現するのだ。
そして、都合が良いことに、岸田首相が一発で支持率を回復する方法が存在している。
その方法とは「消費税減税」である。各種世論調査では国民が求める経済対策として「消費税減税」の声は常に大きい。
増税派の意見を聞かなくてもよくなった
しかし、その消費税減税を求める国民の声は、財務省に近い岸田派・麻生派・茂木派の派閥政治によって黙殺されてきた。また、旧安倍派も自派閥の元ボスが引き上げた消費税率をもう一度下げることに本気で同意するはずがないものだった。しかし、岸田首相はもはやそれらの党内有力者の声に耳を貸す必要はない。
岸田首相はおよそ全ての派閥を敵に回すことで、国民からの声「消費税減税」に応えられる立場を手に入れた。自民党内の派閥の領袖たちに阿ることなく、昨年末の所得税減税騒ぎで対立した財務省の意向も無視し、日本国の首相として初めて国民に真摯に向き合う千載一遇の機会が訪れている。
消費税減税は、現在短期的な物価高(コストプッシュのインフレ)に対応し、消費主導の緩やかな物価上昇・賃金上昇(デマンドプルのインフレ)に経済環境を変えていくために最適な手段である。2023年11月、柳ヶ瀬裕文参議院議員(日本維新の会)の参議院財務金融委員会での質疑に対して、財務省でさえ短期的には「消費税減税は物価を押し下げる」と当たり前の答弁をしている。
「首相公選制」が事実上導入される
中国の景気減速が鮮明になりつつあり、米国もFRBの利上げの影響で経済の屋台骨が腰砕けするか分からない状況の中、消費税減税という経済対策に予め踏み切ることは、先見の明を持つ英断となる可能性が高い。
派閥解消の結果によって、今年9月に予定されている自民党総裁選挙の形も大きく変わることになるだろう。権力の在り方そのものが変わるのだ。
昨年末から岸田首相の辞職は、来年度予算成立&バイデン面会という花道論が有力とされてきていた。そして、その後継は茂木氏、上川氏、河野氏などの名前が挙がっていた。しかし、これは全て派閥の論理による見立てであって、派閥が解消されるなら事情は全く異なるものとなる。
派閥解消が意味することは、自民党によって「首相公選制」が事実上導入されるということだ。内閣支持率が低迷する岸田首相が続投して長期政権を築くには、実はこの道を選ぶしかなかった。
9月の自民党総裁選挙で勝利する者とは…
だからこそ、岸田首相は派閥を解消した上で、国民からの声に応える政策を実行することが重要なのだ。
9月の自民党総裁選挙で勝利する者は、国民からカリスマ的な支持を得る政策を掲げた人物となる。従来までの派閥の金やポストの論理は無くなり、現職国会議員らは自分が生き残るために最も適した候補者を選ばざるを得なくなる。さらに党員投票の影響力も増すことは間違いない。
そして、その政策こそ「消費税減税」の英断である。自民党の首相が消費税減税政策を採用することで、野党はその存在意義の大半を失い、総選挙においても自民党が圧勝することになる。
岸田首相は国民の声を聴く、という公約を果たすべきだ。消費税減税に踏み切れば、岸田首相は日本史に残る大宰相となるだろう。
●「派閥解消」でマスコミ迎合の弱いリーダーが生まれる 国家の命運より保身 1/24
岸田文雄首相が出身派閥の岸田派(宏池会)の解散を表明した。同じく、派閥パーティー収入の不記載事件で関係者が立件された二階派(志帥会)と安倍派(清和政策研究会)も解散を決めた。不記載事件とは無関係という麻生派(志公会)は解散に慎重で、茂木派(平成研究会)と森山派(近未来政治研究会)は様子見といったところだ。
だが、「派閥解消の流れ」は、もはやでき上がったと言ってよい。麻生派など3派閥も早晩、解散か事実上の活動停止に追い込まれるだろう。マスコミ世論から、「政治刷新に不真面目な守旧派」のレッテルを貼られるからだ。
今回、岸田首相は乾坤一擲の大勝負に出た。マスコミ世論を味方に付け、派閥を解散して個々の議員をバラバラにし、直接統制を行おうとしている。派閥という緩衝材をなくした個々の議員は、小選挙区制も手伝って首相ら党執行部の言いなりにならざるを得ない。
もちろんこれは、9月の党総裁選での再選をにらんでのことだ。ライバルを擁立する議員の結束を阻止することができる。
派閥解散の流れは、岸田政権を支えてきた麻生派会長の麻生太郎副総裁と、茂木派会長の茂木敏充幹事長への根回しも一切なく独断でつくられた。麻生氏は激怒し、岸田首相は後に陳謝したというが、後の祭りだ。
派閥解消は執行部には都合がよいが、執行部内で対立が生じたことになる。ただ、現在のところ、マスコミ世論は岸田首相の方に付くはずだ。派閥を失った個々の議員も、マスコミ世論に反することはできないだろう。
党の政治刷新本部も「今後、内閣改造・党人事で派閥の推薦を受けない」との方向性を示した。岸田首相はまもなく自民党国会議員の大半を直接統制できることになる。力の源泉は、派閥を嫌悪するマスコミ世論の支持だ。
だが、これは望ましい統治形態ではない。マスコミ世論に見識があるわけではなく、意見はコロコロ変わる。政治はそれに左右される。
今現在の支持がいつまで続くか分からず、明日には別の政治家が支持を受けるかもしれない。派閥の解消は「不安定なポピュリズム政治」を生み出すことになるのだ。新たに支持を受けた政治家が、岸田首相よりましな政治家であるとも限らない。
11月の米大統領選挙の結果次第では「台湾有事」の可能性が高まると指摘される。日本も人ごとではなく、大きな打撃を受ける。今、日本に求められているのは、それらを想定して準備と対策を行うことだ。そして、それを指揮する「賢明で強い指導者」であり、それを支える「強い政治基盤」だ。
派閥解消はそれを阻害し、マスコミ世論に迎合せざるを得ない弱いリーダーを生み出す。岸田首相は「国家の命運」よりも、「自らの保身」を優先したのか。 
●震災・デフレ脱却「正念場」 首相、施政方針演説の原案判明 1/24
岸田文雄首相が30日の通常国会で行う施政方針演説の原案が判明した。能登半島地震、デフレ完全脱却、国際情勢への対応を挙げ「内外ともに正念場を迎えている」と位置付けた。物価高を上回る所得の実現を強調する。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、政治資金の透明化を図って政治の信頼を回復する決意を示す。震災対応で被災者支援策を着実に実行するため、自らをトップとする「能登復興本部」を新設すると表明する。複数の政府関係者が24日明らかにした。
「経済、経済、経済」と連呼した昨年10月の所信表明演説に触れ「思いは変わっていない。岸田政権の最大の使命だ」と言及。デフレ完全脱却は「高齢化による国民負担率上昇の抑制につながり、財政健全化にも寄与する」と意義を唱える。
医療、福祉分野や公共サービス、中小企業、パート・非正規労働者の賃上げを実現するとした。
裏金事件を巡り、自民派閥のパーティー禁止や外部監査導入、銀行振り込みの徹底化により、透明化向上を訴える方向だ。
●「派閥パーティー」全面禁止は抜け穴だらけ 政党支部・幹部の“裏金の温床” 1/24
自民党の政治刷新本部(本部長・岸田首相)が23日、中間とりまとめ案を大筋で了承。派閥について「お金と人事から完全に決別する」とうたいながら、派閥存続が大前提の腰砕け。とりわけ、裏金づくりの温床となった政治資金パーティーの開催は、抜け穴だらけである。
あくまで「全面禁止」の対象は派閥単位のパーティーのみ。2022年分の政治資金収支報告書によると、解散する3派閥を含め、自民6派閥のパーティー収入は計9億2323万円。一方、共同通信の集計だと、国会議員の資金管理団体と関係する政党支部が開いた「特定パーティー」(1回1000万円以上を集金)の収入は少なくとも計52億円で、うち9割超を自民党議員が占めた。
派閥の開催禁止で途絶える自民党のパーティー収入は全体の約6分の1に過ぎず、8割以上の収入はがっちりキープ。喜ぶのはパー券販売のきついノルマから逃れられる派閥の議員くらいだ。
派閥の領袖にとっても、パーティーは大きな収入源。岸田首相は22年だけで1億5509万円をカキ集めた。いくら派閥単位の開催を禁じても、その実態が派閥の幹部クラスが開くパーティーに移行すれば、集金システムは温存される。ノルマ解放の議員たちも、ぬか喜びとなりかねない。
規制が強まるほどアングラ化
裏金事件を刑事告発した神戸学院大教授の上脇博之氏が指摘する。
「収支報告書をつぶさに調べると、パッと見は政治家関連の団体でなくとも、特定の政治家のパーティー開催だけを目的に設立された政治団体も、すでに散見されます。刷新本部は中間報告案に、会計責任者が逮捕・起訴された場合、その団体の代表を務める国会議員の処分を明記しましたが、議員に責任が及ばないよう代表の名義貸しが横行しかねません。それこそ無数の『ダミー団体』だらけになれば、資金の流れが今以上に不透明になる懸念もあります」
22年には薗浦健太郎・元自民党衆院議員が不記載額4900万円の政治資金規正法違反の罪で略式起訴。端緒は、上脇氏が収支報告書に収入の記載のない薗浦氏の「闇パーティー」を告発したことだった。裏金事件の捜査中には、西村前経産相の「架空パーティー」問題が週刊文春で取り沙汰された。「闇」や「架空」がはびこる悪の組織は、規制が強まるほどアングラ化していくのが世の常だ。
「萩生田前政調会長が会長を務める自民党都連も、パーティー収入の不記載が判明し、告発済みです。裏金づくりは都道府県連単位に及ぶ可能性があるのに、手つかずのまま。政治資金パーティーそのものを全て禁止しなければ裏金づくりは途絶えません」(上脇博之氏)
パーティー大好きの自民党議員がカネを欲しがる限り、裏金の温床は残り続ける。
●「エッフェル姉さん」キックバック不記載明かす 他の安倍派議員も続々告白 1/24
裏金事件を受け、25日にも自民党が刷新案を取りまとめる予定の中、安倍派の議員から相次いだのは“裏金”の告白。
23日、記者に囲まれたのは、2023年、エッフェル塔をバックに撮影した写真が批判を集めた、安倍派の松川るい参院議員。
2023年12月、記者に「ご自身としてはやましいことはないか?」と質問されると、「わたしですか? まったくありません」と疑惑を否定していた。
しかし一転して、1月23日には、「わたしの事務所にも、204万円の記載をすべき資金が残っていたことがわかりました」と述べ、派閥から受けたキックバックを収支報告書に記載していなかったことを明かし、陳謝した。
松川参院議員「私自身、こうしたことを一切知らないまま、事務所の管理に任せきっていたことについては、監督責任を感じています」
松川議員自身は「知らなかった」と強調。
裏金を明らかにしたのは、ほかにも...。
自民党 安倍派・山本順三参院議員「還付金(キックバック)の総額は58万円」
自民党 安倍派・井原巧衆院議員「“宙に浮いた資金”168万円」
両議員も、裏金があったことを明かしたうえで、不記載分は使用していないと説明した。
一方、24日の国会。
26日の通常国会召集に先立ち、集中審議が行われた。
岸田首相「わが党として、あらためて襟を正さなければいけない。真剣に受け止めなければいけない」
裏金事件をめぐる野党からの追及に、険しい表情で答えた岸田首相。
派閥の解消を表明したものの、裏金をめぐる新たな事実が次々と明らかになっている。
●蓮舫議員 エッフェル姉さんこと自民・松川るい議員らを痛烈批判 1/24
立憲民主党の蓮舫参議院議員が24日、自身のX(旧ツイッター)を更新。自民党安倍派の裏金を巡り、キックバックの204万円が収支報告書に不記載だったと報じられた「エッフェル姉さん」こと松川るい参院議員を痛烈に批判した。
蓮舫氏は、派閥からキックバックされた204万円が松川氏の事務所から見つかり「私自身、こうしたことを一切知らないまま事務所の管理に任せきっていた」として謝罪したというFNNのネットニュースを引用。記事では、同派の山本順三参院議員「還付金(キックバック)の総額は58万円」、井原巧衆院議員「”宙に浮いた資金”168万円」とも報じている。
蓮舫氏は投稿で、「『私自身知らなかった』『宙に浮いたカネ』『還付金があった』ちょっと何言ってるのか」とバッサリ。「政治とカネと自民党。とても国民の税金を扱える人たちではないでしょう」と断じた。
フォロワーからは「おっしゃる通り」「私利私欲の皆さまは退場で」「お金の扱い方が緩過ぎる。国家予算なんて、任せられません」「管理監督責任、問えるようにしてほしい」「これは所得隠しの疑いがありませんか? 徹底的に追及願います」などとコメントが寄せられた。
●堀井学衆院議員 約2000万円のキックバック不記載と説明 1/24
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐり、安倍派に所属する堀井学衆議院議員が派閥から5年間でおよそ2000万円のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかったと、地元の道議会議員に説明していたことがわかりました。
関係者によりますと、衆議院比例代表北海道ブロック選出の堀井学前内閣府副大臣は、23日、苫小牧市内で地元の複数の道議に対して、安倍派の政治資金パーティーをめぐる問題について説明したということです。
この中で堀井氏は、販売ノルマを超えて集めたパーティー券収入について、おととしまでの5年間で、派閥からあわせておよそ2000万円のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかったことを明らかにしたということです。
また、事務所の運営は秘書にまかせており、みずからの指示ではないが監督不行き届きだったとしたうえで、議員辞職や離党の考えはないと話したということです。
事務所によりますと、堀井氏は、今月27日に登別市で記者会見を行うほか、支援者に向けた説明会も開催し、一連の問題の経緯や今後の対応などについて説明する予定だということです。

 

●「今まで前例がほとんどない」 震源断層と別の断層が“連動”か 能登半島地震 1/25
能登半島地震をめぐり、震源となった断層のほかに約20キロ離れた内陸の断層もほぼ同時に動いていたことがわかりました。
「そんなに遠くの断層まで動くことは本当に考えてもいなかったことで、今まで前例がほとんどない。これはかなり新しい発見とも言える」(名古屋大学・鈴木康弘教授)
能登半島地震で震源となった断層とほぼ同時に動いたとされるのは、約20キロ離れた「富来川南岸断層」です。同じ直下型地震の阪神淡路大震災で考えると、震源近くの神戸市東灘区とJR新大阪駅ほど離れた断層が「連動」して動いたことになります。
日本活断層学会の会長で名古屋大学の鈴木教授らが現地調査したところ、この断層でも約3キロにわたって最大50センチ程度の隆起と数十センチの横ずれが確認されました。数十センチの隆起でも断層の上では家屋が大きく損傷し、木造の家は倒壊していたということです。
鈴木教授は、数十キロ離れ独立した断層でも「連動」する可能性が出てきたとして、活断層への備えを再検討する必要があると訴えています。
●能登半島地震は海底活断層が動いて津波か 相模湾や全国でもリスク 1/25
「海底活断層」をご存じでしょうか。文字通り海底にある活断層で、陸地に近いものが動くと、短い時間で津波が沿岸部に到達する恐れがあります。今回の能登半島地震でも動いた可能性が高いと指摘されている海底活断層。専門家は各地に存在し、同じようなリスクがあると指摘しています。
1分以内に津波到達か
1月1日午後4時10分ごろに発生した能登半島地震。午後4時22分には能登地方に大津波警報が発表されました。北海道から九州にかけての日本海沿岸を中心に津波が観測され、石川県珠洲市では、地震発生からおおむね1分以内に津波が沿岸に到達していたとみられることが専門家の分析でわかっています。
「海底活断層」が動いたか
今回の地震で、国の地震調査委員会は、沿岸の海底の活断層が動いた可能性が高いとしています。東京大学地震研究所の佐竹健治教授が、各地で観測された津波の波形から、震源域の断層の動きを分析しました。数字で動きを表しています。黒い点線のある能登半島の北東側の沖合の断層がほとんど動いていなかった一方で、能登半島の沿岸に沿ったエリアと、隣り合う断層がそれぞれ大きく動いていることが分かります。
海底活断層の実態把握は困難
陸上の活断層では、実地調査や国による危険度の評価が進んでいます。しかし、海底の活断層については陸上に比べて調査が困難です。日本海側では国の主導による調査が進められたものの、首都圏を含めて全容は明らかになっていません。
首都圏にも海底活断層のリスク
津波災害に詳しい関東学院大学の福谷陽准教授は、ほかの研究者と一緒に、地震の5日後から被災地に入って被害を調査しました。海底活断層は各地にあり、首都圏にも今回の地震と同様のリスクがあると指摘しています。
その場所の1つが神奈川県の相模湾です。上の図は3年前に産業技術総合研究所が出した調査結果です。緑の部分が陸地、紫や赤の実線が海底の活断層を示しています。沿岸部に近い海域に活断層があることが分かります。
津波の到達早くなるおそれ
福谷准教授は逗子市や鎌倉市に近い海底活断層「逗子沖断層」が動いた場合の、津波のシミュレーションを行いました。赤い場所は1メートルほどの高い津波を示します。地震発生から3分ほどで、鎌倉市や逗子市に高い波が到達しました。県の想定する巨大地震で、高い津波が鎌倉市に到達するのは発生から10分後です。
それよりも大幅に早くなる可能性があることが分かりました。
関東学院大学 福谷陽准教授「陸に近い海域の活断層が動くと、強い振動がおそってきます。数分後に比較的高い津波が来るかもしれません。津波の到達時間がすごく早くなるので、住民の避難を考えると注目していかなければならないリスクだと考えています。」
研究の進展を被害想定検討に
神奈川県は来年春をめどに、地震の被害想定の見直し作業を行っています。
海底活断層についても、詳細な実態やリスクに関する研究を注意深く見守り、被害想定の検討に生かしていきたいとしています。
神奈川県危機管理防災課 能戸一憲課長「さまざまな地震を想定していますが、海底の活断層については詳細になっているものが少ないと思います。今回の能登半島地震を受けて、新たな知見が加わるかも含めて、専門家の意見を聞きながら進めていきたいと思います。」
●見え透いたウソがまかり通る政治家たちに我々の未来を託せるか! 1/25
大山鳴動して鼠一匹(いや三匹か)。自民党裏金問題は43人不起訴という結果。変わるのかと期待した検察は以前のまま、あっけない幕引きとなった。
こんな茶番が許されていいのか。安倍派だけの問題ではない。自民党全体で20年にもわたって行われていて、キックバックのことは皆知っていた。ところがそれが不記載であったことだけ知らないなんて、誰が信じるか。
安倍派幹部の7人の会計責任者がお互いつながることなく、しかもボスに報告なしに何千万の裏金を勝手につくるなんてそんな偶然あるわけないだろう。
西村康稔「還付金があることを把握していなかった」
世耕弘成「秘書が報告していなかった」
2022年に安倍さんがキックバックを廃止しようとした時、西村氏は聞いているはずだ。知らないわけない。
こんな見え透いたウソをつく人間に我々のこれからの未来を託せるはずがない。
萩生田氏は八王子の支持者の前で「『修正をきちんとする』ということになっておりますので」とまるで検察とそれで話がついたような口ぶり。3000万ギリギリの2728万の還流を帳簿修正でおとがめなしだ。だいたいなぜ3000万以下はセーフなのだ。庶民は85円のオニギリ一つ万引して逮捕され、コンビニで110円のコーヒーを注文して190円のカフェラテを入れて逮捕されるのに。あまりにも酷すぎる。
ひょっとしたら萩生田氏を助けるために検察は3000万で線を引いたのではないか。統一教会問題でもそうだが、この人は一体何に守られているのか。
パー券ノルマで売らせて、キックバックで甘い汁吸わせ、捕まる時はトカゲの尻尾切りで秘書を差し出す。
まるで反社と同じ。自民党は犯罪集団ではないか。
ある意味略式起訴された谷川議員は正直だった。「金は飲み食いに使った」。人間関係のためと言うが彼にはそれが政治活動だった。「大臣になるために汗を流した(パー券を売った)」。大臣は能力ではなく金でなるものだった。
見るからに能力のなさそうな、国会で寝まくっている谷川氏こそ、自民党の本質を体現する人間である。
●政治の信頼取り戻せるか 1/25
通常国会があす召集される。
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で国民の政治不信はかつてないほど高まっている。重要政策の決定で国民的議論を省き、課題への場当たり的な対応も目立つ岸田政権にはこれまでも厳しい目が向けられてきたが、その不信の度合いは底を抜けた感すらある。
信頼されない政治がつくった予算や政策は求心力を欠く。それは国民にとっても不幸なことだ。信頼回復が強く求められる局面であり、国会の論戦、法案審議をそのための場にしなければならない。
最大のテーマはやはり、政治資金の扱いを中心とした政治改革になる。事件を受けて自民は、政治刷新本部の中間報告として改革案を示した。岸田文雄首相はそれを踏まえて取り組みを進める考えだ。
しかし、裏金づくりの経緯やその使途など実態は不透明なままだ。説明責任は果たされておらず、立件されなかった派閥幹部議員らも政治責任は免れない。これらを問うことなしに信頼回復はありえない。
資金の透明化、不正の再発防止に向けては、政治資金規正法の改正が焦点となる。自民方針はまだ具体性を欠き、野党は独自案を掲げる。
政党への企業・団体献金、議員が連帯責任を負う連座制などが個別ポイントになるが、重要なのは国民の納得感だ。小手先だと見透かされる対応に終われば逆効果になろう。
能登半島地震の被災地支援も大きな課題になる。政府は支援策をパッケージとしてまとめた。時間の経過とともに被災地の状況やニーズは変わる。スピード感、機動的な対応が欠かせない。半島地形の特殊性や寒さ対策など防災上の新たな課題も浮かんだ。教訓として今後につながる議論も求められる。
2024年度予算案は、一般会計の歳出が過去2番目の規模の112兆円台となった。新型コロナ禍から平時への回帰は進まず、借金頼みの財政が続く。防衛費も歳入の裏付けがないまま規模が膨らむ。財政運営の基本認識が問われる。重点化した賃上げ促進策も吟味が必要だ。
政府は昨年末、防衛装備品の輸出ルールを定めた防衛装備移転三原則の改定を決め、殺傷能力のある武器の輸出へ道を開いた。反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有、原発回帰に続いて、国会の議論を経ない重要政策の転換がまた繰り返された。
国際紛争を助長する懸念が否めず当然、今国会の論点になるが、本来なら決定前に議論するべきだ。国会軽視の姿勢が目に余る。
安全保障政策、エネルギー政策、異次元を掲げる少子化対策などで、積み残されたままの疑問はなお多い。国民の代表が集まる場で正面から向き合うべきだ。
昨年末、派閥裏金を巡って政権幹部らは「答弁を差し控える」を連発し、国民のひんしゅくを買った。政治は説明するのが仕事だろう。都合の悪いことは答えなくてよいとの考えが政権や与党に根付いているのなら、意識を改める必要がある。
●自民党の派閥 弊害断つなら全廃が筋だ 1/25
自民党を本気で刷新したいなら、全ての派閥を解散すべきではないか。中途半端な改革はかえって国民の反発を買うだけだ。
政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、自民党政治刷新本部は党改革の中間報告案を公表した。派閥については、政治資金と人事の差配機能をなくし、政策集団の名で存続することを容認した。
これでは「派閥」の看板のかけ替えに過ぎない。党総裁である岸田文雄首相の指導力に疑問を抱かざるを得ない。
所属議員や会計責任者らが刑事責任を問われた安倍派、二階派、岸田派は解散する。森山派はきょうにも結論を出すようだ。それぞれ政治団体の解散手続きをして、事務所を閉鎖することになる。
一方、裏金事件に関わりのない麻生派と茂木派は存続する見通しだ。
岸田政権は両派閥に支えられ、政権を維持してきた。存続を認めたのは、首相の唐突な「岸田派解散宣言」に不満を持つ派閥会長の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長への配慮にほかならない。
解散せずに政治資金規正法に基づく政治団体として存続すれば、政策集団を名乗っても資金を扱う機能は保てる。こうした「抜け穴」を残したままでは、首相がいくら唱えてもカネのやりとりを断つことはできないだろう。
今回の事件は、特に安倍派の長年にわたる組織的裏金づくりをあぶり出した。政治資金パーティー収入の一部を所属議員に配り、議員は当たり前に受け取っていた。
事件の反省から、刷新本部は政策集団による政治資金パーティーを禁止し、所属議員に「餅代」や「氷代」の名目で配っていたカネも廃止する方針を示してはいる。
だが国民は派閥改革の実効力に疑いの目を向けている。仕方あるまい。1970年代のロッキード事件以来、派閥解消を掲げるたびに有名無実となっているからだ。
リクルート事件を受けた89年の政治改革大綱では「派閥の弊害除去と解消への決意」を示し、派閥によるパーティー自粛の徹底を求めた。
野党転落後の94年にも派閥解消を宣言した。実際に事務所の看板を下ろしたが、翌年になると次々に活動を再開した。今回も「時間がたてば復活する」と党内から冷めた声が漏れる。
多数の議員がいれば、おのずとグループはできる。民主的に権力を握るには多数派を形成する必要もある。
同じ政治理念や政策を持つ議員が集い、研さんを重ねることを否定はしない。政策集団が文字通りの機能を発揮すれば国民は評価する。
それができずに、幾度も問題を起こしたのが自民党の派閥ではないか。その弊害は、首相をはじめ党の国会議員がよく分かっているはずだ。
派閥改革案は、刷新本部が最終報告をまとめるまでに見直した方が良い。
●「宏池会解散」で支持率上がると思ったが…やはり岸田首相で選挙は無理 1/25
先週木曜(18日)、岸田文雄首相が「宏池会(岸田派)解散」を宣言した夜、筆者は永田町で「事情通」氏と会っていると、彼のスマホが何度も鳴った。聞くと、若い記者たちからで、「ホントに解散するのか」という問い合わせだという。
若い記者は知らなかったのかもしれないが、自民党の派閥は1989年のリクルート事件を発端に行われた政治改革で、どこもいったん解散したものの、名前を変えて政策集団として復活している。だから、「解散しても、どうせまた復活するんだよな」という話で、その夜は盛り上がった。
別れ際に「事情通」氏は「岸田さんはちょっと乱暴なことをしたけど、支持率は上がるかもしれない。でも選挙はできないよ」と言っていた。
週が明けて出た世論調査の内閣支持率は、FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞が前月に比べて5ポイント上がったが、読売新聞は1ポイント減、朝日新聞は横ばいだった。3社をならすと、少なくとも「支持率回復」とまでは言えない。
1週間前の調査では、NHKが3ポイント、共同通信が5ポイント上昇し、内閣支持率は上向いているように見えた。能登半島地震における岸田政権の初動は悪くなく、自衛隊員の懸命な救援活動の映像が流れて、政権への信頼感、期待感が高まったのかと思っていた。
昨年からの流れを見ると、岸田政権の支持率は所得税減税など複合的な要因でじりじり下がり、暮れの「裏金」問題で信頼が地に落ちてしまった。だが、年明けの地震対応で盛り返し、「乾坤一擲」の岸田派解散で支持率の回復を狙ったが、有権者には見透かされてしまい、低迷したまま、ということだろうか。
調査で、政治改革に「必要なもの」として、「政策活動費の使途公開」「連座制などの罰則強化」の2つが、いずれもほぼ35%と関心が高い。これに対し、「派閥の解消」は8%に過ぎない。つまり国民は派閥には関心がなく、それより透明性や罰則の強化を望んでいる。つまり岸田首相はポイントを外している。
岸田首相にとって「いい話」もある。
まず、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長には「ダマ」で(=黙って)派閥解散を打ち出したので、2人は怒っているはずだが「岸田おろし」の動きはない。それは2人が本人も含めて強力な後継候補を持たないからだ。
第2に、調査で野党の政党支持率が上がっていない。FNN・産経では立憲民主党が2ポイント下がっているという数字まである。つまり、今解散すると、議席数は減っても与党過半数は確保できるのだろう。
ただ、「事情通」氏が言うように岸田首相に解散はもう無理だと思う。議席が減ることが分かっている解散というのは打てない。選挙の顔を変えるしかないのだ。 
●“安倍派幹部”処分 「中間とりまとめ」自民党議員の評価 党内意見割れる 1/25
25日、自民党・政治刷新本部の「中間とりまとめ」が正式に決定されました。党内では、どのような評価がなされたのでしょうか。また、安倍派幹部の処分はどうなるのか、などについて、日本テレビ・政治部の平本典昭 官邸キャップが解説します。
自民党・政治刷新本部「中間とりまとめ」の評価 点数は58点?
藤井貴彦キャスター「自民党の派閥から人事、カネの機能をなくすという“中間とりまとめ”が25日、正式に決まりましたが、ずばり、評価としては何点なのでしょうか?」
日本テレビ 政治部・官邸キャップ 平本典昭「はい、ずばり『58点』をつけます。この点数、どうやってつけたかといいますと…自民党議員17人に聞いたその平均値ということで、1つの目安と位置づけたいと思います。具体的な意見を紹介します」
・1人目 100点「派閥の問題の本質、人事とカネを封じた」
・2人目 60点「半分以上の派閥が解散した。ただ大事なのは、今後『実効性』を持たせることができるか?」
・3人目 0点「派閥という病巣が残った。また、再発のおそれがある」
「実態解明」まだまだ…課題山積の岸田政権
藤井キャスター「25日は、あくまで『中間とりまとめ』ということですが、次の焦点は、どこになるのでしょうか?」
平本官邸キャップ「そうなんです。まだ中間とりまとめなので、“最終”も残っています。政治資金をめぐる問題には、岸田政権が取り組むべき課題がまだまだたくさんあります。
今回は、『再発防止』の観点から『政治資金の透明化』、そして、主に『派閥のありかた』について議論が集中しました。
ただ、過去に起きたことの『実態解明』はまだまだです。裏金を何に使ったのか、議員の説明も足りていません」
“安倍派幹部”の処分どうなる?
平本官邸キャップ「そして、次の焦点は、“けじめ”をつけるための『処分』です。
あるベテラン議員は、今回の中間とりまとめに『0点』をつけました。理由は『派閥をどうするかより、ルール違反した人の処分が大事だけれども、何も決まっていないからだ』と指摘しています」
藤井キャスター「その処分というのは、どうなっていくのでしょうか?」
平本官邸キャップ「自民党は、党の規律を乱した人やルール違反した人について、これまで『党紀委員会』を開いて、処分を決めてきました。
焦点となっているのは、安倍派幹部の塩谷座長、“安倍派5人衆”と呼ばれる松野前官房長官、西村前経産相、現在の高木事務総長らのメンバーの処分です」
処分は8段階 茂木幹事長…安倍派幹部自ら政治責任の判断求める
平本官邸キャップ「処分は、8段階あります。一番重い処分が『除名』、2つ目が『離党勧告』、さらに、選挙で公認しない、などとなっています。
直近では、政治資金をめぐる事件で逮捕された池田議員は『除名処分』になっています。また、3年前、コロナ禍で銀座のクラブに行っていた議員は『離党勧告』処分を受けました。そして2年前、安倍元首相を“国賊”と侮辱する発言をしたとして、村上誠一郎議員は1年間の『(党の)役職停止』処分を受けました。
今回、8段階で、どの処分になるかということについて、ある閣僚経験者は、『コロナ禍でのクラブ遊びと(“裏金”と)、どっちが悪いのか。最低でも離党勧告処分が必要だ』というふうに言っています。
刷新本部では、さらに重い『除名』処分にすべき、という声もありました。
ただ、安倍派幹部だけを厳しい処分にすれば、『党内のさらなる分断を生む』という意見もあります。また、安倍派議員からは、『軽い処分にすべき』という意見もあります」
難しい処分  政権の“本気度”バロメーターに…
平本官邸キャップ「安倍派との対立が深まれば、『岸田首相は安倍派からの恨みを買い、総裁選では絶対に応援されない。将来に禍根を残す』といった意見もあります。
また、25日、茂木幹事長が、安倍派幹部に対して、自ら政治責任を判断するよう求めたこともわかっています」
藤井キャスター「その判断を議員自らがするのか、それとも、党が処分を決めるのか。いったい誰が、どんな処分を下すかというのは難しい判断だと思いますが、どうなのでしょうか?」
平本官邸キャップ「難しいですが、難しいからこそ、まさに自民党の『自浄作用』が問われるのだと思います。
岸田執行部は『国民の信頼を回復する』と言っていますから、その意志の“本気度”が、今回の処分のバロメーターになると思います」
●岸田首相「結果で政治責任果たす」 1/25
岸田文雄首相は25日、自民党岸田派の政治資金規正法違反事件を受けた自身の責任について、「党の政治刷新本部長として結果を導くことを通じて政治責任を果たしていきたい」と述べた。

 

●能登半島地震 『行動を起こした者だけが世の中を変えられる』 1/26
2024年1月5日に能登町にある松波中学校で活動していました看護師です。
避難者のほとんどは高齢者でした。避難所である体育館に身を寄せ合い生活をする避難者の方々。また、ご自身も被災されている中、避難所運営に携わられているスタッフの方々、そして校長先生。
私が活動地へ入った時は、医療ニーズについて把握を進めている状況で、介護が必要な方も多く、慣れない体育館での生活で転倒される方や、お手洗いの水も流せず不衛生な環境となり、飲水制限をしてしまい脱水となる方が多く見られました。
医療ニーズの把握と並行し、お手洗いの衛生状態の改善や、医療ニーズの高い方の観察ができるよう、また転倒を減らせるようにと区画整備を提案しました。
避難者の方々も避難所運営スタッフの方々にも徐々に疲労が伺える状態でしたが、区画整備は、医療ニーズの観点からも、転倒予防や生活のしやすさといった観点からも必要と考え、ジャパンハートより避難所へ提案させていただきました。
これまで経験のない避難生活を強いられ不安やストレスを抱える避難者や運営スタッフの方々。まずは、ここでともに過ごす避難者や運営スタッフの方々の声に耳を傾け、医療ニーズの把握のみでなく、対話をすることにも意識を向けていました。結果として、対話に重きをおいたことで、避難者のご家族の状況や生活背景なども聴くことができ、今後の長期的な支援において必要な情報を得ることにもつながりました。
このように関係性を構築しながら、区画整備の準備を進め、当日避難所にいる皆様にご協力を依頼し、また避難者さんの希望も聴取し、全員で区画整備を終えました。終えた時には避難者の方々もスタッフも、皆様から『やってよかった』と言っていただくことができました。
自らが行動し、よい結果を得られましたが、こういった活動の時に、ジャパンハート創設者である吉岡秀人医師の『行動を起こした者だけが世の中を変えられる』という言葉を思い出します。1人の考え、行動のみでは変えていくことは困難ですが、ともに過ごす方々と対話をし、時間を共有し、そこに私にできることをさせていただくことで、少しずつ物事が変わっていくという経験をさせていただきました。
学びの場である学校が機能を失ったり、住み慣れた故郷を離れる決断を強いられたり、今後も場所や形が変わっても支援が必要な状況が続きます。できることを最大限に、これからも携わっていけたらと思っています。
●元自民 安倍派 池田佳隆議員らを政治資金規正法違反の罪で起訴 1/26
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部は、安倍派からおととしまでの5年間に4800万円余りのキックバックを受けたにもかかわらず、資金管理団体の政治資金収支報告書に寄付として記載しなかったとして池田佳隆衆議院議員(57)と政策秘書を政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で起訴しました。
起訴されたのは、安倍派に所属していた衆議院議員で、自民党を除名された池田佳隆被告(57)と、会計責任者を務めている政策秘書の柿沼和宏被告(45)です。
東京地検特捜部によりますと、池田議員らは、おととしまでの5年間に安倍派「清和政策研究会」から4826万円のキックバックを受けたにもかかわらず、みずからが代表を務める資金管理団体の政治資金収支報告書に寄付として記載しなかったとして、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪に問われています。
関係者によりますと、特捜部の調べに対し、2人はいずれも黙秘しているということです。
特捜部は、先月、池田議員の事務所など複数の関係先を捜索しましたが、関係者によりますと、特捜部の調べに対し池田議員の別の秘書が「議員の指示で事務所のパソコンをドライバーなどの工具で壊した」などと話していて、池田議員の指示で証拠隠滅を図った疑いがあるということです。
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐり、特捜部はすでに安倍派、二階派、岸田派の会計責任者や元会計責任者、それに国会議員など合わせて8人を政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で立件していて、一連の事件で起訴されたり略式起訴されたりしたのはこれで10人となりました。
一方、特捜部は、池田議員側にキックバックした分を派閥の政治資金収支報告書に支出として記載しなかったとして告発されていた安倍派の幹部ら8人については、嫌疑なしで不起訴にしたことを明らかにしました。
●“ドライバー池田”こと池田佳隆容疑者の呆れた二枚舌 1/26
《小渕優子さんにドリルを借りればよかったのに…》
SNS上ではこんな皮肉の投稿もある。自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)から5年間で計4826万円のキックバックを受けたにもかかわらず、政治資金収支報告書に記載していなかったとして東京地検特捜部に政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで逮捕された池田佳隆容疑者(57・自民党を除名)。
特捜部は勾留期限の26日にも同違反で逮捕された政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)とともに起訴する方針だが、ネット上で話題となったのが、特捜部の調べに対し、柿沼容疑者とは別の秘書が「池田議員の指示で事務所のパソコンをドライバーなどの工具で壊した」などと話している、と報じられたことだ。
過去の自民党をめぐる政治資金の事件では、小渕優子選対委員長(50)の事務所が検察の家宅捜索を受けた際、パソコンのハードディスクがドリルで破壊されていたことが判明。露骨な証拠隠滅として怒りの声が上がったが、池田容疑者についても、ネット上では《ドリルの次はドライバーか》《国民を愚弄している。厳罰処分にしてほしい》との声が続出した。
常に公の利益を尊重できる人に子供たちを育てていかなければならないと主張していたが…
せっせと裏金づくりに励み、バレそうなると姿を隠し、証拠隠滅まで図っていた池田容疑者だが、社団法人日本青年会議所会頭時代に参考人とて出席した2006年6月の衆院「教育基本法に関する特別委員会」では、こう言っていた。
「自分さえよければそれでいいとするせつな主義が横行し、どんな手段であろうと金を稼いだ者が賞賛される、勝ち組と称される、そんな拝金主義の価値観が、市場原理主義、経済至上主義を推し進めるもとで肯定されてきているように思われてなりません」
「今の日本人は、自分の人生のことだけを考えて、先祖のことも、親のことも、地域社会のことも、国家のことも自分たちには関係ない、また、そういった考えがあたかも正しいことであるかのような風潮が社会でまかり通っています。(略)常に公の利益を尊重できる人に子供たちを育てていかなければならない、私は考えます」
国会議員となった後の2016年11月の衆院文部科学委員会でも、教育の在り方について持論を展開し、気炎をあげていた。
「広い意味での主権者教育とは、日本人としての自覚と責任、品格を持って生きていくこと、その生きざま自体を大人が子供たちにしっかりと伝えることにほかならないのではないでしょうか。大人は、善悪の判断などの道徳的価値(略)などを子供たちにしっかり教え込むことに決して躊躇してはならないと思います。主権者として、我が国を治めることの難しさから決して逃げることなく、考え抜き、判断したり選択したりする自覚と責任を持たせることの重要性も言うまでもありません」
違法、脱法行為に手を染めた上、ドライバーで証拠隠滅まで図っていた疑いが浮上した池田容疑者。大事にしていた教育の在り方、道徳的価値感とは一体、何だったのか。
●自民、政治改革で混迷 安倍派処分でも対立 1/26
自民党が政治改革を巡り混迷を深めている。25日に決定した中間取りまとめでは、派閥がカネと人事から「完全に決別する」と打ち出したが「派閥全廃」は見送った。派閥の存廃で足並みが乱れ、麻生、茂木両派からは岸田文雄首相(党総裁)への反発が広がる。安倍派幹部の責任についても同派側と執行部が対立している。
中間取りまとめには「あるべき政治責任についても結論を得る」と明記。首相は25日、岸田派も政治資金規正法違反事件で立件対象になったことの責任について、「党全体の信頼回復に向け、政治刷新本部長としてしっかり努力し、議論をリードして結果を導く」などと述べるにとどめた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
首相は「派閥全廃」を視野に、各派に先んじて岸田派解散を決断。党関係者によると「吉と出るか凶と出るか」と漏らしていた。安倍派と二階派が追随し、25日には森山派と、派閥に準じた谷垣グループも解散を決定。「解散ドミノ」について、首相は親しいベテラン議員に歓迎する考えを示した。
一方、麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長はそれぞれが率いる麻生派と茂木派を存続させる方針で、首相の思惑は外れた格好だ。両派には「守旧派のように見られる」(若手)と、派閥解散を主導した首相への不満が高まっている。
麻生氏は首相に「好きなようにやる」と不快感を露骨に伝えた。首相と茂木氏は24日夜に会食を調整していたが、見送りとなった。政権中枢の3人に溝が生まれたのは明らかだ。首相は政治改革で、党役員と閣僚が「派閥離脱」する案も探ったが、周辺から「(麻生氏らとの)関係がさらに悪化する」との忠告を受けて断念した。
安倍派と党執行部にも亀裂が生じている。執行部は同派幹部に政治責任を自ら取るよう促した。応じない場合は「党の役職停止」「離党勧告」といった処分に踏み切る案も浮上する。これに対し派幹部は「党全体の問題だ」と反発。派関係者も「岸田、二階両派も立件された」と首相らへの不満を示した。
森山裕総務会長は記者会見で、安倍派の閣僚らが昨年12月に一斉に辞任したことに触れ、「派閥としての責任は果たしているのではないか」と述べ、沈静化を図った。
岸田派解散について、報道各社の世論調査では評価する声が多い一方、内閣支持率の回復にはつながらなかった。25日の党臨時総務会では中間取りまとめに「派閥を残すことに他ならない」との異論が出て、首相が説得に追われた。
党内6派閥のうち2派閥が存続する方向で、党幹部の一人は「選挙で国民からどう思われるか」と懸念。党の混乱について「党分裂につながったリクルート事件のように、悪い入り口にならなければいいが」と案じた。
●「秘書がやった」と言えば政治家は罪を許される…検察と自民党の異常な関係 1/26
自民党派閥の裏金問題で、東京地検特捜部は安倍派に所属していた池田佳隆衆院議員を政治資金規正法違反の疑いで逮捕し、ほか議員2人を在宅起訴、略式起訴した。ジャーナリストの鮫島浩さんは「検察は大物政治家を誰も逮捕・起訴せず、捜査を打ち切る可能性が高い。検察は正義の味方でも、国民の味方でもない。時の最高権力者の味方なのだ」という――。
裏金問題で逮捕されたのは「無名の中堅議員」だけ
自民党安倍派の約90人が裏金を受け取っていたのに、蓋を開けてみると、国会議員で逮捕されたのはたったひとり、在宅または略式で起訴されたのはふたり、いずれも全国的には無名の中堅議員だった。そのほかに刑事責任を問われたのは政治家の秘書や派閥の職員ばかり。
マスコミが昨年末から大々的に報じてきた東京地検特捜部による裏金捜査は、司直による世直しを求める国民の期待を煽りに煽った挙げ句、大物政治家は誰ひとり逮捕・起訴されることなく拍子抜けに終わった。
自民党に20年以上にわたって君臨してきた最大派閥・安倍派は解散に追い込まれ、今回の裏金事件が自民党内の勢力地図を塗り替えた政局的インパクトは極めて大きい。一方で、政治資金を裏金化する不正行為の浄化は「トカゲの尻尾切り」で終わり、巨悪を裁く刑事司法は本来の役割を果たすことができなかった。
検察捜査はなぜこんな結末を迎えたのか。検察当局は自民党に飛び交う「裏金」を大掃除して政治腐敗を一掃するつもりなどハナからなかったと私はみている。
麻生派、茂木派は立件を免れる
裏金疑惑を最初にスクープしたのは「しんぶん赤旗」だった。これを受けて上脇博之・神戸学院大教授が自民党の主要5派閥(安倍、麻生、茂木、岸田、二階の各派)を刑事告発し、東京地検特捜部はこれを受理した。
ところが、特捜部が強制捜査(家宅捜索)に踏み切ったのは安倍派と二階派だけだった。土壇場で岸田派も立件対象に急遽加え、3派の会計責任者らを起訴したのである。
強制捜査の対象をなぜ、安倍派と二階派に絞ったのか。最後に岸田派まで立件したのはなぜか。検察当局はその理由を説明しないし、マスコミも追及しない。
日本の司法制度は法律要件を満たした場合に必ず起訴しなければならない「起訴法定主義」ではなく、起訴するかどうかを検察の裁量に委ねる「起訴便宜主義」を採用している。ここに「検察捜査の闇」が潜んでいる。
なぜ安倍、二階、岸田の3派だけが立件され、麻生、茂木の2派は立件を免れたのか――。このナゾを解くには、岸田政権の権力構造を理解する必要がある。
裏金問題が「しょぼい結末」を迎えた要因
第4派閥の会長だった岸田文雄氏は、2021年の自民党総裁選で第2派閥を率いる麻生太郎氏に担がれて勝利し、第100代首相に就任した。第3派閥の茂木派を加え、岸田総裁―麻生副総裁―茂木敏充幹事長が自民党中枢ラインを占める「三頭政治」で統治してきた。
しかし、麻生・茂木・岸田の主流3派だけでは自民党内の過半数に達しない。最大派閥・安倍派は安倍晋三元首相が銃撃されて急逝した後、「5人衆」と呼ばれる派閥幹部の集団指導体制となっていた。
そこで、5人衆の萩生田光一氏を政調会長に、西村康稔氏を経済産業相に、松野博一氏を官房長官に、世耕弘成氏を参院幹事長に、高木毅氏を国会対策委員長に起用し、主流派に取り込んだ。一方で、第5派閥の二階俊博元幹事長や無派閥議員を束ねる菅義偉前首相を干し上げてきたのである。
岸田首相は政権の「生みの親」である麻生氏に頭が上がらず、いわば傀儡政権だった。最大派閥を率いる安倍氏が他界した後、麻生氏は従前に増して突出したキングメーカーとして振る舞うようになり、重要な政治決定の際は岸田首相を自民党本部へ呼びつけた。
さらには茂木氏をポスト岸田の一番手として重用し、岸田・麻生会談に同席させ、「三頭政治」で岸田政権を思うままに操ってきたのである。
「三頭政治」に生まれつつある亀裂
岸田首相は在任期間が長期化するにつれ、不満を募らせた。特に首相の座を脅かす存在として茂木氏への警戒感を強め、麻生氏主導の「三頭政治」から脱却を探り始めた。
昨年9月の内閣改造・党役員人事では茂木氏を幹事長から外し、後継に小渕優子氏(現選挙対策委員長)や森山裕氏(現総務会長)の起用を画策したが、土壇場で麻生氏に猛反対されて断念し、茂木氏を渋々留任させた。麻生氏から初めて自立を試みたが、失敗したのだ。
岸田首相はあきらめなかった。その後、財務相を長く務めた麻生氏の反対を振り切って所得税減税を強行し、両者の関係は軋んだ。
内閣支持率の続落を受け、麻生氏は今年9月の自民党総裁選で岸田再選を後押しする戦略を転換し、今春の予算成立と訪米を花道に岸田首相を退陣させ、緊急の総裁選で茂木氏を擁立して主流3派体制を維持したまま政権を移行させる構想を探り始めた。
麻生氏の最大の政敵は、今は非主流派に転落している菅氏だ。菅氏はマスコミの世論調査で「次の首相」トップに返り咲いた無派閥の石破茂元幹事長を総裁選に担ぎ出し、安倍派や二階派を取り込んで、麻生氏ら主流3派に対抗する戦略を描いてきた。
岸田首相が総裁任期満了の9月まで続投すれば、一般党員も投票する形式で総裁選が行われ、世論の人気も党内の支持もパッとしない茂木氏では石破氏にかないそうにない。他方、総裁が任期途中に辞任した場合の緊急の総裁選は、一般党員が参加せず、国会議員と都道府県連代表による投票となる。それなら派閥主導の多数派工作で茂木氏を勝利に導くことが可能だ――。麻生氏が岸田首相に3月退陣を促すのは、そうした事情からだった。
検察の「菅ぎらい」
東京地検特捜部が安倍派と二階派を狙い撃ちした強制捜査に踏み切ったのは、総裁選に向けて麻生氏と菅氏の水面下の攻防が激化する真っただ中だった。安倍派と二階派に大打撃を与えて麻生氏が率いる主流3派体制の優位を決定づける政治的効果は絶大だった。菅氏は不利な情勢に追い込まれた。
検察当局が最も恐れているのは、菅氏の復権である。検察は安倍政権時代、菅官房長官に検察人事に介入され、水面下で暗闘を繰り広げた。菅氏は森友学園や加計学園、桜を見る会など安倍官邸を直撃したスキャンダルで検察捜査を阻む「官邸の守護神」と呼ばれた黒川弘務検事長(当時)を重用して検事総長にねじ込もうとした。
最後は黒川氏が産経新聞や朝日新聞の司法記者らと賭け麻雀を繰り返していたことが発覚して失脚し、検察勝利に終わる異例の展開をたどったが、その後も検察は菅氏への警戒感を強め、河井克行元法相ら菅側近への捜査を繰り返し、さらには菅氏ら安倍官邸が主導した東京五輪招致をめぐる汚職事件も手掛け、菅氏を牽制し続けた。
検察は「正義の味方」でも「国民の味方」でもない
麻生氏と検察当局は「アンチ菅」で利害を共有してきたのである。安倍派と二階派を狙い撃ちした特捜部の裏金捜査は、総裁選をにらんだ麻生氏の意向に沿う「国策捜査」の色彩が極めて濃い。
検察は「正義の味方」でも「国民の味方」でもない。自分たちの人事や組織防衛を最優先して権力中枢の意向に沿う官僚組織である。「時の最高権力者」の味方なのだ。そして現在の政界の最高権力者は、内閣支持率が一桁台まで落ち込んでいつ退陣に追い込まれるかわからない岸田首相ではない。唯一のキングメーカーとして君臨する麻生氏だ。
麻生氏の政治目的は「安倍派壊滅」による総裁選の勝利であり、安倍派5人衆をはじめ派閥幹部たちが逮捕・起訴されることではない。むしろギリギリのところで安倍派幹部たちの政治生命を守って貸しをつくり、麻生氏ら主流3派に屈服させればそれで良かった。
立件されるのは中堅議員と派閥職員にとどめ、安倍派幹部たちは政治的ダメージを受けつつ刑事責任は免れるという検察捜査の結末は、麻生氏の政治目的にピッタリ重なった。
裏金捜査と総裁選をにらんだ党内闘争の密接な関係
検察捜査で当初から「扱い」があいまいだったのは、岸田派である。安倍派や二階派と違って家宅捜索の対象から外れたものの、特捜部は岸田派も捜査対象であることをマスコミにリークし、「宙ぶらりん」の状況に置いた。
岸田派は刑事告発された裏金額では麻生派や茂木派よりも少なく、永田町でも主流3派で岸田派だけが捜査対象に加わっていることは大きなナゾとして語られてきたのである。
私は、この背景に3月退陣をめぐる岸田首相と麻生氏の熾烈(しれつ)な駆け引きがあったとみている。岸田首相は予算成立と訪米を花道に退陣し、茂木氏へ政権を譲る麻生構想に強く反発したのだろう。
東京地検特捜部が土壇場で岸田派を立件対象に追加したのは、岸田首相に対して「引導」を渡す麻生氏の意向に沿ったものと理解すれば大きなナゾが解けてくる。この裏金捜査は今年の総裁選をにらんだ党内闘争と密接に絡んでいるのだ。
岸田派関係者によると、岸田首相は検察当局から岸田派立件の方針を直前まで知らされないなかったという。検察当局から「時の最高権力者」とみなされていないことの証しであろう。岸田首相は検察当局の背景に麻生氏の影を感じ取ったに違いない。
反撃の一手として放ったのが、岸田派の解散だった。立件された安倍派と二階派に歩調をあわせて岸田派を解散し、検察捜査では無傷の麻生派と茂木派にも解散を迫る捨て身の逆襲である。主流3派体制の打破を目指して派閥解消を訴えてきた菅氏の戦略に乗ったのだ。
「派閥解散組」と「派閥維持組」の派閥争いに
麻生氏は激怒した。麻生氏は茂木氏とともに岸田首相に対し、自分たちは派閥解散には応じない意向を伝えた。岸田首相は麻生氏と会食して取り繕ったが、主流3派体制は崩壊したといえる。安倍派、岸田派、二階派、菅氏ら「派閥解散組」vs麻生派、茂木派の「派閥維持派」の新たな対決構図が浮上した。
派閥解散の連鎖で追い込まれた麻生氏と茂木氏は、安倍派幹部たちに自発的離党を迫る構えをみせ、応じない場合は離党を勧告する強硬手段を検討し始めた。安倍派叩きで派閥解消から世論の関心を逸らす逆襲に出たのだ。
検察の国策捜査は政治腐敗を一掃することはなく、自民党の党内抗争を激化させる結果を招いた。岸田首相は岸田派解散で主流3派体制に終止符を打ったものの、激怒する麻生氏と完全決別する覚悟はなく、麻生派と茂木派の存続は容認した。麻生氏と菅氏を天秤にかけて1日でも長く政権に居座る戦略に転じたといっていい。
能登半島地震や物価高、ウクライナやパレスチナなど国際情勢への対応が急務な時に政局は混迷を深めるばかりである。
民主党政権には強気だったのに…
日本社会には検察当局に対する失望と不信が充満している。1992年の東京佐川急便事件以来の現象だ。
当時、東京地検特捜部は政治資金規正法違反に問われた最大派閥会長の金丸信氏に上申書を提出させ、事情聴取もしないで罰金20万円の略式命令で決着させた。これに憤怒した男が検察庁合同庁舎前で「検察庁に正義はあるのか」と叫び、ペンキの入った小瓶を投げつけ、検察庁の表札が黄色く染まった。検察史に刻まれた屈辱の事件である。
裏金捜査が腰砕けに終わった理由について、マスコミはザル法と呼ばれる政治資金規正法の限界を声高に指摘している。この法律は政治家たちが「抜け道」をあちこちに忍ばせたザル法であり、政治資金規正法の改正が急務なのはそのとおりであろう。
しかしそれが検察の免罪符になるとは私には思えない。なぜなら検察はこれまで相当ハードルが高いとされる数々の事件の強制捜査に踏み切り、強引に起訴してきたからだ。
民主党が自民党から政権を奪取した前後に小沢一郎氏(当時は民主党幹事長)を狙い撃ちした陸山会事件はその象徴である。特捜部は小沢氏の元秘書である国会議員と公設秘書を政治資金規正法違反(虚偽記載)で逮捕し、小沢氏は幹事長辞任に追い込まれ失脚。民主党政権は「小沢vs反小沢」の党内抗争に突入して混迷を深め3年余で幕を閉じた。この検察捜査が自民党の政権復帰をアシストしたのは間違いない。
ところが肝心の事件では、特捜部による捜査報告書の虚偽作成など強引な捜査手法が発覚。小沢氏本人は強制起訴されたが、無罪となった。内政外交の大転換を狙った小沢氏主導の民主党政権を倒す「国策捜査」の印象を強く残す結果に終わったのである。
弱腰の印象は拭えない
こればかりではない。日産会長だったカルロス・ゴーン氏の事件(ゴーン氏は起訴・保釈後に国外逃亡)や厚生労働省局長だった村木厚子氏(のちに事務次官)を逮捕・起訴した冤罪(えんざい)事件(村木氏は無罪)をはじめ、検察の強引な捜査手法に国内外から批判が噴出した事例は枚挙にいとまがない。
菅氏側近だった河井元法相の選挙買収事件でも、現金を受領した広島市議(当時)らに「不起訴にする」と示唆して「現金は買収目的だった」と認めさせる供述誘導の実態が発覚したばかりだ。
今回の裏金事件は、検察が強引な捜査を進めた過去の事件と比して、あまりに弱腰だった印象は拭えない。本気で大物政治家を立件する覚悟があったのなら、裏金を渡した派閥側の刑事責任を会計責任者の派閥職員ひとりに押し付ける結末にはならなかったであろう。
安倍氏が政治資金パーティーの売り上げノルマ超過分を還流させてきた慣行の廃止を提案して急逝した後、事務総長だった西村氏をはじめ安倍派幹部たちがどのような経緯で還流を継続させることになったのか。真実を徹底究明するには、まずは西村氏ら派閥幹部全員を一斉に家宅捜索し、場合によっては逮捕に踏み切る選択肢もあったはずだ。
それをハナから放棄したことは、この国策捜査の目的がそもそも政治腐敗を一掃することではなく、今年の総裁選に向けて安倍派に壊滅的なダメージを与えることにあったことを物語っている。
検察は「時の最高権力者の味方」でいいのか
自民党の内情に詳しい関係者によると、検事総長ら検察当局は自民党との窓口を常に確保し、「時の最高権力者」の意向を確認しながら捜査を進めてきた。
リクルート事件が発覚した1988年、検察当局は当時の竹下内閣の閣僚の一人を通じて竹下登首相に捜査の展望を逐一報告していた。竹下氏は検察当局のターゲットは中曽根康弘元首相やその周辺であり、自らに捜査は及ばないことを認識して自信を持って政局判断を下していたという。
小泉政権下で検察当局は小泉純一郎首相と直接やりとりしていた。小泉氏の政敵であった野中広務氏や鈴木宗男氏の強制捜査にはいつでも踏み切れると伝え、小泉首相は「法に基づいて厳正に対処するように」と応じていたという。今回の裏金事件の窓口は、キングメーカーの麻生氏であった可能性が極めて高い。
検察は「正義の味方」ではない。「時の最高権力者の味方」である。検察のリークを垂れ流し、検察の描く捜査ストーリーを流布するマスコミの検察報道は、検察の世論誘導に加担しているだけではなく、「時の最高権力者」にも加勢していることを、検察担当の社会部記者たちは自覚しているだろうか。
検察のリークを大々的に垂れ流すマスコミ報道が安倍派を壊滅に追い込んだものの、派閥幹部は誰一人として刑事責任を問われずに終わった一連の顚末(てんまつ)は、検察捜査のあり方にとどまらず、検察報道の歪みも問いただしていることを指摘しておきたい。
●「自民党は砂漠のよう」と久米晃・自民党元事務局長 派閥は崩壊寸前 1/26
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件は政界を揺るがし、有権者の政治不信が高まっている。政治改革は進むのか。久米晃・自民党元事務局長に聞いた。
――自民党の「政治刷新本部」(本部長・岸田文雄総裁)が1月25日、政治改革の「中間とりまとめ」を決定しました。
これから国会で、与野党の提案をたたき台に議論が進められることになりますが、ポイントはカネの収支を明示すること、35年前の政治改革大綱の原点に立ち返ること、です。
――岸田さんは1週間前の18日夜、「宏池政策研究会」(岸田派、46人)の「解散を検討している」といきなり言い出しました。
あの「派閥解散」は唐突でした。最初聞いたときは私もへえっと思ったけど、有権者はあまり反応せず、自民党内に反発を招いただけに終わった。直後の朝日新聞調査で内閣支持率は最低の23%で変化なし、各社とも支持率はほとんど変わらなかった。岸田さんも誤算だったんじゃないか。
よく考えると、何で派閥の会長を辞めた岸田さんが、派閥の解消を言えるんですか。しかも当時は、党の刷新本部で議論している最中だった。その結論をミスリードした。
――どこでずれたのか。
有権者が望んでいるのは派閥の解消じゃなくて、おカネの話でしょ。人が3人集まればグループはできる。どこの会社でもグループはできるが、限度、節度がある。その節度を失ったところに今回の問題があった。
裏金の問題は、35年前のリクルート事件後に作った「政治改革大綱」を守っていれば起こり得なかったことです。これが、だんだんと形骸化してきた。
あの安倍(晋三)さんでも清和会を離脱していた。岸田さんは首相になっても、派閥を抜けなかった。この問題が起きた後で会長を辞めた。その後で「派閥解散します」と言っても説得力はない。
――一方で、現実の派閥の実態を見ると、安倍派は分裂直前、「派閥存続」を主張する麻生派には後継者が見えない。
安倍派としてまとまることはもはやありません。どこの組織でも見られることですが、トップが代われば分裂が起こりやすい。強いリーダーのあとは、なおさらです。5人組でもまとまらなかったわけだから、分解しかない。3分裂かな。
世代交代、派閥再編は早まる。統制がとれない戦になるのではないか。
麻生、茂木両派が仮に「偽装解散」しても、そのとたんに元に戻れなくなりますよ。だって麻生(太郎)さんとこは、ナンバー2が見当たらない。茂木派も、店を閉めたとたんに、おそらく参院は別グループを作るだろうし。軸になる人間がいないから再結集は難しくなるだろう。かろうじて宏池会だけは、形の上での後継者とされる林芳正官房長官がいて、何人か固まりが残るかもしれないが、基本的に分解でしょう。
人材が出てこない。自民党は砂漠のようです。
――「安倍一強」が崩れ、他の派閥も混乱すれば、党内には自由にモノが言える空気が広がるんじゃないですか?
今度の裏金問題の混乱のなかで、党内から改革の声が上がらなかったのは致命的です。リクルート事件の時は、当選1回の石破茂とか渡海紀三朗(現政調会長)とか、改革を求める声があがった。35年経っても顔ぶれが同じとは情けない。
――当時、私も記者として、改革派若手議員を追いかけていました。ただ、遅まきながら、無派閥議員の情報交換会が事件の再発防止策などを話しています。
あれは石破元幹事長や菅(義偉)前首相の色がついていると言われる議員たちで、「石破別動隊」なんて言われています。刷新本部は党役員ばかりだし。
台湾海峡のリスクや地震の対策など、今後いろいろな危機が表面化してくることを考えれば、強いリーダーが必要ですよね。
古くは明治維新や昭和の敗戦の後には、偉大なリーダーが輩出した。三角大福中が登場したのは、時代の危機感の裏返し、民衆の期待感があったからでしょう。最近は無気力ばかりが目立って、危機感が見えない。
小選挙区制下では、党の締め付けばかり強くなったと言われるけど、当選1〜2回の若い人たちの中に有望株が数人いる。大政翼賛会のような空気の中から出てきた小泉チルドレン、安倍チルドレンには、あまり見当たらない。
――焦点の「政治改革」の議論はどう展開しますかね。
今回の問題の本質は、おカネなんですよ。その処理さえきちんとしておけば、世の中が大騒ぎすることもなかった。
政治資金規正法をめぐっては、政治家は必ず「抜け道」を見つけようとする。でも、ある意味でカネは必要なんですよ。抜け道がなくなったらみんな干上がっちゃう。東京都世田谷区を地元にしている人と北海道を地元にしている人では、カネのかかり方が全然違う。都市部はパー券を買ってくれる会社があるけれど、田舎に行ったらめったにない。けど、田舎の方がカネはかかる。これを完全に締めると立ち行かなくなる。地方で事務所を閉鎖する政治家も出てきた。
政党交付金だけじゃ事務所が回らないのも事実だ。ポイントはきちんと収支を明らかにすること。志公会(麻生派)や平成研(茂木派)は収支を書いていた。明示すれば、何の問題もなかった。
――パーティー収入を「中抜き」しても立件されない政治家に、「民間企業なら一発アウト」とある商社マンはあきれ返っていた。
そう。なんで国会議員ばかり逃れてるのか、おれたちは1円単位まで領収書をとってるのに、と。こうした怒りはしばらくおさまらない、選挙は当面できません。
岸田首相はこの先も、支持率回復は難しそう。一方で、「岸田おろし」の声も党内から上がりそうもない。総裁任期の9月が近づくと、新しい顔で選挙を戦いたい、という空気になるでしょう。
日本最大の危機は、実は、人材不足だと思う。
――新総裁はだれに?
どの議員も、尻に火が付くどころか、カチカチ山のタヌキみたいに背中に火が広がっている状態。だったら新しい総裁で戦わざるを得ないわけだから、岸田さんは引きずり降ろされた菅さんと同じ運命になるのかな。新しい顔は、世論調査では石破さんや河野太郎さんの名前が出るけれど、我こそはと名乗り出る人はいないのか。
――「バラバラ野党」も岸田首相を助けている格好ですね。
取り急ぎ結束して自民党を倒すのか、それとも他に目標があるのか。野党が選挙のたびにばらばらに候補を出してくる目的が、さっぱりわからない。
とくに先日の党大会で党首が初めての女性になった共産党は、路線を変更する大きなチャンスだったのに。
共産党の大転換のひとつは、(憲法違反だとして拒否している)政党交付金をもらうことだ、と共産党の知り合いにも話したことがあるんですよ。委員長が代わって転換した党の姿をアピールできる。だけどそこまでの準備はなかったみたいですね。
――志位和夫委員長も2015年には小沢一郎さん(現・立憲)と野党共闘で存在感を示したが。
共産党は、候補擁立を見送るだけで、個別の選挙区ではかなりの力を発揮することを、その後の選挙では証明した。野党は与党に対抗するのが存在意義。それがばらばらだったら与党を利するだけ。野党が自己主張して個別に候補者を立て続ければ、自民党は大喜びですよ。国民は不幸ですよね。緊張感があれば自民は襟を正すでしょ。それが長い間なかったから、こういうこと(裏金事件)になったわけ。自民党も人材不足だけど、野党はもっとひどい。
●「岸田派解散」の後は「6月解散」に望みを託す岸田首相 ポイントは4月28日 1/26
総裁選前に選挙
岸田文雄首相が18日、自ら率いてきた宏池会(岸田派)の解散を表明したことで、永田町は上を下への騒ぎとなった。三頭政治として政権運営を共にしてきた麻生太郎自民党副総裁、茂木敏充幹事長にも事前に相談することがなかったため、2人との決別宣言ともなったといえるだろう。今回の思い切った決断に至る岸田首相の心のうちと、その後に見据えているという6月解散についてお伝えする。
「岸田首相が派閥解消を発表する少し前、16日とか17日くらいから、6月解散という言葉が出始めてはいました。ただ、それはあくまでも10日に立ち上げられた政治刷新本部で検討されている中身が漏れてきていたことに関連しています。そこでちょっとしたサプライズを演出することで低空飛行を続ける内閣支持率上昇のきっかけにし、予算委員会を乗り切って4月前半予定の訪米を成功させ、賃上げが期待以上となって……という好循環を想定した結果の6月解散説でした」と、政治部デスク。
昨年にもあった6月解散説
自民党総裁選は9月に予定されているが、その前に解散に打って出て勝利し、総裁選を無投票で乗り越えたい算段だ。岸田内閣の支持率は一部の調査では10%台に落ち込んでいる。
「月に3ポイントずつくらい回復していけば、通常国会が閉じられる6月ごろには40%程度で推移しているという希望的観測ですが、“現時点でそれは難しいんじゃないか”といった声が圧倒的で、まともに取り合っている人はほぼいなかったですね」(同)
振り返ってみると、2023年6月にも解散説が出て、それなりに現実味を帯びていたが、岸田首相は決断しなかった。あるいはできなかったのかもしれないが。
「ウクライナ電撃訪問や日韓首脳会談、G7広島サミットを議長国として取り仕切るといった外交面でポイントを重ねていましたね。岸田首相がそれらを成果として世間に信を問うことを検討していたのは事実のようですが、仮にそれに勝利して政権運営を継続していたとしても、今回の検察の捜査がなかったかというと、そういうことでもないでしょう」(同)
政治の信頼回復のために
話を今回の派閥解散に戻そう。今のところ、安倍派と二階派は解散、麻生派と茂木派は派閥解消せず、と対応が二分している。
「岸田首相は今回の政治刷新本部での議論が自身の政権を維持するための最後のチャンスと見て、大きな勝負に出てきたということになります。派閥解消の理由を“政治の信頼回復のために”と説明していましたが、政治改革やそれに関連する言葉が国民受けするキラーワードだということを認識した上での発言だったと思います。派閥解消に同調しなければ、旧態依然の勢力として国民から総スカンを食うとの見立てもあったのかもしれません」(同)
一方で、別のデスクはこんな見方をする。
「今回の検察の捜査では、安倍派、岸田派、二階派の会計責任者らが起訴されましたが、立証の高いハードルに阻まれ、安倍派幹部らは訴追を免れました。これについて世間は概ね“物足りない”と反応しているように感じています」
権力闘争をサバイブできるのか
「岸田首相はそういった世間の声にも敏感でしょうし、ある意味で検察から“政治改革への期待”というメッセージを受け取ったものと理解して、派閥解消に打って出たのかもしれません。首相は原理主義者や堅物キャラとされてきましたが、それを見せつけた格好ですね」(同)
今後、岸田首相は自民党内での権力闘争をサバイブできるのか。
「ハードルがあり過ぎますが(笑)、4月28日の補欠選挙がポイントでしょう。細田博之前衆院議長の死去を受けた衆院島根1区、今回の捜査で略式起訴された谷川弥一衆院議員の辞職を受けた長崎3区の補選は確定で、そこでの勝ち方・負け方いかんによっては岸田おろしに発展しかねないでしょう」(同)
岸田首相としては、麻生、茂木の両氏を抵抗勢力と見立て、世間の支持に期待する狙いも見え隠れするが、
「今回の派閥解消表明は相当なサプライズではあるものの、そもそも岸田首相が国民にあまり支持されていない中で、どれくらい支持率に寄与するのか疑問視する声は大きいですね」(同)
これまで以上に綱渡りの政権運営を強いられることになりそうだ。
何をやっても起死回生とならない岸田首相の現状については、【関連記事】〈官邸にいるのにわざわざ防災服を着ていた岸田首相 新年会でもそのまま挨拶…かつて「わざとらしい」と言って防災服を拒否した首相がいた〉でもお伝えしている。
●岸田首相がまたぞろ画策する「衆院解散」のカード…最優先は総裁選再選、1/26
内閣支持率が最低を更新し続ける中、派閥の裏金事件で逮捕者まで出して絶体絶命。いつ倒れてもおかしくないと見られていた岸田政権が、なぜか息を吹き返している。岸田首相が近く解散・総選挙に打って出るという観測まで流れ始めた。
裏金事件をきっかけに岸田首相が立ち上げた政治刷新本部が25日、中間取りまとめを発表。政治資金パーティーの禁止や、組閣や党人事で派閥の推薦を認めないこと、夏冬に所属議員に配っていた「氷代」「餅代」などの手当廃止などが盛り込まれる。
岸田首相は「派閥からカネと人事の機能を切り離し、純粋な『政策集団』にする」と言うのだが、派閥全廃には踏み込まない玉虫決着になった。
「派閥存続派の麻生副総裁、茂木幹事長に配慮した形です。ただ、岸田派、二階派、安倍派に続き森山派も解散の意向ですから、かたくなに派閥を守ろうとする麻生派と茂木派は、国民からは守旧派に見られて分が悪い。それも岸田さんの狙いかもしれません」(自民党無派閥議員)
国民受けすると思えば、伝統ある宏池会(岸田派)を解散してでも延命をはかる男だ。麻生氏と茂木氏を悪役に仕立て、自分は改革派を気取って世論の支持を得られればいい。そこで、出てくるのが「解散カード」だ。
長期政権をもくろむ岸田首相は、秋の総裁選で再選されることを最優先に考えている。そのためには総裁選の前に解散・総選挙を断行し、勝利が必要。
「小選挙区制で公認権を持つ党本部の力が強くなりましたが、カネも人事も派閥を介さず一元化されれば、総裁の権限はますます強化されます。これまで派閥の親分を立てていた議員も、今後は総裁の顔色をうかがうようになる。総理総裁に気に入られることが入閣の最短ルートになるため、岸田降ろしの動きも封じられるでしょう。予算成立後の春、もしくは通常国会が会期末を迎える6月に総理が解散・総選挙を断行するという見方が急速に広がっています」(自民党閣僚経験者)
4月28日に行われる複数の補選で自民党は苦戦が予想されている。裏金事件で略式起訴された谷川弥一衆院議員の辞職に伴って行われる衆院長崎3区は候補を立てず不戦敗が濃厚だ。
本命は会期末の6月解散
補選の日程に合わせて解散・総選挙を断行すれば負けが目立たない上、新区割りで行われる総選挙は野党の準備が間に合わず、相対的に自民党の勝ち目が見込めるという計算だ。
もっとも、4月10日前後に岸田首相が楽しみにしている国賓待遇の訪米が予定されているから、本命は会期末の6月解散の方だろう。国賓訪米で「外交の岸田」をアピールし、春闘の賃上げや6月に実施される所得税の定額減税を成果に解散・総選挙になだれ込むシナリオが囁かれている。
逆風でもともとの期待値が低いから、自公で過半数を維持できれば、総裁選で岸田再選の可能性は十分あるというのだ。多くの派閥が解散し、麻生派と茂木派も実質的に派閥の機能を持たなくなれば、総裁選に有力候補を擁立することは難しく、無投票再選もあり得るという。
伝家の宝刀を実際に抜かなくても、解散権をチラつかせるだけで求心力を高めることができるというメリットもある。
「岸田首相は昨年、解散権を弄んだとさんざん批判されたのに、また同じ手が通用するでしょうか。それに、支持率低迷の最大の要因は、裏金でも派閥でもなく首相の不人気です。総裁選再選は簡単な話ではないですよ」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
調子に乗って再選を夢見ていられるのも今だけか。
●派閥解散で浮上する衆院解散・総選挙、続投を目指して消費税減税の可能性 1/26
・岸田首相が派閥解散を宣言したことで、長期政権を目指して衆院解散に踏み切る可能性が出てきた。
・メインシナリオは9月の自民党総裁選までの政権継続だが、秋の総裁選で続投が難しいと判断すれば、一か八かの衆院解散もあり得る情勢だ。
・仮に首相が衆院解散に踏み切るとすれば、所得税・住民税の減税が実施される6月か。あわせて、消費税減税も視野に入る。
昨年12月16日に寄稿した拙稿「絞られる次期首相の条件、「ポスト岸田」の一番手は初の女性首相か」では、秋の自民党総裁公選で想定される首相候補を提示したほか、秋まで総辞職も衆院解散もなく、岸田政権が継続しやすいとのシナリオを提示した。
「ポスト岸田」候補については、女性を含めて派閥色が薄い候補が有力との見方に変わりない。だが、宏池会解散など、このところ岸田首相がみせている大胆な決断を踏まえると、首相が長期政権を目指して衆院解散に踏み切るリスクシナリオを考える必要が出てきた。
経済政策にも影響があろう。岸田首相は続投を目指して大胆な政策に踏み切る可能性がある。消費税減税を検討する可能性も念頭に置いた方がよいだろう。
【歴史的な自民党の派閥解散・党改革】
   主要派閥解散
政治資金問題を機に、自民党は歴史的な変化を迎えている。昨年末の時点では安倍派(清和政策研究会)の影響力低下がメインテーマであったが、今年に入り、派閥自体の在り方が大きく変わろうとしている。
まずは派閥解散だ。1月18日、岸田首相は自らが率いてきた岸田派(宏池会)の解散を宣言した。翌19日に派閥の元会計責任者が政治資金規正法違反で略式起訴されるのに先立って決断した格好だ。
安倍派および二階派(志帥会)の会計責任者らも19日に立件され、同日に両派とも解散を決定した。なお、安倍派については、取り沙汰されていた幹部の立件こそ免れたものの、大野参院議員、谷川衆院議員らが立件された。
今般、政治資金規正法違反を問われていない3派閥のうち、麻生派(志公会)、茂木派(平成研究会)は存続するものの、森山派(近未来政治研究会)は25日に解散を決定した。
6派閥のうち2派閥のみ存続となれば、自民党の国会議員に占める派閥所属の議員は3割弱にとどまることになる。
次に、政治刷新本部で議論されている党改革も、派閥の在り方を大きく変えるだろう。
派閥の解消で影響力が高まるのは誰か?
   党改革
各紙報道によれば、1月23日に提示された中間とりまとめ案では、派閥を「お金や人事のための集団」とみられても致し方ない状況にあると位置付け、「本来の政策集団に生まれ変わらなければならない」と宣言した。
資金面では、派閥の政治資金パーティーを全面的に禁止するのみならず、季節ごとに派閥から所属議員へ活動資金を配る、いわゆる「餅代」や「氷代」を廃止する方針だ。
人事面でも、内閣改造や党役員人事の際に、派閥からの推薦や派閥との協議を認めない。岸田首相は、存続する派閥に対して「新たなルールに従ってもらう。いわゆる派閥ではなくなる」と述べている。
   派閥解散、党改革の影響は?
派閥解散、および党改革の影響により、自民党は大きく変わることになりそうだ。中間とりまとめ案で派閥が「お金や人事のための集団」と指摘されたように、議員は資金面や人事面でメリットを得られるために派閥に所属していた側面がある。党改革により、派閥に所属するメリットが大きく減じられる。
今後、政策本位でいくつかのグループができるだろう。存続する派閥も、いわゆる派閥ではなくなり、「本来の政策集団」に近づくことになりそうだ。
資金面や人事面で派閥(およびその領袖)の影響力が低下するということは、相対的に総理・総裁の影響力が強まることを意味する。
1990年代の衆院における中選挙区制から小選挙区制への移行や、2000年代以降の官邸機能強化により、総理・総裁の影響力は長らく強化される傾向にあるが、今般の派閥解散・党改革で一段とその傾向が強まるだろう。
秋の総裁選まで岸田政権が続く可能性が高い
【政治日程シナリオ再考】
   メインシナリオは秋の総裁公選まで政権継続
今年の日本政治は、秋の総裁公選を控え、衆院解散もしくは総辞職があるのか否かが焦点となる。このうち総辞職については、内閣支持率こそ低迷しているが、昨年末以来の政治情勢を踏まえると、可能性が低いだろう。
最大の理由は、自民党内で「岸田おろし」のような権力闘争、政局を仕掛けづらくなったこと、そしてそれを仕掛けるような派閥がなくなったことである。岸田首相が自ら退陣を選ぶ可能性はほぼなくなったと考えてよいだろう。
メインシナリオとしては、秋の総裁公選までの岸田政権継続を予想する。
3年の総裁任期満了に伴い実施される総裁公選は、国会議員のみならず党員党友が投票権を有する。翌2025年に参議院議員通常選挙や衆議院議員任期満了を控えているため、自民党にとって2つの国政選挙の「顔」として誰が相応しいかを選ぶ総裁選になる。
内閣支持率が大幅に上昇、昨年来の低下を挽回すれば岸田総裁が再選される可能性がある。対して、低迷したままであれば新しい総裁が選ばれるだろう。
岸田続投で浮上するリスクシナリオ
   衆院解散をリスクシナリオとして考える必要
リスクシナリオとして、岸田首相による総裁公選前の衆院解散を考える必要があろう。
内閣支持率は危険水域にあるものの、岸田首相は依然として長期政権を目指しているようにみえる。昨年末には、政治資金問題を機に安倍派の主要メンバーを内閣および党役員から排除、安倍派の影響力低下を図った。
また、今年に入ると、既述の通り、これまでかなり強いこだわりを見せていた宏池会をあっさりと解散した。派閥よりも自民党の改革を優先したといえるが、自らの支持率向上や政権維持への強い意欲があってこその決断であろう。
岸田首相があくまでも長期政権を目指し、かつ秋の総裁公選で続投が難しいと判断すれば、一か八かで衆院解散に踏み切る可能性がある。
内閣支持率が低迷した状況下での衆院解散・総選挙は、与党過半数割れにつながりかねないため、通常は選択されない。だが、現在は野党が分裂している。仮に与党が敗北しても、連立政権のパートナーを組み替えて自民党が与党としての地位を維持するという選択肢がある。
仮に岸田首相が衆院解散に踏み切るとすれば、当初予算の成立や国賓としての訪米を終えた後の4〜6月期であろう。
4月28日に予定される衆議院の補欠選挙のタイミングで総選挙を実施する案が取り沙汰されているが、現時点では補選は小規模にとどまりそうだ。補選に負けても政局にはなりづらい。所得税・住民税の減税が実施される6月に、衆院解散・総選挙となる可能性が高いだろう。
展開次第であり得る消費税減税
【経済政策への影響は?】
   財政には大きく影響
政治情勢が経済政策に与える影響はどうか。自民党有力者の経済政策スタンスは多様だ。ただ、金融政策については、誰が首相になっても、当面影響しないだろう。
2024年に任期満了を迎える日本銀行の政策委員はおらず、現行の体制が続く。4月にも日本銀行が物価目標を達成する確度が高まったと判断し、金融政策運営の正常化を開始すると予想する。
一方、財政政策は首相次第だ。2025年度にはプライマリーバランス黒字化の財政健全化目標の期限を迎える。2024年中に財政健全化目標期限を先延ばしするのか、目標自体をどうするのかを決断する必要があろう。
なお、岸田首相は、財政健全化と分配の両方を目指すスタンスだが、続投を目指して分配重視へ大胆に舵を切る可能性がある。消費税減税を検討する可能性も念頭に置いた方がよいだろう。
●4月10日に日米首脳会談 岸田首相が国賓訪問、安倍氏以来9年ぶり 1/26
岸田文雄首相の訪米について、日米両政府は4月10日にワシントンでバイデン米大統領との首脳会談を行う日程を固めた。複数の関係者が明らかにした。首相はバイデン氏から国賓待遇での公式訪問の招待を受けていた。日本の首相の国賓級待遇での訪米は2015年の安倍晋三元首相以来、9年ぶり。
首相は米国で晩餐(ばんさん)会に出席するほか、米議会での演説も検討している。両政府は近く日程を発表する方針。3月の訪米を模索したが、日本側は新年度予算案の国会審議、米側では大統領選の日程があることなどから、再調整していた。
●岸田政権支持率過去最低14.6%の衝撃…”財務省のドンが派閥解体に激怒 1/26
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて、岸田派に続き、最大派閥の安倍派や二階派も解散することになった。安倍派と二階派の会計責任者は在宅起訴、岸田派の元会計責任者は略式起訴されるという異例の事態だ。
他にも、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で谷川弥一 衆議院議員が略式起訴され、自民党を離党し、議員辞職することになった。大野泰正参議院議員が在宅起訴され、離党している。
それもあってか国民の政治不信は、頂点に達している。時事通信が実施した1月の世論調査で自民党の政党支持率は14.6%で、1960年6月の調査開始以降で、野党だった期間を除き最低を記録したという。
元プレジデント編集長で作家の小倉健一氏は「自身が派閥から離脱した後で『派閥解散』を言い出す岸田首相は信用ならない」と非難するーー。
各派閥トップに根回しなく派閥を解散させた岸田首相に麻生太郎は激怒
茂木敏充自民党幹事長は、安倍派幹部の政治責任を求める声が(1月22日開催の政治刷新本部において)複数あったとして「政治責任のあり方も国民の信頼に大きく関わる」(1月23日)と何らかの処分の必要性を匂わせている。
岸田文雄首相は「国民の政治に対する信頼を損ねるもので、極めて遺憾だ。自民党総裁としておわびしたい」と述べている。しかし、残る麻生派や茂木派、それに森山派は「適切に対応していた派閥まで解散する必要はない」として、派閥を存続させる意向を示している。
岸田首相が岸田派の解散を表明したのが1月18日。その夜に、麻生太郎自民党副総裁が岸田首相へ携帯電話をかけた。
「首相の携帯電話を鳴らした麻生・党副総裁の声は硬かった。/自民党内の派閥解散などについて/『こちらは逮捕も起訴もありませんから、派閥を続けますよ』/麻生氏は自ら率いる麻生派が今回、立件対象とならなかったことに触れ、こう強調した。首相は『うちの派に問題があり、けじめをつけます。麻生派は麻生派で』と応じ、異論は差しはさまなかった。/首相は派閥解散を巡り、他派閥の領袖(りょうしゅう、トップのこと) への根回しはしなかった。茂木派会長の茂木幹事長はこの日、麻生氏と連絡を取った後、『こんな大事なことを相談なしにやるなんて」と周辺に不信感をあらわにした』/(自民党)中堅議員は、主流派の麻生、茂木両派から反発が出ていることに懸念を示した。『円滑な党運営のためにも、首相はせめて麻生さんには事前に了解を取った方がよかった』」(読売新聞、1月20日)
麻生氏との隙間風に恐れ慄いたのであろう。1月21日に、首相は「手打ち」の会を東京・虎ノ門のホテル「The Okura Tokyo」にある日本料理店「山里」で開催した。その場では、岸田首相が麻生氏に事前に連絡をしないで「派閥を解散したこと」についてお詫びがあったのだという。
麻生太郎はなぜ、永田町政治のキーマンであり続けるのか。安倍晋三が語っていた麻生太郎の影響力の正体
この一連の動きをみていると、日本のトップであるはずの岸田首相と麻生氏のどちらが偉いのかがよくわからなくなってしまうが、やはりそれほどまでに永田町政治における麻生氏の影響力は強いということだ。
麻生氏の「強さ」は、元首相というよりも第二次安倍政権において、中核的な役割を担ってきたからだとする論が強い。安倍元首相の著書『安倍晋三 回顧録』にも、長期政権を支えたのが、麻生氏であったことがわかる記述がある。
「麻生さん、高村さん、菅さん。この人たちを抜きに長期政権は築けませんでした。麻生さんとは、人間的に肌が合うんですよ。お互い政治の世界で育ったという環境も影響しているのでしょう。首相時代は、漢字が読めないとかさんざん批判されましたが、ものすごい教養人です。歴史に造詣が深く、読んでいるのも漫画だけではないのだけど、自分を悪い人間のように見せようとするのです。あれは、もったいないですよ。自然に振る舞えばいいのに。彼は毛筆で手紙を書くじゃないですか。あんな政治家ってもう最後ですよね」
「(安倍政権では菅官房長官と麻生財務大臣の二人をずっと代えなかったことについて見解を問われて)2人は安倍政権の大黒柱です。中曽根(康弘)内閣を参考にしたのです。中曽根総理は、安倍晋太郎外相、竹下登蔵相を4年近く代えなかった。安定した長期政権を築く上では、柱は代えない方がいいということでしょう。特に麻生さんについては、ある程度、年輪を重ねた政治家が閣内にいてくれた方が助かります。財務省を統率するという点でも、非常に大きかったです」
安倍元首相は、麻生氏を「財務省」を抑えるために使っていたようだが、政治の世界、行政の世界に強い影響力を持つ「財務省」を長期間にわたって抑えてきたということが、麻生氏の影響力をより強いものにしていったのだ。
「派閥」をやめて「政策集団」に看板をすげかえるという。単なる言葉遊びではないか
裏金問題で、麻生氏でなくても国民が疑念を抱いているのが、今回の「派閥の解散」で、政治は何も変わらないのではないかということだ。安倍派が解散を決めた次の瞬間には、自民党安倍派の福田達夫元総務会長が安倍派の解散を受けて「反省の上に新しい集団をつくっていくことが大事だ」「派閥ではなく、新しいガバナンスの形」として新たな”集団”をつくる考えを示した。何か大きな決断をしたかのように振る舞う岸田首相だが、結局のところ、派閥のパーティを自粛することと何も変わらないことになる。
自民党の政治刷新本部は23日の全体会合で、麻生・茂木・森山3派について「派閥」としての存続は許さないとしたものの、「政策集団」としての存続は容認したという。「派閥」ではなく「政策集団」になるとは、ただの言葉遊びではないか。政治刷新本部の本部長も務める岸田首相は記者団に「派閥ありきの自民党から完全に脱却する。派閥から資金と人事を遮断する」と強調したというが、安倍派裏金問題で政治不信・自民党不信が極端に募っている今の国民に、岸田首相のこの主張が受け入れられるとは到底思えない。
むしろ、実態は何も変わらないのに、あたかも変わるかの如く振る舞い、反省したふりをはじめた岸田派、安倍派、二階派の面々よりも、麻生氏の行動は「胆力」があると考えられる。永田町(政治用語、政治記事)における「胆力」とは、政治家が、世論受けの悪い行動を自らの政治信条のもとに、果敢に挑む精神力、実行力のことを指す。麻生氏の「胆力」はやはり大きなものであろう。そうした「胆力」の積み重ねが、官僚や政治家たちの信頼を集め、それが麻生氏の大きな影響力になっている。
岸田首相は4月までに退陣せよ
「『私は派閥をやめませんから』。この電話で初めて首相から『岸田派解散』の意向を聞いた麻生氏は、自らの派閥は存続させる考えを伝えた。『茂木もやめないと思いますよ』。そう語って電話を切った麻生氏は、その茂木敏充幹事長に電話をかけた。/『岸田派の解散を聞いていたか』と問うた麻生氏に、茂木氏は『知りませんでした』。茂木氏も、自ら率いる茂木派の解散を考えてはいなかった。『お互い、これから矢面に立つことになるな』。麻生氏は茂木氏に、そう語りかけた」(朝日新聞、1月20日)
今回も、茂木氏とともに、世論受けの悪い行動にでたが、はっきりいって、インチキをしているのは、岸田首相である。そもそも、岸田首相は、昨年に岸田派の会長を辞め、その際に、派閥を離脱している。離脱とは、一般的な感覚では、全く関係がなくなっているということであり、派閥に関係のない人が、派閥の解散を決断するというのは茶番でしかない。都合が悪くなると、秘書のせいにして、自らは関係がないと主張をはじめるのに、離脱した派閥を解散する権限を持っているというのだから、政治家の何を信用すればいいのかわからなくなる。
「麻生太郎さんってそんなに力があるんですか?」とテレビ番組(1月22日放送のTOKYO MX「激論サミット」)で問われ、「力があるというか、それだけの人が従うというのを見ると、そういう魅力があるんじゃないですか?」と石破茂元幹事長は返答している。
麻生氏と比べて、問題解決能力が極端に低く、胆力もない岸田首相は、能登半島地震の復興にめどがついた段階(4月の衆議院補選前まで)で、退陣すべきだろう。
●能登地震支援の予備費、1553億円を閣議決定 政府、旅行支援など 1/26
政府は26日、能登半島地震の被災者への支援策「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」に使う予備費1553億円を閣議決定した。中小・小規模事業者への補助や旅行支援策「北陸応援割」の導入などにあてる。
支援パッケージは「生活の再建」「なりわいの再建」「災害復旧等」の3本柱。主な支援策では中小・小規模事業者が工場などを復旧する際の補助金として石川県内で15億円、新潟、富山、福井各県では3億円を上限に費用の最大4分の3を支給する。これとは別に、輪島塗など伝統工芸品産業の災害支援枠も設ける。旅行支援策は1人1泊2万円を上限に宿泊費の半額を補助。石川、福井、富山、新潟の4県で3〜4月に実施する。
必要な経費は、国会の審議なく使える予備費の23年度の残額から出す。岸田政権はすでに今月9日、被災地への物資支援として47・4億円の支出を閣議決定していた。今回の決定で残額は約3千億円となる。
●幕を開ける国会論戦 野党の追及に岸田首相は何を国民に語るか 1/26
政治資金規正法違反で与党、自民党が大荒れのなか、ことし最初のビッグ政治イベント、通常国会が1月26日に召集される。 
岸田文雄内閣は、熾烈な野党の追及をかわし、論戦を乗り切りことができるか。当面の焦点は与野党が総力をあげて展開する衆参の予算委員会だ。ここで審議がストップすれば、首相がクビを差し出し、それと引き換えに予算案を通すという最悪の事態もあり得よう。 
過去、さまざまなドラマを生んだ国会論戦。今回は内閣の命運がかかるだけに、例年にもまして緊迫した展開になりそうだ。
外れた「派閥解消」による批判打ち消し
政治資金規正法違反をめぐり、安倍、二階派だけでなく岸田派も立件されたことにもっとも驚いたのは、岸田首相その人かも知れない。首相は、裏金疑惑があり不記載の額が巨額にのぼる両派とは異なり、自派のケースは単なる手続きミスと甘く考えていた節があるという(読売新聞)。  
東京地検にしてみれば、情状はそれとしても、岸田派だけを「おとがめなし」にはできなかったろう。
首相は、来年度予算を早期に成立させて能登半島地震の復興を急ぎ、通常国会を乗り切って反転攻勢つなげたいと目論んでいたようだ。それだけに、岸田派立件は大きな打撃だった。 
みずから率先して派閥解散を宣言したのも、思惑がはずれたことによる動揺の表れ、機先を制して批判をかわすという目論見だろう。 
派閥解消については、各メディアで報じられているので繰り返すのは避けるが、自民党では過去にも同様の決断をしたものの、その後、なし崩しに派閥復活を繰り返してきた経緯がある。それだけに、今回の3派の解散が、自民党派閥の将来にわたる解消につながると考える人は皆無に等しいだろう。
事実、1月23日にとりまとめられた自民党の刷新案は、「政策集団」としての派閥の存続を認めている。できないことをできるといわないだけ、むしろ正直≠ニいうべきかもしれない。
激しい野党の追及で過去には総辞職も
通常国会の論戦では、こうした問題で野党が舌鋒鋭く政府を追及してくると予想される。
1月24日、前哨戦ともいうべき予算委員会審議が衆参両院で行われ、今回の政治資金規正法違反事件に絡んで末松信介参院予算委員長(安倍派)が急遽辞任した問題が事前通告なしでとりあげられ、国会論戦の前途が楽観できないことをうかがわせた。
この日のテーマが能登半島地震復興であったことから、本格的な追及には至らなかったが、本番ではこうはいかない。ここで想起するのは、1989年のリクルート事件をめぐる竹下登内閣の総辞職だ。 
リクルート社から未公開株を受けとった閣僚らが前年から辞任。関係者らの逮捕が相次ぐ中で召集された通常国会は荒れに荒れた。
証人喚問問題などをめぐって、審議はたびたびストップ、予算成立の見通しが立たなくなったため、竹下登首相が4月末、退陣を表明。「政府の最高責任者として、国民の信頼を取り戻すために自ら身を引く決意を固めた」と総辞職の理由を説明した。
岸田首相に対してもいま、国民から厳しい視線が注がれている。各メディアの世論調査では、内閣支持率が発足後最低を記録、派閥解消をめぐっても、存続の方針を維持している麻生派、茂木派からの反発も少なくない。
党内基盤が弱体化しているなかでは、首相を盛り立てる動きは期待できそうもない。ただ、支持率が最低といっても、1月の支持率は微減か先月と同水準にとどまっている。こうした状況の中で、低落傾向が底を打った気配を見せるのはむしろ驚きというべきだろう。このあたりが事態打開にながる数少ないカギになるかもしれない。
後世に語り継がれる言葉≠ヘ出るか
過去の長い歴史をみても、国会論戦では、後世に語り継がれる舌戦が展開されたり、名演説で国民をうならせたり、首相自身や政府側が窮地に陥ったりと、多彩なドラマが展開されてきた。
戦前では、政友会の老政客、浜田国松の腹切り問答=A民政党の斎藤隆夫による反軍演説などが有名だ。
腹切り問答は1937年1月の帝国議会本会議で、政友会の浜田国松議員が前年の二・二六事件以後、陸軍が何ら反省することなく政治干渉を繰り返していることを厳しく非難したのが発端。これに対して、寺内寿一陸軍大臣は、「軍人に対していささか侮辱するような感じがある」と恫喝したが、再質問に立った浜田は「速記録に軍を侮辱する言葉があったなら割腹して謝する。なかったら、君割腹せよ」と迫った。
議場は大混乱、広田弘毅首相は議会を停会して陸軍を宥めようとしたが、陸相は矛を収めず、結局、広田内閣は総辞職に追い込まれた。
反軍演説は1940年2月の衆院本会議で民政党の斎藤隆夫議員が、収拾のつかなくなった日中戦争について政府、軍を批判。「10万の将兵が倒れているのに、事変の始末をつけなければならない内閣、出る内閣も出る内閣も輔弼(編集部注:ほひつ、大日本帝国憲法において,天皇の大権行使に誤りがないように意見を上げる行為)の責任を誤って辞職する。内閣が辞めても、護国の英霊はいみがえらない」と厳しく指弾した。
軍部は「聖戦を冒涜する」などと反発、議員の多くは内心では斎藤に拍手を送りながら、軍部におもねて斎藤を除名処分とした。
戦後では、73年12月の臨時国会における福田赳夫蔵相(当時、後首相)の「物価は狂乱状態にある」という答弁が筆者個人としては印象に残っている。社会党(当時)議員と政府側によるインフレ問答≠フなかで飛び出した発言は、福田赳夫氏を語るときに言及される「狂乱物価」の語源≠セ。
予算委員会ではなかったものの、2012年12月14日の党首討論で、民主党の野田佳彦首相(当時)が、野党だった安倍晋三自民党総裁(同、後首相に返り咲き)に対して、衆院解散に応じることと引き換えに、社会保障と税の一体改革の受け入れを迫った迫力あるやりとりも忘れられない。
秋の総裁選へも影響する可能性 
26日に召集される通常国会の開会式は同日午後に行われ、29日の予算委員会集中審議をはさんで、30日に岸田首相の施政方針演説など政府4演説、衆参両院での与野党代表質問が31〜2月2日まで代行われ、2月5日から衆院予算委員会の質疑に入る。
論戦の模様はテレビで中継される。政治資金規正法違反、派閥解消、解散時期をめぐる憶測、今秋の自民党総裁選行方など、国民生活もかかった多くの政治的動きを包含する通常国会となる。その論戦にじっくりと耳を傾けてみるのも意義深いことだろう。
●通常国会が召集 政治とカネ、震災対応論戦 岸田文雄首相の説明焦点 1/26
第213通常国会が26日、召集された。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け「政治とカネ」問題を巡り、与野党が激しい論戦を展開する。野党は事件の真相解明を求めて徹底追及する構えで、岸田文雄首相の説明や政治改革に向けた対応が焦点となる。能登半島地震の復旧・復興策に加え、賃上げなどの経済、少子化対策も論点となる。会期は6月23日までの150日間。
立憲民主党の泉健太代表は党会合で「岸田政権には危機管理能力も危機意識もない。各界、各層と協力し、新しい政権づくりにまい進したい」と述べた。
政治資金問題をテーマとする衆参予算委員会の集中審議が29日に開かれるため、首相の施政方針演説など政府4演説は30日にずれ込む。通常国会の召集日に施政方針演説が行われないのは異例。
26日午前の参院本会議では、辞任した自民安倍派所属の委員長の後任を選出した。昼の衆院本会議でも同様に選ぶ見通し。
与野党は召集に合わせて、国対委員長会談を国会内で開いた。野党は、裏金問題に関与した自民議員が政治倫理審査会で説明責任を果たすことなどを求める方針だ。
午後には参院本会議場に天皇陛下を迎え、開会式が行われる。額賀福志郎衆院議長、尾辻秀久参院議長、首相と閣僚らが出席。額賀氏が式辞を述べ、続いて陛下がお言葉を述べられる。
政府は26日に2024年度予算案を提出、3月末までの成立を目指す。
●通常国会きょう召集 “政治とカネ”焦点に 総理就任後、最も厳しい国会 1/26
通常国会が26日、召集されました。自民党の派閥の、政治資金をめぐる事件を受け、国会論戦では「政治とカネ」の問題が焦点となります。
岸田総理大臣の周辺は「就任後、最も厳しい国会になるだろう」と危機感をあらわにしています。
岸田総理は、きょう26日午前、麻生副総裁と会談しました。派閥をめぐって意見交換し、国会をどう乗り切るかなど話し合ったとみられます。
この国会は、2つの点で「異例の幕開け」となります。
1つ目の異例は、多くの場合、召集日に行われる総理の施政方針演説が26日は行われないことです。野党側が「政治とカネ」の集中審議を先にやるべきと主張し、来週の30日に先送りになりました。
2つ目の異例は、安倍派に所属する衆議院、参議院の委員長10人以上が交代したことです。野党側はこの問題で追及を強めます。
立憲民主党・泉代表「岸田政権には危機管理能力がない、危機意識もない。そして国民生活に目を向けていない事は明白だと思います」
野党側は、来年度予算案の審議で安倍派議員の証人喚問を求めるなど、政府与党が目指す予算案の年度内成立に簡単には応じず、攻防が激しくなるのは確実です。
そして、この国会最大の焦点は、政治とカネの問題への対策として政治資金規正法の改正が実現するか、そしてどこまで踏み込んだ内容になるかです。
野党に求められるのは、追及と批判だけでなく、積極的に対案を示すことです。それは「政権担当能力」を示すことにもつながります。そして与党に求められるのは、積極的な説明責任と野党の主張にも耳を傾け結果を出すことです。政治とカネで失墜した信頼を回復できるか。与野党ともに責任が問われる国会となります。 
●松野前官房長官、1051万円の還流不記載 離党・議員辞職を否定 1/26
自民党安倍派の政治資金規正法違反事件を巡り、松野博一前官房長官は26日、国会内で記者会見し、2018年から5年間で計1051万円のキックバック(還流)を受けながら、政治資金収支報告書に記載していなかったと明らかにした。その上で「国民に大きな政治不信を招いた。心からおわびする」と陳謝。ただ、離党や議員辞職については「職責を果たしたい」と否定した。
松野氏は、19年9月から21年10月の間に同派事務総長を務めていたが、「経理、会計業務には一切関知していなかった」と強調。22年に一度決まったキックバックの廃止方針が撤回された経緯についても、官房長官に就任して派閥運営から離れていたため、「(幹部間の協議が)あったかも分からない」と関与を否定した。

 

 

●石川県 能登半島地震の被災地へ ボランティアの派遣始まる 1/27
能登半島地震の被災地では、石川県によるボランティアの派遣が27日から始まり、現地で廃棄物の仕分けなどの活動にあたっています。
27日は、石川県庁で出発式が開かれ、七尾市、志賀町、穴水町に派遣される、およそ80人のボランティアを前に、馳知事が「現地は想像を絶する状況で、被災された人々は先が見えずに途方に暮れている。皆さんの温かい思いとお手伝いに感謝したい」と激励しました。
そのあとボランティアはバスに乗り込んで、それぞれの場所に向かいました。
このうち志賀町の野球場の敷地に設けられた廃棄物置き場では、30人ほどのボランティアが、次々に持ち込まれてくる壊れた家具や割れたガラスなどを仕分ける作業にあたっていました。
東京から参加した救急救命士を目指しているという24歳の男性は「思い出の品なども見受けられるので胸が痛いです。真剣に作業に取り組みたいと思います」と話していました。
ボランティアは、現地での宿泊施設の不足などから、当面は金沢市内との間をバスで往復しながら活動するということです。
一方、珠洲市や輪島市など被害が甚大な自治体では、ボランティアの受け入れのめどが立たない状況が続いています。
七尾では 17人のボランティアが現場に
石川県七尾市でも、ボランティアが家財を運び出す作業などを行いました。
七尾市には、県のボランティアに登録した17人が到着し、市の職員からスコップなどの資材を受け取ったあと、4つのグループに分かれて現場に向かいました。
このうち水道管の破裂によって、家の中まで土砂が入り込んだ七尾市郡町の住宅では、土砂を被った畳などをトラックに乗せて災害廃棄物の仮置き場に運び出す作業を行いました。
東京から来た加藤優希さんは「自分でできることは精いっぱいしたいと思い参加しました。思い出の品もあったので、悲しい気持ちになりました。今後も仕事の都合が付けば参加していきたいです」と話していました。
ボランティアの手伝いを受けた夫婦は「家財は土を被ってしまい、運び出すのはとても力がいる仕事でしたが、ボランティアの人が来てくれて、とても頼もしいし、とても安心しました」と話していました。
知事 支援に感謝 個別の活動控え事前登録呼びかけ
馳知事は記者会見で、支援に感謝の意を示すとともに、個別での活動は控え、県に事前登録を行うよう重ねて呼びかけました。
この中で馳知事は、27日からおよそ80人のボランティアが派遣されたことについて、「本当に感謝しており、ありがたいと思っている」と述べ、感謝の意を示しました。
そのうえで、県の派遣とは異なる形で個別に活動を行うと、渋滞を引き起こすなど被災地の負担になりかねないとして、個別での活動は控え、県に事前登録を行うよう重ねて呼びかけました。
そして、まだ派遣が始まっていない輪島市や能登町などについては、どのような支援が必要か自治体と連携して調査を行っていると説明しました。
また、馳知事は「自宅の解体作業の際には、今後も持っていたいアルバムなどの宝物がある。可能であれば、確認の過程を経たうえで解体や撤去の作業をしてほしい」と述べ、今後、倒壊した家屋を業者などが解体する際には、被災した人に寄り添った丁寧な作業をするよう要請しました。
輪島では ボランティア望むも受け入れできず
能登半島地震で大きな被害が出た石川県輪島市では、住宅の片づけなどが思うように進まず、被災した人たちからは、ボランティアの協力を望む声が聞かれます。
今も市内のほぼ全域で断水が続く輪島市では、道路状況が悪くインフラも復旧していないため、市外からのボランティアを受け入れていません。
輪島市河井町に住む65歳の夫と55歳の妻の夫婦は、1月1日の地震で津波の危険があるということで、一度は自宅を離れましたが、翌日の2日には自宅に戻りました。
1階は2人で片づけたということですが、2階の妻の寝室は、壁がはがれ落ち、書斎は大人の背丈ぐらいある棚が折り重なるように倒れて、書類や本が散乱したままになっています。
2人だけでは思うように片づけが進まず、妻は寝室ではなく、1階の居間で寝る生活が続いてます。
夫は「2人では運び出すことができないものが多く、散らかっているのを見ると、地震のことがフラッシュバックして落ち着きません。前に進むためにも、ボランティアと一緒に片づけをしたいです」と話していました。
また、妻は「自分たちのほかにも、このあたりにはもっと大きな被害を受けて、片づけに困っている人がたくさんいるので、ボランティアが来てくれたら、ありがたいです」と、ボランティアが来ることを望んでいました。
●能登地震、物理量は阪神の「9倍」 「3000年か4000年に一度の活断層地震」 1/27
能登半島地震発生から1週間も過ぎた頃から「地震発生の原因は何か」といった科学的知見の報道がガクンと減った。被災者の困難な日々に寄り添う情報が中心になるのは当然だが、科学的な知見を無視しては、望ましい復旧対策は進められないはずだ。また、私自身、能登半島地震の正体について、何が起こったのかを詳しく知りたかった。
そこで、活断層研究の第一人者、遠田晋次さん(東北大学教授)に会いたいと思った。2016年の熊本地震の際、私は遠田さんに益城町から阿蘇山麓までのいくつかの断層をまる一日かけて案内してもらったが、それが契機となって『活断層はどこまで予測できるか』の出版のお手伝いをしていたからだ。
数日前、やっと東北大学・災害科学国際研究所(仙台市)に遠田さんを訪ね、2時間にわたり聞いたが、「えっ!?」と思うことが多かった。
たとえば、遠田さんが示した地震の物理量(モーメントマグニチュード)をもとにした地震の大きさの比較では、兵庫県南部地震(1995年)を「1」とすると、熊本地震は「2倍」。ところが能登半島地震は「9倍」とずば抜けて大きかったという。
これは、能登半島と佐渡ヶ島の中間あたりから、能登半島沿いに輪島沖へ、さらに南へと曲がり志賀町沖へと連なる曲がった活断層の全長が150キロもあり、それが一気に動いたためだった。
「活断層マップ」では活断層は赤い線で描かれているので、一見すると活断層は能登半島と並行して東西方向にズレたと思いがちだが、違っていた。この活断層は地下で南に傾斜するため、本体は能登半島直下になる。活断層上に載っていた地盤は、まるで津波のように北から南に向かい、能登半島を持ち上げるように押し寄せたのだ(私はそれを「津岩盤」と呼びたい)。
珠洲市では海岸が隆起し沖合まで岩が露出したが、「これは能登半島の中心部が盛り上がり、それに引っ張られるかたちで海岸部が隆起した結果なんです」と遠田さん。
では、その力は何に由来するのか? 地球の表面を覆うプレート(巨大な皿状の岩盤)は上昇するマントルの力によって押されている。能登半島沖の活断層もそういうプレートの力を1年に1ミリずつ受け、ひずみをため込んでいた。そしてたまりにたまった力が一気に解放、これが今回の能登半島地震の正体だった。4メートルの地盤隆起から、遠田さんは「3000年から4000年に一度の活断層地震」と推定している。
能登半島地震では10日間で震度1以上の余震が1300回近く発生しているが、再び局地的に震度6以上のゆれをもたらす巨余震が見舞うおそれも否定できない。「M(マグニチュード)6・5」の熊本地震の翌日、遠田さんは、「この地震に刺激されていくつかの断層でより大きな地震が発生する、それは明日か、10年後か、100年後か…」と報告会で発言したが、まさにその翌日、本震を上回るM7・3の地震が発生、50人もの犠牲者が出てしまった。
そうした経験から、遠田さんはこう警鐘を鳴らしている。
「2次避難所への移動を躊躇(ちゅうちょ)している人が多いと伝えられていますが、まだ大規模の余震が見舞う可能性もあります。命を守るため、しばらくはできるだけ2次避難所へぜひ移動していただきたい」
●珠洲で自衛隊が炊き出し 被災者が列「温かいごはんのありがたみ」 1/27
能登半島地震で被害を受けた被災地では、各地で自衛隊による支援活動が続いている。
石川県珠洲市では27日、市役所前の広場で、陸上自衛隊の米子駐屯地(鳥取県)の部隊による炊き出し支援が行われていた。午前11時前、16人の隊員がごはんを炊いたり、汁物を温めたりして、食事の準備を進めていた。
この日の昼のメニューは、白米とコーンポタージュ、ソーセージ入りのマカロニサラダで、正午ごろには、被災者らが列を作った。
市役所前の支援は、毎日、朝昼晩の3回。1日計1100食ほど準備しており、市内の避難所などに配給しているという。
初めて来たという同市の会社員、今谷秀子さん(45)は自宅で避難生活を続けているという。「自衛隊の方も大変。温かいごはんのありがたみがわかる」と話した。
●高鳥議員と細田議員 500万円余政治資金収支報告書に不記載 1/27
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、高鳥修一衆議院議員と細田健一衆議院議員の2人は、派閥側からそれぞれ500万円余りのキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかったと明らかにしました。
いずれも派閥側からの指示で記載しなかったということで、報告書を訂正するとしています。
これは26日夜、高鳥氏と細田氏がそれぞれ報道機関に向けて文書を出し、明らかにしました。
それによりますと高鳥氏と細田氏は、過去5年間、所属する安倍派「清和政策研究会」からの収入を自身の政治団体の政治資金収支報告書に記載していませんでした。
金額は高鳥氏が544万円、細田氏が564万円で、パーティー券の販売収入のうちノルマを超えて販売した分をキックバックとして受け取っていたということです。
このうち高鳥氏は新型コロナウイルスの影響で事務所の財政状況が厳しかった時に、247万円を事務所の経費や人件費にあてたとしています。
また細田氏は全額を細田氏個人の寄付金として自身が代表を務める自民党新潟県第二選挙区支部に振り込み、支部の活動費として使用したということです。
いずれも派閥側からの指示で収支報告書に記載しなかったということで、報告書を訂正するとしています。
高鳥氏は、「このような処理のしかたは全面的に改めるべきであり、ご不信を招きご心配をおかけしたことを衷心よりおわび申し上げます」とコメントしています。
細田氏は、「今般の事案により政治不信が高まっていることを深く反省し、今後は政治資金の正確性・透明性の一層の向上に務めるとともに、皆さまからの信頼回復が行われるよう真摯に努力してまいります」とコメントしています。
●5年間で2196万円のキックバック 堀井学衆院議員が地元で会見  1/27
自民党派閥の政治資金パーティー問題で、堀井学衆院議員が27日、地元の北海道登別市で会見を行いました。
会見で堀井議員は、所属する安倍派から過去5年間で2196万円のキックバックを受けたにも関わらず、収支報告書に記載していなかったことを認め、さらに辞職・離党はせず、議員活動を継続する意向を明らかにしました。
また堀井議員は来週には収支報告書を訂正することや、次の衆議院選挙に出馬する意向も示しました。
●泉・立憲民主「政治とカネ」追及に漂う暗雲…本音は「政策活動費」温存 1/27
自民党派閥の裏金事件をめぐる国会審議は来週から本格化する。「政治とカネ」をテーマに衆参両院の予算委員会で集中審議は29日に実施予定。野党第1党の立憲民主党の腕の見せどころだが、どうにも締まらない。内部のドタバタが露呈し、暗雲が漂い始めている。
泉代表は26日、自身を支える党内グループ「新政権研究会」をめぐる解散報道を否定。「誤報だったのではないか」とけむに巻いた。
裏金事件を追及する野党第1党の代表として、グループと派閥が同一視されるのを避けるべきとの判断が党内であったと報じ、新政権研究会は解散する方針を固めたなどと伝えていた。
「一部で解散論が上がったのは事実です。『自民の派閥が解散しているのに、立憲がグループを維持しては“ブーメラン”になる』といった意見です。一方、『自民の派閥解散は論点ズラシ。同じ土俵に乗ってはダメ』との声もある。泉代表はまたも党内をまとめきれず、求心力のなさが浮き彫りになってしまった」(野党関係者)
自民を追い込む千載一遇のチャンスをフイにされたらたまらない。つい最近も、立憲は内輪モメでチャンスを逃してきた。
前市長の国政転出に伴い実施された昨年末の東京・武蔵野市長選では、立憲が支援した新人が自公推薦の新人に敗北。野党支持層が多い地域で負けた要因は、「前市長の子飼い市議と他の市議の中から、誰を担ぐかで揉めた」(立憲関係者)ためだった。萩生田前政調会長のお膝元で21日に投開票された東京・八王子市長選では、立憲は「都民ファーストの会」に所属していた元都議を支持。こちらも陣営内の足並みが揃わず、自公推薦の新人の追い上げに屈した。
「立憲は政治改革案に、議員本人に会計責任者と同様の責任を負わせる『連座制』導入による厳罰化のほか、使途公開義務がない政策活動費の廃止や、企業・団体献金の全面禁止も盛り込みました。与野党に対し、政治資金規正法改正に向けた議論を呼びかける方針です。ただ、執行部は本音では政策活動費や企業・団体献金を温存したい。結局、わが身かわいさで立憲の追及が尻すぼみになり、政治改革は中途半端になるのでは、とみられています」(政治部記者)
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「追及が甘くなり、令和の政治改革が不十分なものになれば、国民の批判は立憲にも向く。『結局、立憲も自民党と同じか』と失望を買い、ただでさえ低迷する政党支持率は目も当てられなくなるでしょう。『政治とカネ』にメスを入れ、古い政治と決別する強固な意志が必要です」
「返り血」覚悟で臨まなければ、国民から総スカンを食らうことになる。
●内閣支持率メディアで10ポイント差、信頼できる? 世論調査の仕組みと結果 1/27
各メディアで調査し、報道される世論調査。SNSなどでは回答数の少なさや各メディアでの数字の差を指摘して信頼性を疑問視する向きもある。実際はどうなのか。識者に聞いた。
パーティー券収入の還流と不記載問題は、下落基調だった岸田内閣の支持率をさらに押し下げた。朝日新聞が毎月実施する世論調査を見ると、2023年5月に46%あった支持率は12月に23%と半減。政権維持に黄信号がともるとされる30%を大きく下回った。
各メディアでは内閣支持率のほか、政党支持率や政策課題への賛否などを定期的に調査し、報道している。上智大学の渡邉久哲教授(社会調査論)は言う。
「世論調査は各メディアが独自に持つ『ものさし』で有権者の意識を測定した指標で、社会の関心ごとについて全体の意識の傾向を知ることができます」
ただ、SNSなどでは信頼性を疑問視する向きもある。そうした声として多いのが回答数の少なさと、各メディアの数字の差を指摘するものだ。
統計上の標本誤差とは
まず、回答数について。世論調査は多くの場合、有効回答数1千〜2千程度。朝日新聞の23年12月調査では1136人で、1億人超の有権者数に対し「少なすぎる」との主張だ。
そして、同時期の調査でもメディアごとに数字が異なる。去年12月2〜4週に行われた主要メディアによる調査で内閣支持率は、最も高い日本経済新聞と最も低い毎日新聞で10ポイント差があった。
渡邉教授はこう説明する。
「サンプル数が1千程度なのは、統計上それで信頼できる調査が可能と判断したから。メディアによって数字が異なるのは統計上の標本誤差に加え、手法に違いがあるからです」
世論調査はよく、「スープの味見」に例えられる。味を確かめるのに鍋の中身を飲み干す必要はなく、よく混ぜればスプーン一匙でいい。世論調査でも、詳しい計算は省くが、無作為に選んだ1千人に聞けば有権者全員に聞く場合との誤差がおおむね±3%以内に収まるとされる。これを標本誤差という。一般に3%以内なら信頼できる調査とされ、これ以上誤差を減らす場合サンプル数が膨大になる(例えば1%にするには約1万サンプル)ため、有効回答1千〜2千程度で実施されることが多いのだ。一方、SNSのアンケートなどは対象が偏りがちで、有効回答数が多くても全体の傾向はつかみづらい。
●岸田首相と麻生副総裁 派閥解散めぐり関係に溝… 2024年1月世論調査解説 1/27
“政治と金”をめぐる問題で、自民党、そして岸田内閣に対しては国民から厳しい目が向けられています。さらに、派閥の解散を打ち出した岸田首相に対して、麻生副総裁は「違反者がいないのに派閥を解散するのは理屈が立たない」という考えで2人の間には溝が生じています。この問題は今後、どのような展開をみせるのでしょう。そして、岸田首相と麻生副総裁の関係は・・・。日本テレビ政治部の竹内デスクと菅原解説委員の同期コンビが解説します。
「落ちるところまで落ちてしまった」支持率低迷続く岸田政権
【竹内】内閣支持率は24%で、岸田政権発足以来、最低タイ。去年11月と同じ数字でした。もう一つ。注目は、“青木の法則”です。
【菅原】青木元官房長官が提唱していた、内閣支持率と政党支持率を足して50%を切ると、もうその政権はもたないということですね。
【竹内】これまではギリギリ50%を超えていましたが、今回、自民党支持率は25%でしたので、合わせて49%。50%を切ってしまいました。
【菅原】“青木の法則”通りであれば、もうもたないということですね。
【竹内】政権中枢ですら「もう今となっては政権浮揚は難しい。打つ手は見当たらない」と、深刻に語っています。首相に近い議員も「落ちるところまで落ちてしまった」と。
【菅原】低迷の原因は“政治とカネ”の問題だと思いますが、特にどこに批判が集まっているのでしょう。
【竹内】世論調査をみると、「自民党の派閥の幹部が一連の問題についてちゃんと説明していると思うか」という質問に、「説明していない」と答えた人は92%にのぼっていました。
一方で、岸田派が解散を表明したことについては、「評価する」が60%ありました。首相の側近は、「解散表明がなかったら、(内閣支持率は)間違いなく20%台を切って、10%台になっていただろう」と分析しています。
「巻き込まれ事故だ」岸田首相と麻生副総裁の“溝”
【菅原】岸田派の解散表明を受けて、安倍派と二階派も派閥解散しました。ただ、麻生派と茂木派については今のところ否定的な立場です。
【竹内】日本テレビの取材では、麻生副総裁は岸田首相に「麻生派は解散をしない」と伝えたということです。麻生派の所属議員は刑事事件として立件されたり、捜査を受けたりしているわけではなく、麻生副総裁からすれば、「派閥には若手議員の教育という、いい面もある」と考えているからです。茂木派も基本的には同じような考えです。
【菅原】岸田首相は麻生副総裁、茂木幹事長に支えられて政権運営をしてるわけですから、強く派閥解消を求めるのは難しいですよね。
【竹内】そうですね。麻生派の中にも、茂木派の中にもこういうことを言う人がいます。「うちは悪いことをしていない」「巻き込まれ事故だ」と。「総理のやっていること(派閥解散)は、世論に迎合的過ぎる」とまでいう議員もいます。
一方で、麻生副総裁は、最後は総理に従うのでないかという見方もあります。第2次安倍政権で麻生副総裁は長く副総理をつとめていたわけですが、安倍元首相と意見が異なることも何回かありました。消費増税の見送りだったり、軽減税率の導入であったり。それでも最後は、当時の安倍首相の判断に従ってきました。また、首相経験者でもあるので、岸田首相と事を荒立てるようなことはしないのではないかという見方もあります。
ただ、今回の件では、岸田首相が派閥の解散を打ち出す前に、麻生副総裁に相談がなかったことに不満もあるようです。麻生副総裁に近い自民党幹部は、「こういう大事な時に一言もないのは、これまで支えてきたのにちょっとひどい」と言っています。
岸田政権はいつまで続く?
【菅原】ところで、岸田政権は今後どのぐらい続くと見てますか。
【竹内】正直、厳しいのは間違いありません。ただ、国会が始まり、能登半島地震の手当てをする予算も盛り込まれた、いわゆる予算案が提出されて審議が始まります。これはすごく大事な政治の仕事なので、途中で投げ出して辞めるということはちょっと考えにくいですし、そういう大事な仕事の最中に自民党の中で岸田首相を何が何でも引きずり降ろそうという動きは、なかなか起きないのでないかと思います。
【菅原】ただ、予算委員会などでは相当厳しく追及されますよね。
【竹内】それは絶対に避けられないと思います。野党の幹部も、自民党に対して「責任を全然果たしていない」と話し、追及しようと腕をまくって、ぐるぐる回しているというような状況です。1月29日には“政治とカネ”の問題をめぐって集中審議も行われることになっています。予算が成立するまでは国会で常に野党から追及されることになると思います。
“政治と金” 今後の論点
【菅原】論戦のポイントはどこになりますか。
【竹内】一つポイントを挙げるとすると、私はやはり「政治資金収支報告書を正しく記載していない」という問題につきると思います。政治資金は、基本的には無税になるわけです。だからこそ、どういう風に使っているかということをきちんと透明化して国民が見えるようにしておくということが大事です。ところが今回は、収入にちゃんと書かなければいけなかったものを書かずに、いわば裏金化して、国民から見えなくしていたわけです。
【菅原】政治資金の中には政党交付金、つまり税金も入っているわけですから、透明化は本当に求められるところですよね。
【竹内】これはやはり自民党、そして自民党を代表する立場の首相が、きちんと説明しなければならないと思います。
”よその派閥に口出ししない” 自民党の”文化”
【菅原】岸田派は3年間でおよそ2,500万、収支報告書に正しく記載していなかった。ここについて岸田首相は、会長だったわけですから、首相自身が説明できると思います。一方で、もっと額の大きい安倍派など、よその派閥の問題については、国会で答弁するのは厳しくはないですか。
【竹内】そうなんです。自民党は、“よその派閥のことに口出ししない”という、"文化”があります。だから岸田首相から安倍派に“お願いする”ことはできても、強制して“やらせる”ところまではなかなか厳しいと思います。けれど、やはり我々国民からすれば、安倍派の幹部には説明を求めて欲しい。安倍派の幹部は「責任は感じている」など、“おわび”はしていますが、なぜこのようなことが始まったのか、理由は説明していません。かなり長い年月に渡ってやってきたようで、その間、安倍元首相は「こんなことはやめよう」といったようですが、それ以外の議員たちは、なぜ、誰も止めようと思わなかったのか。やはりきちんと説明を聞きたいと思います。
【菅原】野党などは、国会への参考人招致や、証人喚問を求めてくると思います。それにどう答えるのかというところで、一種、姿勢が見えるというふうに思います。
【竹内】安倍派の幹部は閣僚を辞めていますから、出席しないと審議が進まないということはないですけれども、では国会に出なければ説明をしなくても良いのかというと、違うと思います。自ら説明することだって、もちろんできるわけです。やはり問題の経緯や、何に金を使っていたのかは、きちんと説明してほしいです。
【菅原】ここまで国民の信頼が地に落ちた状態にあっては、自民党の自浄作用というか「自分たちで生まれ変われるぞ」という姿勢をいかに示せるかは大事になってくるかと思います。
自民党・政治刷新本部 75%が「期待しない」
【竹内】本当にそうなんです。今回の世論調査では、「政治刷新本部には期待できない」という声が75%でした。ただ、少なくとも「収支報告書に正しく書かないといけない」という方向には向くべきと思います。
今回の件でも、会計責任者の秘書などばかりが立件され、厳しく責任を問われています。これでは「あれ?議員本人は“お咎めなし”なの?」と見えてしまいますよね。今の法律では、議員から積極的な指示や承認、つまり「共謀」があったと認められないと、会計責任者(ほとんどの場合は秘書)の責任となってしまいます。
やはり会計責任者だけではなく、議員本人の責任も問えるようにすべきです。そうなれば、議員も「ちゃんとやらなきゃ」となると思います。
自民党の幹部からでさえ、「議員にも責任が及ぶようにしないといけない」という声が上がっています。現職の閣僚も「秘書に任せてお咎めなしというのは、誰がどう考えてもおかしい」。総理の側近も、「収支報告書で違反があったときに、罰則を議員にも適用しないといけない」と言っています。こういう改革が必要だということは皆わかっているわけです。私は首相をはじめ、自民党がこれをきちんと実行できるかどうか、ここにかかっていると思います。
“派閥”の解消 効果は?
【菅原】もう一つ、”派閥の解消”というのも、ある意味わかりやすいワードと思います。
【竹内】“派閥の解消”は全く効果が無いとはいいません。一つの手だと思います。派閥があるからこそ、パーティーをやって、所属議員にお金を配って、ということが発生します。それこそ、「ちょっとずるいことしてやろう」という動機が生まれるケースもあると思います。だから、“派閥自体を無くしてしまう”ということは、もちろん一つの考えだと思います。ただ、麻生派も茂木派も解散しない方向です。とすると、「本当に実効性があるのか」という指摘は出続けるでしょう。また、たとえ派閥がなくなったとしても収支報告書を正しく報告しなかったら、意味はありません。まずは、やはり収支報告書というものを、国民の目の前に正しく出すということが必要になると思います。
“政治と金”の問題で、議員本人が責任をとらないという構図はずっと続いてきました。岸田首相は今、大ピンチなわけですが、この問題にきちんと対応し、議員自身の責任も問われるようにして、その結果、国民に“政治と金”のあり方が透明に見えるようになれば、大きな成果になると思います。岸田首相には、ぜひ覚悟をもってやり遂げてほしいと思います。
●通常国会開会 政治の危機 打開を急げ 1/27
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で失われた国民の信頼を取り戻し、山積する諸課題に答えを出さねばならない。岸田政権のみならず、与野党の国会議員すべてが重い責任を負っていることを自覚し、「政治の危機」の打開に全力をあげてもらいたい。
会期150日間の通常国会は、異例の幕開けとなった。通例では初日に行われる首相の施政方針演説は、週明けの衆参予算委員会での「政治とカネ」の集中審議の後に回された。自民党はまた、組織的な裏金づくりをしていた安倍派に属する衆参両院の委員長ら11人を交代させた。
岸田首相はこれまで、国民の信頼なくして、政治の安定も政策の推進もないと繰り返してきた。裏金の実態をつまびらかにすることが、論戦の出発点であることは明らかだ。安倍派の幹部ら関係者に、政治倫理審査会や予算委での証人喚問で説明責任を果たさせるべきだ。
その上で、政治資金の流れをガラス張りにする制度改正の実現が不可欠だ。すでに野党各党からは、パーティーの規制強化や透明性の拡大、会計責任者が有罪なら議員にも責任が及ぶ連座制の導入、政策活動費や調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開などの提案がなされている。与党公明党も賛同している改革も少なくない。
自民党が国会開会前に駆け込みでまとめた党改革の「中間とりまとめ」は、政治資金規正法の改正こそ掲げたが、具体的な内容には一切触れていない。速やかに政治刷新本部の議論を再開し、党の案をまとめたうえで、野党と真摯(しんし)に協議する必要がある。
今年は「平成の政治改革」から30年の節目にあたる。政治をゆがめかねない企業・団体献金をなくす代わりに、税金が原資の政党交付金を導入したはずが、政党向けは温存され、パーティー券の購入という抜け道も残った。改革の原点に立ち返った議論に、自民党も応じるべきだ。
国会での議論が求められるテーマは「政治改革」にとどまらない。能登半島地震の被災者支援や復旧・復興、初動を含む対応の検証は言うに及ばず、歳出総額112兆円超と、借金頼みで過去2番目の規模にふくれあがった新年度予算案は、徹底して吟味されなければならない。
政府が昨年末、「防衛装備移転三原則」などを改定し、殺傷兵器の輸出に道を開いたことも見過ごせない。政権が開かれた国民的議論抜きに推し進める施策を、俎上(そじょう)に載せるのも国会の責務だ。
●通常国会開会 改革の力量が問われている 1/27
この国会で政治改革を実現できるかどうかは、岸田政権の今後を占う試金石となる。
一方、少子化の克服や被災地支援、激変する国際情勢への対応といった重要な課題を置き去りにはできない。政治の力量が問われよう。
通常国会が開会した。自民党の政治資金規正法違反事件を受け、波乱含みの幕開けとなった。
召集日には首相が施政方針演説を行うのが通例だが、来週に先送りされた。野党が事件の実態解明が優先だとして、衆参の予算委員会での集中審議を求め、与党も応じざるを得なかった。
野党は、衆参両院の常任・特別委員長らのうち、派閥の還流資金を政治資金収支報告書に記載していなかった自民党議員の交代も求めた。このため、参院予算委員長らが急きょ交代した。
国会の混乱が続けば、2024年度当初予算案や様々な重要法案の審議に影響を与えよう。
当初予算案には、能登半島地震の復興対策も含まれている。被災者を継続的に支援するためにも、予算の早期成立が重要となる。
また、今国会では、少子化対策の財源を確保するための法案審議が予定されている。医療保険料に上乗せして国民から支援金を徴収することには反発もある。
政府は粘り強く意義を説明し、理解を広げていくべきだ。
経済安全保障の観点から、機微な情報に触れる人物を定めるセキュリティー・クリアランス(適性評価)の創設法案は、先端技術を守るうえで不可欠だ。
与野党が政治とカネの問題に時間を費やし、政策課題の審議をなおざりにすることは許されない。重要な法案の処理に影響が出ないよう、まずは政治改革の実現に道筋をつけたい。
だが、自民党内は派閥解消などを巡って不協和音が続いている。改革の先行きは見通せない。
中堅・若手議員からは、還流資金を収支報告書に記載していなかった安倍派の「5人衆」ら幹部について、離党勧告などの処分を行うべきだとの声が出ている。
また、岸田派も元会計責任者が規正法違反で立件されたことから、昨年まで会長を務めていた岸田首相が説明責任を果たすべきだ、との指摘もある。
派閥の幹部らが説明を避けているようでは、話にならない。
国民の信頼がなければ政治は成り立たないことを、「信なくば立たず」と言う。首相は今こそこの言葉を肝に銘じねばならない。
●「文句があるならシロの人間を出せ!」…安倍派が突きつけられた「通告」 1/27
次々と解散していく
総理大臣就任後も会長の座に居座り続け、あれほど宏池会に愛着を示していた岸田文雄首相が、1月18日にいきなり派閥解消の意向を表明した。そして翌19日には宏池会に続き、二階俊博元幹事長が率いる志帥会と6億円以上のパーティー券裏金問題が発覚した清和会が解散することを決定した。
25日には森山裕総務会長が率いる近未来政策研究会と、派閥ではないものの有隣会(谷垣グループ)が解散を表明。菅義偉前首相が率いる「ガネーシャの会」も、解散する意向だ。一方で「何も悪いことをしていない」と麻生太郎副総裁は志公会を存続させる意向を崩さず、茂木敏充幹事長も会長を務める平成研の解散を否定した。
麻生氏と茂木氏が派閥にこだわる姿勢は理解できないわけではない。麻生氏は宏池会内から分離した大勇会を、番町政策研究所との合併などを経て、自民党第2派閥までに育て上げた。
日本新党から自民党入りした茂木氏は、故・青木幹雄氏らの反対によって平成研会長就任を阻まれてきた。だが今や2人とも、岸田政権を支える存在として“党内与党”の地位を確立。にもかかわらず、その特権をなぜ手放さなければならないのか――。
彼らは、解散すべきは派閥のパーティー券の処理をめぐって下手を打った清和会と志帥会で十分だと思っていたはずだ。そのために1月10日に政治刷新本部を設置し、うまく着地点を見い出すはずだった。幹事は青年局や女性局の局長経験者などを茂木氏が選んだというが、そのうち10名が清和会のメンバーだったのは誤算だったに違いない。
露骨な清和会つぶし
さらに読売新聞が25日、党執行部が立件の対象とならなかった安倍派(清和会)の幹部に離党や議員辞職を求めたと報じたことも、こうした混乱に輪をかけた。
離党勧告は除名に次ぐ重い処分だが、コロナによる緊急事態宣言中の2021年1月に東京・銀座のバーでの飲食が露呈した松本純元国対委員長代理ら「銀座3兄弟」が離党勧告を受けたことと比較すれば、「政治とカネ」問題である今回のケースではむしろ軽く思えてくる。
ただ背景に見えてくるのは、徹底的に清和会を潰そうという魂胆だ。ひとつはそれで裏金問題を収束させるためで、清和会の幹部らは19日に相次いで釈明会見を行ったが、国民を納得させるにはほど遠く、かえって怒りと疑念を深めている。
もうひとつは、次期総裁選での“懸念”を消し去るためだろう。岸田首相が至上命題とするのは、総裁選で勝利して続投することだが、100名近くの議員を擁する清和会であっても、宏池会出身者が総裁を務める党内では“与党”ではない。また会長職が空席のままなことからも明らかなように、有力な総裁候補も見当たらない。だがその“塊”の動きは脅威になりかねず、その前に潰しておくのが得策だ。
やり方も徹底していると、自民党関係者は証言する。
「まず閣外へ追い出し、党の役職から外した。26日から始まった通常国会では、委員長や理事のポストからも外している。あまりに徹底しているので、元清和会から苦情が来た。執行部の返事は『ならばシロのメンバーのリストを出せ』とのことだった」
小渕も、福田も……
思わぬ動きも生じている。25日には小渕優子選対委員長が平成研に離脱届を提出し、青木一彦参院議員も派閥を離脱することを表明した。小渕氏は昨年派閥を離脱した岸田首相に従った形だが、それを全面的に信じる者はいない。
青木氏は昨年6月に亡くなるまで参議院自民党に影響力を持っていた故・青木幹雄元官房長官の長男で、父・青木氏は死ぬまで茂木氏を嫌い抜いた。
もっとも2人の派閥離脱の意図はそれぞれだろうが、平成研からシンボル的な存在が抜ける意味は小さくない。
また清和会を創設した故・福田赳夫元首相の孫である福田達夫元総務会長が19日、「反省の上で新しい組織を作ることが必要」と宣言したことにも注目すべきだろう。「世代交代」の萌芽も見える。それが近い将来、岸田政権にとっての脅威にならないとは限らない。
自民党は1月25日に臨時総務会を開き、「政治資金の透明化の徹底」や「派閥の“解消”」などを内容とする政治刷新本部による「中間報告」を了承した。岸田首相は「私自身先頭に立ち、取りまとめた内容を実行する努力を続けていく。政治改革に終わりはない」と述べたが、派閥は“全廃”されることはなく、政策集団として存続することが決定した。
また政策集団がルールに反した場合は活動休止や解散を命じることができるとしたが、政策活動費の公開などは盛り込まれず、カネの流れの透明化は不十分なものだった。
視線の先にはバイデン
このような大甘の内容に国民はとうてい納得できるはずもないが、それには関知しない岸田首相は着々と“次”を目指して動いている。
米ホワイトハウスは岸田首相が4月10日に国賓待遇で訪米することを発表した。年度内に2024年度予算を成立させた後に「得意の外交」で人気を稼ぐことで、岸田首相は今年の夏に衆議院を解散するとの噂もある。
果たしてその目論見は成功するのか。7月には東京都知事選が行われ、小池百合子知事の動向が注目される。岸田首相の自民党総裁の任期満了まであと8か月。自民党はいよいよ“戦乱時代”に突入した。
●裏金解明・政治改革が焦点 政権逆風の通常国会スタート 1/27
自民党派閥の政治資金パーティー収入裏金事件の衝撃が続く中、「政治改革国会」が始まった。裏金問題の解明に加え、政治資金の透明化に向けた政治資金規正法改正を実現できるかが焦点。これまでにない逆風を受ける岸田政権は態勢立て直しの糸口をつかみたい考え。野党は早くも攻勢を強めており、各党の駆け引きが激化しそうだ。
「強い覚悟を持って国会に臨む」。岸田文雄首相(自民総裁)は26日の両院議員総会で、国民の信頼回復に全力を挙げる考えを表明。立憲民主党の泉健太代表は記者団に「裏金をつくり続けてきた議員に国会から退場してもらう」と宣言した。
「令和のリクルート事件」とも言われる裏金事件に野党は勢いづく。政府4演説は国会召集日に行う慣例だが、立民は「政治とカネ」問題をテーマとした予算委員会の集中審議を優先するよう要求。与党は応ぜざるを得ず、集中審議を29日に実施し、4演説を30日に先送りする異例の日程となった。自民関係者は「出だしから野党にけんかは売れない」と語った。
野党は裏金問題を抱える自民議員を衆参両院の常任・特別委員長のポストから「更迭」することも迫り、自民は14ポストを入れ替えざるを得なかった。野党は各委員会の日程などを話し合う理事からも、問題を抱える自民議員を排除するよう圧力をかけている。
野党は事件の全容解明に向け、首相や関係議員が説明責任を果たすよう主張。立民の安住淳国対委員長は26日の与野党国対委員長会談で「首相からまず全容を報告してもらわないと(予算案を)議論できない」とけん制した。29日の集中審議での首相の発言に注目が集まる。
共産党の田村智子委員長は26日の党会合で「裏金づくりに関与した全員の証人喚問を行う」と強調。国民民主党の玉木雄一郎代表も「政治倫理審査会を求める」と語った。政府・与党は2024年度予算案の年度内成立を目指すが、自民内からは既に「日程が窮屈」(幹部)と懸念が漏れている。
規正法改正は難航も
予算案成立にめどが付けば規正法改正に向けた与野党協議に焦点が移る見通し。自民は25日に決定した政治改革の「中間取りまとめ」で「必要な法整備を速やかに行う」と記したが、具体的な改正案には触れなかった。与野党協議では(1)パーティー券購入者の公開範囲拡大(2)連座制導入を含む罰則強化―を検討する方向で調整している。
立民、共産、国民各党は企業・団体献金の禁止を主張。使途公表を求められない「政策活動費」見直しでは公明党も足並みをそろえる。いずれも自民は「政治活動を制約する」として後ろ向きだ。
日本維新の会の馬場伸幸代表は26日の党会合で自民の中間取りまとめについて「国民をなめている」と批判した。衆院解散・総選挙もにらんだ各党の思惑が入り乱れ、協議は難航必至とみられる。 
●「岸田派解散」に強い不快感…怒れる麻生太郎、1月米国訪問の思惑と確執 1/27
深夜の電話
自民党政治刷新本部(本部長=岸田文雄首相・総裁)は1月25日、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けた党改革の中間とりまとめ案を決定、同日の臨時総務会で了承された。
自民党最大派閥の安倍派(清和会)、二階派(志帥会)、岸田派(宏池会)が2018〜22年の5年間にパーティー券収入を裏金化していたことを、東京地検特捜部が政治資金規正法違反容疑(不記載・虚偽記入)で立件、19日に安倍派の衆参院議員3人と会計責任者、二階派の二階俊博元幹事長秘書、元会計責任者と岸田派の元会計責任者が起訴(在宅・略式)された。
そうした中で岸田首相は18日夜、官邸詰め記者団にぶら下がり会見で「岸田派解散」を表明した。この間、岸田氏を支えてきた麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長を含む自民党執行部にとって寝耳に水の首相発言であり、自民党内に激震が走った。
特に麻生氏は同日夜遅く岸田氏の携帯電話を鳴らし「こちらは逮捕も起訴もありませんから、派閥を続けますよ」と伝えたほど、強い不快感を隠さなかった。
このように自民党存続そのものを脅かしかねない中、政治刷新本部が示した党改革案には(1)派閥パーティーの全面禁止、(2)派閥収支報告書に外部監査導入、(3)国会議員にも責任が及ぶ政治資金規正法改正の検討、(4)各派閥からの閣僚名簿作成や働きかけの禁止―などが盛り込まれた。平たく言えば、派閥を「政策集団」に衣替えさせた上で「カネと人事からの決別」を謳ったのだ。
良かれと思っての訪米だったが
だが、派閥の解散言及はもとより派閥資金を管理する政治団体の解散に踏み込まなかった。世上の関心が集中した派閥解散が見送られたのは、岸田氏が19日午前に「宏池会を解散すると申し上げたが、他の派閥のありようについて何か申し上げる立場にない」と述べ、麻生氏の言い分を容認したことから、その帰趨は容易に予測できていた。
それでもなお、麻生氏は岸田氏から事前の相談・通告がなかったことへの怒りは消えていない。21年10月の政権発足以来、岸田氏が麻生、茂木両氏を頼りとする「三頭政治」の下で幾多の政局危機を乗り切ってきたのは如何ともしがたい事実である。
それ故に、今後の岸田政権の先行きを見通す上で麻生氏の存在を無視できない。1月9〜13日に訪米した麻生氏は、首都ワシントンでカート・キャンベル米国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官(次期国務副長官)、ウィリアム・ハガティ上院議員(共和党・元駐日米大使)、共和党系ロビイストのロイ・ファウチ氏らと会談した。ニューヨークではジョン・“ジェイ”ロックフェラー4世と長男のジョン・D・ロックフェラー5世とも会談している。
実は、麻生氏訪米はドナルド・トランプ前大統領の娘婿のジャレッド・クシュナー元大統領上級顧問がロックフェラー5世を介して要請したとされる。「トランプ大統領」の可能性が現実味を帯びるなかで、今後の岸田氏にとって良かれと思い、トランプ側とのパイプづくりのため訪米したことになる。
ここで筆者が想起するのは1996年7月の加藤紘一自民党幹事長の訪米だ。当時のクリントン民主党政権に「日本の次世代リーダー」と評価された同氏は破格の厚遇を受けた。米議会有力者との昼食会、政権高官との夕食会、シンクタンクの日本専門家との朝食会、ウィリアム・ペリー国防長官との会談なども然る事ながら、注目したのは同24日のヘンリー・キッシンジャー元国務長官主催の夕食会だった(ニューヨークの同氏邸宅)。同席者リストにウォールストリート・ジャーナル編集長、ABC放送会長、CNN副社長、USニュース&ワールドレポート誌会長ら米メディア重鎮と共に経済人として唯一人チェースマンハッタン銀行のデービッド・ロックフェラー国際諮問委員長の名前があったことだ。
加藤氏は翌日午前、同州ポカンティコのロックフェラー邸にも招待された。因みにデービッド・ロックフェラー氏(2017年3月逝去)は先のロックフェラー4世の叔父である。そして加藤氏訪米に同行したのは、衆院から鞍替え直後の塩崎恭久参院議員と当選1回生だった岸田文雄衆院議員である。加藤氏が、英語が堪能な2人を指名したのだ。
麻生氏がロックフェラー人脈を通じてトランプ・アプローチを試みたと聞かされた時、岸田氏はこの96年訪米を思い出したのか、筆者は知らない。だが、麻生氏の怒りを鎮めなければ、今後の政権運営に支障を来たすことだけは理解したはずだ。
奇しくも25日(現地時間)、ニューヨークのセントラルパークに隣接するユダヤ教エマニュエル寺院で昨年11月に亡くなったキッシンジャー氏の追悼式が催された。因みに参列者の中にビル・クリントン元大統領と国務長官経験者3人の他、唯一の日本人として秋葉剛男国家安全保障局長が目撃されている。これを如何に解釈すべきだろうか。
●高市氏「万博延期すべき」と首相に進言 能登地震への対応優先を主張 1/27
2025年の大阪・関西万博をめぐり、高市早苗経済安保相が岸田文雄首相に対し、能登半島地震からの復旧・復興を優先するべきだとして、開催延期を進言していたことが27日、関係者への取材で分かった。
関係者によると、高市氏は今月16日、首相官邸で首相と面会した際、被災地では復旧・復興に向けて資材や人手が不足していることから、開催を延期し、震災対応を優先すべきだとの考えを伝えた。
一方、開催するかどうかの判断については、最終的に首相の判断に従うとも伝えたという。高市氏は、27日に開かれた長野市内の会合で、首相に進言したことを明らかにした。
大阪・関西万博の開催をめぐっては、自見英子万博相は12日の記者会見で、「現時点では中止や延期については考えていない」と述べた。そのうえで「災害からの復旧・復興を最優先とし、建設事業者の状況も把握しながら、万博の準備に向けてどう進めることが最適か検討したい」と述べていた。
●還流不記載の議員ら、核心語らず釈明に追われる…「説明したとは言えない」 1/27
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件を受け、派閥からキックバック(還流)されたパーティー収入を政治資金収支報告書に記載していなかった議員らが釈明に追われている。内容はそれぞれだが、「不記載の理由」「自身の責任」といった核心を語る場面はほとんどない。専門家からは「これで『有権者に説明した』とは言えない」との批判も出ている。
「政治不信」
「国民に多大な政治不信を招き、皆様に深くおわび申し上げる」。2018〜22年の収支報告書に計1019万円の不記載があった高木毅・前党国会対策委員長(68)は27日、地元の福井県敦賀市内で記者会見し、そう陳謝した。
高木氏は自民党安倍派の事務総長で、「5人衆」の一人。還流の仕組みについて「長年の慣行として知っていたが、不記載を認識していなかった」とした上で、「記載しなくてよいとの派閥からの指示を事務所の担当者が受けていた。秘書を信頼していたとはいえ、ひとえに私の至らなさ」と釈明した。
還流資金は「全額使った」とした上で、使途を「同僚や後輩との会合、マスコミや評論家との意見交換のための飲食店への支出が主だった」と説明し、「重要な政治活動であり、私的な使い方はない」と強調した。離党や議員辞職については「国対委員長を辞めたのが責任だ」などとして否定した。
2000万円超
読売新聞のまとめでは、東京地検特捜部が、安倍派などの会計責任者や現職議員ら計8人を立件した19日以降、収支報告書に不記載があったことを明らかにした自民党議員らは30人以上に上る。中には、2000万円を超える議員もいる。
同派の堀井学衆院議員(51)(比例北海道)は27日、北海道登別市で記者会見した。18年からの5年間で、パーティー券の販売ノルマを超えて集めた計2196万円について、同派から還流を受けながらも収支報告書に記載していなかったことを明らかにした。秘書の人件費などに使ったとし、「議員辞職も離党も考えてない」と述べた。
元国家公安委員長で同派の山谷えり子参院議員(73)(比例)も、18〜22年に派閥から還流を受けた計2403万円を収支報告書に記載していなかったとホームページで発表。山谷氏は「深く反省している」とし、近く全額を派閥に返還するとしている。
「5人衆」の一人とされる萩生田光一・前党政調会長(60)は22日の記者会見で、2728万円を記載していなかったと公表。使途として、「外遊先での贈答品購入や議員、有識者との会合」の費用に充てたと説明した。
詳細を明らかにしないまま、不正はないと主張するケースも。19日夜に記者会見した世耕弘成・前党参院幹事長(61)は、「不正な目的や私的な目的の支出は一切確認されていない」と話したが、具体的な支出は確認中として明かさなかった。
「秘書任せ」
資金の管理を秘書に任せていたとして自身の関与を否定する弁明も目立つ。
23日に奈良県庁で記者会見を開いた前外務副大臣の堀井巌参院議員(58)(奈良選挙区)は計876万円の不記載を明らかにした上で、「担当秘書が全額を保管していた」と述べ、一切使っていなかったと説明した。保管場所は「とある場所の金庫」だったが、堀井氏は秘書から保管の事実を知らされていなかったという。
江島潔参院議員(66)(山口選挙区)は19日の記者会見で、22年までの5年間に派閥から280万円の還流があったと明らかにした。自身の関与については「会計は秘書に任せていた」と否定し、「(報道に出るまで)還流があったことを知らなかった」と釈明した。
岩井奉信・日大名誉教授(政治学)は「政治家と事務所は一体であり、秘書が管理していたとしても政治的な責任は重い。使途を十分に明らかにしているとは言えず、有権者が納得する説明になっていない」と批判している。
●裏金国会スタート 松野前官房長官ついに語る 安倍派“5人衆”最後の一人 1/27
「政治とカネ」の問題で自民党が揺れるなか、通常国会が始まりました。安倍派の幹部、通称・“五人衆”のうち、疑惑について会見を避けてきた松野博一前官房長官がようやく語りました。
「当時の説明の仕方、適切だった?」記者が聞くと
通常国会がスタートしました。不起訴となった安倍派幹部たちはリラックスした姿です。
   萩生田光一前政調会長  2728万円不記載
   世耕弘成前参院幹事長  1542万円不記載
   西村康稔前経済産業大臣 100万円不記載
   高木毅前国対委員長   1019万円不記載
   松野博一前官房長官   1051万円不記載

この“5人衆”と呼ばれる安倍派幹部の中で唯一、カメラの前で裏金事件の説明をしてこなかった松野博一前官房長官が記者会見を開きました。
自民党安倍派・松野博一前官房長官「国民の皆様に大きな政治不信を招いたことに関しまして、清和政策研究会(安倍派)の常任幹事の一人として心からお詫び申し上げます」
裏金問題で官房長官を辞任した松野氏。
松野博一官房長官(当時)「政府の立場」「政府としてのコメントは差し控えます」
この日の会見で、長官時代に「政府の立場」を繰り返し、説明を拒み続けたことを問われると…
記者「ご自身の説明の仕方 振り返り適切だったと考えるか?」
松野氏「政治的不信を招くことがあったというご指摘であれば、私の不徳の致すところでありますし、反省をしなければいけないなと」
また、安倍派からキックバックされたあわせて1051万円のパーティー券収入については…
自民党安倍派・松野博一前官房長官「還付金(キックバック)があれば、清和会(安倍派)から(自分の)政治団体に対する寄付として記載がなされているものと認識しておりましたので」
事務所スタッフが担当していたもので、問題が発覚した2023年11月の時点まで、自身は未記載を把握していなかったと強調しました。そのうえで、議員辞職や離党の考えはないと述べました。
ドライバーでPCを破壊し証拠隠滅?池田佳隆被告
裏金事件を巡っては、安倍派の議員がドライバーで証拠を破壊していた疑いも…
26日に政治資金規正法違反の罪で起訴された安倍派の衆院議員・池田佳隆(57)被告。総額4800万円のキックバックを受けたにもかかわらず、収支報告書に記載しなかった罪に問われています。
関係者によりますと、特捜部の家宅捜索を受ける前に、事務所のパソコンがドライバーで壊されており、池田被告が秘書に指示して、証拠隠滅を図った可能性があるということです。
茂木派も麻生派も…「離脱ドミノ」始まる
裏金問題による政治不信の高まりを受けて、存続する姿勢を示している二つの派閥でも「離脱ドミノ」が始まっています。
茂木派では、小渕優子選対委員長に続いて、関口昌一参院議員会長らが退会を表明。麻生派の岩屋毅元防衛大臣も「全派閥が解散すべきだ」として退会の意向を明らかにしました。
混乱の続く自民党に対し、野党は「裏金事件」を追及する構えです。
立憲 泉健太代表「この“裏金”議員は許してはいけないということに焦点を絞って取り組んでいかなければいけない」
29日には「政治とカネ」の集中審議が行われます。

 

●能登半島地震の火災発生率 東日本大震災を上回る 専門家が報告 1/28
能登半島地震では揺れによる建物の倒壊だけでなく火災も相次ぎ、専門家の調査で火災の発生率が東日本大震災を上回っていたことが分かりました。専門家は今後発生すると指摘されている巨大地震や津波に伴う津波火災の想定を避難などの計画に早急に盛り込む必要があるとしています。
今回の能登半島地震について京都大学防災研究所で28日、報告会が開かれ、京都大学防災研究所の西野智研准教授は火災の状況についての調査結果を説明しました。
それによりますと石川と富山、新潟の3県で17件の火災が発生し、このうち広範囲で建物が延焼した石川県輪島市の「朝市通り」周辺など地震の揺れが原因とみられるものが13件、津波によるものとみられるのが3件確認されたとしています。
輪島市の朝市通り周辺では燃えにくい鉄筋コンクリートなどの建物でも、窓や扉などの開口部から燃え移り延焼を阻止できなかった可能性があったと指摘しました。
また、強い揺れとなった地域の火災の発生率は人口1万人当たり1件と試算され、1995年の阪神・淡路大震災と比べるとおよそ3分の1と低かった一方、2011年の東日本大震災の5倍ほどだったということです。
さらに石川県珠洲市と能登町で発生した津波による火災の面積はあわせておよそ0.37ヘクタールだったということです。
津波で壊された建物が流され、壊れていない建物と重なった場所で火災が発生していたことも分かり、東日本大震災での火災の特徴と似ているとしています。
西野准教授は今後発生すると指摘されている巨大地震・津波でも火災が想定されていることを踏まえ、感震ブレーカーなど出火防止の対策をさらに進めるとともに、津波による火災が起きた際の避難について防災計画に盛り込む必要があると指摘しています。
地震計データ 専門家が分析 “2つの断層 時間差で動いた”
1月1日に発生した能登半島地震について京都大学防災研究所の浅野公之准教授らのグループは観測された地震計の波形データを詳細に分析し、断層がどのようにずれ動いたのか推定しました。
それによりますと、1日の午後4時10分9秒に南西の方向へ向かって断層の破壊が始まり、それから13秒後の午後4時10分22秒には別の断層で北東の方向へ破壊が進み、強い揺れを発生させていました。
複数の断層が連動してずれ動いたことで揺れが長い時間にわたって続き、震度6強を観測した石川県珠洲市では異なる方向へと進んだ断層の破壊の中間地点付近にあったため、強い揺れが1分以上にわたって継続していたということです。
珠洲市では去年5月の地震でも震度6強を観測していますが、強い揺れの継続時間はこのときはおよそ10秒程度で、今回はそれと比べ大幅に長かったと見られると指摘しています。
浅野准教授は「波形の分析から揺れの時間の長さなど震度だけではわからないことが見えてきた。地震による強い揺れの予測につなげるためにも、メカニズムの解明を進める必要がある」と話していました。
●山谷えり子議員、2400万円不記載をHPで発表し謝罪…  1/28
ライターの武田砂鉄さん(41)が28日、X(旧ツイッター)を更新。自民党派閥の裏金事件を巡り、派閥からキックバック(還流)を受けたカネの未記載をホームページ(HP)でのみ報告する議員らに、強烈な皮肉をぶつけた。
武田さんは、元国家公安委員長で安倍派の山谷えり子参院議員=比例=が2018年から5年間、計2403万円を政治資金収支報告書に記載していなかったと、HPで発表したとのネット記事を引用。「しれっと『ホームページで発表』、『深く反省している』と書いて終わらせようと試みるスタイルが増えてきた」と触れた上で、「2000円返し忘れたくらいのテンションで2000万円の裏金を謝る」と非難した。
武田さんは21日にも、安倍派幹部の松野博一前官房長官=衆院千葉3区=が、キックバックによる計1051万円を記載していなかっったとHPで報告したのを受け、「ずっと『答えを差し控える』を連呼していた人、会見せずに、まさかのホームページ」と投稿している。
軽すぎる議員の動きに、フォロワーからも「次から次へとまぁ」「はいこれで私は説明責任果たしましたよ…じゃねーぞ」「2000円でもダメ。俺には大金」「神奈川県では先日、同僚から2000円盗んだ教員が懲戒免職→依願退職になりましたが。『万円』が付くと違うんですかね」と怒りやあきれる声が寄せられた。
今回の事件で、東京地検特捜部が立件の対象ラインを、不記載額3000万円と定めたとされることを受け、「気のせいかもしれないが、検察の線引き(3000万円未満の裏金はセーフ)が示されて以降、これに沿った発表が相次いでいる」「ただいま2999万9999円までなら、これで許されるキャンペーン実施中なんですよ!」といったコメントも挙がった。
●安倍派座長の塩谷氏、パー券不記載234万円 議員辞職や離党は否定 1/28
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題で、清和政策研究会(安倍派)座長の塩谷立元文部科学相は28日、政治資金収支報告書に記載していなかったパーティー券の収入は2018〜22年の5年間で234万円だったことを明らかにした。全て政治活動に使ったとして、議員辞職や離党は否定した。
浜松市の事務所で記者会見に臨んだ塩谷氏は、冒頭で不記載と説明の遅れを陳謝。234万円の使途について「事務所経費、交通費、会合費、印刷費など政治活動に使った。中抜きはなかった」と主張した。
自身に課されたパー券の販売ノルマについて「ここ数年、コロナでノルマが半分になった。半分になっても今まで通り購入してくれた分が(キックバックとして)かえってきた」と説明した。「派閥のパーティー券はノルマ分だけ売り、全く還付を受けていないと考えていた」とも述べた。
●麻生氏が派閥存続を明言、「政策集団として頑張る」… 1/28
自民党派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、自民のベテランや若手の議員が地元活動で、派閥の見直しをはじめとする政治改革のアピールに躍起になっている。事件による逆風は強く、失われた信頼の回復につながるかどうかは見通せないのが実情だ。
「原点回帰」
「古い自民党、票やお金をくれる勢力におもねる政治ではなく、国民政党の原点に戻る」
安倍派の稲田朋美幹事長代理は27日、地元の福井県あわら市内で開いた会合に約20人の支持者らを集め、こう強調した。
同派では、政治資金パーティー収入の還流を通じ、巨額の裏金が作られていたことが発覚した。議員が逮捕されたほか、会計責任者らが立件され、派閥の解散が決まった。
稲田氏は「私を応援していることで、『一体どうなっているんだ』と問い合わせを受けたと思う。調査に時間がかかり、説明がこういう時期になってしまったことはおわびしなければならない」と陳謝した。
出席者からは「二度とこうしたことがないように襟を正してほしい」との声が上がったという。 
厳しい反応
岸田派の石原正敬衆院議員(当選1回)はこの日、三重県内の3市1町計7か所を街宣車で回り、街頭演説を行った。
岸田首相が岸田派の解散を打ち出したことについて、「よもや決断するとは思っていなかった」と振り返り、「我々若手がスクラムを組み、党改革をしていく」と強調した。この日の演説では、聴衆から両手でバツ印を作り、批判の意思を示されることもあった。自民地方議員は「有権者の反応は厳しい」と漏らした。
無派閥の牧原秀樹衆院議員(当選5回)はさいたま市内でミニ集会を開いた。支持者ら約10人を前に「今までは派閥の親分の前で『あなたも派閥をやめろ』なんて言えなかった。政治が大きく変わるチャンスだ」と指摘した。 
「政策を勉強」
一方、麻生派を率いる麻生副総裁は福岡県飯塚市での講演で、「政策集団として、皆さんの期待に一層応えられるように頑張っていかねばならない」と表明し、派閥の存続を明言した。「従来以上に政策を大いに勉強し、研さんし、立案し、国民の負託に応えることが信頼回復に向けた唯一の方策だ」とも語った。
自民内では、麻生派と茂木派が派閥を解散しない意向だ。
●自民裏金事件で派閥幹部不起訴「適切だとは思わない」78% 世論調査 1/28
毎日新聞は27、28の両日に全国世論調査を実施した。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、東京地検が派閥幹部の立件を見送ったことが適切だと思うか尋ねたところ、「適切だとは思わない」が78%に上り、「適切だと思う」(11%)を大きく上回った。「わからない」も10%あった。
東京地検は自民党派閥の政治資金パーティーを巡り、安倍派や二階派などの会計責任者らを政治資金規正法違反で立件する一方、派閥幹部は不起訴処分とした。派閥幹部が立件されなかったことへの疑念が、国民に広がっていることが伺える。
●政治資金規正法違反に連座制 「導入すべきだ」87% 世論調査 1/28
毎日新聞が27、28の両日に実施した全国世論調査で、政治資金規正法違反に関して、会計責任者だけでなく政治家も責任を負う「連座制」について尋ねたところ、「導入すべきだ」が87%を占め、「導入する必要はない」は6%にとどまった。「わからない」は6%だった。
東京地検は自民党派閥の政治資金パーティーを巡り、安倍派や二階派などの会計責任者らを政治資金規正法違反で立件する一方、派閥幹部は不起訴処分とした。派閥幹部と会計責任者の共謀を立証できないと判断されたことが不起訴処分の一因とされる。
●自民の取り組み 「信頼回復につながる」は8% 世論調査 1/28
毎日新聞が27、28の両日に実施した全国世論調査で、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けた同党の取り組みが政治の信頼回復につながると思うか尋ねたところ、「信頼回復につながるとは思わない」が84%に上り、「信頼回復につながると思う」は8%にとどまった。「わからない」は8%だった。
岸田文雄首相が18日、岸田派の解散を検討していることを表明。同派のほかに、安倍派、二階派、森山派も解散の方針を決定した。また、裏金事件を受けて設置された政治刷新本部は党改革について議論し、中間取りまとめに、派閥の政治資金パーティーの禁止や人事への働きかけの禁止などを明記した。一方、派閥全廃は盛り込まれず、派閥は「政策集団」として存続することが容認された。
●岸田内閣支持率 8カ月ぶりに上昇、21% 世論調査 1/28
毎日新聞は27、28の両日、全国世論調査を実施した。岸田文雄内閣の支持率は2023年12月16、17日実施の前回調査(16%)比5ポイント上昇の21%で8カ月ぶりに上昇に転じた。不支持率は前回(79%)比7ポイント下落の72%だった。
岸田内閣の支持率は広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)があった23年5月に45%を記録して以降、下落傾向となり、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の捜査が進んだ12月には初の10%台に落ち込んだ。今月1日に起きた能登半島地震への対応などを受けて支持率は持ち直しの様相を見せ始めたが、依然として危機的水準であることに変わりはない。
同地震での政府の対応を「ある程度評価する」と答えた人は41%。「大いに評価する」(11%)との合計は51%だった。「あまり評価しない」は33%、「全く評価しない」は15%で、計48%だった。
自民派閥の裏金事件を受けて岸田首相が岸田派の解散方針を党内6派閥の中で最初に表明したことについては「評価しない」が44%で、「評価する」は40%だった。「わからない」は15%。
   岸田内閣の支持率の推移
岸田首相が今月18日、岸田派の解散を検討する方針を表明して以降、安倍派、二階派、森山派も解散方針を決定。麻生派、茂木派からも退会の意向を明らかにする議員が出るなど、自民では「脱派閥」の動きが広がっている。
裏金事件を受けた自民政治刷新本部による中間とりまとめを「評価しない」は55%で、「評価する」は27%にとどまった。中間とりまとめでは、派閥が政治資金パーティーを開いたり、内閣や党の人事に関与したりすることを禁止する方針が打ち出されたが、派閥全廃などには踏み込まなかった。
岸田首相にいつまで首相を続けてほしいかとの質問では、「早く辞めてほしい」との回答が48%で最多だった。「今年9月の自民党総裁任期まで」の30%、「できるだけ長く続けてほしい」の11%が続いた。
政党支持率は、自民23%(前回17%)▽立憲民主党14%(同14%)▽日本維新の会9%(同13%)▽共産党8%(同5%)▽れいわ新選組7%(同7%)▽国民民主党4%(同4%)▽公明党3%(同3%)▽参政党2%(同2%)――などで、「支持政党はない」と答えた無党派層は27%(同31%)だった。
●派閥解消論で追い込まれた麻生・茂木が安倍派幹部に離党を迫って逆襲 1/28
自民党が大揺れの中で通常国会が始まった。
自民党の安倍派と二階派に加えて岸田派も裏金事件で立件されたことを受け、岸田文雄首相が「派閥解消」を訴えて捨て身の反撃で繰り出した岸田派解散。二階派、安倍派、森山派が続いて解散を決め、自民党は派閥解散組vs派閥存続組(麻生派、茂木派)の対決構図が強まっている。
派閥解消に世論の関心を引き寄せ、政治資金の透明化という核心の問題から目をそらす岸田首相の狙いはこれまでのところ成功したといっていい。
さらに、内閣支持率が低迷する岸田首相では今年の自民党総裁選に勝てないとみて3月退陣を迫る麻生太郎副総裁を中心とした麻生・茂木・岸田の主流3派体制に終止符を打ち、派閥解消を唱える菅義偉前首相と麻生氏を天秤にかけて1日でも長く政権を延命する岸田首相の戦略も見えてきた。
麻生氏は1岸田首相の国賓待遇の訪米を3月上旬に設定し、3月下旬の予算成立とあわせて花道として退陣させる2緊急の総裁選を実施して茂木敏充幹事長を擁立し、主流3派主導の多数派工作で勝利する34月に新内閣が発足してただちに解散総選挙を断行し、衆院補選が予定されている4月28日の投開票とするーーというシナリオを描いていたが、岸田首相が仕掛けた派閥解消論議で吹っ飛んだ。訪米は4月10日に決まり、3月退陣の可能性は消滅したといえるだろう。
逆に麻生派と茂木派は派閥離脱議員が相次いで追い詰められている。
とりわけ茂木派(平成研究会)は、かつて派閥を率いた小渕恵三元首相の娘である小渕優子選対委員長に加え、参院のドンと言われた青木幹雄元官房長官の長男である青木一彦参院議員らが相次いで派閥を離脱し、茂木氏の求心力は低下。参院を中心に茂木派に大きな影響力を残してきた青木幹雄氏はもともと小渕優子氏を溺愛して茂木氏を敬遠しており、参院を中心に反茂木の動きが一気に噴き出してきた格好だ。
麻生派でも麻生氏と長年行動をともにしてきた岩屋毅衆院議員が離脱。麻生氏との関係がぎくしゃくしている河野太郎氏の去就に注目が集まっている。
一転して窮地に立った麻生・茂木両氏が反撃の一手として繰り出したのが、立件を免れた安倍派幹部たちに自発的離党を促す強硬手段だった。
対象となるのは、安倍派座長の塩谷立氏、事務総長を歴任した下村博文氏、松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、高木毅前国対委員長、そして参院幹事長だった世耕弘成氏と政調会長だった萩生田光一氏の7人だ。
茂木幹事長は安倍派幹部たちに対し「自ら政治的けじめをつけるように」と促し、応じなければ離党勧告に踏み切ることを示唆したと報じられている。「裏金事件で政治の信頼を失ったのは安倍派」であることを強調することで、派閥解消論で逆風に立った麻生・茂木派への批判をかわす狙いだ。
これに対し、安倍派の大親分である森喜朗元首相は麻生・茂木氏と面会し、猛烈に抗議したという。森氏は裏金事件が発覚した後、老人ホーム入居して「雲隠れ」していたが、捜査が終結し、安倍派幹部たちが窮地に立つなかで、麻生・茂木両氏に「直談判」に出向いた格好だ。
自民党内では、塩谷氏が座長として責任をとって離党し、あとの幹部たちは役職停止処分などに抑える妥協案が浮かんでいる。ただ、この場合も塩谷氏だけを立件するのは筋が通らないとの指摘も強い。二階派と岸田派も立件された以上、派閥のトップだった二階俊博元幹事長や岸田首相も離党しないと辻褄があわないからだ。
裏金事件は今年の自民党総裁選に向けて党内抗争を激化させることになった。派閥維持を目指す「麻生・茂木vs派閥解消で対抗する菅・二階・石破vs1日でも長く居座ることを目指す岸田」という三つ巴の駆け引きが激化していく。岸田首相がいつ退陣し、その後の総裁選がどう転んでいくのかが今年前半の政局の最大の焦点となる。
●不振の中国経済 不動産対策に政策集中を 1/28
中国経済の不振に世界が警戒を強めている。中国政府は政策を総動員し、思い切った改革に取り組む必要がある。
注目すべきは、3月に開かれる全国人民代表大会(全人代=国会)で公表される今年の経済目標と政策だ。
中国の2023年の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除く実質で前年比5・2%増となり、政府目標の5・0%前後を達成した。22年の3・0%を上回っている。
しかし、楽観できる状況ではない。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ前年からの反動を含んだ数字であり、V字回復には程遠い。
最大の要因は不動産の落ち込みだ。中国のGDPは不動産関連のウエートが高く、約3割に上るとされる。23年の不動産開発投資は前年比9・6%減と落ち込み、2年連続のマイナスだった。
住宅販売が振るわず、マンションの在庫が積み上がっている。中国恒大集団など不動産開発業者の資金繰り悪化で工事が中断し、購入者に引き渡されないまま野ざらしになった物件が続出している。
不動産開発に依存した地方都市では、財政不安も深刻化している。
影響は個人消費にも及ぶ。中国は家計資産に占める不動産の割合が約6割を占め、不動産不況で消費者の財布のひもは固くなっている。
23年の小売売上高は前年を7・2%上回ったものの、コロナ禍の反動要素などが大きく力強さに乏しい。
販売不振は値下げ競争を誘発する。23年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0・3%下落し、3カ月連続のマイナスだった。日本経済を長く苦しめたデフレの様相を呈しつつある。
中国の不動産不況は構造的な問題をはらんでいる。長年にわたる「一人っ子政策」の影響もあり、23年の人口は2年連続で減少した。人口減少と高齢化は今後も進む。
問題解決には痛みを伴う。放漫経営を続けた不動産開発業者の破綻処理や業界再編は避けられないだろう。
政府は公的資金を活用し、破綻した事業者から物件を引き継ぐ会社をつくり、物件の完成と引き渡しを進める必要があるのではないか。
政策の逐次投入は問題の先送りにしかならず、傷口を広げる。日本が過去に経験したバブル経済崩壊と不良債権処理に学んでほしい。
少子高齢化がますます進行し、労働力人口が減少する中で、中国経済が息を吹き返す鍵は技術革新と生産性の向上にある。
アリババグループなど民間のハイテク企業は、その有力な担い手だ。経営の自由を奪う政府の締め付けは、成長の芽を摘む行為に等しい。
海外からの投資も経済回復を後押しする。そのためには外国企業が中国進出をためらう要因である改正反スパイ法を廃止するなど、投資環境を整えることが不可欠だ。
●安倍派叩きの裏側 1/28
岸田総理の本音
自民党の一部議員から、安倍派の幹部だった議員に離党を迫る動きがあると言う。それは問題の本質ではないと言う意見は兎も角、トカゲの尻尾切りを行った自民党は、果たして第二自民党を結成する動きになるのだろうか?
それとも、岸田総裁が言うように、政策集団としての存続を検討してもらうのだろうか?
これまでも、いわゆる派閥と言われる人たちは、自分たちはあくまで政策を学び研究する場としてきた。
だから、名称も、宏池政策研究会(宏池会)、麻生太郎政策集団(志向会)、清和政策研究会(清和会)となっている。つまり、志を同じくする者が互いに切磋琢磨する場と位置付けている。
前回の拙稿でも触れたが、自民党は過去にも二度にわたり派閥を甲斐性すると言っていながら、派閥は残り続けたが、今回は、自民党離党勧告も辞さずと言う構えで、政治刷新本部が臨むと言う。
自民党の派閥は、これまでの系譜を見ると、岸田派が保守本流で最大派閥の安倍派が保守傍流と言うことになっている。
岸田総理自身は派閥の長を降りると宣言したばかりで、しかも今回、槍玉に挙げられているのが安倍派となれば、当然だが、人事面に大きな影響を与えてきた安倍派潰しの為ではないか?との憶測が流れるのも当然と言えば当然の話だ。
ただ、有権者の関心事は、むしろ自民党が派閥を解消すると宣言しても、当の岸田総裁は政策研究会として存続を匂わせている。
つまり、派閥解消などと有名無実だとの批判が集まっている。
実際、今の自民党では仮に解散総選挙を行ったとしても、大勝するのは難しいだろう。野党が議席を伸ばす可能性は確かにある。
確かにあるのだが、では、今の自民党のゴタゴタが無党派層を動かすに至るか?と言われれば、その可能性は低いと思う。
その理由はズバリ、野党がだらしないからだ
現在、能登半島の震災被害の対応、日本海側を中心とした寒冷前線と豪雪の被害と可及的速やかな対応をしなければいけない事態が次々に起きている。そんな時、被災地を救えるのはやはり時の政権しかない。その意味で、岸田政権の対応は決して間違っていないし、必要な対応を行なっていると思う。
国会が始まり、予算委員会の中、これら災害対応を行なっている政府に対して、「早い、遅い」の議論はあるが、少なくとも自然災害時に最も重要な予算措置について、岸田政権は必要にして十分な対応を行なっている。そこに異論を挟む人がいるだろうか?
では、今回の降って湧いた自民党のパーティー券のキックバック問題にしても、金額だけで言えば、鳩山元総理の問題、小沢一郎の問題に比べれば、法律に則り修正申告すれば済む話ばかりだ。
むしろ、ここにきて安倍派幹部の追い落としに舵を切った岸田総理は、老獪な手腕を発揮していると言ってもいい。それは三点に集約される。
1国会開会前に派閥解消を決断したこと、2災害への迅速対応を行なったこと、3いち早く政治刷新本部を立ち上げたこと、の三点だ。
これは時宜を得ているとも言えるが、岸田総理が茂木氏や麻生氏の反対をゴリ押ししてでも進めたことで、野党は国会追及が出来なくなってしまった。
特に、岸田総理が派閥の長を下り、同時に自民党内の派閥争いに党総裁の立場で各派閥を牽制しながら派閥解散を決意したことで、自民党内からも野党からもその追求を一時的に回避することが出来た。
●小野寺氏、自民幹部は派閥離脱を 1/28
自民党の小野寺五典元防衛相は28日のフジテレビ番組で、1989年の政治改革大綱に基づき、主要な党幹部は派閥を離脱することになるとの見通しを示した。小野寺氏は「大綱は生きている。党の重要な役目の方が(派閥を)抜けていくことは普通の流れではないか」と語った。
小野寺氏は岸田派所属。岸田文雄首相は党総裁・首相に就任した後も同派会長を務めていたが、派閥の裏金問題を受けて昨年12月に同派を離脱。同派は今月23日に派閥解散を正式に決めた。
●企業・団体献金を全面禁止=「政治改革大綱」、29日発表―維新 1/28
日本維新の会は28日、大阪市内で常任役員会を開き、維新版「政治改革大綱」を29日に発表することを決めた。
自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けたもので、企業・団体による政治資金パーティー券購入の禁止、企業・団体献金の全面禁止、政党が所属議員に支給する「政策活動費」の廃止が柱。
調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途の全面公開のために法的措置を講じることや、収支報告書への不記載について会計責任者だけでなく議員本人の責任も問う「連座制」の導入も盛り込む。
維新内では、国会議員本人が自身の関係する政治団体の会計責任者になることも申し合わせる方針だ。
役員会後、藤田文武幹事長は記者団に「提案していることは先駆けてやる」と説明。与野党協議の結果にかかわらず、党独自に実行していく考えを示した。
●岸田内閣支持率21% 12月から5ポイント増 毎日新聞世論調査 1/28
毎日新聞は27、28の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は、昨年12月16、17日実施の前回調査(16%)より5ポイント増の21%で8カ月ぶりに上昇した。不支持率は前回調査(79%)より7ポイント減の72%だった。
支持率は、マイナンバーカードを巡るトラブルが相次いだことなどが影響して昨年6月以降、下落傾向に転じた。9月に内閣改造を実施し、11月には、減税や低所得世帯への給付などを盛り込んだ総合経済対策を閣議決定したが、政権浮揚にはつながらなかった。その後、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が深刻化。今月は20%台を回復したが、7カ月連続で30%を切っており、厳しい政権運営が続いている。また、不支持率が70%を超えるのは3カ月連続。
調査は、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯446件、固定603件の有効回答を得た。固定については、能登半島地震で大きな被害が出ている石川県の一部地域を調査対象から外した。
●麻生氏、上川外相の容姿に言及 「美しい方とは言わない」 1/28
自民党の麻生太郎副総裁は28日、福岡県芦屋町で講演し、上川陽子外相の容姿について「そんなに美しい方とは言わない」と言及した。一方で「堂々と話をして、外交官の手を借りずに自分で会うべき人との(面会)予約を取っている。大したものだ」と外交手腕を評価した。
上川氏が外相就任直後の国連総会で多くの個別会談をこなした点を取り上げて「あんなことができた外相は今までいない。新しいスターがそこそこ育ちつつある」とも述べた。
●2024年選挙イヤー 岸田首相や泉代表、山口代表…党の顔は変わるのか 1/28
昨年末からの自民党派閥パーティーをめぐる裏金事件の混乱がおさまらない中で、26日に通常国会が始まった。これまで自民党に当たり前のようにあった派閥が、裏金事件の「温床」となったこともあり、次々に解散に追い込まれる事態となるなど、「未知のゾーン」(自民党関係者)に突入した感があり、これから何が起きるのか、何が起きても不思議ではないという不安定さを感じる。
ところで、今年は世界的に「選挙イヤー」といわれている。すでに今月13日に台湾で総統選が行われ、与党民進党の頼清徳氏が当選した。3月には、ウクライナ侵攻を止めないプーチン大統領のロシアで大統領選、そして11月には、選挙イヤーのクライマックスとなる米大統領選が予定される。ロシアはプーチン大統領の通算5選が揺るがないが、米国は、バイデン大統領の支持率が低迷する中、トランプ前大統領が共和党で始まった候補者選びの予備選を連勝し、「もしトラ(もしトランプ氏が大統領に再選したら)」が現実味を帯びる展開で、来年以降の世界情勢がさらに混乱しかねない状況だ。
リーダー選びの「選挙イヤー」は、日本も同じ。岸田文雄首相の任期が9月に迫る自民党総裁選が最も注目されるが、与党の一角公明党、野党第1党の立憲民主党でも今秋に代表選が予定され、党の「顔」が代わるのか代わらないのか、注目が集まっている。
先陣を切ったのは共産党。今月18日の党大会で、約23年続いた志位和夫委員長が退任し、党史上初の女性委員長として田村智子氏の就任が決まり、野党の一角でリーダーが交代した。田村氏は「要請を受けた時は、率直言って驚いた」とした上で「プレッシャーはない」と強調。党勢の拡大へ、初の女性起用で刷新感を狙ったのではないかとの見方も多く、リーダーとしては未知数の田村氏の手腕が問われている。
野党では、第1党の立憲民主党でも9月に泉健太代表が任期を迎える。2021年衆院選後に創業者の枝野幸男氏の辞任に伴う代表選で勝利し、代表に就任した。代表ポストは初めてで経験不足への不安も出ていたが、当時、党関係者は「もし泉さんをおろすような動きが出てくれば、党も終わりだ」と話すなど、新たなリーダーをもり立てようとする空気はあった。
しかしこの2年あまり、政権追及の迫力に欠け、野党共闘に向けた流れも迷走。気付けば第2党の日本維新の会に脅やかされる立ち位置になった。露骨な「泉おろし」の動きはなくても、水面下では「ポスト泉」へのさまざまなうごめきが出始めている。昨年、政権交代への決意をめぐる泉氏の発言を疑問視した重鎮の小沢一郎衆院議員は、元日の私邸での新年会で「いい子ちゃんぶって、お利口さんぶっていては権力は取れない。本気になって戦って初めて、権力は取れる」と、泉執行部をけん制するように語った。なかなか存在感を示せないでいる泉氏にとって、秋までの月日は自身の評価を定めるまさに正念場の期間となる。
一方の与党。公明党の山口那津男代表も9月に2年の代表任期が満了となる。2009年9月から代表を務める山口氏の続投が有力視されるが、判断は次期衆院選のタイミング次第ともいわれている。将来的に世代交代の時期は必ずやってくる。そして、その衆院選のタイミングの鍵を握るのが、岸田首相だ。
9月の自民党総裁の任期満了を前提に、今後さまざまな政治日程が決まっていく。裏金事件など「政治とカネ」の問題を機に、これまで政権基盤を下支えしてきた派閥の解散の動きが党内力学に変化をもたらし、岸田首相にとって総裁選を戦う上でいい影響はないとの見方もある。
世論調査では、政策に対する支持も少ない。総裁選の再選は厳しいのではないかという声も聞くのだが、だれも想像していなかった自身の派閥(宏池会=岸田派)の解散を突然表明するなど、これまでにもたびたび見せてきた「サプライズ好き」に「ますます活路を見いだそうとしているのではないか」(永田町関係者)という声も聞いた。それが吉と出るか凶と出るのか、29日から本格的に始まる国会での岸田首相の言動が、大きな鍵を握る。
前回、日本の与野党第1党でともにリーダーが交代した2021年。総裁選に勝った岸田首相が衆院選でも勝利し、立民では枝野氏が代表を辞任して泉氏が就任。自民と立民で対照的な結果になった。今年はどうなるのだろうか。ちなみに7月7日には、小池百合子氏の3選が焦点となる東京都知事選も予定される。リーダーたちの顔はそのままなのか変わるのか、水面下の闘いは、すでに始まっている。 

 

●能登半島地震の影響「だいたい1カ月後に最大余震が発生」 過去の事例 1/29
地震学が専門の岡本拓夫・福井高専嘱託教授による講演会が1月28日、福井市の福井県教育センターで開かれた。能登半島地震の今後の福井県内への影響について「規模が最も大きい余震は断層の端で起こる。県内に近い(西側の)場所であれば、あわら市で震度5強くらいの揺れになる可能性がある」と注意を呼びかけた。
1日の能登半島地震は、能登半島に沿って東西に伸びる複数の断層がずれ動いて発生したとみられ、政府の地震調査委員会は断層の範囲が約150キロに及ぶとしている。
岡本教授は今回の地震について、2020年ごろからの群発地震との関連性を指摘。地下深くから流体が上がって断層を刺激したことが原因と推測されると説明した。今後の余震については、日本海中部地震(1983年)や新潟地震(64年)の例を挙げながら「だいたい1カ月後に最大余震が発生し、断層の端のどちらかで起こることが多い」とした。
また、鯖江市や敦賀市には、断層があるものの近年地震が起きていない地震活動の「空白域」があるとし「近くで大きな地震が起こると、これまで動いていなかった断層が動くこともある」と語った。
●2人とも5年で500万円超不記載 高鳥修一衆院議員・細田健一衆院議員 1/29
自民党安倍派の高鳥修一衆議院議員と細田健一衆議院議員が、派閥から500万円を超えるキックバックを受けていたにも関わらず、収支報告書に記載していなかったと公表しました。
それぞれの事務所によりますと、自民党で比例選出の高鳥修一衆議院議員と旧新潟2区選出の細田健一衆議院議員は所属する安倍派=清和政策研究会のパーティー券の販売ノルマを超えた分として、キックバックを受けていたと発表しました。いずれも収支報告書に記載しておらず、不記載は派閥からの指示だったとしています。
高鳥議員は2018年からの5年間で544万円を受け取っていて「事務所の経費や人件費に247万円を充て、それ以外は使っていない」としています。事務所は「このような処理の仕方は全面的に改めるべきであり、ご不信を招きご心配をおかけしたことを衷心よりお詫び申し上げる」とコメントしています。
また細田議員は、2018年からの5年間で564万円を受け取り「全額を選挙区支部に振り込み、活動費として使った」としています。事務所は「政治資金の正確性・透明性の一層の向上に努めるとともに、皆様からの信頼回復が行われるよう真摯に努力してまいります」とコメントしています。
2人は今後、収支報告書を訂正するとしていますが、会見を開く予定はないということです。
●岸田首相、自民党の河井元法相への裏金疑惑で対応検討へ 1/29
岸田文雄首相は29日の衆院予算委員会で、2019年の参院選広島選挙区で地方議員らを買収した河井克行元法相に当時の安倍政権幹部が計6700万円の裏金を提供した疑惑について「党として何かできることがあるのか、いま一度考えてみたい」と述べ、自民党としての対応を検討する考えを示した。首相が元法相への裏金疑惑を巡って答弁するのは初めて。
元法相による大規模買収事件では、安倍晋三首相=22年7月に死去=が2800万円、菅義偉官房長官が500万円、二階俊博自民党幹事長が3300万円、甘利明党選挙対策委員長(いずれも肩書は当時)が100万円を現金で提供したとうかがわせる手書きメモを、検察当局が20年1月の家宅捜索で元法相方から押収。元法相が地方議員らに現金をばらまいた選挙買収の原資だったとみて検察当局が捜査していたことを、中国新聞が23年9月に報道した。
この日の予算委で立憲民主党の階猛氏は、甘利氏が100万円の提供を認めている点に触れ「非常に信ぴょう性の高いメモ。(裏金が)選挙買収の原資になった可能性が極めて高い」と指摘。調査するよう迫ったのに対し、岸田首相は「捜査当局で(買収の)原資についても捜査を尽くすものと認識している」とした上で、党としての対応を検討する考えを表明した。
元法相方で押収された手書きメモはA4判。「+(プラス)現金6700」と記された下に「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と書かれていた。金額を万円単位で示しているとみられる。
元法相と妻の案里氏(当選無効)を巡っては、参院選前に自民党本部が計1億5千万円を2人の党支部の口座に入金。買収の原資になったと疑われたが、自民党は21年9月に調査結果を発表。案里氏をPRするための印刷物などの費用に充てられ、買収の原資にはなっていないとした。
一方、手書きメモは元法相の公判に提出されていなかった。地方議員や後援会員ら100人に計2871万円を配った元法相は公判の中で買収の原資を「手元にあった資金を使った」と説明したが、具体的な入手経路に関する説明はほとんどせず、原資は解明されないままで公判は終了した。
●裏金議員は何人?首相「安倍派は30人以上…」明確に答えず… 国会で論戦 1/29
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を受け、国会は29日午前9時から衆院の予算委員会で、「政治とカネ」の問題に関する集中審議を行った。引き続き、午後からは参院の予算委員会で行われる。
裏金事件の発覚後、初めてとなる国会での本格論戦。自民党の再発防止の中間取りまとめに対して身内からも批判が出た。野党側からは実態解明のため、自民党全議員の調査や裏金議員の一覧表を求める声が上がった。
16:00 「キックバックは課税収入では」
国民民主党の舟山康江参院議員は、パーティー券のキックバックの事態は、販売奨励金で、課税収入だったのではないかと指摘。「政治団体は収入を収支報告書に書く義務がある。あえて書かなかったのであれば、個人が受け取ったのではないか。政治団体から個人への寄付は明確に違法だ」と問いただした。国税庁次長は「政治資金で政治家個人が受領したものは、残額がある場合は確定申告する必要がある」と説明した。
15:28 「会計責任者、政治家が兼務しては」
今回の裏金事件では、派閥の会計責任者が立件されたが、派閥幹部らは罪を逃れた。日本維新の会の音喜多駿議員は、政治団体の会計に政治家本人が直接的な責任を負うよう、政治家が会計責任者を兼務する制度を提案した。音喜多氏自身が既に自身の政治団体で会計責任者を兼務していることを引き合いに出し、岸田首相にも賛同を求めた。首相は「会計の知識の程度や、業務に専念する時間的余裕があるのかを、冷静に考えなければならない。政治家をそのまま会計責任者にすることは適切とは考えない」と否定的な考えを示した。
14:58 「公明党は危機感持っている」
公明党を代表して質問に立った谷合正明参院議員は、「国民の政治に対する不信は日ごとに高まっている。政治の信頼の行き場が失われている。公明党は危機感を持っています」と訴えた。谷合氏は「国民が求めていることは派閥の解消ではない。不正を根絶するための法改正だ」と主張。連立を組む自民党総裁である岸田首相に「同じ与党として、言うべきことをしっかりと言っていく。総理には改革に向けた不退転の姿勢を貫いてほしい」と求めた。
14:25 萩生田氏は机に2000万あるのに
小西洋之議員が「国民生活が本当に苦しい時に、その先頭にちっとも立ってないじゃないですか」と岸田首相に詰め寄った。首相は「検察の判断が重要だ」「検察の捜査に基づいて修正している」と繰り返し、受け身の姿勢に終始していた。小西氏は「萩生田光一前政調会長が会見で机の引き出しに2000万円近い金があったと言ってますよ。日本の今の母子家庭のタンスの中に200円だってないですよ。今、岸田総理がやろうとしてることは犯罪行為の隠蔽ですよ」と問いただした。
14:07 「還流分は議員本人へ?」の質問巡り紛糾
派閥からのキックバック(還流)は議員本人への寄付?それとも議員の政治団体への寄付? 立民の小西洋之参院議員の質問を巡って、審議が一時中断する一幕もあった。派閥からのキックバック(還流)が国会議員個人への寄付なら犯罪に当たり、脱税の問題も生じると指摘した小西氏。岸田首相は「起訴された者全てが、(議員個人ではなく)議員側の政治団体への寄付と認定されている」と説明したが、小西氏が「派閥の幹部に確認したのか」と追及すると、首相は「検察側がそのように判断していると申し上げている」と答弁。野党議員のヤジで委員会室は騒然となった。再開後、小西氏が「政治資金規制法上、選挙運動資金以外の寄付は犯罪だ。安倍派と二階派の幹部、所属議員に対して、議員個人にお金を渡したのか、政治団体にお金を渡したのか、確認したのか」と重ねて尋ねたが、首相は「いろんな解釈があるかもしれないが、検察としてどう判断しているのか、これが重要だ」と繰り返した。
13:45 政治責任は「関係者に聞き取り対応考える」
参院の集中審議は、自民の磯ア仁彦参院議員からの質問で始まった。磯ア氏は、首相に対して「あるべき政治責任についてどう考えているか」とただした。岸田首相は「早急に(関係者の)聴き取りを開始し、その上で実態を把握し、政治責任についても党として対応を考える」と述べた。
13:25 参院予算委で審議始まる
午前で、衆院予算委の集中審議が終わった。午後からの参院予算委の審議は、予定よりも約30分遅れで始まった。
11:43 岸田派の3000万「銀行口座にあるから裏金ではない」
共産の塩川鉄也衆院議員は、岸田派(宏池会)について質問した。岸田派では収支報告書に3059万円の虚偽記載で元会計責任者が略式起訴されている。首相は「パーティー券について、どの議員の紹介か不明な分を別にしていた。不手際が積み重なった」と釈明。不記載額について、2018年1322万円、19年841万円、2020年896万円と明かした。「全て銀行口座に残っているし、宏池会の訂正も繰越金の上乗せで修正できた。裏金という指摘には当たらない」と強調した。2018年以前については、「確認が困難だ」とした。
11:40 裏金の実態「自民全議員に調査を」
共産の塩川氏は、裏金事件の実態調査のため自民党の全議員の調査を求めた。しかし、全議員調査について、岸田首相の答弁は歯切れが悪い。首相 関係者が説明責任を果たさなければならないが、党としても実態把握する、必要に応じて範囲を拡大して実態解明に努めたい。塩川氏 関係者とは? 首相 収支報告書の修正で関わりがあると判断し、関与が指摘されている議員を中心に 塩川氏 収支報告書修正した議員か? 首相 どこまで拡大するかヒアリングの範囲は考えたい。
11:29 旧文通費の使途公開「真摯に議論」
裏金事件の再発防止を巡っては、政治資金と透明性も問われている。日本維新の会の藤田文武幹事長は、現行では使途の公表が不要となっている「調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)」の使途公開を求めた。岸田首相は「(自民党の)中間取りまとめでも透明化は重要な課題」と言いながらも、「旧文章交通費についても、全議員共通のルールをつくるということで真摯(しんし)に議論に参入する」とし、公開の是非について踏み込んだ発言はなかった。
11:06 自民いつ最終まとめ?「改革に終わりはない」
日本維新の会の藤田氏は、26日に自民党の政治刷新本部で取りまとめた政治改革案について「出来の悪い中間取りまとめだった」と酷評した。藤田氏が、法改正を含めた具体策を尋ねると、岸田首相は「党の中間とりまとめはあくまで大きな方向性を示したものだ。各党との協議の場に、党としての考え方をまとめて臨みたい」と答えた。「本まとめはいつか?」と最終的な自民党の改革案の取りまとめ時期を問われると、岸田首相は「政治改革に終わりはない」。周りからは失笑が漏れた。
10:40 裏金議員の一覧「国民に示せ」
派閥から還流されていたパーティー券収入を裏金にしていた議員は何人だったのか―。先に質問に立った立憲民主党の大西健介衆院議員に続き、立民の山井和則議員も「裏金議員」の人数を岸田首相に問い質した。裏金議員の人数を明確に答えない岸田首相に対し、山井氏は「実態が分からなくては、再発防止策は打てない」「岸田総理が一覧表を提出して、国民に公表する責任があるんじゃないですか」とまくしたてた。岸田首相は「党として、関係者への聞き取りを行う。一覧表を作るかどうかも含めて、どういった形で党としてこの問題を整理するか、説明責任を果たしていきたい」と述べるにとどめた。
10:28 岸田首相、政治活動費廃止は明言せず
立民の階猛衆院委議員は、使途の公開が不要で、国民から不信の目で見られている「政治活動費」にも言及。立民の政治改革案でうたっている政治活動費の廃止を訴えた。岸田首相は廃止には触れず、政治活動の自由と国民の知る権利の「バランスの中で、あるべき結論を出さないといけない」と3回繰り返した。
10:08 「国民の納税意識損なわれる」
質問者は立憲民主党の階(しな)猛衆院議員に移った。階氏は、裏金事件を受けて「今のままでは、国民の納税意識が損なわれるのは明らか」「(派閥からパーティー券収入のキックバックを受けた議員に)納税義務を果たすよう命じるべきだと思うが、どうでしょうか」と迫った。岸田首相は「法律に従って取り扱うのは当然のこと。報告を行い、納税等も法律に従って対応するのは当然のこと」とかわした。明確な答弁を避ける岸田首相に、階氏は再度尋ねた。「もう一度。修正申告をして、納税させるべき」岸田首相は「法律に従って、厳正に対応させます」と答えた。
9:56 岸田首相の自身の疑惑にも矛先
岸田首相自身への疑惑にも追及の矛先が向いた。立民の大西健介衆院議員は、地元で開催した首相就任を祝う会について「事務所、後援会の政治資金パーティーだったのではないか」と指摘した。岸田首相は「地元の政財界のみなさんが発起人となって開催いただいた、純粋な祝賀会」「会の主催者は任意団体、収入も1000万円未満。指摘には当たらない」と反論した。
9:45 裏金議員は何人?首相は明確に答えず
立民の大西氏は「裏金問題の全容を把握しているのか。何人が裏金をもらったのか、まず答えて下さい」と迫った。岸田首相は「いま現状で、うーんと、その、政治資金収支報告書の訂正等を明らかにしている議員、これはこの清和会(安倍派)で30人以上、志帥会(二階派)で7人」と答えた。厳しい表情で歯切れ悪く、全体像は示さなかった。「それで全部なんですか?」。大西氏は明確な人数を答えられない岸田首相にさらに畳みかけた。「一体何人が関わっているのか答えられない。誰がいくらもらって何に使ったのかを明らかにしないと議論が始まらない」
9:34 立民・大西氏「派閥解消はインチキだ」
立民の大西氏は、岸田首相の岸田派解散を取り上げた。「派閥解消がいかにインチキか。派閥を辞めたはずの首相が岸田派を解散すると言った。意味が分からない」と発言。「保身のためのパフォーマンスじゃないか」と語気を強めると、周りから「そうだ」「そうだ」とヤジが上がった。岸田首相は「宏池会(岸田派)の会計責任者が処分を受けたけじめとして、全ての役員と話し合う中で、合意をいただいた」と解散決定の手続きに関する正当性を強調した。
9:25 「派閥解散はあくまで自民党の問題」
質問者は2人目に、公明党の中川康洋衆院議員に移った。中川氏は「派閥の解散は、あくまで自民党内の問題であり、再発防止策がなされたと思わない。国民からは、政治資金の透明化や、罰則の強化を求める声が圧倒的だ」と訴えた。公明党がまとめた政治改革案のパネルを示しながら、「連座制の強化は一丁目一番地」と主張。岸田首相に連座制導入についての見解を求めた。岸田首相は「自民党も、より厳格な管理体制を強化していく観点から、議論に貢献していきたい」と答えた。
9:13 岸田首相「関係者に聞き取り進める」
自民党・丹羽秀樹議員は「自民党として実態解明に取り組まなくてはいけない」と訴えると、周りから「そうだ」とヤジが飛んだ。質問を受けた岸田首相も「おっしゃる通り、自民党としても実態解明に取り組まなければならない」と答えた。続けて「私の方から、党幹部に対して、関係者に対する事情聴取を行う枠組みの作成を指示したとことだ」と補足すると、「遅い」とのヤジも。「今後、関係者の聞き取りを進める中にあって、党としての実態把握もしっかり進める」と訴えた。
9:05 裏金事件「慚愧に堪えない」
トップバッターとして、自民党・丹羽秀樹議員が登壇した。質問の冒頭、裏金事件について「慚愧(ざんき)に堪えない」と発言。所属する愛知県連の議員にも処分者が出たことに触れ、「国会議員としてあるまじき行為」とお詫びを口にした。自民党の政治刷新本部が26日にまとめた中間報告について、「全体としてはまだ踏み込み不足で、信頼回復には遠い内容」と、「身内」の議員として異例の批判を展開した
9:00 岸田首相「大変深刻な事態招いた」
午前9時から衆院予算委員会で、集中討議が始まった。冒頭、質疑に先立って岸田文雄首相(自民党総裁)は、派閥の政治資金パーティー裏金事件について「大変深刻な事態を招いたことに、心よりおわびを申し上げる」と謝罪。昨年末に、閣僚4人と副大臣5人、大臣政務官1人が辞職したことについて「任命責任者としての責任を重く受け止めている」と述べた。自民の政治刷新本部が策定した中間取りまとめをしたことに言及し、「制度面での改革については、各党各会派との真摯な協議を経て、政治資金規正法改正など必要な法整備を進めていく。政治改革に終わりはない」と強調した。
「火の玉に」岸田首相が設置した自民・刷新本部は…
裏金事件を巡っては、派閥からパーティー券収入のキックバックを受けながら政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記入)容疑で、安倍派、二階派、岸田派の会計責任者らのほか、衆院議員池田佳隆被告ら安倍派所属の国会議員も含め10人が立件された。ただし、安倍派の幹部らは嫌疑なしで不起訴となった。事件を受け、自民党は1月、岸田文雄首相(党総裁)を本部長とする政治刷新本部を立ち上げた。岸田首相は、刷新本部設置に当たり、国民の信頼回復のため「火の玉となって自民党の先頭に立って取り組んでいく」と決意表明していた。26日に取りまとめた中間報告では、派閥の全面解消は明記せず、カネとポストの役割をなくした「政策集団」としての存続を容認した。政治資金の透明化など法改正を伴う再発防止については、具体策まで踏み込まず、結論を先送りした。企業・団体献金の取り扱いやパーティー券収入の公開基準などへの言及もなかった。
各党の政治改革案は…
各党では、政治資金の透明化や厳罰化を求める声が高まっている。立憲民主党は事件発覚前の2022年6月に、企業・団体によるパーティー券の購入や献金の禁止をうたった法案を国会に提出済みだ。26日には党独自の政治改革案を示し、政治資金パーティーや企業・団体献金の禁止、国会議員の厳罰化のための「連座制」導入などを盛り込んだ。国民民主党は18日、パーティー券購入者の公開基準を「20万円超」から「5万円超」に引き下げる改革案をまとめた。政治資金規正法違反の罪で国会議員が起訴された場合、所属政党の政党交付金を「減額または停止する」というペナルティーも設ける。共産党は企業・団体によるパーティー券購入や献金の禁止を主張。政策活動費の廃止や、個人献金の上限額引き下げも掲げている。公明党も18日に改革案を公表。収支報告書への虚偽記載などで議員自身の責任も問う「連座制」の導入のほか、政策活動費の使途公開の義務付けをうたっている。
●岸田総理「各党と真摯な議論を行いたい」 政策活動費の早期透明化に 1/29
政治とカネの問題をめぐり、岸田総理は政党から議員個人に支払われる政策活動費の透明化について、「各党と真摯な議論を行いたい」と述べました。
立憲民主党 階猛衆院議員「政策活動費という費目自体を廃止する。そのことをこの場でお約束いただけないでしょうか」
岸田総理「政策活動費については、政治活動の自由との関係で、各党・各会派共通のルールに基づいて取り扱うことが重要であると考えます。共通のルールについて議論を行うということであれば、こうした議論に自民党としても貢献をいたします」
衆議院の予算委員会で岸田総理はこのように述べたほか、政策活動費は「政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中において議論が行われ、現状の法律になっている」などと指摘し、早期の透明化には慎重な姿勢をにじませました。
政党から議員個人に対して支払われる政策活動費は受け取った側に使途を公開する必要がなく、派閥からキックバックを受けていた議員が隠れ蓑として使っている、本来の納税義務を回避しているなどの批判が出ています。
●大阪維新、資金パーティー廃止 「金かからぬ政治目指す」 1/29
政治団体・大阪維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は29日、組織として年1回開催している政治資金パーティーを廃止すると表明した。府庁で記者団に「収入減はしんどいが、お金のかからない政治を目指す」と述べた。パーティーに代わる「新しいスタイル」で、支援者と政策を共有する場を模索するとしている。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて日本維新の会がまとめた政治改革案は、パーティー券の企業・団体による購入を禁止する一方、個人購入による組織としての開催に余地を残した。地方組織に当たる大阪維新は一律で禁じる厳しい対応を取った形で、吉村氏は「いったん区切りを付けるべきだ」と説明した。
●自民党裏金問題と日本の民主政治の危機 1/29
自民党の各派閥における、パーティ券収入のキックバックによる裏金づくりの問題について、検察庁は最終的な判断を下した。政治資金規正法では、政治資金収支報告書に収支を記載しなかったり、虚偽の記載をしたりすることは犯罪と規定され、有罪となれば議員の資格、あるいは選挙に立候補する資格を失う。東京地方検察庁特捜部は、裏金が4千万円を超えた議員について政治資金規正法違反で起訴し、それ以下の議員については刑事責任を問わないこととした。逮捕あるいは起訴されたのは、3名の国会議員にとどまる。
そして、派閥による議員へのキックバックを報告書に記載しなかったことについては、派閥の会長や事務総長を務めた議員の責任は不問とされ、派閥の事務職員である会計責任者が起訴された。検察は、会計責任者と派閥の幹部だった国会議員の間の共謀を立証できないことを、政治家の責任を問えないことの理由としている。
検察の結論が出た後に、疑惑を持たれた政治家の一部は裏金の金額を発表し、経理はすべて秘書に任せていたと責任転嫁の発言をした。たとえば、経済産業大臣や自民党の政務調査会長を務めた萩生田光一議員は、2018年から2022年までの5年間で政治資金収支報告書に不記載の裏金額が計2728万円にのぼることを明らかにしつつ、事務所スタッフが管理していたとし、数千万円に上る資金の流入を政治家がまったく知らず、秘書が勝手に管理したと釈明した。自分は悪くないという言い訳で国民を欺こうとする卑怯な政治家が大勢いることに、愕然とする。
4300万円の裏金を作って起訴され、議員辞職を表明した谷川弥一氏は、裏金は支持者との人間関係を強化するために飲食に使ったと述べた。他の政治家も同様だろう。政治家が得る政治資金が一般の所得と異なって非課税とされるのは、政治家による政策研究や広報が民主政治の健全な運営に不可欠であり、優遇に値するという理念に基づいている。応援してくれる支持者や地方議員の供応のために政治資金を使うとなれば、その金は政治家個人の所得とみなさざるを得ない。だとすると、政治家の裏金作りは脱税ということになる。日本では2月から3月が所得税の申告の時期で、納税者は必要経費を認めてもらうために領収書を揃えて説明しなければならない。国会議員だけが私的な飲食や遊興について非課税とされることに、国民の怒りは高まっている。しかし、税務当局には今回の事件を脱税として摘発する動きはない。日本では政治家の特権がまかり通っていると言うしかない。
さすがに、岸田文雄首相も政治とカネをめぐる悪習を断つための動きを起こさざるを得なくなり、1月19日、自らが会長を務めてきた岸田派(宏池会)を解散することを表明した。派閥単位で資金パーティを開催し、裏金を作ったことから、派閥が金権政治の元凶だというわけである。これにならって、安倍派、二階派も解散を決定した。しかし、自民党は過去、大きな腐敗事件を起こした時に、何度か派閥の解消を宣言したことがある。しかし、政策集団は悪くないという口実で、派閥は復活して現在に至っている。
自民党が国会で圧倒的多数を持っている状況では、自民党総裁のポストは日本の首相と同じである。したがって、首相を目指す政治家は総裁選挙を戦う。その際には、有力な政治家は自分を応援してくれる議員を確保しなければならないので、派閥を形成することは必然である。自民党の歴史をふまえれば、今回の派閥解消宣言を信用することはできない。
そもそも、派閥が悪いと言ってその解消を宣伝するのは、問題のすり替えである。検察が刑事責任を問わないならば、国民が次の選挙で政治的責任を追及するしかない。裏金問題の全体像を知ることは、政治責任を問うために不可欠なのである。裏金を何に使ったのか、政治家には説明する義務がある。
自民党は確かに大きな危機に直面している。しかし、この危機も次第に忘れられ、自民党は何もなかったような顔をして政権を担い続けるという予感もする。岸田内閣支持率も自民党支持率も低下しているのに、野党の支持率はまったく上がらない。最近行われた中規模の都市の市長選挙でも、自民党が推薦する候補が苦戦しながらも勝利している。つまり、国民は岸田内閣と自民党を批判しながら、別の選択肢を選ぶ動きを起こしていない。それこそが日本の民主主義にとっての危機である。
●“インチキ派閥解消”の陰で自民党と岸田政権が温存する裏金づくりシステム 1/29
安倍派幹部が全員不起訴となったパーティ券裏金問題。会見を開いた世耕弘成・前参院幹事長は「政治資金の管理は秘書に任せきりだった」「(キックバック分は)秘書が報告していなかった」などと秘書に責任をなすりつけ、西村康稔・元経産相は「裏金は一切ありません」などと書かれたビラを地元・兵庫県明石市で配布するなど、恥知らずの言動を見せた。
なかでも、とりわけ酷かったのが萩生田光一・前政調会長だ。報道では当初、萩生田氏の不記載額は数百万円と伝えられていたが、蓋を開けると5年間で計2728万円にものぼっていたことが判明。しかも、地元の八王子市長選が終わってから会見を開き、その額を公表するという姑息な手に出たのだ。
そのうえ、安倍派幹部の連中は、これほどの裏金不記載の問題を引き起こしながら、揃いも揃って議員辞職を拒否。開会した国会では、テレビカメラが回っていることを知っていながら、何事もなかったかのように笑顔まで浮かべてみせたのだ。
だが、とんでもないのは安倍派幹部だけではない。これまでダンマリだった安倍派議員たちがいまごろになって巨額の裏金不記載を次々に公表し、あらためて怒りを買っている。
たとえば、安倍晋三・元首相とともにジェンダーフリーバッシングの急先鋒となり、最近では選択的夫婦別姓の導入やLGBT法案に反対してきたことで知られる山谷えり子・元国家公安委員長は、5年間で2403万円の不記載があったと自身のHPで公表。これには作家の平野啓一郎氏が〈普段から「美しい国、日本」だとか何とか言ってる国粋主義の政治家だが、堕落してるのは自分だろう〉と批判しているほか、ライターの武田砂鉄氏も〈2000円返し忘れたくらいのテンションで2000万円の裏金を謝る〉と、その不誠実さを指摘。
もっと酷いのが、山谷氏と同じく差別を振りまいてきた杉田水脈・衆院議員だ。杉田議員は21日、自身のブログで「清和会総会、解散等について」と題した記事を投稿。そのなかで、安倍派の解散について〈泣きました〉などと思いを綴ったうえで、しれっと自身にも不記載があったことを記述。〈派閥の指導に従った〉〈不正や私的流用は全くありません〉などと言い訳を並べ立てただけで不記載額すら明らかにしていないのだ。
杉田議員といえば、昨年11月にネット番組でアイヌ文化の振興事業について「公金チューチュー」などと発言。また、杉田議員はフェミニズム研究者に対して「研究費の不正使用」「反日研究」などと攻撃をおこなってきたが、昨年5月、東京高裁は研究費の不正使用やずさんな経理はなかったとし杉田氏に33万円の賠償を命じている。このように、公金の使い方についてさんざんデマを飛ばし攻撃の犬笛を吹いてきた議員が、自身の裏金不記載については金額さえも明らかにせず平然としているとは──。しかも、「週刊文春」(文藝春秋)によると、杉田議員には「1000万円前後の裏金があった」とされているのだ。
今回、検察は不記載額3000万円以上を立件ラインにしたと言われているが、これは検察が勝手に決めた基準にすぎず、政治資金規正法への不記載は完全な違法行為だ。裏金の使途について、多くの安倍派議員は明細を明らかにしないまま「政治活動に使った」などと言い張っているが、違法な裏金で政治活動をおこなってきたという一点だけでも議員失格であり、辞職以外の責任の取り方はない。
ところが、安倍派幹部らが立件を免れたことにより揃って不記載分の使途を明確にすることもなく開き直った結果、武田氏が指摘したように「2000円返し忘れたくらいのテンション」で水に流そうとしているのだ。異常なモラル崩壊が起こっていると言うほかないだろう。
派閥解散は論点ずらしと権力闘争! 安倍派幹部は森喜朗に泣きつき離党勧告から逃れようと…
しかし、いま起こっている異常事態はこれだけではない。それは、派閥解散による「論点ずらし」とどさくさ紛れの「権力闘争」だ。
ご存知のとおり、岸田文雄首相は岸田派の元会計責任者が立件されるという報道を受け、唐突に「岸田派の解散を検討する」と公表。そもそも岸田首相は昨年末に岸田派トップを退いており、なぜ派閥とは無関係の人物が解散検討を決定できるのか疑問しかないのだが、この岸田首相の発表を受け、安倍派や二階派、森山派などで“派閥解散ドミノ”が起こった。
あらためて指摘するまでもないが、派閥を解散したところで今回の裏金不記載問題の責任をとることにはまったくならない。むしろ、腐敗をもたらした構造的問題点を明らかにしないまま解散することは、たんなる論点ずらしと責任逃れだ。
つまり、岸田首相が派閥解散の口火を切ったのは、岸田派の前会長として責任を問われることや、派閥解消を訴える菅義偉・前首相などの無派閥勢力に主導権を握らせたくないという思惑があったことは明白。ようするに、自身の責任逃れや権力闘争の道具として持ち出したにすぎない。
しかも、岸田首相による派閥解散宣言の流れで解散を発表し、裏金問題の免罪符にしようとしたのが安倍派だが、解散を決定づけたのは森喜朗・元首相だった。25日付の日本経済新聞によると、森氏は岸田首相の表明を受けて萩生田光一・前政調会長ら「五人衆」などに電話をかけ、「君はどう思う? 私は早く解散すべきだと思う」と“天の声”を伝えていたというのだ。
森氏といえば、今回の裏金問題で特捜部も“本丸”として捜査に乗り出していた疑惑の人物。本サイトでもお伝えしたように、安倍派会長を退いてからも裏金に関与し、詳細を把握していたと見られている。実際、森氏は特捜部の捜査がはじまって以降、北國新聞のインタビュー連載を終了したり、世耕弘成・前参院幹事長や西村康稔・前経産相と“口裏合わせ”の密会をおこなっていた。そのような人物が、安倍派解散の糸を引いていたというのである。
そればかりか、森氏は自民党執行部が安倍派幹部に離党や議員辞職を求めたとする報道に激怒。25日に茂木敏充幹事長や麻生太郎副総裁らと面会し、安倍派幹部を擁護したという。ようは安倍派幹部が森氏に泣きつき、離党勧告を下させないよう釘を刺してもらったというわけだ。
ちなみに安倍派幹部は茂木幹事長に「安倍派だけを処分する理由をどう説明するのか。(立件された)二階派、岸田派の幹部も離党させるのか。岸田首相にも『離党しろ』と言うのか」と迫ったというが(朝日新聞25日付)、本来、不記載によって元会計責任者が立件されたことの責任をとり、岸田首相や二階俊博・元幹事長も議員辞職、少なくとも除名処分を受けるべきだ。ところが、そうした当然の政治責任をとろうとしないばかりに、「秘書ガー」を連呼する無責任極まりない安倍派幹部がいまだに議員としてのさばろうとし、とっくに政界を引退した“妖怪”まで引っ張り出して離党勧告から免れようとしているのである。
自民党政治刷新本部のふざけた中間とりまとめ! 派閥全廃も連座制も政治資金パーティ全面禁止も明記せず
このように、隅から隅まで腐り切った自民党に政治資金をめぐる政治改革など、実行できるはずがない。
実際、岸田首相が本部長を務める自民党の「政治刷新本部」が公表した中間とりまとめでは、「派閥全廃」を明記せず、派閥が政策集団として存続することを容認。さらに「派閥事務所の閉鎖」「党役員・閣僚の派閥からの離脱」も明記されなかった。過去、何度も繰り返されてきたように、冷却期間を経て派閥が復活するのは目に見えているだろう。
しかも重要なのは、政治資金収支報告書に虚偽記載があった場合に議員本人の刑事責任を問う「連座制」の適用や、企業・団体からの献金禁止、政治資金パーティの全面禁止が盛り込まれることがなかった点だ。
いったい、これで何が「政治の信頼を取り戻す」だ。この自民党によるとりまとめでは、今後も議員個人が政治資金パーティを開催し、企業・団体にパー券を売ることができる。しかし、政治団体ではない企業・団体については、どれだけパー券を購入したのかを確認しようがない。口座振込ではなく現金でパー券を購入させてしまえば、それを政治資金収支報告書に記載せず裏金化することが可能になってしまう。万が一、そうした裏金が発覚しても、連座制を適用できなければ、またも議員は「秘書ガー」と言い張って無罪放免となるではないか。
また、同じく問題なのが、自民党の中間とりまとめでは「政策活動費」にまったくメスを入れていない点だ。政治資金規正法では政治家個人への金銭の寄付を禁止しているが、例外として政党から政治家個人への寄付を認めている。さらに政治家個人の政治資金は使途を公開する義務がないため、「裏金の温床」と呼ばれてきた。事実、自民党は2022年の1年間だけで14億1630万円を政策活動費として支出し、うち計9億7150万円を茂木幹事長が受け取っているが、その使い道は明らかになっていない。
この政策活動費は自民党に限らず日本共産党以外の野党も軒並み支出してきたものだが、改革案として立憲民主党や日本維新の会などは政策活動費の廃止を打ち出している。だが、自民党はこの期に及んでも、この事実上の裏金を手放そうとしないのだ。
さらに、政権を握る自民党には「官房機密費」という裏金も存在する。
官房機密費は官房長官の裁量で機動的に使える予算で、情報提供者への謝礼などに使う「調査情報対策費」、情報収集のための贈答品などに使う「活動関係費」、そして「政策推進費」の3つからなり、このうち「調査情報対策費」「活動関係費」は領収書が必要となる。しかし、「政策推進費」は官房長官が自ら出納管理をおこなうもので、具体的な使途が特定されていない段階で国の会計からの支出が完了となる。つまり、国庫から引き出される金でありながら、領収書は不要、支払い先を明かす必要もなし、官房長官の判断ひとつで使える「ヤミ金」「究極のブラックボックス」と言うべき状態となっているのだ。そして、昨年11月、馳浩・石川県知事が東京五輪招致活動に絡み、官房機密費で豪華アルバムを作成しIOC委員たちにばらまいたと発言して問題となったように、官房機密費は国家の利益のためなどではなく、自民党が政治的工作のために湯水のように使っているという疑惑が指摘されてきた。
実際、第二次安倍政権下では菅義偉官房長官が86億8000万円超を「政策推進費」に充ててきたが、注目すべきは自民党総裁選時の支出だ。菅氏は2020年9月2日に総裁選への出馬を表明したが、その前日の9月1日に菅氏は官邸内にあった官房機密費1億3200万円余のうち9020万円を、自分が自由に使うことができる「政策推進費」に振り分けていた。さらに、菅氏が首相に指名された同月16日に官房機密費の引き継ぎがおこなわれたが、それまでに菅氏が使った金額は4820万円。つまり、たったの16日間で「ヤミ金」を約5000万円も使ったのである。これは明らかに、総裁選対策に使用されたとしか考えられない。
裏金問題を受けて官房長官は安倍派の松野博一氏から岸田派の林芳正氏に交代したが、今年秋におこなわれる自民党総裁選では、これと同じように、岸田派が総裁選工作として官房機密費を湯水のように使う可能性も考えられるのだ。
裏金問題を告発した上脇教授は「派閥をなくしても総裁選がある以上は裏金つくられ続ける」と指摘
今回の裏金問題を告発した上脇博之・神戸学院大学教授は、自民党の総裁選は公選法が適用されず買収し放題であるという構造的な問題を指摘したうえで、「派閥をなくしても、総裁選がある以上は裏金はつくられつづけるのではないか」と指摘している(TBSラジオ『荻上チキ・Session』26日放送)。裏金をつくらせない仕組みをつくるうえでも、官房機密費の問題にもメスを入れなければ、自民党の体質は変わらないはずだ。
さらに、上脇教授は「党や派閥の論理による中途半端な政治改革では、納税者・主権者である国民はたまったものではない」「泥棒に良い刑法がつくれないように、裏金をつくっていた人たちが立法を進めても良いものができるわけがない」と指摘すると同時に、「1994年の政治改革では『政党交付金を導入すればきれいな政治になる』と言っていたのが、裏金をつくっていた。もう税金を泥棒にあげるようなことはやめるべきだ」とも言及している。政党交付金という、わたしたちの税金が裏金議員を抱える自民党に投入され、支えるという仕組み自体を問い直す議論もなされるべきだ。
29日から国会では本格議論がスタートするが、実態解明はもちろんのこと、裏金議員たちにしっかり政治責任をとらせること、そしてあらゆる裏金が生まれないようにする根本的な改革がなされるよう、徹底した監視が必要だ。派閥の解散で禊を済ませるようなことは、絶対に許してはならないだろう。
●効果ない政策にバラマキ続ける”変わらない自民党”…「子育て政策」 1/29
岸田文雄首相が1月30日に行う予定の「第二百十三回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説」の原案を入手した。作家の小倉健一氏が全3回に渡ってその中身を解剖する。第2回は「子育て政策」について。小倉氏は「子どもを持っていない人々に、著しく不公平なばら撒き」と指摘する――。
自画自賛!これまでの子育て支援政策
自民党派閥の裏金問題などで岸田内閣は低支持率にあえいでいる。ANN(テレビ朝日系列)の世論調査(1月20、21日に実施)によれば、岸田内閣の支持率が政権発足以降最低の20.4%になった。政治資金を巡る問題で自民党の政治刷新本部の対策が再発防止に「つながる」と答えた人は16%で、「つながらない」が7割を超えた。岸田派の元会計責任者が立件されたことは岸田総理大臣に「責任がある」と答えた人が9割を超えた。
1月1日には能登半島地震が発災し、遅々として進まない政治改革、被災地の復興に国民の不満は爆発寸前だ。そんな今、国民の関心は、首相がどのような針路を示すのかにある。そして、同原案にはそれが記されている。本稿は原案にある「少子化対策」に絞って、岸田政権の方針を確認していこう。
冒頭、同原案では、能登半島地震の復興について詳しく述べつつ、<(包摂的な社会の実現)>の項目では<日本経済の最大の戦略課題は「デフレ完全脱却」である一方、日本社会の最大の戦略課題は「人口減少問題」です。民間有志による「人口戦略会議」の提言の深刻な危機感も踏まえつつ、「いま政府ができることはすべてやる」との構えで全力を挙げていきます>という前段を受けて、<第一は、こども・子育て政策です。前例のない規模でこども・子育て政策の抜本的な強化を図ることにより、我が国のこども一人当たりの家族関係支出は、GDP比で十六%とOECDトップのスウェーデンに達する水準となり、画期的に前進します>として、施政方針演説において、自らの実績を高らかに強調している。
日本の少子化は、晩婚化と未婚率の上昇で9割説明できてしまうというのがファクト
これは、岸田政権の発足以来の勘違いで、繰り返し様々に批判を受けていることであるが、聞く耳を持っていないようなので、もう一度、伝えておく。
対策をとることと、成果が上がることは全くの別物であるということだ。
わかりやすく説明したい。
ある家に金の延べ棒があるとする。家主は、泥棒から金の延べ棒を盗まれたくないので、防犯対策をする。入り口に防犯カメラをつけて、指紋認証をつけ、ロケットランチャーでも壊されないような丈夫なドアを作ったのだが、裏口は扉が開けっ放しのまま人が入り放題だとする。
当たり前だが、泥棒は簡単に金の延べ棒を盗み出すことができるだろう。しかし、監視カメラ付きの分厚いドアがある入り口の前で「膨大なお金を注ぎ込んで防犯対策をしました」と記念撮影をしているのが、岸田政権の「子育て政策」なのである。
日本の少子化は、晩婚化と未婚率の上昇で9割説明できてしまうというのがファクトだ。歴史的な事実として、日本人は若くして結婚すれば、平均的に二人の子どもを産んできたのだ。それが、晩婚化であったり、未婚率の上昇で、出生率が減っていったのだ。
出生率の向上に寄与することなどほとんどないことは各種データや研究から明らか
この場合、どうすれば出生率が上がるかは、小学生でもわかりそうなものだ。晩婚化を防ぎ、未婚率を減らせばいいのだ。しかし、岸田政権が行ったことは、児童手当の拡充、出産等の経済的負担の軽減、高等教育費の負担軽減だ。税金の投入先は子どもを産んだあとの人ばかり。
今回の原案にも<今年は、児童手当の抜本的拡充、高等教育の負担軽減、保育所の七十六年ぶりの配置改善、児童扶養手当の拡充など、いよいよ政策が本格実施されるステージに入ります。今国会に必要な法案を提出し、スピード感を持って、実行に移してまいります。単に制度や施策を策定するのではなく、社会全体で、こどもや子育て世帯を応援する機運を高める取組を車の両輪として進めてまいります>と書いてある。
トンチンカンとはこのことで、子育て世代にいくらお金をばら撒いたところで、出生率の向上に寄与することなどほとんどないことは各種データや研究から明らかだ。
●自民党を一刀両断「岸田首相は“小泉劇場”の再来、再浮上を狙っている」 1/29
2024年の干支は辰、「政変の年」と言われる。ロッキード事件は1976年、リクルート事件は88年に起きた。足元では自民党の裏金事件がくすぶり、世論の怒りは沸騰している。26日からの通常国会を野党は「政治改革国会だ」と腕まくりするが、「政治とカネ」をめぐる問題はなぜ繰り返されるのか。どんな手を打つべきなのか。そして、金権腐敗がはびこる自民党を追い込むことができるのか。裏金疑獄を「令和のリクルート事件」と名付けた政治学者に聞いた。
本家リクルート事件より悪質
──東京地検特捜部による裏金事件の捜査が一区切りしたタイミングで、岸田首相は先月まで会長に居座っていた第4派閥の岸田派(宏池会)を解散すると宣言。政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で岸田派とともに関係者が立件された最大派閥の安倍派(清和会)、第5派閥の二階派(志帥会)も解散を決めました。
掛け声は勇ましいですが、政治資金の受け皿である政治団体を解散し、事務所を閉鎖するだけで、派閥の実質的な機能は温存される可能性がある。人的ネットワークを根絶するのは不可能です。党総裁選、閣僚ポストなどの配分、選挙の公認などをめぐって今後も集団で動くことは十分に考えられる。「政治とカネ」の問題を特定派閥によるものだとすり替え、論点をずらそうとする動きを見過ごしてはいけません。裏金事件は、本家のリクルート事件よりもはるかに悪質です。現職の閣僚や党幹部が事実上、更迭される事態に発展したのですから。中枢の議員が立件を免れたからオシマイでは済まされません。
──岸田首相は政治刷新本部を設置し、「政治への信頼回復に努める」と言っています。
メンバーの4分の1超を安倍派が占める人選もさることながら、通常国会召集までに中間報告を取りまとめる拙速な運び。「やってる感」を演出するアリバイづくりの組織にしか見えません。「改革」ではなく、「刷新」を謳うのも欺瞞です。国民人気の高い「政治改革男」の石破元幹事長をメンバー入りさせたくなかったからなのか。目下、検証と徹底が求められている自民党の「政治改革大綱」は、石破氏ら当時の若手議員による自発的な働きかけを受けて取りまとめられた。そうした経緯を鑑みても、岸田首相の本気度は怪しい。その一方で、「小泉劇場」の再来を狙っているようにも見えます。
──どういうことですか。
自民党の一組織に過ぎない刷新本部に耳目を集め、派閥の対応によって「悪い自民党」「良い自民党」に色分け。これからは「悪さをしない自民党」を中心にやっていくとアピールする。郵政民営化をめぐり、小泉元首相が「改革派」と「守旧派」という劇場型の対立構図をつくり、それにのみ込まれた世論も大いに盛り上がりましたよね。
──つまり、カネに汚い議員や集団は一部に過ぎず、大半はクリーンだと? 金権腐敗は自民党の体質ではないと?
そうです。党内組織でガヤガヤやっていれば、「小泉劇場」ならぬ「岸田小劇場」の見せ物で自民党はメディアジャックできる。野党の動きはてんで報じられない。そうして「政治とカネ」の問題は矮小化され、コップの中の嵐で終わることを期待しているのではないか。内閣支持率が2割を切り、このままいけば岸田政権はもたない。印象アップのためには、なりふり構っていられません。
──岸田政権を支える第2派閥の麻生派(志公会)会長の麻生副総裁や、第3派閥領袖の茂木幹事長は解散に否定的です。
存続派が主張するように、確かに派閥には人材育成の役割もある。しかし、派閥の流儀が走り過ぎた結果、裏金は億単位に上り、関与した議員も多数いる。世論は派閥温存に納得しないでしょう。日本の政治にはカネがかかるといまだに言われますが、なぜ派閥と議員が結託して裏金をつくっていたのか。2つの選挙にカネを要するからです。衆参両院の国政選挙、そして党総裁選です。それぞれの選挙区の地方議員を動かすカネ、領袖を総裁に押し上げるために他派閥を取り込むカネ。「ニッカ」「サントリー」「オールドパー」といった隠語が飛び交った時代ほどではないにしろ、総裁選にはカネがかかる。党内選挙は公職選挙法が適用されないので、歯止めが利きません。
求められる「令和の政治改革」
──総裁選があった21年分の政治資金収支報告書によると、岸田派は組織活動費として1億円超を支出。6派閥の22年分の総額を上回っていた。表に出ている分だけでも巨額です。
「平成の政治改革」で衆院は中選挙区制から小選挙区比例代表並立制となり、派閥単位で候補者を擁立できなくなりました。派閥政治や金権腐敗を払拭し、政党本位・政策中心の選挙への転換を目的としたものでしたが、官邸あるいは党本部に権力が集中。総裁や幹事長に誰が就くかで公認、ポスト、カネの差配は左右されることから、我先に主流派を目指し、派閥間競争が苛烈になった。この仕組みの恩恵を享受してきたのが、ほかならぬ安倍派。安倍1強を維持するため、政治資金パーティーを舞台にした錬金術で得たカネで子分を増やしてきた。強大な力を持つ最大派閥の行き過ぎた不正に疑問を差し挟めなかった成れの果てが、裏金事件なのです。小選挙区制の是非も含め、30年前の政治改革を評価し直す必要がある。大ナタをふるわないと国民の留飲は下がらないでしょう。「令和の政治改革」が求められています。
──ザル法と言われる政治資金規正法改正による厳罰化が俎上に載せられていますが、具体的なところでは?
パーティー券購入者の公開基準引き下げ。まずは寄付とそろえて5万円超にした方がいい。会計責任者が有罪になった場合、議員が自動失職する連座制の導入。国会から独立した第三者機関を設け、カネの流れをチェックしなければなりません。収支報告書のデジタル化も必須です。国民には紙の健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一本化すると迫っているのに、政治資金は手つかずなんて通りません。「平成の政治改革」で創設された政党交付金もしかり。自民党への交付は昨年が159億円超、今年は160億円超の見通しです。満額受領はどう考えてもおかしい。減額、不交付などのペナルティーを科すべきです。違法薬物事件が起きた日大への私学助成は、3年連続で全額不交付ですよ。政治資金は「入り」だけでなく「出」も見えるようにしなければ意味がない。政党が党幹部に毎年多額の支出をしている政策活動費や、国会議員の「第2の財布」とされる調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開も早急に実現すべきです。
「財布」透明化は待ったなし
──政治家の「財布」の透明化は待ったなしですね。政治家ではない親族による政治団体の継承についてはどうですか? 安倍元首相夫人の昭恵氏が億単位の資金を抱える亡夫の政治団体を非課税で引き継ぎ、問題視されています。
政治資金が税制優遇されているのは、その活動に公益性が認められるためです。政治活動を行わない場合は、通常のルールにのっとって処理するのが筋でしょう。議論の余地があります。
──「政治とカネ」をめぐる問題はすべてテーブルにのせてほしいです。
自民党任せでは一歩も前に進みません。衆参両院議長の名の下、国会としての協議体を立ち上げ、与野党だけでなく、専門家や有権者も加わって議論するべきです。政治不信は極大化しています。自民党への信頼が損なわれているだけでなく、日本の政治そのものに対する信頼が損なわれている。立法府の責任が問われています。
──国会でやれるんでしょうか。
リクルート事件を受けた政治改革の議論は半年ほど要しました。通常国会で方向性を固め、少しずつ手直ししていくのが現実的ではないでしょうか。昭和のロッキード、平成のリクルート、令和のパー券。ホップ・ステップ・ジャンプではありませんが、「政治改革」でなすべき本当の解をいい加減に出さないと、この国の政治は立ち行きません。
●政治責任、岸田首相「党として検討」 裏金事件の調査結果公表―参院予算委 1/29
岸田文雄首相は29日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金規正法違反事件に関し、「政治責任について党として対応を考える」と述べた。また、「党として実態把握に努め、整理をした形で国民に示していかなければならない」と述べ、調査結果を公表する考えを示した。自民の磯崎仁彦氏への答弁。
規正法改正に関しては「議員立法で行われるべきものだ」との認識を示した。公明党の谷合正明氏の質問に答えた。
●岸田首相、裏金問題で連座制導入に言及 「党として考え方まとめる」 1/29
岸田文雄首相は29日の衆院予算委員会で、政治資金収支報告書の虚偽記載などで会計責任者が有罪になった場合に政治家自身も責任を負う「連座制」の導入について、「厳格な責任体制を確立する観点から、自民党として考え方をまとめ、各党ともしっかり議論を行っていきたい」と述べた。
自民党の丹羽秀樹氏への答弁。岸田首相は「政治資金が政治資金規正法にのっとって取り扱われることは当然であり、違反した場合には厳正な対応が行われるべきだとの問題意識は、私も共有する」と述べた。
その上で、連座制導入に向けた課題として「対象とする政治団体の範囲、対象とする違反の種類」を挙げ、「様々な課題について丁寧な議論を行う必要がある」とした。
●岸田首相、連座制導入に前向き 政策活動費、法改正議論―裏金事件 1/29
衆院予算委員会は29日午前、岸田文雄首相と関係閣僚が出席し、「政治とカネ」の問題に関する集中審議を行った。首相は自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けた政治資金規正法改正に関し、会計責任者だけでなく議員本人の責任も問う「連座制」の導入に前向きな意向を表明。使途公開の必要がない「政策活動費」の見直しに言及した。
自民党の丹羽秀樹氏、立憲民主党の階猛氏の質問に答えた。党幹部に対し、関係者への事情聴取を行うよう指示したことも明らかにした。
首相は審議の冒頭、事件について「自民党総裁として心よりおわびする」と陳謝。「政治資金規正法改正など必要な法整備を進めていく」と述べた。
その上で「連座制も含めて各党とも議論を行っていきたい」と明言。政策活動費の扱いについて「国会で法改正も含め真摯(しんし)に議論したい」と述べた。
●岸田首相「国民におわび」連座制議論へ 衆院予算委、政治資金巡り論戦 1/29
衆院予算委員会は29日午前、自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受け、岸田文雄首相らが出席して政治資金問題に関する集中審議を行った。通常国会で首相による施政方針演説の前に集中審議が行われるのは異例だ。
首相は冒頭、「国民の信頼を損ねる大変深刻な事態を招いていることについて、自民党総裁として心よりおわびする」と述べた。昨年12月に安倍派(清和政策研究会)の松野博一前官房長官ら4閣僚が辞任したことについては「任命責任者としての責任を重く受け止めている」と説明した。
自民の政治刷新本部による中間取りまとめを踏まえ、政治資金の透明化や政治資金規正法改正などの改革に向けて「先頭に立って、取り組みを必ず実行していく」と強調した。
この後の質疑応答の中で、首相は「党として実態解明に取り組まなければならない」と述べ、党幹部に対し、関係者に対する事情聴取を行う枠組みの作成を指示したことを明らかにした。
議員も連帯責任を負う「連座制」に関しては「党として考え方をまとめ各党ともしっかり議論を行ってまいりたい」と述べた。政党から議員に寄付し、使途公開が不要な政策活動費の使途公開については「政治の自由にかかわるので、各党会派で真摯な議論を行いたい。政府、自民党としても真摯に対応していきたい」と語った。
●春闘スタート 岸田首相掲げる「物価高を上回る賃上げ」に「期待せず」6割… 1/29
通常国会が開会した。岸田政権にとっては、政治と金問題という難題と、能登半島地震の復興が喫緊の課題となる。加えて、政権発足以来の最重要課題が「賃上げ」だ。1月から働く人の賃上げ交渉、春闘が始まるなか、世論調査で、岸田首相が「今年の夏頃に」と掲げる「物価高を上回る賃上げ」の実現への期待を聞いたところ、「期待する」41.5%、「期待しない」が57.3%となった。
約6割が「期待しない」結果となり、岸田首相にとっては厳しい結果となった。これを支持政党別に見てみると、自民支持層からは「期待する」55.2%、「期待しない」44.5%、と結果は反転して、6割近くが「期待」していることが明らかになったが、世論調査で有権者の半数近くを占め、最も多い無党派層は期待しないこと「期待する」35.0%、「期待しない」63.2%、足下の自民支持層こそ期待しているが、全体的には期待は広がっていないことがわかる。
FNN世論調査では、岸田首相の「物価高を上回る賃上げ」への期待について、2023年11月、経済対策を公表した当時にも質問を行っている。経済対策では、非課税世帯に1世帯当たり7万円の追加支給や、1人あたり4万円の定額減税を行うことなどを表明したが、当時「物価高を上回る賃上げ」については「期待する」27.0%、「期待しない」71.0%と期待しない声は、今回よりも10ポイント以上高かった。
同じく自民党支持層でも、「期待する」50.3%、「期待しない」48.4%、無党派層では「期待する」17.6%、「期待しない」80.2%で、各支持層ごとに期待の度合いは違うものの、去年の11月に比べて、賃上げが実現することへの期待は高まっていることが今回の調査で明らかになった。
岸田首相の掲げる「物価上昇を上回る賃上げ」への期待
(今回)       
       期待する   期待しない
全体     41.5%    57.3%
自民支持層  54.4%    44.5%
無党派層   35.0%    63.2%
(2023年11月)       
       期待する   期待しない
全体     27.0%    71.0%
自民支持層  50.3%    48.4%
無党派層   17.6%    80.2%
“景気・賃上げ対策”に求められる難しい判断
この2カ月、賃上げに関連して岸田首相は、経団連の十倉会長、連合の芳野会長と「政労使会談」を2023年11月、2024年1月22日と2度にわたり行った。1月末に始まった春闘直前の「政労使会議」で岸田首相は「物価高を重視し、昨年を上回る賃上げ」を要請した。財界代表の経団連十倉会長は、会談後「経済も賃金も物価も安定的に上昇して、好循環にまわす」と述べ、正念場としつつ「賃金上昇」にも言及する会見を行った。
また、これに先立つ1月19日には、医療・介護・障害福祉関連団体のトップに対し首相官邸で「賃上げの実現」を念押しした。さらに、この2カ月の動きとして。年末から今月にかけて、経済対策のうち住民税非課税世帯への1世帯当たり7万円の給付が全国の自治体で始まった。こうしたことも期待が“じわり”と高まっている要因と考えられる。さらに、岸田首相は、6月には1人あたり所得税を4万円引き下げも予定している。
一方で、ガソリン価格の抑制の補助金は今年4月までの予定で、今後の見通しは決まっていない。兆円単位の財源投入には慎重論も出ていて、補助金延長を世論がどう考えるか、打ち切りとなりガソリン価格が値上がりした場合、賃上げ実感はどうなるのか、岸田政権の景気・賃上げ対策は、今後も難しい判断が求められる。  
●政治責任、党で対応検討=裏金事件の調査結果公表へ―参院予算委 1/29
岸田文雄首相は29日、参院予算委員会の集中審議で、自民党派閥の政治資金規正法違反事件について党本部として調査し、当事者の政治責任に関して対応を検討する方針を示した。
調査結果を公表する意向も明らかにした。
首相は「今回の問題はコンプライアンス(法令順守)の欠如が最も大きな原因だ。実態把握に努め、整理をした形で国民に示していかなければならない」と明言。「政治責任について党として対応を考える」と述べた。自民の磯崎仁彦氏への答弁。
立憲民主党の熊谷裕人氏は、派閥の解散に先立って説明責任を果たすよう求めた。首相は「派閥として説明責任を果たしていくことは、最優先で取り組まなければならない」と答えた。
共産党の山添拓氏は、2019年と22年に安倍派が改選を迎える参院議員に対し、パーティー券販売で集めた資金の全額をキックバック(還流)していた疑いがあると追及。首相は「実態解明が重要だと強く感じている」と述べるにとどめた。また、岸田派でも還流の仕組みがあったことを認めた上で、「全て政治資金規正法にのっとって取り扱っている」と強調した。
規正法改正に関しては、「議員立法で行われるべきものだ。与野党による議論の場が設けられた場合、党として積極的に貢献したい」と語った。公明党の谷合正明氏の質問に答えた。
●逃げ得とは卑劣な!自民党・安倍派議員から巻き起こった 「裏金5人衆」 1/29
政治資金パーティー券問題で多くの議員がキックバック(還流)を受けたとして非難を浴びている自民党派閥の清和政策研究会(安倍派)で、座長である塩谷立衆院議員の議員辞職が取り沙汰されているが、派内では西村康稔前経産相ら「5人衆」の責任を問う声が根強い。
福田達夫元総務会長ら約30人の同派所属議員が1月26日に開いた会合後、出席者のひとりは「5人衆の全てが責任を取るべきだ」と発言した。この議員によると、離党にとどまらず議員辞職を求める声も上がっているという。
組織論から言うと、会長不在の中で事実上のトップである塩谷座長と、事務総長の高木毅前国対委員長が責任を取るべき立場にいる。だが「5人衆」は会長だった安倍晋三元首相が2022年7月に暗殺されて以降、派内をまとめる立場にいた上、岸田文雄内閣で閣僚、党幹部のポストを占め続けた。
「自分たちだけいい思いをして、都合が悪くなったら無役だった塩谷さんに責任を押し付ける。それはないだろう、という思いが派内に多い」(中堅議員)
しかも安倍元首相はノルマ以上のパーティー券代のキックバック不記載をやめるよう指示したが、亡くなった後、事務総長だった西村氏らはそれを復活させていた。世耕弘成前参院幹事長は同年7月の参院選の責任者として、カネなどを差配する立場にいた。世耕、西村両氏ともに、政治資金の問題は秘書がやっていたことで自らは知らなかったと弁明しているが、「世耕、西村両氏がしっかりとしていたならば、こんなことは起きなかった」(若手議員)として、2人の責任を問う声が多い。
松野博一前官房長官については、他の派閥幹部から、「官房長官として、法務省からなんらかの形でアドバイスを受けるべき立場にいた。にもかかわらず、報道が出るまで放置していたとは信じがたい」とする声が出ている。
世耕氏は昨年10月の参院本会議で、こう言っている。
「(内閣)支持率が向上しない最大の原因は、国民が期待するリーダーの姿を示せていないことに尽きる」
身内として異例の形で岸田首相を批判したが、その言葉は今、そのまま世耕氏に当てはまっている。世耕氏や西村氏らにはリーダーとして議員辞職、あるいは離党してけじめをつけることが求められている。
●麻生太郎 上川外相への「そんなに美しい方とは言わない」発言に批判殺到 1/29
自民党の麻生太郎副総裁(83)の発言がまたも物議を醸してる。
1月28日、福岡県芦屋町で講演した麻生副総裁。各メディアによると昨年9月から就任した上川陽子外務大臣を評価した上で、「(党内で)新たなスター、新しい人がそこそこ育ちつつある」「ぜひ女性、若い人、こういった人たちをわれわれは育てねばならない」と語ったという。しかし上川外相が昨年9月、アメリカ・ニューヨークを訪問したことを回想すると、こう述べた。
「そんなに美しい方とは言わんけれども、堂々と話をして、英語できちんと話をし、外交官の手を借りずに自分でどんどん、会うべき人に予約を取っちゃう」
「俺たちから見てても、『このおばさんやるねえ』と思った」
さらに講演内で、麻生副総裁は上川外相のことを「カミムラ」と複数回間違えたほか、「女性が日本の外務大臣になった例は過去にないと思う」とも発言した。しかし’01年に田中眞紀子氏(80)が、そして’02年に川口順子氏(83)が外務大臣に就任している。
スピーチ自体は上川外相をほめるものではあったものの、自民党の副総裁という立場でありながら、上川外相について「美しい方とは言えない」と容姿について指摘するような発言をした麻生副総裁。名前や事実を誤認している点も合わさり、ネット上では《つける薬のないセクハラおやじ》《「このおばさん」「そんなに美しい方とは言わんけれども」って!完全セクハラだし!!「女性が日本の外相になった例は過去にないと思う」も間違ってるし》《なんで誰かの仕事ぶりを評価するのに外見にも言及しないといられないんだろう》などと厳しい声が相次いだ。
2019年2月に行われた自身の国政報告会では、少子高齢化問題に絡み「年寄りが悪いみたいなこと言っている変なのがいっぱいいるけど間違ってますよ。子どもを産まなかった方が問題」と発言し問題に。さらに、昨年1月には「(少子化の)一番、大きな理由は出産する時の女性の年齢が高齢化しているからです」とも述べ、批判が寄せられるなど、失言の例をあげればキリがない麻生氏。過去の失敗から学ばず、失言を繰り返す麻生氏に対し”引退”を求める声も上がっている。
《いつまでも麻生節はいりません。それなら人権に敏感な別の人にその一席譲ってもらいたいものだね》
《これだけ失言の多い人も珍しいですね。日本の国会議員の質と品位を疑われますよ。こんな人が国会の中枢にいること自体、不思議です》
《他人の容姿に触れることとはハラスメントであること、ご存じない?人権感覚が欠如しているこういう方は国会議員の資格がないし、社会人としたって欠格。辞めて欲しい》
《このタイミングでまたこういう発言 もう無理でしょう、マズイことを判断できない年齢になってる》
《こういう人、引退しないと自民は変わらないね》
●上川陽子外相の容姿「そんなに美しい方とは」麻生太郎氏 1/29
自民党の麻生太郎副総裁が28日、福岡県芦屋町で講演し、上川陽子外務大臣の容姿について「そんなに美しい方とは言わない」などと述べました。
麻生太郎副総裁の発言
昔より単純じゃなくなりました。国際関係はものすごく複雑になっております。それが今の世の中なんであって、政治はその中にあって、外交としていろいろな問題を対応させていただいております。
その中で、例えば、今女性というものであれば、今の外務大臣はカミムラ陽子。女性ですよ。女性が日本の外務大臣になった例は過去にない、と思います。 しかし、このカミムラ陽子は、大したもんだぜ、これは。俺たちから見てても。「ほー、このおばさんやるね」と思いながら、こないだニューヨークへあったけども、少なくとも、そんなに美しい方とは言わんけれども、間違いなく堂々と話をして、英語ももちろんきちっと話をし、自分で予約から何から、外交官の手を借りながら「ああ、私がやるからいい」、自分でどんどん、会うべき人たちは自分で予約を取っちゃう。そして「会うべきだ」、バッ。1週間の間にニューヨーク国連の総会の後、バタバタっとやってのけたのを見て、「はー、これは大したもんだ」、つくづく思いました。あんなことできた外務大臣、今までいません。
ぜひそういった意味で、新しいスターが、新しい人がそこそこ育ちつつあるんだと思いますね。ぜひ女性、若い人、こういった人たちを、我々は育てねばならなん。そういう義務と責任があるんだと思っております。
ほめた相手の名前も言い間違えて
福岡県芦屋町の講演会で自民党の麻生太郎副総裁は、上川陽子外務大臣について「新しいスター」と外交手腕を評価する一方で、容姿についてこのように言及しました。
また、上川氏の名字を「カミムラ」と複数回間違える場面もありました。このほか「女性が外務大臣になった例は過去にないと思う」と述べましたが、これまでに田中真紀子氏と川口順子氏も女性で外務大臣を務めています。
一方、自身が率いる麻生派については存続させる意向を表明し「とにかく結果を出していく」と述べました。

 

●能登半島地震、復旧復興支援本部1日に初会合=村井官房副長官 1/30
村井英樹官房副長官は30日午後の会見で、政府が新たに能登半島地震復旧復興支援本部を31日に立ち上げ、2月1日に第1回会合を開催すると説明した。政府の全閣僚がメンバーとなり、被災地の街づくりも含めた中長期的な支援体制を構築していくとした。
同本部は岸田文雄首相が本部長となり、被災地で聞かれる過疎化の一層の進展などの懸念を踏まえ、政府が一体となって支援していく。
●知事 被災者の生活再建や物価対策に力入れ新年度予算編成を 1/30
新潟県の新年度予算案について、知事が内容を精査する「最終調整」の作業が30日から始まり、花角知事は、能登半島地震で被災した人の生活再建や物価高騰対策などに力を入れて予算編成を行う考えを示しました。
新潟県の新年度予算案の最終調整は、毎年各部局からの要求額が出そろうこの時期に行われていて、知事がそれぞれの事業について説明を受けて、予算に盛り込むか判断します。
これに先立ち、花角知事は30日、能登半島地震で被災した人の生活再建や、エネルギーや資材などの価格高騰への対策、それに子育て支援の充実などに力を入れて新年度の予算編成を行う考えを示しました。
花角知事は「地震や物価高騰などの足元の課題を考えながらも、新潟県を将来に向かって発展させるための取り組みも進めていかなければならない」と述べました。
その後、花角知事は知事室に集まった副知事など県幹部らと話し合いを行いました。
県は最終調整の作業を来月8日まで行って予算案を固め、来月19日に開会する定例県議会に提出する予定です。
●能登半島地震 新潟県内の住宅被害は1万2300棟余りに 1/30
能登半島地震で新潟県内で被害が確認された住宅は、30日までに1万2300棟余りとなりました。
新潟県などによりますと、今回の地震で県内でけがをした人は49人で、新潟市内の小学生1人が帰省先の石川県内で被災し、亡くなりました。
また、30日までに県内で被害が確認された住宅は、新潟市を中心に29日から622棟増え、1万2339棟となりました。
内訳は全壊が86棟、半壊が1837棟、一部破損が1万402棟、津波による被害は床下浸水が14棟です。
また、新潟市によりますと、30日までに市には「り災証明書」の交付のための調査の申請が1万1222件提出され、1万125件で調査が終了したということです。
一方、新潟市では「り災証明書」は、これまでに656件、交付したということです。
●解体安倍派の店じまい 野党の追及かいくぐり収支報告書訂正“先延ばし” 1/30
自民党派閥の裏金事件をめぐり、その悪質性を露呈させた安倍派だが、連中に反省の色は見えない。「東京地検特捜部に恭順の意を示すべく、派閥単位で政治資金収支報告書を訂正するとしたものの、モタモタと先延ばしにしている」(自民党中堅議員)からだ。
およそ80人の所属議員が裏金をつくっていた安倍派は、31日にも収支報告書の訂正を総務省に届け出て、来月1日に派閥総会を開き、解散に向けた事務手続きなどを説明する見通し。
「個別の議員による収支報告書の訂正は2日に届け出る見込み」(安倍派関係者)というからふざけている。29日の衆参両院予算委員会の集中審議、31日からの代表質問で突っ込まれるのを避けたい意図がミエミエなのだ。
というのも、最高幹部の「5人衆」と座長の塩谷元文科相は、この週明けまでにそれぞれ会見。
「キックバック」を「還付金」、「中抜き」を「留保金」などと巧妙に言い換えながら、政治資金パーティー収入の不記載額を明示していたのだ。その額は萩生田前政調会長2728万円、世耕前参院幹事長1542万円、松野前官房長官1051万円、高木前国対委員長1019万円、塩谷234万円、そして西村前経産相の約100万円。
グズグズしているのは、さらなる上積みがあるからなのか。まさか、立件ラインの3000万円を超過しないように付け替えているのか。
「派内には収支報告書の訂正を拒む議員もいて、〈耳をそろえて返金するから、なかったことにしてほしい〉という声も上がっている」(安倍派関係者=前出)
ドロボーが盗品を戻したからといって、犯罪は消えない。子供だましの手口で国民を欺くのはいい加減にしろという話だ。
裏金事件の端緒を開いた神戸学院大教授の上脇博之氏は29日、日本記者クラブで会見。収支報告書を訂正した安倍派議員について、規正法違反容疑で追加告発する意向を明かした。安倍派の面々は首を洗って待っていたほうがいい。
●「全額残っているから裏金じゃない」キックバック正当化する岸田首相 1/30
「国民の信頼を損ねる大変深刻な事態を招いていることについて、自民党総裁として心よりお詫び申し上げます」
1月29日の衆院予算委員会で、岸田文雄首相は自民党国会議員が政治資金パーティー収入の一部を政治資金収支報告書に記載していなかったことについて陳謝した。
「党の政治資金問題について答弁できる閣僚は、総裁である岸田首相だけと言われています。他の閣僚は党務から離れているからです。
そのため質問は必然的に岸田首相に集中します。今後も首相が『火だるま』になることは間違いありません。
この問題では野党の足並みが揃っていて、自民党所属の全国会議員への調査、立件が見送られた安倍派幹部6人の参考人招致などを求めています」(政治担当記者)
また、岸田首相は同委員会で「安倍派(清和政策研究会)で30人以上、二階派(志帥会)で7人が政治資金収支報告書の訂正をしたことも明らかにしている。
「答弁のなかで岸田首相は、会長を務めた岸田派(宏池政策研究会)の不記載だった3年ぶん3059万円についても触れました。首相は『すべてが銀行口座に残されており、流用されたとか、裏金になったとかいうことではないと認識しております』と強調しました」(同)
しかし、この「使っていないんだから裏金ではない」という、キックバックを正当化するような答弁に、ニュースサイトのコメント欄は、
《銀行口座に残っているから裏金ではないという理屈はおかしい。収支報告書不記載で口座に入金されたまま金が残っている状態であることが、裏金そのもの》
《口座だろうが、金庫だろうが、引き出しだろうが同じ 要するに裏金を作ったわけで、会計責任者の数年のミスで3059万円も残すなどありえない》
《どんな理屈や?一般国民が「脱税」して「口座に残ってますよ」・・・で済まされるのか?》
など、「永田町の屁理屈」への疑問と怒りが、“一億総ツッコミ” 状態となっていた。
通常国会の会期は150日。野党の攻め手は、これからもっと激しくなるが、29日の答弁を聞いた自民党関係者はこう指摘する。
「岸田首相は何度か言葉につまりました。原稿の棒読みが国民から批判されていることもあり、『なるべく原稿を読まず自分の言葉で』ということなのでしょうが、『ん〜っと』みたいな言葉が頻繁に出てしまっており、かえって『行きづまり感』が出てしまっています」
真相解明に期待したいが、はたして――。
●「五輪の栄光は消えた」自民・堀井学氏、キックバック2196万円 裏金まみれ 1/30
1月27日、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、堀井学衆院議員(比例北海道)は、派閥からのキックバックが2018年〜2022年の5年間で計2196万円あったと明らかにした。
堀井氏は「政治不信を招いたことをおわび申し上げます」と陳謝し、キックバック分の使途についてこう説明した。
「それぞれ支援者を増やす会合に参加する経費であるとか、またその方々と友好を深める2次会に参加するとか、有権者のみなさまに信頼を寄せていただくための活動や行動をとっていくうえで、必要な経費が増えていったのだと思っております」
収支報告書への不記載は、清和会のルールと認識していたと語った堀井氏。キックバックの具体的な経緯を問われると、秘書が退職していることを理由に具体的な回答を避けた。
「該当する秘書が、それぞれ退職をされて、次なる職場で次の人生を歩まれておりますので、その部分については差し控えさせていただきたいと思います」
堀井氏は「第2の人生」などと7回も繰り返し、会見は40分で打ち切られた。近く政治資金収支報告書を訂正するという。議員辞職や離党はせず、次期衆院選にも出馬する意向を示した。
堀井氏が2196万円ものキックバックを明らかにしながら、具体的な説明を避けたことに、SNSでは批判的な意見が殺到した。
《友好を深める二次会経費とか秘書は第二人生を歩んでるとか、一般社会では通用しない言い訳ばかりの会見。しかも自ら打ち切りで逃げる》
《よく議員が秘書がもう退職と言って逃げるけど、退職した途端行方不明になるわけないし、連絡くらいすぐ取れるだろうに》
《すげーな…裏金作って税金ふところに入れて、それで飲み食いしたのに、悪びれず議員辞めないとか言うのか…さすが自民党クオリティ》
堀井氏は元スピードスケートの選手で、1994年のリレハンメル冬季五輪の男子500メートルで銅メダルを獲得。2012年、衆院議員に初当選し5期め。
安倍派に所属するアスリート出身議員では、橋本聖子元五輪担当相が2057万円、石川県の馳浩知事が衆院議員時代に819万円のキックバックを受け取り、政治資金収支報告書に記載していなかったと明らかにしている。
そのため、SNSでは元アスリート議員が多額のキックバックを受け取っていたことに対し、批判的な声が多くあがっている。
《スポーツは健全な精神を養うは戯れ言だと言うのを橋本聖子・馳浩・堀井学は教えてくれている》
《裏金問題。安倍派に属していた元アスリートは全滅。全て文教族で教育やスポーツ行政に携わった奴ばかり。子供たちへ説く前に、まず、お前らが倫理や道徳を学び直せ》
《秘書と議員は一連托生、本当に申し訳ないと思うなら議員辞職して再出馬で有権者の審判を受けるべきではないか。五輪の栄光は消えた》
《堀井学といい、橋本聖子といい、元オリンピアンがこんな態度でいいのかな》
日本オリンピック委員会のHPでは「フェアプレー」をこう説明している。
《スポーツにはルールがあり、そのルールを守ることでアスリートが互いに競い合い、高めあう。それがスポーツマンシップであり、オリンピズムの一つです。》
アスリート出身議員は「フェアプレー」の精神を忘れてしまったのだろうか。
●野党4党 自民の全国会議員対象にキックバックの調査を要求 1/30
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、立憲民主党など野党4党は、新年度予算案の実質的審議が始まる前に、事件の全容を明らかにすべきだとして、自民党所属のすべての国会議員を対象に、派閥からキックバックを受けていたかを調べて、その結果を提出するよう求めることで一致しました。
立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党の野党4党の国会対策委員長が、30日午前、会談し、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けた今後の国会対応を協議しました。
この中で4党は、新年度予算案の実質的審議が始まる前に事件の全容を明らかにすべきだとして、自民党所属のすべての国会議員を対象に、派閥からキックバックを受けていたかを調べて、その結果を、来週5日までに、国会に提出するよう求めることで一致しました。
また、政治倫理審査会を開催し、二階派の会長を務めてきた二階元幹事長のほか、安倍派の座長を務める塩谷元文部科学大臣や「5人衆」と呼ばれる有力議員らに説明を求めていくことも確認しました。
立憲民主党 安住国会対策委員長「危機感が足りず」
このあと、立憲民主党の安住国会対策委員長は自民党の浜田国会対策委員長と会談し、野党側の要求を伝えました。
浜田氏は、持ち帰って検討する考えを示しました。
安住氏は記者団に対し「岸田総理大臣は、一歩前に出てリーダーシップをとるべきだ。これだけの不祥事に対する危機感が足りず、大変残念だ。調査結果を出さないまま予算委員会の質疑が順調にいくと思わない方がいい」と述べました。
自民 御法川国対委員長代理「真摯に受け止めなければ」
自民党の御法川国会対策委員長代理は記者団に対し「極めて異例な形で始まった国会で『政治とカネ』が非常に大きな問題になっている中での申し入れなので、わが党として真摯(しんし)に、しっかりと正面から受け止めなければならない」と述べました。
自民 石井参院国対委員長 前向きに対応する考え示す
参議院でも30日午後、与野党の国会対策委員長などが国会内で会談し、今後の審議日程を協議しました。
この中で、立憲民主党の斎藤参議院国会対策委員長ら野党側は、自民党所属のすべての参議院議員について派閥からキックバックを受けたかなどを調べ、リストにして提出するよう求めました。
これに対し、自民党の石井参議院国会対策委員長は「来月5日にも始まる衆議院予算委員会の実質的審議に間に合うようリストを作りたい」と述べ、前向きに対応する考えを示しました。
●茂木派「いわゆる派閥は解消」 政策集団としての活動は継続の方針 1/30
自民党の茂木幹事長は、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、自身が会長を務める茂木派について「いわゆる派閥は解消する」と表明しました。
自民党 茂木敏充幹事長「いわゆる派閥としては解消し、お金や人事から完全に決別します」
茂木幹事長は裏金事件を受けて設置した政治刷新本部の中間とりまとめに沿って茂木派も対応していく考えを示し、今後は「新たな政策集団に脱皮していく」と述べました。
また、小渕選対委員長らが派閥からの離脱を表明するなか、党四役が派閥を離脱するべきかについて、「派閥に属しているかどうかで選挙や人事において異なる対応をしてきたことはない」「中立公正な立場で対応していく」と話し、自身は派閥を離脱しない考えを示しました。
●内閣支持率の微増・横ばい「派閥を解散したことと震災対応で持ち直した」 1/30
政治ジャーナリストの田崎史郎氏が30日、TBS「ひるおび!」に出演。岸田内閣の支持率が前回調査からほぼ横ばいとなっていることに言及した。
番組では、毎日新聞社の全国世論調査(27、28日実施)で、岸田内閣の支持率は前月比5ポイント上昇の21%で8カ月ぶりに上昇し、日本経済新聞の全国世論調査(26〜28日実施)では、前月比1ポイント上昇の27%でほぼ横ばいだったと伝えた。
田崎氏は、上昇・横ばいの理由について「派閥を解散したことと震災対応で持ち直したということがと思う」と自身の見解を述べ、「この世論調査はこの土、日なんですね。先週などは岸田総理のペースでずっと進んできてこれ(微増・横ばい)なんですよね」と説明した。
そして「昨日からは野党ペースなんですよ。しかも昨日の質疑、衆院で3時間、参院で3時間の予算委員会をやったんですけれども、ほとんど総理が答弁しているんですよ」と指摘し、「政治とカネの問題で答弁できるのは、閣僚で党の仕事と兼務できているのは総理だけなんですよ。自民党総裁で総理なんですね。ほかの人たちは自民党の役割を持っていませんから、この問題で答弁できるのは総理だけで、総理が1人で来週予定通りならば予算委員会が始まるんですけれども、ずっと答え続けないといけない」と今後について話した。
●連座制を求める与党にも後ろ向き 野党「首相は火のないただのタマ」 1/30
自民党派閥による政治資金パーティーの事件を受け、通常国会の論戦の皮切りとなる衆参の予算委員会が29日にあった。安倍派による組織的な裏金作りの実態解明のほか、政府・自民党は再発防止に向けた政治改革をどう実現するかも問われる。身内の与党から具体的な注文が飛んだが、岸田文雄首相はこれにもあいまいな説明を繰り返した。
「政治刷新本部の中間とりまとめはまだ踏み込み不足であり、信頼回復にはほど遠い」。自民の丹羽秀樹衆院議員(無派閥)はこう指摘し、政治資金規正法違反があった際に政治家にも責任が及ぶ「連座制」の導入について、首相の考えをただした。公明党の中川康洋衆院議員も「連座制の強化は、規正法改正の『一丁目一番地』」と求めた。 ・・・
●れいわ山本太郎氏「答え出るのいつなんだよ」岸田首相対応を声荒らげ批判 1/30
れいわ新選組代表の山本太郎参院議員は29日の参院予算委員会で、岸田政権下で発生した自然災害で被害を受けた被災者の生活が、現在も再建されていないケースが多いとして、被災者生活再建支援法で支給される住宅再建(最大300万円)の増額など、法律の改正を求めた。
山本氏は24日の同予算委員会に続き、被災者の生活支援について質問。能登半島地震を受け「総理は被災者の皆さんが1日も早く元の生活を取り戻せるよう先頭に立つとおっしゃった。うそはありせんか」とただし、首相は「当然うそはありません」「政府として対応すべきは検討し、実施に努めてまいりました」と応じた。
これに対し、山本氏は岸田政権発足後、主な災害が11件発生し激甚災害は9件に及ぶことに触れ、「今も生活再建できていない被災者が大勢いる」と指摘。能登半島地震で大きな被害が出た能登町では、昨年5月の大規模地震で被災して仮設住宅に暮らす被災者が、元日の地震で再び被災したケースがあるなどと指摘し、「これが(生活再建に)努力したと豪語する対応の結果だ」と皮肉った。
「被災者のためになんでもやるとおっしゃった。だったら、さっさとやってください」とした上で、被災者生活再建支援法の改正で「ケチな上限金額を定めないでください」と要望。「過去にもさかのぼって支援できる仕組みをつくってほしい」「明日(30日)の閣議で決めてほしい」とも迫った。
岸田首相は法改正には踏み込まず「能登半島地震でも追加策を今、検討している。追加策をやります」と述べたが、山本氏は「小粒なんですよ」と納得しなかった。それでも首相は「災害特有の事情に配慮して追加策を考えることは、検討を進めていく。対策を用意し、総合的に被災者を支援する」などと述べるにとどめ、山本氏が「検討する、考えるといつまでやっているんですか。明日からできることをやってくれと言っているのに、答え出るのはいつなんだよ。明日出せるんですよ。やってくださいよ」と声を荒らげる場面もあった。
●派閥解消で3月退陣を回避!岸田内閣の支持率がじわり回復… 1/30
岸田内閣の支持率が少し上昇した。毎日新聞の世論調査(1月27〜28日実施)では5ポイント増の21%、日経新聞の世論調査(1月26〜28日実施)では1ポイント増の27%だ。
能登半島地震への対応の遅れが批判されているにもかかわらず、支持率続落に歯止めがかかり、わずかながら上昇に転じたのは、自らが率いてきた岸田派(宏池会)を解散して派閥解消を打ち出したことが最大の要因であろう。
岸田派に続いて二階派、安倍派、森山派が解散したのに対し、岸田政権を支えてきた主流派である麻生派と茂木派は存続を決定。岸田首相がキングメーカーの麻生太郎副総裁と一線を画したことも世論に好意的に受け止められたとみられる。
さらに裏金事件で立件を免れた安倍派幹部に自発的離党を迫ったのもプラス要因となった。
内閣支持率は一部世論調査で10%台まで落ち込み、岸田首相は今年9月の自民党総裁選で再選を果たすことがかなり険しくなっていた。麻生氏は岸田首相を3月上旬の訪米と3月下旬の予算成立を花道に退陣させ、茂木敏充幹事長を後継首相に押し立てる戦略を探っていたが、岸田首相はこれに反発して派閥解散を打ち出し、政局をリセットすることに成功した。
岸田首相がバイデン大統領から国賓待遇で招待された訪米は4月10日に決定し、岸田首相は3月退陣論を抑え込んだ。麻生氏は自ら首相訪米の事前調整のために米国へ飛んだが、そのうえで4月10日の日程が決まったということは、麻生氏も3月退陣論を断念したとみていい。
岸田首相は派閥存続にこだわる麻生氏と、派閥解消を訴える菅義偉前首相を天秤にかけながら、1日でも長く政権に居座る考えだ。支持率が回復すれば9月の自民党総裁戦に出馬することもあきらめていないのだろう。
1月26日に開幕した通常国会は、震災対応と裏金事件が大きな焦点となる。
岸田首相は「派閥解消」で裏金事件の逆風を一時的にかわした格好だ。しかし、この問題の本質は「政治資金の透明化」だ。立憲民主党は政治資金パーティーの全面廃止や政党が政治家個人に寄付する政策活動費の廃止を掲げて政治資金規正法の改正を迫るとみられ、岸田首相は防戦一方になる可能性もある。
次の正念場は4月28日投開票の衆院補選だ。旧統一教会問題やセクハラ疑惑で批判を浴びる最中に死去した細田博之前衆院議長の島根1区、東京都江東区長選をめぐる買収事件で起訴された柿沢未途氏の東京15区、そして裏金事件で議員辞職を表明した谷川弥一氏の長崎3区で行われる見通しだ。
いずれも自民逆風の選挙になる公算が大きく、ここで3連敗すれば岸田おろしが再燃するだろう。
しかも2月から3月は衆参の予算審議での疑惑追及で内閣支持率が下がりやすい時期である。今年は特に裏金事件が大きな焦点となるだけに、派閥解消による支持率回復基調が続くかどうかは見通せない。
岸田首相とすれば、予算成立後の国賓待遇の訪米(4月10日)で支持率を回復させ、4月28日の衆院補欠選挙で勝ち越して総裁再選への道のりを固めたいところだ。
派閥解散の連鎖で自民党の国会議員の7割は無派閥になった。岸田首相はこの7割を取り込んで総裁再選を目指すことになる。
しかし、安倍派(清和会)では創始者の福田赳夫元首相の孫である中堅議員の福田達夫氏が「新しい集団をつくっていく」と明言。無派閥の高市早苗氏は、安倍派解散で行き場を失った安倍チルドレンたちを引き寄せる構えだ。茂木派(平成研究会)からは小渕恵三首相の娘である小渕優子氏に続いて参院茂木派の主要メンバーも離脱し、「小渕派」を立ち上げる気配が出ている。「派閥解消」は派閥リーダーの世代交代を促す「派閥再編」と捉えたほうがよいだろう。
岸田首相が内閣支持率をさらに回復させ、党内支持も取り戻して再選を果たすことができるか、その道筋はなお不透明だ。
●岸田政権「崩壊」の現実味…「派閥解散」宣言は支持率回復狙いの「ポーズ」 1/30
派閥解散という「博打」を打ったものの
自民党の裏金問題で、ついに安倍派、二階派の会計責任者だけでなく、岸田派の元会計責任者までが「立件」されることとなった。それを受けて岸田首相は唐突に「派閥解散宣言」をぶち上げた。
これにつられる恰好で、逮捕者を出した安倍派も二階派も解散せざるを得ないと判断、派閥解散を決定し、政界に大きな激震が走った。
一般にこの騒動は「岸田の乱」などと言われているが、世論は概ねこの岸田氏の振る舞いを支持している。たとえばFNNの世論調査では、64%が岸田氏の派閥解散表明を評価すると回答しており、かつ、これまで下がり続けてきた内閣支持率も5ポイント回復し27.6%となった。
岸田氏は今回の派閥解散宣言について、「博打を打たないと逆転はできない」と口にしたとも報道されている。この結果だけを見れば、岸田氏がその「博打」に勝ったようにも見えるが、事態はそれほど甘くない。
たとえば朝日新聞の調査では、「自民党の派閥が解散すれば政治の信頼回復につながると思うか」という問いに対して、72%が「つながらない」と回答している。そして同調査では、肝心の岸田氏本人の裏金問題への対応について、「納得できない」という回答が89%となっている。
さらには、内閣支持率についても、FNNの調査では回復基調が見られたものの、読売新聞は再び政権発足以来最低の24%、朝日新聞も同様に過去最低の23%、さらにはANNでも同じく過去最低の20.4%を記録している。
要するに、国民は派閥解散自体は歓迎しているものの、だからといって「これで裏金問題は一件落着」だとか「派閥解散をやった岸田氏は立派だ」なぞとは露も考えていないのである。
いわば、岸田氏は、博打に完全に「敗北」したわけだ。
全ては保身のための「ポーズ」に過ぎない
ところで、博打というのは、「おカネを賭けて、負ければそのおカネを失う。勝てばそのおカネ以上のもっと価値あるものを手に入れる」という仕組みのゲームだ。
岸田氏は今回の派閥解散をやはり「博打」と呼び、「博打を打たないと逆転はできない」と口にしたそうだが、彼は一体何を賭け、何を手に入れようとしたのだろうか。
彼が望むものを「逆転」と表現している以上、これは、支持率の低迷に表れる「政権終焉リスク」の排除であることは間違いない。いわば、裏金問題で岸田派から立件者が出たことで政権が危機に立たされた、その危機から脱却しなければ、という趣旨で「逆転」という言葉が使われたわけだ。
では、彼が一体何を賭けたのかといえば、「派閥解散に伴う政権終焉リスク」以外に思い当たるものは無い。
そもそも派閥を解散すれば、岸田派を中心とした派閥の力学で続けてきた岸田政権の運営基盤が失われる。麻生派や茂木派からの支持も失われ、党内からの反発が拡大すれば、総裁を辞めざるを得なくなる。
しかし岸田派から立件者が出るとの一報を耳にした岸田氏は、このままでは確実に内閣の存続が危うくなると認識した。だから、大きな「博打」だが、それくらいやらないと政権が持たない、という焦りから「派閥解散」に打って出たわけだ。
しかし総理大臣の職務はそもそも、「政権を続ける」ということでは断じてない。その政権の力を使って国民のため、国家のために公的利益と幸福を提供し続けることが、総理大臣の本来の職務だ。当たり前の話だ。
しかし今回、「博打」を決断した岸田氏の眼には、国民の幸福も国家の利益もまったく入ってはいない。ただただ派閥解散によって、政権が終わるリスクを賭け、それが評価されて政権存続という「利益」を得ようとしたに過ぎないのだ。
しかし、国家の政治とパチンコやスロットマシーンのような遊興とは全く異なるものだ。岸田氏にその区別がついているのか否か、甚だ疑問だと言わざるを得ない。
今、岸田氏がなすべきことは、派閥を解散するしないの議論ではなく、裏金問題をどうするかという一点のはずだ。そもそも派閥があっても裏金問題を解消することはできるのだ。
具体的に言うなら、20万円以下のパーティー券は記載不要というルールを改めて「1円でも記載する」という新ルールを作り、同時に、経理担当者の罪は派閥責任者の罪となるよう連座制を導入すればそれで事足りるのではないか。
そうなれば、たとえば、中国人等の外国人が大量にパーティ券を購入するという不適切な事態を回避できるし、特定企業と政治家の癒着リスクを大幅に低減させることも可能になるではないか。
実際、岸田氏も「派閥(政策グループ)と裏金問題」は別だと考えているようだ。彼は、「派閥から『カネと人事』の機能を排除、政策集団としての存続は容認」という方針を打ち出している。これはつまり、岸田氏は、派閥解散は裏金問題解消にとって必要なかっと認識していることを示している。にもかかわらず、彼は派閥を解散したわけだ。
ということはつまり、岸田氏は、口では「裏金問題の解決を通した政治不信の回復」という大義名分を掲げてはいるものの、派閥解散宣言は実は、裏金問題に関わる派閥の腐敗を撲滅するためのものでも何でも無く、やはり単なる政権延命、自己保身の為の茶番、ポーズであったと解釈せざるを得ないのである。
さらに言うなら、岸田氏が解散宣言当初、次のような言葉を口にしていた。
「解散することを検討している。政治の信頼回復に資するものであるならば、考えなければならない」
ここで彼は「政治の信頼回復」という言葉を使ってはいるが、別のところで彼は「博打」と表現したと言われていることを想起してみよう。
その報道が真実なら、これが単なる美辞麗句であり、彼の脳裏にあったものは政治の信頼回復ではなく「支持率の回復」以外の何者でもないということになる。したがって、彼のこの日本語は、「支持率が回復するなら解散するが、しないなら解散しない」という意味だと解釈するほか無いわけだ。
以上を踏まえれば、岸田氏の解散宣言は、単なる保身のための「ポーズ」に過ぎないという実態が明確に浮かび上がってくるのである。
宏池会解散は「親殺し」に匹敵する暴挙
しかし、派閥というのはこれまでの自民党政治の歴史の中で極めて重要な意味を持つものであり、決して単なる「ゴミ箱に捨てればそれで事足りるゴミ」などでも何でも無い。
派閥はそもそも多様な意見を集約する装置として機能しており、派閥があったからこそ若手政治家が育成されたのだし、派閥があったからこそ議院内閣制で総理大臣が暴走しがちな状況を抑止し、国民の意見を政府に届ける回路が保証されていた、という側面があった。
仮に今の派閥がカネの問題で腐敗していたとしても、だからといって、派閥を潰せばそれで万事良くなるという単純な話ではないのだ。学校の先生や警察官の中から犯罪者が出たからといって即座に学校の先生のシステムや警察官のシステムを潰せという話にはならないのと同じだ。
にもかかわらず、そんな重大な公的意義を持つ自民党の派閥システムを、岸田氏はいとも容易く、自らの政権延命という保身のためにあっさりと潰してしまったのだ。これほどふざけた話はない。
そもそも岸田氏は、岸田氏を含め五人の総理を輩出した「宏池会」に育てられ、「宏池会」のおかげで総理大臣の座にまで上り詰められたのだ。
その「宏池会」をいとも容易く解散するというのは、育ててもらった親や家を、自分勝手な都合だけで消してしまう「親殺し」「家殺し」という極悪非道な暴挙と言わざるを得ない。
「政策集団に移行」論は、全て出任せ
つまり岸田氏は、裏金問題、とりわけ「未記載」こそが問題の本質であるにもかかわらず、それに対して1円から記載するという法制度改定等の抜本的対応は行わず、「派閥こそが問題の根源だ」と言わんばかりに派閥解散を言い出したわけである。これは単に責任からの逃避であり、論点のすり替えと批難されても仕方あるまい。
しかも今回の「岸田の乱」は、この点以外にも、岸田氏の政治家としての見識が皆無であると判定せざるを得なくる大問題が、いくつも挙げられるのだ。
第一に、岸田派は岸田派という名前ではあっても、昨年岸田氏は離脱しているのであって、正式の関係性は何も無い。にもかかわらず、彼は岸田派を解散した。
これは、夫婦で例えるなら、離婚した元妻に対して、「再婚相手と離婚しろ」なぞと言って実際に離婚させたに等しく、筋違いも甚だしい。つまり結局は、あの派閥離脱も「偽装離脱」に過ぎなかったわけだ。
ちなみにこうした批判を受けた後、岸田氏自身は「総裁として解散を決定した」と言い始めた。しかしそんなものは単なる口から出任せの言い訳でしかない。もしその言葉が真実ならば、麻生派や茂木派も解散させればいいはずではないか。
それどころか岸田氏は当初、岸田派以外については「何かを申し上げる立場にない」とまで口にしていたのだ。つまり、「総裁として解散を決定した」という言説は(ついでに言うなら派閥離脱についても)単なる「嘘」だったと言わざるを得ないのだ。
第二に、「派閥解散」と言いながら、実質的な派閥解散など無理なのだ。もうこの一点だけで、岸田氏の派閥解散宣言は単なる見せかけだけのポーズだと断ずることができる。
実際、麻生派や茂木派は解散しないのであり、安倍派、二階派についてもまた、その解散の記者会見時に「派閥」とは異なる形の集団を遅かれ早かれ形成するという趣旨が正々堂々と公言されていたのだ。
しかも岸田氏は自らの解散宣言後のこうした党内の反応を見て、派閥の解消は無理だと改めて理解したのか、急遽「政策集団」という名称に改め、事実上派閥を存続させる方針を早々と打ち出した。つまり、「派閥解散」なる話は(先に述べた岸田派離脱が単なる偽装離脱であったように)、単なる「偽装解散」だったわけだ。
有り体に言って、岸田氏は、派閥の離脱についても解散についても「嘘」をついたのである。もうこの一点だけで、総理を辞任すべきだという声が党内外からあがっても不思議では無かろう。
第三に、現「派閥」を一旦解散した上で、改めて「政策集団」という名前の「派閥」をつくる、という得体の知れない話の言い訳として、岸田氏は「政策集団」においては「カネと人事」を切り離すのだと主張している。
つまり現「派閥」は、政策を度外視(軽視)したカネと人事のための圧力団体に過ぎなかったのであり、だからこそ解散が相応しいが、これからつくる「政策集団」なるものはカネと人事の圧力をかけることを止め、純粋に政策の話だけをするのだと主張したわけだ。
しかしこれは、総理辞任に匹敵するほどに許し難い主張だ。この説明は、岸田氏が解散を宣言した岸田派(宏池会)もまた、政策を度外視(軽視)したカネと人事のための圧力団体に過ぎなかったと認めたに等しいものだからだ。
したがって、岸田氏は政策を度外視してカネと人事のために岸田派を運営していたと暴露したに等しい。つまり彼は総理大臣でありながら、カネと人事のための岸田派という“徒党”を組んで、日本の政治を政策を度外視して歪め続けてきたと宣言したのである。
もしもそれが「真実」であるなら(彼が嘘をついていないと想定するなら、それが「真実」だということになってしまうのだが)、即刻、総理を潔く辞任すべきではないか。
第四に、岸田氏はこれまでの派閥を、政策集団に変えるのだと主張したが、不見識も甚だしい。茂木氏が即座に反論したように、そもそも派閥というものは政策集団なのだ。
岸田氏がリーダーを務めていた宏池会も、伝統的に、自らを「政策集団」と定義し説明し続けてきたではないか。したがって、今回の岸田氏による「派閥解散を通した政策集団の実現」という方針は、「政策集団解散を通した政策集団の実現」という何を言っているのか全く理解できない意味不明な代物なのだ。
仮に政策集団としての色合いが薄かったという話だとすれば、「解散」宣言など全く必要無かったはずだ。そうである以上、この線から考えてもやはり、岸田氏の派閥解散宣言は、国民の人気取りのための茶番でありポーズであったと考えざるを得ない。
第五に、岸田氏は、これからの「政策集団」においてはカネと人事を切り離すといっているが、これもまた不見識も甚だしい話だ。耳障りの良く聞こえる「カネと人事を切り離す」という話だが、それは現実政治においては無理である以上に、むしろそうしては「ならない」くらいの話なのだ。
なぜなら、そもそも派閥にカネと人事が関係しているのは、その派閥が政策集団だからだ。公的な政策集団として代表的なものは政党だが、どんな政党でも「人事とカネ」の機能をもっている。真面目に政策の実現を目指すなら、カネと人事が必要となるからだ。
クリーンさを常々主張している共産党であっても、赤旗の発行を通したカネ集めを日々行っているし、当選者数の拡大という「国会議員人事」に日々勤しんでいる。あるいは自民党もまた議院内閣制の仕組みに基づき、総理大臣人事をいつも行っているではないか。つまり現実政治における政策集団にはカネと人事が必要なのである。
だから岸田氏は、派閥解散の主張を、瞬く間に撤回し、派閥温存方針を打ち出したように、派閥からカネと人事の機能を剥奪するという主張もまた、早晩撤回せざるを得なくなるに違い無い(というよりも、実効性ある政策集団としての機能を期待するのなら、むしろ「撤回しなければならない」とすら言えるだろう)。
「岸田の乱」は結局、政治不信を深めただけ
以上の指摘は、一般的な政治論を一通り真面目に考えた事がある者ならば即座に理解し得るものばかりだ。
そもそも第一に、政治とは国民国家のためのものであり、その実現手段に政党や派閥があり、その効果的活動展開のために資金と人事(政治権力)が必要だ。
しかし第二に、腐敗した政治家どもは、その政治の本分を忘れ、ただただ政治権力や資金目当てに、嘘をつき始める。
だから第三に、国民は政治家に対する監視を怠らず、彼らの嘘が見て取れたのなら徹底批判も怠ってはならない。
以上の三点さえ理解していれば、今回の「岸田の乱」は典型的な腐敗政治家の振るまいであることが理解できるはずだ。
なぜなら、すでに指摘したように、彼の言説に夥しい数の「嘘」と言わざるを得ない表現が含まれているのと同時に、真に国民国家を慮った言説が著しく乏しい(あるいはむしろ含まれていない、なぜなら、政治不信の回復という大義は結局、国民を慮ったというより自らの政権を慮った言葉)という事実があるからだ。
そして実際、多くの国民がそうした実情を見透かしており、各種世論調査からも、岸田内閣に対して不信の目を深め続けている実態が明らかにされているのは、冒頭に紹介した通りだ。
つまり、政治不信解消のために仕掛けられた『岸田の乱』は、その岸田氏の思惑とは裏腹に、政治不信をさらに深めただけの帰結を導いているのである。
言うまでも無く、我々の国家の命運は、我が国の宰相である内閣総理大臣の差配に委ねられている。にもかかわらず、我が国の現宰相である岸田文雄氏は保身と延命以外の目的を一切持っていないとの疑念を深めざるを得ない言動を続けている。
筆者は我が国の宰相がそうした不適切な人間でないことを切に願っているが、この願いが叶う可能性は、岸田氏の一つひとつの言動を目の当たりにするにつれ、絶望的に失われ続けているのが実情だ。
そうである以上、我々はすでに、岸田氏の総理としての資質の吟味を深めると同時に、岸田氏の「次」の総理をどうすべきかといった、今後のあるべき展開の議論を始めねばならない時点にさしかかっているのではないだろうか。
●信頼回復の先頭=物価高超える所得実現―能登復興で本部・首相施政方針 1/30
岸田文雄首相は30日午後の衆院本会議で、施政方針演説を行った。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を陳謝し、先頭に立って国民の信頼回復に努める考えを表明。デフレからの完全脱却に向け、物価高を超える所得を実現させる決意を示した。
首相は国民の信頼が揺らいでいるとの認識を示した上で、政治改革に関する自民党の中間取りまとめに触れ、「政治の信頼回復に向け、先頭に立って必ず実行していく」と訴えた。政治資金規正法の改正については、中間取りまとめに、各党との協議を経て法整備すると盛り込んだことに言及した。
経済面では、「デフレから完全脱却するチャンスをつかみ取る。経済再生が岸田政権の最大の使命だ」と強調。賃上げを「喫緊の課題」と位置付け、「あらゆる手を尽くし、今年、物価高を上回る所得を実現する」と約束した。
能登半島地震への対応に関しては「異例の措置でもためらわず実行する」と語り、自身をトップとする「復旧・復興支援本部」の新設を打ち出した。2月上旬にも初会合を開く方針で、首相は「被災地の再生まで責任を持って取り組む決意だ」と訴えた。
首相は憲法改正について、自民党総裁任期中の実現を目指す考えに変わりがないと強調。国会の発議に向け、「今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速する」と意欲を示した。
●岸田首相、施政方針演説で派閥の政治資金めぐる事件を陳謝 1/30
岸田首相が国会で、今年の政権運営の方針を示す施政方針演説を行いました。演説で岸田首相は、自民党の派閥の政治資金をめぐる事件について陳謝しました。
国会の召集日に行われることが多い施政方針演説ですが、政治とカネの問題で集中審議を先に行ったため30日になっていて、岸田政権は異例の対応を迫られています。
岸田首相「自民党の政策集団の政治資金の問題で、国民から疑念の目が注がれる事態を招いたことは、自民党総裁として極めて遺憾であり、心からおわびを申し上げます」
岸田首相は、「政治の安定なくして、政策の推進はない」と強調し、各党との議論を進め、政治資金規正法の改正を目指す考えを示しました。
そのうえで、派閥が「お金と人事のための集団」と見られても致し方ない状況にあったとして、カネと人事からの決別を「私自身が先頭に立って必ず実行していく」と強調しました。
一方、能登半島地震からの復旧・復興については、政府内に自身をトップとする「復旧・復興支援本部」を新たに立ち上げ、被災地の再生に責任を持って取り組む考えを示しました。
経済については、「賃上げが喫緊の課題だ」と述べて医療や福祉、トラック業界、建設業などで働く人の賃上げを推進する考えを示しました。
一方、自民党と立憲民主党の国対委員長が会談し、野党側は自民党の全ての国会議員について裏金の有無の調査を行うよう、求めました。来月5日の朝までに結果をリストにして提出するよう、求めたということです。
●「心からおわび」裏金で陳謝も具体策に触れず 首相が施政方針演説 1/30
岸田文雄首相は30日午後、衆院で施政方針演説を行った。自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件について、「国民から疑念の目が注がれる事態を招いたことは、自民党総裁として極めて遺憾であり、心からおわび申し上げる」と陳謝した。国民の信頼回復に取り組む姿勢を訴えたが、再発防止に向けた法改正の具体策には触れなかった。
首相は演説で「国民の信頼なくして政治の安定はない。いま、その信頼が揺らいでいる」と述べた。党政治刷新本部の中間とりまとめの内容を踏まえ、派閥が「お金と人事のための集団と見られても致し方ない状況にあったことを率直に認め、真摯(しんし)に反省し、政策集団が『お金』と『人事』から完全に決別することを決めた」と語った。
能登半島地震については、演説の冒頭にお見舞いの言葉を述べた。地震対応では、交通網の寸断や海上輸送の途絶など「厳しい状況が幾重にも重なった」と分析しつつ、新年度予算案の予備費を1兆円に倍増したことなどの実績をアピール。「切れ目なく、できることはすべてやる」とし、首相をトップにする「能登半島地震復旧・復興支援本部」の新設を表明。「被災者の帰還と能登を含めた被災地の再生まで責任をもって取り組む」と主張した。 ・・・
●上川外相が外交演説「対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推進」 1/30
第213通常国会が召集され、上川外相は30日、本会議で外交政策について「外交演説」を行った。
演説では、ロシアによるウクライナ侵略について、1月7日にウクライナの首都キーウを訪問したことを踏まえ「侵略の生々しい傷跡を見てきた」と強調した上で、改めて「国際社会と連携し 対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推進していく」と強調した。
主要外交政策「女性・平和・安全保障」
続いて「女性・平和・安全保障(WPS)」に関して「主要外交政策の一つとして力強く推進する」と強調し、重要性を発信していると述べた。
近隣諸国などとの関係
【中国】 上川外相は、日本と中国との関係について、「様々な可能性と共に尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みなど、数多くの課題や懸案が存在してる」と危機感を示した。一方で、日本と中国は「地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任がある」として、「諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な日中関係が重要だ」と述べた。その上で、中国対し、日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を引き続き求めると強調した。
【韓国】 日本と韓国との関係については「関係の改善が軌道に乗っている」と強調した上で、「多様な分野で連携や協力の幅を広げ、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り拓いていく」と意気込みを語った。一方、島根県の竹島については、歴史的事実や国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づいて、毅然とした対応をすると強調した。
【ロシア】 日ロ関係について上川外相は「ロシアによるウクライナ侵略により引き続き厳しい状況だ」と強調した上で、北方領土問題を解決し、平和条約を締結する方針を堅持していくと述べた。また、最優先事項の一つとして、北方四島交流等事業の再開をあげ、「特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き強く求めていく」と強調した。
【北朝鮮】 北朝鮮については「核・ミサイル活動を一層活発化する意向を明らかにしている」と懸念を示した上で「安保理決議違反でもある弾道ミサイルの発射等は断じて許されない」と強調した。さらに、拉致問題について、「拉致被害者のご家族も高齢となる中で時間的制約がある」とした上で、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で取り組むと意気込みを語った。
日米同盟の一層の強化
上川外相は日米同盟について「日本の外交・安全保障の基軸だ」と述べた上で、抑止力・対処力などを一層強化すると強調した。さらに、沖縄県のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設を巡っては「普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くす」と述べた。
●首相 施政方針演説 “政治の信頼回復 被災地再生に取り組む” 1/30
岸田総理大臣は衆議院本会議で施政方針演説を行い、自民党の派閥をカネと人事から決別させることなどを通じ、政治の信頼回復を目指す考えを示しました。また、能登半島地震の対応では、自身をトップに、復旧・復興を支援する本部を新たに設置し、被災地の再生に取り組む決意を強調しました。
“被災地の再生まで国が責任を持つ”
演説の冒頭、岸田総理大臣は、能登半島地震の犠牲者に哀悼の意を示したうえで「政府・地元が一体となって被災者に寄り添い、生活となりわいを支えていくための息の長い取り組みを続けていく。異例の措置でも、ためらわずに実行していく」と述べました。また、新年度予算案の予備費を1兆円に倍増したことに触れ「予算の制約により震災対応をちゅうちょすることがあってはならない。切れ目なく『できることはすべてやる』」と述べました。そのうえで、自身をトップに能登半島地震の復旧・復興支援本部を新たに設置し、被災地の再生まで国が責任を持って取り組む決意を示しました。
“政治の信頼回復を目指す”
一方、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題については「国民から疑念の目が注がれる事態を招いたことは極めて遺憾であり、心からおわびする」と陳謝するとともに、各党各会派との真摯(しんし)な協議を経て、政治資金規正法の改正などの法整備を実施していく考えを示しました。そして「自民党内の政策集団が、いわゆる『派閥』、すなわち『お金と人事のための集団』と見られても致し方ない状況にあったことを率直に認め、真摯に反省し、政策集団が『お金』と『人事』から完全に決別することを決めた」と述べ、一連の改革を通じ、政治の信頼回復を目指していく考えを示しました。
“物価高上回る所得を実現していく”
また、これまでの2年4か月の政権運営に関し、30年ぶりの高い水準の賃上げや株価の動向など、明るい兆しが随所に出てきているとしたうえで、デフレから完全に脱却し、新たな成長型経済に移行するチャンスをつかみ、ことしを国民が成果を実感する年にするため、総力を挙げて取り組もうと訴えました。そして「経済の再生」が引き続き、政権の最大の使命だと指摘しつつ、「本丸は物価高を上回る所得の実現だ。あらゆる手だてを尽くし、ことし、物価高を上回る所得を実現していく。実現しなければならない」と述べました。具体的には、医療や福祉をはじめ、公共サービス分野での「公的賃上げ」に取り組むほか、中小企業や建設業にも流れが広がるよう、労務費の価格転嫁などが着実に行われる環境整備を図っていく方針を示しました。さらに「春闘」による賃上げに加え、6月からの所得税や住民税の減税などを通じ給与が上がるのが当たり前だという前向きな意識を社会全体に定着させていくと強調しました。
大阪・関西万博
このほか、費用の高騰などが課題となっている大阪・関西万博については「新型コロナや大規模な自然災害を乗り越え、いのちへの向き合い方や社会のあり方を問い直す機会となる。成功のためオールジャパンで進めていく」と述べ、専門家の知見も活用しながら、費用が適正か継続的にモニタリングする考えを示しました。
“前例ない規模で子ども・子育て政策の強化”
また「日本社会の最大の戦略課題は『人口減少問題』だ」と述べ、前例のない規模で子ども・子育て政策の強化を図る一方、必要な財源は徹底した歳出改革などで確保し、国民に実質的な負担を生じさせないようにしていくと重ねて説明しました。
羽田空港の衝突事故 “抜本的対策 講じる”
さらに、羽田空港で日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突した事故について触れ「二度とこのような事故が起きないよう再発防止対策に迅速に取り組むとともに、原因究明を踏まえ、航空の安全・安心に向けた抜本的な対策を講じる」と述べました。
外交・安全保障
外交・安全保障では、ウクライナ情勢や中東情勢、それにアメリカ大統領選挙など、国際社会は、緊迫の度を一層高めているとして「日本ならではのアプローチで世界の安定と繁栄に向け、国際社会をリードする」と述べました。日米関係について、ことし4月前半の国賓待遇でのアメリカ訪問などを通じ、両国関係をさらに拡大・深化させるとしたほか、日韓関係では、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領との信頼関係を礎に、幅広い連携を図り、日米韓3か国での戦略的連携や、日中韓の枠組みも前進させると強調しました。日中関係について、主張すべきは主張し、共通の課題では協力する「建設的かつ安定的な関係」を双方の努力で構築していくと述べました。そして、ウクライナ情勢をめぐっては、ロシアへの制裁やウクライナへの支援を今後も強力に推し進めるほか、2月、東京で「日・ウクライナ経済復興推進会議」を開催すると説明しました。さらに、北朝鮮による拉致問題については、すべての被害者の一日も早い帰国を実現し、日朝関係を新たなステージに引き上げるとして、日朝首脳会談の実現に向けて、直轄のハイレベル協議を進める考えを重ねて示しました。
憲法改正
そして、憲法改正について「自民党総裁の任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力したい。ことしは条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速していく」と意欲を示しました。
そして、最後に「日本を変えていくチャンスを必ずつかみ取る。与野党それぞれの立場はあるが、次の世代のために全力を尽くそう」と呼びかけました。
総理大臣による通常国会での施政方針演説は、通例、召集日に行われますが、今回は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、予算委員会の集中審議のあとに行われる異例の形となりました。
●デフレ完全脱却へ、年内に「物価高上回る所得」実現−首相演説 1/30
岸田文雄首相は30日の施政方針演説で、デフレからの完全脱却に向け、あらゆる手段を尽くして「物価高を上回る所得」を年内に実現しなければならないとの決意を示した。
衆院本会議での演説で、首相は経済の再生が「最大の使命」と述べ、とりわけ賃上げが喫緊の課題として求められていると指摘した。医療、福祉や公共サービスで働く労働者の「公的賃上げ」を行うほか、中小企業や非正規で働く労働者の賃上げを支援する考えも強調した。春闘では昨年を上回る賃上げの動きが広がっているとして、機運の維持に政府も全力を挙げると語った。
自民党派閥の政治資金問題を引き金に内閣支持率は低迷している。先週末の毎日新聞の調査では21%と前月比5ポイント上昇したが、3割を切る「危険水域」を脱していない。9月の党総裁任期満了を控え、賃上げの実現と経済立て直しは政権維持の頼みの綱で、演説でも力点を置いた。賃金上昇を伴う2%物価目標の持続的な達成は、日本銀行の金融政策が大規模緩和から正常化に向かうための条件でもある。
首相は賃上げに加えて、所得税や住民税の減税で可処分所得を下支えし、「賃金が上がることが当たり前だ」という意識を社会全体に定着させると語った。持続的な賃上げを可能とするための労働市場改革を進めると強調し、教育訓練やリスキリング支援の強化を図るための法整備も進めるとした。デフレからの完全脱却は財政健全化にも寄与すると述べた。
政治資金問題
政治資金パーティーをめぐる問題では、派閥が「お金と人事のための集団」と見られても仕方ない状況にあったと指摘し、国民から疑念の目が注がれる事態を招いたとして「自民党総裁として極めて遺憾であり、心からおわびする」と陳謝した。各党との協議を経て政治資金規正法改正などの法整備を実施するとした。
29日の衆院予算委員会で、首相は政治団体の会計責任者が罪に問われた場合に関係する国会議員も連帯責任で罰せられる「連座制」の導入に言及した。政治への信頼回復に向けた同法改正は今国会の焦点となる。
他の発言
・自分の自民党総裁としての任期中に憲法改正を実現したいとの思いに変わりはなく、今年は条文案の具体化を進め、「党派を超えた議論」を加速させる
・コーポレートガバナンス(企業統治)改革の実質化に加え、資産運用業とアセットオーナーの運用力の向上に取り組む
・女性役員比率の目標等に向け、人材の採用・育成を支援
・4月からの一般ドライバーを活用した新たな運送サービスの開始を控え、ライドシェア制度の具体化と支援を行う
・子供に対する性犯罪・性暴力は重大な人権侵害であり、防止するための法制度について今国会での法案提出を目指す
・水素、CCS(二酸化炭素の分離回収・貯留)、洋上風力導入拡大のための法案を今国会に提出
・大企業の参加義務化を視野に法定化推進−カーボンプライシング制度 
●第213回国会における上川陽子外務大臣の外交演説 1/30
所信を申し述べるに先立ち、令和6年能登半島地震の犠牲者の方々と御遺族に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方々及び被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。海外からも多くのお見舞いと支援の申し出を頂いており、これらの国、地域及び国際機関等に謝意を表します。
第213回国会に当たり、外交政策の所信を申し述べます。
情勢認識
世界は今、歴史の転換点にあると、私は日々実感しています。
法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序は、今なお続くロシアのウクライナ侵略により、重大な挑戦にさらされています。また、「グローバル・サウス」と呼ばれる途上国・新興国の存在感の高まりにより、国際社会の多様化が進む一方で、国境や価値観を超えて対応すべき課題は山積しています。
我が国は、全ての人が平和と繁栄を享受できるよう、昨年、国際社会から高い評価を得たG7議長国としての成果を踏まえ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に基づき、「人間の尊厳」が守られる安全・安心な世界を実現するための外交を推進していきます。
引き続き、日本の国益をしっかりと守る、日本の存在感を高めていく、国民の皆様からの声に耳を傾け、国民に理解され、支持される外交を展開するという三点を基本方針として外交を展開していきます。
年始の外国訪問、WPSの取組
私は本年初頭、欧州、北米及びトルコを訪問し、各国や国際裁判所との間で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化や、ウクライナ支援、中東情勢、さらには「女性・平和・安全保障(WPS)」や北極・海洋等について協力を確認してきました。
特にWPSについて、主要外交政策の一つとして力強く推進し、その重要性を発信しています。省内にタスクフォースを設置し、あらゆるツールを用いてWPSを推進していきます。
中東情勢への対応
中東情勢は引き続き予断を許しません。ハマス等によるテロ攻撃を改めて断固非難すると同時に、ガザ地区の人道状況を深刻に懸念しています。人道状況の改善、事態の早期沈静化、周辺地域への波及防止といった課題に対処すべく、私自身、対応に当たってきました。
昨年11月にはG7外相会合を開催する前に現地を訪問し、G7外相声明の発出に尽力しました。安保理がその責務を果たせるよう、ガザ地区の児童の保護に焦点を当てた安保理決議第2712号及びガザ地区に対する人道支援の拡大と監視に関する安保理決議第2720号の採択に向けて精力的な働きかけを行いました。
我が国は引き続き国際機関への支援等を通じ、ガザ地区の人道状況の改善に取り組みます。また、現在のような悲劇を繰り返さないため、日本が一貫して支持してきた「二国家解決」の実現に向け、今こそ、米国を始めとする関係国と連携しながら、積極的に貢献していきます。
法の支配の推進
法の支配は、平和と繁栄の基礎をなすものです。先般、私は、国際司法裁判所、国際刑事裁判所、国際海洋法裁判所を訪問し、その果たす役割への支持を改めて示しました。対話と協力に基づき、国際社会における法の支配の強化のための外交を包括的に進めていきます。
FOIPの推進、同盟国・同志国との連携
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現は日本外交の最優先課題の一つです。この理念の下、同盟国・同志国等と連携し、協力を広げていきます。ASEANの安定と繁栄は、我が国、そしてインド太平洋地域全体にとり極めて重要です。昨年12月の特別首脳会議で打ち出した、新たな協力のビジョンと幅広い具体的協力を着実に実行し、関係をより一層強化していきます。
日米豪印については、本年、外相会合の議長を務めるに当たり、FOIPの実現に向けた、地域の国々に真に裨益する実践的協力を一層推進していきます。
日米韓の協力も、昨年のキャンプ・デービッドにおける首脳会合等の成果も踏まえ、一層進めていきます。
さらに、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であり、欧州諸国、EU及びNATOとの連携も強化していきます。
ウクライナ侵略への対応
ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。私は今月ウクライナを訪問し、侵略の生々しい傷跡を自分自身の目で見て、力による一方的な現状変更を決して認めてはならないと改めて確信しました。また、ロシアによる核兵器による威嚇、ましてや使用はあってはなりません。
一日も早くロシアによる侵略を止め、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するため、国際社会と連携し、対露制裁とウクライナ支援を強力に推進していきます。
ウクライナの復旧・復興のため、官民一体の取組を進めます。昨年11月の経済ミッション等の成果を踏まえ、来月の日・ウクライナ経済復興推進会議の開催に向けて調整を加速していきます。
日本及び地域を守る取組
我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、外交を通じて、日本の領土・領海・領空及び国民の生命・財産を守り抜きます。
日本自身の取組
国家安全保障戦略では、日本の安全保障に関わる総合的な国力の要素として、まず外交力を挙げています。外交と防衛を連携させながら、強い経済や高い技術力、豊かな文化等、我が国が誇る様々なソフトパワーを有機的・効果的に結びつけ、総合的に外交・安全保障政策を進めていきます。
また、政府安全保障能力強化支援(OSA)の着実な実施や、サイバー安全保障、経済安全保障の推進に積極的に取り組んでいきます。
偽情報等の拡散を含む情報操作等を通じた、認知領域における国際的な情報戦に対しては、様々な角度から情報の収集・分析を行い、適時適切な発信につなげるとともに、情報セキュリティ基盤の構築・強化にも取り組んでいきます。
日米同盟の一層の強化
日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸であり、インド太平洋地域の平和と繁栄の礎です。日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化、拡大抑止の信頼性・強靱性の維持・強化のための努力、日本における米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進めます。同時に、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。
また、昨年11月の経済版「2+2」第二回閣僚会合の議論等も踏まえ、戦略的観点から経済分野での日米協力を拡大・深化させていきます。
経済外交の新しいフロンティアの開拓
強くしなやかな経済力で世界に存在感を示すため、官民連携を重視し、スタートアップ企業を含む、あらゆるステークホルダーを巻き込みながら、経済外交の新しいフロンティアを開拓していきます。
まずはルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持・拡大に向けた取組が重要です。
多角的貿易体制の一層の強化のためのWTOの改革、CPTPPのハイスタンダードの維持・強化、RCEP協定の透明性のある履行の確保、IPEFを通じた地域の持続可能で包括的な経済成長の実現、AIや信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)を含む新興課題の分野での国際的なルール作りなど、課題は山積しています。
特に、OECD加盟60周年を迎える本年、5月の閣僚理事会の議長国を務めるに当たり、リーダーシップを発揮していきます。
さらに、経済安全保障も新しい時代の外交の重要な柱です。サプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応などに、同盟国・同志国との連携を一層強化しつつ、ODAも活用し、官民で緊密に連携しながら、取組を強化していきます。
これからの日本経済は、「グローバル・サウス」と呼ばれる途上国・新興国の成長を取り込んでいかなければなりません。地域ごとの課題や特性等も十分踏まえた上で、きめ細かで、戦略的な経済外交を推進していきます。
また、社会・環境の持続可能性と経済との連結、一体化を統合的に目指すことが求められる時代です。SDGsの推進に企業が積極的に関与し、日本が経済成長を実現することで、利益が社会に還元される好循環を実現するための取組を進めていきます。
このため、開発協力大綱の下、オファー型協力や民間資金動員型ODA等を実施し、途上国の質の高い成長を実現し、同時に我が国の成長にもつなげていきます。
また、日本企業の海外展開、日本産食品の輸出拡大、対日直接投資の推進を積極的に後押しするに当たり、在外公館が、投資環境改善を含め、日本企業を強力にバックアップするとともに、対日投資を強くアピールしていきます。さらに、企業活動の可能性を広げていくため、第三国における日本企業と外国企業の連携についても協力を推進していきます。
2025年大阪・関西万博、2027年国際園芸博覧会の成功に向け、力強く取り組みます。
ALPS処理水の海洋放出の安全性については、引き続きIAEAと緊密に連携し、科学的根拠に基づき、高い透明性をもって国内外に丁寧に説明していきます。
近隣諸国などとの関係
日本及び地域の平和と繁栄を維持すべく、近隣国等との難しい問題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いていきます。
昨年11月の日中首脳会談に続き、私も王毅外交部長との間で日中外相会談を行いました。
日本と中国の間には、様々な可能性と共に、尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、中露の連携を含む我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。さらに、中国の人権状況や香港情勢についても深刻に懸念しています。
同時に日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しています。「戦略的互恵関係」を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力するという、「建設的かつ安定的な日中関係」を日中双方の努力で構築していくことが重要です。
その中で、中国による日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を引き続き求めていきます。
重要な隣国である韓国とは、多様な分野で連携や協力の幅を広げ、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り拓いていくため、様々なレベルでの緊密な意思疎通を重ねていきます。
インド太平洋の厳しい安全保障環境を踏まえれば、日韓の緊密な協力が今ほど必要とされる時はありません。日韓関係の改善が軌道に乗る中、グローバルな課題についても連携を一層強化していきます。
竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。
日中韓協力は、大局的な視点から、地域及び世界の平和と繁栄にとって重要です。昨年11月の外相会議の議論を踏まえ、早期で適切な時期のサミットの開催に向け、議長国の取組を後押ししていきます。
ロシアに対しては、日本の国益を守る形で引き続きしっかりと対応していきます。日露関係は、ロシアによるウクライナ侵略により引き続き厳しい状況にありますが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していきます。
その上で、漁業などの経済活動や海洋における安全に係る問題のように、日露が隣国として対処する必要のある事項については、我が国の外交全体において何が我が国の国益に資するかという観点から適切に対応していきます。
また、北方四島交流等事業の再開は日露関係における最優先事項の一つです。今は特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き強く求めていきます。
北朝鮮は、核・ミサイル活動を一層活発化する意向を明らかにしています。安保理決議違反でもある弾道ミサイルの発射等は断じて許されません。また、露朝間で強化されている軍事協力も深刻に懸念しています。今後とも、日米、日米韓を始めとする国際社会で緊密に連携して対応していきます。
北朝鮮との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。
とりわけ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせに出来ない人道問題です。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組みます。
地球規模課題のための協力
気候変動、環境問題、食料・エネルギー問題、国際保健課題、人口問題、難民問題、海洋の持続可能な利用等、地球規模課題は山積しています。
これらの課題に取り組むためにも国連が本来の役割を果たすことがますます重要になっています。安保理改革を含め国連の機能を強化すべく取り組んでいきます。また、我が国が安保理議長を務める3月には、重要課題について活発な議論を行いたいと考えています。
9月には国連「未来サミット」が予定されており、「人間の尊厳」という原点に立ち返り、人間の安全保障の理念に基づく「人間中心の国際協力」を主導していきます。また、2030年までのSDGsの包括的な達成に向けた国際的取組に積極的に貢献していきます。国際機関で邦人が職員として更に活躍できるための取組も推進します。
本年、「国際協力70周年」という節目の年を迎える中、最も重要な外交ツールの一つであるODAの意義や展望について積極的に発信し、国民の皆様により理解を深めていただく機会としたいと思います。
同時に、「核兵器のない世界」の実現、日本らしい人権外交、平和構築、テロ・国際組織犯罪対策等を積極的に推進します。
特に、核軍縮・不拡散については、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取組を継続・強化していきます。
日本外交の新たな可能性
これらの取組に加え、日本外交の新たな可能性を切り拓いていきたいと考えます。
国家間の協力が難しい時代だからこそ、国・地域・ジェンダーなどの垣根を越えて、中高生を含むユースなど、様々なステークホルダーを巻き込んだ取組を進めます。また、駐日大使の皆様との議論を外交に連携させていく国内での活動も強化していきます。これらのような「アウトリーチ型外交」の取組も引き続き重視します。
魅力ある日本文化や科学技術などソフトパワーも積極的に活用していきます。
日ASEAN特別首脳会議で打ち出した「次世代共創パートナーシップ」を始め、対日理解の促進と戦略的な対外発信を更に推進していきます。「佐渡島の金山」の世界遺産登録に向け、関係国と丁寧な議論を行いつつ、しっかりと役割を果たしていきます。
世界各地の日系社会との連携も強化します。
「外交の要諦は人」であり、これらの取組で着実な成果を上げるため、外交実施体制の強化が不可欠です。
在外職員等の勤務環境改善や生活基盤強化、人的体制の強化、財政基盤の整備、DXや働き方改革の推進等、外交・領事実施体制の抜本的強化に取り組みます。
緊急事態に際し、邦人保護を始め迅速かつ機動力のある危機対応が可能となるよう、在外公館の強靱化を推進し、人的体制を含む即応体制を充実させます。
結語
本年は世界各地で重要な選挙が控え、国際情勢は大きな局面を迎えます。このような中、我が国は、第10回太平洋・島サミット、TICAD閣僚会合など重要な国際会議を開催する予定です。また、G20及びAPEC議長国としての中南米諸国との連携も強化していきます。
私は、日本が戦後80年近くにわたって平和国家として築いてきた国際社会からの信頼や期待が、非常に高いと実感しています。
この信頼や期待に応えるべく、本年も国民の皆様の声に耳を傾け、理解と支持を得ながら、挑戦を続けていきます。
議員各位、そして国民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。
●岸田政権は税金で延命? 原油高×円安で実質賃金プラスに暗雲… 1/30
中東不安が原油価格を押し上げている。
紅海につながるアデン湾で26日、英企業の石油タンカーが親イラン武装組織フーシ派からミサイル攻撃を受けた。27日夜から28日未明にかけては、ヨルダンの駐留米軍基地がイラン支援の武装勢力による無人攻撃を受け、米兵3人が死亡し、30人以上が負傷した。
供給不安が高まり、代表的指標のWTI先物は1バレル=79ドルまで上昇。年初の70ドルから大幅アップだ。
「中東の緊迫に加え、世界的に原油需要は堅調で、春先にかけて、1バレル=100ドルに迫ってもおかしくありません。円安も加わり、日本のエネルギー価格は一段と上昇する恐れがあります」(市場関係者)
先週の金融政策決定会合で日銀の植田総裁は2024年度の物価見通しを下方修正し、「このところの原油価格下落の影響が主因です」と説明していたが、その直後に原油高騰に見舞われた格好だ。原油高はガソリンや電気・ガス代の高騰を招くが、政府の補助金終了が近づいている。
ガソリンは4月末、電気・ガスは5月使用分で打ち切られる。補助金のおかげでガソリンは1リットル=175円程度で抑えられてきたが、打ち切られれば足元では190円。さらなる原油高騰なら、200円を超える。電気・ガスは平均的な家庭で電気代月910円、都市ガス450円程度の負担増になる。
2年で10兆円の巨大事業
「岸田首相は物価上昇を上回る賃上げを繰り返し強調しています。6月には定額減税をスタートさせ、どうしても実質賃金をプラスに転じさせたい。しかし、この先、原油価格の高騰に補助金の終了が加われば、物価上昇が賃金上昇を大幅に上回りかねない。補助金の延長に踏み切る可能性が浮上しています」(霞が関関係者)
補助金スタートから丸2年。ガソリンは6度も延長を繰り返し、予算総額は6.4兆円。電気・ガスは2度延長し、総額は3.7兆円に上る。合わせて10兆円超の大盤振る舞いだ。
「急場しのぎのはずが、2年で10兆円は巨大事業ですよ。原油相場が軟化しなければ、いつまでも続けるのでしょうか。補助金と言っても、原資は税金。岸田首相の延命のためにバラマキに付き合わされ、国民負担が増大するということです。何のビジョンもない岸田首相にこれ以上、物価対策をやらせてはいけません」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)
岸田政権が続けば、補助金は青天井で膨れ上がり、国民がツケを払うことになりそうだ。
●首相 政治改革「必ず実行」 1/30
岸田文雄首相は30日午後の衆院本会議で、施政方針演説を行った。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を陳謝し、先頭に立って国民の信頼回復に努める考えを表明。デフレからの完全脱却に向け、物価高を超える所得を実現させる決意を示した。
首相は国民の信頼が揺らいでいるとの認識を示した上で、政治改革に関する自民党の中間取りまとめに触れ、「政治の信頼回復に向け、先頭に立って必ず実行していく」と訴えた。政治資金規正法の改正については、中間取りまとめに、各党との協議を経て法整備すると盛り込んだことに言及した。
経済面では、「デフレから完全脱却するチャンスをつかみ取る。経済再生が岸田政権の最大の使命だ」と強調。賃上げを「喫緊の課題」と位置付け、「あらゆる手を尽くし、今年、物価高を上回る所得を実現する」と約束した。
能登半島地震への対応に関しては「異例の措置でもためらわず実行する」と語り、自身をトップとする「復旧・復興支援本部」の新設を打ち出した。2月上旬にも初会合を開く方針で、首相は「被災地の再生まで責任を持って取り組む決意だ」と訴えた。
首相は憲法改正について、自民党総裁任期中の実現を目指す考えに変わりがないと強調。国会の発議に向け、「今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速する」と意欲を示した。
●立民・泉健太代表「政権弱体化」、維新・馬場伸幸代表「総花的」 首相演説 1/30
立憲民主党の泉健太代表は30日、岸田文雄首相が同日の衆院本会議で行った施政方針演説について「力ない演説だった」と評した。その上で、自民党派閥パーティー収入不記載事件を念頭に「岸田政権が弱体化していると感じた」と指摘した。国会内で記者団に語った。
演説の内容については、不記載事件を受けた言及を疑問視し「実態解明という発言もなければ裏金という言葉すらなかった。真剣に向き合って反省するのであれば、裏金だったということを認めなければいけない」と強調した。
一方、日本維新の会の馬場伸幸代表は30日の記者会見で「総花的で、国民がわくわくどきどきするような中身ではなかった」と感想を語り、「一国の首相の施政方針演説だ。本来、それを聞くだけで夢や希望を国民が持つという中身でなければならない」と注文を付けた。
首相が9月までの憲法改正実現を目指すと表明したことに関しては「もう既にタイムオーバーになっているような状況だ。本当に自民党がそういう考え方なのかと考えれば、疑問を持たざるを得ない」と断じた。
●福島第1処理水放出「国際安全基準と合致」 IAEAが放出後初めての報告書 1/30
国際原子力機関(IAEA)は30日、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の安全性に関する新たな報告書を公表した。昨年8月の放出開始後では初の検証作業で、「関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった」と結論付けた。日本政府はIAEAのお墨付きを得て、引き続き安全第一で放出を進めていく方針だ。
調査団は昨年10月下旬に日本を訪れ、日本政府や東電と意見交換を行ったり、福島第1原発の現地調査を行ったりした。IAEA職員に加え、放出に批判的な中国やロシアを含む国際専門家9人が来日し、多角的な視点から検証した。
報告書では、原子力規制委員会の活動について「強固な規制インフラが整備されている」と評価した。さらに、東電や日本政府が実施する環境モニタリングプログラムが「国際社会にとって非常に重要である」と強調し、そのデータの正確性や信頼性を担保するIAEAによる裏付け調査の重要性も指摘した。
IAEAは今春に次の調査団派遣を計画している。
●岸田首相「裏金」「派閥」ワードを口にせず「政策集団の政治資金問題」主張 1/30
岸田文雄首相は30日、衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。自民党派閥の裏金事件について「国民から疑念の目が注がれる事態を招いたことは、自民党総裁として極めて遺憾。心からおわび申し上げます」と謝罪したが、「自民党の政策集団の政治資金の問題」と表現し、「裏金」「派閥」の言葉は口にしなかった。野党は「非常に不誠実」(立憲民主党の泉健太代表)と批判。首相が「国民の信頼回復を果たし、政治を安定させた上で重要政策を実行する」と訴えると、激しいヤジが相次いだ。
裏金事件で国民の信頼をすっかり失った首相だが、「唯一の浮揚策」(関係者)とすがる定額減税に向けたくだりでは「あらゆる手を尽くし今年、物価高を上回る所得を実現していく。実現しなければなりません」と述べ、原稿棒読みをやめて顔を上げ「どや顔」を見せる場面も。「昨年10月の所信表明で経済、経済、経済と申し上げた。その思いは今も全く変わらない。経済再生が岸田政権の最大の使命と、この場でもう1度お誓いいたします」と主張したが、裏金問題で揺らいだ信頼回復へは遠い道のりのままだ。各党の代表質問は、31日から始まる。
●賃上げの原資確保へ 中堅・中小向け投資支援策がカギに 1/30
岸田文雄首相が30日に行った施政方針演説では、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実現へ、企業の賃上げを後押しすることも強調した。特に比較的業績好調な大企業に対し、中小企業の中には円安の進展に伴う輸入物価高や、十分な価格転嫁ができないことなどに悩まされるケースも多い。持続可能な賃上げには生産性の向上に寄与する設備投資が不可欠で、政府が昨年末に取りまとめた投資支援策などが広く有効に活用されるかがカギとなる。
実質賃金マイナス続く
「賃上げを生み出す企業の『稼ぐ力』の強化にも大きく踏み込む」。施政方針演説で、岸田首相はこう強調した。
背景にあるのは、円安や資源高に伴う物価上昇に対し、足元では賃上げが追いついていないことへの危機感だ。厚生労働省が発表する「毎月勤労統計調査」によると、実質賃金は昨年11月まで20カ月連続のマイナスが続く。こうした状況が長引けば個人消費や投資の抑制につながり、日本経済の再生に支障をきたしかねない。演説で首相は賃上げの重要性を再三訴えるとともに、6月からの所得税・住民税減税などの政策を総動員して「賃金が上がり、可処分所得が増える」状況を「確実に」作ることを強調した。
中小に省力化投資支援
一方、東京商工リサーチが昨年12月に行った「賃上げに関するアンケート」調査では、回答企業4581社の82・9%が賃上げを実施予定としたが、上げ幅が「令和5年を上回る」とした企業は11・6%にとどまる。政府が求める昨年を上回る賃上げには、二の足を踏む企業も多い実態が浮かびあがる。
賃上げの原資を作るには製品などへの適正な価格転嫁や下請けとの取引適正化なども必要だが、個人消費や設備投資が拡大し、経済が自律的に成長するための支援も必要だ。
政府は「中小企業の省力化投資を後押し」(新藤義孝経済再生相)のため、人手不足解消につながる多くの汎用製品を分かりやすい「カタログ形式」で掲載する事業を新たに実施する。一定の賃上げを行えば、対象製品購入時の補助金の上限を引き上げる支援策も打ち出した。今後は、用意した支援策をより広く活用してもらうため、丁寧な情報発信などが重要となる。
●自民・船田元氏も茂木派離脱表明 他にも複数人が検討、分裂含み 1/30
自民党の古川禎久元法相と船田元・元経済企画庁長官は30日、茂木派(平成研究会)を退会する意向を表明した。岸田文雄首相が岸田派解散を宣言して以降、茂木派では小渕優子選対委員長や関口昌一参院議員会長ら5人が既に離脱を表明しており、古川、船田両氏を加え7人となった。ほかにも複数の議員が離脱を検討しており、茂木派は分裂含みだ。
古川氏は30日にあった茂木派の全体会合で退会を表明。会合出席後、記者団に対し「全ての派閥が解散し、自民党を一旦更地にして新しい自民党のあり方を考えることがスタートラインだ」と退会理由を説明。茂木派を政策集団に移行させる方針を示す茂木敏充幹事長との路線の違いを強調した。船田氏は同日のBS番組で離脱の意向を明らかにした。
派内には茂木派の解散を求める意見も少なくない。伊藤達也元金融担当相は会合後、記者団に「けじめのために政治団体は解散すべきだ」と語った。

 

●能登半島地震あすで1か月 輪島市で初めての仮設住宅完成 入居へ 1/31
能登半島地震発生から2月1日で1か月です。生活再建に向け、石川県では初めての仮設住宅が輪島市に完成しました。輪島市から中継です。
こちらでは31日、石川県内で初めてとなる仮設住宅18戸が完成しました。
2DK14戸、4DK4戸の合わせて18戸で、寒さ対策のためガラス窓は三重になっているということです。
31日は午後1時ごろ、石川県の職員などが訪れ、住宅の機能性や設備などを確認する最終検査が行われました。この後、住宅が正式に輪島市に引き渡される予定です。入居は来月3日から始まるということです。
――懸念される事は?
まだまだ数が足らないことです。
輪島市内では、31日までに仮設住宅の入居を希望する申し込みが4140件ありましたが、現状、着工された数は548戸にとどまっています。
入居を希望している女性に取材すると「とにかく早く入りたいが入居できるという連絡はまだない。避難所生活が続いている」と話していました。
輪島市は山と海に囲まれた場所で仮設住宅の建設に適した用地が足りていないそうです。
ただそんな中、輪島市は入居希望者に対し被災前の住所と今後住みたい住所を聞いて、地域コミュニティの継続という点も重視しているということです。
●能登半島地震 死者238人 約4割の人が下敷きなどによる「圧死」 1/31
能登半島地震の発生から2月1日で1カ月です。石川県内ではこれまでに238人の死亡が確認されています。警察が調べた結果、約4割の人が倒壊した建物の下敷きなどによる「圧死」だったことが分かりました
能登半島地震で石川県内では今月30日までに238人の死亡が確認されています。
警察がこれまで222人の遺体の死因について調べたところ、約4割にあたる92人が倒壊した建物の下敷きなどによる圧死だったことが分かりました。
また、「窒息」や「呼吸不全」で亡くなった人は49人、寒いなか救助を待っていたことで体温が低下して亡くなった「低体温症」や「凍死」は32人に上っています。
警察庁によりますと、亡くなった人のうち年齢が判明した204人の年齢を調べたところ、約7割が60代以上だったということです。
●能登半島地震の死者、「圧死」が4割 警察庁集計 1/31
能登半島地震で1月末までに確認された石川県内の死者は238人に上る。このうち警察が死因を調べた222人について警察庁が集計したところ、「圧死」が92人(41%)と最も多かった。「窒息・呼吸不全」が49人(22%)で続いた。
警察庁の集計は1月30日時点。震災後の体調悪化に起因する災害関連死などを除いて死因を集計した。
災害関連死を除く市町村別の死者数は輪島市が98人、珠洲市が95人。いずれの市でも死因は圧死が最多だった。耐震化が進んでいない古い木造家屋が多く、激しい揺れで倒壊が相次いだ。家屋の下敷きになり亡くなった人が多かったとみられる。
222人のうち、年代は70代が最も多く56人。80代が47人、90代が24人で続いた。60代以上が計149人と67%を占めた。
圧死と窒息・呼吸不全以外の死因では「低体温症・凍死」が32人で、222人の14%を占めた。「外傷性ショック等」が28人(12%)、「焼死」が3人(1%)だった。
「その他」の死因には6人が分類された。この中には、建物の下敷きになって体の循環機能が損なわれ、救出後でも亡くなるリスクがある「クラッシュ症候群」による死者も含まれるという。死因が特定できない死者は12人だった。
県によると、1月31日時点で死亡が確認されたのは災害関連死を含め238人。輪島市と珠洲市がいずれも101人で、穴水町20人、能登町8人、七尾市5人、志賀町2人、羽咋市1人。19人の安否が分かっていない。
●“裏金”リスト 自民党の安倍派・二階派議員は現時点で42人 1/31
自民党の派閥の政治資金をめぐる事件で、派閥からキックバックを受けたり、パーティー券収入の一部を中抜き・プールしたりするなど、いわゆる“裏金”を受け取っていたことが分かった自民党議員は何人いるのか。そして“裏金”の使い道は。日本テレビが緊急取材。
“裏金”自民党議員は現時点で42人
1月31日現在、日本テレビの取材で、“裏金”を受け取っていた自民党の安倍派・二階派議員は42人いることが分かった(4人は元国会議員)。“裏金”額の内訳を見ると42人のうち4000万円以上は3人、2000万円以上は5人、1000万円以上は8人、500万円以上は6人、100万円以上は14人、100万円未満は6人だった。
金額の大きい上位10人は以下の画像の通り。11位以下の詳細も列挙する。
1 大野泰正(安倍派)5154万円
2 池田佳隆(安倍派)4826万円
3 谷川弥一(安倍派)4355万円 ※議員辞職
4 二階俊博(二階派)3526万円
5 萩生田光一(安倍派) 2728万円 ※安倍派5人衆
6 山谷えり子(安倍派) 2403万円
7 堀井学(安倍派)2196万円
8 橋本聖子(安倍派)2057万円
9 世耕弘成(安倍派)1542万円 ※安倍派5人衆
10 林幹雄(二階派)1512万円
11 福井照(二階派)1254万円 ※元衆院議員
12 長崎幸太郎(二階派)1182万円 ※元衆院議員、現山梨県知事
13 武田良太(二階派)1172万円
14 平沢勝栄(二階派)1080万円
15 松野博一(安倍派)1051万円 ※安倍派5人衆
16 高木毅(安倍派)1019万円 ※安倍派5人衆
17 堀井巌(安倍派)876万円
18 関芳弘(安倍派)836万円
19 馳浩(安倍派)819万円 ※元衆院議員、現石川県知事
20 末松信介(安倍派)584万円
21 細田健一(安倍派)564万円
22 高鳥修一(安倍派)544万円
23 石井正弘(安倍派)378万円
24 若林健太(安倍派)368万円
25 江島潔(安倍派)280万円
26 赤池誠章 (安倍派)268万円
27 木村次郎(安倍派)236万円
28 塩谷立(安倍派)234万円
29 松川るい(安倍派)204万円
30 井原巧(安倍派)168万円
31 宮内秀樹(二階派)161万円
32 宮澤博行(安倍派)140万円
33 北村経夫(安倍派)118万円
34 長峯誠(安倍派)116万円
35 西村康稔(安倍派)100万円 ※安倍派5人衆
36 野上浩太郎(安倍派)100万円
37 田畑裕明(安倍派)68万円
38 鈴木淳司(安倍派)60万円
39 山本順三(安倍派)58万円
40 高橋はるみ(安倍派)22万円
41 藤原崇(安倍派)14万円
42 山崎正昭(安倍派)4万円
一体何に使った?“裏金”の使い道は?
今回“裏金”が分かった42人の「使い道」は次の通り。
最も多い「事務所で保管・未使用」は15人、次いで「事務所経費・会合費等」は7人、「不明・未回答」は9人、そして「政治活動費」は9人などという結果だった。
東京地検特捜部に逮捕・起訴された池田佳隆議員や、在宅起訴された大野泰正議員の使い道は明らかにされておらず、「不明・未回答」としている議員は今後、具体的に説明する必要がある。
注目すべきは「政治活動費」だ。政治活動費とは一体何を指すのか、具体的にどのような政治活動に使ったのか、この言葉では“使い道”が明らかになっているとは言いがたい。「使い道をぼかしている」と受け止められても仕方ないだろう。
有権者や国民の理解を得るためには各議員に対してさらなる説明責任が求められる。
【主な使い道】
「事務所で保管・未使用」 15人
「事務所経費・会合費等」 7人
「不明・未回答」 9人
「政治活動費」 9人
「その他」 2人
安倍派“5人衆”は?
安倍派の幹部のいわゆる“5人衆”はいずれも“裏金”を受け取っていた。その中でも萩生田前政調会長が2728万円と最も高い額となった。また世耕前参院幹事長は1542万円を「政治活動費」に使ったとしているが、具体的に何に使ったのか明らかになっていない。使い道についてはそれぞれ以下のようにコメントしている。
萩生田光一 議員 2728万円「国会議員・外国要人・マスコミ等との会合、出張時の政務活動費」
世耕弘成 議員 1542万円「政治活動費」
松野博一 議員 1051万円「国会議員や有識者との意見交換会合費など」
高木毅 議員 1019万円「会食費や交通費等など」
西村康稔 議員 100万円「個人の政治資金パーティーの収入の一部として計上」
今後は?実態解明に向けて
安倍派に対して東京地検特捜部の刑事処分が出され、捜査が一区切りしてから10日あまりが経過した。こうした中、安倍派は1月31日、政治資金収支報告書の訂正を総務省に届け出る。
修正される派閥の収支報告書には所属議員に対していくらキックバックされていたのか、いくら中抜き・プールがあったのかが記載されるため“裏金”の実態解明に向けて注目されている。
日本テレビの2024年1月31日時点での取材では、“裏金”を受け取ったことが確認できた議員は42人だが、今回の修正を受けて安倍派の所属議員は自らの政治団体の収支報告を随時修正する見通しで、人数は今後さらに増えることは確実だろう。
今後、新たに“裏金”が明らかになる議員や、いまだ“使い道”を明確にしていない議員には、正確で明確な説明が求められている。
●議員辞職の谷川弥一氏「裏金4300万円、たったの罰金100万円」… 1/31
確定申告を控えた納税者らの悲鳴に似た怒りの声が、ネット上に飛び交っている。
自民党の派閥の政治資金パーティー券をめぐる裏金事件で、東京地検特捜部に政治資金規正法違反の罪で略式起訴され、議員辞職した谷川弥一前衆議院議員(82)。東京簡裁は1月26日付で罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を出した。
谷川前議員は、同罪で略式起訴された秘書(47)と共謀し、2022年までの5年間で、所属していた「安倍派」(清和政策研究会)から受けたキックバック計約4300万円を資金管理団体の政治資金収支報告書に記載していなかった。
東京簡裁はまた、約3000万円の収入を不記載したとして略式起訴された「岸田派」(宏池会)の元会計責任者の佐々木和男氏についても、罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を出したのだが、このニュースが報じられると、SNS上では驚きの声が広がった。
《4300万円の所得を隠して罰金100万円?》
《罰金100万円はいくら何でも安すぎるだろう。4000万円を丸儲けじゃないか》
《これは真面目に納税するのが馬鹿らしくなる。なんだ罰金100万円って》
国税通則法ではキックバック不記載は「隠蔽・仮装」行為の疑い
動揺する投稿が相次ぐのも無理はない。一般企業などで売上の過少計上や経費の架空計上などの「脱税行為」があった場合、本来納めるべき納税額(追徴税)に加え、重加算税や延滞税を合算して納めなければならない。
国税通則法では、重加算税などが課される基準を挙げていて、そのくだりには「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し」とある。
そして、その主な「隠蔽・仮装」の具体的行為として、二重帳簿の作成や帳簿書類に記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む)を除外していること、などが例示されているのだが、裏金事件のキックバック不記載は、「帳簿書類に記録せず」「収入を除外している」行為。「脱税行為」に当たると指摘されても不思議はない。
さらに「無申告」や「重加算税」で罰則を受ける際、過去5年以内に同様の行為がある場合は悪質と判断され、通常の税額よりも高い45%の重加算税がかかる。4000万円の所得を隠し、それが常習的に繰り返されていたとすれば納税額は通常で考えても数千万円。場合によっては4000万円を超える税金を納める可能性もある。さすがに「100万円」では済まないだろう。
《政治資金の流れこそインボイスにするべきではないか》
《政治家こそマイナンバーとインボイスを紐づけにするべき》
怨嗟の声は広がるばかりだ。
●安倍派 収支報告書の訂正 不記載の総額は6億7654万円 1/31
安倍派で、派閥パーティー収入を所属議員にキックバックし、政治資金収支報告書に記載していなかった事件で、安倍派は31日総務省に収支報告書の訂正を届け出た。派閥から所属議員側への支出は、5年間で総額6億7654万円だったことを明らかにした。
安倍派のコメントによると、支出先は、現職・元職の衆議院議員の関係政治団体58団体、参議院議員の関係政治団体37団体のあわせて95政治団体。「国民の皆様の政治不信を招き、心よりおわびもうしあげる」と謝罪した。
また、安倍派が収支報告書を訂正したことを受け、不記載があった国会議員の政治団体側も速やかに訂正を行う、としている。
●新たに2人の政務官が交代 総理は信頼回復への決意強調 1/31
岸田首相は、自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐり、新たに収支報告書の不記載が判明した2人の政務官を交代させる方針。
小森総務政務官と加藤国土交通政務官は、いずれも安倍派から受けたキックバックを収支報告書に記載していなかったことがわかり、辞任を決めた。
自民党・安倍派 小森総務政務官「不記載が70万円確認されたところです。まずはおわび申し上げます」
自民党・安倍派 加藤国交政務官「(辞任の意向を固めたということですが?)そうですね。(不記載が)10万円分ありました」
岸田首相は後任人事の調整を進めていて、31日にも新たな政務官が就任する見通し。
一方、衆議院本会議では、岸田首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が行われている。
最新情報を国会記者会館から、フジテレビ政治部・阿部博行記者が中継でお伝えする。
トップバッターの立憲民主党の泉代表は、「異次元の不祥事だ」として、キックバック不記載の議員の辞職などを要求したが、岸田首相から踏み込んだ答弁はなかった。
立憲民主党・泉代表「自民党総裁として、すべての裏金議員に議員辞職を求めてはどうですか」
岸田首相「関係者において明確な説明責任を果たすことがまずは重要ですが、しかるべき手順を踏んだうえで対応を考えてまいります」
立憲民主党・泉代表「自民党の全国会議員への収支報告の不記載について、自己申告に基づく調査を行い、作成した不記載議員リストを2月5日の朝までに提出すること」
岸田首相「(収支報告書の)訂正作業が順次行われているところであり、その訂正作業をふまえつつ、可能な情報提供をしてまいります」
また、安倍派幹部や二階元幹事長の政治倫理審査会への出席要求についても、「国会の手続きに基づき判断する事柄だ」とした。
一方、「信なくば立たず」と「論語」の言葉を引用した自民党の渡海政調会長に対して、岸田首相は「解体的な出直し」との表現を用いて、信頼回復への決意を強調した。
●玉川徹氏、麻生太郎氏発言に「こういう人たちを政治の世界から・・・」 1/31
元テレビ朝日社員の玉川徹氏は31日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し、講演で上川陽子外相の容姿や年齢に言及した自民党の麻生太郎副総裁を念頭に、画面に向かって「福岡の選挙区の皆さん、女性を含めて、この人でいいんですかと言いたい」と呼びかける場面があった。
麻生氏は、28日の福岡県内での講演で上川氏に言及した際、外相としての手腕を高く評価しながらも「そんなに美しい方とは言わんけれど」「おばさん」などと発言。名字を「カミムラ」と間違える場面もあった。
麻生氏の一連の発言についてコメントを求められた玉川氏は「去年、内閣支持率が下がってきた時、上川さんを総理に担いでくるのでは、という話をした。自民党は(ピンチ時に)目先を変えてくる。女性最初の総理だよと、お前らそれで喜ぶんだろというような感覚を持っているんだろうな、このおじさんたちはと思っていた」「今回も(上川氏を)持ち上げている。そういうことを意識してやってくるんだろうなというのが、ズバリだったという感じがする」と自身の過去の発言を振り返った上で「言葉の端々で、女性を下に見ている。それがぽろぽろ出ちゃう。こういうことで怒るでしょ?腹立たしいでしょ? 。腹立たしいなら、そういう人たちはだめだと。こういう人たちを政治の世界からいない状態にしていかない限りは、変わらないんですよ」と訴えた。
「会社の役員を、社員がいなくさせるのはなかなか難しいが、だけど政治家をいなくすることは簡単。そのために選挙がある」と述べ「福岡の選挙区のみなさん、女性を含めて、この人でいいんですかと言いたい」とテレビカメラに向かって話す表情が、画面に大写しになる場面があった。
また「リディラバ」代表の安部敏樹氏は、上川氏が30日の会見で、麻生氏の発言への受け止めを問われ、直接論評しなかったことについて「上川さんの及び腰のところは、政局的な話があるんじゃないかと思わざるを得ない」と指摘。「麻生さんに対して、こういう言い方はしないほうがいいんじゃないですかといった上で、評価いただけるのはうれしいと言えばいいだけの話。それを言っていないのは、どうなのかなと思う」と疑問を投げかけた。
●麻生氏の発言 女性進出阻む旧態依然 1/31
外務大臣としての能力と外見とは何の関係もない。言及すること自体が女性への差別と受け取れる、極めて不適切な発言だ。麻生氏は過去にも問題発言を繰り返してきた。こうした人物を自民党の最高幹部に据え置き、注意すらできないなら、放置する岸田首相の責任が問われる。
自民党の麻生太郎副総裁が福岡県芦屋町での講演で、上川陽子外相について「そんなに美しい方とは言わんけれども、英語できちんと話をし、外交官の手を借りずに自分でどんどん会うべき人に予約を取っちゃう」と発言した。仕事ぶりを評する際に外見に触れる必要は全くなく、一般社会でも決して許されない。
麻生氏はその前に「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」とも語っていた。旧来から権力を握ってきた男性政治家が、少数派の女性政治家を優越した立場から評価する意識があらわになったように映る。対等と思っているなら、「おばさん」などやゆするように聞こえる表現を講演で使うだろうか。
岸田首相も昨年9月の内閣改造で上川氏ら女性閣僚5人を起用した際に「女性ならではの感性、共感力を十分発揮していただくことを期待したい」などと発言し、問題視された。自民党から、わざわざ性別を強調する発言が連発される背景には、女性の起用や擁立が大きく遅れる党の旧態依然とした姿勢がある。
昨年の改造の時点では女性の副大臣・政務官はゼロだった。自民党の衆参国会議員に占める女性の割合は1割超。直近の衆院選では、当選者中の女性の割合は1割未満で、参院選でも約2割だった。
女性がほぼ半数の社会全体を反映し、代表する政党とは言いがたい。昨年、「10年で国政女性議員比率30%」を目標にしたが、こうした指導者の下では本気度が疑われる。
しかも麻生氏は、これまで2人の女性の外相がいたのに、「女性が日本の外務大臣になった例は過去にないと思う」と誤認している。政治家としての基本的な認識があるかさえ疑問だ。
麻生氏には、ナチスを引き合いに「あの手口に学んだらどうか」など、国際社会ではおよそ容認されない発言もある。今回も党内で問題視する動きは見えない。背景には、麻生氏が多数の国会議員を従える麻生派トップとして、政権運営に強い影響力を持ってきた派閥政治の構造がある。
ゆゆしき発言をしても放任されるとしたら、自民党の自浄能力はおよそ期待できないことになる。党の体質そのものが問われている。
●岸田より頼れる“小池百合子首相”爆誕へ 選挙「逆転勝ち」で恩売りまくり 1/31
永田町の大混乱は、いまだに収束する兆しが見えない。発端は、2023年11月に発覚した、政治資金パーティーを利用した自民党の裏金事件だ。
「1月18日、岸田文雄首相は、“三頭体制”を担う麻生太郎副総裁と、茂木敏充幹事長にもいっさい相談せず、岸田派の解散を口にしました。当然、麻生副総裁と茂木幹事長は大激怒ですよ。茂木幹事長は腹いせとばかりに、巨額の不正会計に関わった安倍派幹部を離党させるべきだと周囲に訴えた。清和会だけをターゲットにした発言だったようですが、岸田派でも元会計責任者が起訴されており、この発言は『岸田首相も離党しろ』という主張だと受け取られかねません」(自民党議員)
親分に“弓を引いた”茂木幹事長のもとからは、次々と人が去っている。
「小渕優子選対委員長や石井準一国対委員長が茂木派を離脱。さらに青木一彦議員に加え、参院で10人程度の議員が続くとされています」(同前)
茂木幹事長による“反乱”は自壊。だが、岸田政権が延命できたわけではない。
「“裏金”の再発を防ぐべく、首相肝入りで立ち上げた政治刷新本部の改革案は、ツッコミどころ満載です。“派閥”を“政策集団”だと言い換えただけで、派閥の『政治資金パーティー禁止』『人事への介入禁止』という2点を、実効性のある形にできていません。国民からの信頼回復は望めませんよ。党内では、岸田首相への不満が溜まっています」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏)
早ければ、4月にも政局が一気に動く可能性がある。
「政権が9月の総裁選まで延命できないのは、永田町で衆目の一致するところ。3月には自民党大会があり、“反岸田”の声が高まる。4月の訪米を花道に退陣するか、解散するか。遅くとも、6月の通常国会閉幕までに、手を打つ必要がある」(政治部記者)
そこでにわかに注目を集めているのが、“沈黙する女帝”小池百合子都知事だ。
「2023年12月におこなわれた江東区長選と、1月21日の八王子市長選で、自公推薦の候補者を勝たせました。とくに八王子市長選は、萩生田光一前政調会長のお膝元。旧統一教会問題や“裏金事件”の影響で与党の苦戦が予想されていました。小池都知事は、序盤戦ではあえて動かず、旗色が悪くなった19日になり、ようやく応援演説で現地入り。小池都知事の肉声で投票を呼びかける自動音声電話を有権者にかけるなど、怒涛の攻勢で形勢を逆転させました。萩生田議員を筆頭に自民党に大きな貸しを作り、“女帝”の力をまざまざと見せつけました」(都政関係者)
2021年には愛犬“(総理の)ソウちゃん”を亡くしてペットロスに苦しみ、2023年5月には過労で公務を取りやめるなど、健康不安説が取り沙汰されてきた小池都知事。ここにきて、“最後の野望”に向けてV字復活を遂げたのだ。舛添要一前都知事はこう語る。
「彼女は権力に取りつかれた人ですから、総理になりたいという野望はいまでもあるはずです。自民党が弱り、女性総理待望論がささやかれているなか『チャンスが来た』と思っているでしょう。いまだに7月7日の都知事選への出馬を表明しないのは、それが理由です。私は小池都知事の政策をまったく評価していませんが、“選挙に強い”のは事実です」
前出の伊藤氏も「モテ期が来た」と語る。
「小池都知事を引っ張り込もうと、自民党が画策していることは事実です。彼女のほうも『それなりのポストを用意してくれれば』と応じているという話を聞いています。東京に地盤のない、維新の会も総選挙に向けて“共闘”のラブコールを送っていますからね。まず国政に出る必要があるので、都知事選までに解散総選挙があるのかがポイントです。副総裁などのポストを与え、総選挙に備えるというウルトラCもありでしょう」
とくに菅義偉(よしひで)前首相、二階俊博元幹事長、公明党の山口那津男代表とは、恐ろしいほど利害が一致する。
「菅氏と二階氏は“三頭体制”で冷や飯を食わされた非主流派です。そして公明党を軽視し続ける岸田首相と違い、菅氏は太いパイプがある。この3人が岸田首相を見捨てて、小池都知事を担いだら……。初の女性総理誕生は近いかもしれません」(政治部デスク)
いまの政治が変わるなら、望むところだ。
●「国民を騙した“小泉劇場”を思い出す。岸田さん、本当は麻生さんと連携か?」 1/31
「岸田派解散」
ニュースを見て最初は驚いたけど、今は冷めている。
「検討使」と揶揄(やゆ)された岸田文雄首相が、珍しくびっくりするような決断をしたわけやけど、人のキャラがそんなに急に変わるわけない。彼なりに秘策があったんやないか。私は、「一石四鳥」を狙ったんやと思っている。
1つめの狙いは、派閥解散で批判をかわすこと。岸田派の元会計責任者が立件され、批判の矛先が安倍派だけでなく岸田派にも向き始めた。岸田首相は、自分が叩かれて、さらなる内閣支持率の低下を招くことは避けたかった。
ここで岸田派解散のカードを切れば、決断力やリーダーシップを評価され、支持率も下げ止まる可能性があると思ったんやろうね。実際、その後の世論調査で、自民党支持率は落ちているのに内閣支持率は横ばい。そして、岸田首相の決断を国民の6割が評価している。保身の目論見はまんまと当たったわけや。
2つめの狙いは、論点をカネの問題から派閥の是非にすり替えること。派閥解散を打ち出せば、報道が派閥の是非論一色になるのは明らか。
しかし、派閥解散はそれほどのニュースなのか。どうせすぐに復活する。1993年の政権交代後に、自民党はすべての派閥を解散したが、数年で元に戻ったんやから。
派閥の是非に焦点が当たっている間に、本丸のカネの問題が吹っ飛んでしまった。そもそも政治刷新本部では、企業団体献金については検討課題にすらなっていない。
派閥がなくなっても、企業団体献金が維持できれば、違う方法でいくらだってカネ集めはできるので、不都合はないということや。
3つめの狙いは、安倍派や二階派を解散に追い込むこと。岸田首相には、とくに安倍派への怨念があるはずや。
自民党の派閥には二大潮流がある。かつて鳩山一郎が総裁を務めた日本民主党と、吉田茂が率いた自由党の2つの系譜や。
前者は岸信介、福田赳夫、森喜朗、小泉純一郎と総理を輩出し、清和会(安倍派)に連なるタカ派の流れ。この派閥が、長年にわたって総理をほぼ独占してきた。二階派、森山派もこの流れを汲む。
後者はハト派路線で、岸田首相の宏池会(岸田派)もここに入る。今回の派閥解散の背景には、この二大勢力による権力闘争があるとみたほうがわかりやすい。
岸田首相には、宮沢喜一元首相以来約30年間、宏池会から総理を出せなかった悔しい思いがあるはず。せっかく手にした主流派の座を、そう簡単に譲り渡したくない。
だから、最大派閥の安倍派を潰す。それも岸田首相の決断の理由やと思う。そして、岸田首相が派閥解散を宣言した後、安倍派、二階派、森山派も解散を決定。「政敵」を倒すことに成功したわけや。
4つめの狙いは、将来的に麻生派と合流すること。これが最大の狙いやと、私は思っている。
岸田派と麻生派は、いわば “双子” 。宮沢元首相のころまでは同じ宏池会で、後の「加藤の乱」(第二次森内閣打倒を目指して、加藤紘一氏らが起こした一連の運動)で割れるまでは一緒やった。
また、岸田派と茂木派は “いとこ” に近い。源流が吉田茂の自由党なのは一緒やけど、佐藤栄作、田中角栄の系譜を受け継ぐのが、今の茂木派。岸田政権は “双子” と “いとこ” に支えられている。
岸田派と麻生派はもともと “双子” だから、将来は合流しようと考えているとしてもおかしくない。
安倍派、二階派、森山派という3つの派閥を一気に潰せたし、安倍派の解散で100人近い最大派閥が消滅した。結果、第二派閥だった麻生派が第一派閥になり、第三派閥だった茂木派が第二派閥になった。
岸田首相はしばらく死んだふりをして、次の総選挙でなんとか現状を維持して麻生派に合流する。そうすれば、安倍派をしのぐ最大規模の派閥ができ上がる。すなわち「大宏池会」の復権が、岸田首相の最終的な狙いやないか。
それにしても、岸田首相がこんな絵図を一人で描けるもんやろうか。私には麻生さんとの連携があったと思えてしょうがない。
報道では、岸田首相は派閥の解散を麻生さんに相談しなかったとされている。それに麻生さんが怒っていると。
そもそも、海千山千の政治家が本当に怒っている顔を他人に見せるのか。マスコミを通じ、「怒っている」というメッセージを送ったと考えるほうが自然やないか。
岸田首相が麻生さんに報告しなかったというが、総理としていちばん支えてもらっている相手に仁義を切らないわけがない。「一石四鳥」のシナリオは、2人で知恵を絞ったんちゃうか。
そこで思い出したのは、「干からびたチーズ事件」。2005年8月、当時の小泉首相は郵政民営化法案を国会で成立させると公言し、不成立の場合は「衆議院を解散する」と表明していた。
自民党内では解散への反対が強く、小泉首相を思いとどまらせようとしたのがその前の首相の森喜朗氏。だが、小泉首相は「信念だ。殺されてもいい」と聞き入れなかった。
森さんは、マスコミの前で「(小泉首相は)干からびたチーズひと切れと缶ビールしか出さなかった」と不満を語ったが、その後「あのときは、小泉君に怒って出て行ったことにしてくれと言われた」と明かしている。そして小泉首相は「信念の人」と評価され、「小泉劇場」により郵政選挙で自民党は圧勝する。結局、2人の仕込みのお芝居にみんな騙されたわけや。
今回も、麻生さんと岸田首相の間で、事前に話し合いがあったとしても不思議ではない。後見役の麻生さんを本気で怒らせたら、岸田さんは総理の座にいられなくなるかもしれん。内々の合意がなかったはずがないと私は思うが、的外れやろうか……。
●能登地震 復興の過程で懸念される「予備費の“中抜き”」と「“便乗”改憲」 1/31
「とにかく救助の手も重機も足りず、あちこちで家屋が倒壊したままの状態でした。生き埋めになっている家族を案じて、なすすべもなく立ちつくす方たちの姿があちこちに見られて……。痛ましい光景でした」
そう語るのは、ジャーナリストの藍原寛子さんだ。藍原さんは、オーストラリア公共放送SBSのプロデューサーとして1月5日に被災地入りし、被害の大きかった輪島市や穴水町を取材した。これまで多くの被災地を取材してきた藍原さん。過去の震災と比べて“初動の遅れ”を感じたという。
「2011年の東日本大震災のときは、2日後に“激甚災害指定”されましたが、今回、岸田首相が激甚災害指定の方針を固めたのは発災から7日後でした。
2016年の熊本地震のときは、3〜4日目で約2万人の陸上自衛隊が投入されましたが、今回は9日時点で約6300人。被災地を回っても、自衛隊のトラックをせいぜい5〜10台見かける程度でした。ヒト・モノ・カネを投入できていなくて、自助でなんとかしろという感じです」
コロナ時のときのように中抜きされないか注視が必要
なぜ、これほど対応が遅れたのか。
「ひとつには、道路の陥没がひどく、修復が遅れていることが影響しています。私が被災地を訪れたときも、タイヤが道路の亀裂にはまってパンクする車両が続出しました。そのため、支援の手が行き届かない。本来は、いち早く自衛隊がヘリで物資などを輸送すべきですが、命令が出ない限りは動けないため、対応が遅れたのです。 岸田首相は、災害規模を甘く見ていたのではないでしょうか」
被災地で必死の捜索が続いていた5日、岸田首相は3つの新年会に連続で出席。危機感の欠如を批判された。被災地を視察したのは14日になってからだった。
政府は来年度予算案に盛り込まれた予備費を、現状の5千億円から1兆円に倍増させ、“復旧と復興”のために使う方針だ。予備費とは、災害や金融危機など不測の事態に備えて、使い道を決めずに毎年度の予算に計上するお金のこと。
社会保障と税に詳しい鹿児島大学教授の伊藤周平さんは、「復興以外のことに流用されてしまう可能性がある」と懸念を示す。
「コロナ禍では、計上された14兆円を超える“予備費”のうち9割が使途不明になっています。というのも、予備費は国会の審議を経ずに使途が決められるため、復興とは関係のないものに流用されていてもわからないからです」
コロナ禍では、感染対策や生活支援のためにさまざまな事業が行われたが、政府と関係の深い企業が予算から“中抜き”したことも問題となった。
「予備費が正しく復興のために使われるか、監視が必要です」
緊急事態条項がむしろ災害時に逆効果になることも
一方で、震災へのこんな“便乗”の懸念がある。
「総裁任期中に憲法改正を実現したい思いに変わりはない。今年は条文の具体化を進め、党派を超えた議論を加速していく」
地震から3日後の1月4日、年頭記者会見で、改憲への思いを岸田首相はこう語った。SNSなどでは《震災を大義名分にして緊急事態条項を憲法に入れようとしているのでは》などと危惧する声が上がった。
“緊急事態条項”とは、大規模な災害や外部からの攻撃、さらには感染症の蔓延など緊急事態が起きた場合、一時的に政府の権限を強める規定のことだ。東京都立大学教授で憲法学者の木村草太さんはこう指摘する。
「今回のような大震災が起きると、火事場泥棒的に緊急事態条項を盛り込んだ改憲案が持ち上がります。2016年に熊本地震が起きたときも、菅義偉官房長官(当時)が緊急事態条項の必要性について触れるなど問題になりました」
政治部の記者はこう語る。
「自民党は、当面の改憲の目的として4項目を挙げていますが、そのうちのひとつが緊急事態条項です。しかし、首相が“緊急事態”を宣言すると、国民はすべて政府の指示に従わねばならず、さまざまな懸念が示されています。
たとえば政府が、〈救助活動を妨げる報道やインターネット情報は規制する〉という政令を出せば、情報は遮断され、政府に都合の悪い情報は隠されてしまう恐れもあります。
また、緊急時に国会議員の任期を延長できるようにしようという動きもありますが、これが悪用されてしまった場合、 “ずっと緊急時である”とそのときの政権が主張して、権力の座に居座るような事態も懸念されています」
前出の木村さんは、「災害対応の中心は自治体であり、中央政府への権限集中が役立つとは考えにくい。日ごろからの自治体の備えが重要」としたうえで、こう指摘する。
「災害対策に関心が薄い人が政権を握っている場合、かりに緊急事態条項によって政府に権限を集約しても、むしろ逆効果になる可能性もあります」
予算がしっかりと復興のために使われるか、震災を利用した強引な改憲が進められないか、我々が監視していくことが重要だ。
●植田日銀が画策する「福井元総裁並み」利上げ 1/31
「日本もいよいよ『金利のある世界』に戻る」。年明け以降、マスコミや金融界はこう騒ぎ立てている。初の学者出身総裁の植田和男が率いる日銀も「賃金と物価の好循環に自信が持てれば、躊躇なく政策修正に踏み切る」としきりにアピールし、2013年から10年以上続けてきた異次元緩和からの脱出に意欲満々だ。
手始めはマイナス金利の解除となるが、副総裁の内田眞一(1986年入行)をはじめ生え抜きの企画ラインは「その先の利上げも当然考えている」と17年ぶりの利上げに逸る気持ちを抑えきれない様子。「最低でも年内に福井ラインまでは行きたい」と強気の幹部もいる。「福井ライン」とは、量的緩和とゼロ金利を解除した福井俊彦(57年同)総裁時代の07年2月に実現した短期の政策金利0・5%を指す。素人目で見ると、ゼロも0・5%も大して変わらないようにも見えるが、デフレが続いた日本ではこの水準が今世紀に入ってから短期の政策金利の最高水準だ。
負けん気が強い福井は総裁在任中に「金利機能が働く最低水準として1%まで利上げを目指していた」(元理事)とされるが、米住宅バブル崩壊などで頓挫した経緯がある。 
●自民党の渡海紀三朗政調会長「国民に見放されるかの瀬戸際」 1/31
自民党の渡海紀三朗政調会長は31日の衆院代表質問で、派閥のパーティー収入不記載事件を巡り、「自民に対して厳しい目、強い疑念が向けられている。国民に見放されるかの瀬戸際に立っている」と述べた。無派閥のベテランで政治改革に熱心な渡海氏の発言に、野党席からも「そうだ、そうだ」と合いの手が上がった。
渡海氏は「われわれが問われているのは、信頼回復のために何をするのかのみならず、やり抜く強い覚悟があるのかどうかだ」と語った上で、岸田文雄首相に政治改革への覚悟を問いかけた。首相は党がまとめた政治改革の中間とりまとめに触れ、「先頭に立って実行していく」と応じた。
渡海氏は昭和63年に発覚したリクルート事件を受け、政治改革に関わってきた経歴がある。
●首相、政策活動費の説明拒否 立民・泉氏、連座制導入を要求 1/31
岸田文雄首相は31日の衆院代表質問で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治改革を巡り、政策活動費の使途の説明を拒否する考えを示した。「使途について答えるのは差し控える」と述べた。党勢拡大や政策立案のための支出だとして「適切に使用されている」と強調した。立憲民主党の泉健太代表は議員が連帯責任を負う連座制導入や政策活動費廃止などの同党案を提起したが、首相は具体策に言及しなかった。代表質問での論戦が始まった。
泉氏は「裏金防止策をつくるには実態解明が不可欠だ」と主張。安倍、二階両派幹部らの政治倫理審査会への出席、関与した議員の離党勧告や除名処分を迫った。立民の山田勝彦氏は、自民の二階俊博元幹事長が在任中の5年間に約50億円の政策活動費を受領したと指摘し、使途公開を要求した。
首相は法改正が伴う連座制導入などの改革に関し「各党各会派と共に真摯に議論する」と従来の答弁を繰り返し、政倫審への出席要求は「国会で判断する事柄だ」と述べるにとどめた。
●岸田政権で新たな「裏金」発覚 野党「異次元の不祥事」と追及 1/31
31日から国会で始まった代表質問。野党が真っ先に追及したのは、31日に新たに発覚した裏金問題。
立憲民主党・泉代表「岸田内閣の総務大臣政務官、そして国土交通大臣政務官の2人が、裏金をもらっていたことが新たに発覚しました。2人はいずれも、裏金のことについて、これまで言及しておりません」
裏金が新たに明らかになったのは、安倍派に所属する小森卓郎総務政務官と加藤竜祥国土交通政務官の2人。
岸田首相は2023年12月、裏金をめぐって、安倍派の閣僚と副大臣を一斉に交代させた一方、政務官については問題の全容が判明していなかったことから、留任させていた。
ところが31日になって、政務官として残った安倍派の議員2人に裏金があったことがわかり、政務官を辞任する事態になった。
自民党“安倍派”・加藤国交政務官「(辞任の意向を固めた?)そうですね。(不記載があった?)10万円分ありました」
10万円の裏金を認めた加藤政務官。本会議場で席に着くと、周りの議員と笑顔で話していた。
裏金辞任した、もう1人の小森総務政務官。
自民党“安倍派”・小森総務政務官「不記載が70万円確認された」
70万円の裏金を数日前に確認し、31日、政務官の辞意を表明した。
底なしの様相を見せる裏金問題。野党は攻勢を強めている。
立憲民主党・泉代表「現時点で40人近くの裏金議員が発覚しています。まさに『異次元の裏金』、『異次元の不祥事』ではないでしょうか。すべての裏金議員に議員辞職を求めてはどうですか!」
岸田首相「自民党の政策集団の政治資金の問題に関する処分の方針」
ヤジ「派閥!」
岸田首相「党としても事実関係の把握に努めているところであり、しかるべき手順を踏んだうえで、対応を考えてまいります」
野党は、この国会を「裏金国会」として、今後も岸田政権を厳しく追及する構え。
●岸田政権が資金を多く提供した上位5カ国はどこか──「バラまき外交」批判 1/31
・2023年に日本政府が提供した資金のうち「あげた」のは10%程度で、政府歳出の0.2%ほどしかない。
・外国に提供した資金の大半は貸付つまりローンで、相手国は利子をつけて日本に返済することになるため、少なくとも「バラまき」とは呼べない。
・さらに、2023年の日本政府による資金提供を国別にみると、その上位5カ国には日本へのリターンが期待される国が多く、この意味でも単なる浪費といえない。
岸田政権を擁護するつもりはないが
物価上昇は続き、一方で多くの業種・職種ではそれに見合うほど給与が増えない。それでも増税論議は活発で、おまけに自民党の「パー券」問題の結末に多くの人は納得していない。
こうしたなかで岸田政権が海外への資金協力を増やすことには、SNSを中心に批判が噴出してきた。なかには「大国ぶって外遊で金を配る」といったものもある。
ただし、「バラまき外交」批判のなかには岸田政権の不人気に便乗したような、あるいは断片的な情報に基づいて、生活不満をただぶつけるような"批判のための批判"とも映るものが珍しくない。
   資金提供総額上位5カ国(億円)
岸田政権を擁護するつもりは毛頭ないが、生産性の乏しい批判によって外交にブレーキがかかるのはもっと忍びない。
筆者は以前にもこのテーマをより詳細に取り上げたが、今回は金額の上位5カ国(2023年)をピックアップすることで、よりコンパクトにまとめてみよう。
上の図は昨年の資金提供先上位5カ国を、一昨年、そしてコロナ感染拡大の前年で、安倍政権末期の2019年のデータとの比較で示している。
   資金提供先上位5カ国マップ
第1位 バングラデシュ
2023年の第1位はバングラデシュだったといわれて「ああなるほど」と納得する人は、かなりの国際情勢通だろう。それほど日本ではマイナーな国ともいえるバングラデシュに、日本政府は昨年約5,000億円提供した。
その金額の8割近くを占めるのが、同国東部のチョットグラム(チッタゴン)とコックスバザールを結ぶ高速道路と、マタバリの火力発電所の建設プロジェクトだ。
こうした巨大インフラ建設が相次ぐバングラデシュは、国際的な物流拠点として注目度の高いエリアにある。国境をまたいだミャンマー西部では、中国やインドがそれぞれ巨大港湾の整備を進めている。
   バングラデシュ,チョットグラム(チッタゴン),コックスバザールマップ
バングラデシュの隣国インドは昨年「インド-中東-欧州経済回廊(IMEC)」構想を本格的にスタートさせた。これが実現すれば、ソマリア沖、紅海、スエズ運河周辺など治安が極度に悪化している海域を迂回してアジアとヨーロッパを結ぶことが期待されている。
日本政府はこの構想に強い関心をもっている。バングラデシュ東部からインドへつながるルート構築は、いわばIMECを東方に延伸するもので、それは「一帯一路」を迂回したサプライチェーンを構築する一環ともいえる。
第2位 イラク
第2位は中東のイラクだ。提供額の8割以上に当たる約2,030億円は、バスラ製油所の改良計画に当てられている。
BPによるとイラクの2021年の原油生産量は約2億トンで世界第5位だった。
しかし、イラクでは設備の老朽化や治安悪化などで原油生産にブレーキがかかっている。つまり、そのポテンシャルは現状より大きいと見込まれている。
一方、日本の原油輸入に占めるイラクの割合は現在0.1%にとどまる。裏を返せば、イラクの石油生産へのテコ入れは、資源市場が不安定ななかでリスク分散を図ることにもなる。
第3位 インドネシア
第3位のインドネシアには約2,000億円が提供されたが、このうち1,300億円程度は首都ジャカルタ周辺での道路、鉄道整備などに、436億円はアチェなどでの発電設備の拡充にあてられた。
もともとインドネシアは冷戦時代から日本が東南アジアのなかでも特にテコ入れしてきた国の一つで、近年では日中間の高速鉄道受注レースの舞台にもなった。
東南アジア最大の経済規模と人口を抱えるインドネシアは、2026年にGDPでロシアを抜いて世界6位になるという試算もある。
この国でのインフラ建設に高い優先順位をつけられたことは、日本政府が東南アジアで中国とのレースを重視していることの表れともいえる。
第4位 インド
第4位のインド向けのうち約75%は、パトナでのメトロ建設などのための1,268億円で占められる。
これまでに触れた「中国を意識した資金協力」という意味では、インド向けの資金協力はその典型といえる。
インドは2021年にイギリスを抜いてGDP世界第5位になったが、日本との取引額もこの10年間でほぼ倍増している。
中国に代わる有望な投資対象の一つとして、さらに日本と同様に中国の海洋進出を警戒する点でも、日本政府が高い優先順位をつけて資金協力を行うことは不思議ではない。
第5位 ウクライナ
第5位のウクライナについては多言を要しないだろう。
2022年2月に始まったロシアによる軍事侵攻の後、アメリカはじめ各国から支援が集まったが、昨年10月までの提供額で日本は第5位である。
日本政府は2023年、復旧、人道支援などに793億ドルを提供した。
外国に「あげた」のは歳出の0.2%程度
以上の上位5カ国に提供された金額の合計は、2023年の総額の7割以上を占める。
   2023年資金供与総額上位5カ国における贈与(億円)
その多くは、サプライチェーン構築、資源の調達、中国への対抗などで重要度の高い国だ。つけ加えれば、インフラ建設などには多くの日本企業も参画している。
つまり、対象国の選定には日本自身の利益や目的が色濃く反映されている。
さらに注意すべきは貸付、つまりローンが中心ということだ。
資金提供先トップ5に限ってみると、イラク、インド、インドネシア向けはほぼ100%貸付だ。言うまでもなく、これら各国は利子をつけて日本に返済しなければならない。
この点で日本は欧米の多くの国と異なる。「あげる」が中心、「貸す」は例外、というのが欧米の一般的パターンだからだ。
これに対して、日本政府が2023年に外国に「あげた」のは約2,353億円で、海外への資金協力全体の約14%にとどまる。ちなみに、これは令和4年度予算の歳出(107兆5,964億円)の0.2%ほどだ。
   海外への資金協力(億円)
人道や慈善といったものと縁遠いこの手法は、歴代政権とあまり変わらないものだ。その道義的な評価はともかく、少なくとも「バラまき外交」と批判されるほど気前が良くないことは確かだ。
ウクライナの例外ぶり
その意味で、ウクライナはむしろ異例に近い。2023年の資金提供先トップ5に名を連ねながら、そこにはローンが含まれないからだ。
ウクライナ向けの793億ドルという規模は、昨年の日本政府による海外向け贈与の3割を超える。そこにはアメリカはじめNATO加盟国からの同調圧力の強さもうかがえる。
   2023年に日本が贈与を提供した国の金額別上位5カ国(億円)
たとえ1円でも外国に無償で提供すれば、「日本が大変な時に」という人もあるかもしれない。けれども、日本が生きていくのは外国との関係ぬきには成り立たないのであって、ある程度まではむしろ必要経費と考えるべきだろう。
ただし、日本の余力がかつてほど大きくないことも確かだ。
そこで政府が心がけるべきは、ムダな使われ方をしないかの監督だろう。公的資金の使途の透明性が問われるのは、国内だけではない。
一方、メディアにもこの問題を報じる時には注意を求めたい。
資金運用の透明性やパフォーマンス、意義などの観点から検証して、政府を批判するのは正当だろう。
しかし、一部メディアには「バラまき外交」批判に理解を示すような論調が見受けられる。
ところが、額面の大きい案件ほど政府は大々的に発表するし、世論もそれに集中しやすいが、巨大プロジェクトほど貸付になることが多いのが一般的だ。金額の大きいものほど、日本政府は自腹を切れないからだ。
こうした基礎知識ぬきに、ただ政府発表の金額だけぬき出して伝えるのは「批判のための批判」を煽ることにもなりかねない。いくら不人気な政権であっても、ただケチをつければいいというものではないのだから。
●安倍派「キックバック」所属99人のうち77人訂正 高額の議員は… 1/31
自民党の安倍派は31日、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、政治団体「清和政策研究会」の2020〜22年分の政治資金収支報告書を訂正したと発表した。
訂正した収支報告書では、パーティー収入で不記載となっていた総額は3年分で4億3588万円。問題発覚後の昨年12月時点に所属していた議員99人のうち、確認できただけで77人の政治団体に「寄付」という形で支出したとする追記がなされていた。
安倍派は、パーティー券販売のノルマ超過分を所属議員側にキックバックしており、追記された支出額が議員側への還流とみられる。
安倍派が収支報告書訂正について発表したコメント文
「還流」額、最も多かった団体は3000万円超
裏金事件で捜査対象となったのは、時効にかからない2018〜22年分の5年分。収支報告書の公開対象は直近3年分なので、安倍派の裏金の全容はつかめない。
本紙が3年分の訂正報告書を分析したところ、安倍派が不記載として追記した寄付先のうち最も額が多かったのは、池田佳隆衆院議員の政治団体(3208万円)だった。続いて、大野泰正参院議員の政治団体(3146万円)、谷川弥一元衆院議員の政治団体(2303万円)と続いた。
上位3人は、いずれも裏金事件で立件された議員だった。
上位3人は立件議員、350万円差で4番目は「5人組」の…
4番目に高額だったのは、安倍派の有力者「5人組」の一人、萩生田光一前政調会長の政治団体。3年間で1952万円と、立件された谷川氏側とは350万円ほどの差だった。
萩生田氏も捜査対象となっていたが、嫌疑なしで不起訴処分となった。
収支報告書では、派閥から議員側に寄付した日付は、大半が「不明」となっていた。
安倍派は31日、収支報告書の訂正とは別に、2018〜22年の5年間で、派閥のパーティー収入から「寄付」という形で議員側に支出したにもかかわらず、不記載になっていた総額は6億7654万円だったと明らかにした。
5年間では95の政治団体に…団体名は明かさず
「寄付」先については、現職と元職を合わせて、衆参両院議員の計95政治団体だったとしている。ただし、95の政治団体名や金額は明らかにしなかった。そのため5年間で各議員が、派閥からいくらキックバックを受けていたのかは分からないままだ。
野党は、事件の全容解明のため、安倍派を含め、派閥からパーティー収入の還流を受けていた全議員のリストを公表するよう求めている。
安倍派は「国民の皆様の政治不信を招き、ご迷惑とご心配をお掛けしておりますことに心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。
裏金事件で、安倍派は、ノルマ超過分のパーティー収入約6億7500万円を2018〜22年の収支報告書に記載しなかったなどとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、会計責任者が立件された。
派閥から還流を受けた議員側でも、池田氏が逮捕、起訴されたほか、大野氏は在宅起訴、谷川氏は略式起訴となった。
一方で、塩谷立座長や派閥有力者の「5人組」らは立件を免れた。
裏金事件で、安倍派は、ノルマ超過分のパーティー収入約6億7500万円を2018〜22年の収支報告書に記載しなかったなどとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、会計責任者が立件された。
派閥から還流を受けた議員側でも、池田佳隆衆院議員が逮捕、起訴されたほか、大野泰正参院議員は在宅起訴、谷川弥一元衆院議員は略式起訴となった。一方で、塩谷立座長や派閥有力者の「5人組」らは立件を免れた。
派閥から議員側の「還流」額の一覧
問題発覚後の昨年12月時点で、安倍派に所属した現職議員99人
池田佳隆 3208万円 / 大野泰正 3146万 / 谷川弥一 2303万 / 萩生田光一 1952万 / 三ツ林裕巳 1808万 / 山谷えり子 1519万 / 堀井学 1086万 / 宮本周司 974万 / 衛藤征士郎 970万 / 簗和生 924万 / 大塚拓 874万 / 杉田水脈 872万 / 松野博一 865万 / 高木毅 865万 / 宗清皇一 854万 / 小田原潔 844万 / 世耕弘成 836万 / 和田義明 710万 / 菅家一郎 678万 / 加田裕之 648万 / 羽生田俊 634万 / 岡田直樹 596万 / 末松信介 582万 / 柴山昌彦 556万 / 西村明宏 554万 / 関芳弘 524万 / 丸川珠代 512万 / 高鳥修一 484万 / 細田健一 474万 / 堀井巌 466万 / 下村博文 440万 / 中根一幸 434万 / 吉野正芳 414万 / 根本幸典 396万 / 尾身朝子 367万 / 義家弘介 363万 / 亀岡偉民 292万 / 橋本聖子 289万 / 上杉謙太郎 286万 / 山田宏 282万 / 鈴木英敬 280万 / 吉川ゆうみ 240万 / 江島潔 240万 / 佐藤啓 236万 / 西田昌司 234万 / 石井正弘 198万 / 稲田朋美 196万 / 塩谷立 196万 / 松川るい 194万 / 上野通子 188万 / 若林健太 184万 / 井上義行 170万 / 井原巧 168万 / 森まさこ 168万 / 佐々木紀 166万 / 木村次郎 144万 / 谷川とむ 134万 / 宮澤博行 132万 / 赤池誠章 98万 / 北村経夫 98万 / 福田達夫 94万 / 野上浩太郎 92万 / 長峯誠 78万 / 青山周平 72万 / 小森卓郎 70万 / 西村康稔 70万 / 鈴木淳司 52万 / 田畑裕明 44万 / 山田美樹 34万 / 山本順三 34万 / 石田昌宏 26万 / 加藤竜祥 26万 / 高橋はるみ 22万 / 越智隆雄 18万 / 太田房江 16万 / 宮下一郎 12万 / 藤原崇 10万
0万 / 生稲晃子・石井拓・衛藤晟一・大西英男・奥野信亮・片山さつき・神田憲次・岸 信千世・古庄玄知・酒井庸行・塩崎彰久・白坂亜紀・高階恵美子・高木啓・滝波宏文・友納理緒・長谷川岳・古川俊治・松島みどり・松本尚・山崎正昭・吉田真次 
報道機関への発表全文
報道機関各位
収支報告書の訂正について 令和6年1月31日 清和政策研究会
今回の清和研を巡る事案について、国民の皆様の政治不信を招き、ご迷惑とご心配をお掛けしておりますことに心よりお詫び申し上げます。
先日の東京地方検察庁の事件処理を受けて、本日、当会の収支報告書を訂正しましたので、その概要を説明いたします。なお、詳細については、今後、総務省のホームページにおいて訂正された収支報告書が公表されるところですので、そちらをご覧ください。
本日、当会は、政治資金パーティーの事業収入と清和研から各議員側政治団体へ還付した寄附について、公表されている収支報告書の訂正を行いました。
今回の捜査及び当会の調査において判明した過去5年間における、パーティー会費からの各政治団体への寄附支出額の追加分は、総額で6億7654万円となります。
また、現職・元職等の衆議院議員の関係政治団体で58団体、参議院議員の関係政治団体で37団体、あわせて95政治団体への寄附が判明いたしました。
当会の収支報告書の訂正を受け、寄附先の各政治団体においても速やかに訂正を行うものと承知しております。
*尚、この度の訂正に当たって、当会は、基本的には証憑類及び寄附先である政治団体の会計責任者と寄附額、寄附日及び支出先について確認し合うなどして訂正を行いました。
総務省に相談した上で、寄附日について特定できないものについては「不明」または「頃」と記載し、「対価の支払いをした者」の数についても「不明」と記載しています。「不明」の部分については、今後判明すれば、いずれも訂正することとしています。
 
 

 

●家具やがれきの受け入れ開始 被害が大きい珠洲市 能登半島地震 2/1
能登半島地震で建物の倒壊など被害が大きかった石川県珠洲市では、1日から使えなくなった家具やがれきなどの受け入れが始まりました。
被災した男性「(Q.たくさん積みましたか)これで5往復目ですね。大変です」
地震で使えなくなった家具や家電製品などの受け入れは、午前9時から始まりました。
普段は駐車場として利用されている場所が「仮置き場」となり、被災者がトラックなどに積み、続々と訪れていました。
珠洲市によりますと、委託した処理業者などと協力して処分するということです。
今後2週間で受け入れ先を他にも数カ所、増やす準備を進めています。
●能登半島地震から1カ月 長引く断水 “災害関連死”を防ぐには 2/1
能登半島地震の発生から1カ月が経った今も、自宅を離れて避難生活を余儀なくされている人が多くいます。ライフラインの復旧は徐々に進んでいますが、被害の大きかった地域では今も広い範囲で断水が続いています。
石川県の七尾市では1万4600軒、輪島市では1万軒、珠洲市では4800軒など8つの市と町で合わせて4万890軒で断水しています(2月1日時点)。
水が十分に使えずに避難所の衛生環境が悪化することで、懸念されるのは「災害関連死」のリスクの高まりです。
石川県の避難所では、インフルエンザや新型コロナウイルス、ノロウイルスなどに感染した人が、多い時には1日で200人近くになるなど、一時、増加していました。
2016年の熊本地震で最も多かった災害関連死の死因は、肺炎や気管支炎などの呼吸器系の疾患でした。
水分補給や歯磨きなどの口腔ケアが十分にできなかったことが原因の一つとされています。
厚労省は、避難所での可能な範囲での感染症対策や少量の水でも数回に分けてうがいをすることが効果的などと呼び掛けていて、災害関連死を減らしたい考えです。
また、能登半島地震では、26の高齢者施設で入所者1000人ほどの大規模な搬送が行われました。
災害派遣医療チーム=DMATとして搬送の調整を行った名古屋大学医学部附属病院の山本尚範医師は、今回のように長期間の断水など、インフラの復旧に時間がかかっている場合、要介護者は災害関連死の可能性が高いと考え、迅速な対応が必要だったと振り返りました。
そのうえで、搬送された要介護者のケアや入所者がいなくなった施設の職員は仕事に復帰できるのか、今から支援をしなければ地域のケアシステムが崩壊する恐れがあると警鐘を鳴らしています。
政府には、親しい人と分かれて住み慣れた家を離れざるを得なかった人々の生活や生業を支える継続的な支援が求められています。
●自民 安倍派 三ツ林裕己衆院議員 2954万円キックバック 2/1
自民党安倍派の三ツ林裕己衆議院議員はコメントを発表し、派閥の政治資金パーティーをめぐる事件について「心配していただき誠に申し訳なく思う」と陳謝しました。
そのうえで販売ノルマを超えて集めた派閥のパーティー券収入から総額2954万円のキックバックを受けたほか、これとは別に派閥から136万円の誤った入金があったことを明らかにしました。
使いみちについては同僚議員のパーティー会費や交通費、議員や有識者との会合費などに充てたと説明しています。
そして「不記載があったこと自体は真摯(しんし)に反省し、今後適切に収支報告書を訂正するとともに政治とカネの問題で疑念を抱かれることがないよう襟を正していく」としています。
●安倍派政務官2人が辞任 パーティー裏金事件 震災復興や政権運営に影響も 2/1
自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件で、政府は31日の持ち回り閣議で、政治資金収支報告書への還流分不記載が新たに判明した小森卓郎総務政務官(衆院石川1区)と加藤竜祥国土交通兼内閣府兼復興政務官(長崎2区)の辞任を決定した。
岸田文雄首相が国会審議に影響が出ると判断し、事実上の更迭。小森、加藤両氏の不記載額は70万円と10万円で、辞表を提出していた。小森氏の後任に岸田派の西田昭二衆院議員(石川3区)、加藤氏の後任に二階派の尾崎正直衆院議員(高知2区)を充てた。
小森氏は能登半島地震の被災地選出で震災対応にもあたっていた。復興政務官と合わせ2人が交代、復旧・復興の足かせとなりかねない事態に、首相の責任を問う声が上がる。
首相は昨年12月、安倍派の政務三役15人全員を更迭する構えを見せたが、還流を受けていないとされた小森、加藤両氏を含む5人の政務官を続投させていた。立憲民主党の安住淳国対委員長は「首相の調査がいかにお手盛りかがはっきりした」と両断した。
●「組織より自分の政治生命を優先」 萩生田光一前政調会長、“雲隠れ” 2/1
自民党派閥の裏金事件を受けて、自身が会長を務めた宏池会の解散を表明した岸田文雄総理には「党より政権の存続を優先した」という怨嗟の声が少なくない。
一方で、逮捕者を出した最大派閥の安倍派幹部には「組織より自分の政治生命を優先した」との評が。“5人衆”の一人、萩生田光一前政調会長のことである。
「1月19日夜、党本部で安倍派の議員総会が行われ、全会一致で解散が決議されました。会はおよそ1時間半にわたって紛糾しました」とは安倍派の中堅幹部。
「若手からは“早く解散すべきだ”との声や、幹部の責任を問う意見が飛び出した。西村康稔前経産相や松野博一前官房長官、世耕弘成前参院幹事長、そして高木毅前国対委員長の四人はうつむき加減で沈黙。お家存続の可否を仲間と議論する重要な場でしたが、萩生田さんの姿はありませんでした」
子飼いの候補者の応援に
かつては会長の座を目指した派閥の、大事な場面で雲隠れ。その行く末を打ち捨てて向かった先は、自身の選挙区(東京24区)がある八王子市だった。2日後に控えた市長選挙に出馬していた、子飼いの候補者の応援に駆け付けていたのだ。
自民党の都連幹部が言う。
「萩生田さんが来たのはJR八王子駅近くの、自公が推薦する初宿(しやけ)和夫候補の演説会場でした。ただ、裏金問題に関する聴衆からの質問を嫌がったのか、街宣車には上らず、その脇で笑みを浮かべるだけ。ついぞマイクを握りませんでしたが、“オレが表に出過ぎるとマイナスになるだろ”と理由を周囲に話していました」
選挙戦は事実上、三つどもえの争いとなった。元都庁職員の初宿氏、小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会に所属していた滝田泰彦元都議、同様に元都民ファ所属の元都議で、日本維新の会所属の衆院議員秘書の両角(もろずみ)穣氏の三人である。結果は初宿氏が激戦を制した。
「意外にも、都知事は都民ファOBの二人ではなく初宿を応援した。理由は昨年末の江東区長選の際、自公と密約を交わしたからだとされています。“江東区では都知事が支援する候補を自公が推薦する。その代わり都知事は八王子で元都民ファを応援しない”との内容だったとか」
実際、江東区長選では小池氏が推す候補が当選した。
「双方が取り決めを守った結果、八王子では与党サイドが勝利した。この密約を裏でまとめたのが萩生田さんだったといいますね」
出馬を見送るよう圧力
萩生田氏の八王子市長選挙への執着は並大抵ではない。水面下では初宿氏の対抗馬の妨害にも動いていた。
別の都連関係者の解説。
「初宿さんと滝田さんより、両角さんの出馬表明はひと月ほど遅かった。両角さんは元八王子市議で保守系会派に属していたこともあり、萩生田さんは初宿さんの票が食われることを恐れ、彼に出馬を見送るよう圧力をかけています。個人的な関係から両角さんの応援をしていた維新の国会議員や関係者にも激怒し、懇意の維新幹部に支援中止を申し入れてもいました」
その圧力に屈したのか、東京維新の会は19日に初宿氏の支援を表明している。
「萩生田さんは街頭での演説を避ける一方、数十人規模のミニ集会で裏金事件を念頭に“私が検察に連れて行かれることはありませんから”と軽口をたたいていた。反省などしていませんよ」
守るべきは仲間より自分。先の会見での無機質な釈明も、国民はおろか周囲の理解すら得ることはあるまい。
●「ドリル優子」や「エッフェル姉さん」も…これで裏金疑惑追及?「政治刷新本部」 2/1
「政治は国民のためにあるという自由民主党の立党の精神に立ち戻る必要がある。我々自民党は変わらなければなりません」
1月11日に行われた自民党政治刷新本部の初会合で、本部長の岸田文雄首相はこう力説したのだが――。
「そもそもこの刷新本部は、安倍派を筆頭とした党内派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑を受けて作られたもの。最高顧問の菅義偉前首相が『派閥の解消がスタートライン』と話したように、自民党を大胆に改革することが目的であるはずです。
ところが、刷新本部最高顧問で志公会を率いる麻生太郎元首相が別の会合で派閥の効能を説くなど早くも言っていることがバラバラ。岸田首相も、自身が率いる宏池会への思いが強いのか、派閥解消に消極的で当事者意識が全くない。本部メンバーの安倍派議員10人の中の9人は裏金疑惑の当事者。いったい何が狙いなのか……」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏)
刷新本部幹事長には隠し子問題や警察の捜査への介入疑惑が報じられた木原誠二元官房副長官、本部長代理には″ドリル優子″こと小渕優子選対委員長(50)、そして副本部長には過去に「違法デリヘル通い疑惑」で世間をザワつかせた逢沢一郎衆議院議員(69)が選出された。
はたしてどういう基準で人選が行われたのか。自民党職員が匿名を条件に話す。
「茂木敏充自民党幹事長(68)の指示で幹事長室の党職員が作成し、それを官邸が承認した。担当職員がメンバーのリストを作成するように命じられたのは初会合が行われた11日のわずか2日前、1月9日のことだったようで、メンバーの議員も急に知らされたと聞いています」
第一回の会合に、パリ視察が観光旅行だと批判された″エッフェル姉さん″こと安倍派の松川るい参議院議員(52)が出席できなかったのにはそんな背景があったのだ。それにしたって、″いわくつき″の議員ばかり選ばなくてもよかったのではないだろうか。
「小泉進次郎元環境大臣(42)ら歴代の青年局長、女性局長を中心に構成したらこうなった。『若い人から厳しい意見を頂戴した』と結論付けるためのパフォーマンスですよ。
全体の構成を見ればわかりますが、実際には大派閥から多人数が、小派閥からは少人数が参加している。党職員が叩き台を作ったわけですから、国民より党内に目配りした人員になっています。結局、今回の刷新本部は国民の不満のガス抜きでしかない」(同前)
岸田首相、こんなお笑い「刷新本部」で自民党が変わると本気でお考えですか。
●特別委員会設置は国会で判断と首相 2/1
岸田首相は代表質問で、自民党裏金事件を巡り国会に特別委員会を設置し全容解明すべきだとの野党の指摘に対し「国会で判断する事柄だ。与野党の議論の場が設けられた場合には積極的に議論に貢献していく」と述べた。
●派閥解散後も「説明責任」=岸田首相、アイヌ差別を問題視―参院代表質問 2/1
岸田文雄首相の施政方針演説に対する各党代表質問が1日午前、参院本会議で始まった。自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件に関し、首相は「派閥を解散した場合でも、関係者の説明責任がなくなるものではない」と強調した。与野党による政治改革の議論に前向きな姿勢も示した。立憲民主党の水岡俊一参院議員会長への答弁。
首相は自民党議員によるアイヌ民族への差別的投稿が問題になったことに関し、「アイヌであることを理由とした差別はあってはならない」と強調。その上で「アイヌ施策推進法の施行から5年が経過する5月以降、施行状況について検討を加え、所要の措置を講じていく」と述べた。
●参院…論戦続く 安倍派の不記載キックバック判明も首相は明確な回答避ける 2/1
国会では、参議院で岸田首相の施政方針演説に対する代表質問が行われている。
最新情報を、国会記者会館からフジテレビ政治部・鈴木杏実記者が中継でお伝えする。
派閥の解散ではなく、裏金疑惑の解明を求めた野党議員に対し、岸田首相の答えはわずか1分。議場からは「それだけか」とヤジが飛ぶ場面があった。
立憲民主党・水岡俊一議員「派閥を解散して、うやむやにするのではなく、政策集団として存続したまま金や人事の問題と決別すべきではなかったのでしょうか。問題は派閥ではなく裏金です」
岸田首相「派閥を解散した場合であっても、関係者の説明責任がなくなるというものではない」
また、安倍派が収支報告書を修正し、キックバックの不記載が判明した多くの安倍派議員らについて、野党は「議員辞職に値する」と迫ったが、岸田首相は1日も明確な答えを避けた。
一方、その安倍派は、まもなく自民党本部で最後となる派閥総会を開き、解散の手続きの確認を行う。
●参院代表質問“政治資金事件”めぐり野党が追及… 2/1
1日から参議院で岸田首相の施政方針演説に対する代表質問が行われています。
野党側が、不記載があった議員の辞職や離党を迫ったのに対し、岸田首相は「派閥が解散しても説明責任がなくなるわけではない」と強調しました。
立憲民主党・水岡参院会長「『裏金議員』は明らかに議員辞職に値します。自民党は過去に緊急事態宣言下で銀座のクラブに行っていた議員を離党させました。今回の裏金議員はそれよりもよっぽど悪質なのに、離党も除名も辞職もしない。これは一体どういうことでしょうか」
岸田首相「派閥を解散した場合であっても、関係者の説明責任がなくなるというものではないと考えております」
立憲民主党の水岡参院議員会長はさらに、政治資金規正法など「法改正も必要な大きな事件だ」「自民党が本気ならば国会で特別委員会を設置し、徹底的に議論を行い、全容解明をすべき」と迫りました。
これに対して岸田首相は、「制度改革については各党との真摯(しんし)な協議が必要だ」とした上で、「与野党における議論の場が設けられれば、自民党として積極的に議論に貢献していく」と強調しました。
●三十数年ぶり政治改革「透明化と厳罰化」進むが…政治的自由℃クう 2/1
先週木曜(25日)、自民党の小渕優子選対委員長が茂木派(平成研究会)からの退会を表明したと聞き、「これは岸田文雄首相の思い通りになってきているぞ。もしかしたら、週末の世論調査の内閣支持率は上がるのかもしれない」と思った。
だが、支持率は毎日新聞が前月比で5ポイント上昇したものの、日経新聞は1ポイント上昇にとどまった。
先週の調査では、FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞が5ポイント上昇したが、朝日新聞は横ばい、読売新聞は1ポイント減だった。全体の傾向としては、昨年来の下落傾向はようやく止まったが、まだ上昇には反転していない。
岸田首相が「岸田派(宏池会)解散」を発表し、これに安倍派(清和政策研究会)、二階派(志帥会)、森山派(近未来政治研究会)は追随したが、麻生派(志公会)と茂木派は後ろ向きだった。しかし、小渕氏の退会に続き、茂木氏と折り合いが悪いとされていた参院からも数人が退会を表明したことで、茂木派の結束は急速に弱くなっている。
実力があり、やや強引な茂木氏に対して警戒感を持っていた岸田首相は、今回の「小渕の乱」を聞いて、ほくそ笑んだに違いない。
だが、岸田政権を見る国民の目は依然厳しい。
毎日の調査では、連座制について「導入すべき」が87%にも上っているのに対し、岸田首相が岸田派の解散を6派閥の中で最初表明したことに対しては、「評価しない」の44%が「評価する」の40%を上回っている。国民の関心は「派閥の解散」ではなく「厳罰化」であり、もう一つは「透明化」である。
月曜(29日)に、衆参両院の予算委員会で行われた集中審議では、与野党から厳罰化については「政治資金規正法への連座制の適用」、また透明化については「政策活動費の廃止」などを求める声が出た。
だが、岸田首相は連座制については「各党と議論する」、政策活動費については「政治活動の自由と国民の知る権利のバランスで考える」と述べて、どちらも言質を取らせなかった。
野党各党は温度差はあるが政治改革案を出しており、「政策活動費の廃止」「企業団体献金の禁止」「パーティー券の規制」「連座制の導入」などを提案しており、このうちのいくつかは実現するだろう。
ただ、岸田首相の言う「政治活動の自由」は非常に重要だ。首相も言及したが、米国でもこの「政治活動の自由」を尊重した判例がある。
30年ほど前の政治改革では、政治家と特定の団体や企業との癒着を断ち切るために、献金やパー券の規制を厳しくして額を減らし、その分を政党交付金として税金から配ることになった。この改革を否定はしないが、「政治活動の自由」が制限されたというのも事実だ。すなわち支援したい政治家に自由に支援できなくなった。
三十数年ぶりの「政治改革」という大きな流れの中で、「透明化」「厳罰化」のために「政治活動の自由」はさらに失われることになるだろう。筆者はそれをいいことだとはあまり思わないのだが。 
●「尾身茂会長」や「8割おじさん」西浦博がいつの間にか「消えた」… 2/1
コロナ禍が始まった2020年初頭から、尾身茂や押谷仁、西浦博といった専門家が連日メディアに登場した。不眠不休でさんざん働かせた挙げ句、岸田政権の政治家は彼らを突然パージしてしまう。
Wi-Fiも通じぬ部屋で
コロナ渦の3年間、尾身茂や押谷仁、西浦博ら専門家は何と闘い、そしてなぜ放逐されたのか。気鋭のノンフィクション作家・広野真嗣氏が近著『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』を書き下ろした。そこに綴られる驚愕のドキュメントの数々に、発売直後から話題が沸騰している。
パンデミック発生直後、未曽有の危機に対応するために専門家が霞が関に招集された。
政府中枢に設置された厚生労働省クラスター対策班は、世界第3位の経済大国とは思えない貧相な環境で業務に当たっていた。
〈初歩的な情報を整理するのに膨大な時間を費やしていました。自治体のウェブサイトで公式発表する内容で判るのは県によっては[××県・六〇代・男性]程度だから、地元紙の記事でもっと具体的な所在地とか職業を調べて、エクセルに入力するんです。しかもその検索作業を、医師免許を持つ高度な人材がやっていました〉
厚生労働省の無線LANが脆弱すぎて、チームが全国各地とオンライン会議をやろうとすると接続が切れてしまう。
〈メンバーの私物のポケットWi-Fiを持ち寄って机に並べ、綱渡りの通信状態で地方の現場とテレビ会議をしていた。壁面にいくつものSSID(識別子)が手書きされていて、『もうだめだから○○さんの回線に切り替えまーす』とか、『ビデオを切ってくださーい』とかいう間の抜けたやりとりをしていた〉
通信インフラすらまともに整っていない劣悪な環境下で、尾身茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)や押谷仁(東北大学大学院医学系教授)、西浦博(北海道大学大学院教授/以下、肩書は当時)ら専門家たちはコロナとの闘いを開始したのだ。
〈クラスター対策班がいったん仕切り直すまでの四ヵ月の間に、(西浦が)家族の待つ札幌の自宅に戻ったのは二度だけ。厚労省に深夜まで残ってはビジネスホテルに寝に帰る生活の中で、体重を十キロ以上も増やすほどの重圧にさらされた〉
政府がやらないなら俺がやる
決められない政治が大混乱を極める中、首相の安倍晋三は世紀の愚策に打って出る。「アベノマスク」の配布だ。全国約五千万世帯に二枚ずつ布製マスクを配布するという緊急対策は、専門家集団の意見を聞かずに決められた。
かたや数ヵ月後に東京都知事選挙を控えていた都知事の小池百合子は記者会見で「オーバーシュート」(感染爆発)と横文字で強調し、日本国憲法で定められた移動の自由を侵犯する「ロックダウン」に言及して注目を集めた。
こうした中「人との接触の8割削減」を提唱した「8割おじさん」こと西浦博は、決定的な試算を発表して潮目を変えた。
〈人と人の接触を減らすなどの対策を全く取らない場合、国内では重篤患者が八十五万人に上り、半数の四十二万人が死亡する恐れがある〉
衝撃的な数字を発表することに、押谷は〈これは首相が言うべき筋の、重い数字だ〉〈調整が整わないならこの国はもう駄目なんだ、駄目になっても言わないほうがいいんだ〉と反対した。反対を押し切り、西浦は〈自分が泥を被ってでも〉と試算を発表する。
政治リーダーが及び腰になる中、専門家がリスクを取って迫り来る危機を国民に叫んだのだ。
西浦が試算を発表した翌日('20年4月16日)、1回目の緊急事態宣言は全国に拡大された。
菅総理に直談判
パンデミックが始まってから半年が過ぎようとしていた'20年7月、官房長官の菅義偉はなおGo Toトラベルキャンペーンを強行しようとしていた。
〈開始時期を(8月上旬から7月22日に)前倒しするという決定も、感染症の専門家には一つの意見も聞かずに発表した〉
すると'20年8月5日、尾身茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)は政治家抜きで単独記者会見を開いて〈感染対策ができなければできるだけ帰省は控えてください〉と訴える。押谷や県知事など18人の分科会メンバーの意見をわずか3日でまとめ上げ、〈オンライン帰省を〉とまで踏みこんだ行動制限を訴えた。
〈政府の二歩、三歩先を行っても政府はついてこられない、だから半歩先を示すのが大事なんだ〉
尾身がこうした強気の進言ができた背景には、疫学解析の専門家である押谷仁(東北大学大学院医学系教授)が膨大なデータを分析し、国民を納得させるだけのエビデンスを整理し続けてきたという実績があった。
〈押谷が行った解析によれば、旅行を含めた移動歴がある人が二次感染を起こす頻度は二五%、移動歴のない人よりも三・四ポイント高かった。しかも、移動にともなって感染を広げているのは、九〇%が十代から五十代の人、つまり、若い人の移動こそが、感染を拡大する要因になっていた〉
コロナ禍突入から半年後の'20年9月、菅は安倍の後を継いで首相に就任する。
〈首相肝いりのGo Toは厚労省内で「Go To ヘル」と揶揄されていた〉〈進言すれば自らのクビが飛ぶ〉
出世の道が絶たれることを恐れる官僚は、菅や関係閣僚を忖度して強い意見を進言しない。そんな中、尾身は菅と直談判してGo Toの中止を諫言した。
菅・尾身会談から2週間後の'20年12月14日、菅はGo Toの全国一律停止を発表する。忖度なき尾身の叫びによって、新型コロナを全国にバラまきかねないGo Toが停止されたのだ。
東京五輪を経て
たび重なる緊急事態宣言にまん延防止等重点措置、飲食店の休業や時短営業が打たれる中、コロナ禍は収束する様子を見せない。
そんな中、1年延期された東京五輪の開催が'21年7月に迫っていた。第3波、第4波が訪れ、感染力が強力な変異株の出現も報告される中でのことだ。
〈開催の実施や延期、観客の有無に関しては、感染症専門家が責任を持てる範囲を超えています。しかし年明けから変異株が広がり、このまま行けば感染拡大がひどくなることは明らかでした。ここで黙っていたら、歴史の審判に耐えられない〉
尾身は職業的良心によって一歩を踏み出し、国会で五輪開催時期の再検討を訴え続けた。
それだけではない。彼らは東京五輪を断行した際に起きるであろう事態を科学的にシミュレーションしていた。
〈すでに尾身たちは、東京五輪について開催時期に流行が高まった場合にどのように対処すべきか、方向性が次第に固まりそのリスク評価の考え方を提言書としてまとめ始めていた。あとは出すかどうかだが、尾身は、受け入れる側の政府に打診を重ねていたのだ〉
ところが菅も新型コロナウイルス感染症対策担当大臣の西村康稔も専門家集団のリスク評価に耳を傾けることはなかった。
国民を説得するためのエビデンスが準備されていたにもかかわらず、「五輪開催」ありきで突き進んでしまった。
予定どおり'21年7月に五輪が始まると、新型コロナの感染者は過去最大のピークに達した。コロナ病床は満床に近づき、医療崩壊が刻一刻と迫っていた。
国民の生命と安全よりも、五輪のお祭り騒ぎのほうが優先されてしまったのだ。
東京五輪終了直後の'21年9月、菅は退陣を決断した。
救世主を追い出した岸田
'21年10月、岸田文雄政権が誕生する。政権初期の'22年1月7日から3月21日にかけて、まん延防止等重点措置が発出された。
岸田はこの間合計6回記者会見を開いているわけだが、安倍・菅のように尾身を御意見番として自分の隣に座らせるのをやめた。
〈政府の基本的対処方針を変更するタイミングでは会見室で首相会見が行われ、そこに分科会長の尾身が同席してきた。/ところが、岸田はこのスタイルを変え、尾身を呼ばなかった〉
岸田政権は尾身や押谷をはじめ専門家集団との距離を取り始め、コロナが下火になるや、もはや用済みとばかりに放逐してしまう。
それまでの対応の是非を細かく検証することもなかった。
〈わずか五回の会合の後、「新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に向けた中長期的な課題について」という二十一ページの報告書を出して終わった〉
'23年5月8日、感染症法上の新型コロナの扱いは2類相当から5類に引き下げられた。
その位置づけは「季節性インフルエンザ」と同等に変わった。
〈永田町や霞が関にも日常が戻ってきた。政府に都合のよい結論にお墨付きを与えてくれる専門家の「御用審議会」が政府の決定を支える日常が戻ってきた。そうした枠にはまらない尾身たち専門家がいなければ日常性を取り戻すための決定さえ踏み出せなかったのに、新しい日常の風景の中に、尾身や押谷や西浦の存在は消えていた〉
尾身と岸田の最後の面会がわずか15分で切り上げられたことについて、西浦は〈あんまりだという思いはあります。キックアウトですよね〉と嘆息する。
近未来に次なるパンデミックに襲われたとき、虫がいい政治家は放逐した専門家に再び招集をかけるのだろうか。
●「裏金議員リスト」5日までに野党に提示 「とっくに報道されている」辛坊が苦言 2/1
キャスターの辛坊治郎が2月1日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。自民党は政治資金のキックバックを政治資金収支報告書に記載していなかった党所属議員のリストについて、野党の要求通り5日までに提示する方針を示したことを巡り、「誰がいくらもらったかについては、とっくに報道されている。与党も野党も真面目に時間を使って仕事をしてくれ」と苦言を呈した。
自民党は政治資金のキックバックを政治資金収支報告書に記載していなかった党所属議員のリストについて、野党の要求通り5日朝までに提示する方針を示した。与野党は、リストの提出により2024年度の予算案に関する基本的質疑を5〜7日に行うことで合意。ただ、リストが不十分なら野党は審議拒否も辞さない構えだ。
辛坊「誰がいくらもらったかについては、とっくに報道されています。自民党が野党にリストを提出することに、何の意味があるのでしょうか。報道されているリストは検察がメディアにリークした情報で、自民党が公式に発表しているものではないというのが、野党の言い分なのでしょうかね。提出期限についても、与野党間で綱引きをしている意味が分かりません。国会議員の皆さん! 与党も野党も真面目に時間を使って仕事をしてください。」
●自民・杉田水脈なでしこの会「裏金1564万円」 2/1
《公金チューチュー議員はあなた》と大ブーメラン
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)が1月31日、2020〜22年の政治資金収支報告書の訂正を総務省に届け出た。
安倍派では、同年分を含めた5年間で、現・元職の衆院議員に関係する58団体、参院議員関連の37団体の計95政治団体に対する総額約6億7600万円の寄付を記載していなかったと公表。「国民の政治不信を招き、ご迷惑とご心配をお掛けし、心よりおわび申し上げる」とのコメントを出したが、これにて一件落着とはいかないのは言うまでもない。
昨年11月〜12月にかけて問題が指摘された際、「適正に処理している」などと言って詳しい説明を避けてきた安倍派議員の面々。自身や関係者の逮捕、起訴の可能性が低くなったと見るや、次々とキックバックを認め始め、「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに政治資金収支報告書を相次いで訂正している。だが、「訂正」したとする収支報告書を確認すると、「寄付」として支出を受けた期日は「不明」で、支出先の名前も適当に記入したとしか考えられないものが少なくないから、いい加減だろう。
解散を決めたとはいえ、安倍派議員に対する国民の怒りは一向に収まる気配は見られないが、とりわけ、SNS上で投稿が相次いでいるのが、杉田水脈衆院議員(56=比例中国ブロック)だ。
杉田氏はキックバック計1564万円を収支報告書に記載せず
杉田氏の資金管理団体「杉田水脈なでしこの会」は1月31日、2018〜20年と22年に安倍派からキックバックされた計1564万円を収支報告書に記載していなかったとして、同告書の訂正を兵庫県選挙管理委員会に届け出た。
キックバックされた約4300万円を記載せず、東京地検特捜部から政治資金規正法違反罪(虚偽記載)で略式起訴された谷川弥一元衆院議員(82)=東京簡裁が1月30日までに罰金100万円、公民権停止3年の略式命令=と比べて金額が少ないとはいえ、それでも1500万円超のカネをため込んできたのだから悪質さは変わらない。
杉田氏と言えば昨年、保守系月刊誌のユーチューブ番組に出演した際、アイヌ文化振興事業に公金不正流用疑惑があるとの見方を示し、関係者が補助金などを必要以上に得ているのではないかとして「公金チューチュー」と揶揄し、国内外で批判の声が上がった。
このため、SNS上ではこんな声が拡散されている。
《公金チューチュー議員はあなた。パーティー収入は公金じゃないとでも言いたいのか》
《収支報告書に記載しない裏金をウン千万円も作りながら、国民に対して税金泥棒かのような差別発言。見事なダブスタ》
《アイヌ文化事業は正式な手続きに則って申請する補助金。あなたは法律も手続きも無視して得た裏金。悪質なのはどちらなのか》
裏金事件はまだまだ終わらない。
●能登半島地震1か月 志賀原発の現状と今後は 2/1
能登半島地震から1日で1か月です。最大震度7を観測した石川県志賀町にある志賀原子力発電所では、一部が使えなくなっている外部から電気を受ける系統の復旧時期が依然、見通せていません。さらに、再稼働の前提となる審査では、地震に関する新たな知見を反映するため、年単位での長期化が避けられない状況です。
志賀原発は1号機、2号機ともに2011年から運転を停止していますが、1月1日の地震では1号機の原子炉建屋地下2階で震度5強相当の揺れを観測し、建屋の外にある外部から電気を受ける際に使う変圧器が壊れました。
この影響で、あわせて3系統5回線ある送電線のうち、1系統2回線が現在も使えなくなっています。
北陸電力によりますと、2月中旬に詳しい点検を行ったうえで変圧器の復旧方法を検討することにしていて、現在のところ復旧時期の見通しは立っていないということです。
北陸電力は、ほかの系統から電気を受けられているほか、非常用のディーゼル発電機なども備えていることから、使用済み核燃料を保管するプールの冷却など安全上重要な設備の電源は確保されているとしています。
一方、志賀原発の2号機について2014年から行われている、再稼働の前提となる審査は、今回の地震の影響で、さらなる長期化が避けられない状況です。
原子力規制委員会による審査では、焦点となっていた敷地内の断層について、去年3月、「活断層ではない」とする北陸電力の主張が認められ、議論の対象が周辺の断層に移ったばかりでした。
この中で北陸電力は、能登半島地震の震源域と重なる半島北部の断層について、連動して動く範囲をおよそ96キロと想定していましたが、今回の地震では、政府の地震調査委員会が、およそ150キロの範囲で複数の活断層が関係している可能性が高いと指摘するなど、想定と異なる調査結果が示されています。
規制委員会は、今回の地震に関する知見を審査に反映させる方針ですが、新たな知見がまとまるまでには年単位の時間がかかると見込まれています。
規制委員会の山中伸介委員長は、「これまで考えていなかった断層の動きが見られたので、当然新しい知見として採用する必要があり、それまでには半年から1年はかかる。審査の1項目である地震について検討するだけでも年単位はかかるのでないか」と話しています。
相次ぐトラブル 復旧は
1月1日の能登半島地震の影響で、北陸電力の志賀原子力発電所では変圧器が壊れ、外部から電気を受ける系統が一部使えなくなっていますが、そのほかにもさまざまなトラブルが相次ぎました。
先月17日には、非常用ディーゼル発電機に異常がないか確認する試験運転を行っていたところ、5台中1台が自動停止しました。
この非常用発電機は1月30日に復旧し、北陸電力によりますと、試験運転の手順を見直すなど再発防止策をとったということですが、原子力規制庁は、「北陸電力の手順の確認が足りなかった」と指摘し、今後の検査の中で原因を詳しく調べることにしています。
また、送電線につながる外部の変電所で、絶縁に使うセラミック製の部品が壊れているのが見つかり、北陸電力がことし6月までに交換することにしているほか、地震によって生じた敷地内の段差や傾いた設備などについては、来年度中の復旧を計画しています。
さらに、志賀原発周辺に設置されている放射線量を測定するモニタリングポストでは、通信が途絶えるなどした影響で、116か所のうち最大18か所で、一時、データが得られなくなりました。
いずれも志賀原発から半径15キロから30キロほどの範囲にあり、このうち石川県内の17か所は原発の北側に位置する輪島市と穴水町に集中し、この地域一帯で観測できない状態になりました。
その後、通信環境の回復や替わりの装置の設置などによって復旧が進み、1月31日、最後に残っていた1か所でバッテリーを交換したことで、1か月ぶりにすべてのモニタリングポストが復旧しました。
モニタリングポストは、住民の避難などを判断するための重要な設備で、原子力規制庁は、今後、さらに詳しく原因を調べ、対策を検討することにしています。
複合災害に不安も見直し限定的
今回の地震で、志賀原発では、周辺で避難や屋内退避が必要な事態にはなりませんでしたが、能登半島では、道路の寸断や建物の倒壊が相次いだことから、地震と原発事故による「複合災害」となった場合の対応に原発を抱えるほかの地域からも不安の声が上がっています。
このうち、去年原子力規制委員会による事実上の運転禁止命令が解除され、東京電力が再稼働を目指している柏崎刈羽原発が立地する新潟県では、1月、東京電力が開いた住民説明会で、地震の際の避難や原発の安全対策について問う質問が相次ぎました。
国の原子力災害対策指針では、原発で重大な事故が起きた場合、おおむね半径5キロ以内の住民は直ちに避難し、5キロから30キロ以内の住民は、自宅や避難所などの建物の中にとどまる「屋内退避」を行ったうえで、地域で計測された放射線量が一定の値を超えた場合に避難を始めるとされています。
柏崎刈羽原発の再稼働への同意の判断をめぐり、新潟県の花角知事は県の原発に関する防災計画が、国の指針を踏まえて策定されていることを念頭に「屋内退避などは再稼働に関する議論の材料だ」などと述べ、規制委員会による検討の推移を注視する姿勢を示しました。
こうした声が複数の地域であがる中、原子力規制委員会は2月中旬にも指針の見直しに向けた議論を始めることにしています。
ただ、山中伸介委員長は1月の記者会見で、原発が稼働している地域では、避難の手段や屋内待避の施設は確保されているという認識を示したうえで、見直しの対象になるのは屋内退避を開始したり解除したりするタイミングに限定されるという考えを示しています。

 

●進まぬ耐震化、被害拡大要因か 能登半島地震 死因9割「家屋倒壊」 2/2
最大震度7を記録した能登半島地震では、多くの人々が倒壊した家屋の下敷きになるなどして命を落とした。平成7年の阪神大震災以降、国は住宅などの耐震化の重要性を訴えてきたが、過疎地の住宅の老朽化や耐震化の遅れなどが被害拡大を招いた可能性がある。全国的にも耐震性が十分でない戸建てが数百万単位で残されており、同様の被害が繰り返される懸念は払拭できていない。
石川県によると、能登半島地震の住宅被害は2日時点で、4万9千棟を超える。死者は災害関連死15人を含む240人で、県が氏名を公表した129人のうち、86%にあたる111人の死因が家屋倒壊だったことが判明している。
国内では、現在の仙台市域で4千戸以上の住宅が全半壊した昭和53年の宮城県沖地震後、耐震基準を改定。56年以降につくられる住宅・建築物に対しては、震度5強程度の地震ではほとんど損傷せず、震度6強から7程度の強い地震でも人命に危害を及ぼす倒壊などの被害を起こさないといった新基準を設けた。
さらに、地震による直接的な死者の約9割が建物の倒壊などが原因だった阪神大震災を受け、国は「耐震改修促進法」を制定。56年改定の耐震基準を満たさない古い住宅については、所有者に耐震診断や改修の努力義務を課すなどした。
国土交通省によると、平成30年時点で全国の住宅の耐震化率は約87%。戸建て住宅に限ると約81%に下がり、約560万戸が「耐震性不十分」であると推計される。
過疎地では高齢化も耐震化を躊躇する要因になっているとみられ、能登半島地震の被災地では、石川県輪島市と珠洲市の住宅耐震化率はそれぞれ約45%、約51%だった。
また、現行耐震基準前の昭和55年以前に建てられた住宅の比率は珠洲市が65%で、総務省が調査した全国の市区町村で最も高い。能登町(61%)が上から2番目、輪島市(56%)が5番目となり、能登半島で住宅の老朽化が際立っていた。
南海トラフや首都直下など、近い将来に発生が危惧される巨大地震は少なくない。国交省は「令和12年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消」との目標を掲げているが、対策は急務だ。
●パーティー収入のキックバック不記載は「脱税」と市民団体が刑事告発 2/2
自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、派閥の幹部ら10人が受け取った資金を所得税として計上せず、脱税した疑いがあるとして、東京地検に告発状が提出された。
自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐっては、収支報告書にうその収入額を記載した罪で、池田佳隆議員と大野泰正議員が在宅起訴され、谷川弥一前議員には罰金100万円と公民権停止3年の略式命令が出ている。
一方、安倍派の「5人衆」と呼ばれる幹部ら7人は、不起訴処分となった。
これについて市民団体は、立件された3人と幹部ら7人が、派閥からキックバックされた資金などを所得税として計上していないのは、脱税にあたる疑いがあるとして、東京地検に所得税法違反の告発状を提出した。
●自民・安倍派キックバック…埼玉県連会長の柴山氏は不記載896万円 2/2
自民党安倍派(清和政策研究会)が議員ごとに設定したパーティー券販売ノルマの超過分をキックバック(還流)していた問題を巡り、県連会長の柴山昌彦衆院議員(埼玉8区)が1日、さいたま市内で会見し、不記載の還流分が計896万円に上ると明らかにした。訂正された2020〜22年分は計556万円。柴山氏は「結果的に修正の運びとなり、誠に申し訳なく、心からおわび申し上げる」と陳謝した。
柴山氏は、13年までそれぞれの政治資金収支報告書に記載していた還流について、14年ごろに清和研側から「今後は収支報告書に計上しないので、貴事務所でも受領について同様の対応を取ってほしい」と申し入れがあり、「非常に困惑した。本当に法的に大丈夫なのかという疑念が生じた」と、不記載の認識があったことを認めた。事実関係を示す資料は捜査当局に全て提出し、捜査にも全面的に協力してきたという。
柴山事務所では秘書の判断で、還流された資金を、いずれ清和研に納付することを前提とした「預かり金」として事務所内で保管する対応を取っていたとし、弁護士でもある柴山氏は「コンプライアンス(法令順守)を一番のよりどころ、旗印として秘書にも徹底していた。(秘書は)理不尽な対応を迫られ、苦肉の対応だったと思う。そういった対応を強いてしまった(責任の)一端は私にある」と語った。
「預かり金」はその他の活動資金と明確に区別され、これまで一円たりとも使用されることはなかったという。柴山氏は重ねて陳謝し、「なぜ派閥が(収支を)表に出したがらない議員に合わせていくのか、一構成員として、そこまで足を踏み入れることができなかった」と述べた。
「身の処し方についてもけじめをつける必要がある」と話す柴山氏は県連会長の職について、「とどまるのはふさわしくないのでは」と小谷野五雄県連幹事長(県議)に電話で意向を伝え、「党の再生にふさわしい体制を整えなければいけない」と判断を県連に委ねているとした。
中根一幸衆院議員(比例北関東)は18年からの5年間で不記載の還流が計1860万円だったことを文書で報告。「この資金は地元での政治活動の資金として支出された。私的な蓄財や流用、不正な支出はない旨、確認しております」などと陳謝した。
大塚拓衆院議員(埼玉9区)は自身の公式ホームページで、「21、22年分の528万円が記載漏れの状態にあり、これらのお金は実際には一円も使われていないことから、経緯を踏まえて必要な対応を検討し、できるだけ速やかに対応する」などと報告した。
三ツ林裕巳衆院議員(埼玉14区)は、還付金は秘書が管理し、同僚議員のパーティー会費などに充てたと文書で説明。「適正な形で活用した。不記載の事実自体は真摯(しんし)に反省し今後適切に訂正する。政治と金の問題で疑念を抱かれないよう襟を正したい」とした。
●衛藤征士郎議員が代表の党支部 党員から集めた党費記載せず 2/2
1日、自民党の派閥から1000万円を超えるキックバックを受け取っていたことを明らかにした衆議院大分2区選出の衛藤征士郎議員が、党員から集めた党費300万円余りを政治資金収支報告書に記載していなかったことがわかりました。
衛藤氏の事務所によりますと、衛藤氏が代表を務める「自由民主党大分県第二選挙区支部」では、おととしまでの3年間、党員から集めた党費合わせて312万円を収支報告書に記載していなかったということです。
事務所は、31日付けで県選挙管理委員会に訂正を届け出ました。
これまでの収支報告書では、党費の収入はどの年も「0円」としていましたが、訂正後は2020年が117万円余り、2021年が98万円余り、2022年が96万円余りあったとしています。
事務所は、これまで記載してこなかったことについて「”党費は自民党大分県連が収入として記載するため、支部では記載しない”という以前の誤った運用を引き継いでしまっていた。これ以上の政治不信を招かないようにと行った確認の中で、今回の不記載が見つかり、申し訳なく思う」としています。
●岸田首相、昨年12月のパーティー延期 田村共産委員長「まだやるつもりか」 2/2
岸田文雄首相は2日の参院本会議で、昨年12月に開催予定だった自身の政治資金パーティーを延期したと明らかにした。共産党の田村智子委員長の質問に、「諸般の事情で開催が困難となり、延期した。会費は延期後の開催に充てるが、参加困難な方には返金する」と答えた。
田村氏によると、パーティーは昨年12月15日に予定されていたという。
これに関して、田村氏は2日の記者会見で「首相は国民の怒りがある中、政治資金パーティーをまだやるつもりなのか」と批判。首相側が受け取ったパーティー券収入については、「開催のめどがない。パーティーを開いていないのだから寄付になる。企業・団体が買った分は違法献金だ」と指摘した。
●麻生氏が上川外相への容姿発言を撤回 「表現、不適切だった」 2/2
自民党の麻生太郎副総裁は2日夜、上川陽子外相の容姿について「そんなに美しい方とは言わない」「おばさん」などと講演で触れた自らの発言を撤回した。朝日新聞の取材に対し、「容姿に言及したことなど表現に不適切な点があったことは否めず、撤回させていただきたい」との談話を出した。
コメントは事務所名で、「上川大臣の功績を紹介する趣旨だった」と釈明しつつ、「各位からのご指摘を真摯(しんし)に受け止める」と記した。「あらゆる方々、特に女性や若者が能力を十分に発揮し、活躍できる環境を整えていくことが政治の責務」とした。
麻生氏の発言をめぐっては、野党などから「暴言」と批判が続出。岸田文雄首相も同日の参院本会議で「性別や立場を問わず、年齢や容姿を揶揄(やゆ)し、相手を不快にさせるような発言は慎むべきだ」と答弁していた。
麻生氏は1月28日、福岡県芦屋町での講演で、上川氏について「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」「そんなに美しい方とは言わんけれども、英語できちんと話をし、外交官の手を借りずに自分でどんどん会うべき人に予約を取っちゃう」などと語った。
●岸田首相「年齢・容姿の揶揄は慎むべきだ」 上川外相への麻生氏発言 2/2
自民党の麻生太郎副総裁が上川陽子外相について「そんなに美しい方とは言わない」「おばさん」などと言及したことをめぐり、岸田文雄首相は2日の参院本会議で「性別や立場を問わず、年齢や容姿を揶揄(やゆ)し、相手を不快にさせるような発言は慎むべきだ。このことは当然のことだ」と述べた。立憲民主党の田島麻衣子氏が「年齢や容姿を揶揄する発言は許されるのか」とただしたのに対し、答えた。
首相は「岸田内閣でも全ての方が生きがいを感じられ、尊厳が損なわれることなく、多様性が尊重される包摂的な共生社会を実現していく。この基本方針に基づいて政策を進めていく」とも語った。
一方、上川氏は1月30日の閣議後の記者会見で、「様々なご意見やお声があると承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている。国民に理解され、支持される外交を展開していくことに専心している」とし、麻生氏の発言への直接の論評を避けた。 ・・・
●中国が新たなブイ、日本EEZ内に漂流 実効支配を狙う暴挙=@2/2
沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)で先月末、中国当局のものとみられるブイが漂流状態で発見された。中国は昨年夏にも尖閣周辺の日本のEEZに別のブイを設置し、日本の撤去要求を無視してきた。こうした動きは覇権主義を背景に、中国が管轄権を既成事実化し、実効支配を狙う暴挙≠ノ見える。「即時撤去」を主張する声が上がるなか、岸田文雄政権は毅然(きぜん)とした姿勢を示せるのか。
森屋宏官房副長官は1日の記者会見で、海上保安庁が1月29日、尖閣諸島の北約170キロの日本のEEZで、新たなブイが漂流しているのを確認したと明らかにした。
ブイは直径5メートルほどで、「中国海洋監測」と表記され、上下を逆さに転覆し、機能停止していた。政府は中国側に説明を求めたという。
中国海警局船の動きも看過できない。昨年1年間に、尖閣諸島周辺の接続水域では、海警局船の侵入が通算352日確認され、2012年の尖閣国有化以降で最多となった。尖閣諸島は日本固有の領土だが、海警局側は、日本の漁船と海保船が尖閣海域に「不法侵入した」などと、常軌を逸した主張をしている。
海保関係者は「海警局は21年、人民解放軍傘下の準軍事組織に改組され、艦船の大型化や武装強化を急加速している。暴発の懸念が強まり、現場の緊張感は日に日に高まっている」と明かす。
自民党外交部会は1日、「ブイの即時撤去要求」の必要性を確認し、自力撤去も見据えて国際社会の理解を得る外交努力をするように政府に求めた。
岸田政権の対応をどうみるか。
福井県立大学の島田洋一名誉教授は「新たなブイも、昨年発見したブイも即時撤去すべきだ。岸田政権は『国連海洋法条約に規定が明記されていない』として撤去に消極的で、中国に付け込まれた。日本の政局混乱も見据えて、中国は攻撃を仕掛けている。日本は与野党が強く撤去を求め、岸田政権の尻をたたかねばならない」と強調した。
●「岸田総理のやりやすい状況が整った」自民・安倍派の活動停止 2/2
2月2日の「おはよう寺ちゃん」は、金曜コメンテーターでMCPアセット・マネジメント チーフストラテジストの嶋津洋樹さんと番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、自民党安倍派の活動停止について意見を交わした。
自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受け、解散が決まった自民党最大派閥の安倍派、清和政策研究会はきのう党本部で最後の議員総会を開き、約45年の歴史に幕を下ろした。安倍派の塩谷立座長は総会冒頭に「歴史ある清和研を閉じなければならないのは断腸の思いだ」と述べた。「日本の政治の中でまた活躍していただきたい」とも語りかけたが、出席者からの拍手はまばらだったという。派閥として一区切りはつけたが、今後も塩谷氏ら安倍派幹部の前途は険しいと産経新聞は報じている。今日からは安倍派幹部らへの聞き取り調査が始まり、自民党執行部が聞き取った内容を踏まえて処分を検討するという。
寺島アナ「自民党安倍派の動き。これは嶋津さん、どうお感じですか?」
嶋津「結局、派閥がダメだという話になったんですけども、勉強集団・政策集団としては残るというわけですよね。だけど安倍派の場合は、安倍さんが亡くなったあと集団指導体制になっていて、これは次の一人がなかなか絞り込めず、温度差があったということです。」
寺島「領袖が決まらなかったということですね。」
嶋津「これに対して岸田政権は、入閣させたりさせなかったり、揺さぶりをずっとかけてきたわけですが、今回の事件によって「図らずも」というか分かりませんが、岸田さんの勝利というか、自民党における岸田さんの力がぐっと強まると。あまりこういう方いらっしゃらないんですけど。麻生さんのところが派閥を残すような方向で話してますけれども、解散しろという圧力が強まっているわけです。だから完全に岸田さんのやりやすいような状況が整ったということで、「図らずも」素晴らしい状況になったんじゃないかなと思います。」
●派閥解消 2/2
   ●「俺のところに来なきゃ干すぞ」新人議員へ恫喝横行…自民党の派閥解消歓迎の一方で元議員が惜しむ派閥の効能
安倍派などの政治資金パーティーをめぐる裏金事件で自民党の派閥政治に厳しい目が向けられる中、支持率が低迷している岸田文雄首相は岸田派(旧宏池会)を解散し、他派閥もそれに追随した。かつて宏池会所属の参議院議員だった大正大学准教授の大沼みずほさんは「派閥解消にはメリットもあるが、一方で自己主張や承認欲求、名誉欲の強い実力のある政治家をまとめ上げていた“教育機関”を失うという大きなデメリットもある」という――。
派閥解消の意義
2024年1月18日、私はある女性議員の宿舎で一緒に鍋をつついていたが、岸田文雄首相が「岸田派を解散することを検討している」と記者のぶら下がりでぶっ放したとの報を聞いた瞬間、口にしていたお酒を思わず噴き出してしまった。
「総理が岸田派(旧宏池会)を解散⁉」あまりに唐突、寝耳に水とはまさにこのことで大きな衝撃を受けた。女性議員も「思い切ったことしたわね」と驚きを隠せない様子だった。
翌日には、安倍派、二階派が解散し、しばらくして森山派が解散をし、他の2つの派閥も政策集団として政治資金パーティーなどは禁止されることから、いわゆる自民党内の「派閥」はなくなる。総理は自ら作りあげたものを壊すことで、他派閥に引導を渡したのだ。
大きな賭けに出たわけだが、派閥解消で、どのような変化がもたらされるだろうか。
まず、議員はより自由にさまざまな政策グループに属し、パーティー券ノルマや派閥の弊害から自由になるだろう。気の合う仲間との勉強会や懇親会はよりオープンで、多元的で多層的なものとなる。派閥は掛け持ちを許さないが、今後さまざまなグループへの出入りが可能となってくることで自民党内の交流が活発になれば、党内もより活力にあふれるものになる。人事も、これまでのように派閥推薦ではなくなるので、党内での部会や調査会、国会対策室や幹事長室などでの働きぶりによって評価され、派閥推薦時代の当選数だけ多い“変な人”が大臣枠に押し込まれることも少なくなろう。
そして新人は、派閥からのリクルートで苦しむこともなくなる。私は参議院議員(2013〜2019年)になる前(シンクタンク研究員時代)から岸田会長や林芳正座長、小野寺五典議員などと面識があり、他の派閥からリクルートされない「宏池会の大沼候補」と思われていたようだ。事実、当選した後、同期の議員はいろいろな派閥からの勧誘があり、どこにしようか悩んでいたが、私は清和会(安倍派)や平成研(茂木派)、志公会(麻生派)といった他派閥の議員から「うちにおいでよ」と言われたことはなかった。
ある同僚議員は、地域の事情で本人の意志に関係なく、無理やり入りたくない派閥に入らされたりしていた。先輩議員から「俺のところに来なければ、委員会での役職など徹底的に干してやる」と言われた同僚議員もいた。
派閥の幹部は自分たちの勢力を大きくしたいために新人リクルートに余念がない。しかし、そこに恫喝や嫌がらせが発生していたのも事実である。2つ、3つの派閥の間で迷い、断った派閥の先輩からはにらまれる。そうした意味ですんなり派閥が決まれば問題ないものの、こじれることで政治生活に支障をきたすこともあるのだ。そうした派閥の弊害がなくなることは好ましいことだ。
「政治とカネ」の問題が国民からの大きな不信を招いている以上、襟を正すという意味で派閥解消という決断は間違っていないし、前述のようなメリットもある。ただし、同時にデメリットもある。
派閥解消で失うもの(1)政治資金
政治にはお金がかかる。これはウソではない。実際に政治活動をした私も痛感したことでもある。秘書などを雇う人件費、事務所費、コピー機、ガソリン代、通信費、さまざまな会合への会合費、国政報告などのチラシやパンフレット、ポスター作り……。
事務所を運営していくのは小さな中小企業を経営しているのと同じだ。国会議員は、個人商店の店主なのだ。国会議員の歳費は月額129万円あまり。年約1552万8000円で、期末手当(賞与)として年額635万円を加算すると総額2187万円超となる。それだけの高額報酬を得ているのに足りないはずがない……と思っている国民は多いが、実際は火の車だ。
事務所を運営していくには年4000万〜4500万円ほどかかる。政治活動は政党助成金(自民党では年間1人1200万円)や文書交通費(現在は「調査研究広報滞在費」、各議員に年1200万円)だけではまかなえず、後援会費や国政報告会などで政治資金を集めなければ政治活動を行うことは難しい。加えて、次の選挙の際にかかる費用も貯めていかなければならない。私の場合、最初の選挙で借金として負っていた印刷代を年150万円ずつ返済しながら、月100万円ほど積み立てていた。
そうした意味で、派閥から年に2回支給される「氷代・餅代」は正直ありがたかった。宏池会への会費月5万円を差し引くと1回およそ70万円となる。これらは、5人いた私設秘書たち(公設秘書3人のほかに)のボーナスですぐになくなるのだが、国からボーナスの出る公設秘書と私的に雇う私設秘書との給与格差をいかに縮めるかはどの議員にとっても悩ましい問題であるはずだ。時期的にも私設秘書のボーナスに使っていた議員は多いのではないかと推察する。
派閥解消でこの「氷代・餅代」も消えるわけで、秘書を雇えなくなったり、よほど経費を節減しなければ議員の事務所家計が破綻したりするケースが続出するかもしれない。
派閥解消で失うもの(2)総裁選に必要なお金
派閥を運営していく中で、派閥が勉強会を開催すれば講師の方への謝金が発生する。懇親会や夏の合宿もお金がかかる(宿泊費などは派閥が負担)。ここは参加者の実費でもいいと思うのだが、それより何よりお金がかかるのが、総裁選である。
議員内閣制の日本において、議席が多数である与党の代表が日本国の総理になる。そのため、現在では、自民党の総裁選挙=日本の総理を決める選挙となる。自民党には全国におよそ112万の党員がいる。党員に総裁候補の政策、人柄を知ってもらうべく、党では機関誌を発行したり、全国行脚して討論会を開催したりする。
総裁選は公職選挙法に定められていない選挙のため、それぞれの総裁候補を応援する各陣営でもちらしを作って郵送したり、電話作戦を行ったりする。その際に電話代、郵送代、リーフレット印刷代など莫大な資金が必要となる。当然、全国を飛び回る遊説にかかる交通費や宿泊費もかかる。私も山形県で参議院の候補者になる前に、党員選挙を2回経験しているが、県連から交付された資金は数十万円で、約1万人の党員がいる山形県においてその十倍以上の経費がかかった。それを候補者は自腹で払う。
投票してもらうための政治活動は民主主義を支える土台となる。そのため、チラシやはがきで候補者の考えや思いを知ってもらうことや電話作戦で候補者の知名度をあげること、各陣営がそれぞれの地域で座談会などを開催し、候補者と党員の対面の機会を設けることで党員にアピールするのは総裁選勝利の戦略上とても重要だ。
派閥主催のパーティー収入はこうした地道な活動にも使われていたが、今後、派閥を解消するならば、新規に政党法を制定し、総裁選挙で各候補の使えるお金は党本部が準備する必要がある。違反があれば、公職選挙法のように罰則規定を設けるような形だ。
派閥を解消するならば、新規に政党法を制定し、総裁選挙で各候補の使えるお金は党本部が準備する必要がある。違反があれば、公職選挙法のように罰則規定を設けるような形だ。
ただ、党本部からお金をもらって、総裁選を戦いますというのはどこかひ弱な感じを受けてしまう。「権力を奪取しにいく」という勇ましい行為にふさわしくない。そんな感覚を感じる政治家は少なくないのではないか。
総裁選に向けて、党の世話にならず自力でお金集めをして、その力を内外に見せつける。それにより我こそが総裁にふさわしい人物であるとアピールできた。国民からは見えにくいかもしれないが、派閥がお金集めをするパーティーを行う理由、それは自分たちの派閥から総裁候補を出すための「貯蓄」をしておくという側面もあったのだ。
総理候補は総裁選で鍛えられ、総理になるには、政策、人柄、胆力、お金……あらゆるものを乗り越えられた者こそふさわしいというダイナミズムが存在したのも確かだ。
批判を受けるのを覚悟で言えば、派閥のパーティーは個人の政治資金パーティーと同様、大きな商店を運営していく中で、また総裁選への準備という意味で必要なものだったと私は思う。
しかし、安倍派のキックバックはもとより派閥のお金の会計に不信を抱かれるようなことはあってはならず、元会計責任者が略式起訴された宏池会もことを重く受け止めなければならないのは当然のことだ。
   ●国民から総スカンでも「岸田一強体制」となる摩訶不思議…派閥解消でカオス化し安倍派は瓦解し、茂木派は溶解
岸田派(旧宏池会)が解散したのを皮切りに他派閥もそれに追随した自民党。かつて宏池会所属の参議院議員だった大正大学准教授の大沼みずほさんは「次回の自民総裁選に男性議員が立候補しまくるのは必至。初の女性総理をつくるキングメーカーに名乗りをあげる動きもあるが、結局、岸田文雄総理続投となる公算が大きい」という――。
派閥解消で失うもの(3)議員間の濃密な人間関係
派閥解散後の今は行われていないが、どの派閥も毎週木曜日の昼に派閥のある永田町近辺にある事務所で、ランチを一緒にしながら情報交換する。俗に「例会」という。特に新人議員にとって、国会での動きがまだよくわからない時に、国会対策室や幹事長室に所属する先輩からの情報は貴重だ。
どんなことが党内で起きているのか、議員会館の部屋にいてはわからないからだ。また、党の部会や調査会でもどのようなものがあり、どういったものに出たらいいのかなども相談に乗ってもらう場でもある。
宏池会は事務所で同じ種類の弁当を食べて結束を図る、いわゆる「一致団結箱弁当」ではなく、カレーや幕の内弁当、かつ丼など数種類から選べるようになっており、他派閥から羨ましがられた。弁当1つからもわかるように「多様性」を重んじる気さくでフランクな雰囲気だった。ボトムアップの意見集約という意味でもオープンだった。
参議院は参議院の宏池会で集まる「参宏会」というグループで月1回食事会などをしていたが、衆議院側との交流は、気の合う人たちと食事会をしたり、勉強会したりする程度でゆるやかな付き合いであった。
ただ、やはり懇親会などでは先輩議員に地元活動での悩みや人間関係など細かいことまで相談に乗ってもらえるのでありがたかった。
また、東京と地元選挙区の山形で年に1回ずつ行う国政報告会では、岸田会長や林座長、上川陽子法務大臣(当時)や宮沢洋一税調会長などが来賓あいさつなどに来て花を添えてくれた。そして、「こどもの貧困対策」やSDGsについての勉強会、宏池会に属していたかつての先輩議員を講師とした勉強会なども盛んに行われていた。
夏に行われる河口湖での研修合宿ではAIや外交、経済の専門家を招いての勉強会があり、夜の懇親会では派閥担当の記者たちとカラオケに行くなどわきあいあいとした雰囲気だった。
古賀誠名誉会長に同行して行われる毎年恒例の大平正芳元総理の墓参り、沖縄の「平和の礎」視察など、平和の尊さをことあるごとに教えてもらった。派閥結成60周年の時には、岸田会長とケネディ駐日米国大使(当時)との対談、林座長と駐日中国大使との対談を冊子にまとめ、シンポジウムを開催し、これまでの宏池会の歴史を振り返る動画なども作成した。
そして、何より選挙の時に先輩議員や同僚議員が応援に来てくれる時は本当に心強いものだ。党本部から、幹部を派遣してもらっても、相手も筆者を知らないので、応援演説も通りいっぺんの内容になる。しかし、宏池会の先輩方は日頃の活動を知っていてくれているし、密な関係があるので、演説にも心が入り、愛情がこもったものになる。
こうした活動を通じて、派閥内の結束やつながりは強まっていき、自分自身も宏池会の一員としての「メンバーシップ」を確立していった。
宏池会に属することで、先輩たちがつないできた伝統や考え方、日ごろの国会でのふるまいや野党との人間関係の構築の仕方、懇親会や選挙応援でできる絆など有形無形の財産を得ることができた。それが派閥の果たしてきた大きな役割ともいえよう。
派閥で失うもの(4)女性総理候補
なぜ、派閥の幹部は派閥の掛け持ちを許さず、新人議員を囲い込むのか。先輩議員に相談ごとをすることで「借り」を作り、先輩は「貸し」を作ることで、そこにいい意味での「貸し借り」関係が生まれる。きっと会社生活でも大なり小なりこうした人間関係はあるはずだ。
派閥解消により以上のようなつながりは確実に希薄なものにならざるを得ないだろう。人間関係の絆が弱まり、総裁選の際の議員間の駆け引きはより複雑微妙なものになって、票が読みづらくなるのは必至だ。
先日、麻生太郎副総裁が上川陽子外務大臣のことを「おばさん」だの「美しい方とはいわない」だのと形容し、世論から大ヒンシュクを買った。麻生氏の真意は「今、新しいスターが育ちつつある」という意味だったようで、上川氏も目くじら立てずに柳に風と受け流した。次期総裁候補として、上川氏を世間に売り、自分がキングメーカーとして君臨したいという思惑が透けて見えると評するコメンテーターもいる。
前回の総裁選は、高市早苗氏と野田聖子氏が総裁選に手を挙げ、総裁候補者の半分が女性だった。これまでにないことだった。上川氏も派閥が解散された今、20人の推薦者を集めれば立候補は可能だ。また小渕優子選挙対策委員長は平成研(茂木派)を退会し、小渕氏を中心とする新たなグループができそうな雰囲気もある。そうした意味で、次回の総裁選は多くの女性が候補者になりうるかもしれない期待も高まっている。
しかし、自民党議員に女性が占める割合は約1割。人数が少ない上に、女性議員は群れない。“ボーイズクラブ”の男性議員は夜な夜な一緒に飲みに行って親交を深めるが、女性議員は必ずしもそうしない。女性をトップとした派閥は麻生派に組み込まれる前の山東昭子氏がトップだった山東派くらいで、これまで女性がトップとなり、総裁候補とした派閥はなかった。
前回の総裁選も、故安倍晋三氏のおかげで高市氏、二階俊博氏のおかげで野田氏は推薦人を確保することができ、立候補が可能となった。裏ではキングメーカー同士の戦いになっていたのである。派閥(派閥のトップ?)のおかげで無派閥の女性議員は総裁選に立候補することができたともいえる。
今回の派閥解消によりキングメーカーたちの縛りはなくなる。男性議員からもたくさんの候補者が立候補すれば、総裁選はカオス化するだろう。推薦人20人を集めた男性候補がタケノコのように手を挙げる可能性がある。
ただし、安倍氏亡き後の高市氏、秘書が立件された二階氏を後ろ盾とする野田氏の2回目立候補は厳しくなるかもしれない。麻生氏の発言で知名度が上がった形の上川氏はいわば赤丸急上昇だが、党内から「どんなご支援もありがたく受け止める」環境の整備が大事になってくる。河野太郎氏が立候補すれば、麻生派も結局のところ分断され、岸田総理が再選を目指そうとすれば、旧宏池会の推薦は難しいからだ。小渕氏も青木幹雄氏亡きあとどのくらい支持を広げられるか未知数である。
結局のところ、派閥解消の影響で、有象無象のボーイズタケノコクラブたちが立候補すれば、日本初の女性総理候補はむしろ立候補さえ難しくなるというジレンマをはらむ。
以前なら、派閥の幹部たちが「女性議員の○○を推そう」と言えば、それでまとまった推薦人を確保できたかもしれないが、現在の流動的な党内では、女性候補が立候補して勝ち上がっていくのは至難の業だ。もしそれができるとするなら、それは岸田総理かもしれない。そんな声が永田町から聞こえてくる。
旧宏池会を丸々上川氏に禅譲し、麻生派の一部と安倍派、茂木派の一部を巻き込んで、いわば“キングメーカー”岸田として上川氏を擁立するというのだ。もちろん、麻生氏もキングメーカーたりえるが、河野氏を抱える麻生派は総裁選では分裂含みだ。
これまで「第4派閥」と弱小で肩身の狭い旧宏池会だったが、解散しても結束は強く、退会者が続く茂木派とは異なり、1つの塊として行動できる。国民からの支持は依然低迷しているものの岸田総理は当面続投する公算が大きいのだ。
安倍派はずっと党内与党だったので、党内野党になろうという人たちは少ない。麻生派は河野氏が立候補すれば分裂し、茂木派も茂木氏が立候補したとしても、派内の全員が応援するかわからない状況にある。石破氏は菅グループや二階派が応援するかもしれないが、広がりに欠く。
自民内の派閥力学において派閥解消という戦略はそうとうなインパクトがあったことは確かだ。岸田総理がそれを実行できたのは、旧宏池会への絶対的信頼があったからだろう。安倍派が瓦解し、茂木派が溶け始めた今、「解散しても、旧宏池会メンバーは自分を応援してくれる」という自信だ。永田町界隈では「岸田一強体制」が始まるとの観測も出始めている。
派閥解消後の自民党
自由民主党の議員は370人を超える。その中には、右から左までいろいろな思想の議員がいる。だからこそ、多様性にあふれその切磋琢磨からいい意見が生まれ、いい政策につながる。派閥という枠組みがなくなっても議員はグループを作り、意見交換をしたり、政策を立案する勉強会をしたりして人間関係を築いていくだろう。
しかし派閥が生み出してきた「強固な絆」や「幹部のコントロール」がなくなれば、烏合の衆となり、自民党内で、離合集散を繰り返す野党のようになっていく可能性もある。国会議員は年齢も、背景も異なり、自己主張も強く、承認欲求や名誉欲の強い個人の集まりであり、それを派閥という教育機関がまとめ上げていたところが自民党の強みだったと言える。
今後、党本部に絶対必要なのは人事局や日頃の活動をきちんと評価できるシステムだ。これがあればこれまでの派閥推薦表などは不要になる。また、政党法を制定する中で、政策活動費の透明化や総裁選のあり方も議論をしていかなければならないだろう。
政治改革は派閥解散で終わりではなく、ここがスタートである。お金にまつわる規制強化はもちろんしていかねばならないが、規制強化の議論だけでなく、派閥と関係の深かった総裁選の在り方と今後の政策集団の在り方といったところまで幅広に議論をしていかねば、袋小路に入り、「木を見て森を見ず」となりかねない。
このままでは、総裁選はカオス化し、最後は無意味な合従連衡が繰り返される可能性もでてくる。派閥の弊害を検証しつつ、派閥の果たしてきた役割もまた、ここで一度振り返る必要がある。派閥は「悪」という論調に一石を投じるためにも。
●岸田首相「金正恩氏に謝意」 能登半島地震見舞い電報に 2/2
岸田文雄首相は2日の参院代表質問で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が首相に送った能登半島地震に対する見舞いの電報を巡り「多くの国・地域からメッセージを受けており政府として感謝する。金氏からのお見舞いのメッセージについても感謝の意を表明したところだ」と述べた。林芳正官房長官が1月6日の記者会見で、電報への謝意を示したことを念頭に置いているとみられる。
国民民主党の榛葉賀津也氏は「北朝鮮最高指導者からの初のメッセージにどのような政治的意図を読み取るか」と質問。首相は「答える立場にない」と明言を避けた。
日朝平壌宣言に基づき国交正常化を目指す立場は変わらないと強調し、金氏との首脳会談に重ねて意欲を示した。
●生活再建へ税制特例 資産損失で所得税・住民税の減免1年前倒し 2/2
政府は2日、能登半島地震で家財などの資産が被害を受けた場合、生活再建のため所得税や住民税の減免を1年前倒して行う特例措置を閣議決定した。法案を通常国会に提出し速やかに成立させる方針。
特例措置は、災害などで失った家財道具などの損失分を所得から差し引く「雑損控除」の他、事業用資産の損失についても減税の対象となる。
1月に震災があったため、本来は2024年分の所得から控除となるところを2月の確定申告で、2023年の所得税や住民税から減免し、本来より1年前倒す特例措置となる。
林官房長官は、2日の会見で「能登半島地震の被害が広範囲、かつ甚大で発災が1月であったことの事情を勘案し、臨時異例の対応とする」とした上で「特例措置を通じて被災された皆様の生活再建に向けた資金繰りの円滑化や負担軽減をはかっていきたい」と述べた。
政府は、今月から確定申告が始まる中、特例措置に関する法案を速やかに提出し国会での成立を図る考え。
また、法律成立前から、特例措置の内容や手続きについて国税庁などで広報を行うとしている。
●トリガー条項凍結解除、エネルギー情勢や脱炭素潮流も考慮=岸田首相 2/2
岸田文雄首相は2日の参院本会議代表質問で、4月末に終了予定のガソリン補助金の在り方をめぐり、ガソリン税を緊急時に下げるトリガー条項の凍結解除を含め、さまざまな手法を検討していると述べた。榛葉賀津也議員(民主)への答弁。
首相は、ガソリン補助金政策である激変緩和措置の出口戦略について「さまざまな手法がある」と指摘。国民民主が求めるトリガー条項の凍結解除については「エネルギー情勢や脱炭素の国際潮流も踏まえ与党と国民民主の3党で検討している」と述べた。
米大統領選動向を踏まえ「日米同盟の重要性については米国でも党派を超えた認識が存在している」との見解を述べた。
能登半島地震後、日本に異例の電報を送った北朝鮮の金正恩委員長に対して謝意を示すと同時に北朝鮮側の政治的意図についてはコメントを控えるとした。 
●吉村知事進める大阪万博会場建設費増額を「やむをえない」発言 経団連十倉会長の会社が「過去最高の赤字」に批判の声 2/2
2日、住友化学が、2024年3月期で連結最終損益が2450億円の赤字になる見通しだと発表した。2000年以降で過去最高となる950億円の赤字の見込んでいた従来の予想を大幅に下方修正することになった。
住友化学の代表取締役会長を務めるのは、経団連会長の十倉雅和氏だ。
十倉氏は、去年9月の会見で、「若い世代が将来不安なく、安心して子どもを持つには全世代型の社会保障改革しかない。それには消費税などの増税から逃げてはいけない」と、増税の必要性を訴え、世論の反発を呼んだばかり。
十倉会長は、吉村洋文大阪府知事が進める大阪万博協会の会長も務めるが、去年11月、定例会見で、当初のほぼ2倍となる最大2350億円にふくらんだ会場建設費について、「やむをえない」と発言。
350億円かかるといわれている世界最大級の木造建造物「リング」についても、世界分断の危機の時代に連携を示す象徴的意味があるとして、「ぜひ、やりたい」と発言。今年に入って十倉氏自ら建設会場を視察、「万博のシンボルとしてふさわしいものに仕上げてほしい」と期待を寄せた。
だが、リングは閉会後、解体される予定で、野党などから「(税金の)無駄遣い」と批判されている。
その十倉氏が代表取締役会長を務める住友化学の損益が史上最大の赤字となったことで、X「旧・ツイッター」では「最終赤字2450億円」という言葉がトレンド入り。
《経団連の会長は消費税の増税や児童手当に口出す暇あるなら、自分のところをとっとと建て直せや》《事業で低迷が続いて会社が危機的状況に陥っているのに、こういう無能が経団連会長をやっていて、さらに万博の博覧会協会でトップを勤めて日本に害悪を垂れ流している》《自分の会社の運営すら出来ない奴がどのツラさげて偉そうな事ほざいてんだよ》
というポストが。
自社の経営が過去最高の赤字だから、消費増税も、万博会場の建設費が膨れ上がるのも「やむをえない」ということだろうか。
●首相「裏金の定義は困難。文脈で意味が異なる」 野党「無責任だ」 2/2
2日の参院本会議の代表質問で、岸田文雄首相は裏金の定義について問われ、「文脈に応じて、意味、内容が異なってくる。一概に定義をお答えすることは困難」と回答を避けた。質問した立憲民主党の田島麻衣子氏は、「首相が考える裏金と、国民が考える裏金の意味が異なっては問題解決ができない」と問題視している。
首相は昨年11月、岸田派の政治資金パーティーの収入について政治資金収支報告書を修正した際、「修正をしても総額は変わっていない。裏金うんぬんという指摘はあたらない」と強調。あくまで記入漏れにすぎないとの認識を示していた。
田島氏は2日の代表質問で、「裏金とは何を指すのか。違法にためた金であっても、銀行口座に残っていたり、事務所の金庫に保管されていたりすれば、裏金とは言わないのか」とただした。 ・・・
●「お手盛り」批判受け“変更” 全議員にアンケート実施へ 自民党 2/2
裏金事件を受け、すべての議員にアンケート調査を行う方針を固めました。
2日の調査では二階派の幹部らからキックバックの金額や収支報告書に記載しなかった理由などについて話を聞いたとみられます。
自民党は当初、会計責任者らが立件された安倍派や二階派、岸田派を対象とする方針でしたが「お手盛り調査」といった批判などを踏まえ、すべての議員に対してアンケート形式で調査することになりました。
●岸田総理「全議員対象のアンケートを準備」 派閥の“裏金問題”実態解明へ 2/2
岸田総理大臣は派閥の裏金問題の実態解明に向け、自民党所属のすべての国会議員に対し、できるだけ早くアンケート調査を行うと表明しました。
岸田総理大臣「全議員対象のアンケートを実施致します。準備をしております」
岸田総理はアンケートの「内容については調整中」としたうえで、できるだけ早く始めると述べました。
一方、自民党は2日午後から森山総務会長ら幹部が安倍派と二階派の議員や岸田派の幹部などから聞き取りを始めています。
岸田総理は「できるだけ速やかに作業を進める」と述べ、「党としても説明責任を果たしていきたい」と強調しました。

 

●石川 県内初の仮設住宅が完成 輪島市できょうから入居始まる 2/3
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市で、県内で初めての仮設住宅が完成し、3日から入居が始まりました。
輪島市では、市の中心部にある「キリコ会館多目的広場」で、県内で初めての仮設住宅が完成し、自宅を失った人や、生活に配慮が必要な高齢者など、18世帯55人の入居が決まっています。
入居は3日から始まり、午前10時半ごろには鍵を受け取った入居者が家族とともに訪れる姿がみられました。
このうち大下澄子さん(76)は、朝市通り周辺で起きた火災で1人暮らしの自宅が全焼し、長女の家族とともに避難所に避難していました。
大下さんは、室内に入ると、冷蔵庫やテレビなどの家電や、調理器具が入った支援物資を確かめるなど、仮設住宅で暮らすための準備を進めていました。
大下さんは「避難所では眠れないこともあったのでありがたいです。家族と別々になるのは心細いですが、洗濯もできるのでゆっくり過ごしたいです」と話していました。
輪島市にはこれまでに4000件余りの仮設住宅への申し込みがあり、3日から入居が始まった18戸のほかに548戸が着工しているということです。
石川県は、来月末までにおよそ3000戸の着工を目指すとしています。
●「自民安倍派 おととしまでの3年間の収支報告書訂正」の報道 ミスリード報道 2/3
安倍派、二階派の政治資金パーティーを巡ってキックバックが行われ裏金が作られていた一連の問題で、新聞、テレビなどの主要メディアが両派閥が政治資金収支報告書の訂正を行ったと報じている。
安倍派については、NHKが「自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、最大派閥の安倍派「清和政策研究会」が、おととしまでの3年間に記載していないパーティー収入が4億3500万円余りあったなどして、31日、政治資金収支報告書を訂正しました。さらに、記載されていなかった議員や元議員側への派閥からの寄付、4億2700万円余りも書き加えられました。」と報じ、二階派については読売新聞が「自民党派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、同党二階派は18 日付で、2020 〜22年分の政治資金収支報告書の訂正を総務省に届け出た。3年間のパーティー収入のうち約1億3614万円分の記載漏れがあったほか、20年時点での繰越額を7362万円増額した。収入総額の記載漏れは、計2億1370万円。」と報じており、各主要メディアは概ね同様の報道を行っている。
その報道からは、いろいろ問題が有るものの、取り敢えず安倍派も二階派も問題を認識して襟を正したかのように受け止められるだろう。では、その訂正の中身を見てみたい。
安倍派(清和政策研究会)は1月31日に収支報告書の「訂正」を提出し公表された。問題となった政治資金パーティーの収入は2022年は9480万円だった。そして「対価の支払いをした者の数」、つまり購入者は3200人。1人2万円が単価だから、本来は購入者は4740人でなければならないことは過去の記事でも伝えているし、政治資金パーティーが開かれたホテルは立食で2000人が定員だという点も伝えたが、ここではそれを問題にしない。
問題は「訂正」の部分だ。収入は1億円増えて1億9762万円になっている。1つのパーティーで1億円の収入が裏金になっていたという事実に驚く。それを複数年で計算したのが各社の報道だ。そういう「訂正」が行われたという各社の報道だが、注目すべきはそこではない。パーティー券の購入者数だ。ところが、それが「不明」となっている。ここが「不明」では、政治資金パーティーでは、パーティーの実態を示したことにはならない。
因みに、収入を単価で割ると、9881人になる。1万人近い人が購入したことになる。ところで前述の通り、パーティー会場は立食で2000人が定員という規模だ。つまり安倍派は定員の5倍のパーティー券を販売していたということになる。それは出席しないことを前提にしたパーティー券の販売だったことを物語っており、これは実体としては寄付金集め以外のなにものでもない。もしこれが企業・団体による購入であれば、これは政治資金規正法が禁じている企業・団体献金であることは言うまでも無い。
安倍派の「訂正」がとても訂正とは言えないことを書いてきたが、二階派(志帥会)の「訂正」を見ると、更に驚かされる。上が「訂正」前で、下が「訂正」されたとする収支報告書だ。
パーティー収入は2363万8692円増えている。問題はここでも「対価の支払いをした者の数」、購入者数だ。これは「訂正」前もその後も7538人だ。それは2300万円余りのパーティー券が売られたもののその全ての購入者がパーティーには出席しなかったということなのかもしれない。そうであれば、これは単なる寄付だ。この増え方から見て個人が購入したとは思えず、違法な企業・団体献金が2300万円余にのぼったということを自ら明らかにした内容ということなのかもしれない。それこそInFactが過去のファクトチェック記事で報じた内容でもあり、繰り返しになるが、これは違法な行為だ。
因みに、訂正とは、誤りを正しく直すことだ。つまり、安倍派も二階派も、今回の「訂正」は、誤りを正した内容とは言えず、単なる再提出でしかない。これを「訂正した」と報じることは誤報に近い。その「訂正」を受理して公表する総務省も問題だが、こうした事実に触れずに「訂正」と報じる各メディアの責任は更に重い。ファクトチェックの判定としてはミスリードだが、この報道によって一連の「裏金問題」に派閥として区切りをつけたいという両派閥の意図を汲んだ形になっている点を考えると誤報に近い影響を社会に与えていることを各社とも自覚して欲しい。
●「お前達も十分に責任重大」松川るい・丸川珠代議員 “幹部批判”に非難轟々 2/3
昨年末から物議を醸している、自民党最大派閥である安倍派の裏金問題。連日のように自民党議員らとカネの問題が報じられ、安倍派は解散も決定された。
2月1日、安倍派は最後となる総会を開いた。そこに姿を現したのが、松川るい参院議員(52)だ。同日午後1時過ぎ、自民党本部で記者団に応じた松川議員は「安倍総理に憧れて、私は清和研を選びましたので、このような形で終わったことは、極めて国民の皆様に対してまず申し訳ないですし、安倍総理にも申し訳ない」といい、続けて「ちゃんとけじめをつけるような形にならなければいけない。幹部の責任は重いのではないかと、私は思っています」と上層部を批判した。
また丸川珠代参院議員(53)も取材に応じ、記者団にこう語った。
「私たち自身も納得していない部分があると思います。責任ある立場の人が何らかの責任をとったと明確に国民に伝わる行動をとるべき」
勇ましく幹部らを糾弾してみせた松川と丸川の両議員だが、まるで他人事のよう――。というのも松川議員は‘19年から計204万円、丸川議員は’18年から5年間で計822万円を収支報告書に記載していなかったことが発覚している。そもそも彼女たちも裏金問題の当事者なのだ。
不記載が発覚したことについて松川議員は1月23日に「(派閥で)不適切な慣習が長らく続いてきたことによって、私も知らなかった」といい、丸川議員は2月1日、「派閥からノルマ超過分は持ってこなくていいと言われた。資金は(自分の)口座で管理していた」と釈明していた。
当事者でありながら、まるで他人事のように幹部らを非難した2人。Xでは、呆れる声がこう上がっている。
《他人事では無い 貴方もおんなじことした事実を認めて そこまで言うなら自分自身行動せよ》《自民党裏金問題。収支不記載の張本人である丸川珠代 議員や松川るい議員が、他人事のように派閥幹部の責任を追及しているけど、バグってるのかな。自身は政治的責任も法的責任も一切とる気が無いのに? 強メンタルですね》《松川、丸川。本当に酷い奴らだな。全部上層部に責任押しつけか?お前達も十分に責任重大だろ》《本当に。不正を行った本人たちがなぜか被害者ムーブなの、まったく理解ができません》
●自民“不記載”議員に聞き取り調査 全議員にアンケートも 2/3
自民党の派閥の政治資金をめぐる事件を受け、自民党の幹部は収支報告書に不記載があった議員に対する聞き取り調査を行っています。
自民党の森山総務会長と小渕選対委員長らは2日、東京都内のホテルで、収支報告書に不記載があった二階派の議員に聞き取り調査を行いました。
調査の対象となるのは二階派、安倍派の80人以上の議員らで、外部の弁護士も同席して、3日も行われています。
岸田首相「実態把握をするべく党役員が中心になって、外部の有識者にも参加してもらい、聞き取りを行うよう指示を出していたところですが、できるだけ速やかに聞き取り作業を進めてまいります」
岸田首相は聞き取り内容をふまえ、派閥幹部らの処分などについて判断するものとみられます。
また、自民党のすべての国会議員を対象にアンケートを実施し、裏金などがないかを調査することも決まりました。
●自民党 派閥の裏金事件めぐり 安倍派の議員の聴取をスタート 対象は約90人 2/3
党内の派閥による裏金事件を受け、自民党は、きょうから収支報告書に不記載があった安倍派の議員への聞き取りを始めました。裏金の使いみちなどが明らかとなるのかが焦点です。
安倍派の議員への聞き取りは、党の幹部6人が3チームに別れ、弁護士も交えておこなわれます。
派閥からキックバックを受け取った金額や使いみちのほか、収支報告書への記載しなかった経緯などについて聞き取りがおこなわれ、二階派の議員と合わせるとおよそ90人が対象となります。
きのうの二階派の議員への聞き取りは、1人に対しおよそ30分かけておこなわれ、「パーティー券の販売ノルマを超えた分を記載しなかったのは、翌年以降、ノルマを達成できなかった時のためプールしていたからだ」といった話が聞かれたということです。
自民党は来週中に、聞き取りの結果を取りまとめる方針です。
●岸田首相 支持率低空飛行も1強時代到来!? 派閥解散“追い風”に強気モード 2/3
岸田文雄首相は2日の参院代表質問で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治改革に関し「私が先頭に立ち、信頼回復に取り組む」と強調した。公明党の山口那津男代表から再発防止のために政治資金規正法の改正に向けてリーダーシップを発揮するよう求められ、答えた。
言葉の端々に強気がにじむ首相。自民党の麻生太郎副総裁が上川陽子外相を「そんなに美しい方とは言わない」「おばさん」とあげつらったことについても「性別や立場を問わず、年齢や容姿をやゆし、相手を不快にさせるような発言をすることは慎むべきだ」とクギを刺した。首相も昨年「増税メガネ」と容姿をやゆされた経験がある。
2021年10月の首相就任以降、党内基盤が弱く、麻生氏、茂木敏充幹事長との三頭政治で政権中枢のバランスを保ってきた。だが、裏金問題を巡って、両氏への根回しなしに岸田派解散へ動き、6派中4派の解散ドミノにつなげた。存続する麻生派、茂木派も離脱が相次ぐ。後ろ盾がなくなった議員側からは「首相の1強状態になった」とささやく声も漏れてくる。今年は秋に総裁選を控える中、永田町関係者も「麻生派も数は多いが、かつげる候補がおらず、茂木派は分裂含み。うまくやれば首相の無投票再選まであるかもしれない」と指摘した。
とはいえ、首相の求心力が高まったわけではない。党内には「1強といっても、周りが青息吐息の中、比較的ダメージが少なかっただけ。強くなったわけではない」と冷ややかな反応もある。
この日の国会論戦で23年12月に自身の政治資金パーティーを延期したことを明らかにした首相。共産党の田村智子委員長から「まだ開くつもりなのか。政治刷新を語る資格はない」と中止を要求される場面もあった。裏金の温床となった派閥の政治資金パーティーは自粛するよう指示しているだけに、野党の追及は強まっていきそうだ。
内閣支持率は微増傾向だが、低空飛行のまま。国民総スカンの中、岸田時代が続くのか。強気の首相がリーダーシップを発揮できるのか注目される。
≪上川氏は配慮≫ 上川氏は2日の参院代表質問で、麻生氏の不適切発言への批判を避けた。「世の中にはさまざまなご意見や考え方がある」と述べるにとどめた。政権内で強い影響力を持つ麻生氏の立場に配慮し、論評を回避したとみられる。麻生氏の言動を巡っては、典型的な「ルッキズム」(外見至上主義)だとの見方が広がる。同氏は同日夜「表現に不適切な点があったことは否めず、指摘を真摯(しんし)に受け止め、発言を撤回したい」とのコメントを発表した。
≪不記載議員を調査≫ 自民党は2日、派閥パーティー裏金事件を受け、政治資金収支報告書に不記載があった議員への聞き取り調査を始めた。会計責任者らが立件された安倍派、二階派など90人程度が対象で、森山裕総務会長を座長に党執行部6人が分担して聴取に当たる。野党は、自民の身内による調査では公平性が保てないと疑問視する。自民はこれと別に、所属全議員を対象に裏金受領の有無を確認するアンケートも実施する。関係者が明らかにした。
●自民党の派閥解体と今後の政治について 2/3
乾坤一擲の大勝負
1月19日(金)15時頃、たまたま某省の大臣で大臣と向き合っていた私は、二階派の解散と、その時情報として入ってきた同日夜の安倍派の集まりでの同派解散の知らせに接し、不思議な感情に包まれていた。派閥が次々に解散する。凄く晴れやかなような、同時に、天災が襲ってきた時のショックのような、何とも言えない、しかし心を揺り動かすインパクトの巨大さだけは確かな、そんな得も言われぬ感情だった。
前日の夜、岸田総理が電撃的に自派(厳密には直前に離脱済み)の解散に言及して流れを作ったわけだが、特に岸田政権を支えている麻生太郎氏が、麻生派はキックバックによる裏金づくりをしていないのに、岸田総理が事前に相談もなくこうした流れを作って激怒しているとか、その手打ちのための会合がセットされた等々のサイド・インフォメーションに接しつつ、とにかく強く感じたのは、「岸田総理には、こんな決断力があるんだ。やるなぁ」というものであった。
まあ、この手しかない、というところではあった。が、どれだけの人が事前に、この波状的な自民党の派閥の解散を想像していただろうか。まさに乾坤一擲の手であった。元々はパーティ券収入のキックバックによる裏金づくりやその規模、そしてその使途などが今回の問題の核心であったが、焦点が派閥の解散になり、一気に吹き飛んだ感がある。
個人的には、参院で関連法案が否決されてしまった郵政民営化を実現するために、法案が可決された衆議院を解散して総選挙に持ち込んだいわゆる小泉劇場を思い出した。争点ずらし、と言えば聞こえは悪いが、当該論点に関して、その想定規模を超えるより大きな渦を作ってしまうことで、却って事態を好転させてしまう手法だ。
実際、各種調査によれば、内閣支持率は下げ止まったり、少し反転したりしている。数字だけ見ると国民の多くも「岸田さん、意外にやるなあ」と総理の決断力とリーダーシップを感じたことであろう。
極端な支持率低迷時を経験したある総理秘書官経験者と昨年末にお会いした際、「朝比奈ちゃん、総理ってのは、支持率が物凄く高い時と、逆に物凄く低い時に思い切ったことが出来る。中途半端な時が一番動きにくい。」と喝破されていた。なるほどと感じ入ったものだが、今回の岸田総理の決断は、まさにその好事例である。
派閥とは何だったのか
さて、その多くが解散して改めて考えてみるに、派閥とは何だったのであろうか。乱暴に整理すると、自民党という大集団における、「3つのとりまとめ機能を主軸とした集まり」が派閥であったように思われる。
その3つとは、1カネのとりまとめ(いわゆる餅代、氷代のように盆暮れに派閥の構成員に配られるお金や、その他、今回の派閥のパーティ券収入を原資としたお金などの調達と配布)、2人事関係のとりまとめ(人材育成から、派閥推薦という形での党内や政府での任用など)、そして、3票のとりまとめ(総裁選などに際して、派閥として団結して特定の総裁候補等に投票)、である。
特に力のある政治家は、一般に1のカネを集めるのがうまく、そのことによって多くの人が集まって来るため2の人事関係のとりまとめが必要になり、そうした中で、3の票を取りまとめて時に自分を総裁候補として推してもらったり、或いは他派閥の候補者を推すことで恩を売って人事で優遇してもらったり、ということを主導してきた。
かつては、派閥とは、そうしたいわゆる親分肌の政治家を中心とした集まりであったが、最近はどうであろうか。二階氏や麻生氏や森氏にそうした“昭和の香り”を見出すことが出来るが、安倍氏亡きあとの安倍派や岸田派、茂木派などは、このような親分肌政治家モデルで回っているというよりは、かなりシステム化・サラリーマン化されていた感じも強い。派閥も世代を経て、良くも悪くも、大企業的になってきていたと言える。
自民党の今後:個人商店、商店街組合、そしてコンビニ(チェーン店)へ
そんな中で、大企業的・システマチックに古い時代の名残のような裏金作りが常態化していたという信じられない事態の表面化が今回の騒動の発端であるが、自民党は、そして派閥は、これから一体どうなって行くのであろうか。
まず、派閥はなくならないと思う。より正確に言えば、上記の1〜3のとりまとめ機能のうち、1や2、すなわち、カネや人事関連は、派閥ではなく政党(自民党)そのものがシステマチックに、集めたり再配分したり任用したりして行くことになると思われるが、3の機能は残るであろう。
改めて論ずるまでもないが、ある程度の人間の集団があって、その長(ヘッド)を、特に選挙で選ぶということになっている以上、Aさんを推したい人々、Bさんを推したい人々、Cさんを推したい人々・・・といった集団は生まれざるを得ない。
パーティをいくら禁じたところで、集団で集めた資金の透明化のルールを徹底したところで、つまりは派閥を解消しようとしたところで、「〇さん推し」の集団・仲間はどうしても誕生する。むしろ、誕生しなければ混乱を招くだけである。
その上で3の機能は残るものの、今後、1や2のカネや人事関連の機能は、自民党本体がより積極的に担っていくことになると思う。むしろ、今回のピンチを受け、やくざにも喩えられる派閥の親分たちの集まり・合議による決定などの前近代的な統治システムから脱皮して、自民党は徹底した近代政党に生まれ変わった方が良い。派閥としてではなく、党として公明正大に資金・浄財を調達し、それを派閥と関係なく、構成員たる党所属議員などに必要に応じて透明に分配するべきである。
人事も派閥ごとではなく、党として、しっかりと必要な人材・人員を募集し、適材適所で、議員、議員のスタッフ(秘書等)、党本部のスタッフ、党の政策研究員、庶務担当等々、を採用・任用して行くべきである。
正直、これまで、そうした普通の大企業がやっているような、人材の採用や人事管理、資金調達・管理は、自民党として、しっかりした形では行えていなかったのが現状であろう。ピンチの際の改革で却って大きく生まれ変わった例は、古今東西、官民問わず、枚挙にいとまがない。自民党は、今回の危機を猛省し、しっかりとした近代政党路線に向かうべきである。
このように1や2(カネや人事のとりまとめ)だけを考えると、上記のような党改革が進めば、派閥は雲散霧消していくことになるが、先述のとおり、3はより先鋭化した形で残る。考えてみれば、自民党の国会議員になるということは、有権者の付託を受けて、正しいと思われる政策実現のために、総裁(=総理大臣)を魂の一票で選ぶ、ということでもある。
その魂の一票を、自分が総理総裁になってもらいたいと心から思う人以外の人に投じるというのは、有権者への裏切り行為とも言うべき罪深き行いである。もう少し丁寧に書けば、例えば、自らの信念としての政策実現のため、Aさんを総理総裁として戴きたいがために、Aさんを支持する人たちとグループを作ると、それが「派閥」的なものになるわけだが、それは当然の動きであり認めなければならない現象といえる。
しかし、本心ではBさんが総理総裁になるのが良いと思っているのに、ある派閥に属しているがために、その親分の意向で、派閥として一致団結してAさんを推すという場合は、上記のとおり「有権者に付託された魂の一票を売り渡している」ことになり、大問題とも言える。
そして実際、例えば、麻生派や二階派は、派閥の長である麻生氏や二階氏が総理総裁になる可能性はほぼゼロであることからして、その魂の一票を、麻生氏や二階氏に委ねるための集団、ということになる。
こういう状態は、やはり健全であるとは言えず、今回の派閥解散の流れを経て、「ある政策実現等のために、本当に総理総裁になってもらいたい人を推す人たちの集まり」こそが、新しい派閥的なるものの形になることを期待してやまない。
派閥はなくなり、今後は議連など、特定の関心政策や当該政策変更のための集まりが自民党の中心になる、と解説している人もいるが、私見では、政党といえども生身の人間たちの集まりであることを考えると(近い将来、AIによる政治、みたいな時代が来ないとも限らないが)、そうした政策別というよりは、政策を基軸としつつも、「誰をトップに戴くのか」という志向別の集団として、派閥的なものは残り続けることになると考える。
これまでの派閥の流れを乱暴に大きめの地域の商店街(一定のエリア内に、通りごとに商店街が乱立したりしているケースも少なくない)で喩えると、元々は個人商店だった雑貨屋(個々の政治家)が、地域での存在感を発揮するために〇〇商店街組合という名の集団に加わったものの(派閥)、商店街組合や商店街そのもの(派閥)の衰退・解散とともに、全国チェーンのコンビニなどに衣替えして商店街を離脱してしまう、みたいな状態に来ていると言える。
個人商店が、全国チェーンの店にドンドン置き換わって行くことは、近代合理主義の帰結としては、理解できる。客観的な公正性を重視して、効率を考えて合理的に判断すれば、個人商店を続けていくより、全国チェーンの傘下に入って行くことは理にかなっている。
今回の派閥解消の流れを受け、自民党も党として、上述のとおり、合理的客観的に政治家個人個人を傘下に収めて「統治」し、公明正大に資金の流れや人事を差配して今後は運営していくことになるであろう。ガバナンスとはそうしたものである。
ただ、最後に考えなければならないのは、果たしてチェーン店ばかりの商店街に魅力を感じるであろうか、ということである。合理的・便利なだけの商店街に愛着をもって何度も訪れたくなるであろうか。
ここにおいて大事になるのは、全体としてのガバナンスを利かせつつも、個々の政治家が、個人商店としての矜持をもって、個性を発揮することが求められる、ということだ。すなわち、お金や人事面では、党全体の仕組みに依存しつつも、逆に依存することで浮いた時間等を有効に活用して政策力を磨き、個としての自己主張をきちんと持ち、培われた見識に基づいて誰を総理総裁に戴くのか、魂の一票を行使する個としての力も問われるということだ。
このことは、自民党で今後、議員の採用や育成を中心的にしていく人たちや、自民党の政治家になろうとする個々人が強く意識しなければならないことだと思う。
ガバナンスが利くだけになると、それは、日本においては共産党や公明党に近く、両党には失礼な書き方になるが、例外的な方も少なくないものの、一般的には政治家としての個性は欠けていってしまう。ガバナンスが極端な場合は、中国共産党や統一ロシアになってしまい、党そのものが巨大な一つの派閥のような形になってしまう。一人の親分が全てを決める形となって各政治家は個性を失い、何の多様性も感じない、同じ店がいくつも並んでいるような、非常につまらない商店街のようになってしまう。
自民党が今回の派閥解消の流れを機に、近代政党としてしっかりとガバナンスを利かせつつ、個々の政治家の育成においては、個性を発揮できる政治家に育つようになること、すなわち、求心力と遠心力がバランス良く働く政党になることを願ってやまない。
●岸田首相の「派閥解散」にダマされるな…「問題の核心はそこではない」 2/3
安倍派の裏金問題で、岸田首相が岸田派の解散を発表するなど、派閥解散の動きが広がっている。なぜ派閥を解散するのだろうか。元厚生労働大臣の舛添要一さんは「派閥さえ解散すれば支持率が上がると考えたのだろう。派閥の存在理由がなくなっているのは事実だが、問題の核心はそこではない」という――。
本当に「派閥の存在こそが問題」なのか?
自民党の派閥のパーティー券問題で、永田町が揺れている。
安倍派、二階派、岸田派に政治資金規正法違反の疑いが持ち上がり、岸田首相は岸田派の解散を決めた。問題がなかった麻生派と茂木派は解散しないが、安倍派も二階派も同様に解散を決めたほか、森山派も解散を決定した。
こうして、「派閥の存在こそが問題」ということになってしまった。
ただ、問題の核心はそこだったのだろうか。
そもそも自民党の派閥とは、自分たちの領袖を首相にすることが目的の集団である。
親分が首相になれば、子分が大臣になれる可能性が高まるので、所属議員たちは汗を流す。
「カネとポストの配分単位」としての派閥
派閥は「カネとポストの配分単位」である。派閥の領袖は、部下に政治資金を配り、選挙を助ける。かつての派閥はそういうものであった。
しかし、今は、政治資金パーティーが集金手段となっている。
一般的に、派閥の規模に比例して、大臣、副大臣、政務官のポストが配分されるので、派閥は、所属する議員の数を増やそうとする。当選6〜7回にもなって大臣になれない議員は、派閥の推薦枠でなんとか閣僚になろうとする。
タテマエを言えば、派閥とは政策集団であり、同じような考えを持つ政治家が集まるはずのものだ。たとえば、岸田派はハト派、安倍派はタカ派というようなイメージである。
しかし、今の派閥は、政策を基準としたものではなくなっている。
なぜ選挙にカネがかかるのか
自民党の派閥は、中選挙区制が生み出したものである。
中選挙区とは、一部の例外を除いて、定数が3〜5である。当時の自民党は強かったので、一つの選挙区から複数の当選者が出る。5人区では5人とも自民党ということがありうる。そうなると、野党候補との戦いよりも同じ自民党の候補との競争のほうが熾烈(しれつ)になる。
かつて「三角大福中」と言われた三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘が率いる5大派閥の時代があった。田中派と福田派の議員がいる選挙区で、新人が出馬しようとすると、それ以外の三木、大平、中曽根の派閥から立候補するしかなくなる。こうして、定数5と派閥数5が一致する。
同じ自民党から複数の候補が戦うので、政策の競争ではなく、ばらまくお金の競争となる。この「カネのかかりすぎる選挙」が問題となり、小選挙区制に移行したのである。
衆議院が小選挙区比例代表並立制を導入してからは、派閥には中選挙区時代のような意味はなくなった。小選挙区では1人しか公認候補を出さず、公認権を持つ総裁が誰を公認するかを決める。そこで首相官邸の力が強くなった。
岸田氏が内閣総理大臣だということ自体、最大派閥の長でなくても首相になれることを意味する。
大衆に受ければよい、そうすれば支持率も回復する
1月25日、自民党は、政治刷新本部で、「中間とりまとめ」を決定した。
政策集団(派閥)については、解散ではなく、以下のような方針が示されている。
派閥を真の政策集団にするために、カネと人事から完全に決別する。具体的には政治資金パーティーの禁止、所属議員への手当支給を廃止、閣僚人事で推薦や働きかけの禁止、政治資金規正法違反の場合は解散か活動休止させる、政治資金収支報告書の外部監査の義務づけ、などである。
つまり、中選挙区制下で果たしていた派閥の機能を停止させるということだが、そこまでするなら、派閥解散を決めたほうがよい。
ただ、岸田首相が唐突に岸田派の解散を宣言したことには違和感を感じる。
大衆に受ければよい、そうすれば支持率も回復すると踏んだのであろうが、まさに衆愚のポピュリズムそのものである。
派閥解散はポピュリズムの極み
大衆を扇動して人気を博し、権力の獲得を目指すのがポピュリストである。
2016年6月の国民投票でイギリス人はEUからの離脱を決めた。2016年の大統領選で、アメリカ国民はトランプを選んだ。どちらもポピュリズムの結果と言える。
結果として世界は多大な迷惑を被ったが、後悔しても後の祭りであった。
こうしたポピュリズムの政治手法が世界に蔓延(まんえん)している。
今回の派閥解散もその典型だと言えよう。
読売新聞の世論調査(19〜21日)では、内閣支持率は24(−1)%で過去最低、不支持率は61(−2)%だった。
首相の岸田派解散については、評価が60%、不評価が29%となった。
また、自民党の政治刷新本部に「期待する」が17%、「期待しない」が75%であった。
朝日新聞世論調査(20、21日)では、内閣支持率は23(±0)%、不支持率は66(±0)%。
岸田派解散については、評価が61%、不評価が29%だった。裏金問題への首相の対応については、評価が17%、不評価が75%と、こちらも不評価が圧倒的だ。
支持率が大きく下がらなかったのは、岸田派解散宣言のおかげだと岸田周辺は喜んでいるという。その反応こそがポピュリズムの極みではないだろうか。
もはや派閥は必要ない
派閥が必要な理由として、新人議員を教育・育成するため、という意見もある。
たしかに新人議員の教育は派閥の機能の一つだ。右も左も分からない1年生議員に、派閥が、礼儀作法、政策、選挙の戦い方などを教育する。
だが、今の自民党本部には、そのような機能が備わっているため、派閥に所属する必要はない。
会合に真面目に出ていれば評価される
私は自民党の国会議員時代、派閥には一度も所属しなかったが、政策の勉強も、政治家としての立ち居振る舞いも、選挙の仕方も十分学ぶことができた。
党本部の会合に真面目に出ていれば可能なのである。
政策の勉強なら、毎朝、早起きして党本部に行けば、政務調査会のさまざまな部会が勉強会を開いている。朝ご飯を食べながら、各省庁から来た役人たちの説明を聞き、政策を学び、同僚議員と議論を交わす。
自民党議員であれば、誰でも、どの勉強会でも出席できる。
その部会での研鑽(けんさん)と活躍で、党内での地位が高まっていく。官僚たちもどの議員を大事にすべきか注意して見ており、目を付けた議員をいずれ自分の省の大臣にするためには支援を惜しまない。
無能な政治家でも、派閥の推薦で閣僚にしている
また、部会などの党の会合で、長老議員は、新人議員の言動をじっくり観察し、誰を次期リーダーとして育てるべきかを決める。
選挙のときも、どうしても負けられない選挙区には、派閥に関係なく、党全体で支援体制を固める。
人事にしても、重要なのは派閥ではなく、政治家の能力だ。とくに自民党と野党の勢力が拮抗(きっこう)しているときなど、派閥推薦リストに従って大臣を決めるような余裕はない。
2012年末に政権に復帰してからの自民党には、野党になることはないという安心感、おごり、甘えがある。緊張感もなく、無能な政治家でも、派閥の推薦で閣僚にしている。
非共産系の野党が結集していた
今のように自民党が国民の批判を浴びれば、野党に対する期待が膨らむはずである。しかし、世論調査を見ても、自民党の支持率は下がっても、野党の支持率は上がらない。増えているのは、「支持政党なし」、いわゆる無党派層である。
私が麻生内閣の閣僚だったときの2009年夏の総選挙で、自民党から民主党に政権が交代した。
非共産系の野党が一つの大きな塊、民主党に結集していたことが大きい。
民主党は、非自民・非共産を旗印に、「政権交代」の4文字で勝利したのである。
野党には政権を担う意欲も能力もない
ところが今、かつての民主党は立憲民主党と国民民主党に分裂している。さらに前原誠司氏のグループも新党を作った。日本維新の会という与党か野党か分からない政党も勢力を増している。
自民党、公明党が下野したとしても、今の野党が連立政権を組み、自公政権より優れた統治をできると考える有権者はほとんどいないだろう。
私は、2007年夏から2009年夏まで、安倍、福田、麻生の3首相の下で閣僚を務めたが、当時は、民主党が参議院を牛耳る「ねじれ国会」であった。
法案が衆議院で通っても、参議院で否決されるという状況で、大臣としては苦労したものである。
そのような緊迫した状況では、派閥推薦で大臣を決めるなどという緊張感のない人事は不可能であった。
今回の派閥のパーティー券問題で問われているのは自民党の姿勢であるが、実はそれ以上に問われているのが、野党に政権を担う意欲も能力も無いことだ。
悪いのは検察ではなく政治資金規正法
派閥の会計責任者は起訴されたが、派閥幹部の国会議員は不問に付された。検察に期待していた国民はこの扱いに失望したようである。
しかし、検察に言わせれば、法と証拠に基づいて職務を遂行しているのみであり、証拠もないのに立件できないという理由しかない。
つまり、問題は政治資金規正法という法律にある。
この法律を改正して、会計責任者のみならず、国会議員の責任を追及できる連座制を導入することなどが検討されている。
検察は安倍政権に忖度していたのか
また、国会議員の関係団体の収入は銀行振り込みにすること、政治資金収支報告書をオンラインで提出することも俎上(そじょう)に上っているという。
法を作るのは国会であり、与野党で議論して法改正を行えばよい。
検察も行政機関の一つであり、長期にわたった安倍政権の下では、検察の独立性を疑いたくなるような政権寄りの姿勢も見られた。
安倍派の裏金疑惑露呈も、政権が岸田氏に移ってから表面化した。検察はそれまで何もつかんでいなかったのか、それとも安倍政権に忖度(そんたく)していたのか。
検察がどうあろうとも、国民が選挙によって判断を下すのが民主主義である。ところが、その民主主義を、ポピュリズムがゆがめ、大衆迎合に走るマスコミがそれをあおる。
検察やマスコミに期待するよりも、投票所で勝負する気概が有権者に求められている。
●裏金事件のさなか不信感高まり…自公に「連立解消論」浮上!  2/3
自民党から、公明党との「連立解消論」が飛び出した。
自民党が31日に開催した国防部会などの合同会議で、国際共同開発による防衛装備品の輸出解禁に慎重な公明党への不満が噴出。出席した自民党議員から「連立を解消してでも進めるべきだ」「公明党の理解が得られなくてもやる」といった強硬論が相次いだのだ。
現在、日本は英国、イタリアと次期戦闘機の共同開発を進めている。ところが、現行の武器輸出ルールでは、他国と共同開発する装備品は、日本から第三国に輸出できない。岸田政権は輸出解禁の是非について、2月末までに結論を出すよう与党に要請。ところが、公明党は「2月末に結論を出すことではない」(北側一雄副代表)と難色を示している。
パーティー裏金事件で公明党が自民党に不信感を募らせる中、合同会議で飛び出した強硬論をきっかけに、両者に決定的な亀裂が生じかねない状況だ。
「合同会議は、慎重姿勢を崩さない公明党に文句を言うためにセッティングされたともっぱらだ。非公開で発言者がオープンにならないから、自民党議員は言いたい放題だった。間違いなく禍根を残すだろう」(官邸事情通)
公明党を刺激しすぎてソッポを向かれれば、創価学会票頼みの自民党議員は次期衆院選で“討ち死に”しかねない。それでも、自民党強硬派はイキリ立っている。合同会議に出席した自民党議員は言う。
「公明党の支援がなくなれば、次の選挙が危うくなるのは百も承知だ。それでも、輸出解禁を前に進めないと、日本は世界から立ち遅れかねない。公明党に潰されるなんて許されないことだ。合同会議で複数の議員が『連立解消論』をブチ上げると、万雷の拍手が起こっていた。こっちは徹底的にやるつもりだ」
自民党議員がブチ上げた「連立解消論」を、公明党が黙って見過ごすとは思えない。「このままでは、恫喝に屈したと受け止められかねない」(前出の官邸事情通)からだ。
裏金事件でイライラを募らせる公明党
自公間で不和が生じ、選挙協力体制が決裂した過去もある。昨年5月、次の衆院選での候補者調整を巡る対立から、公明党が東京で自民党の候補を推薦しない方針を決定。その後、岸田首相と公明党の山口代表の会談で手打ちに至ったものの、しこりが残っている。
裏金事件を巡っても、公明党はイライラを募らせている。
「山口代表が昨年末、動画投稿アプリ『TikTok』で『同じ穴のムジナと見られたくない』と、自民党の『政治とカネ』の問題を痛烈に批判しました。裏金事件への公明党の嫌悪感は相当なものです。中には、『このまま自民党と組んでいて大丈夫なのか』と考える関係者もいる。自民党と一緒に沈んでいくような状況になれば、パッと手を引く可能性があります」(永田町関係者)
山口代表の「同じ穴のムジナ」発言を受け、立憲民主党の泉代表は「同じ穴のムジナと見られたくないならば、ちゃんと政権から離れていただきたい」と、連立政権からの離脱を呼びかけていた。
今回のいさかいで自公が仲たがい。公明党が野党の求めに応じる日が来るかもしれない。 
●岸田首相と自民党が死守する「企業団体献金」は事実上の賄賂だ! 2/3
安倍派「裏金」が5年で計6億7654万円にものぼることが判明した一方、安倍派幹部の連中はその重罪をまったく反省していないらしい。政治資金収支報告書の訂正を受けて安倍派として会見することを拒否したからだ。
安倍派幹部が揃って議員辞職を拒否しているだけでも言語道断だが、説明の場である会見すら拒否するとは……。しかし、反省がないのは岸田文雄首相および自民党も同じだ。
それを象徴するのが「裏金」という表現に対する“言葉狩り”だ。たとえば、衆院本会議の代表質問で立憲民主党の泉健太代表が「(政務官)2人が裏金をもらっていたことが新たに発覚した」と言及しただけで、自民の議院運営委員会の理事が壇上に上がって抗議。参院予算委員会でも、野党議員が用意したパネルに「裏金」と書かれていることまで自民の理事が問題視したという。
政治資金収支報告書に記載していなかった金は「裏金」にほかならない。それをしゃあしゃあと「裏金と言うな!」と騒ぎ立てるとは厚かましいにもほどがある。ようするに、いまだに何も反省していないのだ。
こんな状態では、自民党が真っ当な政治責任をとることなど望めそうもないが、それは岸田首相の「政治改革」も同様だ。
実際、岸田首相は、連座制の導入について「議論」することを示したぐらいで、事実上のヤミ金となっている政策活動費の廃止・見直しにも後ろ向きの姿勢をとっている。
しかも、最大の問題は、野党が突きつけている「企業・団体献金の禁止」を、最高裁判決まで持ち出して「政党が(企業・団体献金の)受け取りをおこなうこと自体が不適切なものとは考えていない」と全否定したことだ。
言っておくが、企業・団体による献金は、1994年に細川連立政権が成立させた「政治改革関連法」で政党交付金制度の導入と引き換えに禁止・見直しが付則として決定したものだ。しかし、小渕恵三政権が1999年の法改正で政治家個人への企業・団体献金は禁止したものの、政党や議員が代表を務める政党支部への献金の見直しについては反故にしてしまった。政治改革を謳うのであれば、岸田首相はいまこそ一丁目一番地で企業・団体献金の全面禁止、企業・団体へのパーティ券販売禁止を打ち出すべきなのだ。
ところが、企業・団体献金の禁止だけは絶対拒絶の強気の姿勢を見せた岸田首相。この姿勢に対しては、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)の玉川徹氏も、「(岸田首相の)防衛ラインはどこかっていったら、企業・団体の献金ですよ」と指摘している。
自民党への企業・団体献金は24億円超!“政策を金で買う”大口献金企業を優遇
岸田首相が何がなんでも死守しようと必死になっている、政党への企業・団体献金。だが、それも当然だろう。
というのも、朝日新聞が2021年分の政治資金収支報告書を精査したところ、企業・団体献金を受けた自民党の議員が代表を務める政党支部は321支部、計約31億2000万円にものぼっている。
さらに、自民党の政治資金団体「国民政治協会」の2022年分の政治資金収支報告書を見ると、収入である約29億円のうち約24億5000万円が企業・団体からの献金だった。1000万円以上の大口献金をおこなった大企業と業界団体は62にもおよんでいる。
そして、自民党は大口献金をしてくれる大企業を優遇し、持ちつ持たれつの関係を築くことでその権力を維持してきたのだ。
たとえば、企業単体で自民党への献金額がもっとも多かったのは、トヨタ自動車と経団連会長の十倉雅和氏がトップを務める住友化学の5000万円だが、トヨタはグループ会社の日野自動車やダイハツ工業、デンソーなどの献金額も含めると1億1000万円にものぼる。業界団体で最高額だったのは日本自動車工業会の7800万円だった。
このように自動車企業・業界から巨額の献金を受け取ってきた一方で、岸田政権は昨年6月、トヨタ自動車に対してEV向け電池の開発・生産計画に約1200億円の補助金を出す方針を決定。また、2022年12月には、日本自動車工業会が要望していた「エコカー減税」の延長を決めた。
さらに、防衛産業も自民党の大口献金企業の常連だ。岸田首相は防衛費を43兆円に増額することを決めたが、防衛省が買い上げる防衛装備品を生産する三菱重工業は3300万円を献金。同じく防衛省と契約する伊藤忠アビエーションや伊藤忠エネクスの親会社である伊藤忠商事は2800万円を献金している。また、岸田首相が推進を打ち出している原発関連でも日立製作所が3500万円を献金。岸田政権が強行するマイナンバー制度で関連事業を請け負う日本電気と富士通も、それぞれ1800万円を献金している。
もっと露骨なのが電通だ。ご存知のとおり、コロナ禍の持続化給付金事業でも中抜き批判が巻き起こり、東京五輪をめぐる談合事件でも電通グループが独禁法違反の罪に問われているが、電通は480万円を献金。さんざん国との癒着が問題となったにもかかわらず、懲りることもなく与党・自民党に献金をつづけているのである。
安倍政権で復活した経団連による“政治献金の斡旋” 「政策評価」をもとに会員企業に献金促し
大口献金をしてくれる大企業を優遇し、税金を使って政策でお返しする自民党──。国民生活は蚊帳の外、自民党と大企業だけが潤う歪なシステムの元凶にあるのは、経団連の存在だ。
経団連は毎年「主要政党の政策評価2022」(政策評価)なるものを公表している。これはおもに政権・与党の政策が財界の要望に沿っているかどうかを検証するもので、経団連の会員企業・団体が献金をおこなう際の参考資料となってきた。つまり、政策をカネで買おうというのだ。
たとえば、2022年の「政策評価」によると、原発再稼働や次世代革新炉の開発・建設を含む「グリーントランスフォーメーション(GX)の加速」やマイナンバー制度の利活用の推進を含む「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」などを評価する項目として挙げている。まさしく、自民党への大口献金企業の事業内容と重なるものだ。
自民党と大企業の癒着を支える“諸悪の根源”、事実上の経団連による政治献金の斡旋ともいえる「政策評価」。しかも、この「政策評価」の影響度が増し、自民党と大企業の癒着がさらに強固なものになったのは、第二次安倍政権でのことだ。
そもそも経団連は、1950年代半ばから自民党への政治献金の窓口となり、企業や団体に献金額を割り振ってきた。だが、リクルート事件やゼネコン汚職などの金権政治批判を受け、1993年に非自民の細川連立政権が誕生すると政治献金の斡旋を中止。これが復活したのは、小泉純一郎政権時の2004年のことだった。政界への影響力を再び取り戻すべく、トヨタの奥田碩氏が会長を務めていた経団連は「政策評価」をもとに会員企業に献金を促すようになったのだ。
しかし、2009年に民主党政権が発足すると、民主党が企業・団体献金の禁止を公約に掲げていたことから、経団連は「政策評価」を中止し、献金の斡旋をやめた。
ところが、2012年末に安倍晋三氏が首相に返り咲くと、経団連は2013年に「政策評価」を復活させ、2014年には経団連は5年ぶりに会員企業への政治献金の呼びかけを再開させた。その結果、献金額は再び増加。実際、下野時代の2011年の自民党への企業・団体献金は11億5500万円だったが、政権に復活した2013年には19億5400万円、2014年には22億1000万円へと倍増。その後も献金額は増え、安倍氏が首相を辞任、菅義偉氏が引き継いだ2021年には、コロナ禍であったにもかかわらず24億3000万円もの献金を集めている。
安倍政権の大企業優遇棄民政策 国民は賃金上がらず搾り取られる裏で献金の見返りに法人税下げ続け
しかも、経団連の政治献金の斡旋による自民党との癒着関係は、献金をおこなった個別の大企業の優遇政策を引き起こしただけではない。それは、安倍政権が献金斡旋の見返りとして法人実効税率を引き下げつづけたことだ。
2014年、経団連の新会長に東レの榊原定征氏が就任したが、榊原氏は会長就任の前日の同年6月2日に「政治献金の斡旋もあらためて検討し、年内に方向を打ち出したい」と言及。すると、この発言の翌日、自民党税制調査会は経団連が要求してきた法人実効税率を引き下げる方針を決定。安倍首相も6日に「来年度から引き下げる」と明言したのだ。その後、法人実効税率は政権発足時の37%から29.74%(2018年度)にまで引き下げられたのである。
経団連が政治献金を増やすと、その見返りに安倍政権は法人実効税率を引き下げ、そのぶんを消費税につけまわす。そして大企業は賃金上昇ではなく内部留保を増やし、安倍政権にさらに献金する……。つまり、自民党と大企業が癒着し互いに私腹を肥やす一方で、国民生活は置き去りにされただけでなく、どんどんと搾り取られていくかたちとなったのだ。その延長線上に岸田政権があり、癒着関係は脈々と受け継がれているのである。
ちなみに経団連は、消費税のさらなる増税をはじめ、社会保険料や自己負担の引き上げなども提言している。今回の政治改革で、岸田首相が「企業・団体献金の禁止」を突っぱねれば、今後も自民党政権は多額の献金を見込んで経団連の言いなりとなり、国民生活はさらに追い込まれていくことになる。
玉川徹氏は「企業・団体献金を禁止できるかどうかというのが肝だってことを、われわれ国民側が意識しておかないとダメ」と強く訴えていたが、カネで政策を買うという金権腐敗を、このまま温存させるわけにはいかない。そのためにも、世論が厳しく岸田政権の姿勢をただしていく必要があるだろう。
●高市氏…大阪万博の開催延期検討を岸田首相に進言した対応を釈明 2/3
高市経済安全保障相は3日、2025年大阪・関西万博の開催延期検討を岸田首相に進言した対応に関する経緯を自身のX(旧ツイッター)に投稿した。「物議を醸した」とした上で、「(能登半島地震の)被災地復旧も万博も完璧にやりきることが日本の名誉を守るために必要だと思っていた」と釈明した。
高市氏は、建設会社から資材や人手不足で困っていると聞き、「心配で眠れなくなった」と説明。首相が被災地復旧の資材が不足しないよう対応を指示したと知り、「感謝の気持ちでいっぱいだ」とも記した。
●自民、揺れる存続2派閥=茂木派、退会者止まらず―麻生派「守旧派」批判も 2/3
自民党の麻生派(志公会)と茂木派(平成研究会)が「政策集団」として存続する方針を確認し、政治資金の裏金事件を踏まえた党内6派閥の対応が出そろった。
ただ、両派内では依然、解散を求める声がくすぶり、茂木派では退会の動きに歯止めがかからない。2派の動揺は続きそうだ。
「閉鎖性を見直さなければいけない。(他派閥との)掛け持ちはあり得る」。茂木派を率いる茂木敏充幹事長は1日夜のテレビ番組で、他派閥との掛け持ちを容認する可能性に言及した。
毎週木曜日の昼に一斉に定例会合を開き、掛け持ちを禁じるのが自民党派閥の長年の慣行だ。この点が緩やかな「グループ」との最大の違いだった。見直せば結束が揺らぐ恐れもあるが、茂木派関係者は「柔軟路線に転じなければいけないほど茂木氏は追い詰められている」と指摘した。
実際、茂木派は求心力が低下しつつある。小渕優子選対委員長が1月25日に退会を表明すると、青木一彦参院議員も同調。2人の父、小渕恵三元首相と青木幹雄元官房長官は派閥結成に深く関わり、優子、一彦両氏は同派「本流」と目されてきただけに、分裂への懸念が広がった。
茂木派は同30日の会合で「いわゆる派閥としては解消し、政策集団に脱皮する」(茂木氏)との方針を確認。しかし、翌31日には船田元・衆院議員総会長、古川禎久元法相、関口昌一参院議員会長ら6人が一斉に退会届を提出。所属議員は事件前の53人から45人となった。
かつて「鉄の結束」を誇った茂木派だが、茂木氏は「体育会みたいな感じではなくなる」と説明。派閥事務所廃止や政治団体解散にも柔軟な姿勢を見せる。ただ、派内にはなお「一度解散すべきだ」(閣僚経験者)との声がある。佐藤信秋参院議員は2月2日、派に残るかどうかについて、記者団に「様子を見る」と述べた。
一方、麻生派からの離脱者は現時点で岩屋毅・元防衛相のみ。会長の麻生太郎副総裁は同派前身の河野洋平元総裁らのグループ(大勇会)の結成メンバー。事実上のオーナー派閥として求心力を維持し、茂木派ほど動揺は広がっていない。同1日には、毎週木曜の例会を派閥事務所で当面継続することを申し合わせた。
ただ、安倍、岸田、二階、森山の4派閥が解散を決定し、茂木派も従来派閥からの「脱皮」を模索する中、党内では「麻生派は最後の守旧派」(関係者)との批判が強まる。無派閥の閣僚経験者は「若手議員は選挙区で派閥所属を批判されれば浮き足立つ。麻生派だってどうなるか分からない」と話した。
●「政治とカネ」の問題、本質は政治資金収支報告書への「不記載」 2/3
政権与党・自民党内の「派閥解消論」が盛んだ。しかし、筆者は反対である。
派閥は、特に自民党のような大きな政党には必要だ。共産党や公明党には「派閥はない」と言われているが、むしろ、その方に違和感を覚える。
「派閥あって党なし」といわれるような行き過ぎた活動は問題だが、だからといって派閥そのものを否定する必要はない。目指すべきは、派閥の「弊害除去」であって、派閥解消ではない。
リクルート事件を契機に、「派閥解消」を明記した1989年の政治改革大綱が注目されている。当時の議論では「派閥は中選挙区制が発生原因」だと考えられていた。
選挙制度を小選挙区制に改めれば、派閥は必然的になくなるとされたが、派閥は総裁選に対応するために生じるものだ。小選挙区制が導入されても派閥はなくならず、むしろ、その後の激しい総裁選が派閥の機能強化を進めた。
かねて派閥解消を唱えていた石破茂元幹事長ですら、総裁選に挑戦するにあたり「石破派」を結成せざるを得なかったことが、それを証明している。
派閥は、党執行部を牽制(けんせい)して、党内の民主的運営を確保するうえでも重要だ。長年にわたって政権政党にありながら、自民党が独裁化しなかったのも、派閥による相互牽制があったからだ。その機能は、執行部の権限が強大化する小選挙区制の導入によって、より重要になった側面もある。
そもそも、今回の事件の本質は、派閥の政治資金パーティー収入を適切に政治資金収支報告書に記載しなかった点にあるのであって、派閥そのものが悪いわけではない。
山本七平著『「空気」の研究』(文春文庫)には、公害病「イタイイタイ病」の原因とされたカドミウムの金属棒を見せられた記者が、恐怖を感じて「のけぞって、逃げた」という場面が描かれている。
カドミウムそのものと、その廃水を適切に処理しなかったことを同一視する「空気」が、記者にこのような行動をとらせたというのが山本氏の「解説」である。
現在の派閥解消論も同様ではないか。
筆者の知る限り、「派閥解消しても政治資金の問題は解決しない」との論評はあっても、派閥解消に反対する意見は見当たらない。中には、自民党政治刷新本部の「中間とりまとめ」では、派閥解消に不十分で、もっと徹底的にやるべしとの指摘もある。
まさに、山本氏のいう「空気」が蔓延(まんえん)しているというべきではないか。
筆者は、今回の事件で、法的に立件された派閥が「ケジメ」として解散することを否定するわけではない。現在の派閥が未来永劫(えいごう)、存続することを望んでいるわけでもない。派閥は過去においても、状況に応じて離合集散が繰り返されてきた。しかし、「派閥は悪」と決めつける昨今の論調には、大いに異を唱えたい。
●「憲法改正解散」はあるか〜施政方針演説に隠されたメッセージ 2/3
総理の”博打”は派閥解消?次の一手は?
「博打を打たなければ逆転はできない」
今年1月、大スキャンダルへと発展した自民党の派閥の政治資金の問題を受け、内閣支持率が最低を更新し続けていたころ、岸田総理は周辺に対してこう語っていた。
それからほどなくして、岸田総理は自身が会長を務めていた派閥、「宏池会(岸田派)」の解散を決める。誰よりも派閥愛が強いとされていた総理の決断は驚きをもって受け止められた。
これが「博打」だったのか。そうだったのかもしれないが、内閣支持率の回復にはつながっておらず、現時点では「逆転」の一手とはなっていない。ただ、政権浮揚に向けてまだまだ切るカードがある、岸田総理はそう匂わせている。
そして、そのヒントは今回の施政方針演説の中にあった。
憲法改正で“異例の言及”
1月30日の衆議院本会議。岸田総理による施政方針演説が行われた。
焦点だった政治改革については、自民党の政治刷新本部の中間とりまとめを超える打ち出しはなく、野党側からは「裏金、裏金、裏金」とヤジが飛ぶなど、前途多難な国会を予感させた。
そんな中、ひときわ議場から歓声が上がったのが、岸田総理が演説の終盤で憲法改正に言及したときだった。
岸田総理(1月30日・施政方針演説にて)「あえて自民党総裁として申し上げれば、自分の総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく、最大限努力したいと考えています」
「今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります」
今年9月に自民党総裁としての任期を迎えるのを前に、憲法改正を実現したいと訴えたのだ。
自民党の重鎮議員は「あれにはビックリした」と率直に驚きを口にし、自民党の中堅議員は「今、憲法改正を求める国民がどれだけいるのか」と、戸惑いを隠さなかった。
施政方針演説は今年1年の内閣の基本方針や政策について訴えるもので、国会で決めるべき話である憲法改正について、総理大臣ではなく、わざわざ自民党総裁として踏み込むのは異例といえる。
実際、岸田総理は過去、施政方針演説、所信表明演説を通じて「自民党総裁として」という表現を使ったことはない。
では、なぜこんな表現が出てきたのか。
政権幹部「事実上期限を切った。言わないと動かないから。現状、衆院と参院でピッチがあっていないので『考え方を一致させていきましょう』とハッパをかけたということ」
また、政府関係者は「改正の中身にまでは踏み込んでいない」と語り、総理大臣が発言しうるギリギリのラインをついたと解説した。
“政権のレガシーに”岸田総理の模索
安倍政権でもできなかった憲法改正だが、“リベラルな宏池会(岸田派)政権のほうが逆に実現しやすいのではないか”、かねてから自民党内ではこんな見方が出ていた。
実際、政府関係者によると岸田総理は「憲法改正はやらないといけない。9条も変えないと自衛隊の人たちがかわいそうだ」と話しているという。別の総理周辺も「政権のレガシー(遺産)として総理は憲法改正を考えている」と証言している。
憲法改正を党是とする自民党は、優先すべき4項目として「自衛隊の明記」「緊急事態条項」「参議院の合区の解消」「教育環境の充実」を掲げている。
このうち、大規模災害などの緊急時に国会議員の任期を延長するなど、国会や内閣の権限を強化する「緊急事態条項」については、衆院の憲法審査会でも議論が進められてきた。与党・公明党の賛同も得られやすいとして、4項目のうち、「緊急事態条項」だけでも先行して改正する案も浮上している。
去年の臨時国会における衆議院の憲法審査会では、自民党側から「緊急事態における国会機能維持のために議員任期を延長する憲法改正について、来年の通常国会で、具体的な条文の起草作業を行う機関を設け、起草作業のステージに入ることを提案する」と言及があった。
ただ、スケジュール的には簡単ではない。憲法改正の手続きを定めた国民投票法によると、国民投票は「憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行われる」という。つまり、6月を会期末とする今国会中に発議しないと総裁任期までの改正は不可能となる。
また、参議院は衆議院と比べ議論が進んでおらず、去年の臨時国会では実質審議は2回しか行われていない。
日本維新の会・馬場伸幸代表(1月30日)「時間的にはもう既にタイムオーバーになっているような状況の中でですね、総裁総理はそうおっしゃいますが、本当に自民党自体がそういう考え方になっているのかということを考えれば甚だ疑問を持たざるを得ない」
「憲法改正解散」はあるのか
そこでささやかれるのが、「憲法改正を掲げた解散総選挙」である。
今回の政治とカネの問題を受けて、岸田総理が宏池会を突如解散すると決めたことで、事前に聞かされていなかった麻生副総裁、茂木幹事長は激しく反発し、3人の溝は深まったとされる。ある自民党幹部は「岸田・麻生・茂木の三頭政治は終わりだ」と指摘している。
岸田派の解散も加わって、政権基盤が弱まっている岸田総理としては、9月の自民党総裁選で再選されるためのハードルが極めて高くなったともいえる。
そこで総理サイドが考えているシナリオが、総裁選前に解散総選挙を打って出るというもの。仮に勝利できれば国民の信任を得たとして、総裁選で対抗馬が立ちにくい状況を作ることが出来るからだ。
岸田総理(1月30日、施政方針演説にて)「本丸は、物価高を上回る所得の実現です。あらゆる手を尽くし、今年、物価高を上回る所得を実現していきます、実現しなければなりません。」
岸田政権は去年を上回る賃上げを強く呼びかけているほか、6月には所得税などの減税措置によって可処分所得が増えることから、国民の間に経済が上向いている実感や明るいムードが広まることを期待している。
そして6月は通常国会の会期末でもある。国会終盤のタイミングで解散総選挙に打って出る、その場合に解散の大義として憲法改正、賛成か反対か、というテーマ設定をする、こんな選択肢がささやかれているのだ。
ただ、与党内では、現状の支持率では夢物語に近いと冷ややかだ。解散権は総理が持つとはいえ、仮に党幹部や閣僚がこぞって反対したときに、全員を罷免してまで解散に踏み切れるのか、本気度を疑う声もある。
そしてなによりも、目の前の「政治とカネ」の問題がある。
立憲・泉健太 代表(1月30日)「裏金問題を起こしてるときに、我が党の仲間たちからも聞こえてきた声は、汚れた手で憲法を触るなと。本当、その通りですよね」
裏金事件の真相解明と再発防止策としての政治資金規正法の改正。ここで納得の得られる結論を得られなければ、岸田総理の訴えも説得力を欠く。
究極の“博打”ともいえる「憲法改正解散」に打って出るのか。
岸田総理は「先のことは言わない。問題山積だし、引き続き正念場であることは変わらない。ひとつずつ直近の課題に取り組むしかない」と周囲に話している。

 

●なぜ震度7よりも震度6の地域で死者多数?能登地震で家屋倒壊の“揺れ方” 2/4
能登半島地震の発生から1か月。多くの犠牲者を出した家屋の倒壊をもたらしたのは、単純に震度の大きさだけではないことが分かってきました。住宅に壊滅的な被害をもたらした特徴的な揺れ方とは?首都直下地震でも想定される同様の「揺れ」に備えるために必要な対策とは?手作り解説でお伝えします。
死者「2人」と「101人」の差は?
能登半島地震の死者は240人。津波や土砂崩れでも死者は出ましたが、多くは建物の倒壊が原因です。なぜここまで建物の被害が拡大したのでしょうか?単純な揺れの強さ、つまり震度の大きさだけではないことが分かってきました。
例えば、震度6強だった珠洲市では3分の1以上の住宅が全壊し、死者は101人に上りましたが、さらに大きな震度「7」が観測された志賀町の死者は2人です。この差をもたらした要因の一つに、揺れ方の違いがあるのです。
揺れの「周期」による被害の違い
模型を使って説明します。ゆっくりとした揺れだと、低い建物はあまり揺れませんが、高い建物は大きく揺れます。
一方、小刻みな揺れだと、低い建物の方が大きく揺れます。揺れ方の違いで建物へのダメージが変わってくるのです。
地盤の固さや震源からの距離、そして地震の規模を示すマグニチュードによって、さまざまな揺れ方が起きるのですが、珠洲市では、住宅などの比較的低い建物に強いダメージを与える揺れが起きていたのです。その揺れ方は、「周期が1〜2秒の揺れ」だったといいます。
危険な揺れ方は今後も…
耐震や防災に詳しい名古屋大学の福和伸夫名誉教授によりますと、この「1〜2秒周期」の揺れ方は、マグニチュード7クラスの地震で発生しやすく、今回の地震もマグニチュードは7.6でした。
7.3だった阪神大震災や、熊本地震などでもこの「1〜2秒周期」の揺れが起き、多くの建物が倒壊しています。いつ起きてもおかしくない首都直下地震で想定されているマグニチュードも7クラスです。
揺れで死なないために…まずは耐震化
建物の倒壊被害を防ぐためには、やはり、重要なのが耐震化です。しかし、今回の被災地は過疎化・高齢化が進み耐震化が進んでいない地域でした。
福和教授は「人命を救うためにも、すぐに救援が難しい過疎化が進んでいる地域などでは、国の負担で耐震化を進めることも検討すべき。コスト面でも倒壊した建物を直すよりも、事前に耐震化するほうがはるかに安く済む」と指摘します。
大地震の後に倒壊した建物を直すよりもはるかにコストがかからない耐震化とは、具体的にどんなことを指すのでしょうか。
例えば、建物に筋交いという補強資材を入れるだけでも、何もしていない建物と比べ揺れに対して強くなります。
耐震化すれば、地震で命を落とす可能性はぐっと下がりますので、次の地震に備え、全国で耐震化が進むことが急がれます。
●裏金事件 自民党が安倍派・二階派の議員を聴取 3日連続も焦りの色も 2/4
党内の派閥による裏金事件を受け、自民党はきょうも安倍派の議員らへの聞き取りをおこないますが、思うように進まず、関係者には焦りの色も見えています。
きのうは都内のホテルで森山総務会長や小渕選対委員長らが2つのチームに別れ、弁護士を交えて安倍派議員の聞き取りをおこないましたが、きょうは渡海政調会長らのチームも加わり、3チームで聞き取りを行う予定です。
派閥から受け取ったキックバックの「金額」や「使いみち」のほか、「不記載の経緯」などについて聞き取りをおこないますが、二階派の議員と合わせおよそ90人いる対象のうち、これまでに聞き取りがおこなわれたのは20人程度にとどまっているとみられます。
関係者によりますと、当初予定されていたペースでは進んでいないということで、あす以降も聞き取りを行いますが、週内に取りまとめができるかは微妙な状況です。
●石川 能登地方の一部地域で停電続く 2/4
北陸電力送配電によりますと、石川県の能登地方では午後2時の時点でおよそ2000戸が停電しています。
自治体別では、輪島市でおよそ1300戸、珠洲市でおよそ550戸、能登町でおよそ50戸、穴水町でおよそ30戸、七尾市と志賀町でそれぞれおよそ10戸となっています。
北陸電力送配電などは、土砂崩れなどで立ち入りが困難な場所や、建物に甚大な被害を受けるなど早期の復旧が見通せない一部の地域を除いて、停電はおおむね解消しているとしています。
輪島市や珠洲市でもおよそ9割の世帯に電気が届いているということで、現在、停電しているエリアについても道路などのアクセス改善に応じて復旧を進めるとしています。
●橋下徹氏 自民安倍派6・8億不記載 「国会議員は軽く考えすぎ...これは不申告」 2/4
元大阪市長で弁護士の橋下徹氏(54)が4日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」に出演。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件について言及した。
安倍派が政治資金収支報告書に記載せず、「ないこと」にしてきたパーティー券収入は、2020〜22年までの3年間で4億3588万円。所属議員へのキックバックは、この3年を含めた5年間で実に6億7654万円に上る。
番組では、この6億7654万円について、サラリーマンの平均生涯年収の約2・5人分、保育園から大学まで私立に通わせた場合にかかる費用に換算すると29人分、そして、震災被害の仮設住宅なら112戸分だと説明した。
橋下氏は「今、永田町の国会議員、特に自民党の皆さんは、ちょっとこの問題を軽く考えすぎ。不記載は“単なる事務ミスだ”と。“事務上のミスなんだから”という感じで、“裏金という言葉を使うな”とかそんな話になっていますけど、なぜ永田町の国会議員、特に自民党の国会議員が軽く考えるかというと、彼らのこのお金が非課税だからなんです」と指摘。そして、「われわれ一般の納税者から考えると、これは不申告ですよ。だからこれは普通、修正すれば、修正申告に応じてのペナルティー、追徴課税プラスペナルティーが科せられるのに、国会議員だけは全部お金が非課税だから簡単に修正するんです。とんでもないです、6・8億円の修正なんていうのは」と自身の考えを述べた。
●政府の財政見通し 借金漬けへの危機感欠く 2/4
巨額の借金を抱える深刻な事態への危機感を欠いている。
内閣府が半年に1度の財政見通しを公表した。「基礎的財政収支」と呼ばれ、社会保障や公共事業など国と地方の政策に関わる毎年度の収支を示す指標だ。
2023年度は赤字が30兆円に上るが、税収の増加などで急速に改善し、25年度には1兆円程度に縮小すると予測している。岸田文雄首相は「歳出改革の継続などで25年度黒字化の目標達成が視野に入る」と強調した。
従来の政策を続ければ健全化が実現するかのような言いぶりだが、あまりに説得力に乏しい。
まず疑問なのは、大盤振る舞いしてきた補正予算を今後は編成しない前提となっていることだ。
アベノミクス以降、政府は、チェックが甘くなりがちな補正を利用してきた。首相も昨年秋、ばらまきとしか思えない経済対策を打ち出し、国債を大量発行した。
首相肝煎りの防衛費と少子化対策の大幅増額も財源はあいまいだ。ほかの歳出抑制などで確保するというが、めどは立っていない。最終的に国債頼みに陥る恐れがある。物価高対策を理由にした所得減税も借金を膨らませる。
税収の増加は高成長が続くことを前提にしているが、物価高が消費を圧迫している。政府に都合が良すぎる想定ではないか。
早急に取り組まなければならないのは、野放図な歳出拡大に終止符を打つことだ。
25年は団塊の世代が全員75歳以上になり、医療や介護などの社会保障費が一段と膨らむと予想されている。借金漬けのままでは、超高齢社会を乗り切れない。
能登半島地震のような大きな自然災害は今後も起こりうる。財政的な余力を確保する必要がある。
国債の金利上昇も懸念される。日銀の超低金利政策に依存してきたが、大規模な金融緩和は近く修正されるとみられている。
国と地方で積み上がった債務は1200兆円にも上る。国債の利払い費がかさむと、借金は雪ダルマ式に膨張しかねない。
●岸田首相に「闇パーティー」疑惑浮上!地元・広島での「総理就任を祝う会」〜 2/4
岸田文雄首相の「闇パーティー」疑惑が国会で浮上した。
立憲民主党の大西健介議員が追及したところによると、岸田首相の地元・広島で2022年6月、政財界関係者らが発起人となって任意団体をつくり「総理就任を祝う会」を開催。飲食の提供はなく、会費1万円で1100人が参加した。この任意団体の代表は、岸田文雄後援会と同一人物だという。
だが、会場の受付や経理は岸田事務所が担当した。会費収入のうち約320万円は、岸田首相が代表を務める自民党支部に寄付されたという。
岸田首相は、受付や経理を岸田事務所が担ったことについて「事務局から不慣れだとの相談を受け、私の事務所がお手伝いをした」と説明。「祝う会」を主催したのはあくまでも任意団体であり、政治資金パイティーではなく「純粋な祝賀会だ」と強調した。
これに対し、大西議員は実質的には岸田首相が開催した政治資金パーティーであり、収支報告書に記載していないのは不記載にあたると主張。「闇パーティー」として厳しく批判したのである。
岸田首相は「いわゆる派閥」の解消を打ち上げ、派閥からカネと人事の権能を奪うことで実効性を担保すると説明している。政策集団として存続することは認めつつ。1派閥による政治資金パーティーの禁止2派閥が人事の推薦名簿を提出することをやめるーーの2点を徹底することで「いわゆる派閥」は姿を消すという主張だ。
しかし、岸田首相自身の「闇パーティー」のように、「任意団体による祝賀会」の名目で集めた資金の一部を政治家側が受け取ることが許されるのなら、派閥が自ら政治資金パーティーを開催しなくても、任意団体を設立して事実上のパーティーを開催し、収入を派閥に寄付してもらえばよいことになる。
つまり、岸田首相は自らが打ち上げた派閥解消策の抜け道を、自ら実践していたということだ。
このような抜け道がたくさんあるから「派閥による政治資金パーティーの禁止」を打ち出してところで、自民党内の大勢は強く反対しないのである。
岸田首相が派閥解散を打ち上げた大きな狙いは、裏金事件で高まる政治資金の不透明さへの批判をかわすことにあった。しかし、自民党の歴史を紐解けば、派閥解消は何度も表明されながら、ほとぼりがさめれば復活することの繰り返しである。
重要なのは派閥解消ではない。政治資金の透明化だ。派閥解散に目を奪われて、政治改革の本筋が政治資金の透明化にあることを忘れてはならない。
岸田首相の闇パーティー疑惑は、政治改革の議論が本筋をそれ、派閥解消論で誤魔化されつつある現状に警鐘を鳴らしたと言えるだろう。
●“私有地の徴用工像も撤去を”発言の杉田水脈議員に批判殺到… 2/4
《日本国内にある慰安婦や朝鮮半島出身労働者に関する碑や像もこれに続いてほしいです。嘘のモニュメントは日本に必要ありません》
Xにこう綴ったのは、杉田水脈衆議院議員(56)だ。2月2日、群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」に設置されていた朝鮮人労働者の追悼碑が、多くの人の反対を押し切って撤去された。
2004年、群馬県議会の賛同も得て、市民団体が建設した追悼碑。しかし、「政治的な行事をしない」という設置時の条件に反したとして、2014年に設置許可の更新を群馬県側が認めず、市民団体と裁判になっていた。追悼式で出席者が「強制連行の事実を訴えたい」と発言したことを群馬県側は政治的だと判断したという。
2022年、最高裁で群馬県の判断は適法という判決が確定。これを根拠に、追悼碑は撤去されたが、群馬県の山本一太知事(66)は「ルール違反だから撤去を決めた。碑文の中身に問題はない」と語っているように、撤去の理由は“歴史認識ではなく、あくまでも行政と定めたルールに反したため”、というのが群馬県側の言い分だ。
しかし、杉田氏は追悼碑を“嘘のモニュメント”と主張。さらに、別の場所にある朝鮮人労働者のブロンズ像の写真とともにこんなポストを続けた。
《この写真は、以前に取材し、記事にした京都にある徴用工像。韓国国なのものより先に建てられました。私有地ということで、撤去できない状態です。建てた団体は日本の中核派等過激派労組と関係の深い韓国の労組。こちらも早く撤去できればいいのですが。》(原文ママ)
私有地に建てられた像も撤去できればいいと綴った杉田氏。理由は、像が自分の歴史認識に反している存在だからということは明らかだ。これにはX上でこんな反応が。
《私有地なら問題ないじゃん》
《財産権の侵害であり、表現の自由に反す。憲法違反ですよ》
《明確な思想弾圧。国会議員がこんなことを言うとは》
過去に、書籍のなかの対談で杉田氏はこんなことも語っていた。
《慰安婦像を何個建ててもそこが爆破されるとなったら、もうそれ以上、建てようと思わない。建つたびに、一つひとつ爆破すればいい》<『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)より>
自身の歴史認識に反したものは、法的根拠なく撤去や破壊されるべきという杉田氏。ちなみに、岸田政権は、村山談話なども含む、歴代の政権が表明した「反省とおわび」の立場を継承していることを明確にしている。
●東京15区補選をめぐる「日本保守党・有本香VS小池百合子」オンナの戦い 2/4
昨年の東京都江東区長選をめぐる公職選挙法違反事件で、買収などの罪で起訴された柿沢未途前法務副大臣(東京15区)=自民党を離党=が、2月1日に議員辞職した。これにより、4月28日投開票の補欠選挙は、細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区、派閥の政治資金規正法違反事件を受けた谷川弥一前衆院議員の辞職に伴う長崎3区と東京15区の3選挙区で行われることになる。
政局に与える影響が大きい東京15区の補選を睨み、作家の百田尚樹氏が率いる日本保守党は2月1日に緊急執行部会議を開いて、「東京江東支部」の設立を決めた。
同党事務総長の有本香氏はXに、次のように投稿し、候補者擁立に強い意欲を示した。
〈江東区は東京の中でも成長著しいところであるにもかかわらず、自民党の衆議院議員が2代続けて『カネ』の問題で逮捕起訴されました。江東区からこのような腐敗した政治風土を一掃しなければなりません〉
日本保守党は百田氏と有本氏の存在感は目立つものの、永田町ではほとんど注目されていない。というのも、百田氏と有本氏は候補者として次期衆院選に出馬すると表明していないからだ。「党のトップが選挙に出ないなんてありえない」と、自民党幹部は冷ややかに見ている。
そうした中での、江東支部の立ち上げ表明。手術明けの百田氏は難しいだろうが、有本氏が出馬するとなると、一定のインパクトがあるかもしれない。
もっとも、小池百合子都知事の出馬も取り沙汰されている。「保守」を自認する女性2人の神経戦が展開されそうだ。
●“ジョーカー”小池百合子が握る衆院解散の行方 岸田首相は3連敗に戦々恐々 2/4
裏金問題が自民党を直撃するなかで始まった通常国会。岸田文雄首相は施政方針演説で「政治の信頼回復」を声高に叫んだが、派閥の解散や裏金議員の処分を巡っては、早くも自民党内で対立が生じている。そして、永田町では岸田首相が国会会期中に衆議院の解散に打って出るか否かに注目が集まる。その大きな判断材料となるのが、あの政治家の動きになりそうだ。
派閥解散の流れをつくった岸田首相の真意は?
「岸田首相は焦っている」
ある自民党関係者は、最近の岸田首相の動きについて、このように評価した。岸田首相と言えば、1月18日に自身が率いてきた宏池会(岸田派)の解散を検討していることを真っ先に表明し、世間を驚かせた。
「裏金問題で矢面に立たされた安倍派は、安倍晋三氏亡き後、リーダー不在の状況で幹部たちの信頼も地に落ち、放っておいても解散していく流れができあがっていた。にもかかわらず、急に岸田派解散を明言してダメ押しをしたのは、首相が自民党の全派閥を解散させる流れを作りたかったからだ」(自民党関係者)
実際に、岸田首相は派閥存続派の麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長には一切相談せずに自派閥の解散に言及している。
「派閥解消で自民党を“浄化した”と見せかけることによって、衆議院解散を打つ道筋を作りたかったのだろう」と関係者は語る。
結局、岸田派と安倍派、二階派、森山派は雪崩を打ったように解散したわけだが、茂木派と麻生派は政策集団として存続する中途半端な結果になった。ただ、残った両派からは派閥離脱者も出ており、自民党内政局はかなり流動的になっている。
こうしたなかで焦点になるのが、実際に岸田首相が衆議院の解散に踏み切るかどうかだ。
岸田政権の内閣支持率は今も低迷状態が続き、時事通信が1月に実施した世論調査では、自民党の政党支持率が14.6%となり、同社が1960年6月に調査を開始して以降、野党だった期間を除いて過去最低を記録した。
現在の状態が続けば、9月の自民党総裁選で「岸田おろし」が起きる可能性もある。しかも、多くの派閥が解散をしてしまっただけに、その流れを作った岸田首相を麻生派や茂木派が支えてくれるとも限らない。
このように先の読めない政局のなかで総裁選に臨むよりも、先に衆議院を解散して選挙をしてしまったほうが、岸田首相にとっては再選できる可能性が高くなるという打算もあるだろう。
“ジョーカー”小池百合子、国政復帰か?
仮に衆院選となった場合、相対する野党はうだつが上がらない状態が続いている。前出の時事通信の世論調査だと、政党支持率は日本維新の会が3.8%、立憲民主党が3.5%と続く。
「身を切る改革」を全面に出して勢いづいていた維新は、2025年大阪・関西万博の建設費高騰などの批判を受けて減速気味。立憲は裏金問題で自民党に攻勢をかけるものの、そもそもの政策発信が国民に届いておらず、共感を得られていない状態だ。
ただ、こうした現状を大きく変えるかもしれない政治家がいる。小池百合子東京都知事だ。安倍晋三氏が「ジョーカー」(『安倍晋三回顧録』)と評した小池氏は、2017年に民進党を巻き込んで希望の党を立ち上げ、一時は自民党を震撼させた。
今年の7月7日には東京都知事選が予定されているが、まだ小池氏は出馬を表明していない。永田町関係者は「小池氏ももう71歳。さらに東京都知事の任期を重ねると、年齢的にも国政に戻ってくるのが難しくなる。野党再編という大義名分とともに、次の総選挙で仕掛けてくる可能性は十分にある」と語る。
2017年の希望の党騒動のときに、小池氏とともに民進党代表として動いていた前原誠司氏は現在、国民民主党を離党して新党「教育無償化を実現する会」を立ち上げ、野党結集による政権交代を唱えている。立憲とは違い、旧民主党勢力でありながら維新と統一会派を組み、馬場伸幸代表などと関係が良好なのもポイントだ。
そのなかで小池氏がゲームの流れを大きく変える、まさに「切り札」として、現在の与野党の状況を一変させるかもしれないわけだ。
ここで重要になるのが解散のタイミングだ。通常国会は6月23日に会期末を迎えるが、一方で東京都知事選の告示日は6月20日。
「岸田首相は、小池氏が都知事選に出るかどうかを見極めたうえで、会期末に解散するか否かを判断することになるのではないか」と永田町関係者は語る。
補選の行方と衆院解散のタイミング
ただ、そもそも岸田首相が衆議院を解散できる状況をつくれるのかという問題もある。
4月28日には3つの衆院選挙区で補欠選挙が行われる見通しだ。そのうち1つは、昨年4月の江東区長選で区議などに現金を配り、公職選挙法違反の罪で起訴された柿沢未途議員の東京15区。もう1つは、自民党裏金問題について質問した記者に「頭悪いね」と言い放ち、政治資金規正法違反で罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を受けた谷川弥一衆院議員の長崎3区だ。
この2選挙区は「政治とカネ」の問題が絡んでいるだけに、自民党にとっては逆風必至。岸田首相も苦戦を強いられると見られる。
残る1つは昨年11月に多臓器不全で亡くなった細田博之前衆院議長の島根1区だが、細田氏も生前にセクハラ問題や旧統一教会との関係を巡りさまざまな批判を受けたため、与党有利の弔い合戦になるとは言い難い。
野党関係者は「自民党が3タテを食らう可能性も十分にある。そうなった場合、岸田首相が解散に臨むのは極めて難しくなるだろう」と話す。
1月31日、衆議院本会議の代表質問では、立憲が泉代表に続く2人目に、長崎3区補選に立候補予定の山田勝彦氏を登壇させ、早くも4月補選に対して攻勢を仕掛けている。
果たして4月補選の行方は。そして、衆院解散総選挙はあるのか。
いずれにしても、各選挙区の国民に問われるのは、これからの国政を誰に委ねるかという選択だ。
裏金問題については、安倍派が2018年から2022年にかけての5年間で、6億7654万円ものパーティー収入が収支報告書に不記載だったことが発表されており、その一部が直近3年間では国会議員91人に裏金として還流されていたことが明らかになっている。
だが、多くの議員は裏金の金額が“基準”である4000万円に満たなかったため、立件が見送られて罪に問われていない。
こうした状況に対して国民はどのような審判を下すのか。政治のあり方が我々国民にも問われている。
●小池都知事「女性初の総理」へ自民の混乱は絶好機… 2/4
春の補選、夏の都知事選、総選挙?
何を企んでいるのか──。東京都の小池百合子知事が元気に飛び回っている。
2日、小池知事は自民党本部を訪問して、茂木幹事長と面会。その足で首相官邸に出向くと、続けて岸田首相と会談した。小池知事は記者団に「子育て政策について意見交換した」と説明したが、誰もそんなの信じちゃいない。
「衆院補選の話だろう」「小池さんが立候補して国政に戻ってくるのでは?」「宣戦布告か」と臆測が飛び交い、永田町は騒然とした。 
東京都の江東区長選をめぐる買収などの罪で起訴された柿沢未途被告がおととい、議員辞職。衆院東京15区の補選が4月28日に行われる見通しになった直後だからだ。
柿沢被告の支援を受けて当選した木村弥生前江東区長も公職選挙法違反で辞職し、昨年12月に行われた江東区長選では、小池知事の都民ファーストと自民、公明が推薦した元東京都政策担当部長の大久保朋果氏が快勝。“女帝”の力を見せつけた。江東区を含む東京15区は、いわば小池知事の“天領”のようなもの。2日は江東区の「豊洲千客万来」オープニングセレモニーに登場し、区長と並んで笑顔を振りまいていた。
「江東区長選は小池知事の支援がなければ勝てなかった。今年1月21日の八王子市長選で自公推薦候補が勝てたのも、最終盤に小池知事が応援演説に入ったおかげだといわれています。自民党が逆風にさらされている今、小池知事が15区補選に出てくれば勝てる人はいない。もし総選挙になっても太刀打ちできそうにありません」(自民党東京都連関係者)
都知事3選出馬について態度を明らかにせず
岸田首相が9月の自民党総裁選で再選をもくろんでいるなら、引きずり降ろされる前に解散・総選挙に打って出るしかない。有力視されているのは6月23日まで続く通常国会の会期末解散だ。
ちょうどその頃、6月20日告示・7月7日投開票の日程で都知事選が行われるが、小池知事は3選出馬について、まだ態度を明らかにしていない。タイミング次第で総選挙に乗り込んでくることは十分考えられるし、その前に4月の補選で仕掛けてくる可能性もある。
「不人気首相に裏金問題が重なり、次回総選挙で自民党はかなり厳しい戦いを強いられる。小池知事が新たな都市型新党を率いて『自民党を介錯します』とでも言えば、そこそこ議席を獲得するだろう。自公が過半数割れならキャスチングボートを握り、連立政権で小池首相というシナリオが考えられる。それ以外に、気脈を通じる前原新党や国民民主党、日本維新の会、自民党の一部と組んで政界再編という手もある。派閥解散で自民党が混沌としている現状は、“女性初の総理”という野望を捨てていない小池知事にとって絶好のチャンスなのです」(自民党閣僚関係者)
小池知事は2日、公明党の山口代表とも面会。小池知事と関係良好な公明は連立政権に文句はないだろう。その延長には公明や維新とのパイプが太い菅前首相や二階元幹事長の存在もチラつく。岸田首相を快く思っていない自民党内の非主流派が小池知事を担ぐ可能性も排除できない。
今年で72歳の小池知事が最後の勝負をかけるのか。岸田首相は気が気じゃないはずだ。 

 

●能登地震で墓地も大きな被害、復旧のめど立たず… 2/5
石材業者「墓じまいではなく修復望む人多い」
能登半島地震では墓地も被害を受け、多くの墓石が倒壊した。昨年、一昨年の地震による損傷から修復したばかりの墓もあったが、墓の復旧まで手が回らないのが現状だ。
石川県 珠洲 市の西光寺では、約250基の墓のほとんどが損壊した。墓石が隣の区画に転がり込んだり、大きく傾いたり、基礎が沈んだりしている。
地元から金沢市に2次避難している男性(55)は先祖代々の墓が心配になって様子を見に来たところ、惨状に言葉を失った。墓石が倒れて遺骨がむき出しになっていたため、ブルーシートで覆って手を合わせた。
男性の家の墓は昨年の地震で倒壊し、修復したばかりだった。「早く直さなくては」と話すが、復旧のめどは立っていない。自らも避難所生活が続く住職の 禧美 尚章さん(71)は「持ち主も今は自分の生活で精いっぱいだから、私がここで見守っていきたい」と話す。
珠洲市の市営墓地でも多数の墓石が倒れているが、詳細は確認できていない。市の担当者は「通路は市が補修するが、被災者の生活再建が優先で、いつできるか分からない」と説明する。
七尾市は、3か所の市営墓地について、市のホームページで被害状況を発表している。1月5日に職員が現地を訪れて被害を把握し、墓石がずれたり倒れたりした箇所を区画ごとに色分けして示した。担当者は「遠方に住む人が墓の状況を確認するのに活用してほしい」と話している。
今回の地震では墓の被害は広範囲に及んでおり、金沢市の市営墓地では地滑りが起きて約80基が崩壊。富山県や福井県の公営墓地でも被害が確認されている。
石材業者には修復の依頼が殺到している。石川県能登町の「番谷石材」には、既に100件以上の依頼があり、墓石の表面が乾いて接着作業がしやすくなる3月以降、順次進めるという。社長の番谷豊さん(47)は「地震で墓じまいを決断する家が増えると思ったが、修復を望む人も多い。能登の土地や先祖に対する思いの強さを感じる」と話す。
業界団体「全国優良石材店の会」は他の団体にも呼び掛け、被災地の墓地で、通路を補修し、墓石を区画内に戻すボランティアを行う予定だ。会長の吉田岳さん(57)は「墓はその地に家族が生きてきた証しで、地域の結びつきの象徴。なくなると地域を離れるきっかけにもなる」と話し、広く支援を呼び掛けている。
●能登半島地震から1か月余り 震度5弱以上に引き続き注意を 2/5
元日に最大震度7を観測した能登半島地震から1か月あまりが経過しましたが、能登地方を中心に依然として活発な地震活動が続いています。気象庁は今後1週間から2週間ほどは震度5弱程度以上の強い揺れと津波に注意してほしいと呼びかけています。
気象庁によりますと、最大震度7の揺れを観測した先月1日の能登半島地震以降、能登地方などを震源とする震度1以上の地震は5日正午までに1599回発生しています。
地震の回数は増減を繰り返しながら緩やかに減少していますが、石川県能登地方では先月29日からの1週間で震度1以上の地震が54回発生するなど、地震活動は依然として活発な状態だということです。
これまでに日本海沿岸で発生した「日本海中部地震」や「北海道南西沖地震」では、最大規模の地震が発生したおよそ1か月後に規模の大きな地震が発生しています。
このため、気象庁は、今後1週間から2週間ほどは、最大震度5弱程度以上の地震に引き続き注意するように呼びかけています。また、海底で規模の大きな地震が発生した場合は、津波にも注意してほしいとしています。
●安倍派解散は「天の声」 2/5
解散すべくして解散したと言っていい。自民党の最大派閥、清和政策研究会(安倍派)のことである。会長だった安倍晋三元首相という「羅針盤」を失い、後継会長をめぐり迷走した上、政治資金収支報告書への派閥パーティー収入の不記載見直しを安倍氏が指示したにもかかわらず、従わなかったからだ。
幹部の責任うやむやに
「解散は安倍さんの天の声だ」と語るのは安倍氏の元側近だ。令和3(2021)年11月に派閥会長に就任した安倍氏は、派閥パーティー券の販売割り当て(ノルマ)を超えた分の還流(キックバック)不記載を知り、やめるよう指示した。 
元側近によると、知名度が高い安倍氏は、自身が派閥パーティー券を売ると他の議員のノルマを圧迫してしまう、と自ら集めた別の資金からノルマ分を派閥に寄付していた。会長になるまで還流の慣例を知らなかったという。令和4(2022)年になって還流不記載の事実を知り驚き、すぐにやめるよう指示した。にもかかわらず、同年7月に安倍氏が暗殺されると、9月の国葬の準備が行われているさなかに派閥幹部たちは復活させた。
「この時やめていれば、今回のような事件は起きなかったはずだ。後継会長選びに現を抜かした幹部らが『安倍さんに申し訳ない』と言うなら、還流再開を主導したことを正直に白状しろと言いたい」と元側近は憤る。幹部の責任が問われたが、派閥解散によって有耶無耶となった。
改憲実現で安倍氏の遺志を継げ
タイミングを見て、派閥創始者の孫である福田達夫元総務会長を中心に「政策集団」として集まろうという声があるが、笑止千万である。単なる数合わせでは今と変わらない。
安倍氏は戦後レジームから脱却し、誇りある国を創るため、志を同じくする議員らと全国運動を展開するための組織「創生『日本』」を結成、これが平成24(2012)年12月に発足した第2次安倍政権の母体となった。清和政策研究会ではなかったのである。
自民党所属議員の4分の1を占める約100人の派閥メンバーは、このままでは故安倍氏に合わせる顔がないだろう。では何をすべきか。安倍氏は令和2(2020)年8月の退陣会見の際、やり残したこととして拉致問題、ロシアとの平和条約、そして憲法改正を挙げた。「志半ばで職を去ることは断腸の思い」と表現した。ロシアとの平和条約、拉致問題は相手国があるが、憲法改正は日本単独で達成できる。安倍氏の遺志を継ぐという初心に戻り、憲法改正実現に向けて尽力すべきである。
●「裏金」議員リスト、3年分の収支報告書なぞっただけ 政治改革めぐり国会論戦 2/5
衆院予算委員会は5日、1時間遅れで始まった。
この日、自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を受け、自民党が提出した「裏金」議員リストは、これまでに派閥が訂正した3年分の政治資金収支報告書をまとめただけにすぎない。野党からは「極めていいかんだ」と批判を強めた。
岸田文雄首相は実態解明のため、週内に自民党の全国会議員へのアンケート調査を行い、「来週早々には取りまとめる予定」と表明した。
「政治とカネ」の問題に絞って国会論戦の模様を速報する。
15:10 「自民党は裏金で回ってきた」
立憲民主党の岡田克也幹事長は「今回の裏金問題、自民党で長く総裁や幹事長をやられた派閥で起きている。自民党は裏金で回ってきた。法治国家としての基本的なところが崩れている」と批判した。その上で、政治改革を進めるとする岸田首相の覚悟を質した。
岡田氏「政治改革をすると言っているが、それができなかった時はどうするのか?」
岸田首相「政治刷新本部の中間取りまとめを通じて、改革に向けた覚悟を示した。できなかった場合と仮定の質問をしたが、何としてもやるというのが私の立場の責任。実行してまいります。」
岡田氏「総理の思いが伝わってこない。火の玉になってとか先頭に立ってとか言うが、やはり政治は結果責任。できなければ責任をとるぐらいのことはなぜ言えないのか。」
岸田首相「政治刷新本部の中間取りまとめで、制度面の改革について、真摯な協議を行うと明記している。今国会において法改正を実現してまいります。」
14:53 「裏金」議員リスト「極めていいかげん」
質問は野党に移った。
立憲民主党の岡田克也幹事長は「能登地震もあるが、政治改革に絞ってやり取りしたい」として、この日、自民党が提出した「裏金」議員リストを取り上げた。
「極めて不十分だ」と語気を強めると、周囲から「そうだ」とやじが飛ぶ。
岡田氏は「不十分」とする理由について以下の3つ挙げた。
1捜査対象は2018〜22年の5年分なのにリストは20〜22年の3年分であること
2裏金は派閥からキックバックされたものなのか、中抜きされたものなのかが分からないこと
3裏金の使い道がなんだったのかが不明であること
「極めていいかげんなものを、このタイミングで出したことをどう考えるのか」と岸田首相に疑問をぶつけた。
岸田首相は「何に使ったのかとか内容について不十分との指摘があった。だからこそ本人の説明責任だけでなく、党として把握しなければならない。順次、関係者の聞き取りを開始した。全議員にアンケートも行う。党としても、経緯や使途についてもできる限り把握したい」と述べた。
13:58 「民間企業なら社長が責任取る」
審議は午後に入り、公明党の高木陽介政調会長が登壇した。
「民間企業でも不祥事が起きた場合、社長が直接やっていなくても責任を取る」とし、連座制導入について岸田文雄首相の見解を尋ねた。
岸田首相は「連座制の導入となると、対象となる政治団体の種類とか、違反の種類とかについて丁寧な議論が必要。自民党だけでなく各党各会派が縛られる共通のルールなので、協議を行いたい」と答えた。
「協議する」と言及を避け続ける岸田首相に、高木氏はこう要望した。
「協議を行いたいとのことだが、問題は『自民党はこういう案だよ』と出すことが協議のスタートとなる。どれがベストなのか、協議をする土俵はあると思う。自民党としての案をしっかり出していただき、協議を迅速に進めていただきたい」
11:03 「政策活動費」公開は従来答弁繰り返す
続いて登壇したのは、自民党の長島昭久議員。
長島氏は、「政治資金の透明化を巡って、国民の皆さんから、厳しい目が向けられている」と前置きした上で、岸田首相に政策活動費の使途公開の是非を尋ねた。
岸田首相は「政策活動費のあり方は、政治活動の自由等に密接に関わる問題」とし、「廃止や使途の公開を行う場合には、各党各会派の真摯(しんし)な議論を経て、各政治団体共通のルールに基づいて行うべきものだ。我が党としても、そうした議論に真摯に対応したいと考える」と従来の見解を繰り返した。
政策活動費 / 政党から政治家個人に支払われる政治資金。政治資金規正法では、政治家個人への寄付は原則禁止となっているが、政党から政治家個人への寄付は例外的に認められている。受け取った議員は政治資金収支報告書へ記載する必要がないため、多額の政治資金の使途が不明なことが問題視されている。
関係議員への聞き取り、週内に終える
自民党の加藤勝信衆院議員は、自民党派閥のパーティーの裏金事件の実態解明のため、関係議員への聞き取りや、自民党全議員へのアンケート調査の進め方を岸田文雄首相に尋ねた。
岸田首相は2日から関係議員に不記載に至った経緯などについて聞き取りを始めたとし、「可能な限り、今週中を目途に聞き取り作業を終え、その後、外部の第三者による取りまとめを予定している」と答えた。
派閥のパーティー収入を巡る不記載がないかを調べる全議員へのアンケートについては、「今週中に行い、来週早々には取りまとめをすることを予定している」とした。
10:20 実態解明「自民党の責任だ」
質疑は、自民党の加藤勝信衆院議員からスタートした。
80人を超える自民党議員側に収支報告書への不記載があったことに触れ、加藤氏は「なぜこれほど広範に、不適切な会計処理が行われているのか、このお金は一体どこに使われているのか、こうしたことを明らかにしていくのが、私たちの責任だ」と実態調査の必要性を説いた。
9:57 1時間遅れで審議始まる
理事会での協議は10分程度で終える。1時間遅れで、予算委の審議が始まった。
9:45 自民が「裏金」議員リスト提示
予算委の理事会が始まる。
自民党は、野党からの指摘を受け、議員名を加えた「裏金」議員リストを野党に再提示した。
再提示された議員リストは、安倍派と二階派が、不記載だったとして訂正した政治資金収支報告書を整理したもの。2020〜22年の3年間で、キックバックを受けた政治団体名、金額、議員名を一覧にしている。
9:00 予定時間になっても質疑始まらず
開会予定の午前9時。衆院第一委員室には、岸田文雄首相はじめ、全閣僚は顔をそろえているが、質疑は始まらない。
自民党が提出する「裏金」議員リストを巡って調整が難航。通常、予算委の前に開くことになっている理事会も始まっていない。
8:30 「裏金」議員リストで与野党が協議
予算委員会の開会に先立ち、自民党の浜田靖一国対委員長と、立憲民主党の安住淳国対委員長が国会内で会談を行った。
野党は予算委の審議の条件として、自民党に「裏金」議員リストの提出を求めていた。両者は、議員リストの対応を巡っての協議。自民党から示されたリストは議員名が記載されておらず、安住氏は「不十分だ」として再提示を求めた。
●自民「裏金リスト」提示 安倍派5人衆や二階氏 2/5
自民党は5日午前、派閥の政治資金規正法違反事件を受け、政治資金の収入を収支報告書に記載していなかった党所属議員の暫定的なリストを野党に提示した。安倍派の有力議員「5人衆」や二階俊博元幹事長の名前が含まれている。
自民の浜田靖一国対委員長は、立憲民主党の安住淳国対委員長と国会内で会談。今後、党の調査を踏まえた追加のリストを提示する意向を伝え、理解を求めた。これを受け、立民、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党は、衆院予算委員会での2024年度予算案の実質審議入りに応じる方針を確認した。
リストは安倍、二階両派分。両派が1月に届け出た20年〜22年の報告書の訂正に基づき、キックバック(還流)を受けた政治団体名、金額、議員名を列記した。対象は現職のみで、安倍派は20年67人、21年57人、22年56人。二階派は各年5人だった。
安住氏は記者団に「5年分(のリスト)を要求していたが、3年分しかなく、不誠実だ。極めて不満ではあるが、半歩前進と判断する」と述べた。
●衆議院議員・池田佳隆被告の保釈認める決定 保釈金1500万円 東京地裁 2/5
政治資金規正法違反の罪で、先月26日に東京地検特捜部に起訴された衆議院議員の池田佳隆被告について、東京地裁は先ほど、保釈を認める決定をしました。保釈金は1500万円です。
池田被告側が保釈金を納付し次第、保釈される可能性がありますが、検察側がこの決定に対し不服を申し立てる「準抗告」をする可能性もあります。
池田被告は、2022年までの5年間で、安倍派側からパーティー券収入のキックバックおよそ4800万円分を収入として記載せず、収支報告書にウソの記載をしたとして、先月26日に特捜部に起訴されました。
●自民党裏金事件「説明必要」84・9%、連座制「導入すべき」は76・5% 2/5
共同通信社が3、4両日に実施した全国電話世論調査によると、自民党派閥政治資金パーティー裏金事件を巡り、裏金を受け取った議員がその使い道について「説明する必要がある」との回答が84・9%に上った。
内閣支持率は24・5%で、1月調査の27・3%を2・8ポイント下回り、岸田内閣として最低水準。昨年12月調査の22・3%に次いで低く、20%台は4回連続。不支持率は前回調査より1・4ポイント増えて58・9%だった。
裏金事件を受けて取りまとめた党改革中間報告について、自民が「信頼回復できる」は9・7%、「信頼回復できない」87・0%だった。政治団体の会計責任者が政治資金規正法違反で有罪になれば、関係が深い議員に連帯責任を負わせる連座制を「導入するべきだ」は76・5%。政党が党幹部に渡し、使途が公開されない「政策活動費」について、使途公開が「必要だ」は89・3%だった。
●岸田内閣の支持率23.7% 過去最低更新 JNN世論調査 2/5
岸田内閣の支持率が政権発足後、過去最低だった先月の調査から、さらに3.4ポイント下落し、23.7%だったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。
不支持率も先月の調査から3.8ポイント上昇し、74.2%で過去最高となりました。
また、政党支持率では、自民党の支持が前月の調査から4.7ポイント下落し、24.4%、日本維新の会は0.4ポイント上昇し、5.2%、立憲民主党は0.5ポイント下落し、5.0%でした。
●岸田総理、能登半島地震の交付金対象「資金の借り入れや返済が容易でない世帯にも」対象を実質的に拡大 2/5
能登半島地震を受けて岸田総理は、被災者生活再建支援法に基づく最大300万円の支援金とは別に、能登地域6市町を中心に支給する新たな交付金について、「資金の借入や返済が容易でないと見込まれる高齢者等のいない世帯」についても支給対象に含める考えを示しました。
岸田総理は先週、住宅が半壊・全壊している高齢者などを対象に、家財等の再建支援に最大100万円、住宅の再建支援に最大200万円、あわせて最大300万円の交付金を追加で支給すると表明していました。
●岸田総理 派閥の裏金事件めぐる自民全議員へのアンケート調査 2/5
自民党の派閥の裏金事件をめぐり、岸田総理は、自民党のすべての国会議員を対象に政治資金収支報告書の不記載がないか確認するアンケート調査を今週中に行い、「来週早々にはとりまとめをする予定」だと明らかにしました。
また、不記載が確認されている安倍派や二階派の議員に対しては不記載に至った経緯や使途などの聞き取り作業を行っていて、「今週中をめどに聞き取り作業を終え、外部の第三者によるとりまとめ作業を予定している」としています。
そのうえで岸田総理は「聞き取りの進捗状況を踏まえながら、党として必要な説明責任を果たしていく」と強調しました。
衆議院の予算委員会で、自民党の加藤勝信衆院議員の質問に答えました。
●「岸田自民」にNO¥ャ渕優子氏おひざ元「保守王国」前橋市長選で惨敗 2/5
岸田文雄政権に、国民世論が厳しい審判を突き付けた。全国有数の「保守王国」である群馬県の県都・前橋市で4日、自民党と公明党が推薦して4期目を目指した現職市長が、野党側が支援した新人女性候補に惨敗したのだ。現職市長は、同県出身の小渕恵三元首相の元秘書だった。同日投開票の京都市長選でも、与野党相乗りの新人候補が、共産党の支援する新人候補に肉薄された。自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受けて「国民の政治不信」が高まるなか、岸田首相は「派閥解消」で局面打開を図ったが、評判は良くない。最新の世論調査では、岸田内閣の支持率は過去最低水準に落ち込み、「政治とカネ」への対応も支持されていない。八方塞がりにも見える岸田自民党に、浮揚の手立てはあるのか。
「私自身の力不足が一番の原因。私自身の不明をおわびしたい」
前橋市の山本龍市長(64)は4日夜、立憲民主党など野党側が支援した弁護士で元群馬県議の小川晶氏(41)に「当確」が出たのを受けて、選挙事務所に集まった支援者らにこう語り、深々と頭を下げた。
自民党を直撃した「裏金」事件の影響を記者団に問われ、山本氏は「特に関係ない。私の力不足…」と答えたが、約1万4000票の大差に岸田自民党への「強い不信感」「大逆風」を指摘する声は多い。
政治評論家の小林吉弥氏は「自民党が圧倒的に強い『保守王国』の群馬で、現職市長がここまで完敗したのは衝撃だ。岸田政権への不信感が国民のかなり広い範囲に広まっている。『裏金』事件で、岸田首相は自民党に『政治刷新本部』を立ち上げるなど、改革アピールをしている。だが、場当たり的なためか不信感は払拭できず、国民は冷ややかな視線で見続けているといえる」と語った。
群馬県は、福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三、福田康夫の4首相を輩出した「保守王国」である。自民党勢力同士がしのぎを削り、野党につけ入るすきを与えてこなかった。
県内選出の国会議員は、衆院の5議席、参院の2議席すべてを自民党が独占する。小渕氏の娘、小渕優子氏は自民党の選挙を仕切る選対委員長を務めている。山本一太県知事も、自民党参院議員から転出した。県議会、前橋市議会など県内の地方議会も、自民・保守系が大多数を占めている。
「前橋ショック」が特異な出来事ではないことは、報道機関の厳しい世論調査でも明らかだ。
共同通信とJNN(TBS系)が3、4両日に行った世論調査=別表=で、内閣支持率は過去最低水準に落ち込んでいる。
裏金事件については、共同通信で「(議員らが使途を)説明する必要がある」との回答が約85%だった。政治刷新本部が取りまとめた中間報告を「信頼回復できない」は87%だ。JNNで、疑惑が持たれている派閥の幹部らの説明に「納得しない」と答えた人は89%にのぼった。
自民党議員は「裏金事件の問題点を『派閥』に集約しようとした岸田首相の姿勢には相当、無理がある」と強調する。
JNNの調査で、自民党の政党支持率は24・4%(前月比4・7ポイント減)と、日本維新の会(5・2%)や立憲民主党(5・0%)など、野党にはリードを保っている。
ただ、ベテラン議員は「昨年から『岸田首相の顔≠ナは選挙が戦えない』という地方組織の声は圧倒的だった。それが現実化しつつある」と危機感をにじませる。
前橋市長選と同日に投開票された京都市長選も、岸田自民党の危機的状況を反映する結果となった。
自民、立憲民主、公明、国民民主各党が相乗りで推薦した元官房副長官の松井孝治氏は辛勝したものの、共産党が支援した候補に「政治とカネ」の問題をめぐる執拗(しつよう)な追及を受け、大苦戦となった。
岸田自民党はこの「大逆風」を乗り越えられるのか。
政治評論家の有馬晴海氏は「かつての自民党は、選挙では組織の動員をかけて勝利してきたが、全国的に自民党の基礎票は崩れている。裏金事件を受け、世襲議員に対する反発に拍車がかかっている。票が読みにくくなっている」と語る。
確かに、野党陣営の中には、「政治とカネ」の問題への批判とともに、「世襲反対」「政治の家業化阻止」を掲げる政党もある。2世、3世議員がズラリと並ぶ自民党には苦しい状況だ。
前出の小林氏は「岸田自民党は相当深刻だ。自民党内に有力な後継候補がいれば、一発で政権は崩壊する現状といえる。ただ、『ポスト岸田』の有力候補もおらず、政権交代できるほどの野党もない。岸田首相は4月の衆院補選、6月の所得減税開始を見据え、解散総選挙を考えているかもしれないが…。ともかく、新年度予算審議は大きな関門になるのではないか」と語っている。
●岸田政権が裏経済スローガン「“安い国日本”からの脱却」を発表しない理由 2/5
ジャーナリストの須田慎一郎が2月5日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。1月の米雇用統計について解説した。
1月の米雇用統計、就業者数が市場予想を大きく上回る
新行)アメリカの1月の雇用統計が2月2日に発表されましたが、非農業部門の就業者数が前月比で35万3000人増加し、18万人程度の増加を見込んでいた市場予想を大きく上回りました。この状況をどうご覧になりますか?
「よいインフレと悪いインフレの混在型」のアメリカ経済
須田)相変わらず、好景気が続いている感じがしますよね。「利下げがあるのではないか」と言われていましたが、利下げが少し遠のいたためアメリカの株は買われるでしょうし、アメリカに投資資金が集まるでしょうから、「円売り・ドル買い」の動きになる。結果的に円安につながっていくと思います。
新行)円売り・ドル買いに。
須田)物価も上昇してインフレが進んでいくでしょう。ただ、勘違いしてはいけないのは、アメリカで起こっているのが「よいインフレと悪いインフレの混在型」だということです。
新行)混ざっているのですか?
須田)よいインフレだと所得が上がり、需要が増えていくので、「もの不足になって物価が上がる」という状況です。それに加えて一昨年(2022年)のロシアによるウクライナ侵攻を引き金として起こった原材料価格・エネルギー価格の高騰による「悪いインフレ」があり、これらが混在しています。
岸田政権の「裏経済スローガン」である「“安い国日本”からの脱却」
須田)日本の場合は、悪いインフレオンリーなのですよ。よいインフレは起こっていない。そういった意味でも、日本はまだ利上げする環境ではありません。日米金利差の拡大がまだ少し維持されるのではないでしょうか。実は、岸田政権が表に出していない「裏経済スローガン」があります。「安い国日本からの脱却」です。
新行)安い国からの脱却。
須田)これを表に出すのがなぜダメかと言うと、国民生活や市民生活が苦しいのに、物価高騰を容認しようという動きになっているからです。
●岸田総理 緊急事態条項などの議論に意欲 2/5
国会で岸田総理は憲法改正に改めて意欲を示し、緊急事態が起きた際、国会の権能を維持する「緊急事態条項」などについて議論することは意義があると強調しました。
岸田総理「社会が大きく変化する中にあって、この現行憲法が今の時代にふさわしいかどうか、こういったことを絶えず考えていく。このことは重要であると思っています」
衆議院の予算委員会で岸田総理はこのように述べたうえで、「憲法というのは、日本の法典の中で唯一、国民投票が定められている」「憲法について国民の皆様に判断いただくために努力していくことは大事だと考えている」などと語りました。
具体的に改正を検討する要素として、緊急事態が起きた際、国会の権能を維持する「緊急事態条項」や、東京への一極集中や人口減少が進む中にあって、地域の民意を適切に反映し「投票価値の平等の調和を図ること」の2点を挙げました。
●道路・情報寸断で「陸の孤島」になった能登、自衛隊の救助難航… 2/5
能登半島の上空を飛行する海上自衛隊の哨戒機「P1」の搭乗員11人は、異様な光景を目にしていた。
真下に見えるはずの市街地は闇に包まれていた。「明かりがともっていない。停電が起きているのか」。搭乗員の上野剛毅2尉(29)は心の中でつぶやいた。
機首には夜間用の赤外線カメラを装備している。その倍率を上げると、倒壊した建物や道路を遮る土砂も映った。
山の向こうからでも輪島の空が赤く染まっているのが見えた。6時間の偵察中、石川県輪島市内の火災は2度確認した。「相当な被害が出ている」。機長の松田和人3佐(44)は窓の外に目を凝らした。
最大震度7を観測した能登半島地震が起きたのは日没が迫る元日の午後4時過ぎだった。能登地方は2007年と23年にも震度6強クラスの地震に見舞われたが、死者は1人ずつ。発生直後、政府内には「被害は軽微ではないか」との希望的観測さえあったが、「道路の寸断で被害状況の把握もままならない」といった情報が次々と寄せられた。
岸田首相も1日午後5時頃、能登地方を地盤とする自民党の西田昭二衆院議員との電話で、「昨年の地震とは揺れが全く違う。能登を助けてください」と窮状を訴えられた。
政府は、同日午後5時30分に「特定災害対策本部」(本部長・松村防災相)をいったん設置。首相は「空振りでも構わない」と判断し、約5時間後に首相をトップとする「非常災害対策本部」に格上げした。
この夜、東京・永田町にある首相官邸執務室では首相の怒気をはらんだ声が響いていた。
「何としても今晩中に自衛隊や警察を送り込め」
災害発生時、自衛隊は地元自治体からの情報提供に基づき、捜索や救難活動を行う。今回は交通網と通信網が寸断され、初動対応の「定石」は通じなかった。
実態把握が難航したのが、最も多くの孤立集落が出た輪島市だ。全職員約280人のうち、元日に登庁できたのは約50人。自衛隊員がもたらす情報が頼みの綱だった。自衛隊員は崩れた土砂を乗り越えるなどして市内を駆け回った。孤立集落の数をほぼ特定できたのは、生存率が急激に低下するとされる「災害発生から72時間」が迫った4日朝だった。
備えの甘さも問われている。石川県の地域防災計画は「能登半島北方沖の地震」が起きた場合、被害は「ごく局所的で、災害度は低い」と推定していた。人口約2万3000人の輪島市は非常食を数千人分しか備蓄しておらず、発災初日で払底した。
県はここ数年の群発地震を受け、被害想定を見直そうとしていた最中だった。実際の被害との 乖離 による初動への影響について、馳浩知事は「全くない」との立場だが、対応の遅れは否めない。
交通網が 脆弱 で自衛隊の十分な配備が望めず、物資の備蓄も進んでいない地域は全国に多い。過疎化や高齢化が進む中、地震大国・日本が同様のケースに再び直面する可能性はある。
政府高官はこう語る。「過去の災害にない課題が突きつけられた。いずれかの時点で検証し、教訓として生かすことが不可欠だ」
熊本地震とは対照的な条件
海上自衛隊の哨戒機「P1」が飛行していたその時、空自輪島分屯基地(石川県輪島市)には1000人もの住民が逃げ込んでいた。能登半島唯一の自衛隊の拠点にいたのは、わずか約40人の隊員だった。
副隊長の大出武志3佐(49)は、基地から約100メートル離れた自宅官舎で激しい揺れに見舞われた。「鉄筋コンクリートの官舎が倒壊する」とすら思った。
<大津波警報です>
防災無線から機械的な音声が流れ、住民は高台にある基地を頼った。若い女性が手をつないで泣いていた。寝たきりの高齢者を運ぶ住民や、頭から血を流す人、 巫女 姿の女性もいた。
日はすぐに没した。午後6時の気温は4・2度。隊員は分担して備蓄品の毛布や水を配った。午後9時頃、隣接する中学校への避難が可能になると、住民の誘導を始めた。
「倒れた家に取り残された人を助けてほしい」と懇願する住民もいた。輪島市役所に連絡したが、消防も警察も対応できないという。隊員10人がツルハシとノコギリを手に現場に走ったが、4人を救助するのが精いっぱいだった。
応援部隊の派遣は難航した。元日の夜、道路が寸断された輪島市は「陸の孤島」と化していたからだ。
地震発生から1時間後。陸自の金沢駐屯地(金沢市)では先遣隊20人が高機動車2台に分乗し、約100キロ離れた輪島、珠洲市に向けて出発した。地割れや陥没に阻まれ、輪島中心部入りを断念。 迂回 路を探すうち1台が動けなくなった。残る1台が珠洲市にたどり着いたのは翌2日の正午頃。すでに20時間近くたっていた。
今回の地震は、三方を海に囲まれた半島で道路が寸断された場合、救助部隊を送り込むことが一気に難しくなる現実を突き付けた。
石川県内で通行止めとなった道路は少なくとも42路線の87か所に上る。「半島北部では、ほぼ全ての主要道路が分断された」(県道路整備課)という。
被災地に西部方面総監部などが置かれ、6000人規模の部隊がいたうえ、四方から陸路で応援部隊を送り込むことができた2016年の熊本地震とは対照的だ。
能登半島地震で自衛隊は、輪島・珠洲両市にはヘリによる部隊投入を主軸にすることを決めた。翌2日までに10機以上が動き、約200人の隊員を両市に送り込んだ。警察や消防の部隊も運んだ。しかし、生存率が急激に低下する「72時間」となる4日に活動する自衛隊員は、約1270人にとどまった。
陸自トップの陸上幕僚長として東日本大震災(11年)に対応した火箱芳文氏は、「重機や車両がなければ、救助の効率は上がらない。今回は順次、部隊を投入していかざるを得ないケースだった」と見る。
ヘリでは重機の輸送は難しい。呉基地(広島県)を緊急出港した海自輸送艦が、ホーバークラフトで輪島市の浜辺に重機を陸揚げしたのは4日午前だった。
火箱氏は「道路が寸断された中でいきなり数千人を車両で送り込めば、渋滞などで大混乱が起きる恐れがあった」と強調する。
教訓は何か。名古屋大の福和伸夫・名誉教授は「南海トラフ地震では、紀伊半島や伊豆半島の先端に自衛隊や警察、消防が陸路でたどり着けないことも想定される」と見る。
最悪のケースで23万人が死亡・行方不明になるとされるこの巨大地震では、半島地域に津波が押し寄せ、火災が起き、ガスや水道などのインフラが破壊される恐れがある。
福和氏は警鐘を鳴らす。「災害の大きさに比べて自衛隊など救助のリソースが足りなくなる。自宅の耐震化や、食料や簡易トイレの備蓄など、自分の命は自分で守ることをもう一度肝に銘じることが必要だ」
能登半島地震で自衛隊は、4日も約4000人態勢で活動を続けている。南海トラフ巨大地震への教訓があるとみて、全ての任務を終えた後に、活動を検証する。 
●岸田首相 ことしのG7議長国 イタリア メローニ首相と会談 2/5
岸田総理大臣は、ことしのG7=主要7か国の議長国として日本を訪れたイタリアのメローニ首相と5日夜に会談し、ウクライナ情勢や核軍縮など、国際社会が直面する課題への対応で結束していくことを確認しました。
去年とことしのG7議長国の引き継ぎの場となった首脳会談は、総理大臣官邸で行われました。
この中で、岸田総理大臣は、メローニ首相が広島サミットの成果を受け継いでいく姿勢を示していることを評価し、ことし6月のイタリアでのサミット成功に向けて協力を惜しまないことを伝えました。
そして両首脳は、ウクライナや中東情勢のほか、核軍縮やAIなどといった国際社会が直面する、さまざまな課題への対応で結束していくことを確認しました。
また、両国とイギリスの3か国で進めている次期戦闘機の共同開発について、進展を歓迎するとともに、3月に予定される外務・防衛当局間の協議などを通じて、安全保障分野の協力強化を図っていくことで一致しました。
岸田総理大臣は、会談のあとの記者会見で「今回のメローニ首相の訪日を契機に、2国間関係を一層深め、世界の平和と安定に向け、戦略的パートナーとして共に取り組んでいきたい」と述べました。
●還流不記載議員リストに立民・岡田氏「極めていいかげんなもの」… 2/5
自民党は5日、派閥の政治資金パーティー券収入の還流分などを政治資金収支報告書に記載しなかった議員リストを野党に提示した。野党の要求に応じた形だが、不記載となった経緯や使途は依然不明なままで、野党は反発した。今後の自民の対応次第では、2024年度予算案の審議日程に影響が及ぶ可能性がある。
「『裏金』の発生は中抜きかキックバック(還流)か。なによりも何に使ったのか書かれていない。極めていいかげんなものだ」
5日の衆院予算委員会で質問に立った立憲民主党の岡田幹事長は、リストの不備を強く批判した。自民のリストが20〜22年分の不記載だったことについても、岡田氏は「立件範囲は5年だ」として、岸田首相(自民総裁)に対してリストの出し直しを求めた。
首相は「党として実態や経緯、使途についてもできる限り把握したい」と答弁したが、リストの再提出には言及しなかった。
自民のリストは、安倍派と二階派が1月に総務省に届け出た3年間の報告書の訂正に基づき、年ごとに派閥から還流などを受けた政治団体名、金額、代表者の議員名が記されている。政治団体の代表が議員でない場合などは代表者名が伏せられたが、読売新聞が関連の議員を調べたところ、不記載のあった議員らは、安倍派91人、二階派7人に上った。不記載額が最も多かったのは、政治資金規正法違反で東京地裁に起訴された池田佳隆衆院議員(自民を除名)で、3年間で総額3208万円だった。
立民の安住淳国会対策委員長は同日、日本維新の会、共産、国民民主各党の国対委員長と国会内で会談し、自民の対応次第では、日程闘争を含めた厳しい国会対応を取っていく方針を確認した。会談後、安住氏は記者団に対し、「(自民が)この態度でいけば、次の強硬手段に出ざるを得ない」と強調した。
今国会は、1月30日の岸田首相の施政方針演説など政府4演説の前日に「政治とカネ」をテーマとする衆参両院の予算委員会が開催されるなど、野党ペースで進んでいる。予算案は憲法の規定で参院送付から30日で自然成立するため、政府・与党は年度内成立が確実となる3月1日までに衆院を通過させたい考えだ。
日程は窮屈になっており、自民幹部は「野党が1日でも審議拒否をすれば、相当厳しい国会運営になる」と懸念する。
●「裏金って言うな!」自民党が幼稚な“言葉狩り”…岸田首相「定義は困難」 2/5
5日から全閣僚が出席する衆院予算委員会の質疑日程が入り、国会論戦は本格化。珍しく野党の足並みもそろい、裏金追及で攻勢を強めている。逆風が吹き荒れる中、火に油を注いでいるのが、岸田首相の反省ゼロの無責任発言。自民党も幼稚な言葉狩りに興じる始末で、この政権は今国会を乗り切れるのか。
立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党の国対委員長は、今国会で定期的に意見を交わす連絡協議会の設置を決定。裏金追及で事実上の「共闘」関係にある。
野党4党は予算審議を始める前提条件として、自民側に全所属議員を対象とした派閥からの還流の不記載の有無を調べた「裏金議員リスト」の提出を要求。自民側も受け入れ、5日朝、暫定的リストを野党に提示した。野党側はリストの内容次第で審議拒否も辞さない構えを見せ、のっけから自民を大きく揺さぶっている。
自民の国対サイドの苦労を知ってか知らずか、追及材料を与えまくっているのが、岸田首相だ。裏金問題を巡り、フザけた答弁を連発。今月2日の参院本会議の代表質問では裏金の定義を問われ、こう言ってのけた。
「文脈に応じて、意味、内容が異なってくる。一概に定義をお答えすることは困難」
政治資金収支報告書という正式な帳簿に載っていなければ「裏金」だ。安倍政権時代の2019年、首相主催の「桜を見る会」に反社会的勢力が出席していたかが話題となった。質問主意書で「反社の定義」を問われると〈形態が多様で、時々の社会情勢に応じて変化し得るもので、あらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難である〉とする答弁書を閣議決定。まさか、ここまで岸田首相も「アベ政治」のゴマカシ手法を踏襲するとは……。
野党「共闘」で火だるま必至
実は施政方針演説でも、岸田首相は「裏金」との言葉を一切、使わなかった。「国民から疑念の目が注がれる事態を招いた」と謝罪したが、あくまで裏金を「政治資金の問題」という表現にスリ替えた。
「岸田首相は昨年11月、岸田派が政治資金パーティーの収入を修正した際、国会で『修正しても総額は変わっていない。裏金うんぬんという指摘はあたらない』と豪語。あくまで記載漏れとの認識を示したが、一転して派閥の会計責任者が立件される事態に。とはいえ、あれだけ大見えを切った手前、今さら裏金を認めるわけにもいかず、定義をウヤムヤにしてけむに巻こうとしているのでしょう」(政界関係者)
そんな岸田首相の心中を察したのか、野党議員が国会で「裏金」と口にするたび、自民側は猛抗議。1月31日の衆院本会議の代表質問で立憲の泉代表が、辞任した政務官2人について「裏金をもらっていた」と批判すると、自民の議院運営委員会の理事が登壇して異議を唱えた。
その2日前の参院予算委では共産党議員が用意したパネルに裏金の記述があるのを自民の理事がケチをつけ、〈「裏金」〉と手書きのカギかっこでくくることで決着。おかげで開会が30分ほど遅れた。
党を挙げて「裏金禁句」の幼稚な追及逃れ──。当事者意識に欠けた無反省な「言葉狩り」にかまけている限り、今国会で岸田政権は火だるま必至である。
●自民が提出 裏金議員「暫定リスト」に国民の怒り頂点… 2/5
派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、自民党が5日午前、野党側が公開を求めていた関与議員の暫定リストを提示した。
この日、明らかにされたリストは最大派閥だった安倍派(清和政策研究会)と「二階派」(志師会)で、両派が1月に届け出た2020年〜22年の報告書の訂正に基づき、キックバックを受けた政治団体名、金額、議員名を列記した。対象は現職のみで、「安倍派」は20年が67人、21年が57人、22が年57人。「二階派」は各年5人だった。
「安倍派」では、西村康稔前経済産業相(61)、萩生田光一前党政調会長(60)、松野博一前官房長官(61)、世耕弘成前党参院幹事長(61)、高木毅前党国対委員長(67)の「5人衆」と呼ばれる幹部ら「5人衆」のほか、二階派では二階俊博元幹事長(84)の名前が含まれている。
だが、暫定リストを受け取った立憲民主党や日本維新の会、共産党、国民民主党の野党4党はリストが「不十分」として再提出を求める考えだ。
5日、野党国対委員長会談後のぶら下がり会見に応じた立憲の安住淳国対委員長(61)によると、今回提示されたリストは、野党側が求めていた過去5年分ではなく、「3年分」しかなかったこと、収入、支出の具体的な「日付」が記されておらず、アンケート調査の資料もみられなかったためだという。
SNSでは「関与した自民党議員は全員クビが当然」
「これ、犯罪なんですから、自首せい、じゃないんですか。自民党の方が、疑念を晴らさなきゃって言ってるけど犯罪ですから。早く全部洗いざらいして自首せいと。これにつきます」
4日のNHK「日曜討論」でこう訴えた、れいわ新選組の大石あきこ共同代表(46)に対し、SNS上では《その通り》《お手盛りのリストで終わらせるな》《自民党ウラガネ議員を逃すな》と賛同する意見が続出。コトの重大性、悪質性を小さく見せようとする自民党に怒りの声が飛んでいたが、無理もないだろう。例えば、今回提示されたリストでも「キックバックを受けた政治団体名」などとあるが、裏金を管理していた口座が政治団体でなく「個人口座」だった可能性もあるからだ。
実際、自身の政治団体の政治資金収支報告書に2018年からの5年間で計822万円の不記載があったと明らかにした丸川珠代元五輪担当相(53)は、「派閥からノルマ超過分は持ってこなくていいと言われた。資金は(自分の)口座で管理していた」と語ったと報じられている。
《裏金は犯罪。関与した自民党議員は全員クビが当然》
《生ぬるいリスト提示で逃がすな。裏金議員は刑事罰がふさわしい》
仮にサラリーマンが会社の金を「個人口座」で管理していれば、「横領」や「窃盗」を疑われるのだ。国民の怒りの感情はまだまだ収まらない。

 

●地域支える学校や病院 再開も現場から不安の声 課題は 2/6
石川県では、今月6日、県内のすべての公立の小中学校で休校が解消されました。しかし、高校の校舎を使って再開する学校もあるなど、依然として課題が残っています。
地域が抱える課題は学校だけではありません。被災地の病院では、看護師に退職の動きもあるといいます。
石川県 公立小中学校すべて再開
地震の影響で、輪島市では小学校6校と中学校1校で休校が続いていましたが、市の中心部にある県立輪島高校の校舎を使って、今月6日から児童・生徒の受け入れを再開しました。
6日は午前8時半ごろから保護者と一緒に登校する子どもたちの姿が見られ、校門で出迎えた教員に対し「おはようございます」と元気にあいさつしていました。
小学3年の女の子「学校で友達と会えるのはうれしい。できることをして遊びたい」
母親「地震直後は怖がっている様子だったが今は落ち着いている。やっと友達とも会えるので、きのうはうれしそうだった」
輪島市教育委員会によりますと、6日はすべての児童・生徒915人のうちあわせて193人が登校し、高校の校舎の案内やスクールカウンセラーによる心のケアなどを受けたということです。
今後は、市外に避難するなどして登校できない子どもたちも参加できるよう、タブレット端末などを使ったオンラインを交えた授業が予定されているということです。
石川県内では地震の影響で、9つの市と町の最大65の小中学校が休校になりましたが、6日で県内のすべての公立の小中学校が再開したことになります。
被災地の学校に勤める教職員からは慣れない環境での授業の再開に不安の声もあがっています。
石川県教職員組合は先月22日までの10日間に、輪島市と珠洲市それに能登町と穴水町の4つの市と町の小中学校に勤務する教職員を対象に、能登半島地震の影響を尋ねるアンケートを行い、75人から回答を得ました。
それによりますと、4割余りにあたる33人が「現在もふだんとは別の通勤経路を使っている」と回答したほか、学校への通勤時間について最長で「6時間以上」と答えた人が7人いました。
自由記述では、「学校への道が危険で不安を感じる」といった通勤の負担や学校が避難所として使われているなど、慣れない環境での授業の再開を不安に思う意見も多く寄せられていました。
石川県教職員組合は「教職員の中には、今も避難所での生活を余儀なくされている人もいる。被災者でもある教職員の実態を踏まえて、今後、学校をどう運営していくかしっかり考えてほしい」と話しています。
被災した子どもたちの心のケアや学びの環境整備に加えて、学校の再開で増える教職員の負担をどうサポートしていくかも今後の課題になります。
再開して2週間がたつ学校の状況は
能登町立松波中学校は、先月22日から再開しましたが、体育館が避難所になっているほか、近くにある小学校の児童も同じ校舎を利用しているため、生徒たちはふだんとは別の教室で授業を受けています。
また、断水の影響で調理施設が使えないため、災害備蓄用のパンやボランティアの炊き出しで給食をまかなっているということです。
1年生の女子生徒「友達に会えることがうれしいです。早くもとの教室で授業を受けたいです」
学校が再開して2週間がたちましたが、現在も全校生徒39人のうちおよそ10人が町外に避難するなどして通学できなくなっていて、オンラインも活用して授業を続けています。
6日は加賀市の2次避難所にいる1年生の女子生徒がビデオ通話で参加していました。
地域が抱える課題は学校だけではありません。
輪島市中心部の山岸町にある「市立輪島病院」は、石川県の災害拠点病院にも指定されています。
今回の地震で設備に被害を受けましたが、救助された人やけがをした人を受け入れていて、先月下旬からは、外来診療を一部の科で再開しています。
病院では職員の多くがみずからも被災しながら業務に当たっていますが、およそ120人いる看護師のうちおよそ30人が、近く退職する意向を示していることが病院への取材で分かりました。
   【退職を希望する理由】
地震の影響で病院の近くの保育施設が休園するなどして子どもを預けられる施設が少ないことや、仮設住宅の入居に時間がかかると見込まれていることがあげられ、2次避難先の金沢市などに職場を求める看護師もいるということです。
一方で、出勤している看護師も、夜勤などに対応できる人は限られることから、175ある病床のうち、今の体制で運用できるのは、最大でも30から40床程度にとどまるということです。
病院の河崎国幸 事務部長「看護師が25%もいなくなると病院の機能は維持できず、壊滅的な数字だ。どうすれば病院に残ってもらえるか早急に調査し、その結果を踏まえて、必要な支援を求めたい」
ほかの地域でも退職の動き
地震の影響で看護師などが勤務先の病院を退職する動きは被害が甚大だった能登半島北部のほかの地域でも見られています。
このうち、珠洲市の珠洲市総合病院と、穴水町の穴水総合病院では、今の段階で看護師を含む職員全体の1割近くが退職を検討しているということです。
また、能登町の宇出津総合病院では地震のあと、すでに看護師など5人が退職したほか、数人が退職を検討しているということです。
いずれも、地震の影響で、自宅に住めなくなったり、親族の世話をするために市外に移ることなどが退職の理由だということです。
それぞれの病院では、職員の退職に加え一部の職員が出勤できない状況も続いていて、地域医療の確保に苦慮しています。
また、能登町の柳田温泉病院は建物が大きく壊れたことから入院患者を全員転院させたうえで休診していて、この影響で全体の3割以上にあたる45人の職員が退職したということです。
病院は施設の建て替えを検討していますが、時期や費用などの見通しは立っていないということです。
厚労省 “応援の看護師 今後も状況見ながら対応”
被災地の医療機関では、病院に勤める職員も被災していて人員が足りなくなると想定されたことから、厚生労働省は先月12日以降、応援の看護師を派遣しています。
派遣先はいずれも被災地の公立病院で、珠洲市の珠洲市総合病院、輪島市の市立輪島病院、穴水町の穴水総合病院、能登町の公立宇出津総合病院の4つの病院で、今月6日時点であわせて45人の看護師が現地の応援に入っています。
応援の看護師は、全国の公的な医療機関から募集して派遣していて、5日までにのべ1085人の看護師が派遣されたということです。
厚生労働省は、今後も状況を見ながら、対応していきたいとしています。
●自民裏金 約半数の聴取終了 2/6
自民党の森山裕総務会長は6日の記者会見で、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関し、収支報告書の不記載が判明した国会議員への聴取について、対象者の半数近くから聞き取りを終えたと明らかにした。その上で「残った方々についてはできるだけ今週中に作業を終えたい」と説明した。
党は所属する全国会議員を対象に不記載の有無などを確認するアンケート調査も行っている。森山氏は新たに不記載が判明した議員も聴取の対象とする考えを示した。調査が全容解明につながらないとの指摘に対しては、「国民の信頼を取り戻していく一丁目一番地だ」と述べた。
●「ひじき」「ブロッコリー」「焼きのり」「金時豆」を政治資金で購入していた… 2/6
 土屋品子復興相「政治団体」の不可解な領収書が発覚
安倍派裏金事件を発端として、いま、「政治とカネ」の問題がかつてないほどに注目を集めている。政治家それぞれに政治資金の透明性が求められる中、復興大臣を務める土屋品子衆院議員の政治資金を調査したところ、不可思議な領収書が含まれていた。
あだ名は“なにもしな子”
土屋大臣は埼玉県春日部市などを地盤とする現在9期の衆院議員である。
土屋大臣の父は参議院議長や埼玉県知事を歴任した故・土屋義彦氏。その独裁的な県政は「土屋王国」とも称された。娘である土屋大臣は96年の衆院選に無所属で出馬し初当選。01年に自民党に入党した。その後は父親の後援会組織をフル稼働させ、当選を重ねてきた。
しかし、地元での評判は必ずしも芳しくない。
地元政界関係者に言わせると、
「古くからの自民党の支援者の中には土屋さんのことを“なにもしな子”というあだ名で呼ぶ人もいます。何もしない、何もしてくれない。決して悪い人じゃないんですけど、やる気がないんでしょうね」
その土屋大臣は政界を揺るがしている一連のパー券裏金問題について、12月の記者会見で「本当に残念」と述べていた。ならば、土屋大臣自身の政治資金は清廉潔白なのだろうか。
そもそも、昨年「週刊新潮」は彼女の家賃の問題を報じている。
土屋大臣が代表を務める資金管理団体「竜の会」について、11年から13年の政治資金収支報告書を確認すると、かつて土屋大臣が主宰していたフラワーアレンジメント教室が入るビルの家賃を拠出していたことがわかるのだ。つまり、お花の教室の家賃を政治資金で処理していたことになる。土屋事務所は当時の取材に「議員はこの不動産を政治活動にも利用し(中略)竜の会がフラワーアレンジメント教室の賃料を支払っていたわけではありません」と否定するも、誤解を生む政治資金の使い方であったことは間違いあるまい。
「ひじき」「ブロッコリー」「枝豆」 「里芋」
そこで取材班はこの「竜の会」の少額領収書について、情報公開請求を行った。
一般に公開されている政治資金収支報告書は、政治活動に関するすべての支出と領収書が開示されているわけではない。資金管理団体など国会議員関係団体の場合は1万円を超えない支出については、明細を記載する必要もなく、少額支出の領収書について知るには、総務省や各都道府県に対し、情報公開請求を行わなければ明らかにならない。
そこで土屋大臣の「竜の会」の少額領収書について情報公開を請求し 、中身を確認すると、不可思議な領収書が含まれていた。ちなみに「竜の会」が所在しているのは土屋大臣と親族が所有する春日部市内の3000平方メートルは超える敷地に建つ大豪邸である。
例えば、2021年10月4日。春日部市内のスーパーで「こうや豆腐」「金時豆」「焼のり」「干しするめ」「昆布」「桜えび」など4248円分を購入している。
また、その4日後の10月8日にはまた別の春日部市内のスーパーで野菜や果物を多く購入している。領収書には「ひじき」「ブロッコリー」「大根」「人参」「枝豆」「ごぼう」「里芋」「シャインマスカット」「ぶどう」「柿」などの記載があり、金額は8753円だった。その翌日には同じスーパーで「丸魚」3024円を購入している。
政治資金収支報告書は元来、政治活動に関わる収入や支出を記載するはずだ。果たしてこれらの食品は政治活動に使われたのか。
「事務所の神棚にお供えする物です」
その領収書をよくよく確認すると、すべて手書きで「神饌用」と記されている。神社や神棚へのお供え用ということなのだろうか。これらが購入された直後の10月14日には岸田文雄総理が衆議院を解散し、衆院選が行われている。
当の土屋事務所に聞くと、代理人弁護士を通じて回答があった。
「『ひじき』、『ブロッコリー』などといった物品ですが、いずれも、議員の事務所の神棚にお供えする物です。議員の政治資金として処理することに問題はないと考えます」
政治資金の支出については特定の品物を購入できないといった法的な制限があるわけでない。
しかし、政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授はこう指摘する。
「自宅の神棚へのお供えものだった場合、それは個人もしくは家族の財布から支出すべきです。政治団体に支払い義務がないので、政治資金から支出すべきではありません。事務所に神棚があった場合でも、お供えする行為そのものは政治活動ではなく、宗教活動と言えるでしょうから、政治資金で処理すべきではなく、個人のポケットマネーで支払うべきものです」
●大竹まこと 自民党の裏金問題で全議員へ僅か2問のアンケート実施に呆れる 2/6
2月6日(火)大竹まことゴールデンラジオ(文化放送)で、自民党の裏金問題で自民党が全国会議員へ向けて実施したアンケートの設問がたった2問だったことについて、パーソナリティの大竹まことが呆れる場面があった。
番組では朝日新聞の記事を紹介。裏金問題を受け、自民党が全国会議員へ実施したアンケートが、政治資金収支報告書に記載漏れがあったかどうか、また、記載漏れがある場合その金額を記載するという2問で、実態把握には程遠いとして批判が高まっているという。大竹は「ずいぶん大雑把な調査だな」。とバッサリ。フリーライターの武田砂鉄氏は「ひどすぎる。舐めている。街中でよくある、質問に答えると景品がもらえるアンケートみたい。2問しかないなら即日返せるだろうに、8日締め切りとなっていて、これから『集計してます』などと言って、どんどんズレていく。いかに小さく見せようかという意図を感じる。やる気がない。調べる気がないんだなとわかる」。と怒り心頭の様子。大竹は「透明にしていこうという意思が感じられない。透明性なんてあったりまえの話だよ。よその国と比べたらこの国どうなってるんだ。もっとデジタルにやれるんじゃないの。デジタル化、デジタル化というけれど、政権や国の方が先にやらなきゃ」と政権の姿勢を厳しく批判。パートナーの小島慶子も「これまで書類を黒く塗りつぶしたり、無くしたり隠したり、政府への信用が蓄積していないから、マイナカードなど国民が協力しないんです。この不透明なやり方が信頼を損なったんです」と同意した。
●岸田首相「裏金議員」処分検討に言及「実態把握の上で」答弁 2/6
岸田文雄首相は6日の衆院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件をめぐり一貫して「裏金」というワードを使わない理由を問われ「文脈によって内容が異なる」「さまざまな意味で使われている」と釈明を連発した。一方で、裏金が指摘された議員の処分についても言及した。
立憲民主党の山岸一生議員の質問に答えた。
首相は「裏金という言葉については、文脈、人によって、裏金の意味、内容が異なり得る。平素から客観的に分かりやすい言葉を使っている。裏金という言葉は意味、文脈を通じて意味内容が異なり得ると認識している」と主張。山岸氏は「裏金」について「広辞苑」に「取引などを有利に取り運ぶため正式な金額とは別に影で相手につかませる金銭」「公式の帳簿に記載しない自由に使えるように不正に蓄えた金銭」と書かれているとし「自民党派閥の裏金事件は、この(広辞苑の)まんまではないか。裏金のお手本、ザ・裏金。これが裏金でなくて世の中、およそ裏金は存在しないのではないかというくらいの裏金だ」と、裏金ワードを連発して指摘した。
山岸氏に、今回の事態について「裏金問題」との認識があるか問われた首相は「裏金問題と指摘されていることは深刻に受け止めないといけないが、裏金ということについては法律的意味合いも含め、何を裏金と称するのか、さまざまな意味で使われて(内容が)異なり得ることも事実」とまわりくどい説明に終始。「的確に表現することが重要で、政治資金パーティーをめぐる問題を申し上げている」と持論を訴えた。
その上で「裏金という意味に該当する議員がいないとは申し上げない」とも主張。裏金が指摘された議員に対しては、選挙で公認しないなどの処分を行わないのかと問われると「実態把握をした上で、処分などは考えていきたい」と答えた。
●「裏金のお手本」 野党追及続く 麻生・茂木氏の名を挙げ批判 2/6
裏金なのか、違うのか。6日の国会で、岸田首相が追及を受けた。
立憲民主党・山岸一生議員「総理、実は“裏金”という言葉を本当にお使いにならない。総理は必ず『自民党の政策集団の政治資金の不記載の問題』非常に長い。『派閥の裏金問題』ですよね?」
岸田首相「文脈によって、人によって、“裏金”の意味・内容が異なりうる。私として、客観的にわかりやすい言葉を使っているということであります」
ヤジ「“裏金”の方がわかる!」
「人によって裏金の意味が違う」と反論する、岸田首相。
立憲民主党・山岸一生議員「今回の派閥の裏金というのは、裏金のお手本、THE・裏金。ここで明快に言ってもらえませんか」
岸田首相「説明責任を果たすうえで、的確に表現することが重要だと考えている。私としては、『政治資金パーティーをめぐる問題である』と申し上げている」
さらに野党が問題視したのは、自民党幹部の麻生副総裁と茂木幹事長について。
35年前に作られた自民党の政治改革大綱には、「自民党幹部は派閥を離脱する」という要件が明記されていることを引き合いに、岸田首相を追及した。
立憲民主党・長妻昭政調会長「派閥のトップに幹事長・副総裁はいないのかというと、茂木さんと麻生さんが該当すると。2人に『派閥を離れてくれ』という勧告・指示はしませんか?」
岸田首相「いわゆる派閥が完全解消すれば、党役員あるいは閣僚の派閥離脱、これは事実上達成できているものであると認識しています」
ヤジ「そんなわけない!」
岸田首相は、麻生派と茂木派が存続しているにもかかわらず、党幹部の派閥離脱は“事実上達成できている”と強調した。
こうした中、岸田政権に6日、新たな問題が発覚。
旧統一教会への解散命令を請求した、盛山文部科学相が教団の友好団体から、選挙応援を受けていたことが明らかになったのだ。
立憲民主党・山岸一生議員「このような大臣の下で解散命令請求、今後の裁判、政権として責任を持って進めていけるのか。総理、更迭なさるべきではありませんか?」
岸田首相「自ら説明責任を果たしていただきたいと思いますが、引き続き職責を果たしてもらいたいと考えています」
盛山文部科学相を更迭しない考えを示した岸田首相。
野党は、6日も厳しく追及していく方針。
●保釈保証金1500万円即日納付…裏金事件 池田衆院議員を保釈 2/6
裏金事件で逮捕・起訴された衆院議員の池田佳隆被告が5日、東京拘置所から保釈されました。5日午後9時すぎ、二度深々と頭を下げ、東京拘置所を後にした池田佳隆被告(57)。愛知3区が地盤で比例東海ブロック選出の池田被告は、会計責任者と共謀し、2022年までの5年間で、派閥からのキックバック約4800万円を収支報告書に記載しなかった罪で起訴されました。池田被告の弁護人は、1月31日に保釈を請求していましたが、東京地裁は5日認める決定をし、保釈保証金1500万円が即日納付されました。検察は不服として準抗告をしましたが、裁判所はこれを棄却。池田被告はおよそ1か月ぶりに東京拘置所から保釈されました。
●「裏金という表現はおかしい」というトンデモ抗議も…安倍派の“呆れた態度” 2/6
びっくりした。国会で自民党派閥の政治資金規正法違反事件が議論されているが、驚いたのがこのニュースだ。
『「裏金」表記巡り 自民反発』(読売新聞・1月30日)
国会では質問者がパネルをよく使っているが、野党の質問者のパネルに記載された裏金の表記を巡って自民側が「裏金問題と断定的に書かれるのは適切ではない」と反発して紛糾したという。
え???
そういえば岸田首相も国会の答弁で「裏金の定義もしっかり確認しなければならない」(1月29日)、「(裏金の定義は)一概に答えることは困難」(2月2日)と答えていた。
う、裏金の定義、そこからですか?
自民党のナゾ抗議
政治評論家の有馬晴海氏は、《「裏金の定義を確認しないといけない」と言っていたが、帳簿に載っていないカネは裏金だ。》(1月30日・山梨日日新聞)
あっさり裏金の定義を述べていた。そりゃそうだ。
しかし31日の衆院本会議での代表質問でも、立憲民主党の泉健太代表が辞任した政務官2人(安倍派)について「裏金をもらっていた」と批判した際、「『裏金をもらった』という表現はおかしい」と自民党は抗議していた。
パーティー券を売った一部をキックバックしてもらって不記載にして金を貯めていたのだからこれは裏金だ。その裏金を何に使っていたのか、どんな効果があったのか、党として説明することからが第一歩なのに「裏金と言うな」からスタートするなんて。
それだけではない。岸田首相は議論をする場の国会で意味不明なことを言い続けている。政治資金規正法改正に関して問われると「真摯に議論する」「各党と議論していく」と繰り返すばかり。いや、そこ、国会ですよ。岸田首相は国会に気づいていないフリをしている。
いかにも手慣れた慣習
さて裏金問題は安倍派が目立ったが、先週は安倍派の元事務総長・下村博文氏が会見した。不記載額は476万円だったが、初めて「キックバック」を知ったのは2022年4月だという。最近ではないか。本当だろうか。ではここで毎日新聞のスクープを見てほしい。
『安倍派、還流を「戻し」と伝え現金手渡し 議員側も裏金認識か』(2023年12月16日)
安倍派ではキックバック、還流を「戻し」という言葉を使っていたという。本当ならいかにも手慣れた長年の慣習であることがわかる。となると安倍派のベテラン下村氏も“戻し”を知っていた可能性は高い。しかし“キックバック”は知らなかったという。まるでご飯論法である。
ご飯論法とは法政大学の上西充子教授のTwitterから広まった言葉。「朝ごはん食べましたか」と聞かれて、パンを食べたけれども米(ご飯)は食べなかったので「食べてきませんでした」とごまかして答える話法のこと。
池上彰「WEB 悪魔の辞典」では次のように書かれている。
〈【ご飯論法・ごはんろんぽう】質問に真正面から答えず、論点をずらして逃げるという安倍政権特有の論法。〉
つまり下村氏はこの10年ぐらいの安倍派を象徴する振る舞いをしていたのではないか。
そもそもなぜ安倍派に裏金問題が多いのだろう?
文教&宗教に目を向けた
旧統一教会問題が再び注目された時期に、私は自民党の集票力についてベテラン記者に聞いたことがある。それによると昭和に保守本流と呼ばれた宏池会(岸田派)は大企業、竹下派(現・茂木派)は建設などの業界団体をおさえていた。それに対して傍流だった清和会(安倍派)は文教&宗教に目を向けた。※旧統一教会問題で注目されたのがまさに安倍派の文教&宗教だった。
この話を頭に入れて、傍流だった清和会が一気に逆転した2000年代を思い出してほしい。小泉純一郎、安倍晋三といった「客が呼べる」首相を誕生させた清和会が、パーティー開催にカネ集めの活路を見出す様子が目に浮かばないだろうか?
昨年の週刊文春(12月21日号)にも同様の証言がある。
《「森会長時代に小泉純一郎という国民的人気の高い首相を生み出し、一気に党内主流派に。しかし上辺の国民人気だけで勢力を拡大させた派閥だけに、いくら金看板を磨いても、一皮剥けば膿だらけだったといえます」(政治部デスク)》
ここでいう森会長とは森喜朗のことだ。
裏金文化は「森さんから始まった」
さらに、《安倍派は「森さんから始まった」と言われる裏金文化を綿々と続けることになったのだ。そうした文化が生んだ裏金は、きわめて高額に達している。》(同前)
と報じられている。しかし呆れるのは裏金問題が発覚したあとの安倍派の態度だ。
《この節目に、安倍派は記者会見の要請に応じず、1枚紙のコメントで済ませた。不記載の総額などを示しただけで、「詳細は総務省のホームページで訂正された収支報告書をご覧ください」というのだから、ふざけている。》(朝日新聞社説2月2日)
「ふざけている」と書かれても、問題は終わったとばかりにニヤニヤしている安倍派幹部の様子が国会ニュースなどで確認できた。有権者はどうせ忘れると高を括っているのだろうか。
裏金問題を風化させない「アイディア」
それなら、裏金問題を忘れないように今後は名前の後に不記載額を表示したらどうだろう。直近の役職の代わりに。
・萩生田光一前政調会長→萩生田光一2728万円
・松野博一前官房長官→松野博一1051万円
・高木毅前国対委員長→高木毅1019万円
というふうに。
これだと忘れることはない。そして「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」という、2019年の参院選広島選挙区を巡る買収事件で、検察が河井克行元法相の自宅から押収したというメモも一緒に思い出せる。あの数字もまさに見えない政治とカネの話だ。「すがっち500」も「萩生田2728」も決して風化させてはいけないのである。
●岸田首相は麻生氏に距離を置かれた…岸田派解散「泥沼の政治闘争」 2/6
大山鳴動して小ネズミ3匹だった
自民党派閥による政治資金規正法違反事件で、検察当局は安倍派幹部7人について立件を見送った。党内には安倍派幹部らの説明責任と党による政治処分を求める声が高まっている。その一方で岸田派解散、それに続く安倍、二階、森山3派の解散が、派閥存続を決めている麻生、茂木両派への解散圧力となって、茂木派は分裂の危機に直面している。
東京地検特捜部は1月19日、安倍、二階、岸田3派の会計責任者らを政治資金規正法違反で在宅起訴、略式起訴するなど、この時点で8人を立件する一方、安倍派幹部7人について、会計責任者との共謀はなかったとして立件を見送った。安倍派からのキックバック(還流)された4800万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして1月7日に逮捕した池田佳隆衆院議員(57)と秘書(45)は26日の通常国会開幕日に起訴している。
特捜部の結論は、国会議員3人、会計責任者ら7人の計10人の立件だった。大山鳴動して大ネズミ1匹くらいは期待されたが、小ネズミ3匹だった。
国会議員の立件は4000万円超が目安
パーティー収入などの不記載額は、5年間で安倍派が6億7500万円、二階派が2億6400万円、岸田派は3年間で3000万円だった。3派の総額は9億7000万円に上る。
安倍派の会計責任者(76)、二階派の元会計責任者(69)は在宅起訴、岸田派の元会計責任者(80)は略式起訴された。
安倍派のほかの国会議員では、大野泰正参院議員(64)と秘書(60)を5100万円の不記載で在宅起訴し、谷川弥一衆院議員(82)と秘書(47)を4300万円の不記載で略式起訴(26日付で罰金100万円と30万円、公民権停止各3年の略式命令)した。議員の立件は4000万円超が検察内部の目安だったといわれている。
不記載は議員がかなり具体的に秘書に指示しないと共謀の立件に至らないが、これらのケースは、議員本人が派閥事務局から現金で還流を受け、収支報告書に記載させないという意図が明確だったから立件できたのだろう。
池田議員は党の除名処分を受けたが、議員を続けている。大野議員は離党し、容疑は法廷で争う。谷川議員は離党し、議員辞職したため、4月に衆院長崎3区で補選が行われる。
二階派では、ほかに二階俊博元幹事長の秘書(55)が、派閥から得た3500万円を記載しなかったとして略式起訴された。
特捜部の標的は事務総長経験者だった
特捜部にとって、安倍派の政治資金収支報告書への不記載や虚偽記入に派閥幹部がどう関与していたかが最大の焦点だった。だが、座長の塩谷立元文部科学相、歴代事務総長の下村博文元政調会長、松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業相、高木毅前国会対策委員長、5人衆のメンバーでもある世耕弘成前参院幹事長、萩生田光一前政調会長の幹部7人については、立件できなかった。
1月6日の産経新聞などによると、22年4月に安倍派会長だった安倍晋三元首相がパーティー収入の一部を還流する慣例は止めたいと提案、5月のパーティーでは還流を廃止したが、7月の安倍氏銃殺事件の後、塩谷、下村、西村、世耕の4氏の協議で還流の継続が決まった。事務総長だった西村氏が議論を主導し、還流分を安倍派と所属議員双方の収支報告書に記載しない慣例を改め、還流された議員の団体の収支報告書に個人のパーティー収入として記載する方法も提案したという。
東京地検次席検事は19日の記者会見で、派閥幹部を立件しなかった理由を「証拠上、各会派の収支報告書の作成は会派事務局が専ら行っていた。派閥の幹部が、還付(キックバック)した分をどう記載していたかまで把握していたとは認められず、虚偽記入の共謀を認めるのは困難と判断した」と説明した。
岸田内閣存続のための岸田派解散
永田町で大きな動きが出てきたのが、特捜部の結論と前後しての1月18、19日だった。
18日の朝日新聞が、特捜部は岸田派の元会計責任者を政治資金規正法違反で立件する方針だとスクープした。岸田首相には、岸田派関係者が立件されることは想定外だった。
首相は18日午前、首相官邸でのぶら下がりで「事務的なミスと積み重ねであると報告を受けている」と釈明したが、間もなくして、派として問題を起こした以上、ケジメをつけるとして、岸田派解散を決断する。
まず林芳正官房長官(岸田派座長)に相談し、木原誠二幹事長代理、村井英樹首相補佐官に伝え、午後から根本匠事務総長、宮沢洋一税調会長ら岸田派幹部10人程度を次々と首相動静に載らないように官邸に呼び込み、「攻めの意味から解散しようではないか」と提案した。以前から検討してきたと説明し、「守旧派になりたくない」とも語ったという。
夕方には、田村憲久元厚生労働相、平井卓也元デジタル相を呼び、さらには首相動静に載る形で、上川陽子外相、盛山正仁文部科学相にも解散の意向を伝えている。
首相と岸田派幹部との面会は、いずれも林座長が同席した。自分が部外者だとの認識から、3者面談となったらしい。幹部全員が「首相の判断に従う」と応じたという。
同日夜のぶら下がりで、首相は「岸田派解散検討」という時事通信の速報の真偽を問われ、「解散することを検討している。政治の信頼回復に資するものであるならば、考えなければならない」と述べ、岸田内閣存続のための岸田派解散を表明した。
首相は麻生氏との関係修復に動くが
麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長は寝耳に水だった。麻生氏はその夜、茂木氏からの電話で岸田派解散との報道を聞く。茂木氏からは「うちだけ置いて行かないでほしい」と泣きつかれたという。麻生氏は直後に岸田首相に電話し、「これは何なのだ。自分たちは自分たちで考える」と怒りをぶつけたという。
首相にすれば、反対されるから伝えなかったというより、派閥の元会計責任者の立件に動転し、能登半島地震への対応もあって、麻生氏に気を配る余裕がなかったのが実情だ。
首相は、麻生氏との関係修復に動く。21日夜、麻生氏をホテルオークラの日本料理店に招いて会談し、事前に連絡しなかったことを詫びた。麻生氏は自派の存続を伝え、「能登半島地震対策が含まれる予算の成立に向け、協力していこう」と述べ、矛を収めた。麻生氏は翌日、周辺に「もう怒らない。それが副総裁としてのたしなみだ」と呟く。
麻生氏の本意は、予算成立、4月の首相訪米までは首相を支えるが、その後は9月の総裁選対応を含めて距離を置くということだ。
麻生氏が28日、福岡県内で講演し、上川陽子外相について「そんなに美しい方とは言わない」と容姿に言及して物議を醸したが、「堂々と英語で話す」「新しいスター」などと持ち上げたのは、総裁選に向けて選択肢としてのカードを用意する狙いがある。
宏池会(岸田派)の解散は5回目
岸田派は1957年に池田勇人元首相が「宏池会」として創設し、大平正芳、鈴木善幸、宮沢喜一の各首相を輩出した名門だが、実は派閥が批判されると、解消しながら、政策集団、政策グループとして復活してきた。宏池会も63年、77年、80年、94年と4回解散し、今回5回目だ。94年11月には政治不信の高まりの中、河野洋平総裁が党改革の目玉として「派閥解消」を決め、各派も事務所を閉鎖したが、1年後の95年9月の総裁選での多数派工作が復活し、「政策集団」として再生している。
今回も9月の総裁選、年内にもある衆院選に備え、「派閥」もどきが復活する可能性がある。首相は18日、岸田派幹部の1人が「1回解散すればいい。そしてまた集まればいい」と言うと、「そうだな。解散するけれど、ご縁を大事にしよう。派閥として集まらなければいいのだから」と応じている。
自民党は派閥を通じて党内世論を集約
安倍派は19日夜、党本部で臨時総会を開き、派閥を解散する方針を決めた。塩谷氏や5人衆はこれで幕引きを図ろうと、その後の記者会見などで「不記載の状況は知らなかった」「秘書に任せきりだった」と責任逃れに走り、議員辞職や離党は考えていないと居直った。
西田昌司参院議員は総会後、「我々は知らなかった、というのは普通の組織ではあり得ない」と記者団に述べ、幹部が責任を取るよう求めた。福田達夫元総務会長は記者団に「派閥ではなく新しいガバナンスの形で集団を作っていく」と明らかにした。福田氏ら中堅・若手30人は総会に先立って安倍派の解散と幹部の責任を求める決議文を塩谷氏に提出していた。安倍派は解散前に瓦解していたのだ。
二階派は19日午後、緊急議員総会で解散を決めたが、二階氏は今後の政治活動について「人は自然に集まってくるものだ。自然体で、常識の範囲でやっていきたい」と述べ、近い将来の「派閥」復活を示唆した。
森山派は25日に解散を決定した。関係者によると、次の選挙は「裏金」のお詫び、言い訳で始まるが、無派閥なら守旧派と見られないことが理由だという。森山氏には、菅、二階両氏との連携関係もあっての選択だろう。
安倍派は当面、そのままの形では復活できないが、岸田、二階、森山3派は早晩、「政策集団」として復活するのではないか。
自民党は派閥の連合体だ。自民党政権は派閥の合従連衡で形成されてきた。派閥の効能は、カネ(集配)、選挙(応援、新人発掘)、人事(閣僚や党役員、国会の委員長)、情報交換(国会情勢など)だった。自民党は派閥を通じて統治し、党内世論を集約し、政治を前に進めてきた。メディアが自民党の動きを追ううえで、担当記者を派閥ごとに割り振っているのも、こうした背景がある。
「夜遊びと裏金はどちらが悪い?」
政治責任を取ろうとしない安倍派幹部への批判が強まったのは、23日の党の政治刷新本部の中間とりまとめ案に「政治責任に結論」と明記され、何らかのけじめが必要との認識が党内に広がったためだ。
自民党は党の品位を汚す行為を処分対象にしている。21年1月、新型コロナウイルス緊急事態宣言中に深夜、東京・銀座のクラブで飲食したとして、松本純元国家公安委員長(麻生派)ら3人が党紀委員会で離党勧告処分を受け、離党した例もある。党内に「夜遊びと裏金はどちらが悪い?」との声も上がる。
茂木氏が23日の記者会見で「当事者が、政治責任についても、結論を得ていく必要がある」と述べ、その後、塩谷氏に電話で「幹部として政治責任をどうするか、よく相談して考えたらどうか」と暗に離党を求めたのも、党内の空気を伝えたものだった。
だが、茂木氏の言動が25日の読売新聞に報じられると、安倍派から「監督責任を取れというなら、岸田、二階両派も同じではないか」などと猛反発を招く。政治責任を盾に政治闘争を仕掛けてきた、と受け止めたからだ。安倍派に影響力を持つ森喜朗元首相が25日、麻生、茂木両氏を訪ね、「本当に処分するのか」と問うたことで、茂木氏は引き下がらざるを得ず、「策に溺れた」ともいわれている。
安倍派は31日、政治資金収支報告書20〜22年分の訂正を総務省に届け出た。パーティー収入は3年間で4億3500万円、収入総額は4億5300万円が記載漏れだった。これに関連し、同派の小森卓郎総務政務官と加藤竜祥国土交通政務官が不記載を認めて辞任した。
安倍派は同日、所属議員らの95団体への寄付額の追加が5年分で6億7600万円に上ると明らかにした。特捜部は、同派の不記載について5年間で6億7500万円と認定している。
安倍派幹部らの処分については、党執行部による聴き取り調査を経て、政治刷新本部などで引き続き協議されるが、夜遊びよりも党の品位を汚しているのは間違いない。
小渕優子氏の覚悟と青木一彦氏の思い
政治闘争は、茂木派にも飛び火している。
小渕優子選挙対策委員長が25日、茂木氏と面会し、茂木派を退会する意向を伝えた。小渕氏は「政治家として覚悟を持ってけじめとして判断した」と記者団に語ったが、茂木氏が派閥離脱しないことを疑問視していたという。
翌26日には青木幹雄元官房長官の長男で参院議員の青木一彦副幹事長が、茂木派退会の意向を記者団に示し、「(21年9月に)前会長の竹下亘元総務会長が亡くなり、派閥が茂木派に代わった時からずっと心の中では思っていた」と語った。青木幹雄氏は、21年10月に幹事長だった茂木氏が一部衆院議員と諮って会長の座を簒奪したとして、最期まで許さなかったが、一彦氏にもその思いがある。
青木氏に同調する立場から、関口昌一参院議員会長、石井準一参院国対委員長、福岡資麿参院政審会長も離脱を表明し、31日に退会した。衆院では船田元衆院議員総会長のほか、小渕氏に近い古川禎久元法相、西銘恒三郎幹事長代理も同日、退会届を提出した。茂木派は退会者が8人に上り、さらに混乱が続くと見込まれている。
茂木氏は、安倍派を敵に回しただけでなく、足元の茂木派も事実上分裂し、総裁選レースで後れを取ったといえるだろう。
●岸田首相の「派閥との決別」は明白なウソ…派閥政治は絶対にやめられない 2/6
自民党派閥の裏金問題をめぐり、岸田首相は、自身が会長を務めていた岸田派(宏池会)の解散を表明した。続いて最大派閥の安倍派(清和会)、二階派、森山派も解散を決めた。ジャーナリストの鮫島浩さんは「自民党に総裁選がある限り、派閥は決してなくならない。派閥解消は派閥再編のはじまりにすぎない」という――。
要するに政局とは「多数派工作」
学者や有識者は「政局はいらない。政策を報道すべきだ」と言うけれど、私が政治ジャーナリストとして講演する時は「政策より政局」が決まって評判がいい。多くの人々にとって「政策より政局」のほうがはるかに身近なものなのだ。
ヒトが3人以上集めれば、政局はどこにでも発生する。会社のオフィスでも、自治会やPTAの集会でも、そして家庭内でも。お父さん、お母さん、子どもの3人家族なら、2人が結託したほうが大概は勝つ。要するに政局とは「多数派工作」だ。
ぜひ政治家の仁義なき権力闘争を参考にして、皆さんの身近な政局に勝利してほしい――そんな前触れで永田町の権力闘争についてあけすけに講演すると、ほとんどの人が笑いながら興味津々に耳を傾けてくれる。
自民党の政治家が総理総裁になるには、党内の過半数の支持を得て、総裁選に勝利しなければならない。そこで多数派をつくるために仲間を集める過程で生まれたのが「派閥」である。
総理総裁を目指す派閥の「親分」は、お金と選挙と人事を後押しすることで派閥の「子分」を集める。その代わりに「子分」たちは「親分」を総裁選に担いで懸命に応援する。鎌倉武士の「御恩と奉公」の関係に近い。現代流に言えば、ギブ・アンド・テイクだ。
負ければ賊軍、徹底的に干し上げられる
各派閥は多数派工作を繰り広げて総裁候補を絞り込み、最後に過半数の支持を得た政治家が総理総裁になる。勝てば官軍。子分たちは多くの分け前(人事ポスト)にありつける。負ければ賊軍。徹底的に干し上げられる。
一般社会では「負け組」にも憲法で基本的人権が保障され、不十分ながら社会保障制度というセーフティーネットが用意されている。しかし永田町は負け組に容赦がない。弱い親分に付き従えば、自分自身がやせ細る弱肉強食の世界なのだ。
岸田文雄首相は老舗派閥・宏池会(岸田派)の解散を表明し、最大派閥・安倍派(清和会)、二階派、森山派が続いて解散を決めた。
自民党は「派閥解散」花盛りで、派閥存続を表明した麻生派と茂木派へ寒風が吹きつけている。派閥の政治資金パーティーを舞台とした裏金事件で高まる自民党批判を「派閥解散」でかわす岸田首相の狙いは、今のところ的中したといっていい。
しかし、自民党に総裁選がある限り、党内の権力闘争がある限り、派閥は決してなくならない。総理総裁になるためには、党内の仲間をライバルより多く集めなければならず、「お金と選挙と人事」の面倒をみることで子分を付き従わせる「派閥」が自然発生するからだ。
そもそも派閥は、法律に基づいて設置される政党と違って、個人が勝手に徒党を組む非公式集団である。強引に禁止することなどハナから無理だ。
30年前にも掲げられた「派閥解消」は空文化した
自民党内で連鎖している「派閥解散」は、派閥解消を演出する「偽装解散」とみて間違いない。今年9月の総裁選に向けて「親分」のもとに「子分」たちが水面化でじわじわと再結集していくだろう。これら新しい派閥は当面「地下活動」に徹するが、解散総選挙が終わり、派閥批判が下火になると、再び表舞台に登場してくるに違いない。
自民党の歴史がそれを証明している。
戦後史に刻まれるリクルート事件で自民党批判が高まった1989年、自民党は政治改革大綱をまとめて「派閥の弊害除去と解消への決意」を打ち出した。閣僚や派閥によるパーティー自粛の徹底などを盛り込んだが、ほとんどが実現しなかった。
自民党が野党に転落している最中の94年には、当時の5派閥すべてが解消を発表して事務所を閉鎖し、新聞表記も宏池会は「旧宮沢派」、清和会は「旧三塚派」と改められた。けれども「勉強会」や「政策集団」と名乗りながら、派閥幹部の個人事務所などを拠点とし、「地下活動」を続けた。
そして自民党が与党に復帰した後、派閥は五月雨式に表舞台に復帰した。首相に直結する党総裁選は、誰が総理総裁になるかで所属議員の将来が決まる。激化する党内抗争によって「派閥解消」は完全に有名無実化していった。
岸田首相は「派閥からカネと人事を切り離す」とし、派閥による政治資金パーティーの開催と派閥による人事の推薦名簿提出を禁止する意向を表明したが、政治資金パーティーは派閥幹部が代わりに主催すればよく、人事の派閥推薦も口頭で伝えれば記録に残らない。
「派閥解消」は「派閥政治」の一断面である
1月26日から始まった通常国会では、岸田首相自身の「闇パーティー疑惑」が野党の追及を受けている。
これは、地元・広島の政財界が任意団体をつくって「首相就任を祝う会」を開催し、会費1千万円以上を集めたが、受付や経理は岸田事務所が担当し、会費の一部は首相が代表を務める政党支部に寄付されたという内容だ。野党は「実質的には岸田首相の政治資金パーティーなのに、収支報告書に記載されていない」と批判している。
この手法が認められるなら、派閥の政治資金パーティーを禁じても抜け道はいくらでもあることになる。自民党が打ち出した派閥解消策に実効性はほとんどなく、ほとぼりがさめたころに派閥が復活するのは間違いない。
とはいえ、これまでの「親分」が再びその座に返り咲くかどうかはわからない。むしろこれまでの「親分」はこれを機に追い落とされ、次世代がその座を奪い取り「親分」の顔ぶれが一新される可能性がある。いわば「代替わり」だ。
岸田首相が仕掛けた「派閥解散」の連鎖は、派閥を消滅させるのではなく、「親分」たちの世代交代を促し、あるいは派閥の再編を進め、自民党内の派閥勢力図を塗り替える効果をもたらすと理解したほうがよい。
新しく「親分」の座を目指す者たちは、今の「親分」を蹴落とす「派閥解消」に大賛成だ。これは「政局」の一断面なのである。
新しい「親分」の顔ぶれ
今年9月の総裁選に向けて、各派閥の「親分」の顔ぶれはどう変わっていくのか、党内の派閥勢力図はどうなるのか。具体的にみていこう。
まずは裏金事件の中心だった最大派閥・安倍派(清和会)。解散が正式に決定して45年の歴史に幕を閉じ、四分五裂していく様相だ。
清和会は2001年に小泉政権が誕生した後、自民党の最大派閥として君臨し、安倍晋三総裁のもとで政権復帰した12年以降、全盛期を迎えた。安倍氏が21年参院選の遊説中に銃撃され急逝した後、岸田政権で要職を占めていた5人衆(萩生田光一前政調会長、西村康稔前経産相、松野博一前官房長官、世耕弘成前参院幹事長、高木毅前国対委員長)の集団指導体制となり、政界引退後も影響力を振るってきた森喜朗元首相が「大親分」として控えていた。
派閥はそもそも「この人を総理総裁に」という政治家を軸に結集するものだから集団指導体制が長続きするはずはない。森氏は「早く会長を決めろ」と催促していたが、5人衆は譲らず、リーダーをひとりに絞り込めなかった。そこへ5人衆全員が裏金を受け取っていたことが発覚し、一斉に更迭されて失脚したのである。派内からは5人衆の責任を追及する声が噴出し、収拾不能に陥った。
森氏も捜査線上に浮かび、事件発覚後は高齢者施設に入って「雲隠れ」することに。5人衆に自発的離党を迫る動きが強まると麻生太郎副総裁に「直談判」に訪れる一幕もあったが、森氏の威光は大きく陰り、影響力は急速に失われていくだろう。森氏を後ろ盾にしてきた5人衆の政治的復権もかなり険しい。
「安倍派5人衆」の失脚で注目される2人
リーダーを失った有象無象の約100人はこれからどうなるのか。「新しい集団をつくっていく」と明言しているのは、清和会創始者の福田赳夫元首相の孫である福田達夫衆院議員である。
福田氏は当選4回ながら岸田政権発足直後に自民党総務会長に起用された。岸田首相には安倍派の次世代ホープである福田氏を引き込んで5人衆を牽制する狙いがあったとみられる。
5人衆は自分たちを飛び越える抜擢人事に不満で、福田氏を遠ざけた。今回の裏金事件で5人衆が一斉に失脚し、福田氏としては「口うるさい先輩諸氏」が一斉に消えた格好だ。創始者の孫としてそのうちに「清和会復興」を掲げ、「福田派」を旗揚げする可能性は極めて高い。
とはいえ、福田氏は父親の福田康夫元首相と同様、安倍派内ではリベラル色が強いとみられ、右寄りの安倍チルドレンとは距離がある。安倍チルドレンたちはむしろ、安倍氏が前回総裁選に無派閥ながら担ぎ出した高市早苗経済安保担当相にシンパシーがある。
5人衆は高市氏を警戒し、安倍氏急逝後は露骨に遠ざけてきた。高市氏は孤立感を深め、今年9月の総裁選に向けて推薦人20人を確保するための勉強会を立ち上げたものの、初回参加者は13人にとどまった。5人衆が安倍派内ににらみを利かせ、安倍チルドレンの高市接近を阻んできたのだ。
5人衆の重しがなくなったことで、安倍チルドレンが総裁選を機に高市氏のもとへ駆け寄り、「高市派」結成に発展する可能性は十分にある。安倍派は福田派と高市派に次第に色分けされ、5人衆らベテラン勢を中心にどちらにも抵抗がある面々はさらに枝分かれしていくと私はみている。
主流派閥・茂木派の溶解
派閥存続を決めながら離脱者が続出して溶解しつつあるのは、茂木敏充幹事長が率いる第三派閥・茂木派(平成研究会)だ。
真っ先に離脱を表明したのは、次世代ホープの小渕優子選対委員長だった。父の小渕恵三元首相は平成研の元会長。「平成研」の名は、小渕氏が官房長官時代に元号「平成」を発表したことにちなんだものである。
小渕内閣で官房長官を務め参院のドンとして君臨した故青木幹雄氏と、首相在任中に病に倒れた小渕氏から政権を受け継いだ森氏はともに小渕優子氏を寵愛し、麻生太郎副総裁を後ろ盾とする茂木氏を毛嫌いしてきた。今回の派閥解散ドミノを機に青木氏の長男である青木一彦氏ら参院茂木派の主力が相次いで離脱したのは、これを機に茂木氏に反旗を翻して小渕氏を軸に「小渕派」を再興する布石とみられている。
茂木氏は麻生氏の後押しを受けてポスト岸田に名乗りをあげるつもりだったが、派閥の足元が大きくぐらつき、総裁選出馬自体が危うくなってきた。
麻生派はかろうじて結束を維持しているが…
第二派閥の麻生派はどうか。
麻生氏は派閥存続の意向を真っ先に岸田首相に伝えた。麻生・茂木・岸田の主流3派体制に君臨し、安倍氏急逝後は唯一のキングメーカーとして権勢を誇ってきただけに、自らの権力基盤である派閥を手放すわけにはいかない。今のところ離脱者は長年行動をともにしてきた岩屋毅元防衛相にとどまり、麻生派はかろうじて結束を維持している。
しかし世論の風当たりは強い。茂木氏に代わって麻生派幹部で義弟の鈴木俊一財務相や岸田派に所属していた上川陽子外相を擁立する構想もあるが、「派閥の権化の麻生氏に担がれたというだけでマイナスイメージが強い」(閣僚経験者)という政治状況が生まれ、麻生氏はキングメーカーの座から滑り落ちそうな気配だ。麻生氏も83歳。いったん求心力を失うと挽回は容易ではない。
麻生派で鍵を握るのは、河野太郎デジタル担当相である。麻生氏は世代交代を恐れ、河野氏を抑え込んできた。河野氏は前回総裁選に麻生氏の政敵である菅義偉前首相に担がれて出馬したが、その後も麻生派にとどまった。茂木派の小渕氏に続いて麻生派を離脱し「河野派」結成に動く好機のはずだが、今のところ慎重だ。このまま出遅れれば埋没する可能性もある。
岸田派解散を歓迎するナンバー2
第四派閥・岸田派(宏池会)で実は派閥解散を歓迎しているのは、ナンバー2の林芳正官房長官だろう。林氏は宏池会では岸田首相以上に将来の首相候補と目されてきた。米中に人脈を持ち、英語も堪能で、外相として存在感を増していたところ岸田首相に警戒され、昨年9月の内閣改造人事で交代させられた経緯がある。
岸田首相が退任した後も宏池会会長にとどまれば、林氏が宏池会を代表して総裁選に出馬しにくくなる可能性があった。岸田首相が自ら宏池会を解散した結果、宏池会再興は林氏を軸に進むことは確実とみられ、岸田首相という「目の上のたんこぶ」が自ら消えてくれたともいえる。逆に「林派」への道筋が見えてきた。
第五派閥の二階派は84歳の二階俊博元幹事長の求心力で結束を維持してきたため、今後は草刈り場となりそうだ。
派閥解消は「新しい派閥」を生み出すだけ
派閥解消は派閥再編のはじまりである。派閥を舞台とした裏金事件を機に、今年の総裁選に向け、自民党内の派閥勢力図は激変するだろう。自民党の新旧世代による政局の攻防をウオッチしていくのは確かに面白い。
もっとも、派閥を舞台とする裏金事件を招いた政治腐敗は、派閥の「偽装解散」では浄化されない。自民党が30年前に掲げた「派閥解消」が空文化したまま今日まで脈々と続いていたことからも明らかだ。
政治資金規正法の改正による「政治資金の透明化」こそ政治改革の核心であることは、決して忘れてはならない。
●上川外相の元秘書らが証言 麻生氏の“容姿揶揄発言”に抗議しない理由 2/6
2月2日、自民党の麻生太郎副総裁は、「おばさん」「美しい方とはいわん」などと上川陽子外相の容姿や年齢について揶揄した自らの発言を撤回した。発言は1月28日の福岡県での講演で出たものだが、朝日新聞の取材に対し、麻生氏は「容姿に言及したことなど表現に不適切な点があったことは否めず、撤回させていただきたい」との談話を出した。この発言をめぐっては、世間からの批判のみならず、国会で野党議員が代表質問で取り上げる事態になるなど、騒動が拡大していた。この事態を上川氏の元秘書や自民党参院議員関係者はどう見たか。

「『おばさん』と年齢を揶揄するかのような発言、および容姿を揶揄するかのような発言を、公の場でされたことをどのようにお感じになっていますか。なぜ(上川)大臣は抗議をされないのかお答えください」
2月2日、立憲民主党の田島麻衣子参院議員は岸田文雄首相の施政方針演説に対する参院本会議での代表質問でこう訴えた。
上川氏は、「私に関する麻生元総理の発言についておたずねがございました」と麻生氏の名前こそ出したものの、正面からの答弁は避けた。
「世の中にはさまざまなご意見や考え方があることは承知をしております。しかし、使命感を持って一意専心、緒方貞子さんのように脇目も振らず、着実に努力を重ねていく考えであります」
その後、国会は上川氏が質問に正面から答えなかったことで紛糾し、議事が約10分間ストップする事態となった。
力のある者の代弁者
自民党参院議員関係者は上川氏の対応をこう解釈する。
「上川さんは組織人的な行動を取りすぎる傾向があります。一般企業でも、上司に素直に従って行動する人が、上の人から気に入られて引っ張られることはよくありますよね。彼女が政治の世界で何度も大臣を経験し、ここまで生き残ることができたのは、宏池会(岸田派)という派閥があったからです。上から評価されて引っ張り上げられたという過去の成功体験が、あのような答弁につながっていると思います」
上川氏は安倍政権、菅政権で、法務相を3回も務めた後、昨年9月の内閣改造では外相という重要閣僚に就任。外相就任時は、「女性の視点を外交政策に生かしたい」と抱負を語っていた。
「こういう大事な場面で、女性の視点で行動できなかったのだから、それを外交政策で生かせるわけがない。田島氏は『同じ境遇にある女性たちも、大臣と同じような対応をしなければならないと感じてしまうリスクはないでしょうか』と質問していましたが、そういうことまで考えていないのでしょう。国民の代弁者ではなく、岸田首相や麻生氏など力のある者の代弁者だということが露呈してしまった」(同)
法相時代には、18年7月、オウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚をはじめ元幹部13人の死刑執行を命じたことは記憶に新しい。このときは「鉄の女」と称されるなど、ドライな職務執行に驚きの声が上がった。
13人の死刑執行時に語っていたこと
だが、09年ごろまで上川氏の秘書を務め、現在は静岡市議の福地健氏(自民党)はこう語る。
「ドライどころか、あの時、上川さんは散々、悩まれていました。死刑執行にサインした時の心境を『鏡を磨いて、磨いて、磨き切るという気持ち』と表現していました。自問自答を何度も何度も繰り返したという意味だと思います。当然ですが、それだけ重い決断だったわけで、ドライにバッサリとやったという話では全くないと思います」
福地氏によると、上川氏は一連のオウム事件の被害者から直接話を聞いて涙したこともあったという。
「『地下鉄サリン事件』で亡くなった駅員の妻の高橋シズヱさんら被害者遺族の話を一人一人丁寧にうかがって、上川さんは涙を流しながらずっと聞いていました。予定時間は1時間くらいだったんですが、延長して何時間も話を聞き続けていました」
そして、麻生氏の発言に対する上川氏の答弁についてはこう話した。
「上川さんはとにかく真面目なんです。いろいろと思うところはあったはずですが、言葉を飲み込んだのだと思います。もともと、言うべきことは言うタイプなんです。ただ、ご自身で『言うべき時』と『言わない時』をわきまえている。今回の騒動は、要は、麻生氏の言い方がうまくなかっただけです。麻生さんは上川さんを評価していて『あの女性はスゲエ』という意味で言おうとして、ああいう言い方になった。上川さんはそれがわかっているので、自分の頭で考えて対応したのだと思います」
女性の衆院議長になれば約30年ぶり
自民党関係者の声を拾うと、上川氏は「全方位外交の人」「敵をつくらない人」という評価が多い。岸田政権の支持率低迷で「ポスト岸田」としても名前が挙がるようになった上川氏だけに“先”を見据えている可能性もある。前出の自民党参院議員関係者はこう話す。
「麻生氏は政策集団として派閥は存続させると明言しているのだから、派閥に助けられてきた上川さんは、麻生さんを敵に回さない方が絶対に得でしょう。もし彼女が次の総裁選に出馬するとしたら、麻生氏も協力してくれるかもしれない。このまま敵をつくらずにやっていけば、総理にはなれなくても、次の大臣ポストや党4役、衆院議長などが転がり込んでくる可能性もある。もし女性が衆院議長になれば、社民党の土井たか子さん以来、約30年ぶりですよ」
前出の福地氏によると、普段の上川氏は秘書にも優しく、親しみやすい人柄なのだという。
「何でも自分でやらないと気が済まない性格なので、秘書任せにはせず、まず自分で理解してから、秘書に的確な指示を出すというやり方でした。なので、秘書をコキ使ったりは絶対にしませんでした。カラオケが得意で、美空ひばりさんの曲をよく歌っていました。民謡や踊りを習っていたことがあったようで、夏祭りの盆踊りでは、地域のみなさんと一緒に踊っていましたね」
敵をつくらず、全方位外交を貫いてきた上川氏。麻生発言への対応は、今後、吉と出るか凶と出るか。
●岸田政権 支持率23.7% 過去最低を更新 「ポスト岸田」に急浮上したのは? 2/6
最新のJNNの世論調査で、内閣支持率が23.7%と政権発足後、最低を更新した岸田政権。「ポスト岸田」レースでは変化も起きています。
支持率23.7% 政権発足後の過去最低を更新
本格論戦を前に野党は…
立憲民主党 安住淳 国対委員長「全容解明しようっていう誠実さが 全く感じられない」
派閥の裏金事件をめぐり、5日朝、自民党が提示した「議員のリスト」。
野党側は、政治資金収支報告書に不記載のあった議員の一覧の提出を予算委員会を開く条件としていましたが、日付や支出の具体的な記載がなく「不十分だ」と批判したのです。
結局、予算委員会は1時間ほど遅れて始まりました。
裏金事件をめぐっては、自民党幹部が安倍派や二階派などの議員に対して、不記載に至った経緯や使い道などを聞き取っています。
岸田総理「今週中をめどに聴き取り作業を終え、外部の第三者による、とりまとめを予定しております」
また自民党は、5日から党所属の国会議員を対象に過去5年間で政治資金収支報告書に不記載がなかったか聞くアンケートを始めました。
2月8日に回収すると書いてあり、岸田総理は「来週早々にもとりまとめる」としています。
自民党が裏金事件への対応に追われる中、政権への逆風は収まりません。JNNの世論調査で、岸田内閣を支持できるという人は、23.7%と政権発足後、過去最低を更新。自民党の支持率も下落しました。
「ポスト岸田」トップ3に変化も…
こうした中、「ポスト岸田」レースに異変も…。
これまで次の総理に相応しい人で不動のトップ3を占めてきた3人に代わり、3位に急浮上したのが…
麻生副総裁「このおばさんやるね、と思いながら。この間ニューヨークで会ったけど、少なくともそんなに美しい方とは言わんけれども」
麻生副総裁に外交手腕を高く評される一方、年齢や容姿を揶揄され、注目された上川外務大臣です。
閣僚経験者「麻生さんの発言で知名度が上がった。総裁候補として麻生さんもキングメーカーになる保険をかけたんじゃないか」
裏金事件を受け、自民党内のパワーバランスはどう変わっていくのでしょうか。
自民党全議員を対象に「アンケート調査」
藤森祥平キャスター: 政治とカネを巡るこの疑惑について、自民党が全議員を対象にアンケートを2月5日始めました。「派閥による政治資金パーティーに関する全議員調査」です。
内容としては、回答議員名、「派閥による政治資金パーティーに関し、本来、議員側の支部・関係政治団体の政治資金収支報告書に記載するべきであった収入の記載漏れ」の有無、「あった」場合、過去5年間の記載漏れ金額(不記載額)。
以上を、岸田総理はこのタイミングで「来週の早々に取りまとめる予定」だと言っている。このアンケートで新たな記載漏れが発覚した場合は、党が個別のヒアリングを進めていく、と。
小川彩佳キャスター: あくまでも、これがベースとなるアンケートだということですね。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: これはもう1か月前にはわかってるデータですよね。ですから、何をいまさらということですし、いま焦点は、「この裏金キックバックがどういうふうにして起きたか」という“経緯”、それから「何に使われたか、脱税絡みではなかったのか」というところにも焦点は移ってるのに、今更、ということなので、これを最低限のデータとして、さらに踏み込んだ調査をしていく、ということが求められると思いますね。
プチ鹿島さん: 見事な「やってる感」ですよね。ていうか「やってない」ですよね。これから個別ヒアリングをアンケートの最初のところで引っかかった人に聞いていく、というのかもしれないですけど、やっぱり最初の時点で「裏金は何使ったんですか」とか、聞いて欲しいですね。
そこがない、というと本当に自浄作用はできないんだろうな、と。
「ノルマ」半減も口外せず“中抜き”か
藤森キャスター: 一方、星さんの独自取材で、政治資金収支報告書に不記載があった安倍派や二階派の議員らに、森山裕総務会長ら幹部による聞き取り調査が行われている、と。
その中で、このような話があったそうです。
2021年〜2022年頃、安倍派の中ではコロナ禍で政治資金パーティーを対面で開催することが困難になった。そこで当時、清和会の細田会長から「(コロナ禍のため)パーティー券のノルマを半分にしよう」という話が出たそう。パーティー券というのは、これは企業に売るものですが、ある議員は、「ノルマが半分になったということを口外しないで欲しい」と言ったそうです。
星浩さん: 要するに、企業側が「ノルマ半分だったら、うちだって半分でいいじゃないですか」ということになるので、企業側には言わないようで欲しい、と。ノルマは実際には半分になったんです。
そうすると議員たちはどうしたかというと、派閥に納めるノルマが200万円の人は100万円に。残りの100万円をなんと自分のポケットに入れ、“中抜き”をしていた。
どうもこのやり方で安倍派の人たちの一部は味をしめたんですね。それで「こういう形でどんどんそのピンハネができるんだ」というのが積もっていき、どんどん対象も広がっていった、というのが今回の裏金の一つのポイントだと思います。
プチ鹿島さん: 自覚はあったわけですよね。
星浩さん: もちろんあったんですね。ということは、この「ノルマを外に言わないでくれ」っていうのはどうも悪いことをやってるっていう自覚があったんです。
それから、会計責任者とか秘書に任せてるんじゃなくて、その議員本人がやっぱり自覚があった、ということの表れなんですね。
プチ鹿島さん: それをアンケートで聞かないといけないですよね。
小川キャスター: 本来は自分たちで明らかにしなきゃいけないのに、それを秘書や事務所スタッフに任せていたという話をしているわけですよね。
星浩さん: 今までは、検察の調べにそういうこと言ってたんですが、今回その政治家同士の調べだったものですから、ちょっと“口が滑った”というか、“本音が出た”っていう面も出てきたようですね。
アンケートは入口に過ぎない 今後の展開は
プチ鹿島さん: 僕が気になるのは、「森さんが会長の時代から、長くやってたんじゃないか」と言われてるじゃないですか。それ考えると、例えば昭和の頃は保守本流っていうのが竹下派とか宏池会とか、そこにいろいろ抑えられていて、業界団体とか。いわゆる清和会って、お金を集めるのがあんまりうまくなかったんじゃないか。
星浩さん: キックバックのやり方自体は昔からありましたが、量は全然なくて。やはり、小泉・安倍と政権派閥を握った段階で、裏金がぐっと増えていく、ということが実態ですよね。
プチ鹿島さん: つまり、人気のある首相を出したことによって、急に「メジャーな派閥を目指そう」ということになったことによって、「パーティーというのは、いい集金力になるんじゃないか」と気づいたのか。
星浩さん: それによって派閥の数を増やす、それから巨大派閥の維持に使う、ということに充てられたわけですよね。
プチ鹿島さん: そうなると森さんの時代から、というのは。
星浩さん: そのノウハウとしてはあったんですけど、額が急速に増えたのは小泉・安倍政権、とりわけ第2次安倍政権ですね。
小川キャスター: そして今回、浮き彫りになったというわけですが、今後のポイントは?
星浩さん: 今回のアンケートは、入口に過ぎないわけですね。先ほど申し上げたように「裏金の経緯」や、「使われ方」ですね。まだまだ未解明なとこがありますので、それについてこれから予算委員会を中心に関係議員、参考人招致や証人喚問だとかいうことになりますし、これだけ悪いことやってたということも明らかになったわけですから、岸田さんが「総裁としてその処分をどうするのか」。
役職停止か、除名か、離党勧告とか、場合によっては議員辞職勧告とか、そこまで踏み込むかどうか、というので、まだまだハードルは次々残っているということですね。
プチ鹿島さん: でも国会ってそういう調査の場でもあるから、そこは利用しないといけないですね。
星浩さん: 国政調査権というのがありますからね。
小川キャスター: そして、この間に岸田総理が火の玉となって信頼回復をしていくのか、その覚悟はどう示されるのか。
星浩さん: そうですね、なんか本人は「火の玉」と言ってましたが、どうも5日の予算委員会での答弁を聞いてると、ややもう“逃げ腰”という感じの様子が、もうありありとなってきましたね。
●岸田内閣の支持率が3か月続けて「危険水域」…低迷の理由は? 2/6
自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、岸田内閣、そして自民党の支持率が低迷している。読売新聞社が1月19〜21日に実施した世論調査では、内閣支持率は3か月連続で「危険水域」とされる2割台となり、自民党が政権復帰した2012年12月以降、最低水準となった。元日に発生した能登半島地震への政府対応には一定の評価があり、岸田首相による岸田派の解散表明への評価も高かった。政権浮揚につながる「プラス要因」もあったのに、なぜ支持率は上がらなかったのか。調査結果からは、そう簡単には解消できそうにない国民の政治不信の強さが浮き彫りとなった。
「青木の法則」下回る低迷ぶり
電話方式で行った今回の調査での岸田内閣の支持率は24%。前月の25%からほぼ横ばいだったが、昨年11月調査と並び、岸田内閣発足後、最低タイとなった。自民党の政党支持率も前月から3ポイント減の25%となり、自民党が2012年12月に政権復帰して以降、最も低い。「内閣支持率と与党第1党の支持率の合計が50を切れば、政権は瓦解する」とする「青木の法則」は青木幹雄・元官房長官が唱えたとされるもので、政治関係者の間に広く浸透している。この「足して50」のデッドラインを初めて下回った。
1月調査での内閣支持率を年代別で見てみると、18〜39歳の若年層が24%(前月23%)、40〜59歳の中年層が19%(同23%)、60歳以上の高齢層が27%(同28%)となり、年代ごとの差は小さかった。岸田政権の支持構造は、高齢層で厚く、若年層で薄い「若低老高」が特徴だったが、昨年11月以降、政治資金規正法違反事件などの影響で、政治ニュースに敏感な傾向が強い高齢層の支持が大きく減少。支持基盤であるはずの与党支持層の内閣支持率も前月比4ポイント減の52%と、半数をかろうじて上回るにとどまった。
「地震」と「派閥解散」
政権にとって非常に厳しい結果となった今回の調査だが、開始前には内閣支持率がある程度上昇するのではないかという見方があった。その根拠となったのが、<1>「能登半島地震」と<2>「岸田派解散」の二つの要素だ。
<1>の能登半島地震はわかりやすい。
過去30年間に発生した震度7以上の地震(能登半島地震を除く)発生時の内閣支持率の変化をみると、5回の地震(阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震)のうち3回で支持率が上昇している。麗沢大の川上和久教授(政治心理学)は「大災害や安全保障上の脅威などが発生すると、『政府にがんばって対応してもらいたい』という意識が働き、一般的に支持率が上昇しやすい」と話す。
<2>の「岸田派解散」については、読売新聞の調査開始直前の1月18日に岸田首相自ら意向を表明した。東京地検特捜部が岸田派の元会計責任者を政治資金規正法違反容疑で立件する方針だと報じられた直後だっただけに、派閥解散表明には大きな注目が集まった。直後に他派閥の幹部が「寝耳に水だ」と語ったように党内外に与えた衝撃は大きく、読売新聞も1面トップで伝えた。岸田派内では「世論の受けはいいはずで、首相の(9月の)総裁選再選に向け、弾みになる」との声も上がっていた。
両方とも評価されたが……
ところが、1月の調査では支持率は横ばいにとどまった。
政府の地震対応を「評価する」とした人は45%で半数には届かなかったものの、「評価しない」の41%を上回った。しかし、「評価する」と答えた人に限った内閣支持率は34%で不支持率の50%を下回る。早稲田大の小林哲郎教授(世論研究)は「地震対応の初動自体はそこまで悪くなかった。しかし、対応が評価されたとしても、政権への積極的な支持に変わるほどのインパクトはなかったのではないか」と分析する。
岸田派解散表明も同様だ。この調査では、解散表明を「評価する」が60%に上り、「評価しない」は29%にとどまった。しかし、「評価する」と答えた人に限った内閣支持率は28%と全体より4ポイント高いだけで、不支持率は60%で全体の61%とほとんど変わらなかった。中央大の中北浩爾教授(政治学)は「派閥批判が高まる中での『派閥解散』は、普段、政治に関心のない人にもわかりやすかった。しかし、本来は党内処分や経緯説明、さらに政治資金規正法の改革案などを先に示すのが筋だ。国民にも対応の本気度は伝わるはずで、今回は単なる場当たり的な受け狙いだということを見透かされたのだろう」と指摘する。
もっとも、この時期は東京地検特捜部が安倍派、二階派、岸田派の会計責任者ら計8人を政治資金規正法違反で在宅起訴、略式起訴する一方で、安倍派幹部については立件を見送ることを発表した時期と重なる。川上教授はこうした状況を重視し、「政治資金問題で逆風にさらされた岸田首相が起死回生で岸田派解散を打ち出したことで、支持率が大幅に下落せずに踏みとどまったという印象もある」と話す。
派閥への厳しい視線
派閥に対する国民の視線は、かねて冷ややかだ。約30年前の1992年11月調査(面接方式)で派閥について聞いたところ、「数の力で政治をゆがめているので問題だ」とした人が67%に上っている。
自民党は「政治とカネ」の問題に直面するたびに派閥解消を打ち出してきた。リクルート事件を受け、1989年に策定した政治改革大綱では、派閥解消を最終目標に設定。派閥パーティーの自粛や党幹部と全閣僚の派閥離脱を掲げたが、その後、形骸化した。細川政権の誕生による野党転落を経験し、再び政権復帰した1994年11月には、党として「年内の派閥解消」を決定したが、まもなく全派閥が「政策集団」として活動を再開し、うやむやになった。民主党政権誕生後の2009年にも党再生会議が派閥解消を提言したが、党内の反発を招き、実現しなかった。
今年1月調査では、派閥を「解散するべきだ」が61%で、「改革した上で存続させるべきだ」の31%、「現状のままでよい」の4%を上回った。中北教授が「人間本位で固まり、義理人情を交えて合意形成を図ってきたのが自民党の本質で、強さだった」と語るように、派閥にはプラスの面もあるが、国民には理解されていない。
さらに今回の調査では、政治資金を巡る一連の事件に関する当事者議員らの説明不足に対する不満が非常に大きかった。派閥幹部らが国民に十分説明していると思うかと聞くと、「思う」が3%で、「思わない」は92%に上った。これを自民党支持層に限ってみても、「思わない」という回答は89%に達する。岸田首相が党内に設置した「政治刷新本部」に「期待できる」とした人は全体で17%。「期待できない」が75%に上ったことも合わせると、国民の政治不信の強さがうかがえる。
今後、残された道は?
1月26日の通常国会開会を前に、東京地検特捜部の捜査は事実上終結した。そして、岸田派の解散表明を受けた形で、安倍派と二階派、森山派も解散を決めた。ただ、自民党の「政治刷新本部」の中間とりまとめでは、派閥から「カネと人事」の機能を排除したものの、政策集団としての存続は容認した。茂木派は運営方法を見直した上で政治団体を存続させる見通しで、麻生派を率いる麻生副総裁も、政治団体としての存続を明言。今後、派閥の是非を巡って、党内で不協和音が高まる危険性をはらんでいる。
小林教授は「もともと期待が低かった政治刷新本部で『派閥を政策集団に』という結論は非常に悪い流れだ。今後、支持率が大幅に上向くことは難しい」と予測。「政治家自身が実質的な痛みを伴う改革を有権者に示すことが不可欠だ」と訴える。
岸田首相は1月29日、「政治とカネ」をテーマとした衆院予算委員会の集中審議で、「政治資金規正法改正など必要な法整備を進める。私自身が先頭に立って政治改革の取り組みを必ず実行する」と述べ、連座制の導入を検討する考えを示したほか、事件に関与した議員らに事情聴取をするように自民党幹部に指示したことを明らかにした。しかし早速、党内には異論が出ており、今後の展開次第では国民のさらなる「自民党離れ」、「岸田離れ」を招きかねない。
事件に関与した党所属議員に説明責任を果たさせる。政治資金規正法を改正し、政治資金の透明化を図る。有権者が望んでいるのは単純だが、ごまかしようのない取り組みだ。党内の摩擦を恐れずに人々の期待に応えられるかどうか。岸田首相の「本気度」が問われている。
●派閥の政治資金事件、岸田首相「先頭に立ち」信頼回復強調… 2/6
岸田首相(自民党総裁)は6日午前の衆院予算委員会で、自民派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、「心からおわびを申し上げる。私自身が先頭に立ち、全身全霊、信頼回復に取り組む」と強調した。
首相は、自民が5日に開始した党所属全国会議員を対象としたアンケート調査について、「党幹部による関係者の聞き取り調査と併せて、党として実態を解明していきたい」と説明した。自民は来週前半にもアンケート結果を取りまとめる方針。
立憲民主党の長妻昭氏はアンケートの設問に関し、「『派閥による政治資金パーティー』と限定されている。無派閥の方は調査対象ではないのか」と追及した。首相は「大きな問題となっているのは派閥による政治資金パーティーを舞台として行われた様々なやり取りだ」と述べ、問題はないとの認識を示した。
一方、盛山文部科学相が2021年衆院選で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体から支援を受けていたと朝日新聞が報じたことについては「(旧統一教会と)関係を断つことを徹底するのが基本的な考え方だ。この方針を閣僚に対しても今一度確認する」と述べた。
●少子化対策、月負担500円弱 岸田首相、裏金事件で処分検討―衆院予算委 2/6
衆院予算委員会は6日午前、岸田文雄首相と全閣僚が出席し、2024年度予算案に関する2日目の基本的質疑を行った。少子化対策の財源に充てる支援金制度に関し、首相は国民1人当たりの負担額が平均で月500円弱になるとの見通しを示した。立憲民主党の早稲田夕季氏への答弁。
政府は支援金について、26年度から公的医療保険に上乗せして徴収する方針。総額を段階的に引き上げ、28年度には1人当たり平均で月500円弱となる見込みだ。首相は「歳出改革と賃上げで、実質的な負担は生じない」と重ねて説明した。後期高齢者にも拠出を求める考えを示した。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、立民の山岸一生氏は関係議員の処分に関し質問した。首相は「実態把握をした上で、処分について考える」と答えた。
立民の長妻昭政調会長は、岸田派の17年以前の政治資金収支に不適切な会計処理がなかったかをただした。首相は「資料が確認できず、確認することができなかった」と述べた。同派は18〜20年の収支報告書で約3000万円の不記載が明らかになっている。
●岸田政権の新しい資本主義で日本資金が海外に流出、政権は危機感なし 2/6
岸田政権では、新しい資本主義のもとで資産所得倍増プランを掲げ、個人資産が国内企業などへ提供されることを想定していたが、現状は想定と異なり、日本の資金が海外に流れてしまっているにも関わらず、この現状には特段の危機感を抱いておらず対策も講じていないことが明らかになった。
2月2日に実施された鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の際に、記者から「新NISAの関連で、新NISAが始まって1か月が経ちました。新NISAの評価について見えてきた課題もありましたらお聞かせください。また企業が発表している投資信託の流入金額を見ると、全世界株式や米国株式と名のつく商品が多くを占める結果になっています。日本の主な株価指数がバブル期以来の水準となる中、海外株式に資金が流れていることについてのご見解についても教えてください」との旨の質問が行われた。
この質問に対して、大臣は「新しいNISAが始まって1か月経ちました。手応えなどを感じているところでありますが、NISAにつきましては、安定的な資産形成の手段として幅広い方々にご活用いただけますように、金融庁としてその普及等に努めてまいりたいと考えております。金融庁といたしましては、新しいNISAの普及・活用促進とともに、国民の皆さんに金融リテラシーを身につけていただくための金融経済教育の充実、安心して金融商品を購入できるようにするための金融機関における顧客本位の業務運営の確保等を進めることによりまして、引き続き、国民の皆さんが安心して資産形成に取り組むことができる環境を整備していきたいと、そのように考えております」との旨を述べた。
●「議論が尽くされていない」公明・山口代表、戦闘機の輸出解禁に慎重 2/6
日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出解禁について、公明党の山口那津男代表は6日の記者会見で「重要な政策変更だ。十分な議論が尽くされていない」と述べた。岸田文雄首相が5日の国会答弁で、解禁に向けた「2月末」までの与党の意見集約を求めたものの、山口氏は慎重姿勢を崩さず、首相の方針に反論した格好だ。
2022年に航空自衛隊のF2戦闘機の後継機の共同開発を決めた際、政府・与党で共有していた認識について、山口氏は「第三国に完成品を輸出しないという前提だった」と主張。輸出解禁について「国民の理解には至っていない」としたうえで、「変えたいと思っている人がどう対応するかを見守っていきたい」と述べ、首相らの対応を静観する考えを示した。
一方、首相は6日の衆院予算委員会で、次期戦闘機の輸出解禁について、「共同開発を円滑化、効率化する上で大変重要だ」と改めて強調。「連立(政権)と公益はそれぞれ大事な取り組みだ。共同開発の重要性を丁寧に説明し、この問題に取り組むのは大事だ」と語った。国政政党「教育無償化を実現する会」の前原誠司氏への答弁。
●米FRB議長 利下げ急がない姿勢 ダウ平均株価400ドル超値下がり 2/6
アメリカのFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長は、テレビ番組のインタビューで、「経済が強いため利下げをいつ始めるかという問題に慎重に取り組める」などと述べ利下げを急がない姿勢を示しました。これを受けて5日のニューヨーク株式市場では高い金利水準が続くとの見方から売り注文が増え、ダウ平均株価は一時、400ドルを超える値下がりとなりました。
FRBのパウエル議長は、CBSテレビが4日夜に放送したテレビ番組のインタビューでなぜ今、利下げをしないのかと尋ねられて「経済は強い。成長は堅調なペースで続いている。労働市場も強く、失業率は3.7%だ。このように経済が強いため利下げをいつ始めるかという問題に慎重に取り組める」などと述べ利下げを急がない姿勢を示しました。
これを受けて5日のニューヨーク株式市場では利下げの始まる時期が想定よりも遅れ、高い金利水準が続くとの見方から売り注文が増え、ダウ平均株価は一時、400ドルを超える値下がりとなりました。
また、ニューヨーク外国為替市場では、アメリカの長期金利が上昇したことで日米の金利差拡大が意識されて円売りドル買いが進み、円相場は一時、1ドル=148円台後半まで値下がりしました。
市場関係者は「この日、発表された非製造業の景況感を示す指標が市場予想を上回ったことも、アメリカ経済の強さを背景に利下げが想定より遅れるとの見方につながった」と話しています。 
●小沢一郎氏が岸田首相の少子化対策月額500円弱負担≠批判 2/6
岸田文雄首相は6日の衆院予算委員会で、少子化対策の財源にあてる支援金制度に関し、国民1人あたりの負担額を月額500円弱になるとの見通しを明かした。
政府が2026年度から実施する支援金制度は、企業や個人が支払う公的医療保険に上乗せして国民から徴収する。
徴収額は同年度が約6000億円、27年度が8000億円、28年度は約1兆円と段階的に引き上げるという。
「(同年度の負担額は)粗い試算として、加入者1人あたり月平均500円弱と見込まれている。歳出改革と賃上げにより、(国民に)負担は生じない。子育て増税との指摘はあたらない」と岸田首相は説明した。
これを受けて立憲民主党の小沢一郎衆院議員は自身の事務所「X」を更新。TBS「NEWSDIG」の報道を引用して「巨額の裏金作りで実態として脱税していたことが明らかになった一方、国民には少子化対策の名の下に更なる国民負担を求める岸田政権。こんな非道が許されるだろうか。まだ、こんな自民党を支持しますか?」と投稿した。
●「金庫から大量の領収書発見」、謎の減額「担当者亡くなり詳細不明」…収支報告書訂正も解明遠く 2/6
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件を受け、派閥からキックバック(還流)を受けたパーティー収入などを政治資金収支報告書に記載していなかった98議員側のうち、6日夜までに半数超が収支報告書を訂正した。だが還流分の使い道をはじめ、収支報告書を見ただけでは訂正の経緯や意図が判然としないケースが多い。専門家からは「数字を直すだけでなく、詳細な内容説明が必要だ」との批判が出ている。
98人中67人が訂正
2022年までの3年間に派閥からの還流分などを不記載にしていたのは、安倍派議員91人、二階派議員7人の計98人。読売新聞は6日午後7時までに、安倍派63人、二階派7人全員が各地の選挙管理委員会などに訂正を届け出たことを確認した。。
23年に死去した安倍派の細田博之・前衆院議長が代表の資金管理団体は1日付で、20、22年分の収支報告書の訂正を届け出た。新たに細田氏に対する計292万円の支出を計上したが、その目的は「使途不明金」と手書きで記されているだけだ。細田氏の後援会関係者は取材に「会計責任者の連絡先がわからず、事務所内に報告書について、把握している人がいない」とのみ答えた。
18〜22年の5年間に計約2954万円の不記載があったと文書で公表した同派の三ツ林裕巳衆院議員の資金管理団体は、20年分の収支報告書で「前年からの繰越金」を約1327万円減らす訂正をした。本来は繰越金が増えるはずだが、なぜ減額となったかは収支報告書からは読み取れない。
三ツ林氏の事務所は取材に、「今回の問題を受けて調べたところ、19年末までに同僚議員側が開催したパーティー代や車のリース代などを支払っていた。事務所の金庫から大量の領収書が見つかった」とし、収入を大幅に上回る支出があったと説明。その上で、「(パーティー代などには)派閥からの還流分を充てていた可能性が高いが、担当者が昨年亡くなり、詳細はわからない」としている。
別名目で付け替え
還流分を派閥からの寄付として計上せず、別の名目に付け替えていた政治家側も相次いで訂正している。
派閥から98万円の還流を受けていた北村経夫参院議員の資金管理団体は、当初は同団体が主催する「勉強会参加費」として収入に計上していた。ところが今回の問題を受けて訂正し、派閥からの寄付と認める形になった。北村氏の事務所はこの会計処理について詳細な経緯を説明していない。
高鳥修一衆院議員の資金管理団体は20年の収支報告書で、高鳥氏からの寄付収入100万円を全額削除した上で、派閥からの寄付196万円を新たに加える訂正をした。高鳥氏の事務所は「現金で保管していた派閥からの還流分を、当時は議員本人の寄付として計上していた」と回答。一方で、支出も126万円増やしたが、全額が少額で費目を明らかにする必要のない「その他支出」だった。事務所は「経費や交通費に充てた」と答えた。
岩井奉信・日本大名誉教授(政治学)は、「政治資金収支報告書は国民が政治家を選ぶ重要な判断材料だが、政界では、政治とカネを巡る問題が起きても『収支報告書を訂正すれば済む』との認識が蔓延(まんえん)している」と指摘。「収支報告書の数字を直すだけでなく、還流分が何に使われたのか有権者への説明が尽くされなければ、政治の信頼回復にはつながらない」と批判している。
「第三者機関でチェックを」
自民党は今回の事態を受け、5日に還流などを受けた議員側の団体や金額などを記したリストを野党側に提示したほか、党所属議員から不記載の有無などについての事情聴取を進めており、結果は来週以降に取りまとめるとしている。
ただ、同党の姿勢について、谷口将紀・東大教授(政治学)は「5年間の不記載額や使途を明らかにしないなど、実態解明に向けた姿勢は消極的だと評価せざるを得ない」との見方を示し、「問題の再発を防ぐには、独立した第三者機関に収支報告書をチェックさせる仕組み作りが必要であり、国会での熟議が求められる」と話している。

 

●被害状況 石川県内 241人死亡確認 住宅被害5万7000棟超 2/7
石川県によりますと珠洲市で新たに1人の死亡が確認され、県内で死亡が確認された人の数は、7日午後2時の時点で241人となっています。
石川県 241人の死亡確認(7日)
市と町ごとにみますと、輪島市で103人、珠洲市で1人増えて102人、穴水町で20人、能登町で8人、七尾市で5人、志賀町で2人、羽咋市で1人となっています。
このうち、「災害関連死」の疑いは、珠洲市で6人、能登町で6人、輪島市で3人のあわせて15人となっています。
内閣府によりますと「災害関連死」は、地震の揺れや津波などによる直接的な被害で亡くなるのではなく、その後の避難生活などで病気が悪化したり体調を崩したりして命が失われるケースを言います。
また重軽傷者は、県内全体で1182人にのぼっています。
安否不明 11人(7日午後2時)
能登半島地震で、石川県は、安否が分かっていない人として、11人の氏名や年齢などを公表しています。
5日から変更はなく、県は広く情報の提供を求めています。
今回の地震で、県は被害を受けた地域にいたとみられる人の所在の確認を進めています。家族や親族などからの情報をもとに自治体を通じてまとめた、安否が分かっていない人、あわせて11人の名前、住所、性別、年齢を公表しています。
石川県の住宅被害 5万7000棟超に(7日午後2時)
7日午後2時の時点で、石川県内では、能登地方を中心に5万7119棟の住宅で被害が確認されました。
自治体別の内訳は、金沢市で全壊、半壊、一部破損があわせて4247棟、七尾市で全壊、半壊、一部破損があわせて1万2602棟、小松市で、全壊が1棟、半壊が43棟、一部破損が1690棟、輪島市で、全壊が1912棟、半壊が1220棟一部破損が2456棟、珠洲市で全壊が3298棟、半壊が1973棟、一部破損が2581棟となっています。
また、加賀市で全壊が7棟、半壊が23棟、一部破損が1257棟、羽咋市で全壊、半壊、一部破損があわせて2194棟、かほく市で全壊、半壊、一部破損があわせて1211棟、白山市で一部破損が228棟、能美市で全壊が1棟、半壊が9棟、一部破損が869棟、野々市市で一部破損が28棟、川北町で一部破損が12棟、津幡町で全壊、半壊、一部破損があわせて1413棟、内灘町で全壊、半壊、一部破損があわせて1456棟、志賀町で全壊、半壊、一部破損があわせて5101棟、床上浸水が6棟、床下浸水が5棟、宝達志水町で全壊、半壊、一部破損があわせて935棟、中能登町で全壊、半壊、一部破損があわせて2450棟、穴水町で全壊、半壊、一部破損があわせて2891棟、能登町で、全壊、半壊、一部破損があわせて5000棟となっています。
断水
石川県によりますと、7日午後2時の時点で7つの市と町のあわせておよそ3万7500戸で断水が続いているということです。
このうち、ほぼ全域で断水となっているのは輪島市のおよそ1万戸、珠洲市のおよそ4800戸です。
また、穴水町のおよそ1400戸、能登町ののおよそ5000戸、七尾市のおよそ1万3300戸、志賀町のおよそ2430戸、内灘町のおよそ570戸で断水しています。
県は6つの市と町の水道の復旧時期の見通しを明らかにしていて、このうち輪島市、穴水町、能登町では、いずれも2月末から3月末に仮復旧の見込みです。
珠洲市では、2月末から順次、仮復旧する予定で、遅い地域では、4月以降となる見込みです。
さらに七尾市では、七尾市街、和倉地区、能登島地区を中心に4月以降となる見込みで、そのほかの地域では、3月末までに仮復旧する見込みです。
志賀町では、おおむね2月末までに仮復旧し、一部で3月末となる見込みです。
県はこれらの6つの市と町ではおおむね被災した浄水場の機能回復を終えて水を流して漏水調査や修繕を行う作業に入っているとしていて1日も早い復旧を目指すことにしています。
停電
北陸電力送配電によりますと、石川県の能登地方では午前11時の時点でおよそ1700戸が停電しています。
自治体別では、輪島市でおよそ1100戸、珠洲市でおよそ530戸、能登町でおよそ50戸、穴水町でおよそ30戸、七尾市と志賀町でそれぞれおよそ10戸となっています。
北陸電力送配電などは、土砂崩れなどで立ち入りが困難な場所や、建物に甚大な被害を受けるなど早期の復旧が見通せない一部の地域を除いて、停電はおおむね解消しているとしています。
輪島市や珠洲市でもおよそ9割の世帯に電気が届いているということで、現在、停電しているエリアについても道路などのアクセスの改善に応じて復旧を進めるとしています。
●宅配会社が臨時営業 荷物多く…倉庫を増設 能登半島地震 2/7
能登半島地震の発生から、7日で38日目。臨時営業をはじめた宅配会社が人々の生活を支えています。一方、長引く避難生活の今後をどうするべきか、難しい選択に直面する人たちもいます。
輪島市から中継です。
輪島市の河井町は、大規模な火災があった観光名所の朝市通りがある町です。地震、火災発生から5週間以上たちますが、建物や車などは燃えたまま残されている状態です。
その「輪島朝市」から数十メートル離れた場所にあるのが、宅配会社の臨時営業所です。
地震の影響で宅配便の集荷や配達の停止が続いている中、駐車場だったこの場所に建物を建てて、先週から荷物の預かりや引き渡しなど一部の業務が始まりました。
また、7日は建物の奥に新たにテントが張られました。全国から届く多くの荷物に対応できるよう、倉庫を増設したということです。
営業所のスタッフの方も被災されている方がいるため、平日午後4時までの時短営業しかできないとのことですが、連日20人から30人の住民が訪れているといいます。
――宅配の再開を待ち望んで喜んでいた方もいましたが、ほかにはどんな声がありますか。
多かったのは、断水に困っているという声です。輪島市では現在もおよそ1万戸で断水が続き、洗濯ができない状態が続いています。
そのため、住民の方々は替えの衣服を送ってもらったり、水が使える地域に住む家族に洗濯物を送る人などもいるということです。
輪島市の断水の解消は、最大で3月末までかかる見通しで、しばらくはこの状態が続きそうです。
●小渕優子氏が裏金調査担当で「どういう感覚?」過去にドリル優子で炎上 2/7
ジャーナリストの浜田敬子氏が7日、「羽鳥慎一モーニングショー」で、自民党の裏金問題で、党所属議員の聞き取り調査担当が小渕優子選挙対策委員長であることに「違和感」「どういう感覚なんだろうなって思う」と首を傾げた。
この日は自民党が裏金問題で党所属議員へアンケート調査を行ったことを採り上げた。番組によると、このアンケート調査はわずか2問。聞き取り調査は小渕選対委員長らが担当する。
これに浜田氏は「自民党の議員による自民党の人の自己申告の調査が、いかに信用できないかっていうのは、統一教会の調査を見ても出てるわけですよね」と切り出し「きちんと外部の人が調査することが必要」だとした。
さらに、聞き取り調査担当が小渕氏であることに「すごく違和感をもちます」と言い、過去に政治資金不記載の問題があったことに触れ「この人が調査する側に回るかなっていうのは、この人選にはすごく疑問を持ちます」と訴えた。
これに政治評論家の田崎史郎氏は「そういう声はあがるでしょうね」と言い、小渕氏が指名されたのは「党幹部だから」と説明。浜田氏は「うーん」とうなり「私はかつて、こういうことがあったので辞退しますって…。どういう感覚なんだろうと思います」と、過去を踏まえても辞退しなかった小渕氏について首を傾げた。
コメンテーターの安部敏樹氏も「政治資金規正法違反で、ハードディスクをドリルで壊した人が聞き取りに来られても、聞かれた方もお前が言うなって誰もが思うレベル」と失笑していた。
小渕氏は14年10月に政治資金規正法違反があったことを週刊誌に報じられ、経産相大臣を1カ月半で辞任。家宅捜索前にPCのハードディスクがドリルで破壊されたと報じられ「ドリル優子」などとネットで揶揄されていた。
●「自民に裏金議員はいるの?」と岸田首相が問われて仰天回答 2/7
「(“裏金”の)定義によって“裏金議員”かどうか決まるということだと思います。だからこそ、裏金議員がいないとは申し上げませんが、これは裏金という言葉の定義が文脈によって変わりうるということから、より的確な言葉を使うことが重要だと申し上げています」
そんな禅問答のような答弁をしたのは、内閣総理大臣である岸田文雄首相(66)だ。2月6日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の山岸一生衆議院議員(42)の質問を受けてのことだった。
山岸議員は「総理は裏金という言葉を本当にお使いにならない」と指摘したうえで、こう続けた。
「自民党の政策集団の政治資金の不記載の問題と非常に長い言葉をおっしゃる。派閥の裏金。僕らが議論しているのは、この派閥の裏金問題ですよね?」
それに対し、岸田首相はこう反論する。
「裏金という言葉については、文脈・人によって意味・内容が異なりうる、こういった実情であるからして、私として平素から客観的にわかりやすい言葉を使っているということであります」
それに対し、山岸議員は広辞苑を引用したうえで、“裏金”に<公式の帳簿に記載しない、自由に使えるように不正に蓄えた金銭>という意味があることを指摘。しかし、岸田首相は、それでも“裏金”という言葉が多義的だと主張し、頑なに現在の問題が自民党の裏金問題であると認めようとしない。
ついに、山岸議員が「自民党には裏金議員はいないのか?」と問うと、冒頭のように答えたのだ。つまり、“裏金議員”がいるかどうかは、その言葉を使う人それぞれということ。
かつて、野党時代の自民党は“裏金”という言葉を使って、当時の民主党政権にあった金銭スキャンダルを追及していたのだが、野党議員としてその応酬を岸田首相はどんな思いで見守っていたのだろうか。
“派閥”を“政策集団”に、“裏金”を“政治資金の不記載の問題”に言い換える岸田首相。今度はどんな新しい言葉の「言い換え」を見せてくれるのか、目が離せない。
●裏金議員も「拍子抜け」と呆れる…自民党聞き取り調査は“和気あいあい” 2/7
「国民の信頼を取り戻していく一丁目一番地だ」
森山裕総務会長が6日の記者会見で、派閥パーティー裏金事件に関する党内調査についてこう言ったが、とても信頼など取り戻せそうにない。
全議員アンケート調査がA4判の紙ぺら1枚に、質問も政治資金収支報告書への記載漏れの有無とその金額を聞く2問だけだったことが批判を浴びているが、裏金関係議員らの調査も驚愕の“やってる感”だということがわかったからだ。
調査対象は政治資金収支報告書に不記載があった安倍派、二階派、岸田派の議員ら約90人で、森山によれば6日までに半数近くから聞き取りを終えたという。しかし、その調査はユルユル。
国対委員長には「野党に譲歩しすぎ」とブーイングが
対象となった安倍派議員のひとりがこう話す。
「拍子抜けでした。調査は都内のホテルで30分弱。和気あいあいとしたものでした。森山さんは、『一応、形式的にお聞きしなければなりませんから、すみませんね』という感じで、キックバックの金額と使途について聞かれましたが、この程度の調査なら、やる意味がないんじゃないかと思いました」
身内の党幹部による調査なんて“お手盛り”に決まっているが、調査される議員が呆れるほどだとは、酷すぎる。
自民党内では今、浜田国対委員長に対して「野党に譲歩しすぎだ」とブーイングが噴出しているという。「訂正議員リスト」の提出や全議員アンケートの実施をのんだうえ、裏金議員の政治倫理審査会への出席を検討するとしていることなどをヤリ玉に挙げているらしい。
結局、自民党は裏金づくりを悪いと思っていないのだろう。つける薬がない。
●萩生田氏“裏金”収支報告書訂正も…収入総額、支出総額「すべて不明」 2/7
「びっくりしましたね。調査にすらなってないです」
7日朝に放送されたテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」。番組では自民党の派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、同党が5日から始めた党所属の全国会議員を対象にしたアンケート調査について報道。感想を求められた前明石市長の泉房穂氏(60)が呆れた様子で漏らしたのが、この言葉だった。
泉氏は、そもそも政治資金収支報告書への不記載自体が「違法行為」と断じ、キックバックを受け取っていた議員らの収支報告書の訂正が相次いでいる事態について、「帳尻合わせ」と憤りをあらわにしていた。
この日、泉氏だけでなく他のコメンテーターからも驚きの声が上がったのが、「訂正」したとされる収支報告書の中身についてだった。いずれの報告書も「日付」「金額」などが「不明」だったからだ。
いい加減な「訂正」で国民の政治不信は強まるばかり
とりわけ酷いのが、最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)の「5人衆」の一人だった萩生田光一前政調会長(60)の収支報告書だ。
萩生田氏は2018年から22年までの5年間で、不記載の裏金額が計2728万円に上ったことを公表。会見では、事務所スタッフにカネの管理を任せ、「毎年の政治資金収支報告書の提出前に、おおむねの報告を聞く程度で詳細まで把握をしていなかった」と釈明していた。
その萩生田氏が代表を務める「自由民主党東京都第二十四選挙区支部」(22年分)の収支報告書を見ると、「収入総額」「前年からの繰越額」「支出総額」「翌年への繰越額」欄のすべて二重線が引かれており、いずれも「不明」となっている。
企業会計に例えるなら、「売上高」や「支出額」はもちろん、「前年度繰越金」も「当年度の利益剰余金」もすべて「不明」ということになる。
《これで「訂正」と言えるのか。東京都選管はこれでOKなのか》
《あり得ない。社会常識から外れ過ぎている。許したらまずいでしょ》
当然だろうが、番組放送直後から、SNS上ではこんな意見が飛び交った。
萩生田氏は会見で、「派閥を含む政治団体のガバナンス不全が露呈したものであり、結果、国民の政治不信を招いたこと、政治に携わる者として強く反省している」と陳謝していたが、いい加減な「訂正」で国民の政治不信は強まるばかりだ。
●自民党の裏金は「脱税」で起訴されるべき…元国税調査官が問題視 2/7
自民党の裏金問題では、これまで「政治資金収支報告書の不記載」が問題視されてきた。しかし、そもそもパーティー券収入は非課税でいいのだろうか。元国税調査官の大村大次郎さんは「世論の高まりがあれば、今後、税務調査が入り、政治家が脱税で起訴される可能性もある」という――。
「パーティー券収入のキックバック」に脱税の指摘
自民党の裏金問題が尾を引いている。
清和会(安倍派、2024年1月19日に解散決定)が派閥のノルマを超えたパーティー券販売収入をキックバックし、事実上の裏金としていたことが、東京地検特捜部の捜査によって明らかになった。
自民党の池田佳隆衆院議員が政治資金規正法違反の疑いで逮捕。ほか議員2人が在宅起訴、略式起訴されている。
今回の事件について、ネットなどでは「これは脱税にあたるのではないか」という指摘がなされている。
派閥の各議員にキックバックされたお金は、収支報告書に記載されておらず、「裏金化」しており、当然、税務申告もされていない。世間で「脱税ではないか」という疑念が生じるのは無理もない。
国税は政治家に対して「非常に弱腰」
が、キックバック議員たちが脱税で起訴されるかというと、残念ながらそのハードルは非常に高いと言わざるを得ない。
まず第1のハードルとして、政治家に対して税務当局(国税庁、東京地検特捜部など)は「非常に弱腰」ということがある。
国税庁は本来、相手が首相であろうとも、税務調査を行い、脱税を摘発する権利を持っている。
政治団体には税務署への申告義務はないが、政治家個人は税務署への申告義務がある。もし、その申告におかしな点があれば、国税は政治家を税務調査することもできるし、そこから政治団体の金に斬りこむこともできるはずなのだ。
しかし、国税は政治家に対して、まともに税務調査をしていないのである。
国会議員として力があるうちは動かない
国会議員でも、脱税で摘発された者はいる。しかし、それはかなり限られたケースだ。
政治家は入金や出金に不透明な部分が多く、ほとんどの人が多かれ少なかれたたけば埃が出るともいわれている。なのに、国税はよほどのことがない限り動かない。
たとえば、元自民党幹事長の加藤紘一氏に国税の調査が入ったことがある。ただそれは加藤氏が自民党に反旗を翻して失敗した「加藤の乱」の後のことだ。
加藤紘一氏は、以前から税金に関してグレーの部分があるとマスコミなどで言われていた。が、彼に勢いがある間、国税はまったく動こうとはしなかった。動いたのは「加藤の乱」の失敗で政治的な力を失って以降の話だ。
またかつての自民党のドン、故金丸氏もまた脱税を摘発されているが、それも佐川急便からの多額の裏献金事件が発覚した後のことである。故金丸氏は5億円もの裏献金を受けていたが、贈賄では立件できなかった。
政治献金には税金がかからない
しかし故金丸氏は5億円を受け取っており、「ワリシン」という金融商品を個人名で購入した、という事までわかっていた。
それが申告されていないのはおかしいという世論に動かされて、ようやく国税は摘発に踏み切ったのだ。
ただ故金丸氏が国会議員でいる間は動いていない。彼が世間の批判にさらされ、議員バッジをはずしてから、国税はやおら重い腰を上げたのである。
政治家への税金の制度自体、非常に緩いものとなっている。
まず政治献金には、事実上税金がかからない。
というのは、献金は政治家本人にされるのではなく、政治団体にされる建前になっており、その政治団体は、収益事業をしていない限り税金がかからない。
「収益事業ではなく政治活動」であれば税金がかからないのだ。
税務署の調査を受けることもない
政治団体は税務署への申告義務がないので、事実上、税務署が調査に入ることもない。政治団体が献金されたお金をどういうふうに使おうと税務当局からのチェックはないのだ。
ただ、政治資金の使い道については、政治資金規正法の制約がある。また会計報告書を国に提出する義務があり、その報告書は公表される。しかし一般企業のように、税務署の厳しい調査を受けることはない。
税務署の税務調査では、銀行口座や取引相手の調査などが行われ、不正な収入や支出がないか厳重にチェックされるが、政治家はチェックされないのだ。
政治団体は議員や職員などへの給与の源泉徴収を行っている。税務署は源泉徴収が適切に行われているかの調査もできるので、やろうと思えば政治団体への税務調査は可能だ。
宗教法人などに対して税務署が調査を行うことがある。だが政治団体には遠慮し、ほとんど調査を実施していないのである。
「パーティー券収入非課税」は無理がある
そもそも政治家のパーティー券収入が非課税となっていることも、税法から見れば大きな疑問だ。
現在のところ、政治資金パーティーのチケット販売収入は、普通の「パーティーの会費」にすぎないという解釈がされている。
しかし実態としては「パーティー」とは名ばかりであり、「資金集めが目的」ということは明白だ。
飲食の経費は少なく、主催者に莫大な収益が生じるものであり、「ただのパーティーの会費」という解釈は相当に無理がある。
本来「収益事業」には課税すべき
本来は政治団体であっても、「収益事業」を営んでいれば、法人税等が課せられる。
政治家のパーティーは事実上の収益事業であり、これに税金が課されないのは、本来はおかしい。
しかし税務当局は、これまで政治家のパーティー券収入を、申告漏れで指摘したことはない。世間一般の常識から見れば非常におかしな話である。
この点でも税務当局は、政治家に遠慮をしているのではないか。
裏金で飲み食いしても非課税
パーティー券収入の非課税の是非は置いておいても、今回判明した「キックバックされたお金」は完全に裏金化しており、帳簿には載せられていない。
つまりは、収入をごまかしていたわけであり、これについて税務当局はなぜ脱税で摘発しないのか、という疑問は当然生じる。
が、ここにも大きなハードルがある。政治活動費というものは非課税とされており、しかも非常に広い範囲で認められる傾向にある。
極端な話、裏金を飲み食いに使っていても、政治活動費として使ったと主張すれば課税されない可能性がある。
また何に使ったかわからない場合でも、政治家が「政治活動に使った」と言い張れば、それが通ってしまいかねない。
一般の企業などではあり得ないことだが、政治家の税金はそのくらい緩いのである。
また裏金を使わずプールしていた場合でも、政治団体名で預貯金などをしていたのであれば、「政治資金としてプールしていた」ということになり、政治家本人には課税されず、政治団体にも課税されないとなる可能性も高い。
個人名義で貯蓄していても、「これは政治団体が管理している金であり、政治家が個人で管理しているものではない」という言い逃れが認められる可能性もある。
政治家の税金はゆるゆる
とにかく、政治家の税金というのは、制度自体がゆるゆるな上に、税務当局の対応もゆるゆるで、脱税摘発のハードルは非常に高い。
しかし、これは、税務当局が政治家に非常に寛大な解釈をしているからそうなっているだけであって、本来は、帳簿に載っていない収入があり、それを政治家が使っていたり、貯蓄していたりすれば、脱税もしくは課税漏れの指摘がなされるのが当然のはずだ。
世論の盛り上がりが必要
この高いハードルを越える方法が一つだけある。それは「世論」だ。
税務当局は世論に非常に敏感である。国税局や税務署は、毎日のように納税者と対峙している。税務行政というのは、納税者の理解と協力がないと成り立たない業務である。
それゆえ国税は政治的なスキャンダルが起きると、国民の反発を受けやすい。
たとえば、税務署の調査官が税務調査に赴いたとき、今回のようなスキャンダルが起きていると、納税者が調査に快く協力してくれるとは限らない。
「なんでうちみたいな小さい事業者には弱い者イジメに来るのか? 政治家は何千万円も裏金を作っているんだから、なんでそっちに税務調査に行かないのか?」
という抗議も当然されるだろう。税務署の調査官としても、そう言われれば返す言葉がない。
また税務署の窓口まで団体で押しかけて抗議されたり、ちょっとしたことで納税者が大声を上げる、といったことも増える。そうなると、税務当局としては仕事がやりづらい。
そのため国税はある意味、「国民の顔色にもっとも敏感な官庁」でもある。自民党の最高実力者だった故金丸信氏を脱税で起訴したのも、世論の影響が大きかった。
われわれ国民としては、「どうせ脱税で起訴されることはない」とあきらめずに、さまざまな方法で、「裏金をつくっていたのに脱税で起訴されないのはおかしい」ということを訴えていくべきだ。
税務当局が国民世論を無視してこの問題を放置していれば、今度は税務当局がたたかれることになる。税務当局としてはそれだけは何としても避けたいはずなのだ。
●野党が橋本聖子氏らの裏金問題を批判 岸田首相「説明責任促したい」 2/7
岸田文雄首相は7日の衆院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件をめぐり、安倍派(清和政策研究会、解散が決定)に所属していた元五輪選手の橋本聖子元五輪相(59)と堀井学衆院議員(51)がそれぞれ2000万円超のキックバックを受けていたことをめぐり、2人に説明責任を果たすよう促す考えを示した。
日本スポーツ協会理事などの経験がある立憲民主党の坂本祐之輔議員の質問に答えた。
坂本氏は「メジャーリーグ大谷翔平選手をはじめ、トップのスポーツ選手が素晴らしい活躍をして、日本国民に元気を与え子どもたちに夢や希望を与えている」とした上で「今回の自民党の裏金問題で、オリンピアンでもある橋本聖子参院議員、堀井学衆院議員が裏金を得ていたといわれることは非常に残念で、憤りを覚える」と批判した。「堀井氏は2196万円、橋本議員は2057万円で、ともに自民党の『裏金トップテン』に入れるような状況」と、2人が受けたキックバック額の多さに言及。「国民に夢や希望を与える立場のオリンピアンの国会議員が裏金にまみれている。オリンピアンの名を汚すことにもなり、大変遺憾なことだ」と繰り返した。
2人の問題についての受け止めを問われた岸田首相は「オリンピック選手として見せてくれた夢や希望はけして色あせることはないが、政治資金は法令に基づいて適切に扱われるべきは当然。元オリンピック選手であるか否かにかかわらず、収支報告書の訂正に至ったことは真摯(しんし)に反省し、適切に説明責任を果たさないとならない」と述べた。
「オリンピアンらしく正々堂々と事実を説明すべきで、自民党総裁として事実をしっかり説明するよう指示してもらいたい」と、さらに求められた岸田首相は「2人の活躍で夢や希望を与えられた国民の皆さんが大勢いると考えると、あらためて2人には説明責任をしっかり果たしてもらうよう、党として促していきたい。説明責任を果たす重要性を、しっかり2人にもかみしめてもらいたい」と答弁した。
橋本氏はスピードスケートと自転車で計7回五輪に出場し、1992年アルベールビル大会スピードスケート女子1500メートルで銅メダルを獲得。今月1日、報道陣の取材に「自分自身の責任の取り方を考えていかなければならない」と述べた。一方、堀井氏は1994年リレハンメル大会スピードスケート男子500メートルで銅メダルを獲得。先月末に地元で記者会見を開いている。
●単なる失言ではない?麻生氏“おばさん発言”の真意 「岸田総理への牽制」 2/7
自民党の麻生太郎副総裁による“ある発言”がまたも物議を醸している。
麻生氏が上川陽子外務大臣の名字を「カミムラ」と間違えた上に、「このおばさん、やるね。少なくともそんなに美しい方とは言わんけれども……」などと発言し、失言だと話題になっている。岸田文雄総理は「年齢や容姿を揶揄(やゆ)し、相手を不快にさせるような発言をすることを慎むべき」として、麻生氏も珍しく文書で謝罪し、発言を撤回した。しかし麻生氏といえば、これまでにも不適切発言を繰り返している。
その内容は、1983年「婦人(女性)に参政権を与えたのが最大の失敗だった」、2003年「豊かな時代だねぇ。ホームレスも糖尿病という時代ですから」、2007年「7万8000円と1万6000円は、どっちが高いか。アルツハイマーの人でもわかりますわな」、2011年「日本ほど安全で治安のいい国はない。ブサイクな人でも美人でも、夜中に平気で歩けるのだから」というものだ。
ただ、今回の「おばさん発言」は、同じ調子で行われたわけではないようだ。ジャーナリストの青山和弘氏は「単なる失言ではない。いわば『確信犯』。岸田総理への宣戦布告となる言葉だ」と指摘。発言の裏には「裏切り者は許さない」という信念と、キングメーカーであり続けるための戦略があると語る。
そもそも岸田氏が総理に就任できたのは、麻生氏のおかげであり、「岸田総理にとって麻生氏は、感謝してもしきれない恩人中の恩人」だと青山氏は説明する。しかし、相次ぐ「裏金問題」で内閣支持率が急落するなか、岸田総理が国民の支持を取り戻す切り札として、「派閥解消」を検討したことが転機となった。
岸田総理は、みずからをトップに政治刷新本部を設置し、最高顧問に派閥存続派の麻生氏と、派閥解消派の菅義偉前総理を据えた。そんな中、青山氏によれば、茂木派のある有力議員が岸田総理に「この際、全ての派閥は解消しましょう」と提案。この提案で岸田総理は派閥解散に大きく傾いたと青山氏は見る。そして、他の派閥にさきがけて岸田派の解散を決断。しかし、事前の根回しをしていなかったことが、麻生氏の反発を招いた。青山氏の取材によると、その後の会談で、麻生氏は岸田総理に対して、「麻生派はそのままやらせてもらう。お前は派閥を解散して、次の総裁選に出られると思ってるのか」と発言。岸田総理は「出られますよ。派閥がなくても人間関係がある」と返答したという。
「麻生の逆襲」を起こす上で、ポスト岸田を誰にするのか。麻生派の河野太郎氏は「党内での人気がない」、茂木敏充幹事長は茂木派の小渕優子氏や青木一彦氏の離反で求心力を失っている。とはいえ、国民から人気の石破茂氏(無派閥)も、麻生氏が断固として推薦しない。そこで目をつけたのが、総理になれば「女性初」となる上川氏だ。上川氏は、法務大臣時代に「AV新法」を成立させるなどの手腕を発揮し、外務大臣になってからはウクライナを訪問。派手ではないが、実直な政治家として知られている。そして、上川氏は岸田派。麻生氏が上川氏を推すことは、岸田派を分断する戦略だと考えられる。
「もし上川さんが立てば岸田派は割れる。 “人間関係”を引き裂く狙いもある。そもそも上川氏を外務大臣に推したのは麻生氏。『日本初の女性総理に!』と売り出せば、裏金のダークなイメージも払拭できる。キングメーカー麻生氏の『逆襲の一手』だ」(青山和弘氏)
この流れを上川氏も認識していたと、青山氏は見ている。外遊から帰国するたび、上川氏は岸田総理に加えて、必ず麻生氏にも報告。また、今回の麻生発言が「セクハラ」「ルッキズムだ」と批判されるなか、上川氏本人は「どのような声もありがたく受け止めております」と受け流している。これに青山氏は「上川氏も、麻生氏が自分を総理に押し上げてくれるキングメーカーだとわかっている」と推測。麻生氏の一連の発言は「お前が言うこと聞かないなら上川を立てるぞ」という、岸田総理への牽制だと指摘した。
麻生氏の発言では、上川氏の外交手腕を評価して「新しいスター、新しい人が、そこそこ育ちつつある」と述べられていた。青山氏は「つまりポスト岸田になれる人が、別にいると言いたかった」。上川氏からしてみても、岸田派ナンバー2である林芳正官房長官を差し置いて、総理大臣になることが難しいなか、「喜んでいると思う」と見方を示した。
「自民党の支持率が下がっている。『女性初』で生まれ変わったと、刷新感を出したい時に、上川さんの可能性は出てくる。目先を変えて『疑似政権交代』は、いままで自民党がやってきた手。それには適任な人のひとり」(青山和弘氏)
●政府、ロシアに抗議 2/7
林芳正官房長官は7日の記者会見で、ロシア政府が日本の北方領土返還要求運動に関係する団体を「好ましからざる団体」に新たに指定したことを受け、「極めて一方的で受け入れられない」として外交ルートでロシア側に抗議し、撤回を申し入れたと明らかにした。
林氏は「本件が北方領土返還要求運動に関わる方々の活動に悪影響を及ぼすことがあってはならない。政府として引き続き適切に対応する」と強調した。
●河野太郎デジタル相が「ポスト岸田」完全脱落…発信力&突破力とも不発 2/7
あの目立ちたがり屋が、なぜかおとなしい。河野太郎デジタル相のことだ。裏金事件に端を発する自民党4派閥の解散。ここぞとばかりに、改革派気取りで「政治資金パーティ-禁止」や「派閥解消」の旗を振りかざしそうなものだが、所属する麻生派の存続に固執する麻生副総裁に気を使ってか、何の発信もない。おかげで存在感ゼロだ。
3、4日に行われたJNNの世論調査が政界で話題だ。内閣支持率が23.7%と過去最低を更新したことはもとより、「次の総理」の上位常連だった河野氏がトップ3から脱落したことが注目されている。
1位は石破茂氏(18.4%)、2位は小泉進次郎氏(14.3%)、そして3位には上川陽子氏(9.5%)が初めて浮上。これまで小泉氏、石破氏とトップ3を独占して「小石河連合」と呼ばれてきた河野(8.1%)は4位に沈んだ。岸田首相は2.9%で7位だった。
麻生発言も影響?
「麻生さんが上川大臣を『おばさん』『そんなに美しい方とは言わん』などと評したルッキズム丸出し発言が批判され、繰り返し報じられたことが、皮肉にも彼女の知名度アップに貢献したんじゃないか。河野が総裁候補にまつり上げられてきたのは国民人気があってこそ。傲慢な態度を快く思っていない政界関係者は少なくない。世論の支持を失い、一気に“ポスト岸田”から脱落ですよ」(自民党閣僚経験者)
「小石河」から「小石上」に
国民の不安を無視して、河野氏がゴリ押ししたマイナンバーカードと健康保険証の一体化も、国民に不評でミソをつけた。
「マイナ保険証」の利用率は、昨年4月の6.3%をピークに下がり続け、昨年12月は4.29%まで落ち込んでいる。朝日新聞(4日付)によると、国家公務員に限っても昨年11月分の利用率は4.36%と低迷。最も低い防衛省は2.50%で、マイナ保険証を所管する厚労省でも4.88%に過ぎない。
能登半島地震の際に河野が「避難する際はマイナカードも一緒に」と訴えたことも、SNSを中心に<被災地の実情を分かっていない><停電していたら使えない>と批判の嵐だった。
売りだったはずの「発信力」も「突破力」も不発で、いよいよメッキが剥げたか。“ポスト岸田”は「小石河」から「小石上」にシフトしつつある。
●国会の裏金答弁 目に余る首相の消極さ 2/7
今国会の焦点である政治改革を巡り、岸田文雄首相の腰の引けた答弁が目に余る。
岸田氏は派閥の裏金事件への批判の高まりに、政治資金規正法改正を「今国会で実現する」とはしたものの、罰則強化や透明性の確保といった具体的な論点には触れない。政治資金収支報告書に記載されていない裏金の課税にも消極的な言葉を繰り返すばかりである。
自民党は資金収支報告書で不記載があった議員名と訂正額の一覧を野党側に示したが、安倍、二階両派のみ対象で、過去3年分にとどまる不十分なものだ。
裏金はいつから、どのように作られ、何に使ってきたのか。これらを明らかにすることが、政治改革の具体論の入り口になるはずだが、「火の玉に」「先頭に立つ」としてきた岸田氏の指導力は、まったく感じられない。
法改正の論点にあがる連座制による厳罰化や企業・団体献金の禁止、政策活動費を含む透明化向上などについても「党の意見をまとめた上で各党と協議する」とするだけで、本気度が疑われる。
二階俊博元幹事長が政策活動費として受け取ったとされる約50億円について、野党から使途公開を求められると「確認するまでもなく、適切に使用されている」と調査すら拒んだ。危機感の欠如が甚だしい。
野党は組織ぐるみの裏金づくりの解明へ、安倍派幹部らが出席する国会の政治倫理審査会の開催を求めているが、岸田氏は対応を明言しなかった。
裏金を受けた自民党議員は秘書への責任転嫁や「事務的なミス」との説明を繰り返している。
党幹部が安倍派や二階派などの議員に事情聴取を行っているが、身内の調査が真相に迫れるかは心もとない。
党として派閥資金パーティー収入に関するアンケートを所属の全国会議員を対象に始めたが、記載漏れの有無と年次の金額を自主申告させるのみで、これも批判をかわす茶番にしか見えない。
共同通信の世論調査(3、4日)では、内閣支持率は昨年11月から4回続けて20%台と最低水準にある。
裏金を受け取った議員が「説明する必要がある」との回答は8割超となった。会計責任者だけでなく関係議員が連帯責任を負う連座制強化も8割近くが求めている。
口先だけでは信頼回復はおぼつかない。岸田首相はそう肝に銘じて問題に向き合うべきだ。
●旧統一教会問題が再燃 裏金・少子化も野党攻勢―ほころび目立つ答弁 2/7
岸田内閣の閣僚に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題が6日、再燃した。衆院予算委員会で、新たな攻撃材料を手にした野党は攻勢を強め、自民党派閥の裏金事件や政権の看板政策「異次元の少子化対策」でも追及。防戦を強いられる岸田文雄首相の答弁にはほころびが目立ち始めた。
「これはとんでもないことだ」。立憲民主党の長妻昭政調会長は、盛山正仁文部科学相が2021年の衆院選に際して旧統一教会の関連団体から推薦状を受け取っていたとの報道を取り上げ、こう批判した。盛山氏はこれまで、関連団体の行事に1度出席しただけと説明していたためだ。
関連団体の推薦状を手にする写真も報じられた盛山氏は「写真があるなら受け取ったのではないか」「記憶があれば(自民党に)報告していた」などと歯切れの悪い答弁に終始した。
首相は、教団との関係を断つとした自民方針を「閣僚に対していま一度確認する」として、追及をかわそうとした。しかし、立民の山岸一生氏は閣僚と教団の接点を再点検し、7日の予算委で報告するよう繰り返し要求。立民幹部は「他の閣僚でも出てくる可能性がある」とにらむ。
岸田政権としては、旧統一教会の解散命令請求を行い、被害者救済法を成立させて区切りを付けたはずだった。ある自民党中堅は「新たな問題が出たら説明するしかない」と危機感を示す。
野党は裏金事件の追及を続行。長妻氏は、派閥を「政策集団」として存続する意向の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長に照準を合わせ、派閥離脱を促すよう首相に迫った。
首相は党政治刷新本部の中間取りまとめに触れ、「カネと人事を切り離し、派閥を解消すれば、派閥離脱は事実上達成できている」と強調したが、立民の岡田克也幹事長は「へ理屈だ」と切り捨てた。
首相の苦しい答弁は「異次元の少子化対策」でもうかがえた。財源に充てる支援金制度に関し、国民1人当たりの負担額は平均で月500円弱との見通しを示す一方、「歳出改革と賃上げで、実質的な負担は生じない」と答弁し、理解を求めた。
しかし、自民党内からでさえ、「支援金を負担増でないというのは強弁だ。派閥も中間取りまとめをもってなくなったと言うのは無理がある」(ベテラン)との声が漏れている。
●岸田首相の震災対応「10点未満」が約4割 新年会参加に「冷淡でぞっとした」 2/7
能登半島地震の発生から早くも1カ月が過ぎたが、現在も住民の1万人以上が避難生活を続けている。当初、SNSでは「初動が遅い」「後手に回っている」などと批判が起きていたが、現在、国会でも、政府の当初の対応について同様の指摘がされている。岸田文雄首相は「迅速に取り組んだ」と答弁しているが、国民の感覚としてはどうだったのだろうか。AERAdot.では緊急にアンケートを実施し、岸田首相の対応などについて尋ねた。

アンケートの募集期間は1月17日から22日で、1204件の回答を集めた。回答者の内訳は、女性が35%、男性が55%、答えたくない・無回答などが10%だった。
質問は「岸田首相の自衛隊派遣のタイミングについて、どう感じたか」「岸田首相が被災地を訪れたのは1日14日だったが、このタイミングについてどう思うか」「岸田首相の震災対応について点数をつけるとしたら何点か(最高は100)」など。
岸田首相の自衛隊派遣のタイミングについては、「遅かった」が74%と最多だった。「早かった」は9%、「早くも遅くもなかった」が17%だった。岸田首相と回答者の認識には大きな差があった。
「遅かった」と回答した人たちに「なぜ遅いと感じたのか」を記述で回答してもらったところ、
「初動の段階(震災から3日間)で自衛隊を大量投入していればもっと多くの命を救えたはず。今回の地震は対応が遅いと意味で人災の側面もあると思う」(50代、男性、北海道)
「毛布、防災トイレ、水などはすぐに必要な物資とわかっているわけだから、大型ヘリでどんどん上から落とせばいいのに、何をのらりくらりしていたのか? 外国からの援助も止めていたが、すぐにやってもらえばいいと思う」(50代、女性、東京都)
「予算も自衛隊も様子見しながらの逐次投入! この遅れがなければ助けられた命があったはず」(70代以上、男性、埼玉県)
などの回答があった。自衛隊の派遣、救援物資の輸送、予算手当まで多くの点で岸田首相の対応が後手に回ったという印象を受けたようだ。
岸田首相の姿勢や意識の問題を指摘する声も多数あった。
「東日本大震災は手探りながらも政府や知事が本気で災害に立ち向かっていると感じられたし、ベストを尽くしたのではないかと。今回は、岸田政権や馳知事からそういうものは全く感じられない。岸田首相は新年会に出席している間、生き埋めになられている被災者のこととか頭に浮かばなかったのだろうか」(50代、男性、東京都)
「救命に必須な、発災から1月3日あたりまでの首相の動きがとても鈍かった。新年会に出たりインタビューで改憲のことを言ったり、気持ちが被災地に向いていないように感じた。何としても人々を救うという決意も方策も乏しかった」(60代、女性、滋賀県)
「裏金のことがあって災害のことにまで頭が回らない。自分のことでいっぱいいっぱいだったのではないでしょうか」(60代、女性、富山県)
「早くも遅くもなかった」と回答した人からは、
「自衛隊の初動については大きな遅延がないのに、人的な投入量が圧倒的に不足していた。死者が増えたのは人災の面も否めない」(50代、埼玉県)
「これだけの大きな災害なので誰がやっていても同じ。遅い、早いはつけられない」(70代以上、福井県、女性)
「自衛隊員の投入状況を熊本地震と比較し、少なくて遅いと批判することが見受けられるが、地理的条件や、自衛隊の配備状況など勘案して発言するべきである」(60代、男性、長野県)
などの記述があった。
「早かった」と回答した人からは、「自衛隊の派遣は、石川県の馳知事が1月1日に首相官邸で要請を行い、その後首相が速やかに受理したものと理解しているので〈早かった〉と考えている」といった声があった。
岸田首相が被災地を訪れたのは発災から約2週間たった1月14日だった。このタイミングについては、「早かった」は2%、「適切だった」は17%にとどまった。「遅かった」は68%だった。「その他」(記述回答)では「遅すぎた」などの回答もあり、これらの回答をあわせると71%もの人が「遅かった」と回答していた。
「遅かった」と回答した人たちの記述回答を見ると、「総理は国の長として責任があるため、早々に現地入りすべきであった。ヘリを使って行くべきであった」(30代、女性、茨城県)
「震度7がどの程度のものかという政治家の想像力が決定的に欠けている。地震の翌朝には首相自ら、または無理であれば知事をヘリコプターで派遣すべき。まず状況を把握しなければ対策は打てない」(60代、男性、東京都)
などとトップ自らが迅速に現場の状況を把握する重要性を指摘する声が多数あった。
岸田首相が被災者の救助や救命、支援が急がれるタイミングで、新年会に出席したり、テレビ出演していたりしたことに対し、不信感を持った人も多かったようだ。
「首相は現地入りする代わりに経団連の新年会に出るとは。東京でさえ揺れを感じたのに、責任ある立場にいて、心ある人間なら居ても立っても居られないのかと思ったが、あまりに冷淡でぞっとした」(50代、東京都)
「国のトップは甚大な災害の状況を一刻も早く把握し、対策をする必要がある。そのための首相。なのに、岸田首相は被災地に視察にもいかず、新年会をハシゴし、テレビ出演してニコニコと自民党総裁選への抱負を語っていた。その間に倒壊した家屋の下で救助を待つ人がどんどん死んでいった」(50代、男性、富山県)
他方で「適切だった」と答えた人からは、
「岸田さんにはもっとはっきりとした言葉で話をして欲しい。例えば、現地入りが遅いと言われたことに対しても、『混乱を招きかねないため、もう少し事態が把握できてから現地入りする』など」(30代、男性、沖縄)
「東日本大震災の杜撰な対応の二の舞にだけはならないよう気を付けていると感じる」(20代以下、男性、東京都)といった声があった。
岸田政権の今回の震災対応を100点満点で評価すると何点か。
結果は10点未満の点数をつけた人の割合が38%で最多となった。10点以上30点未満の人が19%、30点以上50点未満が15%だった。50点未満の点数をつけた人が7割強に及んでいる。
評価の高いほうをみると、50点以上70点未満が15%、70点以上90点未満が8%、90点以上が5%となっている。
石川県に住む人たちからも厳しい声があった。
10点と回答した60代の女性は「被災者の命や生活に関心がない、ひどい政権だ」、0点と回答した70代以上の男性は「痛みを同じレベルで考えていない」と回答していた。
国会での岸田首相の答弁に改めて注目したい。
●岸田総理が「子ども・子育て支援金」の見通しを発表。その額は「月500円弱」 2/7
2月7日(水)の「おはよう寺ちゃん」では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、子供・子育て支援金が1人あたり月500円弱になるというニュースについて意見を交わした。
森永氏「会社員は実質的には例外なく徴収されるので、これは事実上の『増税』ですよ!」
少子化対策の財源の1つとして医療保険料とあわせて徴収する「子ども・子育て支援金」をめぐって岸田総理はきのうの衆院予算委員会で「粗い試算で拠出額は加入者1人あたり月平均500円弱になる」と述べた。政府が試算額に言及するのは初めて。
初年度の2026年度におよそ6000億円、その後、段階的に規模を引き上げ、28年度におよそ1兆円を集める。
寺島尚正アナ「岸田総理は2028年度時点の見通しを示しました。実際の負担額は加入する医療保険や所得によって変わってくるといいますが、この『月500円』、森永さんどう受け止めますか?」
森永康平「『500円』って聞くと、『まあ、大したことない』って思っちゃう方もいるかも知れないですよね、1ヵ月でワンコインですから。ただ、言っても負担増なわけですよ、どう考えたって。当たり前ですけど会社員とかやってればですね、普通にこの支援金っていうのは、給料から天引きされる医療保険料に上乗せされる形になりますから、これって労働者からすると『いや、僕払いません』とかって話にはならないので、『増税』なんですよね!会計的な話とか、法律的な話とか、そういうことで増税ではないと言うのかも知れないし、名目も『支援金』という形になってますけども、実質的には断る理由が無い中で天引きされちゃうんだから多分『増税』じゃないかと。で、そもそも岸田政権は、昨年の6月に閣議決定した『こども未来戦略方針』という文書の中で、『若い人たちの経済力が低下してしまっているから少子化が進んでいるんだ』という完璧な分析をしてるわけですよ」
寺島「正しい分析を!」
森永「はい。その中では『実質的な消費増税をはじめとする負担増は避ける』と。『場合によっては子供の特例国債を発行する』みたいなことを文書の中に書いてるにも関わらず、結局出てきたのは、『支援金』という名前を借りた事実上の増税であり、負担増だし。しかも粗い計算をしているということを前置きはしてますけども、『500円弱っていうのはホントかよ!?』って思っていて、これ人々が加入している保険の協会ですよね、これって人によって全然違うわけですよ。大企業が中心になってる健康保険組合連合会もそうだし、うちみたいな小っちゃい会社っていうのは基本的に協会健保だったりとか、どこの協会に加入しているか、その人が何歳なのかとか、諸々で金額も変わってくるわけで。500円というのは安い方向で、むしろ安いところを見せてる気がしますし、何かちょっとやるべきこととやっていることが全く逆だなと思いますね」
寺島「取るんですもんね」
森永「そうなんですよ。若い人の経済力を上げなきゃいけないと自分で言っときながら、『じゃあ、負担を増やします』って(笑)。『だ、大丈夫?』って。なので毎回僕言ってるんですけど、『異次元の少子化対策』ってのは、そういうことなんだなっていう」
寺島「普通に考えたら『え、それ逆のことやってませんか!?』っていう風にも捉えられますしねえ」
森永「うーん、まあ結局ですねえ、これは何かをするためには、どっかから財源を集めなきゃいけないっていう、いわゆる財政均衡主義の発想がこびりついていることの証ですよね。
そうじゃないと、理解してあげられない。だってやるべきことがわかってるのに、やるって打ち出したことの逆をいくわけですから。本当におかしいか、あとはその、おかしいことをやってしまうぐらい、財政均衡主義が染みついちゃってるか、この二択ですよね」
寺島「だって『若者の経済力を高めたいんです。でも、ちょっとちょうだい!』みたいな感じで、意味がわからないですよね(笑)」
●岸田首相、盛山文部科学相の更迭を否定 「推薦書、よく読まずにサイン」 2/7
岸田文雄首相は7日午前の衆院予算委員会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側との新たな接点が発覚した盛山正仁文部科学相について「旧統一教会との過去の関係にかかわらず、現在は関係を一切有していないことを前提に任命を行っている」と述べ、改めて更迭を否定した。
令和3年の衆院選の際、旧統一教会関連団体の推薦確認書に署名したとする一部報道について、盛山氏は「報道された写真を見て、こういうことがあったのかなとうすうす思い出してきた」と述べた。署名については「実質的に選挙戦に入っており、一つの会場からまた次の会場へ行っていたような時期だ。十分に内容を読むことなくサインをしたのかもしれない」と説明した。
首相は、他の閣僚に旧統一教会側からの推薦や支援を受けたかを確認したところ、「該当するものはなかった」と述べた。立憲民主党の西村智奈美代表代行への答弁。
●盛山文科相“今は関係断っている” 立民は説明や更迭求める 2/7
旧統一教会の関連団体から選挙の支援を受けていたと報じられた盛山文部科学大臣は6日、今は関係を断っているとして、引き続き解散命令請求の対応などにあたる考えを示しました。これに対し立憲民主党は、7日も国会で説明や更迭を求めることにしています。
盛山文部科学大臣は、前回・2021年の衆議院選挙の際、旧統一教会の関連団体から推薦状を受け取り、支援を受けていたと報じられ、6日の衆議院予算委員会で「選挙支援を依頼した事実はなく、事務所に活動報告があったことも確認できなかった」と説明しました。
その上で、旧統一教会との関係は今は断っているとして、引き続き解散命令請求の対応などにあたる考えを示しました。
また岸田総理大臣も「引き続き職責を果たしてもらいたい」と述べました。
政府・自民党は、新年度予算案の審議に影響が出るのは避けたい考えで、盛山大臣に説明責任を果たすよう促すことにしています。
これに対し、立憲民主党の泉代表は岸田政権について「機能不全に陥っており、不祥事続きで政権を担う人材がほぼ枯渇状態にある」と批判しました。
立憲民主党は、7日も衆議院予算委員会で旧統一教会との関係性の説明や盛山大臣の更迭を求めることにしています。
盛山文科相“推薦確認書 サインしたかもしれない 軽率だった”
盛山文部科学大臣は、教団側との事実上の政策協定にあたる「推薦確認書」に署名していたと朝日新聞に報じられました。7日の衆議院予算委員会で盛山大臣は、推薦状を受け取ったかどうかについて「報道があるまでは正直覚えていなかった。しかし、写真を見てこういうことはあったのかなとうすうす思い出した」と述べました。
また、「推薦確認書」への署名については「地元の有権者から『集会に来てくれ』と言われて行った。集会の最後に急に『サインしてくれ』と言われたのかもしれない。十分に内容をよく読むことなくサインしたのかもしれない。軽率だった」と述べました。
そして、7日の委員会で立憲民主党の議員が盛山大臣の更迭を求めたの対し、岸田総理大臣は「過去の関係にかかわらず、現在は当該団体との関係を一切有していないことを前提として任命している」と述べ、重ねて更迭を拒否しました。
一方、岸田総理大臣は「各閣僚に対し、旧統一教会および関係団体から選挙における推薦、寄付その他何らかの支援を受けた事実について新たに発覚したものがないか確認したところ、該当するものはなかった。林官房長官が先日、週刊誌の取材を受けて改めて確認したところ、旧統一教会の関係者と面会したことがあるとは聞いている」と述べました。
林官房長官「説明責任を果たしつつ 文科相の職責を」
林官房長官は、7日午前の記者会見で「旧統一教会との関係で新たな事実が判明した場合は、それぞれの政治家が必要に応じて説明責任を果たしていくべきで、盛山大臣自身が引き続き必要に応じて適切に対応すると考えている」と述べました。
そのうえで「盛山大臣は旧統一教会との関係を断っていると承知している。私としても、説明責任を果たしてもらいつつ、引き続き文部科学大臣の職責を果たしてほしいと考えている」と述べました。
●林官房長官も「旧統一教会」とズブズブだった 「決定的証拠写真」 2/7
「選挙活動の支援を受けたことはない」
盛山正仁(まさひと)文科相(70)が旧統一教会関連団体から選挙支援を受けていたとする記事を、朝日新聞が2月6日付の紙面に掲載し、岸田政権は新たな火種を抱えることになった。だが、「問題閣僚」は盛山氏だけではない。岸田文雄首相の側近中の側近で、政権ナンバー2の座にある林芳正(よしまさ)官房長官(63)。今回、「週刊新潮」は林氏と教団関連団体のメンバーが一緒に写った「必勝写真」を入手した。
「週刊新潮」が入手した一枚の写真――。林氏がスーツ姿の男性から「祈 必勝」という熨斗(のし)がついた千羽鶴を受け取っており、その左右に3人の男女が並んでいる光景が写されている。撮影されたのは衆院選を翌月に控えていた2021年9月6日、場所は地元の山口県にある林芳正事務所だ。
よくある「政治家と支援者の記念写真」だが、実はこれはわれわれ国民にとって非常に重い意味を持っている。首相を支える存在であり、政府のスポークスマンでもある林氏が国民に対して「うそ」をついていたことを示す、動かぬ証拠だからだ。
22年7月8日に安倍晋三元首相が銃撃された事件以来、自民党と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の蜜月関係を追及する動きが盛り上がったことは今さら言うまでもないだろう。多くの自民党議員が役職の辞任などに追い込まれ、厳しい追及の矛先は当然、当時、外務大臣を務めていた林氏らにも向けられた。
これまで林氏は、旧統一教会の教祖・文鮮明氏の提唱によって1975年に創刊された日刊紙「世界日報」の取材を、教団系とは知らずに受けたことは認めているものの、「今回点検を行った限り、御指摘の団体から、献金や選挙活動の支援を受けたことはない、ということでございます」と説明していた。
“応援します”
林氏に「必勝」と掲げられた千羽鶴を手渡したスーツ姿の男性を仮にA氏と呼ぶ。その隣にいる男女はそれぞれB氏、C氏とする。実はこの3人は旧統一教会の信者である。それだけではない。A氏は教団関連団体「世界平和連合」の事務総長(肩書きは当時、以下同)で、銃撃される原因となる「ビデオメッセージ」を安倍元首相が送った教団関連団体UPF(天宙平和連合)の幹部。B氏とC氏も世界平和連合山口県連合会の本部長と事務局長である。
林事務所関係者が面会時の様子を明かす。
「会談は1時間弱行われて、林氏とA氏が主に話をしていました。お互い東大出身ということで、学生時代の思い出話から始まって最近の国際情勢や憲法改正、さらには彼らが推進している日韓トンネルなど幅広いテーマを論じていました。A氏らから中国や韓国との関係についての見解を問われて、林氏が“知恵深く付き合っていかなければいけない”“韓国の国会議員とも付き合いは深い。韓国との友好関係を推進する立場だ”という趣旨を回答。最後にA氏らは“応援します”との意向を林氏に伝えました」
「林氏の元秘書がセッティング」
さて、ここで大事なポイントは、林氏は意見交換をして「応援します」と言ってきたA氏らについて、教団関連団体の人間だと把握していたかということだ。自民党山口県連関係者は「わからないわけがない」と断言する。
「当たり前ですが、A氏らは意見交換の前に、UPFや世界平和連合の設立経緯や理念、活動目的を伝えています。当然、韓鶴子総裁の名前も出しているはずです。さらに言えば、この面会をセッティングした林氏の元秘書が、宇部市内の教会にまで来ているわけですから、林氏が知らないはずがないでしょう」
その元秘書とは、問題の写真にも納まっている篠崎圭二・宇部市長だ。「毎日新聞」(22年9月2日付山口版)によれば、林氏の応援もあって20年11月22日の宇部市長選で初当選をした篠崎市長は、この選挙の前後に旧統一教会の施設で信者が50人ほど参加した集会に出席している。それから1年も経過していないタイミングで、篠崎市長が自分の「親分」である林氏に面会相手の素性を伝えないことなどあり得ないであろう。
林芳正事務所に見解を尋ねると、「御質問(「週刊新潮」の取材)を受けて改めて確認したところ、御指摘の団体関係者と面会したものと思われますが、当該団体から献金や選挙活動の支援を受けたことはありません」とだけ回答。教団関連団体であることを認識していたかについては、再度尋ねても答えなかった。篠崎氏は「この面会につきましては市長選挙の折にご支援を頂いた方から林先生と面談する日程の調整をしてほしいと要望があり、林事務所と日時、場所の調整をしたものです」と回答した。
なお、世界平和連合を通じてA、B、Cの各氏に見解を求めたが、期日までに回答はなかった。林氏の前任である松野博一議員は「裏金問題」で官房長官を辞任した。「必勝千羽鶴」の過去を背負った林氏の今後は……。
●岸田政権下で日本の国力がどんどん落ちる…“言うだけ番長”が連日火だるま 2/7
「国民の信頼回復のために火の玉となる」──。昨年12月の会見で、こう訴えた岸田文雄首相(66)だが、衆院予算委では連日、野党議員から多くの疑惑を追及されて「火だるま」状態となっている。
自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件、二階俊博元幹事長(84)が幹事長の在任中の5年間に受け取った約50億円に上る政策活動費の使途疑惑、総理大臣就任を祝う会の自身のパーティー問題に加え、6日には盛山正仁文科相(70)が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連団体から支援を受けていた疑いも浮上。はぐらかし答弁も目立つようになり、内閣支持率も再び急落し始めた。
恐ろしいのは、岸田首相が「検討する」「よく聞く」などと言っている間にも、日本の国力がどんどん落ちていることだ。
厚労省が6日に公表した2023年分の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価を考慮した「実質賃金」は前年比2.5%減少。減少は2年連続で、減少幅は比較可能な1990年以降では、消費税率を引き上げた影響が出た2014年(2.8%減)に次ぐ。
資源高、物価高に名目賃金の上昇が追い付いていないのが主な理由とはいえ、思い出されるのは、岸田首相が掲げていた「成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現」はどうなったのかということだ。
「岸田政権では、アベノミクスの成果の上に、新しい経済モデルである新しい資本主義の下、社会課題を成長のエンジンへと転換する中で、構造的賃上げなどを通じた成長と分配の好循環、これを実現してまいります」
2023年4月の参院本会議で、岸田首相はこう声を張り上げていたのだが、「構造的賃上げ」どころか、この2年間で実質賃金は実に14万円余も減ってしまった。
政治は結果責任であり、逃れることはできない
岸田政権下の国力低下はこれだけではない。
OECD(経済協力開発機構)が発表した2023年版「デジタル政府指数」によると、日本は調査対象となった加盟33カ国中、31位となったのだが、「デジタル庁の機能強化」などを強く訴えていたのは岸田首相だった。
2021年12月の参院本会議でもこう言っていた。
「デジタル田園都市国家構想実現会議の下、デジタル田園都市国家構想を推進します。デジタルによる地域活性化を進め、さらには、地方から国全体へ、ボトムアップの成長を実現していきます。(略)デジタル化、デジタルトランスフォーメーションを進める司令塔であるデジタル庁の機能を更に強化します。デジタル臨時行政調査会で、デジタル社会変革の青写真を描きます」
ちなみに岸田首相は、1998年8月の衆院予算委に出席した際、こうも発言していた。
「我々政治家、大変厳しい国民の目にさらされているわけであります。国民から大変厳しい批判の声を受けながら今この難局に立ち向かわなければいけない、こんな状況にあるわけでありますが、そこでひとつ思うことを申し上げさせていただきたいと思いますのは、政治はもちろん結果責任であります。やはり結果責任であるということ、これからは逃れることができないわけであります」
その通り。政治は結果責任であり、逃れることはできない。
●EU「2040年までに温室効果ガス排出量90%削減」目標示す 2/7
2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指すEU=ヨーロッパ連合は、2040年までに排出量を90%削減するという目標を加盟国とEUの議会に示しました。
EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は6日記者会見を開き、温室効果ガスの排出量について、2040年までに1990年と比べて90%削減するという目標を加盟国とヨーロッパ議会に勧告すると発表しました。
EUは2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げていて、その達成に向けたステップだとしています。
一方、この目標について6日、ヨーロッパ議会で行われた討論で右派の議員たちは「生活にどれだけの負担をかけるか有権者に伝えているのか」とか「EUの政策は産業の衰退を引き起こしている」などと主張しました。
加盟国内では、EUの気候変動対策や環境規制が生産コストの増加と国際競争力の低下につながっているとして農家が抗議活動を行うなど、反発が強まっています。
極右や右派の政党は、ことし6月に行われるヨーロッパ議会選挙を前に、EUの気候変動対策や環境規制などに反発する有権者を取り込んで支持を広げようとしていると指摘されています。
ヨーロッパ委員会は、産業界や農家などと対話しながら温室効果ガスの排出量削減の目標達成を目指す姿勢を強調していますが、今後、反発する動きが広がることも予想されています。
● 岸田首相 “北方領土 交流事業の再開取り組む” 考えを強調 2/7
「北方領土の日」の7日、返還を求める全国大会が開かれました。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、岸田総理大臣は領土問題の解決と平和条約を締結する政府の方針を堅持し、交流事業の再開に取り組む考えを強調しました。
「北方領土の日」は、1855年2月7日に北方四島を日本の領土とする条約がロシアとの間に結ばれたことにちなんで定められています。
7日は、東京都内で返還を求める全国大会が開かれ、岸田総理大臣は「戦後78年が経過した今もなお、北方領土問題が解決されず、平和条約が締結されていないことは誠に遺憾だ。ロシアによるウクライナ侵略によって日ロ関係は厳しい状況にあるが、政府として領土問題を解決し、平和条約を締結するという方針を堅持していく」と述べました。
そのうえで、北方領土の元島民らによる墓参などの交流事業の再開について「日ロ関係における最優先事項の1つだ。高齢となられた元島民の切実なる気持ちに何とか応えたいとの強い思いをもって、ロシア側に求めていく」と述べました。
大会では、北方領土問題が国際情勢の影響を受けて非常に厳しい状況におかれているとして、現状を「不法占拠」と指摘し、官民一体で四島の返還実現を求めるアピールを採択しました。 
●教団側推薦確認書に署名か 盛山文科相「よく読まず」 2/7
盛山正仁文部科学相が2021年衆院選の際、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体から推薦状を受け取ったとされる問題で、盛山氏は7日、教団側の推薦確認書への署名もしていたとの一部報道について、衆院予算委員会で「十分に内容をよく読むことなくサインをしたのかもしれない。よく覚えていない」と述べた。
報道によると、推薦確認書は教団側が掲げる政策への賛同を求める内容で、推薦状の条件だったとされる。衆院選公示前の21年10月、神戸市で開かれた関連団体の会合で示されたとしている。
盛山氏は「軽率にサインしたのはおっしゃるとおりだ」と答弁。会合の出席は公示日直前で慌ただしかったため、これまで記憶になかったとした上で「報道された写真を見て、こういうことがあったのかなと、うすうす思い出してきた」と語った。
岸田文雄首相は各閣僚に対し、関係団体から選挙における推薦や寄付など支援の有無を確認したところ、新たに発覚した接点はなかったと述べた。質問した立憲民主党の西村智奈美氏は盛山氏の更迭を求めたが、首相は重ねて拒否した。
●記憶復活? 「うすうす思い出してきた」 盛山大臣“統一教会”から支援 2/7
 きのうは「はっきりした記憶ない」
裏金問題で揺れる岸田政権の新たな火種となった、盛山正仁文科相。7日の国会で、旧統一教会の友好団体から推薦状をもらい、選挙支援を受けていたとされる疑惑について追及を受けた。
立憲民主党・西村代表代行「まだ“まったく覚えてない”というふうにおっしゃいますか? それとも、記憶が少しはよみがえってきたでしょうか」
盛山文科相「こういうことがあったのかなというふうに、うすうす思い出してきたということでございます」
“うすうす思い出してきた”盛山文科相。
6日は、「正直よく覚えていなかった」、「はっきりした記憶はございませんが、写真があるのであれば頂戴したのかと思います」などと話していた。
盛山文科相は6日、教団の友好団体との接点について、「はっきりした記憶はない」と説明していたが、7日は「うすうす思い出してきた」と述べ、説明が変化した。
さらに、野党が国会で示したのは、教団の友好団体から受け取った推薦状を手にする盛山文科相の写真。
立憲民主党・西村代表代行「推薦確認書の件も、盛山大臣は記憶がないのでしょうか」
盛山文科相「こうやって推薦状を頂戴している写真があるところを見ると、サインをしていたのかもしれませんが、よく覚えておりません」
盛山文科相は3年前の選挙で、教団の友好団体から示された、政策協定にあたる推薦確認書に署名していたことも判明。
盛山文科相「急にその推薦書の話が出て、十分に内容をよく読むことなくサインをしたのかもしれません。そういう内容に軽率にサインをしたということについては、おっしゃる通りかと思います」
立憲民主党・西村代表代行「政策協定にサインした大臣が、解散請求の政府側の責任者だなんて、どこの世界の笑い話ですか」
旧統一教会の解散命令を請求した文部科学省のトップが、苦しい釈明を繰り返す事態に。
岸田首相は、「今は教団との関係を断っている」として、盛山文科相の更迭を否定したが、進退について自民党内からは、「山際大臣はクビにして、岸田派の盛山大臣は守るというのでは筋が通らない。辞めさせるべきだろう」、「こんなんで辞めさせていたらキリがない。官邸も耐えるでしょう」といった声が出ている。
7日の国会を傍聴した旧統一教会の被害者は、「盛山大臣のままでは、統一教会と闘っていくことはできないなと感じています。裏切られた思いです」と話した。
●ボランティアが“苦言”呈した「細かすぎる被災地のゴミ分別」…石川県回答は? 2/7
「(災害ゴミを)土のう袋に入れて一次預かり所に持って行くのですが、そこで(ゴミを)細かく分けさせられ(分別させられ)、『土のう袋は燃えるゴミだから持って帰ってくれ』と言われます。被災地でこんな対応は初めてです。それをやらせているのが、石川県の今の現状なんです」
2月6日、YouTubeのニュース配信番組「百田尚樹・有本香のニュース生放送 あさ8時!」に出演した防災士で災害ボランティアの男性は、こう訴えた。
「男性は珠洲市宝立町から中継していましたが、周囲は崩壊した家々や瓦礫に埋まった車が残っていました。それを重機で片付けるのですが、その重機が足りない現状や車が通れない道が多いことなども報告していました。そのなかでゴミの分別があることを打ち明けていたのですが、その内容がとても細かいようで、ボランティたちを悩ませているそうです」(週刊誌記者)
ネット上でも、こんな声が上がっている。
《石川県能登の被災地で職員が災害ゴミの廃棄に、分別をしろと言ってるらしい、こんな非常時に燃えるゴミとかプラだとか分けててハカドルでしょうか、追い付くのでしょうか、今までの災害復旧でこんなことがあるのでしょうか》
《石川県被災地で倒壊した建物のごみを細かく分別するのは首を傾げる。被災地に限ってごみの選別をもっと緩くしても良いのではないだろうか。》
じっさい、災害ゴミの受け入れ体制はどのようになっているのだろうか。石川県の担当部署に聞いた。
「各市町村で違いはあると思いますが、ほとんどで可燃物、不燃物、金属などおおよそ10種類の分別が行われています。ゴミを分別することにより焼却、リサイクルなどがしやすくなるので処理のスピードが上がります」と意図を説明する。
どうやら処理の効率化を求める行政と、早く災害ゴミを運ぶことを優先するボランティアとの間に齟齬が生じているようだ。
問題提起したボランティの男性はさらに「国の動きがにぶいです。もう少し住民に寄り添い『何をしなくてはいけないか』と考えてほしいです」とも訴えていた。
被災地から出される災害廃棄物の量は通常ゴミの64年分になり、倒壊家屋の撤去には12年かかるとされている。これからも行政とボランティのタッグが重要になる。
●裏金説明 当事者に責任 首相「党として促す」 野党 お手盛りと批判 2/7
岸田文雄首相は7日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関し「最も事情を知る本人の説明責任が第一だ」と述べ、党としても説明を促すと強調した。野党は自民の全国会議員対象のアンケートを「お手盛りで何も解明されない」と批判。首相は党で聞き取り調査を並行して進めているとして「実態を把握し、政治的責任について適切に対応する」と説明した。
立憲民主党の後藤祐一氏は、収支報告書の不記載を巡り、安倍派の萩生田光一前政調会長が支出欄などを「不明」として訂正したと問題視。「脱税疑いのあるマネーロンダリング」と非難した。首相は収支報告書の訂正に関し「事実に即して記載されるべきだ」と指摘。脱税の有無は「国税庁が事実に基づいて判断する」と述べるにとどめた。
星屋和彦国税庁次長は「政治資金が仮に政治活動に使われず、残額がある場合は雑所得として課税関係が生じる」とした。
首相は、二階俊博元自民幹事長が在任中の5年間に受け取ったとされる約50億円の政策活動費の内訳は2020年が6億3020万円、21年が4億3910万円だったと明らかにした。安倍、二階両派幹部の政治倫理審査会出席を求められ「説明責任を果たすことは重要だが、国会の判断に任せる」と語った。
能登半島地震で被害を受けた文化財の復旧に向け「専門職員を派遣し、被害状況の把握や緊急保全の実施を行うとともに、財政支援など復旧事業を行っていく」と説明した。財源に関し「復興基金の必要も含めて適切に判断し、地方の負担に十分に配慮する」と強調。被災者支援はきめ細かな事業を実施し「取り残される世帯がないよう取り組みたい」とした。
与野党は理事会で、16日に石川、長崎両県で地方公聴会を行う日程を決めた。
●裏金問題 自民党・高鳥衆院議員が県連会長を辞任「派閥幹部の責任」強調 2/7
自民党の裏金問題で「キックバック」を政治資金収支報告書に記載していなかった問題の責任を取る形で自民党の 高鳥修一衆議院議員が県連会長を辞任することを発表しました。一方で問題の原因は派閥からの指示だったと強調し派閥幹部を強く非難しました。
7日午後に開いた会見の冒頭、高鳥議員は謝罪しました。
高鳥修一衆議院議員「新潟県では自民党の代表は私であり自民党の代表として県連会長の職を辞して県民の皆様にお詫びすることとしました 今後は一議員として一から出直したいと思います。心からお詫びを申し上げます 本当に申し訳ありませんでした。」
高鳥衆院議員は、5年間で544万円のキックバックを受け取り、収支報告書に記載していなかったことを1月に公表。このうち247万円を新型コロナ禍で資金繰りが厳しくなった際、事務所経費や人件費に充てたということです。
安部派の指示で秘書が会計処理をしており、自身は全く知らなかったとして派閥幹部の責任を
問う発言を繰り返しました。
高鳥修一衆議院議員「ミスリードされた側が釈明に追われているのにミスリードした幹部は真実をのべていないというのはおかしくないでしょうか。しかも歴代会長はみなさん亡くなっていて死人に口なしという状況です。裏金の汚名を着せられることになったわけです真実を語らない幹部には強い憤りを感じております。」
本人の関与はなく検察の事情聴取も受けていないとしています。
県連会長の後任人事は白紙で、高鳥衆院議員は議員辞職の考えはないとしています。

 

● 石川 能登町でもきょうからボランティア活動開始 県内外から 2/8
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県能登町で、8日から県内外から集まったボランティアの活動が始まりました。
石川県は1月27日以降、七尾市や珠洲市など一部の被災地に県内外から集まったボランティアを派遣していて、8日からは能登町でも活動が始まりました。
事前に登録したボランティア11人は、午前11時ごろにバスで山あいの能登町柳田に到着すると、早速スコップや手袋を受け取り、指定された活動場所へ向かいました。
現場では災害廃棄物の片づけを行うということです。
秋田県から参加した40代の男性は「秋田で大雨が降ったときにいろいろな人に助けてもらったので、同じようにお手伝いできればと思い来ました。力になりたい」と話していました。
能登町災害ボランティアセンターの小路芳宏センター長は「ボランティアを心待ちにしている人もいるので、希望になると思います。県外の方の力も借り、活動を加速させていきたい」と話していました。
日没の時刻や道路の状況を考慮してボランティアは日帰りで、活動を午後3時までに限定しているということで、ボランティアセンターでは今後、現場の状況を踏まえて活動する人の数や時間を増やしていきたいとしています。
●能登半島地震のがれき処理で宮城県が奇跡≠フ「東松島方式」で支援 2/8
能登半島地震で倒壊した建物のがれきなど県内の災害廃棄物の推計量が244万トンに上る。東京ドーム2個分の規模になるが、東日本大震災を乗り切った宮城県が支援で目指すのが「東松島方式」。大津波で壊滅的な被害を受けた東松島市だが、奇跡的な処理法で早期の復興にこぎつけた。
「きれいにゴミ処理にこぎつけたばかりでなく、住民の雇用にもつなげた。今でいう『SDGs』にのっとって処分した。状況をみながら、東松島市のノウハウを提供していきたい」
宮城県の村井嘉浩知事は定例記者会見でこう述べ、7日午後には災害廃棄物処理に詳しい職員4人を現地に派遣した。
にわかにクローズアップされた「東松島方式」。太平洋沿岸部に位置する東松島市は1110人が犠牲になり、23人が行方不明に。家屋被害は1万1千棟を超え、浸水域は市街地の約65%に達した。
東松島市震災直後からごみの資源化を念頭に、品目に分別するなど徹底した分別リサイクルを実施し、仮置き場に持ち込む被災者に細かな分別を呼びかけた。津波で発生した混合ごみはがれきと土砂に分別し、手作業で19種類に分別した。資源として高い再利用率を達成し、処理費も抑制する一方、住民を分別の作業員として採用し、雇用の受け皿にもなった。
能登半島地震では、石川県内の年間ごみ排出量の約7年分で、被害の大きかった半島北部・奥能登地域の2市2町が推計量の約6割(151・3万トン)を占めた。地域の年間排出量の59年分に当たる。県は海上輸送も活用し、県外を含めた広域処理を進める方針で、2025年度末の処理完了を目指すとしている。
過去の災害では、阪神大震災で約1500万トン、東日本大震災で約2千万トン(津波堆積物は含まず)、熊本地震で約311万トンの災害廃棄物が発生した。
●石川 輪島 被災地の支援者に弁当販売“炊き出し活動の資金に” 2/8
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市では、炊き出し活動の資金にしようと地元の飲食店の関係者が被災地の支援に当たる人向けに弁当の販売を始めました。
取り組みを始めたのは輪島市内でフランス料理や和食、それにラーメン店などの飲食店を営むおよそ20人のメンバーです。
8日は午前8時半ごろから準備が始まり、各地からの支援物資や地元の農家が収穫した野菜などを使って「野菜かに卵とじ弁当」を作りました。
参加したメンバーは地震翌日から店に残っていた材料で被災者に炊き出しを行ってきましたが、先月20日からは全国の警察官や自治体の関係者など、被災地の支援にあたる人向けに炊き出しと同じメニューを「復興ごはん」と名付けた弁当にして1食500円で販売しています。
8日も午前11時ごろからおよそ30食の販売が始まると、各地の支援者が次々と買い求めていました。
購入した静岡市職員の男性は「被災地では温かい食事が手に入りにくいので助かる。地域のために活動を続けてほしい」と話していました。
取り組みを呼びかけたフランス料理店の経営者の池端隼也さんは「被災者だけでなく、支援に来てくれた人にも体を温めてほしいと思って活動を始めました。集まったお金は今後の炊き出し活動の資金にしたいです」と話していました。
●裏金議員はなぜ逮捕されない 高齢者怒り 2/8
野田佳彦元総理は所得が300万円以下の小規模納税者、年金受給者、給与所得者を対象にした地元の公民館での所得税の無料申告相談会場を訪ねた際、高齢の来場者から「裏金議員はなぜ逮捕されないのか、と厳しく問われた」と自民党派閥の政治資金パーティーを巡る「裏金」問題への東京地検特捜部の対応に強い疑問と裏金議員への高齢者の怒りの発言を5日のコラムで紹介した。
そのうえで野田元総理は「パーティー券の還流(キックバック)分は収支報告書の訂正で済む話ではない。議員個人の『雑所得』として課税対象になる可能性が大です。受領した議員に税務申告させなければ確定申告会場の怒りは頂点に達するでしょう」と記した。
岸田文雄総理の対応に関しても「岸田総理は『私自身が先頭に立って政治改革の取り組みを必ず実行する』と大見得を切りながら、曖昧な答弁に終始。本質的な議論をはぐらかしたり逃げたりの先頭に立っています。こんな国会中継を見ていたら、国民の納税意欲はなくなってしまいます」と強い批判とともに政治不信を助長しかねない岸田総理の姿勢に懸念を示した。
野田元総理は「影響力のある企業・団体からお金をもらえば、それを意識して政策実現しようとします。政治力のある政治家が動けば、役所も意識せざるを得ません。お金のない人、声なき人の政治は実現できなくなります。これこそ、金がかかる政治の弊害です」と元総理の問題提起だけに真実味が強い。
野田元総理は、コラム最後に「パーティー券購入を含む企業・団体献金の廃止、政治資金をガラス張りにするためのデジタル化推進、政治家の責任逃れを許さない連座制の強化など、具体策を詰めていく決意です」と書いた。いずれも実現しなければ『政治の正常化(清浄化)』は図れない。
●自民・高木毅氏、収支報告書を訂正 使途は「不明」、詳細明かさず 2/8
自民党派閥の裏金問題で党国対委員長を辞任した高木毅氏(衆院福井2区)は6日、福井県に提出した2020〜22年分の政治資金収支報告書を訂正した。この3年間で所属した清和政策研究会(安倍派、解散)のパーティー券収入からキックバック(還流)されたとされる865万円を収入として追記したが、使途は「不明」のままになっている。
高木氏が代表を務める資金管理団体「21世紀政策研究会」の収支を訂正した。報告書の保存期間内の3年分に該当する。
高木氏は1月27日に敦賀市で開いた記者会見で、18〜22年までの5年間で1019万円の還流を受けたと説明した。内訳は、18年66万円、19年88万円、20年420万円、21年335万円、22年110万円。領収書は残っていないという。
6日の訂正は、会見時の説明通りに3年分の収入865万円を安倍派からの寄付として計上した。支出については「会合費」「お品代」「交通費」に振り分け、それぞれ金額、日付などは「不明」とした。
19年にも還流があったが、20年分の「前年からの繰越額」は訂正がなかった。領収書はないにもかかわらず、事務所は取材に「19年末までに使い切っていた」と説明した。
また、22年分の「翌年への繰越額」も訂正されなかった。事件を受けて計865万円の収入を計上せざるを得なくなったが、22年までに収支の帳尻は合わせた体裁になっている。
報告書に添付される宣誓書には、寄付を受けた日や支出の明細などについて「特定することができないため記載できません」などと追記し、不明分は今後判明すれば訂正するという。
1月27日の記者会見で高木氏は、裏金の使途について「政治家、同僚、マスコミ、評論家との会合費。交通費等々」と説明した。
●政治改革と岸田首相 やる気のなさが目に余る 2/8
「火の玉となって党の先頭に立ち」国民の信頼回復に努めるのではなかったか。その言葉とは裏腹に、岸田文雄首相の政治改革に対する後ろ向きな姿勢が際立つ。
自民党派閥の裏金事件で国民の政治不信が高まる中、「政治とカネ」の問題を焦点に衆院予算委員会の審議が続く。だが、岸田政権のやる気が感じられない。
党による関係議員への聞き取り調査は、身内の党幹部によるもので、裏金作りの経緯や使途の実態に迫れるとは思えない。調査に当たる一人の小渕優子選対委員長は、元秘書が政治資金規正法違反で有罪判決を受けている人物だ。
対象を現職だけに限るのも疑問だ。安倍派(清和政策研究会)の裏金作りは20年以上前から行われ、「会長案件」だったとされる。全容解明には元会長の森喜朗元首相に事情を聴くことが欠かせない。
岸田派も3年間で約3000万円の政治資金収支報告書への不記載があり、元会計責任者が立件された。首相は「事務的ミス」と繰り返し、「資料が確認できない」として、過去にさかのぼって真相究明に取り組もうとしていない。
「抜け道」が指摘される規正法の抜本改正にも消極的だ。「今国会で法改正を実現する」と言うばかりで、具体案を示していない。
中でも手を付けなければいけないのが政策活動費の見直しだ。報告書への使途の記載義務がなく、不透明だと問題視されている。
二階俊博元幹事長は在任中の5年間に約50億円受け取ったとされるが、首相は根拠を示さず「確認するまでもなく適切に使用されている」と強弁した。使い切らなかった残額を政治家個人が保管していれば雑所得とみなされ、所得税法上の課税対象となり得る。
首相は、党の活動と関係のある個人のプライバシーや企業の営業秘密が守れないとして「政治活動の自由」を盾に公開を拒むが、国民の知る権利をないがしろにするような発言だ。
与党の公明党を含め各党が廃止や使途公開を主張している。自民だけが慎重なのは理解に苦しむ。
問われているのは、不透明なカネの流れに依存する自民のシステムそのものである。そこにメスを入れなければ、政治の劣化に歯止めが掛からない。
●韓国・尹大統領「日韓企業が協力を」元徴用工問題 KBSインタビュー 2/8
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、7日に放送された韓国の公共放送KBSテレビのインタビューで、いわゆる元徴用工問題をめぐり、日韓両国の企業の協力を呼びかけた。
韓国では元徴用工らが日本企業に損害賠償を求めた訴訟で原告の訴えを認める最高裁判決が相次いでいるが、尹大統領は「こうした判決が今後出されることとは関係なく、両国関係は未来に向けて進んでいる」と強調したうえで「日韓関係の改善を願う両国の企業家たちの協力」を呼びかけた。
また、軍事開発を進める北朝鮮について「韓国の安全保障を脅かす挑発を加える時も不合理で非理性的な結論を出しかねない勢力」と述べ、韓国の安全保障政策をさらに強固に構築すべきとの考えを示した。
尹大統領は就任から100日に合わせた記者会見を2022年8月に開いて以降、およそ1年半にわたり会見を行っておらず、韓国メディアなどから批判が出ている。
●日本国民が知るべき「山本太郎は岸田総理に何を質問したか?」 2/8
 被災者切り捨て国会「対策を検討」の醒めぬ悪夢
与野党を問わずほとんどの政治家にとって、今国会は「自民党パーティー券、裏金追及国会」だったようです。2024年1月29日の参議院予算委員会でも「政治資金等に関する集中審議」が行われ、能登半島地震の被災者救済や被災地復興はそっちのけ状態。しかし、そんな中でも「政治資金等」の「等」に短い持ち時間のすべてを割き、被災地の声を国会に届けた政治家がいました。「れいわ新選組」の山本太郎代表は、岸田総理に何を質問したのか?そして岸田総理はそれにどう答えたのか?いつ自分が被災者になってもおかしくない災害大国・日本の国民が知るべき質疑の内容を、『きっこのメルマガ』著者で人気ブロガーのきっこさんが紹介します。
「被災地・被災者そっちのけ」の与野党国会議員たち
今国会は、自民党の派閥パーティーによる裏金問題という突発事故が発生したため、1月29日に「政治資金等に関する集中審議」を行ない、翌30日に岸田文雄首相が施政方針演説を行なうというレアな日程となりました。
あたしとしては、何よりも能登半島地震の被災者救済と被災地復興を最優先してほしいと思っていたので、「おいおい……」と思いながら29日の国会中継を聞いていました。
何しろ「政治資金等に関する集中審議」ですから、野党はそれぞれの思惑から岸田自民党を攻撃し、連立を組む公明党からも厳しい質疑が続きました。
防戦一方の岸田首相は、いつもの調子で「検討する」「議論する」と逃げまくり、ひらき直りとも取れる答弁まで飛び出しました。
でも、あたしとしては「被災地がこんなに大変な時に、この国の国会議員たちは何をやってんだろう?」という絶望的な気持ちで聞いていました。
山本太郎だけが「国民目線」で働いていた
すると、最後に登場した「れいわ新選組」の山本太郎代表が、裏金問題など完全にスルーして、短い持ち時間のすべてを「被災地への緊急対策」のために質疑してくれたのです。
それも、徹底的に調査し、資料を準備し、とても分かりやすく、被災者の立場、国民の立場に立った素晴らしい質疑でした。
そして、岸田首相という政治家がどれほど無能で無策で無責任か、それを証明してくれたのです。
あたしは感動しました。これこそが「国民の代表である国会議員の姿」だと思いました。あまりにも感動したので、その質疑の内容を一字一句、文字起こししました。ぜひ最後までお読みください。
「テレビ・ラジオをご覧の皆さん、これは他人事じゃないんですよ」山本太郎の国会質疑(2024.1.29)
山本太郎代表:れいわ新選組の代表、山本太郎です。資料1、能登半島地震後、総理は「被災者の皆さんが1日も早く元の生活を取り戻せるよう先頭に立つ」とご発言。総理、この言葉に嘘はないか、イエスかノーかでお答えください。
岸田文雄首相:当然、嘘はありません。
山本代表:岸田政権下での主な自然災害は11件、激甚災害は9件。これらの災害においても、総理は被災者が1日も早く元の生活を取り戻せるようこれまでやって来た、ということでよろしいですか?
岸田首相:政府として対応すべきことを検討し、実施につとめてまいりました。
山本代表:岸田政権下で起こった自然災害では、今も生活再建できていない被災者が大勢います。資料2、能登半島は去年5月にも大規模地震に襲われ、珠洲、能登町、輪島などで住宅被害が1417棟。
資料3。昨年5月、被災直後の声「取り壊しを勧められたが自宅再建には1000万円以上、年金暮らしには無理」。
資料4。発災から約半年、昨年11月の声「自宅を建て直す目途が立たず、どうしようもない」と頭を抱える被災者。業者不足、資金不足などの理由で、家の修理や再建が進まぬまま、仮設住宅で元日、再度被災された方々もいる。
能登半島以外でも、各地の被災者が住宅再建を断念。地元を離れることを余儀なくされてます。
資料5・6。2022年8月、青森豪雨災害、青森県で800棟を超える住宅被害。発災から半年、2023年1月の報道「ある地区では、ほとんどの住民が住宅再建を諦めた」。
資料7・8。2023年7月、久留米豪雨災害、福岡県の住宅被害6569棟、全壊した我が家、解体の着手には半年かかる。亡き夫と一緒に選んだ土地での住宅再建を諦め、地域を離れた。
資料9・10。2023年9月、台風13号福島県、集中的な被害を受けたいわき市、住宅被害は約1800棟。豪雨から1カ月後の声「移転・新築で数千万円、現在地での再建でも1000万円かかる。この歳では借金はできない」。
資料11。総理は先週、私の質問に対して、過去の災害でも「最大限の努力をしてきた」とご答弁。ここまで紹介してきた事例は、岸田政権下で起こった災害の被災者の声なんですね。総理大臣として「最大限の努力をした」と豪語する災害対応の結果です。
テレビ・ラジオをご覧の皆さん、これは他人事じゃないんですよ。必ず来ると言われている首都圏直下、南海トラフ、次に切り捨てられるのはあなたかもしれません。
●なぜ東京では人気のない「維新の会」は「大阪だけ」で強いのか.... 2/8
 「衝撃の真相」《大阪では維新が得票率73.7%で圧勝》
大阪という「政治的異世界」
73.7%。大阪府知事で大阪維新の会代表、吉村洋文が昨年の選挙で得た票の割合だ。吉村はこの選挙で、次点の5倍を超える244万票を獲って圧勝した。
事実上の独裁をしくロシアのプーチン大統領でさえ、前回選挙の得票率は76%。それに肉薄する、すさまじい数字である。 
●補選回避の4月解散説も浮上 経済再生や外交政策で覚悟問われる岸田首相 2/8
元日の能登半島地震、2日の羽田空港での航空機衝突・炎上と2024年は波乱の幕開けとなった。政界でも自民党派閥のパーティー券を巡る裏金事件が暗い影を落とす中、大きな焦点は9月に自民党総裁の任期が満了する首相・岸田文雄が衆院解散・総選挙に踏み切るかどうかだ。岸田派の解散を率先して表明し、安倍派と二階派が追随する流れを作った岸田は苦境に立てば立つほど意気軒高だという。完全なデフレ脱却にも自信を深めているとされるが、果たして国民の期待に応える1年となり得るのか。
攻めるための派閥解散
岸田が今年で創設67年、池田勇人が創設した自民党最古の派閥・宏池会(岸田派)の解散を決断したのは18日だった。当日の朝刊で朝日新聞がパーティー収支不記載事件で同派の元会計責任者の立件方針を報じると、官邸に密かに派閥幹部を次々と呼び、岸田派解散の意向を伝えた。
安倍派などの立件が不可避の情勢となってから内心では自民党の派閥を解散すべきだと考えていた岸田だったが、岸田派を巡る朝日記事が背中を押した。ことあるごとに相談してきた副総裁の麻生太郎にも、相談どころか事前通告さえしなかった岸田は周囲に「後ろ向きではなく、攻めるための解散だ」と息巻く。
岸田の独断専行に麻生が激怒したとの報道もあったが、2人は麻生の誘いで21日夜に2時間にわたり会食。岸田は謝罪し、今後も連携していくことを確認して「和解」したという。
今回の電撃的な派閥解散劇は、岸田が2021年の総裁選出馬にあたり、当時幹事長だった二階俊博を外すため、幹事長の任期を新たに設ける方針を掲げた「二階斬り」を上回るインパクトを党に与えた。
最大派閥の安倍派も解散を決定し、二階率いる二階派も解散を決めた。ほとぼりがさめれば、いずれ再結集するともみられているが、いずれにせよ自民党にとっては一大事である。そして岸田の思惑は一定程度の効果があったようだ。裏金事件の影響で内閣支持率は激減してもおかしくなかったが、おおむね横ばいか、むしろ上昇に転じているのだ。
朝日新聞が20、21両日に実施した世論調査は、内閣支持率23%、不支持率66%で、いずれも前月と同じだった。読売新聞(19〜21日調査)は支持率こそ前月比1ポイント減の24%だったが、不支持率は2ポイント減の61%だった。産経新聞とFNN(20、21両日)では内閣支持率が5.1ポイント増の27.6%、不支持率が5.5ポイント減の66.4%だった。
年明けの能登半島地震への対応で政府は大きなミスといえるような失態がなかったこともあるが、3派閥の解散が好意的に受け止められた可能性がある。
自民党の支持率も、朝日では前月から1ポイント増え、24%となった。読売は25%で3ポイント減ったが、産経・FNNは27.1%で、0.2ポイントの減少にとどまっている。
岸田の派閥解散宣言前に行われた1月中旬の共同通信の世論調査でも内閣支持率は前月比5.0ポイント増えて27.3%、NHKは3ポイント増の26%だった。内閣不支持率は共同が7.9ポイント減の57.5%、NHKが2ポイント減の56%で、底を打つ傾向が出始めていた。岸田は、まさにピンチをチャンスに転じつつある。
竹下的カレンダーの示唆
世論を味方につけようとする岸田の心境に影響を与えそうな興味深い資料がある。
永田町や霞が関で定期的に出回る「竹下的カレンダー」というものだ。竹下登元首相が存命の時、作成を指示したとされるもので、「竹下的」として引き継がれている。国会日程や法案審議の見通し、政治家の誕生日や没日などが記載され、何かと重宝する関係者は多い。
最新版には、辰年は衆院選が行われることが多く、西暦の末尾が「4」の年は、首相が交代することが多いというデータが記載されていた。つまり辰年である今年は衆院選が行われ、首相が交代する可能性が高いことを示唆している。
直近の辰年だった2012年は衆院選を経て野田佳彦から安倍晋三へ、その前の2000年は小渕恵三から森喜朗に交代した直後に衆院選があった。1976年は任期満了に伴う衆院選の結果、三木武夫から福田赳夫に交代。52年も衆院選があり、なかったのは88年と64年。6回中4回、衆院選が行われた。
他の干支の場合を調べたところ、戦後、最も衆院選が行われた干支は辰年、羊年、酉年の4回だった。
首相交代が多かった干支は子年の6回で、次いで多いのが辰年と戌年の4回。ただ、辰年は今年を除き戦後6回、戌年は7回だったので、辰年に首相が交代する確率は高いと言える。
同じ年に衆院選と首相交代があった干支をみると、辰年が子年と並び3回で最多だ。辰年は2000年、12年と2回連続で衆院選と首相交代があった。
西暦の末尾の数字別に首相交代が多かった年を調べると、最多は「0」と「6」の5回で、「1」「4」「7」「8」の4回が続く。
末尾が「4」の年は、1945年以降では唯一、6回(今年を除く)で、ほかはすべて7回であることを踏まえると、やはり「4」の年に首相が交代する確率は比較的高い。
完全なデフレ脱却に自信
肝心の岸田はどのような展望を描くのか。今年衆院選が行われるタイミングは3つある。
1つは4月だ。前衆院議長の細田博之の死去に伴う島根1区の補欠選挙は4月28日投開票が確定的だが、補選は増える可能性がある。裏金事件で3月15日までに選挙区選出の議員が辞職すれば4月補選になるためだ。大きく負け越せば、「岸田では選挙に勝てない」との岸田降ろしが吹き荒れる可能性が高い。
前首相の菅義偉が2021年に退陣したきっかけも、4月の3つの補欠選挙などで1つも勝てず、側近の小此木八郎が閣僚を辞して臨んだ8月の横浜市長選に敗れたことだった。「菅では選挙に勝てない」との空気が自民党に広がり、菅は9月の総裁選出馬断念に追い込まれた。
ただ、今春以降は岸田にとって好材料がそろう時期でもある。岸田は1月5日、経済三団体共催の新年会で「所得と成長の好循環が本格的に動く新しい経済ステージに向けて、物価上昇を上回る所得増を実現しなければならない」と完全なデフレ脱却への決意を示した。
順調ならば24年度予算は3月中に成立し、1人あたり4万円の定額減税の関連法も成立して6月実施が確定する。3月中旬には、岸田が「23年を上回る賃上げの実現」を経済界に求めた春闘の大手集中回答日だ。経団連の集計で31年ぶりの高い水準率となった昨年の3.99%を上回る賃上げは現実味がある。
4月には国賓としての訪米も調整されている。実現すれば9年ぶりだ。国際情勢が混迷する中、外交や安全保障の安定度をアピールする機会となり得る。
さらに日銀の金融緩和政策の出口についても早期に結論が出る可能性がある。異次元の金融緩和策の柱として16年1月から続いてきたマイナス金利を解除することで、完全なデフレ脱却を目指す、と見る向きは多い。株価は年初から大幅に上昇し、経済活性化を後押ししつつある。
永田町の一部では、24年度予算成立と共に岸田退陣という花道論もささやかれる。しかし岸田本人にその気が一切ない。
能登半島地震発生の前、岸田は周囲に「24年は完全なデフレ脱却に向けた条件が出そろう」と語り、国民の感情が前向きになるという手応えを感じていた。
花道論どころか、補選が劣勢になると見極めた瞬間、補選を回避して衆院解散・総選挙を断行するとのシナリオもあり得る。立憲民主党は相変わらず支持が広がらず、日本維新の会も全国的な浸透は図れていない。
裏金事件の影響は深刻で、12年初当選の衆院4期以下の議員には初めての逆風下の選挙となる。相当数が落選する可能性はあるが、290余りの議席を持つ自民、公明両党が過半数(233)を割ることはないと判断すれば、岸田が解散を断行する可能性は大いにある。
次は通常国会が閉会する6月下旬から9月の自民党総裁選の前までの間だ。このころの岸田はますます苦しくなっているに違いない。補選で惨敗すれば「岸田では選挙に勝てない」との空気が蔓延するだろう。
総裁選前に解散して勝利し、総裁選無投票再選を目指す、というのが岸田の理想だったかもしれないが、実はこれを実践した総裁は1人もいない。
無投票で再選した自民党総裁は過去7人いるが、総裁選直後に前任者の残り任期が満了し、総裁選を行わなかったケースが多い。およそ2年以上首相を務めた上で、総裁選で無投票再選したのは1984年の中曽根康弘、97年の橋本龍太郎、2015年の安倍の3例あったが、いずれも衆院選とは無縁だった。
3つ目は総裁選後だ。岸田が再選していれば可能だろうが、そもそも再選のハードルが高い。
総裁選には、岸田が出馬した場合でも石破茂や高市早苗らの立候補が想定される。岸田の後継が誰であっても、就任直後に解散・総選挙を決断することは容易ではない。岸田が首相就任直後に臨んだ21年の衆院選は、議員の任期満了日を超えて行われた戦後初の事態で、解散の是非を判断する余地はなかった。09年の麻生太郎、20年の菅は首相就任直後の解散を狙ったが、決断には至らなかった。
年内解散がない場合はどうか。25年は10月に衆院議員の任期が満了するので確実に衆院選が行われる。ただ、7月には参院選がある。衆参ダブル選は1986年以来ない。衆参ともに敗北するリスクもある選択をできるかどうか。ダブル選以外に同一年に衆院選と参院選を別々に行った例は83年が最後だ。1年に2回も国政選挙を行うことは国民の理解が得にくいだろう。
国際的にも不安定化
もっとも、こうした政局に没頭するほど日本を取り巻く国際環境は容易ではない。1月13日に行われた台湾総統選は与党・民進党の頼清徳が当選し、今後「台湾独立」色を強める可能性がある。5月の総統就任に向け中国が軍事的圧力を強めることも予想され、台湾情勢が不安定化することもあり得る。
今後も3月にロシア大統領選、4月には大統領の尹錫悦の支持率が低迷する韓国で総選挙、春にインド総選挙と日本周辺の各国で選挙がめじろ押しだ。何よりも11月の米大統領選は世界的な影響が大きい。バイデンが再選してもトランプが返り咲きを果たしたとしても、米国の不安定化は必至だ。この状況で日本も政治が不安定化すれば、中国やロシア、北朝鮮などの強権国家を利することになる。
世界的な「選挙イヤー」にあたり、岸田は「これからの10年を決める1年になるかもしれない」と語る。その岸田自身が首相続投に向けもくろみ通りに進めるかどうか。経済再生や安全保障など課題が山積する中で岸田の覚悟≠ェ問われる局面だ。
●自民 収支報告書訂正の72人 派閥からの寄付約70%が「繰越額」 2/8
自民党の派閥からキックバックを受けたパーティー収入などを政治資金収支報告書に記載していなかった98人の所属議員などの団体のうち、8日正午までに収支報告書の訂正が確認できた72人分についてNHKが分析したところ、新たに判明した派閥側からの寄付のおよそ70%にあたる資金が、使われずに「翌年への繰越額」として記載されたとみられることがわかりました。
東京地検特捜部の捜査で、自民党の安倍派、二階派、岸田派が、おととしまでの5年間で合わせて9億7000万円余りのパーティー収入を政治資金収支報告書に記載していなかったことが明らかになりました。
これを受けて、各派閥がおととしまでの3年分の収支報告書を訂正した結果、安倍派と二階派の当時の所属議員などの団体に合わせて4億9259万円の寄付が追加されたことがわかっています。
NHKは、これらを収支報告書に記載していなかった98人の団体のうち、8日正午までに訂正後の収支報告書がホームページで公開された72人分について分析しました。
その結果
・派閥側の訂正で新たに判明した議員側への寄付の総額3億7749万円に対し
・議員側の訂正で追加された支出の総額は28%にあたる1億592万円余りで
・残りのおよそ70%、2億7000万円余りは、使われずに「翌年への繰越額」として記載されたとみられることがわかりました。
政治資金の問題に詳しい日本大学の岩井奉信 名誉教授は「繰り越しというのはため込んでいたのと同じなので、では何のためのキックバックだったのか。繰り越しという形になると確認する方法がないので、それを信じるしかない。つまり説明する必要もないということになるので、これで説明責任を果たしたことになるのかという疑問が出てくる」と指摘しています。
各派閥の収支報告書の訂正は
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて各派閥が行ったおととしまで3年分の政治資金収支報告書の訂正によりますと
・安倍派は、パーティー収入を合わせて4億3588万円増額し、この期間に行った当時の所属議員など91人の団体への寄付として合わせて4億2726万円を追加しました。
・二階派は、パーティー収入を合わせて1億3614万円余り増額し、この期間に行った当時の所属議員7人の団体への寄付として合わせて6533万円を追加しました。
・岸田派は、パーティー収入を合わせて896万円増額し、議員側への寄付の追加はありませんでした。
繰越額 安倍派は約80% 二階派は約30%
使われずに「翌年への繰越額」として記載されたとみられる割合は、派閥によって大きく異なっています。
【安倍派】
・派閥側の訂正で新たに判明した65人の団体への寄付の総額3億1216万円に対し
・議員側の訂正で追加された支出の総額は19%にあたる6038万円余りで
・残りのおよそ80%、2億5000万円余りは、使われずに「翌年への繰越額」として記載されたとみられます。
【二階派】
・派閥側の訂正で新たに判明した7人の団体への寄付の総額6533万円に対し
・議員側の訂正で追加された支出の総額は70%に当たる4553万円余りで
・残りのおよそ30%、1900万円余りは、使われずに「翌年への繰越額」として記載されたとみられます。
議員側の収支報告書訂正 支出の内訳は
議員側の訂正で追加された新たな支出の内訳は、次のとおりです。
【安倍派】
・会合や飲食などの費用を含む「組織活動費」が追加支出全体の33%に当たる2006万円余りと最も多く
次いで
・「使途不明金」が1398万円
・「事務所費」が819万円余り
・みずからが関連する政治団体への「寄付」が633万円などとなっています。
【二階派】
・二階元幹事長の資金管理団体が3472万円余りの書籍代を追加したことから「調査研究費」が追加支出全体の76%を占めていて
次いで
・「寄付」が500万円
・「人件費」が438万円(10%)などとなっています。
支出の追記 その内容は
訂正後の議員側の収支報告書には、「組織活動費」として、新たに、銀座や赤坂、それに六本木などの高級店での飲食代のほか、土産代やデパートで購入した品物の代金などが記載されていました。
また、「事務所費」として、防犯カメラ工事の費用のほか、PCR検査料や大腸内視鏡検査の費用なども追加されていました。
さらに、「備品・消耗品費」として、壊れた議員バッジを修理した際の費用を追加したケースもありました。
●盛山文科相「うすうす思い出してきた」旧統一教会関連団体から推薦状問題 2/8
裏金問題に揺れる岸田政権の新たな火種となった、盛山正仁文部科学大臣(70)。
7日の国会で旧統一教会の友好団体から推薦状をもらい、選挙支援を受けていたとされる疑惑について追及を受けました。
記憶にないが一転…“うすうす”思い出してきた
6日に質問された際は、「正直よく覚えていなかった」「はっきりした記憶はない」と答えていた盛山大臣。
しかし7日の国会では、立憲民主党の西村代表代行から示された、教団の友好団体から受け取った推薦状を手にする写真を見て、答弁に変化がみられました。
――記憶は少しはよみがえってきたでしょうか?
盛山正仁文科相: 報道があるまでは正直覚えておりませんでした。しかしながら、今、西村議員からの写真を見て、こういうことがあったのかなというふうに“うすうす”思い出してきたということでございます。
――推薦確認書の件も盛山大臣は記憶がないのでしょうか?
盛山正仁文科相: こうやって推薦状を頂戴している写真があるところを見ると、サインをしていたのかもしれませんが、よく覚えておりません。
さらに、3年前の選挙で、教団の友好団体から示された“政策協定”にあたる「推薦確認書」に署名していたことも判明。
――内容を賛同した上で、理解した上で、署名をしたのでしょうか?
盛山正仁文科相: 急にその…推薦書の話が出て、十分に内容をよく読むことなくサインをしたのかもしれません。そういう内容に軽率にサインをしたということについては、おっしゃる通りかと思います。
現在、旧統一教会の解散命令を請求した文部科学省のトップという立場にある盛山大臣。
立憲民主党 西村代表代行: 政策協定にサインした大臣が、解散請求の政府側の責任者だなんて、どこの世界の笑い話ですか!
岸田総理は「今は教団との関係を断っている」として盛山大臣の更迭を否定。
進退を巡っては、自民党内からも「山際大臣はクビにして岸田派の盛山大臣を守るというのは筋が通らない」「こんなことで辞めさえていたらキリがない」と意見が割れています。
岩田氏「記憶にないというのは考えにくい」
旧統一教会への解散命令を所轄する文科省トップを巡っての騒動。
フジテレビ解説委員 風間晋氏: トップに据えたのは岸田首相ですから、総理の国会答弁は「現在は当該団体と関係を有していないことを前提に任命している」と。「前提」なんですよね。「確認した」とは言っていない、だって確認したとは言えないじゃないですか。確認してたのにこれですかと攻められるのは目に見えているし、でも、自分は知らなかったことにしなきゃいけないから。少なくとも認知していなかったことにしなくてはいけないから「前提」だと。
岸田さんって、やりたいことは「人事」と言った人なんです。ですから、その岸田さんがこの人事かよと。一体何なんだろうと考えると、以外と確信犯で置いてきたのかなと。
今回の疑惑の大きなポイントとなっているのは、盛山大臣が結んだとされる「政策協定」。
政策協定とは選挙中、選挙協力を得る代わりに、特定の団体の要望に応える協定を結ぶというものです。ジャーナリストの岩田明子氏によると、当選後、国会や党内の部会で政策を主張する必要があり、政治家1人につき、1回の選挙で4〜5件ほどの政策協定を結びます。
岩田明子氏: 各種団体から来る推薦状というのは何百何千とありますから、その中で大体多くても4〜5件というのはかなり少ないですね。となると、単なる推薦より重みがあるということになるんですよね。
最近で言うと、農会のTPPですとか、医師会のオンライン診療ですとかそういった内容が記憶に新しいんですけども、旧統一教会となるとLGBT反対や性教育などそういった内容になってくると思うんですよね。ですので、インパクトもありますし、これまで自民党の議員というのはこういうものを口約束でやってきたものをあえて紙に落とすという時点で、記憶にないというのはなかなか考えにくいと思います。
岩田明子氏: 現時点では解散命令の請求をしていますから。今後、旧統一教会とは決別をするという方針を決めていますので、それに向かって進んでいるしかないのですが。
請求をして裁判所の判断を待っている段階で、こういったつながりが出てくるというこの背景については調べなくてはいけない部分もありますし、団体と自民党が対峙するという意味では、やり抜かなくてはならない。一方で、こんなつながりがある人がやり抜けるのかと疑問視する声も出ているのは事実なんです。であるならば、「うすうす思い出した」とか、「記憶にない」といった趣旨ではなくて、何月何日自分はこういう理由でサインをしたと経緯を聞かれていないことまで全部明らかにするしか道はないと思いますけどね。
盛山大臣の地元での評価について、「誠実で熱い人」という一方で「選挙に弱い」ともいわれており、実際に2014年の衆院選では小選挙区では落選し比例で復活当選したという経緯も。
岩田明子氏: 旧統一教会側も、選挙に弱い人を狙って「ボランティアですよ」「何かお手伝いさせてください」という感じで入り込んでくると思いますので、やはり選挙に強くないというところが非常に弱みになっていたと思いますね。今回報道された演説会の写真がありましたけども、個人演説会なわけですよ。合同での会の挨拶に参加したとかではなくて、盛山さんのための個人演説会を開いてもらっているくらい関係が濃いというのは、選挙が厳しくて頼った側面があったのだと推測されますね。 

 

●住宅被害6万戸超 能登半島地震 断水は3万4800戸 2/9
石川県の9日午後2時までの集計によると、能登半島地震による県内の住宅被害は前日比1370戸増の6万236戸となり、6万戸を超えた。市町別では七尾市1万2979戸、珠洲市8864戸、輪島市6343戸、志賀町5409戸、能登町5千戸などとなっている。
県内の死者は241人で前日から変更はなかった。内訳は輪島市103人、珠洲市102人、穴水町20人、能登町8人、七尾市5人、志賀町2人、羽咋市1人。負傷者は計1182人。安否不明者は輪島市9人、珠洲市2人の計11人。
断水は前日から490戸減り、約3万4800戸となった。1次避難所に身を寄せている人は12市町の7199人、1・5次避難所に236人、2次避難所に5144人となった。
●自民党新潟県連の次期会長に佐藤信秋参院議員「信頼獲得へスクラムを組んで」裏金問題で辞任の高鳥氏後任 2/9
政治資金収支報告書の不記載を巡り、自民党新潟県連の会長を辞任する意向を示した高鳥修一衆院議員の後任に、佐藤信秋参院議員が内定しました。
自民党県連所属の国会議員が9日朝東京に集まり、新たな県連会長の選出について話し合いました。
自民党県連を巡っては、高鳥修一衆院議員が安倍派からのキックバックを収支報告書に記載していなかった問題を受け、会長を辞任する意向を示していました。
会議の結果、次期衆院選の対応などを考慮し、後任の会長に全国比例区選出の佐藤信秋参院議員が内定しました。
佐藤信秋 参院議員「信頼をお寄せいただくよう何よりもお願いしたいと思うが、そのためには我々もこういう形でスクラム組んでいきましょうと。これが大事なことだと思っている」
新たな会長人事は今月中にも県連の常任総務会で承認される見通しです。
●派閥パーティー資金の不記載問題 安倍派議員らへの聴取終了 2/9
自民党の森山裕総務会長は9日の記者会見で、派閥パーティーの政治資金事件をめぐり行っていた安倍派議員らへの聴取を終了したことを明らかにした。
結果の発表時期については、週明け14日に政治資金問題についての予算委員会の集中審議が開かれることを踏まえ、「今、整理をしているところだ。予算審議にできるだけ迷惑をかけないタイミングで発表することになると思う」と述べた。
また、自民党が全ての議員を対象に政治資金収支報告書への不記載の有無などを調査したアンケート調査についても、全ての議員から、8日に回収を終えたことを明らかにした。
一方、野党側が求めている政治倫理審査会の開催については、「ヒアリングの結果を発表していないので、それを見て判断していくことになるだろう」と強調した。
●安倍派、二階派議員のヒアリングが終了 森山総務会長が説明、来週にも公表 2/9
自民党の森山裕総務会長は9日の記者会見で、派閥パーティー収入不記載事件を受けた安倍派(清和政策研究会)や二階派(志帥会)などの議員へのヒアリング調査が終了したと明らかにした。党所属の全議員に対して行った平成30年から令和4年までの収支報告書に不記載がなかったかを問うアンケートも全議員から回収した。
公表の時期については、14日に行われる政治資金問題に関する予算委集中審議を「十分配慮しながら対応していく」と述べた。
●先行き見通せない核燃料サイクル 六ケ所再処理工場は6月完成断念 2/9
今年、岸田政権は東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)などを再稼働させる方針だ。だが、使い終えた核燃料を再利用する「核燃料サイクル」は、原子力政策の柱と位置づけられながら行き詰まっている。中核施設は6月ごろまでの完成を掲げていたが、1月末に断念。行き場のない使用済み核燃料は1万9千トンを超える。
昨年11月末、日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)が報道公開された。使用済み燃料からプルトニウムとウランを取り出す「再処理」をする施設。東京ドーム159個分、750ヘクタールの敷地には、窓のない白い建物が並ぶ。着工から31年たった今も建設中だ。周囲には「エネルギーの村」と書かれた看板が立っていた。
再処理工場は本州北端の下北半島にある。冬は雪と強風に、夏場も冷たく湿った風による冷害に見舞われるこの地は、農業に適さない。1985年、村が工場立地を受け入れたのは地域振興のためだった。原燃は大手電力9社などが出資する「国策民営」会社で、今では人口の1割超が社員や関係者だという。
工場は当初、97年に完成する計画だったが、延期を繰り返してきた。原燃の増田尚宏社長は「2024年度上期のできるだけ早く」とし、具体的には「24年6月ごろ」としていたが、1月31日に青森市で開いた会見で、「私の思いで6月と言い続けるのは、もうさすがにふさわしくない」と撤回した。ただ、24年度上期の期限も「間に合わせるのはかなり厳しい」(関係者)との見方が大半だ。延期が決まれば、27回目となる。 ・・・
●独自入手「自民党員1000人調査」で見えた岸田政権崩壊の予兆 2/9
日本の首相は国会議員によって選ばれ、その国会議員は国民が選ぶ。したがって、我々国民は、間接的にではあるが首相を選んでいることになる。
しかし、2012年末に自民党が政権に返り咲いて以降、国会では常に自民党が多数を握り、その結果、自民党総裁が事実上自動的に首相の座に就いている。
その自民党総裁は、自民党の総裁選挙で選ばれるが、総裁選での投票権を持つのは国民ではなく、自民党所属の国会議員と自民党員だけだ。つまり、日本の首相は、わずか数百人の国会議員と112万人(2022年末)の自民党員だけによって選ばれるのだが、そのことはあまり注目されていない。
最近、「ポスト岸田ランキング」の報道をよく見かける。数字に違いはあるが、概ね石破茂自民党元幹事長がトップで、2位に小泉進次郎元環境相、3位に河野太郎デジタル相、4位に高市早苗経済安全保障担当相が続くというものが多い。
ただし、その順位は、国民一般を対象にした世論調査の結果によるものだ。
しかし、首相を決めるのは、一般国民ではなく、一握りの自民党員らであるという事実を前提にすると、本来は、自民党員の間での人気ランキングが重要なはずだ。
もちろん、世論調査では、支持する政党についても質問しているので、クロス集計によって、自民党支持層に限定したポスト岸田のランキングは出せる。現に、新聞によっては、それを公表しているところもあるが、本体調査のサンプル数が千程度のものが多く、その中の自民党支持層のサンプル数は数百にしかならないので、信頼度が低い。
しかも、自民党を支持すると回答している人でも、自民党に党費を払って総裁選で投票できる資格を持っている人の割合はかなり低いと考えられるので、実際の総裁選になった時の予想にはとても使えないという限界がある。
そこで、最初から質問する対象を自民党員に限定して千人の回答を得た調査があるとなれば、自民党の総裁候補は誰でもそれを見たいと切望するだろう。
実は、ごく最近、永田町である調査の存在が話題になっているという噂を耳にした。いろいろと探ってみると、たしかにあるデータの存在が確認できた。それは、まさに自民党員に限定して行ったという意識調査の結果だ。実施されたのは1月下旬とかなり新しいものだった。すでにある程度の数の人が持っているようなので、おそらくこの話は永田町などで急速に広がっていくだろう。ただし、残念ながら、どのようにして入手したかは明かせない。
そんな話は眉唾だと思う方は、この先を読むのをやめてもらってももちろん結構だが、試しに見てみようという方は、読んでいただければ、かなり面白い事実を知ることができるはずである。
問いの順に結果を紹介しよう。
問1は最近の裏金問題についての受け止めを聞いている。
69.2%が、「政治に対して不信感が強い」と答えている。「それほどの問題だとは思わない」が26.8%、「無関心なのでどうでもいい」が4.0%だった。正規の自民党員でもほぼ7割が政治不信を高めていることがわかる。
問2は支持政党だ。自民党員に支持政党を聞くのは不思議だと思うかもしれないが、結果は非常に興味深い。
「自民党支持」と答えた自民党員はわずか67.5%しかいない。
12.9%が「支持政党なし」と答え、無党派層に転化している。
「立憲民主党支持」が4.8%で「日本維新の会支持」の4.2%を上回り、「共産党支持」も1.7%で、「国民民主党支持」1.6%の上を行く。自民に嫌気がさした自民党員の行き先としては、維新と国民民主が大半だと思ったが、そうではない。こうしてみると、維新は自民党から離反する人の受け皿にならなくなっているようだ。最近の退潮傾向と整合的である。
問3は岸田文雄内閣への支持について。
岸田内閣を「支持する」自民党員は、わずか34.6%。「支持できない」が47.4%で、「わからない」が18.0%だ。岸田内閣が死に体だということがよくわかる。
問4は、次の首相として期待できる人はいるかという問い。
「期待できる人がいる」が44.9%、「いない」が37.3%、「わからない」が17.9%。自民党員から見て自民党内に首相候補を見出せる人が半数もいないというのは、かなりの驚きだった。
問4−1では、問4で「期待できる人がいる」と答えた人と「わからない」と答えた人に対して、名前を挙げて、次の首相は誰に託したいと考えるかを聞いた。首相候補ランキングである。
1位が石破氏なのは驚きではないが、33.0%もの高率だった。実に、3分の1が石破氏を次期首相にと期待している。
2位は高市氏で14.7%、3位が岸田首相で12.2%、4位が上川陽子外相で9.6%、5位が小泉氏で8.6%、6位が林芳正官房長官で8.1%、7位が河野氏で7.1%、8位が茂木敏充党幹事長で6.6%だった。
一般の世論調査でも石破氏は1位になっているが、数字は多くの場合、10%台後半が多い。自民党内では石破支持は低いが、野党支持者の多くが石破氏を支持しているから1位になるのだと解説されているが、この調査では、自民党員だけの中で支持率が33%という非常に高い数字になっている。
これはどういうことなのか。
自民党は安倍晋三政権誕生以降、急速に右傾化したと見られていたが、旧統一教会の問題や今回の裏金問題で安倍派が信頼を失う中で、これまでの路線への懐疑的な見方が広がっている可能性がある。
そうした党員の一部で反安倍を貫いた石破氏に支持が流れているのかもしれない。
一方で、高市氏の支持率が一般の世論調査に比べて非常に高いのは、安倍派の事実上の崩壊を受けて、同派に見切りをつけた岩盤右翼層を含むタカ派の党員が高市支持に回ったとみるのが順当だろう。
こうしたことを意識しているのか、高市氏は、これまで維新に流れていた保守層を自分のところに惹きつける作戦にもぬかりがない。1月下旬、突然大阪・関西万博の延期を岸田氏に進言したことを表明したのも、明らかに維新叩きの狙いが見て取れる。
また、同じ女性候補であるが、従来の世論調査ではほとんど名前が上がらなかった4位の上川氏は、これまでほとんど無名であったことが逆に新鮮なイメージにつながっているようだ。また、英語が堪能でこれまで例の少ない女性外相に就いた意外性もあって支持を集めている。一気に小泉、河野を抜いて、4位へ急上昇した勢いを見ると、大化けする可能性もある。(この調査は、麻生太郎元首相が上川氏の容姿を揶揄しながらその能力を高く評価する発言をして世間の注目を集める前に行われています)
メディアが、高市、上川両氏を取り上げて、「女の闘い」などと面白おかしく取り上げる可能性もあり、そうなると注目度はさらに上がるだろう。
この2人の間で、岸田氏が3位に入っているが、現職首相でありながら、自民党員の8人に1人しか次も首相になってほしいと思っていないというのだから、その不人気ぶりは際立っている。現在の内閣支持率も自民党員の中でさえ34.6%と十分に低いが、再選を望む人はさらにその3分の1でしかないということを示している。
一方、小泉氏と河野氏は、自民党員の間では人気が伸び悩んでいる。2人とも脱原発派で、リベラルなイメージが強かったが、そうした傾向を持つ自民党員は、石破支持に回っているように見える。
石破氏は、憲法改正派であり、防衛力強化も支持している。脱原発というわけでもないので、野党支持層までもが惹きつけられるのは理解できないと感じる人も多いだろう。しかし、何よりも人柄で信頼を築き、不遇を覚悟で信念を貫いた政治姿勢も支持され、安倍派をはじめとする金権・強権政治への対抗軸として人気が高い。それによって、小泉氏や河野氏を支持してきたリベラル層ないしハト派にも食い込んだのではないか。
また、河野氏については、リベラル層が支持しているというのは過去の話となり、どちらかというと、同氏の言動がタカ派に受けているという傾向が、石破氏に支持層を奪われることにつながっているように思える。
林氏が河野氏を上回ったり、一般の世論調査では非常に低い数字しか出ない茂木氏も河野氏に迫る数字を出したりしているのが驚きだったが、それは、単なる自民党支持層ではなく自民党員対象の調査であることが影響しているのだと思われる。
自民党員には、頻繁にメールで自民党関連のニュースが送られてくるので、彼らは、林氏が官房長官として、あるいは、茂木氏が幹事長として、また上川氏が外相として、それぞれ「活躍」していることを一般国民はもとより単なる自民党支持者よりも遥かによく知っている。つまり、自民党政治に関するリテラシーはかなり高いことが影響しているのだと思われる。
最後に、あと二つ調査結果を紹介しておこう。
問5では、岸田首相の交代時期について聞いているが、次の総裁選(時期は特定せず)で「交代を望む」という自民党員が56.6%、「再選を望む」が20.8%、「わからない」が22.6%だった。
岸田氏を積極的に支持したのが12.2%いたことと合わせて考えると、8%程度は期待できる人がいないので誰がやっても同じだと考えて再選でも良いと答えた人がいるということになるのではないか。
問6では、次の衆議院選で自民党候補者に投票するかと聞いている。「必ず投票する」と答えた人がわずか54.2%だった。「迷っている」が21.7%、「多分投票しない」が22.5%、「棄権する」が1.7%だった。
この数字は驚きだ。自民党員の2割以上が、迷いもせず今の段階で、棄権をせずにしかも自民党に多分投票しないと答えている。つまり、他党に投票するだろうと言っているのだ。迷っているも2割以上いるから、その中にも他党に流れる党員がいるだろう。こうした傾向が自民党支持層一般にも広がっていると考えると、次の選挙では、自民党の得票が激減する可能性があるということになる。
政権交代が起きるとすると、野党の頑張りに期待するしかないように感じるが、ここで紹介したデータを見ると、それよりも、自民党が自壊して政権交代が起きる可能性があることが見えてくる。
一方で、岸田首相にとっては、自民党員の支持に限れば、石破氏を潰し、高市氏の追撃をかわすことが延命の条件になる。上川氏の大化けをどう防ぐかも課題だ。
そうしたことをケアしながら、先週の本コラムで紹介した所得減税による実質所得大幅アップという切り札にかけて、8月または9月の解散総選挙を狙うということになるのだろう。
ただし、岸田首相の大逆転は、「国民はバカだ。時間が経てば必ず忘れる」という安倍氏から引き継いだ岸田氏の哲学が正しかった場合にのみ実現可能だということだ。
逆に言えば、我々国民が果たすべきは、自民党が崩壊しつつあるということを認識し、次の総選挙まで、現在の岸田政権や自民党政治への怒りの気持ちを忘れずに必ず投票に行くこと。それに尽きる。
政権交代は手に届くところに来ているのだ。
●政治の犠牲になった能登地震 2/9
被災地で見た光景
飴細工のように曲がった電信柱が、揺れの激しかったことを物語っている。地面に垂れ下がった電線は降り頻る雪に埋もれてしまった。この時期は寒鰤で賑わうという漁港には、人っこ一人いない。みな高台の中学校に避難したのだという。月明かりだけが頼りの闇夜のなか、津波のために防波堤に打ち付けられた小さな漁船が、風と波に軋む音だけが響き渡っている。
山に目を向けると、はるか遠くの方に灯りが見える。あれが避難所となっているという中学校だろう。スマホの地図をみると、車で5分で着くらしい。しかし、避難所に続く山道は崖崩れや道路陥没で思うように前に進めない。前日に自衛隊による啓開があったというが、それは自衛隊車両を前提とした道路疎通だ。よもやスタッドレスタイヤだけが頼りのこんな小さな車が、土砂に片輪乗り上げつつ前に進むわけにもいかない。やむなくルートを切り替えて、違う道を進む。結局、避難所に到着するのに1時間半かかってしまった。
避難所ではボランティア有志による炊き出しが始まっていた。今日のメニューはうどん。外気温計はマイナス4度を示している。寒い日に暖かいうどんは何よりのご馳走だろう。
炊き出し場は中学校の校舎の裏手にあたり、そこから先は、平時は教職員向けの駐車場として使われるスペースとなっている。いまは被災者の車が溢れかえるように停まっている。高台になっていて、駐車場のはじからは、先ほどまで我々がいた漁港が見下ろせる。目と鼻の先でしかない。この高台に向かうつづれ折りの道を、2度3度曲がればすぐにつく距離だ。なるほどスマホのナビのいうとおり、平時なら5分もかからずに到着するだろう。
「あの港、こんなに近いんですね」と、隣でトランクの荷物を整理していた被災者の高齢男性に声をかけた。
「自衛隊は昨日、一回来たきりや。物も置いていかん。道をどないかしてくれたらええのだが、他のことで忙しいんやろう。もう1週間もこのままじゃ」
少し待って欲しい。先ほど校庭で大釜をつかってうどんを茹でていたあのボランティア団体は、自衛隊より前にここに到着したというのだろうか。
「そうよ。あの人らだけやない。トイレ設置してくれたのも、新潟県のなんとかいう市役所の人。自衛隊やのうてな。その次に来たのが、携帯の会社。電波塔の修繕にな。で、陸電(北陸電力のこと)がきよって、で、自衛隊や」
事態がうまく飲み込めない。その人の顔を見つめてしまった。あの漁港を見下ろしておられる。
「船も、みてみ。あのまま置いておくしかない。どうなるんやろうのう。このままじゃ、捨てられたようなもんだわ」
「捨てられた」としか思えない
発災6日後の1月7日に金沢に到着し、1月9日にかけての足掛け3日間、能登地震の被災地を巡った。現場はどこも凄惨だ。大火となった輪島、家屋倒壊で壊滅的な被害をうけた珠洲だけではない。入りくんだ海岸線を有する能登町沿岸部は、文字通り「津々浦々」それぞれ違った凄惨な被害実態がある。穴水、七尾、和倉温泉付近でさえ家屋倒壊など深刻な被害は発生している。
確かに被害の濃淡はある。山地、丘陵地、平野部、入江など能登半島独特の多様性にとんだ地形のせいでもあるが、なによりも今回の地震が、断層型かつ直下型だったことが大きい。プレート型地震でありかつ沖合で発生した東日本大震災の被害は、例えていえば、「極めて大きな鈍器で、背中を強打され、しばらく気絶し、生死の淵を彷徨った」という被害だ。能登地震はそうではない。「鋭利な刃物で全身を細かく瞬間的に切り刻まれた」ような被害だ。切り傷の深さはそれぞれ違うし、切り傷の場所によって痛みも出血も違う。おそらく、被害実態の全容把握にはかなりの時間が必要だろう。
そのためだろうか、被災地をへ巡ると、さきほどの被災者高齢男性のように、「捨てられたようなもんだ」と口にする人に出くわす。そして実際に、どう考えても「捨てられた」としか思えない場面に出くわす。前述のように、私が被災地取材を敢行したのは1月7日から9日にかけて、発災後1週間近く経っている。その日に「今日、はじめて自衛隊の車両を見たよ」「今日、はじめて、県庁の人が避難所に来たよ」という被災者がいる始末なのだ。
確かに私自身、それほど被災地取材の経験を重ねたわけでもない。比較対象を豊富に有しているわけでないことは認める。しかし発災後1週間で初めて公的機関につながっただの、発災後1週間で初めて自衛隊の車両をみかけただのという話は、他の比較対象を持ち出すまでもなく「異常」と断定していいだろう。初動の遅れは明らかだ。
初動の遅れに対する批判への対応も目を覆うばかりの惨状を呈している。1月10日の『毎日新聞』朝刊に掲載された「自衛隊派遣、増員が容易でない背景 能登半島地震と熊本地震の差」と題された記事によると、自衛隊幹部は初動の遅れに対する批判に対し、「陸の孤島と言われている半島での未曽有の震災。一番起きてほしくない場所で起こった」と答えているという。これは言い訳にならないだろう。敵は常に「一番起きてほしくない場所」を狙って上陸してくるはずではないか。自衛隊が待ち構える場所に上陸してくる敵などいるはずがない。
さらにいえば、政府がこれまで数十年にわたって累積数兆円の予算を注ぎ込んできた「南海トラフ地震」対策の主要地は、伊豆半島であり、知多半島であり、紀伊半島であり、すべて「半島」ではないか。それらをすべて「陸の孤島」として「一番起きてほしくない場所」と規定するのならば、これまでの政府の地震対策は全て無駄であったということになる。
当事者能力のない馳浩知事
石川県庁もおかしい。馳浩石川県知事が初めて震災に関する記者会見を行ったのは、1月10日になってから。1月1日の誤記ではない。間違いなく1月10日だ。発災後9日たって、ようやく被災県の首長が記者会見をしたというのだから驚くほかあるまい。
内容もお粗末そのもの。なんと発災後9日目の初記者会見で、馳浩知事は「現場を見たい」と発言しているのだ。これまで現場視察もせずに、なにをどう対応していたというのか。そして、なぜか会見の途中で「SDGsの大切さ」を滔々と語り始めてもいる。紋切り型の美辞麗句を持ち出さねば座持ちさえできないということなのだろう。もはや馳浩知事に当事者能力のないことは明らかだ。
馳浩氏は、奥田敬和系の前職知事およびその後継知事を嫌った森喜朗氏によって2022年の知事選に擁立された。横車とも言うべき森氏の行動に対し、自民党の石川県連は反発した。しかしそれを安倍晋三が力でねじ伏せようとした。そうした経緯を経て、知事選挙で自民党は三分裂することになる。そして僅差で馳氏が勝利し、知事の座を掴んだ。馳氏を支援した自民党の県議会議員はほとんどいない。その後の県議選でも、馳氏はいわゆる「刺客候補」を反馳派自民県議の選挙区に送り込んだものの、ことごとく返り討ちにあっている。
こうしたことから、馳氏は自民党系知事でありながら、自民党が多数を占める県議会に足場を持たない。この政治的不安定さが、石川県庁の初動の遅れに影響しているとの指摘もあるが、そうではあるまい。単に、馳知事が無能なのだ。
しかしそうした無能な人物を知事に据えたのは森喜朗氏や安倍晋三氏の政治判断であった事実は揺るがない。永田町の政治の都合――今回の場合は、森喜朗氏の個人的な好悪の感情でしかないが――で、結果論的にではあるが、およそ非常時の指揮対応能力のない卑小な人物が、首長となってしまった。それこそが、石川県庁の初動の遅れの原因だろう。
馳浩氏知事選擁立の政治的責任を負うべき一方の当事者である安倍晋三氏はすでに死去した。生き残った森喜朗氏は、清和会裏金事件の報道が過熱した昨年末になぜか急遽、高級老人ホームに夫婦そろって入居したという。いまごろ、暖炉の火にでもあたりながら、テレビが映し出す故郷・石川県の被災の様子を、おしどり夫婦と謳われた智恵子夫人の手を握りながら眺めているのだろう。幸せな老後を寿いでおこう。
無能ゆえに責任を感じることさえできない馳浩知事。幽明界を異にする安倍晋三氏。老人ホームの瀟洒な塀の向こうで温かい老後を過ごす森喜朗氏。この三人が政治的責任を負うことはもはやなかろう。
今日も、初動の遅れを回復することもなく、明後日の方向を向いた震災対応が続いている。テレビやネットニュースは、つぎつぎと死者数の増加を伝え、震災関連死さえ急増している。
「このままじゃ、捨てられたようなもんだわ」
あの被災者の声が、森喜朗氏の耳に届くことは、もはやあるまい。
●岸田総理「4月解散&総裁選無投票再選」の可能性…「自画自賛レポート」 2/9
〈岸田総理は(中略)自由で開かれた国際秩序をさらにもう一歩進めるためにリーダーシップを発揮してきた〉
1月23日、26日、29日の3日間に分けてメールボックスにこんな自画自賛レポートが届き、自民党秘書たちは首をかしげたという。送り主は自民党本部。中堅議員の秘書が困惑しながら語る。
「タイトルは『岸田政権の取り組み』で、〈地元での説明やメディア対応などでご活用ください〉の文面とともに送られてきた。以前にも政権の支持率が低迷した時に党本部からペーパーが送られてきたことはあったが、今回はA4用紙48枚というかつてない文量だ」
冒頭は「外交編」の一節だが、「新しい資本主義編」も〈2年間の取組の結果、(中略)デフレを完全に脱却し、新たな経済に移行する千載一遇のチャンスが巡ってきている〉などと岸田文雄首相(66)を称える文章が延々と綴られている。
2月4日にJNNが公開した最新の世論調査によると、岸田政権の支持率は23%台と危険水域にある。この時期に大量のレポートを配布した目的は何なのか。
「首相は、衆院の早期解散に向けた道を模索しているのではないか。レポートは地元での演説を念頭に置いた内容で、『選挙が近い』と準備を促すものでは、との観測もある」(全国紙政治部記者)
低支持率の今、わざわざ負け戦に打って出るとは信じ難いが、党幹部経験者は「今後の国会日程を考慮すると、簡単には否定できない」と言う。
「このまま9月の総裁選へ突入すれば、首相の再選の芽は無い。政権の延命には、解散カードを切るしかないところまで追い込まれている。肝心なのは解散時期。5月の連休明けだと、裏金問題に端を発した政治資金規正法の改正問題で国会は紛糾する。6月末の通常国会終了後だと遅い。支持率が低迷したままなら、岸田おろしが始まる恐れがあるからだ。ならば新年度予算を3月中に成立させ、大サプライズの4月解散しかない。4月に予定される3つの補選で負け越せば、いよいよ解散に踏み切れなくなる。その前に手を打ちたい」
発足以来政権を支えてきた麻生太郎副総裁(83)、茂木敏充幹事長(68)に断りなく派閥解散を宣言した時から、岸田首相には怖いものが無くなった。麻生派以外の派閥が事実上解散し、政権運営をフリーハンドで行えるのだ。ブレーキの壊れた首相は延命のため、「万博延期」のカードを切ることも厭(いと)わない。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が明かす。
「高市早苗経済安保担当相(62)が突如提唱したが、これは官邸内で議論が交わされているのを察知したからだろう。能登半島地震復興のためと言えば、大義名分も立つ。何より野党第一党を目指す維新の会に強烈な逆風を浴びせられる」
昨年までは何度も解散をちらつかせながら、伝家の宝刀を抜くには至らなかった。しかし、派閥解散を宣言した時と同様、逆ギレといえる形で解散権を行使し、総選挙で大負けを回避できれば悲願の総裁選無投票再選の芽も見えてくる。
無敵の人となった首相。ためらいなく解散カードを切っても不思議ではない。
●激オコの旧統一教会は死なばもろとも「岸田派狙い撃ち」… 2/9
 盛山文科相&林官房長官との“濃厚接触”をリーク
自民党の裏金事件で防戦一方の岸田首相がますます窮地に立たされている。あの銃撃の引き金となった旧統一教会(世界平和統一家庭連合)をめぐり、党の点検で伏せられていた閣僚との濃密な関係が次々に判明したからだ。
よりによって、教団に対する解散命令を請求した盛山文科相(衆院兵庫1区)と、首相の女房役の林官房長官(衆院山口3区)ときた。いずれも政権から旧統一教会や裏金に関わる議員を一掃した人事で登用した岸田派メンバー。岸田首相本人が教団幹部と面会した問題もくすぶったままだ。
盛山問題を連日特報する朝日新聞によると、2021年10月の衆院選公示2日前、盛山氏は教団関連団体「世界平和連合」が神戸市内で開いた国政報告会に出席。政策協定にあたる「推薦確認書」に署名し、推薦状を受け取ったという。
選挙期間中は平和連合会員10〜20人が盛山事務所に出入り。有権者に電話で投票を呼びかけたというからベタベタだ。盛山氏は小選挙区で敗れ、近畿ブロック下位2人目で比例復活。選挙は弱く、教団の支援なしではタダの人になった可能性大だった。
旧統一教会問題を追及するジャーナリストの鈴木エイト氏はこう言う。
「岸田氏と教団幹部との面会が昨年末に報じられたのは、解散請求に激怒した韓国本部の意趣返し。日本の頭越しにリークしたと聞きますが、盛山氏や林氏については違うラインから漏れている。手のひら返しと言える政権の動きにカンカンの教団は岸田派への攻撃を強めています」
岸田首相は「あくまでもギングリッチ氏との面会」とスットボケ
岸田面会は19年10月の出来事。国会対応で時間を取れない安倍元首相の要請で、政調会長だった岸田首相が党本部でギングリッチ元米下院議長や、関連団体「天宙平和連合(UPF)ジャパン」トップの梶栗正義議長らと会ったというもの。岸田首相は「あくまでもギングリッチ氏との面会」とスットボケてきた。
林問題を報じた週刊新潮によると、林氏が教団関係者を地元事務所に招き入れたのは21年9月。参院からの鞍替えで、党公認を争っていた時期だ。元秘書の宇部市長の手引きで平和連合事務総長らと会談し、必勝祈願の千羽鶴を手渡されたという。
「盛山氏と林氏の件は地方の教団幹部によるリークで、日本本部は黙認しているようです。自民の党員獲得ノルマは比例復活組ほど厳しく、教団はその面でも盛山氏を支えてきた。党の点検でウヤムヤにせず、第三者委員会を設けて徹底調査し、関係を明らかにしない限り、この問題は終わらない」(鈴木エイト氏)
解散請求をめぐって国と教団双方の主張を聞く審問が22日に東京地裁で開かれる。矢はさらに放たれるのか。
●盛山文科相と教団 説明あまりに不自然だ 2/9
岸田政権に新たな問題が持ち上がっている。宗教行政を所管する盛山正仁文部科学相が、衆院選の際に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体から支援を受けていたとの疑惑が浮上した。
一部報道によると、2021年10月の衆院選の公示前に、旧統一教会の関連団体の会合に盛山氏が出席し、推薦状を受け取った。団体の関係者は、盛山氏の選挙運動を手伝ったとも述べているという。
教団による高額献金被害が相次いだことなどを踏まえ、自民党は22年、党所属国会議員を対象に教団との関係の有無を調査。その際、盛山氏は教団の関連団体の会合に出席したと回答したが、選挙で支援を受けたとの回答はしていない。
今回の疑惑が事実であれば、党の調査に対し、虚偽の報告をしていたことになる。そうでないというなら、理解が得られるように根拠を示して明確に説明しなければならない。
推薦状を受け取ったことは、その場面を捉えた写真と共に報じられている。だが盛山氏は当初、「記憶がなかったので党に報告しなかった」と釈明。その後国会で野党の追及を受けると「報道された写真を見て、うすうす思い出してきた」と述べるなど説明があまりに不自然だ。
教団側の推薦確認書に署名したとの証言があることも報道された。これについては国会の答弁で「よく読むことなくサインしたかもしれない。よく覚えていない。軽率だった」と署名を事実上認めた。だが昨日になって「記憶がまったくない」と述べるなど、あやふやだ。果たして正直に答えているのか。疑念が拭えない。
推薦確認書は教団側の政策を推進するよう求める内容で、一部議員が署名したことがこれまでに判明している。政策には憲法改正のほか、LGBTや同性婚合法化への慎重対応などが掲げられ、自民党の政策に影響を与えた可能性もある。盛山氏が署名していたのが事実なら、文科相としての適格性に関わる。
教団については文科省が昨年10月、東京地裁に解散命令を請求した。命令が出れば教団は宗教法人格を失い、税制上の優遇が受けられなくなる。教団側は全面的に争う姿勢を示しており、地裁が教団側と文科省側の双方から意見を聴く審問が近く開かれることになっている。
教団から選挙支援を受けた疑惑が取り沙汰されている盛山氏が、果たして教団に対峙(たいじ)できるだろうか。
昨年9月に盛山氏が文科相に就任した際、過去に教団側と接点がある人を起用することに疑問の声も上がっていた。岸田文雄首相は「現在は一切関係がないことを前提に任命している」と述べ、更迭はしない考えを示したが、疑惑は払拭されていない。国民が納得できる説明がなされるよう、首相は指導力を発揮しなければならない。
●立憲・泉代表「私は塩むすび」に賛否の波紋 無個性?適材?  2/9
次の総選挙で政権交代を目指すと宣言した立憲民主党の泉健太代表は、「塩むすび」でいいのか?党首として「塩むすび」は相応しいのか?そんな議論が話題になっている。
きっかけは、泉氏が党大会で来賓から「味わいが薄くても飽きのこない塩むすびみたいな人」というエールを送られ、泉自身も「塩むすびです」と自称したことだ。
党大会で「塩むすび」発言が飛び出すまで
2月4日、東京都内のホテルで開かれた立憲民主党大会は、意外な盛り上がりを見せた。その立役者は、来賓としてスピーチした京都芸術大学前副学長の本間正人氏だった。
立憲の応援団として芳野連合会長に続いて壇上に立った本間氏は、第一声で「あきらめるのをやめましょう。今の自民党に憧れている人はいないと思うが…」と大谷翔平選手の言葉をもじって笑わせ、立憲への期待は高まっていると指摘した上で「ぜひARE(アレ)を実現していただきたい。アレですよ」と、阪神タイガースの岡田監督発の流行語を使って、政権交代を実現するよう背中を押した。
その後も本間氏は自民党政権を痛烈に批判しながら立憲民主党を励ます言葉を並べる中で、「今多くの所で膿が出ている。それは芸能界かもしれないし、地方自治体のパワハラかもしれない。そして、なんといっても自民党の膿がグチュグチュ出まくっている状況だ」と指摘し、泉健太代表について次のように述べた。
「“そうだ!健太がいるじゃないか。”というキャッチコピーどうなんだろう。忘れられているのかこの人はという風に思うかもしれないけれど、でも健太がいるんですよ。この人は決して大谷翔平ではないかもしれないけれど、選挙も政治もチームで戦うものです。160キロの剛速球は投げられない。40本ホームランを打つキャラクターではないかもしれないけれど、今自民党がこれだけドロドロドしている時に、これだけクリーンでスキャンダルのスの字も出てこない…僕は塩むすびみたいな人だと思うんですけれど」
本間氏はこのように泉代表を塩むすびに例え、理由をこう語った。
「なんか具が入っていなくて味わいが薄いように思うかもしれないけれど、味わってみれば一番飽きが来なくて、持続可能な未来を実現していけるのはこういうキャラクターの人なんじゃなないかと思うのであります」
この例えに会場からは大きな拍手が沸いた。その上で「もし仮に泉健太に力が足りないとすれば、やはりチームで戦う、これが大事だ」と指摘し、第一党奪取へ「さあ行こう!」と煽った本間氏に続いて、壇上に立った泉代表はこう切り出した。
「皆さん、こんにちは。塩むすびでございます。立憲民主党、泉健太です」
こうして塩むすびを自称した泉氏は、自民党の裏金問題を厳しく批判した上で、政権交代に向けて「私だけの力でそれは果たせない。ぜひ皆様の力が必要です。皆さま一人ひとりのお力あってこそ、大きな大きな大事業のこの政権交代を果たすことができると考えています。ぜひ皆さん一緒になって頑張って参りましょう」と呼びかけた。
記者会見では厳しい質問も
そして大会後、泉代表は記者会見に臨み、「党大会は大変盛り上がった。政権交代への気運を高める機会になり党内の結束も固まった」とした上で塩むすびについてこう語った。
「自分自身がもちろんリーダーであり、党を引っぱっていく立場だが、私一人の力では政権交代を果たすことはできない。いい形容をしてくださったなと。私もよくおにぎりは作りますが、塩むすびという表現があって、それは自分としても、そういう役割であって良いのかなと思いましたね」
しかし、記者からは「政権交代を目指し、立憲民主党の代表としてリーダーシップや存在感を発揮していかなければいけないと思うが、塩むすびでいいのかなと疑問を感じた。もし塩むすびでなく、中に具を入れるとしたら、どんな具を入れて、どんな代表になっていきたいのか」との質問が飛んだ。これに対して泉氏はこう答えた。
「はい、いりません。私は私、塩むすびは塩むすびです。このまま行きます。天下一品の塩むすびを作ります」
ネットでは“塩むすび”に賛否両論
この「塩むすび」のニュースが報じられると、ネット上には「面白い」「頑張れ」という好意的な意見の一方、「中身がない」「だから政権交代できないんだ」「塩むすびに失礼だ」という酷評も相次いだ。
泉氏といえばこれまで、党内でのリーダーシップの物足りなさが指摘され、それこそ味の濃い具のような個性を求める声も多かった。しかし、それを逆手にとって塩むすび宣言をしたことで、無理やり個性を打ち出す必要性から一時的に解放されたのかもしれない。ただし、それで立憲民主党に現時点で期待していない多くの国民に支持を拡大できるかは微妙なところだ。
「代表が嫌いとは…」岡田幹事長と記者でちょっと不思議な塩むすび問答
そうした中で、岡田幹事長が6日の会見で、この塩むすび論争に参戦した。
岡田氏は党大会を振り返る中で塩むすびに言及し、「私は結構、塩むすび好きなので。コンビニに行くとだいたい買うのは塩むすびか、地元だとあさりのしぐれの入ったものが私のソウルフードだが、そのどちらかを選ぶのが私。思わず塩むすび好きですと言おうかと思いましたが、誤解を避けるために発言は控えました…別に代表が嫌いだと言っているというわけではありませんけど」と述べた。
そして、記者からは、岡田氏に対しても「塩むすびはメインディッシュではない。塩むすびだけでは物足りない。幹事長は塩むすびと漬物だけで満足かもしれないが、普通は違うものも食べたい。塩むすびは個性がない象徴だ。立憲は国民にどういうメインディッシュを用意するのか」という質問が飛んだ。岡田氏は「塩むすびは主食だ」と強調し、次のように述べた。
「塩むすびって難しいんですよ。米と塩のクオリティーが問われるんです。中に具があれば具の味でまぎれるが、何も入ってないとお米がどういうお米か問われるので、私は塩むすびでは戦えないとかそういう話はよくわからないです。もちろんいろんな候補者がいるから、トップとして塩むすびで押していくと言っているので、それでいいのではないかと思う」
どこか不思議な質疑になったが、岡田氏としては、塩むすびは決して脇役ではないということと、塩むすびを目指す泉代表の意思を尊重していくということを言いたかったようだ。
立憲民主党の「具」=目玉政策は何か
ただ、仮に泉氏が塩むすび路線でいくにしても、立憲民主党全体が塩むすびでは、有権者の広い支持は得られないだろうし、自民党という様々な意味で色々な味をとりそろえている料理店に勝つのは簡単ではないだろう。
となると、「具」や「おかず」として、泉代表以外の人材や候補者1人1人が個性を発揮していくのも一つの手だが、むしろ政策面で国民の支持を得られるような目玉となる「具」を掲げることの方が大事かもしれない。
民主党が政権を獲得した2009年を振り返ると、自民党政権への国民の反発もあったが、民主党がマニフェストとして掲げた政策に国民が期待したのも事実だ。もっとも民主党の政策は、実現できず看板倒れになったものが多かったのは周知の通りだ。一方で本間氏が触れたように、教育無償化や子ども手当のように、その後の安倍政権や岸田政権などで一部実現したものもある。
しかし、現時点で立憲民主党の政策は国民に浸透しているとは言えず、何が目玉政策、看板政策なのかいうと曖昧な状況だ。党大会で採択された今年の活動計画も「人へ 未来へ まっとうな政治へ」と銘打たれ、「国民生活に寄り添う政策の実現」と書かれているが、具体的な政策の方向性は、ここでは打ち出していない。
自民党に政策を先取りされたり、逆に批判を受けるのを防ぐために、選挙の直前に打ち出すのかもしれないが、それだと、国民に浸透する時間は足りなくなるというジレンマもある。
また泉氏は、他党との間で、政治改革、子ども若者支援、教育の無償化、防衛増税の撤回、ガソリン税のトリガー条項の凍結解除、大学授業料の無償化など、特定の政策の実現のために連携するミッション型内閣の実現を訴えているが、これが選挙戦を勝ち抜く看板政策となるのかは明確ではない。
“塩むすび代表”の塩辛い道のり
現在、自民党に逆風が吹くものの、自民党も政権転落の危機だと踏めば、「本当に今の野党に政権を任せることができるのか」と声高に主張することで野党への風をやませることも可能な上、自民党として、岸田首相に見切りを付け、次の政権に移行して逆風を払拭した上で総選挙を行うことも有力な選択肢になっている。
泉氏が、そうした立憲にとって不利なシナリオも予測しながら、どのように党を舵取りし、国民からの支持を広げていけるのか。9月に任期切れを迎える「塩むすび」代表は、決して甘くない、むしろかなり塩辛い道のりを歩んでいくことになる。 
●裏金議員処分、党で検討を 自民・森山氏 2/9
自民党の森山裕総務会長は9日、TBSのCS番組収録で、党派閥の政治資金パーティー裏金事件の関係議員の処分について、党内で検討が必要との見解を示した。安倍派の「5人衆」と呼ばれる幹部が閣僚や党要職を辞任したことなどに触れ、「政治家にとって、役職を途中で辞めることは非常に重い」と指摘。「そういうことも加味しながら、どういう処分にするか党で考えていかなくてはいけない」とも述べた。
●資金収支訂正「不明あり得る」 岸田首相 2/9
岸田文雄首相は9日の衆院予算委員会で、自民党安倍派幹部が政治資金収支報告書の収入総額や支出総額などを「不明」と訂正している事例があることについて、松本剛明総務相の答弁を引用して「数字が確定するまでの間、不明という形で訂正をすることはあり得る」との認識を示した。
●岸田総理「能登半島地震必ず乗り越える」建国記念の日メッセージで 2/9
岸田総理は今月11日に「建国記念の日」を迎えるにあたり、メッセージを発表しました。その中で能登半島地震について「必ず乗り越える」と訴えました。
岸田総理は11日に「建国記念の日」を迎えるにあたり、メッセージを公表し、元日に発生した能登半島地震について「国の力を結集し、必ず乗り越える」と訴えました。
また、日本が様々な課題に直面していることに触れたうえで、「明日は今日よりよくなる日本」の実現に向け、「将来の国民に対し、世界に誇れる日本を繋いでいく」とも強調しました。
●「記憶ない」で逃走、首相の前例を踏襲? 過去にフタで続く教団問題 2/9
盛山正仁文部科学相に続き、林芳正官房長官にも世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が明らかになった。だが、写真があったり、自身のサインが確認されたりしているにもかかわらず、「記憶にない」との言い逃れを繰り返すばかり。過去に向き合わない岸田政権の姿勢が問われている。
教団関係者と面会した際、2021年衆院選に向けた事実上の「政策協定」にあたる推薦確認書を提示されたと報じられた林氏。9日の記者会見では、事務所スタッフや面会の調整にあたった地元政界関係者に確認したとして、こう強調した。
「記憶がある者はいなかった」
「記憶にない」は、盛山氏も8日の衆院予算委員会で10回以上連発。9日の閣議後会見でも、確認書に署名したとされる問題などでさらに3回重ねた。それにもかかわらず、教団の解散命令を請求したことを引き合いに「しっかり対応している。私の行動をご覧いただいて、ご信頼いただければ」と求めた。
教団との接点をめぐる追及をかわす手法として、この常套句(じょうとうく)を多用したのは、岸田文雄首相も同じだ。
昨年12月、党政調会長時代に教団の友好団体トップらと面会していたと報じられた際、「名刺交換したか記憶していない」「内容は記憶していない」と繰り返し、取り合わなかった。
立憲民主党の泉健太代表は9日の会見で、首相をはじめ、林、盛山両氏が自民党の点検でもきちんと確認した形跡がなく、過去に向き合わない姿勢を問題視。「記憶でなく、リストやデータを確認するのが当たり前だ」と批判した。
●首相、「盛山氏続投」揺るがず 教団利する恐れ警戒 あいまい答弁がリスク 2/9
岸田文雄首相は9日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が指摘された盛山正仁文部科学相の進退について、野党の更迭要求を拒み、続投させる方針を示した。盛山氏は昨年10月に教団への解散命令請求を行った。政策がゆがめられたわけでもなく、盛山氏の更迭はむしろ教団を利する可能性があると考えているためだ。ただ、盛山氏の国会答弁はあいまいな点が目立っており、国民の不信を招けば更迭を余儀なくされる恐れもある。
「同じ派閥だったから守るなどということは全く考えていない」
首相は9日の衆院予算委員会で立憲民主党議員から、盛山氏が岸田派(宏池会)に所属していたから更迭しないのかと問われ、やや気色ばんで答えた。周囲にも「(盛山氏に)説明責任を果たしてもらうが、更迭はしない」と語ってきた。
首相の意思が固いのは、盛山氏は教団への解散命令請求を決定しており、便宜供与や政策決定への手心は見当たらないとの思いがあるからだ。首相周辺は「政治家は人と会うのが仕事だから面会者の中に教団関係者がいたかもしれないが、肝心なのは政策への影響だ。盛山氏は教団が最も嫌がる解散命令請求を決断した」と解説する。
官邸は、解散命令請求を行った段階で「教団が『他にもつながりがあったぞ』と暴露してくるかもしれない」(幹部)と予測していた。一連の報道を「教団の反撃」と受け止める向きもある。
盛山氏を更迭すれば、閣僚と教団の関係が明らかになるたびに更迭することになりかねないとの危機感もある。首相は令和4年秋から冬にかけ、教団との関係があった山際大志郎元経済再生担当相ら4閣僚の「辞任ドミノ」を防げず、ダメージを受けた。
政権としては盛山氏の続投という防衛ラインを死守する構えだが、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件も抱えており、予断を許さない。
●中期的な財政再建に本腰を=IMF対日審査団長インタビュー 2/9
国際通貨基金(IMF)の対日審査団長を務めるラニル・サルガド氏は9日、先進国で最悪の状況にある日本の財政について「当面は引き締めることが重要だ」と述べ、中期的な財政再建に本腰を入れるよう求めた。東京都内で時事通信のインタビューに応じた。
サルガド氏は今後日本の歳出が増え、公的債務が一段と膨らみかねない背景として、経済活動の活性化や高齢化の進展、グリーン投資の拡大を挙げた。ただ、経済成長と財政健全化を両立させることは可能だと指摘し、「歳入に見合わない歳出」を控えるよう注文を付けた。
岸田政権が6月から実施する所得税と住民税の定額減税については、「的を絞らない減税を行ったとしても、成長にはあまりプラスにならない」との認識を示した。家計に高水準の貯蓄があることを理由に挙げ、今後は低所得世帯への配慮が必要な場合に限って支援を行うよう求めた。
●二階氏秘書に略式命令=罰金100万円、公民権停止3年―パーティー収入事件 2/9
自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で略式起訴された二階俊博元党幹事長の秘書について、東京簡裁は9日までに、罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を出した。1月26日付。
略式命令を受けたのは梅沢修一秘書(55)。
起訴状などによると、梅沢秘書は「志帥会」(二階派)のパーティー券販売のノルマ超過分を派閥に納めず、関連政治団体の2018〜22年分の政治資金収支報告書に計約3500万円を収入として記載しなかったとされる。
●岸田首相、中国のTPP加入に慎重「中国の商慣行に厳しい目」 衆院予算委 2/9
衆院予算委員会は9日、岸田文雄首相が出席して外交、農業などをテーマとする集中審議を行った。主なやり取りは以下の通り。
【農業】
伊東良孝氏(自民)「異常気象や国際紛争、感染症リスクなど環境が変化している。食料安全保障の強化に向けた考え方は」
首相「輸入依存度の高い麦や大豆、飼料などの国内生産拡大を図る。備蓄を支援する。人口減少下でも持続可能な食料供給基盤を確立する」
角田秀穂氏(公明)「担い手が高齢化する一方、農業所得は低下。どう人材を確保するのか」
首相「輸出拡大やドローンやAI(人工知能)、ロボットなどの活用による生産性の向上、流通のデジタル化に取り組む」
【北朝鮮による日本人拉致問題】
山田賢司氏(自民)「日朝首脳会談実現のため、首相直轄のハイレベルでの協議を進めるというが、今までとの違いは」
首相「私自ら必要な判断を行う。具体的にさまざまな働きかけを行っている。結果につなげるよう最大限努力する」
【日中関係】
太栄志氏(立憲民主)「中国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加入を後押しすべきだ」
首相「中国の貿易慣行やビジネス環境には厳しい目が注がれている。戦略的観点や国民の理解を踏まえ対応を判断する」
【政治とカネ】
渡辺創氏(立憲民主)「政策活動費を支出する自民党の仕組みは」
首相「内規と慣行で定められている。内部の手続きについては(説明を)控える」
小野泰輔氏(日本維新の会)「企業・団体献金は民主主義ではなく自民のコストだ。やめたほうがいい。自民は調査研究広報滞在費(旧文通費)を調べるべきだ」
首相「全党共通のルールに基づいて対応すべき課題だ。議論に参加する」
【能登半島地震】
高橋千鶴子氏(共産)「2次避難所の宿泊施設の解約が多い。(観光支援の)北陸応援割が被災者追い出しにつながる」
首相「支障が生じないよう、柔軟に対応する」
【2025年大阪・関西万博】
長友慎治氏(国民民主)「生産者にとって大きなビジネスチャンスだ」
首相「わが国と地方が誇る安全安心な農林水産物や食文化を国内外にPRする絶好の機会だ」
●日朝会談へ「具体的に働きかけ」 首相が衆院予算委で強調、拉致問題 2/9
岸田文雄首相は9日の衆院予算委員会で、北朝鮮による日本人拉致問題解決に向けた日朝首脳会談実現への環境整備について、「私が自ら必要な判断を行う。具体的にさまざまな働きかけを行っている。そういった現状だ」と強調した。北朝鮮と水面下で接触しているかどうかなど、実際の取り組みに関しては明らかにしなかった。
金正恩朝鮮労働党総書記との向き合い方について、首相は「昨今の日朝関係の現状に照らし、大胆に現状を変えなければならない必要性を強く感じる」と説明。「私自身が主体的に動いて、トップ同士の関係を構築する」と表明した。自民党の山田賢司氏の質問に対する答弁。
首相は答弁で、北朝鮮の核・ミサイル問題への非難と受け取れるような発言をしなかった。対話姿勢を金氏にアピールし、首脳会談への前向きな対応を引き出そうとしている可能性がある。
●首相「発信力を充実させたい」 国民理解獲得、支持率反転狙いか 2/9
岸田文雄首相は9日発売の月刊誌「中央公論」のインタビューで、今後の政権運営で発信力を重視する意向を示した。発足時から重視した「聞く力」に加え「『決める力』を発揮した上で、決めたことを『発信する力』もより充実させたい」と語った。発信力を高めることで重要政策への国民の理解を得て、内閣支持率の反転につなげたい考えとみられる。
首相は、今すべきことを問われ「国民の厳しい声には真摯に耳を傾けなければいけない。一方で政権として信念を持ってやっていかなければならない」と強調。政権を担う中で「決める力も大事だと感じるようになった。経済、子育て、防衛力など決めることは決めてきた」とした。
●キックバック不記載議員は82人 政治資金パーティー調査 “迷走”盛山文科相 立憲の更迭要求に首相拒否 2/9
派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受け、自民党が実施した調査の結果、キックバックを収支報告書に記載していなかった議員が82人だったことがわかった。
自民党の森山総務会長は、9日までに終えた聴き取り調査の対象が、国会議員82人と選挙区支部長3人の、あわせて85人だったと明かした。
また、全ての議員に対するアンケートで、新たに不記載がわかった議員はいなかったという。
自民党・森山総務会長「新たにヒアリングの対象となるような事例は、今のところ確認されておりません」
自民党は、調査結果の詳細を週明けにも公表する方針。
一方、国会では立憲民主党が、旧統一教会の関連団体からの推薦確認書をめぐる盛山文科相の答弁が「迷走している」などと追及し、岸田首相に更迭するよう求めた。
盛山文科相「推薦書をもらう前提として、協定書にサインをしているはずではないかと言われましたので、ひょっとするとそうかもしれませんが、覚えておりません」
立憲・渡辺創議員「うっすら覚えているぐらいというのが正しい認識のように聞こえました。これ以上、混乱を長引かせることは、総理の責任ですよ。決断の時期ではないでしょうか」
岸田首相「任命時から今の時点、未来にかけて、盛山文科大臣は統一教会、および関連団体との関係は完全に絶たれている。遮断されている。これが(任命の)前提であります」
岸田首相は、更迭の考えがないことを重ねて示した。
また、政治資金をめぐっては、解散を決めた安倍派の萩生田前政調会長ら幹部が収支報告書の訂正に際し、金額などを「不明」として届け出たことを野党側が問題視した。
岸田首相は、「数字が確定するまで、不明という形で訂正することはあり得るとの説明が松本総務相からあった」と述べ、容認する考えを示した。
●新たに”不記載”判明の議員なし 自民党・全議員アンケートの結果公表 2/9
政治資金事件を受け、自民党が実施した調査について、9日午後、森山総務会長が説明した。
森山氏は、9日までに終えた聴き取り調査の対象が、キックバックを記載していなかった国会議員と選挙区支部長のあわせて85人だったと明かした。
また、すべての議員を対象にしたアンケート調査で、新たに不記載がわかった議員はいなかったという。
自民党・森山総務会長「新たにヒアリングの対象となるような事例は、今のところ確認されていない」
自民党は、調査結果の詳細を週明けにも公表したい考え。

 

●岐路に立つ被災商店街 高齢化「再建できるのか」― 能登地震 2/10
石川県穴水町中心部の商店街は、2007年の地震に続き、大半の建物が損壊や倒壊の被害を受けた。「みんな高齢で、再建できる資金の見込みは厳しい。戻ってきてくれるだろうか」。前回の地震では一丸となって再建を進めたが、商店振興会会長を20年以上務める吉村扶佐司さん(75)は表情を曇らせる。
商店街には、吉村さんが営む文具店をはじめ、靴店や洋菓子店、薬局など日常生活に密着した店が30軒以上並んでいた。
07年の地震でも被害を受けたが、吉村さんは「みんなですぐ商工会のビルに集まって復興に向けて議論したんだ」と振り返る。にぎわいにつなげようと、店舗の外壁に木材を活用し、風情がある商店街として再建することを決定。能登地方の伝統的な祭りで使われる灯籠「キリコ」を模したショーケースの設置や無電柱化などを進めた。
「やっと木材がなじみ、良い景観になってきたのに」と唇をかむ。今回の地震では避難した店主も多く、商店街は静まり返ったままだ。吉村さんの自宅兼店舗も壁が割れ、室内に雪や風が吹き込むが、我慢して住み続けることを選んだ。
妻や息子と片付けを進め、1日から営業を再開し、外から明かりが漏れる自分の店を眺めた時は「感無量だった」という。しかし、地震から1カ月が過ぎても客足は戻らず、「売り上げはないのに、被災してお金が出ていくばかり」と漏らす。
商店街の店主には、避難で散り散りになり、連絡が取れない人もいる。「みんなに戻ってきてほしい」のが本音だが、「また経済的な負担を掛けて、一緒に商店街を立て直そうなんて、やっぱり申し訳なくて言えない」。以前の活気を取り戻せるのか、商店街が岐路に立たされている。
●伝統の「揚げ浜式」製塩が窮地 地盤隆起、海水くみ上げ困難― 能登地震 2/10
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県珠洲市で、「揚げ浜式」と呼ばれる伝統の塩作りが窮地に立たされている。地盤の隆起で海底がむき出しになり、海水のくみ上げ作業が困難となったほか、断水で工場の掃除などもままならないという。事業者は「(再開は)考えられる状況ではない」と危機感を募らせ、市の商工会議所も「産業として残したい気持ちはあるが、先々のことは全く分からない」と話す。
揚げ浜式製塩は、くみ上げた海水を「塩田」と呼ばれる砂浜にまき、塩分濃度を高めた「かん水」を釜でたく伝統製法。現在は珠洲市内でごく少数の事業者が行っているのみだが、2008年には国の重要無形民俗文化財に指定された。NHK連続テレビ小説「まれ」でも塩作りが描かれ、認知度が高まった。
「これだけ海が干上がると、きつい面がある」。「奥能登塩田村」(同市)の男性従業員(56)は肩を落とす。地震による海底の隆起で海岸が遠ざかり、塩作りに欠かせない海水のくみ上げが困難になった。かん水をためていたタンクも土台から落ちて傾いていたという。
従業員の多くが避難所などに身を寄せるが、交通状況は改善されず、通勤も思い通りにならない。同社の石田尚史社長(66)は「塩田は人がいないと成り立たない。道路もまともに通っていない中で、再開など考えられる状況じゃない」と話す。今は、国の補助金などを活用しながら、従業員の生活を守る考えという。
先が見通せず、廃業する事業者が出る恐れもある。商工会議所は「現場の状況も分からない。役所の支援などにもよるが、今後どうなるのか」と不安げに話す。市も今後の支援などについて、「今は何も決まっていない」と説明している。
●首相の予算委答弁、ほぼ「ゼロ回答」 裏金問題、政治改革に後ろ向き 2/10
衆院予算委員会は9日、自民党派閥の裏金事件を受け、政治資金に関する論戦が交わされた。岸田文雄首相は政治資金収支報告書の訂正状況や国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧・文書通信交通滞在費)、「政策活動費」の使途公開について追及されたが、答弁はほぼ「ゼロ回答」。政治改革に後ろ向きな姿勢が目立っている。
「不明、不明、不明のオンパレードだ。きちんと訂正を行うよう指示を出すべきではないか」。予算委で立憲民主党の渡辺創氏は、自民の萩生田光一前政調会長が代表を務める政党支部が行った収支報告書の訂正で、支出総額など多くの項目が「不明」と記載されている点を問題視し、党総裁としての対応を求めた。首相は「これは(萩生田氏)本人の責任で、いつその『不明』を訂正するのかを判断することだ」などと述べるにとどめた。
首相は昨年12月の記者会見で、政治資金を巡る課題に「火の玉となって党の先頭に立ち取り組む」と表明したが、その言葉とは裏腹に、予算委などの質疑では、積極的に真相を解明し、再発防止に取り組もうとする姿勢を欠いている。
「政治とカネ」を巡っては、自民の二階俊博元幹事長が在任中に、報告書への使途の記載義務がなく、不透明さが指摘されている政策活動費を党から約50億円受け取ったとされ、野党は税務調査などを求めている。立憲の渡辺氏は、自民で誰が政策活動費を支出する権限を持つのかをただしたが、首相は「内容に応じて内規や慣行が定められている。内部の運営の仕方や手続きを申し上げるのは控える」として明かさなかった。
首相は、旧文通費の改革についても、透明化に向けた前向きな答弁を避けた。日本維新の会の小野泰輔氏は、自民が裏金事件を受けて、党所属議員に実施したアンケートに触れた上で「旧文通費をプライベートなお金として使っていないのかも自民は調べるべきだ」と要求。これに対し首相は「党としてこの課題にも引き続き真摯(しんし)に臨み、議論に貢献したい」などと述べるにとどめた。
自民の政治刷新本部が1月に発表した中間とりまとめには、政治資金規正法改正の内容を含め、制度改正につながる具体策は盛り込まれておらず、首相も具体的内容に言及しにくい事情がある。ただ、自民を除く主要政党は政治改革案を既にまとめている。維新の小野氏は旧文通費改革に関し「党総裁が(議論に)『参加する』ではなく、『やる』と言えば、あっという間にできる」と首相に改めて迫った。だが首相は終始、あいまいな答弁を繰り返し、言質を与えなかった。
●安倍派裏金、二階氏政策活動費50憶円は非課税なのに国民は実質“増税” 2/10
少子化対策の財源にあてる「子ども・子育て支援金」をめぐって、岸田文雄首相は2月6日の衆院予算委員会で「粗い試算で、拠出額は(公的医療保険の)加入者1人あたり月平均500円弱になる」と明らかにした。ただ、折しも自民党では裏金問題が尾を引き、二階俊博元幹事長が使途を明らかにしなくてよい政策活動費を「5年間で50億円」受け取っていたことも判明。「裏金も、50億円の政策活動費も非課税なのに、こちらは月500円を拠出させられるのか」と国民の怒りは収まらない。
子育て支援のはずが「子育て増税」に
政府は、少子化対策として、児童手当の対象を高校生まで延長するといった拡充や、子ども3人以上の多子世帯の大学授業料無償化などを進める。そのため、2028年度までに3兆6000億円の少子化対策財源を確保したい考えだ。
そのうちの1兆円程度と想定されてているのが、今回、1人当たり月500円弱の負担が明らかになった「子ども・子育て支援金」で、2026年度から徴収が始まる予定だ。支援金は、26年度は計約6000億円、27年度は約8000億円、28年度は約1兆円と、段階的に徴収規模が増えることが見込まれている。
首相が「1人あたり月平均500円弱」とした拠出額だが、実際は所得などによってばらつきが出そうだ。
朝日新聞(2月7日付朝刊)は、日本総研の西沢和彦理事の試算として「医療保険別の徴収額(労使合計)は、中小企業の会社員が加入する協会けんぽ638円▽大企業の会社員が加入する健康保険組合851円▽公務員の共済組合898円▽国保746円▽75歳以上の後期高齢者253円」と報道。
協会けんぽと健保組合、共済組合は労使折半のため、個人の負担は試算から半額になるというが、自営業者ら国保加入者の負担は、首相の言う「月平均500円弱」を超えそうだ。さらに、所得の高い人の負担額は大きくなる。
「実質的な追加負担なし」の論理破綻
この拠出に関して首相は2月6日の衆院予算委で「歳出改革と賃上げにより、(国民に)実質的な負担は生じない。『子育て増税』との指摘はあたらない」と強調した。
首相の言う「実質的な負担は生じない」とは、「子ども・子育て支援金」の徴収開始後も、税と社会保障の負担額を国民所得で割った「国民負担率」を上げないようにする、という論理だ。
税と社会保障の負担額を下げ、国民所得を賃上げによって向上させれば、「子ども・子育て支援金」を公的医療保険に上乗せして徴収しても、実質的な追加負担は生じないとの説明だ。
だが、「実質的な負担なし」論は、すでに破綻しつつある。
まず、税と社会保障の負担額は、歳出改革によって軽減するとしているが、その改革として政府は、医療費の窓口負担が3割となる「現役並み」の所得がある高齢者の範囲を拡大するなどの方策を検討しており、高齢者の負担は大きくなる見込みだ。
そのうえ、来年度には医療従事者の人件費に回る診療報酬も引き上げられるため、歳出改革が進むかは見通せない。
さらに国民所得に関しても、賃上げが進んでいるとは言い難い。首相が「月平均500円弱」という拠出額を明らかにした6日、厚生労働省が発表した2023年の毎月勤労統計調査(速報)では、実質賃金が前年比2.5%減となり、2年連続で減少したことが明らかになった。
「実質賃金は下がるのに、税と社会保障の負担は増えそう。そのうえ、月平均500円弱の上乗せも求められては、国民の反発は必至です」(全国紙政治部記者)
二階氏の50億円も安倍派の裏金も非課税なのに…
「月平均500円弱」の国民負担が始まることが明らかになった一方で、国民に負担を求める側の自民党議員は、『課税逃れ』疑惑を指摘されている。
6日の衆院予算委では、二階氏が受け取っていた、使途を明らかにする必要がない「政策活動費」計約50億円や、安倍派議員の裏金にも課税が必要ではないかとの指摘が野党から相次いだ。
立憲民主党の長妻昭政調会長は、安倍派議員が受け取っていた裏金も、非課税となる政治団体の収入ではなく、課税対象となる議員の個人所得とすべきではないかと首相にただした。
同党の米山隆一議員も、二階氏が幹事長時代、使途を明らかにしなくてよい政策活動費を5年間で計約50億円受け取っていたことに触れ、残額は二階氏の雑所得として所得税の課税対象となるのではないかと指摘した。
しかし、首相は二階氏の50億円の使い道について「党勢拡張のために使用しているものと当然、認識している」と述べるにとどめ、「(雑所得としての)申告の必要はない」と強調。安倍派の裏金も、二階氏の50億円も、このまま非課税の扱いになりそうだ。
「国民はこれから確定申告をする時期。自分たちは『課税逃れ』と指摘されるようなことを平気でして、税や社会保障の負担、さらには月平均500円弱の負担まで新たに求める立場にあるのでしょうか」(全国紙政治部記者)
「増税メガネ」のあだ名を気にして、1人4万円の定額減税を打ち出すなど、増税イメージの払拭に必死だった首相。だが、身内に甘く、国民にばかり負担を求めていては、不名誉なあだ名はまだまだ消えそうにない。
●首相の予算委答弁、ほぼ「ゼロ回答」 裏金問題、政治改革に後ろ向き 2/10
衆院予算委員会は9日、自民党派閥の裏金事件を受け、政治資金に関する論戦が交わされた。岸田文雄首相は政治資金収支報告書の訂正状況や国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧・文書通信交通滞在費)、「政策活動費」の使途公開について追及されたが、答弁はほぼ「ゼロ回答」。政治改革に後ろ向きな姿勢が目立っている。
「不明、不明、不明のオンパレードだ。きちんと訂正を行うよう指示を出すべきではないか」。予算委で立憲民主党の渡辺創氏は、自民の萩生田光一前政調会長が代表を務める政党支部が行った収支報告書の訂正で、支出総額など多くの項目が「不明」と記載されている点を問題視し、党総裁としての対応を求めた。首相は「これは(萩生田氏)本人の責任で、いつその『不明』を訂正するのかを判断することだ」などと述べるにとどめた。
首相は昨年12月の記者会見で、政治資金を巡る課題に「火の玉となって党の先頭に立ち取り組む」と表明したが、その言葉とは裏腹に、予算委などの質疑では、積極的に真相を解明し、再発防止に取り組もうとする姿勢を欠いている。
「政治とカネ」を巡っては、自民の二階俊博元幹事長が在任中に、報告書への使途の記載義務がなく、不透明さが指摘されている政策活動費を党から約50億円受け取ったとされ、野党は税務調査などを求めている。立憲の渡辺氏は、自民で誰が政策活動費を支出する権限を持つのかをただしたが、首相は「内容に応じて内規や慣行が定められている。内部の運営の仕方や手続きを申し上げるのは控える」として明かさなかった。
首相は、旧文通費の改革についても、透明化に向けた前向きな答弁を避けた。日本維新の会の小野泰輔氏は、自民が裏金事件を受けて、党所属議員に実施したアンケートに触れた上で「旧文通費をプライベートなお金として使っていないのかも自民は調べるべきだ」と要求。これに対し首相は「党としてこの課題にも引き続き真摯(しんし)に臨み、議論に貢献したい」などと述べるにとどめた。
自民の政治刷新本部が1月に発表した中間とりまとめには、政治資金規正法改正の内容を含め、制度改正につながる具体策は盛り込まれておらず、首相も具体的内容に言及しにくい事情がある。ただ、自民を除く主要政党は政治改革案を既にまとめている。維新の小野氏は旧文通費改革に関し「党総裁が(議論に)『参加する』ではなく、『やる』と言えば、あっという間にできる」と首相に改めて迫った。だが首相は終始、あいまいな答弁を繰り返し、言質を与えなかった。
●公明「自民政治資金問題で政治への信頼失墜。今国会での政治改革に全力」 2/10
公明党の山口代表は10日、東京都内で開かれた全国県代表協議会で、「自民党派閥の政治資金問題によって、政治への信頼は失墜し、政治の安定が揺らいでる」と危機感を表明した。
また、山口代表は、「現職国会議員が逮捕、起訴され、多くの自民党議員が収支報告書を訂正する事態に陥ったことは極めて遺憾と言わざるを得ない。全容などについて関係議員は説明を尽くしてほしい」と述べた。
さらに自民党に対し、「どう自浄能力を示すかが問われている。再発防止に向けた制度改革の具体案を早急に示すことを強く望む」と述べた。
そして山口代表は、「今国会を『政治改革国会』として、政治改革の実現に全力をあげる」と強調し、「政治資金規正法の改正を断じて成し遂げたい」と決意を示した。
●「GoToトラベルの地獄」を繰り返すな… 2/10
 まちづくりの専門家が「北陸応援割の便乗値上げ」に大賛成する理由
新潟、富山、石川、福井4県への旅行商品を半額で購入できる「北陸応援割」が3月からスタートする。まちづくりの専門家・木下斉さんは「政府は、宿泊施設などの『便乗値上げ』を監視すると明言したが、それは間違っている。被災地復興のためには『便乗値上げ』が必要であり、旅行商品の安売りを強いることではない」という――。
被災地の復興には「便乗値上げ」が不可欠
政府が3月から始める能登半島地震の被災地支援策「北陸応援割」について、今から「便乗値上げをするな」という話が大喧伝されていて、耳を疑ったところです。
この「便乗値上げ」とは、割引相当分をあらかじめ旅行代金に上乗せすることですが、むしろ被災地の観光業は、復興のためにも便乗値上げをするべきだ、と私は思っています。
プライシング(自社の製品やサービスの価格を決めること)は経営の基本であり、事業者の経営判断の核となります。しかし政府は、「割引クーポンは配るが、観光業者は既存の値段のままに、旅行者が安く泊まれるようにしろ」と要請しているわけです。
これでは被災地の復興どころか、状況はさらに悪化するばかりです。
そもそも何をもって便乗値上げなのか、旅行商品を安売りすると何が起こるのか、今一度考えてほしいと思います。
なぜ宿泊施設がクーポン配布の際に値上げをしたがるのか。それは「目先の金欲しさ」だけではない理由があるのです。
税金による割引サービスの長所と短所
クーポンで旅行商品価格を割引く取り組みは、消費喚起策としても用いられる税金による割引サービスの一種です。2011年に発生した東日本大震災後、あるいはコロナ禍に実施された「GoToトラベル」、最近では熊本地震(2016年4月)後にも実施されています。
このようなクーポンは、税金の活用方法としてはコスパの良いものです。例えば、政府が5000円のクーポンを配り、客がそのクーポンを利用して1万5000円の旅行商品を購入すれば、簡単に言うと3倍の経済効果を生み出すことができます。クーポン配布はレバレッジが効く方法なのです。
だから政府や地方自治体は、消費喚起策としてこの手のクーポン企画をやりたがるのです。自治体がPayPay割をよく行っているのもその理由です。
しかし、税金で割引した結果、旅行者が増えて宿泊施設が満室となり「よかったよかった」となるかと言えば、そんな単純ではないのです。特に普段から良いサービスを提供し、しっかり付加価値を付け、値段を苦労して引き上げてきた事業者ほどバカをみます。
「GoToトラベル」で発生した宿泊施設の阿鼻叫喚
まず安売りをして何が起こるか。客筋が変わるのです。
「GoToトラベル」では、設備やサービスに投資をしてきた高級宿に、普段は泊まらないような客が押し寄せました。
知り合いの宿では大浴場のアメニティに、オーストラリアの化粧品会社Aesop(イソップ)の高価なソープやボディークリームを置いていたのですが、それらが軒並み盗まれたり、ダイソンのドライヤーが盗まれたりと散々な結果になりました。
さらに、態度の悪い客が増加して、常連客から「なんであんな人たちが泊まっているのか」「大浴場で一緒になったけど大声をあげていて怖い」というクレームが入る始末です。
その高級宿は、一過性の復興支援・安売りに付き合ったばかりに、普段から真っ当な料金を支払ってくれる常連客を失うリスクまで抱え込むことになりました。
だから値上げをして顧客層を調整するようになったのです。皆がクーポン利用時で普段と変わらない金額に変え、サービス部分や食事をより良くしたりする工夫をするようになったのです。
実際に支払う金額で客筋は大きく変わります。単に儲けたいから値上げをしているだけではないのです。
言いたくないことですが、地獄の沙汰も金次第。安さを求める客にろくな客はいません。だから事業者は客を選別するために金額を設定しています。クーポンが利用できる期間だけでなく、長期的な顧客との関係を考えた上で合理的に判断しているのです。
宿泊施設が強いられる「地獄のオペレーション」
「北陸応援割」は来月からスタートします。先立って予約された方の分は「適用しない」となれば、一旦キャンセルして取り直す人が当然出てきます。今のうちに予約枠だけを確保して、振り替えてくれ、と連絡をしてくる客もいるのです。
クーポンは各種細かな手続きがあり、政府から事業者に金が届くまで時間がかかることが多くあります。この間の資金繰りの問題も発生します。震災で客が減って苦しい中で、さらにキャンペーンをやったらキャッシュフローがさらに悪化するという笑えない事態になることもあるのです。
だからこそ、事業者は価格をある程度引き上げ、資金を回さなければならないのです。
さらに、事業者は細かな書類を作成して、政府・自治体の窓口に提出しなければなりません。「GoToトラベル」の終了後に実施された「地域割」でも、利用者個人の証明書、自筆の承諾書などを保存し、それらを付けた申請書を提出しなければクーポンの現金化はできません。この手の税金クーポンは、楽して現金化できるものではないのです。
事業者側は資金繰りの手当てをすることで資金調達コストとして借入金の手続きコスト、さらに金利を支払い、クーポン現金化のための手続きコストという従業員工数まで投入しなくてはならないのです。
だから元々の値段でクーポン部分を値引きした金額だけでやったら、事業者側が損をするのです。そもそも値上げをしなければいけない合理的理由があるのです。
クーポン適用外の宿泊施設へのクレーマーたちの猛攻
このような事情から、あえて「クーポン適用外」になることを決断する施設が出てきます。私が関わる施設では、この手のクーポンに頼らず、常連客でしっかり回していこうと決めたところがありました。
しかし、そうすると今度はお客さんから電話がかかってくるのです。「なんでお前の施設は適用除外されているんだ」という恐怖のクレームです。安さだけを求める人たちは恐ろしいのです。値上げをしたら文句をいい、クーポンに頼らず頑張ろうとしても「クーポンを使わせろ」とオラオラ言っていくるのです。
いいですか、だから宿泊施設は値上げをするんです。便乗値上げがダメなのではなく、別にやってもいいんです。それで客が来なくても宿の責任になるだけです。ただそれだけの話。客には泊まらない権利があります。泊まらない限りクーポンという税金は、その宿に支払われないのですから国の負担は増えません。
こういうところは市場メカニズムに委ねるべきで、いちいち行政が介入して、元の値段以上に引き上げるな、と被災地に安売りを強要するようなことはやめるべきなのです。
応援特需も活かしてさらに稼いでください、とするのが自然なのです。
地方の観光業に必要なのは「高付加価値化」
地方の観光業はすでに安売りをしています。安月給で人を雇っていたら従業員が集まらない、人手不足が直撃している産業です。
だからこそ観光庁は、観光産業の稼ぐ力を強化するための「高付加価値化事業」を推進しています。客数ばかりを追うのではなく、客単価を引き上げて少人数でも稼げる産業になることを目指しているのです。
その施策と真逆のことをなぜ被災地に要求するのでしょうか。
被災地の応援消費・高付加価値など、中長期的に見て宿泊施設の経営改善につながる政策シナリオが大切です。せっかくなのですから、単なる安売りではなく、それぞれが創意工夫をして普段はできないようなサービスを作り出す機会にしてもらうのが合理的です。
しっかり値上げをして、そこにクーポンが適用され、事業者がよりよいサービスにトライすればいいのです。それが気に食わない人は、その宿泊施設に泊まらなければいいだけ。客には常に泊まらない権利があるのですから。
客に受け入れられないなら、事業者がまた別のアプローチを考えればいいのです。こういう無数の取引がマーケットで行われることで、はじめて「神の見えざる手」は働くのです。
安売りを強いる「応援割」は、被災地復興につながらない
観光庁は5日の衆院予算委員会で、「便乗値上げ」を監視する方針を示しました。新潟、富山、石川、福井の被災4県に、高額な価格設定が明らかな場合は報告を求め、場合によっては事業者の登録抹消も辞さない姿勢です。
なぜ国が主導して事業者に安売りを義務付け、ペナルティーまでちらつかせるのでしょうか。なぜこのようなおかしな話がまかり通るのか、全く私には理解できません。
宿泊費は値引きなし、お土産クーポンつけるだけの支援制度が最善だと私は思います。実際、熊本県上天草市では市内のホテル・旅館などに宿泊した観光客へ、市内の飲食店やお土産店などで使えるクーポン券を配布しました。変なダンピングにならず、市内の幅広い宿泊客がお金を使う動機になりました。
観光庁や政治家には、北陸の宿の発展、中長期的な高付加価値化の実現につながるような取り組みを期待したいと思います。
●自民支持率が“政権交代前”と同水準に…世論調査でわかった“異変” 2/10
今月行われた最新のJNN世論調査で、岸田内閣の支持率は、23.7%。11月に過去最低となった内閣支持率は4か月連続で最低を更新した。不支持率に至っては74.2%でこちらも2か月連続で過去最高を更新。
それだけではない。今回いつもと違う“異変”は自民党支持率も政権発足後、過去最低に。世論調査から見えてくる、いくつもの“異変”を検証する。
自民党支持率が15年ぶりの低水準 “政権交代前”と同水準に
自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件が発覚して以来、岸田内閣の支持率に上昇の兆しは見られない。
「宏池会(岸田派)の解散を検討している。政治の信頼回復に資するなら考えなければならない」
1月18日。これまで岸田総理を支えてきた麻生副総裁、茂木幹事長に何の相談もなく、総理は自ら率いてきた派閥を解散する意向を表明した。永田町では“岸田の乱”と言う人もいる。支持率が低空飛行を続ける中、“一か八か”の賭けに出たが、結果、それが国民の評価は得られていない。そればかりか、麻生、茂木両氏からの信頼を失い、これまで築き挙げた“三頭政治”は崩壊しようとしている。
内閣支持率が下落し続けていることに驚きはないが、今回の世論調査の“異変”は内閣支持率だけではなく、自民党の支持率も2012年末に自民党が民主党から政権を奪取して以来、過去最低の24.4%となったことだ。自民党の支持率が25%を切ったのは、麻生政権末期の2009年の5月(22.5%)まで遡る。つまり民主党政権へ交代する直前の自民党支持率だ。
ただし、当時と大きく異なるのは、現在、野党第2党の立憲民主党が5%前後で推移しており、自民党を脅かす存在になっていない。当時は自民党と民主党の支持率が拮抗しており、2009年3月に初めて民主党が23.3%で自民党の支持率(22.7%)を抜いた。2009年8月末、政権は交代する。
「青木の法則」“50”を切ったのは3つの政権だけ
内閣支持率が下落しても、自民党の支持率が安定していれば、政権はそれなりに維持できるといわれている。その指標のひとつが、いわゆる「青木の法則」だ。内閣支持率と与党第一党の支持率を足して「50」を切れば、時の政権は危険水域になるという、去年亡くなった青木幹雄元官房長官が提唱した法則だ。
JNN世論調査では岸田内閣発足後、初めて内閣の支持率(23.7%)と自民党の支持率(24.4%)の合計が「50」を切った。
これがどれだけのことか。非自民連立政権後、自民党が政権を奪取した1996年1月の橋本龍太郎総理以降、検証してみたところ「青木の法則」で「50」を切った内閣は、この28年間で3例しかない。
(1)1998年10月の小渕内閣(内閣支持率23.2%+自民党支持率25.4%)
(2)2000年6月の森内閣(内閣支持率22.6%+自民党支持率23.8%)
(3)2009年7月の麻生内閣(内閣支持率21.6%+自民党支持率27.6%)
そして今回の岸田内閣(内閣支持率23.7%+自民党支持率24.4%)だ。
ちなみに小渕内閣は、政権発足直後の支持率が低く、その後評価が徐々にあがっていくという非常に珍しい内閣で、この「50」を切ったのは政権発足して2か月後の98年10月のたった1回だけだった。「青木の法則」で「50」を切るというのがいかに異例なことかがわかる。
なおJNNの世論調査は過去、携帯電話を調査に加えるなど調査方法を変更したことがあり厳密な比較とはならないことは付しておきたい。
「1時間10万円」支出? 二階氏の「政策活動費」に矛先
岸田内閣の支持率、そして自民党の支持率がともに最低を更新しているのは、今回の「政治とカネ」の問題をめぐる政権と自民党の対応に原因がある。
派閥パーティーにおける収支報告書への不記載に端を発しているものの、とくに5日から始まった本格的な国会論戦で主要なテーマの一つになったのは、それとは直接関係のない「政策活動費」についてだった。「政策活動費」とは政党から直接議員本人に渡される金で、使途を明らかにする必要がない。選挙応援や国会対応などの政治活動に使えば非課税だが、使い切らないと課税対象になるため、野党側は脱税の可能性を指摘している。
とくに歴代最長の幹事長を務めた二階元幹事長が就任していた5年間でおよそ50億円が支出されていたという。現・茂木幹事長も22年におよそ10億円を1年で受けとっていたため、だいたい1年で10億円の支出が「相場」と言えるかも知れないが、あまりに巨額だ。
一般的に政策活動費は「党勢拡大や政策立案、調査研究」のために使用されるということだが、使途公開を迫る野党に対し、岸田総理は「政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中で議論が行われ、現在の法律に至っている」と後ろ向きな答弁を繰り返している。
再三、二階元幹事長に、何に使ったか問い合わせるよう求められても、「確認するまでもなく、適切に使用されているものと認識している」とまるで性善説のような答弁を繰り返す。
「二階(元)幹事長ね、5年間、365日24時間、雨の日も晴れの日も寝てるときも起きてるときも、1時間ごとに10万円。ひたすら政治のためにお金を支出し続けた。あり得ますか。あり得ないですよ」
2月6日。衆議院・予算委員会で答弁に立った立憲民主党の米山隆一議員は、強烈に皮肉った。
5年間で50億円支出することは、平均1時間に10万円を毎日支出し続けなければ到達しないという計算だ。しかし総理は、「全額、政治活動のために支出しているものと認識している」と答弁した。
これほど巨額であっても公開する必要のない「政策活動費」。今後どうすべきか、今回の世論調査で聞いた。
廃止を求める声は25%にとどまり、使途を公開するよう法改正をのぞむ声が非常に多かった。政策活動費そのものは認めつつ、使い道を明らかにして欲しいというのが圧倒的な民意だといえる。
「塩谷に責任を…」暗躍する森元総理。安倍派幹部の処分の行方は?
収支報告書の訂正作業が一段落し、自民党では安倍派、二階派の裏金疑惑のある議員に対し、党幹部によるヒアリングが行われ、全議員へのアンケート調査も実施されている。
野党、そして国民が求める、いつ、誰が、なぜ、この収支報告書への不記載を指示したのか。その全容解明と再発防止のための法改正が今国会で進むことを期待したい。
疑惑のあった派閥幹部らへの説明を「納得しない」人は89%にものぼる。自民党支持層に限っても81%と、圧倒的多数の国民は納得していない。
派閥幹部らはどう責任をとるのか。安倍派幹部の責任論が浮上してから、“暗躍”しているのが安倍派のかつてのオーナー、森喜朗元総理だ。関係者によると、麻生副総裁や茂木幹事長らと会談し、こう要求したという。
「塩谷座長に責任を取らせて辞めさせて、他の安倍派幹部はどうにか許してあげてほしい」
幹部の中には「役職を辞任したのだから…」と、これで責任を取ったのだ、と本音を語る人もいる。安倍派の中堅・若手の中からも「政治家自らが自分の責任について判断すべき」との突き上げが起こるが、彼らが自ら決断する気配はない。
自分たちが判断しないなら、離党勧告処分など自民党が処分を下すべきかどうか。
「処分すべき」と答えた人は65%。自民党支持層に限っても、およそ半数にあたる47%が「処分すべき」だと回答している。
麻生氏の発言の真意は? 上川外務大臣が“ポスト岸田”に急浮上
今回の調査で興味深かったもうひとつの“異変”は“ポスト岸田”レースだ。「自民党の中で岸田総理の次に誰がのぞましいか」について不定期で聞いているが、これまでの上位3位の“常連”は石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境大臣、河野太郎デジタル大臣だった。
しかし今回河野氏を押しのけ、3位に急浮上したのが上川陽子外務大臣だった。
さらに男女別で詳しく分析する。
<男性> 
1位 石破茂(22.1%) 
2位 小泉進次郎(11.1%)
3位 菅義偉(9.8%)
4位 河野太郎(9.6%) 
5位 上川陽子(8.3%)
<女性>
1位 小泉進次郎(17.4%) 
2位 石破茂(15.1%)
3位 上川陽子(10.7%) 
4位 河野太郎(6.6%) 
5位 高市早苗(4.8%)
上川氏はとくに「60代以上の女性」の人気が高く、石破氏(19.9%)に続く2位(15.8%)だった。
上川氏が急浮上した理由は、麻生副総裁の“ルッキズム発言”で注目度があがったからだと見る向きが大勢だ。
「このおばさんやるねと思いながら、こないだニューヨークで会ったけど。少なくともそんなに美しい方とは言わんけれども、間違いなく堂々と話をして、英語ももちろんきちんと話をし、自分で予約から何から、外交官の手を借りなくて、『あー私がやるからいい』と。自分でどんどん会うべき人たちは自分で予約を取っちゃう。そして会うべき人はパッと、1週間の間にニューヨークの国連の総会の後、バタバタとやってるのを見てあーこれは大したものだと、つくづく思いました。あんなことができた外務大臣は今までいません。ぜひそういった意味で、新しいスターが。新しい人が、そこそこ育ちつつあるんだと思いますね」(1月28日・福岡県芦屋町での国政報告会)
麻生氏のこの発言をメディアは一斉に報じ、後日、麻生氏は発言の撤回を余儀なくされた。この発言の評価はここではいったん置いておいて、麻生氏が「新しいスター」とまで、上川氏を評価したことに注目したい。ある自民党ベテラン議員は麻生発言を次のように解説する。
「キングメーカーにという思いはあるんだろう。どこまで上川さん推しなのかは分からないけど、総裁候補の一人として保険をかけておく意味はあるんじゃないか」
麻生氏の発言の真意は推し量るしかないが、結果、実に皮肉なことに、上川氏の知名度をあげた。「麻生さんの効果は絶大だった。狙い通りだろう」と分析する声も自民党内から聞こえてくるが、果たして。
ただ麻生氏が“ポスト岸田”の上川氏をこうも持ち上げたことは、「次は岸田を応援しない」との意思表示とも見て取れ、“岸田の乱”以降、ここまで両者との溝が深まったかと感じざるを得なかった。
(JNN世論調査でその他の項目は以下の通り)
政府の能登半島地震の対応について「評価する」が44%、「評価しない」が43%。
今後、賃金があがると思うか聞いたところ、「賃金があがる」が35%、「賃金はあがらない」が56%。
東京地検が安倍派幹部らの立件を見送ったことについて、「納得する」が11%、「納得しない」が78%。
自民の「中間とりまとめ」について、政治の信頼回復に「つながる」が26%、「つながらない」が67%。
「連座制」について「導入すべき」が88%、「導入すべきではない」が5%。
衆院の解散・総選挙の時期について、「出来るだけ早く」が26%、「9月の総裁選より前」が27%、「9月の総裁選の後」が12%、「任期満了まで行う必要がない」が29%。
●地獄の岸田政権の子育て支援金「1人月500円増税」に国民激怒… 2/10
岸田文雄首相が見通しを語った少子化対策の「支援金」制度に批判が集まっている。事実上の増税なのに税金をあえて使わない姑息さにもウンザリする声も国民からは漏れている。元プレジデント編集長で作家の小倉健一氏がこの問題を切る。「実質賃金にはダンマリを決め込んでいる中で、完全なる愚策であることは火を見るより明らかだ」――。
徴収額は26年度が約6000億円で、27年度は約8000億円、28年度は約1兆円
岸田文雄首相は、1月6日の衆議院予算委員会で、少子化対策の財源に充てる「支援金」制度について、1人あたりの負担額が平均で月500円弱になるとの見通しを明らかにした。2026(令和8)年度から実施するというこの「支援金」制度は、企業や個人が支払う公的医療保険に上乗せして徴収するものである。徴収額は2026年度が約6000億円で、2027年度は約8000億円、2028年度は約1兆円と段階的に引き上げるのだという。
「支援金」「公的医療保険」と耳慣れない言葉がでてきたが、まず、「公的医療保険」とは何かだ。公的医療保険制度とは、国民全員に加入が義務づけられている医療保険制度のことで、国民健康保険(自営業、専業主婦、年金生活者、無職、フリーランスなどが対象)・健康保険(企業に属する人とその扶養家族)・共済組合(公務員とその扶養家族)・後期高齢者医療制度(75歳以上)等の種類がある。
国民全員に加入が義務付けられていることから、この制度によって支払われるものは「税金」の一種である。これに上乗せして支払うという「支援金」も税金である。
税金と呼ばないのは、「増税メガネ」と岸田首相が呼ばれたトラウマから、「増税」ではないと政府が強弁するためのものだ。
村井秀樹氏は小泉進次郎氏らと「こども保険」という増税プランをぶち上げた過去
岸田首相は、2028年度の負担額について「粗い試算として、加入者1人あたり月平均500円弱と見込まれる」と説明した。「歳出改革と賃上げにより、(国民に)実質的な負担は生じない。『子育て増税』との指摘はあたらない」と述べている。月500円弱という言葉に、「負担感はないのですよ〜」と言いたいのだろう。いずれにしろ「子育て増税」に他ならない。
<日本総研の西沢和彦理事の試算によると、医療保険の加入者(家族を含む)1人あたりの支援金の平均額は協会けんぽでは月638円となる。健保組合は月851円、後期高齢者医療制度で月253円になるという。所得が高い人はこの負担額がさらに増える>(日経新聞、2月7日)のだという。
現在、内閣官房副長官(官邸の実務を取り仕切る政府高官)を務める村井秀樹氏は、かつて(2017年)、小泉進次郎氏らとともに「こども保険」と呼称する増税プランをぶち上げた経緯がある。このプランは、年3400億円を増税して、幼児教育や保育の無償化をするという内容で、当時の報道では、<この構想には自民党内からも「子どものいない人、子育てを終えた人には保険料負担への見返りがなく、保険と呼べない」「子育てはリスクではなく、リスクに備える社会保険の理念にそぐわない」との批判が出ている。事業主負担が膨らむのを嫌う経済界からも、警戒する声が上がっている>(毎日新聞、2017年5月17日)と酷評されている。今回、村井氏のプランと比べて約3倍もの増税となっている。
改めて2つのことを確認しておく。
異次元の少子化対策」なる「子育て支援」は、完全なる愚策
1つ目。国民負担率(国民の所得に占める税金や社会保険料の負担の割合)が1%増えると、潜在成長率がマイナス0.11%となり、さらには家庭の可処分所得も大幅に下がることがエコノミストの調査(T.Nagahama,2023)によって明らかになっており、また他の先進国と比較して日本の負担率は突出して上昇率が高い。簡単に言えば、国民負担が高くなれば、経済成長はできなくなり、国民負担が減れば経済成長ができる。それだけのことである。
2つ目。「子育て支援」では、出生率は上がらないことだ。急激に落ち込んだ出生率を上げるための「異次元の少子化対策」として「子育て支援」のプロジェクトが始まったが、出生率と子育て支援には関係が薄い。出生率が、何歳で結婚するか、そして結婚する割合によって9割が決まるためだ。つまり、日本の出生率の原因は、晩婚化と未婚率の上昇が原因ということであり、熱心に子育て世代にお金をばら撒いたところで、どうにもならない。Jリーグ観戦の子育て世代の優先入場が、子育て支援のプランに含まれて、笑い物になったが、Jリーグだけでなく、あらゆる子育て支援は出生率の上昇に意味をなさない。
以上のことから、一連の岸田首相の「異次元の少子化対策」なる「子育て支援」は、完全なる愚策であることは火を見るより明らかだ。ずいぶん気前よくばら撒いておいて、増税するのだから、納税者は怒って当然だ。
もっとも意味不明なのは、大事な未婚の若い世代が税金をとられること
もっとも意味不明なのは、少子化対策でもっとも大事な未婚の若い世代が、税金をとられるだけという制度設計だ。お金がなくて結婚できない人もいるというのに、彼らからさらにお金を奪うことになる。年収が数百万円の若い世代にとっては、少額であっても、生活は困窮することになる。子育てを全世代で支援するという理念そのものがおかしいということになる。
さて、問題はさらに起きている。この年1兆円への認識だ。日本の予算は約100兆円強なのだから、この1兆円は、1%弱の増税になる。さきのデータにもとづけば潜在成長率がマイナス0.11%弱のマイナスになる。ドイツにGDPを抜かれてしまった日本は、政府によってまた足を引っ張られ、凋落をしていく計算になる。莫大な増税だ。
しかし、岸田首相は「賃上げと歳出改革で社会保険負担の軽減を生じさせ、その範囲内で支援金制度を用意する。よって実質的な負担は全体として生じない」などとふざけた説明をしている。つまり、賃上げがあるから大丈夫だと言っているわけだが、岸田首相が政権をとってからというもの、実質賃金は、下がり続けている。
もはや岸田首相の強弁は虚偽に近いものを感じる
<厚生労働省が6日発表した2023年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人あたり賃金は物価を考慮した実質で前年比2.5%減った。2年連続で減少した。マイナス幅は1.0%減だった22年からさらに大きくなった。20年を100とした指数で見ると97.1で、唯一100を下回った22年からさらに低下した。比較可能な1990年以降で最も低かった>(日経新聞、2月6日)のだから、もはや岸田首相の強弁は虚偽に近いものを感じる。
実質賃金が下がっていて、名目の賃金が伸びているとき、国民の生活はよくなっているか、いないか?
当然、手取りが減って、苦しくなっているのである。国民生活にダメージを与え続けておきながら、さらに、名目賃金は伸びているのだから「実質負担はゼロ」というのは、完全に誤った認識であり、おそらく、わかっていて主張をしているのだから、「詐欺」でしかない。
「実質賃金」にはダンマリを決め込んでいる
春闘という民間契約に対して、口先介入を繰り返し、国民の生活を豊かにする「実質賃金」にはダンマリを決め込んでいるわけだ。
本当に、この政権は終わっている。裏金問題や能登地震で、本質が見えにくくなってしまっているが、実態は、ただの増税政権であり、日本経済と日本国民の生活をぶっ壊し続けているのである。
●岸田政権をバッサリ…政治的発言タブーの芸能界に変化 2/10
《なぜ普通に国会やってるの?》
うじきつよし(66)はSNSで自民党政治に疑問を投げかけ、こう続けた。
《犯罪犯したら、普通、仕事できないでしょ。この国の政治、社会秩序、もう崩壊してないか?
しかも、依然震災で困窮する人たちのことは二の次で、隠蔽、言い逃れ、開き直り、てめえらの犯罪を誤魔化すために、全ての時間を浪費している。どこが国権の最高機関なんだよ!》
国民の怒りをそのまま声にした叫びのようだ。元BOØWYのドラマー高橋まこと(70)もこうだ。
《明治維新から77年で太平洋戦争終結!!そこから同じ年月で日本が地に堕ちる!!その時代を知らない奴等が政治家になるからだな。戦争始めて日本が勝てる訳なかろう。阿呆共に政治を任せるからこうなるんだ》
両人とも安倍政権の暴政から批判の声を上げていたが、岸田政権に対しても、堪忍袋の緒が切れたということだろう。
政治的発言はタブーとされた、日本の芸能界。それによってタレントは仕事に影響が出て、干されてしまう恐れもあるからだ。また、昨今は誹謗中傷の標的にもされかねない。
小泉今日子は参院選への投票を呼びかけ
しかし、それらに屈しない芸能人も出始めている。アイドル出身の小泉今日子(58)もそうだ。参院選への投票を呼びかける活動に参加した際は、こうコメント。
「投票率が上がって、少なくとも半分以上、70%、80%ぐらいまで投票率が上がった時にどんな結果が出るのかを見たいと思う。どんな世の中にするかっていうのはおのずとその時に答えが出るんだと思うんですよね」
それによって、誹謗中傷の書き込みのほか、事務所への電話やメール、手紙が来たりもしたそうだが、昨年は朝日新聞の取材にこんなコメントをしている。
「『芸能人が政治的発言をして』みたいな批判をよくされるんですけど、政治的な発言かな? って思うんですよね。国民的な発言なのではないか、と。でも、(中傷を)色々言われるのも仕事のうちだって思うんで、傷つくって感覚ではないですね。ドラマに出ても、下手だ、ブスだ、太った、老けたとか、何をやっても言われる立場で仕事しているので。いけない性格かもしれないですけど、逆に少し闘志が燃えるってところもあるんですね、自分を否定されると。ぐっ、とおなかに力が入る感じ」
炭鉱のカナリアのごとく声を
こうした批判を批判する芸能人もいて、安倍元首相銃撃事件の際は国葬にあわせて容疑者をモチーフにした映画の上映イベントがあり、反対派と賛成派がぶつかり、罵りあった。自分とは違う意見を受け入れない、度量の狭小さが日本社会の分断を招いているが、政治は岸田政権になってさらに劣化、悪化は止まらない。社会も荒廃しているだけに、黙っていられないということだろう。
政治をとりまく現状が健全でないのは明白。影響力の大きい芸能人は炭鉱のカナリアのごとく、恐れずもっと声を上げるべきだ。 
●「5年で50億円」岸田首相もダンマリの二階俊博氏「政策活動費」背景 2/10
自民党派閥の政治資金パーティー収入をめぐる事件で、東京簡裁は2月9日までに、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で略式起訴された二階俊博・元自民党幹事長の秘書について、罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を出した。
幹事長の連続在任期間が、歴代最長の5年を記録している二階氏はその間、党から50億円もの政策活動費を受け取っていた。2月6日の衆院予算委員会で、立憲民主党の米山隆一議員は「5年間、365日24時間、雨の日も晴れの日も、寝ているときも起きているときも、1時間ごとに10万円(もらった計算になる)。使えっこないでしょ。残っていますよ、通常考えて」と指摘。その使途の公開を岸田文雄首相に迫ったが、首相は「全額、政治活動のために支出していると認識しています」と「確認するまでもない」という従来の姿勢を貫いた。
「野党議員からは『電話1本の確認で済むじゃないか』と疑問に思う声が出ていましたが、故・安倍晋三政権のとき、誕生日を迎えた二階氏に番記者が『首相からお祝いの言葉は?』と聞くと『ない。それができれば、(安倍氏は)もっと出世しているだろう』と言い放った、というエピソードが永田町に残っています。時の宰相にも上からモノが言える、“武闘派”として知られる二階氏には、さまざまな『伝説』がありますから、気軽に『何に使ったんですか?』なんて聞けません」(古参の自民党関係者)
2021年1月20日、日本中がコロナウイルスの恐怖に怯えていたころのこと。衆院本会議で代表質問がおこなわれ、そこで当時の二階幹事長は「与党も野党も力を結集しよう。私どもは、いかなる努力も惜しまない」と、コロナ対応の結束を呼びかけた。ところが、野党席からヤジが飛び、二階幹事長は野次の方向を睨みつけ、『だから野党に呼びかけているんじゃないですか!』と目をむいて発言。修羅場慣れしていない若手の野党議員は、その迫力に言葉を失っていた。
2022年11月には「死亡説」が流れたことも。
「二階氏の地元である和歌山県で、知事選がありました。その告示直前、二階氏の死亡説が流れたのです。原因はコロナという話まであり、確認作業に走ったマスコミもありましたが、デマでした。そのことについて二階氏は同年12月23日、TBSのCS番組で『そういうことを流した者がいるとしたら、先にたたき殺してやらないと承知ならん。フェアにしないといけないときだ』と、ものすごい形相で怒っていました」(政治担当記者)
「二階氏は『子分思い』でも知られています」と語るのは、与党担当記者。元官房長官で、二階派の会長代行だった河村建夫衆院議員の地盤である山口3区から、当時、参院議員で、岸田派の林芳正官房長官が鞍替え出馬を模索していることが報じられ、一部に「河村氏劣勢」の見方もあった。
2020年10月4日、二階氏は派閥議員20名と、山口県宇部市で開かれた河村氏の集会に、東京から駆けつけた。そこで二階氏は「『売られたケンカ』という言葉がある。我々は、河村先生に何かあれば、政治行動のすべてをなげうってその挑戦を受けて立つ。公認決定に反する行為をした人が、どういう立場になるかは、言わずとわかるとおりだ」と声を張り上げた。その光景は「まるで討ち入り前のようでした」と関係者は振り返る。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は、二階氏についてこう語る。
「野生的なカンで政局の先を読める、したたかな政治家は、いまの自民党にはいません。かつて二階氏は、小沢一郎氏らと自民党を割って出ましたが、そのとき、故・竹下登元首相は『出ていくメンバーで誰かひとりを残したいと思ったら?』と聞かれ『二階だ』と言いました。そのため“優等生”的な自民党議員にとっては、不気味なんです」
さらに二階氏は、観光、旅館、建設など「カネ」「票」「情報」が集められる業界を押さえている。このことも『力の源泉』になっているという。
2021年、自民党の大臣経験者が選挙区内の行事で現金を配布した容疑で起訴され、罰金40万円・公民権停止3年の略式命令が確定した。その際に、二階氏は「ずいぶん、政治とカネの問題はきれいになってきている。マスコミも一般国民も、評価してしかるべきだ」と記者団をじっと見たが、今回はその言葉がブーメランになって、二階氏に襲いかかったようだ。

 

●津波の死者ゼロの集落 識者に聞く「避難成功の一番の理由」 2/11
能登半島地震で津波が到達するも死者がなかった石川県珠洲市三崎町寺家(じけ)の下出地区。住民は「何かあったら集会所」を合言葉に10年以上前から避難訓練を続けていた。どんな点が功を奏したのか、避難行動に詳しい京都大防災研究所の矢守克也教授に聞いた。
――下出地区の事例をどう見ますか。
避難が成功した一番の理由は、逃げる場所が住民にとって訓練などで行き慣れた場所だったということ。よく「早めに避難しましょう」と呼び掛けても避難が進まない壁の一つは、(避難指示や津波警報などの)情報が届かないという以前に、そもそも避難場所に行ったことがないという点。人間は行ったことのない場所に対し、非常に腰が重くなる。行き慣れておくことが重要だ。
東日本大震災後、避難訓練の実施件数は一気に増えたが、この数年は少しずつ減っている。今回の成功例は「本当に津波が来るのかな」と半信半疑で訓練している方にとって非常に良い見本となる。
――避難訓練で重要なポイントは。
避難行動に人を動かすトリガーは、大きく分けて1情報(警報など)を得る2異変・異常に気付く3人からの働き掛け(近所の人の声掛けなど)――の三つ。揺れただけでは動かなくても、人に促されれば逃げる人もいる。下出地区では大きな揺れという異常を受けて住民が声を掛け合って避難し、防災無線も流れ、全ての条件を満たしていた。訓練を通じてこのトリガーを培うのが大事だ。
――今後、南海トラフ地震などの巨大地震が予想されています。
場所によっては震源地に近く、揺れている最中に津波が到達する可能性のある地域がある。原則として、海の近くで強い揺れか長い揺れのどちらかがあれば、警報を待たずにすぐに避難してほしい。まして、今回のように長く強い揺れがあった時は、ラジオやスマートフォンで情報を集める前に即逃げることだ。
●能登半島地震 糸魚川市京ケ峰地区 擁壁被害相次いだ背景は 2/11
能登半島地震で最大震度5強の揺れを観測した糸魚川市。市内でも特に被害が大きかったのが、京ケ峰地区です。地区では住宅の土台となっている擁壁が崩れるなどの被害が相次ぎました。
なぜ被害が相次いだのか、その背景を取材しました。
地震で擁壁崩れ 住宅被害相次ぐ
糸魚川市中心部から近い山あいにある京ケ峰地区。能登半島地震のあと、住宅の土台となっている擁壁が崩れたり、緩んでたわんだりするなどの被害が出ています。
市が地区を対象に実施した応急危険度判定では、167件のうち、4割を超える76件が「危険」と判定されました。
なぜ被害が相次いだのか。地区の成り立ちから問題が明らかになってきました。
地区の成り立ちに被害の背景
まず京ケ峰地区はどのような場所なのか。市の担当者が見せてくれたのは昭和40年度の糸魚川市の事務報告書でした。
糸魚川市建設課 長ア英昭課長 / 「京ケ峰用地建設について」というところに、昭和40年ごろに県の住宅供給公社が団地を造って、建売住宅と宅地分譲合わせて200戸分を建設分譲することになったと記載されています。
市の事務報告書や広報紙など当時の資料によると、京ケ峰地区がつくられたのは昭和40年ごろです。
国土地理院の空中写真で当時の様子を確認してみると、昭和40年には地区には田んぼや山林が広がっていましたが、昭和49年になると東側の山が切り開かれ、住宅が建ち並んでいます。
住宅需要の高まりを背景に、県の住宅供給公社が6万6000平方メートルの土地を造成し、住宅や宅地を販売しました。
「空積み」工法に問題か
市によりますと、このとき、住宅の土台となっている擁壁には「空積み」と呼ばれる工法が使われていたということです。
この「空積み」工法は、コンクリートのブロックを積み重ねただけの工法で揺れに対する強度が高くなかったとみられるということです。
糸魚川市建設課 長ア英昭課長 / 「空積み」については背後にコンクリートが注入されていない状況で、うしろは玉砂利を敷設したものです。今回の地震によりこうした工法で作られていた擁壁が崩れました。
県によりますと、擁壁の工法について現在は、高さ2メートルを超えるものを作る際、ブロックの裏に
コンクリートなどを流し込んで強化する「練積み」などで行うよう、建築基準法で定められています。
しかし、当時はコンクリートのブロックを積み重ねた擁壁について規定はなく、京ケ峰地区の「空積み」も規制の対象にはならなかったとしています。
工法と地盤の弱さ要因か 専門家が調査
専門家も「空積み」工法のぜい弱性を指摘しています。糸魚川市にあるフォッサマグナミュージアムの学芸員、香取拓馬さんです。
フォッサマグナミュージアム学芸員 香取拓馬さん / ブロックの中を見ますと拳大の玉砂利が敷き詰められていて、玉砂利の間は結構空洞が大きくて大きい砂利と砂利どうしが支え合っている形なので揺れに対しては非常に不安定な状態です。
香取さんは被害が確認されたあといち早く現地に入り、地区内のどのような場所で被害が大きくなったかなど、記録するなどの調査を行ってきました。
香取さんは、被害が拡大した要因として、地区周辺の地盤が軟弱だったことも指摘しています。
フォッサマグナミュージアム学芸員 香取拓馬さん / 被害が1番大きかった通りのすぐ東側のあたりに昔川が流れていました。造成前は地区で1番低かった場所なのかなと思っています。川が流れている場所は地下水位も高いと思いますし地盤も軟弱な場合が多いです。
香取さんによりますと、京ケ峰地区はもともと山あいの谷だった場所に作られていて、かつて川が流れていたことから地盤が軟弱だということです。
さらに地区内では地震や大雨などの災害で崩れるリスクがあるとされる「盛り土」が多用されていることもわかりました。
フォッサマグナミュージアム学芸員 香取拓馬さん / もともと谷だった場所を同じ勾配にならしているので、かさ上げの盛った土の量というのも、川沿いでは高いと考えています。
地区住民からは不安と苦悩の声
工法や地盤などが原因とみられる今回の被害。地区の住民からは安全性への懸念や経済面での苦悩の声が上がっています。地区に住む丸山次郎さんです。
丸山さんの家でも擁壁が大きく崩れました。擁壁の修理には数百万円程度かかる場合もあり、加入していた保険では補償外とされていたことから経済的な負担は大きいと話します。
地区に住む 丸山次郎さん / 本当に次この状態で揺れたら隣のお宅に被害を与える可能性があるので直したいんですけれど。擁壁が崩れたことについて地震の共済が使えないというのが地震のあとはじめのショックでした。応急復旧的に直すのであれば100万円程度で直るようですけど、同じように擁壁が崩れたお宅はすでに修復作業始められて、見積もりの金額で250万円くらいと聞いています。
一方、地区の地盤が弱いことから高い修理費用を払ってなお不安を抱えて地区に住み続けるか、それとも家を取り壊し移住するか。丸山さんは、大きな決断を迫られています。
地区に住む 丸山次郎さん / この家を取り壊すことも選択肢として考えていて、1番ベストな方法は何か探っている状態です。早く直せれば1番いいんですけれど、地区を離れることも検討してたりするので、それで少し工事に取りかかるのに時間がかかっています。
糸魚川市では、擁壁などの補修や補強をするために最大30万円を補助する独自の制度を設けていて、少しでも役立ててほしいと呼びかけています。
同様のリスク 全国でも
現地で調査をした学芸員の香取さんによりますと、京ケ峰地区のように昭和40年代に作られ、工法などが共通する造成地は全国にあるということです。
当時造成された地区では今後の地震によって擁壁が崩れるなどの大きな被害が出る可能性があると警鐘を鳴らしています。
自分のいま住んでいる建物や地区にはどのようなリスクがあるのか改めて確認し、場合によっては耐震性を高める工事を行うなど災害に備えることが必要です。
●パーティー券キックバック、起訴3議員以外の議員の課税所得未申告疑惑は、なぜ脱税問題とされないのか? 2/11
自民党派閥から議員へのパーティー券キックバック収入を課税上いかに扱うかについて、十分な検討がなされていない。この問題はかなり複雑だが、課税所得になるケースが多いと思われる。
政治家個人への政治資金は雑所得
税法では、政治資金に対する課税をどのように規定しているのだろうか? 東京都、広島県、福島県などの多くの都道府県が「政治団体の手引き」という公式ページを公表しており、政治資金に関する税法上の扱いについて説明している。
これらの内容を整理して示すと、つぎのようになる。
まず、 政治家個人に対する政治資金への課税については、つぎのように説明している。
1. 政治家個人が政治活動に関して受けた政治資金は、雑所得であり、他の所得と合算して課税される。この場合、政治活動のために支出した金額は経費として控除。ただし、赤字が生じても、他の種類の所得と損益通算ができない。
2. 選挙運動に関して受けた寄附で、公職選挙法第189条の規定に基づく収支報告がされている場合には、課税されない(所得税法第9条第1項第17条、相続税法第21条の3第1項第6号。「選挙運動に関して受けた寄附」とは、正確には、つぎのとおり:公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で同法第189条〈選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出〉の規定による報告がなされたもの)。
政治団体が受けた政治活動に関する寄附は原則非課税
政治団体が受けた収入は、寄附と事業収入とに区別される。
広島県公式ページは、寄付につき、「政治団体が受けた政治活動に関する寄附については原則として非課税」としている(第3篇、第1:根拠規定は、法人税法第7条、法人格付与法第13条第1項、相続税法第21条の3第1項第3号、相続税法第1条の4)。他の自治体の説明も同じだ。
つぎに、収益事業による所得については、法人税が課税されるとし、その例として出版事業をあげている。ただし、一定の条件が満たされれば、課税対象外になるとしている。 なお、政治団体も消費税の課税対象となる。
パーティー券収入は、実際には非課税とされているのだが、それは、法律上の明確な規定に基づくものでなく、事実上そうした扱いになっているというだけのことであるようだ。
パーティー券を販売して収入を得たとしても、それは法人税の対象である「収益事業」とは見なされないと、実務上、解釈されていて非課税となるのだと言われている。
なお、公益法人の活動には課税されないが、政治家の団体は公益法人ではないので、これとは関係がない。
政治家個人への寄付は禁止の場合が多い
政治家個人への寄付については、つぎのような制約がある。
・個人から政治家個人への政治活動に関する寄附は、金銭及び有価証券によるものは原則禁止。年間150万円以内の物品等に限られる。
・政治家の資金管理団体や後援団体などの政治団体に対する寄附は、年間1団体につき150万円まで金銭による寄附ができる。
・例外として選挙運動に関するものに限り、年間150万円以内で金銭による寄附をすることができる。
・会社、労働組合やその他の団体などが政治家個人や後援会へ寄附することは一切禁止。
・会社、労働組合等は政党及び政治資金団体に対してのみ寄附することができる。
キックバック収入:個人が受け取ったのなら雑所得
以上で述べた規程を前提として。いま問題になっているキックバック収入は、税務上どう扱うべきか? それを考えるには、まず、キックバックを受け取ったのが、政治家個人だったのか、それとも、その政治家の資金管理団体だったのかを知る必要がある。
授受の実態がどうであったかは、本稿執筆時点では必ずしも明らかにされてしていない。
政治資金のやりとりは、資金管理団体によって行なわれるべきだが、 政治家が、その管理する資金管理団体を通さず、個人として、資金を受け取ることはありうる。キックバックという裏金については、とくにそうだ。
実際には、現金のやり取りが行われたと報道されているが、これは、受け手を明確にさせないための手段だったのではないかと想像される。
だから、何らかの証拠で資金団体が受け手だと証明できなければ、個人が受け取ったと推定される。そうであれば、すでに述べたように、雑所得だ。今回の問題とされたキックバック収入の多くは、これに該当するのではないだろうか? 
なお、政治家個人に対する寄付は違法である可能性が強いが、違法に得た所得であっても申告の義務がある。たとえは悪いが、泥棒で金品を得るのは違法だが、だからと言って申告しなくてよいということにはならない。
資金団体が受け取った場合:「確実に公益目的」か?
なんらかの証拠によって、資金団体が受け取ったと証明できる場合にはどうか? キックバック収入の場合、派閥から「資金収支計算書に記載しなくてよい」と言われたと報道されている。
政治資金であれば記載する必要があるのだから、「記載しなくてよい」というのは、「政治資金ではない」という意味だと解釈せざるを得ない。
相続税法第21条の3の3は、 「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが贈与により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」が非課税としている。
しかし、ここでは、「確実なもの」と限定していることに注意が必要だ。「資金収支計算書に記載しなくてよい」というのでは、「公益を目的とする事業の用に供することが確実」とは到底言えないだろう。
また、後になって領収書を出してきて、「公益を目的とする事業の用に供した」といっても駄目だろう。寄付を受けた段階で、「公益を目的とする事業の用に供することが確実」でなければならないのだ。
したがって、キックバック裏金収入は課税所得だと考えられる。だから、税務申告する必要があると考えられる。
今回、検察は、不記載額が4000万円以上の3人の議員のみを起訴あるいは略式起訴として捜査終結としたのだが、残りのキックバック受領者には、この問題が残っていると考えられることに注意が必要だ。
●能登半島地震「国の力を結集し必ず乗り越える」「建国記念の日」で決意 2/11
岸田首相は11日、「建国記念の日」にあたって発表したメッセージの中で能登半島地震に触れ、「国の力を結集して必ず乗り越えていく」との決意を示した。
「建国記念の日」にあたって発表したメッセージの中で、岸田首相は、「長い歴史の中で、我が国は幾度となく、大きな困難や試練に直面した」と指摘した上で、「一人一人のたゆまぬ努力と国民の絆の力によって築かれた礎の上に、今日の我が国の発展がある」とした。
その上で、「1月に発生した能登半島地震も、国の力を結集して必ず乗り越えていく」と決意を示した。
また、「先人たちの足跡の重みをかみしめながら、国民の命と暮らしを守り、全ての人が生きがいを感じられる社会の実現を目指す」と強調。
「今を生きる国民の皆さんと共に直面する課題に立ち向かい、『明日は今日より良くなる日本』に向け、将来の国民に対し、世界に誇れる日本をつないでいく」としている。
●英誌が見た「裏金問題」…自民党が選挙で負けても「日本では誰も得をしない」 2/11
自民党の派閥による政治資金パーティーで、組織ぐるみの「裏金づくり」が横行していた問題が波紋を呼ぶなか、英誌もこの事件に注目。政治家や識者に取材をしながら、長らく「自民党一強」体制が続いた日本政治の今後を考察する。
日本の毎日新聞は1947年7月から、内閣支持率の世論調査を毎月実施している。その間に首相を務めたのは35人だが、すぐに記憶から消えていった者や酷評された者も多い。
だが同紙の世論調査によれば、現首相の岸田文雄ほど不人気なリーダーは過去に存在しない。2023年12月、岸田政権の不支持率は調査が始まって以来最高の79% に達し、同年6月調査時の58%から大きく上昇した。
支持率が歴史的に落ち込んだのは、岸田が率いる与党・自民党が、過去数十年で最大級の政治資金不正疑惑に直面しているさなかのことだった。
自民党内部の「派閥」と呼ばれる慣習的な議員集団が、資金集めのためのパーティー券の売り上げを組織的に過少申告し、その差額を所属議員に還元(キックバック)したことが発覚したのだ。
自民党は1955年の結党以来、ほぼ一貫して政権を担ってきた。
不正行為が報じられた2023年11月以降、広範な刑事捜査がおこなわれた。その結果、3人の非幹部クラスの議員を含む10人の自民党関係者が起訴され、かつて安倍晋三元首相が代表を務め、自民党の最大派閥だった清和会所属の4人の閣僚が更迭された。
さらに1月下旬、清和会と、岸田自身が代表を務める宏池会を含む4派閥が正式に解散した。1月29日に始まった通常国会では、岸田が頭を下げて陳謝した。
「岸田以外の誰かが必要」
岸田はそもそも人気がなかった。
2021年10月、派閥の重鎮の後押しで自民党総裁に選出されて首相になったが、以来、日本の安全保障政策を大きく変革させる野心的な政策を叫んだにもかかわらず、繰り返される小さな不祥事が彼の足を引っ張った。
それでも岸田は政権支持率の低下にも動じず、彼が権力の座にとどまり続けることを疑問視する多くの懐疑派の存在も意に介さなかった。
だが今回の汚職は深刻だ。野党の足並みが乱れるなか、自民党の与党の地位はおそらく安泰だが、岸田のリーダーシップは揺らいでいる。彼は派閥政治に終止符を打つよう呼びかけ、党政治刷新本部を立ち上げたが、政権のイメージはごくわずかに改善したに過ぎなかった。
2024年1月に実施された毎日新聞の世論調査では、岸田内閣の不支持率は過去最高だった前月をやや下回る72%だった。支持率の回復は、春季労使交渉での賃上げや、4月の米国訪問、6月に実施予定の定額減税措置が明るい知らせをもたらすかどうかにかかっている。
もっとも、9月で党総裁の任期が切れる岸田が次期総裁選で再選するのは難しいだろう。対立候補はまだ現れていないが、衆議院の任期満了に伴う総選挙が2025年に迫るなか、多くの自民党員が新しいリーダーを求めるはずだ。
読売新聞編集委員の飯塚恵子は、「自民党内では、『岸田首相以外の誰かが必要だ』という声が高まっている」と話す。
かつては党員票を左右する力を持っていた派閥の弱体化もあり、次期総裁選は予断を許さない戦いとなるだろう。「以前は派閥がお膳立てした候補者を選ぶだけだったが、今回は自分が本当に信頼できる候補者を選ぶ」と、ある自民党議員は明かす。
岸田が持ちこたえても、与党としての自民党は不安定な新時代を迎えるはずだ。少なくとも党内の混乱のせいで、他の政策に手が回らなくなるだろう。とくに、2027年までに防衛予算をGDP比2%へ増額するといった、国民に負担を強いる公約の実現は難しくなるかもしれない。
法人税などの増税分を防衛予算にあてる計画は、すでに実施時期の先延ばしが決まっている。
いくつかの大きな政策に対する、自民党内のパワーバランスも変わるかもしれない。「その範囲は限定的だが、いくらか変化はあるかもしれない」と前出の自民党議員は話す。
●「『決める力』も大事」首相、インタビューの「いまさら」発言にあきれる国民 2/11
2月9日発売の月刊誌「中央公論」が《内閣総理大臣インタビュー「聞く力」から「発信する力」へ 政権3年目、正念場で「結果示す」覚悟――安倍元首相の「外交遺産」引き継ぐ》と題して、岸田文雄首相のインタビューを掲載している。
「そのなかで岸田首相は、経済や少子化対策、防衛、外交など難問山積の政治課題に向き合う姿勢について、持論の『聞く力』とともに『決める力』を発揮したうえで、決めたことを『発信する力』をより充実させたい、と語っていました。発信力を高めることで、国民の理解を得る考えのようです。
2月10日に報じられた最新のJNN世論調査では、岸田内閣の支持率は、23.7%で過去最低になり、不支持率に至っては74.2%と2カ月連続で過去最高を更新しました。待ったなしの状態です」(政治担当記者)
岸田首相はインタビューで「国民の厳しい声には真摯に耳を傾けなければいけない。一方で政権として信念を持ってやっていかなければならない」と力を込めていたが、インタビューの“キモ”である「決める力」については、なんとも心もとない「脱力発言」をしていたのだった。
「驚くことに岸田文雄首相は『決める力も大事だと感じるようになった』と、まるで『いまになってやっと気がつきました』的なニュアンスで語ったのです。これまで、閣僚が不祥事を起こしても更迭の決断がなかなかできず、結局は追い込まれるように更迭するという、後手後手の悪循環で支持率を落としてきました。その反省がないかのような印象を与えてしまいます」(同前)
SNSにも《今からですか!?》《やらなくていいことは即断即決》《それがないことはもう十分理解している》など、あきれ果てたような書き込みが目立っていたが、さらに「岸田由紀夫」というワードも登場してきた。
「『由紀夫』は、鳩山由紀夫元首相のことです。鳩山元首相は『考えることがお花畑』といわれ、理想ばかり掲げて政策の実現感が見出せなかったため、政権下では国民はうんざりしていました。また岸田首相は安倍元首相と違い、リベラル的な発言が目立ちます。これも鳩山元首相に通ずるということで、『岸田由紀夫』という言葉が生まれてきたのです。保守層のコアな自民党支持者が離れているということです」(永田町関係者)
「聞かない」「決められない」「発信できない」では国民の支持を得ることは難しい。
●「木曜定例会合」あちこちで復活…解散を決めたそばから“シン・派閥”化の動き 2/11
「毎週木曜日昼に集まって弁当を食べる長年の習慣が突然なくなり、なんだか手持ち無沙汰です。高木事務総長が選ぶ弁当がいつもシャレてて、毎週楽しみにしてたんですけどね」
裏金事件で派閥解散を決めた安倍派の若手議員が残念そうに話す。
自民党は、各派閥が毎週木曜日の正午から派閥事務所などで例会を開き、所属議員が一緒にランチを食べる習慣があった。同じ時間帯に開催するのは、他派閥と掛け持ちできないようにするためで、例会は派閥の結束を確認する場だった。
ところが、多くの派閥が解散して木曜日の例会が開かれなくなった。党内の7割が無派閥という状況で、木曜昼にヒマをもてあます議員が一気に増えたわけだ。
そんな中で、8日に開かれた会合が注目を集めている。
自民党の保守系議員が集まる「保守団結の会」が党本部で会合を開き、顧問を務める高市経済安保相の講演会を行ったのだ。安倍派を中心に約15人が参加し、高市は「国家観をともにするみなさんと絶好のタイミングでお話しできることをうれしく思う」とゴキゲンだった。
●原発事故での避難困難 能登半島地震が実証 2/11
能登半島地震では土砂崩れや地割れによる道路寸断などで孤立集落が随所に起こり、自衛隊員らが緊急物資を背負いながら道中、大きな余震があれば自らが土砂崩落に巻き込まれるリスクを覚悟のうえで斜面を歩いて現地に向かった。
孤立集落から高齢者や負傷者が短期に移動できるのか。能登半島地震は原発事故に伴い半径30キロ圏内へ緊急避難指示があっても短時間では避難困難、建物内での避難も倒壊リスクに厳しい状況となることを実証した。
原発から半径5キロ圏内では原子炉冷却水喪失や炉心溶融が起これば放射性物質が広がる前に即避難しなければならない。石川県・志賀原発の場合、5キロ圏内には約4000人が住まわれている。30キロ圏内となれば17万人に上る。どうやって住民の生命を守るのか。
このような状況でも岸田政権は自・公・維新・国民の賛成多数で昨年成立させたGX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素化電源法を根拠に地球温暖化ガスの排出削減とエネルギーの安定供給に「原発は欠かせない」と再稼働や小型原水炉の開発推進を強調する。「原発に依存しない社会」へ歩むべきであることを能登半島地震が示唆しているにも関わらず。
加えて東京電力福島第一原発事故が教えてくれた教訓と事故から13年たった今も難問山積の廃炉、原発存在そのものによる「出口(最終処分場)」問題解決にも見通しが立てられない現況で、再稼働や敷地内での建て替え、新規建設などあり得ない選択だ。
岸田文雄総理の原発を巡る国会答弁は原子力規制委員会に安全性の責任をすべて押し付け、「再稼働については極めて独立性の高い原子力規制委員会が新規制基準に適合していると確認したものに限り、地元の理解を得て進める」と推進一辺倒の姿勢。
2日の参院本会議で日本共産党の田村智子委員長の代表質問にも、万一の原発事故避難に関し「緊急時対応の取りまとめに向け取りまとめているところであり、今般の教訓をしっかり踏まえて取りまとめをしていく」。
廃炉に至っては「個別の原発を廃止するかどうかはそれぞれの事業者が判断すること」と事業者任せで大きな課題には「ゼロ回答」だった。無責任としか見えない岸田政権の下で原発推進に拍車がかかってよいのか。『原発回帰』を止めるには世論の後押ししかないようだ。
田村氏の質問に総理が答えた内容について、読者の判断を仰ぎたい。田村氏は「能登半島地震によって志賀原発は原子炉を冷却する外部電源の損傷など重大なトラブルが相次いだ。柏崎刈羽原発も使用済み核燃料プールから大量の冷却水があふれ出た。稼働中であったらどうなっていたか」。
「原発再稼働の前提となる避難計画は地震・津波災害に対応できないことが明瞭となった。避難計画にある道路は破損、土砂崩れが多発し、集落は孤立状態になった。逃げようにも逃げられない。避難計画は『屋内退避』が原則だが、倒壊の危険性がある建物に留まれというのか、津波から逃げずに留まれというのか、命を守ることと根本的に矛盾する」。
「総理はこの問題に一言もふれず、原子力発電について『安全優先で引き続き活用を進める』と表明した。一体、地震による原発の重大トラブル、避難計画の破綻をどう認識しているのか。福島第1原発の事故で明らかなように、地震・津波国で安全な原発などない。大災害時に避難計画は全く機能しない、この事実を認めるべきではないか。志賀原発、柏崎刈羽原発を直ちに廃炉にし、原発ゼロを決断すべき。答弁を求めます」。
岸田文雄総理は「原子力規制委員会で志賀原発の原子力施設の安全機能に異常なく、その他の原発も安全確保に影響のある問題は生じていないとされたと承知している。立地地域においては自然災害と原子力災害との複合災害を想定し、地震と原子力災害が同時に発生した場合には緊急時対応の取りまとめに向けて取りまとめているところであり、今般の教訓をしっかり踏まえて取りまとめをしていく」。
「高い独立性を有する原子力規制委委員会が新規制基準に適合すると認めない限り原発の再稼働は認められることはない。これが政府の方針であり、今後とも変わらない。それを前提にして、個別の原発を廃止するかどうかはそれぞれの事業者が判断することになる」。これが岸田総理の原発に対する姿勢。原発事故時への緊迫感がまったく伺えない総理の認識度を浮き彫りにした。エネルギー政策の在り方を再検討すべきだ。
●「アンタもすでに終わってるんだぞ!」森喜朗、麻生太郎に激怒...2/11
外務大臣を「おばさん」呼ばわり、ひとりで「派閥存続」を主張―これまでなら許されたかも知れないが、今回はどうも様子が違う。あの「麻生閣下」といえども、時代の流れには逆らえないのか。
河野太郎は沈黙
河野太郎は不気味な沈黙を続けている。
「麻生派は本来であれば、河野洋平さんの息子である太郎さんに譲るのが筋です。しかし、麻生さんは世代交代を恐れて河野さんを遠ざけてきた。だからこそ、河野さんは前回の総裁選で派閥の親分である麻生さんの反対を押し切って出馬を決めた。もし河野さんが派閥から離脱するなら、麻生さんには何も言わずに決めるんじゃないか」(麻生派中堅議員)
いまや、麻生に尻尾を振る有力者は、岸田の後釜に据えようと麻生が考えていた茂木敏充くらいのものだ。しかし、その茂木の行動が余計に麻生を追い込むことになった。
遡ること一週間、1月25日の読売新聞朝刊に「自民執行部、安倍派幹部に離党要求」の見出しが躍った。
「茂木さんが旧知の記者に書かせたんです。安倍派が厳しい処分を受ければ、同じく立件された二階派、そして岸田派の責任問題も自然、問われることになる。勝手に派閥解散を言い出した岸田首相への意趣返しです」(全国紙政治部記者)
悪いのは派閥ではなく、あくまで裏金であり、安倍派、二階派、そして何より岸田派の連中だ。潔白の俺や麻生さんが、どうして逆に追い込まれねばならんのだ―。
森喜朗は激怒
しかし、これは藪蛇だった。安倍派のドンである森喜朗を怒らせてしまったのだ。麻生が裏で糸を引いていると見た森は、新聞が出たその日に、麻生事務所にやって来て、怒鳴り散らした。
「アンタの派閥は存続させるとか言ってるけど、勘違いしないほうがいい。アンタもすでに終わってるんだぞ!」
森の剣幕は尋常ではなかった。森政権が誕生してからこの20年間、清和政策研究会(安倍派)は小泉純一郎、安倍晋三と高支持率の首相を輩出して自民党を牛耳ってきた。その栄光の歴史が、この数ヵ月の裏金捜査ですべて崩れ去り、森自身も疑惑をかけられている。
麻生太郎もここで終わりか
麻生はそれを黙って見ていたどころか、今度は森の「かわいい子分たち」までも公然と潰しにかかっている。
アンタ「も」終わってるんだぞ―。森の言葉に麻生は何も言い返せず、沈黙したままだった。
この数年、麻生の関心事といえば、もっぱら自派閥の今後、そして自身の跡取りのことだけだった。派閥の次期領袖として、親戚というだけで明らかに実力不足の鈴木俊一を指名していたのも、「オレはもう上がり」という慢心があったからだ。
「ところがこうなってしまえば、派閥の存続自体が危うい。麻生さんの夢見た大宏池会も、これで完全に潰えてしまった」(麻生派中堅議員)
息子に無事、地盤を渡せるかどうかさえ、雲行きが怪しくなってきた。
「地元の福岡県では、麻生さんの宿敵で、元二階派の武田良太が勢いを増している。裏金捜査で、麻生さんは法務省首脳に『武田を立件しろ』とけしかけていました。その動きを武田さんは知っていて、『麻生は絶対に許さない』と周囲に吠えまくっている」(自民党関係者)
現在、福岡政界では引退間近の麻生を見限り、武田陣営に付く関係者が急増しているという。
45年前、初の国政選挙に打って出た38歳の麻生は、「吉田茂の孫だと言われることについてどう思うか」と記者に問われ、「マスコミの人の感覚は古いなと思う」と笑顔で答えた。オレは昔の政治家とは違う―その目はギラギラと光っていた。
だが、人は必ずいつか老い、疎まれ、そして退場を余儀なくされる。麻生もまた、たったひとりで人生のけりを付けねばならなくなったのである。
●派閥解散は「断腸の思い」 自民・森山総務会長に聞く“裏金問題” 2/11
パー券収入「裏金」問題、そして盛山文科大臣の旧統一教会との関係。自民党への有権者の厳しい意見が広がる中、今、党の中心人物である森山総務会長がズバリ語ります。そして、「けじめ」のための秘策は…。
『派閥』と『政策集団』との区分け難しい…森山派解散は「断腸の思い」
──「裏金問題」での立件を受け、岸田総理が突然岸田派を解散。それを受けて安倍派、二階派、そして森山派も解散となりました。ただ森山派は立件されておらず、しかも設立に際しては政策集団と決めてあったわけですが、なぜ解散したのでしょう。
森山裕 自民党総務会長: 今回、我々の政策集団は告発を受けているわけでもありませんでしたので、私は政策集団として国民の皆さんのご理解をいただけるのではないかという思いが強かったのでありますが、日に日にニュースを見たり、いろんな方のご意見を聞いたりすると、「派閥」と「政策集団」の区分けというのがなかなか難しいんだなということがわかりましたので、ここは我々も一遍解散して、総理が示されましたように、また党としても示してまいりましたように、「人事には介入しない」のだと。また、派閥のパーティーについても自粛をしていくんだと。そういうことはもうその通りだと思いますし、そのことから始めないと、国民の皆さんの信頼を取り戻すことはできないんだろうなと思いましたので、解散を決断いたしましたが、まさに断腸の思いでございました。
「自分の先生に恥をかかせちゃいかん」ノルマのために『裏金』プール?
──党として100人規模のヒアリングを終えたということですが、その中で「不記載の理由」について例えばどういう説明がありましたか。
森山裕 自民党総務会長: 派閥から記載の必要はないという話があって、それに沿って処理をしてこられた方もいますし、そういう意味ではやはり法律の解釈のあり方というのは、もう少し我々も専門家の意見をしっかり聞いて判断をしていくということも今後の大きな課題だなと思います。
──派閥の指示というのは、「ノルマのためにプールしておこう」というのもあるわけでしょうか。
森山裕 自民党総務会長: 秘書さんたちはやはり「自分の先生に恥をかかしちゃいかん」という気持ちが強くあられて「今年は思ったよりもパーティー券買ってくださる方が多かったので」ということで、予定を超えた分をですね、派閥から寄付金として受け入れてこられたんだと思いますが、それはほとんど「来年がどうだろうかな」という気持ちが強くて、プールしてあるというところが一番多かったように思います。
──使い道については。
森山裕 自民党総務会長: ほとんどやはり政治活動に使っておられますね。若い人は特にそうだと思います。事務所の経費とかですね、やはり秘書がどうしても何名かずつ必要ですから、その方の人件費とかですね、そういうものが一番多いんじゃないかと思います。
安倍元総理がやめさせた『裏金化』の復活 「事実として受け止めて」 
──最大派閥である安倍派の90人ほどが政治資金収支報告書の訂正に及んでいるという「数」について、そして長い間慣習として続いてきてしまったこと、さらに安倍さんがやめるようにいったん言いながら、亡くなった後に復活してしまったと。これらの点をどうご覧になりますか。
森山裕 自民党総務会長: いつごろからこのやり方が始まったのかというところはよく見えないんですけれども、ただ、新聞報道によると平成17年の1月にはこの種のことがニュースになっています。そして6月にはですね、当時、安倍幹事長代理だったみたいですけど、「全部記帳するように」ということを決められたというのもニュースになっています。ですからおそらく安倍元総理は平成17年の6月以降はそういうことはないと思っておられたんじゃないでしょうか。そして派閥に帰ってこられて、報告を受けられたら、未だに続いているということに気づかれて、かなり厳しく、これはもう改めようということを決められたと言われております。
その後どういう経過があって復活したのかということはよくわかりませんけれども、そういう歴史があったことは我々は事実として受け止めて、また今後の改革に生かしていかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。
旧統一教会との関係報道 盛山文科大臣は「本当に正直な方」
──盛山文部科学大臣が旧統一教会友好団体の推薦状を手にした写真が報道されました。政策協定にあたる「推薦確認書」にも署名していたということですが。
森山裕 自民党総務会長: 盛山文科大臣と私は国対の時代に一緒に仕事をしておりますので、本当に真面目に政策に取り組まれる方で非常に正直な方だなと思っております。ただ今回のことは党としては一つのルールが決まっておりますので、今関係をお持ちなのかどうかということが非常に大事なポイントだろうと思います。そこはもう完全に関係はないわけでございますからぜひ頑張っていただきたいなと思います。
──国会での答弁が変わるんですよね。「写真を見てうすうす思い出してきた」とおっしゃったり、推薦確認書については「サインしたかも」から「記憶にございません」に。
森山裕 自民党総務会長: いや、本当に正直な方ですから。完全に自分が覚えてないこと、思い出していないことは、あの表現しかお出来にならないと思います。
●小池百合子氏が動き出した「総理へのショートカット戦略」 2/11
 4月の東京15区補選出馬で「自民党の救世主」になる可能性も
裏金問題で風前の灯火となっている岸田政権の命運。今年9月に控える総裁選で、岸田文雄・首相の再選はもはや難しいだろう。そんな中、「女性初の総理候補」として3人の名前が取り沙汰され始めた。そこに待ったをかけるのは──。「女の戦い」の火蓋が切って落とされた。
相変わらず抜群の政局観と行動力である。裏金問題で自民党の屋台骨がゆらぐ中、小池百合子・東京都知事が突然、国政の表舞台に登場した。
2月2日、小池氏は自民党本部で茂木敏充・幹事長に面会し、続いて官邸を訪ねて岸田首相と会談したのだ。
折しも、選挙買収で起訴された柿沢未途・前法務副大臣が議員辞職し、東京15区の補欠選挙(4月28日)が決まったばかりのタイミング。自民党内では、「補選での自民党との選挙協力を話し合ったのでは」との見方が流れているが、本人は「子育て政策について意見交換した」と語って記者たちを煙に巻いた。それでも、落ち目の岸田首相とは対照的に、会談の“主役”は彼女のほうだったと印象付けたのだ。
「こんな時期に官邸に出向いた狙いは、“岸田がダメでもまだ小池がいる”と存在をアピールするため。彼女は初の女性総理を諦めていない」(小池ブレーン)
黙って見ていられない
岸田内閣の支持率がどん底となり、自民党内には「こうなってはもう女性総理を出すくらいしないと選挙に負けて下野することになる」(閣僚経験者)との危機感が強い。
次期総理の座をめぐる「女の戦い」はすでに始まっている。
9月の自民党総裁選に出馬が有力視されているのは高市早苗・経済安保相、小渕優子・選対委員長、そして上川陽子・外相の3人だ。
高市氏は「戦わせていただきます」と早くから総裁選出馬を公言して党内に「『日本のチカラ』研究会」を設立、推薦人集めを進めている。能登半島地震を受けて岸田首相に「大阪万博延期」を進言するなど、存在感を見せようと躍起だ。
一方、久しぶりの重要ポストに就いた小渕氏も、総裁選への意欲をにじませている。
「これまでは過去のスキャンダルを気にして目立たないようにしていたが、昨年、後援者を前に『総理になるから待っててください』と宣言した。派閥解散の流れに乗って茂木派を離脱したのも、総裁選に向けて小渕グループをつくるためだろう」(政治部記者)
そして“本命視”されているのが上川外相だ。
物議を醸した麻生太郎・副総裁の「このおばさんやるね」発言も、「新たなスター、新しい人がそこそこ育ちつつある」と上川氏を女性首相候補として持ち上げる趣旨だった。上川氏は「どのような声もありがたく受け止めている」と応じた。
「上川氏は麻生氏が自分を総裁候補に担ごうとしていることを十二分にわかっているからありがたいと思っている。番記者との囲み取材でも、『私が何か言うとまたそれで(麻生氏が)色々と言われちゃうよね。会見で言ったことに尽きます。頑張ります!』と麻生氏を気遣ったうえ、ガッツポーズをして見せた」(別の政治部記者)
キングメーカーの麻生氏が推すとなると、総裁選では俄然、有利になる。
そうした情勢を見て、小池氏は黙っていられなくなった。前出の小池ブレーンが言う。
「小池さんには、女性政治家のトップリーダーは自分だという自負がある。自分抜きで女性総理が選ばれるのを座して見てはいられない。だからわざわざ官邸に入って岸田首相と並んで見せた」
逆風の自民に急接近
とはいえ、今年7月には東京都知事選がある。小池氏が出馬すれば3選は確実と見られているが、都知事選ではなく、国政復帰を目指すのか。政治ジャーナリスト・泉宏氏が語る。
「小池都知事が国政復帰、その先の総理大臣就任に意欲があるのは間違いない。その証左として、7月の都知事選出馬について明言を避けている。
ポスト岸田は総裁選なら乱戦というのが永田町のもっぱらの見立てです。その中、超大穴として小池氏の名前も挙がっている。
その小池氏の基本戦略は、来年、衆参同日選が行なわれる可能性を視野に、まずは7月の都知事選の圧勝を狙う。そのうえで政治情勢を見つつ身の振り方を考える、という状況でしょう」
ショートカットでの「小池総理」への戦略も練られている。
「最短のシナリオとしては、小池さんが4月の東京15区補選に無所属で出馬、国政復帰して、あえて泥船の自民党に復党する。そのうえで9月の総裁選に挑む。本人には勝算があるのではないか」(前出・小池ブレーン)
だが、小池氏は自民党を飛び出して都知事となり、都議選や「希望の党」を立ち上げた総選挙で自民党を苦しめてきた。党内には小池アレルギーが強く、復党は難しく思われるが、小池氏はこのところその自民に急接近している。
自公逆風の中で東京では昨年12月の江東区長選、今年1月の八王子市長選と府中市長選で小池氏が自公と組んで3連勝。とくに自民党東京都連会長・萩生田光一氏の地元の八王子市長選は、自民党批判で自公推薦の候補が野党相乗り候補の元都民ファ都議に大苦戦し、小池氏も静観していた。だが、萩生田氏から再三、支援を求められた小池氏が選挙終盤に自公候補の支持に回ったことで、逆転勝利した。
「いまや小池氏の助けがなければ自民党は東京では勝てない」(都連関係者)という声があがるほど、自民党に恩を売った。
「人気と票」を持つ小池氏が国政復帰すれば、「自民党としては敵に回すわけにはいかない。党内には“渡り鳥”で何をしでかすかわからない小池氏の復党に対して警戒感を抱いている人も多いが、劇薬の小池氏を復党させて顔にせざるを得ないくらい追い込まれている」(同前)。そこまで読んでの復党シナリオだ。
「復党後、『自民党をぶっ壊す』と9月の総裁選に出馬すれば、総選挙で落選の危機に怯える自民党議員たちが支持に回る可能性はある」(同前)
そうなれば、沈みつつある岸田政権を尻目に、小池氏が「自民党の救世主」として他の女性首相候補を押しのけて総理の道を進むかもしれない。
●自民、4月補選で逆風懸念 裏金影響、不戦敗論も 2/11
自民党が4月に予定される三つの衆院補欠選挙(4月16日告示、同28日投開票)の対応に苦慮している。派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け「政治とカネ」が争点化し、逆風が必至とみられるためだ。長崎3区か東京15区で候補擁立を見送る「不戦敗論」も浮上している。
3補選は、派閥裏金事件で谷川弥一氏(自民離党)が議員辞職した長崎3区のほか、東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件(買収など)で柿沢未途被告(自民離党)が辞職した東京15区、細田博之前衆院議長の死去による島根1区。
長崎3区を巡っては、茂木敏充幹事長と小渕優子選対委員長が7日、長崎県連会長の古賀友一郎参院議員と対応を協議したが、擁立の結論に至らなかった。
補選の原因となった裏金事件に厳しい批判が予想されることに加え、長崎は「10増10減」で次期衆院選の選挙区定数が1減となるため、仮に補選で勝利したとしても、既に現職がいる他の選挙区との調整が必要になる。党内には「候補は出さなくていい」(自民関係者)との見方が広がる。
東京15区は、2021年にもカジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件で現職(自民離党)が実刑判決を受けたいわく付きの選挙区。有権者が政治とカネの問題にとりわけ敏感になることも予想される。茂木氏は「(長崎と東京の)二つ不戦敗はあり得ない」として候補を立てる構えを示すが、擁立作業は難航している。
新人を公認した島根1区は「保守王国」だが、今月の前橋市長選では与党推薦の現職が敗北するなど、保守地盤の揺らぎも一部にみられる。細田氏は裏金事件の中心となった安倍派(清和政策研究会)の会長を長く務めただけに、影響を不安視する向きもある。
補選の結果は、岸田文雄首相(党総裁)の今後の政権運営や今秋に控える総裁選に余波を及ぼしかねない。21年春の衆参3補選・再選挙では、自民が不戦敗を含めて全敗を喫し、当時の菅義偉首相は一層求心力を失ってその後総裁選不出馬に追い込まれた。自民中堅は「特に中堅・若手の間で危機感は強い。全敗したら『岸田降ろし』の動きが表面化するかもしれない」と語った。
●大地震と液状化 足元の備え、もっと必要だ 2/11
能登半島地震は、日本の防災を問い直す課題を次々と浮かび上がらせている。日々伝えられる被害の中では目立たないが、広範囲に及ぶ地盤の液状化も見過ごせない。
強い揺れによって地盤の砂の粒が液体のように流動化して沈下し、地表に水や砂が噴出する現象である。石川県はもちろん富山、新潟、福井県でも確認された。震源から100キロほど離れた石川県内灘町では最大震度5弱だったのに多くの住宅が傾き、道路が割れて波打つなど復旧が見通せないほどの被害が出た。
沿岸部の干拓地や埋め立て地で液状化は起きやすいが、内陸部の造成地などでも生じることが分かっている。瀬戸内海沿岸をはじめ、中国地方もこのリスクと向き合っていることを再認識したい。
実のところ、大地震のたびに液状化対策の必要性は叫ばれてきた。1995年の阪神大震災では、神戸の顔と言えるポートアイランドが砂まみれになった光景が、少なからぬ衝撃を与えた。2001年の芸予地震でも、規模こそ小さかったが広島デルタの海沿いで発生した。
さらに11年の東日本大震災では、東北から遠く離れた千葉県浦安市などの東京湾岸をはじめ、13都県で液状化の被害が起きた。膨大な数の家が沈下したり、傾斜したりして深刻な都市災害として認識された。ただ危機感がさほど高まったとは思えない。
過去の教訓から、国は遅れてきた宅地の液状化対策を一定に講じている。宅地では、地下の水位を下げるなどの予防策を取れば液状化の被害は軽減できる。そのため国の補助制度ができたが、地域ぐるみで取り組む難しさや地元負担の大きさもあり、なかなか前に進まない。住民に注意を促すハザードマップを作っている自治体も少ない。
中国地方を含む日本列島で液状化の危険が高いとされてきたのが、南海トラフ巨大地震だろう。強く長く地盤を揺さぶる可能性が強いからだ。広島県の想定によると、この地震の県内の液状化被害は全壊が最大4万棟近くに上る。ただ長大な活断層が複合して関係したとみられる能登半島地震の被害を考えると、どんなタイプの地震でも思わぬ被害が出る恐れがあろう。
まず足元の地盤の現状を成り立ちから見つめ直したい。戦後、瀬戸内海沿岸では液状化を考慮せず開発したケースが多い。コンビナートなどの産業用地も例外ではない。
例えば歴史的に埋め立てを重ね、地盤が軟らかい広島デルタで液状化対策の優先度が高いのはどこなのか。自治体や研究者が連携し、きめ細かいリスクの分析をした上で備えをしておく必要がある。
●立民・太栄志議員「中国のTPP加盟を後押しすべき」と国会質問の理由 2/11
自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受けて、岸田文雄政権への批判が高まっている。9日の衆院予算委員会は、岸田首相が出席して「政治とカネ」や「外交」などに関する集中審議が行われた。野党陣営が攻勢を強めるなか、立憲民主党の議員から「中国のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)加入」を後押しする質問が飛び出した。有権者は冷静に与野党の「政権担当能力」を考えなければならない。
「中国の(沖縄県・尖閣諸島や邦人拘束での)強硬的な行動には強く抗議する」「日本と米国は同盟国だが、中国は最大の貿易相手国」「日本は主体的に中国を国際社会に組み込んでいくべきだ」
立憲民主党の太栄志(ふとり・ひでし)衆院議員は予算委員会でこう語り、次のように続けた。
「わが国として、中国のTPP加入を後押しすべきだ」
これに対し、岸田文雄首相は「TPPは(加盟時も加盟後も)高いレベルの条件を満たす必要がある」「中国の貿易慣行やビジネス環境に、厳しい目が注がれている部分もある」などといい、中国の加盟に慎重な姿勢を示した。
共産党独裁の中国は2021年、TPP加盟を申請した。ただ、国有企業への不透明な補助金や、重要鉱物などの一方的な輸出規制を行うなど、TPPの高水準のルールを守れるかには懸念がある。
申請当時、自由主義陣営の台湾が加盟申請に動いたことに対抗する狙いもあったとみられている。こうしたなか、立憲民主党議員から冒頭の質問が飛び出したわけだ。
実は、立憲民主党は「『次の内閣』の外交・安全保障戦略の方向性」(22年12月20日)にも、「TPPについては米国の復帰を求めつつ、中国についても高水準を満たした上での参加など安定した協商関係≠築く必要がある」と記している。
同党の姿勢をどうみるか。
福井県立大学の島田洋一名誉教授は「TPPは『自由主義圏の対中包囲網』を念頭にした協定であり、立憲民主党の議論は筋違いだ。中国はWTO(世界貿易機関)に加盟したが、不当な関税や禁輸措置などルール違反が疑われる行為を繰り返した。加盟国と取引が深まるなか、各国は対中強硬姿勢を取りづらくなった経緯もある。TPPも内側からルールを崩される懸念があり、二の舞いを踏むべきではない。旧民主党は中国共産党に近かった。有権者は、立憲民主党が政権を任せられる政党なのか見極めるべきだ」と語った。
●岸田氏 少子化対策で国民1人当たり500円負担に「しれっと保険料から...」 2/11
TBSの松原耕二キャスターが11日、TBS系「サンデーモーニング」に出演。政府が少子化対策の財源として国民1人当たり500円を負担させる方針についてコメントした。
異次元の少子化対策を掲げている岸田政権はこれまで、国民負担は実質ゼロと説明してきたが、国民1人につき月平均500円弱の負担になると説明。岸田文雄首相は、歳出改革と賃上げなどを理由に「実質的な負担は全体として生じない。事実上の子育て増税だというご指摘には当たらない」などと説明しているが、野党からは「事実上の増税」と批判の声が噴出した。負担は26年度から段階的に始まり、医療保険料に上乗せされる。
物価高騰や円安など、国民にとって厳しい状況が続く一方で、自民党派閥議員の裏金事件など、信頼を損なっているタイミングで明かした実質増税。SNS上には「年間6000円の増税じゃん」「賃上げは企業がやること」「子育ての為って言えば大義になると思ってるのか せめて裏金問題をクリアにしてからでしょ」「裏金を裏金と言うなとか 実質増税を増税と言うなとか もうそういう誤魔化しはやめろや」と、厳しい批判が相次いでいる。
松原氏は「増税というと大騒ぎになって支持率が下がるかも知れないというのが怖い。だからこっそりと言ったらなんですけど、しれっと保険料から天引きでちょっとずつ取ったら分かんないんじゃないの、気付かないんじゃないのというのに近い感覚で取ろうとしているのでは。これは実質、増税」と指摘。そして「と同時に歳出改革と賃上げで負担増にならないと言っているんですけど、いまだにインフレが続いているので、日本は実質賃金がずっとマイナスなんです。堂々と少子化って大事だから訴えて税金でくださいと言った方がまだ筋が通る」と自身の見解を述べた。
●日伊首脳会談 外交安保で協力を深めよ 2/11
岸田文雄首相と来日したイタリアのメローニ首相が会談し、外交安全保障をはじめとする協力関係を深化させることで合意した。
イタリアは先進7カ国(G7)の一員で北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)の主要国だ。国内総生産(GDP)はEUで独仏に次ぐ3位の大国である。
イタリアがインド太平洋地域の安全保障への関心を高めていることを歓迎したい。今年は空母打撃群を初めて日本に寄港させ、自衛隊と共同訓練を行う予定だ。日本にとっては英国とともに次期戦闘機を共同開発する大切なパートナーといえる。
G7の今年の議長国はイタリアで、昨年の議長国は日本だった。メローニ氏は岸田首相に対し、「バトンを受け取り、優れた功績を残せるよう努力したい」と語った。両首脳はイタリアで開催予定のG7サミットに向け、緊密に協力していくことで一致した。
ウクライナ侵攻や中東ガザ危機で収束の兆しがみえず、11月には米大統領選を控えている。どれ一つとっても安保情勢の激変を招きかねない。米欧諸国の世論でウクライナへの「支援疲れ」が広がる中、G7各国の結束が試されている。
日伊の首脳がG7サミットに向け、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜く決意を発信したのは時宜(じぎ)にかなっている。
両首脳は、中東、ウクライナ情勢に加えて、北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題や中国を含む東アジア情勢についても協議した。中国は台湾併吞(へいどん)を目指し軍事的圧力を強めている。意に沿わない行動をとる外国に貿易や投資の面で圧力をかけることをためらわない。
他国の主権や領土を侵害する中露両国や、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮のような国際ルールを無視する国を、価値観を共有するG7が抑止していかなければならない。
イタリアはG7で唯一、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に参加していたが、メローニ政権になって離脱を表明した。中国への厳しい安保認識を共有するイタリアが空母打撃群を日本に寄港させることは、強い抑止のメッセージになる。次期戦闘機の共同開発を含め、世界の平和と安定に資する日伊の外交安保協力を力強く進めたい。 
●自民党「不戦敗」説も出る4月補選で現実味帯びる「岸田下ろし」 2/11
4月28日、衆議院の補欠選挙が3選挙区で実施される。
派閥の裏金事件で起訴され議員辞職、1月26日付で罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を受けた谷川弥一氏の長崎3区、東京都江東区長選をめぐる公職選挙法違反事件で起訴され、議員辞職をした柿沢未途被告の東京15区、そして、亡くなった細田博之前衆院議長の島根1区だ。
「どの選挙区も、争点が『政治とカネ』になりますから、自民党には大逆風。全敗もありえます。長崎は『10増10減』の対象選挙区で、次回の衆院選は選挙区定数が1減になり、補選で勝利してもほかの現職議員との調整が必要になることから、ある自民党幹部は『あえて候補者を出す必要はないのでは』とも言います。
東京15区も、茂木敏充幹事長は『(候補者を)擁立しないことはありえない』としていますが、人選は難航しています。この両選挙区では『不戦敗』が真実味を増しています」(政治担当記者)
島根1区は新人候補を擁立。細田前衆院議長の「弔い選挙」になるので有利なはずだが、細田氏は、裏金事件の舞台となった清和政策研究会(安倍派)の会長を長く務めていたため、影響は必至だ。保守王国とはいえ、安穏とできる状況ではない。
「補選の結果次第では、9月に控えた自民党総裁選にも影響があります。岸田文雄首相は再選を狙いますが、2025年夏には参院選が控えています。議員心理としては『岸田首相で大丈夫なのか?』となり『岸田下ろし』が本格化する可能性があります」(同前)
2021年、衆参の3補選で自民党は不戦敗を含めて全敗。菅義偉(よしひで)首相(当時)が総裁選不出馬に追い込まれた前例がある。
岸田首相に弓を引くのは誰なのか。永田町では「麻生太郎副総裁と二階俊博元幹事長だ」と言われている。2人とも岸田首相には「腹立たしい気持ちがあふれている」(自民党関係者)のだという。
「岸田首相は、政調会長だった2020年6月、ベテラン議員から党の衆院比例区の73歳定年制を見直す要望が出され、当時の二階幹事長も記者会見で『上限の年齢をとやかく言うべきではない』と牽制していたのですが『小選挙区なら誰でも立候補できます』と見直し要望を一蹴したのです。
また、総裁選に出馬した2021年には『党役員は1期1年、連続3期まで』と表明。幹事長歴が5年になる二階氏が念頭にありました。二階氏がこの沙汰に激怒したことは言うまでもありません」(週刊誌記者)
政治アナリストの伊藤惇夫氏も、本誌の取材に「二階氏は岸田氏に『蹴落とされた』と思っていて、その恨みは相当なものです。政局になったら、もうひと暴れする気落ちでいるはずです」と言う。
麻生氏も、岸田首相にメンツをつぶされたひとりだ。岸田首相は、裏金作りの温床となった派閥問題を議論する「政治刷新本部」の結論が出る前に、自ら宏池会(岸田派)の解散を発表。麻生氏にとっては寝耳に水で、茂木幹事長とともに「三頭政治」で岸田政権を支えてきた麻生氏は「聞いてねえぞ。岸田はなんで俺に言ってこないんだ」と激怒したという。
「その遺恨は、いまも解消されていません。麻生氏も茂木氏も派閥を維持したままですから、世間からは改革に後ろ向きな『守旧派』のように見られてしまっています」(永田町関係者)
補選後は、一気に政局になる可能性もある。
●河野デジタル相「一刻も早くけじめを」 裏金問題の処分求める 2/11
自民党派閥の裏金問題をめぐり、河野太郎デジタル相は11日、政治資金収支報告書に不記載があった国会議員の処分を早急に行うべきだとの考えを示した。訪問先の高松市で記者団に「ルールを破ったことに対するけじめは、一刻も早くやらなければいけない」と述べた。
党政治刷新本部は三つのワーキングチーム(WT)で党内統治のあり方などの議論を近く開始する。河野氏は「党のガバナンスに関する議論は大事だ」としつつ、「問題は不記載だったわけで、それに対してどうするかということを速やかに対応すべきだ」とし、党執行部にWTの議論より処分を先行するよう求めた。
党が実施した政治資金収支報告書への記載漏れの有無を確認する「全議員アンケート」では、現職の国会議員82人が「不記載があった」と回答したことがわかっている。

 

●能登で震度2〜1相次ぐ 地震活動、活発な状態続く 2/12
能登半島地震の被災地で12日、震度2〜1クラスの地震が相次いだ。いずれも能登地方が震源。午後1時26分ごろに石川県輪島市で震度2を観測した地震があったほか、午前から震度1の地震が複数回起きた。
気象庁によると、能登半島周辺の地震活動は依然活発な状態が続いている。能登地方では11日午後に震度4の地震が発生。総務省消防庁の全国瞬時警報システム(Jアラート)が予想最大震度5弱の緊急地震速報を出し、住民や現地で活動中のボランティアが作業を一時中断するなどの影響が出ていた。
●能登半島地震6週間 石川 輪島 被災した人も支援物資仕分け配付 2/12
能登半島地震から12日で6週間となります。石川県輪島市ではボランティアの人手が足りていないことなどから、被災した人みずからも、全国から届いた支援物資の仕分けや配付などを行っています。
輪島市 ボランティアは限定受け入れ 週3日程度 一日約40人
輪島市では2月10日からボランティアの受け入れが始まりましたが、態勢がまだ整っていないことなどから、受け入れる日数や人数が限られているのが現状です。
輪島市の社会福祉協議会によりますと、市内では大規模な断水が続くとともに、宿泊できる施設が少ないことから、ボランティアを限定して受け入れていて、今月は1週間のうち3日間程度、一日あたり40人ほどに限ることにしています。
ボランティアは金沢市からバスで移動するため、活動時間も3時間程度となっています。
また、依頼を受けた場所によってはボランティアが活動を始める前に安全に活動ができるかどうかの調査を行う必要がありますが、被害を受けた住宅が多く、職員の人手も足りないことから、調査が追いついていないということです。
さらに、被災した人がボランティアによる作業を希望していても、市外に避難していて立ち会うことができないとの理由で、調査や作業が行えない場合もあり、受け入れ態勢の構築が復旧に向けた大きな課題となっています。
地震直後から支援物資の管理や仕分け続ける 輪島塗箸職人の男性
輪島市の中心部の河井地区にある「重蔵神社」には、全国から飲料水や生活用品といった支援物資が届き、被災した人たちの生活を支えています。
輪島塗箸の職人、小山雅樹さん(68)は、自宅を兼ねた工房が被害を受け、仕事を再開できない状況ですが、父がこの神社の総代を務めていたこともあり、地震直後から支援物資の管理や仕分けなどを続けてきました。
ボランティアの受け入れ態勢がまだ十分ではなく、一日に受け入れ可能な人数が限られていることなどから、いまも地区の人たちと活動を続けていて、12日も午前9時ごろから届いた物資を種類ごとに仕分け、被災した人たちに配っていました。
そして「元気そうでよかった」などと1人1人に声をかけ励ましていました。
物資を受け取った74歳の女性は「何度もお世話になっています。本当にありがたいです。みなさんのおかげです」と話していました。
妻「輪島は地元 ここで生活続けたい」
小山さんは妻の文代さん(60)と息子の3人暮らしで、地震直後から10日ほどは車の中に避難し、いまは自宅に戻って生活をしています。
断水のため、毎日近くにある避難所から水をタンクで運んで生活を続けていますが、片づけ作業はまだ道半ばで、家具なども倒れたままとなっています。
工房も被害を受け、箸を作るための機械が壊れたりずれ動いたりしたままの状態となっていて、仕事は再開できていません。
小山さんは「10年後の輪島がどうなるか、どのように復興していくかは、ここにいなければわからない。まずは工房をなおして、輪島塗箸の伝統を残すために頑張りたい」と話していました。
文代さんは「輪島は地元ですので、ここで生活し続けたいと思っています」と話していました。
男性「私よりも大変な人がいる」
物資の仕分けを続けていることについて、小山さんは「私よりも大変な人がいるので、必要とする人に受け取ってもらいたいという気持ちで続けています。私が明るくいることで、少しでも元気になってもらえたらと思います」と話していました。
●《1枚の領収書で2件の支出》茂木自民党幹事長が選挙経費を“二重計上” 2/12
自民党の茂木敏充幹事長(68)が、2021年の衆院選にかかった経費を“二重計上”していたことが月刊誌「文藝春秋」編集部の取材で分かった。公職選挙法違反の疑いがある。
自民党幹事長として、「政治刷新本部」の役員を務めるなど、裏金問題の真相究明に当たっている茂木氏。今回発覚したのは、茂木氏が2021年の衆院選(10月31日投開票)を巡って1枚の領収書を使いまわし、経費を“二重計上”していた問題だ。
領収書の筆跡が完全に一致
茂木氏が栃木県選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」には、栃木市内の製造業・A社に対する支出が記載されている。
   〈令和3年11月12日 47,592円 電気代 A社〉
茂木氏の支援者が語る。
「選挙期間中、茂木氏はA社から事務所を借りていました。そこにかかった電気代を支払ったのでしょう」
他方、茂木氏が代表を務める政治団体「自由民主党栃木県第五選挙区支部」の政治資金収支報告書にも、A社に対する支出が記載されている。
   〈令和3年11月12日 47,592円 備品 A社〉
支出の目的こそ異なるものの、同日付で、1円単位まで同じ金額が支出されている。いったい、どういうことか。小誌は栃木県選管に対し情報公開請求を実施。茂木氏の選挙運動費用収支報告書と栃木県第五選挙区支部の政治資金収支報告書で計上された支出について、それぞれの領収書の写しを入手した。
驚いたことに、この2枚の領収書は、日付や宛名、但し書き、金額の筆跡が同一だ(下記、画像参照)。コピーによるものと見られる擦れこそあるものの、手書きされた文字については一言一句、完全に一致する。この2枚の領収書が同じものであることは一目瞭然だ。
どちらか一方が裏金になっている疑い
栃木県選挙管理委員会の担当者が首を傾げる。
「1枚の領収書を用いて2件の支出がされているということであれば、“二重計上”になってしまいます。政治資金収支報告書か、選挙運動費用収支報告書のどちらかが間違っているのでしょう」
政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授はこう指摘する。
「候補者個人が選挙のために使う『選挙運動費用』と、政治団体が日常的な政治活動の為に使う『政治資金』は法的に全く異なるものです。前者は候補者である茂木氏の“個人の財布”であり、後者は自民党栃木県第五支部という“政治団体の財布”です。両者を一緒くたにすることは許されません。
領収書が1枚しかないということは、どちらか一方の支出は、実際には支払われていなかったということになる。つまり、手元に残ったお金が裏金になっていることを意味します。領収書を確認したうえで、それに基づいて支出を計上しているということは決して事務的ミスとはいえないでしょう。
しかも、自民党栃木県第五支部の政治資金収支報告書では、「支出の目的」について領収書の記載とは異なり、〈備品〉と記載しています。〈電気代〉とした場合、選挙運動費用との二重計上が発覚する恐れがあるため、敢えて費目を変えたのではないでしょうか。意図的に裏金作りをしたと見られてもしかたありません」
「事務的ミスが判明したので速やかに訂正します」
茂木氏の事務所に尋ねると、次のように回答した。
「選挙区支部の政党活動にかかる支出として選挙区支部の収支報告書に計上すべきところ、事務的ミスで選挙運動費用収支報告書に計上されていることが判明しましたので、速やかに訂正します」
政治資金パーティの裏金問題を巡って、「当事者にはしっかりと説明責任を果たしてもらいたい」と訴えた茂木氏。自身の疑惑についてどのように説明するのか注目される。
●製薬会社が医師会理事長に「3,000万円超」を支払い…医療業界“裏金問題” 2/12
いま、世間を騒がせている自民党の「裏金問題」。「パーティー券」をきっかけに勃発した献金がらみの話題はメディアでも盛んに取り上げられていますが、実は医療業界でもそうした「黒いうわさ」があると、医師の秋谷進氏はいいます。今回は、製薬会社と医療機関における“黒いウワサ”について、秋谷氏が解説します。
製薬会社と医療機関の「金銭授受」が絶対NGな理由
前提として、製薬会社と医療機関のあいだで、金銭のやり取りは絶対にあってはなりません。
たとえば、
・製薬会社Aがつくった薬のPR案件を受けたから、医療機関Bでこの薬を使おう
・製薬会社から“ぜひともわが社の薬を使ってほしい”とお金をもらったから、この薬を第一選択薬にしよう
などということは、当然禁止されています。その理由は、主に以下の2つです。
1.利益相反を防止し、診療の「透明性の確保」をするため
「利益相反(COI:Conflict of Interest)」とは、ある行為によって一方が大きな利益を上げるとともに、もう一方への不利益になる行為※のことをいいます。
本来、診療行為とは中立の立場で行うものです。しかし、医師も人間ですから、製薬会社から多額の献金をもらえば、どうしてもその企業が扱っている薬を優遇したくなります。
効果や効能ではなく、個人的な利益や感情で薬を処方するようになれば、その薬が患者さんの命を救うためのものではなくなってしまいます。このようなことを繰り返すと「診療の透明性」の確保が難しくなり、本来あるべき診療行為からかけ離れたものになってしまうでしょう。
2.競争を“公正”に行うため
また、製薬会社と医療機関のあいだの不適切な金銭授受は、製薬市場で「公正な競争」を損なう恐れがあります。
たとえば、製薬会社が多額の金銭を用いて大きなグループ病院※を抱き込むような戦略をとったとしましょう。すると、極端にその薬だけ処方数が伸びる現象が起きます。
この場合、臨床研究の際には「製薬会社で扱われる薬」を中心にデータが作られますから、“それ以外の薬”とデータ数に格差が生まれてしまいます。これでは、「本当にいい薬だから実績がある」のではなく、「たくさん医療機関にお金をばらまいたから実績がある」ことになります。研究の質も落ち、ひいては医療の発展も妨げられてしまうでしょう。
したがって、薬の未来のためにも「製薬会社と医療機関で金銭的な授受を行ってはいけない」のです。
そのため、各学会で行われるあらゆる研究や発表においては
・臨床研究において医療機関と製薬会社で金銭的な授受は行わない
・行った場合には、どのような金銭的な授受が行われたのかをきちんと研究に携わった人ごとに開示する
という「利益相反(COI)の開示」が原則になっています。
国が定めている「医療用医薬品に関するガイドライン」
しかし、製薬会社にとっては薬が売れるかどうかは会社の業績に大きく関わりますし、そのためには“どんな手でも使って医療機関に売り込みたい”というのが本音です。法的な規制などがなければ、こうした「癒着」はゼロにはならないでしょう。
そこで厚生労働省が2018年に作成したのが、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」です。
これは、医薬品を医療従事者が適切に使用・判断するために作られたもので、主に
○医薬品の効能・効果や副作用など、科学的および客観的根拠に基づいた正確な情報を提供すること
○不適正使用や誤使用を誘発しないようにすること
の2点が盛り込まれています。また、以下のような行為は禁止となっています。
   虚偽の情報提供
製品に関する誤った情報や証拠が不足している情報。科学的根拠がない効能を宣伝することは禁止されています。
   誇大広告
製品の効果を実際以上に大きく宣伝する行為。たとえば、副作用のリスクを意図的にすべて言わず説明することは適切ではありません。
   不適切な贈与や接待
医師や医療従事者に対し、不当な贈り物や接待を行うことも禁止されています。これは、医師の処方決定に影響を与える可能性があるためです。
   不適切な販売促進活動
医療用医薬品の販売を目的とした不適切なマーケティングや宣伝活動は禁止されています。たとえば、医薬品を無条件に推奨するような行為は許されません。
   医師への不適切な影響
医薬品の処方を不当に促進するような行為は、医師の独立性を損なうため禁止されています。たとえば、特定の医薬品を使うことに対して金銭的なインセンティブを提供することは適切ではありません。
○調査した医師353人のうち“ほぼ全員”が製薬会社から数千万円受け取っている
しかし、このように国をあげてガイドラインが制定されているにもかかわらず、いまも医師と製薬会社のあいだでは多額の金銭授受が行われているのが現状です。
2023年に発表された「2016年から2019年までの日本の耳鼻咽喉科医と製薬会社との財務関係の評価」についての論文によると、「8,190人の耳鼻咽喉科医のうち3,667人(44.8%)は、2016年から2019年のあいだに製薬会社72社から講演、コンサルティング、執筆の対価として総額1,387万3,562ドルを支払われている」とあります。
約半数の医師がコンサルティングなどの名目でお金をもらっているということになりますね。さらに、1,387万3,562ドルというと、日本円に換算すると約20億1,167万円※ものお金が動いていることになります。[ 1ドル=145円で計算 ]
また、同じ論文のなかで「臨床診療ガイドラインを執筆している耳鼻咽喉科医のほうが、そうでない医師に比べてもらっている金額が著しく高かった」と述べられており、直接販売に影響を与える医師がターゲットになりやすいことがわかっています。
理事会会長は3,000万円以上…「公正な医療」が崩壊している現実
耳鼻科だけではありません。内科学会の理事と製薬会社に関する論文もあります。
これも2023年に発表された「2016年から2020年までの日本の内科学分科会理事と製薬会社とのあいだの金銭的利益相反」に関する論文ですが、15の医師会に所属する理事会メンバー353人のうち、350人(99.2%)が 5年間に製薬会社から1回以上の個人支払いを受けていることがわかっています。99.2%ということは、ほとんど「全員」ですよね。
受け取っていた金額の中央値は5年間で150,849ドル。日本円に換算すると約2,187万円にのぼります。特に、理事会の会長や副会長だった人は中央値225,685ドル(約3,272万円)というから驚きです。
製薬会社から1人3,000万円以上もらって「公正に薬剤を判断できる」という自信はありますか? すぐに首を縦に振れる人は少ないのではないでしょうか。
製薬会社と医療業界の癒着是正が求められる
繰り返しますが、均質な医療が患者全員に等しく行われるためには、こうした「医療機関と製薬会社との金銭的授受」は絶対にあってはなりません。
もしこの世の中に「抜きんでて優れている薬」があったとしても、それは医師との金銭授受によって世に広まるのではなく、公正な臨床試験によって判明すべきです。
製薬業界と医療業界の癒着を是正するためには、第三者による厳正な態度が求められます。
●自民党全議員376人の調査「政治資金パーティーぼろ儲け政治家」ランキング 2/12
自民党派閥の「政治資金パーティー裏金問題」がここまで批判されてなお、実態解明や政治改革に踏み込む気がまるでない岸田文雄・首相。結局、自民党の政治家たちは、パーティーという「甘い汁」を手放す気がないのだ。誰がどれだけ集めているのか、白日の下に晒す。
これは法の抜け道
岸田首相が「先頭に立つ」と大見得を切った自民党の裏金調査は杜撰そのものだった。
公表した裏金議員リストは安倍派と二階派の82人分のみ。野党に「不十分」と批判され、自民党は全議員を対象にアンケート調査することにしたが、質問項目はたったの2問。政治資金収支報告書への「記載漏れ」の有無と、記載漏れの金額を記入させるだけの内容だ。
こんなアンケートで「政治とカネ」の問題を解明することなどできるはずがない。岸田首相に本気で取り組む気がないのは明らかだ。
ならば、本誌・週刊ポストが明らかにする。
今回の自民党の裏金事件の根底にあるのは、政治資金パーティーが持つ「相手の名前を明らかにしないで一度に多額のカネを集めることができる」という“脱法性”だ。政治資金研究の第一人者、岩井奉信・日本大学名誉教授が指摘する。
「政治資金パーティーそのものが、政治資金規正法の抜け道です。企業・団体献金や個人献金には厳しい規制がある。5万円以上の寄附は政治資金収支報告書で氏名を公表しなければならないし、寄附金の上限や1社あたりの総額も制限され、国から補助金を受けている企業は寄附禁止、公共事業の受注企業も国政選挙に関して寄附できない。
しかし、政治資金パーティーの会費は、『催事に参加する対価』であって寄附ではないとされているから、そうした企業からもカネを集めることができるわけです」
自民党の派閥や議員は政治資金パーティーという“隠れ蓑”を使って事実上の政治献金を集め、さらに収入の一部を隠して裏金にしていた。自民党がアンケート調査した「記載漏れ」の金額は氷山の一角であり、政治資金パーティーの全体像を明らかにしなければ問題の本質は見えない。
そこで本誌は自民党の衆参376人の国会議員全員の2022年分の政治資金収支報告書を調査し、政治資金パーティーの実態を分析した。
別掲のリストは、議員ごとの年間のパーティー収入から費用を引いた「利益総額」の上位30人のランキングである。
首相は“闇パーティー”も
トップ3はいずれも大物議員だ。
1位は武田良太・元総務相。裏金事件渦中の昨年12月にも政治資金パーティーを開き、「パーティーは重要な政治活動」と言ってのけた議員だ。二階派事務総長を務め、同派の裏金事件では派閥から受けた寄附1172万円の不記載が発覚している。
武田氏は2022年に5回のパーティーを開いて収入合計は約2億4110万円、かかった費用の総額は「会場費」「案内状の印刷代」など約2054万円で、差し引き約2億2056万円もの利益をあげた。利益率はなんと91.5%にのぼる。
岸田首相は2位につけた。7回開催で合計約1億5510万円を集め、経費は約1901万円。約1億3609万円の利益を得た。利益率も87.7%となっている。
これほど派手にパーティーを開きまくる首相は異例中の異例だろう。
それというのも、2001年に閣議決定された「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」(2014年改正)で、大臣ら政務3役は、〈政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する〉と定めているからだ。
にもかかわらず岸田首相は平然と7回もパーティーを開き、そのうち6回は政治資金規正法で「特定パーティー」に分類される収入1000万円以上の大規模なものだった。なかには収入が3000万円を超えるものもあった。大臣規範違反は言い逃れようがない。
それだけではない。
この金額には本誌が報じた岸田首相の「内閣総理大臣就任を祝う会」(2022年6月)は含まれていない。形式上は「任意団体」が主催で、岸田首相の政党支部や政治団体の政治資金収支報告書には収支が記載されない“闇パーティー”だったからだ。
「祝う会」問題は2月6日の衆院予算委員会でも野党に収支を開示せよと追及されたが、岸田首相は、「私の事務所の主催ではないから収支を提出する立場にない」と逃げの答弁に終始した。
自分の総理就任パーティーの収支も明らかにしないで、自民党の裏金調査などできるはずがないだろう。
3位の西村康稔・前経産相は安倍派の前事務総長で、同派の裏金事件では100万円のキックバックを受け取り、東京地検特捜部の事情聴取を受けた。西村氏はよほど政治資金パーティーが好きなようだ。毎月1回以上のペースで開き、収入合計は1億2138万円。費用は約1677万円で差額の約1億461万円の利益をあげている。利益率も86.2%と高い。
費用をできるだけ抑える
政治資金パーティーの「利益総額」と「利益率」を重視したのは、それにより“法の抜け道を使った献金”という実態が色濃く浮き彫りになるからだ。国会議員秘書の経験がある政治評論家・有馬晴海氏はこう語る。
「政治資金パーティーは本来、あくまでも催事。以前は議員側もパーティー券を買ってくれた支持者を飲食で饗応したうえで残りの収益を政治資金にしていた。ところが、最近は費用をできるだけ抑え、利益を最大化する“単なるカネ集め”となっているケースが多い。
具体的には、飲食の提供なしでの開催や会場の定員の何倍ものパーティー券を売るような手法が横行しています。ある自民党の大臣経験者は、企業に“10枚・20万円分”のパーティー券購入を求めながら、案内状の返信用紙には出席者の名前を3人しか書かせないようにしていた。“3人以上出席するな”という意味で、7人分はパーティーの対価ではなく献金というわけです。利益が大きく、利益率が高いパーティーが生み出されていくという構造がある」
名ばかりのパーティーも多い。
「国会周辺の貸しホールで会費2万円のセミナーを開き、弁当を食べながら講師の話を聞く。これなら講師料が約2万円、弁当とペットボトルのお茶で1人2000円程度であがる」(ベテラン秘書)というのはまだましなほうだ。
衆院の管轄施設である憲政記念館などの会議室で朝食会や昼食会を開き、サンドイッチをつまみながら議員の国政報告を聞くだけで会費2万円というケースは珍しくない。なかには、地元事務所で政治資金パーティーを開き、1回あたり数百万円を集めたケースもあった。ぼろ儲けできるはずである。
ランキング上位の各議員に利益が大きい問題をぶつけると、岸田首相、武田氏、西村氏をはじめ多くの議員が事務所を通じて、「法令に従い適切に処理し、収支を報告している」と回答した。前出の岩井名誉教授が言う。
「国会では派閥の解消や派閥のパーティーの禁止ばかり議論されているが、議員個人の政治資金パーティーそのものが脱法献金を許すような法の抜け道となっていることが最大の問題なのです。それを塞がなければ根本的な問題は解決しない」
自ら「先頭に立って」政治資金パーティーでぼろ儲けしている岸田首相に、そうした抜本的な改革ができると思えない。
●「子育て支援金」で、ナゼ岸田首相は「負担増なし」と断言できるのか… 2/12
財務省の政治家操縦術
今は確定申告で手一杯の人も多いだろう。経費精算のために不可欠なものと言えば、領収書だ。
しかし、政治家は、政治資金と言えば、領収書なしで原則非課税だ。これでは一般納税者の怒りは収まりそうにない。しかも、裏金がバレて政治資金収支報告書で修正さえすれば非課税というのはしゃくに障る。
国税庁は毎年、確定申告前に議員へ向けて「政治資金に係る『雑所得』の計算等の概要」と題する文書を作成しているが、そこには「政党から受けた政治活動費や、個人、後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品等による寄付などは『雑所得』の収入金額になります」と書かれている。
であれば、裏金、キックバックは雑所得となるはずだ。もっとも、こうした裏金騒動で、脱税として扱われる案件はあまり聞かないが。
先週の本コラム〈財務省が「自民党大解体」のあとの「ラスボス」だった…!大増税で「デフレ時代に逆戻り」のヤバいリスク〉に関連して言えば、国税庁幹部はほぼ例外なく財務省出身だ。課税処分せずに政治家の弱点を握ったまま財務省の言いなりにさせるのが、財務省の政治家操縦術ではないかと邪推してしまう。
最近、財務省がちょっと乱暴だ。震度7以上の震災では過去に例外なく補正予算で災害復旧費が震災後1ヵ月余りで準備されていたが、今回はないらしい。
その上、「子ども・子育て支援金」も疑問だ。岸田首相は「子ども・子育て支援金」について、健康保険料上乗せ分となり加入者1人あたりの徴収額が「月平均500円弱になる」と述べた。歳出改革と賃上げで実質的な負担増がないとしているが、支援金という方式が妥当なのか。
「負担増はない」となぜ言い切れるのか
かつて自民党若手から子育て支援の財源として「こども保険」の提案があった。
まず「保険」の意味をはっきりさせよう。保険とは、偶然に発生する事象(保険事故)に備えてるために多数の者(保険契約者)が保険料を出し、事象が発生した者(被保険者)に保険金を給付するものだ。
さて、少子化対策はこどもの保育、教育なので、偶発事象(保険事故)はこどもが生まれることになるだろう。保険契約者は公的年金の加入者、つまり20歳から60歳までの現役世代の人になり、被保険者は子育てする人となるだろう。
となると、矛盾がでてくる。子育ての終わった現役世代の人には、偶発事象がまず起こりえない。これらの人は「社会保険」に入るメリットはなく、保険料を取られるだけになってしまう。
いくら保険料でないと強弁しても、今回の健康保険料上乗せ措置はこども保険の別型だ。つまり、負担と給付の関係に齟齬が出てしまうし、現役世代の負担を増やして少子化対策になるわけがない。
子育て支援について本来は税金を財源にしたいが、税金では世間の反発がある。社会保険料では「モロ」で、保険料上乗せと名前を変えて国民から徴収することがバレバレになってしまう。
さらに、国民一人当たりの負担額「月500円弱」はミスリードだ。保険料負担している被保険者一人当たりの負担額について、総理は「分からない」という。歳出改革と賃上げで「実質的な負担増はない」と答弁するが、どうして断言できるのか筆者にはわからない。
「こども国債」の議論は出てこない
各種の試算では、被保険者一人当たり1000〜1500円程度だという。ざっくり現役世代だけで割り算しても同じ数字だ。要するに現役世代の負担をこれほど増やして、子育て支援するというのは冗談にしか聞こえない。官僚機構に吸い上げられて国民に戻す間に中抜きされるおそれもある。
もっとも、政策論からの筋をいえば、少子化対策は、未来への人的投資として考え、国債を財源とするのがもっとも適切であろう。この考え方については、こども国債ということで、かつて本コラムでも解説したが、財務省関係者では知られた考え方だ。
便益が大きく、その効果が長期に及び、十分な資金確保が必要なので、税財源に依存するのは適当でないからで、実は、その考え方は、財務官僚が書いた財政法のコンメンタール『予算と財政法』にも書かれている。
ただし、投資なので効果が高く、確実なものに絞るべきだ。企業経営の発想からみると、有効な投資であれば借入で賄うはずであり、企業でいえば営業収入である税で賄わないと同じである。支持率が低い政権は何もしないほうが国民のためだ。
もっとも、こども国債という政策論は出てこない。「国債残高が増えると財政が危ない」というプロパガンダがいきわたっているからだろう。
政府は1月22日の経済財政諮問会議で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の中長期試算を示したが、政府は国と地方の基礎的財政収支の中長期試算で、2025年度の収支について、成長実現のケースでも1兆1000億円の赤字になるとした。この分析が妥当なのか。
財政再建を達成してしまうのがイヤなのか
まず、試算の前提となっているマクロ経済の姿をみてみよう。2022から25年度の名目GDP成長率は、2.3、5.5、3.0、2.8%となっている。それぞれの名目GDPは566.5、597.5、615.3、632.7兆円とされている。
その一方、国一般会計の税収は、それぞれの年度で71.1、69.6、69.6、75.7兆円と不思議な動きになっている。税収は、名目GDPにかなり連動する。23年度について、名目GDP成長率5.5%なのに、税収が69.9兆円と前縁より低下するのは明らかに不自然だ。
しかも、所得税の累進課税などの要因で、名目GDP成長率より高い伸びになることが知られている。経験的には、税収の伸び率は名目GDP成長率の2〜3倍程度だ。つまり、税収伸び率と名目GDP成長率の比率を税収弾性値というが、2〜3程度だ。ただし、財務省では堅めの見積もりという理由で税収弾性値を1.1とすることが多い。
仮に財務省の言う堅めの税収弾性値を1.1としても、2025年度の税収は中長期試算でも75.7兆円から80.3兆円となり、らくらくPBは黒字化する。もし、税収弾性値が過去の経験則である2.5程度であるとすれば、2024年度にも黒字化になってしまう。
財務省は財政再建が達成できてしまうのがイヤなのか。1月22日、共同通信から「国の債務超過702兆、22年度 15年連続で過去最悪更新」という記事が出た。早速多くの地方紙はこれを転載していた。この記事は、「近く公表する」と書かれており、財務省からの事前リークであると思われる。実際、23日現在で、1年前の2023年1月27日の資料しか公表されていない。
この記事によれば、2022年度末の負債は1442.7兆円で前年度より31.7兆円増加し、債務超過額は702兆円で前年度から15兆円増加と書かれている。
G7トップレベルの健全な財政
この数字は、政府といっても、関連法人を含まない狭義の政府のバランスシートにもとづくものだ。本コラムで繰り返し述べてきたように、政府の財務分析は、民間企業と同様に、連結ベースのバランスシートで見なければいけない。
連結ベースは例年3月末頃に公表される。しかも、IMF等の国際機関で算出されている中央銀行について日本の財務省は除いている。それらを修正すると、連結ベースのバランスシートでは、債務超過ではなく、50兆−100兆円程度の資産超過になる。これは、G7の中でもトップくらいの健全な財政である。
ちなみに、本コラムでは2018年10月15日〈IMFが公表した日本の財政「衝撃レポート」の中身を分析する それでも消費増税は必要ですか〉でIMFの分析を紹介したこともある。そこでのデータをアップデートすると、以下の通りで、筆者の試算と同じだ。
いくら財務省が財政危機と煽っても、国債暴落は起こらなかったのは、客観的な財務分析では健全だとわかるからだ。財務省は、正しい財政の姿を伝えずオオカミ少年になっている。
●「伊豆半島東方沖」「山梨県東部・富士五湖」…相次ぐ地震で「富士山噴火」注目 2/12
2月9日17時42分、伊豆半島東方沖で最大震度2(M4.9)の地震が発生した。東京・千代田区、練馬区や千葉・市川市、神奈川県川崎区などで揺れが起きた。近年は南海トラフ地震や首都直下型地震などが懸念されるが、専門家は富士山の噴火にも注目している。
今月3日には山梨県東部・富士五湖で最大震度3(M4.3)、1月30日にも山梨県東部・富士五湖(M2.5)で地震が発生していたからだ。「完全解説 日本の火山噴火」の著書もある武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏(地震学)が言う。
「富士山の噴火は、1707年の宝永の大噴火が最後で、いま起きてもおかしくない。富士五湖は噴火によってできた湖ですから、異常が付近で起きるのは噴火のバロメーターにもなる。伊豆半島を震源とする地震も同じ。約300年分のエネルギーが放出される分、被害は大きくなる可能性があるので注意が必要です」
首都圏は今年に入ってから地震が相次いでいる。1月26日には東京都23区(M2.6)、同28日には東京湾(M4.8)を震源として有感地震が起きた。歴史上、富士山噴火も必ず起きている。日頃から防災意識は忘れずにいたい。
●「保守本流」自民・茂木派、存続の危機 先行解散仕掛けた岸田首相 2/12
自民党安倍派などの政治資金規正法違反事件の余波で、茂木敏充幹事長率いる茂木派(平成研)が解散の危機に立たされている。岸田文雄首相(総裁)が岸田派(宏池会)の解散を決めたことで、派閥の存在自体への風当たりが一気に強まり、退会者が続出。かつて「キングメーカー」として権勢を誇った「保守本流」派閥が存続できるか、見通せないのが実情だ。
佐藤派が源流
茂木派までの歴史をさかのぼると、佐藤栄作元首相が結成した佐藤派(周山会)に行き着く。吉田茂元首相の「弟子」である佐藤氏は、吉田門下でライバルの池田勇人元首相とたもとを分かち、派閥を結成した。佐藤氏の次男・信二元通産相が生前語っていたところによると、佐藤派のスタートは佐藤氏を含めて実質3人。吉田派内で佐藤氏を慕う橋本龍伍、小渕光平の両氏が、派閥結成を働き掛けたという。
2人の死後、それぞれ地盤を引き継いだのが息子の橋本龍太郎氏と小渕恵三氏。いずれもその後、派閥をバックに総裁選に勝利し、首相に上り詰めた。
佐藤派を結成した佐藤氏は要職を重ねながら、人数を拡大。病気で退陣した池田氏の後継として首相に就くと、人事権を巧みに使って党内を押さえ、7年8カ月の長期政権となった。佐藤氏は沖縄返還を花道に退陣したが、後継に考えていたのは福田赳夫氏。しかし、佐藤派幹部だった田中角栄氏は、佐藤氏の意向を察知すると、佐藤派の大半をまとめて田中派を結成した。
信二氏によれば、佐藤派メンバーの大多数が田中氏についていったのは、同氏の豊富な資金力から。佐藤氏は造船疑獄で逮捕寸前(犬養健法相が指揮権発動)となったことを教訓に、カネ集めにほとんど関与しなくなり、佐藤派内でそれをカバーしたのが田中氏だったという。
「ポスト佐藤」を選ぶ1972年の総裁選で田中氏は、福田氏らとの激戦(いわゆる角福戦争)を制し、首相に就任した。以降、自民党政治の底流には、田中派と福田派(清和会)の対立が絶えずあった。
田中派、裁判対策で100人超
田中内閣は米国に先んじて、中国との国交正常化を実現したものの、金脈問題で退陣。その後、田中氏はロッキード事件で逮捕、起訴された。裁判を抱える田中氏は自身の影響力維持のため、派閥の拡大に腐心。田中派は最盛期で100人を超える巨大派閥となった。そして、総裁選では自派から候補者を立てず、田中派が支持する候補が勝利する構図をつくり上げ、「キングメーカー」として政界に君臨した。
30本以上の議員立法に関わるなどの政策立案力、日中国交正常化に象徴される決断力と行動力、弁舌で人を引き付ける発信力などが政治家・田中氏の「強み」。一方で、カネが物を言う政治、政界に「金権体質」を醸成させたことや、「票」の見返りに、地元に予算や公共事業を引っ張ってくる「利益誘導政治」を根付かせたことなどは「負の遺産」と言えよう。
田中氏の利益誘導を象徴するのが、上越新幹線の新駅建設。自身の選挙区(衆院旧新潟3区)内に「浦佐」「長岡」「燕三条」の3駅を誘致した。浦佐駅前には、田中氏の功績をたたえ銅像が建てられている。長年の風雨で色あせた碑文には、「上越新幹線、関越自動車道の歴史的開通を記念し、田中角栄先生の銅像を建立し、不滅の功績と栄誉をたたえ、悠久に威徳を顕彰する」などと記されている。
筆者は信二氏がこう言うのを何回か聞いている。「角さんは功罪相半ばする政治家。金権政治を助長したのは角さんの責任だ」
佐藤派にしろ、池田氏が創設した池田派(宏池会)にしろ、自民党の派閥は、領袖(りょうしゅう)を総裁選で勝たせ、首相に押し上げるのが目的の一つ。しかし、田中氏は自身の権力維持を優先し、派内で総裁候補を育てなかった。これにしびれを切らしたのが、田中派のホープ・竹下登氏や田中氏に育てられた小沢一郎氏や梶山静六氏ら中堅議員。竹下氏らは極秘に賛同者を募り、派中派「創政会」を結成した。
竹下派、佐川急便事件で分裂
この直後、田中氏が脳梗塞で倒れ、竹下氏は田中派の大多数を糾合する形で、竹下派(経世会)を結成。竹下氏は1987年、中曽根康弘首相(当時)の裁定で党総裁に指名され、竹下内閣が発足した。最大派閥・竹下派を基盤とする竹下内閣は当初、長期政権が確実視されたものの、リクルート事件が直撃。竹下氏は予算成立と引き換えに辞任、竹下内閣は約1年7カ月の短命に終わった。
ただ、竹下派は最大派閥として、宇野宗佑、海部俊樹、宮澤喜一の各内閣の樹立を主導。同派会長の金丸信氏は党内で、絶大な影響力を誇った。
その金丸氏も東京佐川急便からの5億円の闇献金が発覚。政治資金規正法違反に問われ失脚した。そして、金丸氏の後継をめぐって、派内抗争が勃発。多数派工作で勝利した小渕氏が新会長に就いて小渕派(平成研)となり、敗れた小沢氏や羽田孜氏らは、同派を離脱した。
非自民連立の細川護熙内閣、羽田内閣、自社さ連立の村山富市内閣を経て、96年1月に橋本氏が首相に就任。参院選敗北で橋本氏が引責辞任すると、98年7月に小渕内閣が発足した。両内閣とも、発足の原動力になったのは小渕派にほかならない。
小渕派の会長職はその後、橋本氏、津島雄二氏、額賀福志郎氏、竹下元首相の実弟・竹下亘氏と引き継がれた。そして、前回衆院選後に幹事長に起用された茂木氏が2021年11月、亘氏の死去で空席となっていた会長に就任し、現在に至っている。
「参院のドン」との確執
岸田首相が岸田派の解散を表明すると、裏金事件で捜査対象となった安倍派と二階派は解散を決定。捜査対象ではなかったが、森山派も続いた。岸田派は党内第4派閥で、岸田首相は第2派閥の茂木派や第3派閥の麻生派に支えられて政権運営に当たっていた。全ての派閥が解散すれば、政権運営で派閥からの注文がなくなり、党総裁である岸田首相の権限が強まる。他に先んじての岸田派の解散は、全派閥を解散に追い込み、自身の権力基盤を固め直すことを狙った「奇襲作戦」と言える。
これに対し、麻生派と茂木派は解散を否定。その矢先の1月25日、小渕元首相の娘で茂木派の小渕優子選対委員長が退会を表明した。
優子氏に連動するかのように、参院執行部の関口昌一議員会長、石井準一国対委員長、福岡資麿政審会長や「参院のドン」と言われた故青木幹雄元参院議員会長の長男・青木一彦参院副幹事長も退会を表明。これを含め、1月末までに8人が茂木派を退会した。
優子氏らが仕掛けた「退会騒動」の背景にあるのは、茂木氏と青木幹雄氏との確執。安倍晋三元首相が3選された18年の総裁選で、茂木氏は安倍氏を支持。これに対し、派閥会長の亘氏や青木氏の影響下にある参院議員の大多数は石破茂元幹事長を支持し、派内で対応が割れた。
この結果、青木、茂木両氏の溝はさらに深まったとされる。こうした事情もあり、青木氏は優子氏の後見役として、「首相候補」に育てることを公言していた。青木氏の薫陶を受けた参院幹部が優子氏に続いてそろって退会したことから、党内では「シナリオを書いたのは参院側。将来の『小渕政権』を見据えた動き」との見方が支配的だ。
茂木氏は、派の運営方法を見直し、純粋な「政策集団」として茂木派を存続させる考えだが、退会者の続出で求心力の低下は否めない。茂木氏の「力の源泉」の一つは、党の資金と選挙での公認権を握る幹事長ポスト。しかし、党則で党役員の任期は「1期1年、連続3期まで」と定められており、岸田首相が9月の総裁選で再選されるかどうかに関係なく、茂木氏は幹事長から退くことになる。「ポスト岸田」をうかがう上でも、苦しい立場に立たされつつある。
衆院選へ強まる逆風
党政治刷新本部の中間取りまとめに従い、「カネと人事」を切り離された茂木、麻生両派が、「政策集団」への脱皮をアピールしても、事務所を持ち看板を掲げていれば、外形的に「派閥」であることに変わりはなく、多くの有権者はマイナスのイメージを持ち続けるだろう。そして、派閥に対して最大の解散圧力となるのは、年内が有力視される次期衆院選だ。
各メディアは衆院選報道で、候補者名簿に所属派閥を付けるのが通例。存続する麻生派と茂木派の候補者は(麻)、(茂)などと記され、無派閥の候補と色分けされる。有権者の派閥へのイメージが変わらない限り、選挙ではマイナスだ。選挙に弱い議員ほど、衆院解散が近づけば動揺するだろう。
麻生太郎副総裁の下で結束を維持する麻生派は別として、求心力の低下する茂木派から、さらなる退会者が出かねない。茂木派の存続が見通せないゆえんだ。
源流の佐藤派時代から数えて、佐藤栄作、田中角栄、橋本龍太郎、小渕恵三の4人の首相を輩出した派閥が、衆院選を前にその歴史に幕を閉じるのか? それとも、衆院選を乗り越えて存続するのか? 年内にも分かるだろう。
●「もしトラ」は日本の大チャンス米国第一≠ナ軍事支援に消極的、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会もたらす 2/12
もしも、米国のドナルド・トランプ前大統領が大統領に復活したら、日本はどうなるのか。トランプ氏が優勢に大統領選を戦うなかで、この「もしトラ」問題が現実味を帯びてきた。私は「日本が大改革に踏み切る絶好のチャンスになる」とみている。
各種の世論調査を総合している政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」の平均値によれば、2月6日時点でトランプ氏が、現職のジョー・バイデン大統領を2・1ポイント引き離している。個別の調査をみても、直近では、ほとんどがトランプ氏が優勢だ。
トランプ氏が勝てば、バイデン政権が進めてきた政策の相当部分がひっくり返されるのは必至だ。
例えば、トランプ氏は「米国への輸入品に一律10%の関税をかける」と公言している。日本が輸出する自動車に10%の関税が課税されれば、自動車メーカーには打撃になるだろう。
ただ、ノーベル賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン氏は「それでも米国の貿易赤字は解消しない」と指摘している。高い輸入品の購入を強いられる米国の消費者にも不利とみられ、実際にどうなるかは不透明だ。
中国との貿易では、ワシントン・ポスト紙が「(トランプ氏が)60%を超す関税をかける可能性がある」と報じ、本人もFOXの番組で「それ以上になるかもしれない」と語った。他国と差別しない原則である「最恵国待遇」を取り消す可能性も取り沙汰されている。
対中強硬策は、民主党と一致できる数少ない分野だ。米中経済の切り離し(デカップリング)は前回政権の時より一層、進むだろう。
●自民党「女性総裁」成り上がり争奪戦 「上川総理待望論」の舞台裏 2/12
昭和は遠くなりにけり。実に6億円超の裏金を秘匿した安倍派のほか、岸田派、二階派と、相次いで解散を決めた。昭和の遺物・派閥政治が終焉を迎える中、最悪の低支持率を挽回すべく岸田政権の下、逆風を打ち破る“窮余の一策”として「女性総理」がにわかに現実味を帯びてきた。
岸田文雄総理(66)の独断専行による宏池会(岸田派)解散で、“派閥解散ドミノ”が始まった。2月2日現在、旧安倍派、二階派、森山派がそれに追従する一方で、麻生派は政策集団へ移行して存続、離脱者が続出する茂木派も同様に形を変えての存続を模索している。ただ、対応はバラバラだが、党の至上命題が政権の維持にあることは一致しているという。ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。
「岸田総理はまだまだ総理の座を譲るつもりはなく、減税をはじめ支持率回復の策を打つ構えで、国民に信を問うべく衆院解散も視野に入れています。それでも党内では、政権維持のためにはいつまでも総理の席に据えておけない、と“岸田おろし”の声も上がり始めている。今年9月の総裁選、そしてポスト岸田を考えた時に浮上してくるのが、『史上初の女性総理』というキーワードなんです」
選挙区での地盤が弱い議員にとっても、党のイメージ悪化は死活問題で、不人気な岸田総理にはいち早く退場を願う風向きになっているのだ。
ならば国内外に聞こえがいい史上初の「女性総理」こそが、大きな刷新のチャンスとなる!? そんな思惑が交錯する中、その筆頭候補に浮上しているのが、上川陽子外相(70)である。
上川外相はこれまで福田・安倍・菅・岸田政権で入閣しており、実務能力は折り紙付き。法相時代にはオウム真理教元幹部13人の死刑を執行し、現在に至るまで24時間体制で警備が付いていることでも有名だ。永田町関係者が語る。
「上川さんは旧岸田派の議員でしたが、麻生太郎副総裁(83)も、オウム関連の仕事を見て『肝の据わった女だ』と評価している。林芳正前外相(63)の退任の際、後任人事を相談しに来た岸田総理に対し、『上川がいるじゃないか』と言ったのは麻生さん。まったく想定していなかった岸田総理は『え!?』と驚いていた」
上川外相を「美人じゃない」「このおばさん」と口を滑らせて叩かれたが、これも単なる麻生副総裁のいつもの失言癖に過ぎず、むしろ本人は発言撤回後に「上川の名前を売ってやった」とほくそ笑んだとか。鈴木氏が続ける。
「上川外相は旧岸田派でありながら『私は菅グループ』と言うほど、菅義偉元総理(75)と距離が近い。つまり“キングメーカー”としてバチバチの関係にあるはずの麻生・菅、そして影響力を残せるという意味で岸田総理と、三方の大物にとって都合がいい存在なんです」
党内には早くも「上川待望論」が巻き起こっているという。ジャーナリストの山村明義氏いわく、
「今回の派閥解消で最も恩恵を受けた女性議員は上川外相だと思いますね。旧岸田派と麻生派の女性議員はベテラン、中堅どころが、軒並み上川外相の支持に回っているようです」
突如勃発した「女性総理争奪レース」のポールポジションは揺るぎないようだが‥‥。 
●国民民主「正直な政治が大前提」 党大会、裏金で政権と対峙姿勢 2/12
国民民主党は12日、定期党大会を東京都内で開いた。「政策本位で協力できる政党とは与野党問わず連携する」としつつ、「『正直な政治』が大前提だ」とする2024年度の活動方針を採択した。自民党派閥の裏金事件を巡って、岸田政権や自民と厳しく対峙(たいじ)する姿勢を示した。
党大会で玉木雄一郎代表は、「自民は裏金対応で精いっぱいで、政策を進める推進力を失っている。政策本位で取り組むが、正直な政治が貫かれていることが大前提だ。裏金問題は看過できず、厳しく対応していく」と訴えた。
活動方針にも「対決より解決」の姿勢で引き続き臨むことを盛り込んだが、裏金事件を「政治への信頼を根底から揺るがす大問題だ」と批判し、「政治に対する信頼を回復するため、改革を先導する」と明記した。23年度の活動方針で「力を入れる」としていた政治資金パーティー開催の記述は削除した。
玉木氏は次期衆院選に関しては「選挙区と比例区の議席を最大化する」と表明した。
国民民主は今月7日、ガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除に向けた自民、公明両党との協議からの離脱を決めた。玉木氏は「極めて残念だ。粘り強く実現に向けて取り組む」と強調した。
立憲民主党の岡田克也幹事長が、11日のテレビ番組で国民民主との合流に意欲を示したことに関して、榛葉賀津也幹事長は「大きなお世話だ」とけん制。玉木氏も党大会後の記者会見で、「基本的な政策で一致できる政党があれば、連立を組んだり、政権を共にしたりすることは可能だが、現在の立憲はそれを満たしていない」と否定的な見解を示した。
今大会では初めて、党員やサポーター向けに観覧席を有料で販売。約90人が参加した。活動方針にも、現在3・7万人の特別党員、党員、サポーターを5万人に増やす目標を掲げた。党大会には所属議員のほか、連合の芳野友子会長ら支援を受ける労組幹部も出席した。
●国民 玉木代表 立民と政権担う可能性に否定的な考え 2/12
国民民主党の玉木代表は、立憲民主党とともに政権を担う可能性について、憲法や安全保障など基本的な政策が一致していないとして、否定的な考えを示しました。
立憲民主党の泉代表は、ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する「トリガー条項」をめぐり、国民民主党の玉木代表と今週中にも会談することを明らかにしました。
これについて玉木氏は、党大会のあとの記者会見で「どのような形で行うか決まっていないが、政策的に一致する政党とは協力していく方針なので、それに基づいて取り組んでいきたい」と述べ、前向きに対応する考えを示しました。
そのうえで、立憲民主党とともに政権を担う可能性について、「内閣を構成するなら、基本となる政策、安全保障やエネルギー、憲法で一致しないとバラバラになる。現在の立憲民主党がそれを満たしているかというと満たしておらず、人によって言うことが違う」と指摘し、否定的な考えを示しました。
一方、国民民主党との連携について、立憲民主党の岡田幹事長が10日に「考え方を改めて、野党はまとまっていくべきと考えるなら、懐深く対応したい」と述べたことについて、「ああいう発言があると、ますます難しくなる。われわれの仲間の思いに、もう少し理解と配慮をいただきたい」と述べました。
●堀井学氏「おわび行脚」見送り、道議から実現性疑問視… 2/12
自民党派閥の政治資金規正法違反事件で「裏金作り」への関与を認めた堀井学衆院議員(安倍派、比例道ブロック)の地元・北海道9区の道議らは7日、札幌市内で会合を開いた。堀井氏が先に、道議との会合で意欲を示した各地区の後援会幹部らへの「おわび行脚」を巡って実現性を疑問視する声が上がり、一転、開始を見合わせることとなった。
7日は高田真次氏(伊達市)、板谷良久氏(苫小牧市)、戸田安彦氏(胆振地域)のほか、1月27日の会合に公務で不参加だった藤沢澄雄氏(日高地域)、小林雄志氏(同)が加わった。千葉英也氏(室蘭市)は欠席した。
複数の出席者によると冒頭、小林氏が「我々1期生は昨春初当選したばかり。裏金の件は道議になる前で、一緒に頭を下げる筋ではない」などと難色を示すと、他の道議からも同調する声が出た。このほか「後援会の幹部にアポを取ろうにも、取り合ってくれない」などの声も出て、おわび行脚を見合わせる流れとなった。
今後については、「たとえ先方に断られようとも、行って頭を下げる覚悟があるのか。真意を確認すべきだ」との意見が出て、ベテランの藤沢、千葉両氏が堀井氏と面談し、決意や考えを確認することとした。

 

●「裏金」調査 最多は二階氏 85人が記載漏れ・誤記載申告、5年で計5.7億円 2/13
自民党は13日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて、党所属の全ての国会議員らを対象に実施したアンケートの集計結果を公表した。
集計結果によると、政治資金収支報告書への記載漏れや誤記載があったのは85人。このうち3人は現職国会議員ではなく、選挙区支部長だった。
記載漏れや誤記載の額は、2018〜2022年の5年間について、85人の総額で5億7949万円。
議員、支部長ごとの額も公表しており、最多は、二階俊博元幹事長の3526万円だった。
次いで三ツ林裕巳衆院議員の2954万円、萩生田光一・前政務調査会長の2728万円が続いた。
党を除名処分となった池田佳隆衆院議員、議員辞職した谷川弥一元衆院議員、党を離党した大野泰正参院議員は含まれていない。
どんなアンケート調査?
アンケートはA4判1枚で、「政治資金収支報告書への記載漏れの有無」と「過去5年の不記載額」の2問だけを尋ねた。
裏金の使い道を聞く質問は、そもそもなかった。
裏金づくりの手法も、尋ねていない。
派閥の政治資金パーティーについては、販売ノルマを越えた分のパーティー券収入を派閥から所属議員に「還流(キックバック)」しながら政治団体の収支報告書に記載せずに裏金化したケースや、所属議員側がパーティー券の販売ノルマ超過分を派閥に納めずに手元にプールしていた、いわゆる「中抜き」のケースがあったとされる。
この実態は、アンケート結果からは分からない。
国会審議では、調査の実効性を疑問視する声が上がっていた。立憲民主党の長妻昭政調会長は6日の衆院予算委員会で「質問項目が非常に少ない。個人や県連のパーティーもあり、(調査対象の)限定はやめてほしい」と指摘した。
アンケートは、自民党が党所属の各議員事務所に5日付で配布。8日までに回答を回収した。
関係者の聞き取りは?
自民党は2日から、安倍派、二階派、岸田派の議員を主な対象とした党の聞き取り調査もした。党の森山裕総務会長は9日、聞き取り調査の対象は、国会議員82人、選挙区支部長3人、八つの派閥・グループだったと説明した。
また、国会には疑惑や法令違反が取り沙汰される議員に説明を求める場として、衆参両院の政治倫理審査会(政倫審)がある。ただ、政倫審での議員の説明は証人喚問と異なり偽証罪に問われることがないため、実効性には限界がある。
●"裏金"調査 不記載など85人 2/13
自民党は13日昼の衆院予算委員会理事会で、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関する党所属国会議員らを対象としたアンケート調査結果を提示した。同委は14日、「政治とカネ」の問題をテーマに集中審議を開く予定。野党は調査結果を基に追及を強める構えだ。
調査結果によると、アンケートは党所属の全議員374人と選挙区支部長10人を対象に実施。パーティー収入のキックバック(還流)や中抜きに関する政治資金収支報告書への不記載・誤記載があったのは85人だった。
一方、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党は13日午前の国対委員長会談で、裏金事件に関与した安倍、二階両派幹部から弁明を聴取するため、政治倫理審査会の開催を求めることを確認した。衆院政倫審の田中和徳会長(自民)に開催を申し入れた。
立民の安住淳国対委員長は自民の浜田靖一国対委員長と会談し、政倫審を受け入れなければ、2024年度予算案採決の前提となる中央公聴会の設定に応じないこともあり得るとけん制した。
自民は5日、キックバックの政治資金収支報告書への不記載が判明した安倍、二階両派の現職議員82人のリストを提示したが、野党は「不十分だ」と主張。自民はこれを踏まえ、82人や党内6派閥の責任者らへの聞き取りとアンケートを進めていた。
●自民・茂木幹事長に選挙資金「二重計上」疑惑…“脱法”は外相時代から 2/13
自民党が裏金事件に大揺れの中、党要職の茂木幹事長に「政治とカネ」の問題が噴出し、大炎上している。文芸春秋電子版が12日、「《1枚の領収書で2件の支出》茂木敏充自民党幹事長が選挙経費を“二重計上”していた 公選法違反の疑い」と報じ、SNSで批判が殺到しているのだ。
記事の概要はこうだ。2021年の衆院選に際し、茂木幹事長が栃木県選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」と、茂木幹事長が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書(21年分)には、同日付で同じ会社に4万数千円を支出したと記されている。それぞれ「備品」と「電気代」で別の名目だ。
驚くのは、選挙運動費用収支報告書に添付された領収書の写しと支部の収支報告書の領収書の写しが、日付や宛名、金額に至るまで全て同じ筆跡だったこと。1枚の領収書を使い回したのは明らかだ。茂木事務所は文芸春秋に「支部の収支報告書に計上すべきところ、事務的ミスで選挙運動費用収支報告書に計上されていることが判明」したとして、収支報告書を訂正すると回答したという。
X(旧ツイッター)では〈自民党議員はこういう手口で裏金作り!〉〈「事務的ミス」などと弁明しているが、全く信用に値しない〉といった声が飛びかっている。
1億2000万円の「使途不明金」
もっとも、茂木幹事長の「政治とカネ」疑惑は今に始まった話ではない。外相だった20年には、茂木幹事長の後援団体である「茂木敏充後援会総連合会」で16〜19年、詳細不明の支出が計1億2000万円超に上ったことを共同通信に報じられた。総連合会の同期間の収入は計1億3120万円で、茂木幹事長が代表を務める資金管理団体からの寄付が99.9%を占めた。総連合会の支出のほぼ全てが使途不明だったのである。
カラクリは以下のようなものだ。政治資金規正法は、国会議員が代表を務める資金管理団体については、1件1万円超の支出を収支報告書に記載するよう義務付けているが、その他の後援団体に関しては1件5万円以上の支出のみを記載義務の対象としている。つまり、茂木事務所は記載義務が厳格な資金管理団体から、記載義務が緩い後援団体にカネを移し、支出を“隠蔽”したも同然なのだ。
当時、問題視されたのに、茂木幹事長はその後も脱法的な“支出隠し”を継続。日刊ゲンダイが20〜22年の収支報告書をチェックしたところ、やはり資金管理団体は総連合会に計9650万円を寄付。総連合会は大半の支出を記載していない状態だ。
まだある。経済再生相だった17年には、地元選挙区内の有権者に衆院手帳や線香を配布した公職選挙法違反疑惑が飛び出した。公選法は、議員や候補者が有権者に線香1本でも配ることを禁じている。寄付について「氏名を表示し、または氏名が類推されるような方法でしてはならない」と定めている。国会で追及された茂木幹事長は「秘書が配布した」「配った物に私の名前は入っていない」と疑惑を否定。
ところが、当時、日刊ゲンダイ記者は茂木幹事長の選挙区の有権者から「茂木さんからの頂き物だと思っています」といった証言を得ている。真相は、今なおハッキリしないままだ。
茂木幹事長の政治資金の脱法処理は常態化しているということ。そんな男が幹事長として、裏金事件を受けた「政治改革」を進めるなんて、悪い冗談だ。
「茂木幹事長は裏金事件について『当事者に説明責任を果たしてもらいたい』と言いましたが、自分の問題も説明できない人物に政治改革など無理でしょう。過去の疑惑も含めて、キチンと説明責任を果たすべきです」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)
「事務的ミス」「秘書が配った」なんて言い訳は、とても通用しない。
●「国民は増税、自民は脱税」平成生まれ国会議員が初の本会議質問 2/13
立憲民主党の馬場雄基衆院議員(31)は13日、衆院本会議で質問に立ち、冒頭で、平成生まれの国会議員として初めて本会議で質問に立つことを明らかにした。馬場氏は2021年衆院選に出馬し、小選挙区(福島2区)では落選したが比例東北ブロックで初当選した当選1回の衆院議員。
この日は物価高に対応して、政府が所得税と住民税で1人当たり計4万円の定額減税を6月から行うとしていることに伴う所得税法改正案が審議入りし、趣旨説明と質疑が行われた。岸田文雄首相が昨年、肝いりで発表しながらほとんど共感が広がらなかった「減税政策」だが、馬場氏は「裏金の話に決着をつけなければ、税の話はできません!」と指摘。自民党の裏金事件に言及しながら「国民は増税、自民は脱税」と、繰り返し批判した。
一方、この日、松野博一前官房長官が昨年12月1日から辞任した14日までの2週間に、使途が公表されない内閣官房報償費(機密費)を4660万円支出していたことが表面化したことにも触れ「政治とカネをめぐる問題は今や自民党だけでなく、政府にも雪だるま式に広がっている」とも述べた。
松野氏の問題を11日に報じた「しんぶん赤旗」が、松野氏が約2年の官房長官在任中、約27億4600万円の機密費を支出したとしていることにも触れ「すべての使い道が明らかになっていない。この事態を放置することは、ますます国民に政治不信をあおると思う」などと指摘。「これから確定申告が本格化する今、国民は1円でも大切に納税しているのに、なぜ政治家は(脱税が)許されるのか。インボイスまで導入して、政治家は脱税か。国民と政治家の間には大きなギャップがある」「国民は少額でも税務調査の対象、政治家はお目こぼし。許されるはずはない」と自民党の対応を繰り返し批判し、当該議員については税務調査に入るよう強く求めた。
「負担ばかり強いられることに将来を担う若者たちは怒っている」と平成生まれの国会議員ならではの思いを口にした。「自民党のあしき昭和の政治と決別し、国会で裏金問題を話題にする平成生まれの議員が、私で最初で最後になるように」と、皮肉を込めて訴える場面もあった。
●石川県珠洲市 向井星十さん 救急車も助けも来ない「本当にごめんなさい」 2/13
2024年1月1日に発生した、石川県能登半島地震。
石川県では、これまでに「災害関連死」の疑いを含め、241人の死亡が確認されています。
津波で父・向井宏さんを亡くした息子・星十さんの声です。
中学の校長を務めた父 自宅が津波で浸水
石川県珠洲市で亡くなった向井宏さん(97)。
石川県珠洲市やその周辺で40年にわたって教員として働き珠洲市の中学校では校長も務めました。
1月1日、珠洲市宝立町の鵜飼地区の自宅で妻と過ごしていた時に能登半島地震に遭いました。
息子の星十さん
宏さんの息子の星十さん(63)は当時、金沢市内の自宅にいましたが、両親と電話がつながらなかったため、翌日、6時間かけて車で珠洲市の実家へと向かいました。
到着すると1階部分が津波で浸水していたそうです。
息子の星十さん「家の中に入ると母親が廊下で倒れていて意識があり元気だったので起こして座らせました。
父親の方を見ると仏間で横になっていて『寒い、寒い』と言っていて見たら布団もぬれてるし体もぬれていました」
呼んでも来ない救急車…そして
星十さんは救急車を呼びましたが、順番待ちで来てもらえず、500メートル離れた避難所に助けを求めに行きましたが被災した人たちが大勢いたため、対応してもらえなかったということです。
星十さんは自分ひとりで宏さんを助けようとしましたが宏さんは足腰が弱く、連れ出すことができませんでした。
宏さんにぬれていない布団をかけて「助けがくるから頑張って」と励まし続けたということです。
3日の朝、通りかかった近所の人に手伝ってもらい母親は無事に助けることができましたが、宏さんは亡くなりました。
星十さんは声を詰まらせながら、今の気持ちを語りました。
「優しい父でした。私が父と同じ教員になる時には『あまり怒らんようにせい』とアドバイスをくれました。寒かっただろうに助けてあげられなくて本当にごめんなさい」
どこに行っても好かれる先生でした
亡くなった宏さんは書道が趣味でした。
金沢市に住む書道家、阿部豊寿さん(45)に書を習っていました。
阿部さんによると、年は50歳以上も離れていましたが、20年以上の親交があったといいます。
阿部さんは珠洲市に通いながら宏さんに書を教えていました。
「宏さんの字は生き生きとしていて、本当に元気な人です。宏さんが教え子にあげた作品には『一日生涯』と書いてあり、『あすという日よりもきょう一日が大事だよ』と教えていました。『向井先生、向井先生』とどこに行っても好かれる先生でした。宏さんはじめ、珠洲の人は迎え入れてくれる姿勢があり本当に優しいです。宏さんとの出会いがわたしに珠洲のすばらしさを教えてくれました」
宏さんから月に何度も手紙や作品が送られてきたことも思い出されるといいます。
「いつも手紙や作品が送られてくるのに、地震が起きてからは来ないわけです。『当たり前だったことが当たり前ではない』遅ればせながらその辛さにいま気づいています。宏さんが大好きだった書を一生懸命頑張ることが恩返しになると思っています」
●石川 輪島 3つの学校でボランティアによる昼食の提供が始まる 2/13
能登半島地震で被災し、学校給食が再開するめどが立っていない石川県輪島市で、13日から、子どもたちに昼食の提供が始まりました。
能登半島地震で被災した輪島市内の学校では断水が続き、調理用の設備なども破損したことから、給食を再開するめどは立っていません。
こうした中、ボランティアが市外でごはんやおかずを調理して、弁当のように詰め合わせた昼食の提供が13日から3つの学校で始まりました。
このうち小中学校を含む、合わせて8校の児童や生徒が授業を受けている輪島高校の小学1年生の教室では、子どもたちが友達とおしゃべりをしながら、とんかつやスパゲティ、卵焼きなどをほおばっていました。
男の子は「衣がさくさくしておいしい。友達と食べると安心する」と話していました。
また、このクラスの田中祐太教諭は「知らない学校から集まった子どもたちが、みんなで会話をしながら食べているのを見て、ほっとします。少しずつ子どもたちの日常が戻ってきています」と話していました。
この学校では、13日は390食が提供され、昼食の提供が始まったことで、中学生は13日から、小学生は15日から午後の授業を再開するということです。
●「もうこういう政治は終わりにすべき」 松野前官房長官めぐる機密費支出 2/13
大阪府知事や大阪市長を務めた弁護士の橋下徹氏が12日までにX(旧ツイッター)を更新。自民党安倍派(清和政策研究会=解散)に所属していた松野博一前官房長官が、昨年末に事実上更迭されるまでの2週間に、内閣官房機密費4660万円を自身に支出していたと「しんぶん赤旗」で報じられたことについて言及した。
「しんぶん赤旗」の報道内容を引用しながら「もうこういう政治は終わりにすべきだ。機密をこれだけ使ってもたいした政治になっていない。一定期間後に領収書を公開すべきだ。政策活動費の領収書も公開」と投稿した。
松野氏は1月の会見で、2018年からの5年間で、派閥からキックバックを受けた1051万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことを明かしている。
●松野前官房長官が官房機密費4660万円使用 更迭前の2週間で 2/13
林官房長官は、松野前官房長官が去年12月1日から事実上更迭される去年12月14日までの2週間で官房機密費4660万円を使っていたことを明らかにしました。
使い道については「国の機密保持上、使途を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきていて、個別具体的な使途に関するお尋ねについては答えを差し控える」としています。
そのうえで、機密費についてW松野前官房長官個人に支出した事実はないと申し上げておきたいWとも述べました。衆議院・予算委員会で立憲民主党の山岸一生衆院議員の質問に答えました。
●自民党の裏金は完全に「脱税」である 「政治資金は非課税」にだまされるな 2/13
2月1日、市民グループ「自民党ウラガネ・脱税を許さない会」(代表・藤田高景氏、告発代理人弁護士・大口昭彦氏、一瀬敬一郎氏、長谷川直彦氏)は、自民党安倍派のいわゆる5人衆(萩生田光一自民党前政調会長、西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、高木毅自民党前国会対策委員長、世耕弘成自民党前参議院幹事長)を含む安倍派の議員・元議員計10人を「裏金・脱税」で東京地方検察庁に刑事告発した。
同会の代表・藤田氏は「今回の自民党裏金疑惑は、倫理の底が抜けた、非常識極まりない行為。法律違反であり、明確な犯罪行為だ」「説明責任を果たさぬ政治家は永田町から退場してもらうしかない」と憤りを込めて語った。同氏によれば、多くの市民から怒りの声が寄せられていて、これは何とかしなければと立ち上がったそうだ。
実は、私も藤田氏から声をかけられ、当日の記者会見に臨んだ一人だ。正直言って、居ても立っても居られないという気持ちだった。脱税については、これまで誰も刑事告発していなかったからだ。
テレビの街頭インタビューでも、今回の裏金疑惑については、ほとんど批判一色である。
会社勤めの人は、すべての所得を把握され、そもそも脱税の機会さえ与えられない。140万もの事業者がインボイス導入への対応で一円単位で消費税納税のための帳簿を整備する複雑な仕事を初めて経験し、悲鳴を上げている。
それを脇目に、国会議員は、パーティー券収入の一部を裏金として隠し、好きなように使っていたが、安倍派幹部という重責を担う議員でさえ地検はお目こぼしにした。
「信じられない!」という声が上がっても、飼い慣らされた政治部記者や自民党の御用コメンテーターたちは、「秘書が知っているだけではダメで本人の関与を立証するのは難しいから立件はできない」とか、「そもそも政策活動費の使途は届けなくても良いから、政策活動費を政党支部として受け取ったと言って報告書を訂正すれば何の問題もない」とか、「何でもかんでも立件するわけにはいかず、4000万円、あるいは3000万円を超えなければ無罪放免になるというのが相場だ」などというようなことをわけ知り顔で解説していた。
しかし、3000万円までなら立件しないというのは、単に検察の怠慢でしかない。起訴しないから有罪にならないだけである。これまで裁判で3000万円未満なら無罪だという判決が出たことは一度もないのだ。
日本の検察は、客観的証拠によって立証するということが苦手だ。だから、とにかく自白に頼る。日本ほど自白に頼る検察は先進国にはないと言っても良いだろう。だから、自白してくれなければ、今回のような案件はことごとく不起訴になる。法律も甘いのだが、そもそも、検察の能力が低くやる気もないために、これほどの政治スキャンダルが野放しにされてきたのだということを国民はよく認識する必要がある。
今回の事件で脱税について立件が見送られたことはまさにそれを象徴する出来事だ。
多くの国民は、これも法律が甘いから政治家が逃げおおせてしまうのだと思っているかもしれないが、それは大きな間違いであることを今回の市民による告発は明らかにした。
どういうことか順を追って解説しよう。
まず、一口に裏金と言ってもいくつかの異なるタイプがある。ここでは今回の市民団体による告発状にしたがって安倍派の裏金を3つに分類した。
第一は、各議員がパーティー券の売上金を安倍派に納めたあとで、ノルマを超えた分の金額を安倍派が議員側に返すやり方だ。形の上では安倍派の収入に計上された上でキックバック分も各議員の政党支部の収入にも計上される。量的規制に違反しない限りは、政治資金規正法上は直ちに違法とは言えない。
第二は、各議員がパーティー券の売上金を安倍派に納める際に、ノルマを超えた分の現金を安倍派が各議員に返すやり方である。安倍派の収入に計上しないだけでなく、各議員には政治資金規正法上の収入の記載をしないように念押ししたもので、各議員の政治資金としても表に出ない。非常に汚いやり方である。
第三は、もっと酷いやり方だ。各議員がパーティー券の売上金を安倍派に納める際に、安倍派に収入があったのにそれを報告せず、その分を各議員の懐にしまい込む、「中抜き」のやり方だ。本来は、安倍派のパーティー券を売っているのだから、その売り上げは安倍派のものであるにもかかわらず、勝手に自己のものにしているので、横領罪になる可能性がある行為である。また、パーティー券の購入者に対しては、安倍派のパーティー券だと言って売ったのに、実際は、自分のものにしているので、支援者に対する詐欺罪になる可能性すらある。
前にも述べたとおり、テレビや新聞では、政治家の収入は「政治資金」だと報告しさえすれば非課税になるというような情報が垂れ流しになっていたが、これは完全な「フェイク」である。
確かに、政治資金規正法上は、政治資金収支報告書に収入として記載し、かつそれが政策活動費として使われた場合は、使途を届けなくても問題はない。
しかし、だから、何に使っても非課税になるとはどこにも書いていない。
正確に言えば、政治家の収入について、非課税で申告・納税が不要になるという根拠になり得るのは、所得税法第9条第1項第19号以外には存在しない。
そして、その条項に何と書いてあるかと言うと、
「公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がされたもの」とある。
わかりにくいかもしれないが、簡潔に言うと、非課税となるためには、
1 公職選挙法の適用を受ける選挙に関して
2 法律で認められた範囲での選挙運動に関連する収支であり
3 その収支報告書が提出されている
という3つの要件を「すべて」満たしていなければならない。
したがって、政治に関連する支出なら何でも良いわけではないことは明らかである。
私的な支出が対象にならないのはもちろん、単なる議員仲間の集まりでの飲食費でも対象外だし、選挙のためであっても有権者や地方議員の買収は認められていない行為であるから、これも対象外だ。また、政治目的でも、「政治工作」などへの支出も不可である。
さらに、先に解説した3つの裏金類型のいずれにおいても、公職選挙法上の報告書が出されていないので、その一点をもってしても非課税の条件を満たしていない。
結論から言うと、今回明るみに出た裏金はいずれも所得税法上の非課税の要件を満たしていないから、明らかに課税対象である。税務当局は速やかに課税処分を行うべきだ。
さらに、前述の第二、第三の類型では、政治資金規正法上の記載もせずにその収支を隠していたのであるから、悪質性も十分だ。また、第一の類型でも、正当な選挙活動に使っていなかったとすれば、単なるミスや失念という言い訳は通らない。偽りその他の不正により本来支払うべき所得税の支払いを免れたということになるはずだ。
つまり、いずれのケースでも脱税の罪に当たる可能性は極めて高いと言わざるを得ない。
東京地検は、今回の裏金疑惑のうち政治資金規正法違反についての捜査を終えた。会計責任者7人と、議員では、池田佳隆衆議院議員、谷川弥一前衆議院議員、大野泰正参議院議員の3人が立件されたが、安倍派5人衆や下村博文元文部科学相・安倍派元事務総長、塩谷立自民党元総務会長・安倍派元事務総長らの大物議員は無罪放免となった。
一方、脱税疑惑については、本格的な捜査が行われた形跡はない。
ここまで読んで、読者の皆さんはどう思うだろうか。
政治資金規正法違反でさえ、「秘書がやったと言えば逃げられるのか」「トカゲの尻尾切りだ」という批判が渦巻いている。世論調査で自民党に政治改革はできると思うかと聞けば、これまた大半の人ができないと答える。テレビの街頭インタビューを見ても、ストレートに自民党や岸田文雄首相を批判している人がほとんどだ。
政治への信頼は文字どおり地に落ちた。内閣支持率も岸田政権誕生以来最低水準に落ち込んでいる。ここまで来たら、岸田首相も生半可な対応では済まないとわかってはいるだろう。しかし、「火の玉になって」という言葉とは裏腹に、真相解明は時間稼ぎに終始し、改革の本丸である企業団体献金の禁止や政策活動費の廃止についてはいまだに抵抗している。
彼の行動を見ていると、自民党が権力を握っている限り、国民がどれだけ怒っても何の意味もなさず、「民主主義」を根底から否定する政治が延々と続くのだということがよくわかる。
その岸田首相の頭の中にあるのは、解散総選挙での起死回生の復活劇とそれによる秋の自民党総裁選における再選だ。
そこには、「国民はバカだから時間が経てば忘れる」という安倍晋三元首相から引き継いだ哲学がある。先々週の本コラムで書いたように、バイデン大統領の招待による国賓級待遇の訪米と、散々批判されてもこだわった所得減税によるまやかしの実質賃金上昇を見せれば国民は騙されるという読みもある。
頼りない野党を見ることに慣れた国民は、政権交代など「夢のまた夢」だと思っているかもしれないが、今回の自民党への信頼失墜はこれまでの一過性のものとは違うようだ。
現に、2月9日の本コラムで紹介したとおり、自民党員にさえ野党に投票しようとする動きが広がっており、総選挙になれば、自民党の得票が大きく落ち込む可能性が高い。
政権交代はすぐそこまで近づいているのに我々国民が気づいていないだけなのかもしれないのだ。
「民主主義が眠ればファシズムが目覚める」と言うが、それは、国民が動かなければ、私利私欲に目が眩んだ権力者の思う壺だということを意味する。
時はちょうど所得税の申告時期だ。
庶民には一円の脱税の余地も残さず徹底的に徴税する税務署だが、最上級国民である国会議員には裏金を非課税のまま好き勝手に使わせるというダブルスタンダードを許す国民はいない。「そんなことを許すなら、我々は税金を納めないぞ!」と声を張り上げて税務当局に抗議すべきだ。
これからは、官邸、自民党、検察に加えて国税庁や税務署に対してデモを行うのも一案だ。
また、野党は、各選挙区の自民党議員の裏金疑惑について固有名詞をあげて説明を求める街宣活動を行うべきだ。
日本中で、怒れる納税者の声を社会と政府自民党に示そうではないか。
岸田首相が、「国民はバカではなかった!」と気づくまで。
●自民、裏金調査の結果提示へ=14日に集中審議、野党追及 2/13
自民党は13日昼の衆院予算委員会理事会で、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関する党所属国会議員を対象としたアンケート調査結果を提示する。
同委は14日、「政治とカネ」の問題をテーマに集中審議を開く予定。野党は調査結果を基に追及を強める構えだ。
衆院予算委の加藤勝信与党筆頭理事(自民)は13日午前、記者団に、アンケートについて「まだ少し精査が残っている。昼に理事会を開いて提出する」と説明。並行して行った聞き取り調査に関しては「まだだ。弁護士が今まとめている」と語った。 
●岸田首相の在職日数、14日で歴代10位の864日…支持率は低迷 2/13
岸田首相の在職日数は、14日で864日となり、自らと同じ宏池会(自民党岸田派)出身の鈴木善幸元首相と並んで戦後の首相35人のうち歴代10位の長さとなる。秋の党総裁選で再選を果たせばさらなる長期政権も視野に入るが、岸田内閣の支持率は低迷しており、厳しい政権運営が続きそうだ。
首相は13日、首相官邸で記者団に対し、政権の課題として能登半島地震や政治の信頼回復、賃上げ、国際情勢への対応などを挙げ、「先送りできない課題に全身全霊で取り組んでいる。その都度の判断に精いっぱい思いを巡らす毎日が続いている」と述べた。
宏池会出身の首相では、同会創始者の池田勇人元首相(1575日)に次ぐ在職日数となる。岸田首相は、来月には戦後歴代9位の田中角栄元首相(886日)、4月には同8位の橋本竜太郎元首相(932日)を超える。
●岸田内閣「支持」25%「不支持」58% 政治資金問題への評価は 2/13
NHKの世論調査によりますと、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、1月の調査より1ポイント下がって25%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は2ポイント上がって58%でした。
NHKは、2月10日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。
調査の対象となったのは2443人で、50%にあたる1215人から回答を得ました。
岸田内閣を「支持する」と答えた人は1月の調査より1ポイント下がって25%でした。
一方「支持しない」と答えた人は2ポイント上がって58%でした。
支持する理由では「他の内閣より良さそうだから」が51%、「支持する政党の内閣だから」が23%、「人柄が信頼できるから」が11%などとなりました。
支持しない理由では「政策に期待が持てないから」が45%、「実行力がないから」が27%、「人柄が信頼できないから」が11%などとなりました。
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、自民党内では、派閥から受け取った収入を収支報告書に記載していなかった議員が相次いで明らかになりました。
こうした議員が説明責任を果たしていると思うか尋ねたところ、「果たしている」が2%、「果たしていない」が88%でした。
自民党は「政治刷新本部」の中間とりまとめで、政治資金の透明性を高めるとともに、派閥をカネと人事から完全に決別させることなどを決めました。
この評価を聞いたところ、「大いに評価する」が4%、「ある程度評価する」が32%、「あまり評価しない」が29%、「まったく評価しない」が28%でした。
政治資金規正法に違反する会計処理があった場合、会計責任者だけでなく、議員も責任を負う「連座制」を導入すべきかどうか尋ねたところ、「導入すべきだ」が82%、「導入する必要はない」が9%でした。
自民党の派閥の政治資金パーティーの問題に対する岸田総理大臣の対応を評価するかどうか聞いたところ、「大いに評価する」が1%、「ある程度評価する」が22%、「あまり評価しない」が36%、「まったく評価しない」が33%でした。
盛山文部科学大臣は、前回の衆議院選挙の際、旧統一教会の関連団体の集会に出席したことを明らかにした上で、「選挙の支援を依頼した事実や活動は確認できない」と説明しています。
盛山大臣が説明責任を果たしていると思うか尋ねたところ、「果たしている」が5%、「果たしていない」が84%でした。
能登半島地震への政府のこれまでの対応を評価するかどうか聞いたところ、「大いに評価する」が7%、「ある程度評価する」が48%、「あまり評価しない」が28%、「まったく評価しない」が9%でした。
●裏金議員「政倫審」に出るか? 安倍派5人衆や二階元幹事長“とんずら”画策 2/13
派閥裏金事件を巡り、自民党が所属議員への聞き取り調査結果を13日にも野党に提示する。しかし、同時に実施している全議員対象のアンケートの設問がたったの2問という“やってる感”で分かる通り、いずれの調査もユルユルのお手盛り。調査チームを率いる森山総務会長は9日、アンケートについて「新たな聞き取り対象となる事例は今のところ確認されていない」と幕引きムード全開だった。調査結果はとても野党が納得できるものにはならない。国会では14日、衆院予算委員会で「政治とカネ」をテーマとする集中審議が予定されている。大荒れ必至だ。
今後の焦点は、裏金議員が国会に呼ばれるのかどうかだ。12日も立憲民主党の泉代表は、安倍派の5人衆や二階元幹事長らの政治倫理審査会(政倫審)出席を改めて求めた。同党の岡田幹事長も10日、「政倫審に出てこないなら、予算委員会の場で、参考人(招致)や証人(喚問)として出席を求めることになる」と迫った。
自民党内ではいったん、浜田国対委員長が政倫審開催に前向きな姿勢を示した。出席して説明すべしの声もある。が、当事者らは抵抗している。
「政倫審出席は強制力がなく、本人の意思。安倍派5人衆はお互いに責任を押し付け合って、みな逃げている。巨額の政策活動費に『脱税』の疑いがかけられている二階元幹事長については、岸田首相が表向きは守るそぶりを見せている。ただ、予算案の年度内成立を考えれば、今月中に衆院を通過させなければならず、岸田首相は本音では、最後は安倍派も二階派も政倫審に差し出してもいいと考えているようです」(岸田派関係者)
野党はここで攻めないでどうする
連立を組む公明党は裏金問題では強硬で「国民が納得できる形で説明責任を果たすことが重要だ」(山口代表)と促す。野党もここへきて結束の兆しだ。ガソリン税を引き下げる「トリガー条項」凍結解除をめぐって自公に振られた国民民主党が「裏金問題は看過できない」(玉木代表)と対決姿勢に転じた。
「政治刷新本部も聞き取りやアンケートも、すべて自民党内の内輪の調査であり、国会ではまだ何もやっていません。政倫審や参考人招致、特別委員会の設置などがあって初めて国会でチェックができる。野党はここで攻めないでどうする、という場面です」(ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
安倍派5人衆や二階元幹事長が国会で説明しなけりゃ、世論も納得しない。

 

●能登半島地震「活動依然活発で震度6弱以上も発生しやすい」 警戒呼びかけ 2/14
政府の地震調査委員会(平田直委員長)は9日に定例会合を開催し、能登半島地震後に行われたさまざまな研究調査結果について検討したうえで、「発生から1カ月が経過しても依然地震活動は活発な状態で、6弱以上の地震も発生しやすい状況」などとする評価をまとめた。平田委員長は会合後の会見で「半島周辺はまだ地震が続いている。大きな津波が来る可能性もある」などと警戒を呼びかけた。
1月1日午後4時10分に石川県能登半島地方の深さ15キロを震源とするマグ二チュード(M)7.6、最大震度7を観測する大地震が発生。同県のまとめでは14日現在、死者は240人を超え、住宅被害6万7000棟以上の大きな被害を出した。発生直後から気象庁、海上保安庁、国土地理院のほか、産業技術総合研究所、防災科学技術研究所などの国立研究機関や、東京大学地震研究所、東北大学災害科学国際研究所といった大学が現地調査を含めた調査研究を続けた。9日の政府調査委ではこうした各機関の調査、解析結果について多方面から検討を加えながら評価した。
検討や評価の結果、「1月1日の地震発生から1カ月以上が経過した現在も地震発生前と比較すると依然として地震活動は活発な状態」「今後1〜2週間程度、最大震度5弱程度以上の地震に注意が必要で、最大震度5強や6弱以上の地震についても平常時と比べると依然として発生しやすい状況」とした。政府調査委は2020年ごろから地震活動が活発化していることを重視し、1月の大きな地震で一連の群発地震が収まったとはみていない。
政府調査委は1964年の新潟地震(M7.5)、1983年の日本海中部地震(M7.7)、1993年の北海道南西沖地震(M7.8)では最大の地震から約1カ月後に大きな規模の地震が発生していることを例示し、特に海底で規模の大きな地震が発生した場合は津波に注意する必要があると指摘した。
今回の地震では、陸域観測技術衛星2号(だいち2号)が観測した合成開口レーダー画像を解析した国土地理院により石川県輪島市で最大4メートル程度の地盤の隆起があったことが確認されている。政府調査委は「能登半島の北西岸で、地震に伴う新たな海成段丘(階段状の地形)が認められた。同半島の広い範囲の(海底で)隆起による「陸化」があった」とした。
政府調査委は、これまで震源断層は能登半島の北東から南西に延びる推定150キロ程度で、同半島沖の複数の断層が連動したとの見方を示している。今回、海上保安庁の新たな調査結果を踏まえて、複数の活断層のうち半島北西にある「猿山沖セグメント」と呼ばれる海域の活断層がずれ動いた可能性が高いとの見解を示した。
海上保安庁は1月8〜19日に測量船「昭洋」で能登半島北部の海底地形調査を実施し、石川県輪島市上大沢町から北西に約1キロ沖の海底が最大3メートル程度隆起しているのを確認した。2003年のデータと比較した結果、水深40〜90メートルの海底が3メートル以上浅くなっていたという。調査結果は9日の政府調査委で報告された。
政府調査委はまた、富山市沖約4キロの富山湾海底で、斜面が長さ約500メートル、幅約80メートルにわたって崩れ、水深が最大約40メートル程度深くなっていたことが海上保安庁の調査で確認されたとした。地震発生の3分後に富山市で観測された津波の原因となった可能性を指摘している。
津波について気象庁は地震直後に観測された最大値は「輪島市輪島港で1.2メートル以上」と発表していたが、地盤の隆起や装置の故障の影響も考えられるとしてこの観測結果を取り消し、欠測扱いにしていた。政府調査委は検潮所で観測した津波の最大値は金沢市と山形県酒田市の80センチで、内陸をさかのぼった高さを示す遡上(そじょう)高は新潟県上越市で最大5メートル以上(気象庁発表では同市船見公園で5.8メートル観測)とした。
●甘利明氏は「時速45万円でお金使い続けた?」 2/14
質問に岸田首相「ですから、適正に処理と認識」
自民党の甘利明前幹事長が在任35日間で受け取った3億8000万円の政策活動費が「24時間、時速45万円でお金を使い続けなければならない」と指摘されたことについて、岸田文雄首相は14日、「適正に処理されている」との考えを示した。
政治とカネの問題についての衆議院予算委員会の集中審議で、立憲民主党の井坂信彦氏の質問に答えた。
甘利氏は、在任中の2021年10月1日から11月4日に自民党本部から8回に分けて計3億8000万円を受け取った。期間中には衆院選があった。首相は「選挙が近い、選挙の最中だからこそ党勢拡大、政策をアピールするなど党として活動しなければならない」と強調した。
政策活動費は、政党から議員個人に支給され、使い道を公開しなくて済む。首相は政策活動費の目的を「党勢拡大、政策立案、調査研究等に党役職に職責に応じて支出している。全額を政治活動のために支出していれば納税の申告の必要はない」と説明した。
甘利氏への政策活動費は、自民党総裁である岸田首相が支払っているため、井坂氏は「自分が支払った政策活動費が適正に使われたか確認する義務があるのではないか」と問いただすと、首相は「ですから適正に処理されていると認識している」と答えた。
使い道の公開については「その内容については政治活動費、個人のプライバシー、企業の営業の自由、さらには外部の政治勢力や外国勢力に政治の方向性が確認されるなどそうした点を勘案して現状の取り扱いになっている」と述べた。
甘利氏が2019年の参院選で陣中見舞いで全国の自民党公認候補に100万円を配ったという中国新聞の報道に関連し、井坂氏は「3億8000万円の政策活動費が2021年の衆院選で違法な裏金として配られたのではないか。確認を」と迫った。
岸田首相は「報道は承知していないが、政策活動費は適正に使われている」と述べた。
政策活動費を巡っては、二階俊博議員に2020年、21年に計10億6930万円が党本部から支払われていた。
●塩答弁 森元首相の裏金問題聞き取り求められ「必要なら適切な対応判断」 2/14
岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、多くの議員が派閥からのキックバックを受けていた安倍派(解散)の正式名「清和政策研究会」でかつて会長を務めた森喜朗元首相(86)への聞き取り調査を求められたが、明言は避けた。
2月5日の同委員会で、立憲民主党の岡田克也幹事長が森氏を聞き取り対象とすべきと指摘した際、首相は「実態把握のためにその範囲で聞き取りを行うか、聞き取りを行いながら判断する」と答弁。その進捗(しんちょく)状況を、同党の本庄知史議員に問われた首相。「聞き取り調査については今、外部弁護士のみなさんにとりまとめをお願いしている。その結果を踏まえて党としての判断を行わないといけないが、森元総理の関与についても聞き取りの中で、今日までの経緯、お金の使途などを確認することを考えている。その内容を踏まえた上で、必要であるなら、さらなる調査など、党として適切な対応を検討する」と述べるにとどめた。
本庄氏は「私は必要と思う」と述べ、月刊誌「文芸春秋」最新号に掲載された対談で、安倍派「5人組」の1人、萩生田光一前政調会長が述べたくだりに言及。「私が初当選の頃から安倍派は同じルールで会計処理してきている。販売ノルマを超えた分は活動費として派閥から戻す。それはこちらで処理をしているので収支報告書には載せなくていいというものでした」「この言い伝えをみんなが律義に何十年守ってきているのがうちの派なんです」と萩生田氏が述べているとして「今起きていることと萩生田さんが初当選された時の状況が、うりふたつではないか」と指摘した。
萩生田氏の初当選は2003年11月で、当時は森派の時代。本庄氏は「当時の経緯、なぜそういうことがあったのか、なかったのかも含め、森元総理からお話を聞くべきではないか」と首相の覚悟を迫った。
これに、首相は「聞き取り調査は、基本的に現職議員に対するもの。その中で今日までの経緯や資金の使い方、使途などについて実態把握をしていきたい。それに加えて実態把握に必要な場合、党としてさらに何をするのかそれは適切に判断します」と述べるだけで、最後までで塩答弁だった
本庄氏は「安倍派の還流は会長案件だったと、事務総長経験者のみなさんが口をそろえている。いまご健在の会長(経験者)といえば森喜朗元総理と小泉純一郎元総理おふたりしかいない。萩生田議員の証言もあり、ぜひ森元総理から話を聞かれることをお勧めしたい」と、あらためて首相に求めた。
●苦言 裏金問題2問のアンケート「世論のやり過ごしできると思ったなら間違い」 2/14
元自民党衆院議員・佐藤ゆかり氏(62)が13日、「よんチャンTV」に出演。自民党が派閥をめぐる裏金疑惑を受け、党内の全ての国会議員を対象に行ったアンケート調査について苦言を呈した。
この日、自民党が現職の国会議員374人と選挙区の支部長10人の計384人に実施したアンケート調査の結果を予算委員会理事会で野党側に報告。政治資金収支報告書への不記載があったと答えたのは85人だった。
ただ、この調査で問われたのは「記載すべきであった収入の記載漏れがあったか」「記載漏れがあった場合、過去5年間の記載漏れ金額を記入せよ」の2問だけ。野党側からは「国民が知りたいのは裏金の使い道や残額だ」などと批判の声が上がった。自民党は並行して行った使い道などの聞き取り調査の結果を「今週中には公表できるよう努力を続ける」としている。
佐藤氏はこの調査について「形式的な対応」と評した。「やはり内容が薄いと言われても仕方ない。私もこの結果で見たかったのは支出先が何であったか。(質問の)2つを聞いた結果何をしたいか、という目的が分からない。支出先を聞くことで初めてどう対処するかという建設的な議論が生まれる」と指摘した。
「(自民党は)認識が相当浅かったと思う。こうした形式的なことは統一教会問題の時も行われたが、過去の事例からこうやればある程度世論のやり過ごしができるだろう、と思ったのであれば間違い」とバッサリ。「第三者委員会などを立ち上げて調査すべき」と語った。
「不記載は法に抵触する。過去5年間に積み上がってきたことはゆゆしき事実。自民党も襟を正して、しっかりと政権与党として抜本的に改革するべき。政治資金規制法の改正、政党法を制定するなどの話にも踏み込んで令和の政治改革を」と提言した。
訂正された収支報告書では、支出の目的や金額、年月日などが軒並み「不明」とされるなど問題は不透明なままだ。「私は“不明”という記載をこれまで見たことがないので、やはり不可解ですね」と佐藤氏。「今の時代、外遊先での視察の際、現地通貨で両替して現金で支払うことはほとんどない。領収証がなくてもクレジットカードの明細でほとんど(使途が)分かる。不明っていうのは疑われても仕方ない」とあきれた。
●“やってる感”丸出し自民議員384人アンケート…裏金議員の“意外な集金力” 2/14
“やってる感”以外の何物でもない。自民党は13日、派閥の裏金事件を受け、所属国会議員ら384人に実施したアンケート結果を公表。政治資金収支報告書に不記載や不正確な記載があった裏金議員は85人に上ったが、いつ誰が何にいくら使ったのか、まったく不明のまま。裏金の多寡を見ると、意外な“集金力”を発揮している議員がいる。
アンケートは野党の要求に基づき、党所属議員374人と次期衆院選の立候補予定者となる支部長10人を対象に実施。設問はパーティー収入に関する不記載や記載漏れが「あったか」「なかったか」を問い、2018年からの5年間の不記載額を1年ごとに尋ねるだけ。これでは、不記載や記載漏れとなった理由や裏金の使途はまったく分からない。
自民は週内にも裏金議員への聞き取り調査を公表して処分を検討する方針だが、最も悪質な安倍派幹部連中が口を揃えて辞職も離党も否定している以上、大甘処分で済まされるのは間違いない。しかし、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党は安倍派や二階派の幹部が政治倫理審査会で説明するよう求めており、そうやすやすとは逃げ切れまい。
改めて不記載額の多さにはア然とする。過去5年間で合計5億7949万円。最多の二階元幹事長(3526万円)に次いで、三ツ林裕巳衆院議員(2954万円)、安倍派5人衆の萩生田前政調会長(2728万円)がトップ3を占めた。
不記載額が2000万円以上は二階氏、三ツ林氏、萩生田氏に加え、山谷えり子参院議員(2403万円)、堀井学衆院議員(2196万円)、橋本聖子元五輪相(2057万円)の計6人だった。
意外なのは、山谷氏や堀井氏、橋本氏の“集金力”。キックバックがデカいということは、それだけノルマを超えるパー券をさばいていたということだ。
パーティー1回で収入3000万円超
特に、スピードスケートの五輪メダリストである橋本氏の集金能力は飛びぬけていて、「橋本聖子後援会」の22年の収支報告書によると、個人で開いたパーティーの収入も〈IOC女性スポーツ賞 橋本聖子さんを励ます会「夢と情熱と、その力」〉の1回だけで3393万円にも上る。
堀井氏も橋本氏と同じく、スピードスケートのオリンピアン。2人の元五輪選手が多額のキックバックを受けていたことは7日の衆院予算委でも、野党議員から「国民に夢や希望を与える立場のオリンピアンの国会議員が裏金にまみれている」と批判された。
不記載額1000万円以上が20人に上る中、安倍派5人衆である世耕前参院幹事長(1542万円)や松野前官房長官(1051万円)、高木前国対委員長(1019万円)よりも多額のキックバックを受けていたのが、安倍派の杉田水脈衆院議員(1564万円)だ。
杉田氏といえば、安倍元首相の「お気に入り」だったとされる生粋の安倍チルドレン。今月8日には、X(旧ツイッター)上でジャーナリストの伊藤詩織さんを中傷したとして、詩織さんへの55万円の賠償を命じた2審判決が最高裁で確定した。LGBTやアイヌ民族への差別的言動などで物議を醸してきた上、裏金問題でもミソをつけ、いよいよ政治家たる資格はない。
裏金議員は揃って収支報告書の訂正で逃げ切ろうとしているが、使途すら不明で脱税疑惑がくすぶったまま。逃げ切りなんて許されない。
●松野前官房長官「機密費4660万円」持ち逃げ疑惑… 2/14
松野前官房長官が、昨年12月14日に退任する直前の2週間に内閣官房機密費4660万円を使用していたことが明らかになった。「しんぶん赤旗」が情報公開で入手した「政策推進費受払簿」で判明したとして、11日に「“闇金”抱え退任」と報道。13日の衆院予算委で、この件について野党から質問された林官房長官が事実と認めた。
松野氏は昨年12月1日に機密費9660万円を自身が管理する「政策推進費」に振り分けたが、14日に後任の官房長官に就いた林氏が金庫を確認したところ、残っていたのは5000万円だったという。差額の4660万円は何に使われたのか。
当時は自民党派閥の政治資金パーティーの裏金化が問題になり、松野氏が直近5年間で1000万円を超える裏金のキックバックを受けていたことが新聞などに報じられた時期だ。松野氏は会見でもロクに説明できずヨレヨレで事実上、更迭されたのだが、5000万円近いカネを持ち逃げとはいい度胸だ。
パーティー裏金も1000万円超
昨年12月12日に松野氏の不信任決議案が否決された際、ニヤリと不敵な笑みを浮かべたことが印象に残る。キックバックに加え、つかみ金の機密費まで手にしていたら、そりゃ笑いが止まらないだろう。
松野氏は13日、「公益、国益にのっとって使用されている」と記者団に話したが、使途については明らかにしない。松野氏の官房長官在任中に約27億5000万円の機密費が支出され、そのうち約26億5000万円が政策推進費に充てられていた。
「官房機密費はだいたい月に1億円といわれていて、2週間で4660万円は特に多いわけではない。ただ、持ち出したタイミングが悪いよね。12月の後半2週間分の5000万円を残していくところは松野さんらしいと思いましたが、『政治とカネ』に厳しい目が注がれる中で、なかなか国民の理解は得られないでしょう」(自民党ベテラン議員)
松野氏は千葉県立木更津高校から早大法学部に進み、卒業後は生活用品メーカーのライオンに勤務。その後、松下政経塾に入った。政経塾9期生の同期には秋葉元復興相らがいる。1996年に自民党千葉県連の公募に合格し出馬するも落選。2000年の衆院選で初当選して以来、当選8回。安倍派では19年9月から約2年間、事務総長を務めた。裏金キックバックが盛んだった頃だ。
松野氏が自身のHPに残したエッセーには、自宅の庭で缶ビールを空けるのがお気に入りだと書かれている。<うちにあるビールはカロリーオフの発泡酒しかないけど>と庶民的なつつましい生活ぶりをアピールしていたが、地味な風貌からは想像できない銭ゲバだったということか。
●「抜け道を死守する気満々」岸田首相側近・木原誠二氏 連座制「なじみにくい」 2/14
2月13日、自民党の木原誠二幹事長代理は『深層NEWS』に出演。
政治資金規正法の改正で、収支報告書に虚偽記載があった場合に議員にも責任を負わせる「連座制」の導入について、「個人的にはなじみにくいのかなとは思う」と述べ、慎重な見解を示した。
木原氏は「政治家が『何も知らなかった』ということは許されない、と大方の合意がある」とし、罰則強化の必要性を強調する一方、「連座制」については、こう語った。
「個人的には、公職選挙法上の連座制はなじみにくいとは思う。政治資金規正法の収支報告書の不記載はある種の形式犯。不記載であれば即問題になる、ということだから、すべての場合に政治家が責任を取らないといけなくなると、厳しいものがある」
公職選挙法の連座制は、候補者本人以外の陣営の関係者などが選挙違反を理由に有罪となった場合、候補者本人にも責任を取らせる制度。当選は無効となり、同一選挙区から5年間、立候補できなくなる。
その連座制を、政治資金規正法にも導入することを、立憲民主党や日本維新の会などの野党、さらに与党の公明党が主張している。今回の裏金事件では会計責任者や秘書が立件される一方で、立件された議員は4000万円超のキックバックを受けた安倍派の3議員のみとなったからだ。
前大阪市長で日本維新の会前代表の松井一郎氏は2月14日、自身の「X」に、木原氏の発言を報じた記事を貼り付けたうえでこう書きこんだ。
《自民党はあくまでも政治家本人はお咎めなしを継続するつもり、維新は政治家本人が会計責任者となる事を決定、野党は政治家本人が会計責任者となって自民党を追求する覚悟が必要。》
共同通信が2月11日までに実施した自民党の全国会議員を対象にしたアンケートでは、回答率は23%ながら、連座制の導入に「賛成」と「どちらかといえば賛成」が合わせて計82%にのぼっている。
そんななかで、岸田文雄首相の最側近として知られ、自民党刷新本部の幹事長をつとめる木原氏が、連座制の導入は「なじみにくい」と慎重な姿勢を示したことに、SNSでは批判的な声が殺到している。
《岸田首相の側近がこんなこと言うてるんやから、岸田首相もやる気がまったくないな》
《は??抜け道を死守する気満々だな》
《…“秘書が〜!担当が〜!”と言えなくなると困るんですね?》
2月13日には、自民党政治刷新本部の政治資金規正法改正に関する検討チームが初会合を開いたばかり。連座制についても導入に向けて積極的に議論してほしいものだ。
●少子化「支援金制度」1人500円弱見込み「妥当」20%にとどまる 2/14
少子化対策の財源確保のため、公的医療保険を通じて集める「支援金制度」をめぐり、政府が加入者1人あたりの拠出額が月平均で500円弱になると見込んでいることについて、NHKの世論調査で3つの選択肢をあげて尋ねたところ、「妥当だ」が20%、「妥当ではない」が31%、「支援金制度自体に反対だ」が33%でした。
NHKは2月10日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。
調査の対象となったのは2443人で、50%にあたる1215人から回答を得ました。
岸田総理大臣は春闘での賃上げに向けて経済界への働きかけを強めていますが、物価上昇を上回る賃上げを実現できると思うか聞いたところ、「実現できる」が8%、「実現できない」が77%でした。
少子化対策の財源確保のため、公的医療保険を通じて集める「支援金制度」をめぐり、岸田総理大臣は加入者1人あたりの拠出額が月平均で500円弱になると見込んでいることを明らかにしました。
これをどう思うか、3つの選択肢をあげて尋ねたところ、「妥当だ」が20%、「妥当ではない」が31%、「支援金制度自体に反対だ」が33%、「わからない、無回答」が16%でした。
次期戦闘機など、他国と共同開発した防衛装備品の第三国への輸出をめぐって、与党内での議論では自民党は容認する方針なのに対し、公明党は慎重な姿勢です。
政府は2月末までに結論を出すよう求めていますが、輸出を認めることに賛成か反対か聞いたところ、「賛成」が31%、「反対」が51%、「わからない、無回答」が18%でした。
●政治資金問題 野党側 政治倫理審査会に関係議員出席を迫る 2/14
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、野党側は自民党が行ったアンケート調査は不十分だとして、政治倫理審査会を開いて関係議員を出席させるよう14日の予算委員会の集中審議で迫る方針です。一方、自民党は本人の意向を確認しながら、応じるか検討することにしています。
この問題で自民党はすべての所属議員を対象にアンケートを行った結果、現職の国会議員82人にパーティー券収入の収支報告書への不記載や不正確な記載があったと13日、野党側に伝えました。
これについて、野党側は立憲民主党の岡田幹事長が「何にカネが使われたのか説明が一切なく、極めて不十分な調査だと言わざるをえない」と指摘するなど、批判を強めています。
そして、実態解明のため、政治倫理審査会に安倍派と二階派の幹部らを出席させるよう自民党に求めていて、立憲民主党などは14日の衆議院予算委員会の集中審議でも審査会の開催を迫る方針です。
一方、自民党内では「予算審議に協力してもらうためにも応じざるをえないのではないか」という意見が出ていて、安倍派の事務総長を務めた松野・前官房長官は「依頼があれば理由や対象なども踏まえて、総合的に判断したい」と述べました。
ただ、ほかの幹部らの意向は明らかになっておらず、自民党は本人の意向を確認しながら、応じるか検討することにしています。
●低空飛行が続く岸田内閣の支持率 「支持しない理由」で最も多いのは 2/14
岸田文雄内閣の支持率が低空飛行を続けています。朝日新聞社が1月20、21日に実施した全国世論調査(電話)で、岸田内閣の支持率は23%でした。昨年12月の前回調査と同じで、2012年に自民党が政権に復帰して以降、最も低い支持率です。前々回の11月は25%、その前の10月も29%でした。なぜ? 昨年1月以降の全国世論調査の結果から探ってみました。
不支持の理由 最多は「政策の面」
調査では毎回、内閣を支持する理由、支持しない理由を質問しています。このうち、支持しない理由の変化を見てみました。
最も多いのは「政策の面」です。昨年1月は33%、最も多かった昨年11月の調査(18、19日実施)は42%でした。
<岸田内閣を「支持しない」理由は…>
政策の面=33%(2023年1月)、29%(2月)、30%(3月)、25%(4月)、23%(5月)、25%(6月)、28%(7月)、30%(8月)、27%(9月)、33%(10月)、42%(11月)、34%(12月)、32%(2024年1月)
自民党中心の内閣=9%(2023年1月)、12%(2月)、11%(3月)、9%(4月)、11%(5月)、13%(6月)、11%(7月)、10%(8月)、14%(9月)、13%(10月)、10%(11月)、17%(12月)、18%(2024年1月)
他のほうがよさそう=5%(2023年1月)、5%(2月)、5%(3月)、6%(4月)、4%(5月)、4%(6月)、7%(7月)、7%(8月)、8%(9月)、8%(10月)、6%(11月)、8%(12月)、9%(2024年1月)
首相が岸田さん=4%(2023年1月)、4%(2月)、3%(3月)、3%(4月)、2%(5月)、4%(6月)、4%(7月)、5%(8月)、3%(9月)、5%(10月)、6%(11月)、5%(12月)、6%(2024年1月)
この11月調査の直前、政府は、岸田首相が打ち出した所得税などの定額減税を盛り込んだ「経済対策」を決めました。
これを受け、同月の調査では、「政府は、経済対策として、所得税などを1人あたり年4万円減税し、低所得世帯に対しては現金7万円を給付することを決めました。あなたは、この減税と現金給付を評価しますか」と質問したところ、「評価しない」は68%でした。
さらに、「あなたは、岸田首相がこの減税と現金給付を打ち出したのは、どちらかといえば、国民の生活を考えたからだと思いますか。それとも、政権の人気取りを考えたからだと思いますか」と尋ねると、「政権の人気取り」が76%を占めました。
政権の浮揚を狙った政策と見透かした有権者からの批判が多数を占め、不支持理由の「政策の面」が高まった可能性が考えられます。
「自民党中心の内閣」が上昇 「政治とカネ」が影響
ところが、「政策の面」は翌12月調査(16、17日実施)で34%、今年1月の調査では32%に落ちます。
12月になって世の中の注目を集めたのは、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題でした。
11月までは、いくつかの派閥が政治資金収支報告書を相次いで修正した、という報道でしたが、月が変わると、清和政策研究会(安倍派)や志帥会(二階派)で、所属議員が販売ノルマを超えて集めた分を派閥の収支報告書の収入に記載せず、議員側に環流して裏金化していた疑惑が相次いで発覚。自民党への風当たりが強まります。
内閣を支持しない理由にも、このことが現れます。
不支持理由に「自民党中心の内閣」を挙げる人は、11月調査は10%でしたが、12月調査は17%に跳ね上がり、今年1月調査も18%でした。自民党が政権に復帰した12年以降で、最も高い割合です。
無党派層に限ると、11月調査は12%でしたが、1月調査は20%まで増えました。政治とカネに揺れる自民党への批判が、岸田内閣の支持率低迷の要因になっているようです。
自民党の支持率も下落傾向にあります。昨年1月は33%でしたが、7月には20%台に落ち込みました。
それでも11月まで同水準で推移したものの、裏金問題が発覚した後の12月調査ではもう一段落ちて23%になり、今年1月も24%と低調です。
<主な政党の支持率は…>
自民=33%(2023年1月)、31%(2月)、31%(3月)、32%(4月)、33%(5月)、33%(6月)、28%(7月)、28%(8月)、27%(9月)、26%(10月)、27%(11月)、23%(12月)、24%(2024年1月)
立憲=6%(2023年1月)、6%(2月)、6%(3月)、5%(4月)、5%(5月)、4%(6月)、4%(7月)、4%(8月)、4%(9月)、4%(10月)、5%(11月)、5%(12月)、4%(2024年1月)
維新=4%(2023年1月)、4%(2月)、4%(3月)、6%(4月)、7%(5月)、6%(6月)、7%(7月)、5%(8月)、7%(9月)、6%(10月)、5%(11月)、4%(12月)、6%(2024年1月)
公明=4%(2023年1月)、4%(2月)、4%(3月)、2%(4月)、4%(5月)、2%(6月)、3%(7月)、3%(8月)、3%(9月)、3%(10月)、4%(11月)、3%(12月)、3%(2024年1月)
共産=2%(2023年1月)、3%(2月)、3%(3月)、2%(4月)、3%(5月)、2%(6月)、2%(7月)、2%(8月)、3%(9月)、3%(10月)、3%(11月)、4%(12月)、2%(2024年1月)
無党派層=47%(2023年1月)、46%(2月)、48%(3月)、49%(4月)、45%(5月)、49%(6月)、51%(7月)、54%(8月)、50%(9月)、53%(10月)、50%(11月)、54%(12月)、54%(2024年1月)
「事務的なミス」首相の発言への評価は
政治とカネの問題で、「身内」に足を引っ張られていると言えなくもない岸田内閣の支持率ですが、首相自身の発言も響いているようです。
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐっては、岸田首相が会長を務めていた宏池政策研究会(岸田派)もパーティー収入など約3千万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことがわかりました。
今年1月に入り、東京地検特捜部が岸田派の元会計責任者を立件する方針を固めたことが報じられると、岸田首相はその日の朝、記者団に「事務処理上の疎漏(そろう)と承知している。それ以上のことは承知していない」、「事務的なミスの積み重ねだ」などと説明しました。
1月調査で、この岸田首相の発言について「自民党の岸田派が、およそ3千万円の収入を政治資金収支報告書に記載しなかったことがわかりました。会長を務めていた岸田首相は『事務的なミス』と話しています。あなたは、この説明に納得できますか」と質問しました。
調査結果は、「納得できない」が89%を占めました。自民支持層でも76%、無党派層では93%に上ります。ほぼ、「総スカン」の状態と言えそうです。
<「事務的なミス」岸田首相の説明に…>
全体=納得できる7%、納得できない89%
自民支持層=納得できる18%、納得できない76%
無党派層=納得できる3%、納得できない93%
※その他・答えないは省略。コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、1月20、21の両日に全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した949世帯から456人(回答率48%)、携帯は有権者につながった1774件のうち723人(同41%)、計1179人の有効回答を得た。
この発言は野党だけでなく、自民党内からも「自分だけ知らぬ存ぜぬは通らない」と批判の声が上がりました。
自身が会長だった派閥側の立件が報じられたことに加え、こうした批判の声もあったためか、岸田首相は、岸田派の解散を検討していると表明し、自民党の複数の派閥が解散するという流れを作ることになります。
ただ、派閥を解散しても、政治とカネの問題が根本的に解決するとは思えません。政治資金の流れを透明化する制度改正の議論を、有権者が納得する形で深める必要があります。
個々の政治家も、政治資金収支報告書の内容を訂正するだけでなく、報告書に記載しなかったお金を何に使ったのか、具体的に有権者に説明することが求められます。まして、自民党総裁でもある岸田首相の説明責任は、言うまでもありません。
岸田首相はこれから先、政治とカネの問題に対してどのような姿勢をとるのでしょうか。それを、有権者はどのように受け止めるのでしょう。今後の全国世論調査には、そうした評価も含まれた結果が現れます。
●岸田首相が旧統一教会と接点の盛山正仁文科相を切れないわけ 2/14
岸田文雄首相はいま、四面楚歌(そか)に陥っている。自民党派閥のパーティー券による“裏金”問題をめぐって党内に政治刷新本部をつくり、その本部長に就任したものの、1月下旬に中間とりまとめを発表する前に前月まで会長を務めていた宏池会の解散を宣言。それが茂木敏充幹事長とともに「トロイカ体制」を組んできた麻生太郎副総裁の逆鱗(げきりん)に触れたのだ。
すでに麻生氏は「ポスト岸田」として、上川陽子外相に着目した。1月28日の講演では上川氏を「カミムラ」と間違えた上、「このおばさん、やるねえ」や「そんなに美しい方とは言わない」などの発言が問題になったが、「堂々と話をして、英語もきちっと話をして、自分でどんどん会うべき人たちの予約を取る。あんなふうにできた外相は今までいない」と述べ、最大の賛辞を送っている。
さらに以前から上川氏に注目していたのが、亀井静香元自民党政調会長だ。昨年12月のテレビ番組で「見てなさい、俺の予測は当たるから」と、将来の自民党総裁に、高市早苗経済安全保障担当相と並んで上川氏の名前を挙げている。
自民党政治に飽き飽きした有権者
2月4日に投開票が行われた群馬・前橋市長選で、4期目を狙った自公系の現職を新人の女性候補が1万4099票差で倒したことも、その流れに勢いをつけるだろう。当選した小川晶氏は41歳の弁護士で、群馬県議を4期目途中まで務めた。昨年12月の情勢調査では、現職の山本龍市長より劣勢だった。
もっとも4年前の同市市長選が自民党の分裂選挙だったことも、今回の市長選の結果に少なからず影響していたのかもしれない。しかし既存の自民党政治に飽き飽きした有権者の思いが、その底流にあることは間違いない。
それに大きく影響したのが派閥のパーティー券による“裏金”問題だが、岸田首相はそれを「安倍派の問題」にしようと、問題発覚時に安倍派に所属した官房長官および閣僚を更迭した。安倍派と同じく“裏金”問題で解散した二階派の小泉龍司法相と自見英子万博担当相は、派閥を離脱したことで留任させた。
しかし2月6日付の朝日新聞が、盛山正仁文部科学相が2021年の衆院選で旧統一教会(世界平和統一家庭連合)系の団体から推薦状を受け取っていたことを報じたとたん、風向きが変わった。
これは、昨年10月に盛山氏が、文科相として旧統一教会に対する命令を東京地裁に申請したことへの“報復”だろう。盛山氏は22年9月に行われた自民党の調査には「関係団体とは認識せず、1度だけ参加してあいさつした」と申告していたが、選挙協力に関しては隠蔽(いんぺい)していた疑いが強まった。野党からは大臣不信任決議案を提出する動きもあるが、任命責任を問われかねない岸田首相は、盛山氏を更迭することはできない。
しかも盛山氏は、岸田首相が会長を務めた宏池会に所属していた。これに「ダブルスタンダードだ」と反発したのは、冷遇された元安倍派の議員たちだ。もし大臣不信任案が提出されれば、賛成票を投じなくても、欠席することで反対票を減らし、可決させることは可能になる。
国民民主の玉木代表も離脱を決定
そして国民民主党も岸田首相を見放した。2月7日にはトリガー条項凍結解除をめぐる自公との協議からの離脱を正式決定した。
ガソリンにかかる揮発油税を一時的に引き下げるトリガー条項凍結解除は、国民民主党にとって2021年の衆院選に公約として取り入れて以降の「目玉政策」となっている。その実現は悲願であり、そのために野党でありながら政府予算案に賛成を投じてきた。2022年の衆院予算委員会では、岸田首相の「あらゆる選択肢を排除しない」という“トリガー条項”について言及のない発言にすらすがりつき、“から喜び”してきた。
2月6日の衆院予算委員会で、国民民主党の玉木雄一郎代表は「事務手続きはクリアできる。必要なのは総理の政治判断」と迫ったが、岸田首相は玉木氏が提示した事務手続きを「新しいご提案」として「検討する」とだけ回答。これまでの国民民主党が説明してきたことを“リセット”してしまった。
それを冷たい目で見ていたのは、昨年11月に国民民主党を離党し、教育無償化を実現する会を立ちあげた前原誠司氏だった。前原氏は2022年度本予算を決議した衆院本会議を、体調不良を理由に欠席したが、後に「ガソリンを下げることは大変重要だが、それだけではない」と述べ、この時の路線の相違が離党の原因になったことを明かした。
離党という仲間割れを招いてもいとわなかったトリガー条項凍結解除だが、それから3カ月も経ずして国民民主党は岸田政権から離れ、今度は立憲民主党に近づこうとしている。4月28日に行われる衆院東京15区補選で、国民民主党は高橋茉莉氏を擁立。同じく補選が行われる衆院島根1区と衆院長崎3区に候補を擁立している立憲民主党にも協力を呼びかけた。「島根と長崎では立憲の候補、東京では国民の候補を一緒に応援しよう」というわけだ。
“党外与党”のはずの国民民主が……
これは衆院で7人、参院で10人を擁する国民民主党の“野党化”で、岸田政権の“戦力低下”であることは間違いない。玉木氏は、宏池会の中興の祖である故・大平正芳元首相の後継を自任し、国民民主党が2022年度予算に賛成した時には岸田首相と連絡を取っていることを強調するなど、自民党との近似性を示していた。すなわち「党外に置いた与党」というのがこれまでの国民民主党の位置付けだったのだ。
昨年の自民党の調査では、次期衆院選の自民党の予想議席は最悪で220議席となり、この傾向は今年に入っても変わっていない。これに公明党を加えても、かろうじて過半数を維持できる程度だ。
にもかかわらず、岸田首相があえてトリガー条項凍結解除に真剣に向き合わないのは、これに消極的な財務省と、財務省の思惑通りに動く党内の税制調査会(税調)の勢力に制されているためだ。
その財務省に影響力を有する麻生氏は、次の衆院選では不出馬説がささやかれている。とはいえ、その権力は衰えるとは限らない。同じくわずか1年で首相の座を退いた森喜朗氏も、キングメーカーとして長らく君臨した。
だがその威光もまた、安倍派の凋落とともになくなろうとしている。そこで次のキングメーカーにとってかわろうと、それまで岸田政権を支えてきた麻生氏が上川氏を担いで台頭。これに対して岸田首相は衆院解散権の行使で対抗しようとしているというのが現在の永田町の情景だ。
四面楚歌となった項羽は愛する虞美人と別れ、壮絶な死を遂げている。岸田首相は果たして……。
●景気の実態がわかる“ビッグマック指数” バブル崩壊後の日本経済の失敗 2/14
“ビッグマック指数”をもとに日本経済における失敗を経済アナリストの森永康平氏が指摘した。
ビッグマック指数とは大まかな景気の実態がわかる指標で、イギリスの経済専門誌「エコノミスト」が毎年紹介。世界中で同じような材料や調理法で作られているであろうビッグマックの価格を基準にすることで、その国の物価水準などを比較しようというものだ。
森永氏は「ビッグマック指数を見ると、バブル崩壊後の日本経済の失敗が如実に分かります」として「すべてはバブル経済崩壊の後処理に失敗したことが原因」と話す。日本のビッグマックは480円と世界的には安いと言えるが、その価格よりも30年間給料が上がっていないことが、日本経済最大の失策だと指摘。ここ数年間の物価高は、コロナ禍やウクライナ紛争など外的要因によるものだとして、「モノの価格だけ上がって、賃金上昇は伴わないという悪いインフレ」と解説した。
しかし最近ではユニクロや第一生命など大手が初任給を高く設定したり、2023年の春闘でも賃上げ率3.60パーセントと1994年以来の3パーセント台の高い伸びを見せたことが話題となった。物価も上がり賃金も上昇ムード、良いインフレになりつつあるのか。
街の声を聞くと「(給料が安く)物が高くなっているからなかなか手が出せない物がある」「自分の給料が上がってるわけじゃないのに、物価が上がっちゃうと“節約しよう“となる」など、物価の上昇に賃金の上昇が追いついていないという意見が多くみられた。
森永氏は「世界の人たちから見ると、経済第3位の国ですから、なんでそんな経済大国でこんな日本のビッグマック安いの?というのが彼らから見ると不思議でしょうがない」とコメント。
日本経済については、ビッグマックの価格と賃金で見る必要があるとして、日本の時給1113円では480円のビッグマックを2.3個買うことができる。「時給で買えるビッグマックの数はほかの国とそんなに変わらないぐらい買えるので、日本の経済が弱いかというと、そんなことはない」と解説した。
しかし「問題なのは、日本はずっと経済成長していない」と指摘して「経済成長していないイコール賃金が上がらないんです。賃金が上がらないから、結果的にモノを安く売らないと誰も買ってくれない。いわゆるデフレという状態を日本だけが30年続けていて、その間にほかの国というのは物価も上がるけど賃金も上がるという正常な経済を30年間やっていたので、日本はついにドイツにも経済規模を抜かれてしまうというようなニュースがここにきて出てきている」と問題点について語った。
●党首討論が激減、岸田政権下では一度も開かれず…不要論も 2/14
首相と野党党首が向き合い、 侃々諤々 の議論を戦わせる――。英国議会をモデルに2000年に日本の国会に導入された党首討論は近年、開催頻度が年に0〜1回程度と激減し、岸田政権下では一度も開かれていない。討論経験者からは「歴史的使命は終わった」と、不要論すら出ている。その背景を探った。
英議会モデル 2000年に導入
党首討論は、英国議会で行われる首相の「クエスチョンタイム」を参考に、国会改革の一環で始まった。本家の英国では、保守党と労働党の2大政党制が根付いており、毎週水曜日、与野党党首が激しい舌戦を繰り広げる。開催時間は日本の45分よりも短い30分だが、1回の質疑と応答は1分程度で、丁々発止のやりとりが基本だ。論客のトニー・ブレア元首相も、「党首討論が行われる日は食事が喉を通らないぐらいだった」と過去の激論を回顧している。
日本で党首討論の導入が検討された1990年代は、大型の贈収賄事件であるリクルート事件がもたらした深刻な政治不信が尾を引き、政治改革の必要性が真剣に議論されていた。自民党の各派閥が対決した中選挙区制は、金権政治の温床とされ、政権交代可能な2大政党制とそれを実現するための選挙制度が志向された。
96年に小選挙区比例代表並立制に移行した後、2009年の衆院選で民主党への政権交代が実現した。野党第1党が単独過半数で政権交代したのは現憲法下では初めてだったが、12年に自民党が政権に返り咲いてからは野党が分裂を重ね、2大政党制は定着していない。
この流れと呼応するように、党首討論は制度が始まった00年には8回、12年の自民党への政権交代までに57回と活発に行われたが、12年を境に激減している。年に0〜2回しか行われず、特に19〜23年の5年間では計2回の開催で、21年6月を最後に2年半も開かれていない。
自民1強 「見せ場」減る野党乱立
党首討論が開かれない最大の理由は、12年から自民党の1強状態が続き、野党が乱立している政治状況にある。党首討論は全体で45分間と決まっているため、参加する野党党首が増えるほど1人あたりの持ち時間が減り、野党の“見せ場”が減ってしまうためだ。
さらに与野党は、首相の国会出席の負担を軽減するため、本会議や予算委員会などに首相が出席する週には党首討論を開催しないことを申し合わせており、党首討論の開催には制約がある。そのため野党は、首相を長時間拘束でき、一方的に質問もできる衆参の予算委を優先する傾向にある。ある議会関係者は、「ここ数年、野党は党首討論を本気で求めてこなかった」と指摘する。
現政権下「0」
与党側にとっても、「無用な失点」につながりかねない党首討論の積極的な開催を呼びかけるメリットは薄く、低調な開催状況が常態化している。過去には超党派の議員連盟が、定例化や夜間開催などの改善策を提起したものの、実現にはこぎつけていない。
21年10月に発足した岸田政権では、党首討論は一度も開かれていない。こうした実態を見かね、先の臨時国会では日本維新の会などが党首討論を所管する国家基本政策委員会について、「無駄な税金を使う委員会は必要ない」と、廃止法案を提出するに至っている。
駒沢女子大の弥久保宏教授(議会政治)は、「党首討論は政策の違いや党首の資質が明確になり、投票への意欲につながる利点がある」と強調する。今後のあり方について、「定例化などを通じ、日本の議会に合うように改良を重ねていくべきだ」と求めている。
●またぞろ出てきた「6月解散説」で問われる岸田首相の信念=@2/14
「岸田文雄首相が6月に衆院を解散するのではないか」
年明け以降、永田町周辺でこんな噂がささやかれている。
9月の自民党総裁選で、「岸田首相の再選は困難」との見方が党内で広まっている。それを打破するため、6月の通常国会閉会後、総選挙を仕掛けるというのだ。政治改革や、自ら掲げた減税効果≠演出し、多少の「負け」を承知で大勝負に打って出るのか。
だが、情勢は極めて厳しい。
自民党が昨年9月時点で行った情勢調査で、「自民党は衆院選で大幅議席減」という結果だったとされる。これに、自民党派閥のパーティー収入不記載事件などで、信頼は地に落ちているのだ。
岸田首相は孤立を深めている。政権を支えた岸田派(宏池会)、麻生太郎副総裁率いる麻生派(志公会)、茂木敏充幹事長の茂木派(平成研究会)によるトロイカ体制≠ヘ激しく動揺している。
きっかけは、岸田首相が先月18日、唐突にブチ上げた岸田派解散だ。麻生氏に根回しはなく、「そんな話は聞いていない」と、オカンムリだったという。岸田首相は謝罪したが、ご機嫌は直っていない様子だ。麻生氏は最近、「ポスト岸田」として、上川陽子外相を持ち上げるなど、牽制(けんせい)を強めている。
岸田首相は、玉木雄一郎代表率いる国民民主党にも、そっぽを向かれた。国民民主党はガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」の凍結解除を訴えてきたが、煮え切らない態度に玉木氏の我慢が限界を超えた。自民、公明との3党協議は空中分解の様相だ。
衆院7人、参院10人を擁する国民民主党は自民党の貴重な盟友≠セったはずだ。もはや、岸田首相の唯一の友≠ヘ、税制という「聖域」を死守し、減税にひたすら「待った」をかける財務省だけになったのかもしれない。
衆院解散・総選挙は「国民の信」を問うことだ。岸田首相が政権延命のため「伝家の宝刀」を抜こうとしているなら、そこに大義はあるのか。
そもそも、昨年5月の広島G7(先進7カ国)サミット直後など、解散風≠ェ強まるタイミングは幾度もあった。岸田首相はその都度、優柔不断さと「まだまだ大丈夫」という時間的余裕から、解散に踏み切らなかった。
総裁選につなげようと、「負け」を承知で打って出るとすれば、本末転倒もいいところではないか。唐突な派閥解消など、岸田首相は暴走気味だ。退陣水域に近づいた内閣支持率を受けて、なりふり構っていられないのだろうが、「破れかぶれ」の果てに局面打開の光が見えるのだろうか。
●首相 「説明責任を尽くすよう促している」 政倫審は「国会の判断」 2/14
自民党派閥による裏金事件を受け、岸田文雄首相(党総裁)は14日の衆院予算委員会集中審議で、野党側が求める国会の政治倫理審査会(政倫審)について問われ、疑惑をもたれた議員に「説明責任を尽くすよう党として促している」と語った。政倫審の開催自体は「本人の意向を確認したうえで国会で判断することだ」として明言を避けた。
立憲民主党の山井和則氏の質問に答えた。野党側は、松野博一前官房長官ら安倍派幹部や、二階派トップの二階俊博元幹事長らについて、政倫審に出席することを求めている。
山井氏は予算委で、安倍派幹部や二階氏から、「どのような返事が来ているのか」とただした。これに対し、首相は「それぞれの判断で説明責任を果たしている。しかし、まだまだ不十分だとの指摘に対し、説明責任を尽くすよう促している」と語った。
山井氏は「せめて二階氏、安倍派の幹部に、直接、促して欲しい」と求めたが、首相は同じ説明を繰り返した。
政倫審の開催については、委員の3分の1以上の提案か、議員本人が申し出るかの二つの方法がある。現在、衆院では野党の委員は3分の1を満たしていないため、野党側は議員本人が申し出るよう求めている。
首相は自民への批判の高まりを踏まえ、開催に応じる意向を固めている。
●衆院解散に慎重姿勢 「信頼回復や課題に専念する。その先は考えていない」 2/14
岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー不記載事件の局面を打開するための衆院解散について否定的な見解を示した。「政治の信頼回復とともに、目の前の課題に専念する。その先については何も考えていない」と述べた。
首相は「再発防止を実行するとともに、実態把握、説明責任、政治責任を果たしていくことによって信頼回復に努める。これに尽きる」と強調。能登半島地震対応、デフレ脱却、厳しい国際情勢を挙げ「先送りできない課題が山積している」と語った。
日本維新の会の岩谷良平氏の質問に答えた。
●首相 「説明責任を尽くすよう促している」 政倫審は「国会の判断」 2/14
自民党派閥による裏金事件を受け、岸田文雄首相(党総裁)は14日の衆院予算委員会集中審議で、野党側が求める国会の政治倫理審査会(政倫審)について問われ、疑惑をもたれた議員に「説明責任を尽くすよう党として促している」と語った。政倫審の開催自体は「本人の意向を確認したうえで国会で判断することだ」として明言を避けた。
立憲民主党の山井和則氏の質問に答えた。野党側は、松野博一前官房長官ら安倍派幹部や、二階派トップの二階俊博元幹事長らについて、政倫審に出席することを求めている。
山井氏は予算委で、安倍派幹部や二階氏から、「どのような返事が来ているのか」とただした。これに対し、首相は「それぞれの判断で説明責任を果たしている。しかし、まだまだ不十分だとの指摘に対し、説明責任を尽くすよう促している」と語った。
山井氏は「せめて二階氏、安倍派の幹部に、直接、促して欲しい」と求めたが、首相は同じ説明を繰り返した。
政倫審の開催については、委員の3分の1以上の提案か、議員本人が申し出るかの二つの方法がある。現在、衆院では野党の委員は3分の1を満たしていないため、野党側は議員本人が申し出るよう求めている。
首相は自民への批判の高まりを踏まえ、開催に応じる意向を固めている。 
●戦闘機輸出、自公が協議格上げ 岸田首相、山口代表と一致 2/13
岸田文雄首相(自民党総裁)は13日、公明党の山口那津男代表と首相官邸で会談し、次期戦闘機を念頭に置いた国際共同開発品の第三国輸出について、自公両党の政調会長を中心に協議を仕切り直すことで一致した。
公明が慎重な立場を崩さず、与党の実務者協議が停滞していた。首相は協議レベルを格上げし、事態を打開したい考えだ。
与党実務者協議は、自民の小野寺五典・安全保障調査会長、公明の佐藤茂樹・外交安全保障調査会長らがメンバー。昨年7月にまとめた中間報告では、国際共同開発品の第三国輸出に関し、容認論が「大宗を占めた」と明記。しかし、同11月に公明が態度を一転させ、結論は先送りとなった。
●二階氏、書籍代に3500万円 3年間、2万7700冊分を計上 2/14
自民党の二階俊博元幹事長の資金管理団体が、2020〜22年の3年間に「書籍代」として約3500万円を支出したと政治資金収支報告書に記載していることが分かった。同氏の事務所は14日にコメントを出し、「政策広報のために購入した書籍」だと説明。領収書を公開し、計2万7700冊に上ることを明らかにした。
領収書によると、購入したのは大中吉一監修「ナンバー2の美学 二階俊博の本心」5000冊(購入代金1045万円)、大下英治著「政権奪取秘史 二階幹事長・菅総理と田中角栄」3000冊(同475万2000円)など。選挙区外の行政・議会関係者らに配布したという。
●首相「説明責任尽くすよう促す」 安倍派幹部や二階氏らに 裏金問題 2/14
岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、安倍派幹部の「5人衆」や二階俊博元幹事長について「説明責任を尽くすよう働きかけている。さまざまな手段があると党としても考えているし、関係者と意見交換している」と述べた。立憲民主党の山井和則氏への答弁。
山井氏は5人衆や二階氏が出席する国会の政治倫理審査会(政倫審)を開催するよう要求した。首相は答弁で「政倫審については、本人の意向等さまざまな観点から国会としてご判断いただくべきものだ。説明責任を尽くすことを党として促していきたい」と述べるにとどめた。
首相はまた、自民の小倉将信氏への答弁で、議員の責任厳格化に向け、3月17日に予定する党大会で党則を改定する考えを示した。自民政治刷新本部の中間取りまとめで、政治団体の会計責任者が逮捕・起訴された場合に団体の代表を務める議員本人も処分できるようにするなど、責任の厳格化に向けたルール化の方針を明記したと説明。その上で「具体化のためのワーキングチーム(作業部会)もスタートした。3月の党大会で党則等を改正すべく議論を加速させたい」と述べた。

 

●能登半島地震 死者242人に 安否不明9人 断水3万戸割る 2/15
石川県は15日、能登半島地震の死者が珠洲(すず)市で新たに1人確認され、242人(災害関連死15人)になったと発表した。安否不明者は2人減って9人になり、全員が輪島市となった。16市町で最大約11万戸に上った断水は7市町で約2万9520戸になり、初めて3万戸を割ったが、輪島市と珠洲市では依然ほぼ全域で断水したままだ。
●能登半島地震 新潟 花角知事 液状化被害など受け緊急要望 2/15
能登半島地震で液状化などによる被害が相次いだことを受けて、新潟県の花角知事は松村防災担当大臣に住宅応急修理制度の対象を拡大することなど制度の柔軟な運用を求めました。
能登半島地震では、新潟県内で液状化による被害が大きく、住宅被害は1万7200棟を超えているほか道路や港などの公共インフラ施設の被害も150件を超えています。
こうした状況を受けて、花角知事は15日午後、内閣府の松村防災担当大臣と面会し、緊急の要望書を手渡しました。
要望書では、住宅の修理費用の一部を行政が負担する住宅応急修理制度について、生活に不可欠な通路や駐車場への被害も大きいことから、制度の対象を拡大することや、賃貸型応急住宅制度について「半壊」に満たない場合も対象に加えることなどを求めています。
また、液状化による被害を踏まえて、家屋の被害調査について判定や認定の基準を見直すことや地盤改良を行う費用が多額になる場合もあるため、住宅応急修理制度の支給額を増額することなども求めました。
県によりますと、松村大臣は「話は受け止めた。実情をよく見ていきたい」などとこたえたということです。
花角知事は「救われる範囲が実態に合っていないので、もう少し運用を柔軟にし、多くの人を支援できるようにしてもらいたい」と述べました。
●地銀を襲う「新NISA・債券安・融資先倒産」の三重苦… 2/15
株高バブルとは無縁ということか──。地方銀行73社・グループの2023年4〜12月期決算が13日、出揃った。73社の連結純利益の合計は、8177億円と前年同期比6.9%の減少だった。
地銀の純利益が減少したのは、取引先の倒産リスクに備える費用がかさんだのが一因だ。金融機関の資産運用を支援する「日本資産運用基盤グループ」(東京)によると、取引先の貸し倒れに備える与信関係費用が増えているという。実際、地銀の融資先である中小企業は倒産リスクに直面し始めている。コロナ対策として導入された実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済本格化に加え、物価高や人手不足によって経営が苦しくなっているためだ。
また、地方銀行は金利上昇の影響も受け始めている。「異次元の金融緩和」がスタートした後、運用難に苦しんだ地方銀行は、積極的に「債券」を買っていたが、金利上昇によって債券価格が下落し、「国債等関係損益」が悪化。全体で計2978億円の赤字となった。
問題なのは、地方経済と中小企業を支える地銀の収益が悪化すると、日本経済全体に悪影響を及ぼす恐れがあることだ。
しかも、この先、「新NISA」が地銀を苦しめる恐れがあるという。新NISAによって「貯蓄から投資へ」の流れが加速すると、地方銀行から預金が大量流出しかねないという。共同通信は13日、<地銀、新NISAで試練 預金大量流出しかねず>というタイトルの記事を配信した。
地方銀行は「新NISA」「債券価格の下落」「融資先の倒産リスク」--という三重苦に見舞われている形だ。経済ジャーナリストの松崎隆司氏はこう言う。
“地方銀行は1県に1行”73社は多すぎる
「多くの地方銀行は、厳しい状況におかれています。決定的なのは、どこの地方も人口減少が止まらないことです。人がいなくなれば、消費も落ち込み、産業も廃れてしまう。地域経済そのものが空洞化しかねない。地方銀行を直撃するのは当然です。この先、M&Aによって地方銀行の再編が進む可能性もあるでしょう。もともと、金融当局は“地方銀行は1県に1行”という構想をもっていました。73社は多すぎる。それに、金利が正常化し、貸し出しによって利ザヤが稼げるようになると、預金残高が多い方が有利というスケールメリットも出てきます」
年明け以降、4500円も上昇した株高は、いつまで続くのか。
●自民党「裏金」問題はパーティー券を「買う側」の問題に行きつく 財界の姿勢 2/15
国民は納得していない
政治資金パーティーを巡る「裏金」問題への自民党の対応への批判が強まっている。自民党は2月5日に党所属の全国会議員に「派閥による政治資金パーティーに関する全議員調査」と題したアンケートを配布したが、質問は政治資金収支報告書の「記載漏れ」に関する2問だけ。岸田文雄首相は国会で「実態把握」すると繰り返し述べてきたが、実態を把握する姿勢に乏しく、形だけの調査でお茶を濁すつもりではないか、といった声が噴出している。
裏金問題を受けて自民党は「党政治刷新本部(本部長・岸田総裁)」を設置、1月25日に「中間とりまとめ」を総務会で了承、公表した。当初、盛り込むとみられていた全派閥の解散については踏み込まず、派閥を「カネと人事」から切り離すとするにとどまった。その後の国会審議で、解散を拒否している麻生派などへの対応について聞かれた首相は、カネと人事から切り離したことで、従来の派閥は無くなったとする「珍解釈」を展開。そこでも改革に向けた本気度が疑われる結果になった。
NHKが行った世論調査でも、政治刷新本部の中間とりまとめについて、「大いに評価する」とした回答はわずか4%、「ある程度評価する」も32%で、「あまり評価しない」(29%)、「まったく評価しない」(28%)と6割近くが否定的な反応だった。「政治資金問題への岸田首相の対応」についても、「大いに評価する」(1%)、「ある程度評価する」(22%)と評価する声は少数にとどまり、「まったく評価しない」(33%)、「あまり評価しない」(36%)という声が7割近くに達した。自民党の自浄能力に疑問が呈されていると言っていいだろう。
出し手が記載していない金を
派閥からキックバックされたカネを政治資金収支報告書に記載していなかった議員も一様に口をつぐんでいる。不記載が4355万円にのぼり略式起訴された谷川弥一衆議院議員は自民党を離党後、議員辞職し、4800万円不記載の池田佳隆衆院議員は逮捕された。安倍派の幹部なども軒並み1000万円を超える不記載が表面化したが、離党や議員辞職は頑なに拒んでいる。
そのカネを何に使ったのかもまったく説明されていない。「政治活動」といった曖昧な説明を繰り返している。首相自身も不記載について「事務的なミス」と言い、誰ひとり「道義的責任」を取る政治家も出てこない。時が過ぎて人々が忘れるのを待っているかのようだ。
NHKの世論調査では、「不記載議員の説明責任」について、「果たしていない」という声が88%に達した。もはや議員本人から説明責任を果させるのは無理ということなのだろう。
「出し手(派閥)が記載していないものを議員が記載するわけにはいかないんです」と党政治刷新本部の主要メンバーのひとりは言う。つまり、カネの出し手が名前や金額を伏せているものを、もらった側が記載できるはずはない、というのだ。結局、事務的なミスでも何でもなく、構造的な問題であることを正直に吐露している。
逆に言えば、裏金の使い道を明確に言えないのは、言えば、その金をもらった側の問題に波及するからだろう。すでに指摘が出ているように、議員の「領収書のいらない金」は、県議会議員や市議会議員などにわたり、選挙などの資金として使われてきた。河井克行元法相夫妻の買収事件でもその一端が現れた。モノいえば唇寒し。下手をすれば買収疑惑が浮上することになりかねない。政治評論家が解説するような、秘書給与に必要だといった類の話ではない。
つまり「出し手」側がきちんと記載すれば、受け取った側は自ら収支報告書に記載せざるを得なくなる。これはパーティー券の構造も同じだ。
財界は政策を金で買っている
パーティー券は20万円までならば買ってくれた企業名や個人名を記載しなくて良いことになっている。相場は1枚2万円なので10枚までならば名前が表に出ない。しかも1回のパーティーあたり20万円なので、年に何回もパーティーを開けば匿名で寄付ができる。企業も「交際費」や「寄付金」として経費処理ができる。結局、この仕組みが企業などの政治献金の「裏ルート」になっているのだ。
パーティー券の購入者名を開示せよ、ということになるが、出し手がどう処理しているか分からない金を、もらっている政治家の側が公表することなどできるはずもない。この問題を解決する簡単な方法は、企業や個人の側に政治資金を出した場合の公表義務を課すことだ。
経団連の十倉雅和会長は記者会見で「あってはならないこと。検証を徹底的に」と語っているが、本気で経済界が今の政治と金の問題を徹底的にきれいにしようとしているとは思えない。金の出し手である財界が本気になれば、政治と金の問題は一気に透明化できるはずだ。
なぜ、経団連は傘下の企業にパーティー券の購入を止めよと号令を発しないのだろうか。あるいは政治資金の「出し手」の開示ルールを強化しようと提案しないのか。
昨年の十倉会長の記者会見を報じた東京新聞は、「企業団体献金が税制優遇に結び付くなど政策をゆがめているとの指摘に対しては『世界各国で同様のことが行われている。何が問題なのか』」と発言したと報じられた。
2009年に民主党政権が誕生すると同党に「企業献金は受けない」と拒絶されたのを機に経団連は、会員企業に声をかけて政治献金を取りまとめることをやめた。自民党が政権に復帰すると2014年に企業献金を再開。その後、経団連の主張してきた法人税率の引き下げなどが実現している。結局、財界は政治を金で買っているのではないか、という疑惑が付き纏っている。
政治と金の問題の解決を、金の受け手である政治家に期待するのは無理がある。金の出し手である財界が、政治とカネの問題を国民が納得する形で解決しない限り、政治献金を辞めると言えば、この問題は一気に解決するだろう。
●自民・甘利前幹事長に「裏金1億円」ネコババ疑惑…自身の選挙に“流用”か 2/15
「私は未来を見通せる。その私がいなくなれば大変なことになる。未来は変わっちゃう」──あの街頭演説の陰で「裏金」をネコババしていたのか。ダーティーイメージがつきまとう甘利前幹事長に、また新たな疑惑だ。
時は2021年の衆院選のさなか。使途公開の義務がない党の政策活動費(政活費)1億円を、落選の危機にあった自身の選挙に“流用”していた可能性がある。日刊ゲンダイの調べで、その痕跡が浮かび上がってきた。
「政治とカネ」をテーマに14日に開かれた衆院予算委員会の集中審議で、野党は事実上の「裏金」である自民の政活費を追及。立憲民主の井坂信彦議員がターゲットに据えたのは、岸田政権下で幹事長を務めた甘利氏だ。在任期間は21年10月1日から11月4日までの35日間。このわずかな期間に甘利氏は8回に分け、計3億8000万円の政活費を受け取っていた。在任時には衆院選があり、支出は衆院解散の前後に集中。井坂氏は「自身の選挙に使ったのではないか」と問いただした。
当時は落選危機で錯乱状態
なぜなら甘利氏は当時、衆院選の陣頭指揮を執る立場ながら、最終盤で全国遊説を見送り。立憲の新人候補の猛追を受け、落選の危機が強まり、自身の選挙区に張りついた。街頭では「私の手の中には日本の未来が入っている」「私の妨害をしたら、これは国家の行く末を妨害しているのと同じことなのであります!」と絶叫。ほぼ錯乱状態だった。結局、選挙区で敗れた甘利氏は比例復活したものの、幹事長として歴代2番目のスピード退任の辛酸をなめた。それだけに井坂氏の訴えには説得力がある。
金額も支出の時期の怪しさも突出
日刊ゲンダイも当時の政活費の支出状況を確認すると、興味深い事実が判明した。衆院の解散から公示日の間は党幹部11人に計3億6500万円が支出されたが、公示日が過ぎてからはただ一人、甘利氏のみ。公示翌日の10月20日と選挙終盤の同25日に5000万円ずつ、計1億円を受け取っていた。自民党関係者は「党幹部が公認候補の陣営に現金を配る『陣中見舞い』の原資は政活費。選挙応援に入った際、必ず金一封を手渡すのが慣例です」と語る。選挙終盤に地元に引きこもっていた甘利氏には、この自民の因習を守ることは不可能だったろう。
また、直近の国政選挙における政活費の支出状況も調べたが、19年参院選は二階幹事長(当時)が公示直後に2回、計6500万円を、22年参院選は茂木幹事長が公示翌日に5000万円をそれぞれ受領。甘利氏のケースは金額も支出時期の怪しさも抜きん出ている。落選危機を脱するため、党の「裏金」をネコババした疑いは深まるばかりだ。
「衆院選の経費を記す甘利氏の『選挙運動費用収支報告書』の出入記録に、この記載がなければ、選挙買収など公選法違反に該当するような使い道を疑わざるを得ません。否定するなら、政活費の使途を全面公開すればいいのです」(神戸学院大教授・上脇博之氏)
ネコババ疑惑について甘利事務所に質問状を送付したが、期限までに回答を得られなかった。
さらに中国新聞は14日、甘利氏が党選対委員長を務めていた19年の参院選で、8060万円の政活費を原資に全国の公認候補へ陣中見舞いとして「裏金」を配り回っていた疑いを報道。個人が年間に政治家や政治団体などに寄付できる上限額(3000万円)を定めた政治資金規正法に抵触する恐れがあり、違法性が認められれば公民権停止の憂き目が待っている。
未来を見通せる甘利氏の目には、将来の自分のどんな姿が映っているのか。
●盛山文科相、重ねて辞任否定 衆院予算委 2/15
盛山正仁文部科学相は15日の衆院予算委員会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係に関し「解散命令請求を出し、被害者救済法の手続きを進めている。自分の職責を果たしていく」と述べ、重ねて閣僚辞任を否定した。立憲民主党の梅谷守氏への答弁。
梅谷氏は、文春オンラインに掲載された盛山氏の妻のインタビューについて質問。インタビューで妻は、盛山氏が教団関連団体の推薦確認書への署名を「うかつだった」と述べていたと証言した。これに対し、盛山氏は「記憶はないが、かりそめにも(署名)したとしたら軽率であった、という話をした」と釈明した。
鈴木俊一財務相は、自民党派閥の政治資金パーティー収入のキックバック(還流)が政治資金収支報告書に不記載だった議員の納税について「党の立場を見守る」と述べるにとどめた。立民の鎌田さゆり氏への答弁。
●政倫審出席拒まずと自民萩生田氏 2/15
自民党の萩生田光一前政調会長は15日、安倍派の政治資金パーティー裏金事件を巡り、野党が開催を求める政治倫理審査会に関し「出席の明確な基準が公表され、その対象になるのであれば、出席を拒むものではない」と述べた。
●黒スプレーで顔塗りつぶす 堀井学議員の政治活動用ポスターに落書き 2/15
北海道・苫小牧市で堀井学衆議院議員のポスターが落書きされているのが見つかり、警察は器物損壊事件として捜査しています。
落書きが見つかったのは衆議院比例代表北海道ブロック選出の堀井学議員の政治活動用のポスターです。
捜査関係者によりますと、14日までに、苫小牧市若草町3丁目の道路脇などに設置されているポスターなど、10枚以上に落書きが見つかりました。
落書きはいずれも黒のスプレーで顔の部分が塗りつぶされていたということです。
警察はきょう、事務所関係者からの被害届を受理し、器物損壊事件として捜査しています。
堀井議員は自民党の派閥から2196万円のキックバックを受けながら収支報告書に記載していなかったと認めていて、その後、報告書を訂正しています。
●裏金 納税検討巡り野党追及 2/15
国会ではきょうも自民党の派閥の裏金事件をめぐり、野党側が追及を続けています。自民党内からはキックバック分などを収支報告書に記載していなかった議員は追加で納税するべきという意見があがり始めています。
野党側はキックバックされたカネの多くについて使い道がわかっておらず、課税対象になるのではとかねてから批判していました。
このため、自民党内でも政治資金収支報告書に不記載があった議員に対し、「追加納税を義務づけるべきだ」との声が出ていますが、課税額の計算や対象をどうするのかなど、詳細な制度設計は詰め切れていません。
立憲民主党 鎌田さゆり 衆院議員「自民党還流分の納税を検討すると、脱税の批判を踏まえと。つまり脱税を認めるというふうに読み取れる。岸田総理の側近の官房長官として、どのような見解を持つか」
林芳正 官房長官「党としての対応でございますので、官房長官としての立場でお答えすることは差し控えたいと思います」
立憲民主党 鎌田さゆり 衆院議員「この状況を国民の皆さんが見てて、明日からの確定申告、冗談じゃない。ちゃんと矜持を示して、国会議員自らが襟を正してやっていかないと信頼回復なんて始まりませんよ」
政府・自民党の対応について野党側は「国民がなめられている、納税する気持ちにもならなくなる」などと批判したほか、自民党内でも「場当たり的対応だ」との声が漏れています。
●裏金、還流分納税を否定 自民・森山氏 2/15
自民党の森山裕総務会長は15日、派閥の政治資金パーティー収入のキックバック(還流)分などを政治資金収支報告書に記載していなかった議員に対し使途不明などの場合には税を納付させる検討に入ったとの一部報道について、「あり得ないことだ」と否定した。
森山氏は報告書の修正に関し「政治資金として処理しており、所得税は発生しないと理解している」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
●安倍派と二階派の85人中の53人が「還流分を使用」…事情聴取報告書を公表 2/15
自民党は15日、派閥の政治資金規正法違反事件に関与した議員らに実施した事情聴取の報告書を公表した。派閥の政治資金パーティー収入のキックバック(還流)などの総額は2018〜22年で計約5億8000万円に上った。
聴取は今月2〜8日、安倍派と二階派に所属する85人(議員82人、選挙区支部長3人)のほか、党内6派閥、2グループの事務総長らを対象に、森山総務会長ら党幹部6人が3グループに分かれ、弁護士同席で実施した。
還流分などの使用の有無について、安倍派と二階派の85人のうち53人が「使用していた」と回答した。報告書では、懇親費用や車両購入費、書籍代などの使途も列記された。
●還流不記載「20年以上前から」=安倍派幹部に責任論―裏金事件で聴取報告 2/15
自民党は15日、政治資金パーティー裏金事件を受けて安倍、二階両派の国会議員82人などを対象に実施した聞き取り調査の報告書を公表した。安倍派でキックバック(還流)分の政治資金収支報告書への不記載が始まった経緯について、「20年以上前から行われていた」可能性を指摘。「派閥幹部の痛烈な批判を述べる者も多く、責任を問う回答も数多く見受けられた」と記した。
同党はこれを踏まえ、説明責任をどの程度果たしているかも加味した上で、党則に基づく処分を検討する方針だ。
聞き取り調査は1月29日、岸田文雄首相(党総裁)が「党として実態把握を進める」として実施を表明。森山裕総務会長ら党幹部6人がチームを組み、全国会議員対象のアンケートと並行して2月2日から進めていた。アンケート結果は13日に公表した。
●自民“裏金”聞き取り調査結果を公表 2/15
派閥の政治資金を巡る事件を受け自民党は安倍派と二階派の議員らを対象に行っていた「聞き取り調査」の結果を公表しました。
政治資金収支報告書に記載していなかった、いわゆる「裏金」をどの議員が何に使ったのかはわからない、匿名での公表となっています。
聞き取り調査は収支報告書に不記載があった安倍派と二階派の議員82人と自民党の8つの派閥や政策集団が対象で森山総務会長や渡海政調会長ら党幹部がおよそ1週間かけて実施しました。
調査結果の報告書は聞き取りに同席した外部の弁護士が20ページの報告書にまとめ、政治資金収支報告書に記載していなかった、いわゆる「裏金」の使い道と額を明らかにしています。
いわゆる「裏金」を使っていたと回答した議員らは53人いましたが、使い道は「会合費」「懇親費用」「書籍代」「人件費」「交通費」「使用していなかった」など、類型ごとにまとめるにとどまり、どの議員が何に使ったのかはわからない、匿名での公表となっています。
いわゆる「裏金」は現金や銀行口座で管理していたケースが大半で、現金の保管場所は事務所の金庫や引き出しなどだったということです。
「裏金化」の手法にはキックバック=還付方式と中抜き=留保方式の2つのタイプがあるとされ、前者は53人、後者は16人、両方が16人でした。
自らがキックバックや中抜きを認識していたのは32人で、このうち11人は収支報告書への不記載も認識していたということです。
11人は、いずれも安倍派の所属で「派閥からの指示で記載しなかった」と説明したということです。
また、安倍派の議員からは「派閥の上に立つ人間が責任を取らないといけない」などと、幹部らに対する不満が相次いだとしています。
一方、報告書では「安倍派では、いつ、どのようにして不記載が始まったのか判然としない」と説明した上で、「遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い」と指摘しています。
●岸田首相は、小手先ではなく、根本の政治改革を断行すべき 2/15
岸田文雄首相は、国会において政治とカネの問題で防戦の一方だが、派閥の解散表明をはじめとする動きのなかに、自身の任期をいかに伸ばせるかを考えているふしが見受けられる。
14日午前中の衆議院予算委員会で、自民党の小倉将信衆院議員から、政治資金の在り方などについて質問が行われた。岸田首相は安倍派など自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、派閥を含む政治団体に外部監査を義務づける法整備の必要性について言及した。
ただ、岸田首相は、政治団体の会計責任者が有罪になった場合に議員が失職する公職選挙法の「連座制」の導入については、慎重な議論が必要との認識を示している。
小倉議員は二階派に所属し、岸田政権において子ども政策や若者活躍、男女共同参画などの内閣府特命担当大臣を務めていた。
現在、自民党内で派閥の政治資金パーティー裏金事件への対応策を検討する刷新本部の事務局長を務めており、刷新本部では、3月に行われる自民党大会で党則の改正などを行うことを念頭に3つのワーキンググループを設置し、(1)政治資金に関する法整備、(2)党機能・ガバナンス強化、(3)党則などの見直しについて議論を進めている。
今日の岸田首相の答弁は、身内に質問を行わせ、政治改革を行っている姿勢を見せていると捉えるべきだろう。
自民党は全所属議員にアンケートを行ったが、野党は「不十分」として、衆議院政治倫理審査会(政倫審)の開催を要求しているが、14日の朝日新聞朝刊の1面で、岸田首相(自民党総裁)が政倫審の実施に応じる意向を固めたと報じられた。
このアンケートは、党所属の国会議員374人と次の衆議院選挙の立候補予定者となる支部長10人の、合わせて384人を対象に行われた。
アンケートでは、収支報告書に記載していなかった派閥のパーティー券収入があったかどうかと、あった場合は一昨年までの5年分の不記載金額を年ごとに記載するよう求めていた。
そのなかで、現職の国会議員82人と支部長3人の合わせて85人に、パーティー券収入の収支報告書への不記載や不正確な記載が見られた。
金額が最も多かったのは二階俊博元幹事長で3,526万円、次いで三ツ林裕己衆議院議員が2,954万円、萩生田光一前政調会長が2,728万円、武田良太元総務大臣は1,926万円で、上位10人以内に含まれる。ただ、池田佳隆議員や谷川弥一議員は、除名や離党しており含まれていないという中途半端なものであった。そして、そもそも裏金の使途や目的などは明らかになっていなかった。
政倫審を開催した場合、安倍派5人衆(松野博一、西村康稔、萩生田光一、高木毅、世耕弘成の各氏)や二階元幹事長を出席させることができるかどうかが焦点となる。
岸田首相が自民党内の勢力争いでの小手先の修正ではなく、根本的に政治の在り方を問い直すことをしなければ、国民の政治不信がますます強まることは間違いない。
同時に国民1人ひとりが、政治は自らの生活にかかわる問題と自覚して、来る衆議院解散総選挙をはじめとする選挙において投票を行い、国民の意思を示すことが何よりも求められる。
●23年GDP、独に抜かれ世界4位 10-12月実質年0.4%減、2期連続マイナス 2/15
内閣府が15日発表した2023年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.1%減、この成長が1年続いた場合の年率換算で0.4%減だった。マイナス成長は2四半期連続。23年通年で、国際比較に使われる名目GDPの実額がドイツに抜かれ、世界3位から4位に転落した。
岸田政権が目指す「デフレからの完全脱却」に向けて日本経済は正念場を迎えている。新藤義孝経済財政担当相は15日の記者会見で、日独逆転について「日本がさらなる構造改革や経済成長の新しいステージを一刻も早くつくらなければならない」と強調した。
23年10〜12月期の実質GDPの内訳は、過半を占める個人消費が0.2%減、設備投資は0.1%減と、いずれも3期連続のマイナス。昨年の春闘での賃上げは30年ぶりの高水準となったが、物価高を背景に実質賃金が低迷したほか、コロナ禍明けの需要回復が一服し、内需を圧迫したもようだ。
23年通年の名目GDPは前年比5.7%増の591兆4820億円(4兆2106億米ドル)。名目成長率は3年連続のプラスで、1991年(6.5%増)以来32年ぶりの高水準となり、実額も最高を記録した。ただ、大幅な円安の進行でドル換算のGDPが目減りし、ドイツの名目GDP(4兆4561億米ドル)を下回った。
●「足りないからよこせ」 岸田首相の納税呼びかけ答弁 「ふざけた政権」 2/15
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は15日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、岸田文雄首相が14日の衆院予算委員会で、16日から始まる所得税の確定申告を前に「法令にのっとり適切に申告、納税を行うようお願いしたい」と答弁したことを踏まえて「これほど国民を馬鹿にした話は無い」と投稿した。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件への対応に批判が集まる中での岸田首相の答弁を受け、「裏金さておき」としたメディア報道の見出しを引用しながら「これほど国民を馬鹿にした話は無い。日々税金を好き勝手に使い、醜く裏金化してきた反省も実態解明も一切せず、『足りないから金をよこせ』とは。こんなふざけた政権は一刻も早く引きずり下ろすべきである」とポストした。
首相の納税呼びかけ答弁に対しては、インターネット上でも怒りのコメントが殺到。「裏金さておき」「裏金さておき納税呼びかけ」「法令にのっとり適切に申告」「納税しろ」などの言葉が、次々にトレンドワードになっており、裏金事件への国民の不信感が高まる中、自民党の総裁という「当事者」である岸田首相の、人ごとのような答弁への怒りが高まっている。
●「盛山文科相の更迭」こそが旧統一教会の狙い… 2/15
リーク写真で政権を批判する朝日新聞と立憲民主党への違和感
盛山氏は旧統一教会の支援を受けた
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令を請求している盛山正仁文部科学相が、2021年10月の衆院選でその関連団体から推薦状を受け取り、その写真とともに、選挙支援を受けていた、と2月6日の朝日新聞が報じた。東京地裁での審問が始まる前に教団側が盛山文科相に「攻撃」を仕掛けたと言えよう。
立憲民主党が朝日新聞報道を基に国会などで盛山氏の説明と更迭を求め、岸田文雄首相の任命責任を問うているが、朝日新聞にリーク(情報提供)したのが旧統一教会の関連団体の可能性が極めて大きいことを踏まえれば、敵を間違えていないか、誰を利しているのか、冷静に考えてみたほうがいい。
盛山文科相は6日の衆院予算委員会で、立憲民主党の長妻昭政調会長が朝日新聞の報道の確認を求めたのに対し、「新聞で報道されている写真があるのなら、推薦状を受け取ったのではないかと思うが、改めて確認したところ、過去の衆院選に際して当該団体に選挙支援を依頼した事実はなく、事務所に活動報告があったことも確認できなかった」と答弁した。そのうえで「記憶がなかったので、自民党に対しても報告しなかった。旧統一教会との関係を断っており、引き続き解散命令請求の対応等に取り組んでいく」と反論した。
岸田首相「未来に向けて関係を断つ」
岸田文雄首相は、教団との関係について、「旧統一教会と関連団体との関係や過去を点検し、接点があった場合には説明責任を果たす、未来に向けて関係を断つことを徹底していく」と、これまでの方針を説明した。
続いて立民党の山岸一生衆院議員(元朝日新聞記者)が「これから盛山大臣は旧統一教会を相手に裁判を進めないといけない。公平な裁判を戦えない」などと更迭を求めたが、首相が「引き続き職責を果たしてもらいたい」と、これを拒否したのは当然だろう。
旧統一教会の解散命令をめぐっては、2月22日から東京地裁で国と教団の双方から意見を聞く審問が始まる。岸田首相にすれば、旧統一教会側がこの審問を前に仕掛けてきた朝日新聞へのリーク、教団側のお先棒を担ぐ立民党に、負けるわけにはいかないのである。
首相の脳裏にあるのは、朝日新聞が23年12月、自民党政調会長だった19年10月に党本部でギングリッチ元米下院議長と面談した際、旧統一教会の関連団体「天宙平和連合」のトップらが同席していた、と写真付きで報じたことだ。旧統一教会による被害者救済の法案が与野党修正協議を経て衆院本会議で可決された翌日というタイミングだった。
後日に参院で成立したその法案では、法人が霊感などの知見を使って不安を煽り、寄付が必要だと告げるなど個人を困惑させる不当な勧誘行為を禁止することなどが定められた。このため、法案を不服とする教団側が「異議申し立て」の意味でリークしたのではないか、とささやかれている。
盛山氏が旧統一教会解散命令を請求
今回、盛山文科相がこれと似通った形で旧統一教会の標的になったのは、言うまでもなく、23年10月に教団に対する解散命令を東京地裁に請求した所管大臣だからだ。文科省・文化庁が宗教法人法に基づいた質問権の行使、被害を受けた元信者らへの聞き取りなどによって、高額献金や組織運営などの実態調査を進めたことによる結論だった。
立憲民主党は、結果的に旧統一教会を利するとしても、岸田政権のイメージダウンを図ることを優先させたのだろう。朝日新聞と組んで、国会で盛山氏に波状攻撃を掛けた。他方で、盛山氏の答弁も曖昧で、しかも二転三転する。
7日の衆院予算委では、立民党の西村智奈美代表代行が、関連団体からの推薦状を受け取ったとされる写真を改めて示すと、盛山氏は「こういうことがあったのかなと、うすうす思い出してきた」と、答弁を修正した。
7日の朝日新聞は、盛山氏が「教団側と事実上の『政策協定』に当たる推薦確認書に署名したと関係者が証言した」と続報する。
西村氏がその報道の確認を求めると、盛山氏は「地元の有権者の方から集会をすると言われて行った。最後に急に推薦状の話が出て、実質的に選挙戦に入っていて、一つの会場からまた次の会場へと行っていた時期で、十分に内容をよく読むことなくサインしたのかもしれない」と答えた。
選挙に不安を抱えた政治家に、旧統一教会の関連団体「世界平和連合」が巧みに取り入っていることが見て取れる。
産経新聞社説「更迭をためらうな」
盛山氏は、国土交通官僚出身、田村元・元衆院議長の女婿だ。岸田派に属し、衆院兵庫1区選出で当選5回だが、選挙地盤は必ずしも安定せず、比例復活当選が2回を数える。
選挙に出た経験がある人や、選挙実務を担当したことがある記者にとっては、候補者が1票欲しさに相手をよく確かめずに支援を求めるというのは理解できるが、世間一般には分かってもらえない。
盛山氏は8、9両日の衆院予算委で、推薦状の受け取り、推薦確認書への署名について「はっきり覚えていない」「サインしたかどうかを含めて記憶にない」と突っ張った答弁を連発する。さらに、衆院選では各種団体から200通を超える推薦状があり、選挙後に「全て破棄した」と述べたことから、立民党や一部メディアの批判が強まる一因になる。
9日の産経新聞主張(社説)は「更迭をためらうな」と題し、「最大の問題は、自民党が全議員を対象に旧統一教会との関わりを調査した一昨年9月の『点検』で、盛山氏が『関連団体の会合に出席して挨拶した』とだけ回答したことにある。その時点で、旧統一教会関連団体から選挙で支援を受けていたときちんと明かしていれば、岸田文雄首相が、昨年9月の内閣改造で彼を文科相に起用することはなかっただろう」と指弾した。
そのうえで、「国会答弁もいただけない。推薦確認書への署名について7日、『内容をよく読むことなくサインしたかもしれない』と述べたが、8日には『正直覚えていない』と修正した」「政策に関する支援者との約束を『覚えていない』のなら政治家として失格である」などと厳しく追及した。
朝日と週刊新潮に同一写真が載った意味
これには違和感を覚えた。盛山氏を更迭などしたら、旧統一教会とそのグルにも見える朝日新聞、立憲民主党の思う壺ではないか。
メディアの長年の「不作為」を棚に上げての批判もいかがなものか。旧統一教会が献金などの問題を抱えていることが報道されたのは、22年7月に安倍晋三元首相が信者の関係者に銃殺された事件以降である。
それ以前の選挙の際、どのメディアも教団の問題性を指摘してはいない。教団側が政治家に「世界平和連合」を名乗り、旧統一教会とのつながりも判明していない時期の話ではないか。選挙期間中に交わした支援者との約束を覚えていなくとも不思議はない。
8日発売の週刊新潮が、盛山氏が旧統一教会の関連団体から推薦状を受け取ったという写真を掲載し、それが朝日新聞と同一写真だったことから、政府・自民党内やほかのメディアの受け止め方がやや変化した。これは教団側からの意図的リークの可能性が極めて大きいことを意味するからだ。
林氏「旧統一教会に賛同していない」
その週刊新潮によって、政権中枢の林芳正官房長官(岸田派座長)まで旧統一教会側の標的になったことで、岸田首相が戦闘モードを高めた、と周辺が受け止めた。
林氏については、参院から鞍替えした21年の衆院選前の9月に元秘書の山口県宇部市長のセッティングで平和連合事務総長らと地元事務所で会談し、必勝祈願の千羽鶴を手渡された、と報じられた。
これに関連し、9日の朝日新聞が、旧統一教会関係者が面会時、林氏に推薦確認書を提示し、選挙支援を申し出ていたと報道した。
林氏は9日の記者会見で「私は政策協定や推薦確認書といったものに署名していない。旧統一教会および関連団体の掲げる方針に一切賛同していない」と関係を否定した。面会については「相手方が旧統一教会関連団体の関係者であるという認識はなく、多数ある面会の一つだった」と説明している。
「地方の教団幹部によるリークだ」
旧統一教会を長年取材、追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏は、9日の日刊ゲンダイデジタルで、リークの意図とルートについて、こう解説している。
「岸田氏と教団幹部との面会が昨年末に報じられたのは、解散請求に激怒した韓国本部の意趣返し。日本の頭越しにリークしたと聞くが、盛山氏や林氏については違うラインから漏れている。手のひら返しと言える政権の動きにカンカンの教団は岸田派への攻撃を強めている」
「盛山氏と林氏の件は地方の教団幹部によるリークで、日本本部は黙認しているようだ。自民の党員獲得ノルマは比例復活組ほど厳しく、教団はその面でも盛山氏を支えてきた。党の点検でウヤムヤにせず、第三者委員会を設けて徹底調査し、関係を明らかにしない限り、この問題は終わらない」
確かに党員獲得への旧統一教会の協力については解明されていない。過去の接点についてはきちんと洗い出す必要があるだろう。
こうした持ちつ持たれつの関係は、22年7月の安倍元首相銃撃事件後、教団のいろいろな問題が明るみに出たことで破綻し、自民党は旧統一教会とは未来に向けて決別する方針を打ち出している。
文科相としての適格性は、教団側との「政策協定」などによって行政に影響を与えたかどうかで判断すべきで、盛山氏が便宜供与を図ったなどという証拠は示されていない。
旧統一教会とどう戦っていくのか
産経新聞は10日の紙面では、岸田首相が9日の衆院予算委で盛山氏の更迭を改めて否定し、「解散命令請求が行われ、手続が大きく進んだ」と強調したと伝えたうえで、内心に踏み込んで「政策がゆがめられたわけでもなく、盛山氏の更迭はむしろ教団を利する可能性があると考えている」と報じている。
統一教会の関連団体関係者と政治家との写真は、教団の政治力や求心力を高め、信者を繋ぎとめるために使われてきた。一方で政治家は選挙で推薦しましょう、写真を撮りましょう、と言われて断らない人種だ。この手の写真は教団にいくらでもあるだろう。今後も教団側が政府・自民党の対応に不満を覚えれば、次々と過去の接点を示す推薦状や写真をリークしてくることが予想される。
こうした旧統一教会の関連団体とどう戦っていくのかが、問われなければならないのではないか。
●国民民主の変化を評価 前原氏 2/15
教育無償化を実現する会の前原誠司代表は15日の記者会見で、国民民主党が岸田政権との対決姿勢を強めつつあることについて、「今までの自公(政権)との協調路線から転じたことはよかった」と評価した。前原氏は、国民の玉木雄一郎代表の路線に反発して同党に離党届を提出、昨年12月に除籍された。
●内閣支持16.9%、最低更新=不支持初の6割台―時事世論調査 2/15
時事通信が9〜12日に実施した2月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の16.9%となり、発足以来の過去最低を更新した。不支持率は同6.4ポイント増の60.4%で、初めて6割を超えた。
支持率は、2012年12月の自民党の政権復帰後で最低。「危険水域」とされる2割台以下は7カ月連続で、直近3カ月は1割台に落ち込む。一方、不支持率が6割台に達するのは安倍内閣の20年5月以来。自民党派閥の裏金事件などが影響したとみられる。
自民党の政党支持率は前月比1.7ポイント増の16.3%。過去最低を記録した1月から微増したものの、4カ月連続で1割台と低迷が続いている。
自民党は先に、政治改革の中間取りまとめを決定。派閥について、政治資金パーティー開催や人事関与を禁じたが、政策集団としての存続は認めた。この内容を「評価しない」は67.3%で、「評価する」の14.1%を大きく上回った。
派閥の存廃については、「解散すべきだ」が63.8%。「存続すべきだ」は10.3%にとどまった。
能登半島地震の政府対応は、「評価する」29.6%(前月比2.4ポイント減)、「評価しない」37.6%(同2.9ポイント増)だった。
内閣を支持しない理由(複数回答)は「期待が持てない」36.9%がトップ。「政策がだめ」26.8%、「首相を信頼できない」25.1%と続いた。支持する理由(同)は「他に適当な人がいない」8.4%が最も多かった。
政党支持率は自民党が首位で、立憲民主党4.1%(前月比0.6ポイント増)、公明党3.6%(同0.5ポイント増)、日本維新の会3.3%(同0.5ポイント減)の順。23年ぶりにトップが交代した共産党は0.5ポイント増の2.4%だった。以下、れいわ新選組0.9%、国民民主党0.4%、社民党0.3%、参政党0.3%で、教育無償化を実現する会はゼロ。「支持政党なし」は64.7%。
調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は59.1%。  
●「派閥からの指示」 自民、裏金事件で91人分のヒアリング結果公表 2/15
派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受け、自民党は15日、組織的に裏金を作っていた安倍派と、政治資金収支報告書への巨額不記載が判明した二階派の各議員らに対する聞き取り調査(ヒアリング)の報告書を発表した。裏金作りの始まった時期について、「場合によっては20年以上前から行われていたこともうかがわれる」と記した。
ヒアリングは、森山裕総務会長を座長とする複数の党幹部や弁護士らで構成する調査チームが担当し、現職国会議員82人と選挙区支部長3人の計85人を中心に行った。このうち79人が安倍派で、6人が二階派(二階俊博会長)で、事件に無関与の派閥幹部にも聞き取りした結果、ヒアリング対象は総計91人となった。
調査結果によると、85人のうち32人が還付金(キックバック)や留保金(中抜き)であることを事前に把握しており、このうち11人が政治資金規正法では記載すべきだったことを認識していたという。
不記載の理由については「派閥事務局から収支報告する必要はないと言われていたのを信じていた」など、派閥の関与を示すものが複数あった。還付金などを認識していなかったケースでは、「派閥の事務所から秘書などに対し、記載しないようにとの指示、説明があった」との回答もあった。
このほかの理由としては、「派閥のお金だという認識」「スタッフに任せており、通帳や帳簿のチェックが不十分だった」「自分たちが汗をかいて集めてきたお金で、派閥のお金という感覚がなかった」などが並んだ。
ほか、今回の裏金事件に対するヒアリング対象者の「所信」には、「秘書の『大丈夫です』という言葉のみで済ませていたことは良くなかった」「力のある議員に対してもおかしいと言っていかないといけない」などの反省の弁のほか、「派閥なら派閥らしく、トップが腹を据えるべき」「派閥の若手議員よりも重鎮議員の方の危機意識が低かった」など、派閥幹部への憤りを示すものがあった。
核心迫れず 派閥幹部批判も
自民党が15日公表した裏金事件をめぐる聞き取り調査の報告書には、裏金作りにかかわった議員の生々しい証言が並びはした。ただ、使い道の詳細は明らかにならず、派閥からの還流が始まった経緯についても核心までには迫れていない。
報告書は、派閥の政治資金パーティーを通じて裏金を作った現職議員ら85人の手法を分析。ノルマ超過分を含めていったん全額を派閥に収めた後に還流を受ける「還付方式」のみは53人、ノルマ超過分を手元に残して中抜きした「留保方式」のみは16人、還付・留保2方式を組み合わせたのは16人とした。
還流の存在を認識していたのは32人。このうち、政治資金収支報告書に記載がないことを認識していたのは11人で、いずれも安倍派だった。
裏金の管理者は議員本人が12人、秘書や事務所担当者が73人だった。管理方法は現金39人、銀行口座30人、現金及び口座12人、不明4人とした。
還付金を使用していたのは53人。使い道については会合費▽懇親費用▽事務費▽車両購入費▽書籍代▽人件費▽通信費▽手土産代▽弁当代――などと並べたが、政治活動での使用か私的流用かを区別できるほどの詳しい記述はなかった。
報告書は、裏金作りの経緯について、安倍派幹部への聞き取り調査では「不明」と記述。一方で「30年くらい前」「二十数年前」などと推測する安倍派議員の声を並べた上で、「具体的にいつどのようにして始まったのかは判然としないが、遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い(場合によっては20年以上前から行われていたこともうかがわれる)」と記した。
●自民・萩生田氏「私が話せることか、分からなければ対応できない」 2/15
裏金事件を引き起こした自民党安倍派の萩生田光一・前党政調会長は15日、野党が出席を求めている政治倫理審査会(政倫審)について「どういう話をする必要があるのか、私が話せることなのか、分からなければ対応できない」と述べ、条件次第で判断する考えを示した。朝日新聞の取材に語った。
萩生田氏は「出席の明確な基準が公表され、その対象になるのであれば出席を拒むものではない」と述べた。野党は、萩生田氏ら安倍派幹部の「5人衆」や、3千万円を超える不記載があった二階俊博元幹事長らの出席を求めている。岸田文雄首相は、政倫審の開催に応じる意向を固めており、自民の御法川信英国会対策委員長代理も「野党の要請もあり、しっかり対応する。遠からず結論を出す」と述べている。
ただ、安倍派幹部はこれまで政倫審出席にいずれも否定的。松野博一・前官房長官も「総合的に判断したい」と述べている。

 

●能登半島地震の死者、1人減り241人に 2/16
石川県は16日、能登半島地震で確認された死者のうち輪島市の1人を、誤って2人分として計上していたと明らかにした。死者数は1人減り、同日午後2時現在で241人になった。
●輪島の港 土砂を取り除く工事始まる 海底隆起で漁船出られず 2/16
能登半島地震の影響で海底の地盤が隆起し漁船が出られなくなっている石川県輪島市の港で、漁業の再開に向けて、16日から港の底の土砂を取り除く工事が始まりました。
輪島港は地震で海底の地盤が隆起し十分な水深が確保できず、およそ200隻ある漁船が港から出られない状態が続いています。
こうした状況の中で国土交通省北陸地方整備局は、漁業の再開に向けて船が移動できる深さを確保するため海底の土砂を取り除く工事を16日から始めました。
16日は港から出られなくなっている船を一時的に移動させておく場所で作業を行い、クレーン船のバケットを使って海底から土砂をすくい上げ、横づけした別の船に積んでいきました。
今回の工事では、港の水深が浅くなってしまった場所を1メートルから2メートル程度掘り下げ、2.5メートルから3メートルの深さを確保する計画だということです。
北陸地方整備局能登港湾空港復興推進室の美野智彦室長は「今回の作業は漁業の再開に向けて重要だ。一刻も早く漁船が移動できるように作業を進めていきたい」と話していました。
国は、津波の被害を受けた珠洲市の飯田港でも2月下旬から転覆した漁船の引揚げ作業を行うということです。
●能登半島地震から1か月半 震度5強以上が発生しやすい状況 2/16
元日に最大震度7を観測した能登半島地震から1か月半が経過しましたが、能登地方を中心に依然として活発な地震活動が続いています。
気象庁によりますと、最大震度7の揺れを観測した先月1日の能登半島地震以降、能登地方などを震源とする震度1以上の地震は16日正午までに1651回発生しています。
地震の回数は増減を繰り返しながら緩やかに減少していますが、石川県能登地方では今月9日からの1週間で震度1以上の地震が40回発生するなど、地震活動は依然として活発な状態だということです。
このため、最大震度5強や6弱以上の地震が平常時と比べて発生しやすい状況であるため、気象庁は今後1週間から2週間程度、最大震度5弱程度以上の地震に引き続き注意するように呼びかけています。
また、海底で規模の大きな地震が発生した場合は、津波にも注意してほしいとしています。
●高橋英樹さん、裏金問題に「なにがなんだか」 確定申告スタート 2/16
2023年分の所得税の確定申告が16日、全国の税務署などで一斉に始まった。消費税のインボイス(適格請求書)制度が昨年10月に導入されてから初めての確定申告となる。売上高1千万円以下で免税事業者だった人も、10月1日に制度に登録した人は12月末までの3カ月分の消費税の申告が必要だ。
品川税務署(東京都港区)にはこの日、俳優の高橋英樹さん(80)が訪れ、タブレット端末を操作して電子申告「e―(イー)Tax(タックス)」を体験した。高橋さんは「あまりの簡単さに驚いた」と話した。自民党派閥の裏金問題については「なにがなんだか。理解しにくいですね」。妻の美恵子さんは「正しく納税をしていただきたい。私たちも正しく納税をしましょう」と話した。
確定申告の期限は、所得税と贈与税が3月15日、個人事業者の消費税が4月1日まで。
●石原伸晃氏「領収書は100円単位でいいのでは」 橋下徹氏「国民はインボイス制度で1円からだ」 自民派閥の“裏金問題”めぐり 2/16
自民党派閥の裏金問題をめぐり、10日の『NewsBAR橋下』で橋下徹氏と元自民党幹事長の石原伸晃氏が議論を交わした。
橋下氏は「伸晃さんがテレビで“(少額の)領収書を1枚も2枚も取ってられるか”みたいな話をされていて、よく言ったなと思った」とコメント。
石原氏は「税理士を雇うのに40万円ぐらいかかる。私なんかはわりと役職をやらせてもらったのですぐ対象者になり、毎年その労力たるや。常識的には(領収書を出すのは)100円単位でいいのでは」との考えを述べる。
これに橋下氏は「我々国民はインボイス制度で1円から全部やらないといけない。これは税務署が見るわけだが、政治家は見られないような特権がある。アメリカでもイギリスでも第三者機関でチェックを受けるが、それを設けないというのは国会議員が選択していることだ」と指摘。
石原氏は「それを特権と見るか、政治活動にかかるお金と見るか。1円というのは非常識だと思う。鉛筆だって買えない。ただ、税務署を政治にコミットさせるのはどうなのかというのは、1つ議論の対象になると思う。第三者機関のほうがいいと思うが、アメリカは州の連合体だから横断的なものを作っているわけで、日本でそれを作るコストと扱われる金額が見合うかだ」と答えた。
また、「遵法精神さえあればこんな問題は起こらない。それがない人間がたくさん出たから国民は怒っているわけで、政治家がしっかりケジメをつけること。そして、政治資金をこれからどう扱っていくのか。“税金と一緒にしろ”“税務署に見せろ”といったのは主だった意見だけど、与野党でコンセンサスを得ないとダメだと思う」とも述べた。
橋下氏が「政治の信頼があるならいいが、こうなった以上は…」と投げかけると、石原氏は「そこは与党の責任だ。今橋下さんが言ったことは、与党から言い出さないといけない。野党が言ってきたら、与党は絶対ノーと言うだろう。裏金化したお金を“とっておくためだ”というのは説得力がないし、“雑所得かどうか”と国税庁に言うのは詮無いこと。そういうことも含めて変えたほうがいい」とした。
伸晃氏「(票は)ぐちゃぐちゃになる」
橋下氏は「“秘書の責任だ”“事務局に言われた”と言って、なぜ誰も議員を辞めないのか。辞めて次また選挙に出るというやり方もあるわけで、こんな事態になったら民間で不祥事を起こしても辞めなくなる」と指摘する。
これに石原氏は「小選挙区だから。選挙制度が悪い」と返す。「小選挙区は党の候補が1人。無所属になると宣伝活動費についても大きな差があるから、必死になるわけだ。(無所属になったら)もう通らないのはわかっているから、“秘書が”と言わざるを得ない。河野洋平元衆院議長が“(政治改革は)失敗だった”と、推し進めた当時の総裁が言っているんだから間違いない」。
では、この先政権交代はありうるのか。「(票は)ぐちゃぐちゃになる。今度チャンスがあるとしたら維新だけだ。細部の変な人はたくさんいるけど、維新は保守。やはり日本人は保守だから。ただ、橋下さんみたいなスターがいない」との見方を示す。
橋下氏は「野党も支持率が上がらないのは、自分たちも領収書を公開しないお金を持ちたいから。ここを攻めきれないので、選挙になっても野党が本当に票を取れるかどうかはわからない」とした。
●裏金問題で岸田首相を断罪「国民感情を逆なでる天才的な空気感の読めなさ」 2/16
タレントの長嶋一茂が16日、「モーニングショー」に出演。自民党の派閥をめぐる裏金の聞き取り調査結果を受けて、自民党幹部をバッサリ切った。
自民党は15日に裏金の聞き取り調査結果を公表。調査は現職議員91人に行われ、回答は匿名とした。調査に対し議員らからは「派閥事務局から収支報告する必要はないと言われたのを信じていた」、「派閥から記載しないでほしい記載するとほかの議員に迷惑がかかると言われた」といった回答があったといい、キックバックされた金を使ったのは53人で、会合費、人件費、旅費、交通費に使い、違法な支出はなかったという。
この調査結果に長嶋は「政治家にまつわるお金、曖昧でいいんですねってことになっちゃうんですね。僕らはキッチリ確定申告してくださいって不平等性、本当に何か今後おきるんじゃないですかね」と不満を募らせた。
また、政治資金収支報告書に未記載だったことには、「例えばキャバクラ行きましたと。10人くらいでいって、何か政策論争して、何か政策案を出して、それが国民のためにこういうことで還元されましたって、ちゃんと書けばそれでいいと思うんですよ」と指摘。
また、未記載で使途不明となっている金について、森山裕総務会長が「政治資金としてみなさん処理しておられますから、所得税の関係は発生しないと理解しています」とコメントしたことには「今後もずっと使途不明金は曖昧にしますよって森山さんが言っちゃってるって、この時代に逆行してる」と怒りをぶつけると、自民党総裁でもある岸田首相にも「国民感情を逆なでる天才的な空気感の読めなさ、本当にビックリですよ」と断罪した。
●「税金一揆起きる」「脱税天国」裏金問題で野党追及 政倫審開催へ初協議… 2/16
自民党の派閥の政治資金問題をめぐり、野党側は、16日から確定申告が始まったことを受け、いわゆる裏金づくりは脱税にあたると追及している。国会記者会館から、フジテレビ政治部・鈴木杏実記者が中継でお伝えする。
確定申告について、岸田首相が国民に適切な納税を求める中、野党側は、裏金問題への不信感から「税金一揆だ」と強く非難した。
立憲民主党・江田憲司議員「まさにきょうは、確定申告のスタートする初日です。この問題に対する、特に国税庁の対応を間違うと、税金一揆まで起こるのではないか」
鈴木財務相「大変、国民から強い憤りが寄せられていることは、実感として感じている。丁寧な対応をしていく必要がある」
立憲民主党・江田憲司議員「こんな答弁で許されたらね、脱税天国を許すってことですよ」
一方、与党は16日午前から、安倍派の議員らに説明を求める、政倫審の開催に向けた初の協議を行っている。
高木前国対委員長など、一部の安倍派幹部は、出席の意向を明らかにしていないが、自民党が15日に公表した調査報告書に、党内からは「使い道の詳細がわからず、説明させないと自民党が持たない」との危機感が広がっている。
政倫審の与野党の幹事はこのあと、この問題で初の協議を行う。
●書籍を「爆買い」していた二階俊博氏、モヤモヤ感は晴れるどころか… 2/16
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、二階俊博・元党幹事長(84)の資金管理団体が訂正した政治資金収支報告書が議論を呼んでいる。2020〜22年の3年間で、計約3500万円もの書籍代の支出を追加したためだ。二階氏側は14日になって、書籍代の内訳と領収書を公表したが、内容を見ると疑問は膨らむばかり。説明責任を果たしたと言えるだろうか。
17タイトル3万冊に3500万円
二階氏の政治資金管理団体「新政経研究会」は裏金事件発覚後の先月、2020〜22年分の収支報告書を訂正。今月14日になって、二階事務所は自民党本部の記者クラブ宛てに「政治資金の使途について」という題名の説明文と書籍購入時の領収書などを公表した。
領収書や明細書によると、3年間で約3500万円の「爆買い」をした書籍は17書籍、3万冊近くに上る。
書籍別最高額は「ナンバー2の美学 二階俊博の本心」。21年1月27日、国会内のりそな銀行支店から5000冊分計1045万円が、出版した財界通信社(東京)に振り込まれた。その1分前には、和歌山放送が手掛けた「地元メディアが見た二階俊博 力の源泉」の3000冊分275万円が同放送に振り込まれていた。
購入経緯は2パターンと説明
二階事務所の説明文によると、購入経緯は出版社側から買い取りを提案されたケースと、政治家や関係者から著書を紹介されて購入したケースがあるという。
和歌山放送の中村栄三社長は「地元放送局として、二階氏が中国の習近平国家主席に会った時などに随行して伝えてきた。書籍化をしたため二階氏側に購入を打診した」と明かす。
「政権奪取秘史」の出版社で、21年3月に3000冊分475万円の支出を受けたさくら舎(同)の古屋信吾代表は「著者の大下英治さんを介して購入してもらった」と話す。
図書館の本棚142個分
それにしても計3500万円とは巨額だ。二階氏の地元和歌山県御坊市によると、市立図書館の本年度運営予算は1600万円。2年分の予算に相当する。また、計3万冊近くの書籍は保管だけでも大変そうだ。
図書館用品を専門に扱う「キハラ株式会社」(同)の担当者は「図書館の棚は1段で約35冊入り、高さ6段が一般的。単純計算で図書館の本棚が142個分必要になる」と話す。
二階氏の著書の印刷を請け負ったことがある中和印刷紙器会社(和歌山市)の担当者は「御坊の事務所に大量の本が平積みされているのを見たことがある」と話す。「二階さんは高校時代は新聞部。活字へのこだわりを感じる」と語る。
関係の深い「小池百合子」本も
購入書籍の多くは自身の政治家人生を扱った本だが、関係の深い政治家の本も。目を引くのが大下英治氏が書いた「小池百合子の大義と共感」。小池氏が再選を果たした20年の東京都知事選後に3000冊、396万円かけて購入。かねて二階、小池両氏の距離は近く、選挙戦の「慰労」の意味か。
二階事務所の説明文では、購入書籍は「政策広報」のため「選挙区外の関係者に配布」したと強調している。選挙区内の有権者に配れば寄付扱いとして公選法違反になる恐れがあることを警戒したのか。
「研さん用」というより「宣伝広告費」
いずれにせよ、研さんを積むための書籍代というより「宣伝広告費」ではないか。正当な支出なら、なぜ最初から報告しないのか。
もやもやを解消しようと、「こちら特報部」は15日、二階事務所に質問状をファクスした。だが、回答時間が限られているとして「記者クラブ宛てにコメントを出しているので、それをご覧ください」という書面での素っ気ない答えしか返ってこなかった。
本当に裏金から支出していたのか
これほどの大量の本を購入することは、政治家にとっては珍しくないのだろうか。元特捜部検事で国会議員秘書の経験もある坂根義範弁護士は「一般的には3500万円分も書籍を購入して読むのかと疑問を持たれるのかもしれないが、永田町ではあり得る話だ」と明かす。特に二階氏の場合は、派閥のトップであり、所属議員の書籍をまとめて購入することも考えられるとし「自分の政治活動の周知、派閥拡大のため各地で配布するなどしていたのかもしれない」と話す。
一方で「書籍代の支出が、自民党のアンケートで判明した二階氏側への裏金約3500万円に、本当に対応しているのかは別問題。報告義務のない調査研究広報滞在費(旧文通費)から支出したのに、つじつまを合わせるため裏金の使途として付け替えた可能性もある。それができる政治資金規正法の緩さがある」と問題点を指摘する。
訂正時の支出先は「不明」でも通ってしまう
自民党議員の収支報告書の訂正内容が問題視されたのは二階氏だけではない。安倍派の萩生田光一前政調会長が代表を務める政党支部は、3年間で派閥からの寄付計1952万円を収入として追加する一方、それに対する支出の具体的内容の多くを「不明」とした。同派の事務総長を務めた高木毅衆院議員の資金管理団体の収支報告書も、訂正した支出の額や相手先の多くが「不明」だった。
総務省政治資金課の担当者は「政治資金規正法には訂正については特段の定めがない。報告書の内容は事実に即して記載されるべきものであり、政治団体から訂正の申し出があれば認める」と説明する。訂正内容の真偽や「不明」の具体的内容について、提出先の総務省や都道府県選管がチェックすることはない。
独立した行政機関がないことには
「結局、報告書上で数字の帳尻が合っていれば、それ以上のことはわからない。そこに現行法の限界がある」と話すのは、日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)。国会議員関係の政治団体に適用する政治資金監査制度があるが、訂正時の監査は求められておらず、「今後の議論になる」と岩井氏。さらに「報告書への不記載に対し、政治家本人の責任を問う連座制を導入するためにも、独立した行政機関が必要だ」と訴える。
ただ、政権や自民党の踏み込みは甘い。14日に行われた衆院予算委員会の集中審議で、二階氏の報告書訂正について問われた岸田文雄首相は「事情を知る関係者による明確な説明が必要」と正面からの回答を避けた。同党が公表したアンケート結果で現職国会議員82人の不記載や誤記載の金額が明らかになったが、裏金の使い道などを問う質問はなく、野党から批判が集まる。開催が検討されている政治倫理審査会への関係議員の出席も不透明だ。
世論の関心が移るのを待っている?
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「ひと言で言えば、やったふり。内輪による調査で全容が明らかになるはずがなく、本気度が疑われる」と批判する。岸田首相は、裏金問題への対応として派閥の解消を表明するとともに、政治資金規正法改正にも言及する。だが伊藤氏は「岸田氏は先頭に立つとしながら、具体的にどこを向いているのかがわからない。改正案は小手先以下のものとなりかねない」と懸念し、こう強調する。「野党やメディアの追及が長引き『これ以外にもやるべきことがあるだろう』というムードが高まるのを待っているのだろう」
デスクメモ
3500万円の金額に見合う政策広報の効果が本当にあったのかと、こちら特報部は二階事務所に見解を尋ねたが、具体的回答はなかった。記者会見も開かず、書面だけで終え、時が過ぎるのを待つのか。「家が一軒建つ」とやゆされるほどの支出の説明としてはあまりに不十分だ。
●派閥指示・秘書のせい…言い訳オンパレード 「裏金」聞き取り報告書 2/16
「不明朗な金銭」だと思い手を付けずに保管していた――。派閥の指示から外れたことはできない――。秘書のせい――。自民党が15日発表した派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る聞き取り報告書には、裏金を受け取った議員らの「言い訳」が延々と記されていた。実名では支障があると思ったのか、発言は全て匿名とされた。
報告書によると、派閥からパーティー収入のキックバック(還流)などで裏金を受けていた安倍派と二階派の議員・支部長計85人のうち、39人が現金のみで管理していた。銀行口座管理は30人、現金及び銀行口座は12人、不明は4人だった。現金の保管場所は「事務所の金庫」「鍵のかかった事務所の引き出し」「専用の箱」などだったという。
また85人のうち、裏金を「使用していなかった」と答えた人は31人に上った。このうち13人は「不明朗な金銭だったから」との趣旨を回答。「気持ち悪いと思っていたので使わなかった」「秘書が使うと危ないと考えて、受領した現金をそのまま保管していた」「『裏金』みたいなものではないかと思い、全額残した」などとの声も付記された。
これらの証言に基づけば、かなりの数の議員らが還流資金などの危険性を前々から認識しつつ、具体的な是正の動きにはつなげられなかったことになる。「派閥に返金しようとしているが、まだ手続きが分からないと言われているので早く決めてほしい」との発言も紹介された。
一方、裏金を「政治活動費以外に用いた」「違法な使途に使用した」と答えた人は一人もいなかったという。
自民党の報告書には裏金を使わずに保管してきた議員らの発言も掲載されていた=2024年2月15日、宮島寛撮影
調査対象となった5年間の1人当たりの裏金額は、最高で3526万円。101万円以上は67人に上る。議員事務所の実情をよく知る自民関係者は取材に対し、多額の現金保管は一般的ではないとした上で「領収書がなくてまともな収支報告書の訂正ができず、現金で持っていたことにする事務所があったとしてもおかしくない」と述べた。政治資金は原則非課税だが、仮に私的利用があった場合「脱税」の疑惑がかかる。自民関係者は「現金なら後でいくらでも帳尻を合わせられるから」とも語った。
報告書には、収支報告書に記載してこなかった理由について「派閥から記載するなと言われたものを記載するわけがない」「派閥のルールを踏襲したとはいえ、言われるままに唯々諾々と、自分でリーガルチェックせずに来てしまったことは申し訳ない」といった発言も紹介された。「派閥の上に立つ人間が責任をとらないといけない」など、派閥幹部の責任を追及する声も多数記された。
併せてこうした発言も載せられた。「秘書の『大丈夫です』という言葉のみで済ませていたことは良くなかった。今後はより透明性を持たせなければならない」
●裏金問題で「税金一揆が起こる」と野党議員迫るも…国税ヤル気ゼロ 2/16
「自民党の派閥の裏金問題、どうしてこんなことが起こったのか。国民の怒りは怒髪天です」「どうして脱税にならないのか、どうして犯罪にならないのか。このままだと、税務署の窓口で大混乱が起きるのではないか。税金一揆が起こるのではないか」
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、16日午前の衆院財務金融委員会で、怒りの声を張り上げていたのが立憲民主党の江田憲司議員(67)だった。
江田氏はこの日から、2023年分の所得税の確定申告の受け付けが始まったのを受け、「この(裏金)問題に対する(国税庁の)対応を間違えると大変なことになる」として、国税当局が裏金議員らに対する税務調査を実施するべきだと主張。
さらに、江田氏は都道府県選挙管理委員会の多くが公表している政治資金をめぐる課税、非課税の考え方に関する資料を示し、記載されている「得た収入を政治活動以外のために使用するような場合については、当然に課税の対象となりますし、また、政治団体が得た収入をその構成員で分配するなどした場合については、その受取者において課税されることとなります」との部分を引用。安倍派や二階派で行われてきた派閥パーティーの各議員へのキックバックはこの事例に当てはまる行為として、「国税庁は看過するのか」と迫った。
日本が「脱税天国」になりかねないと懸念する国民は少なくないのでは…
裏金事件を巡っては、すでに市民団体が所得税法違反(脱税)の疑いで、安倍派幹部ら10人に対する告発状を東京地検に提出。岸田文雄首相(66)が衆院予算委で、脱税との見方が出ていることについて、「検察は処理すべきものは厳正に処理した。課税は国税庁などが判断すべき課題だ」と答弁していることから、税務当局の対応に注目が集まっていた。
このため、江田氏も国税庁に「当然、税務調査に入るのでしょうね」と何度も確認したのだが、答弁に立った国税庁次長は「一般論として、政治家個人が政党から政治資金の提供を受けた場合には、所得税の課税上の雑所得の収入」とは言うものの、それ以上は踏み込まず、「適切に対応」を繰り返すばかりだった。
「国税には全くやる気がない。こんなことで済むのか」。税務当局の煮え切らない態度に江田氏がいらだちを募らせていたが、無理もない。自民党が15日に公表した、安倍・二階両派など8派閥・グループの国会議員、担当者ら91人を対象に実施した聞き取り調査によると、不記載は「判然としないものの、遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い」と常態化が指摘され、裏金を「使用していなかった」と回答した31人のうち、13人が「不明朗な金銭だったから」と答えているからだ。
つまり、多くの議員が「怪しいカネ」と分かった上で保管(貯蓄)し続けていたのであり、これが課税上の雑所得と判断されないのであれば、なんでもアリになりかねない。
安倍派では派閥からのキックバックは金融機関の口座経由ではなく、各議員の秘書らに手渡ししていたとも報じられている。これは資金の流れが表面化しないように“証拠隠し”が行われていたと疑われても仕方がない。
江田氏が危惧する通り、このまま日本が「脱税天国」になりかねないと懸念する国民は少なくない。
●確定申告スタートも…自民党の裏金問題に対して納税者から不満の声相次ぐ 2/16
16日から所得税などの確定申告が始まりました。名古屋市中村区の特設会場は、スマホを使った申告のアドバイスが受けられるブースが、朝からほぼ全て埋まる混雑ぶりでした。2024年はインボイス制度の導入で初めて消費税についての申告をする人も多くなると予想され、この会場では整理券による入場制限もありました。岸田総理は14日、「それぞれの納税者の皆さま方に、法令にのっとり適切に申告・納税を行っていただくようお願い申し上げたい」と国会でよびかけていて、野党が「脱税」の疑いを指摘する自民党の裏金問題に対し、納税者からも不満の声が相次ぎました。
申告に来た男性 「呼びかけている人自身が、きちんとよく対応していないですね。個人だと1円単位まで不明金を出せば課税されますでしょ。不公平ですわな。(私は)馬鹿正直に来ていますけども」
申告に来た別の男性 「僕らもこういう状態だもんで、もうちょっと正してほしいと思います。国会議員の方も国民と一緒の扱いをしていただきたいです」  
所得税と贈与税は3月15日まで、消費税は4月1日までが申告の期限となっています。
●自民キックバック不記載51人全員の出席 衆院政倫審の幹事懇で野党側要求 2/16
自民党の派閥の政治資金事件を巡り、与野党は16日、衆院政治倫理審査会(政倫審)の幹事が協議し、野党側は、キックバックの不記載が判明した衆院議員51人全員の出席を要求した。
派閥パーティー収入のキックバックについて、安倍派・二階派の幹部らによる弁明を求めている立憲民主党など野党は、政倫審を開催するよう13日に田中審査会長に申し入れを行っていた。
与野党で対応協議するため、政倫審の幹事懇談会が、16日午後、国会内で開催。
野党側は、キックバックの不記載が判明した自民党の衆院議員51人について、全員が政倫審に出席することを要望し、各議員に出席するかの意思の確認をするよう求めた。
特に、安倍派・二階派の幹部は必ず出席するよう要求した。
また、収支報告書の訂正を済ませている議員、済ませていない議員を整理することも要望。
さらに、キックバックの存在を知っていた議員などについて、氏名を明らかにするよう求めた。
与党側は、検討した上で回答するとした。
●派閥からの還付金(キックバック)の税務上の扱いに関する質問主意書の答弁 2/16
   衆議院議員江田憲司君提出派閥からの還付金(キックバック)の
   税務上の扱いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
      内閣総理大臣 岸田文雄
問1、派閥(「その他政治団体」)が、政治団体の政治資金収支報告書に記載しないことを前提に、あるいは記載しないことを指示し、所属議員にパーティー(事業)収入の一部を還付した場合、仮に、派閥が政治活動に使用する趣旨で交付したとしても、その還付金は、本来、記載してはじめて非課税になる当該議員の政治団体への寄附ではなく、派閥から当該議員個人への寄附、すなわち、課税すべき雑所得とみなすべきではないか。
問3、去る一月二十九日の参議院予算委員会において、国税庁次長は、「政治資金で政治家個人が受領したものは、その残額がある場合は確定申告する必要がある」旨答弁している。また、「政治団体の手引」(都道府県選挙管理委員会発行)にも、「政治団体が得た(事業)収入をその構成員で分配するなどした場合については、その受取者において課税されることになる。」とされている。これらからすると、還付金の額から実際に政治活動に使用された額(経費)を差し引いた残額には課税されると理解してよいか。
(政府答弁)
一般論として申し上げれば、政治家個人が受け取った政治資金が当該政治家個人に帰属すべきものである場合には、当該政治資金は、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)上、当該政治家個人の雑所得に係る収入金額として取り扱われ、当該一年間の総収入金額から必要経費を差し引いた残額が課税対象となる。なお、残額がない場合には課税関係は生じないこととなる。
その上で、お尋ねについては、御指摘の「還付金」が政治家個人の「課税すべき雑所得」に該当するものであるか否か及び当該「還付金」の額から必要経費を差し引いた残額に「課税される」か否かを、当該「還付金」が当該政治家個人に帰属する政治資金であるか否かについての個々の事実関係に基づき判断する必要があり、当該判断に当たっては、御指摘のように「還付金」を「交付」した者の当該「交付」に係る必要があり、当該判断に当たっては、御指摘のように「還付金」を「交付」した者の当該「交付」に係る意図等のみで判断するものではないことから、一概にお答えすることは困難である。
問2、報道によれば、逮捕された池田佳隆衆議院議員他何人もの安倍派議員が、「政策活動費(政治資金規正法第二十一条の二第二項に基づく政党からの政治家個人への寄附)として受け取った」と弁明していることからも、これを前提とすれば、その還付金が当該議員個人への寄附であることは明らかではないか。
(政府答弁)
お尋ねは、個別の納税者の課税関係に関する事柄であり、お答えすることは差し控えたい。
なお、政治資金の課税上の取扱いについては、個々の事実関係に基づき判断することとなり、政治資金を受け取った者の説明のみならず、いずれの者が政治資金を実質的に管理していたかなど、様々な要素を精査する必要がある。
問4、問3の場合、その経費を証明できる領収書や記録がないとすれば、その全額を課税対象として修正申告させ、追徴課税を行うべきではないか。
(政府答弁)
お尋ねについては、問1及び問3についてで回答したとおり、御指摘の「還付金」の課税関係について、当該「還付金」が政治家個人に帰属する政治資金であるか否かを個々の事実関係に基づき判断する必要があることから、一概にお答えすることは困難であるが、一般論として申し上げれば、政治家個人が受け取った政治資金が当該政治家個人に帰属すべきものである場合には、当該政治資金は、所得税法上、当該政治家個人の雑所得に係る収入金額として取り扱われ、当該一年間の総収入金額から必要経費を差し引いた残額が課税対象となるところ、当該必要経費に係る支出の事実の有無については、領収書等を含む様々な情報に基づき、判断されることとなる。
問5、木毅衆議院議員は記者会見(一月二十七日)で、還付金を政治活動に使用したという「領収書や記録はない」と述べている。また、谷川弥一前衆議院議員は、還付金を「使わずに保管していた」と記者会見(一月二十二日)で述べている。こうした場合は、全額を課税対象として修正申告させ、追徴課税を行うべきではないか。
問6、国税庁は、問3で既述した国税庁次長答弁にしたがって、今回、政治資金収支報告書の訂正を行った自民党国会議員全員を対象に、一斉に税務調査に入り、修正申告による追徴課税や、特に修正額の多い者については脱税で立件するなど、厳正な対応を取るべきではないか。
(政府答弁)
お尋ねは、個別の納税者の課税関係に関する事柄であり、お答えすることは差し控えたい。
なお、国税当局においては、様々な機会を通じて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書等を分析し、課税上問題があると認められる場合には、税務調査を行うなどして、適正かつ公平な課税の実現に努めているところであり、今後とも、このような考え方に基づき、厳正に対処していく。
●被災住宅再建の新交付金制度 首相が月内とりまとめを指示 2/16
岸田文雄首相は16日、首相官邸で開かれた能登半島地震復旧・復興支援本部の会合で、被災地の住宅再建を支援するための新たな交付金制度について、月内に制度案をとりまとめるよう関係閣僚らに指示した。
政府は新たな交付金制度を設け、能登地域6市町を中心に高齢者や障害者のいる世帯などに最大300万円の支援を行う方針。首相は「住宅融資の金利負担助成など地域の実情を踏まえたきめ細かな措置と組み合わせて、必要な支援が行き届くよう調整検討を加速してほしい」と述べた。武見敬三厚生労働相は対象世帯について「資金の借り入れや返済が容易でないと見込まれるという点で、若者子育て世帯を含めて幅広く含まれるように制度設計したい」と説明した。
首相はまた、3度目となる予備費の使用に向けた調整の開始も表明。「予算の制約により、震災対応をちゅうちょすることなく、被災者の帰還と被災地の再生に向けて全力で取り組んでほしい」と指示した。
●「子ども・子育て支援法」などの改正案 閣議決定 2/16
少子化対策の強化に向けて、政府は16日の閣議で、児童手当や育児休業給付の拡充などを盛り込んだ「子ども・子育て支援法」などの改正案を決定しました。
改正案では児童手当について、ことし12月の支給分から所得制限を撤廃し、対象を18歳まで広げるとともに、第3子以降は月額3万円に増額するとしています。
また親が働いていなくても子どもを保育所などに預けられる「こども誰でも通園制度」を導入するほか、両親がともに14日以上、育休を取得すれば、最長28日間は実質的な手取り収入が減らないよう、育児休業給付を引き上げるとしています。
さらに家族の介護や世話などをしている子どもたちいわゆる「ヤングケアラー」についても、国や自治体による支援の対象とすることを明記し、対応を強化するとしています。
そして、一連の取り組みに必要な財源を確保するため、公的医療保険を通じて国民や企業から徴収する「支援金制度」を創設し、2026年度から段階的に運用を始めていくことなどが盛り込まれています。
政府は、少子化に歯止めをかけるには、若年人口が急激に減少する2030年代までがラストチャンスだとしていて、今の国会で改正案の成立を図り、施策を着実に実行に移していきたい考えです。
林官房長官「理解を得るべく引き続き丁寧に説明」
林官房長官は閣議のあとの記者会見で「わが国の少子化が危機的な状況にある中で、抜本的な給付の拡充と、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える『支援金制度』などを一体的に整備するものだ」と述べました。
その上で「賃上げで国民所得が増えることも社会保険負担率を押し下げる効果があることから、実質的な負担が生じない状況を確保していく考えだ。理解を得るべく引き続き丁寧に説明していく」と述べました。
加藤こども相「法案の成立に努力したい」
加藤こども政策担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「『こども未来戦略』の施策を着実に実施するため、給付の拡充と財政基盤の確保を一体的に整備する。将来を支える子どもや子育て世帯を、全世代、全経済主体が応援するという考え方に理解を得られるよう法案の成立に努力したい」と述べました。
その上で「支援金制度」について「これまでは実現できていなかった切れ目のない支援を可能とするもので、歳出改革などにより全体として実質的な負担が生じないようにする。さまざまな機会を捉えて制度の理念などの説明を尽くしていきたい」と述べました。
武見厚労相「全体として『実質的な負担』生じない」
武見厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で「『支援金制度』の創設にあたっては、歳出改革と賃上げによって、全体として『実質的な負担』が生じないと申し上げている。社会保障負担率が増加しないよう制度を構築する」と述べ、医療や介護の窓口負担割合の見直しを含め、歳出改革に向けた検討を着実に進める考えを示しました。
一方、記者団が「歳出改革で給付が削減されれば負担増になるのではないか」と質問したのに対し、武見大臣は「質の低下につながらないようにする配慮は常に同時並行的に行っている。自己負担の増加は保険料負担の増加要因にはならない」と述べ、窓口負担が増えても社会保障負担率は上がらないため、政府が説明する「実質的な負担」には含まれないと説明しました。
●「中堅企業」支援などの改正案 閣議決定 国内投資拡大に向け 2/16
国内への投資の拡大や持続的な賃上げの実現に向けて、政府は、中小企業より規模が大きい企業を新たに「中堅企業」と位置づけ、成長を支援することなどを盛り込んだ産業競争力強化法などの改正案を16日の閣議で決定しました。
16日、閣議決定された産業競争力強化法などの改正案では、従業員が2000人以下で中小企業には該当しない企業を新たに「中堅企業」と定義したうえで、賃金水準が高く、国内での投資に積極的な「中堅企業」に対しては、買収による事業拡大を税制面で後押しするほか、日本政策金融公庫による大規模で長期の金融支援を行うとしています。
また、国際的に競争が激化している電気自動車や半導体などの分野で国内生産を促す減税措置を受けられるようにするほか、国内での研究・開発を促すため、特許や著作権などで得られた所得に対する減税措置も講じるとしています。
政府は、これらの施策を通じて、国内への投資の拡大や持続的な賃上げの実現につなげたい考えで、今の通常国会で、この改正案の成立を目指すことにしています。
●公共工事の賃金基準“労務単価” 平均5.9%引き上げへ 国交省 2/16
ことしから建設業界で時間外労働の規制が強化されるのに伴って、人手不足や待遇改善が課題となる中、国土交通省は公共工事の賃金の基準となる「労務単価」を来月から全国平均で5.9%引き上げることを決めました。
労務単価は公共工事の工事費の見積もりに使われ、工事で働く人に支払われる賃金の基準となるもので、毎年見直しが行われます。
これについて、国土交通省は来月から全国平均の労務単価を5.9%引き上げ、一日当たり平均で2万3600円とすることを決めました。
引き上げは労務単価の算定方法が大幅に変わった2013年以降12年連続で、引き上げ率は2014年の7.1%以来の高い水準です。
国土交通省は、建設業界でも物価上昇に伴う賃上げが進んでおり、直近の賃金水準を反映したとしています。
これに加え、ことし4月から建設業界で時間外労働の規制が強化され、人手不足や待遇改善が課題となる中、建設業者が、職人の賃上げを着実に進めたうえで、業務効率化に必要なデジタル技術の導入などを進めてもらいたいとしています。
斉藤国土交通大臣は、閣議のあとの記者会見で「建設業者に対して現場で働く人の賃上げを強く働きかけることで、今後、労務単価をさらに引き上げられるような好循環を実現していきたい」と述べました。
●岸田首相「政治とカネ」野党追及に“秒速”で目のパチパチ止まらない 2/16
自民党派閥の裏金事件をめぐる国会論戦がちっとも深まらない。
岸田首相も出席した14日の衆院予算委員会の集中審議。「政治とカネ」をテーマに実施されるのは、今国会で2回目だ。野党が代わる代わる裏金事件の実態解明を求めたものの、岸田首相は「説明責任を果たすよう促している」の一点張り。不毛な7時間だったが、岸田首相の脳内がチラ見えした。
政倫審と総裁選
野党側トップバッターとして質問に立った立憲民主党の山井和則議員は、持ち時間30分をフルに使い、政治倫理審査会への二階元幹事長と安倍派幹部の出席を要求。政倫審の野党メンバーは前日、自民党の田中和徳会長に正式に申し入れており、あとは岸田首相の号令ひとつだからだ。
「決断しないのは自民党、岸田総理が決断しない限り実現しない。止めているのは岸田総理ですよ」「この場で自民党として、安倍派幹部や二階議員に政倫審出席を促すと明言してください」と求める山井氏。「党として説明責任を果たすよう促して参りましたし、これからも促して参ります」とかわす岸田首相。こんなやりとりを15往復も繰り返した。
言質を取らせない防衛ラインを死守するため、岸田首相はゼロ回答をリピート。後半にはニヤニヤする余裕すら見せていたが、業を煮やした山井氏からこう突っ込まれると、秒速で目をパチパチパチパチパチパチ……。
「岸田総理は総裁選のことを考えておられるんですか。二階議員や安倍派幹部に(政倫審に出席するよう)言ったら、9月の総裁選で安倍派は応援してくれないかナー、二階派を敵に回すと総裁続投無理かナー。脱派閥とおっしゃる総理が、いちばん派閥の論理で動いているんじゃないですか」
一般に、まばたきの急増はストレスなどに伴う緊張が原因とされる。痛いところを突かれたのか。
「岸田総理の総裁再選に向けた本気度は、かつてないほど高まっています。派閥解消で政権基盤は弱まったものの、三頭政治で影響力を誇示してきた麻生派と茂木派も弱体化した。ポスト岸田に色気を見せる面々も決め手に欠ける。総すくみが政権に妙な安定感をもたらしているため、『行くところまで行くぞ』と気を強く持っているようです」(官邸事情通)
内閣支持率は政権維持の「危険水域」を深掘りし、自民党の支持率もダダ下がり。誰が言ったか知らないが、まさに「岸田一狂」だ。
「4.28衆院3補選は不戦敗の見通しの長崎3区も含め、全敗もあり得る。能天気な岸田首相が謳歌している我が世の春は、この春に終わるかもしれません」(政治評論家・野上忠興氏)
春は別れの季節だ。
●「岸田リアリズム」が抱える虚実 2/16
自民党は清和会(安倍派)に代表される右派・タカ派路線と、宏池会(岸田派)に代表されるリベラル・軽武装路線が混在する政党だった。その安倍派が液状化し、岸田派が解散を決めた今、政権の方向性はどうなるのか。戦後政治史を専門とする筆者は、岸田文雄首相の本質が「現実主義」にあるとして、現状追認の危うさと可能性の両面を見る。
旧来のリベラル色を払拭
2024年1月、派閥政治資金パーティーの裏金化問題を受け、岸田文雄首相は自ら率いてきた岸田派(宏池会)の解散を決定した。1957年に池田勇人が設立した自民党最古の名門派閥は、その歴史にいったん幕を閉じた。
宏池会は、しばしば「リベラル」な政治思想を持つ派閥だと言われる。それは派閥の創設者である池田勇人が、安保闘争の教訓を踏まえて、政治路線を鮮やかに転換した歴史的体験に起因する。所得倍増論を掲げて首相に就任した池田は、1950年代後半から既に始まっていた高度経済成長をさらに促進する政策をとった。左右のイデオロギー分断が進んだ政治問題に正面から取り組むことを避け、経済中心主義による国論の再統合を図ったのである。
この成功体験は宏池会のDNAに強く刻み込まれた。池田の死後、宏池会の指導者たちは軽武装・経済中心主義からなる「吉田路線」を信奉し、憲法改正や日米安保体制の強化を目指す清和会(清和政策研究会)とは一線を画す姿勢をとってきたのである。
岸田首相は宏池会出身としては5人目の宰相である。政権発足直後の岸田首相は、派閥の伝統を引き継ぎ、内外の声を「聞く力」をアピールするなどソフト路線をとっていた。それは強いリーダーシップによって政策を推進する反面、強権的との批判があった安倍・菅両政権との違いを示す狙いもあったといえよう。また「新しい資本主義」を通じて成長と分配の好循環を目指すという、池田勇人の所得倍増論を強く意識した政策を打ち出そうとした。
しかし、外交政策に目を向けると、岸田首相は、当初から宏池会のリベラル色を払拭しようとしていたことが分かる。2022年元旦の年頭所感で、岸田首相は、普遍的価値の重視、地球規模課題の解決、国民の生命と暮らしを守る取り組みを三本柱とした「新時代リアリズム外交」を推し進めることを明らかにしていた。
この岸田外交の方向性を決定付けたのが、翌2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻である。岸田政権は、戦争勃発直後から強力なウクライナ支援を掲げ、ロシアに対する経済制裁を強化するなど、西側先進諸国と歩調を合わせた。さらに台湾海峡における緊張の高まりを念頭におきながら、国家安全保障戦略を含む安保関連3文書の改定や、防衛費の大幅増額などの重要な決定を立て続けに下していった。国際情勢の緊迫化が背景にあったとはいえ、10年前ならば間違いなく国論を二分したであろう防衛政策の一大転換を岸田首相は短期間で実現したのである。
福田と大平、イメージのねじれ
この宏池会の伝統的イメージとは異なる政策を正当化するために、岸田首相がしばしば用いるのは「現実主義(リアリズム)」という言葉だ。例えば、ある会合で岸田首相は、宏池会について「リベラルなグループだといわれることが多いが、本質は徹底的な現実主義を追求する政策集団だ」と語っている(『日本経済新聞』2023年2月27日)
宏池会出身の政治家は、その時々の国民の声に応えて、経済成長や国際協調など現実に即した政治を行ってきた。自らもまたその伝統を受け継ぎ、第二次世界大戦後、最も厳しい安全保障環境に対峙するための現実主義的な政策をとった、というのが岸田首相の自己認識なのであろう。
確かに宏池会出身の歴代首相の政策を見たとき、現実主義的な考え方が底流にあるのも事実だ。歴史をさかのぼれば、1979年1月にイラン革命が起り、同年12月にソ連のアフガニスタン侵攻が始まるなかで、当時の大平正芳首相は「自由主義陣営の一員」である姿勢を強く打ち出した。それまでの70年代における日本外交の基調は、共産圏に対する外交的地平を拡大していく「全方位外交」であった。だが、大平はソ連のアフガニスタン侵攻は正当化できないとして、COCOM(対共産圏輸出統制委員会)を通じた経済制裁の強化や、パキスタン、トルコ、タイなど紛争周辺国への戦略援助の実施に踏み切った。
デタント(緊張緩和)から新冷戦へと国際情勢の基調が変化するなか、日本外交を新冷戦の現実に適応させたのは、一見タカ派の印象が強い清和会の福田赳夫首相ではなく、リベラル色のある宏池会出身の大平だったのである。
こうした福田と大平に関するイメージと実際の政策のねじれは、プーチン大統領と信頼関係を築き、北方領土返還を目指した安倍晋三元首相と、その安倍政権で長らく外相を務めながらも、対露強硬姿勢を打ち出した岸田首相とのスタンスの違いにも重なる。特定の理念を掲げて、それを政策の推進力とする清和会出身の首相に比べて、状況に柔軟に適応して政策を変化させられるのが宏池会出身の首相の特徴だといえるのかもしれない。
「右バネ消滅」がもたらすものは
もっとも、岸田首相が現実主義を語るとき、自民党内の権力闘争を勝ち抜くためのマキャベリズムの側面があることを忘れるべきではないだろう。宏池会のリベラルと並ぶもう一つのイメージは「お公家集団」である。前尾繁三郎、宮澤喜一や加藤紘一といった歴代会長は、党内有数の政策通でありながら、権力闘争においては常に後れを取ってきた。
これに対して、岸田氏は、2021年9月の総裁選で大勝負に出て、熾烈(しれつ)な権力闘争を勝ち抜いて総理の座についた。しかし、政権発足時の宏池会は党内第4位に過ぎず、安倍・麻生・竹下(茂木)の3派に支えられた政権基盤は脆弱(ぜいじゃく)であった。それゆえ、外交・安全保障政策を進める上で、防衛力拡充を主張する最大派閥・清和会の意向を尊重せねばならなかったのである。
その意味で今回の宏池会解散という決断は、岸田政権を支えてきた権力基盤を根底から覆すことになろう。首相就任時は清和会の会長ですらなかった安倍元首相と異なり、岸田首相は宏池会のプリンスとして政治家のキャリアを積み、派閥会長として派閥力学を背景に首相となった。いわば伝統的な自民党政治に身を置いてきた岸田首相が、自身の正統性の基盤ともいうべき派閥を否定したのである。
実際、岸田首相の決定は大きな波紋を生み、清和会などの各派閥も次々と解散を宣言した。目下、内閣支持率の低迷に苦しむ岸田政権であるが、宏池会という看板を下ろし、清和会という右バネが消滅したことは、岸田首相が外交政策において独自色を示す契機になるかもしれない。
健全な政治的思考は、理想と現実の双方に裏付けられたものであらねばならない。理想なき現実主義は、結局のところ現状の追認に終わってしまうからだ。岸田外交は多くの点で安倍政権の外交政策を継承したものだ。それらは2010年代の中国の軍事的台頭という現実を前に、日中両国間における力の均衡を回復しようとする大戦略に基づくものだ。
しかし、積極的に世界各国を訪問する岸田首相が、安倍外交を継承してどのような独自のビジョンを示したいのかは未だ明確ではない。従来の宏池会イメージから大きな転換を図った岸田首相が、もう一段大きな進化を遂げることができるのか。岸田政権にとって今が正念場であろう。
●問われる“自浄能力” 「“死に体”の岸田政権だからこそ、やれることがある」 2/16
「本日私は平成生まれとして初めてこの本会議場の質疑に立っている。これからたくさんの平成生まれがこの場に立つだろう。だからこそ、昭和の悪しき風習をここで止めたい。国民は増税、自民は脱税、必死に働いても実質賃金は上がらず、暮らしも苦しい状況なのに、防衛増税、子育て支援金、扶養控除の縮小と負担増税ばかりを強いられることに、国民とりわけ将来を担う若者たちは怒っている」
自民党の政治資金問題などについて、厳しくもフレッシュな口調で指摘したのは、平成生まれの国会議員、立憲民主党の馬場雄基衆議院議員だ。
政治とカネに厳しい視線が向けられる中、自民党は13日、発端となった派閥の政治資金パーティーをめぐる全議員を対象にしたアンケート結果を公表した。
収支報告書への不記載などがあった現職議員は85人。その額は5年間で5億7949万円に上る。金額は明らかになったものの、アンケートは不記載が「あったか」「なかった」とその金額を問う2問のみであり、使途を問うものはなかった。
自民党による所属議員のアンケートというと2022年、自民党は高額献金などが問題視された旧統一教会と所属議員の接点を調査。具体的な接点の内容8項目について調べ、179人の議員が「接点がある」と回答していることがわかった。
このとき岸田総理は、調査の結果を重く受け止め、信頼回復に向けて努力をしていきたいと決意していた。しかし、宗教行政を所管する文部科学省のトップに就任した盛山大臣が2021年の衆議院選挙で旧統一教会の友好団体から推薦状を受け取っていたという疑惑が浮上。
選挙支援を受けていたと指摘されている盛山大臣は22年の調査において「関連団体の会合へ出席し挨拶」とのみ申告し、「選挙支援」などの項目では申告していなかった。
2月7日、旧統一教会の友好団体と共に写った写真を提示された盛山大臣は「こういう推薦状を受け取ったのではないかと思うが、一方、推薦確認書については署名したかどうか記憶にない」と説明している。
党内での調査が本当に再発防止につながるのか疑問視する声が上がる中、連立与党を組む公明党の山口代表は“裏金”問題をめぐる自民党の対応について「今回の問題を引き起こした自民党がどう自浄能力を示すかが問われている」と厳しく非難している。
「次の選挙に向けプレッシャーがないと動かない」
派閥の政治資金パーティーをめぐるアンケートについて政治学者の佐藤信氏は「政治資金の使途調査について第三者の活用を求める声が上がるのは当然だが、現状の法制度では罪に問われるわけではないので、自民党としてはさらに調査をするようなインセンティブがあまりない。『次の選挙で本当に自民党が下野するかもしれない。議席を大きく減らすかもしれない』という圧力が世間からかからない限りは、自民党はなかなか動かないだろう」と述べた。
さらに野党については、「現在のように国民から『自民はひどいが、だからといって野党に任せるわけにもいかない』などと思われていては自民党へのプレッシャーは弱い。また、注意深く見てもらうとわかるが、野党のリーダーたちも『岸田総理を辞めろ』とは言わない。なぜなら今の悪い印象がついている政権のまま選挙を迎えたいという思いあるからだ。そのため小出しに責め続けたいという状態だ」と指摘した。
自民党内については、は「参院選も衆院選もまだ先に延ばせる状況にある。今急いで岸田総理を代えても政治と金の問題はすぐには消えず、自民党で問題を起こした人たちが辞めた枠をめぐる4月の補選でも、まだ候補者を決められておらず苦戦が予想される。そのため、自民党側としても岸田総理には続投してもらい、最後に首をすげ替えて戦略的に秋の選挙に突入するという“合理的な選択”をとると予想される」と説明した。
官房機密費と政治資金問題は全くの別物
松野官房長官が去年の12月に更迭される直前、4660万円の官房機密費を支出していたことで野党から追及される事態となっている。
この件について佐藤氏は「この官房機密費は今問題になっている政治資金とは全く異なる。官房機密費はその名の通り、政府の中枢がかつてで言うと野党の対策や、外国との対策など、表にならない形で使うためのお金だ。官邸の中に現金が入った金庫があるといわれていて、現金を引き出す時にタッチするのは官房長官と事務の担当者だけ。領収書も必要なく、どこに使われたか全くわからないお金になっている。どう使ったか分からないのが最大の問題で、我々が納めた税金もしくは国債などから出ているお金がどこに使われたか分からない形で消えていく。これをしっかり使途を明確化するという議論は以前からあり、やるべきだが実現していない。そして官房機密費は、政府が活動にあたってどうお金を出していくかという問題だ。対して、政治資金規正の問題は、選挙で競うときに皆がクリーンな形で競争することがポイントになっている。派閥のパーティーが典型だが、国民の税金ではなく、パーティー券を買う、事実上の寄付として支援者が出したお金をどう使うかの問題。どちらもお金が絡み、使途をしっかりと記録することが大切なのは同じだが、性格としては別の問題だ」と違いを説明した。
「政策協定を結ぶ重み」とは
さらに旧統一教会との関係をめぐる問題も再び大きくなっている。盛山文部科学大臣は、2021年の衆院選において、旧統一教会の友好団体から推薦状を受領し、事実の「政策協定」に署名した疑いがあるが、「覚えていない」などとあいまいな答弁を繰り返している。
この点について佐藤氏は「推薦状はともかく、『政策協定』は極めて重要だ。例えば、脱原発を掲げている議員の中には電力関係の労働組合から支援を受けている議員がいるが、彼らは脱原発を声高に言えない状況に置かれている。つまり、政策協定を結ぶことは議員活動が明確に拘束されることを意味する。そんな制作協定に軽々しくサインをした、あるいは覚えてないというのはあり得ない。万が一覚えてないようなことがあるとすれば、大臣としての資質を疑われることになる」と疑問を呈した。
盛山文部科学大臣の「更迭」はあるのか?
佐藤氏は「もちろん更迭するべきだと思う。やはり旧統一教会の問題は国民からの信用を失うことになる。『大臣として、議員としての資質が十分なのか』という疑問があがるのは当然であり、早い決断が重要だろう」と指摘した。
今の岸田政権だからこそ、期待できること
今後の岸田政権について佐藤氏は、「『レームダック』=死に体の政権がしばらく続くが、だからこそ、できることがある。目の前の選挙に自分が勝たなきゃいけない状況であれば、なかなか不人気な政策を出せない。安全保障問題や財政健全化、典型的にはクリーンな政治の仕組みを作っていくことなど、今こそ長いスパンで影響力を持てるような大きな政策を打ち出す機会にもなりえる。そのあたりに力を入れて有終の美を飾ってほしい」と提言した。
●北朝鮮党機関紙、談話報じず 拉致問題、岸田政権の出方探る 2/16
16日付の北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は、金正恩党総書記の妹、金与正党副部長による岸田文雄政権への談話を掲載しなかった。談話は15日夜、国外向けの朝鮮中央通信を通じて発表。労働新聞は国内向けの最も権威の高いメディアで、「個人的な見解」とする談話の位置付けが裏付けられた。
北朝鮮は党中枢を関与させないことで、日本人拉致問題を巡る岸田政権の出方を慎重に探る姿勢とみられる。
北朝鮮は16日、故金正日総書記の生誕82年の記念日を迎え、労働新聞は一面で金正日氏の功績をたたえた。金正日氏は2002年の日朝首脳会談で初めて拉致問題を認め謝罪したが、こうした内容は報じていない。
●子育て支援金「月500円」よりもっと適した財源がある… 2/16
少子化政策の新たな財源として創設される「こども・子育て支援金制度」に注目が集まっている。医療保険料に上乗せで1人あたり月500円弱が徴収される見通しで、実質増税ではないかとの指摘もある。京都大学教授の柴田悠さんは「岸田政権の『こども未来戦略』で拡充されることが決まった児童手当の効果は、合計特殊出生率を0.1程度上昇させるものだ。これに加えて効果的な手段をつくして対策をとっていく必要がある」という――。
日本の出生率が他の先進国より大幅に低い3つの理由
日本の少子化の主な原因として、まずは、「高学歴化による育児コストの上昇と価値観の自由化」が挙げられる。しかしこれは、社会の近代化の当然の結果であり、避けようがない。先進諸国ではどこでも少子化が進んでいる(2021年の出生率はフランス1.83、スウェーデン1.67、米国1.66、ドイツ1.58、英国1.56)。
さらに日本では、この不可避的な原因に加えて、主に、1「所得低迷・雇用不安定化」が続いていること、2「男性稼ぎ主モデルの働き方」が根強いために「男性の労働時間」がいまだ長いこと、3学費を含む「育児の家族負担」がいまだ重いことによって、他の先進諸国よりも大幅に低い出生率になっている(2021年1.30、2022年1.26)。
そこで以下では、日本に特徴的なこれら1〜3の要因に着目して、今後の少子化対策について考える。なお日本では、「カップル文化が希薄」などの文化的な要因も考えられるが、文化的要因に対しては政策的介入が困難なため、ここでは扱わないこととする。
妻が「正規雇用者」のほうが第1子が生まれやすい
まずは、1「所得低迷・雇用不安定化」だ。
全国調査によれば、男女ともに、「高所得者」や「正規雇用者」のほうが結婚しやすい。また、妻が「正規雇用者」のほうが、第1子が生まれやすい(厚生労働省「21世紀出生児縦断調査及び21世紀成年者縦断調査特別報告書」2013年)。
よって、「所得低迷」と「雇用不安定化」は、結婚難と少子化を招く。そのため、「賃金引上げ」と「雇用安定化」が重要だ。デジタル化や働き方の柔軟化・効率化、労働移動の促進、リスキリング支援などによって、労働生産性を上げ、非正規雇用の正規化も進める必要がある。
「両立できそうにないので結婚ではなく仕事を選ぶ」女性たち
つぎは、2「男性稼ぎ主モデルの働き方による男性の長時間労働」だ。
日本の男性の労働時間は、他の先進諸国よりも長く、しかも1985年以降30年間ほとんど減っていない(たとえ父親でも減っていない)(国立社会保障・人口問題研究所「第28回厚生政策セミナー」配布資料)。
他方で2020年代からは、女性の就業化の結果として、若い未婚女性のあいだで「結婚・出産をして仕事も続けたい」という「共働き・共育て」志向が主流となっている。そして、「現実としては共働き・共育てができそうにないので、結婚ではなく仕事を選ぶ」という非婚化が広まっている(図表1)。
   【図表】若い未婚女性の理想と現実
この背景には、男性の長時間労働があるだろう。つまり、「共働き・共育てをしたいのに、もし結婚したら、夫が長時間労働なので、家事・育児は主に自分の負担となる。すると、自分のキャリア蓄積が難しくなってしまう。だから、キャリアのために結婚は諦める」というわけだ。今後も、「男性稼ぎ主モデルの働き方による男性の長時間労働」が続く限り、非婚化と少子化はますます進んでいくだろう。
したがって少子化緩和のためには、男性の働き方を「男性稼ぎ主モデル」から「共働き・共育てモデル」に更新し、男性の労働時間を減らさなければならない。
では具体的にはどうしたらいいのか。
夫の収入を下げずに労働・通勤時間を減らす必要がある
日本でのこれまでの多数の調査研究によると、夫の収入に変化がない条件下で、「夫の労働時間・通勤時間」が減ると、「夫の家事時間・育児時間」が増え、「妻の出生意欲・希望子ども数・第1子出産確率・第2子出産確率・子ども数」が増える傾向がある(内閣府「ESRI Research Note No.17, No.66」2011・2022年、厚生労働省「21世紀出生児縦断調査及び21世紀成年者縦断調査特別報告書」2013年)。
よって、男性の「単位時間あたりの労働生産性」を上げて、「収入低下を伴わずに」労働時間を減らしていく必要がある。そのためには、働き方の柔軟化・効率化が重要だ。
たとえば欧州では、多様な労働者の健康保護・人材確保と、労働生産性の向上との好循環を促進するために、デジタル化やテレワーク、フレックスタイム、ジョブシェアリング(タンデム〔二人乗り〕方式)、労働基準法改正(例:11時間の勤務間インターバルの義務化、月20時間超の残業時間の割増率1.5倍化、法定労働時間の週35時間化)などの取り組みによって、働き方の柔軟化・効率化を進めて、労働生産性を高め、男性の労働時間を減らしてきている。日本でも今後、労働基準法の改正などによる「テコ入れ」も含めて、これらの取り組みを進めていく必要があるのではないか。
日本では女性のみで「育児による幸福感の低下」が起きる
また、国際比較の研究によれば、働き方の柔軟化が進んでいる国のほうが、国民全体の主観的幸福感が高い。そして主観的幸福感が高いほうが、出生率が高い。さらに、働き方の柔軟化が進んでいない国(米国、オーストラリアなど)では「子どもをもつことによる主観的幸福感の低下」(親ペナルティ)が見られるが、働き方の柔軟化が進んでいる国(北欧、フランスなど)ではそのような幸福感低下が見られない(図表2)。
   【図表】「働き方の柔軟化支援」と幸福感
そして日本では、「子どもをもつことによる主観的幸福感の低下」は女性のみで見られる(佐藤一磨「子どもの有無による幸福度の差は2000〜2018年に拡大したのか」2023年)。これは、重い育児負担が妻ばかりにのしかかることによって、妻の「夫婦関係満足感」と「消費生活満足感」が下がることが原因だ(佐藤一磨「子どもと幸福度」2021年)。
労基法改正などの「テコ入れ」によって、男性の働き方を柔軟化・効率化し、それによって、「収入低下を伴なわずに」男性の労働時間を減らし、男性がより健康に、より多くの自由時間を持てるようにしなければならないだろう。
じつは未婚女性だけでなく未婚男性においても、2020年代以降は「共働き・共育て」志向が主流になっている(図表1)。男性がより多くの自由時間を持てるようになれば、男性の家事・育児時間が増え、女性にとっても、「共働き・共育て」を実現できる見通しがつきやすくなり、結婚・出産がようやく魅力的になるのではないか。
労働時間カットで出生率を0.2引き上げられる
OECD加盟諸国の時系列データを用いて私が行った分析によれば、「収入低下を伴わずに平均労働時間が年間235時間(週平均約5時間)減ると、出生率が約0.44上昇する」という傾向が示唆された(内閣官房「第3回こども政策の強化に関する関係府省会議」柴田悠配布資料)。一見大きすぎる効果だが、「収入低下を伴わない労働時間の減少」には少なくとも数年以上の時間がかかり、時間がかかればかかるほど、本稿冒頭で述べた「価値観の自由化」が進むため、出生率は低下する。それでも、そのような出生率低下を上回るスピードで、労働時間が減っていけば、0.1〜0.2ほどの出生率上昇は見込めるだろう。
なお、「収入低下を伴わない労働時間短縮」を促す政策として、取り組み企業への法人税減税などが考えられるが、そのために政府予算がいくら必要になるかは不明なため、政策の「費用対効果」は残念ながら計算できない。
高等教育無償化の出生率引き上げ効果は…
最後に、3「学費を含む、育児の家族負担の重さ」だ。
出生率が高い欧米諸国と比べた場合の、日本の育児環境の特徴は、高等教育費の家計負担(学費)が高く、かつ、給付型奨学金も少ないという点だ(出生率の低い韓国も同様)(国立国会図書館「諸外国の⼤学授業料と奨学⾦【第2版】」2019年)。
そこで私は、OECD加盟諸国の時系列データを用いて、「学生一人当たりの高等教育費の政府負担が増える(家計負担が減る)と、出生率がどのくらい増えるのか」を分析した。その結果を日本に当てはめると、仮に、高等教育(大学・短大・専門学校)の全学生に、一律で年間61万円(国立大学相当)の学費を(政府が負担して)免除すると、そのために政府支出は年1.8兆円増えるが、出生率は約0.09上がると試算された。ただしこの分析は、すでに高等教育の無償化が進んでいる欧州諸国のデータが主に基になっているため、日本での無償化の出生率引き上げ効果は、実際はもっと大きくなるかもしれない(内閣官房「第3回こども政策の強化に関する関係府省会議」柴田悠配布資料)。
保育拡充の効果
他方で、日本での「育児の大きな家族負担」は、「高等教育の学費が高い」という経済的負担だけでなく、「保育を自由に利用できない」ことで幼児期の育児を主に親だけで担わなければならないという身体的・心理的負担もある。では、今後もっと自由に保育を利用できるようになれば、出生率はどのくらい上がるだろうか。
2005年から2020年にかけて保育定員を約100万人増やした日本の保育政策は、年間政府支出を約3兆円増やしたが、それにより共働きしやすくなるとともに育児負担も減り、結婚と出産の障壁が下がったと考えられる。実際に、都道府県の時系列データを分析した研究によれば、上記の保育政策により女性の生涯未婚率が約5.5%ポイント下がり、それによって出生率が約0.1上がり、年間出生数が約10万人増えたことが示唆された(宇南山卓「保育所等の整備が出生率に与える影響」2023年)。
保育が確実に利用できるなら
では、今後の保育定員拡大の効果はどうだろうか。
そこで私は、市区町村の時系列データを分析した研究(Fukai, T., “Childcare availability and fertility,” 2017)で示された、「女性就業率が高い(つまり2020年の全国値に近い)場合」での保育定員拡大の出生率引き上げ効果の推定値を基に、今後の保育定員拡大の効果を試算した(内閣官房「第3回こども政策の強化に関する関係府省会議」柴田悠配布資料)。
その試算によれば、今後、(育休明けで保育ニーズが増える)1〜2歳保育の定員を、仮に(1〜2歳人口に対して保育定員率が100%になるように)約40万人分増やすと、出生率は約0.13上がると見込まれた。
ただし、約40万人分の保育定員を増やすには、まずは、そもそも保育士が足りない現状があるため、たとえば、保育士の賃金を全産業平均に引き上げて(年1.0兆円)、さらに保育士の配置基準を先進諸国並みに改善する(年0.7兆円)などの対策が必要だろう。
そのうえで、保育定員を約40万人分増やすとなると、さらに年0.4兆円の追加予算が必要になる(もちろん1〜2歳児の全ての親が保育利用を望むことは現状ありえず、これはあくまで仮定にすぎない)。すると、今後の1〜2歳保育定員拡大の費用対効果は、「(年1.0+0.7+0.4=)年2.1兆円かけて出生率0.13上昇」ということになる。
なお、2020年までの費用対効果(年3兆円で0.1上昇)よりも若干効果が高まることになるが、その背景としては、2020年代以降、未婚若年女性のあいだで、「共働き・共育て」志向が(先述のとおり)主流となり、「保育を使えないなら出産はもちろん結婚さえもできない」という考え方が広まっている可能性が考えられる。
「育児の家族負担」を減らす政策としては、他にも、経済的負担を減らす「児童手当」もあるが、これはすでに岸田政権の「こども未来戦略」で年1.2兆円規模で拡充されることが決まったため、本稿では割愛する。なお、その拡充による出生率引き上げ効果は、諸外国での研究結果を基に試算すると約0.1だろう(内閣官房「第3回こども政策の強化に関する関係府省会議」柴田悠配布資料)。
経済成長を最も阻害しない財源は…
以上、1「賃金引上げ」と「雇用安定化」、2「労働時間の週5時間短縮」(出生率0.1〜0.2程度上昇)、3「国立大学相当の高等教育学費免除」(年1.8兆円で出生率0.09上昇)と「1〜2歳保育定員の40万人拡大」(年2.1兆円で出生率0.13上昇)という方向(計年3.9兆円超により出生率0.3〜0.4程度上昇)が、今後の少子化対策の案として考えられる。
なお、財源についていえば、財政学でのこれまでの実証研究の蓄積によれば、社会保険料や多様な税のなかで、経済成長を最も阻害するのは「法人税」と「個人所得税」であり、やや阻害するのは「消費税」と「社会保険料(こども・子育て支援金など)」、そして最も阻害しないのは「資産課税」(相続税・贈与税・固定資産税)だ(Şen, H. and A. Kaya, “A new look at the nonlinear dynamics of taxation-growth nexus” 2022)。そのため、「資産課税」(および場合によっては「つなぎ国債」)も視野に入れながら、多様な財源のベストミックスを検討することで、財政の持続可能性を高めることができるだろう。
●盛山文科相 “選挙支援の指摘 教団側から揺さぶりも”と認識 2/16
盛山文部科学大臣は、前回の衆議院選挙で旧統一教会側から選挙の支援を受けたなどと指摘が出ていることについて、解散命令請求を行った岸田政権に対し、教団側が揺さぶりをかけていることも考えられるという認識を示しました。
盛山文部科学大臣は、前回の衆議院選挙の際、旧統一教会の関連団体の集会に出席して推薦状を受け取り、選挙の支援を受けていたなどの指摘が出ています。
これについて盛山大臣は閣議のあとの記者会見で、「衆議院予算委員会をテレビで放送するタイミングで報道が出たほか、林官房長官や岸田総理大臣についても教団側との関係を指摘する話が出た。教団側の意趣返しかどうかわからないが、解散命令請求を行った岸田政権に対し揺さぶりをかけてきているということも十分考えられる」と述べました。
また、記者団が「説明責任を十分に果たしていると考えるか」と質問したのに対し、「覚えていないものは覚えてないわけで、無理に作文をして思い出したということにならない。国会では、私の方から証明する手だてがないような質問で、悪印象を植えつけるような形で一方的に言われているような気がしてならない」と述べました。 
●ガソリン補助金 延長を検討 2/16
政府はガソリンや灯油など燃料油の価格高騰を抑制する補助金について、4月末の期限を延長する方向で検討に入った。食品を中心とする物価高騰や円安が家計に打撃を与えていることを考慮した。複数の政府関係者が16日、明らかにした。
延長幅は今後検討する。ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」凍結解除については、実施を求める国民民主党と自民、公明両党の協議が決裂したことを踏まえ、現時点では見送る。
補助金は石油元売り会社に支給して小売価格を抑える仕組みで、2022年1月に始まった。補助金の効果により、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均価格は現在175円前後で推移している。
●弱い消費が円買い介入誘発か、日銀判断への影響は軽微 2/16
2023年10─12月期の国内総生産(GDP)は前期比年率マイナス0.4%と市場予想の同プラス1.4%を大幅に下回った。下押しの大きな要因は消費の不振で、物価高による実質賃金のマイナス長期化が消費を委縮させ、岸田文雄政権にとって逆風となったかたちだ。
岸田首相は今年の春闘で昨年を上回る賃上げを実現し、6月の減税と合わせて実質賃金をプラスにし、消費の活性化を狙っているとみられるが、円安による輸入物価の再上昇が起これば、思惑通りには進まない。このため、足元で進む円安に対し、政府はドル売り・円買い介入のタイミングを図っているのではないかと筆者は推測する。9月の自民党総裁選で再選を目指す岸田首相にとって、ここから減税が行われる6月ごろまでが正念場になる。
テクニカルリセッションと賃上げ・減税の効果
今回のGDPは、経済政策の成果を示したい岸田政権にとって厳しい現実となった。23年7─9月期に続くマイナス成長は、欧米流の解釈では「テクニカルリセッション」とされ、景気後退への転換点と理解される。衆院予算委で答弁に立つ岸田首相にとって、野党から「経済政策の失敗」を追及される材料となる。
ただ、岸田首相は、以下の点で対抗することが予想できる。1つは経済界と労働界に呼び掛けてきた昨年を上回る賃上げを今年の春闘で実現することだ。実際、すでに大幅な賃上げを表明している大企業の経営者が数多く、岸田首相の要望は達成される可能性が高まっている。
2つ目は、今年6月に実施予定の1人当たり4万円の定額減税の効果だ。夫婦と子ども2人の4人家族の場合、年収2000万円超の場合を除き、16万円が支給される。
この2つによって消費を上向かせ、内需中心の経済拡大を目指すのが、岸田首相の考えている「メインストリーム」だろう。
6月23日の通常国会会期末までに衆院を解散し、所得アップと消費拡大を成果に総選挙で勝利すれば、9月の自民党総裁選で再選される道が大きく拓かれる──。これが岸田首相の描く道筋と筆者は読む。
円安進行ならCPI上昇に弾み
ところが、今回のGDPで個人消費の弱さが露呈し、今のままでは経済面でも内閣支持率の上昇につながらない展開となる可能性が出てきた。さらに問題なのは、足元でドル高・円安が進み始めていることだ。
岸田首相は施政方針演説で、物価上昇を上回る賃上げの実現を目指す考えを強調した。だが、足元で150円台の円安が一段と進行する事態になれば、再び輸入物価の上昇を起点にした物価上昇の加速が懸念される展開になる。
消費者物価指数(CPI)の前年比が3%台になれば、物価上昇を上回る賃上げの実現は「風前の灯」になりかねない。岸田首相からみれば、円安の加速は「総裁選での再選」に大きな障害と映っている可能性があると指摘したい。
介入の是非で注目される151.90円
そこで足元のドル/円相場に目を転じると、1月米CPIが市場予想を上回ったことなどを背景に一時、150円88銭まで円安が進行。151円90銭付近にストップロスが並んでいるために、このポイントまで円安が進むと、その先は一気に155円台まで短期間に上昇するチャートになっているとの見方が複数の市場関係者から出ている。
一部の市場関係者は、151円90銭付近を抜けた後にドル買い・円売りのポジションが膨らんだところで、政府・日銀のドル売り・円買い介入が実施されるのではないかと予想している。そのケースでは、かなりの幅でドル安・円高が進むとみられている。
このように今回の弱いGDPと個人消費が、政府・日銀の介入を呼び込む材料になり得ると筆者は考えている。
弱いGDP、マイナス金利解除の行方に影響せず
ところで、早ければ3月ともみられている日銀のマイナス金利解除の行方に、今回のGDPは影響を与えるのだろうか。筆者は与えないだろうと予想している。
1つには、今年の賃上げが大幅になる可能性が高まっているため、新賃金体系の下での消費のリバウンドが期待できるからだ。
また、GDPギャップのマイナスが続いても、その先でプラス方向への動きが予想できるなら、短期間のデータには影響されないという見方を日銀が持っているとみられるためだ。実際、植田和男日銀総裁は1月23日の会見で、GDPギャップのマイナスに関して質問され「はっきり大きくプラスに行かないと物価目標達成に到達しないのかといえば、そういうことはないとみている」と述べている。
とはいえ、2四半期連続のGDPマイナスに関し、政府関係者の一部からは景気に黄信号のサインが点灯しているとの声も聞かれる。植田総裁はじめ日銀幹部が今後、国会などでどのような情報発信をするか、内外市場関係者の注目を集めそうだ。
●「北陸応援割」に地元から懸念 「いま必要?」 衆院予算委公聴会 2/16
2024年度政府当初予算案を審議中の衆院予算委員会は16日、能登半島地震に見舞われた石川県で地方公聴会を開き、国による支援策について地元首長や経済団体幹部らの意見を聞いた。参加者からは、政府が推し進める旅行支援策「北陸応援割」に懸念の声が相次いだ。
この応援割は、北陸3県と新潟県を対象に、1人1泊2万円を上限に旅行代金50%を支援するものだ。北陸新幹線の福井県敦賀市までの延伸がせまるなか、早ければ3月からの実施が見込まれている。
「避難所が優先」「あきらめの気持ち…」
地元選出の近藤和也氏(立憲民主党)は「いまの時期にやる必要はあるのか、との声をかなり聞く」と意見を求めた。これに対し、液状化被害が深刻な内灘町の川口克則町長は宿泊施設はかなり少なく、避難所になっている施設もあると指摘。「避難所が優先だ」として観光どころではないと訴えた。
「観光客は来るはずはない、との愚痴やあきらめの気持ちは(地元の)みなさんにある」と語ったのは、能登半島にある七尾商工会議所の杉野哲也会頭だ。
一方、金沢市周辺では別の悩みも。石川県商工会議所連合会の安宅建樹会頭は、支援関係者や2次避難者らの宿泊需要が多いことから「飲食店など観光業全般に恩恵は及んでいない」と強調。観光に来てほしいが供給が追いつかない現状を訴えた。
石川県知事「過疎や高齢化、課題が一気に顕在化」
このほか、中小企業支援のさらなる拡充を求める声も多く、これまでの3年間は比較的規模の大きな地震が続いたことから「3年間の被害を一体的に支援対象にしてほしい」との意見が出た。馳浩・石川県知事は「過疎や高齢化の進む地域の課題が一気に顕在化した。今後、日本の多くの地域が直面する問題だ。こうした観点で支援をお願いしたい」と述べた。
衆院予算委の地方公聴会は必ずしも開催する必要はないが、地方の声を政府予算案に生かそうと、08年から続いている。今回は長崎市でも開かれた。
●少子化対策法案を「閣議決定」 支持率1割台の岸田内閣“乱発”の正当性 2/16
《閣議決定》 普段あまり目にしない政治用語が16日、Xで一時トレンド入りした。
政府がこの日、少子化対策の強化に向けた関連法改正案を閣議決定したのを受けたものだが、この少子化対策の財源を巡っては、岸田文雄首相(66)が6日の衆院予算委員会で、国民1人あたり「粗い試算で月平均500円弱になる」と答弁した際、ネット上で《増税しないと言いながら、結局、増税するのか》《保険料から徴収するなら増税だろ》などと異論が噴出。にもかかわらず、あっという間に閣議決定となったことから、《勝手に閣議決定するな》《閣議決定を私物化するな》などと怒りの声が広がったようだ。
さらに国民の多くが疑問に思っていたのは「閣議決定の正当性」だ。
時事通信が9〜12日に実施した2月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の16.9%となり、発足以来の過去最低を更新。不支持率は同6.4ポイント増の60.4%にも達しており、《7割の人が指示しない内閣が国会の議決も経ずに決めていいのか》《この閣議決定は有効なのか》と感じているようだ。
安倍元首相の「国葬」も閣議決定だった
岸田政権は過去にも、戦後の歴代政府が築き上げてきた「武器輸出三原則」を緩和する「防衛装備移転三原則の一部改正」を閣議決定(2023年12月)したほか、原発再稼働を容認する方向に舵を切った「原子力委員会の原子力利用に関する基本的考え方に関する対処方針」を閣議決定(同2月)。2022年7月には、国民世論の賛否が分かれた安倍晋三元首相の「国葬」も閣議決定している。
いずれも世論の反対が大きかった内容だが、時の内閣がすべてを「閣議決定」で決めるのであれば、「国権の最高機関」であるはずの国会は不要になりかねず、まさに議会制民主主義の破壊行為。強行しているのが支持率1割台の内閣なのだ。
安倍政権でも閣議決定を多用し、集団的自衛権の行使容認といった安保法制などをバンバン決めていたが、岸田政権もこの手口を踏襲しているようだ。
そのうち、「自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金は合法」などと閣議決定しかねないのではないか。
●「不公平感ない徴税重要」 確定申告開始で林官房長官 2/16
林芳正官房長官は16日の記者会見で、2023年分の所得税などの確定申告受け付けが同日始まったことを受け、「税制は国民の理解と信頼の上に成り立っており、適正に納税した皆さまが不公平感を抱くことのないように取り組むことが重要だ」と述べた。納税者に向けては「適切な対応をお願いしたい」と呼び掛けた。
自民党派閥の政治資金パーティー収入裏金化に関して「脱税」批判が出ていることに対しては、「国民から厳しい指摘があることは真摯(しんし)に受け止めなければならない」と強調した。
●還流分納税「全く承知せず」 岸田首相 2/16
岸田文雄首相(自民党総裁)は15日、派閥による政治資金パーティー収入の還流分を収支報告書に記載していなかった議員に対し、同党が使途不明の場合は税を納付させる検討に入ったとの一部報道について、「全く承知していない」と否定した。首相官邸で記者団に答えた。
首相は、派閥からの還流に関し「議員個人が受領した例は把握していない」と指摘。「政治団体から政治団体への寄付があったと判断したからこそ、収支報告書の訂正が行われている」と語った。
森山裕総務会長も記者団に、「政治資金として処理しており、所得税は発生しないと理解している。あり得ないことだ」と述べた。
●「聞き取り調査」32人がキックバックを認識 使途は会合費・書籍代・手土産等 2/16
16日午後、国会内で行われた、政倫審・政治倫理審査会の開催をめぐる、衆議院の与野党協議。野党側は、キックバックの不記載が判明した、51人の衆議院議員、全員の政倫審出席を求めた。
衆・政倫審幹事 立憲民主党 寺田学議員「清和研(安倍派)と志帥会(二階派)、両派の会長、事務総長ならびに、そこに準じるような役職にあった、派閥の責任者に必ずこの場に出向いて弁明すべきだと」
安倍派と二階派の幹部は、必ず出席するよう要求。これに対し、与党側は、検討したうえで回答するとした。
そうした中、自民党は15日夕方、安倍派や二階派の議員ら、91人を対象に行った聞き取り調査の報告書を公表。裏金の総額は、2022年までの5年間で5億7,949万円。還付金、いわゆるキックバックがあったとされたのは85人。そのうち、キックバックを認識していたのは32人で、残りの53人は当時、認識していなかったといいます。裏金を使っていたと答えたのは53人で、31人は使っていなかったとしている。
そして、気になる使い道については、会合費や車両購入費、書籍代、手土産代など15項目が挙げられている。
一方で今回、報告書に多く盛り込まれていたのが、安倍派幹部の責任を問う、「派閥の上に立つ人間が、責任を取らないといけないと思う」などといった声だった。
今回の報告書について15日夜、岸田首相は「今回の聞き取り調査、さらには、政治資金収支報告書の修正だけで、責任が果たされるものではない」とコメントした。
一方、立憲民主党の泉代表は16日、「党の幹部によって、聞き取りが行われている。忖度(そんたく)しまくりじゃないですか、やったふり調査であるし」とコメント。
改めて、元派閥幹部らに、政倫審での弁明を求める考えを表明した。
●自民キックバック「当然、納税義務が生じる」党内から指摘 2/16
自民党の派閥パーティー収入のキックバックを巡り、同党の青山繁晴参院議員は16日、「収支報告書に書いていないことは政治資金ではない」として、「当然、納税義務が生じる」と主張した。
自民党の有志による「政治(まつりごと)変革会議」の会長も務める青山氏は、党本部で記者団の取材に応じ、「収支報告書に書いていないことは政治資金ではない」と指摘。
「政治資金ならざるもの」だとして、「当然、納税義務が生じる」と述べた。
これに先立ち、青山氏は「政治変革会議」のメンバーとともに渡海政調会長と会談し、政治刷新本部の最終とりまとめに向けた要望書を提出した。
要望書の内容は次の通り。
   ・政策集団の政治団体登録の禁止
   ・政党法ないし公党法の制定による政治資金からの「私」の完全排除
   ・新政治改革大綱の策定
   ・党の収入や支出における政策活動費や所属国会議員からの寄付の使途公開 など
また、キックバックの納税についての考えも、渡海氏に口頭で伝えたという。
「政治変革会議」は、全ての派閥を解消するべきだと訴える議員連盟で1月に発足した。

 

●北陸新幹線延伸まで1か月、地震避難と観光の両立模索… 2/17
北陸新幹線の金沢―敦賀間が延伸開業する来月16日まで、1か月を切った。石川県や福井県では観光の起爆剤になると期待されているが、能登半島地震の2次避難者を受け入れている宿泊施設も多く、観光との両立が課題となっている。
「皆さんを追い出すようなことは絶対にございません」
2次避難者300人超に全客室を提供している石川県加賀市の観光ホテル「みやびの宿 加賀百万石」の夕食会場で今月11日、吉田久彦社長(40)が避難者を前に明言した。
その上で、従業員寮を改修して避難者に開放する予定だと説明した。吉田社長は「最後まで避難者の生活再建を手伝う責任はあるが、観光客に来てもらわないと土産物店や飲食店が立ちゆかなくなり、観光地全体の魅力が衰えてしまう」と焦りを口にする。
延伸を前に、石川県内の宿泊施設は観光客の増加を見込んで態勢を整えてきた。日本政策投資銀行によると、延伸に伴う経済効果は同県で279億円と推計される。
しかし、元日の地震で状況は一変した。同県内6か所の温泉地では1月末までに16万件超の宿泊予約がキャンセルされた。地震の後、多くのホテルや旅館の客室を埋めているのは2次避難した人々だ。
2次避難では、県内外の旅館やホテル245か所に、16日現在で計5275人が身を寄せている。災害救助法に基づいて国が宿泊費を負担するが、避難者の滞在期限は、県と宿泊施設が個別に取り決めている。新幹線の延伸開業を念頭に、2〜3月中としている施設が多い。ただ、仮設住宅の整備が追いついていないため、避難者に次の住まいへ移動してもらうのは難しいのが現状だ。
一方、加賀市観光交流機構などによると、被害が比較的軽微だった同市など県南部では、3月以降の予約や問い合わせが増え始めているという。加賀温泉駅が新幹線の停車駅となるためで、東京―加賀温泉間は現在より24分短縮され、2時間43分となる。
予約が増えているという同市の「ホテルアローレ」は、全130室のうち60室で、同県輪島市などからの2次避難者約140人を受け入れている。
太田長夫社長(65)は「被災者が望む限り部屋を提供したい」と、3月末まで使える客室のカードキーを避難者に配布した。同ホテルは旅行代金を割り引く「北陸応援割」の宿泊プランも検討しており、「避難と観光の両面で対応する」としている。
馳浩知事は「延伸開業の効果を最大限に生かして県内経済を活性化させ、能登の支援にもつなげたい」と、観光客の来訪を呼びかけている。県のPRイベントも行うが、多くの県職員が地震対応に追われており、イベントに充てる人手は限られる。そこで、馳知事と10日に会談した福井県の杉本達治知事は、「石川の分も福井がPR活動をする」と、協力の意向を伝えた。
被災地の観光復興に詳しい橋本俊哉・立教大教授(観光行動学)は「加賀の観光地で能登の食材や土産物を販売するなど、来訪が被災地支援につながる仕組みを作り、広くアピールする必要がある」と指摘している。
●「水道から出た温かいお湯に涙」 能登半島先端の町で断水から復旧 2/17
能登半島地震の被害で、石川県内では断水の復旧が進まない地域が多い。そんな中、珠洲市の北端にある折戸町で、水道が通水し始めた。町中心部の高台にある避難所でも14日から水が出始め、風呂や食事に生かされている。避難所を出て自宅に戻り、生活の再建に向けて取り組み始めた人もいる。
15日、穏やかな海のさざ波が聞こえる折戸町唯一の美容室「トラーニヘアー」。店主の吉井謙太さん(46)が、被災した男性の洗髪をしていた。吉井さんによると、これまでは裏山からくみ上げた水を五右衛門風呂で沸かして、近隣住民の洗髪や散髪などを無償でしてきた。
美容室でも14日に通水し、本格的な営業再開に踏み出す。まず、近隣住民を中心に営業を始めるという。
吉井さんは、「水道から温かいお湯が出た時は涙が出るほどだった。県内を見渡せば喜べる状況ではないが、一歩前進した」と話した。
同じく同町で被災した女性(73)は、娘のいる同市飯田町で避難生活を送っていた。通水したことを知り、15日に自宅へ戻り、洗濯したという。
「子どもたちもお風呂に入りに行きたいと言っていた。本当に助かります」と話した。だが一方で、「家が壊れて折戸町から離れて暮らす人も多い。自宅に住める状態だったのは幸いだったが、自分だけ良い状況なのが心苦しい」と心境を話した。
●石川 七尾 温浴施設が約1か月半ぶりに営業再開 無料開放 2/17
能登半島地震の影響で半数以上の世帯で断水が続く石川県七尾市で、およそ1か月半ぶりに営業を再開した温浴施設が無料開放され、被災した人たちが久しぶりに入浴して疲れを癒やしました。
七尾市では地震の直後にほぼすべての世帯が断水し、いまも市内の半数以上にあたる1万2000世帯余りで断水が続いています。
市の郊外にある温浴施設「ほっとらんどNANAO」は配管が壊れるなどして休業が続いていましたが、修理が終わったため17日、およそ1か月半ぶりに営業を再開し、被災した人たちに無料で開放されました。
受付が始まる午前11時半には被災した人が次々と訪れ、係の人に希望の時間を伝えて整理券を受け取っていました。
そして時間が来ると首までお湯につかり日頃の疲れを癒やしていました。
1週間ぶりに入浴したという市内の70代の男性は「再開後の一番風呂で本当に気持ちいいです。まだ毎日とはいかないですが2日に1回くらいは入りたいです」と話していました。
この施設では2月28日まで無料開放を続ける予定だということで、和田内幸江総支配人は「地震の影響が大きく復旧に時間がかかったが、1日でも早く利用してもらいたいと思い再開しました。ここでゆっくり休んでもらえたらと思います」と話していました。
●自民の裏金調査/自浄能力の欠如が鮮明に 2/17
自民党は派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて、派閥からの資金還流を政治資金収支報告書に記載していなかった議員ら91人への聞き取り調査の結果を公表した。
パーティー券収入の還流を把握していたのは32人に上り、うち安倍派に所属する11人は収支報告書への不記載も認識していた。「派閥事務局から報告する必要がないと言われたのを信じていた」「派閥からの説明で合法だと思った」などと述べている。自分は悪くないと言わんばかりの釈明には、立法府の一員としての自覚と順法精神が感じられない。
還流資金を使ったのは53人。使い道として、会合費、懇親費、書籍代、車両購入、手土産代、次のパーティー券購入費などが挙がった。「政治活動以外に用いた」「違法な使途に使った」との回答はゼロだった。
だが領収書のない支出もあり、本当に政治活動に関連する費用だったかははっきりしない。しかも結果公表は匿名のため、具体的に誰が、何に、いくら使ったのかは不明だ。疑念を払拭するには全く不十分な調査と言わざるを得ない。
異様なのは、還流された金を使わなかったと答えた31人のうち13人が「不明朗な金銭だった」と認識していた点である。「気持ち悪いと思った」「裏金みたいなものではないか」などと感じて、手をつけずに保管していたというのだ。
保管したままなら個人の収入とみなされ課税対象となる可能性があり、脱税の疑いも指摘されている。
多くの議員が違法性をうすうす察しながら、派閥の指示には逆らえないと目をつぶり、裏金づくりに加担してきたことになる。おかしいことをおかしいと言い出せない組織の体質と自浄能力の欠如が鮮明になったと言える。
外部弁護士がまとめた調査報告書は、裏金づくりが始まった時期や動機は「判然としない」と結論付けた。ただ、安倍派については場合によっては20年以上前から、二階派では少なくとも10年前から今の仕組みになったとも言及した。
再発防止策として、不正行為へのペナルティー強化、外部通報窓口の設置、金の流れを可視化する業務のデジタル化などを提言している。
しかし、いくら法改正を重ね、厳罰化を進めても、法を守るべき政治家の意識が低いままでは同じ過ちが繰り返されるだろう。
内部調査には限界がある。自民は野党が求める政治倫理審査会の開催に応じ、裏金づくりに関わった派閥幹部らが出席して疑問に答えるべきだ。岸田文雄首相は党総裁の責任でうみを出しきり、国民の政治不信に歯止めをかけねばならない。
●自民の裏金調査 身内では核心に迫れない 2/17
いつから、何のために裏金づくりを続けていたのか。肝心なことは何も明らかにならなかった。
自民党は派閥の政治資金パーティーの裏金事件を受け、政治資金収支報告書に不記載があった国会議員ら91人の聞き取り調査結果を公表した。
対象は組織的な裏金づくりをした安倍派や二階派の議員ら85人と他派閥の幹部で、党執行部と弁護士が聴取した。
報告書には対象議員の名前が列記されているが、発言内容は全て匿名となっている。裏金問題の全容把握には程遠いと言うほかない。
自民党が並行して進めた全所属国会議員へのアンケートも形ばかりだ。2018〜22年の収支報告書に不記載があったかどうかと、年別の不記載額しか問うていない。
聞き取り調査によると、22年までの5年間の不記載総額は約5億7949万円で、還流資金の不記載を認識していた議員もいた。
53人は還流資金を使ったと答えた。使途は書籍代、車両購入費、人件費、手土産代などの項目を挙げただけで、具体的なことは分からない。その上で「政治活動以外に用いた」「違法な使途に使用した」と答えた議員は一人もいなかったと結論付けた。
そもそも自己申告のアンケート回答や、身内による聞き取りでは問題の核心には行き着くまい。野党が「お手盛り調査だ」と批判するだけでなく、自民党内から「調査に本気度を感じない」と冷ややかな声が漏れるのも当然だ。
安倍派では22年のパーティーに際し、会長だった安倍晋三元首相が収入の還流をやめると決めたが、安倍氏が死去した後に方針が翻った。
この経緯について、安倍派の複数の議員が「誰がその決定をしたのかについては誰も語らない」などと不信感を口にし、幹部の責任を問う声が出ている。
経緯を知る立場にある安倍派の歴代事務総長ら幹部に聞き取りをしたものの、不明確なままだ。
一方、安倍派で裏金づくりが始まったのは「遅くとも十数年前」「場合によっては20年以上前」とみられる。
発端と趣旨を明らかにするには、かつて会長を務め、今も安倍派議員に影響力を残す森喜朗元首相の調査が欠かせない。党総裁の岸田文雄首相が指導力を発揮する場面だ。
アンケートと聞き取りを通じてはっきりしたのは、自民党に自浄能力がないことだ。第三者が調査しない限り、裏金の真相には迫れない。
岸田首相は「今後とも説明責任を果たしていくように求めていく」と言うばかりだ。首相が考える説明責任とは一体何なのか。
野党は国会の政治倫理審査会に安倍派幹部や二階俊博元幹事長らが出席し、説明することを要求している。
国民は調査に納得していないだろう。自民党は政倫審への出席を拒むべきではない。
●政治テロ、本当にある? 「連座制」後ろ向きの理由 2/17
ライバル議員に息のかかった会計責任者を送り込み、わざと違法行為をさせることはあり得るのか―。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、政治資金規正法への導入が議論されている「連座制」。議員に連帯責任を負わせる仕組みだが、自民党議員の一部はこうした「政治テロ」を理由に後ろ向きだ。元国会議員秘書らは「故意の不正の可能性はある」としつつ、丁寧な法改正を求めた。
「議員が法律違反に関わっていない場合の失職や、おとりなどによる制度の悪用防止の議論が必要だ」。14日の衆院予算委員会で自民党の上野賢一郎議員が「職を失うかもしれないという強いプレッシャーを政治家にかけないと、今回のような問題は一向に解決されない」と連座制の採用を求めたのに対し、岸田文雄首相はこう答弁した。
自民党の裏金事件では、安倍派(清和政策研究会)の会計責任者が在宅起訴された一方、幹部議員らは一様に立件を免れた。こうした状況を野党などが問題視。公選法を参考に、政治団体の会計責任者が有罪となった場合に、代表である議員が失職する連座制の導入を提案するようになった。
●「未記載でも合法と認識」「お金のことはあれこれ言うものではないと育ってきて」自民党“裏金”調査報告書に失笑の言い訳続々…「ドリル優子がなぜ聴き取り役?」 2/17
「気持ち悪いと思っていたので使わなかった」「不明朗な金銭だった」……報告書に記された国会議員の数々の証言が、「裏金」の特異性を如実に示していた。自民党が2月15日、党派閥による政治資金パーティーをめぐる政治資金規制法違反事件について、関与した議員らに行なった事情聴取の報告書を公表した。
報告書の公表も評価は分かれる
「気持ち悪いと思っていたので使わなかった」「不明朗な金銭だった」……
派閥からのノルマ超過分にあたる「キックバック」、つまり「裏金」を受けとったものの、その資金を使わなかったとした議員らがその理由を問われて答えた内容の一部である。
多くの自民党議員が、「後ろ暗いカネ」「グレーなカネ」と認識していたことを、この回答が浮き彫りにしているといえよう。20ページにわたる報告書で何が明かされ、何が明かされなかったのか。その中身を詳報する。
「客観性、あるいは中立性にも最大限配慮した報告書を取りまとめていただいたと考えている」
岸田文雄首相は2月15日、首相官邸で記者団に報告書が公表されたことへの受け止めを問われ、こう述べた。さらに、「あらゆる機会を捉えて、国民の信頼回復に向けて関係者には説明責任を果たしてもらわなければならないと考えており、党としても求めていきたい」と議員側に一連の問題についての対応を求める考えも示した。
野党は、橋本龍太郎元首相ら複数の自民党幹部へのヤミ献金が発覚した「日歯連事件」などでも開かれた政治倫理審査会(政倫審)の開催を求めて攻勢を強めており、与党側がそれに応じる構えもみせている。
政倫審の場に、安倍派の「五人衆」、二階派を率いる二階俊博元幹事長ら疑惑の渦中にある大物議員が立つのかが、今後の焦点となりそうだ。
今回の報告書の公表が一連の政治資金パーティー問題の終幕に向けた一つの区切りとなりそうだが、その中身については評価が分かれている。
「調査は、森山裕総務会長を筆頭とする党幹部6人と二つの弁護士事務所から選ばれた7人の弁護士が担当しました。ただ、自民党から選出されたメンバーには小渕優子選対委員長も参加していました。
小渕さんは過去に政治資金規正法違反のスキャンダルに見舞われ、その際に会計記録の入ったハードディスクがドリルで破壊された状態で見つかったことから『ドリル優子』と揶揄され続けている。いわば疑惑の当事者である小渕さんが議員の聴き取り役に回ったことへの批判は当初から燻っていました。
さらに報告書に掲載された回答はすべて匿名になっており、永田町の記者連中からも『お手盛り感満載』『及び腰だ』などの指摘が相次いでいます」(政治部記者)
失笑ものの言い訳を連発
報告書では、現職議員82人に加え、現職議員ではない選挙区支部長3人、8つの派閥・グループの代表者と事務総長ら91人が聴取対象になったという。
「現職議員82人と支部長3人はそれぞれ、安倍派と二階派の所属です。このうち安倍派の対象は79人で突出しています。一方、二階派は6人ですが、派閥の長である二階俊博元幹事長、武田良太元総務大臣ら大物議員が名前を連ねています。
このうち、安倍派の森まさこ氏については、ほかの議員とは違う対応が取られたようです。森氏の夫が聴取を担当した弁護士事務所の所属であるため、『公平性を担保するため』として夫の所属先とは別の事務所の弁護士が行ったとしています」(同)
報告書では、議員がキックバックを受けたことを認識していた場合、認識していなかった場合、それぞれのケースに応じてその理由を無記名で回答させている。
「名前が出ない」という安心感もあってか、議員側は、失笑ものの言い訳を連発しているのが記されている。たとえばキックバックを「認識していた」とする議員の回答で、「収支報告書に記載しなかった理由」として、
「秘書によれば(中略)派閥の事務局から、領収書はいらないと言われた」
「もともと記載したいという思いはあったが、派閥事務局からの記載不要との説明を受けて、記載しなくても合法なのだと認識した」
などと弁明している。キックバックを「認識していなかった」とした議員からは、「派閥の事務所から秘書に対し(中略)派閥からは記載しないでほしい、記載すると他の議員に迷惑がかかると言われた」などの回答があったが、なかには次ページのように生々しい現場のやり取りを答えた者もいる。
「お金のことはあれこれ言うものではないと育ってきて…」
「担当秘書が派閥事務所に呼ばれて、還付金(=キックバック)を現金で渡された。(中略)派閥事務所からは『記載しなくてよい。場合によってはご自身のパーティーのほうに混ぜてもらったらよいのではないか』と言われた。(中略)指示に従って記載はしなかったが、秘書は使うと危ないと考えて現金でそのまま保管していた」
噴飯物だったのは以下の回答だ。
「日ごろ、お金の増減の確認ぐらいしかしていなかったが、会計の確認の習慣を持っておくべきだったと反省している」
「お金のことはあれこれ言うものではないと育ってきて、経理のことは秘書に任せていたが、監督責任を痛感している」
報告書は、キックバックの使途についても調査しており、「会合費」「懇親費用」などのほか、「手土産代」「弁当代」「書籍代」といった政治活動との関連が曖昧なものも。「気持ち悪いと思って使わなかった」「“裏金”みたいなものではないかと思い、全額残した」と違法性を認識していたかのような回答もあったという。
報告書は、調査を踏まえた「再発防止に向けた提言」を打ち出しており、「一人ひとりの議員・秘書において、法令違反やコンプライアンス上グレーな状況を把握した際に、本当にこのやり方でいいのか、霧を晴らす術はないのかを妥協なく追求する姿勢が徹底できなかった」と断じている。
さらに、「上の者に対する畏怖や忖度から指摘されるべきことが指摘されないと不正は重症化」すると指摘。「当選回数による序列や人事への懸念から、若手議員が意見しにくい閉鎖的な組織風土が派閥内に生まれてしまっていたのではないか」と派閥政治が生んだ弊害を訴えている。
結党以来、何度も「政治とカネ」の問題に見舞われてきた自民党。果たして報告書が提案する道筋に沿って、根深い問題の根幹となっている派閥を解消し、再生はできるのだろうか。
●稲田朋美衆院議員「不記載は知らなかった」 196万円の還流・未精算が判明 2/17
大きな政治不信の発端となった自民党の“裏金事件”。福井1区選出の稲田朋美衆院議員は還流金と未精算金があわせて196万円あったことが判明した。
事務所は2023年12月、「キックバック目的でパーティー券を販売したことはない」とし、稲田議員本人は「不記載であったことは知りませんでした」と答えた。
6期連続当選 数々の要職を歴任
稲田朋美議員は現在の福井・越前市生まれ。早稲田大学卒業後、弁護士となった。
2005年の衆院選に福井1区から出馬し、初当選。6期連続当選を果たし、自民党政調会長や防衛大臣などの要職を歴任してきた。座右の銘は「高邁(こうまい)な精神で決断し、断固として行動する」。
今回の裏金事件に関連して、還流金と未精算金があわせて196万円あったことが判明した。
稲田事務所は2023年12月、福井テレビの取材に「私を含めてほとんどの議員は割り当て分を消化するのに四苦八苦していたというのが実情だと思います。いわゆる裏金集めやキックバックを目的としてパーティー券を販売したことはありません」と回答した。
2月4日、自民党福井県連の会合が福井市内で開かれ、稲田議員は党員に釈明した。このほか還流金が判明した高木毅衆院議員(福井2区)、山谷えり子参院議員(全国比例区)、還流金があったと指摘を受けた山崎正昭参院議員(福井県選挙区)も出席した。
会合後、稲田議員はマスコミの囲み取材に応じた。
稲田朋美衆院議員(福井1区)「党員という私たちを支えている方々ですが、周りから非常に厳しい声を聞いているし、いろんな意見が出ました。中でも事実関係を明らかにしてほしいという声が出ました。安倍首相がやめると決めたものをなぜ復活させたのかや、これからどういった改革をしていくのか、姿勢をみせることで選挙に向けての環境整備を行うべきなど、たくさんの意見が出たと思います。」
政治資金収支報告書についての不記載などについて問われた稲田議員は、「私はそれは聞いていません。不記載であったことも知りませんでした」と話し、その場を後にした。
●大阪万博“ないない尽くし”設計者が明かす…「強行なら能登復興の足かせに」 2/17
この寒空の下、6万8000人以上が避難生活を送る能登半島地震の被災地を尻目に、来年4月の開幕に向け、急ピッチで準備が進む大阪・関西万博。主催者の政府と大阪府・市、経済界は「万博と復興の同時並行」にこだわり、万博が被災地復興の妨げとなる懸念を一顧だにしない。
岸田首相は各省庁に「復興に支障がないように」と指示したが、少しは万博に携わる現場の声に耳を傾けたらどうなのか。
「万博開催に反対ではありませんが、どう考えても半年は延期した方がいい」--。こう訴えるのは、パビリオン設計を担当する1級建築士だ。
「現状のまま強硬に準備を進めても、復興の足かせになりかねない」と語り、次のように指摘する。
「万博会場となる夢洲は、いまだに水道や電気すら通っておらず、発電機と仮設トイレが欠かせません。水道や電気などライフラインの整備が急がれるのは被災地も同じ。万博会場では春ごろから一気にパビリオン建設が始まる予定です。建機だけでなく、発電機も復興工事と奪い合いとなり、被災地に必要な数が用意できるのか懸念されます。万博準備にかかる現場の負担や被災地復興を考慮するのであれば、万博を半年延期して時間差をつくる方がメリットがある。万博準備に余裕が生まれ、労働災害を未然に防げるかもしれない。被災地に優先的に建機や人手を割いて復興も進められる。政治的なメンツが大事なのかもしれませんが、被災地の復興を何よりも優先すれば、国内外で賛同を得られるはずです」
設備関係の人手が少ない
万博協会の十倉会長は万博と被災地では必要な工事は異なるとして「復興に支障をきたすことはない」と主張するが、すでに万博準備ですら人手が足りていない状況だ。
「建設業界の深刻な人手不足は今に始まったことではありませんが、特に電気や空調など設備関係の職人さんが不足しています。パビリオン内部の設備工事に関する概算を取ると、どこも『人がいない』と口をそろえます。全国の大型プロジェクトに職人さんが駆り出されていて、10社に工事を依頼しても引き受けてもらえない状況です。万博会場は冷水供給による空調設備が導入される予定なのですが、人手だけでなく、その専用機器も足りていないようです。実装できないパビリオンも出てくるのではないか」(前出の1級建築士)
時間もインフラも人手も「ないない尽くし」の万博準備。被災地を最優先に考える政治家もいない。
●南海トラフ地震 四国最大9万人超の死者想定 能登地震で警戒強まる 2/17
1月に発生した能登半島地震を機に、四国でも南海トラフ地震への警戒が強まっている。最大クラス(マグニチュード9・0、震度7)が起きた場合、四国4県を合わせた現在の最大被害想定では死者数が9万5500人にのぼり、発生翌日の避難者数は100万人を超える。能登地震を受け、四国でも被害想定の見直しを表明する自治体が相次いでおり、今後さらに増える可能性もある。
高知
高知県地域防災計画(2023年6月修正)によると、土佐清水市と黒潮町で最大34メートルの津波襲来が予測されている。揺れも激しく、26市町村で震度7、8市町村で震度6強と想定される。
13年5月に策定した最大の被害想定では、建物被害は全壊・焼失が約16万棟、死者数は約4万2000人(津波約3万6000人)。発生翌日の避難者数は約43万8000人、孤立集落は657集落、直接経済被害額は9兆円にのぼると見込まれる。ライフラインの断絶も深刻で、上水道の断水人口は57万5000人に及ぶ。
高知県では、被害を最小限にとどめることを目的に「南海トラフ地震対策行動計画」を段階的に進めている。住宅耐震化の進捗や津波からの避難タワーの整備などにより、第4期計画終わりの22年3月では、想定死者数を8800人まで減らせたとしている。引き続き、耐震化や住民の高台への早期避難の意識向上などに取り組み、第5期計画終わりの25年3月には想定死者数を4300人に減らすことを目指している。
徳島
徳島県地域防災計画(23年1月修正)によると、紀伊水道に面した徳島市から阿南市にかけての沿岸域で震度7、県南部や吉野川下流域で震度6強と予測している。地震発生から44分後には海陽町・宍喰漁港に15・8メートルの津波が押し寄せると見込まれている。
被害想定では、県内で全壊建物は最大11万6400棟。死者は3万1300人、避難所以外での生活を余儀なくされる住民を含めると、避難者数は直後に31万600人、1週間後には36万2600人にのぼる恐れがある。ライフラインでは、発生1日後でも上水道73%、電力72%などが使えないと想定され、県内の直接的な経済被害は6兆4000億円以上と試算されている。
23年1月の県想定は国の中央防災会議が22年6月に修正した「防災基本計画」の内容を前提としている。
愛媛
愛媛県の地域防災計画(23年2月修正)などによると、松山市をはじめとする13市町で震度7、7市町で震度6強と予測される。県内最高位の津波は、発災から59分後の伊方町の名取西海岸で、21・3メートルに達するという。
被害想定では、死者約1万6000人を見込み、うち半数は津波が原因としている。全壊または焼失する建物被害は約24万棟と予測。発生翌日の避難者数は約43万7000人にのぼるとしている。電力、ガス、水道のライフラインや交通施設などを含めて、直接的な経済被害は16兆2000億円と試算している。
被害想定は、県が13年に実施した調査に基づいている。23年度からの国の見直しに合わせ、県は24年度当初予算案に新たな調査費を計上している。
香川
香川県地域防災計画(24年2月修正)では、県内を三つに分けた場合の東と西の平野部を中心に震度6強、観音寺市と東かがわ市、三豊市のごく一部で震度7を予測している。津波に伴う最高水位は2・2〜3・8メートルで、高松市、観音寺市など8市町で3メートル以上。浸水面積は県全体で69・8平方キロに及ぶ。
14年6月にまとめた被害想定では、最大で3万5000棟が全壊し、死者数は6200人、発生当日と翌日の避難者数は19万9000人。直接的な経済被害は3兆4000億円にのぼると試算されている。
県は家具転落防止など減災対策や県民の防災意識の向上に力を入れており、危機管理課は「今後、能登半島地震での石川県の対応状況、国の検討を踏まえて地域防災計画に反映させていきたい」と話している。
高知大・大槻知史教授(コミュニティー防災論)の話
減災には住んでいる場所や小さい子どもがいるかどうかなど、自分の置かれた状況から発生1週間後までに何が心配かを考えることが大事だ。家具の転倒防止など、できることから始めればいい。自分1人で考えるのは難しいので、家族や親戚、地域との会合などで、まずは気軽に話題にしてみてほしい。日常生活がある中で災害対策のために時間を使うのは心理的負担かもしれないが、水を定期便で注文するなど、普段の生活を便利にする延長で災害のためにもなる行動を積み重ねるだけでも意味はある。
●旧統一教会“宣戦布告”岸田派を狙い撃ち…友好メディアで「ツケは高く付く」 2/17
まるで宣戦布告だ。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の友好団体が発行する「世界日報」がここ数日、苛烈な岸田政権攻撃を展開している。
代表例が14日スタートの「検証 家庭連合解散命令請求 暴走した政治とメディア」なる連載コラム。初回は「政府与党の急変」と題し、新たに教団との接点が発覚した盛山文科相を擁護する岸田首相を痛烈批判だ。
〈岸田氏も、関連団体トップと面会した過去があることが分かっているが、辞任ドミノを恐れるあまり知らぬ顔をして乗り切ろうとしている〉と指摘。教団との接点が次々と発覚した山際元経済再生相を辞任させたことを引き合いに〈以前関係があったとして閣僚を外された議員との整合性が保てない〉とこき下ろし、最後はこう締めくくっている。
〈もともと「違法性はない」選挙協力を自ら問題にしたのは、首相ら自民党だ。延命のため世論に踊らされたツケは高く付く〉
盛山文科相のほか、同じ岸田派の林官房長官も新たな接点が判明。岸田首相もまた、教団関連の冊子を手に笑う自身の写真を今週発売の週刊新潮に報じられた。外相時代の8年前に撮影されたという。まさに岸田派の大臣を狙い撃ち。教団関係者の内部告発を思わせる報道が相次ぐだけに、締めの言葉は不気味に響く。旧統一教会問題を追及するジャーナリストの鈴木エイト氏が言う。
「攻撃対象は自民党全体ではなく、あくまで岸田派限定。世界日報も触れていますが、教団側が腹に据えかねているのは、2022年10月19日の岸田首相の国会答弁です。宗教法人法における解散命令請求の要件に関し、前日まで『民法の不法行為は入らない』との解釈を披露し、刑事罰を科された法人に限るとしたのが、1日で『民法上の不法行為も含まれる』とコロリ。閣議決定も経ず、法解釈を変更したことが許せない。国の教団への解散命令請求を巡り、22日に東京地裁が双方の意見を聞く初の『審問』を控え、政権批判で揺さぶりをかける狙いがあるのでしょう」
議員の自己申告に基づく党内点検と違い、教団側は過去の接点を正確に把握。今後もさみだれ式に岸田派の疑惑が飛び出しかねない。教団の肩を持つ気はサラサラないが、ズサン点検でお茶を濁したツケは高く付きそうだ。
●内閣支持16.9%、最低更新 不支持初の6割台 時事世論調査 2/17
時事通信が9〜12日に実施した2月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の16.9%となり、発足以来の過去最低を更新した。
不支持率は同6.4ポイント増の60.4%で、初めて6割を超えた。
支持率は、2012年12月の自民党の政権復帰後で最低。「危険水域」とされる2割台以下は7カ月連続で、直近3カ月は1割台に落ち込む。一方、不支持率が6割台に達するのは安倍内閣の20年5月以来。自民党派閥の裏金事件などが影響したとみられる。
自民党の政党支持率は前月比1.7ポイント増の16.3%。過去最低を記録した1月から微増したものの、4カ月連続で1割台と低迷が続いている。
自民党は先に、政治改革の中間取りまとめを決定。派閥について、政治資金パーティー開催や人事関与を禁じたが、政策集団としての存続は認めた。この内容を「評価しない」は67.3%で、「評価する」の14.1%を大きく上回った。
派閥の存廃については、「解散すべきだ」が63.8%。「存続すべきだ」は10.3%にとどまった。
能登半島地震の政府対応は、「評価する」29.6%(前月比2.4ポイント減)、「評価しない」37.6%(同2.9ポイント増)だった。
内閣を支持しない理由(複数回答)は「期待が持てない」36.9%がトップ。「政策がだめ」26.8%、「首相を信頼できない」25.1%と続いた。支持する理由(同)は「他に適当な人がいない」8.4%が最も多かった。
政党支持率は自民党が首位で、立憲民主党4.1%(前月比0.6ポイント増)、公明党3.6%(同0.5ポイント増)、日本維新の会3.3%(同0.5ポイント減)の順。23年ぶりにトップが交代した共産党は0.5ポイント増の2.4%だった。以下、れいわ新選組0.9%、国民民主党0.4%、社民党0.3%、参政党0.3%で、教育無償化を実現する会はゼロ。「支持政党なし」は64.7%。
調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は59.1%。
●巨額支援なら増税′恃O ウクライナ復興会議、飛び交う「6兆円支援」も 自国防衛手薄の本末転倒 米は日本をATM扱いか 2/17
ロシアの侵略を受けるウクライナの復興について話し合う「日・ウクライナ経済復興推進会議」が19日、東京都内で開催される。岸田文雄首相やウクライナのデニス・シュミハリ首相など、両国の政府、企業関係者ら計約300人が参加し、地雷対策、生活改善といった緊急復旧支援やウクライナの産業高度化をめぐり協力策を議論する。国際機関などの試算で、ウクライナの復興には約60兆〜70兆円が必要とされるが、岸田政権は日本の支援額を明確にしていない。わが国に中国や北朝鮮の軍事的脅威が高まるなか、ジャーナリストの長谷川幸洋氏は飛び交う「6兆円支援」という推測を明かしたうえで、増税や自国防衛が手薄になる懸念に迫った。
ウクライナを支援する「日・ウクライナ経済復興推進会議」が19日、東京で開かれる。日本政府が音頭を取って民間企業の参加を募り、地雷除去をはじめ建設、エネルギーなどの分野でウクライナの復旧、復興を支援する、という。
注目されるのは、政府の支援額だ。すでに「6兆円に上るのではないか」などという推測も飛び交っている。巨額になれば、岸田政権は増税も言い出しかねない。何のための支援なのか、根本に遡(さかのぼ)った議論が必要だ。
日本政府は、ロシアのウクライナ侵略について「一方的な現状変更を許さない」「法の支配に基づく国際秩序を維持する」「ウクライナに寄り添う姿勢を示す」などと繰り返してきた。それに異論はないが、だからといって「日本がいくらでもカネを出す」という話にはならない。
なぜなら、いまや日本自身の平和と安全が脅かされているからだ。まず自分の身の安全を確保しなければならず、そのうえでウクライナ支援を考える、という話になる。
それは米国も同じだ。
いま米国が、なぜウクライナ支援を渋っているかと言えば、「もう十分支援した」「これ以上は欧州に任せよ」「米国は中国との対決に備えなければならない」という理由があり、加えて、「米国自身が南部国境で不法移民の脅威にさらされている」からだ。
米国はバラク・オバマ政権時代に「世界の警察官ではない」と宣言した。いまの米国は自分の国益を最優先で考えている。米国の対応能力に限りがある一方、中国やロシア、イラン、北朝鮮といった「悪の枢軸」勢力とその手先が世界で公然と、あるいは水面下で暴れ回っている現状を見れば、それは当然である。
米は日本をATMのように見ているのか
1990年の湾岸戦争で、日本は多国籍軍の支援に約1兆8000億円を負担した。当時の一般会計予算の約3%だ。それを賄うために、石油税と法人税の臨時増税までした。今回、もしも6兆円規模になるとすれば、5%程度になる。前例にならって増税論議が起きても不思議ではない。
日本は増税してでも、ウクライナを支援すべきなのか。
私は、日本自身の安全保障に使われるのであればまだしも、ウクライナ支援のための増税には賛成できない。それほどの支援が必要なら、まずロシアの脅威にさらされる欧州が検討すべきだ。
一部には、「ロシアの侵略を止めなければ、世界が無法状態になる」とか、「中国を元気づけてしまうので、巡り巡って日本にも脅威になる」「だから支援すべきだ」といった議論がある。
だが、そうであるなら、だからこそ、日本は中国の脅威に備えるべきだ。ウクライナを支援するために、日本が自国の防衛に手薄になってしまうのであれば、まさに本末転倒である。ロシアや中国は「おいおい、日本は自分の足元を見たらどうだ」とせせら笑うのではないか。
ジョー・バイデン米政権は、岸田政権を自分の代わりにカネを出す現金自動支払機(ATM)のように見ているのだろう。企業はといえば、政府がカネを出すなら、絶好のビジネスチャンスになる。日本の偽善者たちは「それが日本の世界に対する貢献だ」などと宣伝している。
日本は、いつまでも「世界ナンバーワンのお人よし」であってはならない。
●世界の「民主主義指数」日本は何位? 上位は北欧諸国 2/17
世界各国の「民主主義指数」2023年版ランキング
2024年は、民主主義の転換点になるかもしれない。政治と人の関係性を結び直す方法は?
イギリスの経済誌「エコノミスト」の調査部門が、世界の国々の「民主主義」の状況を10点満点で採点する「民主主義指数」の2023年版を発表した。
調査部門EIU(エコノミスト・インテリジェンス・ユニット)の「民主主義指数」は、60に上る指標のスコアを五つのカテゴリーに分類して集計。その平均値を総合スコアとしている。対象は167の国と地域。2023年版は24年2月15日に発表された。
ランキング1位はノルウェーで、総合スコアは9.81だった。最下位はアフガニスタンで0.26。日本の総合スコアは8.40で、世界16位にランクされた。
なお、アジア最上位は台湾で、世界の中では10位。韓国は22位、アメリカは29位、ロシアは144位、中国は148位、北朝鮮は165位だった。
上位5カ国のうち4カ国を北欧諸国(ノルウェー、アイスランド、スウェーデン、フィンランド)が占めた。反対に、最下位からの3カ国(アフガニスタン、ミャンマー、北朝鮮)はいずれもアジアの国々となった。
日本は上位だが「政治参加度」が低い
評価で用いたカテゴリーは、次の五つだ。
   ・選挙プロセスと多元主義
   ・政府の機能度
   ・政治参加
   ・政治文化
   ・市民の自由
日本の数字をみると、「選挙プロセス」や「市民の自由」は9点台だったが、「政治参加」は6.67で比較的低かった。
これに対し、台湾は「選挙プロセス」が10点満点、「政治参加」も7.78で日本より高くなっている。
EIUは総合スコアに基づき、167の国・地域を、完全民主主義(総合スコア10〜8)、欠陥民主主義(8〜6)、混合体制(6〜4)、独裁体制(4〜0)に4分類した。
「完全民主主義」に入ったのは24の国・地域で、世界人口に占める割合は7.8%にとどまっている。
東アジアの台湾、日本、韓国は総合スコアが8点を超えて「完全民主主義」に入った。
EIUは日本について、「アジアの中で最も安定性の高い民主主義国」だと評価。直近の政治情勢については、「長期政権を維持してきた自民党が下野の危機に直面する可能性もある。しかし同国の民主主義の根幹が揺らぐことはないだろう」とコメントしている。
2024年は選挙の年 アメリカはどうなる
EIUのリポートは、世界全体をみると「2023年は民主主義にとって幸運な年ではなかった」と位置づけている。総合スコアの平均は5.29から5.23に低下。指数の発表を始めた2006年以来最低の記録となったという。
世界人口のほぼ半数、45.4%は「何らかの民主主義」のもとで暮らしているが、「完全民主主義」に住む人は7.8%で、2015年の8.9%から減少した。世界人口の3分の1以上は権威主義的統治下で生活しており、その割合は徐々に増えているとしている。
24年には世界人口81億人の半分以上を占める国々で選挙があり、「普通選挙導入以来、最大の選挙の年になる」という。
リポートでは「選挙は民主主義の条件だが、それだけでは十分とは言えない」と指摘。アメリカの大統領選については、予想通りバイデン大統領とトランプ前大統領の対決となった場合、「かつて民主主義の灯台であった国は、さらに分裂と幻滅に陥る可能性が高い」と予測している。
●国民民主・玉木氏「トリガー」協議離脱の"裏側" 2/17
国民民主党の玉木雄一郎代表が、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」凍結解除をめぐる自民、公明両党との協議離脱を決断したことが、与野党に複雑な波紋を広げている。
これまで、予算案賛成などで与党にすり寄り、次期衆院選後の「政権入り」も取り沙汰された玉木氏の、唐突に見えた“変身”。その裏舞台には、「岸田文雄首相をはじめ与野党最高幹部らの“権謀術数”が渦巻いている」(自民長老)との見方が少なくないからだ。
当の玉木氏は、協議離脱について「岸田首相に『トリガー解除』の余裕がなくなったことが原因。まさに『約束違反』で、離脱は当然」と岸田首相の“裏切り”をなじる。そのうえで、トリガー凍結解除という「政策目標」の実現に向け、一転して旧民主党時代の「仲間」の立憲民主党の協力が必要と秋波を送った。
これに対し、岡田克也・立憲民主幹事長は「考え方を改め、野党がまとまっていくべきだと考えるなら、懐深く対応していきたい」と国民との連携に意欲を示したうえで「国民民主の吸収合併」にも言及した。
これには国民民主幹部が「上から目線」などと猛反発、玉木氏も「ああいう発言ではますます(連携が)難しくなる」と不快感を隠さず、双方の感情のもつれが露呈した。このため、永田町では「自民に使い捨てにされ、立憲にも見放されたのが玉木氏。まさに一人芝居の果ての自滅」(自民長老)との厳しい指摘も広がる。
「岸田首相の裏切り」と協議離脱決断
玉木氏は2月6日、衆議院予算委で岸田首相に対し、高騰する燃油価格抑制のための補助金の期限が4月末までとなっていることを踏まえ、「ただちにトリガー条項の凍結を解除してほしい」と迫った。しかし、岸田首相は「3党の検討チームにおいて、ぜひ検討させたい」などと言質を与えずにのらりくらりとかわし続けた。
これに憤慨した玉木氏は、質疑終了後、記者団に対し「5月以降、トリガーの発動のメドがなければ協議を継続する意味がない。協議の離脱を決断せざるを得ない」と自民、公明、国民民主の3党協議からの離脱を宣言。
これを受けて、国民民主は7日の党会合で協議離脱を正式決定。トリガー条項の凍結解除に「政治生命をかける」として自公との協議を進めてきた玉木氏に対する「責任論」も出なかった。それも踏まえて玉木氏は、記者団に「派閥の裏金問題が自民党の政策推進力や調整力を著しく低下させ、難しい減税政策を進められなくなった」と自民に“責任転嫁”した。
ただ、今回の玉木氏主導の協議離脱劇について、昨年末、玉木氏との路線対立から国民民主を離党し、「教育無償化を実現する会」という新党を結成した前原誠司前国民民主代表代行は、翌8日の記者会見で「玉木代表は何らかのけじめが必要だ」と皮肉るとともに、「自民党にすり寄っても相手にされなかった。(政治的に)非常識だったということ」と批判した。
「考え方を改め」との岡田発言にも反発
こうした経過を受けて、国民民主は12日、東京都内に所属国会議員と支持者約350人を集めて開いた定期党大会で「政策本位で協力できる政党とは与野党を問わず連携するが、『正直な政治』が大前提」とする2024年度活動方針を決定。ただ、玉木氏はあいさつで「裏金問題は政治への信頼を根底から揺るがす大問題」と厳しく批判するなど、これまでの与党寄りの姿勢を事実上修正してみせた。
これに先立ち岡田・立憲民主幹事長は10日、国民民主の路線転換について「考え方を改め、野党がまとまっていくべきだと考えるなら、懐深く対応していきたい」と国民との連携に意欲を示した。ただ、玉木氏は12日の定期党大会後の記者会見で、岡田氏の「考えを改めるなら」との発言について「(岡田発言で)ますます(連携は)難しくなる。わが党の中にも思いがあるということに、もう少し理解と配慮をいただきたい」と不快感を示した。
そのうえで玉木氏は、立憲と国民の合流の可能性について「安全保障やエネルギー、憲法などの基本的政策について一致できる政党があれば、『連立』は可能だが、現在の立憲民主はそれを満たしていない」と指摘し、「今、ともに政権を担う政党とは考えていない。一致させるために議論する用意はあるが、そういう話は来ない」と突き放した。
そもそも、玉木氏は与党との協議離脱を決断した6日、立憲幹部に4月の衆参統一補選での連携を持ち掛け、両党は14日にも党首会談を行うべく調整に入ったが、10日の「岡田発言」への国民民主の反発で頓挫し、玉木氏は13日の泉健太・立憲代表との電話会談で協議見合わせの意向を伝えたとされる。その際玉木氏は、国民民主がトリガー発動に必要な法案を日本維新の会と共同提出した経緯を踏まえ、立憲との協議先行に否定的態度も示したという。
立憲・国民との3党連携は「ナンセンス」と維新
こうした経緯から玉木氏は14日、立憲、維新との連携について「3党で何らかの形で議論したり会ったりすることは否定しない」として、今後は3野党連携を模索する考えも示した。ただ、馬場伸幸・維新代表は15日、「トリガー条項」発動で泉氏から協議呼びかけがあったことを明らかにしたうえで、「今さら、(立憲、国民、維新の)3党で与党側に(トリガー条項発動要求を)突き付けていくのは、非常にナンセンス」と3党連携を全否定した。
こうして、「トリガー凍結解除で右顧左眄の果てに孤立化した玉木氏」(自民長老)について、有力な政治アナリストは「次期衆院選での党の生き残りに懸ける玉木氏が、『裏金事件で国民に見放された自民と組むより、野党と連携したほうが得だ』と考えた結果」と分析。
併せて、自民党のつれない対応についても「改憲や防衛政策で抵抗する公明を牽制するために国民民主の取り込みに動いたが、裏金事件への国民批判で次期衆院選に向けた公明との関係強化が不可欠となり、国民民主どころではなくなったのでは」と解説する。
そもそもここ数十年の政治史を振り返ると、「与(よ)党と野(や)党の間に位置する国民民主のような(ゆ)党は、いずれも一定期間存続後、賞味期限切れで消滅した」(自民長老)のが実態。玉木氏については「もともと自民党からの出馬がかなわず、当時の民主党から中央政界入りした」(同)との指摘もあり、旧民主党政権崩壊後の分裂騒ぎの中で「自民一強政権に潜り込むチャンスを狙ってきた」(閣僚経験者)との見方が少なくない。
だからこそ、「トリガー凍結解除という『国民的人気商品』を自らの自民への売り込み材料に使った」(同)わけだが、「その思惑は昨年末からの巨額裏金事件での元の木阿弥」になった」(同)格好だ。こうした玉木氏の対応に、最新の一部メディア世論調査では国民民主の政党支持率が半減しており、当面は「玉木氏が孤立脱出の妙手を打ち出せるかどうか」が注目されることになる。 

 

●能登半島地震 下水管復旧見通し立たず 9割超で被害 石川 珠洲 2/18
広い範囲で断水が続いている石川県珠洲市では下水管も大きな被害を受け、トイレなどが使えない状況が続いていて、市が被害の状況確認や復旧作業を急いでいます。
珠洲市では市の人口の半数余りが公共下水道が整備された地域で生活していますが、これまでの市の調査でマンホールが浮き上がるなど、市内の下水管の94%で被害が確認されています。
市は復旧を進めるため、被害状況についてさらに詳しい調査を進めていて、18日は専門の業者がマンホールから特殊なカメラを入れて下水管の破損状況などを細かく調べていました。
さらに、各家庭などから集まった下水を処理施設に送り込む「圧送管」と呼ばれる配管も大きな被害が確認されたことから、業者が1本4メートルの仮のパイプをつなぎ合わせて敷設する作業を進めていました。
市によりますと、下水管は大きな被害を受けている一方、調査と工事を行う業者は県外からの派遣に頼っている状況で、復旧の見通しは立っていないということです。
被災地に派遣され、復旧作業にあたっている名古屋市上下水道局 珠洲市応援隊 太田宗由下水道隊長は「熊本地震や東日本大震災では下水管の被災が3割程度だったのが、珠洲市では9割を超えていて被害の大きさがうかがえる。厳しい環境で避難生活を送っている市民のためにも復旧を急ぎたい」と話していました。
各家庭の浄化槽にも被害報告相次ぐ
珠洲市では今回の地震で公共下水道が大きな被害を受けているほか、各家庭に設置された、生活排水を処理する浄化槽にも被害の報告が相次いでいます。
市によりますと、市の北部を中心に浄化槽を設置している家庭が多く、浄化槽に亀裂が入ったり沈んだりなどといった被害が出ているということです。
浄化槽を利用しているのは市内の家庭の4割余りに上るとみられ、現在、県の浄化槽協会が点検などを進めていますが、市によりますと、被害の全体像は明らかになっていないということです。
●田に亀裂、コンバインつぶれ「今年は米育てられない」 輪島の農家ぼうぜん  2/18
能登半島地震で農家も打撃を受けている。石川県輪島市門前町の道下地区で稲作に励む農事組合法人「モロオカエーシー」は、管理する田んぼ25ヘクタールの大部分が被災した。代表理事の竹内毅さん(41)は「今年は育てられない」と先の見えない苦境にぼうぜんとしていた。
夏には青々とした苗が風に揺れ、収穫期には一面が黄金色に光る。のどかな田園地帯に広がる田んぼは地震で一変した。所々で亀裂が入ったり、液状化して泥まみれになったり。震災から1カ月がたち、初めて被災状況を目の当たりにした竹内さんは「今年は無理。心が折れかけている。こんな田んぼは見たことがない」と立ち尽くしていた。田んぼ近くの農業機械を格納する倉庫も崩れ、コンバインや田植え機が押しつぶされた。
法人は父の新一さん(故人)と地元の農家数人が約30年前に立ち上げた。2007年の能登半島地震では農機具や田んぼが被災。金沢で営業マンとして働いていた竹内さんは12年に地元の農業を復興させるため帰郷を決意。父と二人三脚で懸命に働いた。現在は1人で法人を運営する。
ミネラル豊かな奥能登ならではの土壌で「コシヒカリ」や「ひゃくまん穀」といった品種を育て「安心安全でできる限り少ない農薬で育てた。東京や大阪に『うちの米じゃないといや』と言うファンもついてきた」という。経営も再び軌道に乗り始めた時に大きく揺れた。
作付け再開の時期は不透明。「正直農業を続けようか、やめようか悩んでいる」。出口の見えない中、不安は募るばかりだ。
●能登半島地震 新潟市の罹災証明書 交付6千件超 被害調査は約1万5千棟 2/18
能登半島地震による住宅被害について、新潟市は18日までに約1万5千棟の調査を終えたと発表しました。罹災証明書の交付は6千件を超えました。
新潟市によりますと、能登半島地震による住宅被害に伴う罹災証明書の申請は、18日までに約1万3千件にのぼっています。このうち、交付された件数は約6千件です。
新潟市は県内の各自治体の職員からの応援を受けていて、交付は2月中に終えたい考えです。
住宅の被害調査は罹災証明書の申請がなくとも進めている分もあり、申請件数より多い約1万5千棟の調査を終えています。
災害ボランティアの活動は2月8日以降、土日のみとなっています。
●還流額は5年で5億8000万円 自民「裏金」 2/18
自民党は安倍派、二階派の国会議員82人と元議員3人、6派閥2グループの事務総長ら91人を対象に実施した政治資金収支報告書への不記載問題(派閥による還流裏金問題)の事情聴取結果を15日公表した。それによると32人が還流を認識し、しかも安倍派11人は政治資金収支報告書への不記載を把握していた。
不記載を把握しながら記載しなかった理由について「派閥の指示を受けての対応だった」などとしている。還流は現職・元職の計85人すべてで確認され、その額は2018年〜22年の5年間で約5億8000万円にのぼった。使い道では懇親会費や手土産などだった。還流は安倍派では10数年前から行われていたとみられる。
また還流資金は「選挙に使われたのではないか」との疑念も上がっている。日本共産党の塩川鉄也議員は14日の衆議院予算委員会でこの点を追及。2019年の参院選挙では橋本聖子元五輪担当大臣が不記載額は1566万円と他の年にくらべ額が7倍以上になっていた。世耕弘成元官房副長官も18年〜21年では102万〜476万円の中で19年は604万円。太田房江元経済産業副大臣も18年〜20年で16万円〜40万円が19年は158万円と突出していた。
岸田文雄総理(自民党総裁)は「関係者に説明責任を果たしてもらわなければならない」と自民党政治への信頼回復には当事者の国会議員による説明が必要との考えを強調した。
●“裏金”自民アンケート「調査の結果がひどすぎ」「単に時間稼ぎをやっている」 2/18
元内閣官房参与の岸博幸氏(61)が18日、TBS系「サンデージャポン」(日曜午前9時54分)に生出演。自民党の「裏金」聞き取り調査でキックバック総額が5億7949万円と判明し、「金額」「使い道」「収支報告書不記載の理由」などの回答が匿名となっていることについて言及した。
「とにかく調査の結果がひどすぎる。去年不祥事があった日大とかビッグモーターとか見れば分かるように、今回はどうやって裏金を使ったっていうのかの詳細が必要ですけれども。それに加えて問題の起きた経緯、何で裏金をつくることをやり出したのか。何が原因でこうなったのか。そういった真相究明が一番大事なのに、そういった部分が一切なくて、表面的な数字だけを出しています。これでは真相を解明する気はないと見えますし、単に時間稼ぎをやっているのかなとしか見えない」と一気に語った。
アンケートの結果、2018年から2022年に政治資金収支報告書に不記載が確認された所属議員は計85人(現職82人、選挙区支部長3人)で、総額は約5億7949万円に及んだ。資金還流について、安倍派を念頭に「一部派閥が報告書に記載しないよう指導していた」と明記。不記載額が最も多かったのは二階俊博元幹事長で3526万円。1000万円超は20人にのぼり、会計士の監査で不正の可能性を指摘された例もあったとされる。
●国民民主悩む「立ち位置」 政権寄りから転換、立民への接近探りさや当て 2/18
国民民主党が党の立ち位置に頭を悩ませている。自民党派閥の裏金事件や、ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」を巡る自民、公明両党との3党協議が破談したことを受け、政権寄りの路線から対決姿勢へとかじを切った。ただ連携相手に見据える立憲民主党とは選挙戦略や政策面で隔たりがあり、関係構築は一筋縄ではいかない。
「ああいう発言があるとますます難しくなる」。12日、都内で開かれた国民の党大会後の記者会見で、玉木雄一郎代表が立民の岡田克也幹事長にかみついた。岡田氏は10日「(国民が)考え方を改め、野党がまとまっていくべきだと考えるなら懐深く対応したい」と国民との合流に意欲を示したが、言い回しは「上から目線」。国民の榛葉賀津也幹事長も大会で「大きなお世話だ」と猛反発した。
国民は所属国会議員17人。小所帯ながらも、政府予算案に賛成するなど独自路線をひた走り、野党内で一定の存在感を示してきた。
旧民主党の流れをくむ国民と立民だが、スタンスは異なる。「対決より解決」を掲げトリガー協議をてこに与党との距離を縮めてきた国民を、立民は「野党分断に利用されている」(幹部)と冷ややかに見てきた。一方、国民も選挙協力で共産党と関係を築く立民を批判。溝は広がっていた。
ただ裏金事件を契機に国民内では「政権と距離を置かなければ、われわれにも火の粉が降りかかる」(幹部)と与党寄り路線に異論が噴出。7日には玉木氏が「政治生命を懸ける」としたトリガー協議を離脱し路線転換は不可避となった。
玉木氏は早速、4月の衆院3補欠選挙での野党連携を立民に打診。島根1区、長崎3区を立民、東京15区を国民の候補者で一本化するよう求めたが、立民は東京15区でも独自候補擁立の姿勢を崩さず、候補者調整の見通しは立っていない。
一方で、立民からも連携への打診はあった。国民に持ちかけ、両党でのトリガー政策協議の初会合を開く予定だったが、今度は玉木氏が「日本維新の会との調整も必要」と主張し先送りとなった。背景には「岡田発言」への反発があるとみられ立民ベテランは「国民が何がしたいのか分からない」とあきれる。
立民とのさや当てが続く国民。中堅は「埋没しないようこちらも必死だ」と語る。野党協調路線の針路は定まらない。
●青木理氏、「サンモニ」で自民党「裏金事件」調査報告書を巡り関口宏に質問…「僕らが『裏金』って言っているの何て書いてるかご存じですか?」 2/18
TBS系「サンデーモーニング」は18日、自民党が15日に派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、収支報告書に不記載があった議員ら計91人に実施した聞き取り調査の結果を公表したことを報じた。
調査結果では、還流資金の不記載があった対象85人のうち39人が還流された金を現金で管理していたと回答した。
また、番組では裏金事件を巡る政府と野党の国会論戦、与野党が衆院の政治倫理審査会の開催可否について幹事懇談会で協議したことも伝えた。政倫審について野党は、還流額を政治資金収支報告書に記載しなかった安倍派、二階派の現職82人のうち衆院議員51人の出席を要求したが与党は回答を保留し、開催合意に至らなかった。
コメンテーターでジャーナリストの青木理氏は「裏金事件」の自民党の調査報告書で「キックバックされた僕らが『裏金』って言っているの何て書いてるかご存じですか?」と司会の関口宏に問い掛けた。「え?」と関口が聞き返すと青木氏は「『還付金』って書いてあるんです。還付金って我々が税金を納め過ぎたら返ってくるのを一般的に『還付金』って言うんですけど。あるいは中抜きしてたのを『留保金』って書いてあるんです」と説明すると関口は「へぇ」とつぶやいた。
さらに青木氏は「還付金と留保金っていう認識を見ると党全体で反省してないんじゃないですか?っていうふうに思われちゃいますよね」と指摘していた。
●テレ東も生中継した田中真紀子氏の政倫審 裏金問題で開かれるのか 2/18
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、関係した当該議員を国会の政治倫理審査会(政倫審)に呼ぶか、呼ばないかで、与野党の攻防が続いている。野党側は、キックバックを受け取ったとして聞き取りの対象になった安倍派、二階派(ともに解散)の国会議員のうち、衆院議員51人の出席を自民党に要求。出席を渋る安倍派幹部もいるとされる中、幹部以外の政倫審での「告発」に期待する側面もあると受け止められている。
政倫審は、疑惑が持たれた議員の政治責任を審査する国会の機関で、きっかけとなったのは昭和のロッキード事件だった。衆参両院に設立され、本人か委員の3分の1の申し出があれば委員の過半数議決で招致されるが、強制力はなく、あくまで「審査」の場だ。
過去9回開かれ(1回は対象者が出席せず)たが、開かれることになった理由は「政治とカネ」をめぐる問題が多い。暴力団との交際疑惑や経歴詐称疑惑、かつて社会問題になった耐震強度偽装をめぐる問題もあった。
原則は非公開で、最初の加藤紘一氏は公開されなかった。その後もメディアへの公開はなかったが、政倫審のシステムを大きく変えたのが、先日「目白御殿」が全焼した田中真紀子元外相が出席した時。「特例」として初めて公開された。 2001年4月に発足した小泉内閣の外相として華々しく活動しながら翌年1月に外務省との対立から更迭され、春になると、週刊誌報道で秘書給与流用の疑惑が指摘された。疑惑浮上後、一貫して否定する真紀子氏に、この時は自民党が再三説明を求め、党の党紀委員会に呼ばれたり、説明文書の提出を求め、これに真紀子氏が反発するなど、すったもんだが続き、取材する立場としても翻弄(ほんろう)されたことを記憶している。
当時の自民党は強硬で、党紀委員会で真紀子氏に党員資格停止処分まで下した。結局、真紀子氏は政倫審に出席することになったが、疑惑が出てから3カ月くらいたった後の2002年7月24日。NHK、民放各局、ラジオ各局がすべて生中継した。独自路線の編成で知られるテレビ東京も中継したことも、注目度の高さを表した。NHKの中継の視聴率は11・7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、国会中継では異例の高さだった。
歯に衣(きぬ)着せない「真紀子節」で知られた真紀子氏も、始まる前は笑顔をみせていたが、審査が始まり各党の質問で詳細な突っ込みが始まると「ええー、あのー」などと、しどろもどろになる場面があった。紙を見ながら答え、同席した公認会計士と弁護士が代理答弁する場面も目立った。約2時間行われたが、真紀子氏は終了後、取材に応じなかった。「再説明」を求める声も出たほどだったが、真紀子氏は、この2週間あまり後に、議員を辞職した(2003年衆院選で政界復帰)。
政倫審で初めて事実を認めたケースもあった。日本歯科医師連盟(日歯連)からの献金問題で、首相経験者として初めて臨んだのが橋本龍太郎氏。この時はメディア公開されなかったが、橋本氏は日歯連からの1億円授受について「思い出せない」としてきたのを、政倫審の場で「客観的に見て、事実であろうと思います」という表現で認めた。当時、出席した議員に取材すると、鼻っ柱の強さで知られた橋本氏が、この時ばかりは弱々しい声で答えていたと聞いた。
政倫審に応じる議員の対応はそれぞれ。説明の場にはなるが、うその証言をすれば偽証罪に問われる証人喚問とは異なり、刑事告発もされない。「みそぎ」「ガス抜き」といわれるのも事実で「とにかく乗り切ることが大事」と聞いたこともある。
一方で、時間が限られた中での説明で、ほとんどが「言いっ放し」で終わる。疑惑が完全に晴れることもなく、出席した後も疑惑を引きずる形にもなる。真紀子氏のように辞職したり、その後の選挙で落選した議員もいる。政治生命に関わる「終わりの始まり」の場になる場合もあるのだ。
今回、自民党は野党に当該議員の出席を求められても、なかなか重い腰をあげようとしていない。野党が求める派閥幹部議員らが出席に応じてもし実施されたとしても、公開されるのかは微妙だ。岸田文雄首相が2月14日の集中審議で30回以上繰り返した「説明責任」という言葉がポーズだけか、そうでないのか、国民も注視しているはずだと感じる。
●岸田内閣支持率、最低14% 不支持率82% 毎日新聞世論調査 2/18
毎日新聞は17、18の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は、1月27、28日実施の前回調査(21%)より7ポイント減の14%で2カ月ぶりに下落し、岸田政権発足以来最低となった。岸田内閣の支持率が20%を切るのは、昨年12月以来2度目。不支持率は前回調査(72%)より10ポイント増の82%だった。
調査方法が異なるため、単純比較はできないが、内閣支持率14%は、2009年2月の麻生内閣(11%)以来の低い水準。また、不支持率が80%を超えるのは、毎日新聞が世論調査で内閣支持率を初めて質問した1947年7月以来、初めて。
支持率は、マイナンバーカードを巡るトラブルが相次いだことなどが影響して昨年6月以降、下落傾向に転じ、9月に内閣改造を実施するなどしたが、政権浮揚にはつながらなかった。11月以降、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が深刻化。今年1月は20%台を回復したが、再び下落した。
●自民の政策活動費 不透明な金の流れ根絶を 2/18
「政治とカネ」の問題に根本から取り組むなら、放置できないはずだ。政治資金規正法の「抜け穴」となっている政策活動費の見直しである。
平成の政治改革で企業や団体から政治家個人への寄付は禁止されたが、例外的に政党によるものは認められた。自民党では政策活動費が該当する。
受け取った政治家は政治資金収支報告書に記載する義務がない。複数の安倍派議員が、派閥からのパーティー券収入の還流分を不記載にした理由について「政策活動費だと認識していた」と説明したのはそのためだ。だが、派閥は政党ではないため方便に過ぎない。
表向きは党勢拡大、政策立案などに使われているとされる。しかし、過去に各種選挙で候補者や陣営などへの陣中見舞いなどに使われたと証言する元党幹部もいる。識者は、裏金として選挙での買収に使われかねないと指摘する。
自民では規模が大きく、2022年に党幹部へ計約14億円を支出した。最多の茂木敏充幹事長は約9・7億円だった。二階俊博元幹事長は在任中の5年間に約50億円を受け取ったとされる。
同様の支出は野党にもあるが、裏金事件に対する国民の視線は厳しく、自民以外の各党は使途公開や廃止を主張している。
だが、岸田文雄首相は見直しに後ろ向きだ。公開すれば「党の活動と関わりのある個人のプライバシー、企業・団体の営業秘密を侵害する」と繰り返す。政治活動について国民が知る権利よりも、党の利益を優先する姿勢が目に余る。
政治家が好き勝手に使える「つかみ金」のような制度は他にもある。国会議員に、歳費とは別枠で月100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)だ。
本来、国会議員としての活動を有権者に伝えるための費用だった。だが、使途を公開する必要がないため、飲食費などへの流用が問題視されてきた。岸田政権下で支給の日割りは実現したが、使途はなし崩しに拡大された。
政治資金を国民監視の下に置くのが規正法の趣旨だ。不透明なカネの流れを断ち切る抜本改正に取り組まなければ、国民の政治不信は払拭(ふっしょく)できない。
●五輪汚職の高橋治之の「告白」を新聞・テレビが報じないワケ… 2/18
東京五輪の受託収賄事件で1億9800万円のワイロを受け取ったとして起訴された高橋治之元電通専務が週刊文春(2月15日号)で、“安倍晋三に裏切られ、森喜朗に嵌められて…”と「初告白」している。
「森さん(喜朗元組織委員会会長=筆者注)から『あなたはマーケティング担当理事です』なんて言われたことは一度もありません。森さんが勝手なことを言っているだけ」
招致委員会から高橋の会社に多額のコンサル料が振り込まれていたことについては、
「招致活動をする時には、当然、渡航費などの経費がかかる。招致委員会にそうした予算はいくらあるのか聞いたら、『ゼロ』というんです。『お金を集めてください』って。それで、一社二億一千万円の協賛金を集めるパッケージを作って、色んな企業に声をかけた。僕だけで約二十五億円集めました。そのうちの三十%は僕の招致活動費に使うという契約を交わしていたので、七、八億円くらいが僕の会社『コモンズ』に振り込まれました」
自身が「見なし公務員」で、スポンサー企業からカネを受け取ることで刑法上の罪に問われる恐れがあるという認識はあったのか問われると、
「僕が理事になった十四年時点では組織委は一般財団法人でしたが、翌十五年に『オリ・パラ特措法』ができて、組織の理事は公務員とみなす、いわゆる『みなし公務員』となることが決定したといいます。でも、この変更について組織委からの説明は何もなく、紙っぺらが送られてきただけ。それも色んな書類に紛れて全く記憶に残っていませんでした」
要は、高橋は民間のコンサルタントとして金集めに協力したので何らやましいところはない、森は法廷に出て本当のことを言ってくれと懇願しているのである。
文春のスクープにケチをつけるわけではないが、高橋側の言い分をそのまま載せるという条件で折り合ったのであろうか、いつもの文春の突っ込みがやや弱いと感じた。
しかし、文春記者とは別に、大手メディアの多くの記者が高橋に接触していたはずなのに、なぜTBS以外のテレビや新聞は報じようとしないのか? それは、彼らが警察や検察に怯えているからである。
私は週刊現代(1996年新年合併号)で、当時、地下鉄サリン事件などの主犯として逮捕・起訴された麻原彰晃の「供述調書」を独占掲載したことがあった。当時、警察も検察も「麻原の調書はない」と言い続けていたが、同じものをいくつかの新聞社が入手していたことは間違いない。だが、彼らは警察、検察の記者クラブから出入り禁止になることを恐れ、出せるはずはなかった。
これを出せば検察は激怒し、私を逮捕するかもしれなかった。なぜなら、調書で麻原は延々と自己弁護し、犯行は自分の知らないところで部下たちがやったという内容だったからだ。当局の面目は丸潰れになり、醜態をさらすことになる。
案の定、掲載誌が出た後の検察の“報復”は厳しいものだったが、ここでは省く。
今回も新聞・テレビが無言なのは、無罪を主張する高橋の言い分をそのまま載せて、検察から睨まれたくなかったからではなかったか。権力を監視するという役割など、とっくに放棄しているのだから当然だろうが。
「事実に反した森さんの供述で、僕は逮捕されてしまった」という高橋の告白から、私が読み取るのは、当局は五輪汚職を事件化するために、森喜朗と「司法取引」したのではないかという“疑念”である。「森さん、あんたを見逃す代わりに高橋を差し出せ」──。ここはぜひ森の弁明が聞きたい。
●GDP4位転落 「一過性」では済まされぬ 2/18
経済大国と胸を張れた時代は、もはや昔話なのか。
2023年の名目国内総生産(GDP)が、日本の人口の3分の2に過ぎないドイツに抜かれ、4位に転落した。
10年に中国に抜かれ、2位から後退して13年。ドイツとは00年に2・5倍もの開きがあったのに逆転され、3年後にはインドにも抜かれる見通しというから残念だ。
転落の要因は、歴史的円安でドル換算の数値が目減りしたことが大きい。ただ、円ベースでは折からの物価上昇もあり、前年比5・7%増と1991年以来の高い伸びでもある。「一喜一憂しない」という政府の受け止めも、分からなくはない。
しかし、今の円安は政府が招いたものだ。物価高などの副作用は深刻で「円安による一過性の現象」と強調したところで、市場が円高に戻るとも限らない。岸田文雄首相はもっと真剣に、成長を促す対策に取り組むべきだろう。
日本は少子化と高齢化で生産人口が今後も減り続ける。その状況下でGDPを増やし、国民生活を豊かにしていくことは並大抵ではない。賃上げと設備投資を積極的に進め、経済の実力を表すともいわれる「潜在成長率」を高めることが不可欠になる。
安倍政権の轍(てつ)を踏んではならない。アベノミクスは円安と株高でその機会を創出したが、結局は企業が内部留保を増やしただけだった。
90年代には5%近くあった潜在成長率が1%を割ったままなのは、企業が設備や人への投資をせずに内向きな経営に終始してきた結果だろう。巨額の財政出動をしながら国民生活が向上するどころか、低下してしまった失敗を繰り返してはなるまい。
現下の経済情勢は楽観できない状況だ。国民が物価高に疲弊したのか、個人消費が落ち込み、直近のGDPは2四半期連続のマイナスに沈む。景気腰折れの懸念さえある。
岸田首相は賃上げを声高に連呼するが、大幅賃上げがあった23年も実質賃金は2・5%もの目減りだった。物価上昇を大幅に上回る賃上げが実現できるかは、極めて微妙と言わざるを得ない。
日本の1人当たりのGDPは既に経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中21位、先進7カ国(G7)では最下位と目を覆いたくなる。経済大国を自負できるどころか、国際社会、とりわけアジアでの発言力低下が避けられないことを直視すべきだろう。
成長には、労働市場の流動性を高め、ITやデジタル技術などの分野を深化させる挑戦がなにより重要になる。人手不足を補うために定年制を廃止して高齢者の就労を促進し、女性や外国人の雇用拡大にも力を入れねばなるまい。成長分野に人材や資金が十分供給できるような制度改革も必要になるはずだ。
日本の株価がバブル期を超えるような上昇機運に乗っていることは追い風には違いない。春闘での賃上げも含め、将来の成長につながる経済の好循環が本当に実現できるかどうか。岸田政権の浮沈が問われる正念場である。
●石破氏のジレンマ…原因は正論? “次期総理の期待トップ”でも党内支持が広がらない理由 2/18
JNNが2月におこなった世論調査で、次の総理にふさわしい人のトップに立った自民党の石破茂元幹事長。石破氏はこの結果について「知名度が高いことと、内閣の外にいるので自由な発言が出来るからだ」と浮かれる様子は見せないが、総理の座を意識していないことはない。
だが、国民からの人気とは裏腹に、自民党内の支持に広がりは見えない。石破氏は今、「正論」を言うほど党内の支持を失うジレンマに直面している。
岸田内閣退陣を“提案”?
2023年12月、自民党の派閥の政治資金パーティーの問題が国会でも取り上げられる中、次のような見出しのニュースが自民党で物議を醸した。
「自民・石破氏 来年度予算成立後の岸田内閣退陣を“提案”」
これは、石破氏が民放のテレビ番組に出演した際、安倍派の裏金疑惑について、党総裁である岸田総理の責任の取り方について「来年度予算案が成立したら辞めるというのはありだ。国民に判断してもらおうと衆議院を解散するのも責任の取り方かもしれない」と話したものだ。これには自民党内から、政府・自民党が必死に野党の追及に耐える中、「後ろから鉄砲を撃つのか」と石破氏を批判する声が噴出した。
石破氏としては、岸田総理の責任を追及するとの思いはなく、一般論として発言したつもりだったようだが、党内のひんしゅくを買うこととなった。
不用意な発言をし自身の思いとは異なる受け取られ方をして党内の批判を浴びるのは、石破氏の特徴とも言える。
総裁選に意欲にじませる?
2024年2月10日、石破氏の姿は地元鳥取にあった。国政報告会を開いた石破氏は、9月の自民党総裁選に向けた準備について記者団に問われると次のように答えた。
「いつ、何があってもいいようにしておかなければいかん。総理総裁になって欲しい人リストに上がっている人は、みんなそうなんじゃないの」
総裁選をめぐるこうした発言は、今に始まったことではなく、常日頃からインタビューの度に発しているが、裏金事件などで岸田内閣の支持率が低下し「ポスト岸田」に注目が集まる中、“石破氏が総裁選への出馬に意欲を示した”と各メディアは報じた。
これに対し石破氏は周囲に「これまでの発言と何も変わりは無い」と話すなど、ここでも真意とは違う受け取られ方をしていると困惑の表情を見せている。
では、石破氏に総裁選への意欲がないのかというと、そういうことはないだろう。2020年の総裁選で敗れた後、”石破は終わった”とも言われてきたが、石破氏の周辺では総裁選出馬の可否を大きく左右する3つの大きな変化が起きている。
石破氏をめぐる環境の変化(1)〜いわゆる派閥の解消〜
これまで4度総裁選に挑戦してきた石破氏だが、当選を阻んだものの一つが「自民党の派閥政治」だった。
自民党の総裁選は「国会議員票」と「党員らの地方票」で争われ、総裁選ごとにこの比重は変わってきたが「国会議員票」を多く取った候補が総理の座を射止める結果が続いている。
つまり、より多くの派閥の支持を得ることで国会議員票を固められるかが総裁選の勝利のカギを握ってきた。
だが、石破氏は出馬した総裁選で、党員票では勝利ないし善戦をしてきたものの、ことごとく国会議員票で大差をつけられ敗北してきた。
しかし、今年に入り、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、安倍派・岸田派・二階派・森山派が解散を決定し、次の総裁選は派閥の影響力が薄れた戦いとなることになる。これが石破氏が総裁選に挑戦する上では追い風が吹く結果となっている。
石破氏をめぐる環境の変化(2)〜安倍元総理の死去〜
総理を目指す石破氏にとって大きな壁となり立ちはだかってきたのが安倍元総理の存在だ。
過去4度挑戦した総裁選では2度安倍氏に敗れた石破氏は、森友学園問題などをめぐり時の総理大臣である安倍元総理に苦言を呈し続けてきた。正論ではあるのだが、こうした石破氏の言動を快く思わない安倍氏は石破氏に否定的な姿勢を見せ続け、絶大な影響力を持つ安倍氏に配慮するかのように、議員達にとって石破氏に接近すること自体がはばかられる状況が続いてきた。
その安倍氏が2022年7月、凶弾に倒れた。安倍氏が亡くなった後も党内ではアベノミクスの継承など、安倍政治を引き継ぐ動きが続いてきたが、「旧統一教会問題」や「安倍派の裏金事件」を受け、最大派閥・安倍派の影響力は著しく低下している。石破氏にとってはこれもまた総裁選に出馬する環境へと繋がっている。
石破氏をめぐる環境の変化(3)〜石破派の解散〜
石破氏は2015年に石破派を旗揚げし、その後2度総裁選に臨んだがいずれも敗れ、2021年に石破派を解消した。その後、グループとして活動を続けるものの退会者が相次ぎ、活動は縮小を続けている。
総裁選への出馬には20人の推薦人が必要で、派閥を解消した石破氏にとっては、この推薦人確保が大きなハードルとなっている。
総裁選、5度目の挑戦はあるか
2月5日、石破氏の姿は都内の日本料理店にあった。食事を共にしたのは河野太郎デジタル大臣だった。関係者によると、この会食は河野氏の呼びかけで行われたという。
石破氏と河野氏と言えば、2021年の総裁選に河野氏が立候補した際、小泉進次郎元環境大臣とともに「小石河連合」を結成し、河野氏の当選を目指し共に戦った間柄だ。
総裁選は岸田総理に敗れたものの、第一回投票、決選投票共に地方票では岸田総理を圧倒した。
国民からの支持が高い2人だが、党内基盤が盤石とは言えない。同時に総裁選に出馬すると地方票を分け合うことになり、他の候補を利することになることから、会合では総裁選への出馬について互いの腹を探りあったものとみられる。
総裁選への出馬に期待の声も上がる石破氏だが、石破氏は「私は政局を仕掛けることはしない」と話す。事実、石破氏が総裁選に向けた仲間集めをするといった動きは見られない。つまり「待ち」の姿勢なのだ。
派閥の裏金事件で自民党が揺れる中、世論調査では自民党支持層でも”次期総理の人気トップ”に浮上した石破氏。今のところ党内では「石破総理待望論」に盛り上がりは見えないが、石破氏はその時を待ち続けている。
●『新潮』のコラムが素晴らしい 2/18
今週も週刊誌を開くとゲンナリ(但し『ニューズウィーク日本版』は別)。
毎号、毎号、岸田政権批判や松本人志の性加害問題。正直、飽きた。
そんな中で、今、ぼくがいちばん愛読し、共感しているのは『週刊新潮』のコラム、里見清一さんの『医の中の蛙』だ。
その斬れ味、かつての『新潮』名物、山本夏彦さんの「写真コラム」に匹敵する。
今週(2月22日号)の「税金を払おう!」も素晴らしい。
まず高坂正堯さんの『歴史としての二十世紀』(新潮選書)の一節を紹介。
「政治家の良し悪しを判断するのによい基準があります。『私は税金を取ります』と言う政治家はいい政治家であって、『税金は取りません』と言う政治家はまやかしなのです。政府がなにかをやるためには、必ず税金を取らなければいけません」
<してみると現代の政治家はだいたいが「まやかし」で、しかもメディアも有権者もまやかしの方を求めるらしい>
そこから話は現在、問題となっている「政治資金」へ。
<そもそもなぜ政治資金が非課税になっているのかというと、「政治活動」は憲法が認める言論・表現の自由の大きな柱で、可能な限りその活動の自由を保障し、促進すべきだから、税金を取るなんて邪魔(制限)をしてはいけない、という考えから、なのだそうだ。これは「信教の自由」を保障するために宗教法人が非課税なのと同じ理屈である。だがしかし、活動の自由を保障するのと、税金を取らないのとは話が別ではないか。特別な重税を課すのならともかく、人並みの税金を払わせるのが「弾圧」になるとでも言うのか>
<苟(いやしく)も日本のリーダーたらんとする政治家や、「聖職者」を志す宗教人が「自分だけ特別扱いして欲しい」なんてケチなことを言うのは論外である>
<だいたい、政党には国庫から政党助成金なんてものが支給されていて、議員さんたちは「もらう」身の上である。もらってばかりいると性根がいじけてしまう>
胸がすく。
●実弾介入の可能性は? 外国為替 2/18
ドル・円相場は心理的節目の150円を上抜け、「為替介入ゾーン」に浮上。米利下げ観測の後退や日銀の政策修正に思惑が広がるなか、年明け以降、ドル高・円安基調を強めています。政府は2年前のような大規模介入に乗り出すか、市場の関心が高まってきました。
2月13日に発表された米1月消費者物価指数(CPI)は前年比で予想を上回り、前月比では昨年12月よりも強い内容となりました。インフレ指標の再加速を受け、市場は3月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利据え置きをほぼ確実視。連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期の予想を5月以降に後ずれさせています。
他の主要中銀の政策方針が不透明になり、足元はドル選好の様相です。
ドル・円相場は今年140円79銭で寄り付き、1月19日に148円80銭まで上昇した後に失速するも、再び値を切り上げています。堅調な米経済指標はソフトランディングへの期待感からドルの押し上げ要因に。半面、FRB当局者の間では利下げ時期について見解が分かれるものの、一部のハト派的な見解が米10年債利回りを押し下げ、ドルの重石になっています。
日本政府は過度な円安に対するけん制姿勢を強め、一段の円安に歯止めをかけたい考え。2022年に150円以上のレベルで大規模なドル売り・円買い介入を実施しており、市場は実弾介入に身構えています。昨年も150円台に浮上した際、22年の高値151円94銭に迫ったタイミングで神田財務官が介入に「スタンバイ」と発言し、151円90銭から下げに転じた経緯があります。
ドル・円が目先も騰勢を強めていく場合、政府は実弾投下に踏み切るでしょうか。一昨年、昨年と152円手前で下げに転じたことから、同水準を上抜けると、それ以上の水準では抵抗線となる節目が見当たらず、ストップロスを巻き込んで弾みがつけば一気に155円付近まで値を上げる可能性が指摘されています。そのため、152円付近でのドル売り・円買い介入というのが現時点での市場の見立て。
ただ、これまでと異なるのは日銀の政策修正が現実的になってきた点でしょう。マイナス金利解除はすでに織り込まれてしまい、緩和的な環境を維持するとの方針の方が重視され、むしろ円安に振れやすい状況にもみえます。日本の10-12月期国内総生産(GDP)の下方修正で不透明感も増し、円を下押ししています。ドル・円は底堅い値動きが続くとみられ、152円トライのシナリオも想定されます。
円安は一段の輸入コストを押し上げ物価高につながるため、岸田政権にとっては向かい風。ただ、鈴木財務相はドル高・円安局面で訪日外国人の増加といった円安のメリットにも言及しています。足元では米国債発行が縮小する見通しで、米国債は需給の引き締まりで金利安・ドル安に向かう可能性があります。日本政府は春先のドル失速をにらみ、待ちの姿勢とみます。
●岸田首相「棚ボタ訪朝」は実現するのか? 国賓訪米前に金与正が秋波 2/18
内閣支持率も求心力もダダ下がりの岸田首相に、思わぬところから“朗報”が届いた。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹の金与正副部長が「首相が平壌を訪問する日が来るかも」とする談話を発表。秋波を送ってきたのだ。岸田は施政方針でも「日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決するためにも金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルでの協議を進める」と力んだが、手だてはない。3月中旬に浮上中の「訪韓」が「訪朝」にチェンジ、なんて展開が起こり得るのか。
事実上のナンバー2の金与正は「個人的見解」と断り入りで15日に出した談話で、一連の岸田発言に触れて「過去の束縛から大胆に抜け出し、朝日関係を前進させようという真意から出たものであれば肯定的に評価されない理由はない」と評価。解決済みとする拉致問題と核・ミサイル開発を横に置けば「両国が近づけないはずがなく、首相が平壌を訪問する日が来るかもしれない」とした。
妙な流れだ。能登半島地震発生後、金正恩が岸田宛てに「閣下」と敬称をつけた見舞い電報をよこしたと日本側は大騒ぎ。自民党の甘利前幹事長は11日に出演した報道番組で「この種の発信は極めて異例。うまく捉えてトップ同士の会談にとにかく持っていくのがいい」と実現をにおわせた。もっとも、政権浮揚カードが切れると「電撃訪朝」が出回るのは永田町のお定まり。そうでなくても、「歴代政権が頼りにしていた密使が昨年亡くなり、官邸には北朝鮮とのパイプがない」(官邸事情通)というから現実になれば棚ボタだ。
「対日関係は外相マターなので、金与正氏が言及するのは非常に珍しい。兄のスポークスマンなのは誰もが認めるところ。金正恩氏は韓国の尹錫悦政権を敵視しており、誘い水を向けることで日韓の分断を狙っているのでしょう。日本同様に無条件対話を呼び掛けている米国は、岸田政権に局面打開を期待している。岸田首相がホイホイ乗ってくればシメシメです」(コリア・レポート編集長・辺真一氏)
国賓訪米に向けた話題づくりと外交パフォーマンスで訪韓を調整する岸田からすれば、訪朝ははるかにうまみがある。究極の能天気男は飛んで火に入るナントカになるのか。
●衆院解散「3つのシナリオ」とは 岸田首相、大逆風のなか狙う起死回生¢蜍`か奇襲かハプニングか「突然思い立ち…実行の可能性」 2/18
「政治とカネ」の問題で岸田文雄政権が大逆風≠ノさらされるなか、衆院解散のタイミングが取り沙汰されている。岸田首相が9月の自民党総裁選で再選するには「衆院選勝利」などの成果が必要だが、内閣支持率は30%以下の「危険水域」に沈み込み、党内には岸田首相を「選挙の顔」として戦うことに否定的な声が強い。一方で、パーティー収入不記載事件を受けた派閥解消の影響もあり、「ポスト岸田」候補が積極的に名乗りを上げる雰囲気もない。膠着(こうちゃく)した状況下で、岸田首相が起死回生≠狙った解散に打って出る可能性があるという。大義か奇襲かハプニングか。「3つのシナリオ」を検証した。
「政治の信頼回復と目の前の課題に専念する。その先については何も考えていない」
岸田首相は14日、衆院予算委員会で「解散の是非(ぜひ)」を問われ、こう答弁した。
派閥のパーティー収入不記載事件を受けて、自民党は独自に行ったアンケートや、関与した議員への聞き取り結果を公開した。ただ、質問は2問のみで、「裏金の経緯と使い道」も聞かない中途半端さもあり、世論の反応は極めて悪い。
こうしたなか、岸田首相は局面打開のためにも、「国民の信」を問うタイミングを見計らっているとされる。
永田町で浮上する主な候補は、12024年度予算が3月に通過した後24月に予定される国賓待遇で招かれた訪米の前後36月23日の通常国会会期末―の3つだ。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、大義を得られる「国会会期末」が最有力だと分析し、次のように解説する。
「いまの内閣や自民党の支持率では、とても解散できない。岸田首相としては、訪米などの外交成果を積み上げたうえで、自身が打ち上げた『賃上げ』『所得税・住民税減税』などの効果が世論に浸透するのを待つ。最大のポイントは内閣不信任案だ。野党が『政治とカネ』の問題などで会期末に提出するのは確実だろう。内閣不信任案を受けて立つという『解散の大義』を得て伝家の宝刀を抜く。岸田首相が考える上がり目が重なるタイミングは、ここしかない」
有馬氏「突然思い立ち、実行する可能性はある」
「大義」を待つのではなく「奇襲」を狙うとの見方もある。
政治評論家の有馬晴海氏は「どのみち厳しい選挙だ。支持率は下がり切り、好転は難しい。一方で批判票の受け皿となる立憲民主党や日本維新の会が単独過半数を取る勢いはなく、政策の違いから連立の可能性も低い。自民党の議席が大幅減でも政権が維持されるなら、続投の目が出てくる。4月28日の衆院補選前後、6月の国会会期末などの候補があるが、岸田首相が『奇襲』的に決断を下す可能性は常にある」と語る。
確かに、岸田首相は就任以来、たびたび解散風≠吹かせては自ら収束させる言動を繰り返してきた。「同じ発想で、突然解散を思い立ち、実行する可能性はある」(自民党中堅)というのだ。
ただ。岸田首相を取り巻く政治環境は日に日に悪化している。
昨年12月、東京地検特捜部による事件捜査が本格化すると、岸田首相は慣例に反して首相就任後も会長を続投していた宏池会(岸田派)を突然離脱した。今年1月に岸田派の「裏金」が表面化すると「派閥解消」を表明した。主流派として政権を支えた麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長に根回しはなく、激しい怒りを招いた。
岸田首相は衆院解散でもハプニングを起こす恐れ
有馬氏は「岸田首相と麻生氏、茂木氏の結束は大きく揺らいだ。党内で岸田首相への反発は強まっている。いまや衆院選よりも、総裁選に勝つ方がはるかに難易度が高くなった」と語る。
鈴木氏も「4月の衆院補選も『負け戦』が前提で、肝心の候補が決まらない。地方組織を含めて『岸田首相では戦えない』との認識は一致している。『ポスト岸田』の動きは静かに、着実に広がっている」と明かす。
岸田首相が政権浮揚のため、「外交で成果を狙う」との見方がある。電撃的な「日朝首脳会談実現」や、4月の「国賓待遇訪米でのサプライズ」などが注目されるが、前のめりを懸念する声は根強い。
鈴木氏は「日朝首脳会談の可能性が取り沙汰されているが、北朝鮮は『拉致問題は解決済み』と主張しており、戦略がないまま会談するのは極めて危険だ。日中関係も結局、前進していない。4月の訪米での議会演説は注目を集めるだろう。ただ、ジョー・バイデン大統領は11月に大統領選を控えており、安易に国際公約を表明するリスクも感じる。岸田首相は『LGBT法』『異次元の少子化対策』など、急転換や思い付きで決断してきた。根回しがなく、場当たり的な政権運営が続いてきただけに、内政・外交だけではなく、衆院解散でもハプニングを起こす恐れはある」と危惧している。
●維新、「自公過半数割れ」目指す=次期衆院選、政権低迷踏まえ 2/18
日本維新の会の藤田文武幹事長は18日放送のBSテレ東番組で、次期衆院選の目標として自民、公明両党を過半数割れに追い込むことを挙げた。これまでは「野党第1党」を掲げてきた。岸田内閣の支持率低迷を踏まえ、与党過半数割れを加えた。来月の党大会で正式に打ち出す見通し。
藤田氏は「自民党は動きが遅い。緊張感を持ってもらうため、過半数を割らせ、改革が進む政治体制をつくらなければならない」と強調。立憲民主党との候補者調整については、憲法や安全保障、政治改革に対する立場の違いを指摘し、「協力は難しい」と述べた。 
●「次の首相」1位は石破茂氏25% 岸田首相は1% 世論調査 2/18
毎日新聞は17、18日実施の世論調査で、「次の首相にふさわしい人」を自民党の国会議員8人の中から選んでもらった。最も多かったのは石破茂元幹事長の25%で、上川陽子外相の12%が続いた。3位は高市早苗経済安全保障担当相、小泉進次郎元環境相の各9%だった。
5位は河野太郎デジタル相の7%、6位は野田聖子元総務相の2%、7位は岸田文雄首相と茂木敏充幹事長の各1%だった。「この中にはいない」との回答も34%に及んだ。
石破氏は60代と70歳以上の約3割が名前を挙げるなど、年配者からの支持が厚い傾向があった。上川氏は女性、高市氏は男性の支持が多かった。
自民支持層に限って見ると、1位石破氏▽2位小泉氏▽3位上川氏▽4位高市氏▽5位河野氏▽6位岸田氏▽7位野田氏と茂木氏――だった。

 

●新潟県内の住宅被害1万7927棟、新潟市は1万2965棟(2月19日時点) 2/19
能登半島地震による新潟県内の住宅被害は、県のまとめによると、19日時点で1万7927棟となった。県内全体で全壊95棟、半壊2496棟、一部破損1万5322棟に上った。
新潟市では1万2965棟の被害が確認され、全壊88棟、半壊2415棟、一部破損1万462棟となった。市に寄せられた罹災(りさい)証明書の申請件数は1万3288件で、このうち交付されたのは6311件。被害認定調査が終了したのは、1万 ・・・
●「確定申告ボイコット」拡散 橋下徹氏「国民は軽蔑のまなざし」…裏金問題 2/19
2月16日から始まった「確定申告」。都内の税務署には多くの人が訪れました。
しかし、今年はそんな納税者から不満の声が。
50代女性: 議員の方だけが優遇されて、ずるいですね!
50代男性: 自分たちがやったこと、税金に対しても反省がないよね。
怒りの原因は、自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る「裏金問題」。
SNSでは、「#確定申告ボイコット」という言葉が、一時、トレンドワードに浮上しました。
16日の国会でも、いわゆる“裏金づくり”は“脱税”に当たると、野党が痛烈に批判。
さらに、X(旧ツイッター)のこんな投稿も取り上げられました。
立憲民主党 中谷一馬 議員: 確定申告書に、収入金額や所得金額等の記載欄に「不明」と記載して、これで確定申告を終わったとするポストが大変反響を呼んでおりまして。
裏金問題を受けて、萩生田前政調会長が“訂正”して提出した収支報告書の、収支総額や支出総額が「不明」だったことへの“揶揄(やゆ)”とみられる投稿。
この投稿には、「やった〜!! 終わった〜!!今回の確定申告、ほぼ不明で税金ゼロ!」という一文が添えられており、約4万7000件の「いいね」が付くほど大きな反響を呼んでいます。
実際に、国民が収支金額や所得金額等の記載欄に「不明」と記載して「確定申告」をするとどうなるのか、野党から質問が及ぶと…。
立憲民主党 中谷一馬議員: 本資料のように確定申告で、収入金額等や所得金額等の記載欄に「不明」と書いて提出すと、実際にはどのような問題が発生するのかと。
国税庁の担当者: 一般論として申し上げますと、収入金額や所得金額の記載欄に「不明」と記載された申告書が提出された場合、税務署におきまして、納税者に対して電話や文書により、申告内容の確認および自主的な見直し依頼をさせていただくことになります。
立憲民主党 中谷一馬議員: 要するに国民に対しては、しっかりと厳しく対応するということなんですね。
さらに、中谷議員が「裏金を作った人は納税をした方がいい、党内でも検討しているのか?」と問いかけると、林官房長官は「党の方の対応に関わる事柄なので」と回答を控えました。
橋下氏「国民は軽蔑」不明だらけの報告書
14日には国民に対して、「確定申告において、それぞれの納税者の皆様方に法令にのっとり適切に申告納税を行っていただくようお願いを申し上げたい」と述べていた岸田首相。
橋下徹弁護士: 国民は怒っていますよ。政治家って恐れられたり嫌われたりしても、それはいいと。絶対にやってはいけないのは、イタリアのマキャベリの『君主論』にも書かれていますが、「軽蔑されたら終わりだ」と。今、国民は国会議員のバッジを見てみんな“軽蔑”になっていますよ。こうなったら、統治不全。法治国家・民主国家で唯一国民を統治するというのは、政治家が信頼されているからですよね?これだけ不信感が募ったら、もう政治家の言うこと聞かないですよ。
もちろん、確定申告はやらなければこれは法律違反ですから、確定申告はルール上はやらなければいけないんですけど…、であれば、政治家も絶対にやらなくてはいけない。この人たちは非課税の、それも何千万というお金を自由自在に使いすぎていて、もう感覚が狂ってますよ。
風間晋 フジテレビ解説委員: 納税はきちんとやらなくてはいけないですけど、国民が税金を納めるというのは、国会を運営していく上での基本中の基本なんですよ。税収がなければ国も何もできないじゃないですか。だから税金を払ってもらわないといけないのだけれど、その税金を払おうという意識をここまで毀損して何をやっているのかなと。
橋下徹弁護士: 国民には領収書をきちんと求めて確認するのに、政治家の皆さんに対してはなんの調査もせず、領収書もきちんと確認しない。どうなんですかこの国は?
「不明」「不明」「不明」って萩生田さんどういう感覚だったのか、政治家の皆さんは収支報告書を単なる事務的な文書だと思っているかも分かりませんが、国民に対する確定申告なんです。我々は税務署に対して確定申告しますが、国会議員は税務署に確定申告しない代わりに、国民への確定申告なんです。こんな不明・不明の書面を出すような自民党の国会議員、しかも幹部と言われている人たちの感覚…。僕は全員交代するくらい必要なんじゃないかと。
風間晋 フジテレビ解説委員: しかもそれを20年とか続けているわけで、この無神経さといったらもう大変なことですよ。
●自民議員も「ピンとこない」とダメ出し…裏金事件に揺れる若手教育の笑止 2/19
毎日新聞が17〜18日に行った全国世論調査で、前回調査から7ポイント減の14%となり、政権発足以来最低となった岸田内閣の支持率。自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、国民世論の批判はますます高まるばかりだが、その怒りの炎にさらなる油を注ぐ展開となりつつあるのが、同党が来月から党本部で中堅・若手議員の教育が始める──などと報じられたことだ。
共同通信などの報道によると、裏金事件で解散の方向性が示された派閥に代わり、党本部が党の機能・ガバナンス(組織統治)強化に向けて中堅若手の教育を行うという。既存の党内組織「中央政治大学院」を活用し、政策講義を重ねる考えで、「国家観、歴史観を学び、政治家としての土台をつくる」のが目標だ。
派閥解消が進めば中堅・若手議員の教育の場が減り、党が弱体化するとの懸念から浮上した案のようだが、SNS上では、辛辣な意見が飛び交った。
《泥棒が何を教えるのか》《まずは裏金事件の全容解明が先ではないか》《裏金作りはベテラン議員ばかりだった。その人が中堅・若手を育成するのか?》
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が17〜18日に実施した合同世論調査では、裏金事件に関して、派閥からのキックバックを記載していなかった議員について、「国会の政治倫理審査会で説明するべき」との回答が89%に達したほか、自民党が「記載していなかった議員全員を処分すべき」との意見が55.2%、「派閥幹部を処分すべき」との意見が34.4%にも上っている。
つまり、国民の多くは自民党が裏金事件について説明責任を果たしているとは思っていない。《国民の三大義務である「納税」すら理解していない議員が何を教えるのか》《裏金を作り続けたベテラン議員こそ、中学生の公民からやり直せ》との意見もある。
党内からも懐疑的な見方が出ていて、自民党の小野田紀美参院議員(41)は自身のX(旧ツイッター)で、《うーん…勉強できる場が増えるのは良い事かもですが、そもそも派閥で教育受けた覚えがないから派閥に代わりってのがピンとこないのが正直なところ。部会や議連で政策は研鑽できるし、作法は参議院内で学んだし…》と投稿している。
やはり、岸田政権のピントはズレまくっているようだ。
●自民党が“裏金”議員51人全員に政倫審での説明促す方針固める 2/19
派閥の政治資金問題をめぐり、自民党は19日、安倍派幹部や二階元幹事長など、聞き取り調査を行った51人すべての衆院議員に対し、国会の政治倫理審査会での説明を促す方針を固めた。
51人全議員の出席は立憲民主党など野党側が求めているが、政倫審は原則、本人に出席の意思がなければ強制的に出席をさせることはできず、まずは本人に確認が必要となる。
聞き取り調査を行った森山裕総務会長らが、19日夜にかけて議員に対して連絡を行い、出席の意思確認を行う方針だ。
●小沢一郎氏「国民怒らないと国が壊れる」自民党裏金問題 2/19
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は19日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を念頭に「普通なら政権交代が当たり前の腐敗政治」と、厳しく指摘した。
小沢氏は投稿で「自民は楽しみ、国民は苦しむ。自民は豊かに、国民は貧しく。自民は脱税、国民は納税。自民に甘く、国民に厳しく。自民は明るく、国民は暗く。そんな自民をまだ笑って支持するなら、国民にはますます厳しく醜い国になる」と指摘。「普通なら政権交代が当たり前の腐敗政治。国民が怒らなければ、国が壊れてしまう」ともポストした。
今回の裏金問題をめぐり、報道各社が発表した岸田内閣の支持率や自民党の政党支持率の数字は、悪化している。特に毎日新聞社が18日に発表した全国世論調査では、岸田内閣の支持率が1月の前回調査から7ポイント減の14%まで落ち込み、不支持は前回調査から10ポイント増の82%に。不支持が80%を超えたことについて、毎日新聞は電子版の記事で「世論調査で内閣支持率を初めて質問した1947年7月以来、初めて」と、その異例さに触れている。
●「裏金」なのに「還付」…自民党裏金問題巡って松尾潔がラジオで批判 2/19
自民党の裏金問題調査チームの報告書では、「裏金」は「還付金」、「中抜き」は「留保」と言い換えられた。そしてNHKは報告書そのままの表現で報道した。音楽プロデューサー・松尾潔さんは2月19日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で、こうした言い換えに神経をとがらせ、思考を止めてはならないと呼びかけた。
「裏金」を「還付」と言い換え
僕は歌詞を書いたり本を書いたりという、言葉に携わる仕事をやっているので、今回は「政治と言葉」について考えてみたいと思っています。ここ数日、メディアをはじめ、一般でもいろんな方々がメッセージを発していることですが、自民党の裏金問題について「言葉の言い換え」が度を過ぎています。
これまで「裏金」とか「キックバック」といった言葉で報じられ、しかもその表現が定着していますが、ここにきて自民党が何食わぬ顔をして「還付金」と言い換えています。さらに、実態としては中抜きに他ならないものを「留保」とか「留保金」とも言っています。
NHKは自民党が言ったままの表現で報道
そういう言い換えをすればするほど、この問題を秘匿したいんだろうな、という意図がよく分かるんですが、そのことに気づくことができるのは、この問題に少なからず意識を持っている人たちだけで、普段あまり政治ニュースは見ないという人は気付きにくいでしょう。
例えばNHKのニュース。自民党の議員が「還付金」とか「留保方式」とか言っている言葉を、そのまま使って報じています。言葉を選ぶべきだと思うのですが、これは呆れますね。大げさかもしれませんが「批評精神のなさ」、少なくとも、公正さを欠いている伝え方ではないでしょうか。
テレビの特性として、トピックを視聴者にイメージで伝えるという機能が高いということがあります。アナウンサーやキャスターの表情ひとつをとってみてもそうですが、たとえば神妙な顔で、かつ低いトーンで伝えれば、それはシリアスな話だと受け止められます。
そういう神妙な感じで、僕に言わせると「すり替えられた言葉」を使われると、それがまるでオフィシャルであるかのように受け入れてしまうという事態が発生するのではないかと危惧しています。
「感性は思考なしにはありえない」
朝日新聞の朝刊1面に毎日連載されている「折々のことば」では、大阪大学元総長で哲学者の鷲田清一さんがそのとき気になる、もしくは時代にあった言葉をピックアップしています。昨日(2月18日)はドイツ在住の作家、多和田葉子さんのことばが紹介されていました。
「感性は思考なしにはありえないのに、考えないことが感じることだと思っている人がたくさんいる」。多田さんのエッセイ集の中からの引用です。このことばを受けて鷲田清一先生は「思考もまたセンスや鮮度が問われる。周囲の微細な変化を感知するアンテナのような」と述べています。
まさに微細な変化、微細な言葉の置き換えです。こういったものを感じるためには、やはり普段から「ただ感じる」と思考を停止させるのではなく、思考をずっとアイドリングしておいて、考えることをやめないっていうことが求められます。
もちろん、ストレスフルな現代社会において、考えることのスイッチをオフにする瞬間もあって良いと思うんですが、社会、とりわけ政治のことに関しては、言葉に敏感になりすぎて困ることはないのではないでしょうか。今回のこの裏金をめぐる言葉の置き換えで僕は改めてそう思いましたね。
「きちんと考える人が一番クールです」
「(考えるのではなく)感じる」というのは、マッチョな気分とよくフィットしている言葉で「お前考えすぎだよ。感じるように動けばいいんだよ」みたいなことを言われると、考えるのがダサイみたいに思ってしまいます。僕も若いときにはそう思っていたときがあったんですが、いやいや、きちんと考える人が一番クールです。
そこを常時オフにしている人を見かけるときもあるし、むしろそれを誇りにして「俺は感じるままに生きてきた」と自慢げに語る方もいます。なんとなくロックアーティストっぽいかっこよさがあることは否定しませんが。
社会や、とりわけ政治に対して、僕が繰り返し言ってきている「フェアとは何か?」ということを考えるときには、その前提としての「think」という行為を日常化することが大前提です。そのことをここで改めて最後に言いたいです。
●自衛隊 弁当代金キックバック 幹部自衛官自ら“詐欺持ち掛けた”か  2/19
自衛隊の弁当の代金を水増し、約95万円をだまし取ったとして逮捕された幹部自衛官の男は、自ら詐欺を持ち掛けていたとみられることが分かりました。
詐欺の疑いで2月19日送検されたのは、陸上自衛隊旭川駐屯地の幹部 目時芳幸容疑者と旭川市の弁当納入業者の会社役員 宮崎二維容疑者です。
2人は共謀して2023年1月、弁当1250個を水増しし納品を装い、約95万円を旭川駐屯地に請求し、だまし取った疑いがもたれています。
目時容疑者が自ら詐欺を持ち掛けたとみられ、宮崎容疑者からキックバックとして10万円以上の商品券などを受け取っていたとみられています。
警察は2人がほかにも水増し請求を繰り返していたとみて詳しく調べています。
●青汁王子「上級国民が裏金、脱税をしても平然と許され、貧しい人達が搾取され続ける社会って本当にヤバい」 2/19
「青汁王子」こと実業家・三崎優太氏(34)が19日までに自身のSNSを更新を更新。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、脱税の可能性が指摘されていることに言及した。
自民党による党所属国会議員らを対象としたアンケート調査では、2018〜22年にパーティー券収入のキックバック(還流)や中抜きに関する政治資金収支報告書への不記載や誤記載があったのは85人で、総額は計5億7949万円に上った。
政治団体が寄付やパーティーで集めた政治資金は原則、非課税だが、不記載分に関し、野党などは議員個人の「雑所得」とみなして所得税法上の課税対象とすべきだと主張している。
三崎氏は「上級国民が裏金、脱税をしても平然と許され、貧しい人達が搾取され続ける社会って本当にヤバいと思う」と指摘し、「自分には何もできず、本当に無力だと思う。せめて、こうして声をあげることで何かが少しでも変わって欲しい」とつづった。
●文科相不信任案、20日否決=立民、旧統一教会との関係「不適格」 2/19
立憲民主党は19日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連団体との過去の関係について説明責任を果たしていない盛山正仁文部科学相は不適格だとして、衆院に文科相不信任決議案を提出した。不信任案は20日午後の衆院本会議で、与党などの反対多数で否決される見通しだ。
岸田文雄首相は首相官邸で記者団に「盛山氏は過去はともかく、現時点では当該団体と一切関係がない」と強調。「引き続き職責を果たしてもらいたい」と述べ、更迭を否定した。
盛山氏は2021年10月の衆院選で、教団の関連団体から推薦状を受け取っていた疑惑などが指摘されている。衆院予算委員会で盛山氏は「(推薦状を)受け取ったのではないか」などと曖昧な答弁を繰り返していた。
●自民安倍派・衛藤征士郎最高顧問「政倫審、全員が出席してよく説明すべき」 2/19
自民党の裏金事件をめぐり、野党側が政治資金収支報告書に不記載があった安倍派や二階派の衆議院議員51人を政治倫理審査会に出席させるよう求めていることについて、安倍派の衛藤征士郎最高顧問は19日、JNNの取材に対し、政倫審が設置されたら自身も「積極的に対応する」としたうえで、「全員が出席してよく説明すべきだと思う」との考えを示しました。
また、派閥の政治資金パーティー収入のキックバックなどは使いみち次第では課税対象となることから、収支報告書への不記載は「脱税ではないか」と指摘されていることについては、不記載が政治資金規正法に抵触したことは問題だが、「脱税なんか全くないと思う」と強調しています。
●自民裏金「国税が調査すべき」が93%… 2/19
自民党の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、問題のあった自民党議員を「国税が調査すべきだ」が93%――毎日新聞が実施した世論調査(2月17・18日)で報じた数字が話題を呼んでいる。
自民党による党内アンケートや聞き取り調査で、2018〜22年にパーティー券収入の政治資金収支報告書への不記載や誤記載があったのは85人(安倍派79人、二階派6人)で、総額は計5億7949万円に上っている。
裏金事件をめぐっては、会計責任者や秘書が立件される一方で、議員の立件は4000万円超のキックバックを受けた安倍派の3議員のみ。
政治資金は原則非課税だが、裏金が議員本人の収入と見なされれば、所得税の課税対象になり得る。私的利用があった場合、脱税の疑惑がかかる。
だが、2月15日、自民の森山裕総務会長は「政治資金として処理しているので、所得税は発生しない」とし、納税を「党として検討することはあり得ない」と否定的な考えを示した。
また、鈴木俊一財務大臣も同日、「財務大臣の立場で不記載をおこなった議員に対し、納税するようにと言うことはしない。党の立場を見守るということだ」と述べていた。
2月19日、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)は、世論調査で「国税が調査すべきだ」が93%もの高い数字を示したことを取り上げた。
政治ジャーナリストの田崎史郎氏は「93%に達しているのは厳しい状況。世論調査で90%を超すのは非常に珍しい。それを超えているのは国民の怒りそのものだと思う」と解説した。
元テレビ朝日社員の玉川徹氏は、テレビ朝日を退職したため、現在、確定申告の準備の真っ最中だとしてこう語った。
「自分で領収書をなるだけ集めても税務署に『これダメ』って言われるかもしれない。そういうのに少しビクビクしながら税理士さんに渡して申告する。そういうことやってると『こいつら何やってんだ!』っていうふうに思う」
さらに玉川氏は、「日本ってサラリーマンは確定申告じゃなくてもいいじゃないですか、源泉徴収で。他の国のようにみんな確定申告だったら、もう自民党終わってますよ、とっくの昔に」とも語った。
世論調査で、自民党議員を「国税が調査すべきだ」が93%もの高い数字を示したことを受け、SNSでも怒りの声が渦巻いている。
《国税庁さん出番ですよ 仕事してくださいよ 庶民からばかり税金徴収しないで 裏金議員さんからがっぽり徴収して下さいよ》
《当たり前の世論だろ…。日本国民には五公五民クラスの重税が課されるのに、自民党議員は裏金作って脱税しても逮捕されないなんておかし過ぎる》
《国民にはキッチリ納税させて、脱税議員には『お手盛り』の目こぼし、って…コイツら裏金議員を養ってやる為に税金納めてんじゃない!》
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は、2月18日、自身の「X」に、この数字を報じた記事を貼り付けたうえで、こう書きこんだ。
《これで自民党国会議員への税務調査がなかったらいよいよ統治不全になるで。自民党だけでなく、政策活動費の領収書公開をしていない維新議員も旧文通費の領収書公開をしていない立憲議員も税務調査。》
納税は国民の義務。政治資金であることを理由に、脱税疑惑から逃れ続けていては、国民が納得するわけがない。
●「政権交代して出直す以外に道はない」 岸田内閣の支持率低下で厳しい指摘 2/19
元外務審議官で小泉純一郎政権時代に日朝交渉を担当した田中均さんが19日、X(旧ツイッター)に新規投稿。政治資金の裏金問題などで揺れる岸田文雄政権の内閣支持率が低迷していることについて、「政権交代して出直す以外に道はない」と厳しく指摘した。
田中さんは「内閣支持率軒並み10%台、不支持率80%越え。岸田首相が良く使う『各自の説明責任』は自身の指導権の放棄」と解説。さらに「日本の政治は過去安倍派に率いられてきたが、その安倍派が長年権力の陰で国民を欺いてきたことに誰が責任をとるのか」とし、「このまま実態を包み隠していくのなら、政権交代して出直す以外に道はない」と持論を展開した。
岸田政権は昨年から続く自民党派閥の裏金疑惑が深刻化。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と党との関係を巡る報道も加わり、支持率低下が続いている。
●内閣+自民支持率50%割れ 「青木の法則」危険水域に 支持層も厳しい目 2/19
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が17、18両日に実施した合同世論調査で、自民党の政党支持率が令和3年10月の岸田文雄政権発足後最低の24・8%に落ち込んだ。内閣支持率(22・4%)との合計は47・2ポイント。内閣支持率と与党第一党の政党支持率の合計値が「50」を割り込むと政権運営が程なく行き詰まるとされる「青木の法則(青木率)」の危険域に入り、綱渡りの政権運営を強いられている現状が浮き彫りになった。
青木率は、昨年死去した自民党の青木幹雄元参院議員会長が経験則から唱え、永田町で幅広く知られている法則だ。内閣支持率と与党第一党の合計値が高ければ政権にとって「追い風」で、逆に低ければ「逆風」を示すことから、衆院解散・総選挙のタイミングを諮る指標の一つとみる向きもある。
岸田政権が発足した令和3年10月の調査の内閣支持率は63・2%と自民党支持率は45・3%で、合計した青木率は108・5ポイント。この際は直後の同月末に行われた衆院選で自民は単独過半数を維持し、勝利を収めた。ただ、その後、青木率は緩やかに下降傾向をたどり、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件が浮上した昨年12月の青木率は49・8ポイントで、政権発足後初めて「50」を切った。1月には54・7ポイントに持ち直したものの、今回の調査で再び危険水準に入った格好だ。
内閣と自民の支持率低下の大きな要因の一つである派閥の政治資金パーティー収入不記載事件には、自民支持層からも厳しい視線が向けられている。今回の調査で、不記載があった議員が衆参の政治倫理審査会で自ら説明すべきか尋ねたところ、回答者の89・0%が「説明すべきだ」と回答。自民党支持層に限っても81・3%が「説明すべきだ」とした。
また、不記載議員への自民の対応では自民支持層の46・8%が「派閥の幹部議員を処分すべきだ」と答えた。「不記載のあった全ての議員を処分すべきだ」も31・8%に上った一方、「処分の必要はない」は17・6%にとどまる。自民の閣僚経験者は「(調査結果は)肌感覚に近い。問題はこの状態がいつまで続くかだ。早く何とかしなければ」とつぶやいた。
●不支持8割超♀ン田内閣「退陣水域」に 毎日が調査開始以来初 2/19
岸田文雄政権が歴史的℃x持率低迷に直面している。報道各社の世論調査で、内閣支持率は過去最低を更新、複数の調査で「退陣水域」といえる10%台まで落ち込んだ。「政治とカネ」の問題や、政策に対する有権者の不信感が如実に表れている。
「世論調査に一喜一憂するのではなく、先送りできない課題に結果を出し、国民の期待に応えていくことが重要」
昨年以降、岸田首相は繰り返しこう述べて、平静を装い続けてきた。だが、直近の世論調査は「岸田政治」に極めて厳しい評価となっている。
毎日新聞が18日に公表した世論調査で、内閣支持率は14%で前回1月調査から7ポイント下落し、岸田政権発足以来最低を更新した。不支持率は同10ポイント増の82%で、毎日が1947年に内閣支持率の調査を行ってから初めて8割を超えた。
読売新聞が18日に公表した調査結果も厳しい。内閣支持率は24%で横ばいだったが、2012年に自民党が政権復帰して以降では最低だ。
●「野党組んだら政権交代出来るんちゃう?」最新政党支持率調査の数字に 2/19
「2ちゃんねる」開設者で元管理人の「ひろゆき」こと西村博之氏(47)が19日17日までにX(旧ツイッター)を更新。「政権交代」の可能性に言及した。
ひろゆき氏は、毎日新聞が報じた、同紙による全国世論調査の結果を報じる記事を添付。そこでは各政党の政党支持率も報じられており、前回より大きく低下した自民党の支持率と、各野党の支持率を合わせた数字を比べると、後者が大きく上回る結果となっている。
ひろゆき氏は同世論調査の各政党支持率の数字を掲載し、「世論調査の偏りはあるにせよ、野党が組んだら政権交代出来るんちゃう?」と私見をつづった。
この投稿に「機は熟した感」「時が来たって母さんが言ってた」「選挙いこう!!」「どこが(誰が)中心になるかですよね」「とりあえず交代してください」「選挙行かなきゃですね!」などとさまざまな意見が寄せられている。
●岸田首相 盛山文科相を続投させる考え示す 2/19
立憲民主党が不信任決議案を提出した盛山文部科学相について、岸田首相は19日午後、続投させる考えを示しました。
岸田首相は盛山文科相について、「引き続き職責を全うしていただき、責任を果たしていただきたい」と続投させる考えを示しました。
その理由については「過去の関係はともかく現時点で、当該団体と一切関係がない」とした上で「盛山大臣のもとで解散命令請求手続きを行った」と説明しました。
その上で岸田首相、はいわゆる統一教会の解散と被害者救済に関して「盛山大臣には引き続き責任を果たしてもらいたい」と強調しました。
盛山文科相に対する不信任案は20日午後、衆議院本会議で採決され、与党などの反対多数で否決される見通しです。
●脱炭素政策が作り出す安全保障の脆弱性 3/19
兼原  このたびのウクライナ戦争を見ていて思うことは、戦争というのは正規軍同士が正面からぶつかるところだけを見ていてはいけない、ということです。私たちも最近、国家安全保障戦略で「総合的国力」とかDIME(外交・情報・軍事・経済)とか言い始めましたが、振り返れば第二次世界大戦のときも補給がうまくいかなかったのが日本軍敗北の大きな要因だったわけです。軍事に意識が集中しがちですが、経済で負けたら戦争は負けなのです。今回のウクライナの教訓は、ロシア軍はウクライナ側の電力設備を破壊して、国としての継戦能力を痛めつけ、あの地域の冬は厳寒なので暖房を切って国民の厭戦気分をあおる、そういう攻撃をロシアのような国は当然やるのだということです。民間を狙わないというのは大間違いです。
杉山  おっしゃる通りで、エネルギーインフラ施設がロシア軍による攻撃対象になっていますが、その割には結構すぐ復旧して、何とか電力が供給されているようです。先日、ウクライナの電力会社の技術者のインタビュー記事が産経新聞に載っていました。会社の中だけで100人以上が亡くなっているけれども、それでも電力インフラが破壊されるたびに現場に行って数日かかっても危険を顧みずに復旧作業をしているという話でした。日本でも将来、同様のことがないとは限りません。その場合には攻撃されてもすぐ直して、電力網を維持していかねばなりません。聞いた話ではウクライナはもともと米ソの戦争に備えてあちこち要塞化されているようですし…。
兼原  核シェルターもつくっている国ですから。
杉山  電力インフラもある程度、戦争を想定してつくっていたのではないでしょうか。我々も教訓として学ぶべきことがあろうかと思います。
兼原  ウクライナ周辺の国々も、この戦争の影響を大きく受けています。特にドイツは極端なところがあって、対露関係の安定ということもあり、エネルギー供給でロシアへの依存を深めていましたが結局、プーチン露大統領のような人が戦争に訴えてくると、相互依存関係が武器として利用されてしまいました。ショルツ独首相は気の毒ですが、ロシアからすると「天然ガスなんていつでも止めてやる」という話です。ドイツはガスのおよそ半分をロシアに依存していました。EU全体でも4割ほどをロシアに依存しており、東欧のチェコ、ハンガリー、スロバキアあたりは特に依存度が高かった。そういうところがガス供給を断たれたら大変なことになる。そういうことが実際に起こるということを考えねばなりません。日本政府が、「安全保障に国家全体で取り組みましょう」と言い始めたのは安倍晋三政権からです。NSC(国家安全保障会議)ができて外務省、防衛省に加え警察庁などが一体化した取り組みを始めたのは最近10年のことです。経済官庁についていえば、GHQによる傷跡のひとつなのですが、軍事が全くわからない組織でした。最近はずいぶん状況は改善されましたが、以前は経済戦争しか頭になくて「敵はアメリカ」だったわけです。エネルギー安全保障については資源エネルギー庁に丸投げ状態でした。
杉山  そもそも平和ボケが日本の国中に蔓延していて、産業界も「安全保障」という言葉すら使っておらず、エネルギー安全保障というよりエネルギー安定供給という言い方をする人が多く、有事の発想などありません。エネルギーのベストミックスとか産油国との関係強化とか自主資源開発とか、そういうことには熱心でも、軍事忌避で有事の発想はこれまでまるでなかったのです。
シーレーンの安全確保が急務
兼原  そうですね。日本有事となったときにどうするかは、資源エネルギー庁の人は一生懸命考えているわけですが、石油ショック以降も石油やガスを備蓄するだけで、有事の際に石油タンクが爆破されたらどうするかまでは考えていない。国家全体のエネルギー安全保障には手が回っていません。原子力は普通の国では安全保障直結の話ですが、いわゆるNPT(核拡散防止条約)体制遵守とか、核物質防護の話とかはある程度、条約に従って動いているのですが、軍事面・防衛面との関係はゼロ。世界的には異常なことだと思います。
杉山  石油は200日分が備蓄されているとはいえむき出しのタンクで、テロなどやろうと思えば簡単にできてしまいます。一方で原子力発電所については厳重にテロ対策が行われ、そのために発電を止めることまで行われています。それはバランス的にいかがなものか。テロリストが来たとして原発を壊すのは結構、大変でしょう。敷地に侵入して、建物を壊して、さらにその中の格納容器や、補助電源設備まで壊さなければいけない。そんなことをするよりは石油タンクを狙ったり、LNGタンカーを東京湾の入口あたりで狙うほうがよほど容易です。
兼原  エネルギーも含め経済全体が軍事とは別の世界を私たちはつくってしまっているわけです。いま、そこをつなげる動きが始まっていますが、最優先で進めるべきことがエネルギー安全保障です。エネルギー安保の世界では政府の横串がささっておらず、エネ庁が一人でやっている。これでは戦争になったら負けます。太陽光発電にしても安全保障系の省庁との連携はゼロですから。最近やっと、土地利用のあり方がおかしい、なんでここに太陽光発電がいっぱいあるんだという話になってきています。沖縄県の宮古島では自衛隊の駐屯地ができる前に中国企業関連の太陽光発電のパネルがずらっと並んでしまい、そのために駐屯地の場所が10キロほど離れたところに変更になったほどです。経産省は今、技術流出阻止の話などで安全保障の話に乗ってきているので、エネルギー安全保障についても話を進めていかねばなりません。私たちが現役時代にやり残した仕事で申し訳ないと思っています。シーレーン(海上輸送路)の安全確保もそうです。まったく動いていない。台湾有事の際、中国が日本にも手を出すと決めた場合、中国が米軍基地と自衛隊基地だけを攻撃するという保証はありません。戦争は相手の一番弱いところを突くわけだから、当然ながら石油の備蓄タンクを狙うわけです。全部、むき出しになった青空タンクですから。そうすると半年分の油が吹っ飛ぶ。しかも東・南シナ海は戦場になっているからタンカーは通れません。タンカーはフィリピンの南方から太平洋へと大回りせざるを得ません。自衛隊はとても護衛には手が回らない。中国のドローンや潜水艦によって2、3隻でもタンカーが沈められたら大騒ぎになりますよ。20万トンのタンカーが1日15隻は入ってこないと日本経済は回りませんから、2、3隻が沈むことで日本が倒れるかもしれない。そこで倒れるとわかったら習近平は実際やるかもしれない。戦争となれば卑怯も何もありません。先の大戦で、米軍が真珠湾攻撃を受けた後で何をまずやったかといえば、日本の商船隊の壊滅です。中国がそれをやらない保証はない。こういう話は、日本政府はまったく手当てができていません。
杉山  たしかにシーレーンを止められたら大変です。ウクライナを見ていて思うことは、何だかんだいってもポーランドとは地続きで補給を受けられるということです。日本の場合は周りが海ですから、どうなることか。石油は200日分の備蓄ができるとはいえ、脆弱性がある。一方、天然ガスは2〜3週間分しか備蓄ができません。石炭も現状では最小限の在庫があるにすぎず、これは1カ月分程度しかない。原発の場合、いったん燃料を装荷すると普通は1年くらいで交換しますが、頑張れば3年くらい発電は可能です。装荷する前の燃料を長期保管もできる。いざ有事で海上輸送が滞っても電気を供給し続けられるのは原子力のメリットでしょう。ウクライナとも地続きの欧州ですが、ドイツが中心になって進めていた欧州のエネルギー政策の転換は大失敗だったといえます。この戦争の勃発前、欧州はCO2を減らすために石炭などの資源がたくさんあるけれども使わない、さらにドイツは原発も使わないことにしていました。それで風力発電か、ロシアの天然ガスしか頼るものがなくなった。風力は結局、あまり頼りになりません。それでロシアと相互依存のつもりで天然ガスをどんどん輸入していたら、それを武器化されてしまった。プーチンがウクライナへの侵攻に踏み切ったのは、ドイツを筆頭に経済制裁なんて本気でやらないだろう、という計算があったからでしょう。結果としていま、G7(先進7カ国)はロシアからの資源を輸入しないよう結束して経済制裁を科していますが、そもそもロシアに対して「制裁なんてタカがしれている」と思わせてはいけなかった。その点で完全に失敗でした。実は欧州の脱炭素政策が安全保障上の脆弱性をつくり出した、これは非常に重い教訓だと思っています。
GDPの3%を脱炭素に投入
杉山  いまの日本政府のエネルギー政策は環境への配慮が最優先になっています。岸田文雄首相肝いりのグリーン・トランスフォーメーション(GX)が国の基本方針として閣議決定されました。関連する法案も今通常国会で可決される見通しです。GXとは、ひらたくいえば「脱炭素」です。官民あわせて10年で150兆円を脱炭素の社会実現に向けて投資するとのことで、年間15兆円の投資という計算ですが、これはGDP(国内総生産)の3%にあたります。しかも、政府はこの動きを支持するため新たな国債を発行します。
兼原  防衛省に聞かせてやりたい話ですね。バイデン政権もGXやインフラや半導体に巨額の補助を出していますが、みな、国家安全保障と絡めて考えています。日本ではGXと安全保障産業政策が全く絡んでいない。
杉山  防衛費がGDPの2%弱になる、と大騒ぎしているときに、それを上回るGDPの3%をグリーン投資につぎ込むという話が、ノーマークで国会を通ってしまいそうな気配なのです。これは一体、何なのか。GXの目玉はやはり太陽光発電で、さらにはその電気を使って水素をつくるという話も出ています。「化石燃料の輸入が減るので安全保障上もプラスだ」と言う人もいますが、実際には幾重にも問題があります。まず太陽光発電は高くつきます。近年、太陽光や風力の電気が安くなったといわれますが、ドイツやデンマーク、あるいは米カリフォルニア州など、再生可能エネルギーの導入を進めた国・地域ほど電気代が高騰しているのは動かぬ事実です。不安定な電源をいくら入れても、安定的な電源が別途必要になり、二重投資にならざるを得ないわけです。そうしてエネルギーのコストが高くなれば、産業は逃げていきます。いま米国で投資が起きているのはレッド・ステート、すなわち共和党知事のいる内陸部の州です。エネルギーの安いそれらの州に、欧州からも企業が集まっている。日本の産業も空洞化が進んでいますが、エネルギー価格が高いというのも大きな要因でしょう。また現在、世界の太陽光パネルの8割が中国製ですが、数年以内に欧州の企業も製造から撤退するため、95%が中国製になる見通しです。中国製のうち半分ほどは新疆ウイグル自治区製で、これを輸入することは人権上も大問題です。太陽光発電についての不安を言い出すと際限がありません。自衛隊基地のそばにもメガソーラーが多数あり、通信の傍受・妨害やテロの基地になりかねない。複数の太陽光発電所の発電を一斉に止められたら周辺は大停電になります。そうしたことが公の場でほとんど検討されていません。
兼原  土地利用規制法に関しては菅義偉政権のときに成立しましたが、もともとは地方議会で最初に火がついた話です。先ほど触れたように沖縄県の宮古島であったような、中国資本の太陽光発電施設のために自衛隊の駐屯地が場所を変えざるを得なかった。中国資本はおそらく、太陽光発電にしても当初は公明正大に参入してくるでしょう。ただ、3人以上の中国人がいる企業には必ず共産党の細胞をつくらねばならず、党の細胞ができてしまうと党には絶対服従ですから、もう日本の憲法や法律など関係なく、平気でいろんなことをやるわけで、後からこの人たちが入ってきたらアウトです。土地利用規制法がザル法だ、という批判はありますが、ともかく施行されたのは立派なこと。私は「ナフタリン法」と呼んでいますが、法律があることに意義があるのです。ナフタリンは置いておけば虫が寄って来ませんから。経産省の太陽光に補助金を付けている部署は、どこに自衛隊の基地があるとかいうことをそもそも考えていませんでした。やっと最近は経産省も安全保障の土俵に乗ってきましたが、まだまだこれからです。国の根幹であるエネルギーの分野と安全保障とのすり合わせが一番、遅れています。これはGHQの日本非軍事化政策の爪痕です。戦後、GHQが入ってきて陸海軍がつぶされ、「一切の軍事をやめろ」と言われて全ての官庁が軍事関連業務をやめてしまった。その後「再軍備しろ」と言われたときに手を挙げたのは外務省、警察庁くらいで、他の役所は軍事とは完全に関係が切れていたのです。
有事にはたちまち飢える都市住民
杉山  エネルギーが国の根幹だというのはおっしゃる通りで、エネルギーが断たれると、たちまち食料も干上がってしまいます。食料を1カロリー生産するために、エネルギーはその10倍も使っているのです。何に使うかといえば農業機械もありますし、肥料や農薬も化石燃料からつくられています。もちろん物流や冷蔵などもあり、日本のエネルギー消費の3分の1程度が食料関係ともいわれます。エネルギーがショートしてまず何が起きるかといえば、物が運べなくなって都市の中が飢餓状態になるでしょう。ウクライナ戦争のように長引くことになれば、農業機械も動かせなくなり、肥料に至っては日本はほとんど輸入ですし、その備蓄も非常に心もとないのが現状です。最近、自衛隊の「継戦能力」が話題になっていますが、日本は食料もなければ肥料もエネルギーもない、そういう状態ですから、国全体の継戦能力という観点から考えなければ。
兼原  肥料は昨年、制定された経済安全保障推進法の中の「特定重要物資」に入っています。
杉山  入ってはいるのですが、まだ種類も量もわずかなのでこれからの課題が大です。
兼原  そもそも日本は島国ですから、すべてを自給することは不可能です。自給だけではないから1億2千万の人を養えている。自給だけだった江戸時代は3千万人ですからね。日本の食料・エネルギー安保の根幹中の根幹はシーレーンであって、これを切られたら日本は負けで、いかんともしがたい。
杉山  それでも脆弱性をつくらないことが重要で「豊富な貯えがあるから1年くらいは大丈夫だぞ」という姿勢を見せておけば…。
兼原  それだけ頑張れば、その間にアメリカが敵海軍をたたきつぶしてくれるでしょう。
杉山  敵が「1カ月で勝てる」と思ったら…。
兼原  そうなれば当然、仕掛けてきますね。エスカレーション・コントロールという考え方があって、やられたらやり返せるところには仕掛けてこない、ということです。日本の国会での議論というのは面白くて、土下座して謝ればやられない、という議論が大真面目になされていますが、そんなことはありません。土下座して謝ったら蹴り殺されるかもしれない。食料自給率の問題にしても、いま農業従事者の平均年齢は68歳と高齢化が進んでいます。この国の農業をどうするかを真剣に考えねば。オランダやニュージーランドなど、生まれ変わっている農業国はいくらでもあります。日本も、農林水産物の輸出額が昨年は1兆円を超えました。本当はもっと頑張れるはずです。農協はこれまで日本の農業を支えてきましたが、地方に行ってみるとほとんど銀行化していたりします。漁業も同様で「何かあれば漁業補償でおカネがもらえるから」みたいな話になっている。日本の農林水産業は農政・漁政を根本から考えなければ、自給率の向上は望めません。
杉山  食料自給率については、実はエネルギーをふんだんに使った上での自給率であり、有事を想定した食料自給率になっていません。その食料をどうやって運んでくるか、生産の際に農業機械を動かす油がなくなったらどうするか、肥料が入ってこなかったらどうするか、が度外視されているのです。
兼原  有事に備えたシミュレーションが必要でしょう。地震に関しては、関東大震災が起きた9月1日に全閣僚を集めて、防災服を着てもらって2時間みっちり訓練をします。年に1回、リアルにやっていますので、官僚が用意したシナリオもあり、閣僚もおおよその流れが理解できます。しかし有事については、国民退避から始まって、杉山さんがおっしゃるエネルギー自給とか食料自給とかという一番初めに出てくるべき話が考えられていない。シミュレーションを繰り返せば「あれをやらねば、これもやらねば」という点が出てくるのですが、有事の話はさわるのも嫌だ、となってしまっている。ここを何とかしないといけません。いまはエネルギーや農業の話には火がついておらず、まだ国民保護をどうするかという議論です。沖縄県の先島諸島からどう逃げるかという話の段階ですが、本土に逃げてきても食料がないかもしれない。杉山さんがおっしゃるように、こういう話も全部考えなければいけません。
ミサイル攻撃の標的になる石油タンク
杉山  CSIS(米戦略国際問題研究所)の台湾有事シミュレーションが最近、話題になりましたが、最初の3週間程度でミサイルを撃ち合った末に中国が台湾占領に失敗する、という筋書きになっています。しかしその後については書いておらず泥沼化することもあり得ます。台湾有事が1年、2年あるいはもっと長期に及んだ場合に日本の安全保障は、シーレーンはどうなるか、という議論を本当はしなければなりません。
兼原  台湾有事における軍事的な相場観はある程度あって、中国側は何千発ものミサイルを用意していますから、米空母もなかなか台湾には近づけないでしょう。周囲をイージス艦と潜水艦で固めて半径200キロの巨大な防空圏をもっている米空母は、グアムの基地が動いて来るのと同じようなものです。しかし台湾近海まで来ると叩かれるので、その手前で控えているわけです。今は米軍といえど台湾近海の制空権・制海権は握れない。米側からすると、出来ることは限られていて、中国軍を台湾に上陸させなければいいのです。台湾には20万人の軍隊がいます。その台湾を占領するには20万人では足りず、定石としては3倍の60万人が必要です。60万の軍隊を200キロある海峡を渡って上陸させるのは至難の業です。米軍は制海権を100%は取れませんが、敵の船を沈めるのは得意なので、やる。そうすると中国軍は台湾に上陸できません。一部が上陸できたとしても殲滅されますから、戦争はどこかで終わる。それで何が見えてくるかというと、米軍が遠くから撃ってくるだけだとすると、中国側から日本にもミサイルや爆撃機がたくさん飛んでくるわけです。それに関しては米側から「お前、自分で対処するんだぞ」と言われることでしょう。ミサイル攻撃にさらされるに決まっていますから、アメリカは空母機動部隊を後方に下げます。日本防衛では自衛隊が頑張らないといけない。日本は前線国家になるわけです。そのときに中国はどこを狙ってくるか。石油の備蓄タンクを全部つぶせば継戦能力はゼロになるので、そこを狙わないと考えるほうがおかしい。シーレーンを破壊するには、中国としては潜水艦が2、3隻出ていけばいい。最近、『暁の宇品陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』という本が出ましたが、先の大戦で商船隊を徴用したのは陸軍でした。結局、その商船隊は海軍にもほとんど守ってもらえず9割、約1万5千隻が沈められます。6万人近い若い商船隊員が死んでいる。帝国海軍人の死亡率をはるかに上回る死亡率で、実態は輸送船団といっても特攻隊に近かった。しかしこれまでシーレーンの確保に向けた国の動きは、ほとんど進んでいないのが現状です。
まだ深い眠りにある日本
杉山  先述したGXですが、いま経産省・資源エネルギー庁が力を入れています。20兆円の「GX経済移行債」なる国債を発行し、それを20年くらいかけて償還するということで、年に1兆円程度の新しい特別会計がまたできることになりそうです。そして「GX経済移行推進機構」がつくられ、再生可能エネルギーを普及させ、それで水素をつくるとかいった話が進められていますが、日本の電力コストは上がるばかりで、日本経済の発展に逆行する話です。それは当然、安全保障にも逆行する話となります。GXの話が持ち上がってきたのは一昨年で、その後にロシアのウクライナ侵攻があったので方針転換するかと思って見ていたのですが、全然そうした転換の動きはありません。「脱ロシアの次は脱炭素」などと言われているのが現状です。脱ロシアの後には中国というさらに怖い相手も控えているのですが。
兼原  GXの話は、安全保障とは全くすり合わせなく動いていますね。特にエネルギー関連の新産業技術開発の話が安全保障と絡んでいないのが残念です。
杉山  全くです。日本のエネルギーをどうするつもりなのか。欧州も平和ボケで、実態としては世界中の化石燃料を買いあさったりしながら、表向きは脱炭素を掲げて、「化石燃料を買っているのは一時的なものです」と言い張っている。
兼原  欧州で必要な天然ガスの量は、世界のLNG(液化天然ガス)のスポット(短期当用)取引の量とほぼ同じです。だから欧州諸国が天然ガスを買いあさると、発展途上国は困ってしまう。
杉山  実際に天然ガスを買い負けて停電に陥る発展途上国も出始めています。一方、アメリカではバイデン大統領が温暖化対策に熱心ですが、インフレ抑制法という謎の名前の法律が成立し、「アメリカは本気で脱炭素に取り組むのだ」と日本では報道されています。しかし法律の内容をみると、蓄電池製造や重要鉱物の採掘といった産業にテコ入れする補助金を日本円で年5兆円ほど投入することになっており、自国を強くする方向での施策なのです。バイデン大統領の発言には米民主党の中でも急進的な人たちが主張するグリーンな話も入りこんでいます。ただ、アメリカは世界一の産油国であり、石炭の産出も多く化石燃料で潤っている州が多いだけに、全米的な脱炭素の規制は絶対に採用されません。共和党議員が反対するのはもちろん、民主党議員も「やっぱり産業が大事」というわけです。彼ら米国の多数派の合言葉は「エネルギー・ドミナンス」、つまりふんだんにエネルギーを供給して自国を潤し、友好国にも供給するのだということで、アメリカらしい物量作戦の発想です。日本もそのくらいの心意気で原子力の推進や化石燃料の調達なども進めていけばいいのですが。
兼原  やはり日本は敗戦の結果GHQに解体されて一度、国としての生存本能が死んで、ボーッとした社会になってしまっています。その点、アメリカは生き残るためなら何でもやる、というところがあります。
杉山  ようやく日本も目が覚めつつあるかと…。
兼原  いや、眠りは深いと思いますよ。
杉山  いい加減、目覚めてほしいものですが。
兼原  軍事の面では、少し目が覚めつつあるといえます。ウクライナの状況を見て、「あれを中国にやられたらどうなるか」を考え始めている。それで弾薬が足りないじゃないか、防衛費も2倍にしなければ、と動き始めているわけです。純軍事面では進展があるのですが、では有事になったら国民全体で自衛隊をどう支えるのか、エネルギーは大丈夫か、国民生活は大丈夫か、というところまではまだまだ意識が回っていません。
杉山  ウクライナの戦争でショックだったのは、アメリカが最優先したのが「核戦争を起こさないこと」で、ウクライナ人の命は二の次だったことです。台湾有事の際、日本は出撃拠点を米軍に提供しますから当然、日本も標的になります。そのときにアメリカは、やはり核戦争回避を最優先することでしょう。
兼原  アメリカは台湾有事の際、中国のA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略を恐れて台湾近海には近づかず離れて戦う、しかも全面核戦争を恐れるので本気ではやらない、ということが明らかになりつつあります。核戦争にならない範囲で、アメリカは局地戦をやるつもりです。先ほどお話のあったCSISのシミュレーションですが、あれは日本人への「あなたたち、中国にやられますよ」というメッセージなのです。
有事に頼れる原発に注力を
兼原  ウクライナの状況を見て、国民は目が覚め始めたといえます。しかし国会での論戦があまりに低調です。安全保障について本質的な議論をする人がおらず、議員は次の選挙のことばかり考えている。本当の問題はこれだ、と言ってくれるリーダーが不在なのです。国民的議論を巻き起こす発信力があるのはやはり首相です。安倍首相はその点、凄かった。全左翼を敵に回しましたが、それくらいのガッツのある人でないと務まらないと思います。
杉山  発信力のある方はGXに熱心なんですよね。河野太郎さんに小泉進次郎さん、そして菅義偉前首相も。
兼原  それが間違いだとは言いませんが…。ところで長年、役人をやっていて思うことですが、経産省というのは特殊な官庁なんですね。彼らの構想力・行動力は他の省庁にはないものです。GXも、経産省内でどのような意思決定過程があったのか、私には分かりませんが、首相を担いで突っ走っておカネも確保してきて、どうにか形にしてしまった。なかなか他の役所ではできないことです。
杉山  いま太陽光発電は全国各地で問題を引き起こしていますが、安全保障の観点から風向きが変わってきているように思われます。
兼原  安全保障ということでいえば2019年に秋田県の由利本荘沖の領海内で風力発電建設に向けた調査をするため、中国が公船を新潟港にまで派遣してきたことがありました。「何だこれは」と大騒ぎになってすぐに追い返したのですが、「誰が連れてきたのか」と調べたら民間の調査でした。そのころから経産省もだんだん安全保障について考えるようになってきました。それにしても、杉山先生が指摘されたエネルギー安全保障の話は、まだ十分にテーブルの上に載っていません。自衛隊の継戦能力の話ばかり出てきて、国家全体の継戦能力については議論が後回しになっています。いくら自衛隊が頑張っても、「電気がありません、油がありません」で国民が干上がってしまったら、日本はお手上げです。
杉山  シーレーンが封鎖されて石油・天然ガスの輸入が途絶えたら、日本は非常に厳しいことになります。その際には原子力発電所を全て稼働させることで、国内で必要な電力の2割程度は確保でき、加えて水力発電で1割程度は確保できるでしょう。それを優先順位の高い、継戦能力に関わるところに回せるようにしなければ。
兼原  そういう議論を今からきっちり進めておかねばなりません。そういう面倒なことは議論しない風潮がありますが、言いにくいことを言ってでも票を取ってくるのが本当の政治家です。その点で岸田首相は―直接、お仕えしていないのであくまで印象ですが―逃げない人ですよね。大きなものごとを決めるのには時間がかかりますが、進むべき方向は外していない。防衛費に5年で43兆円という決断もしましたし。原発の新増設も打ち出しました。そして結構、頑固で、いったん決めたら動じない人だと思います。
杉山  原発の再稼働・新増設という英断はありましたが、その先にまだまだ決めるべきことが残っています。一方でGXの導入に関しては、拙速なように思えてなりません。そうした国の存亡にかかわる議論が、国会できちんと行われることを望んでいます。 

 

●能登半島地震・避難所には今も人…20人犠牲の石川・穴水で支え合う住民 2/20
能登半島地震から1か月を過ぎた今なお、被災地では多くの人が避難所に身を寄せている。1月25日から9日間、20人が犠牲となった石川県穴水町に入り、取材した。家屋は倒れたままで、一部地域で断水が続いていた。それでも「自分たちの町だ」と地元を支え、日常を取り戻そうと懸命に前を向く人たちに出会った。取材メモを基に、長引く避難所生活を乗り越えるヒントを考えた。
町中心部から約10キロ離れた山間部の甲(かぶと)地区。閉校した小学校の体育館には約150人が避難していた。1人当たりの空間は畳2枚ほど。地震で屋根瓦が崩れ、1月下旬までは雨漏りにも悩まされたという。
過酷な環境での慣れない集団生活に不満が募っているだろうと想像したが、実際は違った。
昼食が運ばれると拍手が起こった。区長の熊野信一さん(74)は「皆それぞれの得意分野で協力している。活躍をたたえ、感謝する。自然とそんな雰囲気になります」と教えてくれた。
重い物資は男性が率先して搬入。女性の元看護師は消毒や避難者の体調管理を担い、感染症の拡大を予防する。テレビの近くに座る人は地震速報を伝える。
一人で避難する住民(75)には「互いに励まし合っている。長引く避難所生活に地域の力が欠かせないと伝えてほしい」と託された。
栄養管理に一手間
最低気温が氷点下となる日もあった。寒さで手足はこわばり、体力が奪われる。
約10人が避難した公民館で調査を行う管理栄養士のチームに状況を報告していたのは、「いしかわ食育コーディネーター」の桶本直子さん(72)だった。
全国から支援物資は届くが、カップ麺などの保存食は炭水化物が中心で、塩分過多になる恐れがある。高血圧や糖尿病を抱える高齢者は、体調を崩しやすい。自宅の倒壊を免れた桶本さんは震災直後から週6日、公民館に通って調理を担ってきたという。
桶本さんは「味が濃い魚の缶詰は洗う。カップ麺には野菜を付け合わせ、かむ力の弱い高齢者の雑炊を用意した。一手間のおかげで、高齢者の健康が守れた」と言う。
被災の程度が比較的軽かった駅前の飲食店では、営業できない店の食材を引き取るなど、物資をうまく活用して避難者に無料で手料理を振る舞う料理人の姿があった。
発起人の新出洋さん(47)は「行政ばかりに頼ってはいられない。料理人は、今ある材料で温かくバランスのとれた食事を届けるのが使命だ」と力強く語った。
癒やしのヤギ
明るい話題もあった。
避難所前にある農家民宿を経営する小栗伸幸さん(69)は、飼っているヤギ7頭に触れてもらうことにした。「ストレスの緩和につながれば」という思いからだ。
小栗さんは2017年に民宿を開業させ、首都圏から多くの修学旅行生を受け入れてきた。緊張する生徒も動物を見ると心を和ませることを知っていた。
晴れた日はヤギを小屋から出し、背中をさすったり、好物のビワの葉を与えたりする家族連れや高齢者らの憩いの場となった。
小栗さんは「日常に戻るには時間がかかる。苦労が絶えない避難生活に少しでも楽しい思い出を作ってほしい」と話した。
行政に頼らない工夫や知恵必要
「知行合一」
日頃培ってきたノウハウを緊急事態の際にいかし、限られた人員と物資で懸命に生活を立て直そうとする被災者に話を聞き、この四字熟語を思い出した。
和歌山県広川町の「稲むらの火の館」で、村人を津波から救った浜口梧陵(ごりょう)を紹介する言葉で、真の知識は実践を伴うという儒教の教えだ。
南海トラフ地震に備え、和歌山県は防災体制を1年かけて見直す方針を固めた。最悪を想定して計画を整えるのは当然だ。しかし、想定外は必ず出てくる。
厳しい環境を生き抜くには、行政に任せきりにせず、県民自ら知恵や工夫を凝らす必要がある。地域の団結力を非常時に最大限発揮するため、日頃からの心構えが欠かせない。
●輪島からの2次避難者対象 石川県の住宅説明会 4つの選択肢示す 2/20
能登半島地震で被災し、富山県黒部市に2次避難している石川県輪島市の人たちを対象に、今後の住まいをどうするか考えてもらうため、石川県の担当者などによる説明会が開かれました。
これは石川県が広域避難者に対応するため各地で開いているもので、20日は輪島市からの2次避難者、およそ80人が滞在している黒部市の宇奈月温泉のホテルで説明会が開かれました。
石川県と輪島市から訪れた職員たちは被災者に個別で対応し、今後の石川県での住まいについて「仮設住宅」をはじめ、行政が家賃を負担する民間住宅の「みなし仮設住宅」「公営住宅」、それに修理後の「自宅」の4つの選択肢を示したうえで、入居手続きの方法や確保できている戸数などを説明していました。
さらに、地域ごとに異なる水道などのライフラインの復旧状況も説明しました。
家族3人で避難している50代の女性は「自治体の担当者と対面で相談できるので助かります」と話し、夫婦2人で避難している70代の男性は「今後の見通しが立たないので不安です。1か月以上も自宅の様子を確認できていないので、とにかく早く帰りたい」と話していました。
石川県広域避難者支援グループ長の谷野明勝さんは「自宅近くの『仮設住宅』に住みたいという要望が多いですが、現状では十分に応えられません。『みなし仮設住宅』につなぎとして住んでもらう方法などを説明し、少しでも不安の解消に努めたい」と話していました。
●能登半島地震対応など議論 26日集中審議で大筋合意 衆院予算委 2/20
能登半島地震への対応などを議論するため、与野党は来週26日に岸田総理大臣らに出席を求めて衆議院予算委員会の集中審議を行うことで大筋合意しました。
新年度予算案の審議日程をめぐり、与野党は盛山文部科学大臣に対する不信任決議案が否決されたことから、衆議院予算委員会での審議の再開を確認し、21日と22日、一般質疑を行うことを決めています。
そして予算委員会で与党側の筆頭理事を務める加藤 前厚生労働大臣と野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の山井和則氏が、その後の審議日程を協議しました。
その結果、能登半島地震への対応などを議論するため、26日に岸田総理大臣と関係閣僚に出席を求めて集中審議を行うことで大筋合意しました。
集中審議では、地震への対応に加え、政治資金問題や少子化などもテーマとすることを検討していて、引き続き調整するとしています。
●「議員は納めてない」確定申告窓口にクレームで受付困惑 2/20
自民党の裏金事件を巡り納税者から怒りの声が上がるなか、確定申告の窓口で働く人たちは困惑しています。
クレームに税務署アルバイト女性も困惑…
税務署で働く女性(20代)「『クレーム言われた時は職員に言って』とは言われていたが、やっぱり言いに来る人はいました。自分らに言われても怖いなっていうのはある」
こう話すのは、16日から税務署で確定申告の受付のアルバイトをしている女性です。書類を提出に来た男性から突然、こんな言葉を浴びせられたといいます。
税務署で働く女性に…
税務署で働く女性「『納税で自分らがこうやって確定申告を出しに来ているのに、なんで国会議員の人らは出さんの』みたいな。『国会議員が納めてないのに、何で自分らが納めないけんのや』みたいなことは言っていた。一言ボソッと言うかんじです」
クレームに困惑した女性。次のように答えるのが精一杯だったといいます。
クレームに困惑
税務署で働く女性「『自分たちもそれは良くないとは思ってるけど』みたいなふんわりとした回答しかできないですけど、どこに言えばいいのか分からないから、税務職員にみたいな。そういう理由というのは何となくわかるが、こっちも困るという感じ」
国民も怒り爆発寸前「不信感しかない」
確定申告を前に国民にこう呼び掛けた岸田文雄総理大臣。
岸田総理「納税者のみなさま方に、法令にのっとり、適切に申告納税を行うようお願い申し上げたい」
「裏金は納税の対象ではないのか」と国民の怒りが爆発寸前です。納税者からは現在の政権に対して多く不満の声が聞かれました。
納税者からは不満の声
80代「自民党はおかしいよ、やり方が。きちんと説明してほしい」
70代「正しくやってほしいけど、私の声は届かない」「納得感はないが、仕方がない。義務なので。もう不信感しかない」
国税庁「守秘義務」で税務調査明らかにせず
国会でも、裏金は納税の対象だとして野党が批判を強めています。
立憲民主党 江田憲司議員「何千万円もの裏金を受け取っておきながら、どうして犯罪にならないのか、どうして脱税が問えないのか。税金一揆が起こりますよ」
総額5億7000万円超えの“不記載”
自民党は、15日にいわゆるキックバックの不記載などがあった国会議員は85人で、総額5億7000万円を超えるとする調査結果を発表しました。
立憲民主党 末松義規議員「修正申告の85人について税務調査をやりましたか?」
国税庁は明らかにせず
国税庁次長「個別の事柄につきましては、答えを差し控えさせていただきます」
国税庁は守秘義務があるとして、税務調査を行ったかどうか明らかにしていません。
政治家の税務調査 専門家「ハードル高い」
実際、政治家への税務調査は行われることはあるのでしょうか?専門家はこのように話します。
元国税調査官・税理士 松嶋洋さん「政治家なので、非常に相手がデリケートなので、税務署の一存ですぐ調査しますということはなかなかしづらい。想定と食い違うことはよくあることで、あなた脱税的なことやってますといって、実際やってませんでしたとなると、政治家は反撃もしてくるでしょうし、名前が売れているだけに大事になる可能性が高い。そういう懸念は当然ある」
政治資金は原則非課税
さらに、政治団体が集めた政治資金は原則非課税であることや、その使い道が政治活動だったのか、個人的なものだったのかを明らかにすることが難しいため、政治家への税務調査はハードルが高いといいます。
クレーム受けた女性「納税者のお手本に」
一方で、確定申告の際に納税者からの批判の矢面に立たされている税務署の職員。実際にクレームを受けたアルバイトの女性は、今後もこうしたことが続くことを覚悟していると話します。
クレームを受けた女性は…
税務署で働く女性「税務署がどうのこうの言われたらちょっと傷ついたりする。そういうものと割り切ってやっていくしかない。もう仕方ないものだと思って」
「政治と金」の問題で、煮え切らない対応を続ける政治家については…。
税務署で働く女性「説明責任を果たして、ちゃんと納税者たちのお手本になるように。そういう行動を心がけてほしい」
●盛山大臣の不信任案提出も背景に「裏金問題」への駆け引き?真の狙いは? 2/20
旧統一教会との関係をめぐり、立憲民主党は盛山文部科学大臣に対して不信任決議案を提出しました。不信任案は20日、否決される見込みですが、野党側の狙いは盛山大臣ではなく、裏金疑惑の議員51人を説明の場に引っ張り出すことのようです。
疑惑議員らを説明の場に引っ張り出すことが狙いか
19日午後2時すぎの総理官邸で、華やかな着物をまとった女性たちの表敬を受けた岸田総理。その表情からは、思わず笑みがこぼれていました。
しかし、約1時間前の国会では…
立憲民主党は、旧統一教会の関連団体からの選挙支援について、「記憶にない」などと繰り返してきた盛山文部科学大臣に対する不信任決議案を提出しました。
立憲民主党 笠浩史 国対委員長代理「記憶があいまいだったり、明確に関係が無いということは全く説明ができていない。説明責任を果たしたとは到底言えない」
政府・与党は、2024年度の予算案について、3月中の成立を目指していますが、19日と20日の審議がとりやめになるなど、日程に影響が出ています。
野党側の対応を受けて、岸田総理は…
岸田総理(19日午後5時すぎ)「盛山大臣には引き続き職責を全うしていただき、責任を果たしていただきたい」
その盛山大臣は…
盛山正仁 文科大臣(午後6時すぎ)「正々堂々と、何ら恥ずべき行動はとってこなかったと思っているので、みなさんに信頼していただけるような行動をずっととっているつもりです」
不信任案は、20日に衆院本会議で否決される見込みですが、宮本記者は今回の不信任案提出の背景には、『裏金問題』があると話します。
宮本晴代 記者「不信任案が出ると予算案の審議が止まり、政府・与党としては困ってしまう。野党側は、裏金問題で政治倫理審査会を開くよう求めてきた。予算の審議日程を駆け引き材料にすることで、裏金疑惑の議員らを説明の場に引っ張り出すことを狙っている」
安倍派 最高顧問「全員が政治倫理審査会に出席して、よく説明すべき」
政治倫理審査会は、議員の「政治的・道義的責任」を審査する国会の機関です。
野党側は与党側に対し、収支報告書への不記載が明らかとなった安倍派の「5人組」ら幹部や、二階元幹事長を含む、衆院議員51人に審査会に出席するよう求めています。
これについて、茂木幹事長は…
自民党 茂木敏充 幹事長(午後5時半ごろ)「政治倫理審査会は、自発的に弁明する場であるが、出席の考え方を整理して、本人の意向の確認をおこなっている」
党内からは政倫審への出席について、「全員が応じるべき」との声があがっています。
自民党(安倍派) 衛藤征士郎 最高顧問「全員が政治倫理審査会に出席して、よく説明すべきだと思う」
野党側は、脱税の疑いについても追及を強めています。
立憲民主党 渡辺創 衆院議員「国民は増税、自民は脱税」
自民党の議員にキックバックされた収入は、使いみちによっては課税対象になることから、収支報告書への不記載は「脱税ではないか」と指摘されているのです。
2月16日から確定申告が始まる中、街の人は…
確定申告に来た20代男性「我々のようなサラリーマンとか、会社では認められないところが、認められてしまうというところは、ちょっと不公平かなと思う」
確定申告に来た70代女性「100%明らかにしろって怒鳴りたい気持ち。でないと、こっちも脱税するぞって感じです」
不支持82%の調査も 自民党内では総理の信頼が落ちている?
藤森祥平キャスター: まず、週末に行われた最新の世論調査を見てみます。
〈岸田内閣 世論調査〉
   毎日新聞 2月19日
・支持 14% (前回比 -7ポイント)
・不支持 82% (前回比 +10ポイント)
   産経新聞 2月19日
・支持 22.4% (前回比 -5.2ポイント)
・不支持 72.5% (前回比 +6.1ポイント)
岸田内閣の支持率について、毎日新聞は14%(前回比 -7ポイント)、産経新聞は22.4%(前回比 -5.2ポイント)で、ともに前回から下がっています。
一方で不支持について、毎日新聞は82%(前回比 +10ポイント)、産経新聞は72.5%(前回比 +6.1ポイント)と、ともに上がっているんです。
小川彩佳キャスター: 毎日新聞の支持14%、不支持82%というのは、単純に日本の人口に換算すると1億人以上が支持していないということになってしまうんですよね。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: 自民党では動揺が走ってます。もちろん裏金問題が大きいんですけども、やはり岸田さんが防衛増税があるのを減税でごまかしているのではないかなどがあり、岸田さんに対する信頼感が落ちてるんですね。
なので、岸田さんがメッセージを発しても、それが国民の胸に届かないという点では非常に深刻な事態になってると思います。
藤森キャスター: さらに毎日新聞の世論調査では「問題のあった自民党議員を国税当局が調査すべきか」という問いに、「調査すべき93%」、「調査の必要なし3%」などという結果になったそうです。(毎日新聞 2月19日)
やはり税金のことが頭にあるわけですね。
小川キャスター: これは国民の怒りの表れですね。
パトリック・ハーランさん: 当たり前の結果だと思いますよ。税金のことも頭にありますけど、基本的にこの民主主義の根幹に触れるような大問題になり、生ぬるい対応しか見せてないんです。
ニクソン(元大統領)の「ウォーターゲート事件」の時代からの少し有名なキャッチコピーのようなものがあるんですが、「犯罪行為よりも隠ぺいに国民が怒る」と。
今回は隠ぺいまで言わなくても、その真相解明や再発防止、増してや制度改革に本腰入れてないんじゃないですかと。犯罪やミスは過失だったかもしれないけど、しっかり反省して改心しないと、そのあとの処理はやはり許されないんですよ。
キックバックの政治資金31人が“不使用” 残った部分は課税対象だが…
小川キャスター: 起きてしまったことへの対応という面ですよね。
そうした中で、現在の焦点は、裏金が脱税に当たるのかというところにもなってきています。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: 政治資金は原則課税されないということなんですけど、残った部分は課税対象になるというルールなんです。ところが今回、「何に使ったんですか」ということに対して「不明」ということで切り抜けようとしているわけです。
それこそ、今は国民からすると確定申告に追われてるわけなので、釈然としませんよね。
藤森キャスター: 先週、自民党が公表してきた調査結果で、キックバックされた政治資金について、安倍派・二階派の国会議員85人のうち31人が、使用していなかったと答えています。この人たちは政治資金を残しているということですね。
これまでに、対象の議員たちは税金を納めるということは、まだ表明していないんですね。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: そこで、自民党が抱えているのは「税金爆弾」と言われてるんですけども、みんな基本的には政治資金で使ったので「税金払えません」というスタンスなんですけど、おそらく何人かの議員は戸惑ってると思います。
特に口座に残ってるような人は、おそらく「この際、いろいろ批判を受けてる税金を払った方がいいのではないか」と発言する人が出てくるんじゃないかと。そうすると、「あの人払ってるんですから、あなたも払ってください」など、連鎖的に広がってくるわけで、この動きがどうなるのかというのは、もうみんな虚々実々の対応をすると思います。
小川キャスター: 国民としては、納めるべき税金は納めていただきたいですね。「税金爆弾」は落ちていただきたいところです。
パトリック・ハーランさん: 我々はインボイス制度やマイナンバー制度などで、領収証の整理に追われて大変な思いをされてる方がいっぱいいらっしゃるんですけど、お金の流れの見える化について僕は賛成ですよ。
脱税対策や闇金の流れを防止するためには大事なんですけど、それを国民に押し付けるのではなく、まず政治家からお手本となっていただきたいです。同じような責任ではなく、より高い倫理の義務を背負って、責任を持っていただきたいと思いますね。
政倫審に強制力なし 事実解明には参考人招致や証人喚問が必要か
藤森キャスター: そして19日、自民党は安倍派・二階派51人の衆議院議員に対して、政治倫理審査会に出席する意向があるか確認を始めました。どうなるのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: 当初、自民党の執行部がやはり51人は多いので線引きをして、例えば1000万、それから派閥の幹部として差配する立場にあった人ということを想定して、いろんな人に出席の意思確認をしているそうです。
どうも19日夜になっていろいろな情報が上がってきてるんですけど、例えば100万円以下の人でも、「地元の有権者も『とにかく先生、説明してください』などと言ってるので、とにかく私は説明したい」という人もどんどん出てきていて、もしかすると線引きというよりも出たい、出て説明したいという人が増えてきて、かなりの数になるのではないかという情勢ですね。
藤森キャスター: ただ一方で、実際に出席しても今までみたいに経緯が明らかにならない、いつからやったのが、誰の指示なのか、実態解明に程遠いまま終わるということはないんですか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: その可能性は高いと思います。とりわけ何に使ったのかという点については、政治活動に使ったとふわっとした話はするんですけど、具体的に領収書もありませんし、一緒に懇親会を開いた相手のことも言えないということになると、結局、政倫審に強制力はありません。
なので、そこでは事実解明できないということになると、やはり参考人招致や証人喚問という強制力のある形で証言してもらおうという動きに繋がっていく可能性は高いですね。
小川キャスター: そして、今後の岸田政権の行方については、どう思われますか。
パトリック・ハーランさん: 変な話、何も変わらないと思うんですよ。
(一般的に)現政権の支持率が14%しかないなら、もうすぐ崩壊すると思いますが、日本の場合、特に今回の問題は自民党で無傷な人はいないんです。
総裁選はあったとしても、有力な派閥から推薦される人で、次の総裁になれる人はいないし、手が挙がってる人もいない、旧統一教会の問題も入れると本当に無傷な人がいないんです。ましてや、すぐ政権交代ができる元気な野党もない。
なので変な話、(支持率が)1%、0%になっても、政権交代にならないかもしれない。これが日本の不思議な現状なんです。
政倫審に衆院議員51人 「全員が出席してよく説明すべき」?「みんなの声」は
NEWS DIGアプリでは『衛藤最高顧問の発言』などについて「みんなの声」を募集しました。
Q.政倫審に衆院議員51人 「全員が出席してよく説明すべき」?
「賛成」…94.4%
「反対」…2.2%
「その他・わからない」…3.5%
●自民・森山氏 政倫審は「予算の年度内成立を踏まえ対応」 方針示す 2/20
自民党の派閥の政治資金問題を受けた政治倫理審査会の開催をめぐり、森山総務会長は20日、野党側が求めている安倍派・二階派の51人の衆議院議員の出席について「来年度予算案の年度内成立を確実にすることができるかが極めて大事で、十分認識して対応していきたい」と述べた。
51人は、派閥からキックバックを受けるなどして党の聴き取り調査の対象となった議員で、森山氏は、議員本人に対する出席の意向確認について「今、作業を進めている」と述べた。近く結果を野党側に提示する。
また森山氏は、政倫審への議員の出席について「本人の申し入れが原則だ」と強調し、「そのことを十分理解した上で野党の皆さんからの要求に対応していく」とも述べた。
●政倫審 出席意向は「2人」だけ 51人要求も「話にならない」  2/20
自民党の裏金事件をめぐり、誰が国会で説明するのか。
20日、自民党が野党に対して出席の意向を示している、国会議員の人数を伝えた。
立憲民主党・安住国対委員長「自民党側から、政倫審に出席の申し出があったのは、お二人でした。結論でいうと話にならない」
野党は、キックバックの不記載があった衆議院議員、51人全員の政治審理審査会への出席を要求。
自民党は19日、聴取を行った51人全員に対し、政倫審での説明を促す方針を固めた。
ところが自民党が、出席する意向と伝えたのは、要求された51人に対し、安倍派の塩谷座長と、二階派の武田事務総長のわずか2人だった。
立憲民主党・安住国対委員長「危機感が伝わっていないから、たった2人だけってことになっているんじゃないか。国民の皆さんの自民党に対する、不信感や怒りが収まると思ったら大間違い」
政倫審に出席する意向と伝えられた塩谷氏は、「中身をしっかり聞いて判断したい」と答えた。
一方の“安倍派5人衆”。
高木前国対委員長は20日、記者団に囲まれ、「状況を見て判断する」などと、あいまいな説明に終始。
安倍派5人衆が、現時点で誰も出席しないことに野党側は、対応が不十分だとし、猛反発している。
自民党内からも、「2人だけというのは、今のところはという話だ」として、今後5人衆の出席は避けられないとの見方も出ている。
こうした中、20日午後の衆議院本会議では、旧統一教会の友好団体との接点が判明した、盛山文部科学相に対する、不信任決議案の採決が行われた。
反対多数により、不信任案が否決された盛山文部科学相。ほっとしたのか、満面の笑みを浮かべた。
●塩谷・武田氏、政倫審で弁明へ 自民回答、野党「話にならぬ」 2/20
自民党は20日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)について、安倍派座長だった塩谷立・元文部科学相と二階派事務総長だった武田良太元総務相が出席する意向だと立憲民主党に伝えた。立民など野党4党は2人の出席を評価しつつも、真相究明には不十分だと猛反発。2024年度予算案の衆院採決の前提となる中央公聴会に関し、自民は27日開催を求めたが、野党は同意しなかった。
自民、立民は21日にも改めて対応を協議するとみられる。野党は、パーティー収入のキックバック(還流)分などを収支報告書に記載していなかった安倍、二階両派の衆院議員51人全員の出席を引き続き求めており、与野党が歩み寄れるかは不透明だ。
自民は19日、51人の意向確認に着手。安倍、二階両派幹部から順に聞き取りを進めている。自民内には本人が出席を希望すれば認めるべきだとの声があるが、出席者を増やせば国会審議の混乱が避けられないとの懸念も強く、まずは2人の出席で野党に理解を求めることにした。
一方、安倍派幹部の一人だった稲田朋美元防衛相は20日、政倫審について「言われたら出る」と記者団に言明。直近の同派事務総長だった高木毅前国対委員長は「党の検討を受けて判断したい」と態度を明確にしなかった。関係者の意見が割れていることも、自民が野党との交渉を慎重に進めている理由とみられる。
立民、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党の国対委員長は20日、国会内で会談し、自民が打診した2人の出席だけでは「話にならない」(立民の安住淳委員長)との認識で一致した。
●「小沢氏のように流れつくれる人がいるか」大島理森氏が語る政権奪還 2/20
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件を受け、野党各党は自民批判を強めている。一方で、政権交代への機運の高まりは見えない。なぜ野党は民意の「受け皿」になり得ていないのか。民主党政権時代、野党・自民党で幹事長を務め、政権奪還を目指した大島理森・元衆院議長に聞いた。
朝日新聞の世論調査(2月17、18日)では、岸田文雄内閣の支持率は21%、自民党の政党支持率も21%で、ともに2012年の政権復帰以降最低となりました。一方、野党の支持率は立憲民主党が7%、日本維新の会が4%などで、「受け皿」になりきれてい状況が続いています。
政党にとって大事な「三つ」のこと
――野党にとって「チャンス」と言える状況のなか、立憲民主党をはじめ野党各党の支持率に大きな変化は見られません。
各紙の調査を見ても、いま圧倒的に増えているのは無党派層だ。自民支持よりも多い。支持政党のない無党派層が一番多いという状況を、日本の民主主義の根本的な問題として真剣に受け止めなくてはいけない。
政党にとって大事なことが三つある。一つ目は、政権を取ってどういう社会にしたいかという「志」。二つ目は、政権運営における現実的な「技」。運営力ともいえる。三つ目は、「数」。民主主義は最後は「数」であり、数をどう確保するかだ。
この3点について振り返ると、旧民主党も今の立憲も、何を目指したい党なのか見えない。連合が応援団とされているが、働く人のための政党としての存在意義を本当に持っているか。
二つ目の「技」。名称変更や分裂の歴史を持っている党に、国民は政権運営を託そうとするだろうか。政党名には志がこめられている。それが民主党から民進党になり、立憲民主党へ。で、国民民主党が分かれた。政党には、多様な意見を一つの方向に束ねていく役割がある。しかし、名前をコロコロ変えたり分裂したりする党が、その役割を果たせるだろうか。
――かつて自民党も、野党時代に党名変更を求める声がありましたね。
あったが、やらなかった。新しい名前でイメージを変えようとしても、国民は本質を見抜く。日本的忍耐、我慢も必要だ。
安倍政権時代、(小池百合子都知事が立ち上げた)希望の党に期待が集まった時があった。しかし、(民進党出身者の受け入れをめぐる「排除の論理」などで失速し)勝負は決まったなと思った。多様な意見を一つの意思にまとめるという政治の機能、その手段の一つとして政党が存在する。それには運営力が大変重要だ。
政権を目指して戦う過程が民主主義。それなのに「次の選挙では過半数は取れないが、次の次の選挙で取る」と言った野党党首がいた。そういう姿は感動を生むか。戦う姿勢を示すべきだ。(議席が)足りなければ「勝たせてください」と言えばいい。
―― 一つの党での過半数が難しければ、野党が結集して政権交代を目指すべきだとの考えもあります。
自分たちで分裂しておきながら ・・・
●自民国防部会、防衛費の増額求める声相次ぐ 有識者会議発言に同調 2/20
自民党の国防部会・安全保障調査会合同会議は20日、43兆円程度としている2023年度から5年間の防衛費について議論した。会議では物価高や円安を踏まえ、増額を求める意見が相次いだ。防衛省が設置した有識者会議座長の榊原定征経団連名誉会長が増額の必要性に触れた19日の発言に同調した形で、党内では増額を求める圧力が強まりそうだ。
複数の議員から「有識者会議から後押ししてもらっているので、しっかり受け止めてほしい」「額ありきでなく、円安や資材高騰を踏まえて柔軟に考えるべきだ」などの意見が出た。防衛省の担当者は「43兆円の枠を守ることを念頭に防衛力整備を進める」と回答した。
木原稔防衛相も20日の記者会見で「43兆円は防衛力の抜本的強化が達成できる水準として閣議決定された金額であり、この範囲内で防衛力強化を行うことが防衛省の役割だ」と述べ、見直しを否定した。
19日に初会合が開かれた「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」で、榊原氏は「43兆円の堅持を追求する努力は当然だが、見直しをタブーとすべきではない」などと発言していた。
●盛山文科相「辞任すべき」66%、内閣支持率21%で発足以来の最低を更新 2/20
「一切」の関係を断っていたわけではなかった。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の友好団体が、盛山文科相の地元事務所宛てに、会員向け機関誌「世界思想」を毎月無料で発送していることが判明した。20日の朝日新聞が報じた。
世界思想には毎号、教団創始者の故・文鮮明氏のメッセージなどが掲載されている。教団に対する批判が高まって以来、受け取り側が機関誌を送らないように教団側に要請し発送が停止されたケースが複数あるが、盛山大臣側からそうした意思表示はなく、先月も送られていたという。
盛山大臣の文科相辞任を求める声は高まるばかりで、同紙の世論調査(17、18日実施)によると、「辞任するべきだ」が66%に上っている。
岸田内閣の支持率も前回調査(1月20、21日)から2ポイント下落し21%。内閣発足以来の最低を更新した。
産経新聞とFNNの世論調査(17、18日実施)でも、内閣支持率は内閣発足後最低の22.4%。岸田首相に「すぐに交代して欲しい」と望む声は前回調査(1月20、21日)から9.3ポイントも増加し27.8%に達した。
政権寄りとされる産経の読者からも見放され、いよいよ岸田政権の終わりも近いか。
●「支持政党なし」最多の 52%ナゼ? 小渕優子議員「野党転落を思い出す」……自民支持率“最低”の 24% 野党は受け皿になれず 2/20
NNN と読売新聞が16〜18日に行った世論調査では、支持する政党は「なし」が最多でした。自民党の支持率は政権復帰以降で最低となり、野党も伸び悩んでいます。2009年の政権交代の際も自民党は支持を失いましたが、当時とどう違うのでしょうか。
自民党の支持率が低い背景は?
有働由美子キャスター「『支持する政党はない』と答えた人の割合は52%でした。NNNと読売新聞が16〜18日に行った世論調査(全国の有権者に電話、1083人回答)で政党別の支持率を見ると、自民党が24%、野党の立憲民主党が5%などとなりました」
「最も割合が大きいのが『支持政党なし』です。驚く数字ですよね」
小野高弘・日本テレビ解説委員「自民党の支持率24%というのは、2012年に政権に復帰して以降で最低です。なぜ低いのか、世論調査から見てみます」
「政治資金パーティー問題への対応について、『派閥の解散を決めたことが信頼回復につながると思わない』と答えた人は76%。『党の調査が実態解明につながると思わない』は77%、『派閥幹部らは十分説明していると思わない』は93%に上りました」
有働キャスター「自民党への厳しい目は、かなりのものですね」
政権交代1年前、民主に26%台の支持
小野委員「自民党の選挙対策委員長の小渕優子議員は『今は厳しい。2009年に自民党が野党に転落した時のことを思い出します』と言いました。当時の政党支持率はどうだったのでしょうか」
「(福田内閣だった)2008年8月、自民党支持率は34.3%で、野党第一党の民主党は26.3%。民主党はまだ自民党に届いていません。(麻生内閣に交代した)1年後の2009年8月、自民党の支持率は30.0%になり、民主党は32.1%。逆転して政権交代しました」
「1年前に民主党に、26%台の支持率があったことが分かります。そこから6ポイント上げての逆転です」
野党が受け皿にならない理由は?
有働キャスター「この時は『与党がダメなら野党に入れる』と、政権を選択するつもりで投票した人が多かったですよね」
小野委員「今はなぜそうなっていないか。立憲民主党の議員は『野党の数が多く、立憲と維新が野党第一党争いをしている。この状態だから受け皿になれていない』と話します。このことがよく分かる例が、去年の衆議院千葉5区の補欠選挙です」
「政治とカネの問題で辞職した自民党議員の補欠選挙でした。野党はチャンスでしたが、立憲民主、国民民主、維新、共産と軒並み出馬して票が割れ、自民党候補が勝ちました。こういうことが野党の悩みです」
若者は政治をどう見る…意識調査
小野委員「若い人が中心になって行った、政治に関する意識調査があります」
「一般社団法人 Public Meets Innovation によると、『現在の政治家や政治の状態をつくってしまったことに対して、我々有権者側も大いに反省すべき』(20代)、『普通の市民が日常的に政党や政治家と対話する機会が増えてほしい』(20代)という意見が上がりました」
「他にも、『もっと一人一人の声に耳を傾けてほしい』(30代)や『政治に対して意見をどこに届けたらいいか分からない』(30代)といった声もあります」
有働キャスター「『支持する政党なし』が52%というのは、政治家の皆さんにとっては恥ずかしいことだと思いますが、裏を返せば、この52%というのは素晴らしい政治家がいれば今後動く数字でもあります」
「政治家には心していただきたいですし、私たちも『政治を変えるのは自分たちの1票だ』と、改めて(投票行動や意識を)大切にしたいです」
●岸田内閣の支持率14% 自民党の支持率も16%に下落 2/20
社会調査研究センター(SSRC、本社:さいたま市、代表取締役社長:松本正生)は2月17日から18日にかけて、スマートフォンを対象としたインターネット調査方式「dサーベイ」による全国世論調査を実施しました。岸田内閣の支持率は14%で、1月21日に実施した前回調査の19%から5ポイント下落し、2022年10月の調査開始以来、過去最低となりました。不支持率も前回から4ポイント増えて過去最悪の74%となりました。また、自民党の支持率も前回調査(20%)から16%に下落し、こちらも過去最低を記録しました。
岸田内閣支持率14%、自民党の支持率も16%
社会調査研究センター(SSRC)は2月17日から18日にかけて、スマートフォンを対象としたインターネット調査方式「dサーベイ」による全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は14%で、1月21日に実施した前回調査の19%から5ポイント下落し、2022年10月の調査開始以来、過去最低となった。これまでの最低は昨年12月の17%だった。不支持率も前回から4ポイント増えて過去最悪の74%となった。
政党支持率では自民党が16%(前回20%)に下落し、こちらも過去最低を記録した。2位は日本維新の会で10%(同8%)、3位は立憲民主党の9%(同8%)の順。「支持政党はない」と答えた無党派層は50%(同49%)だった。
仮に今、衆院選が行われたら比例代表でどの政党に投票するかとの質問でも自民党は14%(前回18%)に低落し、日本維新の会が14%(同11%)で1位に並んだ。立憲民主党が12%(同12%)で3位につけている。
自民党裏金事件で「安倍派幹部処分すべきだ」83%
自民党の派閥政治資金パーティーをめぐる事件が内閣・自民党の支持率低下につながっているのは間違いない。真相解明と再発防止へ向けて岸田文雄首相が指導力を「全く発揮していない」との回答が過半数の56%を占め、「あまり発揮していない」の33%と合わせて9割が「発揮していない」と見ている。「ある程度発揮している」が9%、「大いに発揮している」はわずか1%だった。
自民党の安倍派では多額のパーティー券収入が政治資金収支報告書に記載されず、裏金化していた。自民党が安倍派幹部に「処分を科すべきだ」との回答は83%に上り、「処分を科す必要はない」は5%だった。
日本の政治「信頼していない」74%
国民の不信感は自民党だけでなく政治全体に向けられているようだ。日本の政治を「信頼している」との回答は「大いに」の2%と「ある程度」の23%を合わせて25%にとどまり、「信頼していない」が「あまり」の43%と「全く」の31%と合わせて74%に上った。
「全く信頼していない」「あまり信頼していない」と答えた人に「あなたの政治不信が向けられているのは」と尋ねたところ、「全ての政党・政治家」が54%(回答者全体の40%)を占め、「自民党」が32%(同24%)、「野党」が2%(同1%)だった。「主権者である国民」と答えた人も4%(同3%)いた。
今回の事件を受けて「政治とカネ」の規制強化が進むことを「期待する」との回答は「大いに」の41%と「ある程度」の20%を合わせて6割に達した。国会がこの期待に応えなければ、国民の政治不信は一層進むだろう。「期待しない」との回答は「あまり」の21%と「全く」の17%を合わせて4割だった。 
大きな地震災害に襲われる不安「感じる」9割
能登半島地震に関して、これまでの政府の対応を「評価する」との回答は19%で、前回調査から7ポイント下落した。「評価しない」は7ポイント増の39%、「どちらとも言えない」は前回と同じ41%だった。
大きな地震災害に襲われる不安を「感じる」との回答は「強く」の38%と「ある程度」の52%を合わせて9割に上った。「感じない」は「あまり」の7%と「全く」の1%を合わせて1割弱だった。
大震災の備えとして八つの選択肢を示し、自身が準備しているものを複数回答で選んでもらったところ、「防災グッズ(保存食や水を含む)」52%▽「近所の避難所・避難場所の確認」39%▽「地震保険への加入」34%▽「緊急時の家族との連絡方法」25%▽「家具の固定」25%▽「緊急避難時に持ち出す貴重品袋」24%▽「自宅の耐震化」16%▽「防災訓練への参加」10%——となった。「何もしていない」との回答も16%あった。「何もしていない」と答えた割合を年代別にみると、18〜29歳が26%で最も高く、年代が上がるにつれて減少し、70歳以上では7%だった。
「首相に」1位は石破茂さん、2位に小泉進次郎さんと上川陽子さん
「あなたが日本の首相になってほしいと思う人」を、自民党の政治家7人を選択肢に挙げて選んでもらったところ、1石破茂さん17%2小泉進次郎さん・上川陽子さん10%4菅義偉さん・河野太郎さん7%6高市早苗さん6%7岸田文雄さん3%——の順となった。「このほかの与党の政治家」との回答は2%、「野党の政治家」は5%で、「いない」が33%だった。
「野党の政治家」を選んだ人が具体的な名前を書き込んだ回答を集計すると、れいわ新選組の山本太郎代表の名前を15人が書き込み、立憲民主党の野田佳彦元首相と泉健太代表がそれぞれ7人、日本維新の会の吉村洋文大阪府知事が6人となった。
世論調査の新たなスタンダード:dサーベイ
dサーベイは、NTTドコモのdポイントクラブ会員を対象としたアンケートサービスを使用するインターネット調査で、SSRCがNTTドコモの協力を得て開発した。全国約6500万人の母集団(18歳以上)から無作為に抽出した方々にメールで回答を依頼し、応じてくれた方にはスマートフォンの画面で質問に答えてもらう。今回は2月17日午後5時からメールを配信し、2043人から有効回答を得た。
dポイントクラブの会員にはNTTドコモ以外の携帯キャリアユーザーも含まれ、日本の有権者の6割以上を母集団としてランダムサンプリング(無作為抽出)調査ができるのがdサーベイの特徴だ。SSRCは2021年衆院選、22年参院選、23年統一地方選など各種の選挙調査で蓄積したデータを解析し、地域・性・年代別の人口構成に合わせてメール配信数を設計する「配信設計モデル」を構築。内閣支持率など有権者の政治意識を定期的に探る世論調査の新たなスタンダードになり得ると考え、2022年10月から毎月定例のdサーベイ全国世論調査を実施している。
●窮地の岸田政権「青木の法則」危険域に再突入 50ポイント割れ 2/20
岸田文雄政権が窮地に立たされている。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が17、18両日に実施した合同世論調査で、内閣支持率は22・4%(先月比5・2ポイント減)で、2021年10月の政権発足後最低を更新した。自民党の政党支持率も24・8%に落ち込み、合計は47・2ポイント。内閣支持率と与党第一党支持率の合計が「50」を割り込むと政権運営が程なく行き詰まるという「青木の法則(青木率)」の危険域に再突入した。
「青木の法則」は、「参院のドン」と呼ばれた青木幹雄元官房長官が提唱した、時の内閣の安定度を示す経験則である。
産経・FNNでは、政権発足時は108・5ポイントと高かったが、その後、下落を続け、自民党派閥のパーティー収入不記載事件が発覚した昨年12月に49・8ポイントと初めて50を割り込んだ。先月は54・7ポイントと持ち直したが、再び下振れした。
他のメディアも傾向は同じだ。
毎日新聞(17、18日調査)は内閣支持率14%、自民党支持率16%の計30ポイント。時事通信(9〜12日調査)も内閣支持率16・9%、自民党支持率16・3%の計33・2ポイントと、青木率を大きく割り込んでいる。
岸田首相の信任も厳しい。
産経・FNNで、岸田首相にいつまで続けてほしいか聞いたところ、「すぐに交代してほしい」が27・8%と最多で、「3月末前後の来年度予算が成立するまで」が21・8%と続いた。自民党総裁選がある「9月以降も続けてほしい」は5・8%だった。
政治評論家の有馬晴海氏は「国民は『政治とカネ』の問題で全容解明を求めているが、岸田首相の対応は場当たり的だ。東京地検特捜部の捜査終結前から『政治刷新本部』を立ち上げるなど、『結論ありき』と見なされている。上がり目の材料は乏しく、政権運営はいよいよ厳しくなった」と指摘している。
●鈴木エイト氏「検証しなかった首相に原因」 盛山氏の旧統一教会系問題 2/20
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体から2021年の衆院選で支援を受けたなどとして、立憲民主党が提出した盛山正仁文部科学相に対する不信任決議案が、20日の衆院本会議で否決された。盛山氏の問題をどう見るか。政治家と教団との関係を長年取材してきたジャーナリストの鈴木エイト氏に聞いた。
政府が23年10月に旧統一教会の解散命令を請求して以降、信者の間では岸田文雄首相に反発する声が出ています。12月には、岸田首相が過去に教団関係者と面会した際の写真の存在が明らかになりました。
これまで自民党の政治家との関係についての情報は教団本部が統制してきました。でも今は、岸田首相や周辺議員に関しての情報漏れは黙認している状況です。選挙支援の問題が新たに指摘された盛山氏も岸田派です。
一方で、教団と歴史的に深い関係を築いてきた安倍派の議員に関する新情報は、今のところ出ていません。
今回の盛山氏の問題を受けて、教団の友好団体「世界平和連合」はホームページで声明を公表しました(17日付)。声明では、盛山氏が窮地に陥っているのは岸田首相が教団との関係を断つと宣言したことにある、との認識を示しています。「岸田政権は、自ら作ったルールに縛られて苦しんでいるという点で、まさに『自縄自縛』に陥っていると言ってよいでしょう」という記述もあります。岸田首相に攻撃的な姿勢を示しています。
ただ、声明では岸田首相の「関係断絶」宣言や、解散命令請求の理由となった献金被害などを省みる言葉はなく、自分たちの行為はスルーしています。
岸田首相は今からでも第三者を加えた調査委員会を設け、自民党と教団との半世紀を超える関係を検証すべきです。対象期間は日本で宗教法人として認証され、安倍晋三元首相の祖父である岸信介元首相の自宅隣に教団本部を設けた1964年から、22年7月の安倍氏の銃撃事件に至るまでです。
有力政治家と教団側の双方がどのような目的で関係を築いてきたのかを含め、網羅的に解明すれば、教団側につけ込まれることはなくなります。安倍派出身ではない岸田首相は検証をできる立場だったはずなのに、やらなかったことが今回の事態を招いているとも言えます。
盛山氏は本来、教団の問題を担当する文科相を打診された時に断るべきでした。盛山氏は解散請求時の記者会見で「教団は長期間にわたって継続的に信者が多数の方々に対し、自由な意思決定に制限を加え、正常な判断が妨げられる状態で献金や物品の購入をさせて多額の損害をこうむらせ、生活の平穏を妨げた」などと踏み込んで発言しました。事務方が原稿を作成したのかもしれませんが、私は感激しました。政府はしっかりと解散命令に向けた手続きを進めてほしいと考えています。
●盛山文科相「不信任案」否決 自民党“内部調査”には《嘘ついたもん勝ち》 2/20
2月20日、衆議院本会議で、立憲民主党が提出した盛山正仁文部科学大臣(70)の不信任決議案の採決が行われ、自民党と公明党、日本維新の会などの反対多数で否決された。
盛山大臣は、2021年の衆院選で、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の友好団体から選挙支援を受けたほか、会合に呼ばれ政策協定の文書にサインまでしたという。
2022年に行われた自民党の内部調査で、同年に行われた集会に参加したことのみを報告したが、2021年も会合に出席していたことや、選挙支援や政策協定については報告していなかった。
盛山氏は写真などの明確な証拠が出てくると、「サインしたかもしれない」と言ったり、「記憶がまったくない」と言ったり、答弁を変節させてきた。
これにはXでこんな指摘が。
《盛山正仁 自民党による「アンケート」調査には嘘。バレたら全く記憶にございません》
《朝日新聞にすっぱ抜かれるまで自分は知らぬ存ぜぬとしてきた訳で、正直に接点があるとしてた人よりも罪は重いんじゃないの。隠蔽してきたってことだよね》
2022年8月の内閣改造で、岸田首相は旧統一教会との接点を認めた7閣僚を交代させている。内閣改造後に、教団との密接な関係が明らかになった山際大志郎経済再生担当大臣(当時)は辞職へと追い込まれた。
20日の本会議では不信任案の賛成理由を述べた立憲民主党の菊田真紀子議員(54)は「岸田政権はダブルスタンダードではないか?」と指摘。
同党の堤かなめ議員(63)も「『関係ない』と嘘の解答をして文部科学大臣の職を得た。もし嘘をつかなかったら大臣になれなかった。嘘をついて大臣になったということ」と厳しく批判している。
しかし、“内部調査”で虚偽の報告をされて、本来もっとも怒るべき立場である岸田文雄首相(66)は盛山大臣を全力で擁護している。
派閥パーティー券収入の還流問題の発覚をうけて、自民党は「裏金」について内部調査を行っているが、これについてもこんな声が……。
《どうせ、後から嘘だとわかっても、おとがめなしなんだろ!》
自民党の“内部調査”の本気度が問われている。 
●「岸田首相が平壌を訪問する日も来るだろう」金与正氏の談話の真の狙いを、元北朝鮮外交官に直撃!訪朝実現、そして南北軍事衝突の可能性は?「日本へのお願いの意味」「岸田政権の難局を見抜いている」 2/20
2024年2月15日、北朝鮮の金正恩総書記の妹・与正氏は、国営メディアを通じ談話を発表。「個人的な見解」と前置きしたうえで、「拉致問題を両国関係の展望の障害物として置かなければ、首相が平壌を訪問する日も来るだろう」としました。岸田首相の訪朝、そして日朝首脳会談は実現するのでしょうか。ウェークアップでは、元北朝鮮の外交官で現在は韓国の国会議員である太永浩(テ・ヨンホ)氏を取材。北朝鮮の狙いをひも解くと、岸田政権のピンチを見抜いている可能性も浮上しました。
金与正氏が語った“岸田首相が訪朝の可能性” 談話の真の狙いは…
金与正氏の談話には、どのような狙いがあるのでしょうか。元北朝鮮外交官・太永浩氏は、「個人的な見解ではなく、当然、金正恩総書記に委任されて発表した談話だ」としたうえで…。
元北朝鮮外交官・太永浩氏/現在は韓国の国会議員「北朝鮮の意図としては、日朝首脳会談に関心があるということを日本に向けて繰り返し伝えたがっているように見えます。今回が初めてではありません。2023年も北朝鮮は、『日本と会わない理由はない』と言っていました。ただ、日本が拉致問題の解決を主張し続けると、北朝鮮としては会談に出てくることができません。拉致問題解決の主張のトーンを少し下げて日朝首脳会談をやろうという、日本へのお願いの意味が込められているように見えます」
ただ、北朝鮮も拉致問題を全く議論する気がないわけではないようです。
太永浩氏「北朝鮮として『拉致問題は解決済み』と主張し続けながらも、首脳会談が開かれれば、いろいろな懸案が議論されることになり、拉致問題も自然と議論されることになるというような形を日本が取るべきだと、北朝鮮側は考えています。拉致問題の解決のための首脳会談となると、日本の条件を受け入れてから会談に臨む北朝鮮としては、会談の始まりから全ては拉致問題の解決というひとつの問題に帰結してしまうのです。このような北朝鮮の立場を日本側が考慮してほしい、勘案してほしいという意味が込められていると思います」
日朝首脳会談実現なら、拉致問題の進展は?「岸田首相の“政治的決断”に懸かっている」
もし日朝首脳会談が実現した場合、拉致問題は具体的にどう進展する可能性があるのか。太永浩氏は、北朝鮮が「少し余地を残す形」での外交戦術をとる可能性があると指摘します。
太永浩氏「もし首脳会談で拉致問題が議題に上がるのであれば、北朝鮮の外交戦術としては、『日本側が提起していない2人の日本人が北朝鮮にいるので、日本側が要求すれば日本に帰国させることはできる』ということを示唆するかもしれません。第一段階として、今、北朝鮮が帰国させることができると言っている2人をまず連れて帰る。そして、北朝鮮が『拉致問題は完全に解決済み』という立場から一歩後退し、『今後、北朝鮮がこの問題を再び調べ直してみてからまた会おう』といったように、少し余地を残すような外交戦術を北朝鮮が使うかもしれません」
太永浩氏「その場合には、岸田首相が日本の国民に向けて、『北朝鮮政府の立場の変化こそ岸田首相が成し遂げた大きな成果の一つであり、拉致問題の解決のために引き続き努力する』と表明できます。このように北朝鮮の政治的スタンスを変えられるか。これは岸田首相の政治的決断に懸かっています。今回の金与正談話でも、『岸田首相が大きな政治的決断を下して、この機会をつかむべきだ』と話していますが、北朝鮮が言っている“政治的決断”という表現を我々は非常に注視すべきだと思います」
元外交官指摘、北朝鮮は「岸田首相が政治的ジレンマを抱え、難局に置かれていることを十分に見抜いている」
それでは、日朝首脳会談が実現する可能性はどれくらいなのでしょうか。岸田首相は3月に韓国を訪れ、日韓首脳会談も検討しているとされていますが…。
太永浩氏「現時点においては、すぐに日朝首脳会談が実現できる可能性は高くないと思います。なぜなら、北朝鮮の意図は、はっきりしているからです。北朝鮮は日本を日米韓キャンプデービッドの協力体制から引っ張り出して、先に日本との対話の糸口を掴もうとしています。しかし、岸田首相の立場としては、単純に金正恩総書記に会った、平壌に一回行ってきたということが目的ではなく、拉致問題の解決に向け、わずかな進展でも図りたいのです。このように、岸田首相の立場と北朝鮮の立場は非常に相反するところなので、調整するのは簡単なことではないと思います」
にもかかわらず、北朝鮮が秋波を送る背景には何が―。太永浩氏が指摘したのは、「政治とカネ」の問題などによる支持率低下に苦しむ岸田首相のピンチを、北朝鮮が見抜いている可能性です。
太永浩氏「岸田首相は下がった支持率を早く戻さないといけないという、政治的プレッシャーが大きいため、韓国訪問や平壌訪問のような政治的勝負に出て、支持率を反転させるチャンスにできるかが注目されています。北朝鮮も、岸田首相が政治的ジレンマを抱え、難局に置かれていることを十分に見抜いています」
緊張高まる南北関係…軍事衝突の可能性は?
北朝鮮は2024年1月、「韓国との統一はできない」との認識を示し、祖国平和統一委員会など、南北対話の窓口機関を廃止することに決めています。南北軍事衝突の危機感について尋ねました。
太永浩氏「韓国国民の中にも、2024年内に戦争が起きるのではとの不安が少しあります。しかし現在、北朝鮮が対外的に出しているレトリックと北朝鮮内部の状況を見てみると、レトリックと北朝鮮内部の状況が一致していません。対外的には、巡航ミサイルの開発もして試験発射もしており、また大きな挑発をするかのように騒ぎ立てていますが、北朝鮮内部をみると、北朝鮮で製造される全ての弾薬とミサイルを今ロシアに送り続けています。それでロシアから先端技術をもらい受け、ミサイル開発を進展させています。もし北朝鮮がことし戦争を引き起こすような国ならば、あんなふうに自分が持っている砲弾とミサイルをロシアに大量に輸出せず、備蓄して戦争準備をするでしょう。ですから今北朝鮮は、韓国の総選挙とアメリカ大統領選挙を目前に控え、対外的にはアメリカと韓国を揺さぶり、対内的にはウクライナ侵攻という好材料を利用して、砲弾とミサイルを売って、早くお金をたくさん稼ぐ魂胆だと思います」

 

●「地域のコミュニティ支える商店街を目指す」 地震で被害を受けた商店街 2/21
能登半島地震の影響で今も多くの店が休業を余儀なくされている穴水町の商店街。
かつての街並みを取り戻すため、今、復興に向け動き出しています。
先月7日、地震で大きな被害を受けた穴水町の商店街は、倒壊した家屋が道を塞ぎ、ほとんどの店が休業していました。
穴水商店振興会 吉村扶佐司会長(先月7日)「後継者がいなくて困ったなという話で過ぎてきたわけだが、ピリオドを打つような感じがするな」
1か月以上が経ち…見えてきた明るい兆し
あれから1か月。地震発生当時塞がっていた商店街の前の通りは、がれきが除けられ、車が通れるようになっていました。
被害の跡は今なお色濃く残っていますが、一方で明るい兆しも。
穴水商店振興会 吉村扶佐司会長「みんな少しずつ店を開けるようになって、少しにぎやかになってきたかなと」
商店街の一部の店が再開 「ゆっくりできるスペースを」
今月12日、商店街にある町唯一のパン店BakeryH&Mが、断水の解消を受け、およそ1か月ぶりに店を再開しました。
訪れていた地元の客に話を聞くと…
パンを買いに来た客「地震の後で商店街も結構潰れたところが多いので、こうやってパンとかやってくれてうれしいです」「楽しみに来ました。すごく種類多くて喜んでいます」
BakeryH&M 橋本明美代表「初日は20種類くらいだったけど、ちょっとずつ増やして。おいしいパンを食べていただきたいし、カレーパンとか温かい間に提供することもできるので」
今も厳しい状況に置かれている地域の人たちにと、息抜きができる空間を提供します。
BakeryH&M 橋本明美代表「食べるところも広げたので、ここに座って食べていただいたり。避難所ばかりだと息が詰まるので、町に出てきてちょっとゆっくりできるスペースをもっと広げていきたい」
「店をオープンして元気な姿を見せたい」常連客と再会
商店街にある菓子店、お菓子工房Hanonも、地震で店の中の道具に被害が出ましたが、町を元気づけたいという一心で再開の準備を進めていました。
お菓子工房Hanon滝川若葉さん「店をオープンして元気な姿を見せたいかなと思って」
今月19日、店を開くと最初にやって来たのは常連客の女性。
常連客「またこの光景が見られるとは」
滝川若葉さん「久しぶりですね、2か月ぶり」
常連客「店のことで苦労しているんじゃないかなと思っていたので、(以前と)同じ元気な声を聞けて良かったです」
苦しい状況でも周りを明るく温かくできるように。滝川さんは、復興への思いを込めたクッキーを店頭に並べることにしました。
滝川若葉代表「少しずつだと思います。営業できているのは本当にごくわずかの店ですし、やっぱり能登全体で少しずつ力を合わせて頑張っていけたら良いと思います」
地域のコミュニティを支えていく商店街に 2度目の復興へ
商店街では40ほどある店のうち、およそ10の店が営業を再開。
かつて、2007年の能登半島地震で被害を受けたときも、商店街はおよそ10年後に500人規模のハロウィンパレードを開催するまで立ち直りました。
穴水商店振興会 吉村扶佐司会長「毎年のようにみんな工夫しながら参加してくれとる、またこんな気持ちになってくれればいいな」
一度はピリオドを打たれたと話していた吉村さん。
再びの復興を目指し、賑わいを街に取り戻そうと気持ちを奮い立たせます。
穴水商店振興会 吉村扶佐司会長「商店街は厳しい、店の経営者も高齢化しているが、客も高齢化している。でもやっぱり地域のコミュニティを支えていく商店街を何として目指して続けていきたいと思う」
仮設商店街の建設を 町へ要望
吉村さんは商工会として穴水町に対し町の防災広場に仮設の商店街を作ってほしいと要望を出しました。これを受け町は、経済産業省の支援で建設に向けての道筋ができたとして、仮設商店街をつくることを決めました。
大きな被害を受けた商店街ですが、前を向いて動き出しています。
●政倫審 “出席意向”なぜ6人に? 基準は? 松野氏・高木氏・世耕氏も… 2/21
派閥の政治資金をめぐる問題で21日、自民党は立憲民主党に対して、政治倫理審査会に新たに安倍派の事務総長経験者の松野前官房長官と、高木前国対委員長も出席する意向だと伝えました。
派閥の政治資金をめぐる問題で、野党側が求める政治倫理審査会に出席する意向がある議員は現時点で6人です。
まずは“安倍派5人衆”と呼ばれる安倍派幹部から4人。松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業大臣、高木毅前国対委員長、世耕弘成前参院幹事長で、残る1人、萩生田光一前政調会長は、現時点で“出席の意向”は示していません。
そして、安倍派座長の塩谷立議員と二階派の武田良太事務総長の2人が、出席の意向を示しています。
それぞれの議員が政治資金収支報告書に記載していなかった金額つまり“裏金”の金額は、松野氏が1051万円、西村氏が100万円、高木氏が1019万円、世耕氏が1542万円、萩生田氏が2728万円、塩谷氏が234万円、武田氏が1926万円となっています。
一方、野党側は“裏金”があった参議院議員32名についても、参議院の政治倫理審査会に出席するよう求めています。
出席2人が6人に…党の調整が後手後手か 立憲幹部「党のガバナンス」を批判
藤井貴彦キャスター「ここからは日本テレビ政治部自民党担当キャップの前野全範記者と、3つのポイントについてお伝えします。まず、自民党側は20日は『2人』と回答した出席議員ですが21日に、6人まで増えました。これはなぜでしょうか?」
政治部 自民党担当キャップ・前野全範記者「野党側は先週の時点で51人の出席を求めていましたが、自民党の調整が後手後手に回り、最後に『五月雨式』に決まった形といえます」
前野記者「自民党の調整が本格化したのは今週に入ってからでした。20日になって自民党幹部が塩谷議員と武田議員の2人の出席の意向を確認しました。そして、20日夜から21日朝にかけてさらに衆議院議員3人に参議院議員1人を加えた4人の確認が進み『五月雨式』に、2人が1日で6人に増えた形です。政倫審の現場で交渉を担当しているある立憲民主党の議員は『自民党は週末、何をやっていたんだ』と調整の遅さを批判しています。また、別の立憲幹部は『自民党の司令塔がいない』と、党のガバナンスを批判しています。自民党の中からでさえ『本来なら幹事長が仕切ってやるべき問題だ』と茂木幹事長を中心に人選を進めるべきだとの声もありましたが、本格的な調整は急きょ、党内の聞き取り調査を行っていた森山総務会長を中心に進められたんです」
出席者の基準は? 萩生田氏は出席せず 理由は?
藤井キャスター「政倫審出席の『線引き』は、どういった基準でなされたのか? 6人以上になる可能性もあるのか、この点についてはどうでしょう?」
前野記者「この点も、ある立憲議員は『出席者の基準が曖昧だ』と批判しています。
“安倍派5人衆”と呼ばれる幹部の中では、萩生田前政調会長だけが出席しない方向で調整が進んでいます。ある自民党幹部は萩生田氏については「事務総長経験者ではない」と理由を説明しています。
一方で松野氏、西村氏、高木氏など事務総長経験者が出席する意向を示す中、同じ事務総長経験者でも安倍派の下村博文元文部科学大臣には、出席の意向すら確認していないということなんです。
この点に、ある立憲民主党の幹部は「忖度(そんたく)を感じる」「安倍派幹部5人衆と事務総長経験者は全員出席すべき」だと指摘しています。
開催時期めぐり…与野党が攻防 公開か非公開か?
藤井キャスター「政倫審の開催時期はいつなのか。そして公開される予定なのでしょうか?」
前野記者「開催時期は、まだ見えていません。野党側は来週中の開催を求めていて、政倫審の開催を予算案の採決の条件にするような構えを見せていますが、ある自民党幹部は『予算とリンクさせるのはおかしい』と反発していて、開催時期をめぐる与野党の攻防が続くことになります。もう1つの焦点は政倫審が公開されるのか、です。野党側は当然、公開するよう求めていますが、出席の意向を示している安倍派幹部の1人は周辺に「原則は非公開だ」と公開には後ろ向きな姿勢を見せているんです。裏金問題の実態解明につなげるために、政倫審では出席した議員が十分な説明責任を果たすかどうかという点が重要になると思います」
●安倍派5人衆 西村前経産相と世耕前参院幹事長が「政倫審」に出席表明 2/21
自民党の裏金問題で、政治倫理審査会に出席するかどうかが注目されている安倍派の議員。幹部である「5人衆」のうち、兵庫選出の西村前経済産業大臣と和歌山選出の世耕前参院幹事長が出席する意向を明らかにした。
連日、国会で追及が続く自民党の裏金問題。安倍派など衆議院・参議院あわせて82人を出席させるよう野党が要求しているのが、政治倫理審査会、つまり「政倫審」。
国会議員の法令違反や政治的・道義的な責任の有無を審査し勧告を行う国会の機関で、出席に強制力はない。
誰が出席するのかが注目される中、安倍派幹部である「5人衆」のうち、兵庫選出で総額100万円のキックバックを受け取っていた西村前経産大臣が20日に出席を表明した。
自民党・西村康稔前経済産業相: 説明責任をしっかり果たしていきたいという思いです
Q.説明責任とは、事務総長の経験者として?
自民党・西村康稔前経済産業相: いえ、私自身の政治資金のこと、事務総長として私の知り得ること、知っていること全て正直にお話したい。
さらに21日、和歌山選出でおよそ1500万円のキックバックを受け取っていた世耕前参院幹事長も、出席の意向を明らかにした。
自民党・世耕弘成前参院幹事長: 説明をしたいという気持ちは常に持ち続けておりますので、正式に(通知を)受け取ってから、対応をきっちり明らかにしていきたい。
さらに幹部ではないものの、京都選出の西田昌司議員も出席に前向きな姿勢を表明した。 続々と出席を表明する安倍派議員。
安倍派の幹部以外の議員で記者団に出席の意向を明らかにしていた、議員は自民党が野党側に提示した出席者には含まれていなかった。
●野党、参院政倫審の開催要求 裏金事件巡り 大野泰正氏ら出席求める 2/21
立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党は21日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、参院政治倫理審査会の野村哲郎会長(自民党)に政倫審の開催を申し立てた。参院政倫審は来週にも与野党の幹事懇談会を開き、出席者の調整などを進める。
野党は、自民の聞き取り調査の対象となった清和政策研究会(安倍派)、志帥会(二階派)の参院議員31人と、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で在宅起訴され、自民を離党した大野泰正参院議員の出席を要求した。吉川沙織幹事(立憲)は国会内で記者団に「二度とこんなことは起こさない決意でやっていきたい」と語った。野村氏は記者団に「対象者が多いので、どのぐらいの人数に絞っていくのか、これから検討していかなければならない」と語った。
また自民の世耕弘成前参院幹事長は21日、参院政倫審に出席する意向を表明した。世耕氏はコメントを発表し、「政倫審会長より、私に対する審査の申し立てがあったとの通知があった。今後、政倫審において、審査することが可決された場合には、出席の上、しっかりと説明責任を果たしてまいりたい」とした。
●松野、高木、西村氏ら5人出席へ 衆院政倫審、来週開催で調整 2/21
自民党は21日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)を28日にも開催する調整に入った。また安倍派(清和政策研究会)の事務総長を務めた松野博一前官房長官と高木毅前国対委員長、西村康稔前経済産業相の3人が出席すると立憲民主党に伝えた。自民は既に安倍派座長だった塩谷立元文部科学相と二階派(志帥会)の事務総長の武田良太元総務相が政倫審に出席すると野党に伝えており、出席者は計5人となる。
自民の浜田靖一国対委員長は立憲の安住淳国対委員長と国会内で会談し、松野氏ら3人も政倫審に出席すると伝達。安住氏は自民の聞き取り調査の対象となった衆院議員51人全員に出席の意向を確認するよう改めて求めた。安住氏は他の野党3党の国対委員長と協議した後、記者団に「政倫審に5人が出てくることは是とする。来週開催はマスト。予算案の衆院通過前に話を聞くというのが野党全員の意思だ」と語り、政倫審の公開を求める考えも示した。
松野、高木、西村の3氏はいずれも安倍派の事務総長経験者で、同派幹部だった「5人衆」の一員。西村氏は21日、政倫審への出席意向を森山裕総務会長に伝えたと記者団に明らかにした上で「私自身の政治資金のこと、事務総長として私の知りうることを全て正直にお話ししたい」と語った。
一方、与野党は衆院予算委員会の集中審議を26日に開催することで合意。与党は2024年度予算案採決の前提となる中央公聴会の29日開催を提案した。自民は政倫審開催をてこに、年度内の自然成立が確実な3月2日までの予算案の衆院採決を目指している。
政倫審は開催されれば、09年以来、15年ぶりとなる。前回は、鳩山由紀夫元首相(当時は民主党代表)の献金虚偽記載問題を審査するよう自民が申し立て、開催されたが、鳩山氏が出席しないまま散会した。
●“高市勉強会”に過去最多の19人が参加 派閥解散を受けて増加か 2/21
高市経済安保相が主催する「『日本のチカラ』研究会」の3回目の勉強会が開かれ、過去最多の19人の国会議員が出席した。
21日の勉強会では、アベノミクスを支持した経済学者の本田悦郎氏を招き、日本経済について講演が行われた。高市氏は特に発言しなかったという。
去年2回行われた勉強会に出席した国会議員の数は、それぞれ13人と10人だったが、3回目では19人と、過去最多の出席者数となった。
出席者の一人は、前回の勉強会後に自民党の派閥が相次いで解散したことを踏まえ、「勉強会に参加しやすくなったと思う」と語った。
高市氏は、ポスト岸田の1人として保守層を中心に期待の声が出ていて、自民党総裁選に向けた動向が注目されている。なお、総裁選立候補に必要な推薦人の数は20人。
●自民裏金調査「一番知りたいところが隠蔽」 野党が重ねて追及 2/21
衆院予算委員会は21日、立憲民主党など野党の議員が質問に立ち、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る問題を重ねて追及した。
「一番知りたいところが隠蔽(いんぺい)されている」。立憲の後藤祐一氏は、自民が15日に公表した聞き取り調査結果を取り上げ、具体的な聞き取り内容が匿名となっていることなどを内容が不十分だと批判。自民党安倍派「5人衆」の萩生田光一前政調会長らが記者会見などで明らかにしている内容も盛り込まれていないと問題視した。さらに、政党から政治家個人に支出される「政策活動費」については、「これだけ問題になっているのに一言も触れていない」と指摘した。
答弁に立った林芳正官房長官は「何をどこまで記述するのか、申し上げる立場にない」などと述べ、具体的な回答を避けた。後藤氏は、調査結果で、裏金の不記載を認識していた議員が11人、議員本人が管理していたとした議員が12人いたことを踏まえ、議員本人が政治資金規正法違反に問われる可能性が高いのではないかとも迫ったが、松本剛明総務相は「具体的な事実関係を承知する立場にない」などと述べるにとどめた。
立憲の山岸一生氏は、事件を巡り自民議員を国税当局が税務調査すべきだとの意見が世論調査で多数を占めたと指摘し、「政倫審(政治倫理審査会)で議員それぞれが納税の意思を表明し、表明しなければ調査に入る。これが一番早道だ」と述べた。
日本維新の会の藤田文武幹事長は21日の記者会見で、政倫審を公開するよう求めたうえで「(裏金をめぐり)どのような指示があり、いつ始まったか明らかにするのが大事だ」とした。
●自民、衆院政倫審出席は事務総長で線引き 「本人の申し出」重視 2/21
自民党は、衆院政治倫理審査会の出席対象者について、安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の事務総長経験者という線引きをした。派閥の実務を取り仕切り、政治資金パーティー収入不記載事件に関し責任を有する立場だからだ。また、令和6年度予算案の衆院審議が遅れる中、年度内成立が確定する3月2日までの衆院通過を図るためにも、政権幹部だった松野博一前官房長官らの出席はやむを得ないと判断した。
森山裕総務会長は20日の記者会見で「能登半島地震の災害復旧が含まれる予算が早く成立できるよう、いろんな条件を整えていくのは与党として当然のことだ」と語った。その後、森山氏を含む複数の党幹部が出席対象となった5人への意思確認を行った。
自民はまず20日に「第一弾」(党幹部)として安倍派座長を務めた塩谷立氏と二階派の武田良太事務総長の出席を野党に伝達した。立憲民主党のみならず日本維新の会も不十分だとの認識を表明すると、21日、安倍派幹部3人の出席を追加で伝えた。
野党の要求を一定程度のんだのは予算案審議の遅れに対する危機感があったからだ。所得税の確定申告開始に伴い、派閥から議員に還流された資金の「脱税」批判が再び強まり、内閣支持率が政権発足後最低水準に落ち込んだ。与党が強気の国会運営をできる状況ではなく、政倫審対応にあたった自民幹部の一人は「すべてが悪循環」と嘆く。
自民側がこだわったのは「本人の申し出により開催する」という原則だ。平成21年、衆院政倫審は立憲民主の源流である旧民主党の鳩山由紀夫代表(当時)の偽装献金問題をテーマとする開催を賛成多数で議決したが、鳩山氏は出席を拒否した。こうした経緯を念頭に「党が所属議員に出席を指示するものではない」として、派閥運営への関与度合いが低い幹部以外の議員には出席を促さなかった。
●3月に政変の兆し 岸田内閣の支持率は政権発足以来最低に 2/21
17、18の両日に毎日新聞の世論調査で岸田内閣の支持率は、1月27、28日実施の前回調査(21%)より7ポイント減の14%で岸田政権発足以来最低となった。今までは岸田の失政が批判の的だったが、今年に入って政治とカネ、裏金問題は自民党内に反省の色や自浄能力のなさに国民の怒りが爆発しているといっていい。首相・岸田文雄は国会答弁を見てもわかるようにのんきに構えているが、さすがに焦りを感じているのだろう。開催をぐずっていた衆院政治倫理審査会も開かないわけにはいかなくなり、野党の要求する聞き取り調査を行った51人すべての衆院議員に対し、出席をさせ説明させる方針だ。

政治とカネの質問に明け暮れた予算委員会を緩和させようと、文科相・盛山正仁の旧世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係で時間稼ぎしようとすれば、官房長官・林芳正や岸田自身と教団との関係まで話が広がりかけたが、20日の文科相不信任案否決でいったん落ち着く。この後は予算成立と政倫審のゆくえとなるが、20日現在出席する意向を示しているのは旧安倍派座長・塩谷立と旧二階派事務総長・武田良太の2人だけという。みんなで断れば逃げ切れるとでも思っているのだろうか。一部報道では、元幹事長・二階俊博は「呼べるものなら呼んでみろ」「失礼だ」と不快感を示しているというが、こちらも離党に追い込まれて4月の補選でいろいろ画策しているという情報もある。

19日、立憲民主党の小沢一郎はX(旧ツイッター)で「自民は楽しみ、国民は苦しむ。自民は豊かに、国民は貧しく。自民は脱税、国民は納税。自民に甘く、国民に厳しく。自民は明るく、国民は暗く。そんな自民をまだ笑って支持するなら、国民にはますます厳しく醜い国になる」とし、「普通なら政権交代が当たり前の腐敗政治。国民が怒らなければ、国が壊れてしまう」と憂いた。ここまで追い込まれた自民党が乗り切れるのは、国民が自民党に甘いからだろう。来月に政変があるとすれば、それは国民が主役でなくてはならない。
●「去年のうちに解散しておけば…」 岸田総理を待ち受ける「最悪の末路」 2/21
「有権者からスルーされる」
各社が行う2月の世論調査で、岸田政権の内閣支持率の下降傾向が止まらない。NNNと読売新聞の共同調査では24%と前回と同様に過去最低で、朝日新聞の調査では21%と、2012年の自民党の政権復帰後最低記録を更新した。とりわけ毎日新聞では内閣支持率は14%と、3週間前の前回の調査から7ポイントも減少した。
同調査によれば、各政党支持率は自民党と立憲民主党がともに16%と並んだ上、日本維新の会も13%と前回から4ポイントも増やしている。
こうした状態に「政権交代前夜に似ている」との声が聞こえるが、ある自民党議員によれば、現実はさらに厳しいようだ。
「2009年の時は、演説をしていると睨まれたり、立てかけておいた看板や旗を蹴られるなど、有権者からむき出しの“憎悪”が投げられた。だが今はそれすらもない。まるで何もないかのように、有権者は我々の前を素通りしていく」
実際に自民党は、4月28日に予定される衆議院補選で候補者を擁立すると宣言したものの、すでに細田博之前衆議院議長の死去による島根1区は別として、東京15区と長崎3区では作業は難航。東京都連に至っては、一般公募に切り替えたほどだ。
そこで2024年度予算が年度内に成立後、すぐさま衆議院を解散し、補選に本選を合わせるという説が一部で囁かれている。下手すれば“全敗”となるかもしれない衆議院補選を「政権選択選挙」とすることで乗り切ろうとするものだが、本末転倒もいいところだ。
昨年には「4月解散説」もあったが……
もっとも9月に予定される自民党総裁選を前に衆議院選を行い、勢いが冴えない野党に勝利して政権延命を図ろうとする目論見は、昨年の春ごろに囁かれていたものだった。
だが5月に岸田首相の地元である広島市でG7サミットが開催され、故郷に錦を飾った岸田首相にとって、この頃はまさに“最盛期”といえた。当時のNHKの調査でも、内閣支持率は46%で不支持率は31%と、支持率が不支持率を上回っていた。しかし現在は逆転し、2月の調査では内閣支持率は25%まで下落し、不支持率は58%まで上昇している。
なぜ岸田政権はそれほどまでに国民に嫌われてしまったのか。主な原因は派閥のパーティー券をめぐる“裏金”問題だろう。そもそも有権者は「政治とカネ」問題に敏感だ。しかも今回は、特定の有力議員の名前が出たロッキード事件やリクルート事件などと異なり、ベテラン議員から新人議員まで問題が広がっているため、「自民党の体質の問題」と見なされている。
にもかかわらず、もし岸田首相が派閥のパーティー券問題を「安倍派や二階派の問題」として矮小化して考えているのなら、大きく民意をはきちがえているとしか言えない。
たとえ岸田首相が派閥のパーティー券問題と無関係だとしても、当然のこととして自民党総裁としての責任をとるべきことが求められる。朝日新聞が2月に行った世論調査では、83%が「裏金問題で岸田首相の対応を評価しない」と答え、81%が「“政治とカネ”問題で自民党は体質を変えられない」と回答した。この傾向は当分続き、情勢が反転することは難しいだろう。
バイデンからの厳しい「宿題」
それどころか、「貧すれば鈍する」という通り、得意であるはずの外交に足を引っ張られかねないのだ。岸田首相は4月にバイデン米国大統領から国賓待遇で招待されているが、大統領選で苦戦が伝えられているバイデン大統領からどのような「お土産」をもらってくるかはわからない。
たとえばウクライナへの支援などを盛り込んだ外国援助法案は、アメリカではようやく2月13日に連邦議会上院で可決されたが、下院のジョンソン議長はこれに否定的だと伝わっている。しかもEUはウクライナと加盟交渉を開始したものの、援助疲れは否めない。
そんな中で2月19日に東京でウクライナ復興会議が開かれ、同日に上川陽子外相はウクライナへの渡航制限を緩和した。すでに昨年12月には鈴木俊一財務相が6500億円もの追加支援を表明している。これらが岸田首相からバイデン大統領への「お土産」であったとしても、日本国民にとって怖いのはさらに「宿題」が出されることだ。
NHKの世論調査を見ると、2012年に民主党から政権を奪還して以降の安倍晋三内閣は、常に3割以上の支持率を維持していた。「岩盤支持層」と呼ばれた保守の支持層が支えたゆえに、第2次安倍政権は7年8か月も続くことができたのだ。
しかし岸田政権になって、その支持層はなくなった。理由はアメリカの意向に忖度して、LGBT理解増進法など保守層が嫌がる法律を通したからだと言われているが、それだけではないだろう。
「解散しておけばよかった」
今になって「昨年に衆議院を解散しておけば良かった」との声が自民党内から聞こえてくる。もっとも岸田首相は広島サミット後に“伝家の宝刀”を抜こうとしたが、まだ衆議院の任期の折り返しを迎えていないという理由で、麻生太郎副総裁らに阻まれた。
それでも押し切るのがリーダーというものだが、岸田首相がどうも決断するタイミングが悪い。そこが2017年9月に衆議院の解散を決行した故・安倍晋三元首相とは違うところだ。当時の自民党は7月の都議選で大敗し、前年に東京都知事に就任したばかりの小池百合子知事が“希望の党ブーム”に乗じて国政に挑もうとしていたが、自民党は改選前の284議席をなんとか維持した。
いま岸田首相が解散を打てば、自民党は60議席も減らすと言われている。多数の同志が無残に散ると理解したうえで、あえてチャレンジする必要はあるのか。4月28日投開票説は、岸田首相と同じくらい政治的センスがないとしか言いようがない。
●国民をキレさせる天才…岸田首相「納税呼びかけ」で支持率過去最低16.9% 2/21
2025年に予定されている大阪・関西万博開催がピンチを迎えている。想定以上の費用膨張に加え、元日に発生した能登半島地震の復旧・復興に支障が生じるとの見方からだ。
そんな中、時事通信が実施した2月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の16.9%で、発足以来の過去最低を更新したという。また自民党の政治資金問題を棚にあげ「(所得税の確定申告について}法令にのっとり適切に申告、納税を行うようお願いしたい」と国民に呼びかけ、国民を今一度激怒させた。
そこに、高市経済安全保障担当相が岸田首相に「万博延期」を進言し、岸田政権を内から揺さぶりかけてきた。経済アナリストの佐藤健太氏は「開催費用が膨らむことに加え、今後の政治日程を見ても『万博延期論』が再燃する可能性は高い」と見る。
高市経済安全保障担当相が岸田総理を急襲「被災地復興と万博開催の両立は難しい」
自民党派閥の裏金事件への対応で頭を抱える岸田首相を急襲したのは、高市早苗経済安全保障担当相だった。高市氏は1月16日に岸田氏と面会し、能登半島地震の復興を優先すべきとして大阪・関西万博の開催延期を進言したのだ。高市氏は1月30日の記者会見で真意をこのように説明している。
「(被災地は)資材不足や人手不足もあって大変な状況なので、万博は延期した方がいいという声をいただいた。能登半島の復旧・復興に支障が生じることがないように、という思いがあったので1月16日に首相にお伝えした」
高市氏は、岸田首相から1月26日に電話があって「被災地復旧には支障が出ないように配慮する」と伝えられたといい、最終的には「首相の決定に従う」との意向を返したとしている。所管外とはいえ、閣僚が首相に“進言”をすることはあるだろう。
2月3日の「X」(旧ツイッター)への投稿では、閣僚公務ではなく議員政務で首相と面会したといい「被災地復旧と来年4月の万博開催の両立には強い不安を抱いている事を話しました。仮にドバイ万博の様に開催を1年延期するような事になると、総理にしか判断できないレベルの大きな話ですから、『総理の御決定には、従います』とも申し上げました」と説明している。
岸田首相「万博の延期・中止の必要はない」
岸田政権の公式見解は、あくまでも「万博の延期・中止の必要は認識していない」というものだ。高市氏が1月27日の講演で“首相への進言”を突如公表したことには、野党から内閣不一致との批判がわきあがる。ただ、首相の女房役である林芳正官房長官は記者会見で「高市氏の発言は、復興に支障がないようにしてほしいとの趣旨だ。閣内不一致とは認識していない」と説明。自見英子万博相も「大阪・関西万博を中止・縮小・延期する必要があるとは現時点では認識していない」と強調している。
首相官邸サイドが静観しているのは、高市氏には首相方針に異を唱えた“前科”があるからだろう。2022年12月に岸田首相が防衛費大幅増に伴う増税プランを決める際、高市氏は「賃上げがされているか来年の春闘を見てからにすべきだ」と首相に異論を唱えたことがある。高市氏は閣僚懇談会の席で岸田氏に直接伝えたといい、記者会見では「間違ったことを申し上げているという考え方はございません。罷免をされるということであれば、それはそれで仕方ない」とまで啖呵を切った。
高市氏の異論に首相官邸サイドが静観できるのは理解できる
岸田氏が勝利した2021年9月の自民党総裁選で「総理・総裁のイス」を争った高市氏は、ハト派と称される岸田氏とは対照的な保守政治家の筆頭格だ。路線の違いから閣僚辞任カードで方針転換を迫るとの見方もあったが、最終的に高市氏は首相方針に従う考えを示し、「みんなが納得する着地点が見いだされた」と矛をおさめた。政府関係者の1人は「高市氏に同調する議員が思ったよりも少なく、まだ“勝負時”ではないと見て振り上げた拳をおろしたのではないか」と当時を振り返る。
自分の仕事に倒れるほど全力投球し、思ったことは陰ではなく表で言う―。そのような高市氏のキャラクターや“前科”を踏まえれば、万博開催をめぐる「異論」にも官邸サイドが静観するのも理解できる。今回の“進言”についても、高市氏は1月30日の会見で「首相を信頼してお任せしたい」と発言を後退させており、首相サイドは現時点でこれ以上の炎上はないと安心しているように映る。
岸田首相再選は危うく、次は女性首相誕生か。上川、小渕、高市らが候補
ただ、今回の高市氏の発言は防衛増税の時とは異なる重みを持つことは間違いない。同じ人物から発せられた異論とはいえ、当時とは政治情勢が全く違うからだ。あえて触れるまでもなく、岸田首相は今年夏の自民党総裁選での再選を目指している。だが、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題で自民党内のパワーバランスは大きく崩れ、もはや再選を危ぶむ声が支配的だ。党内の期待は「女性首相」の誕生に傾きつつある。
首相が率いた「宏池会」(岸田派)をはじめ、最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)や「志帥会」(二階派)など6つの派閥のうち4つが解散することになり、今年の総裁選は派閥に属さない無派閥議員の支持が勝敗を左右することになる。
次の自民党総裁候補としては、女性で上川陽子外相や小渕優子選対委員長らの名があがるが、その筆頭格は高市氏だろう。岸田氏に迫った前回総裁選で高市氏を全力サポートした安倍晋三元首相は不在となったものの、「安倍路線」を継承する保守派の代表として党内の人気は根強い。1月のFNN世論調査でも「次の首相」候補として岸田氏にダブルスコアをつけている。
無派閥の高市氏は党内基盤が弱い点がネックだったが、自民党の保守系議員が集まる「保守団結の会」では顧問につき、政治信条が近い議員からは「ポスト岸田」を期待する声が強い。派閥崩壊によって総裁選出馬に必要な推薦人20人を確保するのは容易となり、前回総裁選に続き岸田氏の最大の脅威となるのは間違いなく高市氏になるはずだ。
もし高市氏が万博延期を争点に自民党総裁選に出馬したら
そこで予想されるのは、高市氏が今夏の自民党総裁選に出馬した場合、大阪・関西万博の開催が争点に浮上すること。現時点では岸田政権の公式見解通り万博開催への動きが進んでいるが、総裁選に出馬する高市氏が「万博延期」をぶち上げることがあれば事態は大きく異なってくる。
万博開催を推進してきた日本維新の会の馬場伸幸代表は記者会見で「高市大臣が大阪・関西万博の延期などの検討を求めたのは完全に閣内不一致で、国家的なイベントで閣僚の足並みがそろわないのは憂慮すべき状況だ」と指摘。延期を主張し続けるならば閣僚を辞任すべきと牽制するが、高市氏が出馬準備のため総裁選前の内閣改造でポストを離れることがあれば「閣内不一致」もなくなる。
政府は万博に直接関係する国費負担が1649億円になると発表しているが、関連費用は当初よりも膨張を続けており、費用面から「中止」を求める声も一部であがっている。こうした声を背景に、高市氏が総裁選で「万博延期」を唱えれば自民党所属議員や党員の票の流れは激変するだろう。現職首相である岸田氏の「予定通り開催」とは対照的に映り、女性初の首相誕生を一気にたぐり寄せる可能性がある。
高市氏はドバイ万博延期の事例を示した
高市氏が万博延期の「例」として示したドバイ万博は、2020年10月20日から2021年4月10日に予定されていた。だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ、開催を約1年間延期した。それが決まったのはUAE(アラブ首長国連邦)が会期変更を提案し、2020年4月にBIE(博覧会国際事務局)加盟国が投票、同意したことによる。つまり、開催の半年ほど前だ。
大阪・関西万博は2025年4月13日から10月13日に開催される予定だが、高市氏は今夏の自民党総裁選で「万博延期」を掲げることはあるのか。誰が出馬するとしても、総裁選での最大の争点には「総理にしか判断できないレベルの大きな話」が浮上することになりそうだ。
●岸田首相「6月解散」も説得力あり 実は株価の面ではまずまずの成績 2/21
歴代の首相は、株式相場を非常に気にしていたと言われています。安倍晋三元首相や菅義偉前首相も、官邸の執務室に設置された株価ボードを横目に仕事をしていたそうです。「バイ・マイ・アベノミクス」といったフレーズで、国内外の投資家にアピールすることも欠かしませんでした。
では、岸田文雄首相はどうなのでしょう?
歴代首相の在任期間と日経平均株価の騰落率との関係を検証した三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストの調査によれば、在任期間歴代1位の第二次安倍政権が騰落率129・5%、2位の佐藤栄作政権207・3%など、在任期間が長いほど日経平均も上昇しやすいことを示しています。
岸田政権が発足した2021年10月4日の日経平均株価の終値は2万8444円89銭、この原稿の締め切りの先週金曜(2月16日)の終値は3万8487円24銭でした。史上最高値更新も間近というなか、騰落率は約35%をマークしています。
解散表明した岸田派(宏池会)のルーツ、所得倍増計画の池田勇人政権は前述の調査でみると騰落率7・8%ですから、実は岸田政権は株価の面ではまずまずの成績を残しています。
それとは裏腹に、支持率はここ半年、危険水域と言われています。先週発表された時事通信の世論調査では、内閣支持率は16・9%でした。どの世論調査を見ても軒並み30%を割り込む低支持率にもかかわらず、周辺から聞こえてくる首相の様子が意気軒高なのは、支持率よりも株価を見ているからかもしれません。
確かに、官邸の高官に聞くと、経済の先行きには自信を持っているのが分かります。今春の賃上げや、4月の金融政策決定会合で断行するのではないかといわれる「マイナス金利の解除」で、ある程度円安が和らげば、実質賃金がプラスになるというシナリオを考えているようです。法案が成立すれば、6月に一人4万円の定額減税もあります。
一方で、先週木曜(同15日)に発表された昨年10〜12月期のGDP(国内総生産)の一次速報値は市場の予想を下回り、季節調整済みの実質で0・1%減。これが一年間続くと仮定した年率換算で0・4%減でした。
GDPデフレーターも期を追うごとに落ちていき、直近の数字は0・4%減。1月の企業物価指数も2カ月連続のマイナスでしたから、政権幹部のもくろみ通りの成長を見せることができるか、それともデフレに舞い戻ってしまうのか、ここが正念場です。
ただし、一次速報の数字は、企業の設備投資や民間在庫の数値が需要側からの推計に頼っていて、二次速報で供給側の推計値がそろうと、しばしば改訂されて数字がブレます。来月11日の二次速報も注目しなくてはいけません。その数字によっては、永田町でささやかれる「6月解散」も説得力が出てきます…。
●2024年「春闘」は不発に終わる…賃上げ率が前年を下回る 2/21
残念ながら、2024年の春闘は期待外れに終わりそうだ。東京商工リサーチの企業調査によると、賃上げ率は、昨年を下回りそうだという。
24年度に賃上げを予定している企業は、85.6%と、23年度の賃上げ実施率84.8%を0.8ポイント上回ったが、賃上げ率は「3%」と、23年度の「3.5%」を下回った。連合が24年春闘の方針として掲げる「5%以上」の賃上げも、賃上げ実施企業のうち達成見込みは25.9%と、前年度から10ポイント以上の大幅ダウンだった。
岸田政権は「前年を上回る賃上げ」を要請しているが、実現はほぼ不可能な状況だ。東京商工リサーチは「賃上げを持続できている企業は少数にとどまることが浮き彫りとなっている」「コストアップが続くなか、前年度以上の賃上げが現実的でない企業も多いとみられる」と解説している。
しかし、いまでも「実質賃金」は21カ月連続マイナスなのに、春闘が不発に終わったら、庶民の暮らしは苦しくなる一方だ。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「賃上げ率3%では、物価高に追いつかないのではないか。23年春闘の賃上げ率は3.5%でしたが、それでも物価高に追いつかず、23年の『実質賃金』は前年比2.5%減だった。実質賃金のマイナスがつづく恐れがあります」
日本銀行が1月に発表した「生活意識に関するアンケート」によると、庶民の肌感覚では、モノの値段は1年前に比べて10%高くなっているという。日常的に買うモノは、1割程度アップしているのだろう。賃金も10%近くアップしないと、暮らしはラクにならないということだ。
岸田政権は税優遇を“アメ玉”にして企業に賃金アップを迫っているが、このやり方は、格差を拡大させるだけだという。
「政府は、7%以上の賃上げを実施した企業には、法人税から賃金増加額の35%を控除(中小企業は45%)できるようにするとしています。しかし、この政策は企業間の格差と、個人間の格差を広げるだけです。内部留保をため込んでいる大企業は、税制で優遇されるならと、積極的に賃上げ7%を実施するでしょう。それに賃上げ7%が世間に広まれば、会社の評価が上がり、人材が集まるので一石二鳥になる。しかし、赤字決算がほとんどの中小企業には、もともと減税の恩恵がないうえ、7%も賃上げする原資がない。結果的に良い人材は大企業に集中することになってしまいます」(斎藤満氏)
いつになったら、庶民が豊かになる「新しい資本主義」はスタートするのか。
●元徴用工訴訟で初の実害=@韓国で異常な手続きが強行 舐められた岸田首相の遺憾砲、効果あるのか? 報復カードを切れ 2/21
韓国で異常な手続きが強行された。いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐり、日立造船の供託金6000万ウォン(約670万円)が奪われるという日本企業として初の「実害」が出たのだ。日韓間の請求権問題は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」している。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は昨年3月、政府傘下の財団に賠償金支払いを肩代わりさせる策を発表し、日韓両政府は関係正常化で合意したはずだった。岸田文雄政権はその後、「通貨交換(スワップ)協定」を再開させるなど韓国に配慮したが、まさに恩を仇(あだ)で返された。国民の生命と財産を守ることは政府の最も重要な責務である。安倍晋三政権では具体的な「報復カード」を準備していたが、舐められた岸田政権は対抗措置を発動するのか。
「日韓請求権協定に明らかに反する判決に基づき、日本企業に不当な不利益を負わせるもので極めて遺憾だ」
林芳正官房長官は20日の記者会見で、日立造船が韓国裁判所に預けた供託金が原告側に渡ったことについてこう述べ、韓国側に厳重に抗議することも明らかにした。
岸田政権の十八番「遺憾砲」だが、本当に効果があるのか。
日韓の請求権問題は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」している。日本政府は当時、無償3億ドル、有償2億ドルの計5億ドルを韓国政府に提供した。元徴用工に資金が渡らなかったのは、韓国政府の問題である。
それにもかかわらず、韓国側は元徴用工問題を蒸し返し、「反日政策」を推し進めた文在寅(ムン・ジェイン)政権(2017〜22年)下では、日本企業に賠償を命じる「異常判決」が相次いでいた。
日立造船にとって、供託金は「自衛」のためだった。2審で敗訴した後の19年1月、韓国国内にある同社の資産が、強制的に差し押さえられるのを防ぐ目的で供託を行っていた。
22年に誕生した尹政権は日本との関係改善を掲げ、昨年3月6日、日本企業の賠償を韓国政府傘下の財団が肩代わりすることなどを表明した。同月16日に東京で開かれた日韓首脳会談では、11年以降途絶えていた首脳同士の相互往来「シャトル外交」の再開で一致するなど、関係正常化に踏み出した。
岸田政権はその後、韓国に対する優遇策≠次々に打ち出した。
昨年7月、輸出管理をめぐって安全保障上の懸念があるとして、簡略な輸出手続きを認める優遇対象国「グループA(旧ホワイト国)」から外していた韓国を再指定する改正政令を施行した。
同年12月には、日本政府と韓国銀行(中央銀行)が、どちらかの国が金融危機に見舞われた場合、その国の通貨と引き換えに、もう一方が保有するドルを融通する「スワップ協定」を結んだことを発表した。
ところがこの間も、日本企業に対する「異常判決」は止まらなかった。
韓国最高裁は昨年12月の2件の訴訟で、三菱重工と日本製鉄(旧新日鉄住金)、日立造船の上告を棄却し、賠償命令が確定した。最高裁は両訴訟で、徴用工問題が請求権協定の対象に含まれないとの判断を改めて示し、韓国司法の異常さが明らかになった。
尹大統領の姿勢にも怪しさがある。
今月7日に放送された公営放送KBSテレビのインタビューで、元徴用工訴訟問題の解決策実行に向けて、尹大統領は「韓日関係の改善を願う両国の企業人の協力」を呼びかけたのだ。日本企業に負担を押しつけようとする狙いがうかがえる。
今回の韓国側の措置を識者はどうみるか。
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「他の日本企業にも波及する『蟻の一穴』になりかねず、元徴用工訴訟問題で大変な転機になる恐れがある。資産凍結よりもひどい今回の措置は、一種の『戦争状態』にあるといってもいい。韓国側の違法行為に対して、岸田政権は断固として抗議すべきだ」と語る。
韓国の文政権下で「異常判決」が続いていた19年3月、安倍政権の麻生太郎副総理兼財務相は衆院財務金融委員会で、日本維新の会の議員から「(日本企業に実害が生じた場合)具体的に対抗措置を前に進めるべきではないか?」と質問され、次のように答えた。
「関税(引き上げ)に限らず、送金の停止、ビザの発給停止とか、対抗措置にはいろんな方法がある」
当時の安倍政権は、国民や日本企業の財産を守るため、韓国への「対抗措置」として100前後の選択肢をリストアップしていたとされる。
舐められた岸田政権は今後、どのような対抗措置を取るべきか。
松木氏は「目に見える形での報復措置≠ェ必要だ。韓国経済は日本との通貨スワップがないとやっていけない体質になっている。日本への敵対姿勢を示した以上、韓国とのスワップを見直すべきだ。ホワイト国の見直しにも言及して、日本は『やるときはやる』という覚悟と姿勢を見せないといけない」と語った。
●岸田首相、福≠ノ舌鼓 下関フグ「噛めば噛むほどいい」 2/21
岸田文雄首相は21日、官邸で「下関ふく連盟」の関係者から表敬を受け、山口県萩市の船が獲った天然トラフグを贈呈された。首相は大皿に盛りつけられた試食用の刺し身を味わい、「噛めば噛むほど、いいですね」と笑顔を見せた。
連盟の郷田祐一郎理事長が「(フグは)日本酒に合う」と紹介すると、首相は「最高ですね」と応じた。
表敬には、衆院山口3区選出の林芳正官房長官も飛び入り参加した。
岸田政権の支持率は低迷が続いているが、下関などでフグは「福」と同じ読みの「ふく」と呼ばれる。 

 

●倒壊した神社で見つかった札 地元の言い伝えを証明 石川 七尾 2/22
能登半島地震で倒壊した石川県七尾市の神社で、屋根裏から木製の札が見つかり、市などによりますと、神社の本殿が、地元の言い伝えどおり中能登町の国の史跡「石動山」から移築されたことを示す記載が確認されたということです。
七尾市三島町にある金刀比羅神社の本殿は、かつて山岳信仰の霊場だった中能登町の国の史跡「石動山」から移築されたと、地元で伝えられてきました。
地震で神社の拝殿が倒壊し、本殿も傾いたり土台がずれたりする被害を受け解体作業が進められています。
これに合わせて七尾市などが建物内部を調査したところ、屋根裏から明治9年に書かれた木製の棟札が見つかり、棟札には「本石動山※つるぎ權現社也」などと書かれていました。
本殿が言い伝えどおり石動山から移築されたことを示しているということです。
七尾市によりますと、本殿は解体後、中能登町で保管され、今後の活用方法が検討されます。
七尾市教育委員会の北林雅康学芸員は「文政10年、1827年に石動山に建てられたものが本殿として再建されたことが証明されました。歴史的に重要な発見だと思います」と話していました。
●能登半島地震対応の石川県職員、4分の1が「過労死ライン」超え 2/22
石川県職員約3千人の約4分の1に相当する730人が、能登半島地震の発災対応で、1月の労働時間が過労死ラインの時間外勤務(残業)100時間を超えていた。22日の災害対策本部員会議で県が明らかにした。
県総務部によると、100時間を超える職員は通常でも月30人前後いるが、その約24倍も増え、「まったくの桁違いの状況」(同部)だという。
24時間態勢で対応に当たる危機管理監室や、現場を見て回る土木部の職員が目立つという。他にも被災市町に応援に入っている職員もおり、水の確保に苦労する中、寝袋で仮眠する過酷な環境も少なくなかった。 ・・・
●不適切投稿、1821件を削除 能登半島地震でLINEヤフー 2/22
LINEヤフーは22日、能登半島地震に関連した不適切な投稿を1月末までに1821件削除したと明らかにした。ヤフーニュースのコメント欄や、LINEのオープンチャットなどへの投稿のうち、地震は人工的に起こされたとする偽情報や被災者への配慮に欠ける臆測などを削除した。
LINEヤフーの担当者が、インターネットで広まる偽情報への対処を検討する総務省の有識者会合で説明した。偽情報かどうかを素早く判断するのが難しいケースもあると指摘し「具体的な情報交換の枠組みがあればいい」と訴えた。
能登半島地震では、X(旧ツイッター)などで偽情報が拡散し、政府が利用者に注意を求める事態になった。
●林官房長官「説明責任は時効にとらわれない」“裏金”問題 2/22
林官房長官は、自民党の政治資金問題に関わった議員の説明責任について「刑事上の時効に捉われない」と述べ、法的責任を問われない5年以上前の事案でも責任があるとの認識を示しました。
立憲民主党 神津議員 「安倍派の塩谷氏は、議員側への還流を二十数年間、慣行的に行ってきたのは事実だということを発言されておりました。この二十数年間について法的責任を含む政治的、道義的責任を取ってもらう必要があると私は思っておりますが、官房長官いかがでしょうか」
林官房長官 「一般的に申し上げますと、お尋ねがあったような説明責任、また政治的責任、道義的責任は司法上、刑事上の時効に捉われるものではないと考えられる」
政治資金規正法では、収支報告書の不記載の時効は「5年」と定められていますが、林官房長官はそれ以前であっても説明責任や政治責任があるとの考えを示しました。
岸田総理大臣も説明責任について、「党の聞き取り調査や政治資金収支報告書の修正をもって責任が果たされるものではない」と述べています。
●河野太郎デジタル相 収支報告書のデジタル化に意欲 不記載議員の処分「けじめが必要だ」 2/22
河野太郎デジタル相は22日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けた政治資金の透明性に関し、「政治資金収支報告書のデジタル化に取り組みたいと思っている」と述べた。
河野氏は「総務省の解釈では、政治資金規正法で、政府に届け出をされた以上のデジタル化をする権限がない」と課題を指摘。その上で、「各党各会派で議論していただき、法改正されれば、デジタル庁としても必要な対応をとっていく」と述べた。
収支報告書に不記載があった議員の処分に関しては「何らかのけじめが必要だ」と重ねて述べた。処分の時期や内容については「政府で議論するものではない」として言及しなかった。実態解明に向けた国会の政治倫理審査会の開催に関しては「国会で決めることだ」と述べるにとどめた。
●佐藤啓参院議員が収支報告書訂正 306万円 派閥パーティー巡り 2/22
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、同党の佐藤啓参院議員(奈良選挙区)は、安倍派(清和政策研究会)からキックバックを受け、政治資金収支報告書に未記載だった令和4年までの5年間の計306万円について、19日付で総務省に収支報告書の修正を行った。
佐藤氏の事務所によると、寄付金は事務所備品購入や会議費など適法な政治活動に支出していたが、それらも収支報告書に未記載で、領収書は全てあるという。派閥側から佐藤氏の資金管理団体「啓友会」の会計責任者に収入・支出とも記載しないよう指示があったことから、記載できない状態が継続してきたとしている。
佐藤氏はX(旧ツイッター)上で「訂正する事態を招いてしまったことはじくじたる思い。今後は政治への信頼を取り戻すために原点に立ち返り活動してまいります」とコメントを掲載した。佐藤氏の事務所は産経新聞の取材に「Xに載せている内容が全て」とした上で、「本人が会見で説明する予定はない」としている。
佐藤氏は平成28年に初当選し、現在2期目。
●公明・山口代表「政倫審で説明責任を果たすべきだ」 2/22
自民党の派閥の裏金問題を巡り、衆議院で政治倫理審査会の開催が固まったことを受け、公明党の山口代表は「政治倫理審査会で、説明責任を尽くす場として機会を活かしていくべきだ」と強調した。
山口代表は22日の党の会合で「何のためにあるのかということを踏まえて説明責任を尽くす場として自発的に発言の機会を求めるところまできた、国民の関心に応えられるように政治倫理審査会の機会を活かしていくべきだ」と述べ自民党が説明責任を果たすべきだとの考えを強調した。
また、「最も肝心なことは再発防止する仕組みをどうするか、特に政治資金規正法の改正をどう進めるか」と述べた上で「自民党としてしっかり具体策を作って、合意形成の土俵に自ら乗っていく姿勢を強く求めたい」と強調した。
政治資金規正法の改正を巡っては、政治資金について不正な会計処理があった場合、会計責任者に加え、議員にも責任がおよぶ「連座制」の導入や、政策活動費の使途報告の義務付けなど、与野党が案を表明しているが、自民党からは、改正案が提示されていない。
●泉房穂氏 裏金議員の課税問題に「不記載自体で法律違反…せめて納税責任くらいはという国民の気持ち」 2/22
兵庫県明石市の前市長・泉房穂氏(60)が22日、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月〜金曜前8・00)に出演。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、脱税の可能性が指摘されていることに言及した。
自民党による党所属国会議員らを対象としたアンケート調査では、2018〜2022年にパーティー券収入のキックバック(還流)や中抜きに関する政治資金収支報告書への不記載や誤記載があったのは85人で、総額は計5億7949万円に上った。
2023年分の所得税の確定申告受け付けは16日にスタート。裏金事件の議員側へのキックバック分が課税対象とならないことに、税務署を訪れた納税者らを中心に国民から批判の声が噴出し、「♯確定申告ボイコット」が一時トレンド入りするなどしている。
国税当局は毎年、国会議員らに政治資金の確定申告について説明する“納税手引書”ともいえる文書を配布。今年1月に配布された「令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告について―政治資金に係る『雑所得』の計算等の概要―」には、「政党から受けた政治活動費や、個人、後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品等による寄附などは『雑所得』の収入金額になりますので、所得金額の計算をする必要があります」、「政治活動に係る『雑所得』」の金額は、年間の『政治資金収入』から「政治活動のために支出した費用」を控除した差額であり、課税対象となります」と記載。使われなかった裏金は「政治資金」ではなく「雑所得」にあたり、確定申告する必要があるとしている。
番組では、確定申告の窓口業務の税務署職員の「“国会議員が納めていないのに、なんで自分たちが納めないといけないのか”と言われる」「(国会議員は)納税者のお手本になるような行動をとってほしい」という声を伝え、前日21日の21日の衆院予算委員会で鈴木俊一財務相が「国民が不安や怒りを持っていると感じている」と答弁し「税務署で担当職員が大変苦労しているのは申し訳ない」とも述べている様子を放送した。
この問題について、テレビ朝日・政治部デスクの平元真太郎氏が「政治資金としてちゃんと処理してれば。収支報告書をきちんと訂正をすれば、非課税なんだろうということで、(自民党の)森山総務会長も所得税の関係は発生しないと言っていますし、課税・納税のことを協議していくのかということに岸田総理も否定している。課税になるという見方は小さいというのが現状」と解説すると、泉氏は「キックバックの不記載で実は法律違反。もう法律違反なんですよ。法律違反しているのに何の責任も取らないでいいのかと思う時に、刑事責任、処罰を免れても、せめて納税責任くらいはという気持ちを持ってもらいたいと国民が思うのはもっともなので、そこは国会議員だけが国民よりも特別扱いを甘く受けるのではなく、一緒か、より厳しいのが国会議員であるべきだという国民の気持ちはそうだと思いますけどねえ」と自身の見解を述べた。
●“小倉節”健在 「5時に夢中!」で自民裏金問題に「図々しいにもほどがある」 2/22
昨年、腎盂(じんう)がんと診断され、左の腎臓の全摘手術を受けたキャスターの小倉智昭氏(76)が22日、TOKYO MX「5時に夢中!」(月〜金曜後5・00)に生出演。同番組には2年半ぶりの出演となり、政治問題に対し“小倉節”を披露した。
番組では自民党派閥の裏金問題についての話題に。これに小倉氏は「腹立ちますよね。今、我々は確定申告の時期でさ。どうやって節税しようかって考えるときにキックバックがどうだとか何十億の金の使い道が分かりません、ふざけるなって話でしょ」と怒り心頭。続けて「政治倫理審査会に出てきたところで大したこと言いませんよ。ほぼ覚えてませんとかね」と政治への不信感をあらわにした。
さらに「本当に図々しいにもほどがあると思う。辞めてもらうしかしょうがないんじゃない?」と“小倉節”全開の様子を見せた。
小倉氏は2016年に膀胱(ぼうこう)がんを公表し、18年に膀胱を全摘。21年には肺転移が見つかっていた。昨年、腎盂(じんう)がんと診断され、左の腎臓の全摘手術を受けた。今後は、がんと闘う免疫の力を取り戻す抗がん剤「キイトルーダ」を投与する。肺がん治療の際に使い、画像検査で肺の影がほとんど消えるなど、劇的な効果があったことから再投与を決めた。
●自民党はカルト集団と化し裏金問題では犯罪集団化… 2/22
2月17日のTBS系「報道特集」(歴代文科大臣と旧統一教会)はなかなか踏み込んだ内容であった。
今国会で問題になっている盛山文科大臣と旧統一教会の関係。のらりくらりとかわす大臣。衆院選に際して教会側の決起集会に参加し、教会の推奨する政策を推進するという推薦確認書にサインした写真を見せられ渋々認めた。
幹部とハグしたと言われ、「私の年代ではハグなどという習慣はない」と否定したが、番組では現役幹部がモザイクで登場。実際の演説場所に行き、「ここで向こうからハグしてきた」と証言した。
一説では解散命令を請求するという岸田政権に激オコの教会側が揺さぶりをかけるため一連の写真をリークしたと言う人もいる。たしかに現役幹部が取材に応じるのはそうでもなければないだろう。
第2次安倍政権以来9人の文科大臣のうち実に7人が教会と関係がある。それはなぜか。
番組は教会がかなり昔から教育行政に影響を与えてきたことを指摘。80年代に出来た関連団体、大学教授ら2000人以上を擁する「世界平和教授アカデミー」。その初代事務局長に番組は取材。当時の教科書が「原発の危険性」「大衆運動の肯定」など記述し、偏向していると主張(いや、至極まっとうだと思うのですが)、新しい教科書を作るべきだと日教組と対抗した。実際教科書は徐々に保守的になっていった。
さらに元渉外担当へのインタビューでは、教会の計画は2020年には統一教会が日本の国教になり、その教義に従って政府も機能するとうたっていると言う。
しかしその保守層を取り込む考えと、天皇制を否定する教会の考えは矛盾するのではないかとの番組の問いに、「最終的には天皇も信者になってもらって」と答えたのには驚いた。
陰謀論と一蹴は出来ない。すでに国会議員やその秘書には教会員が多数存在するという。すでに自民党はかなりむしばま れ、あからさまに教会側の教義と同じ法案が通りつつある。
盛山氏は叩かれても、もっと疑惑のある萩生田氏や山谷えり子氏は安泰なのもおかしい。
今や自民党はカルト集団と化し裏金問題では犯罪集団と化している。いや、戦後から長きにわたり、ずっとそうだったのかもしれない。
このままでは日本そのものがカルト国家になってしまう。内閣支持率が14%でも選挙で自民党が勝つなら、それはもうカルト国家以外の何物でもないだろう。でもそれは選挙に行かないあなた方のせいでもあるのだ。
●岸田首相「子育て増税」で年間1万円超の負担増!“森林税”“防衛増税”も 2/22
「公的保険の加入者1人あたりの拠出額は、粗い試算で月平均500円弱になる。ただし、賃上げと歳出改革によって負担軽減を行うため、実質的な負担は生じない」
少子化対策の財源となる「子ども・子育て支援金」(以下、支援金)の負担額について、2月6日の衆議院予算委員会でそう述べた岸田文雄首相(66)。支援金とは、岸田首相が昨年ぶち上げた“異次元の少子化対策”に必要な財源のことだ。
年間3.6兆円のうち、約1兆円を個人や企業が支払う公的医療保険料に上乗せして徴収する。負担は2026年度から始まるという。岸田首相は「賃上げするから実質の負担は生じない」と繰り返すが、〈実質的な増税〉と今国会でも批判が高まっているのだ。
「負担額が500円と言いますが、加入している保険や年収によっては、もっと高くなることを隠して“ワンコイン”の少額ですと国民を欺くやり方です。そもそも、〈賃上げするから増税ではない〉という岸田首相の考えそのものがおかしいのです」
そう指摘するのは、元経済産業省の官僚で政治経済評論家の古賀茂明さん。
実際に、日本総合研究所の西沢和彦理事の試算によると、給料から天引きされる支援金の負担額(被保険者1人あたり)は、中小企業の社員などが加入する「協会けんぽ」で月1025円、大企業が加入する健保組合で月1472円、公務員などが加入する共済組合で月1637円程度となり、月額500円を大きく超える。年間では、1万2000〜1万9000円もの負担増になる計算だ。
岸田首相が豪語するように、果たして賃上げや歳出改革で負担が抑えられるのか。
「賃上げされるか否かは、企業によっても個人によっても異なります。そもそも、現在、賃金が上がっている欧米諸国は、30年かけて企業の生産性を上げ、賃上げを実現してきました。日本は、この30年、人件費を削ることで国際競争力を維持しようとしてきた。1〜2年の短期間なら賃上げできたとしても生産性や競争力を上げない限り、賃上げは続きません」(古賀さん)
むしろ、岸田首相が短期間での賃上げを声高に叫ぶことで、中小企業は倒産のラッシュになりかねないという。さらに歳出改革についても、「社会保障が、より一層削減されるだけ」と、古賀さん。
税と社会保障が専門の鹿児島大学教授の伊藤周平さんも、支援金制度は、「弱者にツケを回す“隠れ増税”だ」と、こう批判する。
「保険制度は、保険料を納めた人が給付を受ける権利を有します。しかし支援金制度は、恩恵にあずからない人まで支払わなければならないので、事実上の増税です」
所得が低い人ほど負担は重たく……
国民の負担増は「支援金」だけにとどまらない。
「2024年度から、市区町村や都道府県が森林を整備するための財源となる“森林環境税”が年額1千円徴収されます」(古賀さん)
さらに気がかりなのが、岸田首相が決定した“防衛費増額”の財源だ。2027年度までの5年間で、少なくとも総額43兆円が必要になる。岸田首相は14日の衆院予算委員会でも、「1兆円程度を国民の負担でお願いする」と、“増税”を示唆。
この財源は、どうなるのか。
「1兆円の財源については、いずれ消費増税などで賄われる可能性があります。しかし、昨年末に“裏金問題”が発覚したこともあって増税の議論が先延ばしされています」(伊藤さん)
現時点で決まっているのは、東日本大震災後に導入された“復興特別所得税”2.1%のうち1%を防衛費に充て、その分、徴収期間を最大13年間延長することだ。これにより年収500万円の世帯の場合、年間約1千円の負担増に。
そのうえ、改定されるごとに上がり続ける介護保険料も重くのしかかる。
「介護保険が始まった2000年当初、40〜64歳の人が納める介護保険料は約2000円でしたが、毎年改定されて上がり続け、2024年度は1人あたりの平均が月6276円になる見込みです。65歳以上の方が納める保険料も、当初の2900円から現在は6000円超に。今後、高齢化が続くかぎり負担は増えていきます」(伊藤さん)
結果、2024年度からの40〜64歳が納める保険料も前年度より年間2704円の負担増に。前述した支援金や、森林環境税、復興特別所得税などを合わせ、今後も介護保険料が同様のペースで上がっていった場合、2026年度以降の1人あたりの負担は、2023年度と比べて2万7776円も増えることになる。
伊藤さんは、「保険料の負担増ばかり目立つが、医療費の窓口負担や、介護サービスの利用料のアップも見逃せない」とこう続ける。
「後期高齢者の医療費の窓口負担は2022年度から年収200万円以上の単身世帯で2割に引き上げられました。介護サービスの利用料も、2027年度には同じ負担率になると予想されます」(伊藤さん)
さらに今年6月から、医療費の初診料が27円、再診料は12円(3割負担の場合)引き上げられる。
「ますます低所得者ほど医療や介護サービスが受けにくくなります。本来であれば、低所得者ほど比重が大きくなる保険料への上乗せや消費税ではなく、所得税や法人税などで賄うべきです」(伊藤さん)
一部の自民党議員たちに裏金を政治活動以外に使用していた“脱税疑惑”が出ているが、自民党はお手盛りの党内調査で幕引きをはかろうとしている。そんななかでの“増税”に、国民の怒りは爆発寸前だ。
●外交の敗北 元徴用工訴訟で初の実害…韓国「事実上の賠償」と勝ち誇る 2/22
いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐり20日、日立造船が韓国の裁判所に預けていた供託金6000万ウォン(約670万円)が原告側に渡った。1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」していた問題で、日本企業に初めて「実害」が出た。松原仁元拉致問題担当相(衆院議員、無所属)は、岸田文雄政権の対応に強い疑問を突き付けた。
「危惧したことが現実となってしまった。『日本外交の敗北』だ」
松原氏は語気を強めた。
予兆はあった。1月に就任した韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外相は「日本の民間企業も同じ船に乗る思いで問題解決に参加してくださるよう期待する」と述べた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領も今月7日、公営放送KBSテレビで「韓日関係の改善を願う両国の企業人の協力」を呼び掛けていた。日本企業に不当な支払いを求める姿勢が垣間見えた。
松原氏は9日、韓国側の発言を受けて、「被告を含む日本企業が、韓国の財団への資金拠出を求められることを含意していると考えられるか」など、7項目にわたる質問主意書を政府へ提出していた。
日立造船の供託金が原告側に奪われた20日、林芳正官房長官は記者会見で、「日韓請求権協定に明らかに反する判決に基づき、日本企業に不当な不利益を負わせるもので極めて遺憾だ」と述べた。
上川陽子外相も21日午前(日本時間同日夜)訪問先のブラジル・リオデジャネイロで韓国の趙外相と会談し、「強い遺憾の意」を表明した。
岸田政権の十八番「遺憾砲」だが、供託金を手に入れた原告側は「日本企業による事実上の賠償」と勝ち誇っている。
松原氏は「岸田政権はなぜ、1月の趙外相や、今月の尹大統領の発言を受け、即座に韓国の駐日大使を呼ばなかったのか。今回の実害は、日本の駐韓大使を帰国させるべきほどの重大な事案だ。『ポスト岸田』として注目される上川外相にも今後のダメージになるだろう」と批判した。
そもそも、尹政権は昨年3月、韓国最高裁が日本企業に命じた賠償支払いについて、「韓国政府傘下の財団が肩代わりする」と表明した。それを岸田政権も受け入れて日韓関係正常化にかじを切った。まさに、舐められて、裏切られたのではないのか。
松原氏は「林氏は昨年、韓国側の解決策を受け入れた際の外相であり、『遺憾だ』と述べるだけでは済まされない存在だ。『日本は国際的に不可逆的な取り決めをしても、相手が破れば受け入れる国』という前例をつくったに等しい」と憤る。
ちなみに、安倍晋三政権では、国民や日本企業の財産を守るため、日本企業に実害が生じた場合の「対抗措置」として100前後の選択肢をリストアップしていたという。
あまりに大きい損失を岸田政権はどう取り戻すのか。
●安倍・二階派5人、政倫審申し出=28、29日開催へ 2/22
自民党の西村康稔前経済産業相ら安倍・二階派幹部5人は22日、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関し、衆院政治倫理審査会への出席を正式に申し出た。自民、立憲民主両党は政倫審を28、29両日に開くことで大筋合意した。26日に幹事会を開き、公開の是非など詳細を詰める。
衆院予算委員会はこれを受け、2024年度予算案採決の前提となる中央公聴会を29日に開くことを議決した。
申し出たのは書類提出順に西村氏、松野博一前官房長官、塩谷立元文部科学相、武田良太元総務相、高木毅前国対委員長。塩谷氏は安倍派座長、西村、松野、高木各氏は同派事務総長、武田氏は二階派事務総長を務めた。西村、松野、高木各氏は安倍派「5人衆」と呼ばれる中核議員。
これに関し、公明党の山口那津男代表は22日の党会合で「(出席する議員は)説明責任を尽くし、国民の関心に応えられるようにこの機会を生かすべきだ」と述べた。立民の泉健太代表は記者会見で「明確に真実を語ってほしい。そうでなかったときは、次の手段、証人喚問などに移らざるを得ない」と語った。 
●立憲民主党議員が「有権者に日本酒提供」のブーメラン 2/22
昨今、自民党議員や自民党政権に不満を抱く人は大変多いのが実情でしょう。岸田政権を巡っては対韓外交のように非常に稚拙な分野もありますし、自民党のパーティー券政治資金収支報告書不記載なども大問題です。では、同じような不祥事が野党――たとえば最大野党である立憲民主党――などで生じた場合、メディアは自民党を追及するのと同じくらいの熱量で立憲民主党を追及しているのでしょうか?
自民党政権への不満
   自民党政権、ますます酷くなっていませんか?
正直なところ、著者自身は自民党政権を100%支持したいとは思いませんし、それどころか、最近自民党がますます酷くなってきているとすら思います。
その「特に酷い分野」のひとつが、対韓外交です。
日韓間には懸案が山積しており、しかもそれらの懸案は、自称元徴用工問題にしろ、自称元慰安婦にしろ、あるいは竹島不法占拠問題にしろ、ほとんどが歴史改変・捏造・国際法違反・国際約束破りなど、韓国側の不法行為によって作り出されたものです。
それなのに、岸田文雄首相はこれら諸懸案に対し、日本が譲歩するかのような対応を取っています。
たとえば『岸田ディールで垣間見える「キシダの実務能力」の低さ』などでも取り上げたとおり、昨年3月に韓国政府が打ち出してきた自称元徴用工問題の「解決案」(※解決になっていない!)を巡り、岸田文雄首相はこれを「日韓関係を健全な関係に戻すものとして評価する」などとコメント。
その後は韓国を輸出管理上の「(旧)ホワイト国」に復帰させる、火器管制レーダー照射問題を不問にする、あるいはあろうことか、日韓通貨スワップ協定を再開する、といった具合に、韓国に対して続々と譲歩を続けているのです。
   岸田首相には「非現職官僚」のブレーンはいないのか?
「酷い分野」は対韓外交に留まりません。
たとえば、税収が過去最高を記録するなかで、岸田首相は昨年、減税方針を打ち出したのですが、宮沢洋一税調会長ら「財務省系」の者たちの抵抗もあってか、結局は「遅すぎ・ショボすぎ」の「やらない方がマシ」というレベルのものに留まってしまった格好です。
やはり、対韓外交にせよ、対財務省外交にせよ、岸田政権の対応は稚拙すぎます。
ちなみに外務省といえば、対中外交や対韓外交を何十年も誤り続けて来た「外交音痴」のウソツキ官庁ですし、財務省といえば、古くは総量規制による景気冷え込みの原因を作り、消費税を含めた重税の導入などを通じ、日本経済を痛めつけて来た戦犯のような官庁です。
菅義偉総理大臣や故・安倍晋三総理大臣らは在職中、官僚機構の外にいる人をブレーンとして重視していました(たとえば橋洋一氏が短期間であるとはいえ、内閣府参与として菅総理のブレーンを務めていました)が、岸田首相の周りには、こうした「非現職官僚」のブレーンが少ないのが問題なのかもしれません。
個人的には、岸田首相は「三顧の礼」をもって、韓国観察者である鈴置高史氏あたりを内閣参与に迎え入れるくらいのことをした方が良いのではないか、という気がしてなりません。
   災害対応は愚直で誠実
ただし、政治家の評価はあくまでも「是々非々」で行うべきでもあります。
岸田首相は自身の長男を首相補佐官に就任させる(※のちに退任)など、「公私混同が激しいのではないか」、などと一部メディアから批判されたことはありますが、少なくとも(現在のところ)目に見える深刻な汚職・違法行為のたぐいは報じられておらず、その意味では「クリーンな(?)」政治家であるといえなくはありません。
また、岸田首相はロシアから軍事侵攻を受けているウクライナに電撃的に訪問し、ウォロディミル・ゼレンシキー大統領と会談したり、そのゼレンシキー氏をG7広島サミットに招いたりするなど、外交面では顕著な業績を上げていることも間違いありません。
さらに岸田首相は今年1月1日に発生した能登半島地震において、正月休みの最中であるにも関わらず、災害対策を迅速に実行。自身のXアカウントを通じ、マスメディアが報じない災害関連情報を積極的に配信するなど、災害対応では極めて適切な対処を行っています。
いわば、災害対応は愚直で誠実だと考えて良いでしょう。
しかも、岸田首相の功績は、災害対応の適切さだけではありません。これまでに原発再稼働・新増設方針を打ち出したり、安保3文書の制改定を行ったりするなど、下手をしたら安倍、菅両総理の頃よりも顕著な功績を残している部分もあったりします。
こうした状況を踏まえると、「岸田首相は政治家としても無能だ」と決めつけるのは少し早計です。
あくまでも個人的な印象としては、岸田首相は地頭が良くないからなのか、それともブレーンが優秀でないのかはわかりませんが、対韓外交のように局所的に判断を大きく誤る分野もある一方で、根は真面目で誠実なのか、災害対策、エネルギー・経済安保などの分野では「やるべきこと」を粛々とこなしているように思えます。
結局、岸田政権とは、良くも悪くも「自民党政権」そのものなのでしょう。
実務家は満点主義と無縁
   資格試験の「満点主義」
ここで改めてお伝えしておきたいのが、先日の『資格試験も政治家の評価も「満点主義」から脱却すべき』でも取り上げた、「満点主義」の弊害です。
「満点主義」とは「どんなに時間をかけても良いから試験問題で100点満点を目指すべき」とする考え方です。
仮にある試験の最低の合格点が60点で、その60点に達するまでに必要な勉強時間が100時間だったとします。しかし、この試験で70点を取るためには200時間、80点を取るためには400時間、90点を取るためには800時間の勉強が必要になってしまう、としましょう。
グラフ化すると、図表のとおりです。
   図表 とある試験における勉強時間と得点の関係
この場合は、とにかく100時間勉強して60点取れるようになるべきです。
過去の公認会計士第二次試験のケースでいえば、1年に1回行われる論文試験で7科目を一気に受験する必要があり、したがって、幅広い分野で満遍なく最低の合格点を取れるだけの準備をした人が合格する、という特徴がありました(※著者私見)。
そして、受験勉強の期間が3年以内で終わった人は、たいていの場合、その後も実務に就くと仕事の要領が良いという傾向がありました(※著者私見)ので、やはりこの「短い時間でサクッと合格点に達する」という考え方は、とても大切です。
これに対し、資格試験のための勉強を何年もダラダラと続けてしまったような人は、(あくまでも一般論ですが)その後も実務でかなり苦労する、という傾向にあります。
著者自身の私見ですが、世に「難関資格」と呼ばれる資格の試験は、多くの場合、「多くの時間を費やして満点を取れるかどうか」の勝負ではありません。
「試験に出題されても他の平均的な受験生ならば答えられる」というレベルの頻出論点には必ず答えられるように準備することに加え、「試験に出題されても他の平均的な受験生なら絶対に答えられない」というレベルの埋没論点を見極めて捨てるという判断を下せるように準備することに尽きるのだと思います。
   優秀な実務家は満点を狙ったりしない
そして、「無尽蔵に時間を使って100点満点の仕事をすること」と、「限られた時間とリソースで60点の成果を出すこと」のどちらが重要かといわれれば、ビジネスの世界でも資格試験の世界でも、あるいは政治の世界でも、後者の方であることは間違いありません。
そもそも優秀な実務家は、満点を狙ったりしません。
能登半島地震の対応で見てみると、たしかに一部孤立集落などに対しては、災害支援が非常に遅かったことは間違いありません。
しかし、災害支援が結果的に遅延したのは、岸田首相、馳浩・石川県知事らの災害対応が遅かったからではなく、能登半島が日本海側で最大の半島であり、山がちで海岸線も入り組んでおり、道路・鉄道・港湾・空港などの交通網が寸断されたためにほかなりません。
能登半島の場合、被災地に陸路から入るためには南側からアプローチする以外に方法はなく、北側からアプローチするためには船舶(揚陸艦など)や航空機・ヘリコプターなどを使用する必要がありますし、残念ながら重機はヘリで運ぶことが困難です。
ちなみにどこかの新聞の記者あたりは、「救援物資や救援部隊を空中からパラシュートで降下させたらどうか」、などと提案したこともあるようですが(『例の記者「孤立集落へパラシュート投下は可能と思う」』等参照)、これなど、空中投下・空中降下の危険性を理解しない、とんでもない暴論と言わざるを得ません。
岸田首相の功罪を評価するうえでも、対韓外交のように「酷い」分野は「酷い」としつつも、原子力政策、安保政策、災害対応など「愚直で誠実」な分野は正当に評価するのが正解ではないでしょうか。
立憲民主党に突き刺さるブーメラン
   当選1回目時代に有権者に線香を配布して議員辞職した小野寺氏
ただ、「政治家というものは是々非々で判断すべきだ」、という点については、多くの有権者の方には同意していただける論点だとは思いますが、だからといって自民党議員に問題がない、という話ではありません。
とりわけ、マスメディアや野党議員らを中心に、自民党議員の腐敗ぶりを舌鋒鋭く批判する意見がしばしば出て来ることは事実であり、こうした意見が出てくること自体、自民党議員にさまざまな問題があるという証拠でもあるのです。
こうしたなかで取り上げておきたいのが、『テンミニッツTV』というウェブサイトに2014年7月17日付で掲載された、こんな記事です。
   政治家が線香を持参してお供えすることは公職選挙法違反
・初当選して2年も経たない頃、お盆シーズンで亡くなられた支援者のお宅を弔問で訪れ、市価千円ほどの線香を自分で持参し、霊前でご焼香した
・しかし、線香を持参してお供えすることが公選法上の寄付行為に当たるとし、警察で任意で事情聴取を受け、自ら議員辞職に至った…。
このエピソードだけを見ると、「支援者に線香を手向けただけなのに議員辞職とは」、などと驚くかもしれませんが、現実に小野寺氏は初当選(1997年12月)から2年後の2000年1月に議員を辞職し、略式命令により罰金刑が確定し、公民権が停止されています。
当時の小野寺氏は、それだけ公選法に対する意識が低かった、ということでしょう(※これについては本人も「今から考えてみれば非常に未熟だった」とざっくばらんに振り返っています)。
いずれにせよ、この小野寺氏のケースは、潔く議員辞職して雌伏するという態度は結果的には立派だったかもしれませんが、やはりマスコミ報道を眺めていると、自民党議員にはこの手の「意識が低い議員」が大勢いることが、自民党政権に対する私たち有権者の不信感の根源となっていることは間違いありません。
   有権者に日本酒を配った立憲民主党議員
以上、前置きが非常に長くなってしまいましたが、ここで取り上げておかねばならないのが、「立憲民主党にまたしても突き刺さった特大ブーメラン」、という話題です。
   選挙区内の会合で日本酒 立民・梅谷守氏、予算委では自民批判展開も「ブーメラン」に
産経ニュースによると立憲民主党の梅谷守衆院議員が今年1月に開かれた複数の会合で、有権者に日本酒を渡していたことが20日、関係者への取材で明らかとなり、梅谷氏自身も同日、国会内で記者団に対し事実関係を認めたのだそうです。
ただ、ここで重要な点は、野党側の立憲民主党の議員も公選法違反の疑いのある行為を行っていたという事実だけではありません。梅谷氏自身が15日の衆院予算委員会で、自民党の派閥パーティー券収入の政治資金収支報告書への不記載問題を舌鋒鋭く追及していたことです。
この産経記事によれば、梅谷氏は当時、「今の汚れた政治を何とか変えてほしい」、「実態解明が不可欠だ」などと力説していたのだそうですが、20日の記者団の取材に対しては「多に同様のケースはなかったのか」などとする問いに正面から答えず、「『軽率だった』「深く反省している」と繰り返すばかりだった」というのです。
まさに、コ代休のブーメランそのものでしょう。
   立憲民主党のダブル・スタンダード
しかも、理解に苦しむのは疑惑の渦中にいる張本人だけではありません。
たとえば立憲民主党の岡田克也幹事長は20日、「事実関係を把握して、適切に対応していきたい」などとしつつも、「誤解を招きやすい対応であったことは間違いない」、「本人も反省している」と述べたのだそうですが、どうして直ちに議員辞職を要求しないのでしょうか?あるいはどうして即日、除名処分にしないのでしょうか?
さらに同党の安住淳国対委員長に至っては、「不注意だったのかもしれないが、地元で対応している話なので国会には関係ない」、などとも言い張ったのだそうです。
安住氏といえば、昨年11月29日、自身の資金管理団体の2022年分の政治資金収支報告書に、30万円分のパーティー券収入を購入した団体名と金額を記載していなかったことを明らかにしたというご本人でもあります。
   立憲・安住氏もパーティー券収入を不記載 政治資金収支報告書を訂正
自民党議員の不祥事については舌鋒鋭く追及するくせに、自分たちの同じような不祥事については徹底的にダンマリを決め込む――。
正直、こうしたダブル・スタンダード(二重基準)自体、かなり理解に苦しみます。
結局、立憲民主党という政党は、一事が万事、こうなのでしょう。
   自民党政権安泰はメディアと野党の責任
立憲民主党内にはまともな議員も所属していると信じたいところですが、やはり多くのまともな有権者にとっては、立憲民主党には不信感しか残らないでしょう。安住淳氏、岡田克也氏ら幹部レベルの対応を見るだけでも、十分です。
このように考えていくと、自民党という組織はたしかに酷いのかもしれませんが、立憲民主党を含めた野党はさらに酷いといわざるを得ません。食堂に例えていえば、自民党が「高くてマズい食堂」なのだとしたら、立憲民主党は「食事すらまともに提供されない、食堂ですらない何者か」に過ぎないのではないでしょうか。
なにより問題があるとしたら、自民党の不祥事については鬼の首を取ったかのごとく大騒ぎするくせに、立憲民主党を筆頭とする特定野党の不祥事については舌鋒鋭く追及しようとしない、日本の大手メディアの報道の在り方ではないでしょうか。
日本国民は賢明ですので、このインターネット時代、メディアが「報道しない自由」を駆使し、野党のダブル・スタンダードを覆い隠そうとしても、それはもう無理な相談というものです。
そして、マスコミと特定野党のこうした姿勢が続く限り、自民党政権はまだ当面、安泰だと考えておいて良いのではないか、などと思う次第です。
●東京株、史上最高値 3万9098円68銭、バブル期超え―「失われた30年」脱す 2/22
22日の東京株式市場の日経平均株価は、史上最高値で終了した。終値は前日比836円52銭高の3万9098円68銭と、バブル経済ピークの1989年12月29日の大納会に記録した最高値(3万8915円87銭)を34年2カ月ぶりに更新した。日本経済は株価の上では「失われた30年」を乗り越え、新たな局面に入る。
22日の東京市場では米半導体大手エヌビディアの好決算を好感した買いが半導体関連銘柄に入った。日経平均は午後の取引で初の3万9000円台に乗せると、一時3万9156円97銭まで上昇し、89年の大納会で記録した取引時間中の史上最高値も上回った。
日経平均は昨年春の2万8000円台から1年足らずで1万円以上、値上がりした。急ピッチで上昇してきた背景には、東証が昨年3月末に上場企業に対し、株価と資本効率を重視した経営を促す異例の要請を行ったことがある。海外投資家が要請を好感して日本株への投資を積極化し、株高が株高を誘うようになった。コロナ禍からの経済活動回復で日本企業の業績が復調したことも株価の上昇要因となった。
昨秋以降は、人工知能(AI)の利用拡大による関連産業の成長期待から米国株がハイテク銘柄主導で史上最高値を更新する展開となった。これを受け、東京市場でも今年に入って半導体・IT関連銘柄の株価が上げ足を速めた。
89年末にピークを迎えた株価バブルは、日銀による相次ぐ政策金利の引き上げなどをきっかけに90年に崩壊過程に入り、91年には地価も下がり始めた。日本経済のバブル景気はこの年に終わり、後に「失われた30年」と呼ばれる長い停滞期に突入した。
2000年以降はデフレが深刻化し、日銀は長期にわたる金融緩和でデフレ克服に乗り出した。この間、日経平均はリーマン・ショック後の金融危機などを受けて09年3月に7000円台、11年3月の東日本大震災後には8000円台に急落する場面もあった。
●与野党、さらなる賃上げ重要 最高値更新を歓迎も―東京株式 2/22
日経平均株価が史上最高値を更新したことについて、与野党からは22日、歓迎の声と同時に、さらなる賃上げ実現などにつなげることが重要との意見が相次いだ。
自民党の渡海紀三朗政調会長は記者団に「明るいニュースだが、日本経済が非常に好調だと簡単に言い切ることは難しい」と指摘。「(株価上昇の)バックグラウンドは慎重に見極めなければいけない」と述べた。
公明党の北側一雄副代表も記者会見で「歓迎すべきだ」としつつ、「持続的な成長軌道に乗せるには中小企業の賃上げがどこまで進むかが非常に重要だ」と強調した。
立憲民主党の泉健太代表は会見で「従業員に分配することが非常に重要で、それが企業の価値を高めることにつながる」と主張。国民民主党の玉木雄一郎代表は取材に「いかに持続的な賃上げや実体経済の好転につなげていけるかがポイントだ」と訴えた。
一方、共産党の小池晃書記局長は取材に「実体経済とは全く無縁で、ある意味バブルだ。株価が経済指標として意味をなさなくなっている」と疑問を呈した。
●林官房長官「賃上げ、企業力強化を」 2/22
林芳正官房長官は22日の記者会見で、日経平均株価が史上最高値を更新したことを受け、岸田政権が目指すデフレからの完全脱却に向け、「賃上げの実現や企業の稼ぐ力の強化」を図る考えを強調した。
一方で「賃金上昇が物価上昇に追い付いておらず、経済の改善を実感しにくい面がある」とも指摘。「あらゆる政策を総動員し、国民の実感を積み重ねていく」と述べた。 
●「腐敗ばかりの政治は要らない」 国会前で「#さようなら自民党政治」デモ 2/22
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金づくりや防衛費の増額などを問題視し、岸田政権の退陣を求めるデモが22日夜、東京・永田町の国会前であった。参加者は「#さようなら自民党政治」と書いた横断幕を掲げ、国会に向かって「腐敗ばかりの政治は要らない」「裏金議員は説明を」と声を上げた。
登壇した法政大の山口二郎教授(政治学)は「大事な予算審議の時期に、裏金問題が最大の政治問題になってしまっている。ひとえに自民党のせいだ」と指摘。「日本の政治に常識を取り戻すため、政権交代に向けて声を上げていこう」と呼びかけた。友人と参加した都内の女子大学生(20)=文京区=は「自民党は裏金問題で政治を滞らせ、機能不全に陥らせている」と憤った。
公正な社会や政治を目指して行動する10〜40代の市民有志を中心とするグループ「WE WANT OUR FUTURE」が主催。デモの模様はユーチューブでも配信された。
●2700万円裏金でも萩生田に反省なし! 月刊誌で被害者気取り発言、「裏金はメディアとの会食に使った」とマスコミを恫喝 2/22
派閥の政治資金パーティ裏金事件によって内閣支持率が過去最低を記録している岸田政権だが、問題の元凶ともいえる安倍派のなかでもとくに反省の色がまったく見えないのが、萩生田光一・前政調会長だ。
現在、野党は政治倫理審査会の開催を求めているが、安倍派5人衆のうち4人が政倫審に出席するとの方針が伝えられる一方、萩生田氏だけ現時点で、出席者から外れている。
本人の意志か党の方針かはわからないが、これは明らかにおかしい。
なぜなら、5人衆のなかでも萩生田氏こそ真っ先に国民への説明を果たさなければならない人物だからだ。萩生田氏といえば、2018〜2022年までの5年間の裏金不記載額が計2728万円にものぼり、逮捕・立件された安倍派の3議員に次ぐ金額となっている。その上、萩生田氏が代表の「自民党東京都第24選挙区支部」の訂正した政治資金収支報告書は「収入総額」「前年からの繰越額」「支出総額」「翌年への繰越額」のすべてで「不明」と記載。「支出の目的」も「金額」も「不明」と裏金を何に使ったのかもまったくわからない状態にある。
そもそも政治資金規正法では、収支の不記載は5年以下の禁錮または100万円以下の罰金と定められている。国民に収支を明らかにできない時点で政治家をつづける資格などなく、即刻、辞職すべきなのは言うまでもない。
ところが、萩生田氏は辞職もせずに居座るばかりか、政倫審の出席について「どういう話をする必要があるのか、私が話せることなのか、分からなければ対応できない」などと尊大な態度をとってきた。
極め付きは、今月10日に発売された「文藝春秋」3月号に掲載された、武田良太・元総務相と加藤勝信・元官房長官との鼎談記事だ。この鼎談のなかでは萩生田氏は裏金事件を完全に開き直り、挙げ句、被害者気取りで愚痴までこぼしているのだ。
たとえば、この鼎談で萩生田氏は、安倍派では「販売ノルマを超えた分は、活動費として派閥から戻す。それはこちらで処理をしているので、収支報告書には載せなくていい」という“言い伝え”があったとし、こう述べている。
「この言い伝えを、みんなが律義に何十年も守ってきたのがウチの派なんです。その判断が間違っていたことが今さら明らかになって、恥ずかしい思いをしているのが正直なところです」
萩生田光一に対するメディアの裏金追及はなぜ甘い? 炎上必至の開き直り発言もほとんど報じられず…
前述したように、政治資金収支報告書への不記載は明確な犯罪行為だ。それを萩生田氏はあたかも義理堅さゆえにルールに従ってきたのだとアピールし、罪の大きさを認めるでもなく「恥ずかしい思いをしている」などと言い募っているのである。
しかも、裏金の金額が大きかった点を指摘されると、萩生田氏は「安倍派ではコロナ禍の状況をかんがみて、パーティ券の販売ノルマを減らしたことを、事前に事務所担当者が知らなかったという事情もある」などと反論。「もし当時、私が派閥の運営に関与してそれを知っていたら、そんなに頑張って売る必要はなかった。結局、歴代の事務総長たちは全然(ノルマを)オーバーしておらず、我々だけが一生懸命売って、手元に残ったという思いが残ります」と被害者ぶるのだ。
さらに、萩生田氏は、「年末年始もこれだけ批判をされてお詫びをしてきたという点では、一定の社会的制裁を受けたと思います。立件されなかったのに、検察が期待値を上げたことで『この人たちは悪いのに助かった』みたいに思われるのは、すごく理不尽な話です」と逆ギレ。こんなことまで言い出すのだ。
「自民党は、失敗は失敗としてもう少し寛容に、「まずかったけど頑張れよ」と言ってくれる政党かと思ったら、党内からも「処分、処分」と言われて……」
「“生贄”を出さないと終わらないような雰囲気になっていて、ちょっと寂しいなと思います」
萩生田氏の裏金不記載額は“立件スレスレ”ラインであり、「検察は萩生田氏を立件しないで済むように裏金の下限を3000万円に設定したのでは」と囁かれたぐらいだ。つまり、政治資金規正法がザル法であるために立件されなかっただけだというのに、明確な国民に対する背信行為をはたらいておきながら、「すごく理不尽」だの「寛容さがなくて寂しい」だのと言い張る……。図々しいにもほどがあるだろう。
本来、これらの無反省な発言の数々だけでも辞職ものだが、問題は、なぜか萩生田氏に対する追及が “その他大勢”と同じ通り一遍の報道に終始していることだ。
萩生田氏は安倍派5人衆の立件見送りが報じられたあとも直ちに会見を開かず、地元の八王子市長選の投開票後になってようやく開催するという姑息な手段に出たが、そのことに対する批判も巻き起こることはなかった。一応、訂正後の収支報告書が「不明」だらけになっていることは報じられたが、今回の「文藝春秋」誌上での開き直りや愚痴発言は、大手メディアではほとんど報じられていない。
いや、今回の裏金問題だけではない。マスコミの萩生田氏に対する弱腰ぶりは2022年に大きな騒動になった統一教会問題でも見られた。
参院選の公示直前に生稲晃子氏とともに八王子の統一教会施設を訪問していたほか、萩生田氏が統一教会の施設で「一緒に日本を神様の国にしましょう」などと講演していたことや、教団イベントで“四つん這い”になる礼拝をおこなっていたという証言が飛び出すなど、萩生田氏と統一教会のズブズブの関係が明らかになったが、ある時期を境に報道量がガクンと減り、萩生田氏に対する追及報道はフェードアウトしてしまったのだ。
萩生田光一“アメとムチ”のメディアコントロール術 恫喝・圧力の一方であの“文春砲”とも…
これほどまでに国民を舐めきった態度をとっているのに、なぜ、新聞やテレビの萩生田氏に対する追及はこんなにも甘いのか──。
じつは、今回の“裏金”をめぐる萩生田氏の釈明のなかに、「これがその理由では?」と疑いたくなるものがあった。
萩生田氏は裏金の使途について「派閥の皆さんとの会合費、時にはメディアの人たちや、有識者との会食などのほか、外遊時にも使っていた」(前出・「文藝春秋」より)と説明。自ら、メディア関係者との飲み食いに使っていたことを明らかにしたのだ。
そもそも萩生田氏といえば、メディアに対してさまざまな圧力をかけてきたことで知られる。2014年11月に当時の安倍首相が街頭インタビューVTRに逆ギレした『NEWS23』(TBS)生出演後、萩生田氏が自民党筆頭副幹事長として在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに“報道圧力文書”を送りつけた問題はあまりに有名だ。2017年8月には『グッド!モーニング』(テレビ朝日)で田原総一朗氏が「萩生田光一は加計学園問題のいわば一番の責任者」と発言したことに猛抗議。正当な論評であったにもかかわらず、放送の3日後に番組に謝罪をさせたということもあった。
しかし、こうした恫喝や圧力の一方で、萩生田氏は新聞・テレビの担当記者に情報をリークすることで、取り込み、子飼い化していることでも知られている。
有名なのが、テレビ朝日の女性記者で、「(萩生田氏が)官房副長官時代、テレ朝が組閣人事のネタを抜けたのは彼女のおかげ」といわれるくらいだった。統一教会問題の際も、なかなか取材に応じようとしなかった萩生田氏とマスコミ各社の間を、この女性記者が調整して、ぶら下がり取材ができるようになったのではないかといわれている(「週刊新潮」2022年9月1日号/新潮社)
最近では、政治ジャーナリストの田崎史郎氏も萩生田氏とベッタリの関係を築いている。裏金問題が発覚した当初、田崎氏は「僕は日曜日にも月曜日にも萩生田さんとちょっと話したんですけど」などと萩生田氏と密に連絡をとっていることをテレビでも公言。やたらと萩生田氏の擁護を繰り返していた。
ちなみに、萩生田氏はあの「週刊文春」とも、つながっている。「週刊文春」を“文春砲”と恐れられる存在にしたのは、同誌の元編集長で、現在、取締役・総局長を務める新谷学氏だが、この新谷氏と萩生田氏は、中学時代からの知り合いで、頻繁に連絡を取り合っていると囁かれているのだ。
事実、新谷氏自身、インタビューで萩生田氏と中学校時代の野球部の1つ後輩の関係にあることを認め、「安倍政権時代は批判をするたびに、もういいかげんにしろと抗議電話が来たけど、一切言うことを聞かない。それでも今も関係は続いています」(東京弁護士会会報「LIBRA」Vol.22 No.3)と語っていた。
統一教会問題もフェードアウト、裏金追及も…萩生田に甘いのは「裏金はメディアとの会食に使った」から?
いずれにしても、萩生田氏はこうした“アメとムチ”によって、報道をコントロールしてきたのだ。
実際、前述した統一教会の問題で途中から報道がフェードアウトしたのも、萩生田氏が新聞・テレビの番記者を通じて圧力をかけたことが影響しているともささやかれた。
今回の裏金問題で、新聞やテレビが萩生田氏に甘いのも、政治部のなかに、情報をもらうために裏金を原資とした飲み食いに応じてきた政治記者が多数いるからではないか、と勘ぐりたくなる。
少なくとも萩生田氏はそのことを追及封じ込めに利用しようとしているはずだ。だからこそ、裏金の使途を説明するなかで、あえて「メディアの人たちとの会食に使っていた」と発言して、恫喝をかけたのだろう。
しかも、こうしたマスコミと政治家の癒着は萩生田氏に限ったことではない。他の政治家たちからも裏金を使った飲食接待を受けていた可能性もある。
いまは、検察の捜査があったうえ、国民の怒りがこれだけ大きくなったため、各社とも流石に裏金問題を大々的に報じているが、追及の機運が下がったり、自民党に勢いが戻ると、とたんに報道がフェードアウトしてもおかしくない。
いや、NHKが「裏金」を自民党の表現に倣って「還付金」と呼ぶなど、すでにその兆しが出てきている。政治家たちを野放しにしないためにも、国民は怒りの声を上げ続け、マスコミの弱腰を叱咤し続ける必要がある。

 

●天皇陛下 能登半島地震“深く心を痛める” 2/23
天皇陛下は23日、64歳の誕生日を迎えられました。
天皇陛下は、誕生日を前に皇居・宮殿で記者会見に臨み、元日に発生した能登半島地震について、「多くの方が犠牲となられ、今なお安否が不明の方がいらっしゃることや、避難を余儀なくされている方が多いことに深く心を痛めております」と述べられました。
そのうえで、「現地の復旧の状況を見つつ、被災者の皆さんのお気持ちや、被災自治体を始めとする関係者の考えを伺いながら、訪問できるようになりましたら、雅子と共に被災地へのお見舞いができればと考えております」と話されました。
また、ことし5月で即位から5年となるのを前に、これまでの天皇としての歩みを振り返って、「国民の皆さんの中に入り、少しでも寄り添うことを目指して、行く先々で多くの方々のお話を聴き、皆さんの置かれている状況や気持ち、皇室が国民のために何をすべきかなどについて的確に感じ取れるように、国民の皆さんと接する機会を広く持つよう心掛けてまいりました。これからも雅子と相談しつつ、このことを心掛けながら各地を訪問してまいりたいと思います」と語られました。
さらに、日本赤十字社への就職が内定している長女の愛子さまについて、「皇族としての仕事も増えてくると思いますが、今後も、思いやりと感謝の気持ちを持ちながら、皇室の一員として一つ一つの務めを大切に果たしていってもらいたいと思います」と述べられました。
●石川 能登地方で約800戸が停電 2/23
北陸電力送配電によりますと、石川県の能登地方では23日午前11時の時点でおよそ800戸が停電しています。
自治体別では、輪島市でおよそ510戸、珠洲市でおよそ210戸、能登町でおよそ30戸、穴水町でおよそ20戸、七尾市と志賀町でそれぞれおよそ10戸となっています。
北陸電力送配電は、停電しているのは土砂崩れなどで立ち入りが困難な場所や、建物が甚大な被害を受けるなど早期の復旧が見通せない地域が多く、交通手段の改善に応じて復旧を進めるとしています。
●自主避難所の物資配送打ち切り…「納得いかない」輪島市方針に困惑と憤り 2/23
能登半島地震で自宅に被害を受けた人たちが過ごす避難所のうち、自主避難所への物資の配送を輪島市が2月末で打ち切る方針を決めた。3月からは市内26カ所の拠点まで物資を受け取りに行く必要がある。自主避難所を運営する人からは「納得いかない」との声が上がる。 
23日の定例会見で市の広報担当者が明らかにした。現在は市内36カ所で380人ほどが過ごす自主避難所には、市職員や応援の自治体職員、自衛隊員らが食料や飲料、灯油などを配送している。今後、応援人員が少なくなると予想され、担当者は「復興に向かう取り組みを強化していく段階に来ている。自主避難所への配送に人員を充てられないことを理解してもらいたい」と話した。
市は、自主避難所で過ごす人には学校や公民館などの指定避難所に移るよう働きかけている。ただ、全27カ所の指定避難所には1680人ほどが生活しており、収容人数に余裕はなく、指定避難所に集約する前段階として物資を取りに来てもらうことにした。
「仮設住宅のできる時期が示されているなら我慢もできるが、いきなり配送を打ち切ると言われても納得がいかない」。輪島市長井町で自身のビニールハウスを自主避難所にしている保(ぼう)靖夫さん(69)は憤る。
地震後、住宅が全半壊した人らが最大で30人近く過ごした。現在は近所の4世帯10人が身を寄せる。指定避難所へ移ることも考えたが、人数制限で断られたという。近くの電柱から自費で電気も引いた。「私たちは工夫して生活している。市は現状を見ずに決めているのではないか」と語る。
物資の配送は現在、1日1〜2回あり、レトルト食品やパンが届く。指定避難所まで取りに行くことになると、軽トラック1台で10人分を運ばなければならない。雪や雨が降る日も自分たちで運ぶことになり「どうすればいいのか」と嘆いた。
●鈴木俊一財務大臣の国会答弁に憤り 「いつから納税が個人の判断に…」 2/23
実業家の「青汁王子」こと三崎優太氏が23日、自身の公式X(旧・ツイッター)を更新。自民党の裏金問題をめぐり、納税は議員個人の判断だとの認識を示した鈴木俊一財務大臣の国会答弁に反論した。
前日の予算委員会で…
発端となったのは、前日22日の衆議院予算委員会で飛び出した鈴木大臣の発言だった。制度上、政治資金は原則非課税となっているが、一連の裏金問題では使用せず蓄財していた可能性も想定されており、野党側は雑所得扱いとして所得税を収めるべきだと質問。
これに対し、鈴木大臣は「使い残しがある雑所得で、控除で引き切れない部分があるという判断の中で、納税をするという方がもちろん可能性としてはあると思います」「疑義を持たれた政治家が政治責任を果たす、という観点から判断されるべき」などと答弁。納税の是非は議員個人の判断に委ねるべきだとの認識を示した。
「いつから納税が個人の判断になったんだ?」
しかし、国民の義務である納税を自主判断に委ねるとの姿勢には、国民から不満や批判が噴出。三崎氏も一夜明けてこれに言及し、「自民党の政治資金問題について、政府の答えが『納税は議員の判断』って、いつから納税が個人の判断になったんだ?」と疑問を呈した。
続けて、「国税が『雑所得』と告知してるんだから、政治家だって国民としての責任から逃れられない」と納税の義務を指摘。鈴木大臣は「国会議員と一般の納税者で取り扱いは一切変わらない」と述べているが、「法律はみんなに平等に適用されるべきで、特別扱いは許されないんだよ」と納税を求めた。
共感の声が集まる
同ポストに対し、フォロワーからは「私も自分の判断で納税しようかな」「どんな納税基準なんだ? ってなりますね」「その通り! まして何年も裏金にしてたんだから、せめて税金くらい納めなされ!」「我々も確定申告は任意でいいのでしょうかね」など、共感の声が多数寄せられている。
三崎氏は裏金問題発覚当初の昨年12月にも、「明らかな脱税だよね」「経営者には小さいミスでもいじめのように追及するのに、政治家はお咎めなしなの?」とXへ投稿するなど、かねてから強い問題意識を示している。実業家として多額の税金を収めていることが予想されるだけに、一段と怒りは強いのかもしれない。
●鈴木財務相「納税行うかは議員が判断すべき」発言に怒り爆発の人続出。「国民も納税は自己判断でいいってこと?」 2/23
自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題を巡り、鈴木俊一財務大臣の発言が波紋を呼んでいる。
2月22日の衆議院予算委員会で、政治資金収支報告書に記載されていなかった収入のうち、政治活動に使わなかった残額について税務上の扱いを問われた鈴木財務大臣は、「控除しきれない部分があると議員自らが判断した場合、納税することはもちろん可能」と述べた。
その上で、「疑義を持たれた政治家が政治責任を果たすという観点から判断されるべき」と述べるにとどめた。
「納税を行うかは議員が判断すべき」ととれる鈴木財務大臣の発言にX上では、怒りを爆発させる人が続出。
「私も納税するかしないか自分で判断したい」「いつから納税の義務が任意になったの?」「なぜ自民党議員だけ納税するかしないかを自分で判断することが許されるのか」など多くのコメントが寄せられている。
経緯は?
自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題を巡っては、政治団体が集めた政治資金は原則非課税だが、政治家自身が政治資金を使用せずに保管していた場合などには「雑所得」になり課税対象になる可能性があることから、野党は「脱税ではないか」と非難している。
国税庁の資料によると、「政党から受けた政治活動費や、個人、後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品等による寄附などは『雑所得』の収入金額になり、所得金額の計算をする必要がある」と説明されている。
また、「政治資金に係る『雑所得』の金額は、年間の『政治資金収入』から『政治活動のために支出した費用』を控除した差額であり、課税対象となります」と記載されており、使われなかった裏金はこれに該当するのではと追求されている。
22日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の大西健介議員は「国税庁は裏金議員の中の脱税者を見つけてください」と訴えた。
それに対し国税庁次長は、「仮に政治家個人に帰属する政治資金について、適正な申告が行われていないということで課税上問題があると認められる場合には、税務調査をし、適正公平な課税の実現に努めたい」と述べるにとどまった。
鈴木財務大臣は「今確定申告の時期でありまして、今回の政治と金の問題で国民の皆さんが大変怒って厳しい目を向けておられることはしっかり感じている」と述べた。
●「自由納税党」爆誕…鈴木財務相、裏金つくっても「納税は議員の判断」であふれる憤激「国民の義務じゃないの?」「もう財務省解体しなはれ!」 2/23
SNSで「納税は個人の自由」「#納税は任意」「#納税拒否」などのワードがトレンドになっている。
「きっかけは鈴木俊一財務大臣の答弁です。2月22日、衆議院予算委員会で自民党の派閥政治資金パーティーの裏金問題が議論されました。
そのなかで収支報告書に記載されていなかった収入のうち、政治活動に使わなかった残額を個人の雑所得として確定申告、さらに納税するのかどうかという質問がありました。
鈴木大臣は『使い残しがある雑所得で、控除で引き切れない部分があるという判断のなかで納税をするという方が可能性としてはあると思う。疑義が持たれた政治家が政治責任を果たす、そういう観点から判断されるべきものであると思う』と答弁。
持って回った言い方ですが、『納税は議員の判断』としたのです」(政治担当記者)
そして「国会議員と一般の納税者で取り扱いは一切変わらない」とも答弁したことから、SNSでは怒りのコメントが大量に投稿されたのだ。
実際、ニュースサイトのコメント欄には、
《財務大臣の発言は国民も「納税は国民の判断でしても、しなくても良い」 と言っていると受け止めてもよいのかな?》
《驚きました。 政治家さんは納税するのは任意で、且つ、納税額は不問と言うことなのでしょうか?》
《憲法違反ですよ。「納税は国民の義務」》
などの書き込みが殺到した。
「鈴木大臣は21日にも、確定申告が始まった税務署窓口に苦情が寄せられていることについて、『税務署等の現場で担当者が大変苦労しておるということについては、本当に私としても申し訳ない』と答弁していましたが、野党議員からは『申し訳ないと謝るのは “部下” である税務署員にではなく、国民に対してだ』という苦言が出ていました。
日本共産党の小池晃議員が、政治資金収支報告書に不記載だった計5億7949万円から追徴税額を試算したところ、1億3533万円だったことを明らかにしていて、改めてその額の大きさに驚かされます」(同)
Xには「自由民主党は自由納税党に改名すべきですなぁw」「もう財務省解体しなはれ」といった書き込みもある。このままなし崩しに終わっては、国民の怒りはおさまらない。
●「確定申告なんかやってられるか!」の阿鼻叫喚、庶民だけに馬鹿正直を求める裏金議員の厚顔無恥 2/23
自営業者やフリーランスにとって確定申告時期は例年修羅場であるが、申告作業がこれほどストレスが溜まる年もなかなかないだろう。庶民は「脱税は、犯罪」と厳しい取り締まりを受ける一方で、裏金問題が次々と明らかになった自民党の議員は悠々としているのだから。巷に渦巻く「やってられるか!」の阿鼻叫喚に耳を傾けよう。
庶民は少額でも徹底処分 なのに自民党議員は?
今月、川崎市の教育委員会が出張旅費をたびたび不正受給していたとして、教職員ら78人を大量処分したと発表した。
報道によれば、136人による不正受給は総額約104万円で、回数は最大で1人105回、額は計8万4297円が最多。すでに全額返納されているという。記事を読むと、出張先に本来認められていない自家用車を使ったのに、公共交通機関の旅費を請求したというもので、公共交通機関が少ない場所、時間帯においてやむを得ず、というケースもあったと推測されている。
この報道に対するネット上の反応を見ると、職員らに対する批判もあるが、同時に冷めた意見も散見される。
「裏金議員のお咎めは?」「自民党議員じゃなかったらちゃんと処分するんだ」
などである。最も多い人で不正受給が8万4297円だったことを挙げ、自民党議員のパーティー券によるキックバック額と比べるユーザーも。
教職員の交通費不正受給は批判を受けて当然ではあるが、それならもっと大胆なことをしていた政治家の皆様は……?というのは、庶民からの当然の感慨だろう。
よくもまあ、揃いも揃って……「自民党裏金リスト」も制作される
「自民党裏金リスト」というサイトを作った人もいるようだ。
このサイトでは安倍派「清和政策研究会」と二階派「志師会」に分けて、それぞれ五十音順に議員の顔写真と名前が掲載されている。クリックすると、それぞれについて明らかになった「裏金」の額が表示される。
報道では、どうしても大物議員や3000万円を超えるような「裏金」額の議員に焦点があてられがちだが、顔写真付きリストで並べられると、よくもまあ揃いも揃って、と言いたくなる。
数百万円、数千万円といった金額が並ぶので、ついつい二桁万円ぐらいなら「少ない」と感じてしまうのだが、処分された川崎市職員の最多不正額が8万円そこそこだったことを考えると、与党議員の金銭感覚がいかに庶民とかけ離れているかがわかる。
一連の問題で、これまで逮捕された自民党議員は池田佳隆議員ひとり。大野泰正議員が在宅起訴、谷川弥一議員が略式起訴され、谷川議員は議員辞職したものの、同じく数千万円以上の”裏金”が報じられている二階俊博議員、萩生田光一議員、山谷えり子議員らは、早くも逃げ切った雰囲気を出しているように見える。
意図的に不正を行ったと立証するための捜査は困難を極めるのであろうと理解しつつも、やるせなさが残る。正直者がバカを見るような世の中だという印象を与えているのは、間違いなく裏金疑惑の議員たちである。
「納めても納めても楽にならず……」確定申告する人たちの恨み節
ところで、2月16日から確定申告の受付が始まった。自営業やフリーランスはこの時期に、一年分の売り上げと経費を計算し、所得を申告しなければならない。税金額を確定するためである。
間違えれば修正申告が求められるし、売り上げの規模によっては税務調査の対象となる。ほとんどの善良な市民は、間違えて脱税の嫌疑をかけられたくないから申告には神経を使うし、税理士に申告作業を依頼する人もいる。税理士がいたとしても、経費の領収書や取引先からの支払い調書をまとめる作業はそれなりに手間であり、よっぽど事務や経理作業が好きな人でなければ、気の重い仕事であることは間違いない。
さらに、昨年にはフリーランスを泣かせるだけの制度として悪名高いインボイスが導入されている。
例年ストレスフルなこの時期に、今年はさらに「議員はいいよな、見逃してもらえて」という恨みつらみが乗っかってくる。
確定申告を行う納税者である筆者も、今年の申告は例年以上に気が重かった。「納めても納めても我が暮らし楽にならず、じっとニュースに見入る」といった具合である。せめて納得のいく使われ方をしてくれているのであればまだしも、「万博トイレ2億円報道」などを見てため息をつく毎日である。
岸田首相は2月16日の確定申告初日に「それぞれの納税者の皆様方に法令にのっとり、適切に申告・納税を行っていただくようお願いを申し上げたい」と発言したが、これが報道されるとSNSでは当然ながら批判が噴出した。どの口で、という話である。
2月20日付東京新聞や同日付のテレ朝ニュースなど、庶民の不満を伝える報道も続いている。
2月21日には鈴木俊一財務相が「国民が不安や怒りを持っていると感じている」「労務省で担当職員が大変苦労しているのは申し訳ない」と言及する事態に。
SNS上では「#確定申告ボイコット」のハッシュタグも生まれた。
記憶に残りにくい過去の不祥事 次の選挙までに絶対に忘れない
しかしおそらく、自民党議員への抗議の気持ちで実際に確定申告をボイコットする人も、確定申告窓口でクレームを言う人も少数派であろう。
確定申告をボイコットして痛い目に遭うのは結局自分であるし、直接関係のない役所の窓口担当者で鬱憤を晴らしても、担当者に対する迷惑行為を処理されるだけで、政治家には届かないと容易に推測できるからだ。
庶民にできるのは淡々と確定申告作業を進めることだけなのかと思うと、無力感に苛まれてしまう。
唯一の希望は、岸田内閣と自民党の支持率が下がり続けていることだろうか。
上記の調査では、裏金問題の「不記載議員」が国会の政治倫理審査会で説明するべきかどうかについての質問に、89.0%が「説明するべき」と回答している。
先述した「自民党裏金リスト」サイトでは、トップに「なかなか忘れられがちな過去の不祥事。思い出せるように一覧にまとめました。選挙の時などお役立ていただければ幸いです」という説明がある。
庶民ばかりが税金を厳しく取り立てられるように感じて仕方ないこの状況を、周囲の人と愚痴ることも必要だ。人と話すことによって、人は忘れづらくなるからだ。次の選挙まで忘れないようにしよう。それを誓うばかりである。
●松野前官房長官の《二枚舌》…“居酒屋チェーン推し”で庶民派アピールも裏金で高額グルメ三昧 2/23
2023年度の確定申告が15日からスタートしているが、全国の税務署には《ふざけんな!》《裏金議員から税金を徴収しろ》など抗議が殺到し、業務に支障をきたしているという。自民党の派閥パーティーの裏金問題で国民の怒りが沸点に達する中、安倍派5人衆の一人、松野博一前官房長官(61)のブログがSNSで話題になっている。
安倍派、二階派の議員らへの聞き取り調査によると、85人の議員にキックバックされたパーティー券のノルマ超過分の総額は、おととしまでの5年間で5億7949万円にのぼることが判明。「裏金を使った」と答えた53人は、会合や懇親費用、車両購入や旅費などに充てたとしている。中でも、政治資金規正法違反の罪で東京地検特捜部に略式起訴された谷川弥一前衆院議員(82)が「飲食など政治活動に使った」と話しているように、その多くは「飲食代」に消えたと見られている。
そんな中、《哀愁が漂っていてイイ!》《文才がすごい》《泣ける》と絶賛されているのが、2018年からの5年間で、派閥からキックバックされた1051万円を政治資金収支報告書に記載せず裏金化していた松野氏のブログだ。松野氏は「政治家はどこで酒を飲むのか」という見出しで、次のように言及している。
居酒屋チェーンの常連アピールも、イタリアンに33万円など高額飲食が発覚
《映画やテレビドラマの影響で、「政治家が飲むところ=料亭」というのがお決まりとなっている。しかし、実際のところ「料亭に行ったことがありますか」と聞かれれば、「ある。でも、ほとんど無い」という答えになる》
松野氏は、料亭にほとんど行ったことがない理由について、「今の政治家は余裕がない」「料亭自体が潰れて、残っていない」というほかに、《居酒屋チェーンの流行が個室型になり、充分プライバシーが保たれる上に、とっても安い。回転が良いからビールが新鮮で美味い》からとしている。
料亭の代わりに個室型の居酒屋チェーンを“ヘビロテ”しているという松野氏は、《「毎晩芸者衆をあげて、料亭で夜通し宴会をやっている」と言うテレビドラマのイメージとは、残念ながら真逆の「規則正しい早起き鳥」生活》を送っているという。現在のお気に入りは、《今僕はどんなところで飲んでいるかというと、お気に入りの場所がある。仕事で多勢の方と会い、家に帰る。冷蔵庫から缶ビールを取り出す》ことで、《うちにあるビールはカロリーオフの発泡酒しかないけど》とブログを締めくくっている。
だが、松野氏の資金管理団体は、イタリア料理店に約38万円、焼き肉店に約22万円など、3年で計約593万円を計上するなど、政治資金収支報告書を訂正。裏金による高額飲食の常態化が発覚。さらに、松野氏は昨年12月、裏金問題発覚から官房長官更迭までの約2週間に、4660万円の内閣官房機密費(報償費)を自身に支出していたことが「しんぶん赤旗」に報じられている。
松野氏のブログには意外な庶民ぶりが軽妙洒脱な文体で綴られ、評判を呼んでいただけに、《この二枚舌!》《庶民派アピールした途端にこれか!》という批判の声があがっている。
●宮沢議員どうした? 率先して裏金キックバック認めた“介錯おじさん”沈黙 2/23
「派閥に残り安倍派を介錯する」──あの威勢の良さはどこへやらだ。先月、自民党本部で開かれた「政治刷新本部」で、所属する安倍派の自主解散を主張。冒頭の時代がかった表現で大ミエを切った“令和の介錯おじさん”こと、宮沢博行衆院議員の近況がさみしい。
宮沢氏といえば党内の誰もが裏金に口をつぐんでいた昨年12月、率先してキックバックを認め、派閥から政治資金収支報告書に記載しないよう指示があったと報道陣に説明。「はっきり申し上げます。『しゃべるな、しゃべるな』これですよ」と派閥の箝口令も暴露して一躍、名をはせたものだ。
その際、「多くの仲間も早く説明して、身の潔白を証明したいと思っていると推測する」と語っていただけに、衆院の政治倫理審査会は「身の潔白」を証明する絶好のチャンスだ。当然、自ら進んで出るのかと思いきや、朝日新聞が政倫審出席の意向を問うたアンケートには未回答。改めて宮沢事務所に聞くと「党本部から正式な連絡が来ていない。本人は連絡が来てから対応を検討したいと考えている」とのこと。
あの威勢のよさはどこへ…
宮沢氏本人の携帯電話を鳴らしても一向に出る気配ナシ。手にした裏金は5年間で132万円。突出した額ではないのに、止めどなくあふれ出ていた活力は消え失せ、すっかりダンマリを決め込んでいる様子だ。あの爆弾発言は単なるパフォーマンスだったのか。それとも安倍派の解散で「介錯」がかなったと思い込み、放心しているのか。どうした? 介錯おじさん!
「宮沢議員は2012年初当選の安倍チルドレン。地元・静岡3区では常に立憲の小山展弘議員と接戦を演じ、決して選挙に強くない。4選を果たした前回21年は比例復活です。スタンドプレーで顔と名前を売ったのも選挙のためだったのでしょうが、泥舟だった安倍派には逆らえても、公認権を握る党本部を敵に回すわけにはいかない。ただでさえ、次の選挙は逆風予想の中、下手すると裏金議員は皆、公認を外されかねませんからね。だから、沈黙せざるを得ないのです」(政界関係者)
地元関係者には「独特の行動原理の持ち主で、周囲をア然とさせることも、しばしば。とにかく変わった人」と評判の介錯おじさんだが、意外と分かりやすい人なのかも知れない。
●「信頼を著しく損ねた」自民党の裏金問題 安倍派の塩谷立座長が地元支援者に説明会 政治倫理審査会出席へ=浜松 2/23
自民党の裏金問題をめぐり、安倍派の塩谷立座長が自らの裏金問題について地元・浜松市で支援者に対して説明会を開きました。
Q.きょうは何を説明する予定でしょうか?
塩谷立 衆議院議員「…」
自民党・安倍派の座長、塩谷衆議院議員をめぐっては、派閥の政治資金パーティーのキックバック234万円分を収支報告書に記載していなかったことは明らかになっています。
塩谷立 衆議院議員「信頼を著しく損ねたことに対して心から深くお詫び申し上げる次第でございます。本当に申し訳ございませんでした」
2月23日、塩谷座長は地元・浜松市内で支援者に向けて裏金問題などに関する説明会を開きました。
自民党の裏金問題をめぐっては、与野党は議員の政治的責任などを審査する衆議院の政治倫理審査会を開くことで大筋合意していて、塩谷座長ら安倍派幹部5人が出席する予定です。
●戦闘機の輸出 平和国家の信用揺らぐ 2/23
殺傷能力のある兵器の輸出は、戦前の反省を踏まえ、平和国家として歩んできた日本への信用を揺るがしかねない。国民的議論も抜きに、期限を切って拙速に結論を出すことなど許されない。
武器輸出緩和に向けた自民、公明両党の協議が再開された。焦点は、日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を念頭に、国際共同開発した武器を日本が直接、第三国に輸出することを認めるかどうかだ。
岸田政権は昨年末、自公の提言を受ける形で、「防衛装備移転三原則」と運用指針を改定し、限定的ながら、殺傷兵器の輸出に道を開いた。
地対空ミサイル「パトリオット」など、日本企業が許可を得て生産した武器をライセンス元の国に輸出可能としたほか、「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の5類型について、一定の殺傷兵器を搭載しての輸出を認めた。
さらに、戦闘機という殺傷能力の高い兵器にまで対象を拡大するなら、国際紛争を助長する武器の輸出国にはならないという原則の一層の空洞化は避けられない。
次期戦闘機の共同開発は一昨年末に発表され、昨年末には、事業を管理する国際機関を設立する条約に3カ国が署名した。日本にとっては航空自衛隊のF2戦闘機の後継になり、2035年の配備をめざしている。
共同開発を決めた時点では、日本は完成品を第三国に輸出しない前提だったとされるが、自民党側は、日本からの輸出がなければ販路が限られ、全体の生産計画に支障が出るほか、開発体制などをめぐる交渉で日本が不利になるなどと主張している。
政府は3月から作業分担などに関する話し合いが本格化するため、月内に結論を出すよう求めている。公明党の山口那津男代表は「政府の方針が国民には届いていない」と述べた。わずか1週間で理解が得られるはずはないのだから、はやる自民党を抑える役割を果たすべきだ。
今回の戦闘機に限って認める案も浮上しているという。しかし、一度道を開けば、他の共同開発品、さらには日本の単独開発品と、なし崩しに広がっていく恐れは否定できない。ここで立ち止まり、平和主義の原点に戻るべきだ。
一昨年末の安保3文書の改定を受けた武器輸出の緩和は、与党の限られた議員による非公開の協議で進んでいる。国民に長年、受け入れられてきた原則を、国会など開かれた場での議論も経ずに変えるのは、民主主義のあり方としても見過ごせない。
●《裏金問題で揺れる政治とカネ》「政党交付金」総額約310億円、国民1人250円負担の公金に自民党は単年収入の6割依存 2/23
自民党の裏金事件をきっかけとして、政治とカネの問題に国民から厳しい視線が注がれています。その関連でスポットが当たっているのが国庫から各政党に毎年支払われる「政党交付金」です。直近の2022年は総額315億3700万円に上りました。巨額の政党交付金は、何に使われているのでしょうか。なぜ、政党に公金を与えることになったのでしょうか。やさしく解説します。
全国民が1人250円を政党に与えている
政党交付金とは、政党助成法に基づいて各政党に毎年交付されるお金のことを指します(政党助成金と呼ぶこともあります)。各党へは年4回に分けて交付されますが、1年間の総額は近年、310億円余りでほぼ一定しています。
年によって総額が大きく変動するわけではありません。政党助成法の規定によって、総額は人口と250円を掛け算して出すと決まっているからです。算式は次のようになります。
250円 × 126,146,099人(2020年国勢調査人口)=31,536,525,000円
人口は直近の国勢調査による「総人口」を使います。つまり、幼児から高齢者までのすべての人の数に250円を乗じて算出するわけです。支持政党なしであっても絶対に賛同しない政党が交付対象になっていても、全国民が1人250円を政党に与えているとも言えます。
各党への分配額は国会議員の数などに応じて決められています。では、各党の受取金額はどの程度でしょうか。下の表で2022年の数字を見てみましょう。一番多いのは、自由民主党の159億8200万円、最も少ないのは同年の参院選から国政政党となった参政党の7700万円です。
一方、日本共産党はゼロ。同党はこれまで一度も政党交付金を受け取ったことがありません。その理由について共産党は「政党交付金は国民の税金の“山分け”であり、支持していない政党にも献金することを事実上強制するもの。国民には政党を支持する自由も支持しない自由もある。政党助成の仕組みは憲法が定める『思想及び信条の自由』を踏みにじっている」と説明しています。
カネにまつわるスキャンダル多発
政党助成法の成立は、1993年に発足した細川護熙政権の時代にまで遡ります。その直前まで戦後長く政権を維持していた自民党からは、カネにまつわるスキャンダルが続出。リクルート事件や巨額の脱税事件で有力議員が相次いで逮捕・起訴される事態となり、国民の怒りも頂点に達します。そうした背景には常に「企業のカネ」の問題が横たわっていました。自民党の「金権政治」「金権選挙」の大元は企業のカネであるとの認識が政界にも国民の間にも広がっていたのです。
自民党とカネに対する批判が強まったことで、政界では政治改革が最大の焦点になります。同時に新生党や新党さきがけといった政党が新たに誕生。総選挙の結果、自民党は40年近く握り続けていた政権を手放すことになりました。そして誕生したのが、非自民・非共産の8党連立政権です。首相には日本新党のリーダーだった細川氏が選出されました。
細川政権を誕生させたのは、金権腐敗政治に対する国民の怒りでした。このため、細川政権は政治改革4法を1994年に成立させ、政治の仕組みを抜本から変えようとしました。柱となったのは、選挙制度と政治資金の改革です。
選挙制度改革では小選挙区の導入が柱でした。1つの選挙区で複数の候補者が当選する衆院の中選挙区制を廃止し、1つの選挙区で1人しか当選しない小選挙区を軸とする小選挙区比例代表並立制を採用したのです。これによって、選挙にかかるお金が少なくなり、二大政党制が進むと説明されていました。
「企業のカネ」を絞る一方、公金制度つくる
もう1つの柱が政治資金の改革です。1970年代〜80年代に噴出した自民党のスキャンダルのほとんどがカネをめぐるものだったことから、政治資金規正法を改正し、企業や団体(労働組合など)からの献金に厳しい制約を課すことにしました。政党や政党支部などに献金する道は残したものの、腐敗の温床とされた政治家個人への企業・団体献金を禁止したのです。
そのとき、同時に成立したのが政党助成法です。その目的は何だったのでしょうか。総務省の「政党助成制度のあらまし」は次のように説明しています。
「議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、選挙制度および政治資金制度の改革と軌を一にして創設された、国が政党に対する助成を行うことにより、政党の政治活動の健全な発達を促進し、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とした」
1994年当時を振り返ると、各界の意見や世論調査の結果は企業団体献金の全面禁止を求めていたことが見えてきます。
しかし、企業のカネが政党・政党支部に流れる道筋は残りました。そのうえで、企業・団体献金の蛇口を絞るだけでは政党が財政難に陥って健全な政治活動ができなくなる恐れがあるとして、公金を政党に注ぎ込む仕組みも作ったのです。企業のカネを受け取る道も残し、公金を受ける制度もつくり、そしてその仕組は現在に引き継がれました。
政党交付金、自民党に159億円
では、政党交付金はどのように使われているのでしょうか。
政党交付金を受け取った政党は年1回、総務省に使途報告書を提出しなければならず、総務省は毎年秋に各党分を公表しています。直近の2022年分を見ると、各党を合わせた支出総額は341億2500万円でした。そのうち、秘書の人件費や事務所費などに充てる経常経費は158億4900万円(46%)、宣伝事業や調査研究、機関誌発行などに充てる政治活動費は183億500万円(54%)となっています。
ところで、当たり前の話ですが、各党は政党交付金だけで運営されているのではありません。機関誌発行などによる事業収入や個人からの献金も収入源です。国庫からの政党交付金に献金や事業収入などが加わり、一体となって総収入を構成しているのです。
例えば、最も新しい自民党の政治資金収支報告書によると、2022年の総収入は464億5000万円に達しています。ただ、前年からの繰り越し金が200億円を越しており、これを除く2022年のみの収入は約248億円5700万円でした。
このうち159億8200万円が政党交付金なのです。単年収入に占める割合は6割を超えています。もはや、公金の支えなしには活動できない状況にあると言っても過言ではありません。
「政策活動費」の最終的な使途は非開示
一方、自民党の裏金事件をきっかけにして、「政策活動費」と呼ばれる資金にも注目が集まっています。これは、政党が所属議員に渡す政治資金で、支出する政党側には収支報告書に記載する義務がありますが、受け取った所属議員は公開の義務がありません。このため、各議員に渡った先でその資金が何に使われているのか、外からは全くわからないのです。
2022年の収支報告書によると、自民党は党幹部15人に総額14億1640万円の政策活動費を渡しました。内訳は茂木敏充幹事長に9億7105万円、渡辺博道経理局長に1億3250万円などとなっていますが、議員が何に使ったかは不明のままです。
政党側は、使途をすべて明らかにすれば、逆に政治活動の自由を縛ることになるなどと説明しています。そして政策活動費を党幹部らに配るのは自民党に限ったことでもありません。
しかし、政党交付金として巨額の公金を受け取る政党が、その最終的な使途を明らかにしない現状に納税者は納得できるでしょうか。
●政倫審に5人出席、「裏金事件」に幕引き狙う自民 二階、萩生田両氏は自民の「線引き」で除外 2/23
召集から1カ月を目前に、政治改革国会は2024年度予算案の衆院通過をにらんだ与野党攻防が大きなヤマ場を迎えた。巨額裏金事件の真相解明に向け、与野党は当面、衆参両院の政治倫理審査会での関係議員の「説明」に焦点を絞り、人選や公開の是非など具体的運営をめぐってつばぜり合いを展開している。
そうした中、衆院では22日に自民党内の調整を踏まえて、安倍、二階両派の事務総長経験者5氏が政倫審出席を「申し出」たことで、事態は大きく進展。野党側も「一定の前進」と受け止め、週明けの26日以降の政倫審開催と衆院予算委の日程協議を本格化させた。
その結果、22日昼までに126日に衆院予算委集中審議228・29日に政倫審開催329日に予算委中央公聴会――という日程が固まった。自民党はこれを前提に3月1日の予算委締めくくり質疑・採決を経ての予算案衆院通過で、同予算の年度内成立確定を目指す。これが実現すれば裏金事件の国会での解明作業は「事実上の幕引き」となる可能性も出てくる。
立憲、「予算人質」批判と維新と自民の連携を恐れ譲歩
もちろん立憲民主などは「政倫審はあくまで事件解明の第1歩。内容次第で参考人招致や証人喚問につながる」とする一方、自民の「線引き」で除外された二階俊博元幹事長や萩生田光一前政調会長ら「巨額不記載議員」の政倫審出席や、安倍派の「裏金システム」を主導したとされる森喜朗元首相の国会参考人招致などを要求する構えだ。
ただ、立憲も「予算の年度内成立を阻止すれば、能登半島地震の救済措置も遅れて、国民の批判を受ける」との判断から、とりあえず自民提案を受け入れた格好だ。その裏側で、日本維新の会が自民党と連携する構えをみせるなど、野党陣営の足並みの乱れも攻防の構図を変質、複雑化させたのも事実だ。
このため、今後の立憲などの裏金事件での政権追及は、「国民世論の行方次第の“風任せ”という状態」(共産党幹部)になるとの厳しい見方も出始めている。
一方、衆院での攻防と同時進行の形で参院でも政倫審開催をめぐる与野党協議が進行。21日には立憲、維新、共産、国民民主の野党4党が、参院政治倫理審査会の野村哲郎会長(自民)に政倫審の開催を申し立てた。参院政倫審は衆院の動きも踏まえつつ、来週中に与野党の幹事懇談会を開き、出席者の調整などを進める方針だ。
参院の野党各党は、自民の聞き取り調査の対象となった安倍、二階両派の参院議員31人と、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で在宅起訴され、自民を離党した大野泰正参院議員の出席を要求。これも踏まえ、自民の世耕弘成・前参院幹事長は21日、参院政倫審に出席する意向を表明するとともに「政倫審での審査が可決された場合には、出席して説明責任を果たす」とのコメントも発表した。
そもそも、参院での政倫審開催は過去に例がないが、幹事会の構成から衆院と違って野党の「申し立て」も可能だ。このため、予算案の衆院通過後は参院での政倫審などでの与野党攻防が、裏金事件解明のための主舞台になる可能性も出てきた。
事務総長経験者5氏の出席で野党軟化
一連の動きを振り返ると、衆院政倫審開催を巡り、自民党はまず安倍、二階両派の事務総長経験者でもある塩谷立元文科相、武田良太元総務相の出席を提案したが、野党側は「話にならない」と猛反発。与党内からも「ありえない提案」(自民若手)などの批判が出たため、自民は改めて21日、松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業相、高木毅前国会対策委員長の事務総長経験者3氏が出席の意向であることを野党側に伝えた。
これに対し、立憲民主、維新、共産、国民民主の4野党は同日開いた国対委員長会談で「是とする」(安住淳・立憲国対委員長)ことを確認。直ちに自民との間で政倫審開催に向けた具体案の協議に入ったが、その中で予算の年度内成立を最重要課題とする自民は、それを確定するため3月2日までの予算案衆院通過を狙って、対野党調整を進めた。
その際、野党側は、審議日程を「人質」にして政倫審開催や出席議員の調整を迫ってきた方針を転換。遠藤敬・維新国対委員長は21日の会談後、政倫審の日程が確定した場合は、予算案採決の前提となる衆院予算委員会中央公聴会などに関し「与野党合意のもとで進められる」との柔軟姿勢を示した。
これを受けて与党側は127日と28日に各省庁の政策課題などを審議する分科会開催229日に中央公聴会開催――との日程を新たに提案。野党側は、政治倫理審査会の開催確定を条件としつつ、柔軟に対応する姿勢をにじませた。
「分科会先行」の奇策で年度内成立狙う自民
そもそも、中央公聴会は分科会の前に開かれるのが慣例で、衆院事務局によると分科会のあとの開催は1958年度予算の審議以来とされる。これについて自民国対幹部は「与野党が実質的に合意している予算の年度内成立のための奇策」と苦笑交じりで振り返った。
もちろん、来週開催される衆院政倫審で、出席者が国民の理解も得られる「説明」ができるかどうかは極めて不透明だ。当然、内容次第で野党側が反発し、その後の日程協議が暗礁に乗り上げる可能性もあり得る。与党寄りの姿勢を示してきた維新の遠藤国対委員長も「国民の理解が得られないということになれば、もう一段(追及の)レベルが上がっていく」と強硬姿勢に転ずる可能性も示唆してる。
予算案は憲法の規定で、3月2日までに衆院を通過すれば、参院で採決されなくても送付後30日で自然成立する。ただ、野党側は「自然成立確定は野党の敗北で、それだけは阻止したい」(立憲幹部)としており、自民内にも「強引に事を進めると、国民の批判が拡大しかねない」(自民長老)との不安は拭えない。
このため、自民内には「参院での審議加速を条件に、3月4日の衆院通過ということで野党に花を持たせるほうが無難」(自民国対)との声も出始めている。仮に、当初予算案が自然成立の「保険」なしの日程で衆院通過となれば、安倍政権時代の2015年以来9年ぶりとなる。
岸田政権、株価史上最高値更新が“追い風”になるか…
そうした中、国会攻防を横目に、22日の東京株式市場の日経平均株価が、史上最高値を更新して終了した。終値は前日比836円52銭高の3万9098円68銭と、バブル経済ピークの1989年12月29日の大納会に記録した最高値(3万8915円87銭)を34年2カ月ぶりに更新した。
これは、支持率低迷から脱出できない岸田政権にとって、「待望久しいグッドニュース」(官邸筋)だ。これからヤマ場を迎える春闘での賃上げも「中小企業も含めて近年の最高レベルとなることは間違いない」(有力経済アナリスト)とみられており、国会での与野党攻防が与党主導での展開になれば、「岸田首相の求心力が回復、国会会期末の衆院解散断行も視野に入ってくる」(官邸筋)ことも想定される。
●岸田首相と統一教会の「隠された関係」が発覚! 証拠写真も…「教祖夫妻が写った冊子を手に笑顔で記念撮影」 2/23
政権発足から2年以上がたつ。そして改めて思う。岸田文雄首相(66)とは一体何者なのだろうか――。旧統一教会との関係を否定してきた首相に関する新たな証拠写真を本誌(「週刊新潮」)は入手。そこから浮かび上がってきたのは、保身に走るわが国のトップの「空虚さ」だった。
昨年12月、岸田文雄首相が自民党政調会長時代の2019年に、党本部で元米下院議長ニュート・ギングリッチ氏と面会した際に旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関連団体である「UPF(天宙平和連合)ジャパン」のトップ、梶栗正義議長や米国の元教団幹部らが同席していたことを「朝日新聞」が写真付きで報じた。
ギングリッチ氏は、この面会をセットしたのはUPFジャパンだったと証言。岸田氏が面会相手を「旧統一教会の人間」と認識して党本部で迎えたのは誰の目にも明らかに思えるが、岸田首相はこんな釈明をした。
「ギングリッチ氏と会ったが、大勢の同行者にどなたがいたかは承知していない」
そして、動かぬ証拠の写真があるにもかかわらずこう強弁した。
「写真があったとしても私の認識は変わっていない」
なぜ苦しい言い逃れを? 
岸田首相はそれまで「旧統一教会との関係はありません」と説明していた。また自民党総裁として、教団との関係性の調査を党所属議員に指示し、関係が確認された議員に対しては「説明責任を果たすべきだ」と述べてきた張本人でもある。自身と教団および関連団体との“接点”を認めることは今さら格好がつかないと考えたのかもしれない。
とはいえ、事実が釈明の通りならば、「教団関係者と会ったのは初めてで、深い関係ではない」とだけ説明すれば「終了」となる話だ。岸田首相は一体何を恐れて、苦しい言い逃れをしたのだろうか――。
「教団とズブズブ」の証しとされた冊子
16年12月、東京都内で催されたある政治集会で撮影された一枚の写真。当時、外務大臣だった岸田氏が、米連邦議会議事堂の写真が表紙に使われた「ILC2016」という英字の冊子を手に掲げて、にこやかな笑みを浮かべている。
ILCとは「International Leadership Conference(国際指導者会議)」の略称で、旧統一教会の関連イベントである。22年10月、山際大志郎経済再生担当大臣(当時)が教団との関係を追及されて事実上更迭されたが、その一因となったのがこのILCへの参加だった。
なぜ「教団との関係はない」はずの岸田首相が、「教団とズブズブ」の証しとされたILCの冊子を手にして笑っているのか。
「岸田さんも冊子をめくって目を通していた」
岸田首相にILCの冊子を渡したのは教団関連団体幹部のX氏。関係者によれば、X氏と岸田首相が初めて会ったのは15年7月のある政治集会。外務大臣の岸田氏はX氏と名刺交換をした上で外交や国際情勢に関して意見交換を行い、握手を交わして記念撮影もした。
それから1年5カ月後、都内の政治集会で岸田氏と再会を果たしたX氏はILCの冊子を手渡して、この国際イベントの意義について熱弁を振るった。二人のやりとりを近くで見ていた人物は言う。
「XさんがILCの概要を説明している間、岸田さんも冊子をめくって目を通していました。ひと通り話が終わるとXさんは、“日本でもこのような国際的なイベントが開催できるように外務大臣としてお力添えをお願いします”と頭を下げた。すると、岸田さんも“そうですね”とうなずいて、一緒に冊子を手に写真撮影をしていました」
「知らなかった」で済ませられるのか
ここで重要なポイントは、岸田首相がこのILCを「旧統一教会関連イベント」と認識していたかどうかだ。本誌は2月15日号で、林芳正(よしまさ)官房長官と盛山正仁(まさひと)文科相の、教団との関係を示す証拠の会合写真を掲載したが、両閣僚はともに「教団関係者とは知らなかった」と苦しい弁明をした。岸田首相も同じ弁明でやり過ごそうとするのだとしたら、果たしてそれは通るだろうか。なぜなら、写真撮影の前、岸田氏が手に取り目を通した冊子には「ILC SPONSORS」の筆頭にUPFが挙げられ、さらには「UPF Founders」として、旧統一教会の教祖・文鮮明氏と、その妻である“マザームーン”こと韓鶴子総裁のツーショット写真が大きく掲載され、二人の「お言葉」も紹介されていたからだ。
「旧統一教会系」であることが一目瞭然の冊子に目を通し“力添え”の要請に応諾。さらにILCの広報活動にも利用されるであろう写真撮影にまで応じる。ここまでの対応をしておきながら、「教団関係者とは知らなかった」で済ませることはできまい。
“お父さんより優秀”と信者同士で話していた
では、なぜ岸田首相は、X氏が「旧統一教会関係者」であることは明らかなのに“陳情”に笑顔で応えたのか。その謎を解く鍵は、岸田首相の地元である広島県にあった。
広島に「翔雄会」という岸田首相の後援組織がある。「政治一族・岸田家」を支える地元企業・団体から成る組織だ。実はその中に、旧統一教会関連団体「平和大使協議会」の幹部Q氏が名を連ねていた。
Q氏とのつながりもあって、広島の旧統一教会信者たちは選挙のたび、岸田首相や自民党県連が推す候補者を応援し続けてきたという。このことを「岸田家としても把握していなかったはずはない」として現役信者が語る。
「今から10年以上前、まだ大学生だった翔太郎さんが翔雄会メンバーの企業・団体のあいさつ回りをする中で、教会施設も訪問して“父をよろしくお願いします”と私たちにあいさつにきてお話をしたことがあります。首相秘書官だった時は、首相公邸で宴会をしたとかたたかれていたけれど、好青年で有権者の気持ちもよく分かっている感じで、“お父さんよりも優秀だね”なんて信者同士で話をしていたのを覚えています」
「岸田家によっては“友好団体”のひとつ
しかも旧統一教会信者による岸田家支援は、「翔雄会」がはじまりではない。文鮮明氏の提唱によって創設された国際勝共連合の機関紙「思想新聞」がそれを物語っている。1986年1月1日付の新年を祝うページで、ずらりと並んだ国会議員の「名刺広告」の中に「衆議院議員 岸田文武」の名もある。「岸田文武」とは文雄氏の実父。広島の古参自民党員はこう述べる。
「国際勝共連合は創設時から岸信介氏と協力関係にあり、自民党を支援。それに加えて、文武さんが初出馬した79年は勝共連合が『スパイ防止法制定促進国民会議』を立ち上げた年で、共産主義国の脅威を想定したスパイ防止法制定に賛同する自民党議員は、各地で統一教会の支援を受けていた。文武さんもそうで、その時代から特別に深い関係ではないにしても、岸田家にとっては“友好団体”のひとつだったといえるでしょうね」
「周囲が困惑するほど強引な説明で押し通そうとする」
文武氏を起点とする「岸田3代」の半世紀におよぶ教団との“接点”。こうした経緯を踏まえれば、岸田首相が文鮮明氏と韓鶴子氏の写真が掲載された冊子を掲げ、拒絶することなく“無邪気”に笑顔で記念撮影に応じたのも合点がいく。
岸田事務所に事実関係について尋ねたところ、
「9年前の日程を確認することはできませんでした。名刺交換や写真撮影などし、会話をしたとしても、旧統一教会と関係があったとはいえないと考えます」
として、ILCの冊子を手に取った上で教団関係者と気付かなかったのかという問いには答えなかった。また、旧統一教会信者による選挙支援や翔太郎氏の行動についてはこう回答した。
「選挙の際の詳細については記録もないので確認できません」
さらに、X、Q両氏に教団関連団体等を通じて取材を申し込んだが本誌の質問に答えることはなかった。宏池会関係者が重い口を開く。
「ギングリッチ氏らとの面会報道への対応が分かりやすい例ですが、岸田さんは旧統一教会に関する話になると、疚(やま)しいことでもあるのか、周囲が困惑するほど“強引な説明”で押し通そうとする傾向がある。その最たるものが、教団への解散命令請求を巡る対応です」
専門家は解散命令請求に疑義も
23年10月13日、政府は旧統一教会への宗教法人法に基づく解散命令を東京地裁に請求したが、安倍晋三元首相銃撃事件を機に改めて沸き起こった教団に対する国民的な厳しい声とは裏腹に、法律や宗教の専門家からは請求について疑義を呈する声も上がっていた。解散命令請求の要件とされる「刑事罰」が旧統一教会には科せられておらず、元信者らとの間で起きた民事訴訟で不法行為が認定されているだけだったからだ。条文では「法令に違反」した法人が対象だとあるが、例えば、元宗教法人審議会委員の櫻井圀郎・元東京基督教大学教授はこう指摘している。
「旧統一教会の献金集めには問題があると思うが、民法の不法行為なのか、犯罪行為なのかの違いは大きい。(中略)教団と元信者との間の金銭的な問題に、所轄庁による請求として宗教法人の解散を求めることには疑問が残る」(23年10月13日付産経新聞大阪朝刊)
「解散命令請求を出したくないがために…」
実は当初、政府も同様に判断していた。議論が進められていた22年10月14日には、「憲法の定める信教の自由の趣旨を踏まえれば、所轄庁の関与は抑制的であるべきで、請求は十分慎重に判断すべきだ」との閣議決定がなされ、18日には岸田首相も「民法の不法行為、これは(解散命令請求の要件に)入らないという解釈であります」と国会で答弁している。
だが、その翌日に事態は動く。立憲民主党の小西洋之議員が国会で、「昨日と認識は変わらないのか」と追及すると、岸田首相は24時間前の答弁を撤回、急に「結論から申し上げますと、(要件に)民法も含まれるという判断であります」と言い出したのだ。この首相による「朝令暮改」の内幕を証言するのは、岸田首相に国会で質問をした当人の小西議員だ。
「岸田政権は、解散命令請求を行うには刑事罰を受けている宗教法人でなければダメだというスタンスを取っていました。しかし、東京高裁のオウム真理教に対する解散命令の決定文には、『刑法“等”に違反し、著しく公共の福祉を害する宗教法人が対象である』旨が記されています。ここに民法の不法行為が含まれるのは当然です。要は、岸田政権は旧統一教会への解散命令請求を出したくないがために、法解釈を捻じ曲げていたのです」
「法治国家で絶対にやってはいけないこと」
小西議員が続ける。
「そこで、私が国会で質問する前日(22年10月18日)、首相秘書官の下の担当官に『政府はメチャクチャな法解釈を行っている。法解釈を改めないと“岸田首相は旧統一教会の守護神なのか”と追及しますよ。そう言われたくなければ、要件に民法の不法行為は含まれないという法解釈を撤回してください』と伝えました。すると、その日の夜に『撤回します』という連絡が担当官から来たんです」
解散命令請求への道筋のひとつを作った格好の小西議員だが、その彼もこうあきれる。
「岸田首相は、自民党と深い関係にある旧統一教会への解散命令請求を出したくないという思いを持つ一方で、“旧統一教会の守護神”などと言われて政権が追い込まれるのを避けなければという焦燥も覚えていた。そこで岸田首相なりにそろばんをはじき、1日で法解釈をひっくり返して政権へのダメージを回避する選択をした。そこには、“それまでの内閣の法解釈を貫く”、あるいは“旧統一教会の問題を徹底的に解決する”、いずれの信念も存在しません。結局、岸田首相は風向きを見て政治的な態度を決めた。これは法治国家では絶対にやってはいけないことです。情けなさを感じます」
岸田首相の「動機」は? 
ここで問われているのは、解散命令請求を巡る是非ではない。請求が是ならば、その決断に至る岸田首相の「動機」は何だったのか、ということである。
「1日での豹変」について、岸田事務所はこのように回答した。
「18日は、過去の東京高裁決定の内容についてのお尋ねに対して、これまでの考え方を説明したものであり、19日には、関係省庁が協議する中にあって、宗教法人について解散命令請求を検討するに当たっては、個別の事案に応じて判断していくことを整理したものです」
岸田首相にインタビューした経験のある政治ジャーナリストはこう分析する。
「岸田首相の性格を考えると、動機は“保身”の一言に尽きるでしょう。岸田首相が恐れたのは、解散命令請求を出さずにマスコミなどから総攻撃を受けることです。そこで自身に矛先が向かい、教団との“接点”が出たら完全にアウトだったでしょうからね」
自身の「延命」のため
それを裏付けるかのような文化庁職員の声が報じられている。宗教法人審議会委員の中には、先に触れた閣議決定と同様に、解散命令請求に疑問を持つ人々がいた。そこで文化庁の担当者らは委員を個別訪問して説明した上で、審議会でこう訴えたという。
「(教団に何もしなければ)内閣が飛んでしまう」(23年10月13日付産経新聞)
この言葉からは、解散命令請求が霊感商法の被害者のためでもなく、宗教2世のためでもなく、岸田首相自身の「延命」のためであったことが伝わってくる。
これまで岸田首相は自らの延命の邪魔になるものを次々と「消去」してきた。裏金問題が発覚すると旧安倍派(清和会)の閣僚を次々と「追放」し、問題が旧岸田派(宏池会)にまで波及してきたと見るや派閥そのものを「解散」させ、自身に火の粉が及ばないようにした。そしていま、教団との“接点”という自らの過去を闇に葬り去ろうと……。
岸田内閣の支持率は過去最低を更新し続けている。
●支持率が“史上最低”を更新も、低すぎて「鈍感慣れ」大増税して退陣へ 2/23
毎日新聞が2月17、18日に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は、前回調査(1月27、28日実施)より7ポイント減の14%と2カ月ぶりに下落した。これは、岸田政権発足以来最低の支持率だ。このような低すぎる支持率が続くと、政治的なエネルギーが削がれ、世論を顧みずに“やりたいことをやろう”という雰囲気を作り出してしまう。これまでもバラマキやムダな補助金問題で世論を賑わせた岸田政権だが、このやりたい放題化した中で何をしでかすのだろうか。
下がり続ける支持率が生む政権の「空気」
能登半島地震から2カ月を待たずに、内閣支持率は(NHK調査も含めて)下落し始めた。
筆者は、かつて支持率の低空飛行を続けていた菅直人政権が、東日本大震災の発災から3カ月程度の短い期間で、わずかながら持ち直した経緯を踏まえて、岸田内閣の支持率はもう少し上向くのかと予測をしていた。しかし、岸田首相をみる国民の目は甘くはないようだ。
毎日新聞が公表した支持率14%は、自民党が下野する直前の2009年の麻生太郎政権以来の低い水準であり、不支持率82%を記録したのは、毎日新聞が世論調査で内閣支持率の質問を開始した1947年7月以来、初めてだという。
この岸田政権に史上最低支持率を更新されてしまった麻生政権で、官房長官秘書官をしていた河村建一氏(現在は日本維新の会に所属、東京6区から出馬する模様)は、支持率が超低空飛行を続ける政権の「空気」をこう述べている。
「最新の世論調査で内閣支持率が16.9%となり、発足以来の過去最低を更新。私が麻生内閣の官房長官秘書官の当時、世論調査(たしかNNN)では一桁台まで下がったことがありました。あの時の官邸内は、重くどんよりとした空気が漂っていましたが、内閣支持率が低過ぎて、逆に世論調査には鈍感になり慣れてしまいました。良くないことですが、岸田総理の周辺もそれと同じような感覚かもしれません。麻生内閣は結果的に『追い込まれ解散』になり、総選挙で自民党は大敗し民主党に政権を明け渡すことになりました」(2月16日、河村氏によるXへの投稿)
支持率で変わる“政治的エネルギー”とは
この投稿で指摘されたことは、誠に不思議な現象である。「内閣支持率が低過ぎて、逆に世論調査には鈍感になり慣れてしまいました」なのだという。通常、支持率が高ければ、政治的にリスクが高く、世論受けの悪い法案(たとえば、安倍政権における安保法案や消費税増税)を通す政治的なエネルギーがあるとされる。
逆に、支持率が低いとポピュリズムと呼ばれるようなバラマキをしたり、とにかく世論受けを狙ったりするものだ。
しかし、支持率が低すぎると、また違った雰囲気になるようだ。何をやったところで、世論調査はどうせ低いに決まってるのだから、世論受けなど狙わずに、嫌われてもいいからやりたいことをやろうというわけだ。
これは、先に触れた菅直人政権で起きたことだが、支持率が低く、退陣を表明した後「消費税の増税方針」を決定した。
退陣会見でも「社会保障と財政の持続可能性を確保することはいかなる政権でも避けて通ることができない課題であり、最小不幸社会を実現する基盤でもあります。諸外国の例を見てもこの問題をこれ以上先送りにすることはできません。難しい課題ですが、国民の皆さまにご理解をいただき、与野党で協力して実現してほしい。切に願っております」などと念を押している。
ここで、政策というものを、ザクっと考えてみたい。
「やりたい放題化」の岸田政権が突き進む先
まず、国民にとって税金を上げるか、下げるかというと、税金を上げるほうが当然不人気で、税金を下げることは、人気取りと言われることが多い。
また、政府の支出を増やすか、減らすかというカテゴリーでは、支出を増やすことは政府のサービスを増やすことになり、政府の支出を減らすことは国民へのサービスを減らすことになり、こちらも不人気政策である。
政治家が世論を気にしなくていいという立場に置かれたときに、実行できる政策は、増税と政府支出の削減の2つがあるはずである。どちらも政府の債務を減らす政策であるが、増税は経済成長を止めてしまうことがわかっている。
国民負担率(国民の所得に占める税金や社会保険料の負担の割合)が1%増えると、潜在成長率がマイナス0.11%となり、さらには家庭の可処分所得も大幅に下がることがエコノミストの調査(T.Nagahama,2023)によって明らかになっており、またほかの先進国と比較して日本の負担率は突出して上昇率が高い。
同じような調査が2000年に日銀が実施しているが、ほぼ同じ結果であった。簡単に言えば、国民負担が高くなれば、経済成長はできなくなり、国民負担が減れば経済成長ができる。それだけのことである。
しかし、日本では、なぜか特にやりたいことがそもそもないような不人気宰相は「増税」に走ってしまうのだから困ったものだ。岸田首相も「税金」「税」という名称がつくものについては、税率を引き上げていないが、今般「子育て支援金」なる税金を新設することを閣議決定した。
子育て支援金が税金ではないと強弁する人もいるようが、たとえば、日本銀行(情報サービス局)のWebサイト「知るぽると」によれば、「税金(tax)とは国や地方公共団体が、その必要な経費をまかなうため国民から強制的に徴収する金銭。租税ともいう」と書いてある。やはり税金と断じるほかない。
どうせ不人気政策を実施するなら、日本中にばら撒かれるムダな補助金をバッサリとなくしてほしいものだが、岸田首相は増税路線を突き進んでいっている。増税をすることが世の中のためになると信じて疑わないのだろう。ファクトはその逆であるのに。
支持率が極端に低くなれば、河村氏の推測どおりに、さらにその傾向に拍車がかかることになる。9月の自民党総裁選で引きずり下ろされるのは確実視されているが、それまでの半年を、支持率が低すぎてやりたい放題化した岸田首相が何をしでかすのか、恐怖ですらある。
日本ために国民が“やめるべきこと”
バラマキをやめさせる、という問題。これは、裏金の汚職問題と同じ病根だと感じていることを最後に指摘させてもらいたい。この問題については、ケンブリッジ大学の研究『政治腐敗の罠』(Political Corruption Traps、2016年)を紹介したほうが早いだろう。
この研究では、「政治の腐敗は、まったく公共の利益になっていない。そして、公共の利益になっていないとみんなが認識しているのに、それぞれの立場が、自分の影響力を高めようとすることで、腐敗が増えていくこと」が明らかになっている。
筆者の知人にも立派な政治家はたくさんいるし、報道で面白いことを言っているなあと感心する政治家もたくさんいる。しかし、どんな政治家も腐敗していくのは、現在の国会だけではなく、日本の有史以来、そして世界中でも同じことだ。
政治家というのは汚れた職業なのである。政治家は、特に優秀な人間であればあるほど、高いポジションを求めて、または選挙区での優位を築くために、政治活動を続けている。永田町で子分を集め、選挙民の歓心を買い続けるのに、清廉潔白でいられるほうが難しいだろう。
政治家が汚れていくのは仕方がないとしても、その原資となるバラマキや補助金を減らしていくことが、悪事を根絶やしにするために必要なことだ。
まとめると、倫理的にも、日本の経済成長のためにも、一般国民がバラマキ政策を続ける政党や政権を支持するのはやめたほうが良いということだ。
●株高、賃上げに追い風期待 政権浮揚効果は不透明 政府 2/23
東京株式市場の日経平均株価が22日、史上最高値を更新し、政府は「経済活性化に向け好材料だ」(高官)などと歓迎している。
内閣支持率に好転の兆しがない中、政権にとっては数少ない明るい材料。岸田文雄首相が目指す「物価高を上回る賃上げ」への追い風になると期待の声が上がる一方、政権浮揚効果には懐疑的な見方も出ている。
首相は22日夜、自身の経済政策を列挙した上で「日本経済が動きだしている。国内外の市場関係者が評価してくれていることは心強いし力強さを感じる」と強調。デフレ脱却に向け「官民の取り組みを加速させたい」とも語った。首相官邸で記者団の取材に応じた。
政府関係者も株高を受け「個人資産が増えれば消費は伸びる。企業にとっても、株価が低い時に賃上げするより良いだろう」と述べ、賃上げへの波及に期待感を示した。官邸幹部は「配当だけではなく賃上げにつなげたい。千載一遇のチャンスだ」と強調した。
株高の要因について、首相と距離を置く自民党四役経験者は「円安で海外からの投資が集まっているだけだ」と冷ややかだが、「経済最優先」を掲げ1月に新NISA(少額投資非課税制度)を導入した政権にとって、格好のアピールポイントであるのは間違いない。
しかし、株高が支持率回復に寄与するかは不透明だ。先週株価が史上最高値に迫った後の世論調査でも支持率は低迷。好調だった株価が高支持率の一因とされた安倍政権の再現にはほど遠い状況だ。自民関係者は「給料上昇につながるかもしれないが、政権の成果とは思われないだろう」と指摘した。
自民内には、株高がこのまま続けば、首相は衆院解散に踏み切るのではないかとの観測も出ている。同党若手は「首相は定額減税やボーナスが重なる6月を狙っているだろう」との見方を示す。
閣僚の一人は「この株価なのに支持率が低迷しているのは不思議だ」と嘆息。ただ、政府関係者が「もう少し評価されてもいいのだが」とこぼすように、自民党派閥の裏金事件の影響は深刻で支持率が上向く気配はない。
●過去最低の支持率14%!「#確定申告ボイコット」「“裏金”政倫審は出席者わずか5人」「旧統一教会の逆襲」で三重苦…それでも“意外と元気”な岸田首相が企む起死回生の一手とは? 2/23
各社の世論調査で、14%(毎日新聞)、24%(読売新聞)、21%(朝日新聞)と、軒並み過去最低の支持率を記録している岸田政権。2月16日から始まった確定申告をめぐっては、裏金問題への不信感からSNS上で「#確定申告ボイコット」のハッシュタグが拡散。政治倫理審査会への出席を表明した議員が安倍派や二階派の一部にとどまっていることにも、批判の声が高まっている。さらに、盛山正仁文科相の旧統一教会との接点も次々と判明。それでも「意外と元気」な首相の起死回生の一手とは・・・・・?
「確定申告ボイコット」の嵐。不支持率80%超えは1947年以来初
「確定申告ボイコット」
そんなハッシュタグがSNS上で拡散したのは、確定申告が始まった2月16日前後。その直前の14日の衆院予算委員会では岸田文雄首相が「法令にのっとり適切に申告、納税を行うようお願いしたい」と述べたことで、ネット上では「自分たちは裏金をつくって、その分を納税していなかったのに、国民にだけ納税をさせるのか」と反発が強まった。
「私は会社勤めの傍ら、自分でも事業をしているので、e-Taxで確定申告をしましたが、入力した値が1円でもずれていると先に進めなかったりして、1日がかりでしたよ。裏金の使い道を『不明』で済ませている議員に怒りがわいてきました」(確定申告をすませた30代男性)
この前後に実施された報道各社の世論調査では、軒並み10%台〜22%前半と、岸田政権発足以来の最低支持率を記録。とくに毎日新聞では不支持率が80%を超えており、これは毎日新聞が世論調査で内閣支持率を質問し始めた1947年7月以来、初だという。
そしてこの間、国民の怒りを買ってきたのが、裏金問題が取りざたされた議員について審査する政治倫理審査会への出席をめぐる自民党の対応だ。
野党側は、衆院政倫審では51人、参院政倫審では32人の出席を求めたが、これまでに出席の意向が示されたのは、安倍派の西村康稔・前経産相や高木毅・前国会対策委員長、二階派で事務総長を務めた武田良太氏など一部のみ。
2018〜2022年の政治資金収支報告書の不記載額が2728万円にのぼった萩生田光一・前政調会長や、不記載額が3526万円の二階俊博元幹事長らは、現時点で出席しない見込みだ。
「表向きは、本人が出席する意向を示した場合のみ出席ということになっていますが、党執行部が『事務総長を務めていた人』などの基準で線引き。当初、出席に難色を示していた高木氏も直近まで事務総長を務めていたことから、しぶしぶ出席することになりました。若手の中には、『政倫審に出席して堂々と説明したい』という議員もいますが、あまりに多くの議員が出席すると、何を言い出すかわからないリスクもあります。検察審査会で今後、安倍派幹部らへの不起訴処分が妥当だったかの審査が見込まれる中、余計な発言で足元をすくわれることは避けたい自民党は、弁護士も交え、政倫審で何を話すか入念に準備しています」(全国紙政治部記者)
「次は誰が旧統一教会のターゲットになるか」戦々恐々の自民
一方、自民党執行部の「線引き」に救われたのか、何事もなかったかのように日常に戻っている裏金議員もいる。一連の裏金問題で最高額となる5154万円の虚偽記載をしたとして在宅起訴された大野泰正参院議員は、地元の会合にノコノコ顔を出しているという。
「辞職もせず、離党だけという身の処し方に、地元はあきれています。呼ばれているわけでもないのに、地元の会合にはノコノコと顔を出す一方で、出席を求められた政倫審には出席せず、ほとぼりが冷めるのを待っているんでしょうか」(地元関係者)
安倍派や二階派だけでなく、岸田首相の足元でも問題は山積みだ。衆院予算委員会では、盛山正仁文科相が旧統一教会側から推薦状を受け取ったことなどを野党から連日追及され、20日には不信任決議案が採決。否決されたが、一連の質疑では盛山氏の答弁の不安定さが明るみに出た。
「岸田派の盛山氏は、当選5回で初入閣。入閣前までは、国会運営の調整にあたる衆院議院運営委員会の与党筆頭理事を務めていた『入閣待機組』だっただけに、旧統一教会との接点を正直に申告して入閣が見送られる事態は避けたかったのでしょうか。今回、自身が追及される事態について『(教団側が)ゆさぶりをかけてきている』と発言したことも、開き直りのように聞こえて余計でした」(全国紙政治部記者)
ただ、教団側の「ゆさぶり」には自民党も心穏やかではないようだ。
「今回、旧統一教会側が盛山氏に推薦状を渡したことなどを朝日新聞が報じたのは、旧統一教会の関係者が朝日新聞に、証拠となる写真や資料を提供したからだとみられています。自民党の中には、旧統一教会との関係を正直に申告していない議員もまだいると言われています。『次は誰がターゲットになって関係を暴露されるか』と、戦々恐々としている議員は少なくないはずです」(自民党関係者)
それでも「意外と元気」な岸田首相の起死回生の一手は…
国民の確定申告ボイコット、政倫審をめぐる対応、旧統一教会問題・・・・・・。いわば「三重苦」の首相だが、「支持率低下を気にする様子もなく、意外と元気」(自民党関係者)だという。
それは今秋の総裁選での再選に向けて、着々と解散戦略を描いているからかもしれない。永田町では今、6月の通常国会会期末に合わせた解散のほか、4月の3補選に合わせた解散もささやかれている。
「島根1区は細田博之・前衆院議長の弔い選挙ですが、細田氏は晩年に旧統一教会との関係や、セクハラ疑惑が持ち上がっていたことから、楽な戦いではありません。立憲の女性候補も元職で知名度はあります。東京15区は柿沢未途・前衆院議員の『政治とカネ』問題による辞職に伴う補選。ここでは維新の女性候補が落選も経験しながら長らく地元で辻立ちの活動を続けており、自民にとっては手ごわい相手となるでしょう。長崎3区は裏金問題をめぐって谷川弥一・前衆院議員が辞職したことに伴う補選ですが、こちらも東京15区と同様、第一関門の候補者選定が難航しています。下手したら『全敗』もあり得ますが、首相としてはここで解散に打って出ることで、3補選での苦戦をカモフラージュすることはできます」(全国紙政治部記者)
自民党議員からは「これだけ支持率が低迷するなら、昨年の広島サミットの直後に解散しておけば……」との恨み節も漏れるが、首相にとっては、解散カードを温存したことが吉と出るか凶と出るか…。
●立民・泉代表 万博は「なぜもっと被災地に寄り添わないのか」「理解や親しみはどんどん低下していく」 2/23
立憲民主党の泉健太代表(49)が22日、国会内での定例会見で、2025年の大阪・関西万博について「岸田政権なのか万博協会なのか…なぜもっと被災地に寄り添わないのかと思う」と批判した。
万博をめぐっては、能登半島地震の復興の妨げになるとして、中止や延期を求める声もある。万博会場に設置される40カ所のトイレのうち、2カ所の整備費用がそれぞれ約2億円かかることも明らかになった。
泉氏は「人はひとりだし、資材はひとつ。両方で同じ量の資材を同時に使うことはできないわけですから、全く影響がないわけがない」と指摘。「万博そのものを止めない、一定の万博にしなければいけないのだとすれば、なおのこと。いかに寄り添うのか、というプランなりを万博協会は出したのか。全然僕は聞かない」と疑問視した。
「万博に対する理解ですとか、親しみっていうのは、むしろどんどん低下していくんじゃないですか、ということを申し上げたい」と進言した。
これまで、会場のシンボルとなる大屋根(リング)は360度必要ないのでは、などと訴えてきた泉氏は「トイレのために2億円っていうのが、何で2億円なのか。いろいろ言われてますけど、コストダウンなり、能登半島につながるという姿勢を見せるのかはやっぱり問われている」と結んだ。
●上川外相、北朝鮮との「対話の道は開かれている」 日米韓外相会合で 2/23
主要20カ国・地域(G20)外相会合のためブラジルを訪問中の上川陽子外相は22日(日本時間23日)、米国のブリンケン国務長官、韓国の趙兌烈(チョテヨル)外相と会談し、北朝鮮や中国への対応などをめぐり協議した。
会談は約1時間行われた。日本外務省によると、上川氏はミサイル開発を続ける北朝鮮の挑発的な軍事行動に深刻な懸念を表明。一方で「同時に、緊張緩和に向けて対話の道は開かれている」とも言及した。拉致問題に関する米韓からの支持に謝意も述べた。
3者は、日米韓の連携を引き続き重層的に進めていくことで一致した。中国をめぐっては、「台湾海峡の平和と安定が重要」との認識を確認。中東情勢については、上川氏から「ガザ地区のラファにおけるイスラエルの軍事行動は、民間人の安全に甚大な影響を及ぼしかねない」として懸念を表明した。
●岸田政権は企業の脱中国支援せよ 外国の対中直接投資は81%減 横暴な習政権もいまだ「日中友好」に縛られる政財界 2/23
中国の国家外貨管理局発表の国際収支統計によれば、昨年1年間の外国の対中直接投資は前年に比べ約4・7兆円、81・7%も減った。「中国経済衰退」の言説を封じ、不都合な情報を隠すか粉飾するケースが習近平政権で横行しているが、国際収支だけは国際通貨基金(IMF)のガイドラインに従う必要があるので、ごまかすわけにはいかなかったのだろう。
日本分については未公表だが、日本の対中直接投資は財務省や日銀統計から拾い出せる。グラフがそれである。見ると、投資の回収は年々増加し、昨年は7703億円に上った。投資の回収には中国からの引き揚げ、撤退も含まれる。投資実行額から回収を差し引いたネット(正味)の対中投資は21年の約6割、7976億円減り、22年比では約25%、1794億円減だ。世界全体の対中投資激減ほどではないが、日本企業の中国離れはかつてなく強い。
気がかりなのは、政財界のいずれも、依然として「日中友好」路線に縛られ、横暴極まりない習政権に毅然(きぜん)とした対応をとらないことだ。日中経済協会と経団連、日本商工会議所の代表団が1月下旬、訪中したが、相方は経済政策の専門家集団の国家発展改革委員会の劉蘇社副主任であり、政治的影響力は期待できない。経団連の十倉雅和会長と劉氏は互いに型通りの「日中協力」の必要性を述べ合った。進藤孝生日本製鉄会長は中国当局に拘束されたままのアステラス製薬の駐在員問題などを念頭に、中国のインターネット安全法や反スパイ法の運用が透明性を欠いていると批判したというが、改革委員会レベルでまともな返答ができるはずはない。
不動産バブル崩壊は依然として底が見えず、金融不安が続発し始めている。昨夏に表面化したノンバンク最大手の中植企業集団や傘下の中融国際信託の信託商品の巨額焦げ付き問題は緩和のメドも立っていない。習政権の対策は情報の隠蔽と公安当局による脅しである。投資家の問い合わせに対し、金融管理当局は「調査継続中」を繰り返すのみである。
各地の公安警察の刑事は、損害を受けている投資家が中植や中融に抗議に出向こうとすれば、深夜早朝を問わず投資家の自宅にやってきて「拘束」をほのめかす毎日だ。公安警察はすでにこれら投資家の個人情報を把握し、SNSなどを通じて投資家どうしが相互連絡できないように仕組んでいる。中国から逃げ出しているのは外資ばかりではない。中国の中間層以上は資産を海外に移そうとし、情報技術(IT)などの高度人材や企業家は中国ではなく、海外での働き口や起業を追い求めている。従って、中国からはカネが流出する一方である。拙近著「中国経済衰退の真実」(産経新聞出版刊)で詳述しているように、外貨が入らなくなれば中国金融は行き詰まる。
岸田文雄政権はこの機に乗じて日本企業の脱中国を支援し、習政権に断固とした態度で臨むべきなのだ。
●能登半島地震、初動対応に問題も 防災研究の第一人者は「発災からこれまで」と「これから」をどう見るか 2/23
初動対応の在り方が問われた―。神戸大名誉教授で石川県の災害危機管理アドバイザーの室崎益輝さん(79)(防災計画)は、元日の能登半島地震直後の国や県の対応を問題視する。阪神大震災や東日本大震災などの教訓が生かされなかった部分も多いと指摘。地震から1カ月以上がたち、防災研究の第一人者は発災からこれまでをどう見ていたのか、復興に向けた提言や今後起こり得る災害への備えを含め聞いた。
阪神大震災の10倍以上、被害推定と実態の乖離
マグニチュード7・6という能登半島地震の規模の報に触れた際、1995年の阪神淡路大震災の10倍以上、「とんでもないことが起きている」と瞬時に感じました。直下型の地震では過去にない規模にもかかわらず、現地からの情報がすぐには入らず初期の段階では国や行政が被害を軽く見てしまったのではないかと思います。災害が起きた際に一番重要なのは現地の被害の情報を迅速、的確に把握し、被害に見合った救助などの態勢を組み立てることです。
被災の状況を軽く見たことは、国が発災後にもっとも軽い「特定災害対策本部」を設置したことにあらわれています。当日の夜に詳しい情報が上がってくるにつれ「非常災害対策本部」に切り替えられました。今回は直後の推定と実態がかけ離れていたと思います。これまでの情報把握や共有システムの限界が示されました。
初動のスイッチを現場からの被害報告で入れるのではなく、人工衛星やヘリなど空からの映像で入れることや、地震の規模で瞬時に切り替えるようにしなければいけません。直後の情報把握と初動態勢の在り方を見直す必要があります。
「道路が壊れていたからできなかった」では済まされない
発災直後、自衛隊や消防がヘリを出しています。建物が倒れていることには気付いていたはずです。建物が倒壊していれば下で何人も生き埋めになっていることは予想がつきますが、分析する力がありませんでした。
地震の後、道路が壊れているという情報がすぐにわかれば救助部隊や車両の出し方は変わります。直後の情報把握にミスがあり、被災者が待っているところに必要な救助隊が来ませんでした。
道路が壊れている場所に救助隊を出しすぎると「道路が渋滞する」「大きい車が通れない」などの問題は生じます。しかし、「道路が壊れていたからできなかった」では済まされません。半島という地理的特性や孤立集落が発生する地形の特性を考え、道路警戒車や救助工作車の事前配備など初動計画の見直しが必要です。
ボランティア禁止で届かない細かい支援
発災から5日後に被災地に入りました。国や石川県が出したボランティアの立ち入りを禁止する呼びかけで、研究者も現地に入れないような雰囲気でした。避難所や輪島の火災現場を調査しましたが、ここでも初動の遅れが気になりました。
物資が十分に届いていない避難所や看護師などのケアのスタッフがいない避難所もありました。ボランティアを規制したことで細かい支援が行き届かなかったのだと感じています。本来は物資と同時に人も大量に投入しなければいけません。
SNS上ではボランティアに行く人が悪者のようにされていました。被災地には困っている人がいます。被災地に迷惑をかけない知識を持ち、トイレや食事などを自ら補える「自己完結型」のボランティアはどんどん入るべきでした。それなのに国、県、ボランティア組織までもが「ボランティアには行かないで」というメッセージを出してしまいました。意志のある人も世間の意見に左右されてしまった。禁止というメッセージだけでなく、「心得をわきまえ、安全対策を講じて参加するように」など提示の仕方を考えるべきでした。
石川県がボランティアセンターを設置しましたが、1万人を超える一般の応募に対し、実際に活動できているのは限られた人数です。今は、七尾市などは電車でも行けます。私たちが被災地に行った際に、手を握るだけで涙を流す被災者がたくさんいました。みんな助けを求めています。
災害に対して不心得なボランティアが増えてしまうと「信頼できないから来ないで」となってしまいます。ボランティアの在り方が厳しく問われています。
住民の合意形成を優先的に
仮設住宅の建設や入居も阪神大震災の時に比べて遅れていますが、復興に向けて、地域住民の合意形成を図るなど注意しなければならないことがあります。
阪神大震災では、仮設住宅の入居を抽選にし、高齢者や障害者などを優先しました。その結果、コミュニティーはつぶれました。行政は住民がどこにいるのかを追えなくなり、高齢者の孤独にもつながりました。
新潟県中越地震では避難指示が出た旧山古志村(現・長岡市)が村長を含め村ごと長岡市に避難しました。行政機能も避難先に設けて、約3年後には7割が村に帰還しています。
能登に残りたいという人の気持ちは最大限尊重しなければいけませんが、確実に帰還できるビジョンを示し、安全確保と復興事業を優先して、被災地外でコミュニティーのなかで暮らす必要も考えなければなりません。
復興には地元の産業も欠かせません。能登半島の場合は輪島塗や漁業、農業などですが、産業ごと避難先に移すこともできるはずです。過去の例も踏まえ、経験を持った人を交えて、すぐに復興に向けて議論を始めなくてはいけません。
国もただお金を出すだけではだめで、被災地のニーズを把握し、被災者に寄り添った支援をしていく必要があります。合意形成に基づいた復興構想の策定を急がねばなりません。
地域防災計画の見直しを
私は阪神大震災前、神戸市の被害想定の策定に携わりました。震度5強で作った想定に対し、実際に神戸を襲ったのは震度7でした。「あなたがしっかりしていれば家族は死ななかった」という言葉もいただきました。
2010年からは石川県の被害想定策定にも関わっていますが、取りまとめを目の前にした中で今回の地震が起きました。これまで最大予測はマグニチュード7・0でした。国の断層評価の結果を待ってからと受け身になっていましたが、2007年の能登半島の地震を契機にすぐに見直すべきでした。もっと早くしていれば今回の被害は少しは抑えられたかもしれません。阪神大震災からまったく成長していないと反省しています。
しかし、被害想定はあくまでも想定です。今回の地震を被害想定の問題だけに矮小化してはいけません。「自分たちの地域は想定ができているから大丈夫」ということになりかねないからです。
石川県の防災計画では段ボールベッドや備蓄について記載されていましたが、徹底されていない避難所もありました。想定を踏まえた上で防災計画をしっかり見直し、実行していくことが必要です。防災計画の見直しは全国共通の課題です。
石川県の災害危機管理アドバイザーとして、石川県内の自治体職員への研修もしてきました。しかし今回の地震で避難所運営などに全く生かされていない場面や、引き継がれていない現状を目の当たりにしました。詰めが非常に甘かったと反省しています。現場でしっかり実行されているかを確認し、行政としっかり向き合うべきでした。
悲観的に想定し、楽観的に準備する
今後、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震が起きると予測されます。誰しもが「すぐには起こらない」「自分は大丈夫」という考えを持っています。明日起きるかもしれないという緊迫感をどう持ち続けるか、人間が持つ弱さをどう理解するかが重要です。住宅の耐震はどうか、備蓄は十分か。日ごろの備えで被害は軽減できます。「悲観的に想定し、楽観的に準備せよ」です。
今回の地震で国や行政、私も含め「こうだったからできなかった」と言い訳をするのではなく「これからはこうしていく」と示さなければいけません。
災害が起きるごとに後悔ばかりがきます。でも起きたことを悔やむのではなく、もっと良い能登をつくっていくことがわれわれの使命です。これまで災害復興に失敗した例は世界中を見てもほとんどありません。人間にははね返す力があります。そこに人間がいる限り、人間は努力するからです。復興のためには全国の人々の力が求められています。
●子育て支援金「1000円超」わずか2週間で倍増 「賃上げで負担なし」政府説明に疑問の声 2/23
加藤鮎子こども政策担当大臣は、少子化対策の支援金の徴収額について月1000円を超える可能性があると答弁しました。当初500円弱とされた一人あたりの負担が半月あまりで倍増しています。
国会で言及 子育て支援金「1000円超も」
加藤鮎子こども政策担当大臣「1000円以上の負担があり得るかに関しましては、その被用者の方ですとか、加入者の方々の支払い能力ですとか、所得に応じて変わってきますので可能性としてはあり得ると思います」
立憲民主党 石川香織衆院議員「1000円を超える可能性を認めたともう一度確認させて下さい」
加藤大臣「支援金の拠出が1000円を超える方がいる可能性はあり得ると思います」
22日の国会で、飛び出した驚きの発言。岸田政権の看板政策“異次元の少子化対策”の支援金制度についてです。
児童手当や育休取得の促進などに充てるため、医療保険料に上乗せする形で1兆円を国民から徴収するというものです。
加藤大臣が“1000円を超える”可能性に言及したのは、1人あたりの月の負担額に関するものでした。
粗い試算で“500円弱”が、わずか2週間で…
SNSのトレンドに入るほど注目を浴びた背景は、さかのぼること2週間前。
岸田文雄総理大臣「粗い試算として申し上げれば、支援金の総額を1兆円と想定する2028年度の拠出額は、加入者1人あたり月平均500円弱になると見込まれています」
立憲民主党 早稲田夕季衆院議員「500円弱になったということでよろしいですか」
岸田総理「粗い試算として今申し上げました。月平均1人あたり500円弱という見込みを申し上げております」
わずか2週間前には、500円弱という金額にこだわっていた岸田総理。当時から、1人あたりの負担が500円にとどまらないのではないかと指摘されていました。
早稲田議員「社会保険の種類、所得別でどのくらいになるのか、どのくらいの負担をする目安になるのかと、500円ではなくて」
岸田総理「加入する医療保険制度や所得に応じて異なるという点はおっしゃる通りだと思いますが、粗い計算として500円弱という月額を申し上げさせていただきました」
岸田総理がこだわった平均して1人あたり月500円弱としていた試算が、わずか2週間で、1000円を超す可能性もあると説明しました。
夫婦の場合、年間の負担は2万4000円を上回る可能性が出てきます。
こうした説明に専門家は次のように話します。
関東学院大学 経済学部 島澤諭教授「総理がおっしゃる通り粗い試算でしたから、議論の出発点としてはもう少し現実味に近い金額を説明する必要があったかなと。計算しようと思えばすぐに計算できるはずですから、私たちが法案を評価するために必要な情報は出し惜しんではいけないと思います」
「賃上げで負担なし」も…街の人の声は
街の人からは次のような声が聞かれました。
会社員(60代)「500円ってどこから計算したんですかね。子どものお小遣いじゃないですけど、500円が倍の1000円。どういうふうな計算をして出したのか」
会社員(30代)「(負担の説明が変わったことに)ちょっと驚くんですけど、もう少し分かりやすく国民に周知したうえで実施をしてもらわないと」
会社経営(40代)「収入に応じてって形ですよね。社会がよくなるなら徴収してもいいんじゃないかな。それが見えないってところで不満が出ちゃっているのかな」
会社員(20代)「(少子化対策として)1000円だと多くないと一般的に感じると思うけど、あとから500円追加だよ、増税みたいになってしまうと良くないのかなと思いますね」
政府は、賃上げなどによって、実質的な負担が生じないようにすると説明していますが、島澤教授は次のように話します。
島澤教授「(医療保険料に上乗せることで)負担は増えているわけですし、所得が上がったからいいじゃないかっていうわけですけど。所得を何に使うかは、所得を稼いだ私たちの側に決定権があるので、政府が勝手に“所得が増えたから負担してもいいよね”って話にはならないんじゃないかなと」
●麻生副総裁と菅前首相密談の中身=uポスト岸田」にらみ動き出したか? 歩みも異なる2人が「共通項」探し 2/23
自民党の麻生太郎副総裁と、菅義偉前首相が22日夜、東京都内の日本料理店で会食したことが憶測を呼んでいる。岸田文雄政権を支える「主流派」の麻生氏だが、首相が「派閥解散」を打ち出したことで関係が悪化しているとみる向きもある。一方、「非主流派」の菅氏だが、派閥解消の方向性は首相と同じだ。複雑な関係の2人が「ポスト岸田」をにらんで動き出したのか。
ともに首相経験者の麻生氏と菅氏は、派閥のパーティー収入不記載事件を受けて岸田首相が立ち上げた党政治刷新本部で最高顧問を務める。
22日の会食では、党改革や今後の政権運営をめぐり、意見を交わしたというが、気になるのは方向性が異なる2人の会談の中身だ。
麻生氏は先月27日、福岡県飯塚市での国政報告会で、麻生派(志公会)を政策集団として存続させる意向を表明した。これに対し菅氏は同23日、「党として、方向性は一体であった方が国民から理解される」と述べ、派閥存続に否定的な見解を示した。
第2次安倍晋三政権当時、麻生氏は副総理、菅氏は官房長官を務めて内閣を支えたが、政治家一族出身の麻生氏と、「たたき上げ」の菅氏は歩みも異なる。
2人の密談≠どうみるか。
政治評論家の有馬晴海氏は「『天敵』とみられている両氏が会うことは、次期衆院選や、総裁選に向けて党が切羽詰まっている状況を示している。麻生氏は、岸田首相に副総裁にしてもらった恩もあり、岸田批判の急先鋒である菅氏にクギを刺したのではないか。一方、菅氏は首相を下ろされた恨みもある。敵方の様子見か、あわよくば『ポスト岸田』の提案が出ると考えて、麻生氏と会ったのではないか」と話す。
政治ジャーナリストの安積明子氏は「『ポスト岸田』を見据えた動きの可能性もある。主流派の麻生氏だが、離脱者が続出する茂木派と連携しても、多数派を得にくい状況で求心力の維持が難しい。『ポスト岸田』に麻生氏は上川陽子外相、菅氏は河野太郎デジタル相を推しているとの見方もあるが、方向性が違うなかでも共通項を見いだそうとしているのではないか」との見方を示した。 

 

●「何がしんどいですか?」栗山英樹氏の直球質問に岸田総理が異次元の回答 2/24
直近のメディアの世論調査で、岸田内閣の支持率が軒なみ過去最低を記録。昨年末から続く「パーティー券問題」に加え、裏金議員を政倫審に出席させることもできない指導者に国民の怒りは頂点に達している。ところが当の岸田首相は「支持率に一喜一憂しない」と、どこ吹く風だ。AsageiBIZは今年1月7日配信記事で、岸田氏の「聞かない力」を象徴するエピソードを伝えているが、ここでいま一度、WBC優勝監督に語ったという驚きの“リーダーの極意”を振り返っておきたい。

「栗山監督は仕事を選んでほしい」「同じリーダーでもえらい違いやな」といった意見がSNSに寄せられたのは1月1日。正午より放送されたラジオ番組「岸田文雄総理大臣・栗山英樹 新春対談」(ニッポン放送)を受けてのものだった。
対談の中で、侍ジャパン前監督の栗山英樹氏が「聞いていいかわからないですけど」と前置きして、「将来のために必ずこれが生きるから、種をまいていく。努力していく。我慢していることってありますよね」と述べて、勝負事ゆえに結果が伴わない時には“しんどさ”を感じると告白。そうした局面で、「何がいちばんしんどいですか?」「難しさとか苦しさとかってどういうとこですか?」と質問をぶつけた。
これに岸田総理は「政策を進めるうえで順番が重要」と述べ、こう回答した。
「ひとつひとつの現象、一時的な負担が増えるとか、一時的な手続きが面倒になるとか、そういった部分が批判されると全体が評価されないことがある。だからこそ全体をしっかり説明することが大事だと思いますし、政治も結果責任ですから、その政策が正しいかどうかは結果が出てみないと国民のみなさんに『正しかったな』と理解していただく、そこにたどり着けないわけですから結果を出すことが大事だということなんじゃないかと思っています」
その後、世論調査の結果については「謙虚に受け止める」としながらも、「一喜一憂してオタオタしてしまっては何のためにこの政策を決断したのかわからなくなってしまう」と述べて、早く結果が見えるよう努力していくと主張した。
こうしたやり取りに、SNSでは《何が苦しいか聞かれて結果責任?》《ん? 答えになってない?》《異次元の回答やな》《岸田総理の聞かない力が発動》といった反応が見られた。
「放送では、岸田総理は野球になぞらえて『最後は試合に勝つ。これが目的』と述べたうえで、政治についても『国民が喜んでくれる結果につながるかどうか』と語っていました。岸田総理が言う、“全体の結果”が何なのか。いまいち伝わらない放送内容となったこともあって、《岸田総理も栗山監督見習ってスパッと辞めればいい》《インボイスは一次的な負担じゃないぞ》と多くの批判が寄せられる結果に…。残念ながら、栗山前監督との対談が支持率回復の起爆剤になることはありませんでした」(政治ジャーナリスト)
岸田総理には、支持率低迷という結果を重く受け止めてほしいところだが…。
●「岸田さん聞く耳を…」国会で問題になった「電柱検査詐欺」 2/24
SAKISIRUが昨年4月にスクープした「電柱検査」詐欺疑惑が、国会質問に発展したことで事態は新たな展開を迎えた。
電柱検査は「全国非破壊検査協会連合会」などと名乗る3団体が、経産省が発注したとの虚偽の触れ込みで全国各地の工事業者に権利金を要求。22日の衆院予算委では、このグループで重要な役割を果たした疑いのある広島市のエネルギー関連会社会長のT氏が昨年まで、自民党岸田派(解散)に所属する石橋林太郎国交政務官(衆院比例中国)の後援会顧問を務めていたことが追及された。
これまで報道しているように、このグループでは、昨年夏頃まで石橋政務官の後援会顧問を長年務めていた、広島市のエネルギー関連会社会長のT氏が重要な役割を果たした疑いがあり、広島県警が詐欺容疑で捜査を続けている。
予算委では、石橋氏は追及した立民・大西健介氏から尋ねられてもいないのに「この件に巻き込まれて、その方(T氏)自身も困っているというお話がある」などと、T氏の分まで関与否定をしてみせたが、「石橋氏が本当のことを話しているようには思えない」と怒るのは、被害者の1人である広島県内の管工事会社の会長だ。
同社は昨年3月、T氏らを相手取り、約3500万円の損害賠償を求める民事訴訟を広島地裁に起こしており、被告のT氏らは全面的に争う姿勢で係争中だ。しかし訴状では被害者の会長に「儲け話がある」などと主導的な役割を果たしていたと主張しており、関与を否定する石橋氏の答弁と矛盾が浮き彫りになった。
他方、同社はすでに広島県警に対し、詐欺容疑で刑事告発をしており、県警は少なくとも昨夏までに数回、T氏の部下とみられる男性に事情聴取をしている。朝日新聞以外の大手メディアが報じない中、被害者である管工事会社の会長が23日、SAKISIRUの独占取材に応じた。
亀井静香氏“登場”で急展開
――SAKISIRUに続き、朝日新聞が大々的に報じました。しかも工事を発注した公益社団法人の登記簿によると、11月中旬、突然、あの亀井静香氏が名前を連ねていたことで驚きました。
会長「私も昨年暮れ、朝日新聞からの取材の際に亀井さんの名前を聞かされて天地がひっくり返るくらいの驚きでした。結局、朝日の取材に対して名前を使われたと述べたそうですね。亀井さんには気の毒ですが、ビッグネームが出たことで朝日の記者さんの特ダネをものにしようとする気合いがそれまでと段違いに感じられました。
またSAKISIRUさんのフライングの記事の影響もあってか、NHKや週刊文春など他の大手メディアも取材し始めたと聞いて、つい数か月前まで全く取り合ってもらえなかったのが一変しました。この間、地道に取材・報道をされてきたSAKISIRUさん、朝日新聞さんに感謝しております」
――訴状によると、石橋氏の顧問だったT氏が理事を務める公益社団法人「全国非破壊電柱検査協会」の関係者から「経済産業省から委託された事業」だとして電柱の非破壊検査事業を持ちかけられ、すっかり信じ込んでしまったそうですね。
会長「彼らの説明では、電柱、信号機、カーブミラー、ガードレールの支柱を非破壊検査し、請負業者に対しては国から支柱1本につき2万円が出て、そのうち6000円を社団法人に支払い、残り1万4000円が報酬になるとのことでした」
――それでブロックごとに独占で工事を請け負う「権利金」を騙し取られたわけですか。
会長「はい。島根と鳥取でそれぞれ300万円、広島県内の1ブロックを150万円。さらに彼らが推奨する検査機器の購入代金として約500万円を送金しました」
――この権利金が合わせて約1250万円。さらに受託した事業の実施にあたって雇った下請けの業者さんへの支払いも発生したと聞きます。
会長「2020年12月から翌年8月にかけ、2人の業者に計25回、合わせて2300万円を工事代金として支払いました。権利金と合わせて3550万円の損害になります。実は他にも必要経費等、数千万円の損害が出ていて、私としては心外なところもあるのですが、顧問弁護士と相談の上、勝訴できる可能性が高い額に絞って民事で提訴し、一昨年から並行して警察に何度も相談に行ってきました」
経産省が既に警告していた!
――騙されたと分かったのはいつなのでしょうか。
会長「2022年8月始めでした。検査を発注した協会に対し、何度督促してもお金が振り込まれないことから不審に思い、経産省に問い合わせたところ「電柱の非破壊検査を委託した事実はない」と説明がありました。
しかもその問い合わせた時点の1年以上前から、経産省は公式ページに「最近、『全国非破壊検査協会連合会』を名乗る組織が、国の事業として架空の電柱検査発注を持ちかけて入会金を要求しているとの問合せが複数寄せられておりますが、経済産業省との関わりは一切ございません」との警告文を出していたんですね。
私は解体工事や管工事が本業のアナログな人間ですから、インターネットを使うのはLINEで友人と連絡を取るくらい。もっと早くに気づいていればと悔やみました。経産省の担当者に、私の被害額が(訴訟以外も含めて)5000万円を超えると伝えると、『(その時点で)今まで聞いた被害額で最も多い』と驚かれました。私以外にも西日本各地で被害を訴える声が相次いでいたそうです」
――御社の経営も危機的だったと聞いています。
会長「コロナ前は利益が出ていたのが、この工事を請け負ったことで大損害。売上高が例年3000万円ほどの小さな会社なのにそれ以上の持ち出しを強いられて戻ってこないわけですから極めて厳しい状況です。私自身も経営責任をとってもう1年以上、会社から役員報酬はもらっておらず、貯金はすっかりなくなってしまいました」
石橋氏に「知っていること話して」
――そもそもの話ですが、工事を発注した「全国非破壊電柱検査協会」の関係者との接点、特に石橋氏の顧問を長年務めていたエネルギー会社会長だったT氏とは昔からの付き合いだったのでしょうか。
会長「私は30年来、自民党の党員で、この10年は特別党員でもあります。広島選出だった元衆院議員の後援会長を務めたこともあり、政治的な付き合いが多く、広島県内のある市長(当時)にT氏を紹介されました。T氏は当時県議だった石橋林太郎氏の後援会顧問の名刺(写真)を持っており信用してしまいました」
――予算委でも取り上げられていましたが、こちらの取材では、T氏は、石橋氏とは先年亡くなった元県議の父親の代からの後援者であり、石橋事務所も認めています。会長は石橋氏本人とは面識があったのでしょうか。
会長「面識はありませんが、石橋氏が党員集めに苦労していたと聞き、T氏を通じて100人ほどを党員希望者として紹介したことはあります。私も自民党員なので党勢拡大には尽力したかったので。
ただ、T氏から4年前に“儲け話”として非破壊の電柱検査の話を持ちかけられました。広島市内にあるT氏のオフィスに案内されたこともあります。T氏は全国非破壊電柱検査協会の『中国四国統括本部長』の肩書を持ち、オフィスで説明会をよく実施していました」
――そうなると、予算委で石橋氏がT氏が「巻き込まれた」などと他人事のように話しているのとは矛盾しますね。
会長「全く事実に反します。巻き込まれたような人間が自分の会社にわざわざ連れて行って誘うものでしょうか」
――石橋事務所はT氏についてSAKISIRUの以前の取材に対し、「ご指摘の方がどのようなビジネスをされているのかについては全く聞いておりませんし、『全国非破壊検査協会連合会』という団体もご質問を受けるまで存じ上げませんでした」と回答しました。石橋氏に言いたいことはありますか。
会長「父親の代からの熱心な支援者で、事務所の事情も熟知しているT氏の本業を知らないなんて通用するのでしょうか。
仮に今回の事案を把握していなかったとしても、長年の後援者が、経産省の名前を使って複数の人たちから多額のお金を騙し取った疑いを持たれている以上は、政治家として道義的責任はあるのではないですか。ましてや石橋氏は、岸田総理の派閥が解散するまで所属し、地盤も総理のお隣なのだから、いま逆風の政権に迷惑をかけてしまうでしょう」
岸田首相に言いたいこと
――会長ご自身も自民党の熱心な党員でかつては選挙もよく手伝ったそうですね。同じ広島で岸田首相とのお付き合いは?
会長「私自身がかつて広島選出の衆院議員(当時)の後援会長だったこともあり、顔は覚えてくださっていたと思います。岸田さんに初めてお会いしたのが15年前、広島から羽田行きの飛行機の中でご挨拶した時です。目元が涼やか、優しいまなざしをされていたのが印象的です。
その後、熊本地震の復興工事の仕事で向こうに拠点を移しましたが、広島に帰郷した際、T氏を紹介した市長(当時)と岸田さんにお会いした際には、ベテランのY秘書ともども面白い会話で、もてなして頂きました。岸田さんが後年、総理になられた際にはとても嬉しかったです。」
――岸田政権の支持率が低迷しています。特別党員として忸怩たる思い、岸田首相に言いたいことは
会長「政権はいま政治とカネの問題もあって国民の不満を集めていますが、広島の人にとって岸田総理はやっぱり特別な存在。県警となればなおさらでしょう。
昨年の夏、T氏の部下に何度も事情聴取していたのに捜査がその後、進まず関係者の逮捕に至らなかったのですが、この問題を取材してきた報道関係者が『岸田派議員の後援者が絡んだ事件とあって、捜査当局が総理に忖度しているのでは』と話していました。広島ではそれだけ総理の威光が強いのかもしれません。もちろん現場の刑事さんはすごく熱心に頑張ってくださってるんですけどね…。
岸田総理は就任された時、『国民の声を聞く』と高らかに宣言されました。私の場合は詐欺事案の被害で極端なケースでしょうが、誠実と真実、「聞く力」を失うことなく、物価高や生活苦などで理不尽な状況に直面している、名もなき人たちの声に耳を傾けてくださることを願っています」
●党内から「全ての責任がとれるのは岸田首相ひとり」の声も 2/24
岸田内閣の支持率は4ヶ月連続20%台と、依然、危機的な状況が続いています。“政治と金”の問題の対応についても、自民党の調査や派閥の解散などへの評価は低く、自民党内からは「政権が立っていられない」「もう無理だ。全ての責任がとれるのは首相ひとりしかいない」など、厳しい声が上がっています。NNNと読売新聞が行った最新の世論調査を日本テレビ政治部の竹内デスクと菅原解説委員の同期コンビが徹底解説します。
4ヶ月連続の支持率20%台 続く “危険水域”
【竹内】 岸田内閣の支持率は先月1月から横ばいの24%でした。4ヶ月連続で20%台ということで、危険水域といわれる水準が続いています。この間、続いているのが政治とカネの問題ですよね。岸田首相もこの問題には対処しようとしていて、自民党として聞き取り調査やアンケート調査をしました。ただ、今回の世論調査では、この調査が「実態解明につながると思わない」が77%。あまり評価は高くありません。岸田首相が会長だった岸田派が先頭を切って決めた派閥の解散も、「信頼回復につながると思わない」が76%と、これも国民に響かないという結果になりました。
自民党の対応は “中途半端なアリバイ作り” “出来レース”との声も
【菅原】 自民党の調査や派閥の解散は、なぜ評価されなかった、ダメだったのでしょう?
【竹内】 私が世論に敏感だなと思う、経験豊富な自民党議員によると、「国民の期待と違うことをやっている」と。「国民は、やはり自民党がちゃんと議員に対して処分をするのではないかと見ている。今回の党の調査なんていうのは、中途半端でアリバイ作り、“出来レース”に見える」とまで言っています。また、「しっかり調査をやるのであれば、もっと第三者中心でやらなければいけない」と話しています。また、「客観的な、ちょっと引いた目で見るということが、今の岸田政権にはできていないのではないか」という指摘もあります。首相周辺は、「岸田首相はこれまでになく焦っている」と言っています。「何かやらなきゃいけない」と焦っている。その結果として評価されないという悪循環になっているのではないかという見方があるんです。
“支持政党なし” が約11年ぶりに50%超え 政治不信が加速
【菅原】 自民党の政党支持率も下がってきてますよね。今回の世論調査では24%。
【竹内】 そうなんです。2012年に当時の民主党から政権を奪回して以来、最低を更新してしまいました。先月も最低でしたが、さらにそれを下回ってしまったわけですね。これは、岸田首相の率いる政府、内閣支持率とは別に、自民党も信頼を失っているということの表れです。さらに深刻なのは、自民党の問題だけではなくて、野党も受け皿になれていないというところにあると思います。というのも、「支持する政党がありません」と答えている人が、今回52%と50%を超えてしまいました。“支持政党なし”が50%を超えるのは、2012年の11月以来で、なんと約11年ぶりです。もし自民党の支持率が下がっても、代わりに野党に頑張ってもらおうと思えば、野党の支持率が上がるはずです。ただ、今回は野党の支持率も上がっていません。これは、国民の政治不信の高まりを表していると思います。
信頼回復に求められる “2つのこと”
【菅原】 自民党がこれまでやってきたことが、全く響いていないわけですよね。信頼回復には何が必要と考えますか?
【竹内】 取材と世論調査の両方から見ていきたいと思います。自民党議員に取材をすると、“2つのこと”を挙げている人が多い印象です。一つは、やはり“説明”が必要だということ。もう一つは“けじめ”を取ることが必要だということです。まず、1つ目の“説明”について。世論調査では、「自民党の派閥幹部らが十分に説明していると思うか」という質問に対して「思わない」が、前回は92%で、今回も93%と相当高い数字です。9割以上の人が同じ回答するということは、なかなかないことです。やはり収支報告書にちゃんと記載していなかった。さらにはそのお金を何に使っていたのかということに対して、今のところ“すとんと落ちるような説明”がないから、こんなにもたくさんの人が「納得できない」「説明が十分じゃない」と思うわけです。一部の議員は記者会見を開いたりしていて、「だから私は説明したんだ」と主張をする議員もいますが、もしそれが本当に納得される内容だったら、こういう数字は出てこないわけです。ある野党幹部は「自民党の調査にしても説明にしても、何にしても極めて不十分だし、国民の不信や不満に応えるものにはなっていない」というふうに指摘をしています。
【菅原】 これは決して厳しい指摘ではないと思います。自民党が所属議員に対して行ったアンケートでも、公表は匿名でしたよね。その時は、自民党内からも「こんなの意味ない」というような声も上がっていました。やはり、いかにオープンにするか、というところが足りてないという気がします。
【竹内】 今、国会の政治倫理審査会で説明をしようという動きがありますけれども、どういう場でどういう形でやるにせよ、しっかりと説明をしないといけないと思います。もう一つの“けじめ”の方は、ここにきて、急速に声が高まっています。
自民党支持も“厳しい処分すべき” 81%
【菅原】 “けじめ”というのはつまり“処分”ですよね。
【竹内】 そうです。政権の中枢も、「安倍派幹部への処分を何もやらないわけにはいかない」と話しています。総理に近い閣僚経験者も「たとえ安倍派に恨みを買っても、思い切って処分をやらないと政権が立っていられない」と話しています。多くの人は、「この問題で誰かが責任を取らなければならない、そうでないなら自民党として処分をしないと区切りがつかない」という見方を示しています。それは世論調査にも表れています。今回、「安倍派幹部らに厳しい処分をすべきだと思いますか」と聞くと、「思う」が81%でした。実は自民党支持層でも72%が「処分すべきと思う」と答えています。自民党の支持層ですらやはり何らか“けじめ”をつける、処分をするということが必要だと考えているわけです。私は、本来なら誰かに処分をするといわれるのではなく、自分で自分の身を処するということが望ましいのではないかと思います。けれど、それが示されないと、どんどん信頼が失われていってしまうので、こうなると、もう党として何らかの処分をせざるを得なくなるのではないかと見ています。
党内からも厳しい声「政権が倒れる」「責任を取れるのは首相ひとりしかいない」
【菅原】 「恨みを買いたくないから厳しい処分は難しい」という見方もあります。実際、岸田首相は、政治力があると言われる二階元幹事長であったり、安倍派5人衆の処分をきちんとできますか?
【竹内】 確かにそういう見方はあります。やはり、年上の人とか、力のある人に物申すというのは、なかなか普通に考えても、ちょっとおっかなかったりするじゃないですか。ただ、自民党内には「もうできるか、できないかじゃないんだ」という指摘もあります。もうそれぐらい厳しいということです。実際、ある中堅議員は「もっと危機感を持たないといけない。危険水域なんてとうに過ぎていて、本当にヤバイところまで来ている」と話しています。また、先ほども少し触れましたけれど、首相に近い議員でも「もう処分をするという方向に決断しないと、立っていられない」。つまり、「政権を維持することができない」と話していますし、もう長年、自民党の中枢にいた関係者は「すでにもう無理だ」と。「全ての責任をとれるのは、首相ひとりしかいない」とまで言っています。
【菅原】 それは岸田首相が辞める、退陣するということ?
【竹内】 そうなんです。もう、首相が辞めるということぐらいでしか、高まった政治不信を払拭するケジメのつけ方はないということです。これはかなり厳しい見方ではありますけども、そういうことを言う人もいます。
ただ、考え方を変えれば、「辞める気になればさまざまなことができるのではないか」ともいえます。もう辞めざるを得ないぐらい厳しいのであれば、ここはやはり、政治の信頼を回復するために、きちんと厳しい対応をとって、政治に対しての信頼を取り戻す。「もう一度政治家に政治を任せてもいい」と思ってもらえるように、ここはやはり岸田総理は決断をしたほうが良いのではないかと私は思います。
●日本維新、与党過半数割れも照準 次期衆院選の目標 2/24
日本維新の会が次期衆院選の目標として、従来の「野党第1党」に加え「与党過半数割れ」にも照準を合わせた。自民党派閥の裏金事件が直撃した岸田政権との対決姿勢を強め、保守層や無党派層の取り込みを狙う。ただ独自候補の擁立は停滞気味で、野党間の選挙協力も進んでおらず、具体的な展望は見えない。
2022年策定の中期経営計画では、衆院選目標を野党第1党としか書き込んでいなかった。新たに与党過半数割れも併記する方針だ。藤田文武幹事長は「自民党政権に国民の審判を受けさせる。与党の過半数割れを目指すことは大きな旗頭になる」と説明する。
維新は裏金事件を契機に「与党過半数割れが現実味を帯びてきた」(幹部)と判断。昨年12月には、これまで「年中行事」とやゆしてきた立憲民主党提出の内閣不信任決議案に賛成した。年明けの通常国会では批判のトーンをさらに強めた。
一方で、目標達成の前提となる衆院選準備は整っていない。全289小選挙区擁立を目標に掲げるものの、現状は150程度にとどまる。
●岸田首相 住宅損壊世帯に最大300万円の新交付金「子育て世帯含め幅広く対象に」 能登半島地震の被災地で表明 2/24
岸田首相は24日、能登半島地震の被災地、石川県輪島市と珠洲市を訪問した後、記者団に対し、住宅が損壊するなどした世帯に最大300万円を支給する新たな交付金の創設を表明した。
岸田首相は輪島市で、「新たな交付金制度は、住宅半壊以上の被害を被った被災世帯について、若者・子育て世帯を含め、資金の借り入れや返済が容易でない世帯も幅広く対象としたい」と述べた。
新交付金の対象地域は、地震の被害が大きかった6市町(輪島市、珠洲市、七尾市、能登町、穴水町、志賀町)。
住宅が半壊以上の被害を受け、自家用車を含む家財が損失したことが給付要件となる。
このうち、高齢者や障害者のいる世帯や、資金の借り入れや返済が難しい世帯などに、最大300万円(住宅再建支援200万円、家財などの支援100万円)を支給する。
資金の借り入れ・返済が難しい世帯には、住民税非課税世帯・児童扶養手当の受給世帯の他、地震の影響で家計が急変して難しくなった世帯、地震の影響を受けて離職・廃業した人がいる世帯、一定のローン残高のある世帯などが含まれる。
現行の被災者生活再建支援制度では、住宅が全壊するなどした世帯に最大300万円を支給しているが、新交付金は、これに加えて支給する。
さらに岸田首相は、「第3弾の予備費は、新たな交付金制度も含め、総額1000億円規模も視野に、来週中にも使用を決定したい」と述べた。 
●国税庁が国会議員に“納税手引書”を配布していた! 裏金は《「雑所得」で課税対象》と明記 2/21
16日から確定申告が始まり、各地の税務署では自民党の“裏金議員”に対する怒りの声が納税者から上がっている。SNSでも一時、「#確定申告ボイコット」がトレンドワードに浮上した。
政治資金は原則非課税だが、裏金が議員本人の収入と見なされれば所得税の課税対象だ。自民党内では裏金議員に納税させる案も浮上したというが、森山総務会長は15日に「政治資金として処理しているので、所得税は発生しない」と断言。納税を「党として検討することはあり得ない」と否定した。
「政治資金における確定申告」
だが、ちょっと待ってほしい。実は国税当局は毎年、国会議員らに政治資金の確定申告について説明する“納税手引書”ともいえる文書を渡しているというのだ。
今年1月に配布された「令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告について−政治資金に係る『雑所得』の計算等の概要−」には、しっかりこう書かれている。
<政党から受けた政治活動費や、個人、後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品等による寄附などは「雑所得」の収入金額になりますので、所得金額の計算をする必要があります>
●一般参賀で能登半島地震の被災者に「心からお見舞い」 天皇陛下64歳誕生日 2/23
天皇陛下は23日、64歳の誕生日を迎えられ、皇居では、天皇誕生日を祝う一般参賀が行われている。
天皇誕生日の一般参賀は、4年ぶりに事前の応募無しで行われ、23日午前10時20分頃、陛下は、皇后さま、愛子さま、秋篠宮ご夫妻、佳子さまと共に、宮殿のベランダに姿を見せられた。両陛下はロングドレスに帽子姿の愛子さまと共に、穏やかな笑顔で祝福に応えられた。
「冷たい雨が降る厳しい寒さの中、誕生日にこのように来ていただき皆さんから祝っていただくことを誠にありがたく思います。先月発生した能登半島地震によって、亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表するとともに、ご遺族と被災された方々に心からお見舞いをお伝えいたします。この冬も大雪や厳しい寒さで苦労された方も、多いことと思います。皆さん一人一人にとって、穏やかな春となるよう祈っております。皆さんの健康と幸せを祈ります」
能登半島地震の被災者を案じる両陛下の思いを考慮し、「バンザイ」の大歓声は控えるよう呼びかけられた。
事前に開かれた記者会見で陛下は、日本赤十字社への就職が内定した長女の愛子さまについて、「日赤の一員として多くの人のお役に立てるよう、努力を続けて欲しいと思いますし、社会に出ると大変なこともあるかもしれませんが、それを乗り越えて社会人の一人として成長していってくれることを願っています」と述べた。また、日赤に入りたいと聞いた時に「とても良い考えではないかと思った」と明かし、「これからも愛子のことを応援していきたい」と、今後の歩みを見守る思いを示されていた。
みぞれが降る厳しい冷え込みの中、一般参賀には早朝から多くの人が皇居を訪れている。11時、11時40分の3回に分けて行われ、また感染対策で1回の入場者は約2万人に絞られる。午後0時半からは、宮内庁庁舎前で一般の記帳が受け付けられる。

 

●供え物、立派なタイじゃないけど「神様ほっとけない」地震後初の祭礼 2/25
本殿が全壊した石川県珠洲市の柳田(やなぎだ)神社で25日、能登半島地震後初めての祭礼が開かれた。
菅原道真の命日に毎年開く菅原神社祭で、参道に作った祭壇に米や野菜などを供え、装束姿の櫻井重伸宮司(59)が太鼓をたたき祝詞(のりと)をあげた。
普段は一日中にぎわうが、地震後は総代が金沢に避難するなど、氏子らの参列はかなわず、家族だけで静かに行った。お供え物も、普段は魚屋に頼んだ立派なタイが並ぶが、スーパーで買ったアジになった。
倒壊した鳥居の前にある門松やしめ飾りなど、境内には正月の面影が残る。1876年に建てられた本殿から神様は外壁を破って運び出せたが、祭礼に使う大きな太鼓などは取り出せていない。
櫻井宮司は「別の場所に避難中の神様を放っておくわけにもいかず、形だけ祭礼を行った。倒壊した建物の撤去は、住宅が優先されると思うので、本殿はしばらくこのままかも知れない。道具を取り出せるのも、まだ先になりそう」と話した。
●焼け跡から“ラーメンのずんどう鍋”店再建を誓う 石川 輪島 2/25
能登半島地震の際、大規模な火災が発生した輪島市の「朝市通り」。
特製スープのラーメンが人気で、地元の人たちでにぎわっていた町中華の店も全焼してしまいました。
「何も考えられない感じでした」と当時の心境を語る経営者の板谷吉生さん。1か月余りたって焼け跡から見つけたのは愛用のずんどう鍋でした。
再建を半ば諦めていた板谷さんは「ずんどう鍋を見て『店をやろうかな』と気持ちが変わりました。再建して復興の1つの歯車になりたい」と再オープンに向けて動き出しています。
町中華「香華園」地元のにぎわいの場
輪島市中心部の河井町にある観光名所「朝市通り」では地震のあとの大規模な火災で店舗や住宅200棟以上が焼け、およそ5万平方メートルが焼失しました。
通りに面した町中華の店「香華園」も全焼した1つで、朝市で働く人たちや輪島港の漁師が利用していたほか、年末年始の宴会や子どもの野球クラブの打ち上げなどでもにぎわっていました。大型連休などには観光客も大勢訪れて、連日満席になっていたということです。
一番人気のメニューは焼きめしと半ラーメンがセットになった定食で、ラーメンは自家製のちぢれ麺に、創業から受け継いできた鶏がらと魚介ベースの特製のスープを合わせたこだわりの1品でした。
全焼した店に「ごめんな」
1月4日、火災のあと初めて店の場所を訪れた経営者の板谷吉生さんの姿がありました。
板谷さん「テレビで火事の様子は見ていたので覚悟はしていましたが、真っ黒に変わり果てた店を目の前にしてがっくりしました。悲しすぎて今は涙も出ません」
板谷さんのもとには、火災のあと、常連客から「(店を)再開してほしい」という連絡がたくさんあったということですが、自宅も火災で失ったことや資金集めが難しいことなどからなかば諦めていたといいます。
板谷さんは、当時の心境について「全焼した店を見て、店に『ごめんな』という気持ちでした。悲しいというより、何も考えられない感じでした」と振り返っています。
焼け跡から見つかった“ずんどう鍋”
ところが火災から1か月余りがたった2月6日、転機が訪れました。
小松市の二次避難所から片づけに通う中、焼け跡から特製のスープ作りに使っていたずんどう鍋が見つかったのです。
鍋を置いていた場所の周りは焼け焦げていたにもかかわらず傷はほとんどなく、磨けばもう一度使える状態でした。
再オープンは「朝市通りで」
他にも皿やギョーザを焼く鍋、フライパンなども徐々に見つかり、板谷さんは「少しずつ気持ちが動き出し、ずんどう鍋が出てきたとき、『店をやろうかな』と気持ちが変わりました。ずんどう鍋が最後の一押しをしてくれたと思います」と話し、再オープンに向けて動き出しています。
金沢市内で再建しないかという知人からの誘いも届いていたということですが、先代の父親も含めて3代にわたり60年近く続いてきた店を構えるのは「朝市通り」にこだわりたいと考えています。
板谷さんは「何年かかるか分かりませんが、自分が生まれ育った輪島で再建することで復興の1つの歯車になり、地域を少しずつでも復興させていきたい」と話しています。
被災地の飲食店 厳しい状況に直面
能登半島地震の被災地の飲食店は営業再開が見通せない厳しい状況に直面しています。
輪島市内の62店が加盟する「輪島飲食業同業組合」は地震による被害の状況について、発災の数日後から2月12日にかけて聞き取り調査を行いました。
その中では今後の営業の見通しについて、ほぼ半数の32店舗は建物が全壊したり多くの設備が壊れたりするなどしていて、電気や水道などが復旧したとしても営業再開が厳しいと回答したということです。
組合によりますと、こうした声の背景には震災前からあった高齢の経営者の後継者不足の問題に加え、再建にかかる費用への懸念が追い打ちをかけたとみられるということです。
●自民裏金議員の追徴課税は総額1億3533万円!「脱税は、犯罪。」ポスター 2/25
国会では連日、自民党派閥の裏金問題が取り上げられ、政治資金収支報告書に記載されなかった裏金は「雑所得」として課税対象になる可能性が高いと指摘されている。
21日の参院財政金融委員会では、共産党の小池晃書記局長が収支報告書の不記載額を全額「雑所得」とした場合、各議員の追徴課税はいくらになるかという試算を紹介した。自民党が13日に発表した全議員調査に基づき、全国商工団体連合会(全商連)が計算したものだ。
不記載額が3526万円と最も多かった二階俊博元幹事長の場合、追徴税額は約1078万円に上るという。不記載額が2954万円の三ツ林裕巳衆院議員は約897万円、次いで追徴税額が多い順に橋本聖子参院議員が約767万円、萩生田光一前政調会長は約755万円、山谷えり子参院議員は約621万円、堀井学衆院議員は約602万円といった具合で、裏金議員85人への課税額は合計1億3533万円になるというのだ。
一般に、国税が強制調査に乗り出す基準が1億円といわれる。十分、対象になり得る数字だ。
「脱税者は、見つかる。査察官は、見つける。」
小池議員は「自民党議員に税務調査を行うべきだ」と迫ったが、鈴木財務相は「税務行政の中立性を確保するため、国税庁に指示を行う考えはない」と拒否。税の中立性を言うなら、一般国民に厳しく徴税し、国会議員は納税義務から逃れられる状態こそ是正されるべきではないのか。
そんな中、話題になっているのが国税庁の啓発ポスターだ。「脱税者は、見つかる。査察官は、見つける。」と対峙する構図が描かれ、「脱税は、犯罪。」というキャッチコピーが力強く書かれている。22日の衆院予算委では、立憲民主党の大西健介衆院議員がこのポスターを示し、「確定申告で税務署に張ってある。で、まず(自民党議員の)調査をしてよと。そうじゃないと、真面目に納税するのがばからしいと国民が思うのは当然じゃないか」と訴えた。
「インボイスも始まり、国民は1円単位で監視される。それなのに、国民の代表である国会議員が何百万円という税金を納めずに知らん顔が許されるはずがありません。裏金脱税議員がどのツラ下げて国民に負担増をお願いするのか。国税庁もしっかり調査しないと、それこそ公平・中立性が疑われますよ」(政治評論家・本澤二郎氏)
「脱税は、犯罪。」のポスターは、国会議事堂や自民党本部に掲出した方がいい。
●政倫審 衆参で成果なければ証人喚問を 2/25
現在、1円単位の記帳に基づく「所得税申告」が始まり、売上1000万円以下事業者でも大手取引で避けられないだろう「インボイス」による消費税納税申告も4月1日までに行う義務が課されるようになった中、自民党議員による「裏金」問題に相当な批判が上がっている。自民党派閥の「組織犯罪」との指摘もある。
「裏金議員リスト」と額を見るにつけ「怒りを覚える国民」は多い。衆議院では二階俊博元幹事長(和歌山3区、3526万円)、三ツ林裕也元副幹事長(埼玉14区、2954万円)、萩生田光一元政調会長(東京24区、2728万円)、堀井学元内閣府副大臣(比例北海道、2196万円)、武田良太元総務大臣(福岡11区、1926万円)、差別発言で物議をかもしている杉田水脈元総務大臣政務官(比例中国、1564万円)など51人。
参議院では旧統一教会(世界平和統一家庭連合)が故安倍晋三元総理レベルに重視し支援していた山谷えり子元国家公安委員長(比例、2403万円)、橋本聖子元五輪担当大臣(比例、2057万円)、世耕弘成自民党参院幹事長(和歌山、1542万円)、宮本周司元財務大臣政務官(石川、1482万円)、堀井巌元外務政務官(奈良、876万円)など31人。
少なくとも裏金が1000万円を超える衆議院議員15人と参議院議員4人。これに加えて2022年参院選挙の年に裏金が特別に急増していた末松信介元文科大臣(兵庫)584万円=このうち22年に410万円、佐藤啓元財務政務官(奈良)306万円=22年に214万円、江島潔副幹事長(山口)280万円=22年に140万は国会議員の責任として、衆参公開による「政治倫理審査会」で「裏金をつくることになった経緯とその使途」を明らかにして頂きたい。
自民党は衆院での政治倫理審査会への出席者を安倍派座長だった塩谷立氏、二階派事務総長の武田良太氏、松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業大臣、高木毅前国対委員長の5人と野党側に伝えている。
5人とも「非公開」での政倫審を希望しているという。しかし、これだけ民主主義の基盤を傷つける行為を組織的、継続的に行った経緯を踏まえれば、公開で国民に説明するのは当然だ。政倫審は「原則非公開」だが、これまでにも公開事例があり、今回も公開に値するといえる案件だ。二階俊博、萩生田光一、下村博文、山谷えり子、橋本聖子の5氏には是非とも、政倫審の場で説明していただきたい。
立憲民主党の泉健太代表は22日、党の「次の内閣」の場で「逃げも隠れもするのが自民党の姿勢ということが明らか。国民に裏金問題の真相を明らかにすべきなのに非公開では何の意味もない。隠そうとしている自民党は厳しく批判されるべき」と語ったが、真相を明らかにできないような政倫審であれば、偽証罪に問われる「証人喚問」へステージを移すほかないだろう。
森喜朗元総理の参考人招致も必要だ。今回の問題、徹底解明し、再発防止策を構築できなければ政治改革、政治への信頼などほど遠い。
●政倫審「完全非公開」では意味がない! 裏金議員の出席意向は5人だけ… 2/25
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて、衆院政治倫理審査会が開かれる。ただ、派閥からの還流額を政治資金収支報告書に記載しなかった衆院議員51人のうち、政倫審出席を申し出たのは5人にとどまる。
政倫審は疑惑をかけられた議員が自ら弁明をする場として、ロッキード事件を契機に1985年に設けられた。証人喚問のように公開で偽証罪に問われる可能性もある中での発言はハードルが高いということで、与野党の妥協の産物として設置されたもの。大した意味はない場といえる。
51人の中には、政倫審で潔白をアピールして次期衆院選の「みそぎ」にしたいと考えた議員も多い。だが、安倍派内で幹部が引き止めに躍起になっていたと聞く。証言者が多ければ、何が飛び出すか分からない。派閥幹部の指示で不記載の処理をしたなどと明かせば、東京地検特捜部が裏金事件の捜査を「事務総長の指示はなかった」として終結させた結論と食い違う。「誰が決めたということでなく、ノルマ以上の売り上げ分は記載せず議員に戻す長年の慣例」だったと、政倫審でも説明するのだろう。
今回、自民は「完全非公開」を主張している。報道機関を入れず、政倫審委員以外の議員の傍聴を認めず、議事録も公開しない。これでは国民への説明が果たされたことにならない。偽証罪は問われなくても、テレビ中継されれば偽証かどうかの判断は国民ができる。野党は引き続き公開を要求しているが、自民議員を政倫審の場に引っ張り出しただけでも「手柄」と考えているとしたら、あまりにも甘過ぎる。
これまで衆院では過去8人が政倫審に出席している。そのうち議員にも報道にも完全非公開だったのは1回だけだ。
裏金問題が長引けば自民党のダメージは深まり、野党側に多少は有利に進むだろう。だが、景気対策、賃上げ、少子化対策など本来取り組むべき課題が山積だ。裏金を得た議員は永久追放、会計責任者の罪は議員への連座制を適用、政策活動費の使途明記義務などをさっさと決めて、重要政策の議論を進めてほしい。
●自民党裏金問題で有権者側にも意見 「国民は忘れっぽい」「この騒ぎも…」 2/25
連日批判が止まない自民党の政治資金問題に、25日生放送の『サンデー・ジャポン』で爆笑問題の太田光がコメント。自民党の態度には、問題が起きても投票し続ける国民の姿勢が影響していると指摘した。
「この国の国民は忘れっぽいから」
裏金問題をめぐっては、政治責任を審査する政治倫理審査会(政倫審)が週内にも開催予定だが、出席を申し出た5議員は非公開での審査を希望しており、世論のみならず党内からも批判の声が上がっているという。
こうしたVTRが伝えられると、太田は「株価が史上最高値になって、これから春闘があって、ある程度賃上げも見越せるようになると、だんだん国民に…」「選挙で落ちるんじゃないかって話があったけど、大丈夫だろうと」とコメント。
世論に逆行する態度には“驕り”があるとし、「この国の国民は忘れっぽいから、ときが来ればこの騒ぎも忘れるだろうと」と議員の心境を推測した。
「ますます『選挙は大丈夫だろう』って…」
他方で、元自民党衆議院議員の杉村太蔵は「野党も迫力足りないと思うわけ」とも指摘。「下の議員の証言を積み重ねて幹部を呼んだほうが絶対効果的なのに、何で上のほうにこだわるのかなって」など、幹部の出席ばかり要求する姿勢に苦言を呈する。
解説役の元内閣参与・岸博幸氏も、「野党は本当に真相を究明するというよりも、今まで数年、スキャンダルで有名な人を吊し上げるのをやってきましたから、その延長線上という感じはするのかなと」などと共感。
すると、太田は「野党側も頼りにならないとなれば、ますます『選挙は大丈夫だろう』ってことになる」と改めて主張し始めた。
「怒りを国民が維持できるか」
これを聞いたデーブ・スペクターも、「いま景気がいいから、自民党、若い支持者が増えてる」「自分の将来のことで、勝手な思いであっても、そうみたいですよ」と、一部では自民党の支持も離れていないとの印象を明かす。
太田はこれに、「『景気』っていうくらいだから、気分でやっぱり変わってきちゃう」とコメントし、「今の怒りを、国民が維持できるかっていうのが問題ですよね」と改めて国民の意識に期待した。
視聴者も共感
太田の意見には視聴者からも、「選挙までに国民が忘れてくれればいいからと言おうとしたら太田さんに言われて複雑」「国民は喉元過ぎれば忘れる」「太田さんの言う通り。日本人は忘れるし、許す」など、共感する声が上がっている。
国民自身も、自民党を選挙で勝たせ続けていることが、驕り高ぶりや無反省な姿勢につながっていると感じているようだ。政治を変えられるか否かは、有権者次第なのかもしれない。
●自民党高鳥修一の県連会長辞任会見で、「安倍派になにが起こったか」 2/25
「不祥事煽り」に終始するマスコミ
自民党・高鳥修一衆議院議員が2月7日、同党新潟県連会長を辞任し、所属した安倍派(清和政策研究会)を「退会」する記者会見を開いた。
高鳥氏は、自民党安部派のいわゆる「裏金問題」(派閥パーティーのチケット販売ノルマ超過分から各事務所に現金で還流させ、還付分を収支報告書に記載しなかった問題)で、自身も所属する安倍派のパーティー券収入から5年間で還付金544万円を事務所として受けており、かつ247万円を収支報告書に記載していなかったことを認め、「記載すべきものを記載していなかった監督責任は私にあり、道義的責任を取る」として、けじめをつける意味で県連会長の職を辞したという。同時に安倍派の退会も表明した。
マスコミ各位はこぞってこの会見を取り上げ、高鳥氏の謝罪の様子を掲載した。その多くはこの事実を「不祥事」としてあげつらい、某紙には「自民党県連会長二代続けて不祥事で辞任」などと報じた。
まず「不祥事」なのかという点についてだが、安倍派では1月19日に緊急総会が開かれ、その冒頭で塩谷立座長が「裏金問題は会長と事務局長しか実態を把握しておらず、(還付を受けた議員とその事務所関係者には)長年にわたるミスリードをしてきた」と認め、謝罪している経緯が黙殺されていまいか。
もちろん、高鳥氏を指して「気の毒だ」と言う論調はなしだが、自民党裏金問題について還付分不記載の90人の議員は決して一緒くたではなく、1「(キックバック制度を)知っていて悪用し、数千万円の使い込みをした議員」2「極めてグレーゾーンな議員」3「派閥の会計責任者に<記載しないように>と含まれミスリードされていた議員」の3つに分類される。そのうち1は逮捕または起訴され、2は検察の取り調べを受けたがグレーはグレーのまま、3は全ての帳票などを提出した上で「取り調べの必要なし」とされた。高鳥氏は明らかに3の口である。
にもかかわらず、記者会見では某紙の記者から「議員辞職という選択肢はなかったのか」という質問まで飛んでいた。夕方のニュース番組では明らかに会見前に収録した既成の「市民の声」が放映され「政治家は嘘つきばっかり」「どんな気持ちで受け取ったのか」などと厳しい声が飛んでいたが、果たしてこの手のステレオタイプな演出は必要だろうか。
むしろ着目したいのは、現職自民党代議士が実名をさらして、裏金問題の責任を取ろうとしない安倍派幹部の姿勢を批判したのが、公には初めてだという部分。
2月15日には党内聞き取り調査の結果が発表され、回答は全て匿名だったが「安倍派幹部は責任の所在をはっきりすべき」というものが複数あった。それでも某評論家などはニュース番組の中で「匿名とはいえ、内部から批判が出ているのは見逃せない」という論評だったが、その6日前に、上越で既に「実名による批判」が飛び出ているのだ。これ自体がよほど大きなトピックであり、こちらにフォーカスを向けず「不祥事、不祥事」ばかりに終始している姿は、少々異常に映った。
幹部が誰も知らないは「ありえない」
還付金問題について、これまで既に明らかになっている部分について触れたい。
自民党安倍派(清和政策研究会)、二階派(志帥会)では91人の議員が、派閥主催のパーティー券売り上げから還付金を受けながら、収支報告書に記載しなかった。還付されたのはノルマ分を超えて売り上げた額で、派閥事務局長から「記載しなくてよい」という指導を受けていた。
清和研では2014年から故細田博之元衆院議長が会長を務めており、2021年11月にから故安倍晋三元総理が会長に就任した。
「キックバック制度」については、多くの報道で細田会長時代に生まれたとされているが、党内には「もっと昔からある」と言う声もある。塩谷立座長はじめ複数の派閥幹部は「(キックバックは)会長マターである」と話している。
ところが2021年に派閥に戻った安倍氏がキックバック制度に反対で「こんなことをいつまでやっているのだ」と、いったん廃止にした事実が判明。安倍氏は2022年4月にキックバックを廃止し、同5月には安倍派のパーティーが開かれた。しかし同7月に安倍氏が暗殺されて、それ以降キックバックが復活した。
安倍氏が亡くなって以降、会長職は不在であるから、幹部の言う「キックバックは会長マター、他はあずかり知らない」の理屈はこの時点で成立しない。「キックバックを復活させたのは誰か」をめぐって、現在は安倍派幹部の中で責任のなすり合いが繰り広げられている。
高鳥氏は7日の会見で「真実を語らない派閥幹部には強い憤りを感じている」と話し、その翌日、自身のブログやSNSで上記の点について「1月19日、清和研の総会で説明を聞いた時に、亡くなった安倍先生のせいにして誰も責任を取ろうとしない、責任のなすり合いをしている幹部の姿を見てつくづく『見苦しい』と思いました」と綴っている。
現職国会議員、しかも1月19日の安倍派臨時総会に出席していた人物が、実名でキックバック問題の本質に明確に言及したのは初めてだが、マスコミ各社の興味はなぜかそこにはなかったようだ。
前述のように、高鳥氏は県連会長を辞すると同時に、解散が決まっている安倍派を「わざわざ」退会した。本人の生の声を聞く必要がある。
そこに安倍元総理の意思はない
2月18日、地元新潟県上越市に戻った自民党・高鳥修一衆院議員を直撃、安倍派の裏金問題について聞いた。
── 代議士の安倍派幹部に対する率直な思いについては、7日の辞任会見と翌日の手記で知った。あらためて1月19日の安倍派臨時総会で何があったかについて教えてほしい
高鳥氏(以下略)冒頭で塩谷座長から『長年にわたって派閥がミスリードし、各議員事務所に誤った処理をさせた。収支報告書に記載しなくてよいと伝えてきた』と謝罪があり、さらに『この問題については歴代会長と事務局長しか知らないことであり、他の幹部は一切関与していない』と話したので愕然とした。
亡くなった安倍(晋三)元総理が2021年11月に派閥の会長に就任して、翌年の4月にはキックバックをやめる方針が決まっている。側聞する限りだが、安倍さんは3月にも一度幹部を集めて「キックバックはやめるべき」と言ったという。その年の7月に安倍さんは暗殺されて亡くなっており、その後にキックバックが復活していることを考えると、そこに亡くなった安倍さんのご意思はない。「キックバックが会長マターである」という幹部側の説明は明らかに矛盾している。
1月19日の臨時総会では、幹部の説明に対し3人が質問した。最初は東京都選出の議員が手を挙げ「私は選挙で安倍元総理に大変な御恩がある。無念にも亡くなられた安倍さんに対し、罪を着せるようなことは人としてどうなのか」と涙を流さんばかりに質した。
幹部のだれもが、これには言葉がなかった。私も黙っておられずに挙手し「会長以外の幹部が関与していないという説明は矛盾している」と言った。続いて弁護士資格を持つある議員が「誰の指示でキックバックが復活したのか説明責任がある」と質したが、それに対する答えもなかった。
── 時系列で見ると、2022年4月に安倍会長のもとでキックバックをやめる方針が確認されている。5月に派閥のパーティーがあり、7月に安倍元総理が銃弾に倒れ、8月に派閥の事務総長が西村康稔氏(前経済産業大臣)から高木毅氏(前党国会対策委員長)に変わっており現在に至っている。そのほか塩谷座長と安倍派五人衆と言われる萩生田光一氏(前党政調会長)、世耕弘成氏(前参院幹事長)、松野博一氏(前官房長官)を含め、安倍派幹部の中で誰かがキックバックを復活させており、嘘を言っている。代議士には見当がつかないか
既に「派閥がミスリードによって各議員事務所に誤った処理方法を指示した」と公表されていて、ミスリードされた側としては、その場にいないので知ることは不可能。だが、いったん止めたものが復活しているわけだから、誰かの意思が働かなければそうはならないと思う。
── 代議士自身はキックバック制度のことをいつ知ったのか
何年か前にノルマを超えた売り上げが還付されているというのは聞いた記憶がある。事務所の職員から「実はこういうものがあった」とはっきり報告されたのはこの問題が明るみになってから。信じてもらえないかもしれないが、私自身「お金」というものに強い関心が無く、パーティー券の売りあげについても「ノルマを達成したか」と確認したことはあるがノルマ超過分がいくらになったかを聞いたこともなければ、還付がいくらあったのかというのを職員に聞いたこともない。もちろん事務所の問題の責任は私にあり、派閥からの指示に従っていた職員に責任はない。聞いたところではもともと「記載しなくてよい」というルールにとどまっていたが、還付を受けたある議員事務所が収支報告書に記載したところ、派閥の帳簿と収支が合わなくなるので、「記載しないように」という指示まであったという。
幹部達は二重三重の裏切りを
── 今回の問題でも、安倍派幹部は亡くなった元総理の意向に反した行動を取っており、これは2023年6月に国会を通過したLGBT法案についても、法案化に反対していた安倍氏の遺志に反して全員が賛成したことにも重なる。元総理が亡くなってから、派閥内にはこうした手のひら返しが目立つが
これが、今回安倍派を退会する理由そのものだ。元総理が亡くなった時、派閥の議員たちは口々に「元総理のご遺志を継いで」と言っていたが、これが本当に言葉だけだったのかと思うと残念だ。
安倍さんはLGBTそのものに反対していたわけではなく、法案が不完全すぎると言っていた。法案成立に反対していた若手議員も多くいたが、全て採決の前に安倍派幹部が直接電話をかけて説得し寝返ってしまった。多様性を尊重する法案にもかかわらず、反対意見に党議拘束をかけるというのは、異論を許さないという、まさしく多様性の否定ではないのか。「安倍さんはもういないのだ。今は岸田総理を守らなければならない」とある幹部が言っていたが、まさに二重三重の裏切りだ。
── 野党は政治倫理審査会の開催および記載漏れの91人に全員招集を求めているが、これに対しては?
私には隠し立てすることはない。ただ私のような「ミスリードされてきた」側の議員を呼んでも何も出てこないと思う。システムを作った人、復活させた人しかわからない。詳らかになっていない問題、疑念を持たれている状態は解消すべきだとは思う。いずれにしても安倍派幹部の言っていることは矛盾に満ちていて、この人たちが口を開かない限り真相はわからない。誰が見ても「知りませんでした」はありえない。

ここまでの経緯と高鳥氏の話を聞く限り、一度廃止されたキックバック制度が復活したことには誰かの意思が作用している。そう考えると、度重なる取材に対し安倍派幹部らが『知らない』を繰り返している姿は、腹立たしいを通り越して「呆れ」や「滑稽さ」すら感じる。一般市民は、この問題の本質によく目を凝らすべきではないか。
●高校生25万円クーポン、維新案 私立75万円上乗せも、財源課題 2/25
日本維新の会の高校教育無償化推進法案の骨子案が25日、判明した。一律25万円のクーポンを生徒側に支給し、申請が認められた私立に在籍する場合は75万円を上乗せし、計100万円とする。参加する私立は授業料の負担がクーポン額を超えないよう上限を設定。都市部を中心に私立を選択する生徒が増える中、家計負担の地域格差を是正する狙いがある。裏付けとなる財源が課題だ。
骨子案は基本理念で「経済的な状況にかかわらず、入学する高校を選択できるようにすることで、教育の機会均等を確保する」と規定した。授業料の支払いで余ったクーポンは、入学金や修学旅行の積立金など希望する教育関係費として使えるようにする。
●新交付金、現役世代も対象 能登地震、1000億円支出へ―岸田首相 2/25
岸田文雄首相は24日、石川県を訪れ能登半島地震の被災地を視察した。輪島市で記者団に対し、住宅再建に向けた最大300万円の新たな交付金について、高齢者や障害者のほか、若者・子育て世代でも資金の借り入れが困難な世帯などを対象にすると表明。財源として今年度予算の予備費から1000億円規模の追加支出を26日の週にも決定する意向を示した。
首相は「被災者が笑顔を取り戻せる日まで、私自身、先頭に立って生活やなりわいの再建、地域の再生に全力で取り組む」と強調した。
新交付金は珠洲、輪島など能登地域の6市町が対象で、半壊以上の住宅被害などが要件。資金借り入れが困難な世帯には、(1)住民税非課税世帯(2)児童扶養手当の受給世帯(3)一定のローン残高がある世帯―などを含む。300万円の内訳は住宅再建200万円、自動車など家財購入100万円。現行の被災者生活再建支援制度と合わせ、最大600万円が支給される。
また、首相は県が実施する住宅融資の金利助成について、「政府として手厚い地方財政措置を検討する」と表明。石川県で開始時期が決まっていない観光支援事業「北陸応援割」を巡っては、大型連休前としている期限について柔軟に対応する考えを示した。
これに先立ち、首相は輪島市で伝統工芸「輪島塗」や農業、漁業の関係者と車座で対話。全額国費による輪島塗の仮設工房整備に要望が相次いだのに対し、4月中のオープンを目指す考えを伝えた。
1月1日の地震発生後、首相の被災地入りは同14日に続き2回目。首相は大規模な火災が発生した輪島の「朝市通り」で黙とうをささげ、日本海に向けて棚田が広がる景勝地「白米千枚田」の被害状況や穴水町の避難所も視察した。馳浩知事が同行した。
●「岸田総理は6月に賭けている」“二階派の異端児”細野豪志が読み解いた政権浮揚シナリオ《減税+賃上げで歴史的成果?》 2/25
「(6月に)賃上げに減税を加えれば、物価を上回る所得増になる可能性が高い。岸田総理はそこに賭けたんじゃないかと。実は戦略的に焦点を合わせてきている」
こう岸田総理の戦略を読み解くのは、自民党の細野豪志衆議院議員。かつて民主党、民進党のプリンスと呼ばれ、環境大臣や幹事長も歴任したが、希望の党、無所属を経て2021年11月に自民党に入党した。そんな細野氏が文藝春秋ウェビナー「青山和弘の永田町未来café」に出演し、自民党の裏金問題の受け止めや岸田総理の解散戦略について語った。
二階氏の説明責任は「これ以上言う気にはならない」
「私には見えてなかったのでびっくりしました。政治資金に使うのであれば、逆に裏金にすると使いにくいんですよ。人件費や家賃に使えるわけでもないですし」
派閥パーティー券の裏金問題について、驚いたと話す細野氏。政治資金は年間4千万円程度あれば十分だと話す。
「地元に2つ事務所を構えて家賃と人件費で、ざっくり4千万円くらいは掛かります。これをパーティーやめて2千万円にしろと言われると、人を削って議員活動を縮小せざるを得ない。でも逆に4千万以上必要かって言うと、それ以上やっても際限がないんですよ」
細野氏が所属していた二階派の二階元幹事長については、裏金問題で秘書が立件されたことに加えて巨額の政策活動費の問題も浮上し、国会で説明責任を果たすべきだという声は根強い。筆者がこれを質すと、細野氏は否定的な考えを示した。
「私は無所属で一番厳しいところで(二階氏に)拾ってもらったから、大きな義理がある。二階さんは派閥の会合で我々に対しては頭を下げたんで、これ以上言う気にはならない。記者会見は一度やっていますしね」
一方で細野氏は、秘書が立件されれば政治家も公民権停止などの罰を受ける連座制を政治資金規正法にも導入することについては、「時代の流れでやむを得ない」と話す。ただ細野氏はその場合の懸念を率直に語った。
「(政治家が政治資金の)出納を一つ一つ完全にチェックすることはできません。なので連座制を適用するということは、秘書に命を預けるということです。万が一裏切られたりおかしなことをされたら、俺は腹を切るということです。そういうことだということは分かって欲しい」
6月に所得増で解散?
岸田総理はこの裏金問題で支持率低迷に喘いでいるが、細野氏は岸田総理が政権浮揚の焦点を「6月に合わせている」と話す。
「なぜ所得税と住民税の減税を今年の6月にしたかというと、(春の)賃上げで勤労統計が出るのが6月の頭なんですよ。そのタイミングで減税をぶちこめば、物価を上回る所得増になる可能性が高い。平成の三十数年のデフレを止める歴史的な成果を出すんだと」
であれば、岸田総理は6月に衆議院解散を考えているのでないか。細野氏は「9月(の自民党総裁選)はまったく見通せない状況なので、いろいろな選択肢を持っているのかも知れない」と語った。ただ賃上げだけで、自民党に追い風が吹くとは思えないとの考えを示した。
「選挙は高齢者の影響がものすごく大きいんですが、賃上げしてもすぐに年金はあがらない。むしろ物価が上がると、年金生活者は生活が厳しくなってくるんです。そうすると『賃上げ出来ました、これが成果です』って言っても、高齢者は冷ややかに見る可能性がある」
「総理を替えてきて、自民党はろくなことにならなかった」
自民党内には、次の総選挙は岸田総理ではなく新たな総理大臣の下で行うべきだという声も強まりつつある。その点に話が及ぶと、前回の総選挙を無所属で勝ち上がってきた細野氏らしい、強気な姿勢を見せた。
「(岸田総理が)経済に賭けていることを考えれば、4月の賃上げ、夏ごろの経済状況を見ないと政権の評価は定まらないと思います。結構いい数字が出てくる可能性があるので、まだポスト岸田を語るのは早いと思います。あと、選挙は(政党の顔である総裁がやるのではなく、個々の政治家が)自分でやるんです。そこは甘えちゃいかん。支持率が落ちたからって総理替えてきて、自民党はろくなことにならなかったわけだから」
こうした状況の中で細野氏は、かつて所属していた野党をどう見ているのだろうか。
「2015年(の安全保障関連法を巡る野党共闘)くらいから状況は変わっていなくて、小選挙区で勝つためには自民党(支持)でない人を全部束ねなければいけないという発想に立っている。歯を食いしばって共産党及びそれに類する左派の人たちはご遠慮願って、残りの8割のうちの半分を取りに行くという勝負をするなら野党にも目がある。でも『(左派の)2割も取らないと過半数は取れない』という議論をまだしている。
もうあれから9年経っている。2015年の安全保障の状況は、今からみるとまだ平和だったんです。野党には優秀な人も多いし、魅力的な人もいると思うけど、今の状況で野党が塊として政権運営できるかというと、正直厳しいと思います」
細野氏はベテラン議員と言っていい当選8回を数えるが、まだ52歳。自民党議員として今後どのような活躍の場があるのか。政治とカネを巡り永田町の混迷が深まる今、細野氏の真価が問われることになるだろう。
●自民党は一日も早く退場して! 8割が「政権交代」望む 2/25
岸田政権の支持率下落が止まらない。報道各社の世論調査では朝日新聞が23%、時事通信が16.9%、毎日新聞では14%と軒並み政権発足以来最低を記録した。国会でも連日、自民党の裏金問題の追及が続いているが、答弁からは全容が解明される期待感はない。果たして、このまま自民党が政権を担っていくのがいいのか、岸田首相はいつ解散するべきか、政権交代するならどこが与党になるのがいいのか。AERA dot.が緊急アンケートを実施したところ、2千人から回答があり、関心の高さがうかがえた。
アンケートは、2月20〜21日の2日間。AERA dot.のウェブサイトやSNS、メルマガなどから回答を集めた。
実施期間は短かったものの、回答数は2004件に上った。回答者の性別は男性が69%、女性が24%、無回答などが6%。年齢は70代以上が35%、60代が34%、50代が19%、40代が7%、30代以下が3%だった。
「いますぐ解散」が45%
質問は「いつ解散するべきと思うか」「政権交代を望むか」「望む場合は、どの党、もしくはどの党との連立が良いと思うか」「解散するとしたら、自民・立憲は誰を党首にしたら支持率が高まると思うか」だ。また、最後に自由記述で意見を聞いた。回答の結果を見ていこう。
岸田政権の支持率が下がるなかで、次の衆院選がいつになるか関心が高まっている。解散のタイミングについて専門家からは「3月(2024年度予算案が通過したあと)」「4月(岸田首相が国賓待遇で招かれる訪米の前後)」「6月(通常国会会期末)」などのシナリオが出されており、いつ解散するべきだと思うか、尋ねた。
最も多かったのは「いますぐ解散するべきだ」で45%を集めた。次は「3月(2024年度予算案が通過したあと)」で29%、「6月(通常国会会期末)」が15%、「4月(国賓待遇で招かれる訪米の前後)」が3%と続いた。およそ4人に3人(74%)が3月までの早期に解散を望んでいる状況だ。
「いますぐ解散するべきだ」「3月(2024年度予算案が通過したあと)」と回答した人の記述回答を見ると、
「裏金を明らかにして解散して欲しい」(女性、50代)、「国民の税金を好き勝手に使っている自民党は一日も早く退場して欲しい」(女性、70代以上)、「早急に選挙を実施! そして自民党の隠していることを全て明るみにして」(女性、60代)、「能登地震関連の予算を通した上での解散が望ましい」(女性、50代)、「自分の利益しか考えていない自民党は一日も早く退場して欲しい」(女性、70代以上)
などの声が多数あった。全体的に裏金問題への批判や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係についての指摘が目立った。
解散を望む声が多数ある一方で、政権交代に対しては不安の声もある。民主党政権が失敗に終わったという評価が根強い。アンケートでは「政権交代を望むか」について尋ねた。
結果は「望む」が79%、「望まない」が20%という結果だった。
「二大政党を育てないと」
「望む」の回答者の記述を見ると、「感覚がずれてる岸田政権。野党の弱腰が少し気になるが、ここらで政権交代しないと自民党のやりたい放題になる」(女性、60代)、「国政や国策、産業構造に発想の大転換が必要。これまでのやり方では日本に未来がない」(男性、40代)、「野党に政権運営能力がないという批判があるが、それは野党がほとんど政権運営したことがないからで当然。野党に政権運営能力が身につくまで、政権を任せることも必要」(40代)、「自民党が続く限り日本は変わらないし良くならない。国民は二大政党を育てないと悪は繰り返す!」(男性、60代)
といった声が寄せられた。
反対に「望まない」という人たちの記述回答を見ると、「日本の政治全体の質が低下していることを切に感じる。今の自民党の好き放題のやり方と傲慢(ごうまん)さおよび国会の堕落ぶりは許せないが、他に任せられる政党がないのも確か」(男性、50代)
「以前の政権交代のときのグダグダぶりを考えると、自民党以外には考えられない」(女性、60代)、「裏金問題で自民党には本当にがっかりだし、確定申告をちゃんとしろなんてどの口が言うんだと言うくらい腹が立つが、野党に全く期待できないので、まだ自民党でちゃんと頑張ってる人、クリーンな人の方がまし」(女性、60代)、「どの党が政権を担ったとしても、金の問題はどの党もあるはず。今回は氷山の一角。支持できる党が無いのが残念」(男性、40代)
などと野党や政治そのものへの不信の声が多数寄せられた。
政権交代を「望む」と回答した人に、政権を担うのはどの党、もしくはどの党との連立が良いか、尋ねた。
最も多かった回答は「立憲民主党」のみで25%だった。「日本維新の会」のみが6%、「れいわ新選組」のみが5%と続いた。
複数の党を書いた連立の回答を見ると、「立憲民主党と日本維新の会」が4%、「立憲民主党と日本共産党」が3%、「立憲民主党と日本共産党、れいわ新選組」「立憲民主党と日本共産党、れいわ新選組、社民党」がそれぞれ同数で2%だった。「野党連立」などと具体的な政党名を書かない回答も5%あった。野党連立に一部の自民党議員が加わることを期待する声も散見された。
「政権交代望むが現在の野党支持ではない」
記述回答を見ると、
「野党にはこの国をどう立て直すのか、アイデアとロードマップを専門家や学識経験者と組んで立案して有権者に訴えて政権を取り戻してほしい」(男性、70代以上)といった前向きな意見がある一方で、
「政権交代を希望してるが、決して現在の野党を支持してるわけではない。回答した連立の組み合わせも苦肉の策。半ば諦めの入った提案。いい加減にこの危機的状況を政治家は理解して臨んでもらいたい」(男性、60代)
などと政党問わず、政治家全体への厳しい指摘も目立った。
最後に、衆院選が近いと言われているなかで、最大与党の自民、野党第一党の立憲は誰を党首にしたら支持率が高まると思うか尋ねた。選択肢はこれまでのAERA dot.のアンケート結果や前回の総裁選、党首選の候補者などをもとに作成した。
自民党は「石破茂」「上川陽子」「岸田文雄」「小泉進次郎」「河野太郎」「高市早苗」「野田聖子」「茂木敏充」「その他」(記述回答)、立憲民主党は「泉健太」「枝野幸男」「逢坂誠二」「小川淳也」「小沢一郎」「辻元清美」「西村ちなみ」「野田佳彦」「蓮舫」「その他(記述回答)」とした。
自民党の回答を見ると、石破茂氏が35%でトップ。2番手に来たのは「無回答、いない」で25%だった。次いで上川陽子氏が14%、高市早苗氏が8%、小泉進次郎氏が7%、河野太郎氏が4%だった。岸田首相は1%だった。
立憲はトップが「無回答、いない」
立憲民主党の回答を見ると、トップが「無回答、いない」で28%に及んだ。2番手が野田佳彦氏で14%、次に枝野幸男氏が3%、現党首の泉健太氏が10%、蓮舫氏が8%、辻元清美氏が7%と続いた。
立憲民主党の「無回答、いない」の記述回答を見ると、
「揚げ足取りの質問ばかりで政権担当能力のある人材がいると思えない」(男性、60代)、「全ての人が少々力不足です」(女性、60代)
といった声があった。野田氏に期待する声としては、
「自民党安倍と約束し退陣したが、裏切りにあった無念を晴らす、野田氏に期待する」(男性、70代以上)、「前回まんまとだまされて下野した野田さんにもう一度復活してもらいたい。人のあら探しに全力投球したり、うそをついても平気でいられたりする厚顔無恥な国会議員が増えたなかで昔ながらの気骨のある数少ない『政治家』だと思う」(男性、50代)
といった声があった。
今後どのような展開が待っているのか。日本の政治が岐路に立っている。
●子育て支援「負担増1000円超え」は加藤鮎子大臣“テヘペロの乱”… 2/25
岸田政権の看板政策である「異次元の少子化対策」をめぐり、加藤こども政策相が「異次元のポンコツぶり」を見せている。社会保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金制度」の徴収額について、まともに答弁できていない。「(保険)加入者1人当たり月平均500円弱」と説明してきた岸田首相を背後から刺すような発言が物議をかもしている。
政府は支援金制度について、2026年度に6000億円、27年度に8000億円、28年度に1兆円と段階的に引き上げて徴収する方針を掲げている。岸田は国会で、上乗せ徴収額が28年度は1人当たり月平均500円弱になると説明してきた。
ところが、である。日本総研の西沢和彦理事の試算によれば、支援金制度によって生じる負担額は労使合わせて、協会けんぽが月額1025円、組合健保が同1472円、共済組合が同1637円。21日の衆院予算委で立憲民主党の早稲田夕季議員が西沢理事の試算を引き合いに「(負担額は)500円より高くなるのでは」と追及すると、加藤は「可能性はある」と認めた。
その答弁に至るまで、加藤は終始オロオロ。手元の答弁資料に目を落としながら別の質問への答弁を読み上げてしまい、早稲田から「違う、違う」と突っ込まれて答弁不能に。再度、早稲田が同じ質問を繰り返したものの、加藤は答えられず、答弁整理のために小野寺予算委員長が速記のストップを指示。思わず「大丈夫かよぉ……」と嘆息する小野寺の声が委員長席のマイクに拾われていた。
翌22日の衆院予算委でも加藤のポンコツぶりが炸裂した。
立憲の石川香織議員が「国民負担が1000円を超える可能性はあるんじゃないか」と問いただすと、加藤は「可能性としては、あり得る」と発言。動揺したのか、別の大臣席に着席してしまい、苦笑いを浮かべながら正しい席に座りなおす一幕もあった。
一方、質問を終えた石川に対して「答弁が荒れちゃってゴメンね」と言わんばかりに満面の笑みを浮かべる場面も。悪びれた様子などみじんもないテヘペロぶりに、官邸は「これ以上ボロが出ないよう、加藤大臣に答弁させたくない」(官邸関係者)と慌てているという。
岸田が説明してきた「500円弱」は保険加入者1人当たりの平均に過ぎず、負担額が一律に「500円弱」というわけではない。数字マジックを身内から否定されては、面目丸潰れだ。
「加藤大臣のグダグダぶりは目も当てられませんが、諸悪の根源は、支援金制度について『1人当たり500円弱』『実質的な負担はない』と言い張る岸田総理です。事実上の『子育て増税』なのに、『増税メガネ』と批判されたトラウマがあるからか、社会保険料で徴収して『増税ではない』とゴマカしています。賃上げによって徴収分を補うとして『実質負担はない』と強弁していますが、負担増に変わりはない。おまけに徴収額もデタラメ。こんなゴマカシとウソで塗り固められた屁理屈を言い繕おうとしても、無理があるのは当然です。岸田総理は負担額の試算について『法案審議に間に合う形で示したい』と言っていますが、注目度の高い予算委に出してくるかどうか見ものです」(ある野党議員)
ポンコツ炸裂の“加藤の乱”──。今後どんな展開をたどるのか。
●国民民主 岸田政権の批判強めるも政策の実現が課題に 2/25
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、国民民主党は、与党との協調を排除しないとする方針を転換し、岸田政権への批判を強めていますが、ガソリン価格対策など、党が掲げる政策をどう実現させるかが課題となっています。
国民民主党は、政策実現のため、与党との協調を排除しない姿勢をとってきましたが、自民党の政治資金をめぐる問題を受けて方針を転換し岸田政権への批判を強めています。
一方で、党が掲げている、ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する「トリガー条項」の凍結解除については、与党との協議を離脱したため実現のめどが立たなくなり、ほかの野党との連携を模索していますが、立憲民主党や日本維新の会との協議は調整がつかない状況が続いています。
党内からは「政策で成果が得られなければ、存在感が低下しかねない」という懸念も出ていて、政策をどう実現させていくかが課題となっています。 
●2024年「児童手当」はどうなる? 財源として「月500円程度」の負担も言及 2/25
2023年12月22日に政府が発表した「子ども未来戦略」において、児童手当の拡充が盛り込まれました。
さらに、少子化対策の財源を確保する目的で創設した「支援金制度」が注目されています。
2月16日に「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、ようやく財源にも言及されました。
新たに拡充する児童手当の内容と、財源である支援金制度について、それぞれ解説します。
児童手当の拡充案とは?
まずは児童手当の現行制度と、今年行われる拡充についてそれぞれ解説します。
   児童手当の現行制度
児童手当の現行制度は、中学校卒業まで支給対象です。
子どもが1人の世帯では、3歳まで月額1万5000円、3歳から月額1万円が支給されます。
子どもが3人いる世帯では、第3子のみ小学生まで月額1万5000円、中学生で月額1万円になります。
ただし、児童手当には所得制限が設けられています。
所得に応じて支給額が一律5000円になる「所得制限限度額」と、児童手当が受け取れない「所得上限限度額」に分かれます。
では、拡充案が現行制度からどのように変わるのか確認しましょう。
   児童手当の新たな拡充案
2024年10月から児童手当の新制度がスタートします。
児童手当の拡充案では、以下の項目が変わる予定です。
 ・所得制限の撤廃
 ・支給年齢を18歳まで延長
 ・第三子の支給額を倍増
まず、これまで設けられていた所得制限を撤廃します。
所得制限限度額、所得上限限度額それぞれ廃止されるので、子どもがいる世帯の支給額は同額となります。
また、中学校卒業までの支給年齢を引き上げて、18歳まで受け取れる形になりました。
さらに、第3子以降の支給額が1万5000円から3万円に増額される予定です。
児童手当が拡充されますが、制度を維持するための財源が必要になります。
財源を確保する目的で、政府は「支援金制度」を創設しました。
支援金制度の概要について確認しましょう。
財源として創設した「支援金制度」とは?
支援金は、少子化対策の財源を確保する目的で、2026年4月からスタートします。
支援金はどのようにして集められるのか、また支援金の使いみちについて解説します。
   支援金制度の概要
支援金は国民から拠出する制度となっており、徐々に拠出額を増やす見通しです。
 ・2026年度:6000億円
 ・2027年度:8000億円
 ・2028年度:1兆円
具体的には、74歳以下が加入する「公的医療保険」と、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」から支援金が拠出されます。
ただし政府は「歳出改革と賃上げによって実質的な負担は生じない」と説明しています。
   支援金制度の使いみち
支援金制度の使いみちは、「子ども未来戦略」で発表した少子化対策の支援に使われます。
主な支援策は、以下の3つです。
 ・児童手当の拡充
 ・大学の授業料を減免
 ・育休の手取り実質10割
大学の授業料の免除は、3人以上の子どもを扶養する世帯を対象とした支援策です。
2025年度から、国公立大学で約54万円、私立大学で約70万円を免除します。
また、両親ともに14日以上の育休を取得した場合、育休中の給付金が手取りの10割相当になるよう、給付率を引き上げる予定です。
では、支援金制度が導入されることで国民1人あたりいくら負担が必要になるのか確認します。
支援金制度で1人あたりの負担額は?
支援金制度は、公的医療保険に加入している人から拠出する予定です。
公的医療保険は、自営業やフリーランスが加入する「国民健康保険」と、従業員が加入する「被用者保険」に分かれます。
岸田首相は、2028年度に1兆円を確保する場合の加入者負担額が、1人あたり月500円弱になると発言しました。
この場合、1人あたり年間約6000円が負担となります。
ただし、実際にいくらの拠出額となるかは、公的医療保険の種類や、加入者の所得で変わる可能性があります。
実際に2024年2月22日の衆議院予算委員会において、所得によっては負担額は1000円になる可能性にも言及されました。
また、当初2年間は74歳以下の公的医療保険に加入している人から、財源の92%を確保する見通しです。
75歳以上の後期高齢者医療制度に加入している人の負担率は8%と、現役世代の負担が高くなるといえるでしょう。
ただし、例外として金融資産のある高齢者は、より多くの負担が必要になる可能性があります。
政府は早急に具体的な制度設計をする予定なので、これから詳しい内容が決まっていく見通しです。
児童手当拡充は10月から!支援金は2026年4月からスタート!
児童手当は、2024年10月から所得制限がなくなります。
また、支給期間が高校生まで延長となり、第3子以降は月額3万円が支給される見通しです。
支援が拡充する一方で、財源も必要になります。
児童手当をはじめ、少子化対策を進めるために、支援金制度を創設しました。
支援金制度は、公的医療保険に加入している人から拠出してもらう見通しです。
1人あたり月額500円弱の負担となる見通しですが、加入している健康保険や所得によって負担額が変わる可能性があります。
今後、政府が早急に検討して追加発表する制度がどうなるか、引き続き注目しましょう。

 

●「まだここに住みたかった…」珠洲市 緊急の公費解体始まる 2/26
「ここはわれわれの城みたいなもの。まだここに住みたかった」
70年近く住んだ住宅は道路に向かって傾き、「危険」と書かれた赤い貼り紙が貼られています。
朝8時過ぎ、トラックが横付けされ、残された家具や思い出のアルバムなどが運び出されました。
緊急で解体する作業が始まったのです。
始まった「公費解体」
作業が始まったのは、珠洲市飯田町にある木造2階建ての住宅です。
前にある市道に向かって傾いているため、通行する人に危険があるとして解体されることになりました。
自治体が所有者に代わって被災した建物を解体する「公費解体」の制度は現地調査やり災証明書の発行が必要で一定の時間がかかります。
このため珠洲市は、危険性が高い建物について所有者の同意を得た上で緊急の公費解体を行うことにしています。
現場ではこの住宅で暮らしていた佐藤寿美雄さん(72)と妻の敬子さんも作業の様子を見守りました。
家族のアルバムや大切にしていた珠洲焼の湯飲み。
思い出の品が見つかると、懐かしそうに眺めていました。
佐藤寿美雄さんは5歳くらいのときに、家族とともにこの家に越してきたということです。
佐藤寿美雄さん「2、3日のうちじゃあとうてい思い出全部拾い集めるわけにはいかん。前向かなきゃならんけど、前向きたいんやけど、なかなか今の現実を受け止められんというかね」
23歳で妻の敬子さんと結婚、この家で長男と長女を育てました。
家の正面に掲げられた「佐藤商店」の看板は、佐藤さんの父親がおよそ70年前に創業した水産加工業の会社のものです。
父親から会社を引き継ぎ、珠洲市宝立町にある工場で地元の伝統的な保存食、「巻鰤」や地元産の魚を使った加工品などを製造してきました。
しかし工場も津波の被害にあい、廃業せざるをえない状況だとということです。
佐藤寿美雄さん「自分が育って自分の子どもをここで育てて孫もここにおってくれて。ここはわれわれの城みたいなもの。自分の代でこんなになるかと思わなかった。本当に残念な気持ちでいっぱい。まだここに住みたかった」
「ごみのように見えますけど、ごみじゃなくて」
現場には、長女の今川香奈子さんの姿もありました。
香奈子さんは現在、金沢市内で暮らしていて、地震後に実家を訪れたのは今回が初めてだということです。
香奈子さんにはきょうの作業で見つかった、1枚の写真が手渡されました。
写真は20年ほど前に地元の祭りの会場で撮影されたものです。
ピースサインをする香奈子さんとはっぴ姿の佐藤さん、それに長男の亜希彦さんの3人が写っています。
娘 今川香奈子さん「ごみのように見えますけど、ごみじゃなくて。慣れ親しんだ家がこんな姿って、なんともいえない気持ちで複雑で。でも両親見ていると強いじゃないですか。泣いておられんなって」
なぜ解体進まない?背景は
被害が大きかった珠洲市、輪島市、穴水町、能登町の2市2町では、25日までに少なくとも、合わせて4万7000棟以上の建物で被害が確認されています。
今後、さらに倒壊して2次被害を引き起こすおそれのある建物についての緊急での公費解体は、26日から珠洲市で始まったほか輪島市、能登町でも進められています。
珠洲市には2次被害の危険性が高いと判断された建物は50棟以上あるものの、現時点で解体が決まっている住宅は1棟だけだということです。
解体が進まない背景には、すでに倒壊している建物も多くどれを優先して解体するか検討に時間がかかっていること、避難している建物の所有者とすぐに連絡が取れるか懸念されることなどがあるということです。
珠洲市以外では輪島市が2月上旬から始めているほか、能登町でもこれまでに3棟の建物を解体したということです。
一方、穴水町は今のところ緊急の公費解体を行う予定はないということです。
内灘町でも「公費解体」の申請開始
一方、液状化で建物に甚大な被害が出た内灘町でも、26日から公費解体の申請の受け付けが始まりました。
窓口に訪れた住民が被害を受けた自宅の写真を見せたり、住宅の見取り図を書いたりしながら申請書に必要事項を記入していました。
建物の解体・撤去は自治体が行いますが、取り出すことが可能な家財道具などについては、原則、被災者自身が費用負担して搬出したり処分したりしなければならないということです。
申請に訪れた広瀬静二さん(87)は、内灘町室地区にある木造2階建ての自宅が液状化で大きく傾きました。
家が傾いているため玄関から部屋に入る引き戸を開けることができず、家の周りは地面から吹き出した土砂で埋め尽くされています。
目の前の道路も地面が大きく隆起してブロック塀が倒れたり、電柱が斜めに傾いたりしていて近所の住民もほとんど避難しているということです。
広瀬さんは地震のあと、町内のアパートで妻と暮らしていますが、今後の生活の見通しは立っておらず、途方に暮れています。
広瀬静二さん「傾いた家を直すこともできないし、寝泊まりもできないので公費で解体してもらえるのは助かりますが、60年以上住んでいる自宅がめちゃくちゃになり言葉にならないです。愛着がある町ですが、これからもここに住めるとは思えません」
●輪島の白米千枚田、今年も耕作へ 能登半島地震で被害 2/26
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市の棚田「白米千枚田」が今年も作付けされる見通しになった。市などでつくる景勝保存協議会が26日までに明らかにした。協議会は「生活再建が優先される段階であることは承知しているが、復興の希望の光となるべく耕作する」としている。
千枚田は日本海に面した急斜面の棚田として知られ、国の名勝に指定されている。地震の影響で大きなひび割れや地盤が傾くなどの被害が出ている。復旧工事の進み具合を見ながら、可能な場所を選び、規模を縮小して作付けする。
会費を負担し、田んぼの維持に協力する「オーナー制度」は継続するが、返礼品などの特典は原則なしとする。
●[能登半島地震]新潟県内の住宅被害1万8978棟、新潟市は1万3841棟 2/26
能登半島地震による新潟県内の住宅被害は、県のまとめによると、2月26日時点で1万8978棟となった。県内全体で全壊101棟、半壊2660棟、一部破損1万6203棟となった。
新潟市では1万3841棟の被害が確認され、全壊92棟、半壊2569棟、一部破損1万1180棟。市に寄せられた罹災(りさい)証明書の申請件数は1万4290件で、このうち交付されたのは8450件。被害認定調査が終了したのは1万5981件となった。
また、県は26日、保健所などの業務支援のため、県動物愛護センター(長岡市)の獣医師1人を石川県に派遣すると発表した。期間は28日〜3月5日。
新潟県によると、災害支援で県の獣医師を他県に派遣するのは初めて。石川県から環境省を通じ、要請があった。飼い主とはぐれた犬猫への対応や、能登中部の避難所の巡回などを行う。
●自民・茂木幹事長、棚橋泰文氏の後援会 1.3億円使途不明…SNSで大炎上 2/26
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件の真相解明が進まない中、同党で新たな「政治とカネ」の疑惑が浮上した。
茂木敏充幹事長(68)の資金管理団体から寄付を受けている政治団体「茂木敏充後援会総連合会」と、棚橋泰文元国家公安委員長(61)の政党支部や資金管理団体から寄付を受けている同「棚橋泰文後援会連合会」で2020〜22年、使途の詳細が不明な支出が見つかった、と共同通信が報じたのだ。
政治資金規正法は「国会議員関係政治団体」について、収支報告書には人件費を除く1万円超の支出全ての記載を義務付けているが、後援会は「その他の政治団体」に当たり、厳格な適用になっていない。共同通信の調べによると、茂木、棚橋両氏の後援会連合会では、全体の収入の97%超、計1億3500万円以上の使途が分からなかったという。
9割以上のカネが使途不明で「裏金事件以上の衝撃」とSNS
共同通信は「規正法の『抜け穴』が改めて露呈した形だ」と報じているが、一連の経緯を見る限り、厳格に法律が適用される政治団体のカネの一部を別の団体に移し、意図的に使途を分からなくさせていると疑われても仕方がない。「抜け穴」というよりも、経済事件では、こういう手法は「マネーロンダンリング」と呼ばれている。
ネット上では26日午前、X(旧ツイッター)で《自民茂木氏》が一時トレンド入り。SNSでこんな声が飛び交った。
《これは裏金事件以上の衝撃。9割以上のカネの使途が不明とは…》
《抜け穴ではななくマネロン。茂木、棚橋2人ともアウトではないのか》
《このやり方が通用するのであれば何でもあり。規正法を厳格化する以外ない》
26日午前の衆院予算委員会では、立憲民主党の野田佳彦氏(66)が、岸田文雄首相(66)を巡る「首相就任を祝う会」のパーティーの収支が報告書に記載されていない問題を取り上げ、「脱法パーティーじゃないんですか」と追及。岸田首相が改めて違法性を否定すると、野田氏は「抜け穴作りの先頭に立つんですか」と憤りをあらわにしていたが、次々と出てくる「政治とカネ」の問題を見ていると、自民党にとって強い関心は国家、国民よりも政治資金規正法の「抜け穴」探しのようだ。
●石破氏、首相と直接対峙も裏金に触れず 「肝心な時に逃げる」の声も 2/26
自民党の石破茂元幹事長が26日、約1年ぶりに衆院予算委員会で質問に立った。派閥による裏金問題をめぐって昨年12月、テレビ番組で新年度予算成立後の岸田文雄首相の退陣論にまで踏み込んだが、この日は事件に触れず、自説の展開に終始した。
石破氏が質疑の最初に選んだテーマは、88年前のこの日に起こった「2・26事件」。元防衛相の石破氏は、陸軍の青年将校らが首相官邸などを襲撃した事件を踏まえ、「『自衛隊とは何か』をきちんと考えることが重要だ」と指摘。5分間ほど持論を続けたが、首相に答弁を求めなかった。
その後は、能登半島地震の話題に転じ、避難所のあり方やシェルターの重要性などについて質問し、「復興庁を発展させていくような考え方もあってしかるべきだ」と首相に迫った。ただ、裏金問題への言及はなく、質問後、記者団からその理由を問われ、「時間が短い。(裏金事件は)さんざん予算委員会でなされたことで、議論されなかったことをただしておきたかった」と説明した。裏金事件の当事者が弁明する衆院の政治倫理審査会を非公開とする自民党の方針については「公開した方がいい。非公開にする合理的な理由はなかなか見当たらない」と語った。
一方、石破氏をよく知る党幹部は「テレビであれだけ政治改革を叫んでおきながら、一番大事な予算委で何も聞かないなんてあり得ない。肝心な時に逃げる癖がある」と苦笑した。
●裏金の真相「なぜ聞かない」二階氏、萩生田氏、下村氏を名指しされ、岸田首相が認めた不十分さ 2/26
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆議院予算委員会の集中審議で26日、立憲民主党の奥野総一郎衆院議員は、二階俊博元幹事長ら議員3人の政治倫理審査会(政倫審)への出席か国会への参考人招致がなければ「予算を今国会で通過させることは困難だと言わざるをえません」と踏み込んだ。
この日の審議では、岸田文雄首相からも「(裏金議員を対象に2月に行った)聞き取り調査で実態が十分把握できたものではない」との発言が飛び出した。
「大事な論点」に「聞いてない」
28、29日に開催が予定されている衆院の政倫審において、野党は裏金議員51人の出席を求めたのに対し、自民党が応じたのは、松野博一前官房長官ら自民安倍派、二階派の5人だけ。
「ヒアリングは全くお手盛りで肝心なことは聞いていない」として、奥野氏が、追加で政倫審への出席を求めたのは、二階氏、萩生田光一前政調会長、下村博文元政調会長の3人だ。
二階氏は、在任中に党から約50億円の政策活動費を受け取ったとされている。
萩生田氏は、裏金事件を受けた政治団体の収支報告書の訂正で、政治活動に関する支出の金額や年月日など30カ所以上に「不明」と書いた。
下村氏は、安倍派の事務総長を務めた経験がある。安倍派所属議員へのパーティー券の販売ノルマ超過分の還流については、安倍晋三元首相が2022年4月に還流の中止を提案した際、協議に出席していたと語っている。
奥野氏はこの日、岸田首相にこの3人への聞き取り状況を尋ねた。下村氏の証言については、「誰が還付をやめるのをやめたのかということについて、共謀が行われていたか大事な論点だが、下村さんにヒアリングで聞かれたか」と質問した。
岸田首相は「ご指摘の点について実態を確認したとは、私自身も聞いていない」と答えた。
奥野氏は「萩生田さんのお金の使い道も、二階さんのお金の使い道も、最も肝心な(安倍派から所属議員への)還付を止める決定を誰がひっくり返したのかも、ヒアリングの中で聞いていない」と追及。岸田首相に、政治倫理審査会や予算委員会への出席を促すよう繰り返し求めた。
森元首相にも「なぜ聞かない」
奥野氏は、自民党の聞き取り調査で、安倍派の歴代会長の1人、森喜朗元首相の話を聞いていない点も問題視した。
裏金議員へのヒアリング結果をまとめた報告書では、安倍派について「遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い(場合によっては20年以上前から行われていたことも窺われる)」と指摘している。
奥野氏は、森元首相を裏金づくりが始まった経緯を知る可能性がある「キーパーソン」だとして、「なぜヒアリングしなかったのか」と迫った。
岸田首相は「聞き取り調査だけで全てを把握できたわけではない」としつつも、「(議員らへの聞き取りの中で)森元総理の具体的な関与を指摘する発言はなかったことから、追加の調査は必要ない」と述べた。
奥野氏は、具体的な名前が出なくても、森元首相が派閥会長だった時期から裏金づくりがあったという証言はあったと指摘し、「(聞き取りの)人選からして中立性を欠いている」と断じた。
●萩生田氏の“子分”がまた…自民・今村洋史元議員のいわく付き「陣中見舞い」 2/26
極めてズサンだ。派閥パーティー裏金事件を受け、安倍派が政治資金収支報告書を訂正した際、キックバック分の支出先に事実上解散させられた政治団体が含まれていた。
問題の団体は「黎明の会」。次期衆院選で東京9区(練馬区西部)から出馬予定の今村洋史元衆院議員が代表を務める。2021〜22年と2年続けて収支報告書を提出しなかったため、23年6月から政治資金規正法に基づき、解散団体とみなされ、寄付の受領や支出ができなくなっている。
安倍派は収支報告書を訂正し、22年分には日付「不明」で黎明の会にキックバック分220万円を支出したと記した。支出先にそもそも訂正すべき収支報告書がなければ、事実かどうか検証のしようがない。
規正法は政治団体に収支報告書を毎年提出することを義務づけ、故意に提出しなかった場合の法定刑は5年以下の禁錮または100万円以下の罰金。虚偽記載などと並び、重い罰則を科される。法律を守れない人物が国会議員になろうとは、虫がよすぎる。サッサと公認を取り消し、刑事罰を与えるべきだろう。
「今村氏は昨春の練馬区議選で複数の自民候補に陣中見舞いを渡し、受け取った側は『黎明の会』宛てに領収書を出したそうです。これが昨年6月以降だったらアウト。いわく付きの団体と知り、皆、迷惑顔のようです」(自民党関係者)
都連会長の萩生田光一氏にすがり東京9区から出馬予定
愛知・一宮市で精神科医を営む今村氏は、12年の衆院選に日本維新の会から比例東京単独2位で当選。続く14年衆院選は地元の愛知10区から出馬を模索するも、準備不足のため辞退した。自民入党は15年のことで、17年衆院選は比例東海から出馬し、落選。前回21年は東京15区で、公選法違反罪で公判中の柿沢未途被告に約5万票差で敗れた。
「前回は長らく野党系議員だった柿沢氏が自民入りを念頭に無所属で出馬し、自民の都連は反発。都連の実力者である萩生田前政調会長の差し金で行き場を失っていた今村氏を擁立し、2人に推薦を出す異例の選挙戦に。惨敗した今村氏が東京9区からシレッと出馬するのも、都連会長の萩生田氏にすがった結果です」(都連関係者)
それにしても裏金4800万円で逮捕、事務所のパソコンをドライバーでブチ壊した池田佳隆被告といい、萩生田氏の“子分”たちは汚れたヤカラばかり。裏金2728万円で政倫審トンズラの親分も似たようなモノだ。
●「泥棒自民党」97%が使途不明!茂木氏・棚橋氏の後援会が「1.3億円」 2/26
自民党の政治資金パーティー裏金問題に関する衆議院の「政治倫理審査会(政倫審)」が、28・29日に開催される。安倍派からは、塩谷立座長、松野博一前官房長官、高木毅前国会対策委員長、西村康稔前経済産業相の4人が、二階派からは事務総長の武田良太・元総務相が出席する見込みだ。
「(政倫審は)ウソつきの政治家にウソつきの場を提供するだけ。あえてウソをつかせる場を設ける必要なんかありませんよ。国会議員が平気でウソをついて、逆に免罪符にされてしまうだけです」
本誌取材に、兵庫県明石市で市長を務めた弁護士の泉房穂氏が、政倫審の「茶番ぶり」を指摘しているが、どうやら議員も報道陣も傍聴できない「完全非公開」になりそうだ。
「これには自民党議員からも疑問の声があがっていますが、岸田首相は『(公開か非公開かは)国会で判断すること』と逃げ腰ですから、国民にとっては不満が増すだけの単なるセレモニーで終わる可能性が高いですね」(政治担当記者)
なんとも腹立たしい展開だが、そんななか、自民党に新たな「政治とカネ」の問題が発覚した。
茂木敏充幹事長の資金管理団体から寄付を受ける政治団体「茂木敏充後援会総連合会」と、棚橋泰文元国家公安委員長の政党支部や資金管理団体から寄付を受ける「棚橋泰文後援会連合会」で、2020〜22年、使途の詳細がわからない多額の支出が判明したのだ。2月26日に共同通信が報じている。
「驚くのは、両氏とも支出全体の97%超が使途不明で、その額が2団体で計1億3500万円以上と巨額なことです。
政治資金規正法では、政党支部や資金管理団体は、人件費を除く1万円を超える支出すべての使途を報告書に記載するよう義務づけていますが、問題になった2団体は、『その他の政治団体』になるため公開基準が緩く、以前から不透明さが問題視されていました」(同)
だが、共同通信の記事に、2つの後援会は、《いずれも議員本人が代表を務める資金管理団体と同じ所在地にあり、会計責任者や連絡先も同じ。収入のほぼ全ても、両氏の資金管理団体と政党支部からの寄付となっている》という。これでは、たんなる「抜け穴」といわれても仕方ないだろう。
実際、ネットニュースのコメント欄には、怒りの投稿が大量に寄せられている。
《まだまだ出てくるぞ。泥棒自民党》
《こんなザル法は抜け穴というより意図的に設けたバックドアでしょう》
《自身の資金管理団体や政党支部からカネを移動させ、使途を見えなくする手口。法の趣旨を無意味化する脱法行為だ》
《だいたい『茂木幹事長の資金管理団体から寄付を受ける政治団体「茂木敏充後援会総連合会」』てマネロンシステムやん?》
など憤激のコメントがあふれていた。
1月25日、茂木氏は裏金疑惑にまみれていた安倍派幹部に「党として安倍派幹部のみを離党させることは考えていない。『けじめ』のつけ方を安倍派として自ら考えて提案してほしい」と伝えたという。
茂木氏と棚橋氏は、今回、どのように「けじめ」をつけるのだろうか。
●安倍派、解散へ手続き説明 2/26
自民党安倍派は26日、派の解散手続きを進める「清算管理委員会」による説明会を所属議員や秘書を対象に国会内で開いた。
出席者によると、同委の実務を担う西村明宏衆院議員が説明に当たり、派閥パーティー収入のキックバック(還流)分を派に返納を希望する場合は速やかに申し出ることや、2023年開催分のパーティー券売り上げの確認徹底などを求めた。
●岸田内閣の支持率、3カ月連続30%割れ 2月各社調査 2/26
報道各社の2月の世論調査結果が出そろった。岸田文雄内閣の支持率は20%台で、2021年10月の政権発足以来、最も低い水準が続く。日本経済新聞社など6つの調査の結果を分析すると、3カ月連続で30%を切った。
日経の23〜25日の調査で内閣支持率は2ポイント下落の25%だった。朝日新聞と読売新聞、産経新聞も政権発足以降で最低を更新したか、もしくは最低に並んだ。共同通信とNHKは前回の1月調査から下がり、23年12月に次いで低かった。
自民党派閥の政治資金問題が響いた。内閣を「支持しない」との回答は各社で50%台後半から70%台前半に上った。
自民党の政党支持率の低迷も目立った。
日経と朝日、読売は12年末の自民党の政権復帰から過去最低を更新した。朝日は3ポイント低下の21%、読売は1ポイント下がって24%だった。NHKと共同通信は30%台で、それぞれの調査での内閣支持率のほうが低かった。
●最高値を更新した日本株、死角は中国経済 岸田政権の弱体化も懸念材料 2/26
「妬ましい」。22日、日経平均株価が史上最高値を約34年ぶりに更新すると、中国の交流サイト(SNS)には日本株の上昇基調をうらやむ投稿が目立った。中国の株価は今年に入り、日本とは対照的に下げ基調だったからだ。
その結果、東京証券取引所を中心とする日本取引所グループ(JPX)に上場する株式の時価総額は1月末時点で上海証券取引所を上回り、世界4位に浮上した。
中国株が弱含む主な要因は景気低迷やデフレ懸念だ。特に不動産不況は深刻で、中国人民銀行は20日には、住宅需要喚起のための利下げを実施。株安を阻止するため、中国政府は「国家隊」と呼ばれる政府系資金を市場に大規模投入したほか、証券監督当局のトップを交代させる異例の人事も行った。それでも中国株の本格的な回復は見通せないままだ。
連休明け26日の東京株式市場で、平均株価は続伸し、22日に付けた史上最高値を上回った。終値は前週末終値比135円03銭高の3万9233円71銭だった。
年初から一本調子で駆け上がってきた日本株だが、市場関係者が今後のリスクとして警戒しているのは、中国経済の動向や11月の米大統領選だ。トランプ前大統領が返り咲けば、中国への締め付けがより厳しくなることは想像に難くなく、市場にはさまざまなリスクシナリオが飛び交う。
トランプ砲も脅威に
共和党の指名争いを優位に進めるトランプ氏。選挙前にも、中国に圧力をかける発言を再び繰り返し、市場を揺さぶる可能性がある。
習近平国家主席の動向も気がかりだ。ソニーフィナンシャルグループの渡辺浩志シニアエコノミストは「終身国家主席≠目指す習氏の関心は、国民の支持を集める景気回復よりも、自身への権力集中に傾いている」と分析する。
このため企業の強大化を嫌って、たとえばITや不動産業種への規制をより厳しくすることが想定される。さらに景気が悪化し、中国向けの輸出が冷え込めば、中国を主要市場とする日本メーカーにとってマイナス要因になる。
エコノミストの豊島逸夫氏は「グローバル投資家の日本経済への見方は変わりかねず、日中の株価が共倒れすることもあり得る」と指摘する。
政権「不安定化」懸念
これらの中国リスクを通して、日本株における安定株主の乏しさという課題が浮かび上がってくる。このところ日本株を勢いづけてきたのは、短期売買を繰り返す海外のヘッジファンドだ。1月に少額投資非課税制度(NISA)が刷新され、個人投資家も増えてきたが、その目線は外国株に向いたままだ。
豊島氏は「年金基金など長期で運用する質のいい投資家を取り込まないと、東京市場は荒波にさらされるだろう」と警告する。
追い打ちをかけそうなのが、岸田文雄政権の弱体化だ。海外投資家が日本経済に絶対的な信頼を置いている背景には、政治情勢が比較的、安定していることがある。ところが自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件などをきっかけに内閣の支持率は低空飛行が続く。今の日本の株高は危ういバランスの上に成り立っているといえそうだ。
●子ども施策、1人146万円 支援金制度で受給額の試算公表 2/26
加藤鮎子こども政策担当相は26日の衆院予算委員会で、少子化対策の「子ども・子育て支援金」制度に基づき、子どもが生まれてから18歳になる年代までに通算で受けられる児童手当やサービス費の総額は、1人当たり平均146万円になるとの試算を初めて公表した。受給額は単純計算で年7万円となる。公明党の中野洋昌氏への答弁。
支援金は、岸田政権が掲げる「次元の異なる少子化対策」の財源の柱とするため創設し、公的医療保険料に上乗せして徴収する制度。政府は2028年度の1人当たりの平均徴収額は月500円弱になるとの試算を示している。
支援金の使い道は(1)児童手当や育児休業給付を拡充(2)親の就労に関係なく保育を利用できる「こども誰でも通園制度」創設(3)妊産婦に計10万円相当を給付(4)子どもが1歳になるまで自営業者らの国民年金保険料を免除―に限定した。
146万円を年齢別で見ると、0〜2歳の3年間は児童手当の拡充などで1人当たり平均51万円。高校生年代の3年間は1人当たり平均47万円となる。
●KDDI、ソニー・ホンダモビリティとグローバルなコネクティッドビジネスの推進を目的に協業を開始 2/26
KDDIは、ソニー・ホンダモビリティ株式会社(本社 : 東京都港区、代表取締役 会長 兼 CEO : 水野 泰秀、以下 ソニー・ホンダモビリティ)と、コネクティッドビジネスの推進を目的に協業(以下 本協業)を開始しました。
今後、ソニー・ホンダモビリティが2025年に販売を予定している新ブランド「AFEELA」初の量産モデルに、KDDIのグローバル通信プラットフォームを提供します。これにより、「AFEELA」が目指すエンターテインメントとグローバル展開を支援していきます。
背景
自動車産業は日本が誇る世界的な産業であり、日本経済と雇用を支える戦略産業の1つです。近年、Connected(コネクティッド)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の「CASE」と呼ばれる4つの領域で技術革新が進んでいます。
コネクティッドカーの新車販売台数は拡大傾向にあり、近年ではスマートフォンとカーナビを連携させるサービスなど、ニーズは多様化しています。車は単なる移動手段ではなく、お客さま毎にパーソナライズされた車内環境や運転以外のエンターテインメント体験が求められているため、「通信」と「車」が繋がり続けることが益々重要となります。
本協業について
KDDIは、グローバルIoT領域での豊富な経験から、利便性の高い新機能を追加したグローバル通信プラットフォームを提供し、「AFEELA」の目指すエンターテインメント体験の提供とグローバル展開を支援していきます。
<グローバル通信プラットフォームで実現できること>
グローバル通信プラットフォームは、日本におけるKDDIの5G通信との接続に加え、各国通信キャリアが提供する5G通信に対応しています。
5G通信とグローバル共通のインターフェースの提供により、「AFEELA」が提供するゲームや映画などのエンターテインメントがより快適に、各国・地域共通の設計で体験可能となるため、お客さまのCX向上につながります。
<ソニー・ホンダモビリティが提供する「AFEELA」>
ソニー・ホンダモビリティ株式会社 取締役 専務 岡部 宏二郎氏は次のように述べています。
「AFEELAはプレミアムブランドにふさわしいハードウエアと、AIを活用したAD/ADAS、その上で創造的なエンタテインメント空間としてのモビリティを追求します。その実現のため、モビリティが定常的にネットワークに接続されていることが重要であり、これまでになかったような大容量・低遅延な通信が不可欠です。SHMがグローバルで高品質なモビリティ・サービスを提供していくにあたり、効率的な運営を可能にするワールドワイドな通信ソリューションを重視しています。今回はこうした思いからKDDIのグローバル通信プラットフォーム、および各地域のMNOとの強固な関係に期待しています。」
●政倫審、公開是非で与野党対立 岸田首相「最良の方法を」 2/26
衆院政治倫理審査会は26日の幹事会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関する審査の在り方を協議した。自民党は原則通り審査を「完全非公開」とするよう主張。立憲民主党などは公開を求めて譲らず、結論を持ち越した。両党は28、29両日に審査会を開くことで合意しているが、溝が埋まるかは不透明だ。
これに関し、岸田文雄首相(自民党総裁)は26日の衆院予算委員会で「完全な非公開は長い歴史の中でも1件しかない。説明責任を尽くす観点から最良の方法が取られることを期待している」と述べた。
●「確定申告ボイコット」のハッシュタグ、「知っている」 岸田首相 2/26
自民党派閥による裏金問題を受け、岸田文雄首相は26日の衆院予算委員会の集中審議で、「SNSで『確定申告ボイコット』というハッシュタグがつけられた投稿が多く見られていることは承知している」と述べた。16日から所得税の確定申告が始まるなか、裏金問題に対する納税者の反発が高まっていることを認めた形だ。
立憲民主党の城井崇氏が「確定申告ボイコットという言葉が飛び交っている。この言葉をご存じか」と質問したのに答えた。
首相は「改めて国民のみなさんの厳しい目を強く感じているところだ。信頼回復に向けて強い覚悟を持って臨まなければならない」と語った。
一方、これに先立って、立憲の野田佳彦元首相からは「裏金議員に納税義務を果たすよう指示すべきではないか」とも問われたが、首相は「本人が実態に基づいて修正している」などと述べるにとどめた。
●森氏聴取、必要なしと判断 岸田首相、「国民の厳しい目」認識―衆院予算委 2/26
岸田文雄首相は26日の衆院予算委員会で、自民党安倍派などの政治資金パーティー裏金事件に関し、自民による聞き取り調査で同派会長を務めた森喜朗元首相を対象としなかった理由を問われ「森氏の具体的関与を指摘する発言はなかったことから、追加聴取は必要ないと判断したと受け止めている」と述べた。立憲民主党の奥野総一郎氏への答弁。
奥野氏は自民の二階俊博元幹事長、下村博文元政調会長、萩生田光一前政調会長の3人の参考人招致を要求し、応じない限り2024年度予算案の衆院通過は「困難」との認識を示した。首相は「国会で判断いただくことだ」と指摘するにとどめた。
首相は裏金事件に関し「国民の厳しい目を強く感じている。信頼回復に向けて、強い覚悟を持って臨まなければならない」と強調。SNSで「#確定申告ボイコット」とのハッシュタグを付けた投稿が広がっていることに関し「承知している」と述べた。立民の城井崇氏への答弁。
日本維新の会の高橋英明氏は、岸田派の政治資金規正法違反事件に関して首相自ら政治倫理審査会に出席する考えはないか尋ねた。首相は「予算委で幾度となく質問を受けて、説明を続けている。こうした対応によって説明責任を尽くしていきたい」と否定的な考えを示した。
共産党の赤嶺政賢氏は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、沖縄戦の激戦地となった県南部の土砂を埋め立て用として調達しないよう訴えた。首相は「今もなお戦没者の遺骨収集が進められている。こうした事情も十分踏まえ、調達先を適切に判断していく」と語った。
●森元総理からの聞き取り「必要ない」 岸田総理 2/26
自民党の派閥の政治資金事件を巡り、岸田総理大臣は清和政策研究会の会長を務めた森喜朗元総理からの聞き取りは必要ないという認識を示しました。
立憲民主党 奥野総一郎衆議院議員 「森さんに潔白を証明してもらえばいいじゃないですか。そこを言ってるんですよ。ヒアリングの仕方も非常に恣意的(しいてき)だし、清和会(研)への忖度(そんたく)があるじゃないですか」
岸田総理大臣 「調査を行ったなかで、森元総理の具体的な関与を指摘する発言はなかったということから、追加の聴取は必要ないと判断したと受け止めております」
衆議院の予算委員会で立憲民主党の奥野議員は、自民党の聞き取り調査で安倍派ではキックバックの不記載が「20年以上前から行われていたこともうかがわれる」と記載されていて、会長を務めた森元総理にも話を聞くべきだと主張しました。
これに対し、岸田総理は森元総理から追加で聞き取りを行う必要はないとしたうえで、「様々な機会を通じて実態把握に努めていく」と強調しました。 

 

●自民・森山総務会長 国会説明は「派閥の事務総長がすることが大事」 2/27
自民党の派閥の裏金問題で、立憲民主党が萩生田前政調会長らにも国会で説明するよう求めていることについて、森山総務会長は「派閥の事務総長が説明することが大事だ」との認識を示しました。
「安倍元総理が亡くなった後、またそれ(派閥からの還流)が復活したということについて、その時期の事務総長は、出席をされて説明をされることが大事なことだなというふうに思っております」(自民党森山総務会長)
森山総務会長は、党の聞き取り調査で「安倍派の関係者は、還流が復活した経緯について疑問を持っていた」と述べました。その上で、今回の政治倫理審査会の対象から萩生田氏が外れたことについて「派閥の責任者や、事務総長として経験をしていない」と述べ、安倍氏が亡くなった後の派閥の金の流れについて把握する立場になかったとの見解を示しました。
●首相「自民議員に説明促す」 裏金事件巡る政倫審開催見送りに 2/27
岸田文雄首相は27日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、衆院政治倫理審査会(政倫審)の28日開催が見送られたことについて「国会において調整が続いていると承知している」とした上で「丁寧な説明を尽くす観点と、予算案の年度内成立を確実なものにする二つの観点から、自民党関係者に最良の方法を取るよう指示を出している」と述べた。首相官邸で記者団に語った。
野党側は政倫審の開催などを来年度予算案の衆院採決の前提と位置付けており、年度内の自然成立が確実となる3月2日までの衆院採決は不透明さを増している。首相は「引き続きそれぞれの議員が置かれた立場を顧みて丁寧に説明するよう、党として促す」と強調。予算案についても「震災対応や賃上げなど国民生活にとって極めて重要だ。一日も早く衆院を通過し、年度内成立を確実なものとするため与党として全力で取り組む」と述べた。
●自民・石破氏が勉強会、15人が参加 「よこしまな意図はない」 2/27
自民党の石破茂元幹事長は27日、自身のグループを中心とする勉強会を国会内で開いた。党所属の全議員に参加を呼びかけ、計15人が参加した。石破氏は今秋の党総裁選への立候補に意欲を示しており、勉強会を「足場」としたい狙いもありそうだ。
石破グループが主催する勉強会は昨年6月以来。岸田内閣の支持率が低迷するなかでの開催となるが、石破氏は勉強会の冒頭で「何らよこしまな意図があるわけでも何でもない」と強調。石破氏は「改めて『防災省』の必要性を問う」をテーマに講演した。
出席した15人は、石破グループを含む無派閥8人、二階派4人、安倍派2人、茂木派1人。石破氏は周囲に「まだ石破の勉強会には行くな、みたいな雰囲気もあるんだろうな」とこぼした。
●日朝国交正常化議連 首相訪朝決議案を国民・玉木氏らが批判 大幅修文へ 2/27
超党派の国会議員でつくる「日朝国交正常化推進議員連盟」(会長・衛藤征士郎元衆院副議長)は27日、国会内で総会を開いた。北朝鮮による日本人拉致問題などの解決に向け、岸田文雄首相に早期の訪朝を要請する決議を採択する予定だったが、案文を問題視する声が複数の出席議員から上がり、大幅に修文することになった。
衛藤氏が当初、採択しようとした決議案は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が能登半島地震を見舞うメッセージを「閣下」との尊称を付けて首相宛てに送ったことや、金氏の妹、金与正(ヨジョン)党副部長が首相の「訪朝の日が来るかもしれない」とした談話を発表したことに言及。それらを踏まえて「北朝鮮のこの新しい動きに我々は真摯に対応すべきだ」として、首相の早期訪朝を求める内容だった。
しかし、国民民主党の玉木雄一郎代表は「日本国から複数のメッセージを出すべきではない。政府と足並みをそろえる必要がある」と指摘し、「真摯に対応すべきだ、というのはどういう意味か」と案文の表現を疑問視。さらに与正氏の談話が拉致問題について、「すでに解決した」「(日朝)両国関係展望の障害物として捉えることさえしなければ」としていることに触れ、「(これらを)飲んだかのように捉えられるのは、日本国のメッセージとしてどうなのか」と訴え、案文通りの採択に反対した。
共産党の笠井亮衆院議員も「(平成14年の)日朝平壌宣言、拉致、核・ミサイル(などの諸懸案の包括的解決)、(不幸な)過去の清算をきちっと書き込む必要がある」と不備を指摘した。
日本維新の会の馬場伸幸代表は「交渉条件が整っていないにも関わらず訪朝するのは、かなりリスキーではないか」との見解を示した。
こうした指摘を受け決議は、金氏のメッセージや与正氏の談話に関するくだりや「真摯に対応すべきである」といった箇所を削除し、政府の北朝鮮への対応方針を追加することになった。
衛藤氏は総会後、記者団に対し、朝鮮総連の幹部2人と25日に面会したことを明らかにした。
総会には自民党の石破茂元幹事長や中谷元・元防衛相、小渕優子選対委員長らも出席した。
●新しい資本主義計画の改定に着手 2/27
政府は27日、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けた会議を官邸で開き、政策の実行計画改定の議論に着手した。物価高を上回る賃上げを長期にわたり実現するため、官民を挙げて企業の稼ぐ力を高めたり、成長する企業へ労働力を円滑に移動させたりする方策が論点となった。改定は6月をめどに実施する。
岸田文雄首相が出席し「デフレ心理とコストカットの縮み志向経済から完全に脱却する。鍵となるのが物価高に負けない賃上げだ」と述べた。
政府は付加価値の高い商品を相応の価格で売って賃上げの原資にできるような環境の整備を目指す。
●有田芳生氏が断言。岸田「6月電撃訪朝」を実現させる機運など北朝鮮にはない 2/27
昨年夏にも囁かれた岸田首相の電撃訪朝。結局実現することはありませんでしたが、ここに来て『週刊現代』が「6月訪朝」をスクープとして報じました。低下の一途を辿る支持率を向上させる秘策とも伝えられますが、はたして岸田首相は、北朝鮮の地に降り立つことになるのでしょうか。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』ではジャーナリストの有田芳生さんが、『週刊現代』の記事の誤認箇所を指摘。さらに岸田首相の6月訪朝の可能性について考察しています。
岸田総理の「6月訪朝」はあるのか?
「岸田総理 6月訪朝」「極秘計画すっぱ抜く」「スクープ!」と『週刊現代』が巻頭記事で書いている。いまや週刊誌が売れない時代だ。この「スクープ」がどれほど読まれるかは疑問だ。しかし新聞に大きな広告が出るから、印象だけは広がっていく。もっともいまや紙の新聞も読まれなくなっている。「スクープ」記事を一読して「極秘計画」が「すっぱ抜かれた」内容でないことがわかる。まず致命的な誤認がある。「日朝平壌宣言」(02年)に
『国交正常化の暁には、日本から1兆円規模の経済協力を行うという約束』
があったと書いているが、そんな事実はない。さらに
岸田政権が待望する訪朝を実現させる機運が、北の中枢でも高まっている
とある。そう思い込む理由はある。それは昨年このメルマガで書き、政府が情報漏れを疑って「犯人探し」をした一連の動きである。客観的な事実を経過的に振り返っておく。
岸田文雄政権は北朝鮮拉致問題を安倍晋三政権が「内閣の最重要課題」と位置付けたことを踏襲している。「総理直轄のハイレベル協議」で日朝首脳会談を実現すると公言したのは、2023年5月27日に「家族会」「救う会」などが開催した「国民大集会」だった。その2日後の29日に北朝鮮のパク・サンギル外務次官が談話を発表した。その一節にこうある。
もし、日本が過去に縛られず、変化した国際的流れと時代にふさわしく相手をありのまま認める大局的姿勢で新しい決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら、朝日両国が互いに会えない理由がないというのが、共和国政府の立場である。
日本のメディアは「朝日両国が互いに会えない理由がない」という部分を強調した。岸田発言の2日後にコメントを出した異例の早さは、事前の準備があったからだ。それは日本政府と北朝鮮が2023年3月と5月にタイのバンコクで接触をしていた。そこで「総理直轄のハイレベル協議」が提案されていたようだ。それを北朝鮮労働党の組織指導部で検討し、金正恩委員長にも報告され、異例の早さの談話が出された。
2024年元旦に能登半島を大震災が襲った。1月5日、金正恩委員長は岸田総理にお見舞いの電報を送った。
日本で不幸にも年初から地震によって、多くの人命被害と物的な損失を受けた知らせに接し、遺族と被害者に深い同情とお見舞いの意を表す
被災地の人々が1日も早く地震の被害から復旧し、安定した生活を取り戻すことを願っている
これまた異例の対応だった。日本政府へのメッセージだ。
さらに2月15日に金委員長の妹で朝鮮労働党副部長の金与正談話が出された。全文を読めば北朝鮮政府の岸田政権への距離がよくわかる。昨年の外務次官談話では、
朝日両国が互いに会えない理由がない
だったが、こんどは
首相が平壌を訪問する日が来ることもあり得る
だ。首脳会談を無条件で行いたいとする岸田総理への呼びかけだ。しかし北朝鮮のこれまでの原則はまったく変えていない。
日本が、既に全て解決した拉致問題や、朝日関係改善とは何の縁もない核・ミサイル問題を前提として持ち出し続けてきた
と批判している。そして外務次官談話と同じく、日本政府の「政治的決断」を求めている。そこにどんな意図があるのか。
金与正談話は「個人的な見解」とするが、金正恩委員長の了解なしで出せるものではない。では日朝交渉は進むのか。北朝鮮は国際情勢を「新冷戦」と捉えている。米朝関係も南北関係も最悪の状況だ。そこに「無条件の首脳会談」を変更していない岸田政権がある。「解決済みの拉致問題」と原則を主張しても、日朝交渉が再開すれば、拉致問題でも話し合うのは、いつもの外交だ。
北朝鮮側が求めているのは朝鮮高校や幼稚園の無償化からの排除を是正すること、日本独自の制裁の解除だ。いま行われているのは拉致対策本部ルートでの「接触」であって「交渉」ではない。正式交渉となれば外務省が中心となる。いきなり岸田総理の訪朝発表があるわけもなく、実現するならば「ハイレベルの協議」の結果である。そのために岸田政権がどんな決断を下すのか。問われているのは日本政府なのだ。日朝関係筋(朝鮮総連ではない)は、「進んでいない」と私に語った。
岸田日本首相が最近、国会衆議院予算委員会で、日朝間の現在の状況を大胆に変えるべき必要性を強く感じる、とし、自分自身が朝鮮民主主義人民共和国国務委員長と主動的に関係を結ぶことが極めて重要であり、現在多様な経路を通じて引き続き努力している、と発言したという。
私は、岸田首相の発言に関連して日本のメディア(複数)が、朝日関係問題について従来とは異なる立場を表明したものとなる、と評価したことについても留意する。
岸田首相の今回の発言が、過去の束縛から大胆に脱して朝日関係を前進させようとする真意に端を発したものであるなら肯定的なものと評価することができない理由はないと考える。
これまで日本が、既に全て解決した拉致問題や、朝日関係改善とは何の縁もない核・ミサイル問題を前提として持ち出し続けてきたことによって両国関係が数十年にわたり悪化の一途をたどることとなったということは、誰もが認める事実である。
日本が時代錯誤の敵対意識と実現不可能な執念を勇気を持って捨て、互いを認めた基礎の上で丁重な振る舞いと信義ある行動によって関係改善の新たな活路を切り開いていく政治的決断を下すなら、両国は幾らでも新たな未来を共に切り開いていくことができるというのが私の見解である。
過去ではなく先を見通すことができる賢明性と戦略的眼目(視野)、そして政治的決断を下すことができる意志と実行力を持つ政治家のみが機会をつかむことができ、歴史を変えることができる。
日本がわが方の正当防衛権に対して不当に食って掛かる悪習を振り払い、既に解決した拉致問題を両国関係展望の障害物として置くことさえしなければ両国が近くなることができない理由などないであろうし、首相が平壌を訪問する日が来ることもあり得るであろう。
ただ現在までわが国家指導部は、朝日関係改善のためのいかなる構想も持っておらず、接触にも何の関心もないものと認識している。
今後、岸田首相の心の内をさらに見守るべきであろう。
これはあくまでも私の個人的な見解でしかなく、私は公式的に朝日関係を評価する位置にはない。
●新年度予算案 来月1日採決提案も折り合わず与野党引き続き協議 2/27
新年度予算案の審議日程をめぐり、与党側は3月1日に衆議院予算委員会と本会議で採決したいと提案しましたが、野党側は審議時間が不十分で応じられないとして折り合わず、引き続き協議することになりました。
新年度予算案をめぐり衆議院予算委員会は、27日と28日各省庁の政策課題などを審議する分科会を開いたあと、3月1日採決の前提となる中央公聴会を開催します。
そのあとの審議日程について、与党側は27日の理事会で3月1日に岸田総理大臣らに出席を求めて集中審議と締めくくりの質疑を行ったあと、委員会と本会議で採決を行いたいと提案しました。
これに対し野党側は、審議時間が不十分で応じられないとして折り合わず、与野党で引き続き協議することになりました。
また野党側は、自民党安倍派の事務総長を務めた下村元政務調査会長、安倍派の萩生田前政務調査会長、二階派の会長を務めた二階元幹事長を参考人として委員会に招致するよう求めました。
与党側は、新年度予算案の年度内の成立が確実になる今週中に衆議院を通過させたい考えなのに対し、野党側は引き続き十分な審議時間を確保するよう求める構えで採決日程をめぐる与野党の攻防が続きます。
●オムロン、国内外で従業員計2000人削減へ 中国不振で業績低迷 2/27
オムロンは26日、国内の従業員を対象に約1千人の希望退職を募ると発表した。同社の国内のグループ従業員の1割近くにあたる。海外でも約1千人の人員削減に踏み切る。軸足を置く中国の景気低迷によって主力の制御機器事業が苦戦。人件費を圧縮して業績の回復をはかる考えだ。
希望退職は今年4〜5月に募り、応募者は同年7月20日に退職する。対象は勤続3年以上で40歳以上の正社員ら。障害者が多く働く「オムロン太陽」など九つの子会社の従業員は除く。応募者には退職金に加算金を上乗せする。海外の人員削減も9月までに行う。 ・・・
●女川原発に使用済み燃料「乾式貯蔵」建設へ 東北電、自治体に伝える 2/27
東北電力は27日、女川原発(宮城県石巻市、女川町)の敷地内に使用済み核燃料を一時保管する「乾式貯蔵施設」を建てる方針を県と2市町に伝えた。原子力規制委員会にも28日に許可を申請する。2026年5月に着工し、28年3月の運用開始をめざす。
乾式貯蔵施設は、燃料プールで冷却した後の使用済み核燃料を「キャスク」と呼ばれる金属製の容器に収納し、循環する空気で冷やして保管する建物。2棟建てる計画で、工事費は約144億円を見込む。
東北電は女川2号機を今年9月ごろに再稼働させる方針で、予定通り動くと、燃料プールは約4年で貯蔵容量の上限に達する見込みだ。搬出先の候補である再処理工場(青森県六ケ所村)は完成が遅れている。そのため、安定的に稼働させるには新たな貯蔵施設が必要と判断した。 

 

●「保守派の牙城」だった安倍派、幹部の罪は深い=@還流がなぜ復活したか知っているはず…保守中堅・若手の「拠り所」喪失 2/28
自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受け、衆院で28、29の両日にも、政治倫理審査会が開かれる。出席するのは、安倍派(清和政策研究会)の幹部「5人衆」で事務総長経験者の松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長、西村康稔前経産相の3人や、同派座長を務めた塩谷立元文科相、二階派(志帥会)の事務総長、武田良太元総務相の計5人だ。
自民党は今月15日、政治資金収支報告書に不記載があった議員ら91人に実施した聞き取り調査報告書を公表したが、「裏金」の具体的な使い道など明らかになっていない部分も多い。5人は自らの口で新事実を述べるべきだ。
特に安倍派幹部の説明責任は重い。同派では、パーティー券の販売ノルマ超過分について、収支報告書に記載せず所属議員にキックバック(還流)する慣例が長く続けられていたからだ。
調査報告書によると、収支報告書への不記載が、遅くとも十数年前から行われていた可能性が高く、20年以上前から行われていたこともうかがわれる。しかも、安倍晋三元首相が2021年11月に初めて派閥会長となった後、問題に気付いて改善を指示したが、翌年7月に安倍氏が亡くなった後、悪習は再び続けられていた。
調査報告書には、安倍派議員の声として、「安倍氏がやめると言った還付制度を復活させた幹部の責任問題だ」などと幹部への不満が赤裸々に記されていた。今回出席する安倍派「5人衆」の3人は事務総長を務めており、還流がなぜ復活したかを知っているはずだ。誰がいつ、どのような経緯で復活させたのかを明らかにしないといけないだろう。
安倍派幹部が責められる理由は他にもある。国内外に課題が山積するなか、違法行為を復活させたあげく、国会での政策論議が停滞するという事態をつくり出したからだ。
ウクライナ侵攻開始から2年となったロシアでは今月16日、ウラジーミル・プーチン大統領批判を続けてきた活動家のアレクセイ・ナワリヌイ氏が「謎」の死を遂げた。北朝鮮はそのロシアと接近して「核・ミサイル技術の向上」を図るなど、世界は不穏さを増している。ドイツに抜かれて4位に転落した日本の国内総生産(GDP)はインドにも迫られており、経済的にも課題は多い。
激動する世界は、沈滞する日本を待っていてはくれない。日本の安全保障環境をどうすべきか、経済対策をどのように進めるべきかといった政策議論に費やすはずの時間が、不記載事件の解明に充てられているにも関わらず、真相にたどり着いていないのが実情だ。
「保守派の牙城」だった安倍派を解散に追い込み、保守派の中堅や若手議員にとっての「拠り所」がなくなってしまったという意味でも、同派幹部は罪深い。中堅・若手からは批判の声が続くが、日本が対峙(たいじ)すべき課題は増え続けている。保守派の存在感が問われる今だからこそ、リスクを背負って自ら立ち上がる気概を見せてほしい。
●「国会議員は報じられている以上に裏金まみれだ」 7割を超える国民が確信 2/28
国民を裏切り、政治不信に拍車をかけている自由民主党の派閥裏金問題。派閥の会計責任者が立件された安倍派・二階派・岸田派と森山裕総務会長が率いる森山派は、解散に追い込まれた。
とはいえ、派閥からキックバックされた裏金が4〜5000万円にのぼった3議員は起訴されたが、それ以下の議員たちは何の罪にも問われていない状況だ。
政倫審は非公開?
自民党に6つあった派閥のうち、麻生派・茂木派は「政策集団」として存続を決定。しかし、派閥が権力の源泉としていた「ポストと金」を本当に手放すのか、手放したとして何か変わるのか。よくわからない人が多いのではないだろうか。
「安倍派5人衆」と呼ばれる松野博一前官房長官や西村康稔前経産相、二階派の武田良太事務総長らは、衆議院の政治倫理審査会に出席する予定だ。
出席する議員たちが、「政倫審を非公開で行うことを希望している」というのも、呆れた話だろう。国民の代表たる議員の薄汚れた裏金問題に対して、国民はどのように感じているのだろうか。
9割以上が「さらに裏金ある」
Sirabee編集部が、2月16〜18日にかけて全国10〜60代男女1,000名を対象に「国会議員は報じられている以上に裏金まみれだと思うか」について調査したところ、「確実に裏金まみれだと思う」と答えた人は72.1%にのぼった。
「裏金まみれの可能性が高い」との回答も20.8%に及び、9割以上の人が「国会議員の裏金は現在報道されている以上に蔓延している」と考えていることがわかった。
「すでにかなり明らかになっている」と考える人は4.6%。「これ以上は皆無だと思う」という人もわずか2.5%にとどまっている。
女性の目線は厳しい
家計のやりくりを担当している人が多いせいか、裏金問題については、男性より女性のほうが厳しい見方をしているようだ。
「確実に報じられている以上に裏金にまみれていると思う」と答えた人は、女性のほうが6ポイント以上多い。
自民党と連立を組む公明党は裏金問題に厳しい態度をとっているが、強力な支持母体である創価学会婦人部の心情を配慮する意味合いもあるのかもしれない。
●「席代だけで7〜8万円」 岸田総理の秘書官の“銀座高級クラブ通い” 2/28
毎日新聞や朝日新聞などの調査で過去最低の支持率を記録した岸田内閣。その足を引っ張る人物が総理の間近にいた。総理秘書官の山本高義氏(52)。昨年来、銀座の高級クラブに通いつめているのだが、その「飲み代」は秘書官の給与で賄えるレベルを超えており……。
コロナ禍が明け、かつてのにぎわいを取り戻した東京・銀座の高級クラブ街。その一画、銀座8丁目にある雑居ビルから一人の中年男性が出てきたのは、1月27日深夜1時前のことだった。黒っぽい色のスーツ、コートに身を包んだ男性は後ろで手を組み、彼より若そうに見える同行者と共にゆったりと歩を進める。その足取りはしっかりしており、酒に酔っているような素振りもない。二人はそのまま、銀座国際ホテルの方面へと歩いていった。
彼が特筆すべき肩書を持たない名もなき一般人であれば、何ということはない銀座の夜の一光景に過ぎないだろう。
「席代のみで7〜8万円」
しかし、彼は一般人ではなく、特筆すべき肩書もある。男の名は、山本高義。岸田文雄総理(66)の総理秘書官である。
官邸の中枢で総理を支えなければならない人物がなぜ、銀座のネオン街をうろついているのか。
「われわれは“山本センセイ”と呼んでいるんですが……。このところ、頻繁に銀座へ出られています。同じ店に足しげく通われているようですね。同行の方がいることもありますが、お一人のことも多いです」(銀座のクラブ関係者)
山本氏がひいきにしているのは、冒頭で触れた雑居ビルに入っている高級クラブ。ここでは仮に「クラブA」としておこう。オープンから比較的日が浅い、中規模のクラブである。
「Aは高級店の部類に入るので、初回1人で訪れてウイスキーのボトルを入れると席代込みで12万〜15万円くらい。山本センセイは『山崎』のボトルを入れていて、毎回、席代のみの“素飲み”ですが、それでも7万〜8万円くらいはする。それをクレジットカードや現金で払う。あまりにも頻繁に通っているので去年秋ごろには“総理秘書官の給料だけでここまで通いつめられるのは不自然”とうわさになっていました」(同)
しかも、一人で飲むことも多いというから、クラブ通いの目的は「情報収集」や「人脈作り」などではないのだろう。
「山本センセイのAでの担当はリエさん(仮名)というホステスで、相当入れ込んでいるようですね。リエさんは40歳前後くらいで、若いころの大原麗子に似ています。山本センセイとは、リエさんが以前勤めていたお店からの関係らしいと聞きました」(同)
「岸田を総理にしたい」が口癖
山本氏は岸田総理の地元、広島の出身。広島市にある私立崇徳高校から明治大学文学部に進み、
〈大学4年生の時、初当選を果たしたばかりの岸田の事務所でアルバイトとして働き始めた。卒業後も事務所で働くことを選び、政策秘書や外務大臣秘書官として29年間にわたり岸田を一番近くで支えてきた〉(2021年12月15日のNHKニュースより)
愛称は「山ちゃん」で、「岸田を総理にしたい」が口癖だったという山本氏。
〈学生時代は円盤投げの選手として鳴らした〉(同)というだけあって、大柄な体格である。
政治ジャーナリストの泉宏氏が言う。
「今、岸田内閣に8人いる総理秘書官のうち、政務秘書官を務めているのが元経産次官の嶋田隆さんと、山本さん。嶋田さんは、仕事はできる人ですが、メインの担当は政策など。他の省庁出身の秘書官も当然事務方なので、地元の頼み事の処理や政治資金を管理する金庫番としての役割は山本さんが一手に引き受けることになります。もちろん総理としては息子の翔太郎君と並んで一番信用できる人物なのだと思います」
番記者に“出禁にするぞ”
政治ジャーナリストの青山和弘氏もこう話す。
「山本さんは昔ながらの番頭秘書というイメージ。古くから岸田事務所にいて、パーティー券を売りさばき、政治資金集めを担ってきました。総理に密着取材するためには彼の了承がないとまず実現しません」
実際、さる政治部記者はこんな話を明かす。
「岸田さんのインタビューや、その人物像を取り上げる記事で、岸田さんが良く書かれていないと、山本さんはネチネチ怒ります。ある社が岸田さんのインタビュー記事を出した時も記事の内容が気に入らず、番記者を議員会館に呼びつけて“なんだこれは”“出禁にするぞ”とプレッシャーをかけてきたといいます」
とにかく、「岸田愛」だけは筋金入り。そんな山本氏は21年10月、岸田政権が誕生すると、総理秘書官に就任した。
先の泉氏によると、「岸田政権が発足した時、山本さんの処遇をどうするのかが話題になりました。最初から翔太郎君を秘書官にすることもできたのでしょうが、山本さんになったのは、長年岸田さんを支えてきたことへのお礼であり、箔付けの意味があるといわれています」
ひと月の支払いは数十万円か
息子の翔太郎氏が総理秘書官に就任し、山本氏が岸田事務所に復帰したのは、政権発足からちょうど1年がたった22年10月のことだった。しかし、その約8カ月後の23年6月、翔太郎氏が総理秘書官を辞職、山本氏がその座に返り咲く事態となった。きっかけの一つは、翔太郎氏が外遊先で公用車に乗って観光に興じていた事実を本誌(「週刊新潮」)が報じたこと。その上、首相公邸で親族と忘年会を開き、公務スペースで写真撮影までしていたことが発覚し、岸田総理は翔太郎氏を事実上更迭せざるを得なくなったのだ。
「22年10月から23年6月までの間は総理秘書官を降ろされて腐っていたのか、『クラブA』に入り浸っていたようです」と、先の銀座のクラブ関係者が明かす。
「『クラブA』のリエさんにご執心の山本センセイは23年3月には週2、3回のペースで来店して、うち4、5回は同伴しています。大抵はお一人で来店するのですが、3月上旬にはお客さんと2人で来て、その後3日連続で同じお客さんと来店、なんていうこともありました」
週に2、3回のペースで通えば、ひと月の支払額は数十万円に上ることになる。さらに同伴だけではなく、「クラブA」が閉店した後、リエさんらホステスを「アフター」に連れ出すこともしばしばだという。
「アフターのお店は決まって並木通りのすし屋。クラブへの『出勤率』の高さについて山本センセイは“総理秘書官でなくなったらヒマでね”とか“外遊に同行しましょうか、と総理に言ったら、キミは日本にいて事務所を頼むと言われちゃった”などと冗談めかして話していました」(同)
裏金問題も関係なく来店
23年6月に総理秘書官に返り咲き、同年9月に内閣改造が行われる頃まではさすがに忙しかったのか、山本氏の大きな体躯が銀座で見かけられることはなくなっていたという。しかし、
「10月からはまた連続して来店するようになりました。例えば10月23日に来店したのを皮切りに、数日おきに『出勤』しています。自民党の派閥の『裏金問題』が世の中を騒がせるようになった12月も何回か来ていますし、年が明けた後の今年1月や2月にも来店しています」(同)
ここまで山本氏を“狂わせる”「クラブA」のリエさんについて、「大抵、ホステスは40近いと着物を着ることが多いのですが、彼女はドレス姿で胸の谷間があらわになるような派手な格好です」と、「クラブA」の元ホステスは語る。
「月の売り上げはそこまでではなく、売れっ子やナンバーワンでは決してない。私も一度、山本センセイの席についたことがありますが、その時は現金払い。私は彼が一人の姿しか見たことがありませんから、業者に接待されている、ということではなく、単にリエさんにドはまりしているのではないでしょうか」
リエさん本人に電話で取材を申し込んだが、「お客様のことはお話しできませんので……」と言うだけだった。
本人がついた「ウソ」
ここは山本氏ご本人に聞くしかあるまい。都内の自宅から妻らしき女性と二人で出てきたところで声をかけると、
「ああ、何があったの?」
“政治のことを聞きにきたのかな”というような、余裕のある対応である。しかし、「銀座」という語を口にした瞬間、顔がこわばり、動揺した様子を見せた。
――銀座で飲み歩いているという話があるが?
「お答えする必要はない」
――「クラブA」という店名、ご記憶にない?
「(少し驚いたような表情で)あー……お答えするつもりはありません」
――リエさんという女性、ご存じない?
「ちょっと勘弁して下さい。やめて下さい。はい」
――支払いはどのようにしている?
「いや、だから、お答えしません!」
――自民党の「裏金事件」などで大変な時にも飲み歩いていた?
「行ってません。行ってません」
――行ってない?
「はい」
その後はこちらの質問にほとんど答えないまま車に乗り込んでしまった。そこで、しばらく後に携帯電話に連絡すると、本人が出た。
――本当に「行ってない」でよろしいか?
「だからそれは、お答えするつもりはありません」
――山本さんの写真を撮影している。このままだとウソをついている形になってしまうが?
「だからね、私は基本的に週刊誌にはお答えいたしません。はい。はい」
――岸田総理はこのことを知らないのか?
「そういったことも含めてお答えしません」
後日、岸田事務所にも取材を申し込んだが、「ご質問の秘書官のプライベートについて、事務所は把握していません」との文書回答が寄せられたのみ。山本氏の飲み代の出どころは岸田総理の政治資金や、いわゆる官房機密費ではないのか、といった質問に明確に答えなかったのである。
総理秘書官経験者の証言
「総理秘書官の年収は1200万〜1400万円くらい。家族がいて生活費を家に入れなければならないとすると、自分の金で銀座の高級クラブ通いなんて到底無理です」
過去の内閣で総理秘書官を務めた人物はそう語る。
「そもそも総理秘書官は遊ぶ余裕などないくらい忙しい。能登の震災があり、政治とカネの問題が噴出している今なんて、官邸は最大レベルで緊張しているはず。そんな時に総理秘書官が夜遊びなど、緊張感がなさすぎます。総理や幹事長、官房長官が叱らなければならない、というレベルを超えており、処分の必要を考えなければならない事態です」
先の青山氏によると、「能登の震災で自衛隊をどう展開するかといった大事な決定にも、総理秘書官は関わります。そんな人が震災後の1月にも銀座通いなど、自覚がないにもほどがあります」
政治アナリストの伊藤惇夫氏も言う。
「飲み代の出どころは総理秘書官の給与、官房機密費、いずれにしても税金が原資ということになる。これから少子化対策として国民1人あたり月500円弱を徴収しようという時に、そうした政策調整の当事者である総理秘書官が銀座で飲み歩いているとなれば、国民感情として許されるものではありません」
「たかが銀座」では済まされないのだ。
●首相、党総裁として政倫審へ 「政治不信に危機感」 マスコミ公開 2/28
岸田文雄首相は28日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡って開かれる衆院政治倫理審査会(政倫審)について「党総裁として自ら出席し、マスコミオープンのもとで説明責任を果たさせていただきたい」と述べた。首相官邸で記者団に語った。
首相は政倫審が開催されない状況について「与野党の駆け引きの中で開催の見通しが立たないことは極めて残念なこと」だと指摘。出席する理由について「今の状況のままでは、ますます国民の政治に対する信頼を損ね、政治不信がますます深刻になってしまう。強い危機感を感じていた」と説明した。
また「政治の信頼回復に向けて、志のある議員に政倫審をはじめ、あらゆる場において説明責任を果たしてもらうことを期待している」と呼び掛けた。
●【出生数75.8万人の衝撃】日本人がいなくなる!?森永康平氏「岸田首相の政策は的外れ、今すぐ減税・積極財政を」 2/28
・2023年の出生数(速報値)は8年連続の減少で75.8万人と過去最少となった。
・経済アナリストの森永康平氏は「岸田首相は2030年までが(少子化トレンド反転の)ラストチャンスと発言しているが、これまで出てきた政策は的外れ」と指摘する。
・「ITで人口減社会に対応」「移民受け入れ」という選択肢はナンセンスで、出生数減の本質である「未婚者の急増」を解決すべく積極財政に今すぐシフトすべきだと説く。
今すぐ未婚の若者の手取りを増やせ
──2023年の出生数が過去最低でした。この数字をどのように分析していますか。
森永康平氏(以下、敬称略):岸田首相が「2030年までが少子化反転のラストチャンスだ」と発言している通り、75.8万人という数字は危機的な水準だと思います。もっとも、少子化は先進国共通の問題であることも事実。日本固有の問題は「(他先進国と比較すると)出生数の減り方が急である」ことと「結婚の意思がある男女の割合そのものは変わっていない」ことにあります。
少子化の本質は「未婚者の急増」です。結婚と出産、子育てが直結している日本では、結婚するカップルが増えないと、子どもの数も増えようがないのです。
出産適齢期世代が「結婚したくない」と自分の意思で思っているかといえば、案外そんなこともないのです。2021年の出生動向基本調査によれば「いずれ結婚するつもり」と考えている18〜34歳において男性は81.4%、女性は84.3%いました。多少減少しているとはいえ、今も8割の若者が結婚したいとは思っているのです。
にもかかわらず、彼らが結婚できないでいるのは、1所得が上がらない・不安定だ、2税負担が重い、という経済的なものがメインです。
政府もこんな簡単なロジックは理解しているのです。現に、内閣府の「少子化対策大綱」においても「若者の雇用の安定」を掲げています。ところが、実際に出てきた政策は「現役世代の財布から毎月500円頂戴します」「3人目の大学進学を無償化します」というすでに子どもがいる世帯に向けたもの。どこが異次元の少子化対策なのか、開いた口が塞がりませんよ。
結婚したい若者を結婚させるには、彼らの手取りを増やすしかないでしょう。その上で取り組むべきは「減税」に他なりません。特にボディブローのように効いている社会保険料と消費税は早急に見直すべきです。賛否両論あるかもしれませんが、他にも、現金給付などの方法もあります。とにかく、手をこまねいている場合ではないのです。
──この手の話をすると、必ず「財源はどこから持ってくるのだ」という批判があります。
高齢者からの反対に過剰反応する必要はない
森永:少子化対策は若者向けの政策なのですから、(社会保障の主な受益者である)高齢者からの反発に対して過剰に反応する必要はないでしょう。高齢者には出産する能力がありませんから。岸田首相自身が「2030年までがラストチャンスだ」と言っているのだから、政治的リーダーシップを発揮すればいいだけの話です。人口ピラミッド構成の問題もあるのでしょうが、反発を恐れている間に少子化は加速度的に進行していきます。
私は積極財政を支持しています。独立してから一貫してこの立場を取っていますが「プライマリーバランスの黒字化」を錦の御旗に掲げる緊縮財政派の主張を鵜呑みにすると経済は成長しないことは、失われた30年ですでに明らかになったのではないでしょうか。
家計と国家財政は同一視できません。個人が借りた借金は返す必要がありますが、“国の借金”と呼ばれる国債は別物です。「国債を発行しすぎると財政破綻する!」というのが主な反論ですが、では日本よりも国債残高が多いアメリカやイギリスはなぜ財政破綻していないのでしょうか? 国家財政を「家計」というイメージしやすいもので捉えても、それは実態のない議論で意味がありません。
ただ明るい兆しもあります。地上波のアンケートで国民に「今やるべき経済政策はなんですか」と聞いたところ「消費減税」が1位になっていました。国家財政に明るくない庶民も「何かがおかしい」と気づき始めているのです。
──潮目が変化してきているのですね。
「移民」「ITデジタル」はナンセンス
森永:ただ、積極財政にシフトするにしても、早い方がよいと思います。仮に30年後に積極財政に転換するとしても、その頃には内需が縮小していて、思ったような効果は得られないからです。
残酷ですが「財源はどうするんだ」と右往左往している間にも、出産可能な未婚女性のタイムリミットは近づいていきます。「結婚したいけど経済的な理由で難しい」と考えている人たちがまだいる今のタイミングこそ、積極財政にシフトすべきなのです。
少子化は、日本が直面するさまざまな課題の中でも、最も緊急に解決を要するものだと私は思います。大袈裟ではなく、日本人がいなくなってしまう危機なのです。人口減少社会において、IT・デジタルを活用して省人化に取り組むべきという主張もありますが、既存インフラを出生数75.8万人で維持していくことは現実的ではないでしょう。
そして、私が最も警戒すべきだと考えているのが「人口が減るのだから移民を受け入れろ」というソリューション。すでにイギリスやフランスなど、同様に少子化に悩む国々がある意味「社会実験」として移民を受け入れ、治安が悪化しているのを見ているわけです。
繰り返しになりますが「今、結婚・出産したいけどお金の問題でできない」と考えている若者をお膳立てすることが、国としてまずやるべきことです。当たり前ですが、外国人よりまず日本人を増やすべきでしょう。現実的に、今すぐに積極財政を実現する政治的決断が仮にできなかったとしても、高齢者に偏った歳出を是正できなければ、日本人がいなくなってしまいます。
不動産が高すぎてDINKsが「勝ち組」に
──出生率は地域別でも大きな差があります。何が理由でしょうか。
森永:地方の出生数減の理由は明確で、経済的な将来不安による未婚者数・産み控えの増加が大きいでしょう。一方、都内も決して現役世代に優しい環境ではないと思います。特に不動産価格の上昇は未婚者・子育て世帯にとって厳しい現実です。
結婚して子どもができた時に、今の不動産価格では広い間取りの住居を確保することが難しいです。東京都内でそこそこ稼いでいるカップルが結婚するとしても「DINKs」のようなライフスタイルを送った方が快適だよね、だから子どもはいらない、と思う可能性が高いのです。
結局、国が抱えるさまざまな問題というのは、つながっているのです。都内の不動産価格が異常に高いのは、東京一極集中が主要因で、これも従来からずっと問題視されていた課題でした。今起きている出生数減という問題は、こうしたさまざまな経済問題が平成の間放置されてきた帰結として表出しているのです。
──対処療法的な政策を打つだけでは、もはや後戻りできないところまで少子化は進行している、ということでしょうか。
必要なのは政治のリーダーシップ
森永:平成の30年間のマクロ経済政策が間違っていて、それが少子化をはじめとしたさまざまな問題を引き起こしていることに気づくしかありません。例えば、平成に入ってから雇用という聖域にメスが入り、非正規労働者が一般的になりましたが、これも若者の雇用の不安定化につながり、結婚を阻んでいるのです。
では、どうすればよいのか。平成の日本が歩んだ道の「逆」を今すぐに歩むべきです。将来への投資に国家予算を充てるべきですし、企業はもう一度終身雇用を含めた、労働者の経済的安定を何よりも重視する姿勢を示すべきでしょう。
岸田首相の「2030年までがラストチャンスだ」という発言は、正鵠を射ています。未婚者の増加の理由が経済的理由である、という分析自体も、その通りなのです。課題の認識は正確なのですから、あとはそれを解決する政治的リーダーシップが必要とされているだけです。
●岸田政権の総務大臣政務官に「旧統一教会との接点」が浮上…国会では“うそ”の答弁を繰り返していた! 2/28
写真が示す「旧統一教会との接点」
真夏の西日に照らされた、30人ほどの老若男女が写った集合写真。Tシャツ姿の若者たちと、ダークスーツを着込んだ高齢の男性たちが同じ1枚に収まる構図が、なんとも言えないコントラストを生みだしている。
彼らは何者なのか。写真をよく見ると、掲げている横断幕にはこうある。
これは、15年8月7日、石川県七尾市にある道の駅「能登食祭市場」で行われたピースロードと呼ばれるイベントで撮られた1枚なのだ。ピースロードとは、日本と韓国の若者たちが、自転車で両国各地をリレー走行し、世界平和を訴えていくというイベント。主催はUPF(天宙平和連合)で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体である。
実際にイベントのホームページには、次のような記述がある。
〈ピースロードは、世界平和を推進するUPFの世界的な友好親善プロジェクトです。1981年、UPFの故文鮮明総裁が世界中のすべての人々を物理的に結ぶという国際平和高速道路を提案しました。ピースロードイニシアチブは、特に日韓を結ぶ海底トンネル構想とアラスカとシベリアを結ぶベーリング海峡計画の2つの事業を推進しています〉
そして、この1枚は、写真の中央やや右側に写る、黒スーツに白シャツのひときわ大きな体格の男性のfacebookにいまもアップされているものだ(2月27日現在)。彼は当時、石川県議会議員だった西田昭二氏(54歳)。西田氏はその後、国会議員への転出を果たし、現在は、岸田政権で総務大臣政務官を務めている。
つまり、この写真は、現政権を支える政務三役の1人が、過去に旧統一教会との接点があったことを示している。ただ、西田議員は、そのことを国会審議などの場で明かさず、これまでに“うそ”の答弁を繰り返しているのだ。
「西田さんは世渡り上手で目立ちたがり。とにかくパフォーマンスの男で、どこにでもホイホイ行って顔をだす軽い男だから、旧統一教会のイベントに参加していてもおかしくはないね」
自民党石川県連の関係者はそう指摘する。
前任者の不祥事を受けての抜擢だったが…
七尾市議、石川県議を経験した西田議員は、2017年の衆院選で石川3区から出馬して初当選。22年8月から約1年間、国土交通大臣政務官などを務めた。その後、自民党派閥の裏金問題が明るみになると、岸田政権を中核で支えた安倍派の政務三役が次々と交代。西田議員も、前任者の辞任を受けて、急遽2度目の大臣政務官を務めることになった。
「前任者の不祥事を受けての抜擢ですから、岸田文雄首相としては、絶対に失敗できない人事です。だからこそ政務官の経験があり、同じ派閥でもあった西田さんを信頼して登用したんです」(宏池会関係者)
ところがその西田議員に、旧統一教会と接点があったことが浮上したのである。西田議員のfacebookには、前出の集合写真のほかにも複数の写真が投稿されていて、なかにはピースロードを周知するための巨大地図に、ほかの参加者とともに激励メッセージを寄せ書きしている姿を写した写真もある。
「22年7月にあった安倍晋三元首相の銃撃事件後、旧統一教会が、自民党の政策や政権運営に及ぼしてきた影響に注目が集まりました。自民党や朝日新聞などのメディアは、各議員に対して、教団との過去の接点を確認するアンケート調査を行いましたが、西田さんはいずれの調査に対しても教団との関係を否定しています」(全国紙政治部記者)
そのうえで西田議員は国会でも“うそ”の答弁を行っているのだ。国土交通大臣政務官に就任後の臨時国会で、立憲民主党の小宮山泰子衆院議員が、旧統一教会との関わりについて「会合への出席」「選挙応援」「政策協定書(推薦書)へのサイン」という3つの観点から問うたところ、西田議員は次のように答弁している。
〈一番の、旧統一教会またその関係団体の会合に出席したことはございません。二番目の、旧統一教会またその関係団体から組織的な選挙協力を受けたことはございません。三番目の、旧統一教会またその関係団体の推薦確認書にサインしたこともございません〉(22年10月28日付国土交通委員会会議録)
このような国会答弁とfacebookの写真との矛盾について、西田議員に直接尋ねた。
「ちょっと確認してみないとわからない」
――15年8月7日に、旧統一教会の関連団体が主催したピースロードというイベントに参加していませんか。
「ちょっと、確認してみないとわからない」
――自民党の調査や、国会での答弁では、教団との関係はなかったと言っています。
「もちろん関係ないですし、要請があったときもお断りをしていました」
――要請?
「選挙の要請、(旧統一教会側が西田議員の選挙活動を)お手伝いするとかっていうことが、(17年10月の)国会議員の初挑戦のときもありましたけど、すべてお断りはしておりますけれど」
――自民党などの調査では、県議時代までさかのぼって教団との接点を調べて、そのうえで関係はなかったと回答したのでしょうか。
「過去のことまではわからないですから、わからないですから。衆院議員の立場になってからの、あの、過去を全部調べました」
――西田さんの記憶では、県議時代に教団との接点があったかどうか、覚えていないのですか。
「あの、もう(予定表などの記録が)手元になにもないものですから、ちょっとわからないんですけれども」
教団との関係はなかったという説明は、あくまで国会議員になって以降の活動に限られ、県議時代は含まれないという。また、安倍元首相の銃撃事件によって、旧統一教会に対する社会的な関心が高まる以前から、西田議員は、教団の活動に問題意識があったことも強調するのである。
一方、西田議員側には、衆院議員2期目をめざす総選挙に臨んでいた21年10月にも教団からのアプローチがあった。前出とは別の自民党石川県連関係者が明かす。
「旧統一教会みたいな話をされた」
「選挙区内にある内灘町のA町議から、旧統一教会のイベントに参加するよう誘われています。西田さんは当時、情勢調査の支持率が伸びず、野党候補に追い上げられて焦っていた。当初は『自分ひとりの力で勝つ』と意気込んでいましたが、このままでは危ないとわかると、ビラやハガキなどあらゆる配布物に岸田首相とのツーショット写真を載せて、岸田さん頼みに方針転換しています。
そのうえで旧統一教会の力にもすがりたかったのでしょうが、結果的には、日程が合わずに参加を断念したようです」
この点に関して、西田議員は次のように説明する。
――A町議から、旧統一教会関連のイベントの案内がありましたか。
「うん。お断りしましたけど」
――それは、どのようなイベント?
「あの、わかんないから、旧統一教会関連みたいな話をされたので、『私は行きません』って」
――A町議から、旧統一教会という言葉が出たのか。
「あの、そこまでははっきり、出たかは記憶はわかりませんが。そういう(旧統一教会の)流れをくんでいる可能性があるみたいな話は、ちらっと。その話をいただいたときに『私は、それでは行けませんから』ってお答えはしています」
――すると、当時から、旧統一教会関連の団体とは接点をもたない方がいいという問題意識があった。
「旧統一教会っていうことについては、はい、あの、私はすべてお断りしておりますけど」
一方のA町議にも電話で話を聞いた。
浮き彫りになった「認識の違い」
――21年の総選挙中、西田さんを旧統一教会の関連イベントに参加するよう呼びかけましたか。
「私がですか? それは全然ないですけど」
――西田さんの選挙を応援する目的で、教団関係者と引き合わせたこともなかったか。
「だって、私、旧統一教会(の信者)ではないもの。浄土真宗ですから。そういう宗派の違うところは、頭から否定しますけど」
旧統一教会の関連イベントへの参加をめぐって、認識の違いが浮きぼりになった西田議員とA町議。一方、前述のように、参加を見送ったのは、日程が合わないという偶然の産物だった可能性が高いのだが、西田議員は鼻高々だったという。
「総選挙後から1年後に教団の問題に焦点があたるようになると、西田さんは、同僚の議員に『問題のある団体だから、あのとき僕は出席を断ったんだ』と胸を張っていました。当選回数では西田さんより上のその議員から『すごいな。やっぱり地方議員が長かったからしっかりしているな』と言われると、ますますうれしそうでした」(同前)
教団との関係について、西田事務所にあらためて書面で質問したところ、おおむね次のような回答があった。
〈県議時代に、道の駅のイベントに顔を出してあいさつしたことはありますが、旧統一教会のイベントとの認識はありませんでした。国会議員になってからも、旧統一教会の会合に参加したことはないと認識しているため、党本部からの問い合わせにも、そのように回答しています〉
現在、旧統一問題との関係がとりざたされている盛山正仁文部科学大臣は、ごまかしや言い訳する姿勢にも批判が集まっている。西田氏の説明はどのように受け止められるだろうか。
●舌打ちを繰り返していた「岸田首相」 心が折れるのは「4月28日」説 2/28
足元をすくわれる案件がどんどん
能登半島地震や自民党派閥の裏金問題への対応について、国民からなかなか評価を得られない岸田文雄首相。ここ最近は舌打ちを繰り返すシーンが見られるようで、「心が折れるタイミング」に注目が集まっているという。
「元々、内閣支持率がなかなか浮上のきっかけを掴めない中、能登半島地震や自民党派閥の裏金問題への対応の物足りなさに加え、盛山正仁文科相と旧統一教会側との関係が新たに浮上するなど、足元をすくわれる案件がどんどん続いていますね」と、政治部デスク。
「首相を長年支え、現在は政務秘書官を務める山本高義氏の不適切な銀座のクラブ通いが報じられ、政権運営が好転するきっかけをなかなかつかめないままです」(同)
そんな中、岸田首相が舌打ちを繰り返すようなシーンがあったのだという。
普段は強気だが
「2月19日に発表された産経新聞・FNN(フジニュースネットワーク)による世論調査で、内閣支持率が前月から5.2ポイント急落し、過去最低の22.4%を記録しました。これを知った岸田首相は舌打ちを繰り返していたようです。普段から支持率に一喜一憂しつつもそれを外には決して見せないタイプなのですが、さすがに我慢できなかったのかもしれません」(同)
他の世論調査と合わせ、国民の心が離反していることを目の当たりにさせられ、イライラが募り、つい素の顔が出た瞬間だったのかもしれない。とはいえ、タフというべきか、政権運営に関する気力が衰えたということもなければ、弱音を吐くような事態にはなっていないとされる。
「内閣支持率がどこで底を打つかによりますね。このまま右肩下がりを続けるなら、逆境に強い岸田首相もさすがに気持ちが萎えてしまうのではないかと見られています」(同)
そこで永田町では、実際に「岸田おろし」ののろしが上がるのはいつか、首相の心が折れるのは何時ごろかという話が取り沙汰されているという。
茂木幹事長の考え
「4月28日に行われる東京15区、島根1区、そして長崎3区の衆院補選の結果がひとつのタイミングになりそうです。与党が候補を全選挙区で立てるか否か未確定ですが、0勝2敗か0勝3敗か、いずれにせよ“勝てない”となると、岸田首相の責任論、退陣論に発展することでしょう。選挙を取り仕切る茂木敏充幹事長は岸田政権を追い込むため、3選挙区での擁立にこだわり、0勝3敗を敢えて目指すかのような動きを見せています。」(同)
もっとも、東京15区では野党候補が乱立し、共倒れの可能性が指摘されている。一方の与党には都民ファーストの候補に相乗りする動きも見られるが、いつ状況が変わるかも知れず、与党にとって楽観視できるものではないだろう。
「むろん、選挙で敗北すれば茂木氏自身の責任も問われるわけですが、それよりも首相が追い込まれて退陣するほうが先だろうと見越しているフシがあります。つまり、補選で負けた場合には『岸田おろし』はなくなる、なぜなら首相が自発的に辞任するから、という見方すら浮上しています。茂木氏もそれを狙っているのかも知れません」(同)
いよいよ岸田政権の最終章に入ってきたのか、それとも……。
●「支持率たったの14%」でも余裕の表情…「裏金、増税、統一教会問題」を抱える岸田政権がダラダラ続く本当の理由 2/28
岸田内閣の支持率が政権発足以来、最低記録を更新した。毎日新聞の世論調査(2月17日、18日実施)によると、支持率は14%で、前回調査から7ポイント減少した。ジャーナリストの鮫島浩さんは「裏金問題があっても、野党への期待感や政権交代の機運は盛り上がっていない。岸田首相や自民党に危機感がないのは、支持率がいくら落ちても政権交代が起きない構造的な問題があるからだ」という――。
支持率が急落しても緊張感のない岸田政権
岸田内閣や自民党の支持率は裏金事件の大逆風を受けて過去最低水準に落ち込んでいる。ところが、野党への期待感は高まらず、支持率がいくら下がっても政権交代の機運は盛り上がっていない。
自民党が裏金事件の全容解明や政治資金の透明化にまじめに取り組まず、政治責任をあいまいにしたまま幕引きを図ろうとしているのは、国民の怒りが爆発しても、次の衆院選に惨敗して野党へ転落するリアリティーがなく、切迫感を欠いているからだ。
野党が自民党に代わる政権の受け皿になり得ていないことが、この国の政治から緊張感を奪い、政治腐敗が続いている最大の理由である。
野党の低迷について「野党がバラバラだからだ」「野党第1党の立憲民主党の泉健太代表が首相候補として不人気だからだ」など、さまざまな要因が指摘されている。いずれも的を射た分析であろう。
しかし、より根源的な要因は、政治制度にある。小選挙区制度と比例代表制度を組み合わせた衆院の選挙制度が、野党乱立による「自民一強・野党多弱」を生み出し、政権交代を起こりやすくすることで政治腐敗を防ぐ二大政党政治のダイナミズムを失わせている。
自民党の万年与党体質が「失われた30年」を招いた
ここまで自民党不信が高まりながら政権交代の機運が醸成されない現状は、ふたつの政党が競い合い、政権を交互に担うことで政治の健全化を目指した1990年代以降の政治改革が完全に頓挫したことを端的に物語っている。
日本がこの30年に経済大国から転落したのは、自民党に対抗する政治勢力が育たず、その結果として自民党は万年与党体質を引きずり、前例踏襲を重ね、少子高齢化や第三世界の台頭が進む時代に対応できなかったことに最大の要因があると私は考えている。
今回の裏金事件を、この国の政治制度の欠陥を見直し、政治が活力を取り戻すための制度変更のスタートとしなければならない。1990年代以降の政治改革が目指した二大政党政治の歩みを改めて検証し、抜本的な改革案を提言したい。
中途半端で終わった1990年代の政治改革
1993年衆院選で自民党が初めて野党に転落して非自民連立政権が誕生するまで、この国の政治は自民党が万年与党第1党、社会党が万年野党第1党の「自社体制」だった。両党はどちらも1955年に結集したため「55年体制」とも呼ばれてきた。
自社体制を支えてきたのは、当選枠が複数ある衆院選の中選挙区制度だった。例えば定数5の選挙区では、自民党は3、社会党は1、公明党は1の指定席を維持するケースが多かった。社会党や公明党には1議席を確実に守る組織票があった。
保守系新人は自民党公認を得られず、国会議員になるには無所属で出馬して保守票をむしり取り、自民現職3人のうちのひとりを自力で蹴落とすしかなかった。当選して初めて自民党から追加公認されたのだ。その過程で自民現職3人とは別の派閥の支援を受けた。自民党に常に4つ以上の派閥が存在してきたのはそのためである。中選挙区は与野党対決というよりも、自民党内の派閥同士の闘争の側面が強かったのだ。
一方、社会党は中選挙区に擁立する候補者を原則として現職一人に絞った。二人目に新人を擁立すると組織票が割れて共倒れになる恐れがあるからだ。全国の中選挙区で現職が確実に議席を維持し、野党第1党の座を守ることを最優先したのである。
万年野党と呼ばれた社会党
その結果、仮に全員が当選しても過半数には届かないことになった。衆院選がはじまる前から社会党の単独政権が誕生する可能性はゼロだった。ハナから「選挙による政権交代」をあきらめていたのだ。社会党が万年野党と呼ばれた最大の理由はここにある。
とはいえ、社会党は政策実現を放棄していたわけではない。社会党が最重視したのは、主力支持団体である自治労や日教組が求める「公務員の賃上げ」だった。野党第1党として与党第1党の自民党に常に「公務員の賃上げ」を求めてきたのである。自民党はその要求を簡単には受け入れてくれない。
そこで登場するのが「国対政治」だった。自民党と社会党の国会対策委員長が、どの法案をいつ採決するかという国会運営を密室で協議するのである。
社会党は予算案や外交・安全保障などの重要法案に断固反対し「徹底抗戦」した。その裏側で自民党に「公務員の賃上げ」を迫り、それが受け入れられた時点で予算案や重要法案の採決に応じたのである。この裏取引こそ「国対政治」の真髄だった。
自民党は1993年衆院選で野党に転落した後、社会党の村山富市氏を首相に担ぐ「奇策」で政権復帰を果たしたが、村山氏は自民党と国会で裏取引を重ねた国対族議員の大物だった。だからこそ、自民党は安心して村山氏を首相に担ぐことができたのだ。
二大政党政治を目指し、小選挙区制を導入したが…
このような自社体制の「国対政治=談合政治」と決別し、衆院選による政権交代の実現を目指して中選挙区制度を廃止し、与野党一騎打ちの小選挙区制度を導入したのが1990年代の政治改革の柱だった。有権者に「与党か野党か」の二者択一を迫ることで「与党が失敗したら野党が代わって政権を担う」という二大政党政治をいわば強制的に作り出そうとしたのである。
新しい選挙制度は1996年衆院選から始まった。この時は橋本龍太郎首相が率いる自民党と、非自民連立政権を主導した小沢一郎氏が率いる新進党ががっぷり四つで激突し、自民党が勝利した。新進党は解党し、その多くを吸収して野党第1党にのしあがったのが民主党である。
2000年衆院選は自民党と民主党が激突して自民党が勝利したものの、民主党は大きく議席を伸ばした。選挙制度改革によって強制的に生み出された自民党vs民主党の二大政党政治は、こうして幕を開けたのである。社会党は消滅し、社民党と名を変えて細々と存続するものの、中選挙区時代の野党第1党の姿は今や見る影もない。
二大政党政治のもとで「国対政治」は変貌する。民主党は選挙による政権交代を目指して国会での裏取引から手を引き、自民党政権を容赦なく追及する「ガチンコ国会」が始まった。自民党は2005年衆院選で郵政民営化を掲げ大勝したが、2007年参院選では国会でスキャンダルを徹底追及されて惨敗し、野党が参院の過半数を占める「衆参ねじれ国会」が出現した。
民主党政権の3年間で自民党が学んだこと
与野党の実力は伯仲し、国会での与野党激突は熾烈(しれつ)を極めた。選挙で白黒をつける二大政党政治が本格化し、ついに2009年衆院選で民主党が自民党を圧倒して政権を奪取したのである。
ところが民主党政権は小沢派と反小沢派の内紛で瓦解(がかい)し3年余で幕を閉じる。政権に返り咲いた自民党が真っ先に取り組んだのが、野党分断工作だった。野党がひとつに結束していたら、いずれ自民党政権が失敗した時に、再び政権交代があっけなく実現してしまうことを極度に恐れたのである。
安倍晋三首相や菅義偉官房長官は、大阪を本拠地として橋下徹氏や松井一郎氏が旗揚げした維新に肩入れして第三極の政党へ躍進させ、選挙で自民批判票が民主党に集中するのを妨げることに成功した。
維新は国会対応や個別政策で民主党より自民党に近づくケースが増え「自公の補完勢力」と揶揄されたが、一方で民主党も「批判ばかり」と批判され、野党支持層は自公与党(安倍政権)と「是々非々」か「全面対決」かで分断されたのである。
維新の台頭と裏腹に民主党は失速し、民進党としてリニューアルしたものの離合集散を繰り返した。2017年衆院選目前に小池百合子・東京都知事が旗揚げした希望の党に合流したのは、「小選挙区制度のもとで与党に対抗するには野党勢力がひとつに結集しなければならない」という二大政党政治の理念を忠実に実行したものといっていい。
ところが小池氏が枝野幸男氏らリベラル勢力の合流を拒んだことを機に失速して惨敗。枝野氏が急ごしらえで立ち上げた立憲民主党が代わって野党第1党に躍進したものの、その後は維新と野党第1党の座を競い合う状況が続いている。
強い自民党と「野党多弱」
安倍政権が終焉(しゅうえん)した後は、立憲も泉代表のもとで維新と競うかのように自公与党と「是々非々」で向き合う傾向を強め、維新とは対決するのか共闘するのか、迷走している。
立憲への合流を拒む玉木雄一郎氏ら国民民主党も一定の勢力を保ち、山本太郎氏が2019年に旗揚げしたれいわ新選組も徐々に勢力を拡大。党勢は縮小しながらも全国網の組織を維持する共産党を含め、「野党多弱」の政治状況が定着した。自民党が政権復帰後に仕掛けた野党分断工作は予想を超える成果を収めているといえるだろう。
自公与党にすれば、政権批判票が野党第1党に集中せず分散するため、選挙で地滑り的な大敗を喫するリスクは限りなく小さい。とりわけ与野党一騎打ちとなるはずの衆院選小選挙区に野党が乱立することで、どれだけ国民の政権批判が高まっても自公与党が組織票を固めて競り勝つという歪んだ選挙情勢が常態化してしまったのである。
一方、野党各党は大物議員の選挙区や都市部(立憲は首都圏、維新は大阪)などを除いて小選挙区で勝利することを半ばあきらめ、自党の比例議席を伸ばすことを最優先するようになった。小選挙区で自公与党を倒すために共闘するよりも、野党同士が比例票獲得で競い合い、政権批判票を激しく奪い合うことになったのだ。
比例代表制が野党分断を生み出す
小選挙区で当選が難しい候補者たちは最初から「比例復活」を目指し、同じ比例ブロックの同僚議員をライバル視する傾向が強まった。
党執行部としては比例票を増やすには全国各地の小選挙区に候補者をできるだけ擁立し、政党の存在を広くアピールするほうがいい。その結果、小選挙区の野党乱立に拍車がかかり、候補者を一本化する自公与党がますます優位になる負の連鎖に陥った。
野党乱立は、国会にも重大な影響をもたらした。自民党は立憲、維新、国民を競わせるように予算案や重要法案への賛成を迫った。維新との窓口は菅氏が、国民との窓口は麻生太郎氏が担い、立憲とは財務省が交渉役となった。
自民党政権の中枢を菅氏が担う時は維新が協力し、麻生氏が担う時は国民が協力するというように、自民党内の権力闘争の帰趨が「野党間の競争」にそのまま投影されるようになったのである。
その結果、「ガチンコ国会」は影をひそめ、野党各党による「政権与党へのすり寄り合戦」の様相を呈してきた。維新が自民党以上に過激な安全保障政策を打ち出したり、国民がガソリン税のトリガー条項凍結解除の協議を理由に補正予算案に賛成したり、立憲が財務省と歩調をあわせて財政健全化を迫ったりするのは、その証左であろう。
今国会で旧統一教会との関係が問われた盛山正仁文科相への不信任決議案を立憲が提出しても維新が反対に回ったのは、野党分断の象徴的場面だった。裏金事件をめぐる政倫審や証人喚問などの国会対応をめぐっても、立憲と維新の足並みが今後乱れる可能性は高い。
裏金を作っても、増税しても政権交代は起きない
仮に衆院選で自公与党が過半数を割ったとしても、維新、国民、立憲のうちのひとつを与党へ引き込み、連立の枠組みを拡大させれば政権は維持できる。それを拒んで野党連立政権を樹立するほど野党の結束は固くない。
自民党は野党同士の連立入りを競わせればいいのだ。ここに野党分断工作の最大の狙いがあるといえるだろう。自民党には「衆院選で多少敗れるくらいでは野党に転落することはない」という緊張感の緩みが広がり、裏金事件の膿を出し切って自民党への信頼を回復させる本気度を失わせているのである。
この状況では、いつまでもたっても自民党を野党に転落させる政権交代は実現せず、政治は緊張感を失ったままで再生されることはない。
この閉塞(へいそく)状況を打破して政権交代を実現させるにはどうすればよいのか。
短期的には、国民の期待を一身に集める圧倒的な首相候補が野党陣営に現れ、そのもとに野党各党が利害を超えて結集するほかなかろう。立憲・泉代表、維新・馬場伸幸代表、国民の玉木代表はマスコミ世論調査の「次の首相」上位に名前さえあがらない。
現時点で可能性があるカリスマとして、マスコミに引っ張りだこの泉房穂前明石市長や裏金事件で久々に記者会見した田中真紀子元外相らに期待が集まっているが、国民の圧倒的支持を集める首相候補になるかどうかは見通せない。彼らは永田町に政治基盤がなく、野党各党が結束して担ぐ政治環境をつくるには相当な政治手腕を持つ仕掛け人の存在が不可欠であろう。
いまの選挙制度のままでは政治腐敗は止められない
中長期的な手段としては、やはり選挙制度を変えることだ。
小選挙区制と比例代表制を組み合わせた現在の衆院選の仕組みは、二大政党政治を中途半端なかたちにして「自民一強・野党多弱」の政治状況を作り出している。自民党による野党分断工作がこれほどやりやすい選挙制度はないといってよい。
万年与党の自民党、万年野党の社会党による「自社体制」を作り出した中選挙区制に逆戻りするのが良いとは思わない。政権交代が起こりやすくする二大政党政治のダイナミズムを生かしつつ、野党分断工作による「自民一強・野党多弱」が続く閉塞状況を打破するひとつの方策として、衆院は完全な小選挙区制(比例制度を廃止)とし、参院は完全な比例代表制とする極めてシンプルな選挙制度を私は提案したい。
現在は衆院選も参院選も、政治家個人が競う選挙区と政党が競う比例代表を組み合わせる複雑な制度になっており、衆参それぞれの役割がぼやけている。
衆院は政権交代を起こりやすくする二大政党政治を徹底させるため小選挙区一本とする代わりに、参院は二大政党政治の暴走と少数意見の切り捨てを防ぐため比例代表一本とすれば、衆院で巨大与党が誕生しても参院で一定のブレーキはかけられる。
二大政党が交互に政権を担うことによる政治の緊張感と、幅広い声を受け止めて合意形成を図る政治の協調性の双方を衆参でバランスよく実現できるのではないだろうか。
「自民一強・野党多弱」の政治がダラダラと続く
選挙制度改革には時間がかかる。現制度で当選を果たした国会議員たちは自らの議席を守るため与野党を超えて選挙制度改革には後ろ向きになりがちだ。世論が高まらない限り、選挙制度改革は動かない。
だが今の制度を放置したままでは「自民一強・野党多弱」の政治がダラダラと続き、閉塞感を打破できず、カリスマ政治家の誕生を待望する風潮が広がるばかりだ。選挙制度改革こそ、政界の新陳代謝を進める王道である。 
●政倫審、安倍派幹部らが「公開」開催に応じる方針 非公開から一転 2/28
自民党派閥による裏金事件の当事者が弁明する衆院政治倫理審査会をめぐり、出席を申し出ながらも「完全非公開」を主張してきた安倍派座長の塩谷立・元文部科学相ら5人全員が一転、「公開」での開催に応じる意向を固めた。塩谷氏や党幹部が28日午後、朝日新聞などの取材に明らかにした。
同日午前、岸田文雄首相が党総裁として衆院政倫審に公開で出席する考えを表明。塩谷氏は「総理の出席は大変重たい。(政倫審への出席を申し出ている)みんなが『公開』を受け入れるなら、そうしようという話をしている」と語った。党幹部によると、塩谷氏のほか、衆院政倫審への出席を申し出ている安倍派事務総長経験者の西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、高木毅前国会対策委員長、二階派事務総長の武田良太元総務相も、公開での開催に応じる意向を示しているという。
政倫審をめぐっては、テレビカメラ入りで中継もされる「完全公開」を求める野党側に対し、塩谷氏ら5人が難色を示したため、与野党協議は不調に終わり、大筋で合意していた28日の開催が見送られていた経緯がある。
●「裏金」問題で岸田首相が自ら政倫審出席へ。安倍派幹部も「公開」受け入れ 2/28
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は2月28日、開催が先延ばしされていた衆院政治倫理審査会(政倫審)に自ら出席する考えを表明した。マスコミ各社が一斉に報じた。現役の首相が政倫審に出席するのは初めてのケースとなる。
岸田首相が首相官邸で「党総裁として自ら出席し、マスコミオープンのもとで説明責任を果たさせていただきたい」と記者団に語った。
これを受けて、政倫審は29日と3月1日に、全面公開の形で開催されることが決まった。首相は29日に出席する。
政倫審をめぐっては、与野党で28、29日の開催で大筋合意していたが、審議を公開するかどうかで折り合わず、28日の開催が見送られていた。
首相の出席表明を受けて、出席の意向を示しながも審議公開に難色を示していた安倍派幹部ら5人も、一転して公開での審議を受け入れる意向を示したと報じられている。 
●「補選全敗なら岸田降ろし」 自民・船田氏 2/28
自民党の船田元・衆院議員総会長は28日、4月に実施される三つの衆院補欠選挙の結果が岸田政権に与える影響について、「二つ勝てば首はつながる。全部負けると『岸田降ろし』が始まる」との見方を示した。衆院解散・総選挙に関し「この支持率で選挙に突入したら(自民党が下野した)2009年の二の舞だ」と述べた。東京都内で開かれた会合で発言した。
●「裏金」問題で岸田首相が自ら政倫審出席へ。安倍派幹部も「公開」受け入れ 2/28
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は2月28日、開催が先延ばしされていた衆院政治倫理審査会(政倫審)に自ら出席する考えを表明した。マスコミ各社が一斉に報じた。現役の首相が政倫審に出席するのは初めてのケースとなる。
岸田首相が首相官邸で「党総裁として自ら出席し、マスコミオープンのもとで説明責任を果たさせていただきたい」と記者団に語った。
これを受けて、政倫審は29日と3月1日に、全面公開の形で開催されることが決まった。首相は29日に出席する。
政倫審をめぐっては、与野党で28、29日の開催で大筋合意していたが、審議を公開するかどうかで折り合わず、28日の開催が見送られていた。
首相の出席表明を受けて、出席の意向を示しながも審議公開に難色を示していた安倍派幹部ら5人も、一転して公開での審議を受け入れる意向を示したと報じられている。

 

●森元首相の証人喚問「何ら支障はないのでは」自民派閥裏金事件めぐり 2/29
弁護士の萩谷麻衣子氏は28日、テレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」(月〜金曜午前10時25分)に出演し、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、「清和政策研究会」(解散)としての安倍派の流れをくむ森派で会長を務めた森喜朗元首相(86)の国会招致を求める声があることについて「事情を知っているということであれば、お話は聞きたい」と述べた。
萩谷氏は「裏金の問題は民主主義の根幹にかかわる問題で、非常に重要なこと。裏金づくりが森元首相(が会長)の時に始まった可能性があると指摘される方も結構いる」とした上で「事情を知っているということであれば、お話は聞きたい」と話した。
今月15日に自民党が公表した、派閥や収支報告書への不記載が確認された安倍派と二階派の議員ら計91人に対する聞き取り調査では、キックバックが始まった時期について「場合によっては20年以上前から行われていたことも窺われる」と記載。森氏は1998年12月〜2000年4月と、2001年5月〜2006年10月に森派会長を務めており、キックバックのシステムについて知っていた可能性があるのではと、野党は追及を強めている。
萩谷氏は「(会長時代は)だいぶ前のことなので、本人が仮に証人喚問に出てきても『昔のことなので記憶がございません』と言うのかもしれませんが、刑事訴追という面ではもう時効にかかっていて、刑事訴追される可能性はない。証人喚問の本来の目的の話を引き出せるはずです」と指摘した。
その上で、森氏の立場に言及。「元議員、元総理は公人ですよね。記憶に新しいところでは、籠池(泰典)さんは一私人で、刑事訴追の可能性がある中で、あれだけの追及を受けてきた」と、森友学園をめぐる問題で2017年3月に衆参両院で証人喚問を受けた籠池泰典受刑者(森友学園をめぐる補助金不正受給事件で、詐欺などの罪で懲役5年の実刑が確定)のケースに言及。「比べるのは変ですが、それからすると、森元総理が証人喚問に呼び出されてもおかしくない。何ら支障がないのではないかと思う。お話いただきたいなという思いがすごく強いです」と、私見を述べた。
●政治倫理審査会 自民党の裏金問題をテーマに与野党が攻防戦。公開、非公開を巡り激しい駆け引きが!決着の行方は? 2/29
静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「政治倫理審査会」。先生役は静岡新聞の橋本和之論説委員長です。
(山田)今日は政治倫理審査会の話題ですね。
(橋本)そうですね。1月にこのコーナーで自民党の派閥による裏金事件を取り上げたんですが、その続報ということです。
(山田)政治倫理審査会はいまニュースで話題になってますね。
(橋本)はい。自民党派閥の政治資金パーティーによる裏金事件を受けて、与野党が衆議院の政治倫理審査会を開催する方向で大筋合意しています。出席者は松野博一前官房長官ら自民党の安倍派、二階派の5人の名前が上がっています。いずれも非公開の審査を希望しています。
(山田)というわけで注目を集めているということですね。略して「政倫審」というんですね。改めて経緯を説明していただけますか。
(橋本)今回問題になっているのは、政治資金パーティーを頻繁に開いて政治活動に使うお金を集めていた自民党の派閥のうち、安倍派や二階派が法律で義務付けられている政治資金収支報告書へのお金の出入りの記載を怠ったり、虚偽の記載をしたりして、パーティー券の売り上げの一部を所属議員にキックバックしていたというものです。
帳簿に載らないお金になりますので、組織的に裏金を作っていたという疑惑を持たれています。覚えている方も多いと思いますけど、東京地検特捜部が捜査して国会議員1人が逮捕、別の国会議員2人と派閥の会計責任者、議員秘書らが立件される事態となりました。
(山田)これがいわゆる派閥の問題にも広がりましたよね。
(橋本)そうですね。自民党は派閥を解消するなど再発防止対策を示しました。その過程で国会でも政治倫理審査会を開こうという動きになっています。事件は立件された国会議員3人を除いては、国会議員は共謀していないとされました。立証はされなかったけど、安倍派や二階派の幹部は本当に関与していないのかという疑惑はまだ残っています。野党側としては政治倫理審査会を開いてきちんと説明するべきだと主張していて、与野党の駆け引きが続いています。
(山田)なるほど。政治倫理審査会の話はどの程度進んでいるんですか。
(橋本)東京地検特捜部の捜査が終わった段階で、大方の議員はお咎めなしというような形になりましたが、世論の批判が巻き起こりました。その批判をかわすためというと語弊があるかもしれませんが、自民党は全議員に対して政治資金収支報告書への不記載がないかというアンケートを実施しました。その結果、85人に不記載があったことが判明しました。
聞き取り調査も行い、不記載やキックバックがあったことを認識していたという議員も複数いたんですが、裏金となったお金の使い道は政治活動に使っていて違法なことはしていないという結論を出して決着させようとしました。それがまた野党の反発を招いて政治倫理審査会での説明を求められるという流れになっています。
「政倫審」制度化の契機はロッキード事件
(山田)その政治倫理審査会は、そもそもどのようなものなんでしょうか?
(橋本)1983年に田中角栄元首相がロッキード事件で摘発されて裁判で有罪になりました。当時は現職の国会議員だったので、野党から責められて辞職勧告決議案を出す、出さないという議論が起こりました。その与野党の攻防の中で1985年に政治倫理審査会を国会に設置し、議員自身が説明する仕組みを作ろうとなり、制度が設けられました。
(山田)初めて設けられたのが1985年。
(橋本)審査会は衆議院と参議院にそれぞれあります。参議院ではこれまで開かれたことがないので、今回、参議院で開催されれば初めてのことになります。
(山田)審査会はどういうときに開かれるんですか。
(橋本)衆議院では25人、参議院では15人の委員が与野党から出ています。その委員の3分の1以上が開催を申し出て、委員の過半数が賛成すれば開かれます。もう1つ、疑惑を持たれた議員が釈明をしたいから開催してほしいと申し出るパターンもあります。
今回の場合は野党が政治倫理審査会の場で説明するよう求めたのが始まりですが、手続き上は出席する議員が開催を申し出たという形になっています。
(山田)審査会を開くには結構ハードルが高いんですね。
(橋本)説明をすべき議員が開催を求めれば簡単なんですが。ちなみに政治倫理審査会は過去、議員8人の審査が行われました。説明する議員が欠席したのを含めると計9回になります。
(山田)そうなんですね。
(橋本)8人については議員自らの申し出で審査会が開かれました。国会で決められている議員の行動規範というものがあるんですが、それに著しく反するようなことが政治倫理審査会の場で明らかになった場合は、出席委員の3分の2以上の議決があれば登院を自粛するよう勧告ができます。
ただ、この勧告や、委員の過半数の賛成で政治倫理審査会の開催が決まった場合の出席に関しても法的拘束力はないんです。このため、仮に欠席したり、勧告に従わずに登院しても罪には問われません。
今回の焦点は裏金問題の経緯。派閥幹部はどこまで知っていたか?
(山田)それもありなんですか。今回の政治倫理審査会はどうなりそうですか?
(橋本)今回の場合は、自民党のアンケート調査や聞き取り調査の中ではどのようにして裏金作りが始まったのかという経緯がはっきりと分かっていません。出席するのは各派閥の幹部クラスで、経緯を知っているのではないかという疑いを持たれていますので、まずはその辺りを追及されるのではないかと思います。
また、多額の裏金は政治活動以外のやましいことには使ってないとされていますが、本当にそうなのか、選挙のときにこっそりと誰かに渡したりしていないか、というような追及もあるのではないかとみています。
出席する議員は例えば証拠を示すなどして説得力のある説明がきちんとできるかというところが焦点になります。
安倍派の場合は、安倍晋三元首相が存命で派閥のトップだったときにキックバックをやめるよう指示したのに、安倍さんが亡くなった後に復活したという疑いが出ています。それが本当なのか、そうだとしたら誰が決めたのか、そのことを幹部なら知っているのではないか、という点が追及されると思います。ここがどうなるかもポイントです。
(山田)もう1つ話題になってるのが非公開にするのか、公開にするのかというところですよね。
(橋本)これが今一番問題になっています。政治倫理審査会の仕組みでは、原則非公開なんです。ただ、これまで完全非公開だったのは自民党の加藤紘一元幹事長が出席した最初の1回だけです。その後はほとんど公開されています。
(山田)そうなんですか。
(橋本)公開と言っても、政治倫理審査会の委員以外の国会議員が傍聴してもいいという部分的公開だったり、マスコミが入ってもいいが撮影や録音は認めないという制限がかかっていたりするので、すっきりとした公開というのはあまりありません。
(山田)そうなんですね。
公開を渋る自民党。印象悪い?
(橋本)国民に疑惑を持たれているのであれば、本来は国民に向かって説明しなければいけないですよね。自民党にとってもそのほうがメリットがあるはずなんですけどね。やましいことはしていないと言っているのだから、そのことをきちんと説明すればいいと思うんですけど。でも、公開を渋っているんです。これでは印象が悪いですよね。
これはやはり公開するしかないと思うんですが、非公開を条件に出席すると言った議員もいるんです。公開した場合にはその方が出席しないということにならないとも限らないので、いろいろと駆け引きが続いています。
(山田)なんか変な話ですね。
(橋本)ちなみに過去、唯一過半数の委員が開催に賛同して政治倫理審査会を開いた時に、出席を拒んだ方がいます。誰だと思いますか?
(山田)誰ですか?わかりません。
(橋本)首相になる直前だった当時民主党代表の鳩山由紀夫さんです。
(山田)自分にデメリットになる可能性があるからですか。
(橋本)政権交代が実現するかしないかという中、既に亡くなられている方から献金を受けたとする記載があったことなどを追及されました。最終的には謝ったんですが、どういう言い訳をしたと思いますか?
(山田)いや、わからないです。
(橋本)これはもうオーソドックスな言い訳です。「私は知りませんでした。秘書が勝手にやりました」です。秘書の方は後に起訴されて裁判で有罪となりました。
(山田)今回は本当に公開してほしいですね。
(橋本)きちんと公開して国民の前で説明するという決着になってほしいですね。開催されれば、今週はこの話題で持ちきりだと思いますので、ぜひ新聞で見ていただきたいなと思います。
(山田)ぜひ注目しましょう。今日の勉強はこれでおしまい!
●首相 4月“クビ”も…「親財務省」議員が集結で、背後で進む消費税増税19% 2/29
裏金問題に揺れる岸田政権が、ガケっぷちだ。2月17〜18日に発表された各新聞の世論調査で、内閣支持率が14%(毎日新聞)、21%(朝日新聞)と、政権発足後最低を記録した。毎日新聞の調査では不支持率も82%を記録。同紙の調査では自民党の支持率も16%と、自公連立政権発足後、最低になっている。
しかし、その裏で「消費増税へのカウントダウンが始まっている」と警鐘を鳴らすのが、政治ジャーナリストの鮫島浩さん。
2月14日、「日本社会と民主主義の持続可能性を考える超党派会議」(以下、超党派会議)が会合を開いた。超党派会議とは、財界や識者などの有志が集まった政策提言集団「令和国民会議」(通称・令和臨調)の趣旨に賛同する与野党5党(自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会)の議員85人が参加する会議のこと。
議員らが賛同している「令和臨調」のウェブサイトには、〈民主主義の持続可能性を守るため、立場や利害を乗り越えて手を携える〉と記されている。経済界からは、キッコーマンや東京電力ホールディングスの会長、サントリーホールディングスの社長などがメンバーに名を連ねている。
超党派会議はさまざまな課題について話し合い、今から1年後をめどに提言をまとめるという。
「“持続可能性”を考えると謳っていますが、要は“増税”して財源をがっちり固めようという意味です。つまり、令和臨調に参加しているような大企業や政治家ら“上級国民”の利益を持続可能にするために、一般庶民から税金をむしり取ろうということです。
なぜなら、この超党派会議の裏で糸を引いているのは、増税の機会を虎視眈々と狙っている財務省だからです」(鮫島さん)
とはいえ、国民が物価高と低賃金に喘いでいるときに、消費増税に踏み切れるのだろうか。
訪米を花道に首相交代シナリオも
「国民に根強い反対がある消費増税を実現させるためには、与野党の合意がなくては進みません。ですから財務省は、この超党派会議で与野党の合意をとりつけようとしている。過去に成功例があるからです」(鮫島さん)
成功例とは、民主党政権時代の2012年の“3党合意”(民主党、自民党、公明党)による消費税増税だ。これにより消費税は5%から8%、10%と段階的に引き上げられた。
「3党合意のときの首相は“ミスター消費税”こと立憲民主党幹部の野田佳彦氏。財務省と近く、今回の超党派会議にも、特別顧問として名を連ねています」(鮫島さん)
超党派会議には、ほかにも財務省寄りの議員たちの名がズラリ。象徴的なのが、筆頭世話人を務める小渕優子議員(50、自民党選挙対策委員長)と、岸田文雄首相(66)の最側近である元官房長官の木原誠二議員(53、自民党幹事長代理兼政務調査会長特別補佐)だ。
「小渕優子氏の父親は、言わずと知れた故・小渕恵三元首相です。彼は財務省のシンパでした。その娘を首相の座に押し上げて、消費増税に踏み切らせようというのが財務省のもくろみです。また、木原誠二氏も元大蔵官僚。現在でも、財務省と自民党のパイプ役を果たしています」(鮫島さん)
いったい、どのように増税が行われるのか。鮫島さんはこう語る。
「支持率が過去最低になっている岸田政権。その顔をかえてからという予測がひとつ。国民人気の高い石破茂さんや、にわかに麻生太郎元総理が推しはじめた上川陽子外務大臣などを新総理にして、ご祝儀相場で人気があるうちに、解散総選挙に打って出て勝利する。
それを受けて、与野党が歩み寄って、来年の春に消費税増税に向けた議論を始める。財務省が描いているのも、こんなシナリオです」
4月10日に岸田首相は米国を国賓待遇で訪問する予定だが、これを花道に岸田首相は退任するのではないかという説も永田町で出ている。最短で今春の首相交代はありうるのだ。
「いずれにせよ、このまま支持率低迷が続くと、岸田さんは9月の自民党総裁選に出るのは難しいでしょう」(鮫島さん)
一方で、岸田首相が自ら勝負に打って出る可能性もあるという。
2月18日、立憲民主党の泉健太代表(49)は、党の会合であいさつし、「3補選でどうせ負けるなら、全国で選挙してしまえという『やけくそ解散』もありうるといわれている」と語った。
亡くなった細田博之前衆議院議長、公職選挙法違反で起訴され辞職した柿沢未途前衆院議員(53)、裏金事件を受けて辞任した谷川弥一前衆院議員(82)の後釜を決める補欠選挙が4月28日に予定されている。
「米国から帰ってきて評価が少し上がったタイミングですぐ解散総選挙。議席はかなり減らしたとしても過半数を割ることはないので、その分を維新や、立憲の一部と手を組んで乗り切る。
私は岸田首相がそう考えている可能性も高いと思います。その場合は、岸田首相のもとで、増税への手続きが行われることになります」(鮫島さん)
財務省の消費税19%の夢
元国税調査官で、『消費税という巨大利益』(ビジネス社)などの著者がある大村大次郎さんは、「財務省は消費税19%をもくろんでいる」として、こう述べる。
OECD(経済協力開発機構)は2018年に〈日本の消費税は将来的にOECD加盟国平均の19%にまで引き上げる必要がある〉と提言したことが報じられました。本来、OECDは日本の消費税などに関心はありませんから、財務省が働きかけて提言させたのは明白です」
日本は多額の拠出金を出しているため、財務省はOECDに影響力があるのだという。
岸田首相が続投しようが、首相が交代しようが、自民党政権が続く限り、“増税路線”は変わらないということか。
増税はどうすれば阻止できるのか。最後に鮫島さんはこう語る。
「“超党派会議”に参加しているかどうかも、ひとつの判断基準になります。また、野党だから消費税増税に反対というわけではない。党だけで判断せず、議員個人の主張を見ることも重要でしょう」
●あきれた政倫審見送り 献金禁止・政治資金透明化・裏金課税…自民が率先して断行せよ 徴用工訴訟「実害」は岸田政権の大失態 2/29
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる、衆院政治倫理審査会(政倫審)の28日開催が見送られた。与野党が公開のあり方をめぐって対立しているという。あきれるしかない。
政倫審の最重要ポイントは「国民への説明責任を果たせるかどうか」だ。安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の限られた幹部が、非公開の場で説明するだけなら、確定申告シーズンの国民は決して納得しないだろう。
日本を取り巻く外交・安全保障環境は厳しさを増している。能登半島地震の対応も一刻も早く進める必要がある。子ども・子育て支援の抜本的強化策など、今国会で議論すべき問題は山積している。だからこそ、与党第一党の自民党にはすべての疑惑を明らかにして、「政治とカネ」の問題に早くケリを付ける責任があるのだ。
政党助成金制度は1994年に創設された。政治腐敗の「温床」といわれた企業・団体献金を廃止して、政官業の癒着構造を断ち切るために、国民1人あたり250円の税金を政党に拠出することから始まった。ところが、企業・団体献金は今でも続けられており、パーティー収入は「裏金」化していた。これでは、「国民への裏切り」である。
自民党が率先して、「企業・団体献金の禁止」を法制化するとともに、今後は政治資金規正法を透明化したルールに変えるべきだ。一般の納税者と同様、領収書のない経費は決して認めない。調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)も、領収書公開と年一回の精査は不可欠だ。政党から議員個人に渡される政策活動費の使途も公表する。
元内閣参事官の高橋洋一氏が「裏金に課税すべきだ」と語っていたが、経費ではなく個人の所得なら課税は当然だ。国会議員は特権階級ではない。ブラックボックスを許してはならない。
徴用工訴訟日本企業「実害」は岸田政権の大失態
さて、岸田文雄政権が「政治とカネ」の問題で混乱するなか、いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐり、日立造船が韓国の裁判所に預けていた供託金6000万ウォン(約670万円)が原告側に渡った。日韓の請求権は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」しているが、日本企業に初めて「実害」が出た。岸田政権の「外交大失態」といえる。
林芳正官房長官と上川陽子外相が「極めて遺憾だ」「強い遺憾の意」などと、いつもの「遺憾砲」を繰り返しているが、何の役にも立たない。原告側は「日本企業による事実上の賠償」などと勝ち誇っており、今後、他の日本企業に実害が発生する可能性がある。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は昨年3月、韓国最高裁が日本企業に命じた賠償支払いについて、「韓国政府傘下の財団が肩代わりする」と表明した。それを岸田政権は受け入れて日韓関係正常化にかじを切った。岸田政権は完全に舐められ、裏切られた。情けない。これを放置すれば、世界各国に「日本は泣き寝入りする国だ」と軽んじられる。
安倍政権が準備した「対抗措置」に踏み切れ
安倍晋三政権では、日本企業に実害が生じた場合に備えて、韓国への「対抗措置」として100前後の選択肢をリストアップしていたという。岸田政権は即刻、それらの対抗措置に踏み切るべきだ。日本の世界での位置付けが、岸田政権によって大いに毀損(きそん)されている。
●岸田首相が「政倫審出席」という"捨て身の大博打" 2/29
前半国会の最大のヤマ場となった2月28日に、岸田文雄首相(自民党総裁)が「捨て身の“大博打”」(官邸筋)に踏み切った。「来年度予算の年度内成立」のカギとなる衆院政倫審開催をめぐり、自民党内の混乱が野党の攻勢を招くという悪循環を断つため、総裁として「率先垂範で全面公開での政倫審出席を宣言する」という“奇手”で、事態打開を狙ったものだ。
この「岸田流の“奇襲”」(官邸筋)は与野党双方の国会担当者に衝撃を与え、結果的に、安倍、二階両派の事務総長経験者5氏の「全面公開での政倫審出席」も確定。併せて、国会日程上も、実質的に予算の年度内成立が確実視される状況をつくり出した。
さらに、今回政倫審出席の対象議員から外れたが、野党側が強く出席を求めている安倍派「5人衆」の残る1人の萩生田光一前政調会長や、同様に野党が強く求める二階俊博元幹事長のそれぞれの政倫審出席に、「強い“圧力”をかける形」(自民長老)となりつつある。
加えて、「裏金事件の首謀者」(自民長老)とも目されている森喜朗元首相の国会招致問題も、今後の与野党国会攻防の重要な題材となりそうだ。
「岸田決断」には、評価と反発が交錯
今回の岸田首相の「決断」には、与党内から「自ら捨て身になって事態を打開した」(自民国対幹部)と評価する声が相次ぐ。その一方で、安倍、二階両派からは「自分だけいい子になって我々を追い詰めるやり方は許せない」(安倍派幹部)との不満・反発も顕在化させた。
このため、今後の政局の焦点となる衆院解散の可否や、「ポスト岸田」が絡む9月の自民党総裁選を視野に入れた自民党内の権力闘争構図が、一段と複雑・重層化することは間違いなさそうだ。
事実上与野党合意での開催が決まりかけていた28、29日の政倫審開催が、27日夜の自民党内の混乱で先送りとなったことが、岸田首相の突然の決断の背景にあることは間違いなさそうだ。
岸田首相は同夜、周辺に「自分が決断するしかない」と漏らしたとされ、28日昼前、首相官邸でのインタビューで「自民総裁として政倫審に自ら出席し、マスコミオープンの下で説明責任を果たしたい。また、志のある議員に、政倫審をはじめ、あらゆる場で説明責任を果たすことを期待する」と記者団を見回しながら決意表明した。
併せて岸田首相は「(政倫審)開催の見通しが立たないのは極めて残念だ。今の状況のままでは国民の政治に対する不信がますます深刻になってしまうと強い危機感を感じていた」とも強調した。
29日、3月1日に政倫審、中央公聴会も29日開催
これを踏まえ、浜田靖一・自民国対委員長は安住淳・立憲民主国対委員長と国会内で会談し、岸田首相の意向を正式に伝達。それを受けて立憲など野党4党は国対委員長会談で、岸田首相の政倫審出席に応じることを確認。併せて、安倍、二階両派の5人の政倫審出席が確定しない限り、予算案の日程協議に応じないことでも一致した。
これを受けて開かれた政倫審幹事会で、テレビ中継も含め、報道機関に全面公開する形で、29日と3月1日に審査会を開催することが決定。具体的には29日に岸田首相と二階派の事務総長を務めた武田良太元総務相が、翌3月1日には、安倍派事務総長経験者の西村康稔・前経済産業相、松野博一・前官房長官、塩谷立・元文部科学相、高木毅・前国対委員長の4氏が出席する。
また、出席者1人当たりの持ち時間は1時間20分とし、まず議員自身が15分間弁明、それを踏まえて各党委員が1時間5分の質疑を行うことも確認された。政倫審に現職の首相が出席するのはこれが初めてで、議員が出席して弁明を行うのは2006年以来となる。また、これに合わせて予算案採決の前提となる29日の中央公聴会開催も決まった。
「派閥解散」宣言が“成功体験”に
一連の決定を受け、政府・自民党は3月1日の政倫審開催後、週末の3月2日までの予算委締めくくり質疑と採決と予算案の衆院通過を目指す。ただ、野党側は審議時間不足と週末開催拒否で衆院通過を週明けの4日にすべきだと主張しており、最終的に予算案は4日午後の衆院本会議で可決、同日夕にも参院予算委審議が始まるケースも想定される。
その場合、憲法の規定で予算の自然成立は30日後の4月2日となり、年度内成立の「保険」はなくなる。ただ、参院自民側は「審議促進によって3月29日までの予算成立は可能」(国対幹部)としており、野党側も、能登地震対策が含まれる予算成立を遅らせることによる国民的批判を恐れ、実質的に年度内成立に協力せざるをえないのが実態とされる。
そうした中、今回の岸田首相の決断について、周辺からは「1月18日の派閥解散宣言と同じ手法で、あのときの成功体験が今回の決断につながった」(側近)との見方が出ている。これまでも政権危機が強まるたびに岸田首相が突然決断することで事態打開につなげてきたのは事実だからだ。
しかし、ここにきて「その手法自体が国民に見透かされている」(自民長老)とされ、内閣支持率も過去最低を更新し続けている。このため、今回の決断を踏まえ、裏金事件での国民の怒りにも対応するには、「企業献金も含めた抜本的な政治資金法改正が必須」(同)とされそうだ。
また、次の政局の大きな節目となる4月28日の衆院統一補選をそのまま実施するか、予算成立直後に衆院解散を断行して新しい区割りでの選挙戦とするかも、岸田首相の決断次第となり、与党内には「補選に合わせた解散も選択肢」(自民幹部)との声も出ている。
ただ、岸田首相周辺は「補選は何とか1勝1敗1不戦敗で乗り切れそう」(岸田派幹部)との判断から、「統一補選後の5月連休以降、首脳外交などで支持率を回復させ、会期末解散に打って出る」(同)との戦略も視野に入れているとみられる。
もちろん、現状を見る限り「岸田首相の思惑通りの展開となるかは極めて不透明」(自民長老)なのも事実。しかも、今回の「岸田流奇襲作戦」への党内の反発もあるだけに、「4・28統一補選」をなんとか乗り切ったとしても、その後の会期末までの自民党内の権力闘争は一段と激化する可能性が少なくないのが実情。
「3頭体制」崩壊で厳しい政局運営に
すでに自民党内では石破茂元幹事長が勉強会を再開、高市早苗・経済安保相もポスト岸田をにらんでの総裁選出馬の準備を進めている。さらには麻生太郎副総裁も初の女性首相候補として上川陽子外相の担ぎ出しを画策しているとみられる。
さらに、ここにきての岸田首相の「独断専行」で、これまでの麻生副総裁、茂木敏充幹事長との「3頭体制」が崩壊しつつあり、岸田首相は「腹背に敵を抱える形での厳しい政局運営を強いられる」(自民長老)のは間違いなさそうだ。
●裏金問題めぐる自民派閥幹部の説明、「十分」がわずか3%だった世論 2/29
自民党派閥の政治資金をめぐる裏金問題を受け、衆院政治倫理審査会(政倫審)に関心が集まっています。政倫審という国会の場で派閥幹部がどの程度説明するかに注目が集まりますが、説明責任について、有権者はこれまでどう思っていたのでしょうか。
朝日新聞社が2月17、18日に実施した全国世論調査(電話)では、この問題に関係する派閥幹部の説明が十分かどうかについて聞きました。調査時点では与野党が政倫審の開催について協議し始めたばかりの段階のため、その詳細はまとまっていません。
結果は「十分ではない」が90%にも上り、「十分だ」はわずか3%でした。
「十分ではない」と答えた人をみてみると、無党派層では92%に上り、自民支持層でも84%と多かったのが特徴です。 ・・・
●北朝鮮が日本に秋波送る@摎R 拉致問題「毒まんじゅう」で岸田政権試す狙い 国連は機能不全、ミサイルの脅威は本物に 2/29
日本時間2月23日に開かれた日米韓外相会談で、上川陽子外相は、北朝鮮のミサイル開発に深刻な懸念を表明すると同時に「緊張緩和に向け、対話の道は開かれている」とも述べた。一方、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は「岸田文雄首相が平壌を訪れることもあるだろう」と発言している。
岸田政権が、安倍晋三・菅義偉政権の対北朝鮮交渉を継承しつつ、拉致問題の電撃的な解決を狙っているのはよく知られている。
解決というのはいいが、問題はその中身だ。2人程度の拉致被害者を帰国させ、それで拉致問題は事実上終了とし、日本からの巨額援助を受けるというのが北朝鮮のシナリオだといわれている。拉致問題のために形式的な日朝間協議を継続するといっても、日本側が望む結論となるのかは疑問との見方もある。
与正氏が日本政府に秋波を送るのはなぜか。この案は安倍・菅政権は「毒まんじゅう」だとして応じなかったようだが、岸田政権は北朝鮮の甘言に乗りやすいとみられているのではないか。実際、安倍元首相は拉致問題をライフワークとし、実際に訪朝した経験もあるので、北朝鮮の本質を熟知していた。岸田首相はどうだろうか。
その一方で、北朝鮮は着々とミサイル開発を進めている。また、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに北朝鮮が武器を供与していると欧米などから懸念が強まっている。北朝鮮製の「KN23」短距離弾道ミサイルがロシアから発射され、ウクライナ軍の兵站基地2カ所が攻撃され、貴重なタンク車が少なくとも9両撃破されたという。
KN23は500キログラムほどの弾頭を搭載可能で、射程は900キロメートル程度だ。北朝鮮が自国製のミサイルを輸出することは国連安保理決議に違反する。それは日本や米国など48カ国・1機関による今年1月の共同声明でも明らかだ。しかし、そうした国際社会からの非難にも、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記はどこ吹く風だ。
その返礼なのか、プーチン氏が正恩氏に大統領の専用車両を贈ったことを両国ともに認めている。これも、国連安保理決議に違反する。
国連安保理常任理事国のロシアが安保理決議を平然と無視するのは、改めて国連が機能不全になっていることを認識させられる。
そもそも北朝鮮から日本への秋波が怪しいものであることに加えて、明確に国連安保理決議違反の片棒を担いでいるので、日本としても拉致問題に関して、北朝鮮に融和的な姿勢をとりづらいだろう。
北朝鮮の思惑は、日本の岸田政権が支持率低迷に悩み、政権基盤が盤石でないことを見越して、支持率アップにつながる拉致問題の「解決」というエサをまき、岸田政権を試しているのではないだろうか。
一方でミサイルの脅威は本物だ。実戦で使えることが分かったうえで、射程900キロとなれば、西日本が射程内になってしまう。
●「疑惑議員は国民に丁寧に説明すること」…実は自民党の指針 自ら決めたルールも無視する議員たちの厚顔さ 2/29
自民党の裏金疑惑について説明が尽くされずにいる。今に至る状況は、彼らが自ら定めた「ガバナンスコード」に反するように思えてならない。この指針では「政治資金で疑念を持たれた議員は、国民に対して丁寧な説明を行う」と記すからだ。28日に党総裁の岸田文雄首相が衆院政治倫理審査会に出席する意向を示したが、果たしてこれで十分なのか。
自民の姿勢「腹立たしい」
「説明せず逃げている人がたくさんいる印象」
衆院政倫審が開かれるはずだった28日、国会周辺を歩いていた東京都世田谷区の会社員梶原未帆さん(26)は、裏金疑惑で満足に説明しない自民に冷ややかな視線を送る。「政治とカネの問題は今に始まったことじゃないのに」
同じく国会周辺にいた埼玉県羽生市の会社員男性(44)は、説明を尽くさない自民の姿勢に「腹立たしい」と憤慨する。「ちゃんと説明責任を果たしてもらわないと困る。裏金を何に使ったか知りたい」
発覚85人のうち政倫審には6人だけ
裏金疑惑で説明責任を果たそうとしない自民の後ろ向きな姿勢は明らかだ。
党は国会議員らにアンケートを行ったが、設問は「政治資金収支報告書への記載漏れの有無」と「過去5年の不記載額」を尋ねる2問のみ。裏金をつくった経緯や使途は聞いていない。
このアンケートで不記載が発覚したのは85人。説明の場となる衆院政倫審に出るのは、二階派の武田良太元総務相、安倍派の西村康稔前経済産業相ら5人と党総裁の岸田氏だけだ。
岸田政権の改革推進の象徴だった
今の局面で目を向けるべきは、自民党のガバナンスコードだ。岸田総裁、茂木敏充幹事長体制となり、党改革推進の象徴として2022年5月に策定した指針で、党所属国会議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が表面化したことを受けて同年10月に一部改訂した。
注目したいのが「原則五—三 厳正なコンプライアンス対応」。こんな文言が記されている。
「ガバナンスコードに反している」
「党所属の国会議員の政治資金の取り扱い等に関するコンプライアンス上の疑義があった場合には、疑念を持たれた議員は、政治資金規正法及び政党助成法等の趣旨に則り、国民に対して丁寧な説明を行う。また本党は、党則、規律規約及び倫理憲章に基づき厳正にこれに対処する」
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「政倫審に一握りの議員しか出ないのは、明らかに説明責任を怠っている。ガバナンスコードに反していると言える」と指弾する。
違反しても懲罰規定なし
ガバナンスコードは透明性と説明責任を担保し、国民の信頼を確保、増進することを目的としているが、違反した場合の懲罰規定はない。
党本部によると「何かを縛るものではなく、あくまで党運営の指針。違反したからといって直ちに処分されるわけではない」という。
「順守しなくても問題ない」開き直る議員も
これに対し、角谷氏は「『国民に丁寧に説明』とあるのだから、違反した場合は党としての処分が必要だろう。説明を怠っている現状を問題としないこと自体が問題で、自民党の統治能力が失われていると言わざるを得ない」と語る。
自民議員の意識はどうか。あるベテランは「順守しないからといって法的に問題があるわけではない」としつつ「国民は納得しないので説明は必要だ」と語り、別の若手は「適切に順守できている状況ではない」と認めた上で「党大会などで順守の徹底を強化する必要がある」と述べた。
「あくまでも留意しましょうという認識」
一方で戸惑いを覚える言葉も。ある中堅は「何をもって丁寧な説明か、いつまでに説明しなければならないかなど判断は難しい」とした上で、ガバナンスコードについては「違反したからといってすぐに処分されるものではないので、党内ではあくまでも留意しましょうという認識にとどまっていると思う。違反した場合に党執行部が指導などしないかぎり機能しないのでは」と語る。
曖昧に扱われるガバナンスコードだが、そこに記される「国民に対する丁寧な説明」を尽くさずに済まそうとすれば、多くの問題が残ることになる。
語らぬ現状「国民の代表を自ら放棄」
そもそも国会議員は選挙によって国民の負託を受けている。駒沢大の山崎望教授(政治理論)は「何か問題が起きた時、説明責任を果たすことで国民が納得できる状況を保たなければいけない」と指摘する。
「議員たちに権力を預けていいのか、有権者が判断する上で必要になるのが丁寧な説明だ」と話し、裏金疑惑を持たれる議員が多くを語らない現状を「国民の代表であることを自ら放棄している」と糾弾する。
「捜査中」を理由に拒むケース相次ぐ
説明が尽くされない今、裏金が生み出された経緯や使途などの詳細は曖昧なままだ。山崎氏は「慣習として当たり前のように行われ、疑問視する人はいなかったのか。派閥を解消したら裏金づくりの仕組みが消えるのか。事実関係が明らかにならなければ、派閥と裏金づくりがどうリンクしているのかも分からない」と述べ、有権者も判断に窮する状況だと語る。
裏金疑惑を巡っては派閥幹部らが刑事告発され、東京地検特捜部が今年1月、現職議員3人を含む計10人を政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で立件した。この間、「捜査中」を理由に説明を拒むケースが相次いだ。元東京地検特捜部副部長で衆院議員も務めた若狭勝弁護士は「刑事的な責任を追及する捜査と、政治的な説明責任は別物。立件されたかどうかにかかわらず、告発された議員は政治倫理審査会で説明を果たすべきだ」と強調する。
谷川弥一氏は「議員辞めたから許して」
捜査機関に対する説明だけで済ませ、国民への説明を怠ると、刑事処分の妥当性がチェックできないことにもなる。「特捜部が不起訴の理由を説明しないという問題はあるが、議員側が説明しないことで捜査が適正に行われたかも分からなくなってしまう」
立件後に衆院議員を辞職した谷川弥一氏は「国会議員の身分を辞めてきて、おわびしているんだから許して」と口にし、裏金の詳細の説明を最後まで拒んだ。
ただ、裏金疑惑は「辞めたから済む話」でもない。
「実態解明と再発防止策は一体」
法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)は「実態解明と再発防止策は一体のはずだ」と指摘。丁寧な説明で問題の所在を明らかにし、過ちを繰り返さないための議論につなげる必要があると語る。
衆院政倫審は公開を巡って二転三転した後、岸田氏が出席する意向を示したことで安倍派、二階派の計5人が出席する形となった。
ガバナンスコードが示す「丁寧な説明」に向け、党総裁の岸田氏が率先垂範したようにも見えるが、白鳥氏はこう訴える。
重要なのは語る中身
「総裁として岸田首相が出なければならないほど、党内のガバナンスが効いていないということだ」
政倫審に出席を予定するのは、まだ一握りの議員。首相の出席ばかりに目を奪われてもいけない。「重要なのは語る中身だ。党の調査を超えるような全容解明ができなければ出る意味がなく、単なるパフォーマンスと言われても仕方がない。総裁が出てきたという形だけで、真実の追及がうやむやに終わることはあってはならない」
デスクメモ
政倫審の開催や公開は「国会で決める」と繰り返してきた岸田氏。人ごと感から一転、自らの出席を打ち出した。これだけでも「ん?」と思うが、勘ぐりたくなる事情も。支持率は低迷し、足元が揺らぐ現状。世間の目を引く手を打たないと…。そんな打算ありきの政倫審出席では困る。
●岸田政権はNHKネット受信料徴収検討で個人からの反対意見には同意せず 2/29
岸田政権が実施している、NHKのインターネット受信料の徴収などの業務の在り方などを取りまとめたパブリックコメント募集に対して、個人からはインターネット受信料徴収に反対する意見があったが、政権側からは反対意見に同意することはなく、意見として承るとの旨を示すだけであった。
総務省では、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会 公共放送ワーキンググループにおいて策定された「公共放送ワーキンググループ第2次取りまとめ(案)」について、意見募集を行ったところ、120件の意見の提出があった。
その結果などを踏まえ、公共放送ワーキンググループ第19回会合において、「公共放送ワーキンググループ第2次取りまとめ」が決定されたため、意見募集の結果についても公表されることとなった。
個人の意見として、『利用料について、インターネットにアクセスできるスマートフォンやPCを保持するだけで利用料徴収の対象とすることは反対です』などとの意見に対しては、【スマートフォン・PC等の通信端末を用いてNHKの放送番組等を視聴する意思を持って能動的な一定の行為を行った者であれば、汎用的な通信端末をNHKの放送番組を視聴するための受信設備として設置したと評価し、費用負担を求めることを基本とすべきと考えています】との旨の見解を示している。
また、『不必要な人にまで見もしないのに契約を強要する恫喝体質から開放する議論を先にするべきです』『子会社という隠れ蓑を作るべきではない』『NHKの放送内容について、きちんと検証して公平性を担保すべき』などのネット受信料を徴収することに反対している意見に対しては、【今後の放送行政に対する御意見として承ります】との旨の見解を示すのみであった。
●岸田首相「国民に心からおわび」政倫審で野党が責任追及 再発防止へ言及は 2/29
自民党の派閥の政治とカネの問題をめぐり、衆議院の政治倫理審査会が開かれ、岸田首相が現職の首相として初めて出席しました。
15年ぶりの政倫審は、岸田首相による「国民に対する心からのおわび」という謝罪の言葉で幕を開けました。
岸田首相「国民の皆様方に大きなこの疑念を招き、そして政治不信を引き起こしていることに対しまして、自民党総裁として心からおわびを申し上げます」
続いて行われた質疑では、立憲民主党の野田元首相が、裏金に関わった自民党議員全員の責任のとり方を追及しました。
立憲民主党・野田元首相「刑事事件にもならない、責任を問われない、説明責任を果たさない、税金も払わない。処分もない。何にもないんだったら同じことがまた起こりますよ、という意味で、そろそろ党として総裁としてのリーダーシップを振るって、処分を考えるべき時期ではないですか、お考えをお聞かせください」
岸田首相「法律上の責任以外にも、政治家として説明責任、そして政治責任、道義的な責任という言葉も先ほど使いましたが、こうした責任はあると私は思っています。説明責任の果たし方、そして、事実の状況もしっかり踏まえながら、党として処分をはじめとする政治責任についても判断を行ってまいります」
野田元首相はまた、首相在任中には個人として「政治資金パーティーを開かないと明言できるか」と迫り、岸田首相は「在任中に行うことはない」と答えました。
岸田首相は再発防止のため、会計責任者だけでなく政治家も責任を負うようにする、いわゆる「連座制」の導入や、外部からの監視を強化するために政治団体への監査の対象や範囲を拡大すること、さらに、収支報告書のオンライン提出の促進や銀行振り込みの推進などを含めた法改正について検討していく考えを示しました。
●「私のパーティーは勉強会だ」⇒「もうしない」と岸田首相 2/29
自民党の主要派閥が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していた問題を審議する、衆院の政治倫理審査会(政倫審)が2月29日開かれた。岸田文雄首相が自民党総裁として出席し、一連の事件について弁明した。
政倫審はロッキード事件をきっかけに1985年に設置された。衆院では過去に9回開かれているが、現役の首相が疑惑の当事者として出席し、弁明を行うのは今回が初めてだ。
岸田首相はもっぱら、安倍派(清和会)や二階派(志帥会)、自身が率いていた岸田派(宏池会)の問題について説明したが、審議では岸田首相が首相就任後も政治資金パーティーを繰り返し開いていたことの是非が問われた。
「大臣規範」では、大臣は政治資金パーティーの開催を自粛することが定められているからだ。
岸田首相は「2022年に7回開催」
この問題を取り上げたのは野田佳彦元首相。岸田首相が2022年には7回もパーティーを開催したと指摘。そのパーティーを「勉強会」と称していることについて、「一晩で3千万円も収入を得ている。勉強会というのはごまかしだ」と迫った。
これに対し、岸田首相は「私のパーティーは総理就任前から続けている勉強会を続けているものだ。大臣規範にある『国民の疑念を招く』ものにはあたらないと判断した」と述べた。
野田氏は質問を重ねた。「大臣規範には反しないというが、内閣総理大臣としての心の中の規範はないのか」。さらに、首相がパーティーを開いていた時期には、ロシアによるウクライナ侵攻が緊迫化し、歴史的な円安が進み、北海道・知床半島沖では遊覧船沈没事故も起きていたと指摘。「内なる規範はないんですか、内閣総理大臣としての」とたたみかけた。
岸田首相は「指摘を受けていることについてしっかり受け止めて、判断していく」と応じ、今後については「在任中は(パーティーを)やることはないと考えている」と述べた。
「疑惑を招くものではない」と首相
大臣規範は2001年に閣議決定され、その後幾度か改正された。総理大臣を含む国務大臣は「公私混淆を断ち、職務に関して廉潔性を保持することとする」と定め、パーティーについては「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する 」としている。
岸田首相は自身が繰り返していたパーティーについては、「疑惑を招くようなものではないと判断していたことには変わりない」と重ねて強調した。
自民党派閥の裏金づくりについては、安倍派の場合は「遅くとも十数年前から行われていたことが明らかになった」と説明した一方で、党の聞き取り調査では「議員個人が受領した例は把握していない」「政治活動費以外、違法な使途に使用した例も把握していない」と述べた。
二階派についても政治活動費以外の使用などはなかったと説明。岸田派については、会計担当者による「事務処理上の粗漏によるものだ」と述べた。
●政治資金パーティー、首相在任中は開催せず=岸田首相 2/29
岸田文雄首相は29日、自民党派閥の政治資金問題を巡る衆議院政治倫理審査会に出席し、首相在任中は自身の政治資金パーティーを開くことはないと明言した。野田佳彦元首相(立憲民主党)の質問に対し、「在任中はやることはないと考えている」と答えた。
また、野田氏から裏金問題に関わった議員の責任を問われ、「事実の状況もしっかり踏まえながら党として処分を始めとする政治責任についても判断していく」と話した。
●若狭勝弁護士、支持率14%の岸田内閣の北朝鮮訪問計画を強烈批判「外交を自分の内閣延命策には使うな」 2/29
元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏が、自身の公式YouTubeチャンネルにて岸田内閣に北朝鮮訪問計画があると言及し、「外交を自分の内閣延命策には使うな」と強く批判した。
毎日新聞が公表した2月17、18日の全国世論調査によると、岸田政権は支持率を14%まで落とした。前回より7ポイント減で、岸田政権発足以来最低の結果となっている。岸田首相は国会の施政方針演説で金正恩との首脳会談を実現したいと述べており、岸田内閣に北朝鮮訪問計画があることが取り沙汰されている。
若狭氏は「訪朝に向けて1番重大な問題は日本人拉致問題」と指摘。しかし、「今回北朝鮮を訪問して岸田さんが2人だけ帰す(帰国させる)と言われたときに、それで拉致問題解決とされるのであれば、それは拉致被害者家族としては許せないと思う」と厳しく語った。
そして「岸田さんが自分の保身で支持率を急上昇させられるとかいう幻想の下で、国家の大事な方向性を決める」ことはあってはならないと批判し、もし訪朝して拉致問題に取り組むのであれば「北朝鮮へのお土産として、人道支援の大義の下で食料支援とか水道施設などの技術供予・学校建設、そうした数十億円の支援を与えることも考えられていく」と懸念を述べた。そして、若狭氏は岸田内閣は今年の衆議院議員補選に向けた“岸田降ろし”が始まる前の支持率上昇を狙っているが、そのための道具として北朝鮮外交が使われることを危惧した。
視聴者からは「岸田首相は自ら得意なのは外交と言っているが、これを自画自賛という」「岸田はこれ以上余計なことをせずに、一刻も早く辞めてほしい」といった、若狭氏に同調するコメントが相次いだ。
●岸田政権の「子育て支援金」は、むしろ「婚姻撲滅・少子化促進」と最悪の政策 2/29
支援金の「ステルス値上げ」は必至
「これでは、少子化対策という名を騙った増税ではないか」
2月16日に閣議決定された「異次元の少子化対策」の関連法案を受け、SNS上ではこうした大きな非難の声があがりました。
今回の法案では、児童手当の拡充や育休給付金の充実などのほか、「こども誰でも通園制度」の導入なども盛り込まれていました。同時に、これらの政策の財源として「子ども・子育て支援金制度」を創設することも明記されましたが、非難の的はまさにここに集中しました。
この「子育て支援金」について、岸田首相は「実質的な社会保険負担増にはならない」という旨の発言を繰り返していますが、誰がどう見ても「負担増」であり「増税」だからです。
この支援金分の徴収は、ひとり当たり月500円や初年度は300円などと言ったかと思えば、月1000円を超えるなどと少子化担当大臣の答弁がコロコロと変わり、一体何が正しいのかすらわからない状態てす。いずれにしても、支援金の徴収額は、これから毎年のように少しずつステルス値上げされていき、いつしか当初の何倍もの金額に膨れあがることだけは間違いないでしょう。
それは、今までの社会保険料の負担増の推移を見れば明らかです。「小さく始めて大きく徴収する絶対解約できないサブスク」のようなものです。
「異次元の少子化対策」で出生数は増えない
当初、政府の少子化対策として児童手当の拡充が喧伝された際に歓迎の声をあげた子育て世帯の人からでさえ、この政府のカラクリに対し「配った上で、その後徴収するのなら最初から配らなくていい」という声すらあがっています。
それはそうでしょう。児童手当の金額や対象年齢が拡大されたところで、その給付金額を相殺するように、年少扶養控除などが廃止や縮小をされてきたわけです。その一方で、税金や社会保険料などを含む国民負担率は毎年のようにあがっているのですから。
今回の「子育て支援金」も各所から徴収したものを一度ブラックボックスに格納した上で分配されるお決まりのスキームになっていますが、徴収した金額のうちどれくらいが利権や中抜きのために無駄に使われるかわかったものではありません。そんなことをされるくらいなら、「最初から取るな」と言いたいのは当然でしょう。
私は、この「異次元の少子化対策」が言われ始めた当初から、子育て支援一辺倒の少子化対策は、本来の少子化対策としての出生増にはつながらないと当連載でも何度も書いてきました。
「少子化対策は北欧を見習え」は本当か
そもそも子育て支援は、少子化であろうとなかろうとやるべきもので、出生増を図るための少子化対策とはまったく別次元の話です。少なくとも今までの過去の実績からも、子育て支援を充実させれば、出生数が増えるという因果は見られません。
それどころか、2007年に少子化担当大臣が創設されて以降、いわゆる児童手当などの家族関係政府支出GDP比は右肩上がりに増え続け、対1995年比で2倍増にまで拡充されています。予算が2倍になったにもかかわらず、出生数は逆に4割減です。もし、これが民間会社の事業プロジェクトなら、大失敗の事業として見直されるし、責任者は交代でしょう。
何も、家族関係の政府支出を削れという話をしたいのではありません。しかし、「この家族関係政府支出予算が北欧に比べて低いから日本は少子化なのだ」とか「この予算を北欧並みの比率まであげれば少子化は解決する」などという根拠のない言説を「有識者の見解」などとしてさんざん取り上げてきたメディアの責任も大きいと思います。予算だけつけても、出生数が増えるわけがないのです。
政府支出は日本の1.7倍でも子供が増えない事実
ちなみに、さんざん見習えといわれてきた北欧のフィンランドの家族関係政府支出GDP比は2019年実績2.9%で、これは同年の日本の1.7倍ですが、それだけ予算を割いているはずのフィンランドの2023年の合計特殊出生率は、速報値でもはや日本と同じ1.26まで下がっています。これを見ても、予算をかければ出生増になるなどという話ではないことがわかります。
フィンランドの少子化について、同国の家族連盟人口研究所のアンナ・ロトキルヒ氏は「フィンランドの家族支援政策は子を持つ家族には効果があったのかもしれないものの、本来の目的である出生率の上昇には結びついていない」と述べており、これが正しい事実認識であると私も思います。
もちろん現在の日本の出生減の原因は、出産対象年齢の女性の絶対人口が減少しているという物理的理由が第一にあり、日本においては、1990年代後半からゼロ年代頭にかけて起きるはずだった第3次ベビーブーム(第2次ベビーブームで産まれた子どもたちが親になる時期で出生が増えると見込まれたこと)が起きなかった時点で、未来永劫出生数という観点では増えないことが確定しています。
加えて、絶対人口が減少している上に未婚化で子を産まない女性も増えており(2020年時点で日本の女性の生涯無子率は27%)、人口減と非婚化というダブルパンチによる「少母化」が現在の出生減の要因です。1985年に比べて、1人以上の子を産んだ女性の数は60%も減少しています。どう逆立ちしても、出生数は増えません。
20代の婚姻数を増やすしかないが…
そして、上記の話ともかぶりますが、出生減は婚姻減と完全にリンクしています。婚外子の極端に少ない日本では結婚をしないと出産をしないからです。逆にいえば、結婚して15年以上継続した夫婦は2021年出生動向基本調査によると、平均1.9人の子どもを産んでいます(完結出生児数)。
また、15年継続しなくても、離婚があった分を含めても、婚姻がひとつ成立すれば、1.5〜1.6人の子どもが産まれてくるという傾向は20年以上続いています(発生結婚出生数)。つまり、婚姻がひとつ増えれば1.5人出生されるということで、出生数を増やすには婚姻増を目指すことが正しいわけです。しかも、出生につながる婚姻という観点では20代の婚姻が増える必要があります。
よくフランスの出生率と比較されますが、日本とフランスの出生率の違いの大半は20代の出生率の差です。フランス20代出生率0.78に対し、日本は0.48しかありません。その差は0.3もあります。もし日本の20代の出生率がフランス並みなら、日本の出生率はそれだけで1.26から1.56にあがることになります。
   【図表】日仏韓 2020年年代別出生率比較
「若者が20代のうちに結婚できない」問題
実際はもっと効果があります。20代で第1子を産むことが、早めの第2子、第3子出産へとつながるからです。それは、出生率が世界最下位の韓国の20代出生率が極端に低いことからも明らかです。日本の20代の婚姻・出生が減ることは韓国と同じ道を辿ることを意味します。
要するに、出生減とは「20代の若者が20代のうちに結婚できない問題」です。
しかし、婚姻数を増やすためにはまたそこで越えるべき別のハードルがあります。厳密には、社会環境面と経済環境面のふたつがありますが、本稿では文字数の関係上、後者の経済環境面のお話をします。
20代の婚姻減の理由としては、「これから結婚・出産をする20代の若者を取り巻く経済問題とその経済問題がゆえに発生する若者の心の問題」です。
1996年から2022年にかけて、20代の所得や婚姻数・出生数などの推移を、1996年の数値を1として見たものが以下のグラフです(図表2)。
   【図表】20代の経済環境と不安が婚姻出生に及ぼす影響
経済的不安→将来への不安→恋愛どころではない
20代の可処分所得中央値は、1996年以降一度もその水準に戻っていません。その最大の理由は、税・社会保険料など額面給料から差し引かれる割合が2倍以上にあがっているからです。ただでさえ給料が少ない上に、引かれる割合が多く、手取りが減っています。
さらに、注目したいのは、内閣府「国民生活に関する世論調査」から「今後の収入など経済的不安を感じる」という20代の割合がこの期間に激増して、2022年には67%にも達しています。
この負担率と不安率が増えれば増えるほど、婚姻も出生も減るという完全に強い負の相関を生んでいることがわかります。満足に手取りが増えない状況、恋愛や結婚どころか自分ひとりの生活で精一杯の20代の若者が、その現状ゆえに自分の将来の経済的不安感を募らせている。
当然、20代の若者の中には、大企業に就職して、この20代中央値の倍以上の手取りのある恵まれた層もいるでしょう。しかし、それは一部であり、手取りの中央値がいまだ300万円にも達していないことのほうが異常です。
2020年代は「結婚氷河期」時代になるのか
いうまでもないことですが、結婚しないという選択的非婚の若者に無理に結婚を推奨するものではありません。その意思は尊重されるとして「結婚したいのにできない」という不本意未婚の若者には目配りが必要だと思います。
政府が2023年6月に出した「こども未来戦略方針」の中では、3つの基本理念の第一に「若い世代の所得を増やす」というものが掲げられていました。これはまったくその通りですし、その課題認識も間違っていません。
が、具体的にこの「若い世代の所得を増やす」方策は何一つ提示されず、逆に「子育て支援金」など、ただでさえ少ない若者の手取りをますます少なくしようとしている。理念とは真逆の「若い世代の所得を減らす」ことをしているのです。これでは「婚姻撲滅・少子化促進政策」でしょう。
これは決して現在20代の若者だけの問題ではなく、今子育て中の世帯の子どもたちが大人になった20年後に、その子たちを苦しめる大きな負担として立ちはだかるものになります。今、この問題を野放しにしてしまっては、後世2020年代は「結婚氷河期」と呼ばれる時代になると考えています。
●ウォシュレットなどまた値上げ TOTO「企業努力だけで対応困難」 2/29
衛生陶器大手のTOTO(北九州市)は29日、住宅設備機器の希望小売価格を8月受注分から引き上げると発表した。値上げ率は、便器などの衛生陶器が平均5%、システムキッチンが同3%などで、商品の種類ごとの平均では2〜11%。希望小売価格の引き上げは3年連続となる。
そのほかの主な商品の値上げ率は、水栓金具が同11%と最も高い。「ウォシュレット」と洗面化粧台は同3%、ユニットバス・システムバスが同2%となっている。
同社によると、住宅設備機器全般を対象とした近年の値上げは、12年8カ月ぶりに踏み切った2019年10月以降4回目。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻を受けた原燃料価格の上昇などで、22年10月と23年8月にも実施していた。
同社は「全社をあげて生産性の向上やコストダウン、諸経費の削減をしてきたが、外部調達コストなどの上昇が続いており、企業努力だけでは対応が困難な状況になっている」と説明している。
●日野・三菱ふそう、経営統合延期へ 競争法や不正問題対応で 2/29
経営統合を目指しているトラック大手の日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは29日、統合の日程を延期すると発表した。2024年中の完了をめざしていたが、国内外の競争法への対応や、日野の企業価値の算定が認証不正問題で遅れていることから間に合わなくなったとしている。
日野と三菱ふそうは昨年5月、脱炭素化に向けた投資を加速させるなどとして、経営統合の基本合意を発表。両社の親会社であるトヨタ自動車と独ダイムラートラックが新設する持ち株会社の傘下に入る方向で、協議を続けている。統合の実施時期は4社で合意次第、改めて公表するとしている。
当初、日野と三菱ふそうは今年3月末までに最終契約を結び、24年中の統合完了をめざしていた。しかし、両社は日本や東南アジアで高い市場シェアを持っており、競争当局の許認可の取得に想定以上の時間がかかっているという。 ・・・ 
 
 

 

●安倍派幹部4人が事件後初、国会で答弁 衆院・政治倫理審査会 3/1
国会では、きのうに引き続いてきょうも、衆議院・政治倫理審査会が開かれます。安倍派の幹部4人が国会で答弁に立つのは、派閥の裏金問題に捜査のメスが入ってから初めてです。
衆院・政治倫理審査会はきのう、15年ぶりに開催され、岸田総理らが出席しましたが、きょうは西村前経済産業大臣ら安倍派の幹部4人が裏金事件をめぐって、「政治的・道義的責任」の審査を受けます。
自民党の聞き取り調査では、安倍派では20年以上前から組織的な裏金作りが行われていた可能性が指摘されているほか、中堅・若手議員からは派閥幹部の責任を問う声が相次いでいて、4人がどれだけ実態解明に繋がる答弁を行うかが注目されます。
一方、並行して行われている2024年度予算案の審議をめぐり、自民党の小野寺衆院予算委員長は、予算案をきょう採決する日程を委員長の職権で決めていて、与党はその後の本会議で可決して参議院に送り、憲法の規定によって23年度内の成立を確実にしたい考えです。
立憲民主党 安住国対委員長「疑惑にふたをして強行採決するってことですから、我々としては、これはもう対抗措置を執らざるをえない」
野党側は「審議時間が足りない」などと反発していて、小野寺委員長の解任決議案を提出することなども視野に、徹底抗戦する構えです。
●安倍派・松野前官房長官 キックバックの現金845万円を議員会館事務所で保管 3/1
松野前官房長官は、2021年の段階で、安倍派から還付されていた現金845万円を秘書が議員会館の事務所で保管していたことを明らかにしました。
「他の政治資金とは別に管理をしていたと報告を受けている」としています。
松野氏は還付金について「報道が出てから知った」としたうえで、「国会議員などとの会合費等、政治活動費として認められる使途に使ったとのことであり、不正な目的や私的な目的で使用されていない」と説明しています。
衆議院の政治倫理審査会で立憲民主党の枝野幸男衆院議員の質問に答えました。
●西村前大臣 キックバックの再開は「経緯を把握していない」 政倫審で弁明 3/1
自民党の派閥の裏金問題をめぐり、西村前経済産業大臣ら、安倍派の事務総長経験者が衆議院の政治倫理審査会に出席し弁明しています。
「清和会の会計については一切関わっておりませんでした。(幹部と)還付の話、資金の話は一切しておりません。秘書に指示しておりますので、私自身はノルマが幾らかということは具体的に意識したことはありません」(西村前経産大臣)
ただ、立憲民主党の枝野氏は、西村氏の指示なくして秘書が勝手に虚偽記載することができるのかと厳しく追求しました。
また、安倍元総理が2022年の4月に塩谷氏、下村氏、西村氏、そして世耕氏を集め、還付を止める方針を決めたものの、その後再開したことについて西村氏は「その経緯を把握していない」と、従来の主張を繰り返しました。
一方、松野前官房長官はキックバック分は「秘書が現金で受けとり事務所内で保管、管理していた」と述べました。
ずさんな処理が改めて浮き彫りとなり、焦点となっていたキックバックの再開についても誰が主導したのか明らかにならないままです。
●安倍元首相のもと、4幹部で裏金還流廃止決定したのに… 西村康稔前経産相、復活の経緯問われる 政倫審 3/1
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)が29日に続き、3月1日午前9時すぎから始まった。
この日、最初の審査は、安倍派の有力者「5人組」の一人、西村康稔前経産相。安倍派で2021年10月〜22年8月、派閥を取り仕切る事務総長を務めた。この間、22年のキックバックは行わないとの話し合いが幹部間であったとされる。
裏金作りへの関与を追及され、西村氏はどう答えたのか。質疑を詳報する。
9:08 西村氏の弁明始まる
西村氏は冒頭、「政治団体清和政策研究会の政治資金の問題に関して、このような事態を招き、国民の皆さんの政治不信を招いたこと、幹部の一人として心よりお詫び申し上げます」と陳謝し、軽く頭を下げた。
安倍派幹部として裏金事件の責任として「幹部の一人として、けじめをつけるべきと判断し、経産大臣の職を辞し、捜査に全面的に協力してきた」と説明。自身の関与については「捜査を尽くした上で処分しないことになった」と強調しつつ、「今後も引き続き説明責任を果たしていく」と述べた。
9:10 キックバック「歴代会長と事務局長との間で」
西村氏の弁明は続く。
西村氏は安倍派事務総長を務めた約10カ月の間、若手議員の人事の調整や政治活動の支援・協力・指導などに当たっていたとして、「清和会(安倍派)の会計には一切関わっていませんでした。今の時点まで清和会の帳簿、収支報告書などを見たことがありません」と弁明した。
派閥パーティー券の売り上げノルマ超過分のキックバックについては、「歴代会長と事務局長との間で長年慣行的に行われていたので、会長以外の私たち幹部が関与することはありませんでした。私は問題が表面化するまで、(政治資金)収支報告書に記載されていないことを知りませんでした」と釈明。その上で、「政治不信を招いたことについて、知らなかったとはいえ、幹部の1人として深くおわび申し上げます」と陳謝した。
また、2021年に会長に就いた安倍晋三元首相の意向を踏まえ、22年のキックバックは行わないとの話し合いが幹部間であったが、結果的にはキックバックが続いたようだと説明。これについても、「事務総長を退任したため、継続された経緯を含め、全く承知していない」と語った。
派閥からのキックバックは、自身の政治資金パーティーの収入として計上しており、「いわゆる裏金となっていたことは一切ない」と強調。「検察当局の捜査に協力する中で、寄付として記載すべきとの指摘を受け、これに沿って収支報告の訂正を行いました。忙しかったとはいえ、適切な指示をしておけば良かったと反省しており、監督責任を強く感じております」と話した。
9:20 安倍元首相の意向で還流廃止決定
西村氏は、自民党の武藤容治衆院議員の質問に対し、2022年に派閥会長だった安倍晋三元首相が、パーティー券収入のキックバック(還流)の廃止を主張した経緯を明かした。
西村氏は、安倍元首相から2022年の4月、「現金での還付を行っているのを止めると言われた」と説明。「私もこれは止めようということで、幹部でその方針を決めまして、若手議員何人かの議員に手分けして電話もした。私自身も若手議員に電話をして止めるという方針を伝えた」という。
キックバックを止めた理由は「現金は不透明で疑念を生じかねないから」だったとした。
2022年7月に安倍元首相が亡くなった後、「ノルマのよりも多く売った議員がいたようでありまして、返してほしいという声が出てきた。それを受けて8月の上旬に幹部で議論をしたが、結局結論は出ずに、私は8月10日に経産大臣になりましたので事務総長を離れることになった」という。
西村氏は「その後、どういった経緯で現金での還付が継続されることになったのかその経緯は承知しておりません」と語った。
9:37 2022年4月に幹部が集まって還流廃止決定
立憲民主党の枝野幸男衆院議員も、安倍派で還流廃止から復活に至る経緯を追及した。
西村氏は「安倍会長の元で、2022年4月上旬、当時の幹部が集まって方針を決めた」と発言。集まった幹部は、西村氏のほかに塩谷立氏、下村博文氏、世耕弘成氏や派閥の事務局長だったという。
2022年5月の派閥のパーティーを控えた4月、「還付は止めるという方針を決めて、私は若手議員中心だったと思いますけど連絡した」と説明。「その後、ノルマ以上に売った議員から、返してほしいという声があり、8月上旬に幹部で集まってどう対応するかと協議したが結論は出なかった」と述べた。
1月31日の会見で下村博文氏は… 安倍氏が還流廃止を提案した22年4月の協議には、下村氏と当時事務総長だった西村康稔前経済産業相、塩谷立元文部科学相、世耕弘成前参院幹事長が出席。22年8月にも下村氏と西村、塩谷、世耕の三氏が再び対応を話し合ったが「(8月の)協議の中で(還流継続を)決めた事実はない」。
9:42 各議員のパーティーに上乗せ、西村氏提案
枝野氏は、西村氏が派閥からのキックバック分を自身の政治資金パーティーの収入に上乗せしていたことに関し、さらに追及した。
下村博文元文部科学相が今年1月の記者会見で、2022年8月に行われた派閥幹部の協議の場で「ある人から、その還付(キックバック)については個人の資金集めパーティーに上乗せして、それで(政治資金)収支報告書で合法的な形で出すということもあるのではないかという案もあったと思う」と証言していると指摘し、「これ、西村さんですよね」と迫った。
西村氏は「還付は行わないという方針を維持しながらも、一方で返してほしいと(いう要望もある)。どう対応するかということで、いろんな意見が出された。その中でアイデアの一つとして、今後議員が開くパーティー券を清和会が購入するということはどうかという代替案が出た。私自身も、検討できるのではないかと発言した。この方策が実際に採用されたわけではないし、結果的に現金での還付が継続されたようだ」と説明。
枝野氏は「おかしいですね。下村さんは『個人の資金集めパーティーに上乗せして』という話をしている。上乗せして合法的なように見せるって、あなたがやっていることそのものじゃないですか」とたたみかけた。
これに対し、西村氏は「結果としてそのように見えるかもしれないが、私の会計責任者の秘書が、収入の一部として政治資金の収支(報告書)に載せていたことは承知していなかった」などと述べ、あくまでも個人パーティの収入に上乗せする方法は自身の発案ではないと否定した。
枝野氏が「現金で秘書が受け取っていたものを、西村さんの個人パーティーの売り上げに上乗せしていた。そんなことを秘書さんが勝手にできるんですか」と強い口調で問い質した。
西村氏は「秘書と何度も確認した。(キックバック分を)不記載にしたくないという思いがある中で、私のパーティーの収入に入れておかしくないと判断して、そのような処理をしていたということだ」と弁明。
さらに枝野氏が「派閥の側から(収支報告書に)記載しなくていいと言われたお金を、あなたのパーティー(収入)として計上すれば、精査されたらつじつまが合わなくなる。(西村氏に)相談すべきだと判断できない秘書を雇っていたのか」とたたみかけると、口を結んで枝野氏をじっと見つめていた西村氏は「経験がある秘書で、信頼していた」と話した。
枝野氏は「下村さんの発言と、西村さんの今の証言は全く食い違っている」「西村さんの証言だけでは、はいそうですかとは到底ならない」と批判し、下村氏の政倫審への出席や参考人招致を要求した。
10:06 「正直に申し上げている」
日本維新の会の青柳仁士衆院議員は、安倍派の裏金還流の復活について「キックバックを復活させるのは、非常に大きな決断。こんな大きな決断を幹部に相談なく、事務局長だけで決めることは絶対にない」と疑念をぶつけた。
なぜ還流が復活したのかを問われた西村氏は眉間にしわを寄せながら、「幹部との間で、資金に関する協議にはいっさい関わっていませんので、知らないというのが正直なところです」とし、「今思えば、還付しない方針を徹底しておけばよかったと深く反省しています」と述べるにとどまった。
事務総長の職を離れた2022年8月直後、還流復活の結論が出たとの西村氏の説明に、青柳氏は「事務総長が変わった同じ月に結論が出た。客観的に見れば、(安倍派幹部の)4人で話し合って決めたとしか思えない」と迫った。
「説明責任を果たせているのか」と問われても、西村氏は「経緯は全く承知していない。全て正直に申し上げている」「どういう質問されても、その後の経緯については承知していない」と繰り返した。
10:20 森元首相の関与「聞いたことない」
共産党の塩川鉄也氏は、安倍派のパーティー収入のキックバックが歴代会長と事務局長との間で長年慣行的に行われていたとする西村氏の弁明について、「事務総長が関わっていないとは、にわかに信じ難い。歴代会長に事実関係を確認しなかったのか」と尋ねた。西村氏は「亡くなられた方も多い。派閥として、そういったことは私の知る限りは今の時点では行っていないのではないか」と説明した。
この問題では、1998〜2006年に派閥会長を務めた森喜朗元首相の指示があったかどうかも焦点の一つとなっている。
自民党の聞き取り調査の報告書(2月15日公表)では… 「安倍派で収支報告書に記載しない取り扱いが、いつどのように始まったかは判然としないものの、遅くとも10数年前から行われていた可能性が高い。場合によっては20年以上前から行われていたこともうかがわれる。二階派では少なくとも10年前から今の仕組みになっていた」と結論づけている。
塩川氏が「森元会長には確認はしないか」と迫ると、西村氏は「森元総理が関与していたという話は聞いたことがないので、確認していないが、もし疑念が生じるのであれば、(派閥の)幹部が確認しても口裏を合わせたのではないかと言われかねないので、第三者が確認するのがいいと感じている」と答えた。
塩川氏は「(森氏に)国会で説明いただきたい」と求めた。
●岸田総理 東日本大震災の追悼式出席のため福島へ 岸田総理は談話発表 3/1
林官房長官は、東日本大震災の発生から13年となる今月11日に岸田総理が福島県を訪問し、県主催の東日本大震災の追悼式典に出席すると明らかにしました。
また、岸田総理は、災害に強い国づくりを進める決意を示した国民向けの談話を発表しました。
東日本大震災による「原発事故の被災者を含めいまだ被災地の方々が様々な課題に直面している現実を心に刻み、復興に全力で取り組んでまいります」としています。
●岸田首相、能登半島などでの災害初動対応「6月までに緊急に取りまとめを」 3/1
岸田首相は1日午前、首相官邸で開かれた「能登半島地震復旧・復興支援本部」で、半島などの地理的制約がある地域での災害対応を巡り、初動対応強化に向けた対策を6月までに取りまとめる考えを示した。「即効性あるものを中心に6月までに緊急に取りまとめてほしい」と関係閣僚に指示した。
首相は、今回の地震でドローンや循環型シャワーなどの新技術が初動対応で役立ったことを指摘し、「早期に実施可能なものから取りまとめ、対策に反映してほしい」とも強調した。
●次期戦闘機の輸出解禁、与党が2月中の合意を見送り−岸田政権に痛手 3/1
自民、公明両党は日英伊で共同開発する次期戦闘機の第三国への直接輸出解禁を巡り、目標としていた2月中の合意を見送った。岸田文雄首相が自ら掲げた期限に間に合わなかった形で、政権にとって痛手となる。
公明党が国民の理解を得る必要があるとして慎重姿勢を崩さなかった。同党は今後の参院予算委員会での質疑などで岸田首相らの見解をただす考えだが、調整が長引けば、今月始まる予定の開発企業間の作業分担交渉で、日本が不利益を被る可能性も出てきた。
岸田首相は戦闘機の輸出は平和国家の基本理念に反しないとし、第三国輸出によって調達価格を抑えられるとの見解を示してきた。ただ、2月に行われたNHKの世論調査では、他国と共同開発した防衛装備品の輸出解禁に反対は51%と、賛成の31%を上回るなど国民の理解は進んでいない。
公明党の北側一雄副代表は2月22日の記者会見で、次期戦闘機の共同開発の意義や必要性も含めて説明する必要があると指摘。山口那津男代表も同月27日の会見で、「国会で議論をして国民側の理解を求めるというのが一つの重要な機会」と述べた。
こうした中、林芳正官房長官は1日の定例会見で、国会質疑を通じて必要性を説明し、与党の最終的な合意が速やかに得られるよう政府として取り組む考えを示した。
日英伊3カ国の防衛相は昨年12月、次期戦闘機の共同開発に向けた「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」に署名した。民間からは、三菱重工業と英BAEシステムズ、イタリアのレオナルドが参入し、2025年までの開発段階への到達、35年までの戦闘機の配備開始を目指している。
日英伊、次期戦闘機の共同開発で条約署名−35年までの配備開始目指す
日本は戦争放棄を定めた憲法9条の下で武器の輸出を事実上禁止してきたが、防衛力強化を背景に輸出規制を徐々に緩和している。昨年末には米国企業の特許を使って国内で生産した地対空誘導弾パトリオットミサイルの米国への輸出を認めた。
●岸田首相訪朝前のめり≠フ懸念 日朝首脳会談、駆け引き緊迫 国民・玉木氏が与正氏の談話問題視 拉致被害者一括帰国に主眼を 3/1
日朝首脳会談の開催に向けて、日本と北朝鮮の駆け引きが続けられている。最重要課題である日本人拉致事件や、核・ミサイル開発問題の完全解決を求める日本に対し、北朝鮮側は経済支援などを念頭に秋波を送ってきている。拉致被害者や被害者家族が高齢化するなか、拉致事件解決には一刻の猶予もない。岸田文雄首相は自身直轄で「ハイレベル協議」を主導すると宣言している。ただ、岸田内閣の支持率が「危険水域」に沈み込むなか、外交成果を政権浮揚の足掛かりにしたい焦りも感じられる。相手はニセ遺骨を送り付けてきた北朝鮮である。最大級の警戒が必要だ。
「私自身が主体的に動いて、トップ同士の関係を構築する」「昨今の日朝関係の現状に照らして、大胆に現状を変えなければならない必要性を強く感じている」
岸田首相は2月9日の衆院予算委員会で、拉致事件解決に向けた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との首脳会談実現への意欲をこうにじませた。
北朝鮮側の特異な動きも相次ぐ。
正恩氏は1月、祖父の金日成(キム・イルソン)主席以来、同国が掲げてきた南北平和統一という政策を転換し、韓国を「主敵」と憲法に明記するよう指示した。
一方、正恩氏は同月発災の能登半島地震を受け、岸田首相に「閣下」の敬称を付けて、お見舞いのメッセージを発表した。
さらに、正恩氏の妹、与正(ヨジョン)党副部長は今月15日、岸田首相を名指しし、「平壌(ピョンヤン)を訪問する日が来ることもあり得る」「(日朝は)いくらでも新しい未来をともに開ける」とする談話を朝鮮中央通信で発表した。
まさに、「北朝鮮トップや、その親族が、首相宛にメッセージを発信する異例ずくめの展開」(外交関係者)で、「政治とカネ」の問題が直撃して窮地の岸田首相や、官邸周辺の期待は一気に高まっているようだ。
ただ、日朝関係筋はこう警鐘を鳴らす。
「2002年の日朝首脳会談前後にも、拉致事件や核の問題を置き去りにして、一足飛びに『日朝国交正常化』を進めようとする動きがあった。北朝鮮には、豊富な埋蔵資源や安価な『労働力』がある。経済的な可能性や、利権への思惑は常に、日朝双方にある」
超党派の国会議員でつくる「日朝国交正常化推進議員連盟」は27日、国会内で総会を開いたが、不穏≠ネ一幕があった。
会長の衛藤征士郎元衆院副議長が、岸田首相の早期訪朝を要請する決議採択を求めたが、案文を問題視する声が複数の出席議員から上がり、大幅に修文することになったのだ。
衛藤氏が当初、採択しようとした決議案は、「北朝鮮のこの新しい動きに我々は真摯に対応すべきだ」として、岸田首相の早期訪朝を求める内容だった。
これに対し、議連メンバーの国民民主党の玉木雄一郎代表は「日本国から複数のメッセージを出すべきではない」と指摘したうえで、与正氏の談話が拉致問題を「すでに解決した」「(日朝)両国関係展望の障害物として捉えることさえしなければ」としていることを問題視した。玉木氏は「(これらを)飲んだかのように捉えられるのは、日本国のメッセージとしてどうなのか」と訴え、案文通りの採択に反対した。
共産党の笠井亮衆院議員も「(02年の)日朝平壌宣言、拉致、核・ミサイル(などの諸懸案の包括的解決)、(不幸な)過去の清算をきちっと書き込む必要がある」と不備を指摘した。
衛藤氏は総会後、記者団に朝鮮総連の幹部2人と25日に面会したことを明かした。
公安関係者は「岸田首相が『直轄のハイレベル協議』を行うと表明した昨年5月以降、総連の動きも活発化した。ただ、総連と北朝鮮上層部との関係は希薄化しているとされる。日本政府が働きかけを進めるなか、別ルートの構築が好影響をもたらすか大いに疑問がある」と語る。
全被害者一括帰国に主眼を
一方、拉致被害者家族は焦りを募らせている。
家族会は25日、支援組織「救う会」との合同会議を東京都内で開いた。「親世代が存命中の全拉致被害者の即時一括帰国」という従来の主張を堅持しつつ、それが実現するならば、「わが国が(北朝鮮に)かけている独自制裁を解除することに反対しない」との運動方針を決めた。
親世代で存命なのは、横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(88)と、有本恵子さん=同(23)=の父、明弘さん(95)の2人だけだ。家族会は一貫して制裁強化を求めてきたが、「時間的制約」を念頭に、融和的な方針を表明する決断に至った。
永田町周辺では以前から、「日朝首脳会談を受けて、北朝鮮が認定被害者1人と未認定被害1人を帰国させ、日朝国交正常化を進める」「残りの人々については『日朝合同調査委員会』を設置して調査を続ける」という案がささやかれている。
ただ、北朝鮮は拉致被害者の動向をすべて把握している。「日朝合同調査委員会」の設置は、拉致事件を棚上げする謀略とみられている。
拉致被害者を救う会会長で、麗澤大学客員教授の西岡力氏は「北朝鮮側が首脳会談に意欲的なのは確かだ。ただ、岸田首相は訪朝そのものを目的にしたら失敗する。新たな運動方針でも、全拉致被害者の一括帰国が実現しなければ逆に『独自制裁を強化すること』も求めている。岸田政権は謀略に惑わされず、全被害者の一括帰国に主眼を置いてほしい」と強調している。
●中国の「領事ボランティア」は日本でいったい何をしているのか…岸田政権がスパイ防止法の制定に本腰を入れるべき「これだけの理由」 3/1
中国の「非公式警察署」とは
日本にある中国の「非公式警察署」に捜査のメスが入った。だが、中国は海外に設置した警察以外の手段でも、在外中国人に対する監視や情報収集活動を活発化させている。その1つが「領事ボランティア」の活用だ。いったい、それはどういう存在なのか。
警視庁公安部は2月21日、新型コロナウイルス対策の持続化給付金を騙し取ったとして、中国籍の女性2人を書類送検した。この事件の関係先として、同部は昨年5月、東京・秋葉原のビルに入居していた一般社団法人を家宅捜索していた。
スペインの非政府組織(NGO)、セーフガード・ディフェンダーズが2022年9月に発表した報告は、このビルに「中国の非公式警察署が設置されている」と記していた。同年12月に発表された報告の続編によれば「世界53カ国に102の拠点がある」という。
報告は世界で大きな反響を呼び、欧米各国は直ちに拠点や関係者の摘発に動いた。たとえば、米国の司法省と連邦捜査局(FBI)は昨年4月、ニューヨークを拠点に活動していた中国人男性2人を逮捕している。だが、スパイ防止法がない日本は出遅れていた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は2月24日、X(旧ツイッター)に、中国人の摘発を報じたデイリー新潮を紹介しつつ「警視庁公安部の手柄であると同時に深刻な現状が明らかになったと言える。松下新平議員以外にも、どこまで与野党の議員に影響が及んでいたのか徹底的に捜査してもらいたい。松下議員も自ら捜査に協力し説明すべきだ。」と投稿した。
スパイ防止法の制定に本腰を入れるべき
なぜ、松下参院議員の名前が出たかといえば、書類送検された中国女性の1人が同議員の元秘書だったからだ。デイリー新潮によれば、彼女は「参院議員会館の通行証まで受け取っていた」という。事実なら、まさに由々しき事態と言わねばならない。
私は、この問題を22年11月4日公開コラムで初めて紹介して以来、夕刊フジのコラムやYouTube番組などで何度も取り上げてきた。。今回の摘発は一歩前進であり、警察関係者の努力を高く評価したい。
だが、これで安心している場合ではない。岸田文雄政権はスパイ防止法の制定に本腰を入れるべきだ。各国の摘発で中国の秘密活動は収まるどころか、水面下で一段と活発になっているからだ。その手口の1つが、中国の大使館や領事館が在外の一般中国人を対象に募った「領事ボランティア」の活用である。
セーフガード・ディフェンダーズが昨年11月に発表した調査記事によれば、中国は各国で在外中国人のボランティアを募って、反体制活動家を含む中国からの逃亡者に対する監視活動や情報収集を強化している。
発端は昨年5月の先進7カ国首脳会議(広島サミット)で採択された共同声明だった。声明は中国を名指しして、こう記していた。
〈我々は中国に対し、外交関係に関するウィーン条約及び領事関係に関するウィーン条約に基づく義務に従って行動するよう、また、我々のコミュニティの安全と安心、民主的制度の健全性及び経済的繁栄を損なうことを目的とした、干渉行為を実施しないよう求める〉
これは、中国の非公式警察活動に対するG7による公式の非難と警告である。
優秀なボランティアは国家が表彰
すると、中国共産党は1カ月後の昨年6月29日、領事ボランティアに関する新たな「領事保護と協力条例」を制定して、在外中国人の摘発に民間人を動員する体制を強化した。それによれば、次のように、領事の仕事を定めている。
〈第1条 海外にいる中国市民、法人、不法者組織の正当な権益を守り、領事保護と協力業務を標準化し、強化するために、本条例を制定する。
第2条 領事保護と協力業務は中国共産党の指導を堅持し、人民を中心として、全体的な国家安全保障観を貫き、調整を強化し、領事保護と協力能力を高める。
第3条 本条例は領事保護と協力及び関連指導調整、安全予防、支援保障などの活動に適用される。
本条例でいう領事保護と協力とは、海外の中国市民、法人、不法人組織の正当な権利が侵害されたり、助けが必要な場合、駐外外交機関が法律に基づいてその正当な権益を守り、協力を提供する行為を指す〉
そのうえで、ボランティアについて、こう記している。
〈第24条 国家は関係組織と個人が領事保護と協力業務のためにボランティアサービスを提供することを奨励する。国家は保険会社、緊急救援機関、弁護士事務所などの社会勢力が領事保護と協力に協力することを奨励し、支援する。
第25条 領事保護と協力業務に顕著な貢献をした組織と個人に対して、国家の関連規定に従って表彰、奨励を与える〉
もしも中国人や企業などの権益が外国で不当に侵害されれば、領事が権益を守るように努力するが、ボランティアは領事を支援し、優秀なボランティアは国家が表彰するのだ。
条例に基づいて、各国の中国大使館や領事館はボランティアの登用に動いている。日本も例外ではない。
中国外務省のホームページによれば、条例制定と同じタイミングで、日本に設置された、中国のある総領事館は領事協力ボランティア訓練交流会を開催し、出席した約20人が「総領事館と協力して、管轄地域の中国市民と機関の安全と合法的な権利を守る」ことを誓い合った。
国際法に違反する可能性も
彼らは、単なるボランティアではない。
たとえば、中国系経済団体に所属する経済人でありながら、中国国務院華僑事務弁公室(OCAO)の指揮下で活動している。OCAOは中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)の外部向けの別名だ。OCAOは立派な実績を挙げたボランティアを訓練交流会で表彰している。
中国共産党が一体何の訓練をしているのか、不明だが、カナダの裁判所は22年1月、中国人夫妻が永住権を求めた裁判の判決で、OCAO(=UFWD)を「スパイ活動に従事し、カナダの利益に反する活動をする組織」と認定した。いざとなれば、中国共産党のために在外の反体制派を監視したり、情報収集をして領事館の活動を支援するのだ。
そもそも、領事ボランティアという仕事自体が国際法に違反する可能性がある。
領事の仕事は領事関係のウィーン条約に定められているが、そこに領事を支援するボランティアなどという取り決めは存在しない。ウィーン条約には、こう記されている。
〈第3条 領事任務は領事機関によって遂行される。また、この条約の定めるところにより外交使節団によっても遂行される。
第4条の1 領事機関は接受国の同意がある場合にのみ、接受国の領域内に設置することができる。4 総領事館または領事館がその所在地以外の場所に副領事館または代理領事事務所を開設することを希望する場合にも、接受国の同意を必要とする〉
セーフガード・ディフェンダーズは、この条文を根拠に「中国は接受国の同意を受けずに、世界中で領事業務を支援するボランティア制度を運用しているように見える」と指摘している。中国は国際ルールを無視して、勝手にボランティアを募って、海外で暮らす自国民を監視しているのだ。
こうした活動には、世界各国で警戒心が高まっている。
たとえば、カナダのグローブ・アンド・メール紙は2019年12月19日付で、カルガリーとトロントにある中国領事館が「ボランティアを募集し、訓練している」と報じた。当時は中国の電子機器大手、ファーウエイの最高財務責任者がカナダで逮捕され、両国の緊張が高まっていた時期だ。カナダでは一足早く、ボランティア制度がスタートしていた。
カナダに滞在中の香港の民主活動家、周庭さんが昨年12月、現地で事実上の亡命宣言をしたが、中国の領事ボランティアたちは周庭さんの身辺を探っているかもしれない。彼女は「絶好のターゲット」だろう。
米メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)中国語版は昨年7月20日、中国共産党の新条例を紹介して「中国は国力を外に伸ばして、中国市民に対する監視を拡大しようとしている」と報じた。
各国の摘発で中国の非公式警察署が活動しにくくなったとしても、安心できない。むしろ、中国の秘密活動は普通の中国人を使って、水面下で活発になっている。中国人ボランティアは日本で、いったい何をしているのか、はたして、自国民の監視と情報収集にとどまっているのか。日本の死活的な権益を脅かす恐れはないのか。日本は警戒心を高める必要がある。 
●敗訴で沖縄知事「反対貫く」 3/1
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設工事を巡り、国が代執行するため起こした訴訟で、県側の敗訴が確定した。玉城デニー知事は1日、記者団の取材に応じ、「司法が具体的判断も示さずに門前払いをしたことは極めて残念と言うほかない」と批判。現行計画について「立場はいささかも変わらない。反対を貫く」と強調した。
移設反対を公約の柱に掲げて当選した玉城氏は、司法の命じた軟弱地盤改良のための設計変更の承認を拒んできた。工事は国による昨年末の代執行を経て今年1月に着手されており、司法に訴える道も完全に閉ざされた。
玉城氏はこの日も、「政府と県でしっかり向き合って話し合うことが、問題解決に向けた取り組みになる」と繰り返し主張し、計画断念に向けた対話に応じるよう政府に訴え掛けた。
その上で、「ずっと沖縄では不条理が続いている。解決する責任は誰にあるのか。もっと真剣に国民の方を向いて政治を行っていただきたい」と述べた。
●与党に漂う「逃げ切りムード」 政倫審出席、岸田首相の思惑 3/1
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)は1日、安倍派(清和政策研究会)の幹部4人が出席して開かれた。
与党が衆院政倫審の開催をてこに、与党が来年度予算案の自然成立が確実となる2日までの衆院通過を急いだのは、4月の衆院3補選を視野に、今後の参院審議でも予算を「人質」とした野党ペースの追及が続くことを避けたかったためだ。野党は裏金事件の真相解明に向けて参考人招致や証人喚問を要求し、引き続き追及する構えだが、与党は幕引きを図る考えだ。
「国民の皆さんの理解、納得してもらえる発言はなかった。(今後は)参院の予算審議で関係者の皆さんに参考人等で出てもらうこともできる。岸田さんが積極的に説明責任を果たすと言ってきたことが、ここから真価が問われる」。政倫審での質疑を終え、立憲民主党の枝野幸男前代表は、裏金事件のさらなる真相解明に期待した。
ただ、与党には「逃げ切りムード」が漂い、参考人招致などに応じる気配はない。
自民は、裏金事件を巡る説明責任に後ろ向きな印象を残したまま予算案採決を強行して、世論の批判が高まることを懸念して… ・・・

 

●能登地震後、県外への“転出者”が大幅増…“過疎化”懸念も 3/2
能登半島地震の発生から1日で2か月。石川県の発表で、地震後県外への転出者が大幅に増加していることが分かりました。一方で、被災地では、復旧にむけて2日もボランティアが活動を行いました。中継です。
珠洲市正院町です。地震の被害が大きかった能登地方では2日朝、雪が降り、とても寒い一日となりましたが、2日もボランティアの方が訪れ、がれきの撤去などの作業にあたりました。
県の被災地では現在、バスを手配して現地に送る形で1日あたり330人程度のボランティアを受け入れています。先月26日には穴水町に宿泊拠点を設け、1泊2日で長時間活動できるボランティアも始まりましたが、県は個人で被災地に入ることは控えるように求めていて、十分な支援は行き届いていません。
そんな中、石川県は県内の人口動態を発表し、地震発生からの1か月で転入者から転出者を引いた数が540人のマイナスと、1月としては過去最大となったことが分かりました。
市町別での減少率が最も高かったのは256人減少した輪島市で、次いで130人が減少した珠洲市となり、地震の影響を色濃く反映した結果となっています。
珠洲市民「地震で急に(人口が)減っていくと思う。仮設住宅を申し込んでも当たるか当たらないか分からないし」「私自身自宅が半壊しているし、どうしようかな。こっち(珠洲市)に自宅を建てようか、子どもがいる向こう(遠方)に建てようか、迷いはありますよね」
また、出生数から死亡者数を引いた数も、地震後の1か月で1030人のマイナスとなり、1971年の統計開始以来石川県では過去最大となっています。
珠洲市では2日、氷点下を記録し、厳しい寒さの中、作業にあたるボランティアの方は、涙を浮かべながら、「元の姿に少しでも近づけるよう、力になれたら」と話していました。
地震の影響を受けて、人口減少が進む一方で、石川県は「ふるさとに戻れるような環境を目指して復興を急ぎたい」としています。
●今後もM7、津波3m発生を懸念 能登震源域周辺、専門家が解析 3/2
能登半島地震の震源域周辺に、あまり動いていない断層や、ひずみのたまった断層があり、今後もマグニチュード(M)7クラスの大きな地震や津波の発生が懸念されるとの解析を、東京大地震研究所の佐竹健治教授(地震学)や東北大の遠田晋次教授(地震地質学)が2日までにまとめた。
1月1日に最大震度7、M7.6を観測した後も周辺では地震が続いている。同9日には震源域の北東端付近でM6.1の地震があり、新潟県長岡市で震度5弱を観測。佐竹氏は「さらに大きなM7クラスの地震が発生すると、佐渡島を含む新潟県沿岸で3m程度の津波が予想される」と注意を促す。
能登半島地震の震源域は、半島を北東から南西に横断するように約150キロにわたって延び、北東端は佐渡島西方沖、南西端は半島の西方沖に及ぶ。複数の断層が連動したとみられている。
佐竹氏は今回の震源域と重なる七つの断層の動きを分析。半島北側の沿岸部周辺にある四つの断層が1.2〜4.1mずれ動いた一方、北東端の二つと南西端の一つはほとんど動いていないとの結果が出た。
●政倫審 安倍派4人“裏金づくり”否定 来年度予算案めぐり“夜中の国会” 3/2
国会では、自民党の派閥の政治資金パーティー事件を受けて、衆議院の政治倫理審査会が開かれ、出席した安倍派の幹部4人全員が、いわゆる裏金づくりへの関与を否定した。
西村前経産相「私は今回の問題が表面化するまで、収支報告書に記載されていないことを知りませんでした」
松野前官房長官「パーティー券の販売収入の管理や収支報告書などの経理会計業務には、一切関与しておりませんでした」
塩谷元文科相「政治資金パーティーをめぐる問題に関しましては、一切関与しておりません」
高木前国対委員長「私自身承知をいたしておらず、関与することは一切ありませんでした」
また、2022年4月に安倍元首相が決めたキックバックをやめるという方針を撤回した時期をめぐり、西村氏と塩谷氏の発言に食い違いが生じた。
8月に派閥幹部が対応を協議した際、当時事務総長を務めていた西村氏は「結論が出なかった」としたが、塩谷氏は「話し合いの中で継続になったと理解をしている」と説明した。
一方、国会は、2024年度予算案をめぐり、夜遅くまで与野党の攻防が続いた。
「審議時間が不十分だ」として衆議院予算委員会での採決に反対する立憲民主党は、小野寺予算委員長の解任決議案に続き、1日夜、鈴木財務相の不信任決議案を提出した。
1日午後10時から開かれた衆議院本会議で不信任案は否決され、2日午前9時から、予算委員会で異例の土曜日の審議が行われる。
●裏金議員、早期に処分=岸田首相「収支報告修正見ながら」 3/2
岸田文雄首相は2日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー収入裏金化に関係する議員の処分について、「政治資金収支報告書の修正の進み具合などを見ながら、できるだけ早いタイミングで政治責任などのけじめをつけていきたい」と述べた。また、「信頼回復は党に突き付けられた課題だ」と強調した。立憲民主党の逢坂誠二代表代行への答弁。
共産党の宮本徹氏は、自民の井上信治元万博担当相が所属する麻生派(志公会)からの2018年の寄付458万円について、資金管理団体の収支報告書に記載していなかったと追及。首相は「党として確認する」と述べた。
●国会は「異例」の展開 衆議院政倫審に安倍派幹部4人が出席、野党が追及 3/2
政治とカネの問題をめぐる衆議院の政治倫理審査会に自民党安倍派の幹部4人が出席しました。野党側はキックバックの廃止が一度決まった後、再開された経緯を追及しました。その国会では異例の展開になっているということです。現在はどのような状況でしょうか。
国会では1日午後11時25分ごろに、立憲民主党が提出した鈴木財務相の不信任決議案の採決が行われ、否決されたところです。
ところで、なぜこんな深夜に審議が行われたのかというと、憲法の規定で2日までに予算案が衆議院を通過すれば、年度内での成立が確定します。
そのため何がなんでも2日中に予算案を採決したい与党側と、それを阻止したい立憲民主党側が、そのタイムリミットをめぐる攻防をしているからです。
1日深夜は、ひとまず解散することで与野党が合意したため、2日午前9時から予算委員会の集中審議が再開される見通しです。
国会議員や職員などの多くが「いつまで続くんだ」と漏らす国会審議は、2日も続くことになります。
●異例の“土曜国会”で野党側追及続く 派閥裏金問題 3/2
国会は、来年度予算案の審議が休日の土曜日にも行われる異例の展開となっています。野党側は、いわゆる裏金問題で追及を続けています。
野党側は、政治倫理審査会での議論では実態解明が不十分だとして、安倍派の事務総長経験者の下村元文科相に加え、森元首相も国会に呼ぶよう迫りました。
立憲民主党・江田憲司議員「とにかく、下村博文さんと森喜朗さんにね。ここが一番キーパーソンだと思いますよ。この裏金システムをどういう経緯で作ったのか、何が目的だったのか。ぜひ、総裁自らこの2人に確認してください」
岸田首相「国民の皆さんからの疑惑の指摘がある以上、関係者として、引き続き、この収支報告の修正とともに、説明を尽くしていかなければならない。国会等においても、そうした説明を続けることは大事であると考えます」
岸田首相は説明を続けることが重要と述べるにとどめ、野党側は2人の参考人招致を要求しました。
一方、政府・与党は来年度予算案の年度内の成立を確実にするため、1日午後に予算委員会と衆議院本会議で採決する方針です。
岸田首相としては予算案の通過で「反転攻勢」に出たい考えですが、安倍派幹部らの処分や政治資金規正法の改正など課題は山積で綱渡りの政権運営が続きます。
●予算案めぐり“異例の土曜国会” 午後にも衆院通過の方針 3/2
2024年度予算案をめぐり、国会で土曜日の3月2日も異例の審議が行われていて、2日中に予算案が衆議院を通過すれば、憲法の規定で年度内の成立が確実になる。
国会記者会館からフジテレビ政治部・若田部遥が中継でお伝えする。
深夜まで続いた1日の審議からの仕切り直しとなる「異例の土曜国会」で、立憲民主党はあらためて採決を急ぐ与党側に「強く抗議する」と非難している。
立憲民主党・江田憲司議員「岸田総理は委員長に、そういう“強行(採決)路線”を指示されたんですか」
岸田首相「私自身、委員長に対して何か直接、指示をしたということはありません」
予算委員会の集中審議で岸田首相は、「(能登半島地震の)復興予算をはじめ、国民生活に深く関わる内容が含まれている」と述べ、早期成立の重要性を強調した。
野党側は、自民党の派閥の政治資金の問題について追及を続けていて、岸田首相が信頼回復の決意として用いた「火の玉」という言葉をやゆした。
立憲民主党・江田議員「あなたの『火の玉』はね、もう燃え尽きている。本当に本当情けないですよ」
ただ、与党は午後、予算案を委員会で可決したうえで、本会議に緊急上程し、衆議院を通過させる方針。
●浮かび上がる“キックバック復活”経緯 安倍氏の肖像画のもと政倫審出席した4人の弁明は?自民85人の「追徴税額」は1億3500万円との試算も 3/2
1日に、2日目の政倫審が行われ、安倍派幹部4人が出席しましたが、“キックバック復活”や経緯実態解明は進んだのでしょうか。
安倍氏の「肖像画」のもと政倫審 安倍派4幹部が出席
自民党麻生派 武藤容治 衆院議員「この第5委員室は安倍晋三先生の肖像画もあるということで、何か因縁を感じますけれども」
西村氏の視線の先にあるのは安倍元総理の肖像画。議員在職25年を記念したもので、4年前、たまたまこの部屋に掲げられたものです。
肖像画が見下ろす中行われた2日目の政治倫理審査会。裏金問題をめぐって、安倍派の幹部4人が追及を受けました。
日本維新の会 青柳仁士 衆院議員「この裏金作りは違法行為であるという認識をお持ちだということでよろしいですね」
松野博一 前官房長官(安倍派・1051万円不記載)「それが収支報告書に計上されていないということは、政治資金規正法上の違法行為であると考えている」
日本維新の会 青柳仁士 衆院議員「当時の事務総長として監督責任は感じますか」
松野博一 前官房長官「それに関して事務総長の立場として知り得ないものであったと考えております」
高木毅 前国対委員長(安倍派1019万円不記載)「どのような経緯で行われるようになったのかという点については私自身承知しておらず、かなり前から慣行的に行われていたとしか答えることができません」
安倍氏が“廃止”も…誰が決定? “キックバック復活”の経緯
知らぬ存ぜぬの一方で、少しずつ見えてきたことも。それは、キックバックがいったん廃止されたのに復活した経緯です。
西村康稔 前経産大臣(安倍派・100万円不記載)「安倍会長が2022年4月に現金での還付(キックバック)を行っている、これをやめることを言われまして、私もこれをやめようと、私自身も若手議員に電話をして『やめる』という方針を伝えた」
西村氏によると、2022年4月。安倍元総理ら6人で集まり、現金でのキックバック廃止の方針が決まったといいます。安倍元総理はなぜキックバックをやめようとしたのでしょうか。
西村康稔 前経産大臣「安倍会長から『現金で還付(キックバック)が行われている』と。これは『非常に不透明で疑義を生じかねない、疑念を生じかねない。還付(キックバック)そのものをやめる』と」
共産党 塩川鉄也 衆院議員「政治資金規正法の虚偽記載にあたると、違法行為という認識はなかったか」
西村康稔 前経産大臣「その時、収支報告書の話はしていないし、還付(キックバック)が適法か違法かといった議論も行っていない」
立憲民主党 寺田学 衆院議員「(安倍氏は)なぜ現金で還付(キックバック)することに懸念を示されたんですか」
塩谷立 座長(安倍派・234万円不記載)「透明性を高めるために、現金はやめたほうがいいというような考えだったと思います」
立憲民主党 寺田学 衆院議員「塩谷さんには代弁していただかなければいけない。安倍さんは不記載であることわかってたんじゃないですか。不記載が違法状態だから改善しなければならないと思って、改善しようとしてたんじゃないですか」
塩谷立 座長「もし仮に不記載のことであれば、明確に話が出たんではないかなと思っている」
立憲民主党 寺田学 衆院議員「本当に安倍会長は不記載を知らなかったのか。その場で不記載のことは話題に上らなかったのか。安倍会長自身、そのときのこと言えないんですよ。だからこそ、ご出席された方に本当のことを述べてほしい」
塩谷立 座長「私も真実を申し上げていますが、その話は出ませんでした」
西村前経産大臣「現金での還付が続けられることになったのか、経緯は承知していない」
キックバック廃止が決まった3か月後に安倍元総理が死去。西村氏らによると8月には所属議員からキックバックしてほしいという声があがったといいます。
西村康稔 前経産大臣「還付(キックバック)は行わないという方針を維持する中で、しかし“返してほしい”という人をどう対応するか、結局、結論は出ず、私は(2022年)8月10日に経済産業大臣になりましたので事務総長を離れることになる。その後、どういった経緯で現金での還付(キックバック)が続けられることになったのか、その経緯は承知をしていない」
日本維新の会 青柳仁士 衆院議員「だから『自分は知らない』と。説明責任、果たせていると思いますか」
西村康稔 前経産大臣「その後の経緯については全く承知していない。これはすべて正直に申し上げていること」
2022年8月上旬、西村氏が事務総長を退任する前にもたれた幹部会合。
西村氏はここではキックバックについての結論は出なかったと言いますが、塩谷氏は…。
公明党 中川康洋 衆院議員「塩谷氏はじめ4人ともに会計責任者・松本淳一郎氏が同席したこと、これは事実かどうか」
塩谷立 座長「(2022年)8月会合は私の事務所で行いました。『今年に限っては(キックバックを)継続するのはしょうがないかな』というような話し合いがされた。具体的な話はあまり詰めた話はなかったわけで、そういう中で継続して還付(キックバック)がされたと理解している」
安倍元総理死去の余波の中、8月上旬の会合で、深く議論することなくキックバック復活の流れができたといいます。
西村氏の後任の事務総長である高木氏は…。
高木毅 前国対委員長「私は令和4年(2022年)8月25日から清和研(安倍派)の事務総長を務めています。それまでの間、清和研(安倍派)内でどのような検討がなされたかについて私自身は全く認識しておりませんし、一切関与していない」
“還付”「表現自体おかしな話」 税理士が見た政倫審
浦野広明 税理士「『還付』は税金を払いすぎたものを戻すのに『還付』という言葉が使われる。表現自体おかしな話」
政治資金に詳しい税理士の浦野氏。不記載のあった議員全員が追徴された場合の税額を、自民党の資料を基に独自に試算したうちの一人です。
今回政倫審に出席した中で最も多いのは松野氏の約245万円。そのほか、二階氏は1000万円以上、萩生田氏は750万円以上で、不記載のあった85人の総額は1億3500万円あまりにのぼるといいます。
浦野広明 税理士「一般企業で考えたらとんでもない、全員逮捕されなきゃいけないような事件。『今後気を付けます』で許される問題ではない」
“納税”促し…「笑いごとじゃない!」 政倫審に安倍派4幹部
納税についても追及されました。
立憲民主党 寺田学 衆院議員「納税が必要な場合にはしっかりと納税をするよう(所属議員に)強く促すこと。約束してください」
塩谷立 座長「私ども清和政策研究会(安倍派)は2月1日に解散することを決めたので、いま政治活動等は行っておりません。必要があればまた検討してまいりたい」
立憲民主党 寺田学 衆院議員「そんなときだけ派閥が解散したことを理由にしないでください。一時的に復活しても納税を促してください。笑いごとじゃないですよ。誰がイニシアチブ(主導権)取ってやるんですか」
安倍派の座長として所属議員に納税を促すよう改めて問われると…。
塩谷立 座長「しっかり検討させていただきます」
公明党 河西宏一 衆院議員「最終的に使途を明らかにできなかった場合、申告し納税する考えがあるか」
高木毅 前国対委員長「精査をしているところでございますので、その状況を見ながら考えたい」
安倍派 キックバック“継続”の経緯は? 食い違う幹部の説明
23ジャーナリスト 宮本晴代記者: 幹部の証言は微妙に食い違っていて、一体何が真実なんだろうというふうに思いますよね。
今回、特に注目したいのは安倍派でキックバックが続いた経緯です。
2022年の4月に安倍さんも出席して幹部の会合が行われ、現金での還付(キックバック)をやめようという話になりました。
ところが、安倍さんが亡くなった後の8月に幹部の会合が再び持たれました。安倍さん亡くなった後どうしようか?ということになったんですが、当時の事務総長の西村さんによると、ここでは結論は出なかった。ところがここに出席した塩谷さん曰く『話し合いの中で継続することのになった』。何となく流れの中で、ということです。
その後、西村さんの後に事務総長になった高木さん曰く、『11月になって初めて、事務方から還付(キックバック)を続けると聞いた』。それが初めて聞いたのが11月だったということで、大事なことなのに決まった経緯がよくわからないのです。
喜入友浩キャスター: 一方でTBSスペシャルコメンテーター星浩さんが注目した2つのポイントがあります。
1つ目は4人とも「違法性は認識していなかった」と発言が揃ったこと、そして還付を止めようとした経緯について、「安倍さんから現金は不透明なのでやめようといった趣旨の発言があった」という2点です。
宮本記者: いわば死人に口なしなんですよね。本当に安倍さんが「現金は不透明だからやめよう」と言ったのかどうか、これはまずわかりません。
実はもしかすると現金だからまずいと安倍さんは言ったのではなくて、現金をキックバックしてそれを不記載にすると「裏金」になってしまう。このシステム自体がまずいと言っていたのかもしれない。そうすると、違法性の認識に関わってくる可能性が残っているわけです。
異例の“深夜国会”与野党の攻防「持ち越し」 過去最長 2時間54分
山本恵里伽キャスター: 深夜まで与野党の攻防が続いていた国会から青木孝仁記者の報告です。
青木記者: 国会では与野党双方が一歩も主張を譲らない、まさに“ガチンコ対決”を繰り広げていましたが、急転直下、いったん仕切り直すことになりました。
立憲民主党 安住淳 国対委員長「本気でやっぱり戦うときは、こうやって戦うということを私はやっぱり貫徹したい」
事の発端は、来年度予算案の審議をめぐって自民党の小野寺委員長が委員会での採決を職権で決めたことでした。「審議が尽くされていない」と猛反発した立憲民主党は、採決を阻止するため、小野寺委員長に対する解任決議案を提出しました。
立憲民主党 山井和則 衆院議員「裏金問題を幕引きするから、小野寺委員長は解任に値するんじゃないですか」
その後、解任決議案を採決するために行われた衆院本会議では、山井議員が大量の資料を持ち込み、自民党の裏金問題を批判。衆議院では憲政史上、最長となる2時間54分の趣旨弁明を行いました。その後、夜になって今度は鈴木財務大臣に対する不信任決議案を立憲民主党が提出し、抵抗しましたが、与党などの反対多数で否決されました。
深夜国会となりましたが、与野党が『一時休戦』することで合意し、極めて異例ですが土曜日を使って仕切り直すことで、徹夜国会は避けられることになりました。
裏金の実態解明 今後のポイント 萩生田氏、下村氏、森氏は?
山本キャスター: 今後のポイントは?
宮本記者: 政治とカネの問題、特に発端となった安倍派の裏金がどう始まったのかがポイントになってくると思います。
ここで4人の方に特に注目したいと思います。この先、安倍派幹部で参院議員の世耕弘成さんは「説明責任を果たしたい」と言っているので、参議院の政治倫理審査会に出てくるかどうかも注目です。
そして、安倍派の元事務総長・下村博文さんも安倍さんはじめ幹部会合など一連の会合に同席していました。何か語ることがあるのではないでしょうか。
そして安倍派幹部・萩生田光一さんはキックバックの金額が多かった方です。そして安倍派の元会長だった森喜朗さん。やはり、なぜこのシステムが始まったのか、当時の責任者は誰だったのか。会長というのはある意味最高責任者ですので、森さんが語ることはないのかということは引き続き注目したいと思います。
●腐っている自民党を倒せない立ち枯れの野党 3/2
岸田内閣そして自民党の支持率下落に歯止めがかかりませんね。
裏金の弁明機会として開かれた政倫審は予想通り全くの茶番でした。裏金を何に使ったかも不明、余った裏金に税金が課せられることもありません。財務大臣が裏金に対する税金を支払うかは議員の裁量との趣旨で、国民の納税意欲が失われています。
それでも、こんな自民党を野党は倒せません。2/13付のNHKによる政党支持率を見ると、「自民党」が30.5%、「立憲民主党」が6.7%、「日本維新の会」が3.1%、「公明党」が3.2%、「共産党」が2.1%、「国民民主党」が1.3%などです。即ち、野党が束になっても自民党の支持率に及ばないのです。従って、いかに体たらくでも、自民党内閣がつぶれることはありません。
野党がこれほど落ち目になった要因は、一度は政権を担った立憲民主の失敗によって国民のトラウマが消えません。
民主党が最も愚かだったのは、官僚を使いこなせず勝手に自爆したことです。また、鳩山由紀夫首相は、沖縄の普天間移設について「最低でも県外」と言い出し、なんと、在日米軍を追い出すどころか、平成17年の「民主党沖縄ビジョン」では、沖縄で「一国二制度」を推進すると滅茶苦茶なことまで言い出します。結果、3年で民主党政権は国民から見放されてしまいました。
野党の中で、支持率を伸ばしている維新ですが、大阪万博で自爆寸前です。そもそも現状では海外のパビリオンは開幕までに間に合いませんし、日よけのリングや文化財とも言える大阪城の石垣を使った2億円のトイレに、でたらめな経済効果。万博の開催目的はカジノ会場の建設の露払い的な工事と言うことが見透かされています。
やはり、次期政権は自民党なのでしょうね。
●予算成立にこだわる岸田首相、弱体化を懸念か 3/2
新年度政府予算案をめぐる1日の審議は深夜に及んだ。年度内成立が確定する2日までに衆院を通過させようと自民が強行し、野党が抵抗したためだ。誰よりも2日の通過にこだわったのは岸田文雄首相本人だった。
1日の衆院本会議は、拍手とヤジ、双方が飛び交う騒然とした雰囲気となった。
「予算審議は円満にやってきたのに、強行するなんてありえない」
立憲民主党の山井和則氏の衆院本会議での「演説」は、記録が残る1972年以降最長の2時間54分間にわたった。小野寺五典・予算委員長(自民)の解任決議案を説明する場だが、国会混乱の発端は裏金問題にあるとして、裏金作りに関わった自民議員を一人ずつ読み上げて指弾した。
自民の強行に対し、野党はそろって批判した。日本維新の会の馬場伸幸代表は「原因は与党にある」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表も「上半身は謝っているけれど、下半身は蹴飛ばしているような対応だ」と首相の姿勢を批判した。
ただ、この日深夜、立憲は態… ・・・
●裏金作り いつから?違法性の認識は? 安倍派幹部の証言 残る疑念 3/2
組織的に裏金を作ってきた自民党安倍派の幹部がようやく国会での説明に臨んだ。具体的証言はわずかだったが、実態解明に向けた「宿題」が浮き彫りに。予算審議を最優先し、政治不信を直視しない岸田政権の姿勢も鮮明になっている。
1日の衆院政治倫理審査会での安倍派幹部4人に対する審議でも、明らかにならなかった問題の核心が大きく二つある。
一つは4人がどの段階で、裏金作りの違法性を認識していたかという点だ。政倫審では安倍晋三元首相が領袖(りょうしゅう)だった2022年春から、死去後の同年夏にかけての経緯に焦点が当たった。
最初に立った西村康稔前経済… ・・・
●政倫審 予算案強行の踏み台か 3/2
派閥ぐるみの裏金づくりを、中枢幹部が「知らぬ存ぜぬ」では、到底納得できるはずがない。国民の信頼を取り戻すと言いながら、遮二無二に新年度予算案の衆院通過に突き進む岸田政権からは、説明責任を全うしようという姿勢は感じられない。
衆院政治倫理審査会が2日間にわたって開かれ、岸田首相と安倍、二階両派の幹部が出席した。テレビ中継もあったが、肝心の中身は、自民党の極めて不十分な聞き取り調査の結果や、これまでの国会や記者会見での説明の域を出なかった。これで理解が得られると思っているなら、国民をみくびっている。
安倍派の幹部4人は口々に、パーティー券収入の還流は知っていたが、政治資金収支報告書への不記載は承知していなかったとか、自分が還流を受けているとは知らなかったと語った。
派閥の事務総長が経理には一切、関与せず、事務局長任せで、会計帳簿も収支報告書も見たことがないとは、にわかには信じがたい。ノルマの額や達成状況も聞いていないという発言もあった。還流は歴代会長と事務局長が担当し、幹部はあずかっていないというなら、やはり会長経験者の森喜朗元首相を国会に呼び、説明を求めるしかない。
22年4月に、会長だった安倍晋三元首相の指示で、還流の廃止がいったん決まりながら、安倍氏の死後、従前通りとなった経緯についても、誰がどんな場で決めたのか、はっきりしないままだった。
当時、幹部協議に参加していたとされる下村博文元文部科学相や世耕弘成前党参院幹事長にも事情を聴くことが不可欠だ。参院議員を対象とする参院での政治倫理審査会も早急に開く必要がある。
岸田政権は政倫審の初日が終わるやいなや、審議がまだ不十分という野党の主張には耳を貸さず、衆院予算委員会で予算案を採決する日程を決めた。憲法の規定で年度内成立が確実になる2日までに、何としても衆院を通過させたいという狙いは明白だ。
首相が唐突に全面公開下での政倫審出席を表明したのは、実態解明の先頭に立つという決意などではなく、予算案の採決を強行する「踏み台」として政倫審の開催を急いだというのが実際だろう。
予算案の審議が参院に移ったとたんに、衆院での究明が鈍るようでは困る。二階派会長の二階俊博元幹事長や、安倍派「5人衆」で残る萩生田光一前政調会長ら、当事者は大勢残っている。参考人招致や証人喚問も含め、説明責任を果たさせねばならない。
●AI駆使の創薬、米で活況 3/2
米国で人工知能(AI)を駆使し、医薬品の開発効率を高める動きが広がっている。けん引役はスタートアップ。AI創薬で少なくとも6社がユニコーン(企業価値が10億米ドル=約1500億円=の未上場企業)に成長した。病院が持つ大量のデータを分析するなど、これまでになかった取り組みで躍進している。
「AIで治療薬をより早く、安く提供できる。いずれは、なぜがんが発症するのか謎が解ける… ・・・
●BYD、欧州攻略へ自動車船 2年で7隻追加 3/2
中国の自動車大手、比亜迪(BYD)は今後2年内に7隻の自動車船を確保する。1月に初めて運航した自動車船と合わせると8隻になり、海運の輸送能力が大幅に向上する。中国の自動車輸出は2023年に日本を抜き世界首位となった。中国船主による自動車船の発注は世界最多で、海上でも中国車の存在感が高まっている。
「輸送能力の不足を補うために、BYDは今後2年で7隻の自動車船を投入する」。2月中旬… ・・・
●岸田政権がNTT法改正案を閣議決定。通信各社が懸念表明 3/2
岸田政権は、NTT法改正案(日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案)を閣議決定しました。今後国会に諮ります。
これに対し、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯三社は、法案への見解を表明しました。
それによると、今回のNTT法改正案は附則に「日本電信電話株式会社等に関する法律の廃止」を含め検討し「令和七年に開会される国会の常会を目途」とあり、時限を設ける旨が規定されているため、今後の法制度の在り方を方向付け、拙速な議論を招きかねないとの強い懸念を表明しました。
NTT法に規定されている責務の担保について、十分な検討なく電気通信事業法に一本化することは必要な規律を欠くと批判。引き続きNTT法の廃止に反対、慎重な政策議論を求めました。
●〈政倫審・野田VS岸田〉「総理の指導力の問題だ」野田元首相の口撃に岸田首相が豹変。安倍元首相が乗り移ったかのような“民主党ディス”を繰り出すも… 3/2
2月29日午後に開かれた政治倫理審査会(政倫審)。過去にはロッキード事件や日歯連ヤミ献金事件など、「政治とカネ」にまつわる数々の問題をめぐって開かれてきた「審判の場」に現役首相として初めて岸田文雄首相が出席した。
政倫審で岸田首相が表情を変えた瞬間
「自民党の派閥の政治資金問題をめぐり、国民のみなさまに大きな疑念を招き、そして政治不信を引き起こしていることに対して、自民党総裁として心からお詫び申し上げる」
岸田首相は冒頭、謝罪の言葉を連ねた。幕末の志士、吉田松陰が遺したとされる、「志を継ぐ者がいれば、まいた種は絶えない」という意味を示す、「後来の種子、いまだ絶えず」との言葉も引用して政治不信の払拭に向ける意欲を示した。
テレビカメラによる中継も入る「マスコミフルオープン」の形式で行われた政倫審で 、反省姿勢をアピールした格好だが、肝心の答弁の中身はスカスカだった。これまでの国会での答弁を超える踏み込んだ発言はなく、野党が狙った「新事実」が明らかになることもなかった。
記者団から感想を問われた立憲民主党の泉健太代表が、「岸田総理の出席は無意味だった」と酷評するなど、国民の怒りを鎮めるにはほど遠い内容となった。
政倫審では、当選同期でもある立憲民主党の野田佳彦元首相から厳しく追及を受けた岸田首相だったが、様相が一変したのは、「宰相」としての資質を問われたときだった。
野田氏は、首相が「安倍派五人衆」ら野党から政倫審への出席を求められていた議員に出席を命じることなく、自らが政倫審に出席したことに「強烈な違和感を覚える」とバッサリ。「後手に回って的外れな対応をしなければいけない事態になった。総理の指導力の問題だ」と厳しく指摘した。
この指摘にむっとしたような表情を浮かべた岸田首相は、すかさず挙手し、次のように反論した。
「政倫審の規則の中で、本人の意思を尊重するとある。出席、形式についても本人の意思を尊重すると明記されている。私はそのことを申し上げ続けてきた」
そして、さらに語気を強めてこう続けた。
「だから例えば、御党のルーツである政党の元党首も政倫審に招かれた際に出席しなかった。こういった歴史があった」
岸田首相が言う立憲の歴史とは?
ここで岸田首相が持ち出した「歴史」とは、民主党政権時代の2009年7月に開かれた政倫審のことを指す。
当時の首相である鳩山由紀夫氏の資金管理団体の政治資金収支報告書に個人からの献金が記載されていることが発覚。政治資金規正法違反となる「虚偽記載」との指摘を受けたことで開かれたものだ。
鳩山氏は当時、政倫審への出席を見合わせており、この件を岸田首相は揶揄した形だ。言うまでもなく、野田氏は旧民主党の所属であり、同党が政権与党にあった時代に首相を務めた。岸田首相は「人のことを言えるのか」とばかりにチクリとやり返したわけである。
まるで、「悪夢の民主党政権」のフレーズを広め、民主党政権のネガティブキャンペーンを繰り広げて権力基盤を固めた安倍晋三元首相を彷彿とさせる“反撃”を見せた岸田首相は、さらにこう付け加えた。
「私はそれを決して非難しているわけではなくて、政倫審というのはそういうルールに基づいて行われるものだという風に認識をしてきた。このように思っている」
その後も、安倍元首相の亡霊が乗り移ったかのような「民主党ディス」を用いた反撃は続いた。
野田氏から岸田首相自身が、首相就任後も続けていた「勉強会」と称する事実上の集金パーティーについてとがめられた場面。野田氏は「法令上パーティーだ。そのパーティーを開いて勉強会と言い換えるようなやり方はごまかしだ」と指摘し、大臣規範に反すると岸田首相の政治姿勢をただした。
岸田首相は、「従来から答弁させていただいているように、総理就任前から続けている勉強会を引き続き、継続するというものだ」「大臣規範に対する政府の解釈だが、これについては、国民の疑念を招かない、これは各国務大臣が判断するというのが、従来の政府の答弁であった」と反論した上で、今度は野田氏にこうぶつけたのである。
岸田VS野田、勝敗は…?
「歴代内閣においてもそういった考え方に基づいて、各大臣はそれぞれの政治資金パーティーについて取り扱っていると承知している。
野田内閣の際も、何人かの大臣がこの政治資金パーティーを開催しているが、その際にそれぞれの大臣が『従来から続けていたものである』とか、『大臣規範にはふれるものではない』と、そういった説明を行いながらそうしたパーティーを開催していると承知している。要は大事なのは説明であると思う」
野田氏は、この反撃をスルーしつつ、「大臣規範には反しないというが、内閣総理大臣としての心の中の規範はないのか」と迫った。
さらに、「内閣総理大臣としては政治資金パーティーはやらないと明言できないか」と畳みかけ、岸田首相から「在任中はやることはない」との答弁を引き出している。
やり取りの一部始終を見ていた政治部記者はこう振り返る。
「野田さんが首相の“口撃”をかわして的確に問題をついた印象です。国会答弁には定評のある野田さんが一枚上手だったと見るべきでしょう。驚いたのは、首相が『民主党批判』を繰り広げたことです。
これまで『聞く力』を強調し、融和姿勢を全面に出して攻撃的な『安倍カラー』を排除してきた首相としては珍しい場面でした。逆に言えば、そうした禁じ手を出さざるを得ないほどに追い込まれているともいえるでしょう」
政倫審へのサプライズ登壇で、意外な顔を見せた岸田首相。「窮鼠猫を噛む」の心境だったのか、それとも隠していた攻撃性が露呈したのか…。
●自民・茂木幹事長に「不要論」…政倫審騒動で存在感ゼロ 3/2
出る出ない、公開か否かで開催までモメた衆院政治倫理審査会(政倫審)。呼ばれてもいない岸田首相が出席を申し出て、ようやくフルオープンでの開催が決まったが、この騒動の間、まったく機能していなかったのが茂木幹事長だ。
自民党内では、「党の危機に幹事長は何をしているのか」という不満の声が上がっている。
「国会の膠着状態を打開するために総理自らが乗り出すなんて、みっともない話です。自民党派閥の問題なのだから、本来なら、ナンバー2の茂木幹事長が党内の調整に動かなければいけない。政倫審に出たくないとゴネる議員がいたら、『しっかり説明しろ』と出席させるのが党務を預かる幹事長の仕事でしょう。当初予定されていた2月28日の政倫審が見送られて、総理が困っているのが分かりながら、何もしないなんて幹事長失格です」(自民党閣僚経験者)
連立を組む公明党も苦言
2月29日の政倫審でも、開催決定までやたら時間がかかり二転三転した自民党のガバナンス欠如を野党が問題視。フルオープンで出席し、説明責任を果たすよう党幹部から指示や働きかけはあったのかという質問に対し、二階派事務総長の武田元総務相は「働きかけ、連絡は一切なかった」と明かしていた。
連立を組む公明党の北側副代表も辛辣だ。29日の会見で、「総理がリーダーシップを発揮する前に、しかるべき人が党内をしっかりまとめてもらいたい」と苦言を呈した。「実際に汗をかいたのが見えるのは森山総務会長ではないか」とも言っていたから、汗をかかない茂木幹事長を念頭に置いた発言なのは明白だ。
岸田政権は、岸田派・茂木派・麻生派の主流3派で支えてきたため、岸田首相と茂木幹事長、麻生副総裁の「3頭体制」と呼ばれていた。しかし岸田は内心、「ポスト岸田」の意欲を隠さずスタンドプレーに走りがちな茂木幹事長を警戒していたとされる。 
「もともと関係が微妙だったところへ、総理が唐突に派閥の解散を打ち出したことで完全に溝が深まった。茂木さんにとって、派閥会長であることが総理総裁を狙う命綱ですから、事前の相談もなく派閥解散を言い出した総理に不信感を募らせたのは当然です。2人の関係が冷え込んでいることも、党内のガバナンスが利かない原因かもしれません」(茂木派関係者)
茂木派は政策集団として存続することを決めたが、退会者が相次ぎ壊滅状態。存在感ゼロの茂木幹事長には、ポスト岸田どころか、早期の幹事長交代論まで出始めている。
●松原仁元拉致問題担当相、「子供抱きしめるまで残された時間わずか」 3/2
北朝鮮による日本人拉致問題を巡っては小泉純一郎首相(当時)が2002(平成14)年9月17日、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)朝鮮労働党総書記(当時)と会談し、拉致被害者5人の帰国を決めて以降、具体的な成果が挙げられていない。横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の母、早紀江さんも今年2月、88歳になった。松原仁元拉致問題担当相が産経新聞のインタビューに応じ、「親世代が拉致された子供を抱きしめるために残された時間はわずかだ。政府は拉致解決の現実的な出口論を持つべきだ」と指摘した。要旨は以下の通り。
北朝鮮に2002年のトラウマ
最近、北朝鮮に拉致問題膠着(こうちゃく)打開のシグナルがある。能登半島地震に際し金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は1月5日、岸田文雄首相に見舞いの電報を送り、妹の金与正(キム・ヨジョン)党副部長も2月15日、首相訪朝の可能性に触れた談話を発表した。岸田政権もさまざまに北朝鮮側にアプローチしているのだろう。
ただ、北朝鮮政権内で「拉致問題は解決済」と主張する党統一戦線部が巻き返す可能性がある。金与正氏の談話も「個人的な見解」とした上で、拉致問題について「すでに解決された」としている。日本政府は交渉に臨むにあたって相手の論理を把握する必要がある。
北朝鮮の複数のエージェントは「2002年を繰り返したくない」と口をそろえる。北朝鮮にとって拉致被害者5人を日本に返し、日本から「感謝」されるはずだったが、実際は日本の世論が沸騰し、反北キャンペーンが展開されたとの認識だ。日本としては同胞が誘拐されているわけで非礼も何もないが、北朝鮮の理屈はそうだ。
具体的にいえば、日本のステークホルダーが何をもって納得するのかが探れていないという。日本政府も軍事力で拉致被害者を取り返すことができない以上、現実的な出口論が必要で、それは相手の立場を踏まえて検討すべきだろう。
拉致解決の「3原則」
こうした事情から旧民主党の野田佳彦内閣で拉致問題担当相を務めた平成24年当時、拉致問題解決のための「3原則」を掲げた。
1 被害者と家族の再会が果たされて初めて拉致問題の解決となる。
横田家でいえば早紀江さんが帰国しためぐみさんと抱き合ってこそ、解決となる。逆にいえば、早紀江さんが亡くなれば、拉致問題は未来永劫解決されないことになる。
時間軸を入れることで解決を急がせる圧力になる。
2 北朝鮮が「既に死亡」とした人が実は生存していた場合、日本側は非難せず前進と捉える。
(日本側に被害者死亡に関する情報を提供した)朝鮮赤十字会が「死亡した」と言っている人間が生きていても文句は言わない。早く生き返らせてほしい。
3 家族会、支援組織「救う会」、特定失踪者問題調査会など関係者(ステークホルダー)が合意する「一定の進展」を得れば、人道支援を可能とする。
「一定の進展」は、もちろん拉致被害者全員の帰国だ。ただ北朝鮮に拉致被害者が何人いるのか、われわれに調べる術がない。警察は800人以上の行方不明者について「拉致の可能性を排除できない」とするが、調査会が日弁連に人権救済を申し立てた24人、認定拉致被害者の12人を合わせた36人くらいではないだろうか。
実際の線引きや「一定の進展」が図られたかどうかは、ボードメンバーを組織して、判断するべきだ。北朝鮮にとってステークホルダーが合意すれば、「ちゃぶ台返し」される心配がなくなる。救う会の西岡力会長や調査会の荒木和博代表、ジャーナリストの櫻井よしこさんらが挙げられる。岸田文雄首相が訪朝すれば、同行して首相に助言してほしい。
アメとムチの洗い出しを
帰国するべき拉致被害者とは誰かというゴールポストを示した上で、日本政府は北朝鮮にどう圧力をかけて解決に追い込んでいくか。「アメ」と「ムチ」の選択を精査する必要がある。
例えば、日本への入港が禁止されている北朝鮮の貨客船「万景峰(マンギョンボン)号」の運航再開は北朝鮮のメンツが立つ良い「アメ」になる。制裁としては金正恩氏の個人制裁は効果的な「ムチ」だろう。日本政府はロシアのプーチン大統領の個人資産を凍結した。外務省は明言していないが、金正恩氏に対しても制裁は可能だ。
昨年5月に北朝鮮の外務次官は「日本が新たな決断を下し、関係改善の活路を模索するなら、朝日両国が会えない理由はない」と談話を出した。その上で今年に入ってからの金正恩、金与正両氏の対応につながっている。北朝鮮の対日交渉の担当部局は前向きなグループが掌握していると考えられる。
最後の勝負だ。早紀恵さん、有本恵子さん=拉致当時(23)=の父の明弘さん(95)が先に亡くなれば、拉致問題は永久に解決されない。そのことを政府は明確に北朝鮮に伝えるべきだ。世論も関心を高めて、今こそ解決すべく危機感を持つべきだ。
●裏金の議員処分「できるだけ早いタイミングで」 首相、予算委再開で 3/2
衆院予算委員会の集中審議が2日午前、再開した。新年度政府予算案の採決をめぐる与野党対立で1日に審議が中断していたが、自民党と立憲民主党が同日深夜、審議再開と2日中の採決で合意。賛成多数で可決される見通しで、自民は衆院本会議に緊急上程して参院に送り、年度内成立を確定させる方針だ。
国会審議は金曜から日付をまたぐ例は多いが、土曜の日中の開催は異例。予算案は憲法の規定で参院に送られてから30日で自然成立するため、2日の衆院通過で今年度中の成立が確実になる。参院では2日午前、自民、立憲両党の国会対策委員長が会談し、4日からの審議入りで合意した。
予算案の衆院採決を急ぐ政府 ・・・
●新年度予算案が衆院通過、年度内の成立確定 異例の土曜日審議の末に 3/2
新年度政府予算案は2日、衆院本会議で賛成多数で可決し、参院に送付された。自民、公明両党が賛成し、立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党、有志の会などが反対した。憲法の規定で2日までに参院に送付すれば、年度内の自然成立が確定する。
予算案は一般会計の歳出総額112兆5717億円と過去2番目の規模となる。能登半島地震への対応として、5千億円を積み増し、一般予備費として計1兆円が計上されている。
予算案の採決をめぐり、1日深夜まで与野党の攻防が続いた。その後、2日の採決について与野党が合意。異例の土曜日の審議、採決となった。
●衆院政倫審、自民議員5人ほど追加出席へ 参院でも今後開催の見通し 3/2
自民党の浜田靖一、立憲民主党の安住淳両国会対策委員長は2日、国会内で会談し、自民派閥の裏金事件をめぐる衆院政治倫理審査会(政倫審)を、来週にも開催することで合意した。安住氏によると、自民議員5人程度が出席の意向を示しているという。
立憲は1日に閣僚の不信任決議案などを提出し、新年度政府予算案の2日の衆院通過に抵抗していた。この日の会談で、政倫審の開催のほか、4月に「政治とカネ」をテーマとした予算委員会集中審議の開催、政治改革を議論する特別委員会を設置することで合意。予算案採決を容認した。
会談後、安住氏は予算委集中審議で参考人招致や証人喚問を実現したいとし、安倍派事務総長だった下村博文元文部科学相について「野党一致して要求することになる」と語った。 ・・・ 
●なぜ小渕優子氏が各党筆頭代表世話人に…? 3/2
超党派会議のメンツに隠された真意とは
不覚にもつい最近まで「日本社会と民主主義の持続可能性を考える超党派会議」なる組織の存在を知らなかった――。
自民党、立憲民主党、公明党、日本維新の会、国民民主党は1月24日、各党代表世話人会を開き、テーマ別4部会の編成・運営方針、共同座長などのメンバー人選を承認・決定した。
先ず、代表世話人会メンバー。自民党代表世話人(各党筆頭代表世話人):小渕優子選対委員長、自民党世話人・幹事:木原誠二幹事長代理、立憲民主党代表世話人:大島敦企業・団体交流委員長、公明党代表世話人:伊藤渉政調会長代理、日本維新の会代表世話人:藤田文武幹事長、国民民主党代表世話人:古川元久国対委員長。
この4つの部会は、第1部会「統治構造・政治改革」、第2部会「経済・財政・社会保障」、第3部会「人口減少・地域・国土構想」、第4部会「科学技術・イノベーション」で構成されている。
超党派会議の85人メンバーリストを吟味して筆者が関心を持ったポイントを幾つか挙げる。
(1) 自民党派閥の政治資金裏金疑惑の究明と政治刷新が求められるなか「統治構造と政治改革」を看板に掲げた第1部会の自民党メンバーは? 
(2) なぜ小渕氏が各党筆頭代表世話人に選出されたのか、そして誰(どこ)が同氏に打診したのか? 
(3) 同会議のスポンサーは誰(どこ)なのか? 
(4) 今春から夏にかけての政局と関係があるのか? 
若手の有力者が集結
第1部会には共同座長の木原幹事長代理(衆院当選5回・旧岸田派)、同事務局長の小倉将信前少子化担当相(4回・旧二階派)、そして自民メンバー9人に齋藤健経済産業相(5回・無派閥)、小林史明元デジタル担当副大臣(4回・旧岸田派)の名前がある。
第2部会メンバーに鈴木馨祐政調会副会長(5回・麻生派)、第3部会メンバー神田潤一(1回・旧岸田派)、第4部会は事務局長の大野敬太郎総務副会長(4回・無派閥)、同メンバーに小林鷹之前経済安全保障相(4回・旧二階派)、塩崎彰久(1回・旧安倍派)が名を連ねる。
岸田文雄首相(総裁)最側近の木原氏を筆頭に鈴木、小林両氏も旧大蔵省(現財務省)出身、齋藤氏は旧通商産業省(現経済産業省)、小倉、神田両氏が日本銀行出身。大野氏は父の功統氏が元防衛庁長官であり、父・母方の祖父が共に政治家一族である。そしてニューヨーク州弁護士出身の塩崎氏の父・恭久氏は安倍晋三政権で官房長官、厚生労働相を歴任している。
皆が超エリートなのだ。そして将来を嘱望される自民党の中堅・若手がこの超党派会議に蝟集している。
では、いったい誰(どこ)の肝いりでこの会議が発足したのか。日本生産性本部会長の茂木友三郎キッコーマン名誉会長、同副会長の小林喜光東京電力ホールディングス会長、佐々木毅元東大総長、増田寛也日本郵政社長が共同代表となって2022年6月に発足した令和国民会議(令和臨調)である。
令和臨調は先の4人の共同代表以下、10人の運営幹事、そして経済・学界(元官界も含む)からの会員102人で構成される。令和臨調の事務局は日本生産性本部内に置かれているが、同本部の前田和敬理事長が与野党国会議員有志の超党派会議との連携構築、さらには今後の基本方針までの絵図を描いているというのだ。
トップには注目の二人
同会議4部会発足直前の年初1月11日、令和臨調は自民党派閥による政治資金問題を受け、政党改革を起点とした令和の「政治改革大綱」策定を求める共同声明を公表している。一連の動きを筆者流に解釈すれば、令和臨調がエンドースする自民党中堅・若手に同党の政治刷新を託すマシーンとしてこの超党派会議を位置付けているのではないか。 
そのトップに臨調幹部の期待を集める小渕優子氏、準トップに岸田首相の懐刀である木原誠二氏が就いたということが興味深い。そして同会議を自民メンバーとして支える政策エリートが旧岸田派、旧大蔵省出身に多いこともまた示唆するところ大である。
政局絡みの印象を抱くのは筆者だけではあるまい。首相(総裁)主導の政治刷新本部の“政治利用”との声が上がりそうだ。ともあれ歴代首相では安倍、中曽根康弘両氏を高く評価する茂木友三郎氏は岸田氏が発信力に欠けるとの不満を抱いているとされる。
いずれにしても、各部会の初会合は3月中に開催が予定されている。その後、毎月2回程度の頻度で行われるが、しかも原則として平日夜19時または20時前後から90分程度開催すると決めている。こうした運営方針からも超党派会議に集まる自民党新世代がやる気満々であることだけは間違いないようだ。

 

●倒壊家屋の「公費解体」進まず、被災住民「本当に先が長い」…完了は来年10月 3/3
能登半島地震で家屋被害が深刻な石川県輪島市、珠洲市などの6市町で、倒壊家屋の「公費解体ゼロ」が続く。がれきが消えない街では、自宅の建て直しなど生活再建のステップにも移れない。被災者からは「時間が止まったままだ」とため息が漏れる。
がれきの街で
「がれきが目に見えてなくならなければ、復旧、復興どころではないだろう」。馳浩知事は地震発生から2か月となった1日の記者会見で、被災者の気持ちをそう推し量った。
輪島市河井町の男性(80)は1日、1階が完全につぶれた自宅を前に涙ぐんだ。45年暮らした我が家は、盆や正月になれば自立した3人の息子が戻ってくる大切な場所だった。「小さな家でいいから早く再建したい」と願うが、輪島市は被害認定調査を終えたエリアから罹災証明書を交付しており、男性宅はまだ対象外だ。
傾いた屋根が隣家に接触しそうで、余震のたびに気が気でない。2日に1度は避難先の金沢市から通っている。証明書が手に入れば、すぐに公費解体を申し込むつもりだという。
6市町のうち輪島、珠洲、志賀の3市町は公費解体の申請受け付けが始まっていない。穴水町は2月28日に開始したが、着工は「4月中旬以降」としている。「半壊」の罹災証明書を受け取り、2日に申請をした穴水町川島の男性(70)は「解体の時期が決まらず、本当に先が長い」と疲れ切った表情で語る。
確認作業が膨大
公費解体を進めるうえで、自治体職員のノウハウ不足も悩みの種だ。穴水町では、2016年の熊本地震を経験した熊本市の応援職員から必要書類や手続きなどの助言を受け、準備を進めている。
災害対応の経験が豊富な自治体職員は環境省の「災害廃棄物処理支援員制度」(人材バンク)に登録されているが、公費解体の分野では全国で53人しかいない。この2か月で石川県内の市町に派遣されたのは延べ29人。環境省の担当者は「人材不足は否めず、リモートでもいいので現地を支援する態勢を整えたい」と話す。
家屋の解体には所有者の同意・立ち会いが不可欠だ。だが、申請の受け付けを開始した市町では、建物の所有権が何代も移転されていなかったり、一つの建物に複数の所有者がいたりして、確認作業が膨大になっているという。
作業員は確保
県によると、公費解体は16市町で予定され、対象は推計2万2000棟。解体業者でつくる「県構造物解体協会」(金沢市)は県の依頼を受け、新潟、富山、福井と合わせ4県で2500人規模の作業員を確保しており、「明日にでも工事を始められる状態だ」と説明する。
一方で、公費解体は屋内に残る家財などを手作業で分別する必要があり、協会は「1棟あたり10日は必要」とする。市町からの要請が集中した場合、作業員不足が懸念される。
熊本地震では約3万5000棟を公費解体するのに2年8か月かかった。石川県は完了見通しを来年10月としており、長期戦になるのは確実だ。
がれきの処理も問題になる。県は年間のごみ排出量の約7年分に相当する244万トンの災害廃棄物が発生するとしており、2月末時点で県内11市町の21か所を仮置き場として確保した。ただ、最終的な処理施設は決まっておらず、環境省は「他県に広域処理を依頼するなどサポートしていく」としている。
●能登被災6市町、人口の2割が「避難要支援者」…支える側も高齢化で「助け合いにも限界ある」 3/3
一人暮らしの高齢者や障害者など、災害時に自力で逃げることが難しい「避難行動要支援者」が、能登半島地震で被害が大きかった石川県の6市町で2万5845人にのぼることが、読売新聞の調べで分かった。地域人口全体の20・7%で、5人に1人の割合だ。支える側も高齢化しており、被災自治体からは「助け合いにも限界がある」との声も上がる。
東日本大震災で犠牲者の6割が高齢者だったことを受け、政府は災害弱者対策を強化。2013年に災害対策基本法を改正し、要支援者の名簿作成を市町村に義務づけた。21年からは一人一人の具体的な避難ルートや近所で支援する人などを決めておく「個別避難計画」の策定を努力義務とし、平時からの備えの強化を求めている。
輪島、 珠洲 、七尾市、能登、穴水、志賀町の6市町で、個別避難計画づくりまで済ませていたのは2617人分。策定率は要支援者全体の1割にとどまり、全国(14・3%、昨年1月時点)より低かった。
能登地方には人口の50%前後が65歳以上という市町が多く、地域ぐるみの支援が困難になりつつある。輪島市では10人を超す要支援者を1人の民生委員が援助することになっている地区もあった。「若い世代が減り、仕組みとして回らない」と担当者は嘆く。
津波被害が大きかった珠洲市では、事前に高齢者らのサポート役を決めておいた地区でも、「みんな自分のことで精いっぱいで、隣近所で声をかけ合う程度だった」(自主防災組織関係者)という。珠洲市では今回、揺れから10〜30分程度で津波が到達していた。一方で、「名簿を使い、避難所で要支援者の安否確認が素早くできた」とメリットを実感した地区もあった。
片田敏孝・東京大特任教授(災害情報学)は「どんな要支援者が近所のどこにいるか、地域レベルで把握し、情報を更新しておくことが共助の場面で役に立つ」と指摘。そのうえで、「個別避難計画は万能ではない。特に津波からの避難は余裕がなく、自分の命は自分で守る意識を持つのが大原則だ」としている。
●立憲・泉代表 裏金問題で「自民は逃げ切りをはかっている」 3/3
立憲民主党の泉代表は3日、訪問先の島根・松江市で、自民党の派閥パーティー資金問題について「自民党は裏金問題をうやむやにして、逃げ切りを図ろうとしている」と述べ、衆議院の政治倫理審査会で安倍派幹部らがキックバックの不記載について関与を否定した対応を批判した。
その上で、与野党で合意した国会での政治改革特別委員会での今後の議論について「自民党は不祥事を起こした立場で自民党が政治改革を阻む立場であってはならず、各党の改革案を受け入れる姿勢であるべきだ」と述べた。
自民党に対しては「裏金問題を明らかにすることで、政治改革に繋げる役割が重要で、自民党が政治文化を変えるつもりがあるのが問われる」と強調した。
●安倍派幹部の塩谷立氏、裏金の還流復活「2022年8月の会議で決まった」 西村前経産相は「結論出ず」と言っていたが… 政倫審 3/3
3月1日の自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)は、午後5時すぎに再開した。4時間に及ぶ中断を挟み、安倍派の座長だった塩谷立元文科相の審査が行われた。裏金のキックバック廃止が復活した経緯について、あいまいな説明を繰り返す塩谷氏。午前中の西村康稔前経産相の証言との食い違いも。
17:10 4時間遅れで再開
新年度予算案の審議を巡り、立憲民主党から小野寺五典予算委員長の解任決議案が出た影響で、午後からの政倫審の審査はストップしていた。政倫審の審査は、4時間遅れで再開した。
17:12 塩谷氏の弁明始まる
塩谷氏は、用意していた資料を読み上げる形で、安倍派の裏金事件の経緯や自身の関与について説明を始めた。
「国民の政治に対する信頼を失墜させてしまった」「法令違反を重ねてしまったことは極めて問題」「順法精神の欠如には恥じ入るばかり」「国民感覚とはかけ離れた永田町の意識を反省」
塩谷氏は、神妙な顔で、次々と反省の言葉を口にした。
ところが、安倍派の裏金づくりに関しては「一切関与していない」と主張し、西村氏、松野氏同様、自身の関与をきっぱり否定した。
塩谷氏は、安倍派において2012年1月〜18年1月に事務総長、その後は会長代理、22年8月からは座長を務めてきた。長年、安倍派で要職にあった塩谷氏だったが、「適法でない処理をしていたことは全く認識していなかった」と強調した。
キックバックの慣行については「20数年前から始まったのでないかと思いますが、明確な経緯については、承知しておりません」と説明。
安倍派でのキックバックは「個人でのパーティー開催など政治資金を自前で調達することが大変な若手や中堅の政治活動を派閥のパーティーを通じて支援するとの趣旨であったように理解している」とも明かした。
17:27 「誰かがやってくれるだろう」
自民党の丹羽秀樹氏は、安倍派座長だった塩谷氏に、政治資金収支報告書への不記載が起きた原因を質問。塩谷氏は「いつ頃から還付をして、それを不記載で行うということがなされたということも、全く承知していない」と答えた。
丹羽氏は「全員が全員、誰かがやってくれるだろう、そういったところも一つの要因となっているかもしれない」と述べ、安倍晋三会長が死去した後の「5人組」らによる集団指導体制の体質を指摘した上で、「しかし、座長としての責任の重さというのはある。座長としてもっと指導するべきだった」と批判した。
これに対し塩谷氏は、座長に就任したのは昨年8月だったとして、「指導する間もなく清和研(安倍派)は解散した」などと述べるにとどめた。
17:35 「政治活動費、納税するつもりはない」
立憲民主党の寺田学衆院議員は、「国民の皆さんが怒っている一つは、自分らが裏金作って持っていたのなら、そんなもん政治資金じゃねだろうと、ちゃんと納税しろという話だ」と国民の怒りを代弁。「納税するつもりはあるのか」と迫った。
これに対する塩谷氏の回答は「私自身はしっかりとそれを政治活動に使用しておりますので、納税するつもりはございません」だった。
17:55 「安倍派は解散したので…」
寺田氏の追及は続く。
塩谷氏に、安倍派座長だった立場として「所属議員に納税を呼び掛けるつもりはないのか」と尋ねたときのことだ。
寺田氏の問いかけに塩谷氏は、「清和政策研究会(安倍派)は2月1日解散することを決めましたので、今政治活動等は行っておりません。そういう意味では今後、簡単には自分なり活動はできないと思っています」と答えた。
「笑いごとじゃない」。塩谷氏の発言に立民の寺田氏は、机をたたいて怒りをあらわにした。
「そんなときだけ派閥が解散したことを理由にしないでください」
「国民の皆さんは国税から全てを見られて、1円たりとも流されないように納税を促されている。それなのに政治家は何なんだって言われている。その原因を作ったのは皆さんじゃないですか。ちゃんとけじめつけてください」
厳しい批判を浴びた塩谷氏。「検討させてください」
18:00 還流復活「しょうがない」
日本維新の会の岩谷良平衆院議員も、安倍晋三会長(当時)の意向を踏まえていったん廃止が検討されたキックバックが、その後も継続した経緯を尋ねた。
岩谷氏は、2022年8月10日に安倍派事務総長を退任した西村康稔氏が午前の審査で、継続を決めた会合には出席していないと説明している一方、8月25日に後任の事務総長に就任した高木毅氏は「還付(キックバック)を継続することは決まっていた」と証言していると指摘。
西村氏と高木氏、どちらの証言が正しいのか。
塩谷氏の回答は「当時は(安倍氏が死去して)清和研をどうするかということが大変な問題で、還付をどうするかということについて、(廃止されると)困る人がたくさんいるから継続でしょうがないかなという、そのぐらいの話し合いの中で継続になったと理解している」と、煮え切らない。
岩谷氏は「安倍さんがやめろとおっしゃったことをひっくり返して継続とする。事務方ができる話ではない」「高木さんが嘘ついてるか、あるいは塩谷さんが嘘ついてるか」と重ねて迫った。
それでも塩谷氏は「大変責任が重たいと受け止めている」と正面から答えることはなかった。
18:10 西村氏の証言と食い違い
公明党の中川康洋衆院議員も、いったん廃止を決定した裏金還流がなぜ復活したのか、その経緯を尋ねた。
塩谷氏によると、8月上旬の会合は、塩谷氏の事務所で開かれたという。
「具体的にパーティー券、個人のパーティーにどうするこうするなんていう具体的な話はあまり詰めた話はなかったわけで、そういう中で継続して還付されたというふうに理解しております」
ただし、午前中の西村氏は、2022年8月上旬、安倍派幹部らが集まり、還流の取り扱いについて協議したが、結論が出なかったと証言。西村氏は、8月の会議直後、派閥の事務総長の職を離れたため、還流が復活した経緯は承知していないとしていた。
塩谷氏は「8月で協議した以降は、具体的に我々で決めたことはございません」と発言。西村氏の説明とは食い違いを見せた。
16:20 還流廃止決定「違法性の認識あったのでは」
共産党の塩川鉄也氏は、塩谷氏も参加した2022年の安倍派幹部の話し合いで安倍晋三会長(当時)がキックバックの中止を持ち出したのは「不記載という違法性の認識があったからではないのか」と追及した。
この話し合いの場で、個人の政治資金パーティーの収入に上乗せして合法的な形で出す案もあったと下村博文氏が証言していることにも触れ、「合法的な形で出すということは、違法性の認識があったということになる」とも迫った。
だが、塩谷氏は「現金(でのキックバック)をやめようという中で、そういう(個人パーティーの収入に上乗せする)案が出たと私は理解している。あくまで不記載のことについては一切話が出ていない」と否定した。
塩川氏は「違法性の認識が幹部の中で共有されていたのではないか。しっかりとした解明が求められている」と訴えた。
●裏金を「納税するつもりはございません」自民・塩谷立議員の政倫審の発言に批判殺到「怒りを通り越して悲しい」「堂々と脱税宣言」 3/3
自民党の政治資金パーティーの裏金問題をめぐり、1日に開かれた衆院政治倫理審査会で、元文科相の塩谷立衆院議員の発言に対する批判が高まっている。清和政策研究会の(安倍派)座長だった塩谷議員は、政倫審で「法令違反を重ねてしまったことは極めて問題であり、残念」などと反省の弁を述べた一方、裏金について「適法ではない処理をしていたことは全く認識していなかった」と主張した。
立憲民主党の寺田学衆院議員は質疑の中で「国民の皆さんが怒っている一つは『自分らが裏金をつくって持っていたのなら、そんなもん政治資金じゃねえだろう。ちゃんと納税しろ』という話です」「納税するつもりはありますか。安倍派議員の皆さんに、ちゃんと納税しろと呼びかけるつもりはありませんか」と追及した。これに対して、塩谷衆院議員は「私自身はしっかりとそれを政治活動に使用しておりますので、納税するつもりはございません」と答え、安倍派の議員に対しては「具体的に税法上どうなるかは確認して指導してまいりたい」と述べた。
この「納税するつもりはございません」という言葉が、ネット上で怒りに火をつける結果になった。X(旧ツイッター)では「堂々と脱税宣言」「納税するか否かを自分の一存で決められるんだ…」「これで許されるのなら日本国民全員が言うよね?」「怒りを通り越して悲しい」などの声が続々と上がり、大荒れとなっている。
●原発処理水、日中になお影=放出半年、輸出解禁見通せず 3/3
東京電力福島第1原発の処理水放出から半年が経過した。政府は各国の懸念を踏まえ、安全性の説明に奔走。国際原子力機関(IAEA)の「お墨付き」も後ろ盾に、一定の理解を得てきた。だが、水産物の大口輸出先である中国はなお「核汚染水」と批判したままだ。日中両国は対話による解決を探るものの、禁輸解除は見通せていない。
森屋宏官房副長官は1日の記者会見で「中国との意思疎通はさまざまなレベルで行っている。引き続き丁寧に説明するとともに、輸入規制の即時撤廃を強く求めていく」と語った。
昨年8月24日の海洋放出直後に中国が日本産水産物の全面禁輸を発表すると、日本政府内には「そこまでやるとは」(高官)と動揺が広がった。主力のホタテなどが打撃を受け、同年の中国向け水産物の輸出額は前年比約3割減と大きく落ち込んだ。
岸田文雄首相はこの間、国際会議や首脳会談で安全性を繰り返し訴えた。外務省は風評被害につながる「偽情報」がないか各国報道を監視。韓国からは専門家視察団も受け入れた。
日本は特に太平洋島しょ国を重視した。過去に米英仏の核実験場となり、強く憂慮を示していたためだ。首脳らを日本に招くなどして説得を重ね、当初反対していたミクロネシア連邦などから支持を取り付けた。
IAEAは、放出前後から一貫して日本の対応を「安全基準に合致」と評価。グロッシ事務局長は今月12日から来日し、同原発を改めて視察する。国際社会の理解が広がる中、日本政府は中国の対応を世界の潮流と逆行した「突出した行動」(首相)と主張。禁輸撤回を求めつつ、専門家による説明を打診したが、中国側はなかなか応じなかった。
昨年11月の日中首脳会談で、ようやく専門家協議の実施で一致したが、この場でも習近平国家主席は「核汚染水」と表現した。今年1月に行った初回協議は、放出に批判的な中国の世論に配慮して非公表扱いとなり、協議自体も「平行線」(日本外務省筋)をたどったという。
中国側は対話を維持する姿勢を示し、2月には日中の外務省局長協議も開かれた。日本政府内には「状況は改善している」との期待もあるが、楽観はできない。
同原発では汚染水漏えいなどトラブルが相次ぎ、日中協議にも影響を与えかねない。神経をとがらせる首相は関係閣僚に国内外への丁寧な説明を指示した。5日開幕の中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)も控え、「すぐに禁輸解除とはならない」(首相周辺)との見方が大勢だ。
処理水放出に関する日中の動き
2011/ 3 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故発生
2021/ 4 菅義偉政権、海洋放出を2年後をめどに開始する基本方針を決定
2023/ 1 岸田文雄政権、放出時期を「春から夏ごろ」と決定
2023/ 7 国際原子力機関(IAEA)が放出計画は「安全基準に合致する」とした包括報告書
2023/ 8 海洋放出開始。中国、日本産水産物の輸入を全面停止
2023/10 IAEAが調査団を日本に派遣し現地検証。中国の専門家も参加
2023/11 岸田首相と習近平国家主席が会談、専門家協議の実施で一致。習氏は処理水を「核汚染水」と表現
2024/ 1 日中両国の専門家による初協議(非公表)
      IAEAが「安全基準に合致」との検証結果を公表
2024/ 2 日中の外務省局長が福岡市で協議
●泉氏 改革"自民発言権ない" 3/3
立憲民主党の泉健太代表は3日、自民党派閥の裏金事件を受けて衆院に設置される政治改革特別委員会(仮称)について、「自民には基本的に発言権はない。各政党が出す政治改革プランに議論を委ね、そこの成果を飲み込む、受け取るべきだ」と訴えた。松江市で記者団の質問に答えた。
泉氏は自民を「罪を犯した、不祥事を起こした立場」と指摘、「政治改革を阻むことはあってはならない」とけん制した。自民、立民両党は2日に特別委の設置で合意。同委では裏金事件を踏まえた政治資金規正法の改正を議論する。
●岸田内閣の支持率22.9% 過去最低更新 JNN世論調査 3/3
岸田内閣の支持率が政権発足後、過去最低だった先月の調査からさらに0.8ポイント下落し、22.9%だったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。これで5か月連続で過去最低を更新したことになります。
不支持率も先月の調査から0.2ポイント上昇し、74.4%で過去最高となりました。不支持率についても3か月連続で過去最高を更新しました。
また政党支持率では自民党の支持が前月の調査から0.3ポイント上昇し、24.7%、立憲民主党は2.1ポイント上昇し、7.1%、日本維新の会は1.2ポイント下落し、4.0%でした。
3月2日(土)、3日(日)に全国18歳以上の男女2581人〔固定975人、携帯1606人〕に調査を行い、そのうち47.0%にあたる1212人から有効な回答を得ました。
●野党は政治刷新戦線を組み自民党に圧力をかけよ 3/3
稀にみる政治改革の好機到来
自民党派閥の裏金事件を巡り、2日間わたる政治倫理審査会が行われ、日本が政治を刷新する好機がきたのに、虚しく時間を空費しています。新聞、テレビも説教調の報道を続けていれば、自民党が自ら改革に動きだすとでも思っているようです。
岸田政権支持率も自民党支持率も20%台に低下し、「支持政党なし」は50%台まで上昇しています。こんな時でもないと、自民党は本当の危機感を覚えません。自民党改革、政治改革の滅多にないチャンスがきたはずです。
自民党は守勢に回り、野党は攻勢にでられる絶好の機会です。目先の自民党追及ではなく、日本に政治改革をもたらす戦略を描いてみるべきです。
私は野党が政治改革戦線を組み、選挙に臨むよう期待します。各種の政策の違いを捨て、今回は政治改革という一点で連立を組んだらどうでしょう。政治資金規正法の改正、年功に従った閣僚就任の是正、3、40年後の日本の姿を描ける次世代議員の登用、世襲政治の制限、政治資金監視機関や財政独立機関の設置など、論点はいくらでもあります。
メディアも説教調の報道はやめ、二大政党的な政界構造に変化できるような政策提言、助言をしていったらどうか。これからの日本を作り直す「次世代党」とでもいえるような政治勢力を育成していくべきです。
「五界五悪」といって、日本の政治、経済社会には、政界、財界、学界、医界、メディアという5つの悪が存在するとの指摘を聞いたことがあります。この中で政界が質のレベルの低さが最も劣る。政界が立ち直らないと、日本の経済社会を変えていくことができません。
世論調査では「支持政党なし」は52%(読売新聞)という高率です。政党支持率は自公支持率の合計26%に対し、立民・維新・共産・民主は合わせて13%ですぎなくても、「支持政党なし」が動けば、勝敗は左右されます。野党連合が勝てなくても、自民党に対する相当な圧力になるでしょう。
自民党が修羅場をくぐり抜けたかというと、そうでもなさそうです。仏教用語でいう五悪(仏教信者が守るべき戒め、五つの不善)のうち、自民党はそのいくつかを破ったことは否定できません。
「妄語(もうご)はいけない(嘘をついてはいけない)」は破ったとみるべきでしょう。「政治資金収支報告書への不記載は承知していない」、「自分は関与していなかった。事務総長ではなく派閥事務局、会計責任者の担当だった」などと、言い逃れをしました。
派閥の会長、事務総長がいるのに、「派閥事務局」というブラックボックスを存在させ、そこを通した形にして責任を回避する便法です。闇の勢力が使うマネーロンダリング(資金洗浄)の手法と似ています。
「殺生してはいけない(生き物を殺してはいけない)」はどうでしょうか。さすがに「殺人、殺生」はしていなくても、「パーティ券収入のキッバック、納付の留保(裏金)は、政治倫理、政治道義に対する殺生」に相当します。
「偸盗(ちゅうとう=ひとのものを許可なく自分のものにする」にも引っかかってきます。パーティ券収入の一部を派閥に納めず、自分の懐にいれてしまう行為がこれに相当します。もともと少人数の勉強会なのに、「詐称」して、あちこちに声をかけ、大勢から資金を集める。出席はあえて求めず、資金さえ集まればよい。
自民党側には真実を語る気持ちはもともと、ありません。本来なら、政倫審開催を求めた野党側にこそ、新事実を発掘してきて、自民党側を追い詰める責任がありました。「事実関係を語れ」、「政治不信を払しょくせよ」と説教調でした。政倫審は説教をする場ではありません。
テレビ、新聞の大々的な報道に「だからどうなのよ」思った国民がほとんどでしょう。だから視聴者、読者のメディア離れが進むのです。憲法改正や安全保障など、新聞が政策提言に熱心な時期がありました。そのことを思い出してみたらどうなのでしょうか。
「言論の府の権威を貶めるな」(読売社説、2日)、「政治責任を不問にできぬ」(朝日社説、1月20日)などと叫んでも政治的な影響力はありません。もっと期待感を抱かせられるような主張を今こそすべきです。
●“小泉進次郎というカード”自民内で増す存在感 小泉純一郎元総理がそれでも“待った”をかける理由 3/3
「僕のことはいいから。政策取材をやって欲しいな」
小泉進次郎元環境大臣は周囲の記者にこう話す。
2023年11月に開催された第1回の「超党派・ライドシェア勉強会」でも、「世論調査で総理にふさわしい人として名前が出ているが」という記者の質問に対し、「きょうはライドシェアで質問していただきたい」と打ち返した。
こうして“政局”とは一線を画する様子を見せている小泉氏だが、本人の思いとは裏腹に、彼をめぐる政局的な動きが注目される場面が増えてきた。
派閥の裏金事件やライドシェアで増す存在感
1月11日。かつて父・小泉純一郎元総理も所属した自民党の最大派閥・清和政策研究会、通称・安倍派の裏金事件を発端に自民党で新設された、政治刷新本部の初会合が開催された。
自身は無派閥を貫く小泉氏は会合後、記者団に対し次のように主張した。
小泉進次郎氏(1月11日)「派閥はなくしたらいいじゃないか。派閥から人事とお金をしっかりと切り離して、政策集団だと胸を張って言えるような環境を整えることは、自民党を立て直す上で最低限必要なことなんじゃないか」
それから2週間後。政治刷新本部が決定した「中間取りまとめ」では「『派閥』から脱却し本来の政策集団に生まれ変わらねばならない。そのカギは、政策集団が『お金』と『人事』から完全に訣別することである」と記載された。
小泉氏は、自身の主張に沿う結論となったことに「申し上げたことが、結果盛り込まれて、しかも『完全に訣別』ってのは非常に重い」と手応えをにじませた。
一般の人が自家用車を使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」の導入に向けた活動でも、存在感を高めている。
2023年11月に超党派の国会議員による勉強会を立ち上げ、会長として地方の首長やタクシー事業者などと意見を交わしてきた。
小泉進次郎氏(2023年11月)「ライドシェアにしろ、タクシーに対する過剰な規制の打破にしろ、いま迅速な対応が求められている」
勉強会は同年12月、道路運送法の見直しや新たな法律の制定、タクシードライバーが増えない要因の一つとされる、タクシーの営業地域の地名や道路の名前などを問う「地理試験」の抜本的見直しなどを盛り込んだ提言をまとめた。
その後、政府は地理試験の廃止や、4月からタクシーが不足する地域や時間帯に限りライドシェアを解禁する方針を決めた。小泉氏の提言が交通政策を動かす結果となった。
圧倒的人気も「具体性がない」迷言で批判された過去
JNNが2月に行った世論調査で、石破茂元幹事長に次ぎ「次の総理にふさわしい人」の2位となった小泉氏。
各社の世論調査でも必ずと言っていいほど上位に名前が挙がる。
圧倒的な知名度と発信力を誇る政界のサラブレッドは、「未来の総理候補」として早くから注目されてきた。
しかし常に順風満帆だったわけではない。
安倍政権と菅政権で環境大臣を務めた際は、“迷言”で痛烈なバッシングを受けた。
2019年9月、国連の「気候行動サミット」に出席した際の記者会見で「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールでセクシーでなければならない」と発言。
この発言に対し、各方面から「何をしたいのか分からない」「具体的な対策についての発言がない」などと批判の声があがった。
また2021年4月、政府が2030年度の温室効果ガス排出を2013年度比で46%削減する目標を定めたことをめぐっては、こう話した。
小泉進次郎氏(2021年4月 TBS「news23」インタビューにて)
「くっきりとした姿が見えているわけではないが、おぼろげながら浮かんできた。46という数字が」
この発言は「数値の根拠が曖昧だ」としてネット上などで炎上した。
国対で裏方修行しサーフィンも 実行力をアピール
こうして「政策に具体性が欠ける」と批判されてきた小泉氏だが、2022年に、国会の日程調整や野党との交渉などにあたる「国会対策副委員長」に自ら希望して就任。メディアへの露出も少なく“縁の下の力持ち”的な仕事で、閣僚経験者がこの職に就くのは異例だ。
小泉進次郎氏(2022年当時、自身の活動報告にて)
「この法案は国対の知恵と経験で会期内に成立したな、とか、ニュースでは取り上げられない仕事師たちが働いている。そんな国対に身を置いていると今までとは違う学びと、今までとは違う政治の景色も見えるようになった」
また2023年7月、自身が議連幹事長を務める「自民党サーフィン議員連盟」は緊急総会を開催。
東京電力・福島第一原発の処理水放出が8月に始まるのを前に、放出後の海でサーフィンをすることで、その安全性を示すことができると訴えた。
その後9月には、小泉氏自身が福島県南相馬市の海岸で地元の子どもたちとのサーフィンに参加、その狙いをこう説明している。
小泉進次郎氏(自身のSNSで)「処理水放出後に政治家の私が福島で地元の方々とサーフィンをすることで、少しでも今まで頑張ってきた方々の発信の助けになれば。パフォーマンスだと言われても構いません」
ある外務省幹部は「海水を飲むとかじゃなくて、サーフィンをしに行った。普通はそんなこと思いつかない」とまで絶賛している。
キーマンは菅前総理
永田町では今、岸田内閣の支持率が政権発足後過去最低を記録し、「ポスト岸田」への関心が高まっている。
こうした中、ある政府関係者は、2021年の総裁選で立候補した河野太郎氏の当選を目指し、小泉氏・石破元幹事長・河野氏の3人が結成した「小石河連合」を引き合いに、次のように話す。
「次期総裁候補は、小石河連合のうちの誰かか、上川陽子や高市早苗などの女性候補だろう」「菅さんや麻生さんの動き次第だ」
中でも、小泉氏と同じく無派閥である菅前総理は、派閥解消を強く唱え、ライドシェア導入の旗を振り始めた張本人。
昨今の小泉氏の主張とリンクする。
関係者によると菅氏は、派閥の裏金事件を契機に低迷する自民党支持率を念頭に、こんなことをつぶやいているという。
菅義偉前総理(周囲に対し)「次の総裁は思い切って変えないとダメかもしれない。そろそろ進次郎というカードを使うときが来たのかもしれない」
42歳の総理候補「まだ知識や経験不足だ」若さという壁
しかし、菅氏に近い政府関係者は小泉氏について「まだ知識や経験不足だ」と指摘する。
そのうえで「菅さんも、進次郎を次の総裁候補にしようと思っていたけど、流石に『あいつじゃまだ…』って誰もついてこないと分かったから、次は早いとなっているのでは」と分析する。
別の菅氏周辺も「菅さんは小泉進次郎を大事にしている。まだ総裁には早いかもしれないから、潰さないようにタイミングを見ているんだろう」と話す。
父・小泉純一郎元総理も“待った”をかける。
2023年12月中旬。
山崎拓・元自民党副総裁は東京都内で小泉元総理と会食し、進次郎氏についてこんなやりとりを交わしたことを記者団に明かした。
小泉純一郎元総理(山崎氏に対し)「進次郎はまだ40歳だから、50歳になるまでは総裁選に立ってはならない。次の政権を支える立場でやりなさいというふうに申しつけてある」
「未来の総理候補」は「総理」になる力を身につけられるか。
政府関係者は「進次郎はまだ42歳、時間がたっぷりある。絶対選挙に落ちないし、既に大臣もやっている。他の同じ年齢の人に比べたら圧倒的に経験があるわけで、焦る必要は無い」と期待をにじませる。
「若さ」という壁を乗り越え、“政策”面でも“政局”面でも真価を発揮することができるかが注目される。
●「反主流派会合」菅義偉前首相がポスト岸田≠吟味の動き 萩生田氏、加藤氏、進次郎氏と会食 「主流派」麻生氏とも 3/3
岸田文雄内閣の支持率が「危険水域」に沈み込むなか、自民党内で新たな動きがあった。岸田首相と距離を置く菅義偉前首相が1日、立場が近い萩生田光一前政調会長(安倍派)や、加藤勝信前厚労相(茂木派)、武田良太元総務相(二階派)、小泉進次郎元環境相(無派閥)と会食したのだ。菅氏は先月末には、主流派の麻生太郎副総裁(麻生派)と会食している。菅氏の狙いは何なのか。
注目の会合は、自民党の政治資金パーティー裏金事件を扱う2日目の衆院政治倫理審査会が開かれた1日夜、都内の日本料理店で開かれた。
集まったのは、菅政権を閣僚として支えた面々である。萩生田、加藤、武田の3氏は衆院の初当選同期で、早くから要職を務め、党内では3氏の頭文字をとって「HKT」とも呼ばれる。無派閥の小泉氏を含め、「ポスト岸田」の一翼を担う面々だ。
党ベテラン議員は「菅氏側が『他意はない』と説明しても、今は岸田内閣や自民党の支持率が激減し、政局が大混乱している。『ポスト岸田』を見据えた水面下の動きに感じる」と語る。
菅氏は「無派閥」「官僚主導打破」を掲げる。財務省の影響力が極めて強く、「増税・負担増路線」の岸田内閣とは距離を置いてきた。
中堅議員は「自民党内では、『岸田首相のガバナンス能力の欠如』や、『場当たり的な政治手法』に嫌気が充満している。根回しなしで自己都合の『派閥解消』などは最たるものだ」と吐き捨てる。
確かに、萩生田氏と武田氏が所属した安倍派と二階派は、東京地検特捜部の捜査が直撃し、解散の道を選んだ。「派閥解消」は結果的に、党総裁(岸田首相)の権限を強めることにつながりかねない。
この日の会合では、岸田首相の政倫審などを含めた国会運営や、党内情勢で意見を交換したとみられるが、「岸田首相を牽制(けんせい)する動きとして効果的」(党中堅)なのは事実だ。
菅氏は先月22日、麻生氏とも会食している。麻生氏は主流派として岸田内閣を支えてきたが、岸田首相が唐突に「派閥解消」をブチ上げたことに激怒し、距離感が生じたとされる。
別のベテラン議員は「麻生―菅会談は定期的なものだが、タイミングに意味がある。岸田内閣の不支持率が80%を超えた(毎日新聞)直後だ。ここまで国民に嫌われると、岸田首相による衆院解散も党総裁再選もなかなか難しい。麻生、菅両氏のスタンスや思惑には違いがあるが、『ポスト岸田』を吟味するキーマンであるのは間違いない。憶測を呼んでいる」と語る。
●岸田首相の政倫審電撃出席は、予算案成立が本来の目的 異例の土曜開催で予算案衆院可決 3/3
自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題を受けて開かれた、2日間の衆院政治倫理審査会が終了した。出席するのしないの、公開するのしないのとすったもんだの末、結果的に予定されていた5人がフルオープンで証言した。加えて岸田文雄首相も出席。新事実が出たわけではないが、もともと政倫審はその程度のものだ。
誰の判断でキックバックが慣例化したのか、収支報告書への不記載を指示したのは誰かという肝心な点について、全員が口をそろえて「知らない」「分からない」との回答だった。起訴された派閥の会計責任者が勝手にルールを決めたり、議員に不記載を指示したりすることなどあり得ない。派閥の幹部レベルの人が指示をしたものであることに違いはない。
「奇策」と呼ばれた岸田首相自身の政倫審出席は、後ろ向きだった安倍派幹部ら5人の出席を結果的に促す形となった。一方で、異例の土曜日開催により2日、衆院本会議で24年度予算案を可決させ、これで予算案の年度内成立が確定した。岸田首相としては、政倫審を予定通り終わらせて何としても予算案を年度内に成立させるというのが「奇策」の本来の目的だったようだ。
野党側では予算案の審議時間不足を挙げて数日間の成立が遅れても大したことではないとの主張もあったが、やはり政権の最大の仕事は国民から預かった税金で速やかに予算を組み、執行することだ。裏金問題ももちろん大切な課題だが、この問題に時間を費やして予算審議の時間が不足してしまった側面もある。そして政倫審で新たに明らかになった事実は少なく、こちらも不十分な結果に終わったと言わざるを得ない。
とにかく、二度と裏金問題が起きないようにする罰則や、議員の責任を問う連座制などの新たなルール作りに向かうしかない。公民権停止か議員永久追放の決まりを設けなくてはならない。
●歴代首相4人輩出の「保守王国」群馬に異変、何が起きた? 前橋市長選で現職完敗、衝撃の背景探る 3/3
今年2月4日夜、群馬県の県庁所在地で衝撃が走った。この日投開票だった前橋市長選で、野党系の新人が自民、公明両党推薦の現職を大差で破り、初当選したからだ。群馬は歴代首相4人を輩出し「保守王国」と呼ばれる。今回起きた異変は、今も尾を引く。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件、前回2020年の市長選で保守分裂したしこり―。さまざまな敗因が指摘される中、一体何が起きたのか。現職が完敗した背景を探った。(共同通信=岩沢隼紀)
くすぶる保守分裂の火種
昨年9月12日、前橋市議会の本会議場。現職の山本龍氏(64)は今年2月の任期満了に伴う市長選へ4回目の当選を目指し、出馬の意向を表明した。「まだやり残したことがある。これからも続けたい」
この出馬表明を受け、焦点は自民党群馬県連の対応へ移った。なぜなら前回2020年2月の市長選は保守分裂選挙となったためだ。
前回の市長選に出馬した6人のうち、山本氏を含む3人が自民党籍を保有。県連はいずれにも推薦を出さず、自主投票を決めた。結果は、山本氏が3選を果たし、次点だった自民党の元県議の岩上憲司氏に約1万票差をつけた。
前回の市長選直後、保守分裂のしこりは市議会内に表れる。選挙戦で岩上氏を支援した市議の一部が、市議会の新会派「前橋高志会」を結成。市政運営を巡り、山本氏と目立った対立は見られなかったものの、分裂の火種はくすぶり続けた。
こうした状況を踏まえ、山本氏も4選を狙うに当たり、高志会に協力を要請。高志会内も「今回は一枚岩だ」として異論は出ず、自民党県連も昨年10月、山本氏の推薦を決めた。公明党県本部や多数の業界団体も山本氏を推薦し「オール保守態勢」の構築が進んだ。
リベラルのエースが出馬
3期12年の実績を持つ現職に対し、野党側の動きは必ずしも早くなかった。山本氏の出馬表明から2カ月半後の昨年11月26日。群馬県議会の野党系会派「リベラル群馬」に所属する新人の小川晶氏(41)が、今回の前橋市長選への立候補を明言した。「市民が納得できる市政をつくりたい」
小川氏は昨年4月の県議選の前橋市選挙区(定数8)でトップ当選。2011年の初当選以来、4回の当選を重ね、保守地盤が強い群馬で「リベラル系議員のエース」(立憲民主党県連幹部)として将来を嘱望された存在だった。
今回の市長選に向け、小川氏は「市民党」を掲げる。特定の政党に推薦を求めない代わり、立憲民主、国民民主両党を支持する連合群馬の推薦や、共産党前橋地区委員会などでつくる市民団体「民主市政の会」の自主的支援を得た。
民主市政の会は1980年代から続けてきた独自候補擁立の見送りを決定。理由は現職に対する批判票の分散を防ぐためだ。関係者は「市政刷新を見据えた大局的な判断だ」と語った。
こうして今回の市長選は、事実上の与野党対決の構図が固まった。
潮目変えた「種まき」
群馬県は強固な保守地盤に支えられ「保守王国」と称される。自民党は2012年衆院選から4回連続で県内5小選挙区を独占した。これまでに福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三、福田康夫各氏の計4人の首相が誕生した。
県庁所在地の前橋市は、県内でも郡部に比べ無党派層の割合が高いとされる。それでも、自民党県連関係者は今回の市長選に自信を見せた。「山本氏が1万票差で勝ちきれる」
これに対し、小川陣営は「今のままでは、小川氏が1万票差で負ける」と認めつつも、こう付け加えた。「今まいている種が芽を出さなければね」
次第に「種」の正体は明らかになる。昨年12月末、山本陣営に重苦しい空気が広がった。「小川氏支持に一部の保守層が回っている」
山本陣営の関係者は「前回と同様、今回の市長選も保守分裂選挙となり、厳しい展開が予想される」と懸念。潮目が変わった瞬間だった。
伏線は12年前の確執
伏線は、山本氏が初当選した2012年の前橋市長選までさかのぼる。当時の現職は高木政夫氏。群馬県議会議長を経て、2004年から市長を2期務めた重鎮だ。
2012年市長選も保守分裂選挙で、初当選の山本氏と落選の憂き目に遭った高木氏との確執が生じた。これに加え、前回2020年の市長選も保守分裂により、元県議の岩上氏が山本氏と対立し、落選した。
小川陣営は過去の市長選を巡る経緯に着目。高木、岩上両氏を支持する保守層の取り込みを急いだ。「敵の敵は味方」との発想だ。陣営関係者は「今回の市長選も保守票の行方が勝敗を決する」と強調した。
自民批判控える作戦が奏功
対する山本陣営は、各勢力が結集した小川陣営にくさびを打ち込む。今回の前橋市長選告示まで約2週間となった今年1月13日。山本氏は自身のX(旧ツイッター)に「共産党と連携する政治に前橋を任せられない」と投稿した。
狙いは「共産党アレルギー」に敏感な保守層を小川氏支援から引きはがすためだ。「一定の効果はあった」(山本陣営)ものの、保守層をつなぎとめる決定打とならなかった。
一方、小川陣営の戦略は対照的だった。保守層を含む幅広い支持層への浸透を見据え、自民党批判を抑制。派閥の裏金事件への言及を控えた。
代わりに小川氏は、山本市政3期目に起きた前橋市の元副市長による官製談合事件に触れ「クリーンな市政への刷新」を主張。「初の女性市長誕生」をスローガンに、子育て支援施策の拡充などを訴えた。
この戦略が奏功し、有権者の中には山本氏の会合へ参加しつつ、小川氏に投票した「面従腹背」(小川陣営)の人もいたという。2月4日夜、小川氏の初当選が確実になると、陣営幹部はこう述べ、胸を張った。「われわれの作戦勝ちだ」
低投票率でも圧勝、地殻変動か
今回の前橋市長選は投開票の結果、小川氏6万0486票、山本氏4万6387票。小川氏が山本氏に約1万4千票差をつけ圧勝した。とはいえ、有権者の関心が高まったわけでなかった。
投票率は39・39%。前回の市長選より3・77ポイント下回った。一般的に低投票率なら、現職の山本氏が優勢となるはずだ。なぜなら3期12年の実績と組織力があるからだ。
2月14日。山本氏が市長として最後となる記者会見に臨んだ。会見の終盤、報道陣から問われるわけでもなく、こう切り出した。「中央政界も自己浄化できていない。身を切る痛みを示さないと、この地殻変動は止まらない」
発言は自民党派閥の裏金事件を念頭に、今回の市長選への影響を示唆したとみられる。
自民党群馬県連幹事長で県議の井下泰伸氏も、自民党が惨敗し政権から転落した2009年衆院選を引き合いに「謙虚に声を聞く姿勢が有権者に伝わらなければならない。政権交代で学んだはずだ」と警告する。
「王国」の不敗神話が崩れる
山本氏の敗因分析は他にもある。群馬県の山本一太知事は自身のブログで、支援した山本陣営に「油断と慢心」があったと指摘。自民、公明両党の推薦を取り付けた直後から「特に強まった」と書き込んだ。
自民党県連幹部は「有権者が10年超も続く現市政に閉塞感を抱いた」と総括する。
国民の政治不信が自民党派閥の裏金事件で高まり、岸田内閣の支持率は低迷したままだ。自民党筋は来たる国政選挙を意識し、警戒を強める。「保守地盤で不敗神話が崩れた。『前橋ショック』が全国各地で生じかねない」
小川氏は2月28日、新市長に就任した。1892年の市制施行以来、初めての女性市長となるった。
●村山富市元首相が100歳 「平和な国であり続けて」 3/3
自民、社会、新党さきがけの3党連立内閣を率いた村山富市元首相が3日、100歳の誕生日を迎えた。社民党の福島瑞穂党首は、村山氏が先に発表した「日本がどこまでも平和な国であり続けることを願っている」とのコメントを踏まえ「本当におめでとうございます! 平和の実現に向けてがんばります」とX(旧ツイッター)で祝意を表した。
村山氏は1924(大正13)年3月3日生まれ。社民党の前身、社会党の委員長だった94年6月、連立政権の首相に就き、96年1月まで務めた。
今月1日に発表したコメントで、100歳を迎える心境を「実感はないが、一日一日、家族と過ごせることを幸せに思っている」と明かした。
●村山富市元首相が100歳に「大相撲を見るのが楽しみ」健康の日課は「1日2回の散歩と体操」 3/3
「トンちゃん」の愛称で知られ、第81代内閣総理大臣を務めた村山富市元首相が3日、100歳の「百寿」の誕生日を迎えた。
村山氏は3日までに、社民党を通じてコメントを公表。100歳を迎えた感想や長寿の秘訣(ひけつ)について「100歳の実感はないが、無理をせず、自然体で暮らすことかな。1日1日、家族と過ごせることを幸せに思っている」と回答。健康のための日課は「大相撲を見るのが楽しみ」とした上で「週3回、デイケアに行き、1日2回の散歩と体操を続けている」と、最近の日常についても語った。
「今の日本の政治について思うこと」としては「日本がどこまでも平和な国であり続けることを願っている」としている。
村山氏は1914年(大正3)3月3日、大分県生まれ。明大卒業後、大分市議、大分県議をへて1972年(昭47)12月の衆院選で初当選。2000年6月まで当選8回を数えた。
1994年6月、羽田孜首相の退陣を受け、自民党、社会党(当時)、新党さきがけによる自社さ連立政権の首相として就任。社会党の首相は、1947年の片山哲内閣以来、当時47年ぶりだった。在職中には1995年の阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件など、社会を大きく揺るがした自然災害や事件の対応に当たった。1996年1月11日まで561日間、首相を務めた。
先月23日には、母校の明大の卒業生でつくる「校友会」会長を務める北野大さんらが大分市内の村山氏の自宅を訪れ、100年分の新聞記事を集めた記念品を贈り祝福。村山氏はその際も、元気そうな姿をみせている。 

 

●地震で液状化の復旧、説明不足 発生2カ月、石川・内灘町 3/4
能登半島地震で地盤が液状化し、住宅に傾斜や沈下の被害が多発した石川県内灘町で住民向けの説明会などが開かれず、復旧や復興に向けた具体的な方策が見えないまま発生2カ月を超えた。被害が出た地域は町内でも高齢化率が高く、住宅再建が難しければ人口流出の恐れも。町が掲げる「災害に強い町づくり」に向けては、住民にとって合意形成の前提となる情報が不足している。
国土交通省が公表した宅地の液状化被害は推計で石川県のほかに新潟県と富山県の計約1万5千件に上る。内灘町では砂質の地面が液状化するだけでなく、横に滑る「側方流動」が起きたとみられる。砂が流出した部分で建物や道路が陥没し、流れ込んだ部分で建物が傾いたり地面から砂が噴き出したりしている。
町内の住宅被害は今月1日現在、1421棟に上り、大半は液状化が原因とみられる。特に被害が大きかった宮坂、西荒屋、室、湖西といった地区は砂丘の斜面を切り出して開かれた古くからの住宅街。4地区の高齢化率は38%と町全体に比べて10ポイントほど高い。高齢者にとって再建の負担は重い。
●安倍派で事務総長経験 下村博文議員が“政倫審”に出席の意向を党幹部に伝える「出席して説明する用意がある」 3/4
自民党の派閥の裏金事件をめぐり、安倍派で事務総長を務めた下村博文議員が衆議院の政治倫理審査会に出席する意向を党幹部に伝えたことがわかりました。
下村議員はJNNの取材に対し「出席して説明する用意がある。今後、政倫審が開催されるのであれば、党と相談をして説明責任を果たしていきたい」と話しています。
●真相は藪の中? 「事実を話している」 安倍派トップが政倫審に出席も自らの関与を否定するばかり 3/4
自民党の派閥による政治資金パーティーをめぐる裏金事件に関連し、清和政策研究会の塩谷立 座長が衆議院政治倫理審査会に出席した。しかし、自らの関与を否定するばかりで、真相究明とは程遠い結果に終わった。
裏金関与や私的流用を否定
2024年度の政府予算案の採決をめぐり、立憲民主党が衆議院予算委員会・小野寺五典 委員長の解任決議案を提出したことに伴い、約4時間遅れで始まった自民党・安倍派の塩谷立 座長に対する政治倫理審査会。
塩谷座長は冒頭、「長年、清和研の幹部を務めてきたが、政治資金パーティーをめぐる問題には一切関与しておりません。東京地検特捜部が捜査を尽くした結果、立件の必要なしとの結論に至ったと承知している」と裏金事件への関与を明確に否定した。
安倍派では、各議員がパーティー券の販売ノルマを超えた分について、派閥の政治資金収支報告書に記載しないまま議員側にキックバックし、議員側も自身の収支報告書に収入として記載しないことが常態化していて、塩谷座長も受領したキックバックを収支報告書に記載していなかったが、「今回の一連の問題が発覚するまで一切関知していなかった」と釈明。その上で、受領したキックバックは「交通費や交際費など、すべて政治活動のための費用として全額適切に使用し、私的流用は一切ない」と強調した。
キックバック存廃に関する議論の経緯
塩谷座長によれば、キックバックは「二十数年前から始まったのではないかと思うが、正確には承知していない」という。
ただ、このキックバックに関して、2022年4月に当時の派閥会長である安倍晋三 元総理が廃止する方針を示したと言われている。
この点については塩谷座長も認めていて、「安倍会長がどういう言葉で言ったか記憶がないが、いわゆる『金の流れには不透明性がある』『現金での支給はやめた方がいい』というような話があって、還付(キックバック)はやめようということになったと記憶している」と口にした。
そうなると、安倍元総理がその時に不記載を認識した上でキックバックを廃止しようとしていたのではないかという疑問が浮かぶが、塩谷座長は「私だけでなく不記載のことを聞いた人は(その場に)1人もいないと思うし、その指示は受けていない。仮に具体的に不記載のことがあったら当然直していたと思う、その時点で。不記載について、それを改善しようとは話は残念ながらそこで出なかった。これは事実」と断言。そして、「しっかり事実を話している。ぜひ、それは理解してほしい」と語気を強めた。
ところが、派閥幹部の間でこうした議論がありながらも、実際には2022年7月に安倍元総理が凶弾に倒れて以降もキックバックを継続。であるならば、問題は誰が継続を“主導”したのかということだ。
塩谷座長は直後の8月に行われた派閥の会合の中でキックバックについて協議したことは認めながらも、「多くの人たちから『なくなっては困る』と。清和研をどうするかが大変な問題で、還付をどうするかということについて、困っている人がたくさんいるから『それではしょうがないかな』という、それくらいの話し合いの中で継続になったと私は理解している」と、最終決定を下した幹部について明言を避け、「8月に協議して以降は具体的に我々で決めたわけではない」と、にわかに信じがたい発言に終始。
また、会合ではキックバックの方法について議員個人の政治資金パーティー券を派閥が購入するアイデアも出たとされているが「私は誰が言ったか記憶がないが、そういったことがアイデアとして出されたことは記憶している」と話した。
モヤモヤ残った政倫審
この裏金問題をめぐっては、安倍派に所属する前防衛副大臣の宮澤博行 衆議院議員が、2023年12月に「『しゃべるな!』『しゃべるな!』これですよ」と派閥の中でかん口令が敷かれていたことを明言している。
しかし、このことを問われた塩谷座長は「宮澤議員に対してそのようなことを言ったことはない。宮澤議員に誰が言ったか聞きたいところではあるが、こちらからそういった指導をしたことはない」と否定。
結局、1時間あまりの審査で新たな事実が明らかにされることはなく、従来通りの話が繰り返された。
だが、過去の発言と整合性が取れない部分や事実に反する発言があったことも事実だ。
思えば安倍派の裏金事件は、まだ疑惑の段階だった際に塩谷座長がキックバックについて「そういう話はあったと思う」と言及したことで疑念が深まった。
事の重大性に気付いたのか、この発言はわずか数時間で「事実確認しておらず撤回したい」と翻したが、今回の政倫審で塩谷座長は「還付については政治資金を調達する方法としては良いことだと思っていた」「還付することについては、若手議員がパーティーを活用して政治資金を調達する方法としては良いことだと思っていた」などと繰り返し、以前からキックバックの存在を認識していたことを明らかに。当該の発言は「誰に(キックバックが)あったか確認してないので撤回した」と苦しい言い訳をした。
さらに、キックバックが「二十数年前から始まったのではないか」と推測する理由については、「私自身は1996年から7年間浪人した。派閥のパーティーが始まって『こういう仕組みでやるんだ』という時にはいなかったと思うし、私が戻ってきてそういうことになっていたという記憶で話をしている」と説明。
たしかに、塩谷座長は1996年の衆院選で北脇保之 氏(元浜松市長)に、2000年の衆院選で鈴木康友 氏(前浜松市長)に敗れ、比例復活も叶わなかったし、落選期間中にキックバックの仕組みが作られたことも事実なのかもしれない。
とはいえ、北脇氏の市長選立候補に伴い行われた1999年の補欠選挙では鈴木氏に勝利し、1年あまりの間、国政の舞台に戻っていて、その記憶まで失くしてしまったということはないだろう。
国民から厳しい目が向けられる中で
「国民感覚とはかけ離れた永田町の常識を反省し、実態を是正した上で政治資金のさらなる透明化を図ることが必要」
政倫審で与えられた弁明の機会に、このような主張をした塩谷座長だが、審査では本当に自らが知っていることを洗いざらい話したのだろうか。
自身を含む安倍派幹部が立件されなかったからといって幕引きを図ることなく、この言葉を体現できるよう汗をかくのか、国民は塩谷座長の今後の言動や行動に厳しい目を向けている。
●「安倍派幹部の証人喚問を」 参院でも裏金問題追及続く 3/4
2024年度予算案を巡り、参議院での本格審議が始まりました。野党側は裏金問題で安倍派幹部を証人喚問するよう迫りました。
立憲民主党は、安倍派がキックバックを継続した経緯について西村氏と塩谷氏の説明に食い違いがあるとして確認するよう求めました。
立憲民主党 辻元代表代行「総理が電話かけるなり、官邸に呼んで聞けばいいだけの話じゃないですか」
岸田総理大臣「実態把握に向けて党として対応を考えます」
辻元代表代行「党の誰がやるんですか。茂木幹事長ですか」
岸田総理大臣「党としての対応を党の幹部で判断致します」
辻元代表代行「最初から呼んで聞けばいいじゃないですか」
岸田総理大臣「食い違っているかどうかという判断も含めて、実態把握に努めて参ります」
野党側は、真相解明のため証人喚問などを求めていく構えです。
秘書だけではなく、政治家の責任を問う連座制の導入については、岸田総理は「一定の悪質な部分について考えるべきだ」と述べるにとどめました。
衆議院では予算案の審議を急いだ理由について「4月に衆議院解散を考えているからではないか」との質問に、岸田総理は「全く考えていない」と否定しました。
●参院でも裏金論戦、野党追及 予算委に首相と全閣僚出席 3/4
令和6年度予算案は4日午前、参院予算委員会で基本的質疑が始まる。衆院は異例の土曜審議を経て2日に通過した。予算委には岸田文雄首相と全閣僚が出席し、参院の論戦が本格化する。午前中は立憲民主党が質問に立ち、衆院に引き続き自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を追及。少子化対策の財源に関し、実質的な負担は生じないとする首相の説明姿勢も厳しくただす。
立民の辻元清美氏は、裏金事件の再発防止に向けて企業・団体献金の禁止を要求する。石橋通宏氏は、少子化対策の財源として公的医療保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金」を取り上げ「実質的な増税」だと批判。裏金を受領した安倍、二階両派幹部ら自民議員の責任の取り方や処分方針を問う。石垣のり子氏は、東京電力福島第1原発の汚染水漏れや作業員への廃液飛散など相次ぐトラブルについて説明を求める。
●「総理、火の玉になれ」立憲・辻元氏、派閥裏金問題で岸田氏を追及 22年前には自身の秘書給与問題で議員辞職 3/4
参議院予算委員会で、立憲民主党の辻元清美議員は、衆議院の政治倫理審査会で、塩谷元文科相と西村前経産相が、安倍派での裏金復活の経緯について発言が食い違っている問題について「総理、火の玉になってと言ってる、塩谷さんと西村さんを呼んで『食い違ってるじゃないか、そこが国民関心があるんだ』と確認したらどうですか」と岸田首相に詰め寄った。
これに対し岸田首相は「政治資金収支報告書の修正作業が今行われている、説明が続けられる中で実態をどこまで把握することができるのか」と述べるにとどめた。これに対し辻元議員は「首相が電話かけるなり、官邸に呼んで聞けばいいだけだ、やる気無いのか」とさらに詰め寄った。
辻元氏の追及はさらに続き、岸田首相が「党幹部を中心に実態把握についてさらに何が必要か考える」と述べたのに対し「党の誰がやるのか、茂木幹事長がやるのか」と質したが、岸田首相は「幹部で判断し、総裁である私が判断する」と述べるにとどめたため辻元氏は「最初から呼んで聞けばいい、食い違いがはっきりした、この点が焦点だ」と食い下がった。
この質問に対しても岸田首相は、裏金のキックバックが復活したことについて「(党の調査で)復活させた幹部の責任が把握されている、これからの政倫審での国会での議論を総合的に党の判断の材料としなければならない」と述べ、岸田首相自ら、塩谷氏や西村氏を呼んで調べる対応を示さなかった。
辻元氏は、22年前に、自身の秘書給与問題で議員辞職をし、その際に国会の参考人招致に出席して説明した経験も踏まえ「参考人招致から私は逃げなかったから(国会議員に)復帰できた、自民党若手議員に、真実を語れと呼びかけてください」と求めた。
●辻元清美氏「国民に代わって総理が」裏金議員への事実確認求められるも岸田首相は「空虚答弁」 3/4
立憲民主党の辻元清美参院議員は4日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席した安倍派幹部の言い分が食い違ったままのことを踏まえ、自身が指導力を発揮して説明責任を果たさせるよう岸田文雄首相に求めた。
さきの政倫審では、会長を務めた安倍晋三元首相が生前、廃止するとした裏金のキックバックが、安倍氏の死後に復活したことをめぐって、その経緯や時期について西村康稔前経産相と松野博一前官房長官、塩谷立座長、高木毅前国対委員長の間で、一部食い違いが明らかになった。
辻元氏は「西村さんは結論が出なかった、塩谷さんは今年は継続は仕方ないということになったと。どっちかがうそをついているということですね」と指摘したが、首相は「私が食い違いなどについて判断することはできないが、国民の関心事なので、説明が行われることが期待される」と、人ごとのような答弁を口にした。
辻元氏は「総理は火の玉になると言っている。火の玉になるなら、塩谷さんと西村さんを呼んで、どっちなんだと確認したらどうですか」「官邸に呼んだり、電話すればいい。国民(の疑問)に代わって総理がただしてほしい」と、積極的に真相解明に動くよう求めたが、首相は「実態把握に向けてどうした方策が可能か考える」「党として役割を果たす」などと述べるだけ。「誰がやるのか。茂木(敏充幹事長)さんか」と、最近首相との関係悪化が指摘される茂木氏の名前を挙げて辻元氏が突っ込んでも、首相は「党の幹部で判断し、私が最終的には判断します」とこわばった表情で答えるだけだった。
実態解明に向けて、幹部だけではなく若手議員を政倫審に出席させて説明させるべきとの指摘にも、首相は「政倫審での議論を総合的に党として判断し、実態把握に務める」と述べ、辻元氏は「空虚な答弁だ」と、首相の塩答弁を批判した。
●子育ては社会全体で行うもの!こどもスマイルムーブメント「育業」の考え方 3/4
2021年6月に「育児・介護休業法」(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)が改正され、「産後パパ育休」の創設や育児休業を分割で取れるようになりました。
また、昨今は岸田政権が「異次元の少子化対策」と題して、さまざまな支援施策を始めたりと、出産支援や子育て支援に焦点が当たっています。
そこで、今回は東京都が行っている「こどもスマイルムーブメント」という取り組みをご紹介します。
こどもスマイルムーブメントとは?
こどもスマイルムーブメントは、2021年12月19日にスタートアップイベント「キックオフ・アクション」をオンラインで開催し、本格始動しました。
東京都をはじめ、市区町村、企業、経済団体、大学・学校など幅広い主体と連携し、主体それぞれの強みを活かした取り組みを展開することで、「チルドレンファースト」の社会を創出することを目指しています。
行動指針は以下のとおりです。
こどもスマイルムーブメント宣言(行動指針)
01 全てのこどもが今と将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに成長できるよう、全力でサポートする
02 こどもが社会の一員として様々な場面で参画できる機会の創出に努め、こどもの目線に立った取組を推進する
03 社会全体で「こどもを大切にする」気運を醸成し、安心して働き、子育てができる環境づくりに取り組む
引用元:東京都こどもスマイルムーブメント「こどもスマイルムーブメントとは」
こどもスマイルムーブメントの「コア・アクション」
上記の行動指針に基づき、こどもスマイルムーブメントを牽引するコア・アクションが4つ展開されています。
   育業
育業は、サイト内に以下記載があるように、育児休業にある「休む」というイメージから「大切な仕事」と考えるマインドチェンジを図るため、さまざまなコンテンツを公開しています。
育児は「休み」ではなく、「未来を育む大切なしごと」
だから「育休」ではなく「育業」です
引用元:東京都こどもスマイルムーブメント「育業」
   地域におけるアクションの促進
地域におけるアクションの促進としては、市区町村と企業・団体が協働して、子ども向けの体験イベントを開催しています。
直近ですと、「こどもがつくる『期間限定の仮想都市』体験」として、仮想都市の中でやりたいお店を考えたり、仮想都市の住民になってお店屋さんとお客さんを体験するプログラムや、「身近な樹木に親しむプログラム」が開催されました。
   こどもスマイル大冒険
「こどもスマイル大冒険」では、子どもたちが夏休みの期間中に、遊び・学びにつながるイベント・プログラムを集中的に開催していました。
オーケストラコンサートの招待もあったようです!
2023年分は終了していますが、2024年の夏も開催するのではないでしょうか。
   こども・子育てお悩み相談室
また、「こども・子育てお悩み相談室」として、子どもや子育て世代からのお悩み・質問に、著名人が回答するかたちの記事が公開されています。
子ども向けの記事では、ひらがなが多く使われているなどの配慮がされています。
親子で読んでみるのも面白いかもしれませんね。
さて、4つのコア・アクションをご紹介しましたが、企業の方々にとって一番関わりの深い「育業」について、もう少し深掘りして見ていきたいと思います。
育児休業は単なる休みではない!
「育業」とは、育児休業に対する愛称であり、「育休」と同じく育児・介護休業法で定められている育児休業制度を指します。先に少し記載した通り、育休にある「休み」のイメージを刷新し、今後の日本の未来のために「皆で取り組むべき大切な仕事」であるという考えにしていこう!という意味が込められています。そのため、育児休業そのものだけでなく、育休から復帰した後の子育て支援(短時間勤務や看護休暇など)も含めて「育業」と呼んでいます。また「育業」には、子育ては夫婦だけでなく、職場の人を含め社会全体の理解とチームワークが大切という意味もあります。
2021年6月の「育児・介護休業法」改正で、「産後パパ育休」などが話題になり、企業内で産休・育休の支援であったり、子育て世代に対する支援に対して、改めて話し合ったりしたのではないかと思いますが、ただ制度を整備しただけになっていませんか? 制度の内容や取得方法をしっかりと周知することが、周りの理解にもつながります。「どんなことが育業にあてはまるのか」「何をすればいいのか」育業を推進するうえでお悩みの企業担当者さまは、HPに掲載されている「参画企業・団体の活動レポート」を見てみるのをおススメします。多種多様な企業・団体のレポートが掲載されているので、きっと参考になる事例があるはずです。
その他のコンテンツとして、育業PR動画や小池東京都知事と企業のトップとの対談動画が公開されています。まず「育業」のイメージをつけたい、東京都がどんな思いで「育業」を始めたのか知りたい、という方は動画コンテンツを見てみるところから始めるもの良いでしょう。
「育業」を推進することは、今現在在籍している社員の離職を防ぐこともできますし、推進していることを社外にアピールすれば優秀な人材確保にもつながります。高齢化社会で人材不足が度々話題になる現代だからこそ、「育業」のような施策、考え方も必要なのではないでしょうか。
●パーティー開催「適切に判断」 林官房長官 3/4
林芳正官房長官は4日の記者会見で、在任中に自身の政治資金パーティーを開催する考えがあるか問われ、「国民から政治に対する厳しい目が向けられていることも踏まえて適切に判断する」と明言を避けた。他の閣僚の開催については「大臣規範の趣旨も踏まえて適切に判断すべきだ」と述べた。
●少子化に歯止めかけないと経済・社会システム維持困難=岸田首相 3/4
岸田文雄首相は4日午前の参院予算委員会で、人口動態統計速報で2023年の出生数が過去最少となったことについて「深刻に受け止めている」と述べた。その上で「急速な人口減少、あるいは少子化に歯止めをかけないと、わが国の経済・社会システムそのものを維持することが難しい」と語った。石橋通宏委員(立憲)の質問に答えた。
岸田首相は、子ども・子育て政策に注力する必要があるとの認識を示す一方、若い世代の所得向上など「経済の好循環もしっかり取り戻さなければならない」と主張した。
厚生労働省が発表した人口動態統計速報によると、昨年の年間出生数は75万8631人で8年連続減少した。婚姻数は48万9281組で戦後最少、死亡数は159万0503人で過去最多だった。
●岸田首相「解散、全く考えていない」 4月解散の可能性を問われ 3/4
自民党派閥の裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は4日の参院予算委員会で、4月の衆院3補欠選挙のタイミングに合わせた衆院解散の可能性について問われ、「まったく考えていない」と答えた。立憲民主党の辻元清美代表代行への答弁。
辻元氏は質問で、「4月に補欠選挙がある。補選に負けたら総裁選が危うくなる。だから、4月に一か八か『裏金解散』を考えているのではないか」とただした。これに対し、首相は「まったく考えていない。いま政府与党としては、(新年度政府)予算を年度内に成立させることが何より重要だ。今考えていることは、これに尽きると思っている」と応じた。
予算案をめぐっては政府・与党が野党の反対を押し切り、衆院予算委での採決を1日に強行しようとした経緯がある。憲法の規定で、2日までに参院に送付されれば年度内に自然成立が確定するためで、1日深夜の与野党攻防を経て、土曜の2日に異例の採決となった。
辻元氏は4日の参院予算委で、「月曜に採決をすればいいのに土曜に強行し、参院議員も、職員も官僚も首相にふりまわされることになった」と批判した。
●岸田首相「東電は強い危機感を」=汚染水漏れで、参院予算委 3/4
岸田文雄首相は4日の参院予算委員会で、東京電力福島第1原発で汚染水が漏えいした問題について「安全性向上に向けて、対策を講じていくことを指示した。東電には強い緊張感を持って指示を貫徹してもらうことを求めていきたい」と述べた。立憲民主党の石垣のりこ氏への答弁。
●日経平均株価4万円超え 岸田首相「力強く思っている」 3/4
岸田文雄首相は4日の参院予算委員会で、日経平均株価が史上初めて4万円を超えたことに関し「日本経済の変革の足音に対し、マーケット関係者がポジティブな評価を行っていることは力強く思っている」と述べた。「こうした動きを定着させるために今年は正念場だ。構造的な賃上げを含む好循環が実現できるように政府として取り組む」とも語った。自民党の佐藤正久氏への答弁。
首相は岸田政権で賃上げや投資促進などの経済政策に特に力を入れてきたと強調した。

週明けの東京株式市場で日経平均株価の終値は198円高い4万109円となりました。史上で初めて4万円を突破し、先週金曜日に続き、2営業日連続で史上最高値を更新しました。
週末のニューヨーク市場でハイテク銘柄が多いナスダック総合指数が連日最高値を更新していることを背景に、東京市場でも半導体関連株に買い注文が膨らみました。
日経平均株価の上げ幅は今年に入ってからすでに6000円を超えていて、上昇の勢いが止まりません。
●株価4万円 首相が成果強調 3/4
岸田文雄首相は4日、日経平均株価が史上初めて4万円を突破したことに関し、賃上げなど自身の経済政策に触れ「日本経済の変革の足音に対し、マーケット関係者がポジティブな評価を行っていることは力強い」と語った。「今年は正念場だ。構造的な賃上げを含む好循環が実現できるよう取り組む」とも述べた。参院予算委員会で自民党の佐藤正久氏の質問に答えた。
首相は、政権として投資促進や科学技術・イノベーションの推進に「特に力を入れてきた」と強調。4日発表の法人企業統計調査で全産業の経常利益が4四半期連続で増益となったことを踏まえ、「日本企業の稼ぐ力が裏付けられた。昨年を上回る賃上げも期待したい」と訴えた。
●女性議員を増やすためには 1年生議員がリレートークでもらした本音 3/4
女性の政治参画がうたわれながら、北海道は女性議員が少ない。179市町村議会の25・7%にあたる46議会は女性議員がゼロだ。女性をもっと増やすために必要なものとは何か。地方政治の現場に初めて飛び込んだ1年生議員らの言葉から考えてみたい。
3日、札幌市内で「新春ひな祭り座談会」が開かれた。主催したのは、クオータ制を推進する会(Qの会)・北海道。2022年に発足した超党派議員でつくる団体で、候補者や議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入を目指している。
同会のまとめによると、23年に道内で当選した女性議員は105人。昨年末時点で道内の全女性議員は355人という。 ・・・
●日産、下請けへの約30億円を一方的に減額 法違反で公取委が勧告へ 3/4
日産自動車(横浜市)が下請け業者への支払代金を一方的に減額したことは下請法違反(減額の禁止)にあたるとして、公正取引委員会は近く同社に再発防止を求める勧告を出す方針を固めた。関係者への取材でわかった。計約30億円にのぼる違法な減額があったと認定する見通しで、日産自動車はすでに下請け業者側に相当分を返金した。
関係者によると、日産自動車は遅くとも数年前から、同社に納入する部品を製造する30社以上の下請け業者に対し、発注時に決めた金額から一方的に数%を減額して支払っていた。計約30億円にのぼる違法な減額は、1956年の下請法施行以来、公取委が認定するものとしては過去最高額となる見通し。 ・・・ 
●岸田首相が参院論戦で強気の答弁、旧民主党批判も 3/4
参院予算委員会で令和6年度予算案に関する実質審議が4日始まり、岸田文雄首相と野党の論戦は参院に舞台を移した。自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡る追及は続くものの、同予算の5年度内成立は確実になっている。首相は旧民主党を皮肉る強気の答弁も見せ、「高揚している」(閣僚経験者)との指摘もある。
「マーケット関係者によるポジティブな評価を力強く思っている」
首相は4日の参院予算委で、東京株式市場で日経平均株価が史上初めて4万円を超えたことを歓迎した。「私の政権になってから、賃上げ、投資促進、科学技術イノベーションに特に力を入れてきた」と誇った。
立憲民主党議員に対する反論も目立った。
辻元清美氏は次期戦闘機を含め国際共同開発する防衛装備品の第三国輸出を巡る自民、公明両党の協議について「武器輸出国にならないという国是のようなものを変える大きな問題だ」と指摘。これに対し、首相は「平成23年、民主党政権時代に、殺傷兵器も含めて初めて包括的に当時の武器輸出三原則の例外化措置として、パートナー国からの第三国移転も容認された」と反論した。
石橋通宏氏は自民議員ら32人の参院政治倫理審査会への出席を求めた。首相は鳩山由紀夫元首相を念頭に「御党の前身であった民主党の当時の党首が出席を拒否した経緯もある」と皮肉った。
首相の強気の背景には、予算案の年度内成立が確実になったことがありそうだ。難航した場合、さらなる求心力低下が予想されたほか、予算成立と引き換えに退陣するとの見方も党内にあったからだ。
一方、蓮舫氏は、自民の茂木敏充幹事長らが資金の一部を使途の公開基準が厳格な政治資金規正法上の「国会議員関係政治団体」から公開基準が緩い「その他の政治団体」に移したことで、使途不明となりうる点を追及した。
首相は「現行法の範囲で対応が行われている」とした一方で、「本人が丁寧に説明することが重要だ」と述べた。この答弁について自民ベテラン議員は「突き放したように聞こえた。首相と茂木氏にすきま風がある」と話した。
●立憲・辻元氏「22年前、私は逃げなかった」 首相に真相解明要求 3/4
参院予算委員会で4日、異例の土曜審議で衆院を通過した新年度政府予算案の実質的な審議が始まった。自民党派閥の裏金事件の実態解明を求める野党は、先週の衆院政治倫理審査会で浮かんだ矛盾点などを追及。だが岸田文雄首相は、最後まで自ら解明に乗り出す姿勢を示さなかった。
最初に質問に立った立憲民主党の辻元清美代表代行がただしたのが、安倍派が政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分のキックバック(還流)を廃止する方針を覆した経緯だ。
安倍派では2022年4月、安倍晋三元首相の方針に従って還流廃止を決めながら、同7月の安倍氏死去後に再開した。衆院政倫審では、再開を議論した同8月の幹部会合について、当時、同派事務総長だった西村康稔前経済産業相が「結論が出なかった」と発言。一方、会長代理だった塩谷立元文部科学相は「継続はしょうがないとの結論になった」と述べていた。
辻元氏は食い違いがあるとして、「総理が電話をかけるなり(首相)官邸に呼んで聞くなりすればいい」と指摘。首相に党総裁として自ら主導して真相解明するよう迫った。だが首相は、「発言の食い違いなどについて私は判断することはできない。国民の関心事について説明が行われることが期待される」「党として実態把握を考えていく」と語るだけで、具体策は示さなかった。
辻元氏は、自らが02年に秘書給与の流用問題で議員辞職した過去に言及。「22年前、議員辞職しても(衆院予算委の)参考人招致に応じろと私を引きずり出したのは自民党だ」と指摘したうえで、「私は逃げなかったから(国政に)復帰できたと思っている。『真実を語れ』とここで呼びかけてください」と諭した。だが、首相は「説明責任を尽くしてもらいたいと申し上げている」と繰り返すだけだった。
首相、7回目の再質問でようやく「検討させる」
立憲の石橋通宏氏は、安倍派… ・・・

 

●岸田首相、裏金問題で自分の処分答えず「結果出すことで責任」裏金議員には「けじめつける」 3/5
岸田文雄首相は5日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて、自身に対する処分について問われたが、答弁しなかった。「法改正など結果を出すことで、責任を果たしたい」と述べるにとどめた。
日本維新の会の柳ヶ瀬裕文議員の質問に答えた。
首相は2日の衆院予算委員会で、裏金が指摘された議員については「政治資金収支報告書の修正の進み具合などを見ながら、できるだけ早いタイミングで政治責任などのけじめをつけていきたい」と述べ、処分に踏み切る考えに言及している。
●裏金問題対応めぐり「最大の責任者は私」岸田総理 自身の処分には言及せず 3/5
参議院の予算委員会で、岸田総理大臣は「自民党の裏金問題を対処する最高責任者は誰か」と問われたのに対し、「総裁である私だ」と述べました。
日本維新の会 柳ケ瀬参議院議員「裏金問題なかなかこれ全容見えてこないわけでありますけれども、この裏金問題に対処する最大の責任者、最高の責任者これは誰ですか」
岸田総理大臣「今回のこの事態に対応する最大の責任者、それは自民党にあっては総裁である私であると考えます」
日本維新の会の柳ケ瀬議員は、「最高責任者として自らの処分についても言及すべきだ」と迫りました。
これに対し、岸田総理は政治資金規正法の改正などの取り組みを具体的に進め、「結果を出すことで責任を果たしていきたい」と強調しました。
●自民「解体的出直し図る」 運動方針案発表、裏金陳謝 3/5
自民党は5日、2024年運動方針案を発表した。派閥の政治資金パーティー裏金事件について「深くおわび申し上げる」と陳謝。派閥からの脱却を宣言し「全く新しく生まれ変わる覚悟で解体的な出直しを図る」と表明した。3月17日の党大会で正式決定する。
派閥に関し、資金力と人事への影響力で所属議員を集める「数の力で影響力を持つことを志向する集団だった」と指摘。金と人事から決別し、派閥を二度と復活させないと明記した。
制度改革として「政治資金の透明化や公開性の向上」を掲げた。各党と協議した上で政治資金規正法改正などの法整備を「早急に進める」とも強調した。
●自民党の裏金問題めぐり「声を上げる人が一人もいない。本当に恐ろしいことだよ」 3/5
「青汁王子」こと実業家三崎優太氏が5日までにX(旧ツイッター)を更新。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる問題についてコメントした。
三崎氏は「そもそも自分の事務所の経理もろくに管理できないのに、国のお金の管理ができるわけない」と切りだし「誰がそんな議員に重要な政策を任せたいと思う?」と強調。
続けて「秘書も国民から泥棒扱いされているのに、黙ってていいの? 若手議員もたくさんいるのに、声を上げる人が一人もいないなんて、本当に恐ろしいことだよ」と苦言を呈した。
●岸田首相、「自身の処分は」との質問に論点ずらし答弁 裏金事件の責任は「法改正で果たす」 3/5
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、岸田文雄首相は5日の参院予算委員会で、党総裁として自身を処分する考えがあるか問われたが、直接は答えず、「具体的に(政治資金規正法などの)法改正などの結果を出すことによって責任を果たしたい」と論点をずらして答弁した。
予算委では、日本維新の会の柳ケ瀬裕文氏が「これだけの問題があって、自分の責任についてどのように考えているのか。どのような処分を考えているのか」と追及した。岸田首相は「今回の事態に対応する最大の責任者は自民党総裁である私」と認めながらも、責任の取り方については「法改正等を通じて再発防止を実行することによって責任を果たしていきたい」と述べるにとどめた。
政治資金規正法を巡っては、企業団体献金の全面禁止や政治資金パーティーの全廃、会計責任者とともに政治家本人も刑事責任を問われる連座制の導入などを盛り込んだ改正案が、野党から出ている。
柳ケ瀬氏は続けて、1日の衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席した安倍派の西村康稔前経済産業相と塩谷立元文科相とで、いったん中止が決まった派閥パーティー収入の議員への還流が継続されることになった経緯に関する証言が食い違っていることについて、岸田首相自らがリーダーシップをとって真相を解明するよう要求した。
民間企業に例えて「脱税問題があった。それは経理がやったらしい。部長、課長はみんな、私の問題ではないと逃げ回っている。株主に対して説明する責任は社長にある」と迫ったが、首相は政倫審などでの説明を「見守りつつ、党としても実態把握について総合的に判断するための取り組みを用意したい」などと消極的な答弁に終始した。
●裏金議員の閣僚起用、責任踏まえ判断と首相 3/5
岸田文雄首相は5日の参院予算委員会で、裏金を受領した議員の、閣僚を含む政務三役など要職起用に関し「本人が説明責任、政治責任を果たしたという判断が求められる」と述べた。
●松尾貴史 「お答え差し控える」急増の国会に提言「3回目で自動的に議員辞職」 3/5
俳優の松尾貴史が5日、X(旧ツイッター)を更新し、国会で激増する定型文≠ノあきれ果てた。
自民党の裏金問題を筆頭に国民の不満は高まるばかり。そんななか、立命館大学研究者の桜井啓太氏が1月、国会会議録検索システムを利用して、国会で「お答えを差し控える」が飛び出した回数を可視化した。
そのデータによると、1970年にはわずか7回だった「お答えを差し控える」の回数は、2014年の275回から急増し、昨年はついに602回の新記録≠樹立した。
これに松尾氏はXに「3回目で自動的に議員辞職を」と投稿。
現在、このグラフはSNSで拡散。一連の政治とカネの問題でも「お答えを差し控える」が乱発されていることもあり、「そんな言い訳は通用しない」「聞かれても答えない国家」などと怒りの声が上がっている。
●「自ら墓穴を掘るタイプ」辻元議員、岸田首相に裏金問題迫るも…なぜか自身の醜聞持ち出して大ブーメラン 3/5
3月4日の参院予算委員会は、立憲民主党の蓮舫議員と辻元清美議員の独壇場だった。
蓮舫議員は前夜7時すぎにXを更新。《辻元ちゃんと連絡。 明日に向けてお互いがんばろう、と。》と綴るなど、気合は十分の様子だった。
「蓮舫氏は、新藤義孝経済再生担当大臣が領収書の公開が必要な政治団体から公開の必要がない政治団体に2億6000万円を移していることを指摘。
『裏金化しているのではないか。政治資金の隠蔽じゃないのか』と迫ると、新藤大臣は持っていた書類を机に叩きつけ、『隠蔽とはどういうことですか』と激怒、反論しました」(政治担当記者)
その蓮舫議員に先立ち、午前の質問に立ったのが辻元氏だ。辻元氏は不敵な笑みを浮かべながら質問席に。対峙する岸田文雄首相に対し、自民党のパーティー収入不記載について道義的責任を問いただした。
「辻元節は絶好調でしたね。『自民党の裏金議員は何人いるのか。4.4人に1人だ。大臣席に(座るのは)20人。このなかに5人いるということだ』と具体的な数字をあげ、さらに『塩谷さん、西村さん2人を呼んで『どっちなんだ』と確認したらどうか。電話かけるか、官邸に呼んで聞けばいいだけの話だ。火の玉になってやるのではないか』と迫りました。
さらに、『4月、イチかバチかの “裏金解散”、総理、ちょっと考えているんじゃないですか』とも聞きました」(前出・政治担当記者)
ところが、辻元氏はここで自らの醜聞をあえて持ち出した。
「私ね、22年前、秘書給与問題で議員辞職したんですよ。そのときですね、『議員辞職しても参考人招致に応じろ』と、私を引きずり出したのは自民党なんですよ。
私は、震えながら(参考人招致に)出たんです。でも、逃げなかったから(国会議員として)復帰できたと思っています」と自身の体験談を織り交ぜながら疑惑の解明を訴えたのだが――。
「この発言にブーメランが襲いかかりました。辻元氏は2002年、勤務実態のない政策秘書に、国から支給される秘書給与のうち月5万円を『名義料』として支払い、残りを私設秘書やアルバイトの給料などに流用していたことが発覚。議員辞職しました。
その際に記者会見を開いたのですが、そこで『お詫び』はしましたが真相についてはほとんど語らず、会見は15分で打ち切られたのです。
当時、共産党の志位和夫委員長は『心情は語ったが、真相は語っていない』と評しました。そのため当時を知る自民党議員などから『逃げっぱなしだったじゃないか』という声が出ているのです」(永田町関係者)
SNSにも、《過ぎたことは綺麗さっぱりや忘れる方のようです》《自ら墓穴を掘るタイプ》《逃げてたと思うんですけどね》などの書き込みが多かった。立憲民主党関係者からも「あえてこのエピソードを持ち出す必要はなかったのでは」という声が聞こえる。
●裏金づくりいつ誰が再開? 安倍派幹部“食い違い” カギ握る下村氏 3/5
5日も参議院で裏金事件を巡る論戦が交わされました。注目は下村議員です。「実態解明のキーパーソン」とも呼ばれています。
安倍派幹部“食い違い”きょうも追及
裏金問題の全容解明を求める声に岸田総理大臣はどう応えるのか。
日本維新の会 柳ケ瀬裕文議員「西村さんと塩谷さんで発言が食い違っている。総理がリーダーシップを持って発言の食い違いをしっかりと明らかにする、これは総理の責任でしっかりやるべきだと」
岸田総理大臣「党としても実態把握について総合的に判断するための取り組み、これを用意したいと考えています」
先の政倫審で浮き彫りになった「謎」の一つ。それは、安倍元総理の死後、“誰が裏金づくりを再開させたのか”という問題です。
おととし4月、安倍元総理のもとで幹部4人らが集まり、いったんやめることが決まったキックバック。
ところが7月に安倍元総理が亡くなると所属議員から再開を求める声が上がり、8月上旬に再度話し合いが持たれたとのこと。
自民党安倍派 元事務総長 西村前経済産業大臣「どう対応するかと協議を致しましたが、その時は結論は出なかったと」
結論は出なかったとする一方…。
自民党安倍派 座長 塩谷元文科大臣「今年に限っては(キックバックは)継続するのはしょうがないかなと」
どちらが正しいのか…。
カギ握る下村氏 政倫審出席は?
ここへきてその会合に出席した1人、下村元文部科学大臣が突然、衆議院の政倫審に出席する意向を党幹部に伝えました。
安倍元総理亡き後、安倍派の集団指導体制から外れたものの、当時、安倍派の中枢にいた下村元文科大臣。キックバック再開の経緯をどう説明するつもりなのか。
実はおととし8月上旬の会合についてはこんな話をしています。
自民党安倍派 元事務総長 下村元文科大臣「還付については、個人の資金集めパーティーの所に上乗せしてそこで収支報告書で合法的な形で出すということもあるのではないかと」
それまで現金で行われていたキックバックについて、派閥が議員個人のパーティー券を購入する形にしたらどうかという代替案が出たというのです。
安倍派幹部がキックバックの違法性を認識していた可能性があるのでは、との臆測を呼んでいます。
衆議院で政倫審が再び開かれるのか、自民党内からは冷ややかな声が上がっています。
自民党幹部「せっかくここで収まっているのに政倫審に出席して食い違いがあれば、また複雑になるだけだ。最初から出てこなかったんだから立ち止まっておけという話だ」
自民党側は弁明は記者会見でもできるとして、政倫審を開くことに否定的です。
●岡田幹事長、裏金議員は「閣僚、党の幹部をやっている資格があるのか」 3/5
岡田克也幹事長は3月5日、国会内で会見を行い、先週衆院で行われた政治倫理審査会、昨日行われた参院予算委員会における自民党の裏金議員について発言しました。
先週行われた衆院の政倫審の質疑について、岡田幹事長は、西村康稔議員が言及した「現金でキックバックをやるのをやめる」との安倍元総理の提案に関連して、「振込にできない理由があった」「違法性の認識を持って、幹部が集まって話し合ったのではないか」と指摘しました。
昨日の参院予算委員会で蓮舫議員が指摘した、茂木自民党幹事長、新藤経産大臣が、領収書を公開する必要がある国会議員の関係政治団体から、公開の必要が緩い「その他の政治団体」に、多額の資金を移して「裏金化」しているのではないかとの疑惑について、岡田幹事長は「未だにこんなことをやっているのか」「閣僚、党の幹部をやっている資格があるのか」と批判しました。
石橋議員がとりあげた「参院選挙の時には参院議員は全額キックバックを受けていた」件について、岸田総理は「把握できない」ではなく「きちんと確認すべき」「横領、詐欺の可能性もでてくる」と述べ、「残された課題だ」と指摘しました。
●「恥の上塗り」不倫謝罪の広瀬めぐみ氏に自民党内でも厳しい声 裏金問題にラブホ不倫重なる 3/5
「週刊新潮」で、カナダ国籍男性との「ラブホ不倫」を報じられた自民党の広瀬めぐみ参院議員(57=岩手選挙区)は5日、地元の盛岡市で報道陣の取材に応じ、報道内容を「事実でございます」と認め、謝罪した。
広瀬氏は、ダーク系のスーツに、いつもの国会でのスタイルとは違って、眼鏡をかけて臨んだ。
「私の不徳の致すところにより多くの方々に多大なるご迷惑とご心配をおかけしてしまった」と述べた上で「私の軽率な行動で学生時代から支え続けてくれた夫を裏切ることになり、子どもたちにもつらい思いをさせ、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と、涙ながらにコメント。「それでも家族はこんな私を許してくれ、今後も一つの家族として頑張っていこうと言ってくれた。私も一生かけて夫と家族に償ってまいります」と訴えた。
記事では、不倫問題を報じられることによる「身の処し方」に触れたくだりもあるが、広瀬氏はこの日、議員辞職や離党は否定した。一方で、党岩手県連副会長は、辞職勧告を受けたとして辞任した。
党からは「厳重注意」を受けたという。
「申し訳ありませんでした」のフレーズを、何度となく繰り返した広瀬氏。「公務」を理由に取材対応は10分弱だった。
広瀬氏は1男1女の母親で、弁護士を経て、2022年参院選で初当選したばかり。岩手は、立憲民主党の小沢一郎衆院議員の影響力が強い「小沢王国」と呼ばれる地域だが、その牙城で小沢氏側近の現職をやぶった。自民党が参院岩手で議席を得たのは30年ぶりで、それだけ広瀬氏への注目も高かった。
自民党が裏金問題で国民の厳しい批判を受けるさなかの不倫スキャンダルには、身内からも「恥の上塗りだ」(自民党関係者)などの厳しい声が出ている。広瀬氏は「仕事で精進する姿を見せ、少しでも信頼を取り戻せるよう誠心誠意努めたい」と述べたが、前途は多難だ。
●岸田首相、裏金議員の閣僚起用に条件「説明、政治責任果たしたか」 3/5
自民党派閥の裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は5日の参院予算委員会で、党総裁である自分に責任があるとする一方、自らの処分については答えなかった。また、裏金作りが判明した自民議員が説明責任と政治責任を果たさなければ、今後、閣僚など政務三役に起用しない考えを示した。
日本維新の会の柳ケ瀬裕文氏は、安倍、二階両派幹部が弁明を行った先週の衆院政治倫理審査会について、「責任逃ればかり。無責任な体質が日本の政治の姿なんだと、がくぜんとした」と語り、「裏金問題に対処する最高責任者は誰か」とただした。
これに対し首相は、「今回の事態に対応する最大の責任者は、自民党総裁の私である」と回答。柳ケ瀬氏が首相自身の処分について繰り返し尋ねたが、「法改正などを通じて再発防止を実行することで、責任を果たしていきたい」と述べるにとどめ、正面から答えることはなかった。
一方、裏金作りが判明した議員の処分については、この日も重ねて言及した。
維新の音喜多駿政調会長が「裏金議員たちには議員辞職も含めて厳しい処分を促すべきではないか」と求めると、首相は「関係者の処分などの政治責任は可能な限り早いタイミングで党として判断する」と応じた。
関係議員を今後、政務三役などに起用する可能性について問われると、首相は「説明責任、政治責任を十分果たしていないということならば、役職に就いた際に、国政の遅滞を生じさせてしまうことになりかねない」と答えた。そのうえで「それぞれの立場を踏まえた説明責任、政治責任を果たしたという判断が求められる」とし、これらが起用の条件になるとの考えを示した。一方、説明責任と政治責任を果たしたとする判断基準には触れなかった。 ・・・
●森元首相の関与、還流の継続判断…… 問われる下村氏の発言 3/5
かつて自民党安倍派の幹部だった下村博文・元文部科学相が、衆院政治倫理審査会に出席する意欲を示した。現幹部の「5人衆」とは距離があり、同派のオーナー的存在の森喜朗元首相とも疎遠。出席が決まれば、実態解明へのキーパーソンになるとみられる。
還流をめぐっては、会長だった安倍晋三元首相が2022年4月上旬の幹部会合で廃止を打ち出したが、安倍氏の死去後の同年8月上旬、廃止方針の見直しをめぐり、幹部が協議したことが分かっている。方針は覆り、22年のパーティー分では還流を実施。1日の政倫審での高木毅前国会対策委員長の証言によれば、22年暮れごろの幹部会合で23年分の還流廃止が決まったという。
下村氏は22年4月、同年8月、同年暮れごろ、それぞれの幹部協議に参加していたとされる。このため、幹部たちが違法性を認識した時期、還流の廃止をめぐって二転三転した経緯など、安倍派幹部4人の証言で明らかにならなかった核心部分を知りうるとみられ、注目が集まっている。
下村氏が政倫審に出席する場… ・・・
●岸田総理が解散したくない理由とは? 3/5
 岸田総理の思惑を邪推
私は昨年の臨時国会における補正予算が成立した時点で、岸田総理は解散に打って出ると読んでいたが、ハズレた。
次に今国会の冒頭解散がありうるかとも見ていたが、能登半島の震災の影響で国会を止める訳にはいかないとなり、また昨年末に噴出した自民党内派閥の政治資金不記載問題によって、来年度予算成立まで、解散はしないことがはっきりした。
では次のタイミングはいつになるだろう?
常識的に考えれば3月末の参院での予算成立をきっかけにする可能性が高いが、ここまで来たら、むしろその可能性は低いように感じてきた。
9月には自民党総裁選が控えており、現状で考えれば岸田総裁がそのまま総裁を続けると考えられる。
確かに自民党や岸田政権の支持率は低空飛行を続けているが、実は、低いながらも野党の求めに応じて岸田総裁自ら政治倫理審査会に出席して直接、野党の質問に応じたり、名前が出ている大臣経験者の多くが、今回の政治資金問題の中身を詳らかにしている。そして、野党の抵抗虚しく、岸田政権は今国会において来年度の本予算を衆院で通した。本来、野党がもっと追求できると踏んでいたのだろうが、そうはならなかった。
この原因は、政倫審を開催したことによることが大きい。野党は政倫審に、ましてや岸田総裁自ら出席するとは予想してなかっただろう。つまり、岸田総理は逃げると予測していたのだ。その根拠は、マスコミと野党とその支持者が騒ぐことで、岸田政権の支持率が低下したことで、これ以上の低下を恐れて、ダラダラと予算審議を長引かせると考えていたのだ。
そうなればますます支持率が低下し、追い込まれて解散になれば、或いは政権交代までも考えていただろう。
しかし、現実はそうはならなかった。
ここは自民党国対が老獪だったと見るべきだ。つまり、野党の思惑の裏を描いた形で、政倫審を開催し、予算審議も結果的に日程通り行われた。そもそも政倫審を開催せよと迫ったのは野党であり、その野党が政倫審で岸田総裁を追い込むことが出来なかったのが、野党の全ての敗因だ。野党はタカを括っていたのである。どうせ岸田総裁は政倫審開催を回避するだろうと読んでいたのだ。
その裏を描いた自民党国対は、やはり今の野党など到底、敵う相手ではないことを証明してしまった。
前回の拙稿でも触れたが、野党議員とその支持者は、小野寺予算委員長の不信任決議あんの弁明において、山井議員の3時間にわたる無駄話を評価しているが、あれはむしろ逆効果だったと見るべきだ。また、その直後に提出された鈴木財務大臣の不信任決議案にしても、アッサリと一蹴された。
むしろ、それらを主導した立憲民主党に対して、他の野党から批判の声が出始めている。私は、泉代表の責任論が出てもいいくらいだと考えている。何故なら、仮に今解散されたら、立憲民主党は大きく議席を減らす事態になるだろう。
そして、これが肝心なのだが、今回の政倫審開催と衆院における本予算の決議によって、極端に言うと野党は岸田総理に解散の含みを持たせることになってしまったのだ。これは野党国対の対応の不味さを如実に示すものだ。
つまり、本予算が可決することは決まったので、総理はいつでも解散に打って出ることが出来る。政倫審を開催し、総理自身が出席して説明を行ったことで、野党は他に自民党を追求する術を失ってしまったのだ。
今後、参議院での質疑が始まり、立憲民主党を中心とした野党は衆議院以上に苛烈を極めた攻勢を考えていたとしても、与党議員の中に政治資金不記載問題を抱えながらも今年度中に来年度予算を通すことが決まったのは、岸田政権の離れ業と言ってもいいほど、意味が大きい。日程闘争は、今回の衆議院で終わったのだ。それを終わらせるしかなかった立憲民主党の安住国対は、能力不足を自ら示したと言える。
●子育て支援金 将来の増加「法律上可能性ある」加藤こども政策相が答弁 「増加していく仕組みはない」との見解も 3/5
岸田政権が掲げる少子化対策の財源として公的健康保険に1人あたり平均で月500円弱が上乗せされる子ども子育て支援金について、5日の参院予算委員会で、日本維新の会の音喜多政調会長が、将来的に負担率が増加する可能性があるか質したのに対し、加藤鮎子こども政策相は、増加しないとの見通しを示す一方、「法律の建て付け上、可能性としてはありうる」と答弁した。
質疑の中で音喜多氏は支援金制度について「一度成立してしまえば、なし崩し的にその負担が増えていく可能性もある。厳しい言葉で言えば唾棄すべき最悪の制度だ」と批判した。その上で、支援金の率は政令で定める範囲内で保険者(健保組合など)が定めることになっているが、政府はどの程度の金額を想定しているのか尋ねた。
これについてこども家庭庁の担当者は、「政令については、関連法案が成立すれば2026年度に支援金が施行されるので、その施行に向けて今後検討していく」との方針を示した。
音喜多氏は「法律を見ると子育て支援金が政府の一存で引き上げられていくという可能性が全く否定できない」として、将来的に国民の負担が増える可能性を質した。
これに対し加藤大臣は「支援金の総額は2028年度において、1兆円程度とすることを法案に明確に規定しており、政府としてはこれを着実に実施をしていく」と述べた上で「実質的な負担が生じないことを制度面で確保することとしている」と強調した。
音喜多氏は政府が支援金の率を決める政令について、「社会保障負担率の上昇に与える影響の程度が、社会保障の歳出削減などによる負担率の低下に与える影響の程度を超えないものとする」とした法案付則の規定を「考慮しなければならない」とされていると指摘。その上で「これは禁止規定ではない。法的な解釈とすれば、考慮した結果、負担率を増加させることもできる。支援金の負担が上がっていく可能性は法的には否定できない」として加藤大臣の見解を求めた。
これに対し加藤大臣は「政府が政令を定める際においても法の趣旨が考慮されることになる。なお、支援金は児童手当に充当されるものであり、高齢化に伴い費用や保険料が増大する医療・介護とは異なる」として、支援金の実質負担は増えないとの見通しを強調した。
そこで音喜多氏は重ねて「規定では考慮はするけれども禁止はされてない。法的には負担率が上がる可能性は残っているのではないか」と尋ねた。
これを受け、こども家庭庁の担当者は「子どもの数が増えていかない限りは、支援金は増えない建て付けになっている。基本的に増加していくという仕組みにはなっていない」と強調する一方、「端的に(上がる)可能性があるかないかということであれば、可能性としては総額によるので、ある」と答え、加藤大臣も「法律の立て付け上、可能性としてはありえる」と述べた。
●豊田自動織機、エンジン3機種の型式取り消し 国交省 3/5
豊田自動織機の排ガスデータ不正問題で、国土交通省は5日、ショベルカーとフォークリフト向けエンジン計3機種で生産に必要な認証「型式指定」を取り消した。同社は2023年4月にもフォークリフト用エンジン2機種の型式が取り消されており、今回の処分で5機種に広がった。
3機種では、実測値と異なるデータを用いるなど悪質な不正が確認されたほか、排ガス性能が基準に適合していなかった。国交省は2月29日に豊田織機の意見を聞く聴聞を実施したが、同社側は欠席した。提出した陳述書でも「意見はない」と回答していた。
型式を取得するには通常、申請してから約2カ月かかるとされる。不正が判明した企業には審査が厳しくなり、再取得には通常より時間を要するとみられる。
●れいわ・山本氏「いつ辞める」「いつ解散する」、岸田首相「今…考えていない」 3/5
岸田文雄首相は5日の参院予算委員会で、れいわ新選組の山本太郎代表から「いつ辞めるのか」と問われ、「今は私の職責を果たすために全力で取り組んでいる。この先のスケジュールについては何も考えていない」と述べた。
山本氏は、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡り「裏金問題で国民に信を問う解散が必要ではないか。いつ解散するのか」とただした。首相は「政治資金を巡り国民に大きな不信の思いを抱かせ、政治の信頼を失った。深刻に受け止めている」とした上で「おわびするとともに、信頼回復に向けて先頭に立って取り組む。それ以外のことは今考えていない」と強調した。
山本氏は「自民議員の4分の1は裏金ネコババの泥棒だ」と決め付けた。さらに「泥棒が作った(令和6年度)予算案を普通に審議している現在もおかしいし、泥棒が作った法案を通常国会で成立させようとしていること自体おかしい」と主張した。
立憲民主党にも矛先を向け、「粛々と泥棒予算を審議し、最後だけちょびっと戦うふりをして、結局年度内成立に力を尽くした衆院野党第一党もグルだといえる。国民の信を問う必要がある」と訴えた。首相は「政治の信頼回復に全力で取り組まなければならない。(能登半島地震の)復興予算をはじめとする国民生活にかかわる重要な予算の審議をお願いしている。予算の成立に全力を尽くしていく。それ以外のことは今考えていない」と否定した。
●派閥がダメなら「勉強会」だ!「世界観、国家観、歴史観」の講演に「それは自分で勉強するもんだろ」冷笑 3/5
裏金・脱税にまみれる自民党は、岸田文雄首相らが派閥解消を打ち出したことで、派閥の代わりに中堅・若手の国会議員らを育成するためとして、新たな勉強会を立ち上げた。だが、そのピント外れぶりが、かえって浮き彫りになっている。
岸田首相に近い党中央政治大学院(「国及び地域の将来を担うにふさわしい人材を発掘、育成すること」を目的として設置された機関)の遠藤利明学院長(元総務会長)と、小渕優子選対委員長が中心となって動いた。遠藤氏は次のように呼びかけている。
「ひとつひとつの政策もちろん大事だが、世界観、あるいは国家観、あるいは歴史観、こうしたものをしっかり踏まえて、それを背骨にして対処していかなきゃならない。そんな勉強会にしよう」
1回目の3月4日は、齋藤健経産相が「戦前史」をテーマに講演し、中堅・若手の国会議員と選挙区支部長ら、合わせて94人が参加した。
もっとも、党内からは冷笑が漏れており、「『世界観、あるいは国家観、あるいは歴史観』なんて自分で勉強するものだろう。そもそも、国会議員になる以前に持ってるべきものじゃないのかな。こういうところが自民党のダメなところだと思うんですがね」(松本尚防衛政務官)
これにはさる全国紙論説委員も松本氏の主張に呼応する形で、〈本当にそう。的外れに世論に迎合しようとして幼稚化する。かつての民主党政権の小沢チルドレンみたい〉とXに投稿した。
勉強会は政治家としての自覚の欠如をかえって印象付けた。今の岸田自民党の低迷ぶりを象徴しているようである。
●米政府 五ノ井里奈さんに「世界の勇気ある女性賞」授与 3/5
アメリカ政府が女性の地位向上などに貢献した人を表彰する「世界の勇気ある女性賞」の授賞式がホワイトハウスで行われ、みずからの性被害を訴え、自衛隊の改革にもつなげたとして選ばれた元陸上自衛官の五ノ井里奈さんらに賞が授与されました。
アメリカ国務省は人権擁護や女性の地位向上などに貢献した女性に「世界の勇気ある女性賞」を授与していて、ことしは元陸上自衛官の五ノ井里奈さんなど12人が選ばれました。
4日、首都ワシントンのホワイトハウスで開かれた授賞式には、ジル・バイデン大統領夫人やブリンケン国務長官らが出席し、壇上に並んだ五ノ井さんら一人一人に対して賞が授与されました。
国務省は五ノ井さんの受賞理由について「自衛隊での性被害を訴え、日本社会ではタブー視されている問題に光をあてた」と説明しています。
ジル氏はあいさつの中で「この壇上にいる女性たちは、沈黙することを拒み、恐怖やリスクにさらされながらも、自分自身やみんなのために声をあげた人たちだ」とたたえました。
また、授賞式では、ホワイトハウスのジャンピエール報道官が、五ノ井さんが東日本大震災で被災した際の経験がきっかけとなり自衛隊に入隊したエピソードを紹介しました。
五ノ井さんは、柔道着姿で式に参加し、笑顔でトロフィーを受け取っていました。
五ノ井さん「自分の行動 間違っていなかった」
授賞式のあと五ノ井さんは国務省でNHKの取材に応じ「1人で声を上げ続けてきた中でこういう賞をいただけたのは、自分の行動が間違っていなかったのだと思いました。日本で声を上げると、ひぼう中傷がありましたが、心が折れそうなとき、海外で評価されたり、直接、『あなたは間違っていない』という言葉をもらったりするたびに心が救われたので、感謝しています」と話していました。
また、柔道着で授賞式に出席したことについては「幼いころから柔道を通して心も体も強くなりました。自衛隊で被害にあって声を上げ、心が折れそうになったときも柔道があったからこそ立ち直ることができました。投げられても何度も立ち上がる強さを教えられ、人生においても戦う力に変わっていきました。柔道に敬意を表すために柔道着を着て出席しました」と話していました。
そのうえで、今後の活動については「柔道のすばらしさを伝えていきたい。柔道を通して投げられても立ち上がる強さというのを悩んでいる人や苦しんでいる人に伝えていきたい」と話していました。
●「敵に塩」は若者には難しい?"伝わらない"日本語 3/5
スマホ社会の現代日本。
若者たちは黙々と動画やゲームの画面と向かい合い、用事は絵文字を含む超短文メールを素早く打つばかり。
時間を割いて他人と会って話すのは「タイパが悪い」とすら言う彼らと、「生きた」日本語の距離がいま、信じられないくらい離れたものになっています。
言い換えるならそれは、年配者との間の大きなコミュニケーションの溝。 
「日本人なのになぜか日本語が通じない」という笑えない状況は、もはや見過ごせませんが、「その日本人同士と思うところが盲点」と、話すのは、言語学者の山口謡司氏。
『じつは伝わっていない日本語大図鑑』と題された一冊には、日本人ならハッとする指摘が満載。
その中から、会話が通じない「落とし穴」になりがちな日本語の興味深い例を紹介してみましょう。
言葉の理解は、歴史・文化を知ってこそ  
日本語は、本当にもののたとえが上手です。
・「赤子の手をひねるように」→簡単な
・「奥歯にモノが挟まったように」→言いたいことを素直に言わない
・「芋を洗うような」→すごい混雑ぶり
・「絵に描いた餅のように」→実現不可能な
・「腫れ物に触るような」→緊張感をもって慎重に
 ……などなど。
これらは、頭に何となく具体的なイメージが浮かびますから、若い人であっても、比較的容易に意味をつかむことができると思います。
けれども、ウクライナ戦争に関して、先ごろ出された次のような新聞記事についてはどうでしょう。
単純なイメージをふくらませたところで理解に至らないある比喩の言い回しが添えられていました。
それは、ロシアがますます侵攻して、欧州有数の岩塩鉱があるウクライナ東部のソレダルという土地を占領したというもの。
そこから採れる良質な塩は、ウクライナ人にとっては「国民の誇り」にほかならず、まさにウクライナ人の命のもとだったそう。
やむなくウクライナはアフリカから塩を買わざるをえない窮状に追い込まれてしまった――。
一方、もともと塩の輸入国だったロシアは一転して、塩の大量保有国に。
こうした状況を伝えた最後に書かれていたのが、この結び文です。
「塩の純輸入国だったロシアは生産量が増えたが、敵に塩を送る気配はなさそうだ」(読売新聞2024年2月7日付)
意外にも歴史をもとにできている言葉は多い
我が国で古くから言いならわされた「敵に塩を送る」という言葉を織り込んでいます。
この言葉は、越後の上杉謙信が、宿敵・甲斐の武田信玄に塩を救援物資として送ったという逸話からきています。
海を持たない山国の甲斐で人の命に関わる塩が不足とは一大事。
敵の弱みに付け込まない謙信の振る舞いは、優れた人間性を示すと同時に、最終的にはそういう行為が巡り巡って自分たちのプラスになることもありうるという、いわばある種の教訓も込めながら伝えられてきました。
このように、有名な史実や故事が由来となっている言葉は、私たちの身の回りにたくさんありますが、年配者なら長い人生の途中で何度かは耳にして、多くの人が意味をだいたい知っているはず。
けれど、はたしてスマホの動画やゲームに夢中になっている現代の若者たちに、それらの理解がどこまで及んでいるのか……少なからず疑問です。
「敵から塩を送られる」とは、「かたじけない、身に染みてありがたい、感謝すべきこと」などと、即座に意味を把握できる若者は、実際どれくらいいるのでしょうか。
先日も「常陸牛」など、茨城県がブランド化している「常陸」の字を20〜30代の約半数が読めなかったという調査が話題になりました。
おそらく、いまや我が国の喫緊の課題となっている若者たちの活字離れ(読書離れ)と連動していると思われるのですが、豊富な活字知識の蓄積がある中高年と、対照的に奥深い日本語とは遠く離れている現代の若者たち……。
世代間のコミュニケーションがスムーズにいかない一因が、こうしたところにもあるような気がしてなりません。
たかが言葉一つ、されど言葉一つ
難しい言葉なんか知らなくたって、コミュニケーションは成り立つ。
確かに若い人からはそういう声も聞こえてきそうです。
しかし、言葉一つでも、史実や故事が由来になっているものは、他の言葉とは圧倒的に重みが違います。
その言葉(言い回し)を発しただけで、歴史の知識や教養がおのずと立ち昇ってきます。
それらを知っていることが、会話の豊かな潤滑油になり、あなたの人間としての奥行きも示してくれるはずです。
たとえば、年配者も交えてスポーツ観戦などに行くことがあった場合、「応援しているのは、どっちのチーム?」と尋ねられて、「僕は『判官びいき』ですから、Aチームを」などと答えたなら、年配者からは「ほう、なかなか学のある奴だ」などと思ってもらえるかもしれません。
もしも、その人が会社の上司だったなら――、次からあなたを見る目もきっと変わるのでは。
・「判官びいき」……「判官(はんがん/ほうがん)」とは、鎌倉時代の武将である九郎判官(源義経)のこと。兄の頼朝に憎まれて悲運の最期を遂げた薄幸の英雄を、多くの人々が愛惜し同情したことから転じて、弱者や弱い側に同情して肩をもったり応援すること
その他、故事由来のこのような言葉も、覚えておいて損はないでしょう。
・「外堀を埋める」
・「いざ鎌倉」
・「背水の陣」
・「ルビコン(川)をわたる」
・「さいは投げられた」
歴史由来だけではありません。
日本語には、歌舞伎や日本建築などの文化と結びついている言葉も多数あります。
たとえば、あなたは次のような言葉を、由来と正しい意味を認識したうえで、日々の会話の中にスマートに滑り込ませることができますか。
例を5つ挙げてみますので、説明を読みながら確認してみてください。
・「板に付く」……板とは舞台のこと。役者が経験を積んで、その芸が舞台にぴったり調和する意から転じて、職業や任務、地位、服装、態度などがその人にしっくり合うこと
・「反りが合わない」……人と気心が合わないこと。刀の反りと、それをしまう鞘(さや)が合わない意から
・「うだつが上がらない」……出世ができない。いつまでも身分が低いままでパッとしない。「うだつ」とは、家の建築で梁(はり)の上に立てる短い柱。屋根の重みを受け、上から押さえつけられているように見える。それにたとえて
・「タガがゆるむ」……タガは竹や金属で作る輪。桶や樽などの外側にはめ、きつく締めあげて、堅く丈夫に仕上げるためのもの。それがゆるむとは、すなわち、緊張がゆるんだり、気力や思考力などが衰える、などの意
・「お膳立てが揃う」……始めようとしていることの準備がすべてできた。すっかり支度が整った。そのような場合に使う言葉。食膳に料理が全部並べられたという意から
語彙を増やせば人生も豊かになる
現代における世代間のコミュニケーション・ギャップは、読書も含め活字のシャワーを浴び続けてきた上の年代と、スマホ画面と首っ引きの若いデジタル世代の間に横たわる深い言語の溝に問題があることは、確かです。
しかしながら、歴史や文化に由来する言葉については、まったく別だと言えましょう。
なぜなら、いまを生きる老いも若きも皆、同じような過去に連なっている人間です。
昔の人が残した戒めや、故事が伝える教訓などは、現代人にとっての財産でもあります。
それゆえ、若いから昔のことには関心ないとか、興味ないとか、そんなことを言うべきではないと思うのです。
日本人が代々寄り添ってきた格言などを、若い方は、もっと若い方に、順々に伝えていく……そうした使命のようなものがあるのではないでしょうか。
せめて過去の人に学ぶ貴重な言葉の習得だけでも、ふだんからできるだけ努めてほしいと願うばかりです。
具体的には、次のようなことを心がけてほしいと思います。
   日本に関する教養を広げる
本を読む。映画(時代劇や、アニメでも)を観る。演劇を観る。落語を聞く……。
いずれからも、私たちの歴史に触れ、日本文化を感じ取ることができる。知識を得て、いままで知らなかった言葉も知り、語彙が増える。
   視野を広げる
室内にこもってゲームばかりするのではなく、外に出て行動してみよう。
たとえば旅に出る……など。古い寺社を訪れたり、新しい建築物に目を見張ったり。初めての人と話をする機会もあるはず。
そうした経験が重なることで、日本語も豊かになる。
たとえの各言い回し:詳しい説明
・「赤子の手をひねるように」……まったくたやすくできるさま
・「奥歯にモノが挟まったように」……言いたいことがあれば素直に言えばいいものを、思わせぶりに言い切らないさま
・「芋を洗うような」……体と体が擦り合うほど、大勢の人々で混雑している様子
・「絵に描いた餅のように」……絵に描いた餅は食べられないことから、実際の役に立たないもののこと。また、計画などが実現する見込みがないこと。失敗して無駄な骨折りになるさま
・「腫れ物に触るような」……気難しい人などに対し、万が一、機嫌を損ねたら大変と思いながら、慎重に接するさま
古くから言い伝えられている話が由来となっている日本語も多数あります。
故事由来の言い回し
・「外堀を埋める」……目的達成の邪魔になるものを、適当な口実を設けて取り除くこと。徳川家康が口実を設けて豊臣方の大坂城の外堀を埋めさせて、やがて攻略したことから
・「いざ鎌倉」……これは大ごとだ、大事件が起きた、と身構えること。鎌倉幕府に大事が起きたなら御家人がすぐに駆けつける、という謡曲の一場面から
・「背水の陣」……一歩も退けない状況において、全力を尽くして事にあたること。中国漢の韓信が敵の趙と戦ったとき、退却すれば溺れるしかない川を背にした捨て身の布陣で勝利した故事から。決死の覚悟が兵士たちを奮い立たせた
・「ルビコン(川)をわたる」……ルビコン川はイタリアの川の名前。紀元前49年、ローマのポンペイウスとの戦いを決意したシーザーが、ルビコン川を武装して渡ることは禁じられていたにもかかわらず、この川を渡って進撃した史実から、きわめて重大な決断をするという意。日本の会社経営者が、社員にこの言葉を使って呼び掛けることも
・「さいは投げられた」……ルビコン川を渡る際、シーザーが言ったとされる言葉。「さい」は「サイコロ」。もう投げてしまったのだから、後戻りはできない。考えたり悩んだりは無用――。強い決意で断行あるのみだ、という意味で、日本社会の主に仕事関係でも、しばしば聞かれる
●日本に外国人自治区を作らせるな 3/5
在留資格の見直し案
岸田政権は以前から不法滞在外国人の在留資格を見直すことを明らかにしていたが国内では批判が出た。不法滞在は犯罪なので強制送還が妥当であり特別に在留資格を与えることは危険だとの声が出ている。だが岸田政権は国内の批判の声を聞かず、法務大臣の裁量で在留資格を特別に認める基準を定めたガイドラインを見直す案が公開された。
公開されたガイドラインの見直し案は親子が日本社会に溶け込み子供が日本の教育を受けていることで在留資格が与えられる見込み。実質的に移民政策であり、不法滞在が正式に在留資格に変わるガイドラインは曖昧なまま強行されようとしている。
在留資格がないなら犯罪
不法滞在は犯罪なのだが岸田政権は国民からの批判を無視し不法滞在の外国人を優遇する道を邁進している。ガイドラインの見直し案では、在留資格がない親でも地域社会に溶け込んでいることが条件とされるが、この溶け込む条件が曖昧だ。何故ならクルド人のように集団で生活し日本人を排斥する立場になっても地域に溶け込んでいると見なされる危険性がある。こうなると中国人・朝鮮人・ベトナム人を問わず集団で生活しているなら強引に地域に溶け込んでいると見なされる。
・在留資格がなくても親が地域社会に溶け込んでいる。
・子供が長期間、日本で教育を受けている。
さらに子供が日本で長期間教育を受けているなら、子供をネタに在留資格を与える好条件となる。さらに家族単位で在留資格を得るなら短期間で現地の日本人よりも多数派になることも可能。
岸田政権が進める在留資格の乱発は犯罪である不法滞在を移民政策に変える手段と言われているが、実際は日本各地に外国人自治区を作らせる最悪の未来に導いている。今でさえ難民とされるクルド人と日本人の関係悪化が拡大しているが、これは狭い地域に2000人以上のクルド人が集まったことで対立が先鋭化している。
外国人自治区の誕生
難民であるはずのクルド人は日本で起業し収入を得ている。本来は働けないはずのクルド人が国内で働き住所不定でも車を運転している。さらに収入を得ているが納税もしていない。これがネットで拡散し国内で批判の声が出ているが政府・警察は動かない。これは何を意味する?
決論から言えば国内にクルド人自治区が生まれようとしている。これを生み出しているのが岸田政権であり、在留資格の見直し案が決まればクルド人は正式に在留資格を得るだろう。だが岸田政権は外国人との理由で日本人とは異なり納税の義務をクルド人に与えない可能性がある。もしくは税務署すら介入できない特別なクルド人自治区が与えられる。
日本とは異なるがジョージア(旧名グルジア)は移民に国を奪われた典型例。ソ連はロシア系住民をジョージアに送り込んでいた。ソ連が崩壊しロシアに変わる時代になるとロシア系移民が現地民よりも多くなった。するとロシア系移民は移民自治を求め選挙を求めた。選挙は多数派が勝利するからロシア系移民が多いから勝利するのは当然。
ロシア系移民が移民自治を選挙で獲得するが、これで終わりではない。ロシア系移民は祖国ロシアへの帰属をプーチン大統領に求めると、プーチン大統領は国民の要請に応じ「自国民保護」を名目にジョージア北部に軍隊を派遣した。これでジョージア・ロシア戦争(2008)に至った。
岸田政権が進める不法滞在外国人の在留資格の見直しが成立すれば、日本各地に家族単位で在留資格を得る外国人が激増するはずだ。次は在留資格を持つ国民同士が特定の場所に集まり日本人を少数派に変える。そうなれば町の区画単位で外国人自治区が形成されるだろう。区画単位が連結し町単位で外国人自治区となれば警察すら介入できない世界となる。では、外国人自治区を獲得した者が祖国に保護を求めたらどうなるのか?
答えは明白だ。ロシアのように自国民保護を名目に日本に軍隊を派遣する可能性が高くなる。日本周辺で可能性が高いのは中国・韓国・ロシアとなるだろう。中国と韓国は戦後から日本各地に自治区に近い共同体を形成していることが知られている。ならば在留資格を悪用して家族単位で人数を増やし日本人を少数派に変えることは容易だ。
ロシアがジョージアで行ったように中国も日本国内に人民解放軍を「自国民保護」を名目に派遣するだろう。仮に岸田政権であれば人民解放軍を受け入れることは間違いない。それでは岸田政権の次であれば?
もし次の首相が親中派であれば間違いなく日本各地に外国人自治区を作り中国人自治区への批判を回避する。そして中国人自治区から保護を名目に人民解放軍を派遣させることになる。
この予測が実現すれば他の国も自国民保護を名目に軍隊を日本に派遣する危険性もある。その場合は政府が受け入れると自衛隊は何もできないことになる。そうなれば日本は外国人自治区で分断されるか国を守るために内戦に至ることになる。
政治に無関心な国民
個人の利益よりも全体の利益を優先した多数決が民主主義。これが民主主義の条件であり、「国民は公正無私の立場で選良を選ぶ」という仮説により成り立つ。人間は不完全な生き物という前提を無視しているので仮説が崩れると衆愚政治や扇動政治に陥る。実際にギリシャは民主主義の始まりだが、ギリシャの民が民主主義の基本を忘れて己の欲望を優先すると民主主義は衆愚政治に至り腐敗した。
今の日本はどうか? 多数決が民主主義との間違った部分が拡大し多数派工作で政策が作られている。もしくは個人の利益を優先し全体の利益にすり替えた衆愚政治になっているではないか。これは国民が政治に無関心だったことが原因で、愛国心は忌避され反日政治家が大量に生まれた。
ならば選挙権を持ち愛国心がある者は次の選挙で愛国心のある政治家を選ぶことが未来を変える手段となる。政治家は国民の代表なのだから、個人の利益よりも全体の利益を優先する政治家が求められる。それは日本の伝統・文化・風習・言語・価値観などを次世代に渡す使命だ。この覚悟を日本人は求められている。今の日本は外国人自治区が生まれようとしているが、変えられるのは今の日本人だ。そして未来の日本人から憎まれるか尊敬されるかの分かれ道なのだ。 
●4月解散否定の岸田首相は「政権交代までないと思ったら、行くかも知れない」 3/5
元衆院議員の金子恵美氏が5日放送のTOKYO MX「バラいろダンディ」に生出演。岸田文雄首相が4日の参院予算委員会で4月の衆院解散、総選挙について「まったく考えていない」と否定したことについて、私見を述べた。
「安倍(晋三)さんは『まったく考えていない』って言う時が一番考えていただろうなって。まったく考えていないって時が一番危ないって、私たちは思ってはいましたけど…」とまず話した金子氏。
その上で「岸田さんがそうかは分かりませんし、去年のサミット後とか、やれるタイミングがあったはずだけど、中々、タイミングを逸して今に至っているから、カードを切る勇気が岸田さんにあるのかは分からない」と続けた。
「総裁選がある年の3、6、9(月)が気を付けた方がいいって聞いたことがあって、3月は予算が成立したタイミング、6月は国会閉会で不信任案を出されるかも知れないタイミング、9月は総裁選本番で、何かあるかも知れない」と説明した上で「自民党が減っても、減り幅で政権交代までないとなと思ったら(解散に)行くかも知れないなと私は思ってるし、なんなら9月の本番になったら、そのまま終わっちゃうので、その前になんとか信を問うてって。国民の皆さんに信を得た総理を代えることはできないですから、なんとか、その前で一回やりたいと。やらないまま総裁選を迎えたら難しいと…」と続けていた。
●「政倫審にはしゃしゃり出たのに」山本太郎氏、能登半島地震議論の災害特別委へ岸田首相出席を要求 3/5
れいわ新選組代表の山本太郎参院議員は5日の参院予算委員会で、自民党の裏金問題をめぐり自ら衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席を発表した岸田文雄首相が、能登半島地震への対応を議論するため、衆参両院の災害対策特別委員会には自発的な出席表明をしていないと批判した。
山本氏は「(首相は)政倫審は自分を出してくれと言ったのに、災害特には『自分が出たい』とは言わないんですね」と指摘。地震発生後、首相出席の災害対策特別委員会が開かれていないとして、首相の見解をただした。
首相は「私自身は予算委員会で、予算全体についての議論にしっかり答弁させていただく。その中で、災害対策も答弁させていただくことで、説明責任を果たして行くべきと考えている」と反論。山本氏は「呼ばれてもいないのに政倫審にはしゃしゃり出る。災害特にはだんまりというのは、腰が引けてません? ご自身で出ると言ってほしい。被災地、被災者にあまりご関心がないのか」と指摘したが、首相は「(政倫審も地震対応も)ともに重要な議論だ」として、災害対策特別委員会の開会や自身の出席が必要と判断されれば「運営にしっかり協力したい」と述べた。
山本氏は、岸田政権の地震対応は不十分と再三指摘しており、この日も「被災者を切り捨てる程度では、政権は吹っ飛ばないという危機感ですよね。でも政倫審は(開催しないと)政権が吹っ飛ぶ可能性がある。被災地に関してはその心配がないと。そんな薄情なことを言っているのではないか」ともただした。
一方、山本氏は能登半島地震対応をめぐり、被災した住民への食事について自衛隊による炊き出しで確保すべきと迫ったが、首相は「自衛隊だけではなく、自治体と協力しながら対応している。ご指摘の点を踏まえながら引き続き、最大限の努力を続ける」と述べるにとどまった。首相は、次の被災地入りの予定を再三問われると「今、具体的な日程は決まっていないが、現地と意思疎通をはかり、現状を把握した上で必要なタイミングでさらなる現地入りも考える」と応じた。
●自民・茂木氏の政治資金移動、首相周辺も「脱法的」裏金処分にも影響 3/5
自民党の茂木敏充幹事長をめぐり、専門家が「脱法行為」と厳しく指摘する政治資金の移動が明らかになった。裏金事件に関係した議員を処分する際、重要な役目を担う幹事長自らが「政治とカネ」で問題視されたままでは、処分の正当性が揺らぎかねない。
茂木氏の政治資金をめぐっては自らの国会議員関係政治団体から、住所や会計責任者が同じ「その他の政治団体」に2022年までの10年間で約3億2千万円が移されていた。その他の政治団体は、国会議員関係政治団体より金の使途の公開ルールが甘く、何に金を使ったか分かりにくい。
茂木派事務総長の新藤義孝経… ・・・
●世論調査が各社で違うのはなぜ?朝日新聞と産経新聞の調査を両紙の記者が比較・解説!選挙ドットコムちゃんねるまとめ 3/5
YouTube「選挙ドットコムちゃんねる」では、毎週選挙や政治に関連する情報を発信中です。
2024年3月2日に公開された動画のテーマは……最新世論調査チェック!各社ごとに違うのはなぜ?
ゲストに朝日新聞政治部記者の今野忍氏と産経新聞政治部記者の水内茂幸氏をお招きし、新聞各社の世論調査の違いについて語っていただきました。
世論調査はなぜ各社で異なる?低支持率でも岸田政権が維持できている理由とは?
【このトピックのポイント】
・新聞各社で調査手法は大きく変わらないが、さら問いの有無などによって数字が変化している
・岸田政権の弱点は岸田総理のタフさゆえに役割分担ができていないこと
・岸田政権のターニングポイントは4月の衆院補選
各社世論調査 2024年2月の結果
2月の世論調査で、産経新聞は内閣支持率が5.2ポイントと大きく下落しています。水内氏はこの結果について「他紙に比べると今の政権に強めの数字が出る傾向はある」としつつ、今回の大幅下落で他紙と同水準の支持率になったとコメントしました。
その要因として、水内氏は自民党派閥の政治資金パーティーの影響に言及しました。
水内氏「自民党が飽きられていて、その象徴みたいな形で岸田さんも飽きられている部分が出ているのかなと思います」
今野氏は水内氏の「産経は政権に強めに出る」という意見に対し「安倍政権時代に比べたらそうでもなくなった感じがする」とコメント。安倍政権時代は岩盤支持層の存在によって支持率が安定していた点に言及しました。
実際、安倍政権が支持率20%台まで下がったことは一度しかありません。それに対し、岸田政権は20%台が定着しつつあります。
本来であれば政権交代が起きてもおかしくない数字ですが、野党第一党である立憲民主党の支持率が低いため、その実現には至っていません。
今野氏「下手したらこのまま選挙やっても、立憲と維新で競い合ってくれれば漁夫の利で自民党が勝つかもしれないっていう不思議な状況が今起きてますよね」
今回、朝日と産経は内閣支持率、自民党支持率どちらも同水準の結果となりましたが、そもそも集計方法に違いはあるのでしょうか。
水内氏によると、産経新聞ではオペレーターによる聞き取りを行っており、地域や年代、固定電話と携帯電話で偏りが出ないようにバランスを取っているとのこと。この手法はどの新聞社でも大きくは変わらないのでは、とコメントしました。
今野氏は毎日新聞と時事通信の数字が低く出る傾向がある点に言及。調査方法が異なる可能性があるとしました。
さらに、日経新聞は質問の回答に対してさらに質問する「さら問い」を実施しているため、数字に違いがでると今野氏。「どちらとも言えない」との回答に対し、「しいて言えば?」とさら問いすることで、政権が上向きな時は支持率が高くなる傾向があるとのことです。
現状、各社とも内閣支持率・自民党支持率ともに低迷が続いています。この数字を見て2009年の政権交代の時のようだという自民党議員もいるようですが、今野氏は野党の支持層が上がっていない点が異なると指摘します。
その状況について水内氏は「岸田さんにとってはラッキー」とコメント。他の野党に政権担当能力がないと思われている証拠であり、岸田おろしが起きない証拠でもある、と語りました。
●岸田首相の資金管理団体、22年は政治資金パーティー収入が98・4%… 3/5
総務省は5日の参院予算委員会で、岸田首相の資金管理団体「新政治経済研究会」の2022年分の収入のうち、政治資金パーティーによる収入が98・4%を占めたと明らかにした。
共産党の田村委員長の質問に答えた。パーティー収入の割合は21年分で82・6%、20年分で96・9%だった。岸田首相はパーティーに関し、「法律に従って対応しており、問題がないと考えている」と述べた。
首相は2月29日の衆院政治倫理審査会では、首相在任中のパーティー自粛を表明した。
●政治資金問題 “関係議員 要職起用は責任踏まえ判断”岸田首相 3/5
国会は参議院予算委員会で新年度予算案の審議が行われ、岸田総理大臣は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、関係議員の要職への起用は、どのように説明責任や政治責任を果たしたかを踏まえ判断する意向を示しました。
日本維新の会の音喜多政務調査会長は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて「『裏金』議員たちの疑惑は当分、払拭(ふっしょく)されないし、法的な処分が下る可能性もある。この間は政務三役などの要職への登用は極めて難しいのではないか」と指摘しました。
これに対し岸田総理大臣は「説明責任や政治責任を十分果たさなければ、役職に就いた際、国政に遅滞を生じさせることになりかねず、それぞれの立場を踏まえ責任を果たしたという判断が求められる。国政が遅滞しないよう人事を考えるのは当然だ」と述べました。
国民民主党の川合幹事長代行は実態解明をめぐり「真相究明につながる答弁がなされない中で問題が長期化すれば政治不信はより大きくなる。原因を究明しなければ再発防止は絶対にできず、政治倫理審査会にはすべての当事者が出席しきっちり答えてほしい」と求めました。
これに対し岸田総理大臣は「関係者は、会見などで説明してきたが、まだ不十分だという指摘を受けて政治倫理審査会などへの出席が求められている。審査会のルールに従って説明責任を果たしてもらわなければならない」と述べました。
共産党の田村委員長は、安倍派で行われていた所属議員へのパーティー収入のキックバックをめぐり「参議院選挙の改選の年だけ『裏金』が膨れ上がっていた議員がいる。増えた『裏金』は選挙運動への寄付ではないのか。公職選挙法違反の重大な疑惑で、わからないでは済まされない。徹底した事実解明を行うべきだ」とただしました。
これに対し岸田総理大臣は「参議院選挙の年の還付金などについてより詳細な事実関係の把握を求める声は承知している。聴き取り調査だけで説明責任が尽くされたとは言っておらず、党としても実態把握に向けてさらなる取り組みを進めたい」と述べました。
れいわ新選組の山本代表は「『政治とカネ』の問題をどう是正するのか。これから数々の法案をこの通常国会で成立させようということ自体がありえない話だ。国民に信を問う必要があるのではないか。衆議院を解散しないのか」と質問しました。
これに対し岸田総理大臣は「説明責任と政治責任を果たし再発防止に向けた法改正などを今の国会で実現したい。復興の予算をはじめ国民生活に関わる重要な予算案の審議をお願いしており、成立に全力を尽くす。それ以外のことは今は考えていない」と述べました。
一方、防衛力の抜本的強化に向けた施策を検討する有識者会議をめぐり、岸田総理大臣は、防衛装備品を受注する三菱重工業の会長がメンバーとなっていることについて問われ「20人近いメンバーの中に防衛産業の現場の関係者が入っていることは総合的な防衛力を考える上で決しておかしなことではない。有識者会議は防衛費の増額を議論する場ではない」と述べました。
北朝鮮による拉致問題をめぐり、岸田総理大臣は、きのうの家族会との面会を受けて「日朝間の懸案を解決し、ともに新しい時代を切り開くには、主体的に動いてトップどうしの関係を構築することが重要と考え、私自身が判断することを改めて強く決意した。首脳会談を実現すべく、さまざまな働きかけをより強い思いで進め、結果に結び付けたい」と述べました。
●裏金2000万円還流の堀井学衆院議員に不満噴出 地元北海道 3/5
自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件を巡り、派閥から計2000万円超の還流を受けていたと明らかにした堀井学衆院議員(比例北海道)に対し、地元の主要支部が、多数の党員から「候補者を替えるべき」との不満の声が出ているとして、今後の活動姿勢などを問いただす意見書を送付したことが5日、関係者への取材で分かった。
北海道9区党支部長の堀井氏は裏金問題を巡り1月に地元の登別市で記者会見。関係者によると、支援者向けに説明の機会を設ける予定だったが、2月の党苫小牧支部定期大会を欠席。追加で説明する意思はないことを支部側に伝えたという。
意見書は苫小牧支部役員一同名で今月はじめに送付。堀井氏への不満から大票田の都市部で後援会活動が相次いで停止するなど「極めて異常な状態」にあると指摘し、支部会合など地元での活動を軽視しているとして「猛省」を促した。今後の活動方針などについて回答しない場合は「われわれにも覚悟がある」と含みを持たせた。
支部長の板谷良久道議は「与党議員を失うのは地域のためにならない。(議席を)死守するため、今後の戦い方について考えを聞きたい」と話した。
●自民、裏金巡り「解体的な出直し」 派閥完全解消掲げず 運動方針案 3/5
自民党は5日、17日の党大会で採択する2024年運動方針案を発表した。党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け「解体的な出直し」を図ると明記。派閥からお金と人事を切り離すことで「これまでの『派閥』から脱却し、二度と復活させない」とした。
方針案は全25ページ。派閥の完全解消までは掲げなかった。
裏金事件について前文などに「自民党全体に国民の厳しい目、強い疑念が向けられている」との危機意識を明示した。「『身内の論理』が『国民の感覚』に優先」していなかったかと投げかけ、「政治は国民のもの」という「立党の原点」に立ち返る必要性を訴えた。制度面の改革として、政治資金の透明化や公開性の向上に向け、政治資金規正法の改正などを早急に進める方針も示した。
岸田文雄首相が9月までの総裁任期中の実現を掲げる憲法改正については、年内の実現に向け「国民投票を通じ、国民の判断を仰ぐことを目指す」と明示。緊急事態や自衛隊明記に関する条文を起草する機関を「各会派の理解を得て設置」し、憲法改正原案を作成するとした。安定的な皇位継承策についても「党内での議論を進めていく」と初めて記載した。
金子恭之・党運動方針案起草委員長は記者会見で、裏金問題を巡る記載について「現状を見た中で、このことにまず冒頭で触れるということは当然だ」と述べた。
●自民・森山氏、裏金事件巡る処分「党大会までに整理つけば」 3/5
自民党の森山裕総務会長は5日の記者会見で、派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る議員の処分について、17日開催の党大会までにめどを付けるのが望ましいとの考えを示した。
「党大会が党にとっては一番大事な大会なので、そこまでに一定の整理がつけば一番良いことではないか」と述べた。
処分を巡っては、岸田文雄首相(自民総裁)も「できるだけ早いタイミング」で行う方針を示している。

 

●至る所に亀裂、能登半島地震――老舗旅館・若女将が語る苦悩 3/6
2006年4月に千葉県から創業130年に上る能登・和倉温泉の老舗旅館「多田屋」に嫁いだ多田弥生さん(46)。会社員の家庭に生まれ育ち、看護師として働いていた弥生さんが、「花嫁のれん」をくぐり若女将になってからの苦労や喜びを、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」はこれまで7回にわたって放送してきた。そんな若女将18年目の弥生さんを2024年元日、かつてない大きな試練が襲った。言わずと知れた能登半島地震だ。2007年の能登半島沖地震以来2度目の試練といえるが、その被害は1度目とは比べものにならない。しかし、そんな中でも、夫を信じて前に進もうとする弥生さんの長い闘いの始まりを取材した。
能登半島地震発生当日
2024年1月1日。弥生さんは自宅で家族とおせち料理に箸をのばした後、旅館の事務所に向かった。
午後4時ごろだった。この日も旅館は満館。正月をゆったりと過ごそうと、およそ150人の宿泊客が訪れていた。
見上げると、冬の澄んだ青空が広がっていた。「元日からこんなにいい天気なんて、何か起こりそう…」。そんな思いがふと頭によぎった。
そして、そんな弥生さんの予感は、残念な形で的中することになる。
前触れは午後4時6分、最大震度5強の地震だった。旅館がある石川県七尾市の震度は3。ここ数年、能登半島では地震が頻発していた。
弥生さんは「いつもどおり、すぐに収まるかな」と思ったが、一方で揺れている時間がいつもより長いのでは、とも感じた。
「揺れが収まったら、館内放送を流さないと…」
そう考え始めた矢先、今度はさっきとは比べものにならない強烈な揺れに見舞われた。ドンっと下から突き上げる、これまでに経験したことがないような揺れだった。とても立っていられない。
最大震度7の能登半島地震の発生だ。
慌てて事務所から外に飛び出した。スタッフや宿泊客の悲鳴が次々と耳に入ってくる。ミシッ、ミシミシミシッという音がする方を見ると、旅館が大きく揺れているのがはっきりわかった。瓦も次々と落ちてきている。
弥生さんは、外に出てきた宿泊客に向かって「建物から離れて!」と必死に叫んだ。建物が倒れ、下敷きになってしまうことを恐れたのだ。
そして、旅館のすぐそばにある自宅に走った。
94歳の大女将の様子が心配だった。自宅に入ると、ガラスの破片が飛び散った部屋の中、大女将がうずくまって揺れに耐えている姿が見えた。弥生さんは、分厚い布団で大女将を包むと、義父に向かって「おばあちゃんをお願い!」と叫び、踵を返した。
とにかく宿泊客のことが心配だった。
旅館に戻ると、スタッフが宿泊客に声をかけながら、大駐車場に誘導していた。浴衣1枚で避難してきた人も多く、誰もが寒さと恐怖に震えていた。大津波警報が発表されたとの情報も入った。
警報を聞いたためか、草履のまま大駐車場を見下ろす裏山に登る人たちもいた。しかし、裏山はいつ崩れるかわからない。スタッフが必死で降りてくるように呼びかける。
宿泊客が集まっていた正面ロビーと大駐車場はビルの4階に相当する高さに位置していた。とりあえず津波の心配はなさそうだ。
その間も、何度も何度も地震は起こり続けていた。
暖を取るための布団などをスタッフが駐車場に運び出す姿が見えた。声をかけ合いながら、混乱の中でも自主的に動いている。「なんて頼もしいんだろう」。弥生さんは、心の底から感謝した。
しかし、自分は何をしていいのか、わからない。「どうしよう、どうしよう。落ち着け、落ち着け」。自分に言い聞かせる。
やがて、近くの和倉小学校が緊急の避難所として開放されたことを小学校のPTAのLINEで知る。「若女将、バスを出して和倉小学校に誘導しましょう」。スタッフの声を受け、バスによる宿泊客のピストン輸送を行う。同時に、布団や物資なども避難所に運び込んだ。
避難所には、近隣の旅館の宿泊客や地元の住民など約1400人以上が集まっていた。地震発生からおよそ2時間後、弥生さんは宿泊客とスタッフ全員の無事を確認することができ、安堵した。
まさに「奇跡」だと感じていた。
取材班訪問
しかし、本当の試練が始まったのはその後だった。
地震発生からおよそ2週間後。ザ・ノンフィクション取材班は多田屋を訪れた。
7年ぶりの多田屋は激しく被災していた。
久々に会う弥生さんは健太郎社長や居合わせた従業員さんたちと、取材班をいつものような笑顔で迎えてくれた。懐かしさで嬉しく感じたが、無理しているのだろうと思うと、複雑な気持ちになった。
弥生さん、弥生さんの夫である社長の多田健太郎さん、施設管理課の古河朋明さんの3人の案内で被災した建物の中を歩く。本館から新館につながる継ぎ目を境に建物自体が沈み、至る所に亀裂が入っていた。亀裂の隙間からは青空がのぞく。
天井も落ち、あちこちの床が歪んでいる。特に、七尾湾に面した自慢の大浴場や客室の露天風呂の状況は無惨なものだった。事務所は壁が落ち、客室は慌てて避難した宿泊客の痕跡がリアルに残っていた。
館内を歩けば歩くほど、「営業再開」への道のりは気が遠くなるほど遠いのだという現実を、私たちも思い知らされた。
「どうやって直しましょう…」
途方に暮れたのか、弥生さんが、冗談っぽくつぶやいた。
山積みの問題、スタッフの雇用をどうする?
実際、営業再開に向け、問題は山積みだ。
修繕程度で済むのか?
再建のための費用は?
国や県はどれぐらい援助してくれるのか?
現時点ではわからないことだらけだ。
そして、弥生さんが何よりも気にしていたのが、営業ができない間、スタッフ70人の雇用をどうすればよいのか、ということだった。「雇用調整助成金」を利用したとしても、これまでのような給与を支払うことはとてもできそうにない。
一方で、地震発生から現在に至るまでのスタッフの頑張りは目を見張るものがあった。そんな姿を見るたびに、弥生さんは「これからもこのスタッフと頑張って多田屋を復活させたい」と強く思った。
1月末、全従業員に今後の雇用条件を提示した。営業ができない以上、良い条件を提示できるわけもなかった。
「いったいこんな条件で何人が残ってくれるのだろうか?」
しかし、これまで(2024年2月末現在)、退職を希望したスタッフは1人もいない。
岐阜出身で客室係の水野美里さんは「多田屋から見える能登の景色、そして職場の仲間が大好きだから、辞めることは考えられません」と話し、山梨出身の客室係の土屋斎さんは「社長の将来的ビジョンや夢に強く共感して入社しました。それを実現するために辞めたくない」と語った。
弥生さんは彼らの言葉を聞き、「思いを共有できている」と嬉しく思った。
そんな弥生さんの横で、夫である健太郎さんは力強く語った。「不安が全く無いといえば嘘になる。でも再開できる自信はあります」
健太郎さんのそんな言葉を聞いて、弥生さんは18年前、「花嫁のれん」をくぐった日に心に誓ったことを思い出した。「私は経営のことは分からない。だけど、健太郎さんのことは絶対的に信じていこう」。今こそ、その時だと思った。
「もしかしたら、この先、辞めていく人も出てくるかもしれない。けれど、再開したらきっとみんな戻って来ると信じているから、何も心配していません。だから今はやれることをやるだけです」
●野口健さん【能登半島地震】「避難所から車中泊へと逆戻り」被災者の苦境に強く批判「国家としての敗北」 3/6
アルピニストの野口健さんが、自身が率いる「ピークエイド」による能登半島地震の被災地支援に際して、被災者の方々の苦境に直面。SNSを通じて強い批判を表明しています。
野口さんは4日に「ピークエイドは今日も被災地に寝袋(52個)を配送致しました。」と書き出し、段ボール箱で多くの寝袋を搬入する写真を投稿。「避難所から在宅避難、車中泊へと逆戻りされる方々」にも寝袋を渡したとして「災害発生から2ヶ月が過ぎても、今だに変わらない」「何週間も何週間も寝袋を待ち続ける人々の姿。」と綴り「この現実を知るべき。そして最後にすべきだと。」と訴えています。
この投稿の前には、道の脇に瓦礫が寄せられただけの被災地の写真とともに「避難所から在宅避難、車中泊避難に逆戻りされるケースが大半。」と投稿。"避難所は仮設住宅ができるまでの繋ぎ" という前提が崩れてはいないかと危惧しつつ「仮にその大前提が崩れ去るようなことがあれば国家としての敗北を意味する。」と強く批判しています。
被災者の方々から「今だに敷き布団がなくダンボール1枚に毛布1枚で寝ています。」という訴えが寄せられたときに「『この国は果たして本当に先進国なのか』と強く感じた」と野口さんは振り返り、「支援の輪がまだまだ、まだまだ必要です。」と呼びかけています。
●「納税するつもりはございません」自民・塩谷立の脱税宣言を読み解く3つのカギ 3/6
自民党の裏金問題で、多くの国会議員に本来課税対象となる真っ黒な収支が見つかったことで、日増しに高まる「政治家の脱税許すまじ」の声。SNSでも「確定申告ボイコット」など怒りのハッシュタグが飛び交っていましたが、今度は自民・塩谷立議員(しおのや・りゅう:静岡8区)の「 #納税するつもりはございません 」という“脱税宣言”が大炎上しています。さらに国税庁も、まるでタイミングを合わせたかのように「収入の申告漏れにご注意」と政治家ではなく国民に呼びかけて一般納税者の神経を逆撫でし、火に油を注ぐ始末。このような「おまいう(=おまえが言うな)」発言の背景には一体何があるのでしょうか?冷泉彰彦さんが詳しく解説します。
「納税するつもりはございません」塩谷議員の“脱税宣言”が大炎上
自民党のパーティー券収入の裏金化問題をめぐって、3月1日に衆院では政治倫理審査会が開かれました。
そこで飛び出した、「旧安倍派の幹部だった」一人である塩谷立衆院議員(元文科相)の発言に対する批判が高まっています。
塩谷議員は、裏金について「納税しろ」という野党議員の追及に対して「私自身はしっかりとそれを政治活動に使用しておりますので、納税するつもりはございません」と述べたそうです。
何ともひどい「居直り」です。ですが、この塩谷氏の金銭感覚が狂っているとか、根性が極悪だというのではないと思います。そうではなくて、もっと具体的には3つの問題があるのではと考えられます。
なぜ自民党議員はナチュラルに脱税するのか?3つのポイント
1つは、必要経費という感覚です。
会社勤めだろうが、自営だろうが、とにかく社会人としてカネの出入りに関わっている人には、カネの公私の区別というのは、社会人として初歩の中でも初歩になります。
例えばですが、会社で使う文房具が足りなくなって、上司に命じられて急いで買ってきた場合には、領収証を出して経理に費用精算の申請をします。上司が命じたのであれば、これは業務の経費になるからです。
一方で、昼休みに外出してランチを食べたとか、会社帰りにスーパーで食料品を買って帰ったなどというのは私用です。給料をもらって税金を天引きされて残った手取りの中から、自分で払うのが当然です。
この2つの区分からすると、裏金というのは、別に自分で飲み食いしたわけでも家計に流用したわけでもないということになりそうです。
例えば、支援者を接待した、地方議員への激励に使ったなどという場合に、いちいち全部について自腹を切っていたら、公私混同になります。
だったら、この裏金は業務上の支出だという感覚になるのだと思います。
ですが、塩谷氏をはじめとした政治家たちは、その使途については「知らぬ存ぜぬ」で一貫しています。つまりカネを何に使ったかは明かせないというのです。
「使途不明金には課税される」のが当たり前
もちろん、実社会にはそのような例はあります。ですが、税法上は「税務署に経費を否認されるイコール課税」というのが常識です。これが第2の問題です。
個人の納税者にしても、あるいは企業などの法人にしても、使ったカネの中で、どうしても税務当局に知られたくないという場合はあると思います。
例えばですが、オーナー経営のベンチャー企業が、儲かったので社員と家族を呼んで派手なBBQパーティーを行い、その経費は会社のオゴリだったとします。
ですが、その金額が「社会通念」を上回る場合には、費用として認められないので課税されます。
また、あまりにも大きな額になると、今度は参加した社員の方が「所得税」を取られてしまいます。そうなると、参加した分だけ社員は損をしてしまうので、せっかくBBQをやっても社員のモラルは下がってしまいます。
「使い道を明かせない」裏金は納税義務とセット
そこで、企業は税務署に対して支出の目的を隠し「使途不明金」として処理します。つまり、このカネは確かに使ったが、その使途は明かせないという宣言です。
その額があまりに非常識ですと、税務署はそれでもBBQを食べた社員からも課税しようとするし、さらに非常識な高額だとなると、会社は株主への背任ということで刑事告発を受けるかもしれません。
そこまで行かない範囲、つまり会社としては「社会通念より贅沢なBBQ」で経費にはならないが、食べた社員に所得税脱税の強制捜査を入れたり、背任とするほどの金額ではないという範囲は、実はあると思われます。
その場合は、企業側は使途不明金としての処理を行い、詳しい実態を税務署には報告しません。そのかわり、その金額は全く経費としては認められないので、利益と同じように、そのBBQ代金には法人税がかかります。
自民議員を支配する、どす黒い権力意識と「被害者意識」
つまり、否認イコール課税というのが民間の常識なのです。塩谷氏をはじめとする政治家は、この常識が完璧に欠落しているということになります。
そこにあるのは、どす黒い権力意識です。これが第3の問題です。
自分たちが自由経済を守り、国を守っている、野党には任せられない、でも選挙地盤にはカネを投入しないと当選できないという一種の被害者意識のようなものとも言えます。
「俺たちが国を動かしてるんだからガタガタ言うな」
実はこの被害者意識は、「自分たちが国家を動かしている」という権力意識と裏表の関係にあるわけです。この2つの身勝手な意識が一緒になることで、どういうわけか完全に罪の意識が消えてしまうのです。
そうした思考法、発想法の全体が国民に対する裏切りだということに、とにかく気づかない限り、自民党の信用回復というのは難しいと思います。
●岸田首相、なぜ森元首相をかばう? 裏金事件、頑なに聞き取り調査を拒否 3/6
3月6日に開かれた参院予算委員会では、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、岸田文雄首相が安倍派(清和政策研究会)会長だった森喜朗元首相や安倍派幹部をかばうようなやりとりがあった。
「森元首相の関与は客観的に明らか」
立憲民主党の小西洋之氏は、安倍派のパーティー収入の議員側へのキックバック(還流)について、派閥の会長と事務局長(職員)で取り扱う案件として20年ほど前から行われていたことは自民党の聞き取り調査に複数の議員が証言しているとして、「(当時の会長だった)森元総理が関与していたのは客観的に明らかだ」と指摘した。
森氏に事実関係を確認した上で実態を説明するよう求めたが、岸田首相は「調査では具体的に森元総理の関与を指摘するような証言は確認されていない」などと拒否。「実態把握の努力は続ける」と言い訳のように繰り返した。
森氏は1998年から2006年にかけて、自身の首相在任期間(2000年4月〜2001年4月)を除き清和政策研究会の会長を務めている。
還流継続の経緯、安倍派幹部らの証言は食い違い
小西氏は、1日の衆院政治倫理審査会(政倫審)で安倍派の西村康稔前経済産業相と塩谷立元文科相が、いったん中止が決まったパーティー収入のキックバックが継続されることになった経緯についてそれぞれ食い違う証言をしたことについても、岸田首相自身が安倍派幹部に聞き取って確認するよう要求した。
だが、首相は「政倫審の発言の食い違いについて私自身、党としても実態把握につとめているが今現在確認はできていない」などと応じなかった。
小西氏は、岸田首相が2023年12月に「国民の信頼回復のため火の玉となって先頭に立つ」と決意を述べていたことを引き合いに、「森元総理や安倍派幹部に事実関係を確認すらしない。確認すら拒否するなら、火の玉の決意とは何なのか。線香花火程度の決意じゃないか」と批判した。
小西氏は、岸田首相に参院政倫審の参考人としての出席も求めたが、首相は「出席は考えていない」と否定した。
この日の参院予算委では、共産党の山添拓氏も岸田首相に森氏への聞き取り調査を求めた。だが、首相は「党の調査で森元総理が直接関わったという発言は確認されていない」などと繰り返すにとどめた。山添氏は、森氏と安倍派事務局長の証人喚問を要求した。
「森元首相への聞き取り拒否なら実態解明は不可能」
安倍派のパーティー収入の議員への還流がいつから始まったのかを巡っては、解明が全く進んでいない。
自民党内では「岸田さんに森さんの聞き取りをしようなんて思いはこれっぽっちもない」(中堅)との見方が大半だが、野党からは「長年にわたり安倍派会長を務めた森元首相への聞き取り調査を岸田首相が頑なに拒否するなら、これ以上の実態解明は不可能だ」(立憲民主党若手)との声も上がる。
一方、安倍派の下村博文元文科相は既に党幹部に衆院政倫審への出席意向を伝えているが、森氏と距離があることが警戒され、実現するかどうかは見通せない。下村氏の審査が実現した場合は、森氏に関する発言が出るのかも注目される。
●不倫、裏金…自民“エッフェル軍団”に「しっかりやっていると言うんだったら…」 3/6
弁護士の萩谷麻衣子さんが6日、コメンテーターを務めるテレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」に出演。不倫を認め、謝罪した自民党の広瀬めぐみ参院議員(57=岩手選挙区)に関連し、自民党女性局について言及した。
広瀬氏は5日に自身の地元・岩手県内で不倫報道後、初めて取材対応し「相手の方との関係については報道されている通り、事実でございます」と認め謝罪。党岩手県連の副会長を勧告を受けて辞職したことを明らかにした。一方で、議員辞職や離党については否定。会見はわずか7分間で打ち切った。
広瀬氏をめぐっては、昨年10月、カナダ出身の50代サックス奏者とレストランで食事後、自身が運転する赤いベンツで東京・歌舞伎町のラブホテルに移動し、一緒に宿泊したとして週刊新潮に「赤ベンツ不倫」と報じられた。
2022年の初当選後は、松川るい参院議員(53)が「エッフェル姉さん」として批判を浴びた昨年7月の自民党女性局のフランス研修にメンバーの一人として参加。不倫報道後は現在放送中のTBSドラマ「不適切にもほどがある!」で多用されて話題になっている昭和の流行語「チョメチョメ」にちなんで「チョメ姉さん」とネット上で呼ばれていた。
自民党の今回の裏金事件では、松川氏が政治資金収支報告書に記載していなかったパーティー券収入は、2019年からの4年間で計204万円だったことも分かっている。
萩谷弁護士は、フランス研修の報告書がいまだに公表されていないことに「自民党って裏金の問題もそうですが、国民から疑念を強く持たれていることに関して、しっかりやっていると言うんだったら積極的にこれだけやっていますということを示すべきだと思う。それを裏金に関しても不明ですとか、フランス研修の報告書も出さないってことになると、ますます本当はちゃんとやっていないんじゃないのって疑いを強く持たれるだけ。そこをどうしてやらないのかなというのがすごく不思議」と自身の見解を述べた。
●岸田首相、裏金問題めぐる政倫審で指導力不足を露呈 3/6
裏金問題は、岸田文雄首相の政治倫理審査会出席にまで進展した。だが、核心は明らかにならなかった。確定申告の時期に重なり、納税者の怒りを買っている。
国会議事堂の3階で2月29日に開かれた衆院政治倫理審査会。現役の首相として初めて出席した岸田文雄氏は終始、緊張した面持ちだった。派閥の裏金問題をめぐって「自民党は抜本的な出直しをしなければならない」と表明したが、裏金問題の経緯や使途について具体的な言及はなかった。立憲民主党の野田佳彦元首相は、岸田氏自身が資金集めパーティーをたびたび開催していることを批判。岸田氏は「首相在任中のパーティーは行わない」と約束する答弁に追い込まれた。
自民党派閥のパーティーにからむ裏金問題はついに、岸田首相自身の政倫審出席にまで進展した。しかし、政倫審での説明では、安倍派、二階派の幹部も含め派閥から議員へのキックバックが続いてきた経緯や、受け取った裏金を何に使ったかといった疑惑の核心は明らかにならないままだ。岸田政権を取り巻く暗雲が晴れる様子はない。2年半前に「聞く力」をアピールして登場した岸田氏は、持ち味を発揮することがないまま舞台を降りるのだろうか。
最低水準の支持率
自民党の安倍派を中心とした裏金問題で、この党の体質がさらけ出された。安倍派の国会議員3人、安倍派、二階派、岸田派の会計責任者らが立件された。
多額のパーティー券を企業に買わせ、キックバックをうけた裏金は選挙基盤の強化に充てた。建設や農業といった支持業界が細る中で、地方議員対策などに裏金が使われた可能性が大きい。領収書のないケースが多く、本来なら「脱税」に問われる。確定申告の時期に重なり、納税者の怒りを買っている。2月中旬に各メディアが行った世論調査では岸田内閣の支持率は最低水準(朝日新聞21%、毎日新聞14%、読売新聞24%)だ。
支持率低下は昨年秋から続いている。防衛費増額の財源として所得税・法人税などの増税を予定し、岸田首相が「増税メガネ」と揶揄された。それに対して所得税・住民税の減税を打ち出したが、「ごまかし」という批判が高まり、支持率が急落。岸田氏に対する信頼が失われた結果が支持率低下だった。そこに裏金疑惑の直撃を受け、岸田政権は存亡の危機に追い込まれた。
苦境打開のために岸田首相が打ち出したのが「派閥解散」だった。裏金の温床は自民党の派閥体質だとして、自らが率いてきた岸田派の解散を明言。これを受けて、ほとんどの所属議員が裏金を受け取っていた安倍派も解散を決め、二階俊博会長(元幹事長)が直近5年間で3526万円の裏金を受け取っていた二階派も解散することになった。ただ、麻生派、茂木派は事実上、存続し、派閥解散は中途半端なものとなった。自民党は岸田首相の指示を受けて、所属国会議員へのアンケート調査と裏金を受け取ったとされる議員に対する聴き取り調査を実施。だが、裏金が続いてきた経緯と使途は明らかになっていない。
指導力不足を露呈
野党側は自民党の調査では不十分だとして、衆参両院の政倫審で関係議員が説明するよう要求。衆院では、裏金を受け取った51人の全衆院議員の出席を求めたが、自民党は安倍派座長の塩谷立元文部科学相と事務総長経験者の西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、高木毅前国会対策委員長、二階派事務総長の武田良太元総務相の5人が説明することになった。しかし、5人は政倫審の規定に従って非公開とすることを要請。公開を主張する野党側との交渉が難航した。業を煮やした岸田首相が、自ら全面公開の政倫審に出席することで5人の公開審議も決まったが、その過程では岸田首相の指導力不足を露呈することとなった。
衆院の政倫審で、首相を含め出席者はすでに公表されている不記載の金額などを説明するだけで、キックバックの経緯や使途については明確な回答を避けた。野党側は「疑惑は解消されていない」として、今後、衆院予算委員会などで二階元幹事長や萩生田光一前政務調査会長らの参考人招致や証人喚問を要求する構えだ。
●パリピ岸田首相、98.4%がパーティー収入の唖然…国会では「裏金の定義知りません」で責任逃れ 3/6
3月5日、参院予算委員会では自民党の裏金問題が議題にのぼったが、いつものように「堂々めぐりの議論」が繰り広げられることに。質問に立った国民民主党の川合孝典議員も、冒頭に「裏金問題(を議論するの)は時間のムダなんですが」と、自民党の調査が進展しないため、まともな国会論争ができないと苦言を呈していた。
「その川合氏が、岸田首相に『裏金とはどういうものか』と質問すると、首相は『定義については衆議院の議論においてもあったが、(私は)裏金の定義に確たるものは持っていない』と答弁しました。
また、不記載の金額についても『全額、手をつけずに置いておいた者もいれば、全額領収書を保存していた者もいる。政治活動にかかわる支出だと聞いている』など、これまでの『のれんに腕おし』の答弁を繰り返すだけでした」(政治担当記者)
その後、共産党の田村智子議員が「派閥が議員事務所に記載するなと指導したのは、組織的な犯罪がおこなわれたことになるのでは」と岸田首相に問いただすと、「組織的犯罪という言葉の定義は承知していない」と答えるにとどまった。
「さらに田村氏は、岸田首相の『パリピ(パーティー好き)』ぶりを取り上げました。岸田首相の資金管理団体『新政治経済研究会』の2022年分の収入のうち、政治資金パーティーによる収入が98.4%を占めていたことが明らかになりました。
岸田首相は、2月29日の衆議院の政治倫審査会(政倫審)でも立憲民主党の野田佳彦元首相に「2022年だけで7回、開催していた」と指摘されましたが、田村氏の資料によれば、総収入約1億5765万円のうちパーティー収入は1億5509万円にもなります。パーティーは2022年7月に安倍晋三元首相が暗殺されたあともずっと続いていました」(政治ジャーナリスト)
岸田首相は、野田氏から「内閣総理大臣になったら、やめないといけない慣習だと思いますよ」と追及され、渋々ながら「内閣総理大臣としてパーティーを開催することは、今は考えていない」「在任中はやることはない」と答弁した。
こうした生煮えの答弁に、ニュースサイトのコメント欄には、
《くだらない言い訳していないで素直に「政治資金集めてました、何故ならば理由がこうだからです」ってしっかり言えばいいのに》
《大臣規範の『国民の疑念を招きかねない』ということにはあたらないと判断した次第だ 疑念を招くか招かないかは、あなたの判断ではない 国民の判断だ》
《7回もの政治資金パーティーは全て「勉強会」だとか。どこの世界に1億5千万円もの水揚げがある勉強があるのか》
など怒り書き込みが目立った。問題解決に向けた岸田首相のリーダーシップがまったく見えない。
●「リアクション政治家」になった岸田文雄に自民党議員が「リアルガチなダメ出し」 3/6
「増税メガネ」と揶揄されて、過剰反応した岸田文雄総理。自身が率いた自民党派閥「宏池会」(岸田派)の解散を表明したほか、衆院政治倫理審査会に出席するなど、自民党内では「リアクション政治家」と呼ばれている。
芸能界では「何かに対して過剰な反応をする芸風の芸人」のことを「リアクション芸人」と呼んでいるが、それにちなんだアダ名の命名だ。
3月2日の衆院予算委員会でも、質問した立憲民主党の馬淵澄夫氏は、「初っ端で『火の玉』とか『先頭に立つ』とか勇ましい言葉を発するが、その後は全く無関心で放置。窮地に陥るとサプライズ。サプライズでは問題解決にならない」
そう言って、岸田総理の政治姿勢を斬り捨てた。これに岸田総理は「ご指摘はあたらない」と反論したものの、朝日新聞によると、自民党閣僚経験者も、「総理の(政倫審出席という)決断は評価するが、その後は成り行き任せ。『必ず成し遂げる』『みんなついてこい』というエネルギーが足りない」と評する。
岸田総理本人は派閥解散や政倫審出席を自身の「決断」と意気軒高のようだが、リアクション芸人のように、対応は受け身。たまに唐突に「決断」を見せるものの、総じて指導力が足りないと、党内では映っている。このため、自民党内では「党のガバナンス(統治)が崩壊している」という声が多くなっている。
令和6年度の予算案が衆院を通過したことで、自民党中堅議員は、「これで『ポスト岸田』の号砲が鳴った」
支持率低迷が続く岸田総理では次期総選挙は戦えない、との認識から出た言葉だ。岸田総理に残された時間は少ない。いつまでも「リアクション政治家」では、現状打破はとうてい無理だろう。
●「小池百合子首相」説が急浮上、悪夢の連立政権誕生シナリオの現実味 3/6
自民党内に幽霊が出る 小池百合子という幽霊が
古参の自民党職員が、昭和世代には懐かしい言葉で今の自民党内を自嘲していました。
「自民党内に幽霊が出る――小池百合子という幽霊である。古い自民党のすべての派閥領袖は、この幽霊を退治しようとして同盟を結んでいる。だが、小池百合子はすでに、次期首相の有力候補として認められている」
有名な『共産党宣言』の冒頭の言葉をもじって、裏金問題などで揺れる自民党内に、ポスト岸田の有力候補として、小池百合子氏の名前が「恐怖」と共に浮上しているのです。
確かに、今の自民党および岸田内閣の支持率は史上最悪レベルです。しかし不人気の岸田総理下ろしをして、顔をすげ替え、解散をしたところで、石破茂、河野太郎、小泉進次郎といったかつてのスターは人気が衰え、茂木敏充、萩生田光一、林芳正、高市早苗、上川陽子などの有力者が出馬したところで、劇的に人気を回復するほどの首相候補は見当たりません。
一方、東京都知事としてコロナ禍でも着実に実績を積み重ねてきた小池百合子氏は、2020年の都知事選では366万票の圧倒的得票で当選したという実績を持ちます。しかもその4年前、2016年に安倍・菅長期政権で唯一最大の危機と言われた「希望の党」を小池氏が結党するという騒動では、自民党は政権交替の危険にさえ晒されました。よって現在のこの危機に、喉から手が出るほど候補に欲しい人材ではありますが、これほど毒のある候補もいません。
私は、小池百合子氏の人生が嘘に塗り固められ、権力欲、上昇欲で一貫していることを完璧に暴露したと絶賛されたノンフィクション作品『女帝 小池百合子』(石井妙子著)の取材に協力したので、小池氏のどんなことをしても自分の欲望を実現するという人生観はよくわかっています。そして、実際の政権担当能力も政策の構想能力も否定的に見ていますが、今の自民党が「選挙の顔」としての魅力を感じていることは否定できません。
自民党内で囁かれる、小池氏国政復帰(「自民党」復帰ではなく、あくまでも「国政」への復帰であり、これが自民党にとって悩ましいのです)のシナリオを紹介しましょう。
まことしやかに囁かれる 「小池首相」誕生シナリオ
(1)岸田政権の最初の関門は4月第4日曜におこなわれる3つの衆議院議員補欠選挙です。長崎3区の補選は裏金問題で起訴された谷川弥一議員の政治資金規正法違反による辞職に伴うもので、自民は候補を立てられず不戦敗。島根1区の補選は自公連立ですが苦戦。東京15区の補選は柿沢未途議員の公職選挙法違反によるもので、有力な立候補者はなく、小渕優子選対委員長などはすでに「不戦敗」を考え始め、都民ファーストの会の候補を自公が推薦するという形になりそうです。
しかし、自民勝利の可能性はゼロではありません。野党も乱立気味だからです。日本維新の会が新人の金沢結衣氏(33)を、共産党が新人の小堤東氏(34)を擁立することを決定。立憲民主党も候補擁立を検討。国民民主は候補者の疑惑で立候補を取り下げました。都民ファーストの会もまだ自公の推薦を受けることを正式には表明していません。
野党に有力候補はいないので、自民党ではなく保守系無所属ということで「自民隠し」をすれば、当選の可能性は出てくるのです。野党が確実に勝利するには、野党共闘、候補の調整が必要です。もしここで、小池氏が顧問となる都民ファーストの会の全国版「ファーストの会」が候補を出し、自民党を倒す作戦に変更したらどうなるでしょうか。
第一の可能性として、ファーストの会の候補が小池氏自身であったら圧勝でしょう。しかしそれでは、小池氏は自分を高く自民党に売りつけることができません。政界には、過去に小池氏の裏切りで痛い目に遭った議員が多数いて、一議員として復帰しても、総裁候補となるだけの人数を集められる議員になるとは思えないのです。
(2)次に考えられるのがファーストと日本維新の会の連携です。まずは、小池氏が維新の候補を応援する形で補選をすれば、相手が無名の保守系無所属程度では勝てません。野党勝利となって自民は1勝2敗か全敗。こうなると、岸田政権はかなり厳しい状況に追い込まれます。
そして国政については、3月末日で予算が成立します。岸田首相は、ここで補選も含めた解散総選挙に踏み切る可能性もありますが、政治資金問題の改革など大きなテーマの結論がたった1カ月で出る可能性は低く、大義名分のない解散と受け取られ、お膝元の自民党からも反対される可能性が大きいと考えます。
(3)そうなると解散総選挙は、7月の通常国会終了後か、岸田首相が任期切れとなる10月の自民党総裁選のタイミングが浮上します。この場合も、4月より支持率がアップしているとは思えず、その前に岸田下ろしが始まり、自民党は新しい「首相」候補で選挙に挑むしかありません。なにしろ自民党にはタマがない。しかし、野党にもタマがない。自民党都連など萩生田会長が安倍派不祥事に連座しているため、5月まで会長決定は延期という有様です。
数字的に分析しても、自民党に厳しい選挙になります。というのは、小選挙区制度になってからの国政選挙では東京・大阪といった浮動票が多い地域での結果が、全体の結果を決めることが多いからです。たとえば、民主党が政権交替をした2009年の衆議院選挙では、東京では25区の選挙区のうち前回の総選挙で自民が24、民主が1だったのに対し、このときは民主が21で自民が4という結果でした。
国全体の結果は民主が308で自民が119。小選挙区では民主221、自民64という大逆転でした。東京が日本を変えたのです。ポスト岸田の選挙でも、東京に強い小池氏とファースト、そして大阪に強い日本維新の会がタッグを組むと、今でも維新は45の議席があるため、その2倍近い議席数も予想できます。しかも、維新もファーストも基本的に保守政党を自称しているので、自民離れした票が流れる可能性が高く、自民党が過半数を制する可能性が少ないことは十二分に予想できます。
過半数割れをした自民には、公明との連立でも数が足りない事態が起きて、自民、維新、小池連合が模索される可能性は高いでしょう。維新と小池氏の思想から見て、立憲や共産との連立は考えにくく、維新の馬場伸幸代表ではあまりに全国での知名度が足りません。そして自民から首相が出るようでは、維新も小池氏も連立を断る可能性が高くなります。
自民・維新・ファースト連立で 少数政党の小池氏がトップに?
これではあまりに不安定な内閣になるため、少数政党の小池首相を中心に、1993年の政権交代で日本新党の細川護煕氏が首相になったのと同じパターンになる可能性は大いにあります。やはり、実績と知名度が他の候補より相当大きい上に、東京五輪開催を成し遂げ、1000万人という小さな国家なみの人口を抱える東京都の政治を一定期間担ったという安心感もあります。
その上、自民党には小池氏と繋がる二階元幹事長という応援団もいるため、場合によっては、自民党脱党組と野党連合の政権も成立しかねないのです。菅義偉元首相や河野太郎氏、小泉進次郎氏などは可能性が十分あるでしょう。要するに、与党にも野党にも、顔と名前が全国区で好感度が高い、あるいは政治的信頼度が高いという政治家が、ほとんどいないのです。
以上が、選挙通や自民党関係者から集めた「小池首相誕生」というシナリオです。ただ、こんな風に私は小池首相を予想しましたが、決してそれを望んでいるわけではありません。
都知事に立候補したときの小池知事の公約を覚えているでしょうか。(1)待機児童ゼロ、(2)満員電車ゼロ、(3)残業ゼロ、(4)都内電柱ゼロ、(5)多摩格差ゼロ、(6)介護離職ゼロ、(7)殺処分ゼロという7つの公約でした。そのうち、達成されたのは(7)の殺処分ゼロだけ。このゼロは大々的に宣伝されましたが、実は不健康なペットや病気のペットは保護せず、今まで通り殺処分はされていたので、本当はゼロではなく150匹は殺されていました。
小池氏の生き方は流れを読み、キャッチコピーで人気を得て、その時々の大物に媚びを売って出世するというパターンでした。その本質が都知事経験で変わったとは思えません。小池氏に近い関係者は、「彼女の最近の行動は明らかに国政復帰を目指しているように見える」と言います。「カスハラ条例」をつくるといった若者やマスコミうけする政策、「無駄な出費」と批判を受けた都庁プロジェクションマッピンクも、側近によると「国政進出策と考えると無駄ではない」そうです。
「東京を制する政党が国政を制します。毎日都庁のプロジェクションマッピングを見せつけられたら、古い体質の自民や公明では太刀打ちできない新しい政党という印象を十二分にアピールできる仕掛けになっています」(側近)
小池氏の政治的行動については、小泉郵政選挙で刺客として立候補、小沢一郎氏との蜜月と離別後の小沢氏に対する罵倒、そして盟友だった舛添要一氏のあとを受けての都知事選における舛添氏への悪口雑言と、とにかく裏表があり過ぎる印象です。しかも、実行した政策についてはクールビズなど目先のアイデアしか思いつきません。
唯一の信条がタカ派的な国家観ですが、これが発揮されたのは彼女の人生の最大の失敗である希望の党の「排除の論理」でした。全員が希望の党に入党し、反安倍政権で選挙を闘うと思っていた民主党議員たちはあっと言う間に分裂、立憲民主の結党に走ったため、希望の党は泡のように消えました。憲法観や国家観を全面に出したとき、彼女は大失敗したのです。今回は色々な政党を糾合するのに、どんなキャッチコピーを使うのでしょうか。
「空気」は研究し尽くしているが 「失敗の本質」は学んでいるのか
折しも千葉方面では地震が頻発し、都庁でも地震対策について現実的な研究が命じられているようです。私はダイヤモンド・オンラインの過去の連載記事で、震災や噴火がこれから頻繁に起こりかねないのに緊急時の法体制が整備されていないこと、そして大破壊のあとの国家の改造計画がないことについて警告してきました。これはどこの政党が、そしてどんな首相が政権を担当しても、やり遂げねばならない課題です。
次期政権には、せめて災害時に機能する憲法の緊急事態条項を提案するといった、国家百年の大計を作れる政権になってほしいと考えます。小池氏は人生に影響を与えた本として『「空気」の研究』(山本七平著)と『失敗の本質:日本軍の組織論的研究』(野中郁次郎他著)を挙げています。確かに「空気」は研究し尽くしているように見えますが、「一度成功すると同じ作戦を繰り返す」という日本軍の欠点を指摘した『失敗の本質』から学んだようには見えません。
読者の皆さん、日本の将来を決める選挙がすぐそばに迫っていることだけは忘れないでください。 

 

●裏金問題キーマンが反論「私の意思は変わらず」 政倫審出席見送り報道受け下村博文氏がX投稿 3/7
自民党の下村博文衆院議員は7日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、自民党の派閥政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席しない見通しになったと報じられていることについて、反論の投稿をした。
「一部報道で、私自身が政倫審出席を見送るようにとられかねない記事がありましたが、私の意思はまったく変わっておりません」と投稿。自身の出席の意思はあくまで変わっていないと強調した。
下村氏は安倍派(解散決定)で事務総長を務めた経験があり、1月には記者会見も開いた。この時、1度は廃止が検討された裏金のキックバック(還流)が復活したことをめぐり、議員のパーティー収入に上乗せした上で、治資金収支報告書に記載する案が安倍派幹部の間で協議されたことがあると明かした。キックバック復活の経緯については、今月1日に政倫審に出席した安倍派幹部の間で主張が食い違ったため、幹部協議に出席していた下村氏が真実を証言すれば、真相解明の「キーマン」になるとみられている。
一方で下村氏の出席をめぐっては「爆弾発言」への警戒が自民党内で根強いとして、出席への調整が難航しているとの見方も出ている。
下村氏は4日のX投稿で「今後政倫審が開催されるのであれば、党と相談して説明責任を果たしていきたいと考えています」と投稿していた。
一方、立憲民主党は、真相解明に向けて下村氏の証言が必要だとして、参考人招致や証人喚問の実施を求めている。
●自民党「脱法」“荒稼ぎ”議員ランキング 3位甘利明、2位茂木敏充、1位は? 3/7
“パー券裏金問題”に大揺れの自民党。党のアンケート調査で明らかになった“裏金議員”(派閥の政治資金パーティー券の収入のキックバック分を収支報告書に不記載)は、90人超えに。
2月29日の衆議院の「政治倫理審査会」で岸田文雄首相(66)は「私的利用は確認できず……」と“しらばっくれる”始末。
ところが、これ以外にも脱法的な方法で、多額の資金を得ている議員たちがいる。
そこで本誌は、“脱法荒稼ぎ議員ランキング”を作成。そこでは、「派閥パーティー禁止」を声高に訴えている小泉進次郎元環境大臣(42)も4位にランクインしていた。
小泉氏に関しては、『週刊ポスト』により一連の報道がなされている。
小泉氏は、コロナ禍の2021年、自身の資金管理団体主催による「小泉進次郎オンライン研修会」を4回開催。計1528万円もの“荒稼ぎ”をしたという。
オンライン会合では政治資金規正法が適用されず透明性が低くなって
総務省は、オンライン会合による収益を禁じてはいないが、「新たな“抜け道”になる」と懸念するのは、裏金問題を告発している神戸学院大学教授の上脇博之さん。
「政治資金パーティーの代金は、会場費や飲食代などの“対価”として支払うという建前です。しかしオンラインの場合、会場費も飲食代も発生しない。よって、政治資金パーティーの扱いにならず、小泉氏は“その他の事業”として、政治資金収支報告書に記載しています。そうなると、〈20万円を超える購入者は、氏名等を記載しなければならない〉〈1回のパーティーにつき、同一の者からの支払いは150万円以下に限られる〉といった政治資金規正法も適用されません。極めて透明性が低くなるのです」
小泉氏のオンライン研修会は、利益率が8割と非常に高いという。
「利益率があまりに高いと、実質、献金です。献金なら、同一の者から年間5万円を超える寄付を受けた場合、政治資金収支報告書に寄付者の氏名など明細を記載しなければならないのです。このような抜け道につながりかねない事業は禁止すべきです」(上脇さん)
また、小泉氏は、2022年にもセミナーや政治文化パーティー等を計12回開催。稼いだ額は、総額8578万円にものぼるとのこと。
これについて小泉進次郎事務所に見解を求めたところ、〈法令及び総務省の見解などに従い適正に実施し、その収支は当該年分の収支報告書に記載している通り〉と回答があったのみだった。
より悪質なのが、“安倍派5人衆”のひとりで派閥のパー券収入のキックバックも受け取っていた西村康稔前経済再生担当大臣(61)。
『週刊文春』2023年12月21日号の報道では、裏金問題が発覚した昨年10月以降も、3回にわたって大口の支援企業が1枚2万円のパー券を購入するかたちで「西村やすとし茶話会」を都内のホテルで開催。参加者はパー券を購入していない経産省の職員ら10人弱。利益は1回あたり数100万円とボロ儲けの“架空パーティー”だったという。
●岸田首相、自民党派閥の裏金議員に「納税を促す対応は考えていない」 3/7
岸田文雄首相は6日の参院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件に関し、キックバック(還流)分を政治資金収支報告書に記載しなかった同党議員に納税を促さない考えを明らかにした。「政治家の関連政治団体が、派閥から政治資金を受け取る行為に法人税の課税関係は生じない」と説明し、「現時点で納税を促すなどの対応は考えていない」と明言した。国民民主党の舟山康江氏への答弁。
自民が裏金事件を受けて党所属国会議員らを対象に行ったアンケートは2018〜22年の5年間が対象だった。共産党の山添拓政策委員長が17年以前も調べるべきだと追及すると、首相は「刑事責任、保管されている資料との関係で(対象を)5年間と定めた」と述べるにとどめた。
●「政治不信が最悪」岸田首相支持率、裏金問題直撃 2月世論調査 3/7
岸田内閣の支持率が低迷している。毎日新聞の2月17、18両日の全国世論調査で支持率は14%と内閣発足後の最低を更新し、不支持率は82%に上った。有権者の支持離れはどこに原因があるのか。調査回答者の自由記述から探った。
調査は固定電話と携帯電話のショートメッセージサービスを組み合わせて実施した。このうち携帯電話で回答した453人を対象に岸田内閣を支持する理由、支持しない理由を自由に書いてもらい、344人が回答を寄せた。
不支持の理由では、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件への不満が目立った。「裏金問題について責任を果たしていない」(30代男性)、「裏金問題で政治不信が最悪なのに改革への意気込みが全くない」(70代男性)など政権の対応が不十分だと感じる人が多い。
調査後、衆院で2日間の政治倫理審査会が開催された。しかし、実態解明は進まず、「パーティー券の裏金問題をしっかり精査し処罰してほしい」(70代男性)と望んだ人には消化不良だったと言える。50代男性は「以前は支持していたが、続々と出てきた(裏金問題の)金額の総額を見ると、庶民の立場では理解できなくなった」と書き込んだ。40代女性は「裏金を受領した議員には遅滞上乗せで課税し、議員辞職させるべき」だと求めた。
生活苦が改善されないと感じる人もいる。40代男性は「どんどん生活が厳しくなる中、国民に寄り添った対応をしていない」と訴え、50代女性は「物価高で国民が疲弊しているときに、防衛増税、インボイス制度など平気で推し進める」と批判した。調査後、日経平均株価は史上最高値を記録した。調査では新NISA(少額投資非課税制度)を評価する記述もあったが、国民の生活実感からすると、株高が支持率上昇につながるかは見通せない。
支持する理由では「他にもっと良い人がいないのなら仕方がない」(50代男性)、「岸田さんより適任の人材がいない」(10代男性)など消極的な評価が少なくない。「野党が政権をとればさらにひどくなる」(50代男性)、「自民党以外に日本を安定して運用できる党がない」(40代男性)」など野党の力不足を挙げた人も多かった。「(児童手当の拡充など)私のような子供がいる世帯にとってありがたい政策が多い」(40代女性)という声もあった。
●「裏金議員に課税しろ」“税金一揆”いよいよ現実に、市民有志が国税庁に怒りの申し入れ 3/7
「このままだと税金一揆が起きますよ」
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、立憲民主党の江田憲司議員(67)は2月16日の衆院財務金融委員会でこう声を張り上げていたが、国民の怒りの声はいよいよ税務当局にも向き始めた。
市民有志でつくる「自民党ウラガネ・脱税を許さない会」(藤田高景代表)が7日、国税庁に対し、今回の件に関与した自民党国会議員の裏金は「雑所得」として扱い、課税対象にするべきとの申し入れを行ったのだ。
裏金事件で、同会はすでに、政治資金パーティーで得た売上金(収入)を正当な理由もなく申告しなかった所得税法違反(脱税)の疑いがあるとして、「安倍派」(清和政策研究会)の幹部ら10人に対する告発状を東京地検に提出している。
国税庁長官あてに提出された申し入れ書では、「今回問題となった自由民主党の各議員の裏金は、すべて『雑所得』として計上させ、課税対象とすべきである」「政党から受けた政策活動費や、個人、後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品等による寄附などはすべて一律に『事業所得』として計上させ、課税対象とすべきである」などと主張。
●「違法性の認識があったにもかかわらず、キックバックを再開したことが事実なら大問題」長妻務調査会長 3/7
長妻昭政務調査会長は3月7日、国会内で記者会見を開き、「自民党とカネの問題」について発言しました。
長妻政調会長はまず、自民党の大臣や幹部らが、自身の「国会議員関係団体」で得た収入を、使途公開基準の緩い「その他の団体」に寄付することで多額の資金移動をしていたことが明らかになったことについて、「非常に悪質。徹底解明しなければならない」と批判しました。
次に、長妻政調会長は、裏金問題をめぐり、キーマンである下村博文衆院議員が政治倫理審査会に出席の意向を示したことについて言及しました。一方で、自民党が下村議員の政倫審への出席を妨害している疑惑があることについて、「本人が出たいと言っているのだから、政倫審で事実を述べてもらいたい」と述べました。
その上で派閥のキャッシュバックについて、下村議員の発言では、一度はキャッシュバックを廃止する方向を決めた後の安倍派の会合で、個人のパーティーに還流分を上乗せして合法的な形で収支報告書に計上する案もあったと明らかにしており、長妻政調会長は、「違法性の認識があったにもかかわらず、キックバックを再開したことが事実なら大問題」と指摘しました。いずれも「徹底した実態解明をし、その後に責任を取ってもらうと同時に納税をしてもらう」「法律の抜け穴をふさぐ」ことなどを主眼として取り組みを進めると述べました。
相次ぐ収支報告書の訂正にも「どこに信用性があるのか」と疑問
裏金事件発覚後、関与した議員の収支報告書の訂正が相次いでいることに対しても、「一体これらの『訂正』のどこに信用性があるというのであろうか」「このデタラメ極まる『訂正』で『一件落着』となれば、国民の当局に対する信用は地に堕ちたなどという生易しいレベルの話どころではない」としている。
さらに「各議員は、元々これらの裏金を『政治資金』ではないと考え、政治資金規正法上の『政治資金』として届けていない以上、もはやいかなる意味でも『政治資金』ではない」として、「国民の信用を取り戻すためには、裏金には徹底的に課税すべきであるし、課税されなければならない」と断じている。
申し入れを行った藤田代表があらためてこう言う。
「100人を超える自民党国会議員がパーティー券収入を自分の懐に入れていた裏金事件は、政治資金規正法に明確に違反する違法、脱税行為。国税庁への申し入れは、『庶民は増税。自民党は脱税。絶対おかしい。絶対許さない』という国民の怒りを受けた行動であり、これからも取り組みを強めていきたい」
●予算成立で岸田首相が解散画策か…政治刷新vs裏金・派閥“色分け総選挙” 3/7
永田町では、4月の衆院3補選に合わせた衆院解散・総選挙の臆測が急速に広がっている。
4日の参院予算委員会では、立憲民主党の辻元清美代表代行が「4月、イチかバチかの“裏金解散”、考えているんじゃないですか」と岸田首相に問う場面もあった。
岸田首相は「まったく考えておりません」と答えたが、この答弁について見解を聞かれた自民党の森山総務会長は、5日の会見で「きのうは、そうだったのだと思います。きのうまでは、です」と意味深な発言。4月解散の可能性については「総理でないと分からない」とケムに巻き、否定はしなかった。やはり岸田首相は、やる気なのか。
「総理周辺は『やるなら赤組・白組選挙になる』と言っていました。党内を政治刷新派と裏金・派閥の守旧派に色分けして、政治改革で信を問うというのです。総理は説明責任を果たそうとしない安倍派にも、党の危機にまったく動かない茂木幹事長にも怒り心頭で、選挙で叩き落とすつもりです。小泉郵政選挙の手法で、自民党内の争いに注目が集まれば、野党は埋没し、低支持率でも勝てるという計算があります」(官邸事情通)
岸田首相と気脈を通じる森山総務会長は、5日の会見で裏金議員の処分について「17日開催の党大会までに整理できればいい」と言っていた。岸田も「できるだけ早いタイミングでけじめ」と言っている。
自民党が党則で定める党紀委員会の処分には、重い順に1除名2離党の勧告3党員資格の停止4選挙における非公認5国会および政府の役職の辞任勧告6党の役職停止7戒告8党則順守勧告の8段階がある。
岸田首相は安倍派の裏金議員を党の要職や閣僚から駆逐しただけでなく、衆院の委員会理事からも外す方針だ。すでに5の役職辞任までは事実上、進んでいるわけで、その上で改めて処分を科すとなると、軽くても4非公認か3党員資格停止になる。
小泉郵政解散のパクリ
そんな状態で選挙に突入したら、裏金議員はたまったものじゃないだろう。公認候補は改革派、非公認は抵抗勢力ときれいに色分けされてしまう。大量落選は避けられない。
「呼ばれてもないのに突然、政倫審に出席したり、岸田総理は何をしでかすか分からない怖さがある。自分の保身延命のためなら愛着ある派閥も解散する男です。党内に抵抗勢力を仕立て上げ、4月選挙を強行しかねない。それに、本音では政治資金規正法の改正に手をつける前に総選挙をやってしまいたいはずです」(自民党閣僚経験者)
予算成立後の後半国会では、裏金事件を受けた政治資金規正法の改正がテーマになる。「法改正で責任を果たす」と首相自身が言っている以上、会期末までに改正法を成立させなければ政治生命はオシマイだ。
だが、野党が求める連座制の導入や政策活動費の廃止などに自民党は後ろ向き。かといって、抜け穴だらけの法改正では世論が納得しない。規正法改正の本格議論に入る前に選挙に持ち込んだ方が都合がいいのだ。
「政治刷新」や「規正法改正」を掲げて改革派ヅラして総選挙を乗り切ってしまえば、しばらく選挙はない。後はのらりくらり、形ばかりの骨抜き法改正で済ませる算段である。
自民党は3月29日までに参院で予算案を成立させる方針だ。成立後には首相会見が予定されている。その場で「解散宣言」が飛び出すのか。
●「政権機能不全」か「野党腰砕け」か 政倫審の「岸田サプライズ」に予算案めぐる立民議員の「議事妨害」…敵も味方も右往左往 3/7
先週金曜(1日)に国会で行われた衆院政治倫理審査会をテレビで見ていたのだが、新しい話はもちろん出ず、あまりにもつまらなくて居眠りしていたら、「ドジャース、大谷翔平結婚」というニュース速報が出て、飛び起きた。
民放はともかく、NHKの夜9時のニュースのトップが大谷で、政倫審は2番目だった。国民の関心というよりも、明らかにニュースバリューとして、大谷の方が上、ということだったのだろう。
政倫審をつまらなくした「犯人」は、サプライズ参加した岸田文雄首相だ。公開に消極的とされていた安倍派幹部だけでなく、野党も驚いた。予算委員会や記者会見での質疑の繰り返しになって、緊張感が全くなくなった。
問題はこの後で、2024年度予算案の年度内成立、自然成立を目指す自民党は、衆院での採決を予算委員長の職権で決め、反発した野党第1党の立憲民主党は、委員長の解任決議案と財務相の不信任決議案を出した。
ここまでは良かったのだが、立憲民主党の山井和則衆院議員が行った「フィリバスター」がマズかった。山井氏は大きな紙袋を持って現れ、そこから資料を出し、歴代最長の2時間54分間、演説を続けるという「議事妨害」を行った。
この映像を見た瞬間、「これはダメだ」と思った。「議事妨害」には国民からの批判が強いのに、山井氏が何だか楽しそうに、笑顔でやっているように見えたのだ。
山井演説への批判がすごかったからか、与党側との交渉が成立したからか知らないが、立憲民主党は妨害戦術をあっさりやめてしまった。
国民民主党の衆院議員だった菅野(旧姓・山尾)志桜里氏はX(旧ツイッター)で、「勝ち戦でオウンゴールするのはなぜ?」とつぶやいた。
翌朝の読売新聞も「年度内成立。与党は安堵。立憲腰砕け。徹底抗戦貫けず」と立憲民主党を批判した。これに対し、朝日新聞は「首相無援。政倫審や土曜国会…政権機能不全」と、逆の見出しなのが面白かった。
悪いのは政治資金規正法違反をやった自民党なのだから、読売新聞の「立憲腰砕け」はかわいそうな気もする。朝日新聞の「政権機能不全」も違うのではないか。
岸田派解散に続き、今回の政倫審出席も、敵も味方も驚かせて事態打開を図る、最近首相が得意な「岸田サプライズ」だ。
採決強行は先週の早い段階で筆者の元に情報は入っていた。株をさらに上げ、実質賃金をプラスにし、減税し、「デフレ終了」を宣言して衆院を解散したい岸田首相にとって、予算の年度内成立は絶対に譲れない一線だった。
内閣支持率は相変わらず低い。政権はかろうじて維持できるが、とても解散できる数字ではない。
だが、岸田首相は強い。金曜日のつまらない政倫審、深夜国会の議事妨害、そして、異例の土曜国会での予算案衆院通過という一連の流れを見ていて、岸田首相の強さを感じたのだ。
●自民への接近強める維新、安全保障分野で協議の枠組み提案…公明反発 3/7
日本維新の会は6日、自民党に対し、防衛装備移転など安全保障分野に関する政策協議の枠組み設置を求めた。重要政策で政府・与党との連携を深め、維新の存在感を高める狙いがある。ただ、自民、維新両党の接近に公明党からは反発の声が出ている。
維新の遠藤敬国会対策委員長は同日、自民の浜田靖一国対委員長と国会内で会談し、防衛装備移転に加え、経済安全保障分野の機微情報に触れる資格者を政府が認定する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)制度」に関する協議を提案した。会談後、遠藤氏は記者団に「ただ単に『反対』だけでは、日本の安全保障は守れない」と述べ、協議の必要性を強調した。
遠藤氏によると、浜田氏も協議に前向きな考えを示したという。遠藤氏は、維新と衆参で統一会派を組む「教育無償化を実現する会」の前原代表も協議に参加する見通しを明らかにした。
防衛装備品の輸出規制緩和を巡っては、自民が公明と国際共同開発品の第三国輸出に関する議論を重ねている。適性評価制度に関しても、政府が、情報漏えいに罰則を科す「重要経済安保情報保護・活用法案」の今国会成立を目指すなど、いずれも今後の国会審議で焦点となる可能性がある。
維新は国会対応でも、衆院政治倫理確立・公選法改正特別委員会を改組し「政治改革特別委員会(仮称)」を設置することを自民に働きかけ、与野党合意にこぎ着けるなど、自民への接近を強めている。
安倍、菅政権と維新は親密な関係を築いてきたが、岸田政権とは距離があるとされてきた。「政治とカネ」を巡る問題で岸田首相の政権基盤が揺らぐ中、自民ベテランは「自民支持層の取り込みも意識しているのだろう」と分析する。
自民にとっても、重要政策の協議に維新を巻き込むことで、与野党の幅広い合意が得られるとの思惑がある。
これに対し、公明は警戒を強めている。高木政調会長は6日の記者会見で、装備品の輸出規制緩和について、自民、維新の幹部に個別に「与党で協議をしており、政府の決定に野党が関わることはない」と伝えたことを明らかにした。高木氏は「(自民、維新の)装備移転の協議は行われないと思う」とも語り、不快感を示した。
次期戦闘機輸出 立民・泉氏は反対
立憲民主党の泉代表は6日のラジオ日本の番組で、日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出について、「なし崩し的に(容認に)なるのはちょっとまずい」と反対する考えを示した。
ロシアの侵略を受けるウクライナを例に挙げ、「日本には攻撃型兵器を求めているというより、民生支援を要請してきている」と強調。「日本の武器が世界各国で人を殺すために使われることは避けるべきだ」とも語った。
●近い将来に迫る解散・総選挙。野党集結&政権交代のシナリオはあるのか? 3/7
岸田内閣の支持率も、自民党の支持率も危険水域。「今、解散・総選挙をしたら政権交代だ」という声まで聞こえ始めたという。では、その可能性はどれくらいあるのか。そのシナリオはどういったものなのか。野党集結&解散・総選挙の実現性を3人の専門家に聞いた!
立憲・泉総理ではなく、維新・馬場総理誕生!?
自民党の政治資金パーティ裏金事件は、安倍派の池田佳隆衆議院議員が逮捕され、現職の国会議員82人が収入の一部を記載していなかったという異常事態になっている。
その影響か、2月の時事通信の調査では、岸田文雄内閣の支持率は16.9%、自民党の支持率も16.3%と急落。内閣支持率は、2012年の自民党政権復帰後で最低だ。
また、毎日新聞の調査では、自民党と立憲民主党の支持率が共に16%で、日本維新の会が13%、れいわ新選組が6%、国民民主党が5%などと野党の支持率が急上昇。
この結果を受けて「今、野党が集結して次の総選挙に臨めば、政権交代ができるのではないか」という声まで出始めているのだ。
専門家たちはどう見ているのか。ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。
「今、多くのマスコミは『内閣支持率は過去最低。自民党の支持率も下がっている』と発表しています。すると『もう自民党じゃダメだ。政権交代だ』という流れになるのが普通だけれども、そうなっていない。
なぜなら『2009年の政権交代のときは、民主党という大きな政党があったけれども、今は野党がバラバラでまとまっていないから』と言うのです。
ただし、2009年ではなく、1993年の政権交代では日本新党、日本社会党、新生党などの非自民・非共産の8会派が集まって『細川護煕連立政権』ができました。なぜ、バラバラの会派が集結できたのか。
もちろん、8つの会派の政策がすべて一致するはずがありません。政策は違っていても『自民党政権を一度終わらせましょう』という一点だけでまとまったんです。それをどう表現したかというと『政治改革』です。
当時は、政治家などに未公開株を賄賂として譲渡したリクルート事件など、政治とカネの問題で自民党に批判が集中していました。現在と同じような状況です。
そこで『腐敗した政治を改革しなくてはいけない』ということで機運が高まり、政権交代が実現しました。ですから、政策はバラバラでも政権交代という一点だけで野党が集結することはできるはずです」
そして、鈴木氏は今、その下地ができつつあるという。
「立憲民主党の泉 健太代表は、2月4日の党大会で『政権交代を必ず成し遂げる』『部分的でも政策が合えば野党間の連携を進める』と一歩踏み出した挨拶をしました。ですから、今度は日本維新の会や国民民主党などに決断が迫られているわけです。
そして、この野党集結を進めるためには、立憲民主党はもう一歩踏み込まなくてはいけません。細川連立政権発足時、細川総理の所属する日本新党は最大会派ではなかった。新生党や日本社会党のほうが議員数が多かった。だから、新生党の羽田 孜氏や日本社会党の山花貞夫氏が総理になってもよかったんです。でも、細川氏を選んだ。
その後、自民党、社会党、新党さきがけが政権を奪取したときも、一番多い自民党が後ろに回って社会党の村山富市氏を担いで集結した。
同じように、今回も議員数が多い立憲民主党が後ろに回って、例えば泉氏以外の総理でもいいという選択肢を示すなどすると、野党集結が一気に進む可能性があります。そして、その先には政権交代も見えてくるでしょう」
ジャーナリストの藤本順一氏は、政権交代に向けての秘策があるという。
「過去を振り返ると、93年の細川政権が発足する前に実力者である小沢一郎氏や羽田 孜氏が自民党を離党して新生党を結成しました。そして、総選挙後に日本新党などと連立を組んで政権交代をします。
野党が政権交代を目指すのであれば、このパターンが一番現実的かもしれません。今の自民党に不満を持っている自民党議員たちと野党が連携する。
例えば、昨年12月の『次の総理になってほしい人』という共同通信の調査で1位になった石破 茂氏。石破氏は前回の自民党総裁選に出馬することができず、党内でも冷遇されています。
そんな石破氏が反自民・反麻生的な勢力を10人くらい連れて自民党を離党し、新党を結成する。そして、そこに野党が集まるというシナリオです。
やはり、次の首相の顔が見えるというのは強い。国民人気の高い石破氏なら、政権交代の顔としてアピールできるでしょう。
また、東京都知事の小池百合子氏が国政に復帰すると、自民党には脅威になります。野党が過半数を取った場合、小池百合子氏を首班指名するという約束をして自民党と戦う。そうしたことができれば、政権交代は起こりえます」
小選挙区で一騎打ちに持ち込めれば勝てる!
「私の中では、すでに政権交代はしています」というのは、前明石市長の泉 房穂氏だ。
「税金や社会保険料などの国民負担は増えているのに、政治家はパーティで裏金をつくるなど私利私欲に走っている。私に言わせれば、与党も野党も関係なく、国民は今の政治家に対して怒っているんです。与野党共にNOなんです。 
国民の負担を減らすには政策の転換が必要です。政策を転換するには、衆議院議員465人の過半数である233人を当選させる必要があります。そして総理大臣を指名する。そのためには、与野党対決ではなく、『国民の味方チーム』vs『古い政治家のチーム』という構図にして、一騎打ちに持ち込めばいい。
この国民の味方チームはカラフル連合で、古い政治家チームを真っ黒だとすると、こちらは黒以外の白でも赤でも黄色でもいい。野党や与党から来る人でも、政党に属していない人でもいい。『救民内閣』という名の下に国民の味方、国民の立場に立った人が集まってくればいいんです。
私は明石市長時代に全政党を敵にして圧勝しました、また、昨年の兵庫県三田市長選や埼玉県所沢市長選など、私が応援した無所属新人候補も圧勝して当選しています。
ですから、総選挙でも『国民の味方』と『古い政治家』という対立にして小選挙区で一騎打ちに持ち込めば圧勝できるはずです」
しかし、候補者選びなど準備期間が必要なのでは?
「準備期間は解散してからで十分です。2005年の郵政選挙のとき、ブームが起こったのは小泉純一郎総理(当時)が解散をしてからでした。自民党の多くの人が『今解散したら自民党は負ける』と言っていましたが、小泉氏が『郵政民営化を国民に問いたい!』と言ってなだれ現象が起きて自民党が圧勝した。
2017年の希望の党ブームのときも衆院解散時に小池百合子氏が民進党の前原誠司代表(当時)と組んでからなだれ現象的にブームになりました。ただ、その後の『排除します』発言で失速しましたが......。ブームは一瞬で起きます。政治ってそんなもんなんです。
だから、私が書いたシナリオどおりに289小選挙区の候補者をきれいにすみ分けできれば、その瞬間に勝ちです。私からしたら、すでに政権交代は終わっています」
岸田総理は、このままでは9月末の自民党総裁選での再選はないといわれている。そのため、4月の訪米後や6月の通常国会会期末に解散をするのではないかともいわれている。もしかしたら、このときに野党集結&政権交代≠ェ起こるかもしれない。
●私は「5年間30万円の記載ミス」で都知事を辞任した…裏金問題での「国会議員の開き直り」に抱く強烈な違和感 3/7
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、衆議院政治倫理審査会が開かれ、安倍派の事務総長経験者4人のほか、岸田文雄首相も出席した。元厚生労働大臣の舛添要一さんは「会計責任者の処分だけというのは納得がいかない。さらに岸田首相は大臣規範を率先して破っており、万死に値する」という――。
政府の要職から安倍派幹部の名前が消えた
昨年末以来、自民党派閥のパーティー券問題で国政が揺れている。安倍派の5人衆と言われる松野博一官房長官、西村康稔経産相、萩生田光一政調会長、高木毅国対委員長、世耕弘成参院幹事長が役職を辞任するなど、政府の要職から安倍派の名前が消えた。
検察は、捜査の結果、派閥の会計責任者を起訴したが、安倍派幹部の国会議員については不問に付した。
岸田首相は、1月23日に岸田派の解散を断行し、安倍派、二階派、森山派も同様に解散した。1月25日には、岸田総裁が本部長を務める自民党政治刷新本部が「中間とりまとめ」を公表。派閥については解消して「政策集団」にすること、政治資金については政策集団の収支報告書に外部監査を導入することなどが、その内容である。
政治家も責任を取って辞任すべき
1月26日に通常国会が召集され、パーティー券収入の還流・不記載問題について、野党から自民党への厳しい追及が続いた。しかし、全容を解明せよという国民の声が強まり、2月29日、3月1日に衆議院政治倫理審査会(政倫審)が公開で開催された。
岸田首相が自ら政倫審に出席するという決断を下したことによって、公開での開会が決まったのである。予算案の期日内成立を確実なものにするため、岸田首相が動いたと言えよう。
しかし、出席した岸田首相、二階派の武田元総務大臣、西村、松野、塩谷、高木各氏の発言は、従来の説明の繰り返しであり、新たな事実は明らかにならなかった。
1000万円を超えるようなキックバックの不記載で、会計責任者のみの処分で済むというのは、私には納得がいかない。
私は、国会議員時代の政治資金「収入」については全て正しく記載したが、「支出」について5年間で30万円の記載ミスがあった。そのことの責任を問われて、都知事を辞任することになった。会計責任者のミスとはいえ、私自身が責任をとったのである。
「ある意味、正直に書きすぎた」
小泉純一郎首相の秘書だった飯島勲と元検事の宗像紀夫が以下のような対談をしている。
【飯島】これまでの政治資金の問題といえば「入り」の問題を指摘されることが多かったのに対し、舛添さんの件はその部分に問題がない。珍しいケースです。また、購入した書籍の一覧や会食の調査結果を見ると、舛添さんはむしろ細かく書きすぎているほど。
【宗像】記載と裏付けの領収書をつきあわせれば詳細な内容が判明したものと思われ、虚偽記載などとは違って嘘はなく、むしろきちっとやっていたという印象ですね。
【飯島】政治資金規正法に引っかからないようにある種の“テクニック”でうまくやる人たちが多いなかで、ある意味、正直に書きすぎたのが舛添さんのケース。いわば「透明性100%」ですよ(笑)。
こんなに細かく書けば、当然、逐一指摘される。舛添さんの政治資金報告書をスタッフとしてチェックする立場だったら、「バカ正直に書きやがって」と書き直させたかもしれない。
「5年間で30万円」でも辞任したが…
1円の単位まで、全ての支出を記載すれば、会計責任者が1000件のうち1〜2件をミスする可能性はある。その金額が5年間で30万円のケースと、1千万円を超える金額の支出明細を全く記載しないのと、どちらのほうが、罪が重いのか。前者のケースでは政治家が職を辞し、後者(今回)では政治家は責任をとらない。自民党は処分もしない。
政倫審での審議と平行して、与党は職権で予算委員会での採決を決め、3月2日に衆議院で予算案を通過させた。これで、参議院の対応がどうであれ、予算案の年度内成立が決まった。
派閥解散、政倫審出席決定は岸田の独断専行であり、そのリーダーシップを評価する声もあるが、首相のこの行動に対する自民党内の反発も強まっている。
内閣支持率は過去最低の22.9%
岸田内閣の支持率は低迷を続けている。3月2、3日に行われたJNNの世論調査では、内閣支持率は22.9(−0.8)%で過去最低を更新した。不支持率は74.4(+0.2)%である。今後の政権運営は容易ではなかろう。
2月4日に行われた前橋市長選挙では、立憲民主党など野党が支援した小川晶候補が、自公が推薦した現職の山本龍市長に勝った。6万486票vs4万6387票という大差の勝利である。保守王国群馬県で、この結果だ。
また、同じ日に行われた京都市長選では、自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党が推薦した元官房副長官の松井孝治候補が当選したが、共産党が支援した2位の福山和人候補との差は僅差であった。17万7454票vs16万1203票である。
4月28日には、衆議院の長崎3区、東京15区、島根1区で補選が行われる。自民党は、長崎3区は不戦敗を決め、島根1区は自民党が勝利する見通しを立て、東京15区は候補者を公募する予定である。この3補選の結果によっては、岸田降ろしの風が吹くであろう。
「大臣在任中にパーティーをしない」かつては守られていた
2001年1月6日に閣議決定された「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」には、「(5)パーティーの開催自粛」という項目があり、「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する」と記されている。
私は、自民党政権の2007年〜2009年、安倍内閣、福田内閣、麻生内閣と3首相の下で閣僚を務めたが、「閣僚は政治資金パーティーを開かない」というルールを厳守した。
安倍、福田内閣では、岸田氏は内閣特命大臣で沖縄・北方対策、科学技術などを担当していた。私は厚生労働大臣であった。
当時、私はパーティーを開催したことはないし、岸田も含め、開いた大臣はいなかったと記憶する。
岸田首相が率先して破っている
ところが、今は閣僚のみならず、首相までもが、在任中に何度もパーティーを開催している。
2022年には、収入1000万円以上の政治資金パーティーが合計28回も開かれていた。
内訳は、岸田首相が7回で収入が1億4871万円、林外相が6回で8150万円、加藤厚労相が2回で5884万円、高市経済安全保障相が1回で3987万円、河野デジタル相が1回で3829万円、斉藤法相が2482万円、鈴木財務相が1回で2113万円である。
なんと岸田首相が最多回数なのである。
私は、この点について唖然としている。いつから自民党は大臣規範を守らなくなったのであろうか。
安倍長期政権の負の遺産なのか
12月26日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の野田元首相はこの点を追求したが、岸田首相は「勉強会だ。国民の疑惑を招きかねないということには当たらない」と述べた。
また、「大臣規範は、国民の疑惑を招きかねないという点について国務大臣が判断をする、こうしたものであるというのが政府の従来の見解であったと認識している」と答えた。
2月29日の政倫審でも、野田は同じ問題を提起し、岸田は遂に「在任中は政治資金パーティーを開かない」と答弁したのである。
大臣規範の形骸化もまた、安倍長期政権の負の遺産なのであろうか。
自民党派閥のパーティー券の還流問題ほど注目されたり議論されたりしないが、今後の検討課題として「政策活動費」の問題がある。
政策活動費とは、政党や政党支部から党幹部個人宛に支給されるカネである。支払う方の政党の政治資金収支報告書には、支給された政治家の名前と金額が記載される。だが、受け取った政治家個人には使途を公開する義務はない。
野党も政策活動費を受け取っている
私も、参議院自民党政策審議会長として党の役員であった時期がある。だが、その時でも政策活動費は受け取っていない。やはり幹事長などが党勢拡大のために使う資金であろう。
ちなみに幹部が政策活動費を受け取っているのは野党も同じで、それだけに国会でも野党が与党を攻撃する材料にはなっていない。
2020年に政策活動費を受け取った主な国会議員と金額は、以下の通りである。
自民党は、茂木俊充幹事長が9億7150万円、渡辺博道経理局長が1億3250万円、遠藤利明総務会長が7100万円、麻生太郎副総裁が6000万円、関口昌一参議院議員会長が5350万円、高木毅国対委員長が3470万円、世耕弘成参議院幹事長が2000万円である。
立憲民主党は、泉健太代表が5000万円、西村智奈美下案次長が5000万円、日本維新の会は、藤田文武幹事長が5057万円、国民民主党は、榛葉賀津也幹事長が6600万円である。
「極秘裏に野党幹部をもてなす」ために使われている
政策活動費は、党勢拡大、政策立案などに使われており、公表することによって政治活動が萎縮することが危惧されている。例えば、国会対策のために、自民党が極秘裏に野党幹部をもてなすようなケースでは、相手にも迷惑がかかるので公表しないのが当然だろう。
選挙の時には、幹事長が候補者に陣中見舞いを持参することになっており、それは、候補者の状況に応じて金額を変えるので、やはり公表しないほうがよいということになる。
要するに、政治には「秘密のカネ」が必要である。「野党の買収」などがその典型で、こういうカネは表には出せない。CIAなどの諜報機関が秘密工作の内容を明らかにしないのと同じである。
私が国会対策として野党と会食したときには、私には政策活動費を支給されていなかったので、党の国会対策費から資金を捻出してもらったと記憶する。
幹部以外の議員は、毎月100万円の文書通信交通費が国から支給される。自民党の場合、半分くらいは党が取り上げ、残りが議員に渡される。これが、主として領収書をもらえない政治工作に使われる。工作資金で私腹を肥やす議員はほとんどいないと思う。
政治には領収書のとれないカネが必要であるが、それをどう準備するのか。内閣官房機密費がその典型であるが、公開性と機密性のバランスをどうとるか、そしてそれを認めるかは国民の政治的成熟さにもよる。すべて公開ということになれば、金持ちしか政治家になれないことになる。
●裏金問題など岸田政権に不信感「税金をちゃんと払う価値がある国かどうか疑問」 3/7
エイベックスの松浦勝人会長が7日、X(旧ツイッター)を更新。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件などを受け、岸田政権に対する不信感を募らせた。
松浦氏は「確定申告の時期が訪れています。私たちは毎年確定申告をきちんと行っていますが、税務調査も何年かに一度は受けています」と切り出し、「私たち一般市民としては、政治家の方々にも納税の手本になるような支払い方をしてほしいと考えています。政治家がそれを実践するのは当たり前のことだとも思います」とつづった。
続けて「今回の自民党の金と政治に関する問題も、何事もなかったかのように終わってしまうのであれば、私たちも日本から海外への移住を本格的に考えざるを得なくなるでしょう。正直者が馬鹿を見るような政治をしている国には未来があるとは思えません」と指摘。「税金をちゃんと払う価値がある国かどうか疑問に思います」と吐露した。
また、岸田文雄首相とは外務大臣だった当時に面会したといい「立派な話をされていましたが」と振り返りつつ、「最近の国会での答弁を聞くと、我が国のトップとしては恥ずかしい発言ばかりです」とチクリ。「総理自身はどう思われているのでしょうか? 恥ずかしく感じないのでしょうか? 職務に真っ当に取り組まれているとお考えなのでしょうか?」と問いかけ、「人として、リーダーとして自分自身をどう考えているのか、是非お聞きしたいです。まぁ、私のような者が何を言っても無駄かもしれませんが」とつづった。
裏金事件をめぐる政治不信が高まる中、確定申告をめぐってはSNSなどで「確定申告ボイコット」というワードをハッシュタグ付きで呼びかける投稿が相次いでいる。岸田首相は先月26日の衆院予算委員会で、この件について「私も承知している」と述べ、「こうした事態を受け、あらためて国民の皆さんの厳しい目を強く感じている。信頼回復に向けて、強い覚悟を持って臨まなければならない」と話していた。
●岸田首相が自民・森山総務会長と会食、政権運営で連携強調 3/7
岸田文雄首相(自民党総裁)は7日昼、同党の森山裕総務会長と首相官邸で会食した。派閥のパーティー収入不記載事件を受けた議員の処分のあり方や国会運営などについて意見交換した。会食は首相が誘った。事件を受けて厳しい政権運営が続く中、森山氏との強い連携を党内外に示す狙いもある。
●首相在職 田中角栄氏に並ぶ 3/7
岸田文雄首相の在職日数が7日で886日となり、戦後の首相では9位の田中角栄氏と並んだ。8位の橋本龍太郎氏(932日)に迫るが、7位の岸信介氏(1241日)にはなお1年弱が必要だ。自民党派閥の裏金事件を受けて政権は危機的な状況で、苦しい政権運営が続いている。
首相は6日夜、首相官邸で記者団に、能登半島地震や政治の信頼回復、デフレ脱却を挙げ「積み重ねを大事に、これからも一つ一つ課題に臨んでいきたい」と語った。
●岸田首相が田中角栄氏と在職日数並ぶ 886日/歴代首相在職日数10傑 3/7
岸田文雄首相の首相在職日数が7日、886日となり、あの田中角栄元首相と並んだ。戦後の首相では9位タイ。
在職中に「政治とカネ」の問題で追い込まれて退陣し、ロッキード事件で逮捕された角栄氏。昨年は没後30年だったが、「日本列島改造論」を掲げて日本を引っ張った手腕には、今でも「待望論」がある。岸田首相も自民党派閥裏金事件で追い込まれ支持率低迷にあえいでいるが、8日には在職日数で「角栄越え」の単独9位になる。
先月には、鈴木善幸元首相の864日を抜いたばかりの岸田首相は6日、報道陣の取材に、在職日数について問われて「毎日の積み重ね」とした上で「特段申し上げることはない」と述べた。どこまで積み重ねを続けられるのか。
戦後の歴代首相の在職日数上位ランキング(3月7日現在)
<1> 安倍晋三  3188日
<2> 佐藤栄作  2798日
<3> 吉田茂   2616日
<4> 小泉純一郎 1980日
<5> 中曽根康弘 1806日
<6> 池田勇人  1575日
<7> 岸信介   1241日
<8> 橋本龍太郎  932日
<9> 田中角栄   886日
<9> 岸田文雄   886日
●辛坊氏 在任戦後9位も…岸田首相の発言に苦言「文字にしたら何も言ってない」 3/7
キャスター辛坊治郎氏(67)が7日、ニッポン放送「辛坊治郎ズーム そこまで言うか!」に生出演し、岸田文雄首相の首相在任期間が戦後歴代9位タイになったことに言及した。
岸田首相は7日、在任期間が886日に達し、田中角栄氏に並ぶ戦後9位となった。辛坊氏は、岸田首相のものまねが得意な飯田浩司アナウンサーにものまねを促すなどして、ユーモアもまじえてこの話題を伝えた。
また、8位が橋本龍太郎氏の932日であることを挙げ、「あと2カ月弱で歴代8位になる」と解説。同7位の岸信介氏が1241日で、「岸さんに並ぼうと思うと、秋の総裁選までやっても超えないか。秋の総裁選をクリアしないと7位までにはなれない」と付け加えた。
その上で、直近の岸田首相の発言内容に苦言を呈した。「あらためて思うんだけど、この前の政倫審における岸田総理の発言にしろ、その前の予算委員会の発言にしろ、現在行われている参議院の予算委員会の発言にしろ、結局、文字にしたら何も言ってないじゃん?という。意味のあることを言うと、必ず見出しに取られて、突っ込まれたりして、そこを攻め口にされるということが分かりきっているので、新聞の見出しにもならない、野党も突っ込みようがない、マスコミも突っ込みようがないという答弁に終始しているわけで」。さらに、「そうすると、飯田君の無駄な時間と変わらないじゃないですか?」と、飯田アナをいじっていた。
岸田政権の今後の行く末も占った。「今後、岸田さんがいつまで総理大臣でいられるかというと、年明けは私はないと踏んでましたけど、年明け解散みたいなことを言う人もいたけど、それもなくここへ来て、予算が通りまして。参議院でも予算審議が続いていると言いながら、衆議院で3月2日に可決されているので、憲法の30日ルールで年度内の予算成立は固い」と現状を説明。「衆議院がお休み状態なので、ここで衆議院で解散という動きになるのはちょっと考えづらいので、このまま粛々と年度をまたいで。4月に突入していく」と見通し、「次に風が起きそうなのは、4月末に衆議院の補欠選挙が行われます」と加えた。  

 

●「下村を止めろ!」政倫審出席で“爆弾発言”なら裏金問題の拡大必至。安倍派5人衆と“犬猿の仲”の大物は阻止を画策も… 3/8
安倍派の裏金問題をめぐる政治倫理審査会(政倫審)への出席について、動向が注目される自民党の下村博文氏。出席をめぐっては「見送り」「やはり出席意向」と、報道が錯綜した。自民党内では、下村氏が裏金への関与を暴露するのではないかとささやかれていた、因縁の“あの人”が必死の阻止に動いたとの見方が出ているが、下村氏が政倫審に出席となれば“あの人”はもちろん、安倍派5人衆や岸田文雄首相も戦々恐々となりそうだ。
政倫審出席をめぐり二転三転
2月29日、3月1日に開催された政倫審には出席していなかった下村氏が、出席の意向を明らかにしたのは、翌週の4日。政倫審では西村康稔前経産相が、2022年7月の安倍晋三元首相死去後、下村氏も含めた幹部で集まり、キックバックを求める議員への対応を協議したことを明らかにしていた。
そのため、下村氏も裏金をめぐる一連の経緯について知っている可能性があるとして、野党からは下村氏の政倫審出席を求める声が高まっていた。
「下村氏は4日に『機会があれば説明したい。党に判断を任せる』と記者団に述べました。地元からも『逃げている』と見られるのを嫌がっているうえ、『自分は政倫審に出席した塩谷氏らと同じ幹部だ』との自負もあり、政倫審に出席したがっているのです。
ただ、下村氏の出席を許すと他の議員まで政倫審出席を再び求められかねないため、党幹部は下村氏の出席は止めたい。そのため森山裕総務会長が『党として出席を要請することは、政倫審の規定上なじまない』と発言するなど下村氏にボールを押し付け、下村氏が政倫審に出席するかどうかは宙ぶらりんになってしまいました。
下村氏は6日に自身の政倫審出席について記者会見を開くとマスコミ各社に周知もしましたが、それから半日も経たないうちに『別の用事が入った』と急遽中止に。
6日のうちに政倫審出席見送りの意向が報じられました。確かにいったんは出席見送りの方向に傾いたのですが、それを突然報じられたことに怒り、7日には記者団に『出る意思はある』と語るなど、混乱ぶりが目立っています」(全国紙政治部記者)
こうした混乱をみて野党も揺さぶりをかけ、野党側は下村氏に政倫審への出欠を8日までに明らかにするよう、求めている。
「森氏の関与を暴露するのでは」戦々恐々の自民党
一連の混乱の背景には何があるのか。自民党関係者が語る。
「下村氏は政倫審への出席の意向を示すことで、一定の説明責任を果たす姿勢を見せたかった。ですが、下村氏と犬猿の仲である森喜朗元首相の裏金問題への関与について発言してしまうのでは、という懸念が党内で強まりました」
下村氏と森氏をめぐっては、下村氏が文科相、森氏が東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長を務めていた際に、新国立競技場の建設見直しなどで森氏が自身の顔を「つぶされた」形となったことが、その後の対立の大きなきっかけだったとされる。
森氏の“下村氏嫌い”は今も続いており、森氏は安倍派の新体制決めをめぐって塩谷氏の座長就任が固まった直後も、北國新聞の取材に「ようやく石段を一つ上がった。下村さんを外したという大きな一段だ」と発言するなど、下村氏嫌いを公言していた。
「それだけに、安倍派が解散することとなり、派内での人間関係を気にしなくてよくなった下村氏が、『復讐』のように政倫審で森氏の裏金問題への関与を暴露するのではないか、との観測も強まっていました。
現在は介護施設に入居しているとされる森氏ですが、茂木敏充幹事長が裏金問題で安倍派幹部を処分しようとした際には、茂木氏に猛抗議するなど、今も発言権は絶大。今回も、下村氏の出席の阻止に自ら動いたとの見方も出ています」(自民党関係者)
すでに開催された政倫審では、野党の追及の矛先は出席していない森氏にも向かっていたが、松野博一前官房長官が「森先生の関与があったとの指摘も出ていない」と述べるなど、政倫審に出席した幹部は軒並み、森氏の関与を明言しなかった。
1998〜2006年の間に計7年間ほど会長を務めていた森氏をめぐっては、20年以上前に始まったとされる裏金づくりの経緯を知っているのではとの見方も強いが、松野氏らは軒並み、森氏を守った形だ。
「森氏は安倍氏亡き後、下村氏と同じベテランの塩谷氏を座長とする案を発案し、松野氏や西村氏ら5人衆は、その意を受けて『下村外し』をしつつ、塩谷氏とは協力体制を築いてきました。森氏あっての5人衆、塩谷氏ですから、政倫審に出席した塩谷氏や松野氏、西村氏らが森氏をかばったのは当然ともいえます」(全国紙政治部記者)
森氏、5人衆、首相の思惑が一致
下村氏が政倫審に出席すると困るのは、森氏だけではない。
「下村氏が政倫審に出席した場合、森氏の意向をくんで『下村外し』をしてきた5人衆も、何を言われるかわかりません。西村氏らは政倫審で、キックバック再開の経緯を知らないと語りましたが、下村氏がこうした幹部の発言を覆す証言をする可能性もあります。
安倍氏亡き後、5人衆は、ベテランの塩谷氏とは積極的に話し合いをしてきましたが、『下村さんなんて、自分が目立ちたいばかりで、俺たちの兄貴なんかじゃない』(5人衆の一人)と、『下村外し』をしてきました。そのため、5人衆も下村氏の恨みを買っています。森氏と5人衆はともに、なんとか下村氏の出席を阻止したかったのでしょう」(全国紙政治部記者)
そして、思惑が一致したのは岸田文雄首相も同じようだ。
「首相としては、安倍派幹部が不起訴に終わり、自身が出席してまで政倫審をフルオープンで開催したのに、下村氏が爆弾発言をして、裏金問題がさらに大きくなるのは避けたいところ。最近では、自身を支えてくれるはずの茂木幹事長や森山総務会長と意思疎通が十分にできていない場面も散見され、孤立も深まっています。
永田町では4月28日の補選に合わせた衆院解散総選挙もささやかれており、支持率回復のためにも、裏金問題に早くけりをつけ、4月の訪米や6月の4万円定額減税などをアピールしたいのではないでしょうか」(同)
森氏、5人衆、首相の思惑は一致しても、下村氏の説明を求める国民の思いとは遠そうだ。
●裏金事件「政治不信高まる」 岸田首相、盛山文科相の更迭拒否―参院予算委 3/8
参院予算委員会は8日、岸田文雄首相と関係閣僚が出席し、「政治とカネ」の問題などをテーマに集中審議を行った。自民党派閥の裏金事件について、首相は「関係者の説明まで時間を要している。また、政治倫理審査会を巡る調整が難航し、国民の政治不信がますます高まっていることを、厳しく受け止めなければいけない」と述べた。立憲民主党の森屋隆氏への答弁。
社民党の福島瑞穂党首は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が指摘される盛山正仁文部科学相の更迭を要求。首相は「引き続き職責を果たしてもらいたい」と拒否した。
国民民主党の礒崎哲史氏は賃上げに向けた政府の取り組みをただした。首相は「官民挙げて、成長と分配の好循環、構造的な賃上げの実現に向けて努力していく」と述べるとともに、「今年は可処分所得で物価に負けない状況をつくる正念場だ」と強調した。
能登半島地震に関する復興基金創設について、首相は「まずは国による支援策をスピード感を持って実施することが大事だ。それを踏まえて必要性を判断する」と語った。共産党の井上哲士氏への答弁。
●「自民党裏金問題は朝日のスクープ」とだれも答えられない…新聞が影響力を失ってしまった本当の理由 3/8
新聞の部数が右肩下がりを続けている。このまま新聞は消滅してしまうのだろうか。元毎日新聞記者でノンフィクションライターの石戸諭さんは「朝日新聞が自民党の裏金問題でスクープを連発しているが、朝日のスクープだったことを即答できる人はメディア関係者でも少ない。全国紙が力を取り戻すには、記事の価値を伝える工夫を、週刊誌などから学ぶ必要がある」という――。
どうすれば全国紙は力を取り戻せるのか
ここ最近、興味本位で仕事仲間に「自民党裏金問題で圧倒的な特ダネを連発したのはどこでしょうか?」という質問をしていた。広い意味でマスメディア業界にいる人々が多いのだが、朝日新聞という正解は新聞業界にいる人々かよほどニュースに詳しい人からでないと出てこない。松本人志報道といえば「文春」がなかば“社会常識”となっているのと比べればなんとも悲しいことだ。
私がプレジデント・オンラインに寄稿した記事の中で、これまではマスメディア業界の「異端」の俗物主義だった週刊誌報道が力を持ち、「王道」だった新聞が凋落している現実を考察し、今までのマスメディアの常識が崩れている現実を論じた。そのなかで私はバランスを立て直すために「王道」のメディアが価値観を変えて、より強い報道を繰り出すことだと思う」と記している。
この間の報道を読み解き、「文春が強いのではなく、新聞が役割を果たしていないだけだ」といった「評論」をよく聞くようになった。私はこの手の論調に半分は同意するが、半分は批判的だ。
「下半身の問題」が公共性を帯びた報道になっていった
直近で言えば、自民党裏金問題にしても競争の中で全国紙が特ダネ合戦となった。ところがSNSで話題になっていたのは特ダネよりもロクな取材もしていないまま書かれていた自民党という「巨悪」を断罪するオピニオン記事だった。
取材先に食い込み、捜査の筋を読み、どこまで立件されるかを先読みして、政治家の責任を追及する――。こうした新聞記者の本分は今でも十分に発揮されているし、これで仕事をしていないとばかりに論じられるのはさすがにアンフェアだろう。
その上で、半分は同意できるのは社会が何をもって「仕事」をしているか、つまり重要なニュースを報じていると判断するか。社会のニーズを週刊誌のほうが捉えているという点においては、反論しようがないからだ。『週刊文春』2月29日号でもはっきりと書かれていたが――そして拙稿でも指摘していたが――ハリウッド発の「#MeToo」運動はやはりメディア史に残るエポックメイキングな出来事だ。文春側も松本問題を「#MeToo」以降の流れのなかに位置付けている。
以降、密室の権力関係の中で強要される「性加害」は単なるスキャンダルで終わらせず、ニュースとして報じるべきものになった。週刊誌の俗物主義は創刊以来変わらないが、覗き見趣味と同じ扱いを受けていた下半身の問題は、社会の変化のなかでより高い社会性、公共性を帯びた報道へと変わった。単純に下半身の問題を扱うノウハウを持たない新聞社は後塵を拝することになった。
「良いニュース」には5つの条件がある
取材の端緒になるタレコミが集まってくるのも当然ながら週刊誌というなかで、ノウハウは一朝一夕では積み上がらない。「取材の現場知」は当然ながら経験によってしか蓄積されない。とはいえ、絶望に絶望している時間は残されていない。時代の変化を積極的に捕まえていくという選択肢しか残されていない。学ぶべき先例はまさに「#MeToo」報道の中にある。
私は『ニュースの未来』(光文社新書)という本の中で、時代を動かす「良いニュース」を「謎」「驚き」「批評」「個性」「思考」という5つの条件で整理した。その具体例として取り上げたのが、ピュリッツァー賞を受賞し、映画化もした『その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』(新潮社、2020年)もだった。
余談だが、ハリウッドの映画化はノンフィクションの原作付きであっても、かなり大胆な脚色をする。無かったシーンを作ったり、不要と看做した(しかし、重要な)シーンを無かったことにしたり、主要な人物も外見描写が全く異なったりする。本作もまずは書籍をあたってほしい。
無駄で地味な取材が映画界の大物を追いつめた
さて、この本の大きなストーリーはこうだ。
ニューヨーク・タイムズに所属するジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイーという2人の記者が、有名な映画プロデューサーで、ハリウッドで絶大な権力を持っていた――さらに言えば民主党政権を支持するリベラル派の大物でもあった――ハーヴェイ・ワインスタインの性暴力疑惑を丁寧な取材で暴いていく。この本を読んで共感しない新聞記者はいないと思う。そう言うのも私自身が一読しての感想は、「世界のどこでもやっていることは変わらないな」だったからだ。
彼女たちが掴んだファクトは、やがて一本のスクープに結実する。
「ハーヴェイ・ワインスタインは何十年ものあいだ 性的嫌がらせの告発者に口止め料を払っていた」
公開された記事は、世界的なムーブメントとなった「#MeToo」に火をつけて、ワインスタインは失墜し、単なる犯罪者になった。週刊文春にも影響を与え、日本も含めて似たようなことをやっていた世界中のエンタメ関係者の失墜は止まることがない。そこだけを強調すればいかにも社会を動かした「華々しいスクープ」に見えてしまう。
しかし、多くの新聞記者がそうであるように、彼女たちもスクープを世に出すまでの時間は無駄で地味な取材ばかりなのだ。
妨害工作をくぐり抜け、重要人物に接触
本書の少なくない部分はまったく動きがないか、一歩進んでも次がないリアルな取材現場の描写だ。糸口をつかめず、協力的な証言者も見つからず、重要な証言を裏付けるだけの確証も得られない。そして、ワインスタインはといえばあらゆる手段を使ってスクープが世に出るのを防ごうと工作を試みる。
それでも彼女たちは取材をやめない。
特に印象的なのは、ワインスタインの元アシスタントを探し出すシーンだった。元アシスタントがSNS等々に手を出していれば話が早いのだが、インターネット上になんの手がかりもない。大してトレーニングを積んでいない記者や評論業者ならこの時点で取材終了だ。しかし、経験のある新聞記者はそこで諦めることはない。
ミーガンはようやく彼女の母親が住む家を割り出し、インターホンを鳴らす。運が良いことに、そこにいたのは母親ではなく元アシスタント本人だった。彼女はワインスタイン側と労働紛争に関する合意書があるとだけ告げてミーガンと別れる。そこから地味ながら素晴らしいシーンが始まる。
ミーガンは彼女が言葉にしていない部分にこそ「本当の意味がある」と直感し、ここから粘りを見せる。相手の言葉にしていないことにこそ、大切な何かが宿るのも古今東西の取材現場で共通することだ。彼女は適当な話をしながら、相手の警戒心を解き、携帯の番号を入手に成功する。
元アシスタントが弁護士から「『タイムズ』に話すな」と言われた、と連絡を受けてもミーガンは明るい声で「いまはまだ最終的な決断を下さないで」とだけ言いながら関係性を維持する。
コスパもタイパも最悪だが、だからこそ価値がある
ワインスタインの存在という「謎」、暴かれた事実の「驚き」、ハリウッドの構造に対する「批評」、2人のライターの「個性」、世界中がこの問題を放置していていいのかと「思考」を始める――。取材はコスパも悪ければ、タイパも悪すぎる行為の連続で、さらに集めたファクトを相手に認めさせるか、仮に訴えられても負けないところまで持っていけるかはどこの世界でも、どんな取材でも変わらない非効率な世界だ。
世界的なスクープであっても、日本で働く新聞記者の日々の仕事であっても変わらない。その当たり前の現実にこそ希望が宿っている。日本の新聞が培ってきた「ニュース」の価値判断は転換が必要だが、取材のために必要な能力や方法は変わらない。「#MeToo」が新聞報道から始まったという事実にこそ、新たに新聞が発信する価値の創造に向けた最大のヒントだ。あくまで、取材とニュース価値の部分においては、である。
冒頭に挙げた朝日新聞の裏金報道はこれまでの新聞の常識からすれば「良いニュース」だった。過熱する報道のなかで、検察当局の動きを報じるスクープには確かな価値がある。だが、社会的なインパクトを与えるまでには至っていない。業界の内輪ネタで終わってしまった。
必要なのは“スクープの拡張”
さしあたり、いま、新聞社に必要なのはスクープの拡張だということは言えるだろう。競争に勝ったスクープはある。しかし、いまの伝え方では社会には届かない。記事の書き方は悪く言えばマニアックで、よく言えば控えめといったところか。
新聞記者なら特ダネであることはわかるが、なかなか社会的には伝わりにくく、凡百な党派性によりかかったオピニオン記事に負けてしまう。インターネット経由のアプローチも含めて、記事の価値をわかりやすく伝える工夫は週刊誌やインターネットメディアから多くを学ぶ必要がある。
週刊誌から学ぶ必要があるのはスキャンダルの報じ方も同様だ。新聞が下世話な関心を刺激するような芸能人の不倫スキャンダルに手を出す必要はまったくない。だが、「性加害」問題は多少出遅れてでも報道する必要がある。
第一報で先に報じられても、まずは競争に打って出ない限り積み上げも何もない。繰り返しになるがニューヨーク・タイムズの記者も日本の記者もやっている仕事は細部に至るまで同じだ。まずはターゲットをどこに定めるか、次にどう伝えていくかを変えていくことで、まだまだ社会的インパクトのあるスクープを生み出すことはできると思う。
丁寧な取材、そして手間暇をかけたスクープは凡百のオピニオン記事より本当ははるかに強いのだから。
●自民・下村博文氏「裏金政倫審」出席を阻む“圧力”の正体か…岸田首相が静観の不気味 3/8
出席を“妨害”している「大物」とは一体誰のことなのか。
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、「説明責任を果たしたい」として、衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席する意向を示していた下村博文元文科相(69)。総額約5.8億円の裏金化が報じられた安倍派(清和政策研究会)の元事務総長を務め、「裏金問題の全てを知り得るキーパーソン」として国民の関心が高まったのだが、その後、一部報道で「下村氏は出席しない見通しとなった」などと報じられため、ネット上では《やっぱりヘタレだった》《期待外れもいいところ》といった批判の声が続出した。
すると下村氏は7日に更新した自身のX(旧ツイッター)で、《一部報道で、私自身が政倫審出席を見送るようにとられかねない記事がありましたが、私の意思はまったく変わっておりません》と投稿。党本部で記者団の取材に応じた際も、「私は出る意思はある。党から『出るな』という話も出ていない」と改めて出席に強い意欲を示した。
これを受け、SNS上では、《政倫審に出る出る詐欺か》《時間稼ぎが狙いではないのか》といった声も漏れ始め、立憲民主、日本維新の会、共産各党の政倫審幹事らは7日、政倫審への出席意向を確認する文書を下村氏に送付する異例の展開となった。
「志のある議員」がせっかく「出席したい」と名乗りを上げたのに…
政倫審は委員の3分の1以上の「申し立てがあった場合」か、もしくは不当な疑惑を受けたとする「議員本人が申し出た場合」に開かれる。つまり、出席に意欲を見せている下村氏「本人」が申し出ればすぐに開かれても不思議ではないのに、なぜ、これほど時間がかかっているのか。
さらに不思議なのは、衆院政倫審に真っ先に出席した岸田文雄首相(66)が“静観”していることだろう。なぜなら、岸田首相は自身が出席を決めた際、こう発言していたからだ。
「私自身が自民党総裁として政倫審に自ら出席し、マスコミオープンのもとで説明責任を果たさせていただきたいと考えた(略)政治の信頼回復に向けてぜひ、志のある議員に政倫審をはじめ、あらゆる場で説明責任を果たしてもらうことを期待している」
総理総裁の姿にならって「志のある議員」がせっかく「出席したい」と名乗りを上げたのだから、岸田首相がやるべきことは「ぜひ、説明責任を果たしてほしい」として政倫審の開催を強く促すことではないのか。
このため、SNS上ではこんな“憶測”が飛び交っている。
《下村氏の出席に歯止めを掛けているのは、実は岸田首相ではないのか》
《安倍派幹部から「下村氏を出すな。認めるな」とくぎを刺されている岸田首相の姿が想像できる》
これ以上、政倫審の出席をめぐって長引くようであれば、下村氏は再び会見を開き、すべてを明らかにした方がいい。
●参院政倫審、32人を審査対象に 全会一致で議決 3/8
自民党の派閥の裏金問題をめぐり、参議院の政治倫理審査会は、野党が求めていた32人全員を審査対象とすることを全会一致で議決しました。
8日朝の参議院政倫審では、安倍派の議員31人と政治資金規正法違反の疑いで在宅起訴され、自民党を離党した大野泰正議員、あわせて32人の出席が決まりました。弁明や公開を希望するかどうか、それぞれに意向を確認した上で、14日にも開催される見通しです。
安倍派の西田参議院議員は、これまでの派閥幹部の説明では不十分だとの考えを示しました。
政倫審には、西田氏や世耕前参院幹事長ら数人が出席する意向を示しているということです。
●裏金議員の党処分、17日以降に 自民幹部「時間的に無理」 3/8
自民党の森山裕総務会長は8日の記者会見で、派閥裏金事件に関連する議員に対する党処分の時期について、17日の党大会前は困難との認識を示した。「手続きを考えると時間的に無理がある」と述べた。5日には党大会前が望ましいと言及していた。会見で理由を問われ「早く処分できれば国民の理解が深まると考えた。議員処分は極めて大きな問題なので、党大会に間に合わないならやむを得ない」と説明した。
●岸田首相、政治とカネ「透明性が課題」と言いながら、茂木氏団体の資金移動は… 自民への企業献金556億円「政策ゆがめず」 3/8
参院予算委員会は8日午後から、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の問題などについて、集中審議を行った。裏金事件を受け、岸田文雄首相が改革すべき「最大の課題」に挙げたのは、政治資金の透明性だった。その透明性を巡って、野党は、自民党・茂木敏充幹事長の政治団体間の資金移動を「脱法行為だ」と問題視した。野党の追及に、岸田首相はどう答えたのか。国会論戦の模様を詳報する。
13:40 資金移動に岸田首相「本人が説明責任を」
社民党の福島瑞穂氏は、自民党の茂木敏充幹事長が多額の政治資金を自身の資金管理団体から使途公開基準が緩い後援会組織に移していた問題を追及した。
福島氏は、国会議員の不適切な事務所経費の問題を受け、2007年の政治資金規正法改正で国会議員関連の政治団体は1万円以上の支出の使途公開を求められることになった経緯を紹介。
透明性を高める改革を行ったにもかかわらず、関連政治団体ではない後援会組織に資金移動して規制を逃れた格好の茂木氏について、福島氏は「付け替えれば透明度を低くできるというのは、制度を熟知した脱法行為だ」と厳しく批判した。
岸田文雄首相は、政治団体間の資金移動について問われると、「今の法律の範囲内で、法律が守られる中で行われている」「それぞれの団体の目的や性格に基づいて、その目的を果たすために必要な資金が移動されていると承知している」と答えた。
「それぞれの団体の目的や性格に基づく」と言っても、茂木氏の場合、資金管理団体も後援会組織も、会計責任者も住所も電話番号も同じ。
福島氏が「自民党の中で止めるように指示すべきだ」と迫っても、岸田首相は他人事のように「実態を最もよく知る本人が説明責任を尽くすべきだ」と述べるにとどまった。
   自民党・茂木敏充幹事長の政治資金を巡る問題 
茂木氏は2009〜22年までの14年間で、資金管理団体から使途の公開基準が緩い政治団体「茂木敏充後援会総連合会」に、寄付という形で計4億4590万円の資金移動を行っていた。資金管理団体は「国会議員関係政治団体」として、人件費を除く1件1万円超の経常経費や政治活動費の支出明細を公表するよう義務づけられている。後援会総連合会は「その他の政治団体」に該当し、支出明細の公表が必要なのは1件5万円以上の政治活動費のみ。政治資金の透明性を高めるルールが資金移動によって骨抜きになっていた。同様の会計処理は、新藤義孝経済再生担当相や小泉龍司法相も指摘されている。
13:44 安倍派・下村博文氏の出席要求
福島氏は続けて、自民党派閥の政治資金パーティー事件を巡り、衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席が取り沙汰されている安倍派の下村博文氏の対応を取り上げた。
「何も(下村氏の出席を)阻害するものはない。総理、自民党として、衆議院の政倫審の出席、よろしいですね」。福島氏は、岸田首相に確認を求めた。
岸田首相は「政倫審の規則において本人の意思を尊重するという項目がある。この規則・ルールに従って開催方法、本人の出席、これが確認されるものであると認識している」と述べ、明言を避けた。
下村氏は、安倍派の重鎮である森喜朗元首相(元安倍派会長)との間に距離があるとされ、衆院政倫審への出席の実現は「安倍派への配慮もありなかなか厳しいだろう」(自民中堅)との見方もある。
13:45 福島氏「企業献金、政策に反映するため」
23年間になんと556億円、1年間に24億円―。
福島氏は、自民党の企業・団体献金の実態についても追及した。
「企業団体献金がまさに政策を反映するために出されているということが明らかだ」とし、「大企業から(献金を)もらうことで、まさに法人税は下げる、労働法制は規制緩和する。誰のために政治をやっているのか、大企業のためにやっている」と指摘した。
「自民党の政策が企業団体献金によってゆがめられているという指摘は当たらない」
岸田首相は、こう反論し、「自民党の政策決定のプロセス、国民の声を聞きながら、政策を決定するに当たっては、官僚組織、あるいは有識者の意見を聞きながら、数百人の国会議員が何日にもわたって議論を積み重ね、政策を決定している」と述べた。
14:19 下村氏出席要求に岸田首相「本人が」「規則が」
立憲民主党の森屋隆氏も、福島氏に続き、下村博文氏の政倫審出席を訴えた。
「もう国民は誰がキーパーソンなのか分かっている」
下村氏の政倫審への出席を迫ると、岸田首相は「関係者において説明責任を尽くしていきたいと考えている」とはぐらかす。
森屋氏は「下村議員は準備していると本人言っている。(出席)させない理由がない」とたたみかけたが、岸田首相は「政倫審の規則自体が説明者の意思を尊重するということになっている。規則に基づいて政倫審の運営が判断されるものと考えている」と再び論点をずらし、最後まで質問に正面から答えることはなかった。
14:24 小泉進次郎氏の「オンライン研修会」追及
森屋氏は、派閥の政治資金パーティーを批判していた小泉進次郎元環境相が「オンライン研修会」で利益を上げ、政治資金収支報告書には詳細な報告の必要ない「その他の事業」として記載していたとする「週刊ポスト」の報道も取り上げた。
週刊ポストによると、小泉氏は新型コロナ禍の2021年に4回のオンライン研修会を開き、計1200万円を超える利益があった。記事は、政治資金パーティーのオンライン開催は認められないとする総務省の見解と、「オンライン開催が政治資金集めの新たな抜け道に利用できてしまう」とする識者のコメントを紹介している。
オンライン研修会への見解を問われた岸田首相は、「国民は政治とカネの問題に大きな疑念の思いをもっておられる。信頼回復のためにさまざまな努力をしなければいけない。オンラインにおける会合についても、説明責任を尽くすことが求められると認識している」と答弁した。
15:06 岸田首相「政治資金の透明性がポイント」
「政治に対する国民の信頼は今、地に落ちている」
公明党の上田勇氏は、こう切り出し、岸田首相に政治資金規正法改正など政治改革の決意を問うた。
岸田首相は「民主主義の基盤が揺るぐ深刻な事態」「自民党としては真摯に反省」と裏金事件への受け止めを語った。
その上で、岸田首相が「重大な課題」に挙げたのが、「政治資金の透明性」と「政治家の責任の厳格化」だ。
「自民党の政策が企業団体献金によってゆがめられているという指摘は当たらない」と福島氏の指摘に反論していた岸田首相。「自民党としても企業団体献金、政治資金パーティーについて、国民の疑念を晴らさなければならない」とし、「政治家の責任厳格化、外部の監査の導入、デジタル等による透明性の向上のため政治資金規正法改正の議論を今進めている」と述べた。
国会議員に毎月100万円支給されながら、使途公開が義務づけられていないとして批判の強い旧文通費(調査研究広報滞在費)の見直しについては、「議員活動に必要な経費の実費精算的な性格が強い。必要な経費の範囲とか額についても、(各党派で)共通理解を得ることと併せて議論を進めるべきだ」と述べた。
●立憲・泉代表「自民党の無言の圧力」 下村氏の政倫審出席めぐり批判 3/8
自民党の派閥の裏金問題をめぐり、立憲民主党の泉代表は、安倍派の下村元文部科学大臣の政治倫理審査会への出席が決まらないのは「自民党の無言の圧力だ」と批判しました。
「(下村氏)本人は出たいと意思表示をしているのに、なぜか(政倫審が)セットされないということであれば、これは自民党の無言の圧力ということになるでしょう」(立憲・泉代表)
下村氏は「申立書の準備はしている」と述べる一方で、自民党内からは、衆議院で改めて政倫審を開くことに対し慎重な声も上がっていて、実際に出席するかどうかは不透明な状況です。
泉代表は、来週開かれる予定の参議院の政倫審についても全面公開を求めたうえで、自民党から改めて収支報告書の不記載が確認された議員全員の出席を促すよう、釘を刺しました。
●「なぜ裏金議員がお仕置きプレーを?」れいわ2議員に厳重注意 衆院での不規則発言などで…処分に反論 3/8
7日、衆議院でれいわ新選組の櫛渕万里議員と大石晃子議員が、予算案採決時の不規則発言をしたとして厳重注意された。2人は2日の予算案の採決で足止めを行い、議場は騒然となった。2人は2023年も同じような行為で厳重注意を受けていた。
投票しない議員に注意
7日午前、衆議院でれいわ新選組で共同代表を務める櫛渕万里議員と大石晃子議員が、厳重注意を受けた。
理由は、本会議での不規則発言などだ。
2日、異例の土曜日に行われた予算案の採決で、衆院を通過させまいと足を止め、なかなか投票しない議員が現れた。それが、櫛渕万里議員と大石晃子議員の2人だ。
しびれを切らした額賀衆院議長が、「いまだに投票されない方は、ただいまから1分以内に投票されるように求めます。その時間内に投票されない方は棄権と見なします」と伝えた。
議場は騒然。与党席からは、「1分たった!」「1分たった!」「1分たった!」と声が上がった。
「国民の怒りを国会の中で体現」
すると櫛渕議員は、「国民は増税。自民党は脱税。犯罪者集団の政権がつくった予算では、国民は幸せになりません。反対です」と訴えた。
今回の処分について、れいわ新選組・大石晃子共同代表は「国民の怒りを、誰かが国会の中で体現しなければ。議運のメンバーに裏金議員がいる。なぜその人たちに厳重注意のお仕置きプレーをされなきゃいけないのか」と話した。
2人は、2023年も同じような行為で厳重注意を受けている。
●収入「満足」、最低31.4%=物価高が生活直撃―内閣府調査 3/8
内閣府は8日、「国民生活に関する世論調査」の結果を発表した。所得・収入について「満足」「まあ満足」と答えた人は合わせて31.4%で、2022年の前回調査と比べて3.5ポイント減だった。調査方法が変更され単純比較はできないが、過去最低となった。
「不満」「やや不満」は合わせて前回調査比3.2ポイント増の68.0%で過去最高。内閣府は、国民生活に物価高が直撃したことなどが背景にあるとみている。
生活全体の満足度も「満足」「まあ満足」合わせて49.0%で過去最低。22年調査と比べて生活の向上感に関しては「低下している」が3.3ポイント増の35.9%、「向上している」は0.7ポイント増の5.4%だった。
今後政府が力を入れるべきことを複数回答で尋ねたところ、68.1%の「物価対策」が最も多く、「景気対策」(64.4%)、「医療・年金等の社会保障整備」(62.8%)、「高齢社会対策」(50.8%)と続いた。「防衛・安全保障」は34.3%だった。
調査は23年11月9日から12月17日まで、全国の18歳以上5000人を対象に郵送で実施し、有効回収率は61.5%。
内閣府は別の3000人を対象に面接調査も実施し、1714人から有効回答を得た。所得・収入について「満足」と答えた人は48.5%、「不満」は50.0%だった。
●処理水放出で魚介類購入「気にしない」65%、安全性への理解広がる… 3/8
東京電力福島第一原子力発電所の処理水について、読売新聞が2月に行った全国世論調査(電話方式)で、魚介類を購入する際、昨年8月に始まった海洋放出による放射性物質の影響をどの程度気にするか聞いたところ、「気にしない」は「あまり」を含めて65%だった。調査方法が異なるものの、2021年の全国世論調査(郵送方式)では合わせて21%で、処理水の安全性に対する理解が広がっているとみられる。
2月の世論調査は、16〜18日に行った。「気にしない」と回答した人は、「あまり」38%、「全く」27%。「気にする」としたのは「多少は」26%、「大いに」8%だった。地域や年代に差はなかったが、男性より女性の方が「多少は」も含めて気にする割合がやや高かった。
●小泉元首相「野党が一本化したら大変」 「ポスト岸田」も話題に 3/8
小泉純一郎元首相や小泉政権を支えた山崎拓・元自民党副総裁、武部勤・元幹事長らが7日夜、東京・銀座の日本料理店で会食した。「抵抗勢力」として敵対した亀井静香・元政調会長、現職国会議員では二階俊博元幹事長も参加した。
小泉氏は会食後、記者団に「今年は(衆院解散・総)選挙があるんじゃないか。もし野党が一本化したら自民党も大変だな。いまは野党がばらばらだから助かっている。そんな話をした」と語った。
山崎氏によると、「ポスト岸田」として石破茂・元幹事長の名前があがった。また、4月に行われる三つの衆院補欠選挙で自民が全敗した場合、岸田文雄首相が退陣する可能性もある、といった意見が出たという。
●2024年度予算案衆院通過〜野党は岸田首相の詭弁にだまされるな 3/8
2日、来年度予算案が衆院本会議を通過した。異例の土曜日採決となり、憲法第60条の規定に基づき、その後の参院での議決がどうであれ、今年度内の自然成立が確定した。岸田首相は、来年度予算の早期成立を目指す理由として、「能登半島地震の復興や国民生活に関する内容」だからとした。しかしながら予算委員会では、「自民党とカネ」の問題や、盛山文科相と旧統一教会の関係についての疑惑などにより、来年度予算案の審議は十分尽くされていない。能登半島地震の復興を理由としているが、そもそも社民党などの野党は震災対応の補正予算案の早期編成を求めていた。実際、東日本大震災など過去の大震災では補正予算でスピード対応している。能登半島地震の復興を理由とするのは、岸田首相の詭弁(きべん)である。
3月1日の衆院本会議で、立憲民主党の山井和則衆院議員は3時間近くの衆院予算委員長解任決議案の主旨弁明演説を行なった。予算成立を急ぐ自民党などへの必死の抵抗であった。ところが、一部野党からは「昭和の政治だ」などと批判された。さらには予算委員長解任案には日本維新の会が反対し、財務相不信任案には維新のみならず国民民主党も反対した。山井議員の長時間演説が効果的だったかについては賛否があるだろうが、野党が一致して岸田政権に抵抗しきれない状況は由々しきものだ。「令和の政治」を自負している一部野党勢力は、野党内の足を引っ張るだけだ。
衆院を通過した来年度予算案は過去2番目の規模である112兆円超えだが、岸田政権が目玉としている少子化対策や物価高・賃上げ政策などに果たして有効なのか甚だ疑問である。さらに防衛費は7・9兆円超えで、27年度までに43兆円を目指す軍拡予算を一層加速化させる。
来年度予算案は参院に送付された。各党は自民党の金権腐敗政治を中心に追及しており、参院でも厳しい予算委員会が始まった。8日には、社民党党首福島みずほ参院議員が予算委員会で質問した。岸田首相の苦境は続くだろう。
また、来年度予算案の審議が注目されているが、「経済安保版秘密保護法案」や地方自治の根幹を揺るがす指示権創設に向けた「地方自治法改正案」など、問題法案が衆院へ提出されている。社民党は国会内外で自民党の金権腐敗政治や問題法案の追及に力を尽くしていく所存だ。
●岸田政権は国民の税負担等で10兆円の男女共同参画と困難女子支援を後押し 3/8
岸田政権は、国民の税負担などを原資として、男女共同参画基本計画関係予算として総額約10兆円を投入するとともに、困難な問題を抱える女性への支援も推進していくが、これらの男女共同参画などをさらに後押ししていく方針であることを表明した。
岸田内閣総理大臣は、『国際女性の日』に当たってのビデオメッセージを発表した。
ビデオメッセージでは、「3月8日は、1975年に国連が定めた『国際女性の日』です。女性活躍・男女共同参画に取り組む我が国の、そして世界の皆様の御努力、御尽力に対し、改めて敬意と感謝を表しますとともに、皆様と共にこの日をお祝い申し上げます。政府として、企業等における女性登用の加速化、仕事と家庭の両立支援策の充実、男女間の賃金格差の是正などの課題に、一丸となって取り組み、女性の活躍を全力で後押しします」との旨を述べた。
その後に、「また、昨今、多様化・複雑化・複合化する困難な問題を抱える女性を支援するための女性支援新法や、DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者の支援拡充を図る改正DV防止法の着実な施行、性犯罪・性暴力対策など、全ての方々が安心して過ごせる社会の実現に取り組みます」との旨を述べた。
なお、岸田政権では、内閣府の男女共同参画局によると、男女共同参画基本計画関係予算として総額約10兆円を投入している。
●5%上回る賃上げ目標 建設業界と政府が申し合わせ 広く波及目指す 3/8
政府は8日、「建設業界との賃上げに関する意見交換会」を首相官邸で開き、今年の春闘で5%を上回る賃上げを目標とすることを建設業団体と申し合わせた。全国建設業協会や全国中小建設業協会など4団体が参加した。
建設業界は多重下請けの構造が特徴で、多くの労働者が下請けの中小零細企業で働いている。岸田文雄首相は会議で「春闘では大企業を中心に、力強い動きが見られる。最重要課題はこの力強い賃上げの流れを中小零細企業に広く波及させることだ」と強調した。
賃上げに向け、公共工事の予定価格を計算する際の労務単価を3月から平均5・9%引き上げたことに触れ、5%を十分に上回る賃上げを進めるよう業界団体に求めた。
斉藤鉄夫国土交通相も同日の閣議後の記者会見で「建設業の賃上げと働き方改革をさらに進め、持続可能な建設業の実現に全力を尽くしたい」と述べた。
●岸田総理、思った以上に安倍派に激おこであることが判明した件 3/8
先日の予算委員会で大きくメディアに取り上げられた内容の一つが「更迭した安倍派の裏金議員たちは、もはや政務三役などに登用できないのではないか?」という質疑です。
>日本維新の会の音喜多政務調査会長は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて「『裏金』議員たちの疑惑は当分、払拭(ふっしょく)されないし、法的な処分が下る可能性もある。この間は政務三役などの要職への登用は極めて難しいのではないか」と指摘しました。
>これに対し岸田総理大臣は「説明責任や政治責任を十分果たさなければ、役職に就いた際、国政に遅滞を生じさせることになりかねず、それぞれの立場を踏まえ責任を果たしたという判断が求められる。国政が遅滞しないよう人事を考えるのは当然だ」と述べました。
もっと玉虫色の回答が返ってくると予想していたのですが、岸田総理はストレートに「責任を果たすまでは登用しない」と答えました。
政治倫理審査会に敢然と1人で出席したことに続き、これは誰ひとりとして率先して責任を取ろうとしない裏金議員たちに対する総理の「怒り」であることは間違いありません。
先の政治倫理審査会における安倍派幹部たちの「私は知らない」「秘書がやった」「裏金は納税しない」という発言の数々も本当に酷いものでしたが、続いて下村博文議員の出席を巡る調整は難航しています。
下村博文議員は暗に党の許可がなければ出席できない旨を匂わせる発言を繰り返し、白黒がはっきりしないのでついには野党側から書面で出席意向を確認する流れになる始末。
こうしたグダグダに、総理は心底頭にきているものと思われ、その怒りはもっともです。
ただ自民党の内部論理でいえば、これだけ支持率が低下した総理の求心力は低下しており、こうした駆け引きは権力闘争の一貫になってしまっているのでしょう。
これだけの不正を働いておいてつくづく情けないことですが、これが永田町政治・自民党政治の偽らざる実態です。
しかし、総理の怒りからは逃げ続けることができても、世論の怒りからはそう簡単に逃げることはできません。
私たちも引き続き国会審議の中で、裏金議員たちにはひとり残らずきちんと責任を果たさせるように強く提言をしていきます。
●「政治とカネ」の問題は第三者委員会に任せ、岸田総理は政策や外交に 3/8
経済アナリストのジョセフ・クラフトが3月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。総理在職日数が戦後・単独9位になった岸田総理について解説した。
岸田総理の総理在職日数、田中角栄氏を超え戦後では単独9位に
岸田総理大臣の総理在職日数が2024年3月7日で886日となり、田中角栄元総理と並んだ。戦後の総理では9位タイで、8日に単独9位となる。
飯田)世論調査などを見ると支持率が厳しいなかで、この先どういう戦略を描いていくのか。
クラフト)こういうランキングはみんな好きですし、1つの政権評価の目安にもなるのでしょうけれど、短くても何をやったか、何を成し遂げたのかが重要なので、質の方にも注目したいと思います。
1つの政権が安定して長く続くことは意味がある
クラフト)ただ、安倍政権のときもそうでしたが、1つの政権が長く継続すれば、政策を執行しやすくなります。外交においても、政権が短い期間でいろいろ変わると他国との対応が難しくなるので、岸田政権が長く存続することには意味があるのです。
トランプ政権になるかも知れないアメリカ 〜日本は政治論争している場合ではない
クラフト)ただ、長く務めるためだけの延命ではダメです。いまは政治とカネの問題に集中してしまっていますが、もしかするとアメリカは11月にトランプ政権になるかも知れないのです。現政権なのか、次期政権なのかはわかりませんが、日本政府はトランプリスクに対して準備を整える必要があります。政治論争している場合ではないのです。
飯田)こういう状況だから、みんな国会に釘付けになってしまい、なかなか海外出張もしづらいですよね。
クラフト)政策は打てないし、外交もできない。一方では、アメリカの政権が代わろうとしている。
今月(3月)はロシアでも大統領選があり、中東問題もあるなかで、果たして国会でパーティー券についての議論をしている場合なのかとは正直思います。
海外から見ても孤立している印象を受ける岸田総理
飯田)政治とカネの問題はもちろん大事ですが、政倫審などで明らかにしつつ、政策の議論をすればいい。岸田政権の戦略としては、経済の回復を1つの柱にしているのでしょうか?
クラフト)とにかく賃金です。これだけインフレが高まっているなかで、賃金が追い付かないと景気は上がりません。政権としては、そこに1点集中したいのでしょう。それはそれで正しいと思います。
飯田)派閥については、岸田派は既に解散しています。
そんななかで、次に総裁選を目指すための仲間を集めようとすると、手立てが難しいですよね。
クラフト)海外から見ても、いまの総理は党内で孤立している印象を受けます。安倍派を閣僚から外し、安倍派の支持を失っている。あるいは派閥を解消したことで他派閥からの不満も高まっているなか、果たして「いまの政権は自民党のサポートがあるのかどうか」と、海外投資家から見ても疑問を感じます。それらも払拭して「日本は一体だ」ということであれば、「日本に投資しよう」となるのですが……。政治の混乱が続くのはよくないですね。
「政治とカネ」の問題は第三者委員会に任せ、政策や外交に専念するべき
クラフト)企業が不祥事を起こしたら、第三者委員会に任せますよね。政治も同じで、第三者委員会に真相究明を任せ、政治はその間、政策や外交に専念する方が効率的だと思います。
飯田)確かにそうですね。結局、自分たちで自分たちを縛る法律をつくろうとしている。
クラフト)そうすると真相が究明されません。野党は引き延ばし工作を行い、選挙で勝ちたい。
与党は与党で、あやふやにしておきたい思惑が見え見えなので、国民がしらけてしまいます。であれば第三者委員会に全部を預け、国民のための国家運営に専念するべきではないでしょうか。
●森山裕・自民総務会長が岸田政権のキーマンに急浮上…麻生副総裁に代わる“陰の総理”に 3/8
「三頭政治」が終焉し、岸田政権に新たなキーマン──自民党の森山裕総務会長(78)のことだ。岸田首相は7日、首相官邸で森山氏と約1時間、昼食を共にした。
政権発足以来、主流派として首相を支えてきたのは麻生派と茂木派。特に麻生副総裁は後見役として岸田首相の相談相手となってきた。しかし今年1月、岸田首相が「派閥解消」をブチ上げたことで、両者の関係はギクシャクし、修復不可能な状態。「ポスト岸田」へ意欲を隠さない茂木幹事長を、岸田首相は以前から警戒してきた。そんな中、“陰の総理”と呼ばれた麻生氏に取って代わるように政権での存在感を高めているのが森山氏なのだ。
同じ党4役メンバーでも、幹事長の茂木氏や選対委員長の小渕優子氏ほどの知名度はなく、地味な風貌の森山氏は、永田町以外では顔と名前が一致せず、「WHO?」だろう。
鹿児島市議を7期務めて国政に転じ、70歳で農水大臣として初入閣。国会対策委員長を歴代最長の4年務めた。解散を表明したが、所属議員が10人に満たない最小派閥「近未来政治研究会」の会長だった。2022年に配当金だけで4300万円を得た“株長者”でもあり、個人の政治資金パーティーを開いたことがない。
裏金問題「早期幕引き」で動く
裏金問題では、サボタージュが目立つ茂木に代わり、裏金議員らの“お手盛り”聞き取り調査や紙ぺら1枚の全議員アンケートを取り仕切った。スッタモンダした政治倫理審査会(政倫審)の開催や審査の公開・非公開も事実上、主導した。
下村元文科相が新たに政倫審に出席するのか注目されているが、森山氏は周辺に「もう衆院で政倫審はやらない」と話しているらしい。裏金議員の処分についても「党大会(17日)までに」と早期の幕引きで動いている。
「森山さんは選挙好きの主戦論者で、昨年6月の早期解散を岸田首相にけしかけていた。茂木幹事長が岸田首相と距離があるので、その間隙を縫って、党内の自身への求心力を増すチャンスだとみているのでしょう。脇役から表へ出てきた。今は総務会長ですが、幹事長への野心はあると思います」(ジャーナリスト・山田惠資氏)
自民党内で森山氏は、二階元幹事長や菅前首相ら非主流派に近いとされてきた。しかし、「今や岸田さんと森山さんは連携している。森山さんが事実上の幹事長のようなもの」(党内ベテラン)。
岸田首相が4月解散を否定した翌日に、森山氏は「きのうまでは、そうだったのだと思います」と意味深だった。解散風をあおりたい岸田首相をアシストしたのか。
●岸田首相、実質賃金22カ月マイナスでも「賃金上げる!」…次の「やってる感」は「下請けをパートナーと呼ぼう」姑息すぎる言葉狩り 3/8
厚生労働省が、3月7日、毎月勤労統計の1月値を発表。平均給与は前年同月比で2.0%増で25カ月連続の増加となった。だが、物価変動を反映させた「実質賃金」は前年比0.6%減少で、22カ月連続のマイナスとなった。物価の上昇に賃金が追いついていない状況が続いている。SNSでは、
《働くのがほとんど罰ゲームと化してて、はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざり の石川啄木状態になってる…》
《景気回復の政策を行って22ヶ月連続のマイナス、日本すごい!》
《政治が物価上昇に対して無策。総理は企業に給料を上げろと、口で言っているだけ!》
など、嘆く声が多数みられる。
2021年の自民党総裁選で「令和版 所得倍増計画」を掲げ、総理の座に就いた岸田文雄首相だが、いまだその公約は達成されていないどころか、実現は遠のくばかり。
その岸田首相は、3月4日、首相官邸の公式Xに動画を投稿。手ぶり身振りを交えて
《岸田政権は物価上昇を上回る所得増に向けて、全力で取り組んでいます。賃金が上がる→家計が豊かに→消費が増やせる→経済成長、次の賃上げ、あらゆる政策でこうした好循環を創り出していきます》
と呼び掛けたが、そのリプライには
《言ってる事とやってる事が伴ってない》
《言葉は要りません。結果を出して下さい》
と、冷ややかな反応が並んでいる。
「岸田首相は、3月5日の参院予算委員会で『下請け』という表記の見直しに言及しました。『下請け』という言葉が中小企業を下に見る風潮を招いているのでは、という公明党議員に対し、下請法の改正も含め検討すると応じています。
日産自動車による下請け企業への30億円の違法減額強要もあり、注目されるところではありますが、ただ言葉を変えただけでは何も変わらないという、冷めた意見も多い。
実際、すでに大手企業では下請けのことを『パートナー企業』と言い換えているところが多いのですが、それで上下関係が変わることはありません。
ただ『やってる感』を出しているだけ、と言われても仕方がないでしょう」(週刊誌記者)
SNSでも、
《これが「中小企業の賃上げにあらゆる方法」で支援してくれる一手ですか?パートーナーと名称変更で賃上げできる?》
《言葉狩りをすれば実態が正されるというわけでも・・・》
など、懐疑的な意見が並んでいる。
国民が望んでいるのは、「言葉よりも結果」なのだが――。 
●自民・藤原崇青年局長と中曽根康隆局長代理が辞任…懇親会にダンサー出席「不適切な対応だった」 3/8
自民党は8日、藤原崇衆院議員(40)(岩手3区、当選4回)が党青年局長を辞任したと発表した。党和歌山県連が主催した青年局関係の会合後の懇親会に不適切な内容があったとして責任を取った。青年局長代理の中曽根康隆衆院議員(42)(群馬1区、当選2回)も同日辞任した。内閣支持率が低迷する中、岸田政権へのさらなる打撃となる可能性がある。
懇親会は昨年11月、和歌山市内のホテルで同県連主催の「青年局近畿ブロック会議」後に開かれ、藤原、中曽根両氏や地方議員らが参加した。関係者によると、懇親会では露出度の高い衣装を着た女性ダンサーによるダンスショーが行われた。
藤原氏は8日、岩手県奥州市内で記者団に「国民の信頼を損ねる行為で、不適切な対応だった」と陳謝した。党は、懇親会には公費が使われていないとしている。
●のと鉄道、全区間で運行再開 4月6日から 3/8
石川県の第三セクター、のと鉄道(石川県穴水町)は8日、能登半島地震の影響で運休している能登中島(石川県七尾市)―穴水(穴水町)間の運行を4月6日から再開すると発表した。復旧工事が進み、全区間で運行が再開することとなる。当面は速度を落として運行し、列車の本数や細かいダイヤなどは今後決める。
現在は七尾(七尾市)から能登中島まで運行しており、能登中島から穴水までは臨時のバスを走らせ対応している。全区間での運行が再開することから、バスによる代替輸送は4月5日に終了する。
●福島氏「盛山文科相は更迭を」、首相「職責果たして」 参院予算委 3/8
8日の参院予算委員会では、「政治とカネ」の問題や盛山正仁文部科学相と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係などについて論戦が交わされた。
【政治とカネ】
社民党・福島瑞穂党首 自民党の甘利明前幹事長による(政策活動費の)3億8千万円の使途について確認したか。
岸田文雄首相 2月15日に確認した。甘利氏から「法令にのっとり、適切に使用するよう心がけていた。実際にそのように使用している」との回答を受けた。
福島氏 何に使ったかを聞かないと調査にならない。冗談にもほどがある。
首相 個人のプライバシーや企業の営業秘密などが、他の政策集団や外国勢力に明らかになる。(使途公開は)今は控える。
福島氏 企業・団体献金は(企業の意向を)政策に反映させるために出されているのは明らかだ。
首相 数百人の国会議員が何… ・・・
●岸田首相、建設業界に「5%を十分に上回る賃上げ」要請 3/8
岸田首相は8日、建設業界との意見交換会に出席し、建設業に従事する人たちの今年の賃上げ目標について「5%を十分に上回る」水準とするよう、要請しました。
建設業界4団体のトップらとの会合で岸田首相は、「建設業では、多くの技能労働者が下請けである中小零細企業で働いている。エッセンシャルワーカーでありながら、長年低賃金で『3K』、すなわち『キツい』『汚い』『危険』とも指摘されてきたが、これからは未来への前向きな『新3K』、『給与がよく』『休暇が取れ』『希望が持てる』産業に変えていかなければならない」と述べました。
そのうえで、「最重要課題は、適切な価格転嫁を通じて、力強い賃上げの流れを中小零細企業に広く波及させることだ」と述べ、「5%を十分に上回る」賃上げを行うよう、要請しました。
また政府はこれにあわせ、建設業界の労働者の処遇改善や、資材の高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止などを盛り込んだ、建築業法などの改正案を閣議決定しました。
改正案には、元請け業者が下請け業者に対して、著しく低い労務費で仕事を依頼することを禁止することや、下請け業者が原価割れになる状態での契約の禁止、また、資材が高騰した際に下請け業者が契約の変更協議を申し出た時には、元請け業者が誠実に協議に応じる努力義務の規定などが盛り込まれています。
政府は、改正案を今の国会に提出し、成立させたい考えです。
●経済安保の身辺調査、カルテ入手も 首相「プライバシーに配慮する」 3/8
民間人を含めて経済安全保障上の重要情報を扱う人の身辺を国が調べる「セキュリティークリアランス(適性評価)制度」を導入する法案について、岸田文雄首相は8日の参院予算委員会で「具体的な調査項目は法律に明記されたものに限定するなど、プライバシーに配慮する」と述べた。
社民党の福島瑞穂党首の質問に答えた。福島氏は「対象者本人以外は同意がなくても構わないという、プライバシー侵害は極めて問題」と批判。これに対し首相は「対象者の家族を調査することも含め、あらかじめ告知して同意を得た上で調査する」と説明した。
適性評価では家族の情報に加え、本人の犯罪・懲戒歴や飲酒の節度、精神疾患、借金の状況などを確認する。福島氏は、精神疾患を調べるためにカルテを入手することがあるか質問。高市早苗経済安保相は「確認する必要が生じた場合には内閣府から医療機関に個別に照会する」と答えた。
福島氏は、どういった情報が保全対象として指定されるか不透明ともただしたが、高市氏は「こういう秘密が経済安保上の重要な秘密になりますと公開してしまえば、それは秘密でも何でもなくなる」と述べ、想定している指定件数など具体的な説明を避けた。
●政府に物価対策要望「68%」 内閣府調査、生活に不満増 3/8
内閣府は8日、国民生活に関する世論調査の結果を発表した。政府が力を入れるべきだと考える政策を複数回答で聞いたところ「物価対策」を挙げた人が昨年1月公表の前回調査から3.7ポイント増の68.1%で最も多かった。現在の生活に「不満だ」「やや不満だ」と答えたのは50.7%で、前回から2.9ポイント増えた。
政府に望む政策は「景気対策」64.4%、「医療・年金などの社会保障整備」62.8%、「高齢社会対策」50.8%と続いた。
家庭の生活が昨年と比べて「低下している」と答えたのは前回から3.3ポイント増の35.9%。「向上している」は5.4%、「同じようなもの」は58.3%だった。
所得・収入に「満足している」「まあ満足している」との回答は31.4%。調査方法が異なるため単純比較はできないものの、質問項目の記録が残る1986年以降、最低となった。
調査は昨年11〜12月、18歳以上の男女5千人を対象に郵送で行い、回収率は61.5%だった。
●千葉東方沖・震度5弱程度の地震に引き続き注意 房総沖では「ゆっくりすべり」で2.1センチの地殻変動 3/8
気象庁は千葉県東方沖を震源とする地震について、引き続き、震度5弱程度の地震が発生するおそれがあるとして注意を呼びかけています。
千葉県東方沖やその周辺では先月26日深夜から地震活動が活発になっていて、きょう午前8時までに震度1以上を観測した地震は、あわせて38回発生しているということです。
気象庁はきょう行われた定例の会見で改めて、「震度5弱程度の強い揺れが観測される可能性がある」として注意を呼びかけました。
さらに「地震活動がいつまで続くかはわからない」としたいうえで、「引き続き、活発な活動が続いているので注意が必要」としています。
国土地理院によりますと、この地震活動に関連して房総半島沖ではゆっくりすべりが発生していて、房総半島東岸の千葉大原では南東方向に2.1センチの地殻変動が生じたということです。

 

●公明党が“7つの創価学会ファミリー企業”に「政治資金10億円」を支出 資金使途「通信発送費」「購読料」は適切なのか 3/9
自民党の裏金問題を機に「政治とカネ」に厳しい目が向けられるなか、連立を組む公明党の政治資金を徹底検証した。ノンフィクション作家・広野真嗣氏の調査から浮かび上がる事実とは──。
JR新木場駅の正面に、「日本図書輸送株式会社」と壁面に大書されたビルが建っている。首都高湾岸線のインターにも近く、「N(日本)T(図書)y(輸送)」のロゴ入りの大型トラックが14〜15台待機していた。運ぶのは創価学会の機関紙「聖教新聞」だ。在籍歴もある元学会本部職員がいう。
「創業は故・池田大作先生が第3代会長に就任した翌年の1961年。その後、創価学会の会員数は増え、聖教新聞の部数も右肩上がり。販売店網も会社の規模も、それとともに拡大したんです」
NTyの売上高は88億円。学会と一体で成長した同社だが、得意先は学会……だけではない。実は公明党でもある──。
私がそんな事実に辿り着いたきっかけは、現在の創価学会に批判的な古参学会員から届いた1通のメールだった。
「公明党の地元県本部の政治資金収支報告書を見て驚きました。日本図書輸送や(広告代理店の)東弘など学会と縁の深い企業への発注だけで県本部の経常費用の4割になる」
「創」や「公」の1字も入らない、特徴のない名前の会社が「学会系」とは、その筋の者でないと気づかない。直近の公明党本部の分厚い収支報告書を開くと、あちこちに「日本図書輸送」の記載。試しに1年分を拾っただけで、5億円をゆうに超えるではないか。
「ファミリー企業」──という言葉がよぎる。
官邸主導が進む以前の永田町では、自民党の族議員が各省庁と結びついて道路や鉄道の建設を進め、官僚は公団やファミリー企業に天下り、ファミリー企業は族議員のパーティー券を買った。そんな政官財のトライアングルのなかで、公団が料金収入など公益性の高い資金をつながりの強いファミリー企業に落としていく構造が問題視され、改革の対象となった。
1999年以降、民主党政権の一時期を除いて与党の一角を占める公明党は、集票マシンの創価学会とつながりの強い企業に、政治資金から多額の支出をしているのか。
公明党の政治資金収支報告書によれば、党本部の収入は自民党の4割に相当する184億円。機関紙「公明新聞」の販売収入や党費が主体だが、29億円の政党交付金、つまり税金も含まれる。
検証すべきはその使途である。私と本誌取材班は、党本部、東京都本部、37支部、そして都選出国会議員が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書3年分(2020〜2022年)から、公明党の政治資金の支払われた先を集計。支出先には頻出する7つの企業がある。一体、どんな会社なのか。
社長は「親衛隊」に「教授」
掲出回数が突出するのが前出のNTyだ。「通信発送費」などの支出回数は年平均69回にも及ぶ。「公明新聞を届ける先は学会員。聖教新聞を運ぶ会社が同じルートで運ぶのが合理的です」と前出の元職員は語る。
これに対して1回あたりの支出額が平均1447万円と最高だったのが「聖教新聞社」だ。宗教法人の機関紙部門であり、党から学会に購読料を支払う格好になる。
支出には〈補助負担費〉と記された費目もあった。聖教新聞が公明党の何を補助するというのか。質問したが、創価学会広報室は「お答えしない」というのみ。
官報のデータによれば、NTyの決算での貯金にあたる「利益剰余金」は、バブル崩壊直後の1992年は13億円だが、自公連立開始の1999年には22億円と1.7倍に増えた。その後、増加傾向は加速し、2023年には64億円にものぼっている。
NTyの大株主には、「牧口記念教育基金会」や「戸田記念国際平和研究所」など学会関連団体が名を連ねる。後者の研究所の常務理事の本多正紀氏の来歴について、元学会員がこう証言した。
「本多氏は1977年に創価大を出た3期生。つまり、池田先生の次男・城久氏(1984年に急逝)の“ご学友”です。同級生の正木正明氏(元理事長)を筆頭に親衛隊のように城久氏の脇を固めた“27人グループ”の1人だった」
7社には「元親衛隊員」が経営する会社もある。信濃町に本店を構える博文堂書店のチェーンを経営する「東西哲学書院」だ。本店には『人間革命』全巻など学会系の本が揃う「聖教コーナー」がある。公明党はこの会社に年24〜26回、「購読料」を支払っている。
2024年2月に同社の社長に就任した和田吉隆氏は、創価大で城久氏の2つ下の後輩。聖教新聞社発行の月刊誌『大白蓮華』のバックナンバーをめくると、和田氏が1960年代に書いた仏法をめぐる論文や解説記事が見つかった。
執筆時の肩書きは「教授」、仏法の先生なのだ。ちなみに1月まで務めた前任社長も「教授」。東西哲学書院は文武の「文」の会社と見受けられた。
一方、「武」の会社が「日光警備保障」だ。ガードマンを派遣する警備業で党からの支出は年約3000万円とほぼ一定。14年前から社長を任された鈴木裕氏の人柄を記すこんな文章も見つけた。
〈父がビュルガー病(動脈閉塞症)という難病にかかったのを機に一家そろって入信したのが昭和四十一年。経済苦のため、全日制高校をあきらめ、定時制高校に通った。不遇をうらみ、家出したり、迷いの絶えなかったころ、「今はどんなにつらくとも、苦しくとも、貧しくとも“じっとこらえて今に見ろ”の決意でいきなさい」との池田先生の指針が、大きな信心の転機となった〉(『大白蓮華』1990年10月号)
学生のころから組織内で認められ、学会本部で施設警備や誘導役を担うサークル「創価班」のリーダーを任された。本部就職後に副会長まで務め上げ、若き日の任務に通じた使命を帯びた警備会社の社長職に収まるのだ。
7社に対する公明党からの発注額を足し上げると、実に年間9.4億円から11.5億円に上った。これは党本部の支出のうち、各県本部への「寄付・交付金」や国会議員への「支払交付金」、「翌年への繰越額」を除いた経常的な支出の8〜10%を占める規模だ。前述の通り、他の県本部の支出でも7社の存在は大きく、調査の対象を広げればシェアは増える可能性がある。
●醜聞まみれ世耕弘成氏を狙い撃ち? 自民党青年局の“破廉恥パーティー”は元秘書が企画運営 3/9
不適切にもほどがある。自民党青年局が開いた懇親会に露出度の高い衣装をまとった女性ダンサーが複数招かれ、参加者と濃厚接触していたことが判明。主管したのは和歌山県連で、世耕弘成前参院幹事長の元秘書が企画運営を担っていた。裏金問題が火を噴く中、破廉恥パーティーを決行した上、公費でエンジョイした疑いもある。自民党の倫理観は上から下まで底抜けなのがハッキリした。
疑惑の乱痴気パーティーが開かれたのは昨年11月18日。裏金をめぐり、東京地検特捜部が派閥の事務方の任意聴取を進めていると報じられた日だった。会場は和歌山市内のホテル。青年局近畿ブロック会議後の懇親会のテイで、党本部青年局の国会議員や近畿2府4県の若手地方議員、党関係者ら約50人が参加したという。
動画を入手した産経新聞(電子版=8日配信)が特報した。
産経によると、参加者はダンサーに口移しでチップを渡したり、首に手を回されたり、尻を触ったりするなどご満悦な様子。衣装の雰囲気からして、ベリーダンサーのようだ。企画した世耕氏の元秘書の川畑哲哉県議は「彼女たちは世界的に活躍するダンサーであり、多様性の表現として出演を依頼した」と釈明し、県連幹事長の山下直也県議は「こんな余興が準備されているのは知らなかった」と話したという。参加した青年局長の藤原崇衆院議員と、局長代理の中曽根康隆衆院議員が8日、辞任した。
支払いは公費か裏金か
「青年局長は若手議員の登竜門。将来を嘱望される人間が率いる組織が、ダンサーを余興に呼んでワイワイやっていたとは呆れて物が言えません。自民党は若手もベテランもそういう価値観だということ。そんな面々が刷新本部で侃々諤々なんてマンガですよ。梶山弘志幹事長代行は〈公費は出ていないということだけは確認できている〉と言っていましたが、だとしたら裏金で会計したのか」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
川畑県議はご当地アイドルのプロデュースに精を出すなど、“女性登用”にご執心のようだ。それにしても、世耕氏周辺の醜聞が絶えない。裏金づくり発覚に続き、地元有権者に入手困難な高級クッキーを贈ったとしんぶん赤旗で報じられ、公選法違反(寄付行為の禁止)に抵触した疑いも浮上。まるで狙い撃ちだ。
「二階元幹事長サイドから情報が流れているのではないか。世耕氏は総理を目指すと公言し、衆院鞍替えを狙って二階氏引退を首を長くして待っている。目障りでしかない」(与党関係者)
世耕氏は参院政治倫理審査会にフルオープンで出席するというから、弁明が楽しみだ。
●森元首相「超法規的尽力を」 能登復興めぐり岸田首相と同席の催しで 3/9
岸田文雄首相は9日、東京都内のイベントで、裏金事件があった自民党の清和政策研究会(安倍派)の元会長、森喜朗元首相と同席した。野党側は裏金づくりの経緯を森氏に確認するよう求めているが、岸田首相は応じておらず、この日の催しでも話し込む様子は見せなかった。森氏は式典あいさつで能登半島地震の復興を訴える際、「超法規的」との言葉も使った。
イベントは東京・八重洲にオープンする石川県のアンテナショップの記念式典。石川県は森氏の地元で、馳浩知事らも出席した。首相は式典前、森氏の方に歩み寄り、数秒だけ立ち止まって会釈した。
首相はイベントのあいさつで、「北陸の復興を応援する拠点となるような場所になればと期待している」と語った。森氏は「新しい能登半島を作ってほしい」とした上で、「超法規的なことで能登の被災者や復興のためにご尽力いただくようお願い申し上げる」などと述べた。岸田氏は式典後、森氏らと握手を交わし、足早に会場を去った。
安倍派の裏金問題に関し、野党側は森氏を聴取すべきだと主張しているが、首相は「必要ない」との立場をとり続けている。6日の参院予算委員会でも「関係者の聞き取り調査で、森氏の直接の関与を示す証言などは確認されていない」などと述べた。
●自民の党則改定案 「改革」と呼ぶには値しない 3/9
こんなおざなりな内容では「改革」の名に値しない。国民をみくびっているのだろうか。
自民党は、派閥の裏金事件を受けた2024年の運動方針案で「党改革に向け解体的出直しを図る」とし、岸田文雄首相(自民総裁)が設けた政治刷新本部で党則などの改定案を大筋了承した。17日の党大会で正式に決める。
改定案では、派閥の存続を禁止するとしながら、「政策集団」を認める。政策集団のパーティーは禁じるものの、党や個人なら開くことができる。政治資金規正法違反で会計責任者が逮捕・起訴された場合、議員に離党勧告できるよう明文化するが、現在でも執行部の判断次第で可能な内容だ。どれも実効性が疑わしい。
折しも、刷新本部長代理を兼ねる茂木敏充党幹事長や、党京都府連会長の西田昌司参院議員らが、政治資金の使い道の公開基準が厳しい政治団体(政党支部や資金管理団体など)から、緩い政治団体(後援会)に多額の資金を移していたことが相次ぎ発覚している。
こっそり使えるカネを作るための不明朗な会計操作としか見えず、裏金問題と通底する政治特権的な脱法行為ではないか。
形ばかりの党則改正で、やり過ごすことなど到底許されない金権体質の根深さである。
裏金事件に関連する自民のうみを徹底的に洗い出し、法制度の「抜け穴」をふさぐ抜本改正につなげなければならない。
自民は過去にも問題が起きる度に「派閥解消」を掲げては復活させてきた。今回も岸田氏が1月に自らの派閥の解散を打ち出したが、麻生太郎副総裁と茂木幹事長が率いる派閥は同調せず、活動し続けている。
改定案により「資金と人事に関与する派閥は消える」というが、国民の目線をそらす一時しのぎではないか。党内からも「政策集団という看板に替えるだけでは」と不満が聞かれる。
改定案の修正対応は岸田氏に一任された。このまま見直さないなら、党の自浄能力の欠如をさらけ出すに等しい。
浮かび上がった後援会への資金移動問題も看過できない。
規正法は政治資金の受け皿となる「国会議員関係政治団体」について、人件費を除く1万円超の支出を報告書に記すことや外部監査を義務付ける。
ところが議員後援会などは「その他の政治団体」とされ、5万円以上の政治活動費のみの公開で済む。
茂木氏や西田氏らは、関係政治団体から後援会に寄付する形で政治資金を移動。茂木氏は直近14年で4億円超、西田氏は同3年で約1800万円の支出が不透明になっている。
非課税などの優遇を受ける政治資金を、「財布」の使い分けで国民の目から伏せられる欠陥は早急に改めるべきだ。
●日産勧告、賃上げ浸透に影=下請けに減額強要 3/9
日産自動車が下請け業者に対し、納入代金の減額を強要した問題は、今春闘にも暗い影を落としている。
岸田政権が掲げる「昨年を上回る賃上げ」が広く中小企業まで浸透するには、コスト上昇分の価格転嫁が不可欠。日産の行為は、賃上げ原資確保に向けた中小企業の努力に水を差しかねない。
公正取引委員会は7日、日産に対し下請法違反(減額の禁止)で再発防止などを勧告した。日産は「サプライヤーとの強固な信頼関係なくして双方の事業の発展は成し得ない」とした上で、「従業員への教育など、法令順守体制の強化を行うとともに再発防止策の徹底に取り組む」とコメントした。
ただ、自動車業界では、部品メーカーと協力して製造コストを下げる取り組みが慣例化。昨今の原材料価格やエネルギーコストの上昇を踏まえ、取引先への値下げ要請を控える動きも出ていたが、「他産業と比べ、自動車メーカー相手の価格転嫁はなかなか進まない」(部品メーカー首脳)との声も漏れる。
経団連は、大企業が中小企業との取引価格の見直しに応じるよう、トップダウンで働き掛けている。しかし、バブル崩壊などをコスト削減で乗り越えてきた大企業の調達部門は、調達コストを下げることが「成果」とされてきた。発想の転換は容易ではない。
中小企業の賃上げを巡っては、「マイナス金利」の解除をうかがう日銀もその動向を注視する。経団連の十倉雅和会長は、日産の問題に関し「あってはならない。裾野が広い自動車産業で(不当な減額が)起きていたのは非常に残念だ」と指摘、再発防止を強く求めている。
●岸田政権はなぜ“消費税減税”をしないのか? 4つの問題点 3/9
財務省主導の緊縮財政に警鐘を鳴らした著書『ザイム真理教』が大きな話題を呼んだ、経済アナリストの森永卓郎氏。その続編とも位置づけられる新著『書いてはいけない――日本経済墜落の真相』が、前作から約10か月の時を経て刊行された。この間、岸田政権は所得税減税を目玉とする経済対策を実行。森永氏はここにも「財務省への忖度」があると指摘する。
アベノミクスとはなんだったのか?
財政緊縮派、すなわちザイム真理教信者の皆さんが、ほぼ例外なく批判するのがアベノミクスだ。そこで、まずアベノミクスとはいったいなんだったのかを説明しておこう。
2012年12月に発足した第二次安倍晋三政権は、アベノミクスを掲げて日本経済のデフレからの脱却を図ろうと、政策の大転換をした。
1金融緩和、2財政出動、3成長戦略の3本柱だった。
3番目の「成長戦略」に関しては、たいした中身はなかったし、そもそも成長戦略は民間が作るものなので、政府がやれることは限られている。だからアベノミクスの本質は「金融緩和」と「財政出動」だ。
実際に安倍元総理は約束どおり政策を断行した。財政出動もある程度実施した。たとえば、GDP統計で見ると、実質公的固定資本形成(公共投資)の前年比伸び率は、2011年度が▲2.2%、2012年度が1.1%だったのに対して、実質的に第二次安倍政権のスタートとなった2013年度は8.5%と、近年ではもっとも高い伸びを実現した。
そして、アベノミクスでとくに注目を集めたのが金融緩和だった。それまで常に緊縮指向だった日銀を改革するため、安倍政権は2013年3月に日銀総裁に黒田東彦氏を就任させ、政策の大転換を図った。いわゆる異次元の金融緩和だ。長引くデフレから脱却するため、2013年4月からインフレターゲット政策を導入し、2%の物価上昇率目標が達成されるまで、大規模な資金供給拡大を続けることを宣言したのだ。
安倍政権の金融緩和・財政出動政策がどのような効果を発揮したのかは、その後の消費者物価の動きを見れば明らかだ。
次ページの図表は、異次元金融緩和が始まった直後の消費者物価指数の前年同月比を月別に見たものだ。
アクセルとブレーキを同時に
アベノミクスが開始される直前まで、1997年に消費税率を3%から5%に引き上げたのをきっかけに、日本経済は15年間にわたって物価が下がり続けるデフレに苦しんできた。ところが、2013年4月からアベノミクスが始まると、消費者物価指数はするすると上がり始め、2013年12月には、ほぼ2%という目標物価上昇率に達している。そして、ほぼ2%の物価上昇率が2014年3月まで継続したのだ。経済政策の結果がここまできれいに現れることはきわめて珍しい。それだけ、金融緩和・財政出動という政策が正しかったということだ。
   消費者物価上昇率の推移
それはある意味で当然だ。マクロ経済学の教科書には「不況になったら、金融緩和と財政出動をしなさい」と書いてある。つまり、アベノミクスは特殊なことをしたのではなく、まさに教科書どおりの経済政策を採っただけだったのだ。
ところが、2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた途端、事態は急変する。物価上昇率が、目標物価上昇率の2%から急速に転落して、1年足らずでデフレに舞い戻ってしまったのだ。アベノミクスは、消費税増税によって破壊されたのだ。
私はわけがわからなかった。金融緩和を継続するなかで消費税増税をするということは、アクセルを踏みながらブレーキを踏む運転に等しい。そんなことをしたら、クルマは正常な動きができなくなってしまう。経済学の常識に反する経済政策が採られた理由を、私は理解できないでいた。
経済理論より教団の教義
しかし、最近になって当時の事情が明らかになってきた。じつは、安倍政権は、日銀総裁を黒田東彦氏に入れ替えただけではなかった。副総裁や審議委員を次々に金融緩和派に入れ替えていった。なかでも、新任の岩田規久男副総裁は、異次元金融緩和に理論的バックボーンを与える重要な役割を果たしていた。岩田副総裁は、異次元金融緩和を殺してしまう消費税増税に明確に反対して、そのことを黒田東彦総裁にも進言したという。
ところが、黒田東彦総裁は、岩田副総裁の進言をこう斬り捨てたという。
「消費税の引き上げは、景気動向に一切影響を与えない」
黒田総裁は、法学部出身ではあるものの、財務省時代にオックスフォード大学に留学して経済学を学ぶなど、経済の専門家だ。だから、アクセルとブレーキを同時に踏んではいけないことなど常識でわかっているはずだ。にもかかわらず、消費税増税を簡単に容認してしまった。ここがザイム真理教の恐ろしいところなのだ。経済理論よりも、教団の教義が優先されてしまう。
結局、この消費税増税は経済に致命的な被害を与えた。翌2014年度の実質経済成長率はマイナス0.4%に転落し、その後も低成長が続くことになったからだ。
増税せずに税収を増やす方法
「税収弾性値」という言葉をご存じだろうか。名目GDPが1%増えたときに税収が何%増えるかという数字だ。税収弾性値は一般的に1を超える。たとえば、給料が増えたとき、給与の増加率を上回って所得税が増える。累進課税の下で、より高い税率が適用されるようになるからだ。
財務省は、中長期の財政計画を立てるときに、この税収弾性値を1.1と設定してきた。しかし、最近この税収弾性値に異変が起きている。たとえば、2022年度は3.0、2021年度は4.1となっているのだ。
つまり、名目GDPを1%伸ばすと、その3倍から4倍のペースで税収が増えていることになる。もちろん税収弾性値は、単年度で見ると不安定だ。たとえば、2020年度の弾性値は▲1.2とマイナスになっている。そこで、過去5年間平均の弾性値を計算すると、22年度は15.5という恐ろしい数字になっている。そして、2000年以降の数字を眺めていくと、1という数字はなくて、3前後の数字が並んでいる。このことは、増税ではなく、GDPを増やすことを考えていけば、高齢化に伴う社会保障負担増などの財源を確保できることを意味している。
ところが、財務省は、消費税の引き上げなどの増税策ばかりを示して、経済規模拡大による税収増というビジョンはほとんど出てこない。いったいなぜなのか。
財務省内では、増税を「勝ち」、減税を「負け」と呼んで、増税を実現した官僚は栄転したり、よりよい天下り先をあてがわれる。さらに消費税率の引き上げに成功した官僚は「レジェンド」として崇め奉られる。一方、経済規模を拡大して税収を増やしても、財務官僚にとってはなんのポイントにもならない。
阪神タイガースに学べ
18年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした阪神タイガースは、攻撃面で見ると、チーム打率が突出して高いわけではない。しかし、出塁率はダントツの1位だ。その理由は、選んだ四球の数が圧倒的に多いからだ。ヒットだろうが四球だろうが、塁に出るのは同じだ。そこで岡田監督は、フロントに掛け合って、選手の成績評価で、四球獲得に与えるポイントを高めてもらったという。これにより四球を選ぶ選手が劇的に増えた。
そのことを考えると、財務省の増税路線を改める方法は簡単だ。
増税を主導した官僚にマイナスポイントを与え、経済拡大に伴う税収増を実現した官僚にプラスポイントを与えるのだ。そのために官邸が財務省から人事権を取り上げ、個別に官僚の人事評価をすればよいのではないだろうか。
繰り返された“非科学的”経済政策
2014年の消費税増税のような非科学的経済政策は、今もなお繰り返されている。その典型が2023年11月2日に政府が閣議決定した経済対策だ。
経済対策の目玉は、所得税・住民税減税だ。物価高で苦しむ国民生活を救うため、岸田総理は「税収増を国民に還元する」と、住民税非課税世帯への7万円の定額給付に加えて、1人あたり住民税1万円、所得税3万円の定額減税を1年に限って実施することにした。立憲民主党を除く野党からは消費税減税を求める声が出ていたし、自民党の若手国会議員102人で構成する「責任ある積極財政を推進する議員連盟」からも、消費税率を5%に引き下げたうえで、食料品については消費税率を0%とする政策提言がなされていた。だが、そうした案は見向きもされなかった。
岸田総理の打ち出した所得税減税は、消費税減税とくらべると、かなりの問題がある。
消費税でなく所得税を減税、その4つの問題点
第一の問題は、物価高対策にならないことだ。消費税減税であれば、税率引き下げと同時に物価が下がるから、完全な物価抑制効果がある。とくに食料品は物価が9%も上がっているから、軽減税率である8%の消費税をなくせば、物価高の大部分を相殺できる。国民が経済対策の効果を毎日の買い物のたびに感じることができるのだ。一方、所得税減税は、所得を増やすので、理論上は、需給がひっ迫して物価をむしろ押し上げる。
第二の問題は、実施まで時間がかかることだ。来年度の税制改正を行なった後、給料の源泉徴収額が変わるのは翌年6月になってしまう。
第三の問題は、一時的な減税は、貯蓄に回ることが多く、消費を拡大しないことだ。これまで行なわれた一時金給付の効果試算では、給付金のおよそ8割が貯蓄に回ってしまうことが明らかになっている。今回の対策では、減税の後に増税が待ち構えていることを誰もが知っているので、おそらくほとんどが貯蓄に回るだろう。つまり、景気対策の効果はほとんどない。
そして第四の問題は、減税にエアポケットが発生することだ。年間の所得税が3万円を超えるのは、専業主婦の妻がいる世帯で年収320万円、独身者の場合で240万円だ。それ以下の年収の世帯は3万円の定額減税をフルには受けられないことになる。
こうしたことを考えると物価高対策としては、所得税減税よりも消費税減税のほうがはるかに効果が高いのだが、消費税減税の話は、与党幹部から一切出てこない。消費税減税を嫌がる財務省への忖度だろう。
●「勝負だった」総理の“賭け”も不発 内閣支持率、5か月連続で過去最低を更新 3/9
自民党の派閥の裏金事件を受け、2月29日と3月1日に衆議院・政治倫理審査会が行われた。その週末にJNN世論調査を実施したが、岸田内閣の支持率は下げ止まることはなかった。支持率は前回調査からさらに0.8%下落し、22.9%。これで5か月連続で過去最低を更新している。
内閣支持率22.9%過去最低更新「最悪な結果だ」若手議員嘆き
「最悪な結果だ。街頭に立っていても、呆れた冷たい視線しか感じない」
週が明け、この結果を聞いたある自民党若手議員はこう嘆いた。
衆院・政倫審は岸田総理自らがメディア公開での出席を申し出た。のちに「これは勝負だった」と周りに話すなどの“大きな賭け”。誰にも相談せず出席を決め、しかも安倍派・二階派の幹部5人が同調するのか、その保証はなかった。
しかし結果的に、彼らを公開の場に引きずり出すことに“成功”した。政府・自民党からは支持率回復につながるのでは、と期待した人も少なからずいただろう。
裏金事件が発覚し、総理は1月、自ら率いる宏池会(岸田派)の解散を決めたが、この決定も支持率回復に繋がらなかった。総理の2つの“賭け”は結果が伴わなかった。
「支持政党なし」が政権発足以降最高 ”受け皿”になれない野党も深刻
今回の調査で、自民党の支持率は24.7%と0.3%微増している。一方で、「支持政党なし」が52.4%で岸田内閣発足後、過去最高になっている。
「支持政党なし」が50%を直近で超えたのは、財務省が文書改ざんを行ったいわゆる「森友事件」まっただ中の2018年7〜9月の安倍内閣だ。(9月が54.2%で最高)
裏金事件が発覚してから、野党第1党の立憲民主党が支持率5〜7%で推移、第2党の日本維新の会も4〜5%程度で、自民党同様に“低空安定飛行”を続ける一方で、「支持政党なし」が46%(12月)→52%(今回)と上昇している。
自民党の受け皿になれない野党の深刻さが浮き彫りになっている。
政倫審で明らかにならなかった「4つの問題点」
衆議院・政治倫理審査会では、安倍元総理から生前、派閥から現金での還付(キックバック)を止めるよう指示があったものの、安倍氏の死後それが復活したことなどが明らかになった。一方で、明らかにならなかった点も多かった。
1派閥からの還付金(キックバック)の不記載は誰がいつから行ったか
安倍派幹部4人が一様に「承知していない」と答え、西村前経産大臣は「還付の処理は歴代会長と事務局長との間で長年慣行的に扱ってきたことで、会長以外の幹部が関与することはなかった」と自身の関与を否定している。
安倍派の座長・塩谷元文科大臣は「二十数年前から始まったのではないかと思うが、明確な経緯は承知していない」と述べ、野党側は改めて当時会長だった森元総理の聴取が必要だと訴えた。
しかし岸田総理は、2月26日の衆院・予算委員会でこれまでの自民党の聞き取りで「森氏の具体的な関与を指摘する発言はなかった」と述べ、聴取の必要性がない考えを示した。
2安倍氏がキックバック廃止を指示した後、いつ誰の指示で再開したか
西村氏と塩谷氏の答弁に微妙な食い違いが生じている。西村氏は安倍氏が亡くなったあとのおととし8月の幹部会で「結論は出なかった」としたが、その後答弁した塩谷氏は「今年に限っては(キックバックを)継続するのはしょうがないかなというような話し合いがされた」と答弁している。
32の際に安倍派幹部らに「違法性の認識」があったのか
「違法性の認識について」は、今回の政倫審に事務総長経験者にも関わらず唯一“呼ばれなかった”下村元文科大臣が従来のキックバックに代わる代替案として次のように話している。
「還付(=キックバック)については個人の資金集めパーティーのところに上乗せしてですね、それでそこで収支報告書で“合法的”な形で出すということもあるのではないかという案もあったと思います」(1月31日会見)
この案は、のちに西村氏が実際に行ったものと本人の証言により発覚する。下村氏が「合法的」と証言しているところに、当時安倍派幹部たちが「違法性を認識していた」のではないかと強く推察できる。
政倫審での下村氏の出席が求められるが、下村氏が森元総理と折り合いが悪いことから自民党幹部は「下村さんは森元総理に相当恨みを持ってるから何を喋るか分からない」と警戒している。
4キックバックは政治団体への寄付か 議員個人に対する寄付か
「脱税」につながるかどうかに関わる問題だ。自民党が行ったアンケート、聞き取り調査は「政治団体の収支報告書の記載漏れ」にしか聞かれておらず、このキックバックが仮に議員個人に対する寄付であれば課税対象で脱税となる。
この点を3月6日野党から指摘された岸田総理は「アンケート調査以前に、検察の捜査で厳正に処理が行われた。その全てが議員側政治団体への寄附であると認定されたものであり、個人に対する政治団体からの寄附で立件されたものは把握されていない」として、納税を促す考えがないことを強調している。
ただ世論調査では90%の人が「国税庁が調査すべきだ」と回答している。
総理の出席、一定評価も…政倫審出席議員「説明責任果たしてない」86%
総理の政倫審出席自体を「評価する」人は「大いに」と「ある程度」をあわせて50%、「評価しない」人は「あまり」と「全く」をあわせて48%だった。自民党支持層に限ってみれば、「評価する」は68%にのぼる。
一方で、出席した安倍派・二階派5人については「説明責任果たしていない」は86%に達した。また今回の衆院・政倫審で事件の実態解明につながったと思う人は13%に過ぎない。これは自民党支持者に限っても、20%にとどまり手痛い結果となった。
次世代戦闘機「同盟国・友好国に限り輸出認めて良い」50%
次に、与党協議が山場を迎えている次期戦闘機の第三国への輸出の解禁の是非についても調査を行った。
日・英・伊3か国が共同開発・生産する次期戦闘機について、自民党は公明党に対し、第三国への輸出を認めるよう公明党に求めているが、「平和の党」を掲げる公明党は慎重姿勢を崩さず、当初目指していた2月中の合意がずれこむ形で現在も続けられている。
2014年4月、第2次安倍政権はこれまでの武器輸出「原則禁止」から条件を満たせば認めると方針転換し、「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。地対空ミサイルなど日本の防衛のため日本企業が許可を得て生産した武器をライセンス元国に移転可能とした。今回は同盟国などと共同開発した武器の移転が焦点で、現行制度では、共同開発の相手国にしか完成品を提供できない。
先月の段階での公明・山口代表の懸念点は以下の通りだ。
「これだけ高度な殺傷能力を持った兵器を第三国つまり世界中に出すというような一般化をすると、あらゆる武器について輸出できるようになることに繋がるのではないか。政府としてきちんと国民の皆さんが理解できる。納得できるそうした方向性を出すことが重要だ」(2月20日記者会見)
岸田総理は、3月5日公明・西田参院会長とのやりとりの中で、こうした公明側の懸念について、以下のように説明した。
【次期戦闘機をめぐる総理答弁のポイント】
・周辺国が新世代機の開発を進める中で、日本の防衛のためにそれらの戦闘機を超える最新鋭の次期戦闘機を開発することは不可欠。
・独自開発ではなく、3か国の技術を結集してリスク・コストを分担しながら開発することを判断した。
・英・伊は調達価格の低下等にむけ、完成品の第三国移転を推進することを日本に求めている。
・第三国へ直接移転する仕組みをもち、英・伊同等に貢献することが国益だと考えた。
・逆にこうした仕組みを持たなければ日本は国際共同開発生産のパートナー国としてふさわしくないと国際的に認識されてしまう。そうなれば今後、日本が求める性能を有する装備品取得が困難になり、日本の防衛に支障を来す。
今回の世論調査では、武器輸出について「どの国に対しても認めるべきではない」「同盟国などに限り認めて良い」「どの国に対しても認めて良い」の3択で聞いた。
全体では「同盟国・友好国に限り輸出を認めて良い」が最多で50%、自民支持層に限れば61%にまで広がるが、公明支持層は「輸出は認めるべきでない」が最多で57%にのぼり、自公の支持層の間での意見の乖離が明白となった。
3月6日、公明党の高木政調会長は、総理答弁について「丁寧に説明されていたと思うし、私はこれで国民の理解は深まっていくであろうなと感じた」と評価。容認に向け舵を切る方向だが、今後は輸出先を限定するなど「歯止め」の議論が焦点となる。
【JNN世論調査 その他の設問と結果】
日経平均株価が史上最高値を更新したが、景気回復の実感について「非常に感じている」が1%、「ある程度感じている」が11%、「あまり感じていない」が40%、「全く感じていない」が47%。
13年目を迎える東日本大震災について。東北の復興に「大いに関心がある」が32%、「ある程度関心がある」が55%、「あまり関心がない」が11%、「全く関心がない」が2%。
少子化対策の「支援金制度」について。政府が説明する医療保険加入者ひとりあたり月額500円弱の負担額(28年時点)が「妥当だ」は32%、「妥当ではない」は30%、「支援金制度自体に反対」が30%。
支援金制度をめぐり岸田総理が「歳出改革と賃上げにより実質的な負担は生じない」と説明していることについて、「納得する」が13%、「納得しない」が81%
自民党の中で次の総理にふさわしい人は(敬称略)
   1位 「石破茂」19.0%
   2位 「小泉進次郎」15.8%
   3位 「上川陽子」10.0%
   4位 「河野太郎」9.0%
   5位 「菅義偉」5.3%
   6位 「高市早苗」5.2%
   7位 「岸田文雄」3.9%
   8位 「野田聖子」1.9%
   9位 「茂木敏充」1.5%
   10位 「加藤勝信」0.6%
   11位 「林芳正」0.5%
       「その他の議員」10.8%。
【調査方法】
3月2日(土)、3日(日)に全国18歳以上の男女2581人(固定975人、携帯1606人)に調査を行い、そのうち47.0%にあたる1212人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話606人、携帯606人でした。
●政倫審は保身のためか「捨て身」の首相出席 3/9
時事通信社解説委員 山田惠資
史上初の現役首相の出席となった2月29日の衆院政治倫理審査会。「心からおわびする」と謝罪の言葉で弁明を始めた岸田文雄首相の厳しい表情には、怒りの気持ちがにじみ出ているように見えた。側近に当てると、やはり首相は怒っていたようで、その矛先は二つあったという。
「一つは、安倍、二階両派幹部の5人が申し出た政倫審の開催を公開とすることにこだわっている野党に対して。もう一つは、公開出席を拒否している自民党議員への怒りだ」。側近はこう語った。
なるほど分からないわけではない。岸田首相としては2024年度予算の年度内成立が最大目標で、年度内の自然成立が確定する3月2日の衆院通過は実現したい。特に党内基盤が脆弱(ぜいじゃく)である上、内閣支持率の低迷が続く岸田政権にとって、24年度予算の成立が年度末に実現せず、4月にずれ込めば、政権運営能力の欠如が一段と可視化されることになる。
ただ、自民、公明両党が多数派の議席数に物を言わせて採決を強行すれば、世論の強い逆風にさらされる可能性がある。その頃、首相に近い党幹部からはこんな言葉も聞こえてきた。「いかに野党の顔を立てて、予算を年度内成立させるかが国会対応の要諦だ」。
しかし、政倫審開催を巡り、公開か非公開化で与野党の攻防が続き、政倫審は当初予定された2月28日からの開催ができない事態となった。
求心力低下を象徴
そうした中、28日、首相は突然、自ら政倫審にテレビ中継もある公開で出席すると表明。非公開出席を求めていた安倍、二階両派幹部の5人も全面公開で政倫審に出席することになったわけだ。ただ、首相の政倫審出席はあまりに唐突だったため、永田町全体は一瞬、思考停止状態に陥った。
確かに政倫審は「原則、非公開」。自民党執行部が安倍派幹部に政倫審出席を促す際には、非公開が前提だったらしい。また、5人の政倫審出席は「疑惑を受けた議員本人の申し出」によるものであるため、表立って指示したり命じたりすることはできないというのが建前だ。だが、安倍派幹部が抵抗することまでは首相も読み切れていなかったのではないか。
「首相は自ら『出席』することで、出席を拒む安倍派幹部に翻意を迫った」。側近の説明通りとすれば、これによって、結果として2024年度予算案は3月2日に衆院を通過。年度内成立は確定した。捨て身とも言える首相の政倫審出席は見事に功を奏した形となった。ただ、それは首相の求心力低下を象徴しているようでもある。
首相と気脈を通じるベテランの閣僚経験者(無派閥)に感想を求めると、反応はなかなかシビアだった。「首相にしてみれば、自分の周りも思うように動いてくれない。(政倫審を申し出た)安倍派幹部も言うことをなかなか聞いてくれないから、首相自身がやりを持って突撃したような感じだ」
首相は政倫審の冒頭でこう語った。「なぜ問題が生じた際に政治家自身の責任が十分果たされないのか。政治は特別なものだという特権意識があったとするなら、その特権意識を是正し、政治家も当然の責任を果たすよう改革を進めなければならない」。
まさにその言やよし。多くの国民の思いとも重なる。しかし、政倫審では真相解明とは程遠いやりとりが続いた。安倍派の裏金づくりは誰の指示で、いつ始まったか−。野党から問われた首相は「少なくとも10年前以前からこうした扱いがなされていた。はっきりした経緯や日時などは確認できていない」とかわした。
安倍派裏金事件における幹部の関与の有無を立件する上で最大のカギとなる疑問にも、首相はつれなかった。安倍派会長の安倍晋三元首相が2022年4月に還流中止を指示した後、再開を復活させたことに関しても、「残念ながらはっきりした経緯や日時などは確認できていない」と述べるにとどめた。
自民党が党所属議員に対して行った聞き取り調査結果の内容をなぞったにすぎなかった。
知らぬ、存ぜぬ
首相に続いて政倫審に出席した安倍派幹部で事務総長経験者の西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、高木毅前党国対委員長、塩谷立元文部科学相の4人の幹部たちは派閥の政治資金パーティー収入の不正還流への関与をそろって否定した。
西村氏らによると、22年4月、安倍氏が「現金による還付は不透明で疑義が生じかねない」と還流中止を表明。会長代理だった塩谷氏と下村博文元文部科学相の2人のほか、参院会長だった世耕氏、西村氏、立件された事務局長の計6人で還流中止を決定した。これについて、西村、塩谷両氏とも違法性の認識を否定した。
還流は、安倍氏が死去した翌月の同8月上旬に安倍氏を除く5人で協議した後、復活しているが、8月10日の内閣改造で経産相に就任した西村氏は「(入閣で)事務総長を退任したため、その後のことは承知していない」。西村氏の後任の事務総長となった高木氏や塩谷氏も還流再開への関わりを否定した。
まさに「知らぬ、存ぜぬ」のオンパレード。不記載を派閥事務局から指南された議員事務所の会計担当責任者がいたことも党の聞き取り調査で明らかになっているが、派閥会計への一切の関与を否定している安倍派幹部4人からの新証言はなかった。
「池田君にはかわいそうだが」
また、4月の幹部協議については、出席した西村、塩谷両氏とも、違法性の認識がなかったことを強調した。ただ、還流中止に当たって安倍氏は、派閥からの還流分約4800万円を政治資金収支報告書に記載してなかったとして政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で起訴された元自民党安倍派の衆院議員の池田佳隆被告を引き合いに、こう語っていたという。 ・・・
●飛行再開に向け「地元に丁寧に説明」 米軍オスプレイで木原防衛相 3/9
米軍が鹿児島県屋久島沖での昨年11月の墜落事故に伴う輸送機オスプレイの飛行停止措置の解除を発表したことを受け、木原稔防衛相は9日午前、記者団に対し、日本国内での飛行再開について「日米間で緊密に調整を行っていくことで一致している」と述べた。
木原氏は、具体的な飛行再開の時期については「現段階では予断を持って答えることは難しい」としたが、飛行再開に向けて「(基地の)地元の不安や懸念の払拭(ふっしょく)のため、再開前に丁寧に説明したい」と語った。
一方、陸上自衛隊のオスプレイの飛行再開について「(防衛省が)あくまでも主体性を持ってやっていく」と強調。運用の手順変更など事故防止策の進捗(しんちょく)も踏まえ、「(米側とは)全然違うスケジュール感、手続きでやっていく」と語った。
米軍は8日、昨年12月から世界各地で続けていたオスプレイの飛行停止措置を解除すると発表。防衛省によると、事故原因は特定の部品の不具合だとし、「オスプレイの設計と構造に問題はない」と日米双方が確認したという。 
●令和にまさかの「株高バブル不況」突入か…実質賃金22カ月連続減で“失われる70万円”の深刻度 3/9
〈はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざり〉──労働者の苦悩を詠んだ石川啄木の名歌が思い浮かぶ。厚労省が7日発表した1月分の毎月勤労統計調査(速報値)で、物価の影響を考慮した「実質賃金」は前年同月比0.6%減。実に22カ月連続のマイナスとなった。
1月の実質賃金の指数は、2020年の月平均を100とする基準値から18ポイントも下がっており、金額ベースに直すと実質5万7294円もダウン。ボーナス支給月(6月、12月)以外は低く出るとはいえ、このペースが続けば年額68万7528円も目減りする計算となる。いくら名目賃金が微増したところで、今なお物価上昇には追いつかない。年間の賃金が20年からの4年間で実質70万円も失われれば、暮らしは一向に楽にならないわけである。
当然、庶民の節約志向は強まるばかり。総務省の家計調査によると、消費支出(2人以上世帯)は昨年12月まで10カ月連続のマイナスだ。個人消費が6割を占める実質GDPにも好影響を及ぼすわけもなく、2四半期連続のマイナス成長である。とりわけ消費低迷による内需の弱さが目立ち、日本経済はリセッション(景気後退局面)に差し掛かっている。
今年の春闘がショボい結果に終われば、いよいよ危機的状況に陥りかねないのだが、現状は心もとない。公益社団法人「日本経済研究センター」の2月調査だと、主要企業ベースの賃上げ率は3.88%と昨年をやや上回る程度。うち基本給を底上げするベースアップ(ベア)分は2.22%で、連合が目標に掲げる「賃上げ水準5%以上、ベア3%以上」を下回る見込みだ。
「日銀が見通す24年度の物価上昇率はプラス2.4%です。この数値よりベアが上回らないと、実質賃金はなかなかプラスに転じません。ましてや、日銀の物価見通しは当たったためしがない。一時1ドル=150円台をつけた円安傾向は収まらず、予想より物価が上振れすれば、もう目もあてられません」(民間エコノミスト)
東証「圧力」が労働分配率低下を後押し
今後の日本経済を左右する賃上げに水を差しているのが、実は日経平均4万円を突破した空前の株高である。
バブル期を超える史上最高値を更新した要因のひとつが、東京証券取引所の「圧力」だ。昨年の春以来、全上場企業に「資本コストや株価を意識した経営」を迫った結果、増配を実施する企業が急増。株主還元強化を好感し、外国人勢の旺盛な「買い」を呼び込んだ。
しかし、企業が稼ぎを配当に回す分、割を食うのは従業員の賃金である。株主最優先で従業員にはちっとも還元されず、稼ぎを人件費に回す割合を示す「労働分配率」は驚きの低空飛行が続く。財務省が4日に発表した昨年10〜12月期の法人企業統計をもとに試算すると、大企業(資本金10億円以上)の分配率は38.8%と、この50年で最低水準に落ち込んだままだ。
「ここ数年は『モノ言う株主』であるアクティビストファンドが跋扈し、日本の大企業はますます株主最優先の経営が目立つ。常に株主の顔だけを見て、収益改善で株価上昇につながるからと『値上げ』には積極的なのに、従業員の顔は見ず『賃上げ』には消極的です。バブル期超えの株高は従業員の犠牲の上に成り立っています」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
現状は日本中が好景気に沸いた平成のバブル期とは大きく異なる。令和の時代は、まさかの「株高バブル不況」に突入しかねない。

 

●石川 珠洲 一部の地域で断水が解消 理容店では通常営業可能に 3/10
能登半島地震により、ほぼ全域で断水が続いていた石川県珠洲市の一部の地域では10日から断水が解消し、理容店では水を使ったシャンプーなども含め、通常どおりの営業ができるようになりました。
珠洲市では地震のあと、2か月余りにわたり、ほぼ全域のおよそ4650戸で断水が続いていましたが、10日から順次、中心部の110戸余りで上下水道が使えるようになります。
このうち、上戸町の初鳥進也さんの理容店では2月から、水を使わないカットだけを行ってきましたが、10日からシャンプーや顔そりなども含めた通常どおりの営業ができるようになりました。
10日は地震のあと初めて髪を切るという顔なじみの大学生と高校生のきょうだいが店を訪れました。
2人はのびていた髪を短く切り、仕上げにシャンプーをして髪を整えると、すっきりした表情を見せていました。
高校生の弟は「気持ちよかったです。仮設の風呂などを利用していますが、髪を洗う時間が限られるので、しっかり洗うことができたのは久しぶりでした」と話していました。
理容店の初鳥さんは「水が出ることで、やっとふだんどおりの仕事ができるようになりました。提供できるサービスが増えてうれしいです」と話していました。
珠洲市によりますと、全域での断水解消はことし5月になる見通しですが、できるかぎり前倒ししたいとしています。
30人余が避難生活の小学校でも断水解消
30人余りが避難生活を続けている珠洲市の上戸小学校でも10日に断水が解消されました。
10日は復旧作業にあたっている名古屋市上下水道局の職員などが訪れ、蛇口をひねって水が出ることを確かめていました。
避難を続けている71歳の藤部富子さんは、蛇口から水が出ると、ほっとしたような表情を見せ、「限られた水を少しずつ使いながら生活していたので、水が出ないことは私たちにとって大きな試練でした。本当にうれしいです」と話していました。
名古屋市上下水道局の職員で、珠洲市の水道復旧隊の神谷隆行隊長は「市民の方の喜んでいる顔を見て、復旧できていない地域についても少しでも早く進めていく必要があると改めて感じました」と話していました。
まだ断水が解消されない地域も 焼酎の蔵元では
一方で、まだ断水が解消されていない地域も多く残されています。
昭和22年に創業した珠洲市野々江町にある焼酎の蔵元では断水で瓶の洗浄ができず、地震があった元日以降、焼酎の瓶詰作業ができない状況が続いています。
この蔵元は震度6強を観測した去年5月の地震でも敷地内の配管が壊れて断水し、復旧作業をへて、およそ1か月後に製造を再開していました。
能登半島地震がなければことし1月に新たな設備を導入し、3月から仕込みを行う予定でしたが、現在は地震の被害を免れた在庫を出荷して営業を続けています。
この日も従業員が商品の箱詰めを行っていて、在庫は大型連休までには底をつく見通しだということです。
日本醗酵化成の藤野浩史社長は「瓶詰作業をいつ再開できるのか見通しが立たず不安ですし、敷地内の配管が壊れたのも含めて、地震による断水はおととしと去年に続いて3回目で、事業をこのまま継続するかどうかについても悩んでいます。タンクに貯蔵して無事だった焼酎をお客さんに届けたいので、一日でも早く復旧してほしいという思いです」と話していました。
8日時点 能登地方中心に 約1万6730戸で断水
石川県によりますと、能登半島地震の発生直後、県内ではおよそ11万戸で断水が確認され、徐々に復旧が進んでいますが、8日時点でも依然として能登地方を中心におよそ1万6730戸が断水しているということです。
自治体別でみると、
珠洲市がおよそ4650戸とほぼ全域で断水していました。
このほか、輪島市がおよそ5550戸、七尾市がおよそ3500戸、能登町がおよそ2830戸、内灘町がおよそ200戸です。
●23年はエネルギー価格高騰で原発容認が増えたが…一転、脱原発派が増加 能登半島地震で福島事故を想起か 3/10
南日本新聞「こちら373」など読者とつながる報道に取り組む全国20の地方紙による2024年の合同アンケートで、今後の原発政策のあり方について聞いた。選択肢は21〜23年の3年間と同じ。23年までは物価高などを背景に原発活用を容認する回答が増えていたが、減少に転じた。東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出後、福島県産品を購入することについて聞くと「気にしない」との声が半数を超えた。
アンケートは東日本大震災10年を機に始めた協働企画「#311jp」の一環。多様な声を聞き取るのが目的で、無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なる。
24年は「積極的に廃炉とし、脱原発を急ぐべきだ」が最多の31.6%で、「すぐにでも全国的に廃炉とすべきだ」を加えた「脱原発」層は計44.1%。一方、「運転延長は控え、基数を減らしながら活用」を含む原発活用を容認する回答は計48.0%だった。23年のアンケート結果と比較すると、脱原発は8.4ポイント増え、容認は8.6ポイント減った。
23年はロシアのウクライナ侵攻などに伴うエネルギー価格の高騰を背景に、原発容認が増加した。24年は1月に能登半島地震が発生。今回のアンケートでは福島第1原発事故を想起したという声が少なくなく、脱原発の意見が増えた一因とみられる。
「分からない」はこれまでで最多の7.9%。原発を取り巻く環境がめまぐるしく変化し、活用の是非について結論を出しづらくなっている傾向もにじんだ。
昨夏に始まった福島第1原発の処理水の海洋放出に関連し、福島県産品の購入についても質問した。「あまり気にならない」「全く気にならない」の合計が51.2%で半数を超え、「とても気になる」「少し気になる」を合わせた33.5%を上回った。ただ、地元福島県では「気にならない」の合計が69.0%に達した一方、福岡県では44.8%にとどまるなど地域差がみられた。
鹿児島県の回答者は188人。九州電力川内原発(薩摩川内市)の運転延長についての安全性に「不安がある」と答えたのは69.1%に上った。「大きな地震や津波、テロが起きる可能性がある」「避難計画が心配」と複合災害を懸念する声が目立った。
「不安がない」は10.6%にとどまり、理由は「原子力規制委員会が認可した」が最も多かった。14.8%が「分からない」と回答した。
●「私の知る限りは話した」 自民・高木毅議員、政倫審を振り返り地元で語る 3/10
自民党県連は9日、サンドーム福井で総務会を開いた。党派閥の政治資金パーティーを巡る問題について高木毅衆院議員(福井2区)は衆院政治倫理審査会で弁明したことに触れ「私の知る限りのことは話させていただいた」と述べた。
会合は冒頭のみ公開された。高木氏は派閥からの還流に関し、政治資金収支報告書への記載漏れがあったことに「大変申し訳ない」と頭を下げた。1日に開かれた衆院政倫審や記者会見での釈明に努めてきたとする一方、「全てを理解いただくことは難しいと思う。引き続き説明責任を果たしながら、国民の皆さまの信頼回復をしていく」と述べた。
稲田朋美衆院議員(福井1区)も「正直に説明を続け、信頼を回復していく」と陳謝。「政倫審が衆院で開かれ、事実関係という意味では一歩前進。私自身も必要があれば、どのような場でも知っていることは述べる」との意向を示した。
滝波宏文参院議員(福井選挙区)は自身への還流はなかったと改めて説明した上で「最前線で頑張っていただいている県連の皆さまには恐縮です」と話した。県連会長の山崎正昭参院議員(同)は欠席だった。
会合では県連定期大会の開催日を今月30日とすることを正式に決定。新会長の選任に向けた選考委員会は、大会までに県連所属国会議員による協議で候補を絞り込んでもらうと報告した。
●自民裏金議員衆参80人超の党処分を注視しよう 3/10
自民党派閥パーティーを巡る政治資金収支報告書への不記載、虚偽記載の案件、いわゆる「裏金問題」の当該議員は「会計責任者に任せていた」など関与を全面否定し、会計責任者に全責任を転嫁、議員本人が責任逃れしているとの世論が日に日に高まっている。何より裏金を使っているのは議員本人のはず。責任逃れへの批判は当然だろう。
岸田文雄総理(自民党総裁)は国会答弁で連日「政治家本人の責任の明確化は政治資金規正法などの法改正を行って」と今後を強調する。しかし、合わせて重要なのは再発防止のためにも、すでに問題を起こした議員への処分をどうするのかにも焦点を当てるべき。
この問題で在宅起訴や略式起訴されたのは裏金が5154万円だった大野泰正参院議員、4826万円だった池田佳隆衆院議員、4355万円だった谷川弥一前議員(今回の問題で議員辞職)の3人のみ。3000万円以下は立件されずに終わった感がある。
岸田総理は立憲民主党・野田佳彦元総理の質問に「法律上の責任以外にも、政治家としての政治責任、道義的責任はあると思っている。説明責任の果たし方、事実の把握を踏まえながら、党として処分をはじめとする政治責任について判断していきたい」(2月29日・衆院倫理審査会)と明言した。
野田氏は質疑で「刑事責任も問われない、政倫審にも出ない、税金も払わない、処分もない。何にもないのであれば同じことがまた起こる。そろそろ党としての処分を考えなければいけないのではないか」と当該議員への自民党としての処分を求めた。さきの答弁はその答え。
少なくとも裏金に関係した衆議院議員、参議院議員あわせ80人を超える議員に対する党としての処分が岸田総裁・自民党の「政治とカネ」問題のケジメに対する「本気度」を表す国民への姿勢と受けとれる。
その際、「除名」や「離党勧告」など目に見えて明らかな処分がされるのか。国民感覚からすれば「議員辞職勧告」を求めたいが、自民党規律規約にその項目が無い。国会議員としての責任を厳格にするというのであれば、党規約に「議員辞職勧告」も追記いただきたい。
記憶に新しいコロナ禍での銀座クラブ飲酒議員3人を「離党」処分にした案件は国会議員としての「モラル」を問われた事案だが、裏金事案は民主主義の基盤を棄損する「極めて悪質な事案」で除名や離党勧告は当然ではないか。
特に小選挙区選出でなく、比例で自民党得票議席数から身分を得ている裏金議員(衆院議員15人、参院議員8人)には党としての姿勢をより鮮明にすべきだろう。岸田総裁は「党として処分をはじめとする政治責任について判断していきたい。可能な限り早いタイミングで判断する」と国会答弁で明言した。政治の信頼回復へ「早期の判断」を求めたい。国民は総理判断を注視しているし、していこう。
●次期戦闘機の第3国への輸出理解に努めると総理 3/10
岸田文雄総理は8日の政府与党連絡会議で、日英伊3国で共同開発する「次期戦闘機」の完成品の第3国移転(輸出)について「国民の理解を得るべく、国会において意義と必要性について、私からも直接説明させていただいた。自公政調会長間で精力的に協議を続けていただいているが、更に国民の皆様の御理解を得るために、政府として説明に努力していきたい」と公明党や国民から理解を得られるよう努める考えを強調した。
また自民党派閥パーティーを巡る裏金問題で自民党と政府への国民からの不信が高まる中、岸田総理は「政治不信に対する強い危機感の下、自民党総裁として衆院政治倫理審査会に出席した。参議院での政倫審の開催が調整されているが、引き続き、あらゆる場を通じて説明責任を丁寧に果たしていただくよう関係者に促していく」と語った。自ら参院政治倫理審査会に出ることはないと参院予算委員会の答弁で出席の意思のないことを明言している。
岸田総理は「昨日、党の政治刷新本部で中間取りまとめの具体的進捗が報告された。党則、党規律規約、ガバナンスコード改正案について17日の党大会での発表を目指している」とした。
また「政治資金規正法改正についても今国会での法改正に向けて議員本人の責任強化、外部監査の強化、デジタル化による透明性向上について具体的な審議を進めていく」と語った。
●公明党が“7つの創価学会ファミリー企業”に「政治資金10億円」を支出 資金使途「通信発送費」「購読料」は適切なのか 3/10
JR新木場駅の正面に、「日本図書輸送株式会社」と壁面に大書されたビルが建っている。首都高湾岸線のインターにも近く、「N(日本)T(図書)y(輸送)」のロゴ入りの大型トラックが14〜15台待機していた。運ぶのは創価学会の機関紙「聖教新聞」だ。在籍歴もある元学会本部職員がいう。
「創業は故・池田大作先生が第3代会長に就任した翌年の1961年。その後、創価学会の会員数は増え、聖教新聞の部数も右肩上がり。販売店網も会社の規模も、それとともに拡大したんです」
NTyの売上高は88億円。学会と一体で成長した同社だが、得意先は学会……だけではない。実は公明党でもある──。
私がそんな事実に辿り着いたきっかけは、現在の創価学会に批判的な古参学会員から届いた1通のメールだった。
「公明党の地元県本部の政治資金収支報告書を見て驚きました。日本図書輸送や(広告代理店の)東弘など学会と縁の深い企業への発注だけで県本部の経常費用の4割になる」
「創」や「公」の1字も入らない、特徴のない名前の会社が「学会系」とは、その筋の者でないと気づかない。直近の公明党本部の分厚い収支報告書を開くと、あちこちに「日本図書輸送」の記載。試しに1年分を拾っただけで、5億円をゆうに超えるではないか。
「ファミリー企業」──という言葉がよぎる。
官邸主導が進む以前の永田町では、自民党の族議員が各省庁と結びついて道路や鉄道の建設を進め、官僚は公団やファミリー企業に天下り、ファミリー企業は族議員のパーティー券を買った。そんな政官財のトライアングルのなかで、公団が料金収入など公益性の高い資金をつながりの強いファミリー企業に落としていく構造が問題視され、改革の対象となった。
1999年以降、民主党政権の一時期を除いて与党の一角を占める公明党は、集票マシンの創価学会とつながりの強い企業に、政治資金から多額の支出をしているのか。
公明党の政治資金収支報告書によれば、党本部の収入は自民党の4割に相当する184億円。機関紙「公明新聞」の販売収入や党費が主体だが、29億円の政党交付金、つまり税金も含まれる。
検証すべきはその使途である。私と本誌取材班は、党本部、東京都本部、37支部、そして都選出国会議員が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書3年分(2020〜2022年)から、公明党の政治資金の支払われた先を集計。支出先には頻出する7つの企業がある。一体、どんな会社なのか。
社長は「親衛隊」に「教授」
掲出回数が突出するのが前出のNTyだ。「通信発送費」などの支出回数は年平均69回にも及ぶ。「公明新聞を届ける先は学会員。聖教新聞を運ぶ会社が同じルートで運ぶのが合理的です」と前出の元職員は語る。
これに対して1回あたりの支出額が平均1447万円と最高だったのが「聖教新聞社」だ。宗教法人の機関紙部門であり、党から学会に購読料を支払う格好になる。
支出には〈補助負担費〉と記された費目もあった。聖教新聞が公明党の何を補助するというのか。質問したが、創価学会広報室は「お答えしない」というのみ。
官報のデータによれば、NTyの決算での貯金にあたる「利益剰余金」は、バブル崩壊直後の1992年は13億円だが、自公連立開始の1999年には22億円と1.7倍に増えた。その後、増加傾向は加速し、2023年には64億円にものぼっている。
NTyの大株主には、「牧口記念教育基金会」や「戸田記念国際平和研究所」など学会関連団体が名を連ねる。後者の研究所の常務理事の本多正紀氏の来歴について、元学会員がこう証言した。
「本多氏は1977年に創価大を出た3期生。つまり、池田先生の次男・城久氏(1984年に急逝)の“ご学友”です。同級生の正木正明氏(元理事長)を筆頭に親衛隊のように城久氏の脇を固めた“27人グループ”の1人だった」
7社には「元親衛隊員」が経営する会社もある。信濃町に本店を構える博文堂書店のチェーンを経営する「東西哲学書院」だ。本店には『人間革命』全巻など学会系の本が揃う「聖教コーナー」がある。公明党はこの会社に年24〜26回、「購読料」を支払っている。
2024年2月に同社の社長に就任した和田吉隆氏は、創価大で城久氏の2つ下の後輩。聖教新聞社発行の月刊誌『大白蓮華』のバックナンバーをめくると、和田氏が1960年代に書いた仏法をめぐる論文や解説記事が見つかった。
執筆時の肩書きは「教授」、仏法の先生なのだ。ちなみに1月まで務めた前任社長も「教授」。東西哲学書院は文武の「文」の会社と見受けられた。
一方、「武」の会社が「日光警備保障」だ。ガードマンを派遣する警備業で党からの支出は年約3000万円とほぼ一定。14年前から社長を任された鈴木裕氏の人柄を記すこんな文章も見つけた。
〈父がビュルガー病(動脈閉塞症)という難病にかかったのを機に一家そろって入信したのが昭和四十一年。経済苦のため、全日制高校をあきらめ、定時制高校に通った。不遇をうらみ、家出したり、迷いの絶えなかったころ、「今はどんなにつらくとも、苦しくとも、貧しくとも“じっとこらえて今に見ろ”の決意でいきなさい」との池田先生の指針が、大きな信心の転機となった〉(『大白蓮華』1990年10月号)
学生のころから組織内で認められ、学会本部で施設警備や誘導役を担うサークル「創価班」のリーダーを任された。本部就職後に副会長まで務め上げ、若き日の任務に通じた使命を帯びた警備会社の社長職に収まるのだ。
7社に対する公明党からの発注額を足し上げると、実に年間9.4億円から11.5億円に上った。これは党本部の支出のうち、各県本部への「寄付・交付金」や国会議員への「支払交付金」、「翌年への繰越額」を除いた経常的な支出の8〜10%を占める規模だ。前述の通り、他の県本部の支出でも7社の存在は大きく、調査の対象を広げればシェアは増える可能性がある。
●《公明党の政治とカネ》3.3億円を受注する印刷会社社長が語る取引の実態 「選挙がなければ仕事がない。季節労働者みたいなもの」 3/10
毎日のように国会で答弁が行われる自民党の裏金問題。「政治とカネ」に厳しい目が向けられるなか、自民党と連立を組む公明党の政治資金も検証されるべきだろう。ノンフィクション作家・広野真嗣氏と『週刊ポスト』取材班は、党本部、東京都本部、37支部、政党支部の政治資金収支報告書を徹底調査。そこから見えてきた公明党「ファミリー企業」の実態とは──。
独立国を作ろう
公明党の政治資金の支出先として頻出する7社に対する発注額を足し上げると、実に年間9.4億円から11.5億円に上った。これは党本部の支出のうち、各県本部への「寄付・交付金」や国会議員への「支払交付金」、「翌年への繰越額」を除いた経常的な支出の8〜10%を占める規模だ。他の県本部の支出でも7社の存在は大きく、調査の対象を広げればシェアは増える可能性がある。
ちなみにNTy(日本図書輸送株式会社)の創業は1961年、東西哲学書院は1964年、日光警備保障は1970年と一時期に次々と設立された。これに聖教新聞社と東弘を加えた5社は「外郭企業」と関係者が呼ぶ群に属している。
〈広布の闘いで、政党、学校、文化、民音(民主音楽協会)も出来た。最後に残ったのは経済だ。これから、この社長会を中心に経済革命をする〉(『社長会全記録』1983年刊)
池田大作氏が高らかにそう唱えたのは1967年、NTyや博文堂(当時)の社長ら9人を集めた「社長会」の場だった。
会長就任の1960年、130万世帯だった学会員は1970年に750万世帯にまで急増するが、会合はその途上の時期である。
追い風は金にも票にも化けた。1964年に結党したばかりの公明党が翌1965年の参院選で11議席を獲得。この年、日蓮正宗の本山である大石寺に建立予定だった正本堂のための献金を募ると、わずか4日間で355億円を集めた。
さらに池田氏は〈独立国を作ろう。創価王国、創価共和国だな〉(前掲書)とも語り、その国の“閣僚”として外郭企業の社長らの名を挙げたと記録にある。経済力が組織としての強さの基盤になるとの考えは、党からの出金を見るにつけ、現在にも浸透している。
だが、モデルの綻びも見え隠れする。
東西哲学書院の経営は一見すると安定しているが、貸借対照表によれば2000年に40億円あった利益剰余金が2005年を境に減少に転じ、2023年は30億円を割り込んでいる。
出版不況の影響はあるとしても、転機の2005年といえば、衆院選の全国の比例票で公明党が過去最高の898万票を獲得した年。これを頂点に票を減らし、2022年の参院選の比例票は618万票にまで落ち込むことになる。
翳りが見える状況下で、税金が支える公明党の財源は「縮む学会経済」の安全弁になっていないか。
日光警備保障の社長・鈴木氏への直撃でこの疑問をぶつけると、「公明党は大切な契約先だけれど、いろんな契約の一つ」と答え、こう続けた。
「公明党の仕事が増えてくれればうれしいが、正直いうと期待していない。そういうと党も怒るかもしれないけど、現状を維持さえしてくれれば」
──外郭企業を取り巻く環境も変わると?
「かつて各企業が学会を支援していたことは事実でしょう。ただ経済状況も変わった」
鈴木氏は「だから新規事業に手を出した」とも語った。新ビジネスとはドローン操縦者を育成するスクール。2022年に国交省が設けた国家資格の講習を実施するという。
国交省か、と私は思った。公明党が大臣ポストを独占してきた官庁だ。
選挙が仕事の「季節労働者」
調査では、公明党からの受注を増やす、設立から新しい企業群の存在も明らかになった。東京・豊島区を本社に1989年に設立された印刷会社Xは、3年で公明党からの受注を5000万円から3.3億円へ7倍弱に増やした。ポスターなどの印刷代が多く、過半は政党交付金から支払われている。
X社全体の売上高は2022年度で4.8億円。2022年度は売上の7割が公明党から、というほどの比重を占めたことになる。
調査会社のデータには主要取引先に「創価学会」とも記されているが、X社の社長に電話で直撃すると「違います。うちは外郭企業ではないです」としてこう語った。
──党と学会の両方と取引が?
「そうそう。選挙があれば公明党からの受注がよくなるが、なければ仕事がない。季節労働者みたいなものです」
第2次安倍政権の発足以降、公明党は集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法に賛成するなど、安倍官邸に引きずられがちになった。反動からか、18歳以下への10万円給付などで官邸から譲歩を引き出し、実績としてアピールする場面が増えた。実績を示すポスターの更新で、商機が生まれたのか。
そもそも、学会関連企業が公明党から政治資金で支払いを受けることに問題はないのか、という疑問が払拭できない。学会、党、7社にその問いを向けた。
党と日光警備保障が「問題があるとは考えていない」と短く答えたほかは「担当者が1日不在」になったり、「学会広報室が回答する」(東西哲学書院)といった返答。その学会広報室は「この種の質問にはお答えしない」とするのみだった。
関連企業と一体となった創価学会は、公明党の党勢拡大を宗教活動の核にして党を支えてきた。だが今、党の金が学会経済を支える倒錯が起きている。この違和感はこれから膨らむ可能性がある。
●石破茂氏が政倫審ドタバタの裏で訴えた地震対応への備え「関東大震災の避難所と変わっていない」 3/10
今年に入ってからの永田町は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の話題で覆い尽くされたような状況だ。国会で予算委員会が開かれれば野党はもちろん、自民党や公明党からもこの問題に対する岸田文雄首相への見解をただす質問が続出する。首相の答えが十分でないこともあり、繰り返しこの問題が質問される。野党が言う通りの「裏金国会」となっている。
一方で今年は元日に能登半島地震が起きた。1月17日には、1995年に発生した阪神・淡路大震災から29年の節目を迎えた。そして明日3月11日は、2011年の東日本大震災から13年。日本が地震大国であることをあらためて実感するが、日本能登半島地震発生後の政府対応をめぐり批判も出る中で、地震発生が多い日本での対策をどうアップデートさせていくかという議論は、国会ではあまり見えてこない。
裏金問題をめぐる自民党議員の衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席方法問題で、自民党がドタバタ混乱していた先月27日の夕方、国会内で1つの勉強会が開かれた。講師は自民党の石破茂元幹事長(67)。自身を中心とするグループ「水月会」の政策勉強会を久しぶりに再開したのだ。
自民党総裁選に過去4度挑戦し、いずれも勝てず、「終わった」と言う人もいるが、各社世論調査の「次の首相候補」調査では長い間トップで、特に裏金事件を受けて岸田文雄首相の支持率がどんどん低下する中で、その数字は増している。「自民党と国民の評価の差がここまで大きい人も珍しい」(自民党関係者)という声も聞くが、今秋の岸田首相の総裁選再選を懐疑的に見る向きもある中、この勉強会が石破氏の「5度目の挑戦」に向けた足がかりになるのではということで、多くのメディアが集まった。出席した議員は最終的に15人だった。
この勉強会で石破氏が何度も語ったのは、まさに地震対応のアップデートの必要性。「防災省」の設置の必要性を強く説いた。能登半島地震の発災直後は多くの人が体育館などに避難したが、いわゆる「雑魚寝」の状態だとし「東日本大震災や熊本地震も同様だった。101年前に起きた関東大震災当時から変わらない」「戦前と比べて避難所も変わっていない」などと指摘した。個人的には衝撃の内容ばかりだった。
石破氏が挙げた、日本と同じように地震が多いイタリアのケースでは、TKB(トイレ、キッチンカー、ベッド)の常時備蓄が国で定められ、発災から遅くても48時間以内に被災地へ向けて用意されるという。特に食事に関しては、登録されたシェフがキッチンカーで調理したフルコースやワインを振る舞うこと、シェフはボランティアではなく、政府が実費や休業分を支払う仕組みとも指摘。「失意のどん底にある被災者を励ますのは温かい食事とワイン。日本では『ぜいたく』となるが、そもそも思想が違う」と述べ、被災者の権利として守られているとも訴えた。
災害時、こうした防災対策や国民の保護に当たる専門の組織が必要だとして「デジタル庁も子ども家庭庁もできるのに、なぜできないのか」と述べ「やるぞ!と時の総理が言うことだ 誰が総理であっても…」という言葉も口にしていた。
1時間半に及んだ勉強会の冒頭や、終了後の取材にも「何ら、よこしまな思いがあるわけではない」と、総裁選がらみの臆測をけん制しつつ、この日の会には、かつてなら自身の会合に参加することはなかった安倍派(解散決定)などの議員も参加したことに触れ「『ラーメン議連』をつくった時も『参加するな』みたいなお触れが出た派閥もあったらしい。(今回の顔ぶれは)今までになかった光景。かつては、旧安倍派の人は絶対に来なかった」と、手応えのようなものも口にしていた。
総裁選対応について、はっきりした意欲はまだ「封印」している感の石破氏だが、今の政権で考えが及んでいない、足りていないような部分をテーマに踏み込んで議論したことには、何らかの思いもあったのではないだろうか。「ああ知らなかった、と気づきがある勉強会は、あったほうがいい」とも話していたが、裏金問題が主流の今の国会で、地震対応での将来に向けた前向きな議論は進んでいないのが現実。一石を投じようとした側面もあったようにも感じる。
「本来の意味での政策勉強会をやっていきたい。(参加者)数というより、継続が大事」。こうも話した石破氏の発信には、季節が進むにつれてさらに、関心が高まっていくように感じる。
●石田健氏 自民裏金問題に「脱税も大事だけれども裏金を何に使ったか、この1点を言い続けることが大事」 3/10
「TheHEADLINE」編集長の石田健氏が10日放送のテレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル」に出演。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、脱税の可能性が指摘されていることに言及した。
自民党による党所属国会議員らを対象としたアンケート調査では、2018〜2022年にパーティー券収入のキックバック(還流)や中抜きに関する政治資金収支報告書への不記載や誤記載があったのは85人で、総額は計5億7949万円に上った。
政治団体が寄付やパーティーで集めた政治資金は原則、非課税だが、不記載分に関し、野党は未使用分は「雑所得」と見なされるとして、課税対象だと主張。国会論戦のテーマになっている。
石田氏は「僕らも年末の時は、公選法違反でやってくれと。地方の選挙にばらまいているのか、あるいは自民党の総裁選なのか、そういうところにお金が流れているかどうかが1番大事と言っていた。だけど、それがいつの間にか脱税の問題になっている」と指摘。「脱税の方がたしかに確定申告をやっている身からするとムカつくんだけれども、もっと大事なの使い道」と言い、「これを本当に言わないといけない。法律に違反したり少しこれはおかしいってことでデモをやっている。デモは人に迷惑をかけると言われるけど、迷惑をかけてでもこの問題について声を上げないといけないと思う。だから脱税も大事だけれども裏金を何に使ったか、この1点をネチネチ言い続けることが大事」と自身の考えを述べた。
●下村元文科相の衆院政倫審出席が焦点に 安倍派幹部と折り合い悪く…爆弾発言≠るか!? 3/10
自民党派閥の裏金問題を巡り、安倍派で事務総長を務めた下村博文元文科相が衆院の政治倫理審査会に出席するかどうかが焦点となってきた。下村氏は出席の意向を示しているが、一時は「出席見送り」が報じられ本人が否定するなど、二転三転の状況だ。
下村氏は森喜朗元首相や他の安倍派幹部と折り合いが悪いとされており、爆弾発言≠ェあるのでは、幹部から出席に圧力がかかっているのでは、などと憶測を呼んでいる。弁明次第では党除名などの処分もあり得る。政治生命にかかわるため、相当な覚悟が必要になる。
加えて、茂木敏充幹事長にもカネの問題が浮上した。自身の資金管理団体が、使途公開基準の緩い政治団体に多額の資金を寄付する形で「付け替え」して使途を隠していたのではないかとの疑惑が報じられている。
政治に一定の費用がかかるのは理解するし、本当に必要なことには使っていいだろう。だが、本気で透明性が必要と考えるなら全てを記載するルールにすればいい。その上で、使途の良し悪しの判断は次期選挙の投票行動で国民が示すしかない。選挙で勝つために、どうしても裏金が必要だろうか。買収しないと名前を書いてもらえない程度の政治家であるなら、職種替えした方が有意義な人生を送れると思われる。
11日で東日本大震災から13年。いまだに故郷、自宅に戻れない人も多い。全国民が平等に同じ環境で生活することは不可能と分かってはいても、政治家には「生まれ育った地域の違いによって命の扱いが異なることをなくしていく」という思いで国の将来を考えてほしいと願うばかりだ。
●原発、国会で議論再燃の兆し 「複合災害」避難計画に疑義―岸田政権、再稼働へ本腰 3/10
東日本大震災から13年がたち、岸田政権は原発再稼働へと大きくかじを切った。ただ1月の能登半島地震では、地震や津波と原発事故が重なる「複合災害」の危険も改めて浮き彫りに。野党は現在の避難計画などへの批判を強めており、後半国会で議論が再燃する兆しがある。
脱炭素、円安で転機
民主党政権当時の2012年に「30年代の原発稼働ゼロ」を掲げた政府の原発政策は、岸田文雄首相の下で大転換した。昨年2月に閣議決定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」に建て替え推進や新設の検討を明記。既存原発の「60年超」運転も可能とする「GX脱炭素電源法」を同5月に成立させた。
首相が原発回帰の動きを強めるのは、石炭火力発電への依存を減らす狙いがある。日本は欧米から温暖化対策に消極的だと批判を受けており、国際NGOから贈られる「化石賞」の常連国。円安による燃料価格高騰は国内の家計を直撃した。首相は、原発活用論者で知られる嶋田隆首相秘書官(元経済産業事務次官)ら周辺の意見も踏まえ、路線変更へ動いた。
政府関係者は「今年は再稼働ラッシュになるかもしれない」と語る。中国電力島根原発(島根県)は8月に、東北電力女川原発(宮城県)は9月に再稼働を予定。首都圏への電力供給に向け、政府は東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の早期再稼働も見据える。斎藤健経済産業相は今月7日の参院予算委員会で「原子力は脱炭素電源として重要。安全性確保を大前提に活用を進めたい」と明言した。
「絵に描いた餅」
これに対し、7日の予算委では立憲民主党議員から「能登半島地震を踏まえれば、政策転換は無理なのではないか」との指摘が上がった。
同地震では多数の道路が寸断され、空・海路による被災地支援も滞った。半島の志賀町にある北陸電力志賀原発は放射能漏れはなかったが、地下で震度5強を観測。施設も被災した。
原発事故時の避難計画などを定める原子力災害対策指針では、5キロ圏内の住民は避難、5〜30キロ圏内は屋内退避の上で状況に応じて避難すると規定する。立民の逢坂誠二代表代行は取材に対し、避難計画について「『複合災害』の可能性を考慮せずに作られている。絵に描いた餅だ」と批判した。
逢坂氏は、愛媛県・佐田岬半島の付け根に位置する四国電力伊方原発や、30キロ圏内に90万人超が住む日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)などでも、複合災害時の避難は困難を極めるとの見方を示す。「住民の被ばくが政策の前提になっている。看過し得ない欠陥だ」と憤った。
「不都合な真実」
「道路だけでなく、家屋や学校などの拠点も地震被害を受けた。避難計画は住民に不可能を強いる」。共産党の山添拓政策委員長も能登半島地震を踏まえ、疑問を投げ掛けた。北陸電力の想定を超える長さ150キロ程度の範囲で活断層が連動したとの指摘なども挙げ、「原発審査の限界を示している。再稼働は断念すべきだ」と求めた。
能登半島地震の影響で、放射線量を測定するモニタリングポストも最大18カ所でデータが得られなくなった。2月の衆院予算委で避難計画の在り方などを追及された首相は、「しっかりした緊急時対応がない中で原発再稼働が進むことはない」と説明に追われた。だが、原子力規制委員会による今後の対策指針の見直しは、屋内退避のタイミングなどに絞られ、複合災害が議論される見通しはない。
「政府にとって『不都合な真実』が出てきた。通常国会後半では一つの焦点になるだろう」。立民幹部はこう述べ、原発再稼働の是非を政府にただす考えを示した。
●安倍派改選組「全額還流」焦点 参院政倫審14日にも 3/10
週明けの国会では、自民党派閥の裏金事件を受けた参院政治倫理審査会が14日にも開かれる。安倍派は改選を迎える同派議員に派閥パーティーで集めた資金を全額還流した疑惑があり、幹部だった世耕弘成前参院幹事長らの説明が焦点だ。
参院政倫審は8日、自民党議員ら32人に対する審査を全会一致で議決。出欠の意向確認書を送付し、12日午前11時までの回答を求めた。32人のうち世耕氏や西田昌司氏が出席する意向だ。
政倫審の議決に出席の強制力はなく、自民は「個人の判断」(佐藤正久与党筆頭幹事)との立場で、審査会の公開についても本人の意向を尊重するよう主張。これに対し、野党は「全会一致だから全員出席が当然」(泉健太立憲民主党代表)と求め、公開は不可欠との立場だ。
安倍派は2019年と22年の参院選に際し、改選を迎える参院議員に対し、派閥のパーティー券販売で集めた資金を全額還流した疑いがある。野党側は「裏金が参院選に使われた可能性があるのではないか」と見ており、政倫審で徹底追及する構えだ。
安倍派が還流を再開した経緯について、世耕氏がどのような説明をするかも注目点だ。世耕氏は再開を協議した22年8月上旬の幹部会合に出席していたとされる。
13日には岸田文雄首相が出席して、参院予算委員会集中審議が開かれる。野党は、自民党の茂木敏充幹事長らが多額の政治資金を使途の公開基準が緩い政治団体に移動させたことについて、裏金づくりのための「脱法行為」などと問題視している。
野党は衆院政倫審を再び開催することも引き続き自民に迫る。安倍派幹部だった下村博文元政調会長に出欠を照会し、「出席する意思はある。党と相談した上で(衆院政倫審の)田中和徳会長に申出書を出す」との回答を得た。ただ、自民内には開催に慎重な意見もあり、与野党協議の行方は不透明だ。
●東電、収益多角化で進展 柏崎原発は売却を―橘川武郎・国際大学学長 3/10
エネルギー問題に詳しく、経済産業省の有識者会議で委員を務めた国際大学の橘川武郎学長はインタビューに応じた。主なやりとりは次の通り。
――東京電力ホールディングスは収支改善を柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に頼っている。
その評価は正しくない。再生可能エネルギー事業を手掛ける東京電力リニューアブルパワーは、国の洋上風力の公募事業の案件を落札した。中部電力と折半出資する発電会社JERAは、化石燃料を水素やアンモニアといった新エネルギーに置き換える火力発電に注力している。やるべきことはやってきた。
――柏崎刈羽原発を再稼働するには。
事故を起こした東電が原子力事業を続けるのはおかしい。柏崎刈羽原発は地元の電力会社である東北電力に売却すべきだ。新潟県民が最も不安に感じるのは東電が地元の会社ではないため、有効な避難計画をつくれないということだ。
東北電だけでは柏崎刈羽原発は買えないので、複数の原子力事業者の共同出資で新しい会社をつくってはどうか。(東電が得る)売却益は福島復興に充て、(事故処理費用の)不足分は国民負担にするしかない。
――東電が進めるべき他社との戦略的提携は。
東電と東北電それぞれの送配電部門は合併すべきだ。東北地方は再エネの宝庫だ。東電は、気象条件で発電量が左右される太陽光などを補完できる水力発電を多く保有している。東北電と一体運用すれば再エネの導入が広がるだろう。
――小売り事業は発電用の燃料費の高騰が直撃する構造で脆弱(ぜいじゃく)だ。
日本の電源構成の7割は火力発電なので、燃料価格の動向に業績が左右されるのは仕方ない。再エネや原子力の比率を高めていくべきだ。
●与党、過半数奪取なるか 野党失速、尹政権「中間評価」―韓国総選挙 3/10
韓国の尹錫悦政権の「中間評価」と位置付けられる4月10日投開票の総選挙(定数300)まで10日で1カ月。保守系の少数与党「国民の力」が過半数を奪取し、政権の安定につなげられるかが焦点だ。革新系の最大野党「共に民主党」は過半数維持を目指すが、公認候補の選考を巡る混乱が響き、支持離れが進んでいる。
世論調査機関「韓国ギャラップ」が8日に発表した調査結果によれば、国民の力の支持率は37%で、1カ月前から3ポイント上昇。一方、共に民主党は4ポイント減の31%だった。
国民の力は、韓東勲・前法相が昨年12月にトップの非常対策委員長に就いて以降、安定しつつある。弁が立つ韓氏は女性人気が高く、次期大統領候補と目される。尹氏と一定の距離を置き、従来の「尹氏のアバター(分身)」のイメージ払拭にも成功。同党の候補者公認も比較的スムーズに進んだ。
与党としては、過半数を奪い政権の求心力を維持することが最重要課題。予算案や法案の成立には野党の協力が不可欠で、尹大統領は難しい政権運営を強いられてきた。与党関係者は「過半数を取り、保守政権への完全な移行を実現したい」と意気込む。
尹氏は2022年5月に大統領就任後、冷え込んだ対日関係の改善を進めた。与党が勢力を拡大できなければ、尹政権は早くもレームダック(死に体)化しかねず、日韓関係にも影響する可能性がある。とはいえ、国民の関心は「民生」。尹氏は各地で「民生討論会」を開き、経済や医療、教育など生活に関わる政策のアピールに懸命だ。
他方、共に民主党は総選挙の候補者公認を巡る混乱が尾を引く。公認選考で李在明代表に近い人物が優遇されたという不満や、「総選挙の勝利よりも党内の反対勢力排除に没頭している」(重鎮議員)といった批判が噴出し、所属国会議員の離党が相次いだ。選考から排除された文在寅前大統領の側近らと執行部の対立も深まった。
党内からは「このままでは勝てない」との声も漏れる。李氏はソウル近郊・城南市長時代の都市開発事業を巡る背任事件などで公判中。複数の疑惑を抱える中、党内の求心力維持のため、信頼できる人物で固めようとしているもようだ。
二大政党の激突の構図に新党も絡む。革新系では、文氏の側近で、子どもの入試を巡る不正事件で公判中の※(※恵の心が日)国・元法相が「祖国革新党」を立ち上げ、共に民主党との連携をアピール。祖国革新党は世論調査で6%の支持を得て存在感を示す。国民の力元代表の李俊錫氏、共に民主党元代表の李洛淵元首相は、それぞれ「改革新党」と「新しい未来」を結党。両者は「第三極」として合流を目指したが決裂し、勢いを失っている。
●「東日本大震災・福島第一原発事故から13年にあたって」(談話) 3/10
社会民主党幹事長 服部良一
2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原子力発電所の事故から13年目をむかえる。国内観測史上最大のマグニチュード9.0の巨大地震と、北海道・東北・関東の沿岸を襲った大津波によって、死者・行方不明者は2万2200人以上に上っている(震災関連死含む、2024年現在)。さらに、今年1月1日には能登半島地震が発生し、死者が241名(2月28日現在)、多数の負傷者が生じた。地震の揺れや津波などにより住まいが失われ、新たな避難生活者を生み出した。これら未曾有の大災害の犠牲者の冥福をあらためてお祈りし、生活・地域の再生に奮闘されているすべての皆様に、心からの敬意を表したい。
昨年は、福島県内の特定復興再生拠点区域内の避難指示がすべて解除された。再び暮らしを復活しようと住民たちが奮闘している中、岸田政権はこの1年間で被災者を裏切る政策を立て続けに展開した。
まず、昨年の通常国会では60年超えの老朽原発すら稼働できる「GX脱炭素電源法」が成立した。原発を最大限活用するという方針は、福島の事故を忘却するもので、被災者を愚弄するものだ。今年1月の能登半島地震では、志賀原発にて電源系統の遮断やトランスからの大量の油漏れなど多数のトラブルが起きた。避難経路の道路も通行止めとなり、実際に原発事故が起きた場合住民らは避難できなかったことは明白である。かつて、珠洲市に珠洲原発を建設する計画があった。今回の地震の震源はその立地予定地だった。地元住民らの必死の抵抗により計画は白紙となったが、もし建設され稼働していたら悲劇は免れなかったであろう。今回の震災は我々に対する自然からの新たな警鐘と言えよう。震災大国の日本で原発を稼働することは不可能である。今こそ、福島の事故の初心に帰るべきである。原発は即時停止、即時廃炉にするべきである。
さらに、昨年8月東京電力は福島第一原発事故で発生した処理汚染水を海洋放出した。海洋放出は漁業関係者や被災県民、国内外の関係者全ての人々の声に背き、復興に向けて尽力している東北の人々を裏切る行為である。即時の中止を求める。
今回の能登半島地震では、東日本大震災の教訓が活かされたのであろうか。たとえば、避難所では備蓄が不十分であり、劣悪な環境での避難生活を強いられた。特に、女性や子どもにとって必要な物資や環境を整備できていない状況が浮き彫りとなった。
東日本大震災から13年となるが、改めて震災と原発事故の教訓へ真摯に向き合う時である。社民党は、軍事費増に断固反対し、インフラ整備・公共事業は防災対策に特化していくと同時に、脱原発・自然エネルギー100%の社会の実現に向けて頑張る決意だ。
●「ポスト岸田は俺だ!」″暴走路線″を突っ走って疲労困憊の岸田文雄首相が始める 「悪あがき」とは 3/10
自席に突っ伏してうつむく姿から、一国の宰相たる覇気は一切感じられない。
異例となる土曜国会が行われた3月2日午後、予算案の採決に臨む岸田文雄首相(66)は疲労を隠せなかった。
「2月29日に裏金問題に端を発した政治倫理審査会が行われ、首相も出席した。3月1日は予算案に反対する野党との攻防が長引き、深夜国会になった。低支持率もどこ吹く風とばかりに、政権運営を続けてきたが、ここにきて精神、肉体ともに限界を迎えつつあるのだろう」(全国紙政治部記者)
支持率10%台も珍しくなくなったことで、’09年衆院選の大敗を知るベテランを中心に、下野の可能性を口にする自民党議員も出てきた。首相は急速に孤立を深めている。
「茂木敏充幹事長(68)が完全に党のグリップを放棄している状況だ。首相が是が非でも3月2日までに終わらせたかった予算の審議も『日程を延ばしたほうがいいのではないか』と反対した。麻生太郎副総裁(83)とも、事前の根回しなく派閥解散を宣言して以来、溝ができた。今回の政倫審出席も麻生さんに相談せず、独断で決めたという。もはや相談役は誰もいない」(政治評論家の有馬晴海氏)
その結果が「暴走」ともとれる行動に現れている。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が孤独な首相の胸中を推し量る。
「旧安倍派の幹部は、この期に及んで政倫審への出席を嫌がり、『カメラを入れるな』など注文を付けていた。首相からすると、お前らが注文を付けられる立場じゃないだろう、と危機感がないように映っていた。首相自らが出席することで安倍派元幹部らも追従。捨て身の決断で局面を変えようとした」
最高権力者である自分が政倫審の舞台に立った、これで裏金問題も幕引きだろう――。だが、感情的なスタンドプレーで状況が好転するはずもない。
「派閥解散を表明することで『裏金は安倍派と二階派の問題、俺の責任ではない』とアピールしたかったのだろう。だが、問題をすり替えようという狙いは見透かされ、支持率低下という形で返ってきた。今回も同じ轍を踏もうとしている」(前出・記者)
疲労困憊になりながらも、岸田首相が「悪あがき」を続ける理由は何なのか。前出の有馬氏が打ち明ける。
「首相は2月14日で在職日数が864日となり、宏池会出身の鈴木善幸元首相と並んだ。目下、目標としているのは宏池会創設者の池田勇人元首相の1575日だと周囲に漏らしている。在職日数はすでに戦後歴代10位に入った。首相はこれを誇りに思っていて、在職日数こそ総理の評価だと信じている」
「結局、俺しかいない」
首相が警戒するのは、国会閉会後の党内での「岸田おろし」である。だが、その旗振り役と目される二階俊博元幹事長(85)に異変が起きている。2日の予算案審議前、報道陣の前に現れた二階氏は、頼りない足取りだった。予算案の採決時には投票して自席に戻るだけでも一苦労する素振りを見せた。寄る年波には勝てないのか。
「独自の政局観でキングメーカーを務めた二階氏が、本格的に政界引退の時期を探り始めている。二階派の裏金問題の責任を取る形で、次の選挙前に辞職。禊は済んだというイメージを作り、子飼いの鶴保庸介参院議員に和歌山新2区を譲る。鶴保氏が抜けた参院和歌山県選挙区には、自身の三男を擁立する案を勘案している」(前出・角谷氏)
延命しか頭にない首相は、″二階引退″を追い風ととらえている。自民党ベテラン秘書の談。
「今の首相は、秋の総裁選で誰がライバルとなるかで頭がいっぱいのはず。河野太郎デジタル相(61)はベテラン議員からの評判が芳しくなく、茂木幹事長からは、故・青木幹雄氏に近かった議員を中心に人が離れていっている。9月総裁選を前に『結局、次の総裁も俺しかいない』との考えを深めている」
ちっぽけなプライドのため、延命に奔走する岸田首相。残念ながら、その煽りを受けるのは国民だと気づくことはないだろう。
●衆院選「秋の可能性高い」 公明、自民総裁選後を想定 3/10
公明党の石井啓一幹事長は10日放送のBSテレ東番組で、衆院解散・総選挙の時期について「秋が一番可能性が高いのではないか」と述べた。9月の自民党総裁選に触れ「そこで選ばれた総裁は非常に支持率が高くなる」と指摘し、総裁選直後に解散に踏み切るとの見方を示した。
6月23日までの通常国会会期末に解散する可能性は「ゼロではない」と言及。自民派閥の政治資金パーティー裏金事件に関する再発防止策によって「内閣支持率が向上していく流れができるかどうかだ」とした。
●岸田総理が自民党のポスター撮影 経済成長の成果を訴える内容 3/10
岸田総理は東京都内の撮影スタジオを訪れ、自民党の新しいポスター撮影を行いました。
記者「岸田総理が自民党のポスター撮影を終えて、都内のスタジオから出てきました」
岸田総理は東京都内の撮影スタジオに2時間半あまり滞在し、ポスター撮影を行いました。
複数の政府・与党関係者によりますと、新しい自民党のポスターは岸田政権での経済成長の成果を訴えるものになるということで、来月上旬にも公開される見通しです。
ポスター撮影のスケジュールは以前から決まっていたものですが、岸田総理による早期の解散総選挙の可能性も囁かれる中で今回の撮影は憶測を呼びそうです。
●「どう対応しても…」裏金処分に漏らす首相 政権の不安定化に拍車も 3/10
派閥による裏金事件を受け、自民党は17日の党大会後に裏金作りに関わった議員らを処分する方針だ。岸田文雄首相(党総裁)は処分で「けじめ」をつけたい考えだが、いつ誰にどのような処分を下すのか、対応を誤れば政権の不安定化に拍車がかかりかねない。
東京地検特捜部が安倍派議員らに刑事処分を下してから間もなく2カ月。首相は「できるだけ早いタイミングで政治責任などのけじめをつけていきたい」(2日の衆院予算委員会)と、近く党として処分を判断する考えを繰り返す。
首相が「処分の前提」とする政治資金収支報告書の修正や党内のアンケートと聞き取り調査、政治倫理審査会の開催などの要素が出そろってきたことを踏まえ、判断のタイミングを探っているとみられる。
だが、誰を処分の対象にするのか、その基準も含め首相は具体的に語っていない。自民の調査で裏金作りが判明した衆参両院の議員は82人。政治資金収支報告書への不記載額は、二階俊博・元幹事長の3526万円から4万円まで幅がある。官邸幹部は「どこまでを対象にするのかが、最も悩ましい」 ・・・
●「裏金」説明責任果たさず91% 3/10
共同通信社が9、10両日に実施した全国電話世論調査で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて衆院政治倫理審査会に出席した安倍派と二階派の幹部5人について「説明責任を果たしていない」との回答が91・4%に上った。内閣支持率は20・1%で、前回調査(2月3、4両日)の24・5%を4・4ポイント下回り、岸田内閣として過去最低を更新した。
不支持率は64・4%で、前回調査を5・5ポイント上回った。自民の政党支持率は24・5%で、昨年12月調査の26・0%を下回り、2012年12月の政権復帰以降、最低となった。
裏金事件に関与した安倍、二階両派の幹部には「重い処分が必要だ」が77・3%だった。
次期戦闘機の第三国輸出は「同盟国や友好国などに限定して認めるべきだ」が48・1%、「一切認めるべきではない」が44・7%だった。景気が上向いている実感があるかとの問いに「どちらかといえばない」が26・8%、「ない」が61・1%で、合わせて87・9%となった。
●岸田内閣支持20・1%で過去最低 不記載問題、説明責任果たさず91% 共同通信世論調査 3/10
共同通信社が9、10両日に実施した全国電話世論調査で、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けて衆院政治倫理審査会に出席した安倍派と二階派の幹部5人について「説明責任を果たしていない」との回答が91・4%に上った。内閣支持率は20・1%で、前回調査(2月3、4両日)の24・5%を4・4ポイント下回り、岸田文雄内閣として過去最低を更新した。
不支持率は64・4%で、前回調査を5・5ポイント上回った。自民の政党支持率は24・5%で、昨年12月調査の26・0%を下回り、平成24年12月の政権復帰以降、最低となった。
裏金事件に関与した安倍、二階両派の幹部には「重い処分が必要だ」が77・3%だった。 

 

●能登半島地震 震源断層の一部は猿山沖セグメント・珠洲沖セグメントの地下か 海底で約4mの隆起 地震調査委員会 3/11
政府の地震調査委員会は、元日に能登地方で発生したマグニチュード7.6の地震について、「地震を引き起こした震源断層は既に知られていた2つの海底断層の地下に重なっていたことがわかった」と明らかにしました。
能登半島の北部には活断層が集中しています。
地震調査委員会によりますと、海上保安庁の海底調査などにより、このうち猿山沖セグメントと珠洲沖セグメントと呼ばれる海底断層の地下に、今回の地震の震源断層が重なっていたことが新たにわかったということです。
今年の1月から3月にかけて海上保安庁が行った海底調査によりますと、2008年のデータと比べ、猿山沖セグメントはおよそ4メートル、珠洲沖セグメントはおよそ3メートル、海底が隆起していたということで、地震調査委員会はこの隆起について「今回の地震によるものである可能性が高い」としています。
●能登半島地震 断水・停電復旧状況の推移(3月11日現在) 3/11
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震により、北陸地方の広い範囲で大規模な断水や停電が発生しました。今回の災害では、停電は一時最大で約4万8930軒、断水は一時最大で約11万7000軒となり、停電よりも断水の軒数の方が多いという特徴がみられます。3月11日現在 ・・・
・ 停電は、今回の災害による停電の最大値から99.4%が復旧しています。珠洲市の停電が復旧しました。71日目でした。輪島市・七尾市・能登町の3自治体が継続しています。100軒以上の停電が発生しているのは輪島市のみとなりました。おおむね復旧した状況です。復旧のペースは落ちていますが、すべての自治体で復旧が進んでいます。
・ 断水は、今回の災害による断水の最大値から85.7%が復旧しています。今日は動きはありませんでした。珠洲市以外のすべての自治体で復旧が進んでいます。復旧が進んだ自治体と復旧がはじまったばかりの自治体の二極化が起きています。
・ 旅館やホテルなどで自立した生活を送る2次避難先は3月上旬から3月末ごろまでとされ、県は仮設住宅や公営住宅などの今後の住居に関する説明をはじめています。断水について厚労省は3月末までに9割強が復旧するとの見通しを発表しています。自治体は遅いところでは4月以降になるとしています。
●高級クッキー贈答疑惑 「意味が分からない」世耕弘成氏の言い訳 3/11
自民党安倍派の「5人衆」の一人で前参院幹事長の世耕弘成(せこう・ひろしげ)氏の政治団体が、派閥からキックバック(還流)されたパーティー券収入で「贈答品」を購入していた問題が波紋を広げている。
派閥から還流されたカネの支出先にたびたび登場する老舗洋菓子店の高級クッキーを、地元支援者に贈っていた。世耕氏は「会食費の一部負担」と違法性を否定するが、法律で禁じる有権者への寄付に当たらないのか。
自民党派閥の裏金づくり発覚のきっかけとなる刑事告発をした、神戸学院大の上脇博之(ひろし)教授に聞いてみた。
上脇氏「疑惑さらに深まった」
「疑惑は、さらに深まった」
「クッキーを贈ったが、会食費の一部負担だから寄付には当たらない」という世耕氏の主張に、上脇氏は開口一番こう訴えた。
上脇氏が指摘する疑惑とは、世耕氏が高級クッキーを地元の有権者に贈っていたという問題だ。
この有権者の男性は、自身のブログで、2023年11月ごろに都内で世耕氏と会食。世耕氏と別れた後、銀座のクラブで「世耕さんからもらったクッキー缶」を振る舞い「ホステスのみんなからは今まで聞いたことのないような歓声」を受けたとつづり、「クッキー缶のおかげで今夜はヒーロー。世耕先生、ありがとう」と感謝していた。
この有権者の関係者によると、男性は世耕氏の選挙区の和歌山市在住という。世耕氏の政治団体に献金しており、有力な支援者の一人だ。
「一見さんお断り」の贈答品、毎月購入
この老舗洋菓子店は、一見さんお断りの会員制で「今予約しても提供できるのは1年先」(店の担当者)という。この有権者に贈ったクッキーは、店の看板商品。それほど入手困難の人気店から、世耕氏の政治団体は2022年、毎月欠かさず商品を購入していた。
世耕氏の場合、派閥からの還流分は、2018年からの5年間で総額1542万円。裏金事件を受け、訂正した世耕氏の資金管理団体「紀成会」の収支報告書によると、還流分の主な使い道は「贈答品代」だった。
このうち、この老舗洋菓子店には、2021年と2022年で総額37万8000円分を支出していた。
裏金から出費?「答えられない」
世耕氏の事務所が、収支報告書訂正に当たって2月末に発表したコメントによると、派閥から還流された資金の一部は2023年にも繰り越されており、23年も還流分から贈答品代として150万円程度の支出を見込んでいるという。
2021年や22年の状況から考えると、23年に地元有権者に贈った高級クッキーも還流分から支払った可能性もある。世耕氏の事務所に尋ねたが、「担当者が不在で答えられない」とのことだった。
世耕氏の事務所は、2021、22年に老舗洋菓子店から購入した分についても、誰に贈ったかは本紙の取材に「お答えしない」としている。
公選法は有権者への金品提供を禁止
公職選挙法は、政治家が自身の選挙区内の有権者に金品などを贈ることを禁じている。
世耕氏は3月8日、報道陣にクッキーを渡したことを認めたものの、「こちら側から応分の(会食)費用負担をお願いしたが固辞された。せめて一部の負担をという思いで(クッキー)をお渡しした」とし、公職選挙法違反には当たらないと主張している。
改めて、地元有権者が相談役を務める和歌山市内の木材加工会社に確認したが、「本人が出張中で答えられない」とのことだった。
上脇教授「寄付し合っているだけ」
世耕氏の説明に、まず上脇氏が抱いた疑問は「なぜ現金で割り勘しなかったのか」という点だった。
「世耕氏が、会食費用の一部を現金で支払ったのならまだ分かる部分もあるが、なぜ、わざわざ現金で割り勘せずにクッキーで立て替えるのか。クッキーを会食費用の代わりにする意味が分からない」といぶかる。
「会食代をおごってもらった代わりにクッキーを贈っただけで、それは互いに寄付をし合っているに過ぎない」とも。
「他の有権者にも配っていないか」
その上で「世耕氏は自らクッキーを渡したことで、寄付を認めている。和歌山の有権者に渡しているということならば外形的には明らかに公選法違反だ」とし、「自ら待ち合わせして直接会っており、秘書の責任にもできない。今後、刑事責任を問われる可能性も出てくるのではないか」と指摘する。
世耕氏の政治団体は、「贈答品代」として毎月のように老舗洋菓子店に出費していた。上脇氏は「その人物以外の地元有権者に、この高級クッキーを配っている可能性もある」とも語る。
過去には線香、うちわ配って大臣辞任
政治とカネを巡る問題は後を絶たない。
2019年には当時経済産業相だった菅原一秀氏が、地元の有権者らに香典などを配ったとして辞任。公職選挙法違反(寄付行為)の罪で罰金刑が確定して公民権停止になった。
2014年には当時法相だった松島みどり氏が自身の選挙区内の祭りで名前が入った「うちわ」を配布した問題で辞任している。
●逮捕も立件もされない不思議。パー券裏ガネ疑惑「限りなくクロ」に近い萩生田光一が雑誌で見せた“余裕” 3/11
いわゆる「安倍派5人衆」の衆院議員の中で、先日開かれたパーティー券裏金疑惑を巡る政治倫理審査会にただ1人出席しなかった萩生田光一氏。そんな萩生田氏ですが、疑惑を持たれた自身の行動を省みるどころか「開き直り」すら見せているようです。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では著者の伊東さんが、『文藝春秋』3月号の鼎談で萩生田氏が口にした数々の発言を紹介。さらに裏金問題だけでなく、同氏の「旧統一教会との関係」に関するマスコミの追求の甘さも指摘しています。
自民党・萩生田氏の政治資金裏金化問題の盲点 裏金でメディアと会食か? 「文春砲」ともズブズブのマスコミとの共犯関係
泥沼化する一連の政治資金パーティー裏金化問題によって内閣支持率が過去最低を記録し続ける岸田政権であるが、しかし対応を一線と化しているのが萩生田光一前・政調会長だ。
萩生田氏は政治倫理審査会への出席を拒み続けている。
萩生田氏は18年から22年の5年間で政治資金収報告書への不記載が計2,728万円あったとしたうえで、それを事務所スタッフが管理していた(*1)とし、釈明したにもかかわらず、だ。
萩生田氏の5年間の不記載額は逮捕・立件された安倍派の大野泰正参院議員、谷川弥一衆院議員、池田佳隆衆院議員に次ぐ規模である。
さらに、萩生田氏が代表を務める「自民党東京都第24選挙区支部」の訂正した政治資金収支報告書は、「収入総額」「前年からの繰越額」「支出総額」「翌年への繰越額」のすべてにおいて「不明」と記載。
政治資金規正法では、収支の不記載は5年以下の禁錮または100万円以下の罰金と定められている。(*2)
さらに先月10日に発売された『文藝春秋』3月号に掲載された、武田良太・元総務相と加藤勝信・元官房長官との鼎談記事で、萩生田氏は裏金事件を完全に開き直り、挙げ句、被害者気取りで愚痴までこぼしている状態。(*2)
この余裕は何なのか。
萩生田氏、『文藝春秋』で言い訳
『文藝春秋』3月号に掲載された鼎談で萩生田氏は、(安倍派では)「販売ノルマを超えた分は、活動費として派閥から戻す。それはこちらで処理をしているので、収支報告書には載せなくていい」という“言い伝え”があったとし、「この言い伝えを、みんなが律義に何十年も守ってきたのがウチの派なんです。その判断が間違っていたことが今さら明らかになって、恥ずかしい思いをしているのが正直なところです」と弁明。また裏金の金額が大きかった点を指摘されると、萩生田氏は、「安倍派ではコロナ禍の状況をかんがみて、パーティ券の販売ノルマを減らしたことを、事前に事務所担当者が知らなかったという事情もある」などと反論し、「もし当時、私が派閥の運営に関与してそれを知っていたら、そんなに頑張って売る必要はなかった。結局、歴代の事務総長たちは全然(ノルマを)オーバーしておらず、我々だけが一生懸命売って、手元に残ったという思いが残ります」と言い訳する。
さらに、萩生田氏は、「年末年始もこれだけ批判をされてお詫びをしてきたという点では、一定の社会的制裁を受けたと思います。立件されなかったのに、検察が期待値を上げたことで『この人たちは悪いのに助かった』みたいに思われるのは、すごく理不尽な話です」と逆ギレした。(*2)
裏金でメディアと会食?
萩生田氏は、「自民党は、失敗は失敗としてもう少し寛容に、『まずかったけど頑張れよ』と言ってくれる政党かと思ったら、党内からも『処分、処分』と言われて……」「“生贄”を出さないと終わらないような雰囲気になっていて、ちょっと寂しいなと思います」とまで言い放った。
萩生田氏は安倍派5人衆の立件見送りが報じられたあとも直ちに会見を開かったが、そのことに対する批判も巻き起こることはなかった。(*2)
裏金問題だけでなく、旧統一教会問題についてもマスコミの萩生田氏への追及は甘い。
引用・参考文献
(*1)「萩生田氏の裏金、5年で2728万円 『事務所の引き出しで保管』」朝日新聞デジタル 2024年1月22日
(*2)「2700万円裏金でも萩生田に反省なし! 月刊誌で被害者気取り発言、『裏金はメディアとの会食に使った』とマスコミを恫喝」LITERA 2024年2月22日
●岸田内閣支持率「20.1%」過去最低更新 裏金事件対応で政治不信 3/11
共同通信社が9、10両日に実施した全国電話世論調査で、岸田内閣の支持率は20.1%となり、昨年12月調査の22.3%を下回り、岸田内閣として過去最低を更新した。2月調査の24.5%から4.4ポイント下げた。不支持率は64.4%で、2月調査を5.5ポイント上回った。自民の政党支持率は24.5%。こちらも、昨年12月調査の26.0%を下回り、2012年12月の政権復帰以降、最低となった。
国民が見放す最大の理由は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件への対応。衆院政治倫理審査会に出席した安倍派と二階派の幹部5人について「説明責任を果たしていない」との回答が91.4%。事件に関与した両派の幹部には「重い処分が必要だ」が77.3%に上った。
●政党支持率 自民下落20%台に 立民 維新も伸びず NHK世論調査 3/11
各党の支持率です。
「自民党」が28.6%、「立憲民主党」が6.8%、「日本維新の会」が3.8%、「公明党」が3.1%、「共産党」が2.8%、「国民民主党」が1.2%、「れいわ新選組」が2.5%、「社民党」が0.6%、「参政党」が0.4%、「特に支持している政党はない」が42.4%でした。
自民支持率 岸田内閣発足時より10ポイント以上の下落
自民党の政党支持率は28.6%で、2012年の自民党の政権復帰後では、2023年12月調査以来の20%台となりました。
岸田内閣の発足時と比べると、自民党の支持率は2021年10月の41.2%から10ポイント以上下がっています。
政権交代直前の麻生内閣当時は、自民党と当時の民主党の支持率が20%台から30%台前後で拮抗していたのに対し、3月の野党第一党の立憲民主党の支持率は6.8%、第二党の日本維新の会も3.8%と伸びていません。
一方、無党派層の割合は増えていて、2023年12月以降は一貫して40%を超えています。岸田内閣の発足時には自民党の支持率を5ポイント程度下回っていましたが、直近4か月は10ポイント以上上回っています。
●「このままでは下野」 内閣支持率が最低更新 「裏金議員」処分求める声も 3/11
共同通信の世論調査で岸田文雄内閣の支持率が過去最低を更新したことが報じられた週明けの11日、政府・与党内には「このままでは下野必至」(自民幹部)との焦燥感が漂った。自民党裏金事件へのけじめがついていないことが背景にあるのは調査でも明らか。17日の党大会に向け地方組織などからは「裏金議員」への処分断行を求める声が高まりそうだ。
「問題を起こした議員に責任をとらせないで党則見直しや法改正なんて順序が逆」。11日朝、県内駅頭に立つ自民党議員は行き交う人たちから厳しい声を浴びた。県内関係では新型コロナウイルス禍で自粛下にあった中での飲食店訪問で当時衆院1区現職の松本純氏が離党勧告を受けた。「松本さんの処分に照らせば裏金議員は除名」といった批判も絶えず、県連は厳しいかじ取りを迫られている。
ある県連幹部は「最後は党総裁である岸田総理の決断次第」と説明。「党大会で明確な処分方針を示せなければ(4月28日の)国政補選でも勝てるわけがない」と懸念を隠さない。
過去最低となった岸田内閣の支持率は20・1%。前回調査を4・4ポイント下回り2割すれすれの状態だ。引きずられる格好で下落した自民支持率は24・5%で同党が2012年12月に政権復帰して以降、最低記録を更新している。
ちなみに菅義偉前首相の内閣の最低支持率は退任直前(21年9月)の30・1%。岸田氏が「意見を聞かない」と菅内閣を批判し総裁選への出馬表明をした直後だ。街頭でこの数字を持ち出され「新型コロナ禍でもないのに、けんかを売った相手よりずっと低いとはひどい話だ。岸田総理に責任をとらせろ」と党支持者に迫られた県内議員は「お怒りはごもっとも」と返すのが精いっぱいだった。
●岸田内閣「支持」25%「不支持」57% 政倫審で説明責任は 3/11
NHKの世論調査によりますと、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、2月の調査と変わらず25%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は1ポイント下がって57%でした。
NHKは、3月8日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。
調査の対象となったのは2563人で、47%にあたる1206人から回答を得ました。
岸田内閣を「支持する」と答えた人は2月の調査と変わらず25%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は1ポイント下がって57%でした。
支持する理由では、「他の内閣より良さそうだから」が47%、「支持する政党の内閣だから」が25%、「人柄が信頼できるから」が13%などとなりました。
支持しない理由では「政策に期待が持てないから」が39%、「実行力がないから」が30%、「人柄が信頼できないから」が12%などとなりました。
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、衆議院の政治倫理審査会で安倍派と二階派の事務総長だった5人が説明を行いましたが、説明責任が果たされたと思うか尋ねたところ、「十分果たされた」が1%、「ある程度果たされた」が7%、「あまり果たされていない」が34%、「まったく果たされていない」が50%でした。
岸田総理大臣は現職の総理大臣として初めて衆議院の政治倫理審査会に出席しましたが、この対応への評価については「大いに評価する」が5%、「ある程度評価する」が40%、「あまり評価しない」が29%、「まったく評価しない」が18%でした。
さらに、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題に関係した議員に対し、自民党が処分を行うべきだと思うか聞いたところ、「行うべきだ」が75%、「行う必要はない」が12%、でした。
能登半島地震への政府のこれまでの対応を評価するか尋ねたところ、「大いに評価する」が5%、「ある程度評価する」が44%、「あまり評価しない」が32%、「まったく評価しない」が11%でした。
東日本大震災の発生から13年となり、自分が住んでいる自治体で震災の教訓を防災対策に生かせていると思うか聞いたところ、「生かせている」が7%、「どちらかといえば生かせている」が35%、「どちらかといえば生かせていない」が35%、「生かせていない」が12%でした。
他国と共同開発する次期戦闘機などの防衛装備品を、第三国に輸出することを認めるかどうかについて、「認めるべきだ」が4%、「輸出する国などを限定して認めるべきだ」が54%、「認めるべきではない」が32%でした。
●岸田総理「永久不滅政権」ってホント? 「安倍超え」狙いに党内ドッチラケ 3/11
補選は、東京、島根、長崎の3つ。このうち、長崎では独自候補の擁立を見送り、東京は候補者の公募を行っているが、
「自民・船田元議員(70)が、先日行った講演で『3敗なら岸田降ろしが始まる』と言及しました。求心力の低下はすでに始まっていると言えます」(政治部記者)
実際には島根の自民党地盤は固く、全敗は現実的でないという見方もあるが、今の低支持率ではよもやの事態も想定せざるをえまい。身内の造反が予想される中、岸田総理はどう対抗するのか。ジャーナリストの鈴木哲夫氏が分析する。
「常々目指してきた日朝首脳会談は破談になりましたが、5月にはフランスなど数カ国を外遊し、外交力をアピールしたい。それに夏のボーナスも上がるでしょうし、一連の動きで少しでも支持率が上がったと踏んだら、6月に解散総選挙があると思います。逆に言えば、今年9月の自民党総裁選で、岸田総理が再選するには、解散総選挙で勝つ以外に道はないのです」
仮に自公で過半数の議席を取れば、「国民の信任を得られた」として誰も文句が言えなくなる。
「安倍さんへの対抗心から、連続在職日数で安倍超えを狙っているとも噂されるが、そんな夢物語に党内はドッチラケ。29年6月まで総理を続ける計算だからな」(永田町関係者)
総裁任期を連続2期6年から3期9年に改訂したのが安倍元総理だが、もしこの低支持率のまま『岸田永久不滅政権』なんてものが実現したら‥‥。ジャーナリストの山村明義氏が憂える。
「少なくとも現時点では、再出馬が濃厚です。現職は総裁選に強い。自民党にとっての悪夢の始まりかもしれません」
果たして総理は再選を目指し、起死回生の解散総選挙に打って出るのか。それとも麻生太郎副総裁(83)ら党内のキングメーカーや、力不足と評されるポスト岸田の面々が、9月までに必死の工作を行って、次なる総理が誕生するのか。
「官邸に近い永田町の情報筋いわく、岸田総理は親しい人間でも本当に腹の内が読めない政治家だそうです。『1期3年しか総理をやるつもりがない』という意見も聞こえる一方で、独断専行で派閥解消を進めたことからもわかるとおり、追い込まれたら何をやるかわからない。ズルズルと引っ張ってきた岸田政権ですが、4月から9月にかけて、政局がかなり大きく動くとみています」(前出・鈴木哲夫氏)
「ミスター鈍感力」とも評される岸田総理は、ジリ貧でもしぶとい面を持っている。その頭で、国民をどこへ連れていこうとしているのか。
●岸田政権“支持率過去最低”更新で解散打てず…高市早苗、上川陽子、小渕優子が激突!自民党9月総裁選は「オンナの戦い」になる 3/11
岸田文雄首相(66)率いる内閣の支持率低下に歯止めがかからない。
「2月17〜18日に行われた毎日新聞の世論調査で、岸田内閣の支持率は、1月の前回調査より7%減の14%に落ち込みました。逆に、不支持率は10%増の82%に達し、国民のほとんどから“ノー”を突きつけられた格好です」(全国紙政治部記者)
岸田文雄首相に裏金”疑惑が直撃
自民党派閥の政治資金パーティをめぐる“裏金”疑惑が直撃し、自民政権復帰以来の過去最低の数字を更新、岸田首相の政権維持策にも狂いが生じている。
「総理の椅子を譲りたくない岸田首相は、今年9月に行われる自民党総裁選の再選しか頭にありません。そのためには衆院を解散して政権与党で勝利することが望ましいですが、この支持率で解散しても、惨敗を免れないでしょう」(前同)
初の女性総理大臣が!
身動きの取れなくなった岸田首相を横目に、自民党内では“ポスト岸田”選びが本格化。その流れで、我が国初の女性総理が誕生する可能性が高いと断言するのは、政治ジャーナリストの安積明子氏だ。
「国民の人気が高いのは石破茂元幹事長ですが、自民党所属国会議員の支持が薄い。他に、めぼしい男性の有力候補も見当たりません。自民党が選挙を有利に戦うためには、新鮮なイメージがあり、話題を呼ぶ女性の総理・総裁を擁立する可能性は、かなりあると思います」
●自民「ハレンチ懇親会」が追い打ち裏金議員≠ヨ怒り爆発 世論調査で「税務調査行うべき」94・5%…ピント外れ=u改革案」に国民NO 3/11
岸田文雄政権への国民の怒りが高まっている。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の対応がピント外れ≠フようで、共同通信が「裏金を受け取った議員への税務調査」を聞いたところ、「行うべきだ」が、何と94・5%に上った。「裏金に課税せよ」という世論のようだ。政権運営が程なく行き詰まるという「青木の法則(青木率=内閣支持率と与党第一党支持率の合計)」の危険域(50ポイント以下)に突入する世論調査も複数出てきた。さらに先週末、自民党青年局幹部や若手議員らが参加した懇親会に、下着姿のような女性ダンサーが複数招かれていたことが発覚した。岸田自民党に「政治改革」ができるのか。
「民主主義の基盤が揺らぐ深刻な事態だ。自民党としては真摯(しんし)に反省している」
岸田首相は、裏金事件などを集中審議した8日の参院予算委員会で、厳しい追及に表情をこわばらせながら、こう答弁した。
報道各社の世論調査で内閣や自民党支持率が低迷するなか、10日に公表された共同通信の調査にも「国民の怒り」「失望」が反映されていた=別表。岸田内閣の支持率は最低を更新し、自民党支持率も2012年の政権復帰以降で最低となった。
特に注目すべきは「裏金議員への対応」だ。
政治資金は原則、非課税だが、裏金が「個人の収入」とみなされれば課税対象となる可能性がある。
国民民主党の舟山康江議員は6日の参院予算委員会で、「裏金を自己資金の一部と認識していたとの議員の発言もある。納税を指示すべきだ」と迫った。
これに対し、岸田首相は「個人で受領した例を確認できていない以上、納税を促す行為は今は考えていない」と淡々と答弁したが、確定申告の時期でもあり、国民の視線は厳しい。
共同通信が、「裏金を受け取った議員に対し、国税庁が税務調査を行うべきだと思いますか」と聞いたところ、「行うべきだ」が94・5%となったのだ。
国民感覚では、「政治資金なら政治資金収支報告書に記載すればいい」「裏金(不記載)=個人所得」であり、国税当局は徹底調査すべきだとの認識のようだ。
自民党ベテラン議員も「国民は岸田首相の事件対応を『緩い』と感じている。インボイス制度で税徴収が厳格化するなか、国民は1円の誤りも許されない。国会議員は裏金がバレても『謝罪して訂正すれば許される』となれば、納税モラルの崩壊につながりかねない」と指摘する。
折しも、15日が期限の確定申告の時期を迎えており、インターネット上でも「納税するのがバカバカしい」「議員特権か」などと、激しい怒りの声が渦巻いている。
さらに、追い打ちをかける醜聞≠熾o繧オた。
自民党和歌山県連が昨年11月に主催し、党青年局幹部や若手議員らが参加した懇親会に、露出の多い衣装の女性ダンサーが複数招かれ、参加者が口移しでチップを渡す様子などとされる動画や画像が表面化したのだ。
この催しの費用は党本部や県連が支出している。運営に関わった県連青年局長は辞意を表明し、県連は「政党助成金は使い道が決められており、飲食や懇親会には使えない。公費は1円も使っていない」と強調した。
これに対し、立憲民主党の安住淳国対委員長は「自民党は地方の末端まであぐらをかき、おごっている」「10年ぐらい政権を持つと自民党は腐る」と突き放した。
岸田自民党への逆風をどう見るのか。
政治評論家の有馬晴海氏は「支持率下落の背景として、『税金の問題』は大きい。国民が確定申告に追われる一方、政治家の裏金は許されることで、その対比が明確になっている。これまで、20%程度は『何があっても自民党』という支持率があったが、これが崩れつつある。岸田政権は『派閥解消』を含め、国民から『対応=取り繕い』であることを見透かされている。浮揚策はない」と指摘した。
●岸田政権は国民税負担等で日韓マッチ等に50億円投入、インバウンド拡大で 3/11
岸田政権は、インバウンドの更なる拡大を図ることなどを目的として、国民の税負担などで中抜き率が1割程度となる見込みの事業に約50億円を投入することが明らかになった。
観光庁では、インバウンド消費の更なる拡大・質の向上を図るため、地方公共団体・観光地域づくり法人(DMO)・民間事業者等が実施する、特別な体験コンテンツ・イベントなどの創出等を支援することとしている。
今回は、有識者による審査を経て、「特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」の採択事業が決定した。国・地方公共団体等所管事業に対しては支援上限額が8,000万円、民間企業等支援事業に対しては補助上限額が3,750万円などとなる。
採択された案件は、113件となる。採択されたのは、株式会社JTBパブリッシング、ぴあ株式会社、東京フットボールクラブ株式会社、株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント、 株式会社パソナ農援隊の会社などによる事業となる。具体的には、日韓レジェンド・マッチ(仮称)などが実施される。
なお、この事業の運営事務局は、ジェイアール東日本企画となる。この事業の事務局の公募は、令和5年11月29日に行われており、補助上限額は50億5,000万円となり、事務経費は原則として事業費総額の1割以内とすることが定められていた。
●設計会社を脱 税で告発 取引先に「架空の業務」発注 3年間で6億6800万円の所得隠したか…大阪国税局 3/11
道路の設計などを請け負う大阪の会社が、6億6000万円あまりの所得を隠したなどとして、大阪国税局から告発されました。
告発されたのは、大阪市中央区の「国土技術コンサルタント」と、岩崎健前社長(53)です。
関係者によるとこの会社は、取引先に架空の業務を発注したように装い、3年間でおよそ6億6800万円の所得を隠し、およそ2億4700万円を脱税した疑いがあるということです。
この会社は、国などから道路の設計などを受注しており、脱税で得た金は、岩崎前社長が遊興費などに使っていたということです。
会社は所得の申告を修正し、納税の一部を済ませているということですが追徴課税は重加算税を含めて3億4000万円あまりにのぼる見込みです。
●不二家、「ネクターピーチ」など値上げ 最大14% 3/11
不二家は11日、飲料商品「ネクターピーチ」や「レモンスカッシュ」など5品を値上げすると発表した。値上げ幅は希望小売価格の約8〜14%で、5月の出荷分から改定する。糖類、桃やレモンなどの原料価格が上がっているほか、物流費が高騰しているため。
値上げ対象は同社が販売する全14品の飲料商品のうち主力の「ネクターピーチ(350グラム缶)」や「レモンスカッシュ(350ミリリットル缶)」など5品で、個別の値上げ幅は非公表としている。
●岸田首相は「6月解散」決断するか カギは賃上げと日銀の利上げ、そして小池百合子東京都知事の動き 3/11
自民党内や霞が関で「6月に解散するのではないか」との見立てが有力なシナリオとして語られている。4月解散の可能性について岸田文雄首相は「全く考えていない」と否定したが、6月解散説の現実味とは──。
4月解散説が出るのは、裏金問題を受けた政治改革を掲げて行なわれるのではないか、という政局的な観測から出てきたものだ。これに対して6月解散説の根拠は、岸田首相が旗を振ってきた「デフレ克服」という政策の実績を追い風にして解散に打って出るのではないかという見方だ。経済官庁の幹部がいう。
「首相がこだわるのは賃上げの一点です。財界に対する働きかけは安倍・菅政権をしのぐほどで、公取(公正取引委員会)を使って、下請け企業との取引で不当に支払い額を引き下げたとして日産に対して勧告まで出した。中小企業にまで賃上げを波及させるのに妨げになる商慣習を行なっていた大手企業を名指しで批判したかたちで、なりふり構わない熱の入れようです」
3月13日には賃上げを要求した主要労働組合に対する集中回答日を迎える。そこで物価上昇に見合う賃上げが実現され、2%の物価安定の目標について日本銀行が「持続的・安定的に実現できる」と判断すれば、長年続いてきた金融緩和から利上げに向け一歩踏み出す可能性が高まる。
「関係者の間で金融政策正常化に向けた判断のXデーとして有力視されているのは4月25、26日の金融政策決定会合です。その前の3月18、19日だと早過ぎでしょう。急ぎ過ぎて経済を冷やしてしまい、デフレ逆戻りの戦犯のようにいわれた2006年の利上げの時の反省を日銀は重く受け止めているはず。ただ、逆に4月を逃すと次の金融政策決定会合は2か月後の6月まで待たなければいけなくなります」(前出・経済官庁幹部)
懸念材料は「小池都知事の国政転出」ファクター
ただ、日銀の金融政策だけで「経済がよくなった」というのでは、政治の成果をアピールしがたい。
「6月には昨秋に決めた所得税・住民税の定額減税が始まる。その恩恵を有権者が実感してくれたところで、“デフレ脱却にこぎつけた”と宣言して解散するのではないか」(同前)
岸田氏にとっては理想的だが、この6月解散シナリオには懸念材料もある。
「小池百合子都知事の国政転出の可能性が最も高まるのはこの時だと思います」と、語るのは自民党関係者だ。この関係者は、小池氏の2期目の任期は7月末までで、6月20日告示・7月7日に都知事選が予定されていることを挙げて続ける。
「この時期に都知事を辞めるといっても2期目の任期はほぼやり遂げたことになり、4月28日の衆院東京15区補選に出馬するのと違って、都政投げ出しの批判が出る可能性はほぼなくなる。その一方、4月の補選後に出てきうる自民党内の“岸田おろし”の状況を見極めて、小池さんは自分が国政自民党に復帰する価値を最大限まで高めて登場することができる」
賃上げ→デフレ脱却で支持率が回復すれば岸田氏は自らに最も有利なかたちで解散戦略を描くことができ、そうなれば小池氏は国政に戻っても自らを高く売るチャンスは少ない。しかし、解散まではできても岸田政権の支持率が回復しなければ、むしろ初の女性の首相に再び名乗りを挙げるよう求める機運も高まるかもしれないというのである。
日本経済が復活するかどうか、歴史の分水嶺ともなりうる今回の春闘は、さまざまな政治家の興亡にとっても分水嶺となるかもしれない。 

 

●世耕氏や橋本聖子氏ら3人が14日に政倫審で弁明 3/12
自民党の派閥の裏金問題を受けた参議院の政治倫理審査会について、与野党は14日に安倍派の世耕前参議院幹事長ら3人の弁明と質疑を行うことで合意しました。
参議院の自民党と立憲民主党の国対委員長は14日に政倫審を開き、安倍派の世耕前参議院幹事長と橋本元オリンピック担当大臣、西田参議院議員の3人の弁明と質疑を行うことで合意しました。
公開する方向で調整を続けています。
自民党 橋本元五輪担当大臣 「清和会(安倍派)の座長も経験させていただいておりますので、そういう立場の者が、やはりしっかりと公の場で説明責任を果たすべき、そういった責任があるだろうと」
橋本元オリンピック担当大臣は参議院自民党や安倍派で幹部を務めた経験があることから出席を決めたと説明しました。
野党側は「3人しか出席しないのは極めて遺憾だ」として32人全員の出席を求めていく方針です。
●下村氏が衆院政倫審に出席へ 参院では世耕・橋本・西田の3氏が出席 3/12
自民党安倍派の組織的な裏金事件をめぐり、同派事務総長経験者の下村博文元文部科学相が12日、衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席を申し出た。与野党は、下村氏の弁明と質疑を行う衆院政倫審を近く開催する方向で調整を進める。
下村氏はこの日、衆院政倫審の田中和徳会長に申し出書を提出後、記者団の取材に「うそ偽りでなく、丁寧に説明をさせていただきたい」と述べ、完全公開で出席する考えを明らかにした。
衆院政倫審ではこれまで、安倍派の運営中枢にいた事務総長経験者4人が出席したが、組織的な裏金作りを始めた時期など、実態解明は進んでいない。下村氏は、2022年の還流廃止と復活をめぐる同派の幹部協議に参加していたことが判明しており、野党が政倫審への出席を求めていた。 ・・・
●“政治とカネ”「しっかりと説明責任を果たす」北海道選出の橋本聖子氏が参院政倫審に出席へ 3/12
自民党の派閥の政治資金をめぐる事件を受け、参議院の政治倫理審査会を14日に開くことで与野党が合意しました。
北海道選出の橋本聖子議員など3人が出席します。
自民党と立憲民主党の参議院の国会対策委員長は12日夕方に会談し、政倫審を14日に開催することで合意しました。
自民党安倍派の世耕前参院幹事長・橋本聖子議員・西田昌司議員が出席するということです。
(橋本聖子議員)「国民の皆さんに政治不信を招いてしまった。この責任は大変大きなものだというふうに思っておりますので、その反省も含めて、やはりしっかりと説明責任を果たさせていただきたい」
参議院の政倫審開催は史上初で、まずは世耕前参院幹事長ら3人が出席しますが、野党側は引き続き不記載が確認された32人全員の出席を求めていく考えです。
●東電に「命をかけろ」と言ったのは間違いではなかった…東日本大震災を陣頭指揮した菅直人の自戒と教訓 3/12
2024年は元日から能登半島を大地震が襲った。大災害に時の政権はどう応じるべきなのか。2011年の東日本大震災時の首相で、今期限りでの政界引退を表明している衆院議員・菅直人氏に、ジャーナリストの尾中香尚里さんが聞いた――。
東日本に人が住めなくなるかもしれない「最悪の事態」だった
――東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から13年がたちます。当時の菅直人内閣の危機対応は強い批判を受けましたが、当時の対応をどう振り返られますか。
福島原発事故は、対応を誤れば東日本に人が住めなくなるという事態でした。自衛隊をはじめいろいろな人が頑張ってくれましたが、東日本に人が住めなくなる「最悪の事態」まで被害が拡大しなかったことは、言葉は難しいですが、ある種の達成感はあります。
―― 一方で、原発事故により福島県などからの避難を余儀なくされ、今も故郷に帰れない方々も大勢いらっしゃいます。
それが原発事故の怖さなんですね。(避難指示は)仕方がなかったとはいえ、多くの方が元の生活に戻れずにいることについては、大変申し訳ないと思います。
「自衛隊10万人動員」を早々に決断
――震災が発生した時、首相として何を最優先に考えて行動しましたか。
二つの要素がありました。地震と津波という自然災害と、それに伴い発生した福島原発事故。二つの非常に危機的な状況に、同時並行で対応することを迫られました。
この二つにどう対応するか。まず、地震と津波の自然災害については、北澤俊美防衛相(当時、以後同様)が中心となり、自衛隊を早々に10万人派遣するという最大限の体制をとりました。力のあるベテランの北澤さんが防衛相だったことで、防衛省の動きが早かった。10万人もの自衛隊員を動員できたのは、北澤さんの力です。
「東京からの国民の避難」も視野に入れていた
もう一つの原発事故は、自画自賛のように聞こえてしまうかもしれませんが、東京工業大学の応用物理という比較的原子力に近い分野を学んでいた私が偶然首相だったことは、その意味では良かったと思っています。
台風などの自然災害であれば、たいていの人が大なり小なり体験していて、ある程度は常識で対応を判断できると思いますが、原子力災害は日本で初めてでした。原発は特殊な装置であり、東電の社長や会長でさえも、原発の構造や原理をよく理解していません。経済産業省の原子力安全・保安院から来ていたトップ(寺坂信昭院長)は経済学部出身でしたし。もちろん(福島第一原発の)吉田昌郎所長は原子力の専門家で、彼が非常に頑張ってくれたことには、とても感謝しています。
原子力災害への対応は私が直接しましたが、それに伴う住民避難の問題は、枝野幸男官房長官と福山哲郎官房副長官が対応を考えてくれました。
「原発がどういう状況に陥っているか」と「どこまでの避難が必要か」は、まさに裏表です。原発が本当に危なくなったら、東京から住民を避難させなければなりません。そういう最悪の事態は避けられましたが、可能性は確かにありました。言葉にこそしませんでしたが、私自身、そういう危機感を持っていました。
原発事故への対応と住民避難、被災者の救援という課題を、首相の私と、官房長官と副長官、そして防衛相が、連携しながら役割分担した。内閣の中での役割分担が、それなりに機能したと思います。
なぜ発生翌日に首相自らヘリで現地視察をしたのか
――自衛隊に最大限の出動を求めることは、どのように判断したのですか。
地震発生の翌日(3月12日)、ヘリコプターで被災地を上空から視察しました。福島第一原発を視察した後、さらに北のほうまで飛んでもらいました。
海岸線がありませんでした。広範囲にわたって海と陸の境目がなくなっていたのです。
私自身が早い段階であの現場を見たことが、自衛隊の最大限の動員につながったと思います。北澤防衛相も頑張ってくれました。
――菅さんがヘリで現地に飛んだのは、原発の状況が官邸に入ってこないため、現地で状況を直接聞くのが最大の目的でした。もし原発事故が起きなかったとしても、津波被害を視察に行ったと思いますか。
たぶんね。原発事故は(被害が目に)見えないけれど、津波被害は見えますから。上空から見れば、海がどうなっているか、ある程度リアルな実感として分かります。原発事故と津波被害は性格が違うけれど、私の感性からすれば、どちらもきちんとこの目で把握すべきだと思ったでしょう。
「国防がおろそかになる」批判は的外れ
――自衛隊10万人体制については、当時野党だった自民党から「国防がおろそかになる」などの批判がありました。
ヘリで上空を視察した時、被害の大きさが想像できました。だから、北澤防衛相と連携して、自衛隊の最大限の動員を目指したのです。震災では現実に多くの人が亡くなりました。自衛隊10万人派遣について「(規模が)大き過ぎた」というのは、的外れな批判だと思います。
防衛とは1年365日、一定のレベルの警戒心を常に持っている必要があります。しかし、大震災や原発事故などの緊急事態が現実に起きた時、平時とは違う形での大規模な自衛隊派遣が必要だと考えれば、それを決断する。それが首相や防衛相の責任です。
小規模な災害であれば、全国の消防や警察から人材を集めることもできますが、召集には時間がかかります。自衛隊は国の組織なので、首相や防衛相の命令で、指揮下にある何十万の隊員を動かすことができます。
それに、自衛隊は戦争という最大の危機に備える組織。飛行機でもヘリコプターでも自動車でも、大規模災害に即応できるさまざまな移動手段や装備を持っています。
あの時は、私の判断と北澤防衛相の判断が一致したこともあり、自衛隊には非常によく動いてもらったと思います。
岸田首相の能登半島地震の初動対応
――元日に発生した能登半島地震では、初動対応について「自衛隊派遣の規模が小さかった」との指摘があります。
現政権のことをあまり言いたくはありませんが、岸田文雄首相が官邸の執務室で1人で座って対応していたのなら、私の感覚とは全然違います。
――被災地が半島だったため「早期の現地入りが難しかった」との声もあります。
「行けるか、行けないか」ではありません。首相が「これは大変なことだ」と思って、自分の目で被害状況を「見たいと思うか、思わないか」なのです。たとえ何が起きていようが、首相が「行く」と言えば、自衛隊は動きます。
現在の状況は平時を超えています。トップが現場を見て、判断できることは自分で判断しなければいけないのに、岸田首相は何もしていません。
道路が寸断されたのなら、ヘリコプターで上空を飛べばいい。自分で現場を見て「これは大変だ」と思うか、上がってくる情報を待っているかで、2日後、3日後の対応は違ってきます。危機の時にはその2日、3日の差が非常に大きい。岸田首相にはその意識が足りなさすぎます。
原発事故のような非常時には、自衛隊や、場合によっては米軍にも、大きな範囲で動員を求めることが必要になります。そういう「大きな判断」をするためにも、首相が早い段階で、上空からでも被害状況を確認すべきだったと思います。
「岸田さんは危機管理には適さない首相」
――岸田政権は今、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題も抱えています。
派閥政治ばかりやっていて、裏金問題で頭がいっぱいだったのでしょう。思えば私の政権の時も、いろいろな政治的な問題がありました。
――震災の前年(2010年)夏の参院選で敗れて「ねじれ国会」となり、党内では小沢一郎さんとの対立など、政権運営に苦慮されていましたね。そんな中であの震災が起きました。
政治的な駆け引きと、自然災害や原発事故のような(非常事態の)問題は、当然ですが次元が違います。国民が生命や財産の被害を受けそうだという時に政治が何をすべきか、ということは(平時とは)次元の違う形で考えなければいけない。それは首相の仕事ですが、そういうことへの感性が感じられないのです。危機管理には適さない首相だと思います。
東電社員に「命をかけろ」と言った意味
――原発事故発生から4日後の3月15日、菅さんは東電本店に乗り込み、原発からの「撤退はあり得ない」と社員に向けて演説しました。「逃げても逃げられない。命をかけてください」と。あれは衝撃でした。「市民派」政治家の菅さんが首相となり、結果として戦後の首相として初めて、国民に対し「国のため命をかけろ」と言わなければいけなくなった。振り返ってあの発言をどう思いますか。
感覚は全く変わっていません。
首相という立場の人間が、いや、政治家全体もそうですが、「命をかける」などという言葉を中途半端に口に出すべきではありません。これは震災の前も震災当時も、もちろん今もそう考えています。
しかし、福島原発事故は、極論すれば日本の半分が壊滅しかねないような事故だったことが、後でわかってくるわけです。相当のリスクがあったとしても、対応できる部隊に対応を指示するしかありません。その最大の存在が自衛隊です。
1986年のチェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故で、当時のソ連は多くの人が亡くなる可能性があるのを承知で、現地に人をどんどん送って事故に対応しました。少なくともある種の職業には、そういう役割が求められることがあります。
大勢の国民の命を助けるために、多少のリスクや危険性があっても、そのリスクに耐えるトレーニングを受けている人がいるのなら、その人たちに頑張ってもらわなければなりません。あの時はそういうギリギリの場面でした。
「東電のせいで壊滅した」なんて言えるはずがない
――政府が民間企業である東電との「統合本部」を設置したことについても、当時は「政府が民間企業に介入するのか」といった批判がありました。事故対応で命をかけなければならない場面もあることを考えると、原発を抱える電力会社が民間企業であるという組織形態は正しいのでしょうか。
原発を100%公的に管理すべきだ、という発想はありません。でも、もし原発で事故が起きた時、第一義的に対応すべき電力会社に対応する能力がなければ、政府がやるしかありません。
福島原発事故では、東電本店は何も機能しませんでした。しかし、その結果被害を受けるのは国民です。原発が制御不能になり、放射性物質をどんどんまき散らしたら、東京から、関東から逃げ出さなければならなくなる。その時に政府が「東電のせいで(東日本が)壊滅しました」なんて、絶対言えませんよ。
――能登半島も原発立地地域です。幸い福島原発事故のような事態にはならなかったようですが、半島という立地もあり、事故があれば住民が逃げ切れなかった可能性もあります。改めて日本の原発のありようについてどう思いますか。
私の結論は非常にはっきりしています。原発に依存するのは諦めるべきです。
今は「原発がなければ日本中で停電が起きる」といったことはありません。再生可能エネルギーで日本の電力のすべてを賄うことは、技術的にも問題なくなっています。一方で、事故が起きた時のリスクは高い。原発はもうやめるべきです。
「安全神話」の中では危機管理はできない
――「平時」が「非常時」に切り替わった時、政治のリーダーはどうあるべきでしょうか。
「非常時」がいつ起きるかは、誰も予期できません。だから平時のうちに最低限「最悪の事態」を想定した準備をしておくことが大切です。
福島原発事故の時、経産省の原子力保安・検査院のトップが経済学部出身だったと言いましたが、米国ではこんな人事は考えられません。一定のレベルを超えた専門性を持った人間を担当させます。残念ながら日本では、原発のことを知らない人を(保安院の)トップにするような人事を、平気でやってしまう。これを「平時」の発想というのです。
「安全神話」という言葉で分かるように、日本では「危機は起こらないもの」と考えられています。だから、危機に自分たちで対処する発想がない。個人の問題なのか、自民党という組織全体の問題なのか分かりませんが、少なくとも岸田首相には、そういう意味での危機管理的発想は感じられません。
――その割に自民党は「憲法に緊急事態条項を盛り込め」などと主張しています。
逆なんですよ。危機管理のために必要な準備を整えることと、単に格好をつけることがごっちゃになっている。危機の時に何をやっていいか分からないから、あんなことを言うのではないでしょうか。
●岸田首相、支持率低迷なのに「無敵」なのはなぜ?今後の“最悪シナリオ”は 3/12
「支持率急降下」の岸田首相が権力を強める理由
自民党派閥の「政治資金パーティー裏金事件」に関して、議員が弁明を行う場である「政治倫理審査会(政倫審)」が2月29日〜3月1日に開催された。このうち2月29日の政倫審には、岸田文雄首相が現職首相として史上初めて出席した。
自民党は当初、政倫審を「完全非公開」で行う予定であり、これに野党が強く反発していた。そこから一転、岸田首相は「マスコミにフルオープン」とする方針に転換。その方針の下で開催に踏み切った。
現首相の出席という「奇策」の裏側では、国民の政治不信を和らげ、低迷する支持率の回復を狙っていたことは容易に想像できる。だが、岸田首相の政倫審での説明は、疑惑の解明につながらなかった。結果、共同通信が3月9〜10日に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は20.1%となり、同内閣として過去最低を更新した。
狙いが外れる形となったが、岸田首相はこの低支持率を意に介していないように見える。というのも、岸田首相は政倫審の開催後に衆議院の「土曜審議」を強行し、予算案を衆院通過させて年度内の成立を決めた。今国会では他にも、機密情報を扱える人を政府が認定する「セキュリティ・クリアランス制度」や「税制改正法案」といった重要案件について審議している。
岸田首相は「支持率低下」という苦境に置かれながらも、山積する重要議案を前に進めるための強い意欲を失っていない。それどころか、先述した「政倫審出席とフルオープン化」「異例の土曜国会」を強行できるほど、今の岸田首相には強い権力・権限が集中している印象だ。
その背景には、「政治資金パーティー裏金事件」の発覚を巡る「派閥解体」がある。
派閥解体によって 岸田首相の「牽制役」が不在に
少し時を戻すと、東京地検特捜部は1月、安倍派・二階派の会計責任者を虚偽記載の罪で在宅起訴。岸田派の元会計責任者も略式起訴した。それを受けて、岸田首相は自らの岸田派の解散を表明し、安倍派、二階派も解散せざるを得なくなった。
疑惑と直接関係がない森山派、茂木派、谷垣グループも新たな政策集団へと移行した。麻生派だけが存続することとなったが、派閥の影響力は大きく失われた(本連載第347回)。
ただ、それまでの自民党では、岸田派だけでなく安倍派・麻生派・茂木派が党内主流派を形成し、首相の権力・権限を牽制(けんせい)してきた(第286回)。そして「パー券事件」を機に、「牽制役」を担ってきた派閥のほとんどが事実上消滅した。中でも、最大派閥である安倍派の解散は大きい。「安倍派幹部5人衆」など、岸田内閣で多くの要職を占めていた人物は全員が失脚したからだ(第344回)。
政策集団として存続することとなった茂木派からも、離脱者が次々と出ている。政倫審の開催に際しても、茂木幹事長は主導権を発揮できず、存在感が薄れている。岸田首相を牽制できる存在が、自民党内から消滅しているといえる。
そのため、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっているという、不思議な状況が起きているのだ。
なお余談だが、派閥存続を決めた麻生派は、故・池田勇人元首相が立ち上げた池田派(旧・宏池会)を源流としている。解散前の岸田派や谷垣グループも同様だ。このことから、解散した岸田派と谷垣グループが麻生派を頼って合流し、旧・宏池会を復活させるのではないかという「大宏池会構想」がまことしやかにささやかれている。現段階ではあくまで臆測にすぎないが、実現した場合は、岸田首相の強力な後ろ盾となる可能性もある。
いずれにせよ、岸田首相への「権力集中」は当面続くとみられる。この現象を、本連載では「低支持率首相による独裁体制」と呼びたい。
次期総裁選への期待感も 低下の一途
従来の自民党であれば、首相の支持率が低下すると、党内で首相交代を求める声が高まり「首相降ろし」が起きた。その結果、首相が任期途中に退陣するなどして自民党総裁選が行われてきた。
この自民党総裁選は、党の窮地を救う「最終兵器」だった。総裁選を行い、国民の関心を自民党に集中させれば、党への注目度や期待感が一時的に回復したからだ。
そもそも自民党は、政策的に何でもありの「キャッチ・オール・パーティー(包括政党)」だ。デジタル化・社会保障・少子化対策・女性の社会進出・マイノリティーの権利保障など、多種多様なテーマを扱う「政策のデパート」である。
人材的にも多士済々(たしせいせい)で、かつての自民党総裁選では、そうそうたる候補者による政策論争が活発に展開されてきた。その中から新たなリーダーが選出されると、党そのものが生まれ変わり、まるで「疑似政権交代」が起こったかのような錯覚を国民に起こさせた。結局はその効果も長続きせず、首相交代後に何らかの問題が浮上するわけだが、とにかく自民党総裁選の影響力は大きく、そのたびに野党は「蚊帳の外」となった。
だが、今後は自民党総裁選が「疑似政権交代」として機能しなくなる可能性がある。あくまで筆者による仮説だが、「低支持率首相による独裁体制」が強固になった今、岸田首相は強力な人事権・公認権・資金配分権を行使し、「ポスト岸田」の出現を抑え込むことができるからだ。
支持率低迷を憂慮し、自民党内で「岸田降ろし」が起きそうになっても、岸田首相は水面下で人事での冷遇・政治資金の配分での冷遇・公認の取り消し・対立候補の擁立――といった圧力をかけることが可能だ。
また、今は政治資金に対する国民の視線が厳しくなっており、当面は政治資金パーティーを開催できない状況だ。そうすると、選挙に弱い若手だけでなく、ベテラン自民党員の体制も貧弱になり得る。その中で、政治資金を豊富に配分してもらえるか否かは「首相のさじ加減次第」となる。
だからこそ、首相に対して誰もはっきりと異議を唱えられない「独裁体制」が加速する可能性が十分にある。どれだけ支持率が低下しても健全な競争が起きず、9月の総裁任期まで、首相が辞任せず居座ることも考えられる。
万が一、岸田首相が支持率低迷の責任を重く受け止めて、9月の総裁選を待たずに辞任した場合も、「反岸田」の候補が総裁選に勝つのは難しいかもしれない。
「大宏池会」が復活し「上川首相」を担いで院政を敷く?
それでも、自民党総裁選には石破茂元幹事長、高市早苗経済安全保障担当相、野田聖子元総務相らが出馬を検討するはずだ。とはいえ、先述の通り岸田首相に権力・権限が集中し、表向きは派閥がなくなった今、立候補に必要な「20人の推薦人」を集めるのは大物政治家といえども至難の業ではないだろうか。
一方で、上記の候補者に女性が2人含まれているように、岸田体制の閉塞(へいそく)感を打破する唯一の方法として「日本初の女性首相」の就任が期待されているのも確かだ。
この点について、実は高市氏・野田氏の対抗馬として、岸田派に所属していた上川陽子外相が急浮上している。
上川外相を巡っては、麻生太郎副総裁が今年1月に「おばさん」「そんなに美しい方ではない」などと発言して批判を呼んだ。だが実は、上川外相の功績を「高評価」する文脈の中での発言であり、その実力を買っているのは確かだ。岸田氏が首相の座を降り、麻生氏と共に上川外相を次期首相候補として担ぐ可能性もゼロではない。
岸田氏・麻生氏が手を組むとなると、先述した「大宏池会」の復活が現実味を帯びる。総裁選で対立候補を推した議員は、両名の権力・権限を通じて徹底的に干されるかもしれない。
また、上川内閣が誕生した暁には、上川氏が首相として「政策立案」を手掛ける裏で、政局を左右する意思決定は「キングメーカー」である岸田氏・麻生氏が掌握するケースも考えられる。いわば「院政」を敷くわけだ。これが、「低支持率首相による独裁体制」によって今後起こり得る最悪の事態である。
岸田首相はかつて18年の総裁選に出馬せず、故・安倍晋三元首相からの「首相禅譲」に望みを託したことがある。だが、目論見(もくろみ)通りに禅譲は起きず、安倍元首相が3選を果たした。20年の総裁選には出馬したものの、菅義偉前首相に惨敗した。21年の総裁選においても、1回目の投票ではどの候補者も過半数に届かず、決選投票によって首相の座をつかんだ。
そうした経緯に鑑みても、岸田首相は圧倒的なカリスマ性を持っているわけではなく、どこか頼りない印象だ。だからこそ、派閥解体によって「棚ぼた的」に強めた権力を、簡単には手放さないとみられる。この動きが加速し、岸田首相が本当に「独裁化」しないよう、国民は注視していくべきである。
●自民党の正体見たり!衆院補選“逃げるが勝ち”作戦の姑息 麻生副総裁「戦う覚悟」はどこへ? 3/12
共同通信社が3月9〜10両日に実施した全国電話世論調査で、岸田内閣の支持率が20.1%と過去最低を更新するなか、永田町では4月に行われる衆院補欠選挙(16日告示、28日投開票)の「東京15区」「長崎3区」「島根1区」の3選挙区すべてにおいて「全敗するのではないか」という衝撃の可能性がささやかれ始めた。
3補選の執行事由は、「東京15区」が、東京・江東区長選で区議らにカネを配ったとして公職選挙法違反(買収など)の罪で起訴された前法務副大臣の元衆院議員、柿沢未途被告(53)の議員辞職、「長崎3区」も、安倍派(清和政策研究会)を巡る裏金事件で略式起訴された谷川弥一氏(82=自民離党)の議員辞職、「島根1区」は、細田博之前衆院議長(享年79)の逝去にそれぞれ伴うものだ。
議席を離れた3人とも自民党の「政治とカネ」を巡る事件や疑惑で注目された人物だけに、党が後継候補を擁立しても有権者らが厳しい目を向けるのは容易に想像がつく。このため、告示日まで1カ月と迫っても、党本部と各都県連の候補者調整が進んでおらず、「全敗」を指摘する声が上がったようだ。
「全敗」より「不戦敗」の方が傷が浅くて済む?
こうしたことから、党内では候補擁立を断念するべきとの声も出ていると報じられた。
「全敗」して政権に対するダメージがさらに増すのであれば、「不戦敗」の方がまだ傷が浅くて済む──といった思惑のようだが、SNS上ではこんな冷ややかな投稿がみられる。
《自民党は戦うよりも逃げるが勝ちということか。戦術としてはありかもしれないが汚いな》
《自民党はいつも戦えと言っているのではないか。でも、いざとなったら逃げるのね》
《負けるが勝ちと考える自民党。例の「戦う覚悟」はどうした?》
「戦う覚悟」とは、自民党の麻生太郎副総裁(83)が昨年8月に台湾を外遊した際、講演会で台湾有事などを念頭に発言した言葉だ。麻生氏は同4月に福岡市で行った講演会でも、「戦える自衛隊に変えていかないとわれわれの存立が危なくなる」と言っていた。
岸田政権が5年間で総額43兆円もの防衛予算を組むことを決め、米国から武器を爆買いしているのも、国内外に「戦う覚悟」を示すのが狙いだったのではないのか。ふだんは勇ましい事を言って拳を振り上げながら、いざとなったらスタコラサッサとは……。
選挙と戦争は全くの別物とはいえ、自民党の正体見たりではないか。
●高まる「小池都知事 待望論」…4.28補選で国政復帰か? 憶測呼ぶ岸田首相のポスター撮影 3/12
裏金国会で火ダルマになっている岸田首相が思わせぶりな動きを見せている。10日、東京都内のスタジオで自民党大会(17日開催)や党広報用の写真を撮影。衆院3補選(4月16日告示、28日投開票)に合わせて衆院解散・総選挙に打って出るとの臆測を呼んでいるのだ。何やら久々に動向が注目される小池都知事の存在がチラつく。東京15区の補選に出馬し、国政復帰するとの観測が高まっているからだ。狙うは女性初首相。「飲み仲間」の腹の探り合いがヒートアップしている。
補選が実施されるのは、江東区長選をめぐる公選法違反(買収など)の罪で起訴された柿沢未途前衆院議員の辞職で空席となった東京15区、細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区、政治資金規正法違反(虚偽記入)で有罪が確定した谷川弥一前衆院議員が辞職した長崎3区。これまで自民が候補者を擁立したのは島根1区のみ。裏金事件が直撃した長崎3区は「10増10減」で県内の選挙区が次期衆院選から1減となる事情もあって不戦敗に傾き、2人続けて逮捕者を出した東京15区についても二の足を踏んでいる。勝ち目がないからだ。東京15区は江東区だけで構成される。
「柿沢氏の選挙買収の影響により、江東区は8カ月で2回も区長選を実施する事態となって、税金のムダ遣いに区民はカンカン。昨年12月の区長選で自民は候補を立てられず、小池知事が推した都職員に相乗りする形で、ギリギリ体面を保ちました」(野党系区議)
萩生田光一会長率いる東京都連は候補擁立を決めたものの、小渕優子選対委員長ら党本部から待ったがかかっている。小池知事の意図を見極めたいということのようだ。
岸田降ろしで女性初首相へ
「都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)が4カ月後に迫っていますが、小池知事は3選を目指すのかどうか、態度を明らかにしていません。女性初首相になる夢を捨てきれていないことから、国民的嫌悪感が広がる岸田首相に対してうんざりしている自民党の一部から待望論が高まっている。小池知事が補選で国政復帰し、自民党に出戻り。今秋の総裁選で勝って悲願を実らせ、その勢いで解散・総選挙に流れ込めば、すべてをチャラにできるとの皮算用です」(与党関係者)
パッと見は年齢不詳の小池知事だが、7月で御年72歳。体調不安説が絶えない中、補選は勝負に出るラストチャンスと言える。「再選に向けた意欲が全く感じられない」(都庁職員)との声も聞こえてくる。だが、それじゃあ収まらないのが総裁再選をあきらめない岸田首相だ。
「総理のポスター撮影は補選向けとされるものの、早期解散をチラつかせ、党内の小池待望論に対する牽制とみられています。そうでなくても、後半国会は政治資金規正法改正が一大テーマ。厳罰化をできる限り回避したい総理からすれば、総選挙をぶつけて補選をカキ消し、そこそこ議席を確保できればのらりくらりですよ。裏金議員の当落に注目が集まれば、野党は埋没して大負けすることはない。9月の総裁再選は十分可能との計算です」(官邸事情通)
一方、小池知事と関係良好な公明党の石井幹事長は、10日に放送されたBSテレ東の番組で次期衆院選について「選挙で選ばれた総裁は非常に支持率が高くなるということがある。総裁選挙の後、今年の秋が一番可能性が高いのではないか」と発言。
これまた意味深だ。もっとも、表紙を変えれば世論が軟化すると思ったら大間違いだ。
●“政労使会議” 13日に開催へ 岸田総理「賃上げに向けた機運を高める」 3/12
岸田総理大臣は政府・経済界・労働団体の代表者による「政労使会議」を13日に開き、「賃上げに向けた機運を高める」と強調しました。
「賃上げと成長の好循環これを作っていくために、ことしの春闘は大変重要であると認識をしています。日本経済の今後を左右するものであると考えています」(岸田総理大臣)
岸田総理は春闘の集中回答日となる13日に去年4月以降で3回目となる「政労使会議」を開き、官民の連携の機運を高める狙いです。
岸田総理は「今後大事なのは中小企業の賃上げだ」として、賃金を上昇させ、人件費を価格に転嫁することの重要性を強調しました。
さらに、1人4万円の定額減税の「下支え」も加えて「可処分所得が物価高を上回る状況を確実に作りたい」としています。
●自民 去年の党員数 前年より3万人余減少 政治資金問題が原因か 3/12
自民党は去年の党員数が前の年より3万人余り減少し、およそ109万人だったと発表しました。派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で国民の不信を招いたことなどが原因と考えられるとしています。
自民党は、去年の年末時点でまとめた党員数が前の年より3万3000人余り減り、109万1075人だったと発表しました。
これについて金子組織運動本部長は役員連絡会で、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題が表面化し、国民や党員の不信を招いたことなどが原因と考えられると報告しました。
役員連絡会のあと梶山幹事長代行は記者会見で、党員の増加には信頼回復が必要になると指摘し「ことばだけでなく行動も含めてどう信頼を回復するかだ。国民に説明し、理解してもらいながら党員の獲得活動を進めたい」と述べました。
●肌を露出した女性に“口移し”でチップを…自民「過激ダンスショー」の決定的瞬間を入手 企画した県議「エスコートさせていただいた」 3/12
“裏金事件”に揺れる岸田政権に、降って湧いた新たな火種。
スーツ姿の男性の中、中央に写るのは水着のような衣装を着た女性。奥にある壇上では、2人の女性が肌を大きく露出する衣装で踊る様子が確認できる。
“口移し”写真に写る男性は世耕氏の秘書?
これは2023年11月、自民党青年局の懇親会で行われた“過激ダンスショー”の様子。FNNはその決定的な瞬間を捉えた4枚の画像を新たに入手した。
そのうちの1枚に写るのが問題の瞬間。水着のような露出の大きい衣装を着たダンサーの女性が、抱きつくようなしぐさでスーツ姿の男性にもたれかかり、顔を接近。
2人の口元を見ると、お互い何かをくわえ、お札を丸めたチップとみられるものを口移しで渡しているように見える。
関係者によると、この男性は和歌山県選出の世耕前参院幹事長の秘書だという。懇親会ではこうした様子を見て、手を叩きながら笑う男性の姿もみられた。
企画した和歌山県議「渡している瞬間までは…」
3月12日午前、今回の“過激ダンスショー”を企画した和歌山県の川畑県議を直撃。写真について話を聞こうとすると「よーく確認しないとわからないです」として、カメラの前から立ち去ろうする。
女性と男性との“口移し”画像を見せても「見ていないです、はい。この一瞬だけ言われると記憶にはないです」と話した。そこで、午後2時過ぎに改めて取材すると…。
川畑哲哉 和歌山県議: 私の記憶の限りでは、チップを渡していただこうということで、エスコートをさせていただいたと思います。(Q. なぜチップを渡してもらおうと?)チップを持っていたからです、この方が。
しかし、“口移し”については…。
川畑哲哉 和歌山県議: チップを渡したんだろうなという絵面というか、シーンを見た記憶はあります。渡している瞬間までは記憶がないです。
「火に油を注ぐような事態」女性議員からは非難・謝罪の声
一方で懇親会に参加し、役職辞任した藤原青年局長の後任に12日、2児の母である鈴木貴子衆院議員が起用された。鈴木宗男衆院議員を父に持つ貴子氏は、今回の問題について謝罪した。
自民党 鈴木貴子議員: 自民党の政治資金を巡る問題もあり、火に油を注ぐような事態に至っているということを、国民の皆さまに心からお詫びを申し上げたい。
さらに、岸田政権の女性閣僚からもこのような声が聞かれた。
加藤鮎子こども政策相: 政府が目指すこれら(多様性)を尊重する社会とは、文脈も次元も異なるもの。
自見英子地方創生相: 今回の件は会の趣旨にそぐわない、極めて不適切で軽率な内容の余興が企画・実施され、国民の不信を招くことになり、大変残念に思っているところであります。ダイバーシティーや多様性というものでは全くないと思っております。 

 

●「壮大な作戦ではないかと思うくらいの惨状」次々“異様な問題”起きる自民党 3/13
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は13日、自身のX(旧ツイッター)を更新。さまざまな問題が次々浮上する自民党に対し、私見をつづった。
小沢氏は「今や自民党はあまりにも異様な問題が多すぎて、何が何だか訳が分からなくなってきているが、逆にそういうことで国民の頭を混乱させ、麻痺させ、腐敗に慣れさせるという壮大な作戦ではないかと思うくらいの惨状である」と記述。「これでもまだ2〜3割の自民党支持率があるのは異常。国の品位と良識が問われている」と述べた。
この投稿に対し「次から次へと不祥事を出し曖昧にさせる」「そんな作戦に思えます」「2、3割の方はどの様な人なのであろうか」「日本人は『真っ当な怒り』ということを知らない」などとさまざまな意見が寄せられている。
自民党や所属議員らをめぐっては直近だけでも派閥の裏金問題や議員の不倫問題、青年局懇親会における”過激ダンスショー”問題など、さまざまな報道が続いている。
●「森さんは気にかけてくれる」森喜朗元首相が“5人衆”萩生田光一前政調会長らと食事会を開いていた 3/13
安倍派(清和会)の裏金問題を巡り、野党が参考人招致を求めている森喜朗元首相(86)が2月下旬、萩生田光一前政調会長(60)らと食事会を開いていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。
国政引退後も派閥運営に強い影響力
1998年12月〜2000年4月、2001年5月〜2006年10月、清和会の会長を務めていた森氏。2012年に国政を引退後も派閥運営に強い影響力を持ち続け、安倍晋三元首相が2022年7月に亡くなって以降は、萩生田氏や西村康稔前経産相ら“5人衆”を自身の支配下に置いてきた。
「キックバック問題は森氏が派閥会長だった時代から始まったとの指摘があります。そうしたことから、野党は森氏の参考人招致を求めている。森氏と折り合いの悪い下村博文元政調会長も衆院政治倫理審査会に出席する意向を示しており、森氏の関与を明かす可能性が取り沙汰されています」(政治部デスク)
不起訴から約1カ月後の食事会
そうした中、森氏は2月下旬、萩生田氏らと食事会を開いていた。
「森氏は5人衆の中でも、萩生田氏を高く評価していました。地元・北國新聞のインタビューで『総合力は最も高い』と述べていたほどです。萩生田氏も人一倍、森氏のことを慕ってきました。特捜部の捜査が始まっていた昨年12月3日には、森氏と萩生田氏は一緒にラグビー観戦もしています」(安倍派関係者)
特捜部の捜査は1月19日、萩生田氏ら5人衆を不起訴として事実上、終結。森氏が萩生田氏や衆院の若手議員らと食事会を開いたのは、その約1カ月後のことだった。
安倍派議員の一人が語る。
「確かに会合はありました。森さんはよく私たちを気にかけてくれます」
萩生田氏だけは政倫審に出席せず
ただ、西村氏ら他の5人衆が政倫審に出席する中、キックバック額が約2700万円に及ぶにもかかわらず、萩生田氏だけは事務総長経験者ではないとして、政倫審への出席が実現していない。そうした中、同じく国会招致を求める声が高まっている森氏と水面下で会食を行っていたことは波紋を呼びそうだ。
3月13日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および3月14 日(木)発売の「週刊文春」では、森氏が派閥会長時代の疑惑の収支報告書や、裏金問題に関する安倍派閣僚経験者の実名証言、有権者買収問題で辞任した大臣を擁護する森氏の音声の存在、森氏が画策しているとされる“派閥復活”シナリオなどについて詳報している。
●自民党則改定、裏金議員に適用せずと首相 3/13
岸田首相は参院予算委で、自民党派閥の裏金事件を受けて改定される党則について、既に裏金を受領した議員に、さかのぼって適用されることはないと説明した。
●参議院での政倫審14日開催も…出席者は世耕前参議院幹事長ら3人のみ 今後「衆議院」の政倫審に出席予定の下村元文科相に注目 3/13
自民党の政治資金パーティー裏金問題をめぐり、14日は参議院で政治倫理審査会が行われる。野党は収支報告書への不記載が確認された、自民党議員32人に対し出席を求めていたが、世耕前参議院幹事長ら3人だけとなった。
自民党側が出席者を抑え込んでいる!?
14日開かれる参議院での政治倫理審査会に出席するのはいずれも安倍派で
・世耕弘成前参議院幹事長、不記載額は1542万円
・橋本聖子元オリンピック担当大臣、不記載額は2057万円
・西田昌司議員、不記載額が411万円
この3人に質疑が行われる。
まだまだ国民が納得していない中で出席するのは3人だけ。この3人しか手を挙げなかったのか、それとも自民党から止められているのか?政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏に話を聞いた。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:自民党側が人数を抑えた…と思う方が多いのではないでしょうか。あすは参議院での政倫審ですが、衆議院の時と手順が同じ。誰が出るのか?公開するのかしないのか?などでもめてもめて、最後は岸田首相も出てきて結局6人でした
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:今回も同じです。小出し小出しにして結局3人で終わる。そもそも政倫審って厳しいチェック機関ではない。私が取材してる感じでは、岸田さん周辺とか自民党の幹部とかが、やっぱりどこまで表に出すか、出しすぎたらダメだからこの辺で止めようっていうことで、どうもコントロールしてるという風に聞いています
京都選出の西田昌司議員も出ますが、注目ポイントはあるのか?
関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:西田さんは記者団に『安倍派幹部へは批判的な態度でしたが、そこに言及するのか?』と聞かれ『そのつもりです』と、また『安倍派の核心に触れるか?』という質問に対しては『私の意見を述べたいと思います』と答えました。 西田さんは安倍派の所属でキックバックについて『全く知らない、関与もしていない』と答えていて、従来から安倍派幹部に対しお怒りの様子でした。前回の衆議院での政倫審に出ていた幹部とは違った立場での答弁が期待できるかもしれません
キーパーソンは下村博文元文部科学大臣
あとは、裏金問題のキーパーソンともいえる人物が出席の意向を示している。それが下村博文元文部科学大臣だ。1週間以内に衆議院で政倫審が開催される予定でそこに下村氏は出席予定だ。下村氏は安倍さんが亡くなった後、キックバックの復活について話し合ったとされる安倍派幹部の会合に出席していた。 一方でその後、派閥を率いていく中心メンバーに森元首相が選んだ「5人衆」の中に下村さんは入っておらず、蚊帳の外だった。下村さんは「5人衆」と距離があるし、キックバックを始めたと野党が疑っている森元首相とも距離があるので、これまでの議員とは違った発言が出てくるのでは…と期待される。
下村さんはキーパーソンとなるのだろうか?
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:下村さんは基本的には『できる限りしゃべる』と捜査の途中から言っていました。そもそも5人衆や森元首相と下村さんの相性は良くないです。キッカケは下村さんが文部科学大臣の時に、森元首相が一生懸命やろうとしてたオリンピック前の国立競技場。あれを止めたのが下村さん。あの辺りからどうも2人の相性は良くないです。 何度も言っていますけど、政倫審はまだ軽い方だから、やはり証人喚問とか特別委員会とかそこまでやらなきゃこの問題は終わらないと思います
まずは、安倍派の3人が出席する14日の政倫審で国民が納得できる説明をするのか、注目される。
●春闘 きょう集中回答日 大手は高い賃上げ水準で早期決着相次ぐ 3/13
ことしの春闘は13日が集中回答日です。大手企業の間では13日を待たずに高い賃上げ水準で決着する動きが相次ぎ、日本経済の好循環に向けて、こうした動きが中小企業などにも広がるかどうかが焦点となります。
ことしの春闘は、13日が経営側からの集中回答日となりますが、大手企業の間では、13日を待たずに去年以上の高い賃上げ水準で早期に決着する動きが相次いでいます。
このうち自動車業界では、ホンダが1989年以降で最大となる月額2万円の賃上げで満額回答し、マツダは初回の労使交渉で、2003年以降で最大の月額1万6000円の賃上げで満額回答しました。
外食業界では牛丼チェーンを運営するゼンショーホールディングスが過去最高となる12.2%の賃上げで妥結し、モスフードサービスは初めてのベースアップを含めた平均で8%程度の賃上げを決めました。
航空業界では全日空と▽日本航空がいずれも33年ぶりとなる高い水準のベースアップを行うと回答しました。
「日本経済研究センター」が民間のエコノミスト38人に尋ねた調査では、春闘での賃上げ率の予測が、中小企業なども含めた全体の平均で3.88%となり、30年ぶりの高い水準となった去年を上回るという見方も出ています。
賃金の上昇を通じた消費の拡大による日本経済の好循環に向けて、これから労使交渉が本格化する中小企業などにも高い水準の賃上げの動きが広がるかどうかが焦点となります。
高い水準の賃上げ 中小企業などにも広がるかが最大の焦点
ことしの春闘は、日本経済がデフレから完全に脱却し、賃金と物価が安定的に上昇する好循環の実現に向けて、前進できるかどうかの大きな節目となります。
ことしの春闘では、記録的な物価上昇を背景におよそ30年ぶりの高い賃上げ率となった去年の勢いを継続できるかどうかが焦点となっています。
これまでのところ、大手企業の間では去年以上の高い賃上げ水準で早期に決着する動きが相次いでいます。
日本経済がデフレから完全に脱却し、好循環へと転換するには、こうした賃金の上昇を広く実現し、消費の拡大につなげる必要があります。
ただ、これまでのところ、政府の統計では、実質賃金のマイナスが続き、個人消費も伸び悩んでいる状況です。
こうしたなかで行われることしの春闘は、大手企業の間で機運が高まる高い水準の賃上げの動きが中小企業などにも広がるかどうかが最大の焦点となります。
日銀も、大規模な金融緩和策を転換する判断材料として賃上げの動きを注視していて、ことしの春闘は、経済の好循環の実現に向けて、前進できるかどうかの大きな節目となります。
●能登半島地震、政府の対応「評価しない」の声 大きく下落した年代は 3/13
朝日新聞社が2月に実施した全国世論調査で、岸田内閣の支持率は21%となり、自民党の政権復帰以降で最低でした。不支持率65%も過去最高の水準です。自民党派閥の裏金問題で、岸田首相の対応に「評価しない」との声が多数を占めています。そんな中で、1月1日に発生した能登半島地震に対する政府の対応を評価するか尋ねると、「評価しない」の声が大きくなっています。大規模災害が起きたときの内閣はどうだったのか。当時の世論調査とともに見ていきます。
「支持する」が多い60代でも大きな下落
2月の調査では、能登半島地震に対する政府の対応を「評価する」42%、「評価しない」45%で、1月の調査の「評価する」48%、「評価しない」41%と比べて、逆転現象が見られました。
男女別では、男性は「評価する」52%(1月)→48%(2月)、「評価しない」41%→43%と差が少し縮まったのに対し、女性は「評価する」45%→38%、「評価しない」41%→48%と逆転が起きていました。
年代別でも30代と60代以上に大きな下落が見られ、「評価しない」の方が上回る逆転が見られました。岸田内閣を「支持する」と答える人は60代以上に多いため、今後の震災対応が岸田政権にとってのアキレス腱となってくるかもしれません。
東日本大震災の政府対応 当時の世論は
次に、震災が起きた当時の政権について見ていきます。
2011年3月の東日本大震災は、民主党政権の菅直人内閣の時にありました。菅内閣の支持率は同年2月に20%と低迷。震災後の4月も21%と横ばいでした。
2月と4月に、「菅さんに首相を続けてほしいと思いますか。早くやめてほしいと思いますか」と同じ質問をしたところ、「早く辞めてほしい」49%(2月)→43%(4月)、「首相を続けてほしい」30%(2月)→36%(4月)と、やや続投派が増えました。
震災が起きたことによって、首相を交代するのは今ではない、と思う人が増えたのかもしれません。
一方で、「菅内閣の東日本大震災への対応を評価しますか。評価しませんか」と聞くと、「評価する」は22%にとどまり、「評価しない」60%が大きく上回りました。
年代別で菅内閣の支持が高かった70歳以上でも、「評価する」29%、「評価しない」47%だったのが特徴的でした。
その後、菅内閣の支持率は20%台から10%台を推移しました。首相は6月に辞任を表明し、9月初めに退陣しました。
阪神・淡路大震災「支持率低下の一つの要因」
1995年1月の阪神・淡路大震災は、自民党・社会党・新党さきがけの3党連立政権、村山富市内閣の時にありました。
震災の前後で、村山内閣の支持率は41%(94年12月)→38%(95年3月)、不支持率は38%(94年12月)→43%(95年3月)と逆転が見られました。
95年3月の調査で「阪神大震災に対するこれまでの政府の対応について、どの程度評価しますか」と4択で聞くと、「評価する」42%(「大いに」4%、「ある程度」38%)で、「評価しない」55%(「あまり」39%、「全く」16%)が上回り、当時の紙面では村山内閣の震災対応が支持率低下の一つの要因となったと分析していました。
年代別で村山内閣の支持が高かった70歳以上では、「評価する」55%が「評価しない」35%を上回っており、コアな支持層は評価していたことがうかがえます。
その後、村山内閣は支持率30%以上をキープしていましたが、96年1月に首相が突然、辞意を表明し、退陣しました。
災害対応、政治とカネの問題とともに注視
今年1月30日の施政方針演説で、岸田首相は「政府・地元が一体となって被災者に寄り添い、生活と生業(なりわい)をしっかり支えていく」と述べています。
政府は、能登地域の被災世帯に最大300万円の交付金を出す制度をつくるほか、北陸地域の観光需要を取り戻すための「北陸応援割」を始めることにしました。一方、初動対応や情報収集の遅れが問題になりました。
岸田内閣の災害対応が今後の政権運営にどのような影響を与えるのか。政治とカネの問題などとともに注視していかなければいけません。
●キングメーカー争いで菅義偉前首相が“蠢動”…高まる「麻生太郎包囲網」 3/13
裏金事件で岸田内閣の支持率が過去最低を更新する中、水面下で首相経験者によるキングメーカー争いが進行中だ。
“蠢動”しているのは、自民党非主流派の菅前首相。キングメーカーを争う麻生副総裁への包囲網を築き「孤立化」を狙っているという。永田町で注目されているのは、菅前首相が参加した1日夜の会食だ。
「集まったのは、二階派の武田良太元総務相と、安倍派の萩生田光一前政調会長、茂木派の加藤勝信前厚労相、小泉進次郎元環境相と、いずれも菅内閣を支えた閣僚メンバー。会食を呼びかけたのは武田さんだったといいます。岸田首相の政権運営について意見交換したとされていますが、一方で『麻生包囲網』へ向けた“密談”だったという見方もある」(永田町関係者)
ポイントは武田氏の存在だ。麻生副総裁とは地元・福岡で勢力争いを繰り広げてきた「犬猿の仲」だ。麻生派を退会した佐藤勉元総務会長や、麻生副総裁との関係が最悪な古賀誠元幹事長とも関係を構築。「菅さんを旗印に反麻生で結集し、麻生さんの政治力をそぐ機会をうかがっている」(同前)とみられているのだ。菅前首相に近い自民党議員が言う。
「基本的に菅さんは露骨な政局は好みません。ただ、裏金事件で政治状況は不安定です。機を見て本格的に麻生さんの孤立化に動き出してもおかしくはない。菅さんは持論の派閥解消論で麻生さんに揺さぶりをかけるつもりではないか。派閥に固執する麻生さんとの違いを鮮明に打ち出すことができますから。会食に同席していた進次郎さんと石破元幹事長、河野デジタル相、いわゆる“小石河連合”との連携も視野に入れているはずです」
岸田首相まで「加担」の可能性
一方、岸田首相も、菅一派とは別に、麻生副総裁とは距離を置きつつある。岸田首相は1月末、麻生副総裁に相談もせずに突如「派閥解散」をブチ上げた。以来、2人の間に亀裂が生じている。「麻生さんとは“水と油”の古賀元幹事長に接近している」(官邸事情通)という情報もある。天敵の古賀氏に近づくことで、岸田首相は麻生副総裁を牽制する意図があるのかもしれない。
包囲網で孤立化しかねない状況だが、麻生副総裁も必死に生き残りをかけている。
「麻生さんは、地元の講演で『おばさん』と呼んだ上川外相を“ポスト岸田”に据えようと画策している。彼女は岸田派所属でした。『上川を担げば、オレと一緒にキングメーカーになれるぞ』と総理に持ち掛けるつもりでは、とみられています」(同前)
水面下の政争を制するのは誰か。
●岸田政権はウポポイ等に国民らの税負担で更なる公金投入も 3/13
岸田政権は、「第4回 ウポポイへの誘客促進に関する有識者検討会」を3月14日に開催することが明らかになった。
国土交通省北海道局では、アイヌ文化の復興・創造等の拠点としてオープンした「民族共生象徴空間(ウポポイ)」への誘客に取り組んでおり、年間来場者数100万人を目指した「ウポポイ誘客促進戦略」の策定に向けた助言を得るため、「ウポポイへの誘客促進に関する有識者検討会」を令和5年9月に設置していた。
今回は、戦略策定に向けた最終的な議論を行う第4回検討会が開催されることとなった。開催形式は、WEB開催となる。予定している議事は、『北海道局説明』『意見交換』となる。
なお、第3回目に開催された検討会では、『口コミサイトでウポポイを見ると、投稿数が少なく、評価はとても低い。しっかり分析を行い、マイナスの評価をなくしていくのが観光戦略において重要』『アイヌ文化はこの20年間でも移り変わっており、今も生きている』『国や地域は、覚悟を決めてもう一度予算をかけてプロモーションや内容の充実を図る必要がある』などの意見があがっていた。
なお、岸田政権では、アイヌ関連施策を推進しており、令和5年度は【国立アイヌ民族博物館の運営】として13億円を投入、【アイヌ政策推進交付金交】として20億円を投入している。
●裏金、過激ダンスショー…岸田文雄政権に迫る「カウントダウン」12年間わが世の春≠フ末、自民に生まれたみっともない緩み 3/13
岸田文雄政権の存続をめぐるカウントダウン≠ェ本格的に始まりそうだ。9月の自民党総裁選で再選を果たしたい岸田首相だが、現実はなかなか厳しい。
まず、内閣支持率が上がらない。10日に公表された共同通信の調査で、内閣支持率は前回比4・4ポイント減の20・1%で、不支持率は同5・5ポイント増の64・4%だった。内閣支持率は発足以来の最低記録を更新した。
自民党の政党支持率は24・5%と、同7ポイントも下落した。昨年来の派閥のパーティー券収入をめぐる裏金事件で、内閣や自民党への国民の怒りは強まるばかりだ。
逆風は収まらない。昨年11月、和歌山県で開催された党青年局近畿ブロック会議の後に過激ダンスショー≠ェ開かれていたという、あきれた事実も発覚した。
産経新聞が8日に報じたところによると、口移しでのチップのやりとりや、女性ダンサーの体に触る行為もあったという。ダンサーが参加者の男性にしなだれかかるような画像も拡散した。
企画運営を担当した和歌山県連青年局長の川端哲哉県議は「多様性の表現として出演を依頼した」と弁明したが、参加者の一定数が女性だったら、こうした企画は実現しなかったに違いない。
2009年に下野した自民党は「二度と同じ屈辱は味わうまい」と誓い、12年に政権復帰を果たした。だが、12年間のわが世の春≠フ末、みっともない緩みを生んでしまったようだ。国民は、いつまでも「悪夢の民主党政権」というフレーズにごまかされることはないだろう。
共同通信の調査で、野党の政党支持率は立憲民主党が10・1%、日本維新の会が8・9%、共産党が4・7%、れいわ新選組が4・3%、国民民主党が3・1%だ。これらを合計すると自民党の政党支持率を上回る。
これまでなら、内閣支持率がさほど高くなくても自民党支持率が野党を引き離し、政権安定に寄与してきた。だが、局面はガラリと変わった。
連立を組む公明党も、岸田政権を見放しつつある。
石井啓一幹事長は10日のBS番組で、「9月の自民党総裁選で選ばれた総裁は、非常に支持率が高くなる」と述べた。念頭にあるのは新総裁£a生への期待ではないか。
根回しなしの唐突な「派閥解消」も、史上初の現役首相としての衆院政治倫理審査会出席も、岸田首相が一人で決断したことだろう。追い込まれた岸田首相の次の決断は何なのか。衆院解散をはじめ起死回生≠フ策を練っているに違いないが、これまでの決断の成果が芳しくないのが気にかかるところだ。
●稲田朋美氏が今だから明かす「安倍元総理と“裏金”について話したこと」 3/13
自民党をゆるがせている「裏金問題」の発端は、安倍派の政治資金パーティーの収入の一部が議員側にキックバックされていたことだった。その安倍派に所属する稲田朋美幹事長代理は安倍晋三元首相の“秘蔵っ子”と呼ばれ、安倍政権では防衛相などの要職を歴任した。そんな稲田氏は自らも裏金問題を抱え、野党から「政倫審」への出席を求められた立場でもある。自身の裏金疑惑や安倍派の体質、また岸田内閣の支持率下落について何を思うのか。緊急インタビューした。
稲田氏は、野党から衆院の政治倫理審査会(政倫審)への出席を求められた51人の衆院議員のうちの1人だ。安倍派の政治資金パーティーのキックバックを2021年に2万円、22年に80万円受けていたが、政治資金収支報告書に記載していなかった。それ以外にも、本来なら派閥に支払われるべきパーティーチケットの売上代金が、いわゆる“中抜き”の状態で、「預かり金口座」に114万円残っていたことも判明した。
まず、なぜ政倫審へ出席しなかったのかを単刀直入に聞いた。
「私は党から事前に出席について問われた時には、『情勢を見て必要があれば出ます』とだけ答えました。政倫審にたくさんの人が出席することと、問題の本質に迫ることは別問題だと思います。組織的な会計手法やそのプロセス、意思決定について証言できる人は限られています。私は政倫審に限ることなく、あらゆる場で説明をしてきていますし、今後も説明していきます。逃げるつもりは全くありません」
事務所に“裏金”があった理由
稲田氏は政倫審を自身の“潔白”を証明するための場所にする気はなかったと述べるが、では、肝心の「裏金」についてはどう考えているのか。キックバックとして受け取っていた2万円(21年)、80万円(22年)についてはこう答えた。
「安倍派の会計担当者から『21年に2万円の還付があった』と言われ、当時の秘書に確認したところ、2万円は“派閥の封筒”に入ったままの状態で、議員会館の事務所の箱に入れたままでした。80万円については、別の当時の秘書が安倍派から現金で80万円を渡され、『預かり金口座』に入金していました。それは今回を受けて、私が調査してわかりました。ただ、全ての責任は私にあります」
裏金問題で騒がれるまで気づかなかったのはなぜか。
「私はかつて政調会長や防衛大臣を務めたので、安倍派のパーティー券販売ノルマは450万円と高額でした。ノルマを達成できないことが常態化していたので、安倍派のパーティーで自分にお金が返ってくるという意識など皆無でした。むしろ、どうやってノルマを達成するか四苦八苦していましたが、コロナ禍でノルマが半分の230万円に下がったことにより、結果的にノルマを超えた部分があったということです」
稲田氏によると、18年から22年までの5年間ノルマ未達のため合計235万円を持ち出していたという。
「私が自己資金を(事務所に)貸し付けて、それを年間通して使い、そこから政治資金にあたる分だけを戻すシステムにしていました。ノルマに足りないチケット分は最終的には自腹で、私の財布から出していたことになっていたと思います」
安倍元首相との会話
この5年間で計算すると、派閥からキックバックがあった82万円と預かり金口座に残っていた114万円を足すと計196万円。これに対し、ノルマに達せず稲田氏が自腹で出した分が235万円。全体の収支では、39万円のマイナスだったという。なお、稲田氏はすでに196万円を派閥に返金している。
「これは5年間だけで、それ以前の年の分もありますからね。過去までさかのぼればもっとマイナスです。だから、私の本心としては、派閥のパーティーは本当はやめてほしかったです」
安倍晋三元首相は22年4月、政治資金パーティーの現金での還流をやめるよう進言したとされる。稲田氏によれば、それ以前にも、安倍氏はキックバックをやめようとしていたことがあったという。
「05年に共同通信が清和研(当時は森派)の政治資金パーティーで、割り当てを超えるパーティー券を販売した若手議員に資金の一部が還元され、派閥の政治資金収支報告書にも記載がないことから裏金化しているという疑惑を報じたんです。それがいろいろな地方紙にも配信されました。安倍元総理はこの年、幹事長代理として、党本部にコンプライアンス室を設置させています」
そして安倍氏が亡くなる1カ月ほど前の22年初夏。安倍氏は稲田氏にこう話したという。
「安倍元総理は、『個人のパーティーができなくて、派閥のパーティーを使って政治資金を集めている議員たちがいる。返金を期待している議員たちもいて、それはかわいそうなんだが、もうノルマ超えの返金はやめる』とおっしゃっていました。現金でのキックバックとか、不記載という言葉は出ませんでしたが、安倍元総理は『もうやめる』と断言していました」
誰がキックバックを再開させたのか
それにもかかわらず、なぜ安倍派内でキックバックは続いてきたのか。その点は衆院の「政倫審」でも質疑されたが、真相は解き明かされていない。
「安倍元総理が亡くなられる前は、清和研の会長が最終的に何でも決めていました。安倍元総理が『還流をやめる』と決め、そして安倍元総理が亡くなられた後に、一体誰がどのような理由で(還流を)再開させることを決めたのか。いろいろな意思決定のプロセスがあったはずです。安倍元総理が亡くなられた後、誰がそうした重要な意思決定をしたのかはこの問題の本質と思います」
さらに稲田氏は今回の検察の捜査についても警鐘を鳴らしている。
「今回、すべて検察のストーリーで党も動き、その結果安倍派議員はおしなべて犯罪集団の一員になりました。検察に言われるがままと言っても過言ではありません。議員たちの事情はさまざまであるのに、それらを無視して、政治資金の寄付を受けたとの確認書を書かされたのです。特に議員の預かり金口座にあった分は派閥の会計責任者の知らない未精算金であり、知らないお金の『不記載罪』は成立しないはずです。しかし個々の議員の会計処理の法的な意味を吟味せず、全て検察のストーリーで進んだことは、今後に禍根を残したと思います。検察にすれば自民党はくみしやすしと思ったでしょう」
この裏金問題が引き金となり、岸田政権の支持率は急落している。2月中旬以降に発表された内閣支持率は毎日新聞14%、時事通信社16.9%、朝日新聞21%、共同通信20.1%と、軒並み岸田政権発足以来の最低記録を更新した。稲田氏はそんな岸田首相に何を思うのか。
支持率低迷の岸田首相に思うこと
「岸田首相は先頭に立って岸田派を解散し、マスコミにもフルオープンする形で、自ら『政倫審』にも出席しました。メディアでは『孤立している』『指導力不足』などと批判されますが、私は自分の意志で行動するリーダーとして高く評価しています。“根回しがうまい“ことがリーダーの資質、というのは昭和の時代の話です。一緒に食事をしたこともありますが、その席でも、岸田首相は人柄がよく、政治家のイヤな面がない。安倍元総理のほうが“政治的”だったかもしれませんね(笑)。次期総裁選で立候補するか? それは考えていません。ただ衆議院議員である以上総理を目指すことは当然だと思います。今は派閥に関係なく、思想信条や政治家としての姿勢が一致する人たちと仲間づくりをしていきたいと思っています。私は安倍元総理がいらっしゃらなかったら100%政治家にはなっていません。その意味で安倍元総理が亡くなられた今、いつやめてもいい覚悟で、言うべきことは言い、正しいと思うことは恐れずに行動していきます」
自身の裏金問題、安倍派の解散と暗い話題が多いなか、稲田氏が前向きに取り組んでいることがある。地元・福井で北陸新幹線の開業と合わせて開催される「ふくい桜マラソン」(3月31日)への参加だ。稲田氏にとって、2度目のフルマラソン参加となる。
「昨年の北海道マラソンが初マラソンで、記録が5時間1分。なので、5時間を切るのが目標です。練習は朝、日の出とともに走っています。走ることで健康になるし、あまり疲れなくなりましたね。ランニングのために時間を無駄にしたくないから、お酒も飲まなくなりました。朝の日差しを浴びて走るのって精神的にもすごくいいんです。仕事でイヤなことがあっても前向きになれるし、いいアイデアが湧いてくることもあります」
苦しい局面こそ、強い精神力が試される――それは政治家もランナーも同じかもしれない。
●維新 “次の衆院選で野党第一党へ 与党を過半数割れに” 3/13
日本維新の会は、新たな活動方針案をまとめ、次の衆議院選挙で野党第一党を目指すことに加え、与党の過半数割れを目標に明記するなど、岸田政権と対じする姿勢を鮮明にしています。
日本維新の会がまとめた新たな活動方針案では、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題などを受けて「国民の政治不信は憲政史上、かつてないほど高水準に達している」と指摘しています。
そのうえで、現在の活動方針で掲げている、次の衆議院選挙で野党第一党を目指すことに加え、与党の過半数割れを目標に明記するなど、岸田政権と対じする姿勢を鮮明にしています。
そして、今後3回以内の衆議院選挙で、政権獲得を目指すとしています。
このほか、憲法や外交・安全保障、それに少子化対策などの重要政策で、政権に真正面から論戦を挑み、対案を示す方針も盛り込んでいます。
日本維新の会は、3月24日に開く党大会で、この活動方針案を示し、正式に決定することにしています。
●岸田総理が烈火のごとく猛激怒!「もう誰も信用できない」…信頼する重鎮がすり寄った「政敵の名前」 3/13
支持率が一向に回復しない岸田政権に、党内の不満は高まるばかり。ついに菅前総理が「打倒岸田」を掲げて動き出した。政敵に負けることは避けたい総理は、自身の進退について、ある決断を下す―。
怯える岸田が大激怒
〈兵法勝負の道においては、何事も先手先手と心懸くることなり〉(『五輪書』・風之巻より)
岸田文雄総理の座右の書が吉川英治の『宮本武蔵』であることはあまり知られていない。「何が武蔵だ。二刀流どころか刀折れ矢尽きた状態じゃないか」と呆れる人もいるだろう。しかし岸田総理はいま、武蔵が最も重視していた兵法の一つ「先手を打つ」を実践し、己に立ち向かってくる政敵を片っ端から迎え討たんとしている。
「森山さんが昨夜菅さんに会って、『岸田政権は持たないかもしれない。次はもう一度、あなたが総理をやってはどうか』と話したそうです」
現職総理自ら政治倫理審査会に出席するという「憲政史上初の奇策」に打って出る直前の2月27日。岸田のもとに側近からこんな極秘情報が届けられた。「森山さん」とは、森山裕自民党総務会長、「菅さん」はいうまでもなく菅義偉前総理のことを指す。
前夜に六本木のステーキ店で森山と菅、そして二階俊博らが会食した際、一向に上がらない政権支持率に危機感を募らせた森山が菅に「もう一度、総理をやる気はないのか」と尋ねたというのだ。
重鎮政治家同士の会食の席だ。これぐらいの会話は普通に交わされるだろう。しかし、いつ誰に寝首をかかれるかと不安で仕方ない岸田は、これを聞いて烈火のごとく怒ったという。
「一丸となって危機を乗り越えなければならないときに、そんな話をするとはどういうことだ!」
もう誰も信用できない
森山は岸田が信頼を置く数少ない議員の一人だ。政治とカネの問題で自民党が機能不全を起こすなか、右に左に奔走し、岸田政権を維持しようと尽力してきた党の要。特に、旧安倍派の重鎮5人が政倫審への出席を求められたとき、総理がこれに出席しないで済むように野党に働きかけていたのが森山だった。
その森山が、あろうことか我が宿敵である菅にすり寄ろうとしている。岸田はそう受け止めた。
「森山さんも信頼できないな……」
そう判断した岸田は、2月28日の朝、誰に相談することもなく突然党幹部らに電話を掛け、「私が自分で政倫審に出ます」と宣言した。
総理自ら政倫審に出席した結果、年度内に予算を成立させることに成功したものの、党内からは「汗をかいて奔走した森山さんに黙って一人で決めて、恥をかかせた。総理は非情だ」と非難する声が上がった。しかし、岸田の捉え方は逆だ。
「森山さんが菅さんにすり寄ったなんて話が表に出たら、俺が恥をかく。その前に、俺が先に恥をかかせてやったんだ」
我が身に危険が及ぶなら、先手を打って潰していく。さんざん世話になった森山にさえこの仕打ちなのだから、いわんや政敵に対してはなおさらである。次にその刃が向けられるのは「岸田後」を見据えて動き出した菅前総理に対して、だ。
政倫審を乗り越えたものの、政権支持率は一向に上がる気配がない。その水面下ではいったい何が起きているのか。
8ポイント差の衝撃
岸田政権は政倫審を乗り越えたものの、その支持率は一向に上がる気配がない。4月28日には長崎・島根・東京で補選が行われるが、このままでは全敗の可能性もある。自民党ベテラン議員が明かす。
「長崎にはそもそも自民党は候補を立てない見込みなので、まず一敗。保守王国島根でも、候補者の知名度がなさすぎて『自民が大差で負ける』との予測が出ていて、党内に衝撃が走っています。東京でも、立憲民主党が行った調査では現状『立憲に投票する』と答える有権者が自民を8ポイントほど上回っていて、ここも落とすかもしれない。つまり全敗の可能性が高いのです」
いくら無神経の岸田とはいえ、さすがに全敗するようなことがあれば退陣を考えざるを得ない。それを見据えて動き出したのが、菅前総理だ。森山の「次をやる気はないのか」という問いかけには明確にNOと返答したという菅だが、「次を決めるのは俺だ」と意欲を燃やしている。
3月1日夜。菅義偉、萩生田光一、加藤勝信、武田良太、そして小泉進次郎の各氏が港区の料亭に集まった。いずれも菅政権を支えた面々だが、折しも政倫審のゴタゴタの最中。「ただの同窓会」のはずがない。菅に近い自民党議員が明かす。
「会食をセットしたのは、二階さんの側近の武田良太さんです。集まったのは旧安倍派の萩生田、旧茂木派の加藤、旧二階派の武田、無派閥だが若手を束ねる進次郎……と、それぞれの派閥やグループのトップ格。終始、岸田政権のガバナンスのなさが話題になったと聞きます」
この席で、菅はこんなことを話したという。
「そろそろ、思い切って政治を変えないと。進次郎という選択肢、どうだろうな」
麻生太郎の謀略
高まりすぎた政治不信=自民党不信を解消するには、劇薬が必要。進次郎こそ、その劇薬にふさわしい。「補選で岸田が惨敗すれば、俺が中心になって退陣を促し、進次郎を担ぎ上げる。それを俺が支える」。菅は、そんな絵を描き始めたのだ。
ところが―「先手を打つ」岸田は、菅の動きにも先んじて手を打とうとしている。
菅と進次郎らの会合に遡ること約1週間前の2月22日、菅は麻生太郎副総裁とも会食している。この場で麻生は菅の腹を探り、「菅は総理になる気はないが、キングメーカーになろうとしているな」と確信したという。
「麻生さんとの会食で菅さんが次の首相候補として挙げたのが、進次郎や石破茂や河野太郎の名前でした。どれも、麻生さんにすれば自分の影響下にない『好ましくない面々』。菅さんの支援で彼らが『岸田の次』となるのは避けたいと改めて思ったようです」(全国紙政治部記者)
そこで麻生は菅との会食後に岸田と面会し、こう告げたのだ。
「支持率が上がらない以上、どこかで潔く退くことも選択肢だ」
なんだ、また耳障りな話か―岸田が不満げな表情を浮かべると、麻生はこう続けた。
「キングメーカーになれ」
「自分で潔く引き際を決めれば、後継者を選ぶことだってできる。在任中の支持率が低くとも、キングメーカーとして影響力を行使した総理はたくさんいるじゃないか。俺もその一人だよ(笑)」
ずるずる引きずり下ろされるような格好悪い最後を迎えるなら、俺と一緒に力を合わせて、次の総理を決めないか。菅の一派にはやらせたくない。その利害は一致してるだろ?
麻生はそう投げかけたのだ。
明確な返答こそしなかったものの、岸田の頭の中には『五輪書』の〈敵に先手を取られたときと、自分から先手を取って敵に仕掛けたときとでは、倍も違うのである〉という一節とともに、こんな考えが去来したはずだ。
「菅に先手を取られれば、今後5年、いや10年は辛酸を舐めることになる。そんなバカげた未来を招くぐらいなら、麻生さんの力を借りながら、後継を決める立場に回る方がいいんじゃないか」
政界から森喜朗の姿は消えた。二階も政治とカネの問題で身動きがとれない。安倍はもういない。気づけば周りには「キングメーカー」はいなくなっていた。「自分にはもう、そこに座る資格があるのか」―そのことに気づいたに違いない。
解散もせず引っ張る
補選で3敗するぐらいなら、解散に打って出て補選と同時に衆院選挙をやる。そんな説も浮上しているが、自民党幹部は明確にこう否定する。
「自民党本部が行った調査では、いま選挙をすれば自民党が最大50議席を失うだろうとの結果が出た。過半数割れは確実で、岸田が強引に選挙をやれば、大敗した上に退陣……という汚点を残すことになる。そこまでの愚は犯さないだろう。
むしろどんなに退陣論が出ても、解散もせず引っ張るだけ引っ張る。そして総裁選の前に身を引き、麻生氏とともに次の総理を決め院政を敷く―これが、岸田が影響力を残して生きるためのベストシナリオだ」
誰もが「総理が何を考えているかわからない」と口を揃える。それでも、一つだけわかっていることがある。「こう」と一度決めたことを曲げることはない、ということだ。
「キングメーカーに俺はなる」
一度そう決めた岸田を、止められる者は誰もいないのだ。
●次期戦闘機、輸出時は「個別に閣議決定」 岸田首相、解禁めぐり表明 3/13
岸田文雄首相は13日の参院予算委員会で、日英伊3カ国で共同開発中の次期戦闘機の第三国への輸出解禁をめぐり、「実際に次期戦闘機を我が国から移転する際、個別の案件ごとに閣議決定する」と表明した。「移転を決定する前の与党への協議が確保されるようにしたい」とも述べた。
公明党の西田実仁参院会長への答弁。輸出を解禁するための防衛装備移転三原則の運用指針の見直しに関しても、首相は「改めて閣議決定して政府方針を決定したい」とした。
首相は輸出を解禁する国際共同開発品を次期戦闘機に限定したうえで、具体的な第三国への輸出の個別案件ごとに閣議決定を行う方針を表明。輸出先については「国連憲章の目的と原則に適合した使用や、第三国移転の際の我が国の事前同意を相手国に義務付ける『防衛装備品・技術移転協定』の締結国に限定する」とした上で、「武力紛争の一環として現に戦闘が行われている国に対しては移転は行わない」と述べた。
首相は「三つの限定と二重の閣議決定という厳格な決定プロセスを経ることで、平和国家としての基本理念を堅持することをより明確な形で示すことができる」と主張した。
●「内閣の目指す多様性と合致せず」 自民過激ダンスショー巡り参院予算委 3/13
岸田文雄首相は13日の参院予算委員会で、和歌山市で昨年11月、自民党青年局の近畿ブロック会議後に露出の多い衣装の女性ダンサーを招いた懇親会が開かれたことに関し「言うまでもなく私、そして内閣の目指す多様性とは全く合致しない」と述べた。
立憲民主党の塩村文夏氏は、懇親会の企画運営を担当した党和歌山県連の県議が、「多様性の表現やインパクトを考えダンサーを招いた」と釈明したことを踏まえ、「セクシーダンス懇親会の意義は多様性というが、国民や有権者に申し訳ないと思わないのか」と訴え、首相に多様性についての認識をただした。
首相は「全ての人が生きがいを感じ、尊厳が損なわれることなく多様性が尊重される包摂的な共生社会を目指している。(懇親会は)こうした多様性の趣旨と合致しない」と説明した。
首相は、国会議員のうち藤原崇前青年局長、中曽根康隆前青年局長代理に加え、鶴保庸介元沖縄・北方担当相が懇親会に参加していたことを明かした。鶴保氏は冒頭であいさつした後、すぐに会場を去っており、ダンスショーの場面には居合わせていなかったという。藤原氏らについては「女性の身体を触ったといった不適切な事実は確認されていないと報告を受けている」とも語った。
自民側に女性の出席者がいなかったことに関しては、首相は「たまたま出席メンバーの中に女性は含まれていなかった」とした。参加費用に関しては「参加者からの会費でまかなわれており、税金を原資とした公費、政党助成金は含まれていない」と述べた。
●自民の過激ダンス懇親会「私の目指す多様性でない」 首相、謝罪せず 3/13
自民党青年局の「ダイバーシティー(多様性)」をテーマに開かれた会議の後の懇親会で、下着のような衣装の女性がダンスショーをする過激な演出があった問題をめぐり、岸田文雄首相は13日の参院予算委員会で、「私の内閣が目指す多様性とは全く合致しない」と述べた。立憲民主党の塩村文夏氏の質問に答えた。
この日の予算委で、塩村氏は「国民、有権者に申し訳ないと思わないのか。総理の目指している多様性と一致しているのか」とただした。首相は「私の内閣が目指すのは、全ての方が生きがいを感じ、尊厳が損なわれることなく多様性が尊重される、包摂的な共生社会だ」と答えたものの、謝罪はしなかった。
さらに、塩村氏は「(出席者は)ダンサーには触っていないと話しているが、疑念の声があがっている」と追及。出席者が男性ばかりだったことにも疑問を呈した。
首相は、青年局の上部組織の党組織運動本部による聞き取り調査では「女性の身体に触るなど、不適切な事実は確認されていないとの報告を受けている」と説明。出席者については「たまたま女性が含まれていなかったと理解している」と述べた。塩村氏は「そこ自体、自民党に多様性がないと言わざるを得ない」とあきれた様子だった。
懇親会は昨年11月18日、党青年局の近畿ブロック会議後に和歌山市内のホテルで開催された。当時、自民和歌山県連青年局長としてこの懇親会を準備した川畑哲哉・同県議(自民を離党)は、「多様性やインパクトなどを勘案して和歌山にゆかりがあるダンサーを招いた」と説明していた。
国会議員では、青年局長だった藤原崇、同局長代理だった中曽根康隆の両氏が出席しており、ともに党の役職を辞任した。首相の説明では、鶴保庸介元沖縄北方相も出席していたが冒頭のあいさつだけで退席したという。 

 

●世耕弘成氏に「みっともない」の声…裏金追及政倫審でセクシー懇親会釈明「出席秘書は自宅謹慎」 3/14
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて14日、参院政治倫理審査会が開かれ、自民党安倍派(解散決定)の世耕弘成前参院幹事長、西田昌司衆院議員、橋本聖子元五輪相の3人が出席した。
「5人組」と呼ばれた安倍派幹部の1人で、裏金問題の「キーマン」とされた世耕氏だが、緊張感漂う政倫審の場で、セクシー衣装を着た女性ダンサーが出演した自民党和歌山県連主催の青年局会議後の懇親会に自身の秘書が出席していたことを明かした。裏金だけなく、ハレンチ会合問題でも釈明に追われる形になった世耕氏に対しては、自民党内でも「みっともない」と突き放す声も聞かれた。
世耕氏は、会合出席者が口移しで女性ダンサーにチップを渡す様子の写真が報じられたことを念頭に「ああいう写真を撮られるのは極めて不適切。秘書には厳重注意をし、自宅謹慎を申しつけた」と強調。一方、自身の責任については明確に答えなかった。
会合に出席した世耕氏の秘書が、チップを口移ししたとの指摘もある中、チップは「裏金」だったのではと日本維新の会の音喜多駿参院議員に指摘された世耕氏は「このお金が秘書のものかどうかも分からない。少なくとも還付金が原資のお金を、地元を対象に使ったということは、1円もない。明確に申し上げたい」と「明言」した。
ただ裏金問題では明言どころか「ゼロ回答」の連続。最大の注目点だった、2022年4月に1度廃止方針が決まった安倍派の裏金キックバック方針が8月の幹部協議を経て復活した経緯について、幹部協議に出席した1人の世耕氏には質問が集中したが、世耕氏は自分の関与を否定した。「だれが決めたのか、私自身が知りたい」と述べ、幹部会合の中で代替案が出たことに言及した世耕氏に、立憲民主党の蓮舫参院議員が「誰が代替案を提案したのか」と問うても「記憶がない」と発言。蓮舫氏に「都合のいい記憶だ」と皮肉られる場面もあった。
キックバック復活の経緯をめぐっては衆院政倫審での西村康稔、塩谷立両氏ら幹部の主張が食い違い、さらに世耕氏の知らぬ存ぜずぶりが露呈。蓮舫は「(偽証が問われない)政倫審の限界を感じた」と口にしたが、世耕氏は「知っていることは全部、正直に話した」と強調した。
この日までに衆参両院政倫審に岸田文雄首相ら自民党議員9人が出席したが、新事実は明らかにならず。そんな中、野党が「ラスボス」として「爆弾発言」に期待する下村博文元文科相(69)が18日の衆院政倫審に出席することが決まった。下村氏も、キックバック復活が決まった幹部会合に参加しているが、18日の説明次第では、証人喚問を求める声がさらに強まる。保身か説明責任か、自民党の本質が問われる最後のチャンスになりかねない。
●裏金還流復活の経緯「私が知りたい」 安倍派幹部の世耕氏「私は参院への連絡役」 あきれる蓮舫氏「都合のいい記憶だ」 3/14
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け14日開かれた参院の政治倫理審査会(政倫審)で、安倍派の有力者「5人衆」の一人、世耕弘成(せこう・ひろしげ)前参院幹事長は「(自身は)参議院への連絡役の立場との認識だった」とし、裏金づくりへの関与を全面否定した。
立憲民主党の蓮舫参院議員への質問に答えた。
安倍派の裏金づくりについては、2022年4月に安倍晋三元首相の提案で、派閥パーティー収入のキックバック廃止を決定したという。安倍元首相の死後、復活したが、その経緯は明らかになっていない。
世耕氏は、この日の審査で、「私の目からすると、話し合ったというよりは、(キックバックを中止するとした)安倍会長の決定を伝達された。参議院側に伝えてほしいと呼ばれたと認識している」とし、キックバック廃止を決めた会合に同席していたことを認めた。
3月1日の衆院政倫審では、安倍元首相の死後、2022年8月の幹部会合でキックバックの復活を決めたかどうかで、幹部らの証言が食い違っていた。
8月の会合にも同席したという世耕氏は、「このとき何か確定的なことは決まっていない」と説明した。
では、いつキックバックを復活することが決まったのか。
蓮舫氏 (キックバック復活を)誰が方向を決めたのか?
世耕氏 私も残念ながら分からない。私自身は、参議院への連絡役の立場の認識だったので、派閥全体の特にお金に関わることに口を挟むのはよくないという思いから、自分から積極的にあれどうなったっていうことをしなかった(聞かなかった)
世耕氏 あのときフォローしておけば、それ(復活)はダメだと言えた。大変後悔している。
蓮舫氏 こっちも、より分からなくなった。世耕さんがいて、下村さんがいて、西村さんがいて…その場でしか安倍さんの言ったことをひっくり返す会はないでしょ
世耕氏 誰が決めたのか、本当に私自身、知りたい。
蓮舫氏 あなたが知りたいという以前に、国民が知りたい。
核心部分になると、あいまいな発言を繰り返す世耕氏に、蓮舫氏はあきれたように、こう言い放った。
「都合のいい記憶だ」「肝心なことの記憶はなくして、それ以外を雄弁に語るのは信用できない」
世耕氏は、この日の政倫審で冒頭、「2004年には党の餅代・氷代の現金手渡しの廃止に取り組んできた」「企業団体献金を極力受け取らないようにしてきた」と自身の経歴を披露。
「政治と金の問題について若手議員の頃から問題意識を持って取り組んできた」と強調していたのだが…。 
●「派閥幹部は調べて報告する義務がある」 政倫審での西田氏発言 3/14
自民党の清和政策研究会(安倍派)の西田昌司氏は14日、参院政治倫理審査会に出席し、安倍派の政治資金パーティー裏金事件に関し、同派幹部が責任を取るよう要求した。パーティー券収入のキックバック(還流)に関し「積極的に続けていた幹部は責任重大だ。政治家として責任を取ってもらわなければならない」と述べた。
政倫審における西田氏の発言要旨は次の通り。
弁明
還付金問題の報道を受け聞き取りをした結果、私の事務所でも還付金の受領が判明した。5年間で411万円だった。担当者は清和会に対して収支報告に載る寄付としての処理をお願いしたが「みんながやっているんだから」という話になって受け取っていた。還付金が欲しいから続けてくれと言った議員と、安倍氏がやめろと言ったのに続けた派閥幹部の責任は重大だ。政治家として責任を取ってもらわなければならない。
質疑
福岡資麿氏(自民党) 派閥の幹部たちは説明責任を果たしていると思うか。
西田氏 全く果たされていないと思う。我々は裏金議員というレッテルを貼られている。事実関係の説明が一番なのに、誰一人まともに答える人がいない。世耕氏の答弁に私も全く納得できない。派閥幹部はその時知らなかったとしても調べて報告する義務がある。
里見隆治氏(公明党) 還付金について知っていた幹部は誰か。
西田氏 世耕氏、西村氏、塩谷氏、下村氏はキーマンだろう。
音喜多駿氏(日本維新の会) 派閥幹部への離党や除名などの処分を望むか。
西田氏 自ら出処進退は考えるべきだ。
●「議員1000万円不記載にガタガタ言うな」発言への批判に竹中平蔵氏が反論も「賃上げより成長が先」発言で再炎上 3/14
「政治家の1000万円不記載でガタガタ言うな」発言で物議を醸した、経済学者の竹中平蔵氏が、自身への批判に反論した。
竹中氏は、3月2日配信の「みんかぶマガジン」の記事で、自民党派閥の裏金問題に言及。安倍派の松野博一前官房長官は5年間で1051万円の裏金を作ったことから、1年単位では約200万円とし、「年間200万円の不記載で過剰にガタガタすべきではない」とつづった。
これに対し、「道理が通らない」といったコメントがネットなどで殺到したが、竹中氏は13日配信の同サイトの記事で、「やっぱり海外の人と話してもこの金額で大臣が辞職したという事実を聞いて驚かれます」と、自説を変えなかった。
さらに、日本人は「問題の本質を理解できない」人が多く、「リテラシーが低い」と続けた。竹中氏は、裏金問題の根本的な解決のためには、ガバナンスを効かせる政党法が不可欠だ、というのが自身の主張であるにもかかわらず、その「本質的な議論」を国民はしておらず、記事に寄せられたコメントを読むと「キョトンとしてしまう」と述べた。
また、2000年代初めに小泉政権の閣僚として構造改革を担った竹内氏は、発言のたびに「竹中平蔵が格差を広げた」「影で日本を操っている」と批判されると告白。そして、「私が影で日本を操っているなら、もうちょっと日本の経済はマシになっているのではないか」と述べた。
現在、低成長にあえぐ日本では「賃上げ」が叫ばれている。しかし、「それは経済的に間違っています」と竹中氏は指摘。「そんなことをすれば悪いインフレが起き、実質賃金は上がらないまま」「実質賃金、国民一人あたりのGDPを高めるためにはやっぱり企業・国の生産性を高めることが先」と強調した。
この記事は、SNS上で火に油を注ぐ結果となったようだ。
《これまで長い間、不景気をしのぐためにどれだけ社員が(給与を犠牲にして)生産性上げても給料上げてこなかったのでは?》
《日本を貧しい国にしたのはお前らの責任だろ》
《国民結構我慢して頑張ってると思うけど》
何を言っても炎上する竹中氏。もはや“負のスパイラル”から抜け出せそうにない……。
●橋本聖子氏「議員を辞めるべきだと…」裏金問題に胸中語る 世耕氏は“過激ダンスショー”参加秘書を自宅謹慎に 3/14
自民党の“裏金事件”をめぐり、14日、参議院で史上初の政治倫理審査会の審査が行われた。
出席した“安倍派5人衆”の1人、世耕前参院幹事長には“過激ダンスショー”にも追及が及んだ。
女性に“口移し”した秘書「自宅謹慎」に
出席した世耕氏は、自民党青年局の懇親会で女性ダンサーに“口移し”でチップを渡した男性が、自分の秘書だったことについて釈明に追われた。
日本維新の会 音喜多政調会長: 世耕議員の秘書が(懇親会に)参加し、金銭を渡していたことが報じられています。こうした際のお金に、まさに還付金・裏金が使われていたんじゃないかと。
世耕前参院幹事長: うちの秘書も参加をしていて、これはもう厳重注意をして、自宅謹慎を申し付けているところでありますけれども。還付金(裏金)を原資とするものは、地元を対象にして何か使ったということは1円もありません。
キックバック復活については「私も知りたい」
世耕氏は参院安倍派のトップを務め、2022年までの5年間の“裏金”総額が1542万円にのぼる。安倍元首相が一度中止を決めたキックバックを誰がいつ復活させたのか、野党が厳しく追及した。
立憲民主党 蓮舫議員: 誰が方向を決めたんですか?事務方の責任ですか?
世耕前参院幹事長: 私もはっきり言ってわかりません。なんでこれが突然、安倍さんが「やめよう」と言っていた現金による給付になったのか。これは私も残念ながらわからない。
立憲民主党 蓮舫議員: あなたの知らないところで誰が決められるんですか?
世耕前参院幹事長: 誰がこんなことを決めたのかというのは、本当に私自身、はっきり言って知りたいという思いであります。
キックバック復活の経緯については、2月の衆議院の政倫審と同様、分からずじまいとなった。
続いて、政倫審に出席した“裏金”411万円の西田昌司参院議員。うやむやな答弁を繰り返した世耕氏を批判する異例の展開となった。
西田議員: 先ほどの世耕さんの答弁、聞いてましたけれども私も全く納得できなくて。そのとき知らなくてもどうであったのかを調べて、報告する義務があるのは当然だと思っています。
橋本元五輪相「議員を辞めるべきだと…」胸中を吐露
そして、少し緊張した面持ちで政倫審に出席したのは、“裏金”の総額が参議院で2番目に多い2057万円の橋本聖子元五輪相だ。
橋本元五輪相は「清和研(安倍派)の政治資金パーティーに関しましては、私も還付金(キックバック)の存在自体は知っておりました」と述べ、キックバックの存在を認めた一方、“裏金”との認識はなかったと釈明。
そして、問題発覚当時の胸中を明らかにした。
橋本聖子元五輪相: 一度は国会議員を辞めるべきだということも、心に決めたこともありましたけれども、国会議員としての責任・役割を果たしていくべきだという思いになりまして、今こうして、この場に立たさせていただいているところであります。
野党は森元首相の説明を要求
野党は、安倍派に強い影響力を持つ森元首相についても追及。
共産党 井上議員: ぜひですね。今のこういう問題の解明のためにも、森元首相がきちっと説明をするということ、橋本さんから言われてはどうでしょうか?
橋本聖子元五輪相: 私自身が政治の道に進めていただいたのも、森喜朗先生でありまして、大変大きな存在であり、指導者であります。今後どのような形でこういう問題が解明されていくのかというような状況の中で、私自身、あらゆるところでお話をすることができればというふうに思います。
このように述べ、具体的な言及を避けた。
●バイデン大統領、日本製鉄のUSスチール買収に深刻な懸念表明へ 3/14
バイデン米大統領は日本製鉄によるUSスチール買収計画について、懸念を表明する声明を近く出す見込みだという。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。USスチール株は2020年6月以来の大幅安で取引を終えた。
この声明は、日本製鉄からより良い条件を引きだそうとしている全米鉄鋼労働組合(USW)に対するバイデン政権の最新の支援表明となる。バイデン氏は大統領就任以来、労組寄りの姿勢を示してきており、トランプ前米大統領との再戦でも労組と組合員の支持獲得を目指している。
一方、トランプ氏はこの取引を絶対阻止すると表明しており、政権の判断には政治的思惑も絡む。
非公開情報であることを理由に関係者らが匿名で語ったところによると、声明で言及する範囲や、どこまで踏み込むかは明らかでない。
ホワイトハウスはコメントを差し控えた。日本製鉄とUSスチールはコメント要請に応じていない。バイデン氏による懸念表明については英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が先に報じていた。
FTが関係者6人の話を基に伝えたところでは、声明は岸田文雄首相が4月に訪米する前に発表される予定。米当局者と法律専門家が声明を起草し、ホワイトハウスは大統領の決定を内々に日本政府に伝えたとFTは報じている。
関係者の1人は、日米同盟の重要性を語るバイデン政権にとって、岸田氏訪米を控える中でのこうした動きは「きまりの悪い」ものであり、バイデン氏もそれは理解しているが、「残念ながら選挙の年では政治の方が優先されるようだ」とFTに対して語った。
この買収計画について警告を発してきたバイデン政権は、大統領選挙の激戦州であるペンシルベニアに拠点を置き、米国を代表する企業の1社だったUSスチール側に立ってきた。ただ、これまでのところホワイトハウスは取引の阻止を求めるまでには至っていない。
CFIUS審査
日鉄のUSスチール買収計画は対米外国投資委員会(CFIUS)による審査を受ける。日本は友好的な同盟国であるものの、バイデン大統領の近くからは、国家安全保障上の懸念や組合員の雇用への脅威を理由に取引の阻止を求める声も出ている。
USWは同買収計画を強く批判してきた。デービッド・マッコール国際会長はブルームバーグとのインタビューで同計画をそのまま受け入れることはできないと述べている。マッコール氏は先週、ペンシルベニア州ピッツバーグで日本製鉄の森高弘副社長らと会談した。USWは2月の発表資料で、バイデン氏から支持してくれるとの「個人的な保証」を得たとしている。
ホワイトハウスのブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は昨年12月、同買収計画が公表された数日後に、「国家安全保障やサプライチェーンの信頼性への潜在的影響の観点から厳格な精査に値すると考えられる」と表明していた。
●賃上げ成否、首相の解散戦略に影響…与党内は「早期」けん制の声目立つ 3/14
経済好転で局面打開
岸田首相(自民党総裁)が注力する賃上げの成否は、首相の衆院解散戦略に影響を与えそうだ。首相は、6月の定額減税と合わせてデフレ脱却を確実にし、経済状況の好転を追い風に解散できる環境を整えたい考えとみられる。もっとも、与党内には局面転換に懐疑的な見方が多く、早期解散をけん制する声が目立つ。
「賃上げの機運と合わせ、6月には減税も用意するなど物価高に負けない可処分所得を実現する」
首相は13日の参院予算委員会集中審議の答弁でこう強調した。「賃上げが中小企業に広がっていくかが重要だ。政策を総動員して後押ししたい」とも語った。
首相が意気込むのは、国民生活に直結する分野で成果を出せば、政府・自民党への逆風を収めることにつながるとの期待からだ。首相は周辺に「今は国民の信頼回復を果たすことしか考えていない」と漏らすが、目算通りに政権浮揚を果たせれば、「解散の選択肢が視野に入る」(政府高官)とみている。
9月の任期満了に伴う党総裁選で再選を期す首相はかねて、衆院選勝利の勢いで再選を果たす戦略を描いていた。内閣支持率が上昇基調に転じれば、このシナリオに再び現実味を持たせることが可能になり、6月の国会会期末の解散が有力になり得る。
ただ、与党の空気は対照的だ。自民派閥の政治資金規正法違反事件への批判がやむ兆しはなく、不祥事も相次ぐ。株価高騰は支持率と連動せず、賃上げが政権の反転攻勢につながる展望を描けないためだ。
自民の茂木幹事長は13日、東京都内での会合で「今は党として信頼回復に最優先で取り組む」とあいさつし、早期解散に慎重な立場を示した。茂木氏は、早期解散を懸念する若手・中堅議員らに「大幅な議席減が予想されるなら、首相に解散はさせない」と語っている。党重鎮は「総裁選前の解散はあり得ない」と指摘する。
公明党は公然とブレーキをかけている。山口代表は12日、記者団に「政治不信が極めて強い。信頼を取り戻す流れを作り出さない限り解散すべきではない」と訴えた。石井幹事長は10日のBSテレ東の番組で総裁選後の解散を主張し、「総裁選で選ばれた総裁は非常に支持率が高くなる」と述べた。自民内では「暗に新首相による解散を求めた踏み込んだ発言だ」との受け止めが出た。
こうした情勢も考慮し、首相周辺からは「支持率が回復すれば、総裁選での再選を見込める。解散は総裁選後でいい」との声も漏れる。与党内では、首相の真意を読めないとの疑心暗鬼が広がっており、経済情勢と首相の判断を注視する状況が続きそうだ。
●日本経済完全復活の「最後のチャンス」が来た…岸田政権の「増税」を絶対に許してはいけない理由 3/14
3月4日、日経平均株価の終値が初めて4万円の大台を突破した。日本経済をさらに力強く成長させるには、なにが必要なのか。早稲田大学公共政策研究所の渡瀬裕哉さんは「長い不況から抜け出た今こそ、『減税』による経済成長で正常な軌道の国に戻るチャンスだ。岸田政権は新たな『増税』を狙っているが、断固として阻止すべきだ」という――。
「国民負担率」は48.4%に達している
日本経済は長いデフレ不況のトンネルを抜けつつある。3月4日、日経平均株価は4万円の初の大台に乗せ、新NISAで国内外の株式投資に参加した人々の懐も暖まっていることだろう。このまま労働者賃金の上昇まで辿り着ければ、日本経済が完全復活する日も遠くないだろう。
ただし、明るい日本の未来を閉ざす暗雲が広がっていることも事実だ。それは増税と規制強化による負のスパイラルの再来である。
財務省が令和6年2月9日に公表した国民負担率(令和4年度・実績値)は48.4%であった。これは国民の稼ぎの半分が税金及び社会保障費を負担するために奪われていることを意味する。その上、この数字には数兆円規模の再エネ賦課金などは含まれてすらいない。
この国民負担率は、昭和45年(高度経済成長期後期)は僅か24.3%でしかなく、昭和54年度に初めて30%を超えた程度であった。まさに過去の日本は若者が働けば働くほど未来を描けた時代と言えよう。その後、日本政府はバラマキと増税という極めて短絡的な政策の組み合わせを強力に推進し、いまや日本政府の活動は五公五民の酷政と称しても過不足ない数字にまで肥大化した。膨れ上がった税負担及び社会保険料負担は主に現役世代の重荷となり、可処分所得が低下した若者の節約志向が強まるとともに、未婚率の上昇に伴う少子化による人口減少にも繋がっている。
なぜ世界トップだった日本企業は没落してしまったのか
また、失われた30年の間には世界トップのグローバル企業の顔ぶれもスッカリと変わってしまった。平成元年の世界の時価総額ランキングで上位にあった数多くの日本企業のうち、令和時代にもその威勢を誇る存在はトヨタのみだ。これは政府が闇雲に規制を増加させて、新規のスタートアップを抑制してきたことも影響している。
総務省行政評価局「許認可等の統一的把握」(平成30年)によると、平成14年に1万621個であった許認可数は、平成29年には1万5475個にまで増加していた。この増加した規制には強度の規制も多数増加しており、日本の起業家による新産業勃興の芽を摘んできたと言えよう(平成31年以降は総務省が規制数を数える取り組みすら停止している、最悪だ)。
「増税」と「規制強化」が経済復活の機会を潰してきた
岸田首相は令和3年の所信表明演説で「新自由主義」から「新しい資本主義」への転換を謳ったが、岸田首相からして根本的な認識に誤りがあるのは明らかだ。日本には減税や規制廃止による小さな政府を求める新自由主義など存在したことはない。政府と利権者が規制を食い物にする縁故主義が蔓延しているだけだ。その象徴が岸田首相をはじめとする世襲議員の存在だ。彼らは過去からの利権と因習を温存する存在であり、可視化された縁故主義による腐敗そのものなのだから。
安倍政権以後に実施されてきた日銀による異次元の金融緩和政策は、既に10年継続してきた。日本銀行が規格外の金融政策を継続せざるを得なかった理由は、本来は何度もあった日本経済の立ち直りのチャンスを、時の政権が増税と規制強化で潰してきたからだ。安倍政権は中央省庁と利権勢力(社会保障関連も含む)による増税圧力に屈し、公明党・旧民主党との三党合意に基づいて消費税大増税を2回も実施してしまった。そして、その度に経済回復に水が差されてきた。
岸田政権の「新たな増税」を許してはいけない
また、成長戦略の切り札であった国家戦略特区による規制改革はモリカケ問題によって機能不全に陥り、腐敗の温床でしかない官民ファンドに主役の座を取って代わられてしまった(その結果はクールジャパン機構など散々な結果となっている)。そのため、本来は短期間で終了するはずであった日銀の異次元緩和をダラダラと継続することになり、生産性が低い多くのゾンビ企業が延命されて、企業と労働者の生産性(ひいては賃金)を改善する機会を逸してきた。
岸田政権は小規模かつ単発の所得税減税でお茶を濁そうとしている。そして、防衛増税や子育て増税(子ども・子育て支援金)などの新たな増税を狙っているが、この流れを許してはいけない。さらには、金融資産課税論の議論もくすぶり続けており、新NISAで国民の財産が美味しく育ったところで摘み取られる可能性もある。断固として増税を阻止し続けることが大事だ。
今、我々が取るべき政策は「減税」である。現状から更に「減税」を矢継ぎ早に実行し、日本の景気復活の足腰を確かなものにする必要がある。そのため、今我々が抱えている様々な社会的課題に「減税」が有用な選択肢となるかを示していく。
復興政策は「何」を間違い続けているのか
増税VS減税を問う上で非常に象徴的な事例として震災復興を考えてみよう。令和6年年明けに我が国を襲った能登半島地震の復興は今国会でのテーマとなっている。しかし、断言しても良いが、岸田政権の政策ではインフラを直す「復旧」は進んでも、「復興」は実現することはない。
東日本大震災以後、平成23年度〜令和4年度まで、復興予算は約40兆円が投入されてきた。その財源の約4割は復興特別所得税と住民税1000円の上乗せ分とし徴収されてきた。しかし、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)が復旧したとしても、依然として「復興」したとは言い難い。むしろ、その後も緩やかな衰退が継続している。これは「増税⇒補助金」という流れでは地域復興はあり得ない証明されたとも言えよう(ちなみに、復興増税は霞が関庁舎改修費や海外芸術家派遣費など、シロアリ官僚によって流用され、納税者の思いを踏みにじる悲惨な使われ方をした例も少なくない)。
能登半島地震で実行すべき政策は「復興減税」
逆に、国民が支払った復興所得税を被災三県の減税政策に使用した場合どうなっただろうか。なんと被災三県の道府県民税及び事業税を現在に至るまで全額無税にすることも簡単にできた(令和3年度決算カードによると、同被災三県の道府県民税及び事業税合計額は約3600億円に過ぎない)。これは黒字企業と富裕層にとっては極めて魅力的な地理的条件となる。この減税政策に加えて、同地域に対する新たな設備投資の減価償却を即時100%償却で前倒しする政策を実施すれば、日本中または世界中から投資が集中し、いまや一大経済拠点と化していた可能性がある。
ちなみに、この即時償却制度は投資誘発に極めて有用であることは証明済だ。美しい山林を破壊し尽し、電気料金に巨額の負担を強いる太陽光発電が日本中に拡がった理由は、固定価格買取制度が魅力的であっただけでなく、即時100%償却の投資案件であったことも重要だった。同政策が復興ではなく再エネ投資利権に使用されたことは痛恨の極みであり、日本の黒歴史である。
したがって、今回の能登半島地震に関しても、インフラ復旧は別として、実際に実行すべき政策は復興減税である。同地域に集中する航空・防衛クラスター産業や観光関連産業などを中心に即時100%減価償却が認められれば、大規模な設備投資が実行されることは必然であろう。さらに、地方自治体が法人住民減税を実行すれば、企業によって多くの雇用がもたらされて若者も能登半島に戻ってくるだろう。徒に補助金をバラまくのではなく、あくまでも民間主導の復興政策を実施することで、東日本大震災の復興増税の失敗を繰り返す愚を犯すことはなくなる。
「東京一極集中」が進む本当の理由を知りたいか
東京一極集中や少子化対策も社会的課題として取り上げられて久しい。そして、東京都の合計特殊出生率が低いことの問題はかねてから指摘されている。実際、東京での子育ては非常に条件が厳しい。東京では家賃と比べた住環境などの生活関連費用が高コストであり、税負担・社会保障負担で苦しむ若者の結婚・出産が減少することは必然的なことだ。
そのため、東京一極集中を是正することは国家的な課題となっている。しかし、地方創生をはじめとした補助金バラマキ政策はほぼ効果が無く、若者が好条件の雇用を求めて東京に出ていく傾向は止まっていない。つまり、政策は失敗している。
ただでさえ、若者は都市に出る夢を見るものだ。東京都と比べて、地域の住環境が良く、潜在的には子育てに適した土地でも、地元社会のヒエラルキー構造が固定化し、地域のドンが補助金を差配する風通しの悪い地域に残りたくない気持ちも分かる。
地域活性化や少子化対策には「減税」政策こそが必要
日本の地域活性化や少子化対策に有効な政策は社会保険料を含めた「減税」である。特に良好な住環境を低価格で提供できる地方自治体が優良企業や現役世代向けの「地方税」を減税する試みは効果的であろう。従業員を雇用することができる黒字企業や現役の労働者世代を自らの自治体に呼び込むのだ。
子育て補助金のバラマキでは、一時的に子育て世帯を呼び込めるが、稼げる企業を呼び込めるわけではない。ベッドタウン化後にかつてのニュータウンのような場所になるのが関の山だ。それでは少子化も地域の衰退も止まらない。あくまで未婚かつ現役世代の所得状況及び住環境を改善することを中心に据えた「減税」政策こそが必要だ。
現在、日本の地方自治体は総務省が決めた標準税率に盲目的に従っており、東京都と同じ地方税率を設定している。さらに、地域によっては超過税率を余計に徴収し、東京都よりも高い税率を課している地方自治体すらある。そんな状況では、東京に企業も人間も出ていくのは当たり前だ。この状況を変える地方税減税が地方活性化と少子化対策に有効である。
まして、岸田政権が実行しようとしている現役世代に対する実質的な増税(子ども・子育て支援金)によるバラマキ強化なども問題解決には論外だ。浜田聡参議院議員が提出した質問主意書に対して、岸田政権は「子ども家庭庁の政策と合計特殊出生率の因果関係は示せない」という趣旨の答弁を閣議決定している。一体何のための政策なのか。
経済成長を促す減税政策が日本の問題を解決する
国民が「減税」を求める声を上げると、日本政府の借金問題と将来的な社会保障費増加の観点から減税反対・増税賛成の主張を展開する人もいる。
しかし、彼らは事実として増税を繰り返しても、政府はそれを更に使い潰して借金を重ねてきた現実を受け止めるべきだ。仮に机上の空論通りに増税を達成したとしても、政府(とそれを構成する役人)には国民負担率上昇と借金増加の原因となる社会保障費を抜本的に減少させる動機はない。むしろ、国民が増税を許容すれば喜んで更にバラマキ政策を作るだけだ。
そこで、もう一つ明らかな事実を確認したい。それは、経済成長は税収増加に繋がるということだ。たとえば、所得税収だけでも、2020年度19兆1898億円であった税収額が、2021年は21兆3822億円(2020年度比・2兆1924億円増加)、2022年度は22兆5216億円(2020年度比・3兆3318億円増加)も増収している。つまり、2020年度を基準とした場合、直近2年の所得税の合計増収分は合計5兆5242億円になる。もちろん、経済成長は所得税だけでなく、法人税、消費税、その他の税収増ももたらす。
これらの税収増は更なる減税の原資となるとともに、新たな増税を抑止するための財源となる。強力な経済成長を維持することは、国民負担率を低下させることに繋がる。それは経済成長を実現する金の卵を産むガチョウである企業と現役世代を守ることを意味する。増税は経済成長を破壊し、金の卵を産むガチョウを丸焼きにして食べる愚行である。ガチョウを殺せば借金を返済するどころの話ではない。
今こそ、日本復活に向けた最後のチャンス
その上で、社会保障の考え方を切り替えて、年金、医療、介護の自己負担率を高めていくことが重要である。まず、厚生労働省等が作成した「現状の制度がそのまま継続する」ことを前提とした議論をやめることが望ましい。筆者は厚生労働省の官僚にも年金・医療・介護の財政見通しに関してヒアリングしたことがあるが、役人には現状の制度の前提を変えることはできない。そのため、壊れた制度を継続する見通しに基づいた不毛な議論を繰り返すだけだ。
本来は政治家(と有権者)が価値観を含めた制度の前提を変える議論をすべきだ。過剰な社会保障制度は削減し、高齢者の自己負担を高めることは当然だ。ただし、高齢者にも制度変更に伴う恩恵を享受することは必要だろう。そのため、金融資産に関する減税策と組み合わせた政策を立案することが望ましい。したがって、日本が経済成長して投資利回りを改善させることで、高齢者が自らの資産を運用し、自らの老後の人生の負担を賄う社会に転換すべきだ(さらに、金融資産増税は日本経済を再びどん底に叩き落すことになる愚策となり、誰も得しない単なるルサンチマン政策であることを強調しておく)。
日本国民が置かれた状況は、今が最後の復活に向けたチャンスと言えるだろう。長い不況から抜け出た今、再び増税によって二度と立ち上がれない道に行くか、それとも減税による経済成長で正常な軌道の国に戻るのか。我々有権者の意思がそれを決めることになるのだ。
●岸田首相は維新の「保険制度改革案」をいただけ″w者医療費の窓口負担、原則3割に 馬場代表の優秀な提言 3/14
日本維新の会(馬場伸幸代表)が5日に提言した「高齢者の医療費の窓口負担を原則3割にする」との医療保険制度の抜本改革案が話題になっている。
現行では現役並み所得者を除いて、70歳以上は2割、75歳以上は1割が原則だが、これを全員3割にすると年間3兆円くらいの医療費が削減できると言われている。
岸田文雄政権は少子化対策の財源として、健康保険に企業や個人が支払う保険料を値上げして、最終的に年間1兆円の「子育て支援金」をつくることを提案しているが、維新によると高齢者の3割負担でこの支援金もいらなくなるという。
これは控えめに言っても、かなり優秀な案なので、岸田首相は直ちにこの案を「いただく」べきである。
岸田政権は子育て支援金について、社会保障改革などをして社会保険料負担を1兆円減らすので、これで相殺できるから国民の実質負担はない、と訳の分からない説明を続けているが、これを信じる国民はいるのか?
加えて、担当の加藤鮎子少子化相の国会答弁がしどろもどろで、野党席のみならず、与党、閣僚席も、皆が失笑をこらえている。
ちなみに3兆円あれば、少子化対策の支援金だけでなく、防衛増税の1兆円もまかなって、まだ1兆円お釣りがくる。
自民党の首相が野党の政策を「いただく」のはこれが初めてではない。
2017年の衆院選で、当時の安倍晋三首相が「消費税を幼児教育の財源にする」として、保育料の無償化を掲げたのだが、これは野党第1党だった民進党の前原誠司代表が先に言い出したものの「いただき」だった。
自民党でも検討はしていたのだが、明らかに前原氏の方が安倍氏より先に言ったので、筆者は当時「安倍さん、いただいたな」と思ったのを覚えている。コラムにも書いた。
野党には気の毒かもしれないが、「政策実現するなら、それもよしだ」と思う。それで国民の生活が改善されれば野党としても存在理由があったということになる。
もし、これで健康保険料の値上げや防衛増税をやらなくて済むなら、子供たちの未来のため、そして祖国日本を守るために豊かな高齢者に一肌脱いでもらおうということになる。
この維新案に対して、「高齢者が医療を受けられなくなる」と反対する人がいるがそれは間違いだ。医療費の自己負担には「高額療養費制度」というのがあって、どんなに高い医療を受けても自己負担は月数万円という上限が決まっているし、年金生活者の場合はその負担も安い。
岸田首相、たとえ「いただき女子」ならぬ「いただき首相」などと揶揄(やゆ)されようとも、これは絶対にいただいた方がいい。
●安倍元首相は「1年生議員は選挙のことだけ考えればいい」と言った…日本の政治家が劣化してしまった根本原因 3/14
政治資金パーティーをめぐる自民党派閥の「裏金問題」で岸田政権が揺れている。なぜ政治とカネの問題が繰り返されるのか。『戦後政治と温泉』(中央公論新社)を書いた政治学者の原武史さんと、東京大学名誉教授の御厨貴さんの対談をお届けする――。
なぜ日本の政治家は劣化したのか
――自民党が裏金問題に揺れています。お二人は今の政治をどのように見ていますか。
【御厨貴・東大名誉教授(以下、御厨)】1988年のリクルート事件と同じように、政治とカネが再び大きな問題になりました。当時、一部の自民党議員が離党して新党を立ち上げ、一定の政治改革が進みました。今は政治改革の動きが全く起きそうにない、野党にも期待できない深刻な状況です。
なぜ自民党はこうなってしまったのか。政治において空間的・時間的な「ゆとり」が失われたことが、今の自民党の凋落をもたらしたのは確かです。
敗戦直後から1960年代までの政治家には確かに「ゆとり」がありました。東京という空間に着目して政治を考えてみると分かりやすい。
例えば、原さんが『戦後政治と温泉』(中央公論新社)で描いたように、彼らは東京の国会や首相官邸(現在の首相公邸)を離れて、箱根や熱海の温泉地に頻繁に通っていました。東京を離れることで何が起きるか。移動中にものを考える、風景が変わって、意見が変わる。旅館で夕飯をとって、アイデアが浮かんでくる――。こうした行為が、自身を客観視させ、政治家としての考えを豊かにしたんですね。
【原武史・放送大学教授(以下、原)】政治家たちの間に「ゆとり」がなくなってきた背景には、「危機管理」の名目で、「有事や災害など、何か重大な問題が起こった時のために、いつも東京にいなければならない」という空気、圧力が強まったことがあると感じています。
【原】例えば1995年末、首相の村山富市が大蔵大臣の武村正義を呼んで辞意を伝えたのは、伊豆長岡の温泉旅館「三養荘」でした。しかしその後、温泉地は批判の対象となります。2016年4月には舛添要一東京都知事は、公用車で毎週末に湯河原へ通っていたことが明らかになり、大バッシングを受けました。
政治家自身が「危機的な状況」を理解できない
【原】2022年の年末には岸田首相の親族が首相公邸に集まって「忘年会」を開き、週刊誌が報じたことで大問題になりました。これを別の視点から見ると、他で集まれる場所がないから公邸で行ったと言えます。東京を離れることすら許されなくなったことを表す象徴的な出来事です。
ドイツの社会学者、マックス・ウェーバーは『職業としての政治』のなかで、指導的な政治家に必要な資質の一つとして「判断力」を挙げました。これは、権力から距離を置くことを意味します。東京という政治の中心から距離を置き、自分を客観視すること。政治に「ゆとり」がなくなることで、政治家自身が自分を客観視、相対化する習慣が失われたのだと思います。
【御厨】スマホの時代になったことも大きい。国会中にスマホをいじる議員が多いのは「無視した」とあとで言われるのが怖いからです。今の自民党の危うさは、ゆとりを失い、国会議員たちがなぜここまで追い込まれているのかを理解できていないことにある。自分自身を客観視、相対化できていない。それが一番怖い。
【原】御厨さんが言われたように、今の危機的な状況を議員自身がまったく把握できていない。今ではリモートやワーケーションという新しい勤務形態が出てきているのにもかかわらず、政界では全く導入されず、通信機器が今より整っていない昭和の時代以上に政治家が永田町に張り付いている。時代から遊離し、ある意味滑稽に見えてしまう。
選挙のことばかりを考えるようになった
――なぜ政治家は「ゆとり」を失ったのでしょうか。
【御厨】1990年代の政治改革で導入された小選挙区制が大きな原因だと思います。以前は中選挙区制で、1選挙区から上位3〜5人が当選する仕組みでした。選挙区は広く、金銭買収が頻発するという弊害があった。1選挙区1人を選ぶ小選挙区制にすれば政治は良くなると思い、私も大賛成して旗振り役をしていました。しかし結果は違いました。露骨な買収はなくなっても、政治がよくなることはなかった。
【御厨】選挙制度が政治家にもたらした影響は大きい。以前、私が安倍晋三元首相にインタビューをした時のことです。「1年生議員にどういう教育をしているんですか」と聞いたとき、安倍さんは「選挙のことだけ考えろ。政策のことを考える必要はない」とはっきり言いました。「小選挙区は勝ち上がることだけで大変。落選したら政策も何もない。だから政策は俺たち長老が考える。お前たちは当選することに集中しろ」と。つまり、若手議員は集票マシーンでいいというわけです。
やはり安倍さんの責任は非常に大きいと思いますね。7年8カ月の在任期間中に政治から議論が失われ、選挙に勝つことで問題を無かったことにしてきた。デモクラシーの基盤が崩れ、若い議員は自身で考えることをしなくなった。だから30年前と異なり、自民党の議員から反乱が起きる気配はありません。党を飛び出して野党を巻き込んで政界再編、改革を進めようとする動きが起きない。
政治が言葉を取り戻すしかない
【原】別の見方をすれば、国民の意識が大きく変わった結果とも言えます。政治の民主化が進んだ戦後になっても、1960年代くらいまではまだ、一般国民とは違う存在として政治家をとらえる見方があった。歴代の首相の多くが、旧帝国大学を出たエリートだったことも大きい。彼らは卓越したリーダーシップを発揮し、戦争で焦土になった日本を経済復興に導く存在だった。だから、非常に大きなエネルギーを必要とするし、庶民とは違う人間として温泉地に行くことが承認されていたわけです。
ところが民主化がいっそう進み、民主主義が日本に浸透するなかで――もちろんインターネットやSNSの発達もあると思うけれど――平準化によって、政治家と普通の人々の違いがなくなり、人々が自分たちと同じ目線で政治家を見るようになった。だから湯河原に行った舛添氏の時のように、「自分だけ温泉地に行って贅沢している」という非難が強まったのではないでしょうか。
――今の政治に必要なものは何でしょうか。
【御厨】戦後政治という大きな流れの中で考えると、池田勇人や佐藤栄作が首相だった時代に、政治はずいぶん制度化されてきた。むしろ今は制度化され過ぎてしまったのだと思います。政策は自民党の中で決まり、国会審議は完全に空洞化しています。国会は議論する場ではなく、野党による政府糾弾の場になり、ひたすら与党のスキャンダルを言い立てているだけ。
【御厨】昔はもっと面白かった政治劇がたくさん展開されていた。戦前の議会政治ですら言葉に実体がありました。雄弁家として知られた政治家・永井柳太郎(憲政会・立憲民政党所属)、軍部の政治干渉を痛烈に批判した浜田国松(立憲政友会)の「腹切り問答」が好例です。議会は、ギリギリまで言葉で迫っていく場だったんです。
しかし今はものすごくつまらなくなった。国会で議論されることが本当にくだらないでしょう。岸田さんもそうだけど、「検討します」と言うだけで全然回答にならない答弁を繰り返す。だからね、国会がね、取り戻さないといけない。言葉によって、政治の信頼性を取り戻さないといけないと思いますね。
朝鮮特需を予想した吉田茂
【原】かつての政治家と比べると大きな違いですね。御厨さんの話を聞いて思い出すのが、朝鮮戦争が勃発した1950年6月25日の吉田茂首相の対応です。当時、吉田は東京を離れ、箱根・木賀温泉の塩原又策別邸に滞在していました。いまの政治家なら危機管理の名目で東京にすぐ戻りますが、吉田は記者たちに「まだ正確な情報を得ていないので何もいえない」と答えただけで、この日は別邸から動かず、悠然としていました。
この時、昭和天皇は、これはヤバイと危機感を募らせるわけです。「九州に若干の兵をおくとか、呉に海軍根拠地を設けるとか、とにかく日本の治安に注意してもらわねば困る」と宮内庁長官の田島道治に語るわけです。そんな昭和天皇に拝謁した吉田は、「日本にとってはむしろよい影響があります」と答えています。「企業面がよくなり失業者の減少になる」と勃発直後に言っているんですね。朝鮮特需を見越していた吉田の「先を読む力」はすごいなと感じます。
【御厨】すごいよね。
【原】実はこれには後日談があります。翌年になっても朝鮮戦争が続いて、昭和天皇は田島長官に「朝鮮の状況上はなはだ心苦しく、私が葉山ですきな事をするのは……」と尋ねるんです。それに対して田島は「マッカーサーは休みをとりませぬが首相は終始休みをとります」と答え、天皇も休みをとるべきだと答えているんです(笑)。
戦後政治で無視できないのは、昭和天皇の存在感です。戦後に憲法が改正され、象徴になってもなお歴代の首相や閣僚から内奏を受ける存在だった。天皇が夏に滞在したのは栃木県の那須御用邸です。昭和天皇が那須にいて、吉田茂が箱根にいて、いわば関東平野をはさんで山の上で対峙している関係ですね。
昭和の大物政治家は東京に縛られなかった
【御厨】一種の猿蟹合戦だね。
【原】そうなんですよ。吉田は昭和天皇に対して忠誠心を持っていました。同時に、戦前に昭和天皇が持っていた巨大な権力の空白を埋めるのは自分しかいないと、自身の役割をはっきり意識していた。そんな吉田に対して天皇が複雑な感情を抱いていたことは、田島が天皇とのやりとりを記録した『昭和天皇拝謁記』から読み取れます。再軍備論者だった昭和天皇は、吉田の軽武装論を批判しながらも、吉田に代わる存在はいないことも認めていたんですね。
【御厨】やはりスケールが大きい。今の政治家にも「自分は政治に何をかけるのか」「自分はどういう政治をしたいのか」というこれから先の大きな話を発信していく必要があると思います。これは安倍さんも明示しなかった。菅(義偉元首相)さんも凡百の政治家より優れていることは間違いないけど、目の前の問題をどう決着させるかに終始したと思うね。
【原】吉田茂は全く東京に縛られてないんですね。鳩山一郎や石橋湛山、岸信介、池田勇人など戦後復興期に政権を担った保守政治家たちも同様です。永田町の狭い世界で完結せず、むしろそこから自由になることが、大局的に見れば、政治家自身にプラスになるという信念があったと思いますね。
【御厨】吉田は空間を意識した政治を行った戦後最初の首相だね。僕は『権力の館を歩く』でも書いたけど、吉田は首相官邸が大嫌いだから、目黒公邸(旧朝香宮邸、東京都港区)や大磯御殿(神奈川県大磯町)という空間を利用して政治を行ったわけだね。政治家や役人を呼びつける方法も構造化されていて、吉田なりの政権維持の工夫がされていた。
困難な時代にこそ「ゆとり」が必要だ
【原】吉田は1950年に木賀温泉に滞在しましたが、1951年からは大涌谷の冠峰楼に滞在した53年を除いて小涌谷の三井別邸に長期滞在して、サンフランシスコ講和会議の構想を練ったり、抜き打ち解散の準備をしたりするわけです。温泉に浸かって体調を整えながら、政治家や役人を呼びつけて議論する。あるいは東京では見られない風景を楽しむ。敗戦直後の困難な時代でしたが、政治家の東京という空間に縛られない「ゆとり」が戦後日本を前に進める原動力になったわけですね。
【御厨】今の政治に必要なのは「日本をどうするのか」という長期的展望です。この30年間全く出てこないし、行き当たりばったりの政治を繰り返してきた。政治が積分されない、全部微分の政治になってしまったように思いますね。構想のレベルでいいんです。みんなバカバカしいと思っているかもしれないけど、自分がやりたい政治を、政治家が自ら考え、稚拙でもいいから言葉にすることが非常に大切です。それが、政治を少しずつみんなのものにしていくことになると僕は思ってます。
●岸田首相、大幅賃上げ回答「心強い」=中小波及へ正念場―政労使会議 3/14
岸田文雄首相は春闘集中回答日の13日、首相官邸で開いた政労使会議で、大手企業が昨年を上回る大幅な賃上げを相次いで回答したことについて「心強い」と評価した。
その上で、この流れを中小企業にも波及させて経済の好循環につなげる必要性を訴え、「デフレ完全脱却のチャンスをつかみ取るため、これから正念場だ」と強調した。
政労使会議には、芳野友子連合会長や十倉雅和経団連会長、小林健日本商工会議所会頭が出席した。中小企業の賃上げを確実に進めるため、原材料やエネルギーのコスト増に加え、人件費の価格転嫁対策を徹底する方針を確認。首相は、公正取引委員会の調査で価格転嫁の取り組みが不十分だと認められた事業者名を月内に公表すると表明した。
今春闘の結果は、岸田政権が目指すデフレ完全脱却に向けた試金石。労使と足並みをそろえて物価上昇を上回る賃上げを目指している。非正規雇用労働者の賃上げも課題で、首相は最低賃金の引き上げとともに、実現へ意欲を示した。
●日経平均終値、4日ぶり値上がり…来週の日米の金融政策会合を前に慎重姿勢続く 3/14
14日の東京株式市場で、日経平均株価(225種)の終値は、前日比111円41銭高の3万8807円38銭だった。4営業日ぶりに値上がりした。前日の米株式市場でハイテク株が下落した流れを引き継ぎ、半導体関連株で売り注文が先行した。日経平均の下げ幅は一時、300円に迫ったが、売りが一巡した後は割安感の出た銘柄に買い注文が広がった。
原油価格の上昇を背景に、石油や鉱業などエネルギー関連株が大きく値上がりした。ただ、東京証券取引所プライム市場の売買代金は約4・3兆円で、最近の大商いの目安とされている5兆円を3日連続で下回った。
来週には日米の金融政策を決める会合を控え、投資家には引き続き慎重な姿勢が見られている。市場では、「金融政策の方針を見極めるまで積極的な取引をしづらい状況だ」(大手証券)との見方があった。
●岸田内閣支持、微増18.0% 裏金対応「評価せず」7割超―時事世論調査 3/14
時事通信が8〜11日に実施した3月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.1ポイント増の18.0%だった。2カ月ぶりに増加に転じたものの、4カ月連続で1割台にとどまった。不支持率は同3.0ポイント減の57.4%、「分からない」は24.6%。
内閣支持率は岸田政権発足後では3番目の低さ。政権維持の「危険水域」とされる3割未満は8カ月連続で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件などを背景に低空飛行が続いている。日経平均株価が史上初めて4万円を突破するなどの「追い風」効果は限定的だったと言えそうだ。
自民の政党支持率は1.4ポイント改善して17.7%だった。自民支持率1割台は5カ月連続。
一連の裏金事件を巡る岸田文雄首相のこれまでの対応については「評価しない」が74.2%に上り、「評価する」は9.5%で1割に満たなかった。首相は自ら衆院政治倫理審査会に出席することで説明責任を果たす姿勢をアピールしようとしたが、結果には大きく結びついていない。「どちらとも言えない・分からない」は16.4%。
能登半島地震を巡る政府対応は「評価しない」が40.2%で前月から2.6ポイント増。「評価する」は29.4%で0.2ポイント減らした。
内閣を支持する理由(複数回答)は、多い順に「他に適当な人がいない」8.6%、「首相を信頼する」「誰でも同じ」がいずれも3.1%。支持しない理由(同)は「期待が持てない」(36.3%)、「政策がだめ」(25.7%)、「首相を信頼できない」(25.6%)の順に多かった。
政党支持率は自民に続き、立憲民主党4.7%(前月比0.6ポイント増)、日本維新の会3.6%(同0.3ポイント増)、公明党2.8%(同0.8ポイント減)など。以下、共産党とれいわ新選組がいずれも1.6%、国民民主党1.0%、社民党と参政党がいずれも0.3%。教育無償化を実現する会はゼロ、「支持政党なし」は64.8%だった。
調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は57.7%。
●経済安保の身辺調査、法案が19日に審議入り 首相出席で質疑 3/14
衆院議院運営委員会は14日の理事会で、民間人も含め経済安全保障上の重要情報を扱う人の身辺を国が調べる「セキュリティークリアランス(適性評価)制度」を導入する法案について、19日の本会議で審議入りすることを決めた。岸田文雄首相が出席したうえで、法案の趣旨説明と質疑を行う。
法案では、国が保有する情報のうち他国に流出すると安全保障に支障を及ぼすおそれのあるものを「重要経済安保情報」に指定する。漏洩(ろうえい)すると5年以下の拘禁刑などの罰則を定める。適性評価で犯罪・懲戒歴や借金の状況、家族の国籍などを調べ、秘密を守れる人物かを確認する。同意が前提だが、プライバシー侵害の懸念も根強い。政府は具体的にどういった情報が保全対象になるか示しておらず、野党は制度の詳細を追及する構えだ。 
●【参院政倫審】 世耕氏、西田氏、橋本氏の審査で何がわかった? 3/14
参議院の政治倫理審査会は14日、自民党派閥の政治資金事件に関して、世耕弘成前参院幹事長、西田昌司参院議員、橋本聖子元五輪相の3人の審査を終えた。この弁明と質疑を通じて、いくつかの新たなことがわかった一方、依然として真相不明のままのことも多かった。
キックバック復活は真相不明のまま
最大の焦点でありながら、真相解明が進まなかったのは、安倍派のパーティー収入のキックバックが安倍元首相の指示で廃止となったにも関わらず、その後、誰がどのように復活させたのかという疑問だ。
衆院の政倫審では、安倍氏死去後の2022年8月の幹部協議について、西村前経産相は何も決まっていないと言い、塩谷元文科相はキックバック継続はやむを得ないとの方向で協議が終わったという趣旨の発言をして、食い違いが生じた。
これについて世耕氏は、西村氏と同様に「何か確定的なことは決まっていない」とし、キックバック復活の経緯は「わからない」と答えた。塩谷氏の証言については「何らかの資金手当てをしなければいけないということを発言しているのではないか」と述べ、認識違いであるとの見方を示した。
このように結論をあいまいにした世耕氏だが、この協議の一部については新たな説明をした。世耕氏自身は、安倍元首相の「ノルマ通りの販売にして現金による還付はやめる」との方針について「私はそれを守るべきだ」という意見を協議の冒頭に述べたことを証言した。
さらに世耕氏は、還付の継続を求める意見もあったとした上で、安倍元首相の方針は堅持しつつ、代わりの有力なアイデアとして各政治家個人が開くパーティーのパーティー券を何らかの形で派閥が買い取るなどして合法的な形で振り替える案が出て、自身も賛同したことを明らかにした。
これまで、幹部らはキックバック分の不記載という違法行為が行われていた認識はなかったとしているが、キックバックを廃止した場合の代替案もかなり突っ込んだ議論が行われてきたことが、新たに浮かび上がってきた。
参院選イヤー全額キックバック方式も経緯不明のまま
世耕氏への質疑でもう1つの焦点だった、3年に1度の参院選の年には、改選される参院議員のパーティー券販売ノルマを撤廃し、販売したパーティー券分の全額がキックバックされ事実上の裏金化されるシステムについても、経緯は明らかにならなかった。
世耕氏は参院安倍派=清風会の会長だったが、システムの経緯については「分からない。私には何の相談もなく勝手に決まっていたということだ。安倍さんが決めたのか、細田さんが決めたのか、その前の方が決めたのか、これは残念ながら、わからない」と述べ、この金が選挙に使われることも否定。「知らないことは本当に知らないので、それを知ってると言えと言われても、私はお答えしようがない」と答えた。
西田氏が世耕氏ら幹部批判 亀裂露わに
安倍派の中堅である西田昌司氏の弁明と質疑では、安倍派内での中堅若手から幹部への反発が強い実態が露わになった。
西田氏は「安倍さんがやめろと言ったのに、それを積極的に続けていた。この派閥の幹部は大変責任重大だと思っている。当然、政治家として責任をとってもらわなければならない」と述べた。
さらに自身の前に弁明に立った世耕氏にも矛先を向け「世耕さんの答弁を聞いていたが、私もまったく納得できなく、そのとき知らなくてもどうであったのか調べて報告する義務があるのは当然のことだ」と批判した。さらに安倍派幹部全体について「自らの責任の重さを考えて、出処進退は考えるべきだ」と、自身で身を引くよう促した。
西田氏と橋本氏の認識の差
また、パーティー券収入のキックバックについては、西田氏が今回の問題が起きるまで知らなかったと述べる一方で、その後に弁明に立った橋本聖子氏は10年以上前から把握していたと明言するなど、議員によって認識に差があることも露わになった。
橋本氏の会計責任者団体問題に見る「議員の財布」の闇
そして橋本聖子氏の質疑では、興味深い点が浮き彫りにされた。
立憲民主党は、橋本氏が代表と会計責任者の両方を兼務する政治団体が、今回の安倍派のパーティーをめぐる事件を受けて、収支報告を訂正していたことを指摘したのだ。
政治資金規正法は違反行為について、一義的に会計責任者の責任を問うことになっているので、これだと会計責任者になっている橋本氏の責任が問われる構図になると追及したのだ。
橋本氏は、自身が代表を務める自民党支部を派閥のパーティー券分を収入に計上する資金管理団体として使っていたが、東京五輪対応のため離党を余儀なくされた際に、この党支部から、自身を代表兼会計責任者とする別の政治団体に資金を移し替えたため、今回、修正の必要が出たことを明らかにした。
ここから見えるのは、議員が企業献金も受けられる政党支部や複数の政治団体を使いわけ、金を移動させながら、政治資金を巧みに運用している実態だ。
今回の安倍派の政治資金をめぐる実態解明はもちろん、その裏には、政治資金をめぐるより大きな不透明さがあることも、今回の政倫審を通じて浮き彫りになった。
●『政倫審の限界を感じた』 蓮舫議員の質問に「分かりません」連発の世耕議員 参院「政倫審」新事実なく“通過儀礼”とも 3/14
自民党の裏金問題。14日、参議院で政治倫理審査会が開かれた。安倍派5人衆の一人、世耕弘成前参院幹事長がまず出席した。どのような弁明が行われたのか。
「還付金をもらっているつもりがなかった」と世耕氏は弁明
自民党 世耕弘成前参院幹事長:国民の政治に対する信頼を大きく毀損したことについて、清和政策研究会(安倍派)の幹部であったひとりとして深くおわびを申し上げます。
14日、参議院で初めて行われた政治倫理審査会に出席したのは、裏金問題の発覚を受けて参院幹事長を辞任した安倍派の世耕議員。自身の政治団体では、5年間で1542万円のキックバックを政治資金収支報告書に記載していなかったと明かした。
しかし、パーティー券収入のノルマを超えた分が、派閥の所属議員にキックバックされていたことも、それが政治資金収支報告書に記載されていなかったことも「知らなかった」と強調した。
自民党 世耕弘成前参院幹事長:自分が還付金をもらっているつもりがなかったものですから、チェックをしなかったために、ただただ事務局の言うとおりにしていた多くの議員がこの案件に巻き込まれて、頑張って務めてきた役職を辞めるということになった。本当に私自身つらい思いであります。
蓮舫議員の追及に、世耕氏「分からない」連発
質問に立った立憲民主党の蓮舫議員は、安倍元首相が生前、キックバックをやめるよう指示したにもかかわらず、安倍元首相の死後にキックバックが復活した経緯を追及。
立憲民主党 蓮舫参院議員:2022年4月、幹部会、安倍さんに呼ばれて現金によるキックバックをやめる方針となった。これ場所はどこでしょうか?
自民党 世耕弘成前参院幹事長:安倍晋三当時(派閥の)会長の議員会館の部屋であったと記憶しております。
この2022年4月の会合で、安倍元首相は塩谷議員や世耕議員などの幹部に「現金によるキックバックをやめる」と伝えた後、7月に銃撃事件で死亡。翌8月に再び幹部が集まった時に、出席者から「議員はキックバックを政治資金のあてにしている面もある」と指摘があったと言われる。その会合でキックバック復活が決まったのではないかという問いに…
自民党 世耕弘成前参院幹事長:8月5日の会合で現金いによる還付の復活が決まったということは断じてございません。この時、私は明確に『安倍さんののこした指示なんだから守るべきだ』ということを逆に申しています。
あくまでも、キックバックが続いたことには関与していないと主張した。
自民党 世耕弘成前参院幹事長:誰がこんなことを決めたのかというのは私自身、はっきり言って知りたいという思いであります。
立憲民主党 蓮舫参院議員:あなたが知りたいという以前に国民や納税者が知りたいんじゃないですか?その場に居られたあなたが知らない。誰も知らない。でも、継続が決まった。
もうひとつ野党が追及を強めたのは、参議院選挙が行われた年にはパーティー券のノルマ分も、ノルマを越えた分も、全額がキックバックされていた問題だ。
立憲民主党 蓮舫参院議員:これ、誰が参議院だけ全額キックバックって決めたんですか?
自民党 世耕弘成前参院幹事長:分からない。私は何の相談も受けておりません。
立憲民主党 蓮舫参院議員:何も分からないんですね。参議院側の改選時に全額キックバックする、それが選挙に使われたとしたら公選法違反ですよ。
自民党 世耕弘成前参院幹事長:このお金を選挙に使うということは基本あり得ないんじゃないでしょうか。収支報告をみんな訂正していますから、それをご確認いたければ。
「安倍さんがやめろと言ったのに続けた幹部は責任重大」と西田氏
午後の審査では、京都選出の西田昌司参議院議員が弁明に立った。西田議員の事務所は、5年間で411万円の還付金を受け取っていたが、自身はこの事実を知らず、秘書の判断だったと主張。還付金は、翌年以降のパーティー券のノルマの購入にあてられていたと説明した。
西田昌司参議院議員:担当者が独自の判断で行ったことではありますが、私の監督不行き届きであったことを痛感しております。
また、西田議員は、これまで、「幹部が責任を取らないと話にならない」などと、派閥幹部に対し、苦言を呈してきたが、14日の政倫審でも…
西田昌司参議院議員:安倍さんがやめろと言ったのに、それを積極的に続けていた派閥の幹部、これはもう大変な責任重大である。なぜそういう裏金が状態化し続けたのか、ここが一番の問題であり、このことを説明しない限り、私は国民の政治不信は免れないと思っております。
(Q説明責任を果たされているとお考えか?)全く果たされていないと思いますね。
このあと、5年で約2000万円の不記載があった橋本聖子元オリンピック担当大臣も出席。「裏金だという認識はなかった」としたうえで、還付金については、担当者が、政治活動に適正に使用したと説明した。
新たな事実は出てこなかった参院政倫審 下村氏が出席する次回衆院政倫審に注目
安倍派5人衆の一人、世耕弘成前参院幹事長の政倫審での発言をまとめる。
自民党 世耕弘成前参院幹事長:
・パーティー券販売のノルマ、販売枚数、還付金額、ノルマ超過分の還付方法について関与したこともなければ、報告・相談もうけてまいりませんでした。
・安倍会長が亡くなった後も私が出席している場で現金による還付が始まったり、決まったり、現金による還付を私が了承したことは一切ありません。
質問した蓮舫議員は「政倫審の限界を感じた」と話した。
政治不信が非常に高まる中で、裏金問題はこれからどう解決に向かっていくのうか。
関西テレビ 神崎報道デスク:14日の政倫審の内容として、これまで不起訴になっていまして、検察での聴取以上のものが出てこないことは分かっており、通過儀礼的なものでした。注目は、18日(月)に再び衆議院で、下村博文元文部科学大臣が政倫審に臨むということです。
関西テレビ 神崎報道デスク:下村さんは安倍派の事務総長を務めた安倍派幹部です。そして2022年4月の『キックバックをやめる』という会合と、2022年8月の『キックバックを続けると判断したんじゃないか』と疑われている会合、ポイントになる二つの会合両方に出ています。8月の会合は発言者によって中身が違うので、下村さんがどう言うのか注目です。
関西テレビ 神崎報道デスク:もうひとつ、安倍派の会長を長く務めていた森元首相と下村さんはかなり政治的距離がある。森さんは長く会長を務めていましたので、裏金問題についてかなり知ってるんじゃないかと言われていて、森さんと距離がある下村さんは知っていることを話しやすい状況なのではないか。例えば裏金がいつから始まって、誰がどういう形でやっていたのか、もしかしたら下村さんが知っていて政倫審でしゃべるんじゃないか、期待を持たれて今回呼ばれているわけです。何を発言するかは分かりませんが、来週の政倫審に注目だと思います。
18日の政倫審で新たな事実が語られるのかどうかに注目だ。

 

●「疑惑深まるばかり」党内から嘆き 自民政倫審の弁明受け岸田首相「引き続き説明責任を」野党は世耕氏ら証人喚問要求 3/15
参議院で史上初となった政治倫理審査会の審査から一夜明け、国会では、野党側が裏金問題のさらなる解明のため証人喚問を求めるなど追及を続けている。
国会記者会館から、フジテレビ政治部・福田真子記者が中継でお伝えする。
14日の政倫審については、自民党内からも「疑惑は深まるばかり」と嘆く声が出ていて、さらなる実態解明が迫られている。
立憲民主党・田名部参院幹事長「弁明に出席をされたのはたったの3名。総理、説明責任を促すとおっしゃいましたが、どう促してきたのか? これで十分だと思われますか」
岸田首相「説明責任は尽くされたかどうかは国民の皆さんが判断されること。まだ疑念が残るということであるならば、引き続き、説明責任を尽くしていかなければならない」
岸田首相は、このように引き続き説明を促す姿勢を示したが、野党は、世耕氏らの証人喚問を求めた。
また、確定申告の最終日にあたる15日、野党が「裏金は課税対象で自民党は納税すべきだ」と迫ったのに対し、岸田首相は、不信を招いたことを陳謝したうえで、「ご協力を心からお願いする」と国民に納税を呼びかけた。
週明けは、衆議院の政倫審に下村元文科相が出席し、自民党側は、幕引きを図りたい考えだが、攻防は続きそう。
●世耕氏、確定申告で裏金納税を拒否 「すべて政治活動に使った」 3/15
14日の参院政治倫理審査会で、自民党の世耕弘成前参院幹事長が、安倍派の政治資金パーティー裏金事件について説明した。日本維新の会の音喜多駿氏は、世耕氏側が1542万円の還流を受け、政治資金収支報告書に記載しなかったことについて、還流分を確定申告して納税すべきだとただした。だが、世耕氏は「すべて政治活動に使った」と重ねて強調。政治資金を政治活動に使い切った場合は非課税とされる原則を盾に取り、納税しない意向を示した。主なやり取りは以下の通り。
音喜多氏 裏金の納税について伺う。世耕氏の政治団体は収支報告書を大幅に訂正しているが、領収書が存在せず不明の項目がある。これでは現時点では政治資金ではなく、キックバックで受け取ったお金が個人の雑所得となる可能性も否定できない。確定申告で自ら裏金について納税されるつもりはないか。
世耕氏 清和会の方から秘書が受け取って秘書が管理をして、そして領収書がどうしても見つからないものも1500万のうち60万ほどあるが、全て政治活動に必要な経費として使っている。2023年で使い切るとも報告を受けている。そういう意味で、これは私の雑所得に当たるものではないというふうに考えている。
音喜多氏 納税されるつもりはないということでよろしいか。
世耕氏 雑所得に当たらないということだ。きちんと政治活動で全て使い切っている。
音喜多氏 世耕議員は還付(還流)金は秘書が簿外で管理していたと述べた。では管理していた裏帳簿があったということか。裏帳簿があれば収支報告書の不明の項目は存在しないはずだ。逆に裏帳簿がなかったとすれば、還付金の使途が全て政治資金だったと言い切れる根拠はない。
世耕氏 そういったものは私は承知していない。領収書が大部分保管をされていたということだ。
音喜多氏 裏帳簿がないのであれば、やはり還付金の使途が政治資金だったとは言えない。裏帳簿を見つけて使途不明を全て訂正されるか、裏帳簿がないことを前提に確定申告をするか、選択肢は二つに一つだと思うがどうか。
世耕氏 これは収支報告の訂正で大半は説明している。不明だった60万円についても、きちんと贈答品に使われたと思われるということで説明している。全て領収書が残っているわけだ、ほとんど。しかもその領収書の使い道は、政治家同士の贈答品であったり、あるいは私の事務所の運営経費で全て使ったりしている。何か私的流用していれば、それは当然雑所得であったり所得税の対象になると思うが、私はこれを全て政治活動に使っているので雑所得には当たらない。
音喜多氏 ほとんどわかってるから良いということには全くならない。2013年から還付金があったということをお認めだった。ではそのお金はどうするのか。訂正ができないから、もうポケットに入れておしまいなのか。
世耕氏 これも事務所の引き出しで現金で管理をしている。年々減ったり増えたりしながらやっていて、そして23年で使い切るということだから、そういう意味ではきちんと使っている。18年の期首残高がどうしてもわからない。その結果、各年繰り越しが不明になる。繰り越しが不明になるということは収入総額が不明になるということだが、これは23年をもって是正をされる。
音喜多氏 国民は毎年確定申告してるのに、還付金は勝手に繰り越しができるという点については納得ができないと思う。
音喜多氏は質疑終了後、記者団に「世耕氏の場合は、政治資金の訂正に不明という項目が残っているのに、用途を全て政治資金と断定して、納税する気がないのは言語道断だ。国民は毎年単年度で確定申告をしている。政治資金だったということで勝手に還付金を繰り越せるという神経も、私には理解ができなかった」と述べた。
●「説明責任尽くされたかは国民が判断」岸田総理、引き続き説明責任果たすよう強調 14日の政倫審受け 3/15
国会では、政治とカネに関する問題をめぐり、野党側が追及を続けています。岸田総理は「疑念が残るなら、説明責任を尽くさなければならない」と繰り返しました。
きのう、自民党の派閥の裏金事件を受けて、参議院の政治倫理審査会が開かれましたが、野党側は、実態解明にはつながらなかったとして、岸田総理の責任を問いただしました。
立憲民主党 田名部匡代 参院議員「昨日、参議院で政倫審開かれましたけれども、全く真実が明らかになっていないんです。総理、説明責任を促すとおっしゃいましたが、どう促してこられたんですか。この結果についてどう思いますか。これで十分だと思われますか」
岸田総理「説明責任は尽くされたかどうかは、国民の皆さんが判断されることであります。まだ疑念が残るということであるならば、引き続き説明責任を尽くしていかなければならない」
岸田総理は「説明責任を尽くさなければならない」と繰り返しましたが、具体的な対応や関係議員の処分については言及を避けました。
予算委員会に先立ち、野党側はきのうの政倫審に出席した世耕前参院幹事長、西田参院議員、橋本元オリンピック担当大臣の証人喚問を要求していて、裏金事件の実態解明を引き続き求めていく構えです。
このほか、自民党・若手議員の懇親会に露出の多い女性ダンサーが招かれた問題をめぐって岸田総理は「極めて不適切であり誠に遺憾」とする一方、「会合には公費は使われていないことは確認している」と改めて強調しました。
●自民党が能登被災地に寄付で“裏金ロンダリング”の醜悪対応 キックバックと同額の約5.8億円 3/15
自民党が派閥の政治資金パーティーを利用した裏金相当額を寄付する方向で検討に入ったという。能登半島地震の被災地支援に充てる案が浮上していると共同通信が報じた。
パーティー券収入のキックバックを政治資金収支報告書に記載せず裏金化していたのは、安倍派、二階派の現職議員が82人、選挙区支部長3人の計85人。2018年から22年の5年間で総額約5億7949万円に上る。
自民執行部は、裏金議員全員に裏金と同額を寄付させることを想定しているという。石川県選出の議員が選挙区に寄付をすることは法律違反になるため、いったん党でカネを集めて、自民党として寄付する形になる。
「脱税批判をかわすための苦肉の策なのでしょう。ただ、裏金は使わずに保管していたと説明している議員はそのカネを拠出すればいいのですが、中にはすでに全額使ってしまった人もいる。同額をどこかからかき集めてくる必要があり、高額の議員からは反発がありそうです」(自民党無派閥議員)
収支報告書への不記載額は、トップの二階元幹事長が3526万円で、三ツ林裕巳衆院議員が2954万円、萩生田前政調会長が2728万円と続く。
被災地に寄付をするのはいいとして、裏金とは関係なくやればいい話だ。何より国会議員なのだから、寄付より予算措置でしっかり被災地対応をするべきだろう。薄汚いイメージがつきまとう巨額の寄付を受け取っても、被災地の人々は複雑な気持ちになるだけではないか。
だいたい、裏金を寄付でロンダリングするという発想がどうかしている。5億円を寄付する前に、まずはきちんと納税するのが先だろう。
「震災支援のために使えば文句はないだろうと居直り、裏金を正当化するために被災地を利用しているように見えます。薄っぺらなパフォーマンスであり、寄付で疑惑が晴れるわけでもない。裏金問題を美談風にスリ替えられても、世論は納得しませんよ。国民が裏金議員に求めているのは、被災地への寄付ではない。事件の全容解明と説明責任、そして厳正な処分です。これらが何ひとつできていない。裏金事件そのものも醜悪ですが、事件への対応の仕方も自民党は腐りきっています」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
寄付で幕引きしようとは、この期に及んで国民をナメているとしか言いようがない。
●派閥裏金問題 野党追及“ギアチェンジ”安倍派5人衆、森元首相らの証人喚問要求 3/15
参議院予算委員会で15日、派閥の政治裏金問題について、野党の追及に対し、岸田首相は「疑念が残るならば引き続き説明責任を尽くさなければならない」「説明責任を尽くしたかどうかは国民が判断する」との答弁を繰り返した。
野党は「疑惑は深まっている」「岸田首相は無責任だ」などと批判した上で、政倫審に出席した安倍派幹部の“5人衆”や、安倍派の会長を務めていた森喜朗元首相の証人喚問を求めた。
立憲民主党の田名部匡代参院幹事長は、政倫審に出席した安倍派の橋本聖子元五輪相について、政治資金の虚偽記載の疑いを指摘し、証人喚問を行うよう求めた。
また、共産党の小池書記局長は、安倍派でキックバックの廃止と復活が行われた2022年の安倍派幹部会合に出席していた、塩谷元文科相、西村前経産相、下村元文科相、世耕前参院幹事長について、国会の証人喚問を行うように求めた。
小池氏は、個別の質疑では、発言の食い違いで真相が明らかにならないため、4人がそろって証人喚問の場に出席することが重要だとしている。
さらに、真相解明のために、残る安倍派5人衆の、高木前国対委員長、萩生田前政調会長、加えてキックバックが20年ほど前に始まった可能性が指摘される中、派閥の会長を務めていた森喜朗元首相についても国会で証人喚問を行うよう求めた。
国会の証人喚問は、発言に虚偽があった場合、偽証罪に問われるため、より厳しい質疑で、真相究明に繋がるとされる。
●岸田総理 話を聞く関係者の候補に「森元総理含まれる」裏金事件の実態解明めぐり 3/15
自民党の派閥の裏金事件を受け、岸田総理は関係議員らの処分を検討するうえで話を聞く関係者の候補の中に森元総理が含まれるとの認識を示しました。
共産党 小池晃 参院議員「総理が自民党総裁として、森元首相に問いただして、国会出席してくださいと促すべきではありませんか」
岸田総理「来週の政倫審の弁明も踏まえたうえで、党として、関係者のさらなる聴取を行うか、これを判断してまいります」
共産党 小池晃 参院議員「その関係者に森元首相は含まれるわけですか」
岸田総理「関係者、どの関係者にどういった形で聴取するか、それを判断いたします」
共産党 小池晃 参院議員「森さんが焦点になってるんですよ。森元首相も含まれると明言していただきたい」
岸田総理「関係者の中に森元総理も入ると認識をしています。その上で対応を判断いたします」
参議院の予算委員会で岸田総理は話を聞く関係者の候補の中に森元総理が含まれるとしたうえで、「関係者の中で誰に聴取するか、どういった形で聴取するか、実態を解明するために判断する」と話しました。
●岸田首相、過激ダンスショー「不適切で遺憾だ」 不記載問題、森喜朗元首相は「関係者」 3/15
岸田文雄首相は15日の参院予算委員会で、露出の多い衣装の女性ダンサーを招いた自民党和歌山県連主催の会合について「極めて不適切であり、誠に遺憾だ」と述べた。会合に出席し党青年局の役職を辞任した藤原崇、中曽根康隆両衆院議員の処分に関しては「実態を把握した上で判断する」とした。
自民派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡り、参院政治倫理審査会では実態解明に至らなかったとの批判が強い。首相は「疑念が残るなら、引き続き説明責任を尽くしていかなければならない」と語った。
首相は安倍派(清和政策研究会)会長代理を務めた下村博文元文部科学相による18日の衆院政倫審での弁明を踏まえ、追加的な関係者の聴取を検討する考えを示した。過去に同派会長だった森喜朗元首相も対象となるかを問われ「関係者の中に森氏も入る。その上で対応を判断する」と説明した。
一方、同性同士の結婚を認めない民法などの規定を憲法違反と判断した札幌高裁判決については「他の裁判所で同種訴訟が継続している。引き続き判断を注視したい」と述べた。
● 美浜原発3号機 午後にも運転差し止め判断へ 原則40年の運転期間を超え、3年前全国で初の再稼働 3/15
福井県にある美浜原発3号機をめぐり、地元の住民らが運転の差し止めを求めた仮処分申請について、大阪高裁が15日午後、申し立てを認めるかどうかの決定を出す見通しです。
関西電力美浜原発3号機は原子力規制委員会の審査に合格し、原則40年の運転期間を超えて3年前に全国で初めて再稼働しました。福井県などの住民は施設の老朽化などを理由に運転の差し止めを求める仮処分を申し立て、大阪地裁は一昨年、申し立てを認めない決定を出しました。
住民側はこれを不服として大阪高裁に抗告し、大阪高裁が15日午後、申し立てを認めるかどうかの決定を出し、運転の差し止めについて判断を示す見通しです。差し止めが決まった場合、運転が始まってから40年を超える原発では全国で初めての決定となります。
●還流経緯、謎深まる=自民内輪もめ、信頼回復遠く―安倍派「知らない」連発・政倫審 3/15
14日に開かれた参院政治倫理審査会では、自民党安倍派(清和政策研究会)による政治資金パーティー収入裏金化の経緯を巡って新事実が明らかになるかが焦点となったが、出席者は一様に「関知せず」との立場を強調した。
出席者同士が批判を浴びせる内輪もめの様相も呈し、裏金事件の収拾を図りたい岸田政権の思惑は空転し続けている。
「肝心な記憶はなくして、それ以外は雄弁に語る。それだけで信用できない」。参院政倫審で質問に立った立憲民主党の蓮舫氏は、一段と声を張り上げた。
面罵されたのは、この日最も注目を集めた自民の世耕弘成前参院幹事長だ。先に開かれた衆院政倫審では、2022年8月の幹部会合で裏金還流の復活を協議した際の証言に食い違いが表面化。いったん廃止が決まった還流の復活を「誰が決めたのか」が違法性の認識にも関わる焦点と目された。
世耕氏は同会合で、故安倍晋三元首相による還流廃止の方針を「守るべきだと言った」と主張。その上で、「各議員個人のパーティー券を清和会として買うなど、適法に対応するアイデア」が上がり、自らは賛同したと明かした。
だが代替案の提案者が誰かと畳み掛けられると、「記憶にない」を連発。5年で約1500万円に上る自身への裏金還流について「責任が重く多忙な役職に切れ目なく就き続けた」ことを理由に把握できなかったと釈明する世耕氏に対し、公明党も質疑で「正直申し上げてひどいありさまだ」(竹谷とし子氏)とあきれ気味に指摘した。
疑惑はますます広がっている。改選を迎える参院議員にパーティー券収入を全額還流させていた可能性を問われた世耕氏は、「各議員への還付状況や議員の声を聞くと、そういう運用がなされていたもようだ」と事実上認めた。
改選期の参院議員だけを対象にした特別な裏金還流に対し、質疑では「選挙に使われたのではないか」(国民民主党の舟山康江氏)との見方が浮上。各議員への確認を求められた世耕氏は、「収支報告を見れば分かるのではないか」と投げやり気味にあしらった。還流の経緯を知る「キーパーソン」と目される森喜朗元首相に、参院安倍派トップとして事情を聞かなかったのか問われると、「決めつけは問題がある。誰がいつ(還流開始を)決めたかははっきり言って分からない」とけむに巻いた。
この日出席した西田昌司、橋本聖子両氏も世耕氏と同様、裏金還流について「全く知らなかった」(西田氏)「報道されて初めて知った」(橋本氏)と説明した。西田氏は「私たちのような何も知らない受動的な人間と、主導的な人では全く立場が違う」とも強調。世耕氏の答弁に「聞いていて全く納得できない」と不満をあらわにし、安倍派幹部に「自ら進退を考えるべきだ」と迫る一幕もあった。
真相解明に乏しいばかりか、仲間内の泥仕合の格好になった審議内容に、ある閣僚は「これでは国民の疑念は晴れない」と厳しい表情を浮かべた。蓮舫氏は質疑後、記者団に「政倫審の限界を感じた」と述べ、今後、証言次第で偽証罪が問われる証人喚問なども視野に入れるべきだとの認識をにじませた。
●超党派議連、岸田首相の訪朝要請 3/15
超党派の「日朝国交正常化推進議員連盟」は15日、拉致問題などの解決に向けた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との交渉を見据え、岸田文雄首相に「早期の訪朝」を要請した。会長を務める自民党の衛藤征士郎元衆院副議長らが国会内で林芳正官房長官と会い、議連の決議文を提出。林氏は「重く受け止め、しっかり対応する」と応じた。
●岸田首相、森氏聴取を検討 来週の政倫審踏まえ判断―参院予算委 3/15
岸田文雄首相は15日の参院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件について、清和政策研究会(安倍派)で会長を務めた森喜朗元首相も含めた関係者への聴取を検討する考えを示した。「来週の政治倫理審査会の弁明も踏まえた上で、党として関係者のさらなる聴取を行うかを判断する。関係者に森氏も含まれる」と述べた。共産党の小池晃書記局長への答弁。
衆院政倫審は18日、同派幹部だった下村博文元政調会長に対する審査を実施する。パーティー収入のキックバック(還流)への森氏の関与の有無を下村氏がどう説明するかが焦点の一つとなる。
安倍派は2022年8月の幹部会合で、還流の復活を協議した。小池氏はこの会合に出席した西村康稔前経済産業相らに加え、森氏や萩生田光一前政調会長、高木毅前国対委員長の証人喚問を求めた。
首相は安倍派幹部の証人喚問に関し、「引き続き説明(する)努力は続けられなければならない。具体的にどうするかは国会で判断するものだ」と述べるにとどめた。
●安倍派幹部を本気で処分できるのか…派閥解散のツケで「統治機能不全」に陥った岸田政権を待ち受ける難題 3/15
茂木氏が調整に動いた形跡はほぼない
自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けた衆院政治倫理審査会の運営をめぐる混乱によって、岸田政権の統治機能不全が露わになった。岸田文雄首相(自民党総裁)が自ら政倫審に出席して全面公開すると表明することで、出欠や公開・非公開をめぐって行き詰っていた与野党折衝に解を出し、2024年度予算案の今年度内成立にメドをつけたものだが、その間、茂木敏充幹事長も、安倍派の塩谷立座長(元文部科学相)も出席者や公開方法の調整に動いた形跡はほとんどうかがえない。
首相が岸田派を突如として解散し、安倍派や二階派が追随したことで、茂木氏との距離が広がっただけでなく、解散手続き中の安倍派内の対応や意向が把握できなくなったことに、その要因があるのだろう。
「岸田サイクル」は「成果ゼロ」
産経新聞などの報道によると、異例の土曜国会となった3月2日の衆院予算委員会で、立憲民主党の馬淵澄夫元国土交通相が、自民党派閥パーティー収入不記載事件をめぐる岸田首相の一連の対応について「岸田サイクル」と命名し、「成果ゼロ」と指摘したが、これが言い得て妙なのである。
馬淵氏は、岸田首相が2月28日に衆院政倫審出席を唐突に表明したことについて「デジャブ(既視感)のような感じだ。裏金問題が出た時は、唐突に直接問題解決に至らない派閥解消を表明し、国民をけむに巻いた」と振り返る。そのうえで、「首相は、いつも初っ端は『火の玉になる』『先頭に立つ』と勇ましい言葉を発する。その後は何もせずに放置プレーで、リーダーシップのかけらもない。窮地に陥ると、目先を変えるサプライズで報道や国民の耳目をずらす。これでは結果は出ない」と批判し、「この一連の流れを「『岸田サイクル』と呼んでもいい」と皮肉った。
これに対し、岸田首相は、派閥解散について「けじめとして行った。派閥からお金や人事を切り離し、派閥の政治資金パーティー禁止というルールを設けたことに大きな意味がある」と力説した。そのうえで、「窮地に陥って目先を変えるとか、けむに巻くとか、そういう指摘は当たらない」などと怒りをにじませて反論したが、野党側の失笑を買っただけだった。
「本人が語ることに意味があった」
馬淵氏は、2月29日と3月1日に岸田首相と安倍派、二階派幹部5人が出席した衆院政倫審については「口裏あわせのような政倫審は、やる意味がなかった」と酷評したが、首相は「弁明と質疑を通じて明らかになったことはあった」「マスコミオープンの場で本人が語ることに一つの意味があったと思う。だから、野党も公開にこだわったのではないか」と述べ、政倫審の意義を強調した。
しかし、岸田首相の派閥解散と政倫審出席は、要路への根回しもなく、戦略性もうかがえないまま、唐突に表明された結果、党内を無秩序状態に陥れている。
自民党は派閥の連合体だ。自民党政権は派閥の合従連衡で形成され、首相・総裁に権力が過度に集中させず、派閥間の共闘や駆け引きで疑似政権交代も果たしてきた。党は派閥を通じて統治(カネとポストを配分)することで、党内世論を集約してきたのだ。
その派閥を解散することは、政治とカネの問題の決着に必ずしもつながらないどころか、麻生派を率いる麻生太郎副総裁が岸田首相とやや距離を置き、茂木幹事長が衆院政倫審や安倍派幹部らの処分問題への対応を意図的にサボタージュするなど、政権の統治機能不全の事態を露呈している。
「こんな自民党は見たことがない」
茂木氏は、岸田派解散をメディア経由で聞き、「事前の相談がなかった」と不満を隠さなかっただけでなく、その後、首相が麻生氏とは関係修復のための酒席を持ち、その後も夜の会食を2回重ねているのに比し、茂木氏とは酒席が実現していないことにも不満に思っているという。
茂木氏は、政治資金収支報告書に不記載があった安倍派や二階派の議員らへの聞き取り調査に続いて、政倫審の出席者の線引きも、森山裕総務会長に任せっ放しで、全面公開を渋る塩谷氏や高木毅前国会対策委員長ら安倍派幹部を説得することもなく、首相が自ら事態を打開するのを横目で見ていただけだった。政倫審の野党筆頭幹事を務める立民党の寺田学衆院議員は、記者団に対し、「ガバナンス(統治)が機能していない。こんな自民党は見たことがない」とあきれて見せた。
衆院政倫審に出席した二階派事務総長の武田良太元総務相は、党幹部から説明責任を果たすよう指示されたかと問われ、「働きかけ、連絡は一切なかった」と明らかにした。茂木氏が1月下旬に塩谷氏に「幹部として政治責任をどうするか」と自ら処分を下すよう求め、安倍派の猛反発を呼び込んだため、それがトラウマとなって動けなかったといわれている。
首相と茂木氏が意思疎通を欠いている
茂木氏は、首相がこだわった予算案の年度内成立を確定する3月2日までの衆院通過にも異を唱えた。1日夜、独自に立憲民主党の岡田克也幹事長との間で「4日採決」でまとめようと動いたのだ。最終的に首相がこの案を退け、2日の通過となったのだが、首相と茂木氏が意思疎通を欠いていることが党内外に知られてしまった。
茂木氏は、党内外に人間関係を築くことが得意ではない。何か政治判断しても、その実現に向けての利害調整や根回しは自分の仕事ではないと思い込んでいるフシがある。
茂木氏は、4月の衆院長崎3区補選への対応でも、2月13日に長崎県連幹部に「戦う方向で準備してほしい」と要請したが、古賀友一郎参院議員ら岸田派関係者が多い県連は、次の首相候補と目される茂木氏がリードする候補擁立に慎重論が台頭し、人選が進まなかった、と3月12日の長崎新聞電子版が報じている。自民党への逆風が強いこと、仮に当選しても新しい区割りによってこの選挙区がなくなることもあって、県連の方針は現在、敗戦より不戦敗の方が政権への打撃が小さいという首相の意向に沿う結論に向かっている。
自民党は、衆院島根1区補選には元財務官僚を擁立するが、島根県連の動きが鈍く、苦戦を強いられている。衆院東京15区補選では、都連が2月に候補者を公募するとしていたが、小池百合子都知事との連携を優先させる思惑もあって、こちらも不戦敗に傾いている。
3補選とも、党本部と都県連が一丸となって戦う態勢とはほど遠い。首相周辺に補選後の幹事長交代論がくすぶる所以でもある。
「要望に沿った」のは塩谷氏ではないか
衆院政倫審は、首相が完全公開での出席を表明したことで、出席を渋っていた安倍、二階両派幹部5人を引きずり出したが、その発言は「知らぬ存ぜぬ」に終始し、真相解明に至らないどころか、政治不信を強めている。
政倫審では、塩谷氏の無責任な態度が目立った。派閥の政治資金パーティー収入を所属議員に還流(キックバック)する手法で裏金作りが慣行になっていたことについて「慣例のような形で引き継がれてきた」「資金調達が大変な若手や中堅への支援との趣旨だった」と述べ、概略を把握していたことを認めた。
会長として派閥に復帰した安倍晋三元首相が22年4月に「非常に不透明で疑念を生じかねない」と還流の中止を指示したにもかかわらず、安倍氏銃殺事件後の8月に継続された経緯については「(派内に)還付を希望する声が多く、要望に沿って還付が継続されたと理解している」と説明しながら、政治資金収支報告書「不記載」という認識がなかった、とも強弁した。
だが、この「要望に沿った」のは誰だったのか。会長不在時に座長だった塩谷氏がかかわったのではないか、という疑いが残る。なぜ自分に責任はないと言い張れるのか。
透けて見える首相の「政治的孤立」
こうした茂木氏や塩谷氏の「放置プレー」が、首相を「窮地」に陥れ、「サプライズ」につながっているのだが、ここから透けて見えるのは、岸田首相の「政治的孤立」ではないのか。麻生氏がかつて「どす黒いまでの孤独」と表現した首相の心境である。
岸田首相は、戦略の立案や立ち回りができる参謀がおらず、側近の木原誠二幹事長代理と相談するだけで、物事を進めて行く。その判断の基になる情報だけでなく、自分の決断がどういう波紋を呼ぶかという想像力が決定的に不足している。
そこへ派閥解散によって、各派の領袖や幹部との調整ができなくなり、党内世論も集約できないという事態に追い込まれているのではないか。
その首相がこれから直面するのは、安倍、二階両派幹部らの処分問題だ。首相は2月29日の政倫審で、不記載事件に関係した議員について、「再発防止策と並行して事実の確認に努め、関係者の処分など政治責任を党として判断していく」と明言している。
首相は3月9日夜、都内のホテルで麻生氏と会食し、国民の信頼回復のためには、関係者の処分が大前提になるとの認識とともに、党内の反発を招かないよう、手続きを丁寧に進める必要があるとの方針でも一致した。
処分の対象となる不記載議員は83人
党執行部も当初は3月17日の党大会までに党の処分を決定するとしていたが、「手続きを考えると時間的に無理がある」(森山氏)として大会後に先送りされる見通しだ。
党の処分は、党紀委員会で決定する。党の規律を乱すことや党の品位を汚すことがあった場合、幹事長の要請で党紀委員会を招集し、出席委員の3分の2以上の議決で処分を決定する。処分は8段階で、重い順に1除名2離党勧告3党員資格停止4選挙の非公認5国会・政府の役職辞任勧告6党の役職停止7戒告8党則などの順守勧告――となっている。
今回の処分の対象となる不記載議員は83人に上る。安倍派幹部からは「我々は既に国会・政府の役職辞任を果たしている」「岸田派も立件されているのだから、首相も処分対象だ」と牽制する声も上がる。
党紀委員長の衛藤晟一参院議員は11日、政治資金問題に絡んだ党則などの改正案を了承した委員会後、記者団に対し、「誰にどういう責任があるのか明らかになっていない。議題にも上っていない」と述べ、茂木幹事長からの指示を待っていると明かした。議題に上るとなれば、委員長交代の必要もある。22年に二階派から安倍派に転じた衛藤氏にも、過去3年間で80万円の不記載があるからだ。
党員資格停止か選挙非公認どまりか
党の処分は難しいものとなる。その処分内容によっては党内に亀裂が走るリスクを伴うからだ。処分が軽ければ、世論の反発を招く。4月の衆院補選やその後の国政選挙は厳しい結果が出るだろう。重ければ、安倍派や二階派からの反発は必至だ。9月の総裁選に候補を出さない安倍派は「大票田」となるが、総裁再選を期す首相、総裁選出馬に意欲を示す茂木氏が、重い処分に踏み込めるのか。
茂木氏は2月1日のBSフジ番組で、安倍派幹部の処分をめぐって「今までは刑事事件などで立件されるときに離党や離党勧告(処分)をしてきた」と述べ、そこまで切り込まないことを既に示唆している。過去の処分例として、21年1月にコロナの緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブで飲食した松本純元国家公安委員長ら3人が離党勧告を受けているが、茂木氏は「これまでの処分歴を見ると、若干重すぎる」とも語っていた。
党内からは、安倍派幹部の処分の相場観について「党員資格停止」か「選挙の非公認」ではないかとの見方が広がりつつある。
岸田首相は、党内外の世論をどう読み、どう決断するのか、政権の浮沈、総裁選の構図にも直結するだけに、党の処分問題は政局の節目になるだろう。
●金融政策の手法や経済情勢の解釈は日銀に委ねられるべき=官房長官 3/15
林芳正官房長官は15日の閣議後会見で、日銀が来週の金融政策決定会合でマイナス金利を解除する条件は整ったとみているかとの質問に「政府としてコメントは差し控えたい」と語った。ただ「金融政策の具体的な手法や、その背景にある経済金融情勢の経済指標を踏まえた解釈については日銀に委ねられるべきと考えている」と説明。「日銀には引き続き政府と密接に連携を図り、経済物価金融情勢を踏まえつつ賃金上昇を伴う形での物価(目標)の持続的・安定的な実現に向け適切に金融政策運営が行われるということを期待している」と語った。
●三原氏 世耕氏の政倫審答弁に苦言「『知らない』『分からない』じゃなくて!」 3/15
自民党の三原じゅん子参院議員が15日に自身のX(旧ツイッター)を更新し、政治とカネの問題で「清和政策研究会」(安倍派)幹部の参院政治倫理審査会(政倫審)での対応に言及した。
政倫審はこれまで衆参両院で延べ3日間開かれたが、安倍派幹部の説明は「知らなかった」という弁明に終始。同派幹部の世耕弘成前参院幹事長は14日、政倫審でパーティー券販売ノルマ超過額をキックバック(還流)した経緯について「知らない」「分からない」という答弁を繰り返した。
三原氏は「『知らない』『分からない』じゃなくて!」とした上で「幹部という立場にあったのだから自ら真相究明のため必死に汗をかき、その結果を国民に報告、説明を果たし、その上で自ら政治的責任を取るというのが本来の在り方なのではないだろうか」と投稿。安倍派幹部らの対応に疑問を投げかけた。
一方、野党は参院予算委員会でこの日、岸田文雄首相に対し政倫審に出席した安倍派幹部や安倍派の会長を務めた森喜朗元首相の証人喚問を求めた。
これを受けて岸田首相は「来週の政治倫理審査会の弁明も踏まえ、党としてさらなる関係者の聴取を行うかを判断していく。関係者のなかに森氏も入ると認識している」と明言した。
18日の政倫審は審査の申出書を提出した同派会長代理を務めていた下村博文元文科相の弁明が行われる。
●日ロサケ・マス交渉 昨年と同じ2050トンで妥結、4月出漁可能に 3/15
水産庁は14日夜、日本の200カイリ水域内で日本漁船が行うロシア系サケ・マスの漁業について、操業条件などの交渉が妥結したと発表した。日本漁船による漁獲枠は、昨年と同じ計2050トンで決着した。
漁獲枠の内訳は、カラフトマス、ベニザケ、ギンザケ、マスノスケが合計で1550トン、サケ(シロザケ)が500トン。1985年に発効した日ソ漁業協力協定に基づいて設置された「日ロ漁業合同委員会」で11日から交渉が行われていた。
ロシア側へ支払う漁業協力費は1億8千万円から3億13万円の範囲で、漁獲実績に応じて決めることで一致した。協力費の下限額は昨年は2億円だったが、今年は2千万円引き下げられた。
北海道水産林務部は「交渉が早期に妥結したことにより、例年通り4月からの出漁が可能になった」としている。 

 

●「総理になってほしい人」ランキング「意外すぎるトップ5」 3/16
6位は裏金・派閥問題で「だんまり」な人
岸田政権が危機に瀕するなか、早くも「次の総理」の名が取りざたされている。『週刊現代』では自民党だけではなく、野党の党首や民間人を候補に入れたアンケート調査を実施。「総理になってほしい人」のランキングを作成。政治ジャーナリスト・安積明子氏、および政治記者のコメントとともに、結果を見ていこう。
河野太郎・デジタル相は6位となった。
「『改革派』を自称しながら、裏金や派閥の問題ではだんまりを続け、存在感は低下の一途。最近は記者からの注目度も明らかに下がり、張り付く記者も減っている。唯一派閥を維持している麻生派に所属し、麻生さんに頭が上がらないという構図から脱皮しない限り、総裁候補にすらなり得ない」(政治記者)
5位は政界最大の「ジョーカー」と呼ばれる、東京都知事・小池百合子。
現実的には「ハードルは高い」
「6月の知事選の時期に解散総選挙があれば、小池知事が衆院選に出て、一気に自民党総裁になるシナリオもありえる。逆に希望の党と同様に、野党再編の切り札になるかもしれない。現職国会議員にはないカリスマ性があるので、動向に注目が集まる」(政治記者)
一方、安積氏は「ハードルは高い」と見ている。
「小池さんは一攫千金狙いで、地道なことはしません。年齢的にも、国政にも戻るなら総理でないといけないでしょう。ただ、国政の中で彼女を総理候補として担ぐ地盤がない。二階派の跡取りとし名前が出たことはありましたが、はたして武田良太が許すのか。世論的には注目されていますが、総理候補としては乗り越えるハードルがいくつもあります」
4位は上川陽子外相。麻生副総裁の「おばさん」発言でも話題になり、総理候補としてたびたび名前が挙がるようになっている。
「麻生さんが次の総理として目をつけているのは間違いないが、党内で積極的に推す声はあまりない。世間の知名度も低く、年齢も70歳を過ぎている。ちょっと持ち上げられすぎている」(政治記者)という冷静な意見も。安積氏はどう見ているのか。
「実務家としては優秀だと思います。端的に言えば『言われたとおりのことを必ずやれる人』で、法務大臣時代にはオウム死刑囚13人の死刑を執行するという思いきったこともやった。
ただ、自分で派閥を持っているわけでもありませんし、一人では20人の推薦人が集まるか分からない。麻生さんをはじめとした有力者のサポートが必要ですし、トップに立って何ができるかはまったくの未知数ですね」
有力な自民党の総理候補たちを抑え、3位となったが元大阪府知事・橋下徹だった。
問題は「側近がいない」こと
「テレビ出演で知名度が抜群だったので、上位に入ったのでしょう」と安積氏は冷静に分析する。現役の政治家ではない以上、ハードルはかなり高いが、待望論は根強い。
「維新が国政政党として飛躍するには、橋下さんが出てこないと難しい。かねてから『野党で予備選挙をして候補者を一本化し、政権交代を目指すべき』という考えを示しているので、橋下さん自身が野党のリーダーとなれば総理の座が見えてくる。問題は側近といえる議員がいないこと。政局的な動きは仕掛けられないので、神輿に乗っかるしかない」(政治記者)
2位は小泉進次郎。42歳とまだ若いが、期待の声は大きい。
「かつては国会改革などパフォーマンス的な活動が多かったが、最近はライドシェアや犯罪被害者支援など熱心に取り組んできた政策で成果を上げるなど、地に足がついた活動も目立ってきた。自分が自分が、というのがなくなり、閣僚経験者ながら国対副委員長といった裏方を一生懸命やったことから党内の評価も上がっている。自民党がさらなる窮地に陥れば、待望論が浮上してくる可能性も」(政治記者)
「50歳まで総裁選に立ってはならない、という父・純一郎さんの教えを忠実に守っているようにも思えます。自民党は『若い時は雑巾がけをしている』という体質の政党でし、まだ年齢的にも早いでしょう。総裁選に向けての情報発信もしていませんし、ご本人もまだ国を背負う準備をしているようには思えません」(安積氏)
はたして、そんな彼を凌いで1位となったのは、誰なのか。
政策的な知識は党内随一だが…
「次の総理」はいったい誰なのか。『週刊現代』では自民党だけではなく、野党の党首や民間人を候補に入れた「総理になってほしい人」アンケートを実施、結果を紹介してきた。
1位に輝いたのは、石破茂元幹事長。各種世論調査でも石破氏が1位となることが多いが……。
「国民的な知名度が圧倒的で、何度も総裁選に出ていることから総理候補として真っ先に名前が挙がる。政策的な知識は党内随一ですが、政局的な動きが苦手で参謀として動ける側近もいない。党内でも待望論がある一方、麻生さんをはじめ石破氏を毛嫌いする人がいるのがネックです」(政治記者)
政治ジャーナリストの安積明子氏も「なかなか難しい」と指摘する。
「国民的な人気はありますが、総裁選を左右するのは結局、現役国会議員の票です。安倍政権時に、安倍さんに嫌われてしまった影響は大きく、いまだにそれを払拭できるだけの支持は得られていないと思います。ただ自民党の支持率がさらに下がり、野党の支持率も落ちる状況になれば、全国的に人気がある石破さんをトップにして戦おうという動きが出てこないとも限りません」
当の石破氏自身は何を考えているのか、本誌記者は本人を直撃した。
「茂木さんも高いんじゃないの?」
――週刊現代のアンケートで、「総理になってほしい人」1位になりました。
「まあ、知名度だよ。茂木さんもあれだけメディアに出てるんだから、高いんじゃないの?」
――茂木さんは低い順位(16位)でした。
「ああ、そうなの……」
――総理になる準備をしていると公言していますね。
「あくまでも自民党総裁である岸田総理を支えるというのが当然のこと。岸田さんが頑張ってくれれば、自分がやる必要はない。
ただ、いつどうなるかも分からないから準備はしていないといけない。やりたくなくても、やらなきゃいけないことだってある。岸田さんはすごくいい人なんだと思う。だけど、何を考えているかは分からない」
――総理になったら何に取り組むのでしょうか。
「俺にしかできない」こと
「金利引き上げだね。これはもう、ハードランディングするしかない。反発はすごいだろう、アベノミクスの否定になってしまうから。これを言えるのは、(安倍さんと対立していた)俺しかいない」
いったい誰が「次の総理」となるのか。はたしてウルトラCはあるのか。
●「しょっちゅう名前が変わる党と一緒にしないで」自民・麻生氏が強調 3/16
自民党の麻生副総裁は16日、「しょっちゅう名前が変わる政党と一緒にしないでもらおう」と述べるとともに、「堂々と政権政党として頑張っていきたい」と強調した。
自民党は、全国の都道府県連の幹部らが集う「全国幹事長会議」を党本部で開催し、岸田首相や麻生氏ら執行部があいさつした。
この中で麻生氏は、「党本部を持ち、党本部に正式の職員がいて、定期刊行物を出している。そして、党の中に食堂もある」と述べ、「政党はいっぱいあるが、自民党のほかにどこがある?」と問いかけた。
麻生氏は共産党を挙げつつ、それ以外は「言えないだろ?」と指摘し、「きちんとした政党はそんなにない」と述べた。
そして、「きちんとした組織のもとに皆さんはある」として、「しょっちゅうしょっちゅう名前が変わる政党と一緒にしないでもらおう」と“麻生節”を展開した。
一方、自民党が結党した1955年以降、「数々の問題が起きた。それを度々、われわれの先輩は乗り越えてきた」とも強調。
「堂々と政権政党として、引き続き日本の政治の中枢として頑張っていきたい」と述べた。
さらに、岸田政権の成果などを挙げ、「政策を長期的に考えているのは、自民党以外ありえない」として、「正すべきものを正したうえで、政策に自信を持ち、政策の継続性を持って、この国の将来の安定のために頑張っていきたい」と語った。
●NHK世論調査で永田町に激震…!オール野党が大差をつけて「自民を圧倒」 3/16
衝撃の世論調査の結果
最新の共同通信社とNHKの世論調査が岸田文雄政権のみならず永田町関係者に衝撃を与えた――。
先ずは共同通信調査(3月9〜10日実施)で驚くべきは政党支持率である。自民党:前回比7ポイント減の24.5%、公明党:0.5P増の4.1%、立憲民主党:1.1P増の10.1%、日本維新の会:0.5P減の8.9%、共産党:1.1P増の4.7%、国民民主党:0.6P増の3.1%、教育無償化を実現する会:0.1増の 1.5 %、れいわ新選組:0.8P増の4.3%、社民党:0.3P減の0.4%、参政党:0.1P増の0.9%、その他:0.4P減の2.6%。
自民党支持率と、立民、維新、共産、国民、「れいわ」などオール野党の支持率を足した数値を比較する。自民24.5%vs野党36.5%である。これまでの調査では、自民支持率がオール野党支持率を上回ることが常態化していた。ところが、今や一転してオール野党が12Pもの大差をつけて自民を上回ったのだ。
永田町で「選挙の神様」と呼ばれる選挙・政治アドバイザーの久米晃・元自民党本部事務局長は「この間の派閥政治資金疑惑によって自民支持層の“自民離れ”が急速に進み、支持率の大幅下落を招き、今や岸田政権は深刻な事態に直面している」と語る。
それだけではない。次はNHK調査(8〜10日実施)の政党支持率で自民党支持と無党派(支持なし)を比較する。自民党支持率28.6%、無党派42.4%。
2012年12月の第2次安倍晋三政権発足後、自民党支持率が20%台に落ち込んだのは、岸田政権の最近の2回(23年12月と今月)だけである。これは、自民党減少分が野党に回ったということではなく、全体に占める無党派の割合が増えて昨年12月から4カ月連続で40%台を占めている。
自民党に対する国民不信の高まりはもちろん、岸田政権の支持率低迷にも連動する。共同通信調査では今年1月からの内閣支持率(%)は27.3→24.5→20.1と下落が続き、不支持率が57.5→58.9→64.4と上昇している。
如何せんスピード感がない
このように政権・与党にとって厳しい逆風にさらされる中で、岸田首相はこれまでに危機打開のためカードを2枚切っている。1枚目は1月18日の「岸田派解散」声明。これがトリガーとなって麻生派と茂木派を除く各派閥・グループは解散を余儀なくされた。と同時に、麻生太郎副総裁との間に隙間風が吹き、茂木敏充幹事長とは修復不能な関係にあるとされる。いわゆる「三頭政治」が瓦解したのだ。
2枚目のカードが、2月29日の現職首相として憲政史上初めて衆院政治倫理審査会に出席したことだ。改めて指摘するまでもないが、岸田氏の政倫審での発言・説明は、派閥パーティー券収入の政治資金収支報告書への不記載=裏金化の真相究明に程遠いものであった。事実、この首相対応について共同通信調査は「評価する」が37.1%、「評価しない」は54.0%だった。
相次ぐ打開策が奏功したとは言いがたい。岸田氏からすれば「派閥解散」と「政倫審出席」のいずれも過去に例がない政治決断をしたと言い募りたいところだろう。だが、如何せんスピード感がないのだ。追い詰められて下した決断との印象は否めない。
折しも2月16日〜3月15日まで確定申告が行われている。一般の納税者は収入を自己申告して所得税を払い、申告漏れがあれば追徴金を払う。だが、「政治活動費は課税されない」という現行法に不満を抱く納税者が噴出するのも、国民の怒りを買った「裏金の使途不明」からすれば至極当然なことだ。
そうした中で、岸田氏はいま3枚目のカードを切る準備をしているとされる。それは、4月の首相訪米(9〜14日)前の自民党執行部人事説である。具体的には茂木幹事長の去就だ。首相の幹事長不信は強まる一方で、当の茂木氏は岸田氏を見限ったとされる。
幹事長交代があるとすれば、後任の最有力候補は下馬評にある森山裕総務会長(無派閥)ではなく野田聖子元自民党幹事長代行(同)である。岸田氏とは93年7月総選挙初当選の同期であり、今や「無派閥という派閥」の中核である菅義偉前首相、そして浜田靖一党国対委員長(同)とも良好な関係である。
現状では9月の総裁選までの衆院解散・総選挙の可能性は遠のいたとの見方が支配的になりつつある。だが、岸田氏は6月末の通常国会会期末に乾坤一擲の解散に踏み切る際の「新生自民党」の顔として野田氏を想定しているというのだ。如何なものだろうか。
●公明が岸田政権に見切り? 野党転落がトラウマに 3/16
公明党幹部が衆院の解散時期について、注文する発言を続けている。キーワードは「信頼回復後」。内閣支持率が低迷するままでは、岸田文雄首相による解散は認めない、とのメッセージに等しい。政界では「公明党は岸田政権を見限りつつある」(自民ベテラン)との声も漏れ始めた。
2トップが解散で注文
公明党の石井啓一幹事長は10日放送のBSテレ東の番組で、9月の自民党総裁選後に内閣支持率が上昇する可能性に触れた上で、解散について「その後の秋が一番可能性が高い」との見方を明らかにした。同時に、6月の今国会会期末の解散に関しては「可能性はゼロではない」としつつ、「支持率が向上していく流れができるかどうかだ」と指摘した。
山口那津男代表も12日、記者団に「信頼を取り戻す流れを作り出さない限り解散すべきでない」と強調するなど、支持率の回復が解散の前提との発言を繰り返している。
総裁選後に内閣支持率が大きく上昇するのは、総裁が交代し、新内閣が発足した時がほとんど。いわゆる、新首相への「ご祝儀」や、刷新感が有権者に広がるからとみられ、森喜朗内閣から小泉純一郎内閣、菅義偉内閣から岸田内閣への交代が象徴している。
これを踏まえれば、石井氏の「総裁選後」との発言は、新首相の下での解散を前提にしていると言っていい。自民党の有力議員は、石井氏の発言について「岸田首相の退陣論に等しい」と指摘する。
解散は首相の専権事項だけに、公明党の2トップが時期や条件に言及するのは、近年では極めて異例。支持母体の創価学会も含め、次期衆院選への危機感の表れと言える。そして、支持率の回復を解散容認の条件とするのは、麻生太郎政権下の2009年衆院選のトラウマがあるからだ。
時事通信の世論調査で、麻生内閣の支持率は2割を大幅に下回っており、連立を組む公明党も逆風にさらされた。その結果、候補者を立てた8小選挙区で全員落選する惨敗を喫し、自民党とともに野党に転落。この経験から、内閣に対する有権者の支持が低下した状態で選挙となれば、公明党も苦戦は免れないというのが、党や学会幹部の共通認識となっている。
「弔い合戦」勝利が至上命令
また、党や学会にとって、次期衆院選は、これまで以上に負けられない事情もある。昨年11月に死去した池田大作名誉会長の「弔い合戦」になるからだ。
公明党議員のほぼ全員が創価学会員。学会においては、池田氏ら3代会長が「師匠」で、幹部も含め全員が「弟子」の関係にある。次期衆院選は、「師匠」不在で臨む初の大型選挙となる。
公明党を創設し、政界進出を決断したのは外ならぬ池田氏。国政選、地方選に関係なく、選挙となれば、女性部員を中心に、会員が公明党候補の支援に熱心に取り組むのは、「師匠」の教えからだ。次期衆院選で議席や得票を伸ばせば、「師匠」への報恩となり、会員の士気は高まる。
逆に、議席や得票が減れば、会員の士気は低下しかねない。会員の負担を考慮し、衆院小選挙区からの撤退や衆院選自体からの撤退など、学会内で政治とのかかわりを見直す動きも出てくるかもしれない。
新首相で秋がベスト
衆院議員の任期満了は25年10月末。解散の時期として想定されるのは1今国会会期末の6月2自民総裁選後の秋の臨時国会3次期通常国会冒頭の来年1月425年度予算成立後の来年4月5次期通常国会会期末の来夏以降―の五つ。このうち、3は予算の成立が遅れることから可能性は低そう。
また、4と5は、来年6〜7月に参院選や東京都議選があり、絶対に避けたいのが党や学会幹部の本音。三つの重要な選挙が近接することになり、会員の負担が増し、集票活動が鈍りかねないからだ。来年4月以降の解散について、党幹部は「反対はしない。小選挙区の自民党候補の支援まで手が回らないだけだ」と冷ややかに語る。
一方、1は、09年衆院選の教訓から現状では容認しがたい。結局、最も望ましい時期は、「ポスト岸田」による2と言える。
時事通信社の3月世論調査で(8〜11日に実施)、内閣支持率は18.0%、不支持率は57.4%。9月の自民総裁選は、次期衆院選の「顔選び」となり、自民党内では、不人気の岸田首相が再選される可能性は「低い」(閣僚経験者)との見方が支配的だ。
こうした事情から、岸田首相は今国会の会期末に解散、与党で過半数を確保し、「国民の信任」をバックに、総裁選を乗り切る戦略を描いているとされる。山口、石井両氏の発言は、首相の再選戦略を警戒し、「現状では認めない」とクギを刺したものだ。
森、福田政権に引導
公明党が自民党と連立を組んだのは、1999年10月。以降の連立の歴史を振り返ると、公明党が選挙を優先し、時の政権を退陣に追い込んだことが2回ある。森喜朗政権と福田康夫政権だ。
00年4月に発足した森内閣は、森氏の不用意な発言や重大事故での対応などが批判を浴び、支持率が一けた台にまで低下。国政選挙並みに重視する東京都議選やこれに続く参院選を控え、危機感を募らせた公明党の神崎武法代表(当時)は、野党が内閣不信任決議案を提出した場合、「必ずしも反対しない」と同調を示唆するなど、退陣を求めた。自民党内でも退陣論が広がり、森氏は01年4月に辞任した。
また、07年9月に発足した福田内閣は、参院で与党が過半数割れする「ねじれ国会」の下、民主党など野党の攻勢にさらされ、支持率が続落。一方、公明党は都議選を09年夏に控え、新首相の下での早期解散を念頭に、重要政策や国会運営で独自の主張を強め、政権に圧力をかけた。追い込まれた福田氏は政権維持を断念、08年9月に退陣した。
そもそも、福田氏は小泉政権で官房長官を務め、公明党内の調整がつくまで特措法に基づくイラクへの自衛隊派遣を待つなど、同党に最も配慮してきた実力者だ。にもかかわらず、公明党は、衆院選や都議選の勝利を優先、退陣に追い込んだのが実態だ。組織防衛のためには、首相交代もいとわない非情な一面がある党と言える。
もっとも、後継の麻生太郎首相はリーマン・ショックへの対応を優先、就任直後の解散を見送った。その後、支持率が低下し続け、解散のタイミングを失し、事実上の任期満了選挙に追い込まれ、民主党に政権を奪われた。公明党は都議選で全員当選を果たしたものの、直後の衆院選で惨敗。福田退陣時の想定とは異なり、皮肉な結果となった。
自民党内で「公明党が岸田政権を見限りつつある」との声が漏れるのは、森、福田両内閣の退陣劇を意識してのこと。もし、岸田首相が内閣支持率が上向かないまま、解散に踏み切ろうとすれば、さまざまな手を使い、阻止に動くだろう。
内閣不信任案が焦点
もちろん、岸田首相は、連立の歴史や公明党の事情を知らないはずがない。中小も含め高水準の賃上げが実現すれば「政権の実績」としてアピール。4月の訪米や自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法の改正などを通じ、支持率の回復に全力を挙げ、解散の環境整備に努めるのは確実。
同時に、支持率が低迷したままでも、公明党の反対を押しのける「解散の大義」を探すだろう。そこで注目されるのが、野党の動きだ。
立憲民主党が会期末に内閣不信任決議案を提出すれば、国民に信を問う理由、「解散の大義」になり得る。自民党幹部は「不信任案が出てくれば、首相は受けて立つかもしれない」と指摘する。
一方、立民など野党各党は、不人気な岸田首相の下で衆院選を戦いたいのが本音。解散を誘発する不信任案を提出する可能性が極めて高い。自民党内では会期末に向け、「岸田降ろし」が起きるだろう。今国会の最終盤では解散をめぐり、岸田首相、自民党、公明党、野党の間でぎりぎりの駆け引きが展開されるに違いない。
●岸田政権の政策振り返り、消えた「所得倍増」、いつしか「資産倍増」に転換 3/16
期待された「所得倍増」は説明もないまま「資産倍増」に
岸田内閣を振り返る際に難しいのが、「国民感情を逆なですることが多い」「発言をすぐに覆す」「外圧に弱い」など、国益・国民を考えた政策とは言い難いという声が多いことである。ここでは、ネットの声も参考にながら冷静に考えたいと思う。
まず、今回は当初に表明した「所得倍増」について取り上げる。「所得倍増」という言葉を聞いたとき、「岸田にすればやるじゃないか」と期待と希望を抱いた国民も多かった。
しかし、その言葉はいつしか、説明もないまま「資産倍増」に置き換えられた。「所得」と「資産」では意味が大きく違う。簡単に言えば、所得は給与の手取り額、資産は金銭・土地・家屋の保有になる。
当然のことながら、資産倍増となれば「持っている資産」が対象となる。投資余力のある富裕層には大きな恩恵があるが、現在、資産がない方々は切り捨てられたことになり、格差がより一層広がることに繋がりやすい。
資産所得倍増プランの「iDeCo」と「NISA」
こうした問題もある中、資産所得倍増プランが示され、iDeCo(個人型確定拠出年金)や2024年1月1日からは新NISA(少額投資非課税制度)が開始された。これは国民が投資することで、企業の成長に間接的に参加し、賃金以外の収入を得られるようにすることを狙いとしている。
また、資産所得倍増プランには「家計に眠る現預金を投資につなげる」ことが明記されているが、一部では、日本国民の最後の砦である「1100兆円超といわれる現預金」の海外流出が目的との指摘もある。
そういった目的があるかどうかは分からないが、外圧に弱く、世界のキャッシュディスペンサーと化している日本の現状を考えれば、不安に思う方がいてもおかしくはないだろう。
いずれにせよ、こうした投資で大切なのは「元本保証がなく、ゼロになるリスクがある」ということを再認識し、余剰資金で運営することである。株式投資の王道が長期保有であり、その企業を自分で見極めるということを考えれば、目先に惑わされず、慎重さを失わないようにすることが求められるだろう。
●岸田文雄首相「命懸けで党再生」 自民全国幹事長会議、不記載事件で謝罪 3/16
岸田文雄首相(自民党総裁)は16日、党都道府県連の幹部を集めた全国幹事長会議で、派閥のパーティー収入不記載事件について謝罪し「党本部は命懸けで党再生に努力していく」と協力を呼びかけた。「政治の信頼なくして政策を進めることはできない」として、信頼回復に最優先で取り組む姿勢も示した。
党改革に関しては「政治責任のけじめや、政治資金規正法改正などの議論に臨む」と説明し、4月の衆院3補欠選挙に触れ「日本の政治を左右する課題に立ち向かっていく」と訴えた。
党青年局と女性局の全国会議では、両局とも国民から厳しい目を向けられているとして「緊張感を持って取り組んでほしい」と要請した。和歌山県連主催のダンサー会合や、女性局がフランス研修中にエッフェル塔前でポーズを取った写真が批判を浴びたことが念頭にある。
●裏金事件で「大きな政治不信、おわび」 岸田首相、全国幹事長会議で 3/16
自民党総裁の岸田文雄首相は16日、党本部で開かれた全国幹事長会議に出席し、派閥による裏金事件について「政治資金の問題をめぐって国民に大きな政治不信を引き起こしている。心からおわびする」と謝罪した。
さらに「今回の件の政治責任、けじめの問題、あるいは法改正を伴う再発防止、政治資金規正法の改正の議論にも臨んでいかなければならない。大事なときだからこそ、自民党がやらなければならない。そのためには自民党が変わらなければならない」と強調。その上で、4月16日告示、28日投開票される衆院3補選に触れ、「こうした選挙にも立ち向かっていかなければならない。政策や選挙、日本の政治を左右する課題に立ち向かっていかなければならない」と語った。
首相はこれに先立ち「青年部・青年局、女性局全国大会」にも出席。党青年局の近畿ブロックが開いた過激ダンス懇親会や、フランスのエッフェル塔前で撮影した写真をSNS上に投稿して批判を受けた女性局の研修を念頭に「青年局、女性局ともに国民から厳しい目を向けられる事案にも、直面している。この大事な時だからこそ、引き続き緊張感をもってそれぞれの取り組みを進めて頂きたい」と訴えた。
この会議では過激ダンス懇親会に参加して党青年局長を引責辞任した藤原崇衆院議員に代わって就任した鈴木貴子衆院議員もあいさつに立ち、「全国のみなさんに、必死な思いで自民党をお支え頂いている。政治不信の回復に努めている最中に、懇親会の事案で大変なご迷惑をおかけしている。皆さんのその思いを裏切っていることに、心からおわびしたい」と語った。
金子恭之・党組織運動本部長は「日頃から地域に根ざし、自民党を力強くお支えいただいている都道府県連、党員の思いを踏みにじる行為。青年局に愛着、思い入れと誇りをいだく歴代青年局長の一人として、とても情けなく、悲しく、様々な感情が交錯している」と吐露。「一部の不適切な活動によって、青年局や女性局の累々と積み上げてきた信頼と実績が失墜したり、全国の青年部、青年局、女性局が声を上げることを萎縮したりするようなことがあってはならないと強く危惧している」と語った。 
●裏金 地方から責任求める声 3/16
自民党は17日の党大会に先立ち、地方組織の幹部らが集まる会議を開きました。会議では裏金事件に関わった議員に政治責任を取らせるよう求める声が相次ぎました。
会議の冒頭、岸田総理は派閥の裏金事件や不適切な懇親会など自民党で不祥事が相次いでいることについて、「大きな政治不信を引き起こし、心からお詫び申し上げる」と陳謝した上で、「党の再生に努力していきたい」と決意を表明しました。
自民党島根県連 絲原徳康 幹事長「処分を含めて『ある程度早急にけじめをつけていただきたい』という意見が大勢でした」
会議では「党として政治責任を早くとらせるべき」との意見が相次いだということです。
こうした声を受け、岸田総理は自身が本部長を務める党の政治刷新本部として全国で車座対話を開催する方針を表明しました。
総裁や幹事長ら執行部が全国行脚をして地方組織から意見を聞くとのことで、17日の党大会でもこうした方針を発表する見通しです。
●裏金 安倍派幹部そろって喚問を─森元首相も調査対象 3/16
「真実を明らかにする責任は自民党総裁である総理にある」―。日本共産党の小池晃書記局長は15日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の真相解明を進める姿勢を全く示さない岸田文雄首相を厳しく批判し、清和政策研究会(安倍派)幹部の証人喚問を求めました。岸田首相は森喜朗元首相が調査の対象に入ると認めました。
安倍派は、参院選の年に改選議員にパーティー券の販売ノルマを設けず集めた収入を全額キックバック(還流)し、裏金が選挙買収などに使われた疑惑があります。小池氏は、岸田首相が5日の参院予算委で日本共産党の田村智子委員長の追及に対し、「党としても実態把握に向けてさらなる取り組みを進めていきたい」と答弁していると指摘。「あれから10日がたった。何をしたのか」とただしました。
岸田首相は「来週は衆議院の政倫審の弁明も予定される」と答弁。小池氏は「政倫審は別問題だ。党として調査をやると言ったのにやってない。国会での答弁は口から出まかせか」と批判しました。
裏金づくりが始まった経緯の鍵を握るのは森元首相(清和会元会長)です。小池氏は、岸田首相が自民党の聞き取り調査(2月15日)で森氏の関与を指摘する証言がないことを理由に森氏への聞き取りを拒んでいると指摘。「一方で、総理は聞き取り調査だけでは万全ではないと言っている。ならば総理が自民党総裁として、森氏に国会への出席を促すべきではないか」と迫りました。
岸田首相は「関係者のさらなる聴取を行うか判断する」と答弁。小池氏に「関係者の中に森氏も含まれるか」と迫られ、「森元総理も入る」と明言しました。
小池氏は、世論調査では自民党派閥幹部が「説明責任を果たしていない」との回答が9割に上っていると指摘。「説明責任は果たされていないということだな」と迫ると、岸田首相は「おっしゃる通りだ」と認めました。
小池氏は「真相の全面解明がされなければ、再発防止の対策も立てられない。徹底解明のための国会の役割を果たし、企業・団体献金の全面禁止を求める」と訴えました。
●“裏金問題”で地元県連「きちんとけじめを」 岸田首相「もちろんです」 党大会前夜に会食 3/16
岸田首相は16日夜、地元・広島の県連関係者らと東京都内で会食し、政治資金問題に関係した議員を巡り、県連側から「けじめをつけてほしい」と求められた。
岸田首相は、自民党の都道府県連の幹部らが集まった「全国幹事長会議」に出席したあと、東京・千代田区の中華料理店で、広島県連会長の平口洋衆院議員、県議会の中本隆議長らと、約2時間にわたり意見を交わした。
この中で、派閥の政治資金問題について、中本議長が地元の意見として、「きちんとけじめをつけてほしい」と岸田首相に直接、伝えた。
岸田首相は「もちろんです」と応じたという。
中本議長は記者団の取材に対し、「広島が河井(夫妻の公選法違反)事件のあと、やっと前を向いて歩き始めた時に、またこれ(政治とカネの問題)なので、早く解決してほしい」と述べた。
「けじめ」については、「道義的責任を踏まえ、全て自分でとるべき道は自分で決めてもらってくれということだ」と説明した。
自民党は17日に2024年の党大会を開催し、岸田首相の演説などが行われる予定。
●「地方に説明する姿勢がない」自民神奈川県連・梅沢幹事長、裏金で苦言 3/16
16日の自民党全国幹事長会議に出席した神奈川県連の梅沢裕之幹事長は、派閥の裏金問題を巡って執行部に対し、関係者の責任を速やかに明確化するよう求めるとともに、地方組織への説明が不十分かつ遅いとの意見をぶつけたと明らかにした。
会議後、神奈川新聞社の取材に応じた梅沢氏は「刑事処分とは別に、党の自浄作用が問われている。責任の所在を明らかにするのが第一歩だが、現状はそこにも至っていない」と指摘。一連の問題発覚から各地方組織の要である幹事長を招集した会議はこの日が初めてで、「地方組織が大事と言いながら、進んで説明したり、意見を求めたりする姿勢が見えない。地方組織が持つ危機感を共有するよう、党本部に求めた」と語気を強めた。
執行部は党再生への決意を示したが、梅沢氏は「国民の信頼回復は容易でない。具体的な行動が何より重要だ」と述べた。
●裏金問題めぐり…「早くけじめを」 自民党内から処分を求める声相次ぐ 3/16
自民党は17日の党大会を前に地方議員との会議を開き、出席者からは裏金問題を巡る関係議員の処分を速やかに行うべきだとの指摘が相次ぎました。
自民党島根県連 絲原徳康幹事長「処分を含めて、ある程度早急にけじめをつけていただきたいという意見が大勢でした」
岸田総理大臣は派閥の裏金問題について陳謝したうえで、「命懸けで党再生に努力していきたい」と強調しました。
また、党幹部らが全国を回り、対話集会を行う考えも示しました。
出席者からは「早くけじめをつけてほしい」「しっかりやらないと大変なことになる」といった意見が出たということです。
●自民、「けじめ」果たせず17日に党大会 「処分が先だ」地方議員から不満噴出 3/16
自民党は17日に党大会を開き、岸田文雄首相(自民総裁)は、派閥パーティー収入不記載事件で失った信頼の回復に向けた取り組みを強調する。ただ、不記載が発覚した議員に対する処分は進んでいない。党大会までに「けじめ」(首相)をつけることはかなわず、16日の党会合では地方議員から不満が噴出した。4月28日投開票の衆院3補欠選挙などの難題が待ち構えているが、反転攻勢は容易ではない。
16日の全国幹事長会議には、47都道府県連の幹部を務める地方議員が参集した。首相はあいさつの冒頭で「皆さまには各地域で国民の厳しい声を受け止めていただいている。心からおわびを申しあげる」と陳謝。今後の処分や、政治資金の透明性を高める法整備に言及した上で「党本部も命がけで党再生に努力したい」と強調した。
しかし、訴えは響かなかったようだ。出席者によると、発言の大半が処分を求める内容だった。
「『生まれ変わる』などきれいな言葉を並べても、誰もけじめをつけていない」
「党則改正もよいが、処分がまず先だ」
島根県連の絲原徳康幹事長(県議)は記者団に「早急にけじめをつけてほしいという意見が大勢だった」と説明し、4月の島根1区補選は「党全体の逆風もあり、かなり厳しい」と語った。
6月に県議選を控える沖縄県連の島袋大幹事長(県議)は「本店が道筋を作らないと支店は持たない」と主張した。
処分を済ませた上で党大会で「党再生」のスタートを切るというのが当初の自民執行部の考えだった。2月15日には処分の前提となる関係議員への聞き取り調査の結果がまとまった。
だが首相が同日、処分について記者団に「今回の調査や今後の説明責任の果たし方を踏まえて判断する」と語ったことで、安倍派幹部らが弁明する衆参の政治倫理審査会が終わるまで処分の手続きを進められない。
処分決定は4月との見通しが強まっている。告発された安倍派幹部らは東京地検が捜査の末「嫌疑なし」で不起訴とした。政権内では最も重い除名や離党勧告は「筋が通らない」(党幹部)との見方が大勢だ。地方議員や党員が「甘い」と不満を抱える懸念がある。
●日本は自浄能力を失った自民党に失望している場合ではない 3/16
自民党に新たなパーティ問題が持ち上がっている。
そもそも今年の政局は自民党派閥の政治資金パーティ裏金問題をめぐり、年初から大紛糾を続けている。その最中に、今度は自民党和歌山県連が主催するパーティに過激な衣装を身にまとったダンサーを呼び、口移しでチップを渡すシーンの写真などが流出して、あらためて炎上している。このパーティが開かれた昨年11月18日は、東京地検特捜部が政治資金裏金問題をめぐり、会計責任者に事情聴取を開始した日だった。しかし、自民党内ではこの捜査に戦々恐々とするどころか、どこ吹く風とでも言わんばかりにこんなセクシーパーティが開かれていたのだ。危機感はおろか、政治家としての最低限の常識や倫理観が問われる事態となっている。
そもそもこのパーティの費用がどこから支払われたか。自民党の梶山弘志幹事長代行は8日の記者会見で「公費が出ていないことだけは確認できている」と発言しているが、そもそもおカネに色は付いていないし、自民党は政党交付金として160億円の税金が投入されている公党だ。もし本当に公費が使われていなかったとなると、全額会費で賄われたのでなければ、裏金から捻出したのではないかという疑念も浮上する。
前回のポリティコでも議論してきたが、政治資金規正法には大穴が空いている。しかも、現行の政治資金収支報告書の公開制度では、公開データがすべてデータ化されていないPDF形式のため、検索やソートができず、何十万ページあるのか何百万ページあるのかもわからない膨大な量の収支報告書を厳しくチェックすることは物理的、時間的に不可能だ。
その一方で、自民党は総裁選でも未だに票集めのために実弾(現金)が飛び交うとされるし、選挙の際に票集めに動いてくれる地方議員への資金提供のためにも、裏金はいくらあっても足りない。
だから政治資金規正法の明らかな欠陥を正しつつ、誰もが簡単に政治家やその政治団体の資金状況や大口の寄付者が調べられるように収支報告書をデータ化する一方で、金がモノを言う前時代的な総裁選や選挙運動の仕組みを変えない限り、政治と金の問題はこれからも繰り返されることは必至だ。
自民党は4月の衆院補欠選挙の前に、裏金問題の議員に対する党内処分を行うことを決めたが、党規約で定める1〜8段階の処分のうち一番厳しい除名を決断できるかどうかが、自民党の本気度を推し量るバロメーターになるだろう。これだけ不祥事を拡大させておきながら、除名もできないとすれば、もはや自民党は完全に自浄能力を失った烏合の衆と断じざるを得ない。
今回の裏金問題と、それを受けた自民党の目も当てられないようなお粗末な対応は、自民党政治が実は未だに金権政治でしかなく、そのような政党には決して政権を担う資格も能力もないことを露呈させた。当然、自民党や岸田政権の支持率は低下し続けているが、その一方で、反自民の受け皿とならなければならない野党の支持率は必ずしも上がっていない。自民もダメだが野党にも期待できないというのが、今のところの多くの有権者の思いだろう。
しかし、もし自民がダメだというのなら、われわれは野党を育てていかなくてはならない。結局のところ、自民党をここまで堕落させたのは、野党が政治に緊張感をもたらすことができなかったからであり、それはイコール有権者が野党を育てる努力を怠ってきたからだ。
与野党が拮抗する緊張感のある政治を再興させない限り、30年間停滞し続けている日本の復活は期待できない。国際情勢が大きく激動する中で、日本は金権政治スキャンダルなどでのたうちまわっている場合ではない。
政治ジャーナリストの角谷浩一とジャーナリストの神保哲生が「自民党もダメだが野党もダメだ論」をぶった切った。
●「大変なことになる」自民党の裏金問題で各地の地方組織から悲鳴 「けじめ」を求められた執行部は… 3/16
派閥の政治資金パーティー裏金事件に揺れる自民党は16日、都道府県連の幹事長が集まる全国幹事長会議を党本部で開いた。冒頭を除いて非公開だったが、出席者によると、各都道府県連による質疑では、問題が指摘されている国会議員の処分などの「けじめ」を急ぐよう求める発言が相次いだ。
「本店がしっかりしないと支店はもたない」
「党全体の逆風もあり、かなり厳しい選挙であるということは承知している」
4月に行われる衆院3補選の一つ、島根1区補選を控えている島根県連の絲原徳康(いとはら・とくやす)幹事長は、会議後の報道陣の取材に硬い表情で語った。絲原氏自身にも有権者から直接、自民党に対する厳しい声が届いているという。
「地元で一生懸命頑張るが、やはり今の政治とカネの問題、ある程度(党本部で)結論を出してほしい」と訴えた。
6月に県議選がある沖縄県連の島袋大(だい)幹事長は「(自民党が)過半数を取るためには、お金の問題も含めて、しっかりと問いたださないと大変なことになるということは指摘させてもらった」と説明した。執行部には「地方(の県連)は会社で言えば支店みたいなもの。本店がしっかりとした道筋をつけないと、われわれ支店ももたない」と注文をつけた。
岸田文雄首相(党総裁)ら執行部からは「地方の声をしっかりくみ取りたい」といった回答があったという。
森元首相の地元・石川「まずは震災復興を」
安倍派の裏金づくりが始まったと指摘される時期に派閥会長を務めていた森喜朗元首相のお膝元、石川県連の和田内幸三幹事長は、能登半島地震の被災地復興を要望した。
和田内氏は本紙の取材に「政治とカネの問題はあるけれども、今は政治の力で被災された方に将来的な展望を与えてやることも大事だ。両方を追うよりも、まずは復興をいっそう力強くやってほしいという思いを述べさせていただいた」と話した。
森元首相本人による説明を求める声が、野党だけでなく自民党内からも挙がっていることについては、「このことでいつまで経っても収拾がつかないとすれば、国家にとっても国民にとっても不幸なこと。早く収拾できるような形でやることも大事なのかなという思いだ」と語った。
岸田首相は会議の冒頭あいさつで、「幹事長の皆さま方には、各地域で国民の厳しい声を受けとめていただき、心からお詫びを申しあげる」と謝罪。「政治は国民のもの。この原点をしっかり振り返りながら、日本のために努力していきたい」と語った。
自民党は17日に党大会を開き、党則などの改正を正式に決定する。政治資金規正法違反で政治団体の会計責任者が立件された場合に議員本人にも処分を科せると明記する。
ダンサー問題で鈴木貴子青年局長が「心からお詫び」
この日は、党青年部・青年局と女性局の合同全国大会も党本部であった。
青年局を巡っては、和歌山県連が昨年11月に主催した会合に露出の多い衣装の女性ダンサーを招いていた問題を受け、出席していた藤原崇局長と中曽根康隆局長代理が辞任する事態に発展している。
12日付で藤原氏の後任に就いた鈴木貴子局長は「政治不信の回復に努めていただいている最中に、一連の事案で大変なご迷惑をおかけしていること、皆さんの思いを裏切っていることに、心からお詫び申し上げる」と陳謝した。
藤井一博局長代理が「青年局への期待を大きく裏切ることになってしまった。いま一度、政権を担う公党としての自覚と責任感を持ち、自らを律していかなければならない」などとする2024年の活動方針案を読み上げ、了承された。
●炎上中の世耕弘成議員“裏金&チップ口移し”だけじゃない問題言動の数々 裁判所からの遺憾表明や人権制限に関する提案も 3/16
裏金問題と秘書の口移しチップ事件≠ナ、自民党安倍派・世耕弘成参議院議員が炎上している。しかし、過去の言動を顧みるに、炎上は当然だったのかもしれない。
現在、世耕議員は5年間で1542万円の裏金疑惑に加え、地元支援者のブログにより、有権者にクッキーを贈っていた公職選挙法違反疑惑が発覚した。
1月19日には、裏金問題に関する会見で「秘書に任せきりにしていた」などと責任転嫁に終始した。
この時点で、すでに苦しい展開だが、なんと自民党が野党だった2010年2月、世耕議員は当時与党だった民主党・小沢一郎幹事長の資金問題を批判している。
ツイッター(現X)に《会計システムまで構築し、収支報告時には、貴重な限られた時間を犠牲にして、担当秘書にひとつひとつ質問しながらじっくりと確認した上で書類を提出していることが、むなしくなってきます》などと綴っていたのだ。
14年越しのブーメランを果たした世耕弘成議員
同時期には《証人喚問は当然》とも投稿していたが、自身は証人喚問より強制力の低い政治倫理審査会(政倫審)へ3月14日に出席し、14年越しのブーメラン≠果たす。
しかし、ここでの釈明は火に油を注ぐこととなる。世耕議員は「派閥で不記載が行われていることを一切知りませんでした」「どうしても領収書を発見することができなかった」といった発言を連発した。
キックバックの慣行をいつ知ったのかという質問にも「それが、ですから、なかなか、はっきり記憶が…」と答え、連立相手の公明党・竹谷とし子議員すら「正直申し上げてひどい」と苦言を呈する有様だった。
だが不思議なことに、これだけ曖昧ながら、使途については「裏金的支出は一切確認されていない」と断言。裏金を所得扱いして所得税を納税すべきとの指摘にも、「雑所得に当たらない」「きちっと政治活動で全て使い切っている」と言い切るのだった。
また世耕議員は、裏金問題に並んで炎上している口移しチップ≠ノも遠からず関与している。
これは昨年11月、自民党・和歌山県連がホテルで懇親会を開いた際、下着同然のダンサーを呼び、尻を触る、チップを口移しで渡すなどした案件だ。
何を隠そう、この口移しした男性たちは世耕議員の前秘書と現秘書であり、14日の政倫審でも、世耕議員自ら秘書が参加していたことを認めた。
批判ツイートを訴えるも…逆に裁判所から遺憾表明
こうした流れもあり、炎上中の世耕議員だが、これまでにも問題発言を繰り返している。むしろ、炎上するのが遅すぎたくらいだろう。
2019年末の『報道ステーション』(テレビ朝日系)をめぐる一件は、これを象徴する出来事であった。
当時番組は、桜を見る会の不正疑惑の際、記者から「(年内の定例会見は)いつまでやるんですか?」と聞かれた世耕議員が「えっ?」「もう『良いお年を』というか…」と発言したシーンを放送した。
すると、世耕議員は自身のSNSで《印象操作とはこのことだ》《あまりに酷い》などと激怒。当該シーンの動画を公開し、翌日には《テレビ朝日報道局長が幹事長室に来訪し、謝罪がありました》と報告。同日の放送で、富川悠太アナウンサーが謝罪した。
また2022年には《(旧統一教会と関係の深い)原理研究会出身だそうですね》とSNSに投稿した青山学院大学・中野昌宏教授に「会員だったことはなく、虚偽のツイートで名誉を傷つけられた」と提訴した。
しかし、東京地裁は「公人の政治的姿勢・言動等に関しては、国民の自由な論評・批判が十分に保障されなければならない」と指摘し、和解が成立した。
それどころか、地裁は「事前の削除要請・交渉もなく、訴訟を提起するという方法をとったことについて、公人に対する言論を萎縮させるおそれがあるものと被告に受け止められ、反訴が提起されるに至ったことは、裁判所ならびに原告および被告にとって遺憾」と、削除要請もなく訴えたことに苦言すら呈したのだ。
「一定の権利の制限があって仕方がないと考える」
だが国民の自由な論評・批判≠十分に保障≠オなかったのも無理はないのかもしれない。世耕議員は権利≠フ制限を提案したことがあるからだ。
世耕議員は『週刊東洋経済』2012年7月7日号で、生活保護の給付水準下げに関して熱弁。《生活保護法改正案で前面に出したいのは、自立支援策だ》と前置きし、《具体的には、保護期間に自立後の基金を作る「凍結貯蓄」の仕組みなどを導入することで、働いたほうが得だという明確な方向を打ち出したい》と提案する。
しかしその後《見直しに反対する人の根底にある考え方は、フルスペックの人権をすべて認めてほしいというものだ》《つまり生活保護を受給していても、パチンコをやったり、お酒を頻繁に飲みに行くことは個人の自由だという》《しかしわれわれは、税金で全額生活を見てもらっている以上、憲法上の権利は保障したうえで、一定の権利の制限があって仕方がないと考える》との見解を示した。
当然、権利とは人が生まれながらにして保有しているもので、国家が自由に制限できるものではない。これは、基本的人権を定めた日本国憲法に反する概念などころか、2023年10月時点で173か国が締約する国際人権規約にも反している。
こうした言動を見るに、炎上するのは必然だったのかもしれない。そもそも、自身の議員報酬の原資が税金であることには、どう思っているのだろうか。

 

●自民党大会始まる 「解体的出直し」明記 “政治とカネ”に危機感 3/17
自民党は都内で党大会を開き、派閥の政治資金をめぐる問題を受け、「解体的に出直す」などと明記した運動方針案を決定しました。大会の会場から中継です。
いわゆる裏金問題やスキャンダルで支持率が低迷する中、自民党はかつてない厳しい状況で党大会を迎えています。さきほどから岸田首相が演説をおこなっています。
公明党・山口代表「私たちの連立政権は2012年、政権奪還をして以来、最大の試練に直面をしていると思います」
自民党・茂木幹事長「政治責任のあり方けじめについて早期に厳正な対応をとってまいります」
17日の党大会では派閥の裏金事件について「真摯に反省し、国民に深くお詫び申し上げる」とした上で、「全く新しく生まれ変わる覚悟で、 解体的な出直しを図る」とした運動方針が決まりました。
また、党則などの改正も決まり、会計責任者が逮捕・起訴された場合、議員本人に対する処分が厳罰化されました。
ただ、裏金問題をめぐっては、いまだに肝心の安倍派幹部らに対する処分が出せておらず党内からはスピード感の無さに不満の声が渦巻いています。
岸田首相は、党大会後、処分の検討を本格化させますが、党執行部内で足並みの乱れが目立ち調整の難航も予想されます。
また、来月には衆議院の3つの補欠選挙が控えていて、結果次第では「岸田おろし」の動きにつながる可能性もあります。
岸田首相は党大会を反転攻勢のきっかけにしたい考えですがその道筋は見えていません。
●西田昌司氏「安倍派幹部は自ら出処進退を」裏金問題で責任再び要求「我々の失敗は我々で解決を」 3/17
14日に行われた参院政治倫理審査会(政倫審)に出席した自民党の西田昌司参院議員は17日、東京都内で行われた自民党大会後の報道陣の取材に応じ、安倍派(解散決定)の政治資金パーティー裏金事件を受けてあらためて、安倍派幹部の自発的な出処進退が必要との認識を示した。
西田氏は政倫審で、安倍派幹部が裏金問題の説明責任を果たしていないと批判し、自身の前に政倫審に出席した世耕弘成前参院幹事長の説明についても「まったく納得できない」と切り捨てていた。
西田氏は取材に「政倫審でも申し上げたが、こういう原因をつくっている清和研(安倍派)の幹部の方がしっかり説明責任を果たして、自らの出処進退は、党に処分されるよりも自ら責任を示すことがご本人にも、党にとってもいいことだ。それが国民の信頼回復へのいちばんの道だ」と指摘した。党大会では、岸田文雄首相が総裁演説で、裏金問題が指摘されている所属議員に対し党として処分を行うことに言及したが、西田氏は「総裁の覚悟をもった姿勢が示されたことはよかった」と評価した。
西田氏はまた「自民党は変わらないと、このまま終わる」と裏金問題の真相解明が進まない党の現状に危機感を表明。「(党大会では)最後に、若い新人の支部長が紹介された。彼らはまだ20代30代で、(裏金事件には)何の責任もない。我々が間違った対応をしたために党の評価を下げている。彼らを再生の切り札として引き上げていくためにも、我々がつくった失敗は我々の手で解決させる覚悟や実行が大事だ」とも訴えた。
●「一番の悪人はアイツだ…!」自民党裏金問題・清和会内部が憤怒する「大物議員」の名前 3/17
「例年ならば、この時期はパー券販売の準備で一番忙しい時期。それがなくなったことで、驚くほど仕事がなくなりましたよ……。他の清和会の秘書も同じような状況だといいます」
解散した清和会に所属したある議員の秘書・A氏は、現状についてこう吐露した。
政界を襲った裏金問題をめぐる余波の影響は、永田町から漏れ聞こえてくる。議員だけではなく、事務所で働く秘書やスタッフたちはその後処理や地元での説明などに追われているのかと思いきや、意外なことに多くの事務所スタッフが暇を持て余している現実もあるという。
清和会に所属したベテラン秘書・B氏がこう話す。
「はっきり言って暇ですよ。地元の支援者たちは、どちらかというと同情的な意見のほうが多くて、後処理というほどのものはあまりありませんでしたから。問題は今後の業務についてです。秘書会の集まりはありましたが、会が今後どうなるかまだ決まっていません」
背景には、現在開催中の政治倫理審査会でも当事者たちの責任の所在がはっきりしない答弁が続いていることもあるだろう。しかし、その個別対応については賛否ある。別の清和会ベテラン秘書・C氏は、派閥の「5人衆の中でも明暗が分かれた」と明かす。「最も強い批判にさらされるべき」と、参院のドンへ憤怒する。
「身内の中では、世耕弘成前参院幹事長(61)に一番批判が集まっていますね。理由は、『秘書に任せきり』だった、と責任を秘書になすりつけるような言動ばかりしているからです。
『秘書が私に報告しないまま、政治資金収支報告書の簿外で管理していた還付金について、把握することができなかった』とも説明していますが、秘書業務経験者なら誰でも分かりますが、そんなことを秘書の一存では決められませんから。参院の政治倫理審査会でも『還流には関与せず、報告・相談も受けていない』と話していますが、みんな鼻で笑っています。彼の言い訳には、呆れてしまいましたよ」
今月には自民党青年局が開いた懇親会に女性ダンサーを複数招き、口移しでチップを渡していた事件まで発覚した。企画したのは、世耕議員の元秘書だったことも明らかになっており、一層世耕氏への批判が強まりそうな気配もある。次いで、厳しい意見が相次ぐのが下村博文元文科相(69)だ、とも続ける。
「下村氏は自分だけ責任逃れをしようと必死で、渦中に新聞からテレビ、雑誌まであらゆるメディアと接触し情報提供を行っていました。自分が話すことにより、メディアをコントロールしようとしていた面が大きい。特に酷かったのが、幹部しか知りえない情報や捜査関連の情報まで流しており、そのことで他の幹部も『下村が1人で責任逃れをしようとしている』と怒っていたくらいですから。
派閥の力を利用してのし上がっていった人間が、危険が降り注いできたら派閥を売る。森喜朗元総理が、『下村だけはダメだ』とハンを押していた理由がよく分かります。本当に仁義もクソもあったもんじゃない」
その一方で、評価を上げたと目されているのが西村康稔前経産相(61)だ。西村氏は、今月1日に「安倍派5人衆」の中ではじめに衆議院の政治倫理審査会に出席している。その中で、「清和会の会計については一切関わっていなかった」と発言するなど、関与自体は否定し、モヤが残る結果となったのだが、なぜ西村氏を評価している声が出ているのか。
「西村氏とニコイチと言っていいほど長く一緒にやってきたベテラン秘書が、去年の暮れに過労で議員会館のトイレで倒れて今も入院中です。裏金問題のさなか、心労もあったのでしょう。それを機に、西村氏は自ら地元でも説明に回っています。自分が矢面に立つしかない、と腹を括ったのか、政倫審にも出席し、いの一番にある程度の説明責任は果たしたと言えるでしょう。
少なくとも、逃げ回っていた他の幹部よりはいくぶんマシ。もっとも西村氏の場合は、彼の選挙区に元明石市長の泉房穂さん(60)が出馬する可能性は地元でも囁かれており、強い危機感を持っているという選挙対策の側面も強いのですが…」(前出・A氏)
13日には裏金相当額に該当する金額を、能登半島地震の被災地支援に充てる案が浮上した、という報道も一部で出ている。裏金の総額は2022年までの5年間で約5億7949万円にものぼる。これについても、前出のベテラン秘書はため息交じりに漏らす。
「2月末に清和会のちょっとした集まりがあった際に、派閥の残金を『能登半島地震の被災地や医療機関に寄付すべきだ』という驚愕の提案が一部議員や秘書の間で出た時はもはや呆れてしいました。今回の寄付騒動も、清和会発端の可能性が高い。
ある若手議員は、『あんな騒動があったのに、こんな発想になるとは国民感情をまるで理解していない』と嘆いていましたよ。何より支援者に対して申し訳ない気持ちです。被災地の方も、裏金で稼いだお金で復興支援など望んでいないでしょう。一連の裏金騒動を受けても未だ清和会の人たちの感覚は、『もらい事故にあった』くらいのもので、まるで反省の色が見えません」
相次ぐ不祥事で厳しい視線が向けられる自民党だが、国民感情を逆なでするような対応が続いている。その背景には、当事者意識の欠落という根本的な問題があるような気がしてならない。
●岸田総理 裏金問題に「厳しく対応する」 関係議員の処分に結論を出すよう指示 3/17
17日、都内で開かれた自民党大会で岸田総理大臣は、裏金問題に関する議員の処分について結論を出すよう茂木幹事長に指示したと明らかにした上で、「厳しく対応する」と述べました。
「我が国は今、国の内外で日本の未来を決めるような課題が山積です。自民党でなければならない。だからこそ自民党は変わらなければならない」(岸田総理大臣)
岸田総理大臣は関係議員の処分について、「収支報告書に不記載だった金額や、これまでの役職、説明責任の果たし方などを総合的に勘案し厳しく対応する」と述べました。また、自ら全国をまわり党員らを集めて「政治刷新車座対話」を行う考えを示しました。
一方、来賓として出席した公明党の山口代表は、「国民の納得感を得られるところに至っているとは言えない」と指摘しました。
「連立政権は、2012年政権奪還をして以来、最大の試練に直面をしている。これから一層国民の求めに応じて説明責任を果たし、信頼回復に結びつけていただきたい」(公明・山口代表)
その上で、政治資金規正法の改正にむけ、早期に具体案を示すよう求めました。
●青汁王子こと三崎優太さん「もう執行猶予も終わったし、言わせてくれ」 14億円超の納付税額確認書とともに政治家の裏金問題へ疑問 3/17
「青汁王子」こと実業家の三崎優太さんが17日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、14億4000万円の納付税額確認書を投稿した。「もう執行猶予も終わったし、言わせてくれ」とつづり、「なぜ政治家は裏金作って無申告で良いの?」と疑問を呈した。最後には「俺の4年間返せ」と怒りをぶちまけた。
三崎さんは、2019年に約1億8000万円を脱税したとして法人税法違反などの罪で起訴され、東京地裁で執行猶予付きの有罪判決を言い渡された。これに対し、投稿では「終わった話でいいから言わせてくれ。1億8千万ごとき脱税しようとしてしねーよ、だったら14億円も納税してないし」と述べ「それでも有罪なら仕方ない」とコメントした。さらに「これ申告しなけば良かったのか?アホらしいわ」として、14億4000万円の納付税額確認書を添付。怒りは政治家の裏金問題へと向かい、「理不尽すぎるだろ」と持論を展開した。
これにフォロワーらは、「もっと国民が声あげていきましょう!本当に納得出来ん」「説得力しかない」「政治家ふざけんな」などの声が寄せられた。また、三崎さんの主張については「納得できないなら控訴すればよかった」「金額の大小に関わらずダメなものはダメ」といった意見もみられた。
●惨敗と不戦敗では大違い!? 自民大逆風の4月衆院3補選で「岸田vs茂木」の党内闘争が強まる〜4月裏金解散の判断にも影響か 3/17
4月28日投開票の衆院3補選(島根1区、長崎3区、東京15区)をめぐり、自民党内での駆け引きが激しくなってきた。いずれも自民党に強い逆風が吹き付ける選挙だ。
ここで3敗すれば「岸田政権では次の総選挙は戦えない」との声が広がるのは必至だ。岸田文雄首相が9月の総裁選前の解散総選挙を断行するのは困難になり、総裁選の出馬断念に追い込まれる可能性が高まる。
このため首相周辺では「3連敗するよりも候補者擁立を見送り不戦敗にし、ダメージを抑えるほうがいい」との声も出ている。
一方、岸田首相との確執が強まる茂木敏充幹事長は候補者擁立に前向きだ。「茂木氏は衆院3補選に負け越すことで岸田首相の解散権を縛り、岸田おろしを誘発しようとしている」との憶測も広がっている。
衆院3補選は与野党対決というよりも自民党内の権力闘争の側面が強いといえるかもしれない。
島根1区は、旧統一教会問題やセクハラ疑惑で批判を浴びていた細田博之元衆院議長の死去に伴う補選。細田氏は裏金事件を受けて解散した安倍派(清和会)会長も歴任しており、自民党への風当たりは強い。財務省出身の新人・錦織功政氏を擁立するが、立憲民主党が擁立する元衆院議員の亀井亜紀子氏に知名度で劣っている。岸田首相としては竹下登元首相や青木幹雄元官房長官ら大物を輩出してきた保守王国での「1勝」は確実に獲得したい考えだが、楽観はできない情勢だ。
長崎3区は安倍派の裏金事件で略式起訴された谷川弥一氏の辞職に伴う補選。立憲民主党は前回総選挙で谷川氏に2034票差の大激戦で敗れて比例復活した現職の山田勝彦氏の擁立を決めた。自民党は誰を擁立しても苦戦必死の情勢だ。しかも長崎3区は一票の格差是正のための区割り変更で次の総選挙では旧2区と旧4区に分割される。このため地元では新たな候補擁立へ慎重論が広がっている。岸田首相も不戦敗論だが、茂木幹事長は候補者擁立に前向きなのは、先述したとおりだ。
公選法違反事件で起訴された柿沢未途氏の辞職に伴う東京15区はさらに複雑だ。自民党公認で柿沢氏の前に当選した秋元司氏も汚職事件で起訴された。自民党は二代続けてスキャンダル議員を国会へ送り込んだ格好で、地元では今回の補選は厭戦機運が広がっている。しかも小池百合子東京都知事が国政復帰を目指して出馬するとの憶測がやまず、それならば小池氏支持に回って敗戦を回避するほうが得策だとの思惑もにじんでいる。裏金事件で政調会長を辞任した萩生田光一氏は自民党都連会長にはとどまった。逆風下で迎えた地元八王子市長選では小池氏の支持を取り付けて辛勝し、小池氏との連携を強めることで影響力の維持したい考えだ。東京15区補選では小池知事が出馬してもしなくても自民と都民ファーストが連携する可能性は高い。
以上の選挙情勢をふまえ、岸田首相としては1島根1区は立憲との激突を何としても勝ち切る2長崎3区は不戦敗でかわす3東京15区は都民ファーストに相乗りして「勝利」するーーかたちでしのぎたいところだ。この筋書きとおりだと、「2勝1敗」と評価することもできるし、不戦敗は除外して「2勝」と強弁することも可能かもしれない。
とはいえ、仮に島根1区で敗れると「1勝2敗の負け越し」と批判されるのは確実だ。さらに東京15区は自民党の勝利とはいえず、「2敗」や「全敗」と攻め立てられ、岸田おろしを誘発する恐れもある。
いずれにせよ、「岸田首相のもとで総選挙には勝てない」との空気が広がれば、9月の総裁選前に解散総選挙を断行して勝利し総裁再選に大きく前進する筋書きが崩れてしまう。
それならば衆院3補選を吹き飛ばす形で、4月10日の訪米直後に衆院を解散し、4月28日投開票の日程で総選挙を断行する「先手必勝」のほうが総裁再選への展望が開けるというのが、4月解散論だ。
内閣支持率は低迷しているとはいえ、野党はバラバラで、自公与党が過半数を割る機運は生まれていない。総選挙さえ乗り切れば、「岸田首相に代わる新しい選挙の顔」を求める石破茂元幹事長や上川陽子外相の待望論も消えていくだろう。9月に総裁再選を果たせば、長期政権が見えてくる。
その展開を最も警戒しているのが、ポスト岸田を狙う茂木幹事長だ。茂木氏は岸田首相と当選同期だが、年は二つ上。岸田再選なら首相への道は相当険しくなる。今回の総裁選がラストチャンスであろう。
岸田首相による総裁選前の解散(今国会会期末の6月が有力視されている)を防ぐには、4月28日の衆院3補選で惨敗し、首相の解散権を封じ込めるのがいちばんだ。そこで「不戦敗」ではなく「候補者を擁立して敗北」という結果にこだわっているとみられる。
茂木氏が衆院3補選への候補者擁立にこだわるほど、岸田首相は茂木氏を警戒し、3補選を回避するための4月電撃解散に傾く可能性がある。3補選をめぐる自民党内の攻防は、総裁選前の衆院解散をめぐる駆け引きといっていい。
●次期戦闘機第3国輸出へ自公合意 野党を無視 3/17
「戦争の放棄」を規定する憲法9条の下、殺傷能力が高い日英伊共同開発の「次期戦闘機」完成品を第3国に輸出することに自民党と公明党が15日合意した。
「平和国家」として防衛装備品という名の戦闘機輸出の在り方を国会審議もなく、政府与党で決めていく野党無視の在り方は衆参で圧倒的議席を有する「自民党の驕り」姿勢を浮き彫りにした。自民党は衆院議席の56%、参院議席の46.9%を占め、与党では衆院の62.9%、参院で57.8%を占めている。
自公合意内容では「輸出は次期戦闘機に限る」「国連憲章に沿った目的以外の使用を禁じる防衛装備品・技術移転協定締約国に限定する」「現に戦闘が行われている国は除外する」条件の下、個別案件毎に国家安全保障会議で決定し、閣議決定で決めていく。
立憲民主党の長妻昭政調会長は15日「与党だけで決めるのは拙速」と批難した。同党の玄葉光一郎外交・安全保障戦略PT会長も共同開発・生産に理解を示したうえで日本が第3国に輸出することについては「国のあり方の根幹に関わるため、野党も含めた十分な国会審議が必要だ。防衛装備品の移転については平和主義に基づいた『国際紛争を助長しない』という基本理念に鑑みて、特に殺傷能力のある完成品の第3国移転については慎重であるべき」とコメントを発表した。立憲として政府に説明を求めていくとしている。
日本共産党の小池晃書記局長は「戦闘機の輸出は国際紛争を助長するもの」と厳しく指摘。「憲法違反」と断罪した。日本維新の会、国民民主党は輸出を是としている。
法政大学大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)はX(旧ツイッター)で「国の根本にかかわる政策について閣議決定だけで行うというのはどうだろうか。政権を決定した衆議院議員総選挙が行われたのはコロナ禍にあった2021年10月。国家の基本政策について岸田政権は早期の衆院解散総選挙によって信を問う必要があるといえる。国民に声を上げる機会を与えるべきだ」と提起している。
今回の戦闘機第3国への輸出問題、裏金問題をはじめとした自民党政治とカネの問題、企業団体献金の是非など早期に国民の意見を反映する総選挙が必要といえよう。
●政権奪還以来の最大試練に直面と公明代表 3/17
公明党の山口那津男代表は17日、自民党大会であいさつし「2012年に政権を奪還して以来、最大の試練に直面している。連立政権合意の原点に立ち返り、共に出発をしたい」と述べた。
●「心からおわび」 岸田首相が自民党大会で陳謝と処分に言及 信頼回復へ車座対話 3/17
岸田文雄首相(自民党総裁)は17日の党大会で、派閥の政治資金パーティー収入不記載事件について「国民から多くの疑念を招き、深刻な政治不信を引き起こす結果となっている。総裁として心からおわびを申し上げる」と陳謝した。
不記載が判明した安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の議員らに対する処分に関しては、「不記載の金額や程度、これまでの役職などの議員歴や説明責任の果たし方など状況を総合的に勘案し、党紀委員会の議論を経て厳しく対応する」と語った。
また、「深い反省の上に政治の信頼回復に向け私自身が先頭に立ち、政治改革を断行することを約束する」と強調。今後、自身を含む党幹部が全国各地に足を運び、国民の意見を聞く車座対話を行う考えも明らかにした。
●政治資金問題の議員処分、岸田首相が茂木幹事長に指示…信頼回復へ全国で幹部が「車座対話」 3/17
岸田首相(自民党総裁)は17日、東京都内のホテルで開かれた自民党大会で演説し、党派閥の政治資金規正法違反事件に関係した議員の処分について、茂木幹事長に結論を得るよう指示したと明らかにした。
首相は処分を巡り、政治資金収支報告書の不記載額や役職、議員歴、説明責任の果たし方などを踏まえ、「状況を総合的に勘案し、党紀委員会の議論を経て厳しく対応していく」と語った。
首相は信頼回復に向け、「先頭に立ち、党改革と政治改革を断行する」と述べ、自身を含む党幹部が全国に出向き、国民の声に耳を傾ける「政治刷新・車座対話」を行う考えを示した。
●岸田首相「厳しく対応する」処分について茂木幹事長に指示 3/17
岸田首相は17日、自民党大会で演説し、派閥の政治資金をめぐる問題について改めて謝罪しました。その上で、「先日、幹事長に対し関係者に対する党としての処分について結論を得るよう指示した」と明らかにしました。
また岸田首相は「不記載の金額や程度、これまでの役職等の議員歴や説明責任の果たし方など、状況を総合的に勘案し、党紀委員会の議論を経て、厳しく対応をする」と強調しました。
●岸田首相が安定的な皇位継承や憲法改正に改めて意欲 党大会 3/17
岸田文雄首相(自民党総裁)は17日の党大会で、今年9月までの自らの総裁任期中の憲法改正実現を目指す考えを改めて示した。「条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速する」と述べた。また、安定的な皇位継承に向けて「皇族数確保のための具体的方策などを取りまとめ、国会における検討を進める」と強調した。
●また誰かに言われたのか、それとも自身の… 3/17
また誰かに言われたのか、それとも自身の意思でとなると、何を考えているのかと思う。先日の参議院の政治倫理審査会のことだ。
一連の自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題に伴う審査会に、当該議員32人の出席を求められていたが、前党参院幹事長の世耕弘成氏ら3人だけが応じた。
いずれも経緯については「分からない」と述べるにとどめた。公開の場でのものだったため、慎重に言葉を選んでいたが、これで説明責任を果たしたといえそうもない。
こちらとしては、問題の中心となっている安倍派所属で奈良県選出の堀井巌、佐藤啓の両参院議員に出席してもらいたかった。他の人の様子を見ていたのか。
そこには裏金問題に対する認識の甘さがある。県民に向けた記者会見もなく、県連内部でも正式に説明されていない。それを指摘する人がいないのか。
それよりも、本人の意思がどうなのかを知りたい。収支報告書の修正を紙っぺら一枚のお知らせだけで、事が足りていると思っている感覚そのものがおかしい。政治家は国民、有権者の信頼を失ったらおしまいだ。
●公明山口代表が自民党大会で苦言「国民の納得感得られる所に至っていない」裏金事件対応で注文も 3/17
公明党の山口那津男代表は17日、都内で行われた第91回自民党大会に来賓として出席し、派閥政治資金パーティー裏金事件をめぐる自民党の対応に苦言を呈した。
山口氏は「私たちの連立政権は2012年の政権奪還以来、最大の試練に直面している」と指摘。「こういう時だからこそ連立政権合意に立ち返り、ともに出発したいと強く思っている。合意には『国民の声を聴き、謙虚な姿勢で真摯(しんし)に政権運営に努める』とある。その言葉が今ほど胸に響く時はない」と、裏金問題をめぐる自民党の対応がかけ離れた内容であることに、暗に踏み込んだ。その上で「政治資金問題は国民の大きな不信を招いている。一生懸命説明責任を果たそうとしても、残念ながら国民の納得感を得られる所に至っているとはいえない状況だ」と、苦言を呈し「連立政権は、政治を安定させてこそ改革の力になるという原点を刻んできた。これから一層、国民の求めに応じて、説明責任を果たし信頼回復に結びつけていただきたい」と注文をつけた。
山口氏はまた「何より、再発防止のための政治資金規正法改正を成し遂げないといけない。わが党は具体的な法案策定に着手した。御党においても早期に具体案を提案いただき、幅広い合意をつくりだす土俵を整えてほしい」と、法案改正に向けた早期の具体的アクションを求め「国民のみなさまが我々に期待、負託していることは山積みだ。この党大会が、党の再生と信頼回復に向けて大いなる前進を遂げる出発点となることを期待したい」とも、口にした。 
●自民党大会で岸田首相、裏金議員の処分指示 信頼回復へ「厳しく対応」 不記載額・役職歴など勘案 3/17
自民党は17日、第91回党大会を東京都内のホテルで開いた。
岸田文雄首相は党総裁として演説し、派閥の裏金事件について「国民に心からおわびする」と陳謝。関係議員の処分について結論を得るよう茂木敏充幹事長に指示したと明らかにした上で、「厳しく対応していく」と表明した。
首相は「国民から多くの疑念を招き、深刻な政治不信を引き起こしている」と指摘。「政治の信頼回復に向け、私自身が先頭に立って党・政治改革を断行する」と語った。
事件の関係議員に対しては「説明責任を貫徹すべく引き続き促す」と説明。処分の対象や重さは、政治資金収支報告書への不記載額、これまでの役職・議員歴、説明責任の果たし方などを総合的に勘案して判断する方針を示した。
茂木氏は党務報告で「早期に厳正な対応を取っていく」と強調。大会後、記者団に「一律に全員同じにはならない。上に甘くて下に厳しい組織であってはならない」と主張した。
党規律規約は「党則順守の勧告」から「除名」まで8段階の処分を定める。党内には重い処分を求める声がある一方、判断次第では安倍派元幹部らの反発を招きかねず、難しい判断を迫られそうだ。 

 

●石川 珠洲 仮設住宅への入居始まる 建設場所としては3か所目 3/18
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市では、建設場所としては3か所目となる中学校の校庭で仮設住宅への入居が始まりました。
今回の能登半島地震で、珠洲市では17日の時点でおよそ1万4800棟の住宅で被害が確認され、1000人以上が避難所での生活を余儀なくされています。
珠洲市はこれまでに合わせて186戸の仮設住宅を建設し、18日は建設場所として3か所目となる三崎中学校の校庭に建てられた60戸への入居が始まりました。
入居者の1人の木下ユキさん(85)は、木造2階建ての自宅が半壊するなどの被害を受けてこれまで避難所で生活していましたが、18日から仮設住宅での生活を始めました。
この仮設住宅は6畳の居間にキッチンやトイレ、風呂などが備え付けられていて、木下さんは午前中、荷物を整理していました。
このあと木下さんは、入居にあたってかつて使っていた家財道具を取り出そうと自宅を訪れました。
自宅や隣接する納屋は大きく傾いているほか屋根瓦も地面に散乱していて、家財道具を取り出した木下さんは時々声を詰まらせながら思い出を話していました。
木下さんは「電気やガス、水道も使えるので安心できると感じました。でも、本当は家に帰りたい。生きていたってしかたないという気持ちになることもあります」と話していました。
珠洲市では700戸余りの仮設住宅をことし6月までに順次完成させることにしています。
●星稜が泥臭く九回に勝ち越し、能登半島地震被災地へ「頑張る姿届けたい」 3/18
星稜4−2田辺(18日、1回戦)
星稜に伏兵の殊勲打が飛び出した。2−2で迎えた九回1死二、三塁、代打東が勝ち越しの2点打を放ち、一塁上で両手を振り上げて喜んだ。「甲子園で打席に立てる状況を楽しもうと、自信を持って積極的にスイングした」。背番号20は興奮気味に振り返った。
チームは七、八回と得点圏に走者を進めながら一本が出ず、三たび巡ってきたチャンスで代打に送られた東は、これが公式戦初打席だった。「楽しむ」ことだけを心掛け、捉えた打球は右前に落ちた。優勝した昨秋の明治神宮大会はベンチ入りできず「悔しい思いをしたからこそ、絶対に力に変えたかった」。冬場は一日1000スイングで力を磨き、大舞台につなげた。
能登半島地震は東も地元の津幡(つばた)町で被災した。震度5弱の大きな揺れと断水を経験し、野球部も始動が1週間遅れるなど影響を受けた。石川県勢として被災者の期待も背負って戦う上で「一戦一戦、頑張る姿を多くの方に届けられたら」と思いを込める。
昨年春に就任した山下監督は甲子園初勝利をつかみ、「泥臭く、苦しい場面を耐えることができた」とナインをたたえた。初優勝を目指す秋の王者にとって価値ある白星となった。
●合言葉は「笑顔 感謝 恩返し」 日本航空石川ナイン、故郷背負い初戦へ 3/18
第96回選抜高校野球大会が18日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕した。開会式でひときわ大きな拍手を受けたのが、能登半島地震で深刻な被害を受けた石川県輪島市の日本航空石川ナイン。グラウンドは被災し、今も家族が避難所で暮らす選手もいる。「自分たちだけが野球をやっていていいのか」。悩む選手たちの背中を押したのは被災者たちの声だった。
地震の犠牲者に黙とうがささげられ、被災者へ思いをはせた選手宣誓もあった開会式。航空石川のナインが堂々と入場行進した。宝田(ほうだ)一慧(いっけい)主将は「鳥肌が立つ気持ちだった。支えてくれたたくさんの方々の思いが浮かんだ」と振り返った。
航空石川は地震で校舎が壊れ、野球部でも被災した部員がいた上、グラウンドが陥没した。背番号19の福森誠也投手は、輪島市の祖母宅で被災。「津波が来る」という叫び声を聞き、天井や壁が落ちて腰を骨折した祖母をおぶって高台に逃げた。自宅のある同県七尾市に戻ってからは一時身を寄せた避難所でボランティアに協力した。
その後、山梨県の系列校での受け入れが決まり、2月中旬に選手全員がそろった。空き教室の段ボールベッドで寝泊まりし、練習に励んだ。ただ、被災地の苦境を考え、野球をやることに悩む選手も多かった。
そんな時、福森投手が祖母に甲子園でのメンバー入りを伝えると「応援している」と言われた。宝田主将も出場報告で輪島に戻った際、多くの励ましをもらった。「聖地で躍動して石川を勇気づけ、恩返しする」。ナインの気持ちは徐々に変わっていった。合言葉を「笑顔 感謝 恩返し 石川県のために 共にがんばろう石川」と決め、全員が帽子の裏に書き込んだ。
大会第6日目の23日、常総学院(茨城)との初戦に臨む。福森投手は、今も避難所で暮らす祖母が現地観戦に来てくれる予定だと聞いている。「被災地はいつも通りの生活に戻っていないのが現実。一生懸命全力で頑張ることで何か届けられたら」と力強く語った。
●自民党議員も疑問視…下村博文氏のキックバック関与否定に「同じ説明。国民の納得得られるのか」 3/18
自民党の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、安倍派(解散決定)でかつて事務総長自民党安倍派(解散決定)でかつて事務総長や会長代理を務めた元幹部の下村博文元文科相が18日、衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席した。
下村氏は、安倍派の会計には関与しておらず、2022年4月に当時会長だった安倍晋三元首相がキックバック(還付)の廃止方針を決めながら、安倍氏の死去後に復活した経緯についても「だれがどう決めたのか全く承知していない」と述べるなど、キックバックに関して一貫して自身の関与を否定した。
元幹部で裏金問題の「真相」を知る立場にあったとみられた下村氏が、関与を否定し続けたことには、質問に立った同じ自民党議員からも疑問の声が出た。
自民党の井出庸生議員は「ここまでうかがっていると、これまでの政倫審のみなさんと同じ説明かと思う。そのことで国民の納得が得られるのかというところは大いに疑問を感じている」と指摘。その上で、安倍派幹部の責任をめぐり「責任が取られていないという声が、いまなおやまないのは当然だ。下村議員ひとりの責任ではないと思うが、幹部の1人ですし、このまま(幹部の)みなさんが知らぬ存ぜずで言うのなら、党の処分は、派閥の歴代会長や幹部を経験したすべての人に管理責任を問わなくてはならない」と、元幹部としての責任についても指摘を受けた。
下村氏は「(安倍派の)中堅や若手は自覚がない中、結果的に不記載になってしまった、私自身も同じ」とした上で、キックバック復活の経緯について「私の知らないところで、どのような形でだれがどう決めたのか、まったく承知していない」と主張。「だからといって責任を回避するつもりはない。(党側が)党としての処分を考えながら対応するということなので、真摯(しんし)に受け止めたい。私自身は政治責任を丁寧に説明しながら、分かっていただくように今は努力したい」と話した。
●下村博文氏は何のために政倫審に出てきたのか…裏金問題の全てを知りうるとされる人物が「知らなかった」連発 3/18
衆院政治倫理審査会(政倫審)が18日午後に開催され、自民党の下村博文元文科相(69)が出席、弁明と質疑を行った。
《今後、政倫審が開催されるのであれば、党と相談して説明責任を果たしていきたい》
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、総額約5.8億円の裏金化が報じられた安倍派(清和政策研究会)の元事務総長を務めた下村氏が4日に自身のX(旧ツイッター)にこう投稿してから2週間。
これまでに衆参両院で開かれた政倫審に出席した安倍派幹部らが揃って「知らなかった」「秘書に任せていた」などと答え、全容解明にはほど遠いやり取りだっただけに、「裏金問題の全てを知り得るキーパーソン」とされる下村氏の発言に注目が集まっていたのだが、冒頭の弁明から「知らなかった」を連発。当然のようにネット上ではこんな声が飛び交った。
《はい、またまた出ました。「私は知らなかった」「覚えていない」のマジックワード》
《この人、一体何のために政倫審に出てきたのか》
《自民党には真実を明かす議員が誰もいないということが分かったな》
キックバックの経緯も「ある人」も何も覚えてない
キックバックが始まった経緯を知る可能性が指摘されている森喜朗元首相(86)との不仲説が伝えられ、“爆弾証言”が期待されていた森氏との関係や関与についても、「私は承知しておりません」と繰り返すばかりだった。
2022年までの間に派閥からキックバックされた収支報告書への不記載額が476万円に上っていた下村氏。1月の会見では「ある人から、還付は個人のパーティー分に上乗せして、収支報告書で合法的な形で出す案もあったが、結論はなかった」と話し、記者から「ある人とは?」と問われると、「それは取材して聞いてください」と説明。
政倫審でも、この「ある人」について問われたのだが、「ある人」が分からなかったために「ある人」と表現したとして、「覚えていない」という趣旨の発言をしていたからクラクラする。
下村氏を巡っては、過去にも支援団体「博友会」を巡る政治資金問題が浮上。市民団体が東京地検に政治資金規正法違反の疑いで告発する事態に(その後、不起訴処分)。この時も説明はノラリクラリだったが、真実を語るという気はさらさらないようだ。
●「何しに出てきた?」下村博文氏に落胆の声 裏金の「暴露」なかった政倫審、真相遠く「口裏合わせですか」 3/18
自民党派閥パーティーの裏金事件を受け、18日の衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席した下村博文元文部科学相は、裏金の実態について「知らない」「分からない」を連発した。
安倍派の有力議員「5人衆」と距離があることから「何か暴露するのでは」と注目が集まっていたが、肩透かしに終わった。
「政倫審に出たっていう事実を作りたかっただけ」、「1ミリほど期待していたがやっぱりダメだな」など、X(旧Twitter)上では落胆の声が飛び交った。
「説明責任果たしたい」と言っていたのに
下村氏は安倍晋三元首相の側近として知られたが、2022年7月に安倍氏が死去した後は派閥の「集団指導体制」から外れていた。派閥運営の中心は、長年派閥会長を務めた森喜朗元首相に近いとされる5人衆が握った。
3月4日、下村氏は自身のXに「今後政倫審が開催されるのであれば、党と相談して説明責任を果たしていきたい」と投稿。政倫審で「何かを暴露するかもしれない」(自民中堅)など、発言内容が注目されていた。
だが、18日の衆院政倫審で、下村氏は多くを語らなかった。
各党の議員が、パーティー券販売のノルマ超過分のキックバック(還流)がいつから始まったのかや、森元首相の派閥への影響力、2022年8月に安倍派幹部が還流を議題にした協議の内容などを質問したものの、下村氏は「承知していない」や「わからない」など、あいまいな答弁を繰り返した。
証言の食い違い、解消せず
衆参の政倫審での安倍派幹部の証言には食い違いがある。
幹部らの説明によると、当時派閥会長だった安倍晋三氏の意向で2022年4月、還流中止の方向性が話し合われたのに、その3カ月後に安倍氏が死去すると一転、還流中止の撤回が決まった。
政倫審では、塩谷立氏が、2022年8月の会合で還流の継続が決まったと説明した一方、西村康稔氏はこの会合では結論は出なかったと語った。
下村氏もこの会合に出席していたが、政倫審では踏み込んだ説明をしなかった。
「知らぬ存ぜぬ」「真相究明に程遠い」
立憲民主党の福山哲郎参院議員は、政倫審終了後に自身のXで「残念ながら真相究明には程遠い内容でした」「真相はまたもや藪の中」と下村氏を批判。
立民の蓮舫参院議員もXのなかで「現金還付継続が決まったのも代替案や参院全額還付も知らぬ存ぜぬ、と下村博文さんの政倫審。世耕弘成さんと一緒。記憶ないの口裏合わせ、ですか」と手厳しかった。
このほかにも、X上では下村氏の弁明が終了すると「(下村氏は)何しに出てきたんだ?」などと疑問の声が続出。森元首相や安倍派幹部の国会への証人喚問を求める声も目立った。
下村氏は証人喚問を拒否
証人喚問では、政倫審とは異なり、虚偽の答弁をすれば偽証罪に問われる。
下村氏はこの日の政倫審で、証人喚問を拒否していた。
日本維新の会の岩谷良平氏は「法に誓って、偽証罪の制約の下で、堂々とご持論を述べていただく。それが筋じゃないか」と求めた場面だ。
下村氏は「そもそも偽証していないので、偽証罪という前提そのものが違うと思っている。この政倫審でしっかりと正しい、私自身のことについてご説明をしている」と頑なだった。
●内閣不支持率67%、政権復帰以降最高 支持率22% 朝日世論調査 3/18
朝日新聞社は3月16、17日に全国世論調査(電話)を実施した。
岸田文雄内閣の支持率は22%(前回2月調査は21%)、不支持率は67%(同65%)だった。2012年末に自民党が政権に復帰して以降で、不支持率は最高となり、支持率も2月の21%に次ぐ最低水準だった。
自民党の支持率は22%(同21%)で低い水準が続いている。他の政党支持率は、立憲6%(同7%)▽維新4%(同4%)▽公明3%(同3%)▽共産3%(同3%)▽国民1%(同2%)▽れいわ4%(同3%)――など。無党派層は56%(同55%)だった。
自民党の派閥の政治資金をめぐる裏金問題を受け、党総裁でもある岸田首相は2月29日の衆院政治倫理審査会(政倫審)に現職首相として初めて出席した。
裏金問題について、岸田首相のこれまでの対応を評価するかどうか質問すると、「評価しない」81%(同83%)が「評価する」13%(同10%)を大きく上回った。
首相自らが出席を表明するという異例の展開で開かれた政倫審だったが、裏金問題の実態解明とはほど遠い内容に終わり、支持を大きく上向かせる効果は薄かったとみられる。
裏金問題の説明「十分ではない」90%
朝日新聞社が3月16、17日に実施した全国世論調査(電話)で、自民党の派閥の政治資金をめぐる裏金問題について、関係する派閥幹部の説明について尋ねると、「十分ではない」が90%(前回2月調査は90%)に上り、「十分だ」はわずか3%(同3%)だった。
安倍派の裏金問題で、かつて派閥の会長を務めた森喜朗元首相を、国会に呼んで説明を求める必要があるかについても尋ねた。「国会に呼んで説明を求める必要がある」65%が、「その必要はない」26%を上回った。
また、裏金問題に関係した国会議員は、受け取ったお金を「政治活動に使った」という理由で納税していない。このことを聞くと、「納得できない」が91%で、「納得できる」5%を大きく上回った。
調査ではこのほか、自民党若手議員らの懇親会で、露出の多い衣装の女性による過激な演出のダンスショーが行われていたことについても尋ねた。「問題だ」は「大いに」51%と「ある程度」29%を合わせて80%で、「問題ではない」は「あまり」15%と「全く」3%を合わせて18%だった。
〈調査方法〉コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、3月16、17の両日に全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した941世帯から451人(回答率48%)、携帯は有権者につながった1589件のうち614人(同39%)、計1065人の有効回答を得た。
●内閣支持率横ばい23・2% 危険水域続く 政倫審で説明責任「果たしてない」は約9割 産経・FNN合同世論調査 3/18
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が16、17両日に実施した合同世論調査で、岸田文雄内閣の支持率は前回調査(2月17、18両日)比0・8ポイント増の23・2%でほぼ横ばいだった。「危険水域」とされる20%台の支持率は5カ月連続。不支持率は71・8%(前回比0・7ポイント減)で、2カ月連続で7割を超えた。
自民党派閥のパーティー収入不記載事件で、衆参両院の政治倫理審査会で行われた安倍派(清和政策研究会)や二階派(志帥会)の議員らによる弁明に関し、説明責任を「全く果たしていない」との回答が58・5%に達した。「あまり果たしていない」(30・2%)を含めると9割近くに上り、「十分果たした」(0・6%)と「ある程度果たした」(7・8%)を大きく上回った。
焦点となっている不記載のあった議員らへの処分については「不記載があった全ての議員を処分すべきだ」が60・8%(同5・6ポイント増)で最多。「派閥の幹部議員を処分すべきだ」が30・9%(同3・5ポイント減)で続き、「処分の必要はない」は6・2%(同1・5ポイント減)にとどまった。
一方、東京株式市場で日経平均株価が4万円台に突入し、史上最高値を約34年ぶりに更新したことに関連し、「景気が上向いている実感があるか」を尋ねたところ、「実感がない」が88・8%に対し「実感がある」は9・3%だった。岸田首相が掲げる「今年の夏頃までに物価上昇を上回る賃金上昇の実現」という目標に関する質問では「実現しないと思う」が79・5%で、「実現すると思う」の15・6%を大きく上回った。
また、日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機について、自民党と公明党が日本から共同開発国以外の第三国への直接輸出を容認する方針で合意したことへの評価を尋ねたところ、「歯止めをかけた輸出の合意は妥当」が38・0%で最多。次いで「もっと厳しい歯止めをかけるべきだ」が27・7%で続き、「輸出を一切認めるべきではない」は14・9%、「戦闘機以外でも輸出を認めてよい」は12・8%だった。
「次元の異なる少子化対策」の財源として「子ども・子育て支援金制度」を新たにつくり、医療保険料に平均で1人当たり毎月500円弱の上乗せ負担を求める政府方針については「妥当ではない」が63・1%だった。支援金制度は「歳出改革と賃上げで実質的な負担は生じない」との政府の説明についても「納得できない」が84・9%に達した。
調査では内閣支持率に関し、答えが不明確な場合は「どちらかと言えば」と再度、質問して回答を得た。
●内閣支持率23.2%横ばい 自民支持率微減で24.1% 岸田政権で過去最低更新【24年2月 FNN世論調査】 3/18
問1 岸田内閣を支持するか、支持しないか。(カッコ内は先月調査)
1.支持する    23.2%(22.4 %)
2.支持しない   71.8%(72.5%)
問2-1 「支持する」と答えた人は、その理由は何か。(カッコ内は先月調査)
1.岸田総理の人柄が信頼できるから  15.0%(9.1%)
2.政策がよいから           6.2%( 4.1%)
3.実行力に期待できるから      11.6%(10.5%)
4.自民党中心の内閣だから      17.5%(20.9%)
5.他によい人がいないから      48.1%(53.9%)
問2-2 「支持しない」と答えた人は、その理由は何か。(カッコ内は先月調査)
1.岸田総理の人柄が信頼できないから  12.9%(9.0%)
2.政策がよくないから         20.8%(25.3%)
3.実行力に期待できないから      36.4%(39.8%)

4.自民党中心の内閣だから       25.4%(21.8%)
5.他によい人がいるから        3.3%(2.1%)
問3 どの政党を支持するか。(カッコ内は先月調査)
1.自民党         24.1%(24.8%)
2.立憲民主党       6.6%(6.6%)
3.日本維新の会      4.4%(5.3%)
4.公明党         2.7%(3.4%)
5.共産党         2.1%(3.8%)
6.国民民主党       1.6%(2.3%)
7.れいわ新選組      3.9%(2.6%)
8.教育無償化       0.3%(0.4%)
9.社民党         0.5%(0.3%)
10.参政党         0.8%(0.7%)
11.みんなでつくる党    0.1%(0.2%)
12.支持政党はない     50.4%(47.2 %)
問4 自民党のキックバック不記載議員の政治倫理審査会での説明責任
1.十分果たした     0.6 %
2.ある程度果たした   7.8 %
3.あまり果たしていない 30.2%
4.全く果たしていない  58.5%
問5 自民党の党則改正で、政治とカネ問題の再発防止につながるか
1. 大いにつながる    3.7%
2. ある程度つながる   32.6%
3. あまりつながらない  34.8%
4. 全くつながらない   26.3%
問6 派閥からのキックバックを収支報告書に記載していなかった議員への処分
1. 不記載があった全ての議員を処分すべき  60.8%
2. 派閥の幹部議員を処分するべき      30.9% 
3. 処分の必要はない            6.2%
問7 自民党青年局の近畿ブロック会合での、女性ダンサー懇親会
1. 適切だった  8.4%
2. 不適切だった 86.7%
問8 日経平均株価が、一時4万円を超える中、景気が上向いている実感
1. 実感がある     9.3%
2. 実感がない     88.8% 
問9 岸田首相の掲げる、夏頃までに物価上昇を上回る賃上げが実現するか
1. 実現すると思う    15.6%
2. 実現しないと思う   79.5%
問10 子育て支援の「支援金制度」のための、医療保険の平均500円弱の上乗せ負担
1. 妥当だ     30.8%
2. 妥当ではない  63.1%
問11 子育て支援金制度について、岸田首相が「実質的に負担ゼロ」とする説明に
1. 納得できる  9.2%
2. 納得できない 84.9%
問12 次期戦闘機の共同開発国以外への輸出を条件付きで容認した自公合意について
1. 戦闘機以外でも輸出を認めて良い 12.8%
2. 歯止めをかけた輸出の合意は妥当 38.0%
3. もっと厳しい歯止めをかけるべき 27.7%
4. 輸出を一切認めるべきではない  14.9%
問13 次の自民党総裁に一番ふさわしい人
石破茂 自民元幹事長    20.1%
小泉進次郎 元環境相    15.1%
上川陽子 外相       8.4%
河野太郎 デジタル相    8.3%
高市早苗 経済安保相    7.6%
菅義偉 前首相       5.5%
岸田文雄 首相       4.1%
林芳正 官房長官      1.5%
野田聖子 元少子化相    1.2%
茂木敏充 自民幹事長    1.2%
この中にはいない      21.8%

FNN・産経合同世論調査【2024年3月】
RDD(固定・携帯電話)全国の18歳以上の有権者 1017人
期間:2024年3月16日・17日
●30年ぶり賃上げでも増えなかったロスジェネ賃金 3/18
連合が公表した今年の春闘の1次集計結果によれば、平均で5.28%となり、33年ぶりの賃上げとなった。中小企業や非正規への波及も見られており、24年度の賃金上昇が期待される。
事実、厚生労働省の賃金構造基本調査によれば、2023年の一般労働者の所定内給与は30年ぶりの賃上げもあって前年比+2.1%と19年ぶりの水準まで上昇している。
しかし、年齢階級・学歴別にみると、けん引役は20代の若年層と60代以降のシニアであり、むしろ30代後半〜50代前半のいわゆるロスジェネ世代では30年ぶりの賃上げにもかかわらずほとんど所定内給与が増えていない。
背景には、就職氷河期に社会に出たことで就業機会に恵まれなかった層のボリュームが大きいことや、元々転職に保守的なこと等により労働市場の流動性が低いことがあることが考えられる。
家計の恒常所得の要素が強い一般労働者の賃金と名目家計消費の関係が深いことからすれば、ここ元の家計消費の低迷の一因は、第二次ベビーブーマー世代も含むボリュームゾーンであるロスジェネ世代の所得が低迷していることが一因であることが推察される。
日本で平均賃金の上昇を阻んできたのは、労働市場の流動化が乏しかったことで、経営者の人材流出に対する危機感が薄かったことも一因と推察される。背景には、同じ会社で長く働くほど賃金や退職金等の面で恩恵を受けやすくなる日本的雇用慣行も加担してきたことがある。
日本の個人消費を本格的に回復させるために必要なロスジェネ世代の恒常所得を引き上げるためには、対内直接投資の更なる推進等に伴う外圧強化や、減税や補助金などによる転職支援の充実等が必要となってこよう。
19年ぶりの伸びとなった2023年の一般労働者の所定内給与
連合が公表した今年の春闘の1次集計結果によれば、平均で5.28%となり、33年ぶりの賃上げとなった。そして内訳を見ても、大企業で5.30%、中小企業で4.42%、非正規で6.75%と中小企業や非正規への波及も見られており、来年度の賃金上昇が期待されている。
事実、先々月公表された厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、2023年の一般労働者の所定内給与は前年比+2.1%となり、既に公表されていた毎月勤労統計ベースの同+1.6を上回った。
なお、賃金構造基本統計調査は約5万事業所を対象に労働者個人のレベルで賃金を調査するのに対し、毎月勤労統計の対象は約3.3万で事業所全体の人件費を従業員数で除して賃金を求める。このため、賃金構造基本統計調査の正確性が高いと考えられる。
そして、この結果は23年の春闘賃上げ率が30年ぶりの伸びになったことと整合的となっている。つまり、賃金統計の正確性を踏まえると、2023年の賃金は少なくとも春闘賃上げ率の影響をより受けやすい所定内給与ベースでは29年前となる1994年以来の水準まで伸びが加速していたことになる。
   所定内給与(一般労働者)の比較
足を引っ張るロスジェネ世代
これを年齢階級・学歴別にみると、20代と60代以降の賃金上昇がけん引役となっていることがわかる。20代については少子化の影響で人口が少ないことに加え、労働市場の流動性が高いため、賃金が上がりやすくなっていることが推察される。また60代以降については、定年延長等による平均賃金上昇が響いていることが示唆される。
   年齢階級学歴別所定内給与
しかし、今年33年ぶりの賃上げが実現したとはいえ、皆の給料が上がるとは限らない可能性があることには注意が必要だろう。というのも、昨年は30年ぶりの賃上げが実現したにもかかわらず、大卒30代後半〜50代前半の賃金が上がっていないことがわかる。第二次ベビーブーマー世代も含むこの世代の労働者数のボリュームを勘案すれば、まさに大卒ロスジェネ世代が最大の賃金押し下げ要因となっているということだろう。背景には、元々相対的に賃金水準が高い年代にあることや、年齢的に転職しにくく労働市場の流動性が低いこと等から、30年ぶりの賃上げが実現する中でも相対的に賃金が上がりにくくなっている可能性がある。
一方、学歴別にみると、高卒では年齢計で前年比+2.9%の一方で、大卒は同+1.9%の増加にとどまっていることがわかる。こうしたことから、学歴による賃金格差が縮小する傾向にあることが読み取れるが、逆に相対的な人手不足感が低いホワイトカラーの賃金が上がりにくくなっていることを示唆している可能性があるといえよう。
なお、毎月勤労統計ベースで雇用形態別にみると、近年はパートタイム労働者の伸びが正社員を上回っていることがわかる。これは、雇用形態による賃金格差が縮小傾向にあることを意味し、相対的に労働市場の流動性が高くて人手不足感の強いパートタイム労働者の賃金が上がりやすくなっている可能性が高い。
   所定内給与の比較
家計消費との関係が深い所定内給与
一方、賃金と消費の関係を見るべく、1994年〜2023年の名目家計消費と各種一般労働者の所定内給与との関係について、自由度調整済み決定係数の大きさで見ると、賃金構造基本統計調査が0.2681、毎月勤労統計 5 人以上で0.2932と明確な正の相関関係がある。この背景には、個人消費の動向は恒常所得の色彩が高い一般労働者の所定内給与の動向に大きく左右されることがあることが一因と考えられる。
こうしたことから、賃金上昇の足を引っ張っているのは30代後半〜50代前半の大卒一般労働者であると考えられ、この世帯は第二次ベビーブーマー世代を含む子育て世代で消費支出額も大きいため、個人消費低迷の一因になっていると考えられる。そして、この世代はバブル崩壊後の就職氷河期世代で就業機会に恵まれにくかったことに加えて、就職に苦労したことから賃金上昇よりも雇用の安定を重視する傾向が強くなることで労働市場の流動性が低くなっていることが推察され、賃金が上がりにくくなっている可能性がある。
   各種所定内給与と名目家計消費の関係
一方で、高卒・パートタイム労働者の賃金がそれぞれキャッチアップ過程にあることからすれば、生産性に見合った賃金への調整過程にあるともいえよう。他方、シニアの賃金は雇用延長などから平均賃金の押し上げ要因となっているが、これはむしろシニアになる前の賃金の抑制要因となっている可能性があり、総賃金でみれば増加要因と前向きにとらえることができるかは微妙である。
こうして見ると、結局、日本で平均賃金の上昇を阻んできたのは、労働市場の流動性が乏しいことで経営者の人材流出に対する危機感がこれまで低かったことも一因と推察される。特に最も賃金上昇の足を引っ張っている30代後半〜50代前半の大卒一般労働者の労働市場の流動性が低い背景には、同じ会社で長く働くほど賃金や退職金等の面で恩恵を受けやすくなる日本的雇用慣行も影響していると考えられる。
以上を踏まえれば、日本の個人消費を本格的に回復させるべく必要な恒常所得を引き上げるためには、対内直接投資の更なる促進等により外資参入に伴う賃上げ圧力を強めることや、減税や補助金等も含めた転職支援の充実等の思い切った策が必要となってこよう。
●政治資金問題 岸田首相“関係議員の処分は今国会中に判断” 3/18
国会は参議院予算委員会で集中審議が行われ、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、立憲民主党が関係議員の処分を迫ったのに対し、岸田総理大臣は政治倫理審査会での弁明などを確認したうえで今の国会の会期中に判断する考えを示しました。
自民党の片山 元地方創生担当大臣は、経済政策をめぐり「株価は一時4万円を突破し春闘も異次元の賃上げとなった。『キシダノミクス』の成長と分配の好循環が回り始めている。名目でのGDP=国内総生産1000兆円は夢ではなく、21世紀前半の達成を掲げ宣言してはどうか」と質問しました。
これに対し岸田総理大臣は「生産性の向上や労働参加の拡大などを実現すれば成長率が持続的にプラスになる長期的な姿が経済財政諮問会議で示されていることを踏まえ、今後3年程度の政策パッケージをまとめて骨太の方針に盛り込んでいく。21世紀前半の名目GDP1000兆円という目標も、努力を続ければ視野に入ってくる」と述べました。
立憲民主党の福山 元幹事長は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について「政治倫理審査会では『知らなかった』、『秘書や事務局がやった』のオンパレードだ。答弁は食い違うことばかりで全く明らかになっていない。処分はいつごろまでに出すのか」とただしました。
これに対し岸田総理大臣は「弁明や説明などを確認したうえで党としても政治責任を判断しなければならない。関係者がかなりの人数になることもあるが、できるだけ早期に判断したい。今の国会中に判断することを考えている」と述べました。
さらに福山氏は「処分の前に解散してうやむやにするようなことは国民に対する裏切りで、ありえない。処分する前に解散することはないか」と迫りました。
これに対し岸田総理大臣は「今、解散は全く考えていない。信頼回復のため党として政治責任のけじめをつけ、今の国会で再発防止のための法律を成立させることに専念する。それしかない」と述べました。
自民党青年局の若手議員らの懇親会に露出の多い女性ダンサーが招かれ、口移しでチップを渡す参加者がいたことなどをめぐり、辞任した青年局長ら2人の処分について問われ、岸田総理大臣は「2人は役職を辞任した。今、上部組織である党の組織運動本部が関係者や県連から聴き取りなどを行っており、実態を把握した上で党として対応を判断する」と述べました。
●岸田政権はNHK国際放送に国民税負担等で36億円を交付、不党性が低いとの結果を隠蔽でも 3/18
岸田政権は、日本放送協会(NHK)が国際調査で『公平性・不偏不党性』などが低いとの結果を隠蔽していたのにも関わらず、令和6年度のNHKの国際放送に対して、国民らの税負担などにより約36億円程度を交付する予定であることが明らかになった。
この要請は、令和6年4月1日時点で必要な予算が国会の議決を経ている場合、同日付けで要請するものとなる。今回の要請に当たっての指定事項に関しては、『ラジオ国際放送』に関しては、北朝鮮による日本人拉致問題に特に留意することとし、用いる言語は日本語・中国語・朝鮮語とすることが要請されている。『テレビ国際放送』に関しては、用いる言語は英語・他の言語を併せ用いることができるとしている。
国の費用負担に関しては、この要請に応じて行う業務に要する費用の金額は、当該業務の実施期間に係る予算において示される金額を超えない範囲内とされ、当該金額は、費用の交付に関する手続と併せ、別に示される。なお、NHKの令和6年度資金計画によると、国際放送関係など交付金収入には、36億2,510万3千円を見込んでいる。
なお、NHKでは、世界各地の人々に調査している国際戦略調査において、ニュース・報道番組では『公平性・不偏不党性』や『民主主義的観点』などが低いとの結果が出ていたが、この部分の結果は一般公開せずに一部の構成員限りに公開するなどの調査結果を隠蔽していたことも明らかになっている。
●自民党「2024運動方針」と岸田首相答弁のショボすぎる共通点は…「具体的な中身ゼロ」なこと 3/18
派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、いまだに「説明責任」を果たす姿勢が何も見られない自民党。
朝日、毎日両新聞社が16〜17日に行った全国世論調査によると、岸田内閣の支持率はそれぞれ22%、17%。不支持率は同67%、77%で、朝日の調査では2012年末に自民党が政権に復帰して以降で最も高い結果となった。
17日に東京都内で開かれた自民党大会で、岸田文雄首相(66)は関与した議員の処分を茂木敏充幹事長(68)に指示したことについて言及。「党紀委員会の議論を経て厳しく対応をする」と説明したことから、18日午前の参院予算委員会の集中審議では、立憲民主党の古賀之士議員(64)が、この党紀委員会の議論を公開して透明性を高めるべきではないか、などと質問したのだが、岸田首相は「(党紀委員会は)党として政治責任、処分について判断する組織」などと答えるばかりで、まるでかみ合わず。
岸田首相のノラリクラリ答弁に対し、SNS上では《相変わらずヤル気ないな》と呆れた投稿が飛んでいたが、《少年院で書かされる反省文みたい》とのツッコミがみられたのが、自民党が党大会で採択した2024年運動方針のスローガン。「政治を刷新し、改革の道を歩む−深い反省に立ち、かならず変える、かならず変わる。」だ。
岸田首相の曖昧な姿勢こそ「かならず」変えた方がいいのではないか
スローガンを見た有権者などからは、ほかに《自民は絶対に変わらない》《裏金作りを合法的にする仕組みに変えるということか》との皮肉に加え、こんな“考察”も。
《岸田さんの答弁と自民スローガンに共通すること。それは具体的な中身が何もないこと》
《これぞ「岸田構文」》
確かに岸田首相は16日の全国幹事長会議でも、「大事な時だからこそ、自民党がやらなければならない」「その為には自民党が変わらなければならない」と声を張り上げていたのだが、肝心要の「何を」やるのか、「その」は一体何を指すのか。さらに言えば「いつまでに、どう変わるのか」がサッパリ分からない。具体的に「何を」「どう」変えるのかが示されていない2024年運動方針も同じだろう。
国会答弁で「検討する」を多用していた岸田首相。「何を」「いつまでに」「どうするのか」が全く分からないとして、野党議員などから「検討使」と揶揄されていたが、この曖昧な姿勢こそ「かならず」変えた方がいいのではないか。
●岸田首相、裏金処分前の解散否定=規正法改正も優先事項―参院予算委 3/18
参院予算委員会は18日、岸田文雄首相と関係閣僚が出席して集中審議を行った。自民党派閥パーティー裏金事件の関係議員に対する処分について、首相は今国会中に下す意向を示すとともに、現時点で処分前に衆院解散・総選挙に踏み切る考えはないことを明言した。立憲民主党の福山哲郎元幹事長への答弁。
今国会の会期末は6月23日。首相は処分のタイミングを問われ、「今の感触においては通常国会中に判断する」と説明。「今、処分の前に解散は考えていない」と述べた。
また、「今、解散は全く考えていない。まずは信頼回復のために政治責任のけじめをつけ、この国会で(政治資金規正法の)改正を通じて再発防止策を確定することに専念する」と強調した。
福山氏は、国会の政治倫理審査会への出席が処分の判断に影響するかどうか質問。首相は「説明の形ではなく、中身が大事だ」と述べ、発言内容を重視する考えを示した。
●岸田首相、プーチン氏5選にコメントせず 3/18
岸田文雄首相は18日、ロシア大統領選でプーチン大統領が通算5選を決めたことについて、「他国の選挙結果」だとして言及を避けた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
首相は今後の日ロ関係に関しては、ロシアのウクライナ侵攻を受けて「平和条約交渉は全くめどが立たない」としつつ、(北方四島)元島民の高齢化を理由に「特に北方墓参を最優先事項として再開を働き掛けなければならない」と語った。
●岸田総理「北方墓参が最優先事項」プーチン大統領当選確実受け今後の日ロ関係についてコメント 3/18
岸田総理は、ロシア大統領選でプーチン大統領が当選確実となり勝利宣言を行ったことについて「他国の選挙の結果について私が具体的に何か申し上げることは控える」と述べました。
また、今後の日ロ関係については「ロシアのウクライナ侵略により、平和条約交渉を始めとする交渉は全くめどが立たない」と述べたうえで、「北方墓参などの4島交流事業を再開する、これが当面ロシアとの関係において最優先事項になる」として、事業再開を働きかける考えを強調しました。
●岸田首相「断じて容認できない」 北朝鮮弾道ミサイル、被害情報なし 3/18
岸田文雄首相は18日午前の参院予算委員会で、北朝鮮が同日午前、弾道ミサイルの可能性のあるものを発射したことについて、「本日午前7時台から8時台に複数発の発射があったが、EEZ外に着弾したとみられる。現時点で被害の情報はない」と説明した。
首相はまた「高い頻度で弾道ミサイル発射を繰り返すことは、我が国地域および国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できない」と北朝鮮を非難。北朝鮮に抗議したことも明らかにした。
首相は、落下物による被害がないかの確認、情報収集の徹底、関係国との連携などを指示したとして、「引き続き情報収集、警戒監視に全力を挙げ、日米、日米韓で緊密に連携していく」と語った。 
●裏金議員に「厳しく対応する」自民党大会で大見得を切った岸田首相…再発防止策いまだ見えないまま 3/18
自民党は17日、東京都内で党大会を開いた。岸田文雄首相は党総裁としての演説で、派閥の政治資金パーティー裏金事件で政治不信を招いていることを謝罪し、「自民党は変わらなければならない。先頭に立って党改革、政治改革を断行する」と決意を語った。安倍派幹部ら関係議員への処分を巡り「厳しく対応する」と強調した。
党大会では、今後新たに政治資金事件に関係した議員処分を厳格化する党則改正などが正式決定された。ただ、派閥は「政策集団」としての位置付けが維持され、完全廃止は盛り込まれていない。
首相は党大会の演説で政治資金規正法改正について「準備を指示している。今国会で実現していく」と述べたが、焦点となる連座制を盛り込むかどうかはっきりせず、再発防止に向けた実効性のある改正案はまだ示せていない。
来賓として登壇した公明党の山口那津男代表は法改正について「自民が具体案を早期に提案し、合意を作り出す土俵を整えていただきたい」と注文。「2012年に政権奪還して以来、最大の試練に直面している」と裏金事件に対する厳しい認識に言及した。
●首相、プーチン氏5選にコメントせず 3/18
岸田文雄首相は18日、ロシア大統領選でプーチン大統領が通算5選を決めたことについて、「他国の選挙結果」だとして言及を避けた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
●石破氏「補選は先行指標」 政権運営への影響指摘 3/18
自民党の石破茂元幹事長は18日、国会内で講演し、4月の衆院3補欠選挙に関し「結果次第で世の中が動くかもしれない。補選は先行指標みたいなところがある」と述べ、岸田文雄首相の今後の政権運営に影響すると指摘した。
自民が3補選のうち、島根1区の公認候補が決定している現状に触れ「選挙は最後まで諦めたら駄目なのでできる限りのことをしていく。1票差でもいいから島根1区だけは勝ちたい」と強調した。
●政治資金問題 首相 “議員処分に加え再発防止策具体化も加速” 3/18
国会は参議院予算委員会で集中審議が行われ、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、岸田総理大臣は関係議員の処分に加え、再発防止策の具体化も加速する必要があるという考えを示しました。
自民 今井絵理子氏 能登半島地震への対応めぐり
自民党の今井絵理子氏は、能登半島地震への対応をめぐり「ニーズに応じた福祉避難所がきちんと開設できていたのか検証が必要だ。全国での対応も含めすぐにでも検証してほしい。まだまだ改善の余地があるのではないか」と質問しました。
これに対し岸田総理大臣は「個々の災害の教訓を踏まえ不断の見直しを図ることが重要だ。配慮が必要な人への対応という観点も含め一連の災害対応を振り返り、誰1人取り残さない防災の実現に向けて制度面や運用面で改善につなげていきたい」と述べました。
立民 福山元幹事長 “政治資金 国民に説明する意思がないのか”
立憲民主党の福山 元幹事長は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について「参議院で政治倫理審査会に出てきたのは3人だ。岸田総理大臣は『志のある議員はしっかり弁明しろ』と話しているが、圧倒的に多くの議員は志がないということでいいのか。国民に説明する意思がないのか」と迫りました。
これに対し岸田総理大臣は「審査会をはじめ、あらゆる場を通じて説明の努力を尽くしてほしいと申し上げており、党としても説明を促してきた。審査会のルールは説明者の意思を尊重するというもので、ルールに従って行うことが重要だ」と述べました。
また政治倫理審査会に出席したかどうかを処分の判断材料にするか問われたの対し、岸田総理大臣は「説明の形ではなく中身が大事だと考えている」と述べました。
公明 里見隆治氏 “政治資金 早急に対応すべきでは”
公明党の里見隆治氏は「政治資金は秘書任せで議員本人は知らぬ存ぜぬという答弁が繰り返されている。国民は実態解明と関係議員への厳しい処分、政治資金規正法の実効性ある改正を求めているが具体化されておらず、早急に対応すべきではないか」と指摘しました。
これに対し岸田総理大臣は「説明責任には『これで打ち止めだ』というものはなく、丁寧な説明を尽くすよう関係者に促す。あるべき政治責任の判断に加え、再発防止策の具体化も加速する必要があり、今の国会での法改正を目指して議論を進める」と述べました。
維新 清水貴之氏 「ライドシェア」について
日本維新の会の清水貴之氏は、来月からタクシー会社の管理のもとで限定的に導入される「ライドシェア」について「いろいろ制約があって、使う側の立場に立てていない。イノベーションや、生産性の高い経済をつくっていく観点でも前向きに取り組んでほしい」と求めました。
これに対し岸田総理大臣は「タクシー事業者以外が行うライドシェア事業に関する法制度について6月に向けて議論を進めていく。多くの国民に活用してもらえる制度にしていきたい」と述べました。
国民 竹詰仁氏 物価上昇めぐり
国民民主党の竹詰仁氏は、物価上昇をめぐり「政府や日銀は、安定的な物価上昇を主張している。生きるためのコストが上昇している中で、基礎控除や給与所得控除の見直しが必要だ」とただしました。
これに対し、岸田総理大臣は「物価上昇や構造的な賃上げが何年も持続する局面では検討課題になり得るが、現時点では、賃金上昇が物価高に追いついておらず、再びデフレに戻る見込みがないとは言えない。所得税や住民税の定額減税で国民の可処分所得を直接的に下支えすることが重要だ」と述べました。
共産 倉林明子氏 基礎年金に関して
共産党の倉林明子氏は、基礎年金に関して「地方議会からも物価上昇に見合う引き上げを求める意見書が提出されている。女性の低年金を改善するためにも速やかに検討すべきだ」とただしました。
これに対し岸田総理大臣は「基礎年金の拠出期間の延長を含め、給付水準に関わる論点について高齢期の就業率の上昇や健康寿命の延伸なども踏まえて次の制度改正に向けて関係者と議論している」と述べ、保険料の納付期間を45年に延長することなど検討を進めていく考えを示しました。
れいわ 山本代表 能登半島地震で被災 高齢者施設への支援
れいわ新選組の山本代表は、能登半島地震で被災した高齢者施設への支援をめぐり「高齢者が利用できるサービスを提供する施設は、コミュニティーを守るために必要なインフラの一つだ。デイサービスを提供できる仮設の建設を宣言してほしい」と迫りました。
これに対し、岸田総理大臣は「被災地におけるデイサービスの重要性は指摘のとおりだ。国として具体的に何ができるか検討したい」と述べました。
岸田首相 能登半島地震の支援策について
岸田総理大臣は、能登半島地震の支援策について「液状化の被害を受けた住宅は早急な復旧が重要なので、被災自治体による対策への国の支援制度を拡充・強化する。今週22日にも復旧・復興支援本部を開催し具体策を取りまとめたい」と述べました。

 

●下村氏 お前もか… 政治倫理審査会に出席も裏金問題“核心”語らず 「知らなかった」連発 3/19
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、安倍派の会長代理を務めた下村博文氏が18日、衆院の政治倫理審査会に出席した。キックバック(還流)を巡る幹部の証言が食い違う中、発言に注目が集まっていたが、核心部分については「知らなかった」「覚えていない」を連発。衆参合わせて10人目の弁明だったが、裏金づくりの実態は闇に包まれたままとなった。
自民の内部調査の報告書によると「安倍派の政治資金収支報告書への不記載は20年以上前からとうかがわれる」。事実なら森喜朗元首相が会長だった時期と重なる。下村氏は森氏と確執を抱えるため「内幕を暴露するのではないか」と期待含みでみられていた“キーマン”だった。
ところが、ふたを開ければ「知らぬ存ぜぬ」のオンパレード。裏金の発端を「確定的にいつからとは分からない」と強調した。派閥運営への森氏の関与を引き出し、国会招致につなげようとの野党の思惑にも乗らず「全く承知していない」と守りの答弁に徹した。
論点となっていた22年8月の資金還流の復活判断についても「誰がどう決めたのか、私は全く承知していない」と関与を否定した。当時、派閥幹部協議に出席したのは下村氏のほか塩谷立氏、西村康稔氏、世耕弘成氏。政倫審で下村、西村両氏は幹部協議で結論が出なかったと主張し、世耕氏は「何らかの資金手当て」をすると決めたが還流復活決定は「断じてない」と明言した。塩谷氏が、22年に限った還流復活は「しょうがないかなと話し合われた」とした証言と矛盾。下村氏は他の3氏と同様、自身の責任を認めなかった。
煮えきらない答弁に自民の井出庸生氏は「国民の納得が得られるのかは大いに疑問」と指摘。同党の丹羽秀樹政倫審与党筆頭幹事は、還流復活の経緯を巡る疑問は解消されていないとし「では誰が結論を下したのか」と述べた。キーマンの証言も肩透かしに終わり、実質的に何も成果がなかった政倫審。自民内ですら不満が残る中、岸田文雄首相は幕引きを急げと言わんばかりに処分へ動く。
●裏金問題 堂々巡りで何も進まず 3/19
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件は依然、実態解明にはほど遠い。18日の衆院政治倫理審査会が注目されたものの、疑問は残ったままだ。岸田文雄首相と野党側の国会でのやり取りは堂々巡りが続く。政治資金規正法改正など本丸の議論にいったい、いつ入るのか。政治改革に向けた国会審議は進展せず、入り口で空費している印象を拭えない。
安倍派が資金の還流を復活させた経緯に関し、派閥の会長代理を務めた下村博文氏は還流額を議員個人のパーティー収入に上乗せし、合法的に処理する案が幹部協議の場で出たと記者会見で明かしていた。政倫審では「合法的」の説明に割り切れなさが残り、誰の提案かも結局、分からずじまいだった。
幹部協議を巡り、安倍派座長を務めた塩谷立氏は、還流を復活させる方向で話し合われたと、先の政倫審で説明している。事務総長だった西村康稔氏、当時参院側会長の世耕弘成氏はいずれも結論は出ていないと証言するなど、食い違いは生じたままだ。
野党は、世耕氏らの証人喚問と森喜朗元首相の聴取を求めている。真相の徹底究明が規正法改正の前提だとの主張は理解できる。ただ、自民は実態調査と説明責任、野党は責任追及の形式的な実績づくりで終わるようでは、むしろ国民の信頼や期待は失われるだけだろう。国民の納得のいく形で決着を付けるよう政府、与野党に改めて求めたい。
17日の自民党大会で、岸田首相は関係議員を厳しく処分し、党と政治改革を断行すると表明した。前日の全国幹事長会議では、一連の対応への批判が相次いだ。不満のはけ口で終わるのか。本県を含め党の自浄能力を引き出す地方組織の存在意義も問われる。
現下、日銀の大規模金融緩和政策の先行きと国民生活への影響が焦点となっている。国際情勢を見れば、ロシア大統領選でプーチン氏が通算5選を決め、新たに6年の覇権体制を敷く。北朝鮮は弾道ミサイルを新たに発射し、日韓米へのけん制を強めている。
重要課題は内外に山積している。国政の停滞は許されない。政府、与党は緊張感をもっと高めて政治改革に対処すべきだ。国民は野党の動向を含め、厳しく注視し続ける必要がある。
●安倍派6人の証人喚問要求 野党、幕引き阻止へ圧力 自民消極的 3/19
立憲民主など野党は19日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、安倍派幹部ら計6人の証人喚問を要求した。立民の安住淳国対委員長は、自民の浜田靖一国対委員長と国会内で会談し実現を迫った。野党は幕引き阻止へ圧力を強化。派閥会長を務めた森喜朗元首相に事情を聴く必要があるとの声も上がった。事件に一区切り付けたい自民は証人喚問などの実施に消極的だ。事件を巡る与野党攻防がさらに激化した。
6人は、既に衆院政治倫理審査会で弁明した安倍派の塩谷立、下村博文、西村康稔、松野博一、高木毅の5氏のほか、政治資金規正法違反罪で逮捕、起訴された衆院議員池田佳隆被告。安倍派幹部である5氏が出席した衆院政倫審では、同派でいったん取りやめた資金還流が復活した経緯などが解明されないままだ。野党内で「疑惑は深まった」との批判が相次いだ。支持率が低迷する岸田政権を厳しく追及する。
証人喚問は政倫審と異なり、偽証した場合は刑罰の対象になる。浜田氏は記者団に「ハードルが高い話だ」と述べた。公明党の山口那津男代表も記者会見で同様の見解を示した。
立民の岡田克也幹事長は証人喚問について「事件の重大さから見て、当然、応じる責任があるのは明らかだ」と強調。与党側が難色を示している点に関し「世論を受け止めるのならば、自民だっていつまでも知らん顔はできない」と語った。
日本維新の会の藤田文武幹事長は、先の衆院政倫審を振り返り「真相にたどり着かない」と指摘。証人喚問は「致し方ない」と述べた。共産党の田村智子委員長は「発言の食い違いを徹底的に追及し、事実解明を実現したい」と訴えた。
立民は21日の衆院予算委員会理事懇談会で、小野寺五典衆院予算委員長(自民)に証人喚問開催を正式に申し入れる。
安住氏は浜田氏との会談で、政治資金収支報告書に不記載があった衆院議員51人のうち、政倫審で弁明していない45人の審査会出席も求めた。
会談に先立ち立民など4野党国対委員長は国会内で会談し、6人の証人喚問を要求する方針で一致した。
●伊藤惇夫氏、森元首相は「今も安倍派に強い影響力を持っていると考えるのが自然」裏金問題めぐり 3/19
政治アナリストの伊藤惇夫氏は19日、TBS系「ひるおび」に出演し、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて18日の衆院政治倫理審査会に出席した下村博文元文科相から、真相解明につながるような内容が一切語られなかったことに言及した。
伊藤氏は、下村氏が安倍派幹部グループ「5人組」と距離があったことや、かつて森喜朗元首相の影響の大きさを批判的に論じていたことを念頭に「勝手に期待していたんだろうなと思うが、結果を見るとやっぱりという印象が強い」と、期待外れに終わったことを指摘。その上で「下村さんは森さんに対し(昨年9月のネット番組で)『人事を語るなら国会議員をやったらいかがか』とまでおっしゃっていた」と、安倍晋三元首相の死去後、集団指導体制に移行した安倍派の人事に、森氏の影響があったとされることに踏み込んだ下村氏の発言に触れた。
「このことはかなり重要。集団指導体制に移行した時の人事は森さんがやったということを、下村さんはおっしゃっている。森さんの影響力がその時点までは、かなり強かったことは間違いない」と指摘した。
その上で、安倍氏が会長就任後の2022年4月、派閥内で続いていた裏金キックバック(還流)廃止を決めながら、安倍氏の死去後の幹部協議をへて復活した流れを踏まえ「安倍派のみなさんが尊敬し、慕っていた安倍さんが中止と打ち出したにもかかわらず、お亡くなりになった直後、逆らうような決断をだれかがしている」「いったいだれなんだろう」と思わせぶりに言及。「ふっと思ったのは、安倍さんの意向を無視してまで継続を決めるような影響力のある人はもしかしたら、国会議員ではない人かなと。昨日の下村さんも、一切、森さん(の話題)に触らない。何かあるのかなと改めて思った」と指摘。キックバック復活の背後に、森氏の存在が影響していたのではないかとの推測を披露した。
MCの恵俊彰に「そんなに森さんてまだ、影響力があるんですか」と問われた伊藤氏は「実際に安倍派の集団指導体制体制の人事をやったのは森さんなんでしょ? 党全体かは別として、安倍派に関して非常に強い影響力、権限を今でも持っていると考えるのが自然」と解説した。「安倍さんより決定権限が強い人がもし、いるとすれば、やっぱり森さんなんです。類推すれば、もし森さんが(森派)会長時代にこのシステムを導入したとしたら、なおさら、自分が導入したものをなぜやめるんだという話に、普通はなります」と述べ、「あくまで推測ですけどね」と付け加えた。
●玉川徹氏「政権を代えるしかない」裏金問題真相解明できない自民党に「国民の圧力強まるばかり」 3/19
元テレビ朝日社員の玉川徹氏は19日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた18日の衆院政治倫理審査会に出席した下村博文元文科相から、真相解明につながるような内容が一切語られなかったことに言及した。
「5人組」といわれた安倍派幹部とは距離を置く元幹部の立場から、安倍派裏金問題の真相解明に踏み込んだ発言をするのではないかという観点から、「ラスボス」との期待もあった下村氏。しかし、真相解明につながるような新たな事実は何も語らず「肩すかしにもほどがある」(野党関係者)と酷評されたほどだった。
「5人組」をはじめ安倍派幹部に対しては今年1月、市民団体が検察審査会への審査申し立てを行い、東京第5検察審査会が受理したことが明らかになっている。玉川氏は「強制起訴は司法権に基づいて事実を明らかにする。これは市民がこれからやっていくことになると思うが、国会は国権の最高機関。国政調査権を使って調べるべきだと思うし、そのためには第三者が介入するような委員会を(国会に)きっちりつくることなんですが、自民党はやらない。明らかになると自分たちが都合が悪いんだから」と、持論の第三者委員会創設が進まない現実に言及。その上で「そうなってくると、究極の方法としては政権を代えるしかないという話になってくる」と政権交代の必要性を訴えた。
ANNが3月16、17両日に行った世論調査で、次の衆院選で期待する政権の枠組みに関する質問に「自公政権の継続を期待する」の38%を、「政権交代を期待する」の46%が上回ったことなどに触れながら「選挙で審判を下すということに対する国民の圧力が、どんどん強まるばかりだと思う。現実問題としてそういう選択肢が出てきているということを、自民党は考えた方がいい」と指摘した。
玉川氏はまた、次期衆院選での野党の選挙協力にも触れ「比例区はそれぞれの(党への)投票になるが、選挙区でも何らかの選挙協力や調整を行うことで候補を一本化すれば分からないと、小泉元総理もおっしゃっている」「自民党は自浄作用を発揮して国会に(第三者)委員会をつくるということをやらない限り、むしろ選挙で負けますよということだと思う」とも主張した。
●自民党の裏金問題「なぜ脱税で罰せられないのか」 元国税調査官が明かす税務調査が入らないワケ 3/19
自民党の裏金問題に対して、「なぜ脱税で逮捕されないのか」などと国民の不満の声が上がっている。確かに、一般の国民であれば追徴課税、悪質な場合は逮捕もあり得る案件だが、なぜ国会議員は罰せられず、逮捕もされないのか。元国税局調査官の大村大次郎さんは「国税局は税務調査の権限があるのに、それを使っていない」と指摘する。その実態を聞いた。
――自民党の裏金問題をどうみていましたか。
課税されるべき案件だとみていました。派閥からキックバックされたお金について、多くの自民党の国会議員が「使用していなかった」と答えていました。使われずに残ったお金は雑所得となります。雑所得は課税対象です。それにもかかわらず、納税していません。
また、政治活動に使ったお金は非課税となりますが、本当に政治活動に使ったのか、調べる必要があると思います。私的なものにお金を使っていれば個人所得であり、課税の対象になります。
政治家には昔からアンタッチャブル
――なぜ国税局は税務調査に入らないのでしょうか。
単に政治家に遠慮しているだけです。「調査をしたらこうなる」というような具体的な圧力や危害があるわけではありません。ただ、国会議員は権力を持っています。調査をすれば自分が不利益を被る可能性が考えられます。捜査するとなれば、当然、上の承認が必要になってきます。事案によって変わりますが、政治家の存在というものが当然あります。
官僚にとっては最終的なボスは政治家です。さらに言えば、政治家という存在が昔からアンタッチャブル(触れてはいけない存在)だからでしょう。政治家に対しては税務調査をしてこなかったし、しないという認識があるのだと思います。
――国会議員には調査されない「特権」があるようにも見えます。
特権があるわけではありません。ただ、実態として調査しない、かかわらないようにしているだけです。国税局は税務調査の権限を持っています。その権限を使っていないのです。政治家の会計については「たたけばほこりが出る」と言われています。特に今回の裏金問題は驚くほどずさんなものです。お金の出入りを管理するという会計の考えを完全に無視したものです。
一般の企業であれば、1円も不明なおカネが許されないという世界です。それは税務調査があるからです。結局、ずさんな会計でも許されると政治家が思ってしまっている実態があり、国税局の姿勢が政治家のゆるみにつながっていると見ています。
――連座制など制度改革の議論が進んでいますが、どう見ていますか。
連座制の議論もいいですが、その前にいまやれることがいくらでもあるはずです。先ほども指摘したように、国税局には税務調査する権限があります。アンタッチャブルな存在として触らないだけで、政治家に対して税務調査する権限があるのです。国税局はその権利を使って、企業に調査するのと同様に、政治団体に調査をすればいいのです。
政治団体にも税務調査を
一般の企業では4、5年に1回程度は、疑わしいことがなくても税務調査が入ります。政治団体にも例外なく、税務調査に行けばいいんです。国税局は調査をする権利も義務もあるということを、国民はもっと知っておくべきだと思います。
「政治団体は法人税が非課税なので税務調査ができない」と言われることもありますが、政治家の所得には所得税が課せられています。そのため、所得税の調査はできます。政治団体から政治家が受け取った金についても、所得税の調査で普通に調べることができるのです。
――税務調査をしない国税局に対して、国民の不満の声も上がっています。
SNSでは「確定申告ボイコット」という言葉がトレンドに入っていました。納税者から見れば「やってられない」という気持ちが生じるのは当然ですね。マスコミもこの問題をもっと追及するべきです。国税庁は確定申告などを通じて国民と接する機会が多く、他の省庁と比べ、国民の声には敏感です。国民の批判の声が大きくなれば、国税局も重い腰をあげやすくなってくると思います。
過去には自民党元幹事長の加藤紘一氏や、元副総裁の金丸信氏に対し、国税局が重い腰をあげたことがあります。ただ、加藤氏の場合は、加藤の乱のあと、政治的な権力を失ってから脱税容疑で国税局の調査が入り、金丸氏については闇献金問題で世論の批判を受けて国会議員を辞めてから検察が動いています。
――政治家が政治団体に寄付する形で相続税を逃れているといった批判が出ています。
事実上の相続だったとしても、法律上、政治団体に寄付したとすれば、自分の資産を子どもに相続税を払わずに相続させることができます。政治団体が法律の抜け穴になっています。また、選挙区、後援会といった「地盤」を引き継ぐときにも相続税がかかっていません。
相続税法では金銭的な価値があるものはすべて相続税の対象となります。地盤にはその国会議員に対する支持=票があります。国会議員になるには、数十億円単位のお金が必要になると言われており、地盤に金銭的な価値があるのは明らかです。
相続税がかからないことが世襲議員増加の原因にも
例えば会社を相続した場合、会社の信用力も引き継ぐことになります。信用力は株価に入っていると考えられ、相続税がかかります。会社の信用力と政治家の支持は同じように考えられます。世襲政治家も地盤を引き継ぐ場合は、相続税を払うべきです。
国会議員には相続税がかからないという問題が、世襲議員の増加をもたらしたと私は見ています。新たに政治家になろうとしても莫大(ばくだい)なおカネがかかるため、新しい政治家が入ってくることができないのです。
実は、現行の憲法下で戦後から平成になるまでに就任した首相15人のうち、世襲政治家は鳩山一郎氏だけと言われています。しかし、平成以降に首相となった19人のうち11人が世襲政治家です。「失われた30年」と言われていますが、世襲議員の増加と日本の衰退はリンクしていると見ています。
――実態として相続されているのであれば、政治家から相続税を取ることはできないのでしょうか。
それはできません。法律でそういったお金の流れを認めているからです。法律自体が政治家の特権を形成しています。この問題についてはアンタッチャブルだから触れないのではなく、法律の問題でとれなくなっているのです。相続税優遇制度を廃止する必要があるでしょう。
――最後にこの状況を変えるために重要なことはなんでしょうか。
これまで話したような実態を国民が知り、声をあげる必要があると思います。そして国政選挙で民意を示す必要があるでしょう。
●言い訳と茶番の「裏金」政倫審 自浄作用なき自民党の腐敗堕落 予算案可決のためのパフォーマンス 内閣支持率は最低の18% 3/19
自民党のパーティー券裏金問題をめぐる政治倫理審査会(政倫審)が、衆議院では2月29日から、参議院では3月14日から、能登半島地震など災害対応をめぐる審議とは比べものにならない時間をかけておこなわれている。自民党安倍派や二階派などが派閥でおこなった政治資金パーティーの収入を約100人の所属議員にキックバック(収支報告書への非記載を指示して現金手渡し)するという違法行為を数十年にわたって慣習的に続けてきたことが顕在化したが、検察による国会議員の刑事処分は3人にとどまり、自民党議員の4分の1におよぶ裏金議員が何のケジメもつけず、余裕綽々(しゃくしゃく)で議場にふんぞり返っている。政倫審は幹部らが「一切知らない」「わからない」と煙に巻く茶番と言い訳に終始し、政権の支持率は過去最低を更新し続けている。有権者は何を見せられているのだろうか――。
自民党の裏金問題は、自民党が組織ぐるみで事実上の裏金を議員らに配っていたという純然たる違法行為だが、検察の捜査は「大山鳴動して逮捕者一人」。多額の裏金を懐にしていた90人以上の議員やそれを配っていた派閥の幹部もお咎めなしに終わった。数千万〜数百万円の裏金環流を受けていた議員らは、「単なる帳簿の記載ミス」と開き直り、つじつま合わせに収支報告書の訂正をして事を済ませた。多額であってもすべて「政治資金」と名付けてしまえば、領収証も不要で非課税となるからだ。
だが、パーティー券のキックバックにあたっては派閥側から議員に「政治資金収支報告書に記載するな」と指示が出ていた事実も明らかになっており、安倍派では2018〜2022年までの5年間(公訴時効)で総額約6億7503万円、二階派では約2億6460万円が裏金として議員個人に手渡しされていた。
本来、派閥から個人への寄付は政治資金規正法違反で、罰金刑以上の刑が確定すれば公民権停止。個人への報酬なら雑所得として申告しなければならず、脱税となる。だが検察は、逃げ道がある政治資金の記載義務違反容疑として捜査し、不記載額が3000万円をこえた池田佳隆(衆、比例東海)、大野泰正(参、岐阜)、谷川弥一(元衆、長崎3区)のみを立件して幕を引いた。
裏金を配っていた派閥側では、安倍派と二階派で、それぞれ「裏金」分の収入と支出を収支報告書に記載していなかったとして、政治資金規正法違反の虚偽記載罪で会計責任者が在宅起訴。岸田派(宏池会)でも2020年までの3年間のパーティー収入など3059万円が収支報告書に記載されていなかったとして、元会計責任者1人が略式起訴され、すでに有罪(罰金100万円と公民権停止3年)が確定している。
捜査開けの国会では、刑事罰を逃れた100人近くの自民党議員たちがなんら悪びれる様子もなく議席を占め、安倍派や二階派の幹部たちが安堵した表情で談笑する光景すら見られた。
一方、各世論調査でも「捜査が不十分」「納得できない」という意見は多数を占め、岸田内閣の支持率低下に歯止めがかからないため、「説明責任を果たす」として与野党合意で開催が決まったのが政倫審だ。
国会には、議員らへの質疑をおこなう場として、ほかにも参考人招致や証人喚問があるが、出席義務があり虚偽発言には偽証罪が適用される証人喚問に比べて、政倫審には出席義務がなく、嘘をついても偽証罪には問われないもっとも軽い措置。通常の国会審議との違いは、質問通告や官僚が作成した答弁がないという点だけだ。
しかも審査会の会派構成は、衆院では全25人中、自民15人、公明2人、立憲5人、維新・教育2人、共産1人。参院では全15人中、自民8人、公明2人、立憲2人、維新・教育1人、民主1人、共産1人。審査する側も自民党議員ばかりで、疑惑の渦中にある裏金議員らに言い訳と弁明の機会を与えるだけの場ともいえる。
当初、自民党は非公開を開催条件としていたが、「政治刷新」をアピールしつつ、その見返りに新年度予算案の採決を図りたい岸田首相がみずから進んで出席を申し出たことから公開質疑となった。
野党側は安倍派や二階派の幹部など衆院で51人の裏金議員に出席を求めたが、現在までに出席したのは、二階派の武田良太元総務相、安倍派幹部の西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、塩谷立元文科相、高木毅前自民党国対委員長のわずか5人。安倍派幹部で2728万円(5年間)の裏金を受領していた萩生田光一前政調会長は出席を拒否した。参院では32人の出席要求に対して、安倍派幹部で1542万円(5年間)の裏金を受けとっていた世耕弘成前参院幹事長、安倍派の西田昌司参議院議員、橋本聖子元五輪担当相の3人だけが出席した。
責任はすべて他人に丸投げ 「知らぬ存ぜぬ」に終始
政倫審で岸田首相は「なぜ政治資金の収支は明確にするとの当然のルールすら守れなかったのか。その原因が政治における順法意識の欠如にあったとしたならば、コンプライアンスの徹底に向けた改革を進めなければならない」などとのべ、「第一歩として古い派閥のあり方から決別する」「マスコミオープンのもとで説明責任を果たす」と宣言。だが、具体的な話におよぶと「こうした事案が具体的にいつどのようにして始まったのかは判然としないものの、遅くとも十数年前からおこなわれていた可能性が高い」と曖昧な答弁をし、「これまでのところ派閥が支出した資金を議員個人が受領した例は聞きとり調査を含めて党において把握されていない。また、還付金などを政治活動費以外に使用したり、違法な使途に使用した例も把握されていない」として「裏金ではない」との認識を示した。
二階派の事務総長を務めた武田元総務相は「私も、派閥会長の二階元幹事長も、会計責任者から収支報告書の内容の説明を受けることなく、虚偽記載などがおこなわれていたことはまったく知らなかった。二階氏も私もまったく関与していない」とくり返し釈明。「25年前から実務を担当している事務局長に委ねていて、私や二階会長がルールやノルマなどを決めることはまったくしていない。裏金づくりなどは毛頭考えていない」と潔白を主張し、事務方や秘書に責任を丸投げした。
安倍派の座長の塩谷立、事務総長の松野博一、西村康稔、高木毅も口を揃えて「一切かかわっていない」「(派閥から裏金が環流されていたことは)誰が決めたのかわからない」と弁明した。
西村前経産相は「私に関する捜査は、東京地検より“捜査を尽くしたうえで処分するという判断はしないことになった”との説明がおこなわれており、事件として立件する必要もないという結論に至ったものと承知している。(自分は清和会の)事務総長だったが、会計については一切かかわっていない。今に至るまで清和会の帳簿、通帳、収支報告書を見たことがない」「還付については、自前で政治資金を調達することが困難な若手議員や中堅議員の政治活動を支援する趣旨から始まったのではないか、とされているが、いつからおこなわれたのかは承知していない」「還付にかかる処理は、歴代会長と事務局長との間で長年慣行的に扱ってきたことであり、会長以外の私たち幹部が関与することはなかった」「令和四年の還付金については、安倍会長の意向を踏まえ、幹部の間で還付をおこなわない方向で話し合いがおこなわれていたものの、結果的には一部の所属議員に現金での還付がおこなわれたようだ。私はその経緯を含めまったく承知していない」と、「知らない」づくしの弁明に終始。
松野前官房長官は「清和会全体のパーティー券の販売・収入の管理や収支報告書の作成といった経理、会計業務には一切関与していなかった」「(還付された金は)政治目的として認められているもののなかで支出した。会合などの設定は私も関与しているが、支払いに関しては事務所がおこなっているので、私が還付金を自由に使っていたという事実はない」と答弁。
塩谷元文科相は「去年8月から5カ月余り常任幹事会の座長を務めてきたが、政治資金パーティーをめぐる問題に関しては一切関与していない」「(キックバックは)20数年前から始まったのではないかと思うが、明確な経緯については承知していない」とした。
高木前国対委員長も「私が事務総長の立場で政治資金パーティー収入を管理したり、収支報告書の作成や提出について事務局長から報告を受けたり、決裁などをしたりして関与することは一切なかった。そのため収支報告書の不記載や虚偽記載もまったく認識していなかった」と口を揃えた。
安倍派の参院議員グループ「清風会」会長だった世耕前参院幹事長は「派閥で(還付金の)不記載がおこなわれていることは一切知らなかった」「還付金は清和会から私の事務所に現金の形で渡され、現金のまま管理・運用されていたものであり、収支報告書の簿外での管理であったため、私自身や法律事務所の管理に引っかかることがなかった」「還付金を受けとっていたことについて私自身が長らく把握できなかった」と釈明。
「還付金の支出先は、すべて政治活動費等として収支報告書に記載できる性質のものであり、不正な目的や私的な目的でなされた支出、いわゆる裏金的支出は一切確認されていない」とのべ、「(派閥としての還付は)私が知らないところで決められた」「安倍さんが決めたのか、細田さんが決めたのかわからない」「知らないものは知らない」「私が知りたい」などと開き直りをみせた。
これらの派閥幹部たちが「知らない」なら、決めたのは鬼籍に入った安倍、細田両会長ということになる。だが「安倍会長の指示で、令和四年春ごろ一旦還付を中止する方針が決まった。その後、安倍氏が亡くなり、派内をどう運営していくかということに傾注するなか、還付金が派閥の収支報告書に不記載で、適法ではない処理をしているということをまったく認識しておらず、還付を希望する声が多いとのことで、その要望に沿って令和四年分も従来通り、還付が継続された」(塩谷)などの証言もあり、安倍氏の死後、西村、塩谷、世耕と下村博文元政務調査会長による幹部協議が二回おこなわれたことが明らかになったが、誰がキックバックを復活させたかについては結局「わからない」で終わった。
自民党の最大派閥だった安倍派は、安倍元首相の死後、リーダーが決まらず「5人衆」といわれる幹部の集団指導体制をとってきたが、誰もが責任者の椅子には座りたがるが責任だけはとりたくないという醜い姿を披瀝した。
れいわ議員には「厳重注意」 裏金議員の懲罰はいつか?
真相解明にはほど遠い言い訳大会に終始した政倫審が終わるやいなや、衆院では「ケジメを果たした」といわんばかりに委員長職権で新年度予算案が採択された。立憲民主党を筆頭とする野党側が予算委員長の解任決議案を提出するなどして時間稼ぎをしたものの結局は日程通り粛々と採決に応じ、いつもの「闘う」ポーズだけに終わった。
予算案採決時、れいわ新選組の大石晃子、櫛渕万里両議員が牛歩をおこない、壇上で「なぜ裏金自民が予算案を出す資格があるのか。立憲もなぜ今日採決させるのか? 昨日のあれ(時間稼ぎ)はなんだったのか? 国会の外の国民のみなさん、被災者に申し訳がない。恥を知れ!」(大石)、「国民には増税、自民党は脱税。犯罪者集団が作った予算では国民は幸せになれない。反対です!」(櫛渕)と叫んだため、衆院議院運営委員会(委員長・山口俊一)は議院運営委の総意として2人を呼び出し、「議場の秩序を乱した」「反省の色が見られない」などとして厳重注意の処分を科した。
その直後、大石氏は「演壇での不規則発言は“国会の品位”を貶めたということで、厳重注意処分は与野党の理事会の総意によるものだそうだ。だが私が問いたいのは、裏金議員の懲罰はいつか? だ。自民党の主要派閥が裏金づくりを指示していたわけで、そんな犯罪集団が与党として国会を運営するという異常事態だ。誰かが国民の怒りを代弁しなければいけないはずだ」とのべた。
同じく櫛渕氏は「4人に1人の自民党議員が裏金の不記載によって違法性が問われるべきものであるにもかかわらず、自民党はそのような議員を処分することもできず、立法府をいわば占領し、その権力をいまだ振りかざしている。いま、増税やインボイス導入に苦しみながら納税義務を果たしている国民の怒りは頂点に達している。国民の代表者として議場に臨む国会議員が、その怒りを代弁する発言は、なにものによっても禁止されるものではない。…本日、厳重注意の処分を科した議運委員には裏金による犯罪議員も含まれている。議運理事の皆さんは、犯罪者の尊厳を守ろうとしているのだろうか? 国会の品位はすでに地に落ちている」とコメントを出した。
組織的に裏金づくりをした側が主張する「国会の秩序」や「品位」「尊厳」とは何なのかが問われると同時に、その事態に対して徹底抗戦せず、逆にそれを訴える側を懲罰する主要野党のスタンスも問われるものとなっている。
青年局は“破廉恥”懇親会 裏金騒動の渦中に
さらに自民党をめぐっては、裏金問題が顕在化していた昨年11月、二階幹事長、世耕参院幹事長(いずれも当時)の地元である和歌山で自民党青年局近畿ブロック会議がおこなわれた後、党県連主催で懇親会なるものが開かれ、下着のような衣装の女性ダンサーを呼んでショーを披露させていたことが発覚。若手地方議員ら30〜40人を集めてホテルで開催された会合では、議員らが女性ダンサーと抱き合ったり、チップを口移しで渡すなどの破廉恥な余興がおこなわれていたことが写真とともに報じられている。この会合に参加していた自民党青年局の藤原崇局長と中曽根康隆局長代理が辞任したが、「(ダンサーを雇ったのは)多様性の重要性を問題提起しようと思ったから」(自民党和歌山県連青年局長)などと言い訳をしており反省の色はない。
これらの問題連発によって岸田政権の3月の支持率(時事通信調べ)は、過去最低レベルの18%に低迷し、自民党内でも岸田下ろしの風が強まっているといわれるが、一連の問題が示すことは自民党そのものの腐敗堕落にほかならない。公金と権力を弄び、国民の苦難などどこ吹く風の弛緩と愚劣なモラル崩壊を見せつけており、有権者の強烈な一打なくして自浄作用が働くことはない。同時に、弛緩した国会を刷新するためには、国民の怒りの受け皿となり得る勢力の結集が求められており、及び腰の野党に対しても緊張感をもって対峙することが必須といえる。
●自民党“裏金問題” 安倍派幹部らの処分「重くなる」 複数の党幹部が示す 3/19
自民党のいわゆる裏金問題をめぐる処分問題で、複数の党幹部が安倍派幹部らの処分について「重くなる」との見通しを示しています。今後どうなるのでしょうか、中継です。
これまでの取材で、まず処分対象は不記載のあった安倍派・二階派の議員82人全員、一斉処分になる方向です。
処分内容ですが、自民党の8段階の処分のうち、今回、最も重い「除名」や、2番目の「離党勧告」について、複数の政権幹部は「適用されない」との見通しを示しています。
安倍派幹部らについては、3番目に重い「党員資格停止」や、4番目の「選挙での非公認」が軸となります。そして、ほかの議員については原則、軽い方から2番目の「戒告」処分となる方向です。
――処分を行うにあたって、難しさはどこにあるのでしょうか?
今後、処分する「基準」を決めますが、岸田首相は周辺に「どう決めても批判が出る、難しい」と話しているということです。
以下の3つの困難が待ち構えていると考えられます。
1.安倍派幹部らの反発
2.二階元幹事長側の反発
3.茂木幹事長との微妙な距離
1つ目は「安倍派幹部らの反発」です。安倍派幹部について首相周辺は、「厳しい処分でなければ世論の理解は得られない」と話していますが、ある自民党幹部は、「すでに政府・党の役職を辞めるなど政治責任はとっている」と慎重な姿勢です。ある閣僚経験者は、「『政倫審』に『処分』と続けば、安倍派の岸田首相への恨みはさらに大きくなる」と話しています。
――2つ目、「二階元幹事長側の反発」とは、どういったことでしょうか?
今回、「不記載額が多いか」も処分を決める基準の1つとなっています。
額でいうと立件された議員を除くと、二階氏の金額が一番多く、首相側近議員は「金額も大きく、役職も重い」と、処分せざるを得ないとの見方を示しています。しかし、二階氏の処分には二階派はもちろん、岸田首相側近議員も「慎重にすべき」と話しています。「安倍派に加えて二階派なども敵に回せば、党内に味方がいなくなる」と心配しているわけです。
また、派閥トップの処分を決めれば「岸田派トップだった岸田首相の責任は?」という声も出てくることが予想されます。
そして、3つ目は「茂木幹事長との微妙な距離」です。
岸田派の解消を事前に伝えなかったことなど、コミュニケーション不足が重なり、岸田首相と茂木幹事長との関係はこれまでになく悪化しています。
No.1、No.2の距離が開く中、党の命運を握る処分問題で、党内外の納得感がある結論が導き出せるのか。4月上旬の岸田首相のアメリカ訪問前には決めたい考えですが、政権幹部は「どうなるか先がみえない」と話しています。
●自民党の「SMパーティー」を文春が暴露!税金で“亀甲縛り”堪能か?不倫OK・緊縛OK・同性婚NGの多様性詐欺に批判殺到 3/19
自民党和歌山県連主催の青年局近畿ブロック会議に、露出度の高い衣装を身につけた女性ダンサーを招いていたことが発覚し、多くの国民から批判的な目を向けられている岸田政権。
そんな政権にとってまたも大きな痛手となりそうなスクープを週刊文春電子版が放った。19日配信の記事に掲載されたのは、自民党埼玉県連青年局の県議たちが“SMショー”に耽る様子を激写した2枚の写真。AKB48の衣装コスプレを身に着けた男性が、パンツ1枚の上に亀甲縛りを施した男性を弄びながらカラオケを楽しんでいるというショットで、埼玉県の蕨駅近くのバーで2016年1月5日に撮影されたものだという。
記事によると、AKBコスプレの男性は田村琢実埼玉県議。田村議員といえば、23年10月に「虐待禁止条例」改正案を提出し物議を醸した自民党埼玉県議団の団長を現在も務める人物だ。
さらにこの騒動で注目を集めた直後に、「不倫キス写真」が文春オンラインで報じられたという剛の者でもある。
県議団の団長といえば党議拘束をかける側の立場にあるはずだが、“拘束グセ”は議場ばかりのことではなかったようだ。
SMパーティーに「税金」は使われていたのか?
ここで大きな問題となってくるのは、SMプレイが激写されたパーティーは「誰の金で開催されたのか」だ。税金の流用はなかったのだろうか。週刊文春電子版の記事には、県連関係者の「県連から支給されている青年局の活動費から支払っていた可能性」を指摘する声と、亀甲縛りを施されていた元県議(2016年当時は現職)の「(支払いは)公費ではない」とのコメントが掲載されている。
しかし同記事には、<県連から個々の議員に支給される「活動費」>が存在し、<“ハレンチ写真”の会が開催された日付と同じ1月5日付で県議らに10万円が支給されている>とある。
さらに記事中には、自民党パーティー券裏金疑惑を厳しく追求する神戸学院大学の上脇博之教授の、<(県連支出の活動費の)原資は事実上税金です。国会で追及されている政策活動費と同じ性質>との解説もあり、税金流用の疑惑は高まるばかりだ。
元全国紙社会部記者で政治問題に詳しい新 恭さんは、自民党和歌山県連の“ハレンチ過激ダンスショー”を論じた記事の中でこのように記している。
会費は政治活動費として出しているはずである、そして県連の財政は自民党本部からの支部交付金で成り立っている。
これは和歌山であろうが埼玉であろうが同様であることは言うまでもない。さらに新さんは、「自民党の収入は、国民の税負担で賄われる政党交付金が大半を占めるため、パーティーには税金以外の金を使った、という釈明は通じない」と断言している。これも和歌山であれ埼玉であれ同じことである。
以上を鑑みれば、今回激写されたSMパーティーが税金で開催されていたとしても何の不思議もないだろう。
元国税調査官の大村大次郎氏は政治家の「政治活動費」について、
「政治家が、政治団体のお金を使うとき、それが政治活動費であれば、税金はかかりません。しかし、政治家の個人的な支出であれば、税金がかかります。」
と、解説している。つまり、昨今話題のパーティー券の裏金プール問題でも追及されているように、その金が「政治活動に使われていないもの」であれば税金がかかる。だから、女遊びであろうがSMパーティーであろうが「政治活動に関係していないもの」であれば、一般国民と同様に税金がかかるのは当然だ。
ひょっとすると彼ら自民党議員たちは、政治活動か否かを判断する感覚がマヒしている集団なのかもしれない。
まさかの“多様性”で逃げ切りを図ろうとするのか
もう一つ気になってしまうのが、田村議員らがこのSMパーティーについてどのようなアクロバティックな釈明を行うかだ。40代のマスコミ関係者はこう話す。
「和歌山の過激ダンスショーに女性ダンサーを招いた理由を、県連の青年局長は『多様性の重要性を問題提起しようと思った』と、言うに事欠いて“多様性”を免罪符にしようと試みましたからね」
ゆえに今回も田村議員らは、「SMショーも多様性を問うためのもの」などと釈明しかねないと言うのだ。
「自分は不倫や緊縛プレイを税金でご堪能しながら、国民の同性婚や夫婦別姓には難色を示すのが自民党です。そんな都合のいい“多様性”がどこにあるのかという話ですよ。ただひたすらにギトついたオッサンが自分の好みを主張し、性欲を丸出しにしているだけじゃないですか」(同前)
多くの有権者も同じ思いであることは間違いないだろう。こんな見方をする向きもいる。50代の男性ライターだ。
「自民党のあれやこれやは、すべて“プレイ”だったのではないかとすら思ってしまいましたね。政倫審で蓮舫さんに追求される際はマゾとして、国民からカネを搾り取る際はサドとしてという(笑)」
確かに、そう考えればすべての筋が通ってしまうではないか。自民党という政権与党は、われわれ国民が想像している以上の「変態集団」なのかもしれない。
●野田元首相「岸田さん、脱法執行部が脱法議員を処分できるか」 3/19
(岸田文雄)首相ご自身が(裏金議員を処分する)基準をおっしゃっていた。金額の多寡、役職、説明責任のありようなど。もうそんなのはでそろっている。本当は党大会までにけじめをつけて、どうやったら抜け穴をふせいで国民の信頼を取り戻すことができるか、制度改正の話をしなきゃいけないのに、まだけじめもつけていないのはおかしい。国民感情としては、厳正な処分を求めている。それができるかどうかはお手並み拝見というところ。
金額の多寡で言うと二階(俊博)先生が一番多い。(政治倫理審査会に出席せず)説明責任を果たされているわけではないので、当然そのことは重く見なければいけない。岸田さんも、(首相就任を祝う会で)脱法パーティーをやっているし、今までいろんなルールを破ってきた人。脱法執行部が、脱法議員を処分することができるのか。処分される側もそう思っているかもしれない。いずれにしろ、岸田さんにとって正念場ではないか。
●岸田総理 プーチン氏“再選”に「対ロ方針は維持」と強調 3/19
ロシアの大統領選挙でプーチン大統領の再選が確実な状況を受け、岸田総理大臣は今後の日ロ関係について、北方領土問題を解決して平和条約を締結する方針に変わりないと強調しました。
「他国の選挙の結果について私が具体的に何か申し上げることは控えなければならない。北方領土問題を解決して、そして平和条約を締結していく、この方針は日本としては堅持をしていく」(岸田総理)
岸田総理は日ロ関係について「ロシアによるウクライナ侵略で交渉は全くめどが立たない」との認識を示しました。
そのうえで北方領土問題の解決と平和条約の締結を目指す方針は堅持しながら、当面は北方墓参など四島交流事業の再開が最優先になるとの考えを示しました。
●岸田政権“内閣支持率22%”でも存命の摩訶不思議…自民党内からも「寂として声なし」の体たらく 3/19
もう見慣れてしまった世論調査の岸田低支持率。19日の朝日新聞でも内閣支持率22%と低迷中。裏金問題では「派閥幹部の説明は不十分」が90%、裏金議員の「政治活動に使ったから納税しない」に納得できない91%。
ふつうなら自民党内から支持率回復のために、岸田首相を支えたり、逆に岸田降ろしの動きがあっても不思議ではない。
「これまでの自民党では若手が突き上げたものですが、今は、目を付けられると次の選挙で不利になると首をすくめています」(若手議員)
一方、派閥は疑似解消したけど、麻生副総裁や茂木幹事長が相変わらず幅を利かせて「ポスト岸田」を出そうとせずに傍観中。世論調査ではいつも「次の首相」に石破元幹事長や河野デジタル相、小泉元環境相の名前が挙がるが、世論調査の人気者が首相になったタメシはない。
かくして支持率ゼロでも岸田政権は続く……。
●今井絵理子氏、手話で国会質疑も批判殺到「字幕の方が親切なんじゃ?」「国会はタレント議員のアピールの場ではない」 3/19
自民党参議院議員の今井絵理子氏は3月18日、参院予算委員会で手話を用いながら岸田文雄首相、松村祥史防災担当相らに質問したが、ネットでは批判の声が集まっている。
令和6年能登半島地震を受けて被災地・石川県を訪れたという今井氏は、手話を交えながら 「生活再建のための情報は被災者の不安を払拭するために全ての情報を確実に届ける必要があります」と切り出し、政府が石川県内で配布する『「住まい」と「生活」の再建に向けて』というリーフレットに触れた。
今井氏は「とても分かりやすくまとめておられますが、印刷物ですから、目の見えない方にはこの情報というのはただの紙切れにしかなりません。届きません。耳の聞こえない方々にとっても必ずしも満足な情報提供とはなりません」と訴えた。
続けて「私たちが目指すのは、誰一人取り残さない防災の実現です。数多くある支援制度が縦割り行政によって届かないということがないように、情報をつひとにまとめて分かりやすく提供することはもちろん、様々な障害特性に配慮することや、平時から当事者を含めた関係者と話し合いの場を持つことが大切」と主張した。
これに松村防災担当相は「災害時にはこうした情報を、障害を持った方々にお伝えすることはご指摘の通りでございますので、まずは音声読み上げの情報が出るような仕組みを内閣府のホームページに、スピード感を持ってやってまいりたい」と答弁した。
今井氏はなおも手話を織り交ぜながら「誰一人取り残さない防災の実現に向けて、総理の思いをお聞かせください」と岸田首相にも質問。岸田首相は「要配慮者への対応という観点も含めて一連の災害対応を振り返り、誰一人取り残さない防災の実現に向けて制度面や運用面で改善につなげてまいりたい」と述べた。ただ、松村担当相も岸田首相も、紙に目をやりながら答弁する場面が目立った。
また今井氏は岸田首相に対する質問の途中から手話を使うことをやめたことから、ネットでは「手話じゃなくてソレやるなら字幕の方が親切なんじゃ?総理も大臣も手話で答えてないんだから」「ただのパフォーマンス。聴覚障害者向けならば、そもそも国会中継画面に入れるべき」「質問を理解できても大臣答弁を理解出来ない状況で、手話付き質問する意味あるのか?」「国会はタレント議員のアピールの場ではない」「それよりパリ視察の報告書は?」と厳しい声が上がった。
●「安倍さんが泣くぞ」野田元首相 茶番の政倫審、岸田首相は「異次元の鈍感力」 安倍派幹部の「自分は関係ない」姿勢許せず 3/19
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、衆参両院で開かれた政治倫理審査会は不発に終わった。安倍派(清和政策研究会)の還流・裏金スキームの経緯と、安倍晋三元首相が生前に指示した「還流廃絶」が無視された真相は分からなかった。岸田文雄首相の「年7回パーティー開催」問題を追及する野田佳彦元首相はニュース番組で、安倍派幹部や岸田首相の姿勢を厳しく批判した。
「(衆院政倫審の会場には)安倍元首相の肖像画があり、弁明している人(安倍派幹部)が見える。よくあんなことが言えると思う」「安倍さんは泣くぞ、と思う」
野田氏は18日夜、BSフジ「プライムニュース」に出演し、こう語った。
これまで安倍派では、衆院政倫審に、塩谷立元文科相と西村康稔前経産相、松野博一前官房長官、下村博文元文科相が出席。参院に世耕弘成前参院幹事長が出席したが、真相に迫る証言はなかった。
野田氏は「安倍元首相は『やめろ』と言ったが、亡くなった後に誰かが継続した。『自分は関係ない』と幹部はみんな言ってる」と憤った。
野田氏は民主党政権の首相だった2012年、総裁として自民党を率いた安倍氏の求める解散・総選挙に応じ、敗北・政権を明け渡した経緯がある。一方、安倍氏の国葬に民主党政権の首相経験者で唯一参加し、国会では追悼演説を担った。
野党ベテラン議員は「野田氏は、安倍氏をある面で認め、厳しく対峙(たいじ)した自負がある。他党とはいえ、『安倍氏側近』『保守政治家』を自称した幹部らの政治姿勢が許せないのだろう」と語る。
一方、野田氏は今国会で、岸田首相がロシアのウクライナ侵攻や、安倍氏の暗殺事件があった2022年に政治資金パーティーを7回も開催し、計約1億5370万円を売り上げたと指摘し、「大臣規範の逸脱」と追及した。
野田氏は番組でも、「岸田さんの『政治改革の先頭に立つ』『火の玉』などはむなしく響いている」「(国民にも、岸田首相に対する)愛想が尽きた感が極まっている」「私だったら耐えきれない。『異次元の鈍感力』と言うか割と平気で、私が今まで会ったことのないタイプの政治家だ」と突き放した。
そんな岸田首相率いる自民党は、裏金事件をめぐって安倍派と二階派(志帥会)の議員計80人ほどを一斉処分することを検討中だ。党の処分では最も重い「除名」と、それに次ぐ「離党勧告」は見送り、派閥幹部は「党員資格停止」「選挙での非公認」とすることを検討している。
これで幕引きしたいようだが、岸田派(宏池会)でも、パーティー収入の不記載で会計責任者が立件された。こちらの処分はないのか?
●「ステージあげた要求を」安倍派幹部5人と池田佳隆議員の証人喚問求めることで野党一致 派閥・政治資金問題 3/19
自民党の派閥の政治資金問題をめぐり、野党4党は、安倍派幹部5人と起訴された池田佳隆議員について、国会での証人喚問を求めることで一致した。
立憲民主党・安住国対委員長「残念ながら、政倫審ではやはり壁があることははっきりしたと思います。よって、さらにステージをあげた要求をして実態解明に野党結束して努めていきたい」
立憲民主党など4党の幹部らは、19日午前10時から会談した。
そして、「政倫審で事実関係を明らかにせず実態解明を妨げた」として、塩谷元文科相、西村前経産相、松野前官房長官、高木前国対委員長、下村元文科相、そして起訴された池田被告の証人喚問を要求することなどで一致した。
国会の証人喚問でうその証言をした場合、偽証罪に問われる可能性がある。
●経営危機の中国恒大、865億円の罰金 約12兆円の虚偽記載理由に 3/19
経営危機にある中国不動産大手、中国恒大集団は18日夜、証券当局の中国証券監督管理委員会から41億7500万元(約865億円)の罰金を科せられたと発表した。傘下企業が2019、20年に売上高計5640億元(約11・7兆円)の虚偽記載を行ったことなどが理由だとしている。
恒大の傘下にある恒大地産集団が18日に発表した。売上高が事前に計上することによる虚偽の数字だったほか、純利益も920億元(約1・9兆円)を水増ししていたという。さらに虚偽記載を元に社債を発行していたことや、正確な財務状況を発表していなかったことなども罰金の対象だとしている。 ・・・
●政倫審「ますます国民の不信を強める結果に」 公明・山口代表 3/19
(自民党派閥の裏金事件をめぐり)本来、説明責任を果たす機会を政治倫理審査会で設けて、信頼回復につながることを期待していたはずだが、国民の納得感は得られていないし、ますます不信を強めるような結果になっている状況だ。
説明責任を求める努力はこれからも重要で、当事者は進んで説明してもらいたい。ただ、自民党が党大会で、政治資金の収支報告に関わる責任ある立場の人を処分する方針、法的責任はともかく、政治的責任に基づいて処分をする方針を示し、(茂木敏充)幹事長に具体的な処分の検討を指示したので、国民の関心はそこに向かっている。公明党として、自民党の対応を見守りたい。
●靖国に集団参拝の小林陸幕副長、中部方面総監に 公用車使用で訓戒 3/19
政府は19日の閣議で、陸上自衛隊の小林弘樹・陸上幕僚副長(陸将)を中部方面総監に充てる人事を決めた。28日付。小林氏は1月、自らがトップを務める陸自航空事故調査委員会の関係者らと22人で東京・九段の靖国神社を参拝。同省の調査で、部隊参拝などを禁じる防衛事務次官通達への抵触は認定されなかったが、市谷の同省と神社の移動に公用車を使ったことは不適切だったとして訓戒処分を受けた。
●日銀会見 植田総裁、異次元緩和は「役割を果たした」 3/19
日本銀行が大規模な金融緩和の柱としてきたマイナス金利政策をやめると決めたことを受けて、植田和男総裁は19日の記者会見で、11年に及ぶ「異次元の緩和」について「役割を果たした」と語った。
理由について植田総裁は、「2%の物価安定の目標が、持続的・安定的な実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した」と説明。日銀はマイナス金利政策とともに、大規模緩和の柱としてきた長短金利操作(イールド・カーブ・コントロール=YCC)もやめ、今後は短期金利の操作を中心に金融政策を運営していく。 ・・・ 

 

●首相と二階氏処分、執行部で議論 裏金事件巡り自民森山氏 3/20
自民党の森山裕総務会長は20日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、岸田文雄首相(党総裁)と二階俊博元幹事長の処分の是非について、党紀委員会に上申する前に党執行部で議論したいとの考えを示した。処分が前提になるのかどうかを記者団に問われ「議論が始まる前に結論は分からない。結果を前提として議論するわけではない」と述べた。
福島市で記者団の取材に答えた。森山氏は党総裁と元幹事長の処分に関し、党紀委に上申前に党執行部で協議するのが前例になっているとして「踏襲していきたい」と語った。
自民は安倍、二階両派の議員計80人規模を4月上旬にも一斉処分する方向で調整に入った。
●自民・森山総務会長 岸田総裁・二階元幹事長の処分について「執行部で議論」派閥の裏金事件めぐり 3/20
自民党の森山総務会長は派閥の裏金事件をめぐる岸田総裁や二階元幹事長の処分について、党の党紀委員会に上申する前に執行部で議論する考えを示しました。
自民党 森山裕 総務会長「総裁、元幹事長の処分については党規委員会に上申する前に党の執行部でもいろいろ議論することが前例になっておりますので、そのことを踏襲していきたいと思います」
森山氏はきょう、訪問先の福島市でこのように述べました。
自民党は派閥の裏金事件に関わったおよそ80人の議員を処分する方向で調整に入っていますが、森山氏は処分の規模や重さ、時期については「党紀委員会で判断することであり、結論を待ちたい」と述べています。
●「荒唐無稽な説明は県民を愚弄するもので許されない」 自民党の裏金問題で市民団体が緊急抗議集会 甲府 3/20
山梨県の長崎幸太郎知事の1182万円の収支報告書不記載などをめぐり、市民団体が緊急の抗議集会を開き知事は真相を説明すべきと訴えました。
市民団体がJR甲府駅南口で開いた緊急抗議集会には、立憲民主党と共産党の県議も含め約50人が参加しました。
集会では市民団体の代表らが、自民党国会議員の「政治資金パーティー裏金事件」を批判しました。
また、長崎知事の1182万円の不記載については「大金を趣旨を問うことなく受け取ることはあり得ない」「知事は真相を説明すべきだ」などと訴えていました。
参加者「荒唐無稽な説明は県民を愚弄するもので許されません」
集会のあと参加者は、シュプレヒコールをあげながら甲府市役所まで練り歩きました。
●清水ミチコ、裏金問題皮肉った替え歌にファン絶賛「この拍手はみっちゃんへの賛辞と自民党への怒りである」 3/20
タレント・清水ミチコ(64)が20日までに自身のYouTubeチャンネルを更新。自民党の裏金問題を皮肉った替え歌に、絶賛の声が寄せられている。
清水は「『どんな悪事もいいメロディに乗せると感動的になる?』という実験」というタイトルで、ライブの切り抜き動画をアップ。歌手・中島みゆきの名曲「ヘッドライト・テールライト」をものまねしながら、替え歌を披露した。
サビでは「KICK BACK TELL A LIE 金はもう戻らない」と強烈なフレーズ。また「とがめられる人もなく バレぬまま 受け取ってきた」「政治家の裏金 何回目? 名前だけはニカイ」と歌い上げると、大きな拍手が起こった。最後は「KICK BACK TELL A LIE 税金なぜ 払わない」と問いかけていた。
視聴者からは「この拍手はみっちゃんへの賛辞と自民党への怒りである」「こういうのを本当の『コメディ』っていうんだろうなぁw」「清水さんのような著名人の方々にどんどんこういう発信をしていただきたいです」「芸人ってこうじゃなきゃと思った」といったコメントが寄せられていた。
●裏金事件「政倫審」で幕引きという思惑が大外れ 3/20
自民党の安倍派(清和政策研究会・解散決定)などによる巨額裏金事件の真相究明のための衆参両院政治倫理審査会での関係者弁明が、18日の下村博文元文科相の出席で「当面の一区切り」(自民国対)となった。
ただ、安倍派幹部の“ラストバッター”として発言が注目された下村氏は、これまで出席した5人の幹部と同様に、「知らぬ存ぜぬ」と事件関与を完全否定。これには野党だけでなく与党内からも「火に油を注いだ」との不満・批判が噴出し、自民執行部の「政倫審弁明で幕引き」との思惑は「大外れ」(同)となった。
焦る岸田文雄首相ら自民執行部は、早急に80人を超える「裏金議員」への厳しい処分を下すことで、事態打開を図る構えだ。しかし、岸田派(宏池会・解散決定)の元会計責任者が立件されたことに伴う岸田首相自身の処分も絡むだけに、「国民を納得させる処分は極めて難しい」(自民長老)とみられており、時期、内容も含めて不透明感が強まるばかりだ。
野党側は、衆院政倫審に出席した安倍派5幹部と池田佳隆衆院議員(自民除名)の6議員の証人喚問を要求するとともに事件解明のカギを握るとみられている清和研元会長・森喜朗元首相の国会招致も迫る。これに対し、岸岸田首相も森氏を直接事情聴取する意向もにじませているが、「森氏が真相をしゃべるはずがない」(同)との見方が支配的。
このため、今後は岸田首相の指導力や決断力が一段と厳しく問われることになり、内閣と自民党の過去最低レベルの支持率に苦闘する岸田政権は、当面最大の焦点となる「4・28トリプル補選」に向け、さらなる窮地に追い込まれつつあるのが実情だ。
「キックバック復活」の経緯は不明のまま
下村氏の政倫審弁明は、18日午前からの参院予算委集中審議終了前の同日午後3時過ぎから行われた。同氏は清和研でかつて事務総長や会長代理を務め、故安倍晋三元首相の最側近として知られる。その一方で、現在も同派に強い影響力をもつ森氏との険悪な関係も際立っていただけに、弁明の内容が注目されていた。
当然、野党側は森氏の関与も含めて「新たな事実の証言」を期待していたが、下村氏は、パーティー券販売のノルマ超過分がキックバック(還付)されていることを「知らなかった」としたうえで、派閥の会計についても「全く関与していなかった」と主張。そのうえで「還付を決めたり、政治資金収支報告書への不記載を指示したり、了承したことはまったくないしあり得ない」と繰り返した。
下村氏への質疑で最大の焦点だったのは安倍派での「キックバック復活」の経緯。2024年4月に、安倍派会長時代の安倍晋三元首相が招集した幹部会合で、安倍氏が示した「現金でのキックバック中止」の方針を下村氏ら幹部が了承したにも関わらず、安倍氏死去後の同年8月以降に復活した経緯とその真相だった。しかも、これまで政倫審で説明した安倍派5幹部の間で説明が食い違っていたこともあり、2回の会合に出席していた下村氏の証言が注目されていた。
「ある人」が誰だったか記憶にないー下村氏
下村氏は弁明で「キックバックの是非」を巡る2回目となった8月5日の会合について、「今後の清和研の運営の仕方や、安倍さんの葬儀についての話が中心だったが、会合でも還付はやめるというのが前提だった」としたうえで「(ノルマ超過分を)戻してもらいたい人にどんな方法が取れるのかということで、個人でパーティーをした時に派閥が購入するというふうな方法があるのではないかと『ある人』が言った」と語った。
ただ、この「ある人」が誰かと詰問されると「だれが最初に言ったのかは覚えていない」と、他の出席者と口裏を合わせるように明言を避けた。さらに、「キックバックの復活は8月5日より後の会合で決まったはず。私はその会合には出ていないので、どこで決まったか、まったく分からない」と繰り返した。
こうした「知らぬ存ぜぬ」の下村発言は、それまでの安倍派幹部の「すべては歴代会長と事務局長が決めたことで、我々は全く関与していなかった」との弁明に沿った内容。それだけに野党側だけでなく与党内からも「歴代会長でただ一人存命な森氏に聞くしかない」(自民若手)との声が相次ぎ、野党側も「証人喚問も含めた森氏の国会招致」(立憲民主国対)の早期実現を強く要求する方針だ。
そもそも森氏は首相在任中を除いて1998年から2006年にかけて清和研会長を務めていた。裏金事件に関する自民の聞き取り調査の報告書にも、政治資金収支報告書への組織的な不記載が始まった時期を「遅くとも十数年前、場合によっては20年以上前」と書かれている。同派座長の塩谷立元文科相も3月1日の衆院政倫審で「二十数年前から始まったのではないかと思う」と説明した。
ただ、同氏を含め、衆参の政倫審に出席した塩谷立元文科相、松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、高木毅前国会対策委員長、世耕弘成前参院幹事長の6氏はそろって「森氏が関与していたという話は聞いたことがない」(西村氏)などと弁明。岸田首相も3月6日の参院予算委で「具体的に森元総理の関与を指摘するような証言は確認されていない」と答弁していた。
「裏金議員」80人超の処分の行方も不透明
ただ、その岸田首相も、ここにきて森氏をめぐる発言を修正し、3月15日の国会質疑では、「関係者に対する追加聴取を党で検討している」としたうえで、「関係者の中には森元首相も入ると認識している」と述べた。このため、与党内にも岸田首相が自ら森氏に事情を聴くしかない」(自民幹部)との声が強まり、岸田首相の対応が注目されることになった。
そうした中、18日の下村氏の弁明を受け、自民党執行部が裏金事件に関与したとされる安倍派と二階派(志帥会、解散決定)の議員80人超を4月上旬にも処分する方向で検討していることを一部メディアが報じた。
岸田首相の指示で処分を決める立場の茂木敏充幹事長は17日の自民党大会後、記者団に対して処分の重さについては「一律に全員同じにはならない。『上に甘くて下に厳しい』という組織であってはならないと考えている」として派閥運営における責任が大きい元幹部には相対的に厳しい処分を科す考えを示した。
その一方で、自民党内には「最も重い『除名』は見送るしかない」(幹部)との声が支配的だ。というのも、派閥幹部により厳しい処分を科す場合、派閥の領袖だった岸田首相(自民党総裁)も処分対象にせざるを得ないからだ。このため、「厳しい処分と口で言っても、実際は(当該議員の)致命傷になるような処分はできない」との見方が少なくない。
「会期末解散」も困難視する声が支配的に
そうした中、岸田首相は18日の参院予算委で、「処分前の衆院解散は考えていない」と明言。そのうえで解散時期については、「まずは信頼回復のために、党として政治責任のけじめをつける。この国会で、再発防止策の法律を成立させることによって確定する」と述べた。
この発言は「通常国会会期中に政治資金規正法の抜本改革を具体化できれば、会期末解散もあり得ることを示唆したもの」(自民長老)と受け止める向きが少なくない。ただ、4月28日投開票となる衆院の島根1区、東京15区、長崎3区でのトリプル補選は「全敗もあり得る」(自民選対)とされるだけに、「岸田首相が多くの関門を乗り越えて会期末解散にたどり着くの可能性は極めて低い」(閣僚経験者)との声が広がるばかりだ。
●33年ぶりの賃上げ、株価4万円でも…「“中小”勤めに恩恵は少ない」と専門家 3/20
株価が史上最高値に。33年ぶり高水準の賃上げ。新聞にはそんな見出しが躍るが、恩恵を感じていない人も多いのではないか? いったいなぜなのか、専門家に聞いてみた。
「日経平均株価が4万円を突破して、史上最高値を更新しました。岸田首相は『私の政権になってから、賃上げや投資の促進などに特に力を入れ、経済政策を考えてきた』と成果を強調しています。日銀は今月中にもついに『マイナス金利の解除』を宣言する見通しです」
こう話すのは、市場の動向に詳しい経済評論家の加谷珪一さんだ。東京株式市場は4日、日経平均株価が半導体関連の銘柄を中心に値上がりし、初の4万円を突破した。だが、“それは現実?”と目を疑う人も多いようだ。
「史上最高値ってバブル期以上? 物価が高すぎて買い物もできないのに」(50代パート女性)
「夫の会社は業績が悪く、給与も現状維持がやっと。一体、誰が賃上げされてるの?」(50代専業主婦)
なぜ株価4万円でも、庶民は恩恵を感じることができないのか。
「市場では『業績が上がっていたり、これから上がりそう』な会社の株価が上がります。しかし現在、利益を上げている日本企業の多くは人件費や外注費の削減で利益を上げている。全般的に企業の増益分が労働者に還元されていない状態が続いています」(加谷さん)
庶民は “好景気”の恩恵よりも、弊害を感じるほうが早くなりそうだ。40代以降には住宅ローンを組んでいる家庭が多いが、今月にも行われると噂される“マイナス金利の解除”によって、ローンの返済額が上がる可能性があるのだ。
住宅ローン金利が3%の時代がくる
マイナス金利とは「政策金利をマイナスにする」政策のこと。お金を借りやすくすることで、市場のお金の量を増やす効果がある。
「日本はデフレ(物価が安い状態)脱却の金融緩和策の流れで2016年から『マイナス金利』政策、『ゼロ金利』政策をとっており、ここ数年は目標としてきた2%程度まで消費者物価指数が上がっていました。
これ以上の物価上昇を抑えるためにも、早ければ3月18〜19日の金融政策決定会合で、マイナス金利の解除に言及される可能性があります。さらに、秋口には『ゼロ金利の解除』を宣言して、『プラス金利』に引き上げて行く方針だと予想されます」(加谷さん)
マイナス金利 → ゼロ金利 →プラス金利、と上がっていけば、借金をしたときにかかる金利も上がることになる。
「借金を返済できない中小企業が出たり、住宅ローンの利率が上がって返済が滞る人が出たり、かなり影響が出るでしょう」(加谷さん)
実際に住宅ローンの返済額はどれくらい上がるのだろうか。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが解説する。
「今春にゼロ金利の解除宣言をした場合には、3カ月後の夏あたりから影響が出始めるでしょう。住宅ローンの変動金利は現在0.2〜0.4%ほどですが、0.6%くらいまで上がると予測されます。
今後、日銀は政策金利を4%程度までには上げたいのだと思います。そうなった場合、過去の例から考えると、3%程度まではローン金利が上がると考えられます」
本誌は35歳時点で、変動金利で借入額3000万円の35年ローンを組んでいた場合の返済総額を試算した。金利がずっと0.3%だった場合には返済総額は約3160万円。しかし、15年目から、金利が毎年0.3%ずつ上昇し、最終的に3%まで上がった場合、返済総額は約3501万円と、341万円も増えてしまう計算になる。
物価が上昇しても50代給与は上がりづらい
金利が上がっても、物価上昇の流れは、続きそうだ。
「日銀は物価上昇を『2%程度』が望ましいと考えています。企業の業績が順調に上がる場合、賃金は消費者物価を上回る2.3%ほどのペースで上がっていく可能性はあります。逆に業績アップがうまくいかない場合、賃金の上昇1.8%程度や、それ以下になる恐れもあります」(加谷さん)
現状の賃上げは大手企業やその関連会社が中心。中小企業には十分に波及していない。
1月19日の東京新聞によると、2024年に「賃上げ予定」があると答えた中小企業は27.3%なのに対し、「賃上げの予定なし」は34.6%と、7ポイント以上も多いという。
また50代は、賃上げを停止したり、役職定年による賃下げを実施したりしている企業も多い。
今後、家計をどう守っていけばいいのか。柏木さんはアドバイスする。
「住宅ローンは、固定金利のほうが現状では金利が高いです。今後の変動金利の上昇率を見ながら、たとえば1.5%を超えたあたりで、それ以後の返済を固定金利に組み替えることも考えるべきでしょう」
加谷さんはこう語る。
「インフレ下では、現金を持って(預金して)いるだけでは、だんだん損していってしまいます。とはいえ、いきなり投資を始めるのはリスクを伴いますので、まずは妻のパートの回数を増やすなどして家計収入を増やすことと、自動車を手放すなどで出費の見直しをすることです。
余剰資金ができたら少しずつNISAなどの投資にまわせば、リスクも少なくてすむと思います」
物価高で、むしろ家計は“不景気”状態。自己防衛で資産を守っていくしかない。
●自民青年局「セクシーダンス懇親会」問題でダンマリを決め込む“もう一人のキーマン” 「地方議員のドン」が果たした役割と取材に対する呆れた“弁明” 3/20
自民党青年局による“破廉恥ダンス懇親会”騒動の鎮火に岸田政権が苦慮しているという。会に参加した藤原崇・青年局長と中曽根康隆・青年局長代理を辞任させることで、一度は収束を試みたが、批判の声は広がるばかり。実は今回の問題では「もう一人、重要なキーパーソンがいる」というのだが、報道では一切スルーされてきた。その理由は何か。
問題の懇親会は昨年11月18日、和歌山市内のホテルで開かれた「青年局近畿ブロック会議」の終了後に始まった。参加者は自民党青年局所属の国会議員や近畿地方の若手地方議員など40人近くにのぼったという。
「会が始まると、肌を大きく露出させた“下着”と見紛う衣装姿の女性ダンサー約5名が登場。参加者へのボディタッチなどもある過激な演出で、ハメを外した議員のなかにはダンサーのお尻を触ったり、口移しでチップを渡す者まで現れました。当初、自民党側は藤原・中曽根両氏の辞任で幕引きを図るつもりでしたが、あまりの下品な内容に批判がやまず、目論見が外れた格好です。官邸側の人間に取材しても、焦点となっている懇親会の模様をおさめた動画を確認した者すらおらず、“政権として危機管理能力を喪失している”との声が自民党内からも上がっています」(全国紙政治部記者)
懇親会の主催は和歌山県連で、破廉恥ショーを企画した県連青年局長の川畑哲哉・和歌山県議は責任を取って離党。ちなみに会のテーマを「多様性(ダイバーシティ)」だったと釈明したのが川畑氏で、火に油を注ぐ結果になったのは周知の通りだ。
実は早々に辞任を表明した藤原氏や中曽根氏と「同格のポジションにいる人物」も懇親会に参加していたというが、なぜかその自民党議員について言及するメディアはなかった。
地方議員の「トップ」
自民党関係者が語る。
「舞台となった会議は全国の各ブロックで毎年行われ、会議の主要テーマは地方議員から活動報告を聞き、地方の情勢を把握することです。つまり会議の“主役”は担当ブロックの各地方議員であり、そのブロック会議に呼ばれる自民の若手地方議員のトップに立つのが、全国11ブロックの幹事都道府県支部連合会青年局で構成される中央常任委員会の議長です。現在は細田善則・埼玉県議(41)が就いており、細田議長も懇親会に出席していたと聞いています」
細田氏は埼玉県戸田市出身で、2015年の県議選で自民党から出馬して初当選。以降、戸田支部長や埼玉県連青年局長などを経て、昨年10月に中央常任委員会議長に就任した。
「青年局組織のなかで、細田氏は国会議員の青年局局長と“同格”の扱いを受け、党本部での発言力も局長と“同等”と見なされています。そのため地方で開催されるブロック会議後の懇親会には、党本部から来る国会議員だけでなく、地方議員トップの常任委員会議長をもてなす意味合いもあったとされる。また離党を表明した和歌山県議の川畑氏についても『監督責任は一義的には議長の細田氏にあったはず』との声が党内でくすぶっています」(同)
「日当も支給」
それにもかかわらず、これまで細田氏の責任を問う声が表立って上がらなかった理由について、埼玉県議会関係者がこう話す。
「そもそも外部の人間で常任委員会議長の権限や地位について正確に理解している者は少なく、また自民党内でも青年局に所属した経験のある議員でなければよく分かっていないのが実情です。それをいいことに、細田氏はこれまでダンマリを決め込でいたばかりか、地元・戸田の関係者には“私は懇親会など知らない”と吹聴していたとの話も聞いている。騒動の発覚直後には議会にも姿を見せなくなり、県議の間からは“逃げ回っているのでは?”といった声も漏れました」
細田氏は今回の会議出席に際し、「埼玉県連から交通費や宿泊費、さらに日当まで支給」(同)されていたため、県議会でも説明を求める声が一部で上がっているという。
「深くお詫び申し上げます」
細田氏に懇親会出席の有無や責任をどう感じているか、過激パーティーに対する見解などを問うたが、
〈今般の近畿ブロック会議懇親会に関する事案については、自民党青年局3月11日付「青年局ブロック会議をめぐる事案について」の記載の通りです〉
と文書で短く返答してきたのみで、自らの言葉での回答を拒否した。ちなみに細田氏が「参照」を促したのは、
〈懇親会において、会の趣旨にそぐわない極めて不適切な内容の余興が開催県連青年局により企画され、実施されましたことは誠に遺憾であり、深くお詫び申し上げます〉
と“全面謝罪”する内容の青年局の談話(11日付)を指す。
問題の発覚以降、「唯一、責任を取っていないトップ」と指摘される細田氏の今後の言動に注目が集まる。
●賃上げで環境整備、岸田首相手応え アベノミクス転換、異論なく―日銀マイナス金利解除 3/20
日銀のマイナス金利解除決定について、政権内では、岸田文雄首相が進める賃上げが環境整備につながったとして、肯定的な受け止めが支配的だ。2013年以来続いてきた異例の金融緩和策は転換点を迎え、安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」からの路線変更を印象付けたものの、自民党内にも表立った異論は出ていない。今後の焦点は「デフレからの完全脱却」を果たせるかに移る。
「異次元の金融緩和政策について、現下の情勢を踏まえた新たな段階へ踏み出すと同時に、前向きな経済の動きを確実にする観点から、緩和的な金融環境が維持されることは適切だ」。首相は19日、首相官邸で記者団の取材に応じ、日銀の決定をこう評価した。
06年のゼロ金利政策解除を巡っては、当時の安倍官房長官らが当面の政策維持を主張。政府・自民党と日銀の間には緊張感が漂った。
今回政府・与党内に目立った反発がなかったのは、もともと日銀の政策転換を織り込んでいた要素が大きい。自民内でアベノミクスと歩調を合わせた大規模緩和の継続を唱えてきたのは安倍派が中心。同派に所属した議員が政治資金問題で動きを取りづらい状況に置かれていることもあり、路線対立は鳴りを潜めた。
政府内にも「円高を招けば輸出企業に悪影響を与える」(関係者)と不安視する意見もあったが少数派。政府高官は「異論はない」と強調し、首相周辺は「首相は、自ら選んだ植田和男総裁に全幅の信頼を置いている」と語った。
植田総裁は19日の記者会見で「昨年に続きしっかりした賃上げが実現する可能性が高い」と言及した。賃上げを訴え続けた首相にとっては、マイナス金利を解除できる環境を整えたというアピールにもなり得る。
一方、賃上げの動きが力強い成長や経済の好循環につながるかはまだ不透明な要素がある。焦点の「デフレ脱却」を巡って、政府内には「経済が新たなステージに入った」(首相周辺)として、達成が近づきつつあるとの見方も出ているが、林芳正官房長官は会見で「金融政策変更そのものと連動するものではない」と慎重さを崩さなかった。
「デフレ脱却宣言」に踏み切れるかは、首相の衆院解散戦略にも影響しそうだ。政府は消費者物価指数などの指標を判断材料に挙げるが、高官の一人は「指標は指標として、宣言するかどうかは政治的判断だ」と指摘。首相は19日、記者団に「総合的な判断を行わなければならない」と述べるにとどめた。
●岸田首相、二階元幹事長も処分へ 派閥裏金問題で4月上旬にも 3/20
自民党派閥の裏金事件をめぐり、党総裁である岸田文雄首相は、自身と二階派会長の二階俊博元幹事長を処分対象とする検討に入った。
安倍派幹部を含む、政治資金収支報告書への不記載があったことが判明している約80人と併せ4月上旬にも処分する方針。複数の政権幹部が明らかにした。
首相は岸田派会長を務めていた際の不記載で派閥の会計責任者が立件されたことから、自身の責任は免れないと判断。二階氏は二階派の会計責任者や、二階氏の秘書が政治資金収支報告書への不記載で立件されている。直近5年の不記載額は自民の現職議員で最多の3526万円。派閥会長のみならず、議員個人としての責任が問われている。組織的に裏金を作っていた安倍派の幹部を含め、「党の歴史上にない大量の処分」(政権幹部)となる。
●円安、一時151円台 4カ月ぶり 日銀は緩和継続の見方拡大 3/20
20日の外国為替市場で円安ドル高が進み、一時、昨年11月以来、約4カ月ぶりに1ドル=151円台まで下落した。日本銀行が19日に大規模な金融緩和を終えると決めたが、当面は緩和的な金融環境が続くとの見方が拡大。19日の東京市場で円安が進み、その後も円安の流れが続いた。
米東部時間19日午後5時(日本時間20日午前6時)時点では、前日の同じ時刻より1円73銭と大幅な円安ドル高の1ドル=150円82〜92銭で取引された。
今春闘での高い賃上げ率や物価上昇の状況などを理由に、日銀はマイナス金利を解除し、長期金利を低く抑え込む枠組みも撤廃すると決めた。だが、決定内容が事前予想通りだったことや、植田和男総裁の「当面、緩和的な金融環境が継続する」といった発言から、日銀はしばらくはさらなる金融引き締めをしない、との見方が市場で拡大。円安ドル高が進んだ。
また、米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は20日まで金融政策を決める会合を開く。FRBは今回も利下げは見送るとみられている。米国の消費者物価指数(CPI)の前年比の伸び率が9カ月連続で3%台と、物価上昇が高止まりしていることが背景にある。日米の金利差が大きく縮まないとの思惑も、円安につながっている。 
●「自民党は被災者を見捨てた」能登半島地震 国からの“支援終了” 3/20
能登半島地震の被災者は、耳を疑ったのではないだろうか。3月19日に行われた「第43回災害対策本部員会議」で馳浩知事は「国や市町と調整の結果、国のプッシュ型支援は3月23日の土曜日で終了いたします」と発表したのである。プッシュ型支援とは、国が被災都道府県からの具体的な要請を待たないで、物資を緊急輸送することを指す。
「驚いたのはその理由です。知事は『現在、地元商店などの営業が次第に再開しており、物資支援と商流再開を両立させることが重要』と述べました。
確かに『地元の流通を活発化させて経済を回すことも必要』という声も聞こえますし、義援金配分委員会は七尾、輪島、珠洲、志賀、穴水、能登の6市町の全住民に1人あたり5万円を配分することを決めていて、2月26日からはオンラインと郵送での申請、3月18日からは窓口での申請受け付けが始まりました。
しかし金額、スピード感のいずれも生活再建には十分ではありませんし、今なお農業用ビニールハウスなどで生活をしている被災者もいます。今後は県や市町が物資調達を行うとしていますが、果たして十分な調達量が確保できて、困難を強いられている方々すべてに行き届くのか不安が残ります」(ジャーナリスト)
馳知事自身も会見のなかで「必要となる物資量の減少を踏まえ、3月25日より、県の物資拠点を産業展示館から日本通運が保有する金沢市内の倉庫に移す」と表明していることから、物資量の減少を見込んでいるようだ。
今回の発言に、SNSでも“疑問”と“怒り”の声が見られる。
《自民党は被災地の被災者を見捨てた》
《岸田君が全力で復興するって言ってなかったっけ?》
《店舗が少しずつ開いて来たって 収入が途切れている人が 大勢いるのに》
《国ってこんなんで良いのか?》
輪島市も2月末日で、応援職員の減少などから自主避難所に食料などの支援物資を届ける活動を終了。3月から物資の配布は指定避難所や公共施設などに集約して、自主避難所の住民は集約拠点まで取りにいかなければならない。
あらゆるところで支援が縮小しているが、3月1日時点で1万人を超える被災者が避難所に身を寄せている。まだまだきめ細かい支援が求められるはずだが……。
●被災者の地元離れで復興進まず…能登半島地震被災地の今 多くのボランティア集まるも“家主不在”ネックに 3/20
能登半島地震から2カ月半以上が経ちました。震源の石川県能登地方は最大震度7の揺れに襲われ、甚大な被害に見舞われました。復旧作業は、いまも続けられています。BBT富山テレビの取材班が、フジテレビ系列局、FNN取材団の一員として今月7日から14日まで、珠洲市や輪島市などを取材。被災地では、断水の長期化や「被災者の地元離れ」で復興が進まない状況が続いていました。
リポート「能登地方に続く道路は工事車両で、午前7時前でも渋滞ができています」
今月8日、私たち取材班は、金沢市内から珠洲市へ向かいました。道路は徐々に復旧していますが、いまも大きく崩れた箇所がいくつも確認できます。
震度6強を観測した珠洲市。崩れた住宅の多くはいまだに手つかずの状態です。
地震で亡くなった人は、石川県内で241人。住宅被害は7万4000棟以上にのぼります。(3月19日時点)
珠洲市ボランティアセンターで「仮置き場と、ここ(依頼者宅)のバーコードは車の中に入っています。行く前に確認してください」
珠洲市には、連日全国から多くのボランティアが集まり、これまでに2500人以上が活動しています。(先週時点)
依頼の多くは住宅のがれき撤去です。
千葉県からのボランティア「ちょっと(話と)違うね。きょうの短時間じゃ、これは無理だよ」
Q.これはどういう状況?
千葉県からのボランティア「家主さんが不在の場合がある」
Q.被災者に立ち会ってほしい?
千葉県からのボランティア「(被災者は)『これを持って行ってほしい』というのがある。最悪の場合、しょうがなく持って行くこともあるが、その辺の判断ができない」
何を廃棄して何を残すのか、意思を確認するため、住宅での活動は依頼者である住人の立ち会いが原則です。
しかし、断水の長期化や高齢者が多いことから、被災者の多くは金沢市などに2次避難しています。
珠洲市では自宅に戻る負担や、スケジュール調整の難しさから依頼者が立ち会えず、作業ができないケースが、およそ1000件の依頼のうち300件ほどにのぼります。
石川県 馳浩知事(県アドバイザリーボード 3月7日)「私どもの使命は、将来にわたって、この地域をどうしていくか。県全体として考えるべきである」
被災地では、「被災者の地元離れ」が深刻な問題となっています。
有識者「果たして能登にいつ戻れるのか。6月の段階で示すことが極めて重要。日々能登から人が離れていると感じている」
そして、復興が遅れているもう一つの原因が...。
有識者「ライフラインや仮設住宅のスピードをあげるために、(支援者向けの)宿泊施設を作る。もう一つそこに合わせて、仮設の飲食店を作るのも必要」
珠洲市では、今も、市内ほぼ全域の4430世帯で断水が続いています。生活環境が整わない能登地方では、被災者はおろか、ボランティアも宿泊拠点を設けられません。ボランティアは金沢市内や県外から通い、活動は短い時間に限られます。
滋賀県からのボランティア「ボランティアとしては1泊2日。(他の災害では)1週間単位の活動もあった。それぐらいあると集中して作業ができた」
Q.もどかしさを感じる部分は?
滋賀県からのボランティア「もっと早い段階で多い人数が被災地に入れると、もう少し作業的にも進んでいるんだと思うが...」
こうした状況に石川県は、支援者の拠点づくりを急いでいます。
リポート(のと里山空港)「空港ターミナルの隣、およそ3500平方メートルの敷地では、仮設ホテルの工事が先ほどから始まり、建物の位置を決める寸法の測定が行われています」
被災地へのアクセスが良い輪島市の空港では、コンテナハウスなど16棟、134人分の仮設ホテルが建設中で、今月末にも完成の見通しです。
復興が軌道に乗らない被災地。険しい道のりの第一歩といえる「支援者支援」が始まろうとしています。発生から2カ月半ほどが経ち、復旧、復興に向けた課題が浮き彫りになってきました。
以下、取材した記者の報告
去年5月、珠洲市で震度6強を観測した地震でも現地で取材しましたが、その時とは比べ物にならない数の住宅が倒壊していて、今回の地震の激しさを目の当たりにしました。
また去年に比べて、市内で被災者に会うこともほとんどありませんでした。
大規模な断水がいまだ続いていますし、道路の寸断で一時、「陸の孤島」になり、再び生活の拠点として戻るには高い壁があると感じました。
ボランティアの数は足りているけれど、作業は進んでいないという現状も見てとれました.。
依頼者が立ち会えないという問題もありますが、復旧が進まない大きな原因は断水が解消しないことにあると言えそうです。
珠洲市では災害ごみの仮置き場が現在3カ所設置されていますが、開設時間は午後3時半までです。ボランティアからは、遠方からせっかく活動にきたのだから開設時間を延ばしてほしいという声もありますが、市では断水でシャワーもトイレも使えない状態の市内で長時間活動してもらうのは負担が大きいとして、この開設時間にしているということです。一日も早い支援者の拠点整備が求められます。

 

●「裏金議員・納税拒否」「岸田首相・開き直り」は、検察の捜査処分の誤りが原因 3/21
予算審議の舞台が衆議院から参議院に移った国会では、「派閥政治資金パーティー裏金問題」での追及が続いている。
問題は、二つに絞られてきている。第一に、2022年に安倍元首相によりいったん還流が中止されることになったのに、安倍氏の死後に還流を実行することになったのは、誰がどのように決めたのか、第二に、政治資金パーティー売上の還流の裏金を受領した議員に対する所得税課税の問題だ。
第一の問題については、衆議院の政治倫理審査会で3人の元安倍派幹部が出席して弁明を行ったが、22年8月上旬の幹部の話合いの際、還流の継続が決まったか否かについて、西村康稔氏と塩谷立氏との間で話が食い違うなど、ますます疑惑が深まった。
参議院の政倫審では、その話合いに加わっていた世耕氏が「知らぬ存ぜぬ」の弁明に終始したことに対して、その後、政倫審に出席した西田昌司氏からも、世耕氏に対して厳しい批判が行われるなど、安倍派幹部に対する「風当り」は一層厳しいものになっている。
3月18日、下村博文氏が政倫審に出席した。安倍氏の死亡後、安倍派内部で中心から遠ざけられていた下村氏が、それまでの幹部とは異なる発言を行うのではないかが注目されたが、結局、新たな話はなかった。
本来の事実解明の場とは言い難い国会の政倫審で、疑惑への弁明と質疑による事実解明に期待が集中していること自体が、極めて異例であり、まさに混乱を象徴している。
「異例の事態」に至った理由
このような異常な事態になっているのはなぜか。
昨年12月から年初にかけて、地方から50人もの検事を動員し、膨大な国費をかけて行われた検察捜査が、政治資金パーティーによる裏金に対する国民の怒りに火をつけ、検察リークとしか思えない報道で裏金問題が炎上拡大したのに、捜査の結果明らかになった事実は、「各年の不記載の金額」以外全く表に出ないまま、既に起訴から2か月が経過していることに根本的な原因がある。
裏金還流の経緯を直接知っているはずの派閥会計責任者については、1月下旬に起訴されて以降、公判に向けての動きもなく、その供述内容について何の情報もない。そうした中で、「知らぬ存ぜぬ」を繰り返す安倍派幹部に質問を繰り返しても意味がない。
裏金議員への課税を阻んでいるのも「検察の捜査処分」
第二の点については、キックバックを「政治資金収支報告書に記載しない」前提で受領し、そのまま議員個人が保管していた事例もあることが、自民党のアンケート調査で明らかになっており、明らかに個人所得だと思えるのに、議員側には納税に向けての動きはなく、国税当局の税務調査も行われている気配はない。
昨年秋、インボイス制度が導入され、国民の多くがそれによる負担の増加に苦しんでいる。しかも、国会での追及が、確定申告の時期と重なったこともあって、「裏金議員が所得税を免れていること」に対する国民の不満が一層強烈なものとなった。
裏金議員の所得税納税の問題について、岸田首相は、国会で「裏金議員は所得税を納税すべきではないか」と追及される度に、「検察捜査の結果を踏まえて、適切に判断されるべき」との答弁を繰り返している。
裏金議員も、「政治家個人に対する寄附禁止規定が適用されるべきではないか」との指摘に対しても、「検察当局が厳正な捜査をした結果、そのような罰則適用は行われていない」として、同規定違反を否定する答弁を繰り返している。
検察捜査の方向性に重大な問題があった
岸田首相が、野党の追及をかわす最大の拠り所としているのが「検察の捜査処分」だが、そこには、重大な疑問がある。
最大の問題は、検察の捜査処分が、「政治資金規正法の『大穴』」の問題を無視したものであったことだ。
私は、この問題について、Yahoo!ニュースの当欄への投稿や、著書『歪んだ法に壊される日本 事件・事故の裏側にある「闇」』(KADOKAWA:2023年)等で、政治家個人にわたった「裏金」について、政治資金規正法での処罰が困難であること、この「大穴」を塞ぐ法改正が必要であることを訴えてきた。
今回の裏金受領議員についても、その「大穴」によって処罰が困難であることを、私自身の発信や様々なメディアへの出演で指摘してきた(「日本の法律は「政治家の裏金」を黙認している…「令和のリクルート事件」でも自民党議員が逮捕されない理由」など)。
政治資金収支報告書というのは、個別の政党、政党支部、政治団体ごとに会計責任者が提出するものである。国会議員の場合、政治団体である「資金管理団体」のほかに、自身が代表を務める「政党支部」があり、そのほかにも複数の国会議員関係団体があるのが一般的だ。つまり、一人の国会議員に「財布」が複数ある。
政治資金規正法で、政治資金の収支の公開の問題として罰則の適用の対象になるのは、どこか特定の政治団体や政党支部に収入があったのにそれを記載しなかったとか、それに関連して虚偽の記入をしたことである。
議員個人が「裏金」として政治資金を受け取った場合、それは、その議員に関係する政治団体・政党支部のどこの収支報告書にも記載しない、という前提で領収書も渡さずやり取りする。ノルマを超えたパーティー券収入の還流は銀行口座ではなく現金でやり取りされ、収支報告書に記載しないよう派閥側から指示されていたとされており、議員の側は、どの政治団体の収支報告書にも記載しない前提で「裏金」として受け取り、そのまま、どの収支報告書にも記載しなかった、ということである。
その場合、その還流金をどの収支報告書に記載すべきだったのかが特定できないので、政治団体等の収支報告書の不記載・虚偽記入罪は成立しないのである。
検察捜査は、この「政治資金規正法の『大穴』」の問題があることを踏まえて行われるべきだった。
政治資金規正法21条の2第1項は、「政治家個人宛の政治資金の寄附」を禁止している。
会計責任者、議員本人に、「収支報告書に記載しない前提の金である以上、資金管理団体、政党支部などに宛てた政治資金ではない」として、収支報告書を提出不要の「政治家個人宛の寄附」として受け取ったことを認めさせる方向で捜査を行うべきだった。それによって「政治家個人宛の寄附」であることの立証が可能になり、同時に、それを議員の個人所得としての課税することにもつながったはずだ。
しかし、実際の検察の捜査は、それとは真逆の方向で、還流金が資金管理団体などの政治団体に帰属していることを認めさせ、それをその政治団体の政治資金収支報告書に記載しなかった問題としてとらえようとした。
その結果、検察捜査は、裏金議員の殆どが刑事立件すらできず、僅かに正式起訴した池田佳隆及び大野泰正の2名の国会議員についても、果たして有罪立証ができるのかすら疑わしい(『「裏金」事件の捜査・処分からすれば、連座制導入は「民主主義への脅威」になりかねない』)という惨憺たる結末に終わった。
裏金議員が所得税申告をしたら「検察に喧嘩を売る」ことになる
この問題に関して、3月14日のBSフジ「プライムニュース」に出演した元検事の高井康行弁護士が、興味深い発言を行った。
これまでにも特捜捜査が社会の耳目を集める度に、検察実務に詳しい識者としてテレビ等に出演し、検察・特捜部の代弁者のような「解説」を行っている高井氏だが、今回も、まさに「検察の論理」から、「裏金議員への所得税課税」を全面的に否定した。
高井氏は、
今回の事件は、派閥から政治団体にキックバックされている案件。派閥から議員個人にキックバックされているわけではない。当然検察も、派閥から政治団体にキックバックされた、だからキックバックされた金は政治団体に帰属するもの、だから収支報告書に書かなければいけない、という論理で起訴している。
政治活動費として受け取った金から政治活動として現に使ったものを差し引いた残りがあれば、雑所得として課税されるが、東京地検特捜部の捜査で政治団体に帰属すると認定されているのだから、これはその、所得税法の問題は生じない。
などと説明した上、
仮に、キックバックされた、政治団体にキックバックされたものを私はこれ個人的に全部雑所得として申告しますなんていうことをやったら、検察に喧嘩を売るのかと。検察は、政治団体に帰属していると言っているにもかかわらず、これは個人所得だということだから検察の認定を争うことになる。
おまけに、仮にそうだとすると、政党以外からは議員個人は寄附を受けてはいけないことになっているから、不記載罪、虚偽記載罪にはならないかもしれないけれども、個人で寄附を受けてはいけない、政党以外からは受けてはいけないという規定に引っかかって懲役(ママ、正しくは「禁錮」)1年以下あるいは罰金50万円以下になるんです。ですから、仮に今回受け取ったもの、政治団体にキックバックされたものを全部私の所得でございます、と申告したら、とんでもないことが起きる。
と発言した。
裏金議員への課税問題について、検察が説明をするとすれば、高井氏の発言のとおりだろう。しかし、さすがに、そのような説明では検察の処分に対して世の中の理解は全く得られない。しばしば記事上に出現する「匿名の検察幹部」ですら、そのような解説はしてこなかった。
高井氏の発言は、今回の事件で、裏金受領議員が所得税の納税を免れている根本的な原因が検察の捜査処分にあること、検察の捜査の方向が根本的に誤っており、その「やり損ない」によって、裏金議員が処罰も納税も免れる現在の状況に至っていることを端的に示すものである。
検察の捜査・処分は正しかったのか
高井氏の発言は、法的、実務的な観点からの一般論としては間違ってはいない。しかし、「裏金議員には納税義務はない」との結論は、すべて「検察の処分が正しい」ということを前提にしており、検察の捜査処分の問題はすべて度外視している。そもそも、いかなる根拠で、「裏金の帰属」が政治団体だと認定したのか、その点についての重大な疑問を完全に無視している。
「検察の論理」からすれば、裏金議員が所得税の納税を行うことは、検察の認定と矛盾することになるので、「検察に喧嘩を売る」ということになるというのは、確かにその通りだ。つまり、国民の多くが当然だと思い、税の専門家も当然視している「裏金議員への課税」を免れさせているのは、今回の「裏金事件」に対する検察の捜査処分そのものなのである。
高井氏は、「今回の事件は、派閥から政治団体にキックバックされている案件、だからキックバックされた金は政治団体に帰属するもの」と断言している。
しかし、なぜ「政治団体に帰属する」と言えるのだろうか。政治団体の銀行口座にでも入っていればそうかもしれないが、事務所に現金のまま保管していた議員も複数いる。だとすると、そもそも「政治団体」に帰属するものなのかははっきりしないし、帰属するとしても、その「帰属する政治団体」が、資金管理団体なのか、政党支部なのか、それとも国会議員関係団体なのかわからない。
少なくとも「収支報告書に記載しない前提」で渡された金なのだから、授受の段階では、どこの団体に帰属するということは、決まっていなかったはずだ。
検察はどうするべきだったのか
政治資金規正法上、政治団体、政党支部への政治資金の寄附であれば、その団体の収支報告書に収入として記載しなければならない。一方、政治家「個人」への政治資金の寄附であれば収支報告書の提出義務自体がない。常識的に考えれば、今回の事件で安倍派から所属議員にわたった裏金は、議員個人宛ということになるはずだ。
議員個人宛だということになると、高井氏が指摘するように、政治資金規正法21条の2第1項違反となり、禁錮1年以下・罰金の罰則の対象となる。
この場合、個人の雑所得となるが、議員個人の政治活動に使った分は所得から控除される。
一方、政治資金の寄附ではなく、「個人所得」(パーティー券の販売の報酬として「自由に使ってよい金」として渡った場合)であれば、全額が所得税の課税の対象となる。
裏金議員が、そのように個人宛であったことを認めて、所得税の納税を行うことが、「検察に喧嘩を売る」ことになることは確かだ。しかし、それは、捜査の方向性を誤った検察にとって「とんでもないこと」であっても、裏金の実態に即した問題解決という面では当然なのである。
高井氏が言うように、「個人所得だということだとすると、政党以外からは議員個人は寄附を受けてはいけないことになっているから、個人で寄附を受けてはいけない、政党以外からは受けてはいけないという規定に引っかかる」のであるから、検察はその罰則適用を真剣に検討すべきだったのではないか。
禁錮刑が比較的軽いとは言え、同規定は議員個人にかかるものであり、処罰されれば、公民権停止で議員失職となる。「政治家個人宛の寄附の禁止規定違反」で立件可能であれば、捜査がその方向に向けられるのが当然だ。
しかし、検察が、この「政治家個人宛の寄附の禁止規定違反」の立件を想定して捜査を行ったという話は全くない。裏金議員の所得税の課税の問題で世の中の不満が高まっている大きな原因が、本件裏金事件についての検察の捜査の方向性の誤りにある。
野党は国会ではどう追及するべきなのか
こう考えると、国民の疑問や不満の前に、「検察の捜査処分」が立ちはだかり、真相を覆い隠し、裏金議員に納税を免れさせる構図が、この問題をめぐる混乱につながっているといえる。野党の国会での追及も、そのような構図を踏まえ、裏金議員の「検察捜査に依拠した言い訳」を取り払うことに向けられるべきであろう。
私は、昨年12月から今年1月にかけて、立憲民主党の国対ヒアリングに3回出席し、「政治資金規正法の『大穴』」の問題について解説し、法務大臣に「指揮権」を根拠に法務・検察当局へ説明させるよう求めていくこと(「指揮権に対応できない小泉法相は速やかに辞任し、後任は民間閣僚任命を」)についても自説を述べた。
しかし、残念ながら、それが、その後の国会質問に十分に活用されているとは思えない。
まずは、今回の裏金事件の根本にある「政治資金規正法の『大穴』」の問題に関して、法務省に、「収支報告書に記載しない前提で政治家側に渡された『裏金』」の帰属先をどう判断するのかを問い質すべきであろう。
検察が「裏金は政治団体に帰属した」と判断したことの根拠がないこと、それが議員個人に帰属していることが自ずと明らかになるはずであり、裏金議員に当然の所得税納税義務を果たさせることにもつながるはずだ。
そして、自己に不利な真実を語るはずもない安倍派幹部を政倫審の場に引き出して問い質すことより、検察に被告人の権利を害することなく、公判への影響が生じない範囲で捜査結果を公表させることを、法務省に求めるべきだ。
検察が応じないのであれば、検事総長に対する指揮権(検察庁法14条)に基づいて、捜査結果についての説明を求めることも可能だ。今回のように、日本の政治そのものに重大な影響を与える事件で、検察に可能な限り国民への説明を尽くさせるようにすることも、法務大臣の重要な職責と言うべきだ。
このような「法務大臣に対する追及」によって、「検察の捜査処分」は言い訳にはならず、裏金を受領した議員に所得税の納税義務があることは自ずと明らかになるはずだ。
●茂木敏充幹事長に新たな“裏金疑惑”が 「ランチにしか見えない支出」が3年間で400件以上も 3/21
自民党派閥の裏金問題処理に追われる総理を尻目に、茂木敏充幹事長(68)は次の総裁選に出馬せんと野望を滾(たぎ)らせている。だがそんな茂木氏の政治資金管理団体の少額領収書を精査すると、政治資金処理に関するある疑惑が明らかに――。後編では飲食店の領収書の宛名が各店舗の手書きではなく、ハンコで捺印されている問題について報じるが、前編では「ランチにしか見えない支出」が3年間で400件以上もある問題に迫る。
自民党の中でも茂木敏充幹事長が率いる茂木派は、麻生太郎副総裁(83)の麻生派などとともに立件の憂き目には遭っていない。そのため、これまで両派閥は裏金問題とは無縁として、派閥を存続させる方針を貫いてきたのである。だが、
「茂木氏及び茂木派に対して、新たに“裏金疑惑”が浮上しています」とは社会部デスク。
「2009年から22年の間で、茂木氏の資金管理団体『茂木敏充政策研究会』から政治団体『茂木敏充後援会総連合会』に総額4億4590万円の資金が移動していることが明らかになったのです」
何が問題なのか。
「資金管理団体は『国会議員関係政治団体』に該当し、人件費を除く1万円超の支出について、使途を政治資金収支報告書に記載するよう義務付けられています。一方で、後援会は『その他の政治団体』に当たるため支出の公開基準が緩く、5万円以上の政治活動費だけを公開すればよい。結果、この14年間で後援会の支出のうち、実に約94%が使途不明になっています」(同)
私的な飲食ではないかと疑わざるを得ない支出
同様の資金の移動は、茂木派ナンバー2の新藤義孝経済再生担当相(66)にも見られるという。政党支部は、資金管理団体と同じく「国会議員関係団体」に当たるのだが、
「新藤氏の場合、自身が代表を務める『自由民主党埼玉県第2選挙区支部』から『新藤義孝後援会』に10年間で2億6000万円を寄付しています。その使途の詳細は、やはりほとんど明らかにはなっていません」(同)
3月4日に開かれた参院予算委員会で、立憲民主党の蓮舫参議院議員もこの問題について「裏金を作っているのではないか。茂木派方式なんじゃないか」と追及。茂木氏及び茂木派の政治資金の処理の仕方に注目が集まっている。
そこで本誌(「週刊新潮」)は改めて、過去に情報公開請求で取得した17〜19年の3年分の「茂木敏充政策研究会」の少額領収書を精査した。
まず、少額領収書を点検して気付くのが「組織活動費」として計上されている支出の中に飲食店の領収書が多いことだ。「組織活動費」の少額領収書は3年間で総計410枚に達し、17年は飲食関係だけで98枚、18年も97枚、19年に至っては127枚とその数を激増させている。
しかも、牛丼チェーンの「吉野家」での480円の支出(19年3月6日)やカレーチェーン「カレーハウスCоCо壱番屋」での2114円の支出(19年7月12日)に代表されるように、およそ政治活動とは思えない、私的な飲食ではないかと疑わざるを得ないものが目立つ。特に否が応でも目に留まるのが、カレー屋や麻婆豆腐専門店などの「辛いモノ」を提供する店の多さである。
単なるランチにしか見えない支出
たとえば17年は東京・港区でカレーなどを提供するレストランカフェ「A」の6回総額1万7543円を筆頭に、麻婆豆腐専門チェーンの「陳麻婆豆腐赤坂東急プラザ店」(現在閉店)3回総額1万1000円、カレー専門店「デリー銀座店」3回総額1万3300円といった具合。
また18年も「A」6回総額2万1580円、「デリー赤坂店」(現在閉店)4回総額1万8380円のほか、「デリー銀座店」2回総額9410円などが並ぶ。
さらに19年になると、スープカレー熱が高まったのか「札幌ドミニカ銀座店」8回総額3万840円に加えて、「陳麻婆豆腐赤坂東急プラザ店」7回総額2万2000円やテイクアウト専門の港区のカレー店「B」を6回総額3万9150円分も利用しているのである。とりわけテイクアウトなどは単なるランチではないのか……。
自民党関係者が苦笑しながら語る。
「茂木氏はヘビースモーカーで有名で、官僚が作成した“トリセツ”には“あらゆる場所で(煙草を)吸える環境を最大限整える”と記されていたほど。その同じメモに“辛いものも好き”と明記されていたことからも、茂木氏は辛いモノが本当に大好きなのでしょう」
つまり、本来は政治活動のために使う政治資金で好みの「辛いモノ」を提供する店を繰り返し利用していたのではないかという“私的利用”の疑いが濃厚なのである。後編では飲食店の領収書の宛名が各店舗の手書きではなく、ハンコで捺印されている問題について報じる。
●ウソをつけない証人喚問を「のめるわけない」と拒否する自民 裏金解明にふたをしたまま処分、法改正? 3/21
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関し、岸田文雄首相が党としての処分や再発防止策の検討を表明して幕引きを急いでいる。安倍派や二階派の幹部らは衆参の政治倫理審査会で「知らない」「分からない」と繰り返し、裏金づくりの経緯は解明されていない。このまま処分や再発防止を進めても、国民の信頼回復は難しい。野党はさらなる政倫審の開催や、安倍派幹部らの証人喚問での徹底追及を要求し、実態解明を迫る。
野党は追及姿勢、でも「1票足りない」
立憲民主党と日本維新の会、共産党、国民民主党は19日の野党の国対委員長会談で、自民議員計10人の衆参政倫審での弁明について「実態の解明には全くつながらなかった」との認識で一致。政治資金収支報告書にキックバック(還流)の不記載があった衆院議員51人のうち、まだ弁明していない45人の政倫審への出席を求めた。
政倫審の審査は、疑惑について弁明したい議員本人が申し出るか、衆院では25人いる委員の3分の1以上が申し立て、過半数の賛成を得ることが実施の条件となる。野党の委員は8人にとどまるため、9人で申し立てるためには与党の賛同が欠かせない。
立民の安住淳国対委員長は自民党の浜田靖一、公明党の佐藤茂樹両国対委員長と相次いで会談して「この政倫審を動かすには、あと1票足りない」と協力を呼びかけた。
「仮に開いたとしても政倫審以上の話は出ない」と自民幹部
野党はさらに、安倍派の塩谷立氏ら5人のほか、政治資金規正法違反罪で逮捕、起訴された衆院議員池田佳隆被告の計6人の証人喚問を要求。安住氏は記者団に「塩谷氏らは事実関係を明らかにせず、保身に終始している。実態解明には偽証が罰せられる証人喚問を行わなければならない」と強調した。
与党は追加の政倫審や証人喚問による真相究明には後ろ向きだ。公明の山口那津男代表は19日の記者会見で証人喚問について「非常にハードルが高い」と指摘。自民幹部は「のめるわけがない」と完全否定した上で「仮に開いたとしても政倫審以上の話は出ない」と言い切った。
事件の真相はうやむやのまま、与党は関係議員の処分や再発防止に向けた法改正の議論を早く始める姿勢を示すことで、お茶を濁そうとしている。自民党内からは「重くても軽くても、国民の信頼は戻らない」(中堅)「国民が納得するわけがない」(若手)と、実態解明なき処分に冷めた見方も出ている。
●森元総理は「追及を受けない自信」がある? 「キックバック再開の真相」と「裏金議員の処分の行方」に迫る 3/21
自民党の派閥の裏金問題をめぐり、18日、下村元文部科学大臣が政治倫理審査会(政倫審)に出席。「キックバックが継続された経緯」をめぐっては、「誰が最初に言ったか覚えていない」と説明した。
「キックバック再開の真相」と「裏金議員の処分の行方」について、JX通信社 代表取締役の米重克洋氏に聞いた。
――18日の下村氏の政倫審での弁明をどう見たか?
「もちろん、説明責任を果たし、疑問が解決し腑に落ちる形が理想だが、そもそも政倫審には法的な強制力がなく、嘘をついてはいけないなどの制約が一切ない。そのため、新しいことがわかると期待していた人はおそらく誰もいなかったが、蓋を開けてみると本当に何の意味もなかった」
――「森元総理や安倍派幹部の関与」についての発言も注目されてたが、特になかった。そもそも、なぜ政倫審の場で下村氏が彼らの関与について話すことが期待されていたのか?
「下村氏は森元総理とは比較的距離があるとされており、安倍元総理が亡くなった後も安倍派の運営には関われていなかった。そんな人間関係の対立があるため、森元総理や安倍派の他の幹部の関与について何か話すのでは、と期待されていた」
――17日には自民党大会が開かれたが、注目すべき点はあったか?
「森元総理が出席したことだ。安倍派の面々が次々と森元総理の元に立ち寄って話しかける姿を見て、私は『森元総理は自民党の裏金問題についてあまり大きな打撃・追及を受けないという自信があるのでは』と受け取った。捜査機関の捜査もある意味及ばず、国会の追及にも限界があるため、『乗り切った、山を越えた』と考えているような印象があった」
――週末に行われたANNの世論調査では、「政倫審に出席した議員の説明責任は果たされていない」と答えた方は84%、また、不記載があった議員の処分は「必要である」との回答が83%となった。岸田総理も言及しているが、今後処分はどうなるのか?
「まだ分からない。一部では『離党まではいかないのでは』『除名は無理だろう』などと報じられているが、どのくらい厳しい処分を科せるかが今後の自民党に対する信頼につながっている。世論をしっかり受け止めて厳しい処分を科さなければ、政権としても行き詰まってくるだろう」
――今後、4月には衆議院の補欠選挙があり、9月は自民党総裁選が控えているが、どのような展開が予想されるか?
「補欠選挙には3つ選挙区があるが、自民党は1カ月前に差し迫った状況で1つしか候補者を決められていない。このこと自体が自民党の厳しさを物語っている。この後もし3つとも負けるようなことになると、岸田総理の選挙の顔としての適格性にはかなり傷がついてしまうだろう」
――このような状況において、総選挙はどうなるのか?
「10日、公明党の石井幹事長が総選挙の時期について『自民党総裁選の後、つまり9月より後ろになる可能性が高い』という趣旨の発言をした。 おそらくこの発言はただの推測ではなく、『岸田総理ではない新しい選挙の顔を選んでほしい』ということと、『総選挙は来年の都議選や参院選に被らない日程でやってほしい』という2つの意味が込められている。政局的には、岸田総理が代わって総選挙が行われるという方向に徐々に流れているような印象を受ける」
●裏金事件で岸田首相が自身の処罰検討 場当たり対応で袋小路≠ノ「丸投げの連続。自分自身にも甘い」党内で批判噴出 3/21
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、岸田文雄首相(党総裁)が自らも含めた党による処分を検討している。東京地検特捜部の捜査が直撃した安倍派(清和政策研究会)に厳罰≠求める声があがるなか、岸田派(宏池会)もパーティー収入の不記載(裏金化)で会計責任者の有罪が確定している。党内外で責任を問う声が強まっているのだ。
「党紀委員会に上申する前に、執行部で(処分を)議論するのが前例になっている」
森山裕総務会長は20日、岸田首相や二階派(志帥会)を率いた二階俊博元幹事長への処分について語った。具体的内容は「議論しないと分からない」と述べるにとどめた。
一連の問題では安倍派幹部ら多数に裏金疑惑が浮上し、逮捕者まで出た。二階派でも元会計責任者が立件、二階氏の秘書が有罪判決を受けた。
党は計80人ほどを一斉処分することを検討中だが、党処分で最も重い「除名」と、それに次ぐ「離党勧告」は見送る方針だ。「安倍派は閣僚や党幹部などの要職から事実上の更迭で一掃された。すでに一定の制裁≠受けたとの党内の声がある」(ベテラン議員)ためだ。
そのうえで、派閥幹部には「選挙での非公認」や「党員資格停止」とする案、それ以外の中堅や若手で裏金の額が低かったケースでは、より軽い「戒告」などにとどめる案が浮上しているという。
致命傷≠ノはならない処分で幕引きを図っているようにみえるが、中堅議員は「岸田首相は『関係議員の厳正な処分』を明言したことで、自らの首を絞める結果になった」と語る。
どういうことなのか。
まず、岸田首相が領袖(りょうしゅう)を務めていた岸田派で会計責任者が裏金問題で立件され、政治資金規正法違反罪で有罪が確定している。さらに、岸田首相自身が「年7回パーティー開催」問題で激しい追及を受け、「首相の責任論が日ごとに高まっている」(前出の中堅)のだ。
自民党内では、「岸田首相は処分をチラつかせて支配力を強め、党内政局の主導権を握ろうとしている」(ベテラン議員)との反発や、「場当たり的対応で丸投げの連続。加えて、自分自身に甘い」(中堅議員)との批判が噴出している。岸田首相も、お咎めなしではいられない状況といえそうだ。
●岸田首相、裏金問題で「自分にも処分を下します!」…SNSであふれる「なぜ辞職しないのか」疑問の声 3/21
岸田文雄首相は、自民党の政治資金パーティー裏金事件を受け、首相自身も処分対象とする検討に入った。3月19日、毎日新聞などが報じている。
「3月5日の参院予算委員会で、裏金事件について自身の処分を問われた岸田首相は、『法改正などの結果を出すことによって責任を果たしたい』とはぐらかしていました。
しかし、2月15日、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で略式起訴されていた岸田派の元会計責任者(80)の有罪が確定。それを受け、首相は『私も処分を受ける』と周囲に漏らすようになりました。
党内からは、あいかわらずの後手後手感に厳しい視線が向けられています」(政治担当記者)
さらに、二階俊博元幹事長にも処分が下される模様だ。二階派の会計責任者や二階氏の秘書が直近5年で3526万円の不記載があったとして立件されている。これは、自民党現職議員で最多だ。
しかし、「岸田首相の処分内容はとても悩ましい」と自民党関係者が苦笑する。
「裏金に関わった安倍派、二階派の議員約80人を4月上旬にも一斉処分する方針です。岸田首相は役職、不記載額、説明責任の果たし方などを考慮して処分内容を決める考えです。
自民党には8つの処分がありますが、最も重い『除名』と、それに次ぐ『離党勧告』は見送られる公算です。続く『党員資格停止』『選挙における非公認』などにとどまるものと見られます。
一方、岸田首相と二階元幹事長はこの処分より重くならないと、茂木敏充幹事長が言った『上に甘くて下に厳しい組織であってはならない』との方針に逆行します。
ですが、仮に岸田首相に『離党勧告』がおこなわれた場合、『自民党員ではない議員が党の総裁になる』という前代未聞の異常事態になります。もちろん無所属でも首相の座にはつけますが、そうなったら議会運営は立ち行かなくなるでしょう」(同)
しかし、報道各社が3月中旬におこなった世論調査の内閣支持率は朝日新聞が22%、FNN・産経合同調査が23.2%、NHKが25%、毎日新聞に至っては17%と超低空飛行が続いている。国民が厳しい処分を求めているのは間違いないだろう。
ニュースサイトのコメント欄には、
《そもそも岸田はなぜ辞職しないのか》
《一般社会だと裏金(横領・着服)は懲戒免職になることも往々にしてあります。自民党の役職停止?公認なし?それは処分と言えるほどのものなのか?》
《離党・辞任しないという逃げ道はあるけどそんなことは国民が許さない》
など怒りの書き込みが目立っていた。サプライズが好きな岸田首相だが、自らの処分にはどのようなサプライズを繰り出すのだろうか。
●野党 安倍派幹部ら10人の証人喚問求める 自民党の派閥の裏金事件めぐり 3/21
自民党の派閥の裏金事件をめぐり、野党側が衆議院と参議院で合わせて10人の証人喚問を要求です。
野党側は先ほど、衆議院の小野寺予算委員長に対し、裏金事件をめぐり、政治倫理審査会に出席した安倍派幹部5人と起訴された池田佳隆衆院議員の証人喚問を行うよう申し入れました。証人喚問は嘘の発言をした場合、偽証罪に問われる可能性があります。
立憲民主党 山井和則 予算委筆頭理事「嘘をついても罰せられない政倫審は良いけれど、罰せられる証人喚問に出たくないということは、結局、嘘をついていたのかということになるのでは」
また、参議院でも野党側は政倫審に出席した世耕前参院幹事長ら3人のほか、安倍派の会計責任者である松本事務局長の証人喚問を要求しました。
●自民党京都府連の国会議員ら60人を嫌疑不十分で不起訴 京都地検 公職選挙法違反の疑いで刑事告発 3/21
国政選挙の候補者から集めた金を地元の府議らに渡していたことが、法律違反だとして刑事告発された自民党京都府連の国会議員ら60人について、京都地検が不起訴としました。
自民党の京都府連では、2021年の衆議院選挙の前に、地元の府議や市議らに現金50万円を配り、同じ時期に、府連会長の西田昌司参議院議員などから、同額以上の寄附を受けていました。
これについて、やりとりされた金は、買収目的の報酬の疑いがあるとして、京都の弁護士らが22年、西田議員や衆院選の候補者ら60人を刑事告発していました。
告発を受け、捜査していた京都地検は、21日付で60人全員を嫌疑不十分で不起訴処分としました。
府連側は「党勢拡大のためだった」とし、買収について否定していました。
●憲法審開催のめど立たず 裏金問題で野党が態度硬化「実態解明が先」 3/21
自民党派閥の裏金問題が、憲法改正をめぐる国会論議にも影響を及ぼしている。与党は今国会初の衆院憲法審査会を22日にも開く意向だったが、立憲民主党などは「裏金の実態解明が先だ」と拒否。憲法審の開催は野党側の了解を得る慣例があるため、審議の見通しが立たなくなっている。
21日、衆院で憲法審の日程などを協議する会合が予定されていたが、立憲と共産党が欠席を表明した。裏金作りが判明した自民の憲法審委員5人に対し、両党が政治倫理審査会などでの説明を求めたが、与党から前向きな回答がなかったためだ。
自民の中谷元・与党筆頭幹事は記者団に、政治とカネの問題は議論の場が別にあるなどとして、憲法審とは「切り離すべきものだ」と主張。だが、野党筆頭幹事に就任する見通しの立憲の逢坂誠二代表代行は「法を犯しているかもしれない議員を存置したままというのは論外だ」と反論。協議入りに応じなかった。
改憲論議をめぐっては、岸田文雄首相が17日の自民党大会で「今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速する」と述べ、改めて改憲実現に意欲を示した。日本維新の会や国民民主党も「建設的な議論をしっかり進める」(国民民主の玉木雄一郎代表)との立場で、野党内も一枚岩にはなれていない。
だが、これまでの国会審議では裏金問題の実態解明にはほど遠く、立憲は今後もあらゆる場を使って説明を求めていく方針。逢坂氏は「当面は憲法審で協議ができる状況にはない」としている。
●石川 珠洲 一部で断水解消も 自宅トイレが使えず不便続く人も 3/21
市内のほとんどの地域で依然として断水が続く石川県珠洲市では3月、一部の地域で断水が解消されましたが、排水を処理する浄化槽が地震で壊れて自宅のトイレが使えず、不便な状態が続いている人もいます。
珠洲市によりますと、市内のほとんどの地域で依然として断水が続いていますが、一部の地域で水道設備が復旧し、3月15日時点で全体のおよそ1割に当たる370戸で断水が解消されたということです。
このうち、珠洲市狼煙町に住む寺井一也さん(66)は、地区の断水が解消されたため3月上旬、避難先から自宅に戻りました。
しかし、水道は使える一方で、トイレの排水を処理する浄化槽が地震によって壊れたため、自宅のトイレが使えず歩いて5分ほどのところにある公共施設のトイレを利用しています。
寺井さんは自宅のトイレが流せることから戻ってからの数日間使っていましたが、業者の点検で浄化槽に亀裂があり、配管もずれていることがわかったということです。
全国浄化槽団体連合会によりますと、壊れたままの浄化槽を使い続けると生活排水が漏れて感染症が発生するなど衛生面に問題が出る場合があるということです。
寺井さんは「断水が解消されてやっと風呂やトイレに入れると思っていました。修理も工事業者の人が足りず早くできないようなので気が遠いです」と話していました。
●早く解散したい♀ン田首相が大バクチ! 裏金議員処分でアピール画策も冷ややかな声 3/21
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題で岸田文雄首相は関係する議員の処分を検討している。岸田氏自身や二階俊博元幹事長を含め、安倍派幹部ら約80人が対象。どんな処分を下せるかで岸田政権の命運が決まりかねない。
西村康稔前経産相や世耕弘成前参院幹事長らが衆参それぞれの政倫審に出席して、安倍派の裏金問題について釈明したものの不発。一連の問題のなかで特に焦点となっているのが安倍晋三元首相がキックバックをやめるよう指示していたのにもかかわらず、安倍氏が死去した後にキックバックが復活していたことだったが、詳しいことは明らかにならなかった。
自民党内からは安倍派幹部に対して、「自らの責任の重さを考えてほしい」などと苦言が相次いでいる。世論の反発も大きく、野党からは証人喚問の開催を要求する声が上がっているほどだ。
内閣支持率が低下している岸田政権にとって、裏金議員の処分が今後の政権運営を左右しかねない問題となっている。永田町では解散総選挙の時期が取りざたされており、4月、6月の国会会期末、そして、総裁選後の秋と3つの説が流れている。
永田町関係者は「岸田首相は秋の総裁選に自分が出る気マンマンでいる。しかし、総裁選後に解散を先送りすると総裁選前に岸田おろしが起きてしまう。だから、解散するなら総裁選前しかない。4月解散にしろ、国会会期末解散にしろ、アピールするものがないのに解散するわけにはいかない。裏金議員の処分、特に安倍派幹部の処分をアピールするでしょう」と指摘した。
その内容が問題だ。巷間ささやかれているのは「除名」や「離党勧告」ではなく、重いものでも安倍派座長の塩谷立元文科相と二階氏への「選挙での非公認」程度とみられている。処分と関係があるのかは不明だが、二階氏についてはSNSで4月引退説が出回る騒動もあった。
野党関係者は「安倍派幹部に対する除名や離党勧告でないと世論は収まらないのではないか。それができないなら支持率は上がらず、解散はできっこない」と、このままなら岸田氏は解散を打てないと予測した。
●健康長寿へ理解深めて 福島県 3/21
高齢化社会が進展する中、国民の「ヘルスリテラシー」が高まっていないとの指摘が出ている。健康に関する情報を調べ、真偽を確かめた上で適切に意思決定する能力で、健康長寿の実現には一人一人が重要性を理解する必要がある。行政や関係機関による啓発も一層求められる。
世界保健機関(WHO)は「健康を促進・維持し、利用するための個人の意欲や能力を決定する認知的・社会的能力」と定義している。こうしたリテラシーが高ければ、健康診断の結果などから身体の状態を把握して医師に的確な質問をする、情報を基に食事に注意する、運動を心がけるなど、自ら疾病予防につながる行動を取ることができる。リテラシーが低いと、誤った伝聞に振り回され、自身の健康課題を解決できないままに放置して状態を悪化させるリスクが増すとされる。
聖路加国際大大学院看護学研究科の中山和弘教授は「日本人のヘルスリテラシーはEUやアジアの諸国と比べて高いとは言えない」と訴えている。病気になった時、身近に健康や病気の相談をできる場が十分に確保されていないことなどを要因の一つに挙げる。医師や薬剤師、臨床心理士などとのつながりを深め、普段から相談しやすく、正確で有効な医療情報を得られる環境を整えることも必要だろう。県内では医師や薬剤師の不足、地域偏在など課題は少なくないが、国、県は地域医療の整備を考える上で留意してもらいたい。
生活習慣病の予防は、健康寿命の鍵を握る。2021(令和3)年度の国の統計によると、本県のメタボ率は19.2%で、都道府県別44位だった。食塩摂取量の多さが一因とされている。県は新年度、食に関わる企業・団体でつくる「県食育応援企業団」や市町村と一体で減塩やメタボ率改善に向けた新たな会議体を設ける。ヘルスリテラシーの重要性を県民に伝える取り組みも検討してほしい。
日本一の長寿県を目標に、県は健康増進に向けた各種施策を進めている。行政に加え、企業でも健康経営を目指して労働環境の改善に取り組む動きが加速している。こうした流れをさらに強めるには、県民が自ら積極的に実践する意識づくりも欠かせない。
●2月の貿易赤字、3794億円=輸入11カ月ぶり増―財務省 3/21
財務省が21日発表した2月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は3794億円の赤字となった。赤字は2カ月連続。赤字幅は前年同月比6割減となったが、原油の輸入額減少が小幅にとどまったことなどで、輸入額は11カ月ぶりに増加した。 
●円下落、150円台半ば=為替介入に警戒感も―東京市場  3/21
21日午前の東京外国為替市場の円相場は、1ドル=150円台半ばに下落した。日銀がマイナス金利解除後も、当面緩和的な金融政策を継続するとの見方から円売り・ドル買いが進んだが、米利下げが意識されたことに加え、政府・日銀による円買い・ドル売り介入への警戒感が台頭。円を買い戻す動きが出て下げ幅は縮小した。午前11時現在は150円50〜50銭と前営業日比24銭の円安・ドル高。 
●岸田政権は日本の有望品種の流出で国内農産業に多大な被害も、シャインマスカット事例も 3/21
岸田政権では、日本のシャインマスカットが韓国・中国などに流出して日本国内の農産業に多大な悪影響を与えているのにも関わらず、現状では栽培地域が日本国内に制限されている有望品種の流出対策が十分に行われていないことが明らかになった。
3月19日に実施された坂本農林水産大臣記者会見の際に、記者から「登録品種の海外流出の懸念について、海外に住んでいる人が日本のECサイトで商品を購入する際に使う代理購入サイトで、栽培地域が日本国内に制限されている登録品種の種苗が購入できるようになっているサイトも複数ありまして、実際に購入されて海外に発送されてしまうと、有望品種の流出にも繋がりかねませんが、農水省としての受け止めや対策について、お伺いしたいのですが」との旨の質問が行われた。
この質問に対して、大臣は「国内の大手フリマサイト等に出品された種苗について、海外向け代理購入を行うECサイトがあることは承知しています。こうしたECサイトによる種苗の販売が拡大し、海外も含め不特定多数の者に購入機会が広がることが、優良品種の海外流出の新たなリスクになることを懸念しています」との旨を述べた。
その後に大臣は「農林水産省としては、サイト運営者も含めて関係者に種苗法上の制度を周知し、種苗の海外への配送を不可とするシステム変更などの働きかけをしてきたところです。さらに、デジタル化の進展に応じた優良品種の保護・活用の在り方について、農林水産省内で外部有識者による検討会を開始したところであり、この中で、海外向けの代理購入サイトも含め、ECサイト取引に係る対応も検討してまいります」との旨を述べた。
●金融所得課税の強化、慎重に検討する必要ある=鈴木財務相 3/21
鈴木俊一財務相は21日の参院財政金融委員会で、金融所得課税の強化について「税負担の増加が経済や株価に及ぼし得る影響なども勘案しつつ、慎重に検討する必要があるのではないか」と述べた。柴慎一委員(立憲)の質問に答えた。
岸田政権の取り組みとして、家計による投資が企業の成長投資につながり、企業価値向上の恩恵が資産所得の形で家計に還元されさらなる投資と消費につながる好循環を実現し、経済成長や国民の資産所得増加につなげることを目指していると説明。「富裕層のみならず、幅広い層が恩恵を受けられるようにすることを目指している」と語った。
鈴木財務相は、格差の固定化防止に向けては所得税の最高税率引き上げ、相続税の基礎控除引き下げなどの見直しを行ってきたほか、合計所得が30億円超の超富裕層に追加的負担を求めるなど「税制の再分配機能の強化を図ってきた」と説明した。
日銀が発表した2023年10―12月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産残高は前年比5.1%増の2141兆円で、05年3月以降の最高を更新。株式等、投資信託とも2割を超す増加となり、いずれも過去最高を更新した。今年1月からは非課税期間の無期限化などを含む新NISA(少額投資非課税制度)がスタートしている。
●自民青年局「破廉恥パーティー」の原点は「埼玉県連」にある 3/21
ジャーナリストの須田慎一郎が3月18日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。自民党青年局の「破廉恥パーティー」について解説した。
自民党破廉恥パーティーの裏
飯田)自民党の党大会が終わり、国会は参議院で予算案を審議している真っ只中です。4月の終わりには補欠選挙も控えていますが、この先の展開はどうなるのでしょうか?
須田)岸田総理としては、これから反転攻勢を目指したいのでしょうが、果たして思惑通りに進むのかどうか。おそらく今週末には、一部報道でかなり大きなスキャンダルが出てきそうなのです。
飯田)そうなのですか?
「破廉恥パーティー」の原点は自民党の埼玉県連にある
須田)自民党和歌山県連の青年局が、例の不適切なパーティーを開きましたよね。
飯田)「破廉恥パーティー」などと言われている。
須田)世耕前参院幹事長の元秘書が中心にいたという話も出てきました。
飯田)当時の自民党・和歌山県連で青年局長だった方。
須田)その裏側に、もう1枚大きな裏話があると言われているのですよ。今回の自民党青年局長の背景を見ていくと、埼玉県というファクターが非常に強いのです。破廉恥パーティーの原点は、どうやら埼玉県、あるいは埼玉県連にあるという話が出てきています。
「青年局たるもの、少々羽目を外すぐらい元気にやらなければダメだ」と埼玉県連のカルチャーが全国に広まっていった
須田)自民党の埼玉県連と言うと昨年(2023年)、子どもだけでの留守番は放置による児童虐待にあたるとした「トンデモ条例案」が出されました。あのとき中心になって進めたのが自民党埼玉県連の県議団だったのです。その辺りが自民党の青年局全体に大きな影響を与え、「青年局たるもの、中堅・若手たるもの、少々羽目を外すぐらい元気にやらなければダメだ」というようなカルチャーが全国に広まっていったという話が出ています。
飯田)自民党埼玉県連の県議団の影響が。
須田)一部メディアは地元・埼玉で取材しているようです。一方で、そもそもどこから破廉恥パーティーが始まったのかを調べていくと、埼玉県に行き着いた。それを取材していると、「他からも取材が入っている」という話が出てきたようです。そこから逆算すると、どうも週末くらいにそれが出てきそうなのです。
男社会的な風土のある自民党のなかで深刻に考えられてこなかった
飯田)自民党の青年局長は(和歌山県)岩出市選出の人ですし、サブに就いたのは群馬の中曽根さんであることを考えると、本部として把握するのは難しかったのですか?
須田)そのようですね。ただ、ある意味で自民党は男社会的な風土があります。そのため深刻に考えず、見過ごされてきた部分もあるのではないでしょうか。
選挙で世話になっている県議団のボスは実力者に 〜そこに物申すことは難しい土壌環境がある
飯田)確かにトンデモ条例のときも、埼玉選出の議員に取材すると「我々が言っても県議団が止まらない」と話していました。選挙で世話にもなっているし。
須田)地元の県議や市議が動かなければ、国会議員として国政(選挙)で当選することは難しいのです。そうすると、県議団のボスは実力者になってしまいますから、そこに対して物申したり、進めてきたことにブレーキを掛けるのは難しい土壌環境があるのだと思います。
地元政界のボスが大きな影響力を行使している
飯田)それこそ話題になっている「政治とカネ」の話にもつながります。結局、選挙では手足となって頑張ってもらうため、「政治資金が必要でしたら」という方向になるのですね。
須田)これは新潟県選出で元職の金子恵美さんに直接聞いた話ですが、やはり新潟では県議や市議、村議などがあからさまに要求してくるそうです。要するに「選挙でバックアップして欲しければ金をよこせ」というような要求です。そう考えると、国会議員を頂点にピラミッド構造になっているかと言えば、必ずしもそうではなく、地元あるいは地元政界のボスが大きな影響力を行使しているのだと思います。
補選の結果次第では苦しい状況になる岸田政権
飯田)今週は祝日も挟むので、自民党埼玉県連の記事がどういう形で出てくるのか。それが支持率に影響する可能性もあります。総理としては外交で何とかしたい考えがあるのでしょうが、そんなに効くものですか?
須田)世論的にはそれで支持率が上昇する可能性は低いと思います。加えて、そういったところに対し、どう決着を付けるのかという新たな問題が出てくるかも知れない。
飯田)4月28日には補選がありますが、そこで負けると岸田政権は終わりだという話も聞きます。
須田)問題になっているのは東京15区です。自民党東京都連のボスである萩生田さんと、東京都知事の小池さんはかつて犬猿の仲と言われていましたが、会食してフレンドリーな関係になったと聞いています。自民党を立てずに都民ファーストの会という方針になるのかも知れません。
●前原代表「首相が自ら証人喚問に臨み説明責任を果たすべき」 3/21
政治倫理審査会は政治的疑念を明らかにする場と思っていたが、(真相を)語らず政治的な「みそぎの場」になっていることに憤懣(ふんまん)やるかたない。これで幕引きをしてはならない。こういう状況が続くなら、証人喚問でお話をいただくのは当たり前ではないか。自民党、公明党が守りに入っているのは理解できない。
もし(安倍派幹部らの)証人喚問を断るのであれば、岸田(文雄)首相自ら証人喚問に臨むべきだ。誰も求めていないのに政倫審に自ら全面公開で出てこられた。
自らが党総裁として裏金の実態を各派閥からヒアリングし、誰が始めたのか、どういうお金の使われ方だったのか、しっかりと説明責任を果たし、そして自らが証人喚問に出てくるべきだ。(記者会見で)
●「鏡を見て『コラッ!』と言うか?」裏金事件 難しい首相自身の処分 3/21
自民党の派閥の裏金事件で、岸田文雄首相は自身を含む関係議員の処分に向け、本格的な検討に入った。世論の反発を鎮めるには厳罰が必須だが、自派閥が立件された首相の厳罰を求める声が党内から跳ね返ることは確実だ。首相は難しい判断を迫られている。
首相が処分対象として検討しているのは組織的な裏金作りが判明した安倍派のほか、政治資金収支報告書への大規模な不記載で派閥として立件された二階、岸田両派の幹部ら約80人だ。
党内では安倍派幹部に厳しい処分を求める声が強い。事件発覚以降、地元でひたすら頭を下げ続けているという岸田派の中堅は「人数の問題ではない。限られた幹部だけでいいから『離党勧告』などの厳しい処分を下して『自民党から罪人は追放しました。やり直させて下さい』と訴えないと収まらない」と嘆く。処分は8段階あり、最も厳しいのが「除名」、次が「離党勧告」で、最も軽いのが「党則の順守勧告」、その次が「戒告」となる。
同派幹部は「処分はとにかく厳しくやることが大事」と強調。安倍派幹部ながら事務総長経験がなく、衆院政治倫理審査会に出席していない萩生田光一前政調会長を念頭に「政倫審にも出ず、役職を辞めたからと言って、何事もなかったように振る舞う議員は国民にどう映るか」と話す。官邸幹部も「主導的な立場にあった議員と、若手中堅では当然処分の重さは違ってくる」と話す。 ・・・ 
●日中関係で「戦略的互恵関係」明記 2024年度版「外交青書」判明 3/21
外務省がまとめた2024年版「外交青書」の原案が21日、判明した。日中関係では、昨年11月の両国首脳会談を受け、両国の共通利益に関して協力する「戦略的互恵関係」の推進を明記。ただし、中国の軍事動向を引き続き「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置づけたうえで、中国を念頭に日米比の連携強化の重要性を指摘した。
外交青書は、ロシアによるウクライナ侵攻とイスラエル・パレスチナ情勢を「日本を含む世界各地域の安定と繁栄に影響をもたらす問題」と指摘。24年は米大統領選など重要選挙が控えていることを踏まえ、「国際情勢は重要な局面を迎える」とした。
日中関係では、19年版以来5年ぶりに「戦略的互恵関係」という表現を使って対話の重要性を指摘。一方、原発処理水放出を受けた日本産水産物の禁輸措置の即時撤廃や日本の排他的経済水域(EEZ)に設置されたブイの即時撤去を中国側に要求していることを記し、「台湾海峡の平和と安定」の重要性も引き続き強調した。 ・・・

 

●天皇皇后両陛下 輪島市を訪問 「朝市通り」焼け跡に深く一礼 3/22
天皇皇后両陛下は、能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県の輪島市を訪れ、被災した人たちを見舞われました。
両陛下は、午前11時前に特別機で石川県の能登空港に到着し、午後、自衛隊のヘリコプターで輪島市の中心部に入られました。
両陛下が発生から間もない自然災害の被災地を訪問されたのは、天皇陛下の即位後2回目です。
住民らが沿道で歓迎
石川県輪島市では、住民などが沿道に立って天皇皇后両陛下が到着されるのを待ちました。午後1時半ごろにバスが通過すると、集まった人たちは手を大きく振って歓迎しました。
両陛下も窓を開けて笑顔で手を振られていました。
野球をしているという輪島市の12歳の女の子は「すごく元気づけられたし、みんなも笑顔になったのでよかったです。グラウンドの状態が悪いけど野球を続けたいと思います。これからも頑張ります」と話していました。
また、生後4か月の子どもを連れて訪れた輪島市の女性は「こんな機会はないのでよかったです。地元が少しずつ復興していってくれればいいと思います。元気をもらえてよかったです」と話していました。
輪島市では、災害関連死の疑いを含め102人が亡くなり、「朝市通り」で大規模な火災がありました。
倒壊したビルや家屋など地震の爪痕が残る市街地を車で通り、火災があった現場に到着した両陛下は、坂口茂市長から当時の状況について説明を受けたあと、焼け跡に向かって深く一礼されました。
両陛下からねぎらいのことばをかけられた輪島市消防団の副団長の山吹英雄さん(64)は、「朝市通り」で起きた大規模な火災で消火活動にあたりました。
山吹さんは「地震で道路が寸断されたり消火活動に使う水がなくて戸惑ったりしたことをご説明すると、『大変でしたね』というおことばをいただきました。市民もうれしく思っていますし、元気をいただいて復興につなげていけたらと思います」と話していました。
また、発災当初から被害状況の把握にあたり、安否不明者の捜索活動を指揮した輪島警察署の小坂裕署長(57)は、「『警察の活動としてどのようなことが大変でしたか』と質問され、元日で署員の数が限られる中で対応にあたったことをご説明しました。被災された住民の方々と同じようにねぎらいの言葉をいただき、大変感激しています」と話していました。
続いて両陛下は、100人余りが避難生活を送っている近くの公共施設を訪ねられました。
おふたりは、ひざをついて被災者と同じ目の高さになって「おけがとかは大丈夫ですか」とか、「お体をお大事にしてください」などとことばをかけられていました。
また、災害対応にあたった警察官と消防団員にもねぎらいのことばをかけられました。
自宅半壊の男性「たいへん心和む思い」
天皇皇后両陛下は、輪島市内の避難所を訪ね、30分あまりかけて被災者20人あまりと懇談されました。
このうち、自宅が中規模半壊し、80代の母親とこの避難所に身を寄せている新谷満さん(60)は、「両陛下から、『おけがはなかったですか』とか『自宅は大丈夫ですか』などと聞かれました。母と私は、地震後非常に不安な生活を送っていましたが、両陛下にお会いして優しい言葉をかけられて、たいへん心和む思いがします。勇気づけられました。2階のすべての方々にお声がけをされて、すごいなと思っています。優しい目元でお声がけされていたので、みんな心和んでいました」と話していました。
輪島市の男性「前を向いて頑張っていこうと」
石川県輪島市では、両陛下が避難所で被災した人たちを見舞ったあと、再び市の中心部を通られた際にも、沿道に多くの人たちが集まりました。
訪れた人たちは「ありがとうございます」などと言いながらバスに向かって手を振り、両陛下も窓を開けてにこやかに手を振られていました。
自宅で被災した輪島市の70代の男性は「両陛下が来られて励みになりました。家の片づけなどがありますが、なんとかやっていこうと思います」と話していました。
また、自宅が壊れて傾いているという輪島市の60代の男性は「被災地に来られて私たちの気持ちに寄り添っていただけて、本当にうれしく思います。1月1日からの3か月はあっという間でした。来ていただいたことを励みに、前を向いて頑張っていこうという気持ちになれました」と話していました。
輪島市長「復旧復興に向けて頑張っていく」
輪島市の「朝市通り」で火災や地震による被害の状況について説明した坂口茂市長は、「元日に起きた火災はなかなか鎮火せず、周辺で15人の方が亡くなったことを両陛下にお伝えすると、黙礼をされました。朝市のともし火を消さないために金沢市で『出張朝市』が始まることをご説明すると、皇后さまからは『1日も早く復興できれば良いですね』とおことばをいただきました。復旧復興に向けてさらに頑張っていくための良いきっかけになったと感じています」と話していました。
●憲法審査会、やる気あるのか!裏金問題の大炎上≠ナ流会 立民が幹事懇談会欠席で批判の一方…岸田首相の意欲にも疑問の声 3/22
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の大炎上≠ェ、日本の自立や安全保障に関わる憲法改正論議に悪影響を及ぼしている。裏金問題に反発する立憲民主党が21日、衆院憲法審査会の幹事懇談会を欠席し、流会となったのだ。立憲民主党の姿勢に批判が高まる一方、岸田文雄首相の改憲への意欲を疑問視する声も上がっている。
「議論しなければならないテーマをほっぽらかし、自分の主張だけ言って審議に応じない姿勢はいかがなものか」
与党筆頭幹事である自民党の中谷元氏は21日、幹事懇談会の流会を受けて、立憲民主党の姿勢をこう批判した。
衆院憲法審は今年一度も開かれていない。立憲民主党が裏金事件の説明不足などを理由に開催を拒んでいるのだ。21日には、幹事選任の事務手続きを行う、今国会初の憲法審の日程を決めるはずだった。
野党筆頭幹事で立憲民主党の逢坂誠二氏は「法を犯しているかもしれない委員をそのままに開催を決めるのは論外」「自民党が誠意ある対応を見せれば、開催に向けて努力したい」などと要求している。
これに対し、保守系の自民党議員は「日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、最重要な課題である憲法をなおざりするのは疑問だ。国防や安全保障の常識≠ェ欠落する政党に政権は任せられない」と吐き捨てる。
国会が裏金問題の政治責任を追及するのはいいが、法的問題については東京地検特捜部が捜査・立件している。共産党を除く与野党は、立憲民主党抜きで憲法審を開催する可能性を検討しつつある。
一方で、改憲に前向きな日本維新の会や国民民主党は、岸田自民党の改憲への本気度に懐疑的だ。
岸田首相は就任後、事あるごとに「憲法改正」への意欲を語ってきた。今国会の施政方針演説でも「(自民党)総裁任期中に改正を実現したいとの思いには変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力したい」と述べていた。
日本維新の会の馬場伸幸代表は21日、「腰砕けていたら国民投票の発議なんか絶対にできない。自民党の本気度が分かるのではないか」「ゴールは発議をすることだ。大変なハードルが何個も待ち受けているわけで、それを乗り越えていく覚悟があるのか」と突き放した。
●裏金で書籍3500万円分購入の怪〜二階元自民幹事長の金満ぶりに批判噴出 3/22
自民党二階派の政治資金パーティー収入の裏金問題と「書籍代3500万円」で話題になった二階俊博元幹事長。二階氏は、派閥から自分の資金管理団体にキックバックされた裏金の使途を2月14日に公表、20〜22年の3年間に3500万円もの書籍を購入していたことを明らかにした。家を買えるほどの金額の政治資金で、自分の宣伝本や近しい政治家の本を大量に買いあさる二階氏の金満ぶりに、ネット上では「税金を使った自己PRがまかり通るのか」との批判が噴出した。
「自分の宣伝本を税金のかからない“裏金”などの政治資金で大量購入し、平然としているのはあまりに庶民感覚からずれている」(ある全国紙の元政治部長)
二階氏については幹事長時代に自民党から受け取った約48億円の政策活動費の使途にも関心が集まっているが、二階氏は政治倫理審査会に出席せず、説明責任を果たしていない。
二階氏が購入した本で最も金額が多いのは『ナンバー2の美学 二階俊博の本心』(5000冊・約1045万円)。監修者の大中吉一氏は『月刊公論』発行人。同誌ホームページによると大中氏は「19歳で財界通信社を設立」、「インタビューを通じて培った人脈は政財界に広く及び、その唯一無二のネットワークによるロビー活動には定評がある」という。
監修者の大中氏とは
自民党関係者が語る。
「大柄で赤いマフラーがトレードマーク。大中氏は永田町では有名人で二階氏とは大親友の間柄。麻生太郎副総裁とも懇意だ。『ナンバー2の美学』は二階氏が大中氏に頼み、『公論』の林渓清編集長がインタビューして執筆。二階氏側が大量に買い取ることを条件に出版された」
この本とは別に、二階氏は『月刊公論』20年2月号を2000冊、約187万円で購入している。
二階氏は、作家の大下英治氏の著書も大量に購入している。二階氏は、大下氏の『最長幹事長』(3000冊、231万円)や『自民党幹事長 二階俊博伝』(300冊、約45万円)、『二階俊博の政界戦国秘録〈5〉』(500冊、約34万円)など二階氏の人物像を紹介する本を大量購入する一方、二階氏の盟友の小池百合子東京都知事について大下氏が書いた『小池百合子の大義と共感』(3000冊、396万円)や、懇意の菅義偉前首相を取り上げた『内閣官房長官』(2000冊、約157万円)といった他の政治家に関する本も大量買いしている。二階氏側が買った大下氏の著書の総額は1408万円に上る。
また二階氏は、政治家の自著も大量買いしている。かつて二階氏が所属していた自民党田中派時代の仲間である故・石井一元参院議員(元民主党副代表)の3冊の著書を合計900冊、約139万円分購入しているほか、自民党安倍派の山谷えり子・元国家公安委員長の『新しい「日本の歩き方」』を1000冊、154万円分、二階派の松波健四郎元衆院議員の本も200冊、約32万円分購入している。
二階流の人心掌握術?
「“二階関連本”の出版や、それが新聞広告などに載ることは、二階氏自身のイメージアップになる。それにしても関連本を政治家が100冊ぐらい買うことは珍しくないが、一度に3000冊なんて大量買いはけた違い。金のある政治家でないとできないこと。また親しい政治家の本を買ってあげるのは二階流の人心掌握術の一つだ」(前出の元政治部長)
二階事務所は本の大量購入の目的について、「議員活動としての政策広報」と「政策広報のため与野党の政治家や関係者より著書を紹介されまとめて購入した」と説明。二階氏自身の議員活動を記した本については、「出版社(作家)より出版構想並びに最低買取り数量を提案され購入」したとし、本の配布先として「選挙区外の行政や議会関係者、その他、関連する関係者など」を上げている。
公選法に抵触の可能性
だが『ナンバーワン2の美学』や『最長幹事長』などの本は、総選挙があった21年に大量購入されており、もし二階氏の選挙区の有権者に無料配布されていたら公職選挙法に抵触する可能性がある。
政治家の活動を紹介する本を政治家が大量にまとめ買いした事例としては、故・安倍晋三元首相の資金管理団体が文芸評論家の小川栄太郎氏の著書『約束の日 安倍晋三論』を2380冊、約348万円購入したと『しんぶん赤旗日曜版』で報じられたことがある。
それによると、小川氏は安倍氏が自民党総裁に復帰した総裁選直前の12年8月末に『約束の日』を出版。すぐにベストセラーになったが、からくりがあった。安倍氏の資金管理団体は大手書店の丸善丸の内本店、紀伊国屋書店で各900冊ずつ大量買い。大手書店で販売実績1位になったことが新聞広告に載り、ベストセラーとなったというのである。
二階氏は説明責任を果たすべきだ。
●河野大臣 処分の遅さに苦言「手をこまねいていれば世の中の不信を招くことになる」 3/22
河野デジタル大臣は自民党の派閥の裏金事件を受けた一連の対応に時間がかかっている現状に対し、「世の中の不信を招くことになる」と苦言を呈しました。
河野太郎 デジタル大臣「やはり直ちに必要な対応をして、けじめをつけるということが大事だと思います。何もしないで手をこまねいていれば、それは世の中の不信を招くことになりますので」
河野大臣はきょうの会見で、裏金事件の関係者への処分が進んでいないことについて問われ、このように答えました。
河野大臣は先月も「ルールを破ったけじめを一刻も早くつけるべき」との考えを示していて、今回も一連の対応に対して苦言を呈した形です。具体的な対応策としては「領収書を出せないものについて、どういう所得税になるのか試算して、加算税を国に返納することも一案」と話しました。
●河野氏、裏金議員は「加算税も付けて国に返納すべき」 党対応に苦言 3/22
自民党派閥の裏金問題に関わった議員の処分をめぐり、河野太郎デジタル相は22日の閣議後の記者会見で、政治資金収支報告書への不記載があった議員について「領収書を出せないものについては所得税を試算をして、しっかり加算税も付けて、国に返納するなり、党を経由して国に返納するなりしてけじめをつけるというのは一案だ」と語った。
河野氏は閣僚としての担当以外の質問には「所管外」として回答を避けるケースが多く、今回は踏み込んだ発言だ。処分のあり方を問われた河野氏は「一義的には党で決めること」としつつ、政治資金として領収書を提出できなければ所得税に相当する額を国庫に返納すべきだと訴えた。一方で「(収支報告書への)不記載を指示した側は何らかの処分、けじめが必要だ」と派閥幹部の処分の必要性を強調した。「ただちに必要な対応をしてけじめをつけるということが大事だ。何もしないで手をこまねいていれば、世の中の不信を招く」と述べ、党の対応の遅れにも苦言を呈した。
●岸田首相に湧き上がる「全敗となれば即辞任」の声 補選秘策は小池百合子のウルトラCで大丈夫? 3/22
4月28日に投開票が予定されている衆議院の補欠選挙。細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区、安倍派裏金事件で議員辞職した谷川弥一前衆院議員(略式命令が確定)の長崎3区、公職選挙法違反の罪で起訴され有罪判決を受けた柿沢未途前法務副大臣の辞職に伴う東京15区の3選挙区で行われる。3敗だけは避けたい岸田文雄首相が、何か秘策があるのだろうか。
「3敗となれば即座に辞任だ。大きな政局となるはず。3年前と同じ、いやそれ以上に厳しくなる」
そう話すのは、茂木派の国会議員だ。
2021年春の参院選の再選挙、衆参補欠選挙では、河井克行元法相と妻、案里元参院議員の大規模買収事件で批判が高まるなか自民党は3連敗(うち不戦敗1)した。菅義偉首相(当時)は一気に苦境となり、秋の自民党総裁選は不出馬に追い込まれた。それもあってか今回は当初、岸田文雄首相は3選挙区とも「候補者擁立」と執行部に伝えていたという。
野党系候補は一本化へ
しかし、東京15区と長崎3区は自民党議員の刑事事件がきっかけの選挙となり、「3年前は自民党の不祥事で反省を、という意見のなかで菅氏が候補者擁立を主張して大失敗だった。今回こそ、反省の意を示すため不戦敗で」(自民党幹部)という意見が多数を占めていたという。その背景には、保守王国の島根1区だけは勝てるとの目算があったからだ。
自民は元財務官僚の錦織功政氏の擁立を決めたが、細田氏の裏金問題や旧統一教会との関係、セクハラ疑惑などで逆風が吹く上に、共産党が立憲民主党が擁立する前衆院議員の亀井亜紀子氏を自主的に支援すると発表したことで、野党系候補は亀井氏に一本化。事実上の一騎打ちとなる見通しとなった。
「岸田首相は3敗だけは避けたい。そこで浮上したウルトラCのアイデアが、(東京15区での)小池百合子(東京都)知事との連携です」と岸田派の国会議員は話す。
小池知事は、今年1月の八王子市長選では土壇場で自民党・公明党推薦候補の応援に入り、当選に大きく貢献した。その勢いに乗って小池氏が「創立者」の都民ファーストの会から、東京15区に候補者を立てるという。
「かねがね小池知事自身が出馬とうわさされていましたが、それはまずない。近く都民ファースト公認もしくは推薦で、発表することになる。自民党からは保守系無所属でという話がきている。要するに小池知事に自民党、岸田首相が乗るということです。まあ、東京15区での自民党のイメージは最悪ですから仕方ありません」とは都民ファーストの関係者。
東京15区では、柿沢被告が3月14日に一審で執行猶予付きの有罪判決、2020年1月には自民党の衆院議員だった秋元司被告が収賄罪で起訴され、一審で実刑判決を受けており、3月22日に控訴審判決がある(20日に無所属での立候補を表明)。自民党の衆院議員が2人続けて逮捕・起訴という前代未聞の事態だ。
小池知事にとっては最高の展開
「小池知事に乗っかって、自民党が保守系無所属を推して勝てるならそれにこしたことはない。小池知事自らがマイクを握り、支援が得られる都民ファーストと共同歩調をとり、負けないようにして政権維持を、というのが岸田首相の考え。小池知事は公明党とも良好な関係というのもプラスに働いている」と岸田派の国会議員が語る。
小池知事は自民党を離れ、都知事になった後の2017年の衆院選で「希望の党」を立ち上げ、国政進出をもくろむも、民進党と合流するにあたり、リベラル派の議員を「排除します」と発言したことで失速。その後も「都民ファーストの会」を立ち上げ、チャレンジするも失敗に終わっている。そして、小池知事は今年7月に都知事選を控え、3選を目指すことが濃厚とも聞く。
「東京15区は都民ファーストで擁立すれば勝てるはず。小池氏は、自民党も乗りやすい格好にして恩を売る。都知事選では自民党もそう簡単に候補者を出せなくなる。実質的に小池知事の息がかかっている人を国会に送り込めて、かつ都知事選は絶対的に有利な構図がつくれる最高の展開だ」(前出・都民ファーストの関係者)
また、岸田首相にとっては、広瀬めぐみ参院議員の不倫問題、自民党和歌山県連の「過激ダンスショー」の炎上、裏金事件の政治倫理審査会では何も明らかにならないなど、支持率が低下するような“ネタ”が相次ぐ。
長く自民党の政務調査役を務めた政治評論家の田村重信氏は、「小池知事と手を組むというのは禁じ手のように見えますが、3敗すればすぐに退陣論が盛り上がるでしょうから、ずっとましだという考えでしょう。ここ数カ月、岸田首相の(内閣)支持率は20%ほどの低空飛行が当たり前になっています。岸田首相の周辺からは『森喜朗元首相は最後、10%も(内閣)支持率がなかったからまだいいほうだ』なんて話も聞きました。不安定の中の安定のような感じになっています。それに裏金事件で派閥が解消となり、官邸と党本部が主導する形になっています。東京15区さえなんとかなれば、とりあえず補選は乗り切れるんじゃないでしょうか。ただ、小池知事は突然、力を増すので岸田首相はそこをどう抑え込めるかでしょう」と話している。
●学会婦人部の「アイドル」公明・山口代表の苦悩 3/22
山口那津男・公明党代表(71)が「自公連立」を巡る“不協和音”に苦しんでいる。2009年8月の「政権交代選挙」での太田昭宏前代表の落選を受け、同年9月に党代表に就任してからすでに14年半。支持母体の創価学会婦人部のアイドル「なっちゃん」として、「平和の党」のトップリーダーを務めてきた山口氏だが、故安倍晋三元首相の「保守路線」の踏襲・強化が際立つ岸田文雄政権との“あつれき”で、自公双方に「連立解消」論がくすぶるからだ。
公明党立党の立役者で、「学会のカリスマ」として同党に君臨し続けた池田大作氏が、昨年11月に95歳で死去したことで、同党内の権力構図も変容した。このため、熱烈な“池田教”信者が支える学会婦人部の支持を集める山口氏が、「定年(任期中に69歳を超えない)」を無視する形で代表を続けざるを得ず、党内外から連立与党としての同党の立ち位置も問われる状況となっている。
麻生、茂木両氏が画策する「公明外し」
そうした中、岸田首相は総裁任期中の「憲法改正」実現を公言。さらに、次期戦闘機の第三国への輸出解禁と防衛装備移転三原則の運用指針改正でも、慎重論を唱えた公明を押し切る格好で決定するなど、「与党の圧力」(自民幹部)をかける場面が相次ぐ。その一方で、公明サイドも次期衆院選での自民との選挙協力には腐心せざるを得ず、その“政治的矛盾”が、山口氏の心労増加の原因だ。
しかも、自民党内ではここにきて、麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長を中心に、次期衆院選に合わせて、日本維新の会や国民民主党の取り込みによる「新たな連立の構築を模索する動き」(自民幹部)も台頭している。この「あからさまな公明外し」(公明幹部)には公明内の反発が拡大、それも山口氏の“悩みの種”となっている。
もともと山口氏は「代表就任までの経緯も順風満帆ではなかった」(周辺)とされる。東大法学部卒で弁護士という経歴は「超エリート」にみえるが、司法試験に合格したのは26歳と遅く、1990年の衆院選旧東京10区で初当選したが、新進党公認で東京17区から出馬した1996年衆院選から連続落選。このため、参院にくら替えして、2001年7月の東京選挙区での当選で中央政界に復帰した。
「八方美人」の山口氏が裏金事件で苦言
もちろん山口氏は、政界入り直後から「将来のリーダー候補」とみられていたが、創価学会の中枢だったことはなく、「人当たりの良さだけで代表になった」(学会幹部)と揶揄されてきたのも事実だ。このため、党内外で「敵はいないが、味方も少ない」との評も付きまとう。その一方でこうした「八方美人にもみえる山口氏の政治的対応が、基本政策が大きく異なる自民との協力維持の源泉」(自民長老)となってきたのも否定できない。 
ただ、ここにきてその山口氏でも、様々な問題での自民党の対応に苦言を呈する場面が相次ぐ。その典型が、安倍派などの巨額裏金事件での自民の迷走への苛立ちだ。3月18日の下村博文元文科層の衆院政治倫理審査会への出席で、衆参政倫審での関係者弁明が一区切りとなったことを受け、山口氏は19日の記者会見で「信頼回復につながることを期待していたが、ますます不信を強める結果になっている」と非難した。
そのうえで山口氏は、今後の焦点となる安倍派元幹部ら関係議員に対する自民党内の処分に言及し、「政治責任はあるという認識のもとで処分するわけだから、国民の納得感が得られるように臨んでもらいたい」と厳しい処分を求めた。
また、これに先だつ17日の自民党大会でも、連立与党の党首としてあいさつした山口氏は「連立政権は2012年に政権奪還して以来、最大の試練に直面している。連立合意には、国民の声を聞き、謙虚な姿勢で真摯に政権運営に努めると書かれている」と指摘したうえで「その言葉が今ほど胸に響く時はない」と自民党の猛省を促し、そそくさと退席した。
「武器輸出」問題では“腰砕け”に
その一方で、政倫審騒ぎと同時進行となった「武器輸出問題」では、自民、公明両党が19日、それぞれ開いた党会合で、次期戦闘機の第三国への輸出を解禁する閣議決定案と、防衛装備移転三原則の運用指針改正案を了承。これを受けて政府は来週26日の閣議と国家安全保障会議(NSC)9大臣会合で決定する段取りを決めた。極めて異例な個別の装備品輸出に関する政府方針の閣議決定の背景には公明への配慮があり、公明側も“腰砕け”となったのが実態だ。
このように、現在の自公関係は「相互批判となれ合いが複雑に交錯している状態」(自民長老)だが、「双方が不協和音を飲み込まざるを得ないのは、次期衆院選での選挙協力が不可欠」(同)だからだ。岸田首相にとって当面最大の関門となる4月28日投開票のトリプル補選でも、「自民が全敗を免れるには、公明との協力がカギ」(自民選対)であることは間違いない。なかでも、与野党入り乱れての大乱戦となる東京15区で、自公都連が水面下で小池百合子知事との連携を模索しているのは、その延長線上の動きでもある。
そもそも、山口氏は2022年の代表8選後、「次こそ後進に道を譲る」と周囲に漏らしてきた。ただ「その前提は、退任前に衆院選実施だった」(側近)とされ、公明党内でも衆院選前の代表交代に慎重論が強まっている。それもあって、ここにきて「岸田首相による解散断行は困難」(閣僚経験者)との見方が広がると、山口氏はさらなる続投にも含みを持たせるようになった。
その最大の要因は、後継代表候補と目される石井啓一幹事長(66)の立場の弱さだ。基本的に次期衆院選では、参院議員の山口氏は選挙応援に全力投球できるが、衆院埼玉14区から出馬予定の石井氏は「当選確実とは言えない」(公明選対)ため、自らの選挙に専念せざるを得ないからだ。
しかし、山口氏が続投して代表9期目に突入すれば「党内での長期政権批判は避けられない」(若手)ことから、衆院選対応を理由に山口氏の任期を延長する「弥縫策」も浮上している。ただ、その場合も「そんな状況で代表を続ければ、いわゆる『下駄の雪』からの脱却は不可能とのそしりは免れない」(同)だけに、山口氏の苦悩は深まるばかりだ。
●「総理、万博延期のご判断を」高市早苗氏の“異例の進言”なぜ 自民党総裁選を控え「ポスト岸田」と現職閣僚のはざまで続く苦悩? 3/22
今年1月、岸田内閣に小さな衝撃が走った。高市早苗経済安全保障担当相(衆院奈良2区)が、2025年大阪・関西万博の延期を岸田文雄首相に迫ったからだ。折しも元日の能登半島地震発生で、万博の会場建設が震災復興を遅らせるとの投稿がインターネット内で燃え上がっていた。高市氏の真意はどこにあるのか。言動をたどってみれば、9月の自民党総裁選で「ポスト岸田」をうかがう姿勢と、岸田首相を支える現職閣僚の立場との間で迷える様子が浮かぶ。
次の首相を狙うが故の高い注目度
高市氏の発言が、なぜ物議を醸すのだろう。背景には、2021年の自民党総裁選に出馬し、善戦したと受け止められたこと、そして今年の総裁選に、既に意欲を示しているという事情がある。
「また戦わせていただく」
高市氏が総裁選再挑戦に言及したのは昨年10月3日にさかのぼる。BS番組に出演し、視聴者からの「総裁選に向けて仲間づくりは進んでいるか」という質問を投げかけられ、戦う姿勢を明確にした。
総理・総裁の座を4人が争った2021年の前回総裁選。国会議員票と、党員・党友投票による地方票を合わせた得票総数は、岸田首相の256票、河野太郎氏の255票に次ぎ、高市氏は3位の188票だった。4位の野田聖子氏63票を大きく上回る。しかし先行する2人には約70票差をつけられ、決選投票進出はならなかった。
善戦というのは高市氏が無派閥にもかかわらず188票を集めたから、だけではない。国会議員票で岸田首相の146票を次ぐ2位の114票を獲得したという理由が大きい。3位河野氏の86票を30票近く上回った。
議員票には安倍晋三元首相の動きが大きく貢献した。高市氏に投票した中堅議員はこうを明かす。
「安倍氏は自民党最大派閥である清和政策研究会(当時は細田派、現安倍派)の議員らに対し、猛烈に高市氏支持を働きかけた」
総裁選後に誕生した岸田政権で、高市氏は自民党政調会長に起用され、直後の衆院選の政権公約作りを担った。今も閣僚を任されている。その高市氏が今年の総裁選に照準を合わせており、党内に波紋をかき立てているというわけだ。
影響力誇る「後ろ盾」の安倍元首相、突然の死去
だが3年前の総裁選以降、高市氏の戦う準備が進んだとは言い難いのが実情だ。
順風に見えた局面が変わったのは2022年7月8日。安倍氏が参院選の応援のために訪れた奈良市で街頭演説中、銃撃されて死去した。高市氏は思わぬ形で後ろ盾を失うことになる。
元々、原稿執筆や政策研究に充てる時間を重視し「他の議員との付き合いが淡泊」(周辺)と言われるように、高市氏の課題の一つは仲間づくりにあった。清和政策研究会に以前所属した経歴はあるものの、前回安倍氏の一声に応じた議員たちが、安倍氏亡き次の総裁選で高市氏を再び推す保証はどこにもない。
かといって世論の支持が厚いわけでもない。最近の共同通信世論調査で、9月の自民党総裁選を前提に次の総裁にふさわしい人を選んでもらうと、石破茂、小泉進次郎ら各氏を追いかける状況が続く。
こうした事情があるためか、この1年余り見ても、とんがった発言がいくつも飛び出した。保守的スタンスをはっきりさせる発信でシンパを募ろうという戦術と思われる。
2022年12月。岸田首相が防衛費を増額するための財源の一部を増税で賄う方針を表明すると、ツイッター(現在のX)に「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解出来ません」と投稿した。
野党から「閣内不一致だ」と批判されても、記者会見などでは「間違ったことを申し上げたとの考えはない。罷免されるなら仕方がないとの思いで申し上げた」と主張を押し通し、政権内をも驚かせた。
約4カ月後の2023年3月には、安倍内閣当時の総務省内部文書が立憲民主党議員によって暴かれた。2014〜15年に放送法の「政治的公平」の解釈を事実上変更したとされる経緯が記されていた。高市氏は総務相として文書に登場する。
2015年2〜3月に大臣レクチャー(説明)を受けたと記され、同5月には国会で「一つの番組でも、極端な場合は政治的公平を確保しているとは認められない」と答弁していた。
昨年3月の国会でこの文書が取り上げられ、事実関係を問われた高市氏は「捏造(ねつぞう)だ」と突っぱねた。
立民議員から重ねて追及されると「私の答弁が信用できないなら、もう質問しないでほしい」と言い放ち、審議を紛糾させる場面も。この際は、当時の末松信介予算委員長(自民)から「発言は誠に遺憾だ。質問に真摯(しんし)に答えていただきたい」とたしなめられる結果になった。
「これは高市派だ」、勉強会発足に意気込む議員と冷ややかな視線
高市氏は行動も開始する。昨年11月、自身が主導する形で「『日本のチカラ』研究会」を発足させた。11月15日の第1回を皮切りに、これまでに4回開催。インテリジェンス機関などをテーマに意見交換を図っている。
党内の各派閥が警戒したため初回こそ参加者は10人程度と低調だったが、今年2月の3回目は自身を含め19人、3月の4回目は17人が集まった。安倍派議員が多いが麻生、茂木両派や無派閥の議員も並んだ。
総裁選に出馬するには推薦人20人が必要だ。勉強会は出馬を見据えた足場づくりとの見方が党内に広がった。
実際、出席者の一人は「これは高市派だ。勉強会を総裁選活動につなげたい」と意気込む。その一方で「高市氏を総裁に推す枠組みではなく、単なる勉強会」との声も漏れ聞こえ、熱量には差があるようだ。
自民内には冷ややかな視線が多い。一つには勉強会発足のタイミングが悪かった。昨年11月は、報道各社世論調査の岸田内閣支持率が20%台に落ち込み始めた時期と重なったのだ。落ち目の首相の足を引っ張るように映り「いかがなものか」(当時の世耕弘成参院幹事長)と反発を招いた。
高市氏は、あくまで純粋な勉強会だとの立場を主張。旧ツイッターのXを通じて「現職閣僚が担務外の政策を同僚議員と勉強することの何が悪いのか、意味が分からん」と反論し、応酬を繰り広げた。
その後、派閥の政治資金パーティー裏金事件の捜査や報道が本格化し、岸田首相や自民党に対する風当たりはさらに強まった。今年に入っても裏金事件の逆風はやまず、震災対応も政権の重要課題となる。総裁選を見据えたモードにはなかなか転換しそうにない。
「『身を屈して、分を守り、天の時を待つ』という心境だ」
高市氏は今年1月8日放送のニッポン放送ラジオ番組で、三国志の武将劉備の言葉を引用して、自身の心境を口にした。将来への野心をにじませつつも、今は雌伏の時を過ごす、というメッセージだった。
保守層の受け皿になれる?
高市氏が発信力で照準を定めるのは党内保守系議員たちだ。
「国家観を共にする皆さんに絶好のタイミングでお話しできることをうれしく思う」
2月8日、高市氏は顧問を務める党内グループ「保守団結の会」で、にこやかに語りかけた。会合では閣僚として担当する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度創設について講演。この制度は、安倍政権下で成立した特定秘密保護法の「産業技術版」とも言われ、高市氏が力を入れる政策だ。保守系議員に、安倍氏の遺志を継承する姿勢をアピールした形となった。
保守団結の会で代表世話人を務める高鳥修一衆院議員は、総裁選で高市氏を支援するのか記者団に聞かれると含みを持たせた。
「思想信条が近い人を応援するのは自然なことだ」
岸田首相に相対して政府方針転換を突き付ける
これに先立つ1月16日、首相官邸。高市氏は岸田首相に向き合うと、こう切り出した。
「復興を最優先にしてほしい。万博の延期や縮小をご判断いただけないでしょうか」
大阪・関西万博よりも能登半島地震の復旧・復興に人手や資材を集中させるべきだという直言だった。
ネット上で、万博優先により復旧が遅れるとのうわさが飛び交う中での高市氏の直接行動。閣僚の担務として万博は所管外だ。万博推進は政府も旗を振ってきただけに「高市氏が反旗を翻したか」と党内外に映った。
進言への対処を迫られた岸田首相は翌週の22日、斎藤健経済産業相を官邸に呼び、復旧・復興に支障が出ないよう万博関連の調達を進めるよう指示した。資材の需給を把握し、正確な情報を提供することも求めた。
高市氏は27日になって、岸田首相とのやりとりを動画投稿サイトで暴露した。2020年に開幕予定だったアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ万博も新型コロナウイルスの流行で1年延期されたと紹介し、能登半島地震を理由にした大阪・関西万博の延期は国際社会の理解を得られるとの持論を展開した。
広がる波紋、矛を収めて釈明
高市氏の言動は、東京・永田町や霞が関に衝撃を与えた。報道各社が一斉に報道。現職閣僚からは「政府一丸で万博準備を進めているのに理解に苦しむ」と首をかしげる声が上がった。
政府のスポークスマン役、林芳正官房長官は1月29日の記者会見で高市氏発言への見解を聞かれ、「復興に支障がないようにという趣旨だと認識している。それは政府方針であり、閣内不一致とは認識していない」とかわした。その上でこう付け加えるのも忘れなかった。
「開催を遅らせる必要があるとは認識していない」
渦中の人となった高市氏は翌30日の記者会見で発言の真意を問われ、万博関連工事に携わる事業者から陳情が寄せられたためだと説明した。奈良県選出だけに万博関連工事を担う関西経済界にもパイプを持つので、実情をありのまま首相に伝えたのだと言いたかったようだ。会見では改めて、万博、復旧の両事業を受注した企業の声だとして「資材や人手が不足して大変な状況だ。万博は少し延期した方が良いのでは」と紹介する形で問題提起した。
エッジを立てた高市氏は、とことん首相にぶつかっていくのか―。こうした政界内の関心をよそに、高市氏は徐々に発言をトーンダウンさせていく。
「首相から『復旧に支障が出ないよう配慮する』と電話があった。首相の決定に従う」
「経産省も復興に影響が出ないよう配慮して態勢を整えてくれた。首相を信頼してお任せしたい」
2月3日には自身のX(旧ツイッター)を更新。「物議を醸した」との書き出しで「被災地復旧も万博も完璧にやりきることが日本の名誉を守るためには必要だと思っていた」と思いをつづった。実質的な釈明だった。
高市氏に親近感を抱く自民ベテランは先行きを案じる。
「せっかくの発信力をうまく使いこなせておらず、迷走している」
高市氏自身は周囲に「現職閣僚としては動きづらい。この機に乗じて何かすることは考えていない」と悩める胸の内を漏らした。
●2月の消費者物価指数、4カ月ぶりに伸び率アップ 電気代の下げ鈍る 3/22
総務省が22日発表した2月の消費者物価指数(2020年=100)は、値動きの大きい生鮮食品をのぞく総合指数が106・5となり、前年同月より2・8%上昇した。上げ幅が4カ月ぶりに高まったのは、食品などの値上がりが続き、電気・都市ガス代の下げ幅が縮まったためだ。
電気代は前年同月より2・5%下がった。1月の下げ幅(21・0%)より大幅に小さくなったのは、政府の補助金が昨年2月から始まり、2月以降は「値下げした後の料金」どうしで比べることになったためだ。都市ガスも前年同月より13・8%下がったが、1月よりは下落率が縮まった。
生鮮食品をのぞく食料は5・3%上昇した。菓子や調理食品などの高値が続いている。宿泊料は33・3%、洗濯用洗剤は14・2%上がるなど、幅広い品目で上昇した。
●岸田首相、液状化被害の支援強化=住宅復旧に補助―能登地震 3/22
岸田文雄首相は22日、首相官邸で開かれた「能登半島地震復旧・復興支援本部」の会合で、液状化被害に対する支援を強化する考えを示した。被災者が住宅の地盤や基礎の復旧工事を行う場合、国などが費用の3分の2を補助する制度を創設する。
能登半島地震の被災地では液状化による宅地被害が相次いだ。首相は「これから新年度を迎え、被災者の方々が生活となりわいの再建に向けた一歩を踏み出すことができるよう、復旧復興の取り組みを着実に進めていかなければならない」と述べた。
再発防止への支援も拡充する。石川、富山、新潟各県の被災自治体が宅地と隣接する道路や公園などについて、一体的に液状化対策を実施する場合、国の補助率を従来の4分の1から2分の1に引き上げる。
また、被災者が液状化で傾斜した住宅の修復を行う場合の費用についても、最大120万円を補助する。耐震化工事に関しては、液状化被害の有無にかかわらず、補助の対象とする。
●鈴木財務大臣「リスク念頭に舵取り」 日銀利上げで財政への影響に警戒感 3/22
日銀が17年ぶりの利上げに踏み切ったことを受け、鈴木財務大臣は今後の財政運営について「必要な経費が圧迫されるリスクを念頭に置いたかじ取りが重要だ」と警戒感を示しました。
日本の国債残高は1000兆円を超えていますが、日銀のマイナス金利政策のもとで、政府が支払う利払い費は毎年7〜8兆円程度に押さえられてきました。
しかし、今後、金利が上昇すれば利払い費は大幅に増え、社会保障などの経費が圧迫される恐れがあります。
鈴木財務大臣 「今後の財政運営にあたっては、このようなリスクも念頭に置きつつ、財政の持続可能性への信認が失われることがないように、適切なかじ取りを行うことが重要である」
岸田政権は、新型コロナへの対応や物価高対策などに巨額の歳出を続ける一方、防衛財源など負担のあり方の議論は先送りにしていますが、日銀の政策変更を受け、改めて警鐘を鳴らした形です。
●公明、政倫審協力に難色 野党要請 自民衆院議員45人の審査巡り 3/22
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、衆院政治倫理審査会の野党筆頭幹事を務める立憲民主党の寺田学氏が22日、公明党の幹事の輿水恵一氏と国会内で会談し、政倫審で弁明をしていない自民の衆院議員45人の審査申し立てに向けて協力を要請した。輿水氏は難色を示した。
政倫審は議員本人の申し出か、委員の3分の1以上の申し立てと過半数の賛成で開かれる。野党だけでは申し立てに必要な委員が1人足りないことから、寺田氏は会談で公明の協力を要請した。輿水氏は記者団に「(議員本人の)申し出を待つのが筋だ。申し出る人を待つ形で丁寧に対応していく」と述べた。寺田氏は記者団に「45人が国会で説明せずに逃げ切るかどうかは、公明党にかかっている」と語った。
これに関し、公明の石井啓一幹事長は記者会見で「本人の意思がなければ政倫審は機能しないのが大前提だ。申し立てをすることにどういう意味があるのか大いに疑問だ」と述べ、審査申し立てに否定的な考えを示した。 
●不記載ない議員 対象外 幹事長 首相の処分について 3/22
自民党が、派閥の政治資金問題をめぐり、収支報告書に不記載のある議員の処分を検討する中、自民党の茂木幹事長は、石川・金沢市で、岸田首相に対する処分について「不記載がない議員を処分の対象にすることはない」と述べた。
自民党・茂木幹事長「(Q.岸田総理は処分の対象に含まれるか?)議員個人で言うと、不記載があったかなかったか、グループ(派閥)としての不記載があっても、不記載がない議員を対象にすることはないと思っている」
岸田首相が会長をつとめた岸田派は、元会計責任者が、罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を受けたが、茂木幹事長は、岸田首相の処分について、議員個人に不記載がない議員は処分の対象にしないとの考えを示した。
また、自民党は、今回の事件を受け、22日、全国各地で国民の声を聞く「車座対話」をスタートさせ、茂木幹事長が金沢市で、県連幹部らと意見交換した。
意見交換は非公開で行われたが、茂木幹事長は「きちんと政治責任、けじめをはっきりしてほしいという強い意見が出た」と述べた。
一方、河野デジタル相は記者会見で、派閥からのキックバックについて税金を納める案に言及した。
河野デジタル相「領収書を出せないものについては、仮に所得であったなら、どういう所得税になるのかというのを試算をして、しっかり加算税もつけて、国に返納するなり、党を経由して国に返納するなり、ということをやることでけじめをつけるというのは一案なんだろう」
河野デジタル相は、不記載議員の処分について、「直ちに必要な対応をして、けじめをつけることが大事だ」と述べた。
●裏金処分、自民幹部と協議=岸田首相 3/22
岸田文雄首相は22日、自民党の森山裕総務会長、渡海紀三朗政調会長、松山政司参院幹事長らと首相官邸で相次ぎ会談した。派閥の裏金事件を受けた関係議員の処分について協議した。複数の関係者が明らかにした。
党幹部の一人は「党内の状況やそれぞれの考えを聞きたかったのだろう」と説明。首相は、自身の処分も検討しているとの一部報道を念頭に「そんなことは言っていない」と語ったという。
●「裏金」責任者、厳正処分と茂木氏=不記載ない議員は対象外―自民、初の政治刷新対話 3/22
自民党は22日、派閥パーティー裏金事件を受けた「政治刷新車座対話」の初会合を金沢市で開いた。茂木敏充幹事長が党石川県連関係者と意見交換し、関係議員の速やかな処分を約束。その後、記者団に「上に甘く、下に厳しいことにならず、責任ある立場の方に厳正な対応ができる形を取りたい」と強調した。
一方で、元会計責任者が立件された岸田派の所属議員に関しては「(政治資金収支報告書の)不記載がない議員を対象にすることはない」と指摘。同派会長だった岸田文雄首相(党総裁)の処分も問われたが、「担ってきた役職なども総合的に勘案しながら決めたい」と述べるにとどめた。
車座対話は、地方組織の声を政治改革に反映させ、信頼回復を図るのが狙い。茂木氏は「皆さんの意見をしっかり受けながら議論を深め、抜本的な改革を進めたい。忌憚(きたん)のない意見を寄せてほしい」と呼び掛けた。
出席者からは「きちんと政治責任、けじめをはっきりしてほしい」との意見が相次いだ。安倍派の元幹部らが衆参両院政治倫理審査会で行った弁明への不満や、派閥解消を確実に実現するよう求める声も上がった。
これを受け、茂木氏は記者団に「党の再生、日本の再生に向けてさらに取り組みを強化したい」と述べた。
●自民派閥の裏金議員 処分の行方は?世論調査「説明責任は果たされていない」84% ANN 3/22
17日、自民党の党大会が開かれました。岸田文雄総理大臣が裏金問題に関係した議員の処分について、茂木敏充幹事長に結論を得るように指示したことを明らかにしました。
岸田内閣「支持しない」は61.1%
自民党の党大会が開かれるなか、ANNが世論調査を行いました。調査は3月16日、17日にご覧の方法で行いました。岸田内閣の支持率は20.9%で、ほぼ横ばいでした。
議員への処分「必要がある」83%
不記載のあった議員への処分については、「必要がある」が83%、「必要はない」は9%でした。また、次の衆議院選挙で「政権交代を期待する」という回答は46%で、「自公政権の継続を期待する」の38%パーセントを上回りました。
裏金問題、処分は?
裏金問題に関係した議員の処分について、17日 、自民党大会で岸田総理は茂木幹事長に処分について結論を得るよう指示したことを明らかにしました。処分の対象・重さの判断基準は、「不記載額」「役職・議員歴」「説明責任の果たし方」などを見極めながら判断していくということです。
処分の時期「予算成立後」か
政治ジャーナリストの田崎史郎さんによると、処分の時期は「予算成立後の3月末か4月第1週ではないか」。処分内容については、「安倍派幹部は『党員資格の停止』か『選挙での非公認』が考えられるが、もっと重い処分を求める声が強まる可能性もある」ということです。
●自民「党内政局」いよいよ本格化か 岸田首相の宣言≠ノ強い違和感、党大会をじっと見つめる森喜朗氏の胸中はいかに 3/22
まるで9月の自民党総裁選への出馬宣言のようだった。17日に開かれた自民党大会で、岸田文雄首相(党総裁)が行ったスピーチだ。岸田首相は冒頭、一連の「政治とカネ」の問題をこう陳謝した。
「一部派閥の政治資金に関わる問題によって、国民から多くの疑念を招き、深刻な政治不信を引き起こす結果となっております。党総裁として国民の皆さまに心からおわび申し上げます」
本来、元日の能登半島の震災対応などに詳しく言及すべきなのだろうが、それに優先させるほど「派閥の裏金問題」は岸田首相にとって深刻≠ネのだろう。
だが、「政治とカネ」の問題を、どこか「他人事」としている気がしたのは、筆者だけではなかったはずだ。冒頭の「一部派閥の政治資金に関わる問題」では、岸田派の会計担当者も東京地検特捜部に立件されているのに、だ。
岸田首相が「得意だ」という外交について述べたくだりにも、強い違和感があった。
「世界中で争いの火種がくすぶる中で、わが国の安全を断固守り抜くとともに、世界の平和に責任を果たしていかなければなりません。それができるのは誰か、激動する国際社会に対応できるのは誰なのか。自公の安定した連立政権以外にはありません」
公明党に頼りつつも、「危機を乗り切れるのは自分だけだ」と断言しているようにも聞こえた。
だが、来賓として出席した公明党の山口那津男代表は「私たちの連立政権は2012年に政権を奪還して以来、最大の試練に直面している」と危機感を示した。同党の石井啓一幹事長も10日放送のBS番組で、「総裁選で選ばれた総裁は非常に支持率が高くなる」と意味深な発言をしたばかりだ。
国民は岸田政権を評価していない。
17日公表の毎日新聞の世論調査で、内閣支持率は17%で前月に続いて20%を下回った。政治倫理審査会での派閥幹部らの説明は、「十分ではない」との回答が89%を占めた。朝日新聞の世論調査では、内閣の「不支持率」は67%で12年に自民党が政権復帰して以降、最悪の水準だ。
そうした空気を意識したのだろう。岸田首相は15日の参院予算委員会で、森喜朗元首相の国会招致を求める共産党の小池晃書記局長に対し、「(裏金問題の)関係者の中には森元総理も入ると認識している」と含みを持たせた。
その森氏は自民党大会に出席し、壇上でスピーチする岸田首相をじっと見つめていたが、胸中は穏やかではなかっただろう。長年支配してきた清和政策研究会(安倍派)は解散の道をたどり、政界への影響力は風前の灯だ。
次期総裁選まであと半年ばかりだ。壮絶な党内政局が、いよいよ本格化しそうだ。
●首相「中小企業の賃上げ重要」 日本商工会議所総会で協力要請 3/22
岸田文雄首相は22日、東京都内であった日本商工会議所の総会に出席し「今年の春闘労使交渉では昨年を上回る力強い賃上げの流れができつつある。この流れが広がるためには、中小企業、小規模事業者における賃上げが何よりも重要だ」と述べ、各社に協力を要請した。
首相は、2023年末に策定した労務費転嫁指針を活用した価格転嫁対策や賃上げ促進税制の拡充など政府の取り組みにも言及。「デフレ完全脱却のチャンスをつかみ取るため、中小企業の皆様が投資や賃上げに前向きに取り組んでいただけるようにすることが大切だ」と強調した。

 

●「輪島朝市」金沢に出張して開催 能登半島地震後初めて 3/23
能登半島地震のあと大規模な火災が発生した石川県輪島市の「輪島朝市」が23日、地震のあと初めて金沢市に出張して開かれ、会場は多くの人でにぎわいました。
輪島市の「朝市通り」では元日に発生した火災で大きな被害を受けましたが、23日、地震のあと初めて金沢市の金石港に出張して開かれました。
会場には「がんばろう、輪島朝市」と書かれたのぼりが立てられ、朝市名物のオレンジ色のテントを使って通常の3分の1にあたる29店舗が軒を連ねました。
露店では、金沢市で水揚げされた魚で作られた干物や、火災を免れた輪島塗の箸などが販売され、訪れた人たちが出店者との会話を楽しみながら次々と商品を購入していました。
輪島塗のスプーンを購入した60代の女性は「朝市で出店者とお話して元気をもらいました。これからも応援していきたい」と話していました。
干物を購入した40代の女性は「輪島の朝市に行ったことはありませんが、楽しく買い物ができたので復興したらまた行きたい」と話していました。
朝市通りで食堂を経営し今回の出張開催を企画した橋本三奈子さんは「心が折れそうになりましたが、出張輪島朝市があるので、この3か月、頑張ることができました。出店者のいきいきとした姿が見られてうれしいです。輪島での再開を目指してこれからも頑張っていきます」と話していました。
奇跡的に耐え抜いた「いしる」で塩辛を・・・
「出張輪島朝市」で、朝市の復活を願い、能登半島地震を奇跡的に耐え抜いた魚しょうの「いしる」を使った塩辛を販売した女性がいます。
南谷良枝さん(48)は、30年以上にわたって輪島朝市の露店で塩辛や干物などを販売してきました。
南谷さんは今月中旬、金沢市にある加工場で冷凍保存していた輪島産のスルメイカを使って塩辛作りを行いました。
この塩辛に欠かせないのが、祖母から製法を受け継いだ能登地方特産の魚しょう「いしる」だということですが、地震で「いしる」の入ったたるが倒れ、家族総出で準備した7トンもの「いしる」が販売できなくなりました。
南谷さんは「ばあちゃんから『いしる』は3年以上、熟成させたものしか売るなと言われていました。今回の地震で受け継いだ大事な宝がすべてだめになってしまった」と話していました。
地震のしばらくあと、全壊した倉庫の中からタンクに入った「いしる」30キロ分が奇跡的に見つかったため、南谷さんはこの「いしる」で塩辛を作り、出張朝市で販売しようと考えました。
南谷さんは「5、6年かけて売る分の『いしる』が全部だめになり、情けなくなってしまった。ほんの一握りしか残っていないが、塩辛などを作って販売して出張朝市を成功させ、それを見たほかの組合員が前向きになって一緒に参加してもらうのが望みです」と話していました。
塩辛作りを一緒に行った南谷さんの娘の美有さんは、おととしから朝市の露店で南谷さんと2人で働いています。
輪島朝市の出店者の中では最年少の22歳です。
高校3年生の時に、家業の朝市の露店で職業体験を行い、客とふれあう楽しさを学んだということで、母親のあとを継ぐことを決心しました。
イカをさばくのは初めてということですが、これまでたいやいわしで鍛えた包丁さばきで、手慣れた様子でイカを切り分けていました。
南谷さんは「うちで作る『いしる』など輪島朝市で昔から売られてきた食文化を若い自分の役目として未来へつないでいきたい」と話していました。
●裏金事件を受け自民「政治刷新車座対話」スタート 茂木幹事長「抜本的改革進める」 3/23
派閥の裏金事件で逆風が吹くなか、自民党は幹部らが地方組織から意見を聞く全国行脚をスタートし、茂木幹事長は党の再生に向けて抜本的な改革を進めると強調しました。
自民党 茂木幹事長 「自民党が生まれ変わって日本の再生を成し遂げるためには、皆さんたちのご意見をしっかり受けながら、議論を深めて抜本的な改革、これを進めて参りたい」
また、茂木幹事長は党の石川県連幹部に対し、関係議員の処分については「4月上旬には国民がなるほどというような結論を出したい」と述べたということです。
一方、派閥の会計責任者が立件された岸田派については「個人に還流や不記載があったのかという問題だ」として不記載がない議員は処分の対象にはしない考えを示しました。
党内からは安倍派や二階派の幹部だけでなく、岸田総理の責任を問う声も出ています。
●岸田首相は本当に二階氏に「重い処分」を下せるのか?幕引き図る大規模処分は新たな火種に 3/23
・自民党の裏金問題をめぐる与野党攻防が続いている。安倍派幹部・下村博文氏が出席した政倫審も期待外れに終わり、逆に真相解明を望む国民の不満を募らせる結果を招いている。
・細川内閣で首相秘書官を務めた成田憲彦・駿河台大名誉教授は、そもそも「政倫審という制度自体に真実発見の能力がない」と説く。それはなぜか。
・岸田首相は事態収拾に向けた次なる一手として、二階元幹事長を含む大規模処分のカードを切ろうとしているが、果たして――。成田氏に聞いた。
政倫審は真実発見の制度にあらず
――衆議院政治倫理審査会が肩透かしに終わった印象です。永田町では、森元首相と確執があるとされる安倍派・下村博文氏が裏金をめぐる詳細を暴露するのではないかと期待感が高まっていましたが。
成田憲彦・元首相秘書官(以下、成田氏):騒ぎすぎです。そんなこと最初からあり得ない。
そもそも政倫審というのは、真実の発見のための制度ではありません。
政倫審というのは、政治倫理綱領や政治規範に違反したと疑われた者が、それについて弁明したり、政治倫理違反の状況について審査を受けたりするために開かれるものです。
真実を発見するという目的を果たすために、公開の場面で、質問者が持ち時間に従って順番に質問して「これはどうですか」「あれはどうですか」と聞くのがベストの方法かというと、まったく適していない方法です。
帝国議会以降、一問一答方式は日本の議会における基本的なパターンになっていますが、真実の発見ということにおいては適当な手法だとは言えません。
公開のテレビの前で順番に問い詰めて、「ここで勇気を持って真実を語ってください」って言ったって、そこで真実を語ったら下村さんは仲間を裏切ることになる。
それは彼の行動として称賛されるといって、いろいろ言わせたい方ははやし立てるけれど、客観的に見た場合、彼にとっての正しい行動かというとそうではないことが明らかです。
一番の問題は、日本の政治は、政治が目指すものと実際の仕組みが非常にちぐはぐだということです。
――真実を発見するという目的においては、例えばどんな手法が適していると考えますか。
国民の期待に応えられない“ちぐはぐな”国会
成田氏:真実を発見したければ、調査特別委員会を立ち上げるべきです。
議会の調査機能が一番発達しているのは米国議会です。米国議会を見ると、調査委員会(investigating committee)がこれまでいろんな事件で設置されています。
その委員会での調査の手法は、まずスタッフを何十人、場合によっては何百人も雇用し、ターゲットを決め、極秘に接触し、ヒアリングを重ねていきます。ヒアリングに違反した場合に罰則を科したり、強制送還状を発行できたりする権限が付与されます。
情報を集めた結果、罰則付き召喚令状(subpoena)を発行してキーパーソンを親委員会の公聴会に呼んで証言させることもできます。そうやって事実を極めていきます。
日本の場合、こうした徹底した仕組みになっていないことに加え、事実認定をしないことも大きな問題です。世界のどの調査委員会でも、必ず結論を出すんですよ。調査活動をした結果としての事実認定をするんです。日本は事実の認定をしません。
テレビの前で居丈高に質問して「真実を語りなさい」と言うことが、目指すものと仕組みがまったくちぐはぐだということがわかると思います。だから、政倫審自体に真実の発見という意味で期待を持つことは、間違いです。
では、なぜ与野党が政倫審をやっているのか。与党の方はこれで店じまいをしたいということです。「政倫審を開きました。これで明らかになったこともありますし、これからは反省をして、制度改正に取り組んでいきましょう」という店じまいのための手段というわけです。
逆に野党は、これを入り口にして参考人招致から証人喚問に持ち込んでいきたい。お互いの本心はそういうところです。
日本の議会がやっていることと、国民が期待しているものが、非常にちぐはぐになっているということが、今回の政倫審で明らかになったということです。
森元首相に恩を売った?
――仮に証人喚問まで開かれたとしても、オープンな場での一問一答方式という形式は変わりません。やはり真実の発見は期待できないということでしょうか。
成田氏:結論も出されませんからね。政倫審だって、規定で報告書を作ることにはなっています。諸外国の報告書といえば、結論が書かれているのが報告書です。
対して日本の報告書は、「質疑をしました。審議をしました。誰々が質疑をして、それに対して証言を求めました」で終わり。真実の発見能力はここにはありません。
ただそういう仕組みを使って与野党がゲームをしているというだけです。そのゲームは、国民が期待するものとかけ離れたところで繰り広げられている与野党の攻防戦だとも言えるでしょう。
憲法が想定し、国民が期待する議会の役割と、そこで演じられているものと、いろんな意味でちぐはぐな国会の姿が露呈されているという現状です。
――真実発見能力のない政治ショーに国民が勝手に期待し、勝手に肩透かしを食らったと思っているということですね。
成田氏:政治学の基本テキストでもあるシュンペーターの『資本主義・社会主義・民主主義』では、現代民主主義というのは、エリートたち、すなわち政治家たちが国民の支持を獲得する競争をやっているんだと解説しています。
政倫審という政治ショーをやりながら与野党が綱引きをして、どちらが国民を味方にして力を獲得していくかという、政党の演技の世界です。
そこで何か真実が発見され、政治が何か高尚なものを実現していくんじゃないかと期待をしている国民だけが馬鹿を見させられている、こういういまの姿です。
下村さんについて言えば、下村さんがテレビの前で安倍派を裏切って、何かいいことがあるんでしょうか。それよりも「よく口をつぐんでくれた」ってたたえられた方が、下村さんにとってはいい話です。
――森元首相にも一つ恩を売った形になったかもしれない。
成田氏:そういうことです。本来は、政倫審ではなく調査委員会でやればいいんです。与野党にとって一番容易だったのが政倫審だったというだけです。
――印象的なところだと、東日本大震災の原発事故に関しては調査特別委員会が開かれました。
成田氏:あれは非常に大きな問題だったし、党派性にそれほど絡まなかったために与野党合致でできました。今度の場合は、まさに与野党のバトルの問題です。そうそう簡単に、野党が希望するような調査特別委員会を作って、時間をかけて調査をするということまではいかない。自民党はさっさと終わりにしたいというのが大前提ですから。
――幕引きを図るため、自民党はいよいよ処分に踏み切るというカードを切ろうとしています。80人の大規模処分だという話も出ています。
あるか、3度目のサプライズ
成田氏:岸田さんはとにかく早く幕引きしたいんでしょうが、ただ処分は非常に難しいですよ。本当にやりきれるのでしょうか。
岸田さんは、これまで2度サプライズをやっています。一つは、宏池会の解散。それから、自分が出ると言って政倫審を動かしました。今度のサプライズがあるとすれば、自分にも処分を科すっていうことなんでしょう。
しかし、これはなかなか難しいところです。宏池会(岸田派)だって、会計責任者が立件されたわけです。自らの処分を軽くすると、国民および安倍派から叩かれることになります。党内的にも対国民的にも非常にリスクがある。自分に厳しい処分を科すということなら、「じゃあ退陣した方がいいんじゃないの?」という話になりかねません。非常に難しい。
それから、金額的に最も多い二階さん。二階さんに重い処分を下すということが言われていますが、それができるでしょうか。
――二階氏に重い処分を下し、改革姿勢をアピールしたいところでしょうが、立件された派閥の領袖という意味では自分自身も同じです。
成田氏:そうです。自分に返ってくるわけです。自分自身と二階さんをどうやって線引きするのか。
報道では、「除名」や「離党勧告」まではないと言われていますね。すると、「党員資格停止」「選挙における非公認」「役職停止」というのが重い処分になってきます。二階さんに対してこうした処分ができるのか。
岸田さん自身も「非公認」なのかって話になってしまう。「今度の選挙で自民党の非公認になる者が自民党の総裁です」って、笑い話にもなりません。一方で、自らは「戒告」で済ませるとなれば、「なんだ、その軽い処分は」と反発を受けます。相当な火種だと思います。
じゃあ、党の方に処分を任せるとなっても、茂木幹事長も問題を抱えていますから。「茂木さんだってインチキやっているじゃないか」となると、なぜ幹事長はそんな処分できるんだっていうことにもなります。
茂木氏の資金移動「極めて脱法的」
――茂木幹事長の「資金移動」についてはどう見ますか。
成田氏:「茂木敏充後援会総連合会」が国会議員関係政治団体ではないというのが、そもそも苦しいでしょう。
国会議員の後援会は、みな「国会議員関係政治団体」として届けられます。茂木さんの主張は「後援会そのものではなく、後援会の総連合会連絡会だ」ということなんでしょうが、それはそう簡単には言えるものではありません。
どうして国会議員関係政治団体になっていないのかといえば、総務省への届け出の際に「国会議員関係政治団体」にチェックをしていないというだけです。そこにチェックせず「その他の政治団体」というところにチェックを付けて出しているだけの話です。
――届け出のチェック欄ではなく、実態で判断すれば、それは国会議員関係ではないかと問われてしまうわけですね。
成田氏:じゃあこれでいいのかということを総務省に聞くと、「我々はそういう判断はできません」というのが回答です。誰が判断するのかと聞くと「検察が判断します」と、必ずこうなるわけです。
私は条文を読む限り、極めて脱法的にやっていると思います。不透明な団体に資金を移しているという問題だけではなくて、そもそも「茂木敏充後援会総連合会」という団体が「その他の政治団体」として届け出がなされているということが本当に許されることなのか。極めて疑問があります。
――様式だけ整っていれば、総務省は受理せざるを得ない。
成田氏:監督機関ではないからです。政治資金収支報告書の件でも同じです。今回、安倍派がずいぶん報告書を修正しました。
報告書の修正箇所に、総務省のハンコが押してあるんです。何月何日に受け付けたというハンコに何が書いてあるかというと「願いにより訂正」という文言があるんです。
「願いにより訂正」なんです。総務省には、これを訂正してくださいっていう権限がありませんから。例えば、会計責任者の署名がないとか、形式的な欠陥は「受け付けません」と言えますが、形式性を満たしてしまえば受けざるを得ないのです。
しかし、後援会は「国会議員関係政治団体」なのに、後援会連合会はそうじゃないというのは無理があります。なおかつ、多額の金を扱っているんですよ。
監督機関がなければダメです。だから、これほどいいかげんなことがまかり通っているんです。
この状態で処分を4月中にやると言っていますが、非常に難しい問題だと思います。
●自民・茂木幹事長 「抜本的な改革 進める」と強調 3/23
派閥の裏金事件で逆風が吹くなか、自民党は幹部らが地方組織から意見を聞く全国行脚をスタートし、茂木幹事長は党の再生へ改革を進めると強調しました。
「自民党が生まれ変わって、日本の再生を成し遂げるためには、皆さんたちのご意見をしっかり受けながら議論を深めて、抜本的な改革、これを進めてまいりたい」(自民党・茂木幹事長)
また、党の石川県連幹部に対し、関係議員の処分について「4月上旬には、国民がなるほどというような結論を出したい」と述べたという事です。
一方、派閥の会計責任者が立件された岸田派については、「個人に還流や不記載があったのかという問題だ」として不記載がない議員は処分の対象にしない考えを示しました。
●安倍派4人に“重い処分”科す方向 自民“裏金事件” めぐり 3/23
自民党はいわゆる裏金事件を巡り安倍派でキックバックの再開を協議していた塩谷氏ら幹部4人に重い処分を科す方向で調整に入りました。
党幹部が週明けにも4人に再聴取を行う方針です。
複数の自民党幹部によりますと、自民党は安倍派の塩谷立氏、下村博文氏、西村康稔氏、世耕弘成氏の幹部4人について重い処分を科す方向で調整に入りました。
4人は2022年8月、いったんは中止が決まったキックバックの再開を協議していて幹部としての責任が最も重いと判断されたということです。
具体的な処分としては「党員資格の停止」や「選挙での非公認」が検討されています。
自民党は週明けにも党幹部が4人に再聴取を行い、重い処分が検討されていることを伝える方針です。
処分が科される前に離党を含む自発的な対応を促す狙いがあるとみられます。
●衆院比例区の投票先、野党トップは立憲 れいわ浮上、増える無党派層 3/23
「仮に今、衆院選の投票をするとしたら」。全国世論調査(電話)では昨年5月から毎月、こんな出だしの質問を設け、比例区の投票先を聞いています。今回の3月調査では立憲民主党が16%、日本維新の会が11%と、立憲が維新を初めて上回りました。
同様の質問は、3年ごとに行われる参院選や、次の衆院選を見据えて、聞いてきました。直近3回の衆参両院の国政選挙で、比例区投票先の世論がどのように推移したのか探りました。
2019年の参院選と21年の衆院選を前に尋ねた比例区投票先をみると、立憲は維新などの他の野党を上回る数字を示しています。
一転、22年の参院選を前にすると、維新の伸長があらわになり、立憲は維新を追いかける展開となりました。全政党のうち自民党は不動のトップを維持。野党では、維新が立憲を上回る傾向が続き、参院選が近づくと、両党の差が縮まったものの、立憲が維新を上回ることはありませんでした。 ・・・
●「裏金」責任者、厳正処分と茂木氏=不記載ない議員は対象外―自民、初の政治刷新対話 3/23
自民党は22日、派閥パーティー裏金事件を受けた「政治刷新車座対話」の初会合を金沢市で開いた。茂木敏充幹事長が党石川県連関係者と意見交換し、関係議員の速やかな処分を約束。その後、記者団に「上に甘く、下に厳しいことにならず、責任ある立場の方に厳正な対応ができる形を取りたい」と強調した。
一方で、元会計責任者が立件された岸田派の所属議員に関しては「(政治資金収支報告書の)不記載がない議員を対象にすることはない」と指摘。同派会長だった岸田文雄首相(党総裁)の処分も問われたが、「担ってきた役職なども総合的に勘案しながら決めたい」と述べるにとどめた。
車座対話は、地方組織の声を政治改革に反映させ、信頼回復を図るのが狙い。茂木氏は「皆さんの意見をしっかり受けながら議論を深め、抜本的な改革を進めたい。忌憚(きたん)のない意見を寄せてほしい」と呼び掛けた。
出席者からは「きちんと政治責任、けじめをはっきりしてほしい」との意見が相次いだ。安倍派の元幹部らが衆参両院政治倫理審査会で行った弁明への不満や、派閥解消を確実に実現するよう求める声も上がった。
これを受け、茂木氏は記者団に「党の再生、日本の再生に向けてさらに取り組みを強化したい」と述べた。 
車座対話の開催は、首相が17日の党大会で表明。首相を含む党幹部らが47都道府県を回り、地方組織や党員らの声に耳を傾ける。
●マイナス金利解除、安倍派解散が追い風 アベノミクス否定には配慮 3/23
岸田文雄首相は「アベノミクスの転換」につながる金融政策の転換を、自民党最大派閥の安倍派に配慮しながら探ってきた。今回のマイナス金利解除は、裏金問題で解散が決まった安倍派の幹部らが沈黙していたことも追い風となった。
日銀がマイナス金利解除を決定した19日夕の首相官邸。日銀本店での記者会見を終えて報告に駆けつけた植田和男総裁との面会後、岸田首相は記者団の取材に応じた。
春闘で大手企業による33年ぶりの高い賃上げが実現したことに触れ、「10年以上にわたって続いてきた異次元の金融緩和政策について、現下の情勢を踏まえた新たな段階へ踏み出す」と力を込めた。続けて手元の紙に目を落とし、一字一句を確認するように読み上げた。「前向きな経済の動きをさらに確実なものとする観点から、緩和的な金融環境が維持されることは適切だと考えている」 ・・・
●岸田首相「日本がアメリカをサポートする時代に入った」 4月訪米を前に意気込み示す 3/23
岸田首相は22日夜、東京都内で行った会食で、4月に控えた訪米について、「今までの日米関係は、いろいろ助けられていたが、日本がアメリカをサポートしていく時代に入ったことを考えたい」と意気込みを強調した。
同席した日枝久フジサンケイグループ代表が明かした。
2人の会食は、東京・港区のホテル内の日本料理店で約2時間行われた。
日枝氏によると、岸田首相は、自民党が派閥の政治資金問題で収支報告書に不記載のある議員の処分を検討していることについて、「党に任せてある」と述べた。
また、4月は、訪米のほかに、衆院の補欠選挙などもあり、「大変だ」との認識を示した。
そして、「やはり一つ一つを丁寧にやっていかないと仕方がない」と述べたという。
●混迷する東京15区で深まる「小池百合子」支配…“知事の妹”補選参戦の怪情報 3/23
「女帝」の周辺で怪情報が飛び交っている。
岸田政権の余命を占う衆院3補選(4月16日告示、28日投開票)。東京15区をめぐっては、共産党、日本維新の会、参政党が候補を擁立した。IR汚職で22日の控訴審判決を待つ身の秋元司元衆院議員も名乗りを上げ、江東区民の民度が問われる事態になっている。国政復帰のタイムリミットが近づく小池都知事が参戦すれば勝利は堅いが、どうやら小舞台はお気に召さないようだ。
「衆院議員時代は練馬区などが地盤だったとはいえ、都知事2期目の現職が補選に出れば確実に勝てるでしょう。しかし、それじゃあドラマ性に欠けるし、インパクトが弱い。今回は『娘』とも『妹』とも呼ばれる右腕の荒木千陽元都議(都民ファーストの会特別顧問)を立て、解散・総選挙まで当面任せる案が浮上しています。イザとなれば『代わるわ』の一言でバトンタッチできる関係ですから」(都ファ関係者)
自民党のスキャンダルに小池都知事はダンマリ
都議2期目に途中辞職して2022年の参院選(東京選挙区)に打って出た荒木氏は、小池都知事の全面支援もむなしく惨敗。浪人中だ。都知事選と同日の7月7日に投開票される都議8補選の中野区に出戻り、再起を図るとみられていた。本人も「平日朝は毎日、中野区内の駅に立たせていただいている」とアピールしているが、さてどうなるか。
「荒木氏が17日に中野区内で開いた支援者を集めた会合には、生後10カ月の長男と小池都知事も出席。都知事は『子ども付きの荒木千陽をお育ていただきたい』と支持を訴える一方、自民党を揺るがす『政治とカネ』の『せ』の字も、『裏金』の『う』の字も口にしなかった。あの小池百合子がチクリとも言わないのは、どちらに転んでも補選で自民党推薦を取り付ける算段からでしょう。選挙買収で空席になった江東区長には子飼いの元都職員を押し込み、東京15区も掌握となれば、混迷する江東区への知事の影響力はどんどん深まる」(野党関係者)
衆院補選告示まで残り25日。魔物がそこかしこで蠢いている。
●「20年ぐらい前から裏金」なら政権与党の正当性揺らぐ…賃上げ続く今こそ手取り確保政策を!国民・玉木雄一郎代表 3/23
自民党の派閥の裏金問題で15年ぶりに開かれた政倫審。いまだ実態の解明には至らず、野党側は証人喚問を要求しています。一方で日経平均は史上最高値を更新、春闘では満額回答が相次ぐ「歴史的賃上げ」、そして日銀がついにマイナス金利解除に踏み切るなど社会経済も大きく動いています。これから政府は、そして野党は何をすべきか。国民民主党・玉木代表に話を聞きました。
“選挙に裏金”なら 政権与党の「正当性が根本から揺らぐ」
――裏金事件をめぐり、野党側が衆参合わせて10人の証人喚問を要求しました。
国民民主党・玉木雄一郎代表:
政倫審ではやはり限界があるということで、偽りを述べたら偽証罪に問われる証人喚問でやろうと結束して求めることになっています。ポイントはやっぱり森元総理だと思うんですよ。実は安倍派の皆さん、政倫審に出るかどうかまで森元総理に相談してたっていうわけですから。ヒアリングの中で「20年ぐらい前からやってた」と出ていますが、当時派閥の会長は森さんでした。議員じゃないので政倫審に来てもらうのはできないんですけども、参考人、あるいは証人喚問で。岸田総理自身がまずは森さんにも聞くとおっしゃってたんで、党内の調査を待ちたいと思いますが、何も多分出てこないと思うのでやはり国会としても出てきていただいて。
やっぱりポイントは、何に使われたかですよ。私が一番懸念してるのは、選挙に使われたって場合ですよ。裏のお金で選挙が動いた場合。買収だけじゃなくて、例えば運動員に対して1日に払える日額の上限額って決まってるんですよね。みんな同じようにやってます。それがやっぱりなかなか最近人手が集まらないということで裏で渡して、捕まる人もいますけど。
そういうことが領収書のいらないお金でどんどんやられていたとしたら、ある選挙区の当選自体の正当性に疑問が生じるわけですよね。20年間それやってたってことは…過半数取ったら「与党」ですよ。その与党が内閣総理大臣を選んで総理が内閣を編成するっていうことなんですけど、そもそもこの人も選ばれてなかったかもしれない。与党の正当性、総理の正当性、そして内閣の正当性が根本から揺らぐということなんで。これは実は選挙とか民主主義の根幹を揺るがすような事態なんだという認識は必要だと思うんです。
厳罰化と透明性確保を「政治資金のデジタル化・DX化は不可欠」
国民・玉木代表: 今回、政治家自身が責任を取らない。コロナのときに松本議員が銀座に行って、それで離党したのに。あれはあくまで要請ベースなんで法律違反でもないんですよ。今回は明確な法律違反ですから。それで離党しなくてもいいと…役職をやめてる方もいますけど、何のお咎めもないって感じでしょ。これはやっぱりおかしいので、政治家本人にもしっかりと責任を問うような法改正は絶対必要です。やっぱり入りと出のお金のやり取りがわからないと。本当は納税するお金だったのに「政治資金」だとか、後で修正して「使い道が不明」って書けばすむとかね。あんなものを絶対許しちゃいかんということで、厳罰化と透明性を高めることです。
その意味ではパーティー券はもう現金のやり取りをなくして全部銀行振り込みか電子決済にするとか。あるいは収支報告書はデジタルで出せと。逆に、例えば企業名で逆引きしていくと与党や野党を超えてその企業が寄付している政治家の一覧が出るとか。足したら一体いくらかがわかるようにするためにデジタルで提出する。マイナンバーやインボイスで国は国民のお金を1円から把握しようとしていて、やらないとペナルティがあるみたいな話になってるのに、政治家はちゃんとしていない。政治資金のデジタル化、DX化っていうのはもう、不可欠だと思いますよ。
日本経済は「3つの4」をすべて達成 次は「中小と非正規の賃上げ」
――春闘では満額回答が相次ぎ、賃上げが進んでいます。マイナス金利も解除となりましたが、今後の経済政策については。
国民・玉木代表: 私は2年前に「3つの4」を達成する日本経済を目指そうと訴えて、それに資する経済政策を訴えて政府に働きかけをしてきました。これは「名目GDP成長率4%」「名目賃金上昇率4%」「日経平均株価4万円」です。2年前は何無茶言ってんだと言われたんですけど、全部達成したんですよ。まず名目GDP成長率は5.7%。賃金上昇率は連合の第1次集計で5.28。最後の日経平均4万円は今日(3月21日収録)も超えているということで。なかなか超えないと言われていたバブル後最高値を超え、さらに過去最高を更新している。だから数字だけ見れば30数年ぶりに良くなってるのは事実ですね。
ただ、これからのポイントは中小企業の賃上げです。あるいは非正規の賃上げ。ここに賃上げの勢いが波及していくかどうか。我が党は給料が上がる経済の実現ということを結党以来掲げてきたので、5.28になったのは評価しているし、非常に良い結果だというのは評価をしつつ、これをどうやって多くの人が働く中小企業に広げていくのかっていうことに政策の重点を移していきたい。ということで「中小企業賃上げ応援10策」といって、中小企業の賃上げに特化した10のパッケージ戦略をまもなく発表しようと思ってます。
その1つは、価格転嫁。日本の場合は産業構造が多重化しているので、下まで利益が落ちていかないので。やっぱり原材料価格や人件費のアップ分をちゃんと大手や発注元が価格交渉に応じて、しかるべき適正な価格転嫁を受け入れるということをしていかないと、賃上げの原資がないですよね。これは公取委とか頑張ってですね、業界ごとの指針を作って、ちゃんとやりなさいと。
あとは中小企業支援。私も私設秘書を雇って、自分で厚生年金とかいろんな保険料、事業主負担払ってるからわかるんですけど…正社員を雇ったり、非正規を正社員化したりすると事業主分の社会保険料負担が高くて、なかなか難しいって声もいっぱい聞きますから。
賃上げだけでなく「天引き最小化」政策が必要
国民・玉木代表: ここからね、社会保険料や税金をどうやって賃上げに向けて政府がサポートしていけるか。受け取る側から見ると「天引き最小化」政策が必要ですよね。だって賃金が増えても、結局天引きされる税金と社会保険料が高い。それで今度は事実上社会保険料が上がるわけですよ。現役世代に厳しいんですよ。
税金は累進課税になってるので、みんなが給料上がって所得増えたってなると、税のかかる区分がみんなちょっとずつより高いところに移っちゃう。「賃金上がってるんだけど、かかる税率が上がって手取りが全然増えてないじゃないか」っていう人は、これからすごく出てくるんです。
実はこの賃金とか所得が増える比率以上に税収が増えてしまう現象、「ブラケットクリープ」といって、各国対応してるんですけど日本は対応してないんですよ。アメリカもオーストラリアも、インフレとか賃上げに応じて実質的な可処分所得が減らないような調整をしてる。日本でいう基礎控除を少し上げながら、事実上の増税にならないような手当をやってるんですが…日本はやってないので。多分政府の税収は増えると思いますけど、その分、賃金が増えた割には手元に残らない。
だから今大事なことは、手取りの確保。結局、給料が増える中で天引きを最小化するっていう政策がすごく必要で、それができると政府の言ってるいわゆる「好循環」なんですけど。賃金は増えたけど手取りは増えないんで、次の消費が増えるところには繋がっていかないんですよ。そこで循環が早くも切れてる。
●大谷翔平の借金肩代わり説 「日本では美談」「アメリカではほう助」 3/23
元財務省官僚で経済学者の高橋洋一氏が23日にABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」に出演した。
番組では大谷翔平投手の専属通訳を務めていた水原一平氏が違法なスポーツ賭博に関与したとしてドジャースから解雇されたことについて取り上げた。水原氏は違法ブックメーカーに借金があり、大谷の口座から450万ドル(約6億8000万円)が送金されたと報じられている。
高橋氏は「今の段階では分からない」と断ったうえで「(大谷が)ちょっとでも知ってたらアメリカですと、賭博に関わると永久追放の可能性も出ちゃうんですよ」と最悪のケースを指摘。
一部では大谷が水原氏の借金を肩代わりした美談との見方もある。しかし高橋氏は「アメリカ人の感覚は全然違います。はっきり言うと、ほう助みたいになる。私もアメリカに行った時に、何かあったら全部顧問弁護士に相談してくれと言われました。日本の感覚で自分でやったらいけないんです」と否定した。
今後は大谷も任意の聴取を受ける可能性があるという。「水原さんは『大谷は知らなかった』と言うんだけど裏取りで、かなりの確率で大谷さんも調べられると思いますよ。ちょっと心配なんですよ、日本人の感覚ですと美談と思われるんだけど全然そうじゃない見方がある」と心配していた。
●首相「有事発生の抑止力強化」 防衛大卒業式で訓示 3/23
岸田文雄首相は23日、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式に出席し、自衛隊の最高指揮官として卒業生に訓示した。「武力侵攻といった脅威がわが国に及ぶことのないよう、有事の発生を抑止する」と述べ、防衛力の抜本的強化の必要性を強調。2022年12月に策定した国家安全保障戦略など安保関連3文書の目標実現に努める考えを示した。
中国の軍拡を念頭に「力による一方的な現状変更の圧力が高まっている。わが国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境のただ中にある」と指摘。ロシアのウクライナ侵攻に触れ「既存の国際秩序に挑戦する動きが顕在化している」と言及した。
●岸田総理「諸君の存在が“抑止力”に」と訓示 防衛大学校卒業式 3/23
岸田総理は、防衛大学校の卒業式で平和を維持し、有事の発生を抑止するため、「諸君の存在が抑止力となることを忘れないでほしい」と卒業生らに訓示しました。
岸田総理「諸君の存在そのものが抑止力となることを忘れないで欲しいと思います」
岸田総理は新型コロナの世界的まん延や、ロシアのウクライナ侵攻など、「激動の4年間であった」と振り返り、「国民に期待され、信頼される自衛官に相応しい高い規律をもって任務にあたってほしい」と期待を寄せました。
防衛大学校の今年の卒業生は401人で、このうち任官を辞退した人は35人でした。
●防衛力強化で「有事を抑止」=岸田首相、防大卒業式で訓示 3/23
岸田文雄首相は23日、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式で訓示し、軍事的に台頭する中国などを念頭に「わが国周辺で力による一方的な現状変更の圧力が高まっている」と危機感を示した。「重要な目標は、有事の発生を抑止することにある」と述べ、防衛力の抜本的強化に向けた決意を強調した。
首相は、ロシアのウクライナ侵攻に伴う国際秩序の動揺に触れ、「歴史的なパワーバランスの変化が生じている」とし、「わが国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境のただ中にある」との認識を示した。
防衛力強化は装備品の調達だけで達成できるものではないとし、卒業生に対し「諸君の努力が不可欠であり、諸君の存在そのものが抑止力となることを忘れないでほしい」と呼び掛けた。度重なる幹部自衛官のパワハラなどを踏まえ、「国民に期待され、信頼される自衛官にふさわしい高い規律」も求めた。
留学生を除く本科の卒業生は383人で、このうち女性は44人。自衛官への任官を辞退した学生は35人で前年より11人少なかった。身体的理由で任官しなかった人も1人いた。 

 

●石川 七尾 災害ボランティアの宿泊拠点 テント村が完成 3/24
能登半島地震で被災した石川県七尾市に、災害ボランティアの宿泊拠点となるテント村が完成しました。
このテント村は、6年前の西日本豪雨の際に受けた支援の恩返しをしたいという岡山県総社市が中心になり、NPO法人などと連携して七尾市内の野球場に設営しました。
24日の入村式で総社市の片岡聡一市長は「七尾市に来たときにボランティアを見かけないと思い提案した。復旧・復興が進むことに期待している」とあいさつしました。
また、NPO法人の理事長で登山家の野口健さんは「テント村があれば作業時間を長くできる。これまではボランティア活動を控える雰囲気もあったが、来ても大丈夫だと伝えたい」と述べました。
敷地内には防寒にも配慮した100のテントが設けられ、ボランティアに最長で2週間滞在してもらうことになっています。
24日は早速全国からボランティアが訪れ、受け付けを済ませたあと、宿泊するテントを確認していました。
このうち茨城県の男性は「東日本大震災のときにお世話になった恩返しに来ました。宿泊場所があると参加しやすいです」と話していました。
●石川 輪島 雪割り草が見頃に 避難生活送る住民たちでにぎわい 3/24
石川県輪島市で、見頃を迎えた雪割り草にちなんだイベントが開かれ、避難生活を送る住民などでにぎわいました。
輪島市門前町では、雪割り草の群生地があることにちなみ、花が見頃を迎えるこの時期に毎年、観光協会などがイベントを開いています。
能登半島地震のためことしは例年どおりの開催が難しく、規模を縮小して小学校を会場とする形となりました。
会場では、まず黙とうが行われ、地震で亡くなった人たちを悼みました。
主催者によりますと、今回は、金沢市などに2次避難している住民のためにバスが用意されたということで、訪れた人たちは市内の愛好家が育てたという白や紫といった小さな花をつけた雪割り草を見て回り、気に入ったものを買い求めていました。
また、会場の一角には、子どもたちがゲームを楽しめるコーナーのほか、特産のそばを提供する店なども並んでにぎわっていました。
会場を訪れていた40代の男性は「門前町でこのようなイベントが開かれたのは地震の後は初めてで、子どもたちが元気いっぱいに楽しんでいてよかったです」と話していました。
●野党「処分前の喚問」主張 還流再開を問題視、与党慎重―裏金事件 3/24
与野党の幹事長らは24日、NHKの討論番組に出演し、自民党派閥のパーティー収入裏金事件について議論した。野党側は、安倍派会長だった安倍晋三元首相が所属議員へのキックバック(還流)廃止を決めながら、その後復活した経緯が焦点だと強調。関係議員を自民党が処分する前に同派幹部の証人喚問を実現すべきだと主張した。与党は慎重な姿勢を示した。
安倍派では2022年4月に安倍氏の指示で還流廃止を決定したが、同氏の死去後に会長代理だった塩谷立・元総務会長らの協議を経て継続となった。自民執行部は4月第1週にも処分を下す考えだ。
立憲民主党の岡田克也幹事長は、安倍派幹部が衆参両院の政治倫理審査会で行った弁明について「大事な点は説明されていない」と指摘。「(還流を)復活させた人は議員辞職勧告に値する」との認識を示し、「事実を解明して適切な処分を行うべきだ」と語った。
日本維新の会の藤田文武幹事長は「誰が継続させたか知らないというのは考えにくい。喚問に出てきて真実を述べてもらいたい」と要求。共産党の小池晃書記局長は「一部の政治家の処分だけでは解決しない。真相解明には喚問が必要だ」と述べた。
自民党の稲田朋美幹事長代理は「復活の経緯は重要だ」とした上で、「岸田文雄総裁(首相)、茂木敏充幹事長を中心に実態調査を続けていく」と説明。ただ、喚問については「それが全てではなく、あらゆる場で説明責任は果たすべきだ」と述べるにとどめた。
公明党の石井啓一幹事長は「国民が納得する、けじめのある処分を期待したい」と強調したが、喚問は「自民党の判断を待ちたい」と語った。
●「岸田事務所の秘書がとりまとめは間違いない」岸田総理の“パーティー”疑惑 後援会長が新証言 3/24
解明が進まない自民党の裏金問題。議員の処分が検討され始めましたが、岸田総理自身のパーティーにも疑惑が浮上しています。パーティーの主催者とされる「祝う会」の代表で、後援会長でもある渦中の人物が番組の単独取材に応じました。
岸田総理のパーティーを巡る疑惑 主催の任意団体代表は岸田総理の後援会長と同一人物
3月17日、裏金問題で政治不信が高まる中で開かれた、自民党大会。
岸田総理「私自身が先頭に立って、自民党改革、改めてお約束いたします」
その岸田総理にも自身のパーティーを巡る疑惑が浮上している。
2022年6月、広島市のホテルで開かれた、「衆議院議員 岸田文雄先生 内閣総理大臣就任を祝う会」。
会費は1万円で広島県の知事や経済団体トップらが発起人となり、約1100人が出席したという。
主催は「祝う会」という名の任意団体としている。
国会でこれが政治資金パーティーにあたるのではないかと追及された。
実は、祝う会の代表と岸田総理の後援会長は同一人物だ。
岸田総理「事務の実態はこれは当然任意団体として行ったものであり、うちの事務所がこの会を主催したということは、実態と全くあっていないと認識をしています」
派閥による裏金問題を指摘した神戸学院大学の上脇教授は、2024年2月、このパーティーが政治資金規正法違反にあたるとして、岸田総理や後援会長らを刑事告発した。
神戸学院大学 上脇博之 教授「収益を見込んだ政治資金パーティーを開催する場合は、(政治資金パーティーだと)告知をして、会費を徴収しないといけない。ところが政治資金パーティーだと銘打っていないし、岸田さん本人も政治資金パーティーではないと否定している」
だが、上脇教授が入手した「祝う会」の案内状にはこんな記載があるという。
神戸学院大学 上脇博之 教授「一番最後のところに連絡先があります。岸田文雄事務所が連絡先になっていて、電話番号も後援会の電話番号になっている。寄付を受けたと書いてるけど、本当は主催者は、後援会だとなると、嘘の記載になっちゃうんですね。虚偽記入罪が成立する。任意団体が主催者ではなくて、岸田文雄後援会が、本当の主催者だったんではないかと」
渦中にいる後援会長と祝う会の代表を共に務める人物が報道特集の取材に応じた。
後援会長「変な話全部、岸田事務所でやったといえばやったよね」
Q.祝う会の実態は?
祝う会の代表 岸田総理の後援会長「実態はないよ。言ってみれば」
Q.事務所が基本的に運営をやっていた?
祝う会の代表 岸田総理の後援会長「そうそう、そういうことになるわね。変な話全部、岸田事務所でやったといえばやったよね。(祝う会は岸田事務所の)秘書がとりまとめというか、仕切りをしてくれたというのは間違いない。開催をする段取り、式次第等については相談を受けたよ。それについてはこれでええよと(秘書に)指示はしたよ」
会の取り仕切りは、岸田事務所が行っていたことを認めた。「祝う会」は、案内状を送り、出欠の返事を集めたという。
さらに問題視されているのがこの会の金の流れだ。
政治家は政治資金パーティーを開催した場合、政治団体などの収入として政治資金収支報告書に記載しなければならない。
だが、祝う会は任意の団体としており、収入が1000万円未満なら基本的に報告する義務はない。
Q.パーティーで得た利益はどのようにしようと思っていた?
祝う会の代表 岸田総理の後援会長「それはご祝儀だね」
Q.ご祝儀として岸田総理に渡す?
祝う会の代表 岸田総理の後援会長「うん」
Q.岸田総理の事務所にお金が全部行っていたわけですよね?口座から
祝う会の代表 岸田総理の後援会長「そうですよね、それは祝い金としてね、祝儀として。(収入は)1万円会費だったけど、900万円弱だった」
Q.自分で収支の計算をしていたんですか?
祝う会の代表 岸田総理の後援会長「違う。収支報告書を見せてもらった」
Q.どこから?
祝う会の代表 岸田総理の後援会長「岸田事務所から」
後援会長は、「祝う会」の収入は900万円弱で、岸田事務所の秘書に全額預けたという。
だが、岸田総理の収支報告書には321万円の寄付を受けたと記されている。
Q.321万円は、政治資金パーティーで集まったお金なんじゃないのか?
祝う会の代表 岸田総理の後援会長「政治資金のパーティーかどうかは、わしには判断がつかん」
Q.祝う会のパーティーは、岸田総理の収支報告書に記載して報告すべきだと思わないか?
祝う会の代表 岸田総理の後援会長「それはなんの基準でそうなるかがわからない」
祝う会のパーティーを主催したのは、実質岸田事務所ではないのか、番組が岸田事務所に取材すると…
岸田事務所は、「『祝う会』の出欠や会費の振込先は、弊事務所ではなく、『祝う会』事務局となっているところであり、開催主体は弊事務所や関係政治団体ではありません」などと回答した。
ダンサー懇親会 川畑県議はダンサーの独断と一度は関与を否定するも取材すると
国民が政治不信を抱く問題は、地方政界でも起きている。
2023年11月、自民党和歌山県連が主催した青年局の懇親会に、露出の多い衣装の女性ダンサーを呼んだことが発覚。
ダンサーを呼んだのは、川畑哲哉・県議会議員。世耕参院議員の元秘書で、自民党和歌山県連の青年局長だった。
ダンサーを呼んだ意図をこう語っていた。
川畑哲哉 県議(3月8日)「多様性・ダイバーシティーというところ、しっかりとテーマをもって、問題提起としてインパクトがあるかとか、いろんな面から検討して件のダンサーをお招きした」
川畑県議は、多様性の問題提起としてダンサーを呼んだと弁明。
さらに、水着のような衣装や、フロアに降りて参加者と絡む演出は、事前に依頼しておらず、ダンサーの独断で行われたものと関与を否定してきた。
川畑県議の主張は本当なのか。私たちは懇親会に参加した複数のダンサーを取材することができた。懇親会について聞くと…
懇親会に出演したダンサーA「イベントに派遣されて踊る時、衣装や演出については依頼者とよく相談するし、今回のような堅いイベントで、ダンサーが勝手にステージを降りたり、絡んだりすることはまずないです」
懇親会に出演したダンサーB「依頼通りにやっただけなのに、私達から絡みに行ったように言われている。誹謗中傷も受けて、ダンサーはみんな傷ついています」
村瀬キャスターが川畑県議本人に聞いた。
村瀬健介キャスター「和歌山県議会の中です。川畑議員の話を聞きます。その問題提起とおっしゃいますけれども、ダンサーを呼ぶことで、どういった問題を提起しようとされてたんですか?」
川畑県議「(・・・)。ごめんなさい。もう一度お願いします」
村瀬キャスター「どういった社会課題であったり、政治課題、何を解決するべき問題として提起したかったんですか?」
川畑県議「彼女たちのプロフェッショナリズムと申しますか、やはり真剣にダンスをされています。ただ、私達の日頃の暮らしの中で、なかなか馴染みのないチームなのかなというふうに思いました。それを現場で見ていただくことで、皆様からのどのようなご反応というか、ご解釈をいただけるのかなという思いがありました」
問題となっている衣装や演出については…
川畑県議「詳細にオーダーをしたことはございません」
村瀬キャスター「ダンサー側の判断で行ったと?」
川畑県議「事前の私の準備不足もあり、大変ご迷惑をおかけしたと思っています」
村瀬キャスター「いや、それはダンサーの判断で行ったと川畑議員はいま説明されるわけですね」
川畑県議「はい」
村瀬キャスター「私たちがダンサーに取材しますと、性的な演出をする際にはダンサーの判断でやることがないと、 主催者側の指示がない限り、ステージを降りて、お客さんに絡むようなことはしないというふうに言ってますけれども」
川畑県議「そうなんですね。フロアに降りるということは、もしかしたら私の方から申し上げたかもしれません」
村瀬キャスター「つまり、そういうことを指示されたということですね」
川畑県議「はい。可能性があります。記憶をたどりますと、私の方からオーダーした可能性が高いです」
「見た瞬間、うわってなった」 8年前もダンサー懇親会 露出の少ない衣装にすると約束するも
自民党の懇親会で、ダンサーに露出の多い演出を依頼したことを認めた川畑県議。
取材を進めると、8年前にも同じ問題を起こしていたことが明らかになった。
2016年、和歌山県の青年会議所で、当時理事長を務めていた川畑県議は、その懇親会に今回と同じダンサーグループを呼んだという。
和歌山で運送会社を経営する大原有加さん。青年会議所で川畑県議と活動していた。
川畑県議がダンサーの出演を提案した時のことを、こう語る。
大原有加さん「ちょっと露出が高いと、私達の方で気になったので、それを理事会で意見させていただいて、そしたら川畑くんの方から当日は露出を控えめにするという条件のもとで、ダンサーの方たちもOKを出させていただきましたが」
大原さんらが反対すると、川畑県議は露出の少ない衣装にすると約束した。
しかし…
大原有加さん「当日ふたが開いたら、結構な露出をしていたので、私自身も見た瞬間、うわってなった。女性の立場としては理解ができないし、女性メンバー2人と賛同されてない男性メンバーもふくめて部屋の中から退出した形になります」
女性参加者3名と一部の男性参加者が部屋を退出。後日、川畑県議に抗議すると謝罪があったという。
大原有加さん「私たち女性の立場として意見を言ったら、川畑くんの方から謝罪の方があったので、悪いと思ってくれてるんだったら、もう今回はそれでいいとしようって思いました」
同じ問題が繰り返されたことについて大原さんは…
大原有加さん「青年会議所(JC)や政治(の場)で、もう少し女性の人数が増やされて、女性目線での発言も増えていければ、こういう問題もなくなってくるのかなというふうに思います」
過去にも抗議を受けた演出を今回も繰り返したことについて改めて問うと…
村瀬キャスター「ああいう演出が行われることは承知の上で、川畑さんはお願いしたんじゃないんですか?」
川畑県議「そうです」
村瀬キャスター「そうですよね」
川畑県議「そういうパフォーマンスをして頂くべくお招きしました」
村瀬キャスター「多様性について学ぶんだったら、いろんな多様な視点から、その会議のあり方が本当に人を傷つけてないかと考えるもんじゃないんですか。それでも問題提起としてしようと思ったんだという説明は、撤回されない? 」
川畑県議「今からということでしょうか?申し訳なかったなと思います」
この懇親会には、自民党の国会議員も出席していた。
いま、自民党は裏金問題については、関わった約80人の処分を検討しているが、岸田総理は自身も含め、厳しい処分を下すことができるのか。
神戸学院大学 上脇博之 教授「裏金問題の処分をするって言ったときに、自分が裏金問題を抱えてるわけですよ。ほとんど自民党に自浄能力がない。そういうことになるんじゃないかなというふうに予想しています」
●竹田恒泰氏 裏金問題で自民党を擁護=u大騒ぎするほどのことか?」 3/24
作家の竹田恒泰氏が5日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」に出演。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件について私見を述べた。
竹田氏は「意外としょぼいんですよ、この件は」とキッパリ。「『記載してなかったよね』ということなんですよね。これは簡易裁判所ですし、MAX200万の罰金ですからね。だから破っていいなんてことはないですよ。ただ、こんなに大騒ぎするほどのことか?と。だから『記載してませんでした』と。『けしからん』と。『さかのぼって%年間修正しろ』と。『今後は全部記載しろ』で終わる話なんですよ」と主張した。
しかし、問題は岸田文雄首相の対応にあったとし「キックバックのことについて言い始めて、『ワ〜!』ってキックバックが悪いことかのようになって、政治資金パーティー辞めますってなって、『ワ〜! やっぱり政治資金パーティーか!!』と。政治資金パーティーは法律で認められた正当なる行事なわけですよ。さらに派閥を解消しますって言ったわけです。『やっぱ。派閥が〜!』ってなって。要するに自分ちに自分でガソリン巻いて自分で火つけて、ドンドン問題大きくしてるだけなんですよ! これはね、キックバックも関係ないと。政治資金パーティーも関係ないと言わなきゃいけなかった」と持論を語った。
立憲民主など野党は倍派座長を務めた塩谷立氏ら10人の証人喚問を要求してるが、竹田氏は「証人喚問うんぬんって言っても私からしたら何を言ってんだと思いますよ。だってね、この不記載というのは、何十年も何百人もやってきたんですよ。例えばパチンコをやってても賭博罪にならないとか、例えば60キロ制限のとこで65キロぐらいではまあ検挙されない。これもある意味法的慣習なんですよ」と切って捨てた。
須田慎一郎氏から「じゃあ違法行為を許せっていうわけ、あんたは?」とツッコまれたが、竹田氏は「そんなこと言ってない!」と突っぱね「もう一個、確実なお落としどころとしては納税させればいいんですよ。政治的に使っていたということを証明できなければさかのぼって5年、全部納税させる。これが落としどころなんです。岸田さんはそんな発想ないわけです」と訴えた。
●台湾有事の衝撃に備えよ 3/24
日米両政府は、今年4月に国賓待遇で米国を訪問する岸田文雄総理とバイデン大統領による日米首脳会談で、米英とオーストラリアによる安全保障協力の枠組み「AUKUS」を通じた技術協力を確認する方向で調整に入った。来日中のキャンベル米国務副長官が21日、東京都内で産経新聞などの取材に応じ、明らかにした。
同記事によると、キャンベル副長官は、インド太平洋地域で一方的な現状変更を試みる中国を念頭に、日本とAUKUSの協力について「考慮するのは当然のことだ」と強調し、「日本が相当大きな力を発揮できる(技術開発の)分野があることは明らかだ」と述べたという。想定される協力分野として、人工知能(AI)技術を活用した対潜水艦戦やサイバー能力の高度化などを挙げたらしい。
日本では、ロシアと軍事的なつながりの深いインドを含む「クアッド」(日米豪印戦略対話)の枠組みが重視されているが、AUKUSは米英豪という、自由を中核とする普遍的な価値観を共有する海洋国家連合であり、島国日本としては、こちらのほうがふさわしい。
その意味でも、歓迎すべき動きだが、キャンベル副長官は産経の取材に対して、「日本が原子力に関することに敏感なのは認識している」とも述べ、AUKUSが第一の柱とする豪州への原子力潜水艦配備に向けた支援に日本が参加する可能性は否定したという。
ならば、画竜点睛を欠く。きっと、「核兵器のない世界」を夢想する岸田文雄総理に配慮したせいであろう。じつに残念でならない。
他方、米インド太平洋軍のジョン・アキリーノ司令官が今月20日、米下院(軍事委員会)の公聴会に出席し、中国軍(人民解放軍)が、2027年までに台湾に侵攻しようとする習近平国家主席の目標を達成しつつあることを「あらゆる兆候が示している」と証言した。
振り返れば、2021年3月にも、当時のデービッドソン米インド太平洋軍司令官が「中国の習近平指導部が3期目の任期満了を迎える2027年までに、中国が台湾に侵攻する可能性がある」との見方を示していた。予算審議に関連した退任間近の発言ではあったが、証言が与えたインパクトは大きい。
同年11月には、米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会(USCC)」が公表した年次報告のなかで、「中国軍は台湾に軍事侵攻するために必要な初期的能力をすでに獲得している」と強い危機感を示した。
同年5月発行の英『エコノミスト』誌も、「地球上で最も危険な場所」と題し、「米中は、将来にわたって台湾有事を避けるため、もっと真剣に努力しなければならない」と訴え、世界の注目を集めた。
2023年の1月27日には、米空軍のミニハン大将が内部のメモで「2025年に中国との間で戦争になる気がする。それが間違っていることを望むが」と警戒感を示したことが波紋を呼んだ。
翌2月2日には、米CIA(中央情報局)のバーンズ長官が講演のなかで、「2027年までに台湾侵攻を成功させる準備を整えるよう、習近平主席が人民解放軍に指示した」との情報を明かした。
だとすれば、残された時間は少ない。安倍晋三元総理は「中国との外交は、将棋と同じ」と述べていたが(『安倍晋三回顧録』中央公論新社)、そうした「神経戦」を繰り広げる余裕はなさそうだ。
安倍政権で「外交スピーチライター」(内閣官房参与)を務めていた谷口智彦教授(慶応大学大学院)は、「『安倍晋三 回顧録』公式副読本」と銘打たれた『安倍元首相が語らなかった本当のこと』(中央公論新社ノンフィクション編集部編)で、「もし安倍政権がもう1期あるとしたら、『皇統』か『台湾』が喫緊の課題になった時だと私は思っていました」と語っている。
「台湾」について「もし安倍さんが存命なら、岸田政権が出した安保強化の方向に満足しながらも、実行実践を急げ、急げと、ハッパをかけ続けたに違いない。代わってその役目を担える人がまだ乏しいですね」とも語っている。やはり、残された時間は少なそうだ(詳しくは拙著最新刊『台湾有事の衝撃』)。
果たして日本国は、台湾有事の衝撃に耐えられるのであろうか。その答えは、3月25日発売号の「夕刊フジ」で始まる拙連載「続・台湾有事の衝撃」で明らかにしていきたい。
●自民・茂木氏、復旧復興急ぐ 3/24
自民党の茂木敏充幹事長は23日、石川県輪島市の朝市通りを訪れた。茂木氏は復旧・復興に向けて「スピード感を持って国として負担できることは何でもやっていこうという思いを強くした」と記者団に述べた。
●「もしトラ」、日本の懸念は何か―仏メディア 3/24
2024年3月20日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、米大統領選でトランプ氏が勝利することに対して日本がさまざまな憂慮を抱えていると報じた。
記事は、米国の世論調査では今月13日現在、トランプ氏の支持率が47.2%でバイデン氏の45.1%をわずかに上回っていると紹介。トランプ氏が大統領選を優位を進める中、日本では「もしトランプ氏が大統領になったら」を意味する「もしトラ」が一種の流行語になっているとし、日本が憂慮を抱く要因について解説している。
まず、日本を取り巻く安全保障環境が激変することへの憂慮を挙げた。「大統領になればロシアとウクライナの戦争を1日で終わらせる」「ウクライナにはもう1セントも渡さない」という発言からトランプ氏はウクライナにロシアへの屈服、領土割譲を望んでいるとし、もしトランプ氏の思惑通りにロシアが勝利すれば、その盟友である中国や北朝鮮も刺激を受け、日本の安全保障環境はかなり悪化することが見込まれる上、トランプ氏が日米安全保障条約の約束を守るかどうかも不透明なため、日本にとっては非常に頭の痛い状況になりかねないと論じた。
次にトランプ氏の政策の不確実性と価値観上の混乱に言及。前政権時代にトランプ氏が中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席やロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記と接触を図り、価値観外交を標榜する日本政府は振り回されてきたとした上で、今月8日にもトランプ氏が権威主義的傾向があり、中国やロシアと密接な関係にあるハンガリーのオルバン首相と会談し、賞賛の言葉を浴びせており、次期政権でも同様の状況になりうるとの見方を示している。
さらに、日本に米軍駐留費などの負担増を強要し、米国の兵器を大量に購入するよう要求してくることへの懸念を指摘。トランプ氏は大統領任期中、日本が在日米軍駐留経費の負担を大幅に増やさなければ日本からの米軍撤退もありうると語り、4倍の負担増を要求した経緯があると紹介した。
そして最後に、トランプ氏が日本の巨額な対米貿易黒字について改めて不快感を示す可能性があるとし、トランプ政権時に発動し、バイデン政権になって撤廃された日本からの輸入鉄鋼やアルミニウムに対する大規模な関税が、トランプ氏の大統領返り咲きに伴って復活する可能性があることを日本は憂慮していると伝えた。
●“死に体”岸田首相の悪あがき…4月国賓訪米で「日本売り」が加速する 3/24
自民党の裏金事件で国民に見放された岸田首相が政権浮揚をかけるのが4月の訪米だ。米国隷従だった安倍元首相が受けた「国賓級」を超える「国賓」での招待に、高ぶっているのは想像に難くない。前回は訪米直前に安保関連3文書を改定し、防衛費倍増を手土産に向かった。死に体となった今、政権にお墨付きを与えてくれる米国にどこまで差し出すか分かったもんじゃない。
岸田首相の訪米日程は4月9〜14日。10日はバイデン大統領との日米首脳会談がセットされている。11日にはフィリピンのマルコス大統領が加わり、初の日米比首脳会談が行われる予定だ。
東・南シナ海で覇権主義的な行動を強める中国を念頭に、海洋安全保障を含めた防衛分野での連携強化を協議するという。中国や北朝鮮をにらんだ日米韓の結束に続く動きだ。米国を盟主とするインド太平洋地域の軍事同盟にズルズルと引きずり込まれようとしているのである。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう指摘する。
「日米比首脳会談の事前調整で来日したキャンベル国務副長官が、いわゆる白人の軍事同盟であるAUKUS(オーカス=米英豪3カ国の安全保障枠組み)への協力をあけっぴろげに求めてきたのにはア然です。共通の価値観を土台とするQUAD(クアッド=日米豪印4カ国による協力枠組み)とは質が全く異なりますし、伝統的に非同盟・全方位外交を貫き『NO』と言えるインドがいる限り、米国の思い通りにはならないからです。AUKUSの枠組みにおいては、日米同盟は劣後となるリスクもあります」
倒錯で9条改憲
そうでなくても、岸田首相は手土産の準備に余念がない。米国のお眼鏡にかなうよう武器輸出ルールの緩和を進め、武器購入の予算面の歯止めも取っ払おうとしている。連立を組む公明党が難色を示していた防衛装備移転三原則の骨抜きは、26日に閣議決定する見通し。武器購入に関する長期契約恒久化法案は19日に衆院を通過。米国製などの高額兵器を最長10年ローンで購入することを永続的に認める内容だ。防衛費増加の目くらましである。
「このまま突っ走れば、憲法9条を改憲しなければつじつまが合わない倒錯に陥ってしまう。岸田政権はふらふらではありますが、かといって野党が支持を高めているわけでもない。政権交代前夜の2008年ごろの野党支持率は合わせて2割を超えましたが、足元では1割前後でしかない。岸田政権にとって脅威となっていないのも大問題です」(五野井郁夫氏)
岸田首相は11日に米連邦議会上下両院合同会議で演説する予定で、日本の首相として初めてスピーチした安倍元首相に次いで2人目となる。安倍元首相は「希望の同盟へ」と題した演説で「自衛隊と米軍の協力関係を強化する」と2回も口にし、国会提出前の安保法制について「この夏までに成就する」と“国際公約”。米国にすり寄った。岸田首相が前のめりで臨むのは間違いない。
帰国直後の16日に衆院3補選が告示される(28日投開票)。売国を成果とすり替える大ボラにだまされてはいけない。
●やってます感岸田首相の「裏金国民対話」開始 車座集会始めた谷垣禎一氏の目的とはズレた内容に 3/24
派閥の政治資金パーティー裏金事件や、和歌山県連のセクシー懇親会問題などを抱え、年に1度の結束確認の場にもかかわらず、まったく盛り上がらずに終わった3月17日の自民党大会。こちらも年に1度の党大会の総裁演説を、裏金問題の謝罪から始めなくてはならなかった岸田文雄首相が、「ドヤ顔」風の表情で語ってみせたのが、「政治刷新車座対話」の開催。自身や自民党幹部らが全国を回って、党員や党友、国民の声を聴くための全国行脚で、まず22日に茂木敏充幹事長が能登半島地震に見舞われた石川県を訪れ、地元県議らと意見交換を行った。
ただ、「まず最初に身内から話を聴いてどうする」(野党関係者)の指摘があるとおり、裏金問題などで党に向けられる厳しい視線は、なにも自民党員からのものだけではない。一般の国民から話を聴いてこそ、対話の効果も出てくるのではないかと思うのだが。何事も最初が肝心という中で、肝心な第1弾の対話の相手を「手近な存在」ですませてしまった感は否めない。「なぜ第1弾が総裁でなく幹事長なのか」と、人選へのナゾも耳にした。岸田首相によく指摘される「とりあえずやってます感」が、今回もにじんでしまったような気がしてならない。
岸田首相がこだわる「車座対話」は、自民党にとっては、苦しい経験から生まれたシステムだ。2009年衆院選で当時の民主党に敗れて野党に転落した際、当時の谷垣禎一総裁が始めた「ふるさと対話集会」。民主党に政権を奪われ、反転攻勢と党の再生を目指すためには、まず地域に根ざした草の根の活動を重んじようと、全国のすみずみを回って車座で国民の話を聞くスタイル。谷垣氏の肝いりだった。
2012年に政権を奪還した後も「野党時代のくやしさを忘れないため」と第2次安倍政権に引き継がれ、菅政権時代の2020年10月には、通算1000回の節目を迎えた。岸田政権でも続けられ、賃上げや中小企業対策、子育てなどをテーマにした車座対話は2021年10月の首相就任後、数十回に及んでいる。
党がマイナスからスタートする中で生まれた車座対話ではあるが、積み重ねられ、引き継がれてきたものだけに、思い入れを持っている自民党関係者も少なくない。そのため「裏金問題の言い訳のような場ではなく、もっと実のあるテーマでやるものなのに…」との嘆きを耳にした。もはやだれも信じなくなった岸田首相の「聞く力」を、首相自身はイメージしたのかもしれないが、裏金問題の納得できる説明がまったくなされていない中、いまさら国民に何を聞いて、そもそもそれを本当に生かすのかという疑問も当然わく。
裏金事件の説明に、車座対話を持ち出した対応は、谷垣氏が始めた当時の目的からはかけ離れてしまっているように感じる。
政権を失い、野党自民党の総裁となった谷垣氏の総裁選でのキャッチフレーズは「みんなでやろうぜ」。野党に転落し所属議員も3分の1近くに激減した中、一意結束で政権復帰を目指そうという呼びかけだった。国民にそっぽを向かれたことを教訓に新しい支持層をつかもうと、社会科見学のような取り組み「みんなで行こうZE(ぜ)」も始め、当時1年生議員だった小泉進次郎元環境相が地元の海上自衛隊横須賀基地を案内したり、今は東京都知事の小池百合子氏が東京・池袋での「芸術文化都市ツアー」でアニメ文化を紹介したり、参加者とラーメンをすすったこともある。
野党だからこそできたことでもあったが、当時の取材を通じて、内容は別にしてもそこには少なからず国民とまじわることで何かを、血肉にしようとする明確な「目的」があったように思う。
一方で今回の裏金問題での車座対話。そこにはどんな目的があり、そしてどんな結果を導くためなの場なのだろうか。
●立民「安倍派幹部は議員辞職を」 野党、証人喚問も要求 3/24
立憲民主党の岡田克也幹事長は24日のNHK番組で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、安倍派の資金還流を協議した塩谷立元文部科学相ら同派幹部4人は議員辞職に値すると述べた。自民が4人に「選挙での非公認」以上の処分を科す方向で調整に入ったことに関し「非公認ではとても済まない。事実を解明し、適切な処分を行うべきだ」と語った。野党は同派幹部らの証人喚問を重ねて要求した。
自民の稲田朋美幹事長代理は「説明責任を尽くしてきたかどうかも、処分をどうするかの考慮に入るのではないか」と述べるにとどめた。実態調査は続けると強調した。
日本維新の会の藤田文武幹事長は「自民がどのようなガバナンスを発揮するのか、国民は厳しく見ている」と指摘。共産党の小池晃書記局長は「なぜ安倍派の4人だけなのか、全然基準がはっきりしない」と批判した。
党規律規約に基づく処分は8段階で「選挙での非公認」は「除名」「離党勧告」「党員資格停止」に続き4番目に重い。議員辞職勧告は含まれていない。
●与党、戦闘機輸出の必要性を強調 「国民理解広がる」、野党は賛否 3/24
与党は24日のNHK番組で英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国輸出を巡り、厳格な歯止めがかかっているとして「国民の理解も少しずつ広がっている」(石井公明党幹事長)と必要性を強調した。野党は賛否が分かれた。
石井氏は輸出先について「防衛装備品・技術移転協定」の締結国の15カ国に限定した上で、現に戦闘が行われている国には輸出しないと指摘し「厳しい限定、歯止めがかかる」と強調した。
自民党の稲田幹事長代理は「日本を取り巻く安全保障環境の厳しさを、国民にしっかり説明していく」と述べた。
一方、立憲民主党の岡田幹事長は「憲法の平和主義の理念を変えるのであれば、正面から国民に問うべきだ」と注文。共産党の小池書記局長は「歯止めになっていない。国際紛争を助長しないという憲法の根本理念に背くものだ」と非難した。れいわ新選組の高井幹事長も反対した。
日本維新の会の藤田幹事長は「一定の評価をしている」とした上で、原則輸出解禁にすべきだと主張した。国民民主党の榛葉幹事長は輸出に賛意を示した。
●道の男性職員、育休取得5割近くに向上 22年度 3/24
道の男性職員の育児休暇取得率が向上している。2022年度は5割近くに上り、従来の目標だった30%を超えた。ただ、職場に気兼ねして取らない人も多く、全国平均は下回る。昨年暮れには「次元の異なる少子化対策」を掲げる岸田文雄政権に合わせて目標を85%に引き上げており、さらなる取り組みが求められる。
昨年1月に双子が誕生した道経済部総務課の山口穣二主任(36)は半年間の育休を取得した。年度末の繁忙期と重なったが、妻の妊娠を報告した際、上司は「じゃあ育休だね」と応じ、すぐに話が進んだ。山口さんには3歳の長男がおり、子どもが生まれるのは2度目の経験。「長男の時は育休はあまり考えなかったし、そんな雰囲気もなかった」と振り返る。社会全体で育休への理解が広がる中、職場の空気の変化を感じるという。
道によると、知事部局など目標値の対象とする部署で22年度に子どもが生まれた男性職員は122人で、育休を取ったのは58人。取得率は47.5%と、前年度比23.7ポイント増えた。05年に目標を設定して以来、最大の伸び率という。
当初は国の子ども・子育て応援プランに合わせて10%を目指した。その後「24年度までに30%」に修正したが、国が「25年度までに85%」と引き上げたことを受け、同じ数値にそろえた。達成時期は24年度のまま据え置き、道人事課は「高めの目標だが、前向きに取り組みたい」と話す。
●河野氏、在外ネット投票に意欲=「28年参院選から」 3/24
河野太郎デジタル相は24日、海外に住む日本人がインターネットを通じて国政選挙の投票を行えるようにする公職選挙法改正に意欲を示した。東京都内で開かれたデジタルと選挙に関するイベントで語った。具体的には「2028年夏の参院選を目指すことが現実的だ」と述べ、今秋に見込まれる臨時国会での改正を目標とした。 
●結婚も離婚もカネ次第、北朝鮮社会を動かす金持ち女性…“娘による後継”説を支える変化の予兆 3/24
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の娘で「キム・ジュエ」と呼ばれる人物の存在感が一層増している。最近の北朝鮮公式報道における娘の扱いを見る限り、「後継者ではないと見るのも難しい」曖昧な状況が続いている。北朝鮮はこれまで、儒教的な家父長制の考え方が体制宣伝と結びついた男性中心の社会と考えられてきた。
そんな北朝鮮社会で「女性の最高指導者」は果たして受け入れられるのだろうか――こんな疑問を抱く人が少なくないのもこのためだ。しかし、金正恩時代に入って、男性中心の社会を覆すような変化が急速に広がっているという。主役は家族を「守る」ために商売をはじめた「女性」たちだ。家庭だけではなく外の世界でも影響力を増した女性たちが、北朝鮮社会を大きく揺さぶっている。
「イケメンとの結婚もカネ次第」「離婚急増」
韓国統一省傘下の研究機関・統一研究院は3月、北朝鮮社会における女性の役割や社会的地位の変化について分析した研究「北朝鮮住民の家庭生活:国家の企画と国家から独立」を公表した。ここには女性が経済活動の主体として存在感を増す中で、北朝鮮社会にどのような変化が生じたのか、脱北女性の生々しい証言が収録されている。
金総書記の祖父・故金日成(キム・イルソン)主席の時代は、配給によって全てが賄われ、生計の心配はなかった。しかし、社会主義陣営の崩壊や自然災害などにより父・金正日(キム・ジョンイル)総書記の時代には、配給制度が崩壊し人々は自力で生活を差さえなければならなくなった。職場に拘束される男性に代わり、チャンマダンと呼ばれる自由市場で商売し食糧を調達したのは女性たちだった。
さらに金正恩時代になって、男性は対外的な役割を果たし、女性は生計を維持する――という役割分担が一般化した。男性は「組織」に所属して社会生活を担い、市場で稼ぐ女性たちは個人生活を優先する形で棲み分けが進んだことになる。
女性が経済的な主導権を握ったことで、結婚事情も激変したという。
「結婚の80〜90%はカネ。ブスでもお金があればハンサムな男性と結婚できる」
「条件のいい男性と結婚するには、家を買っておくべきだ。追い出すよと脅したら、良く働いてくれる」
こうした脱北女性の証言からは、経済事情が結婚に及ぼす影響が浮かびあがる。
市場で成功した女性は、学歴が不十分で容姿が良くなくても、結婚相手に困ることはない。経済力があれば幾らでも条件のいい男性と結婚できるからだ。しかし、結局はうまくいかずに離婚するケースが多い。こんな証言もある。
「最初はお金が必要だから一緒に暮らしたが、生活してみると違うと感じて別れる。好きあって結婚したのではないから、男が浮気をする。金のために結婚して離婚する確率が多い」
金正恩政権下でも離婚は厳しく禁じられているが、それでも離婚率は急速に高まっているという。一方、離婚のリスクを減らすため、婚姻届を出さずに同棲生活を送るカップルも急増した。当局も「同居届」を出すように言うだけで、事実上黙認している。
「3年暮らしてから婚姻届を出せという言葉があります。いったん婚姻届を出すと、後で離婚の手続きが複雑になるから」。
同棲中に子どもができた場合、出生後数年経ってから届出することも可能だ。離婚以外の手続きはかなり柔軟で、今では婚姻届を出して結婚生活を始める若者はほとんどいないという。経済的に自立したことにより、北朝鮮でも女性が様々な選択肢を考慮することが可能になったことがわかる。
愛人は当たり前、動員もカネで解決
北朝鮮住民にとって大きな負担になっているのが、「人民動員」といわれる社会奉仕活動だ。特に女性は自宅周辺の道路掃除から農村支援まで、様々な活動への参加が強いられてきた。
だが、金正恩時代に入ると金を払えば、こうした奉仕活動への参加が免除されるようになった。大金ではないため市場にいって一日働けば十分もとが取れ、動員問題をカネで解決するシステムが定着したという。
また、金正恩時代は外貨稼ぎによる富裕層が急増し、生活水準も向上した。貧富の差が拡大する一方で富裕層は消費生活を享受し、余暇を楽しむ余裕も生まれた。貿易のため海外との交流を経験した人々を中心に、外国文化の影響も広がっている。
こうした中で「男女関係」もカネで決まるというのが、今の北朝鮮社会の常識だという。特に富裕層では男女を問わず愛人を持つのが当たり前というから驚きだ。北朝鮮で貿易商をしていた女性はこう証言している。
「今は幹部たち自体が女性のいない人、セカンドのない人がいません。お金を稼ぐ人、貿易系統で働く人はお金が多いから、愛人のない男はいません」
北朝鮮の経済難と女性の経済活動の増大に伴い、女性の役割は一家の大黒柱的存在へと大きく変化した。男性は「家長」「対外窓口」としての権威は維持するものの、家庭の実権は妻、娘へと移行したのである。息子が親の面倒を見ることが伝統とされてきた北朝鮮社会だが、今では娘が実家の両親の面倒を見るケースが増大している。
北朝鮮でも少子化が進み、「1人だけ産み、よく育てよう」という文化が広がっているという。子どもが1人だけの場合、好まれるのは息子より断然「娘」だ。家族の中で頼りになるのは「娘」という考え方が、北朝鮮社会に浸透しつつある。
存在感増す「キム・ジュエ」
金総書記もこうした社会の変化を肌で感じているだろう。北朝鮮当局は依然、娘の名前すら公式に発表していないが、公式メディアは「娘への後継」に向けた動きを可視化させているようにみえる。
北朝鮮メディアは最近、金総書記がジュエ氏とともに現地指導に出向く様子を伝え、その際には▽「1号」(最高指導者)演出写真さながらジュエ氏が金総書記の前に立って望遠鏡をのぞいている場面を伝える▽最高指導者や朝鮮労働党を修飾する時に限定的に使う「嚮導の偉大な方々」という表現を金総書記とジュエ氏を念頭に使う――などの報じ方をしている。
北朝鮮メディアでジュエ氏の動静が取り上げられたのは今回で26回目。これまでは軍事分野中心だったが、経済分野でも金総書記の現地指導に同行するようになった。
北朝鮮社会で経済的にも実生活でも存在感を高める女性たち。党や政府の要職につく女性の割合はまだ低いが、女性の意向が社会を動かし、変化を促す状況は広がっている。
こうした変化が今後、北朝鮮の後継者選びにどのような影響を与えるのか。キム・ジュエ氏が女性として北朝鮮社会でどのような役割を象徴する存在となっていくのか、目が離せない。 

 

●参院予算委 政治資金問題や能登半島地震への対応で論戦 3/25
国会は参議院予算委員会で集中審議が行われ、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題や能登半島地震への対応について論戦が交わされました。
水道の災害対策めぐり
自民党の山本佐知子氏は水道の災害対策をめぐり「水道工事はもうからず、厳しい状況の中で業者も減っているのが地方の現状だ。人口減少の中で暮らしの重要なインフラである水道事業をどう維持していく考えか」とただしました。
これに対し、岸田総理大臣は「今回の能登半島地震でも復旧に時間を要しており、上下水道の施設や管路の耐震化対策など重要な課題が明らかになった。新年度予算案にも基盤強化などに資する補助制度の創設を盛り込んでおり、災害に強く持続可能な上下水道事業を実現していく」と述べました。
自民派閥の政治資金パーティーめぐる問題について
立憲民主党の石橋通宏氏は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について「全く事実の解明がなされず、総理自身のリーダーシップの欠如と言わざるをえない。『適材適所』と言うが、自身が最も『不適材、不適所』ではないか。責任ある立場の『裏金議員』に証人喚問に応じるよう指示すべきだ」と迫りました。
これに対し、岸田総理大臣は「捜査権のない中で努力を続けてきており、党としても今週さらなる事実解明に向け聴き取り調査を行っていく。そのうえで証人喚問は国会での弁明などを踏まえ日程などを含め、国会で判断すべきことだ」と述べました。
一方、石橋氏は、二階元幹事長が次の衆議院選挙に立候補しない考えを明らかにしたことについて、「これによって二階氏の処分がなくなるのか。国民への説明責任から逃れられるわけではない」とただしました。
これに対し、岸田総理大臣は「処分などは今週また、必要な聴き取り調査を行った上で党の手続きに基づいて判断していく。今の段階では何も決まっていない」と述べました。
「選択的夫婦別姓」めぐり
公明党の石川博崇氏は、希望すれば結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」をめぐり「最高裁判決では『制度のあり方は国会で論ぜられ、判断されるべき事項にほかならない』とされ、国会に判断が求められている。議論を加速化させて結論を出す時期が来ているのではないか」と質問しました。
これに対し、岸田総理大臣は「社会全体の家族のあり方に関わる問題なので、より幅広い国民の理解を得る必要がある。それぞれの立場で、今の現状を踏まえて国民に働きかけ理解を得る努力をしていくことが求められている」と述べました。
総理・総裁の処分について
日本維新の会の音喜多政務調査会長は「『裏金作り』とは質が異なるとはいえ、自身が率いた岸田派も会計責任者が立件されている。党の所属議員たちに厳しい処分を下すなら、総理・総裁も例外とせず、みずからも処分を受けるべきではないか」とただしました。
これに対し、岸田総理大臣は「派閥全体にわたる還付などの不記載とは全く次元が異なり、会計責任者は他の派閥のような公判請求ではなく略式命令になっている。トップの責任については党としての手続きや判断は尊重されなければならないが、それ以上の仮定に基づいた答えは控える」と述べました。
そのうえで「処分を受けた場合でも続投する考えか」と問われ、「私自身としては党の信頼回復のため、総裁として最大限、努力を続けていきたい」と述べました。
一方、過去に党総裁が処分されたケースがあるか問われ、岸田総理大臣は「自民党の歴史の中で現職の総裁が処分された事例はない」と述べました。
り災証明書について
国民民主党の浜口政務調査会長代理は「能登半島地震の発生からおよそ3か月が経過した。り災証明書はこれからの被災地の復旧・復興に向けて欠かすことができない第1ステップだ。発行状況はどうなっているか」と質問しました。
これに対し岸田総理大臣は「簡易な外観調査による迅速な1次調査を基本とし、現在、被災自治体では申請数の8割から9割を超えるり災証明書の交付が完了している。2次調査や再調査にも丁寧に対応し、被害認定調査が適切に行われるよう国としても積極的に支援する」と述べました。
追加の聴き取りの対象について
共産党の紙智子氏は「関係議員の処分のためにアリバイ作りの聴き取りをやるのであってはならない。真相解明のために行うのであれば、『裏金問題』の経緯を知るキーパーソンと思われる森元総理大臣からもしっかり聴取することを約束してほしい」と求めました。
これに対し岸田総理大臣は「党として予定している追加の聴き取りの対象や、やり方については今、調整を行っているところだ。多くの国民の関心事に応えるため、聴き取りのやり方について適切に判断する」と述べました。
能登半島地震への対応めぐり
れいわ新選組の山本代表は、能登半島地震への対応をめぐり「携帯トイレなどの国によるプッシュ型支援は、終了するどころか増やさなければいけないフェーズだ。被災した市町村や住民、ボランティアの声を聞き、支援の継続と増強を約束してほしい」と訴えました。
これに対し、岸田総理大臣は「プッシュ型支援が終了しても、自治体で発注が困難な場合は調達の手続きを支援するなど、国としても、円滑な調達を行うための協力はしっかりと継続していく」と述べました。
少子化対策の「支援金制度」めぐり
一方、少子化対策の「支援金制度」をめぐり、岸田総理大臣は、制度の導入で新たな負担が生じるのではないかと問われ「負担が増えるか増えないかを単に精神論だけで言うのでは通用しないので『社会保険料の負担率』という数字的な目標を用意している。歳出改革で社会保険料の負担を軽減し、その枠内で新しい支援金を用意することで『負担は増えない』と説明しており、これを実行する」と述べました。
また鈴木財務大臣は、制度への拠出が税務上、控除の対象になるかについて、個人の所得税や住民税では社会保険料控除として所得控除の対象となり、事業主の法人税では法定福利費として損金に算入されると説明しました。
●志賀原発、津波4メートル遡上 能登半島地震で、北陸電力が解析 3/25
北陸電力は25日、能登半島地震発生後に志賀原発(石川県志賀町、停止中)で津波が敷地を遡上した高さは約4メートルだったと発表した。研究機関のデータや漂着物から新たに解析した。波高計や海水を引き込む取水槽の水位上昇から、到達した津波は約3メートルとしている。
北陸電は、原発の敷地は高さが約11メートルあり、影響はなかったとしている。また測量の結果、敷地地盤が平均4センチ沈下、西南西方向に平均12センチ動いたと明らかにした。
このほか敷地内約80カ所で地震による段差や割れを確認したが、盛り土など人工的に手を加えた部分の表層のみに発生しており、敷地内断層との関連はないと説明。敷地内断層に活動の痕跡は認められないとした。周辺の断層については、今回の地震の知見を踏まえて今後評価に反映する方針。
志賀原発は2号機が再稼働に向け原子力規制委員会の審査を受けている。敷地内断層の評価は論点の一つで、規制委は昨年3月に「敷地内に活断層はない」とする北陸電の評価を妥当とした。
●安倍派幹部への再聴取、岸田首相自身が聞き取る考え 自民・裏金問題 3/25
自民党派閥の裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は25日の参院予算委員会で、今週中に党として安倍派幹部らに再聴取することを明らかにしたうえで、「私自身も聞き取りを行うことを考えたい」と述べた。立憲民主党の勝部賢志氏の質問に答えた。
首相は予算委で「政治責任、道義的責任を果たさなければならないと考え、党として今週さらに聞き取り調査を行う」と説明。聴取の対象者については明らかにしなかった。一方、誰が聴取をするのかについて問われ、「調整中ではあるが、私自身も聞き取りを行うことを考えたい」として自ら聴取に臨む意向を示した。
裏金事件をめぐっては、会長だった安倍晋三元首相が2022年4月、派閥のパーティー券販売のノルマ超過分を現金で還流する形での裏金作りをやめるよう幹部に伝えたが、安倍氏死去後の同年8月の幹部協議を経て還流は継続された。この経緯について、政倫審での幹部の発言が食い違っていた。
●首相、自身の処分に否定的 自民裏金事件、週内に追加聴取 3/25
岸田文雄首相は25日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、自身への処分に否定的見解を示した。岸田派では議員側への資金還流がなかった点に触れ「全く次元が違う。この点も踏まえ判断される」と答弁した。事件に関与した議員に対し「今週、さらに聞き取り調査を行うことを予定している。できる限りの実態解明を行った上で、政治的責任と道義的責任についての方針を確定したい」と語った。
追加聴取では「私自身も聞き取りを行うことを考えたい」と表明。対象者は調整中で人数を絞り、聴取結果は「適切なタイミングで内容を明らかにしたい」とした。
自民の茂木敏充幹事長の資金管理団体による使途公開基準の緩い後援会組織への多額の資金移動に関し「法令にのっとっており、使途の隠蔽と断じることはやや乱暴な議論だ。指摘があれば当事者が丁寧に説明することが重要だ」と語った。
立憲民主党の牧山弘恵氏は、茂木氏の資金移動が14年間で4億円超に上り、支出の約94%が使途不明だとして「違法ではないが、脱法行為だ」と批判した。
●衆院選に「出ない」と表明した自民党の二階俊博元幹事長が、自分で答えたこと、答えなかったこと。裏金問題は側近が代弁 3/25
3月25日の正午前、自民党本部で始まった二階俊博元幹事長の記者会見には、解散した派閥の「側近」として知られていた林幹雄氏が、最初から最後までピタリと付き添っていた。
二階氏は会見冒頭、用意していた原稿を読み上げる形で次のように述べた。
「私が会長を務めていた派閥の政治資金問題が政治不信を招く要因になったことに対し、改めて国民のみなさん、地元のみなさんに深くお詫びを申し上げます」
「その政治責任はすべて、私自身にあることは当然のことであります。私はこの際、自らの政治的責任を明らかにする。本日、岸田文雄・自民党総裁に対し、次期衆議院選挙に出馬しないことを伝えました」
政府与党の中心で権勢を誇ってきた二階氏が、裏金問題の責任をとって、表舞台から引き下がることを表明した。残された任期では「国土強靭化」「観光立国」などに力を尽くす考えを述べ、最後には国政を志した若き日の思い出や、田中角栄元首相から聞いたという言葉に触れて、冒頭発言を締めくくった。
ここからは、居並ぶ記者たちの質問に答えることになる。
最初に質問した記者は「国会では政倫審が開かれ、複数の政治家が弁明している。二階議員はなぜ出席しないのか。今後出席する考えはあるか」と聞いた。
伏し目がちの二階氏は、チラリと記者席の方を見た後、ゆっくりと右隣の林氏の方へ顔を向けた。
その顔の動きが終わらないうちに、「んんっ」と咳払いをして林氏が代弁を始めた。
「出席は自分の判断でしてますので、必要はないと判断しました。かわりに事務総長の武田議員が出席して全部を話した通りでございます」
記者は「国民の中には二階氏が出てきて説明すべきだという声がある」と食い下がった。だが、これに対しても二階氏は答えなかった。
代わりに林氏が「すべてつまびらかにして、記者に報告している。いちいち政倫審に出なくてもわかっていただけると我々は判断している」と応じた。
10分ほどの短い記者会見の中で、記者側が発した質問は繰り返しの問いも含めて15問あった。政治とカネに関しては、最初の政倫審に関する質問に加え、2019年の参院選で起きた河合克行元法務相の選挙違反(買収)事件に関する質問もあった。だがこれも、応じたのは二階氏ではなく、林氏だった。
ちなみに林氏は、2012年の二階派発足に際して他派閥から移籍して加わり、派閥内では副会長などを務めた。経済産業相も務めた衆院議員だ。
二階氏が気色ばむ場面もあった。ある記者が「このタイミングで不出馬を決めたのは、政治資金パーティー収入の不記載の責任を取ったのか。それとも年齢の問題か」と問うた時だ。
「いや、不記載と、申し上げた通りだ」と林氏が答えたのを遮るようにして、二階氏は「年齢の制限があるか?」と逆に記者に問いかけた。
記者側が「年齢制限はないが、お年を考えたら……」と返すと、二階氏は「お前もその年来るんだよ」と、すごむような声で答えた。
二階氏は1939(昭和14)年生まれの85歳。かつて自民党田中派に所属していたが、小沢一郎氏らとともに自民を離れ、政界再編の波に洗われた。
2000年代初頭に復党すると、次第に頭角を現した。16年から21年にかけては安倍、菅両政権で党務を一手に握る幹事長を務め、その在任期間は歴代最長となった。
だが、次第に健康不安説がとりざたされ、次期衆院選をめぐっても様々な憶測がとびかっていた。
●首相、パーティー疑惑否定 「私の事務所主催でない」 3/25
立憲民主党の牧山弘恵氏は25日の参院予算委員会で、広島市で開かれた任意団体主催の会費制パーティーを巡り、実際は岸田文雄首相の事務所が取り仕切ったとの関係者証言を伝えたTBS番組を取り上げた。政治資金を裏金として集める「闇パーティー」ではないかと追及したのに対し、首相は「少なくとも私の事務所が主催したものではない」と反論し、牧山氏の見方を否定した。
任意団体の事務に関しては「私の事務所の者が手伝ったとの報告を受けている」と答弁した。
番組によると、パーティーは首相就任祝いを名目として2022年6月に開かれた。会費は1人1万円で、約1100人が出席したという。
●「金持ちの家に生まれた苦労は知らねえだろ」 奇異の目で見られていた麻生太郎副総裁はいかにして権力を手にしたのか 3/25
首をかしげざるを得ない点が
ソフト帽をかぶり、唇をひん曲げながら辺りをじろりと睥睨する……。マフィアのボスのような政界のキングメーカー、麻生太郎・副総裁(83)。かつて自民党を下野させ、今も失言続きなのに、一体なぜこんなにエラくなったのか。
しばらくはこのまま最高実力者としての存在感を誇示しそうな麻生副総裁。
しかし、なぜそこまで力を持つようになったのか。来歴をたどると、首をかしげざるを得ない点も見えてくる。
麻生氏は1940年、福岡県で生まれた。実家は炭鉱で財を成した筑豊御三家の一つ、麻生家で、母方の祖父が吉田茂・元総理であることは知られている。学習院大学を出た後、実家の事業に参画。JCの会頭を務め、クレー射撃でオリンピックに出場したことも。政界進出は39歳の時。当選後は、祖父・吉田の一番弟子・池田勇人が創設した宏池会に入る。後に結婚したのも、当時の宏池会会長・鈴木善幸元総理の子女だった。
“お前らさぁ、金持ちの家に生まれた苦労は知らねえだろ”
しかし、それだけの血筋でありながら、同会では主流となれないまま、派を後にしているのである。
「初出馬をした頃だったかな。宏池会の事務所にいたら、太郎さんが入ってきたんです。第一声は“汚ねえ事務所だな”。そこにいた加藤紘一さんなんかは“何だコイツ”と奇異の目で見ていましたよ」
とは、宏池会取材歴半世紀、政治ジャーナリストの泉宏氏(元時事通信政治部長)。
「衆院選での演説の第一声は“下々の皆さん”だったのは有名な話です。僕ら記者に対しても、“俺はよぉ、お前らとは違ってな。朝起きたらすぐにワイシャツを着てスラックスをはいて靴を履いて、それでようやく1階に降りるんだ。するとそこには執事が待っていて……”などと言う。“お前らさぁ、金持ちの家に生まれた苦労は知らねえだろ”なんて言うから言い合いになったこともありましたね」
そんなこんなで付いたあだ名が「半径1.5メートルの男」。心を許した相手は徹底的に面倒を見るからだが、その輪に入れない人は挑発的で野卑な言動に到底ついていけない。ましてや宏池会は“お公家集団”と言われる気風である。
「仲間は広がらなかった。そんなこともあり、加藤さんと河野洋平さんで派閥の跡目争いが起こると、河野さんと一緒に宏池会を出てしまったんです」(同)
河野グループは十数名の弱小派閥。当時の麻生氏はメインストリームから外れた“変わり者”の扱いだった。
“傍流の面白い人”から総裁候補へ
そんな麻生氏の第一の転機となったのは、小泉純一郎政権。5年間の長きにわたったこの体制下で、党政調会長、総務大臣、外務大臣など重要ポストを歴任し、地歩を固めていくのである。
「それまでの麻生さんは、“傍流の面白い人”という扱いだったんですけどね」
とは、東京大学名誉教授の御厨貴氏(政治学)。
「それが、重要ポストを任されることによって総裁候補になっていった。小泉さんからすれば、自分と同じように群れず、変わり者で、わっと物を言ってひらめきで生きる麻生さんには親しみが持てたんでしょう」
小泉政権後、第1次安倍晋三、福田康夫の両内閣は1年ほどの短命に終わる。かたや野党第1党の民主党が支持率を伸ばし、政権交代の危機にお鉢が回ってきたのが麻生氏。マンガ好きでべらんめえ調といったキャラクターが若者から人気を集めたこともあって2008年、念願の総理に就任した。
「あの時の麻生さんは本当にいら立っていた」
が、総理になるやリーマンショックが日本を襲う。目玉政策として国民一人一人に定額給付金を支給したが、景気は上向かず。自身も高級バー通いが批判され、また「踏襲」を「ふしゅう」、「未曾有」を「みぞうゆう」、「頻繁」を「はんざつ」と発するなど、中学生レベルの漢字が読めないことがあらわになり嘲笑の的に。支持率は低下する一方だった。
「あの時の麻生さんは本当にいら立っていましたね」
とは政治ジャーナリストの青山和弘氏。青山氏は当時、日テレ政治部で官邸キャップを務めていた。
「総理番の記者たちのマナーや言葉遣いが悪いと言って“質問者を代えろ!”などとよく怒っていた。“目上の人間にきちんと口も利けないヤツにインタビューさせるんじゃねえ”という感じで。いつもイライラしていましたね」
また、
「解散の時機を逸してしまった。経済対策に腐心し、ずるずる延ばしている間に支持率はどんどん下がり、党内からも麻生降ろしが始まってしまった」
当時、厚生労働相を務めていた舛添要一氏は、
「新型インフルエンザの流行という難局もあったけど、多くを任せてくれてとてもやりやすかった」
と回想するが、その年、麻生氏に解散を迫り離党した渡辺喜美・元行政改革担当相に聞くと、
「すぐ解散するべきだと思ったけど、したがらなかった。このままだとまずいと思って。公務員制度改革について官邸に質問状を渡しに行ったんです。でも、受け取ってもらえなかった。あの時、解散しておけば、民主党政権はなかったですよね」
復活を遂げた麻生氏
こうした政策、政局両面での失策から自民党は2009年の総選挙で大敗。政権を失ってしまう。そのA級戦犯となった麻生氏。普通ならここで政治生命は事実上、終わりである。
しかし、2度目の転機は3年後に訪れる。第2次安倍政権の成立だ。政権を奪い返した安倍総理が麻生氏を副総理・財務大臣に起用した。
「安倍さんが麻生さんを重用したのは、政治力もありますが、やはり境遇が似通っているからでしょうね」
と前出の青山氏。続けて、
「お互い、祖父が総理大臣なのはもちろん、麻生さんは小学校から大学まで学習院、安倍さんは成蹊と名門私学の出身。地元は田舎だけど都会育ち。二人の間には他人が入れない世界があるように見えました」
こうして第2次安倍政権が歴代最長の7年8カ月間続く中、麻生氏も戦後最長の財務大臣として君臨する。
「財務省というのはやはり最強の官庁です。そのトップを長く務めれば、嫌でも人がみな寄ってきますよ。小派閥だった麻生派(前・河野グループ)に他派閥からこぼれ落ちた議員が入り、また、山東派をそのまま吸収した。いつのまにか第2派閥へと拡大していたんです」(同)
復活を遂げた麻生氏は続く菅政権、岸田政権でも重みを増し、現在の地位を築くことになったわけだ。
「麻生さんは本来、義理人情の人」
とはいえ、麻生氏も既に83歳。老害と批判されることもしばしばだ。
1月にも上川外相のことを「オバサン」「そんなに美しい方とは言わんけど」と言って物議を醸し、発言を撤回したばかり。失言癖は相変わらずで、撤回に追い込まれたものだけを挙げても、
「(日中に米価差があるのは)アルツハイマーの人でも分かる」(2007年)
「(終末期医療費の高騰について)さっさと死ねるようにしてもらうとか、いろんなことを考えないといけない」(2013年)
「ある日気付いたら、ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。誰も気付かないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」(2013年)
「(少子高齢化問題で)年を取ったやつが悪いみたいなことを言っているが、子どもを産まなかった方が問題だ」(2019年)
と数々の舌禍がある。どれもその都度、首になってもおかしくない発言だが、なぜかこの人だけは逃げ切れる。しかし、その度に内閣や党の評判をおとしめてきた。
「麻生さんは本来、義理人情の人なんです」
と言うのは、元フジテレビ政治部記者で40年前から同氏を取材する、ジャーナリストの鈴木哲夫氏。
「現在の岸田体制がいいと思っていない。政策も実現できていないし、党内の権力闘争に明け暮れている。しかも、これまで支えてきたというのに派閥解散という唐突な言動でまさに情を裏切られた。怒った麻生さんは、ポスト岸田の流れを作ろうとしています」
しかし、
「それを面白く思わない声ももちろんある。“口が悪すぎる”“身を退くべき時期ではないか”という声が党内で聞こえるのは事実です」
「今の麻生さんの弊害は…」
前出の泉氏も言うのだ。
「世間やメディアからすれば、引退してほしい政治家ということになるでしょう。総理と総裁だけでなく、副総理と副総裁も歴任。“あと議長をやれば、5冠王だ”なんて本人も言っていますが、今潔く身を引けば晩節を汚すことはない。誰でもそう思うはずです」
ただし、として、
「それでも政治をやるんだ、というのが麻生さんなんですね。そうした特異なキャラクターが彼の本質。その意味では大好きなマンガの主人公みたいな人かもしれません。あるいは、政界の実力者が持つ業(ごう)のようなものかもしれませんね」
前出・御厨氏の感想は、
「外からは、老人が権勢を振るっているかのように見えるのは事実。しかし、当人からすれば、“まだまだ下が育っていないから俺が育てねば”という意識なのでしょう。ですが、世間からは、80を超えて君臨している政治家がいるというのは、度を越した長老政治に見えます」
御厨氏は、麻生氏はデモクラシータイプの政治家ではないと評する。
「アリストクラシー、貴族主義の人。だから下々より俺の方が仕事ができるという自負がある。しかし、新しい人が出てこられるよう道を開くのが長老の役割のはず。麻生さんにその気がなくても、注文を付けただけで周りが忖度(そんたく)し、意向通りにせざるを得なくなってしまっている。それが今の麻生さんの弊害なのです」
麻生氏が常々、吉田が政界を引退した年まで現役を続けたいと述べてきたのは永田町では知られた話。その年とは85――。
敬愛する祖父に倣い、スパッと身を退けるか、はたまた権力にしがみつき晩節を汚すか。その答えはあと1年余りで見えてくる。前編では、「政権の生殺与奪権のひとつを握っている」と言われる麻生氏の“影の権力者ぶり”について報じている。
●大阪万博の予算トップ「CFO」に「財務省のいわくつき官僚」が就任…その「優秀すぎる能力」と「転落の真相」 3/25
「将来の事務次官」と言われていたが…
大阪・関西万博の予算を管理する万博協会のCFO(最高財務責任者)に、元財務省総括審議官の小野平八郎氏が就いたことが波紋を呼んでいる。
'89年入省の小野氏は、'18年に大臣官房審議官、'21年に総括審議官となり、「将来の事務次官」と言われる出世頭だった。
「省内外の案件をコンパクトに整理して大臣や次官にわかりやすく説明し、どんどん通す優秀な人でした」(財務省中堅幹部)
手腕を買われ、岸田政権発足後は「骨太の方針」の取りまとめを担当。だが、その最中に事件が起きる。'22年5月20日の深夜、東急田園都市線の車内で酔って乗客を殴り、現行犯逮捕されたのだ。
「あの温厚な小野さんが」
「小野さんは当時、財務省と与党の調整に追われていました。しかも官僚の不祥事続きで会合後に公用車を使えなくなっていたため、電車で帰らざるを得なかった。省内では『あの温厚な小野さんが人を殴るなんて』と、驚く声しか聞こえませんでした」(別の財務官僚)
主流を外れて以降は、省のシンクタンク・財務総合政策研究所の副所長を務め、昨年から万博協会に副事務総長として関わるようになっていた。
「細かい調整を得意とする小野さんは、万博のCFOにはまさに適任。普通は財務省が彼のような人材を手放すことはありえませんから、万博協会の側からすれば、たまたま出世コースを外れていたのはラッキーだったと言えるでしょう」(同前)
名誉挽回となるか。
●「次の自民総裁」石破氏1位・小泉氏2位・上川外相3位、岸田首相は5位… 3/25
読売新聞社が22〜24日に行った全国世論調査で、次の自民党総裁にふさわしい政治家は、石破茂・元幹事長が22%で1位となり、小泉進次郎・元環境相が15%で2位だった。同じ質問をした前回2月調査で4位だった上川外相が9%で、3位に入った。河野デジタル相は8%で4位だった。
岸田首相の自民党総裁任期満了を9月に控え、自民党の政治家11人から選んでもらった。5位は岸田首相で7%、6位は菅前首相で6%だった。高市経済安全保障相は5%、小渕優子選挙対策委員長は2%、茂木幹事長と野田聖子・元総務相、林官房長官が各1%。「いない」との回答は15%だった。
自民支持層に限ると、岸田首相は15%で前回から6ポイント増え、石破氏の22%、小泉氏の16%に続く3位となった。上川氏は13%、河野氏は8%だった。
●岸田総理 派閥の裏金事件めぐり自ら聞き取り調査を行う方針を表明 安倍派幹部4人に対して 3/25
岸田総理は裏金事件をめぐる自民党内の処分に向け、安倍派幹部に対し、自ら聞き取りを行う方針を表明しました。国会記者会館から中継でお伝えします。
岸田総理は今週、追加の聞き取り調査をするとしたうえで、「調整中だが、私自身も聞き取りを行うことを考えたい」と明らかにしました。
岸田総理「党としても、今週さらに聞き取り調査を行うことを予定しております。できる限りの実態解明を行ったうえで、政治的責任・道義的責任、この党としての方針を確定したい」
複数の自民党幹部によりますと、岸田総理は、安倍派の中で一度、廃止が決まったキックバック復活の経緯を知るとされる西村前経産大臣、塩谷元文科大臣、世耕前参院幹事長、下村元文科大臣の4人に事情を聞きます。
あすから、茂木幹事長らも同席する形で聞き取りを行い、その結果を踏まえ、処分を決める方針です。
自民党幹部によりますと、塩谷氏ら安倍派幹部については、「除名」など8段階ある処分のうち、上から4番目にあたる「選挙における非公認」以上の処分となる見通しだということです。
ただ、二階元幹事長が次の衆院選に立候補しない意向を表明したことで、ある野党幹部は「安倍派幹部が軽い処分で済まされるのは間違っている」と話していて、より厳しい処分を求める声が強まる可能性もあります。
●岸田首相 “今週 関係議員を聴取 党として政治的責任を判断” 3/25
国会は参議院予算委員会で集中審議が行われ、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、立憲民主党は、問題の全容解明がなければ関係議員の処分はできないとして実態の解明を急ぐよう迫りました。これに対し岸田総理大臣は今週、関係議員に対する聴取を行った上で、党として政治的責任を判断する考えを明らかにしました。
自民党の中田宏氏は、災害対策をめぐり「被災したら学校の体育館に避難するのが前提になっている。指定避難所となる体育館や公民館などは災害を前提に整備を行い、日常は公共施設として利用するという考え方が被災大国ともいえる日本では重要ではないか」と指摘しました。
これに対し岸田総理大臣は「関係省庁の各種補助制度などを活用して充実・強化を図るよう自治体の取り組みを促している。改築や大規模改修などにあわせた国庫補助も行っており、避難所として活用される施設の防災機能の強化にしっかり取り組んでいく」と述べました。
立憲民主党の勝部賢志氏は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けた関係議員の処分について「何よりも全容解明が先で、それが図られなければ処分などできない。岸田総理大臣には党総裁として問題を明らかにする責任がある」と迫りました。
これに対し岸田総理大臣は「党として今週、さらに聴き取り調査を行うことを予定しており、できるかぎりの実態解明を行ったうえで政治的責任、道義的責任について方針を確定したい。調整中ではあるが、私自身も聴き取りを行うことを考えたい」と述べました。
そのうえで「国民の疑念などを考え、今回は対象を絞ったうえで聴き取りを行いたいと考えており、疑念に応えるために必要な方々の話を聴きたい」と述べました。
一方、かつて派閥の会長を務めた森元総理大臣を聴き取りの対象に含めるか問われ「自民党の聴き取り調査や政治倫理審査会の弁明でも森元総理大臣本人が直接関わるという発言はなかった。具体的に誰に聴くかは調整中だ」と述べました。
また、聴き取りの結果を公表するよう求められたのに対し「適切な時期に内容について明らかにすることを考えたい」と述べました。
さらに、みずからの処分について問われ、岸田総理大臣は「かつて会長を務めた宏池会は事務の疎漏による不記載が生じたが、支出は何ら問題がないとされている。派閥全体での還付の不記載とは全く次元が違うという点も踏まえたうえで判断がされると考えている」と述べました。
●自民二階氏、衆院不出馬へ 裏金事件「不信招いた」 3/25
自民党の二階俊博元幹事長(85)=衆院和歌山3区=は25日、党本部で記者会見し、次期衆院選に立候補しない意向を表明した。自身が率いた二階派(志帥会)の政治資金パーティー裏金事件に関し「政治不信を招く要因となったことに深くおわび申し上げる」と謝罪。その上で「政治責任は全て監督責任者である私自身にある」と語った。岸田文雄首相に不出馬意向を伝えたとも明かした。党による裏金関係議員の処分に先立ち、進退を判断した格好だ。
自民は派閥の裏金事件で、安倍派の資金還流の対応を協議した幹部会合に出席した塩谷立元文部科学相ら4氏に「選挙での非公認」以上の処分を科す方向で調整している。二階氏の不出馬表明は安倍派幹部らの処分に影響する可能性がある。
二階派は、パーティー券の販売ノルマを超えた利益を議員に還流。二階氏を巡っては、派閥から受け取った3千万円超を政治資金収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で秘書の有罪が確定し、二階派の元会計責任者も東京地検特捜部に在宅起訴された。
●がんこに平和!税金は暮らしに!裏金政治の一掃!…社民党長野県連 3/25
社会民主党長野県連合は3月24日、市内の国労会館で第32回定期大会を開き、金権腐敗・裏金政治の一掃、市民と野党の共闘の深化による総選挙勝利、軍事拡大・憲法改悪に反対する県民運動を広げることなどを柱とする24年度運動方針を決定しました。
大会では、岸田・自民党政権が掲げる「新しい資本主義」に対抗する社会民主主義の歴史的優位性を確立し、社民党の再生を図ること、困難な問題を抱える女性支援法に基づく市町村計画の策定や、女性差別撤廃条約「選択議定書」の批准に向けた取り組み、格差の拡大に困難を抱えつつ平和や気候変動に関心を寄せる若者へのアプローチの重要性、「がんこに平和、暮らしが一番」のスローガンのもと、暮らしに直結し家計を支える経済政策の打ち出し、地域公共交通の維持再生、自治体の自由度が高い「自治事務」にまで国の「指示権」を拡大し地方分権の基本を覆す地方自治法改悪に反対す取り組みなど、運動方針を補強する意見が相次ぎ、活発な討論のもと、新自由主義による格差と貧困の拡大、大企業の利益を最優先し国の強権的支配を強める、今日の政治の営み、社会のありようを変革していく運動の真ん中に社民党が存在する取り組みを進めていくことを確認しあいました。
次期総選挙をめぐる情況は不透明ですが、ダッチロールを続ける岸田政権の6月国会会期末での解散・総選挙も視野に入れ、総選挙をたたかう取り組みを一丸となって進めていくことも意思統一しました。
全国的には、5議席獲得、政党要件である比例票2%必達を目標としています。県内では5小選挙区で市民と野党の共闘候補の一本化を早期に決定し野党共闘議席を確立するとともに、3万5千票の社民党票の得票を目標としています。
崖っぷちが続きますが、社民・リベラル潮流の再構築に向け頑張りぬきたいものです。よろしくお願いします。
●内閣府資料に中国企業ロゴ=岸田首相「不適切なら厳正対応」 3/25
河野太郎規制改革担当相は25日の参院予算委員会で、再生可能エネルギーに関する内閣府の有識者会議の資料に、中国企業のロゴマークが付いていたと明らかにした。岸田文雄首相は「仮に不適切な内容が判明した場合は、厳正な対応を講ずる」と述べた。
資料は、22日と昨年12月の会議に民間メンバーが提出。中国企業「国家電網公司」のロゴや企業名が載っていた。
内閣府は、民間メンバーの関連財団が過去に開催したシンポジウムで、中国企業が使用した資料を一部流用したと説明。河野氏は「無関係の企業ロゴに気付かなかったのは大変申し訳ない」と陳謝した。
●岸田首相が「金正恩氏と会談意向」 与正氏表明、日本に譲歩要求―北朝鮮 3/25
北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長は25日、談話を発表し、岸田文雄首相が最近、「できるだけ早い時期」に金正恩朝鮮労働党総書記と会談したいとの意向を北朝鮮側に伝えてきたと明らかにした。その上で、日朝関係を前に進めるために重要なのは「日本の政治的決断だ」と主張し、日本側に拉致問題で譲歩するよう迫った。朝鮮中央通信が伝えた。
首相はこれまでも日朝首脳会談に意欲を示してきたが、談話によれば、今回は「別のルート」で会談の意向が伝えられたという。
与正氏は正恩氏の妹。談話では「日本が拉致問題に固執するなら、首相は人気集めをしているにすぎないという評判を避けられなくなるだろう」とけん制し、拉致問題は「解決済み」とする従来の立場を改めて強調した。
さらに「首脳会談に臨もうとする心構えだけでは、不信と誤解に満ちた両国関係を解きほぐすことはできない」と指摘。「自分が決心したからといって、わが国の指導部と会えるわけではないと首相は知らなければならない」と述べた。  
●北朝鮮の金与正氏、「岸田首相が金正恩氏と会談の意向示した」=KCNA 3/25
北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は25日、岸田文雄首相が最近、正恩氏と近く「別のルートで」会談する意向を伝えてきたと明らかにした。その上で、朝日関係の改善は、日本が現実的な政治的決定ができるかどうかにかかっていると述べた。朝鮮中央通信(KCNA)が報じた。
「(岸田)首相は会談を単に希望あるいは決断すればそれが可能になるわけではないと知る必要がある」と指摘。日本が北朝鮮を敵視し、その主権を侵害する限り「われわれの敵とみなされ、標的の一部になることは明白だ」と語った。
●「6月解散」ができなければ、「総裁選立候補」も難しい岸田総理 3/25
経済アナリストのジョセフ・クラフトが3月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「次期衆院選は6月が濃厚」とする日本維新の会・馬場代表の発言について解説した。
日本維新の会が党大会を開催 〜馬場代表「次期衆院選は6月が濃厚」
日本維新の会は3月24日に京都市内で党大会を開き、馬場伸幸代表が「自民党に代わる政権政党を目指す」と結束を呼び掛けた。また次期衆院選での与党の過半数割れと、野党第1党の両方を目指す活動方針を決定した。
実質賃金がプラスに転換して消費が上がり、岸田内閣が「支持率が上がってくる」と受け止めれば解散の可能性も
飯田)馬場代表は挨拶のなかで「次期衆院選は6月が濃厚」とも述べています。「解散風が吹くか」というところもありますが。
クラフト)解散は経済とも密接に関連します。今回の春闘で賃上げがあり、6月には定額減税があります。6月までに可処分所得が増え、実質賃金がプラスに転換し、それによって消費が喚起されて「支持率が上がる」という希望が見え始めたら、いよいよ岸田政権も解散する可能性が出てくるかも知れません。
飯田)世論調査が出ましたが、内閣支持率は日経新聞がプラス1ポイントで、読売はほぼ横ばいの25%というところです。
アメリカ訪問とセットで補選を乗り切りたい岸田政権
クラフト)20%台は低いですし、これ以上、落ちようがないところまできています。ただ、4月28日の補選が重要ですので、「ここをどう乗り切るか」がまず大きなハードルだと思います。
飯田)補選が4月の投開票となると、賃上げの数字は出ているけれど、実感はまだないようなタイミングですよね。
クラフト)あまり支持率につながらないのですが、アメリカ議会での演説と、政治資金問題の処罰をどうするかにもよります。アメリカへ行く前に処罰を決めて、「アメリカ訪問とセットで補選を乗り切りたい」という考えではないかと思います。
飯田)外交の部分で得点を上げ、それによって何とか……。
クラフト)外交で得点が上がることは滅多にありません。それでも少しはプラスになるかも知れないし、きちんと処罰できるかどうかによると思います。
政治資金問題の処分をきっちり行えるかどうか
飯田)処分について、総理の国会答弁では「党紀委員会に任せている」と言っています。党内には厳しい処分を求める人もいる一方、野党からは証人喚問を行うべきだという意見もあります。
クラフト)見ている限りでは、世論が納得するような処分には至らないと思います。特に二階氏をどうするのか。二階氏を処分したら、総理も「ある程度の責任があるのではないか」と言われるかも知れない。
飯田)岸田派も当時の会計責任者が罪に問われているわけですよね。
クラフト)「そこに踏み切れるかどうか」というところもあるので、厳しいのではないでしょうか。
自らが辞めるくらいのことをしなければ、政治資金問題は終わらない
飯田)でも、そこがはっきりしなければ、支持率にはつながらない。
クラフト)非常に難しい立場に置かれています。党紀委員会に任せるよりも、総理が「ここまでやるのだ」という意思を示さなければ、世論は納得しません。一方、野党は「次は証人喚問だ」と攻めてきますので、補選では厳しい戦いを強いられることになります。どこかで総理がリーダーシップを発揮し、政治資金問題を断ち切らなければならない。「自分が辞める。だから二階さんも離党だ」というくらいの決断をしなければ、いつまでたってもこの問題は終わりません。
飯田)自分が辞めることになったら、総理・総裁も何もかも……。
クラフト)そこまですれば風向きは変わると思います。しかし、いま見ている限りでは、とてもそういう方向にはならないでしょう。おそらくトカゲの尻尾切りで1〜2人が重い処分を受け「終了」とされる気がするので、この問題はまだまだ続くと思います。しかし「6月解散」をするのであれば、4月のうちにある程度けじめをつけないと難しいのではないでしょうか。
6月解散が打てなければ、総裁選立候補も難しい岸田総理
飯田)解散が打てなければ、総裁選立候補も難しくなりますか?
クラフト)もはや9月は厳しいと思います。
飯田)総理としては、ここが勝負どきになる。
クラフト)そうだと思います。4〜6月が勝負ですね。

 

●財務相、納税厳しい批判「承知」 参院予算委、裏金事件巡り 3/26
鈴木俊一財務相は26日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り「政治資金と納税の関係で国民から厳しい指摘や批判があることは承知しており、真摯に受け止めている」と述べた。15日が期限だった所得税の確定申告では特に支障がなかったと説明した上で「適正に納税した国民が不公平感を抱くことがあってはならない。これからも丁寧な対応が重要だ」と強調した。
裏金事件を受け「国民は政治家が特別扱いされているのではないかと不満に思っている。それが怒りの根源だ」と指摘した。立憲民主党の柴慎一氏は「政府への信頼や納税意識が著しく低下している」と批判した。
●安倍派幹部4人“異次元”の嫌われぶり 裏金事件「非公認」処分なら国政選挙で軒並み討ち死に確実 3/26
裏金事件を巡って自民党は、安倍派のキックバック処理を協議した幹部会合(2022年8月)に出席した塩谷元文科相と下村元文科相、西村前経産相、世耕前参院幹事長の4人に「選挙での非公認」以上の処分を科す方向で調整中だ。この4人を含め安倍、二階両派の議員計82人の処分を4月上旬にも決定するという。
衆参の政治倫理審査会では、安倍元首相が「キックバック中止」を指示したにもかかわらず、安倍死去後の幹部会合を経てキックバックが継続となった経緯が焦点となっていたが、4人とも「知らぬ存ぜぬ」。厳しい処分は当然だろう。
驚くのは安倍派内から4人を擁護する声がほとんど上がらないことだ。同派の稲田幹事長代理も24日のフジテレビの番組で、4人の処分について「まだ不透明なところは多いと思う」と苦言を呈していたほどだ。
「安倍派の幹部は派閥の運営を牛耳り、閣僚ポストも事実上、独占してきました。エラソーに中堅・若手を指導していた。なのに、幹部としての説明を求められても『オレは知らない』と責任逃れです。無責任にもほどがある。いまや、若手議員まで『安倍派所属』というだけで悪者扱いです。誰かが処分されないと収まりませんから、『非公認』は当然でしょう。派内で彼らをかばう声はありませんね」(安倍派議員の秘書)
“異次元”の嫌われっぷりだが、党の公認がもらえないとなると、4人とも次の国政選挙は落選の危機だ。
最も危ないのは、衆院静岡8区の塩谷氏。立憲民主党の候補と一騎打ちだった前回21年選挙では、2万票以上の差をつけられて落選し、比例復活の憂き目にあった。「党の公認がなければまず勝てない」(地元関係者)。無所属だと比例復活できないため、“ただの人”へまっしぐらだ。
東京11区の下村氏も厳しい。
「前回衆院選では立憲の候補に3万票以上の差をつけて当選したが、野党票を合算すると横並びになる。さらに、非公認だと公明党の推薦を得られない可能性が大きい。選挙区内の公明票は3万票超だから、一気に“黄信号”です」(都政関係者)
前回衆院選で共産党候補に9万票以上の差をつけて圧勝した西村氏も盤石ではない。不安材料は、泉房穂前明石市長が立憲の候補者として浮上していることだ。
「西村さんは選挙区内の淡路島の3市では圧倒的な強さを誇る。しかし、3市の投票者数は全体の3分の1。残る3分の2は明石市です。知名度抜群の泉さんが明石市で大量に得票する展開になれば、党の公認がない西村さんは危ない。1月下旬の釈明会見直後に明石駅前でビラを配ったのも、相当な危機感があるからでしょう」(県政関係者)
参院議員の世耕氏は来年、改選を迎える。前回19年選挙では、和歌山選挙区(定数1)で野党統一候補に19万票もの大差で勝利。しかし、県全域が選挙区の参院選を非公認で戦うのは、当選5回の世耕氏といえど苦しい。
「世耕さんは23年春の衆院和歌山1区補選を巡る対応でミソをつけた。二階元幹事長が勝てる候補として鶴保参院議員の擁立を狙ったが、主導権を握りたい世耕さんが猛反対。元職擁立にこぎ着けましたが、あろうことか日本維新の会の新人に負けてしまったのです。この一件で、世耕さんは県連の不信を買った。党の公認なしで、地元議員が選挙支援をしてくれるか微妙です。維新に強力な候補を立てられたら、厳しい選挙戦になるでしょう」(官邸事情通)
嫌われ4人衆の政治生命は風前のともしび。だが、そもそも裏金議員は「非公認」程度では許されない。この際、潔く「議員辞職」すべきではないか。
●岸田総理自ら安倍派幹部4人を聴取へ 自民党の裏金問題受け 3/26
自民党の派閥の裏金問題を受け、岸田総理大臣は夕方、安倍派幹部から直接話を聞く方針です。幹部4人は選挙に出る際の非公認など重い処分を検討しています。
自民党は、裏金問題の処分を来週前半に行う方針です。岸田総理は26日に塩谷元文部科学大臣と下村元文科大臣から、27日に西村前経済産業大臣と世耕前参院幹事長から話を聞いて最終判断します。
この4人は「還流を止められる立場にあったのに続けた責任は重い」として「選挙での非公認」以上の重い処分に、松野前官房長官ら他の幹部については「役職停止」にする方向で調整しています。
●自民党裏金問題、安倍派幹部の「聴取」開始 二階俊博氏は陳謝、次期衆院選不出馬を表明 問われる岸田首相ケジメ≠フ付け方 3/26
岸田文雄首相(自民党総裁)は26日から、派閥のパーティー収入裏金事件をめぐり、安倍派(清和政策研究会)幹部への聴取を始める。安倍晋三元首相の「還流廃絶」の指示を無視した結果責任を問うようだ。ただ、首相や岸田派(宏池会)にも問題が指摘されており、筋違いとの批判もある。二階派(志帥派)を率いた二階俊博元幹事長が次期衆院選への不出馬を表明したことを受け、ケジメの付け方が問われそうだ。
「できる限り、実態解明を行ったうえで政治的、道義的責任について方針を確定したい」「国民の疑念などを考え(自ら)聴取を行いたい」
岸田首相は25日の参院予算委員会で、こう語った。
自民党執行部は裏金事件に絡み、来週にも関係議員の処分を決める方針。こうしたなか、岸田首相は26、27両日、安倍派幹部の塩谷立元文科相、下村博文元政調会長、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長と個別会談し、事情を聴くという。
安倍派では2022年、安倍氏の指示で「還流廃絶」が決定したが、同年7月に安倍氏が凶弾に倒れると還流が継続された。4人については同年8月に集まり、還流継続を決めたとの指摘がある。
4人が出席した衆参の政治倫理審査会では、継続の経緯は判明しなかったが、執行部は結果責任があると見ている。党の規約で4番目に厳しい「選挙非公認」か、それ以上の処分を検討する。
ただ、岸田首相による聴取には、冷淡な声が上がる。
自民党ベテラン議員は「岸田首相は、政治改革の先頭に立ち『火の玉になる』とタンカを切ったが、安倍派だけをつるし上げる対応では醜悪さが強調される」と語る。
そもそも、岸田首相は22年、政治資金パーティーを年7回も開き、1億3000万円以上の利益を上げた。大臣規範への逸脱が指摘される。岸田派もパーティー収入など3000万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、元会計責任者が東京地検特捜部に立件されている。
野党幹部は「岸田首相の聴取は、9月の総裁選や次期衆院選を意識したパフォーマンスだ。自分の疑惑を晴らさず他人を聴取する神経には驚きしかない」と突き放す。
こうしたなか、二階氏が25日、次期衆院選への不出馬を表明した。二階氏は自ら出処進退を決断し、「政治責任は当然すべて私にある」と陳謝した。関係議員らも厳しい処分が免れない情勢となった。
その中に、岸田首相も含まれるのか。改革の本気度≠ェ浮き彫りになりそうだ。
●安倍派ズタズタ、二階氏追い込み…立憲・小沢氏「首相を甘く見るな」 3/26
岸田(文雄)首相を甘く見ていちゃだめだよ。したたかだ。清和会(清和政策研究会=自民党安倍派=)をズタズタにやっつけて、今度は二階(俊博・元自民幹事長)を引退に追い込んだ。二階氏も劣らずにしたたかだけど、今の状況では(岸田氏に)かなわない。だから「注意しないといかん。油断するな」と今日は(自身の党内グループ会合で)言った。
二階氏もいない、清和会もズタズタ、(自民の茂木敏充)幹事長も役に立たない。(今秋の)総裁選再選が確実なのに、なぜ(すぐに衆院を)解散するの。再選後の秋なら解散はあるかもしれない。その前に、起死回生の一打で北朝鮮に行くことも、もしかするとあるかもしれないぞ。
●「バカヤロウ」会見の二階氏「不出馬で処分見送り」自民の姿勢に批判殺到「裏金問題がチャラになるなんて」 3/26
3月25日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、二階俊博元幹事長が次期衆院選への不出馬を表明したことを受け、自民党は二階氏に対する党の処分を見送る検討に入った。同日、毎日新聞が報じた。
だが、二階氏の政治団体の不記載額は3526万円。幹事長時代の5年間で、党から50億円もの政策活動費を受け取っていた問題も残っている。
お笑いコンビ・ロンドンブーツ1号2号の田村淳は同日、自身のXにこう書きこんだ。
《二階さんが次の選挙に出ないことと、裏金問題の説明責任を果たすことはごっちゃにして考えない方が良いと思うんだよなぁ にしても二階氏の付添有りの記者会見と記者さんへの悪態が気になってすぐにでも辞めて欲しいと思ったよ》
同日の二階氏の会見には、側近の林幹雄元幹事長代理が同伴。林氏がほとんどの質問に対し、代理で回答するなか、衆院選不出馬の理由が裏金問題なのか、年齢なのかを尋ねた記者に対して、二階氏は「お前もその年、くるんだよ。バカヤロウ」と言い放ち、物議を醸している。
思い出されるのが、衆院選の選挙特番での爆笑問題・太田光とのバトルだ。
2021年10月31日、『選挙の日2021 太田光と問う!私たちのミライ』(TBS系)で二階氏と初対面となった太田は、「初めまして、太田です」とあいさつ。太田の声が聞こえなかったのか、言葉を返さない二階氏に太田が「人相が悪いんですけど、怒ってますか」とジョークを飛ばすと、二階氏も「君より、もうちっとマシだよ」と切り返した。
さらに太田が「二階さんはいつまで政治家、続けるつもりですか?」と問うと、二階氏は「それは選挙民のみなさんが決めることであって、君が決めることじゃない」と回答。「だいたいね、今日、当選したばっかりで、いつまで政治やるんですかって、失礼だよ!」と語気荒く返した。
しかし、太田はこれにも「失礼じゃないよ。当然、国民の権利じゃん。そんなの聞くのは」とあっさり切り返し、二階氏が「権利ではあるけれど」と言いかけたところで、中継は時間切れとなった。
それから3年後の二階氏の次期衆院選不出馬会見。Xでは、《二階氏の処分見送り検討》が一時トレンド入り。批判的な声が多くあがった。
《「衆院選不出馬」と「処分」は別問題ですが。不出馬によって「禊が済んだ」事にはなりませんよ》
《待て待て、次期衆院選の不出馬を表明し事実上の引退を表明したからといって裏金問題がチャラになるなんてあり得ませんよ》
《結局処分なんて何もする気がないのが自民党》
自民党が二階氏の処分を見送れば、二階氏の「バカヤロウ」会見への怒りは自民党に向きかねない。
●大竹「それじゃあ何も変わらないということに…」自民党政治資金問題、幹部4人に選挙非公認処分を検討 3/26
タレントの大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)。3月25日の放送では大竹が、経済アナリストの森永卓郎氏と共に、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、執行部が塩谷元文部科学大臣ら幹部4人に選挙で非公認とすることを含めた重い処分を検討しているニュースを取り上げた。
森永卓郎氏 選挙で非公認にする。それでも選挙受かってしまった場合”禊は終わった”と言うんだろうなと
大竹まこと なるほど
森永氏 実は小泉純一郎総理のときに、郵政民営化に反対した人に刺客を送ったんですよ非公認どころか。そこまで岸田さんがやるかどうか。やらないのではないかという気はしますけどね…
大竹 非公認でも受かってしまったら公認で迎えるということになるわけですか?
森永氏 そうそう、民が選んだわけですからしょうがないよね、と。
大竹 コロナ禍で銀座に飲みに行った人が離党したんだよね。それに比べたら何十倍も重たいものを背負っているはずなのに、うやむやのままになっていくのかと皆思っているよね
森永氏 ただ4人と比べて他の自民党の議員が真っ白かというと…似たり寄ったりだろうと私は思います
大竹 岸田さんとか検討する側も…(笑)
森永氏 これはまだ週刊誌ネタですが、古賀誠さんっていう、宏池会の親玉のところにもキックバック分が流れたのではないかという記事もあって。これもこの先、裏がとれるともっと大きな問題になると思います
大竹 でも、古賀誠さんって結構清廉なイメージがある方…
森永氏 私もそう思ってたんですけど…だから本当かどうかまだ分からないですよ?週刊誌報道の段階なので。でもどいつもこいつも皆裏金使ってたんじゃないかっていう気がしないでもないです
大竹 森永さんはやっぱりこれは第三者委員会を立ち上げて捜査して、判断を下すべきだとお思いですか?
森永氏 私はむしろ、今後一切無しにしますという、野党も含めて全て領収書を出しましょうという決断をする方がはるかに重要だと思います。だってこのままいったら裏金は永遠に残ってしまう。
大竹 まぁでも、政治資金規正法の…ザル法はちょっとぐらい直すでしょう
森永氏 いや、直す気無いみたいですよ?連座制を入れるとかはあるんですけれども…政党に入ったお金を例外措置として議員個人に配って良いというのは何が何でも死守という態度ですから
大竹 それじゃあ何も変わらないということになってしまう
森永氏 私だったら、今までのことは全部吐いたら水に流すから今後は一切駄目よというのがいいんじゃないかと…
大竹 全部吐いたら…許せますか?(笑)
森永氏 黙ってるよりマシじゃないですか?どうせろくなことしてないんだろうとみんな思っているから全部話したほうが国民は納得するような気がするけどな…
●自民“裏金問題”岸田首相が自ら事情聴取 安倍派幹部4人の処分は 3/26
自民党のいわゆる裏金事件めぐり、岸田首相は26日午後4時ごろから、東京都内のホテルで安倍派幹部4人に対する聴取を始めました。ホテル前から中継です。
聴取は午後4時ごろから始まり、今も続いています。岸田首相自らが乗り出す「異例の形」です。
聴取は岸田首相に加え、茂木幹事長、森山総務会長の3人が行っています。対象は安倍派のキックバック再開を協議した4人で、26日は安倍派の会長代理を務めた塩谷立氏、下村博文氏、27日は西村康稔氏、世耕弘成氏です。
――聴取の焦点は、どこになるのでしょうか。
最大の焦点はキックバック再開の経緯が明らかになるかです。国会の政治倫理審査会では、再開の経緯に関する4人の証言が食い違っていて、誰が決定に関与したのか不明なままです。ある野党幹部は「総理が聴取するなら、これまで明らかにならなかったことを解明しないと意味がない」と指摘しています。
さらに、長く派閥の会長を務めた森喜朗元首相が決定に、どう関与したのか新たな証言が出るかも注目されます。その中身によっては森元首相への聴取が必要かも検討されるとみられます。
また、処分について党執行部は「キックバック再開を許した政治責任は重い」として、再聴取を行っている4人については「党員資格の停止」や「選挙での非公認」など重い処分を科す方向です。
一方で、ほかの幹部、松野氏、萩生田氏、高木氏らは、4人より少し軽い「党の役職停止」などとする案が出ています。ただ、自民党内からは「厳しい処分にしないと、世論から反発を受ける」という声も根強くあります。
党執行部は26日と27日の聴取を踏まえて、4月上旬には処分を決める方針です。
●首相 安倍派幹部を聴取へ 党内は“厳しい処分免れない”見方も 3/26
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、岸田総理大臣は関係議員の処分を前に、26日と27日、安倍派の幹部4人に聴取を行う予定です。党内では、二階元幹事長が次の衆議院選挙に立候補しない考えを明らかにしたことを踏まえ、安倍派幹部への厳しい処分は免れないという見方が強まっています。
今回の問題について、自民党の二階元幹事長は25日に「政治不信を招く要因となったことに対し改めて深くおわび申し上げる。政治責任は当然、すべて私自身にある」と述べ、次の衆議院選挙に立候補しない考えを明らかにしました。
岸田総理大臣は「自民党の再起を強く促すための出処進退であると重く受け止めた」と述べました。
党内では、処分の対象になると見られていた二階氏の判断を踏まえ「安倍派幹部への厳しい処分は免れない」という見方が強まっています。
こうした中、党執行部は関係議員の処分を来週決定する方向で調整していて、岸田総理大臣は26日と27日安倍派幹部の塩谷 元文部科学大臣、下村 元政務調査会長、西村 前経済産業大臣、世耕 前参議院幹事長の4人と個別に会談し、聴取を行う予定です。
執行部はこの4人について、おととし8月に派閥議員へのパーティー収入のキックバックの扱いを協議したものの、やめなかった結果責任があるとして、党の規約で4番目に重い「選挙における非公認」以上の処分を検討していて、聴取の内容も踏まえて判断する方針です。
●自民・二階元幹事長“先手必勝”の不出馬表明に飛び交う怪情報…世耕潰しか、岸田降ろしか? 3/26
自民党の派閥パーティー裏金事件の政治責任を取るとして、次期衆院選への不出馬を表明した二階元幹事長(85)。25日の会見では記者を睨みつけ、「不出馬は年齢が理由か」と質問した記者に「おまえもその年、来るんだよ。ばかやろう」と言い放った。二階氏は明らかに不機嫌だった。
怒りの矛先は、もちろん岸田首相(自民党総裁)だ。
「安倍派幹部4人を『選挙での非公認』以上の重い処分にするのとセットで、二階元幹事長にも厳しい処分という情報がメディアに流された。岸田官邸が『二階さんどうするんですか』と自主的に身を引くことを暗に促した形。その通りになったのだから、岸田首相はニンマリだろう」(岸田派議員)
岸田首相への怒りは、会見でのやりとりでもわかる。
──執行部が二階さんの処分も含めて検討している。判断に影響したのか。
「影響ありません。自らが決めたことです」
──総理に伝えた時の反応は。
「総理に聞いてください」
ただでさえ二階氏は、3年前の自民党総裁選時のことで岸田首相に恨みがある。出馬表明会見で「総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで」と岸田首相に狙い撃ちされ、幹事長を引きずり降ろされたからだ。
このまま岸田首相に処分されるぐらいなら、「先手必勝」で不出馬宣言したわけだが、二階氏の狙いについて、さっそく永田町では、怪情報が飛び交っている。
「二階さんにとって、最大の懸念は自身の和歌山の選挙地盤だった。敵対する世耕さん(前参院幹事長)が衆院への鞍替えに意欲を見せ、二階さんの選挙区を奪いにきているからです。安倍派幹部の世耕さんは今回、厳しい処分となりそう。岸田首相は二階さんに、世耕さんの鞍替えはないと確約し、バーターが成立したのではないか。さらには二階さんの息子への世襲も、岸田さんが了承した可能性もある」(自民党中堅)
岸田首相に復讐か
一方、岸田首相に対する二階氏の恨みは、消えるどころか増幅され「復讐に出る」という見方もある。
「二階さんが次は不出馬と言っても、解散総選挙までは現職を続けるわけで、辞めるまでにまだ時間がある。岸田首相にこれ以上、勝手なことをさせないと、今年9月の総裁選に向け『岸田降ろし』に動くのではないか。岸田首相に不都合な材料をいろいろ出してくるかもしれない」(自民党ベテラン)
しょせん、裏金をめぐる処分話はすべて自民党内政局だ。裏金づくりの真相解明はそっちのけ。国民不在、極まれりである。
●日銀の先祖返りアベノミクス終了≠フ国民軽視 政府は減税、日銀は金融引き締めのチグハグ 常態化する「地ならし」情報操作 3/26
2013年4月から続いてきた日本銀行による大胆な金融緩和の枠組みが変更された。マスコミや市場関係者の間では、マイナス金利の解除に関心が向かっているがそれは一面でしかない。マイナス金利に加えて「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組み自体をやめたわけである。つまりアベノミクスの終了を日銀は打ち出したわけだ。
他方で岸田文雄政権は6月に所得税・住民税減税をする予定だ。つまり政府は「反緊縮」の姿勢を一応とるが、日銀はいち早く緊縮政策を実施することになる。まさにアクセルとブレーキを同時に踏むことになる。似たことは14年の消費税増税と金融緩和の組み合わせでもあった。官僚お得意のたすきがけ人事みたいに、今度は政府が減税で、日銀は金融引き締めである。この政策のチグハグぶりこそ日本を停滞させてきた主因のひとつだ。
だが、岸田政権もやがて減税から増税・負担増にかじを切りたいのが本音だろう。残念ながら、それが今の日本のエリート層の考えだ。ただし岸田政権は自民党の裏金問題で積極的な増税・負担増を打ち出せない状況にある。世論の支持をこれ以上失うことは政権喪失につながりかねないからだ。
ちなみに前回の日銀の利上げは、06年7月と07年2月だったが、09年に民主党政権が誕生している。日銀は念願の利上げを果たしたため、リーマン・ショックが起きてもなかなか積極的な金融緩和を行わなかった。そのため欧米よりも深刻な景気悪化に陥っていた。
今回も念願の利上げを果たしたので、経済が失速する事態になっても大胆な緩和を打ち出すことを認めるのは、日銀官僚のマインドからはかなり難しくなるだろう。金利をまた下げ、大胆な量的緩和を行うことは、自らの政策の失敗だと思うからだ。失敗してもそれを認めず、また責任も果たさない、それが悪しき官僚根性である。もっとも、裏金問題をみれば、国会議員も責任を認めない点では同じだ。
今回の日銀の決定で重要なのは、事前に政策決定の詳細がマスコミにリークされていたことだ。植田和男総裁は記者会見で「偶然だ」と否定した。まさに言い逃れである。
日銀は自分たちの都合のいい政策を事前に懇意のマスコミに流す。それによって「地ならし」という情報操作をするわけである。これが植田日銀では常態化している。リークが当たり前になると、政策決定会合で議論し票決を取る意味がなくなる。台本ありきになるからだ。
このリーク問題は深刻だが、国会で問題視する動きはほぼない。実はリーク問題もアベノミクス以前の日銀の普通の姿だった。さまざまな形で国民を軽視した政治家、官僚らエリート層の精神的腐敗が目を覚ましている。
●次期戦闘機の第三国への輸出解禁、政府が決定 安保政策の転換点 3/26
政府は26日午前の国家安全保障会議(NSC)で、武器輸出を制限している防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、英国、イタリアと国際共同開発中の次期戦闘機の第三国への輸出を解禁した。「殺傷能力のある武器の最たるもの」(自民議員)と位置づけられる戦闘機の輸出解禁は、武器輸出を厳しく制限してきた日本の安全保障政策の大きな転換となる。
次期戦闘機は日本にとってF2戦闘機の後継にあたり、2035年の配備を目指す。政府は指針改定で、輸出解禁対象を次期戦闘機に限定し、共同開発品全般とすることは見送った。輸出先は「防衛装備品・技術移転協定」の締結国など、輸出した武器を侵略に使わないなどとする国際約束を日本と結んだ国に限る。紛争の助長を避けるため「現に戦闘が行われていると判断される国」は輸出先から除外した。
政府は指針改定に先立ち、なぜ次期戦闘機を輸出する必要があるのかという政府方針を閣議決定した。同時に、この閣議決定において、今後次期戦闘機を輸出する場合、現状の運用手続きであるNSC決定のみならず、個別の案件ごとに閣議決定することも定めた。
●「岸田総理はものすごいしたたか」 自民裏金巡り立憲・小沢氏 3/26
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は26日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る岸田文雄首相の対応に関して「岸田総理を甘く見ては駄目だ。清和会(安倍派)をズタズタにやっつけて、今度は二階(俊博元幹事長)を引退に追い込んで、ものすごいしたたかだ」と指摘した。国会内で、自身の議員グループでの発言として記者団に明らかにした。
二階氏は25日に次期衆院選不出馬を表明。政界引退は明言していないが、小沢氏は「二階も岸田君に劣らず、したたかだけど、彼の今の状況ではかなわない。結局、辞めざるを得なくなったのだろう」と語った。
また、首相が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との直接会談を打診したとの朝鮮中央通信の報道に触れて「岸田君はやるかもしれない、起死回生の一打で。だから油断するな」とも述べたという。
●北朝鮮No.2金与正が“暴露” 岸田首相は何が何でも「訪朝→支持率回復→解散」狙いミエミエ 3/26
内閣支持率アップにはこれしかないということか。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹・金与正党副部長が25日、談話を発表。岸田首相が最近、「できるだけ早い時期」に正恩と会談したいとの意向を伝えてきたと明かした。その上で、日朝関係を進めるために重要なのは「日本の政治的決断だ」と主張。日本側に拉致問題で譲歩するよう迫った。岸田首相が会談の意向を伝えてきたのは最近で、これまでとは別のルートだとしている。朝鮮中央通信が伝えた。
与正は先月15日にも談話で、日本が「すでに解決済みの拉致問題のような障害物を持ち出さなければ、首脳会談は可能だ」と示唆。談話の公表は今年に入って2回目だ。
これについて岸田首相は25日、「談話は承知している。北朝鮮との諸懸案を解決するには金正恩氏とのトップ会談が重要だ。私直轄でさまざまな働きかけを行う」と話したが、自らの意向を“暴露”されてしまった格好だ。
実際に岸田官邸が訪朝を画策しているのは、永田町では周知の事実。早期会談を狙う理由は明白だ。
「裏金事件で低迷する支持率を回復させるため、総理はどうしても訪朝し、正恩氏との会談を実現させたいようです。小泉内閣の2002年9月、電撃訪朝を実現したことで下落傾向だった支持率が急上昇しました。その再来を本気で狙っているようです。訪朝時期は、通常国会終盤の6月ごろとみられています」(永田町関係者)
「外交の岸田」をアピール
支持率アップの先に見据えるのは、国会会期末の衆院解散総選挙である。岸田首相が描いているのはこんなシナリオだそうだ。
「春闘で33年ぶりとなる5%超の賃上げが実現。賃上げ分が実際に給料に反映されるのに2〜3カ月程度かかりますから、国民が賃上げを実感できるのが、ちょうど6月ごろとされています。加えて、所得税・住民税の定額減税が始まるのも6月。あとは、日銀がマイナス金利の解除を決めましたから『デフレ脱却宣言』による経済の正常化アピールでしょう。総理は最近、『オレは安倍さんもできなかった賃上げとデフレ脱却をやるんだ』と高揚感に浸っているそうです。そこへさらに、訪朝を実現させることで『外交の岸田』を前面に打ち出す。これだけプラス材料があれば、裏金事件によるマイナスを吹き飛ばせると考えているようです」(官邸事情通)
しかし、肝心の拉致問題を巡っては平行線だ。北朝鮮が「解決済み」とする一方、岸田首相は「自分自身の手で解決する」と宣言している。今回の談話でも、「拉致問題にこだわるならば、首相の構想は人気取りにすぎないという評価を免れないだろう」と、思惑を見透かされてしまっている。狙い通りに事は運ぶのか。国際ジャーナリストの春名幹男氏は言う。
「経済的に困窮する北朝鮮としては、何とか日本との関係を構築したい。そのため、与正氏が2回も談話を公表し、正恩氏は能登半島地震で見舞い電報を送ったのです。条件が折り合えば、会談が実現する可能性はゼロではない。しかし、拉致問題を巡る交渉は一筋縄ではありません。安倍政権時に北朝鮮が一部被害者を返すと打診してきたのですが、一括帰国にこだわる安倍首相が無視し、頓挫した経緯があります。こうした北朝鮮側の条件を、岸田首相はのめるのか。最終的に折り合えず、会談が流れれば、岸田首相の解散シナリオも崩れるでしょう」
ここまで腹の内を“暴露”されて訪朝が立ち消えになれば、赤っ恥もいいところ。支持率アップも解散も夢のまた夢だ。
●北朝鮮が“極秘交渉”を暴露 「核とミサイル開発を認めろ」「拉致を問題視するな」北朝鮮にマウントをとられた岸田首相…W杯予選ドタキャンでも垣間みえた金正恩ホントの狙いとは 3/26
北朝鮮の金正恩総書記の妹、与正氏が、岸田文雄首相が日朝首脳会談を求めてきたと主張、実現したいなら核戦力開発を容認し、拉致問題を取り上げるなと日本に要求する談話を出した。非公式交渉を行っていることを匂わせつつ要求を突きつける体裁だが、交渉を行う意思があるのかどうかはあやしく、岸田政権を外交で翻弄しているとアピールすることが目的の可能性もある。ロシアとの関係強化もあり、日本とは当面関係が築けなくとも失うものはないという強気も垣間見える。
過去には韓国との秘密交渉も“暴露”した北朝鮮
朝鮮中央通信が25日伝えた談話は「最近も岸田首相は異なるルートを通じ、できるだけ早く朝鮮民主主義人民共和国国務委員長(金正恩氏の国家の役職)に直接会いたいという意向をわれわれに伝えてきた」と“暴露”。
そのうえで、日朝関係で活路を開くには日本が「政治的決断」をする必要があると釘を刺し「日本が今のように、われわれの主権的権利の行使に干渉しようとし、これ以上解決すべきこともない拉致問題に依然として没頭するなら首相の(日朝関係改善)構想が人気取りにすぎないという評判を避けられなくなる」と主張した。
大手紙外報部記者が言う。
「主体的権利の行使、とは自衛力向上のための努力、具体的には核・ミサイルの開発を指します。談話は、友好関係を築くなら、これに口出しせず拉致も問題視しない『政治的勇断』を下せと求めています」
金与正氏は2月15日にも、核・ミサイル開発を問題視せず、拉致問題を両国間の障害物としないなら「首相が平壌を訪問する日もあり得る」との談話を出している。今回の談話は、その後に岸田氏が首脳会談開催を求めてきたが日本は依然態度を変えていないとして、この姿勢を改めることを求める形になっている。
「この談話によって、日本政府は極秘の提案をぶちまけられた形になりました。談話が伝えられた直後、首相は参院予算委員会で『承知していない』ととぼけましたが、否定はしませんでした。
北朝鮮は、これまで死亡したと主張してきた拉致被害者8人に関しては『解決済み』として全く譲歩しておらず、日朝が接近しても、まずは8人以外の北朝鮮にいる邦人の一時帰国の合意などから始めるしかないと見られてきました。今の状況で本当に首脳会談を極秘提案していたとしたら、相当危うい外交ですね」(政治部記者)
さらに同記者は、北朝鮮が水面下の接触を暴露することは、対話相手に政治的打撃を与える意図を持つ可能性がある」とも指摘する。
「かつて韓国保守派の李明博政権(2008〜2013年)が南北首脳会談開催の可能性を探り、秘密交渉を行いましたが、条件が合わず膠着すると北朝鮮は交渉の事実を暴露し、李明博政権が行ったとする秘密提案の内容も国営メディアで報じながら韓国を非難しました。その後、李明博政権と北朝鮮との間の首脳会談へ向けた交渉はなくなりました」(同前)
とすれば、今回北朝鮮は日本との関係改善を見限ったのか。
「談話は日本への敵意をむき出しにしているわけではなく、日本が態度を変えれば交渉は可能だとほのめかしているので、本当の意図がどこにあるのかはわかりません。気になるのは北朝鮮が最近、日本での感染症の流行を問題視し、これを理由に26日に平壌で予定されたサッカーワールドカップ2次予選の日朝戦開催を拒んだことです」(同前)
ロ朝が一体で日米韓と対峙する構図
日本政府は選手らの支援のため政府職員14人を平壌に派遣する予定だったが、これも取りやめになり、日本当局者が平壌入りする貴重なチャンスが失われた。
北朝鮮が本当に感染症を恐れ、日本との接触の機会をあきらめたのかどうかは不明だ。その一方で北朝鮮には対外的に環境が好転する兆しもある。
「ロシアです。国連安全保障理事会で核・ミサイル開発に対する度重なる貿易制裁を受けている北朝鮮に対しては、安保理が設けた『専門家パネル』が制裁の実施状況を監視しています。
そのパネルの業務も安保理決議により1年ごとに延長が繰り返されていますが、今回ロシアはこの決議の採択を拒否権の行使で阻止し、パネルを解散させるか、これに反対する米国とバーターし、別の形で北朝鮮制裁を緩和することを画策しています。現実になれば北朝鮮監視網には大きな穴が開くでしょう」(外報部記者)
北朝鮮は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を理由にした2017年12月の強力な安保理制裁で輸出入に大きな足かせをはめられてきた。だが2022年にロシアがウクライナに侵攻して米欧との対立が激化すると、安保理は一致した対応が取れなくなり、北朝鮮のミサイルに新たな制裁を科せない状態が続いてきた。
ウクライナ侵攻用の弾薬を供与する北朝鮮と関係を一層強化したロシアがさらに北朝鮮擁護を強め、既存の安保理制裁の緩和に動こうとしているというのだ。
「北朝鮮は金与正氏の2月の談話で日本に秋波を送ってきましたが、対日関係の改善そのものに迫られているという状況にはありません。韓国との間で緊張が激化している中、日本と関係改善ができれば日韓や日米韓協力を揺さぶれるとの計算が働いたのでしょう。
これがうまくいかなくとも、ロシアが安保理で制裁緩和を実現してくれれば、ロ朝が一体で日米韓と対峙する構図を強調でき、安全保障上環境は大きく好転します」(外交部記者)
岸田首相は金与正氏の談話が伝えられた後の25日午後、記者団に「相手のある話だ。何も決まっていない」としながら「北朝鮮との間で諸懸案を解決するには金正恩氏とのトップ会談が重要だ。私直轄のレベルでさまざまな働きかけを行うと言ってきた」と、依然交渉に意欲を持っていることは隠さなかった。
一方の金与正氏は談話の末尾で「自分が願うから、決心したからといってわが国家の指導部に会うことができるのではないということを首相は知るべきである」と強調し、会談開催を欲しているのは岸田首相で、自分たちは請われる立場だとマウントをとっている。 

 

●「帰りには白い紙袋を握って…」西村康稔前経産相が“裏金問題渦中に”経団連会長&事務次官らと“極秘会食”「高級中華のVIPルームでひっそりと」 3/27
裏金問題に揺れる自民党。その渦中にある西村康稔前経産相が3月19日夜、経団連会長の十倉雅和氏ら経団連の最高幹部5名と経済産業省事務次官の飯田祐二氏ら経産省幹部5名と「秘密の会食」を行っていたことが週刊文春の取材でわかった。錚々たる面々が集まった舞台で一体何が話し合われていたのか――。
裏金問題で重い処分が下される見込み
3月25日の参院予算委員会で、裏金問題をめぐり安倍派幹部への再聴取に乗り出すことを表明した岸田文雄首相。対象者は塩谷立、下村博文両元文科相、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長だ。
「2022年8月、安倍晋三元首相の死後に開かれた協議で4氏が派閥のパーティ収入の還流存続について話し合ったとされています。4氏には『非公認』や『党員資格停止』といった重い処分が下される見込みです」(政治部デスク)
これらの「重い処分」が下ると、政治家生命の危機に瀕する人物がいる。
「次期衆院選に無所属で出馬するとなると前回比例復活をしている塩谷氏は非常に厳しい。西村氏も泉房穂前明石市長といった有力対抗馬を立てられると落選の恐れがある」(同前)
政倫審への出席をいち早く表明するなど意気軒昂だったが、徐々に追い込まれている西村氏。それでも、2月29日発売の週刊文春で報じたように同月、地元明石市で後援者にこう宣言していた。
「仲間と一緒に活躍できる場を探って、中心でやっていけるよう頑張ります」
その言葉通りということか。3月19日夜、経済界の超重鎮たちの輪の“中心”にいたのが西村氏だった。
経団連、経産省の最高幹部たちによる極秘会食
夜の帳が下り始めた東京・日比谷のオフィス街。その一角に聳え立つ高層ビルの車寄せに次々と黒塗りの高級車が滑り込む。最後に到着したのは一際目立つ白のワンボックスカー。車から降りてきたのは今宵の主役の西村氏だった。
西村氏はエレベーターに乗り最上階へ。向かった先は中華料理店「日比谷聘珍樓」。日本に現存する最古の中華料理店で、言わずと知れた高級店だ。通されたのは赤と金を基調とした個室のVIPルーム。円卓を囲んで待っていたのは、経団連と経産省の最高幹部たちだった。
「部屋にはスーツ姿の人間が出入りし、何やら物々しい雰囲気でした。コース料理やビール、ワインなどが、10名分程運ばれていた」(居合わせた客)
この日西村氏の下に集った経団連幹部は、十倉雅和会長(住友化学会長)と小堀秀毅副会長(旭化成会長)、澤田純副会長(NTT会長)、久保田政一事務総長、岩崎一雄理事の計5名。経産省からは、飯田祐二事務次官以下、村瀬佳史資源エネルギー庁長官と山下隆一経済産業政策局長、伊吹英明製造産業局長、野原諭商務情報政策局長が同席した。
計11名が揃い、午後6時過ぎから始まった会食は午後8時にお開きとなった。すると、西村氏は人目を避けるように一人裏口から店を出ると迎えの車へと足早に向かった。それからおよそ10分後、他の出席者らが続々とエレベーターホールに姿を現した。和気藹々と帰路に就く経団連の面々の手には白い紙袋が握られていた――。
裏金問題の渦中にある前大臣と経団連、経産省の最高幹部たちによる極秘会食。一体何を話し合っていたのか。3月27日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」並びに3月28日(木)発売の「週刊文春」では、その極秘会食の詳細を明らかにする。週刊文春の直撃取材に十倉会長が明かした「事実」とは――。
●安倍派幹部の一部「キックバック再開判断に森元首相関与」新証言 3/27
岸田総理大臣から事情聴取を受けた安倍派幹部の一部が「キックバック再開の判断には森元総理大臣が関与していた」と新たな証言をしたことが分かりました。
岸田総理による追加の事情聴取は26日、27日と2日間にわたって行われ安倍派幹部の塩谷立氏、下村博文氏、西村康稔氏、世耕弘成氏の4人が聴取を受けました。
複数の関係者によりますと事情聴取の中で安倍派幹部の一部が「いったん中止が決まったキックバック再開の判断には森元総理大臣が関与していた」と新たな証言をしたことが分かりました。派閥の会長を長くつとめた森元総理の関与について安倍派幹部の証言が明らかになるのは初めてのことです。
岸田総理はさきほど記者団の取材に応じ来週に向け追加の聴取を行う方針を明らかにしました。執行部は今後森元総理や4人以外の安倍派幹部への聴取を検討する考えです。
●能登半島地震からの復旧復興へ 県が今後3年間のロードマップ 3/27
富山県は能登半島地震からの復旧、復興に向けて、液状化の対策や公共インフラの復旧などについて今後3年間のロードマップをとりまとめました。
富山県は27日復旧・復興本部の会議を開き、今後3年間の取り組みやスケジュールをまとめたロードマップを示しました。
このなかで住宅の復旧、復興については、液状化の対策を、自治体による土地の状態の調査をふまえた上で3年後をめどに住民の同意を得ながら復旧工事の方法を判断したいとしています。
そして全壊、半壊した住宅などの解体とそれに伴う災害廃棄物の処理は、2年以内の完了を目指すということです。
また公共インフラについては漁港施設は2年以内の、道路や橋は3年以内の復旧完了を目指すとしています。
そして地域産業の再生に向けては、観光業を支援することで今後1年で旅行需要を地震前の水準まで回復させることを目指すということです。
新田知事は「復旧、復興が進むにつれ課題も変わってくる。ロードマップをもとに住民や事業者の声を聞きながら柔軟に対応していきたい」と話していました。
●能登半島地震 のと里山海道など復旧工事の方針 骨子まとまる 3/27
能登半島地震で道路が崩れ、一部で通行止めが続いている「のと里山海道」などの復旧について検討する国や石川県などの会議で、復旧工事を進めるうえでの方針の骨子がまとまりました。被災状況によっては現在の場所での復旧が適切か検討を行うとしています。
能登半島地震では、県内の各地で道路が崩れる大きな被害を受け、金沢と能登半島を結ぶ自動車専用道路の「のと里山海道」は、現在も金沢方面に向かう一部の区間で通行止めが続いています。
今後の復旧工事の方針について、国は県や有識者などとつくる検討会で議論を進めていて、27日、金沢河川国道事務所で開かれた2回目の会合では、方針の骨子がまとめられました。
それによりますと、「のと里山海道」やそのほかの国道について、今回の地震で水分を多く含んだ盛り土が崩れたことを踏まえ、排水機能を強化して新たに盛り土を造成することや、盛り土が大規模に崩落している区間などでは、現在の場所での復旧が適切かどうか検討することなどが盛り込まれています。
また、能登半島の沿岸を通る国道249号線のうち、大規模な地滑りが起きた千枚田地区の区間は、現在のルートでの復旧は不可能だとして、海底が隆起した部分に新たに道路を建設する方針で一致したということです。
検討会は今後、個別の課題ごとに作業部会を立ち上げ、今回まとめられた骨子をもとに道路の早期復旧を目指すとしています。
●【参院予算委】杉尾議員、水岡議員「かつて見たことのない不祥事」自民党の裏金問題を追及 3/27
参院予算委員会は3月27日、集中審議を行い、杉尾秀哉参院議員、水岡俊一参院議員が質問しました。
杉尾議員
杉尾議員は、 (1) 自民党の裏金問題 (2) 盛山文部科学大臣と旧統一教会問題(3) 憲法改正問題――等について、質問しました。
杉尾議員は、自民党の裏金問題をめぐり、安倍派幹部4人の処分について岸田総理に追及しました。岸田総理が26・27日に安倍派幹部4人の事情聴取を行うことについて、政治倫理審査会での発言以上の新事実が出てこなければ、何を根拠に処分をするのかと疑問視しました。その上で、コロナ禍の最中に銀座クラブで会食を行った3人の議員に対し、自民党の処分が「離党勧告」であった例を挙げ、今回は刑事事件であり、脱税の疑いが持たれているにもかかわらず裏金問題についての処分が、「党員資格停止を検討」と報道されていることについて、「離党勧告」以上でなければおかしいと指摘し、総理に見解を求めました。岸田総理は「処分については現段階では何も決まっていない」と答弁するにとどめました。
また、二階元自民党幹事長が先日引退を表明したことにも言及し、「処分はしないのか」と総理に迫りました。岸田総理はここでも「処分などは党として決めていない」と述べました。
さらに杉尾議員は、岸田総理が自らの政治責任や処分にまったく触れていないことについて、「相当多数の人が脱税の疑いまで持たれている。こんな不祥事はかつての自民党でもないこと。民間企業だったらトップは引責辞任する。自民党はそれだけ無責任な組織なのか」と断じました。岸田総理は、「個人で政治資金を受けたという事例は把握されていない」とした答弁を今回も繰り返しました。
次に杉尾議員は、盛山文部科学大臣と旧統一教会との関係が明らかになったにもかかわらず、いまだに文部科学大臣の職にとどまる盛山大臣に対し、あらためて辞任を迫りました。「何ら恥ずべき行動はしていない。解散命令請求、指定も含め、しっかり与えられた職責を果たしていく」と答えた盛山大臣に、杉山議員は「言行不一致。驚くべき無責任」と返しました。
最後に杉尾議員は憲法改正問題について質問。岸田総理が施政方針演説で、自身の任期中に改憲・条文案の具体化を進め、議論を加速するとした内容の発言を問題視し、「施政方針演説とは行政府の長である総理大臣がその年の基本方針を示すもので、憲法改正にここまで踏み込んだ発言をするのは、明らかな憲法99条違反だ」と指摘しました。岸田総理は「憲法改正は憲法の中で改正規定が定められている。その規定に基づいて改正を主張することは憲法99条との関係において決して矛盾するものではない。これが政府の見解」と否定しました。
また、杉尾議員は自民党の改憲4項目にある「緊急事態条項の創設」について触れ、令和6年能登半島地震の初動対応が遅すぎるとして、「憲法改正に緊急事態条項を盛り込む前に、現状の政府の体制がどのようになっているのか点検をするのが先だ」と政府の姿勢を問題視しました。
水岡議員
水岡議員は、自民党の裏金問題が発覚してから、「この通常国会でも多くの審議を裏金問題に割かなければいけなかった責任は総理にあるのでは」と問いかけ、いまだ全容解明されていない理由を質問しました。
岸田総理は「実態解明がまだ不十分との国民の思いは真摯に受け取る。事実の解明を続けていかなければいけない。追加の聴き取り調査を行っているところ」と答えました。水岡議員が「政治倫理審査会において全く解明がされなかったから聞き取り調査をしているのか」と確認すると「国民の中にいくつか大きな疑念があるのも事実。だから追加の聴き取り調査をしている」と追加調査の位置づけを説明しました。
水岡議員は「参議院において約40年にして初めて開かれた政倫審での自民党の議員の説明に納得できない。『記憶にない』『知らない』『私はその経緯について全く関知していない』のオンパレードだった」と厳しく批判しました。岸田総理は、「政倫審のルールに基づく弁明に厳しい声が寄せられている」と述べました。
水岡議員は「『弁明』とは自分に対する誤解を解くことをいう。政倫審で自民党議員が発言したのは弁明ではなく『言い逃れ』だ」「言い逃れ、巧にその場をつくろって窮地を脱する。そういったことをやり続けていると国民からの信頼はまったくなくなる」と強い危機感を表しました。
岸田総理が予算委員会で「現行法すら順守を徹底しなかった。コンプライアンス(法令順守)欠如が最も大きな原因だ」と発言したことについて、水岡議員は「ここまで自民党議員が落ちぶれたのかと残念で仕方ない。コンプライアンスは法令順守だけでなく、常識的に考えて、公序良俗、倫理という観念。それを確立していかなければならないとは、終わっている。そんな国会議員ならば辞めてほしい」と訴えました。
●「信頼回復」までは解散すべきではない 公明・山口代表 3/27
公明党の山口代表は都内で講演し、自民党の派閥の裏金問題を受けて「信頼回復のトレンドがいつになるかは見通せない」と述べ、改めて早期の衆議院の解散総選挙に否定的な考えを示しました。
公明党 山口代表 「信頼回復のトレンドが4月の補選までに明確になるというのは予測しがたいですね」 「(Q.そうすると早くて6月?)それがいつになるかは今のところまだ見通せません」
山口代表は自民党の派閥の裏金問題などを受け内閣支持率の低迷が続いていることについて「岸田総理大臣は国民を味方に付けるような立場に至っていない」と指摘しました。
そのうえで、政治不信が高まるなかでの解散総選挙について「連立政権もろとも影響を受ける。信頼回復のトレンドを確認できるまではすべきではない」と強調しました。
一方で、来年の夏に参議院選挙と東京都議会議員選挙が行われることに触れ、「大きな選挙を重ねない方が自公の選挙協力が上手くいく」と強調しました。
公明党としては今年秋以降の衆議院解散が望ましいとの考えをにじませた形です。
●「世耕氏を道連れ」「息子の世襲を画策」自民ナンバー2まで上り詰めた二階氏“電撃不出馬”の真の狙いは? 権力に貪欲、10年ごとに転機を迎えた40年の議員生活 3/27
約40年間にわたって国会議員を務めてきた自民党の二階俊博元幹事長が、裏金問題の責任を取って次期衆院選には出馬しない意向を表明した。その引き際は、同じく裏金問題に揺れる安倍派幹部に圧力をかけるようタイミングを見定めたものともみられ、最後まで政治家としてのしたたかさを印象付けた。
番記者とも距離が近い“ザ・昭和”の政治家
「お前もその年がくるんだよ、バカヤロウ」
25日の記者会見で不出馬理由について「年齢の問題か」と問われた二階氏は記者に対して凄むように言った。令和の今にあっては失言とも取れるような発言だが、ある意味、現代に染まらない“ザ・昭和”の政治家らしい会見だったと言えるかもしれない。
二階氏は最近でも番記者に対して頻繁に食事をおごり、手土産を持たせる、昔らしい政治家のスタイルを貫いていた。
幹事長時代に二階氏の番記者をしていた大手新聞社の記者は語る。
「二階氏が東京都内で誰かと懇談をするとき、候補となる飲食店は数店舗に限られていたため、各社で手分けをして各店舗を見て回り、幹事長の車を探したものです。無事に見つかって、懇談後にぶら下がり取材をした後には、二階氏が記者たちに夜飯を奢ることが恒例になっていた。地元である和歌山のみかんや梅干しを大量にお土産として持たせることもあった」
昨今は政治家と記者の距離感が問われる時代になったこともあり、こうした光景は永田町ではあまり見られなくなっていたため、よくも悪くも二階氏らしい振る舞いを続けていたと言えるだろう。
ただ、このような豪胆な性格も災いしたか、自民党裏金問題では起訴された3人の議員を除くと、二階氏の収支報告書不記載額が3526万円と最高額となっていた。
会見では、二階氏が自らの裏金問題について国会で説明しないのかとも追及されたが、側近の林幹雄衆院議員が「二階会長は(不記載のお金を何に使ったのか)全部つまびらかにしてご報告を記者にしている」と即座に否定した。
しかし、その内容はほとんどが書籍代で、二階氏自身や小池百合子氏の活動について記した本など2万7700冊を3472万円もかけて購入したものとなっている。
二階氏の事務所は書籍の購入について、議会関係者などに配り、政策広報に努めるためだったと説明しているが、自身のヨイショ本を書いてもらうために出版社から提示された数量を買っていたのではないかとの指摘も受けているところだ。
「そもそも収支報告書に記載されなかった3526万円は記録をつけない裏金となっていたため、実際のところ何に使われたのかはわからない。ただ、お金に色はないため、もともと二階氏が自身のポケットマネーから書籍を購入していたものを、不記載だった政治資金の使い道として後付けしたのではないかともいわれます。
だからこそ、書籍代3472万円という突飛なものとなってしまい、政治資金の使い道としては疑問符がつく内容になったのだろう」(永田町関係者)
今回の不出馬表明によって裏金問題の責任を取り、国会で自身の裏金について説明する必要も、自民党から処分を受ける理由もなくなった――。二階氏はそんなシナリオを描いているのだろうが、そう簡単に国民が納得できるとは思えない。
不出馬は世耕氏を道連れにする狙いも?
一方、二階氏の引き際は裏金問題を巡る政局を見定めたものとなった。
裏金を所属議員にキックバックしていたことで大問題となった安倍派の幹部4人に岸田文雄首相自身が聴取をする3月26、27日に先駆けて不出馬を表明することで、安部派幹部らにもきちんと責任を取らせるよう圧力をかける形になったからだ。この4人のうち1人には二階氏と地盤を同じくする世耕弘成前参院幹事長もいる。
自民党関係者は「世耕氏は総理総裁を目指す考えを以前から示しており、参院和歌山選挙区から衆議院に鞍替えすることを狙っている。その選挙区が、二階氏が当選を重ねてきた和歌山3区(次期衆院選では「10増10減」の区割り見直しで和歌山2区となる)だった」としたうえで「二階氏は息子に国会議員を世襲させたいと考えている。安倍派の幹部が聴取を受ける前に責任を取ることによって、世耕氏に重い処分が下される流れを作り、動きを封じ込めようとしたのだろう」と解説する。
冒頭のように、会見では年齢と不出馬の判断は関係がないとして記者に凄んで見せた二階氏だったが、それでも85歳という高齢を迎え、永田町ではいつ国会議員から身を引くかが注目されていた。最終的には、次の選挙での不出馬表明も、政局的な駆け引きのカードとして利用したわけだ。
自民党で幹事長を5年以上務めただけあって、最後の最後まで権力に対して貪欲だったといえるだろう。
ベテラン秘書の1人は「二階氏は10年ごとに大きな転機を迎えてきた」と振り返る。
1983年に初当選を果たした二階氏は1993年に自民党を離党し、小沢一郎氏らとともに新生党を結成。2003年には自らが幹事長を務めていた保守新党が自民党に吸収される形で10年ぶりに自民党に復党している。
2013年には自民党が政権復帰を果たした第2次安倍政権で衆議院の予算委員長となり、2014年には来年度予算案を与野党の人脈を駆使して異例のスピード審議で衆議院を通過させ、その後の総務会長、幹事長就任に道筋をつけた。
そして、2023年に自民党裏金問題が発覚し、今年になって二階派は解散。二階氏自身も国会議員としての活動に区切りをつけることとなった。
新党ブームから民主党政権誕生による自民党下野も含む、激動の40年間の議員人生を自らの政局観で切り開き、自民党ナンバー2の権力者にまで上り詰めた政治家だと言えるだろう。
しかし、時代はすでに令和である。国会議員の思惑が絡み合った永田町の駆け引きによる政治ではなく、求められるのは真に国民生活に向き合った政治だ。ザ・昭和の政治家が国会から去ることによって、現代に即した新しい政治を始めることができるのかが、これからの国会議員には問われている。
●安倍派幹部の一部「キックバック再開判断に森元首相関与」新証言 3/27
岸田総理大臣から事情聴取を受けた安倍派幹部の一部が「キックバック再開の判断には森元総理大臣が関与していた」と新たな証言をしたことが分かりました。
岸田総理による追加の事情聴取は26日、27日と2日間にわたって行われ安倍派幹部の塩谷立氏、下村博文氏、西村康稔氏、世耕弘成氏の4人が聴取を受けました。
複数の関係者によりますと事情聴取の中で安倍派幹部の一部が「いったん中止が決まったキックバック再開の判断には森元総理大臣が関与していた」と新たな証言をしたことが分かりました。派閥の会長を長くつとめた森元総理の関与について安倍派幹部の証言が明らかになるのは初めてのことです。
岸田総理はさきほど記者団の取材に応じ来週に向け追加の聴取を行う方針を明らかにしました。執行部は今後森元総理や4人以外の安倍派幹部への聴取を検討する考えです。
●岸田首相、政治資金問聴取「今日で終わらず、執行部で手分けして続ける」 3/27
岸田文雄首相は27日、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡り、追加の聴取を行ったと説明した。対象は明らかにしなかったが、安倍派(清和政策研究会)幹部に聴取した。首相は「今日で終わるのではなく、執行部で手分けして必要な追加の調査を続けていきたい」と述べた。官邸で記者団に語った。
首相は、かつて同派会長を務めた森喜朗元首相を聴取するか問われ、「対象については従来から明らかにはしていない。国民の疑念や政治責任、道義責任を判断する上で必要な聞き取りを行っていく」と述べた。関係議員の処分については、「今の時点では何も決まっていない」とした。
●伊藤惇夫氏「処分としては中途半端」田崎史郎氏「これでけじめ」二階俊博氏の不出馬表明に私見 3/27
政治アナリストの伊藤惇夫氏と、政治ジャーナリスト田崎史郎氏が27日、TBS系「ひるおび」(月〜金曜午前10時25分)に出演。自民党の二階俊博元幹事長が次期衆院選で不出馬の意向を表明した件に言及した。
伊藤氏は、「政治責任を取るなら議員辞職かと思った。自ら処分したとしては、中途半端」と指摘。ただし岸田政権にとっては、「安倍派へのアピール効果がある」と、政治資金パーティー裏金事件の責任が指摘されている安倍派幹部への揺さぶりができるとの見方を示した。
25日に会見した二階氏が会長を務めた二階派も、派閥の政治資金パーティー裏金事件で二階氏の秘書の有罪が確定し、派閥の元会計責任者が在宅起訴された。伊藤氏は「これで幕引きはあり得ない。実態を解明しないと国民から批判される」と話した。
一方田崎氏は、二階氏は当初、無所属でも次期衆院選に出馬するつもりだっと明かした。「自民党はこれでけじめをつけたと思っている。(不出馬は)ありがたい判断だった」とも述べた。
次の衆院選で、自身の息子に地盤を譲るのではないかとの臆測もあるが、これにはコメンテーターで弁護士の八代英輝氏が「世襲目的で引退なら、ずっこけます」と痛烈な批判を浴びせた。
●「したたか」「甘く見るな」小沢一郎氏、岸田首相を警戒 二階俊博氏は引退、安倍派も崩壊 次々と追い込まれた「政敵」たち 3/27
立憲民主党の小沢一郎衆院議員(81)が、岸田文雄首相(66、自民党総裁)への警戒感をあらわにしている。派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐって自民党が大炎上するなか、岸田首相は非主流派の二階派(志帥会)を率いた二階俊博元幹事長を引退に追い込み、最大派閥・安倍派(清和政策研究会)も崩壊させた。二度の政権交代を実現した「剛腕」政治家が、岸田首相の強権手腕に舌を巻いているようだ。
「岸田首相を甘く見ていちゃダメだよ」「したたかだ」
小沢氏は26日、記者団の取材に応じ、岸田首相についてこう語った。
どういうことか。朝日新聞(26日、デジタル記事)によると、小沢氏は「清和会をズタズタにやっつけて今度は二階を引退に追い込んだ。二階氏も劣らずにしたたかだけど、今の状況では(岸田氏に)かなわない。だから『注意しないといかん。油断するな』と(自身の党内グループ会合で)言った」と語ったという。
確かに、東京地検特捜部の裏金事件捜査が昨年末に本格化すると、岸田首相は安倍派の閣僚や党幹部を事実上更迭し、政権周辺から一掃した。現在、同派幹部の塩谷立元文科相、下村博文元政調会長、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長は、「選挙非公認」以上の厳罰≠ニなりそうだ。
事件は二階派にも直撃し、二階氏は25日、「政治責任は当然すべて私にある」といい、次期衆院選への不出馬を表明した。
一方、岸田首相は、首相就任後は派閥を離れる通例に反して会長を続投していたが、岸田派(宏池会)の不記載問題が浮上する直前に派閥を離脱した。その後、根回しもせずに「派閥解消」をブチ上げ、安倍派や二階派も追随させた。
小沢氏は、これらの動きが岸田首相の仕掛け≠ニ見ているようだ。次期衆院選は、9月の自民党総裁選で岸田首相が再選した後で、その前に電撃訪朝がある可能性も示唆したという。
47歳で自民党幹事長にのぼり詰め、昭和、平成、令和の数々の政局を乗り切ってきた古参政治家だけに、その分析は興味深い。確かに、岸田首相の「政敵」は、次々と力を失っている。
自民党ベテラン議員は「小沢氏は皮肉を込めたつもりかもしれないが、岸田首相を警戒している点に不気味さがある」と語る。
●きのうに続き岸田総理が安倍派幹部聴取 今後の見通しは? 3/27
自民党の派閥の裏金事件を受け、岸田総理はきのうから安倍派幹部への聞き取りを始めました。安倍派幹部らの処分はどうなるのでしょうか?最新情報を中継でお伝えします。
岸田総理はきょう午後4時前にこちらのホテルに入り、きょうはここで、西村前経済産業大臣と世耕前参院幹事長への聞き取りを行います。
総理が聞き取りを行う4人については、キックバックの扱いを協議しておきながらやめなかったその責任の重さから、8段階のうち4番目に重い「選挙での非公認」以上の処分となる見通しです。
また、岸田総理はきょう国会で、実態解明を進めるため、聞き取りの対象を広げる考えを示唆しました。
焦点となるのが、かつて安倍派の会長を務めた森元総理への聞き取りを行うかですが、きょう国会で問われると、「実態を把握するために必要な聞き取りを行う」と述べるに留めています。
ある閣僚は「森さんを聴取するなんてあり得ない」と話していて、岸田総理が森氏への聴取に踏み切るのかが注目されています。
●殺傷武器を第三国へ輸出解禁する閣議決定へ抗議する 3/27
社会民主党 幹事長 服部 良一
1 昨日、岸田政権は次期戦闘機など国際共同開発した殺傷武器の完成品を第三国輸出することを解禁する閣議決定をした。閣議決定を受け、国家安全保障会議(NSC)で、「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定した。社民党は、もとより日本を「死の商人」とする武器輸出のさらなる解禁について自民党と公明党間の密室協議だけで進めていたことに強く抗議してきたが、今回の閣議決定は日本の平和主義を根底から覆す重大な方針転換であり、国会で審議すらせず強行したことに断固抗議する。
2 日本は1967年に当時の佐藤栄作内閣が、1共産国、2国連安保理決議で禁止されている国、3紛争当事国やその恐れのある国、への輸出を禁じたことにはじまり、1979年に三木武夫内閣がこれを事実上の禁輸とした。この「武器輸出三原則」は長年の国会論戦や国民的議論の中で定着し、平和国家として「死の商人」にはならないという我が国の平和主義を具現化する基本政策となってきたし、国際紛争を助長させない縛りとして大きな役割を果たしてきた。
ところが、2010年より「武器輸出三原則」を緩和する方向の議論が噴出し、2011年の野田政権では武器の国際共同開発の包括的例外化がなされた。そして、2014年4月に安倍政権は「武器輸出三原則」を撤廃し「防衛装備移転三原則」を閣議決定、例外化していた武器輸出の条件を緩和した。ただ、殺傷武器の輸出は回避されていたが、それも昨年12月の「防衛装備移転三原則」の運用方針改定により可能となった。この時、国際共同開発した完成品の第三国輸出は、「平和の党」を自称する公明党によって見送られていたが、昨日の閣議決定により可能となってしまった。
3 日本は平和憲法の下で、戦後国会内外で議論を積み重ねて武器輸出をしない社会を創り上げてきた。世界中に武器を売る「死の商人」となる道が、戦争を放棄した平和国家・日本の進むべき道とはとうてい考えられない。
昨日の閣議決定により第三国輸出が解禁されるが、次期戦闘機の完成は2035年を予定している。私たちには武器輸出を止める時間がまだある。社民党は武器輸出を止めるために、平和を希求する市民の皆さんと共に全力を尽くしていく。
●蓮池透さん「最後のチャンス」 拉致問題集会、北朝鮮反応に 3/27
北朝鮮による日本人拉致問題の解決について考える集会が27日、東京都内で開かれた。拉致被害者蓮池薫さんの兄、透さん(69)が出席し、岸田文雄首相が日朝首脳会談に意欲を示し、北朝鮮側も反応を見せている現状について「最大かつ最後のチャンスで、逃してはならない」と述べた。
北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長は2月の談話で、岸田首相訪朝の可能性に言及。3月26日には日朝交渉を拒否する談話を発表した。
こうした動きに透さんは、北朝鮮に拉致問題は解決済みと主張させないため「日本の調査で拉致被害者の生存情報をつかんで突き付けるしかないが、国は何をしているのか」と指摘した。
●森喜朗氏の聴取、要求相次ぐも…「呼べば政権もたず」 自民裏金 3/27
参院予算委員会を終えて席を立つ岸田文雄首相(中央)=国会内で2024年3月27日午後0時2分、手塚耕一郎撮影
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、27日の参院予算委員会の集中審議で野党側からは、安倍派(清和政策研究会)でキックバック(還流)が始まった経緯の解明に向けた「キーマン」とみられる森喜朗元首相への聴取要求が相次いだ。岸田文雄首相が、来週も関係議員らに対する直接聴取を続ける意向を示したことを受け、さらに野党の要求は強まりそうだ。
「あらゆるものが森元首相から(還流が)始まったことを示している。聞かなきゃダメですよ」。立憲民主党の杉尾秀哉参院議員は、27日の参院予算委で、首相が26日からスタートさせた追加聴取の対象に森氏を加えるように迫った。
首相は「聞き取り調査の状況を見ながら、必要な調査を追加で行うことも考えていきたい」と述べたが、森氏への聴取については… ・・・
●大阪市が小林製薬に3製品を回収命令 紅麴の健康被害問題を受け 3/27
小林製薬(大阪市)製の紅麴(こうじ)原料を含むサプリメントが原因とみられる健康被害が相次いでいる問題で、大阪市は27日、同社に対し、食品衛生法に基づいて紅麴成分を含む3製品の回収命令を出したと発表した。厚生労働省は26日夜、同法上の「有害な物質が含まれており、健康被害が生じた」事態と判断し、同市に廃棄命令を出すよう通知していた。同社の回収を確認した段階で、廃棄命令を出す方針。
●韓国人にも「もう聞きたくない」はいる 3/27
逆に、もう聞きたくないと思っている韓国人の方が多いだろう。第二次世界大戦が終わってから79年。韓国という国ができてから76年。その年に生まれた人だって、79歳と76歳になるわけだし、渦中にいた人は、確実にそれ以上。当時のことを話すにも、脚色や思い込みがあるだろうし、支援団体はそれ以上にストーリー作っているだろうし。いわゆる従軍慰安婦本人は10人くらいしか生きていないわけで、賠償金をこの先もらっても使い道もないだろうし。
なかったことにはならないが(真偽は別として)なかったことにしちゃったら、国際的にも人道的にもまともな関係が生まれるって考える韓国人は、本当に逆にいるだろう。
韓国の国家人権委員会の常任委員が「日本軍性奴隷問題は誰もが知っているのに、何度も話をもっ繰り返して何を得たいのか」(慰安婦じゃなく、性奴隷にしてしまった、ひどいなあ)と発言した。
「なんという人権委員だ!」という声が、謝罪や賠償金がもらえたときにメリットがある方々が騒いでいる。騒いでいるなら、リアルな現実がどうだったのか目撃者だったら言え。
日本は、これまで、謝罪や賠償金は、韓国にたくさんあげた。慰安婦と目される女性一人一人にお便りを書いた総理大臣だっている。近年は、前回ので解決済みと聞く耳を持たない状態(賠償金が本人渡っていないのも含めて)だが、5月に行われる国連女性差別撤廃委員会の報告書に、韓国はまだ盛り込む予定だ。
「もう聞きたくない」委員は、ウクライナ戦争を鑑み、日本という国の援助が必要なのに、そんな昔のことを言って気分を悪くさせるな、と(それはそれで、憲法9条のある日本を巻き込むなだが)。至極ごもっともではないか。
この委員には、0ウォンも入らないのだろう。いや誰かにたかるが常識な韓国人としては異端かもしれない。
今まで何十回どのような口調で謝罪されて、総額いくらもらったか、AIにデータ化してもらおうか! 。 

 

●天皇皇后両陛下が「深く心を痛められていた」側近が明かす能登半島地震の被災地お見舞い 3/28
天皇皇后両陛下は22日、能登半島地震の被災地・石川県を訪問しましたが、側近によりますと、被災現場の状況に「深く心を痛められていた」ということです。
側近によりますと、能登半島地震で被害の大きかった石川県の輪島市と珠洲市を日帰りで訪問した両陛下は、自衛隊のヘリコプターで上空から被災現場を視察されたということです。
地震で海底が隆起した輪島市の黒島漁港と鹿磯漁港や、鵜入町の海岸から突き出た「ゾウゾウ鼻」と呼ばれる奇岩周辺の崖崩れ、亀裂が入ってしまった白米千枚田、それに珠洲市の鵜飼漁港の津波被害を視察されました。
こうした能登の美しい海岸線が一変したことに、心を痛められていたということです。
また、石川県輪島市の「輪島朝市」は両陛下がそれぞれ学生時代に訪れた思い出の場所で、今回の地震によって、多くの家屋が倒壊や焼失しているのを目の当たりにし、被災地の一日も早い復旧・復興を願われたということです。
両陛下は避難所で多くの被災者にお見舞いの言葉をかけ、厳しい状況に置かれていても少しでも前向きな気持ちで進んでいこうとする被災者の方々の努力に、敬意の念を抱かれていたということです。
●被災した「輪島塗」工房 製作再開も避難先から職人戻れず 石川 3/28
能登半島地震で被災した輪島塗の製造と販売を行う創業200年を超える「塗師屋」では、少しずつ製作を再開しています。ただ、避難先から戻れない職人も多く、この塗師屋の社長は「早く輪島に戻れるよう、新しい住まいなどの工面が早くついてほしいです」と話しています。
輪島市平成町にある1813年創業の塗師屋「輪島屋善仁」では、地震で工房が半壊したほか、商品や漆を保管していた倉庫2棟が全壊しました。
職人や従業員は無事でしたが、市外に避難するなどしていて、作業ができない状態が続いていました。
今月に入り、漆器の展示スペースだった部屋をなんとか工房として使えるようにして製作を再開しました。
ただ、職人の半数近くが今も輪島市に戻れない状況が続いているということです。
また、来月から新人の職人2人を迎える予定でしたが、住居や育成する環境が整えられないことから、受け入れを断念したということです。
この塗師屋では、工房を建て替えるためクラウドファンディングで資金を募るなどしていて、中室耕二郎社長は「今、手を動かしている職人を見ると希望を感じます。さまざまな支援をいただき、ご恩にお応えしたいです。職人たちも早く輪島に戻って好きな物作りに向かいたい気持ちは強いと思うので、新しい住まいなどの工面が早くついてほしいです」と話していました。
●112兆円の24年度予算成立、過去2番目の規模…能登地震の復旧・復興に1兆円 3/28
2024年度予算は28日の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。一般会計の総額は112兆5717億円で、12年ぶりに前年度(114兆3812億円)を下回ったが、過去2番目の規模となった。
能登半島地震の復旧・復興は一般予備費で対応する。政府は1月に予算案の閣議決定をやり直し、昨年12月の決定時から5000億円を積み増して1兆円を確保した。23年度に計5兆円を積んだ物価高対策などの予備費は1兆円に減額した。
歳入のうち税収は69兆6080億円を見込む。財源が不足する分は国債を35兆4490億円発行する。
●岸田文雄首相、森喜朗氏聴取に言及「対象になり得る」還流関与は明かさず 3/28
岸田文雄首相は28日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた森喜朗元首相への聴取の可能性に言及した。「関係者の一人であり、政治責任を明らかにするために必要な方ということで含まれ得る」と述べた。これまでの自民の追加聴取で、森氏の資金還流への関与を示す証言が出たかと問われ「今の段階で内容は明らかにしない」と述べるにとどめた。
森氏は既に議員を引退していることもあり、聴取の実現は見通せない。立憲民主党の長妻昭政調会長は記者会見で「森氏の聴取さえしないのは、どう考えても理解できない」と主張した。
自民は参院予算委理事懇談会でも、聴取対象に森氏が含まれる可能性があるとの認識を野党側に示した。追加聴取を行った理由として、2月に公表した自民の聞き取り調査の結果、2022年3月に安倍派幹部が資金還流を巡り会合を開いた可能性が出たためだと説明した。
理事懇談会後、立民の石橋通宏・野党筆頭理事らが記者団に明らかにした。石橋氏は「2月の段階で22年3月の会合が浮上していたのに、これまでの審議では一貫して認めてこなかった。全ての審議が吹っ飛ぶ話だ」と批判した。自民執行部は聞き取りを通じ、22年3月、当時会長の安倍晋三元首相、西村康稔、世耕弘成両氏と前任会長だった細田博之衆院議長(当時)による幹部会合が開かれたと認識しているとみられる。
安倍派は長年、パーティー券販売ノルマの超過利益を議員に還流してきた。22年4月、当時会長だった安倍氏が中止を指示したが、死去後に復活させた。
●森元首相が裏金キックバック復活関与説「相当固い筋に聴いた」と辻元清美氏、岸田首相明言避ける 3/28
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、安倍派(清和政策研究会=解散決定)でキックバック(還流)が再開された経緯に、かつて清和会の会長を務め今も影響力が指摘される森喜朗元首相(86)の関与があったと報じられた問題が28日、参院予算委員会で取り上げられた。
質問に立った立憲民主党の辻元清美参院議員が指摘した。
辻元氏が「(自民党の安倍派幹部4人への)聞き取り調査で、4人の一部から、再開の判断に森元総理が関与したと新証言が出たと報じられている。これは事実か」と、岸田文雄首相の認識をただした。首相は「報道は承知しているが、政治責任、道義的責任を明らかにするために必要な調査を行っている。今の段階で内容を明らかにすることは控えている」と否定も肯定もせずに明言を避けた。
辻元氏は、前日27日の同予算委員会で、首相が森氏の関与は一切認められなかったと発言したとして「ここで同じ答弁をできますか」と首相の認識を問うたが、首相は「自民党としては公式に、森元総理が関わっているという発言を把握していないという現状においては変わりはない」「追加の聞き取り内容は明らかにしない。現時点で公表するものはない」とあやふやな答弁を繰り返した。
辻元氏は「昨日の(聞き取りした)2人から出たのではないか」と、27日に聞き取り対象となった西村康稔前経産相か世耕弘成前参院幹事長のどちらかが証言したのではないかとただし「私は、キックバックの判断に森元総理は関与していたという話は、昨日出ていると思う。相当固い筋から聞いた」と踏み込んだ。
「もし握りつぶしたら(聴取をした)茂木幹事長、森山総務会長、岸田首相の責任になる。もし出ていたら明らかにすると約束を」と首相に迫り、安倍派幹部4人は、衆参の政治倫理審査会(政倫審)では森氏の関与に言及していなかったことから、辻元氏は「もし覆ったとしたら、4人はうそをついていたことになる」と指摘した。
岸田首相は「内容については今の時点では申し上げないと再三申し上げている」などとして辻元氏の指摘には答えず、審議がたびたびストップした。
●岸田総理「解散総選挙は全く考えていない」 立憲・辻元氏、裏金問題「解散で決着を」 3/28
自民党の派閥の裏金問題を巡り、野党側は選挙での決着を求めましたが、岸田総理大臣は「解散総選挙は全く考えていない」と否定しました。
立憲民主党 辻元清美参院議員「国民にもう処分決めてもらうしかないんじゃないですか。総理も解散のタイミング探ってるじゃないですかmそう見えますよ。処分までは(解散)しないとおっしゃった。処分するんでしょ。解散で決着つけたらいいんじゃないですか。どうですか」
岸田総理大臣「政治の信頼回復に向けて取り組まなければならない。自民党に対する厳しい目が注がれている。強い危機感を持って、この取り組みをリードしなければならない。まずはこれに専念致します。解散総選挙については全く考えておりません」
28日の参議院予算委員会で、立憲民主党の辻元議員は「二階元幹事長や安倍派幹部を含め監督責任は誰にあるのか」とただしました。
岸田総理は「自民党総裁として信頼回復に取り組む」としたうえで、「実態解明と説明責任、政治的責任を果たし法改正などの取り組みをリードする」と述べました。
●自民党議員「森喜朗の御宣託で裏金が復活した」で岸田文雄が頭を抱える「事情聴取」と「疑惑拡大」 3/28
自民党最大派閥だった清和政策研究会(安倍派)の裏金問題で、岸田文雄首相から事情聴取を受けた安倍派幹部の証言として、日本テレビは「キックバック再開の判断には森喜朗元首相が関与していた、と証言した」と報じた。野党側から森元首相の国会招致を求める声が強まることになりそうだ。
安倍晋三元首相が暗殺された後の2022年8月、当時、会長代理だった塩谷立氏、下村博文氏、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長、立件された事務局長の5人が集まった。塩谷氏は衆院の政治倫理審査会(政倫審)で「予定した還付がないと困るという流れの中で『今年は継続』という曖昧な感じで事務的に行われた」と述べたが、他の出席者は「結論が出たわけではない」と証言した。
その後、西村氏が内閣改造で経産相に転じ、高木毅前国対委員長が事務総長になった。この後に安倍元首相が決めた還付取りやめの方針が覆り、裏金は復活した。安倍派中堅議員が語ったところによると、
「塩谷、高木両氏が森元首相のところに相談に行った。安倍元首相が亡くなった後、森さんが持っていた派閥への影響力から考えると、当然のことだった。そこで森さんの『御宣託』で還流が復活した」
塩谷、高木両氏は自らの関与を否定しているが、この中堅議員は猛批判する。
「森さんが決めたことだから自分は関係ない、というスタンスなんだろう。本当に無責任な人たちだ」
岸田首相に近い関係者がボヤく。
「塩谷、高木両氏が本来なら責任をとって議員辞職ないし、離党すべきだった。何もしないから総理自ら聴取せざるをえなくなり、話が森さんにまで広がってしまった。事態を収束するはずが、余計に疑惑が大きくなってしまった」
岸田首相はこれまで政権の後ろ盾となってきた森元首相から事情聴取という、難しい決断を迫られることになった。
●裏金事件 還流継続に森喜朗元首相の影響力か 聴取にはリスクも 3/28
自民党安倍派の裏金事件が新たな局面に入ってきた。元派閥会長の森喜朗元首相が、2022年の還流復活に何らかの影響力を持っていた可能性が浮上。野党は森氏を事件の真相究明に向けた「本丸」と位置づけ、証人喚問を求めるなど厳しく追及し始めた。岸田文雄首相による幕引きシナリオは崩れつつある。
岸田文雄首相は28日の参院予算委員会で、立憲民主党の辻元清美氏から森氏を聴取するかを問われ、「森元首相も関係者の1人だ。政治責任を明らかにするために必要な方ということで、(聴取対象に)含まれ得る」と述べた。答弁を聞いた党幹部はこう漏らした。「何か含みを持たせた言い回しだったな。最後は首相がどう判断するか。聴取するなら首相が聞きに行くしかない」
首相はこれまで「森氏が直接関わったという発言があったとは、報告を受けていない」などと述べ、森氏の聴取に積極的とは言えなかったが、含みを持たせざるを得なくなったのは、首相自身が行った26〜27日の安倍派幹部の聴取後のことだ。 ・・・
●岸田首相「解散総選挙は全く考えず」裏金問題の自民党対応「総辞職もの。解散で決着を」挑発され 3/28
岸田文雄首相は28日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる責任論を問われ「衆院解散で決着をつけたらいいじゃないですか」との指摘に「まったく考えておりません」と否定した。
立憲民主党の辻元清美議員の質問に答えた。
辻元氏は、今回の裏金問題について「自民党としてどう責任を取るのか。国民から見たら総辞職ものだ、という認識はあるのか」と指摘。「もう、国民に処分を決めてもらうしかないんじゃないですか。総理も解散のタイミングを探ってるじゃないですか。そう見えますよ」とした上で、以前岸田首相が国会で、裏金に関与した議員を処分するまでは衆院解散をしない意向を示したことを念頭に「処分までは(解散を)しないとおっしゃった。(4月にも)処分するんでしょ? 解散で決着つけたらいいじゃないですか。どうですか」と、挑発するように首相に迫った。
これに対し岸田首相は「政治の信頼回復に向けて取り組まなければならず、自民党への厳しい目が注がれている強い危機感を持って、この取り組みをリードしなければならない。まずはこれに専念します」とした上で「解散・総選挙については全く考えておりません」とかわした。
この日の参院予算委員会は、委員会に先立つ理事会で裏金問題をめぐり、自民党が安倍派幹部に行っている再聴取についての説明が不十分と立憲民主党が反発し、開会が約2時間遅れた。辻元氏の質疑でも首相答弁内容をめぐり質疑がたびたび止まり、与野党協議が断続的に続き、昼前には委員長が「暫時休憩」を宣言する場面もあった。
委員会はその後再開され、審議されていた2024年度予算案は、与党の賛成多数で可決された。28日夜の参院本会議で成立する。
●自民裏金問題 不記載議員の処分は3段階 “総理続投”にも関わる岸田首相自身の処分は 3/28
自民党派閥のパーティー券収入のキックバック不記載問題をめぐり、岸田首相は安倍派幹部4人に対し自ら直接聴取に踏み切った。
26日には塩谷元文科相、下村元文科相、27日は西村元経産相、世耕前参院幹事長の計4人の聴取を行った。この4人の安倍派幹部は、2022年4月に安倍元首相が主導し廃止を決めたキックバックについて、安倍氏が凶弾に倒れた後の8月に復活について話し合った幹部会合に出席していた。
処分は3段階か キックバック復活に関わる安倍派幹部には最も厳しい対応検討
自民党の処分が4月上旬までに行われる見通しとなる中、処分はおおまかに3段階になる形で検討が進む。
最も厳しいのは、安倍派キックバックの復活への関与が指摘され、岸田首相が直接聴取を行った塩谷氏、下村氏、西村氏、世耕氏の4人となる見通しだ。
自民党の規約では処分が8段階で定められていて、4人には3番目に重い「党員資格の停止」や、4番目の「選挙での非公認」が検討されている。
4番目の「選挙での非公認」だと、自民党として選挙に立候補出来なくなり、衆議院・参議院とも選挙で比例からの立候補が出来ないことになる。衆院議員にとっては、小選挙区で敗北すれば、比例復活できず即落選という厳しい戦いを強いられる。
さらに3番目に厳しい「党員資格停止」となると、選挙の非公認に加えて、自民党の役職停止、自民党総裁選挙への立候補資格の喪失、小選挙区支部長の資格停止などが科される。加えて、自民党からの政治資金の交付が停止され、議員活動にとっては大きな痛手となる。
次に厳しい2段階目の処分の対象は、安倍派“5人衆”のうちキックバック復活に関わる幹部会に参加していなかった、松野前官房長官、高木前国対委員長、萩生田前政調会長らとみられる。処分は党の処罰の下から3番目となる「党の役職停止」などが検討されている。
自民党関係者は、党の処分の重たさについて「加点方式になる」との見方を示していて、対象者は不記載金額の大きさ、党の要職経験、派閥の役職経験が加味され、先の4人に比べれば軽いものの、その他の議員の中ではより厳しい処分が検討されている。
ただし「党の役職停止」とはいえ、松野氏、高木氏、萩生田氏はすでに問題発覚を受けて、政府や党の要職を辞任しているため “形式的処分”との批判も免れないとみられる。そのため、より重い「選挙での非公認」処分とすることも検討されている。
そして自民党は不記載議員全員への処分を検討しているが、上記の2段階の対象者を除く大多数の議員への処分としては、党のルールで下から2番目に軽い「戒告」処分が検討されている。
“総理大臣“は裏金問題で厳しい処分が”受けられない
不記載議員の処分が3段階で検討が進む中、残る焦点が、自民党総裁である岸田首相への処分だ。立憲民主党の杉尾議員は27日の参院予算委員会で、岸田首相について、安倍派議員幹部と同様に「党の役職停止」となった場合について「総裁を続けられないのではないか」と迫った。
これに対し、岸田首相は「私自身含めて党の手続き、党の判断が尊重されなければならない」と処分についてのルールを述べるにとどめ、自身への処分の有無については言及を避けた。
では、岸田首相に対し、安倍派幹部に検討されているのと同じ「党の役職停止」処分はあり得るのだろうか。
政治判断とは別に、自民党のルールだけをみると、総裁への厳しい処分は極めて難しいことがわかる。というのも、「党の役職停止」処分にした場合、岸田首相は、自民党総裁を辞任することになる。総理大臣は、第一党のトップが国会の総理大臣指名選挙で選ばれるという慣例に従うと、次の総理指名選挙で岸田衆議院議員は総理大臣に指名されないことになる。
つまり、岸田首相は、与党に何の足場もない立場となり、事実上 今期限りで退陣する判断と等しい処分となる。さらに「党の役職停止」より一つ厳しい「国会等の役職辞任勧告」については、政府の役職も含まれるため、総理大臣を辞任することになる。
「党の役職停止」以上に厳しい処分であれば、いずれも自民党総裁にとどまれないことから、事実上、首相退陣に直結することになる。
ただし、岸田首相自身も自民党としても、派閥裏金問題の処分での首相退陣は全く考えていないため、今回のケースでは「総理大臣は、自民党則の厳しい処分は受けられない」となるわけだ。
ただ、軽い処分として「戒告」「党則遵守の勧告」があるものの、自民党のトップとして迫られる処分としては、むしろ“軽すぎる”との誹りを受けかねないというリスクがある。
そもそも、岸田首相は周辺に対し、自民党議員への処分に関して「自身も含めといった覚えはない」と語っている。
岸田首相は4月2週目に訪米予定で、その前の4月上旬にも自民党の処分を決定し、一連の裏金問題のけじめをつけたい考えだ。このけじめで幕引きとなるのかどうか、その後の支持率の推移や、4月28日に予定される衆議院の補欠選挙の結果でその評価が下されることになる。
●参院予算委 締めくくり質疑で自民党の裏金問題、岸田総理の責任追及 辻元、熊谷両議員 3/28
参院予算委員会で3月28日、令和6年度(2024年度)予算案の締めくくり質疑が行われ、「立憲民主・社民」から辻元清美、熊谷裕人両議員が質問に立ちました。質疑終局後には高木真理議員が反対の立場から討論に立ちました。
辻元清美議員
辻元議員は、自民党の裏金問題について、岸田総理から事情聴取を受けた安倍派幹部の一部が「キックバック再開の判断には森元総理大臣が関与していた」と新たな証言をしたとの報道を受け、そもそも再聴取を始めた趣旨について確認。岸田総理は「党として政治責任を判断するにあたって疑念があったことについて聞き取り調査を行った。国民の皆さんが不十分だと感じていることに対して聞き取りを行うもの」だと説明し、2月の調査が不十分であったことを自ら認める形になりました。
辻元議員は「総理の言うことも自民党の言うこともまったく信じられなくなっている。ガバナンスの崩壊だ」と述べ、派閥の解消と言いながら、二階派、安倍派、岸田派のいずれからも27日時点で解散届が出ていないことも総務省に確認。財産等の処分を理由に手続きが遅れていると釈明する総理に対し、「お金はどうするのか。口だけで解散すると言ってもダメ。次の総裁選に向けて各派閥はお金の処理はしないのではないか」と迫りました。
辻元議員はまた、改正された自民党規約が適用されれば総理自身も離党勧告、除名の対象になるのではないかと指摘。「国民から見たら何派の裏金問題ではなく自民党の裏金問題。各派閥の責任以上に政党の自民党としての責任が問われている。総理、ご自身の責任をどう取るのか」と尋ねると、岸田総理は「実態の解明と説明責任、政治的責任を果たしていかなければならない。なおかつ再発防止に向けて法改正も含めて取り組んでいかねばならない。それをしっかりとリードしていくことが総裁の責任」などと答弁。辻元議員は「私は自分だけが生き残る権力闘争にも見える。国民から見たら総辞職ものだという認識はあるか。国民に処分を決めてもらうしかない。解散で決着をつけたらいいのではないか」と述べ、質疑を終えました。
熊谷裕人議員
熊谷議員は、2022年6月に岸田総理の地元である広島県のホテルで開催された、「衆議院議員岸田文雄先生 内閣総理大臣就任を祝う会」(以下、祝う会)をめぐる問題について追及しました。
「祝う会」は、「発起人」の一人が岸田総理の後援会長で、企画から運営までを岸田事務所の秘書が関与していたとされています。また、「祝う会」から岸田総理の政治団体には、寄附がなされています。
「祝う会」は当初、同年1月に開催される予定でしたが、コロナ禍のため「延期」されました。その「延期」の案内の文書には、「すでに会費をお振込みいただいている方につきましては、恐れ入りますが、改めて開催のご案内をする日まで当方にてお預かりさせていただきたく」と記載され、「お問い合わせ先」は「岸田文雄事務所」になっていました。
岸田総理は「祝う会」の主催は「任意団体」であり、岸田事務所は「手伝いをしていた」との答弁をくり返しましたが、熊谷議員は「(会費を預かっていた)『当方』は、岸田事務所としか考えられない」と強調。収支報告書が公表されない「任意団体」と強弁することについて、「(政治資金規正法の)抜け道、新たな錬金術だ」と断じました。
高木真理議員
参院予算委員会で3月28日、「令和6年度政府予算案」に対する反対討論を高木真理参院議員が行いました。
冒頭、高木委員は、予算審議、政治倫理審査会において、自民党の裏金疑惑について「闇が深まる結果」となり、「誰も責任を取らぬまま『知らぬ存ぜぬ納税せぬ』の姿勢」で、「国民の納税意欲を大いに減ぜしめた」と指摘。本予算案について「歳入たる納税を国民にお願いする前提を欠いたもの」と批判しました。
高木議員は反対の理由として(1)少子化対策(2)賃上げ――等をあげました。
(1)これまで30年間の政府の少子化対策の失敗原因の認識が甘く、多くのメニューを掲げた「加速化プラン」は、効果的とは言えない。アベノミクスなど、うわべの規制緩和がもたらしたコストカット経済が、人件費削減、非正規拡大、高い奨学金返済負担により、若者と女性の賃金を低く抑え、将来への希望の芽を摘んだ。しかし、本予算の照準はそこに合っていない。 財源についても、若者など現役世代の負担が大きい設計で、本末転倒と断じました。
(2)政府の掲げる「物価に負けない賃上げ」は、1度きりの減税という手法では効果を望むことができない。医療・介護・障害の報酬トリプル改定においては、人件費加算しても物価高に対しては不十分。特に訪問介護における基本報酬の切り下げは、廃業する事業者の続出が心配され、早期の期中改定を求めざるを得ない内容等と、反対の理由を述べました。
最後に高木議員は、「裏金余力のある企業・団体ではなく、失われた過去でもなく、記憶を失ってばかりの『無責任政治』から『まっとうな政治』へ」「『人へ、未来へ、まっとうな政治へ』立憲民主党が進めていく」と決意を述べました。
●自民党裏金問題「緩い幕引きは許さない」長妻政務調査会長 3/28
長妻昭政務調査会長は3月28日、国会内で記者会見を開き、(1) 訪問介護報酬引き下げ(2)「次の閣議(NC)」審査案件(3)自民党裏金問題 (4)次期戦闘機輸出の閣議決定(5)紅麹サプリメント問題――等について発言しました。
訪問介護報酬引き下げ
訪問介護の基本報酬の引き下げが決まり、4月1日から施行されることについて、長妻政調会長は、「小規模事業者が軒並み廃業に追い込まれる可能性があり、危機が迫っている。それを防ぐため、法案(議員立法)を準備している」と述べました。
「次の閣議(NC)」審査案件
本日行われる「次の閣議(NC)」について、「NTT法改正案」、「IMFに関する改正案」、「地域における生物多様性の改正案」等を審議する予定であると報告しました。
自民党裏金問題
自民党の裏金問題をめぐり、政治倫理審査会で明らかになっていない事実が漏れ出ているとして、長妻政調会長は「あらためて証人喚問の必要性があらわになった。衆参10人の議員に証人喚問を求めている」と述べました。その上で、コロナ禍の緊急事態宣言発令中に銀座のクラブで会合を行った3人の議員や、郵政民営化に造反した約30人の議員に対し、自民党が「離党勧告」と重い処分を行ったことを例に挙げ、「これ以上のもの(処分)が出るのが当然」「緩い幕引きは許さない。最低限、税金は払ってもらいたい」と述べました。
次期戦闘機輸出の閣議決定
次期戦闘機の第三国輸出を解禁する閣議決定がされたことを受け、長妻政調会長は、「これまでは、殺傷能力のある武器を移転することは国際紛争を助長することになりかねないため、行わないとした憲法の平和主義に基づく理念の考えを政府が転換した。転換するとしたことについて、国会では報告が何もない」「基本的に共同開発自体を否定するものではないが、コンセンサス等が非常に不十分で乱暴」と指摘し、政府に説明を求めていくと述べました。
紅麹サプリメント問題
小林製薬が販売した「紅こうじ」を含んだサプリメントにより健康被害が相次いで確認されていることについて、長妻会長は、原因がまだ解明されていないとした上で、問題の要因の1つとして、2015年にアベノミクスの「第3の矢」の一環で創設された「機能性表示食品」について言及しました。国の審査を経ずに、事業者の責任で一定の健康効果を表示できるため、市場規模も7000億円近くに拡大していると問題提起し、「健康に関わることは国の関与を強めてほしい」「根本的な原因の解明をして改善策を政府は出してほしい」と述べました。
●事業継承や再構築へ買収と合併促す考え 総理 3/28
岸田文雄総理は26日開いた新しい資本主義実現会議で「春季労使交渉は日本経済のデフレ後戻りか、完全脱却かの正に正念場だ」と改めて強調し、賃上げ後押しと中小・小規模企業の労働生産性引上げへの省力化投資に官民全力で取組む」姿勢を強く示した。
岸田総理は「岸田政権では昨年を上回る水準の賃上げを目指してきた。現在のところ、連合の第2回集計結果で昨年同期の賃上げ率3.76パーセントに対し5.25パーセント、中小企業もこれまでのところ昨年同期の3.39パーセントに対して4.50パーセントと、昨年を大きく上回る賃上げの流れができている」とした。
岸田総理は事業承継について「同族承継に加え、企業内部からの昇格やM&A(買収と合併)による外部からの就任が増加していることに鑑み、承継支援の多様化を図る」とし、事業の再構築に関してもM&Aに関して「事業再構築の支障とならないよう事業再構築に当たって経営者保証を見直す枠組みを検討する。民間の側でも地方銀行などの金融機関がM&Aの事業統合作業を含め仲介サービス業務を強化していただくことを要請する」とM&Aを促す考えだ。
●北朝鮮が他国との外交交渉の経緯を暴露する四つの理由、鉄壁の秘密主義に「混乱」? 3/28
北朝鮮の金正恩総書記の実妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が3月26日、「日本側とのいかなる接触も拒否する」という談話を発表した。与正氏は25日、日本が日朝首脳会談を提案していたと暴露する一方、日朝協議になお意欲を示したばかりだった。北朝鮮はなぜ、朝令暮改のような動きをするのか。その答えは、25日にあえて交渉経過について明らかにするという予想外の行動に出た背景にありそうだ。
交渉過程を一方的に明かすのは外交のタブー
与正氏は26日の談話で、日本人拉致問題の解決に意欲を示す日本政府の姿勢を批判。「解決不可能で、また解決するものもない克服不可能な問題にしがみついている」と批判した。そのうえで「朝日首脳会談は、われわれにとって関心事ではない」と切り捨てた。
朝鮮中央通信は26日、与正氏の日朝関係を巡る談話を伝えた。この談話の予兆はすでに前日の25日に与正氏が発表した談話に現れていた。
与正氏は、岸田文雄首相が最近、あるルートを通じて「早期に金正恩氏と直接会いたい」と伝えてきたことを暴露し、「日本が、これ以上解決するものもない拉致問題に没頭するなら、岸田首相の構想が人気集めにすぎないという評判を避けられない」と主張した。北朝鮮が岸田政権に対して秋波を送るのは、昨年5月の外務次官談話、今年1月の金正恩氏の岸田首相にあてた能登半島地震のお見舞い電、2月の与正氏談話に次ぎ、4度目だったが、「交渉の経過」を暴露した点で極めて異例の内容だった。
もともと、日本は2018年、安倍晋三政権当時から「北朝鮮との無条件での対話」を掲げてきた。岸田首相も折に触れて、この方針を確認してきた。日本政府関係者も「総理が金正恩に会談したい考えを伝えること自体、従来の方針に沿った動きだ。別に驚くに値しない」と語る。ただ、外交の世界で、相手の了解も得ずに交渉の一端を明かすことはタブーにあたる。
特に北朝鮮は、西側諸国が「Hermit Kingdom(隠者の王国)」というニックネームをつけるほど、徹底した秘密主義で知られる。
2002年9月の日朝首脳会談をおぜん立てした国家安全保衛部(現国家保衛省)の柳敬(リュギョン)第一副部長は、1年以上にわたる日朝の事前接触の際、協議の場所を毎回変えるよう、日本側に要求した。協議の場では、側近が必ず部屋の窓のカーテンを下ろした。柳敬氏は自分の名前を「キムチョル」と偽った。柳氏は2010年12月にソウルを極秘に訪問した際、韓国側に「私は自分の本名を日本のやつらには教えなかった」と自慢したという。ソウルへの訪問も、一般人の目につくことを恐れ、南北軍事境界線を越えるルートを使ったという。
複数の外務省関係者は、特に北朝鮮は日朝協議の際、秘密保持に神経を遣っていたと証言する。関係者の一人は、日朝双方の思惑として「特に日本人拉致問題は世論の関心が集まりやすい。公表すれば、各方面から様々な主張が噴出し、協議を進められなくなると懸念した」と語っていた。
暴露の背後に「四つの理由」
ただ、25日の与正氏の談話のように、北朝鮮が時々、外交協議の中身を暴露することがある。そこには大略、四つの理由が潜んでいる。
第一の理由は「自慢」だ。
2009年8月、米国のビル・クリントン元大統領らが訪朝した。北朝鮮が拘束した米国人ジャーナリスト2人を解放するためだった。同行したデイビッド・ストラウブ元米国務省朝鮮部長によれば、金正日総書記はクリントン氏との夕食会で、ずっとくだらないやり取りを続けた。
唯一、目立った動きといえば、金正日氏がチケットを3枚見せてクリントン氏を誘った場面くらいだった。金正日氏は「ミスター・プレジデント、私は今夜のアリラン・マスゲームのチケットを3枚持っている。1枚は私、1枚は私の愛人、そしてもう1枚はあなたのものだ」と語り、繰り返し、マスゲーム見物に誘ったという。
ストラウブ氏は「北朝鮮はなぜ、こんな意味のない会談に我々を誘ったのか、と考えた。唯一の結論は、我々との写真を公開して北朝鮮の人々に見せ、自分がどれほど偉大なのかを見せつけたかったからだというものだ」と語る。
第二の理由は「怒り」だ。
北朝鮮の国防委員会報道官は2011年6月1日、南北朝鮮が5月に北京で秘密接触し、その席で韓国側から3次に分けた首脳会談の提案を受けたと暴露した。北朝鮮はこの直前の同年5月30日、当時の韓国・李明博政権を「これ以上、相手にしない」とする声明を発表していた。韓国政府関係者は当時、「我々が北朝鮮の要求に応じなかったため、意趣返しのつもりで暴露したのだろう」と語っていた。日朝協議を担当する宋日昊・朝日国交正常化担当大使も過去、訪朝した関係者らに「過去の日朝協議のやり取りはすべて録音してある」と脅したこともあった。
第三の理由は「軽視」だ。
2013年5月、飯島勲内閣官房参与らが秘密裏に訪朝した。朝鮮中央テレビは即座に、飯島氏の平壌到着を伝えた。韓国政府関係者らは当時、「北朝鮮は飯島氏との交渉に興味がないから暴露したのだろう。米国や韓国を意識し、飯島氏らを政治的に利用するつもりだ」と語っていた。
そして、第四の理由は「混乱」だ。
外部から眺めれば、北朝鮮は鉄の団結を誇る独裁国家のようにみえる。だが、その内情は複雑だ。北朝鮮ではトップが権力を維持するため、すべての組織が縦割りになっている。「常務組(サンムジョ)」という臨時のタスクフォースを作ることを認めた場合以外、各組織が横断的に情報交換したり協議したりすることを許していない。
3月21日、北朝鮮はアジアサッカー連盟(AFC)に対し、26日に予定されていた2026年ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の対日本戦の平壌開催を断念する考えを伝えた。しかし、日本政府が同日、ビザ発給地になっている北京の北朝鮮大使館に問い合わせたところ、北朝鮮大使館はこの事実を知らなかった。総合的な判断ができずに、先走った報道をする事態も考えられる。
「粗雑な印象」は世代交代の余波?
外務省の元幹部は、「ロイヤルファミリー」の金与正氏を何度も引っ張り出したり、交渉の経過を暴露したりする最近の北朝鮮の報道について「従来のトラディショナルな北朝鮮外交のスタイルからみて、非常に粗雑な印象を受ける」と語る。「(世代交代の余波で)金正恩氏の側近に、外交センスと経験がある人物がいないのかもしれない」とも指摘する。
金与正氏が25日の談話で日朝協議の一端を暴露した背景には、四つの理由すべてが混在しているように見えた。
北朝鮮の国内向けメディアである労働新聞は今のところ、金与正氏の談話を報じていない。ただ、日朝関係筋によれば、北朝鮮は最近、一般市民を政治的に洗脳する「講習会」で「最近、日本が最高指導者との会談を求めてきている」と説明しているという。「うちの最高指導者は、日本が会ってくださいとお願いするほど、偉いんだ」という「自慢」の思惑がそこにはある。
「怒り」の感情もある。金与正氏は2月15日付の談話で「解決済みの拉致問題を障害物としなければ」という条件をつけたうえで、「(岸田文雄)首相が平壌を訪問する日が来る可能性もある」と指摘した。だが、林芳正官房長官は翌16日の記者会見で「拉致問題は解決済み」とする北朝鮮の主張について「全く受け入れられない」とはねつけた。3月25日の金与正氏の談話は再び、拉致問題を解決済みと強調。「うん」と言わない日本に対するいら立ちや怒りの感情が透けて見える。
「軽視」もある。北朝鮮が日本に接近する背景には、来年1月に米国でトランプ政権が再登場することを見越した事前準備という側面がある。
北朝鮮はトランプ政権に核保有や在韓米軍撤退などを要求するだろう。その際、北朝鮮の要求に応じないようトランプ政権を説得した安倍元政権のように、日本に米朝協議を邪魔されてはたまらないと考えているようだ。
ただ、支持率が2割程度しかない岸田政権が来春以降とみられる新たな米朝協議の時点まで続いている可能性は高くないだろう。北朝鮮が「どうせ、日本側の協議相手はポスト岸田政権になる」と考えても不思議はない。交渉相手として利用価値がないため、日米韓を離間する材料として、日朝協議を暴露している側面もあるだろう。
そして、サッカーW杯予選で見せたように、北朝鮮の内部は少なからず混乱している。最近は、金正恩氏が祖父や父が唱えた南北統一政策を放棄したため、北朝鮮内部で理論的な混乱が起きている。
偵察総局や党統一戦線部など、韓国と関係がある部署や人員も再編を迫られているという。意思統一がうまくいかなくなって、25日の「交渉の暴露」につながったのかもしれない。
こうした背景から、25日の談話をみて、「日朝首脳会談が近づいた」と考える必要はなさそうだとみていた。北朝鮮の過去の外交に照らすと、上述の4つの理由が含まれる場合、北朝鮮は往々にその外交を軽く扱ったり、破壊したりするケースがほとんどだったからだ。
案の定、北朝鮮は26日、「日本との交渉には応じない」と言い出した。もちろん、この発言もうのみのする必要はない。北朝鮮に余裕があるのなら、もっと鷹揚(おうよう)に構えるだろう。金与正氏の談話を乱発するところに北朝鮮の焦りが透けて見える。
●経済秘密保護法案 日弁連が院内集会で告発 数十万人が調査対象 3/28
日本弁護士連合会は27日、岸田政権が今国会に提出した経済秘密保護法案(重要経済安保情報保護法案)の危険性を告発する国会内集会を開き、日本共産党をはじめ多くの国会議員が参加しました。数十万人規模の市民が安全保障の名でプライバシーを侵害される危険性が語られました。
法案は、2013年に成立した秘密保護法を経済分野に拡大するもの。政府が経済安全保障上重要だとした情報を秘密指定し、その情報に接触できる人物を「適性評価」で選別します。情報漏えいには5年以下の拘禁刑などの罰則が科されます。
日弁連副会長の斎藤裕弁護士は、人権侵害の恐れが極めて高い法案を政府・与党が拙速に進めようとしていると批判。同秘密保護法・共謀罪法対策本部の三宅弘本部長代行は、適性評価のための調査で「公安調査庁や内閣情報調査室が諸外国の例にならえば数十万人の情報を取りまとめることにもなる」とし、監視社会につながる危険が高いとして反対を表明しました。
京都大学の高山佳奈子教授は「研究機関を防衛産業の道具にしようとするもの」だと指摘。日本学術会議の任命拒否の当事者の一人でもある立命館大学の松宮孝明教授は、適性評価のための調査が首相名で行われることに触れ「学術会議法を守らなかったのが当時の内閣総理大臣だ。法を守らない政権に本法を与えてはならない」と訴えました。
●地元あげ反対 断念を うるま陸自訓練場計画 3/28
国の対応「乱暴」首相認める 参院予算委
日本共産党の山下芳生議員は27日の参院予算委員会で、防衛省が地元に何も知らせずに沖縄県うるま市石川に陸上自衛隊訓練場をつくる計画を昨年12月に発表し、推進している問題で、保守・革新の立場を超えて広がっている市民の反対の声を受け止め、計画を断念するよう迫りました。
山下氏は、沖縄県議会が全会一致で採択した「計画の白紙撤回を求める意見書」(7日)が、地元自治会や市、県に知らせずに発表された計画であり、予定地は閑静な住宅街や、年間4万人の児童生徒が利用する自然学習施設に隣接していることを危惧していると指摘。「意見書を重く受け止め、計画を白紙撤回、断念すべきだ」と強調しました。
岸田文雄首相は「防衛省に検討させ、結論が得られれば丁寧に説明させたい」と述べるにとどめました。
山下氏は、20日の市民集会で元自民党県議の伊波常洋共同代表が、地元の頭越しで計画を進める国の姿勢を批判し、「うちなー、うしぇーらってーならんどー(沖縄を侮ってはならないよ)」と訴えたことを紹介し、「この声をどう受け止めるか」と迫りました。岸田首相は「これまでの対応が乱暴だという指摘は真剣に受け止めなければならない」と答えました。
山下氏は、岸田政権が進める南西諸島への長射程ミサイル配備は米国の戦略に従い、沖縄を再び戦場にするものであり、「新たな訓練場建設は、その一環だ」と批判しました。
●「岸田首相の覚悟が問われる」柳沢秀夫氏 「森さんなら納得」中室牧子慶大教授 自民裏金問題 3/28
ジャーナリストの柳沢秀夫氏が28日、テレビ朝日系「大下容子ワイドスクランブル」に出演した。自民党派閥の政治資金裏金疑惑問題で、森喜朗元総理が裏金のキックバック再開の判断に関与したと一部で報じられた件で、森元総理の聴取について、「(岸田さんの)覚悟が問われます」と話した。
「本当に関与したとすれば参考人招致、証人喚問ということになるが、岸田総理が果たしてそれをできるでしょうか。覚悟があるのか、度胸があるのか、場合によって、今の岸田政権がどうなるのか分からなくなるくらいまでのインパクトがあると思うんです。国民はじっと見ていますから」と補足した。
また、コメンテーターの中室牧子慶大教授は、「森さんの名前が出てきた時には納得がいくと思った。安倍さんが決めたこと(キックバックの禁止)を覆したということは、政倫審に出ていた人たちが決定したのは不自然に思えた。森さんが決定に絡んでいたというのは何となく納得できる」と語った。
●辻元清美氏、紅こうじ問題で「安倍政権時代の行きすぎた規制緩和にも一因」岸田首相に見直し要求 3/28
岸田文雄首相は28日の参院予算委員会で、小林製薬(大阪市)の「紅こうじ」サプリメントをめぐり死者が確認された健康被害問題について「まずは原因の特定が必要だ」とした上で、「いかなる対応が必要か政府として検討していく」と述べた。
立憲民主党の辻元清美議員の質問に答えた。
今回の問題に関連しこれまで2人の死亡が確認されていたが、新たに死亡との関連が疑われる事例が2件報告されたことが、この日明らかになった。
辻元氏は「思い起こせば、安倍政権時代に健康食品のビジネスチャンス、アベノミクスの成長戦略のひとつとして(機能性表示食品の条件を)届け出だけにした。これが安全規制の行きすぎた規制緩和と当時からも批判があったが、ここに一因があるんじゃないかという指摘も出ている」と指摘。「死者が増えている。規制緩和の見直しも含めた再発防止に即座に着手すべきではないか」と述べ、現在の制度の見直しが必要ではないかとただした。
これに対し、岸田首相は「まずは原因の特定が重要」とした上で「関係省庁で連携して連絡会議を昨日開き、本日、厚生労働省の審議会を開催するなど、取り組みを進めている。原因の特定を進めた上で再発防止にいかなる政策が必要なのか。委員のご指摘も踏まえた上で、政府としても検討して参ります」と応じた。
●岸田総理 聴取対象に森元総理「含まれ得るが調整中」 キックバック再開関与は「今の段階で明らかにするの控える」 3/28
岸田総理は自民党の派閥の裏金事件をめぐり、関係者に行っている聞き取り調査の対象に森元総理が「含まれ得るが調整中」だという認識を示しました。
立憲民主党 辻元清美代表代行「新しい聞き取りでもキックバックの再開の判断には、森元総理が関与していたというような答弁はないということでよろしいですか」
岸田総理「今の段階で追加の聞き取り調査の内容については明らかにしない。なぜならば、聞き取り調査を続行してるわけですから、全体として整理をした上で明らかにすると申し上げています」
参議院の予算委員会で岸田総理は、きのうまでに行った安倍派幹部への聞き取りで、かつて派閥の会長を務めていた森元総理がキックバック再開に関与していたとの証言が出たのではないかという指摘について、「内容については明らかにしない」と繰り返しました。
また、岸田総理らが行っている関係者への聞き取り調査の対象に森元総理が入るか問われると、「関係者の1人であり、政治責任を明らかにするために必要な方ということで含まれ得る」と答えました。
ただ、実際に追加で聴取する人が誰なのかは「調整中」だとしています。
●自民党議員「森喜朗の御宣託で裏金が復活した」で岸田文雄が頭を抱える「事情聴取」と「疑惑拡大」 3/28
自民党最大派閥だった清和政策研究会(安倍派)の裏金問題で、岸田文雄首相から事情聴取を受けた安倍派幹部の証言として、日本テレビは「キックバック再開の判断には森喜朗元首相が関与していた、と証言した」と報じた。野党側から森元首相の国会招致を求める声が強まることになりそうだ。
安倍晋三元首相が暗殺された後の2022年8月、当時、会長代理だった塩谷立氏、下村博文氏、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長、立件された事務局長の5人が集まった。塩谷氏は衆院の政治倫理審査会(政倫審)で「予定した還付がないと困るという流れの中で『今年は継続』という曖昧な感じで事務的に行われた」と述べたが、他の出席者は「結論が出たわけではない」と証言した。
その後、西村氏が内閣改造で経産相に転じ、高木毅前国対委員長が事務総長になった。この後に安倍元首相が決めた還付取りやめの方針が覆り、裏金は復活した。安倍派中堅議員が語ったところによると、
「塩谷、高木両氏が森元首相のところに相談に行った。安倍元首相が亡くなった後、森さんが持っていた派閥への影響力から考えると、当然のことだった。そこで森さんの『御宣託』で還流が復活した」
塩谷、高木両氏は自らの関与を否定しているが、この中堅議員は猛批判する。
「森さんが決めたことだから自分は関係ない、というスタンスなんだろう。本当に無責任な人たちだ」
岸田首相に近い関係者がボヤく。
「塩谷、高木両氏が本来なら責任をとって議員辞職ないし、離党すべきだった。何もしないから総理自ら聴取せざるをえなくなり、話が森さんにまで広がってしまった。事態を収束するはずが、余計に疑惑が大きくなってしまった」
岸田首相はこれまで政権の後ろ盾となってきた森元首相から事情聴取という、難しい決断を迫られることになった。
●孤立化しつつある岸田首相の進退は?国民の審判が下る4月の衆院補選 3/28
国民に耳に痛いことが言えなくなっている─。2024年度予算案は異例の展開で土曜日の2日に衆院を通過し、3月中の成立が確定した。日経平均株価は史上最高値を記録し、一時4万円を突破。春闘も大幅な賃上げの方向で、世の中が好転しつつあるようにみえる。しかし、政界はいまだに自民党の裏金問題が尾を引き、首相の岸田文雄の政権運営を直撃。裏金問題発覚後、初の国政選挙となる4月の3つの衆院補欠選挙は岸田政権の今後を決める試金石となるが、果たして国民はどう判断を下すか。
またサプライズ
岸田は2月29日、衆院政治倫理審査会に臨んだ。現職首相の出席は初めてで、突然の発表だった。
政倫審の開催の有無は、2024年度予算案の3月中成立を確実にしたい政府の意向を受けた与党と野党の駆け引き材料となった。憲法の規定では、予算案を3月2日までに衆院を通過させ、参院に送付すれば、参院が議決しなくても3月中に成立する。
裏を返すと、衆院通過が3日以降にずれ込めば、参院の審議次第で成立が年度をまたぐ可能性があり、24年度の暫定予算を組まなければならない事態も想定された。
元日に発生した能登半島地震への対応を含む予算案の成立を、例年よりも遅らせる選択肢は岸田の中になかった。岸田はもともと経済再生を確実にするための起爆剤として24年度予算案を考えていた。2日は土曜日だったが、平日のように午前中から予算委員会を開き、夕方に本会議で可決した。
それにしても「突発性決断症候群」とも称される岸田のサプライズは最近、特に目立つ。
安倍派などの自民党派閥の政治資金パーティー不記載への批判が高まった昨年12月7日、岸田は自らが会長を務める岸田派からの離脱を突然表明した。首相就任後も派閥会長であり続けた例は過去にほとんどない。先例にこだわらず、派閥会長の座にあり続けた岸田だけに、驚きを持って受け止められた。
今年1月18日には、その岸田派を解散する意向を発表した。後見人の党副総裁・麻生太郎(麻生派会長)や、幹事長の茂木敏充(茂木派会長)にも事前に知らせていなかった。
そして2月28日、岸田は政倫審に出席すると表明した。これを予想できた永田町関係者は皆無だろう。麻生、茂木や、政倫審を含めて国会全般の運営を担う自民党国対委員長の浜田靖一も「聞いてねえ」と漏らした。
岸田の表明直前、与野党の交渉は、塩谷立、西村康稔、松野博一、高木毅ら安倍派事務総長経験者が出席するか否か、出席する場合は公開か非公開かを巡り膠着状態に陥っていた。岸田の出席は野党すら求めておらず、立憲民主党国対委員長の安住淳は「驚いた。なんか嫌疑あるんですか?って感じで」と告白したほどだ。
反転攻勢ならず
国会運営上は、岸田の政倫審出席は狙い通りの結果をもたらした。出席や公開を渋っていた塩谷らが岸田に追随したからだ。
2月29日と3月1日に行われた政倫審は、現職首相の出席が初めてならば、特定の事案で複数人(今回は計6人)が出席したのも初めてだった。しかし、新しい内容は乏しかった。
それはそうだろう。出席した安倍派の4人はすでに検察の任意の聴取を受けていて、政治資金規正法に違反するような証拠がなかったからこそ立件されなかった。自民党幹部は「政倫審を開催したこと自体に意味があった」とうそぶく。
ただ、政府・自民党が難局を乗り切ったわけでもない。むしろ安倍派幹部間の矛盾が露呈したからだ。安倍派会長だった安倍晋三は22年4月、安倍派のパーティー収入を所属議員に現金で還元することをやめることを幹部に提案し、決定した。
しかし、安倍死去後の同年8月に幹部が集まった会合について、塩谷が政倫審で「仕方なく継続となった」と述べたのに対し、西村は「結論は出なかった」と証言。モヤモヤ感が残った。
政倫審開催に至る自民党の右往左往ぶりもマイナスの印象を与えた。安倍派議員の中には「派閥事務局の不記載指示」に基づいて政治資金規正法に反する形で裏金をつくっていた議員が多数いた。にもかかわらず、幹部は誰も立件されず、閣僚や党幹部の職を辞任したとはいえ、道義的な責任を明確に果たしたわけでもない。政倫審への出席や公開を渋る幹部の姿に「情けなく、みっともない」(安倍派中堅)との不満が渦巻く。
茂木をはじめとする自民党幹部も、安倍派幹部に政倫審出席を促した形跡はない。このままでは予算案審議が停滞し、3月までの成立が危ういと感じた岸田が自ら打ち出した打開策が自身の政倫審出席だった。
岸田が2月28日に記者団に政倫審出席を表明した際の言葉は、従来とは少し異なっていた。岸田は「政治の信頼回復に向けて、ぜひ志のある議員に政倫審をはじめ、あらゆる場で説明責任を果たしてもらうことを期待している」と述べた。
岸田が「志」という感情に訴えるような言葉を使うことは珍しい。岸田の国会答弁は官僚的、悪く言えば無味乾燥であり、街頭演説なども含め情熱的なスピーチと縁遠い。
岸田は政倫審冒頭の弁明で「後来の種子いまだ絶えず」という幕末の志士・吉田松陰の言葉を引用し、「今の政治を未来の政治に自信を持って引き継いでいくことができるか」と訴えた。松陰の言葉は「志を受け継いでくれる者がいれば、まいた種が絶えることなく実りを迎えていく」との意味だ。安倍が生前、「先生」と慕っていた松陰の言葉であり、安倍の家族葬で妻の昭恵も触れていた。
安倍の遺志を継承しているとは思えない安倍派幹部への当てつけにも聞こえたが、いずれにせよ、めったに使わない言葉を使ったところに岸田の不退転の決意が垣間見えた。
自民党幹部に相談しなかった政倫審出席は、言ってみれば世論を気にした決断だったともいえる。3月中の予算成立を確実にしたことは、政権運営上では大きな効果があったに違いない。しかし、世論調査の結果は惨憺たる状況だ。
TBS系のJNNが政倫審後の3月2、3両日に実施した世論調査によると、内閣支持率は岸田内閣として過去最低の22.9%、不支持率は過去最高の74.4%だった。
共同通信の世論調査(9、10両日)でも内閣支持率は20.1%となり、前月比で4.4ポイント下がって岸田内閣として過去最低を更新した。政倫審に出席した安倍派幹部らについて「説明責任を果たしていない」との回答は91.4%に上り、自民党の政党支持率24.5%は12年12月の政権復帰以降、最低となった。昨年11月に裏金問題が表面化したときよりも悪化していることになる。
4月補選はいばらの道
政倫審が好感を持って受け入れられなかったことで、自民党にとっては4月28日投開票の日程で行われる東京15区、島根1区、長崎3区の3つの衆院補欠選挙に暗雲が漂う。
岸田は予算案の衆院通過の直前、周辺に「まずは予算を確実に成立させる」と語った。一時は自民党内にも「予算成立を花道に退陣だろう」(閣僚経験者)という声があったが、岸田には、まったくその気がない。
自民党の不祥事が完全に解決していない中での4月解散説もあるにはある。補選前に衆院が解散されれば、補選は回避され、総選挙で自民党が勝利すれば政権を安泰させることができるという見方だが、今となっては、さすがに現実的ではないだろう。
岸田は、ひとまず4月補選で勝負するしかないことになりそうだが、裏金問題で自民党に所属していた谷川弥一が議員辞職したことに伴う長崎3区は不戦敗の様相だ。前議長の細田博之の死去に伴う島根1区も厳しい戦いを強いられている。
島根は自民党有数の金城湯池である。小選挙区制となった1996年以降の選挙はすべて細田が当選し、中選挙区制だった島根全県区時代も自民党系候補が常にトップ当選だった。
自民党は今回、財務官僚だった新人の錦織功政が立候補するが、細田の世界平和統一過程連合(旧統一教会)との関係やセクハラ問題に加え、細田が細田派として会長を務めていた安倍派の裏金問題も直撃し、「細田ショック≠ナ地元が一致結束できていない」(自民党島根県連幹部)という。立憲民主党が擁立する亀井亜紀子は元職で、同党が総力戦で臨む構えだ。
注目される小池の動向
そんな中で唯一、脈がありそうなのが東京15区だ。自民党に所属していた元法務副大臣の柿沢未途が江東区長選を巡る公職選挙法違反(買収など)で逮捕、起訴となり、辞職したことで行われる。
一連の事件による江東区長の辞職に伴い昨年12月に行われた区長選では、東京都知事の小池百合子(都民ファースト特別顧問)が主導した元都部長の女性候補を、都民ファのほか、自民党や公明党が推薦。立憲民主党などが推した候補らを破り当選した。
今年1月の東京・八王子市長選でも、自民、公明が推薦した元都局長の男性が当選した。都民ファは推薦こそしなかったが、小池自身が応援に入り、裏金問題の逆風をはねのけた。
自民党都連には「もう小池さんに足を向けて寝られない」との声が広がっている。「江東区長選方式」ともいえる手法を、選挙区域が全く同じ4月の東京15区補選で適用できれば、自民党の「勝利」に位置付けられるという目算だ。
永田町では、低迷する岸田を脅かす有力な後継候補が不在の中、小池が自ら東京15区補選に出馬して勝利し、国政復帰した上で9月の総裁選を勝ち抜き、首相を狙っているのではないか、との臆測も広がる。
とはいえ、小池も今年7月で72歳。そもそも2016年の都知事選で自民党と敵対して出馬し、17年の衆院選では希望の党を立ち上げて対立した経緯がある。自民党に戻ったところで、派閥が事実上解消された党内で小池を本気で支えるような勢力も支持基盤も見当たらない。健康不安説が定期的に浮上しては沈む小池が7月の都知事選の立候補さえ見送るのではないかともささやかれる。
いずれにせよ、今の自民党が窮地であることに変わりはない。岸田は3月8日で首相在職887日となり、今太閤ともてはやされた田中角栄を抜いて戦後の首相の通算在職で歴代9位となった。まがりなりにも安定してきた政権が続くのか、それとも首相交代につながって再び政界が混迷するのか。
4月の補選は、単なる一部地域の補選ではなく、日本の今後を左右することにもなる。
●世界の食品廃棄1日10億食以上、8億人が飢えに直面 国連報告書 3/28
国連環境計画(UNEP)は27日、食品廃棄指標報告2024年版を発表し、世界で1日10億食以上が廃棄されている一方で、およそ8億人が飢えに苦しんでいると指摘した。
それによると、2022年に世界で廃棄された食品は10億5000万トン。家庭や飲食店、小売店などで食品の約5分の1が廃棄されている計算になる。
加えて、世界の食品の13%は農場から食卓へ行く途中で廃棄される。合計すると食品の約3分の1が製造過程で捨てられている。
対照的に、世界の人口のおよそ3分の1は食料不安に直面し、7億8300万人が飢えに苦しんでいる。
同報告書は、食品「廃棄」を家庭や飲食店、小売店などで捨てられる食品と定義。一方、畑で腐った野菜や冷蔵せずに傷んだ食肉など、サプライチェーンの早い段階で捨てられる場合は食品「ロス」と呼んで区別している。
22年に家庭で廃棄された食品は6億3100万トンで全体の60%を占め、飲食サービス業界の廃棄は28%、小売店は12%だった。
1人あたりの年間廃棄量は79キロ。つまり、食べられる食品が1日あたり10億食以上、家庭で廃棄されていることになる。
報告書によると、食品ロスや食品廃棄から排出される温室効果ガスは8〜10%を占め、航空業界の排出量のほぼ5倍に当たる。それにもかかわらず、食品ロスや食品廃棄を国の気候変動対策に盛り込んでいる国は21カ国にとどまる。
気候変動対策ではガス排出規制に注目が集まる一方で、食品廃棄という日常的な問題は見過ごされる傾向があるとしている。 

 

●震度7と誤発表の原因 “7時間前の震度7と一連の地震” と処理 3/29
能登半島地震が起きた元日の夜遅くに、気象庁が誤って石川県で震度7の揺れを観測したと発表したことについて、気象庁が原因を調べた結果、システムに不備があり、この時の地震とおよそ7時間前の震度7の地震を「立て続けに起きた一連の地震」として誤って処理していたことが気象庁への取材で分かりました。
能登半島地震が起きた元日の午後11時すぎ、気象庁は石川県で震度7の揺れを観測したと発表しましたが、そのあと震度3の誤りだったとして取り消しました。
誤って発表されたのは、石川県で震度7の揺れを観測した午後4時すぎの震度の情報と同じ内容で、気象庁はミスが起きた原因を調べていました。
その結果、午後11時すぎに地震が起きた際、地震を監視するシステムがこの地震と午後4時すぎの地震を「立て続けに起きた一連の地震」として誤って処理していたことが気象庁への取材で分かりました。
「一連の地震」として扱う場合は揺れの大きい方を選択するしくみになっているため、震度7の情報が再び発表されたということです。
2つの地震はおよそ7時間の差がありましたがシステムに不備がありチェックがはたらきませんでした。
また、午後4時すぎの震度7のデータを、そのあとに相次いだ地震のデータと同じ場所に保存し続ける異例の対応をとっていたことも原因だということです。
気象庁は、今回のようなミスが起きるのはまれだとしたうえで、来月までにシステムを改修しチェック機能を強化することで再発を防ぐことにしています。
●岸田首相、裏金問題関係者「できれば来週中にも処分」 世耕氏「素通り」動画も注目集まる 3/29
政府の2024年度予算が24年3月28日、参院本会議で与党の賛成多数で可決、成立した。これを受けて岸田文雄首相が開いた記者会見では、自民党派閥をめぐる「裏金」問題で、来週中にも関係者を処分する意向を明らかにした。
政治資金規正法改正「この国会中にやる」
24年度の一般会計予算は112兆5717億円で、過去2番目の規模。記者会見で岸田氏は「震災対応を始め、重要施策を全速力で実行していく」と述べた。裏金問題については、記者の質問に答える形で、追加で関係者からの聴取を行っているとして「できれば来週中にも処分が行えるよう、プロセスを進めていきたい」とした。政治責任、道義的責任の果たし方については「不記載の金額や程度です、それぞれの政治家としての役職や議員歴、さらには説明責任の果たし方を含む信頼回復に向けた努力の状況、こういったことを総合的に判断していく」と説明。政治資金規正法改正について「この国会中にやる」とも話した。
27日に岸田氏の聴取を受け、処分の対象になると考えられているひとりが自民党の世耕弘成前参院幹事長。参院本会議の採決で、多くの議員が岸田氏に一礼していく中、岸田氏の前を目も合わせずに素通りする様子の動画が拡散され、話題となった。
●裏金問題で渦中の世耕氏、おひざ元でも「火の手」 近大教職員有志、理事長辞任求め署名活動 3/29
自民党派閥の「裏金」問題で、処分の対象になると考えられている自民党の世耕弘成前参院幹事長に、新たな危機が迫っている。
自らが理事長を務める近畿大学で辞任を求めるオンライン署名が立ち上がり、反響が広がっている。23年12月の時点で教職員組合が辞任を求めていたが、新たに「教職員有志」による辞任要求に発展している。
「政治家としての不誠実な態度は、本学理事長としての不信につながります」
世耕氏は自民党派閥における政治資金パーティーをめぐる裏金問題で窮地に立たされているひとりだ。
24年3月28日に開かれた参院本会議後の記者会見で、岸田文雄首相は来週中にも関係者を処分する意向を明らかにした。世耕氏は27日に岸田氏から聴取を受けており、参院本会議の採決の際、多くの議員が岸田氏に一礼していく中、岸田氏の前を目も合わせずに素通りする様子の動画が拡散され、話題となっていた。
また、世耕氏は和歌山県選挙区での衆院へのくら替えを模索していることが知られていたが、裏金問題をめぐり二階俊博元幹事長が次期衆院選に出馬しない意向を表明したことで二階氏の長男・三男による後継者争いが激化。世耕氏が公認を得る道は、さらに遠くなってしまった。
こうした中、さらに追い打ちをかけるように始まったのが理事長職から世耕氏の辞任を求めるオンライン署名だ。
オンライン署名サイト「Change.org」は29日、報道各社に向け「世耕弘成参議院議員に近畿大学の理事長職からの辞任を求めるオンライン署名がスタート」とするメールを送信した。
近畿大学は「実学教育と人格の陶冶」を建学の精神に掲げ、「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人を育成すること」を教育目的として、世耕氏の祖父・世耕弘一氏が創設した大学だ。
「近畿大学教職員有志」による、署名を呼びかける文章によると、世耕氏について「裏金問題を解明する情報に接することのできる重要な立場にいながら、すべて秘書に責任転嫁をし、本人は今に至るまで、知らぬ存ぜぬという態度を貫いています」とした上で、「政治家としての不誠実な態度は、本学理事長としての不信につながります」と主張。
1日で6700筆超の賛同
そのうえで、「国民の負託に応えるべき政治家としての責任を放棄し、都合のよいことしか話さない人物が、理事長として『人格の陶冶』を語れるでしょうか? 自分自身が、『愛される人、信頼される人、尊敬される人』たり得ているでしょうか?」と呼びかけた。有志代表は藤巻和宏・文芸学部教授。
署名活動は28日に始まり、わずか1日で6700筆(29日15時時点)を超える賛同を集めている。
署名について紹介する近畿大学教職員組合によるX投稿は、1日で3000件超リポスト(拡散)され、7000件以上のいいねが寄せられた。
投稿には、「頑張れ、近大! 政治家として、人生の先輩として信用できない人は理事長でいるべきではない!」「署名しました この大学に通われてる学生さん達が、肩身の狭い思いをしたりしない為にも」など大学を応援する声が相次いでいる。
●2024年度予算成立 国民生活を委ねられるか 3/29
2024年度予算が参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。
岸田文雄首相は予算に基づき社会保障や安全保障政策などを主導していくが、政治不信を解消できない岸田政権に国民生活を委ねられるのか。
4月には衆院3補欠選挙があり、6月の今国会の会期末までには首相が衆院解散・総選挙に踏み切る可能性が取りざたされている。後半国会は「政治とカネ」問題に加え、重要政策の審議を通じ、信任に値する政権か見極める期間としたい。
24年度予算は、一般会計の歳出総額が112兆5717億円で、23年度当初に次ぐ過去2番目の規模だ。
予算はいずれも過去最大の社会保障費37兆7193億円、防衛費7兆9496億円などを計上。能登半島地震からの復旧・復興を進めるため、災害対応の一般予備費を1兆円に積み増した。
予算額にも表れているように、少子高齢化に伴う社会保障や安保環境の悪化を受けた防衛政策は、日本の将来を左右し、国会で議論を尽くすべきテーマだ。
衆参両院の予算委員会でも取り上げられたが、主に安倍派を舞台にした自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の質疑が中心で、深掘りされなかったと言える。
要因ははっきりしている。違法な裏金還流が誰の指示で始まり、いったん中止を決めた還流を復活させたのは誰かといった国民の疑問に、安倍派幹部が真摯しんしに答えなかったことにある。
首相の責任はもちろん大きい。早期の実態解明に向けて指導力を発揮していれば、政策論議に充てる時間が生まれたはずだ。
参院での予算採決に先立ち、首相自身が安倍派幹部の追加聴取を行った。その結果次第ではあるが、首相も認めた「大きな疑念」が晴れないようでは、政策推進の土台になる国民の信頼は取り戻せまい。
裏金に関しては使途に判然としないところがあり、法定外の選挙運動費に回されたとの疑いが消えていない。事実なら、選挙による代議制民主主義を揺るがし、政権の正統性さえ問われる。首相は来週にも安倍派幹部らの処分に踏み切る方針だが、国民が納得しない以上、それで裏金事件に幕引きすることは許されない。
予算成立を受けて、国会の論戦は重要法案や施策を対象に展開する。経済安保情報法案や少子化対策関連法案などが挙げられる。前者は機密指定による国民の知る権利の制限が懸念され、後者は「子ども・子育て支援金」創設で国民の負担増につながるとの指摘がある。
加えて英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国輸出解禁の当否もある。法案化されないため、自民、公明両党内の調整を経て閣議で決定した。殺傷兵器の輸出は、憲法の平和主義から逸脱するとの危惧があり、国会での徹底審議が求められる。
国民の「命と暮らし」に関わるこれらの法案や施策に賛同を得たいなら、まずもって首相らが必要性について十分に説明しなくてはならない。
「信なくば立たず」。首相が掲げる政治信条の真贋しんがんは、裏金事件への今後の取り組みや法案などの国会審議で明確になろう。それを記憶にとどめ、来たる国政選挙で投票先の判断基準としたい。
●「安倍政権の外相は安倍氏」だった…訪米・訪朝岸田外交≠ノ期待と不安 成果焦れば国益損なう事態、問われる戦略と理念 3/29
岸田文雄首相の「外交力」に注目が集まっている。来月、国賓待遇で米国を訪問し、ジョー・バイデン大統領と首脳会談を行い、上下両院合同会議で演説する。日本人拉致問題や核・ミサイル問題の全面解決のため、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との首脳会談も期待されている。ただ、拙速なLGBT法の法制化や、政権の増税・負担増路線、自民党の「政治とカネ」の問題などで、内閣支持率は「危険水域」に沈み込んだままだ。逆風の中で外交成果を焦れば、国益を損なう事態も予想される。
「日朝関係、拉致問題などの諸課題解決にはトップ会談が重要だ」「私直轄のレベルでの北朝鮮に対する、さまざまな働きかけを行っている」
岸田首相は25日の参院予算委員会で、日朝交渉の展望をこう説明した。ここに来て、北朝鮮側は首脳会談をチラつかせ、揺さぶりを強めている。
正恩氏の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長は同日、朝鮮中央通信で、「岸田首相が『可能な限り早い時期に金正恩総書記と直接、会談したい』との意向を伝えてきた」と暴露≠オ、首脳会談に前向きともとれる談話を発表した。
拉致被害者や、その家族が高齢化し、再会のタイムリミットが迫るなか、北朝鮮の最高指導者周辺が、日本の首相を名指しして公式な発信を行うのは極めて異例だ。
今年に入って、正恩氏は能登半島地震を見舞う岸田首相宛の電報を送るなど、秋波を送ってきていた。ところが、与正氏は翌26日、朝鮮中央通信で、まったく違った爆弾発言≠投げかけてきた。
「史上最低水準の支持率を意識する岸田首相の政略的打算に日朝関係が利用されてはならない」「首脳会談は関心事ではない。いかなる接触も交渉も断固拒否する」
与正氏は、拉致問題と核・ミサイル問題の全面解決を重ねて求めるわが国の姿勢に強烈な反発を示し、一転して交渉を「拒否」してみせたのだ。
岸田首相は昨年10月の所信表明演説で、「拉致問題は、ひとときも揺るがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題です。すべての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現し、日朝関係を新たなステージに引き上げる」と国民に約束している。26日、記者団に「コメント一つ一つに何か申し上げることは控える」「北朝鮮との諸懸案解決のため、従来の方針のもと、引き続き努力を続けたい」と語った。
政府関係者は「水面下の接触を含め、外交交渉を同意もなく表沙汰にするのは禁じ手≠セ。北朝鮮は常識がまったく通用しない」と述べた。
一連の経緯をどう見るか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「岸田首相は昨年5月、地元・広島で開催したG7(先進7カ国)サミットで支持率が上がった成功体験から、日朝交渉などに局面打開の策を見いだしているようだ。拉致問題の全面解決に期待したいが、北朝鮮は一筋縄ではいかない。軸のない外交では国益を損ないかねない」と懸念する。
岸田首相は来月、国賓待遇で訪米し、首都ワシントンで日米首脳会談に臨む。さらに、安倍晋三元首相が2015年に行って以来、9年ぶりに米議会で演説する予定だ。ただ、この舞台でも「懸念」が指摘されている。
米政界に詳しい福井県立大学の島田洋一名誉教授は「米国は大統領選モードの真っただ中で、議会選挙も控えている。岸田首相の議会演説への関心が低いため、国賓待遇で招かれたお土産≠持っていく心配がある」といい、こう続けた。
「米国は現在、不法移民問題が深刻化しており、『国境防衛に予算を使うべき』という意見が強い。ロシアに侵略されたウクライナや、イスラエルとハマスの戦闘が続くガザまで手が回らないので、岸田首相が財政支援などを申し出る可能性がある。ただ、わが国の最優先課題は『台湾有事』だ。国家戦略の優先順位を示すときだが、岸田外交にはビジョンが感じられず、上川陽子外相にも覇気がない」
「安倍政権の外相は安倍氏」
ウクライナやガザへの新たな支援を担うことになれば、その負担は日本国民が背負うことになりかねない。
財務省が今年2月に発表した2024年度の国民負担率(租税負担率と社会保障負担率の合計=見通し)は45・1%だ。江戸時代の「五公五民」並みの重い負担に直面している。さらに負担増となるのか。
前出の鈴木氏は「安倍政権で、岸田首相は連続の在任期間では戦後最長となる約4年半、外相を担った。だが、安倍政権で外交を司った『真の外相』は安倍氏だった。岸田首相の外交理念は極めてあいまいで、基本路線は外務省の方針に乗ることだ。首相就任後のエネルギー危機で独自の交渉ルートがなく、身動きが取れなかったことなどは象徴的だ。永田町で、長年の外相経験があるのに『一体、何をやってきたのか』という声も聞かれた」と語る。
岸田外交は大丈夫なのか。
●【衆院3補欠選挙】自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で逆風下。東京、島根、長崎の3選挙区で岸田政権は「0勝」回避なるか? 3/29
静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「衆院3補欠選挙」。先生役は静岡新聞の橋本和之論説委員長です。
(山田)今日のテーマは4月に行われる衆議院の3補欠選挙ですね。
(橋本)はい。岸田政権の命運が懸かった衆院3補欠選挙が4月16日に告示されます。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で逆風下にある岸田文雄首相は、独自候補を立てた島根1区に戦力を集め、「0勝」を回避しようと躍起になっています。
(山田)裏金事件でやめた方たちの穴埋め選挙ということでしょうか。
(橋本)そればかりでもないのですが、まず国会議員が任期途中で辞職したり、亡くなったりした場合に欠員を補うために行われるのが補欠選挙です。次に予定されているのは4月16日告示、28日投開票で、衆議院の東京15区、島根1区、長崎3区の3選挙区で補欠選挙が行われます。
岸田政権の命運が懸かっている
(山田)ニュースでは岸田政権の命運が懸かっていると言われています。それほど重要なんですか?
(橋本)そうですね。先程の事件で、安倍派、二階派、岸田派で義務付けられている政治資金収支報告書に記載せずに政治資金パーティーの売上をやりとりするなどした不正が明らかになりました。国会議員や派閥の会計責任者、議員秘書らが東京地検特捜部に立件されたことは以前、このコーナーでも取り上げました。
(山田)そうでしたね。
(橋本)その影響で党総裁である岸田首相は野党の追及を受け、世論調査では2012年に民主党から政権を奪還して以降、支持率が最低水準まで落ち込んでいます。岸田首相は総裁選を9月に控え、そこでの再選が今の最大の目標です。その前に衆院解散・総選挙をして求心力を高めたいところですが、支持率低迷から大負けする可能性があります。そうなると逆に責任を問われるため、解散にも踏み切れない状況です。
(山田)なるほど。
(橋本)3補選で全敗すれば党内が「やはり岸田首相が看板では選挙を戦えない」となる可能性があるわけです。退陣を求めたり、次期総裁選の出馬断念を求めたりする「岸田降ろし」が始まる可能性があります。
(山田)岸田降ろしですか…。
(橋本)はい。そのため岸田首相としては絶対に全敗は避けたい状況です。
苦戦が予想される3選挙区の状況
(山田)3選挙区での情勢はどうなっているんですか?
(橋本)情勢の前に3選挙区がどういう事情で補欠選挙になったかを見る必要があります。まず東京15区ですが、ここは公選法違反事件で一審の有罪判決を受けた柿沢未途氏の議員辞職に伴う補選です。
柿沢さんは江東区長選で支援する候補者を勝たせようと自民党区議などを買収したり、禁じられている有料のインターネット広告を出したりして昨年末、逮捕されました。当初は否認していましたが、その後容疑を認め、執行猶予付きの判決が確定しました。その途中で議員を辞職しています。
元々、衆院議員で法務副大臣でしたが、疑惑発覚時点で法務副大臣を辞任しています。
法制度を守るべき人物が法を犯したということで、なお罪深いと言えます。
(山田)このコーナーでも以前取り上げましたね。
(橋本)あまりにイメージが悪いので、党として候補を立てるのが難しい状況です。それでも何とか勝つ形にしたいので、東京で人気がある小池百合子都知事が率いる「都民ファーストの会」と連携して勝ち抜く案も検討しています。
(山田)そうなんですね。
(橋本)候補者は未定ですが、都民ファーストの会は都議会最終日の28日までに決めたいようです。一方、野党側も候補者選びが難航し、選挙の構図が固まっていません。立候補を表明している候補者もいますが、最終的にどんな形になるか分かりません。小池さんが都知事を辞めて自ら出馬し、国政復帰するのでは?といううわさもあります。
(山田)ほかの2選挙区はどうですか?
(橋本)長崎3区は安倍派の裏金事件に絡んでいます。ここは1月に略式起訴されて離党し、議員辞職した谷川弥一さんの地元です。谷川さんと聞いてもピンと来ないかもしれませんが、裏金事件の取材記者に対して「君、頭悪いね」と発言した議員といえば思い浮かぶ方もいると思います。
(山田)あぁ〜。口が悪かった…。
(橋本)はい。あの方です。ここは東京15区よりさらに形勢不利と見て、自民党は候補者擁立をやめました。
(山田)候補者を立てないんですね。どうしてですか。
(橋本)立てて負けるより不戦敗の方がダメージが少ないという判断だと思います。長崎は衆院小選挙区定数の「10増10減」で、次の選挙から定数が4つから3つに減ります。仮に勝てたとしても、6月に解散したらそこまでの任期になってしまいます。その後、それまで4だったところを3で争うことになるので無理して戦うのはやめようと。党内で機運が盛り上がらなかったこともあります。
(山田)そうですか…。相当弱体化していますね。
候補者を擁立した島根1区に注目
(橋本)最後に島根1区です。ここは唯一勝てる可能性があるとみて、元財務官僚の候補者を擁立しています。不祥事による議員辞職ではなく、細田博之前衆院議長が亡くなったことによる欠員です。小選挙区になって以降、細田さんが連続9回当選してきた保守王国です。
(山田)連続9回はすごいですね。
(橋本)「弔い合戦」ということになるので、通常なら陣営が結束して楽勝のはずなのですが、今回は大変厳しいと言われています。理由の一つは裏金事件の中心となった安倍派です。正式名称は清和政策研究会といい、安倍さんが首相を務めていた時は派閥を離れていたので安倍派ではありませんでした。安倍さんが会長になる前の会長が細田さんだったので、当時は細田派と呼ばれていました。
(山田)そうでしたね。
(橋本)安倍さんの時よりずっと以前から裏金が続いてきたとされていますので、細田さんが存命なら事件の責任を問われる立場だとの見方をされています。また、細田さんは辞める間際に旧統一教会との関係や女性記者へのセクハラ疑惑が取りざたされ、説明も不十分だと批判されました。このように簡単に勝てる状況ではないため、もしかしたら全敗になるのでは?と心配されているわけです。
全敗や支持率低迷で「岸田降ろし」が始まる!?
(山田)全敗の可能性はあるのでしょうか。
(橋本)そうですね。自民党、特に岸田総理はその後の政局への影響を考えて大変危惧しています。楽観できないため、戦力を島根に集中的に投入し、何としても勝ちたいと考えています。
(山田)もし全敗したら、岸田首相は辞職ですか。
(橋本)うーん、まぁそうですね。すぐにそうなるかは分かりませんが、今は鳴りを潜めている反岸田の動きが表面化し、「岸田降ろし」が始まる可能性があります。「ポスト岸田」とよく言われますが、これといった候補がいないため、岸田降ろしの動きが今は見えません。
ですが、先日、首相が裏金の追求を受けたときに突然、岸田派解散を表明し、そのことで党内実力者で派閥は必要だと考える麻生太郎副総裁への根回しが足りず、二人の間に溝が深まったとの見方があります。先日の党大会でも裏金事件に関わった安倍派議員を処分すると根回し不十分な状況で表明したことで、所属議員の反発を買ったと言われています。
(山田)党内で一人ぼっちになっているんでしょうか。
(橋本)旧岸田派の議員がいますが、多数派ではないので、敵が増えつつある状況と言えます。
(山田)何としても1勝はしたいところですね。
(橋本)ただ、仮に島根で1勝したとしても、このまま支持率が低迷すると「岸田降ろし」が始まってもおかしくない状況です。首相は株高や賃上げなど経済政策の成果が出ているとアピールすると思いますが、裏金事件を巡る国民の政治不信払拭は現状では難しいですね。
最近、北朝鮮をめぐって金正恩氏に会談を申し入れているという話が北朝鮮側から出てきましたが、支持率回復に向けた一手を打っているのかもしれません。そうだとすれば、思惑通りにいくのか注目されます。そうしたことも含め、岸田政権の今後を務め左右する可能性のある3補選の結果には注視する必要があると思います。
(山田)話を聞いて岸田首相がかわいそうに思えてきました。厳しい状況ですが、どうなるのか見守っていきましょう。今日の勉強はこれでおしまい!
●1人平均450円 こども・子育て支援金、政府が試算発表 3/29
新たなこども・子育て政策のために創設される「支援金」について、国民1人あたりの平均の負担額が、ひと月450円程度と発表されました。
「子ども・子育て支援金」は社会全体で、こどもや子育てを支えるという理念のもと、個人と企業などから公的医療保険料に上乗せして集めるものです。
2028年度には、新たな少子化対策の財源3.6兆円のうち、1兆円の「支援金」を個人と企業から集めます。政府は、この支援金について、国民1人あたりの平均が、徴収開始の2026年度には、ひと月250円程度、満額となる2028年度は、ひと月450円程度になるという試算を発表しました。なお、この額は、実際には支援金を納めないこどもなども含めた全体の人数で割った平均額だということです。
実際に納める支援金の負担額は所得に連動し、会社員と自営業者など、加入する医療保険の種類によっても異なりますが、医療保険料の5%ほどになる見込みだということです。
支援金の使い道は法律で定められ、児童手当の所得制限撤廃や高校生年代までの支給延長、親の就労にかかわらず、保育所を利用できる「こども誰でも通園制度」、妊娠・出産時の合計10万円相当の給付金、両親ともに育休を取得すると手取り10割相当を支給する制度、育児時の時短勤務中の賃金10%支給などに使われます。
政府は、支援金制度導入で実現する、これらの政策を、こども1人あたりでみると、高校卒業相当までの合計で、新たに約146万円分が給付される計算になると説明しています。
では、実際に納める支援金の額は、どの程度なのか。満額になる2028年度について、政府の試算で詳しく見ていきます。支援金の額は所得に連動するので、個人で異なりますが、平均的な所得の場合を想定します。
まず、会社員などが加入する被用者保険では、1人あたり、
・中小企業の協会けんぽで月700円程度
・大企業の健康保険組合で月850円程度
・公務員などの共済組合で月950円程度だということです。
各個人と同じ額を企業なども納付する見込みです。
一方、自営業者などが加入する国民健康保険の場合、世帯ごとに人数分の支援金を納める仕組みです。所得に連動しますが、平均的な所得の場合、ひと世帯あたり、平均で月600円程度になるということです。なお、こども(高校3年生にあたる年代まで)は支援金を負担しないので、世帯の人数からこどもは除いて支援金の額を計算します。また、低所得者については支援金の軽減措置があります。
75歳以上の後期高齢者では、1人あたり月350円程度で、低所得者の軽減措置があります。
政府は支援金1兆3000億円のうち、1兆円を個人や企業などから集め、低所得者の負担軽減措置などのために必要な約3000億円については、公費(税金)で賄う見通しであると新たに発表しました。この3000億円は、歳出改革や既定予算の活用によって生み出し、国民に新たな負担は生じないと説明しています。
政府は支援金制度ができても、賃上げなどを勘案すると「実質的に国民に追加の負担は生じない」などと強調し、野党などから批判されてきました。国会で、この制度について審議されますが、負担と給付の詳細や「社会全体でこどもや子育てを支える」という理念について、国民の理解が得られるよう、政府には丁寧な説明が求められています。
加藤こども政策担当相は29日の閣議後会見で、「今後の法案審議においても、ライフステージを通じた経済的支援の強化、全てのこども・子育て世帯への支援拡充、共働き共育ての推進を柱とする給付の拡充と、それを支える支援金制度の意義や内容について、政府案の考え方をしっかりと伝えていきたい」と述べました。
●裏金問題を打開したい岸田首相の「聴取」って…実態は「密談」では? 気付けば「岸田1強」への権力闘争 3/29
自民党裏金事件で岸田文雄首相が自ら行っている「聴取」。国を代表する立場の首相が疑惑の対象から直接聞き取る異例の調査だが、非公表で、法的な根拠もない。一方で党内のライバルは次々に力をそがれており、首相は「したたか」との見方も。永田町では、真相解明も権力闘争次第なのか。来月の議員処分で幕引きを図ろうとする動きに、批判が高まっている。
「今さら新しいことが出る?」冷めた声
「正直、何をやっているかわかりにくいね」(60代会社員)。裏金事件で岸田氏が行っている追加聴取。国会や霞が関に近い東京・日比谷公園で聞くと、首をかしげる人が多かった。
岸田氏がこれまでに聴取した安倍派の幹部らは既に国会の政治倫理審査会に出席。「派閥の政治資金パーティーの会計に関わっていなかった」「知らなかった」などと証言していた。別の60代男性は「あの説明に納得している人もいないと思うが、岸田さんがいまさら聞いて新しいことが出てくるとも思えない」。
岸田氏は26日に塩谷立氏、下村博文氏、27日に西村康稔氏、世耕弘成氏と、安倍派で幹部を務めた4人を国会近くのホテルに呼び、個別に聞き取りをした。だが岸田氏は聴取の内容を明かさず、不透明感が強まっている。
「森元首相が関与」報道にも沈黙
聴取問題は、28日の国会でも火種に。パーティー券販売ノルマを超えて販売した分を議員に還流するキックバックの仕組みは、安倍晋三元首相が2022年4月に中止を指示したが、死去後に復活した。その判断に「森喜朗元首相が関与していた」と安倍派幹部が岸田氏の聴取に明かした、と日本テレビが報道した。
立憲民主党の辻元清美氏が事実関係を尋ねたが、岸田氏は「今の時点で申し上げることは控える」と、ここでも明かさなかった。森氏の聴取を行うかについて「(聴取対象に)含まれうる」とまでは述べたが、実際に行うかという肝心な点は明言を避けた。
不透明感ばかり漂う岸田氏の聴取。交流サイト(SNS)では、「(岸田派も裏金をつくっていたことから)岸田首相が聴取というのは出来の悪いジョーク」「身内だけの事情聴取ごっこ」などと批判が目立つ。ジャーナリストの青木理氏は「ホテルの密室で話を聞く。内容は当人たちにしか分からない。『聴取した』という手続きを踏むことで、国民に説明責任を果たしたふりをしているだけでは」と突き放す。
自民党総裁自ら聴取の異例ぶり
聴取といえば、一般には警察や検察の厳しい事情聴取が思い浮かぶが、青木氏は「捜査当局が行うわけでもない、国会の場でもないかぎカッコ付きの『聴取』であって実態は密室での密談。案外、これまで明らかになっていなかった本音が語られているかもしれない。もしかしたら『どこまでの処分なら、みんなが納得するか』なんて相談しているだけかもしれない」と皮肉たっぷりに岸田氏の説明不足を批判する。
そもそも総裁自らが聴取に乗り出すのも異例だ。衆院事務局職員から参院議員に転じ、長く国政を見てきた平野貞夫氏は「本来は幹事長が段取りして、党紀委員会が行うのが筋。党の処分を決めるのに総裁自ら調査するなんて異常だ。党内の規律が保てていない」と自民党内のごたごたぶりを指摘する。
「首相はしたたか」という、小沢一郎氏の見方
こうした中で26日、「首相はしたたかだ」という言葉が永田町を駆け巡った。共同通信によると、発したのは立憲民主党の小沢一郎衆院議員。裏金事件に絡み岸田氏が清和政策研究会(安倍派)を崩壊させ、二階俊博元幹事長を次期衆院選不出馬に追い込んだとの見方を記者団に示した。
首相就任後の経緯を振り返ってみよう。岸田氏が会長を務めた岸田派は党内第4派閥にとどまり、安定した政権運営のためには最大派閥・安倍派の意向をむげにできない状況だった。ただ、派閥会長だった安倍元首相が銃撃事件で死去。浮かび上がった自民と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点は安倍派議員が最も多く、その勢いに陰りが見えていた。
そこへ昨年末に安倍派の裏金疑惑が表面化すると、閣僚や党の要職を務めていた派の実力者「5人衆」は全員その職を辞し、岸田政権から一掃される結果に。裏金疑惑が事件に発展すると、首相は岸田派の解散を表明。安倍派、二階派なども解散することになった。
今月に入ると、裏金とされる不記載額が、立件された議員を除き最多だった二階氏が、次期衆院選への不出馬を表明。首相は国会で、かつて清和会会長を務めた森元首相について「追加聴取の対象となる関係者の中に入る」と言及した。
生き残りをかけた勝負「首相のエネルギーに」
あたかも政敵を追い落とすかのような首相の一連の動き。ネットでは「クーデター」「もう誰も止められない」などと指摘する声も上がる。
政治ジャーナリストの泉宏氏は「『岸田1強』として党内で勝ち残るための戦略が描いた通りに進んでいる。首相は(裏金問題が表面化した)昨年末から生き残りをかけた勝負を始めており、それが政治家として生き抜いていくエネルギーになっている」とみる。
「自民は森政権が誕生して以降、清和会の支配が続いており、ここにきて反撃の構図が現れてきた。安倍派を分裂、解体、消滅させる大きな戦略の中で全てが進んできて、成功している。今後、森氏の聴取もするのではないか」
首相が派閥解散の流れをつくる中、麻生派と茂木派は残ったが、「茂木派では『反茂木』の議員の離脱が相次いだことで、茂木(敏充幹事長)氏の力をそいだ」。また「呼ばれていないのに首相自ら出席を表明して、政倫審に安倍派幹部を引きずり出した」とする。
派閥支配が崩れ、総理・総裁1強に?
他方、政治アナリストの伊藤惇夫氏は「局面は打開できるが、首相がその後の展開や方向性を考えて決断しているか疑問」と話す。「派閥解消も中途半端に終わり、政倫審ではかえって疑惑を深めた。ただ、大半の派閥は溶解し、党の運営システムが崩壊したことで結果的に総理・総裁の力が一番強くなった。首相の動きを止める集団も見当たらず、周りが崩れる中で、首相だけが地面に足をつけて立っている構図だ」と解説する。
党内でポスト岸田の有力候補も見当たらず、今秋の党総裁選再選に向け、権力基盤を固めているようにみえる岸田氏。自ら安倍派幹部への聴取を続けているが、政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「やってる感を出しているだけ。第三者が聴取するのではなく、党内の問題を自分たちで裁くのは権力闘争だからだ。内閣支持率は低調だが、ライバルもおらず、総裁選を乗り切れると考えているのでは」と語る。
岸田氏は4月初旬にも党内処分をして裏金事件の幕引きを図るとみられる。今後は与野党での政治改革の議論に移る見通しだが、それでは真相解明にも再発防止にもつながらない。前出の伊藤氏は「実態解明ができていない中での党内処分は奇異だ。今後も国会の場で真相を明らかにする努力が必要で、偽証に罰則が適用される証人喚問は当然するべきだ」と指摘する。
デスクメモ
超低空飛行ながら、不思議な安定感の岸田政権。だが、それで何ができるのだろう。首相就任前に強調した「新しい資本主義」はどうなったのか。地元開催の広島サミットは平和につながったのか。権力維持の結果が安倍政権の継承ばかりでは、裏切られた国民の怒りは収まらない。
●ニュース裏表 伊藤達美 「国民の不満は野党にも」の現実 政策論争そっちのけ泥仕合℃~め…自公政権の受け皿づくりを 立民、維新に問う 3/29
野党は、政治倫理審査会での弁明を不服として、衆参両院での安倍派幹部らの証人喚問を要求した。「証人喚問は偽証罪に問われるから虚偽答弁はできない」との理由だ。
しかし、偽証罪を問うには精緻な事実の積み重ねが必要だ。国会は「捜査機関」ではない。証人喚問で真相解明ができると考えるのは幻想だ。
「派閥幹部だから知っているはずだ」程度の質問をいくら繰り返しても、結果は政倫審と同じだろう。
昭和初期、立憲政友会と立憲民政党が、政策論争そっちのけの「泥仕合」と言われる批判合戦を展開した。当時、政権に失策があった場合、政権交代させるルールがあった。このため、「反対党を貶(おとし)めれば政権が手に入る」という党利党略を優先させた結果だった。
それが国民に見透かされて、議会政治への信用を失わせた。
現在の制度は、当時とは違う。国会で多数派を形成した政党中心に首相指名を経て内閣を組織し、政権を担当する仕組みだ。野党が政権交代するには、次の総選挙で多数を確保しなければならない。その大前提となるのは、自公政権に代わる政権の受け皿とその政策だ。
ところが、立憲民主党の泉健太代表が提唱している「ミッション型政権構想」は、時々、思い出したように言及するだけで、実現に向けた強い意欲は感じられない。岡田克也幹事長が他党に働きかけたり、党の部門会議で政権獲得に向けた政策論議が行われている様子も伝えられない。
日本維新の会も同様だ。立憲民主党の構想に不満なら、なぜ、自ら提唱しないのか。馬場伸幸代表が「野党第一党を目指す」と公言するなら、なおのことだ。
「真相解明」を振りかざして政権批判に明け暮れる国会の状況は、昭和の帝国議会と酷似しているように思えてならない。このままでは、その後の歴史がたどったように、議会制民主主義への不信につながってしまうのではないか。
野党が自覚すべきは、「国民の不満は与党だけではなく、野党にも向けられている」ということだ。
議会政治は、与野党が切磋琢磨(せっさたくま)することを前提に成り立っている。岸田文雄政権や与党に対する批判が高まっているなか、必要なのは野党からの「政策ビジョン」の提示だ。
自公政権が「良くない」とするならば、どの政策をどう変えるのか。経済政策はこのままでいいのか。外交・安全保障政策に変化はあるのか。岸田首相に向けられている「負担増」の懸念はないのか―。多くの国民が求めているのは、証人喚問より、そちらの方ではないか。
筆者は、先週の当欄で与党に対して「出直し解散」を提唱した。今号は、野党に「政権の受け皿づくり」と、そのための政策論議を求めたい。
●小沢一郎氏「この人物は約束など守った試しがない」岸田首相の物価高対策「2つの約束」を酷評 3/29
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は29日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、岸田文雄首相が28日夜、2024年度予算の成立を受けて官邸で開いた記者会見で、物価高を乗り越えるための国民に対する「2つの約束」に言及したことについて、言及した。
「そもそもこの人物は約束など守った試しがない」と酷評した上で「どこかへ消えた令和の所得倍増も、新しい資本主義も、異次元の少子化対策も全部忘れてしまったのか?その場しのぎでそれらしいことを言っておけばいいさということだろう。国民は完全に馬鹿にされている。自民党の終焉は近い。国民の手で終わらせるべき」と投稿。「言うだけ」に終始している岸田政権の重要政策を念頭に、首相の対応を批判した。
岸田首相は28日夜の会見で「2つの約束」について「まず今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現します。そして来年以降は、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させます」と語った。
●岸田首相記者会見:『名目値』に目を奪われず、経済の『実質値』を高める成長戦略の推進を 3/29
3月28日に2024年度予算が成立したことを受けて、同日夜に岸田首相は記者会見を行った。岸田首相は、中小・零細企業も含む賃上げの重要性を改めて強調した。政権発足以来、賃上げを重視してきたことを改めて説明したうえで、過去には生産性上昇率が高まった時期にも、賃金が上昇しなかったとして、生産性向上よりも賃上げを起点とする政策が重要であることを力説したのである。
さらにこの点に関連して、今年中に(可処分)所得が物価を上回ること、来年には賃金が物価を上回ることを、国民に対する「2つの約束」として掲げた。
しかしこの議論は正確性を欠いているようにも感じられた。生産性上昇率は「実質」の概念であるのに対して、賃金上昇率は「名目」の概念であり、両者を単純には比較できない。労働生産性上昇率、および全要素生産性上昇率(TFP)は、90年代初頭以来一貫して低下してきた。それでも労働生産性上昇率は小幅プラスを維持していると見られる。
他方、この間も、実質賃金上昇率のトレンドは、労働生産性上昇率のトレンドに見合ってプラスを維持してきたとみられる。名目賃金上昇率が上昇しない、あるいは低下した局面は、物価上昇率が下振れた時期であり、その時期でも実質賃金上昇率のトレンドはプラスを維持してきたのである。
個人の生活にとって重要なのは、実質賃金上昇率が高まり、生活の質が改善していく、あるいは将来の生活への見通しが明るくなることだ。それには、労働生産性上昇率が高まることが欠かせない。それがない中で、賃金交渉に政府が介入して賃金上昇率を高めても、それは持続しない。
労働生産性上昇率を高め、実質賃金上昇率を高めることを目指す政策として、岸田政権は三位一体の労働市場改革を掲げてきたはずである。少子化対策後の経済政策の柱として、労働市場改革に向けた意欲を、記者会見では語って欲しかった。
岸田政権下で「デフレ完全脱却」宣言は難しい
他方で岸田首相は、「デフレ完全脱却」はまだ道半ばであるが、抜け出すチャンスを掴めるか、後戻りしてしまうか、数十年に一度の正念場にあるとした。日本銀行は2%の物価目標達成が見通せた、と宣言したが、政府は「デフレ完全脱却」をまだ宣言できない。そもそも日本銀行の2%の物価目標とは異なり、政府の「デフレ完全脱却」の状態とは、定量的には表現できない概念だ。
岸田首相は、今までの岸田政権の経済政策の成果をアピールするため、4月の補選の前のこの時期に、「デフレ完全脱却」を出したかったのではないか。しかし、それは国民からの強い反発を受け、政治的には失点となりかねないため、断念せざるを得なかった可能性が考えられる。
春闘で賃金が大幅に上振れ、1月まで22か月連続で、前年同月比で低下を続けている実質賃金上昇率が、今年後半にはプラスに転じる見通しとなったことは、「デフレ完全脱却」宣言を出せる環境が一つ整ったとはいえるだろう。しかし、それでも、国民の物価高への警戒感はなお強い。また、実質賃金がプラスに転じるとしても、2022年以来5%程度も大幅に低下した実質賃金の水準が、それ以前の水準を取り戻すまでには、なおかなりの時間を要するはずであり、個人の所得環境への不安は解消されない。
また、「増税」のイメージがついてしまった岸田首相が「デフレ完全脱却」宣言を出せば、それは増税への地均し、との警戒が国民の間で強まり、岸田政権が批判を受けてしまう可能性もあるだろう。
こうした点から、岸田政権の下では、「デフレ完全脱却」宣言を出すことは、難しいのではないか。
「名目値」の改善に目を奪われることなく「実質値」の改善を目指す成長戦略を
岸田首相が、「デフレ完全脱却」に向けて、千載一遇のチャンス、数十年に一度の正念場と強調する背景には、幾つかの指標がいわゆるデフレ期前の水準に戻っていることがあるだろう。
例えば、「日経平均株価は34年ぶり」、「消費者物価上昇率は40年ぶり」、「春闘賃上げ率は33年ぶり」、「円安(ドル円レート)は34年ぶり」などといった指標は、確かに、日本経済が失われた30年を脱し、デフレを克服したことを印象付けるものである。
しかし注意すべきなのは、これらはすべて「名目値」であるということだ。そしてその起点となったのは、コロナ問題、ウクライナ問題を受けた「輸入インフレ・ショック」である。それは日本経済にとってはまさに逆風だ。「災い転じて福となす」の例えのように、経済の逆風が順風に一気に変わるなどといった都合の良いことは、簡単には起こらないだろう。
こうした「名目値」の改善が、潜在成長率の向上、労働生産性上昇率の向上、企業の資本効率の高まり、といった「実質値」の改善で裏打ちされているのでなければ、それらは持続性を欠くだろう。
岸田政権には、「名目値」の改善に目を奪われることなく、「実質値」の改善を目指して、労働市場改革、東京一極集中是正、インバウンド戦略、外国人労働力の活用などの成長戦略の推進に取り組んで欲しい。
●「内閣府資料に中国企業ロゴ混入」は小さな事件ではない…元内閣府委員の明大教授が指摘する「問題の本質」  3/29
再生可能エネルギーに関する内閣府の会議の資料に、ひそかに中国国営企業のロゴが入っていた問題で、3月27日、資料を提出した有識者が会議の委員を辞任した。明治大学政治経済学部の飯田泰之教授は「ロゴ混入は『事務的なミス』とされているが、これはそんな小さな事件ではない。背景にはもっと大きな問題がある」という――。
“事務的なミス”だとされた「ロゴ混入問題」
唐突にネットの話題となった、内閣府「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(以下、再エネTF)」問題があらたな展開を見せている。
まず、事の発端は、3月22日の再エネTF構成員の大林ミカ氏(自然エネルギー財団事務局長)が提出した資料のなかに、中国国営企業の国家電網公司のロゴが入っていたことにはじまる。閲覧するOS(iOSやAndroidなど)によっては見えない設定となっていたため、24日頃、ネット上で指摘されてはじめて内閣府の担当部署(規制改革推進室)の気づくところとなった。
日本のエネルギー政策を議論する会議の資料に、中国国営企業が作成した資料が混在していたことから――会議への中国国営企業、または中国政府の介入を疑わせる事態に至った。ロゴの混入について、内閣府の説明が「不正アクセスの疑いがある」というものから「事務的なミス」へと変化したこと、過去には経済産業省・金融庁の資料、国連アジア太平洋経済社会委員会、EU経済社会評議会での提出資料にも同様のロゴが入っていたことなども問題への注目を高めることとなった。
「資料にロゴがあったこと」は問題の本質ではない
一連の混乱を受けて25日に行われた記者会見(上・下)ではあらためて意図しない事務的なミスであることが強調され、担当大臣である河野太郎氏も「チェック体制の不備」としている。その一方で27日になり、当該資料を提出した大林ミカ氏が再エネTF構成員を辞任するに至った。また、28日の官房長官記者会見では大林ミカ氏やその資料について「中国政府から不当な影響を受けていなかったなどの調査を行う」との発言があった。
一連の経緯に、筆者は、強い違和感を覚える。ポイントは資料にロゴが入っていたことにはない。さらには、自然エネルギー財団や大林ミカ氏個人が中国政府等の影響力下にあったか否かですらないかもしれない。
筆者は2016年から2019年まで内閣府規制改革推進会議の委員であった。再エネTFと同じ規制改革推進室が担当する会議体であることから、今次の経緯や問題点について多少掘り下げた説明ができる部分もあろう。
たった4人の構成員のうち2人が利害関係者
そもそも、大林氏のような政府系会議の委員はどのように決まるのだろう。これは、
   ・政治家が推し込む
   ・官僚が推し込む
   ・業界団体が推し込む
の3パターン以外にはない。政治家推しの委員は規制改革担当大臣や副大臣、またはその他有力政治家のブレーンもしくはスポークスマン的な立場の人が多い。官僚が推し込む委員は1主要官庁のOBなど各役所の意向を会議の中で推してくれる人、2振り付け(大臣や官庁の意向)に異議を唱えないおとなしいタイプの人に大別される。
そして第三が業界団体や利害関係者が推し込むケースだ。もちろん業界団体や企業に政府委員の人事権はないため、政治家・官僚のだれかを経由してその代弁者を送り込むことになる。
今回のケースでは,大林ミカ氏を推薦したのは河野太郎氏とのことだ。そして、大林ミカ氏が事務局長を務め、もうひとりのTF委員である高橋洋法政大学教授が特任研究員を務める自然エネルギー財団の設立者・代表者は孫正義氏である。ソフトバンクグループが長く再生可能エネルギー事業を手がけていたことは周知の事実だろう。
筆者は、審議会や各種会議体において利害関係者が委員・構成員となることは避けるべきだと主張してきた。一方、これまでも多くの審議会等で利害関係者が委員・構成員に選任されてきたこともまた事実である。規制改革を進める大臣や委員会の動きを止めるために十人以上いる委員のひとりに業界関係者を推し込む……というケースは、善し悪しはさておき、よく見る霞ヶ関の風景である。
しかし、たった4人のTF構成員のうち2人が利害関係団体の職員・関係者であること、その人事を推し進めたのが担当大臣である河野太郎氏自身である(と大林氏が言及している)という点で今次のTF問題の特異性がある。
法的根拠はないが、議論に大きな影響力を与えている
さらに再エネTFはその法律・組織上の位置づけと、与えられている権限に少なからぬ乖離が見られる。
内閣府における規制改革関連の案件は、通常、規制改革推進会議で議論される。規制改革推進会議は内閣府設置法第37条第2項に基づいて設置される審議会である。個々の論点は、規制改革推進会議参加のワーキンググループ等で審議されたのちに規制改革推進会議本会議での審議を経て答申となる。
このような審議結果は、半年ごとに『規制改革推進に関する答申(中間答申)』にまとめられ、この答申に基づいて各年の『規制改革実施計画』が策定される。『規制改革実施計画』は実際の政策の政府案にかなり近いものと理解して良い。
再エネTFは規制改革推進会議傘下の会議体ではない。その設置にも法的な根拠はなく……形式上は規制改革担当大臣の私的諮問機関とかわらない。それにもかかわらず、ある時期から再エネTFでの議論が『規制改革推進に関する答申』に盛り込まれるようになっている(例えば「規制改革推進に関する中間答申(R5.12.16)」 など)。
規制改革推進会議によって審議され作成される『答申』に、規制改革推進会議を経ない内容が記載されているのだ。そのため、再エネTFでの議論については「参考」と表記されているが……実施計画の段階では当然ながら「参考」の記載は無くなる。
「単純なミス」自体を調査しても意味がない
つまりは今次の問題は、
・その他の規制改革関連案件とは異なる――いわば近道で具体的政策を提案することができる法的な根拠のない会議体において、
・4人しかいない構成員のうち2人が利害関係者であり、
・少なくともそのひとりが大臣の推薦によって構成員となっていた
ことにある。
発端となった中国企業ロゴ問題そのものは、おそらく、大林ミカ氏や自然エネルギー財団事務局の単純なミスによるものであろう。ミスがどのようにして発生したかを調査することはそれほど優先度の高い論点ではない。むしろ、この単純ミスによってあらためて注目されることとなった再生可能エネルギー政策の意思決定の方法やその内容にこそ重要な論点がある。
もっとも重要な論点は「政策決定のプロセス」
そして、自然エネルギー財団に限らず財団が特定の企業・業界の利害を代弁する立場でることは特段問題にすべきこととは思わない。組織・法人がオーナー、スポンサーである企業・業界の意向を代弁することは珍しいことではない(というかそれが本業のこともあろう)。
さらにスポンサー企業・業界の利害が他国や他国の企業のそれと一致することも十分にあり得る事象である。したがって、自然エネルギー財団や大林ミカ氏の主張が中国政府や中国国営企業からどのような影響をうけているかを調査することも副次的な問題でしかない。
最も重要な論点は、我が国のエネルギー政策がここまで説明してきた審議や決定方法によって大きく左右されている現状であり、その意思決定に利害関係者を任命した政治の問題点にあるのではないだろうか。
エネルギー政策、そして電力供給の安定性は日本経済のみならず日本の安全保障上の重要論点である。その政策決定プロセスを詳細に検討するきっかけを提供した点で、今次の中国企業ロゴ問題は大きな事件なのである。
●戦闘機の輸出 「歯止め」のない転換だ 3/29
なし崩しで、殺傷兵器を世界に売る国にしてしまうのか。
政府は英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国輸出の解禁を閣議決定した。
岸田文雄政権は昨年末、米が開発した地対空ミサイル「パトリオット」の国内ライセンス生産品を米国へ輸出することに道を開いた。
これに続き、与党だけの協議で殺傷兵器の輸出を解禁する。国際紛争を助長しかねず、国民的な議論をしないまま、平和国家としての日本の歩みを転換するものだ。
政府は閣議決定を踏まえて防衛装備移転三原則を改定し、第三国への輸出は次期戦闘機に限る▽輸出先は防衛装備品・技術移転協定を結ぶ国▽現に戦闘が行われている国は除外―とした。
木原稔防衛相は「厳格なプロセス」と胸を張る。解禁に慎重な立場だった公明党も容認に転じたが、とても「歯止め」と言えるものではない。
現在協定を結ぶ15カ国には、パキスタンと紛争状態にあるインドも含まれる。いまは戦闘が行われていなくても、今後紛争が起こる可能性はある。
輸出後に戦闘機が適正に管理されるかも重大な課題だ。政府は事前同意なしの第三国移転を禁じていると説明するが、現実に阻止するのは困難ではないか。
今後の輸出については、個別案件ごとに与党合意に基づいて閣議決定を経るとしている。だが、自民党の小野寺五典元防衛相が「新しい案件を追記していけばいいだけ。何の制約もない」と言うように、与党だけの「密室協議」で際限なく輸出が広がりかねない。
「厳格なプロセス」には、国会の関与は含まれず、協定締結国も輸出を前提に政府の判断で増やすことができる。
世界最大の武器輸出国である米国でさえ、輸出には議会への報告と承認が必要なのに、日本では政権に対するブレーキが見当たらない。戦争に巻き込まれるリスクを危ぶむ。
政府の輸出解禁の背景には、販路拡大で製造コストを抑えるよう英・伊両国からの働きかけがある。
問題の本質は、憲法に基づく専守防衛の国是を突き破る方向にかじを切ることに他ならない。
自民党派閥の裏金問題で迷走し国民の信頼を失っている岸田政権に、そんな重大な判断を担う資格があるのか。
現状では報道各社の世論調査で国民の賛否は二分している。国会で議論し直すべきだ。
●「岸田降ろし」と背中合わせの日々 予算成立後も裏金処分、衆院3補選… 3/29
逆風がやまない「裏金国会」で、岸田文雄首相は最優先課題に据えた2024年度予算の成立にこぎ着け、序盤のヤマ場を越えた。ただ後半国会も、自民党派閥の裏金議員の処分や政治資金制度改革が待ち受け、近づく衆院3補欠選挙も厳しい状況が伝えられる。政権の足腰がぐらつく中、首相は経済政策をてこに反転攻勢を狙うが、苦境を脱しきれるかは不透明だ。政権運営は「岸田降ろし」と背中合わせの綱渡りが続く。
「党の手続きに従って党が判断する。誰をどう処分するかは党の判断だ」。28日の参院予算委員会。安倍派幹部や首相自身に厳罰を迫る野党議員に、首相は正面からは回答しなかった。
安倍派の資金還流を巡り、キーマンとされる森喜朗元首相への調査も「(聴取が)必要な人が誰かは調整中だ」と言葉を濁した。
改正の動きが今後本格化する政治資金規正法の罰則強化も麻生派などは「法律を守らなかった派閥が悪い」とけん制。派閥解消により、ただでさえ党内統治は揺らいでいる。閣僚経験者は「処分と改革をきっちりやれるかどうか。捨て身になった人間は強い」と首相の政治判断に固唾(かたず)をのむ。
政権の命運を握る4月の3補選も芳しくない。現状、唯一公認候補を擁立し1勝確実とみられた「自民王国」の島根1区は思わぬ苦戦を強いられ、長崎3区も「不戦敗」が濃厚だ。東京15区でも擁立作業が停滞し、小池百合子都知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」との相乗り案が浮上。岸田派中堅は「とにかく全敗だけは避けたい」と悲壮感をにじませる。
防戦一方の中で首相が望みを託すのが経済だ。日経平均株価は34年ぶりに史上最高値を更新。春闘は大手企業の賃上げ率が5%を超えて33年ぶりの高水準に達した。6月からの所得税・住民税減税でデフレ脱却へ弾みをつけたい考えで、官邸幹部は「所得向上の実感が広がればムードは変わる」と期待を寄せる。4月上旬の国賓待遇の訪米も政権浮揚につなげたい考えだ。
9月の総裁選までに衆院を解散し、総裁再選につなげる−。「岸田降ろし」を警戒する首相側近は「野党も強くない。過半数割れはない」と、解散のタイミングを虎視眈々(たんたん)と探る首相の胸中を代弁する。
しかし、内閣支持率は報道各社の世論調査で軒並み危険水域の20%台に沈んだまま。公明党の山口那津男代表も「信頼回復のトレンドを確認できるまでは解散すべきではない」と早期解散をけん制する。
自民ベテランは「官邸は世論の厳しい見方を分かっていない。このまま解散したら下野だ」と危機感を募らせた。
●「紅麴」サプリ問題、死者5人に 遺族から連絡受け、小林製薬が発表 3/29
小林製薬(大阪市)のサプリメント「紅麹(こうじ)コレステヘルプ」の摂取者に健康被害が相次いでいる問題で、同社は29日、新たに1人が亡くなったとの連絡を遺族から受けたと発表した。これで摂取との関連が疑われる死者数は5人になった。
同社によると、腎疾患を含む症状で亡くなったという人物の遺族から28日に、「生前にサプリを使っていた」との連絡が寄せられた。同社は、摂取による死亡かどうかなど「事実及び因果関係を確認中」としている。
同社は22日、サプリの摂取者から腎疾患などの健康被害が報告されていると発表した。製品と原料の一部から「未知の成分」が検出されたとしている。健康被害との関連を調べている。
同社は29日午後2時から、小林章浩社長らが会見を開いて状況を説明する。 
●北朝鮮外相「日本との対話に関心なし」、拉致問題協力せず=KCNA 3/29
北朝鮮の崔善姫外相は、日本との対話に関心はないと述べた。日本人拉致被害者問題に協力する意向はないと表明。日本が主権に干渉すれば「厳しく対応」するとした。国営朝鮮中央通信(KCNA)が29日、報じた。
北朝鮮は2002年、数十年前に日本人13人を拉致したことを認めた。その後、5人が日本に帰国し、その他の拉致被害者は死亡したとしている。
KCNAによると、崔外相は岸田文雄首相について「解決できない問題になぜ執拗にこだわるのか理解できない」と述べた。
また、李竜男駐中国大使は談話で、日本とのいかなるレベルの会談も行われることはないと表明。北京の日本大使館職員が北朝鮮大使館の参事官に電子メールで接触を打診したとした上で,「朝鮮民主主義人民共和国と日本との間で、いかなるレベルの会談も行われないという姿勢を改めて明確にする」と述べた。

 

●二階俊博元幹事長から「バカヤロウ」と言われた地元記者 自民党重鎮議員の“不出馬”会見で「裏金問題の政治的責任か、それとも年齢の問題か」を質問したワケ 3/30
「このタイミングで、次の衆院選の不出馬を決められたのは、やはり政治資金パーティーの問題、不記載であったことの責任を取られたと考えていいのですか?それとも二階先生のご年齢の問題なのでしょうか?」(MBS記者 大八木友之)
「不記載。不記載と政治不信を招いたということを申し上げた通りでございます」(林幹雄 元幹事長代理)
「(政治家に)年齢の制限があるか?」(二階俊博元幹事長)
「年齢制限は無いですが、お年を考えてということですか?」(大八木記者)
「そんなことないです」(林元幹事長代理)
「お前もその年が来るんだよ」「バカヤロウ」(二階元幹事長)
3月25日、自民党の二階俊博元幹事長が開いた記者会見で、私が質問した際のやりとりだ。いわずもがな二階氏は自民党幹事長を歴代最長5年にわたりつとめるなど長らく権勢をふるい、派閥の長として君臨したドンである。関西が放送エリアのMBS(毎日放送)にとっては、地元の超大物議員でもある。85歳の重鎮がついに政界から去る決断をしたというのなら、この会見は、ぜひ参加しなければならないと思った。
「何を聞く」東京へ向かう新幹線で走り書き
前日に「日本維新の会」の党大会取材のため、関西に戻っていた私が、”二階氏、次期衆院選に不出馬”の一報を知ったのは、東京へ向かう朝の新幹線の中だ。一報に衝撃を受けながら、車中でメモとペンを取り出し、急ぎ記者会見でのポイントや質問案を書き出した。
 ・何の責任を取って不出馬
 ・なぜこのタイミングでの発信
 ・自身の派閥の不記載、自らの収支報告書不記載の責任は…
 ・党の処分検討 安倍派非公認
 ・後継者は…?
二階氏の不記載は3526万円 不出馬の理由は何なのか?
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、二階氏の関連政治団体は派閥から寄付を受けながら政治資金収支報告書に記載していなかった。その金額は5年で3526万円に上っている。
秘書は政治資金規正法違反で有罪が確定し、派閥の元会計責任者も在宅起訴されている。「裏金」問題を含め、政治家としての重大な決断に踏み切った理由をどのような言葉で語るのか、はやる気持ちをおさえつつ自民党本部に到着、午前10時半から始まる記者会見場へと滑り込んだ。すでに多くの記者で席は埋まっていて、通路にも人垣ができていた。私に残された場所はもはやテレビカメラの後ろしかなかった。
紙面を読み上げる二階元幹事長 しかし声が小さい…
ほどなくして、姿を見せた二階元幹事長。林幹雄元幹事長代理を伴って記者会見は始まった。手元に用意した紙を読み上げる二階氏。しかし、声が小さく、会見場のほぼ最後方にいた私にはほとんど聞こえない。
「このたび派閥の政治資金問題で政治不信をまねく、改めておわび…」
「この際、政治的責任をあきらかにするとして…」
「次期衆院選に出馬しない」
「後継候補は…」
時々漏れ聞こえてはくるのだが、肝心な部分がちょっとよくわからない。。。
質疑応答が始まると、私は2〜3メートル前にスペースを見つけて移動した。二階氏になりかわって代弁する林氏の声はよく聞こえてきた。二階氏の声も断片的ながら、さきほどよりは聞き取れるレベルになった。
政治倫理審査会には出席する意思や、必要性が無いと考えていること。自民党で検討されている処分と不出馬との関係は否定したこと。後継候補は、自民党和歌山県連に一任すると述べたことは把握できた。
何の責任を取って、このタイミングで不出馬宣言なのか
次の衆院選、和歌山県は小選挙区数が1つ減少し、二階氏の和歌山3区は新2区となる。そしてその選挙区には安倍派幹部で、和歌山を選挙区とする世耕弘成参院議員がくら替え出馬を模索していると、かねてから囁かれてきた。二階氏は自らの息子に後を継がせたいため、世耕氏のくら替え出馬を阻止したいのでは、とも言われてきた。
そんな中、「裏金」問題で力を削がれた世耕氏がくら替えをしにくくなったこの局面で、二階氏は自らの勇退を宣言し、後継に道筋をつけたのではないのか。いまは自民党からの処分前、先んじて手を打ち、後継のこと、選挙区事情の問題も、そして年齢も、様々なことを考慮した上での『ベストなタイミング』での「不出馬」発表だったのではないのか。
ここまで会見を聞いても、疑問は解消されずモヤモヤが消えない。自然と手が挙がっていた。
二階氏「お前もその歳がくるんだよ」「バカヤロウ」
と、そこで進行役が質問を打ち切ろうとした。それを制したのは二階氏だった。「あそこで、まだ手が挙がっている。」私のほうを見て、会見を続行させたのだ。かくして質問の機会が巡ってきた。
ただ、上記のすべての要素を含んだ長い質問はできそうにない。政倫審、後継、処分、これらの質問はすでに出ている。そこで聞いたのが、冒頭の「年齢」に関係する質問である。もちろん年齢で政治家の優劣が決まるものでもないと理解している。ただ、二階氏は85歳で現役最高齢の衆院議員だ。勇退を決断するとするなら、当然、年齢も一つの要素ではないか、という主旨から発した質問だった。
そんな私の考えとは裏腹に、二階氏は「年齢」にこだわりはあったようだ。「年齢の制限はあるのか」、「お前もその年が来るんだよ」と、私を見て、怒気を含んだ調子で返してきた。あの日の記者会見で最も大きな声だった。すこし想定外の回答ではあったが、大物政治家が垣間見せた感情であり、本音が出た瞬間だったように思う。
実を言うと、私自身は会見場で二階氏の「バカヤロウ」発言は聞こえてはいなかった。顔の向きを変えて、捨て台詞のように何かを発したようには思えたが‥。マイクが拾った音声を、映像として見ていた人から「バカヤロウ」と言っていたと会見終わりで聞かされた。
本当に不記載を反省しての決断だったのか…本質の疑問は残った
若造が失礼なことを…という気持ちから出た二階節か。「バカヤロウ」は無いよなと思う半面、もしかしたら、政治家・二階氏から最後に罵倒された記者になったなら、それはそれで、とも感じている。二階氏が明確に述べた「年齢が理由ではない。」この質問は必要であったと思っている。
ただ残念だったのは、本質的な疑問点が解消されぬまま、記者会見が終わってしまったことだ。「このタイミングで自ら勇退する決断に至った二階氏の政治的な狙い」は何だったのか…記者として力不足だったという他ない。政治取材は、政治家の懐に入り、どう本音を引き出すかとが難しく、距離感とタイミングをはかり質問を繰り出すのが一つの醍醐味なんだろうと思う。ほかの取材と少し異なる独特の世界でもある。
東京へ異動して、国会取材などを始めて8か月、まだまだ勉強不足である。記者会見は、瞬間鋭く切り込み、真剣勝負をすべき場であり、それが記者を通して外から見つめる人々の関心に応えることにつながる。権力者や政治家から誉めそやされるよりは、怒られるほうがマシだ。そうしなければ、視聴者や読者から「バカヤロウ」と言われてしまうから。
●加速する米軍と自衛隊の一体化 アメリカの戦争に引き込まれる恐れは 安全保障関連法施行8年 3/30
集団的自衛権行使を可能にする安全保障関連法が施行されてから29日で8年となった。自衛隊幹部が米国製巡航ミサイル「トマホーク」を米軍と情報共有して敵基地攻撃に使う可能性に言及するなど軍事的な一体化は加速。4月の日米首脳会談では米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化で合意する方針だが、強大な米軍の影響力で自衛隊の指揮権の独立性が損なわれ、日本が米国の軍事行動に巻き込まれる懸念は消えない。
海自トップ「トマホークで日米連携攻撃も可能」
海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長は26日の記者会見で「日米がそれぞれのトマホークで同じ目標に攻撃を行うことはシステム上は可能だ」と表明。「実施するかどうかはその時の戦術判断による」と強調した。
岸田政権は2022年末に改定した国家安保戦略で敵基地攻撃能力の保有を決めるなど、16年3月に安倍政権で施行された安保法を受けた防衛政策の転換を次々と進める。「存立危機事態」になった際、集団的自衛権の行使で自衛隊が敵基地攻撃を行う可能性があり、日米が協調したトマホークの運用も想定される。
制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長も28日の会見で「トマホークはもともと米軍の装備なので、さまざまな形で日米連携が行われていく」と指摘する。日本は米国からトマホーク(射程1600キロ以上)を最大400発購入することを決めており、25〜27年度にかけて順次納入される。
在日米軍は25〜29日、米海軍横須賀基地で海自の隊員らに対し、トマホークの実戦配備に向けた初めての教育訓練を実施。トマホークの運用に必要な座学研修や、米艦艇での実戦を想定した訓練を行った。今後も2カ月ごとに日米で訓練を行い、運用に習熟した隊員を増やしていくという。
岸田首相は「独立した指揮系統」を強調するけれど
木原稔防衛相は29日の会見で米軍の支援を歓迎し、安保法施行に伴い「日米同盟はかつてないほど強固となり、抑止力、対処力は向上した」と主張した。
だが、米国がサイバーや衛星などを含め圧倒的な軍事力と情報収集力を誇る中、日米の軍事的な一体化が進めば進むほど、有事の際に日本が主体性を発揮しにくくなり、米国の意向に左右される側面は否定できない。トマホークの発射でも、日本が狙う相手国の軍事拠点の選定などで米軍の能力に頼らざるを得ない。
岸田文雄首相は4月のバイデン米大統領との会談で、敵基地攻撃能力の保有を踏まえ、日米の共同対処能力の向上に向け、米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化で一致する見通しだ。
首相は「自衛隊と米軍は独立した指揮系統に従って行動する」と繰り返すが、共同作戦計画などで一体的な運用がさらに強まるのは確実だ。日本が独立した指揮系統を維持できるのか、米国の軍事行動に組み込まれる事態は想定されないのか、疑問は尽きない。
●【二階氏“不出馬”の深層】「馬鹿野郎」発言も政治力の源泉に…政権幹部「岸田降ろし」加速の観測も 電撃表明に地元・和歌山の後任選定も混沌 3/30
3月25日の自民党本部。自民党元幹事長・二階俊博(85)の突然の次期衆院選不出馬表明に、永田町では激震が走った。一連の裏金問題の責任を口にしながら、会見時間はわずか11分。多くを側近議員が代弁し、記者を「馬鹿野郎」と罵る姿に批判の声も上がるが、二階が放つ独特の存在感は衰えることなく、政権幹部からは『岸田おろし』が加速するのでは、との憶測も広がっている。
突然の通告
二階「次の衆院選には出馬しません」
3月15日の朝、二階からの電話を受けた岸田文雄首相は珍しく動揺を隠せない様子だったという。岸田は「一度会ってお話できませんか」と二階側へ面会を申し込み、その日の夕刻に党本部の二階の元へ足を運び労った。
岸田「今後もご指導ください」
岸田は、2021年の総裁選で自身を支持しなかった二階や前首相の菅義偉に面会する際、自ら先方の居所へ向かう気配りを見せてきた。すべては今秋に任期満了を迎える総裁再選に向けた障壁を取り除きたいからに他ならない、というのが二階や菅の側近たちの共通認識だ。
しかし、一連の「政治とカネ」の議員処分を巡り、党内ではこの神通力にも限界が訪れたとみる向きが強まっている。
「二階さんの不出馬表明は、自身への処分方針に対する党幹部への怒りの表れ。その是非はまた別次元の話だが…」
自民党幹部の一人は取材に対し、こう打ち明けた。一方、政権幹部の一人は不出馬宣言が「想定外だった」とした上で、「これまで『付かず離れず』の距離感を保ってきたが、今回の一件で溝が深まったのは確かだ。総裁選に向けて『岸田おろし』を始めやすい環境を作ってしまった」と悔やむ。
もっとも、二階は2月に85歳を迎えた。会見で「政治とカネ」を巡る3526万円にもおよぶ不記載について質問が及んでも自ら語らず、「裏金ではない」との答弁を側近の衆院議員・林幹雄に委ねた。年齢のことを聞いた記者に向かい「お前もその歳来るんだよ」と睨みつけ、「馬鹿野郎」と吐き捨てた。
不可解な言動はここ数年で顕著になってきており、移動時に警護のSPや番記者の肩を借りて歩く場面も増えてきた。体力面で政治活動の限界を指摘する声もある。ただ、こうした不確実性・不透明性が「二階は何をするか分からない」という憶測を呼び、一挙手一投足に注目を集めて自らの政治力の源泉に昇華させてしまうところが、政治家としての二階の真骨頂とも言える。
二階俊博という政治家
話を3月25日の記者会見に戻すと、筆者は冒頭に二階が紙を読み上げた「思い」が印象に残った。
(記者会見での二階の発言)
「私が県議であったときに、地元の青年団の皆さんが『これから新潟に行く』と真剣な顔で訪ねて来られた。『何しにいくんですか』と尋ねると、『地元の道路の要望を何十年も地元の国会議員に頼んだが、一向に動かない。私たちの痛みをわかってくれるのは田中角栄さんしかいない』と言われました。私は悔しい思いでした。こんな思いをさせてはいけない。私が自ら国政に挑戦することを誓った日であります。以来、県議、国会議員、ずっと長くに渡って私の故郷の同志の皆さんに支えられ、歩みを続けて参りました。初めて国政に立候補した、決意したころ、名もない私と初めて会った人が朝ごはんをご馳走してくれました。私は大変感激をした次第であります。政治の原点は故郷にありということを常に申しておりますが、私はその考えをもとに政治の道を歩んでまいりました。私がここまで来れたのは、選挙で選んでくれた有権者の皆さんの熱い思いがあったからでありまして、改めて心から深く感謝申し上げたいと思います。政治は1人の力ではできない。尊敬する田中角栄先生が語られた最も深い印象的な言葉であります。是非自民党が再び、国民の期待に応えられる政党として再起することを願います。ありがとうございました。」
2021年の衆院選で二階が地元で配っていた法定ビラには、こんな一文が記されていた。
「高速道路 紀伊半島一周!」
その衆院選で、地元・御坊市に帰り演説を行った二階は、街宣車の手すりに身を委ねながら自信満々に語り始めた。
「二階俊博は、他の政治家とは違うんです」
集まった聴衆から大きな拍手が沸いた。勤務先の建設会社からの指示で作業服姿で演説を聞いていた30代の男性は、「二階さんがいなければ、高速道路も来なかっただろうし、自分たちの仕事も続かなかったと思う。二階さんの代わりになる人は、たぶんいないと思う」と語った。
東京や大阪などの大都市視点で見れば、国土強靭化を掲げて地元に公共事業や補助金を引っ張ることを業とする二階のような人物は、典型的な昭和の『利益誘導型』の政治家に映るだろう。
一方、日本国内で補助金を受け取らずに営みとしての農林水産業が成り立つ地域はごくわずかで、交通網も整わない場所では、こうした政治家を必要とする住民が今も多数いるというのもまた現実だ。
地方に住む人の立場で見れば、二階は決して「古いタイプの政治家」ではないのだ。
和歌山県選出の国会議員として二階が目指してきた「地域の発展」の姿なのだろう。そして自民党を飛び出して新生党、新進党、自由党、保守党、保守新党を経て再び自民党に戻り、政治活動の多くの時間を与党でいることにこだわった理由も、ここにあったのだろう。
この間、和歌山県内の高速道路(高規格道路)整備は着実に進み、大阪から紀伊半島各地への車での所要時間は大幅に短縮された。2022年には国土交通省によって県内最後の未着工区間の用地取得事業が始まり、半世紀前に二階が夢見た「一周道路」構想は、実現の最終段階に入っている。
“引退”表明で後継候補は混沌
後継候補について二階は記者会見で「和歌山県連に任せる」とし、後継指名は行わなかった。
「10増10減」の選挙区調整で、次期衆院選から選挙区が1減となる和歌山県。長年二階が守ってきた和歌山3区は、和歌山市など北部の3市を除いた全市町村を選挙区とする新和歌山2区となる。
その新2区での出馬意欲を見せていたのが参院自民前幹事長の世耕弘成だ。
地元有力者の間では一時、二階との「ガチンコ対決」であっても世耕が勝つのではと言われるほど、二階の牙城に肉薄していたとみられる。しかし、「政治とカネ」の問題で世耕の求心力は一気に低下し、今のところ地元から「再起」に期待する声も上がっていない。
果たして後継候補は二階の息子なのか、世耕が再び意欲を見せるのか。衆院新和歌山1区へ鞍替え表明した参院議員の鶴保庸介の動向を気にする声すらある。
元々、自民和歌山県連内は、青年部による「過激ダンスショー」問題の扱いを巡って、二階系と世耕系が真っ二つとなっていた。その中で、突如噴き出た"ドンの引退表明"なだけに、「選考プロセスを誰がどう仕切るのかを含めて、混沌としているとしか言いようがない」(自民和歌山県連関係者)のが現状だ。
岸田が今年4月や6月の解散が視野に入れているとも取り沙汰される中、和歌山自民の混乱収束の見通しは立っていない。
●自民党が立憲に「惨敗」する…ある調査が示した「驚きの結果」のウラで、立憲内部では早くも権力闘争が始まっていた 3/30
まさかの調査結果
自民党裏金問題を受けて内閣支持率が低迷する岸田政権。
低い支持率とは裏腹に岸田文雄首相は9月に控える自民党総裁選で「岸田おろし」をされる前に、衆議院を解散し総選挙に打って出るのではないかと永田町で囁かれている。
一方、野党第一党の立憲民主党が次期衆院選を想定して3月上旬に独自に行った情勢調査では、立憲優勢な結果が出ていることが関係者への取材で分かった。
こうした中、立憲内では次の代表を巡る権力闘争が始まりつつある。
「あまりに良い結果が出過ぎている」
情勢調査について立憲関係者は半ば驚く様子で語った。
例えば、東京都内では現職議員は1人を除いて全員が自民候補に勝つほか、現在落選中で衆院選に向けて地元活動をしている元議員も軒並み小選挙区で当選するという結果が出ているという。
ほかの地域でも立憲が優勢な結果が相次いでいるとのことで、「このままだと本当に政権交代が起きるような情勢になってくるかもしれない」と関係者は続けた。
こうした中、立憲内で始まりつつあるのが次の代表を巡る権力闘争だ。
野田元首相の「意味深」な発言
岡田克也幹事長は次期衆院選の時期について表向きは「6月までに解散総選挙がある」と述べて党内の引き締めをしているが、一部の幹部には「来年の衆参同日選になるのではないか」という展望も語っているという。
岸田首相は現在の通常国会の途中での解散を模索しているが、低支持率の中で結局のところ選挙に打って出ることができず、9月の総裁選で交代を余儀なくされる。しかし、次の総理も裏金問題を引きずる中で思うように支持率を回復することができず、衆院選は来年にずれ込んでいく――という見立てのようだ。
「来年は都議選もある中で衆参同日選となると組織票頼みの公明党は嫌がるが、一方で問題続出の大阪万博と重なり、日本維新の会の失速が期待できる。その隙を自民はついてくるのではないか」(立憲幹部)というのだ。
そうなった場合、立憲では今年9月末に泉健太代表が任期満了を迎えるため、誰をトップにして次期衆院選を戦うかが問われることになる。
実は水面下ではすでに立憲代表選を見据えた動きが起きつつあり、野田佳彦元首相がとある重鎮議員を呼んで、「俺が代表選に出たら応援してくれるか」と問いかけたという情報も出てきている。
ただ、立憲関係者からは「情勢調査で良い結果が出たからと言って、浮足立っていると足をすくわれる」との声もあがる。
2021年に菅義偉元首相が支持率低迷で退陣に追い込まれた後、現在の岸田文雄首相で即座に解散となり、議席を伸ばすと見られていた立憲が逆に議席を減らしてしまったことは記憶に新しい。
「一寸先は闇」
また、4月28日には衆院3補選が行われ、岸田政権の行方を左右する試金石となるが、東京15区では立憲が候補者擁立に難航した。
立憲幹部によると、もともと立憲に所属していて現在は無所属で活動している江東区出身の須藤元気参院議員を無所属で擁立し、共産党やれいわ新選組と一緒に応援する構図を模索していたが、共産党から難色を示され、昨年の江東区長選に出馬した酒井菜摘氏を立てる方向で再調整が行われているという。
そうこうしているうちに小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会は作家の乙武洋匡氏の擁立を決め、自民、公明、国民民主との連携の調整に入った。知名度のある乙武氏を小池氏が支える体制に立憲の苦戦が予想される。
政治は「一寸先は闇」だ。情勢調査結果に浮足立つことなく、まずはしっかりと地に足をつけて、目の前の課題、目の前の選挙に取り組んでいくことこそが今の立憲にとっては重要だろう。
●そこまでやる必要があるのか…?岸田政権の野心を描く、日米安保最大の秘策―在日米軍司令機能強化の背景 3/30
日米の連帯をより促進
読売新聞(3月25日付朝刊)は一面左肩に「在日米軍の司令機能強化―日米指揮統制見直し、首脳会談合意へ」の見出しを掲げて、同記事の冒頭で次のように報じた。
<米政府は、米軍と自衛隊との連携促進のため在日米軍の司令部機能を強化する調整に入った。複数の日米両政府関係者が明らかにした。陸海空自衛隊を束ねる「統合作戦司令部」が2024年度末に創設されるのに合わせ、日米の相互運用性を向上させる狙いがある。日米両政府は、4月10日の首脳会談後に発表する共同文書で、日米の指揮統制枠組みの見直しを明記する意向だ>。
事実である。翌26日に日本経済新聞(朝刊)がフォローしているので「読売」のスクープだ。しかし、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が24日付電子版で「US and Japan plan biggest upgrade to security pact in over 60 years」と題した詳細な記事を伝えていた。
それはさて措き少々、説明を捕捉したい。先ずは東京都下の横田米空軍基地に司令部を置く在日米軍司令部(リッキー・ラップ司令官=空軍中将)。米軍は世界に6つの地域別統合軍を展開するが、その中でも最大規模を誇るのが米インド太平洋軍(USINDOPACOM。ジョン・アキーノ司令官=海軍大将)であり、ハワイ州オアフ島の米海兵隊キャンプ・H・M・スミス内に司令部がある。陸海空軍及び海兵隊約38万人の兵士を擁する。司令官は5月にアキーノ提督からサミュエル・パパロ現太平洋艦隊司令官(海軍大将)に交代する。
在日米軍司令部は、この米インド太平洋軍司令部の傘下にある。そして在日米軍司令部には以下の各部隊が配置されている。米第5空軍司令部(東京都福生市の米横田空軍基地。ラップ中将が司令官を兼務)、在日米陸軍司令部(神奈川県座間市の米陸軍キャンプ座間。デイブ・ウォーマック司令官=陸軍少将)、米第7艦隊司令部(神奈川県横須賀市の米横須賀海軍基地。フレッド・ケイチャー司令官=海軍中将)、在日米海兵隊司令部(沖縄県うるま市の米海兵隊キャンプ・コートニー。ロジャー・ターナー司令官=第3海兵遠征軍司令官・中将)などだ。
付言すべきは、米海軍最大の艦隊としてインド太平洋地域を管轄する米第7艦隊司令部の存在である。横須賀を拠点とする同艦隊は原子力空母「ロナルド・レーガン」など70隻以上の艦船、200〜300機の航空機、そして4万人以上の海軍兵士、海兵隊員が展開する。司令部は旗艦ブルーリッジ艦上に置く。
米軍の調整機能を保有・活用
次は自衛隊統合作戦司令部。今年の2月9日、政府は同統合作戦司令部の設置を盛り込んだ防衛省設置法等改正法案を国会に提出した。具体的には、同設置法第21条第一項に「陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊として統合作戦司令部を置く」の文言を加えたものだ。4月4〜5日には衆院本会議で同改正法案の趣旨説明及び質疑が行われる。尚、同統合作戦司令部は東京・市ヶ谷の防衛省内に設置される。
防衛省統合幕僚監部(統合幕僚長・吉田圭秀陸将)の運用部を切り離して実働部隊を一元的に指揮できるよう、既存の陸海空に加えて宇宙・サイバー・電磁波の領域横断作戦を実施する統合運用態勢の確立のためだ。主目的はもちろん、米インド太平洋軍との調整機能を保有・活用することである。
「在日米軍の司令機能強化」(読売の見出し)は、在日米軍司令部の権限を強化して新設される自衛隊統合作戦司令部との連携強化を意味する。それは、FT報道「Tokyo has been pushing for a US four-star commander in Japan 」にあるように、現行の在日米軍司令官(空軍中将)を、例えばパパロ提督の後任太平洋艦隊司令官(海軍大将)クラスの4つ星(大将)に格上げするということである。
そして権限が強化された在日米軍司令部と統合作戦司令部が共同作戦を通じて「台湾有事」や「朝鮮半島有事」の事態に対処するというものだ。念頭に置くのは米韓連合軍司令部(CFC。ポール・ラカメラ司令官=陸軍大将・在韓米軍司令官兼務)である。
岸田文雄首相が描く近い将来の絵図は、米韓並みの自衛隊と米軍の指揮統制の見直しとその一体化ではないか。まさに岸田進軍ラッパ、鳴り響くだ。果たしてそこまでやる必要があるのか、というのが筆者の率直な気持ちである。
●「日本側との接触・交渉を拒否する!」“手のひら返し”裏の「安倍政権のトラウマ」 3/30
朝鮮中央通信が3月25日に伝えた談話で「最近も岸田首相は異なるルートを通じ、できるだけ早く朝鮮民主主義人民共和国国務委員長(金正恩氏)に直接会いたいという意向を我々に伝えてきた」と、日朝の間で外交交渉が秘密裏に行われていることを“暴露”した金与正党副部長。
ところが、翌26日には前言を翻し、「日本は歴史を変え、地域の平和と安定を図り、新たな朝日関係の第一歩を踏み出す勇気が全くない。日本側とのいかなる接触も交渉も無視して拒否する」などと朝鮮中央通信を通じて表明を発表。いやはや、このわずか1日での手のひら返しの真意はどこにあるのか。
25日の与正氏の発言を受け岸田首相は同日夜、官邸で記者団に対し、「談話は承知している。北朝鮮との諸懸案を解決するには金正恩氏とのトップ会談が重要だ。私直轄でさまざまな働きかけを行う」と述べ、水面下で交渉があることは否定せず、ただ、首脳会談実現の可能性については「相手のある話だ。今、決まっているものはない」と述べるにとどまったが、
「本来、交渉の経緯を暴露することは外交におけるタブー中のタブーですが、北朝鮮がそれをやってきたということは、むろん拉致問題は解決していない、とする日本側の強固な姿勢にイラ立ちがあるからでしょう。加えて、来春以降になるとみられる米朝協議の時点で、支持率2割程度の現岸田政権が継続する可能性は低いと踏み、もはや協議相手は『ポスト岸田政権』と考えている可能性もある。ただ、北朝鮮としては来年1月、米国でトランプ政権が復活すれば、当然、核保有や在韓米軍撤退などを要求するはず。その際、かつて安倍政権がやったように、トランプ氏に対し北朝鮮の要求に応じないよう働きかけられてはたまらないと考えていることは間違いない。つまり、一連の発言をそのまま鵜呑みにする必要はないものの、彼らが岸田政権の足元を見て揺さぶりをかけ、会談をせかしていることは確かだということです」(外報部記者)
とはいえ、争点となる「拉致問題」については、大きな困難が予想される。
「北朝鮮は2002年9月の日朝首脳会談で、日本人拉致被害者8人について『死亡』と主張し、一方的に『被害者遺骨』だという骨を送りつけてきて、これで問題は解決、としてきた。今回の与正談話からも、北朝鮮側の立場が変わっていないことは明らかです。ただ、むろん日本側としては拉致問題を抜きにした首脳会談など決して受け入れられるはずがない。今後も、しばらくは水面下での熾烈な駆け引きが続くことになるでしょう」(同)
そんな中、永田町筋からの一部情報によれば、日本政府は26日に平壌で予定されたサッカーワールドカップ2次予選の日朝戦開催に向け、ある秘策を目論んでいたというのだ。
「実は日本政府は、選手団の支援として14人の政府職員を平壌に派遣する予定だったようなんです。ところが、周知のように試合開催そのものがドタキャンされてしまった。結果、職員の派遣も取りやめになり、貴重なチャンスが失われてしまったというわけです」(同)
試合開催中止は表向き「日本で流行している感染症」が理由だとされているが、この政府職員らの平壌派遣を阻止するため、との噂もあるというのだが…。いずれにせよ、水面下での攻防戦はまだまだ続きそうだ。
●“ポスト岸田”に小池東京都知事の名前も… 5か月連続支持率20%台で泥沼の岸田政権 2024年3月 最新世論調査解説 3/30
岸田内閣の支持率は5か月連続20%台と、危機的な状況が続いています。首相自らが出席した政倫審や、自民党の党則の改正も国民の理解は得られていません。そのようななか、上川外相が“ポスト岸田”の上位に急浮上。そして、小池東京都知事に期待する声もささやかれています。NNNと読売新聞が行った最新の世論調査を日本テレビ政治部の竹内デスクと菅原解説委員の同期コンビが徹底解説します。
岸田内閣支持率 “泥沼”の5か月連続20%台
【竹内】岸田内閣の支持率は25%。これで5か月連続の20%台ということで、低迷は泥沼化しているといっても過言ではありません。
【菅原】政倫審などやりましたが、結局、“政治とカネ”の問題を払拭するには、全く足りていなかったということでしょうか。
【竹内】そうですね。前回の調査から今回までの1か月間に、岸田首相が“政治とカネ”の問題について手を打ったことが2つありました。ひとつが「政倫審」。安倍派の幹部、二階派の幹部、そして、岸田首相も自ら説明しました。しかし、世論調査では、出席した議員の説明に「納得できない」と答えた人が81%でした。
【菅原】結局、あの場では真相解明に至らなかったということを考えると、仕方ないかなという感じもします。
【竹内】本来でしたら理解がありそうな自民党の支持層に限っても、「納得できない」と答えた人が80%ですから、かなり厳しく見られているということです。
もうひとつ動いたのが、「自民党の党則改正」。会計責任者が逮捕や起訴された時に、議員にも厳しい処分を下すことができるように変えました。しかし、世論調査では、これが「信頼回復につながると思う」と答えた人は28%にとどまりました。
岸田政権にとっての“次の節目”
【菅原】ここ数か月、「ぎりぎり」とか、「崖っぷち」とか、色々な言葉でお伝えしてますが、この状況はまだ続きそうですか?
【竹内】多くの人が節目になるとにらんでいるのは、衆議院の補欠選挙です。東京15区、島根1区、長崎3区の3つの選挙区で、4月28日に投開票が行われます。
【菅原】自民党には‟厳しい“と言われていますね。
【竹内】はい。そもそも東京と長崎は事件絡みで自民党の現職の議員が辞めたところから補欠選挙になりました。長崎は“不戦敗”になりそうですし、東京も独自の候補者を立てるのはもう間に合わないのではないかといわれているんです。
【菅原】全部落とした場合は、さすがに‟岸田おろし”ということになりそうですか?
【竹内】可能性はあると思います。「岸田さんでは選挙を戦えない」ということがわかりやすく示されるのは、やはり実際に選挙をやった時ですよね。補欠選挙で3つとも負けるようなことになれば、やはり、「自分たちの選挙の時にも岸田首相では負けてしまうかも」と思うと、“岸田おろし”が始まる可能性はあります。ただ、岸田首相にとって幸いなのは、今年、必ずしも衆議院選挙や参議院選挙をやらなければいけないわけではないということです。参議院に関しては来年ですから。そういう意味では、直ちに“岸田おろし”が本格化するかというと、そうではないのでないかという見方もあるんです。
“ポスト岸田”上位に浮上した上川外相
【菅原】今回の世論調査で、“ポスト岸田”についても聞きましたよね。
【竹内】はい。今回はちょっと動きがありました。1位、2位は石破元幹事長、小泉元環境相で変わりませんでしたが、これまで3位が定位置だった河野デジタル担当相が4位に下がり、上川外相が3位に入りました。
【菅原】このいわゆる‟ポスト○○”の調査では、上川外相は本当に最近になって出てきたという印象ですよね。
【竹内】きっかけは、1月に麻生副総裁が講演の中で上川外相のことを持ち上げたことでした。
【菅原】容姿いじりをして批判が出ましたよね。
《麻生副総裁 1月28日 福岡県の講演での発言》「上川陽子は大したもんだぜ。俺たちから見ていても、ほぉ、このオバサンやるねと」
【竹内】結果的には、これをきっかけに上川外相が注目された部分はあったと思います。日本では女性が首相になったことはないですから、自民党からすれば目先を変える、雰囲気を変えるというアピールをするためには、「上川さんがいいのではないか」という人が結構出てきたわけなんです。自民党のある若手議員は「自民党が変わったと国民に思ってもらうには女性が良い。そういうリーダーで選挙をやるのがとても良い」と話しています。そして、これは議員の本音が出ているなと思ったのが、自民党の中堅議員の話です。「選挙を考えるならば、女性や若いリーダーが望ましい。女性というと野田さんや高市さんもいるけれど、あの人たちは好き嫌いがあるじゃないか。その点、上川さんはそんなに好き嫌いが分かれるタイプでもないし、無難でいいんじゃないか」と話していました。
【菅原】「女性だからいい」だとか「無難だからいい」というのは少し失礼な感じがします。
【竹内】本当にそうだと思います。女性からすれば「女性であれば誰でもいいのか」となってしまいますよね。ただ、自民党もさすがに皆がそこまで短絡的に考えているわけではなくて、「女性というだけでいいのか」、「初の女性総理で刷新感を出すなんてことで国民はだませない」と話す人もいます。ただ一方で、野党もこの“上川総理”を警戒しています。立憲民主党の枝野前代表は講演で、このように発言しました。
立憲民主党 枝野前代表 枝野幸男氏のユーチューブより「岸田文雄さんで解散をしてくれたら、自民党は自滅です。だから首をすげ替えて、もうちょっと、なんとなく良さげな人に切り替えて総選挙になるというのはほぼ間違いない。(中略)次の総選挙は、日本初の女性総理を相手にやります。(中略)次の総理は上川陽子(外相)」
【菅原】名前まで出しているんですね。これは“潰すため”ではないですか?
【竹内】そうなんです。だから、枝野前代表は繰り返し「女性初の総理だからといって騙されてはダメだ」と警告をしているし、「総理が誰であろうと自民党ではダメだ」と批判もしているんです。
【菅原】“上川首相”というのは、ありえなくはないんでしょうけれども、すごく可能性が高いかというと、そうでもないという印象ですよね。
【竹内】そうですね。だからやはり、自民党内でも「女性だからという理由で、上川さんにするのはどうだろう」という否定的な意見は多いです。そもそも、上川外相は岸田派の人だったわけですよね。だから、岸田首相と‟親分子分“のような関係なわけで、岸田首相が続けている間に、上川外相が「私がやります」ですとか、周りの人が「上川さんでやろう」とは、ちょっと言いにくいですよね。
【菅原】そうなると、“ポスト岸田をどうする”というのは、なかなか見えてこないというか、‟手詰まり感“がありますよね。
【竹内】そうなんです。何か決定的な策というのは、なかなかないです。ただ、古くから“政界は一寸先は闇”と言われるように、“ある人”の名前も出てきているんですけど、誰か分かりますか?
【菅原】女性ですよね。‟キャッチーなことを言わせたら、天下一品”といわれる、“あの人”ですね。
自民党内には“あの人”の再登板への期待も…
【竹内】そうです。東京都の小池百合子知事です。小池都知事は、希望の党でうまくいかなかったので、それ以降は国政から距離を取っていました。オリンピックもありましたし、都政に集中している印象でしたけれど、ここに来て存在感を示す出来事がありました。それが1月の東京・八王子市長選挙です。1月というと、‟政治とカネ”の問題で、東京地検特捜部の捜査が真っ盛りだった時ですよね。そのため、自民党と公明党は推薦候補を立てたものの、すごく苦戦していたんです。ただ、最後の最後で小池都知事が応援・支援に乗り出したところ、何とか紙一重、辛くも勝利を収めたんです。ですから、自民党内からは、「やはり小池さんは選挙に強い」という評判が立ったんです。そういう流れの中で、「4月の衆議院の補欠選挙で東京に小池さんが自ら立候補して、国政復帰を図るんじゃないか」という噂が流れたんです。ある自民党の議員は、「小池さんのセンは消えてない」と。「小池さんがもう一度トップを目指す可能性は消えてない」と言うんですね。そうはいっても、「小池都知事は自民党を出たし、どうするんだ」と聞くと、「そんな理屈は後からついてくるんだ」と。これは自民党らしいですけれど。
【菅原】“最後は何でもあり”となると、本当におっしゃる通り、自民党らしい感じはします。でも、小池都知事というのも、まさかのまさかという感じですよね。
【竹内】そうですね。本命ではないですよね。特に、噂のようなところもあるので、確度が必ずしも高いわけではないです。ただ、一つ言えるのは、こういう噂や情報が出回るぐらい、自民党が苦しい、追い込まれた状況だということではあると思います。
【菅原】自民党が盤石であれば、そのような声も出てこないとは思います。結局、“政治とカネ”の問題の真相解明が行われない限りは、この苦しい状況は続くのではないでしょうか。
求められる岸田首相の“リーダーシップ”
【竹内】本当にそうだと思います。問題がどこにあるのかを突き止めて、それに基づいて対策をする。そして、“けじめ”をつける。今回でいうと「処分」をするということが求められると思います。岸田首相はもちろん、それをやろうとしているとは思います。けれど、国民が「岸田首相は一生懸命やっている」と受け止めていたら、やはり今の評価にならないと思います。
過去にはこんな例もあります。ロッキード事件で田中角栄元首相に1審で実刑判決が出たとき、議員辞職を求める声がわきおこり、当時の中曽根首相は自ら田中元首相に議員辞職を求めました。田中元首相はそれでも議員辞職を拒否はしましたが、中曽根首相が自ら対応する姿勢は打ち出されました。当時、強い影響力をもっていた田中元首相に「辞めろ」というのは大変、難しいものだったと想像できます。でも、中曽根首相は自ら出て行って辞めるよう求めました。
今回ともちろん状況は全然違いますけれども、岸田首相も自らリーダーシップを示して、「この問題に取り組んでいるんだ」、「解決しようとしているんだ」というところを見せないと、やはり、国民の受け止めは変わらないのではないかと思います。
●後半国会へ 政権与党はごまかしやめよ 3/30
国民を欺いた自民党の裏金事件で政治不信が増す中、国会は新年度当初予算を成立させた。
多大の時間を費やした事件の審議は、岸田文雄政権と自民のごまかしや逃げが際立ち、目を覆いたくなるばかりだ。
岸田氏は2カ月前の施政方針演説で、事件対応と再発防止を軸とした政治改革、元日に発生した能登半島地震の早期復旧、物価高を上回る賃上げ対策―の3点を強調した。だが、裏金の闇は深くなる一方で、数々の欠陥を抱えた予算は修正されず、被災地への目配りも十分でない。
最大の責任は審議を空転、空費させた政権にある。
112.5兆円と過去2番目の大規模な予算は、効果の疑わしい1人4万円の減税や、「倍増」に突き進む防衛費8兆円が問題を象徴する。税収では足りず、3割は国債に頼る。
ばらまきが目立つ少子化対策では、保険料に上乗せして国民と企業から1兆円の「支援金」を新たに徴収するが、岸田氏は「実質負担は生じない」と強弁を続けた。自民内には早くも補正予算の編成を求める声まで上がる。カネの不祥事をカネでごまかすつもりなのか。
日銀が大規模金融緩和の正常化に踏み出した以上、金利上昇による借金の膨張が避けられない。放漫財政も正常化することは、政権・与党の急務だ。
裏金問題を受けた衆参の政治倫理審査会では、野党が求める全関係議員の出席を拒み、時間稼ぎを繰り返した。やっと姿をみせた一部議員は、事務方に責任を押しつけるにとどまった。ここにきて裏金化の開始や廃止決定後の復活に、安倍派会長だった森喜朗元首相が深く関与していた疑いも強まっている。
岸田氏は一部議員を自ら聴取しており、来週にも党内処分を出す方針という。事件の全容も明らかにならない中、幕を引く狙いにしか見えない。
野党が求める関係議員や森氏の証人喚問に応じ、真相解明に全力を尽くす。政治資金規正法の抜け穴をふさいで、罰則や監視も強化する。岸田氏がなすべきことは明白である。
後半国会は他にも課題が山積する。「経済安全保障上の重要情報」を扱う民間人の身辺調査を国が行う制度を盛り込んだ新法、離婚後の父母双方に親権を認める民法改正など、国民生活に大きな影響が生じるだけに慎重な議論が要る。
分けても、殺傷兵器の輸出を解禁した閣議決定は看過できない。英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機に限ると与党は「歯止め」を強調するが、実効性が疑わしい。平和国家として歩んだ日本を、戦争に近づけるリスクを考える必要がある。
4月末の衆院3補選や6月予定の国会会期末を踏まえ、岸田氏は衆院解散もにらむとされる。与党の数の力を抑えるため、野党は結束を高めたい。
●自民小泉氏「離党勧告を」 裏金処分、安倍派幹部に 3/30
自民党の小泉進次郎元環境相は30日、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関係した安倍派(清和政策研究会)幹部を離党勧告処分にすべきだとの認識を示した。新型コロナウイルス緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブを訪れ、離党勧告処分を受けた神奈川県選出議員に触れ「不公平感を抱かないよう、厳正な処分が不可欠だ」と述べた。
この日は党県連大会が横浜市で開かれ、県連会長の小泉氏が終了後に会見。安倍派幹部の具体名は挙げなかった。党は安倍派幹部の一部に離党勧告を科す方向で検討に入り、早ければ来月4日にも処分を実施する。
●小泉進次郎氏「厳正な処分が不可欠だ」裏金議員に対する党本部処分に注文、国民の目は「厳しい」 3/30
自民党神奈川県連会長を務める小泉進次郎元環境相は30日、横浜市で行われた同県連大会後の記者会見で、同党の派閥パーティー裏金事件を受けて党側が来月4日にも行う関係議員への処分について、過去の所属議員への処分内容に照らして、厳正に行われるべきとの認識を示した。
進次郎氏は、どういう処分内容が適当かと問われ、現在神奈川1区支部長を務める松本純・元国家公安委員長(73)が、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出ているさなか東京・銀座のクラブを訪れたことを理由に離党勧告処分を受け、2021年2月、離党に追い込まれた(現在は復党)ことに言及。「いま1区で支部長として頑張ってくれている松本さんは処分を受けて、もう1回ゼロからスタートして頑張っている。再起を期して、厳正な処分を受けた上で厳しい環境だけど頑張ってきた方の立場を思えば、松本支部長などが今回、(裏金議員に今後出される)処分に対し不公平感のような思いを抱かない、厳正な処分が不可欠だと思う」と述べ、松本氏と同等の処分が必要との認識を表明した。
松本氏は離党後に行われた2021年秋の衆院選に無所属で出馬し、落選している。
進次郎氏はまた、地元での自民党に対する風当たりについて「(自民党が野党に転落した)2009年は、自民党に対する国民のみなさんの声は比較的わかりやすく、怒りや嫌悪感がぶつけられた。しかし、今はむしろ、あきれられている。反応がない、素通りされているのがいちばん怖い」と危機感を示した。
会見に先立つ県連大会で、県連会長に再任された進次郎氏は、区割り変更で20に増えた神奈川県内の小選挙区に現職が17人おり、3人が次期衆院選での当選を目指しているとした上で「15年前(の野党に転落した2009年衆院選)は、この数字は真逆だったことを忘れないでほしい。当時小選挙区で当選できたのは(自身を含めて)3人だけです」と振り返り「今、それと比べても非常に国民のみなさんの自民党への見方が非常に厳しい」と述べた。
自民党は、裏金問題に対する国民の厳しい視線を受けて、安倍派の一部幹部を「離党勧告」とすることも視野に、処分内容の検討を進めている。
●子育て支援金、政府が医療保険ごと試算公表 詳細モデルケース見送り 3/30
政権が掲げる少子化対策の財源として、医療保険料とあわせて徴収する「支援金」をめぐり、政府は29日、医療保険ごとの試算額を初めて公表した。2028年度時点の1人あたりでは、自営業者らの国民健康保険(国保)で月額400円、75歳以上の後期高齢者医療制度で350円。会社員らが入る被用者保険全体では500円で、実際に支援金を払う被保険者1人あたり800円となる見込み。
支援金は、段階的に引き上げ、初年度の2026年度に6千億円、27年度に8千億円、28年度に1兆円を徴収する考え。支援金の負担額は、医療保険ごとの加入者数や収入に応じて、それぞれに割り振られる。
ただ、加入者には保険料を負担しない子どもらも含む。こども家庭庁によると、実際に支援金を払うことになる被保険者1人あたりに置き換えると、中小企業の会社員らが加入する協会けんぽで月額700円、大企業の健康保険組合で850円、公務員の共済組合で950円となるという(いずれも労使折半後の金額)。 ・・・
●東京女子医大、不正給与2千万円か 理事長室など捜索 特別背任容疑 3/30
東京女子医科大学(東京都新宿区)の同窓会組織である一般社団法人「至誠会」の元職員が、勤務実態がないのに約2千万円の給与を至誠会から受け取ったとして、警視庁は29日、関係先として同大など十数カ所を一般社団法人法の特別背任容疑で家宅捜索した。捜査関係者への取材でわかった。警視庁は捜索で押収した資料を分析し、岩本絹子理事長(77)の関与についても調べる。
捜査関係者によると、捜索の対象は理事長室や岩本理事長の自宅など。東京女子医大での捜索は午前8時半ごろに始まり、20人超の捜査員が入った。
特別背任の疑いがあるのは… ・・・
 ●東電も肝を冷やした汚染水漏れ 福島第一原発、作業員の安全守れるか 3/30
東京電力福島第一原発の事故発生から13年が過ぎた。廃炉に向けた作業が続くが、今も作業員が「想定外」の被曝(ひばく)をするトラブルが起きている。
「作業員の安全確保の観点から、起こしてはならない事案だ。極めて重く受け止めている」
東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は、2月末の記者会見の冒頭、同月上旬に起きた汚染水漏れについて、そう陳謝した。
汚染水の浄化装置を洗う際、閉じるべき弁が16カ所中10カ所で開いていたため、建屋外壁の高さ約5メートルの排気口から汚染水約1・5トンが流出した。
その周囲は作業員が立ち入ることができるといい、もし流出時にいたら汚染水を浴びて無用の被曝をした恐れがあった。小野氏は「肝を冷やした」と明かす。 ・・・ 
●公明60年、老舗政党の過去と未来 3/30
結党60年を迎える公明党が次期衆院選に向け、試練に立たされている。支持母体・創価学会の支援を受け、分厚い固定票を誇ってきたが、近年は会員の高齢化により集票力の低下に悩む。党創立者の池田大作・創価学会名誉会長が昨年11月に死去した影響も見通せない。「還暦政党」のこれまでを振り返りつつ、政治学者の中北浩爾・中央大教授に話を聞いた。(時事通信政治部 眞田和宏)
膨大な固定票
公明党は1964年11月17日、池田氏の発案で前身の公明政治連盟を基に結成された。それに先立ち創価学会は「宗教と政治の分離」を宣言し、公明党の支持団体という位置付けとなったが、選挙では実動部隊として集票力を発揮し続けた。
指標となるのは、国政選の比例や全国区での得票数や得票率だ。
結党直後の65年参院選全国区で、自民党、社会党に次ぐ509万票を獲得、得票率は13.68%だった。55年体制崩壊直前の92年までにあった10回の参院選で得票率が10%を下回ったことはなく、平均得票率は13.51%。得票数はおおむね600〜700万票台と安定した。
中北氏は「選挙では固定票を固めて浮動票にリーチするのが鉄則だ。公明・創価学会の固定票は非常に膨大で、他の団体でこれだけ持っているところはない」と指摘。「数が多いだけでなく1票1票が非常に固い票。傑出した集票力がある」と語った。
自公が固定票を交換
93年衆院選で自民が過半数割れし、55年体制が崩壊した。公明は非自民・非共産の細川連立内閣に参加したり、新進党に合流したり紆余(うよ)曲折を経て、98年に再結成。99年から自民と連立政権を組み、民主党政権誕生で下野した期間を除き、現在まで自公連立の枠組みを維持してきた。
中北氏は2019年に出版した「自公政権とは何か」(ちくま新書)で自公連立を分析した。それから5年近く経過した今でも「現在の日本政治で唯一の安定的な政権の枠組み」と評価。「現在の小選挙区比例代表並立制の下、連立政権は選挙協力をベースにしないと持続可能でなく、今もそれが可能なのは自公しかいない」と言い切る。
自公の選挙協力では、衆院小選挙区や参院1人区で競合しないよう候補者を調整する。その上で、公明の場合、自民が候補者を擁立する選挙区では自民候補に投票する代わりに、比例選で公明に投票するよう求める。自民も個人後援会や企業・団体という固定票を持つ。自公それぞれに自党への支持が揺るがない固定票があるため、互いに票を融通する「バーター」が成立する。中北氏は「自公間では固定票の交換ができ、それこそが緊密な選挙協力を可能にしている」と強調した。
集票力に陰り
公明が自民と連立を組んだ直後の衆院選比例代表では00年776万票(得票率12.97%)、03年873万票(同14.78%)と推移。郵政選挙で知られる05年衆院選では、結党以降の国政選で最高の898万票(同13.25%)を獲得した。参院選比例代表でも01年818万票(同14.96%)、04年862万票(同15.41%)と好調だった。
しかし近年、集票力に陰りが見える。参院選では07〜16年の得票数は700万票台に落ち込み、得票率もほぼ13%台で推移。衆院選では比例定数が削減された17年で697万票(同12.51%)と700万票の大台を割り、比例で5議席減らす結果となった。直近の国政選である22年参院選では得票数が618万票、得票率は11.66%に落ち込み、下落傾向に歯止めがかからない。
背景には、結党時から選挙支援に熱心に取り組んだ世代の高齢化があるとの見方が多い。支持者の高齢化は、共産党や社民党といった「老舗政党」に共通する課題だ。中北氏は「他の組織も全体として衰えている中で、相対的には踏みとどまっている。ただ、学会員の高齢化で党勢は後退の傾向がみられ、次の衆院選で比例票が600万票台を割れば、ますます厳しくなる」と指摘する。
小選挙区敗北で撤退?
次期衆院選への危機感は尋常ではない。自民の裏金事件による逆風に加え、日本維新の会との全面対決が待ち構えるためだ。
公明が擁立する11の小選挙区の候補者のうち、10で維新候補と競合する。特に公明が「常勝関西」と呼ぶ、強い地盤を誇った大阪・兵庫の6選挙区では、これまでの維新との「すみ分け」がなくなり激突する。
中北氏は「小選挙区で多く負けると小選挙区撤退論が出かねない。そうすると自公連立の安定性が弱まる」とみている。
首相の解散権に露骨な注文
内閣支持率が低空飛行を続ける中、公明幹部からは岸田文雄首相の衆院解散判断を縛るような露骨な発言が相次いでいる。
山口那津男代表は27日の講演で、解散・総選挙に関し「政治不信が高まる中では、連立政権もろとも影響を受ける。信頼回復のトレンドを確認できるまではすべきでない」と早期実施への反対を表明。普段は「首相の専権事項」として踏み込んだ発言を避けているだけに、焦りの色がうかがえる。
山口氏は、衆院選は来年夏の参院選や東京都議選への近接も回避すべきだとも訴えた。理由について「公明の選挙に注ぐエネルギーが分散される」と指摘。「公明候補の当選を最優先にやらざるを得なくなるため、一緒に戦う自民としても、大きな選挙を重ねない方が(選挙)協力がうまくいきますよ、お得ですよと言ってきた」とけん制した。
石井啓一幹事長は10日のBS番組で、9月予定の自民総裁選に触れ、「選ばれた総裁は非常に支持率が高くなることがあるから、(衆院解散は)その後の秋が一番可能性が高い」と語った。政界では、岸田氏に代わる新首相の下で選挙を戦いたいとの公明側の本音と受け取られ、波紋を呼んだ。
中北氏は「衆院解散のタイミングは公明にとって死活問題だ」と指摘。「局面を打開してから解散してくれというのは、公明からすれば当然の要求だ」と語る。公明が「解散権」に言及する場面が増えそうだ。

 

●党内部からも「パフォーマンス」と厳しい声…自民裏金問題で野党が躍進できない「残念すぎる理由」 3/31
二階俊博元幹事長(85)が次期衆議院選挙の不出馬を表明。塩谷立元文科相(74)、下村博文元文科相(69)に西村康稔前経産相(61)、世耕弘成前参院幹事長(61)ら旧安倍派幹部には「非公認」以上の処分が検討されるなど、裏金問題で自民党が大揺れだ。
今年度中の衆議院選挙の開催も囁かれ始めているが、そんな自民党の惨状を受けて野党が大幅に議席を伸ばせるか――というと、そんな展望はほとんど聞こえてこない。全国紙野党番記者がため息をつく。
「格好の“敵失”で、野党は存在感を発揮する大チャンスなのですが、立憲民主党や日本維新の会を筆頭に目立った成果をあげられていない。解散総選挙になったとして、政権への不信から自民党は議席を多少は減らすでしょうが、大幅減にはなりそうにない。日本維新の会の念願である自公政権の過半数割れなど、夢のまた夢でしょう。既存政党に期待できないという絶望感は国民だけではなく、現場で取材している記者も肌で感じています」
実際、永田町を歩くと野党内からも同じような意見が聞こえてくる。とくに野党第一党の立憲民主党議員の歯切れは悪い。同党の中堅議員が嘆く。
「3月1日の本会議で山井和則衆議院議員(62)が予算案の衆院採決を遅らせるために2時間54分もの趣旨弁明を行いましたが、パフォーマンスでしかなく『税金の無駄遣いだ』という批判が相次いだ。そこにきて野間健衆院議員(65)のパーティ券収入50万円の収支報告書不記載だった件が発覚するなど、ブーメラン現象まで起きている。最大の問題は現執行部の求心力の低さ。とくに泉健太代表(49)の舵取りに疑問を呈する若手が多い。岡田克也幹事長(70)、安住淳国対委員長(62)主導で党運営が行われているのが現状で、めぼしい次期リーダー候補もおらず、閉塞感は強まっています」
現体制での選挙対策についても、この中堅議員は疑問を呈した。
「党内には野党共闘や選挙協力を望む声がある。今のままでは選挙で勝てない、という危機感のあらわれなのですが、泉代表の共産党アレルギーは相当なものがある。とくに志位和夫前委員長(69)には私怨めいたものすら感じるほど。田村智子新委員長(58)に代わったことで態度が軟化すればいいのですが……いずれにしろ、ウチ単体で戦うには限界がある」
一方で、次期衆議院選挙で野党第一党を目指す日本維新の会の支持も伸び悩んでいる。万博開催の是非や所属議員のスキャンダルの多さかがその一因とされている。日本維新の会の若手議員がつぶやく。
「万博は党勢拡大には繋がっていない。党勢拡大どころか、地元・大阪以外の反応がすこぶる悪いのが気がかりです。新たな懸念事項も出てきました。音喜多駿政調会長(40)が社会保障費の財源を確保するため、高齢者の医療費の窓口負担を原則3割にすべきだと提起したことで逆風が吹きかねないのです。少子高齢化が進むなか、将来的には必要な政策であることは間違いない。ただ、このタイミングでぶち上げる必要があったのか。選挙で大きなウエイトを占める高齢者層からの反発が怖いです。衆議院選挙に鞍替えする音喜多さん個人のパフォーマンス的な要素が強いとも感じており、ちゃんと上層部と連携が取れているのか、甚だ疑問です……」
読売新聞・日本テレビが行った3月の世論調査で「自民党を支持する」と答えた人は全体の23%。次いで立憲が8%、日本維新の会が5%と並び、支持する政党はない、という回答は51%にも及んだ。そして、政治資金パーティの野党での国会対応を評価しない、と答えた人は61%。今の野党に期待できない、という数字は78%となっている。
野党が弱い限り、健全な政治が望めないのは自明の理。だが、今の日本で野党が国民の支持を得て、政治改革に乗り出すという未来はとても描けそうにない。
●国民が総選挙で裏金議員を落とす事が一番の処分 3/31
立憲民主党の泉健太代表は29日の記者会見で自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題当該議員に対し「国民が総選挙で裏金議員を落とすことが一番の処分と訴えていきたい」と次期総選挙で当該議員を国会に送らないことが一番の処分と強調し、有権者に呼びかけていく考えを述べた。
岸田文雄総理は28日の記者会見で当該議員(衆参合わせ80数人)に対する処分について「政治家であり、政治責任、道義的責任、こうしたものを判断しなければならない」と述べた。
そのうえで「判断に当たっては不記載の金額や程度、それぞれの政治家としての役職や議員歴、さらには説明責任の果たし方を含む信頼回復に向けた努力の状況、こういったことを総合的に判断していくことになる。こうしたものを判断した上で、党紀委員会等の手続を経て、厳しく対応していきたい」と記者団に答えた。
岸田総理は「今、政治責任を判断するために聞き取り調査を行っている。それを行った上で政治責任を判断するわけであるので、判断や処分についてはこれからだ」とした。
●自民党、安倍派幹部に「離党勧告」で調整 4月4日に処分出す方向 3/31
自民党はいわゆる裏金事件を受けての関係者への処分をめぐり、一部の安倍派幹部に対して8段階の処分のうち2番目に重い「離党勧告」処分を出す方向で調整に入りました。
関係者によりますと自民党は処分をめぐり一部の安倍派幹部に対して「離党勧告」処分を出す方向で調整に入りました。当初は「党員資格停止」処分などが検討されていましたが、政権幹部が「世論が厳しい処分を求めている」と述べるなどより重く処分すべきと判断したものです。
自民党執行部は、安倍派幹部のうち、キックバックの再開を協議していた塩谷立氏、下村博文氏、西村康稔氏、世耕弘成氏の4人についてはより責任が重いとみています。
ただ、執行部内には「4人の中でも処分に差を付けるべきだ」との声があり今後、最終調整が行われます。
自民党は、4月4日木曜日に処分を出す方向で調整しています。
●立憲&維新の若手議員に聞く“野党共闘” ひろゆき「覚悟が足りない」「与党を取る気がない言い訳を一生懸命している」 3/31
自民党の裏金問題。岸田総理は来週にも、安倍派幹部らを処分する手続きを進める方針を示した。永田町では、処分発表後の衆議院解散・総選挙というシナリオも囁かれている。
そんな中、今改めて注目されているのが野党共闘だ。しかし、立憲民主党の岡田幹事長は「今、選挙協力ができるとは思っていないし、維新もそれは完全に否定している。ギブアンドテイクの原則で、ギリギリの候補者の調整という余地は残しておきたい」、日本維新の会の馬場代表は「野球で言えば、日本シリーズで自民党と戦うために、立憲とクライマックスシリーズを戦っている。安易な選挙協力は想定をしていない」と述べている。
立憲民主党と日本維新の会は手を組めないのか。『ABEMA Prime』で両党の若手議員を招き議論した。
堀潤「この数年は“野党共闘”ばかりで旗がない」
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「結局のところ、政党の名前がないと選挙で受からない人たちは上に従うしかない。ふわっとしたきれいごとを言って、なんとなく好かれて終わりという状況だと思う。本気で政権を取ろうと思ったら、お互いに“この部分は組める”という具体を探そうとするはずだ。そこまでしていない現状なのかと思う」と述べる。
ジャーナリストの堀潤氏は「同意だ。政権交代した時の民主党のパワーは、“新しい公共”など集まりやすい旗が立っていた。しかし、この数年は“野党共闘”ばかりで、それぞれ何を分担してできるのかがよくわからないし、内閣のビジョンも示せない。そこは、維新はまだわかりやすいと思う。立憲が厳しいのは、自民党が国民政党で左から右までやる中で、お互いに“民主党”で対立軸が作りづらいのではないか」との見方を示す。
立憲民主党の山岸一生衆院議員は「2月に今年の党方針を決めた時、“次の選挙ではそこそこ勝って、次の次の選挙で政権交代だ”と読めるような方針だったので、おかしいだろうと声をあげた。そうしたら実際変わったわけで、我々若手もリスクを取って言っている。トップダウンの維新に対して、立憲の特徴はボトムアップだ。地域の声を丁寧に拾って、多様な声を形にしている。それを丁寧にやっていくことが僕らの課題だと思う」と述べる。
日本維新の会の金村りゅうな衆院議員は「自民党に対峙する大きな政党を作ろうとするとどうしても似通ってくる。実は自民党を打破したら何もかもがハッピーになるわけではなく、いわゆる新55年体制と言われるような政治構造を変えないといけない。そのためには、新しいポジションから新しいアプローチで政界を走っていく必要があるという意味で、維新が今必要とされている存在なのではないか」との受け止めを語った。
ひろゆき氏は「過半数に対する国民の支持が得られないというのは、民主党はもう何年もやってわかったわけだ。(両党とも)やらない言い訳を一生懸命しているのが、与党を取る気はないという証明を自らしていると思う」と指摘する。
堀氏は「民主党系の議員に『選挙に出ないか?』と何回も誘われた。お金がないので出ないと返すと、必ず言われるのは『お金は党が用意するから心配しないでいい』だ。党費があるから政治活動ができると。しかし、維新の場合は『金は自分で工面しろ』で、そのあたりのプロセスが全然違う。立憲こそ『金の面倒は見ない』ぐらいの変革をしないと、裏金を工面して、金を配って選挙活動をする自民党と本質的にはあまり変わらない」と苦言を呈する。
山岸氏は「立憲民主党が叩かれているのは八方美人感だと思う」と分析する。「今日は維新に頭を下げました、次の週は共産党と握手しましたと、こういう姿なのかなと。ただ、組むとかくっつくと言った瞬間に“結局数合わせか”“また野合か”という話に先祖返りしかねないので、政治腐敗を正すためにベストを尽くすしかない」。
金村氏は「基本政策が一致しないとか、アライアンスが難しいというのは一理ある。ただ、自民党に合わせてサイズ感を大きくした政党が政権交代を言う時代は終わったのではないかと思っている。この政治が古いんだということを徹底して言いたい」と述べた。
ひろゆき「一人ひとりの覚悟が足りないのでは」
立憲は「自民党を超える第一党となる」、維新は「与党過半数割れに追い込む」と次期衆院選に向け目標を示しているが、ひろゆき氏は「一人ひとりの覚悟が足りないのでは」と投げかける。
「選挙が終わって自公で過半数を取っていなかった時、首班指名で誰の名前を書くのか。“方針も全然別だけど、総理が自民党じゃなければ変わるかもしれない”というチャンスで、お互いが覚悟をかけて自身の党首ではない人を指名できるのか? お二人の話を聞いていると絶対やらないなと思う」
これに山岸氏は「“第2自民党”と馬場さんがおっしゃっている限り、自民と維新で連立を組む可能性もあるかもしれず、それは認められない。騙されては意味がないので、政権をとれるために一番いい首班指名をする。それに尽きる」と応じる。
金村氏は「何かを前提にして選挙を戦うというのは、今の国政政党の状況では少なくともあり得ないと自覚している。選挙結果によっていろいろな出来事があるので、その時に真摯に向き合って考えるということだ」と答えた。
堀氏は「ここに自民の議員がいたら、『仮定の質問には答えられない』の一言で終わりだろう。そのしたたかさなのかなとも思ったりもする。お二人がすごく誠実に答えてくださった一方で、その答えがはっきりしていないと、有権者サイドとしては迷う感じになってしまう」とした。
●尻に火がついた?岸田首相自ら安倍派幹部聴取 厳しい処分断行で解散総選挙へ!? 3/31
自民党派閥の政治資金パーティー券裏金問題は、4月上旬にも安倍派幹部らに処分が行われる見通しとなった。岸田文雄首相自らが3月26、27日に安倍派幹部の追加聴取を行った。
これまで問題を起こした議員や閣僚に対して「政治家は本人の丁寧な説明が必要」とお決まりの文句で本人任せにしていた首相。それがリーダーシップの欠如と受け止められて支持率低迷の一因となっていたが、ようやくリーダーとして自ら解決に乗り出した。というより、「尻に火がついた」ということか。国民を納得させる処分がされなければ4月28日実施の衆院3選挙区補選に影響が出るのはもちろん、解散総選挙もできなくなる。
処分については不記載の金額や程度、役職や議員歴、説明責任の果たし方などを「総合的に判断する」という姿勢は評価できる。裏金の金額の違いは判断材料のひとつだが、派閥への貢献を考えて券を多くさばいたために「高額裏金議員」という扱いを受けることは少し違う気がする。また、派閥側から不記載を求められた議員もいる。不記載を指示した幹部と、指示通りに処理をした議員では処分の重さが違ってくるのは当然だ。
裏金作りのシステム導入に関わったと報じられている派閥元会長の森喜朗元首相について、党が既に聞き取り聴取したとの一部報道もあった。森氏の関与の解明が鍵ではあるが、現職議員ではなく党則での処分適用は難しい。岸田首相は森氏への聴取ができるのか。
裏金問題解決へリーダーシップを示し、米国での日米首脳会談、定額減税、賃上げ、さらには訪朝などの好条件をそろえた上で、解散に打って出るチャンスにつながるのかどうか。低支持率が簡単に切り上げとはいかないだろうが、そろそろ勝負を考えなくてはいけない時期に来ていることも頭の隅に置いておくべきだろう。
●茂木氏「国民の批判の声も踏まえ厳正に」安倍派幹部に「離党勧告」も検討 3/31
裏金問題での処分を前に自民党幹部は全国行脚を行っています。
自民党 茂木幹事長 「今週中には党として、処分の方針、これも決定したい」
自民党の茂木幹事長は千葉県を訪れ、「国民の批判の声も踏まえて厳正な処分を決定したい」と述べました。
自民党執行部は安倍派の幹部の塩谷元文科大臣、下村元文科大臣、西村前経産大臣、世耕前参院幹事長の4人について「還流を止められる立場にあったのに続けた責任は重い」として「選挙での非公認」以上の重い処分とする方向です。
「離党勧告」を出すことも検討しています。
また、松野前官房長官ら他の幹部については「役職停止」とする方向で調整しています。
●立憲民主党、自民還流議員の地元で「裏金一掃行脚」…街頭演説でアピール 3/31
立憲民主党は、自民党派閥の政治資金規正法違反事件に関係した同党議員の地元で街頭演説する「裏金一掃行脚」を始めた。次期衆院選を見据え、「政治とカネ」を巡る問題で有権者の批判をさらに高め、党勢拡大にもつなげる狙いがある。
泉代表は30日、埼玉県所沢市の駅前で「自民党の処分に任せず、国民が裏金議員を処分しよう」と訴えた。政治資金収支報告書に不記載があった自民の柴山昌彦・元文部科学相の地元でマイクを握ることで、次期衆院選での議席奪取を意識した。
岡田幹事長もこの日、安倍派元幹部の松野博一・前官房長官の地元である千葉市緑区で街頭演説に臨んだ。
立民はこの行脚を29日にスタートさせた。泉氏は同日、安倍派で中枢を担った下村博文・元文科相と萩生田光一・前政調会長の地元に入り、政治改革に取り組む姿勢もアピールした。
次期衆院選で政権交代を果たすには、野党候補の一本化が不可欠だとの指摘も少なくない。ただ、野党間の候補者調整は進んでいないのが実情で、立民ベテランは「自民を追及するだけでは政権交代の機運は高まらない。一本化作業を急ぐ必要がある」と指摘した。
●自民党、安倍派幹部に厳罰離党勧告′沒「 裏金事件、国民は納得するのか? 政権幹部「早ければ4日にも処分行う」 3/31
岸田文雄首相(総裁)率いる自民党は、派閥のパーティー収入裏金事件に関係した議員の処分をめぐり、安倍派(清和政策研究会)幹部の一部に「離党勧告」を科す方向で検討に入った。当初は「選挙での非公認」を軸に処分する方向だったが、岸田首相らによる追加聴取を受け、「党勢低迷を招いた反省が足りない」と厳罰化へ傾いた。
「離党勧告」は、党が定める処分で最も重い「除名」に次ぐ重さ。勧告に従わなければ除名もあり得る。早ければ来月4日にも処分を行う。政権幹部が29日、明らかにした。
岸田首相は28、29両日、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長ら党幹部を官邸に呼び、処分の協議を進めていた。
一方、自民党がすでに、清和会会長経験者の森喜朗元首相側から水面下で話を聞いていたことも分かった。資金還流が始まった経緯や2022年に復活した状況について尋ね、関与なしと認定したもようだ。野党の反発は必至だ。
一連の「政治とカネ」の問題では、岸田派(宏池会)もパーティー収入など3000万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、元会計責任者が東京地検特捜部に立件されている。岸田首相も22年、政治資金パーティーを年7回も開き、1億3000万円以上を売り上げ、大臣規範の逸脱が指摘されている。
国民は納得するのか?
●自民がすがる小池都知事が会見で繰り返した「ゲームチェンジ」衆院東京15区補選支援では前面に 3/31
裏金問題が影響して支持率上昇のきっかけがつかめない岸田政権。今後の大きな命運を握る1つが、4月28日投開票の衆院3補欠選挙だ。細田博之衆院議長の死去に伴う島根1区は、与野党ガチンコ対決の見通しだが、キックバック問題で辞職した谷川弥一氏の辞職に伴う長崎3区は、自民の「不戦敗」が指摘される。
一方、昨年の東京都江東区長選をめぐる公選法違反事件で柿沢未途氏(自民党離党)が辞職したことに伴う東京15区(江東区)はこれまでに、保守系、野党系の候補予定者が乱立、激戦が予想される。当初、小池百合子東京都知事の出馬も「取りざた」されたが、小池氏は3月29日の定例会見で「取りざたしているのは、(メディアの)みなさんではないですか」と反論するように述べ、作家の乙武洋匡氏(47)に出馬を打診し、受諾を得たと明かした。15区補選への小池氏の出馬問題は収束したが、小池氏は乙武氏への選挙戦での「全面支援」も明言。候補者が乱立する中の負けられない戦いで前面に立ち、かかわることになりそうだ。
江東区では、昨年の出直し区長選で東京都の元幹部職員、大久保朋果氏が自民、公明、国民民主各党と、小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会の推薦を得て初当選した。「ガチの小池氏系」といわれた大久保氏に自民党などが相乗りした構図だったが、実際に小池氏はこのところの東京の選挙で「自民党の駆け込み寺」のような存在になっている。
昨年末に裏金問題が発覚する前から、物価高や少子化対策などで的確な政策を打ち出せない岸田政権は、国民の不信感から支持率が低下。次期衆院選での候補者調整をめぐる公明党との一時関係解消もあって、自民党は昨年9月以降、立川、青梅の2市長選と立川市議補選で3連敗した。そこで頼ったのが小池氏という形に。小池氏側近に相乗りした江東区長選に続き、今年1月、一時、自公が推薦した元都職員の劣勢も伝えられた萩生田光一前政調会長の地元、八王子市の市長選では終盤に小池氏が応援に入ったことで巻き返し、裏金事件が直撃する中、デッドヒートを制して自公推薦候補が辛勝。「小池知事にとっては自民党に大きな貸しになった」(与党関係者)との声も出たほどだ。
小池氏が2016年、最初に都知事選に出馬した際、自民党は対抗馬を擁立し、その後も両者はしばらく緊張関係が続いた。しかし今では「小池氏なしで自民党は東京の選挙を戦えない」(政界関係者)関係に。今回の東京15区補選でも、独自候補の擁立は難しい自民党。関係者によると、自民が小池氏系の乙武氏に「相乗り」することには、過去の女性問題報道も影響してか、一部では慎重な意見も出たというが、背に腹は代えられないのも事実。「今回も小池知事のペースに巻き込まれている」との声も聴いた。
裏金問題で厳しい状態の自民党、ひいては岸田政権を、東京の選挙では間接的に小池氏が支えるような不思議な構造。その2人は3月30日、小池氏肝いりの「フォーミュラE」東京大会の会場で同席した。場所が東京15区補選がある江東区でもあり、違う側面からも関心が注がれた。その小池氏の今後について「都知事選3選出馬が既定路線」とする声がある一方、小池氏自身は何も語らず、これまでもご本人が否定しても消えない国政復帰への臆測は、なかなか消えない。
その小池氏は3月30日の会見で「ゲームチェンジ」という言葉を3度、口にした。補選に擁立する乙武氏への評価の一環に加え、補選をめぐって自身の知名度や影響力に期待する声があると質問を受けた際も、「ゲームチェンジ」に言及した。裏金事件や派閥、国会のあり方などに対する改革の必要性に触れながら「(自民党は)与党の時と野党の時と言うことは違い、結局何も変わらないというのが、これまで続いてきたと思う。そういった仕組みを変える、まさにゲームチェンジが必要なのではないかと思う」と語った。
ビジネス用語としての「ゲームチェンジ」は、従来とは違う視点や価値観をもとに、市場で変革を起こすことを指す。小池氏が政治を舞台に思い描く「ゲームチェンジ」とは、これからどんな形になっていくのだろうか。
●杉村太蔵、小林製薬・紅麹問題で外国人の健康被害を懸念 岸田政権の情報発信も求める 3/31
台湾でも健康被害が出ている小林製薬の紅麹問題。杉村太蔵は「日本の信用失墜につながっちゃう」と恐れ、岸田文雄首相らの対応も求める。
小林製薬の「紅麹」問題に、31日生放送の『サンデー・ジャポン』で杉村太蔵がコメント。外国への影響を懸念し、岸田文雄首相はじめ政権による対応を求めた。
紅麹問題をめぐっては、同成分が含まれた小林製薬のサプリメント等を摂取した消費者に、腎臓の病気を発症するなどの健康被害が続出。30日までに5人が死亡、のべ100人以上が入院するなど被害が拡大している。
番組では海外の被害者として、台湾の70代女性の例を紹介。2020年から紅麹を原料とする小林製薬のサプリを摂取していたところ、昨年に下痢・食欲不振などの症状が出て急性腎不全と診断されたという。
●菅氏、自民支持率低迷に危機感 不信払拭「易しくはない」 3/31
自民党の菅義偉前首相は31日放送のBSテレ東番組で、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け党の支持率が低迷している現状に危機感を示した。「自民党が国民の不信を取り除くために行動していくか極めて大事、最優先だ。そんな生易しいものではない」と述べた。
党改革を巡っては、政策集団として存続する麻生派や茂木派を念頭に「派閥解消を掲げて党内全体でそういう方向に進むべきだ」と語った。番組は27日に収録された。
●靖国神社の宮司に元自衛隊将官、総代も複数 政教分離の観点で懸念も 3/31
靖国神社(東京都千代田区)トップの宮司に初めて将官経験がある元自衛隊幹部の就任が決まった。靖国を支える元軍人が高齢化し、近年は氏子総代にあたる崇敬者総代にも自衛隊の元幹部が加わる。
現職自衛官の「集団参拝」が問題視された中、専門家からは、国や軍隊が特定の宗教と結びついた戦前・戦中のような印象を与えることにならないかとの指摘もある。
靖国神社は第2次大戦当時は陸海軍の管轄下にあって、鈴木孝雄・陸軍大将が宮司を務めていた。敗戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の神道指令による「国家神道」の廃止とともに国や旧軍から切り離され、民間の宗教法人となった。
まつられている約246万人の戦没者には、職業軍人だけではなく、徴兵され、命を軽視した特攻や補給不足の無謀な作戦で餓死した兵士も含まれる。戦後は、元皇族や旧華族、神社関係者らが神社の役職のトップとなる宮司を務めてきた。
靖国神社は15日に、次の宮司に自衛艦隊司令部幕僚長などを歴任した元海上自衛隊海将の大塚海夫氏(63)が4月1日に就任すると発表。10人いる崇敬者総代にも、2012年に元統合幕僚会議議長(現在の統合幕僚長)の寺島泰三氏(91)、19年に元海上幕僚長の古庄幸一氏(77)が就き、23年には寺島氏に代わって元陸上幕僚長の火箱芳文氏(72)が就任している。 ・・・
●紅麴原料製造の和歌山工場、国と県が立ち入り 今年1月引き継ぐ 3/31
小林製薬(大阪市)の紅麴(こうじ)原料を使ったサプリメントが原因と疑われる健康被害が相次いでいる問題で、厚生労働省と和歌山県は31日午前、食品衛生法に基づき、原料を製造している同社子会社の和歌山工場(紀の川市)に立ち入り検査に入った。製造の工程などを調べるとみられる。
厚労省と大阪市が前日30日に立ち入り検査した小林製薬の大阪工場(大阪市淀川区)で、サプリメントの原料となる紅麴が製造されていたが、老朽化のため昨年12月に閉鎖された。今年1月から和歌山工場で製造が引き継がれたという。
厚労省や小林製薬は、健康被害が生じた製品のロットから青カビが生成する「プベルル酸」が検出されたことを明らかにしている。小林製薬は29日の会見で、「青カビによって生成されるものだけに、カビが生えるところがないか、和歌山工場でラインを総点検している」と明らかにしていた。
検査が始まった後、小林製薬の富山有子広報・IR部長は、工場前で報道陣の取材に応じた。「大変なご迷惑をおかけしている。病気の方たちに非常に申し訳ない思いでいっぱい。誠実に対応していきたい」などと述べた。検査内容については「検査を受けている立場なので控えさせていただく」とした。
●東京都心28.1度、各地で夏日に 桜、菜の花…花見楽しむ人たちも 3/31
晴天に恵まれた31日、都内各地は初夏の暖かさとなった。世田谷区の芦花恒春園では、菜の花やチューリップ、桜が見ごろとなり、多くの家族連れや観光客らでにぎわった。中には半袖姿の人も。黄色やピンク、赤など色とりどりの花にスマホやカメラを向け、撮影や花見を楽しんでいた。
気象庁によると、午後3時現在、東京都心で28.1度、練馬で28.5度となるなど、各地で夏日となった。 
 
 
 

 



2024/1-