延命のためなら
何でもあり
税金バラマキ 政権維持
政治後回し
総理 役職にしがみつく
・・・ 政治家のいない国
1/1・1/2・1/3・1/4・1/5・1/6・1/7・1/8・1/9・1/10・・・1/11・1/12・1/13・1/14・1/15・1/16・1/17・1/18・1/19・1/20・・・1/21・1/22・1/23・1/24・1/25・1/26・1/27・1/28・1/29・1/30・1/31・・・ 2/1・2/2・2/3・2/4・2/5・2/6・2/7・2/8・2/9・2/10・・・2/11・2/12・2/13・2/14・2/15・2/16・2/17・2/18・2/19・2/20・・・2/21・2/22・2/23・2/24・2/25・2/26・2/27・2/28・2/29・・・ 3/1・3/2・3/3・3/4・3/5・3/6・3/7・3/8・3/9・3/10・・・3/11・3/12・3/13・3/14・3/15・3/16・3/17・3/18・3/19・3/20・・・3/21・3/22・3/23・3/24・3/25・3/26・3/27・3/28・3/29・3/30・3/31・・・ |
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●自民党・派閥パーティー券問題が直撃 2024年岸田首相の政権運営は 1/1
自民党の派閥のパーティー券問題は岸田政権を直撃しています。岸田総理大臣はどう政権運営にあたるのか。江口記者のリポートです。 政治とカネの問題で、逆風が吹き荒れた12月。自民党内に「総辞職するのでは」といった声があることに岸田総理は、こう答えました。 岸田総理「今はそうした先のことを考えている、そういった余裕はないと」 総理自身は周辺に「自分が辞めて何か解決するのか。辞めて解決するならいつでも辞めてやる」と話すなど、まずは政治不信の払拭に全力をあげる考えです。 岸田総理「政治において結果を出すためにも、国民の信頼、そして政治の安定、これが何よりも重要だと」 政治とカネの問題にどう向き合うかは当面の最大の課題です。 ある閣僚経験者が「まずは岸田派を解散しないと何も始まらない」と述べるなど、党内には「派閥解消」にまで踏み込むべきとの意見もあり、総理の判断が注目されています。 また、1月に始まる通常国会では野党の厳しい追及を受けるのは避けられません。 立憲民主党・泉代表「自民党政権の延命を許さない。裏金政権の延命を許さない。派閥政治の延命を許さない」 ある立憲幹部は「通常国会は『パー券国会』になる。すでに岸田政権は崖っぷちだがさらに追い込む」と意気込んでいます。 今年は、衆議院解散・総選挙のタイミングをうかがいつつ、9月の自民党総裁選挙で再選を果たすことが最大の政治目標になるはずでした。 ただ、政治とカネの問題は大きな「足かせ」になっています。 政権発足以来、最も厳しい目が向けられている岸田総理。 総理として迎える3度目の年明けは困難な1年の幕開けになります。 |
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●立民 小沢衆院議員 “野党間の連携深め政権交代目指すべき” 1/1
立憲民主党の小沢一郎衆議院議員は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について、自民党政権による思い上がりが招いたと批判したうえで、野党間の連携を深め政権交代を目指すべきだという考えを示しました。 立憲民主党の小沢一郎衆議院議員は1日、昼すぎ東京都内の自宅で新年会を開き、党所属の国会議員や地方議員らおよそ60人を前にあいさつしました。 この中で、小沢氏は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について「自民党政権でかつては考えられないような非常に幼稚でありえないような行為が、公然と当たり前のように続けられてきた。まさに権力の思い上がりだ」と批判しました。 そのうえで「本来なら岸田内閣を倒して自民党に下野を迫るような勢いを持たなければならないにも関わらず、立憲民主党からほとんど大きな声は上がらない。『日本維新の会は嫌いだ』などと言っていたのでは、いつまでも自民党の腐敗政治を許すことになり、立憲民主党が大きな心と目的を持ちほかの野党と協力を誓い合う年にしなくてはならない」と述べ、野党間の連携を深め、政権交代を目指すべきだという考えを示しました。 |
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●裏金問題捜査で田崎史郎が「安倍政権時代なら法務省と官邸で内々に」 1/1
東京地検特捜部が松野博一・前官房長官、世耕弘成・前参院幹事長、西村康稔・前経済産業相、萩生田光一・自民党政調会長、高木毅・自民党国対委員長ら安倍派幹部への任意の事情聴取をおこなうなど、捜査が本格化している政治資金パーティ裏金問題。ある人物の発言がSNS上で注目を集めた。 それは、政治ジャーナリスト・田崎史郎氏が昨年12月16日放送『情報7daysニュースキャスター』で発したコメントだ。 「こういう事件の時は、法務省が官邸と内々に打ち合わせをして、黒を白にすることはないですけど、“このへんでね”という(妥協案の提示の)話が、行われるものなんですよ。安倍政権ではあったんです」 「それを岸田官邸は一切やってない。法務省の情報も東京地検特捜部の情報が全然、取れてないから分からない」 ようするに、安倍政権時は安倍官邸と法務省・検察が内々に“手打ち”していたが、岸田官邸はそれをやっていないから捜査情報を把握できていない、と田崎氏は言うのだ。 言わずもがな、検察は捜査権と公訴権を有する唯一の機関で、この国で閣僚クラスの大物政治家の汚職を摘発するのも実質的に検察だけだ。そのため検察は行政機関でありながらも政治からの中立性と独立性が求められる。しかし、安倍官邸は法務省を通じて検察の捜査に介入していた、というのである。 三権分立を踏みにじる安倍政権の横暴を、さも当然のことのように平然と語る政治ジャーナリスト……。これにはSNS上で田崎氏の倫理観を批判する意見が寄せられているが、問題は、安倍官邸が法務省と“手打ち”することで検察の捜査を歪めてきたという事実のほうだ。 あらためて振り返るまでもなく、安倍政権下では政治家絡みの告発がことごとく潰され、今回の裏金よりも悪質性が高いと思われるような事件でも検察は「不起訴」を連発してきた。田崎氏は「黒を白にすることはないですけど」などと言っていたが、まさに「黒を白にする」行為をしてきたのだ。 ●小渕優子の政治資金問題も、甘利明の1200万円賄賂疑惑も、なぜか不起訴に その最たる例が、2014年に経産相だった小渕優子衆院議員や、法務相だった松島みどり衆院議員など、当時の安倍政権閣僚に次々と噴出した公選法違反疑惑だ。 小渕氏のほうは、選挙区内の有権者を含む女性支援者を集めて明治座を借りきって開催していた観劇会について、収支報告書では支出が収入を大きく上回る記載をしていることなどを「週刊新潮」(新潮社)がスクープ。その後も小渕氏の写真がラベルされたワインを有権者に配った疑惑なども持ち上がり、政治資金規正法違反や公選法違反(寄附行為)の疑いで告発された。一方、松島氏は似顔絵入りのうちわ(1本80円)を2万本作成し、自身の選挙区内のお祭りで無料配布していたことが発覚。公選法違反(寄附行為)の疑いで告発された。 だが、東京地検特捜部は2015年、小渕氏の元秘書が在宅起訴したが、小渕氏・松島氏ともに嫌疑不十分で不起訴処分に。とくに小渕氏の場合、東京地検特捜部が関係先を家宅捜査をする前にハードディスクを電気ドリルで破壊していたと報じられただけでなく、架空の資金移動や収支の過少記載によって裏金をつくり、その裏金で観劇会の費用などを補填。虚偽記載の総額は約3億2000万円にものぼっていた。いや、そもそも小渕氏の問題は、虚偽・不記載だけではなく有権者買収での立件も可能な事件だったのに、だ。 しかも、小渕氏が立件されないことを、かなり早い段階で安倍官邸は知っていたはずだ。小渕氏の問題では2014年10月20日に小渕氏が経産相を辞任し、30日には関係先の家宅捜査がおこなわれたが、小渕氏は自民党を離党することもなくこの年の12月におこなわれた総選挙に出馬したからだ。つまり、この時点から、安倍官邸と法務省・検察の一体化が疑われていたのである。 そして、安倍官邸と法務省・検察の一体化が露骨に浮かび上がったのが、2016年に発覚した、経済再生担当相だった甘利明氏の“1200万円賄賂疑惑”をめぐる一件だ。 この疑惑は2016年1月、千葉県の建設会社・薩摩興業の依頼で都市再生機構(UR)へ移転補償金の値上げを“口利き”した見返りに、甘利氏が少なくとも総額1200万円の現金や飲食接待の賄賂を受けとっていたと「週刊文春」(文藝春秋)がスクープ。薩摩興業の元総務担当者の告発によると、公設秘書ら2人に現金500万円、さらに甘利本人に50万円を2回、計100万円を手渡していたといい、「五十万円の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットにしまった」「甘利さんは『ありがとう』と言って、封筒を受け取りました」と証言。甘利事務所が現金を受け取ったことを証明する領収証や、甘利の公設秘書らがUR側に補償金アップの働きかけをする交渉を録音したテープなどの物証もあった。 この甘利氏の口利き、賄賂疑惑はあっせん利得処罰法違反はもちろん、刑法のあっせん収賄罪の対象にもなりうる案件だ。東京地検特捜部も2016年4月にURを家宅捜索、甘利氏の元秘書らを事情聴取するなど、明らかに立件を視野に動いていた。 ところが、それが2016年7月の参院選を前に事態は一転し、秘書を含め全員に「不起訴」の判断が下ってしまったのだ。 ●安倍官邸が検察・法務省に圧力をかけていたことを示す証拠文書も!「官邸も、法務省に何度も巻きを入れている」との記述 甘利事件の「不起訴」の裏には何があったのか。それは当時、法務省官房長で、2020年に賭け麻雀問題で東京高検検事長を辞任した黒川弘務氏の捜査介入だ。 当時、国会議員秘書初のあっせん利得法違反を立件すると意気込んで捜査をおこなっていた特捜部に対し、法務省官房長だった黒川氏は「権限に基づく影響力の行使がない」という理屈で突っ返し、現場が今度はあっせん収賄罪に切り替えて捜査しようとしたが、これも「あっせん利得法違反で告発されているんだから、勝手に容疑を変えるのは恣意的と映る」などと拒否。さらには秘書の立件すら潰してしまったのだという。実際、甘利氏の不起訴の方針が決まった後、現場の検事の間では「黒川にやられた」という台詞が飛び交ったという話もある。 この甘利事件を潰した論功行賞として、黒川氏は2016年9月に法務省事務方トップの事務次官に就任したのだが、じつは甘利氏が不起訴となった前後にも、告発を受けていた自民党の松村祥史参院議員による計3500万円の不記載、同じく自民党の島尻安伊子・元沖縄北方担当相の計1050万円の不記載の問題でも、検察は不起訴処分に。 さらに、同年11月には、国会でも問題となっていた下村博文・元文科相が自身の支援団体「博友会」を政治団体として届け出ずに年会費名目で政治資金を集めたり、同会からの寄付を会員からの寄付と偽ったりしたなどとして政治資金規正法違反の疑いで告発されていた問題が不起訴に。 さらに、検察・法務省の安倍政権に全面屈服していることをあからさまに証明したのが、森友学園事件だった。 森友事件では、公文書変造、虚偽公文書作成の疑いで財務省元理財局長の佐川宣寿氏らが刑事告発。また、国有地を8億円あまりも値引きし売却したことについても、近畿財務局と国土交通省大阪航空局の職員が背任容疑で告発された。しかし、大阪地検特捜部は2018年5月31日、告発された38人全員を不起訴とした。その4日後である6月4日、財務省はお手盛りの調査報告書を公表し、収束を図った。 しかも、この森友公文書改ざん事件では、官邸と財務省、法務省が完全にグルになって政治的決着をはかっていたことを示す証拠が存在する。国交省と財務省のやりとりが記録された内部文書に、法務省との交渉についても記されていたのだ。これは、2018年6月18日の参院決算委員会で日本共産党の辰巳孝太郎・参院議員が公表したものだが、文書にはこうした記述があった。 〈5/23の後、調査報告書をいつ出すかは、刑事処分がいつになるかに依存している。官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れているが、刑事処分が5/25夜という話はなくなりそうで、翌週と思われる。〉 つまり、大阪地検が不起訴処分を発表する前に官邸はその結果を把握しており、官邸は検察が捜査結果を早く公表するよう法務省に圧力をかけていたというわけだ。まさに、田崎氏の発言どおり、法務省を通じた“手打ち”がおこなわれていたのである。 また、2017年には、安倍首相の友人がオーナーの加計学園の国家戦略特区指定をめぐり、安倍首相本人や総理府・官邸が文部科学省に圧力をかえていた問題が浮上したが、これも検察は動かなかった。2018年8月には下村・元文科相が加計学園の秘書室長から政治資金パーティ券の代金計200万円を受け取りながら収支報告書に記載しなかった問題も不起訴となっている。 ●安倍政権下で数々の不祥事を潰してきた黒川弘務・元東京高検検事長 安倍内閣は黒川の定年を勝手に延長 森友・加計問題という安倍首相が深く関与していた重大事が、ことごとく不起訴になる──。そうして黒川氏は2019年1月、ついに東京高検検事長に就任。2020年1月14日には「桜を見る会」問題で安倍首相自身が背任罪で告発されるが、同月31日に安倍政権は黒川氏を検事総長にすべく、検察庁法で定められた定年を閣議決定によって勝手に延長。同じ日、安倍首相の背任罪の告訴は不受理となった。 ご存知のとおり、黒川氏はその年の5月、記者との賭け麻雀問題を受けて辞表を提出し、安倍首相も9月に辞任した。だが、これで抑えつけられてきた検察による政界捜査が真っ当におこなわれるようになったわけではない。 実際、やはり安倍元首相本人が公選法違反や政治資金規正法違反容疑で告発された「桜を見る会」前夜祭問題でも、検察はハナからやる気なし。東京地検は2020年12月、安倍元首相の公設第1秘書だった配川博之氏を政治資金規正法違反(不記載)の罪で略式起訴。しかし、前夜祭の費用負担が公選法違反の寄附にあたるとして告発された件では容疑不十分で2度にわたって不起訴となった。一方、安倍氏は公職選挙法(選挙区内の寄附)違反容疑などで不起訴となり、その後、検察審査会から「不起訴不当」の議決を受けたが、2021年11月に再び不起訴処分(容疑不十分)とした。 だが、2022年に明らかにされた前夜祭の開催にかかわった秘書らの供述調書を読むと、当初から前夜祭の費用を事務所側が負担することの違法性を理解しており、確信犯で費用の補填と収支報告書への不記載を実行していたことが浮き彫りに。いかに捜査がお手盛りのものだったかを裏付けている。 さらに重要なのは、河井克行・元法相と河井案里氏が引き起こした2019年参院選の大規模買収事件だ。 河井事件は安倍首相が黒川氏の定年延長にこだわった理由とも言われたが、結果的に安倍首相が在任中の2020年6月に河井夫妻は逮捕され、克行氏は懲役3年の実刑判決、案里氏は懲役1年4カ月・執行猶予5年の有罪判決が確定した。だが、河井事件で東京地検特捜部は、元広島市議に対して最高検察庁が取り調べが不適正だったと認める供述誘導をおこなう一方、検察は買収の原資については捜査のメスを入れず、公判でも解明されることはなかった。 しかし、今年9月になって、中国新聞が2020年1月に検察当局が河井元法相の自宅を家宅捜索した際に発見されたメモの存在をスクープ。そのメモには、自民党本部から振り込まれた計1億5000万円を指す記述の下に、「+現金6700」「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と手書きで記されていたという。つまり、河井陣営に対しては自民党本部からの支出のほかに、安倍首相や菅官房長官、二階俊博幹事長らといった当時の政権幹部から「現金」で計6700万円が提供され、選挙買収の資金に充てられたのではないかと見られるのだ。 ところが、時の総理大臣をはじめとする政権幹部が資金提供していたことが疑われる物証まで掴んでいながら、河井元法相の公判でも検察はメモを証拠として提出することもなかった。安倍・菅・二階・甘利という政権幹部4人は買収罪や買収目的交付罪に該当する疑惑が浮上していたというのに、家宅捜索はおろか、聴取さえ実施されなかったというのだ。 ●安倍政権下や安倍氏の在命中は政治家の疑惑はまともに捜査されず 検察は今度こそ徹底的な捜査を! このように、安倍政権下や安倍氏の在命中には「政治とカネ」をはじめとする政治家の疑惑に対して真っ当な捜査がおこなわれず、闇に葬られてきた。検察がいまになって安倍派に捜査のメスを入れるという政界捜査を本格化させたのも、安倍元首相が亡くなったことにくわえ、岸田政権の支持率がだだ下がりでレームダック化していることと無関係ではない。 権力の大きさによって捜査が左右されるようなことはあってはならないが、この自民党政権の約10年で溜まりに溜まった膿を吐き出すためにも、今回の裏金捜査は重要な意味をもつ。 安倍派の裏金問題は、安倍派の事務総長を務めていた松野・前官房長官、西村・前経済産業相、高木・前国対委員長に加え、世耕・前参院幹事長、萩生田・前政調会長ら、安倍派5人衆の不正がかなり濃厚になっているが、彼らはまさに、安倍政権の検察メディア支配を支え、自らも官僚やマスコミに圧力をかけ、支配する安倍首相とそっくりの独裁体質を持つ政治家連中だ。 一部の政治勢力によって行政が歪められ、権力の不正が横行するような政治の再来を防ぐためにも、検察は今回こそ徹底した捜査を行う必要があるし、国民も最後まで検察の動向を監視し続ける必要がある。 |
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●政策活動費、使途公開義務化を 山口公明代表 1/2
公明党の山口那津男代表は2日、自民党派閥の政治資金問題を受け、使い道を明らかにする必要のない「政策活動費」の使途公開を法律上、義務化すべきだとの考えを示した。東京・池袋駅前で街頭演説し、「使い道が明らかにされず政党幹部に配られている。不透明な政治資金の流れの温床となっていると言わざるを得ない」と指摘した。 山口氏は、パーティー券購入者名などを政治資金収支報告書に記載する基準を現行の1回当たり「20万円超」から「5万円超」に引き下げる考えも重ねて強調。党でまとめる政治改革案について「今月のできるだけ早い時期に提案し、国会論議に反映させ合意形成をしたい」と述べた。 |
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●キングメーカーの麻生氏が描く「岸田政権は3月訪米と予算成立で退陣」 1/2
今年は解散総選挙が行われる可能性が極めて高い。 解散権を行使するのは、国民から見放されて内閣支持率が1割台まで落ち込んだ岸田文雄首相ではない。新しい首相だ。 岸田首相は3月上旬の国賓待遇の訪米と、3月下旬の予算成立を花道に退陣し、緊急の自民党総裁選を経て茂木敏充幹事長を新首相に担いでただちに解散総選挙へーーこれがキングメーカーである麻生太郎副総裁の描くシナリオである。 内閣支持率が続落する岸田首相に解散総選挙を断行する力はない。来年秋の総裁選で再選を果たすのは困難だ。麻生・茂木・岸田の主流3派体制を維持するには、岸田政権から茂木政権への移行を円滑に進めたい。 最大の問題は、茂木氏が国民にも自民党員にも人気がないことだ。 ライバルは、非主流派の菅義偉前首相と二階俊博元幹事長が担ぐ石破茂元幹事長である。石破氏は世論調査の「次の首相」トップに返り咲いた。無派閥の菅氏や石破氏は世論の支持が頼みだ。 総裁任期満了に伴う来年秋の総裁選は党員も投票に参加し、石破氏に有利、茂木氏に不利となろう。 そこで岸田首相に任期途中で電撃辞任してもらい、緊急の総裁選に持ち込む必要が出てくる。 緊急の総裁選は党員が投票せず、国会議員と都道府県連代表だけで決める短期決戦となる。これなら派閥の多数派工作で茂木氏が優勢だ。 最大派閥の安倍派は、集団指導体制を主導してきた5人衆(萩生田光一、西村康稔、松野博一、世耕弘成、高木毅の5氏)が裏金事件で全員失脚し、壊滅的状況にある。主流3派が結束して茂木氏を担げば、指導者を失った有象無象は「勝ち馬に乗れ」と主流3派になびくだろう。 安倍・麻生・茂木・岸田・二階の5派閥が裏金事件で刑事告発されたのに、検察当局が強制捜査に踏み出したのは最大派閥の安倍派と非主流派の二階派だけである。この捜査はまさにキングメーカーの麻生氏の意向に沿った国策捜査なのだ。 岸田から茂木へーー。麻生氏のシナリオは着実に進んでいる。 4月28日には旧統一教会問題やセクハラ疑惑で批判を浴びるなかで急逝した細田博之前衆院議長の死去に伴う衆院補選が予定されている。公選法違反で年末に逮捕された柿沢未途衆院議員や裏金事件で強制捜査を受ける安倍派の議員らが議員辞職すれば、補選の数は増え、自民大逆風の選挙となる。せっかく茂木政権が誕生してもいきなり補選で惨敗すればたちまち失速してしまう。 これを避けるには、新政権誕生の「ご祝儀相場」の勢いで補選前に衆院を解散し、4月28日投開票の日程で総選挙を行うのが一番だ。 そのためには4月16日の補選告示前に解散する必要があり、日程を逆算すると、3月22日ごろには予算を成立させ、岸田首相が退陣表明して、ただちに自民党総裁選に入り、4月1日ごろには新総裁を選出しなければならない。新内閣が発足して4月12日ごろまでに解散すれば、間に合う。 最大の懸念材料は、岸田首相が3月の訪米と予算成立を花道に、素直に退陣してくれるかどうかである。 ●岸田 崖っぷちの抵抗 岸田首相は就任当初から宏池会(岸田派)の歴代首相の在任期間を気にしていた。 すでに大平正芳と宮沢喜一を抜き、歴代3位になった。1500日を超える創始者・池田勇人は別格として、今年2月には鈴木善幸を抜いて歴代2位に躍り出る。老舗派閥・宏池会の歴史に堂々と名を刻むことができる。首相退任後も派閥のドンとして影響力を残すことも可能だろう。 何としても2月は乗り切りたい。それが岸田首相の願いである。 岸田最側近の木原誠二前官房副長官(現幹事長代理)も「2月まで首相をやればもう十分でしょう」と周囲に漏らしている。 麻生氏は3月の訪米と予算成立を花道に退陣させるシナリオを描いたのも「2月さえ乗り切れば」という岸田首相の心中を察してのことだ。 とはいえ、岸田首相本人としては「2月」は最低条件でしかない。来年秋の総裁選で再選を果たすことは難しいとしても、「1日でも長く首相を続けたい」と思っている。支持率さえ回復すれば、あわよくば総裁再選を果たしたいとも願っている。 岸田首相は訪米時期をできればゴールデンウィークまで引き伸ばしたかった。バイデン大統領に国賓待遇で招待されたのは岸田首相である。訪米が終わるまで、麻生氏も強引に辞めさせるわけにはいかない。 だが、訪米時期をめぐる駆け引きは、麻生氏の勝利に終わったようだ。日米両政府は3月前半で調整しているとマスコミ数社が報じている。外務省など霞が関はすでに岸田政権は長くはないとみて、キングメーカーの麻生氏の顔色をみて動いているのだ。 そこで岸田首相は通常国会の召集時期で巻き返しに出た。召集日をできるだけ先送りすることで予算成立も遅らせ、4月解散総選挙の日程を間に合わなくさせる狙いだ。 麻生氏は1月22日召集を念頭に置いていたが、岸田首相は裏金捜査の行方を見極める必要があるとして1月26日に先送りすることを画策。年末時点では、読売新聞は「22日軸」、共同通信は「26日軸」と報じ、政権内部で攻防が続いていることをうかがわせた。 もうひとつ抵抗する材料は、裏金事件を受けた政治資金規正法の改正や脱派閥といった政治改革だ。 ●政治改革を担う新組織のトップに菅氏? 岸田首相は年明けのなるべく早い時期に、裏金事件で失われた政治への信頼を回復させるための新組織を立ち上げ、政治資金規正法の改正に加えて派閥政治を解消するための施策を検討すると表明している。 一方、麻生氏は安倍派壊滅によって主流3派の優位が確立したのだから「脱派閥」の流れが強まることは阻止したい。政治資金規正法の改正を骨抜きにしたいのは麻生氏に限らず自民党内の大勢だ。 自民党は、旧統一教会問題では茂木幹事長をトップとする「党改革実行本部」で対応策をまとめた。麻生氏は今回のこの組織を使って政治資金規正法の改正や脱派閥への取り組みを玉虫色にして「軟着陸」させたい考えだ。 これでは岸田首相は3月退陣へのレールに乗せられて着実に進んでいくことになる。 岸田首相としては政治改革議論を盛り上げ、内閣支持率を回復させ、3月退陣の流れを食い止めたいところだ。麻生・茂木ラインから主導権を取り戻す必要がある。 そこで浮上しているのは、新組織のトップに麻生氏の宿敵である菅義偉前首相を起用する案だ。非主流派で無派閥の菅氏と電撃的に手を結び、脱派閥の機運を一気に高め、麻生・茂木に対抗する構想である。 岸田首相が麻生・茂木に対抗して菅氏との連携を探るのは初めてではない。昨年9月の内閣改造・党役員人事でも茂木幹事長を更迭し、菅氏に近い森山裕氏や茂木派の次世代ホープである小渕優子氏を幹事長に抜擢する「主流派組み替え」を画策した。 土壇場で麻生氏に猛反対されて断念し、茂木幹事長を留任させたが、ここから岸田政権は坂道を転がり落ちたという後悔が岸田首相にはあろう。今回の政治改革はいまいちど菅氏との連携を探ろうというわけだ。 だが、昨年9月の人事で麻生氏に押し切られたのに、今回の政治改革で麻生氏を突き放すことが岸田首相に本当にできるのか。「麻生氏からの自立」は岸田政権にとってなかなか果たせぬ課題なのだ。 当面は焦点は、通常国会の召集日と政治改革を担う新組織の人事である。キングメーカーの麻生氏と岸田首相の水面下の駆け引きに注目だ。 |
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●田中真紀子「有権者を愚弄するのもたいがいにしな」… 1/2
岸田文雄内閣の「オワコン」化が止まらない。パーティ券収入を巡る組織的な裏金づくり疑惑の直撃を受け、自公政権では麻生太郎内閣以来の内閣支持率10%台に入った。報道各社が毎月発表する支持率は元々じわじわ下げていたが、完全に底が抜けた形だ。過去、竹下登内閣や森喜朗内閣で記録した1ケタ台に沈むことも見えてきた――。 ●キングメーカー然としていた森氏は雲隠れ 今回の問題が表面化して以来、自民党最大派閥、清和政策研究会(安倍派)は機能不全に陥っている。「最低限、現職議員1人は挙げ(逮捕し)ないと終われない」(関係者)という状況の中、派関係者や所属議員が相次いで検察当局の任意聴取を受ける。連日の報道を受け、仕事納めを前にした年末の永田町では、5人衆と言われる派閥幹部をはじめ所属議員の離党も噂されるなど、混乱に拍車がかかっていた。ただ、森喜朗内閣以降、主流派としてカネと人事を握り続けた清和会に対し、蓄積した嫉妬は深い。党内からは「盛者必衰だよ。令和の平家物語だね」と冷ややかな声も上がる。 そんな中、同派に強い影響力を持ち、キングメーカー然としていた森氏は雲隠れを決め込んでいる。 2023年夏、背骨を圧迫骨折して車椅子での生活を余儀なくされた森氏だが、その後も陰に陽に存在感を示してきた。ある自民党関係者は「あの人の強さの源泉の1つはマスコミだよ。自分のストーリーで情報を流して局面を有利に進める。政治の世界はしゃべることが、力の源泉になるからね」と話す。 森氏が定期的に連載していた地元・石川県の北國新聞で、派閥領袖に意欲を見せていた下村博文元文科相が土下座で懇願したと明かし、さらにその際2000万円を持参したとのエピソードも文藝春秋誌上で語ってみせたことは記憶に新しい。下村氏側は全否定しているが、こうした「暴露」が安倍晋三元首相の死後に繰り広げられた派のトップを巡る暗闘に、少なくない影響を与えたことは明らかだ。この件に限らず、とにかく森氏は多くの媒体に直接、間接を問わず自らの発言を露出させ、思惑を反映させられる環境づくりに勤しんできた。 ●北國新聞での連載も突如終了「あの人は全て分かっている」 そんな森氏の発信が、ぱたりと止まったのだ。2023年12月初旬、西村康稔経済産業相、世耕弘成参院幹事長(いずれも当時)と都内のホテルで会食したが、「肉声」が漏れることはなかった。北國新聞での連載も突如、終了が発表された。今回の問題について「あの人は全て分かっている」とされる森氏だけに、沈黙は意味深長だ。 パーティ券問題では、検察の任意聴取が名目上の派閥トップである「座長」に就く塩谷立衆院議員にも及んだ。捜査は基本的に公訴時効である5年前までが対象となるものの、「近頃突然始まった問題でないことは明らか」(全国紙社会部記者)だけに、歴代の清和会トップ経験者の動きにも焦点が当たる。しかし、存命者は少ない。 安倍氏や細田博之元衆院議長、町村信孝元衆院議長は死去し、中川秀直元幹事長、谷川秀善元参院幹事長も町村氏と集団指導体制の一翼を担ったに過ぎない。小泉純一郎元総理とて、森氏が政権を担っていた際の「名代」だ。清和会関係者は「四半世紀近く派閥を牛耳ってきたのは森さんだ」とした上で「塩谷さんが『キックバックはあった』と自白じみた不用意な発言で検察を本気にさせた。痛い腹だからこそ、下手に目立って探られたくないんですよ」と声を潜める。 ●黙っていれば、嵐が過ぎ去ると 「黙っていれば、嵐が過ぎ去ると考えているんでしょ。森先生は野党にも顔が広いからね」。ある自民党現職国会議員はこう語り、嘆息する。確かに、森氏の影響力は清和会だけにとどまらない。森氏と同窓の早稲田大出身者を中心に多くの政界関係者が森氏のもとに通い、持ちつ持たれつの関係を築いてきた。 ある永田町関係者は野党議員による『森詣で』として「立憲民主党の安住淳・国対委員長や辻本清美参議院議員は目立っていた」と明かす。この関係者は「森さんの雲隠れには、計算があると思いますね」とも語る。「安住さんが国対を切り回せるようになったのは、森さんが口添えして自民党国対の森山裕衆院議員との良好な関係を築けたから。安住さんは森さんに大恩がある。だから、パー券問題で追及はしても、森さんまで関わるような攻め方はできない、と見ているのでしょう」と分析する。 清和会所属の宮澤博行前防衛副大臣が「派閥から、(キックバックを)収支報告書に記載しなくて良いと指示があった」と暴露した。指示の真偽確認はもちろん、政治とカネを巡っての膿を出し切る上で、森氏の証言は大きな意味を持つ。しかし、現役議員から森氏ら引退組への言及する動きはない。ベテラン秘書は「最終的には自分たちに跳ね返ってくるんだから、言うわけがないよ。触らぬ『森』に祟りなし、だ」と吐き捨てる。 ●火中の栗を誰も拾いに行かない自民党の薄情 党内最大派閥はグリップが効かず、漂流している。自派の将来に黄信号が灯っている状況で、とても岸田氏を支え、再浮上させる余力はない。「そもそも、事実確認前に政務官を含めて全員の首を斬るなんて無茶苦茶だ。心情的に俺はもう非主流派だよ」(清和会中堅)との声も上がる。 主流派の平成研究会(茂木派)や志公会(麻生派)も火中の栗を拾おうとしない。 茂木敏充幹事長は政権の窮地に静観を決め込む。「今総裁に手を上げても逆風が強すぎる、と思っている。もちろん意欲が消えたわけじゃない。でも、タイミングが悪すぎる」。茂木氏周辺はこう解説する。実際、茂木氏は今のところ、高市早苗経済安保相が勉強会を発足させたような政局じみた動きは見せない。政治資金規正法の改正をはじめ「官邸のオーダーに従って、粛々と仕事をこなす」(茂木氏周辺)中で、局面転換を待つ。もちろん、それは積極的というよりも、消極的な支持だ。そんな空気を察してか、岸田氏の出身母体、宏池会(岸田派)の関係者は「茂木さんは心ここにあらず、という感じが見え見え。(岸田)総理はもともと茂木さんを信用していないが、今回の件でさらにそれは強まっただろう」と語る。 志公会も、麻生氏が高木毅国対委員長の交代を巡る「好き嫌い人事」で岸田氏を振り回した。パーティ問題を巡り辞任した高木氏の後任には、紆余曲折があったが浜田靖一元防衛相の起用が決まった。ただ、浜田氏は就任の条件として御法川信英元国対委員長代理の再登板を求め、これに麻生氏が難色を示していたのだ。 ●ご意見番気どりの石破茂に「また始まった」の声 かつてパーティならぬ「パンティー問題」で世間をにぎわせた高木氏は、国対委員長としての仕事ぶりが酷評され「『高木不在』ということで『ノーパン国対』と揶揄されていた」(永田町関係者)ほどだった。そんな高木氏に代わって実務を裁いていたのが御法川氏だった。岸田政権としては、通常国会の野党対策は予算通過などを見通す上で極めて重要だ。国対経験が長い浜田氏と、実務能力が高い御法川氏のコンビは、岸田氏側にとっても渡りに船の提案だったが、麻生氏側の意向から、決定するまで時間を要した。 「御法川さんは、サトベン(佐藤勉元総務会長)さんの仲間だからね。麻生先生にとっては、凶状持ちなんだよ」。党関係者はこう話す。令和4年2月、御法川氏は佐藤氏に同調し、計4人で麻生派を退会した。それ以来、「派内でこの4氏に言及することはご法度だ」(志公会担当記者)という。永田町では、「麻生氏サイドとしては、一度ならず二度までも国対委員長代理という要職に就くのは認め難いという意向だ」などとの噂が飛び交っていた。あるベテラン国会議員は「麻生先生が実際に何を考えているかは別として、党の緊急事態に『私情で人事を曲げた』なんて噂がでるような振る舞いはするべきじゃないよね」とこぼす。 「小石河」の一角、石破茂元幹事長も、予算通過後の退陣に言及し、自身の総裁選出馬にも含みを持たせる発信を続ける。ただ、これについては「いつもの『ご意見番』気取りがまた始まったって感じですよ。正論を言うけれど、『じゃあ汗をかくか』ってなると引く。だから誰も付いてこない。本当に空気が読めない」(自民党中堅議員)などと、広がりを欠く。逆風とは言えないが、少なくとも支持、支援の動きではないことは確かだ。 ●「解党的な出直しが必要だ」などと語る残念OB 清和会が機能不全で、残る主流派2派も領袖は岸田氏ではなく、「自身の思惑ファースト」を隠さない。「とてもじゃないけれど、一致団結って雰囲気じゃないよね。『岸田総裁のために』なんて、うちの先生も含めて誰も言わないよ」(ベテラン秘書)と政権には強い逆風が吹く。 自民党がこうした混乱にある上に、森氏不在≠ナ注目が集まると考えたのか、おなじみの党OBがにわかに発信を強めている。山崎拓元副総裁、亀井静香元政調会長の2氏は12月下旬、都内で小泉氏と会食した。事前に政治記者に情報をリークし、思惑通り集まった記者団に対し、山崎・亀井両氏は「解党的な出直しが必要だ」などと得意げに語ってみせた。自民党の若手国会議員は「さも自分たちは無関係だなんて雰囲気で偉そうにしゃべっているけれど、あんたたちも共犯だろうと思うよ。あの辺の爺さんたちは注目されたいだけでしょ。許せない」と憤りを隠さない。 他にも、水を得た魚のように活気づく御仁がいる。田中眞紀子元外相だ。今春に復刊した父、田中角栄元首相の著書『日本列島改造論』の序文で「はぐらかしと居眠りを続ける日本政治に危機感を抱いている」とぶち上げていた眞紀子氏は12月初旬に議員会館で勉強会を開催した。 ●有権者を愚弄するのもたいがいにしなさいよ 往年の眞紀子節は健在でこの日「有権者を愚弄するのもたいがいにしなさいよ」「自民党は抜け穴を見つけて裏金作りを続けてきた」「黙っていられない」などと吼えた。パーティ券問題が注目を集める中だっただけに、煽り上げた発言は、一部メディアが嬉々として取り上げた。野党系では「火ぃ付けてこい」発言で知られる泉房穂・元兵庫県明石市長もSNS上などで盛んに発信し、同郷の西村氏や岸田政権への批判を強め、スポーツ紙を中心にX(旧ツイッター)への投稿などを取り上げている。 マスコミは朝日新聞から産経新聞に至るまで、パーティ券問題を連日1面トップで取り上げ続ける。永田町では例年、各社が総力を注ぎ込む「1月1日付け朝刊の1面トップ記事」に、政界の超ド級のスクープが踊るとの観測も流れていた。 こうした状況に自民党関係者は「終わりの終わりだよ。(支持率が)1ケタになるのは時間の問題だよ」とこぼす。身内から見捨てられ、身一つで全方位からの攻勢に立ち向かわざるをえない岸田氏。終末の日は近いか―。 |
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●バイデン米大統領、地震対応で支援用意 日本と「深い友情の絆」 1/2
バイデン米大統領は、1日に発生した能登半島地震について、米国は必要な支援をする用意があると表明した。 1日発表した声明で「緊密な同盟国として、米国と日本は国民を結びつける深い友情の絆を有している。われわれの思いは、この困難な時期にある日本の人びとと共にある」と述べた。 |
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●安倍元首相銃撃は数十年にわたり「蓄積された悲劇」の果てに起きた 1/3
安倍晋三は人生最後の日の朝、奈良にいた。 五重塔で知られる古寺と、神の使いの鹿で有名なこの地方都市にやってきた目的はいかにも事務的で、市内の主要駅に面した街路の広い交差点で、地元選出の国会議員の再選を訴える応援演説をするためだった。 安倍は2年前に首相を辞任していたが、日本の歴代首相で最長の在任記録を持つ彼の名前には非常に大きな重みがあった。その日は2022年7月8日だった。 詰めかけた群衆が撮影した写真を見ると、後ろになでつけられた髪、チャコールの眉、気さくな笑みで安倍本人とすぐ認識できる男性が午前11時30分頃、急ごしらえの演壇に上がり、片手でマイクを握る姿がうつっている。 その周囲を自民党支持者の集団が取り巻いていたが、安倍の後方に立つ男に気づく者は誰もいなかった。グレーのポロシャツにカーゴパンツ姿で、黒いストラップを肩にかけていた。男は他の群衆が拍手を送るなか、ただ立ち尽くしていた。 安倍の演説が始まって数分後、2度の大音響とともに上がった白煙が演説の言葉をかき消し、安倍は地面に崩れ落ちた。 SPがグレーのポロシャツの男に走り寄る。男の手には、長さ約40cmの金属パイプ2本を黒のビニールテープで束ねた手製の銃が握られていた。首を狙撃された安倍は、数時間以内に絶命する。 山上徹也(当時41)は身柄を確保され、引き金を引いてから30分も経たないうちに犯行を認めた。さらに、あまりに突飛すぎてにわかに信じがたい動機を口にした。 彼は安倍をムーニーズの名で知られるカルト教団、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の協力者とみなしていた。彼の母親が全財産を教会に寄付したため、山上とそのきょうだいは満足な食事ができないほど貧しく、人生を破壊されたという。 ●暴かれた「安倍政権の偽善」 2023年1月の朝日新聞の記事によれば、 真の標的は旧統一教会の最高幹部である韓鶴子(ハン・ハクチャ)で、安倍ではないと山上は警察で供述している。教団創設者・文鮮明(ムン・ソンミョン)の寡婦である韓に近づくことができなかったため、高名な政治家で祖父・岸信介の代から教団と深い関わりのある安倍を銃撃したという。 調査の結果、この山上の荒唐無稽な主張が事実だとわかり、奈良県警は動揺した。彼らは短い会議のあと、安倍と旧統一教会とのつながりは、少なくとも現時点では明かすべきではない大変にデリケートな事案と判断したようだ。 2日後の7月10日におこなわれる参議院選挙の結果にも影響を及ぼすかもしれない。県警関係者は、銃撃事件当日の夜に開いた記者会見で、山上が「恨みを持つ特定の団体と、安倍につながりがあると思い込んだ」ために襲撃を実行したとだけ述べた。報道陣が追及しても、彼らは沈黙を守った。 参院選後、旧統一教会は山上の母親が信者だったと公式に認めた。これにより旧統一教会が、政権与党・自民党を長らく支えてきたことが明らかになった。安倍をはじめ多くの自民党議員は、旧統一教会信者を選挙活動に動員してきたのだ。彼らは秘密兵器的な存在として、選挙活動を支援した。 2022年7月、タブロイド紙の日刊ゲンダイは、教団と関係のある国会議員100人以上のリストを明らかにした。同年9月上旬、自民党は379人の国会議員のほぼ半数と旧統一教会の関係について、選挙協力要請、会費の支出、教団行事への参加といった何らかの接点があったとする調査結果を公表した。 さらに朝日新聞の調査に対し、都道府県議会の議員290人と知事7人も教団およびその関連団体と接点があったと回答した。 旧統一教会との関係が疑われる政治家の数が増えるにつれて、ありふれた風景に隠れていたスキャンダルがあぶり出された。それは韓国の右派カルト教団が過去70年の大半、日本を支配してきた保守政党と密接なかかわりがあったという事実だ。 日本国民は憤慨した。旧統一教会が自民党の政治家を利用しようとしただけでなく、そこに腹立たしい「偽善」があったからだ。安倍は熱烈なナショナリストとして、日本の国際的地位の再興に力を注ぎ、自国の帝国主義的な過去を堂々と誇っていた。 だが安倍と彼の政党は、旧統一教会と秘密裏に選挙で協力関係を結んでいた。さらにそのカルト教団は、過去の戦争に対する日本人の罪悪感につけこんで信者を洗脳し、巨額の金を搾取していた。 ●安倍の死を巡り深まる分断 山上徹也の生い立ちと、自民党と旧統一教会との関係が広く知られるようになると、奇妙な逆転現象が起こった。日本国民は暗殺犯に同情し、凶弾に倒れた犠牲者に怒りを表明するようになったのだ。 日本のある週刊誌は、「山上ガールズ」と呼ばれるファンなど、彼の支援者について特集記事を組んだ。山上に差し入れを送る者も現れ、数千人が安倍の国葬に抗議した。山上を悲劇の英雄に見立てた長編映画が急遽制作され、全国で上映された。内閣支持率は下がり、旧統一教会との関係の説明が不充分だとして、辞任に追い込まれる閣僚もいた。 この暗殺事件は、安倍のレガシーをめぐる国民間の深い対立を露呈させた。安倍は国際社会における日本の影響力を回復させたと称える声がある一方、好戦的な過去へ逆戻りさせる危険人物だと非難する声もあった。 旧統一教会が安倍と自民党に与えた影響については、いまも論争の的だ。岸田政権は2022年11月、党に着せられた汚名をそそぐため、宗教法人法の「報告徴収・質問権」に基づき、教団への調査を開始した。 この調査は統一教会にとって致命的な打撃となる可能性があり、宗教法人格がはく奪されかねない。さらに米国を含む他国における教団の位置づけに関しても、この措置は波紋を投げかけるかもしれない。 教団指導者らが何の罪にも問われていない現状で、宗教団体が善よりも害をおよぼしていると判断する決定権は我々にあると、日本政府は主張しているからだ。 人生に絶望したひとりの男が犯行に走らなければ、すべては隠蔽されたままだったかもしれない。刑務所の独房で裁判を待つ山上にとって唯一の慰めは、「歴史上最も成功した暗殺者」のひとりになったという自負だけだろう。 安倍の死から1年以上が経過したいま、彼が殺されたのは錯乱した一匹狼による無差別な凶行というより、数十年間にわたり蓄積されていった果ての悲劇のように映る。 ●日韓が「アダム」と「エバ」になった理由 安倍晋三元首相の暗殺後、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が依然として影響力を持っていることに多くの人が驚いた。米国でも日本でも、同教団の活動は下火になったと考えられていたからだ。 1980〜90年代にかけての教団は、不気味で全体主義的な体質、異様な合同結婚式、政治的な影響力を持つことへの露骨な執着で話題を集めた。文鮮明は米国で保守系新聞「ワシントン・タイムズ」を創刊したことでも知られる。 こうした教団の活動の屋台骨を支えていたのは、日本だった。旧統一教会の本部は韓国だが1970年代以降、多くの日本人が熱狂的な信者となり、活動資金の大半も日本から得ていたことに人々は驚かされた。 2017年に教団から追放された元幹部の桜井正上によれば、日本は「事実上、教団の資金源の“支柱”となっている」という。日本国内の旧統一教会の活動を取材するなかで話を聞いた人たち(旧統一教会の現・元信者、その家族、弁護士、ジャーナリスト、政治家、被害者支援団体の関係者など10人以上)のうち、桜井はただひとり、教団を嫌悪する人と崇拝する人双方の立場に共感を示す人物であるように思えた。 モーツァルトとシューベルトのピアノソナタが静かに流れる東京都内の喫茶店で会ったとき、彼はお辞儀をしながら両手で名刺を差し出す日本式の挨拶で私を出迎えた。 旧統一教会の冷酷な手口について話すとき、桜井の口調は重かったが、間違った教えの犠牲者と彼が考える信者について語る際は穏やかになった(彼は教団内で育った)。 ・・・ ●「祝福2世」との対面 日本で話を聞いた旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の信者はいずれも明るく、その率直さに驚いたが、彼らは違う世界に生きているという印象を受けた。 そのうちのひとりである小嶌希晶 (こじま・きあき)と名乗る20代の女性は、教団が「祝福2世」(合同結婚式で出会った信者の間に生まれた子供)と呼ぶ現役信者だ。 小嶌とは東京のオフィスビルの、商談向けに時間貸しされている家具付きの小部屋で会った。部屋には番号が振られてコードロックされ、長い廊下にドアがずらりと並ぶ様子は清潔な刑務所のようだった。 小嶌の母親も、山上の母親と同じく1億円を教団に献金したという。そのため貧しい子供時代を送り、質素な食事とお下がりを着て、大学進学の選択肢も限られていた。子供の頃の小嶌はごく一時期、自身の身の上に降りかかった窮乏を恨んだが、その後に受け入れたという。 旧統一教会が選んだ夫も受け入れた。夫はフィリピン人男性で、一度も会わないまま、2021年にオンライン上で結婚した(その後2人は実際に対面したが、相手はいまも日本に移住してはいない)。 新郎から3000キロ以上も離れた日本の教会でブライダルドレスを着て結婚式に臨んだ彼女は、身を乗り出してノートパソコンの画面越しに新郎とキスしようとしたと実演してみせた。その目には照れくささが浮かんでいるように思えた。 小嶌の口ぶりは、こうした結婚式が第三者には奇異に感じられるとわかっているかのようだった。それでも、「自分は教団のなかで育ち、教団に愛されていると感じている」と語る。 ・・・ ●安倍政権からの「大きな見返り」 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)は、選挙で奇跡の勝利を呼び込んだ見返りに、どんな利益を得たのだろうか? それほど大きな見返りは、必要なかったのかもしれない。 同性婚や女性の権利、伝統的な家族形態など、教団にとっての重要な関心事に対する自民党の保守的な見解を信頼していたのだろう(文鮮明には同性愛嫌悪があった。かつて彼は同性愛者を「糞を食らう汚らわしい犬」と表現した)。 とはいえ安倍政権は教団に少なくともひとつ、大きな見返りを与えた。 2015年、日本政府は旧統一教会の名称変更を承認した。この決定は物議を醸し、長年教団を批判してきた人たちを憤慨させた。一方、教団にとって名称変更には大きな意味があった。 1990年代半ば以降、日本では旧統一教会という名称は「キズもの」だった。現在、旧統一教会は「世界平和統一家庭連合」という無害な看板に掛け替えて宣伝に励むが、教団関係者以外はおおかた旧名称を使用する。 文部科学省の事務次官を務めていた前川喜平は、名称変更が認められたことをいまだに腹に据えかねている。 彼の執務室に到着すると、41ページに及ぶ宗教法人法の資料を手渡された。前川は私に、旧統一教会側からの変更申請は、当時の文部科学大臣だった下村博文によってすみやかに認証されたと語る。 ・・・ |
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●安倍派「崩壊」で暗雲 首相の旧宮家復帰プラン 1/3
岸田首相の肝いりで昨年11月から始まった自民党総裁直轄組織「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」(皇位継承懇談会)が早くも頓挫しそうである。安倍派裏金問題の嵐のなかで、12月15日に予定されていた2回目の会合が急きょ延期された。首相は、旧宮家の男系男子を現皇族の養子にできる旧宮家復帰プランの実現を明言していた。 しかし、支持率が10%台にまで落ちた「店じまい内閣」に国家の根幹に関わる皇室典範改正などできるはずもない。 昨年7月8日、「安倍晋三元総理の志を継承する集い」に岸田首相は出席し、「憲法改正」「皇位継承」などで安倍氏の思いを引き継ぐと大見えを切った。ここまで安倍派に媚(こ)びるのは、今年9月に任期が切れる自民党総裁再選のため保守層の支持が必要だからである。23年9月13日には安倍派5人衆の一人、萩生田光一氏を政調会長として続投させた。 その萩生田氏は『産経新聞』(同9月27日付)1面に掲載されたインタビューで、皇位継承問題について意欲を語っている。首相から政調会長続投を伝えられた際、「安定した皇位継承策の見直し作業を急がなければならないという問題意識」を伝えられたことを明らかにした。そして、皇位継承問題は「この1年、党でそれほど動きがなかった」が、憲法改正と併せ「この2つの問題にしっかり道筋をつけたい」と自らがリーダーシップをとって議論を進めていくと表明したのである。 ●約束は反故にしない 岸田首相は、保守派対策の手をさらに打った。昨年10月26日に発売された月刊誌『WiLL』12月号で、ジャーナリスト櫻井よしこ氏と対談し、「私は一昨年(2021年)の総裁選において、旧宮家の男系男子が皇籍に復帰する案も含め、女系天皇以外の方法を検討すべきだと主張しました。そのときの約束を反故(ほご)にすることはありません」と明言したのである。 政府の有識者会議が、旧宮家に連なる男系男子が現在の皇族の養子になり皇籍復帰できる案(旧宮家復帰案)を含んだ最終報告書をまとめたのは21年12月。直後には、自民、公明、日本維新の会などが党内議論を始めた。しかし、過去2年間、動きは事実上なかった。 櫻井氏は「岸田総理は皇位継承の問題に取り組んでくれるのか―。そんな疑心暗鬼が生じていました」と首相の姿勢に疑念があったと率直に指摘した。それに対し首相は「国民の皆さんも強い関心を抱いている。今後は見える形≠ナ議論を進めていきたい」と応じたのだ。保守系読者がほとんどの雑誌で、保守の論客に向かって、リップサービスをする首相。一昨年の「安倍国葬」以来、自民党最大派閥の支持をつなぎとめることが、首相の最大の再選戦略であった。 『毎日新聞』の伊藤智永・専門編集委員は、LGBT理解増進法成立や、性別変更の要件に関する最高裁違憲判決などジェンダー重視の近年の潮流に対する危機感が強い保守派にとって、「皇位の男系男子継承維持」が、保守的家族観のシンボルになっていると分析する(『週刊エコノミスト』23年11月21・28日合併号)。その通りであろう。 ●「皇位継承」を利用 ところで、昨年11月17日に初会合が開かれた「皇位継承懇談会」は、会長に麻生太郎副総裁、会長代理に茂木敏充幹事長、副会長に森山裕総務会長と小渕優子選対委員長、事務総長に萩生田政調会長(当時)、事務局長に木原誠二幹事長代理と重厚に布陣した。テーマがテーマだけに党内有力者を揃(そろ)えた。委員は全16人で、中曽根弘文氏、衛藤晟一氏、山谷えり子氏、有村治子氏(いずれも参院)ら保守派が目立つ。 キーマンは萩生田氏だと見られていた。ところが、安倍派の裏金疑惑が降ってわいた。萩生田氏は昨年末、自民党政調会長を辞任した。「皇位継承懇談会」事務総長がどうなるのかは分からないが、こちらも辞任が筋であろう。 そもそも、岸田内閣はすでに国民の信を失っている。毎日新聞社が昨年12月16、17の両日に実施した全国世論調査によれば、内閣支持率は16%。前月より5㌽も減っている。不支持率は79%もある。敗戦直後の1947年以来、最も高い不支持率だ。瓦解(がかい)前夜の内閣だと言っていい。 皇位継承と憲法改正は、国家の形を決める重要な課題である。有権者の2割弱しか支持していない弱体内閣が取り組むべき問題だとは思えない。皇位継承を自らの権力基盤の強化のために利用したツケが、現在の不支持率につながっていないだろうか。 それ以前に、自民党は、皇室典範改正が簡単にできると勘違いしているようだ。事務局長である木原幹事長代理は「論点はそんなに多岐にわたるものではない」と述べている(23年11月17日)。その時点では、今年(24年)の「早い時期」に結論を出すという声さえあった(『毎日新聞』23年11月18日)。 無理であろう。旧宮家皇族復帰案が具体的に見えるに従って、その問題点が徐々に明らかになると考えられるからだ。一例をあげれば、皇族に復帰する旧宮家の男系男子がどのような人物で、皇族となるに値するかどうか、どのように審査するのだろうか。男系で血統がつながってさえいれば、その人物が希望したとき、誰でも皇族になれるのだろうか。議論さえなされていない。論点が多岐でないとか、今年の早い時期に決めるとか、認識が甘すぎる。 そもそも世論が支持しているのは女性天皇案であって、旧宮家復帰案ではない。そのことを忘れて、政権維持のために旧宮家復帰案を利用した岸田内閣そのものが沈没寸前である。議論は早く進めたほうがいい。だが、岸田内閣にその資格はない。 国会でも動きがあった。額賀福志郎衆院議長は昨年12月19日、立憲民主、日本維新の会、公明、共産、国民民主の5党の幹部と面会し、皇位継承策に関する各党の意見集約を進めるよう要請した。自民党の体たらくを見た議長がイニシアチブを取った形である。通常国会で何らかの協議体ができるかもしれない。だが、立憲民主党は、旧宮家復帰には慎重である。議論が早期決着する道筋は見通せない。 |
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●民間の立場から国政を観察すると腹立たしいことばかり 「政治への信頼」 1/3
2023年4月に大阪市長を退任し、政治の世界から引退した。橋下徹元市長らと「大阪維新の会」を立ち上げて13年、大阪から日本を変えるために、私たちは「身を切る改革」を掲げて、政治改革や公務員改革、行財政改革、教育改革に走り続けてきた。引退から8カ月たつが、「やるだけはやった」という思いは変わらない。 現在、民間の立場から国政を観察していると、腹立たしいことばかりだ。岸田文雄政権や国会議員の方々には、「初当選直後の『国家や国民に尽くしたい』という決意を思い出せ」「政治家としての矜持(きょうじ)を無くしたのか」「国民の常識に寄り添うべきだ」と思う。 自民党派閥のパーティー収入不記載事件では、言い訳ばかりが聞こえてくる。 選挙で何回も当選している国会議員が、政治資金収支報告書への不記載という違法行為について、「派閥の指示だった」「派閥から『話すな』と言われた」などと被害者のように振る舞っていた。恥ずかしいと思わないのか。 不記載や過少記載は、支持者から集めた浄財を、政治・選挙活動以外に使っているとしか考えられない。やましくないなら、収支報告書に堂々と書けるからだ。最大派閥・安倍派(清和政策研究会)では「裏金は5年間で5億円以上」と報じられている。国民の「政治への信頼」は地に落ちたと言っていい。 岸田首相は臨時国会閉会後の記者会見で、「国民の信頼回復のため火の玉となって先頭に立つ」と語っていたが、具体的な改革案は明かされなかった。国家リーダーは「国民に具体的な方針を伝えて、約束したことは困難があっても成し遂げる」ことが重要だ。 私は2つの提案をしたい。 第1は、「政治資金規正法の厳罰化」だ。収支報告書への不記載や過少記載が発覚した場合は「議員辞職」など、厳しくすべきだ。民間では、数万円の不正でも逮捕される。政治家だけ特別扱いするのは「法の下の平等」に反する。岸田首相は「閣法」として国会に提出すべきだ。 第2は、月額100万円支給されながら報告義務のない「調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)」の全面公開だ。この旧文通費こそ、国会議員に特権意識を植え付け、お金の感覚をマヒさせる元凶である。領収書を添付した使途公開とともに、余った分は国庫に返納すべきだ。 岸田首相は、議長を務めた5月の広島G7(先進7カ国)サミット直後の衆院解散を見送った。その後、LGBT法で岩盤保守層が離れ、自民党女性局のフランス研修中などで、党の「緩み」「たるみ」「おごり」が露呈した。 自民党パー券事件は、自民党不信や政治不信を加速させている。一部の内閣支持率は10%台の「退陣水域」に突入した。岸田首相の求心力は急速に失われつつある。 東京地検特捜部にも注文したい。「捜査対象が、岸田政権の主流派以外(安倍派と二階派=志帥会)に偏っている」という指摘がある。刑事告発は自民党5派閥が対象になっている。国民の検察不信を招かないためにも、バランスの取れた捜査を期待する。 さて、2025年大阪・関西万博の会場運営費について、日本国際博覧会協会が、当初想定していた809億円から約1・4倍の1160億円に増額する方針を示したことが批判を浴びている。 運営費の多くは人件費であり、私が市長時代に出た試算は5年前だ。安倍晋三政権時代であり、安倍首相は毎年、経済団体に「春闘の賃上げ」を要請していた。5年たち賃金は上がり、人件費と比例する運営費も上がっている。 賃金増加は悪いことではない。博覧会協会と政府、大阪府市が知恵を出し、増額を上回る収益を出せばいい。 産経新聞に先日、「万博会場で30言語対応の翻訳アプリ無料提供へ 国際会議での同時翻訳も」という独自記事が掲載されていた。世界の人々の「言葉の壁」を取り払うもので、新たなビジネスチャンスも期待できる。 2023年は「政治への信頼」が失われた1年だった。24年こそ「信頼回復の年」にしてほしい。永田町の常識が世間の非常識ではいけない。 |
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●年収「2000万円超〜2500万円以下」の給与所得者は日本にどのくらいいるか 1/3
コロナ明けでますます働き方の多様化がすすむこんにち。ご自身のキャリアを見つめなおし、年収アップを目指す計画を立てている人も多いでしょう。 さて、一般のビジネスパーソンの「年収」。毎月の給料や、勤務先の決算期末などのタイミングで支払われる賞与をあわせて年間収入(年収)とするのが一般的な考え方でしょう。 では、その年収、どのくらいの金額をどのくらいの人が手にしているのでしょうか。 そして、私たちの年収は今後、上昇していく可能性はあるのでしょうか。過去から見てきて上昇してきたのでしょうか。 今回は、国税庁の開示資料をもとに、詳細を確認していきます。 ●年収2000万円超〜2500万円以下の人数と割合は 2023年9月に国税庁が公表した「令和4年分 民間給与実態調査統計」によると、2022年の給与所得者の総数は5077万6000人。 そのうち年収2000万円超〜2500万円以下の給与所得者の人数は13万1000人。これは全給与所得者のうちの0.3%に当たります。 また、全給与所得者の上位0.6%に含まれる年収レンジです。 ●日本の給与所得者の平均年収は今後、上昇していくのか 最近では、岸田新政権下では「賃金アップ」が話題となっています。 今後、私たちの賃金は上がっていくのでしょうか。過去8年の推移についても目を向けてみましょう。 平成26年(2014年)に平均年収が420万円であったものが、令和4年(2022年)に457万円ですから、8年で37万円上昇です。 8年間の中でも、令和2年(2020年)から令和4年(2022年)の2年間での平均年収が22万円上昇し、伸び率が大きくなりつつあることが伺えます。 ●まとめにかえて ここまで、給与所得者全体における、一定の年収幅の比率についてみていきました。 今回取り上げた年収2000万超〜2500万円以下の給与所得者の人数は13万1000人。これは全給与所得者のうちの0.3%でした。 給与所得者全体の平均年収、そして過去の推移についても俯瞰しましたが、過去8年間での推移の中でも、直近3年間の年収の伸び率が高いことが伺えました。 今後、政府の政策としてどのようなアクションが出てくるでしょうか。注目していきたいところです。 |
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●新NISA、始動 非課税枠拡充、「貯蓄から投資」後押し 1/3
株式や投資信託の売却や配当などで得た利益が一定の範囲内で非課税となる少額投資非課税制度(NISA)が1月1日、大幅に変わった。 非課税の運用期間が無期限となり、投資額の上限も大きく引き上げられ、投資に一段と有利な仕組みになる。新NISAで個人金融資産の「貯蓄から投資へ」の移行は進むのか。岸田政権が掲げる「資産所得倍増計画」の成否も懸かっている。 NISAは、専用口座で取引すれば利益に通常課される約20%の税が免除される制度で、2014年に始まった。新NISAは、長期の資産形成に向くとされる投信を購入できる「つみたて投資枠」と、個別株なども買える「成長投資枠」で構成。年間投資枠は従来の2〜3倍に広がり、両枠の併用もできる。1人が生涯利用できる上限額は1800万円(うち成長投資枠1200万円)に上る。 新NISA始動を控え、SBI証券や楽天証券では口座開設の動きが加速した。SBI証の総合口座数は9月末時点で前年同期に比べ2割超多い1106万件に達した。 日本株への資金流入も見込まれ、SMBC日興証券は新NISAの効果で年2兆円が日本株に向かうと試算する。同社の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは「来年以降、日経平均株価の最高値更新などで個人投資家の評価が高まれば、流入額はさらに膨らむ」との見方を示す。 日本ではバブル経済崩壊後、デフレが長期化。お金の価値が相対的に上がるデフレ下では現預金で資産を保有する方が有利で、個人金融資産の過半を占めてきた。しかし、22年以降は物価高が続いており、この基調が定着すると現預金に偏る個人資産は目減りする。新NISAは個人の投資促進の起爆剤になる可能性がある。 |
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●長く続いた自民1強も政治とカネから支持率最低水準へ…2024年政治の構図 1/3
2024年は自民党・公明党が政権に復帰して12年を迎える。第2次安倍政権以降、長らく自民1強時代が続いているが、昨年末には派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が事件に発展。内閣支持率は政権復帰以降の最低水準に陥り、政権維持を危ぶむ声もある。前回の政権交代から干支(えと)が一巡する今年。衆院解散・総選挙で国民の審判を仰ぐべきだとの指摘もあるが、政治の構図に変化は起こるのか? |
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●旧民主党の政権交代は3年余で終焉
「従来、次の選挙でしっかり議席を伸ばし、その次に政権にチャレンジすると言っていたが、その考えを私は捨てている。次の選挙こそ、勝負だと考えている。国民の政治に対する不信感をみていても、今こそ立憲民主党が前に出て、政権を目指す。それが来年だ」 昨年12月28日。立民の岡田克也幹事長は、党の仕事納めのあいさつでこう強調した。 09年、旧民主党は衆院選で大勝し政権交代を実現した。しかし、米軍普天間飛行場の移設を巡る混乱やマニフェストに掲げた主要政策の頓挫などがあり、わずか3年余で下野。その後、旧民主の流れをくむ勢力は離合集散を繰り返し、与党に対抗する「大きな塊」とはなれず、政権批判の受け皿にもなりきれていない。 ただ、自民の政治資金を巡る事件が表面化したことを受け、旧民主の系譜を引く立民は、ここに来て政権奪還に向けて意気軒高だ。 |
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●野党連携、勝負をかけられるか?
民主党政権で厚労相を務めた立民の長妻昭政調会長は取材に「われわれが政権を取るということもあるが、カネに汚い政治を変える、今やらないともう永久に変えられないという意味で09年以来の絶好のチャンスだ」と語る。一方で「政権を担った時にちゃんと運営できるか、国民に懸念があるのは事実。民主党政権の反省点はいっぱいあり、そこをきちんと説明して実感を持ってもらう」とする。 その上で、「どの国でも与党の失敗がセットにならないと政権交代は起こらない」と指摘。1月下旬に召集が見込まれる通常国会で、自民に「政治とカネ」を巡る改革を迫り、共感する他の野党とも連携して「勝負をかけることで、展望は開ける」と力を込める。 対する自民党。先月の報道各社の世論調査で岸田内閣の支持率はおおむね10%台半ば〜20%台半ば。共同通信の調査では、内閣支持率は22.3%で政権復帰後の過去最低を更新した。 こうした中、岸田文雄首相は「政治資金に関し、国民に疑念が広がっていることに深刻な危機感を感じなければならない」とし、年明け早期に党の信頼回復に向けた改革組織を設置すると表明。政治資金規正法改正の可能性にも言及した。 |
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●自民に逆風=野党の躍進、となっていない現実
ただ、自民に逆風が吹く状況ではあるが、野党の支持率も伸び悩む。先月の共同通信の調査では、政党支持率は自民が26%、次いで日本維新の会が12%、立民はそれに次ぐ9.3%だ。 野党時代も知る自民のベテラン議員は「政権復帰から12年もたつとおごりも出てくる。09年と似た状況だが、違うのは野党に期待感がないことだ」と指摘。「国民も民主党政権の失敗を受け、もう彼らには政権は任せられないとの思いだろう。今の自民は二度と野党になりたくないとの思いが強い。課題はたくさんあるが、最後は自浄作用が働き、まとまる」と強調する。 野党に政権奪還の術(すべ)はないのか。東北大大学院の河村和徳准教授(政治学)は「歴史的に見て政権交代が起こる時は地方で勝って国政へという流れがある。野党は世代交代を進めて新鮮さを打ち出し、地方選、特に首長選で勝って足腰を固めなければ盤石に政権交代はできない」と指摘。その上で「政治資金問題で今のシステムを変える有効な対策が示せなければさらに厳しくなる」とも語る。 |
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●「自民でも共産でもない選択肢」はなぜ拡がらないのか… 1/3
自民党の支持率低迷に伴い、野党の「協力体制」が水面下で動いている。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「反自民で反共産の『ゆ党』の立場を取る維新や国民民主は遅かれ早かれ与党と野党のどちらの立場を明確に取るかを迫られるだろう。さもなくば党内での分裂は免れない」という――。 |
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●1強多弱から2大政治勢力へ
派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑で、自民党と岸田政権が急速に崩壊過程に入るなかで迎えた2024年は、野党陣営にも大きな変化を生んでいる。 野党第1党の立憲民主党が再び「野党の中核」の立ち位置を確立しつつあり、野党は予想を超えたレベルで、立憲のもとに結束を強めているのだ。昨年末の臨時国会終盤、立憲が提出した内閣不信任決議案に、同党と「野党第1党争い」をしてきた日本維新の会も、党首が与党への接近を繰り返してきた国民民主党も賛成し、全野党が「岸田政権NO」でまとまったのが象徴的だ。 敵失に負うものが大きいとはいえ、野党がこれほど大きな「構え」を築くことができたのは久しぶりだ。日本の政治は長く続いた「1強多弱」から「2大政治勢力による政権争い」へと、再びかじを切ろうとしている。 そしてこの状況下で、2024年前半にまず大きな変化を求められるのは、おそらく維新や国民民主などの「第三極」政党だ。彼らは否応なしに、与党・自民党と野党第1党・立憲民主党を中核とする二つの政治勢力のどちらにくみするかについて、何らかの答えを出すことを突きつけられるからだ。 |
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●共産、社民、れいわとの「大きな構え」
最初に、昨年末の立憲の「大きな構え」構築の動きを、簡単に振り返りたい。 立憲民主党はまず、2021年の前回衆院選で一定の選挙協力を行った共産、社民、れいわ新選組の各党と、市民連合を通じて次期衆院選に向けた共通政策に合意した(12月7日)。岡田克也幹事長は「自公政権の限界があらわになるなかで、野党が力を合わせて大きな政策転換を図っていきたい」と語った。 特筆すべきは、この共通政策の中に「消費減税」が盛り込まれなかったことだ。 消費減税は立憲にとって、自らの目指す社会像、すなわち「支え合いの社会への転換」との整合性が取りにくく、できれば強く主張したくない政策だ。しかし、他の野党(特にれいわ新選組)は常に消費減税を掲げることを強く求めており、立憲は調整に苦慮していた。 立憲は11月に発表した新しい経済政策に消費減税を明記せず「現行の軽減税率制度を廃止し、給付付き税額控除を導入する」と記述するにとどめた。立憲の姿勢に市民連合が配慮した形で共通政策がまとめられ、他党もこの政策に「乗る」形となった。 立憲はこれまで、共産党との連携を「立憲共産党」と罵倒されたり、他の野党との間に「消費減税」でくさびを打たれたりして、立ち位置に右往左往する局面もあった。しかしこの政策合意によって、どうやらこれらの「呪いの言葉」を乗り越えて、2021年当時の状態まで野党の連携の形を戻すことができたようだ(この経緯については、昨年12月31日公開の記事「政権交代の兆しが見えてきた…『自公政権はイヤ』の受け皿になれなかった野党勢力が変えるべきこと」をお読みいただきたい)。 |
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●維新と国民民主を野党陣営に引き戻した
驚いたのは、立憲がさらに、維新や国民民主をも野党陣営に「引き戻す」ことにも成功したことだ。 維新は21年衆院選で議席を伸ばして以降、立憲と野党第1党の立場を争っているし、国民民主は20年、立憲とのいわゆる「合流」を拒んだ議員で構成されており、玉木雄一郎代表は立憲の「逆張り」を狙うかのような言動を繰り返している。実際、臨時国会で成立した政府の2023年度補正予算案に、両党は野党でありながら賛成した。 二つの「ゆ党」の存在は、野党第1党の立憲に「指導力不足」というネガティブな評価を植え付ける要因となっており、立憲にとってはこれも頭の痛い問題だった。 ところが、自民党派閥の裏金問題が、この状況を劇的に変えた。 |
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●官房長官不信任案、内閣不信任案で見えた「大きな構え」
国民の関心が「立憲は内閣不信任決議案を出すのか」に向かうなか、立憲は松野博一官房長官(当時)への不信任案提出という「くせ球」を投げた(12月11日)。裏金疑惑への批判の高まりを受け、両党は松野氏の不信任案に賛成。それを見越したかのように、立憲は満を持して内閣不信任案を提出した。 松野氏の不信任案に賛成した維新と国民民主は、内閣不信任案にも賛成せざるを得なくなった。「立憲が提出した内閣不信任案に全野党が賛成する」という「大きな構え」が出来上がった。 立憲は、同じ国会で政府の補正予算案に賛成した二つの「ゆ党」を、最後に野党陣営に引き戻すことに成功したと言える。これらの動きを受け、報道各社の年末の世論調査では、自民党の支持率が急落する一方、立憲の支持率は目に見えて上昇した。野党全体に対する好評価の果実を、第1党の立憲が多く受け取った形だ。 |
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●自民党の延命を阻止するための「関係再構築」
臨時国会が閉会すると、立憲の泉健太代表は、記者会見(21日)で他の野党に向けこう訴えた。 「(野党が)『独立独歩でいきます』と言っていたら、自民党政権の延命を許してしまう。それは国民が望むことではない。自民党政権の延命を許さない、政治改革の政権をつくるんだと、各党に呼びかけていきたい」 発言は「維新、国民(民主)などと新政権目指す」と報じられ、党内には軽い動揺がみられた。過去に選挙協力の経験がある共産党などの野党と、「身を切る改革」をうたい、立憲とは目指す社会像が真逆の維新とでは、「協力」に対する党内の忌避感は大きく異なることをうかがわせた。 もっとも、泉氏の発言は、現時点で両党との連立を意図したものではないだろう。市民連合を介した政策合意によって、共産党や社民党など「目指す社会像が近い」野党との連携を再構築することに成功した立憲は、今度は「目指す社会像を共有できない」維新などの政党を、それでも野党陣営につなぎ止め、自民党の延命を阻止しなければならないのだ。 |
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●泉代表が他党の「一丁目一番地」の政策を列挙した理由
泉氏の会見で筆者が地味に注目したのは「(政策の)すべてをやるといったらものすごい時間がかかり、政策のすり合わせも大変になる」「(他党と)協定をつくるとか、合意文を作ることを考えているわけではない」などの発言だ。「他の野党と連立に向けた政策協議を行うつもりはない」ということだろう。 泉氏は、裏金問題を受けた政治資金規正法の改正に加え「文書通信費の全面公開」(維新)「トリガー条項(の凍結解除)」(国民民主党)など、各党の「一丁目一番地」である個別政策の名を、わざわざ列挙した。「これらの政策を立憲として実現する。だから自民党ではなく野党陣営についてほしい」ということだ。 泉氏は「立憲の旗のもと、他党に協力を求める」という建前を維持している。立憲が3年前の2020年、当時の枝野幸男代表が国民民主党に「合流」を求めた時のやり方を踏襲しているようにも見える。 |
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●立憲の「上から目線のメッセージ」の真意
ある意味「上から目線」ともみえる呼びかけに、維新や国民民主党が現時点で応じるとは考えにくい。維新の馬場氏も国民民主の玉木氏も、おそらく立憲を蹴り飛ばす。「立憲下げ」が大好きなメディアは「維新や国民民主にすり寄り、袖にされた立憲」と書き立てるかもしれない。 立憲はそんなことは織り込み済みだろう。それでも呼びかけるのは「いい加減『ゆ党』の立場をやめて、明確に野党陣営につくべきだ」という、両党に対する一種の警告だと思われる。あなた方が実現したい政策を立憲が全て実現すると言っているのに、それでも自民党にすり寄るのなら、自民党と「同じ穴のムジナ」と呼ばれることを覚悟すべきだと。 |
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●自民党の崩壊が進むにつれて「ゆ党」ではいられなくなる
大阪万博問題を抱える馬場氏も「非立憲」に凝り固まる玉木氏も、本音では2024年通常国会では、政府の予算案に賛成したいのかもしれない。だがそうなれば、両党は明確に「自民党の補完勢力」と位置付けられる。立憲との選挙協力は不可能になるだろう。 一方、すでに選挙区が埋まっている自民、公明両との選挙協力ができるはずもない。このままでは次期衆院選は、自民・公明の両党、立憲など野党4党、そして維新と国民のいわゆる「三つどもえ」の構図となる可能性が高い。 それで党内が持ちこたえるだろうか。維新の「勢い」に乗って当選したが、大阪万博にあまり強い思い入れのなさそうな、大阪以外を選挙区に持つ議員たちはどう考えるのか。国民民主で連合の支援を受け、立憲とともに戦いたい組織内議員たちは、この状況で戦うことをよしとするだろうか。 都合良く立場を使い分ける「ゆ党」の立場は、時がたち自民党の崩壊が進むにつれて、どんどん許されなくなる。やがて「与党か野党か」が厳しく問われることになるのは必定だ。小選挙区制中心の選挙制度とは、そういう性質のものだからだ。 |
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●「非自民・非共産」勢力は必ずまた失敗する
維新や国民がこの状況を打開するには、立憲民主党と国民民主党を分裂させて「非自民・非共産」勢力の結集を図り、新たな野党の「大きな塊」を作るしかないだろう。国民民主党を離党して、新党「教育無償化を実現する会」を結党した前原誠司氏が目指しているのは、おそらくこの形だ。6年前に自らが深くかかわった「希望の党騒動」の再現である。 だが、7年前に失敗したことが今回成功するとは、筆者にはとても思えない。 野党再編を成功させるには、主導する側に今の立憲を上回る求心力が必要だ。希望の党騒動の時の小池百合子東京都知事のような分かりやすい存在は、今回はいない。昨春ごろまでは勢いのあった維新も、大阪万博問題で陰りが見える。そもそも、立憲自身に分裂の芽がみられない以上、現時点での野党再編は絵に描いた餅に過ぎない。 |
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●維新、国民に迫る「分裂の危機」
維新と国民民主の両党は、立憲に「のみ込まれる」ことを覚悟で野党の立場を明確にできなければ、いずれ分裂の危機に陥る可能性がある。現に国民民主は一足早く「与党か野党か」のスタンスを突きつけられて分裂した。以前にも指摘したが、再分裂の可能性は否定できない。そして、その波は近い将来、維新をも襲うかもしれないのだ。 立憲の岡田克也幹事長は、昨年12月28日の記者会見で、次の衆院選で政権交代を目指す考えを明確にした。かつて同党が「次期衆院選で議席を伸ばし、政権交代は次の次の選挙で」と発信していたことについて「その考えは捨てている。立憲民主党が前に出て政権を目指す」と語った。立憲にとっても、時間をかけて野党を育てる悠長な考えが、もう許されない状況になったということだ。 状況が劇的に変動している今、問われているのは自民党だけではない。次の衆院選をどうやって「政権選択選挙」に持ち込むか、そして実際にどうやって自民党から政権を奪い、その後安定した政権運営につなげていくのか、野党各党の執行部、そして全ての所属議員が問われている。 彼らが今年、どんな政治的選択をするのか、興味深く見守りたい。 |
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●岸田首相「自分がやめて問題解決するならいつでもやめる」 開き直り批判 1/3
昨年12月29日から年末年始の休暇に入った岸田文雄首相。30日夜には「ホテルニューオータニ」の「岡半」で裕子夫人、長男で元政務担当秘書官(6月に更迭)の翔太郎氏らと高級すき焼きに舌鼓を打った。 しかし、自民党派閥パーティーの巨額キックバック疑惑で東京地検特捜部が安倍派幹部を相次いで任意聴取、さらに議員の関係各所に家宅捜索が入るなかでの贅沢に、SNSでは多くの批判が寄せられた。 そうしたなか、「総理自身は周辺に『自分がやめて何か解決するのか。やめて解決するならいつでもやめてやる』と話した」と、1月1日に日テレNEWSが報じた。 「公職選挙法違反容疑で柿沢未途前法務副大臣が逮捕され、さらにキックバック疑惑で現役国会議員が逮捕されれば、政権には大ダメージです。そのため、自民党内に『首相は総辞職するのではないか』という声があがっており、それに対して、岸田首相が『(問題が)解決するならいつでもやめてやる』と語ったというのです。 年が明けた1月1日に能登半島で大地震が発生、翌2日には羽田空港で日本航空機と海上保安庁機が衝突炎上しました。 まずはこの対処に当たることになりますが、1月下旬から始まる通常国会前に、議員や事務所関係者などから逮捕者が出るとも言われ、しばらくは解散含みの展開が続きそうです。『2024年度の予算成立を条件に内閣総辞職するのではないか』ともささやかれています」(政治担当記者) この「やめてやる」発言には、 《何なの?この開き直りは?》 《逆にあんたじゃなきゃ出来ないことって何よ? それに何も解決できないから不満が出ているんでしょ》 《少なくともこのまま続けるよりは別の人に任せた方がよくなる可能性もありますよね?》 《やめてくれたら、少なくても、日本人に対するいやがらせとしか思えない次々と繰り出す増税案、いつまでも一流国ぶって行う海外外遊の度のばらまき、元銀行員とは思えない頓珍漢な経済対策がなくなり、少しは経済好転しますよ》 など憤懣やるかたないコメントが殺到していた。 12月26日、岸田首相は都内の講演会で「国民の信頼あっての政治の安定であり、政治の安定あっての政策の推進であるということを、肝に銘じて対応していく」と語り、年頭の所感でも「先頭に立って国民の信頼回復に全力を尽くす決意だ」と述べているが、その「国民の信頼」が、いま大きく揺らいでいる。 |
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●「今こそ政権交代」「政策勝ち取る」 立民・国民代表が新年の決意 1/4
立憲民主党の泉健太代表と国民民主党の玉木雄一郎代表は4日、東京都内でそれぞれ年頭の記者会見を開いた。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、泉氏は「今こそ野党が立ち上がるべきだ。政権を早期に代える準備を進めたい」と述べ、次期衆院選で政権交代を目指す考えを示した。 泉氏は政治改革や教育無償化、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除などに触れ、「(野党が)共通政策で一致できれば選挙区調整も本格的に進む」と指摘。他党と協議を進めていく方針を訴えた。 玉木氏も「飛躍の年にしたい」と決意を表明。トリガー条項を巡る自民、公明両党との協議について「生活に密着した政策の実現を勝ち取りたい」と意欲を示した。 |
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●公明、結党60年の岐路 「平和」原点回帰か 1/4
公明党は11月に結党60年を迎える。 党創立者の池田大作・創価学会名誉会長が昨年死去し、今後も党勢を維持できるかの岐路に立つ。自民党派閥の政治資金問題を受けた政治改革や、防衛装備品の輸出拡大といった党の原点に関わる課題にも直面。自民との関係に配慮しながらの難しいかじ取りが迫られる。 「今の政治の混乱をしっかり乗り切っていかなければならない」。山口那津男代表は2日、東京・JR池袋駅前で新春恒例の街頭演説に臨み、公明が政治改革をリードする決意を訴えた。「今、直ちに衆院解散をできる状況ではない」とも述べ、政治の信頼回復が急務との考えも示した。 公明は1964年11月に結党し、99年に自民との連立政権に参加。国政選の比例代表では2005年衆院選で過去最高の898万票を獲得したが、近年は支持母体・創価学会の高齢化による集票力低下が指摘される。22年参院選は618万票に落ち込んだ。党関係者は池田氏死去で「さらに得票数は減る」と危惧する。 政治資金問題で岸田政権の先行きに不透明感が増す中、次期衆院選の時期は公明執行部の「世代交代」にも影響しそうだ。今秋に代表任期満了を迎える山口氏の後継として有力視される石井啓一幹事長は衆院選小選挙区の候補。複数の党関係者は「夏までに解散がなければ山口氏は続投だ」とみている。 衆院選では議席増を目指して11の小選挙区に候補を擁立するが、昨年12月の党の情勢調査で支持率が下落する結果が出た。「自民と同一視されている」(党関係者)と危機感を強めており、公明は政治改革を最優先課題に位置付ける。 「清潔な政治」は結党以来の原点で、今月の通常国会召集までに改革案をまとめて存在感を発揮したい考えだ。山口氏は「政策活動費」の使途公開義務化を打ち出したが、自民の反発も予想される。公明幹部は「攻めと守りの両方が必要だ」とバランスに気を配る。 自公関係の新たな火種になっているのは、国際共同開発した防衛装備品の第三国への輸出可否の議論だ。自公実務者間で容認の方向性が出ていたが、公明執行部が昨年11月、慎重姿勢を鮮明にした。平和主義を掲げた池田氏の死去直後のため、原点回帰との見方もある。 政府・自民は2月末までに「容認」で結論をまとめたい考えだが、公明執行部は「完成品の輸出解禁という大転換なのに国民の理解が得られていない」と消極的。公明幹部は政府高官に「政府が期待する結論になるとは限らない」と警告した。 |
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●自民に政治刷新本部 1/4
岸田文雄首相(自民党総裁)は4日、年頭記者会見を首相官邸で開き、自民派閥の政治資金規正法違反事件を踏まえ、総裁直属の機関として政治刷新本部(仮称)を来週立ち上げると表明した。 |
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●能登半島地震 首相「被災者のなりわい支える息の長い取り組み求められる」 1/4
岸田首相は4日に首相官邸で行った年頭記者会見で、石川県能登地方を震源とする地震について、「避難の長期化も懸念される中、被災者の生活となりわいをしっかりと支えていく息の長い取り組みが求められる」と強調した。 |
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●能登半島地震の予備費40億円に《やすっ!ケタが1つ、2つ足りない》批判の嵐 1/4
「命を守る観点から重要な被災72時間が経過する本日夕刻までに、総力を挙げて一人でも多くの方を救命・救助できるよう全力で取り組んでほしい」 首相官邸で4日午前に開かれた能登半島地震を受けた非常災害対策本部の会合。本部長の岸田文雄首相(66)はこう閣僚らに指示し、寒冷・避難所対策を強化するため、予算の予備費使用を来週9日にも閣議決定すると表明した。 最大震度7を観測した能登半島地震。生存率が急激に下がるとされる「発生から72時間」が迫り、予断を許さない状況が続いている。 岸田首相は会見で、必要物資を被災地の要望を待たずに送り込む「プッシュ型支援を一層強化する」と力を込めていたのだが、予備費の規模について問われると、2016年の熊本地震の23億円などを例に挙げつつ、「倍近く(40億円程度)になるのではないか」と説明した。 ●ウクライナ支援にはポンと6000億円だったが… このニュースが4日昼に報じられると、怒りと動揺の声が広がったのがネットだ。 《やすっ!ケタが少なくとも1つ、2つ足りないと思うんは私だけ。にしても安いな》 《道路もめちゃくちゃ、建物は倒壊。焼野原のような街に使う予備費が40億円?たった》 予備費の使用を決める閣議決定はまだとはいえ、活用金額の少なさに驚きの投稿が相次いだらしい。 昨年12月に開かれたG7財務相・中央銀行総裁会合で、鈴木俊一財務相(70)は、ウクライナ支援に欧米諸国が消極姿勢に転じる中、45億ドル(約6000億円)を拠出する用意があると公表。SNS上では、この金額と今回の予備費の金額の差についての意見も。 《ウクライナにポンと6000億円。能登半島地震に苦しむ自国民にはショボい40億円》 《税金を納めていることが馬鹿らしくならんか。我々は誰のために増税されているのか》 岸田政権に対する逆風は依然として続いているようだ。 |
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●渦中の議員は年末年始に地元で説明したのか?松野氏の地元に行ってみる 1/4
疑惑が一層深まる状況が続くなか、これまで沈黙を貫く渦中の議員たち。例年であれば地元に帰る年末年始、有権者に説明したのでしょうか。 自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、東京地検特捜部が派閥事務所の家宅捜索を行ってから2週間あまり。 安倍派では、この年末にかけ、松野前官房長官のほか、過去5年間の派閥の実務を取り仕切ってきた事務総長経験者全員が任意の事情聴取を受けました。 岸田総理「強い危機感を持って、政治の信頼回復に努めなければと感じている」 政治改革に向けた新しい組織を自民党内に設置し、対応に乗り出す考えを示した岸田総理。 しかし、聴取を受けた議員からはそろって説明が行われていません。年末年始、地元の有権者にはどう説明したのでしょうか。 記者「千葉県市原市にある松野氏の選挙区の事務所の前です。中の明かりはなく、人の動きは確認できません」 千葉県市原市を選挙区とする松野氏。例年、正月には地元の神社で行事に参加していたようですが、今年はというと… 記者「私が到着して6時間ほどになりますが、今のところ松野氏の姿はありません」 結局、姿を現すことはありませんでした。 有権者「頭を下げて、悪いことは悪いこと。これからこうして今の名誉を回復しますので、という挨拶はあってもいいと思う。なのに一切ないですよね」 有権者への説明はないままなのでしょうか。 さらに、安倍派の議員側が、パーティー券収入の一部を「中抜き」した額が、過去5年間で少なくともおよそ8000万円あることが新たにわかりました。 派閥側から議員側にキックバックされ、政治資金収支報告書に記載されていなかったものを加えると、安倍派の裏金の総額は6億円近くにのぼることになります。 きょう仕事はじめとなった与野党の幹部からも裏金疑惑に関する言及が相次ぎました。 公明党 山口那津男代表「令和の政治改革元年と銘打って、いま、失われた政治への信頼、これを着実に取り戻していく」 立憲民主党 泉健太代表「自民党の岸田内閣に正当性はないということで、野党による政権を構成すべきだと。岸田政権を早期に変えていくということについて、我々としても準備を進めてまいりたいと思います」 今月下旬に召集予定の通常国会では「政治改革」が焦点の一つとなるなか、岸田総理はきょうの会見でどう言及するのでしょうか。 |
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●長崎IRの崩壊「根っ子は全て同じ」 岸田政権に思う 1/4
●我が国の転換期、天の「龍神」が怒っている 今年の干支の龍又は竜は、古来より「神」の世界の最高位を表すものである。世間は、かっ てないほど凄まじい昨年末からの新年である。 正に、天の神が世界とこの国の「偽善者達のとんでもない」行いに怒りを爆発させているかのようだ。世界はウクライナにイスラエル、この国では岸田政権下の体たらくーービッグモーター、ダイハツ、地震に津波、羽田の航空機事故ーー我が国と各組織の偽善者達、これら人間の行いが神の怒りをかい、上に強く戒められている。 ●「減点主義」がもたらした、人を育てない30年 筆者の予測通り、昨年末の12月27日、岸田政権はこの機に及んで、遅れていた「長崎IR」の政府承認をめぐり、表向きの理由を付けて、承認しないという結論を発表した。これは選挙の影響などを考慮した政治家たちの偽善的な結論である。 しかし、実際には、長崎IRの事実上の崩壊は、2022年9月に既に起こっていた。その際には、HISの澤田氏からハウステンボスが中国共産党習近平政権に近い中華系企業PAG社に売却され、同時に当時のハウステンボスの主要株主である九州福岡経済界の九州電力、西部ガス、JR九州なども株式譲渡を完了し、すべてが終了していた。 従って、長崎県の大石知事を筆頭にする各自治体関係者、さらには地元の九州福岡経済界の倉富九州経済連合会長なども含む支持者らによるこの「長崎IRの崩壊」に対するコメントは、非常に無知で偽善的な行動であると言える。 これらの関係者の発言は、異なる言葉で表現されていても、本質的には「同じことを言っている」ことが明らかで、自己保身のためのものであり、情熱や真剣さを感じられない。これは非常に浅薄なものだ。 岸田政権下で現在起こっている「表向き」の政治資金規正法違反に関連する発言、例えば「現在は検察の調査下で、その影響もあり差し控えます」とほぼ同じで偽善的なものであり、説明責任を果たそうという意志が感じられない。 近年の組織の指導者たちは、皆同じような傾向を示している。表向きは「神妙な姿勢」を保ち、残念などと心にもない表現をしているが、本音では自己保身考えている。これは非常に愚かしいことだ。彼らは「サラリーマン首相」や「サラリーマン議員」、「サラリーマン重役」に過ぎず、何事も成し遂げられないだろう。世界の笑いものである。 年末から年始にかけて組織関係者や偽善者たちが引き起こした問題の根本には、金融機関やマスメディアを含む、ここ30年間の国内の「病巣」が存在している。筆者はこれを「コンプライアンス・ガバナンス症候群」と名付け、組織の中でこれを言い訳にしている人々が日本中に広がっていることに警鐘を鳴らしている。 岸田首相を含む現政権下の政治家たちでは、例えば萩生田前政調会長や西村前経済産業大臣など一部の人々が、小細工や策略を考えているように見える。しかし、彼らはいわば「減点主義」の下で、小利口に育った人達であり、我が国の中心で舵取りをするなど出きるはずもない。 学校教育を含む全ての組織や人々は、評価の基準や仕組みを見直し、ここ30年の失敗を指摘する「減点主義」ではなく、人に対する「加点主義」に切り替えるべきだ。学業の成功だけを追求し、小さな失敗を過度に恐れる人々が組織の上にいる。しかし、失敗しないパーフェクトな人物などはどこにも居ない。「失敗は成功のもと」である。食品会社のCM「腕白でも良い。たくましく育って欲しい」のように大人になった者でないと、大きな事はできないだろう。今日ではこうしたCMはほとんど見られなくなった。 ●大阪中心の関西都市圏、後は福岡と東京の2大都市圏 連載の初めから、「東京都中心の関東都市圏」、「大阪市中心の関西都市圏」、そして「福岡市中心の北部九州都市圏」の3つの主要都市圏以外ではIR(統合型リゾート)は適さないと強く主張し、詳しく解説してきた(名古屋市中心の中部都市圏は文化的に異なるので除く)。 北海道苫小牧市や和歌山市、佐世保市にIRが求める規模の市場がないことは、誰でも理解できるだろう。さらに、安全保障上の懸念からも、中華系企業が所有・運営するハウステンボスが日米防衛にとって重要な位置を占める佐世保市にIRを誘致することは、誰が考えても無理だ。長崎県と佐世保市の関係者たちは、まだこの事実を理解していない。なんと愚かなことか。 最近、西日本新聞も「長崎IRは最初から無理だった」という筆者と同様の記事が掲載している。それならなぜ九州経済連合会の倉富会長やJR九州の石原元会長らがIR誘致に協力する行動に対して疑問を投げかけなかったのか。各マスメディアも各マスコミも忖度だらけの組織ではないか。 ●22年米国Bally's 記者発表 一昨年の3月、米国の老舗Bally's Corporation(米国ロードアイランド州、ニューヨーク証券取引所上場)は、福岡へのIR進出の可能性について、ホテルオークラ福岡に全国のマスメディアを招いて大々的な記者発表を行った。内容は現在でもネットで容易に確認できる(福岡 IR誘致促進委員会You Tube)。当時の在福岡米国領事館首席領事のジョン・テーラー氏の挨拶は非常に理解しやすく、一見の価値がある、 福岡市都市圏の市場規模は年間で来場者約460万人、売上額約2,500億円、税引き前利益約570億円を見込むとされている。対照的に、崩壊した長崎IRは年間の来場者数673万人(当初は840万人)、年間売上額2,716億円などとされていたが、これは「福岡IR」と比較しても驚くべき数字で、バラ色のとんでもない机上の計画だ。 まして「長崎IR」の中心施設であるカジノは、欧州の小規模業者であるカジノ・オーストリア・インターナショナルという、IR経験のない事業者が運営することが計画されていたにもかかわらずだ。 ・・・ |
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● 立民 泉代表 “ほかの野党と協力し政権交代目指す” 1/4
立憲民主党の泉代表は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、岸田内閣の正当性が失われているとして、次の衆議院選挙でほかの野党と協力して政権交代を目指す考えを示しました。 立憲民主党の泉代表はことし最初の記者会見で、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について、「しっかりけじめをつけなければならない。裏金の認識がある議員は政界から一度、身をひくことが正しい選択で、岸田総理大臣の説明責任や任命責任も問わなければならない」と述べました。 そのうえで、「岸田内閣に正当性はなく、野党による政権をつくるため今こそ立ち上がるべきで、次の衆議院選挙で政権交代を目指す」と述べました。 また、ほかの野党との協力の在り方について、「政治改革を必ず行い、教育の無償化や『トリガー条項』の凍結解除など、国民生活に直結した優先事項で一致結束できれば選挙区調整も十分可能ではないか。虚心たん懐にそれぞれの思いを聞いて、新しい政権をつくる目標にまとめていくことが必要だ」と述べました。 立憲民主党の泉代表は記者会見で、「能登半島を中心に、まだ被害の全容が判明しておらず、救助が完全にできていない状況だ。一刻も早く人命の救助に向けて全力を尽くしてほしい。国レベルでは対応できない細かな物資が必要かもしれないので、党として、引き続き、現地のニーズに合わせて行動していきたい」と述べました。 |
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●共産・志位氏「岸田政権は断崖絶壁」 解散総選挙に追い込む決意強調 1/4
共産党の志位委員長は4日、党の仕事始めにあたって記者団の取材に応じ、「岸田政権は、断崖絶壁まで追い詰められている状況だ」と述べた上で、「国民的な運動によって解散総選挙に追い込んでいくという攻勢的な戦いが必要だ」と決意を示した。 さらに志位氏は、「次の選挙はやはり自民党政治を倒していくということを大きな目標に掲げて私達も戦っていきたい。そのためには(他党との)共闘の再構築が必要になってくる」と指摘し、「(去年に)市民と野党の共闘で、共通政策を野党4党会派で確認するという一歩を踏み出しているので、そういうものも土台にしながら、一歩一歩進めていきたい」と他党との選挙連携に前向きな姿勢を示した。 これに先だって行われた党員への年始の挨拶では、自民党の派閥の政治資金問題について触れ、「徹底究明に全力を挙げる」と強調した。 |
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●安倍派を潰して政権維持を図る岸田首相 1/4
東京地検特捜部による捜査が進む安倍派の裏金問題。政権の支持率は急落したが、岸田文雄・首相は今回の騒動を奇貨として、「数の力」で大きな影響力のあった安倍派議員を政権の要職から一掃。それによる政権維持を目論んでいる。だが、事はそう簡単に進むはずがない。通常国会を前に、恨みを募らせた安倍派の「死なばもろとも」作戦が迫っている──。 ●最大派閥の恨み骨髄 永田町は重苦しい新年を迎えた。 全国から動員した応援検事を含めて約100人の大捜査態勢を敷いた東京地検特捜部の裏金疑惑捜査はいよいよ大詰め、1月中に召集される通常国会開会までが政界捜査のタイムリミットとされる。自民党内は「何人の議員が逮捕されるのか」「大物議員の立件はあるか」と戦々恐々だ。 岸田首相はすでに「Xデー」に備えている。昨年末の人事で「女房役」の松野博一・前官房長官をはじめ安倍派の大臣、副大臣、自民党幹部を一掃し、“安倍派抜き政権”へと衣替えした。 だが、“派閥解体の危機”にある安倍派の議員たちは逆に結束を強め、首相の仕打ちに“憎悪”をたぎらせている。若手議員が語る。 「総理はうちの派閥の大臣を、有無を言わせず更迭しながら、二階派の大臣たちは派閥離脱でOK。そのくせ国民には『辞任は自発的なもの』とウソの説明をした。総理が安倍派というだけで一括りに罪人扱いしたせいで、我々は地元での風当たりがすごく厳しくなった。派内は怒り心頭だ」 閣僚経験者はこう言ってのけた。 「総理は安倍派から何人かを検察につき出して幕引きしたいのかもしれないが、これは岸田政権の終わりの始まりだ。最大派閥を排除して政権運営をやれるものならやってみればいい。政権が追い詰められようが倒れようが、我々は一切手を貸さない」 そんな安倍派の有力議員の1人が強く怒りの目を向けるのが岸田首相ら主流派による“政治資金スポンサー”への擦り寄りだ。 「こんな時に露骨な利権漁りをしてタダで済むと思っているのか」──。 特捜部が安倍派議員らへの事情聴取に乗り出していた昨年12月20日、岸田首相は国民が支払う医療費の積算根拠となる「診療報酬」の本体部分引き上げを決定した。 この診療報酬改定こそ、岸田首相の「カネ」に直結する最重要の政治課題だった。 安倍派が「露骨な利権漁り」と見ているものだ。 ●二階派を更迭しない理由 岸田首相は昨年末の安倍派の大臣更迭にあたっての記者会見で、わざわざ「診療報酬」の改定を挙げてこう意欲を示した。 「これから年末に向けて、予算、税制、診療報酬・介護報酬等の同時改定など国民の生活や国の基本政策に関わる重要な決定がめじろ押しで、まさに大詰めを迎えています。政府・与党として、国政に遅滞を来すことがないよう全力を挙げなければなりません」(昨年12月13日) 診療報酬引き上げは、自民党の「最大最強のスポンサー」と呼ばれる日本医師会が強く要求していた。 日本医師会の政治団体「日本医師連盟」は、2021年には都道府県の医師連盟からの寄附と前年からの繰り越し金をあわせて約22億円もの収入があり、自民党本部をはじめ各派閥、多くの議員に献金したり、パーティー券を購入している。さらに中央とは別に、都道府県ごとの医師会の政治連盟も地元の国会議員に資金提供を行なっている。 政治評論家の有馬晴海氏が語る。 「自民党と日本医師会は昔から切っても切れない関係です。国民が健康保険で病院にかかった時の医師の報酬は政府が決める公定価格で、診療報酬と呼ばれる。これが上がるか下がるかで医療機関の経営が左右される。そこで医師会は診療報酬を上げてもらうため自民党に医師会直系議員を送り込み、さらに党本部や自民党議員に広く献金、選挙の時には陣中見舞い(寄附)まで渡して医師会シンパの議員を増やしてきた」 岸田首相の安倍派排除人事によって、各派閥の大臣の数は裏金疑惑捜査で“無傷”だった麻生派が5人に増えたのをはじめ、茂木派3人、岸田派3人(首相を除く)と主流3派で過半数を占めたが、実は、医師会とのパイプが特に太いのが閣僚を増やした主流3派だ。 政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。 「自民党の派閥で伝統的に医師会に強かったのが保守本流の流れを汲む茂木派や岸田派、最近では麻生派です。保守傍流だった安倍派はもともと資金力が弱く、保守本流が有力スポンサーを持っていることに臍を噛んできた。だから医師会に食い込もうとしたが、安倍長期政権下でも、安倍派からは医師会に睨みが利く厚労大臣は出ていない」 第2次安倍政権以降の厚労大臣の顔触れを見ると、田村憲久氏(大臣2回。岸田派)、塩崎恭久氏(岸田派)、加藤勝信氏(3回。茂木派)、根本匠氏(岸田派)、後藤茂之氏(無派閥だが総裁選で岸田首相の推薦人)、現在の厚労相は武見敬三氏(麻生派)と岸田派が圧倒的に多い。 医師会応援団の自民党議員300人以上が参加する「国民医療を守る議員の会」の会長は茂木派の加藤氏、会長代理を岸田派の田村氏が務めている。 まさに主流3派の牙城と言っていい。 しかも、岸田首相は安倍派と同じく特捜部の強制捜査を受けた二階派に所属する小泉龍司・法相と自見英子・地方創生相の2人を派閥離脱だけで大臣にとどめたが、その自見氏は武見厚労相と並んで医師会の全面バックアップを受けて当選した「医師会直系議員」でもある。 「岸田総理は最大派閥の安倍派が捜査で身動き取れないのを好機と捉え、主流3派の主導で診療報酬改定を行ない、医師会利権を完全に手中に収めた。安倍派の大臣だけ切って、二階派の大臣を切らなかったのも、医師会に配慮して自見を大臣に残すためとしか考えられない」(安倍派関係者) 裏にあるのは医師会マネーの岸田首相への還流だ。 ●献金後に引き上げを決定 診療報酬の改定は2年ごとに行なわれるが、岸田首相は前回の改定時に日本医師会から巨額の献金を受けている。 2021年の改定では政府は当初、診療報酬を0.4%引き上げる方針だったが、医師会側はさらなる上乗せを要求して激しい陳情を展開した。 折しも自民党では菅義偉・前首相が退陣表明し、改定は次の首相の判断に委ねられることになった。同年9月29日に行なわれた自民党総裁選は事前の予想では岸田氏と河野太郎氏のどちらが勝つかわからない情勢だったが、決選投票で岸田氏が新総裁に選出され、総理就任が確定すると、日本医師連盟はその日のうちに岸田首相の資金管理団体「新政治経済研究会」にポンと1000万円を献金したのである。 タイミングから見ても、診療報酬改定を睨んだ“就任祝い”だったことは容易に想像できる。 日本医師連盟に献金について聞くと、「法律に従い適正な政治活動を行なっております」と答えた。 岸田事務所は「政治資金は法令に従い適正に処理し、その収支を報告している」と回答した。 法令に従うのは当たり前だ。だが、診療報酬改定の結果を見ると、献金の効果はてきめんだったことがわかる。 就任したばかりの岸田首相は医師会の要求通り診療報酬を上乗せして0.43%の引き上げを決定、「岸田裁定」と呼ばれた。この年の岸田首相への医師会関係団体からの献金総額は合計1400万円にのぼり、前年の250万円から5倍以上に急増した。 “こんなにおいしいのか”──首相がそう思ったとしても不思議ではない。 今回の診療報酬改定は前回以上に揉めた。医師会と財務省の大バトルとなったからだ。 日本医師会は、「医療従事者の賃上げが他の業界より低い」と診療報酬の引き上げを主張。 それに対して、財務省が全国の医院・クリニックなど診療所の2022年度の平均収益は1億8800万円と2020年度から2000万円増加し、利益剰余金も1900万円増えている──というデータを公表して「(診療報酬を上げなくても)賃上げはできる」と反論。政府の財政制度等審議会財政制度分科会も、「医療機関にコロナ補助金とコロナ特例診療報酬で2022年度だけで4兆円が支援された」と指摘して診療報酬はマイナス、とくに診療所の診療報酬を「5.5%程度引き下げる」との意見を政府に答申した。 危機感を強めた医師会側は自民党に猛烈なロビー活動を展開し、自民党では「国民医療を守る議員の会」が「診療報酬の大幅引き上げ」を決議。岸田派、茂木派の議員たちが岸田首相に申し入れ、最終的に医師会の要求通り「診療報酬本体部分」の引き上げで決着したのは前述の通りだ。日本医師会の松本吉郎・会長は「率直に評価をさせていただきたい」と歓迎した。 政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。 「診療報酬改定は揉めれば揉めるほど自民党にはおいしい。改定率はあらかじめ総理が決めているが、自民党議員は議連の決議や陳情を派手にやって『オレたちはこんなに貢献した』と医師会にアピールする。いわば政治パフォーマンスショーです。その貢献度合いが献金額に反映される」 前回の医師会巨額献金に味を占めた岸田首相が、今回は主流3派の有力議員たちに“どんどんアピールして献金を増やしてもらえ”と演技させたという指摘だ。 医師会利権に食い込みたくても検察捜査で身動きが取れなかった安倍派の幹部たちは指をくわえて見ているしかなかった。 ●疑惑を飛び火させる 自民党最大の資金源を握った岸田首相は、安倍派にさらなる追い討ちを掛けた。 岸田首相と麻生太郎・副総裁、茂木敏充・幹事長らは検察捜査で安倍派議員が立件された場合を想定し、“安倍派抜き”の党役員会で派閥活動の縮小など政治改革を議論する新組織立ち上げを“新年の初仕事”に掲げた。狙いは最大派閥・安倍派が立ち直れないように解体することにある。 「そこまでコケにするのか」と、安倍派は本気で逆襲の準備を始めた。 安倍派関係者が不気味な言い方をする。 「岸田がこっちを潰す気なら、こちらも遠慮はしない。野党は通常国会が始まれば、裏金問題で岸田政権を追及しようと手ぐすねひいて材料を集めている。 そこで野党をけしかけて岸田自身の医師会献金問題などもセットで追及させ、疑惑を主流3派にも飛び火させて大炎上させる。うちの派閥には安倍政権時代に身体検査のために集めた各派閥の議員のスキャンダル情報がある。材料ならいくらでも提供できる」 「死なばもろとも」と岸田首相を道づれにする暴露作戦に出るというのだ。 安倍派と主流3派の抗争激化で自民党内が分裂状態に陥り、国会が岸田追及一色となれば、2024年度予算案の審議が難航して年度内成立が難しくなり、岸田首相は追い込まれる。 そのさなかに地方組織からも“岸田おろし”が起きるという。安倍派が視野に置いているのは3月17日の自民党大会だ。 「党大会には全国から都道府県連幹部の地方議員が参加するが、その多くは安倍派が押さえている。県連幹部たちの会合で岸田批判を噴き出させ、党大会は大荒れになる。そうすれば岸田退陣への流れは決定的だ」(同前) どちらが先に倒れるか、それとも共倒れか。 新年早々、岸田首相と最大派閥・安倍派の「自民党史上最も醜い足の引っ張り合い」のゴングが鳴った。 |
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●山口代表「令和の政治改革元年 地に落ちた信頼の回復が次のステップ」 1/4
公明党は4日、「新年仕事始め式」を東京都内で開き、山口代表は「地に落ちた信頼を回復させる」などと新年の抱負を語った。 「新年仕事始め式」で挨拶した山口代表は、2023年から検察の捜査が続く自民党の派閥の政治資金を巡る問題をあげ「今、失われた政治への信頼を着実にとり戻していくために、令和の政治改革元年と銘打って、あるべき提案、あるべき姿を公明党として発信していきたい」と述べた。 その上で、「地に落ちた信頼を一歩一歩、回復させる軌道が描かれることこそが、次なるステージへのステップ」と強調した。 また、能登半島地震の被害者や被災者に、弔意とお見舞いの言葉を述べ、日航機の衝突事故については「現場の状況に冷静に対応した乗員、乗客の行動に敬意を表したい」と語った。 |
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●自民「政治刷新本部」顧問に菅前首相 派閥の政治資金パーティー問題受け 1/4
自民党の派閥の政治資金パーティー問題を受け、岸田首相は、来週「政治刷新本部」を発足させる。 その特別顧問に、菅前首相が就任することが明らかになった。 岸田首相「来週、自民党に総裁直属の機関として、『政治刷新本部(仮称)』を立ち上げることにいたします」 岸田首相は会見で、来週、自民党に政治刷新本部を立ち上げ、「1月中に中間とりまとめを行い、必要があれば関連法案を国会に提出する」と表明した。 複数の政府与党関係者によると、本部は、特別顧問に無派閥の菅前首相が就任し、党の執行部や外部の有識者も参加する。 菅氏は2023年末にも、党運営について「派閥を前提にした運営になっている」として、改革の必要性を訴えていた。 |
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●岸田首相、地震対応で前面 初日に対策本部に格上げ 1/4
岸田文雄首相は4日の年頭記者会見で、能登半島地震に前面に立って対応していく考えを強調した。首相は1日の発災直後から救助活動や、要請を待たずに物資を送る「プッシュ型支援」の陣頭指揮にあたってきた。これまでも新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵略などに直面したが、政権の危機管理の力量が試される。 「今回の災害は令和に入って最大級だ。被災地の皆さんが再び平穏な生活を取り戻せるよう、私自身が先頭に立って努力していく。強い覚悟を感じている」。首相は会見でこう訴えた。 発災直後の1日時点では全容が分からず、政府内では防災担当相がトップを務める特定災害対策本部の対応で様子を見ようとの意見もあった。ただ、首相は「最悪の場合を考えるべきだ」として、初日のうちに自身がトップの非常災害対策本部への格上げを決めた。 事実、時間がたつにつれ、死者数は平成28年の熊本地震を上回る被害規模となりつつある。 首相は被災自治体の首長らと直接連絡を取り、自衛隊の増強などを判断。連日、記者団の取材に応じ、SNS(交流サイト)上にあふれた「偽情報」への注意喚起など、国民への発信にも努める。 ただ、課題は山積している。政府高官は「能登地方は山沿いに集落が点在しているが、そこにつながる道路が寸断されている。連絡がとれていない人が相当いる」と危機感をあらわにする。道路の復旧は徐々に進みつつあるが、なお支援物資の搬送は難航している。 東日本大震災では菅直人首相(当時)が発災直後に現地や東京電力に乗り込んで陣頭指揮の姿勢を示したが、逆に現場の混乱を招いた。岸田首相は現地入りの時期は慎重に見極める方針だ。今後は被災者の住居確保なども必要になる。 災害以外にも自民党派閥のパーティー収入不記載事件の対応なども迫られている。首相のリーダーシップが問われる。 |
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●国民負担減の「救民内閣」を 次期衆院選、政権交代目指す―泉・前明石市長 1/5
前兵庫県明石市長で、退任後も積極的な発信を続ける泉房穂氏(60)は時事通信のインタビューに応じた。自民党派閥の政治資金規正法違反事件などで混乱する国政の現状について「転換が必要だ」と強調。国民の負担軽減を旗印とする「救民内閣」構想の下、新たな政治勢力を結集し、次期衆院選で政権交代を目指す考えを示した。 岸田文雄首相の政権運営について、泉氏は「政治が機能していない。官僚政治だ」と批判。「税金も社会保険料も上がり、国民がより苦しくなった結果、経済が回らなくなる悪循環が起きている」と指摘した。 所得に占める税金と社会保険料の割合を示す「国民負担率」にも触れ、「5割なのに生活が苦しいなんて、政治が間違っている以外に理由はない」と断じた。 その上で、次期衆院選について(1)消費税の軽減税率を5年間の期間限定で0%に引き下げる(2)医療、教育費を無償にする―ことを柱とする「救民内閣」構想を掲げ、与野党双方から賛同者を募る方針を表明。泉氏ら「国民の味方」と、自民党など「国民負担増を続ける古い方々」の一騎打ちの構図を作り出すと主張した。 ただ、自身が出馬する可能性に関しては「私は役者ではなくシナリオライターだ。脚本を書き、キャスティングをしたい」と否定した。 |
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●岸田首相「国民から厳しい声」危機感強調 政治資金問題 1/5
岸田首相は自民党の年始の会合で、派閥の政治資金パーティー問題について「国民から厳しい声、疑念の目が注がれている」と危機感を強調しました。 岸田首相「多くの国民の皆さんから、厳しい声、そして疑念の目が注がれている。こうした時だからこそ政権与党の真価が問われる。我々議員一人ひとりの力量が問われると感じています」 また、岸田首相は「既に正月気分は吹っ飛んでいると思うが高い緊張感を持って気を引き締めて欲しい」と述べ信頼回復に取り組む考えを強調しました。 岸田首相は来週総裁直属の新たな組織「政治刷新本部」を立ち上げ、今月中に中間とりまとめを行います。 刷新本部の最高顧問には麻生副総裁に加え無派閥の菅前首相を起用する方針で、政治資金の透明化や「派閥のあり方」などについて議論します。 |
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●岸田首相「正月気分は吹っ飛んだと思う」防災服姿で自民党仕事始め 1/5
自民党は5日、4年ぶりとなる仕事始めを党本部で開いた。岸田文雄首相(総裁)は、能登半島地震や羽田空港での衝突事故に触れた上で、党の派閥パーティーをめぐる政治資金問題に言及し「こうした時だからこそ政権与党の真価が問われ、我々1人1人の力量が問われる」と述べ、危機感を口にした。 元日以降官邸で能登半島地震の対応に当たっている首相は、防災服を着用しての党仕事始め出席となった。地震で亡くなった方への追悼の言葉、被災した方へのお見舞いの言葉を口にした上で「政権与党一体となり、震災対策に万全を期したい」と述べた。 その上で「年が明け震災が発生し、羽田空港における事故と困難が続いているが、そもそも昨年末から自民党の政治資金をめぐり多くの国民の皆さんから厳しい声、疑念の目を注がれている。それに加え経済、社会外交のあらゆる面において、我が国は本年大変な重要な年を迎える」と主張。「こうした時だからこそ、我々は国民の信頼を回復して政治の安定を確保し重要政策を進めていかないといけない」と口にした。 集まった党幹部や議員、職員に対し「すでに正月気分は吹っ飛んでいることかと思いますが、ぜひ高い緊張感を持ち気を引き締めてともに力を合わせ、未来を切り開いていこうではありませんか。ご協力を心からお願いしたい」と呼びかけた。 首相は4日の年頭会見で、政治資金問題に対応するため党内に自身が本部長を務める「政治刷新会議」を週明けに立ち上げる考えを示している。首相に続いてあいさつした茂木敏充幹事長は「運用面、制度面にわたる改革案、再発防止策を早急にとりまとめ実行することで、信頼回復に務めていきたい」と話した。 |
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●これでは日本は国際的サプライチェーンから「外される」...不十分な脱炭素政策 1/5
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で日本の「気候変動イニシアティブ」のメンバー186団体が、2030年温室効果ガス排出削減目標と国際競争力の強化を同時に達成する「カーボンプライシング(排出する二酸化炭素に価格をつけ、企業に行動変容を迫る制度)提言」を発表した。 23年5月に成立した岸田政権の「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)」でカーボンプライシング導入の道筋が示された。しかし世界的に広がる炭素税や排出量取引制度に比べると日本の取り組みは不十分という。そこで東証プライム企業61社を含む140社と東京都など9自治体、37団体・NGO(非政府組織)が声を上げた。 GXは「グリーントランスフォーメーション」の略だ。岸田政権が示しているカーボンプライシング構想では、26年度に排出量取引制度を本格的に稼働させ、28年度に化石燃料の輸入事業者に対する賦課金制度を導入、33年度から発電事業者を対象に排出枠の有償割り当てを行う計画だ。 これに対して「気候変動イニシアティブ」の加藤茂夫共同代表は「現在示されている自主的な制度では削減効果が限定的で、導入も遅いため30年削減目標が未達に終わる懸念がある。自主的な制度参加ではコストを負担して排出削減に取り組む企業が参加しない企業に競争上劣後し、不利益を被る恐れがある」との懸念を示す。 ●日本はカーボンプライシング構想の強化を さらに加藤氏は「不十分な炭素価格では日本の企業が炭素国境調整措置の対象となることや国際的なサプライチェーン・投資先から除外される恐れがある。世界では排出削減と再生可能エネルギーの導入が進んでおり、ビジネスの場として日本の魅力を向上させる制度が必要である」とカーボンプライシング構想の強化を求めている。 英誌エコノミスト(10月1日付電子版)は「いかに炭素価格が世界を支配しているか。世界の排出量の4分の1に適用され、その割合は急速に増加している」と指摘する。欧州連合(EU)の排出量取引制度(ETS)は「キャップ・アンド・トレード」の原則に基づき05年に導入された。温室効果ガスの排出量に上限(キャップ)を設定して取引する制度だ。 EU ETSの導入で、主な対象部門である発電・熱供給とエネルギー集約型産業で排出量は大幅に削減された。「多くの米政治家は炭素価格の導入が消費者の負担するコストを押し上げ、反動を引き起こすのではないかと懸念している。しかし驚くべきことに炭素価格は富める国にも貧しい国にも広がっている」と同誌は報告している。 二酸化炭素換算で年間6億2000万トンを排出する世界9位の排出大国インドネシアでも排出量取引制度を導入し、炭素市場を立ち上げる際、炭素取引のハブになる夢をぶち上げた。地元銀行は地熱エネルギー会社のクレジットを買い取った。23年初頭には世界の排出量の23%に炭素価格が適用された。10年のわずか5%から急拡大していると同誌は指摘する。 ●日本メーカーは再エネがないと輸出できなくなってしまう 国際通貨基金(IMF)によると、50カ国近い先進・新興市場が炭素価格制度を導入しており、さらに20カ国以上が導入を検討中だ。EUによる炭素国境調整メカニズムの移行期間が10月1日に始まった。炭素国境調整メカニズムはEU ETSに基づき域内の製造事業者に課されるのと同等の炭素価格をEU域外から輸入される対象製品に課す仕組みだ。 「カーボンプライシングにはドミノ効果がある。輸出国の政府にも国内企業が海外で関税を支払うのではなく自国で炭素価格を支払うインセンティブが働く。問題はドミノ倒しが十分に迅速に行われるかどうかだ。将来の政策立案者は気候変動の影響を最小限に抑えたいのであれば、対策をさらに強力なものにするしかない」(エコノミスト誌) 自然エネルギーを促進する日本の自然エネルギー財団(孫正義会長)シニアコーディネーター、高瀬香絵氏は「世界で戦っている製造業は日本国内の再エネがないと輸出できなくなってしまう恐れがある。その中で排出量の多い石炭を保とうとするインセンティブはいったいどこから来るのか。日本には浪費する時間もお金もない」と筆者に語る。 「2000年代、日本はエネルギー安全保障のため国内に石炭火力発電所をたくさん新設した。石炭火力を残すためアンモニア混焼という技術に莫大なお金を出している。それでは排出削減措置を講じたことにはならない。アンモニアや水素の100%燃焼にするのか。それより再エネの方が安上がりだ。移行ボンドを利用して再エネと脱石炭を進めるべきだ」 ●「政府は“伝統的な声”に耳を傾け過ぎ」 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は「排出削減措置が講じられていない(unabated)」の定義について「発電所から排出される二酸化炭素の90%以上を回収あるいはエネルギー供給から排出されるメタンの50〜80%を回収」と例示しており、高瀬氏は「日本独自の解釈は許されない。90%回収がスタンダードになる」と強調した。 第7次エネルギー基本計画が24年にも策定される。高瀬氏は「政府関係者にはこれまでの策定プロセスを見直し、基本政策分科会のメンバー選考を見える化することを求めたい。政府は“伝統的な声”に耳を傾け過ぎだ。ソニーやAGC(旧旭硝子)のような企業や気候イニシアティブに代表される新しい時代の声を聞くべきだ」と訴える。 ニッセイアセットマネジメントの大関洋社長は「私たちの株式ポートフォリオを見ると、わずか10%の企業が温室効果ガスの90%を排出している。10%の企業から投資を引き揚げれば90%の排出量を削減できる。これは容易な方法だが、全体としては排出削減につながらない」と語る。 大関社長によるとソニーや資生堂はネットゼロ(実質排出ゼロ)の目標を実現しているものの日本では多数派ではない。同社のポートフォリオで排出量の70%を占める世界の70社のうち43社が日本の企業。このうちネットゼロへの明確な戦略を立てているのはわずか3社だ。「なぜかと言えば、インセンティブを欠いているからだ」と解説する。 「欧州では再エネが普及しており、それを活用すれば対応できる。しかし日本では再エネの割合が極めて低い。そうした環境下でネットゼロを考えるのは難しい。政府が再エネのアクセルを踏まないと日本企業も立ち行かなくなる。米国企業も炭素税などの負担がかかれば、高排出の企業との取引を削らないと、重い負荷が財政にかかることになる」 「日本企業に世界からどうして(再エネに転換)できないのですかという圧力もかかってくる。グローバルにビシネスを展開する企業は政府に動いてもらわないと困るから仕方なく声を上げているのが実情だ」と大関社長は打ち明けた。気候イニシアティブは「25年を目処に実効性の高いカーボンプライシング制度を導入すべきだ」と提言している。 【気候イニシアティブが求める6原則】 (1)30年削減目標達成に向け25年を目処に実効性の高いカーボンプライシング制度を導入 (2)公平性担保のため一定の要件を満たす企業を一律に制度の対象に (3)世界に比肩する水準で将来の炭素価格を明示(例えば30年130ドル/二酸化炭素トン) (4)EUの炭素国境調整メカニズムなどの対象とならないよう国際的なルールに適合した制度に (5)公正な評価のもと排出削減が困難な中小企業などをカーボンプライシング制度の収入で支援 (6)カーボンプライシングの立案・評価・更新の透明性を確保 |
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●立民・泉代表「政府対応に一部遅れ」能登半島地震での激甚災害指定 1/5
立憲民主党の泉健太代表は5日、党本部で開いた仕事始めであいさつし、能登半島地震における岸田政権の対応が遅いとして、民主党政権時代の対応と比較しながら苦言を呈した。 泉氏は「元旦から地震、2日は羽田の航空機事故とさまざまなことが相次いでいる。緊張感をもって、国民の命と暮らしを守るために全力を尽くしたい」と述べた。 その上で、前身の民主党が政権を担っていた2011年3月に東日本大震災が起きたことに触れ「我々の中にも(当時政権で)活躍したメンバーが数多くいる」と述べ「東日本大震災の激甚災害指定は、発災の翌日に行った。また予備費の支出についても発災3日後に300億円を超える金額を決定している。そういった意味では、今現在、激甚災害指定が行われていないことや、(40億円の)予備費の執行が1月9日に予定されていることなど、政府の対応に一部、遅れがあるのではないかと考えている」と指摘。岸田政権の対応の鈍さを指摘した。 また「現地では被災者の救援のために多くの方に頑張っていただいているが、物資が一部の場所にかなり集積される状態になっている一方で、被災者まで届けられていないということも聞こえてきている。民間ヘリの活用も含めて、全力で被災者の方々に物資が届くよう(岸田政権に)求めていきたい」とも話した。 2024年について「まずは被災者支援に最優先に取り組みながら国民生活全般、賃上げ、経済再生にも取り組みたい」と述べ「4月は補欠選挙もあるので、それに向けても全力を尽くしたい。きたるべき総選挙においても勝利し、今の正当性のない腐敗政治を変えることにも向かっていきたい」と政治決戦への抱負も口にした。 仕事始めの冒頭には出席者全員で、能登半島地震の犠牲者に黙とうをささげた。 |
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●野田元首相、ゾンビのように甦る自民党の派閥と世襲議員を断ち切るには 1/5
政治資金パーティーを巡る問題が連日報道されている。松野官房長官、世耕参議院幹事長、高木国会対策委員長、西村経済産業大臣、萩生田政務調査会長など、安倍派9人が辞任に至り、支持率が低かった岸田政権にはとどめの一撃といった感がある。 岸田首相はどこまで持つのか。これを機に、自民党の派閥政治は解体されるのか。政治資金改正法の抜け穴はどこまで解消されていくのか。1994年に政治改革関連法の審議に1年生議員として参加し、政治とカネの問題と戦うことが政治家としての出発点だったと語る、衆議院議員で元首相の野田佳彦氏に聞いた。 ──1月20日に通常国会が始まるため、その前に特捜部は関係する議員を起訴する可能性があります。立憲民主党を中心に野党が衆議院の解散と岸田政権の退陣を求めていくことも予想されます。また、「衆議院解散選挙をすれば岸田おろしが始まるので、岸田さんは解散総選挙は望まない」という見方がある一方、自民党の石破茂さんは「来年度予算案が通ったら辞めますというのはありだ」とテレビ番組で述べました。通常国会が始まったら、どうなっていくと思われますか。 野田佳彦氏(以下、野田):1月20日に国会が始まるかどうかはまだ分かりません。特捜部の捜査の影響で、1週間ほど開会が遅れる可能性があります。足もとには様々な重要な政治課題がありますが、まずは政治を正さなければ日本は良くなりません。ですから、政治改革がテーマの国会になっていくと思います。 自民党が自浄作用を見せて、深い反省のもとに何らかの提案をしてくるかどうかが一つのポイントですが、それは難しいのではないかと考えています。 岸田さんにはトップとしての危機感が足りません。30年前のリクルート事件の時は、石破茂さんや岡田克也さん(当時 自民党)といった若手が怒り、改革の提言を出しましたが、そういった若手の提言は今の自民党の中から何も聞こえてきません。 こう考えると、自民党から提案を装ったものは出てくるかもしれませんが、抜本的な提案が出てくる可能性は低いと思います。我々野党こそが必要な法案を国会に提出しなければなりません。この点で、野党各党は共闘していける可能性は十分にあると思います。 多弱の野党がしっかりスクラムを組んで、自民党を追い詰めて法案をのませていく。もしその法案をのまないというのであれば、「岸田政権よ、国民に真意を問え」と、我々はさらに強く迫っていく考えです。この流れが、今年の前半の動きになるのではないでしょうか。 細田博之・衆議院議員が亡くなりましたが、現時点では、4月の補欠選挙は細田さんの地元でのみ行われる予定です。仮にもし今回の件で逮捕される議員が出てくれば(どれだけ逮捕者が出るかもにもよりますが)、解散の可否なども検討されていくと思います。 ──30年前のリクルート事件の時に、自民党の若手が集まって「政治改革大綱」を作りました。しかし、今回はそのような動きを見せる若手議員が自民党にいない。なぜだと思われますか? 野田:政治家が劣化したのだと思います。あるいは、派閥単位で裏金作りをしているので、派閥に染まり「これはおかしい」と言える元気のある人がいないのかもしれません。極めて残念なことだと思います。 ──政治資金パーティーを巡る問題で、安倍派や二階派は特に大きなダメージを受けたと思います。次の選挙では、こういった派閥に所属していることが大きなマイナスイメージになります。今後、自民党の派閥政治はどうなっていくと思われますか? ●政治改革関連法に抜け穴ができた経緯 野田:50年前、福田赳夫先生の時にすでに「派閥解消」と言っていたのに、ずっと解消できないままにここまで来ています。 派閥の弊害を縮小しようという動きは昔からありました。政治改革大綱にも、政権入りした議員は派閥から抜けると書かれています。ところが、岸田総理自身がそれを守ってきませんでした。 今回も、派閥にいろいろ手直しを加えようとはするでしょうけれど、なんだかんだと言って、自民党の派閥というものはゾンビのように何度も復活してくるものです。これぞ「ザ・自民党」です。 ──この状況では、派閥を縮小する動きは避けられないようにも思うのですが。 野田:今までどおりでは済まないでしょうね。しかし、やがては「派閥均衡で人事は行わなければならない」「派閥の推薦がある人がいい」などというところにまた戻っていくのではないでしょうか。ここはとことん、派閥解消に向けた議論が必要です。 ──企業や団体から議員への献金は禁止されていますが、政党や支部への献金は認められています。野田さんは「企業・団体献金の禁止」を求めていくと語られていますが、これはつまり、政党や支部への献金を禁止していく必要があるということですか? 野田:そういうことです。1994年にできた政治改革関連法(政治改革四法)の中で、政党助成金を導入することになりました。そのことによって本当は、企業・団体献金を廃止していく方向でした。 ところが、抜け穴として政党と政党支部は受け皿になり得るという形にして存続させた。そして、事実上の企業・団体献金こそ、今日の政治資金パーティーです。これは献金です。これも含めて厳しく封じるべきだと思います。 ──「企業・団体献金はダメだ」という議論はこれまで幾度もあったのに、どうして防げなかったのでしょうか? 野田:これは政党同士の土俵づくりなので、多数決で決めることではありません。すべての政党が賛同したほうがいい。ただ、全党に受け入れてもらおうと妥協する中で、抜け穴がすぽっと入ってきた。 ただ、今後もそんなことを許していたらきりがありません。国民の信頼は今、地に落ちています。 ──政治資金規正法に、『何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く)に関して寄附をしてはならない。前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない(第二十一条の二)』という条文があることが問題だという見方があります。この条文を削る必要があると思われますか? 野田:企業・団体献金をスパっと禁止するためには、この条文はいらなくなると思います。ダメなものはダメ、分かりやすくやったほうがいい。抜け穴になりそうなものは作らない。穴を塞ぐということです。 ●世襲議員を生み出す政治資金の「相続」 ──(政治資金パーティーの)パーティー券の購入は事実上の企業献金だと言われています。政治資金パーティーは、政府の予算編成にどの程度影響を与えてきたと思われますか? 野田:自民党にいたわけではないので、はっきりとしたことは分かりません。ただ、これは想像ですが、予算編成ばかりではなく、税制改正、法改正、規制緩和など様々なところに影響していたと思います。 多額の寄附をいただけば、その存在が頭に浮かぶ。頭に浮かぶから忖度する。その効果があると思うから、みなさんパーティー券を買うわけでしょう。企業は義理人情ではなく、経済合理性で動きますからね。効果がなければやりません。 ──政治資金パーティーや、支部や政党への献金を禁止すれば、産業の硬直化も解消されていくと思いますか? 野田:そうです。歪みはなくなり、より公正なお金の使われ方になっていくと思います。 ──立憲民主党は、国会議員が引退または死亡した時、政治団体や政治資金を配偶者や3親等内の親族に引き継ぐことを禁止する「政治資金世襲制限法案」を提出しました。これがどのような法案か教えてください。 野田:国会議員が亡くなった場合に、その議員の政治資金が残されます。政治資金はその議員の私物ではない。ところが、現状では、その資金を親族が非課税で相続できる。これこそ、世襲議員がたくさん出てくる一つの要因です。 世襲議員の方はたくさんいますが、数千万円単位でみなさん引き継いでいます。どんなに優秀な人が選挙に出たって、知名度で負けている。資金で負けている。これでは、新人が政治に入ることができません。大きな壁の一つがこの政治資金の相続にある。これは断ち切らないといけないし、それができれば、かなり景色は変わると思います。 ●昭恵さんが「晋和会」の代表になった意味 ──安倍元首相が死去した後に、妻の昭恵さんが政治団体「晋和会」の代表を継ぎ、自民党支部など安倍氏の5つの関係政治団体から、計2億1470万円が寄附されていたことが報じられました。野田さんは、このことについてご自身の「かわら版」で言及されています。なぜ、政治団体「晋和会」は昭恵さんを代表に据えたのだと思われますか? 野田:安倍さんの死去に伴って、今年4月に山口4区で補欠選挙が行われました。この時に、ご夫人をそのポジションに据えると、後援会を動かしやすい、お金を使いやすいという判断があったのではないかと想像します。 ただ、閣議決定で、昭恵さんは私人になりました。その私人がいとも簡単に政治団体の代表になるのはやはりおかしい。 晋和会は普通の政治団体ではなく、政党支部のお金も集約している団体です。政党支部は公党の支部ですから党則があるはずです。民主的な手続きに沿って、誰を代表に選ぶのかというプロセスは明らかにしなければなりません。そのプロセスを県連であり、党本部が認める必要があります。 それにもかかわらず、夫人が代表になり、政治団体を晋和会に集約して、政治資金が億単位で相続された。しかも、非課税で。これはつまり、同じようなことが全国で起こっているということです。 ※2019年11月、「桜を見る会」を巡り、政府は安倍昭恵さんを「公人ではなく私人」と閣議決定した。 ──政治家の親族だと非課税で政治資金を引き継ぐことができる。これを問題視する声は以前からあったのですか? 野田:世襲を問題視する声はありましたが、世襲を作る問題の背景として、このような制度的な問題があることが明らかになってきたのは最近のことです。そこで、我々は「政治資金世襲制限法案」を提案しました。こんなことを続けているから、自民党の半分くらいが世襲議員になってしまうのです。 ●「安倍元首相の責任にするのはフェアではない」 ──岸田政権は支持率を落としていますが、野党各党の支持率はもっと低い。政権交代を狙うには、野党が結集していくことが必要です。「教育の無償化」が、野党が合意できる政策テーマになると言われており、野田さんは先日テレビ番組で「選択的夫婦別姓制度などでも共闘していけるのではないか」と語りました。他にも、野党が結集する上で重要になる政策テーマはありますか? 野田:まさに「政治改革」です。まず、政治資金規正法を変える。世襲制限の項目を入れて企業・団体献金を廃止する。そして、政治資金を完全にデジタル管理してガラス張りにする。これは今後の改正で最も大切なことの一つです。 マイナンバーカードやインボイス制度で、国民を1円単位で税金逃れできないようにしておきながら、その体制を作ったほうが抜け道を自分たちに用意しているなどということは許されない。 こういったことを柱として、政治資金改正法を出すならば、あるいはそこに、日本維新の会が問題提起している「文書通信交通滞在費」や、私が安倍さんと約束したけれど、不十分な対応にとどまっている「議員の定数削減」など、いくつかの柱を加えてセットすれば、野党が共闘できる部分はいくつもあると思います。そうなると、迫力のある野党共闘になると思います。 これに加えて「教育無償化」も各党が賛成できると思います。しかし、とにかく基本は政治改革です。 ──旧統一教会との関係や、今回の安倍派議員の政治資金収支報告書の未記載など、岸田首相は、かなり安倍さんの負の遺産に苦しめられているという印象を受けます。 野田:すべて亡くなった人の責任にしてしまうのはフェアではありません。安倍さんが生前「キックバックの未記載はダメだ」と言っていたという話が出ていますが、どうやらあれは事実のようです。 彼は派閥のトップになった時に、その実態を知り、「これは裏金になるので良くない」と周囲に注意していたようです。旧統一教会などに関しては、安倍さんの手法に問題があったと思いますが、この辺りはよく整理して見ないといけません。 「安倍さんの負の遺産」という見方をすると、まるで「岸田さんが可哀そう」という印象になってくる。しかし岸田さんは、政治改革大綱を守ってこなかった人です。安倍さんのせいにして片づける資格はありません。 ●安倍派を切った岸田首相の失敗 ──政治資金パーティーを巡る問題が注目され始めた時に、岸田首相は清和会(安倍派)を9人交代させる意向を発表しました。キックバックの問題は安倍派以外でも行われていた可能性があるのに、全容を解明せず、まず安倍派を切るという判断をした。どう思われますか? 野田:失敗だったと思います。99人の最大派閥の心を離れさせる判断でした。もちろん、安倍派の問題は今回大きい。でも、キックバックを受けていない人もいるのに、全部まとめて同じ扱いをすれば不満が広がる。 私も短い間、政権運営を経験しましたけれど、政権運営とは、雪の中の坂道で雪だるまを押し上げていくようなものです。重たいし、冷たい。手を放す人が出てくれば、下に転がり、雪玉が大きくなってしまう。支え手をどんどん失えば、政策推進力は失われていきます。その局面に入ってきたと思います。 ──野党が結集すると、総理経験を持つ野田さんはより重要な存在になっていくのではないかと想像します。何ができると思われますか? 野田:私は1993年の選挙で初当選して、1994年の政治改革関連法の審議に1年生議員としてかかわりました。このテーマは自分にとっては原点なのです。私は「政治屋ではなく政治家になりたい」と思ってきたし、「政治家以上に政治改革者になりたい」という意識を持って政治家になりました。ですから、あの頃の青い志が甦ってきています。 平成の政治改革には熱い気持ちで取り組んだし、達成感もあった。でも、振り返ると抜け穴だらけでした。令和の抜け穴のない政治改革をやり遂げたい。もう一回やり直すための仕事ならば、できることは何でもやらせていただきたいと思っています。 |
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●岸田総理、政治資金問題に「多くの国民から厳しい声や疑念の目」 1/5
岸田総理大臣は自民党の仕事始めで、能登半島地震や政治資金問題などにふれ「政権の真価が問われている」として、力を合わせて困難を乗り越えていきたいと呼びかけました。 「我々は国民の信頼を回復し、政治の安定を確保し、そして重要政策を進めていかなければなりません。こうしたときだからこそ、政権与党の真価が問われます」(岸田総理大臣) 自民党の派閥の政治資金問題について、岸田総理は「多くの国民から厳しい声や疑念の目を注がれている」と危機感を示しました。 茂木幹事長は、「改革案や再発防止策を早急に取りまとめ、実行することで信頼回復に努める」と強調しました。 岸田総理は来週、自民党に総裁直属の「政治刷新本部」を立ち上げる方針です。 |
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●24年度予備費増額を指示 能登地震「切れ目なく対応」―岸田首相 1/5
岸田文雄首相は5日、首相官邸で鈴木俊一財務相と会談し、能登半島地震に対応するため、昨年末に閣議決定した2024年度予算案について、予備費を増額するよう指示した。首相はこの後、記者団に、当面は23年度予算の予備費で対応するとした上で、「復旧復興に至るまで切れ目のない対応が欠かせない。被災者が平穏な生活を取り戻せるよう、私が先頭に立って努力する」と語った。 |
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●裏金「政権交代前夜の雰囲気」 自民・船田氏が危機感 1/5
自民党の船田元・衆院議員総会長は5日、自身のメールマガジンで、党派閥の政治資金パーティー裏金問題を巡り危機感を示した。「かつての政権交代前夜のような雰囲気になっており、一部議員の謝罪や辞職で済む状況にはない。われわれは解党的出直しを求められている」と訴えた。 岸田文雄首相が打ち出した派閥パーティー自粛などに触れ「小手先の改革では、国民の信頼を回復することは不可能だ」とも指摘した。 |
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●与野党6党党首会談 能登半島地震受け岸田総理が協力を要請 1/5
能登半島地震を受け、与野党6党の党首が国会内で会談し、岸田総理は各党に今後の対応などについて、協力を要請しました。 国会では午後3時から与野党6党の党首が会談し、岸田総理は能登半島地震について「復興・復旧まで息の長い対応をしていかなければならない」などと訴え、各党党首に協力を要請しました。 岸田総理「災害対応に万全を期さなければならない。この点については与党・野党、立場に違いはないと信じています」 また、岸田総理は被災地支援などのため、今年度予算の予備費から47億4000万円を計上する方針や、来年度予算案の予備費の増額を検討していることなどを説明しています。 こうした与野党党首の会談はこれまで、東日本大震災や、新型コロナウイルスへの対応などの際に行われてきました。 立憲民主党 泉健太代表「『政府与野党震災対策協議会を設置し、今後も開催してほしい』という申し入れについては、『何らかの形で今後も続けたい』と総理の側から回答があった」 災害対応を誤れば内閣支持率の低下にも繋がることから、自民党幹部は「東日本大震災並みの危機感を持っている。当時、力を貸したわけだから、今回は野党にも力を貸してもらいたい」としています。 |
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●“政治資金再発防止でキックバックせずを検討” 自民 幹事長 1/5
自民党の茂木幹事長は派閥の政治資金パーティーをめぐる問題の再発防止策として、パーティー券の販売ノルマを超えた収入を議員側にキックバックしないようにすることなどを、来週、立ち上げる「政治刷新本部」で検討する考えを示しました。 自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、岸田総理大臣は来週、総裁直属の機関として「政治刷新本部」を立ち上げて、再発防止策や派閥のあり方などを検討する意向を示しています。 これについて、茂木幹事長は5日の記者会見で、「政治資金の透明性の確保を図っていくことは極めて重要であり、党としてさまざまな形で改革すべき点がある」と述べました。 そのうえで、再発防止策として ・派閥のパーティー券の購入は現金ではなく銀行振り込みとすることや ・販売ノルマを超えた収入を議員側にキックバックしないようにすること ・それに党が各派閥の収支を監査することなどを検討する考えを示しました。 また、各党との協議を踏まえて、政治資金規正法の改正や透明性を向上させる観点から、収支報告書を国に提出する前の段階で、党が独自に公表することも検討していく考えを示しました。 一方、派閥の在り方をめぐっては、「再発防止策などの改革案をまとめていく過程で検討していきたい」と述べました。 ●立民 泉代表「党としてどうけじめをつけるかが先」 立憲民主党の泉代表は記者団に対し、「裏金をつくった議員に対し、党としてどのようなけじめをつけるかが先ではないか。いくら会議体を作っても国民は納得しない。新しい組織も派閥を運営してきた人が入っていて、国民は期待していない。また、裏金は政治資金規正法を強化すればなくなる話ではなく、今の自民党に改正案を考える資格はない」と述べました。 ●維新 馬場代表「第三者機関にルールづくりを委ねることが大事」 日本維新の会の馬場代表は記者会見で「刷新本部には総理大臣経験がある麻生氏や菅氏が入ると側聞しているが、そういう人たちが自分たちでルールを決めることになればいろいろな問題が出てくるのではないか。自民党が抜本改革を行う姿勢を示すには第三者機関にルールづくりを委ねることがいちばん大事で、そこで決まったルールを必ず実行するという姿勢がなければ、地に落ちた国民の信頼は回復できない」と述べました。 ●公明 山口代表「『刷新』にふさわしい内容を期待」 公明党の山口代表は記者団に対し、自民党が来週立ち上げる「政治刷新本部」について、「『刷新』ということばを使って意気込みを示しているので、自浄能力を発揮する姿勢を国民に示していただきたい。必要に応じて公明党から意見を言うこともあるかもしれないが、国民の厳しい目がある中『刷新』にふさわしい内容をつくることを期待したい」と述べました。 ●共産 志位委員長「真相を明らかにすることが最優先」 共産党の志位委員長は記者会見で、「自民党は制度的な改善をする前にやることがある。誰がどれだけの裏金を得て、何に使ったのか明らかになっていない。真相をきちんと明らかにすることが最優先であり、それを抜きに『刷新』と言っても意味をなさない」と述べました。 ●国民 玉木代表「党の存亡をかけた真剣な議論を」 国民民主党の玉木代表は記者団に対し、「今回の派閥の裏金問題は政治に対する信頼を根底から揺るがすような問題で、抜本的な改革を自民党には求めたい。もし、なまはんかなものが出てくれば自民党自身が大きく信頼を失うことにもなる。党の存亡をかけた真剣な議論と結論を期待したい」と述べました。 |
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●池田佳隆議員は相変わらず“雲隠れ”…自民党派閥の裏金問題 1/5
自民党派閥の裏金キックバック事件では、東京地検特捜部の強制捜査は、愛知県や岐阜県にも伸びました。議員事務所などの家宅捜索を受けた議員たちは、年始も公の場所に姿を見せていません。 2024年1月3日、愛知県春日井市で開かれた賀詞交歓会。 自民党愛知県連会長の丹羽秀樹衆院議員「我々政治家の信頼を失墜させるような大きな出来事、政治と金の問題が起きたのも事実であります。二度とこのようなことがないように、多くの皆さま方から信頼をいただけるような行動をとっていかなければならない」 例年であれば、万歳三唱などを行って華やかな雰囲気となるはずの会合です。 丹羽秀樹衆院議員「今までだったら同級生とかに、地域の行事なんかに出ると『よく来たな』なんて優しい言葉をかけていただいたんですけども。急にキックバックや裏金の問題とか、そういったことが話の第一番に出るようになってきましたので非常に悲しい」 暮れも押し迫った12月27日、東京地検特捜部の捜査は名古屋にも及びました。 安倍派からの4000万円を超えるキックバックを収支報告書に記載していなかった疑いが持たれている、愛知3区地盤の池田佳隆衆議院議員の事務所などが家宅捜索されました。 2日後には、岐阜県羽島市にある大野泰正参議院議員の事務所なども捜索を受けました。 任意の事情聴取に続き、裏金事件では議員個人として初めて強制捜査を受けた池田議員。去年12月から一向に公の場に姿を見せない「雲隠れ」の状態が続いています。 この年末年始も「年末年始の行事等への出席につきましては、主催者並びに関係者の皆様へのご迷惑をお掛けすることがないよう、自粛させていただくことと致しました」と関係者にFAXを送ったきりです。 これに対して、地元の支援者は…。 池田議員の支援者(12月27日)「秘書が応対せなダメ。分からんなりにも。だけどこういう形になったらもう終わり。『こんな政治家なの?』『秘書もそんなふう?』って長年やってきて」 池田議員の会計責任者を務める秘書の男性を直撃取材しましたが、問いかけに何も答えることはありませんでした。 池田議員と連絡が取れないのは、自民党愛知県連も同じです。 丹羽秀樹衆院議員「(池田議員)本人からまだ連絡はないというのが現状であります。我々政治家に対する国民の皆さま方の信頼が失墜したということは実感いたしております。国民の皆さま方から信頼されるような行動を、我々政治家一人一人がとっていかなければならない、そういう年だと思っております」 |
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●政治資金パーティー巡り…安倍派最高顧問・衛藤議員「キックバック精査」 1/5
自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る問題について、安倍派の最高顧問を務める衛藤征士郎衆議院議員がTOSの取材に応じました。 自身へのキックバックについては「精査している」と答えるにとどめています。 衛藤議員は5日、大分県竹田市で新年互礼会に出席。会場を離れる際にTOSの取材に応じ、「政治不信を起こしたことをお詫びする」と派閥の問題を謝罪しました。 また、キックバックについては次のように話しました。 衛藤征士郎議員「派閥の方から、これを政治資金規正法に基づく収支報告書にしっかり書き込みなさいということを指示しなかった。それが一番大きな問題だ。私(について)は今精査をしている」 一方、衛藤議員が代表を務める資金管理団体と政党支部は先月下旬、おととしの収支報告書の訂正を行いました。 派閥とは異なる政治団体からの寄付金あわせて310万円が記載漏れとなっていましたが、衛藤議員は自身は知らなかったということです。 |
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●西村氏が還流継続主導か 事務総長時に方針決着 1/6
自民党の派閥のパーティー収入不記載事件で、安倍派(清和政策研究会)が一昨年夏にパーティー収入の一部を所属議員にキックバック(還流)する慣例の方針継続を決めた際、当時の派閥事務総長だった西村康稔前経済産業相が主導した可能性があることが5日、関係者への取材で分かった。西村氏は還流分の政治資金収支報告書への記載方法も提案しており、東京地検特捜部は西村氏の認識について慎重に調べているもようだ。 安倍派は所属議員に課したパーティー券の販売ノルマ超過分について、収支報告書に記載せず所属議員に還流する慣例を長年続けていた。 関係者によると、西村氏ら安倍派幹部は令和4年5月のパーティーに先立って協議。還流停止を決めて議員側に通達したが、議員側が反発。同年7月に安倍派会長だった安倍晋三元首相が死去した後、幹部らは同年8月中旬ごろにかけて再び協議し、一転して還流を継続する方針が決まった。 また西村氏は、還流分を安倍派と所属議員の双方の収支報告書に記載しない慣例を改め、還流された所属議員の関連団体の収支報告書に個人のパーティー収入として記載する方法も提案したという。 西村氏は3年10月、安倍派の実務を議員側で仕切る事務総長に就任。4年8月10日に発足した岸田文雄改造内閣で経済産業相に任命された。事務総長は同25日、高木毅前国対委員長に交代した。 関係者によると、高木氏は還流に関する同年8月の協議に参加しておらず、高木氏が事務総長に就任した時点で還流を継続する方針で決着。その後、安倍派はノルマ超過分を議員に還流し、翌5年に提出された安倍派の収支報告書には還流分が記載されなかった。 特捜部は西村氏ら幹部を任意で事情聴取。西村氏らは還流についての認識は認める一方、不記載については認識を否定しているとみられる。 西村氏は産経新聞の取材に対し、期日までに回答しなかった。 |
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●安倍派2議員の立件へ パーティー収入不記載疑い 地検特捜部 1/6
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、清和政策研究会(安倍派)からパーティー券収入のノルマ超過分を受領しながら政治資金収支報告書に記載していない疑いが強まったとして、東京地検特捜部がいずれも安倍派所属の池田佳隆衆院議員(57)=比例東海=と、大野泰正参院議員(64)=岐阜選挙区=を政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載)容疑で立件する方針を固めた模様だ。上級庁との協議を踏まえて最終判断するとみられる。関係者への取材で判明した。 不記載、虚偽記載の公訴時効(5年)にかからない池田、大野両氏の不記載額はそれぞれ4000万円超に上る見通し。安倍派では、ノルマ超過分のキックバック(還流)を派閥から受けながら収入として収支報告書に記載していない議員が数十人に上り、裏金の総額は5億円を超える可能性があるが、両氏の不記載額は最高規模となる。 安倍派には他にも数千万円規模の裏金化が疑われる議員がいるとされ、特捜部は立件対象を広げるか検討しているとみられる。 特捜部は2023年12月27〜29日に東京・永田町の国会議員会館にある両氏の事務所などを捜索した。同法の不記載、虚偽記載は会計責任者を処罰対象とするが、特捜部は両氏と会計責任者の共謀を立証できると判断した模様だ。 池田氏は20〜22年に派閥からの寄付計約3200万円を記載していなかったとして、自身の政治団体の収支報告書を訂正している。取材に、派閥から収支報告書に記載義務のない「政策活動費」として扱うよう説明があったと答えていた。大野氏は12月中旬の報道陣の取材に「しっかり精査する」と述べていた。 池田氏は日本青年会議所の会頭を務めた後、12年衆院選で愛知3区から出馬して初当選。現在4期目。大野氏は岐阜県議を経て13年の参院選で初当選し、現在2期目。 |
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●田崎史郎氏、「ウェークアップ」で衆院解散を解説… 1/6
日本テレビ系「ウェークアップ」は6日、岸田文雄首相が4日の年頭記者会見で自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題を受け、総裁直属の「政治刷新本部」を来週発足させると表明したことを報じた。 スタジオでは今年の主な政治日程を紹介。司会の野村修也氏の「衆議院の解散はどうなりますか?」の問いにリモート出演した政治ジャーナリストの田崎史郎氏は「岸田さんの下での衆院解散は非常に難しい。できないんじゃないかと思ってます」と指摘した。 続けて「自民党内の空気は、内閣支持率低迷している、これは我慢しましょう、と。しかし、岸田さんが解散するのはやめてください、と。私たちが落ちてしまいますっていうことなんです」とし「だから、岸田さんが交代して新しい人になって新しい総理総裁が解散するパターンだと見ています」と解説していた。 |
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●「原発3倍」賛同 再エネ加速こそ連携を 1/6
東京電力福島第1原発事故の災禍を経験した日本は加わるべきではなかったろう。津波が押し寄せた能登半島地震の光景を見て、改めてそう思わざるを得ない。 世界の原発の設備容量(発電能力)を2050年までに20年比で3倍に増やす宣言である。 先月の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の際に米国主導で打ち出され、日本を含む23カ国が賛同した。 気候変動対策の一環として、賛同国が協力するとしている。 岸田文雄政権は国内については想定していないとするが、次世代原子炉の開発や原発関連の輸出などにつなげたい思惑も透ける。 原発は安全性の問題のほか建設に時間を要し、喫緊の気候対策に役立たないと指摘される。高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分も多くの国は未解決だ。 日本には原発のリスクを世界に伝える責務もあるはずだ。原発推進ではなく、再生可能エネルギーの普及や化石燃料に頼る国の脱炭素化などの支援でこそ、国際的な連携を図っていくべきである。 宣言には原発稼働国のほか、ポーランド、ガーナといった建設計画段階の国も賛同した。 ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー安全保障の重要性が高まった。天候に左右されず、運転時に温室効果ガスを出さない原発が注目されている面はあろう。 だが福島事故後の安全規制強化で建設費は急増し、海外では1基当たり1兆円以上かかる事例もある。気候対策の本命である再エネ普及の妨げになりかねない。 国内外の環境団体が、誤った気候変動対策は真の対策を遅らせると訴えるのは当然である。 政府には原発産業を支援する狙いがうかがえる。特に小型モジュール炉(SMR)など岸田政権が推進する次世代炉の開発だ。 日立製作所は米ゼネラル・エレクトリック(GE)との合弁でSMRの開発に、三菱重工業などは高温ガス炉に取り組んでいる。 昨年11月には米国初のSMR建設計画が中止された。コスト増で採算が見込めないためという。 次世代炉にひそむリスクは未知数だ。岸田政権の前のめりの姿勢は危ういと言うほかない。 COP28では、世界の再エネの設備容量を30年までに3倍にする誓約も提起され、日本を含む116カ国が賛同した。 原発3倍の23カ国との大きな差が、世界の潮流を示していることを見誤ってはならない。 |
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●野党3党首 政権構想を語る 共産党次期委員長は? 1/6
5日夜のBSフジ「プライムニュース」に野党3党の党首が相次いで出演し、自公連立にかわる政権構想などについて考えを述べた。 立憲民主党・泉代表「何でもかんでも全部やろうではなくて、必ず変えるという政策項目については、心あるメンバーで新しい政権を作れるのではないか」 立憲民主党の泉代表は、岸田政権に「正当性はない」として、特定の政策課題の実現を目指す「ミッション型内閣」の樹立を訴えた。 しかし、これに先立ち、日本維新の会の馬場代表は、憲法改正や安全保障分野の政策などで立憲の党内がまとまっていないとして、連立政権に難色を示した。 日本維新の会・馬場代表「泉さんが野党を結集させて野党政権を作るということであれば、まず自分の政党の中をまとめてください。わたしは宿題は立憲さんにあると思います」 一方、4年ぶりの党大会が1月に開かれる共産党は、委員長の交代の可能性が取り沙汰されているが、志位委員長は「大会で決めることなので勝手に言えない」と言及を避けた。 |
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●「岸田おろし」だけじゃない。2024年は与野党党首の顔ぶれが一新か 1/6
能登半島地震が元日から発生し、波乱の幕開けとなった2024年。今年は年始から検察による自民党裏金問題の捜査が大詰めを迎え、岸田政権にとって多難の年となる。9月には自民党総裁選が予定されており、岸田文雄首相の去就が注目されているが、実は9月は他党でも代表が任期満了を迎える。党首の顔ぶれが一新する可能性もあるなかで、「岸田おろし」が加速するかどうかが焦点となりそうだ。 ●立憲・泉代表の任期も今年9月まで 「解散総選挙のタイミングによっては、代表を交代させるかどうか、かなり難しい選択を迫られることになる」 そう語るのは立憲民主党関係者だ。今年9月に予定されている自民党総裁選の陰に隠れて見落とされがちだが、立憲の泉健太代表も9月に任期満了を迎え、党の代表選が予定されている。 泉氏は次期衆院選で150議席を獲得するという目標を掲げており、達成できなかった場合は「代表を辞任する」と述べているが、「あまりにも高すぎる目標で達成はかなり困難」(立憲関係者)という見方が一般的になっている。 そのため、9月よりも先に衆議院が解散され、総選挙が実施された場合には、その後に泉氏が辞任をして、立憲では新代表を選ぶ代表選が行われる可能性が高い。 関係者が「難しい選択」と語るのは、9月までに衆議院が解散されず、総選挙が代表選よりも後の日程になった場合だ。衆議院議員の任期満了である2025年10月までに総選挙が控えるなか、立憲は9月の代表選で、代表を変えるかどうか選択を迫られることになる。 立憲内では「代表を変えても支持率が上がるわけではない、泉氏のもとで次期衆院選まで突き進むべきだ」という意見がある一方で、「泉体制のもとで立憲の支持率がなかなか上がらず、日本維新の会の台頭を許してしまった。衆院選を迎える前に代表を変えるべきだ」という主張も多い。 また、選挙日程との関係から、立憲関係者は「衆院選までの日程が短いなかで新しく代表になるのは、その政治家にとってもリスクになる。泉氏が150議席という大きすぎる目標を掲げてしまっただけに、選挙結果について代表が必要以上の責任を取らされる可能性もある」と解説する。 すでに次期代表選に向けて出馬の検討を始めている立憲議員は何人かいるが、最終的な決断は総選挙のタイミングしだいとなりそうだ。 ●公明は代表交代なら創価学会の意向が重要 9月に任期満了を迎えるのは、立憲の代表だけではない。 公明党の山口那津男代表もそのうちの1人だ。山口氏は15年間に渡って代表を務めており、2025年には参議院議員としての改選期を迎える。公明党の代表任期は2年間であるため、もし山口氏が代表を続投した場合は、来年の参院選で再選し、さらに追加で6年間の国会議員人生を歩むこととなる。 しかし、その山口氏もすでに71歳。参議院議員としてさらに任期を重ねるとなると、79歳ごろまで政治家をすることになるわけだが、公明党周辺からは「もう高齢で耳も聞こえにくくなっている。参議院議員としては今回の任期で終わりにすべきという声も多く、そのため今年9月の任期満了をもって代表を変える可能性が高い」という声が挙がっている。 公明党の代表を変えるとなると、重要になるのは創価学会の意向だ。公明党では党首を決める際に代表選という形はとっているものの、実際には複数の候補者が立候補して選挙が行われたことはなく、創価学会との調整を経て代表となる人物が選ばれ、1人だけが立候補して無投票で党首に選ばれることが習わしとなっている。 創価学会といえば、女性部(旧婦人部)が選挙期間中に積極的に電話掛けを行い、票田として機能している。そのため、女性部は学会内でも強い発言力を持っていることで知られているのだが、その女性部のお眼鏡にかなう、代表となる政治家がいるかも焦点だ。 山口氏は「なっちゃん」という愛称で知られている通り、女性部からの人気があるが、順当に考えれば次期代表の筆頭候補とみられる石井啓一幹事長には硬いイメージが先行している。 はたして「なっちゃん」に代わる政治家はいったい誰になるのか。池田大作名誉会長が亡き後の創価学会で調整が進められているとされている。 ●共産はイメージ刷新のため女性代表起用の可能性 そして共産党でも1月15日から始まる党大会で、志位和夫委員長が24年間にわたって維持してきた体制から、田村智子政策委員長に代表が交代する説が浮上してきている。 共産党では党首を党員による直接選挙で選ぶのではなく、中央委員会によって決定する民主集中制を取っている。これに対して昨年、党首を直接選挙で選ぶ「党首公選制」を求める主張が党内から相次いで出たが、その党員を共産党が除名処分としたことも話題となった。 党内の波紋を抑えるため厳しい対応を取ったかたちだが、志位委員長の体制が長く続き過ぎていることへの批判が党内からも出てしまった事態は無視できるものではない。そうしたイメージを刷新するために、女性の田村氏の代表起用に白羽の矢が立ったわけだ。 実際に共産党は昨年6月、参議院議員として活動してきた田村氏を次期衆院選に擁立して、衆議院議員に鞍替えさせることを決定。当時から「志位氏から田村氏に代表を交代する布石だ」(永田町関係者)と囁かれていた。共産党で初の女性代表が誕生するかどうかが注目されている。 このように、与野党各党で党首交代が取り沙汰されるなか、最も注目されるのが自民党総裁選だ。 支持率が10%台にまで低迷し、さらに裏金問題の捜査も待ち受けている「泣きっ面に蜂」状態の岸田首相だが、4月28日には細田博之前衆院議長が死去したことに伴う、衆院島根1区補選の実施が予定されている。 しかもこの4月補選、裏金問題を受けて辞職する議員が今後、続出した場合は、選挙の数が増えて「裏金補選」となってしまう可能性もある。そうなると、岸田政権や自民党にとっては厳しい選挙戦を強いられることになり、岸田首相のままで補選に臨むのかも含めて自民党では選択が迫られることになる。 そして、6月には通常国会の会期末、解散総選挙をするか否かを岸田首相が決断する、総裁選前の最後のタイミングがやってくる。この6月には所得税などの減税も行われるが、自民党総裁選で「岸田おろし」が本格化する前に、思い切って岸田首相が解散に打って出るのかが注目される。 さまざまな思惑のもとで与野党トップの顔ぶれが一新することになるかもしれない2024年。 ただ、いずれが党の顔になろうと、望まれるのは国民生活を豊かにするための議論であり、政治だ。くれぐれも国民を置いてけぼりにするような権力闘争に明け暮れることがないよう、政治家の方々には注意してもらいたい。 |
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●岸田首相、被災地外への避難支援を表明 1/6
岸田首相は6日、官邸で開かれた能登半島地震非常災害対策本部会議で、「電気・水道などの全面復旧には時間を要する見込みだ」とした上で、「被災地外への避難先への移動を希望する方には、避難先を石川県と連携して用意するよう、きのう、指示した」と述べた。 その上で、「被災地外も含め、ホテル・旅館などの空き室を自治体で借り上げる『みなし避難所』を積極的に活用してほしい」と述べた。 また、「集団での避難生活の長期化もあり、疲労感やストレスが蓄積しているなど、悲痛な声が聞かれる」と指摘。 「各避難所への食料や水などの物資支援、仮設トイレの搬入、健康管理、Dマット(災害派遣医療チーム)の医師・看護師等による医療支援を行うとともに、パーティーションによるプライバシーの確保、ダンボールベッドの設置など避難所の環境改善にも一刻も早く取り組んでほしい」と指示した。 さらに岸田首相は、「災害復旧に必要な車両がいち早く到着し、支援物資を速やかに運搬するため、被災地につながる道路の交通量を減らすことが喫緊の課題だ」と強調。 「一部の区間の通行を災害復旧や救援物資輸送に関係する車両に特化するべく、道路交通法上の交通規制を石川県で調整している」とした上で、「国としても、石川県の措置を全力でバックアップしてほしい」と述べた。 |
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●岐路に立つ政治 改革の骨抜きは許さない 1/6
政界は年明けから重苦しい空気に包まれている。自民党派閥による政治資金パーティーを舞台にした裏金事件は、東京地検特捜部による強制捜査が進む。 国会議員が特権を悪用して懐を肥やしていたことに対し、物価高にあえぐ国民の政治不信は沸点に達している。 政治資金の収入から支出までの流れを透明にすることが最大の政治課題だ。違反した場合の罰則も強化しなくてはならない。 自民党が裏金づくりの実態を明らかにすることが前提だ。派閥をどう見直すかも問われる。 一連の責任を負う岸田文雄首相は、9月末で自民党総裁の任期が切れる。政権運営は迷走し、内閣支持率は最低水準にまで落ち込んだ。岸田政権にとっては五里霧中の年となろう。 ●与野党挙げ法改正を 当面の焦点は、裏金事件で刑事責任が国会議員にまで及ぶかどうかだ。 特捜部は安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)を捜査しており、政治資金規正法違反(不記載など)の疑いで会計責任者を立件する見通しだ。 さらに裏金に関与した国会議員が罪に問われる事態になれば、政権への打撃は計り知れない。 捜査の行方にかかわらず、今月下旬に召集される通常国会では政治資金規正法の改正論議に多くの時間を費やすことになる。 1988年に発覚したリクルート事件などの反省から、政治資金に一定のたがをはめる改正を重ねたが、かねて欠陥が指摘される。 パーティー券収入は、20万円を超える購入者を政治資金収支報告書に記載しなければならない。これを小分けして処理すれば、公開されない裏金を容易につくることができる。「ザル法」と呼ばれるゆえんだ。 国会議員が自らを厳しく律する法改正ができるかどうか。ここで国民の不興を買うようでは、自民党は派閥どころか党が立ちゆかなくなると自覚すべきだ。 与野党を挙げて取り組む課題である。野党は連携して改正案をまとめ、与党を突き動かしてもらいたい。この機に、多額の資金を必要としない政治活動についても議論を深めたい。 与野党協議が難航することも予想される。行き詰まるようなら、政治改革を争点に国民の信を問う覚悟が必要だ。 政治の大きな転換点になり得る局面である。今度こそ骨抜き、抜け道を許してはならない。国民は各党の法改正案を注視し、政治改革に本気で取り組んでいるかどうかを見極めてほしい。 ●退陣論高まる可能性 岸田政権の命運は裏金事件の対応にかかっている。「事態を注視する」「信頼回復に努める」と繰り返すばかりでは、国民に危機意識は伝わらない。 4月には細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区補欠選挙がある。裏金事件で辞職者が出た場合は補選が増える可能性があり、自民は逆風を余儀なくされる。 岸田首相が「選挙の顔」では戦えないと、党内から不満が噴出すれば、2024年度予算が成立する春ごろに退陣圧力が高まることも考えられる。 首相は「国民の信頼あっての政治の安定、政治の安定あっての政策の推進だ」と語る。言葉とは裏腹に、信頼と安定を欠き、国民の痛みを伴う政策を先送りしているのが現状ではないか。 昨年末は、増額する防衛費や少子化対策の財源確保に道筋をつけられなかった。選挙を意識して国民負担を避け、増税前に減税をするちぐはぐな財政運営を繰り返してはならない。 一方で、岸田政権は殺傷能力のある兵器の輸出を解禁し、日本で生産する地対空誘導弾パトリオットを米国に提供することを年末に決めた。またも国会議論を経ず、与党内協議だけで安全保障政策を転換した。 国民を置き去りにする決定手法は認められない。これも今年の政治改革の論点と位置付けたい。 |
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●迫る審判の機会 論議尽くせ 1/6
岸田文雄首相(自民党総裁)が政権を担って3度目の新年を迎えた。衆院議員の任期は残り2年足らずで、今年中の衆院解散・総選挙もあり得る。与野党は迫る審判に向け、日本の政治のあるべき姿について論議を尽くしてもらいたい。 本格論戦の場となる通常国会は今月下旬に開会見込みだ。会期は150日間で、解散の時期によっては、衆院選前で最後の国会になる可能性がある。優先して議論すべきは、最大震度7を観測した石川県の能登半島地震への対応になる。安否不明な住民らの捜索、救出に全力を挙げるのは当然だ。避難生活を強いられている被災者支援にも万全を期さなくてはならない。 国会は、そうした政府の取り組みを徹底検証し、足らざる所を補うよう促す必要がある。被災地の復旧、復興対策も審議の重要なテーマになろう。政府は、与野党党首会談で受ける提案などを踏まえ、最善の方策を取る姿勢が求められる。 政権の責務は、国民の「命と暮らし」を守ることに尽きる。岸田首相が衆院解散に踏み切った場合、今回の大地震で示される危機対応能力が問われると心すべきだ。 政治への信頼を失墜させた自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件への向き合い方も、岸田政権の命運に関わる。 安倍派はパーティー収入から6億円規模の裏金を捻出したとされ、東京地検特捜部は政権の枢要なポストにあった安倍派幹部などから事情聴取。通常国会までに、安倍派に加え、二階派の会計責任者らを政治資金規正法違反の疑いで刑事処分する方向だ。 首相は年頭の記者会見で党内に総裁直属の「政治刷新本部」を設置し、「国民の信頼を回復すべく党の体質刷新の取り組みを進める」と表明した。来週にも発足予定だ。最初の一歩は、関係議員が説明責任を果たすよう指導することだが、議員任せの態度に終始している。追及回避を狙った組織立ち上げであってはならない。 政策面で首相は憲法改正への意欲を強調したが、喫緊の課題ではあるまい。大地震対応などとともに、防衛力強化のための増税や、それと矛盾するかのような所得税などの定額減税の是非に関する再議論が先だろう。 4月には衆院島根1区補選が控える。裏金事件の捜査次第で議員辞職による補選数の拡大も考えられる。9月には、首相が再選を目指すとみられる自民党総裁選が予定されている。 首相がいつまで政権の座にあるか定かではないが、衆院選をはじめとする審判の機会に備え、国民も首相や与野党の主張を吟味するようにしたい。 |
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●金正恩総書記が岸田首相に“異例”見舞い電報 能登半島地震 1/6
北朝鮮メディアは金正恩総書記が5日、能登半島地震を受けて岸田首相に見舞いの電報を送ったと報じた。 これは6日朝の労働新聞が伝えたもので、金総書記は電報を通じ「日本で不幸にも年初から地震で多くの人命被害と物的損失が発生したとの知らせに接した」として「深い同情と哀悼」を表明した。 そして、被災者が「一日も早く被害を解消し安定した生活を取り戻すことを願う」と伝えた。 韓国メディアは金総書記が日本の首相に電報を送った「前例は無い」とした上で、最高指導者として人道的な姿を強調する狙いがあるとしている。 また、日米韓が対北朝鮮で協力を拡大する中、日本に融和的な態度を示すことで3カ国の連携にくさびを打ち込む狙いがあるのではとの専門家の話も報じている。 |
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●30年後のいつか来た道 「政治改革」をやり直せるか 1/7
国会周辺にも白いものが舞った。東京23区は大雪注意報発令下だった。 94年1月29日未明、衆院内の一室は外気とは対照的な高揚感に包まれていた。当時の細川護熙首相と野党自民党の河野洋平総裁による「政治改革」合意の記者会見である。 リクルートに始まる金権事件の続発と底なしの政治不信。政界は塗炭の苦しみをなめ、身をよじりながら出した答えが、この合意だった。 30年後のいま、パーティー券裏金問題が広がり、永田町で再び政治改革の4文字が飛び交う。しかしそこに、かつてのような熱はまだない。 言葉だけで終わるのか、「第2の改革」が成就するのか。問われる年である。 ●派閥に手を突っ込め かつて自民党が、政治とカネの問題の元凶として「解消」を決意したはずの派閥は、そのエネルギーを縮減させたとはいえ、なお健在だ。 当時は、旧田中派と、その流れをくむ竹下派が長く権勢を誇り、カネまみれの腐敗土壌を育む象徴的な存在と見なされた。 今回の裏金問題も、最大派閥によって長く続いた「安倍1強」支配のおごりや緩みと切り離して考えることはできない。 スキャンダルの背後に潜む構図は、30年の時を経ても相似形である。 衆院選挙制度の転換を核とする先の改革は、党執行部の権限強化をもたらしはしたが、内部統制のあり方については各党の自発性に委ねた。 いわば積み残しにしてきた古くて新しい課題を、これを機に改めて取り上げなければならない。 派閥、とりわけ権力派閥の振る舞いに手を突っ込まない限り、政治資金の透明化はおぼつかないというべきだろう。 ●資金問題だけでなく 30年前の改革実現に大きく寄与したとされるのは、与野党にまたがる当選1、2回の若手議員だった。 世論の逆風を肌で感じた彼らの危機感は尋常ではなく、各党幹部を激しく突き上げた。改革への慎重派や懐疑派が座る会議に押しかけ、文字通り肉弾戦を繰り広げる場面もあった。 まだ若手が比較的自由に物を言えた時代だったのだろう。それは皮肉にも、改革が諸悪の根源と見なした中選挙区制の効用だったかもしれない。同士打ちの激戦を自力で勝ち上がってきた議員には、「怖いものなし」とうそぶく者がいた。 小選挙区制の導入によって、首相と官邸、党執行部に権力が集中し、陣笠議員の比重はいよいよ軽くなった。選挙の度に生まれる「○○チルドレン」と呼ばれる新人は、おおむね従順でおとなしい。 若手に限らず、物言えば唇寒しの風潮も年を追って強まっている。 今回再浮上した政治改革論議をめぐり、風通しのいい党内論議がどれほど交わされるのか、心もとないといわざるをえない。 政治とカネが当座のテーマだとしても、改革を論じる機運がともかくも生じたのだとすれば、さらに幅広い論点への挑戦をためらうべきではない。 30年という節目にあたり、先の改革の功罪、あるいは不足と過剰といった点に着目した再検討は必須ではないか。 例えば、安倍元首相に典型を見る「強すぎる首相」という問題である。 その長期安定の見かけとは裏腹に、極めて短期志向の政権運営が際立った。任期を多く残して恣意(しい)的に衆院を解散し、その度に政策の看板を掛け替えた。 この間、国の借金や社会保障といった長期的な重要課題は閑却された。 岸田首相も先の通常国会でいたずらに解散風を吹かせ、「専権」をもてあそんだ。 首相の、正確には内閣の解散権をどう考えるか。これも古くから積み残され、先送りされてきた大問題である。 ●設計図作りの難しさ 先の改革は、「永久与党、万年野党」の55年体制を脱し、二大政党ないし勢力による政権交代のある政治をめざした。 冷戦終結や湾岸危機、バブル経済崩壊といった大状況のめまぐるしい変化に対応し、政治の決定力、実行力を手にしようとする試みであり、それは政治とカネへの取り組みと表裏一体の企図だった。 政権交代は確かに実現したが、全体としての展開はおよそ所期のもくろみとはかけ離れてしまった。 衆参両院のねじれは、決定力を欠く短命政権を立て続けに生み出した。二大政党、勢力への収斂(しゅうれん)は挫折の連続だったし、今後それが実現する兆しもまったく見えない。 国民の政治不信はますます深まり、無関心は広がり、選挙の投票率は下がり続ける。 多くの人間が関わる政治という営みは、描いた設計図通りにいくものではないという現実を思い知らされる。 改革を論じるなら、そのことを踏まえた上で重心の低い議論を進めてもらいたい。 |
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●姥捨て楢山節考 1/7
映画「楢山節考」を再生してみた。山深い貧しい村の因習に従い、年老いた母親を背負って真冬の山奥に捨てに行く物語だ。映画では、白骨の散らばる山奥の岩陰に運ばれた老婆が、置き去りを躊躇する息子に早く行けと促す悲惨さが描かれる。 長野県の冠着山(かむりきやま)が俗称「姥捨(うばすて)山」と言われているのだが、実際には、そんな因習は無かったという。 姥捨て伝説は、各地にあるようだが、背中に負われた母親が、山道途中の枝を折ったり、白い灰を撒(ま)いたりして、息子の帰路の目印を残し、息子は親の愛の深さに堪(たま)らず、親捨てを止める。 あるいは、姥捨ては領主の命令だが、親を納屋に匿(かくま)っていたところ、領主に難題が持ち上がり、隠れていた老人の知識で解決し、領主が反省して姥捨て命令を廃止した―などと、姥捨て物語では、姥捨てを留(とど)まり、因習を否定しているようだ。 ●姥捨てや間引きはタブー 戦争中の集団疎開を扱ったドラマに、こんな話があった。疎開児童が増えたので村に食糧不足が起こり、老人たちが村はずれのお堂で自給自足の集団生活をする。それを子ども達が気付き、自分の食事を残して、おにぎりをお堂に届け、大人が反省して老人達を家に戻す。 口減らしは、その恩恵を受ける側にとっても残酷な行為なのだ。現実には、悲惨な状況もあったのかも知れないが、我が国の伝説や規範としては、姥捨てや間引きといった口減らしをタブーとしているのだ。 江戸時代、常陸国(現在の茨城県)南部に岡田寒泉という代官が就任した。彼は領内をくまなく見回ったところ、村々が疲弊していたので、貧困による幼児の間引きを防止するために「産児養育料」を支給し、凶作に備えて稗(ひえ)などの備蓄をさせるとともに、開墾事業の奨励、風紀の粛清など民生の安定に努め、小貝川の氾濫の際には素早く「お救い小屋」を建てて対応したという。 岡田寒泉は、松平定信の寛政の改革に関わった旗本であり、儒学者でもあったのだが、貧困の根幹を是正する統治政策を実践した人でもあった。 ●岸田政権の悪知恵政策 ところで、岸田政権の「異次元の少子化対策」では、財源の3分の1を、医療保険の掛け金から「支援」させるという。医療・介護保険は、必要な医療介護費用を算出し、保険制度の組合加入者が負担するわけだから、保険金に余裕はない。余裕があるとすれば、保険料を減額するのが筋だ。 その保険金を別の用途に回すとすれば、必要な医療・介護サービスを減らすことになる。学校給食費の納入金の一部を人気取り行事に流用して、給食の回数を減らすか食材の品質を落とすのと同じだ。要するに、「口減らし」だ。日本の老人は、子どものためと言われれば、少ない年金からでも、ひねり出すことは厭(いと)わない。 しかし、そのような、日本の老人の心情に付け込むような悪知恵政策は余りにも卑怯(ひきょう)だ。肝心の日本の子ども達は、子育て政策が老人の命を削る支援金で行われることを聞いたとき、喜ぶのだろうか? |
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●山口公明代表、進退「熟慮」 9月の任期満了で 1/7
公明党の山口那津男代表は7日のNHK番組で、9月に代表任期満了を迎えることを受けた自身の進退に関し、「次の大きな選挙との関係も含めて、党の力を最大限に発揮するにはどうしたらいいかという観点で熟慮していきたい」と述べた。自民党派閥の政治資金規正法違反事件によって次期衆院選の時期が見通せないことが念頭にあるとみられる。「世代交代は常に心掛けなければならないし、若い人材が育ちつつある」とも語った。 |
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●岸田首相、解散「信頼回復後に考えたい」 震災、野党に協力呼び掛け 1/7
岸田文雄首相(自民党総裁)は7日放送のNHK番組で、衆院解散の時期について、「まずは信頼回復、次は政策の実現。今はそれに尽きる」としつつ、「それを行った上でその先については考えていきたい」と語った。9月の党総裁任期満了に伴う総裁選への再選出馬は、「重要な課題が山積している。そこから先の政治日程は今は考えていない」と述べた。収録は6日。 能登半島地震への対応や国会運営に関し「より多くの野党に協力していただく姿勢は今年も大事にしたい」と述べ、協力を働き掛けていく意向を表明。国民民主党の連立政権入りの可能性に関しては、「具体的にどの党と協力するか。場面場面でしっかり考えたい」と語った。 |
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●安倍派池田衆院議員と秘書を東京地検が逮捕、党除名処分に−報道 1/7
自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件で、東京地検特捜部が7日、政治資金規正法違反の疑いで池田佳隆衆院議員(57)=比例東海=と秘書を逮捕したとNHKなど複数のメディアが報じた。岸田文雄首相は同日午後、逮捕を「承知している」と述べた。同問題では安倍派の現職国会議員が逮捕される事態に発展した。 東京地検と池田事務所に電話で連絡を試みたが、いずれも回答を得られなかった。 NHKによると、池田議員は会計責任者だった政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)と共謀し、2022年までの5年間に安倍派から約4800万円のキックバックを受けたにもかかわらず、自らが代表を務める資金管理団体「池田黎明会」の収入として記載せず、政治資金収支報告書にうその記載をしていた。 岸田首相は非常災害対策本部会議後に記者団に、池田議員の逮捕について「承知している」とした上で、「自民党所属の国会議員が逮捕されたことは、大変遺憾なことで重く受け止めている」と述べた。さらに池田議員を「除名する方針とした。党として強い危機感を持って政治の信頼回復に努めなければならないと改めて強く考えている」と発言した。 共同通信によると、安倍派は池田議員の逮捕を受け、「関係者の皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げます」との談話を発表した。引き続き捜査に真摯(しんし)に協力するとしている。自民党にコメントを求める電話をしたが、つながらなかった。 岸田首相は、最大派閥である安倍派の幹部を要職に起用することで政権基盤の安定を図ってきた。裏金化の疑惑を受けて松野博一前官房長官を含む全員を交代させたが、内閣支持率は21年10月の政権発足後の最低を相次ぎ記録。安倍派現職議員の逮捕は岸田政権に影響を及ぼす可能性がある。 信頼回復への取り組みが求められる中、岸田首相は1月4日の年頭記者会見で、自民党内に総裁直属の政治刷新本部を設置すると発表。外部有識者も含めて政治資金の透明化に向けた議論を進め、1月中にも中間取りまとめを行う方針も示した。 特捜部は安倍派「5人衆」と呼ばれる松野氏、西村康取りまとめ稔氏、高木毅氏の歴代事務総長と萩生田光一氏、世耕弘成氏のほか、派閥の座長を務める塩谷立氏からも任意で事情を聴いたと国内メディアが報じていた。政治資金規正法上、収支報告書の作成・提出義務がある同派の会計責任者は還流分の不記載を認めており、特捜部は同法違反容疑での立件を検討していたという。 国内メディアが行った直近の世論調査によると、岸田内閣の支持率はいずれも10−20%台に落ち込み、大半で12年12月に自民党が政権復帰して以降の最低を更新。一連の問題を受けて岸田首相の責任や指導力を問う声が強まっている。自民党の不支持率も上昇しており、派閥の解消を求める声も多い。 |
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●安倍派池田議員ら逮捕=4800万円虚偽記載か、政治資金規正法違反容疑 1/7
自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件で、東京地検特捜部は7日、政治資金収支報告書に約4800万円の虚偽記載をしたとする政治資金規正法違反容疑で、衆院議員の池田佳隆容疑者(57)=比例東海、当選4回=と、会計責任者で政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)を逮捕した。特捜部は認否を明らかにしていない。 この事件で逮捕者が出るのは初めて。政界を揺るがす政治とカネの問題は、現職国会議員が逮捕される事態に発展した。 自民党は7日、池田容疑者を除名。清和政策研究会は「関係者の皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわびする」などとするコメントを出した。 関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券販売について所属議員の当選回数や役職によってノルマを設定。超過分の収入は議員側にキックバック(還流)し、派閥や議員側の収支報告書に記載せず裏金化していたとされる。 安倍派では還流の方法とは別に、10人以上の議員側がノルマ超過分を派閥に納めず裏金として中抜きしていた疑いもあり、時効にかからない2018〜22年の還流分と中抜き分を合わせると、派閥全体の裏金総額は6億円規模に膨らむ可能性がある。 池田容疑者の逮捕容疑は、柿沼容疑者と共謀し、資金管理団体の18〜22年分の収支報告書で派閥から還流を受けた計約4800万円を収入に含めず、過少に記載した疑い。 池田容疑者が還流を受けた金額は所属議員の中でも特に多いとされる。同容疑者側は昨年12月8日付で20〜22年分の収支報告書を訂正。安倍派からの寄付額が計約3200万円増えたほか、20年の収支報告書には収入の「前年からの繰越額」として約1600万円が追加された。 |
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●長崎IRの崩壊「根っ子はすべて同じ」 岸田政権に思う 1/7
●ネットプラットフォームは国際金融市場の集積地に併設 大阪、福岡、東京の各IRは近い将来、オンラインカジノ、オンラインゲーミング等の国際市場を開拓・展開するため、ネットプラットフォームを併設し、それらは急速に発展するものと思われる。 この現地でのネットプラットフォーム施設の併設は、世界でのネット国際金融における市場競争の「核」となる事業であり、どこの国・場所であれ必須である。そこにはビットコインなどに代表される仮想通貨が集積し、世界的にも巨大な金融市場が誕生し形成されることになる。近い将来、IRがもたらす売上や収益、税収などは現在の計画をはるかに上回るだろう。 我が国ではこれらはいまなおタブーであり関連の法整備は行われていないが、この世界のすう勢からはいずれの国も避けては通れず、我が国でも近年中に必ず実行されることとなるだろう。なお、福岡市は高島市長のもと行政と議会、経済界は「香港に代わる国際金融都市を目指す」ことをすでに公言している。 九州大学箱崎キャンパス跡地開発と福岡IRが連携されれば、「鬼に金棒」となる。JR九州と西鉄、市営地下鉄沿線で結ばれた利便性の高いエリアであり、福岡IRは高島市長が掲げる「福岡イースト&ウェストコースト」プロジェクトに適したすばらしい案件となり得る。 このように、ほかのプロジェクトを福岡都市圏で実現するうえでも、IR誘致開発は何よりもベストな選択だと断言できる。IR誘致に絡む世界の資金の巨額さは他に類を見ないものだ。 ●国際都市福岡の魅力と自然環境保護 海の中道海浜公園 イメージ 福岡IRの候補地は福岡都市圏、旧帝国陸軍航空隊「雁ノ巣飛行場」の跡地、戦後の米国陸海軍航空隊「キャンプハカタ」の跡地で、現在も米国文化と強いつながりを保つ土地である。 とくに国営の「海の中道海浜公園」にはそれらの名残が多く残っていて、福岡市民から親しまれる憩いの場であり、白い砂浜の続く長い海岸線はとくに美しい。一部は「玄海国定公園」となっていて、風光明媚で自然豊かな環境の国土交通省が所有管理する広大な国有地でもある(約540ha)。その分、長く続く海岸線の防風林、松の林と砂防柵などの保護管理に要する費用は莫大なもので、現況の水族館や市民プールなど夏場だけの入場・イベント収入では支出にまったく追いついていない。近年はこの国有地の民間利用を積極的に促し、その固定費を賄うための収入増を期待して、法制度改革が実施されている。 福岡市の中心地からは鉄道(JRと西鉄)で約35分、車(都市高速)でも約30分、博多港ベイサイドプレイスから福岡市営渡船でも約30分、このように交通インフラがすでに整備され、充実している点で国内唯一の候補地であるこの場所は、視察した米国企業をはじめ国際的にも高い評価を得ているという。 とくに、IR誘致開発の準備組織が自然環境保護活動の一環として、米国企業ならびに福岡市行政には、当該地隣接の博多湾「和白干潟の鳥獣保護を守る」の観点から、「ラムサール条約」への新規登録への地元保護団体との協力とその費用負担にも積極的に模索中だと聞く。 また、IR誘致開発の準備組織による自然環境保護活動の一環として、候補地に隣接する博多湾の和白干潟の鳥獣を保護するため、米国企業ならびに福岡市行政は「ラムサール条約」の新規登録について協力し費用を負担することを前向きに模索していると聞く。「環境保護」を口にするのは簡単がが、実際に実行するのは大変で、かつ巨額の費用を要する。IR開発・誘致のような高い付加価値と収益を産み出す事業だからこそのことだろう。また、世界および国内の富裕層による観光収入から賄えるということであり、優れた計画ではないか。 ●いよいよ福岡IRの出番が到来 IRは全国に3カ所、「長崎IR」の不認定により、残る2カ所は「福岡IR」「東京IR」で間違いないだろう。もし、米国の次期大統領にトランプ氏が返り咲くことにでもなれば、日米経済関係から確実に実行される。 今回の「長崎IRの崩壊」は、福岡財界が主体の九州経済連合会および若い経営者の集まりである福岡青年会議所は、長崎IRの関係組織への遠慮から、福岡IR誘致に積極的な動きはできなかった。しかし、彼らの本音は誰が考えてもIR誘致・開発に相応しいのは福岡都市圏というものだ。 現在、このニュースは世界的に広がっている。Bally'sに続いて著名な米国系IR事業者の福岡都市圏へのアプローチが早々に始まるだろう。これらは積極的な行動に出るものと推測される。言うまでもなく、中華系その他の同業者グループは間違いなく蚊帳の外だ。 とくに、過去、横浜や苫小牧、和歌山、長崎などへの進出の希望が断たれた米国系IR事業者は今後、現状では問題の多い「大阪IR」に比較して、既設のインフラが整っていて、人口など諸々の条件ですべてに引けを取らない当地「福岡IR」に集積することになるだろう。 乞うご期待だ。 |
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●地震対応の予備費活用、迅速な対応と明確な説明を 1/7
新年早々、大変なことが起きてしまった。特に能登半島地震は被害の全容が判明していないが、復旧や生活支援のほとんどが政治の仕事。岸田政権には迅速な対応をお願いしたい。 国家予算には、震災対応など不測の事態に備える「予備費」というものがある。近年は新型コロナ禍の対応で積み増しされ、使い切れず余っていた。予備費は国会審議が不要で、閣議決定により出費できる。さらに岸田首相は今後の復旧・復興のために予備費を積み増す指示を出した。 昨年11月に発表した経済対策の中で現金給付と定額減税の時期を分けたり、減税を「税収増の還元」と理由付けしたりしたことは国民の支持を得られなかった。減税イメージを印象づけ、衆院解散・総選挙対策であることは見透かされた。旧統一教会との関係や政治資金パーティー裏金問題などは岸田首相自身の問題ではないが、内閣支持率が下げ止まらないのは都合のいい説明に終始する首相の姿勢にあるのではないか。 岸田首相はさまざまな課題に対策を講じ施策を打ち出してはきたが、結果にはなかなかつながっていない。すぐに成果が出るような政治的課題など一つもないことは分かっているが、国民からは理解されない。「異次元」とか「火の玉」などといった実態不明の抽象的な説明が、国民に意図を伝えられない一因ではないかと思われる。 予備費は迅速に対応できるという点で「便利な予算」ではあるが、国民の税金が原資でもある。閣議決定を経るとはいえ首相の思いの強さが活用の基準となるだけに、迅速な対応とともに明確な説明が必要だ。2024年は、岸田首相も説明に少し工夫を凝らしてはいかがだろうか。「増税メガネ」を国民目線の「国民メガネ」に替える必要がありそうだ。 |
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●国民が知りたい「羽田事故」「志賀原発」に触れない岸田首相の年頭記者会見 1/7
岸田文雄首相が1月4日に官邸で開いた年頭の記者会見で、国民が最も知りたかったのは、11月1日に起きた能登半島地震で被害が出た志賀原発の状況2羽田空港で起きたJAL機と海保機の衝突事故の真相――だったと思う。 ところが、岸田首相はいずれも一切言及せず、そして官邸記者クラブに所属するマスコミ各社の政治部記者も誰一人質問しなかった。私は唖然とするしかなかった。 なぜこんなことが起きたのか? 首相の年頭記者会見は、伊勢神宮参拝後に現地で行うのが慣例だ。今年は能登半島地震が発生して伊勢参拝が延期され、首相官邸で開かれることになった。 岸田首相としては、能登半島地震の被災者支援と自民党安倍派などの裏金事件への対応をアピールし、1割台に低迷する内閣支持率を回復させ、政権与党内で強まる「3月訪米・予算成立を花道に退陣論」を押し戻す反転攻勢の起点となるはずだった。 岸田首相は地震発生後、対策本部会合が終わった後、連日、記者団の取材に応じている。このため、4日の年頭会見は地震よりも政治改革に軸足をおくことは、あらかじめ予想できた。 だが、1来週に自民党に「政治刷新本部」を立ち上げ、自らが本部長となる21月中には政治改革の中間的とりまとめを発表し、必要なら通行国会に関連法案(政治資金規正法改正案など)を提出するーーことを淡々と表明するだけで、具体的な中身はほとんどなかった。 能登半島地震についても目新しい発信はなく、被災者らの心に響く訴えもまったくなかったのである。 率直に言って、精彩を欠く記者会見だった。国民に向かって何かをアピールしようとする意気込みがまったく感じられなかったのである。 年明け早々、大地震と航空機事故というショッキングな出来事が相次ぎ、岸田首相は社会不安の高まりを痛感して、政権運営への自信を失ったのだろうかーー私はまずはそう感じた。 実際、日本テレビは元旦に「岸田首相が周辺に『自分がやめて何か解決するのか。やめて解決するならいつでもやめてやる』と話した」との内容を報じていた。かなり投げやりになってきたかもしれないと思ったのだ。 しかし、退陣論がささやかれる3月は、まだ先だ。岸田首相が一時的に投げやり気分になることはあっても、心は揺れ動き、結局のところ、支持率を何とか回復させることでギリギリまで続投の芽を残そうとするはずだと思い直した。 それにしても、せっかくの反転攻勢の好機である年頭記者会見に、これほど熱が入っていないのはなぜなのか。 実は記者から突っ込まれたくないテーマがあるため、簡潔に会見を打ち切ることを優先したのではないか。 そうだとすれば、そのテーマは、志賀原発か、羽田事故か。 志賀原発について、政府や北陸電力は地震発生直後に「異常なし」と発表していたが、その後、1外部電源を取り込む電気系統の一部が壊れた2水位が3メートル上昇し、防潮壁も傾いていた――などの被害が発生していたことを五月雨式に発表。まだ「伏せている事実」があるのではないかと疑念を招く事態に陥っている。 羽田事故は海保機の機長が管制の指示を取り違えた可能性がマスコミ報道で指摘されているが、それは国交省が公表した交信記録や国交省側のリークに基づくものだろう。海保機の機長の証言は食い違っているという。ここも未解明が部分が残る。 志賀原発にしろ、羽田事故にしろ、岸田首相にもとには国民が知らない情報があがっているはずだ。この日の記者会見で質問されたくない何かしらかの事情があり、その結果、岸田首相の発言は全体として勢いを欠き、記者会見も40分ほどで打ち切ることになったのではないかと想像したのである。 首相記者会見の最大の問題点は、質問者を官邸側の司会者が指名することにある。 官邸側は各記者にどんな質問をするのか事前に聞き取っている(これに応じない記者もいる)。官邸と記者クラブの馴れ合いだ。その聞き取りを踏まえ、今回は志賀原発と羽田事故を質問しそうな記者をあえて指名しなかったのだろう。 会見終了が告げられた後、フリーの犬飼淳記者が、原発関連の質問があると訴え、「再稼働をあきらめるべきではないか」と岸田首相に向かって叫んだが、首相は無言のまま立ち去った。 志賀原発に何の懸念もないのなら、首相の言葉ではっきりと国民に向かって語るべきだった。無言で立ち去る姿をみると、やはり志賀原発について触れられたくなかったのかと勘繰ってしまう。 いずれにせよ、情けないのは、官邸記者クラブ所属のマスコミ各社の政治記者たちだ。無言で立ち去る岸田首相に対し、なぜ、フリーの犬飼記者と一緒に抗議しなかったのか。 志賀原発や羽田事故について首相が一言も語らない年頭記者会見を容認した時点で、記者クラブの存在意義は失われたといっていい。 |
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●派閥裏金問題で大荒れの自民党 “泥船”岸田政権の「ポスト岸田」は誰? 1/7
派閥の裏金問題で支持率が政権維持困難とされる20%前半まで落ち込んだ岸田内閣…。大荒れの自民党で「我こそは」と言うリーダーが居ないのはなぜか。そして“ポスト岸田”と言われる人物たちの現状は? ●支持率24%、政権維持は黄色信号 66%という高い内閣支持率だった発足当初が想像できないほどの事態となっている昨今。2023年11月の世論調査では、相次ぐ政務三役の辞任に加え、所得税などの定額減税が「選挙対策にみえる」などと不評を買い、内閣支持率はついに24%と発足以来最低を更新した。 さらにその後、自民党最大派閥“安倍派”の裏金問題が明るみに出て岸田首相の自民党総裁としての責任が問われる事態となっている。大荒れの自民党では、2024年9月に自民党総裁選が予定されている。岸田首相は裏金問題を受け安倍派の閣僚を一掃する人事を行ったが、岸田首相に近い議員も「安倍派の応援がなければ総裁選には勝てない」と釘を刺す。 ●「我こそは」と言えないリーダーなき自民党 ではポスト岸田となりうる自民党議員は誰なのか。裏金問題のあまりの大きさに様子をうかがう議員が多いのが実情だ。 首相候補として名前が挙がるある議員は「誰が白で、誰が黒か、分からないうちは何も動き出せない」と周囲に吐露する。「我こそは自民党を立て直す」という議員が見当たらないのだ。過去の自民党であれば起こっていたであろう『岸田おろし』の動きが出てこない。 その理由は裏金問題の影響が未知数で捜査の着地点が見えないということもあるが、総裁選までまだ9か月ほどあること、衆議院議員の任期がまだ1年以上残っているという点も大きい。議員たちの危機意識が高まらず、『岸田おろし』が起こらないのだ。 では“ポスト岸田”の面々の現状はどうなっているのか。“将来の首相候補”と言われる議員は複数いるが、中でも“ポスト岸田”として名前が挙がる茂木幹事長、河野デジタル相、石破元幹事長、上川外相、加藤元官房長官、の5人について分析する。 ●進む道を決めきれない茂木幹事長 自民党の幹事長を務める茂木敏充氏。当選10回を誇る政策通で、党の政調会長のほか、経済産業大臣や外務大臣など重要ポストを歴任してきた。現在は党運営や資金面で絶大な権限を握る“幹事長”をつとめ、党内第3派閥“茂木派”の会長でもある。 将来、首相を目指す姿勢を常ににじませる茂木氏は、麻生副総裁とも良好な関係を築いている。一方で党内からはポスト岸田に同じ派閥の加藤元官房長官を推す声もあり、必ずしも足下が安定しているとは言い切れない。 さらに裏金問題について、茂木派ではほとんど問題がなかったため「茂木幹事長はどこか他人事だ」という批判まじりの声も聞こえる。また、本来、幹事長は首相を支えるポジションであるにもかかわらず、首相よりも先に政治資金規正法の改正について発信するなど、幹事長としての役割を超えていると指摘される行動も多い。 茂木氏がポスト岸田に名乗りをあげるためには、岸田首相を支え続け禅譲を狙うのか、どこかで別の路線に進むのか決断が必要になる。 ●“人気”を誇る河野デジタル相 国民的人気を誇り、歯に衣着せぬ発言や発信力で常に話題となる河野太郎氏も“ポスト岸田”の1人。これまで外相や防衛相などを務め、現在はデジタル相としてマイナンバーカードをめぐる一連の問題で陣頭指揮を執るなど、常に注目されているのが河野氏の強みだ。 前回の総裁選で岸田首相に敗れて以降、“仲間作り”にも力を入れている。毎週火曜日に勉強会を開催、政治家との会食も積極的に行っているという。さらに河野氏は、国民的人気が高い石破元幹事長、小泉元環境相とも近く3人の名前の頭文字を取った“小石河連合”の発信力は強力だ。 ただ実際に河野氏の“仲間作り”が結実してもポスト岸田に名乗りをあげるためには河野氏が所属する麻生派の麻生副総裁の意向が大きく関係してくる。麻生副総裁は「岸田政権を支える」というスタンスで、岸田首相が次の総裁選に出る場合は、河野氏の出馬を後押しする可能性は低い。 河野氏が“ポスト岸田”に近づくためには、派閥の領袖である麻生氏からの支持を得られるかが最大のポイントとなる。 ●世論調査“ナンバー1”の石破茂元幹事長 NNNと読売新聞が23年12月に行った世論調査で、ポスト岸田として20%という最も高い支持を集めたのが石破茂元幹事長だ。各社の世論調査でも人気が高い。安倍晋三元首相と一騎打ちでの総裁選を戦うなど、自民党内でも非主流派の顔として脚光を浴び続けていることから政府関係者からは「自民党が変わったと思われるためには石破氏しかいない」との声も出ている。 ただ、石破氏は裏金問題の発覚後、テレビ番組で岸田首相の責任の取り方について「予算が成立したら辞めますというのはあり」と、総辞職を迫るような発言をおこなった。こうした岸田政権を後ろから撃つような言動には、かつての石破派に所属した議員からも「いくら国民的な人気があっても党内に仲間がいない」「溺れかかっている人物を上から突いているようだ」など冷ややかな声が上がっている。 発信力は抜群の石破氏だが、党内に仲間を作るという長年の課題が重くのしかかっている。 ●初の女性候補と目される上川外相 2023年9月に行われた内閣改造以降、ポスト岸田として急浮上したのが上川陽子氏だ。法相を3回務め、2018年には、オウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫 元死刑囚の死刑執行命令書に署名をしたことも。「ミスをしない」「政策に強い」などの評判もあり、女性政治家としては首相の座に最も近い人物とされる。 上川氏は岸田首相が会長を務めていた“宏池会”に所属している。外相という重要ポストに上川氏を据えたことで、岸田首相が「次期首相候補」として経験を積ませようとしているのでは、との声も聞こえる。しかし、宏池会には、2023年12月、裏金問題で辞任した松野前官房長官の後任になった、林芳正氏がいる。林氏を飛び越えて上川氏を首相にする、という動きまでには至っていないのが現状だ。また、政策には強いが「政局観がない」など厳しい評価もある。 党内には「初の女性首相となれば自民党内からも誰も文句が言えない」など上川氏に期待する声もあるが、ポスト岸田となるためには「政局観」と「宏池会内の支持拡大」という2つの大きな壁がある。 ●ダークホース、加藤勝信元官房長官 菅政権で官房長官を務め、厚労相を3回も経験している加藤勝信氏もポスト岸田のダークホースとして名前があがる。加藤氏は党内に影響力を持つ菅前首相からの信頼が厚いうえに、二階派の事務総長である武田良太氏や安倍派の5人衆の1人、萩生田光一氏とも関係が良好で、各氏の名前の頭文字を取って「HKT+S」と呼ばれる会合を定期的に開いている。 加藤氏が首相候補として名乗りをあげた場合、菅氏が率いる菅グループ、二階派、萩生田氏に近い安倍派の一部議員など、「非主流派」の議員を中心に派閥横断的に集まるのではないかとみられている。 ただ、加藤氏は茂木幹事長が率いる“茂木派”に所属していて茂木氏がポスト岸田に名乗りをあげると、加藤氏も手を挙げるのは難しい。茂木派を飛び出してでもポスト岸田を目指すことがあるのか、加藤氏の動向からも目が離せない。 |
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●岸田政権の課題 信頼回復急ぎ国難に対処せよ 1/7
●政治資金の透明化をどう図るか 令和となって最大級の災害が発生し、内閣の危機管理能力が問われている。派閥の政治資金規正法違反事件で失墜した信頼の回復も急務だ。 岸田首相は自らが正念場にあることを自覚し、責務を果たさねばならない。 首相は年頭の記者会見で、能登半島で起きた地震を「国難」と呼び、「被災地に寄り添っていく」と述べた。生存者の救出は無論、物資の搬送、道路の復旧など様々な課題に、国は総力を挙げて取り組む必要がある。 ●問われる危機管理能力 政治資金規正法違反事件に関しては、自民党に総裁直属の「政治刷新本部」(仮称)を設置し、政治改革に取り組んで「党の体質を刷新する」と語った。 首相が、地震への対応でも政治とカネの問題でも「私自身が先頭に立つ」と述べて自らの指導力を強調したのは、それだけ政権運営が窮地に陥っていることの裏返しとも言えよう。 政治資金規正法違反事件を巡っては、パーティー収入の一部を裏金としていた疑いが出ている安倍派の幹部らが昨年末、東京地検特捜部の事情聴取を受けた。捜査の成り行きは、岸田政権の浮沈を左右しかねない。 首相は、今回の派閥のパーティー収入を巡る問題を徹底的に調査するとともに、党と一体となって改革を主導すべきだ。 政治資金規正法は、政治活動を国民が常に監視できるよう、政治資金の透明化を図り、公正さを保つことを目的としている。この趣旨を貫徹するための制度改正を実現することが重要だ。 現行法は、パーティー券購入者の記載義務を、1回につき20万円超の購入者に限っている。年間5万円超を公開の基準としている寄付行為と、基準を合わせる法改正は最低限必要だろう。 政治資金収支報告書をデジタル化して、有権者が点検しやすくするのも一案だ。 政治に一定のコストがかかるのはやむを得ない。企業・団体献金や政治資金パーティーをすべて禁じるべきだ、といった議論があるが、政治を汚いものと決めつけるかのような考え方では、民主主義が成り立たなくなってしまう。 ●先送りされた負担増 岸田内閣は発足から2年3か月が経過した。防衛力の強化や少子化対策など、これまで取り組んできた課題は時宜に 適 っている。 しかし、政策を実現するための財源措置などの具体策となると、先送りが目立つ。 政府は少子化対策の財源を確保するため、医療保険に上乗せして徴収する「支援金制度」の創設を決めたが、国民の負担額までは深掘りしなかった。 防衛力強化のための増税も、開始時期の決定を見送った。 政権に逆風が吹く中、負担増を伴う改革を進めるのは難しい、という判断なのだろうが、こうした姿勢が課題への取り組みに対する首相の本気度を疑わせ、支持率の低迷につながっている。 人口減少や少子化をどう反転させ、国力を維持するのか。悪化した安全保障環境への備えは万全か。課題を乗り越えるため、国民の理解を得ながら着実に施策を実行していく、という政治の役割を忘れてはならない。 衆院選に小選挙区比例代表並立制を導入した政治改革関連法や、政治資金に税金を投入することを定めた政党助成法は今年、成立から30年となる。 改革が目指した政党本位の選挙はある程度定着したが、 歪 みも浮き彫りになっている。派閥のパーティー券を巡る疑惑はその一つだが、問題はそれだけではない。 現行の選挙制度の下、司法は憲法の「法の下の平等」を投票価値の平等と読み替え、「1票の格差」の是正を重視するようになった。このため、小選挙区の区割りは頻繁な見直しが必要になった。 ●選挙制度改革の議論を だが、地方の過疎化が進む中、格差是正だけを追求すれば、地方の議員定数は減り続け、都市部は増える一方となる。地方の民意は反映されにくくなり、有権者が代表に政治を託すという代議制民主主義が揺らぎかねない。 参院も同様の問題を抱えている。格差是正のため、「鳥取・島根」「徳島・高知」を合区したが、このまま都市部への人口流入が続けば、北陸などで新たな合区が必要になる、との指摘がある。 衆参両院とも、格差の是正を迫られ続ける現行制度が果たして妥当なのか。与野党は、根本から議論すべき時期に来ている。 |
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●「防衛力強化」の是非が沖縄の争点に浮上へ〜「戦場化」への懸念を背景に 1/7
2022年末の安全保障関連3文書の改定を受けて、南西諸島の「防衛力強化」が急速に進む中、沖縄では自衛隊と「有事」への備えを巡る諸問題が、「辺野古」の次の争点として浮上しつつある。 ●一歩踏み出した知事 「子どもたちの未来が戦争の未来であってはならない。不穏な未来であってはならない」 2023年11月、那覇市の公園で開かれた「県民平和大集会」で、来賓として挨拶した沖縄県の玉城デニー知事は、慎重に言葉を選びながらも、「沖縄を再び戦場にさせない」という集会の趣旨にそったスピーチで、会場から大きな拍手と声援を受けた。 沖縄では長年、米軍基地や沖縄戦の記述を巡る教科書の問題などに抗議するため、政党や労組の主導で数万人規模の「県民大会」が繰り返し開かれてきた。 ただ今回の集会は「県民大会」とは異なり、市民団体や趣旨に賛同する個人が手づくりで準備したもので、参加者は主催者発表で1万人だった。 この規模の集会に知事が出席して挨拶するのは異例で、日米安保体制や自衛隊の存在を基本的に容認する玉城知事が、いわゆる「反撃能力」の保有を含む「防衛力強化」には批判的な姿勢で臨むことを、県民に強く印象づける形になった。 ●県民感情との“ズレ”広がる ウクライナやパレスチナ自治区ガザ地区の惨状が伝えられるほど、沖縄ではせい惨な地上戦となった沖縄戦の記憶が呼び起こされ、県民の平和志向と反戦感情を強めている。 一方、東アジアの安全保障環境はいっそう厳しさを増しているとして、政府は沖縄県内の離島を中心に、ここ数年、自衛隊基地の新設や機能の強化を進める。 陸上自衛隊は2016年の与那国駐屯地、2019年の宮古島駐屯地に続き、2023年には石垣駐屯地を開設した。宮古島と石垣島には地対艦と地対空のミサイル部隊が配備され、当初は沿岸監視隊が中心だった与那国駐屯地にも今後、電子戦部隊とミサイル部隊を追加配備する方針だ。 防衛省は、「反撃能力」の保有に向けて現在開発している国産の「スタンド・オフ・ミサイル」を、予定より1年前倒しして、2025年度に配備する計画を公表した。具体的な配備先はまだ明らかにされていないが、やがて沖縄にも配備され、いわゆる「台湾有事」で攻撃目標にされるリスクが高まるのではないかとの懸念が、住民の間に広がっている。 ●離島自治体と県に温度差 一方、与那国町や石垣市など離島の自治体からは、ミサイルなどの攻撃から身を隠すシェルターの設置や、住民避難計画の詳細の確定を求める声のほか、有事の際の自衛隊や海上保安庁による使用に向け、空港や港湾の整備を国の支援で進める「特定重要拠点」への指定に期待する声も上がる。 こうした主に離島の自治体からの突き上げに対し、沖縄県は難しい立場に置かれている。 住民の安心や安全の確保は一義的な優先課題だとしても、「有事」に向けた備えの加速化が、かえって「有事」を呼び込むことにつながらないか、「国防」を名目としたインフラ整備が、健全な沖縄振興のあり方を変質させないか、といった行政としての懸念に加え、玉城県政の支持基盤が、防衛力強化だけでなく「有事」への備え全般に消極的な指向を持つことも、県の判断に影響しそうだ。 ●知事の求心力回復へ争点化も 米軍普天間基地の名護市辺野古への移設を巡る「代執行」訴訟で2023年12月に国が勝訴し、沖縄県が工事を止める手立てが乏しくなったことで、「辺野古移設反対」を最大の公約として掲げてきた玉城県政の求心力の低下が予想される。すでに対抗勢力からは、辞職や出直しの知事選を求める声も上がり始めた。 さらに2024年6月には現在与野党がきっ抗する県議会選挙が控えていて、玉城県政の「中間審判」的な意味合いも持つ。 そうした中、自衛隊と「有事」への備えを巡る諸問題で、政府と一線を画し、県民の平和志向に寄り添う方向へより踏み込むことで、玉城知事は県政継続の正当性をアピールすることができる。 2024年1月の台湾総統選挙を経た後の中台関係や、政府による「防衛力強化」の進め方次第では、「沖縄を再び戦場にさせない」というスローガンは今後、さらに県民的な広がりを見せるかもしれない。 玉城県政が、変化する状況の中でどのような路線を選択するのか、注目される。 |
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●岸田総理いよいよ万事休すか… 政治記者の間で噂される「4人の首相候補」 1/7
●透けて見える岸田総理の「自問自答」 筆者が勤務する在京ラジオ局では、毎年、年始に、政治ジャーナリストの後藤謙次氏が首相を相手に対談する1時間サイズの新春特別番組を放送している。 年末ぎりぎりに行う収録では、ときの首相に決まってリクエスト曲を尋ねているのだが、今回、岸田文雄首相が選んだ曲は、昨年のNHK大河ドラマ『どうする家康』のテーマ曲であった。 前回、岸田首相が「では、この曲をお願いします」と選んだのが、『鎌倉殿の13人』のテーマ曲。これも大河ドラマのテーマ曲であるため、無難なセレクションではある。 ただ、筆者には、鎌倉幕府初期と同様、権謀術数の渦巻く東京・永田町で、リーダーであり続けなければならない厳しさを、如実に表した選曲のように思えたものだ。 長年、ラジオ番組を制作してきた立場から言えば、ゲストが首相であれ、芸能人であれ、リクエストする楽曲には、その人の過去、現在、そして未来に対する思いが反映されることが多い。 たとえば、菅義偉氏が、首相や官房長官時代に選んだ『あゝ上野駅』という楽曲には、秋田から上京し、苦学を経て政治の世界に入り、首相まで上りつめた菅氏の思いが込められている。実際、菅氏自身、当時の特番内で、「これを聞くと原点を思い出すんですよ」と語っている。 その意味では、今回、1月2日に放送した特番で、岸田首相が『どうする家康』のテーマ曲を選んだ背景には、「政治資金問題での信頼回復」、「物価高を上回る賃上げの実現」、そして、「重要な選挙が相次ぐ国際社会の変化への備え」といった難題を前に、「どうする文雄?」と自問自答している姿があるように感じるのである。 ●ロッキード、リクルート事件も「辰年」に着手した まさに、今年は、岸田政権にとって、上記の3つが大きなハードルとなる。加えて、1月1日に発生した能登半島地震への対応は、何をさておいても急がなければならない課題だ。 「こんな重い空気の事務所開き(仕事始め)は初めてだ。もう今年の漢字は、早くも、『揺』とか『震』で決まった感があるような大変な1年になる」(自民党無派閥衆議院議員) 自民党内では、こんな声が聞かれるが、当の岸田首相は、1月4日、首相官邸で行った年頭会見で、次のように述べた。その骨子を整理しておこう。 (1)能登半島地震への対応に万全を期す。被災者の生活と生業をしっかり支えていく。 (2)世界は重要な選挙が予定されているので、日本にとって今年は重要な年になる。今後10年を決める分かれ道の年になる。 (3)まず求められるのは政治の安定、信頼回復。私自身が先頭に立ち、自民党の体質を刷新していく。政治刷新本部(仮)を立ち上げ、外部有識者の参加も得て、透明性が高い形で進めていく。 (4)物価上昇を上回る賃上げの実現を推進していく。中小企業の賃上げにも全力で取り組む。 これらは、能登半島地震に関するコメントが増えただけで、1月1日に首相官邸が発表した岸田首相の「年頭所感」や、岸田首相がラジオの特番で語った内容と差異はない。ただ、いずれも「言うは易し、行うは難し」である。 とりわけ、東京地検特捜部が昨年のうちに歴代の安倍派事務総長に対する聴取を終えた政治資金パーティー券裏金事件は、1月26日とみられる通常国会召集までがヤマ場になる。「日本最強の捜査機関」と呼ばれる東京地検特捜部でも、年末年始を返上してまで捜査を進めることはほぼない。 年末まで、安倍派幹部への聴取を続け、数千万円のキックバックを受けたとされる池田佳隆衆議院議員と大野泰正参議院議員の関係先や自宅を家宅捜索したところに、伊藤文規部長率いる特捜部の「派閥の会計担当者を立件するだけでは済ませない」、「在宅起訴や略式起訴では終わらせない」という気概を感じる。 今年は辰年だ。思い起こせば、特捜部がロッキード、リクルート両事件で強制捜査に着手したのは、1976年と1988年で、いずれも辰年である。しかも今年は、政党助成法を含む政治改革関連法が成立してから30年の節目に当たる。 安倍派にまつわる捜査で言えば、一度、安倍元首相が派閥の会長に就任した2021年11月以降、悪しき慣習となってきたパーティー券収入キックバックの廃止を指示しながら、安倍元首相の死後、誰がその指示を撤回させたのか、その人物を突き止め、巨額のキックバックを得ていた議員らとともに、逮捕・起訴まで至ることを願うばかりである。 ●「裏金事件」は踏み込み不足 一方、「政治の信頼回復に努める」と繰り返す岸田首相は、と言えば、踏み込み不足の感が否めない。 これから始まる通常国会では、来年度予算をめぐる審議とともに、政治資金規正法などの改正案が焦点になる。 「政治資金パーティーをめぐるお金の透明性を高める、それと合わせて、政治に関わる様々な課題について、新しい組織の中で詰めていきたい」 ラジオの特番でこのように語った岸田首相。党内基盤が強くない岸田首相には言えるべくもないが、たとえば、「自民党総裁として派閥の解消を議論する」と述べる強さがあれば、いくらかでも内閣支持率の回復につながったのではないだろうか。 政治資金規正法などの改正は、泥棒に刑法を改正させるようなものだ。政治家が、自身の首を絞めるような大胆な改正に着手することは考えられない。 今現在は、能登半島地震や1月2日に起きた羽田空港での日航機と海保機の衝突事故に有権者の注目が集まっているが、この先、政治家が誰も逮捕されず、政治改革も不十分となれば、岸田政権はますます尻すぼみになっていくことだろう。 ●「3・6・9」危機が待ち受ける 今年は9月に自民党総裁選挙を控えている。もともと、総裁選挙がある年は、来年度予算案の採決を迎える3月、通常国会の会期末となる6月、そして、総裁選挙が実施される9月に政局となることが多い。 岸田首相の場合、能登半島地震が発生するまでは、自民党内で、 「予算の成立と引き換えに退陣もあり得るのでは?」 「その前に、麻生太郎副総裁あたりが、岸田首相に国賓としてアメリカを訪問させ花道を作るのでは?」 との見方があった。当面は、能登半島地震で被害を受けた地域への支援が最優先されるため、岸田首相の退陣につながりそうな動きは下火になるだろうが、永田町の一寸先は闇だ。 政治資金パーティー券裏金事件で、何人か自民党の現職国会議員が逮捕され議員辞職することになれば、4月28日に行われる衆議院島根1区補選(細田博之前衆議院議長の死去に伴う補欠選挙)に加え、複数の選挙区で補選が実施されることになり、その結果しだいで「岸田降ろし」に拍車がかかることも想定される。 では、政局となった場合、「ポスト岸田」は誰が最有力となるのだろうか。 政治記者の間で名前が挙がるのは、国民的に人気がある石破茂元幹事長や河野太郎デジタル担当相、保守層の票を集めやすい高市早苗経済安保担当相、そして、安定感があり語学も堪能な上川陽子外相といった面々である。 当然ながら安倍派は1回休みだ。かと言って、無派閥の誰かが推される可能性は低い。それほどまでに、政策集団と言いながら、実質はカネと権力でつながる派閥の力は強い。いくら国民に人気があり、保守層受けが良くても、安倍派、麻生派、茂木派、それに岸田派の主流4派が乗れる候補でないと総裁、総理にはなれない。 これは筆者の憶測の域を出ないが、岸田派の上川外相の可能性は残るとして、年齢で言えば40代から50代前半で閣僚経験もあって、いくつかの派閥が納得して推せるような人物が担ぎ出されることになるかもしれない。 もっとも、岸田首相は、安倍元首相らと比べ、あくが強くない分、反発を受けにくい。麻生副総裁ら重鎮が、「岸田でいい」となれば、再選される目もある。 ●政治が流動化している場合ではない日本 1月13日、台湾総統選挙が行われるのを皮切りに、11月5日のアメリカ大統領選挙まで、国際社会は選挙イヤーとなる。 台湾の立法府委員(国会議員)で民進党の郭国文氏は、先日、台北で筆者に、「中国の動きを考えれば、台湾総統選挙は日本に大きな影響を与える選挙になります。是非、関心を持っていただきたいです」と語っている。 選挙は、蔡英文総統の後継で中国とは距離を置く民進党・頼清徳氏と、中国寄りの国民党・候友宜氏のいずれかが勝つ可能性が高い。 筆者は、頼氏が勝てば、台湾は第2のウクライナになるリスクが高まり、候氏が勝てば、第2の香港と化す恐れがあるとみているが、どちらにしても日本への影響は避けられない。 アメリカ大統領選挙でも、トランプ前大統領が共和党の予備選挙や党員集会を勝ち抜き、本選でもバイデン大統領を破って返り咲いた場合、在韓米軍撤退やウクライナ支援停止に舵を切りかねない。そうなれば、国際社会の潮目が一気に変わってしまう。 そうなると、ほくそ笑むのは選挙がない中国や北朝鮮であり、大統領選挙はあってもプーチン一択しかないロシアである。 「どうする岸田文雄?」と自問自答している暇はない。大河ドラマ風に言えば、能登半島地震の被災地支援と政治改革を断行して『光る君』となれるのか、それとも表舞台から去るのか、注目の1年が幕を開けた。 |
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●岸田首相、能登半島地震「逐次投入」批判いとわず矢継ぎ早に対策 1/7
能登半島地震は8日で発生から1週間を迎える。1日の発災直後から岸田文雄首相が前面に立ち、一部野党による自衛隊の「逐次投入」との批判もいとわない姿勢で対応に当たった。ただ、道路の復旧など輸送面の課題は解消されておらず、被災者の避難生活の長期化が懸念される。今後も岸田政権の危機対応が問われる事態が続く。 「やるべきことは山積している。やれることはすべてやるとの姿勢で全力で進めてほしい」 首相は6日連続で開かれた7日の非常災害対策本部会議でこう訴え、救命救助、孤立状態の解消、水や電気などのライフライン確保や復旧を急ぐよう指示した。その後、記者団対し、今後の重点的な対応として、寒さ対策のための燃料や毛布などを確保していく考えを示した。 これに先立つ7日放送のNHK番組で首相は、これまでの対応について「まずは救命救助、並行して避難所物資などの支援に取り組んだ。今後、切れ目なく復興・復旧、生活、生業の再建に取り組む」と説明。9日には経費として令和5年度予算の予備費から47億4千万円の支出を閣議決定するなど対応を急ぐ。 自衛隊は1日夜から救命救助や生活支援、航空機による消防隊員、警察官を含む応援部隊の輸送支援、被害状況の情報収集などにあたった。2日には陸海空自による最大1万人規模の統合任務部隊を編成し、7日時点で約5900人を投入している。 自衛隊が小出しの「逐次投入」になっているとの批判もあるが、政府高官は「寸断された道を開き、人を増やしてやってきた。必要なところで必要な人員を投入している」と反論する。 道路の復旧を急ぐ一方で、渋滞解消のために自家用車の利用自粛を呼びかけ、必要な物資の輸送を進める。また、石川県による道路交通法に基づく交通規制を国として支援することも決めた。 首相は6日、避難生活の改善を図るため、避難所のプライバシー確保に加え、被災地外の宿泊施設を自治体が借り上げ避難所として活用するよう関係省庁に指示した。 今後に向け首相周辺は「日々新たに出てくる課題に一つ一つ対応していくしかない」と話している。 |
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●岸田内閣の支持率27.1%で過去最低更新 不支持率も過去最高 JNN世論調査 1/7
岸田内閣の支持率が政権発足後過去最低だった先月の調査から、さらに1.8ポイント下落し、27.1%だったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。不支持率も先月の調査から2.4ポイント上昇し、70.4%で過去最高となりました。 また、政党支持率では、自民党の支持が前月の調査から1.0ポイント上昇し、29.1%、日本維新の会は0.8ポイント下落し、4.8%、立憲民主党は0.3ポイント上昇し、5.5%でした。 |
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●初の逮捕者、自民に衝撃 震災さなか、首相対応に追われる―派閥裏金事件 1/7
自民党安倍派などのパーティー収入を巡る政治資金規正法違反事件は同派の池田佳隆衆院議員が逮捕される事態となり、党内に衝撃が広がった。政権へのダメージを和らげるため、自民は池田議員を直ちに除名。岸田文雄首相(党総裁)は能登半島地震の対策会議をこなしつつ、対応に追われた。 「重く受け止めている。池田議員は除名する方針とした」。首相は7日、首相官邸での非常災害対策本部会議の後、防災服姿で記者団に自民の対応を説明。議員辞職を求める考えはないか問われたが、「とりあえず除名方針を確定した。党として決めている方針は以上だ」と語るにとどめた。 今回の事件での逮捕は初めて。岸田政権では昨年9月の秋本真利、同12月の柿沢未途両衆院議員=ともに自民離党=に続く逮捕者だ。党内には在宅捜査にとどまるとの見方もあっただけに、党幹部は「打撃は避けられない」と指摘。閣僚経験者の一人は「政権立て直しは難しい」と語った。 安倍派では池田議員と同様に数千万円規模の裏金化疑惑のある大野泰正参院議員の関係先も東京地検特捜部による家宅捜索を受けており、松野博一前官房長官ら「5人衆」をはじめとする派幹部・ベテランも任意で事情を聴かれた。二階派の二階俊博会長らが聴取されたことも分かっている。 待ったなしの震災対応に加え、首相は事件の展開にも備えなければならない状況だ。自民関係者は「捜査がどこまで広がるかが焦点だ」と戦々恐々。閣僚の一人は「ここまでくると派閥幹部立件も視野に入れなければいけない」と身構えた。公明党からは「大変なことになった。早く政治改革を打ち出した方がいい」(関係者)と自民に議論加速を促す声も出ている。 野党は勢いづいている。立憲民主党の泉健太代表は千葉県市川市で記者団に「由々しき事態だ」と指摘。「ここに至るまで首相が指導力を発揮してこなかったことも問題だ。除名も後追いだ」と批判し、裏金疑惑が浮上している全議員を早急に処分するよう求めた。 日本維新の会の音喜多駿政調会長はX(旧ツイッター)に「トカゲの尻尾切りで終わらせてはならない」と記し、検察当局は政治資金収支報告書の不記載・虚偽記載額の多寡にかかわらず立件すべきだと主張。共産党の小池晃書記局長は「国会には真相解明の責任がある。関係者の証人喚問は急務だ」と書き込んだ。 |
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●裏金で初の逮捕 自民に衝撃 1/7
自民党安倍派などのパーティー収入を巡る政治資金規正法違反事件は同派の池田佳隆衆院議員が逮捕される事態となり、党内に衝撃が広がった。政権へのダメージを和らげるため、自民は池田議員を直ちに除名。岸田文雄首相(党総裁)は能登半島地震の対策会議をこなしつつ、対応に追われた。 「重く受け止めている。池田議員は除名する方針とした」。首相は7日、首相官邸での非常災害対策本部会議の後、防災服姿で記者団に自民の対応を説明。議員辞職を求める考えはないか問われたが、「とりあえず除名方針を確定した。党として決めている方針は以上だ」と語るにとどめた。 今回の事件での逮捕は初めて。岸田政権では昨年9月の秋本真利、同12月の柿沢未途両衆院議員=ともに自民離党=に続く逮捕者だ。党内には在宅捜査にとどまるとの見方もあっただけに、党幹部は「打撃は避けられない」と指摘。閣僚経験者の一人は「政権立て直しは難しい」と語った。 安倍派では池田議員と同様に数千万円規模の裏金化疑惑のある大野泰正参院議員の関係先も東京地検特捜部による家宅捜索を受けており、松野博一前官房長官ら「5人衆」をはじめとする派幹部・ベテランも任意で事情を聴かれた。二階派の二階俊博会長らが聴取されたことも分かっている。 待ったなしの震災対応に加え、首相は事件の展開にも備えなければならない状況だ。自民関係者は「捜査がどこまで広がるかが焦点だ」と戦々恐々。閣僚の一人は「ここまでくると派閥幹部立件も視野に入れなければいけない」と身構えた。公明党からは「大変なことになった。早く政治改革を打ち出した方がいい」(関係者)と自民に議論加速を促す声も出ている。 野党は勢いづいている。立憲民主党の泉健太代表は千葉県市川市で記者団に「由々しき事態だ」と指摘。「ここに至るまで首相が指導力を発揮してこなかったことも問題だ。除名も後追いだ」と批判し、裏金疑惑が浮上している全議員を早急に処分するよう求めた。 日本維新の会の音喜多駿政調会長はX(旧ツイッター)に「トカゲの尻尾切りで終わらせてはならない」と記し、検察当局は政治資金収支報告書の不記載・虚偽記載額の多寡にかかわらず立件すべきだと主張。共産党の小池晃書記局長は「国会には真相解明の責任がある。関係者の証人喚問は急務だ」と書き込んだ。 |
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●安倍派池田衆院議員と秘書を東京地検が逮捕、党除名処分に−報道 1/7
自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件で、東京地検特捜部が7日、政治資金規正法違反の疑いで池田佳隆衆院議員(57)=比例東海=と秘書を逮捕したとNHKなど複数のメディアが報じた。岸田文雄首相は同日午後、逮捕を「承知している」と述べた。同問題では安倍派の現職国会議員が逮捕される事態に発展した。 NHKによると、池田議員は会計責任者だった政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)と共謀し、2022年までの5年間に安倍派から約4800万円のキックバックを受けたにもかかわらず、自らが代表を務める資金管理団体「池田黎明会」の収入として記載せず、政治資金収支報告書にうその記載をしていた。 読売新聞8日付朝刊は、池田議員と同様に4000万円超に上る高額な還流を受けていた大野泰正参院議員(64)=岐阜選挙区=と谷川弥一衆院議員(82)=長崎3区=についても同法違反容疑で立件する方針を特捜部が固めたと報道。毎日新聞同日付朝刊は、両議員が容疑を認める意向を示していることが関係者の取材で判明したと伝えた。 ブルームバーグは東京地検と池田、大野、谷川各議員事務所に電話で連絡を試みたが、いずれも回答は得られなかった。 岸田首相は非常災害対策本部会議後に記者団に、池田議員の逮捕について「承知している」とした上で、「自民党所属の国会議員が逮捕されたことは、大変遺憾なことで重く受け止めている」と述べた。さらに池田議員を「除名する方針とした。党として強い危機感を持って政治の信頼回復に努めなければならないと改めて強く考えている」と発言した。 共同通信によると、安倍派は池田議員の逮捕を受け、「関係者の皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げます」との談話を発表した。引き続き捜査に真摯(しんし)に協力するとしている。自民党にコメントを求める電話をしたが、つながらなかった。 岸田首相は、最大派閥である安倍派の幹部を要職に起用することで政権基盤の安定を図ってきた。裏金化の疑惑を受けて松野博一前官房長官を含む全員を交代させたが、内閣支持率は21年10月の政権発足後の最低を相次ぎ記録。安倍派現職議員の逮捕は岸田政権に影響を及ぼす可能性がある。 信頼回復への取り組みが求められる中、岸田首相は1月4日の年頭記者会見で、自民党内に総裁直属の政治刷新本部を設置すると発表。外部有識者も含めて政治資金の透明化に向けた議論を進め、1月中にも中間取りまとめを行う方針も示した。 特捜部は安倍派「5人衆」と呼ばれる松野氏、西村康稔氏、高木毅氏の歴代事務総長と萩生田光一氏、世耕弘成氏のほか、派閥の座長を務める塩谷立氏からも任意で事情を聴いたと国内メディアが報じていた。政治資金規正法上、収支報告書の作成・提出義務がある同派の会計責任者は還流分の不記載を認めており、特捜部は同法違反容疑での立件を検討していたという。 国内メディアが行った直近の世論調査によると、岸田内閣の支持率はいずれも10−20%台に落ち込み、大半で12年12月に自民党が政権復帰して以降の最低を更新。一連の問題を受けて岸田首相の責任や指導力を問う声が強まっている。自民党の不支持率も上昇しており、派閥の解消を求める声も多い。 |
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●能登半島地震の死者168人に 2次避難、降雪で一部延期 1/8
最大震度7を観測した能登半島地震は8日で発生から1週間となった。石川県内で午後2時までに168人の死亡が確認され、連絡の取れない安否不明者は323人。約400の避難所に約2万8千人が避難する。県は被災者を県内外のホテルや旅館などに移す「2次避難」を本格化させたが、行き先が決まるまでの一時滞在場所での受け入れを雪の影響で一部延期した。 死者は輪島市と珠洲市で各70人、穴水町18人、七尾市5人、志賀町と能登町が各2人、羽咋市1人。甚大な被害が出ている輪島市や珠洲市を中心に3300人以上が孤立状態にある。 インフラの復旧は進んでいない。石川県内で約1万8千戸が停電し、5万9千戸以上が断水している。滑走路が損傷した輪島市の能登空港は24日まで閉鎖される見通し。 被災地では雪が降り、8日午前8時時点で珠洲市13センチ、七尾市12センチ、輪島市9センチの積雪を記録。冷え込みも厳しく、朝の最低気温は七尾市で氷点下2・4度を観測した。 輪島市では地滑りの兆候などが見つかり新たに避難指示が出された。県は雨や度重なる地震で地盤が緩んでいるとして注意を呼びかけた。 避難所では低体温症などへの注意が必要となる。新型コロナウイルスの感染もみられ、断水や物資不足の中で感染防止を迫られている。一部自治体では、民間賃貸住宅を借り上げて無償で提供する「みなし仮設住宅」の受け付けが始まっている。 県も県内外の宿泊施設に被災者を移す2次避難の開始を見据え、一時滞在場所として金沢市の運動施設を確保。定員は約500人で8日から受け付けを開始した。ただ、降雪で道路状況が悪化した輪島市と珠洲市などの被災者については受け入れ延期を決めた。 |
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●能登半島地震、石川県の死者168人に 安否不明者も大幅増 1/8
石川県は8日、能登半島地震の県内の死者が168人になったと発表した。 石川県の8日午後2時時点の集計では、安否不明者は323人。前日から大きく増えた。地震発生から1週間たった今も捜索活動が続いている。 ただ、被災地では悪天候が救助活動の妨げとなっている。大雨と雪による土砂崩れや建物倒壊への警戒が呼びかけられている。 死者の大半は、被害の大きかった輪島市(70人)と珠洲市(同)で確認されている。 死者は前日午後2時集計の128人から40人増えた。 安否不明者も前日同195人から大幅に増えた。輪島市が前日同86人から281人に急増。そのほか、8日午後2時時点で珠洲市(29人)、金沢市(5人)、津幡町(3人)などとなっている。 ●孤立状態の被災者も多数 マグニチュード7.6、最大震度7の地震は元日の夕方に発生。能登半島で多くの建物を倒壊させ、大規模な火災を引き起こした。 道路も甚大な被害を受け、石川県によると8日時点で、県内で3300人以上が孤立・要支援状態にある。緊急に開設された避難所で生活している人は約2万8000人に上っている。 安全上の理由などから自宅にとどまることができない被災者に対しては、自衛隊などが食料、水、毛布などの物資を届けている。 防衛省は7日、救援活動の支援のため自衛隊員約6000人を派遣したと発表した。 防衛省はまた、生存者発見に重要とされる「災害発生から72時間」が過ぎてはいるものの、救助を必要としている人がまだいると信じているとし、救出活動を続けるとした。 奇跡的な救出もみられる。珠洲市では地震発生からおよそ124時間たった6日夜、倒壊した住宅から90代の女性が救け出された。 被害が最も大きかった地域では、さらなる地震が続く中、警戒を続けるよう人々への呼びかけが行われている。 気象庁によると、1日から8日午後4時までに観測された震度1以上の地震は1221回に上っている。 日本は世界で最も地震活動が活発な国の一つ。能登地方では2020年末から活動が増えており、2023年末までの3年間で震度1以上の地震が506回観測されていた。 |
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●能登半島地震1週間 被災地 積雪による建物倒壊 低体温症に注意 1/8
最大で震度7を観測した能登半島地震から8日で1週間ですが、能登地方ではいまだ活発な地震活動が続いています。 被害が大きかった能登半島では大雪のピークは過ぎましたが、相次ぐ地震で損傷を受けた建物では積雪の重みによる倒壊などに十分注意が必要です。 被災地では冷え込みが厳しく、ほとんど気温が上がらない見込みで、低体温症への対策も取るようにしてください。 ●大雪の影響、建物倒壊などの被害に注意を 能登半島地震で激しい揺れを観測した石川県をはじめ、北陸や新潟県では、上空の寒気の影響で局地的に雪が降りました。 石川県内の午後2時現在の積雪は珠洲市で12センチ、七尾市で10センチ、輪島市で8センチなどとなっています。 能登半島など北陸の大雪のピークは過ぎましたが、相次ぐ地震で損傷を受けた建物は積雪の重みで倒壊するおそれもあり、十分注意が必要です。 能登半島では地震の影響で各地で道路がひび割れたり陥没したりしていますが、路面が凍結しているところもあり、車を運転する際にはいっそうの注意をしてください。 雪はほぼやみ、晴れ間がのぞいているところもありますが、9日から10日にかけて能登半島などで再び雨が予想され、土砂災害やなだれなどには引き続き十分注意が必要です。 ●低体温症に注意を 避難生活の長期化や環境の悪化で健康への影響が懸念されている中、石川県では冷え込みが厳しくなっています。 8日朝の最低気温は七尾市でマイナス2.4度、輪島市でマイナス0.1度と氷点下の寒さとなりました。 日中も気温はほとんど上がらず、最高気温は、珠洲市と羽咋市、志賀町、宝達志水町で4度、輪島市と七尾市、穴水町、能登町、中能登町で3度などと予想されています。 過去の地震では避難生活の中で命を落とす災害関連死が多く発生しています。 低体温症に十分注意して、家族や周りに体調を崩している人がいないか声をかけあい、できるかぎり暖を取って定期的に体を動かすなど対策を心がけてください。 ●珠洲市中心部 雪は足首ほどの高さに 7日から断続的に雪が降り続けていた珠洲市では、8日朝、一面に雪が降り積もり、市の中心部では足首ほどの高さにまで達していました。 今回の地震で斜めに傾いた電柱や倒壊した建物の屋根にも厚く積もっています。 中心部の幹線道路はすでに除雪作業が行われていて、車がスピードを落としながら走行していますが、通りから入った住宅街の細い道路は除雪されていません。 ガソリンスタンドでは早朝から複数の車が給油のために並んで待つ中、従業員が雪かきをしている姿も見られました。 ●震度1以上の揺れ 1219回 能登地方やその周辺を震源とする地震活動は活発な状態が続き、震度1以上の揺れを観測した地震は、8日午後1時までに1219回にのぼっています。 気象庁は今後1か月程度は最大震度5強程度以上の揺れに注意するよう呼びかけています。 |
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●「能登震災」から早や1週間/岸田官邸機能せず/林官房長官は報告待ち 1/8 支援遅れは「もはや人災」/「災害関連死」多発で支持率低下も 元日に能登地方を襲った能登半島地震は最大震度7を記録し、甚大な人的・物的被害をもたらした。その翌日には羽田空港の滑走路上で、被災地向けの支援物資を積んだ海上保安庁機と日航機が衝突し、海保職員5人の命が奪われる悲惨な事故も発生した。波乱の年明けを迎えた中で、岸田文雄首相のあまりにもお粗末な災害対応に批判の声が急速に高まっている。 自民党関係者は「政治資金パーティーをめぐる裏金問題で支持率が急低下した岸田政権にとって、今回の能登半島地震に正面から向き合えば、国民の支持を取り戻す機会にもなり得た」と指摘する。だが、震災から早や1週間が経過しても稚拙な対応ばかりが浮き彫りになり、災害ボランティアの受け付けすら整備できない有り様だ。被災地では「支援があまりにも遅すぎる」と政府に対する怒りが広がっている。「なぜ、ここまで災害対応が遅いのか。人命に …… |
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●能登半島地震、東日本大震災のような「復興増税」が出てくる余地はない 1/8
●復興予算はどう調達されるのか 元日に能登半島地震、2日に羽田空港事故と2日続きで、激動の年を暗示するような事象が発生した。亡くなられた方々のご冥福を、心よりお祈りしたい。 さて、今年は1月台湾総統選、3月ロシア大統領選、4月韓国総選挙、6月欧州議会選挙、11月米国大統領選と世界中で政治が動く可能性がある。日本でも総選挙が行われるかもしれない。 その上で、能登半島地震の復興・復旧予算はどのように調達されるのか、東日本大震災の時のような増税につながる動きはないか、論じたい。 岸田首相が「予備費で40億円出す」と発言したところ、かつて東日本大震災では与党であったはずの野党の面々から「少なすぎる」と批判した。これは筆者も驚いた。 これは実務をやっていれば直ぐわかることだが、とりあえずの財政支出であり、全体の復興予算でない。当初段階では、人命救出が最優先であるために被害の全容を把握できない。被害の全容がわかるのは当分先であるので、現段階では復興予算を正確に見積もれない。 気象庁の震度データベースで1919年以降、震度7を記録したものを調べると、1923年9月1日関東大震災(当時首相は不在)、1995年1月17日阪神淡路大震災(当時村山富市首相)、2004年10月23日新潟県中越地震(当時小泉純一郎首相)、2011年3月11日東日本大震災(当時菅直人首相)、2016年4月14、16日熊本地震(当時安倍晋三首相)、2018年9月6日北海道胆振東部地震(当時安倍晋三首相)が起こっている。 今回の能登半島地震は震度7なので、これらと並ぶ大きな地震だ。これらの中で、阪神淡路大震災と東日本大震災の被害は群を抜いて甚大なものとして、今回の能登半島地震は熊本地震クラスと言えるだろう。 ●数千億円の予算規模に 熊本地震からの復興復旧で国の予算としては、2016年5月の1次補正で7780億円、8月の2次補正で4139億円(ただし予備費減額4100億円)、12月の3次補正で464億円(ただし予備費減額500億円)が計上されている。今回もおそらく数千億円程度だろう。 なお、1995年阪神淡路大震災のときも、2月に1兆223億円の補正予算が組まれている。2004年新潟県中越地震では、12月に1兆3618億円の災害対策費などの補正予算が組まれた。2018年北海道胆振東部地震では、他の豪雨災害などとともに10月に9356億円(地震への対応は1188億円)の補正予算が組まれた。 地震災害では、災害復旧事業としてまずは国の予備費が使われる。災害復旧事業とは、災害でこわれた道路や河川などの公共土木施設を復旧することだ。この作業は以下のように国ではなくまず都道府県で行われる。 まず、都道府県土木事務所の職員が現地を行き、また市町や地元の代表者などから報告された被害を確認する。市町の管理する道路や河川の被害については、それを管理している市町の職員がチェックしていく。 次にその被災した場所をどのように復旧するか、復旧にはどれくらいのカネが必要かを計算する。災害復旧事業は基本的に国の負担により行うものであるので、国に申請する。 地方自治体からの申請に対して、国の査定が行われる。査定は、国の防災関係の職員と予算関係の職員が一緒になって現地に行き、被害の状況や復旧の方法、復旧に必要な予算などを確認し行われる。地方自治体職員はそのときに被災した原因や復旧する方法を決めた理由などを説明する。その確認の結果、概ね復旧方法(工法)や復旧費用が決定されていく。 ●復興増税の余地はない もちろん、予備費で賄えない場合には補正予算が組まれる。 熊本地震の時にも、こうした作業は1ヵ月間程度を要したので、今回も同じ程度の期間を要するだろう。今年度予算の予備費は5000億円、まだ4600億円残っているし、来年度予算の予備費も既に決まっている政府案では5000億円あるので、その範囲内になるだろう。まさに予見しがたい事態に対処するための予備費の対象になる。 もっとも、予備費を今回の能登半島地震で使ってしまう可能性もあるので、今年1月に開かれる通常国会に提出する来年度予算の予備費5000億円を1兆円に代えて提出するか、通常国会の冒頭で、今年度補正予算を予備費5000億円増で組んでおくなどの調整が必要だろう。 これまでも震度7クラスでは補正予算が1ヵ月程度後に組まれているので、後者のほうが望ましいが、いずれにしても、税収の上振れもあり、この程度の規模の補正予算では、とても復興増税なんて話が出てくる余地はないことは強調しておきたい。 自民、公明、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の6党は5日の党首会談で、所属国会議員による能登半島地震の被災地視察について、当面自粛することを申し合わせた。 災害時に迷惑なのは、(1)目立ちたいだけの無能な政治家、(2)非常識なマスコミやYOUTUBER、(3)物見遊山な一般人だ。ところが、この時期にこうした常識を持ち合わせず、現地入りしたれいわ新選組の山本太郎代表もいた。 ●やってはいけない行動に出た者も 能登半島には志賀原発がある。2011年度以降、1号機、2号機とも発電を行っていないが、この原発をめぐり、火災が起きたというデマが氾濫した。よりによって、それを鳩山由紀夫元首相がポストした。 北陸電力の公表では、そうした事実はない。また、一部反原発活動家が、震災直後に志賀原発に問い合わせをしたが、こうした行動はやってはいけないものだ。 なお、北陸新幹線はすぐに普及したので、被災地の周辺のインフラが機能しているところもある。ただし、能登半島のいたるところの道路は寸断されたままだし、海岸線の変形により港湾も使えない状況だ。 次に羽田空港で起きた事故だ。これは何とも痛ましい事故である。羽田空港でJAL機と海保機が滑走路上で衝突したが、海保機は能登半島地震の救援物資輸送のためのフライトだった。 この事故で、海保機で5名が殉職したが、不幸中の幸いとして、JAL機の乗員乗客379人全員は無事緊急脱出できた。 空港管制と機長との交信はほぼ公開されており、事故直後から、JAL機には着陸許可が下りていたが、海保機が待機指示を待つのみだったのはすぐにわかった。 もっとも、これらの情報は公的なものでないので、交信記録以外の情報も含めて公的機関から公式情報が出てくるのは時間の問題だ。 ●岸田政権の対応はまずまず ただし、海保機が滑走路に進入したときに警戒が出ていたはずだが、それを管制がなぜ見落としたのかなど、疑問点はまだ残っている。 いずれにしても、滑走路上の事故では十分な記録がなされているはずだから、それにそって事故の再発防止原因の究明が進むだろう。 いずれにしても、今年のスタートから前途多難であるが、岸田政権の対応はまずまずだ。1月の通常国会でしっかりとした補正予算を打ち出せれば、低下した政権支持率も反転する可能性もある。 |
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●どうする立憲!? 自民“崩壊”の危機で野党第一党はどう闘うのか? 1/8
自民“崩壊”の危機の中、なぜ高まらない?野党第一党「立憲民主党」政権交代への期待の声。 自民党支持率が下がる中、上向くことがない「立憲」の支持率。2009年の政権交代の時と、今の野党第一党は何が違うのか?ポスト泉は誰なのか?立憲のイマを徹底解剖する。 ●「今こそ政治を変えるとき」なのに・・・上向かない立憲支持 「今こそ政治を変えるとき」 立憲民主党の顔・泉健太代表が力強く、候補者を募集するホームページでこう訴えている。しかし、最大の問題は当の立憲民主党に対する国民からの支持が高まらない点だ。 NNNと読売新聞の2023年12月の最新世論調査でも立憲の支持率は5%と伸び悩んでいる。さらに、2023年4月から11月までは野党第二党の日本維新の会に後塵を拝していた。 ある立憲幹部は「岸田内閣の支持率が下がっても、立憲への支持に繋がらない」と嘆いていた。なぜ、期待が高まらないのか?3つの視点から、立憲民主党の現在地と今後の展望を分析する。 ●【分析:その1】「野党分断」の1年だった2023年 2022年は、日本維新の会と国会で共闘するなど「野党協調」で成果が出た年だったが、23年は立憲が「与党との対決」だけでなく「野党との協力」にも悩み、「野党分断」の1年になってしまった。ポイントとなる2つの局面があった。 1つ目は、6月の内閣不信任決議案をめぐる対応だ。 立憲が対決姿勢を示すために提出に踏み切った一方で、維新・国民は反対にまわり、野党の足並みは崩れた。その背景には、通常国会の戦略をめぐり、立憲が日程闘争を含めた「全面対決路線」をとった事に対し、維新側が「昭和のやり方」などと批判したことがあった。ある立憲幹部は「野党がバラバラになったせいで、国会が与党ペースになってしまった」と振り返る。 2つ目は、臨時国会の補正予算案をめぐる態度だ。 秋以降、立憲は岸田内閣が打ち出した「所得減税」が不評だったことなどもあり、攻勢を強めた。維新との連携では、いわゆる“統一教会”の被害者救済をめぐる法律では「共闘」が進んだが、補正予算をめぐっては反対した立憲に対して、維新・国民は賛成にまわった。「野党分裂」になった形だ。ある立憲幹部は「野党が一致結束して、攻めきれなかった」と不満を漏らした。 ●【分析:その2】 2009年「政権交代」と今…違いは「受け皿」 自民党内では、今の危機的状況について「政権交代前の09年に似ている」と指摘する声が多く出ている。 2023年11月の世論調査では内閣支持率が24%になった。これは12年の政権復帰以来で最低の数字だ。2023年12月には自民党の支持率が28%となったが、30%を下回るのは麻生内閣以来14年ぶりだ。内閣と自民党の支持率が下がる中、09年との違いは野党第一党の支持率が上がらないことだ。 政権交代がおこった09年8月の「民主党」の政党支持率は32.1%。一方、最新(23年12月)世論調査での「立憲民主党」は5%。一番多いのは「支持政党なし」の48%で、他に野党で5%をこえる政党はない。 民主党時代に政務3役を経験したある立憲幹部は「あの頃の民主党には勢いがあった。今は野党の数が多く、立憲と維新が野党第一党争いをしている状態では、国民が求める受け皿になれていない」とこぼす。 ●【分析:その3】 ポスト泉は? 来年の代表選の行方 野党としての存在感があがらない立憲民主党。立憲の議員を取材する中でその原因としてよく出てくるのが、トップ泉代表への不満の声だ。 泉代表は就任から丸2年を迎えるが、党勢が拡大しない原因についてトップの「指導力不足」「発信力不足」を問う意見が少なくない。 ●“安定重視” 名前が挙がる重鎮2人 では、「ポスト泉」は誰なのか。取材でまず出る名前は重鎮2人、枝野幸男前代表と野田佳彦元首相だ。 枝野氏は旧・立憲民主党を立ち上げた「創業者」。知名度も高く、今年、「枝野ビジョン」の改定版を発表するなど存在感を示している。しかし、枝野氏は21年の衆院選で敗北し、代表を辞任した経緯がある。党内からは「共産党と関係が近いイメージから、他の野党との協力がしにくくなる」「時計の針が戻ってしまう」という厳しい意見も根強い。 一方、待望論が出ているのが元首相の野田佳彦氏。安倍元首相の追悼演説を契機に与野党から再評価する声が出ていて、ある立憲幹部は「野田氏は増税を成し遂げた首相であり、それは自民党にとっても一目置かれること。経験と人柄から、他の野党との関係もうまくやれる」と評価する。中堅・若手からも「野田氏が代表になって立憲を立て直してほしい」という声も少なくない。 ●“中堅躍進” 代表選を見据えるエース 中堅議員で名前があがる「ポスト泉」は誰か。 まずは、知名度も高く待望論が強いのは、前政調会長の小川淳也氏。密着したドキュメンタリー映画が話題となり、前回の代表選では泉代表とも争った。ある立憲幹部は「枝野、野田ではフレッシュ感がない。若くて、情熱があり、ビジョンを持つ小川氏しか次のリーダーはいない」と話している。この1年は目立つ存在ではなかったが「代表選に備えあえてじっとしていた1年だった」と立憲若手は分析する。 もう1人の有力候補は、同じく代表選で泉代表と争った西村智奈美氏。立憲が力を入れる、いわゆる“統一教会”問題対策の責任者を務め、救済法では与党側との交渉担当者として汗をかいた。西村氏を推す中堅議員は「彼女はかなり肝が据わっている」、別の立憲議員は「女性リーダーへの渇望感は高い」と、代表へ期待する声があがっている。 もちろん、泉代表自身も次の代表選では候補者の1人だ。ある中堅議員は「代表は次の衆院選で目標の150議席獲得を目指す」と意気込む。そして、「代表選までに解散総選挙がなければ、泉代表の続投だろう」(周辺)と“泉おろし”の動きを牽制する。 ●どうする立憲!? 次のカギは「政治改革国会」 2024年は立憲にとっても勝負の1年となる。1月下旬から始まるとみられる通常国会は、冒頭から「政治改革国会」になるとみられる。ここで、立憲が政府与党をどう追及し、政治改革に向けた姿勢をどこまで示せるかが問われている。 立憲は、すでに提出している法案をベースに、企業団体献金禁止や収支報告書のネット公開の義務化などを求める方針だ。ある立憲幹部は「企業団体献金禁止を自民党にのませるのは高いハードルがある。一方、小幅な改正に終われば『野党も保身に走った』と厳しく批判される。どこまで攻めるのか難しい」と頭を悩ませる。 「政治とカネ」で最大の危機を迎えている、岸田自民党。立憲民主党が「自民党のピンチ」を「チャンス」として引き寄せ、さらに、国民の支持に繋げることができるのか。立憲民主党にとっても大きな1年となりそうだ。 |
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●若狭勝弁護士 自民裏金事件、池田議員の今後を推測 1/8
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士が8日、フジテレビの情報番組「めざまし8」にVTR出演。自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件で東京地検特捜部が7日、政治資金規正法違反の疑いで衆院議員池田佳隆容疑者(57)=比例東海=と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)を逮捕したことに言及した。 岸田政権を揺るがす一連の事件で逮捕者が出るのは初めて。現職議員の逮捕に発展したことで、捜査は新たな局面を迎えた。特捜部は還流させた派閥側も調べ、裏金づくりの実態解明を本格化させる。 両容疑者の逮捕容疑は、共謀して2018〜22年、派閥から計4826万円の還流を受けたのに、その額を除いた虚偽の収入を資金管理団体「池田黎明会」の政治資金収支報告書に記入した疑い。安倍派の裏金は5年間で6億円近くに上る可能性があり、所属議員99人の中で池田容疑者側は高額だった。岸田文雄首相は「大変遺憾なことであり、重く受け止めている」と官邸で記者団に述べた。自民党は7日付で池田容疑者を除名処分にした。 若狭氏は、池田議員の起訴の可能性について「正式起訴で禁錮2年の求刑ではないか」と言い、「有罪なら執行猶予付き3年になる」と自身の見解を述べた。捜査のポイントとしては「還流金額が大きく、派閥内で誰がどのように関与しているかなど裏金システムに精通している可能性がある」とした。 |
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●れいわ山本太郎氏「現場を見ろ 安心させろ」 能登地震の課題指摘、提案 1/8
5日に能登半島地震の被災地に入ったことを報告していた、れいわ新選組の山本太郎代表は8日までに、自身のX(旧ツイッター)を更新し、現地の深刻な実態や、国や石川県に対する要望を4つの投稿に分けて長文で投稿した。 与党や主要野党が、当面の間の所属国会議員の現地視察を見合わせる方針を示す中、山本氏は「現場を見ろ。安心させろ」という項目も記し、現地の現実を確認して支援体制を構築すべきとの認識を訴えた。 山本氏は、甚大な被害が報告されている能登町、珠洲市に入ったとし「当事者の声を約二日間に渡り、様々聞きとりした」と投稿。その中で、岸田文雄首相を含む国会議員の現地入りが見送られていることへの思いを、被災者に聞いたとして「『意味がわからないんですけど』『どうしてですか?』『ヘリで来れば良いじゃないですか』との意見が相次いだ」と指摘した。 「総理や政治家が役人からの報告やテキストだけでわかった気になり被災地のことを決めていくことへの不安感ではないだろうか。この極限状態を前に、現場を自分の眼で見ずに知らずに政治決定を行えるというなら、AIが代行すれば良いのではないか?」とも指摘。「AIなら裏金問題や一部の者だけへの忖度も、権力維持のことしか考えない振る舞いもしないだろう」と、自民党の政治資金問題のさなかにもある政権与党を皮肉るような記載もあった。 岸田首相に対して「目の前で困っているのは血の通った人間で、この国に生きる大切な宝だ。総理の被災地訪問の見合わせに対して、現場を直接見て、被災者の声を聞いて、しっかり取り組むと約束をして欲しい、との声が多かった。心配するな。国がちゃんとやる、と能登半島で約束をして、不安の中にいる能登の人々を安心させていただきたい」と提案。被災地の実態を自身で確認して、不安を払拭(ふっしょく)させる対応を取るよう、強く求めた。 投稿は「以下、総理(@kishida230)県知事(@hase3655)に提案する。特に県知事には政府に強く要求いただきたい」と、岸田首相と馳浩県知事のXアカウントを記した上で書き出されていた。「大幅増員のプッシュ型支援」「ニーズを聞きとるではなく、支援メニューを示せ」「いつまでに出来るかの見通しを示せ」「最悪の事態を想定しているか」など、複数のテーマに沿って実態報告と提案を記した。 |
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●G7の主要国が指導力を失い、G20も機能しなくなった『Gゼロ状態』 1/8 なぜ世界で“リーダー不在”が広がっているのか 裏金問題などで国民の不支持は高まり、足元が揺らぐ岸田政権。しかし世界を見渡すと、アメリカ・バイデン政権やイギリス・スナク政権の支持率は低迷しており、G7の首脳たちも政権維持に汲々としている。 「確たるイデオロギーに基づいて国を司り、国際的なリーダーシップを発揮できる為政者は見当たらない」と指摘するのは経営コンサルタントの大前研一氏。いま、なぜ世界で“リーダー不在”が広がっているのか? 大前氏が解説する。 2024年の世界と日本はどうなるか? 残念ながら明るい展望は開けない。その理由は、リーダーシップのある指導者が世界にも日本にもいないことだ。 日本では、前号で指摘したように、岸田文雄首相が経済愚策を連発して内閣支持率が20%前後に落ち込んでいるにもかかわらず、それに代わる新リーダーは見当たらない。自民党の政治資金パーティー裏金問題もあって“日本丸”は羅針盤を失い、どこに向かっているのかわからない状況だ。 世界を見渡しても有力なリーダーはいない。 2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻に加え、2023年はイスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの間でも戦闘が起きた。しかし、これを誰も止めることができない。国連は機能不全で存在意義がなくなっている。 従来なら“世界の警察官”を自任してきたアメリカがリーダーシップを発揮すべきである。ロシアのプーチン大統領の暴走にストップをかけ、ウクライナのゼレンスキー大統領を交渉のテーブルにつかせられるのはアメリカだけだろうが、実際は“武器商人”と化して火に油を注ぐだけだ。 イスラエル・パレスチナ問題も、1993年に当時のクリントン大統領の仲介によって、イスラエルのラビン首相とパレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長との間でパレスチナが国家を樹立してイスラエルとの「2国家共存」を目指す「オスロ合意」が成立したのだから、アメリカはイスラエルにパレスチナ国家の樹立を支援するよう求めて共存を実現しなければならない。しかし、どちらの戦争解決も、バイデン大統領の指導力では不可能だ。 国連も1947年に「2国家共存」を決議していながら、何も決められないでいる。パレスチナ自治区の紛争地域に国連軍を派遣するなど、やるべきことはたくさんあるはずだ。 ●ネット言論の拡大が影響? いま世界は、アメリカの政治学者イアン・ブレマーが2011年に指摘した「Gゼロ」(G7の主要国が指導力を失い、G20も機能しなくなった国際社会)の状態が、ますます加速して混迷を深めている。 G7の首脳は岸田首相とバイデン大統領だけでなく、イギリスのスナク首相もドイツのショルツ首相もフランスのマクロン大統領も指導力のない小粒なリーダーで、政権維持に汲々としており、いずれも“次”はなさそうだ。むしろプーチン、習近平、北朝鮮の金正恩のような国際秩序を攪乱する独裁者がいるだけに、「Gゼロ」どころか「Gマイナス」とも呼ぶべき状態になっている。 なぜ、このような“リーダー不在”が世界的に広がっているのか? その疑問を解消する明確な理由はわからないが、もし大きな原因があるとすれば、ネットやSNSの影響だろう。 ネットメディアやSNSの発達に伴い、既存のマスメディアとは異なる言論・情報空間が拡大して世界中で人々は賢くなっているが、その人たちの不満や怒りを集約化して受け皿になれるだけの政治家や政党はどこの国にも存在しない。 また、情報の拡散・共有が容易になったため、人々はネットメディアやSNSに自分の意見を投稿することでストレスを発散し、その空間の中で早々と不満や怒りを収めるという“熱しやすく冷めやすい”状況になっている。まさに「人の噂も75日」だ。このため、人々の関心は短期間で次の問題に移るようになり、そのスピードに政治は全く対応できていない。 さらに、世界は情報だけでなく、ライフスタイルも共通化している。たとえば富裕層の人たちは、欧米諸国であれアジア諸国であれ、自分たちの生活を妨害されない限り、政治には「我関せず」だ。 だから、どこの国でも政治家は選挙対策で人口の大多数を占める中間所得層以下の人々を対象にしたバラ撒き政策ばかり打ち出しているわけだが、それは結局、右傾化と財務の悪化を伴うポピュリズム(大衆迎合主義)でしかない。 1989年の冷戦終結後は「イデオロギーの終焉」と言われたが、いまや世界のどこにも確たるイデオロギーに基づいて国を司り、国際的なリーダーシップを発揮できる為政者はいない。だから「Gゼロ」が加速しているわけで、それは今後も続くだろう。したがって我々は当面、自分たちの生活防衛に徹しなければならない、ということになる。 |
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●「派閥とカネ」問題で問われる自浄能力 指導力の発揮が試される岸田首相 1/8
「防衛力の抜本的強化」や「次元の異なる少子化対策」など国家的な課題が山積する中、またしても「政治とカネ」「派閥とカネ」の問題が自民党を揺るがしている。国民の政治不信は頂点に達し、岸田政権の政治運営に赤信号が灯る。かといって野党に対する国民の失望も重なる。2024年はグローバル世界も先行き不透明で、企業や国民も必死に生き抜かねばならないときだけに、政治への怒りは強い。 ●「裏金」疑惑が直撃 自民党内に衝撃が走っている。党内の各派閥が例年開催している政治資金を集めるパーティーを巡り、収入を政治資金収支報告書に適切に記載していなかったとして、大学教授が告発したのだ。 政治資金規正法は政治活動が国民の不断の監視の下に行われるようにするため、政治資金に関する収支の公開と授受の規正を定めている。パーティー券については20万円を超えて購入した購入者・団体の名前や金額を収支報告書に記載しないといけない。 告発は購入者が支出を報告しているのに派閥側には収入の記載がないケースがあったとしている。2018年から21年までの収支報告書で総額約4000万円にのぼるとされる。 その内訳は、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)が約1900万円だったほか、志帥会(二階派)約900万円▽平成研究会(茂木派)約600万円▽志公会(麻生派)約400万円▽宏池会(岸田派)約200万円─という。不適切な記載が常態化していたと受け止められても仕方ない。 自民党幹事長の茂木敏充はこうした状況を受け、それぞれの派閥の責任者に対し「収支報告書を適切に訂正すること。そして必要があれば説明し、再発防止に努めるように」と指示した。各派閥は相次いで報告書を訂正するなどの対応に追われた。 だが、それだけでは終わらなかった。安倍派が所属議員に課したパーティー券の販売ノルマを超えた分の収入を議員側にキックバックしていた疑惑が浮上した。収支報告書に記載されない「裏金」とされる。総額は約1億円に達するとみられ、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)容疑で調べているという。 自民党総裁で首相の岸田文雄は12月4日の党役員会で「政策グループ(派閥)の活動について、国民に疑念が持たれるとすれば遺憾であり、状況を把握しながら党としても対応を考えていく」と発言。茂木も役員会後の記者会見で「概要が把握できて問題点も明らかになってくれば、党として対応し、再発防止を図る取り組みを進めたい」と語った。 ●分裂する野党 自民党総務会長で近未来政治研究会(森山派)会長の森山裕は11月30日、岸田、茂木、副総裁の麻生太郎らと党本部で会談した後、派閥会合でこう語っていた。 「今後も色々な動きが続くと思う。今は自民党、岸田政権にとって極めて大事な時だ。一致団結して政権をしっかり支え、自民党の将来を間違いのない方向に持っていくことが大事だ」 岸田政権は物価高への対応で後手を踏み、政権浮揚の「切り札」として打ち出した所得税・住民税の定額減税も空振りに終わった。さらに、3人の副大臣・政務官の「辞任ドミノ」も起きた。森山の言葉通り、今度は「政治とカネ」の問題が自民党を直撃した。岸田にとって「弱り目に祟り目だ。政権運営に大きな痛手だ」(党中堅)といえる。 野党にとっては格好の「敵失」といえる。それにもかかわらず、岸田政権を厳しく追及し、追い込むだけの勢いはみられない。逆に野党間の足並みの乱れが露呈した。 立憲民主党などの野党は23年度補正予算案の国会審議で、自民党各派閥のパーティー券問題を巡り「毎年毎年、一定額が不記載になっている。組織的継続的と言わずして何と言うのか」などとただした。 それに対し、岸田は「報告を受けている範囲で『裏金』はなかった」といった答弁を繰り返し、議論が深まることはなかった。野党側の決定打を欠く、追及の甘さがあったといえる。 その結果、審議は混乱もなく淡々と進み、物価高対策を柱とした総額13兆円超の23年度補正予算は11月29日に成立した。採決では立憲民主党や共産党は反対したものの、日本維新の会と国民民主党は賛成に回り、野党が一枚岩でないことが鮮明になった。 日本維新の会は熱心に取り組む25年大阪・関西万博の会場建設費の一部が補正予算に盛り込まれていることから最終的に賛成に回った。国民民主党はガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除を与党と協議することを取り付けたためだった。 立憲民主党代表の泉健太は補正予算成立を受けて「万博、トリガーという弱みを握られて、予算に対し明確な意思表示ができなかった。大変残念だ」と語り、日本維新の会と国民民主党を牽制した。 さらに、岸田政権と対峙すべき野党勢力の溝が浮き彫りになる中で、国民民主党代表代行の前原誠司が党の方針に反発して離党届を提出した。そして、新党「教育無償化を実現する会」を結成することを表明。「非自民・非共産」勢力を結集させ、政権交代につなげる考えを明らかにした。 しかし、「前原新党」は同じ教育無償化を訴えてきた日本維新の会への合流を見据えた動きとされている。実際、前原は日本維新の会と事前に協議を重ねていたという。 国民民主党幹部は「仲間よりも他党と相談する。信念のない自分の就職活動だ」と批判した。今後、代表の玉木雄一郎らが自民党との連携を加速させるきっかけになりかねず、「前原新党は野党再編の起爆剤にはなりえない」との見方が支配的になっている。 野党勢力が分裂し、小政党化してしまっては、自民党との対立軸はぼやけてしまう。再結集が実現しなければ、政権交代などは絵に描いた餅に過ぎない。自民党が立ちすくむ中で永田町全体に閉塞感が漂っており、国民の政治不信が強まっていくことになる。 ●法改正の検討を 岸田はこれまで「政治の責任を果たすべく具体的な課題に向けて一つひとつ結果を出す」「先送りできない課題に臆することなくしっかり判断し、結果を出していく」などと訴えてきた。 岸田にとって、パーティー券問題が直撃した最大派閥・安倍派の影響力が弱まれば自分のやりたい政策を進めやすくなるだろう─。そんな見方も出ている。 だが、そう簡単ではない。多くの安倍派幹部が政権の主要ポストに就いているだけでなく、パーティー券問題が派閥単位の問題で収まらず、「党の体質だ」と冷ややかな視線がそそがれるからだ。 内閣支持率が過去最低にまで落ち込み、政権運営の「危険水域」とされる水準になっている一方で、自民党の支持率は比較的高い水準で推移してきた。それだけに、政党支持率まで急落することになれば、党総裁としての岸田の責任が問われることは必至だ。「遺憾だ」などと派閥任せの対応は許されない。 岸田は11月に入って、憲法改正や安定的な皇位継承など自民党を支える保守層が関心を寄せる課題に率先して取り組む姿勢をアピールしてきた。 臨時国会の答弁では、目標に掲げてきた「党総裁任期中の憲法改正実現」について、24年9月末の今任期中のことだと明言し、改憲論議を前進させる決意を打ち出した。政党支持率を意識して保守層をつなぎ留める狙いだとされる。 とはいえ、国民の支持を追い風にしなければ、「防衛力の抜本的強化」や「次元の異なる少子化対策」といった看板政策の遂行や、「デジタル行財政改革」などの大胆な改革断行はできない。特に国民投票で過半数の賛成が必要になる憲法改正は、そこに突き進むだけの「体力」と、国民の理解を得るための「信頼」は不可欠となる。 何度となく繰り返される「政治とカネ」の問題は、さかのぼれば自民党が下野し、「55年体制」が崩壊した1993年以前からあった。当時は選挙制度の変更や政党交付金の導入などの「平成の政治改革」につながった。 約30年が経ち、またしても「政治とカネ」「派閥とカネ」の問題の波紋が大きく広がった。与党内からは「抜け穴の多い政治資金規正法違反の罰則の強化をすべきだ」などの声が上がる。森山も5日の記者会見で「(政治資金規正法は)国民の皆さんに理解されるものでなければならない。その視点からの議論が必要だ」と述べ、法改正の可能性に言及した。 もっとも野党側にも危機感が募る。「自民党だけの問題ではない。政治不信の最たるものだ。政治家1人ひとりが真剣に考えないといけない」といった受け止めも広がる。 ●信なくば立たず 岸田は12月7日、首相官邸で記者団にこう語った。 「総理総裁の任にあるうちは派閥を離れるのが適切な対応であると考えた。私自身が先頭に立って、政治の信頼回復に向けて努力したい」 派閥パーティー開催を当面自粛することや、忘年会や新年会といった派閥の行事を自粛することを決めている。さらに、自身が率いる岸田派を離脱することで、中立的な立場で指導力を発揮しようと考えたようだ。 野党側は「自民党は徹底調査し、事実を明らかにしなければならない」(立憲民主党代表の泉健太)、「首相は自民党総裁でもある。責任は極めて重大」(共産党書記局長の小池晃)などと引き続き追及する構えだ。 だが、疑惑の徹底解明のためには、自民党との対立軸を明確に示すことができる強力な野党勢力の結束が必要となる。しかも、パーティー券問題が野党側に飛び火する可能性も否定できず、そうなれば国民の政治不信はピークに達する。 岸田は就任以来、最大の正念場を迎えている。国民の政治不信を払拭するため強力なリーダーシップを発揮すべきときといえる。 野党側は「自民党は徹底調査し、事実を明らかにしなければならない」(立憲民主党代表、泉健太)、「首相は自民党総裁でもある。責任は極めて重大」(共産党書記局長の小池晃)などと引き続き追及する構えだが、徹底解明のためには、自民党との対立軸を明確に示すことができる強力な野党勢力の結束が必要となる。 与野党とも、それができなければ、政治の自浄能力が発揮されず、永田町の閉塞感はますます強まることになる。 |
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●物価上昇を上回る賃上げ実現へ “実感伴う成果を” 岸田首相 1/8
物価の上昇を上回る賃上げの実現に向け、岸田総理大臣は2024年、中小企業や国民の減税措置などの政策を集中的に進める方針で、国民の実感を伴う成果につなげたい考えです。 岸田政権が賃上げを最優先課題に位置づける中、連合の調査では、2023年の春闘での賃上げ率は平均で3.58%と、およそ30年ぶりの高水準となったものの、物価高騰を背景に実質賃金は依然、マイナスの状況が続いています。 岸田総理大臣は、2024年に物価の上昇を上回る賃上げを実現させたいとして ・春闘にかけて経済界への働きかけを強めるとともに ・従業員の給与を引き上げた中小企業の法人税を減税する「賃上げ税制」を拡充します。 また ・住民税の非課税世帯に7万円を給付するほか ・6月以降は所得税などの定額減税を行うなど 政策を集中的に進める方針です。 政府は、減税などの一連の政策効果を加えた来年度の所得の伸びは物価上昇率を上回るプラス3.8%になると試算しています。 岸田総理大臣は先月下旬、経済界の関係者を前に「改革努力が花開こうとしている。新たなステージのドアを開けられるよう政策を総動員していく」と述べていて、国民の実感を伴う成果につなげられるかが焦点となります。 |
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●岸田首相 「解散は信頼回復後に考えたい」発言にあふれる絶望… 1/8
1月7日、岸田文雄首相は、『日曜討論』(NHK)に出演。政治とカネをめぐる問題について「率直にお詫びを申し上げなければならない。私自身が先頭に立って信頼回復に努めなければならない」と謝罪した。 また、衆院解散の時期について、「まずは信頼回復、次は政策の実現。いまはそれに尽きる」とする一方、「それをおこなった上でその先について考えていきたい」と語った。岸田首相の発言は、前日の6日に収録された。 「岸田首相は1月4日の年頭会見で、『政治刷新本部』を自民党内に立ち上げると表明しましたが、派閥について『政策集団』という表現で通し、『政策集団というのは、政策を研鑽し、若手を育成することを目的としていたはず』と語るなど、政治資金パーティーの禁止や派閥の解消には後ろ向きです。 1月7日、安倍派所属の衆院議員、池田佳隆容疑者の逮捕を受け、囲み会見に応じた岸田首相は、『大変遺憾なことであり、重く受け止めている』と語る一方、記者団から議員辞職を求めるかどうか問われると『とりあえず除名方針を確定した』と述べるにとどめています」(政治担当記者) 前兵庫県明石市長の泉房穂氏は1月7日、自身の「X」にこう書きこんだ。 《素朴な疑問だが、「大変“遺憾”」とのことだが、何が“遺憾”なんだろう。裏金を受け取っていたことが“遺憾”なら、金額の多い少ないにかかわらず、安倍派の90人に対しても、処分をすべきではないのだろうか。“トカゲのしっぽ切り”って言葉が思わず浮かんできてしまう・・・》 「岸田首相は1月4日の年頭会見後、『BSフジLIVE プライムニュース』に生出演し、ときおり笑顔を見せながら9月の総裁選の抱負を語りました。元旦に能登半島が地震に襲われ、救援もままならない状況で、『なぜいま生放送に出るのか』と大きな批判を集めました。 さらに翌5日には、経済3団体、連合、時事通信社の主催でおこなわれた3つの新年会に連続で出席。こちらも、地震で『非常事態宣言』が出るなかでふさわしい行動なのか、疑問の声が出ました。 1月6・7日、JNNが実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は前月から1.8ポイント下落し、27.1%と過去最低を更新。岸田首相が立ち上げる『政治刷新本部』に『期待しない』が59%。自民党の派閥を今後どうすべきかについては、『解体すべき』が52%にのぼっており、信頼回復は遠い道のりとなっています」(同) 岸田首相が「解散は信頼回復後に考えたい」と発言したことに、SNSでは《信頼回復は無理でしょう》と、絶望感が広がっている。 《【悲報】信頼回復しないと「解散」しない!? まさに生き地獄》 《「解散は信頼回復後に考えたい」って、裏金事件で捕まったらサッサと除名処分にしてトカゲの尻尾切りする奴らに信頼回復出来るとでも思ってんのか!》 《岸田政権が続く限り信頼回復は到底無理でしょう。つまり衆院議員の任期が終わる2025年の秋まで解散しないつもりでしょうか?たとえ内閣支持率が一桁に下落しても?》 支持率下落で解散を打てない岸田首相と、「岸田下ろし」にも動けない自民党。そんな状況がこのまま続くとなれば、SNSで絶望があふれるのも当然だろう。 |
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●世界競争力ランキング2023で過去最低となった日本 1/8
世界の主要な64カ国・地域を対象に「経済実績」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4項目を評価する指標をもとに発表される、世界競争力ランキングで2023年、日本は過去最低となる35位となった。なぜそこまで日本の競争力は落ちてしまったのか。 ●日本は64カ国中35位 IMD(国際経営開発研究所)が、世界64カ国を対象にした2023年の「世界競争力ランキング」を6月に発表した。日本は、昨年より1つ順位を下げ、過去最低の世界第35位になった。 ところが、このニュースはあまり話題になっていない。日本の地位が低いことには、もうニュースバリューがなくなってしまったのだろうか? もちろん、これは日本人にとって愉快なニュースではない。知らないで済ませられるならばそうしたいと、日本人であれば誰もが考えるだろう。しかし、だからといって、このニュースに耳をふさいではならない。 ●アジア太平洋地域で日本より下位の国は、インド、フィリピン、モンゴルのみ アジア太平洋地域での日本の競争力の凋落ぶりには、驚くばかりだ。ここでの日本の順位は、14カ国・地域中で第11位だ。 第1位は、シンガポール(世界第4位)。続いて、第2位が台湾(世界第6位)、第3位が香港(世界第7位)だ。そして、中国は第5位(世界第21位)、韓国は第7位(世界第28位)だ。 日本より上位にはほかに、マレーシア、タイ、インドネシアなどが並ぶ。日本より下位は、インド、フィリピン、モンゴルだけなのである! 1989年の第1回のランキングでは、日本は世界第1位だった。その後、低下はしたものの、96年までは5位以内を保っていた。しかし以降順位を下げ、2023年には過去最低の順位となったのだ。 ●「政府の効率性」と「ビジネスの効率性」が低い このランキングは、ここまで見てきた総合指標以外に、次の4つの指標で評価が行われている。 「経済状況(国内経済、雇用動向、物価などのマクロ経済評価)」では、日本は世界第26位だ(前年は第20位)。 「政府の効率性(政府の政策が競争力に寄与している度合い)」は、2010年以降、第40位前後と低迷しているが、23年は第42位にまで低下した(前年は第39位)。 「インフラ(基礎的、技術的、科学的、人的資源が企業ニーズを満たしている度合い)」では、第23位(前年は第22位)だった。 「ビジネスの効率性」は、昨年の第51位から第47位に上昇したが、低い順位であることに変わりはない。 このことから、「政府の政策が適切でないためにビジネスの効率性が低下する。その結果、全体としての競争力が低下する」という状況に、日本が落ち込んでしまっていることが分かる。 ●政府の能力の低下が浮き彫りに 政府の政策が適切でなく、非効率的であることは、さまざまな面で指摘される。 マイナンバーカードをめぐる迷走ぶりを見ると、いまの日本政府は基本的なことが実行できていないことがよく分かる。今後、マイナ保険証に関してさらに大きな混乱が発生することが懸念される。 デジタル化が経済の効率化のために必要なことは明らかだ。しかし、それを実現するための基本的な制度を日本政府は整備することができていないのだ。 マイナ保険証のような技術的問題だけではない。政治的な政策判断の問題もある。少子化対策のように効果が疑わしい政策に多額の資金を投入しようとしている。しかも、そのための財源措置を行っていない。防衛費も増額するが、財源の手当てがされていない。 日本政府は迷走しているとしか言いようがない。 そして、このような無責任な政府に対して、野党が有効なチェック機能を果たしていない。日本の野党勢力は、2009年に政権を取って政権担当能力がないことを露呈してしまった。その後は批判勢力としてさえも機能していない。民主主義国家で、野党がこれだけ弱い国は、世界でも珍しい状況ではないだろうか? ●どうしようもないことだと諦めてはいけない 我々の世代は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界から称賛された時代を経験した。そのため、日本がインドネシアやマレーシアに抜かれてしまったと聞けば、異常事態だと捉える。そして、早急に対処が必要だと考える。 しかし、いまの日本では、諦めムードが一般化してしまったようだ。本章の最初に述べたように、「世界競争力ランキング2023」のニュースは日本ではほとんど話題にならなかった。しかし、実はこれこそが、最も危険なことだ。 なぜなら、少子化対策を行っても、そして、それが仮に効果を発揮して出生率が上昇したとしても、日本の人口高齢化は、間違いなく進行するからである。 それによって、経済の効率性は低下せざるを得ない。その厳しい条件下で人々の雇用と生活を支え、社会保障制度を維持していくためには、生産性を引き上げ、日本の競争力を増強することがどうしても必要だ。したがって、決して諦めてはならない。いまの状況は当たり前のことではなく、何とかして克服しなければならないのだ。 実際、一度は衰退したにもかかわらず復活した国の例は、現代にもいくらでもある。その典型がアイルランドだ。アイルランドは製造業への転換に立ち後れ、1970年代頃までヨーロッパで最も貧しい国の一つだった。しかし、IT化に成功して、90年代以降、奇跡的な経済成長を実現した。2023年の世界競争力ランキングで、同国は世界第2位だ。 ●日本人の基礎学力は世界のトップクラス 日本人の能力がわずか30年間でこれほど急激に落ちてしまったはずはない。実際に、OECD(経済協力開発機構)が行っているPISAという小中学生を対象にした学力テストの結果を見ると、これが分かる。 直近の2018年調査では、数学的リテラシーは世界第6位、科学的リテラシーは第5位だった。読解力は前回から下がったものの、OECD平均得点を大きく上回っている。このように、日本人の基礎的な学力は、依然として世界トップクラスなのである。 日本人は、このように高い潜在的能力を持ちながら、それを発揮できない経済・社会環境に置かれてしまっているのだ。 言い換えれば、かつて強かった日本が凋落した原因は、1990年代の中頃以降に取られた政策の誤りにある。 1990年代の中頃以降、政策面で何が起きたかは明らかだ。円安政策を進めたのである。これによって、企業のイノベーション意欲が減退した。 企業がイノベーションの努力を怠ったために、日本人が能力を発揮する機会を失ってしまった。これこそが、日本経済衰退の基本的なメカニズムだ。 この意味で、いまの日本経済の状態は異常なのである。そして、政策のいかんによって変えられるものなのだ。 |
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●「日本でMMTをやってもいいことは起きない」「アメリカではすでに失敗」 1/8
賃金は上がらないのに物価高が止まらない。経済学者の野口悠紀雄氏いわく、日本の円安・物価高は世界的な情勢の影響を受けているからだという。だがそれに対しての有効な策を日本政府が打てていないことも事実だという。 ●補正予算で国債発行額が増加するパターンが定着 2022年度第2次補正予算案における一般会計の追加歳出は28.9兆円。この約8割に当たる22.9兆円は国債の増発で賄う。つまり、財政支出の大部分は国債発行で賄われるわけだ。 新型コロナウイルスの感染拡大に対処するため、さまざまな財政措置がなされた。その結果、補正予算で巨額の国債発行を行うというパターンが定着してしまったように見える。 財務省「国債発行計画」によると、2020年度当初予算における国債発行額は32.6兆円だったが、第2次補正後で90.2兆円、第3次補正後には112.6兆円となった*1。100兆円超えは、初めてのことだ。 2021年度では、当初予算で43.6兆円。それが補正予算で22兆円増加され、65.7兆円となった。 こうした財政運営がなされた結果、国債残高は増加している。財務省の資料によると、普通国債*2の残高は、2015年度末には805兆円だったが、2020年度末には947兆円となった。2022年度末には、今回の追加で1042兆円になる。 こうした急激な国債残高増が深刻な問題を起こすことにはならないかと、誰でも心配になるだろう。 *1 財務省の国債発行予定額では、新規国債のほか、借換債を含めた国債発行額も示されている。本稿の「国債発行額」は、新規国債発行額を指す。 *2 建設国債や赤字国債など。財投債を含まない。 ●MMTは国債で財政支出をいくらでも賄えるというが…… MMT(Modern Monetary Theory:現代貨幣理論)という考えがある。 これは、「政府が国債発行によって財源を調達しても、自国通貨建てであればインフレにならない限り、問題ではない」という主張だ。ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授などによって提唱された。 国債の市中消化を続ければ、国債発行額が増加するにつれ金利が上昇する。そして、国債発行には自然とブレーキがかかってしまう。 これを避けるためには、中央銀行が国債を買い上げる必要がある。すると今度は、貨幣供給量が増加し、物価が上昇して、ついにはインフレになる。 MMTの理論は、「いくら国債を発行してもインフレにならない」と主張しているのではない。「インフレにならない限りいくら国債を発行してもよい」と言っているのだ。つまり、最も重要な問題をはぐらかしているのである。 ●MMTは実際にインフレを引き起こした いまのアメリカの状況を見ていると、多くの人がMMTに対して抱いていた危惧が、まさにそのとおりの形で現実に生じてしまったことが分かる。 新型コロナウイルスに対応するため財政支出を拡大したのは、日本に限ったことではない。アメリカでも大規模な財政支出拡大策が取られた。そして、大量の国債発行を容易にするために、金融緩和に踏み切ったのである。つまり、財政拡大と金融緩和を同時に、しかも大規模に行った。まさに、MMTが推奨する政策が実現したのである。 そのために、コロナからの回復が見通せる段階になって経済活動が復活すると、賃金が上昇し、それが引き金となってインフレを引き起こしてしまったのだ。 もちろん、現在のインフレは、これだけが原因ではない。2022年の2月以降、ロシアのウクライナ侵攻によって資源や農産物が値上がりしたことも、大きな原因だ。これによって、昨年の秋以降進行していた物価上昇が加速することになった。 ●日本ではインフレが起きなかった それに対して、日本では2022年までは、ホームメイド・インフレは起きなかった。 日本でもこの数年間で財政支出が拡大した。そして同時に、金融緩和政策も継続されている。それにもかかわらずインフレが起きなかったのはなぜか? もちろん、いま日本では物価が上がっている。ただし、少なくとも2022年までについては、国内の要因によって起きたものではない。第1には、アメリカのインフレのため、第2にはウクライナ戦争で資源価格が高騰したためだ。その結果、輸入物価が上がったからだ。つまり、日本で生じた物価上昇は、輸入されたインフレであって、直接の原因は、海外にある。 日本で大量の国債発行がインフレにつながらなかった理由は2つ考えられる。 第1は、財政支出が需要を増大させなかったことだ。コロナ対策で最大のものは定額給付金だったが、これは消費支出を増やさず、貯金を増やすだけの結果に終わった。 第2に、日本企業の生産性が向上しない状況が続いているため、拡大策を行っても賃金が上昇せず、需要が拡大しなかったことがある。 ●日本でMMTをやってよいことにはならない 日本でホームメイド・インフレが起きなかったからといって、MMTをやっていいということにはならない。 大量の国債発行を可能にするために、日本では、長期国債を大量に購入し続けているだけでなく、長期金利を人為的に抑えている。その結果、アメリカの金利引き上げによって、日米の金利差が著しく拡大した。このため、アメリカのインフレが日本に輸入されることになったのである。この意味において、国債の大量発行がインフレの原因になっていると考えることができる。 金利抑制策の悪影響は、それだけではない。長期金利は、経済の最も重要な価格の一つだ。これが抑圧されているために、金利が経済の実態を表さなくなり、その結果、資源配分が著しく歪められている。 財政規律がなくなってしまったのが、最大の問題だ。その結果、効果の疑わしい(その反面、公平性の観点から大きな問題を含む)人気取り補助策が、次々と行われている。 国債発行を増やすという悪循環が生じている。それだけではなく、経済全体の資源配分が歪められている。これは日本経済の長期的なパフォーマンスを劣化させることになるだろう。 |
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●岸田「海外バラマキ」に国民の怒り爆発! 戦略ゼロの外交で失われる未来 1/8
●石炭火力温存でまたも「化石賞」を受賞 もちろん、岸田首相は「COP28」で演説した。そのために、ドバイに出かけたのだから当然だ。しかし、その演説はあまりに陳腐で、「日本の地球温暖化の取り組みはこれだけ進んでいます」ということを“口先”強調しただけだった。 それなのに、日本の多くのメディアは、『石炭火力発電所の新設せず COP28 岸田首相が表明 』(FNN)、『岸田首相 “対策ない石炭火力発電所の新規建設せず” COP28』(NHK)と、いかにも日本の取り組みが進展したかのように伝えた。 しかし、これは報道のトリックと言っていい。 岸田演説をちゃんと聞けば、日本は石炭火力発電所建設を止めるなどとは言っていない。止めるのはNHK報道にあるように「対策ない石炭火力発電所」だけであって、対策を施した(CO2排出の効率が低いとされる)発電所は建設するのだ。 世界の流れが、石炭火力の廃止に向かうなかで、日本は削減だけにとどめたため、今年のG7広島サミットでも各国から批判された。それなのに、今回もまた石炭火力温存を表明したのだ。 原発再稼働がままならず、再エネ転換も思うように進まないなか、エネルギー供給から見て石炭火力を温存しなければならない事情があるのはわかる。しかし、それでもなお「いずれ廃止する」と宣言しなければならない。 この毎回変わらない日本の態度に、環境NCO「CAN」はまたしても日本を「化石賞」に選出した。ただし、今回は、日本のほかに、ニュージーランドとアメリカも選ばれた。 ●ロス&ダメージ資金提供をケチるせこさ なぜ、アメリカまで「化石賞」に選ばれたのか? それは、今回のCOP28の大きなテーマである「ロス&ダメージ」のファンドの設立・運営に関して、拠出金があまりにも低くすぎたからだ。 まず、議長国であるUAEは1億ドル(約150億円)、ドイツも同額の拠出を約束した。英国は6000万ポンド(約112億円)を表明した。ところが、アメリカは1750万ドルにすぎなかったのである。 そして日本は?というと、なんと1000万ドル(約15億円)である。 すでに、岸田首相は総理就任直後に出席した2021年11月のCOP26で、途上国への気候変動対策支援に、今後5年間で最大100億ドル(約1兆5000億円)を拠出すると表明している。今回の1000万ドルがその一部なのかはわからない。しかし、もしそうなら、今回の額はあまりに低すぎる。 温暖化対策は、なによりも優先しなければならない、人類社会最大の課題だ。それが、エジブトやヨルダンのような2国間援助より低くていいわけがない。 ●首相就任以来、安倍政権時以上にバラマキ 岸田外交は、安倍バラマキ外交の踏襲である。それもそのはず、安倍政権時代に外相をしていたのだから、そうなって当然だ。しかも、安倍政権時代より、派手にバラまいているのだから呆れるしかない。 そのバラマキに戦略はなく、ただ世界にいい顔をしただけとしか思えない。 これまでの外交履歴からバラマキ状況を見て行くと、国内がコロナ禍に喘いでいるというのに、2021年の総理就任直後から海外向け援助が急増している。前記したCOP26での途上国援助のほかに、2021年10月13日にアフガニスタンに2億ドル(約300億円)の支援、2021年12月7日には途上国に向けに今後3年で28億ドル(約4200億円)以上の支援を表明している。 そして2022年、2023年と海外バラマキは度を越している。とくに、ウクライナ戦争が起こったことで、ウクライナに対していきなり55億ドル(8250億円)援助を皮切りに総額76億ドル(1兆1400億円)をこれまでつぎ込んできた。 |
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●自民・麻生氏「信頼回復し政権担う」 1/8
自民党の麻生太郎副総裁は8日、福岡県直方市で講演し、派閥の政治資金問題を受けて党内に設置される政治刷新本部(仮称)の顧問に就任すると説明し、「皆さん方の信頼をきちんと回復して、引き続き政権党を担っていく」と強調した。「派閥の話であるとはいえ、党の中で起きた話でもある」と述べ、党として再発防止に取り組む考えを示した。 麻生氏は台湾海峡を巡る緊張が高まっているとも指摘。「戦争になった場合、台湾にいる日本人を救出せねばならない。それなりのしかるべき準備をしておかなければならない」と指摘した。 |
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●上川外相「ウクライナに53億円」で比較される「能登地震支援47億円」 疑問 1/8
ウクライナを訪問中の上川陽子外務大臣が、首都・キーウで同国のクレバ外相と会談。NATO(北大西洋条約機構)の基金に日本円で約53億円を新たに拠出し、ウクライナに対無人航空機検知システムなどを供与することを発表した。さらに、ゼレンスキー大統領を表敬した際は「今後も、ウクライナとともにあるという日本の立場は決して揺るがない」と伝えた。 1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」に対し、政府が支出した金額は約47億円。SNSでは、この金額とウクライナ支援の金額を比較する意見があがっている。 《石川の被災地にはたった47億。なぜ同じ日本国内に生きる被災者の方々に対してそんなに冷たい対応ができるんだ‥》 《まだ日本国民の税金から出すの? 自国民への支援を優先しない日本政府は本当にどうなっている》 《今はウクライナに支援してる場合じゃないと思うんだけど。自国の方が大事でしょ?》 その多くは、「まずは自国の災害支援に取り組むべきでは」という、疑問の声だ。 「47億4000万円は初期の支出で、今後も支援は積み増していきます。しかし、政府の説明があまりにも下手なので、『47億円』という金額だけが一人歩きしてしまった印象があります。 それに、1月6日に岸田文雄首相が支出を了承しながら、正式決定するのは1月9日の閣議。あまりにのんびりしすぎと指摘されています。被災者を安心させるためにも、早い決断と実行が必要なのですが、岸田文雄政権はそれがまったくできていません」(政治担当記者) これまでも岸田政権は、「ばらまきメガネ」と揶揄されるほど、海外への支援や援助を続けてきた。2023年はおもなものだけで、2月にはフィリピンに年間2000億円を超えるインフラや情報通信網整備資金の支援を表明、3月には、「グローバルサウス」と呼ばれるアジアやアフリカなどの新興国・途上国に、インフラ整備のため2030年までに官民で約11兆円を投じると発表。さらに5月には、ガーナに約735億円、12月にはイスラエルとイスラム組織ハマスの武力衝突で観光業に打撃を受けたエジプトに、最大約338億円の支援を表明した。 「こうしたことを背景に、『海外へばらまく金額で、どれほど被災者が楽になるか』といった国民感情が高まっています」(前出・政治担当記者) 海外支援も大事だが、まずは国内の被災者を安心させてほしい、と考える日本人が多いのも事実だ。 |
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●「データ破壊は自民のお家芸」逮捕された池田議員「証拠隠滅」「ドリル優子」 1/8
自民党の「清和政策研究会」(安倍派)に所属する衆議院議員の池田佳隆容疑者(57)と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)が、2022年までの5年間に政治資金パーティのキックバック4800万円余りを政治資金収支報告書に記載しなかったとして、1月7日、政治資金規正法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。 「当初、自民党内では『逮捕されることはないだろう』という見方がほとんどでしたが、特捜部は身柄を取りました。金額の多さにくわえ、証拠隠滅や関係者との口裏合わせの可能性があったからです。 特捜部は昨年12月に池田議員の関係先を家宅捜索しましたが、その前に池田容疑者はパーティー券の販売先や参加者の名簿、キックバックの金額などを記録した資料の廃棄を秘書に命じていた疑いが出てきました。そのため、逮捕に踏み切りました」(事件担当記者) そして、1月8日、NHKが「記録媒体が破壊」と報じたことを受け、SNSでは「ドリル優子」がトレンドワードになった。 「自民党の小渕優子選挙対策委員長が経産大臣だった2014年、政治資金問題が発覚しました。その際の家宅捜索を前に、事務所にあったパソコンのハードディスクがドリルのようなもので破壊されていたことから、SNSなどで『ドリル優子』というあだ名がつけられました。その後も、ネット上では、なにかにつけ『ドリル優子』の言葉が飛び交います」(同) 今回もそれが蒸し返された格好だ。「X」には、 《証拠隠滅と言うと忘れちゃならない小渕優子氏…かつて、政治資金規正法違反で世間に謝罪会見もしてないのに「誠意を持って説明させて頂いてきた」と説明責任を『もう済んだ事』にしてしまうドリル優子》 《データ破壊は自民党のお家芸! ドリル優子の二番煎じ!》 《データ破壊で証拠隠滅のおそれというのは 自民党の常套手段なのか?》 《『ドリル優子』ならぬ『ドリル池田』ってことですか?》 などと書き込まれ、お祭り状態になった。 「小渕議員にとってみればとんだ飛び火で、『もう、いい加減にしてくれ』という心境かもしれませんが、結局のところ、いまも繰り返し話題になるのは、本人が説明責任を果たしていないことが原因です。今後も、ずっと言われ続けることになるでしょう」(同) 国会議員に「説明責任」は馬の耳に念仏なのだろうか。 |
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●能登半島地震で露呈した原発の「不都合な真実」 1/9
やはり原発はやめるべきだ。能登半島地震を見てそう思った方はどれくらいいるのだろうか。 「あの大地震でも志賀原発は事故を起こさなかった!」「やはり日本の原発は安全だ!」という原発推進論者の声も聞こえてきそうだが、そんな声に騙されてはいけない。 2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きるまで、日本では、「原発は安くて安全でクリーン」だという原発神話が存在した。事故でその神話が一旦崩壊した後、急速に発展する再生可能エネルギーとの比較からも、今では「原発は高い」「原発は汚い」という事実はかなり広く理解されるようになった。 しかし、「原発は危ない」という点については、少し状況が異なる。 福島第一原発の事故で原発の危険性を思い知らされ、「原発はいらない!」と強く思った多くの国民は、事故から12年を経て、あの想像を絶する原発事故の痛みと恐怖を忘れてしまったかのようだ。 原発推進論者が、「原発が動かないから電気料金が上がる」とか、(夏や冬のほんの一時期だけなのだが)「需給が逼迫して停電のリスクがある」とか叫ぶと、いとも簡単に、「それなら原発を動かしてもいいか」という反応を示すようになったのだ。 実は、今回の地震の結果を見るまでもなく、日本の原発は「危ないから」止めるべきだと考える十分な根拠がある。 私は、これを「原発の不都合な真実」と呼んでいる。意外と知らない人が多いのだが、今回の地震と併せて考えていただけば、理解が深まると思うので、この機会に一つだけその話を紹介したい。 「原発の不都合な真実」の中で、もっとも重要なのは、原発の耐震性に関する事実だ。 当たり前の話だが、原発の事故が起きても良いと考える人はほとんどいない。多くの人は、政府が、「世界最高水準の規制基準を満たしています」と言うのを聞いて、「福島の事故を経験しているのだから、さすがに動かして良いという原発は安全なものに決まっている」と信じているようだ。 日本の国土は世界のわずか0.25%しかないのに、2011年〜2020年でみると全世界のマグニチュード6.0以上の地震の17.9%が日本周辺で発生するという、世界で最も危険な地震大国だと言って良いだろう。その日本で世界最高水準の規制に適合していると聞けば、「原発は、ちょっとやそっとの地震ではびくともしない」と誰もが思っているだろう。 しかし、真実は全く違う。日本の原発は地震に極めて弱い。それをわかりやすく説明したのが、関西電力大飯原発を止めたことで有名な樋口英明元福井地裁裁判長だ。 私も樋口氏から直接話を聞いて知ったのだが、日本の原発は、民間のハウスメーカーが販売する耐震住宅よりもはるかに耐震性が低い。たとえば、三井ホーム、住友林業の耐震性は、各々最大約5100ガル(ガルは加速度の単位、大きいほど強い揺れを示す)、約3400ガルに耐える設計になっている。 一方、たとえば、四国電力の伊方原発の耐震基準は650ガル、高浜原発は700ガルと、日本の原発の耐震性は民間住宅の数分の1しかない。北陸電力志賀原発も建設当時は490ガル、その後600ガルに引き上げられ、現在は1000ガルということで安全審査を申請している。なぜ、耐震性が上がっているかというと、さすがに3桁では信用されないということで、いくつかのマイナーな耐震対策を施して耐震性がすごく上がったと説明しているのだ。 日本では2000年から20年までの間に、1000ガル以上の地震が17回、700ガル以上は30回起きていた。つまり、原発の耐震基準を超える地震はごく普通に起きるのである。ちなみに、日本で記録された最大加速度は2008年の岩手・宮城内陸地震の4022ガルである。2番目が2011年の東日本大震災の時の2933ガル。 この事実を知れば、原発の耐震性はこれらよりも強くして欲しいと思う。しかし、日本の原発の耐震基準の大半は1000ガル以下である(詳しくは、樋口氏の著書『私が原発を止めた理由』『南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々』〈いずれも旬報社〉を参照のこと)。 このような事実を知る人が増えれば、そんなに危ない原発が動いていたのかと驚き、今すぐ止めてくれということになるだろう。 今回の能登半島地震の最大加速度は、原発のある石川県志賀町の観測点で、東日本大震災に匹敵する2828ガルだったことがわかった。1000ガル以上も計7地点で確認されている。 だが、たまたま運が良かったのかどうか、あるいは計測に異常があったのかもしれないが、北陸電力の発表を鵜呑みにすると、志賀原発1号機原子炉建屋地下2階で399.3ガルだったということだ(それ以外の観測点でどうだったのかはわからない)。近隣に比べて何故かずいぶん小さな揺れだったということになる。 1000ガルの基準地震動から見れば余裕というところなのだろうが、その割には、かなり深刻な被害が出たのが驚きだ。使用済み燃料プールの水が大量に溢れる、冷却ポンプが一時停止する、複数の変圧器付近で配管の破損による大量の油漏れがあり、その影響で外部電源の一部系統が使用不能になるなどかなりの異常が発生した。これらの結果、放射能が外部に漏れたかどうかが気になるところだが、当初、モニタリングポストでは放射能漏れは観測されていないと発表されて胸を撫で下ろした。だが、なぜか4日になって、原発の北15キロ以上離れたところにあるモニタリングポスト14カ所でデータが確認できていないことが発表された。他のモニターの値が信用できるのか、また、より近くのモニタリングポストで計測不能になっていたらどうなったのかということも不安材料となった。 これらの異常の他に何があったかはまだ明らかにされていない。特に、敷地内で建物や道路に亀裂が入ったり、隆起や陥没があったりしたかなどはすぐにわかりそうなものだが、発表があったのは5日になってから。それも、1号機の原子炉建屋付近や海側エリアなどで最大35センチの段差やコンクリートの沈下などがあったという程度の簡単な情報提供だけだった。道路に段差があれば、消防隊などの活動に支障が生じたりするので実は深刻は事態だが、そのようなことを連想させたくないのだろう。 そして、何よりも気になるのが、北陸電力や政府の情報の出し方である。地震の発生後最初に伝えられた「志賀町で最大震度7」という情報を聞いた私は、真っ先に、これは大変だと思った。志賀町といえば原発だ。それがどうなっているのか、住民はすぐに避難しなくて良いのかということが気になった。しかし、テレビを見ていても、出てくる話は、津波のことばかり。もちろん、それが最も重要な情報であることはわかる。それを繰り返し流すことは必要だ。 しかし、原発の状況についても、万一のことを考えれば、決して後回しで良いという話ではない。ところが、原発の状況について政府が具体的に触れたのは事故から2時間以上経過した後だった。林芳正官房長官が会見で、「現時点で異常なし」と木で鼻を括ったような発言をしたのだ。だが、記者の質問が飛ぶと、突然、変圧器で火災が発生と驚くような話をして、すでに消火と言い添えた。変圧器で火災なら重大事故なのではないかと心配になる。現に、外部電源が一部断たれたわけだから、「異常事態」であるのは疑いようがない(火災については、のちに北陸電力が否定したが、官房長官は訂正せずに放置した。この官房長官発言が原因で、原発で火災という情報が拡散して混乱を生じさせた。ちなみに、北陸電力は、爆発音と焦げ臭いにおいがしたことやスプリンクラーが作動して水浸しになったことは認めたが、それでも火災はなかったと主張している)。 では、原発で火災があったという前提で、「異常なし」と涼しげに語った林氏の意図はどこにあったのか。何か特別の意図があったのではないかとどうしても勘ぐりたくなる。 志賀原発については、元々その敷地内に活断層があるのではないかということがずっと疑われてきた。もし、今回の地震で「異常」があったということになれば、あらためて活断層への疑念が深まる。それがなくても、基準地震動の見直しとそれに基づく対策の実施が求められる可能性も出てくる。コストの問題もありまた再稼働までの時間が延びることも必至なので、それは北陸電力としてはどうしても避けたい。だから、「異常」はなかったと言いたくなる。 むしろ、今回の地震を奇貨として、これほど大きな地震でも「何の問題もなかった」と言えれば、いかに志賀原発が安全かを示していると言えるとさえ計算していたのではないか。そんな疑いをかけたくなる林氏の対応だった。 疑念はこれだけにとどまらない。政府にとって、実はもっと大事なことがある。それは東電柏崎刈羽原発の再稼働だ。 東電は事故後倒産寸前に陥り、福島事故の後始末も自力ではできなかった。このため、政府は巨額の出資で資金を注入し、東電を政府の「子会社」とした。その資金を回収するためには、政府保有の東電株を高く売らなければならない。だが、東電は経営が苦しく株価が低迷している。柏崎刈羽原発が動けば、発電コストが下がり、利益が大幅に増える。その結果株価が上がり、政府も資金回収できるというシナリオを実現するために、何としても原発を動かしたい。 しかし、志賀原発で、耐震性に問題があったとなれば、同じ日本海側の近県に立地する柏崎刈羽にも影響が及ぶ可能性がある。それだけは何としても避けたいというのが東電のみならず、政府の強い願いだ。特に、嶋田隆首相秘書官は、次期東電会長とまで言われた経済産業省の元事務次官でもある。柏崎刈羽再稼働は、官邸にとっても最優先課題となっていた。それに水を差すことなどありえないのだ。 こうした裏の理由により、志賀原発は、何が起きても「異常なし」で通すしかないのである。 能登半島地震で、深刻な原発事故が起きなかったことは不幸中の幸いだった。 しかし、今回の原発での異常事態や周辺地域の壮絶な被害状況を見れば、日本のような地震大国で原発を動かす、いや、保有するだけでもいかに大きなリスクになるのかがはっきりわかる。 3.11から12年経って、事故の記憶が風化し、脱原発どころか、原発新増設にまで踏み込む原発推進策に舵を切ろうとしていた日本にとって、これは天啓ではないのか。これだけのわかりやすい材料を与えられて、なお、金に目が眩んで原発推進の方針を撤回できないことなどありえないと信じたいところだ。 しかし、それは楽観的すぎるのかもしれない。 原発事故の被害を想像する能力を失い、驕りと強欲の塊となった日本が過ちに気づくには、原発事故を待つしかない――それこそが「不都合な真実」ということなのだろうか。 国民は、与えられたこの機会に真剣に考え直して、政府に対して「原発をやめろ」と迫るべきである。 |
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●政治とカネの問題を令和の政治改革へ…岸田首相が推進すべき「アレ」とは 1/9
2024年も「アレは続く」と誓う「A.R.E. GOES ON」を掲げるプロ野球の阪神タイガースが、1985年以来となる日本一を果たした2023年日本シリーズの初戦開始前、ベンチ入り選手の輪の中でベテランの原口文仁選手が 檄 を飛ばした。 「アレのアレへ向けてスタートする。38年前、頂点に立った時、このメンバー、誰一人生まれていない。タイガースの歴史の中で価値ある試合に挑戦できる」 2023年日本シリーズで38年ぶりの日本一を決め、胴上げされる阪神・岡田彰布監督(2023年11月5日) 同じ時間では経験しなかった栄光に挑む若い世代の「声出し」の映像を見ると、30年以上前の政治改革を現職として経験していないとはいえ、自民党を揺るがす「政治とカネ」の問題に若手が大きな声を出さない現状が寂しくなる。 贈収賄での立件が相次いだ1989年のリクルート事件のさなかに、自民党は「政治改革大綱」を制定した。具体化に向けて設けられた政治改革推進本部の長には伊東正義・元外相、代理に後藤田正晴・元官房長官が就いた。長老が「改革の象徴」となって若手を鼓舞したことは、5年後に非自民・非共産の細川護煕政権で政治改革関連4法が成立する布石にもなった。 ボタンの掛け違いもあった。自民党職員として大綱に携わった政治アナリストの伊藤惇夫氏はBS日テレ「深層NEWS」で、「後藤田さんが『政治とカネ』の問題は中選挙区制での自民党候補同士のサービス合戦に起因するから、選挙制度を変えなければと言ってスタートした」と振り返っている。長老の一言で、本来は優先するか並行して進めるべきだった地方分権や政党法の制定が棚上げされ、選挙制度さえ変えれば政治は良くなるとの幻想を生んだ。 改革派を自任した若手、有識者、メディアも幻想に熱狂し、副作用が分かった時は既に熱は冷め、再改革の機運も起きなかった。 自民党派閥のパーティー券問題の焦点である政治資金規正法違反は、実害のない「形式犯」で、贈収賄のような「実質犯」と違う――。かつてはそんな理屈で、規正法違反での立件に「厳し過ぎる」という恨み節も出た。依然、その感覚は自民党に残っている。 「平成の政治改革」を経験した石破茂・元自民党幹事長が「大綱を読み直せ」と訴えるように、大綱には今の問題にも有効な理念や改革メニューが並ぶ。裏を返せば、制定から30年以上、多くの中身が先送りか骨抜きにされてきた。 90年代前半に若手から改革派が次々と出たのは、衆院選が中選挙区制で、党執行部に逆らって公認されなくても当選できたことが大きい。勝者1人の小選挙区は、そうはいかない。「伊東・後藤田」の役割を担う長老も見当たらない。 大綱の制定時には衆院初当選の前で、「平成の政治改革」でも目立たなかった岸田文雄首相が、今のピンチを、ずっと放置されてきた課題解決のチャンスと考えて「令和の政治改革」を進めれば、潮目は変わるかもしれない。「平成の政治改革」の推進者だった新任の渡海紀三朗政調会長の使い方も、カギになる。 ・・・ |
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●国民民主、政権との距離に苦慮 協調路線、裏金事件で目算狂う 1/9
国民民主党が岸田政権との距離に苦慮している。玉木雄一郎代表が「対決より解決」を掲げ、政策実現のため協調してきたが、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、厳しく対峙(たいじ)せざるを得なくなったためだ。対決姿勢を鮮明にすれば、他の野党との違いは分かりにくくなり、埋没するジレンマも抱える。 「極めて深刻だ。国民民主は政策本位と言ってきたが、その前提は政治に対する信頼が確保されていることだ」。玉木氏は7日のNHK番組で、自民党の「政治とカネ」の問題を厳しく批判した。 昨年11月、国民民主はガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除に向けた自民、公明両党との3党協議を再開するため、2023年度補正予算に賛成した。だが、派閥の裏金疑惑で状況が一変。自民に強い逆風が吹く中、立憲民主党が提出した内閣不信任決議案に国民民主も賛同すると、公明は「前提が崩れた」(山口那津男代表)と反発し、いまだ3党の実務者協議は再開していない。 そもそも協調路線は小所帯の国民民主の存在感をアピールするための「奇策」(玉木氏)という側面が大きい。自民内では国民の連立政権入り構想も浮上していたが、立ち消えになった。玉木氏も7日の番組で「連立は選挙協力など乗り越えなければならないハードルがあるので、なかなか難しい」と語った。 玉木氏は今後も「是は是、非は非」として「政治とカネ」の追及とは別に政策協議を進める「二刀流」を目指す。ただ、国民民主内にも「与党側が本気で協議を進める気があるのか」と疑問の声が漏れる。立民、国民両党を支援する連合は、両党の連携強化を再三、促している。 国民幹部は「野党として裏金問題を批判しないわけにはいかないが、政策は与党と話さなければ実現しない。難しい」と頭を抱えた。 |
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●イーロン・マスクとゴジラ、そして創価学会に学ぶこれから日本が目指すべき道 1/9
●実績上げても岸田政権の支持率が上がらない理由 岸田政権の支持率が上がりません。昨年後半からジワジワと支持率を下げ続け、既に各種調査では、いわゆる青木の法則と呼ばれる危険水準(内閣支持率と自民党支持率の合計が50を割る水準)に達してしまっているものも出てきていますが、なかなか上がる要素が見当たらないのが現状です。 そんな中、追い打ちをかけるように、年始に能登半島を大震災が襲い、死者が3桁に達し、まだ増える様相です。羽田空港でも、関連して痛ましい事故が起こりました。海保機の方で尊い5名の命が奪われてしまいましたが、日航機の方は幸いにして死者は出ずに済みました。 特に震災の方は、初動の遅れということも批判されはじめており、政府批判も高まりつつあります。列島中が休んでいた元日の悲劇ということもあり(羽田空港の事故は1月2日)、やむを得ない面はありますが、一つの目安とされる72時間を過ぎて救出される人も出ていることから、もう少し早くがれきの下の方々の救助が何とかならなかったのか、とか、これからの避難生活の支援がもう少し手厚くできないのか、など、政権批判も強くなる傾向にあります。 震災対応はともかく、政権発足からの日本の数々の危機に際しては、政権に近い人からは、「意外とちゃんとやっていて、諸課題に向き合い、ひとつひとつ誠心誠意、対処している」という肯定的な評価が聞こえてきます。実際、安全保障関係の対応(安保三文書改訂や防衛費増)やCOP28への対応(措置がなされていない石炭火力発電所の新設はしないと表明)、少子化対策(「こども未来戦略方針」を策定。年間で新たに3.8兆円の予算を投じるということで、予算的には「異次元」とも言える)、要望が強かったライドシェア解禁も、今年4月から一部実施することも決めました。 他にもあります。物価や賃金の上昇をふまえたマクロ経済スライドの発動を決め年金の支給額を若干ながら引き上げました。また原発の再稼働を政治決断で決めたことにより、上昇していた電気料金にいくらかブレーキをかけることもできています。これらは岸田政権の“成果”と評価してしかるべきものです。 このように岸田総理は地道にいろいろやっているのですが、支持率が上がらないという状況です。 なぜ支持率上がらないのか。その理由を私なりに分析してみました。ポイントになるのは、中長期的に見た時の期待感ではないでしょうか。 ●岸田総理は小テストが得意な優等生タイプ 岸田政権は、何か課題が降ってきた時には「わかりました。対応します」と即応する能力は高いと言えます。目の前の問題についての、短期決戦的な対応は得意なのです。 例えるならば岸田総理は、授業の理解度を測るための毎週行われる小テストを得意とする優等生タイプです。 しかしその一方で、「実力が問われる全国模試や入試本番には不安が残る」というタイプでもあります。そこに、国民は、将来に「そこはかとない不安」を抱いているのです。端的に言えば、岸田総理は中長期的な課題への対応が弱いのです。 たとえば物価が上昇しているのに、利上げもできないので預金金利に期待することはできません。低金利ですから円安が極度に進み、国際的に見た購買力はガタ落ちです。国民は将来の生活に不安を覚えています。 日本のGDPは、円安の影響もありますが、人口が我が国の3分の2程度のドイツに抜かれて世界4位に転落する見込みです。国際的にも、アジアの中でも、日本の存在感はどんどん小さくなっています。 また、少子化や人口減少を改善すべく子ども未来戦略方針を打ち出し、先述のとおり予算はかなり増やしましたが、問題解決の切り札になりそうなインパクトは感じません。そのほかにも、労働力不足、エネルギーや食料の自給率など、中長期的な課題に対する効果的な手が打てているとは言えません。そこに国民は潜在的な不満を持っているから、支持率に結びつかないのだと思うのです。 岸田さんには酷な言い方になりますが、どんなに真面目に、サラリーマン的に目の前の課題に取り組んで小テストの点数を積み上げても、一発勝負の全国模試や入試本番で勝ち抜けるほどの実力はつかない。簡単な確認テストではなく、難問を解く力を付けるには、相当のパワーを使って爆発的に頑張らないといけないのです。中長期的な日本を取り巻く難題を解くには、かなりのエネルギーを使って思い切った勝負をしなければいけないということです。 ●聖人君子ではないイーロン・マスク そういう中で私が昨年後半、個人的に印象に残った“作品”が2つありました。 ひとつは、イーロン・マスクの評伝『イーロン・マスク』(文藝春秋)です。 この本で活写されているのは、品行方正なベンチャー起業家ではなく、無茶で乱暴なチャレンジャーの姿です。マスクは、まるで何かに取りつかれたようにチャレンジを繰り返しているのです。 なにしろバイタリティがスゴイ。20代の後半でフィンテックのベンチャーを立ち上げるだけでも驚嘆するのに、その会社を売却した資金を元手にEVメーカーのテスラを立ち上げたり、宇宙開発企業スペースXを立ち上げたりしています。ツイッター(現在はX)の買収でも世界中をあっと言わせました。 これだけ大きなことを次から次へと成し遂げていくマスクの仕事ぶりは、「働き方改革」を叫ぶような世界とは正反対です。仕事ぶりはまさに「モーレツ」と呼ぶにふさわしいものです。さらに言えば、会社のマネジメントも決して上手じゃありません。内部はかなりガタガタしているのです。それでも大仕事をやり切ってしまうのがイーロン・マスクという人物なのです。そのスケールといい、仕事への集中力といい、今の日本ではそうそうお目にかかれないタイプと言えます。 もうひとつの心に残った“作品”は映画『ゴジラ−1.0』です。もちろんゴジラ自体は架空の存在ですが、舞台となっている戦後の日本をリアリティ豊かに描いています。単に戦後まもない時代の日本の風景を再現しているだけでなく、戦後の精神、メンタリティーをもよく描いています。つまり、アメリカに負けて悔しい思いを抱えながらも、戦争で亡くなった人の分まで生き残った自分たちが頑張らなきゃいけないんだという使命感を持って生きる人々の逞しさです。映画を観て、まずそこに感じ入ってしまいました。 この両作品を通じて、個々の人間が秘めているパワーの偉大さを強く感じました。だれしも不安や危機意識を持っているものですが、結局それを乗り越えるのに必要なのは、それぞれの人間の頑張りだということです。そして、人にはそれだけのパワーがあるのです。 ところがいつしか私たちは、「ワーカホリックみたいに働くのは間違っている。無理をしない。ワーク・ライフ・バランスが何より大事だ」という考え方に過度に浸りすぎてしまい、何かにひたむきに打ち込むとか、自力で困難を乗り切るといった姿勢まで失ってしまったのではないでしょうか。 もっと言えば、「寄らば大樹」的に、ついつい国や自治体に頼ろうとする思考が強くなってしまったように感じます。しかし、国や自治体が「面倒を見てあげますよ、安心してください」と言っても、今は全く安心できる状況ではありません。国や自治体に余裕がないからです。 そういう意味では私は、日本の政治は限界に来てしまっているのではないかと考えています。政治家が「政策でこの困難を解決していきますので、国に任せてください、安心してください」と言えば言うほど、それが国民には虚しく響いてしまう。国民自身も、自力で困難を乗り越えようという気持ちが薄く、政治に対する不満ばかりが高まっていく。日本は、こんな「政治無理ゲー時代」に入っているのではないでしょうか。 ●なぜ創価学会は強いのか 昨年11月、創価学会の名誉会長である池田大作さんが亡くなりました。私は特に創価学会員でもありませんし、公明党の政策に共感しているわけでもないのですが、創価学会と公明党の組織的な強さには学ばなくてはならない点があると思っています。よく知られているように公明党は創価学会を支持母体として作られた政党です。 創価学会は日蓮大聖人の教えを信仰する法華経系の仏教団体ですが、宗教団体という側面のほかに、特に高度成長期に地方から都市へ出てきた労働者たちの不安に寄り添い、互いに助け合おうという互助会的な社会運動としての顔も持っていました。まずはそうした活動があり、それが人々の心を惹きつけた。そういう活動を続ける中でぶつかった課題を乗り越えるために、法改正や行政への働きかけが必要だと思い至った創価学会が政党を持った。社会変革運動がベースにあっての政党なので、だから創価学会員は公明党を熱心に応援する。それが公明党が選挙に非常に強くなった理由だと思うのです。 目指す方向は全く違いますが、日本共産党も設立の経緯はそういう流れだったと言えます。共産主義革命を理想とする人々がいて、それを実現するための政党としての日本共産党ができたわけです。だから共産党の支持者は今も熱心に応援しています。ただ「共産主義革命が必要だ」と考える人が日本では減少してきたので、それがそのまま現在の日本共産党の党勢に現れていると言えます。 公明党の退潮も、池田大作氏の不在も相まって顕著になってきていますが、社会運動としてのエネルギーの衰退が大きな要因と言えます。ただ、公明党も共産党も、主義主張は全く異なりますが、社会運動がベースにあり、そうしたプラットフォームの上のあくまでアプリケーションとして政党が乗っかっているという点では共通のものを感じます。であるが故に、長続きし、一定の強固な基盤があると言えます。 それに対して、最近の政党はどうでしょうか。 バブルが崩壊し日本が苦境に陥ってから、およそ10年おきくらいで「新党ブーム」を伴うような政治の激変が起こってきました。細川護熙さんを党首とする日本新党のブーム、新党ではありませんが、小泉純一郎さんの「自民党をぶっ壊す」ブーム(清和会の伸長)、さらに鳩山由紀夫さんらの民主党ブームです。そのほかにも、みんなの党や日本維新の会など、数多くの政党が誕生し、たびたび政治のうねりを作ってきました。 しかし、こうした「新党」を中心とするブームに、国民はもう飽き飽きしているのだと思います。新党の人たちは「政治で現代社会の課題を何とかします、そのために政権をとります、投票をよろしくお願いします」と選挙の時に頭を下げますが、有権者の方は「多くの議席を獲得したり、さらには政権交代を実現させたりしても結局あまり変わらなかったじゃないか」「これからも変わらんよ」と思っているのです。 既存の政党が「われわれに任せてください」と言っても、国民には全く響かない。新党が出てきても、国民は過去の数々の「尻すぼみの歴史」を見てきているだけに、期待することもできない。今はそういう時代になってしまっているのです。 そうであれば、創価学会と公明党の歴史で見たように、政治運動以前の社会運動が大事なのではないかと思うのです。 ●「政治家にさせてください」が先ではない 歴史に残るような偉大な宗教家は、地方に赴き、現地の人たちの声を聞き、教えを説き、そして信奉者を増やしていきました。それがだんだんと大きな組織になっていったわけです。 それに対して現代の政治家は、地域の支持者や社会運動の団体から押し上げられるというよりも、まずは「自分が政治家になりたい」という人ばかりです。選挙の時には「国会に送り出してもらえれば政権交代を実現します」「この政策を実現するためには国会での議席が必要です。なんとか投票をお願いします」と言い、当選したら当選したで、「政治にはカネがかかります。個人献金をお願いします」「パーティー券を買ってください」と言う。地域の集団や社会運動の団体から推された人とはそこが決定的に違うのです。 宗教を核にした社会運動を起こせと言っているわけではありません。共産主義革命を起こせと言っているのでも、もちろんありません。新たな社会運動をベースに、政党を作って政権交代を考えて行く、といったアプローチが求められているということです。 ●地域発の革命 その場合の社会運動の候補ですが、私は地域発の革命というのが一つの切り口になると思います。 各地で、国や自治体任せにするのではなく、地域ごとに経済的に自立しようとひたむきに頑張っている人たちの集団を形成するのです。高度集権国家から、分散型の国家に転換していく。地域で一番足りていないのは「食い扶持」なので、各地ごとに起業や第二創業、食い扶持づくりを促進し、いわば経済的な「独立国」の集合体に日本をしていく。 そうした取り組みのうねり自体が一種の社会運動ですし、さらにそこで政治の力が必要ということで、その社会運動を基礎にして政党を作っていけばいい。そうすることでしか、政治の再生はできないのだと思います。 そして地域の自立の核になるのは、やはり企業だと思います。私のこの考え方は、サン=シモン主義に近いものです。サン=シモン主義とは、フランスの社会主義思想家サン=シモンが提唱した考え方で、その要旨をざっくり要約すれば「産業資本家が困っている人を助けるべきだ、社会を救っていくのが産業資本家の責務だ」というものです。それをマルクスやエンゲルスは「空想的社会主義」と呼んで批判しましたが、私に言わせれば、マルクスやエンゲルスのような、国家が統制する計画経済で社会を豊かにしていく、という考えのほうがむしろ空想的です。 ともかく、地域ごとにベンチャー企業を育成したり、あるいは都心から企業の本社を誘致したりして、企業を核として地域ごとに経済的に自立できる社会を作り、その地域で発生した課題の解決のために必要ならば、そこで政党を立ち上げていく――といった方向に舵を切らないと、日本は緩やかな衰退への坂道を転がっていくしかないように思います。これこそが私が提唱する「シン日本列島改造計画」です。(〈「勢いを失ったいまの日本に必要な「シン・日本列島改造」〉2023.1.20) 個人個人ももっと仕事や地域の活動に真摯に取り組み、そして地域ごとに経済的に自立する。そういう社会を作らなければならない。その社会運動をベースに、新しい政党が生まれる。そんな時代の転換点に私たちは立っているのだと思うのです。2024年のスタートにあたって、そんなことを感じました。 |
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●「イスラエルの戦争」を煽るばかりで本当にいいのか…「アメリカの論理」問題点 1/9
ロシア・ウクライナ戦争に続き、イスラエル・ハマス戦争の被害が深刻化している。評論家の八幡和郎さんは「岸田政権は、ロシアやハマスを一方的に『悪』とするアメリカに無批判に追従している。しかしアメリカの『正義の戦争』がこれまでに多くの悲劇を生んできたことを忘れてはいけない」という――。 ●米民主党政権に追従する岸田首相 岸田政権は、首脳会談やサミットなどでのふるまいは安定しているものの、ウクライナやパレスチナ問題で、米国の硬直的な外交姿勢に追従しているのはよろしくない。増税や政治とカネといった内政問題に注目が集まり、岸田外交には建設的な批判がなされていないように思う。 2024年は米国大統領選挙の年だ。トランプ大統領の時代には大規模な戦争は起きず、安倍外交は世界秩序の守護神的な評価を獲得し、日本の国益もよく守られていた。 ところが、2020年に新型コロナ禍が世界を席巻し、2021年にアフガニスタンから米軍などが撤退、2022年にロシアによるウクライナ侵攻、2023年にはパレスチナ自治区ガザ地区で紛争が勃発し、バイデン政権はその場しのぎの外交で悲劇を拡大させている。 それを止められない岸田政権にも落胆するが、所属派閥の宏池会は米国民主党にもともと近いから予想の範囲ともいえる。 ●アメリカの論理は決して万能ではない しかし、安倍元首相の主体的な外交手腕を支持してきた保守派に、「岸田政権はアメリカ支持が足らない」と批判している人が多いのは不可解だ。彼らは、WGIP(War Guilt Information Program=日本人に戦争贖罪意識を植え込む戦略)から日本人は脱却すべきと言ってきたのにおかしな話だ。 いまこそ、米国の論理が万能でないことを警告するとともに、先の戦争について、米国の硬直的な姿勢にも問題があったことを想起させ、一方的に批判されてきた日本が一定の名誉回復をするチャンスであるにもかかわらず、だ。 中道リベラルの人々が無批判なのもおかしい。欧米以外の多く国は、ロシアに対する強硬策一辺倒に疑問をもっているし、日本にとって隣国ロシアとの関係が悪化することは平和への危機に直結する。また、イスラエルの暴虐に対して積極的な抗議をしているのは、米国のことなら何でも気に入らない過激な左派ばかりだ。 今回は、米国外交のどこが間違っているのか、日本はどう対処すべきかを論じたいと思う。 ●イスラエル首相はハマスと戦前の日本を同一視 世界は2年近く続くロシア・ウクライナ戦争にうんざりしているし、民間人を巻き添えにガザへの軍事侵攻を続けるイスラエルに批判的だ。一方、米国は「先に攻撃したロシアやハマスは殲滅されても仕方ない」という立場を崩さない。 これは、満州事変や真珠湾攻撃がけしからんとして、日本に無理難題を要求して戦争終結を遅らせたうえ、広島と長崎に原爆を落とし、ソ連の参戦を促し、占領下で憲法まで変えさせたのと重なる。 イスラエルのネタニヤフ首相も「米国が第2次世界大戦の真珠湾攻撃の後で停戦に応じなかったのと同様に、ハマスの奇襲攻撃を受けたイスラエルが戦闘停止に応じることはない」「ハマスに乗っ取られたパレスチナのより良い生活を望むなら、ハマスを破壊せよ。第2次世界大戦中の日本やドイツのように、有害な政権を排除しなければならない」と発言している。 安倍元首相は再登板時に、「戦後レジームの見直し」を唱えていたため、欧米は第2次世界大戦戦勝国がよってたつ歴史観に敵対する「歴史修正主義」ではないかと危惧した。しかし安倍元首相は、日清・日露戦争まで否定されたくない、日本が一方的に悪かったのではない、アメリカも原爆や戦後処理など行きすぎもあったと考える一方、歴史修正主義という批判を避けたいという意識を健全に持っていた。 また、インドを価値観同盟の仲間に入れることを提案し、プーチン大統領と信頼関係を築いただけでなく、イラン訪問や米国抜きのTPP発足、EUとの経済連携協定(EPA)などを実現した。 ●ロシアやハマスは全面的に「悪」なのか 安倍元首相であれば現在の状況でもう少し柔軟な外交を展開しただろうが、岸田外交は、アメリカに対して独自性を示さず、気前のいいATM的存在になってしまっている。 しかし、「ロシアやハマスは悪」として、ウクライナとイスラエルを支持する米国の論理を鵜呑みにしていいのだろうか。 〈「パレスチナとイスラエル、結局どっちが悪いの?」日本人が答えを出しにくい“世界の難問”を考える〉で整理したように、パレスチナの望ましい未来は、イスラエルがパレスチナの人々の権利を侵害したことを認め、その被害を償う意思を明確にしたうえで、パレスチナ人に有利な形で二国家共存体制を構築することしかない。 欧米人は長くユダヤ人を迫害し、ナチスによるホロコーストを防げなかった贖罪感から、パレスチナの人々の正当な権利を軽視しすぎだ。2000年前にユダヤ人の国があったからといって、勝手に建国することが正当なはずがない。 ●イスラエルの黒歴史が許されることはない ユダヤ人による入植は平和裡でなかったし、イスラエル建国はテロの結果でもある。一方、国連決議でイスラエル国家の存在は認められたし、オスロ合意でパレスチナも二国家共存を容認したのだから、イスラエルの自衛権は否定できない。 ただ、現状が肯定されても、過去の黒歴史が許されるわけでない。欧州系の人々が、北米やオーストラリアにいることや、彼らの国家が存立することは合法だが、そのことが、先住民に対する暴虐の過去を許すものではないのと同じだ。 ハマスのテロは、容認されないが、反撃は被害に見合った規模と国際法で許された手段に限られるべきだ。イスラエルがそれ以上の軍事作戦を展開しているようであれば、国際社会は毅然として批判しなくてはいけない。 ●欧米はロシアの未来像を持ち合わせてない ロシアのウクライナ侵攻は国際法違反だが、2004年のオレンジ革命では選挙で選ばれた親露政権転覆を米国が支援したし、ウクライナにNATOやEU加盟の夢をちらつかせて混乱を煽ったのも戦争の原因だ。法的にはロシアが悪いが、真珠湾攻撃したから日本がすべて悪かったという日本人にとって不愉快な歴史観と同じ理屈だ。 欧米がロシア周辺地域でいかなる国際秩序を目指しているのか理解しがたい。この地域で、地元勢力と西欧勢力が結んでロシアと対立する十字軍的試みは、800年も繰り返されてきた。ロシアはNATOやEUから排除するが、ほぼ同じ民族のウクライナは入れるというのは理不尽だし、核保有国のロシアを解体することは世界の安定を危機にさらす。 アメリカが支援するイスラエルやウクライナが、民主主義を体現しているかも疑わしい。イスラエルはアラブ系住民を差別し、ウクライナはロシア語話者を不利に扱ってきた。ネタニヤフ政権は司法の独立を否定しようとして厳しい反発を受けており、ウクライナは世界で最も汚職が横行し、腐敗している国の一つだ。 パレスチナの2006年総選挙で勝利したのはイスラム原理主義組織ハマスだったのに、欧米やイスラエルがファタハ(パレスチナ解放機構の主流派政党)を支持して政権に居座らせている。 ●日露関係が悪化する大きすぎるリスク プーチンは、一応まともな選挙で選ばれ国民に支持されているし、ソ連解体のときには、ウクライナのほうが一人あたりのGDPが多かったのに、現在ではロシアの3分の1と逆転した。5200万人いたウクライナの人口は約30年間で4100万人に減り、今回の戦争で数百万人が逃げ出した。もしEUに加盟したとしたら半分も残るか疑わしい。 ソ連とロシアを同一視して、第2次世界大戦で不可侵条約を侵犯したとか、北方領土を不法占拠したというが、スターリンはジョージア人、北方領土問題の主役だったフルシチョフはウクライナ共産党のトップ出身、ブレジネフはウクライナ生まれでドニエプル川流域の軍事産業を基盤としていた。シベリア抑留はウクライナでも行われたし、北方領土の多数派住民はウクライナ系だ。 ウクライナは、中国に空母を売り、北朝鮮にミサイル技術を輸出した疑惑が報道されるなど(在日大使館は疑惑を否定)、日本に友好的とはいえなかったし、2023年のG7広島サミットではゼレンスキー大統領が原爆の悲劇をウクライナの現状と同等だと矮小化した。 一方、日本にとってロシアは隣国だ。経済協力の可能性、北方領土交渉、漁業、アイヌ、対北朝鮮・韓国・中国でロシアが相手方についたときの面倒を考えると、ロシアとの関係悪化がもたらすマイナスは計り知れない。 ●軍事侵攻を機に、大飢饉が「大虐殺」に ウクライナやイスラエルの主張には、日本が困るものも多い。近代国家は同系統の民族を統一していくことで発展してきた。ウクライナは、ロシア革命前に独立国であったことがない。ロシアとの縁切りが唯一の正義なら、独立国だった沖縄はどうなるのか。無条件に欧米の論理に与することは、中国の沖縄への干渉を正当化しかねない。 ウクライナ開戦後に歴史認識が変更されたことも問題だ。1930年代にソ連の一員だったウクライナでは「ホロドモール」という大飢饉が起き、数百万人が餓死した。その原因は農業政策の混乱だった。 このホロドモールについて、ロシア南部やカザフスタンでも同様に犠牲者が出ていることなどから、これまでは欧米でもウクライナ人へのジェノサイド(大量虐殺)とするのは適当でないと考えられてきたにもかかわらず、ロシアの軍事侵攻を機に、欧米の一部でジェノサイドと認定されるようになった。これは、戦前の日本が悪意でやったわけでないことまで批判された経緯とよく似ていている。 ●アメリカの行為を日本が肯定する必要はない たしかに日本軍が真珠湾攻撃を行ったことは事実であるから、それについて妙な弁解をしないほうがいいだろう。ルーズベルト米大統領が攻撃を事前に知っていたとしても理由にならない。日中戦争についても同様だ。中国側にも批判されるべきことは多いが、相対的には日本が悪い。 しかし、原爆を落とし、東京大空襲のような無差別攻撃をし、ソ連に不可侵条約を反故にさせただけでなく、戦後は根本的な体制変革を強制し、自分たちの国際法違反は棚に上げて東京裁判を押しつける米国の行為を、日本人が積極的に肯定する必要はない。 米国は、相手が降伏しない限り、自分たちの何十倍もの死者が相手方に出ても平気で戦争を続ける。太平洋戦争における日本の軍人・軍属民の死者は約230万人で米国は10万人、イラク戦争でも米軍死者の100倍の犠牲を出した。イスラエルもテロで死んだ自国民の何十倍ものパレスチナ人を殺している。 ●アメリカの「正義」の戦争で混乱が広まった 「正義」を掲げた戦争によって、かえって混乱が広まっても結果論で片付ける。日本との和平条件をつり上げたことの結果が、南北朝鮮の分断であり、中国の共産化だったが、米国は自分の責任だと認めない。平和は維持が容易なバランスの取れた勢力均衡のもとでこそ可能なのだ。 ウクライナに対する支援が、中国や北朝鮮の野望を挫くという人もいる。しかし、台湾や韓国の人は、アメリカや日本におだてられて、同じ民族で戦う羽目になることを恐れている。 この1月13日には台湾総統選挙と総選挙が、4月10日には韓国の総選挙が行われる。台湾総統選挙は野党分裂にもかかわらず、対中強硬路線を続けようとする与党・民進党と中国との緊張緩和を掲げる野党・国民党が接戦を繰り広げており、議会選挙は台湾も韓国もどちらも野党優勢となっている。 日本の保守強硬派のアジア認識は、偏っていて危うい。台湾の政治家も企業も、安全のために中国にパイプを持っていることは常識だと思うが、知らない人が多いのだろうか。 ●無条件な追従も敵対も馬鹿げている 逆に韓国は、尹錫悦大統領が対日改善に取り組んでいるのに、日本の保守派は応援しない。それどころか、松川るい参院議員のように対韓関係改善に熱心な議員は保守派から批判されて、「エッフェル塔写真」を発端にしたフランス研修問題が彼らに針小棒大に攻撃されて炎上した。 対中国でも、やみくもに敵対しては互いに損をするだけだ。バブル崩壊後の日本経済を、輸出、安い消費財などの輸入による生活防衛、観光客によるインバウンド需要などで支えてきたのは中国との関係だ。 外交は押したり引いたりしながら進めるもので、無条件の追従も敵対も馬鹿げている。日米同盟が外交の主軸であるから、基本的には欧米との共同歩調はやむを得ないが、ウクライナやパレスチナについては積極的に平和のために仲介の労もとるべきだろう。 ●イラク戦争で米国一辺倒だった小泉外交 しかし、日本にとってメリットがない話には、一番後ろでついて行けば十分だ。イラク戦争でブッシュ大統領(当時)の暴走を後押しした小泉首相の判断は、とりあえず日米関係を好転させてその場しのぎにはなったが、世界での評判を落としたし、愚行に協力してくれたからといって米国民に感謝されるはずもない。 同じ立場だった英国のブレア首相(当時)はそのために歴史的評価を落としたが、日本人が小泉氏を糾弾しないのはおかしいことだ。 岸田首相は、安倍氏がそうであったように、米国大統領から助言を求められ、影響力を与えられてこそ「外交の岸田」たりうる。 また、与野党の政治家もマスコミも、20年後に次の世代の人々に胸を張って説明できる発言をしてほしいと思う。 |
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●正念場の岸田政権 震災対応と政治改革に力尽くせ 1/9
岸田文雄政権が正念場を迎えている。政治への信頼回復とデフレ脱却に加え、能登半島地震への対応といった先送りできない試練が続く。難航する安否確認や生活支援の現状は政権の危機管理能力が問われかねない。政治資金問題をめぐっては安倍派議員が逮捕され、政治改革への難路が想定される。賃上げの成果で支持率が浮揚するかは予断を許さない。まずは目の前の震災対応に「一意専心」(岸田首相)で取り組んでほしい。 元日に発生した能登半島地震の被災地は、現在も安否を確認できない住民が多数おり、断水や停電、道路の寸断などが被災者を苦しめる。岸田政権は、被災者の要請を待たずに行うプッシュ型支援をさらに加速してもらいたい。9日にも2023年度予算から47億円の予備費拠出を閣議決定する予定だ。飲食や燃料の支給など、差し迫った課題への対応を急いでほしい。 政府は能登半島地震を激甚災害に指定し、災害復旧に向けた国の費用負担を増やす方針だ。被災者の生活を支える支援パッケージもまとめる。岸田首相は24年度予算の予備費増額も財務相に指示した。捜査救助活動を第一に、長期化が想定される復旧への歩みを確実に進めたい。 被災地で厳しい生活が続く中、自民党の現職の安倍派議員が7日、政治資金規正法違反の疑いで逮捕された。組織ぐるみの可能性がある同党の「裏金」疑惑の全容を解明し、政治改革を進めなければ、政権の行方さえ危うい局面を迎えた。党内に新設する政治刷新本部(仮称)に有識者も参加し、再発防止と派閥のあり方を議論する。月内にまとめる中間案は実効性を担保できる内容なのか注視したい。 4月には衆院の細田博之前議長の死去に伴う補欠選挙が行われる。東京地検特捜部の捜査次第では議員辞職による選挙区の増加も想定され、自民党の派閥政治が厳しく問われる。秋の自民党総裁選も混沌としてくる。デフレ脱却で支持率回復を狙う岸田政権だが、震災で始まった24年は政権にとって試練の年となる。震災対応も政治改革も着実に歩みを進めてほしい。 |
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●20代支持率が「50%→10%」に急落…岸田政権によって「若者の自民党離れ」 1/9
若者層の支持政党に変化が生じている。ライターの平河エリさんは「若者の自民党支持率が急落している。岸田政権は安倍、菅時代の貯金を食いつぶしたようだ」という――。 ●「ジリ貧」の岸田政権と自民党の支持率 岸田政権が、低支持率にあえいでいる。 毎日新聞の世論調査(12月16〜17日)では16%、時事通信(12月8〜11日)では17.1%と、複数の世論調査で10%台の支持率となり、多くの政治関係者に衝撃を与えた。 同じくして、自民党の支持率も低下している。朝日新聞世論調査(12月16〜17日)では支持率23%と、自民党の政権復帰後最低の支持率を更新するなど、少なくとも2012年からの自民党政権では最も定位の水準にあることは間違いないだろう。 原因は一つではない。岸田内閣自体の支持率はジリ貧で、2022年末から低下傾向にあった。春先から夏にかけて、ウクライナ訪問などの外交成果により一定持ち直したものの、そこから再び内政に目が向いたことで再び低下トレンドに入っていた。それに加えて、今般の自民党における派閥の不祥事により、ついに自民党にまで火がついた格好だ。 ●「岸田おろし」で総選挙に突入か 自民党は内閣支持率が落ち込むと「○○おろし」という形で看板の架替えを行い、「ご祝儀相場」が残っている間に解散総選挙を打ってしのぐ、という戦略を取る。 典型的なのは、まさに岸田内閣だろう。支持率低下にあえぎ、衆参の補選や横浜市長選で破れた菅義偉前首相は総裁選に出馬することを阻まれ、退陣を表明。就任と同時に岸田文雄新首相は解散を宣言し、議席こそ減らしたものの、絶対安定多数を確保するなど事実上勝利した。 このような状況を踏まえると、岸田首相で総選挙に突入する可能性は低いと見るのが永田町のコンセンサスだ。しかし、今回に関しては、前回の菅義偉内閣とは異なり、自民党自体の支持率が大きく低下するトレンドに入っている。つまり、自民党自体の比例得票数などにも影響する可能性は否めない。 また、仮に総裁選を行うとしても、安倍派・二階派が動けない以上、岸田派・麻生派・茂木派など、岸田政権を支えた派閥が主導して総裁選びが進むことになる。新総理の人選によっては、刷新感は薄れることになるだろう。 ●安倍、菅時代の貯金を使い切った岸田政権 岸田政権の支持率低下の特徴は何か。一つは、若年層の支持を急速に失っていることだ。 安倍政権時、メディアでは盛んに「若者の保守化」が唱えられていた。選挙の出口調査でも、10代20代の支持率は底堅いことが示されていた。 初期の岸田政権も、例外ではなかった。2021年の解散時には「なぜ若者は自民党に投票するのか?」という記事が掲載されている。 これによれば、自民党に投票する割合が最も高かったのは10代であり、続いて20代と、若年層による自民党の指示が底堅かったことが顕著だ。NHKの出口調査によれば、最盛期の2017年には20代投票者の50%が、比例で自由民主党に票を投じていた。 岸田政権の支持率が低下し始めて以降の世論調査では、全く異なる結果が出ている。例えば、時事通信が10月に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は26.3%であるが、そのうち29歳以下の有権者は10.3%と、極めて低い数値となっている。60歳代、70歳以上は30%を超えているのと対象的である。 安倍政権・菅政権においては、支持率が上下するものの、概ね若年層からの支持が底堅かった。岸田政権は、その貯金を失い、若年層の支持を失った結果、支持率の底が抜けていったと言える。 これらのことを考えると、「若者の保守化」というよりも、単に安倍晋三元総理が個人としての人気が高かったことと、野党第1党である民主・民進・立憲の忌避感が高かっただけであり、根本的な「岩盤支持層」は高齢層であったことがわかる。 与野党の第1党はどちらも、世論調査では高齢層の支持を中心としていると言えるだろう。 ●自民党の次に人気な国民民主党 では、新興政党はどうか。「若年層人気」という観点で、興味深い世論調査がある。 12月のNHK世論調査では、世代別の支持率がグラフとして公表されたが、国民民主党が39歳以下の支持率で自民党についで2番目の支持率となったことが話題になった。 国民民主党は党首である玉木代表が積極的にYouTubeなどでの発信を行っており、ネットを通じた知名度の向上に一役買っていると言えるだろう。 ●世論調査と実際の得票の「差」 年代や普段接しているメディアによって、政党支持は大きく変わる。 JX通信/選挙ドットコムの調査では、ネット調査と電話調査それぞれの数字を発表している。2023年12月の電話調査では、自民党の支持率は23.9%だが、ネット調査では9.3%だった。立憲民主党の支持率も、電話調査では11.6%だが、ネット調査では2.2%と、大きな乖離がある。 ネット調査は主に50代以下の層が多く、電話調査は高齢者層が主だ。精度の面では、自ら回答するネット調査にはややバイアスがかかる可能性があるが、ネット世代の意識を理解する上では重要である。 近年、国政選挙などでは、立憲民主党の獲得議席数が情勢予測より下回る傾向が続いており、他方で国民民主党は情勢予測では厳しい結果が出るものの、それを上回る結果を出すことが多い。 電話調査などを中心にした情勢報道で拾いきれる民意と、実際の得票の間の乖離が、拡大していると見るべきなのではないだろうか。 ●働き盛りを押さえる維新、捉えられない立憲 とはいえ、「若年層」の中にも大きな差がある。NHK調査では「39歳以下」となっている(39歳は「若年」ではないだろう)が、10代、20代、30代のそれぞれで支持傾向は異なるし、当然ながら1年経てば年代層も入れ替わっていくため、傾向は流動的に変わるからだ。 比較のために、2022年7月の共同通信の調査を見てみよう。 立憲民主党は50代以下の層からの支持が薄いが、特に低いのは30代と40代で、「働き盛り」の層からの支持が低いことがわかる。逆に10代からの支持は比較的高い。 2021年の朝日新聞による衆院選の出口調査でも、10代の17%が投票したと答えたのに対して、30代は14%と低い傾向だ。 日本維新の会は30代から50代までの働き盛り・壮年層の支持が厚いことがわかるが、10代、20代の支持は比較すると低い傾向にある。朝日の出口調査でも、40代が17%に対して10代が8%となっている。 国民民主党は、年代が下がるほど支持が高まる傾向にあり、特に10代と20代の支持が厚い。 テレビを中心として、(特に関西圏における吉村洋文知事、橋下徹元代表などの露出で)知名度を上げた維新と、YouTubeなどのネットを中心として知名度を伸ばしてきた玉木代表の違いが出ているとも言え、興味深い。 ●若者支持率では維新と肩を並べるれいわ さて、通常であればこのような原稿は、次のように続くことが多い。 「立憲民主党は高齢者の支持に偏っており、政策的に若者の支持を得られていない。批判ばかりという印象が強く、何かを変えてくれるというイメージを与えられていない。ネット上の極端な意見の有権者ばかりの声を聞くのではなく、もっと若年層のリアルな声を聞き、政策に反映させない限り、永久に与党に勝つことはできない」と、このような具合である。 政治記事を積極的に読む方なら一度は耳にしたことがある意見ではないか。 上記のような意見は正しいのだろうか。これを考えてみたい。 年代別の支持率は、政策的な正当性を補強する論拠として使われることがある。とりわけ、野党第1党である立憲民主党(あるいはその前身の民主・民進)に対する批判的文脈を補強するデータとして使われることが多い。そして、その対比になるのは、自民党であったり、国民民主党であったりする。では、それ以外の政党を見ていこう。 ここまで触れていないが、れいわ新選組は各種調査で40代以下の支持が厚い。先程のNHKによる年代別調査でも、詳しい数字は公表されていないものの、20代では維新と同程度の支持を獲得していた。 ●YouTubeの登録者数はれいわがダントツ、次いで参政党 れいわ新選組のYouTube公式チャンネル登録者数は28.3万人と、他党と比較しても際立って高い。自民党が13万人であり、国民・玉木代表の個人チャンネルでも13.8万人であることを考えれば、その2倍以上となる(肉薄しているのは22.5万人の登録者を誇る参政党くらいか)。 ネットでの発信力が若年層の認知度・支持率に大きく貢献しているのではないか。 れいわ新選組に次いで、23万人のYouTube登録者数がいる参政党も見逃せない。参院選の若年層を分析した記事では「参政党に投票した人を年代別に見ると18、19歳では6.9%、20代は5.9%、30代では4.8%と若い世代ほど支持を広げていました」との記述がある。参政党はYouTubeだけではなくTikTokなどでも支持を広げ、テレビではほぼ主張が取り上げられないにもかかわらず、一定の支持率を得たわけだ。 このように見ていくと、政策的な方向性より「どのようなメディアを見ているか」という点のほうが、政党支持に大きく影響しているのではないか。 前述のような「批判ばかり」というようなイメージも、テレビ的、あえて言うならワイドショー的な価値観で、そのようなネガティブな認知すら持っていない若年層も少なくない。 ●なぜ政策のないガーシーが30万票も集められたのか すでに「なつかしニュース」のようになってしまったが、昨年参議院選挙に出馬したガーシーのYouTube登録者はおおよそ120万人だった。個人名での得票は28万票の得票である。これをどう捉えるか。 ガーシーの10倍以上の登録者がいるYouTuberやインフルエンサーは複数存在する。彼らが出馬したとして、10倍の得票、つまり200万〜300万票が獲得できるのか。そう簡単にはいかないだろうが、考えてみる価値はあるだろう。 政策的な方向性がほとんどなく出馬したガーシーが30万近い得票を獲得できたことを考えれば、「政党」や「政治家」としての体裁を整え、拒否感を消す工夫をすれば、既成政党に対抗しうる台風の目となる可能性は十分にあるのではないか。 これまでの時代も全国比例には多数のタレント候補者が立候補してきた、アントニオ猪木氏のように政党を立ち上げたケースも存在する。 時代が異なるのは、個人の人気がメディアでの影響力に直結するということだ。 ●ネットを足掛かりに党勢を拡大するミニ政党 かつては、いくらテレビで人気の有名人でも、その人気はテレビなどの規制メディアを通じてしか発揮できなかった。つまり、「政治家」という枠にハマったとき、その力は大きく制限されてしまうわけだ。 しかし、インフルエンサーは違う。彼らは自ら発信できるメディアを持ち、支持する人にタイムリーに主張を届ける力を持つ。そして、公選法による規制を除けば、メディアのように横並びになることなく、かなり自由に活動することができる。 重要なポイントは、1年経つごとに新聞・テレビなどのマスメディアの影響力は落ち、インターネット、あるいはSNSの影響力は上がっていくということだ。 当たり前だが、今の10代は10年経てば20代になる。10年後の60代は今の50代である。今の50代のSNS利用頻度を考えれば、高齢層を含めてインターネットが唯一有権者にリーチする手段になってもおかしくない。 すでに、参政党やNHK党など、ネット発の政党が参議院の比例得票により議席を獲得し、国会で足がかりを作っている。 これが加速していけば、党首の影響力を中心とするミニ政党の全体的な得票が底上げされ、既成政党が圧迫されていくことになる。 ●自民、立憲は「語りかける力」がない ここまで書くと、「有権者は政策など見ていない」というようなシニカルな意見の記事だと誤解されるかもしれない。 しかし、国民民主党・玉木代表や、れいわ新選組・山本太郎代表は、ネット上でも繰り返し政策を説明し、直接有権者に語りかけている。イメージや認知度だけではなく、政策が浸透していることが、ネット世代の底堅い支持になっているのではないか。 自民党の支持率低下、そして立憲民主党のネットでの支持の弱さも、政策をどうこうという以前に「語りかける力」のなさが見抜かれている、とも言える。 これからの選挙においては、有権者に直接語りかける力と発信力、両方が求められるのではないか。 ポイントは、自民党や立憲民主党は党首が頻繁に変わる上に、党内にさまざまな意見がある総合政党であるということだ。このような点は、党首イコール政党である政党に比べて大きなディスアドバンテージになる。 自民党は政府与党としてのアドバンテージがあるが、立憲民主党は腰を据えて、長期目線で代表の発信力強化に取り組む必要があるのではないか。首のすげ替えでメディアが取り上げてくれる時代は終わったとも言える。 ●環境変化に適応した政党だけが生き残っていく ネット発の政党は「ミニ政党」といった規模であり、まだまだ国会において大きな影響力を持つには至っていない。この傾向が拡大していけば、ネット発の政党が大きなムーブメントとなり、政局を動かしていく日は遠くないだろう。 比例代表や基礎自治体など、数%の得票率でも議席が獲得できる選挙と違い、原則50%近くの得票が求められる日本の小選挙区制や都道府県議会の下で、どの程度まで勢力を伸ばせるかはわからないが、10年スパンで考えれば大きな変化が起きることは見えている。 ミニ政党がさまざまな方面から拡大していけば、極端な意見をそれぞれが言い合うだけの、対話を欠いた議会になる可能性は少なくない。しかし、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である」というダーウィンの言葉通り、環境に適応したものだけが生き残っていくのではないか。 未来を予測するのは難しいが、年代別の政党支持率は、明日の議会の姿を示している、と言える。 |
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●自民の「政治刷新本部」、11日初会合へ 小泉元環境相も参加か 1/9
自民党は派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題をふまえ、岸田文雄首相(党総裁)の直轄で党内に設ける「政治刷新本部」の初会合を11日に開く方向で最終調整に入った。政権幹部が明らかにした。 メンバーは茂木敏充幹事長や森山裕総務会長、小渕優子選挙対策委員長ら「党7役」や、首相側近の木原誠二幹事長代理が中核となる予定。青年局長経験者も加える方向で、小泉進次郎元環境相や小倉将信前こども政策担当相らを念頭に検討している。最高顧問には首相経験者の麻生太郎副総裁と菅義偉氏が就任。首相周辺は「挙党態勢で臨むための人事だ」と話す。 刷新本部には外部有識者も参加。政権幹部によると、1月下旬に開会予定の通常国会までに中間取りまとめをする方向だという。首相は年頭の記者会見で「必要があれば関連法案を提出する」としており、政治資金規正法の改正まで踏み込むかが焦点となる。 自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化したとされる事件では、東京地検特捜部が7日に同派所属の衆院議員・池田佳隆容疑者らを政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕するなど、捜査が続いている。 首相は「中間とりまとめでそれなりの形にしたい」と周囲に意気込みを示すが、政権幹部は「議論は捜査の状況を見ながら」。さらに派閥の存在自体に否定的な最高顧問の菅前首相がどう出るかなど、議論の先行きは見通せない。 |
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●岸田政権、秋までの退陣不可避か 自民「選挙の顔」刷新で政権維持図る 1/9
自民党安倍派を中心とする政治資金パーティー収入の裏金化疑惑が、岸田政権を直撃。支持率低下が止まらず、2024年は首相退陣が避けられそうにない情勢だ。 底なしの支持率急落にあえぐ岸田文雄首相は、1988年のリクルート事件以来とも言われる疑獄事件の直撃を受けた。昨年12月、自民党最大派閥・安倍派を中心に政治資金パーティー収入の一部を裏金化していたとされる事件が表面化。世論の政治不信は頂点に達し、岸田首相は今年9月の党総裁任期切れまでの退陣が避けられそうにない情勢だ。自民党は次期衆院選で苦戦必至とみて、「選挙の顔」となる首相を交代、速やかに衆院を解散して政権維持を図る展開が予想される。ただ、元日に発生した能登半島地震の影響で解散時期が制約されるとみられ、政局の行方は不透明感を増している。 ●「安倍派一掃」で支柱失う 疑惑が表面化したのは昨年11月下旬だ。安倍派が政治資金パーティー収入を所属議員に還流させ、組織的に裏金化していた疑いが持たれている。政治資金規正法上、収支報告書の不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2018〜22年の5年間で、裏金の総額は6億円規模に上るとされる。 とりわけ、松野博一官房長官や西村康稔経済産業相、自民党の萩生田光一政調会長ら政権中枢を占める安倍派幹部が1000万〜数百万円を裏金として受けていた疑いが明らかとなり、岸田首相はこれら幹部の更迭に追い込まれた。臨時国会閉幕後の12月14日、同党の高木毅国対委員長、世耕弘成参院幹事長を加えた安倍派のいわゆる「5人衆」を政権中枢から一掃。同派の副大臣5人も全員交代させた。 安倍派を政権の支柱として頼りにしてきた首相にとっては、計り知れない打撃となった。この日公表された時事通信の世論調査で、岸田内閣の支持率は初めて2割を切り、17.1%に落ち込んだ。排除される形になった同派は反発を強め、他派閥も含めて党内に首相を支えようという空気は乏しい。岸田政権は「もはや立て直しは不可能」(自民党ベテラン)という見方が広がっている。 ●行き詰まる政権運営 疑惑が表面化する以前から、岸田政権は行き詰まりつつあった。首相が政務秘書官に起用した長男の不適切な行動や、健康保険証の廃止を前提とするマイナンバー制度の混乱が批判を招き、支持率は昨年5月の38.2%をピークに急落。起死回生を狙った9月の内閣改造・自民党役員人事は不発に終わり、首相肝いりの1人当たり4万円の定額減税は既定方針の防衛増税との矛盾は否めず、「政権浮揚狙い」と見透かされ、民心の「岸田離れ」が鮮明になった。 疑惑が発覚した後の対応もお粗末だった。違法行為の疑いをかけられた松野官房長官が記者会見や国会で、一切の説明を拒んでいる様子が連日のように報じられた。ほかの安倍派の閣僚や党幹部も、悪びれもせず「職務を全うする」と言い放った。岸田首相は松野氏ら安倍派幹部を交代させるまで1週間近くにわたってこうした状況を放置し、人々の政治不信をどれだけ助長したか分からない。この人事に当たっては「国民の信頼回復のため火の玉となって自民党の先頭に立つ」などと大仰な言葉を口にしたものの、具体策は示さないままだ。年明けになってようやく、再発防止策を検討する新しい党組織として「政治刷新本部」(仮称)を設置し、1月中に中間とりまとめを行う考えを示した程度で、スピード感も指導力もうかがえない。 裏金疑惑は安倍派にとどまらず、東京地検特捜部の今後の捜査でどこまで波及するのか見通せない。12月の人事は「急場しのぎ」と言え、1月下旬とも見込まれる通常国会召集まで新体制が無傷でいられる保証はない。通常国会で2024年度予算案審議が始まれば、首相は引き続き野党の追及のやり玉に挙げられる。自民党の派閥政治に起因した今回の不祥事に説得力のある対応策を示せなければ、政権は立ち往生しかねない。 ●待ち受ける「政治改革国会」 大きな課題となるのが、政治資金の透明性を高めるための政治資金規正法の改正と、自民党の派閥の在り方見直しを含む政治倫理の確立だ。だが、過去の例を見ても、自民党は政治改革の諸課題に後ろ向きだ。リクルート事件を踏まえ、1991年の通常国会で最大の焦点となった政治改革関連3法案は、その柱となった小選挙区比例代表並立制の導入に党内の反対が根強く、廃案に追い込まれた。現行の小選挙区制に道筋が付いたのは自民党の野党時代だ。 派閥は弊害がクローズアップされるたびに解消が叫ばれ、歴代首相のほとんどが形式的にせよ派閥を離脱して距離を置いてきた。だが、岸田首相は就任以来、こうした慣例を無視。岸田派会長にとどまっただけでなく、派閥の例会にもたびたび顔を出していた。今回の疑惑発覚を受け、派閥離脱を表明したが、遅きに失したと言うほかない。 その首相が、疑惑追及と政治改革が焦点となる通常国会で派閥の弊害除去を唱えたところで、誰が耳を貸すだろうか。自民党に政治資金規正法改正案の内容を検討させようとしても、指導力を発揮しようがないだろう。自民党ベテランは「首相は信用をなくしてしまっている」と言い切る。もはや「岸田首相の下では選挙は戦えない」というのが党内の大勢だ。「ポスト岸田」有力候補の一人と目される石破茂元幹事長は、2024年度予算成立直後の首相退陣を唱えている。 だが、自民党の体質そのものが問われている局面だけに、首相を代えたところで信頼回復は容易ではない。世論の理解を得るには、政治資金規正法の改正は避けて通れないとみられるが、実効性のある改革に向けた党内合意の形成は難航必至だ。どうにか改正案の提出にこぎ着けたとしても、審議は予算成立後の後半国会以降に持ち越される。「ポスト岸田」をうかがう候補は、うかつに岸田降ろしに動けば火中の栗を拾うことになりかねない。むしろ満身創痍(そうい)の岸田政権に委ねた方が得策との打算が働きそうだ。 ●当面の政治日程 1月下旬 通常国会召集 3月下旬? 2023年度予算成立 6月13日 G7サミット(イタリア、15日まで) 6月20日 東京都知事選告示(7月7日投開票) 6月下旬? 通常国会会期末 9月 自民党総裁任期満了 次の節目は、6月の通常国会会期末だ。国会が閉幕するのに合わせて首相が退陣を表明し、秋の自民党総裁選を前倒し実施する案も取り沙汰される。同13日にイタリアで開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)を政権の総仕上げとする、いわゆる「サミット花道論」に通じる。ただ、東京都知事選が同20日告示、7月7日投開票の日程で行われることが決まっている。自民党は総裁選を国のトップリーダー選びとして大々的にアピールするのが常で、同じく注目度の高い都知事選との同時実施で世論の関心が分散するのを嫌う可能性がある。 政局の行方を読みづらくしているのが、能登半島を中心に日本海側を襲った大地震だ。甚大な被害を受けた石川県では3万人を超える住民が避難生活を強いられている。早期の衆院解散が困難になっただけでなく、自民党内での岸田降ろしの動きや、国会での予算案審議を妨げるような野党の戦術は、震災復旧・復興そっちのけの政争と受け取られれば世論の厳しい批判を免れない。こうした状況は、図らずも岸田政権の延命に手を貸すかもしれない。 ●総裁再選出馬は困難か 総裁選は前倒しがなければ、9月末の任期満了に伴い、秋に実施される。岸田首相は21年秋の菅義偉首相と同様、再選出馬はできずに退陣する公算が大きい。新総裁選びで各派閥は前面には立てず、候補者も石破氏や小泉進次郎元環境相ら無派閥議員や、麻生派所属ながら派閥横断的な支持を集めてきた河野太郎デジタル相ら、知名度が高い議員の争いが軸になりそうだ。 新総裁が選出されれば速やかに臨時国会を召集、首相指名選挙を経て新内閣発足の運びとなる。新政権は鮮度が落ちないうちに衆院を解散、公明党と合わせて過半数の維持を目指す流れになるとみられる。自民党にとっては逆風、公明党も組織力の低下が顕著で、厳しい選挙戦となるのは避けられない。 一方で、野党陣営に対しても期待が高まっているわけではない。立憲民主党は党勢立て直しの手掛かりがつかめず、日本維新の会も不祥事続きで一時の勢いは失われた。しかも、両党は政策も体質も「水と油」。小選挙区での候補者一本化は議論すら行われておらず、各地で競合して非自民票を食い合い、自民党を利する展開が繰り返されるとみられる。 ちなみに衆院議員の任期満了は25年10月。法的には来年への先送りも可能だ。ただ、来年の夏には参院選が控えており、年内の衆院解散を逃すと、来年はほぼ必然的に衆参同日選となる。東京都議選も同じ夏に予定され、都議会を重視する公明党が同時期の衆院選に強硬に反対するのは確実だ。自民党にとっても、衆参で一気に議席を減らしかねないダブル選はリスクが大きく、党関係者は「ダブルは絶対にない」と断言する。 自民党は今回の疑惑の広がりに危機感を強めながらも、野党の低迷を踏まえ、議席は減らしても政権を追われることはないと高をくくっている節がある。同党ベテランは「野党がだらしないから自民党に緊張感がない」と認める。自民党に真摯(しんし)な反省がない以上、今年の政治の一大テーマとなる政治改革は掛け声倒れに終わる可能性が高く、同党に向けられる世論の視線は一段と厳しさを増すに違いない。 |
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●2023年の東京都内物価指数 3.0%上昇 41年ぶりの伸び率 1/9
総務省が9日発表した、2023年平均の東京都区部の生鮮食品を除く消費者物価指数は前年比3.0%上昇し、伸び率は22年の2.2%から拡大した。1982年以来41年ぶりの大きさ。 原材料やエネルギー価格の高騰を受け、食品などの値上がりが広がったことが上昇幅を押し上げた。 一方、12月の東京都区部の生鮮食品を除く消費者物価指数は、前年同月比2.1%上昇し106.1だった。 28カ月連続のプラスとなったが、11月の2.3%より伸びは鈍化した。 「食料」のうち、プリンが39.5%、鶏卵が22.7%、それぞれ増加し、「生鮮食品を除く食料」全体では6.0%の伸びとなったが、11月の6.4%から上げ幅は縮小した。 また、電気代が21.7%、ガス代が21.4%、いずれも低下したことも全体の上昇幅を抑える要因となった。 東京都区部の消費者物価指数は全国に先駆けて発表され、先行指標とされている。 |
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●能登半島地震 予備費から47.4億円の緊急対応を閣議決定 1/9
政府は、能登半島地震の被災者を支援する緊急対応として今年度予算の予備費から47.4億円を活用することを閣議決定した。 岸田首相は9日開かれた、非常災害対策本部会議で閣僚らに対し「プッシュ型支援を加速させるため迅速に執行し、被災地の状況改善にあてるように」と指示した。 また、岸田首相は、避難生活が長引く中、避難所で、生活環境や衛生環境の悪化が顕著になってきている問題点を指摘し、病気の方やお年寄り、妊婦など特に配慮が必要な方を最優先に、二次避難を優先すべき避難所について確認するように指示した。 |
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●経団連の十倉会長、議員逮捕「非常に遺憾」 実効ある対策を 1/9
経団連の十倉雅和会長は9日の記者会見で、自民党の政治資金規正法違反事件で、池田佳隆衆院議員が逮捕されたことについて「非常に遺憾に思う。政治の責任において実効ある対策が必要だ」と指摘した。岸田文雄首相をトップとする同党の政治刷新本部での議論などを通じ、政治への信頼回復に努めるよう求めた。 |
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●問われる政治の覚悟 1/9
ことしの日本の政治は、能登半島地震への対応で国民の命と暮らしを守ること。そして、政治とカネをめぐる問題で、国民の信頼を取り戻す道筋をつけることができるのかという課題に直面しています。ことし問われる政治の覚悟について考えます。 ●能登半島地震対応 岸田総理大臣は、年明け、二つの課題に先頭に立って取り組む考えを強調しました。 最優先の課題は、能登半島地震への対応です。記者会見で、「令和に入り最大級の災害で、被災地、被災者に寄り添い、努力しなければならない」と述べました。 被災地は厳しい寒さによって低体温症などで、避難生活の中で命を落とす災害関連死が強く懸念されています。被害の全容をつかみ、必要な支援を迅速に届け、被災者の命を守らなければなりません。 また、家や仕事を失った被災者の生活の再建や地場産業など被災地の再生に向けた息の長い支援も必要です。 さらに、被災した地域は、人口減少と高齢化が進み、行政や地域の支えあいにも限界があります。こうした地域で災害への備えをどう進めるのかも考えていなかなければなりません。 岸田総理は、与野党の党首と会談し、「災害対応に万全を期す点で、与野党の立場に違いはない」と述べたうえで、新年度予算案について、内容を変更して予備費を増額する方針を伝え、早期成立に協力を要請しました。 国民の命と暮らしを守ること、国民の安心・安全、将来に対する不安を取り除くこと。これは政治本来の役割です。その役割を果たす覚悟が、いま、与野党を超えて求められていると思います。 ●政治資金問題 もう一つ岸田総理が先頭に立つとしたのが、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題です。「国民の政治への信頼を回復すべく、自民党の体質を刷新する取り組みを進めていく」と強調しました。そして、総裁直属の「政治刷新本部」を発足させ、政治資金の透明性の拡大や派閥のあり方に関するルール作りを進める方針で、今月中に中間的な取りまとめを行い、必要に応じて関連法案を国会に提出する考えを示しました。 ●事態の深刻さ 私は、今回、これまでの政治とカネをめぐる問題とは違った深刻さがあるとみています。 まず、問題の広がりです。政治資金規正法違反の疑いで池田佳隆(いけだ・よしたか)衆議院議員が逮捕される事態になっていることに加えて、最大派閥の安倍派と二階派が捜査対象になり、不適切な資金の処理があったとされる派閥や国会議員、議員側の政治団体の数が多く、その額も億の単位という多額に上っています。 これに対して、自民党、各派閥からは、捜査中であることなどを理由に、実態について十分な説明は果たされてはいません。 さらに指摘しておきたいのは、自民党内で、この問題に対する具体的な行動が目立っていないことです。30年あまり前、リクルート事件の際には、議員が勉強会を作って改革案を提言したり、若手議員が改革を断行するよう執行部を突き上げたりもしました。事件の捜査状況を見極めたいという面もあるのかもしれませんが、今回、議員の多くが口をつぐむ背景に、不適切な資金の処理が日常化し、疑問を感じなかったうしろめたさ。世話になった派閥や有力者にはモノが言えないというような配慮があるのだとすれば、自民党の党運営が派閥依存の体質になっている深刻な事態を浮き彫りにしているともいえます。 ●派閥をどう考える 派閥は自民党の正式な機関ではありません。 リーダーを総裁に押し上げようとするグループという性格に加えて、政府や党、国会の人事は、派閥の意向も踏まえて、調整やポストの割り振りが行われてきました。また、選挙の支援や若手議員の指導、有望な新人を発掘する役割も果たしてきました。さらに、政策や政権構想を取りまとめ、党の方針やトップの政局に対する考え方など情報を共有する場でもあります。 しかし、議員が派閥のために資金を集め、派閥から資金の提供を受ける。それが議員を囲い込む原動力となっているのではないかと批判されてきました。 リクルート事件の後、平成元年に取りまとめられた自民党の「政治改革大綱」では、「政治倫理」「政治資金」「選挙制度」「国会」という柱とともに「党改革」の最終的な目標として、「派閥の解消」を打ち出し、派閥の弊害を取り除くとしています。 党の体質を刷新するというのであれば、政治刷新本部で、派閥の解消を含めた議論が行われるのかどうかが、焦点になりそうです。 党の主導権を得るために、人のつながりでグループができることは否定できない側面はあります。岸田総理は「派閥のあり方に関するルールを作る」という考えを示し、派閥の存在を必ずしも否定はしてはいません。派閥の存在を認めるのであれば、派閥がなぜ必要なのか、派閥のどこに問題があり、何を改めるのか、自民党、そして各派閥のリーダーが自らの言葉で国民に明確に説明すべきではないでしょうか。 ●国会での議論は では、国会で各党は、実態解明と再発防止に向けた取り組みをどう進めるべきか考えます。衆参両院には、▽議員が法令などに違反し、政治的道義的責任があるかどうかを審査し、勧告を行う「政治倫理審査会」があります。▽政治倫理の確立と公職選挙法改正に関する特別委員会は、政治資金規正法の改正案を取り扱います。しかし、多くの場合は、衆参の予算委員会が、実態解明と再発防止の方向性を議論する場となってきました。 ただ、今月召集される通常国会で議論が始まる予算委員会では、能登半島地震への対応や新年度予算案に盛り込まれた物価高対策、賃上げ、少子化対策、防衛力の強化とその財源、外交・安全保障の基本方針など議論すべき重要課題が山積しています。 こうした課題の議論をおろそかにしてはなりません。予算委員会だけでなく、政治倫理審査会や特別委員会を並行して開くなど、議論の場を仕分けて、重要政策の議論も十分にできる工夫を与野党に求めたいと思います。 ●政治資金規正法は 再発防止を考えるうえで、ポイントとなるのが政治資金規正法を見直すかどうかです。論点は、すでに明確になっています。政治資金パーティーについては、現在、1回20万円以下ならば購入した人や金額を収支報告書に記載する義務はありません。この公開基準を引き下げるかどうか。 罰則の強化をめぐっては、立憲民主党、与党の公明党などからは、政治資金規正法に会計責任者だけでなく国会議員も処罰の対象とする連座制の導入。国民民主党からは、政治資金で問題があった政党の政党助成金を減額する措置を検討すべきだという意見が出ています。日本維新の会と共産党は、企業団体献金を禁止すべきだとしています。 政治資金をめぐっては、さらに課題もあります。政党助成金の制度があることを踏まえ、新たなに独立した機関を設け、政治資金をチェックすべきだという意見もあります。これは、政治資金の問題解決を政党や政治家に委ねてよいかという論点になります。 政党によって、政治資金の集め方や党の財政基盤は大きく異なります。また、政治資金そのものを集めにくくするような規制や制限を強めることで、金持ちや資産家でなければ政治家になれないような事態は望ましくないという指摘もあり、合意形成は容易ではありません。しかし、政治とカネをめぐる問題が後を絶たず、事件の捜査によって是正されることが繰り返され、政治の対応が先送りされれば、国民の不信は解消されません。 ●まとめ 能登半島地震への対応に万全を期し、内外の重要課題に十分な議論を行いながら、与野党が、今月召集される通常国会で政治とカネをめぐる問題で実効性のある答えを出し、国民に説明を尽くし理解を得られるか、政治に、これをやり遂げる強い覚悟があるかどうかが問われています。 |
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●地震からの復旧・復興へ予備費を1兆円に倍増 16日にも閣議決定 1/9
政府は、能登半島地震からの復旧・復興に対応するため、新年度予算案に盛り込まれた予備費について、現状の5千億円から1兆円に倍増させる方向で検討に入った。16日にも閣議決定する。複数の政権幹部が明らかにした。 予算案は12月22日に閣議決定し、1月下旬に開会予定の通常国会に提出予定だった。短期間で修正し、再び閣議決定をし直すのは異例の対応。岸田文雄首相が5日、鈴木俊一財務相に積み増しを指示していた。 能登半島地震に対応するための財源について、政府は今年度予算の予備費約4600億円を順次、活用していく方針。9日には、被災地からの要請を待たない「プッシュ型支援」の財源として、この予備費のうち47億4千万円の支出を閣議決定。水や食料、乳幼児用粉ミルク、ストーブや毛布、衣類などの物資を購入し支援に充てる。 避難生活や生活再建支援の長期化も予想されるなか、年度が替わるタイミングでも切れ目なく対応するため、政府は予備費の積み増しを検討してきた。2016年の熊本地震では補正予算で7千億円以上を積み増したことや、今回の地震以外にも予測できない事態に備えておく必要性を考慮した。 |
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●日本は「痛切な謝罪」をしたと主張する韓国国情院長候補 1/10
チョ・テヨン国家情報院長候補は9日、昨年3月の日本政府による「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」との発言は歴史問題に対する謝罪を含んでいると述べた。 チョ候補はこの日、野党「共に民主党」のユン・ゴニョン議員による「日本の植民地時代の強制動員と慰安婦の問題に関して、日本政府の正式な謝罪が必要だと考えるか」との質問に対する書面答弁書で、「日本は韓国側による強制動員賠償解決策の発表時に『金大中(キム・デジュン)-小渕共同宣言を含む歴代内閣の歴史認識の継承』を明示的に表明した。これは『過去の出来事に対する痛切な反省と心からの謝罪』を意味すると評価している」と述べた。 昨年3月6日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、日帝強占期の強制動員被害者に対する賠償問題の解決策として、韓国の財団を通じて賠償金(判決金)を支給する「第三者弁済案」を公式発表した。これに対し日本側は、謝罪ではなく岸田文雄首相が「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と述べる程度にとどまっている。 第三者弁済案は、日本製鉄や三菱重工などの日本の加害企業の賠償参加を強制していないため、屈辱的だとの批判にさらされた。チョ候補は、「第三者弁済案」は「国家レベルで韓国国民の痛みを引き受けるとともに、高まった国格にふさわしい姿勢で主導的な解決に取り組もうとした結果」だと述べた。 ユン・ゴニョン議員は「韓日関係において屈辱的な態度を取り続けてきた尹錫悦政権の素顔がチョ・テヨン国情院長候補の答弁でもあらわになっている。加害者は謝罪もしていないのに、被害者である韓国の政府が謝罪を受けたと主張するのは、強制動員の被害者にさらに苦痛を与える行為」だと述べた。 |
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●自民・麻生副総裁、米政権高官と会談 日米韓関係の重要性を確認 1/10
訪米中の自民党の麻生太郎副総裁は現地時間の9日、ワシントンで、カート・キャンベル米国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官と会談した。中国や北朝鮮など東アジア情勢を念頭に日米韓3カ国の連携が重要だという認識で一致した。 キャンベル氏はバイデン米政権のアジア政策の司令塔役を務めている。昨年11月、米国務省のナンバー2に相当する次の国務副長官に指名され、「知日派」としても知られている。 同席者によると、両氏は約40分間にわたり会談。キャンベル氏が、昨年8月にワシントン郊外の大統領専用山荘「キャンプデービッド」で行われた日米韓首脳会談を「成果」だと振り返ると、麻生氏も3カ国の連携を「今までの土台の上に発展させていくことが大事だ」と応じたという。中国や台湾を巡る情勢についても意見交換した。 両氏はまた、今春の岸田文雄首相の国賓待遇での米国公式訪問についても議論し、日米同盟をさらに発展させるため、岸田首相の訪米成功が重要だという認識で一致した。 |
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●能登半島地震の衝撃に便乗するのでは…改憲、増税、原発再稼働 1/10
能登半島を襲った大地震・津波により、2024年の幕開けは衝撃で覆われた。もちろん、引き続き被災者に応える最大限の災害対応は必要だが、だからといって、震災以外の疑惑・問題を覆い隠したり、災害に便乗した動きを見過ごすことはできない。政治とカネ、改憲、復興名目の増税、原発再稼働…「ショック・ドクトリン」にどう対応すべきか。 「この後も地震関係の公務がございますので、(質問は)あと2問とさせていただきます」 4日午後4時半から行われた岸田文雄首相の年頭記者会見。能登半島地震や「政治とカネ」問題などについて答えたが、内閣広報官はこう言って会見を幕引きした。当時の首相の動静を確認すると、確かにその後に15分程度、災害対応に当たる官房長官らと面談を行っている。しかし、テレビ出演のため官邸を出発する午後7時半ごろまで特に予定は入っていない。 ●テレビで語る岸田首相に批判相次ぐ 「今、テレビ出てる場合じゃないでしょ」。安否不明者の捜索や救助活動が進む最中の出演に加え、災害対応以外の党総裁選の再選に向けた展望などを語る岸田氏の姿にネット上で批判が相次いだ。さらに5日には、経済3団体や連合など三つの新年互礼会をはしごしてあいさつしたことへも疑問視する声が上がった。 同じ日には、立憲民主党の泉健太代表が熊本地震と比べ、自衛隊の活動が小規模になっていることに関し、「自衛隊が逐次投入になっており、あまりに遅く小規模だ」と批判した。 ●震災で政権の潮目が変わった? ただ、こうした批判があっても、民放・TBS系列のJNNが6、7両日行った世論調査では、政府の対応が迅速に行われていると「思う」と答えた人は57%に上った。ほんの十日前には、政治資金パーティー裏金事件など「政治とカネ」問題で大揺れに見舞われていた岸田政権。共同通信の世論調査で22.3%まで下がり、2009年に自民党が下野する直前の14%台に近づきつつあった。震災で、いきなり潮目が変わったのか。 政治ジャーナリストの泉宏氏は「大きな事件事故は内閣支持率にプラスに働く。ずっと総理が前面に出て存在をアピールできるから」と話す。 だが、「岸田氏はそれを全く生かしていない。続けざまに新年会に出たり、テレビで話さなくてもよいことを話している」とも。年頭会見で岸田氏は「政治刷新本部(仮称)」を自民党内に設置するとした。しかし、派閥そのものが問題視される中、麻生太郎副総裁を同本部最高顧問に据える方針だ。「派閥解消なんてできっこない。麻生氏は派閥のボス。本気度を全く感じない」(泉氏) ●「政治とカネ」トーンダウンも 7日には、池田佳隆衆院議員らが逮捕された。他の議員の捜査が大詰めとも伝えられ、本来、「政治とカネ」問題の報道や議論は今ごろピークを迎えたはずだが、報道量も世の関心も地震に集中する中で、トーンダウンの感もある。 さらに、通常国会が開会すれば、国会議員には国会会期中の不逮捕特権があり、例外的に逮捕する場合でも逮捕許諾請求が必要となるため、東京地検特捜部の捜査が進展しなくなる可能性もある。 元特捜部検事の高井康行弁護士は「これから安倍派の事務総長らを逮捕するとなると、通常国会に食い込む可能性が高い。逮捕許諾請求は証拠の中身を見せなくてはならず、検察にとってはハードルが高い」と話す。こうして結果的に、「政治とカネ」問題は抜本的改革なしで終幕する恐れもある。 ●「緊急事態条項」で、頭をもたげる改憲論議 一方、こうした大災害などで頭をもたげるのが、「緊急事態条項を盛り込め」といった改憲主張だ。 4日の年頭会見でも、岸田首相は「総裁任期中に改正を実現したい思いに変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力をしたい。今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速していく」と強調。昨年12月の衆院憲法審査会で自民党は、緊急事態時の国会議員任期延長や衆院解散禁止などの改憲条文案を作成するための作業機関を今年1月召集の通常国会で設置するよう提案している。 同党の改憲4項目では、大災害時に移動の自由など個人の権利を制限する緊急事態条項などが、自衛隊の明記とともに盛り込まれている。愛媛大の井口秀作教授(憲法学)は「緊急事態条項は東日本大震災の経験もあって話題になったが、今回の地震もいい事例とされてしまう危険がある」と指摘する。 「例えば、選挙の公示日前日に今回のような地震があったら、として議員の任期延長案を押し通すかもしれない。だが、よく考えれば、今回の地震でも選挙が難しくなるのは恐らく能登周辺だけ。全ての国会議員の任期延長が果たして必要なのか、など大災害時だからこそ冷静にみないといけない」と話す。 ●震災が増税のきっかけになる恐れ 「増税メガネ」の異名を持つ岸田首相なだけに、震災にかこつけて増税を図る可能性もある。実際、東日本大震災では復興特別税が導入された。だが、このうち復興特別所得税は事実上、恒久増税化されている。 「借金だらけの財政で、こんなに災害が起きているのに、災害が起きてから補正予算で対応するなど、いつも泣きっ面に蜂の状態に陥る。今回も国債を発行することになれば、結局その償還のための増税が必要となろう」と指摘するのは法政大の小黒一正教授(財政学)だ。 「こういう事後対応にならないために事前に対応をしておかなければならない」とし、例えば、震災を受けた地震保険の支払いに、大地震に備えて政府が再保険をかける「地震再保険特別会計」を挙げる。そして「復興財源の事前積立会計など、増税前にあらかじめ整備しておくべきことは多くあり、増税はそれをしてこなかったツケに過ぎない」と話す。 ●原発「異常なし」きっかけに再稼働進める可能性 原発推進を掲げる岸田政権だけに、大地震でも一応は「異常なし」となったことを奇貨として、北陸の原発再稼働を進める可能性もある。震源に近い北陸電力志賀原発(石川県)と昨年12月に原子力規制委員会が運転禁止命令を解除したばかりの東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)だ。 国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花事務局長は「多くの道路が寸断された。地震と原発事故が重なった場合、避難できなくなるだろう。各原発の避難計画の現実性も問われる。志賀原発周辺のモニタリングポストも計測不能になった。柏崎刈羽原発も含め地震想定が過小評価されていないかなど検証するべきだ」と話す。 大災害や大事件などの衝撃にかこつけて、別のことを前に進めるショック・ドクトリン。満田氏は「災害時は緊急事態を掲げて政府に都合よい政策を強権的に通す傾向がある。『政府を批判するとは何ごとか』といった言論への抑圧に影響されやすくなる」と説く。 国学院大の吉見俊哉教授(社会学)は「能登は日本の開発主義から切り離され、全く別の価値観で再生しようと探ってきた全国でも類いまれな地域だ。中世の文化が根付く文化的に大変奥深い場所だ」とした上で、こう語る。「能登の豊かさを改めて感じられれば、危機に乗じた『ショック・ドクトリン』などに構っていられない。強行すれば私たちの大切な可能性をつぶしかねない」と話す。 ●デスクメモ 新型コロナがまだ「新型肺炎」と称されていたころ、国会論戦の焦点は安倍晋三元首相の「桜を見る会」問題だった。しかし、ほどなく国内でも感染が広まり、「緊急事態宣言」が出るに至って、追及は沙汰やみに。まさにショック・ドクトリン。その再演を見過ごすことはできない。 |
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●安倍派国会議員が年頭会見 杉田水脈氏 江島潔氏 1/10
自民党安倍派(清和政策研究会)所属の江島潔氏(参院山口)と岸信千世氏(衆院山口2区)が9日、山口県庁でそれぞれ年頭の記者会見をした。派閥の政治資金パーティー収入の裏金事件を巡り、江島氏は東京事務所の会計責任者の秘書1人が東京地検特捜部の任意聴取を受けたと明らかにした。 江島氏は、パーティー券の販売ノルマ超過分のキックバック(還流)や政治資金収支報告書への不記載の有無について「検察による捜査が進行中なので詳細については報告できる立場にない」と説明。安倍派では参院選がある年に改選対象の議員側に対し、販売ノルマ分と超過分の全額を還流させ、選挙資金に充てられた疑いが浮上している点についても「捜査中の案件で、しかるべき時期に報告する」とした。 岸氏は「議員活動はまだ半年。そもそもパーティー券のノルマ、販売実績が一切ない」とし、自身の問題はないとの認識を示した。父の岸信夫元防衛相の時期も含めた事務所関係者への特捜部の聴取については「聞いていない」と話した。 安倍派所属の杉田水脈(みお)氏(比例中国)も9日に県庁で記者会見を予定していた。しかし、直前に「次の行事のため10分間しか応じられない」と説明があったため報道側が応じず、後日開催の方向となった。 |
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●中国が日本抜き自動車輸出トップ、背景にロシアの「助力」―米メディア 1/10
香港メディアの香港01は9日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を引用し、中国が日本を抜いて世界最大の自動車輸出国になった背景にはロシアの「助力」があったと指摘した。 中国自動車工業協会は昨年の中国の自動車輸出台数が526万台だったと推計。日本については430万台と推計しており、世界最大の自動車輸出国になったとみている。 ウォール・ストリート・ジャーナルの記事は、「中国はすでに電気自動車(EV)で世界をリードする存在ではあるが、従来の化石燃料車が成長の推進力になった」と分析。特にロシアで需要が急増していることを挙げた。 記事によると、中国乗用車市場情報連席会(乗連会)は「ロシア・ウクライナ戦争が始まってから中国メーカーは西側メーカーが撤退したことでロシアにできた空席を埋めた」と指摘。中国の2022年のロシアへの自動車輸出は16万台だったが、23年はその5倍以上に上ったと推定されている。 記事は「ロシアやメキシコなどの国ではこうした自動車(化石燃料車)の需要が依然として強い」と指摘している。 |
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●「日本を抜いて世界最大の自動車輸出国に」 中国自動車工業協会 1/10
中国が昨年、日本を抜いて世界最大の自動車輸出国になったとみられる。 9日(現地時間)、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、中国自動車工業協会(CAAM)は昨年中国が526万台の自動車を輸出したという推定値を発表した。 日本では昨年11月の時点で約400万台の自動車を輸出したという統計が出ている。まだ発表されていない12月の輸出値を含んでも中国の昨年自動車輸出が日本より100万台近く多いというのがCAAMの説明だ。 中国が最大自動車輸出国になった理由について、ウクライナ戦争の余波で国際社会から経済制裁を受けているロシア市場を独占したためという分析が出ている。 2022年2月ロシアのウクライナ侵攻以降、西側の制裁と現地に進出した西側自動車企業などの撤退でできた空席を中国が埋めたということだ。中国は2022年ロシアに合計16万台の自動車を輸出したが、昨年は5倍を超える80万代以上を輸出したと推定される。中国自動車企業のうち、特に「奇瑞汽車(Chery Automobile)はロシア市場で急速な成長を遂げた。 同社は昨年90万代以上を外国市場に販売したことが分かった。中国最大の民営自動車グループ「吉利汽車(Geely Automobile)」もロシアに対する輸出が大幅に増加したという。 電気自動車(EV)分野の成長も中国の輸出の伸びを後押しした要因に挙げられている。中国EV大手の比亜迪(BYD)は米国のテスラを抜いて世界最大のEVメーカーになった。 中国でEVを作った後に外国へ輸出する多国籍企業も少なくない。フォード自動車は昨年中国で生産して外国に輸出する物量を10万台に増やした。フォルクスワーゲンは今年中国で傘下ブランド「クプラ(CUPRA)」のEV6万台を生産して欧州へ輸出する計画だ。 |
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●日本がパレスチナとウクライナで取るべき立場 1/10
新年にあたり、岸田内閣がウクライナやパレスチナについて、あまりにも米国べったりの外交しかしないことはまことに腹立たしい。 かつて小泉内閣は、のちにアメリカの愚行だったと批判されるイラク戦争について、ブッシュ大統領をあおり立てた。 さしあたって日米関係は良くなったが、長期的にみて日本がアメリカの良き友であることを示せたとは思わない。それと同じことをしている。 ウクライナについては、日本にとってウクライナに味方するメリットは何もない。欧米と違ってイスラエルの人々に贖罪等する必要ないし、そもそも、ユダヤ人への贖罪を自分たちでなくパレスチナの人々の払うコストでやるべきでない。 ロシアのウクライナ侵攻もハマスのテロも100%間違いだが、そもそも彼らを追い込んだのはアメリカでありイスラエルだから、自衛といってもほどほどのところで留めるべきだ。 岸田内閣の対米追従も行きすぎだが、日本ではリベラルな人々までもアメリカに追随しすぎである。 そして保守派は、例外はあるが、ウクライナ紛争やガザ紛争で、かなり熱心にウクライナやイスラエル、そしてその背後にいるアメリカを支持している。 日頃から、WGIP(War Guilt Information Program=日本人に戦争贖罪意識を植え込む戦略)から日本人は脱却できていないといって、世界から歴史修正主義といわれそうな主張をする人たちが、世界でもっとも無条件にアメリカに支援された戦争を支持しているのだからおかしなことだ。 それどころか、バイデン政権ですらイスラエルに厳しく自制を促しているのに、そうした必要も無いと言わんばかりだ。 私が思うに、世界はウクライナ戦争にうんざりしているし、イスラエルには相当に批判的だ。いまこそ、アメリカの日本に対する戦争中の悪行に少し反省を求めるチャンスでないかと思うのである。 アメリカは、ウクライナへの軍事侵攻とかハマスのテロとかは、けしからんから、ロシアやハマスはとことん殲滅されても仕方ないという。だが、これは、満州事変や真珠湾攻撃がけしからんから、日本に無理難題を要求したり、原爆を落としたり、ソ連の参戦を促したり、占領して憲法まで変えさせたのと重なるところがある。 そのあたりを、プレジデント・オンラインの記事にまとめたので、詳しくはそちらを読んで頂ければと思う。 逆に韓国は、尹錫悦大統領が対日改善に取り組んでいるのに、日本の保守派は応援しない。それどころか、松川るい参院議員のように対韓関係改善に熱心な議員は保守派から批判されて、「エッフェル塔写真」を発端にしたフランス研修問題が彼らに針小棒大に攻撃されて炎上した。 対中国でも、やみくもに敵対しては互いに損をするだけだ。バブル崩壊後の日本経済を、輸出、安い消費財などの輸入による生活防衛、観光客によるインバウンド需要などで支えてきたのは中国との関係だ。 外交は押したり引いたりしながら進めるもので、無条件の追従も敵対も馬鹿げている。日米同盟が外交の主軸であるから、基本的には欧米との共同歩調はやむを得ないが、ウクライナやパレスチナについては積極的に平和のために仲介の労もとるべきだろう。 |
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●法律違反の政党は交付金減額 政治改革で論点整理―国民民主 1/10
国民民主党は10日、政治改革・行政改革推進本部の会合を国会内で開き、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けた政治改革の論点を整理した。国会議員が公職選挙法や政治資金規正法などに違反した場合、所属政党への政党交付金を減額するための政党助成法改正などが柱。来週にも正式に改革案を取りまとめ、通常国会での議論に臨む。 政治資金収支報告書の記載や提出に責任を負う者として、現行の会計責任者の他に政治団体の代表者(政治家)も加える政治資金規正法改正や、政治資金問題に関する調査や提言を行う第三者機関の国会への設置も盛り込んだ。 政策活動費を含めた政治資金の透明化を図るための銀行振り込みの義務付けや収支報告書のデジタル化に向けた議論も続ける。会合後、玉木雄一郎代表は記者団に「他の野党や公明党、自民党と早急に協議を開始することが重要だ」と語った。 |
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●安倍派議員逮捕 不正の全容解明を急げ 1/10
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題は、現職国会議員の逮捕に発展した。派閥ぐるみの事件の全容解明が急がれる。 東京地検特捜部が、政治資金規正法違反(虚偽記入)の容疑で、最大派閥の安倍派の池田佳隆衆院議員を逮捕した。2018〜22年、派閥から約4800万円の還流を受けたにもかかわらず、政策秘書と共謀し、資金管理団体の収支報告書に載せなかった疑いが持たれている。 特捜部は「形式犯」ともされてきた規正法違反での逮捕に踏み切った理由について、「罪証隠滅の恐れが大きい」と説明した。関連のデータを廃棄し、事務所関係者同士のLINE(ライン)のやりとりを削除したという。 裏金疑惑が表面化して以降、池田容疑者は雲隠れし、自ら説明していない。渦中にあって証拠隠しに動いていたとすれば極めて悪質であり、言語道断だ。 安倍派の裏金は時効にかからない直近5年間で6億円近くに上る可能性がある。ノルマを超えたパーティー券の販売収入を所属議員に還流し、派閥側と議員側の双方の報告書に記載しない慣行が続いていたとされる。議員が派閥に納めず手元にプールする手口もあったという。 100人近くいる安倍派議員の大半が同じ構図で還流を受けたとみられる。中でも池田容疑者は高額だった。明るみに出た当初は報告書に記載不要な「政策活動費」と認識していたとし、報告書の訂正で済ませようとしていた。 国民の疑惑を招くことなく、公明正大に収受を行うとする規正法の理念をないがしろにする態度には、あきれるほかない。 特捜部は、歴代の事務総長を含む安倍派幹部や二階派会長の二階俊博元幹事長も任意で事情聴取した。裏金の額が大きい安倍派の大野泰正参院議員、谷川弥一衆院議員の立件も検討しているというが、金額の多寡で線引きすることなく捜査を徹底し、派閥が主導したカネの流れを究明すべきだ。 自民党は池田容疑者を除名処分とした。近く新設の「政治刷新本部」の初会合を開くが、党組織として実態を調査し、説明責任を果たすのが先ではないか。 岸田文雄政権が発足して2年余りで、自民議員の逮捕や起訴は4人目である。今回の逮捕を受けても首相は「大変遺憾であり、重く受け止めている」と決まり文句を繰り返すだけだった。これでは政治への信頼回復などありえない。 |
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●自民党の政治資金問題 「なぜ裏金にするのか 書けない金だからですよ」 1/10
「小泉チルドレン」でもあった元衆院議員の杉村太蔵氏(44)は10日、テレビ朝日系「大下容子ワイドスクランブル」で、自民党安倍派のパーティーをめぐる政治資金事件に言及した。 同派に所属し、政治資金規正法違反で逮捕された衆院議員の池田佳隆容疑者(57=7日に自民党を除名)がキックバックを受けた4800万円あまりが「裏金」となる中、その使用目的が論議の的になっている。 杉村氏は「今、キックバックの話があるじゃないですか」とした上で「企業や団体に派閥のパーティー券を売りました。そこから議員個人にいったらダメだけど、派閥の政治団体から議員の政治団体への寄付は、政治的にさておき、法的には問題ない」という、一般では分かりにくい構造について説明した。 さらに「要するに(収支報告書に)書けばいいということ。これ、何で書いてないか、って言ったら、裏金ですよね」と語り「その裏金、って何でそんなに裏金にする必要があるの? って、言ったら書けない金だからですよ。(議員の)地元で飲み食いに使っていたとして、仮に、地元の有権者におごっていたら、これ、アウトですから」と両手を広げながら声を張り上げた。 その上で「あれ、何で自民党、って選挙強いの? あれ、パーティーやって裏金つくってバラまいていたの? って。そういう不信感があるから、岸田さんは徹底的にリーダーシップを発揮して改革しないと大変ですよ、というのがボクの考えです」と締めくくった。 |
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●死人に口なし!自民党安倍派の還流処置は「会長マター」 1/11
自民党安倍派の裏金事件で、派閥の実務を取り仕切る事務総長だった複数の幹部が、東京地検特捜部の聴取に対し、政治資金パーティー収入のノルマ超過分のキックバック処理は、派閥の会計責任者である事務局長から会長に直接報告される「会長マターだった」と供述しているという。11日の毎日新聞が報じた。 安倍派の会長は2018年から21年11月までは、昨年11月に死去した細田前衆院議長、それ以降は22年7月に銃撃事件で死去するまで安倍元首相が務めていた。 同紙は、事務総長を務めた下村、松野、西村、高木の4氏のうち誰が死者に責任をなすりつけるような供述をしているかは明らかにしていないが、全員、収支報告書への不記載について事務局長との共謀を否定しているという。 まさに「死人に口なし」で、醜悪としか言いようがない。 |
●「岸田派解散」に強い不快感…怒れる麻生太郎、1月米国訪問の思惑と確執 1/27
●深夜の電話 自民党政治刷新本部(本部長=岸田文雄首相・総裁)は1月25日、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けた党改革の中間とりまとめ案を決定、同日の臨時総務会で了承された。 自民党最大派閥の安倍派(清和会)、二階派(志帥会)、岸田派(宏池会)が2018〜22年の5年間にパーティー券収入を裏金化していたことを、東京地検特捜部が政治資金規正法違反容疑(不記載・虚偽記入)で立件、19日に安倍派の衆参院議員3人と会計責任者、二階派の二階俊博元幹事長秘書、元会計責任者と岸田派の元会計責任者が起訴(在宅・略式)された。 そうした中で岸田首相は18日夜、官邸詰め記者団にぶら下がり会見で「岸田派解散」を表明した。この間、岸田氏を支えてきた麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長を含む自民党執行部にとって寝耳に水の首相発言であり、自民党内に激震が走った。 特に麻生氏は同日夜遅く岸田氏の携帯電話を鳴らし「こちらは逮捕も起訴もありませんから、派閥を続けますよ」と伝えたほど、強い不快感を隠さなかった。 このように自民党存続そのものを脅かしかねない中、政治刷新本部が示した党改革案には(1)派閥パーティーの全面禁止、(2)派閥収支報告書に外部監査導入、(3)国会議員にも責任が及ぶ政治資金規正法改正の検討、(4)各派閥からの閣僚名簿作成や働きかけの禁止―などが盛り込まれた。平たく言えば、派閥を「政策集団」に衣替えさせた上で「カネと人事からの決別」を謳ったのだ。 ●良かれと思っての訪米だったが だが、派閥の解散言及はもとより派閥資金を管理する政治団体の解散に踏み込まなかった。世上の関心が集中した派閥解散が見送られたのは、岸田氏が19日午前に「宏池会を解散すると申し上げたが、他の派閥のありようについて何か申し上げる立場にない」と述べ、麻生氏の言い分を容認したことから、その帰趨は容易に予測できていた。 それでもなお、麻生氏は岸田氏から事前の相談・通告がなかったことへの怒りは消えていない。21年10月の政権発足以来、岸田氏が麻生、茂木両氏を頼りとする「三頭政治」の下で幾多の政局危機を乗り切ってきたのは如何ともしがたい事実である。 それ故に、今後の岸田政権の先行きを見通す上で麻生氏の存在を無視できない。1月9〜13日に訪米した麻生氏は、首都ワシントンでカート・キャンベル米国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官(次期国務副長官)、ウィリアム・ハガティ上院議員(共和党・元駐日米大使)、共和党系ロビイストのロイ・ファウチ氏らと会談した。ニューヨークではジョン・“ジェイ”ロックフェラー4世と長男のジョン・D・ロックフェラー5世とも会談している。 実は、麻生氏訪米はドナルド・トランプ前大統領の娘婿のジャレッド・クシュナー元大統領上級顧問がロックフェラー5世を介して要請したとされる。「トランプ大統領」の可能性が現実味を帯びるなかで、今後の岸田氏にとって良かれと思い、トランプ側とのパイプづくりのため訪米したことになる。 ここで筆者が想起するのは1996年7月の加藤紘一自民党幹事長の訪米だ。当時のクリントン民主党政権に「日本の次世代リーダー」と評価された同氏は破格の厚遇を受けた。米議会有力者との昼食会、政権高官との夕食会、シンクタンクの日本専門家との朝食会、ウィリアム・ペリー国防長官との会談なども然る事ながら、注目したのは同24日のヘンリー・キッシンジャー元国務長官主催の夕食会だった(ニューヨークの同氏邸宅)。同席者リストにウォールストリート・ジャーナル編集長、ABC放送会長、CNN副社長、USニュース&ワールドレポート誌会長ら米メディア重鎮と共に経済人として唯一人チェースマンハッタン銀行のデービッド・ロックフェラー国際諮問委員長の名前があったことだ。 加藤氏は翌日午前、同州ポカンティコのロックフェラー邸にも招待された。因みにデービッド・ロックフェラー氏(2017年3月逝去)は先のロックフェラー4世の叔父である。そして加藤氏訪米に同行したのは、衆院から鞍替え直後の塩崎恭久参院議員と当選1回生だった岸田文雄衆院議員である。加藤氏が、英語が堪能な2人を指名したのだ。 麻生氏がロックフェラー人脈を通じてトランプ・アプローチを試みたと聞かされた時、岸田氏はこの96年訪米を思い出したのか、筆者は知らない。だが、麻生氏の怒りを鎮めなければ、今後の政権運営に支障を来たすことだけは理解したはずだ。 奇しくも25日(現地時間)、ニューヨークのセントラルパークに隣接するユダヤ教エマニュエル寺院で昨年11月に亡くなったキッシンジャー氏の追悼式が催された。因みに参列者の中にビル・クリントン元大統領と国務長官経験者3人の他、唯一の日本人として秋葉剛男国家安全保障局長が目撃されている。これを如何に解釈すべきだろうか。 |
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●高市氏「万博延期すべき」と首相に進言 能登地震への対応優先を主張 1/27
2025年の大阪・関西万博をめぐり、高市早苗経済安保相が岸田文雄首相に対し、能登半島地震からの復旧・復興を優先するべきだとして、開催延期を進言していたことが27日、関係者への取材で分かった。 関係者によると、高市氏は今月16日、首相官邸で首相と面会した際、被災地では復旧・復興に向けて資材や人手が不足していることから、開催を延期し、震災対応を優先すべきだとの考えを伝えた。 一方、開催するかどうかの判断については、最終的に首相の判断に従うとも伝えたという。高市氏は、27日に開かれた長野市内の会合で、首相に進言したことを明らかにした。 大阪・関西万博の開催をめぐっては、自見英子万博相は12日の記者会見で、「現時点では中止や延期については考えていない」と述べた。そのうえで「災害からの復旧・復興を最優先とし、建設事業者の状況も把握しながら、万博の準備に向けてどう進めることが最適か検討したい」と述べていた。 |
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●還流不記載の議員ら、核心語らず釈明に追われる…「説明したとは言えない」 1/27
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件を受け、派閥からキックバック(還流)されたパーティー収入を政治資金収支報告書に記載していなかった議員らが釈明に追われている。内容はそれぞれだが、「不記載の理由」「自身の責任」といった核心を語る場面はほとんどない。専門家からは「これで『有権者に説明した』とは言えない」との批判も出ている。 ●「政治不信」 「国民に多大な政治不信を招き、皆様に深くおわび申し上げる」。2018〜22年の収支報告書に計1019万円の不記載があった高木毅・前党国会対策委員長(68)は27日、地元の福井県敦賀市内で記者会見し、そう陳謝した。 高木氏は自民党安倍派の事務総長で、「5人衆」の一人。還流の仕組みについて「長年の慣行として知っていたが、不記載を認識していなかった」とした上で、「記載しなくてよいとの派閥からの指示を事務所の担当者が受けていた。秘書を信頼していたとはいえ、ひとえに私の至らなさ」と釈明した。 還流資金は「全額使った」とした上で、使途を「同僚や後輩との会合、マスコミや評論家との意見交換のための飲食店への支出が主だった」と説明し、「重要な政治活動であり、私的な使い方はない」と強調した。離党や議員辞職については「国対委員長を辞めたのが責任だ」などとして否定した。 ●2000万円超 読売新聞のまとめでは、東京地検特捜部が、安倍派などの会計責任者や現職議員ら計8人を立件した19日以降、収支報告書に不記載があったことを明らかにした自民党議員らは30人以上に上る。中には、2000万円を超える議員もいる。 同派の堀井学衆院議員(51)(比例北海道)は27日、北海道登別市で記者会見した。18年からの5年間で、パーティー券の販売ノルマを超えて集めた計2196万円について、同派から還流を受けながらも収支報告書に記載していなかったことを明らかにした。秘書の人件費などに使ったとし、「議員辞職も離党も考えてない」と述べた。 元国家公安委員長で同派の山谷えり子参院議員(73)(比例)も、18〜22年に派閥から還流を受けた計2403万円を収支報告書に記載していなかったとホームページで発表。山谷氏は「深く反省している」とし、近く全額を派閥に返還するとしている。 「5人衆」の一人とされる萩生田光一・前党政調会長(60)は22日の記者会見で、2728万円を記載していなかったと公表。使途として、「外遊先での贈答品購入や議員、有識者との会合」の費用に充てたと説明した。 詳細を明らかにしないまま、不正はないと主張するケースも。19日夜に記者会見した世耕弘成・前党参院幹事長(61)は、「不正な目的や私的な目的の支出は一切確認されていない」と話したが、具体的な支出は確認中として明かさなかった。 ●「秘書任せ」 資金の管理を秘書に任せていたとして自身の関与を否定する弁明も目立つ。 23日に奈良県庁で記者会見を開いた前外務副大臣の堀井巌参院議員(58)(奈良選挙区)は計876万円の不記載を明らかにした上で、「担当秘書が全額を保管していた」と述べ、一切使っていなかったと説明した。保管場所は「とある場所の金庫」だったが、堀井氏は秘書から保管の事実を知らされていなかったという。 江島潔参院議員(66)(山口選挙区)は19日の記者会見で、22年までの5年間に派閥から280万円の還流があったと明らかにした。自身の関与については「会計は秘書に任せていた」と否定し、「(報道に出るまで)還流があったことを知らなかった」と釈明した。 岩井奉信・日大名誉教授(政治学)は「政治家と事務所は一体であり、秘書が管理していたとしても政治的な責任は重い。使途を十分に明らかにしているとは言えず、有権者が納得する説明になっていない」と批判している。 |
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●裏金国会スタート 松野前官房長官ついに語る 安倍派“5人衆”最後の一人 1/27
「政治とカネ」の問題で自民党が揺れるなか、通常国会が始まりました。安倍派の幹部、通称・“五人衆”のうち、疑惑について会見を避けてきた松野博一前官房長官がようやく語りました。 ●「当時の説明の仕方、適切だった?」記者が聞くと 通常国会がスタートしました。不起訴となった安倍派幹部たちはリラックスした姿です。 萩生田光一前政調会長 2728万円不記載 世耕弘成前参院幹事長 1542万円不記載 西村康稔前経済産業大臣 100万円不記載 高木毅前国対委員長 1019万円不記載 松野博一前官房長官 1051万円不記載 この“5人衆”と呼ばれる安倍派幹部の中で唯一、カメラの前で裏金事件の説明をしてこなかった松野博一前官房長官が記者会見を開きました。 自民党安倍派・松野博一前官房長官「国民の皆様に大きな政治不信を招いたことに関しまして、清和政策研究会(安倍派)の常任幹事の一人として心からお詫び申し上げます」 裏金問題で官房長官を辞任した松野氏。 松野博一官房長官(当時)「政府の立場」「政府としてのコメントは差し控えます」 この日の会見で、長官時代に「政府の立場」を繰り返し、説明を拒み続けたことを問われると… 記者「ご自身の説明の仕方 振り返り適切だったと考えるか?」 松野氏「政治的不信を招くことがあったというご指摘であれば、私の不徳の致すところでありますし、反省をしなければいけないなと」 また、安倍派からキックバックされたあわせて1051万円のパーティー券収入については… 自民党安倍派・松野博一前官房長官「還付金(キックバック)があれば、清和会(安倍派)から(自分の)政治団体に対する寄付として記載がなされているものと認識しておりましたので」 事務所スタッフが担当していたもので、問題が発覚した2023年11月の時点まで、自身は未記載を把握していなかったと強調しました。そのうえで、議員辞職や離党の考えはないと述べました。 ●ドライバーでPCを破壊し証拠隠滅?池田佳隆被告 裏金事件を巡っては、安倍派の議員がドライバーで証拠を破壊していた疑いも… 26日に政治資金規正法違反の罪で起訴された安倍派の衆院議員・池田佳隆(57)被告。総額4800万円のキックバックを受けたにもかかわらず、収支報告書に記載しなかった罪に問われています。 関係者によりますと、特捜部の家宅捜索を受ける前に、事務所のパソコンがドライバーで壊されており、池田被告が秘書に指示して、証拠隠滅を図った可能性があるということです。 ●茂木派も麻生派も…「離脱ドミノ」始まる 裏金問題による政治不信の高まりを受けて、存続する姿勢を示している二つの派閥でも「離脱ドミノ」が始まっています。 茂木派では、小渕優子選対委員長に続いて、関口昌一参院議員会長らが退会を表明。麻生派の岩屋毅元防衛大臣も「全派閥が解散すべきだ」として退会の意向を明らかにしました。 混乱の続く自民党に対し、野党は「裏金事件」を追及する構えです。 立憲 泉健太代表「この“裏金”議員は許してはいけないということに焦点を絞って取り組んでいかなければいけない」 29日には「政治とカネ」の集中審議が行われます。 |
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●能登半島地震の火災発生率 東日本大震災を上回る 専門家が報告 1/28
能登半島地震では揺れによる建物の倒壊だけでなく火災も相次ぎ、専門家の調査で火災の発生率が東日本大震災を上回っていたことが分かりました。専門家は今後発生すると指摘されている巨大地震や津波に伴う津波火災の想定を避難などの計画に早急に盛り込む必要があるとしています。 今回の能登半島地震について京都大学防災研究所で28日、報告会が開かれ、京都大学防災研究所の西野智研准教授は火災の状況についての調査結果を説明しました。 それによりますと石川と富山、新潟の3県で17件の火災が発生し、このうち広範囲で建物が延焼した石川県輪島市の「朝市通り」周辺など地震の揺れが原因とみられるものが13件、津波によるものとみられるのが3件確認されたとしています。 輪島市の朝市通り周辺では燃えにくい鉄筋コンクリートなどの建物でも、窓や扉などの開口部から燃え移り延焼を阻止できなかった可能性があったと指摘しました。 また、強い揺れとなった地域の火災の発生率は人口1万人当たり1件と試算され、1995年の阪神・淡路大震災と比べるとおよそ3分の1と低かった一方、2011年の東日本大震災の5倍ほどだったということです。 さらに石川県珠洲市と能登町で発生した津波による火災の面積はあわせておよそ0.37ヘクタールだったということです。 津波で壊された建物が流され、壊れていない建物と重なった場所で火災が発生していたことも分かり、東日本大震災での火災の特徴と似ているとしています。 西野准教授は今後発生すると指摘されている巨大地震・津波でも火災が想定されていることを踏まえ、感震ブレーカーなど出火防止の対策をさらに進めるとともに、津波による火災が起きた際の避難について防災計画に盛り込む必要があると指摘しています。 ●地震計データ 専門家が分析 “2つの断層 時間差で動いた” 1月1日に発生した能登半島地震について京都大学防災研究所の浅野公之准教授らのグループは観測された地震計の波形データを詳細に分析し、断層がどのようにずれ動いたのか推定しました。 それによりますと、1日の午後4時10分9秒に南西の方向へ向かって断層の破壊が始まり、それから13秒後の午後4時10分22秒には別の断層で北東の方向へ破壊が進み、強い揺れを発生させていました。 複数の断層が連動してずれ動いたことで揺れが長い時間にわたって続き、震度6強を観測した石川県珠洲市では異なる方向へと進んだ断層の破壊の中間地点付近にあったため、強い揺れが1分以上にわたって継続していたということです。 珠洲市では去年5月の地震でも震度6強を観測していますが、強い揺れの継続時間はこのときはおよそ10秒程度で、今回はそれと比べ大幅に長かったと見られると指摘しています。 浅野准教授は「波形の分析から揺れの時間の長さなど震度だけではわからないことが見えてきた。地震による強い揺れの予測につなげるためにも、メカニズムの解明を進める必要がある」と話していました。 |
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●山谷えり子議員、2400万円不記載をHPで発表し謝罪… 1/28
ライターの武田砂鉄さん(41)が28日、X(旧ツイッター)を更新。自民党派閥の裏金事件を巡り、派閥からキックバック(還流)を受けたカネの未記載をホームページ(HP)でのみ報告する議員らに、強烈な皮肉をぶつけた。 武田さんは、元国家公安委員長で安倍派の山谷えり子参院議員=比例=が2018年から5年間、計2403万円を政治資金収支報告書に記載していなかったと、HPで発表したとのネット記事を引用。「しれっと『ホームページで発表』、『深く反省している』と書いて終わらせようと試みるスタイルが増えてきた」と触れた上で、「2000円返し忘れたくらいのテンションで2000万円の裏金を謝る」と非難した。 武田さんは21日にも、安倍派幹部の松野博一前官房長官=衆院千葉3区=が、キックバックによる計1051万円を記載していなかっったとHPで報告したのを受け、「ずっと『答えを差し控える』を連呼していた人、会見せずに、まさかのホームページ」と投稿している。 軽すぎる議員の動きに、フォロワーからも「次から次へとまぁ」「はいこれで私は説明責任果たしましたよ…じゃねーぞ」「2000円でもダメ。俺には大金」「神奈川県では先日、同僚から2000円盗んだ教員が懲戒免職→依願退職になりましたが。『万円』が付くと違うんですかね」と怒りやあきれる声が寄せられた。 今回の事件で、東京地検特捜部が立件の対象ラインを、不記載額3000万円と定めたとされることを受け、「気のせいかもしれないが、検察の線引き(3000万円未満の裏金はセーフ)が示されて以降、これに沿った発表が相次いでいる」「ただいま2999万9999円までなら、これで許されるキャンペーン実施中なんですよ!」といったコメントも挙がった。 |
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●安倍派座長の塩谷氏、パー券不記載234万円 議員辞職や離党は否定 1/28
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題で、清和政策研究会(安倍派)座長の塩谷立元文部科学相は28日、政治資金収支報告書に記載していなかったパーティー券の収入は2018〜22年の5年間で234万円だったことを明らかにした。全て政治活動に使ったとして、議員辞職や離党は否定した。 浜松市の事務所で記者会見に臨んだ塩谷氏は、冒頭で不記載と説明の遅れを陳謝。234万円の使途について「事務所経費、交通費、会合費、印刷費など政治活動に使った。中抜きはなかった」と主張した。 自身に課されたパー券の販売ノルマについて「ここ数年、コロナでノルマが半分になった。半分になっても今まで通り購入してくれた分が(キックバックとして)かえってきた」と説明した。「派閥のパーティー券はノルマ分だけ売り、全く還付を受けていないと考えていた」とも述べた。 |
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●麻生氏が派閥存続を明言、「政策集団として頑張る」… 1/28
自民党派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、自民のベテランや若手の議員が地元活動で、派閥の見直しをはじめとする政治改革のアピールに躍起になっている。事件による逆風は強く、失われた信頼の回復につながるかどうかは見通せないのが実情だ。 ●「原点回帰」 「古い自民党、票やお金をくれる勢力におもねる政治ではなく、国民政党の原点に戻る」 安倍派の稲田朋美幹事長代理は27日、地元の福井県あわら市内で開いた会合に約20人の支持者らを集め、こう強調した。 同派では、政治資金パーティー収入の還流を通じ、巨額の裏金が作られていたことが発覚した。議員が逮捕されたほか、会計責任者らが立件され、派閥の解散が決まった。 稲田氏は「私を応援していることで、『一体どうなっているんだ』と問い合わせを受けたと思う。調査に時間がかかり、説明がこういう時期になってしまったことはおわびしなければならない」と陳謝した。 出席者からは「二度とこうしたことがないように襟を正してほしい」との声が上がったという。 ●厳しい反応 岸田派の石原正敬衆院議員(当選1回)はこの日、三重県内の3市1町計7か所を街宣車で回り、街頭演説を行った。 岸田首相が岸田派の解散を打ち出したことについて、「よもや決断するとは思っていなかった」と振り返り、「我々若手がスクラムを組み、党改革をしていく」と強調した。この日の演説では、聴衆から両手でバツ印を作り、批判の意思を示されることもあった。自民地方議員は「有権者の反応は厳しい」と漏らした。 無派閥の牧原秀樹衆院議員(当選5回)はさいたま市内でミニ集会を開いた。支持者ら約10人を前に「今までは派閥の親分の前で『あなたも派閥をやめろ』なんて言えなかった。政治が大きく変わるチャンスだ」と指摘した。 ●「政策を勉強」 一方、麻生派を率いる麻生副総裁は福岡県飯塚市での講演で、「政策集団として、皆さんの期待に一層応えられるように頑張っていかねばならない」と表明し、派閥の存続を明言した。「従来以上に政策を大いに勉強し、研さんし、立案し、国民の負託に応えることが信頼回復に向けた唯一の方策だ」とも語った。 自民内では、麻生派と茂木派が派閥を解散しない意向だ。 |
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●自民裏金事件で派閥幹部不起訴「適切だとは思わない」78% 世論調査 1/28
毎日新聞は27、28の両日に全国世論調査を実施した。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、東京地検が派閥幹部の立件を見送ったことが適切だと思うか尋ねたところ、「適切だとは思わない」が78%に上り、「適切だと思う」(11%)を大きく上回った。「わからない」も10%あった。 東京地検は自民党派閥の政治資金パーティーを巡り、安倍派や二階派などの会計責任者らを政治資金規正法違反で立件する一方、派閥幹部は不起訴処分とした。派閥幹部が立件されなかったことへの疑念が、国民に広がっていることが伺える。 |
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●政治資金規正法違反に連座制 「導入すべきだ」87% 世論調査 1/28
毎日新聞が27、28の両日に実施した全国世論調査で、政治資金規正法違反に関して、会計責任者だけでなく政治家も責任を負う「連座制」について尋ねたところ、「導入すべきだ」が87%を占め、「導入する必要はない」は6%にとどまった。「わからない」は6%だった。 東京地検は自民党派閥の政治資金パーティーを巡り、安倍派や二階派などの会計責任者らを政治資金規正法違反で立件する一方、派閥幹部は不起訴処分とした。派閥幹部と会計責任者の共謀を立証できないと判断されたことが不起訴処分の一因とされる。 |
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●自民の取り組み 「信頼回復につながる」は8% 世論調査 1/28
毎日新聞が27、28の両日に実施した全国世論調査で、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けた同党の取り組みが政治の信頼回復につながると思うか尋ねたところ、「信頼回復につながるとは思わない」が84%に上り、「信頼回復につながると思う」は8%にとどまった。「わからない」は8%だった。 岸田文雄首相が18日、岸田派の解散を検討していることを表明。同派のほかに、安倍派、二階派、森山派も解散の方針を決定した。また、裏金事件を受けて設置された政治刷新本部は党改革について議論し、中間取りまとめに、派閥の政治資金パーティーの禁止や人事への働きかけの禁止などを明記した。一方、派閥全廃は盛り込まれず、派閥は「政策集団」として存続することが容認された。 |
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●岸田内閣支持率 8カ月ぶりに上昇、21% 世論調査 1/28
毎日新聞は27、28の両日、全国世論調査を実施した。岸田文雄内閣の支持率は2023年12月16、17日実施の前回調査(16%)比5ポイント上昇の21%で8カ月ぶりに上昇に転じた。不支持率は前回(79%)比7ポイント下落の72%だった。 岸田内閣の支持率は広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)があった23年5月に45%を記録して以降、下落傾向となり、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の捜査が進んだ12月には初の10%台に落ち込んだ。今月1日に起きた能登半島地震への対応などを受けて支持率は持ち直しの様相を見せ始めたが、依然として危機的水準であることに変わりはない。 同地震での政府の対応を「ある程度評価する」と答えた人は41%。「大いに評価する」(11%)との合計は51%だった。「あまり評価しない」は33%、「全く評価しない」は15%で、計48%だった。 自民派閥の裏金事件を受けて岸田首相が岸田派の解散方針を党内6派閥の中で最初に表明したことについては「評価しない」が44%で、「評価する」は40%だった。「わからない」は15%。 岸田内閣の支持率の推移 岸田首相が今月18日、岸田派の解散を検討する方針を表明して以降、安倍派、二階派、森山派も解散方針を決定。麻生派、茂木派からも退会の意向を明らかにする議員が出るなど、自民では「脱派閥」の動きが広がっている。 裏金事件を受けた自民政治刷新本部による中間とりまとめを「評価しない」は55%で、「評価する」は27%にとどまった。中間とりまとめでは、派閥が政治資金パーティーを開いたり、内閣や党の人事に関与したりすることを禁止する方針が打ち出されたが、派閥全廃などには踏み込まなかった。 岸田首相にいつまで首相を続けてほしいかとの質問では、「早く辞めてほしい」との回答が48%で最多だった。「今年9月の自民党総裁任期まで」の30%、「できるだけ長く続けてほしい」の11%が続いた。 政党支持率は、自民23%(前回17%)▽立憲民主党14%(同14%)▽日本維新の会9%(同13%)▽共産党8%(同5%)▽れいわ新選組7%(同7%)▽国民民主党4%(同4%)▽公明党3%(同3%)▽参政党2%(同2%)――などで、「支持政党はない」と答えた無党派層は27%(同31%)だった。 |
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●派閥解消論で追い込まれた麻生・茂木が安倍派幹部に離党を迫って逆襲 1/28
自民党が大揺れの中で通常国会が始まった。 自民党の安倍派と二階派に加えて岸田派も裏金事件で立件されたことを受け、岸田文雄首相が「派閥解消」を訴えて捨て身の反撃で繰り出した岸田派解散。二階派、安倍派、森山派が続いて解散を決め、自民党は派閥解散組vs派閥存続組(麻生派、茂木派)の対決構図が強まっている。 派閥解消に世論の関心を引き寄せ、政治資金の透明化という核心の問題から目をそらす岸田首相の狙いはこれまでのところ成功したといっていい。 さらに、内閣支持率が低迷する岸田首相では今年の自民党総裁選に勝てないとみて3月退陣を迫る麻生太郎副総裁を中心とした麻生・茂木・岸田の主流3派体制に終止符を打ち、派閥解消を唱える菅義偉前首相と麻生氏を天秤にかけて1日でも長く政権を延命する岸田首相の戦略も見えてきた。 麻生氏は1岸田首相の国賓待遇の訪米を3月上旬に設定し、3月下旬の予算成立とあわせて花道として退陣させる2緊急の総裁選を実施して茂木敏充幹事長を擁立し、主流3派主導の多数派工作で勝利する34月に新内閣が発足してただちに解散総選挙を断行し、衆院補選が予定されている4月28日の投開票とするーーというシナリオを描いていたが、岸田首相が仕掛けた派閥解消論議で吹っ飛んだ。訪米は4月10日に決まり、3月退陣の可能性は消滅したといえるだろう。 逆に麻生派と茂木派は派閥離脱議員が相次いで追い詰められている。 とりわけ茂木派(平成研究会)は、かつて派閥を率いた小渕恵三元首相の娘である小渕優子選対委員長に加え、参院のドンと言われた青木幹雄元官房長官の長男である青木一彦参院議員らが相次いで派閥を離脱し、茂木氏の求心力は低下。参院を中心に茂木派に大きな影響力を残してきた青木幹雄氏はもともと小渕優子氏を溺愛して茂木氏を敬遠しており、参院を中心に反茂木の動きが一気に噴き出してきた格好だ。 麻生派でも麻生氏と長年行動をともにしてきた岩屋毅衆院議員が離脱。麻生氏との関係がぎくしゃくしている河野太郎氏の去就に注目が集まっている。 一転して窮地に立った麻生・茂木両氏が反撃の一手として繰り出したのが、立件を免れた安倍派幹部たちに自発的離党を促す強硬手段だった。 対象となるのは、安倍派座長の塩谷立氏、事務総長を歴任した下村博文氏、松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、高木毅前国対委員長、そして参院幹事長だった世耕弘成氏と政調会長だった萩生田光一氏の7人だ。 茂木幹事長は安倍派幹部たちに対し「自ら政治的けじめをつけるように」と促し、応じなければ離党勧告に踏み切ることを示唆したと報じられている。「裏金事件で政治の信頼を失ったのは安倍派」であることを強調することで、派閥解消論で逆風に立った麻生・茂木派への批判をかわす狙いだ。 これに対し、安倍派の大親分である森喜朗元首相は麻生・茂木氏と面会し、猛烈に抗議したという。森氏は裏金事件が発覚した後、老人ホーム入居して「雲隠れ」していたが、捜査が終結し、安倍派幹部たちが窮地に立つなかで、麻生・茂木両氏に「直談判」に出向いた格好だ。 自民党内では、塩谷氏が座長として責任をとって離党し、あとの幹部たちは役職停止処分などに抑える妥協案が浮かんでいる。ただ、この場合も塩谷氏だけを立件するのは筋が通らないとの指摘も強い。二階派と岸田派も立件された以上、派閥のトップだった二階俊博元幹事長や岸田首相も離党しないと辻褄があわないからだ。 裏金事件は今年の自民党総裁選に向けて党内抗争を激化させることになった。派閥維持を目指す「麻生・茂木vs派閥解消で対抗する菅・二階・石破vs1日でも長く居座ることを目指す岸田」という三つ巴の駆け引きが激化していく。岸田首相がいつ退陣し、その後の総裁選がどう転んでいくのかが今年前半の政局の最大の焦点となる。 |
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●不振の中国経済 不動産対策に政策集中を 1/28
中国経済の不振に世界が警戒を強めている。中国政府は政策を総動員し、思い切った改革に取り組む必要がある。 注目すべきは、3月に開かれる全国人民代表大会(全人代=国会)で公表される今年の経済目標と政策だ。 中国の2023年の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除く実質で前年比5・2%増となり、政府目標の5・0%前後を達成した。22年の3・0%を上回っている。 しかし、楽観できる状況ではない。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ前年からの反動を含んだ数字であり、V字回復には程遠い。 最大の要因は不動産の落ち込みだ。中国のGDPは不動産関連のウエートが高く、約3割に上るとされる。23年の不動産開発投資は前年比9・6%減と落ち込み、2年連続のマイナスだった。 住宅販売が振るわず、マンションの在庫が積み上がっている。中国恒大集団など不動産開発業者の資金繰り悪化で工事が中断し、購入者に引き渡されないまま野ざらしになった物件が続出している。 不動産開発に依存した地方都市では、財政不安も深刻化している。 影響は個人消費にも及ぶ。中国は家計資産に占める不動産の割合が約6割を占め、不動産不況で消費者の財布のひもは固くなっている。 23年の小売売上高は前年を7・2%上回ったものの、コロナ禍の反動要素などが大きく力強さに乏しい。 販売不振は値下げ競争を誘発する。23年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0・3%下落し、3カ月連続のマイナスだった。日本経済を長く苦しめたデフレの様相を呈しつつある。 中国の不動産不況は構造的な問題をはらんでいる。長年にわたる「一人っ子政策」の影響もあり、23年の人口は2年連続で減少した。人口減少と高齢化は今後も進む。 問題解決には痛みを伴う。放漫経営を続けた不動産開発業者の破綻処理や業界再編は避けられないだろう。 政府は公的資金を活用し、破綻した事業者から物件を引き継ぐ会社をつくり、物件の完成と引き渡しを進める必要があるのではないか。 政策の逐次投入は問題の先送りにしかならず、傷口を広げる。日本が過去に経験したバブル経済崩壊と不良債権処理に学んでほしい。 少子高齢化がますます進行し、労働力人口が減少する中で、中国経済が息を吹き返す鍵は技術革新と生産性の向上にある。 アリババグループなど民間のハイテク企業は、その有力な担い手だ。経営の自由を奪う政府の締め付けは、成長の芽を摘む行為に等しい。 海外からの投資も経済回復を後押しする。そのためには外国企業が中国進出をためらう要因である改正反スパイ法を廃止するなど、投資環境を整えることが不可欠だ。 |
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●安倍派叩きの裏側 1/28
●岸田総理の本音 自民党の一部議員から、安倍派の幹部だった議員に離党を迫る動きがあると言う。それは問題の本質ではないと言う意見は兎も角、トカゲの尻尾切りを行った自民党は、果たして第二自民党を結成する動きになるのだろうか? それとも、岸田総裁が言うように、政策集団としての存続を検討してもらうのだろうか? これまでも、いわゆる派閥と言われる人たちは、自分たちはあくまで政策を学び研究する場としてきた。 だから、名称も、宏池政策研究会(宏池会)、麻生太郎政策集団(志向会)、清和政策研究会(清和会)となっている。つまり、志を同じくする者が互いに切磋琢磨する場と位置付けている。 前回の拙稿でも触れたが、自民党は過去にも二度にわたり派閥を甲斐性すると言っていながら、派閥は残り続けたが、今回は、自民党離党勧告も辞さずと言う構えで、政治刷新本部が臨むと言う。 自民党の派閥は、これまでの系譜を見ると、岸田派が保守本流で最大派閥の安倍派が保守傍流と言うことになっている。 岸田総理自身は派閥の長を降りると宣言したばかりで、しかも今回、槍玉に挙げられているのが安倍派となれば、当然だが、人事面に大きな影響を与えてきた安倍派潰しの為ではないか?との憶測が流れるのも当然と言えば当然の話だ。 ただ、有権者の関心事は、むしろ自民党が派閥を解消すると宣言しても、当の岸田総裁は政策研究会として存続を匂わせている。 つまり、派閥解消などと有名無実だとの批判が集まっている。 実際、今の自民党では仮に解散総選挙を行ったとしても、大勝するのは難しいだろう。野党が議席を伸ばす可能性は確かにある。 確かにあるのだが、では、今の自民党のゴタゴタが無党派層を動かすに至るか?と言われれば、その可能性は低いと思う。 その理由はズバリ、野党がだらしないからだ 現在、能登半島の震災被害の対応、日本海側を中心とした寒冷前線と豪雪の被害と可及的速やかな対応をしなければいけない事態が次々に起きている。そんな時、被災地を救えるのはやはり時の政権しかない。その意味で、岸田政権の対応は決して間違っていないし、必要な対応を行なっていると思う。 国会が始まり、予算委員会の中、これら災害対応を行なっている政府に対して、「早い、遅い」の議論はあるが、少なくとも自然災害時に最も重要な予算措置について、岸田政権は必要にして十分な対応を行なっている。そこに異論を挟む人がいるだろうか? では、今回の降って湧いた自民党のパーティー券のキックバック問題にしても、金額だけで言えば、鳩山元総理の問題、小沢一郎の問題に比べれば、法律に則り修正申告すれば済む話ばかりだ。 むしろ、ここにきて安倍派幹部の追い落としに舵を切った岸田総理は、老獪な手腕を発揮していると言ってもいい。それは三点に集約される。 1国会開会前に派閥解消を決断したこと、2災害への迅速対応を行なったこと、3いち早く政治刷新本部を立ち上げたこと、の三点だ。 これは時宜を得ているとも言えるが、岸田総理が茂木氏や麻生氏の反対をゴリ押ししてでも進めたことで、野党は国会追及が出来なくなってしまった。 特に、岸田総理が派閥の長を下り、同時に自民党内の派閥争いに党総裁の立場で各派閥を牽制しながら派閥解散を決意したことで、自民党内からも野党からもその追求を一時的に回避することが出来た。 |
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●小野寺氏、自民幹部は派閥離脱を 1/28
自民党の小野寺五典元防衛相は28日のフジテレビ番組で、1989年の政治改革大綱に基づき、主要な党幹部は派閥を離脱することになるとの見通しを示した。小野寺氏は「大綱は生きている。党の重要な役目の方が(派閥を)抜けていくことは普通の流れではないか」と語った。 小野寺氏は岸田派所属。岸田文雄首相は党総裁・首相に就任した後も同派会長を務めていたが、派閥の裏金問題を受けて昨年12月に同派を離脱。同派は今月23日に派閥解散を正式に決めた。 |
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●企業・団体献金を全面禁止=「政治改革大綱」、29日発表―維新 1/28
日本維新の会は28日、大阪市内で常任役員会を開き、維新版「政治改革大綱」を29日に発表することを決めた。 自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けたもので、企業・団体による政治資金パーティー券購入の禁止、企業・団体献金の全面禁止、政党が所属議員に支給する「政策活動費」の廃止が柱。 調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途の全面公開のために法的措置を講じることや、収支報告書への不記載について会計責任者だけでなく議員本人の責任も問う「連座制」の導入も盛り込む。 維新内では、国会議員本人が自身の関係する政治団体の会計責任者になることも申し合わせる方針だ。 役員会後、藤田文武幹事長は記者団に「提案していることは先駆けてやる」と説明。与野党協議の結果にかかわらず、党独自に実行していく考えを示した。 |
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●岸田内閣支持率21% 12月から5ポイント増 毎日新聞世論調査 1/28
毎日新聞は27、28の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は、昨年12月16、17日実施の前回調査(16%)より5ポイント増の21%で8カ月ぶりに上昇した。不支持率は前回調査(79%)より7ポイント減の72%だった。 支持率は、マイナンバーカードを巡るトラブルが相次いだことなどが影響して昨年6月以降、下落傾向に転じた。9月に内閣改造を実施し、11月には、減税や低所得世帯への給付などを盛り込んだ総合経済対策を閣議決定したが、政権浮揚にはつながらなかった。その後、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が深刻化。今月は20%台を回復したが、7カ月連続で30%を切っており、厳しい政権運営が続いている。また、不支持率が70%を超えるのは3カ月連続。 調査は、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯446件、固定603件の有効回答を得た。固定については、能登半島地震で大きな被害が出ている石川県の一部地域を調査対象から外した。 |
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●麻生氏、上川外相の容姿に言及 「美しい方とは言わない」 1/28
自民党の麻生太郎副総裁は28日、福岡県芦屋町で講演し、上川陽子外相の容姿について「そんなに美しい方とは言わない」と言及した。一方で「堂々と話をして、外交官の手を借りずに自分で会うべき人との(面会)予約を取っている。大したものだ」と外交手腕を評価した。 上川氏が外相就任直後の国連総会で多くの個別会談をこなした点を取り上げて「あんなことができた外相は今までいない。新しいスターがそこそこ育ちつつある」とも述べた。 |
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●2024年選挙イヤー 岸田首相や泉代表、山口代表…党の顔は変わるのか 1/28
昨年末からの自民党派閥パーティーをめぐる裏金事件の混乱がおさまらない中で、26日に通常国会が始まった。これまで自民党に当たり前のようにあった派閥が、裏金事件の「温床」となったこともあり、次々に解散に追い込まれる事態となるなど、「未知のゾーン」(自民党関係者)に突入した感があり、これから何が起きるのか、何が起きても不思議ではないという不安定さを感じる。 ところで、今年は世界的に「選挙イヤー」といわれている。すでに今月13日に台湾で総統選が行われ、与党民進党の頼清徳氏が当選した。3月には、ウクライナ侵攻を止めないプーチン大統領のロシアで大統領選、そして11月には、選挙イヤーのクライマックスとなる米大統領選が予定される。ロシアはプーチン大統領の通算5選が揺るがないが、米国は、バイデン大統領の支持率が低迷する中、トランプ前大統領が共和党で始まった候補者選びの予備選を連勝し、「もしトラ(もしトランプ氏が大統領に再選したら)」が現実味を帯びる展開で、来年以降の世界情勢がさらに混乱しかねない状況だ。 リーダー選びの「選挙イヤー」は、日本も同じ。岸田文雄首相の任期が9月に迫る自民党総裁選が最も注目されるが、与党の一角公明党、野党第1党の立憲民主党でも今秋に代表選が予定され、党の「顔」が代わるのか代わらないのか、注目が集まっている。 先陣を切ったのは共産党。今月18日の党大会で、約23年続いた志位和夫委員長が退任し、党史上初の女性委員長として田村智子氏の就任が決まり、野党の一角でリーダーが交代した。田村氏は「要請を受けた時は、率直言って驚いた」とした上で「プレッシャーはない」と強調。党勢の拡大へ、初の女性起用で刷新感を狙ったのではないかとの見方も多く、リーダーとしては未知数の田村氏の手腕が問われている。 野党では、第1党の立憲民主党でも9月に泉健太代表が任期を迎える。2021年衆院選後に創業者の枝野幸男氏の辞任に伴う代表選で勝利し、代表に就任した。代表ポストは初めてで経験不足への不安も出ていたが、当時、党関係者は「もし泉さんをおろすような動きが出てくれば、党も終わりだ」と話すなど、新たなリーダーをもり立てようとする空気はあった。 しかしこの2年あまり、政権追及の迫力に欠け、野党共闘に向けた流れも迷走。気付けば第2党の日本維新の会に脅やかされる立ち位置になった。露骨な「泉おろし」の動きはなくても、水面下では「ポスト泉」へのさまざまなうごめきが出始めている。昨年、政権交代への決意をめぐる泉氏の発言を疑問視した重鎮の小沢一郎衆院議員は、元日の私邸での新年会で「いい子ちゃんぶって、お利口さんぶっていては権力は取れない。本気になって戦って初めて、権力は取れる」と、泉執行部をけん制するように語った。なかなか存在感を示せないでいる泉氏にとって、秋までの月日は自身の評価を定めるまさに正念場の期間となる。 一方の与党。公明党の山口那津男代表も9月に2年の代表任期が満了となる。2009年9月から代表を務める山口氏の続投が有力視されるが、判断は次期衆院選のタイミング次第ともいわれている。将来的に世代交代の時期は必ずやってくる。そして、その衆院選のタイミングの鍵を握るのが、岸田首相だ。 9月の自民党総裁の任期満了を前提に、今後さまざまな政治日程が決まっていく。裏金事件など「政治とカネ」の問題を機に、これまで政権基盤を下支えしてきた派閥の解散の動きが党内力学に変化をもたらし、岸田首相にとって総裁選を戦う上でいい影響はないとの見方もある。 世論調査では、政策に対する支持も少ない。総裁選の再選は厳しいのではないかという声も聞くのだが、だれも想像していなかった自身の派閥(宏池会=岸田派)の解散を突然表明するなど、これまでにもたびたび見せてきた「サプライズ好き」に「ますます活路を見いだそうとしているのではないか」(永田町関係者)という声も聞いた。それが吉と出るか凶と出るのか、29日から本格的に始まる国会での岸田首相の言動が、大きな鍵を握る。 前回、日本の与野党第1党でともにリーダーが交代した2021年。総裁選に勝った岸田首相が衆院選でも勝利し、立民では枝野氏が代表を辞任して泉氏が就任。自民と立民で対照的な結果になった。今年はどうなるのだろうか。ちなみに7月7日には、小池百合子氏の3選が焦点となる東京都知事選も予定される。リーダーたちの顔はそのままなのか変わるのか、水面下の闘いは、すでに始まっている。 |
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●能登半島地震の影響「だいたい1カ月後に最大余震が発生」 過去の事例 1/29
地震学が専門の岡本拓夫・福井高専嘱託教授による講演会が1月28日、福井市の福井県教育センターで開かれた。能登半島地震の今後の福井県内への影響について「規模が最も大きい余震は断層の端で起こる。県内に近い(西側の)場所であれば、あわら市で震度5強くらいの揺れになる可能性がある」と注意を呼びかけた。 1日の能登半島地震は、能登半島に沿って東西に伸びる複数の断層がずれ動いて発生したとみられ、政府の地震調査委員会は断層の範囲が約150キロに及ぶとしている。 岡本教授は今回の地震について、2020年ごろからの群発地震との関連性を指摘。地下深くから流体が上がって断層を刺激したことが原因と推測されると説明した。今後の余震については、日本海中部地震(1983年)や新潟地震(64年)の例を挙げながら「だいたい1カ月後に最大余震が発生し、断層の端のどちらかで起こることが多い」とした。 また、鯖江市や敦賀市には、断層があるものの近年地震が起きていない地震活動の「空白域」があるとし「近くで大きな地震が起こると、これまで動いていなかった断層が動くこともある」と語った。 |
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●2人とも5年で500万円超不記載 高鳥修一衆院議員・細田健一衆院議員 1/29
自民党安倍派の高鳥修一衆議院議員と細田健一衆議院議員が、派閥から500万円を超えるキックバックを受けていたにも関わらず、収支報告書に記載していなかったと公表しました。 それぞれの事務所によりますと、自民党で比例選出の高鳥修一衆議院議員と旧新潟2区選出の細田健一衆議院議員は所属する安倍派=清和政策研究会のパーティー券の販売ノルマを超えた分として、キックバックを受けていたと発表しました。いずれも収支報告書に記載しておらず、不記載は派閥からの指示だったとしています。 高鳥議員は2018年からの5年間で544万円を受け取っていて「事務所の経費や人件費に247万円を充て、それ以外は使っていない」としています。事務所は「このような処理の仕方は全面的に改めるべきであり、ご不信を招きご心配をおかけしたことを衷心よりお詫び申し上げる」とコメントしています。 また細田議員は、2018年からの5年間で564万円を受け取り「全額を選挙区支部に振り込み、活動費として使った」としています。事務所は「政治資金の正確性・透明性の一層の向上に努めるとともに、皆様からの信頼回復が行われるよう真摯に努力してまいります」とコメントしています。 2人は今後、収支報告書を訂正するとしていますが、会見を開く予定はないということです。 |
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●岸田首相、自民党の河井元法相への裏金疑惑で対応検討へ 1/29
岸田文雄首相は29日の衆院予算委員会で、2019年の参院選広島選挙区で地方議員らを買収した河井克行元法相に当時の安倍政権幹部が計6700万円の裏金を提供した疑惑について「党として何かできることがあるのか、いま一度考えてみたい」と述べ、自民党としての対応を検討する考えを示した。首相が元法相への裏金疑惑を巡って答弁するのは初めて。 元法相による大規模買収事件では、安倍晋三首相=22年7月に死去=が2800万円、菅義偉官房長官が500万円、二階俊博自民党幹事長が3300万円、甘利明党選挙対策委員長(いずれも肩書は当時)が100万円を現金で提供したとうかがわせる手書きメモを、検察当局が20年1月の家宅捜索で元法相方から押収。元法相が地方議員らに現金をばらまいた選挙買収の原資だったとみて検察当局が捜査していたことを、中国新聞が23年9月に報道した。 この日の予算委で立憲民主党の階猛氏は、甘利氏が100万円の提供を認めている点に触れ「非常に信ぴょう性の高いメモ。(裏金が)選挙買収の原資になった可能性が極めて高い」と指摘。調査するよう迫ったのに対し、岸田首相は「捜査当局で(買収の)原資についても捜査を尽くすものと認識している」とした上で、党としての対応を検討する考えを表明した。 元法相方で押収された手書きメモはA4判。「+(プラス)現金6700」と記された下に「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と書かれていた。金額を万円単位で示しているとみられる。 元法相と妻の案里氏(当選無効)を巡っては、参院選前に自民党本部が計1億5千万円を2人の党支部の口座に入金。買収の原資になったと疑われたが、自民党は21年9月に調査結果を発表。案里氏をPRするための印刷物などの費用に充てられ、買収の原資にはなっていないとした。 一方、手書きメモは元法相の公判に提出されていなかった。地方議員や後援会員ら100人に計2871万円を配った元法相は公判の中で買収の原資を「手元にあった資金を使った」と説明したが、具体的な入手経路に関する説明はほとんどせず、原資は解明されないままで公判は終了した。 |
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●裏金議員は何人?首相「安倍派は30人以上…」明確に答えず… 国会で論戦 1/29
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を受け、国会は29日午前9時から衆院の予算委員会で、「政治とカネ」の問題に関する集中審議を行った。引き続き、午後からは参院の予算委員会で行われる。 裏金事件の発覚後、初めてとなる国会での本格論戦。自民党の再発防止の中間取りまとめに対して身内からも批判が出た。野党側からは実態解明のため、自民党全議員の調査や裏金議員の一覧表を求める声が上がった。 ●16:00 「キックバックは課税収入では」 国民民主党の舟山康江参院議員は、パーティー券のキックバックの事態は、販売奨励金で、課税収入だったのではないかと指摘。「政治団体は収入を収支報告書に書く義務がある。あえて書かなかったのであれば、個人が受け取ったのではないか。政治団体から個人への寄付は明確に違法だ」と問いただした。国税庁次長は「政治資金で政治家個人が受領したものは、残額がある場合は確定申告する必要がある」と説明した。 ●15:28 「会計責任者、政治家が兼務しては」 今回の裏金事件では、派閥の会計責任者が立件されたが、派閥幹部らは罪を逃れた。日本維新の会の音喜多駿議員は、政治団体の会計に政治家本人が直接的な責任を負うよう、政治家が会計責任者を兼務する制度を提案した。音喜多氏自身が既に自身の政治団体で会計責任者を兼務していることを引き合いに出し、岸田首相にも賛同を求めた。首相は「会計の知識の程度や、業務に専念する時間的余裕があるのかを、冷静に考えなければならない。政治家をそのまま会計責任者にすることは適切とは考えない」と否定的な考えを示した。 ●14:58 「公明党は危機感持っている」 公明党を代表して質問に立った谷合正明参院議員は、「国民の政治に対する不信は日ごとに高まっている。政治の信頼の行き場が失われている。公明党は危機感を持っています」と訴えた。谷合氏は「国民が求めていることは派閥の解消ではない。不正を根絶するための法改正だ」と主張。連立を組む自民党総裁である岸田首相に「同じ与党として、言うべきことをしっかりと言っていく。総理には改革に向けた不退転の姿勢を貫いてほしい」と求めた。 ●14:25 萩生田氏は机に2000万あるのに 小西洋之議員が「国民生活が本当に苦しい時に、その先頭にちっとも立ってないじゃないですか」と岸田首相に詰め寄った。首相は「検察の判断が重要だ」「検察の捜査に基づいて修正している」と繰り返し、受け身の姿勢に終始していた。小西氏は「萩生田光一前政調会長が会見で机の引き出しに2000万円近い金があったと言ってますよ。日本の今の母子家庭のタンスの中に200円だってないですよ。今、岸田総理がやろうとしてることは犯罪行為の隠蔽ですよ」と問いただした。 ●14:07 「還流分は議員本人へ?」の質問巡り紛糾 派閥からのキックバック(還流)は議員本人への寄付?それとも議員の政治団体への寄付? 立民の小西洋之参院議員の質問を巡って、審議が一時中断する一幕もあった。派閥からのキックバック(還流)が国会議員個人への寄付なら犯罪に当たり、脱税の問題も生じると指摘した小西氏。岸田首相は「起訴された者全てが、(議員個人ではなく)議員側の政治団体への寄付と認定されている」と説明したが、小西氏が「派閥の幹部に確認したのか」と追及すると、首相は「検察側がそのように判断していると申し上げている」と答弁。野党議員のヤジで委員会室は騒然となった。再開後、小西氏が「政治資金規制法上、選挙運動資金以外の寄付は犯罪だ。安倍派と二階派の幹部、所属議員に対して、議員個人にお金を渡したのか、政治団体にお金を渡したのか、確認したのか」と重ねて尋ねたが、首相は「いろんな解釈があるかもしれないが、検察としてどう判断しているのか、これが重要だ」と繰り返した。 ●13:45 政治責任は「関係者に聞き取り対応考える」 参院の集中審議は、自民の磯ア仁彦参院議員からの質問で始まった。磯ア氏は、首相に対して「あるべき政治責任についてどう考えているか」とただした。岸田首相は「早急に(関係者の)聴き取りを開始し、その上で実態を把握し、政治責任についても党として対応を考える」と述べた。 ●13:25 参院予算委で審議始まる 午前で、衆院予算委の集中審議が終わった。午後からの参院予算委の審議は、予定よりも約30分遅れで始まった。 ●11:43 岸田派の3000万「銀行口座にあるから裏金ではない」 共産の塩川鉄也衆院議員は、岸田派(宏池会)について質問した。岸田派では収支報告書に3059万円の虚偽記載で元会計責任者が略式起訴されている。首相は「パーティー券について、どの議員の紹介か不明な分を別にしていた。不手際が積み重なった」と釈明。不記載額について、2018年1322万円、19年841万円、2020年896万円と明かした。「全て銀行口座に残っているし、宏池会の訂正も繰越金の上乗せで修正できた。裏金という指摘には当たらない」と強調した。2018年以前については、「確認が困難だ」とした。 ●11:40 裏金の実態「自民全議員に調査を」 共産の塩川氏は、裏金事件の実態調査のため自民党の全議員の調査を求めた。しかし、全議員調査について、岸田首相の答弁は歯切れが悪い。首相 関係者が説明責任を果たさなければならないが、党としても実態把握する、必要に応じて範囲を拡大して実態解明に努めたい。塩川氏 関係者とは? 首相 収支報告書の修正で関わりがあると判断し、関与が指摘されている議員を中心に 塩川氏 収支報告書修正した議員か? 首相 どこまで拡大するかヒアリングの範囲は考えたい。 ●11:29 旧文通費の使途公開「真摯に議論」 裏金事件の再発防止を巡っては、政治資金と透明性も問われている。日本維新の会の藤田文武幹事長は、現行では使途の公表が不要となっている「調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)」の使途公開を求めた。岸田首相は「(自民党の)中間取りまとめでも透明化は重要な課題」と言いながらも、「旧文章交通費についても、全議員共通のルールをつくるということで真摯(しんし)に議論に参入する」とし、公開の是非について踏み込んだ発言はなかった。 ●11:06 自民いつ最終まとめ?「改革に終わりはない」 日本維新の会の藤田氏は、26日に自民党の政治刷新本部で取りまとめた政治改革案について「出来の悪い中間取りまとめだった」と酷評した。藤田氏が、法改正を含めた具体策を尋ねると、岸田首相は「党の中間とりまとめはあくまで大きな方向性を示したものだ。各党との協議の場に、党としての考え方をまとめて臨みたい」と答えた。「本まとめはいつか?」と最終的な自民党の改革案の取りまとめ時期を問われると、岸田首相は「政治改革に終わりはない」。周りからは失笑が漏れた。 ●10:40 裏金議員の一覧「国民に示せ」 派閥から還流されていたパーティー券収入を裏金にしていた議員は何人だったのか―。先に質問に立った立憲民主党の大西健介衆院議員に続き、立民の山井和則議員も「裏金議員」の人数を岸田首相に問い質した。裏金議員の人数を明確に答えない岸田首相に対し、山井氏は「実態が分からなくては、再発防止策は打てない」「岸田総理が一覧表を提出して、国民に公表する責任があるんじゃないですか」とまくしたてた。岸田首相は「党として、関係者への聞き取りを行う。一覧表を作るかどうかも含めて、どういった形で党としてこの問題を整理するか、説明責任を果たしていきたい」と述べるにとどめた。 ●10:28 岸田首相、政治活動費廃止は明言せず 立民の階猛衆院委議員は、使途の公開が不要で、国民から不信の目で見られている「政治活動費」にも言及。立民の政治改革案でうたっている政治活動費の廃止を訴えた。岸田首相は廃止には触れず、政治活動の自由と国民の知る権利の「バランスの中で、あるべき結論を出さないといけない」と3回繰り返した。 ●10:08 「国民の納税意識損なわれる」 質問者は立憲民主党の階(しな)猛衆院議員に移った。階氏は、裏金事件を受けて「今のままでは、国民の納税意識が損なわれるのは明らか」「(派閥からパーティー券収入のキックバックを受けた議員に)納税義務を果たすよう命じるべきだと思うが、どうでしょうか」と迫った。岸田首相は「法律に従って取り扱うのは当然のこと。報告を行い、納税等も法律に従って対応するのは当然のこと」とかわした。明確な答弁を避ける岸田首相に、階氏は再度尋ねた。「もう一度。修正申告をして、納税させるべき」岸田首相は「法律に従って、厳正に対応させます」と答えた。 ●9:56 岸田首相の自身の疑惑にも矛先 岸田首相自身への疑惑にも追及の矛先が向いた。立民の大西健介衆院議員は、地元で開催した首相就任を祝う会について「事務所、後援会の政治資金パーティーだったのではないか」と指摘した。岸田首相は「地元の政財界のみなさんが発起人となって開催いただいた、純粋な祝賀会」「会の主催者は任意団体、収入も1000万円未満。指摘には当たらない」と反論した。 ●9:45 裏金議員は何人?首相は明確に答えず 立民の大西氏は「裏金問題の全容を把握しているのか。何人が裏金をもらったのか、まず答えて下さい」と迫った。岸田首相は「いま現状で、うーんと、その、政治資金収支報告書の訂正等を明らかにしている議員、これはこの清和会(安倍派)で30人以上、志帥会(二階派)で7人」と答えた。厳しい表情で歯切れ悪く、全体像は示さなかった。「それで全部なんですか?」。大西氏は明確な人数を答えられない岸田首相にさらに畳みかけた。「一体何人が関わっているのか答えられない。誰がいくらもらって何に使ったのかを明らかにしないと議論が始まらない」 ●9:34 立民・大西氏「派閥解消はインチキだ」 立民の大西氏は、岸田首相の岸田派解散を取り上げた。「派閥解消がいかにインチキか。派閥を辞めたはずの首相が岸田派を解散すると言った。意味が分からない」と発言。「保身のためのパフォーマンスじゃないか」と語気を強めると、周りから「そうだ」「そうだ」とヤジが上がった。岸田首相は「宏池会(岸田派)の会計責任者が処分を受けたけじめとして、全ての役員と話し合う中で、合意をいただいた」と解散決定の手続きに関する正当性を強調した。 ●9:25 「派閥解散はあくまで自民党の問題」 質問者は2人目に、公明党の中川康洋衆院議員に移った。中川氏は「派閥の解散は、あくまで自民党内の問題であり、再発防止策がなされたと思わない。国民からは、政治資金の透明化や、罰則の強化を求める声が圧倒的だ」と訴えた。公明党がまとめた政治改革案のパネルを示しながら、「連座制の強化は一丁目一番地」と主張。岸田首相に連座制導入についての見解を求めた。岸田首相は「自民党も、より厳格な管理体制を強化していく観点から、議論に貢献していきたい」と答えた。 ●9:13 岸田首相「関係者に聞き取り進める」 自民党・丹羽秀樹議員は「自民党として実態解明に取り組まなくてはいけない」と訴えると、周りから「そうだ」とヤジが飛んだ。質問を受けた岸田首相も「おっしゃる通り、自民党としても実態解明に取り組まなければならない」と答えた。続けて「私の方から、党幹部に対して、関係者に対する事情聴取を行う枠組みの作成を指示したとことだ」と補足すると、「遅い」とのヤジも。「今後、関係者の聞き取りを進める中にあって、党としての実態把握もしっかり進める」と訴えた。 ●9:05 裏金事件「慚愧に堪えない」 トップバッターとして、自民党・丹羽秀樹議員が登壇した。質問の冒頭、裏金事件について「慚愧(ざんき)に堪えない」と発言。所属する愛知県連の議員にも処分者が出たことに触れ、「国会議員としてあるまじき行為」とお詫びを口にした。自民党の政治刷新本部が26日にまとめた中間報告について、「全体としてはまだ踏み込み不足で、信頼回復には遠い内容」と、「身内」の議員として異例の批判を展開した ●9:00 岸田首相「大変深刻な事態招いた」 午前9時から衆院予算委員会で、集中討議が始まった。冒頭、質疑に先立って岸田文雄首相(自民党総裁)は、派閥の政治資金パーティー裏金事件について「大変深刻な事態を招いたことに、心よりおわびを申し上げる」と謝罪。昨年末に、閣僚4人と副大臣5人、大臣政務官1人が辞職したことについて「任命責任者としての責任を重く受け止めている」と述べた。自民の政治刷新本部が策定した中間取りまとめをしたことに言及し、「制度面での改革については、各党各会派との真摯な協議を経て、政治資金規正法改正など必要な法整備を進めていく。政治改革に終わりはない」と強調した。 ●「火の玉に」岸田首相が設置した自民・刷新本部は… 裏金事件を巡っては、派閥からパーティー券収入のキックバックを受けながら政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記入)容疑で、安倍派、二階派、岸田派の会計責任者らのほか、衆院議員池田佳隆被告ら安倍派所属の国会議員も含め10人が立件された。ただし、安倍派の幹部らは嫌疑なしで不起訴となった。事件を受け、自民党は1月、岸田文雄首相(党総裁)を本部長とする政治刷新本部を立ち上げた。岸田首相は、刷新本部設置に当たり、国民の信頼回復のため「火の玉となって自民党の先頭に立って取り組んでいく」と決意表明していた。26日に取りまとめた中間報告では、派閥の全面解消は明記せず、カネとポストの役割をなくした「政策集団」としての存続を容認した。政治資金の透明化など法改正を伴う再発防止については、具体策まで踏み込まず、結論を先送りした。企業・団体献金の取り扱いやパーティー券収入の公開基準などへの言及もなかった。 ●各党の政治改革案は… 各党では、政治資金の透明化や厳罰化を求める声が高まっている。立憲民主党は事件発覚前の2022年6月に、企業・団体によるパーティー券の購入や献金の禁止をうたった法案を国会に提出済みだ。26日には党独自の政治改革案を示し、政治資金パーティーや企業・団体献金の禁止、国会議員の厳罰化のための「連座制」導入などを盛り込んだ。国民民主党は18日、パーティー券購入者の公開基準を「20万円超」から「5万円超」に引き下げる改革案をまとめた。政治資金規正法違反の罪で国会議員が起訴された場合、所属政党の政党交付金を「減額または停止する」というペナルティーも設ける。共産党は企業・団体によるパーティー券購入や献金の禁止を主張。政策活動費の廃止や、個人献金の上限額引き下げも掲げている。公明党も18日に改革案を公表。収支報告書への虚偽記載などで議員自身の責任も問う「連座制」の導入のほか、政策活動費の使途公開の義務付けをうたっている。 |
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●岸田総理「各党と真摯な議論を行いたい」 政策活動費の早期透明化に 1/29
政治とカネの問題をめぐり、岸田総理は政党から議員個人に支払われる政策活動費の透明化について、「各党と真摯な議論を行いたい」と述べました。 立憲民主党 階猛衆院議員「政策活動費という費目自体を廃止する。そのことをこの場でお約束いただけないでしょうか」 岸田総理「政策活動費については、政治活動の自由との関係で、各党・各会派共通のルールに基づいて取り扱うことが重要であると考えます。共通のルールについて議論を行うということであれば、こうした議論に自民党としても貢献をいたします」 衆議院の予算委員会で岸田総理はこのように述べたほか、政策活動費は「政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中において議論が行われ、現状の法律になっている」などと指摘し、早期の透明化には慎重な姿勢をにじませました。 政党から議員個人に対して支払われる政策活動費は受け取った側に使途を公開する必要がなく、派閥からキックバックを受けていた議員が隠れ蓑として使っている、本来の納税義務を回避しているなどの批判が出ています。 |
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●大阪維新、資金パーティー廃止 「金かからぬ政治目指す」 1/29
政治団体・大阪維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は29日、組織として年1回開催している政治資金パーティーを廃止すると表明した。府庁で記者団に「収入減はしんどいが、お金のかからない政治を目指す」と述べた。パーティーに代わる「新しいスタイル」で、支援者と政策を共有する場を模索するとしている。 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて日本維新の会がまとめた政治改革案は、パーティー券の企業・団体による購入を禁止する一方、個人購入による組織としての開催に余地を残した。地方組織に当たる大阪維新は一律で禁じる厳しい対応を取った形で、吉村氏は「いったん区切りを付けるべきだ」と説明した。 |
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●自民党裏金問題と日本の民主政治の危機 1/29
自民党の各派閥における、パーティ券収入のキックバックによる裏金づくりの問題について、検察庁は最終的な判断を下した。政治資金規正法では、政治資金収支報告書に収支を記載しなかったり、虚偽の記載をしたりすることは犯罪と規定され、有罪となれば議員の資格、あるいは選挙に立候補する資格を失う。東京地方検察庁特捜部は、裏金が4千万円を超えた議員について政治資金規正法違反で起訴し、それ以下の議員については刑事責任を問わないこととした。逮捕あるいは起訴されたのは、3名の国会議員にとどまる。 そして、派閥による議員へのキックバックを報告書に記載しなかったことについては、派閥の会長や事務総長を務めた議員の責任は不問とされ、派閥の事務職員である会計責任者が起訴された。検察は、会計責任者と派閥の幹部だった国会議員の間の共謀を立証できないことを、政治家の責任を問えないことの理由としている。 検察の結論が出た後に、疑惑を持たれた政治家の一部は裏金の金額を発表し、経理はすべて秘書に任せていたと責任転嫁の発言をした。たとえば、経済産業大臣や自民党の政務調査会長を務めた萩生田光一議員は、2018年から2022年までの5年間で政治資金収支報告書に不記載の裏金額が計2728万円にのぼることを明らかにしつつ、事務所スタッフが管理していたとし、数千万円に上る資金の流入を政治家がまったく知らず、秘書が勝手に管理したと釈明した。自分は悪くないという言い訳で国民を欺こうとする卑怯な政治家が大勢いることに、愕然とする。 4300万円の裏金を作って起訴され、議員辞職を表明した谷川弥一氏は、裏金は支持者との人間関係を強化するために飲食に使ったと述べた。他の政治家も同様だろう。政治家が得る政治資金が一般の所得と異なって非課税とされるのは、政治家による政策研究や広報が民主政治の健全な運営に不可欠であり、優遇に値するという理念に基づいている。応援してくれる支持者や地方議員の供応のために政治資金を使うとなれば、その金は政治家個人の所得とみなさざるを得ない。だとすると、政治家の裏金作りは脱税ということになる。日本では2月から3月が所得税の申告の時期で、納税者は必要経費を認めてもらうために領収書を揃えて説明しなければならない。国会議員だけが私的な飲食や遊興について非課税とされることに、国民の怒りは高まっている。しかし、税務当局には今回の事件を脱税として摘発する動きはない。日本では政治家の特権がまかり通っていると言うしかない。 さすがに、岸田文雄首相も政治とカネをめぐる悪習を断つための動きを起こさざるを得なくなり、1月19日、自らが会長を務めてきた岸田派(宏池会)を解散することを表明した。派閥単位で資金パーティを開催し、裏金を作ったことから、派閥が金権政治の元凶だというわけである。これにならって、安倍派、二階派も解散を決定した。しかし、自民党は過去、大きな腐敗事件を起こした時に、何度か派閥の解消を宣言したことがある。しかし、政策集団は悪くないという口実で、派閥は復活して現在に至っている。 自民党が国会で圧倒的多数を持っている状況では、自民党総裁のポストは日本の首相と同じである。したがって、首相を目指す政治家は総裁選挙を戦う。その際には、有力な政治家は自分を応援してくれる議員を確保しなければならないので、派閥を形成することは必然である。自民党の歴史をふまえれば、今回の派閥解消宣言を信用することはできない。 そもそも、派閥が悪いと言ってその解消を宣伝するのは、問題のすり替えである。検察が刑事責任を問わないならば、国民が次の選挙で政治的責任を追及するしかない。裏金問題の全体像を知ることは、政治責任を問うために不可欠なのである。裏金を何に使ったのか、政治家には説明する義務がある。 自民党は確かに大きな危機に直面している。しかし、この危機も次第に忘れられ、自民党は何もなかったような顔をして政権を担い続けるという予感もする。岸田内閣支持率も自民党支持率も低下しているのに、野党の支持率はまったく上がらない。最近行われた中規模の都市の市長選挙でも、自民党が推薦する候補が苦戦しながらも勝利している。つまり、国民は岸田内閣と自民党を批判しながら、別の選択肢を選ぶ動きを起こしていない。それこそが日本の民主主義にとっての危機である。 |
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●“インチキ派閥解消”の陰で自民党と岸田政権が温存する裏金づくりシステム 1/29
安倍派幹部が全員不起訴となったパーティ券裏金問題。会見を開いた世耕弘成・前参院幹事長は「政治資金の管理は秘書に任せきりだった」「(キックバック分は)秘書が報告していなかった」などと秘書に責任をなすりつけ、西村康稔・元経産相は「裏金は一切ありません」などと書かれたビラを地元・兵庫県明石市で配布するなど、恥知らずの言動を見せた。 なかでも、とりわけ酷かったのが萩生田光一・前政調会長だ。報道では当初、萩生田氏の不記載額は数百万円と伝えられていたが、蓋を開けると5年間で計2728万円にものぼっていたことが判明。しかも、地元の八王子市長選が終わってから会見を開き、その額を公表するという姑息な手に出たのだ。 そのうえ、安倍派幹部の連中は、これほどの裏金不記載の問題を引き起こしながら、揃いも揃って議員辞職を拒否。開会した国会では、テレビカメラが回っていることを知っていながら、何事もなかったかのように笑顔まで浮かべてみせたのだ。 だが、とんでもないのは安倍派幹部だけではない。これまでダンマリだった安倍派議員たちがいまごろになって巨額の裏金不記載を次々に公表し、あらためて怒りを買っている。 たとえば、安倍晋三・元首相とともにジェンダーフリーバッシングの急先鋒となり、最近では選択的夫婦別姓の導入やLGBT法案に反対してきたことで知られる山谷えり子・元国家公安委員長は、5年間で2403万円の不記載があったと自身のHPで公表。これには作家の平野啓一郎氏が〈普段から「美しい国、日本」だとか何とか言ってる国粋主義の政治家だが、堕落してるのは自分だろう〉と批判しているほか、ライターの武田砂鉄氏も〈2000円返し忘れたくらいのテンションで2000万円の裏金を謝る〉と、その不誠実さを指摘。 もっと酷いのが、山谷氏と同じく差別を振りまいてきた杉田水脈・衆院議員だ。杉田議員は21日、自身のブログで「清和会総会、解散等について」と題した記事を投稿。そのなかで、安倍派の解散について〈泣きました〉などと思いを綴ったうえで、しれっと自身にも不記載があったことを記述。〈派閥の指導に従った〉〈不正や私的流用は全くありません〉などと言い訳を並べ立てただけで不記載額すら明らかにしていないのだ。 杉田議員といえば、昨年11月にネット番組でアイヌ文化の振興事業について「公金チューチュー」などと発言。また、杉田議員はフェミニズム研究者に対して「研究費の不正使用」「反日研究」などと攻撃をおこなってきたが、昨年5月、東京高裁は研究費の不正使用やずさんな経理はなかったとし杉田氏に33万円の賠償を命じている。このように、公金の使い方についてさんざんデマを飛ばし攻撃の犬笛を吹いてきた議員が、自身の裏金不記載については金額さえも明らかにせず平然としているとは──。しかも、「週刊文春」(文藝春秋)によると、杉田議員には「1000万円前後の裏金があった」とされているのだ。 今回、検察は不記載額3000万円以上を立件ラインにしたと言われているが、これは検察が勝手に決めた基準にすぎず、政治資金規正法への不記載は完全な違法行為だ。裏金の使途について、多くの安倍派議員は明細を明らかにしないまま「政治活動に使った」などと言い張っているが、違法な裏金で政治活動をおこなってきたという一点だけでも議員失格であり、辞職以外の責任の取り方はない。 ところが、安倍派幹部らが立件を免れたことにより揃って不記載分の使途を明確にすることもなく開き直った結果、武田氏が指摘したように「2000円返し忘れたくらいのテンション」で水に流そうとしているのだ。異常なモラル崩壊が起こっていると言うほかないだろう。 ●派閥解散は論点ずらしと権力闘争! 安倍派幹部は森喜朗に泣きつき離党勧告から逃れようと… しかし、いま起こっている異常事態はこれだけではない。それは、派閥解散による「論点ずらし」とどさくさ紛れの「権力闘争」だ。 ご存知のとおり、岸田文雄首相は岸田派の元会計責任者が立件されるという報道を受け、唐突に「岸田派の解散を検討する」と公表。そもそも岸田首相は昨年末に岸田派トップを退いており、なぜ派閥とは無関係の人物が解散検討を決定できるのか疑問しかないのだが、この岸田首相の発表を受け、安倍派や二階派、森山派などで“派閥解散ドミノ”が起こった。 あらためて指摘するまでもないが、派閥を解散したところで今回の裏金不記載問題の責任をとることにはまったくならない。むしろ、腐敗をもたらした構造的問題点を明らかにしないまま解散することは、たんなる論点ずらしと責任逃れだ。 つまり、岸田首相が派閥解散の口火を切ったのは、岸田派の前会長として責任を問われることや、派閥解消を訴える菅義偉・前首相などの無派閥勢力に主導権を握らせたくないという思惑があったことは明白。ようするに、自身の責任逃れや権力闘争の道具として持ち出したにすぎない。 しかも、岸田首相による派閥解散宣言の流れで解散を発表し、裏金問題の免罪符にしようとしたのが安倍派だが、解散を決定づけたのは森喜朗・元首相だった。25日付の日本経済新聞によると、森氏は岸田首相の表明を受けて萩生田光一・前政調会長ら「五人衆」などに電話をかけ、「君はどう思う? 私は早く解散すべきだと思う」と“天の声”を伝えていたというのだ。 森氏といえば、今回の裏金問題で特捜部も“本丸”として捜査に乗り出していた疑惑の人物。本サイトでもお伝えしたように、安倍派会長を退いてからも裏金に関与し、詳細を把握していたと見られている。実際、森氏は特捜部の捜査がはじまって以降、北國新聞のインタビュー連載を終了したり、世耕弘成・前参院幹事長や西村康稔・前経産相と“口裏合わせ”の密会をおこなっていた。そのような人物が、安倍派解散の糸を引いていたというのである。 そればかりか、森氏は自民党執行部が安倍派幹部に離党や議員辞職を求めたとする報道に激怒。25日に茂木敏充幹事長や麻生太郎副総裁らと面会し、安倍派幹部を擁護したという。ようは安倍派幹部が森氏に泣きつき、離党勧告を下させないよう釘を刺してもらったというわけだ。 ちなみに安倍派幹部は茂木幹事長に「安倍派だけを処分する理由をどう説明するのか。(立件された)二階派、岸田派の幹部も離党させるのか。岸田首相にも『離党しろ』と言うのか」と迫ったというが(朝日新聞25日付)、本来、不記載によって元会計責任者が立件されたことの責任をとり、岸田首相や二階俊博・元幹事長も議員辞職、少なくとも除名処分を受けるべきだ。ところが、そうした当然の政治責任をとろうとしないばかりに、「秘書ガー」を連呼する無責任極まりない安倍派幹部がいまだに議員としてのさばろうとし、とっくに政界を引退した“妖怪”まで引っ張り出して離党勧告から免れようとしているのである。 ●自民党政治刷新本部のふざけた中間とりまとめ! 派閥全廃も連座制も政治資金パーティ全面禁止も明記せず このように、隅から隅まで腐り切った自民党に政治資金をめぐる政治改革など、実行できるはずがない。 実際、岸田首相が本部長を務める自民党の「政治刷新本部」が公表した中間とりまとめでは、「派閥全廃」を明記せず、派閥が政策集団として存続することを容認。さらに「派閥事務所の閉鎖」「党役員・閣僚の派閥からの離脱」も明記されなかった。過去、何度も繰り返されてきたように、冷却期間を経て派閥が復活するのは目に見えているだろう。 しかも重要なのは、政治資金収支報告書に虚偽記載があった場合に議員本人の刑事責任を問う「連座制」の適用や、企業・団体からの献金禁止、政治資金パーティの全面禁止が盛り込まれることがなかった点だ。 いったい、これで何が「政治の信頼を取り戻す」だ。この自民党によるとりまとめでは、今後も議員個人が政治資金パーティを開催し、企業・団体にパー券を売ることができる。しかし、政治団体ではない企業・団体については、どれだけパー券を購入したのかを確認しようがない。口座振込ではなく現金でパー券を購入させてしまえば、それを政治資金収支報告書に記載せず裏金化することが可能になってしまう。万が一、そうした裏金が発覚しても、連座制を適用できなければ、またも議員は「秘書ガー」と言い張って無罪放免となるではないか。 また、同じく問題なのが、自民党の中間とりまとめでは「政策活動費」にまったくメスを入れていない点だ。政治資金規正法では政治家個人への金銭の寄付を禁止しているが、例外として政党から政治家個人への寄付を認めている。さらに政治家個人の政治資金は使途を公開する義務がないため、「裏金の温床」と呼ばれてきた。事実、自民党は2022年の1年間だけで14億1630万円を政策活動費として支出し、うち計9億7150万円を茂木幹事長が受け取っているが、その使い道は明らかになっていない。 この政策活動費は自民党に限らず日本共産党以外の野党も軒並み支出してきたものだが、改革案として立憲民主党や日本維新の会などは政策活動費の廃止を打ち出している。だが、自民党はこの期に及んでも、この事実上の裏金を手放そうとしないのだ。 さらに、政権を握る自民党には「官房機密費」という裏金も存在する。 官房機密費は官房長官の裁量で機動的に使える予算で、情報提供者への謝礼などに使う「調査情報対策費」、情報収集のための贈答品などに使う「活動関係費」、そして「政策推進費」の3つからなり、このうち「調査情報対策費」「活動関係費」は領収書が必要となる。しかし、「政策推進費」は官房長官が自ら出納管理をおこなうもので、具体的な使途が特定されていない段階で国の会計からの支出が完了となる。つまり、国庫から引き出される金でありながら、領収書は不要、支払い先を明かす必要もなし、官房長官の判断ひとつで使える「ヤミ金」「究極のブラックボックス」と言うべき状態となっているのだ。そして、昨年11月、馳浩・石川県知事が東京五輪招致活動に絡み、官房機密費で豪華アルバムを作成しIOC委員たちにばらまいたと発言して問題となったように、官房機密費は国家の利益のためなどではなく、自民党が政治的工作のために湯水のように使っているという疑惑が指摘されてきた。 実際、第二次安倍政権下では菅義偉官房長官が86億8000万円超を「政策推進費」に充ててきたが、注目すべきは自民党総裁選時の支出だ。菅氏は2020年9月2日に総裁選への出馬を表明したが、その前日の9月1日に菅氏は官邸内にあった官房機密費1億3200万円余のうち9020万円を、自分が自由に使うことができる「政策推進費」に振り分けていた。さらに、菅氏が首相に指名された同月16日に官房機密費の引き継ぎがおこなわれたが、それまでに菅氏が使った金額は4820万円。つまり、たったの16日間で「ヤミ金」を約5000万円も使ったのである。これは明らかに、総裁選対策に使用されたとしか考えられない。 裏金問題を受けて官房長官は安倍派の松野博一氏から岸田派の林芳正氏に交代したが、今年秋におこなわれる自民党総裁選では、これと同じように、岸田派が総裁選工作として官房機密費を湯水のように使う可能性も考えられるのだ。 ●裏金問題を告発した上脇教授は「派閥をなくしても総裁選がある以上は裏金つくられ続ける」と指摘 今回の裏金問題を告発した上脇博之・神戸学院大学教授は、自民党の総裁選は公選法が適用されず買収し放題であるという構造的な問題を指摘したうえで、「派閥をなくしても、総裁選がある以上は裏金はつくられつづけるのではないか」と指摘している(TBSラジオ『荻上チキ・Session』26日放送)。裏金をつくらせない仕組みをつくるうえでも、官房機密費の問題にもメスを入れなければ、自民党の体質は変わらないはずだ。 さらに、上脇教授は「党や派閥の論理による中途半端な政治改革では、納税者・主権者である国民はたまったものではない」「泥棒に良い刑法がつくれないように、裏金をつくっていた人たちが立法を進めても良いものができるわけがない」と指摘すると同時に、「1994年の政治改革では『政党交付金を導入すればきれいな政治になる』と言っていたのが、裏金をつくっていた。もう税金を泥棒にあげるようなことはやめるべきだ」とも言及している。政党交付金という、わたしたちの税金が裏金議員を抱える自民党に投入され、支えるという仕組み自体を問い直す議論もなされるべきだ。 29日から国会では本格議論がスタートするが、実態解明はもちろんのこと、裏金議員たちにしっかり政治責任をとらせること、そしてあらゆる裏金が生まれないようにする根本的な改革がなされるよう、徹底した監視が必要だ。派閥の解散で禊を済ませるようなことは、絶対に許してはならないだろう。 |
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●効果ない政策にバラマキ続ける”変わらない自民党”…「子育て政策」 1/29
岸田文雄首相が1月30日に行う予定の「第二百十三回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説」の原案を入手した。作家の小倉健一氏が全3回に渡ってその中身を解剖する。第2回は「子育て政策」について。小倉氏は「子どもを持っていない人々に、著しく不公平なばら撒き」と指摘する――。 ●自画自賛!これまでの子育て支援政策 自民党派閥の裏金問題などで岸田内閣は低支持率にあえいでいる。ANN(テレビ朝日系列)の世論調査(1月20、21日に実施)によれば、岸田内閣の支持率が政権発足以降最低の20.4%になった。政治資金を巡る問題で自民党の政治刷新本部の対策が再発防止に「つながる」と答えた人は16%で、「つながらない」が7割を超えた。岸田派の元会計責任者が立件されたことは岸田総理大臣に「責任がある」と答えた人が9割を超えた。 1月1日には能登半島地震が発災し、遅々として進まない政治改革、被災地の復興に国民の不満は爆発寸前だ。そんな今、国民の関心は、首相がどのような針路を示すのかにある。そして、同原案にはそれが記されている。本稿は原案にある「少子化対策」に絞って、岸田政権の方針を確認していこう。 冒頭、同原案では、能登半島地震の復興について詳しく述べつつ、<(包摂的な社会の実現)>の項目では<日本経済の最大の戦略課題は「デフレ完全脱却」である一方、日本社会の最大の戦略課題は「人口減少問題」です。民間有志による「人口戦略会議」の提言の深刻な危機感も踏まえつつ、「いま政府ができることはすべてやる」との構えで全力を挙げていきます>という前段を受けて、<第一は、こども・子育て政策です。前例のない規模でこども・子育て政策の抜本的な強化を図ることにより、我が国のこども一人当たりの家族関係支出は、GDP比で十六%とOECDトップのスウェーデンに達する水準となり、画期的に前進します>として、施政方針演説において、自らの実績を高らかに強調している。 ●日本の少子化は、晩婚化と未婚率の上昇で9割説明できてしまうというのがファクト これは、岸田政権の発足以来の勘違いで、繰り返し様々に批判を受けていることであるが、聞く耳を持っていないようなので、もう一度、伝えておく。 対策をとることと、成果が上がることは全くの別物であるということだ。 わかりやすく説明したい。 ある家に金の延べ棒があるとする。家主は、泥棒から金の延べ棒を盗まれたくないので、防犯対策をする。入り口に防犯カメラをつけて、指紋認証をつけ、ロケットランチャーでも壊されないような丈夫なドアを作ったのだが、裏口は扉が開けっ放しのまま人が入り放題だとする。 当たり前だが、泥棒は簡単に金の延べ棒を盗み出すことができるだろう。しかし、監視カメラ付きの分厚いドアがある入り口の前で「膨大なお金を注ぎ込んで防犯対策をしました」と記念撮影をしているのが、岸田政権の「子育て政策」なのである。 日本の少子化は、晩婚化と未婚率の上昇で9割説明できてしまうというのがファクトだ。歴史的な事実として、日本人は若くして結婚すれば、平均的に二人の子どもを産んできたのだ。それが、晩婚化であったり、未婚率の上昇で、出生率が減っていったのだ。 ●出生率の向上に寄与することなどほとんどないことは各種データや研究から明らか この場合、どうすれば出生率が上がるかは、小学生でもわかりそうなものだ。晩婚化を防ぎ、未婚率を減らせばいいのだ。しかし、岸田政権が行ったことは、児童手当の拡充、出産等の経済的負担の軽減、高等教育費の負担軽減だ。税金の投入先は子どもを産んだあとの人ばかり。 今回の原案にも<今年は、児童手当の抜本的拡充、高等教育の負担軽減、保育所の七十六年ぶりの配置改善、児童扶養手当の拡充など、いよいよ政策が本格実施されるステージに入ります。今国会に必要な法案を提出し、スピード感を持って、実行に移してまいります。単に制度や施策を策定するのではなく、社会全体で、こどもや子育て世帯を応援する機運を高める取組を車の両輪として進めてまいります>と書いてある。 トンチンカンとはこのことで、子育て世代にいくらお金をばら撒いたところで、出生率の向上に寄与することなどほとんどないことは各種データや研究から明らかだ。 |
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●自民党を一刀両断「岸田首相は“小泉劇場”の再来、再浮上を狙っている」 1/29
2024年の干支は辰、「政変の年」と言われる。ロッキード事件は1976年、リクルート事件は88年に起きた。足元では自民党の裏金事件がくすぶり、世論の怒りは沸騰している。26日からの通常国会を野党は「政治改革国会だ」と腕まくりするが、「政治とカネ」をめぐる問題はなぜ繰り返されるのか。どんな手を打つべきなのか。そして、金権腐敗がはびこる自民党を追い込むことができるのか。裏金疑獄を「令和のリクルート事件」と名付けた政治学者に聞いた。 ●本家リクルート事件より悪質 ──東京地検特捜部による裏金事件の捜査が一区切りしたタイミングで、岸田首相は先月まで会長に居座っていた第4派閥の岸田派(宏池会)を解散すると宣言。政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で岸田派とともに関係者が立件された最大派閥の安倍派(清和会)、第5派閥の二階派(志帥会)も解散を決めました。 掛け声は勇ましいですが、政治資金の受け皿である政治団体を解散し、事務所を閉鎖するだけで、派閥の実質的な機能は温存される可能性がある。人的ネットワークを根絶するのは不可能です。党総裁選、閣僚ポストなどの配分、選挙の公認などをめぐって今後も集団で動くことは十分に考えられる。「政治とカネ」の問題を特定派閥によるものだとすり替え、論点をずらそうとする動きを見過ごしてはいけません。裏金事件は、本家のリクルート事件よりもはるかに悪質です。現職の閣僚や党幹部が事実上、更迭される事態に発展したのですから。中枢の議員が立件を免れたからオシマイでは済まされません。 ──岸田首相は政治刷新本部を設置し、「政治への信頼回復に努める」と言っています。 メンバーの4分の1超を安倍派が占める人選もさることながら、通常国会召集までに中間報告を取りまとめる拙速な運び。「やってる感」を演出するアリバイづくりの組織にしか見えません。「改革」ではなく、「刷新」を謳うのも欺瞞です。国民人気の高い「政治改革男」の石破元幹事長をメンバー入りさせたくなかったからなのか。目下、検証と徹底が求められている自民党の「政治改革大綱」は、石破氏ら当時の若手議員による自発的な働きかけを受けて取りまとめられた。そうした経緯を鑑みても、岸田首相の本気度は怪しい。その一方で、「小泉劇場」の再来を狙っているようにも見えます。 ──どういうことですか。 自民党の一組織に過ぎない刷新本部に耳目を集め、派閥の対応によって「悪い自民党」「良い自民党」に色分け。これからは「悪さをしない自民党」を中心にやっていくとアピールする。郵政民営化をめぐり、小泉元首相が「改革派」と「守旧派」という劇場型の対立構図をつくり、それにのみ込まれた世論も大いに盛り上がりましたよね。 ──つまり、カネに汚い議員や集団は一部に過ぎず、大半はクリーンだと? 金権腐敗は自民党の体質ではないと? そうです。党内組織でガヤガヤやっていれば、「小泉劇場」ならぬ「岸田小劇場」の見せ物で自民党はメディアジャックできる。野党の動きはてんで報じられない。そうして「政治とカネ」の問題は矮小化され、コップの中の嵐で終わることを期待しているのではないか。内閣支持率が2割を切り、このままいけば岸田政権はもたない。印象アップのためには、なりふり構っていられません。 ──岸田政権を支える第2派閥の麻生派(志公会)会長の麻生副総裁や、第3派閥領袖の茂木幹事長は解散に否定的です。 存続派が主張するように、確かに派閥には人材育成の役割もある。しかし、派閥の流儀が走り過ぎた結果、裏金は億単位に上り、関与した議員も多数いる。世論は派閥温存に納得しないでしょう。日本の政治にはカネがかかるといまだに言われますが、なぜ派閥と議員が結託して裏金をつくっていたのか。2つの選挙にカネを要するからです。衆参両院の国政選挙、そして党総裁選です。それぞれの選挙区の地方議員を動かすカネ、領袖を総裁に押し上げるために他派閥を取り込むカネ。「ニッカ」「サントリー」「オールドパー」といった隠語が飛び交った時代ほどではないにしろ、総裁選にはカネがかかる。党内選挙は公職選挙法が適用されないので、歯止めが利きません。 ●求められる「令和の政治改革」 ──総裁選があった21年分の政治資金収支報告書によると、岸田派は組織活動費として1億円超を支出。6派閥の22年分の総額を上回っていた。表に出ている分だけでも巨額です。 「平成の政治改革」で衆院は中選挙区制から小選挙区比例代表並立制となり、派閥単位で候補者を擁立できなくなりました。派閥政治や金権腐敗を払拭し、政党本位・政策中心の選挙への転換を目的としたものでしたが、官邸あるいは党本部に権力が集中。総裁や幹事長に誰が就くかで公認、ポスト、カネの差配は左右されることから、我先に主流派を目指し、派閥間競争が苛烈になった。この仕組みの恩恵を享受してきたのが、ほかならぬ安倍派。安倍1強を維持するため、政治資金パーティーを舞台にした錬金術で得たカネで子分を増やしてきた。強大な力を持つ最大派閥の行き過ぎた不正に疑問を差し挟めなかった成れの果てが、裏金事件なのです。小選挙区制の是非も含め、30年前の政治改革を評価し直す必要がある。大ナタをふるわないと国民の留飲は下がらないでしょう。「令和の政治改革」が求められています。 ──ザル法と言われる政治資金規正法改正による厳罰化が俎上に載せられていますが、具体的なところでは? パーティー券購入者の公開基準引き下げ。まずは寄付とそろえて5万円超にした方がいい。会計責任者が有罪になった場合、議員が自動失職する連座制の導入。国会から独立した第三者機関を設け、カネの流れをチェックしなければなりません。収支報告書のデジタル化も必須です。国民には紙の健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一本化すると迫っているのに、政治資金は手つかずなんて通りません。「平成の政治改革」で創設された政党交付金もしかり。自民党への交付は昨年が159億円超、今年は160億円超の見通しです。満額受領はどう考えてもおかしい。減額、不交付などのペナルティーを科すべきです。違法薬物事件が起きた日大への私学助成は、3年連続で全額不交付ですよ。政治資金は「入り」だけでなく「出」も見えるようにしなければ意味がない。政党が党幹部に毎年多額の支出をしている政策活動費や、国会議員の「第2の財布」とされる調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開も早急に実現すべきです。 ●「財布」透明化は待ったなし ──政治家の「財布」の透明化は待ったなしですね。政治家ではない親族による政治団体の継承についてはどうですか? 安倍元首相夫人の昭恵氏が億単位の資金を抱える亡夫の政治団体を非課税で引き継ぎ、問題視されています。 政治資金が税制優遇されているのは、その活動に公益性が認められるためです。政治活動を行わない場合は、通常のルールにのっとって処理するのが筋でしょう。議論の余地があります。 ──「政治とカネ」をめぐる問題はすべてテーブルにのせてほしいです。 自民党任せでは一歩も前に進みません。衆参両院議長の名の下、国会としての協議体を立ち上げ、与野党だけでなく、専門家や有権者も加わって議論するべきです。政治不信は極大化しています。自民党への信頼が損なわれているだけでなく、日本の政治そのものに対する信頼が損なわれている。立法府の責任が問われています。 ──国会でやれるんでしょうか。 リクルート事件を受けた政治改革の議論は半年ほど要しました。通常国会で方向性を固め、少しずつ手直ししていくのが現実的ではないでしょうか。昭和のロッキード、平成のリクルート、令和のパー券。ホップ・ステップ・ジャンプではありませんが、「政治改革」でなすべき本当の解をいい加減に出さないと、この国の政治は立ち行きません。 |
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●政治責任、岸田首相「党として検討」 裏金事件の調査結果公表―参院予算委 1/29
岸田文雄首相は29日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金規正法違反事件に関し、「政治責任について党として対応を考える」と述べた。また、「党として実態把握に努め、整理をした形で国民に示していかなければならない」と述べ、調査結果を公表する考えを示した。自民の磯崎仁彦氏への答弁。 規正法改正に関しては「議員立法で行われるべきものだ」との認識を示した。公明党の谷合正明氏の質問に答えた。 |
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●岸田首相、裏金問題で連座制導入に言及 「党として考え方まとめる」 1/29
岸田文雄首相は29日の衆院予算委員会で、政治資金収支報告書の虚偽記載などで会計責任者が有罪になった場合に政治家自身も責任を負う「連座制」の導入について、「厳格な責任体制を確立する観点から、自民党として考え方をまとめ、各党ともしっかり議論を行っていきたい」と述べた。 自民党の丹羽秀樹氏への答弁。岸田首相は「政治資金が政治資金規正法にのっとって取り扱われることは当然であり、違反した場合には厳正な対応が行われるべきだとの問題意識は、私も共有する」と述べた。 その上で、連座制導入に向けた課題として「対象とする政治団体の範囲、対象とする違反の種類」を挙げ、「様々な課題について丁寧な議論を行う必要がある」とした。 |
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●岸田首相、連座制導入に前向き 政策活動費、法改正議論―裏金事件 1/29
衆院予算委員会は29日午前、岸田文雄首相と関係閣僚が出席し、「政治とカネ」の問題に関する集中審議を行った。首相は自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けた政治資金規正法改正に関し、会計責任者だけでなく議員本人の責任も問う「連座制」の導入に前向きな意向を表明。使途公開の必要がない「政策活動費」の見直しに言及した。 自民党の丹羽秀樹氏、立憲民主党の階猛氏の質問に答えた。党幹部に対し、関係者への事情聴取を行うよう指示したことも明らかにした。 首相は審議の冒頭、事件について「自民党総裁として心よりおわびする」と陳謝。「政治資金規正法改正など必要な法整備を進めていく」と述べた。 その上で「連座制も含めて各党とも議論を行っていきたい」と明言。政策活動費の扱いについて「国会で法改正も含め真摯(しんし)に議論したい」と述べた。 |
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●岸田首相「国民におわび」連座制議論へ 衆院予算委、政治資金巡り論戦 1/29
衆院予算委員会は29日午前、自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受け、岸田文雄首相らが出席して政治資金問題に関する集中審議を行った。通常国会で首相による施政方針演説の前に集中審議が行われるのは異例だ。 首相は冒頭、「国民の信頼を損ねる大変深刻な事態を招いていることについて、自民党総裁として心よりおわびする」と述べた。昨年12月に安倍派(清和政策研究会)の松野博一前官房長官ら4閣僚が辞任したことについては「任命責任者としての責任を重く受け止めている」と説明した。 自民の政治刷新本部による中間取りまとめを踏まえ、政治資金の透明化や政治資金規正法改正などの改革に向けて「先頭に立って、取り組みを必ず実行していく」と強調した。 この後の質疑応答の中で、首相は「党として実態解明に取り組まなければならない」と述べ、党幹部に対し、関係者に対する事情聴取を行う枠組みの作成を指示したことを明らかにした。 議員も連帯責任を負う「連座制」に関しては「党として考え方をまとめ各党ともしっかり議論を行ってまいりたい」と述べた。政党から議員に寄付し、使途公開が不要な政策活動費の使途公開については「政治の自由にかかわるので、各党会派で真摯な議論を行いたい。政府、自民党としても真摯に対応していきたい」と語った。 |
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●春闘スタート 岸田首相掲げる「物価高を上回る賃上げ」に「期待せず」6割… 1/29
通常国会が開会した。岸田政権にとっては、政治と金問題という難題と、能登半島地震の復興が喫緊の課題となる。加えて、政権発足以来の最重要課題が「賃上げ」だ。1月から働く人の賃上げ交渉、春闘が始まるなか、世論調査で、岸田首相が「今年の夏頃に」と掲げる「物価高を上回る賃上げ」の実現への期待を聞いたところ、「期待する」41.5%、「期待しない」が57.3%となった。 約6割が「期待しない」結果となり、岸田首相にとっては厳しい結果となった。これを支持政党別に見てみると、自民支持層からは「期待する」55.2%、「期待しない」44.5%、と結果は反転して、6割近くが「期待」していることが明らかになったが、世論調査で有権者の半数近くを占め、最も多い無党派層は期待しないこと「期待する」35.0%、「期待しない」63.2%、足下の自民支持層こそ期待しているが、全体的には期待は広がっていないことがわかる。 FNN世論調査では、岸田首相の「物価高を上回る賃上げ」への期待について、2023年11月、経済対策を公表した当時にも質問を行っている。経済対策では、非課税世帯に1世帯当たり7万円の追加支給や、1人あたり4万円の定額減税を行うことなどを表明したが、当時「物価高を上回る賃上げ」については「期待する」27.0%、「期待しない」71.0%と期待しない声は、今回よりも10ポイント以上高かった。 同じく自民党支持層でも、「期待する」50.3%、「期待しない」48.4%、無党派層では「期待する」17.6%、「期待しない」80.2%で、各支持層ごとに期待の度合いは違うものの、去年の11月に比べて、賃上げが実現することへの期待は高まっていることが今回の調査で明らかになった。 ●岸田首相の掲げる「物価上昇を上回る賃上げ」への期待 (今回) 期待する 期待しない 全体 41.5% 57.3% 自民支持層 54.4% 44.5% 無党派層 35.0% 63.2% (2023年11月) 期待する 期待しない 全体 27.0% 71.0% 自民支持層 50.3% 48.4% 無党派層 17.6% 80.2% ●“景気・賃上げ対策”に求められる難しい判断 この2カ月、賃上げに関連して岸田首相は、経団連の十倉会長、連合の芳野会長と「政労使会談」を2023年11月、2024年1月22日と2度にわたり行った。1月末に始まった春闘直前の「政労使会議」で岸田首相は「物価高を重視し、昨年を上回る賃上げ」を要請した。財界代表の経団連十倉会長は、会談後「経済も賃金も物価も安定的に上昇して、好循環にまわす」と述べ、正念場としつつ「賃金上昇」にも言及する会見を行った。 また、これに先立つ1月19日には、医療・介護・障害福祉関連団体のトップに対し首相官邸で「賃上げの実現」を念押しした。さらに、この2カ月の動きとして。年末から今月にかけて、経済対策のうち住民税非課税世帯への1世帯当たり7万円の給付が全国の自治体で始まった。こうしたことも期待が“じわり”と高まっている要因と考えられる。さらに、岸田首相は、6月には1人あたり所得税を4万円引き下げも予定している。 一方で、ガソリン価格の抑制の補助金は今年4月までの予定で、今後の見通しは決まっていない。兆円単位の財源投入には慎重論も出ていて、補助金延長を世論がどう考えるか、打ち切りとなりガソリン価格が値上がりした場合、賃上げ実感はどうなるのか、岸田政権の景気・賃上げ対策は、今後も難しい判断が求められる。 |
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●政治責任、党で対応検討=裏金事件の調査結果公表へ―参院予算委 1/29
岸田文雄首相は29日、参院予算委員会の集中審議で、自民党派閥の政治資金規正法違反事件について党本部として調査し、当事者の政治責任に関して対応を検討する方針を示した。 調査結果を公表する意向も明らかにした。 首相は「今回の問題はコンプライアンス(法令順守)の欠如が最も大きな原因だ。実態把握に努め、整理をした形で国民に示していかなければならない」と明言。「政治責任について党として対応を考える」と述べた。自民の磯崎仁彦氏への答弁。 立憲民主党の熊谷裕人氏は、派閥の解散に先立って説明責任を果たすよう求めた。首相は「派閥として説明責任を果たしていくことは、最優先で取り組まなければならない」と答えた。 共産党の山添拓氏は、2019年と22年に安倍派が改選を迎える参院議員に対し、パーティー券販売で集めた資金の全額をキックバック(還流)していた疑いがあると追及。首相は「実態解明が重要だと強く感じている」と述べるにとどめた。また、岸田派でも還流の仕組みがあったことを認めた上で、「全て政治資金規正法にのっとって取り扱っている」と強調した。 規正法改正に関しては、「議員立法で行われるべきものだ。与野党による議論の場が設けられた場合、党として積極的に貢献したい」と語った。公明党の谷合正明氏の質問に答えた。 |
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●逃げ得とは卑劣な!自民党・安倍派議員から巻き起こった 「裏金5人衆」 1/29
政治資金パーティー券問題で多くの議員がキックバック(還流)を受けたとして非難を浴びている自民党派閥の清和政策研究会(安倍派)で、座長である塩谷立衆院議員の議員辞職が取り沙汰されているが、派内では西村康稔前経産相ら「5人衆」の責任を問う声が根強い。 福田達夫元総務会長ら約30人の同派所属議員が1月26日に開いた会合後、出席者のひとりは「5人衆の全てが責任を取るべきだ」と発言した。この議員によると、離党にとどまらず議員辞職を求める声も上がっているという。 組織論から言うと、会長不在の中で事実上のトップである塩谷座長と、事務総長の高木毅前国対委員長が責任を取るべき立場にいる。だが「5人衆」は会長だった安倍晋三元首相が2022年7月に暗殺されて以降、派内をまとめる立場にいた上、岸田文雄内閣で閣僚、党幹部のポストを占め続けた。 「自分たちだけいい思いをして、都合が悪くなったら無役だった塩谷さんに責任を押し付ける。それはないだろう、という思いが派内に多い」(中堅議員) しかも安倍元首相はノルマ以上のパーティー券代のキックバック不記載をやめるよう指示したが、亡くなった後、事務総長だった西村氏らはそれを復活させていた。世耕弘成前参院幹事長は同年7月の参院選の責任者として、カネなどを差配する立場にいた。世耕、西村両氏ともに、政治資金の問題は秘書がやっていたことで自らは知らなかったと弁明しているが、「世耕、西村両氏がしっかりとしていたならば、こんなことは起きなかった」(若手議員)として、2人の責任を問う声が多い。 松野博一前官房長官については、他の派閥幹部から、「官房長官として、法務省からなんらかの形でアドバイスを受けるべき立場にいた。にもかかわらず、報道が出るまで放置していたとは信じがたい」とする声が出ている。 世耕氏は昨年10月の参院本会議で、こう言っている。 「(内閣)支持率が向上しない最大の原因は、国民が期待するリーダーの姿を示せていないことに尽きる」 身内として異例の形で岸田首相を批判したが、その言葉は今、そのまま世耕氏に当てはまっている。世耕氏や西村氏らにはリーダーとして議員辞職、あるいは離党してけじめをつけることが求められている。 |
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●麻生太郎 上川外相への「そんなに美しい方とは言わない」発言に批判殺到 1/29
自民党の麻生太郎副総裁(83)の発言がまたも物議を醸してる。 1月28日、福岡県芦屋町で講演した麻生副総裁。各メディアによると昨年9月から就任した上川陽子外務大臣を評価した上で、「(党内で)新たなスター、新しい人がそこそこ育ちつつある」「ぜひ女性、若い人、こういった人たちをわれわれは育てねばならない」と語ったという。しかし上川外相が昨年9月、アメリカ・ニューヨークを訪問したことを回想すると、こう述べた。 「そんなに美しい方とは言わんけれども、堂々と話をして、英語できちんと話をし、外交官の手を借りずに自分でどんどん、会うべき人に予約を取っちゃう」 「俺たちから見てても、『このおばさんやるねえ』と思った」 さらに講演内で、麻生副総裁は上川外相のことを「カミムラ」と複数回間違えたほか、「女性が日本の外務大臣になった例は過去にないと思う」とも発言した。しかし’01年に田中眞紀子氏(80)が、そして’02年に川口順子氏(83)が外務大臣に就任している。 スピーチ自体は上川外相をほめるものではあったものの、自民党の副総裁という立場でありながら、上川外相について「美しい方とは言えない」と容姿について指摘するような発言をした麻生副総裁。名前や事実を誤認している点も合わさり、ネット上では《つける薬のないセクハラおやじ》《「このおばさん」「そんなに美しい方とは言わんけれども」って!完全セクハラだし!!「女性が日本の外相になった例は過去にないと思う」も間違ってるし》《なんで誰かの仕事ぶりを評価するのに外見にも言及しないといられないんだろう》などと厳しい声が相次いだ。 2019年2月に行われた自身の国政報告会では、少子高齢化問題に絡み「年寄りが悪いみたいなこと言っている変なのがいっぱいいるけど間違ってますよ。子どもを産まなかった方が問題」と発言し問題に。さらに、昨年1月には「(少子化の)一番、大きな理由は出産する時の女性の年齢が高齢化しているからです」とも述べ、批判が寄せられるなど、失言の例をあげればキリがない麻生氏。過去の失敗から学ばず、失言を繰り返す麻生氏に対し”引退”を求める声も上がっている。 《いつまでも麻生節はいりません。それなら人権に敏感な別の人にその一席譲ってもらいたいものだね》 《これだけ失言の多い人も珍しいですね。日本の国会議員の質と品位を疑われますよ。こんな人が国会の中枢にいること自体、不思議です》 《他人の容姿に触れることとはハラスメントであること、ご存じない?人権感覚が欠如しているこういう方は国会議員の資格がないし、社会人としたって欠格。辞めて欲しい》 《このタイミングでまたこういう発言 もう無理でしょう、マズイことを判断できない年齢になってる》 《こういう人、引退しないと自民は変わらないね》 |
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●上川陽子外相の容姿「そんなに美しい方とは」麻生太郎氏 1/29
自民党の麻生太郎副総裁が28日、福岡県芦屋町で講演し、上川陽子外務大臣の容姿について「そんなに美しい方とは言わない」などと述べました。 ●麻生太郎副総裁の発言 昔より単純じゃなくなりました。国際関係はものすごく複雑になっております。それが今の世の中なんであって、政治はその中にあって、外交としていろいろな問題を対応させていただいております。 その中で、例えば、今女性というものであれば、今の外務大臣はカミムラ陽子。女性ですよ。女性が日本の外務大臣になった例は過去にない、と思います。 しかし、このカミムラ陽子は、大したもんだぜ、これは。俺たちから見てても。「ほー、このおばさんやるね」と思いながら、こないだニューヨークへあったけども、少なくとも、そんなに美しい方とは言わんけれども、間違いなく堂々と話をして、英語ももちろんきちっと話をし、自分で予約から何から、外交官の手を借りながら「ああ、私がやるからいい」、自分でどんどん、会うべき人たちは自分で予約を取っちゃう。そして「会うべきだ」、バッ。1週間の間にニューヨーク国連の総会の後、バタバタっとやってのけたのを見て、「はー、これは大したもんだ」、つくづく思いました。あんなことできた外務大臣、今までいません。 ぜひそういった意味で、新しいスターが、新しい人がそこそこ育ちつつあるんだと思いますね。ぜひ女性、若い人、こういった人たちを、我々は育てねばならなん。そういう義務と責任があるんだと思っております。 ●ほめた相手の名前も言い間違えて 福岡県芦屋町の講演会で自民党の麻生太郎副総裁は、上川陽子外務大臣について「新しいスター」と外交手腕を評価する一方で、容姿についてこのように言及しました。 また、上川氏の名字を「カミムラ」と複数回間違える場面もありました。このほか「女性が外務大臣になった例は過去にないと思う」と述べましたが、これまでに田中真紀子氏と川口順子氏も女性で外務大臣を務めています。 一方、自身が率いる麻生派については存続させる意向を表明し「とにかく結果を出していく」と述べました。 |
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●能登半島地震、復旧復興支援本部1日に初会合=村井官房副長官 1/30
村井英樹官房副長官は30日午後の会見で、政府が新たに能登半島地震復旧復興支援本部を31日に立ち上げ、2月1日に第1回会合を開催すると説明した。政府の全閣僚がメンバーとなり、被災地の街づくりも含めた中長期的な支援体制を構築していくとした。 同本部は岸田文雄首相が本部長となり、被災地で聞かれる過疎化の一層の進展などの懸念を踏まえ、政府が一体となって支援していく。 |
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●知事 被災者の生活再建や物価対策に力入れ新年度予算編成を 1/30
新潟県の新年度予算案について、知事が内容を精査する「最終調整」の作業が30日から始まり、花角知事は、能登半島地震で被災した人の生活再建や物価高騰対策などに力を入れて予算編成を行う考えを示しました。 新潟県の新年度予算案の最終調整は、毎年各部局からの要求額が出そろうこの時期に行われていて、知事がそれぞれの事業について説明を受けて、予算に盛り込むか判断します。 これに先立ち、花角知事は30日、能登半島地震で被災した人の生活再建や、エネルギーや資材などの価格高騰への対策、それに子育て支援の充実などに力を入れて新年度の予算編成を行う考えを示しました。 花角知事は「地震や物価高騰などの足元の課題を考えながらも、新潟県を将来に向かって発展させるための取り組みも進めていかなければならない」と述べました。 その後、花角知事は知事室に集まった副知事など県幹部らと話し合いを行いました。 県は最終調整の作業を来月8日まで行って予算案を固め、来月19日に開会する定例県議会に提出する予定です。 |
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●能登半島地震 新潟県内の住宅被害は1万2300棟余りに 1/30
能登半島地震で新潟県内で被害が確認された住宅は、30日までに1万2300棟余りとなりました。 新潟県などによりますと、今回の地震で県内でけがをした人は49人で、新潟市内の小学生1人が帰省先の石川県内で被災し、亡くなりました。 また、30日までに県内で被害が確認された住宅は、新潟市を中心に29日から622棟増え、1万2339棟となりました。 内訳は全壊が86棟、半壊が1837棟、一部破損が1万402棟、津波による被害は床下浸水が14棟です。 また、新潟市によりますと、30日までに市には「り災証明書」の交付のための調査の申請が1万1222件提出され、1万125件で調査が終了したということです。 一方、新潟市では「り災証明書」は、これまでに656件、交付したということです。 |
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●解体安倍派の店じまい 野党の追及かいくぐり収支報告書訂正“先延ばし” 1/30
自民党派閥の裏金事件をめぐり、その悪質性を露呈させた安倍派だが、連中に反省の色は見えない。「東京地検特捜部に恭順の意を示すべく、派閥単位で政治資金収支報告書を訂正するとしたものの、モタモタと先延ばしにしている」(自民党中堅議員)からだ。 およそ80人の所属議員が裏金をつくっていた安倍派は、31日にも収支報告書の訂正を総務省に届け出て、来月1日に派閥総会を開き、解散に向けた事務手続きなどを説明する見通し。 「個別の議員による収支報告書の訂正は2日に届け出る見込み」(安倍派関係者)というからふざけている。29日の衆参両院予算委員会の集中審議、31日からの代表質問で突っ込まれるのを避けたい意図がミエミエなのだ。 というのも、最高幹部の「5人衆」と座長の塩谷元文科相は、この週明けまでにそれぞれ会見。 「キックバック」を「還付金」、「中抜き」を「留保金」などと巧妙に言い換えながら、政治資金パーティー収入の不記載額を明示していたのだ。その額は萩生田前政調会長2728万円、世耕前参院幹事長1542万円、松野前官房長官1051万円、高木前国対委員長1019万円、塩谷234万円、そして西村前経産相の約100万円。 グズグズしているのは、さらなる上積みがあるからなのか。まさか、立件ラインの3000万円を超過しないように付け替えているのか。 「派内には収支報告書の訂正を拒む議員もいて、〈耳をそろえて返金するから、なかったことにしてほしい〉という声も上がっている」(安倍派関係者=前出) ドロボーが盗品を戻したからといって、犯罪は消えない。子供だましの手口で国民を欺くのはいい加減にしろという話だ。 裏金事件の端緒を開いた神戸学院大教授の上脇博之氏は29日、日本記者クラブで会見。収支報告書を訂正した安倍派議員について、規正法違反容疑で追加告発する意向を明かした。安倍派の面々は首を洗って待っていたほうがいい。 |
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●「全額残っているから裏金じゃない」キックバック正当化する岸田首相 1/30
「国民の信頼を損ねる大変深刻な事態を招いていることについて、自民党総裁として心よりお詫び申し上げます」 1月29日の衆院予算委員会で、岸田文雄首相は自民党国会議員が政治資金パーティー収入の一部を政治資金収支報告書に記載していなかったことについて陳謝した。 「党の政治資金問題について答弁できる閣僚は、総裁である岸田首相だけと言われています。他の閣僚は党務から離れているからです。 そのため質問は必然的に岸田首相に集中します。今後も首相が『火だるま』になることは間違いありません。 この問題では野党の足並みが揃っていて、自民党所属の全国会議員への調査、立件が見送られた安倍派幹部6人の参考人招致などを求めています」(政治担当記者) また、岸田首相は同委員会で「安倍派(清和政策研究会)で30人以上、二階派(志帥会)で7人が政治資金収支報告書の訂正をしたことも明らかにしている。 「答弁のなかで岸田首相は、会長を務めた岸田派(宏池政策研究会)の不記載だった3年ぶん3059万円についても触れました。首相は『すべてが銀行口座に残されており、流用されたとか、裏金になったとかいうことではないと認識しております』と強調しました」(同) しかし、この「使っていないんだから裏金ではない」という、キックバックを正当化するような答弁に、ニュースサイトのコメント欄は、 《銀行口座に残っているから裏金ではないという理屈はおかしい。収支報告書不記載で口座に入金されたまま金が残っている状態であることが、裏金そのもの》 《口座だろうが、金庫だろうが、引き出しだろうが同じ 要するに裏金を作ったわけで、会計責任者の数年のミスで3059万円も残すなどありえない》 《どんな理屈や?一般国民が「脱税」して「口座に残ってますよ」・・・で済まされるのか?》 など、「永田町の屁理屈」への疑問と怒りが、“一億総ツッコミ” 状態となっていた。 通常国会の会期は150日。野党の攻め手は、これからもっと激しくなるが、29日の答弁を聞いた自民党関係者はこう指摘する。 「岸田首相は何度か言葉につまりました。原稿の棒読みが国民から批判されていることもあり、『なるべく原稿を読まず自分の言葉で』ということなのでしょうが、『ん〜っと』みたいな言葉が頻繁に出てしまっており、かえって『行きづまり感』が出てしまっています」 真相解明に期待したいが、はたして――。 |
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●「五輪の栄光は消えた」自民・堀井学氏、キックバック2196万円 裏金まみれ 1/30
1月27日、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、堀井学衆院議員(比例北海道)は、派閥からのキックバックが2018年〜2022年の5年間で計2196万円あったと明らかにした。 堀井氏は「政治不信を招いたことをおわび申し上げます」と陳謝し、キックバック分の使途についてこう説明した。 「それぞれ支援者を増やす会合に参加する経費であるとか、またその方々と友好を深める2次会に参加するとか、有権者のみなさまに信頼を寄せていただくための活動や行動をとっていくうえで、必要な経費が増えていったのだと思っております」 収支報告書への不記載は、清和会のルールと認識していたと語った堀井氏。キックバックの具体的な経緯を問われると、秘書が退職していることを理由に具体的な回答を避けた。 「該当する秘書が、それぞれ退職をされて、次なる職場で次の人生を歩まれておりますので、その部分については差し控えさせていただきたいと思います」 堀井氏は「第2の人生」などと7回も繰り返し、会見は40分で打ち切られた。近く政治資金収支報告書を訂正するという。議員辞職や離党はせず、次期衆院選にも出馬する意向を示した。 堀井氏が2196万円ものキックバックを明らかにしながら、具体的な説明を避けたことに、SNSでは批判的な意見が殺到した。 《友好を深める二次会経費とか秘書は第二人生を歩んでるとか、一般社会では通用しない言い訳ばかりの会見。しかも自ら打ち切りで逃げる》 《よく議員が秘書がもう退職と言って逃げるけど、退職した途端行方不明になるわけないし、連絡くらいすぐ取れるだろうに》 《すげーな…裏金作って税金ふところに入れて、それで飲み食いしたのに、悪びれず議員辞めないとか言うのか…さすが自民党クオリティ》 堀井氏は元スピードスケートの選手で、1994年のリレハンメル冬季五輪の男子500メートルで銅メダルを獲得。2012年、衆院議員に初当選し5期め。 安倍派に所属するアスリート出身議員では、橋本聖子元五輪担当相が2057万円、石川県の馳浩知事が衆院議員時代に819万円のキックバックを受け取り、政治資金収支報告書に記載していなかったと明らかにしている。 そのため、SNSでは元アスリート議員が多額のキックバックを受け取っていたことに対し、批判的な声が多くあがっている。 《スポーツは健全な精神を養うは戯れ言だと言うのを橋本聖子・馳浩・堀井学は教えてくれている》 《裏金問題。安倍派に属していた元アスリートは全滅。全て文教族で教育やスポーツ行政に携わった奴ばかり。子供たちへ説く前に、まず、お前らが倫理や道徳を学び直せ》 《秘書と議員は一連托生、本当に申し訳ないと思うなら議員辞職して再出馬で有権者の審判を受けるべきではないか。五輪の栄光は消えた》 《堀井学といい、橋本聖子といい、元オリンピアンがこんな態度でいいのかな》 日本オリンピック委員会のHPでは「フェアプレー」をこう説明している。 《スポーツにはルールがあり、そのルールを守ることでアスリートが互いに競い合い、高めあう。それがスポーツマンシップであり、オリンピズムの一つです。》 アスリート出身議員は「フェアプレー」の精神を忘れてしまったのだろうか。 |
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●野党4党 自民の全国会議員対象にキックバックの調査を要求 1/30
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、立憲民主党など野党4党は、新年度予算案の実質的審議が始まる前に、事件の全容を明らかにすべきだとして、自民党所属のすべての国会議員を対象に、派閥からキックバックを受けていたかを調べて、その結果を提出するよう求めることで一致しました。 立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党の野党4党の国会対策委員長が、30日午前、会談し、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けた今後の国会対応を協議しました。 この中で4党は、新年度予算案の実質的審議が始まる前に事件の全容を明らかにすべきだとして、自民党所属のすべての国会議員を対象に、派閥からキックバックを受けていたかを調べて、その結果を、来週5日までに、国会に提出するよう求めることで一致しました。 また、政治倫理審査会を開催し、二階派の会長を務めてきた二階元幹事長のほか、安倍派の座長を務める塩谷元文部科学大臣や「5人衆」と呼ばれる有力議員らに説明を求めていくことも確認しました。 ●立憲民主党 安住国会対策委員長「危機感が足りず」 このあと、立憲民主党の安住国会対策委員長は自民党の浜田国会対策委員長と会談し、野党側の要求を伝えました。 浜田氏は、持ち帰って検討する考えを示しました。 安住氏は記者団に対し「岸田総理大臣は、一歩前に出てリーダーシップをとるべきだ。これだけの不祥事に対する危機感が足りず、大変残念だ。調査結果を出さないまま予算委員会の質疑が順調にいくと思わない方がいい」と述べました。 ●自民 御法川国対委員長代理「真摯に受け止めなければ」 自民党の御法川国会対策委員長代理は記者団に対し「極めて異例な形で始まった国会で『政治とカネ』が非常に大きな問題になっている中での申し入れなので、わが党として真摯(しんし)に、しっかりと正面から受け止めなければならない」と述べました。 ●自民 石井参院国対委員長 前向きに対応する考え示す 参議院でも30日午後、与野党の国会対策委員長などが国会内で会談し、今後の審議日程を協議しました。 この中で、立憲民主党の斎藤参議院国会対策委員長ら野党側は、自民党所属のすべての参議院議員について派閥からキックバックを受けたかなどを調べ、リストにして提出するよう求めました。 これに対し、自民党の石井参議院国会対策委員長は「来月5日にも始まる衆議院予算委員会の実質的審議に間に合うようリストを作りたい」と述べ、前向きに対応する考えを示しました。 |
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●茂木派「いわゆる派閥は解消」 政策集団としての活動は継続の方針 1/30
自民党の茂木幹事長は、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、自身が会長を務める茂木派について「いわゆる派閥は解消する」と表明しました。 自民党 茂木敏充幹事長「いわゆる派閥としては解消し、お金や人事から完全に決別します」 茂木幹事長は裏金事件を受けて設置した政治刷新本部の中間とりまとめに沿って茂木派も対応していく考えを示し、今後は「新たな政策集団に脱皮していく」と述べました。 また、小渕選対委員長らが派閥からの離脱を表明するなか、党四役が派閥を離脱するべきかについて、「派閥に属しているかどうかで選挙や人事において異なる対応をしてきたことはない」「中立公正な立場で対応していく」と話し、自身は派閥を離脱しない考えを示しました。 |
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●内閣支持率の微増・横ばい「派閥を解散したことと震災対応で持ち直した」 1/30
政治ジャーナリストの田崎史郎氏が30日、TBS「ひるおび!」に出演。岸田内閣の支持率が前回調査からほぼ横ばいとなっていることに言及した。 番組では、毎日新聞社の全国世論調査(27、28日実施)で、岸田内閣の支持率は前月比5ポイント上昇の21%で8カ月ぶりに上昇し、日本経済新聞の全国世論調査(26〜28日実施)では、前月比1ポイント上昇の27%でほぼ横ばいだったと伝えた。 田崎氏は、上昇・横ばいの理由について「派閥を解散したことと震災対応で持ち直したということがと思う」と自身の見解を述べ、「この世論調査はこの土、日なんですね。先週などは岸田総理のペースでずっと進んできてこれ(微増・横ばい)なんですよね」と説明した。 そして「昨日からは野党ペースなんですよ。しかも昨日の質疑、衆院で3時間、参院で3時間の予算委員会をやったんですけれども、ほとんど総理が答弁しているんですよ」と指摘し、「政治とカネの問題で答弁できるのは、閣僚で党の仕事と兼務できているのは総理だけなんですよ。自民党総裁で総理なんですね。ほかの人たちは自民党の役割を持っていませんから、この問題で答弁できるのは総理だけで、総理が1人で来週予定通りならば予算委員会が始まるんですけれども、ずっと答え続けないといけない」と今後について話した。 |
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●連座制を求める与党にも後ろ向き 野党「首相は火のないただのタマ」 1/30
自民党派閥による政治資金パーティーの事件を受け、通常国会の論戦の皮切りとなる衆参の予算委員会が29日にあった。安倍派による組織的な裏金作りの実態解明のほか、政府・自民党は再発防止に向けた政治改革をどう実現するかも問われる。身内の与党から具体的な注文が飛んだが、岸田文雄首相はこれにもあいまいな説明を繰り返した。 「政治刷新本部の中間とりまとめはまだ踏み込み不足であり、信頼回復にはほど遠い」。自民の丹羽秀樹衆院議員(無派閥)はこう指摘し、政治資金規正法違反があった際に政治家にも責任が及ぶ「連座制」の導入について、首相の考えをただした。公明党の中川康洋衆院議員も「連座制の強化は、規正法改正の『一丁目一番地』」と求めた。 ・・・ |
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●れいわ山本太郎氏「答え出るのいつなんだよ」岸田首相対応を声荒らげ批判 1/30
れいわ新選組代表の山本太郎参院議員は29日の参院予算委員会で、岸田政権下で発生した自然災害で被害を受けた被災者の生活が、現在も再建されていないケースが多いとして、被災者生活再建支援法で支給される住宅再建(最大300万円)の増額など、法律の改正を求めた。 山本氏は24日の同予算委員会に続き、被災者の生活支援について質問。能登半島地震を受け「総理は被災者の皆さんが1日も早く元の生活を取り戻せるよう先頭に立つとおっしゃった。うそはありせんか」とただし、首相は「当然うそはありません」「政府として対応すべきは検討し、実施に努めてまいりました」と応じた。 これに対し、山本氏は岸田政権発足後、主な災害が11件発生し激甚災害は9件に及ぶことに触れ、「今も生活再建できていない被災者が大勢いる」と指摘。能登半島地震で大きな被害が出た能登町では、昨年5月の大規模地震で被災して仮設住宅に暮らす被災者が、元日の地震で再び被災したケースがあるなどと指摘し、「これが(生活再建に)努力したと豪語する対応の結果だ」と皮肉った。 「被災者のためになんでもやるとおっしゃった。だったら、さっさとやってください」とした上で、被災者生活再建支援法の改正で「ケチな上限金額を定めないでください」と要望。「過去にもさかのぼって支援できる仕組みをつくってほしい」「明日(30日)の閣議で決めてほしい」とも迫った。 岸田首相は法改正には踏み込まず「能登半島地震でも追加策を今、検討している。追加策をやります」と述べたが、山本氏は「小粒なんですよ」と納得しなかった。それでも首相は「災害特有の事情に配慮して追加策を考えることは、検討を進めていく。対策を用意し、総合的に被災者を支援する」などと述べるにとどめ、山本氏が「検討する、考えるといつまでやっているんですか。明日からできることをやってくれと言っているのに、答え出るのはいつなんだよ。明日出せるんですよ。やってくださいよ」と声を荒らげる場面もあった。 |
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●派閥解消で3月退陣を回避!岸田内閣の支持率がじわり回復… 1/30
岸田内閣の支持率が少し上昇した。毎日新聞の世論調査(1月27〜28日実施)では5ポイント増の21%、日経新聞の世論調査(1月26〜28日実施)では1ポイント増の27%だ。 能登半島地震への対応の遅れが批判されているにもかかわらず、支持率続落に歯止めがかかり、わずかながら上昇に転じたのは、自らが率いてきた岸田派(宏池会)を解散して派閥解消を打ち出したことが最大の要因であろう。 岸田派に続いて二階派、安倍派、森山派が解散したのに対し、岸田政権を支えてきた主流派である麻生派と茂木派は存続を決定。岸田首相がキングメーカーの麻生太郎副総裁と一線を画したことも世論に好意的に受け止められたとみられる。 さらに裏金事件で立件を免れた安倍派幹部に自発的離党を迫ったのもプラス要因となった。 内閣支持率は一部世論調査で10%台まで落ち込み、岸田首相は今年9月の自民党総裁選で再選を果たすことがかなり険しくなっていた。麻生氏は岸田首相を3月上旬の訪米と3月下旬の予算成立を花道に退陣させ、茂木敏充幹事長を後継首相に押し立てる戦略を探っていたが、岸田首相はこれに反発して派閥解散を打ち出し、政局をリセットすることに成功した。 岸田首相がバイデン大統領から国賓待遇で招待された訪米は4月10日に決定し、岸田首相は3月退陣論を抑え込んだ。麻生氏は自ら首相訪米の事前調整のために米国へ飛んだが、そのうえで4月10日の日程が決まったということは、麻生氏も3月退陣論を断念したとみていい。 岸田首相は派閥存続にこだわる麻生氏と、派閥解消を訴える菅義偉前首相を天秤にかけながら、1日でも長く政権に居座る考えだ。支持率が回復すれば9月の自民党総裁戦に出馬することもあきらめていないのだろう。 1月26日に開幕した通常国会は、震災対応と裏金事件が大きな焦点となる。 岸田首相は「派閥解消」で裏金事件の逆風を一時的にかわした格好だ。しかし、この問題の本質は「政治資金の透明化」だ。立憲民主党は政治資金パーティーの全面廃止や政党が政治家個人に寄付する政策活動費の廃止を掲げて政治資金規正法の改正を迫るとみられ、岸田首相は防戦一方になる可能性もある。 次の正念場は4月28日投開票の衆院補選だ。旧統一教会問題やセクハラ疑惑で批判を浴びる最中に死去した細田博之前衆院議長の島根1区、東京都江東区長選をめぐる買収事件で起訴された柿沢未途氏の東京15区、そして裏金事件で議員辞職を表明した谷川弥一氏の長崎3区で行われる見通しだ。 いずれも自民逆風の選挙になる公算が大きく、ここで3連敗すれば岸田おろしが再燃するだろう。 しかも2月から3月は衆参の予算審議での疑惑追及で内閣支持率が下がりやすい時期である。今年は特に裏金事件が大きな焦点となるだけに、派閥解消による支持率回復基調が続くかどうかは見通せない。 岸田首相とすれば、予算成立後の国賓待遇の訪米(4月10日)で支持率を回復させ、4月28日の衆院補欠選挙で勝ち越して総裁再選への道のりを固めたいところだ。 派閥解散の連鎖で自民党の国会議員の7割は無派閥になった。岸田首相はこの7割を取り込んで総裁再選を目指すことになる。 しかし、安倍派(清和会)では創始者の福田赳夫元首相の孫である中堅議員の福田達夫氏が「新しい集団をつくっていく」と明言。無派閥の高市早苗氏は、安倍派解散で行き場を失った安倍チルドレンたちを引き寄せる構えだ。茂木派(平成研究会)からは小渕恵三首相の娘である小渕優子氏に続いて参院茂木派の主要メンバーも離脱し、「小渕派」を立ち上げる気配が出ている。「派閥解消」は派閥リーダーの世代交代を促す「派閥再編」と捉えたほうがよいだろう。 岸田首相が内閣支持率をさらに回復させ、党内支持も取り戻して再選を果たすことができるか、その道筋はなお不透明だ。 |
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●岸田政権「崩壊」の現実味…「派閥解散」宣言は支持率回復狙いの「ポーズ」 1/30
●派閥解散という「博打」を打ったものの 自民党の裏金問題で、ついに安倍派、二階派の会計責任者だけでなく、岸田派の元会計責任者までが「立件」されることとなった。それを受けて岸田首相は唐突に「派閥解散宣言」をぶち上げた。 これにつられる恰好で、逮捕者を出した安倍派も二階派も解散せざるを得ないと判断、派閥解散を決定し、政界に大きな激震が走った。 一般にこの騒動は「岸田の乱」などと言われているが、世論は概ねこの岸田氏の振る舞いを支持している。たとえばFNNの世論調査では、64%が岸田氏の派閥解散表明を評価すると回答しており、かつ、これまで下がり続けてきた内閣支持率も5ポイント回復し27.6%となった。 岸田氏は今回の派閥解散宣言について、「博打を打たないと逆転はできない」と口にしたとも報道されている。この結果だけを見れば、岸田氏がその「博打」に勝ったようにも見えるが、事態はそれほど甘くない。 たとえば朝日新聞の調査では、「自民党の派閥が解散すれば政治の信頼回復につながると思うか」という問いに対して、72%が「つながらない」と回答している。そして同調査では、肝心の岸田氏本人の裏金問題への対応について、「納得できない」という回答が89%となっている。 さらには、内閣支持率についても、FNNの調査では回復基調が見られたものの、読売新聞は再び政権発足以来最低の24%、朝日新聞も同様に過去最低の23%、さらにはANNでも同じく過去最低の20.4%を記録している。 要するに、国民は派閥解散自体は歓迎しているものの、だからといって「これで裏金問題は一件落着」だとか「派閥解散をやった岸田氏は立派だ」なぞとは露も考えていないのである。 いわば、岸田氏は、博打に完全に「敗北」したわけだ。 ●全ては保身のための「ポーズ」に過ぎない ところで、博打というのは、「おカネを賭けて、負ければそのおカネを失う。勝てばそのおカネ以上のもっと価値あるものを手に入れる」という仕組みのゲームだ。 岸田氏は今回の派閥解散をやはり「博打」と呼び、「博打を打たないと逆転はできない」と口にしたそうだが、彼は一体何を賭け、何を手に入れようとしたのだろうか。 彼が望むものを「逆転」と表現している以上、これは、支持率の低迷に表れる「政権終焉リスク」の排除であることは間違いない。いわば、裏金問題で岸田派から立件者が出たことで政権が危機に立たされた、その危機から脱却しなければ、という趣旨で「逆転」という言葉が使われたわけだ。 では、彼が一体何を賭けたのかといえば、「派閥解散に伴う政権終焉リスク」以外に思い当たるものは無い。 そもそも派閥を解散すれば、岸田派を中心とした派閥の力学で続けてきた岸田政権の運営基盤が失われる。麻生派や茂木派からの支持も失われ、党内からの反発が拡大すれば、総裁を辞めざるを得なくなる。 しかし岸田派から立件者が出るとの一報を耳にした岸田氏は、このままでは確実に内閣の存続が危うくなると認識した。だから、大きな「博打」だが、それくらいやらないと政権が持たない、という焦りから「派閥解散」に打って出たわけだ。 しかし総理大臣の職務はそもそも、「政権を続ける」ということでは断じてない。その政権の力を使って国民のため、国家のために公的利益と幸福を提供し続けることが、総理大臣の本来の職務だ。当たり前の話だ。 しかし今回、「博打」を決断した岸田氏の眼には、国民の幸福も国家の利益もまったく入ってはいない。ただただ派閥解散によって、政権が終わるリスクを賭け、それが評価されて政権存続という「利益」を得ようとしたに過ぎないのだ。 しかし、国家の政治とパチンコやスロットマシーンのような遊興とは全く異なるものだ。岸田氏にその区別がついているのか否か、甚だ疑問だと言わざるを得ない。 今、岸田氏がなすべきことは、派閥を解散するしないの議論ではなく、裏金問題をどうするかという一点のはずだ。そもそも派閥があっても裏金問題を解消することはできるのだ。 具体的に言うなら、20万円以下のパーティー券は記載不要というルールを改めて「1円でも記載する」という新ルールを作り、同時に、経理担当者の罪は派閥責任者の罪となるよう連座制を導入すればそれで事足りるのではないか。 そうなれば、たとえば、中国人等の外国人が大量にパーティ券を購入するという不適切な事態を回避できるし、特定企業と政治家の癒着リスクを大幅に低減させることも可能になるではないか。 実際、岸田氏も「派閥(政策グループ)と裏金問題」は別だと考えているようだ。彼は、「派閥から『カネと人事』の機能を排除、政策集団としての存続は容認」という方針を打ち出している。これはつまり、岸田氏は、派閥解散は裏金問題解消にとって必要なかっと認識していることを示している。にもかかわらず、彼は派閥を解散したわけだ。 ということはつまり、岸田氏は、口では「裏金問題の解決を通した政治不信の回復」という大義名分を掲げてはいるものの、派閥解散宣言は実は、裏金問題に関わる派閥の腐敗を撲滅するためのものでも何でも無く、やはり単なる政権延命、自己保身の為の茶番、ポーズであったと解釈せざるを得ないのである。 さらに言うなら、岸田氏が解散宣言当初、次のような言葉を口にしていた。 「解散することを検討している。政治の信頼回復に資するものであるならば、考えなければならない」 ここで彼は「政治の信頼回復」という言葉を使ってはいるが、別のところで彼は「博打」と表現したと言われていることを想起してみよう。 その報道が真実なら、これが単なる美辞麗句であり、彼の脳裏にあったものは政治の信頼回復ではなく「支持率の回復」以外の何者でもないということになる。したがって、彼のこの日本語は、「支持率が回復するなら解散するが、しないなら解散しない」という意味だと解釈するほか無いわけだ。 以上を踏まえれば、岸田氏の解散宣言は、単なる保身のための「ポーズ」に過ぎないという実態が明確に浮かび上がってくるのである。 ●宏池会解散は「親殺し」に匹敵する暴挙 しかし、派閥というのはこれまでの自民党政治の歴史の中で極めて重要な意味を持つものであり、決して単なる「ゴミ箱に捨てればそれで事足りるゴミ」などでも何でも無い。 派閥はそもそも多様な意見を集約する装置として機能しており、派閥があったからこそ若手政治家が育成されたのだし、派閥があったからこそ議院内閣制で総理大臣が暴走しがちな状況を抑止し、国民の意見を政府に届ける回路が保証されていた、という側面があった。 仮に今の派閥がカネの問題で腐敗していたとしても、だからといって、派閥を潰せばそれで万事良くなるという単純な話ではないのだ。学校の先生や警察官の中から犯罪者が出たからといって即座に学校の先生のシステムや警察官のシステムを潰せという話にはならないのと同じだ。 にもかかわらず、そんな重大な公的意義を持つ自民党の派閥システムを、岸田氏はいとも容易く、自らの政権延命という保身のためにあっさりと潰してしまったのだ。これほどふざけた話はない。 そもそも岸田氏は、岸田氏を含め五人の総理を輩出した「宏池会」に育てられ、「宏池会」のおかげで総理大臣の座にまで上り詰められたのだ。 その「宏池会」をいとも容易く解散するというのは、育ててもらった親や家を、自分勝手な都合だけで消してしまう「親殺し」「家殺し」という極悪非道な暴挙と言わざるを得ない。 ●「政策集団に移行」論は、全て出任せ つまり岸田氏は、裏金問題、とりわけ「未記載」こそが問題の本質であるにもかかわらず、それに対して1円から記載するという法制度改定等の抜本的対応は行わず、「派閥こそが問題の根源だ」と言わんばかりに派閥解散を言い出したわけである。これは単に責任からの逃避であり、論点のすり替えと批難されても仕方あるまい。 しかも今回の「岸田の乱」は、この点以外にも、岸田氏の政治家としての見識が皆無であると判定せざるを得なくる大問題が、いくつも挙げられるのだ。 第一に、岸田派は岸田派という名前ではあっても、昨年岸田氏は離脱しているのであって、正式の関係性は何も無い。にもかかわらず、彼は岸田派を解散した。 これは、夫婦で例えるなら、離婚した元妻に対して、「再婚相手と離婚しろ」なぞと言って実際に離婚させたに等しく、筋違いも甚だしい。つまり結局は、あの派閥離脱も「偽装離脱」に過ぎなかったわけだ。 ちなみにこうした批判を受けた後、岸田氏自身は「総裁として解散を決定した」と言い始めた。しかしそんなものは単なる口から出任せの言い訳でしかない。もしその言葉が真実ならば、麻生派や茂木派も解散させればいいはずではないか。 それどころか岸田氏は当初、岸田派以外については「何かを申し上げる立場にない」とまで口にしていたのだ。つまり、「総裁として解散を決定した」という言説は(ついでに言うなら派閥離脱についても)単なる「嘘」だったと言わざるを得ないのだ。 第二に、「派閥解散」と言いながら、実質的な派閥解散など無理なのだ。もうこの一点だけで、岸田氏の派閥解散宣言は単なる見せかけだけのポーズだと断ずることができる。 実際、麻生派や茂木派は解散しないのであり、安倍派、二階派についてもまた、その解散の記者会見時に「派閥」とは異なる形の集団を遅かれ早かれ形成するという趣旨が正々堂々と公言されていたのだ。 しかも岸田氏は自らの解散宣言後のこうした党内の反応を見て、派閥の解消は無理だと改めて理解したのか、急遽「政策集団」という名称に改め、事実上派閥を存続させる方針を早々と打ち出した。つまり、「派閥解散」なる話は(先に述べた岸田派離脱が単なる偽装離脱であったように)、単なる「偽装解散」だったわけだ。 有り体に言って、岸田氏は、派閥の離脱についても解散についても「嘘」をついたのである。もうこの一点だけで、総理を辞任すべきだという声が党内外からあがっても不思議では無かろう。 第三に、現「派閥」を一旦解散した上で、改めて「政策集団」という名前の「派閥」をつくる、という得体の知れない話の言い訳として、岸田氏は「政策集団」においては「カネと人事」を切り離すのだと主張している。 つまり現「派閥」は、政策を度外視(軽視)したカネと人事のための圧力団体に過ぎなかったのであり、だからこそ解散が相応しいが、これからつくる「政策集団」なるものはカネと人事の圧力をかけることを止め、純粋に政策の話だけをするのだと主張したわけだ。 しかしこれは、総理辞任に匹敵するほどに許し難い主張だ。この説明は、岸田氏が解散を宣言した岸田派(宏池会)もまた、政策を度外視(軽視)したカネと人事のための圧力団体に過ぎなかったと認めたに等しいものだからだ。 したがって、岸田氏は政策を度外視してカネと人事のために岸田派を運営していたと暴露したに等しい。つまり彼は総理大臣でありながら、カネと人事のための岸田派という“徒党”を組んで、日本の政治を政策を度外視して歪め続けてきたと宣言したのである。 もしもそれが「真実」であるなら(彼が嘘をついていないと想定するなら、それが「真実」だということになってしまうのだが)、即刻、総理を潔く辞任すべきではないか。 第四に、岸田氏はこれまでの派閥を、政策集団に変えるのだと主張したが、不見識も甚だしい。茂木氏が即座に反論したように、そもそも派閥というものは政策集団なのだ。 岸田氏がリーダーを務めていた宏池会も、伝統的に、自らを「政策集団」と定義し説明し続けてきたではないか。したがって、今回の岸田氏による「派閥解散を通した政策集団の実現」という方針は、「政策集団解散を通した政策集団の実現」という何を言っているのか全く理解できない意味不明な代物なのだ。 仮に政策集団としての色合いが薄かったという話だとすれば、「解散」宣言など全く必要無かったはずだ。そうである以上、この線から考えてもやはり、岸田氏の派閥解散宣言は、国民の人気取りのための茶番でありポーズであったと考えざるを得ない。 第五に、岸田氏は、これからの「政策集団」においてはカネと人事を切り離すといっているが、これもまた不見識も甚だしい話だ。耳障りの良く聞こえる「カネと人事を切り離す」という話だが、それは現実政治においては無理である以上に、むしろそうしては「ならない」くらいの話なのだ。 なぜなら、そもそも派閥にカネと人事が関係しているのは、その派閥が政策集団だからだ。公的な政策集団として代表的なものは政党だが、どんな政党でも「人事とカネ」の機能をもっている。真面目に政策の実現を目指すなら、カネと人事が必要となるからだ。 クリーンさを常々主張している共産党であっても、赤旗の発行を通したカネ集めを日々行っているし、当選者数の拡大という「国会議員人事」に日々勤しんでいる。あるいは自民党もまた議院内閣制の仕組みに基づき、総理大臣人事をいつも行っているではないか。つまり現実政治における政策集団にはカネと人事が必要なのである。 だから岸田氏は、派閥解散の主張を、瞬く間に撤回し、派閥温存方針を打ち出したように、派閥からカネと人事の機能を剥奪するという主張もまた、早晩撤回せざるを得なくなるに違い無い(というよりも、実効性ある政策集団としての機能を期待するのなら、むしろ「撤回しなければならない」とすら言えるだろう)。 ●「岸田の乱」は結局、政治不信を深めただけ 以上の指摘は、一般的な政治論を一通り真面目に考えた事がある者ならば即座に理解し得るものばかりだ。 そもそも第一に、政治とは国民国家のためのものであり、その実現手段に政党や派閥があり、その効果的活動展開のために資金と人事(政治権力)が必要だ。 しかし第二に、腐敗した政治家どもは、その政治の本分を忘れ、ただただ政治権力や資金目当てに、嘘をつき始める。 だから第三に、国民は政治家に対する監視を怠らず、彼らの嘘が見て取れたのなら徹底批判も怠ってはならない。 以上の三点さえ理解していれば、今回の「岸田の乱」は典型的な腐敗政治家の振るまいであることが理解できるはずだ。 なぜなら、すでに指摘したように、彼の言説に夥しい数の「嘘」と言わざるを得ない表現が含まれているのと同時に、真に国民国家を慮った言説が著しく乏しい(あるいはむしろ含まれていない、なぜなら、政治不信の回復という大義は結局、国民を慮ったというより自らの政権を慮った言葉)という事実があるからだ。 そして実際、多くの国民がそうした実情を見透かしており、各種世論調査からも、岸田内閣に対して不信の目を深め続けている実態が明らかにされているのは、冒頭に紹介した通りだ。 つまり、政治不信解消のために仕掛けられた『岸田の乱』は、その岸田氏の思惑とは裏腹に、政治不信をさらに深めただけの帰結を導いているのである。 言うまでも無く、我々の国家の命運は、我が国の宰相である内閣総理大臣の差配に委ねられている。にもかかわらず、我が国の現宰相である岸田文雄氏は保身と延命以外の目的を一切持っていないとの疑念を深めざるを得ない言動を続けている。 筆者は我が国の宰相がそうした不適切な人間でないことを切に願っているが、この願いが叶う可能性は、岸田氏の一つひとつの言動を目の当たりにするにつれ、絶望的に失われ続けているのが実情だ。 そうである以上、我々はすでに、岸田氏の総理としての資質の吟味を深めると同時に、岸田氏の「次」の総理をどうすべきかといった、今後のあるべき展開の議論を始めねばならない時点にさしかかっているのではないだろうか。 |
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●信頼回復の先頭=物価高超える所得実現―能登復興で本部・首相施政方針 1/30
岸田文雄首相は30日午後の衆院本会議で、施政方針演説を行った。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を陳謝し、先頭に立って国民の信頼回復に努める考えを表明。デフレからの完全脱却に向け、物価高を超える所得を実現させる決意を示した。 首相は国民の信頼が揺らいでいるとの認識を示した上で、政治改革に関する自民党の中間取りまとめに触れ、「政治の信頼回復に向け、先頭に立って必ず実行していく」と訴えた。政治資金規正法の改正については、中間取りまとめに、各党との協議を経て法整備すると盛り込んだことに言及した。 経済面では、「デフレから完全脱却するチャンスをつかみ取る。経済再生が岸田政権の最大の使命だ」と強調。賃上げを「喫緊の課題」と位置付け、「あらゆる手を尽くし、今年、物価高を上回る所得を実現する」と約束した。 能登半島地震への対応に関しては「異例の措置でもためらわず実行する」と語り、自身をトップとする「復旧・復興支援本部」の新設を打ち出した。2月上旬にも初会合を開く方針で、首相は「被災地の再生まで責任を持って取り組む決意だ」と訴えた。 首相は憲法改正について、自民党総裁任期中の実現を目指す考えに変わりがないと強調。国会の発議に向け、「今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速する」と意欲を示した。 |
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●岸田首相、施政方針演説で派閥の政治資金めぐる事件を陳謝 1/30
岸田首相が国会で、今年の政権運営の方針を示す施政方針演説を行いました。演説で岸田首相は、自民党の派閥の政治資金をめぐる事件について陳謝しました。 国会の召集日に行われることが多い施政方針演説ですが、政治とカネの問題で集中審議を先に行ったため30日になっていて、岸田政権は異例の対応を迫られています。 岸田首相「自民党の政策集団の政治資金の問題で、国民から疑念の目が注がれる事態を招いたことは、自民党総裁として極めて遺憾であり、心からおわびを申し上げます」 岸田首相は、「政治の安定なくして、政策の推進はない」と強調し、各党との議論を進め、政治資金規正法の改正を目指す考えを示しました。 そのうえで、派閥が「お金と人事のための集団」と見られても致し方ない状況にあったとして、カネと人事からの決別を「私自身が先頭に立って必ず実行していく」と強調しました。 一方、能登半島地震からの復旧・復興については、政府内に自身をトップとする「復旧・復興支援本部」を新たに立ち上げ、被災地の再生に責任を持って取り組む考えを示しました。 経済については、「賃上げが喫緊の課題だ」と述べて医療や福祉、トラック業界、建設業などで働く人の賃上げを推進する考えを示しました。 一方、自民党と立憲民主党の国対委員長が会談し、野党側は自民党の全ての国会議員について裏金の有無の調査を行うよう、求めました。来月5日の朝までに結果をリストにして提出するよう、求めたということです。 |
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●「心からおわび」裏金で陳謝も具体策に触れず 首相が施政方針演説 1/30
岸田文雄首相は30日午後、衆院で施政方針演説を行った。自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件について、「国民から疑念の目が注がれる事態を招いたことは、自民党総裁として極めて遺憾であり、心からおわび申し上げる」と陳謝した。国民の信頼回復に取り組む姿勢を訴えたが、再発防止に向けた法改正の具体策には触れなかった。 首相は演説で「国民の信頼なくして政治の安定はない。いま、その信頼が揺らいでいる」と述べた。党政治刷新本部の中間とりまとめの内容を踏まえ、派閥が「お金と人事のための集団と見られても致し方ない状況にあったことを率直に認め、真摯(しんし)に反省し、政策集団が『お金』と『人事』から完全に決別することを決めた」と語った。 能登半島地震については、演説の冒頭にお見舞いの言葉を述べた。地震対応では、交通網の寸断や海上輸送の途絶など「厳しい状況が幾重にも重なった」と分析しつつ、新年度予算案の予備費を1兆円に倍増したことなどの実績をアピール。「切れ目なく、できることはすべてやる」とし、首相をトップにする「能登半島地震復旧・復興支援本部」の新設を表明。「被災者の帰還と能登を含めた被災地の再生まで責任をもって取り組む」と主張した。 ・・・ |
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●上川外相が外交演説「対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推進」 1/30
第213通常国会が召集され、上川外相は30日、本会議で外交政策について「外交演説」を行った。 演説では、ロシアによるウクライナ侵略について、1月7日にウクライナの首都キーウを訪問したことを踏まえ「侵略の生々しい傷跡を見てきた」と強調した上で、改めて「国際社会と連携し 対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推進していく」と強調した。 ●主要外交政策「女性・平和・安全保障」 続いて「女性・平和・安全保障(WPS)」に関して「主要外交政策の一つとして力強く推進する」と強調し、重要性を発信していると述べた。 ●近隣諸国などとの関係 【中国】 上川外相は、日本と中国との関係について、「様々な可能性と共に尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みなど、数多くの課題や懸案が存在してる」と危機感を示した。一方で、日本と中国は「地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任がある」として、「諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な日中関係が重要だ」と述べた。その上で、中国対し、日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を引き続き求めると強調した。 【韓国】 日本と韓国との関係については「関係の改善が軌道に乗っている」と強調した上で、「多様な分野で連携や協力の幅を広げ、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り拓いていく」と意気込みを語った。一方、島根県の竹島については、歴史的事実や国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づいて、毅然とした対応をすると強調した。 【ロシア】 日ロ関係について上川外相は「ロシアによるウクライナ侵略により引き続き厳しい状況だ」と強調した上で、北方領土問題を解決し、平和条約を締結する方針を堅持していくと述べた。また、最優先事項の一つとして、北方四島交流等事業の再開をあげ、「特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き強く求めていく」と強調した。 【北朝鮮】 北朝鮮については「核・ミサイル活動を一層活発化する意向を明らかにしている」と懸念を示した上で「安保理決議違反でもある弾道ミサイルの発射等は断じて許されない」と強調した。さらに、拉致問題について、「拉致被害者のご家族も高齢となる中で時間的制約がある」とした上で、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で取り組むと意気込みを語った。 ●日米同盟の一層の強化 上川外相は日米同盟について「日本の外交・安全保障の基軸だ」と述べた上で、抑止力・対処力などを一層強化すると強調した。さらに、沖縄県のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設を巡っては「普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くす」と述べた。 |
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●首相 施政方針演説 “政治の信頼回復 被災地再生に取り組む” 1/30
岸田総理大臣は衆議院本会議で施政方針演説を行い、自民党の派閥をカネと人事から決別させることなどを通じ、政治の信頼回復を目指す考えを示しました。また、能登半島地震の対応では、自身をトップに、復旧・復興を支援する本部を新たに設置し、被災地の再生に取り組む決意を強調しました。 ●“被災地の再生まで国が責任を持つ” 演説の冒頭、岸田総理大臣は、能登半島地震の犠牲者に哀悼の意を示したうえで「政府・地元が一体となって被災者に寄り添い、生活となりわいを支えていくための息の長い取り組みを続けていく。異例の措置でも、ためらわずに実行していく」と述べました。また、新年度予算案の予備費を1兆円に倍増したことに触れ「予算の制約により震災対応をちゅうちょすることがあってはならない。切れ目なく『できることはすべてやる』」と述べました。そのうえで、自身をトップに能登半島地震の復旧・復興支援本部を新たに設置し、被災地の再生まで国が責任を持って取り組む決意を示しました。 ●“政治の信頼回復を目指す” 一方、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題については「国民から疑念の目が注がれる事態を招いたことは極めて遺憾であり、心からおわびする」と陳謝するとともに、各党各会派との真摯(しんし)な協議を経て、政治資金規正法の改正などの法整備を実施していく考えを示しました。そして「自民党内の政策集団が、いわゆる『派閥』、すなわち『お金と人事のための集団』と見られても致し方ない状況にあったことを率直に認め、真摯に反省し、政策集団が『お金』と『人事』から完全に決別することを決めた」と述べ、一連の改革を通じ、政治の信頼回復を目指していく考えを示しました。 ●“物価高上回る所得を実現していく” また、これまでの2年4か月の政権運営に関し、30年ぶりの高い水準の賃上げや株価の動向など、明るい兆しが随所に出てきているとしたうえで、デフレから完全に脱却し、新たな成長型経済に移行するチャンスをつかみ、ことしを国民が成果を実感する年にするため、総力を挙げて取り組もうと訴えました。そして「経済の再生」が引き続き、政権の最大の使命だと指摘しつつ、「本丸は物価高を上回る所得の実現だ。あらゆる手だてを尽くし、ことし、物価高を上回る所得を実現していく。実現しなければならない」と述べました。具体的には、医療や福祉をはじめ、公共サービス分野での「公的賃上げ」に取り組むほか、中小企業や建設業にも流れが広がるよう、労務費の価格転嫁などが着実に行われる環境整備を図っていく方針を示しました。さらに「春闘」による賃上げに加え、6月からの所得税や住民税の減税などを通じ給与が上がるのが当たり前だという前向きな意識を社会全体に定着させていくと強調しました。 ●大阪・関西万博 このほか、費用の高騰などが課題となっている大阪・関西万博については「新型コロナや大規模な自然災害を乗り越え、いのちへの向き合い方や社会のあり方を問い直す機会となる。成功のためオールジャパンで進めていく」と述べ、専門家の知見も活用しながら、費用が適正か継続的にモニタリングする考えを示しました。 ●“前例ない規模で子ども・子育て政策の強化” また「日本社会の最大の戦略課題は『人口減少問題』だ」と述べ、前例のない規模で子ども・子育て政策の強化を図る一方、必要な財源は徹底した歳出改革などで確保し、国民に実質的な負担を生じさせないようにしていくと重ねて説明しました。 ●羽田空港の衝突事故 “抜本的対策 講じる” さらに、羽田空港で日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突した事故について触れ「二度とこのような事故が起きないよう再発防止対策に迅速に取り組むとともに、原因究明を踏まえ、航空の安全・安心に向けた抜本的な対策を講じる」と述べました。 ●外交・安全保障 外交・安全保障では、ウクライナ情勢や中東情勢、それにアメリカ大統領選挙など、国際社会は、緊迫の度を一層高めているとして「日本ならではのアプローチで世界の安定と繁栄に向け、国際社会をリードする」と述べました。日米関係について、ことし4月前半の国賓待遇でのアメリカ訪問などを通じ、両国関係をさらに拡大・深化させるとしたほか、日韓関係では、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領との信頼関係を礎に、幅広い連携を図り、日米韓3か国での戦略的連携や、日中韓の枠組みも前進させると強調しました。日中関係について、主張すべきは主張し、共通の課題では協力する「建設的かつ安定的な関係」を双方の努力で構築していくと述べました。そして、ウクライナ情勢をめぐっては、ロシアへの制裁やウクライナへの支援を今後も強力に推し進めるほか、2月、東京で「日・ウクライナ経済復興推進会議」を開催すると説明しました。さらに、北朝鮮による拉致問題については、すべての被害者の一日も早い帰国を実現し、日朝関係を新たなステージに引き上げるとして、日朝首脳会談の実現に向けて、直轄のハイレベル協議を進める考えを重ねて示しました。 ●憲法改正 そして、憲法改正について「自民党総裁の任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力したい。ことしは条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速していく」と意欲を示しました。 そして、最後に「日本を変えていくチャンスを必ずつかみ取る。与野党それぞれの立場はあるが、次の世代のために全力を尽くそう」と呼びかけました。 総理大臣による通常国会での施政方針演説は、通例、召集日に行われますが、今回は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、予算委員会の集中審議のあとに行われる異例の形となりました。 |
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●デフレ完全脱却へ、年内に「物価高上回る所得」実現−首相演説 1/30
岸田文雄首相は30日の施政方針演説で、デフレからの完全脱却に向け、あらゆる手段を尽くして「物価高を上回る所得」を年内に実現しなければならないとの決意を示した。 衆院本会議での演説で、首相は経済の再生が「最大の使命」と述べ、とりわけ賃上げが喫緊の課題として求められていると指摘した。医療、福祉や公共サービスで働く労働者の「公的賃上げ」を行うほか、中小企業や非正規で働く労働者の賃上げを支援する考えも強調した。春闘では昨年を上回る賃上げの動きが広がっているとして、機運の維持に政府も全力を挙げると語った。 自民党派閥の政治資金問題を引き金に内閣支持率は低迷している。先週末の毎日新聞の調査では21%と前月比5ポイント上昇したが、3割を切る「危険水域」を脱していない。9月の党総裁任期満了を控え、賃上げの実現と経済立て直しは政権維持の頼みの綱で、演説でも力点を置いた。賃金上昇を伴う2%物価目標の持続的な達成は、日本銀行の金融政策が大規模緩和から正常化に向かうための条件でもある。 首相は賃上げに加えて、所得税や住民税の減税で可処分所得を下支えし、「賃金が上がることが当たり前だ」という意識を社会全体に定着させると語った。持続的な賃上げを可能とするための労働市場改革を進めると強調し、教育訓練やリスキリング支援の強化を図るための法整備も進めるとした。デフレからの完全脱却は財政健全化にも寄与すると述べた。 ●政治資金問題 政治資金パーティーをめぐる問題では、派閥が「お金と人事のための集団」と見られても仕方ない状況にあったと指摘し、国民から疑念の目が注がれる事態を招いたとして「自民党総裁として極めて遺憾であり、心からおわびする」と陳謝した。各党との協議を経て政治資金規正法改正などの法整備を実施するとした。 29日の衆院予算委員会で、首相は政治団体の会計責任者が罪に問われた場合に関係する国会議員も連帯責任で罰せられる「連座制」の導入に言及した。政治への信頼回復に向けた同法改正は今国会の焦点となる。 ●他の発言 ・自分の自民党総裁としての任期中に憲法改正を実現したいとの思いに変わりはなく、今年は条文案の具体化を進め、「党派を超えた議論」を加速させる ・コーポレートガバナンス(企業統治)改革の実質化に加え、資産運用業とアセットオーナーの運用力の向上に取り組む ・女性役員比率の目標等に向け、人材の採用・育成を支援 ・4月からの一般ドライバーを活用した新たな運送サービスの開始を控え、ライドシェア制度の具体化と支援を行う ・子供に対する性犯罪・性暴力は重大な人権侵害であり、防止するための法制度について今国会での法案提出を目指す ・水素、CCS(二酸化炭素の分離回収・貯留)、洋上風力導入拡大のための法案を今国会に提出 ・大企業の参加義務化を視野に法定化推進−カーボンプライシング制度 |
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●第213回国会における上川陽子外務大臣の外交演説 1/30
所信を申し述べるに先立ち、令和6年能登半島地震の犠牲者の方々と御遺族に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方々及び被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。海外からも多くのお見舞いと支援の申し出を頂いており、これらの国、地域及び国際機関等に謝意を表します。 第213回国会に当たり、外交政策の所信を申し述べます。 ●情勢認識 世界は今、歴史の転換点にあると、私は日々実感しています。 法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序は、今なお続くロシアのウクライナ侵略により、重大な挑戦にさらされています。また、「グローバル・サウス」と呼ばれる途上国・新興国の存在感の高まりにより、国際社会の多様化が進む一方で、国境や価値観を超えて対応すべき課題は山積しています。 我が国は、全ての人が平和と繁栄を享受できるよう、昨年、国際社会から高い評価を得たG7議長国としての成果を踏まえ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に基づき、「人間の尊厳」が守られる安全・安心な世界を実現するための外交を推進していきます。 引き続き、日本の国益をしっかりと守る、日本の存在感を高めていく、国民の皆様からの声に耳を傾け、国民に理解され、支持される外交を展開するという三点を基本方針として外交を展開していきます。 ●年始の外国訪問、WPSの取組 私は本年初頭、欧州、北米及びトルコを訪問し、各国や国際裁判所との間で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化や、ウクライナ支援、中東情勢、さらには「女性・平和・安全保障(WPS)」や北極・海洋等について協力を確認してきました。 特にWPSについて、主要外交政策の一つとして力強く推進し、その重要性を発信しています。省内にタスクフォースを設置し、あらゆるツールを用いてWPSを推進していきます。 ●中東情勢への対応 中東情勢は引き続き予断を許しません。ハマス等によるテロ攻撃を改めて断固非難すると同時に、ガザ地区の人道状況を深刻に懸念しています。人道状況の改善、事態の早期沈静化、周辺地域への波及防止といった課題に対処すべく、私自身、対応に当たってきました。 昨年11月にはG7外相会合を開催する前に現地を訪問し、G7外相声明の発出に尽力しました。安保理がその責務を果たせるよう、ガザ地区の児童の保護に焦点を当てた安保理決議第2712号及びガザ地区に対する人道支援の拡大と監視に関する安保理決議第2720号の採択に向けて精力的な働きかけを行いました。 我が国は引き続き国際機関への支援等を通じ、ガザ地区の人道状況の改善に取り組みます。また、現在のような悲劇を繰り返さないため、日本が一貫して支持してきた「二国家解決」の実現に向け、今こそ、米国を始めとする関係国と連携しながら、積極的に貢献していきます。 ●法の支配の推進 法の支配は、平和と繁栄の基礎をなすものです。先般、私は、国際司法裁判所、国際刑事裁判所、国際海洋法裁判所を訪問し、その果たす役割への支持を改めて示しました。対話と協力に基づき、国際社会における法の支配の強化のための外交を包括的に進めていきます。 ●FOIPの推進、同盟国・同志国との連携 「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現は日本外交の最優先課題の一つです。この理念の下、同盟国・同志国等と連携し、協力を広げていきます。ASEANの安定と繁栄は、我が国、そしてインド太平洋地域全体にとり極めて重要です。昨年12月の特別首脳会議で打ち出した、新たな協力のビジョンと幅広い具体的協力を着実に実行し、関係をより一層強化していきます。 日米豪印については、本年、外相会合の議長を務めるに当たり、FOIPの実現に向けた、地域の国々に真に裨益する実践的協力を一層推進していきます。 日米韓の協力も、昨年のキャンプ・デービッドにおける首脳会合等の成果も踏まえ、一層進めていきます。 さらに、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であり、欧州諸国、EU及びNATOとの連携も強化していきます。 ●ウクライナ侵略への対応 ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。私は今月ウクライナを訪問し、侵略の生々しい傷跡を自分自身の目で見て、力による一方的な現状変更を決して認めてはならないと改めて確信しました。また、ロシアによる核兵器による威嚇、ましてや使用はあってはなりません。 一日も早くロシアによる侵略を止め、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するため、国際社会と連携し、対露制裁とウクライナ支援を強力に推進していきます。 ウクライナの復旧・復興のため、官民一体の取組を進めます。昨年11月の経済ミッション等の成果を踏まえ、来月の日・ウクライナ経済復興推進会議の開催に向けて調整を加速していきます。 ●日本及び地域を守る取組 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、外交を通じて、日本の領土・領海・領空及び国民の生命・財産を守り抜きます。 ●日本自身の取組 国家安全保障戦略では、日本の安全保障に関わる総合的な国力の要素として、まず外交力を挙げています。外交と防衛を連携させながら、強い経済や高い技術力、豊かな文化等、我が国が誇る様々なソフトパワーを有機的・効果的に結びつけ、総合的に外交・安全保障政策を進めていきます。 また、政府安全保障能力強化支援(OSA)の着実な実施や、サイバー安全保障、経済安全保障の推進に積極的に取り組んでいきます。 偽情報等の拡散を含む情報操作等を通じた、認知領域における国際的な情報戦に対しては、様々な角度から情報の収集・分析を行い、適時適切な発信につなげるとともに、情報セキュリティ基盤の構築・強化にも取り組んでいきます。 ●日米同盟の一層の強化 日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸であり、インド太平洋地域の平和と繁栄の礎です。日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化、拡大抑止の信頼性・強靱性の維持・強化のための努力、日本における米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進めます。同時に、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。 また、昨年11月の経済版「2+2」第二回閣僚会合の議論等も踏まえ、戦略的観点から経済分野での日米協力を拡大・深化させていきます。 ●経済外交の新しいフロンティアの開拓 強くしなやかな経済力で世界に存在感を示すため、官民連携を重視し、スタートアップ企業を含む、あらゆるステークホルダーを巻き込みながら、経済外交の新しいフロンティアを開拓していきます。 まずはルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持・拡大に向けた取組が重要です。 多角的貿易体制の一層の強化のためのWTOの改革、CPTPPのハイスタンダードの維持・強化、RCEP協定の透明性のある履行の確保、IPEFを通じた地域の持続可能で包括的な経済成長の実現、AIや信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)を含む新興課題の分野での国際的なルール作りなど、課題は山積しています。 特に、OECD加盟60周年を迎える本年、5月の閣僚理事会の議長国を務めるに当たり、リーダーシップを発揮していきます。 さらに、経済安全保障も新しい時代の外交の重要な柱です。サプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応などに、同盟国・同志国との連携を一層強化しつつ、ODAも活用し、官民で緊密に連携しながら、取組を強化していきます。 これからの日本経済は、「グローバル・サウス」と呼ばれる途上国・新興国の成長を取り込んでいかなければなりません。地域ごとの課題や特性等も十分踏まえた上で、きめ細かで、戦略的な経済外交を推進していきます。 また、社会・環境の持続可能性と経済との連結、一体化を統合的に目指すことが求められる時代です。SDGsの推進に企業が積極的に関与し、日本が経済成長を実現することで、利益が社会に還元される好循環を実現するための取組を進めていきます。 このため、開発協力大綱の下、オファー型協力や民間資金動員型ODA等を実施し、途上国の質の高い成長を実現し、同時に我が国の成長にもつなげていきます。 また、日本企業の海外展開、日本産食品の輸出拡大、対日直接投資の推進を積極的に後押しするに当たり、在外公館が、投資環境改善を含め、日本企業を強力にバックアップするとともに、対日投資を強くアピールしていきます。さらに、企業活動の可能性を広げていくため、第三国における日本企業と外国企業の連携についても協力を推進していきます。 2025年大阪・関西万博、2027年国際園芸博覧会の成功に向け、力強く取り組みます。 ALPS処理水の海洋放出の安全性については、引き続きIAEAと緊密に連携し、科学的根拠に基づき、高い透明性をもって国内外に丁寧に説明していきます。 ●近隣諸国などとの関係 日本及び地域の平和と繁栄を維持すべく、近隣国等との難しい問題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いていきます。 昨年11月の日中首脳会談に続き、私も王毅外交部長との間で日中外相会談を行いました。 日本と中国の間には、様々な可能性と共に、尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、中露の連携を含む我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。さらに、中国の人権状況や香港情勢についても深刻に懸念しています。 同時に日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しています。「戦略的互恵関係」を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力するという、「建設的かつ安定的な日中関係」を日中双方の努力で構築していくことが重要です。 その中で、中国による日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を引き続き求めていきます。 重要な隣国である韓国とは、多様な分野で連携や協力の幅を広げ、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り拓いていくため、様々なレベルでの緊密な意思疎通を重ねていきます。 インド太平洋の厳しい安全保障環境を踏まえれば、日韓の緊密な協力が今ほど必要とされる時はありません。日韓関係の改善が軌道に乗る中、グローバルな課題についても連携を一層強化していきます。 竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。 日中韓協力は、大局的な視点から、地域及び世界の平和と繁栄にとって重要です。昨年11月の外相会議の議論を踏まえ、早期で適切な時期のサミットの開催に向け、議長国の取組を後押ししていきます。 ロシアに対しては、日本の国益を守る形で引き続きしっかりと対応していきます。日露関係は、ロシアによるウクライナ侵略により引き続き厳しい状況にありますが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していきます。 その上で、漁業などの経済活動や海洋における安全に係る問題のように、日露が隣国として対処する必要のある事項については、我が国の外交全体において何が我が国の国益に資するかという観点から適切に対応していきます。 また、北方四島交流等事業の再開は日露関係における最優先事項の一つです。今は特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き強く求めていきます。 北朝鮮は、核・ミサイル活動を一層活発化する意向を明らかにしています。安保理決議違反でもある弾道ミサイルの発射等は断じて許されません。また、露朝間で強化されている軍事協力も深刻に懸念しています。今後とも、日米、日米韓を始めとする国際社会で緊密に連携して対応していきます。 北朝鮮との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。 とりわけ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせに出来ない人道問題です。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組みます。 ●地球規模課題のための協力 気候変動、環境問題、食料・エネルギー問題、国際保健課題、人口問題、難民問題、海洋の持続可能な利用等、地球規模課題は山積しています。 これらの課題に取り組むためにも国連が本来の役割を果たすことがますます重要になっています。安保理改革を含め国連の機能を強化すべく取り組んでいきます。また、我が国が安保理議長を務める3月には、重要課題について活発な議論を行いたいと考えています。 9月には国連「未来サミット」が予定されており、「人間の尊厳」という原点に立ち返り、人間の安全保障の理念に基づく「人間中心の国際協力」を主導していきます。また、2030年までのSDGsの包括的な達成に向けた国際的取組に積極的に貢献していきます。国際機関で邦人が職員として更に活躍できるための取組も推進します。 本年、「国際協力70周年」という節目の年を迎える中、最も重要な外交ツールの一つであるODAの意義や展望について積極的に発信し、国民の皆様により理解を深めていただく機会としたいと思います。 同時に、「核兵器のない世界」の実現、日本らしい人権外交、平和構築、テロ・国際組織犯罪対策等を積極的に推進します。 特に、核軍縮・不拡散については、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取組を継続・強化していきます。 ●日本外交の新たな可能性 これらの取組に加え、日本外交の新たな可能性を切り拓いていきたいと考えます。 国家間の協力が難しい時代だからこそ、国・地域・ジェンダーなどの垣根を越えて、中高生を含むユースなど、様々なステークホルダーを巻き込んだ取組を進めます。また、駐日大使の皆様との議論を外交に連携させていく国内での活動も強化していきます。これらのような「アウトリーチ型外交」の取組も引き続き重視します。 魅力ある日本文化や科学技術などソフトパワーも積極的に活用していきます。 日ASEAN特別首脳会議で打ち出した「次世代共創パートナーシップ」を始め、対日理解の促進と戦略的な対外発信を更に推進していきます。「佐渡島の金山」の世界遺産登録に向け、関係国と丁寧な議論を行いつつ、しっかりと役割を果たしていきます。 世界各地の日系社会との連携も強化します。 「外交の要諦は人」であり、これらの取組で着実な成果を上げるため、外交実施体制の強化が不可欠です。 在外職員等の勤務環境改善や生活基盤強化、人的体制の強化、財政基盤の整備、DXや働き方改革の推進等、外交・領事実施体制の抜本的強化に取り組みます。 緊急事態に際し、邦人保護を始め迅速かつ機動力のある危機対応が可能となるよう、在外公館の強靱化を推進し、人的体制を含む即応体制を充実させます。 ●結語 本年は世界各地で重要な選挙が控え、国際情勢は大きな局面を迎えます。このような中、我が国は、第10回太平洋・島サミット、TICAD閣僚会合など重要な国際会議を開催する予定です。また、G20及びAPEC議長国としての中南米諸国との連携も強化していきます。 私は、日本が戦後80年近くにわたって平和国家として築いてきた国際社会からの信頼や期待が、非常に高いと実感しています。 この信頼や期待に応えるべく、本年も国民の皆様の声に耳を傾け、理解と支持を得ながら、挑戦を続けていきます。 議員各位、そして国民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。 |
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●岸田政権は税金で延命? 原油高×円安で実質賃金プラスに暗雲… 1/30
中東不安が原油価格を押し上げている。 紅海につながるアデン湾で26日、英企業の石油タンカーが親イラン武装組織フーシ派からミサイル攻撃を受けた。27日夜から28日未明にかけては、ヨルダンの駐留米軍基地がイラン支援の武装勢力による無人攻撃を受け、米兵3人が死亡し、30人以上が負傷した。 供給不安が高まり、代表的指標のWTI先物は1バレル=79ドルまで上昇。年初の70ドルから大幅アップだ。 「中東の緊迫に加え、世界的に原油需要は堅調で、春先にかけて、1バレル=100ドルに迫ってもおかしくありません。円安も加わり、日本のエネルギー価格は一段と上昇する恐れがあります」(市場関係者) 先週の金融政策決定会合で日銀の植田総裁は2024年度の物価見通しを下方修正し、「このところの原油価格下落の影響が主因です」と説明していたが、その直後に原油高騰に見舞われた格好だ。原油高はガソリンや電気・ガス代の高騰を招くが、政府の補助金終了が近づいている。 ガソリンは4月末、電気・ガスは5月使用分で打ち切られる。補助金のおかげでガソリンは1リットル=175円程度で抑えられてきたが、打ち切られれば足元では190円。さらなる原油高騰なら、200円を超える。電気・ガスは平均的な家庭で電気代月910円、都市ガス450円程度の負担増になる。 ●2年で10兆円の巨大事業 「岸田首相は物価上昇を上回る賃上げを繰り返し強調しています。6月には定額減税をスタートさせ、どうしても実質賃金をプラスに転じさせたい。しかし、この先、原油価格の高騰に補助金の終了が加われば、物価上昇が賃金上昇を大幅に上回りかねない。補助金の延長に踏み切る可能性が浮上しています」(霞が関関係者) 補助金スタートから丸2年。ガソリンは6度も延長を繰り返し、予算総額は6.4兆円。電気・ガスは2度延長し、総額は3.7兆円に上る。合わせて10兆円超の大盤振る舞いだ。 「急場しのぎのはずが、2年で10兆円は巨大事業ですよ。原油相場が軟化しなければ、いつまでも続けるのでしょうか。補助金と言っても、原資は税金。岸田首相の延命のためにバラマキに付き合わされ、国民負担が増大するということです。何のビジョンもない岸田首相にこれ以上、物価対策をやらせてはいけません」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法) 岸田政権が続けば、補助金は青天井で膨れ上がり、国民がツケを払うことになりそうだ。 |
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●首相 政治改革「必ず実行」 1/30
岸田文雄首相は30日午後の衆院本会議で、施政方針演説を行った。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を陳謝し、先頭に立って国民の信頼回復に努める考えを表明。デフレからの完全脱却に向け、物価高を超える所得を実現させる決意を示した。 首相は国民の信頼が揺らいでいるとの認識を示した上で、政治改革に関する自民党の中間取りまとめに触れ、「政治の信頼回復に向け、先頭に立って必ず実行していく」と訴えた。政治資金規正法の改正については、中間取りまとめに、各党との協議を経て法整備すると盛り込んだことに言及した。 経済面では、「デフレから完全脱却するチャンスをつかみ取る。経済再生が岸田政権の最大の使命だ」と強調。賃上げを「喫緊の課題」と位置付け、「あらゆる手を尽くし、今年、物価高を上回る所得を実現する」と約束した。 能登半島地震への対応に関しては「異例の措置でもためらわず実行する」と語り、自身をトップとする「復旧・復興支援本部」の新設を打ち出した。2月上旬にも初会合を開く方針で、首相は「被災地の再生まで責任を持って取り組む決意だ」と訴えた。 首相は憲法改正について、自民党総裁任期中の実現を目指す考えに変わりがないと強調。国会の発議に向け、「今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速する」と意欲を示した。 |
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●立民・泉健太代表「政権弱体化」、維新・馬場伸幸代表「総花的」 首相演説 1/30
立憲民主党の泉健太代表は30日、岸田文雄首相が同日の衆院本会議で行った施政方針演説について「力ない演説だった」と評した。その上で、自民党派閥パーティー収入不記載事件を念頭に「岸田政権が弱体化していると感じた」と指摘した。国会内で記者団に語った。 演説の内容については、不記載事件を受けた言及を疑問視し「実態解明という発言もなければ裏金という言葉すらなかった。真剣に向き合って反省するのであれば、裏金だったということを認めなければいけない」と強調した。 一方、日本維新の会の馬場伸幸代表は30日の記者会見で「総花的で、国民がわくわくどきどきするような中身ではなかった」と感想を語り、「一国の首相の施政方針演説だ。本来、それを聞くだけで夢や希望を国民が持つという中身でなければならない」と注文を付けた。 首相が9月までの憲法改正実現を目指すと表明したことに関しては「もう既にタイムオーバーになっているような状況だ。本当に自民党がそういう考え方なのかと考えれば、疑問を持たざるを得ない」と断じた。 |
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●福島第1処理水放出「国際安全基準と合致」 IAEAが放出後初めての報告書 1/30
国際原子力機関(IAEA)は30日、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の安全性に関する新たな報告書を公表した。昨年8月の放出開始後では初の検証作業で、「関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった」と結論付けた。日本政府はIAEAのお墨付きを得て、引き続き安全第一で放出を進めていく方針だ。 調査団は昨年10月下旬に日本を訪れ、日本政府や東電と意見交換を行ったり、福島第1原発の現地調査を行ったりした。IAEA職員に加え、放出に批判的な中国やロシアを含む国際専門家9人が来日し、多角的な視点から検証した。 報告書では、原子力規制委員会の活動について「強固な規制インフラが整備されている」と評価した。さらに、東電や日本政府が実施する環境モニタリングプログラムが「国際社会にとって非常に重要である」と強調し、そのデータの正確性や信頼性を担保するIAEAによる裏付け調査の重要性も指摘した。 IAEAは今春に次の調査団派遣を計画している。 |
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●岸田首相「裏金」「派閥」ワードを口にせず「政策集団の政治資金問題」主張 1/30
岸田文雄首相は30日、衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。自民党派閥の裏金事件について「国民から疑念の目が注がれる事態を招いたことは、自民党総裁として極めて遺憾。心からおわび申し上げます」と謝罪したが、「自民党の政策集団の政治資金の問題」と表現し、「裏金」「派閥」の言葉は口にしなかった。野党は「非常に不誠実」(立憲民主党の泉健太代表)と批判。首相が「国民の信頼回復を果たし、政治を安定させた上で重要政策を実行する」と訴えると、激しいヤジが相次いだ。 裏金事件で国民の信頼をすっかり失った首相だが、「唯一の浮揚策」(関係者)とすがる定額減税に向けたくだりでは「あらゆる手を尽くし今年、物価高を上回る所得を実現していく。実現しなければなりません」と述べ、原稿棒読みをやめて顔を上げ「どや顔」を見せる場面も。「昨年10月の所信表明で経済、経済、経済と申し上げた。その思いは今も全く変わらない。経済再生が岸田政権の最大の使命と、この場でもう1度お誓いいたします」と主張したが、裏金問題で揺らいだ信頼回復へは遠い道のりのままだ。各党の代表質問は、31日から始まる。 |
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●賃上げの原資確保へ 中堅・中小向け投資支援策がカギに 1/30
岸田文雄首相が30日に行った施政方針演説では、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実現へ、企業の賃上げを後押しすることも強調した。特に比較的業績好調な大企業に対し、中小企業の中には円安の進展に伴う輸入物価高や、十分な価格転嫁ができないことなどに悩まされるケースも多い。持続可能な賃上げには生産性の向上に寄与する設備投資が不可欠で、政府が昨年末に取りまとめた投資支援策などが広く有効に活用されるかがカギとなる。 ●実質賃金マイナス続く 「賃上げを生み出す企業の『稼ぐ力』の強化にも大きく踏み込む」。施政方針演説で、岸田首相はこう強調した。 背景にあるのは、円安や資源高に伴う物価上昇に対し、足元では賃上げが追いついていないことへの危機感だ。厚生労働省が発表する「毎月勤労統計調査」によると、実質賃金は昨年11月まで20カ月連続のマイナスが続く。こうした状況が長引けば個人消費や投資の抑制につながり、日本経済の再生に支障をきたしかねない。演説で首相は賃上げの重要性を再三訴えるとともに、6月からの所得税・住民税減税などの政策を総動員して「賃金が上がり、可処分所得が増える」状況を「確実に」作ることを強調した。 ●中小に省力化投資支援 一方、東京商工リサーチが昨年12月に行った「賃上げに関するアンケート」調査では、回答企業4581社の82・9%が賃上げを実施予定としたが、上げ幅が「令和5年を上回る」とした企業は11・6%にとどまる。政府が求める昨年を上回る賃上げには、二の足を踏む企業も多い実態が浮かびあがる。 賃上げの原資を作るには製品などへの適正な価格転嫁や下請けとの取引適正化なども必要だが、個人消費や設備投資が拡大し、経済が自律的に成長するための支援も必要だ。 政府は「中小企業の省力化投資を後押し」(新藤義孝経済再生相)のため、人手不足解消につながる多くの汎用製品を分かりやすい「カタログ形式」で掲載する事業を新たに実施する。一定の賃上げを行えば、対象製品購入時の補助金の上限を引き上げる支援策も打ち出した。今後は、用意した支援策をより広く活用してもらうため、丁寧な情報発信などが重要となる。 |
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●自民・船田元氏も茂木派離脱表明 他にも複数人が検討、分裂含み 1/30
自民党の古川禎久元法相と船田元・元経済企画庁長官は30日、茂木派(平成研究会)を退会する意向を表明した。岸田文雄首相が岸田派解散を宣言して以降、茂木派では小渕優子選対委員長や関口昌一参院議員会長ら5人が既に離脱を表明しており、古川、船田両氏を加え7人となった。ほかにも複数の議員が離脱を検討しており、茂木派は分裂含みだ。 古川氏は30日にあった茂木派の全体会合で退会を表明。会合出席後、記者団に対し「全ての派閥が解散し、自民党を一旦更地にして新しい自民党のあり方を考えることがスタートラインだ」と退会理由を説明。茂木派を政策集団に移行させる方針を示す茂木敏充幹事長との路線の違いを強調した。船田氏は同日のBS番組で離脱の意向を明らかにした。 派内には茂木派の解散を求める意見も少なくない。伊藤達也元金融担当相は会合後、記者団に「けじめのために政治団体は解散すべきだ」と語った。 |
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●能登半島地震あすで1か月 輪島市で初めての仮設住宅完成 入居へ 1/31
能登半島地震発生から2月1日で1か月です。生活再建に向け、石川県では初めての仮設住宅が輪島市に完成しました。輪島市から中継です。 こちらでは31日、石川県内で初めてとなる仮設住宅18戸が完成しました。 2DK14戸、4DK4戸の合わせて18戸で、寒さ対策のためガラス窓は三重になっているということです。 31日は午後1時ごろ、石川県の職員などが訪れ、住宅の機能性や設備などを確認する最終検査が行われました。この後、住宅が正式に輪島市に引き渡される予定です。入居は来月3日から始まるということです。 ――懸念される事は? まだまだ数が足らないことです。 輪島市内では、31日までに仮設住宅の入居を希望する申し込みが4140件ありましたが、現状、着工された数は548戸にとどまっています。 入居を希望している女性に取材すると「とにかく早く入りたいが入居できるという連絡はまだない。避難所生活が続いている」と話していました。 輪島市は山と海に囲まれた場所で仮設住宅の建設に適した用地が足りていないそうです。 ただそんな中、輪島市は入居希望者に対し被災前の住所と今後住みたい住所を聞いて、地域コミュニティの継続という点も重視しているということです。 |
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●能登半島地震 死者238人 約4割の人が下敷きなどによる「圧死」 1/31
能登半島地震の発生から2月1日で1カ月です。石川県内ではこれまでに238人の死亡が確認されています。警察が調べた結果、約4割の人が倒壊した建物の下敷きなどによる「圧死」だったことが分かりました 能登半島地震で石川県内では今月30日までに238人の死亡が確認されています。 警察がこれまで222人の遺体の死因について調べたところ、約4割にあたる92人が倒壊した建物の下敷きなどによる圧死だったことが分かりました。 また、「窒息」や「呼吸不全」で亡くなった人は49人、寒いなか救助を待っていたことで体温が低下して亡くなった「低体温症」や「凍死」は32人に上っています。 警察庁によりますと、亡くなった人のうち年齢が判明した204人の年齢を調べたところ、約7割が60代以上だったということです。 |
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●能登半島地震の死者、「圧死」が4割 警察庁集計 1/31
能登半島地震で1月末までに確認された石川県内の死者は238人に上る。このうち警察が死因を調べた222人について警察庁が集計したところ、「圧死」が92人(41%)と最も多かった。「窒息・呼吸不全」が49人(22%)で続いた。 警察庁の集計は1月30日時点。震災後の体調悪化に起因する災害関連死などを除いて死因を集計した。 災害関連死を除く市町村別の死者数は輪島市が98人、珠洲市が95人。いずれの市でも死因は圧死が最多だった。耐震化が進んでいない古い木造家屋が多く、激しい揺れで倒壊が相次いだ。家屋の下敷きになり亡くなった人が多かったとみられる。 222人のうち、年代は70代が最も多く56人。80代が47人、90代が24人で続いた。60代以上が計149人と67%を占めた。 圧死と窒息・呼吸不全以外の死因では「低体温症・凍死」が32人で、222人の14%を占めた。「外傷性ショック等」が28人(12%)、「焼死」が3人(1%)だった。 「その他」の死因には6人が分類された。この中には、建物の下敷きになって体の循環機能が損なわれ、救出後でも亡くなるリスクがある「クラッシュ症候群」による死者も含まれるという。死因が特定できない死者は12人だった。 県によると、1月31日時点で死亡が確認されたのは災害関連死を含め238人。輪島市と珠洲市がいずれも101人で、穴水町20人、能登町8人、七尾市5人、志賀町2人、羽咋市1人。19人の安否が分かっていない。 |
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●“裏金”リスト 自民党の安倍派・二階派議員は現時点で42人 1/31
自民党の派閥の政治資金をめぐる事件で、派閥からキックバックを受けたり、パーティー券収入の一部を中抜き・プールしたりするなど、いわゆる“裏金”を受け取っていたことが分かった自民党議員は何人いるのか。そして“裏金”の使い道は。日本テレビが緊急取材。 ●“裏金”自民党議員は現時点で42人 1月31日現在、日本テレビの取材で、“裏金”を受け取っていた自民党の安倍派・二階派議員は42人いることが分かった(4人は元国会議員)。“裏金”額の内訳を見ると42人のうち4000万円以上は3人、2000万円以上は5人、1000万円以上は8人、500万円以上は6人、100万円以上は14人、100万円未満は6人だった。 金額の大きい上位10人は以下の画像の通り。11位以下の詳細も列挙する。 1 大野泰正(安倍派)5154万円 2 池田佳隆(安倍派)4826万円 3 谷川弥一(安倍派)4355万円 ※議員辞職 4 二階俊博(二階派)3526万円 5 萩生田光一(安倍派) 2728万円 ※安倍派5人衆 6 山谷えり子(安倍派) 2403万円 7 堀井学(安倍派)2196万円 8 橋本聖子(安倍派)2057万円 9 世耕弘成(安倍派)1542万円 ※安倍派5人衆 10 林幹雄(二階派)1512万円 11 福井照(二階派)1254万円 ※元衆院議員 12 長崎幸太郎(二階派)1182万円 ※元衆院議員、現山梨県知事 13 武田良太(二階派)1172万円 14 平沢勝栄(二階派)1080万円 15 松野博一(安倍派)1051万円 ※安倍派5人衆 16 高木毅(安倍派)1019万円 ※安倍派5人衆 17 堀井巌(安倍派)876万円 18 関芳弘(安倍派)836万円 19 馳浩(安倍派)819万円 ※元衆院議員、現石川県知事 20 末松信介(安倍派)584万円 21 細田健一(安倍派)564万円 22 高鳥修一(安倍派)544万円 23 石井正弘(安倍派)378万円 24 若林健太(安倍派)368万円 25 江島潔(安倍派)280万円 26 赤池誠章 (安倍派)268万円 27 木村次郎(安倍派)236万円 28 塩谷立(安倍派)234万円 29 松川るい(安倍派)204万円 30 井原巧(安倍派)168万円 31 宮内秀樹(二階派)161万円 32 宮澤博行(安倍派)140万円 33 北村経夫(安倍派)118万円 34 長峯誠(安倍派)116万円 35 西村康稔(安倍派)100万円 ※安倍派5人衆 36 野上浩太郎(安倍派)100万円 37 田畑裕明(安倍派)68万円 38 鈴木淳司(安倍派)60万円 39 山本順三(安倍派)58万円 40 高橋はるみ(安倍派)22万円 41 藤原崇(安倍派)14万円 42 山崎正昭(安倍派)4万円 ●一体何に使った?“裏金”の使い道は? 今回“裏金”が分かった42人の「使い道」は次の通り。 最も多い「事務所で保管・未使用」は15人、次いで「事務所経費・会合費等」は7人、「不明・未回答」は9人、そして「政治活動費」は9人などという結果だった。 東京地検特捜部に逮捕・起訴された池田佳隆議員や、在宅起訴された大野泰正議員の使い道は明らかにされておらず、「不明・未回答」としている議員は今後、具体的に説明する必要がある。 注目すべきは「政治活動費」だ。政治活動費とは一体何を指すのか、具体的にどのような政治活動に使ったのか、この言葉では“使い道”が明らかになっているとは言いがたい。「使い道をぼかしている」と受け止められても仕方ないだろう。 有権者や国民の理解を得るためには各議員に対してさらなる説明責任が求められる。 【主な使い道】 「事務所で保管・未使用」 15人 「事務所経費・会合費等」 7人 「不明・未回答」 9人 「政治活動費」 9人 「その他」 2人 ●安倍派“5人衆”は? 安倍派の幹部のいわゆる“5人衆”はいずれも“裏金”を受け取っていた。その中でも萩生田前政調会長が2728万円と最も高い額となった。また世耕前参院幹事長は1542万円を「政治活動費」に使ったとしているが、具体的に何に使ったのか明らかになっていない。使い道についてはそれぞれ以下のようにコメントしている。 萩生田光一 議員 2728万円「国会議員・外国要人・マスコミ等との会合、出張時の政務活動費」 世耕弘成 議員 1542万円「政治活動費」 松野博一 議員 1051万円「国会議員や有識者との意見交換会合費など」 高木毅 議員 1019万円「会食費や交通費等など」 西村康稔 議員 100万円「個人の政治資金パーティーの収入の一部として計上」 ●今後は?実態解明に向けて 安倍派に対して東京地検特捜部の刑事処分が出され、捜査が一区切りしてから10日あまりが経過した。こうした中、安倍派は1月31日、政治資金収支報告書の訂正を総務省に届け出る。 修正される派閥の収支報告書には所属議員に対していくらキックバックされていたのか、いくら中抜き・プールがあったのかが記載されるため“裏金”の実態解明に向けて注目されている。 日本テレビの2024年1月31日時点での取材では、“裏金”を受け取ったことが確認できた議員は42人だが、今回の修正を受けて安倍派の所属議員は自らの政治団体の収支報告を随時修正する見通しで、人数は今後さらに増えることは確実だろう。 今後、新たに“裏金”が明らかになる議員や、いまだ“使い道”を明確にしていない議員には、正確で明確な説明が求められている。 |
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●議員辞職の谷川弥一氏「裏金4300万円、たったの罰金100万円」… 1/31
確定申告を控えた納税者らの悲鳴に似た怒りの声が、ネット上に飛び交っている。 自民党の派閥の政治資金パーティー券をめぐる裏金事件で、東京地検特捜部に政治資金規正法違反の罪で略式起訴され、議員辞職した谷川弥一前衆議院議員(82)。東京簡裁は1月26日付で罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を出した。 谷川前議員は、同罪で略式起訴された秘書(47)と共謀し、2022年までの5年間で、所属していた「安倍派」(清和政策研究会)から受けたキックバック計約4300万円を資金管理団体の政治資金収支報告書に記載していなかった。 東京簡裁はまた、約3000万円の収入を不記載したとして略式起訴された「岸田派」(宏池会)の元会計責任者の佐々木和男氏についても、罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を出したのだが、このニュースが報じられると、SNS上では驚きの声が広がった。 《4300万円の所得を隠して罰金100万円?》 《罰金100万円はいくら何でも安すぎるだろう。4000万円を丸儲けじゃないか》 《これは真面目に納税するのが馬鹿らしくなる。なんだ罰金100万円って》 ●国税通則法ではキックバック不記載は「隠蔽・仮装」行為の疑い 動揺する投稿が相次ぐのも無理はない。一般企業などで売上の過少計上や経費の架空計上などの「脱税行為」があった場合、本来納めるべき納税額(追徴税)に加え、重加算税や延滞税を合算して納めなければならない。 国税通則法では、重加算税などが課される基準を挙げていて、そのくだりには「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し」とある。 そして、その主な「隠蔽・仮装」の具体的行為として、二重帳簿の作成や帳簿書類に記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む)を除外していること、などが例示されているのだが、裏金事件のキックバック不記載は、「帳簿書類に記録せず」「収入を除外している」行為。「脱税行為」に当たると指摘されても不思議はない。 さらに「無申告」や「重加算税」で罰則を受ける際、過去5年以内に同様の行為がある場合は悪質と判断され、通常の税額よりも高い45%の重加算税がかかる。4000万円の所得を隠し、それが常習的に繰り返されていたとすれば納税額は通常で考えても数千万円。場合によっては4000万円を超える税金を納める可能性もある。さすがに「100万円」では済まないだろう。 《政治資金の流れこそインボイスにするべきではないか》 《政治家こそマイナンバーとインボイスを紐づけにするべき》 怨嗟の声は広がるばかりだ。 |
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●安倍派 収支報告書の訂正 不記載の総額は6億7654万円 1/31
安倍派で、派閥パーティー収入を所属議員にキックバックし、政治資金収支報告書に記載していなかった事件で、安倍派は31日総務省に収支報告書の訂正を届け出た。派閥から所属議員側への支出は、5年間で総額6億7654万円だったことを明らかにした。 安倍派のコメントによると、支出先は、現職・元職の衆議院議員の関係政治団体58団体、参議院議員の関係政治団体37団体のあわせて95政治団体。「国民の皆様の政治不信を招き、心よりおわびもうしあげる」と謝罪した。 また、安倍派が収支報告書を訂正したことを受け、不記載があった国会議員の政治団体側も速やかに訂正を行う、としている。 |
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●新たに2人の政務官が交代 総理は信頼回復への決意強調 1/31
岸田首相は、自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐり、新たに収支報告書の不記載が判明した2人の政務官を交代させる方針。 小森総務政務官と加藤国土交通政務官は、いずれも安倍派から受けたキックバックを収支報告書に記載していなかったことがわかり、辞任を決めた。 自民党・安倍派 小森総務政務官「不記載が70万円確認されたところです。まずはおわび申し上げます」 自民党・安倍派 加藤国交政務官「(辞任の意向を固めたということですが?)そうですね。(不記載が)10万円分ありました」 岸田首相は後任人事の調整を進めていて、31日にも新たな政務官が就任する見通し。 一方、衆議院本会議では、岸田首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が行われている。 最新情報を国会記者会館から、フジテレビ政治部・阿部博行記者が中継でお伝えする。 トップバッターの立憲民主党の泉代表は、「異次元の不祥事だ」として、キックバック不記載の議員の辞職などを要求したが、岸田首相から踏み込んだ答弁はなかった。 立憲民主党・泉代表「自民党総裁として、すべての裏金議員に議員辞職を求めてはどうですか」 岸田首相「関係者において明確な説明責任を果たすことがまずは重要ですが、しかるべき手順を踏んだうえで対応を考えてまいります」 立憲民主党・泉代表「自民党の全国会議員への収支報告の不記載について、自己申告に基づく調査を行い、作成した不記載議員リストを2月5日の朝までに提出すること」 岸田首相「(収支報告書の)訂正作業が順次行われているところであり、その訂正作業をふまえつつ、可能な情報提供をしてまいります」 また、安倍派幹部や二階元幹事長の政治倫理審査会への出席要求についても、「国会の手続きに基づき判断する事柄だ」とした。 一方、「信なくば立たず」と「論語」の言葉を引用した自民党の渡海政調会長に対して、岸田首相は「解体的な出直し」との表現を用いて、信頼回復への決意を強調した。 |
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●玉川徹氏、麻生太郎氏発言に「こういう人たちを政治の世界から・・・」 1/31
元テレビ朝日社員の玉川徹氏は31日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し、講演で上川陽子外相の容姿や年齢に言及した自民党の麻生太郎副総裁を念頭に、画面に向かって「福岡の選挙区の皆さん、女性を含めて、この人でいいんですかと言いたい」と呼びかける場面があった。 麻生氏は、28日の福岡県内での講演で上川氏に言及した際、外相としての手腕を高く評価しながらも「そんなに美しい方とは言わんけれど」「おばさん」などと発言。名字を「カミムラ」と間違える場面もあった。 麻生氏の一連の発言についてコメントを求められた玉川氏は「去年、内閣支持率が下がってきた時、上川さんを総理に担いでくるのでは、という話をした。自民党は(ピンチ時に)目先を変えてくる。女性最初の総理だよと、お前らそれで喜ぶんだろというような感覚を持っているんだろうな、このおじさんたちはと思っていた」「今回も(上川氏を)持ち上げている。そういうことを意識してやってくるんだろうなというのが、ズバリだったという感じがする」と自身の過去の発言を振り返った上で「言葉の端々で、女性を下に見ている。それがぽろぽろ出ちゃう。こういうことで怒るでしょ?腹立たしいでしょ? 。腹立たしいなら、そういう人たちはだめだと。こういう人たちを政治の世界からいない状態にしていかない限りは、変わらないんですよ」と訴えた。 「会社の役員を、社員がいなくさせるのはなかなか難しいが、だけど政治家をいなくすることは簡単。そのために選挙がある」と述べ「福岡の選挙区のみなさん、女性を含めて、この人でいいんですかと言いたい」とテレビカメラに向かって話す表情が、画面に大写しになる場面があった。 また「リディラバ」代表の安部敏樹氏は、上川氏が30日の会見で、麻生氏の発言への受け止めを問われ、直接論評しなかったことについて「上川さんの及び腰のところは、政局的な話があるんじゃないかと思わざるを得ない」と指摘。「麻生さんに対して、こういう言い方はしないほうがいいんじゃないですかといった上で、評価いただけるのはうれしいと言えばいいだけの話。それを言っていないのは、どうなのかなと思う」と疑問を投げかけた。 |
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●麻生氏の発言 女性進出阻む旧態依然 1/31
外務大臣としての能力と外見とは何の関係もない。言及すること自体が女性への差別と受け取れる、極めて不適切な発言だ。麻生氏は過去にも問題発言を繰り返してきた。こうした人物を自民党の最高幹部に据え置き、注意すらできないなら、放置する岸田首相の責任が問われる。 自民党の麻生太郎副総裁が福岡県芦屋町での講演で、上川陽子外相について「そんなに美しい方とは言わんけれども、英語できちんと話をし、外交官の手を借りずに自分でどんどん会うべき人に予約を取っちゃう」と発言した。仕事ぶりを評する際に外見に触れる必要は全くなく、一般社会でも決して許されない。 麻生氏はその前に「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」とも語っていた。旧来から権力を握ってきた男性政治家が、少数派の女性政治家を優越した立場から評価する意識があらわになったように映る。対等と思っているなら、「おばさん」などやゆするように聞こえる表現を講演で使うだろうか。 岸田首相も昨年9月の内閣改造で上川氏ら女性閣僚5人を起用した際に「女性ならではの感性、共感力を十分発揮していただくことを期待したい」などと発言し、問題視された。自民党から、わざわざ性別を強調する発言が連発される背景には、女性の起用や擁立が大きく遅れる党の旧態依然とした姿勢がある。 昨年の改造の時点では女性の副大臣・政務官はゼロだった。自民党の衆参国会議員に占める女性の割合は1割超。直近の衆院選では、当選者中の女性の割合は1割未満で、参院選でも約2割だった。 女性がほぼ半数の社会全体を反映し、代表する政党とは言いがたい。昨年、「10年で国政女性議員比率30%」を目標にしたが、こうした指導者の下では本気度が疑われる。 しかも麻生氏は、これまで2人の女性の外相がいたのに、「女性が日本の外務大臣になった例は過去にないと思う」と誤認している。政治家としての基本的な認識があるかさえ疑問だ。 麻生氏には、ナチスを引き合いに「あの手口に学んだらどうか」など、国際社会ではおよそ容認されない発言もある。今回も党内で問題視する動きは見えない。背景には、麻生氏が多数の国会議員を従える麻生派トップとして、政権運営に強い影響力を持ってきた派閥政治の構造がある。 ゆゆしき発言をしても放任されるとしたら、自民党の自浄能力はおよそ期待できないことになる。党の体質そのものが問われている。 |
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●岸田より頼れる“小池百合子首相”爆誕へ 選挙「逆転勝ち」で恩売りまくり 1/31
永田町の大混乱は、いまだに収束する兆しが見えない。発端は、2023年11月に発覚した、政治資金パーティーを利用した自民党の裏金事件だ。 「1月18日、岸田文雄首相は、“三頭体制”を担う麻生太郎副総裁と、茂木敏充幹事長にもいっさい相談せず、岸田派の解散を口にしました。当然、麻生副総裁と茂木幹事長は大激怒ですよ。茂木幹事長は腹いせとばかりに、巨額の不正会計に関わった安倍派幹部を離党させるべきだと周囲に訴えた。清和会だけをターゲットにした発言だったようですが、岸田派でも元会計責任者が起訴されており、この発言は『岸田首相も離党しろ』という主張だと受け取られかねません」(自民党議員) 親分に“弓を引いた”茂木幹事長のもとからは、次々と人が去っている。 「小渕優子選対委員長や石井準一国対委員長が茂木派を離脱。さらに青木一彦議員に加え、参院で10人程度の議員が続くとされています」(同前) 茂木幹事長による“反乱”は自壊。だが、岸田政権が延命できたわけではない。 「“裏金”の再発を防ぐべく、首相肝入りで立ち上げた政治刷新本部の改革案は、ツッコミどころ満載です。“派閥”を“政策集団”だと言い換えただけで、派閥の『政治資金パーティー禁止』『人事への介入禁止』という2点を、実効性のある形にできていません。国民からの信頼回復は望めませんよ。党内では、岸田首相への不満が溜まっています」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏) 早ければ、4月にも政局が一気に動く可能性がある。 「政権が9月の総裁選まで延命できないのは、永田町で衆目の一致するところ。3月には自民党大会があり、“反岸田”の声が高まる。4月の訪米を花道に退陣するか、解散するか。遅くとも、6月の通常国会閉幕までに、手を打つ必要がある」(政治部記者) そこでにわかに注目を集めているのが、“沈黙する女帝”小池百合子都知事だ。 「2023年12月におこなわれた江東区長選と、1月21日の八王子市長選で、自公推薦の候補者を勝たせました。とくに八王子市長選は、萩生田光一前政調会長のお膝元。旧統一教会問題や“裏金事件”の影響で与党の苦戦が予想されていました。小池都知事は、序盤戦ではあえて動かず、旗色が悪くなった19日になり、ようやく応援演説で現地入り。小池都知事の肉声で投票を呼びかける自動音声電話を有権者にかけるなど、怒涛の攻勢で形勢を逆転させました。萩生田議員を筆頭に自民党に大きな貸しを作り、“女帝”の力をまざまざと見せつけました」(都政関係者) 2021年には愛犬“(総理の)ソウちゃん”を亡くしてペットロスに苦しみ、2023年5月には過労で公務を取りやめるなど、健康不安説が取り沙汰されてきた小池都知事。ここにきて、“最後の野望”に向けてV字復活を遂げたのだ。舛添要一前都知事はこう語る。 「彼女は権力に取りつかれた人ですから、総理になりたいという野望はいまでもあるはずです。自民党が弱り、女性総理待望論がささやかれているなか『チャンスが来た』と思っているでしょう。いまだに7月7日の都知事選への出馬を表明しないのは、それが理由です。私は小池都知事の政策をまったく評価していませんが、“選挙に強い”のは事実です」 前出の伊藤氏も「モテ期が来た」と語る。 「小池都知事を引っ張り込もうと、自民党が画策していることは事実です。彼女のほうも『それなりのポストを用意してくれれば』と応じているという話を聞いています。東京に地盤のない、維新の会も総選挙に向けて“共闘”のラブコールを送っていますからね。まず国政に出る必要があるので、都知事選までに解散総選挙があるのかがポイントです。副総裁などのポストを与え、総選挙に備えるというウルトラCもありでしょう」 とくに菅義偉(よしひで)前首相、二階俊博元幹事長、公明党の山口那津男代表とは、恐ろしいほど利害が一致する。 「菅氏と二階氏は“三頭体制”で冷や飯を食わされた非主流派です。そして公明党を軽視し続ける岸田首相と違い、菅氏は太いパイプがある。この3人が岸田首相を見捨てて、小池都知事を担いだら……。初の女性総理誕生は近いかもしれません」(政治部デスク) いまの政治が変わるなら、望むところだ。 |
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●「国民を騙した“小泉劇場”を思い出す。岸田さん、本当は麻生さんと連携か?」 1/31
「岸田派解散」 ニュースを見て最初は驚いたけど、今は冷めている。 「検討使」と揶揄(やゆ)された岸田文雄首相が、珍しくびっくりするような決断をしたわけやけど、人のキャラがそんなに急に変わるわけない。彼なりに秘策があったんやないか。私は、「一石四鳥」を狙ったんやと思っている。 1つめの狙いは、派閥解散で批判をかわすこと。岸田派の元会計責任者が立件され、批判の矛先が安倍派だけでなく岸田派にも向き始めた。岸田首相は、自分が叩かれて、さらなる内閣支持率の低下を招くことは避けたかった。 ここで岸田派解散のカードを切れば、決断力やリーダーシップを評価され、支持率も下げ止まる可能性があると思ったんやろうね。実際、その後の世論調査で、自民党支持率は落ちているのに内閣支持率は横ばい。そして、岸田首相の決断を国民の6割が評価している。保身の目論見はまんまと当たったわけや。 2つめの狙いは、論点をカネの問題から派閥の是非にすり替えること。派閥解散を打ち出せば、報道が派閥の是非論一色になるのは明らか。 しかし、派閥解散はそれほどのニュースなのか。どうせすぐに復活する。1993年の政権交代後に、自民党はすべての派閥を解散したが、数年で元に戻ったんやから。 派閥の是非に焦点が当たっている間に、本丸のカネの問題が吹っ飛んでしまった。そもそも政治刷新本部では、企業団体献金については検討課題にすらなっていない。 派閥がなくなっても、企業団体献金が維持できれば、違う方法でいくらだってカネ集めはできるので、不都合はないということや。 3つめの狙いは、安倍派や二階派を解散に追い込むこと。岸田首相には、とくに安倍派への怨念があるはずや。 自民党の派閥には二大潮流がある。かつて鳩山一郎が総裁を務めた日本民主党と、吉田茂が率いた自由党の2つの系譜や。 前者は岸信介、福田赳夫、森喜朗、小泉純一郎と総理を輩出し、清和会(安倍派)に連なるタカ派の流れ。この派閥が、長年にわたって総理をほぼ独占してきた。二階派、森山派もこの流れを汲む。 後者はハト派路線で、岸田首相の宏池会(岸田派)もここに入る。今回の派閥解散の背景には、この二大勢力による権力闘争があるとみたほうがわかりやすい。 岸田首相には、宮沢喜一元首相以来約30年間、宏池会から総理を出せなかった悔しい思いがあるはず。せっかく手にした主流派の座を、そう簡単に譲り渡したくない。 だから、最大派閥の安倍派を潰す。それも岸田首相の決断の理由やと思う。そして、岸田首相が派閥解散を宣言した後、安倍派、二階派、森山派も解散を決定。「政敵」を倒すことに成功したわけや。 4つめの狙いは、将来的に麻生派と合流すること。これが最大の狙いやと、私は思っている。 岸田派と麻生派は、いわば “双子” 。宮沢元首相のころまでは同じ宏池会で、後の「加藤の乱」(第二次森内閣打倒を目指して、加藤紘一氏らが起こした一連の運動)で割れるまでは一緒やった。 また、岸田派と茂木派は “いとこ” に近い。源流が吉田茂の自由党なのは一緒やけど、佐藤栄作、田中角栄の系譜を受け継ぐのが、今の茂木派。岸田政権は “双子” と “いとこ” に支えられている。 岸田派と麻生派はもともと “双子” だから、将来は合流しようと考えているとしてもおかしくない。 安倍派、二階派、森山派という3つの派閥を一気に潰せたし、安倍派の解散で100人近い最大派閥が消滅した。結果、第二派閥だった麻生派が第一派閥になり、第三派閥だった茂木派が第二派閥になった。 岸田首相はしばらく死んだふりをして、次の総選挙でなんとか現状を維持して麻生派に合流する。そうすれば、安倍派をしのぐ最大規模の派閥ができ上がる。すなわち「大宏池会」の復権が、岸田首相の最終的な狙いやないか。 それにしても、岸田首相がこんな絵図を一人で描けるもんやろうか。私には麻生さんとの連携があったと思えてしょうがない。 報道では、岸田首相は派閥の解散を麻生さんに相談しなかったとされている。それに麻生さんが怒っていると。 そもそも、海千山千の政治家が本当に怒っている顔を他人に見せるのか。マスコミを通じ、「怒っている」というメッセージを送ったと考えるほうが自然やないか。 岸田首相が麻生さんに報告しなかったというが、総理としていちばん支えてもらっている相手に仁義を切らないわけがない。「一石四鳥」のシナリオは、2人で知恵を絞ったんちゃうか。 そこで思い出したのは、「干からびたチーズ事件」。2005年8月、当時の小泉首相は郵政民営化法案を国会で成立させると公言し、不成立の場合は「衆議院を解散する」と表明していた。 自民党内では解散への反対が強く、小泉首相を思いとどまらせようとしたのがその前の首相の森喜朗氏。だが、小泉首相は「信念だ。殺されてもいい」と聞き入れなかった。 森さんは、マスコミの前で「(小泉首相は)干からびたチーズひと切れと缶ビールしか出さなかった」と不満を語ったが、その後「あのときは、小泉君に怒って出て行ったことにしてくれと言われた」と明かしている。そして小泉首相は「信念の人」と評価され、「小泉劇場」により郵政選挙で自民党は圧勝する。結局、2人の仕込みのお芝居にみんな騙されたわけや。 今回も、麻生さんと岸田首相の間で、事前に話し合いがあったとしても不思議ではない。後見役の麻生さんを本気で怒らせたら、岸田さんは総理の座にいられなくなるかもしれん。内々の合意がなかったはずがないと私は思うが、的外れやろうか……。 |
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●能登地震 復興の過程で懸念される「予備費の“中抜き”」と「“便乗”改憲」 1/31
「とにかく救助の手も重機も足りず、あちこちで家屋が倒壊したままの状態でした。生き埋めになっている家族を案じて、なすすべもなく立ちつくす方たちの姿があちこちに見られて……。痛ましい光景でした」 そう語るのは、ジャーナリストの藍原寛子さんだ。藍原さんは、オーストラリア公共放送SBSのプロデューサーとして1月5日に被災地入りし、被害の大きかった輪島市や穴水町を取材した。これまで多くの被災地を取材してきた藍原さん。過去の震災と比べて“初動の遅れ”を感じたという。 「2011年の東日本大震災のときは、2日後に“激甚災害指定”されましたが、今回、岸田首相が激甚災害指定の方針を固めたのは発災から7日後でした。 2016年の熊本地震のときは、3〜4日目で約2万人の陸上自衛隊が投入されましたが、今回は9日時点で約6300人。被災地を回っても、自衛隊のトラックをせいぜい5〜10台見かける程度でした。ヒト・モノ・カネを投入できていなくて、自助でなんとかしろという感じです」 ●コロナ時のときのように中抜きされないか注視が必要 なぜ、これほど対応が遅れたのか。 「ひとつには、道路の陥没がひどく、修復が遅れていることが影響しています。私が被災地を訪れたときも、タイヤが道路の亀裂にはまってパンクする車両が続出しました。そのため、支援の手が行き届かない。本来は、いち早く自衛隊がヘリで物資などを輸送すべきですが、命令が出ない限りは動けないため、対応が遅れたのです。 岸田首相は、災害規模を甘く見ていたのではないでしょうか」 被災地で必死の捜索が続いていた5日、岸田首相は3つの新年会に連続で出席。危機感の欠如を批判された。被災地を視察したのは14日になってからだった。 政府は来年度予算案に盛り込まれた予備費を、現状の5千億円から1兆円に倍増させ、“復旧と復興”のために使う方針だ。予備費とは、災害や金融危機など不測の事態に備えて、使い道を決めずに毎年度の予算に計上するお金のこと。 社会保障と税に詳しい鹿児島大学教授の伊藤周平さんは、「復興以外のことに流用されてしまう可能性がある」と懸念を示す。 「コロナ禍では、計上された14兆円を超える“予備費”のうち9割が使途不明になっています。というのも、予備費は国会の審議を経ずに使途が決められるため、復興とは関係のないものに流用されていてもわからないからです」 コロナ禍では、感染対策や生活支援のためにさまざまな事業が行われたが、政府と関係の深い企業が予算から“中抜き”したことも問題となった。 「予備費が正しく復興のために使われるか、監視が必要です」 ●緊急事態条項がむしろ災害時に逆効果になることも 一方で、震災へのこんな“便乗”の懸念がある。 「総裁任期中に憲法改正を実現したい思いに変わりはない。今年は条文の具体化を進め、党派を超えた議論を加速していく」 地震から3日後の1月4日、年頭記者会見で、改憲への思いを岸田首相はこう語った。SNSなどでは《震災を大義名分にして緊急事態条項を憲法に入れようとしているのでは》などと危惧する声が上がった。 “緊急事態条項”とは、大規模な災害や外部からの攻撃、さらには感染症の蔓延など緊急事態が起きた場合、一時的に政府の権限を強める規定のことだ。東京都立大学教授で憲法学者の木村草太さんはこう指摘する。 「今回のような大震災が起きると、火事場泥棒的に緊急事態条項を盛り込んだ改憲案が持ち上がります。2016年に熊本地震が起きたときも、菅義偉官房長官(当時)が緊急事態条項の必要性について触れるなど問題になりました」 政治部の記者はこう語る。 「自民党は、当面の改憲の目的として4項目を挙げていますが、そのうちのひとつが緊急事態条項です。しかし、首相が“緊急事態”を宣言すると、国民はすべて政府の指示に従わねばならず、さまざまな懸念が示されています。 たとえば政府が、〈救助活動を妨げる報道やインターネット情報は規制する〉という政令を出せば、情報は遮断され、政府に都合の悪い情報は隠されてしまう恐れもあります。 また、緊急時に国会議員の任期を延長できるようにしようという動きもありますが、これが悪用されてしまった場合、 “ずっと緊急時である”とそのときの政権が主張して、権力の座に居座るような事態も懸念されています」 前出の木村さんは、「災害対応の中心は自治体であり、中央政府への権限集中が役立つとは考えにくい。日ごろからの自治体の備えが重要」としたうえで、こう指摘する。 「災害対策に関心が薄い人が政権を握っている場合、かりに緊急事態条項によって政府に権限を集約しても、むしろ逆効果になる可能性もあります」 予算がしっかりと復興のために使われるか、震災を利用した強引な改憲が進められないか、我々が監視していくことが重要だ。 |
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●植田日銀が画策する「福井元総裁並み」利上げ 1/31
「日本もいよいよ『金利のある世界』に戻る」。年明け以降、マスコミや金融界はこう騒ぎ立てている。初の学者出身総裁の植田和男が率いる日銀も「賃金と物価の好循環に自信が持てれば、躊躇なく政策修正に踏み切る」としきりにアピールし、2013年から10年以上続けてきた異次元緩和からの脱出に意欲満々だ。 手始めはマイナス金利の解除となるが、副総裁の内田眞一(1986年入行)をはじめ生え抜きの企画ラインは「その先の利上げも当然考えている」と17年ぶりの利上げに逸る気持ちを抑えきれない様子。「最低でも年内に福井ラインまでは行きたい」と強気の幹部もいる。「福井ライン」とは、量的緩和とゼロ金利を解除した福井俊彦(57年同)総裁時代の07年2月に実現した短期の政策金利0・5%を指す。素人目で見ると、ゼロも0・5%も大して変わらないようにも見えるが、デフレが続いた日本ではこの水準が今世紀に入ってから短期の政策金利の最高水準だ。 負けん気が強い福井は総裁在任中に「金利機能が働く最低水準として1%まで利上げを目指していた」(元理事)とされるが、米住宅バブル崩壊などで頓挫した経緯がある。 |
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●自民党の渡海紀三朗政調会長「国民に見放されるかの瀬戸際」 1/31
自民党の渡海紀三朗政調会長は31日の衆院代表質問で、派閥のパーティー収入不記載事件を巡り、「自民に対して厳しい目、強い疑念が向けられている。国民に見放されるかの瀬戸際に立っている」と述べた。無派閥のベテランで政治改革に熱心な渡海氏の発言に、野党席からも「そうだ、そうだ」と合いの手が上がった。 渡海氏は「われわれが問われているのは、信頼回復のために何をするのかのみならず、やり抜く強い覚悟があるのかどうかだ」と語った上で、岸田文雄首相に政治改革への覚悟を問いかけた。首相は党がまとめた政治改革の中間とりまとめに触れ、「先頭に立って実行していく」と応じた。 渡海氏は昭和63年に発覚したリクルート事件を受け、政治改革に関わってきた経歴がある。 |
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●首相、政策活動費の説明拒否 立民・泉氏、連座制導入を要求 1/31
岸田文雄首相は31日の衆院代表質問で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治改革を巡り、政策活動費の使途の説明を拒否する考えを示した。「使途について答えるのは差し控える」と述べた。党勢拡大や政策立案のための支出だとして「適切に使用されている」と強調した。立憲民主党の泉健太代表は議員が連帯責任を負う連座制導入や政策活動費廃止などの同党案を提起したが、首相は具体策に言及しなかった。代表質問での論戦が始まった。 泉氏は「裏金防止策をつくるには実態解明が不可欠だ」と主張。安倍、二階両派幹部らの政治倫理審査会への出席、関与した議員の離党勧告や除名処分を迫った。立民の山田勝彦氏は、自民の二階俊博元幹事長が在任中の5年間に約50億円の政策活動費を受領したと指摘し、使途公開を要求した。 首相は法改正が伴う連座制導入などの改革に関し「各党各会派と共に真摯に議論する」と従来の答弁を繰り返し、政倫審への出席要求は「国会で判断する事柄だ」と述べるにとどめた。 |
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●岸田政権で新たな「裏金」発覚 野党「異次元の不祥事」と追及 1/31
31日から国会で始まった代表質問。野党が真っ先に追及したのは、31日に新たに発覚した裏金問題。 立憲民主党・泉代表「岸田内閣の総務大臣政務官、そして国土交通大臣政務官の2人が、裏金をもらっていたことが新たに発覚しました。2人はいずれも、裏金のことについて、これまで言及しておりません」 裏金が新たに明らかになったのは、安倍派に所属する小森卓郎総務政務官と加藤竜祥国土交通政務官の2人。 岸田首相は2023年12月、裏金をめぐって、安倍派の閣僚と副大臣を一斉に交代させた一方、政務官については問題の全容が判明していなかったことから、留任させていた。 ところが31日になって、政務官として残った安倍派の議員2人に裏金があったことがわかり、政務官を辞任する事態になった。 自民党“安倍派”・加藤国交政務官「(辞任の意向を固めた?)そうですね。(不記載があった?)10万円分ありました」 10万円の裏金を認めた加藤政務官。本会議場で席に着くと、周りの議員と笑顔で話していた。 裏金辞任した、もう1人の小森総務政務官。 自民党“安倍派”・小森総務政務官「不記載が70万円確認された」 70万円の裏金を数日前に確認し、31日、政務官の辞意を表明した。 底なしの様相を見せる裏金問題。野党は攻勢を強めている。 立憲民主党・泉代表「現時点で40人近くの裏金議員が発覚しています。まさに『異次元の裏金』、『異次元の不祥事』ではないでしょうか。すべての裏金議員に議員辞職を求めてはどうですか!」 岸田首相「自民党の政策集団の政治資金の問題に関する処分の方針」 ヤジ「派閥!」 岸田首相「党としても事実関係の把握に努めているところであり、しかるべき手順を踏んだうえで、対応を考えてまいります」 野党は、この国会を「裏金国会」として、今後も岸田政権を厳しく追及する構え。 |
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●岸田政権が資金を多く提供した上位5カ国はどこか──「バラまき外交」批判 1/31
・2023年に日本政府が提供した資金のうち「あげた」のは10%程度で、政府歳出の0.2%ほどしかない。 ・外国に提供した資金の大半は貸付つまりローンで、相手国は利子をつけて日本に返済することになるため、少なくとも「バラまき」とは呼べない。 ・さらに、2023年の日本政府による資金提供を国別にみると、その上位5カ国には日本へのリターンが期待される国が多く、この意味でも単なる浪費といえない。 ●岸田政権を擁護するつもりはないが 物価上昇は続き、一方で多くの業種・職種ではそれに見合うほど給与が増えない。それでも増税論議は活発で、おまけに自民党の「パー券」問題の結末に多くの人は納得していない。 こうしたなかで岸田政権が海外への資金協力を増やすことには、SNSを中心に批判が噴出してきた。なかには「大国ぶって外遊で金を配る」といったものもある。 ただし、「バラまき外交」批判のなかには岸田政権の不人気に便乗したような、あるいは断片的な情報に基づいて、生活不満をただぶつけるような"批判のための批判"とも映るものが珍しくない。 資金提供総額上位5カ国(億円) 岸田政権を擁護するつもりは毛頭ないが、生産性の乏しい批判によって外交にブレーキがかかるのはもっと忍びない。 筆者は以前にもこのテーマをより詳細に取り上げたが、今回は金額の上位5カ国(2023年)をピックアップすることで、よりコンパクトにまとめてみよう。 上の図は昨年の資金提供先上位5カ国を、一昨年、そしてコロナ感染拡大の前年で、安倍政権末期の2019年のデータとの比較で示している。 資金提供先上位5カ国マップ ●第1位 バングラデシュ 2023年の第1位はバングラデシュだったといわれて「ああなるほど」と納得する人は、かなりの国際情勢通だろう。それほど日本ではマイナーな国ともいえるバングラデシュに、日本政府は昨年約5,000億円提供した。 その金額の8割近くを占めるのが、同国東部のチョットグラム(チッタゴン)とコックスバザールを結ぶ高速道路と、マタバリの火力発電所の建設プロジェクトだ。 こうした巨大インフラ建設が相次ぐバングラデシュは、国際的な物流拠点として注目度の高いエリアにある。国境をまたいだミャンマー西部では、中国やインドがそれぞれ巨大港湾の整備を進めている。 バングラデシュ,チョットグラム(チッタゴン),コックスバザールマップ バングラデシュの隣国インドは昨年「インド-中東-欧州経済回廊(IMEC)」構想を本格的にスタートさせた。これが実現すれば、ソマリア沖、紅海、スエズ運河周辺など治安が極度に悪化している海域を迂回してアジアとヨーロッパを結ぶことが期待されている。 日本政府はこの構想に強い関心をもっている。バングラデシュ東部からインドへつながるルート構築は、いわばIMECを東方に延伸するもので、それは「一帯一路」を迂回したサプライチェーンを構築する一環ともいえる。 ●第2位 イラク 第2位は中東のイラクだ。提供額の8割以上に当たる約2,030億円は、バスラ製油所の改良計画に当てられている。 BPによるとイラクの2021年の原油生産量は約2億トンで世界第5位だった。 しかし、イラクでは設備の老朽化や治安悪化などで原油生産にブレーキがかかっている。つまり、そのポテンシャルは現状より大きいと見込まれている。 一方、日本の原油輸入に占めるイラクの割合は現在0.1%にとどまる。裏を返せば、イラクの石油生産へのテコ入れは、資源市場が不安定ななかでリスク分散を図ることにもなる。 ●第3位 インドネシア 第3位のインドネシアには約2,000億円が提供されたが、このうち1,300億円程度は首都ジャカルタ周辺での道路、鉄道整備などに、436億円はアチェなどでの発電設備の拡充にあてられた。 もともとインドネシアは冷戦時代から日本が東南アジアのなかでも特にテコ入れしてきた国の一つで、近年では日中間の高速鉄道受注レースの舞台にもなった。 東南アジア最大の経済規模と人口を抱えるインドネシアは、2026年にGDPでロシアを抜いて世界6位になるという試算もある。 この国でのインフラ建設に高い優先順位をつけられたことは、日本政府が東南アジアで中国とのレースを重視していることの表れともいえる。 ●第4位 インド 第4位のインド向けのうち約75%は、パトナでのメトロ建設などのための1,268億円で占められる。 これまでに触れた「中国を意識した資金協力」という意味では、インド向けの資金協力はその典型といえる。 インドは2021年にイギリスを抜いてGDP世界第5位になったが、日本との取引額もこの10年間でほぼ倍増している。 中国に代わる有望な投資対象の一つとして、さらに日本と同様に中国の海洋進出を警戒する点でも、日本政府が高い優先順位をつけて資金協力を行うことは不思議ではない。 ●第5位 ウクライナ 第5位のウクライナについては多言を要しないだろう。 2022年2月に始まったロシアによる軍事侵攻の後、アメリカはじめ各国から支援が集まったが、昨年10月までの提供額で日本は第5位である。 日本政府は2023年、復旧、人道支援などに793億ドルを提供した。 ●外国に「あげた」のは歳出の0.2%程度 以上の上位5カ国に提供された金額の合計は、2023年の総額の7割以上を占める。 2023年資金供与総額上位5カ国における贈与(億円) その多くは、サプライチェーン構築、資源の調達、中国への対抗などで重要度の高い国だ。つけ加えれば、インフラ建設などには多くの日本企業も参画している。 つまり、対象国の選定には日本自身の利益や目的が色濃く反映されている。 さらに注意すべきは貸付、つまりローンが中心ということだ。 資金提供先トップ5に限ってみると、イラク、インド、インドネシア向けはほぼ100%貸付だ。言うまでもなく、これら各国は利子をつけて日本に返済しなければならない。 この点で日本は欧米の多くの国と異なる。「あげる」が中心、「貸す」は例外、というのが欧米の一般的パターンだからだ。 これに対して、日本政府が2023年に外国に「あげた」のは約2,353億円で、海外への資金協力全体の約14%にとどまる。ちなみに、これは令和4年度予算の歳出(107兆5,964億円)の0.2%ほどだ。 海外への資金協力(億円) 人道や慈善といったものと縁遠いこの手法は、歴代政権とあまり変わらないものだ。その道義的な評価はともかく、少なくとも「バラまき外交」と批判されるほど気前が良くないことは確かだ。 ●ウクライナの例外ぶり その意味で、ウクライナはむしろ異例に近い。2023年の資金提供先トップ5に名を連ねながら、そこにはローンが含まれないからだ。 ウクライナ向けの793億ドルという規模は、昨年の日本政府による海外向け贈与の3割を超える。そこにはアメリカはじめNATO加盟国からの同調圧力の強さもうかがえる。 2023年に日本が贈与を提供した国の金額別上位5カ国(億円) たとえ1円でも外国に無償で提供すれば、「日本が大変な時に」という人もあるかもしれない。けれども、日本が生きていくのは外国との関係ぬきには成り立たないのであって、ある程度まではむしろ必要経費と考えるべきだろう。 ただし、日本の余力がかつてほど大きくないことも確かだ。 そこで政府が心がけるべきは、ムダな使われ方をしないかの監督だろう。公的資金の使途の透明性が問われるのは、国内だけではない。 一方、メディアにもこの問題を報じる時には注意を求めたい。 資金運用の透明性やパフォーマンス、意義などの観点から検証して、政府を批判するのは正当だろう。 しかし、一部メディアには「バラまき外交」批判に理解を示すような論調が見受けられる。 ところが、額面の大きい案件ほど政府は大々的に発表するし、世論もそれに集中しやすいが、巨大プロジェクトほど貸付になることが多いのが一般的だ。金額の大きいものほど、日本政府は自腹を切れないからだ。 こうした基礎知識ぬきに、ただ政府発表の金額だけぬき出して伝えるのは「批判のための批判」を煽ることにもなりかねない。いくら不人気な政権であっても、ただケチをつければいいというものではないのだから。 |
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●安倍派「キックバック」所属99人のうち77人訂正 高額の議員は… 1/31
自民党の安倍派は31日、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、政治団体「清和政策研究会」の2020〜22年分の政治資金収支報告書を訂正したと発表した。 訂正した収支報告書では、パーティー収入で不記載となっていた総額は3年分で4億3588万円。問題発覚後の昨年12月時点に所属していた議員99人のうち、確認できただけで77人の政治団体に「寄付」という形で支出したとする追記がなされていた。 安倍派は、パーティー券販売のノルマ超過分を所属議員側にキックバックしており、追記された支出額が議員側への還流とみられる。 安倍派が収支報告書訂正について発表したコメント文 ●「還流」額、最も多かった団体は3000万円超 裏金事件で捜査対象となったのは、時効にかからない2018〜22年分の5年分。収支報告書の公開対象は直近3年分なので、安倍派の裏金の全容はつかめない。 本紙が3年分の訂正報告書を分析したところ、安倍派が不記載として追記した寄付先のうち最も額が多かったのは、池田佳隆衆院議員の政治団体(3208万円)だった。続いて、大野泰正参院議員の政治団体(3146万円)、谷川弥一元衆院議員の政治団体(2303万円)と続いた。 上位3人は、いずれも裏金事件で立件された議員だった。 ●上位3人は立件議員、350万円差で4番目は「5人組」の… 4番目に高額だったのは、安倍派の有力者「5人組」の一人、萩生田光一前政調会長の政治団体。3年間で1952万円と、立件された谷川氏側とは350万円ほどの差だった。 萩生田氏も捜査対象となっていたが、嫌疑なしで不起訴処分となった。 収支報告書では、派閥から議員側に寄付した日付は、大半が「不明」となっていた。 安倍派は31日、収支報告書の訂正とは別に、2018〜22年の5年間で、派閥のパーティー収入から「寄付」という形で議員側に支出したにもかかわらず、不記載になっていた総額は6億7654万円だったと明らかにした。 ●5年間では95の政治団体に…団体名は明かさず 「寄付」先については、現職と元職を合わせて、衆参両院議員の計95政治団体だったとしている。ただし、95の政治団体名や金額は明らかにしなかった。そのため5年間で各議員が、派閥からいくらキックバックを受けていたのかは分からないままだ。 野党は、事件の全容解明のため、安倍派を含め、派閥からパーティー収入の還流を受けていた全議員のリストを公表するよう求めている。 安倍派は「国民の皆様の政治不信を招き、ご迷惑とご心配をお掛けしておりますことに心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。 裏金事件で、安倍派は、ノルマ超過分のパーティー収入約6億7500万円を2018〜22年の収支報告書に記載しなかったなどとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、会計責任者が立件された。 派閥から還流を受けた議員側でも、池田氏が逮捕、起訴されたほか、大野氏は在宅起訴、谷川氏は略式起訴となった。 一方で、塩谷立座長や派閥有力者の「5人組」らは立件を免れた。 裏金事件で、安倍派は、ノルマ超過分のパーティー収入約6億7500万円を2018〜22年の収支報告書に記載しなかったなどとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、会計責任者が立件された。 派閥から還流を受けた議員側でも、池田佳隆衆院議員が逮捕、起訴されたほか、大野泰正参院議員は在宅起訴、谷川弥一元衆院議員は略式起訴となった。一方で、塩谷立座長や派閥有力者の「5人組」らは立件を免れた。 ●派閥から議員側の「還流」額の一覧 問題発覚後の昨年12月時点で、安倍派に所属した現職議員99人 池田佳隆 3208万円 / 大野泰正 3146万 / 谷川弥一 2303万 / 萩生田光一 1952万 / 三ツ林裕巳 1808万 / 山谷えり子 1519万 / 堀井学 1086万 / 宮本周司 974万 / 衛藤征士郎 970万 / 簗和生 924万 / 大塚拓 874万 / 杉田水脈 872万 / 松野博一 865万 / 高木毅 865万 / 宗清皇一 854万 / 小田原潔 844万 / 世耕弘成 836万 / 和田義明 710万 / 菅家一郎 678万 / 加田裕之 648万 / 羽生田俊 634万 / 岡田直樹 596万 / 末松信介 582万 / 柴山昌彦 556万 / 西村明宏 554万 / 関芳弘 524万 / 丸川珠代 512万 / 高鳥修一 484万 / 細田健一 474万 / 堀井巌 466万 / 下村博文 440万 / 中根一幸 434万 / 吉野正芳 414万 / 根本幸典 396万 / 尾身朝子 367万 / 義家弘介 363万 / 亀岡偉民 292万 / 橋本聖子 289万 / 上杉謙太郎 286万 / 山田宏 282万 / 鈴木英敬 280万 / 吉川ゆうみ 240万 / 江島潔 240万 / 佐藤啓 236万 / 西田昌司 234万 / 石井正弘 198万 / 稲田朋美 196万 / 塩谷立 196万 / 松川るい 194万 / 上野通子 188万 / 若林健太 184万 / 井上義行 170万 / 井原巧 168万 / 森まさこ 168万 / 佐々木紀 166万 / 木村次郎 144万 / 谷川とむ 134万 / 宮澤博行 132万 / 赤池誠章 98万 / 北村経夫 98万 / 福田達夫 94万 / 野上浩太郎 92万 / 長峯誠 78万 / 青山周平 72万 / 小森卓郎 70万 / 西村康稔 70万 / 鈴木淳司 52万 / 田畑裕明 44万 / 山田美樹 34万 / 山本順三 34万 / 石田昌宏 26万 / 加藤竜祥 26万 / 高橋はるみ 22万 / 越智隆雄 18万 / 太田房江 16万 / 宮下一郎 12万 / 藤原崇 10万 0万 / 生稲晃子・石井拓・衛藤晟一・大西英男・奥野信亮・片山さつき・神田憲次・岸 信千世・古庄玄知・酒井庸行・塩崎彰久・白坂亜紀・高階恵美子・高木啓・滝波宏文・友納理緒・長谷川岳・古川俊治・松島みどり・松本尚・山崎正昭・吉田真次 ●報道機関への発表全文 報道機関各位 収支報告書の訂正について 令和6年1月31日 清和政策研究会 今回の清和研を巡る事案について、国民の皆様の政治不信を招き、ご迷惑とご心配をお掛けしておりますことに心よりお詫び申し上げます。 先日の東京地方検察庁の事件処理を受けて、本日、当会の収支報告書を訂正しましたので、その概要を説明いたします。なお、詳細については、今後、総務省のホームページにおいて訂正された収支報告書が公表されるところですので、そちらをご覧ください。 本日、当会は、政治資金パーティーの事業収入と清和研から各議員側政治団体へ還付した寄附について、公表されている収支報告書の訂正を行いました。 今回の捜査及び当会の調査において判明した過去5年間における、パーティー会費からの各政治団体への寄附支出額の追加分は、総額で6億7654万円となります。 また、現職・元職等の衆議院議員の関係政治団体で58団体、参議院議員の関係政治団体で37団体、あわせて95政治団体への寄附が判明いたしました。 当会の収支報告書の訂正を受け、寄附先の各政治団体においても速やかに訂正を行うものと承知しております。 *尚、この度の訂正に当たって、当会は、基本的には証憑類及び寄附先である政治団体の会計責任者と寄附額、寄附日及び支出先について確認し合うなどして訂正を行いました。 総務省に相談した上で、寄附日について特定できないものについては「不明」または「頃」と記載し、「対価の支払いをした者」の数についても「不明」と記載しています。「不明」の部分については、今後判明すれば、いずれも訂正することとしています。 |
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●家具やがれきの受け入れ開始 被害が大きい珠洲市 能登半島地震 2/1
能登半島地震で建物の倒壊など被害が大きかった石川県珠洲市では、1日から使えなくなった家具やがれきなどの受け入れが始まりました。 被災した男性「(Q.たくさん積みましたか)これで5往復目ですね。大変です」 地震で使えなくなった家具や家電製品などの受け入れは、午前9時から始まりました。 普段は駐車場として利用されている場所が「仮置き場」となり、被災者がトラックなどに積み、続々と訪れていました。 珠洲市によりますと、委託した処理業者などと協力して処分するということです。 今後2週間で受け入れ先を他にも数カ所、増やす準備を進めています。 |
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●能登半島地震から1カ月 長引く断水 “災害関連死”を防ぐには 2/1
能登半島地震の発生から1カ月が経った今も、自宅を離れて避難生活を余儀なくされている人が多くいます。ライフラインの復旧は徐々に進んでいますが、被害の大きかった地域では今も広い範囲で断水が続いています。 石川県の七尾市では1万4600軒、輪島市では1万軒、珠洲市では4800軒など8つの市と町で合わせて4万890軒で断水しています(2月1日時点)。 水が十分に使えずに避難所の衛生環境が悪化することで、懸念されるのは「災害関連死」のリスクの高まりです。 石川県の避難所では、インフルエンザや新型コロナウイルス、ノロウイルスなどに感染した人が、多い時には1日で200人近くになるなど、一時、増加していました。 2016年の熊本地震で最も多かった災害関連死の死因は、肺炎や気管支炎などの呼吸器系の疾患でした。 水分補給や歯磨きなどの口腔ケアが十分にできなかったことが原因の一つとされています。 厚労省は、避難所での可能な範囲での感染症対策や少量の水でも数回に分けてうがいをすることが効果的などと呼び掛けていて、災害関連死を減らしたい考えです。 また、能登半島地震では、26の高齢者施設で入所者1000人ほどの大規模な搬送が行われました。 災害派遣医療チーム=DMATとして搬送の調整を行った名古屋大学医学部附属病院の山本尚範医師は、今回のように長期間の断水など、インフラの復旧に時間がかかっている場合、要介護者は災害関連死の可能性が高いと考え、迅速な対応が必要だったと振り返りました。 そのうえで、搬送された要介護者のケアや入所者がいなくなった施設の職員は仕事に復帰できるのか、今から支援をしなければ地域のケアシステムが崩壊する恐れがあると警鐘を鳴らしています。 政府には、親しい人と分かれて住み慣れた家を離れざるを得なかった人々の生活や生業を支える継続的な支援が求められています。 |
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●自民 安倍派 三ツ林裕己衆院議員 2954万円キックバック 2/1
自民党安倍派の三ツ林裕己衆議院議員はコメントを発表し、派閥の政治資金パーティーをめぐる事件について「心配していただき誠に申し訳なく思う」と陳謝しました。 そのうえで販売ノルマを超えて集めた派閥のパーティー券収入から総額2954万円のキックバックを受けたほか、これとは別に派閥から136万円の誤った入金があったことを明らかにしました。 使いみちについては同僚議員のパーティー会費や交通費、議員や有識者との会合費などに充てたと説明しています。 そして「不記載があったこと自体は真摯(しんし)に反省し、今後適切に収支報告書を訂正するとともに政治とカネの問題で疑念を抱かれることがないよう襟を正していく」としています。 |
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●安倍派政務官2人が辞任 パーティー裏金事件 震災復興や政権運営に影響も 2/1
自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件で、政府は31日の持ち回り閣議で、政治資金収支報告書への還流分不記載が新たに判明した小森卓郎総務政務官(衆院石川1区)と加藤竜祥国土交通兼内閣府兼復興政務官(長崎2区)の辞任を決定した。 岸田文雄首相が国会審議に影響が出ると判断し、事実上の更迭。小森、加藤両氏の不記載額は70万円と10万円で、辞表を提出していた。小森氏の後任に岸田派の西田昭二衆院議員(石川3区)、加藤氏の後任に二階派の尾崎正直衆院議員(高知2区)を充てた。 小森氏は能登半島地震の被災地選出で震災対応にもあたっていた。復興政務官と合わせ2人が交代、復旧・復興の足かせとなりかねない事態に、首相の責任を問う声が上がる。 首相は昨年12月、安倍派の政務三役15人全員を更迭する構えを見せたが、還流を受けていないとされた小森、加藤両氏を含む5人の政務官を続投させていた。立憲民主党の安住淳国対委員長は「首相の調査がいかにお手盛りかがはっきりした」と両断した。 |
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●「組織より自分の政治生命を優先」 萩生田光一前政調会長、“雲隠れ” 2/1
自民党派閥の裏金事件を受けて、自身が会長を務めた宏池会の解散を表明した岸田文雄総理には「党より政権の存続を優先した」という怨嗟の声が少なくない。 一方で、逮捕者を出した最大派閥の安倍派幹部には「組織より自分の政治生命を優先した」との評が。“5人衆”の一人、萩生田光一前政調会長のことである。 「1月19日夜、党本部で安倍派の議員総会が行われ、全会一致で解散が決議されました。会はおよそ1時間半にわたって紛糾しました」とは安倍派の中堅幹部。 「若手からは“早く解散すべきだ”との声や、幹部の責任を問う意見が飛び出した。西村康稔前経産相や松野博一前官房長官、世耕弘成前参院幹事長、そして高木毅前国対委員長の四人はうつむき加減で沈黙。お家存続の可否を仲間と議論する重要な場でしたが、萩生田さんの姿はありませんでした」 ●子飼いの候補者の応援に かつては会長の座を目指した派閥の、大事な場面で雲隠れ。その行く末を打ち捨てて向かった先は、自身の選挙区(東京24区)がある八王子市だった。2日後に控えた市長選挙に出馬していた、子飼いの候補者の応援に駆け付けていたのだ。 自民党の都連幹部が言う。 「萩生田さんが来たのはJR八王子駅近くの、自公が推薦する初宿(しやけ)和夫候補の演説会場でした。ただ、裏金問題に関する聴衆からの質問を嫌がったのか、街宣車には上らず、その脇で笑みを浮かべるだけ。ついぞマイクを握りませんでしたが、“オレが表に出過ぎるとマイナスになるだろ”と理由を周囲に話していました」 選挙戦は事実上、三つどもえの争いとなった。元都庁職員の初宿氏、小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会に所属していた滝田泰彦元都議、同様に元都民ファ所属の元都議で、日本維新の会所属の衆院議員秘書の両角(もろずみ)穣氏の三人である。結果は初宿氏が激戦を制した。 「意外にも、都知事は都民ファOBの二人ではなく初宿を応援した。理由は昨年末の江東区長選の際、自公と密約を交わしたからだとされています。“江東区では都知事が支援する候補を自公が推薦する。その代わり都知事は八王子で元都民ファを応援しない”との内容だったとか」 実際、江東区長選では小池氏が推す候補が当選した。 「双方が取り決めを守った結果、八王子では与党サイドが勝利した。この密約を裏でまとめたのが萩生田さんだったといいますね」 ●出馬を見送るよう圧力 萩生田氏の八王子市長選挙への執着は並大抵ではない。水面下では初宿氏の対抗馬の妨害にも動いていた。 別の都連関係者の解説。 「初宿さんと滝田さんより、両角さんの出馬表明はひと月ほど遅かった。両角さんは元八王子市議で保守系会派に属していたこともあり、萩生田さんは初宿さんの票が食われることを恐れ、彼に出馬を見送るよう圧力をかけています。個人的な関係から両角さんの応援をしていた維新の国会議員や関係者にも激怒し、懇意の維新幹部に支援中止を申し入れてもいました」 その圧力に屈したのか、東京維新の会は19日に初宿氏の支援を表明している。 「萩生田さんは街頭での演説を避ける一方、数十人規模のミニ集会で裏金事件を念頭に“私が検察に連れて行かれることはありませんから”と軽口をたたいていた。反省などしていませんよ」 守るべきは仲間より自分。先の会見での無機質な釈明も、国民はおろか周囲の理解すら得ることはあるまい。 |
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●「ドリル優子」や「エッフェル姉さん」も…これで裏金疑惑追及?「政治刷新本部」 2/1
「政治は国民のためにあるという自由民主党の立党の精神に立ち戻る必要がある。我々自民党は変わらなければなりません」 1月11日に行われた自民党政治刷新本部の初会合で、本部長の岸田文雄首相はこう力説したのだが――。 「そもそもこの刷新本部は、安倍派を筆頭とした党内派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑を受けて作られたもの。最高顧問の菅義偉前首相が『派閥の解消がスタートライン』と話したように、自民党を大胆に改革することが目的であるはずです。 ところが、刷新本部最高顧問で志公会を率いる麻生太郎元首相が別の会合で派閥の効能を説くなど早くも言っていることがバラバラ。岸田首相も、自身が率いる宏池会への思いが強いのか、派閥解消に消極的で当事者意識が全くない。本部メンバーの安倍派議員10人の中の9人は裏金疑惑の当事者。いったい何が狙いなのか……」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏) 刷新本部幹事長には隠し子問題や警察の捜査への介入疑惑が報じられた木原誠二元官房副長官、本部長代理には″ドリル優子″こと小渕優子選対委員長(50)、そして副本部長には過去に「違法デリヘル通い疑惑」で世間をザワつかせた逢沢一郎衆議院議員(69)が選出された。 はたしてどういう基準で人選が行われたのか。自民党職員が匿名を条件に話す。 「茂木敏充自民党幹事長(68)の指示で幹事長室の党職員が作成し、それを官邸が承認した。担当職員がメンバーのリストを作成するように命じられたのは初会合が行われた11日のわずか2日前、1月9日のことだったようで、メンバーの議員も急に知らされたと聞いています」 第一回の会合に、パリ視察が観光旅行だと批判された″エッフェル姉さん″こと安倍派の松川るい参議院議員(52)が出席できなかったのにはそんな背景があったのだ。それにしたって、″いわくつき″の議員ばかり選ばなくてもよかったのではないだろうか。 「小泉進次郎元環境大臣(42)ら歴代の青年局長、女性局長を中心に構成したらこうなった。『若い人から厳しい意見を頂戴した』と結論付けるためのパフォーマンスですよ。 全体の構成を見ればわかりますが、実際には大派閥から多人数が、小派閥からは少人数が参加している。党職員が叩き台を作ったわけですから、国民より党内に目配りした人員になっています。結局、今回の刷新本部は国民の不満のガス抜きでしかない」(同前) 岸田首相、こんなお笑い「刷新本部」で自民党が変わると本気でお考えですか。 |
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●特別委員会設置は国会で判断と首相 2/1
岸田首相は代表質問で、自民党裏金事件を巡り国会に特別委員会を設置し全容解明すべきだとの野党の指摘に対し「国会で判断する事柄だ。与野党の議論の場が設けられた場合には積極的に議論に貢献していく」と述べた。 |
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●派閥解散後も「説明責任」=岸田首相、アイヌ差別を問題視―参院代表質問 2/1
岸田文雄首相の施政方針演説に対する各党代表質問が1日午前、参院本会議で始まった。自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件に関し、首相は「派閥を解散した場合でも、関係者の説明責任がなくなるものではない」と強調した。与野党による政治改革の議論に前向きな姿勢も示した。立憲民主党の水岡俊一参院議員会長への答弁。 首相は自民党議員によるアイヌ民族への差別的投稿が問題になったことに関し、「アイヌであることを理由とした差別はあってはならない」と強調。その上で「アイヌ施策推進法の施行から5年が経過する5月以降、施行状況について検討を加え、所要の措置を講じていく」と述べた。 |
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●参院…論戦続く 安倍派の不記載キックバック判明も首相は明確な回答避ける 2/1
国会では、参議院で岸田首相の施政方針演説に対する代表質問が行われている。 最新情報を、国会記者会館からフジテレビ政治部・鈴木杏実記者が中継でお伝えする。 派閥の解散ではなく、裏金疑惑の解明を求めた野党議員に対し、岸田首相の答えはわずか1分。議場からは「それだけか」とヤジが飛ぶ場面があった。 立憲民主党・水岡俊一議員「派閥を解散して、うやむやにするのではなく、政策集団として存続したまま金や人事の問題と決別すべきではなかったのでしょうか。問題は派閥ではなく裏金です」 岸田首相「派閥を解散した場合であっても、関係者の説明責任がなくなるというものではない」 また、安倍派が収支報告書を修正し、キックバックの不記載が判明した多くの安倍派議員らについて、野党は「議員辞職に値する」と迫ったが、岸田首相は1日も明確な答えを避けた。 一方、その安倍派は、まもなく自民党本部で最後となる派閥総会を開き、解散の手続きの確認を行う。 |
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●参院代表質問“政治資金事件”めぐり野党が追及… 2/1
1日から参議院で岸田首相の施政方針演説に対する代表質問が行われています。 野党側が、不記載があった議員の辞職や離党を迫ったのに対し、岸田首相は「派閥が解散しても説明責任がなくなるわけではない」と強調しました。 立憲民主党・水岡参院会長「『裏金議員』は明らかに議員辞職に値します。自民党は過去に緊急事態宣言下で銀座のクラブに行っていた議員を離党させました。今回の裏金議員はそれよりもよっぽど悪質なのに、離党も除名も辞職もしない。これは一体どういうことでしょうか」 岸田首相「派閥を解散した場合であっても、関係者の説明責任がなくなるというものではないと考えております」 立憲民主党の水岡参院議員会長はさらに、政治資金規正法など「法改正も必要な大きな事件だ」「自民党が本気ならば国会で特別委員会を設置し、徹底的に議論を行い、全容解明をすべき」と迫りました。 これに対して岸田首相は、「制度改革については各党との真摯(しんし)な協議が必要だ」とした上で、「与野党における議論の場が設けられれば、自民党として積極的に議論に貢献していく」と強調しました。 |
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●三十数年ぶり政治改革「透明化と厳罰化」進むが…政治的自由℃クう 2/1
先週木曜(25日)、自民党の小渕優子選対委員長が茂木派(平成研究会)からの退会を表明したと聞き、「これは岸田文雄首相の思い通りになってきているぞ。もしかしたら、週末の世論調査の内閣支持率は上がるのかもしれない」と思った。 だが、支持率は毎日新聞が前月比で5ポイント上昇したものの、日経新聞は1ポイント上昇にとどまった。 先週の調査では、FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞が5ポイント上昇したが、朝日新聞は横ばい、読売新聞は1ポイント減だった。全体の傾向としては、昨年来の下落傾向はようやく止まったが、まだ上昇には反転していない。 岸田首相が「岸田派(宏池会)解散」を発表し、これに安倍派(清和政策研究会)、二階派(志帥会)、森山派(近未来政治研究会)は追随したが、麻生派(志公会)と茂木派は後ろ向きだった。しかし、小渕氏の退会に続き、茂木氏と折り合いが悪いとされていた参院からも数人が退会を表明したことで、茂木派の結束は急速に弱くなっている。 実力があり、やや強引な茂木氏に対して警戒感を持っていた岸田首相は、今回の「小渕の乱」を聞いて、ほくそ笑んだに違いない。 だが、岸田政権を見る国民の目は依然厳しい。 毎日の調査では、連座制について「導入すべき」が87%にも上っているのに対し、岸田首相が岸田派の解散を6派閥の中で最初表明したことに対しては、「評価しない」の44%が「評価する」の40%を上回っている。国民の関心は「派閥の解散」ではなく「厳罰化」であり、もう一つは「透明化」である。 月曜(29日)に、衆参両院の予算委員会で行われた集中審議では、与野党から厳罰化については「政治資金規正法への連座制の適用」、また透明化については「政策活動費の廃止」などを求める声が出た。 だが、岸田首相は連座制については「各党と議論する」、政策活動費については「政治活動の自由と国民の知る権利のバランスで考える」と述べて、どちらも言質を取らせなかった。 野党各党は温度差はあるが政治改革案を出しており、「政策活動費の廃止」「企業団体献金の禁止」「パーティー券の規制」「連座制の導入」などを提案しており、このうちのいくつかは実現するだろう。 ただ、岸田首相の言う「政治活動の自由」は非常に重要だ。首相も言及したが、米国でもこの「政治活動の自由」を尊重した判例がある。 30年ほど前の政治改革では、政治家と特定の団体や企業との癒着を断ち切るために、献金やパー券の規制を厳しくして額を減らし、その分を政党交付金として税金から配ることになった。この改革を否定はしないが、「政治活動の自由」が制限されたというのも事実だ。すなわち支援したい政治家に自由に支援できなくなった。 三十数年ぶりの「政治改革」という大きな流れの中で、「透明化」「厳罰化」のために「政治活動の自由」はさらに失われることになるだろう。筆者はそれをいいことだとはあまり思わないのだが。 |
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●「尾身茂会長」や「8割おじさん」西浦博がいつの間にか「消えた」… 2/1
コロナ禍が始まった2020年初頭から、尾身茂や押谷仁、西浦博といった専門家が連日メディアに登場した。不眠不休でさんざん働かせた挙げ句、岸田政権の政治家は彼らを突然パージしてしまう。 ●Wi-Fiも通じぬ部屋で コロナ渦の3年間、尾身茂や押谷仁、西浦博ら専門家は何と闘い、そしてなぜ放逐されたのか。気鋭のノンフィクション作家・広野真嗣氏が近著『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』を書き下ろした。そこに綴られる驚愕のドキュメントの数々に、発売直後から話題が沸騰している。 パンデミック発生直後、未曽有の危機に対応するために専門家が霞が関に招集された。 政府中枢に設置された厚生労働省クラスター対策班は、世界第3位の経済大国とは思えない貧相な環境で業務に当たっていた。 〈初歩的な情報を整理するのに膨大な時間を費やしていました。自治体のウェブサイトで公式発表する内容で判るのは県によっては[××県・六〇代・男性]程度だから、地元紙の記事でもっと具体的な所在地とか職業を調べて、エクセルに入力するんです。しかもその検索作業を、医師免許を持つ高度な人材がやっていました〉 厚生労働省の無線LANが脆弱すぎて、チームが全国各地とオンライン会議をやろうとすると接続が切れてしまう。 〈メンバーの私物のポケットWi-Fiを持ち寄って机に並べ、綱渡りの通信状態で地方の現場とテレビ会議をしていた。壁面にいくつものSSID(識別子)が手書きされていて、『もうだめだから○○さんの回線に切り替えまーす』とか、『ビデオを切ってくださーい』とかいう間の抜けたやりとりをしていた〉 通信インフラすらまともに整っていない劣悪な環境下で、尾身茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)や押谷仁(東北大学大学院医学系教授)、西浦博(北海道大学大学院教授/以下、肩書は当時)ら専門家たちはコロナとの闘いを開始したのだ。 〈クラスター対策班がいったん仕切り直すまでの四ヵ月の間に、(西浦が)家族の待つ札幌の自宅に戻ったのは二度だけ。厚労省に深夜まで残ってはビジネスホテルに寝に帰る生活の中で、体重を十キロ以上も増やすほどの重圧にさらされた〉 ●政府がやらないなら俺がやる 決められない政治が大混乱を極める中、首相の安倍晋三は世紀の愚策に打って出る。「アベノマスク」の配布だ。全国約五千万世帯に二枚ずつ布製マスクを配布するという緊急対策は、専門家集団の意見を聞かずに決められた。 かたや数ヵ月後に東京都知事選挙を控えていた都知事の小池百合子は記者会見で「オーバーシュート」(感染爆発)と横文字で強調し、日本国憲法で定められた移動の自由を侵犯する「ロックダウン」に言及して注目を集めた。 こうした中「人との接触の8割削減」を提唱した「8割おじさん」こと西浦博は、決定的な試算を発表して潮目を変えた。 〈人と人の接触を減らすなどの対策を全く取らない場合、国内では重篤患者が八十五万人に上り、半数の四十二万人が死亡する恐れがある〉 衝撃的な数字を発表することに、押谷は〈これは首相が言うべき筋の、重い数字だ〉〈調整が整わないならこの国はもう駄目なんだ、駄目になっても言わないほうがいいんだ〉と反対した。反対を押し切り、西浦は〈自分が泥を被ってでも〉と試算を発表する。 政治リーダーが及び腰になる中、専門家がリスクを取って迫り来る危機を国民に叫んだのだ。 西浦が試算を発表した翌日('20年4月16日)、1回目の緊急事態宣言は全国に拡大された。 ●菅総理に直談判 パンデミックが始まってから半年が過ぎようとしていた'20年7月、官房長官の菅義偉はなおGo Toトラベルキャンペーンを強行しようとしていた。 〈開始時期を(8月上旬から7月22日に)前倒しするという決定も、感染症の専門家には一つの意見も聞かずに発表した〉 すると'20年8月5日、尾身茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)は政治家抜きで単独記者会見を開いて〈感染対策ができなければできるだけ帰省は控えてください〉と訴える。押谷や県知事など18人の分科会メンバーの意見をわずか3日でまとめ上げ、〈オンライン帰省を〉とまで踏みこんだ行動制限を訴えた。 〈政府の二歩、三歩先を行っても政府はついてこられない、だから半歩先を示すのが大事なんだ〉 尾身がこうした強気の進言ができた背景には、疫学解析の専門家である押谷仁(東北大学大学院医学系教授)が膨大なデータを分析し、国民を納得させるだけのエビデンスを整理し続けてきたという実績があった。 〈押谷が行った解析によれば、旅行を含めた移動歴がある人が二次感染を起こす頻度は二五%、移動歴のない人よりも三・四ポイント高かった。しかも、移動にともなって感染を広げているのは、九〇%が十代から五十代の人、つまり、若い人の移動こそが、感染を拡大する要因になっていた〉 コロナ禍突入から半年後の'20年9月、菅は安倍の後を継いで首相に就任する。 〈首相肝いりのGo Toは厚労省内で「Go To ヘル」と揶揄されていた〉〈進言すれば自らのクビが飛ぶ〉 出世の道が絶たれることを恐れる官僚は、菅や関係閣僚を忖度して強い意見を進言しない。そんな中、尾身は菅と直談判してGo Toの中止を諫言した。 菅・尾身会談から2週間後の'20年12月14日、菅はGo Toの全国一律停止を発表する。忖度なき尾身の叫びによって、新型コロナを全国にバラまきかねないGo Toが停止されたのだ。 ●東京五輪を経て たび重なる緊急事態宣言にまん延防止等重点措置、飲食店の休業や時短営業が打たれる中、コロナ禍は収束する様子を見せない。 そんな中、1年延期された東京五輪の開催が'21年7月に迫っていた。第3波、第4波が訪れ、感染力が強力な変異株の出現も報告される中でのことだ。 〈開催の実施や延期、観客の有無に関しては、感染症専門家が責任を持てる範囲を超えています。しかし年明けから変異株が広がり、このまま行けば感染拡大がひどくなることは明らかでした。ここで黙っていたら、歴史の審判に耐えられない〉 尾身は職業的良心によって一歩を踏み出し、国会で五輪開催時期の再検討を訴え続けた。 それだけではない。彼らは東京五輪を断行した際に起きるであろう事態を科学的にシミュレーションしていた。 〈すでに尾身たちは、東京五輪について開催時期に流行が高まった場合にどのように対処すべきか、方向性が次第に固まりそのリスク評価の考え方を提言書としてまとめ始めていた。あとは出すかどうかだが、尾身は、受け入れる側の政府に打診を重ねていたのだ〉 ところが菅も新型コロナウイルス感染症対策担当大臣の西村康稔も専門家集団のリスク評価に耳を傾けることはなかった。 国民を説得するためのエビデンスが準備されていたにもかかわらず、「五輪開催」ありきで突き進んでしまった。 予定どおり'21年7月に五輪が始まると、新型コロナの感染者は過去最大のピークに達した。コロナ病床は満床に近づき、医療崩壊が刻一刻と迫っていた。 国民の生命と安全よりも、五輪のお祭り騒ぎのほうが優先されてしまったのだ。 東京五輪終了直後の'21年9月、菅は退陣を決断した。 ●救世主を追い出した岸田 '21年10月、岸田文雄政権が誕生する。政権初期の'22年1月7日から3月21日にかけて、まん延防止等重点措置が発出された。 岸田はこの間合計6回記者会見を開いているわけだが、安倍・菅のように尾身を御意見番として自分の隣に座らせるのをやめた。 〈政府の基本的対処方針を変更するタイミングでは会見室で首相会見が行われ、そこに分科会長の尾身が同席してきた。/ところが、岸田はこのスタイルを変え、尾身を呼ばなかった〉 岸田政権は尾身や押谷をはじめ専門家集団との距離を取り始め、コロナが下火になるや、もはや用済みとばかりに放逐してしまう。 それまでの対応の是非を細かく検証することもなかった。 〈わずか五回の会合の後、「新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に向けた中長期的な課題について」という二十一ページの報告書を出して終わった〉 '23年5月8日、感染症法上の新型コロナの扱いは2類相当から5類に引き下げられた。 その位置づけは「季節性インフルエンザ」と同等に変わった。 〈永田町や霞が関にも日常が戻ってきた。政府に都合のよい結論にお墨付きを与えてくれる専門家の「御用審議会」が政府の決定を支える日常が戻ってきた。そうした枠にはまらない尾身たち専門家がいなければ日常性を取り戻すための決定さえ踏み出せなかったのに、新しい日常の風景の中に、尾身や押谷や西浦の存在は消えていた〉 尾身と岸田の最後の面会がわずか15分で切り上げられたことについて、西浦は〈あんまりだという思いはあります。キックアウトですよね〉と嘆息する。 近未来に次なるパンデミックに襲われたとき、虫がいい政治家は放逐した専門家に再び招集をかけるのだろうか。 |
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●「裏金議員リスト」5日までに野党に提示 「とっくに報道されている」辛坊が苦言 2/1
キャスターの辛坊治郎が2月1日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。自民党は政治資金のキックバックを政治資金収支報告書に記載していなかった党所属議員のリストについて、野党の要求通り5日までに提示する方針を示したことを巡り、「誰がいくらもらったかについては、とっくに報道されている。与党も野党も真面目に時間を使って仕事をしてくれ」と苦言を呈した。 自民党は政治資金のキックバックを政治資金収支報告書に記載していなかった党所属議員のリストについて、野党の要求通り5日朝までに提示する方針を示した。与野党は、リストの提出により2024年度の予算案に関する基本的質疑を5〜7日に行うことで合意。ただ、リストが不十分なら野党は審議拒否も辞さない構えだ。 辛坊「誰がいくらもらったかについては、とっくに報道されています。自民党が野党にリストを提出することに、何の意味があるのでしょうか。報道されているリストは検察がメディアにリークした情報で、自民党が公式に発表しているものではないというのが、野党の言い分なのでしょうかね。提出期限についても、与野党間で綱引きをしている意味が分かりません。国会議員の皆さん! 与党も野党も真面目に時間を使って仕事をしてください。」 |
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●自民・杉田水脈なでしこの会「裏金1564万円」 2/1 《公金チューチュー議員はあなた》と大ブーメラン 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)が1月31日、2020〜22年の政治資金収支報告書の訂正を総務省に届け出た。 安倍派では、同年分を含めた5年間で、現・元職の衆院議員に関係する58団体、参院議員関連の37団体の計95政治団体に対する総額約6億7600万円の寄付を記載していなかったと公表。「国民の政治不信を招き、ご迷惑とご心配をお掛けし、心よりおわび申し上げる」とのコメントを出したが、これにて一件落着とはいかないのは言うまでもない。 昨年11月〜12月にかけて問題が指摘された際、「適正に処理している」などと言って詳しい説明を避けてきた安倍派議員の面々。自身や関係者の逮捕、起訴の可能性が低くなったと見るや、次々とキックバックを認め始め、「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに政治資金収支報告書を相次いで訂正している。だが、「訂正」したとする収支報告書を確認すると、「寄付」として支出を受けた期日は「不明」で、支出先の名前も適当に記入したとしか考えられないものが少なくないから、いい加減だろう。 解散を決めたとはいえ、安倍派議員に対する国民の怒りは一向に収まる気配は見られないが、とりわけ、SNS上で投稿が相次いでいるのが、杉田水脈衆院議員(56=比例中国ブロック)だ。 ●杉田氏はキックバック計1564万円を収支報告書に記載せず 杉田氏の資金管理団体「杉田水脈なでしこの会」は1月31日、2018〜20年と22年に安倍派からキックバックされた計1564万円を収支報告書に記載していなかったとして、同告書の訂正を兵庫県選挙管理委員会に届け出た。 キックバックされた約4300万円を記載せず、東京地検特捜部から政治資金規正法違反罪(虚偽記載)で略式起訴された谷川弥一元衆院議員(82)=東京簡裁が1月30日までに罰金100万円、公民権停止3年の略式命令=と比べて金額が少ないとはいえ、それでも1500万円超のカネをため込んできたのだから悪質さは変わらない。 杉田氏と言えば昨年、保守系月刊誌のユーチューブ番組に出演した際、アイヌ文化振興事業に公金不正流用疑惑があるとの見方を示し、関係者が補助金などを必要以上に得ているのではないかとして「公金チューチュー」と揶揄し、国内外で批判の声が上がった。 このため、SNS上ではこんな声が拡散されている。 《公金チューチュー議員はあなた。パーティー収入は公金じゃないとでも言いたいのか》 《収支報告書に記載しない裏金をウン千万円も作りながら、国民に対して税金泥棒かのような差別発言。見事なダブスタ》 《アイヌ文化事業は正式な手続きに則って申請する補助金。あなたは法律も手続きも無視して得た裏金。悪質なのはどちらなのか》 裏金事件はまだまだ終わらない。 |
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●能登半島地震1か月 志賀原発の現状と今後は 2/1
能登半島地震から1日で1か月です。最大震度7を観測した石川県志賀町にある志賀原子力発電所では、一部が使えなくなっている外部から電気を受ける系統の復旧時期が依然、見通せていません。さらに、再稼働の前提となる審査では、地震に関する新たな知見を反映するため、年単位での長期化が避けられない状況です。 志賀原発は1号機、2号機ともに2011年から運転を停止していますが、1月1日の地震では1号機の原子炉建屋地下2階で震度5強相当の揺れを観測し、建屋の外にある外部から電気を受ける際に使う変圧器が壊れました。 この影響で、あわせて3系統5回線ある送電線のうち、1系統2回線が現在も使えなくなっています。 北陸電力によりますと、2月中旬に詳しい点検を行ったうえで変圧器の復旧方法を検討することにしていて、現在のところ復旧時期の見通しは立っていないということです。 北陸電力は、ほかの系統から電気を受けられているほか、非常用のディーゼル発電機なども備えていることから、使用済み核燃料を保管するプールの冷却など安全上重要な設備の電源は確保されているとしています。 一方、志賀原発の2号機について2014年から行われている、再稼働の前提となる審査は、今回の地震の影響で、さらなる長期化が避けられない状況です。 原子力規制委員会による審査では、焦点となっていた敷地内の断層について、去年3月、「活断層ではない」とする北陸電力の主張が認められ、議論の対象が周辺の断層に移ったばかりでした。 この中で北陸電力は、能登半島地震の震源域と重なる半島北部の断層について、連動して動く範囲をおよそ96キロと想定していましたが、今回の地震では、政府の地震調査委員会が、およそ150キロの範囲で複数の活断層が関係している可能性が高いと指摘するなど、想定と異なる調査結果が示されています。 規制委員会は、今回の地震に関する知見を審査に反映させる方針ですが、新たな知見がまとまるまでには年単位の時間がかかると見込まれています。 規制委員会の山中伸介委員長は、「これまで考えていなかった断層の動きが見られたので、当然新しい知見として採用する必要があり、それまでには半年から1年はかかる。審査の1項目である地震について検討するだけでも年単位はかかるのでないか」と話しています。 ●相次ぐトラブル 復旧は 1月1日の能登半島地震の影響で、北陸電力の志賀原子力発電所では変圧器が壊れ、外部から電気を受ける系統が一部使えなくなっていますが、そのほかにもさまざまなトラブルが相次ぎました。 先月17日には、非常用ディーゼル発電機に異常がないか確認する試験運転を行っていたところ、5台中1台が自動停止しました。 この非常用発電機は1月30日に復旧し、北陸電力によりますと、試験運転の手順を見直すなど再発防止策をとったということですが、原子力規制庁は、「北陸電力の手順の確認が足りなかった」と指摘し、今後の検査の中で原因を詳しく調べることにしています。 また、送電線につながる外部の変電所で、絶縁に使うセラミック製の部品が壊れているのが見つかり、北陸電力がことし6月までに交換することにしているほか、地震によって生じた敷地内の段差や傾いた設備などについては、来年度中の復旧を計画しています。 さらに、志賀原発周辺に設置されている放射線量を測定するモニタリングポストでは、通信が途絶えるなどした影響で、116か所のうち最大18か所で、一時、データが得られなくなりました。 いずれも志賀原発から半径15キロから30キロほどの範囲にあり、このうち石川県内の17か所は原発の北側に位置する輪島市と穴水町に集中し、この地域一帯で観測できない状態になりました。 その後、通信環境の回復や替わりの装置の設置などによって復旧が進み、1月31日、最後に残っていた1か所でバッテリーを交換したことで、1か月ぶりにすべてのモニタリングポストが復旧しました。 モニタリングポストは、住民の避難などを判断するための重要な設備で、原子力規制庁は、今後、さらに詳しく原因を調べ、対策を検討することにしています。 ●複合災害に不安も見直し限定的 今回の地震で、志賀原発では、周辺で避難や屋内退避が必要な事態にはなりませんでしたが、能登半島では、道路の寸断や建物の倒壊が相次いだことから、地震と原発事故による「複合災害」となった場合の対応に原発を抱えるほかの地域からも不安の声が上がっています。 このうち、去年原子力規制委員会による事実上の運転禁止命令が解除され、東京電力が再稼働を目指している柏崎刈羽原発が立地する新潟県では、1月、東京電力が開いた住民説明会で、地震の際の避難や原発の安全対策について問う質問が相次ぎました。 国の原子力災害対策指針では、原発で重大な事故が起きた場合、おおむね半径5キロ以内の住民は直ちに避難し、5キロから30キロ以内の住民は、自宅や避難所などの建物の中にとどまる「屋内退避」を行ったうえで、地域で計測された放射線量が一定の値を超えた場合に避難を始めるとされています。 柏崎刈羽原発の再稼働への同意の判断をめぐり、新潟県の花角知事は県の原発に関する防災計画が、国の指針を踏まえて策定されていることを念頭に「屋内退避などは再稼働に関する議論の材料だ」などと述べ、規制委員会による検討の推移を注視する姿勢を示しました。 こうした声が複数の地域であがる中、原子力規制委員会は2月中旬にも指針の見直しに向けた議論を始めることにしています。 ただ、山中伸介委員長は1月の記者会見で、原発が稼働している地域では、避難の手段や屋内待避の施設は確保されているという認識を示したうえで、見直しの対象になるのは屋内退避を開始したり解除したりするタイミングに限定されるという考えを示しています。 |
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●進まぬ耐震化、被害拡大要因か 能登半島地震 死因9割「家屋倒壊」 2/2
最大震度7を記録した能登半島地震では、多くの人々が倒壊した家屋の下敷きになるなどして命を落とした。平成7年の阪神大震災以降、国は住宅などの耐震化の重要性を訴えてきたが、過疎地の住宅の老朽化や耐震化の遅れなどが被害拡大を招いた可能性がある。全国的にも耐震性が十分でない戸建てが数百万単位で残されており、同様の被害が繰り返される懸念は払拭できていない。 石川県によると、能登半島地震の住宅被害は2日時点で、4万9千棟を超える。死者は災害関連死15人を含む240人で、県が氏名を公表した129人のうち、86%にあたる111人の死因が家屋倒壊だったことが判明している。 国内では、現在の仙台市域で4千戸以上の住宅が全半壊した昭和53年の宮城県沖地震後、耐震基準を改定。56年以降につくられる住宅・建築物に対しては、震度5強程度の地震ではほとんど損傷せず、震度6強から7程度の強い地震でも人命に危害を及ぼす倒壊などの被害を起こさないといった新基準を設けた。 さらに、地震による直接的な死者の約9割が建物の倒壊などが原因だった阪神大震災を受け、国は「耐震改修促進法」を制定。56年改定の耐震基準を満たさない古い住宅については、所有者に耐震診断や改修の努力義務を課すなどした。 国土交通省によると、平成30年時点で全国の住宅の耐震化率は約87%。戸建て住宅に限ると約81%に下がり、約560万戸が「耐震性不十分」であると推計される。 過疎地では高齢化も耐震化を躊躇する要因になっているとみられ、能登半島地震の被災地では、石川県輪島市と珠洲市の住宅耐震化率はそれぞれ約45%、約51%だった。 また、現行耐震基準前の昭和55年以前に建てられた住宅の比率は珠洲市が65%で、総務省が調査した全国の市区町村で最も高い。能登町(61%)が上から2番目、輪島市(56%)が5番目となり、能登半島で住宅の老朽化が際立っていた。 南海トラフや首都直下など、近い将来に発生が危惧される巨大地震は少なくない。国交省は「令和12年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消」との目標を掲げているが、対策は急務だ。 |
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●パーティー収入のキックバック不記載は「脱税」と市民団体が刑事告発 2/2
自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、派閥の幹部ら10人が受け取った資金を所得税として計上せず、脱税した疑いがあるとして、東京地検に告発状が提出された。 自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐっては、収支報告書にうその収入額を記載した罪で、池田佳隆議員と大野泰正議員が在宅起訴され、谷川弥一前議員には罰金100万円と公民権停止3年の略式命令が出ている。 一方、安倍派の「5人衆」と呼ばれる幹部ら7人は、不起訴処分となった。 これについて市民団体は、立件された3人と幹部ら7人が、派閥からキックバックされた資金などを所得税として計上していないのは、脱税にあたる疑いがあるとして、東京地検に所得税法違反の告発状を提出した。 |
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●自民・安倍派キックバック…埼玉県連会長の柴山氏は不記載896万円 2/2
自民党安倍派(清和政策研究会)が議員ごとに設定したパーティー券販売ノルマの超過分をキックバック(還流)していた問題を巡り、県連会長の柴山昌彦衆院議員(埼玉8区)が1日、さいたま市内で会見し、不記載の還流分が計896万円に上ると明らかにした。訂正された2020〜22年分は計556万円。柴山氏は「結果的に修正の運びとなり、誠に申し訳なく、心からおわび申し上げる」と陳謝した。 柴山氏は、13年までそれぞれの政治資金収支報告書に記載していた還流について、14年ごろに清和研側から「今後は収支報告書に計上しないので、貴事務所でも受領について同様の対応を取ってほしい」と申し入れがあり、「非常に困惑した。本当に法的に大丈夫なのかという疑念が生じた」と、不記載の認識があったことを認めた。事実関係を示す資料は捜査当局に全て提出し、捜査にも全面的に協力してきたという。 柴山事務所では秘書の判断で、還流された資金を、いずれ清和研に納付することを前提とした「預かり金」として事務所内で保管する対応を取っていたとし、弁護士でもある柴山氏は「コンプライアンス(法令順守)を一番のよりどころ、旗印として秘書にも徹底していた。(秘書は)理不尽な対応を迫られ、苦肉の対応だったと思う。そういった対応を強いてしまった(責任の)一端は私にある」と語った。 「預かり金」はその他の活動資金と明確に区別され、これまで一円たりとも使用されることはなかったという。柴山氏は重ねて陳謝し、「なぜ派閥が(収支を)表に出したがらない議員に合わせていくのか、一構成員として、そこまで足を踏み入れることができなかった」と述べた。 「身の処し方についてもけじめをつける必要がある」と話す柴山氏は県連会長の職について、「とどまるのはふさわしくないのでは」と小谷野五雄県連幹事長(県議)に電話で意向を伝え、「党の再生にふさわしい体制を整えなければいけない」と判断を県連に委ねているとした。 中根一幸衆院議員(比例北関東)は18年からの5年間で不記載の還流が計1860万円だったことを文書で報告。「この資金は地元での政治活動の資金として支出された。私的な蓄財や流用、不正な支出はない旨、確認しております」などと陳謝した。 大塚拓衆院議員(埼玉9区)は自身の公式ホームページで、「21、22年分の528万円が記載漏れの状態にあり、これらのお金は実際には一円も使われていないことから、経緯を踏まえて必要な対応を検討し、できるだけ速やかに対応する」などと報告した。 三ツ林裕巳衆院議員(埼玉14区)は、還付金は秘書が管理し、同僚議員のパーティー会費などに充てたと文書で説明。「適正な形で活用した。不記載の事実自体は真摯(しんし)に反省し今後適切に訂正する。政治と金の問題で疑念を抱かれないよう襟を正したい」とした。 |
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●衛藤征士郎議員が代表の党支部 党員から集めた党費記載せず 2/2
1日、自民党の派閥から1000万円を超えるキックバックを受け取っていたことを明らかにした衆議院大分2区選出の衛藤征士郎議員が、党員から集めた党費300万円余りを政治資金収支報告書に記載していなかったことがわかりました。 衛藤氏の事務所によりますと、衛藤氏が代表を務める「自由民主党大分県第二選挙区支部」では、おととしまでの3年間、党員から集めた党費合わせて312万円を収支報告書に記載していなかったということです。 事務所は、31日付けで県選挙管理委員会に訂正を届け出ました。 これまでの収支報告書では、党費の収入はどの年も「0円」としていましたが、訂正後は2020年が117万円余り、2021年が98万円余り、2022年が96万円余りあったとしています。 事務所は、これまで記載してこなかったことについて「”党費は自民党大分県連が収入として記載するため、支部では記載しない”という以前の誤った運用を引き継いでしまっていた。これ以上の政治不信を招かないようにと行った確認の中で、今回の不記載が見つかり、申し訳なく思う」としています。 |
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●岸田首相、昨年12月のパーティー延期 田村共産委員長「まだやるつもりか」 2/2
岸田文雄首相は2日の参院本会議で、昨年12月に開催予定だった自身の政治資金パーティーを延期したと明らかにした。共産党の田村智子委員長の質問に、「諸般の事情で開催が困難となり、延期した。会費は延期後の開催に充てるが、参加困難な方には返金する」と答えた。 田村氏によると、パーティーは昨年12月15日に予定されていたという。 これに関して、田村氏は2日の記者会見で「首相は国民の怒りがある中、政治資金パーティーをまだやるつもりなのか」と批判。首相側が受け取ったパーティー券収入については、「開催のめどがない。パーティーを開いていないのだから寄付になる。企業・団体が買った分は違法献金だ」と指摘した。 |
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●麻生氏が上川外相への容姿発言を撤回 「表現、不適切だった」 2/2
自民党の麻生太郎副総裁は2日夜、上川陽子外相の容姿について「そんなに美しい方とは言わない」「おばさん」などと講演で触れた自らの発言を撤回した。朝日新聞の取材に対し、「容姿に言及したことなど表現に不適切な点があったことは否めず、撤回させていただきたい」との談話を出した。 コメントは事務所名で、「上川大臣の功績を紹介する趣旨だった」と釈明しつつ、「各位からのご指摘を真摯(しんし)に受け止める」と記した。「あらゆる方々、特に女性や若者が能力を十分に発揮し、活躍できる環境を整えていくことが政治の責務」とした。 麻生氏の発言をめぐっては、野党などから「暴言」と批判が続出。岸田文雄首相も同日の参院本会議で「性別や立場を問わず、年齢や容姿を揶揄(やゆ)し、相手を不快にさせるような発言は慎むべきだ」と答弁していた。 麻生氏は1月28日、福岡県芦屋町での講演で、上川氏について「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」「そんなに美しい方とは言わんけれども、英語できちんと話をし、外交官の手を借りずに自分でどんどん会うべき人に予約を取っちゃう」などと語った。 |
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●岸田首相「年齢・容姿の揶揄は慎むべきだ」 上川外相への麻生氏発言 2/2
自民党の麻生太郎副総裁が上川陽子外相について「そんなに美しい方とは言わない」「おばさん」などと言及したことをめぐり、岸田文雄首相は2日の参院本会議で「性別や立場を問わず、年齢や容姿を揶揄(やゆ)し、相手を不快にさせるような発言は慎むべきだ。このことは当然のことだ」と述べた。立憲民主党の田島麻衣子氏が「年齢や容姿を揶揄する発言は許されるのか」とただしたのに対し、答えた。 首相は「岸田内閣でも全ての方が生きがいを感じられ、尊厳が損なわれることなく、多様性が尊重される包摂的な共生社会を実現していく。この基本方針に基づいて政策を進めていく」とも語った。 一方、上川氏は1月30日の閣議後の記者会見で、「様々なご意見やお声があると承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている。国民に理解され、支持される外交を展開していくことに専心している」とし、麻生氏の発言への直接の論評を避けた。 ・・・ |
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●中国が新たなブイ、日本EEZ内に漂流 実効支配を狙う暴挙=@2/2
沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)で先月末、中国当局のものとみられるブイが漂流状態で発見された。中国は昨年夏にも尖閣周辺の日本のEEZに別のブイを設置し、日本の撤去要求を無視してきた。こうした動きは覇権主義を背景に、中国が管轄権を既成事実化し、実効支配を狙う暴挙≠ノ見える。「即時撤去」を主張する声が上がるなか、岸田文雄政権は毅然(きぜん)とした姿勢を示せるのか。 森屋宏官房副長官は1日の記者会見で、海上保安庁が1月29日、尖閣諸島の北約170キロの日本のEEZで、新たなブイが漂流しているのを確認したと明らかにした。 ブイは直径5メートルほどで、「中国海洋監測」と表記され、上下を逆さに転覆し、機能停止していた。政府は中国側に説明を求めたという。 中国海警局船の動きも看過できない。昨年1年間に、尖閣諸島周辺の接続水域では、海警局船の侵入が通算352日確認され、2012年の尖閣国有化以降で最多となった。尖閣諸島は日本固有の領土だが、海警局側は、日本の漁船と海保船が尖閣海域に「不法侵入した」などと、常軌を逸した主張をしている。 海保関係者は「海警局は21年、人民解放軍傘下の準軍事組織に改組され、艦船の大型化や武装強化を急加速している。暴発の懸念が強まり、現場の緊張感は日に日に高まっている」と明かす。 自民党外交部会は1日、「ブイの即時撤去要求」の必要性を確認し、自力撤去も見据えて国際社会の理解を得る外交努力をするように政府に求めた。 岸田政権の対応をどうみるか。 福井県立大学の島田洋一名誉教授は「新たなブイも、昨年発見したブイも即時撤去すべきだ。岸田政権は『国連海洋法条約に規定が明記されていない』として撤去に消極的で、中国に付け込まれた。日本の政局混乱も見据えて、中国は攻撃を仕掛けている。日本は与野党が強く撤去を求め、岸田政権の尻をたたかねばならない」と強調した。 |
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●「岸田総理のやりやすい状況が整った」自民・安倍派の活動停止 2/2
2月2日の「おはよう寺ちゃん」は、金曜コメンテーターでMCPアセット・マネジメント チーフストラテジストの嶋津洋樹さんと番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、自民党安倍派の活動停止について意見を交わした。 自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受け、解散が決まった自民党最大派閥の安倍派、清和政策研究会はきのう党本部で最後の議員総会を開き、約45年の歴史に幕を下ろした。安倍派の塩谷立座長は総会冒頭に「歴史ある清和研を閉じなければならないのは断腸の思いだ」と述べた。「日本の政治の中でまた活躍していただきたい」とも語りかけたが、出席者からの拍手はまばらだったという。派閥として一区切りはつけたが、今後も塩谷氏ら安倍派幹部の前途は険しいと産経新聞は報じている。今日からは安倍派幹部らへの聞き取り調査が始まり、自民党執行部が聞き取った内容を踏まえて処分を検討するという。 寺島アナ「自民党安倍派の動き。これは嶋津さん、どうお感じですか?」 嶋津「結局、派閥がダメだという話になったんですけども、勉強集団・政策集団としては残るというわけですよね。だけど安倍派の場合は、安倍さんが亡くなったあと集団指導体制になっていて、これは次の一人がなかなか絞り込めず、温度差があったということです。」 寺島「領袖が決まらなかったということですね。」 嶋津「これに対して岸田政権は、入閣させたりさせなかったり、揺さぶりをずっとかけてきたわけですが、今回の事件によって「図らずも」というか分かりませんが、岸田さんの勝利というか、自民党における岸田さんの力がぐっと強まると。あまりこういう方いらっしゃらないんですけど。麻生さんのところが派閥を残すような方向で話してますけれども、解散しろという圧力が強まっているわけです。だから完全に岸田さんのやりやすいような状況が整ったということで、「図らずも」素晴らしい状況になったんじゃないかなと思います。」 |
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●派閥解消 2/2
●「俺のところに来なきゃ干すぞ」新人議員へ恫喝横行…自民党の派閥解消歓迎の一方で元議員が惜しむ派閥の効能 安倍派などの政治資金パーティーをめぐる裏金事件で自民党の派閥政治に厳しい目が向けられる中、支持率が低迷している岸田文雄首相は岸田派(旧宏池会)を解散し、他派閥もそれに追随した。かつて宏池会所属の参議院議員だった大正大学准教授の大沼みずほさんは「派閥解消にはメリットもあるが、一方で自己主張や承認欲求、名誉欲の強い実力のある政治家をまとめ上げていた“教育機関”を失うという大きなデメリットもある」という――。 ●派閥解消の意義 2024年1月18日、私はある女性議員の宿舎で一緒に鍋をつついていたが、岸田文雄首相が「岸田派を解散することを検討している」と記者のぶら下がりでぶっ放したとの報を聞いた瞬間、口にしていたお酒を思わず噴き出してしまった。 「総理が岸田派(旧宏池会)を解散⁉」あまりに唐突、寝耳に水とはまさにこのことで大きな衝撃を受けた。女性議員も「思い切ったことしたわね」と驚きを隠せない様子だった。 翌日には、安倍派、二階派が解散し、しばらくして森山派が解散をし、他の2つの派閥も政策集団として政治資金パーティーなどは禁止されることから、いわゆる自民党内の「派閥」はなくなる。総理は自ら作りあげたものを壊すことで、他派閥に引導を渡したのだ。 大きな賭けに出たわけだが、派閥解消で、どのような変化がもたらされるだろうか。 まず、議員はより自由にさまざまな政策グループに属し、パーティー券ノルマや派閥の弊害から自由になるだろう。気の合う仲間との勉強会や懇親会はよりオープンで、多元的で多層的なものとなる。派閥は掛け持ちを許さないが、今後さまざまなグループへの出入りが可能となってくることで自民党内の交流が活発になれば、党内もより活力にあふれるものになる。人事も、これまでのように派閥推薦ではなくなるので、党内での部会や調査会、国会対策室や幹事長室などでの働きぶりによって評価され、派閥推薦時代の当選数だけ多い“変な人”が大臣枠に押し込まれることも少なくなろう。 そして新人は、派閥からのリクルートで苦しむこともなくなる。私は参議院議員(2013〜2019年)になる前(シンクタンク研究員時代)から岸田会長や林芳正座長、小野寺五典議員などと面識があり、他の派閥からリクルートされない「宏池会の大沼候補」と思われていたようだ。事実、当選した後、同期の議員はいろいろな派閥からの勧誘があり、どこにしようか悩んでいたが、私は清和会(安倍派)や平成研(茂木派)、志公会(麻生派)といった他派閥の議員から「うちにおいでよ」と言われたことはなかった。 ある同僚議員は、地域の事情で本人の意志に関係なく、無理やり入りたくない派閥に入らされたりしていた。先輩議員から「俺のところに来なければ、委員会での役職など徹底的に干してやる」と言われた同僚議員もいた。 派閥の幹部は自分たちの勢力を大きくしたいために新人リクルートに余念がない。しかし、そこに恫喝や嫌がらせが発生していたのも事実である。2つ、3つの派閥の間で迷い、断った派閥の先輩からはにらまれる。そうした意味ですんなり派閥が決まれば問題ないものの、こじれることで政治生活に支障をきたすこともあるのだ。そうした派閥の弊害がなくなることは好ましいことだ。 「政治とカネ」の問題が国民からの大きな不信を招いている以上、襟を正すという意味で派閥解消という決断は間違っていないし、前述のようなメリットもある。ただし、同時にデメリットもある。 ●派閥解消で失うもの(1)政治資金 政治にはお金がかかる。これはウソではない。実際に政治活動をした私も痛感したことでもある。秘書などを雇う人件費、事務所費、コピー機、ガソリン代、通信費、さまざまな会合への会合費、国政報告などのチラシやパンフレット、ポスター作り……。 事務所を運営していくのは小さな中小企業を経営しているのと同じだ。国会議員は、個人商店の店主なのだ。国会議員の歳費は月額129万円あまり。年約1552万8000円で、期末手当(賞与)として年額635万円を加算すると総額2187万円超となる。それだけの高額報酬を得ているのに足りないはずがない……と思っている国民は多いが、実際は火の車だ。 事務所を運営していくには年4000万〜4500万円ほどかかる。政治活動は政党助成金(自民党では年間1人1200万円)や文書交通費(現在は「調査研究広報滞在費」、各議員に年1200万円)だけではまかなえず、後援会費や国政報告会などで政治資金を集めなければ政治活動を行うことは難しい。加えて、次の選挙の際にかかる費用も貯めていかなければならない。私の場合、最初の選挙で借金として負っていた印刷代を年150万円ずつ返済しながら、月100万円ほど積み立てていた。 そうした意味で、派閥から年に2回支給される「氷代・餅代」は正直ありがたかった。宏池会への会費月5万円を差し引くと1回およそ70万円となる。これらは、5人いた私設秘書たち(公設秘書3人のほかに)のボーナスですぐになくなるのだが、国からボーナスの出る公設秘書と私的に雇う私設秘書との給与格差をいかに縮めるかはどの議員にとっても悩ましい問題であるはずだ。時期的にも私設秘書のボーナスに使っていた議員は多いのではないかと推察する。 派閥解消でこの「氷代・餅代」も消えるわけで、秘書を雇えなくなったり、よほど経費を節減しなければ議員の事務所家計が破綻したりするケースが続出するかもしれない。 ●派閥解消で失うもの(2)総裁選に必要なお金 派閥を運営していく中で、派閥が勉強会を開催すれば講師の方への謝金が発生する。懇親会や夏の合宿もお金がかかる(宿泊費などは派閥が負担)。ここは参加者の実費でもいいと思うのだが、それより何よりお金がかかるのが、総裁選である。 議員内閣制の日本において、議席が多数である与党の代表が日本国の総理になる。そのため、現在では、自民党の総裁選挙=日本の総理を決める選挙となる。自民党には全国におよそ112万の党員がいる。党員に総裁候補の政策、人柄を知ってもらうべく、党では機関誌を発行したり、全国行脚して討論会を開催したりする。 総裁選は公職選挙法に定められていない選挙のため、それぞれの総裁候補を応援する各陣営でもちらしを作って郵送したり、電話作戦を行ったりする。その際に電話代、郵送代、リーフレット印刷代など莫大な資金が必要となる。当然、全国を飛び回る遊説にかかる交通費や宿泊費もかかる。私も山形県で参議院の候補者になる前に、党員選挙を2回経験しているが、県連から交付された資金は数十万円で、約1万人の党員がいる山形県においてその十倍以上の経費がかかった。それを候補者は自腹で払う。 投票してもらうための政治活動は民主主義を支える土台となる。そのため、チラシやはがきで候補者の考えや思いを知ってもらうことや電話作戦で候補者の知名度をあげること、各陣営がそれぞれの地域で座談会などを開催し、候補者と党員の対面の機会を設けることで党員にアピールするのは総裁選勝利の戦略上とても重要だ。 派閥主催のパーティー収入はこうした地道な活動にも使われていたが、今後、派閥を解消するならば、新規に政党法を制定し、総裁選挙で各候補の使えるお金は党本部が準備する必要がある。違反があれば、公職選挙法のように罰則規定を設けるような形だ。 派閥を解消するならば、新規に政党法を制定し、総裁選挙で各候補の使えるお金は党本部が準備する必要がある。違反があれば、公職選挙法のように罰則規定を設けるような形だ。 ただ、党本部からお金をもらって、総裁選を戦いますというのはどこかひ弱な感じを受けてしまう。「権力を奪取しにいく」という勇ましい行為にふさわしくない。そんな感覚を感じる政治家は少なくないのではないか。 総裁選に向けて、党の世話にならず自力でお金集めをして、その力を内外に見せつける。それにより我こそが総裁にふさわしい人物であるとアピールできた。国民からは見えにくいかもしれないが、派閥がお金集めをするパーティーを行う理由、それは自分たちの派閥から総裁候補を出すための「貯蓄」をしておくという側面もあったのだ。 総理候補は総裁選で鍛えられ、総理になるには、政策、人柄、胆力、お金……あらゆるものを乗り越えられた者こそふさわしいというダイナミズムが存在したのも確かだ。 批判を受けるのを覚悟で言えば、派閥のパーティーは個人の政治資金パーティーと同様、大きな商店を運営していく中で、また総裁選への準備という意味で必要なものだったと私は思う。 しかし、安倍派のキックバックはもとより派閥のお金の会計に不信を抱かれるようなことはあってはならず、元会計責任者が略式起訴された宏池会もことを重く受け止めなければならないのは当然のことだ。 ●国民から総スカンでも「岸田一強体制」となる摩訶不思議…派閥解消でカオス化し安倍派は瓦解し、茂木派は溶解 岸田派(旧宏池会)が解散したのを皮切りに他派閥もそれに追随した自民党。かつて宏池会所属の参議院議員だった大正大学准教授の大沼みずほさんは「次回の自民総裁選に男性議員が立候補しまくるのは必至。初の女性総理をつくるキングメーカーに名乗りをあげる動きもあるが、結局、岸田文雄総理続投となる公算が大きい」という――。 ●派閥解消で失うもの(3)議員間の濃密な人間関係 派閥解散後の今は行われていないが、どの派閥も毎週木曜日の昼に派閥のある永田町近辺にある事務所で、ランチを一緒にしながら情報交換する。俗に「例会」という。特に新人議員にとって、国会での動きがまだよくわからない時に、国会対策室や幹事長室に所属する先輩からの情報は貴重だ。 どんなことが党内で起きているのか、議員会館の部屋にいてはわからないからだ。また、党の部会や調査会でもどのようなものがあり、どういったものに出たらいいのかなども相談に乗ってもらう場でもある。 宏池会は事務所で同じ種類の弁当を食べて結束を図る、いわゆる「一致団結箱弁当」ではなく、カレーや幕の内弁当、かつ丼など数種類から選べるようになっており、他派閥から羨ましがられた。弁当1つからもわかるように「多様性」を重んじる気さくでフランクな雰囲気だった。ボトムアップの意見集約という意味でもオープンだった。 参議院は参議院の宏池会で集まる「参宏会」というグループで月1回食事会などをしていたが、衆議院側との交流は、気の合う人たちと食事会をしたり、勉強会したりする程度でゆるやかな付き合いであった。 ただ、やはり懇親会などでは先輩議員に地元活動での悩みや人間関係など細かいことまで相談に乗ってもらえるのでありがたかった。 また、東京と地元選挙区の山形で年に1回ずつ行う国政報告会では、岸田会長や林座長、上川陽子法務大臣(当時)や宮沢洋一税調会長などが来賓あいさつなどに来て花を添えてくれた。そして、「こどもの貧困対策」やSDGsについての勉強会、宏池会に属していたかつての先輩議員を講師とした勉強会なども盛んに行われていた。 夏に行われる河口湖での研修合宿ではAIや外交、経済の専門家を招いての勉強会があり、夜の懇親会では派閥担当の記者たちとカラオケに行くなどわきあいあいとした雰囲気だった。 古賀誠名誉会長に同行して行われる毎年恒例の大平正芳元総理の墓参り、沖縄の「平和の礎」視察など、平和の尊さをことあるごとに教えてもらった。派閥結成60周年の時には、岸田会長とケネディ駐日米国大使(当時)との対談、林座長と駐日中国大使との対談を冊子にまとめ、シンポジウムを開催し、これまでの宏池会の歴史を振り返る動画なども作成した。 そして、何より選挙の時に先輩議員や同僚議員が応援に来てくれる時は本当に心強いものだ。党本部から、幹部を派遣してもらっても、相手も筆者を知らないので、応援演説も通りいっぺんの内容になる。しかし、宏池会の先輩方は日頃の活動を知っていてくれているし、密な関係があるので、演説にも心が入り、愛情がこもったものになる。 こうした活動を通じて、派閥内の結束やつながりは強まっていき、自分自身も宏池会の一員としての「メンバーシップ」を確立していった。 宏池会に属することで、先輩たちがつないできた伝統や考え方、日ごろの国会でのふるまいや野党との人間関係の構築の仕方、懇親会や選挙応援でできる絆など有形無形の財産を得ることができた。それが派閥の果たしてきた大きな役割ともいえよう。 ●派閥で失うもの(4)女性総理候補 なぜ、派閥の幹部は派閥の掛け持ちを許さず、新人議員を囲い込むのか。先輩議員に相談ごとをすることで「借り」を作り、先輩は「貸し」を作ることで、そこにいい意味での「貸し借り」関係が生まれる。きっと会社生活でも大なり小なりこうした人間関係はあるはずだ。 派閥解消により以上のようなつながりは確実に希薄なものにならざるを得ないだろう。人間関係の絆が弱まり、総裁選の際の議員間の駆け引きはより複雑微妙なものになって、票が読みづらくなるのは必至だ。 先日、麻生太郎副総裁が上川陽子外務大臣のことを「おばさん」だの「美しい方とはいわない」だのと形容し、世論から大ヒンシュクを買った。麻生氏の真意は「今、新しいスターが育ちつつある」という意味だったようで、上川氏も目くじら立てずに柳に風と受け流した。次期総裁候補として、上川氏を世間に売り、自分がキングメーカーとして君臨したいという思惑が透けて見えると評するコメンテーターもいる。 前回の総裁選は、高市早苗氏と野田聖子氏が総裁選に手を挙げ、総裁候補者の半分が女性だった。これまでにないことだった。上川氏も派閥が解散された今、20人の推薦者を集めれば立候補は可能だ。また小渕優子選挙対策委員長は平成研(茂木派)を退会し、小渕氏を中心とする新たなグループができそうな雰囲気もある。そうした意味で、次回の総裁選は多くの女性が候補者になりうるかもしれない期待も高まっている。 しかし、自民党議員に女性が占める割合は約1割。人数が少ない上に、女性議員は群れない。“ボーイズクラブ”の男性議員は夜な夜な一緒に飲みに行って親交を深めるが、女性議員は必ずしもそうしない。女性をトップとした派閥は麻生派に組み込まれる前の山東昭子氏がトップだった山東派くらいで、これまで女性がトップとなり、総裁候補とした派閥はなかった。 前回の総裁選も、故安倍晋三氏のおかげで高市氏、二階俊博氏のおかげで野田氏は推薦人を確保することができ、立候補が可能となった。裏ではキングメーカー同士の戦いになっていたのである。派閥(派閥のトップ?)のおかげで無派閥の女性議員は総裁選に立候補することができたともいえる。 今回の派閥解消によりキングメーカーたちの縛りはなくなる。男性議員からもたくさんの候補者が立候補すれば、総裁選はカオス化するだろう。推薦人20人を集めた男性候補がタケノコのように手を挙げる可能性がある。 ただし、安倍氏亡き後の高市氏、秘書が立件された二階氏を後ろ盾とする野田氏の2回目立候補は厳しくなるかもしれない。麻生氏の発言で知名度が上がった形の上川氏はいわば赤丸急上昇だが、党内から「どんなご支援もありがたく受け止める」環境の整備が大事になってくる。河野太郎氏が立候補すれば、麻生派も結局のところ分断され、岸田総理が再選を目指そうとすれば、旧宏池会の推薦は難しいからだ。小渕氏も青木幹雄氏亡きあとどのくらい支持を広げられるか未知数である。 結局のところ、派閥解消の影響で、有象無象のボーイズタケノコクラブたちが立候補すれば、日本初の女性総理候補はむしろ立候補さえ難しくなるというジレンマをはらむ。 以前なら、派閥の幹部たちが「女性議員の○○を推そう」と言えば、それでまとまった推薦人を確保できたかもしれないが、現在の流動的な党内では、女性候補が立候補して勝ち上がっていくのは至難の業だ。もしそれができるとするなら、それは岸田総理かもしれない。そんな声が永田町から聞こえてくる。 旧宏池会を丸々上川氏に禅譲し、麻生派の一部と安倍派、茂木派の一部を巻き込んで、いわば“キングメーカー”岸田として上川氏を擁立するというのだ。もちろん、麻生氏もキングメーカーたりえるが、河野氏を抱える麻生派は総裁選では分裂含みだ。 これまで「第4派閥」と弱小で肩身の狭い旧宏池会だったが、解散しても結束は強く、退会者が続く茂木派とは異なり、1つの塊として行動できる。国民からの支持は依然低迷しているものの岸田総理は当面続投する公算が大きいのだ。 安倍派はずっと党内与党だったので、党内野党になろうという人たちは少ない。麻生派は河野氏が立候補すれば分裂し、茂木派も茂木氏が立候補したとしても、派内の全員が応援するかわからない状況にある。石破氏は菅グループや二階派が応援するかもしれないが、広がりに欠く。 自民内の派閥力学において派閥解消という戦略はそうとうなインパクトがあったことは確かだ。岸田総理がそれを実行できたのは、旧宏池会への絶対的信頼があったからだろう。安倍派が瓦解し、茂木派が溶け始めた今、「解散しても、旧宏池会メンバーは自分を応援してくれる」という自信だ。永田町界隈では「岸田一強体制」が始まるとの観測も出始めている。 ●派閥解消後の自民党 自由民主党の議員は370人を超える。その中には、右から左までいろいろな思想の議員がいる。だからこそ、多様性にあふれその切磋琢磨からいい意見が生まれ、いい政策につながる。派閥という枠組みがなくなっても議員はグループを作り、意見交換をしたり、政策を立案する勉強会をしたりして人間関係を築いていくだろう。 しかし派閥が生み出してきた「強固な絆」や「幹部のコントロール」がなくなれば、烏合の衆となり、自民党内で、離合集散を繰り返す野党のようになっていく可能性もある。国会議員は年齢も、背景も異なり、自己主張も強く、承認欲求や名誉欲の強い個人の集まりであり、それを派閥という教育機関がまとめ上げていたところが自民党の強みだったと言える。 今後、党本部に絶対必要なのは人事局や日頃の活動をきちんと評価できるシステムだ。これがあればこれまでの派閥推薦表などは不要になる。また、政党法を制定する中で、政策活動費の透明化や総裁選のあり方も議論をしていかなければならないだろう。 政治改革は派閥解散で終わりではなく、ここがスタートである。お金にまつわる規制強化はもちろんしていかねばならないが、規制強化の議論だけでなく、派閥と関係の深かった総裁選の在り方と今後の政策集団の在り方といったところまで幅広に議論をしていかねば、袋小路に入り、「木を見て森を見ず」となりかねない。 このままでは、総裁選はカオス化し、最後は無意味な合従連衡が繰り返される可能性もでてくる。派閥の弊害を検証しつつ、派閥の果たしてきた役割もまた、ここで一度振り返る必要がある。派閥は「悪」という論調に一石を投じるためにも。 |
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●岸田首相「金正恩氏に謝意」 能登半島地震見舞い電報に 2/2
岸田文雄首相は2日の参院代表質問で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が首相に送った能登半島地震に対する見舞いの電報を巡り「多くの国・地域からメッセージを受けており政府として感謝する。金氏からのお見舞いのメッセージについても感謝の意を表明したところだ」と述べた。林芳正官房長官が1月6日の記者会見で、電報への謝意を示したことを念頭に置いているとみられる。 国民民主党の榛葉賀津也氏は「北朝鮮最高指導者からの初のメッセージにどのような政治的意図を読み取るか」と質問。首相は「答える立場にない」と明言を避けた。 日朝平壌宣言に基づき国交正常化を目指す立場は変わらないと強調し、金氏との首脳会談に重ねて意欲を示した。 |
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●生活再建へ税制特例 資産損失で所得税・住民税の減免1年前倒し 2/2
政府は2日、能登半島地震で家財などの資産が被害を受けた場合、生活再建のため所得税や住民税の減免を1年前倒して行う特例措置を閣議決定した。法案を通常国会に提出し速やかに成立させる方針。 特例措置は、災害などで失った家財道具などの損失分を所得から差し引く「雑損控除」の他、事業用資産の損失についても減税の対象となる。 1月に震災があったため、本来は2024年分の所得から控除となるところを2月の確定申告で、2023年の所得税や住民税から減免し、本来より1年前倒す特例措置となる。 林官房長官は、2日の会見で「能登半島地震の被害が広範囲、かつ甚大で発災が1月であったことの事情を勘案し、臨時異例の対応とする」とした上で「特例措置を通じて被災された皆様の生活再建に向けた資金繰りの円滑化や負担軽減をはかっていきたい」と述べた。 政府は、今月から確定申告が始まる中、特例措置に関する法案を速やかに提出し国会での成立を図る考え。 また、法律成立前から、特例措置の内容や手続きについて国税庁などで広報を行うとしている。 |
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●トリガー条項凍結解除、エネルギー情勢や脱炭素潮流も考慮=岸田首相 2/2
岸田文雄首相は2日の参院本会議代表質問で、4月末に終了予定のガソリン補助金の在り方をめぐり、ガソリン税を緊急時に下げるトリガー条項の凍結解除を含め、さまざまな手法を検討していると述べた。榛葉賀津也議員(民主)への答弁。 首相は、ガソリン補助金政策である激変緩和措置の出口戦略について「さまざまな手法がある」と指摘。国民民主が求めるトリガー条項の凍結解除については「エネルギー情勢や脱炭素の国際潮流も踏まえ与党と国民民主の3党で検討している」と述べた。 米大統領選動向を踏まえ「日米同盟の重要性については米国でも党派を超えた認識が存在している」との見解を述べた。 能登半島地震後、日本に異例の電報を送った北朝鮮の金正恩委員長に対して謝意を示すと同時に北朝鮮側の政治的意図についてはコメントを控えるとした。 |
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●吉村知事進める大阪万博会場建設費増額を「やむをえない」発言 経団連十倉会長の会社が「過去最高の赤字」に批判の声 2/2
2日、住友化学が、2024年3月期で連結最終損益が2450億円の赤字になる見通しだと発表した。2000年以降で過去最高となる950億円の赤字の見込んでいた従来の予想を大幅に下方修正することになった。 住友化学の代表取締役会長を務めるのは、経団連会長の十倉雅和氏だ。 十倉氏は、去年9月の会見で、「若い世代が将来不安なく、安心して子どもを持つには全世代型の社会保障改革しかない。それには消費税などの増税から逃げてはいけない」と、増税の必要性を訴え、世論の反発を呼んだばかり。 十倉会長は、吉村洋文大阪府知事が進める大阪万博協会の会長も務めるが、去年11月、定例会見で、当初のほぼ2倍となる最大2350億円にふくらんだ会場建設費について、「やむをえない」と発言。 350億円かかるといわれている世界最大級の木造建造物「リング」についても、世界分断の危機の時代に連携を示す象徴的意味があるとして、「ぜひ、やりたい」と発言。今年に入って十倉氏自ら建設会場を視察、「万博のシンボルとしてふさわしいものに仕上げてほしい」と期待を寄せた。 だが、リングは閉会後、解体される予定で、野党などから「(税金の)無駄遣い」と批判されている。 その十倉氏が代表取締役会長を務める住友化学の損益が史上最大の赤字となったことで、X「旧・ツイッター」では「最終赤字2450億円」という言葉がトレンド入り。 《経団連の会長は消費税の増税や児童手当に口出す暇あるなら、自分のところをとっとと建て直せや》《事業で低迷が続いて会社が危機的状況に陥っているのに、こういう無能が経団連会長をやっていて、さらに万博の博覧会協会でトップを勤めて日本に害悪を垂れ流している》《自分の会社の運営すら出来ない奴がどのツラさげて偉そうな事ほざいてんだよ》 というポストが。 自社の経営が過去最高の赤字だから、消費増税も、万博会場の建設費が膨れ上がるのも「やむをえない」ということだろうか。 |
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●首相「裏金の定義は困難。文脈で意味が異なる」 野党「無責任だ」 2/2
2日の参院本会議の代表質問で、岸田文雄首相は裏金の定義について問われ、「文脈に応じて、意味、内容が異なってくる。一概に定義をお答えすることは困難」と回答を避けた。質問した立憲民主党の田島麻衣子氏は、「首相が考える裏金と、国民が考える裏金の意味が異なっては問題解決ができない」と問題視している。 首相は昨年11月、岸田派の政治資金パーティーの収入について政治資金収支報告書を修正した際、「修正をしても総額は変わっていない。裏金うんぬんという指摘はあたらない」と強調。あくまで記入漏れにすぎないとの認識を示していた。 田島氏は2日の代表質問で、「裏金とは何を指すのか。違法にためた金であっても、銀行口座に残っていたり、事務所の金庫に保管されていたりすれば、裏金とは言わないのか」とただした。 ・・・ |
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●「お手盛り」批判受け“変更” 全議員にアンケート実施へ 自民党 2/2
裏金事件を受け、すべての議員にアンケート調査を行う方針を固めました。 2日の調査では二階派の幹部らからキックバックの金額や収支報告書に記載しなかった理由などについて話を聞いたとみられます。 自民党は当初、会計責任者らが立件された安倍派や二階派、岸田派を対象とする方針でしたが「お手盛り調査」といった批判などを踏まえ、すべての議員に対してアンケート形式で調査することになりました。 |
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●岸田総理「全議員対象のアンケートを準備」 派閥の“裏金問題”実態解明へ 2/2
岸田総理大臣は派閥の裏金問題の実態解明に向け、自民党所属のすべての国会議員に対し、できるだけ早くアンケート調査を行うと表明しました。 岸田総理大臣「全議員対象のアンケートを実施致します。準備をしております」 岸田総理はアンケートの「内容については調整中」としたうえで、できるだけ早く始めると述べました。 一方、自民党は2日午後から森山総務会長ら幹部が安倍派と二階派の議員や岸田派の幹部などから聞き取りを始めています。 岸田総理は「できるだけ速やかに作業を進める」と述べ、「党としても説明責任を果たしていきたい」と強調しました。 |
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●石川 県内初の仮設住宅が完成 輪島市できょうから入居始まる 2/3
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市で、県内で初めての仮設住宅が完成し、3日から入居が始まりました。 輪島市では、市の中心部にある「キリコ会館多目的広場」で、県内で初めての仮設住宅が完成し、自宅を失った人や、生活に配慮が必要な高齢者など、18世帯55人の入居が決まっています。 入居は3日から始まり、午前10時半ごろには鍵を受け取った入居者が家族とともに訪れる姿がみられました。 このうち大下澄子さん(76)は、朝市通り周辺で起きた火災で1人暮らしの自宅が全焼し、長女の家族とともに避難所に避難していました。 大下さんは、室内に入ると、冷蔵庫やテレビなどの家電や、調理器具が入った支援物資を確かめるなど、仮設住宅で暮らすための準備を進めていました。 大下さんは「避難所では眠れないこともあったのでありがたいです。家族と別々になるのは心細いですが、洗濯もできるのでゆっくり過ごしたいです」と話していました。 輪島市にはこれまでに4000件余りの仮設住宅への申し込みがあり、3日から入居が始まった18戸のほかに548戸が着工しているということです。 石川県は、来月末までにおよそ3000戸の着工を目指すとしています。 |
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●「自民安倍派 おととしまでの3年間の収支報告書訂正」の報道 ミスリード報道 2/3
安倍派、二階派の政治資金パーティーを巡ってキックバックが行われ裏金が作られていた一連の問題で、新聞、テレビなどの主要メディアが両派閥が政治資金収支報告書の訂正を行ったと報じている。 安倍派については、NHKが「自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、最大派閥の安倍派「清和政策研究会」が、おととしまでの3年間に記載していないパーティー収入が4億3500万円余りあったなどして、31日、政治資金収支報告書を訂正しました。さらに、記載されていなかった議員や元議員側への派閥からの寄付、4億2700万円余りも書き加えられました。」と報じ、二階派については読売新聞が「自民党派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、同党二階派は18 日付で、2020 〜22年分の政治資金収支報告書の訂正を総務省に届け出た。3年間のパーティー収入のうち約1億3614万円分の記載漏れがあったほか、20年時点での繰越額を7362万円増額した。収入総額の記載漏れは、計2億1370万円。」と報じており、各主要メディアは概ね同様の報道を行っている。 その報道からは、いろいろ問題が有るものの、取り敢えず安倍派も二階派も問題を認識して襟を正したかのように受け止められるだろう。では、その訂正の中身を見てみたい。 安倍派(清和政策研究会)は1月31日に収支報告書の「訂正」を提出し公表された。問題となった政治資金パーティーの収入は2022年は9480万円だった。そして「対価の支払いをした者の数」、つまり購入者は3200人。1人2万円が単価だから、本来は購入者は4740人でなければならないことは過去の記事でも伝えているし、政治資金パーティーが開かれたホテルは立食で2000人が定員だという点も伝えたが、ここではそれを問題にしない。 問題は「訂正」の部分だ。収入は1億円増えて1億9762万円になっている。1つのパーティーで1億円の収入が裏金になっていたという事実に驚く。それを複数年で計算したのが各社の報道だ。そういう「訂正」が行われたという各社の報道だが、注目すべきはそこではない。パーティー券の購入者数だ。ところが、それが「不明」となっている。ここが「不明」では、政治資金パーティーでは、パーティーの実態を示したことにはならない。 因みに、収入を単価で割ると、9881人になる。1万人近い人が購入したことになる。ところで前述の通り、パーティー会場は立食で2000人が定員という規模だ。つまり安倍派は定員の5倍のパーティー券を販売していたということになる。それは出席しないことを前提にしたパーティー券の販売だったことを物語っており、これは実体としては寄付金集め以外のなにものでもない。もしこれが企業・団体による購入であれば、これは政治資金規正法が禁じている企業・団体献金であることは言うまでも無い。 安倍派の「訂正」がとても訂正とは言えないことを書いてきたが、二階派(志帥会)の「訂正」を見ると、更に驚かされる。上が「訂正」前で、下が「訂正」されたとする収支報告書だ。 パーティー収入は2363万8692円増えている。問題はここでも「対価の支払いをした者の数」、購入者数だ。これは「訂正」前もその後も7538人だ。それは2300万円余りのパーティー券が売られたもののその全ての購入者がパーティーには出席しなかったということなのかもしれない。そうであれば、これは単なる寄付だ。この増え方から見て個人が購入したとは思えず、違法な企業・団体献金が2300万円余にのぼったということを自ら明らかにした内容ということなのかもしれない。それこそInFactが過去のファクトチェック記事で報じた内容でもあり、繰り返しになるが、これは違法な行為だ。 因みに、訂正とは、誤りを正しく直すことだ。つまり、安倍派も二階派も、今回の「訂正」は、誤りを正した内容とは言えず、単なる再提出でしかない。これを「訂正した」と報じることは誤報に近い。その「訂正」を受理して公表する総務省も問題だが、こうした事実に触れずに「訂正」と報じる各メディアの責任は更に重い。ファクトチェックの判定としてはミスリードだが、この報道によって一連の「裏金問題」に派閥として区切りをつけたいという両派閥の意図を汲んだ形になっている点を考えると誤報に近い影響を社会に与えていることを各社とも自覚して欲しい。 |
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●「お前達も十分に責任重大」松川るい・丸川珠代議員 “幹部批判”に非難轟々 2/3
昨年末から物議を醸している、自民党最大派閥である安倍派の裏金問題。連日のように自民党議員らとカネの問題が報じられ、安倍派は解散も決定された。 2月1日、安倍派は最後となる総会を開いた。そこに姿を現したのが、松川るい参院議員(52)だ。同日午後1時過ぎ、自民党本部で記者団に応じた松川議員は「安倍総理に憧れて、私は清和研を選びましたので、このような形で終わったことは、極めて国民の皆様に対してまず申し訳ないですし、安倍総理にも申し訳ない」といい、続けて「ちゃんとけじめをつけるような形にならなければいけない。幹部の責任は重いのではないかと、私は思っています」と上層部を批判した。 また丸川珠代参院議員(53)も取材に応じ、記者団にこう語った。 「私たち自身も納得していない部分があると思います。責任ある立場の人が何らかの責任をとったと明確に国民に伝わる行動をとるべき」 勇ましく幹部らを糾弾してみせた松川と丸川の両議員だが、まるで他人事のよう――。というのも松川議員は‘19年から計204万円、丸川議員は’18年から5年間で計822万円を収支報告書に記載していなかったことが発覚している。そもそも彼女たちも裏金問題の当事者なのだ。 不記載が発覚したことについて松川議員は1月23日に「(派閥で)不適切な慣習が長らく続いてきたことによって、私も知らなかった」といい、丸川議員は2月1日、「派閥からノルマ超過分は持ってこなくていいと言われた。資金は(自分の)口座で管理していた」と釈明していた。 当事者でありながら、まるで他人事のように幹部らを非難した2人。Xでは、呆れる声がこう上がっている。 《他人事では無い 貴方もおんなじことした事実を認めて そこまで言うなら自分自身行動せよ》《自民党裏金問題。収支不記載の張本人である丸川珠代 議員や松川るい議員が、他人事のように派閥幹部の責任を追及しているけど、バグってるのかな。自身は政治的責任も法的責任も一切とる気が無いのに? 強メンタルですね》《松川、丸川。本当に酷い奴らだな。全部上層部に責任押しつけか?お前達も十分に責任重大だろ》《本当に。不正を行った本人たちがなぜか被害者ムーブなの、まったく理解ができません》 |
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●自民“不記載”議員に聞き取り調査 全議員にアンケートも 2/3
自民党の派閥の政治資金をめぐる事件を受け、自民党の幹部は収支報告書に不記載があった議員に対する聞き取り調査を行っています。 自民党の森山総務会長と小渕選対委員長らは2日、東京都内のホテルで、収支報告書に不記載があった二階派の議員に聞き取り調査を行いました。 調査の対象となるのは二階派、安倍派の80人以上の議員らで、外部の弁護士も同席して、3日も行われています。 岸田首相「実態把握をするべく党役員が中心になって、外部の有識者にも参加してもらい、聞き取りを行うよう指示を出していたところですが、できるだけ速やかに聞き取り作業を進めてまいります」 岸田首相は聞き取り内容をふまえ、派閥幹部らの処分などについて判断するものとみられます。 また、自民党のすべての国会議員を対象にアンケートを実施し、裏金などがないかを調査することも決まりました。 |
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●自民党 派閥の裏金事件めぐり 安倍派の議員の聴取をスタート 対象は約90人 2/3
党内の派閥による裏金事件を受け、自民党は、きょうから収支報告書に不記載があった安倍派の議員への聞き取りを始めました。裏金の使いみちなどが明らかとなるのかが焦点です。 安倍派の議員への聞き取りは、党の幹部6人が3チームに別れ、弁護士も交えておこなわれます。 派閥からキックバックを受け取った金額や使いみちのほか、収支報告書への記載しなかった経緯などについて聞き取りがおこなわれ、二階派の議員と合わせるとおよそ90人が対象となります。 きのうの二階派の議員への聞き取りは、1人に対しおよそ30分かけておこなわれ、「パーティー券の販売ノルマを超えた分を記載しなかったのは、翌年以降、ノルマを達成できなかった時のためプールしていたからだ」といった話が聞かれたということです。 自民党は来週中に、聞き取りの結果を取りまとめる方針です。 |
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●岸田首相 支持率低空飛行も1強時代到来!? 派閥解散“追い風”に強気モード 2/3
岸田文雄首相は2日の参院代表質問で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治改革に関し「私が先頭に立ち、信頼回復に取り組む」と強調した。公明党の山口那津男代表から再発防止のために政治資金規正法の改正に向けてリーダーシップを発揮するよう求められ、答えた。 言葉の端々に強気がにじむ首相。自民党の麻生太郎副総裁が上川陽子外相を「そんなに美しい方とは言わない」「おばさん」とあげつらったことについても「性別や立場を問わず、年齢や容姿をやゆし、相手を不快にさせるような発言をすることは慎むべきだ」とクギを刺した。首相も昨年「増税メガネ」と容姿をやゆされた経験がある。 2021年10月の首相就任以降、党内基盤が弱く、麻生氏、茂木敏充幹事長との三頭政治で政権中枢のバランスを保ってきた。だが、裏金問題を巡って、両氏への根回しなしに岸田派解散へ動き、6派中4派の解散ドミノにつなげた。存続する麻生派、茂木派も離脱が相次ぐ。後ろ盾がなくなった議員側からは「首相の1強状態になった」とささやく声も漏れてくる。今年は秋に総裁選を控える中、永田町関係者も「麻生派も数は多いが、かつげる候補がおらず、茂木派は分裂含み。うまくやれば首相の無投票再選まであるかもしれない」と指摘した。 とはいえ、首相の求心力が高まったわけではない。党内には「1強といっても、周りが青息吐息の中、比較的ダメージが少なかっただけ。強くなったわけではない」と冷ややかな反応もある。 この日の国会論戦で23年12月に自身の政治資金パーティーを延期したことを明らかにした首相。共産党の田村智子委員長から「まだ開くつもりなのか。政治刷新を語る資格はない」と中止を要求される場面もあった。裏金の温床となった派閥の政治資金パーティーは自粛するよう指示しているだけに、野党の追及は強まっていきそうだ。 内閣支持率は微増傾向だが、低空飛行のまま。国民総スカンの中、岸田時代が続くのか。強気の首相がリーダーシップを発揮できるのか注目される。 ≪上川氏は配慮≫ 上川氏は2日の参院代表質問で、麻生氏の不適切発言への批判を避けた。「世の中にはさまざまなご意見や考え方がある」と述べるにとどめた。政権内で強い影響力を持つ麻生氏の立場に配慮し、論評を回避したとみられる。麻生氏の言動を巡っては、典型的な「ルッキズム」(外見至上主義)だとの見方が広がる。同氏は同日夜「表現に不適切な点があったことは否めず、指摘を真摯(しんし)に受け止め、発言を撤回したい」とのコメントを発表した。 ≪不記載議員を調査≫ 自民党は2日、派閥パーティー裏金事件を受け、政治資金収支報告書に不記載があった議員への聞き取り調査を始めた。会計責任者らが立件された安倍派、二階派など90人程度が対象で、森山裕総務会長を座長に党執行部6人が分担して聴取に当たる。野党は、自民の身内による調査では公平性が保てないと疑問視する。自民はこれと別に、所属全議員を対象に裏金受領の有無を確認するアンケートも実施する。関係者が明らかにした。 |
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●自民党の派閥解体と今後の政治について 2/3
●乾坤一擲の大勝負 1月19日(金)15時頃、たまたま某省の大臣で大臣と向き合っていた私は、二階派の解散と、その時情報として入ってきた同日夜の安倍派の集まりでの同派解散の知らせに接し、不思議な感情に包まれていた。派閥が次々に解散する。凄く晴れやかなような、同時に、天災が襲ってきた時のショックのような、何とも言えない、しかし心を揺り動かすインパクトの巨大さだけは確かな、そんな得も言われぬ感情だった。 前日の夜、岸田総理が電撃的に自派(厳密には直前に離脱済み)の解散に言及して流れを作ったわけだが、特に岸田政権を支えている麻生太郎氏が、麻生派はキックバックによる裏金づくりをしていないのに、岸田総理が事前に相談もなくこうした流れを作って激怒しているとか、その手打ちのための会合がセットされた等々のサイド・インフォメーションに接しつつ、とにかく強く感じたのは、「岸田総理には、こんな決断力があるんだ。やるなぁ」というものであった。 まあ、この手しかない、というところではあった。が、どれだけの人が事前に、この波状的な自民党の派閥の解散を想像していただろうか。まさに乾坤一擲の手であった。元々はパーティ券収入のキックバックによる裏金づくりやその規模、そしてその使途などが今回の問題の核心であったが、焦点が派閥の解散になり、一気に吹き飛んだ感がある。 個人的には、参院で関連法案が否決されてしまった郵政民営化を実現するために、法案が可決された衆議院を解散して総選挙に持ち込んだいわゆる小泉劇場を思い出した。争点ずらし、と言えば聞こえは悪いが、当該論点に関して、その想定規模を超えるより大きな渦を作ってしまうことで、却って事態を好転させてしまう手法だ。 実際、各種調査によれば、内閣支持率は下げ止まったり、少し反転したりしている。数字だけ見ると国民の多くも「岸田さん、意外にやるなあ」と総理の決断力とリーダーシップを感じたことであろう。 極端な支持率低迷時を経験したある総理秘書官経験者と昨年末にお会いした際、「朝比奈ちゃん、総理ってのは、支持率が物凄く高い時と、逆に物凄く低い時に思い切ったことが出来る。中途半端な時が一番動きにくい。」と喝破されていた。なるほどと感じ入ったものだが、今回の岸田総理の決断は、まさにその好事例である。 ●派閥とは何だったのか さて、その多くが解散して改めて考えてみるに、派閥とは何だったのであろうか。乱暴に整理すると、自民党という大集団における、「3つのとりまとめ機能を主軸とした集まり」が派閥であったように思われる。 その3つとは、1カネのとりまとめ(いわゆる餅代、氷代のように盆暮れに派閥の構成員に配られるお金や、その他、今回の派閥のパーティ券収入を原資としたお金などの調達と配布)、2人事関係のとりまとめ(人材育成から、派閥推薦という形での党内や政府での任用など)、そして、3票のとりまとめ(総裁選などに際して、派閥として団結して特定の総裁候補等に投票)、である。 特に力のある政治家は、一般に1のカネを集めるのがうまく、そのことによって多くの人が集まって来るため2の人事関係のとりまとめが必要になり、そうした中で、3の票を取りまとめて時に自分を総裁候補として推してもらったり、或いは他派閥の候補者を推すことで恩を売って人事で優遇してもらったり、ということを主導してきた。 かつては、派閥とは、そうしたいわゆる親分肌の政治家を中心とした集まりであったが、最近はどうであろうか。二階氏や麻生氏や森氏にそうした“昭和の香り”を見出すことが出来るが、安倍氏亡きあとの安倍派や岸田派、茂木派などは、このような親分肌政治家モデルで回っているというよりは、かなりシステム化・サラリーマン化されていた感じも強い。派閥も世代を経て、良くも悪くも、大企業的になってきていたと言える。 ●自民党の今後:個人商店、商店街組合、そしてコンビニ(チェーン店)へ そんな中で、大企業的・システマチックに古い時代の名残のような裏金作りが常態化していたという信じられない事態の表面化が今回の騒動の発端であるが、自民党は、そして派閥は、これから一体どうなって行くのであろうか。 まず、派閥はなくならないと思う。より正確に言えば、上記の1〜3のとりまとめ機能のうち、1や2、すなわち、カネや人事関連は、派閥ではなく政党(自民党)そのものがシステマチックに、集めたり再配分したり任用したりして行くことになると思われるが、3の機能は残るであろう。 改めて論ずるまでもないが、ある程度の人間の集団があって、その長(ヘッド)を、特に選挙で選ぶということになっている以上、Aさんを推したい人々、Bさんを推したい人々、Cさんを推したい人々・・・といった集団は生まれざるを得ない。 パーティをいくら禁じたところで、集団で集めた資金の透明化のルールを徹底したところで、つまりは派閥を解消しようとしたところで、「〇さん推し」の集団・仲間はどうしても誕生する。むしろ、誕生しなければ混乱を招くだけである。 その上で3の機能は残るものの、今後、1や2のカネや人事関連の機能は、自民党本体がより積極的に担っていくことになると思う。むしろ、今回のピンチを受け、やくざにも喩えられる派閥の親分たちの集まり・合議による決定などの前近代的な統治システムから脱皮して、自民党は徹底した近代政党に生まれ変わった方が良い。派閥としてではなく、党として公明正大に資金・浄財を調達し、それを派閥と関係なく、構成員たる党所属議員などに必要に応じて透明に分配するべきである。 人事も派閥ごとではなく、党として、しっかりと必要な人材・人員を募集し、適材適所で、議員、議員のスタッフ(秘書等)、党本部のスタッフ、党の政策研究員、庶務担当等々、を採用・任用して行くべきである。 正直、これまで、そうした普通の大企業がやっているような、人材の採用や人事管理、資金調達・管理は、自民党として、しっかりした形では行えていなかったのが現状であろう。ピンチの際の改革で却って大きく生まれ変わった例は、古今東西、官民問わず、枚挙にいとまがない。自民党は、今回の危機を猛省し、しっかりとした近代政党路線に向かうべきである。 このように1や2(カネや人事のとりまとめ)だけを考えると、上記のような党改革が進めば、派閥は雲散霧消していくことになるが、先述のとおり、3はより先鋭化した形で残る。考えてみれば、自民党の国会議員になるということは、有権者の付託を受けて、正しいと思われる政策実現のために、総裁(=総理大臣)を魂の一票で選ぶ、ということでもある。 その魂の一票を、自分が総理総裁になってもらいたいと心から思う人以外の人に投じるというのは、有権者への裏切り行為とも言うべき罪深き行いである。もう少し丁寧に書けば、例えば、自らの信念としての政策実現のため、Aさんを総理総裁として戴きたいがために、Aさんを支持する人たちとグループを作ると、それが「派閥」的なものになるわけだが、それは当然の動きであり認めなければならない現象といえる。 しかし、本心ではBさんが総理総裁になるのが良いと思っているのに、ある派閥に属しているがために、その親分の意向で、派閥として一致団結してAさんを推すという場合は、上記のとおり「有権者に付託された魂の一票を売り渡している」ことになり、大問題とも言える。 そして実際、例えば、麻生派や二階派は、派閥の長である麻生氏や二階氏が総理総裁になる可能性はほぼゼロであることからして、その魂の一票を、麻生氏や二階氏に委ねるための集団、ということになる。 こういう状態は、やはり健全であるとは言えず、今回の派閥解散の流れを経て、「ある政策実現等のために、本当に総理総裁になってもらいたい人を推す人たちの集まり」こそが、新しい派閥的なるものの形になることを期待してやまない。 派閥はなくなり、今後は議連など、特定の関心政策や当該政策変更のための集まりが自民党の中心になる、と解説している人もいるが、私見では、政党といえども生身の人間たちの集まりであることを考えると(近い将来、AIによる政治、みたいな時代が来ないとも限らないが)、そうした政策別というよりは、政策を基軸としつつも、「誰をトップに戴くのか」という志向別の集団として、派閥的なものは残り続けることになると考える。 これまでの派閥の流れを乱暴に大きめの地域の商店街(一定のエリア内に、通りごとに商店街が乱立したりしているケースも少なくない)で喩えると、元々は個人商店だった雑貨屋(個々の政治家)が、地域での存在感を発揮するために〇〇商店街組合という名の集団に加わったものの(派閥)、商店街組合や商店街そのもの(派閥)の衰退・解散とともに、全国チェーンのコンビニなどに衣替えして商店街を離脱してしまう、みたいな状態に来ていると言える。 個人商店が、全国チェーンの店にドンドン置き換わって行くことは、近代合理主義の帰結としては、理解できる。客観的な公正性を重視して、効率を考えて合理的に判断すれば、個人商店を続けていくより、全国チェーンの傘下に入って行くことは理にかなっている。 今回の派閥解消の流れを受け、自民党も党として、上述のとおり、合理的客観的に政治家個人個人を傘下に収めて「統治」し、公明正大に資金の流れや人事を差配して今後は運営していくことになるであろう。ガバナンスとはそうしたものである。 ただ、最後に考えなければならないのは、果たしてチェーン店ばかりの商店街に魅力を感じるであろうか、ということである。合理的・便利なだけの商店街に愛着をもって何度も訪れたくなるであろうか。 ここにおいて大事になるのは、全体としてのガバナンスを利かせつつも、個々の政治家が、個人商店としての矜持をもって、個性を発揮することが求められる、ということだ。すなわち、お金や人事面では、党全体の仕組みに依存しつつも、逆に依存することで浮いた時間等を有効に活用して政策力を磨き、個としての自己主張をきちんと持ち、培われた見識に基づいて誰を総理総裁に戴くのか、魂の一票を行使する個としての力も問われるということだ。 このことは、自民党で今後、議員の採用や育成を中心的にしていく人たちや、自民党の政治家になろうとする個々人が強く意識しなければならないことだと思う。 ガバナンスが利くだけになると、それは、日本においては共産党や公明党に近く、両党には失礼な書き方になるが、例外的な方も少なくないものの、一般的には政治家としての個性は欠けていってしまう。ガバナンスが極端な場合は、中国共産党や統一ロシアになってしまい、党そのものが巨大な一つの派閥のような形になってしまう。一人の親分が全てを決める形となって各政治家は個性を失い、何の多様性も感じない、同じ店がいくつも並んでいるような、非常につまらない商店街のようになってしまう。 自民党が今回の派閥解消の流れを機に、近代政党としてしっかりとガバナンスを利かせつつ、個々の政治家の育成においては、個性を発揮できる政治家に育つようになること、すなわち、求心力と遠心力がバランス良く働く政党になることを願ってやまない。 |
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●岸田首相の「派閥解散」にダマされるな…「問題の核心はそこではない」 2/3
安倍派の裏金問題で、岸田首相が岸田派の解散を発表するなど、派閥解散の動きが広がっている。なぜ派閥を解散するのだろうか。元厚生労働大臣の舛添要一さんは「派閥さえ解散すれば支持率が上がると考えたのだろう。派閥の存在理由がなくなっているのは事実だが、問題の核心はそこではない」という――。 ●本当に「派閥の存在こそが問題」なのか? 自民党の派閥のパーティー券問題で、永田町が揺れている。 安倍派、二階派、岸田派に政治資金規正法違反の疑いが持ち上がり、岸田首相は岸田派の解散を決めた。問題がなかった麻生派と茂木派は解散しないが、安倍派も二階派も同様に解散を決めたほか、森山派も解散を決定した。 こうして、「派閥の存在こそが問題」ということになってしまった。 ただ、問題の核心はそこだったのだろうか。 そもそも自民党の派閥とは、自分たちの領袖を首相にすることが目的の集団である。 親分が首相になれば、子分が大臣になれる可能性が高まるので、所属議員たちは汗を流す。 ●「カネとポストの配分単位」としての派閥 派閥は「カネとポストの配分単位」である。派閥の領袖は、部下に政治資金を配り、選挙を助ける。かつての派閥はそういうものであった。 しかし、今は、政治資金パーティーが集金手段となっている。 一般的に、派閥の規模に比例して、大臣、副大臣、政務官のポストが配分されるので、派閥は、所属する議員の数を増やそうとする。当選6〜7回にもなって大臣になれない議員は、派閥の推薦枠でなんとか閣僚になろうとする。 タテマエを言えば、派閥とは政策集団であり、同じような考えを持つ政治家が集まるはずのものだ。たとえば、岸田派はハト派、安倍派はタカ派というようなイメージである。 しかし、今の派閥は、政策を基準としたものではなくなっている。 ●なぜ選挙にカネがかかるのか 自民党の派閥は、中選挙区制が生み出したものである。 中選挙区とは、一部の例外を除いて、定数が3〜5である。当時の自民党は強かったので、一つの選挙区から複数の当選者が出る。5人区では5人とも自民党ということがありうる。そうなると、野党候補との戦いよりも同じ自民党の候補との競争のほうが熾烈(しれつ)になる。 かつて「三角大福中」と言われた三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘が率いる5大派閥の時代があった。田中派と福田派の議員がいる選挙区で、新人が出馬しようとすると、それ以外の三木、大平、中曽根の派閥から立候補するしかなくなる。こうして、定数5と派閥数5が一致する。 同じ自民党から複数の候補が戦うので、政策の競争ではなく、ばらまくお金の競争となる。この「カネのかかりすぎる選挙」が問題となり、小選挙区制に移行したのである。 衆議院が小選挙区比例代表並立制を導入してからは、派閥には中選挙区時代のような意味はなくなった。小選挙区では1人しか公認候補を出さず、公認権を持つ総裁が誰を公認するかを決める。そこで首相官邸の力が強くなった。 岸田氏が内閣総理大臣だということ自体、最大派閥の長でなくても首相になれることを意味する。 ●大衆に受ければよい、そうすれば支持率も回復する 1月25日、自民党は、政治刷新本部で、「中間とりまとめ」を決定した。 政策集団(派閥)については、解散ではなく、以下のような方針が示されている。 派閥を真の政策集団にするために、カネと人事から完全に決別する。具体的には政治資金パーティーの禁止、所属議員への手当支給を廃止、閣僚人事で推薦や働きかけの禁止、政治資金規正法違反の場合は解散か活動休止させる、政治資金収支報告書の外部監査の義務づけ、などである。 つまり、中選挙区制下で果たしていた派閥の機能を停止させるということだが、そこまでするなら、派閥解散を決めたほうがよい。 ただ、岸田首相が唐突に岸田派の解散を宣言したことには違和感を感じる。 大衆に受ければよい、そうすれば支持率も回復すると踏んだのであろうが、まさに衆愚のポピュリズムそのものである。 ●派閥解散はポピュリズムの極み 大衆を扇動して人気を博し、権力の獲得を目指すのがポピュリストである。 2016年6月の国民投票でイギリス人はEUからの離脱を決めた。2016年の大統領選で、アメリカ国民はトランプを選んだ。どちらもポピュリズムの結果と言える。 結果として世界は多大な迷惑を被ったが、後悔しても後の祭りであった。 こうしたポピュリズムの政治手法が世界に蔓延(まんえん)している。 今回の派閥解散もその典型だと言えよう。 読売新聞の世論調査(19〜21日)では、内閣支持率は24(−1)%で過去最低、不支持率は61(−2)%だった。 首相の岸田派解散については、評価が60%、不評価が29%となった。 また、自民党の政治刷新本部に「期待する」が17%、「期待しない」が75%であった。 朝日新聞世論調査(20、21日)では、内閣支持率は23(±0)%、不支持率は66(±0)%。 岸田派解散については、評価が61%、不評価が29%だった。裏金問題への首相の対応については、評価が17%、不評価が75%と、こちらも不評価が圧倒的だ。 支持率が大きく下がらなかったのは、岸田派解散宣言のおかげだと岸田周辺は喜んでいるという。その反応こそがポピュリズムの極みではないだろうか。 ●もはや派閥は必要ない 派閥が必要な理由として、新人議員を教育・育成するため、という意見もある。 たしかに新人議員の教育は派閥の機能の一つだ。右も左も分からない1年生議員に、派閥が、礼儀作法、政策、選挙の戦い方などを教育する。 だが、今の自民党本部には、そのような機能が備わっているため、派閥に所属する必要はない。 ●会合に真面目に出ていれば評価される 私は自民党の国会議員時代、派閥には一度も所属しなかったが、政策の勉強も、政治家としての立ち居振る舞いも、選挙の仕方も十分学ぶことができた。 党本部の会合に真面目に出ていれば可能なのである。 政策の勉強なら、毎朝、早起きして党本部に行けば、政務調査会のさまざまな部会が勉強会を開いている。朝ご飯を食べながら、各省庁から来た役人たちの説明を聞き、政策を学び、同僚議員と議論を交わす。 自民党議員であれば、誰でも、どの勉強会でも出席できる。 その部会での研鑽(けんさん)と活躍で、党内での地位が高まっていく。官僚たちもどの議員を大事にすべきか注意して見ており、目を付けた議員をいずれ自分の省の大臣にするためには支援を惜しまない。 ●無能な政治家でも、派閥の推薦で閣僚にしている また、部会などの党の会合で、長老議員は、新人議員の言動をじっくり観察し、誰を次期リーダーとして育てるべきかを決める。 選挙のときも、どうしても負けられない選挙区には、派閥に関係なく、党全体で支援体制を固める。 人事にしても、重要なのは派閥ではなく、政治家の能力だ。とくに自民党と野党の勢力が拮抗(きっこう)しているときなど、派閥推薦リストに従って大臣を決めるような余裕はない。 2012年末に政権に復帰してからの自民党には、野党になることはないという安心感、おごり、甘えがある。緊張感もなく、無能な政治家でも、派閥の推薦で閣僚にしている。 ●非共産系の野党が結集していた 今のように自民党が国民の批判を浴びれば、野党に対する期待が膨らむはずである。しかし、世論調査を見ても、自民党の支持率は下がっても、野党の支持率は上がらない。増えているのは、「支持政党なし」、いわゆる無党派層である。 私が麻生内閣の閣僚だったときの2009年夏の総選挙で、自民党から民主党に政権が交代した。 非共産系の野党が一つの大きな塊、民主党に結集していたことが大きい。 民主党は、非自民・非共産を旗印に、「政権交代」の4文字で勝利したのである。 ●野党には政権を担う意欲も能力もない ところが今、かつての民主党は立憲民主党と国民民主党に分裂している。さらに前原誠司氏のグループも新党を作った。日本維新の会という与党か野党か分からない政党も勢力を増している。 自民党、公明党が下野したとしても、今の野党が連立政権を組み、自公政権より優れた統治をできると考える有権者はほとんどいないだろう。 私は、2007年夏から2009年夏まで、安倍、福田、麻生の3首相の下で閣僚を務めたが、当時は、民主党が参議院を牛耳る「ねじれ国会」であった。 法案が衆議院で通っても、参議院で否決されるという状況で、大臣としては苦労したものである。 そのような緊迫した状況では、派閥推薦で大臣を決めるなどという緊張感のない人事は不可能であった。 今回の派閥のパーティー券問題で問われているのは自民党の姿勢であるが、実はそれ以上に問われているのが、野党に政権を担う意欲も能力も無いことだ。 ●悪いのは検察ではなく政治資金規正法 派閥の会計責任者は起訴されたが、派閥幹部の国会議員は不問に付された。検察に期待していた国民はこの扱いに失望したようである。 しかし、検察に言わせれば、法と証拠に基づいて職務を遂行しているのみであり、証拠もないのに立件できないという理由しかない。 つまり、問題は政治資金規正法という法律にある。 この法律を改正して、会計責任者のみならず、国会議員の責任を追及できる連座制を導入することなどが検討されている。 ●検察は安倍政権に忖度していたのか また、国会議員の関係団体の収入は銀行振り込みにすること、政治資金収支報告書をオンラインで提出することも俎上(そじょう)に上っているという。 法を作るのは国会であり、与野党で議論して法改正を行えばよい。 検察も行政機関の一つであり、長期にわたった安倍政権の下では、検察の独立性を疑いたくなるような政権寄りの姿勢も見られた。 安倍派の裏金疑惑露呈も、政権が岸田氏に移ってから表面化した。検察はそれまで何もつかんでいなかったのか、それとも安倍政権に忖度(そんたく)していたのか。 検察がどうあろうとも、国民が選挙によって判断を下すのが民主主義である。ところが、その民主主義を、ポピュリズムがゆがめ、大衆迎合に走るマスコミがそれをあおる。 検察やマスコミに期待するよりも、投票所で勝負する気概が有権者に求められている。 |
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●裏金事件のさなか不信感高まり…自公に「連立解消論」浮上! 2/3
自民党から、公明党との「連立解消論」が飛び出した。 自民党が31日に開催した国防部会などの合同会議で、国際共同開発による防衛装備品の輸出解禁に慎重な公明党への不満が噴出。出席した自民党議員から「連立を解消してでも進めるべきだ」「公明党の理解が得られなくてもやる」といった強硬論が相次いだのだ。 現在、日本は英国、イタリアと次期戦闘機の共同開発を進めている。ところが、現行の武器輸出ルールでは、他国と共同開発する装備品は、日本から第三国に輸出できない。岸田政権は輸出解禁の是非について、2月末までに結論を出すよう与党に要請。ところが、公明党は「2月末に結論を出すことではない」(北側一雄副代表)と難色を示している。 パーティー裏金事件で公明党が自民党に不信感を募らせる中、合同会議で飛び出した強硬論をきっかけに、両者に決定的な亀裂が生じかねない状況だ。 「合同会議は、慎重姿勢を崩さない公明党に文句を言うためにセッティングされたともっぱらだ。非公開で発言者がオープンにならないから、自民党議員は言いたい放題だった。間違いなく禍根を残すだろう」(官邸事情通) 公明党を刺激しすぎてソッポを向かれれば、創価学会票頼みの自民党議員は次期衆院選で“討ち死に”しかねない。それでも、自民党強硬派はイキリ立っている。合同会議に出席した自民党議員は言う。 「公明党の支援がなくなれば、次の選挙が危うくなるのは百も承知だ。それでも、輸出解禁を前に進めないと、日本は世界から立ち遅れかねない。公明党に潰されるなんて許されないことだ。合同会議で複数の議員が『連立解消論』をブチ上げると、万雷の拍手が起こっていた。こっちは徹底的にやるつもりだ」 自民党議員がブチ上げた「連立解消論」を、公明党が黙って見過ごすとは思えない。「このままでは、恫喝に屈したと受け止められかねない」(前出の官邸事情通)からだ。 ●裏金事件でイライラを募らせる公明党 自公間で不和が生じ、選挙協力体制が決裂した過去もある。昨年5月、次の衆院選での候補者調整を巡る対立から、公明党が東京で自民党の候補を推薦しない方針を決定。その後、岸田首相と公明党の山口代表の会談で手打ちに至ったものの、しこりが残っている。 裏金事件を巡っても、公明党はイライラを募らせている。 「山口代表が昨年末、動画投稿アプリ『TikTok』で『同じ穴のムジナと見られたくない』と、自民党の『政治とカネ』の問題を痛烈に批判しました。裏金事件への公明党の嫌悪感は相当なものです。中には、『このまま自民党と組んでいて大丈夫なのか』と考える関係者もいる。自民党と一緒に沈んでいくような状況になれば、パッと手を引く可能性があります」(永田町関係者) 山口代表の「同じ穴のムジナ」発言を受け、立憲民主党の泉代表は「同じ穴のムジナと見られたくないならば、ちゃんと政権から離れていただきたい」と、連立政権からの離脱を呼びかけていた。 今回のいさかいで自公が仲たがい。公明党が野党の求めに応じる日が来るかもしれない。 |
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●岸田首相と自民党が死守する「企業団体献金」は事実上の賄賂だ! 2/3
安倍派「裏金」が5年で計6億7654万円にものぼることが判明した一方、安倍派幹部の連中はその重罪をまったく反省していないらしい。政治資金収支報告書の訂正を受けて安倍派として会見することを拒否したからだ。 安倍派幹部が揃って議員辞職を拒否しているだけでも言語道断だが、説明の場である会見すら拒否するとは……。しかし、反省がないのは岸田文雄首相および自民党も同じだ。 それを象徴するのが「裏金」という表現に対する“言葉狩り”だ。たとえば、衆院本会議の代表質問で立憲民主党の泉健太代表が「(政務官)2人が裏金をもらっていたことが新たに発覚した」と言及しただけで、自民の議院運営委員会の理事が壇上に上がって抗議。参院予算委員会でも、野党議員が用意したパネルに「裏金」と書かれていることまで自民の理事が問題視したという。 政治資金収支報告書に記載していなかった金は「裏金」にほかならない。それをしゃあしゃあと「裏金と言うな!」と騒ぎ立てるとは厚かましいにもほどがある。ようするに、いまだに何も反省していないのだ。 こんな状態では、自民党が真っ当な政治責任をとることなど望めそうもないが、それは岸田首相の「政治改革」も同様だ。 実際、岸田首相は、連座制の導入について「議論」することを示したぐらいで、事実上のヤミ金となっている政策活動費の廃止・見直しにも後ろ向きの姿勢をとっている。 しかも、最大の問題は、野党が突きつけている「企業・団体献金の禁止」を、最高裁判決まで持ち出して「政党が(企業・団体献金の)受け取りをおこなうこと自体が不適切なものとは考えていない」と全否定したことだ。 言っておくが、企業・団体による献金は、1994年に細川連立政権が成立させた「政治改革関連法」で政党交付金制度の導入と引き換えに禁止・見直しが付則として決定したものだ。しかし、小渕恵三政権が1999年の法改正で政治家個人への企業・団体献金は禁止したものの、政党や議員が代表を務める政党支部への献金の見直しについては反故にしてしまった。政治改革を謳うのであれば、岸田首相はいまこそ一丁目一番地で企業・団体献金の全面禁止、企業・団体へのパーティ券販売禁止を打ち出すべきなのだ。 ところが、企業・団体献金の禁止だけは絶対拒絶の強気の姿勢を見せた岸田首相。この姿勢に対しては、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)の玉川徹氏も、「(岸田首相の)防衛ラインはどこかっていったら、企業・団体の献金ですよ」と指摘している。 ●自民党への企業・団体献金は24億円超!“政策を金で買う”大口献金企業を優遇 岸田首相が何がなんでも死守しようと必死になっている、政党への企業・団体献金。だが、それも当然だろう。 というのも、朝日新聞が2021年分の政治資金収支報告書を精査したところ、企業・団体献金を受けた自民党の議員が代表を務める政党支部は321支部、計約31億2000万円にものぼっている。 さらに、自民党の政治資金団体「国民政治協会」の2022年分の政治資金収支報告書を見ると、収入である約29億円のうち約24億5000万円が企業・団体からの献金だった。1000万円以上の大口献金をおこなった大企業と業界団体は62にもおよんでいる。 そして、自民党は大口献金をしてくれる大企業を優遇し、持ちつ持たれつの関係を築くことでその権力を維持してきたのだ。 たとえば、企業単体で自民党への献金額がもっとも多かったのは、トヨタ自動車と経団連会長の十倉雅和氏がトップを務める住友化学の5000万円だが、トヨタはグループ会社の日野自動車やダイハツ工業、デンソーなどの献金額も含めると1億1000万円にものぼる。業界団体で最高額だったのは日本自動車工業会の7800万円だった。 このように自動車企業・業界から巨額の献金を受け取ってきた一方で、岸田政権は昨年6月、トヨタ自動車に対してEV向け電池の開発・生産計画に約1200億円の補助金を出す方針を決定。また、2022年12月には、日本自動車工業会が要望していた「エコカー減税」の延長を決めた。 さらに、防衛産業も自民党の大口献金企業の常連だ。岸田首相は防衛費を43兆円に増額することを決めたが、防衛省が買い上げる防衛装備品を生産する三菱重工業は3300万円を献金。同じく防衛省と契約する伊藤忠アビエーションや伊藤忠エネクスの親会社である伊藤忠商事は2800万円を献金している。また、岸田首相が推進を打ち出している原発関連でも日立製作所が3500万円を献金。岸田政権が強行するマイナンバー制度で関連事業を請け負う日本電気と富士通も、それぞれ1800万円を献金している。 もっと露骨なのが電通だ。ご存知のとおり、コロナ禍の持続化給付金事業でも中抜き批判が巻き起こり、東京五輪をめぐる談合事件でも電通グループが独禁法違反の罪に問われているが、電通は480万円を献金。さんざん国との癒着が問題となったにもかかわらず、懲りることもなく与党・自民党に献金をつづけているのである。 ●安倍政権で復活した経団連による“政治献金の斡旋” 「政策評価」をもとに会員企業に献金促し 大口献金をしてくれる大企業を優遇し、税金を使って政策でお返しする自民党──。国民生活は蚊帳の外、自民党と大企業だけが潤う歪なシステムの元凶にあるのは、経団連の存在だ。 経団連は毎年「主要政党の政策評価2022」(政策評価)なるものを公表している。これはおもに政権・与党の政策が財界の要望に沿っているかどうかを検証するもので、経団連の会員企業・団体が献金をおこなう際の参考資料となってきた。つまり、政策をカネで買おうというのだ。 たとえば、2022年の「政策評価」によると、原発再稼働や次世代革新炉の開発・建設を含む「グリーントランスフォーメーション(GX)の加速」やマイナンバー制度の利活用の推進を含む「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」などを評価する項目として挙げている。まさしく、自民党への大口献金企業の事業内容と重なるものだ。 自民党と大企業の癒着を支える“諸悪の根源”、事実上の経団連による政治献金の斡旋ともいえる「政策評価」。しかも、この「政策評価」の影響度が増し、自民党と大企業の癒着がさらに強固なものになったのは、第二次安倍政権でのことだ。 そもそも経団連は、1950年代半ばから自民党への政治献金の窓口となり、企業や団体に献金額を割り振ってきた。だが、リクルート事件やゼネコン汚職などの金権政治批判を受け、1993年に非自民の細川連立政権が誕生すると政治献金の斡旋を中止。これが復活したのは、小泉純一郎政権時の2004年のことだった。政界への影響力を再び取り戻すべく、トヨタの奥田碩氏が会長を務めていた経団連は「政策評価」をもとに会員企業に献金を促すようになったのだ。 しかし、2009年に民主党政権が発足すると、民主党が企業・団体献金の禁止を公約に掲げていたことから、経団連は「政策評価」を中止し、献金の斡旋をやめた。 ところが、2012年末に安倍晋三氏が首相に返り咲くと、経団連は2013年に「政策評価」を復活させ、2014年には経団連は5年ぶりに会員企業への政治献金の呼びかけを再開させた。その結果、献金額は再び増加。実際、下野時代の2011年の自民党への企業・団体献金は11億5500万円だったが、政権に復活した2013年には19億5400万円、2014年には22億1000万円へと倍増。その後も献金額は増え、安倍氏が首相を辞任、菅義偉氏が引き継いだ2021年には、コロナ禍であったにもかかわらず24億3000万円もの献金を集めている。 ●安倍政権の大企業優遇棄民政策 国民は賃金上がらず搾り取られる裏で献金の見返りに法人税下げ続け しかも、経団連の政治献金の斡旋による自民党との癒着関係は、献金をおこなった個別の大企業の優遇政策を引き起こしただけではない。それは、安倍政権が献金斡旋の見返りとして法人実効税率を引き下げつづけたことだ。 2014年、経団連の新会長に東レの榊原定征氏が就任したが、榊原氏は会長就任の前日の同年6月2日に「政治献金の斡旋もあらためて検討し、年内に方向を打ち出したい」と言及。すると、この発言の翌日、自民党税制調査会は経団連が要求してきた法人実効税率を引き下げる方針を決定。安倍首相も6日に「来年度から引き下げる」と明言したのだ。その後、法人実効税率は政権発足時の37%から29.74%(2018年度)にまで引き下げられたのである。 経団連が政治献金を増やすと、その見返りに安倍政権は法人実効税率を引き下げ、そのぶんを消費税につけまわす。そして大企業は賃金上昇ではなく内部留保を増やし、安倍政権にさらに献金する……。つまり、自民党と大企業が癒着し互いに私腹を肥やす一方で、国民生活は置き去りにされただけでなく、どんどんと搾り取られていくかたちとなったのだ。その延長線上に岸田政権があり、癒着関係は脈々と受け継がれているのである。 ちなみに経団連は、消費税のさらなる増税をはじめ、社会保険料や自己負担の引き上げなども提言している。今回の政治改革で、岸田首相が「企業・団体献金の禁止」を突っぱねれば、今後も自民党政権は多額の献金を見込んで経団連の言いなりとなり、国民生活はさらに追い込まれていくことになる。 玉川徹氏は「企業・団体献金を禁止できるかどうかというのが肝だってことを、われわれ国民側が意識しておかないとダメ」と強く訴えていたが、カネで政策を買うという金権腐敗を、このまま温存させるわけにはいかない。そのためにも、世論が厳しく岸田政権の姿勢をただしていく必要があるだろう。 |
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●高市氏…大阪万博の開催延期検討を岸田首相に進言した対応を釈明 2/3
高市経済安全保障相は3日、2025年大阪・関西万博の開催延期検討を岸田首相に進言した対応に関する経緯を自身のX(旧ツイッター)に投稿した。「物議を醸した」とした上で、「(能登半島地震の)被災地復旧も万博も完璧にやりきることが日本の名誉を守るために必要だと思っていた」と釈明した。 高市氏は、建設会社から資材や人手不足で困っていると聞き、「心配で眠れなくなった」と説明。首相が被災地復旧の資材が不足しないよう対応を指示したと知り、「感謝の気持ちでいっぱいだ」とも記した。 |
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●自民、揺れる存続2派閥=茂木派、退会者止まらず―麻生派「守旧派」批判も 2/3
自民党の麻生派(志公会)と茂木派(平成研究会)が「政策集団」として存続する方針を確認し、政治資金の裏金事件を踏まえた党内6派閥の対応が出そろった。 ただ、両派内では依然、解散を求める声がくすぶり、茂木派では退会の動きに歯止めがかからない。2派の動揺は続きそうだ。 「閉鎖性を見直さなければいけない。(他派閥との)掛け持ちはあり得る」。茂木派を率いる茂木敏充幹事長は1日夜のテレビ番組で、他派閥との掛け持ちを容認する可能性に言及した。 毎週木曜日の昼に一斉に定例会合を開き、掛け持ちを禁じるのが自民党派閥の長年の慣行だ。この点が緩やかな「グループ」との最大の違いだった。見直せば結束が揺らぐ恐れもあるが、茂木派関係者は「柔軟路線に転じなければいけないほど茂木氏は追い詰められている」と指摘した。 実際、茂木派は求心力が低下しつつある。小渕優子選対委員長が1月25日に退会を表明すると、青木一彦参院議員も同調。2人の父、小渕恵三元首相と青木幹雄元官房長官は派閥結成に深く関わり、優子、一彦両氏は同派「本流」と目されてきただけに、分裂への懸念が広がった。 茂木派は同30日の会合で「いわゆる派閥としては解消し、政策集団に脱皮する」(茂木氏)との方針を確認。しかし、翌31日には船田元・衆院議員総会長、古川禎久元法相、関口昌一参院議員会長ら6人が一斉に退会届を提出。所属議員は事件前の53人から45人となった。 かつて「鉄の結束」を誇った茂木派だが、茂木氏は「体育会みたいな感じではなくなる」と説明。派閥事務所廃止や政治団体解散にも柔軟な姿勢を見せる。ただ、派内にはなお「一度解散すべきだ」(閣僚経験者)との声がある。佐藤信秋参院議員は2月2日、派に残るかどうかについて、記者団に「様子を見る」と述べた。 一方、麻生派からの離脱者は現時点で岩屋毅・元防衛相のみ。会長の麻生太郎副総裁は同派前身の河野洋平元総裁らのグループ(大勇会)の結成メンバー。事実上のオーナー派閥として求心力を維持し、茂木派ほど動揺は広がっていない。同1日には、毎週木曜の例会を派閥事務所で当面継続することを申し合わせた。 ただ、安倍、岸田、二階、森山の4派閥が解散を決定し、茂木派も従来派閥からの「脱皮」を模索する中、党内では「麻生派は最後の守旧派」(関係者)との批判が強まる。無派閥の閣僚経験者は「若手議員は選挙区で派閥所属を批判されれば浮き足立つ。麻生派だってどうなるか分からない」と話した。 |
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●「政治とカネ」の問題、本質は政治資金収支報告書への「不記載」 2/3
政権与党・自民党内の「派閥解消論」が盛んだ。しかし、筆者は反対である。 派閥は、特に自民党のような大きな政党には必要だ。共産党や公明党には「派閥はない」と言われているが、むしろ、その方に違和感を覚える。 「派閥あって党なし」といわれるような行き過ぎた活動は問題だが、だからといって派閥そのものを否定する必要はない。目指すべきは、派閥の「弊害除去」であって、派閥解消ではない。 リクルート事件を契機に、「派閥解消」を明記した1989年の政治改革大綱が注目されている。当時の議論では「派閥は中選挙区制が発生原因」だと考えられていた。 選挙制度を小選挙区制に改めれば、派閥は必然的になくなるとされたが、派閥は総裁選に対応するために生じるものだ。小選挙区制が導入されても派閥はなくならず、むしろ、その後の激しい総裁選が派閥の機能強化を進めた。 かねて派閥解消を唱えていた石破茂元幹事長ですら、総裁選に挑戦するにあたり「石破派」を結成せざるを得なかったことが、それを証明している。 派閥は、党執行部を牽制(けんせい)して、党内の民主的運営を確保するうえでも重要だ。長年にわたって政権政党にありながら、自民党が独裁化しなかったのも、派閥による相互牽制があったからだ。その機能は、執行部の権限が強大化する小選挙区制の導入によって、より重要になった側面もある。 そもそも、今回の事件の本質は、派閥の政治資金パーティー収入を適切に政治資金収支報告書に記載しなかった点にあるのであって、派閥そのものが悪いわけではない。 山本七平著『「空気」の研究』(文春文庫)には、公害病「イタイイタイ病」の原因とされたカドミウムの金属棒を見せられた記者が、恐怖を感じて「のけぞって、逃げた」という場面が描かれている。 カドミウムそのものと、その廃水を適切に処理しなかったことを同一視する「空気」が、記者にこのような行動をとらせたというのが山本氏の「解説」である。 現在の派閥解消論も同様ではないか。 筆者の知る限り、「派閥解消しても政治資金の問題は解決しない」との論評はあっても、派閥解消に反対する意見は見当たらない。中には、自民党政治刷新本部の「中間とりまとめ」では、派閥解消に不十分で、もっと徹底的にやるべしとの指摘もある。 まさに、山本氏のいう「空気」が蔓延(まんえん)しているというべきではないか。 筆者は、今回の事件で、法的に立件された派閥が「ケジメ」として解散することを否定するわけではない。現在の派閥が未来永劫(えいごう)、存続することを望んでいるわけでもない。派閥は過去においても、状況に応じて離合集散が繰り返されてきた。しかし、「派閥は悪」と決めつける昨今の論調には、大いに異を唱えたい。 |
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●「憲法改正解散」はあるか〜施政方針演説に隠されたメッセージ 2/3
●総理の”博打”は派閥解消?次の一手は? 「博打を打たなければ逆転はできない」 今年1月、大スキャンダルへと発展した自民党の派閥の政治資金の問題を受け、内閣支持率が最低を更新し続けていたころ、岸田総理は周辺に対してこう語っていた。 それからほどなくして、岸田総理は自身が会長を務めていた派閥、「宏池会(岸田派)」の解散を決める。誰よりも派閥愛が強いとされていた総理の決断は驚きをもって受け止められた。 これが「博打」だったのか。そうだったのかもしれないが、内閣支持率の回復にはつながっておらず、現時点では「逆転」の一手とはなっていない。ただ、政権浮揚に向けてまだまだ切るカードがある、岸田総理はそう匂わせている。 そして、そのヒントは今回の施政方針演説の中にあった。 ●憲法改正で“異例の言及” 1月30日の衆議院本会議。岸田総理による施政方針演説が行われた。 焦点だった政治改革については、自民党の政治刷新本部の中間とりまとめを超える打ち出しはなく、野党側からは「裏金、裏金、裏金」とヤジが飛ぶなど、前途多難な国会を予感させた。 そんな中、ひときわ議場から歓声が上がったのが、岸田総理が演説の終盤で憲法改正に言及したときだった。 岸田総理(1月30日・施政方針演説にて)「あえて自民党総裁として申し上げれば、自分の総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく、最大限努力したいと考えています」 「今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります」 今年9月に自民党総裁としての任期を迎えるのを前に、憲法改正を実現したいと訴えたのだ。 自民党の重鎮議員は「あれにはビックリした」と率直に驚きを口にし、自民党の中堅議員は「今、憲法改正を求める国民がどれだけいるのか」と、戸惑いを隠さなかった。 施政方針演説は今年1年の内閣の基本方針や政策について訴えるもので、国会で決めるべき話である憲法改正について、総理大臣ではなく、わざわざ自民党総裁として踏み込むのは異例といえる。 実際、岸田総理は過去、施政方針演説、所信表明演説を通じて「自民党総裁として」という表現を使ったことはない。 では、なぜこんな表現が出てきたのか。 政権幹部「事実上期限を切った。言わないと動かないから。現状、衆院と参院でピッチがあっていないので『考え方を一致させていきましょう』とハッパをかけたということ」 また、政府関係者は「改正の中身にまでは踏み込んでいない」と語り、総理大臣が発言しうるギリギリのラインをついたと解説した。 ●“政権のレガシーに”岸田総理の模索 安倍政権でもできなかった憲法改正だが、“リベラルな宏池会(岸田派)政権のほうが逆に実現しやすいのではないか”、かねてから自民党内ではこんな見方が出ていた。 実際、政府関係者によると岸田総理は「憲法改正はやらないといけない。9条も変えないと自衛隊の人たちがかわいそうだ」と話しているという。別の総理周辺も「政権のレガシー(遺産)として総理は憲法改正を考えている」と証言している。 憲法改正を党是とする自民党は、優先すべき4項目として「自衛隊の明記」「緊急事態条項」「参議院の合区の解消」「教育環境の充実」を掲げている。 このうち、大規模災害などの緊急時に国会議員の任期を延長するなど、国会や内閣の権限を強化する「緊急事態条項」については、衆院の憲法審査会でも議論が進められてきた。与党・公明党の賛同も得られやすいとして、4項目のうち、「緊急事態条項」だけでも先行して改正する案も浮上している。 去年の臨時国会における衆議院の憲法審査会では、自民党側から「緊急事態における国会機能維持のために議員任期を延長する憲法改正について、来年の通常国会で、具体的な条文の起草作業を行う機関を設け、起草作業のステージに入ることを提案する」と言及があった。 ただ、スケジュール的には簡単ではない。憲法改正の手続きを定めた国民投票法によると、国民投票は「憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行われる」という。つまり、6月を会期末とする今国会中に発議しないと総裁任期までの改正は不可能となる。 また、参議院は衆議院と比べ議論が進んでおらず、去年の臨時国会では実質審議は2回しか行われていない。 日本維新の会・馬場伸幸代表(1月30日)「時間的にはもう既にタイムオーバーになっているような状況の中でですね、総裁総理はそうおっしゃいますが、本当に自民党自体がそういう考え方になっているのかということを考えれば甚だ疑問を持たざるを得ない」 ●「憲法改正解散」はあるのか そこでささやかれるのが、「憲法改正を掲げた解散総選挙」である。 今回の政治とカネの問題を受けて、岸田総理が宏池会を突如解散すると決めたことで、事前に聞かされていなかった麻生副総裁、茂木幹事長は激しく反発し、3人の溝は深まったとされる。ある自民党幹部は「岸田・麻生・茂木の三頭政治は終わりだ」と指摘している。 岸田派の解散も加わって、政権基盤が弱まっている岸田総理としては、9月の自民党総裁選で再選されるためのハードルが極めて高くなったともいえる。 そこで総理サイドが考えているシナリオが、総裁選前に解散総選挙を打って出るというもの。仮に勝利できれば国民の信任を得たとして、総裁選で対抗馬が立ちにくい状況を作ることが出来るからだ。 岸田総理(1月30日、施政方針演説にて)「本丸は、物価高を上回る所得の実現です。あらゆる手を尽くし、今年、物価高を上回る所得を実現していきます、実現しなければなりません。」 岸田政権は去年を上回る賃上げを強く呼びかけているほか、6月には所得税などの減税措置によって可処分所得が増えることから、国民の間に経済が上向いている実感や明るいムードが広まることを期待している。 そして6月は通常国会の会期末でもある。国会終盤のタイミングで解散総選挙に打って出る、その場合に解散の大義として憲法改正、賛成か反対か、というテーマ設定をする、こんな選択肢がささやかれているのだ。 ただ、与党内では、現状の支持率では夢物語に近いと冷ややかだ。解散権は総理が持つとはいえ、仮に党幹部や閣僚がこぞって反対したときに、全員を罷免してまで解散に踏み切れるのか、本気度を疑う声もある。 そしてなによりも、目の前の「政治とカネ」の問題がある。 立憲・泉健太 代表(1月30日)「裏金問題を起こしてるときに、我が党の仲間たちからも聞こえてきた声は、汚れた手で憲法を触るなと。本当、その通りですよね」 裏金事件の真相解明と再発防止策としての政治資金規正法の改正。ここで納得の得られる結論を得られなければ、岸田総理の訴えも説得力を欠く。 究極の“博打”ともいえる「憲法改正解散」に打って出るのか。 岸田総理は「先のことは言わない。問題山積だし、引き続き正念場であることは変わらない。ひとつずつ直近の課題に取り組むしかない」と周囲に話している。 |
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●なぜ震度7よりも震度6の地域で死者多数?能登地震で家屋倒壊の“揺れ方” 2/4
能登半島地震の発生から1か月。多くの犠牲者を出した家屋の倒壊をもたらしたのは、単純に震度の大きさだけではないことが分かってきました。住宅に壊滅的な被害をもたらした特徴的な揺れ方とは?首都直下地震でも想定される同様の「揺れ」に備えるために必要な対策とは?手作り解説でお伝えします。 ●死者「2人」と「101人」の差は? 能登半島地震の死者は240人。津波や土砂崩れでも死者は出ましたが、多くは建物の倒壊が原因です。なぜここまで建物の被害が拡大したのでしょうか?単純な揺れの強さ、つまり震度の大きさだけではないことが分かってきました。 例えば、震度6強だった珠洲市では3分の1以上の住宅が全壊し、死者は101人に上りましたが、さらに大きな震度「7」が観測された志賀町の死者は2人です。この差をもたらした要因の一つに、揺れ方の違いがあるのです。 ●揺れの「周期」による被害の違い 模型を使って説明します。ゆっくりとした揺れだと、低い建物はあまり揺れませんが、高い建物は大きく揺れます。 一方、小刻みな揺れだと、低い建物の方が大きく揺れます。揺れ方の違いで建物へのダメージが変わってくるのです。 地盤の固さや震源からの距離、そして地震の規模を示すマグニチュードによって、さまざまな揺れ方が起きるのですが、珠洲市では、住宅などの比較的低い建物に強いダメージを与える揺れが起きていたのです。その揺れ方は、「周期が1〜2秒の揺れ」だったといいます。 ●危険な揺れ方は今後も… 耐震や防災に詳しい名古屋大学の福和伸夫名誉教授によりますと、この「1〜2秒周期」の揺れ方は、マグニチュード7クラスの地震で発生しやすく、今回の地震もマグニチュードは7.6でした。 7.3だった阪神大震災や、熊本地震などでもこの「1〜2秒周期」の揺れが起き、多くの建物が倒壊しています。いつ起きてもおかしくない首都直下地震で想定されているマグニチュードも7クラスです。 ●揺れで死なないために…まずは耐震化 建物の倒壊被害を防ぐためには、やはり、重要なのが耐震化です。しかし、今回の被災地は過疎化・高齢化が進み耐震化が進んでいない地域でした。 福和教授は「人命を救うためにも、すぐに救援が難しい過疎化が進んでいる地域などでは、国の負担で耐震化を進めることも検討すべき。コスト面でも倒壊した建物を直すよりも、事前に耐震化するほうがはるかに安く済む」と指摘します。 大地震の後に倒壊した建物を直すよりもはるかにコストがかからない耐震化とは、具体的にどんなことを指すのでしょうか。 例えば、建物に筋交いという補強資材を入れるだけでも、何もしていない建物と比べ揺れに対して強くなります。 耐震化すれば、地震で命を落とす可能性はぐっと下がりますので、次の地震に備え、全国で耐震化が進むことが急がれます。 |
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●裏金事件 自民党が安倍派・二階派の議員を聴取 3日連続も焦りの色も 2/4
党内の派閥による裏金事件を受け、自民党はきょうも安倍派の議員らへの聞き取りをおこないますが、思うように進まず、関係者には焦りの色も見えています。 きのうは都内のホテルで森山総務会長や小渕選対委員長らが2つのチームに別れ、弁護士を交えて安倍派議員の聞き取りをおこないましたが、きょうは渡海政調会長らのチームも加わり、3チームで聞き取りを行う予定です。 派閥から受け取ったキックバックの「金額」や「使いみち」のほか、「不記載の経緯」などについて聞き取りをおこないますが、二階派の議員と合わせおよそ90人いる対象のうち、これまでに聞き取りがおこなわれたのは20人程度にとどまっているとみられます。 関係者によりますと、当初予定されていたペースでは進んでいないということで、あす以降も聞き取りを行いますが、週内に取りまとめができるかは微妙な状況です。 |
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●石川 能登地方の一部地域で停電続く 2/4
北陸電力送配電によりますと、石川県の能登地方では午後2時の時点でおよそ2000戸が停電しています。 自治体別では、輪島市でおよそ1300戸、珠洲市でおよそ550戸、能登町でおよそ50戸、穴水町でおよそ30戸、七尾市と志賀町でそれぞれおよそ10戸となっています。 北陸電力送配電などは、土砂崩れなどで立ち入りが困難な場所や、建物に甚大な被害を受けるなど早期の復旧が見通せない一部の地域を除いて、停電はおおむね解消しているとしています。 輪島市や珠洲市でもおよそ9割の世帯に電気が届いているということで、現在、停電しているエリアについても道路などのアクセス改善に応じて復旧を進めるとしています。 |
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●橋下徹氏 自民安倍派6・8億不記載 「国会議員は軽く考えすぎ...これは不申告」 2/4
元大阪市長で弁護士の橋下徹氏(54)が4日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」に出演。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件について言及した。 安倍派が政治資金収支報告書に記載せず、「ないこと」にしてきたパーティー券収入は、2020〜22年までの3年間で4億3588万円。所属議員へのキックバックは、この3年を含めた5年間で実に6億7654万円に上る。 番組では、この6億7654万円について、サラリーマンの平均生涯年収の約2・5人分、保育園から大学まで私立に通わせた場合にかかる費用に換算すると29人分、そして、震災被害の仮設住宅なら112戸分だと説明した。 橋下氏は「今、永田町の国会議員、特に自民党の皆さんは、ちょっとこの問題を軽く考えすぎ。不記載は“単なる事務ミスだ”と。“事務上のミスなんだから”という感じで、“裏金という言葉を使うな”とかそんな話になっていますけど、なぜ永田町の国会議員、特に自民党の国会議員が軽く考えるかというと、彼らのこのお金が非課税だからなんです」と指摘。そして、「われわれ一般の納税者から考えると、これは不申告ですよ。だからこれは普通、修正すれば、修正申告に応じてのペナルティー、追徴課税プラスペナルティーが科せられるのに、国会議員だけは全部お金が非課税だから簡単に修正するんです。とんでもないです、6・8億円の修正なんていうのは」と自身の考えを述べた。 |
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●政府の財政見通し 借金漬けへの危機感欠く 2/4
巨額の借金を抱える深刻な事態への危機感を欠いている。 内閣府が半年に1度の財政見通しを公表した。「基礎的財政収支」と呼ばれ、社会保障や公共事業など国と地方の政策に関わる毎年度の収支を示す指標だ。 2023年度は赤字が30兆円に上るが、税収の増加などで急速に改善し、25年度には1兆円程度に縮小すると予測している。岸田文雄首相は「歳出改革の継続などで25年度黒字化の目標達成が視野に入る」と強調した。 従来の政策を続ければ健全化が実現するかのような言いぶりだが、あまりに説得力に乏しい。 まず疑問なのは、大盤振る舞いしてきた補正予算を今後は編成しない前提となっていることだ。 アベノミクス以降、政府は、チェックが甘くなりがちな補正を利用してきた。首相も昨年秋、ばらまきとしか思えない経済対策を打ち出し、国債を大量発行した。 首相肝煎りの防衛費と少子化対策の大幅増額も財源はあいまいだ。ほかの歳出抑制などで確保するというが、めどは立っていない。最終的に国債頼みに陥る恐れがある。物価高対策を理由にした所得減税も借金を膨らませる。 税収の増加は高成長が続くことを前提にしているが、物価高が消費を圧迫している。政府に都合が良すぎる想定ではないか。 早急に取り組まなければならないのは、野放図な歳出拡大に終止符を打つことだ。 25年は団塊の世代が全員75歳以上になり、医療や介護などの社会保障費が一段と膨らむと予想されている。借金漬けのままでは、超高齢社会を乗り切れない。 能登半島地震のような大きな自然災害は今後も起こりうる。財政的な余力を確保する必要がある。 国債の金利上昇も懸念される。日銀の超低金利政策に依存してきたが、大規模な金融緩和は近く修正されるとみられている。 国と地方で積み上がった債務は1200兆円にも上る。国債の利払い費がかさむと、借金は雪ダルマ式に膨張しかねない。 |
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●岸田首相に「闇パーティー」疑惑浮上!地元・広島での「総理就任を祝う会」〜 2/4
岸田文雄首相の「闇パーティー」疑惑が国会で浮上した。 立憲民主党の大西健介議員が追及したところによると、岸田首相の地元・広島で2022年6月、政財界関係者らが発起人となって任意団体をつくり「総理就任を祝う会」を開催。飲食の提供はなく、会費1万円で1100人が参加した。この任意団体の代表は、岸田文雄後援会と同一人物だという。 だが、会場の受付や経理は岸田事務所が担当した。会費収入のうち約320万円は、岸田首相が代表を務める自民党支部に寄付されたという。 岸田首相は、受付や経理を岸田事務所が担ったことについて「事務局から不慣れだとの相談を受け、私の事務所がお手伝いをした」と説明。「祝う会」を主催したのはあくまでも任意団体であり、政治資金パイティーではなく「純粋な祝賀会だ」と強調した。 これに対し、大西議員は実質的には岸田首相が開催した政治資金パーティーであり、収支報告書に記載していないのは不記載にあたると主張。「闇パーティー」として厳しく批判したのである。 岸田首相は「いわゆる派閥」の解消を打ち上げ、派閥からカネと人事の権能を奪うことで実効性を担保すると説明している。政策集団として存続することは認めつつ。1派閥による政治資金パーティーの禁止2派閥が人事の推薦名簿を提出することをやめるーーの2点を徹底することで「いわゆる派閥」は姿を消すという主張だ。 しかし、岸田首相自身の「闇パーティー」のように、「任意団体による祝賀会」の名目で集めた資金の一部を政治家側が受け取ることが許されるのなら、派閥が自ら政治資金パーティーを開催しなくても、任意団体を設立して事実上のパーティーを開催し、収入を派閥に寄付してもらえばよいことになる。 つまり、岸田首相は自らが打ち上げた派閥解消策の抜け道を、自ら実践していたということだ。 このような抜け道がたくさんあるから「派閥による政治資金パーティーの禁止」を打ち出してところで、自民党内の大勢は強く反対しないのである。 岸田首相が派閥解散を打ち上げた大きな狙いは、裏金事件で高まる政治資金の不透明さへの批判をかわすことにあった。しかし、自民党の歴史を紐解けば、派閥解消は何度も表明されながら、ほとぼりがさめれば復活することの繰り返しである。 重要なのは派閥解消ではない。政治資金の透明化だ。派閥解散に目を奪われて、政治改革の本筋が政治資金の透明化にあることを忘れてはならない。 岸田首相の闇パーティー疑惑は、政治改革の議論が本筋をそれ、派閥解消論で誤魔化されつつある現状に警鐘を鳴らしたと言えるだろう。 |
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●“私有地の徴用工像も撤去を”発言の杉田水脈議員に批判殺到… 2/4
《日本国内にある慰安婦や朝鮮半島出身労働者に関する碑や像もこれに続いてほしいです。嘘のモニュメントは日本に必要ありません》 Xにこう綴ったのは、杉田水脈衆議院議員(56)だ。2月2日、群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」に設置されていた朝鮮人労働者の追悼碑が、多くの人の反対を押し切って撤去された。 2004年、群馬県議会の賛同も得て、市民団体が建設した追悼碑。しかし、「政治的な行事をしない」という設置時の条件に反したとして、2014年に設置許可の更新を群馬県側が認めず、市民団体と裁判になっていた。追悼式で出席者が「強制連行の事実を訴えたい」と発言したことを群馬県側は政治的だと判断したという。 2022年、最高裁で群馬県の判断は適法という判決が確定。これを根拠に、追悼碑は撤去されたが、群馬県の山本一太知事(66)は「ルール違反だから撤去を決めた。碑文の中身に問題はない」と語っているように、撤去の理由は“歴史認識ではなく、あくまでも行政と定めたルールに反したため”、というのが群馬県側の言い分だ。 しかし、杉田氏は追悼碑を“嘘のモニュメント”と主張。さらに、別の場所にある朝鮮人労働者のブロンズ像の写真とともにこんなポストを続けた。 《この写真は、以前に取材し、記事にした京都にある徴用工像。韓国国なのものより先に建てられました。私有地ということで、撤去できない状態です。建てた団体は日本の中核派等過激派労組と関係の深い韓国の労組。こちらも早く撤去できればいいのですが。》(原文ママ) 私有地に建てられた像も撤去できればいいと綴った杉田氏。理由は、像が自分の歴史認識に反している存在だからということは明らかだ。これにはX上でこんな反応が。 《私有地なら問題ないじゃん》 《財産権の侵害であり、表現の自由に反す。憲法違反ですよ》 《明確な思想弾圧。国会議員がこんなことを言うとは》 過去に、書籍のなかの対談で杉田氏はこんなことも語っていた。 《慰安婦像を何個建ててもそこが爆破されるとなったら、もうそれ以上、建てようと思わない。建つたびに、一つひとつ爆破すればいい》<『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)より> 自身の歴史認識に反したものは、法的根拠なく撤去や破壊されるべきという杉田氏。ちなみに、岸田政権は、村山談話なども含む、歴代の政権が表明した「反省とおわび」の立場を継承していることを明確にしている。 |
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●東京15区補選をめぐる「日本保守党・有本香VS小池百合子」オンナの戦い 2/4
昨年の東京都江東区長選をめぐる公職選挙法違反事件で、買収などの罪で起訴された柿沢未途前法務副大臣(東京15区)=自民党を離党=が、2月1日に議員辞職した。これにより、4月28日投開票の補欠選挙は、細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区、派閥の政治資金規正法違反事件を受けた谷川弥一前衆院議員の辞職に伴う長崎3区と東京15区の3選挙区で行われることになる。 政局に与える影響が大きい東京15区の補選を睨み、作家の百田尚樹氏が率いる日本保守党は2月1日に緊急執行部会議を開いて、「東京江東支部」の設立を決めた。 同党事務総長の有本香氏はXに、次のように投稿し、候補者擁立に強い意欲を示した。 〈江東区は東京の中でも成長著しいところであるにもかかわらず、自民党の衆議院議員が2代続けて『カネ』の問題で逮捕起訴されました。江東区からこのような腐敗した政治風土を一掃しなければなりません〉 日本保守党は百田氏と有本氏の存在感は目立つものの、永田町ではほとんど注目されていない。というのも、百田氏と有本氏は候補者として次期衆院選に出馬すると表明していないからだ。「党のトップが選挙に出ないなんてありえない」と、自民党幹部は冷ややかに見ている。 そうした中での、江東支部の立ち上げ表明。手術明けの百田氏は難しいだろうが、有本氏が出馬するとなると、一定のインパクトがあるかもしれない。 もっとも、小池百合子都知事の出馬も取り沙汰されている。「保守」を自認する女性2人の神経戦が展開されそうだ。 |
●大地震と液状化 足元の備え、もっと必要だ 2/11
能登半島地震は、日本の防災を問い直す課題を次々と浮かび上がらせている。日々伝えられる被害の中では目立たないが、広範囲に及ぶ地盤の液状化も見過ごせない。 強い揺れによって地盤の砂の粒が液体のように流動化して沈下し、地表に水や砂が噴出する現象である。石川県はもちろん富山、新潟、福井県でも確認された。震源から100キロほど離れた石川県内灘町では最大震度5弱だったのに多くの住宅が傾き、道路が割れて波打つなど復旧が見通せないほどの被害が出た。 沿岸部の干拓地や埋め立て地で液状化は起きやすいが、内陸部の造成地などでも生じることが分かっている。瀬戸内海沿岸をはじめ、中国地方もこのリスクと向き合っていることを再認識したい。 実のところ、大地震のたびに液状化対策の必要性は叫ばれてきた。1995年の阪神大震災では、神戸の顔と言えるポートアイランドが砂まみれになった光景が、少なからぬ衝撃を与えた。2001年の芸予地震でも、規模こそ小さかったが広島デルタの海沿いで発生した。 さらに11年の東日本大震災では、東北から遠く離れた千葉県浦安市などの東京湾岸をはじめ、13都県で液状化の被害が起きた。膨大な数の家が沈下したり、傾斜したりして深刻な都市災害として認識された。ただ危機感がさほど高まったとは思えない。 過去の教訓から、国は遅れてきた宅地の液状化対策を一定に講じている。宅地では、地下の水位を下げるなどの予防策を取れば液状化の被害は軽減できる。そのため国の補助制度ができたが、地域ぐるみで取り組む難しさや地元負担の大きさもあり、なかなか前に進まない。住民に注意を促すハザードマップを作っている自治体も少ない。 中国地方を含む日本列島で液状化の危険が高いとされてきたのが、南海トラフ巨大地震だろう。強く長く地盤を揺さぶる可能性が強いからだ。広島県の想定によると、この地震の県内の液状化被害は全壊が最大4万棟近くに上る。ただ長大な活断層が複合して関係したとみられる能登半島地震の被害を考えると、どんなタイプの地震でも思わぬ被害が出る恐れがあろう。 まず足元の地盤の現状を成り立ちから見つめ直したい。戦後、瀬戸内海沿岸では液状化を考慮せず開発したケースが多い。コンビナートなどの産業用地も例外ではない。 例えば歴史的に埋め立てを重ね、地盤が軟らかい広島デルタで液状化対策の優先度が高いのはどこなのか。自治体や研究者が連携し、きめ細かいリスクの分析をした上で備えをしておく必要がある。 |
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●立民・太栄志議員「中国のTPP加盟を後押しすべき」と国会質問の理由 2/11
自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受けて、岸田文雄政権への批判が高まっている。9日の衆院予算委員会は、岸田首相が出席して「政治とカネ」や「外交」などに関する集中審議が行われた。野党陣営が攻勢を強めるなか、立憲民主党の議員から「中国のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)加入」を後押しする質問が飛び出した。有権者は冷静に与野党の「政権担当能力」を考えなければならない。 「中国の(沖縄県・尖閣諸島や邦人拘束での)強硬的な行動には強く抗議する」「日本と米国は同盟国だが、中国は最大の貿易相手国」「日本は主体的に中国を国際社会に組み込んでいくべきだ」 立憲民主党の太栄志(ふとり・ひでし)衆院議員は予算委員会でこう語り、次のように続けた。 「わが国として、中国のTPP加入を後押しすべきだ」 これに対し、岸田文雄首相は「TPPは(加盟時も加盟後も)高いレベルの条件を満たす必要がある」「中国の貿易慣行やビジネス環境に、厳しい目が注がれている部分もある」などといい、中国の加盟に慎重な姿勢を示した。 共産党独裁の中国は2021年、TPP加盟を申請した。ただ、国有企業への不透明な補助金や、重要鉱物などの一方的な輸出規制を行うなど、TPPの高水準のルールを守れるかには懸念がある。 申請当時、自由主義陣営の台湾が加盟申請に動いたことに対抗する狙いもあったとみられている。こうしたなか、立憲民主党議員から冒頭の質問が飛び出したわけだ。 実は、立憲民主党は「『次の内閣』の外交・安全保障戦略の方向性」(22年12月20日)にも、「TPPについては米国の復帰を求めつつ、中国についても高水準を満たした上での参加など安定した協商関係≠築く必要がある」と記している。 同党の姿勢をどうみるか。 福井県立大学の島田洋一名誉教授は「TPPは『自由主義圏の対中包囲網』を念頭にした協定であり、立憲民主党の議論は筋違いだ。中国はWTO(世界貿易機関)に加盟したが、不当な関税や禁輸措置などルール違反が疑われる行為を繰り返した。加盟国と取引が深まるなか、各国は対中強硬姿勢を取りづらくなった経緯もある。TPPも内側からルールを崩される懸念があり、二の舞いを踏むべきではない。旧民主党は中国共産党に近かった。有権者は、立憲民主党が政権を任せられる政党なのか見極めるべきだ」と語った。 |
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●岸田氏 少子化対策で国民1人当たり500円負担に「しれっと保険料から...」 2/11
TBSの松原耕二キャスターが11日、TBS系「サンデーモーニング」に出演。政府が少子化対策の財源として国民1人当たり500円を負担させる方針についてコメントした。 異次元の少子化対策を掲げている岸田政権はこれまで、国民負担は実質ゼロと説明してきたが、国民1人につき月平均500円弱の負担になると説明。岸田文雄首相は、歳出改革と賃上げなどを理由に「実質的な負担は全体として生じない。事実上の子育て増税だというご指摘には当たらない」などと説明しているが、野党からは「事実上の増税」と批判の声が噴出した。負担は26年度から段階的に始まり、医療保険料に上乗せされる。 物価高騰や円安など、国民にとって厳しい状況が続く一方で、自民党派閥議員の裏金事件など、信頼を損なっているタイミングで明かした実質増税。SNS上には「年間6000円の増税じゃん」「賃上げは企業がやること」「子育ての為って言えば大義になると思ってるのか せめて裏金問題をクリアにしてからでしょ」「裏金を裏金と言うなとか 実質増税を増税と言うなとか もうそういう誤魔化しはやめろや」と、厳しい批判が相次いでいる。 松原氏は「増税というと大騒ぎになって支持率が下がるかも知れないというのが怖い。だからこっそりと言ったらなんですけど、しれっと保険料から天引きでちょっとずつ取ったら分かんないんじゃないの、気付かないんじゃないのというのに近い感覚で取ろうとしているのでは。これは実質、増税」と指摘。そして「と同時に歳出改革と賃上げで負担増にならないと言っているんですけど、いまだにインフレが続いているので、日本は実質賃金がずっとマイナスなんです。堂々と少子化って大事だから訴えて税金でくださいと言った方がまだ筋が通る」と自身の見解を述べた。 |
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●日伊首脳会談 外交安保で協力を深めよ 2/11
岸田文雄首相と来日したイタリアのメローニ首相が会談し、外交安全保障をはじめとする協力関係を深化させることで合意した。 イタリアは先進7カ国(G7)の一員で北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)の主要国だ。国内総生産(GDP)はEUで独仏に次ぐ3位の大国である。 イタリアがインド太平洋地域の安全保障への関心を高めていることを歓迎したい。今年は空母打撃群を初めて日本に寄港させ、自衛隊と共同訓練を行う予定だ。日本にとっては英国とともに次期戦闘機を共同開発する大切なパートナーといえる。 G7の今年の議長国はイタリアで、昨年の議長国は日本だった。メローニ氏は岸田首相に対し、「バトンを受け取り、優れた功績を残せるよう努力したい」と語った。両首脳はイタリアで開催予定のG7サミットに向け、緊密に協力していくことで一致した。 ウクライナ侵攻や中東ガザ危機で収束の兆しがみえず、11月には米大統領選を控えている。どれ一つとっても安保情勢の激変を招きかねない。米欧諸国の世論でウクライナへの「支援疲れ」が広がる中、G7各国の結束が試されている。 日伊の首脳がG7サミットに向け、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜く決意を発信したのは時宜(じぎ)にかなっている。 両首脳は、中東、ウクライナ情勢に加えて、北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題や中国を含む東アジア情勢についても協議した。中国は台湾併吞(へいどん)を目指し軍事的圧力を強めている。意に沿わない行動をとる外国に貿易や投資の面で圧力をかけることをためらわない。 他国の主権や領土を侵害する中露両国や、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮のような国際ルールを無視する国を、価値観を共有するG7が抑止していかなければならない。 イタリアはG7で唯一、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に参加していたが、メローニ政権になって離脱を表明した。中国への厳しい安保認識を共有するイタリアが空母打撃群を日本に寄港させることは、強い抑止のメッセージになる。次期戦闘機の共同開発を含め、世界の平和と安定に資する日伊の外交安保協力を力強く進めたい。 |
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●自民党「不戦敗」説も出る4月補選で現実味帯びる「岸田下ろし」 2/11
4月28日、衆議院の補欠選挙が3選挙区で実施される。 派閥の裏金事件で起訴され議員辞職、1月26日付で罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を受けた谷川弥一氏の長崎3区、東京都江東区長選をめぐる公職選挙法違反事件で起訴され、議員辞職をした柿沢未途被告の東京15区、そして、亡くなった細田博之前衆院議長の島根1区だ。 「どの選挙区も、争点が『政治とカネ』になりますから、自民党には大逆風。全敗もありえます。長崎は『10増10減』の対象選挙区で、次回の衆院選は選挙区定数が1減になり、補選で勝利してもほかの現職議員との調整が必要になることから、ある自民党幹部は『あえて候補者を出す必要はないのでは』とも言います。 東京15区も、茂木敏充幹事長は『(候補者を)擁立しないことはありえない』としていますが、人選は難航しています。この両選挙区では『不戦敗』が真実味を増しています」(政治担当記者) 島根1区は新人候補を擁立。細田前衆院議長の「弔い選挙」になるので有利なはずだが、細田氏は、裏金事件の舞台となった清和政策研究会(安倍派)の会長を長く務めていたため、影響は必至だ。保守王国とはいえ、安穏とできる状況ではない。 「補選の結果次第では、9月に控えた自民党総裁選にも影響があります。岸田文雄首相は再選を狙いますが、2025年夏には参院選が控えています。議員心理としては『岸田首相で大丈夫なのか?』となり『岸田下ろし』が本格化する可能性があります」(同前) 2021年、衆参の3補選で自民党は不戦敗を含めて全敗。菅義偉(よしひで)首相(当時)が総裁選不出馬に追い込まれた前例がある。 岸田首相に弓を引くのは誰なのか。永田町では「麻生太郎副総裁と二階俊博元幹事長だ」と言われている。2人とも岸田首相には「腹立たしい気持ちがあふれている」(自民党関係者)のだという。 「岸田首相は、政調会長だった2020年6月、ベテラン議員から党の衆院比例区の73歳定年制を見直す要望が出され、当時の二階幹事長も記者会見で『上限の年齢をとやかく言うべきではない』と牽制していたのですが『小選挙区なら誰でも立候補できます』と見直し要望を一蹴したのです。 また、総裁選に出馬した2021年には『党役員は1期1年、連続3期まで』と表明。幹事長歴が5年になる二階氏が念頭にありました。二階氏がこの沙汰に激怒したことは言うまでもありません」(週刊誌記者) 政治アナリストの伊藤惇夫氏も、本誌の取材に「二階氏は岸田氏に『蹴落とされた』と思っていて、その恨みは相当なものです。政局になったら、もうひと暴れする気落ちでいるはずです」と言う。 麻生氏も、岸田首相にメンツをつぶされたひとりだ。岸田首相は、裏金作りの温床となった派閥問題を議論する「政治刷新本部」の結論が出る前に、自ら宏池会(岸田派)の解散を発表。麻生氏にとっては寝耳に水で、茂木幹事長とともに「三頭政治」で岸田政権を支えてきた麻生氏は「聞いてねえぞ。岸田はなんで俺に言ってこないんだ」と激怒したという。 「その遺恨は、いまも解消されていません。麻生氏も茂木氏も派閥を維持したままですから、世間からは改革に後ろ向きな『守旧派』のように見られてしまっています」(永田町関係者) 補選後は、一気に政局になる可能性もある。 |
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●河野デジタル相「一刻も早くけじめを」 裏金問題の処分求める 2/11
自民党派閥の裏金問題をめぐり、河野太郎デジタル相は11日、政治資金収支報告書に不記載があった国会議員の処分を早急に行うべきだとの考えを示した。訪問先の高松市で記者団に「ルールを破ったことに対するけじめは、一刻も早くやらなければいけない」と述べた。 党政治刷新本部は三つのワーキングチーム(WT)で党内統治のあり方などの議論を近く開始する。河野氏は「党のガバナンスに関する議論は大事だ」としつつ、「問題は不記載だったわけで、それに対してどうするかということを速やかに対応すべきだ」とし、党執行部にWTの議論より処分を先行するよう求めた。 党が実施した政治資金収支報告書への記載漏れの有無を確認する「全議員アンケート」では、現職の国会議員82人が「不記載があった」と回答したことがわかっている。 |
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●能登で震度2〜1相次ぐ 地震活動、活発な状態続く 2/12
能登半島地震の被災地で12日、震度2〜1クラスの地震が相次いだ。いずれも能登地方が震源。午後1時26分ごろに石川県輪島市で震度2を観測した地震があったほか、午前から震度1の地震が複数回起きた。 気象庁によると、能登半島周辺の地震活動は依然活発な状態が続いている。能登地方では11日午後に震度4の地震が発生。総務省消防庁の全国瞬時警報システム(Jアラート)が予想最大震度5弱の緊急地震速報を出し、住民や現地で活動中のボランティアが作業を一時中断するなどの影響が出ていた。 |
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●能登半島地震6週間 石川 輪島 被災した人も支援物資仕分け配付 2/12
能登半島地震から12日で6週間となります。石川県輪島市ではボランティアの人手が足りていないことなどから、被災した人みずからも、全国から届いた支援物資の仕分けや配付などを行っています。 ●輪島市 ボランティアは限定受け入れ 週3日程度 一日約40人 輪島市では2月10日からボランティアの受け入れが始まりましたが、態勢がまだ整っていないことなどから、受け入れる日数や人数が限られているのが現状です。 輪島市の社会福祉協議会によりますと、市内では大規模な断水が続くとともに、宿泊できる施設が少ないことから、ボランティアを限定して受け入れていて、今月は1週間のうち3日間程度、一日あたり40人ほどに限ることにしています。 ボランティアは金沢市からバスで移動するため、活動時間も3時間程度となっています。 また、依頼を受けた場所によってはボランティアが活動を始める前に安全に活動ができるかどうかの調査を行う必要がありますが、被害を受けた住宅が多く、職員の人手も足りないことから、調査が追いついていないということです。 さらに、被災した人がボランティアによる作業を希望していても、市外に避難していて立ち会うことができないとの理由で、調査や作業が行えない場合もあり、受け入れ態勢の構築が復旧に向けた大きな課題となっています。 ●地震直後から支援物資の管理や仕分け続ける 輪島塗箸職人の男性 輪島市の中心部の河井地区にある「重蔵神社」には、全国から飲料水や生活用品といった支援物資が届き、被災した人たちの生活を支えています。 輪島塗箸の職人、小山雅樹さん(68)は、自宅を兼ねた工房が被害を受け、仕事を再開できない状況ですが、父がこの神社の総代を務めていたこともあり、地震直後から支援物資の管理や仕分けなどを続けてきました。 ボランティアの受け入れ態勢がまだ十分ではなく、一日に受け入れ可能な人数が限られていることなどから、いまも地区の人たちと活動を続けていて、12日も午前9時ごろから届いた物資を種類ごとに仕分け、被災した人たちに配っていました。 そして「元気そうでよかった」などと1人1人に声をかけ励ましていました。 物資を受け取った74歳の女性は「何度もお世話になっています。本当にありがたいです。みなさんのおかげです」と話していました。 ●妻「輪島は地元 ここで生活続けたい」 小山さんは妻の文代さん(60)と息子の3人暮らしで、地震直後から10日ほどは車の中に避難し、いまは自宅に戻って生活をしています。 断水のため、毎日近くにある避難所から水をタンクで運んで生活を続けていますが、片づけ作業はまだ道半ばで、家具なども倒れたままとなっています。 工房も被害を受け、箸を作るための機械が壊れたりずれ動いたりしたままの状態となっていて、仕事は再開できていません。 小山さんは「10年後の輪島がどうなるか、どのように復興していくかは、ここにいなければわからない。まずは工房をなおして、輪島塗箸の伝統を残すために頑張りたい」と話していました。 文代さんは「輪島は地元ですので、ここで生活し続けたいと思っています」と話していました。 ●男性「私よりも大変な人がいる」 物資の仕分けを続けていることについて、小山さんは「私よりも大変な人がいるので、必要とする人に受け取ってもらいたいという気持ちで続けています。私が明るくいることで、少しでも元気になってもらえたらと思います」と話していました。 |
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●《1枚の領収書で2件の支出》茂木自民党幹事長が選挙経費を“二重計上” 2/12
自民党の茂木敏充幹事長(68)が、2021年の衆院選にかかった経費を“二重計上”していたことが月刊誌「文藝春秋」編集部の取材で分かった。公職選挙法違反の疑いがある。 自民党幹事長として、「政治刷新本部」の役員を務めるなど、裏金問題の真相究明に当たっている茂木氏。今回発覚したのは、茂木氏が2021年の衆院選(10月31日投開票)を巡って1枚の領収書を使いまわし、経費を“二重計上”していた問題だ。 ●領収書の筆跡が完全に一致 茂木氏が栃木県選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」には、栃木市内の製造業・A社に対する支出が記載されている。 〈令和3年11月12日 47,592円 電気代 A社〉 茂木氏の支援者が語る。 「選挙期間中、茂木氏はA社から事務所を借りていました。そこにかかった電気代を支払ったのでしょう」 他方、茂木氏が代表を務める政治団体「自由民主党栃木県第五選挙区支部」の政治資金収支報告書にも、A社に対する支出が記載されている。 〈令和3年11月12日 47,592円 備品 A社〉 支出の目的こそ異なるものの、同日付で、1円単位まで同じ金額が支出されている。いったい、どういうことか。小誌は栃木県選管に対し情報公開請求を実施。茂木氏の選挙運動費用収支報告書と栃木県第五選挙区支部の政治資金収支報告書で計上された支出について、それぞれの領収書の写しを入手した。 驚いたことに、この2枚の領収書は、日付や宛名、但し書き、金額の筆跡が同一だ(下記、画像参照)。コピーによるものと見られる擦れこそあるものの、手書きされた文字については一言一句、完全に一致する。この2枚の領収書が同じものであることは一目瞭然だ。 ●どちらか一方が裏金になっている疑い 栃木県選挙管理委員会の担当者が首を傾げる。 「1枚の領収書を用いて2件の支出がされているということであれば、“二重計上”になってしまいます。政治資金収支報告書か、選挙運動費用収支報告書のどちらかが間違っているのでしょう」 政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授はこう指摘する。 「候補者個人が選挙のために使う『選挙運動費用』と、政治団体が日常的な政治活動の為に使う『政治資金』は法的に全く異なるものです。前者は候補者である茂木氏の“個人の財布”であり、後者は自民党栃木県第五支部という“政治団体の財布”です。両者を一緒くたにすることは許されません。 領収書が1枚しかないということは、どちらか一方の支出は、実際には支払われていなかったということになる。つまり、手元に残ったお金が裏金になっていることを意味します。領収書を確認したうえで、それに基づいて支出を計上しているということは決して事務的ミスとはいえないでしょう。 しかも、自民党栃木県第五支部の政治資金収支報告書では、「支出の目的」について領収書の記載とは異なり、〈備品〉と記載しています。〈電気代〉とした場合、選挙運動費用との二重計上が発覚する恐れがあるため、敢えて費目を変えたのではないでしょうか。意図的に裏金作りをしたと見られてもしかたありません」 ●「事務的ミスが判明したので速やかに訂正します」 茂木氏の事務所に尋ねると、次のように回答した。 「選挙区支部の政党活動にかかる支出として選挙区支部の収支報告書に計上すべきところ、事務的ミスで選挙運動費用収支報告書に計上されていることが判明しましたので、速やかに訂正します」 政治資金パーティの裏金問題を巡って、「当事者にはしっかりと説明責任を果たしてもらいたい」と訴えた茂木氏。自身の疑惑についてどのように説明するのか注目される。 |
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●製薬会社が医師会理事長に「3,000万円超」を支払い…医療業界“裏金問題” 2/12
いま、世間を騒がせている自民党の「裏金問題」。「パーティー券」をきっかけに勃発した献金がらみの話題はメディアでも盛んに取り上げられていますが、実は医療業界でもそうした「黒いうわさ」があると、医師の秋谷進氏はいいます。今回は、製薬会社と医療機関における“黒いウワサ”について、秋谷氏が解説します。 ●製薬会社と医療機関の「金銭授受」が絶対NGな理由 前提として、製薬会社と医療機関のあいだで、金銭のやり取りは絶対にあってはなりません。 たとえば、 ・製薬会社Aがつくった薬のPR案件を受けたから、医療機関Bでこの薬を使おう ・製薬会社から“ぜひともわが社の薬を使ってほしい”とお金をもらったから、この薬を第一選択薬にしよう などということは、当然禁止されています。その理由は、主に以下の2つです。 1.利益相反を防止し、診療の「透明性の確保」をするため 「利益相反(COI:Conflict of Interest)」とは、ある行為によって一方が大きな利益を上げるとともに、もう一方への不利益になる行為※のことをいいます。 本来、診療行為とは中立の立場で行うものです。しかし、医師も人間ですから、製薬会社から多額の献金をもらえば、どうしてもその企業が扱っている薬を優遇したくなります。 効果や効能ではなく、個人的な利益や感情で薬を処方するようになれば、その薬が患者さんの命を救うためのものではなくなってしまいます。このようなことを繰り返すと「診療の透明性」の確保が難しくなり、本来あるべき診療行為からかけ離れたものになってしまうでしょう。 2.競争を“公正”に行うため また、製薬会社と医療機関のあいだの不適切な金銭授受は、製薬市場で「公正な競争」を損なう恐れがあります。 たとえば、製薬会社が多額の金銭を用いて大きなグループ病院※を抱き込むような戦略をとったとしましょう。すると、極端にその薬だけ処方数が伸びる現象が起きます。 この場合、臨床研究の際には「製薬会社で扱われる薬」を中心にデータが作られますから、“それ以外の薬”とデータ数に格差が生まれてしまいます。これでは、「本当にいい薬だから実績がある」のではなく、「たくさん医療機関にお金をばらまいたから実績がある」ことになります。研究の質も落ち、ひいては医療の発展も妨げられてしまうでしょう。 したがって、薬の未来のためにも「製薬会社と医療機関で金銭的な授受を行ってはいけない」のです。 そのため、各学会で行われるあらゆる研究や発表においては ・臨床研究において医療機関と製薬会社で金銭的な授受は行わない ・行った場合には、どのような金銭的な授受が行われたのかをきちんと研究に携わった人ごとに開示する という「利益相反(COI)の開示」が原則になっています。 ●国が定めている「医療用医薬品に関するガイドライン」 しかし、製薬会社にとっては薬が売れるかどうかは会社の業績に大きく関わりますし、そのためには“どんな手でも使って医療機関に売り込みたい”というのが本音です。法的な規制などがなければ、こうした「癒着」はゼロにはならないでしょう。 そこで厚生労働省が2018年に作成したのが、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」です。 これは、医薬品を医療従事者が適切に使用・判断するために作られたもので、主に ○医薬品の効能・効果や副作用など、科学的および客観的根拠に基づいた正確な情報を提供すること ○不適正使用や誤使用を誘発しないようにすること の2点が盛り込まれています。また、以下のような行為は禁止となっています。 ●虚偽の情報提供 製品に関する誤った情報や証拠が不足している情報。科学的根拠がない効能を宣伝することは禁止されています。 ●誇大広告 製品の効果を実際以上に大きく宣伝する行為。たとえば、副作用のリスクを意図的にすべて言わず説明することは適切ではありません。 ●不適切な贈与や接待 医師や医療従事者に対し、不当な贈り物や接待を行うことも禁止されています。これは、医師の処方決定に影響を与える可能性があるためです。 ●不適切な販売促進活動 医療用医薬品の販売を目的とした不適切なマーケティングや宣伝活動は禁止されています。たとえば、医薬品を無条件に推奨するような行為は許されません。 ●医師への不適切な影響 医薬品の処方を不当に促進するような行為は、医師の独立性を損なうため禁止されています。たとえば、特定の医薬品を使うことに対して金銭的なインセンティブを提供することは適切ではありません。 ○調査した医師353人のうち“ほぼ全員”が製薬会社から数千万円受け取っている しかし、このように国をあげてガイドラインが制定されているにもかかわらず、いまも医師と製薬会社のあいだでは多額の金銭授受が行われているのが現状です。 2023年に発表された「2016年から2019年までの日本の耳鼻咽喉科医と製薬会社との財務関係の評価」についての論文によると、「8,190人の耳鼻咽喉科医のうち3,667人(44.8%)は、2016年から2019年のあいだに製薬会社72社から講演、コンサルティング、執筆の対価として総額1,387万3,562ドルを支払われている」とあります。 約半数の医師がコンサルティングなどの名目でお金をもらっているということになりますね。さらに、1,387万3,562ドルというと、日本円に換算すると約20億1,167万円※ものお金が動いていることになります。[ 1ドル=145円で計算 ] また、同じ論文のなかで「臨床診療ガイドラインを執筆している耳鼻咽喉科医のほうが、そうでない医師に比べてもらっている金額が著しく高かった」と述べられており、直接販売に影響を与える医師がターゲットになりやすいことがわかっています。 ●理事会会長は3,000万円以上…「公正な医療」が崩壊している現実 耳鼻科だけではありません。内科学会の理事と製薬会社に関する論文もあります。 これも2023年に発表された「2016年から2020年までの日本の内科学分科会理事と製薬会社とのあいだの金銭的利益相反」に関する論文ですが、15の医師会に所属する理事会メンバー353人のうち、350人(99.2%)が 5年間に製薬会社から1回以上の個人支払いを受けていることがわかっています。99.2%ということは、ほとんど「全員」ですよね。 受け取っていた金額の中央値は5年間で150,849ドル。日本円に換算すると約2,187万円にのぼります。特に、理事会の会長や副会長だった人は中央値225,685ドル(約3,272万円)というから驚きです。 製薬会社から1人3,000万円以上もらって「公正に薬剤を判断できる」という自信はありますか? すぐに首を縦に振れる人は少ないのではないでしょうか。 ●製薬会社と医療業界の癒着是正が求められる 繰り返しますが、均質な医療が患者全員に等しく行われるためには、こうした「医療機関と製薬会社との金銭的授受」は絶対にあってはなりません。 もしこの世の中に「抜きんでて優れている薬」があったとしても、それは医師との金銭授受によって世に広まるのではなく、公正な臨床試験によって判明すべきです。 製薬業界と医療業界の癒着を是正するためには、第三者による厳正な態度が求められます。 |
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●自民党全議員376人の調査「政治資金パーティーぼろ儲け政治家」ランキング 2/12
自民党派閥の「政治資金パーティー裏金問題」がここまで批判されてなお、実態解明や政治改革に踏み込む気がまるでない岸田文雄・首相。結局、自民党の政治家たちは、パーティーという「甘い汁」を手放す気がないのだ。誰がどれだけ集めているのか、白日の下に晒す。 ●これは法の抜け道 岸田首相が「先頭に立つ」と大見得を切った自民党の裏金調査は杜撰そのものだった。 公表した裏金議員リストは安倍派と二階派の82人分のみ。野党に「不十分」と批判され、自民党は全議員を対象にアンケート調査することにしたが、質問項目はたったの2問。政治資金収支報告書への「記載漏れ」の有無と、記載漏れの金額を記入させるだけの内容だ。 こんなアンケートで「政治とカネ」の問題を解明することなどできるはずがない。岸田首相に本気で取り組む気がないのは明らかだ。 ならば、本誌・週刊ポストが明らかにする。 今回の自民党の裏金事件の根底にあるのは、政治資金パーティーが持つ「相手の名前を明らかにしないで一度に多額のカネを集めることができる」という“脱法性”だ。政治資金研究の第一人者、岩井奉信・日本大学名誉教授が指摘する。 「政治資金パーティーそのものが、政治資金規正法の抜け道です。企業・団体献金や個人献金には厳しい規制がある。5万円以上の寄附は政治資金収支報告書で氏名を公表しなければならないし、寄附金の上限や1社あたりの総額も制限され、国から補助金を受けている企業は寄附禁止、公共事業の受注企業も国政選挙に関して寄附できない。 しかし、政治資金パーティーの会費は、『催事に参加する対価』であって寄附ではないとされているから、そうした企業からもカネを集めることができるわけです」 自民党の派閥や議員は政治資金パーティーという“隠れ蓑”を使って事実上の政治献金を集め、さらに収入の一部を隠して裏金にしていた。自民党がアンケート調査した「記載漏れ」の金額は氷山の一角であり、政治資金パーティーの全体像を明らかにしなければ問題の本質は見えない。 そこで本誌は自民党の衆参376人の国会議員全員の2022年分の政治資金収支報告書を調査し、政治資金パーティーの実態を分析した。 別掲のリストは、議員ごとの年間のパーティー収入から費用を引いた「利益総額」の上位30人のランキングである。 ●首相は“闇パーティー”も トップ3はいずれも大物議員だ。 1位は武田良太・元総務相。裏金事件渦中の昨年12月にも政治資金パーティーを開き、「パーティーは重要な政治活動」と言ってのけた議員だ。二階派事務総長を務め、同派の裏金事件では派閥から受けた寄附1172万円の不記載が発覚している。 武田氏は2022年に5回のパーティーを開いて収入合計は約2億4110万円、かかった費用の総額は「会場費」「案内状の印刷代」など約2054万円で、差し引き約2億2056万円もの利益をあげた。利益率はなんと91.5%にのぼる。 岸田首相は2位につけた。7回開催で合計約1億5510万円を集め、経費は約1901万円。約1億3609万円の利益を得た。利益率も87.7%となっている。 これほど派手にパーティーを開きまくる首相は異例中の異例だろう。 それというのも、2001年に閣議決定された「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」(2014年改正)で、大臣ら政務3役は、〈政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する〉と定めているからだ。 にもかかわらず岸田首相は平然と7回もパーティーを開き、そのうち6回は政治資金規正法で「特定パーティー」に分類される収入1000万円以上の大規模なものだった。なかには収入が3000万円を超えるものもあった。大臣規範違反は言い逃れようがない。 それだけではない。 この金額には本誌が報じた岸田首相の「内閣総理大臣就任を祝う会」(2022年6月)は含まれていない。形式上は「任意団体」が主催で、岸田首相の政党支部や政治団体の政治資金収支報告書には収支が記載されない“闇パーティー”だったからだ。 「祝う会」問題は2月6日の衆院予算委員会でも野党に収支を開示せよと追及されたが、岸田首相は、「私の事務所の主催ではないから収支を提出する立場にない」と逃げの答弁に終始した。 自分の総理就任パーティーの収支も明らかにしないで、自民党の裏金調査などできるはずがないだろう。 3位の西村康稔・前経産相は安倍派の前事務総長で、同派の裏金事件では100万円のキックバックを受け取り、東京地検特捜部の事情聴取を受けた。西村氏はよほど政治資金パーティーが好きなようだ。毎月1回以上のペースで開き、収入合計は1億2138万円。費用は約1677万円で差額の約1億461万円の利益をあげている。利益率も86.2%と高い。 ●費用をできるだけ抑える 政治資金パーティーの「利益総額」と「利益率」を重視したのは、それにより“法の抜け道を使った献金”という実態が色濃く浮き彫りになるからだ。国会議員秘書の経験がある政治評論家・有馬晴海氏はこう語る。 「政治資金パーティーは本来、あくまでも催事。以前は議員側もパーティー券を買ってくれた支持者を飲食で饗応したうえで残りの収益を政治資金にしていた。ところが、最近は費用をできるだけ抑え、利益を最大化する“単なるカネ集め”となっているケースが多い。 具体的には、飲食の提供なしでの開催や会場の定員の何倍ものパーティー券を売るような手法が横行しています。ある自民党の大臣経験者は、企業に“10枚・20万円分”のパーティー券購入を求めながら、案内状の返信用紙には出席者の名前を3人しか書かせないようにしていた。“3人以上出席するな”という意味で、7人分はパーティーの対価ではなく献金というわけです。利益が大きく、利益率が高いパーティーが生み出されていくという構造がある」 名ばかりのパーティーも多い。 「国会周辺の貸しホールで会費2万円のセミナーを開き、弁当を食べながら講師の話を聞く。これなら講師料が約2万円、弁当とペットボトルのお茶で1人2000円程度であがる」(ベテラン秘書)というのはまだましなほうだ。 衆院の管轄施設である憲政記念館などの会議室で朝食会や昼食会を開き、サンドイッチをつまみながら議員の国政報告を聞くだけで会費2万円というケースは珍しくない。なかには、地元事務所で政治資金パーティーを開き、1回あたり数百万円を集めたケースもあった。ぼろ儲けできるはずである。 ランキング上位の各議員に利益が大きい問題をぶつけると、岸田首相、武田氏、西村氏をはじめ多くの議員が事務所を通じて、「法令に従い適切に処理し、収支を報告している」と回答した。前出の岩井名誉教授が言う。 「国会では派閥の解消や派閥のパーティーの禁止ばかり議論されているが、議員個人の政治資金パーティーそのものが脱法献金を許すような法の抜け道となっていることが最大の問題なのです。それを塞がなければ根本的な問題は解決しない」 自ら「先頭に立って」政治資金パーティーでぼろ儲けしている岸田首相に、そうした抜本的な改革ができると思えない。 |
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●「子育て支援金」で、ナゼ岸田首相は「負担増なし」と断言できるのか… 2/12
●財務省の政治家操縦術 今は確定申告で手一杯の人も多いだろう。経費精算のために不可欠なものと言えば、領収書だ。 しかし、政治家は、政治資金と言えば、領収書なしで原則非課税だ。これでは一般納税者の怒りは収まりそうにない。しかも、裏金がバレて政治資金収支報告書で修正さえすれば非課税というのはしゃくに障る。 国税庁は毎年、確定申告前に議員へ向けて「政治資金に係る『雑所得』の計算等の概要」と題する文書を作成しているが、そこには「政党から受けた政治活動費や、個人、後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品等による寄付などは『雑所得』の収入金額になります」と書かれている。 であれば、裏金、キックバックは雑所得となるはずだ。もっとも、こうした裏金騒動で、脱税として扱われる案件はあまり聞かないが。 先週の本コラム〈財務省が「自民党大解体」のあとの「ラスボス」だった…!大増税で「デフレ時代に逆戻り」のヤバいリスク〉に関連して言えば、国税庁幹部はほぼ例外なく財務省出身だ。課税処分せずに政治家の弱点を握ったまま財務省の言いなりにさせるのが、財務省の政治家操縦術ではないかと邪推してしまう。 最近、財務省がちょっと乱暴だ。震度7以上の震災では過去に例外なく補正予算で災害復旧費が震災後1ヵ月余りで準備されていたが、今回はないらしい。 その上、「子ども・子育て支援金」も疑問だ。岸田首相は「子ども・子育て支援金」について、健康保険料上乗せ分となり加入者1人あたりの徴収額が「月平均500円弱になる」と述べた。歳出改革と賃上げで実質的な負担増がないとしているが、支援金という方式が妥当なのか。 ●「負担増はない」となぜ言い切れるのか かつて自民党若手から子育て支援の財源として「こども保険」の提案があった。 まず「保険」の意味をはっきりさせよう。保険とは、偶然に発生する事象(保険事故)に備えてるために多数の者(保険契約者)が保険料を出し、事象が発生した者(被保険者)に保険金を給付するものだ。 さて、少子化対策はこどもの保育、教育なので、偶発事象(保険事故)はこどもが生まれることになるだろう。保険契約者は公的年金の加入者、つまり20歳から60歳までの現役世代の人になり、被保険者は子育てする人となるだろう。 となると、矛盾がでてくる。子育ての終わった現役世代の人には、偶発事象がまず起こりえない。これらの人は「社会保険」に入るメリットはなく、保険料を取られるだけになってしまう。 いくら保険料でないと強弁しても、今回の健康保険料上乗せ措置はこども保険の別型だ。つまり、負担と給付の関係に齟齬が出てしまうし、現役世代の負担を増やして少子化対策になるわけがない。 子育て支援について本来は税金を財源にしたいが、税金では世間の反発がある。社会保険料では「モロ」で、保険料上乗せと名前を変えて国民から徴収することがバレバレになってしまう。 さらに、国民一人当たりの負担額「月500円弱」はミスリードだ。保険料負担している被保険者一人当たりの負担額について、総理は「分からない」という。歳出改革と賃上げで「実質的な負担増はない」と答弁するが、どうして断言できるのか筆者にはわからない。 ●「こども国債」の議論は出てこない 各種の試算では、被保険者一人当たり1000〜1500円程度だという。ざっくり現役世代だけで割り算しても同じ数字だ。要するに現役世代の負担をこれほど増やして、子育て支援するというのは冗談にしか聞こえない。官僚機構に吸い上げられて国民に戻す間に中抜きされるおそれもある。 もっとも、政策論からの筋をいえば、少子化対策は、未来への人的投資として考え、国債を財源とするのがもっとも適切であろう。この考え方については、こども国債ということで、かつて本コラムでも解説したが、財務省関係者では知られた考え方だ。 便益が大きく、その効果が長期に及び、十分な資金確保が必要なので、税財源に依存するのは適当でないからで、実は、その考え方は、財務官僚が書いた財政法のコンメンタール『予算と財政法』にも書かれている。 ただし、投資なので効果が高く、確実なものに絞るべきだ。企業経営の発想からみると、有効な投資であれば借入で賄うはずであり、企業でいえば営業収入である税で賄わないと同じである。支持率が低い政権は何もしないほうが国民のためだ。 もっとも、こども国債という政策論は出てこない。「国債残高が増えると財政が危ない」というプロパガンダがいきわたっているからだろう。 政府は1月22日の経済財政諮問会議で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の中長期試算を示したが、政府は国と地方の基礎的財政収支の中長期試算で、2025年度の収支について、成長実現のケースでも1兆1000億円の赤字になるとした。この分析が妥当なのか。 ●財政再建を達成してしまうのがイヤなのか まず、試算の前提となっているマクロ経済の姿をみてみよう。2022から25年度の名目GDP成長率は、2.3、5.5、3.0、2.8%となっている。それぞれの名目GDPは566.5、597.5、615.3、632.7兆円とされている。 その一方、国一般会計の税収は、それぞれの年度で71.1、69.6、69.6、75.7兆円と不思議な動きになっている。税収は、名目GDPにかなり連動する。23年度について、名目GDP成長率5.5%なのに、税収が69.9兆円と前縁より低下するのは明らかに不自然だ。 しかも、所得税の累進課税などの要因で、名目GDP成長率より高い伸びになることが知られている。経験的には、税収の伸び率は名目GDP成長率の2〜3倍程度だ。つまり、税収伸び率と名目GDP成長率の比率を税収弾性値というが、2〜3程度だ。ただし、財務省では堅めの見積もりという理由で税収弾性値を1.1とすることが多い。 仮に財務省の言う堅めの税収弾性値を1.1としても、2025年度の税収は中長期試算でも75.7兆円から80.3兆円となり、らくらくPBは黒字化する。もし、税収弾性値が過去の経験則である2.5程度であるとすれば、2024年度にも黒字化になってしまう。 財務省は財政再建が達成できてしまうのがイヤなのか。1月22日、共同通信から「国の債務超過702兆、22年度 15年連続で過去最悪更新」という記事が出た。早速多くの地方紙はこれを転載していた。この記事は、「近く公表する」と書かれており、財務省からの事前リークであると思われる。実際、23日現在で、1年前の2023年1月27日の資料しか公表されていない。 この記事によれば、2022年度末の負債は1442.7兆円で前年度より31.7兆円増加し、債務超過額は702兆円で前年度から15兆円増加と書かれている。 ●G7トップレベルの健全な財政 この数字は、政府といっても、関連法人を含まない狭義の政府のバランスシートにもとづくものだ。本コラムで繰り返し述べてきたように、政府の財務分析は、民間企業と同様に、連結ベースのバランスシートで見なければいけない。 連結ベースは例年3月末頃に公表される。しかも、IMF等の国際機関で算出されている中央銀行について日本の財務省は除いている。それらを修正すると、連結ベースのバランスシートでは、債務超過ではなく、50兆−100兆円程度の資産超過になる。これは、G7の中でもトップくらいの健全な財政である。 ちなみに、本コラムでは2018年10月15日〈IMFが公表した日本の財政「衝撃レポート」の中身を分析する それでも消費増税は必要ですか〉でIMFの分析を紹介したこともある。そこでのデータをアップデートすると、以下の通りで、筆者の試算と同じだ。 いくら財務省が財政危機と煽っても、国債暴落は起こらなかったのは、客観的な財務分析では健全だとわかるからだ。財務省は、正しい財政の姿を伝えずオオカミ少年になっている。 |
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●「伊豆半島東方沖」「山梨県東部・富士五湖」…相次ぐ地震で「富士山噴火」注目 2/12
2月9日17時42分、伊豆半島東方沖で最大震度2(M4.9)の地震が発生した。東京・千代田区、練馬区や千葉・市川市、神奈川県川崎区などで揺れが起きた。近年は南海トラフ地震や首都直下型地震などが懸念されるが、専門家は富士山の噴火にも注目している。 今月3日には山梨県東部・富士五湖で最大震度3(M4.3)、1月30日にも山梨県東部・富士五湖(M2.5)で地震が発生していたからだ。「完全解説 日本の火山噴火」の著書もある武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏(地震学)が言う。 「富士山の噴火は、1707年の宝永の大噴火が最後で、いま起きてもおかしくない。富士五湖は噴火によってできた湖ですから、異常が付近で起きるのは噴火のバロメーターにもなる。伊豆半島を震源とする地震も同じ。約300年分のエネルギーが放出される分、被害は大きくなる可能性があるので注意が必要です」 首都圏は今年に入ってから地震が相次いでいる。1月26日には東京都23区(M2.6)、同28日には東京湾(M4.8)を震源として有感地震が起きた。歴史上、富士山噴火も必ず起きている。日頃から防災意識は忘れずにいたい。 |
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●「保守本流」自民・茂木派、存続の危機 先行解散仕掛けた岸田首相 2/12
自民党安倍派などの政治資金規正法違反事件の余波で、茂木敏充幹事長率いる茂木派(平成研)が解散の危機に立たされている。岸田文雄首相(総裁)が岸田派(宏池会)の解散を決めたことで、派閥の存在自体への風当たりが一気に強まり、退会者が続出。かつて「キングメーカー」として権勢を誇った「保守本流」派閥が存続できるか、見通せないのが実情だ。 ●佐藤派が源流 茂木派までの歴史をさかのぼると、佐藤栄作元首相が結成した佐藤派(周山会)に行き着く。吉田茂元首相の「弟子」である佐藤氏は、吉田門下でライバルの池田勇人元首相とたもとを分かち、派閥を結成した。佐藤氏の次男・信二元通産相が生前語っていたところによると、佐藤派のスタートは佐藤氏を含めて実質3人。吉田派内で佐藤氏を慕う橋本龍伍、小渕光平の両氏が、派閥結成を働き掛けたという。 2人の死後、それぞれ地盤を引き継いだのが息子の橋本龍太郎氏と小渕恵三氏。いずれもその後、派閥をバックに総裁選に勝利し、首相に上り詰めた。 佐藤派を結成した佐藤氏は要職を重ねながら、人数を拡大。病気で退陣した池田氏の後継として首相に就くと、人事権を巧みに使って党内を押さえ、7年8カ月の長期政権となった。佐藤氏は沖縄返還を花道に退陣したが、後継に考えていたのは福田赳夫氏。しかし、佐藤派幹部だった田中角栄氏は、佐藤氏の意向を察知すると、佐藤派の大半をまとめて田中派を結成した。 信二氏によれば、佐藤派メンバーの大多数が田中氏についていったのは、同氏の豊富な資金力から。佐藤氏は造船疑獄で逮捕寸前(犬養健法相が指揮権発動)となったことを教訓に、カネ集めにほとんど関与しなくなり、佐藤派内でそれをカバーしたのが田中氏だったという。 「ポスト佐藤」を選ぶ1972年の総裁選で田中氏は、福田氏らとの激戦(いわゆる角福戦争)を制し、首相に就任した。以降、自民党政治の底流には、田中派と福田派(清和会)の対立が絶えずあった。 ●田中派、裁判対策で100人超 田中内閣は米国に先んじて、中国との国交正常化を実現したものの、金脈問題で退陣。その後、田中氏はロッキード事件で逮捕、起訴された。裁判を抱える田中氏は自身の影響力維持のため、派閥の拡大に腐心。田中派は最盛期で100人を超える巨大派閥となった。そして、総裁選では自派から候補者を立てず、田中派が支持する候補が勝利する構図をつくり上げ、「キングメーカー」として政界に君臨した。 30本以上の議員立法に関わるなどの政策立案力、日中国交正常化に象徴される決断力と行動力、弁舌で人を引き付ける発信力などが政治家・田中氏の「強み」。一方で、カネが物を言う政治、政界に「金権体質」を醸成させたことや、「票」の見返りに、地元に予算や公共事業を引っ張ってくる「利益誘導政治」を根付かせたことなどは「負の遺産」と言えよう。 田中氏の利益誘導を象徴するのが、上越新幹線の新駅建設。自身の選挙区(衆院旧新潟3区)内に「浦佐」「長岡」「燕三条」の3駅を誘致した。浦佐駅前には、田中氏の功績をたたえ銅像が建てられている。長年の風雨で色あせた碑文には、「上越新幹線、関越自動車道の歴史的開通を記念し、田中角栄先生の銅像を建立し、不滅の功績と栄誉をたたえ、悠久に威徳を顕彰する」などと記されている。 筆者は信二氏がこう言うのを何回か聞いている。「角さんは功罪相半ばする政治家。金権政治を助長したのは角さんの責任だ」 佐藤派にしろ、池田氏が創設した池田派(宏池会)にしろ、自民党の派閥は、領袖(りょうしゅう)を総裁選で勝たせ、首相に押し上げるのが目的の一つ。しかし、田中氏は自身の権力維持を優先し、派内で総裁候補を育てなかった。これにしびれを切らしたのが、田中派のホープ・竹下登氏や田中氏に育てられた小沢一郎氏や梶山静六氏ら中堅議員。竹下氏らは極秘に賛同者を募り、派中派「創政会」を結成した。 ●竹下派、佐川急便事件で分裂 この直後、田中氏が脳梗塞で倒れ、竹下氏は田中派の大多数を糾合する形で、竹下派(経世会)を結成。竹下氏は1987年、中曽根康弘首相(当時)の裁定で党総裁に指名され、竹下内閣が発足した。最大派閥・竹下派を基盤とする竹下内閣は当初、長期政権が確実視されたものの、リクルート事件が直撃。竹下氏は予算成立と引き換えに辞任、竹下内閣は約1年7カ月の短命に終わった。 ただ、竹下派は最大派閥として、宇野宗佑、海部俊樹、宮澤喜一の各内閣の樹立を主導。同派会長の金丸信氏は党内で、絶大な影響力を誇った。 その金丸氏も東京佐川急便からの5億円の闇献金が発覚。政治資金規正法違反に問われ失脚した。そして、金丸氏の後継をめぐって、派内抗争が勃発。多数派工作で勝利した小渕氏が新会長に就いて小渕派(平成研)となり、敗れた小沢氏や羽田孜氏らは、同派を離脱した。 非自民連立の細川護熙内閣、羽田内閣、自社さ連立の村山富市内閣を経て、96年1月に橋本氏が首相に就任。参院選敗北で橋本氏が引責辞任すると、98年7月に小渕内閣が発足した。両内閣とも、発足の原動力になったのは小渕派にほかならない。 小渕派の会長職はその後、橋本氏、津島雄二氏、額賀福志郎氏、竹下元首相の実弟・竹下亘氏と引き継がれた。そして、前回衆院選後に幹事長に起用された茂木氏が2021年11月、亘氏の死去で空席となっていた会長に就任し、現在に至っている。 ●「参院のドン」との確執 岸田首相が岸田派の解散を表明すると、裏金事件で捜査対象となった安倍派と二階派は解散を決定。捜査対象ではなかったが、森山派も続いた。岸田派は党内第4派閥で、岸田首相は第2派閥の茂木派や第3派閥の麻生派に支えられて政権運営に当たっていた。全ての派閥が解散すれば、政権運営で派閥からの注文がなくなり、党総裁である岸田首相の権限が強まる。他に先んじての岸田派の解散は、全派閥を解散に追い込み、自身の権力基盤を固め直すことを狙った「奇襲作戦」と言える。 これに対し、麻生派と茂木派は解散を否定。その矢先の1月25日、小渕元首相の娘で茂木派の小渕優子選対委員長が退会を表明した。 優子氏に連動するかのように、参院執行部の関口昌一議員会長、石井準一国対委員長、福岡資麿政審会長や「参院のドン」と言われた故青木幹雄元参院議員会長の長男・青木一彦参院副幹事長も退会を表明。これを含め、1月末までに8人が茂木派を退会した。 優子氏らが仕掛けた「退会騒動」の背景にあるのは、茂木氏と青木幹雄氏との確執。安倍晋三元首相が3選された18年の総裁選で、茂木氏は安倍氏を支持。これに対し、派閥会長の亘氏や青木氏の影響下にある参院議員の大多数は石破茂元幹事長を支持し、派内で対応が割れた。 この結果、青木、茂木両氏の溝はさらに深まったとされる。こうした事情もあり、青木氏は優子氏の後見役として、「首相候補」に育てることを公言していた。青木氏の薫陶を受けた参院幹部が優子氏に続いてそろって退会したことから、党内では「シナリオを書いたのは参院側。将来の『小渕政権』を見据えた動き」との見方が支配的だ。 茂木氏は、派の運営方法を見直し、純粋な「政策集団」として茂木派を存続させる考えだが、退会者の続出で求心力の低下は否めない。茂木氏の「力の源泉」の一つは、党の資金と選挙での公認権を握る幹事長ポスト。しかし、党則で党役員の任期は「1期1年、連続3期まで」と定められており、岸田首相が9月の総裁選で再選されるかどうかに関係なく、茂木氏は幹事長から退くことになる。「ポスト岸田」をうかがう上でも、苦しい立場に立たされつつある。 ●衆院選へ強まる逆風 党政治刷新本部の中間取りまとめに従い、「カネと人事」を切り離された茂木、麻生両派が、「政策集団」への脱皮をアピールしても、事務所を持ち看板を掲げていれば、外形的に「派閥」であることに変わりはなく、多くの有権者はマイナスのイメージを持ち続けるだろう。そして、派閥に対して最大の解散圧力となるのは、年内が有力視される次期衆院選だ。 各メディアは衆院選報道で、候補者名簿に所属派閥を付けるのが通例。存続する麻生派と茂木派の候補者は(麻)、(茂)などと記され、無派閥の候補と色分けされる。有権者の派閥へのイメージが変わらない限り、選挙ではマイナスだ。選挙に弱い議員ほど、衆院解散が近づけば動揺するだろう。 麻生太郎副総裁の下で結束を維持する麻生派は別として、求心力の低下する茂木派から、さらなる退会者が出かねない。茂木派の存続が見通せないゆえんだ。 源流の佐藤派時代から数えて、佐藤栄作、田中角栄、橋本龍太郎、小渕恵三の4人の首相を輩出した派閥が、衆院選を前にその歴史に幕を閉じるのか? それとも、衆院選を乗り越えて存続するのか? 年内にも分かるだろう。 |
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●「もしトラ」は日本の大チャンス米国第一≠ナ軍事支援に消極的、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会もたらす 2/12
もしも、米国のドナルド・トランプ前大統領が大統領に復活したら、日本はどうなるのか。トランプ氏が優勢に大統領選を戦うなかで、この「もしトラ」問題が現実味を帯びてきた。私は「日本が大改革に踏み切る絶好のチャンスになる」とみている。 各種の世論調査を総合している政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」の平均値によれば、2月6日時点でトランプ氏が、現職のジョー・バイデン大統領を2・1ポイント引き離している。個別の調査をみても、直近では、ほとんどがトランプ氏が優勢だ。 トランプ氏が勝てば、バイデン政権が進めてきた政策の相当部分がひっくり返されるのは必至だ。 例えば、トランプ氏は「米国への輸入品に一律10%の関税をかける」と公言している。日本が輸出する自動車に10%の関税が課税されれば、自動車メーカーには打撃になるだろう。 ただ、ノーベル賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン氏は「それでも米国の貿易赤字は解消しない」と指摘している。高い輸入品の購入を強いられる米国の消費者にも不利とみられ、実際にどうなるかは不透明だ。 中国との貿易では、ワシントン・ポスト紙が「(トランプ氏が)60%を超す関税をかける可能性がある」と報じ、本人もFOXの番組で「それ以上になるかもしれない」と語った。他国と差別しない原則である「最恵国待遇」を取り消す可能性も取り沙汰されている。 対中強硬策は、民主党と一致できる数少ない分野だ。米中経済の切り離し(デカップリング)は前回政権の時より一層、進むだろう。 |
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●自民党「女性総裁」成り上がり争奪戦 「上川総理待望論」の舞台裏 2/12 昭和は遠くなりにけり。実に6億円超の裏金を秘匿した安倍派のほか、岸田派、二階派と、相次いで解散を決めた。昭和の遺物・派閥政治が終焉を迎える中、最悪の低支持率を挽回すべく岸田政権の下、逆風を打ち破る“窮余の一策”として「女性総理」がにわかに現実味を帯びてきた。 岸田文雄総理(66)の独断専行による宏池会(岸田派)解散で、“派閥解散ドミノ”が始まった。2月2日現在、旧安倍派、二階派、森山派がそれに追従する一方で、麻生派は政策集団へ移行して存続、離脱者が続出する茂木派も同様に形を変えての存続を模索している。ただ、対応はバラバラだが、党の至上命題が政権の維持にあることは一致しているという。ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。 「岸田総理はまだまだ総理の座を譲るつもりはなく、減税をはじめ支持率回復の策を打つ構えで、国民に信を問うべく衆院解散も視野に入れています。それでも党内では、政権維持のためにはいつまでも総理の席に据えておけない、と“岸田おろし”の声も上がり始めている。今年9月の総裁選、そしてポスト岸田を考えた時に浮上してくるのが、『史上初の女性総理』というキーワードなんです」 選挙区での地盤が弱い議員にとっても、党のイメージ悪化は死活問題で、不人気な岸田総理にはいち早く退場を願う風向きになっているのだ。 ならば国内外に聞こえがいい史上初の「女性総理」こそが、大きな刷新のチャンスとなる!? そんな思惑が交錯する中、その筆頭候補に浮上しているのが、上川陽子外相(70)である。 上川外相はこれまで福田・安倍・菅・岸田政権で入閣しており、実務能力は折り紙付き。法相時代にはオウム真理教元幹部13人の死刑を執行し、現在に至るまで24時間体制で警備が付いていることでも有名だ。永田町関係者が語る。 「上川さんは旧岸田派の議員でしたが、麻生太郎副総裁(83)も、オウム関連の仕事を見て『肝の据わった女だ』と評価している。林芳正前外相(63)の退任の際、後任人事を相談しに来た岸田総理に対し、『上川がいるじゃないか』と言ったのは麻生さん。まったく想定していなかった岸田総理は『え!?』と驚いていた」 上川外相を「美人じゃない」「このおばさん」と口を滑らせて叩かれたが、これも単なる麻生副総裁のいつもの失言癖に過ぎず、むしろ本人は発言撤回後に「上川の名前を売ってやった」とほくそ笑んだとか。鈴木氏が続ける。 「上川外相は旧岸田派でありながら『私は菅グループ』と言うほど、菅義偉元総理(75)と距離が近い。つまり“キングメーカー”としてバチバチの関係にあるはずの麻生・菅、そして影響力を残せるという意味で岸田総理と、三方の大物にとって都合がいい存在なんです」 党内には早くも「上川待望論」が巻き起こっているという。ジャーナリストの山村明義氏いわく、 「今回の派閥解消で最も恩恵を受けた女性議員は上川外相だと思いますね。旧岸田派と麻生派の女性議員はベテラン、中堅どころが、軒並み上川外相の支持に回っているようです」 突如勃発した「女性総理争奪レース」のポールポジションは揺るぎないようだが‥‥。 |
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●国民民主「正直な政治が大前提」 党大会、裏金で政権と対峙姿勢 2/12
国民民主党は12日、定期党大会を東京都内で開いた。「政策本位で協力できる政党とは与野党問わず連携する」としつつ、「『正直な政治』が大前提だ」とする2024年度の活動方針を採択した。自民党派閥の裏金事件を巡って、岸田政権や自民と厳しく対峙(たいじ)する姿勢を示した。 党大会で玉木雄一郎代表は、「自民は裏金対応で精いっぱいで、政策を進める推進力を失っている。政策本位で取り組むが、正直な政治が貫かれていることが大前提だ。裏金問題は看過できず、厳しく対応していく」と訴えた。 活動方針にも「対決より解決」の姿勢で引き続き臨むことを盛り込んだが、裏金事件を「政治への信頼を根底から揺るがす大問題だ」と批判し、「政治に対する信頼を回復するため、改革を先導する」と明記した。23年度の活動方針で「力を入れる」としていた政治資金パーティー開催の記述は削除した。 玉木氏は次期衆院選に関しては「選挙区と比例区の議席を最大化する」と表明した。 国民民主は今月7日、ガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除に向けた自民、公明両党との協議からの離脱を決めた。玉木氏は「極めて残念だ。粘り強く実現に向けて取り組む」と強調した。 立憲民主党の岡田克也幹事長が、11日のテレビ番組で国民民主との合流に意欲を示したことに関して、榛葉賀津也幹事長は「大きなお世話だ」とけん制。玉木氏も党大会後の記者会見で、「基本的な政策で一致できる政党があれば、連立を組んだり、政権を共にしたりすることは可能だが、現在の立憲はそれを満たしていない」と否定的な見解を示した。 今大会では初めて、党員やサポーター向けに観覧席を有料で販売。約90人が参加した。活動方針にも、現在3・7万人の特別党員、党員、サポーターを5万人に増やす目標を掲げた。党大会には所属議員のほか、連合の芳野友子会長ら支援を受ける労組幹部も出席した。 |
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●国民 玉木代表 立民と政権担う可能性に否定的な考え 2/12
国民民主党の玉木代表は、立憲民主党とともに政権を担う可能性について、憲法や安全保障など基本的な政策が一致していないとして、否定的な考えを示しました。 立憲民主党の泉代表は、ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する「トリガー条項」をめぐり、国民民主党の玉木代表と今週中にも会談することを明らかにしました。 これについて玉木氏は、党大会のあとの記者会見で「どのような形で行うか決まっていないが、政策的に一致する政党とは協力していく方針なので、それに基づいて取り組んでいきたい」と述べ、前向きに対応する考えを示しました。 そのうえで、立憲民主党とともに政権を担う可能性について、「内閣を構成するなら、基本となる政策、安全保障やエネルギー、憲法で一致しないとバラバラになる。現在の立憲民主党がそれを満たしているかというと満たしておらず、人によって言うことが違う」と指摘し、否定的な考えを示しました。 一方、国民民主党との連携について、立憲民主党の岡田幹事長が10日に「考え方を改めて、野党はまとまっていくべきと考えるなら、懐深く対応したい」と述べたことについて、「ああいう発言があると、ますます難しくなる。われわれの仲間の思いに、もう少し理解と配慮をいただきたい」と述べました。 |
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●堀井学氏「おわび行脚」見送り、道議から実現性疑問視… 2/12
自民党派閥の政治資金規正法違反事件で「裏金作り」への関与を認めた堀井学衆院議員(安倍派、比例道ブロック)の地元・北海道9区の道議らは7日、札幌市内で会合を開いた。堀井氏が先に、道議との会合で意欲を示した各地区の後援会幹部らへの「おわび行脚」を巡って実現性を疑問視する声が上がり、一転、開始を見合わせることとなった。 7日は高田真次氏(伊達市)、板谷良久氏(苫小牧市)、戸田安彦氏(胆振地域)のほか、1月27日の会合に公務で不参加だった藤沢澄雄氏(日高地域)、小林雄志氏(同)が加わった。千葉英也氏(室蘭市)は欠席した。 複数の出席者によると冒頭、小林氏が「我々1期生は昨春初当選したばかり。裏金の件は道議になる前で、一緒に頭を下げる筋ではない」などと難色を示すと、他の道議からも同調する声が出た。このほか「後援会の幹部にアポを取ろうにも、取り合ってくれない」などの声も出て、おわび行脚を見合わせる流れとなった。 今後については、「たとえ先方に断られようとも、行って頭を下げる覚悟があるのか。真意を確認すべきだ」との意見が出て、ベテランの藤沢、千葉両氏が堀井氏と面談し、決意や考えを確認することとした。 |
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●「裏金」調査 最多は二階氏 85人が記載漏れ・誤記載申告、5年で計5.7億円 2/13
自民党は13日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて、党所属の全ての国会議員らを対象に実施したアンケートの集計結果を公表した。 集計結果によると、政治資金収支報告書への記載漏れや誤記載があったのは85人。このうち3人は現職国会議員ではなく、選挙区支部長だった。 記載漏れや誤記載の額は、2018〜2022年の5年間について、85人の総額で5億7949万円。 議員、支部長ごとの額も公表しており、最多は、二階俊博元幹事長の3526万円だった。 次いで三ツ林裕巳衆院議員の2954万円、萩生田光一・前政務調査会長の2728万円が続いた。 党を除名処分となった池田佳隆衆院議員、議員辞職した谷川弥一元衆院議員、党を離党した大野泰正参院議員は含まれていない。 ●どんなアンケート調査? アンケートはA4判1枚で、「政治資金収支報告書への記載漏れの有無」と「過去5年の不記載額」の2問だけを尋ねた。 裏金の使い道を聞く質問は、そもそもなかった。 裏金づくりの手法も、尋ねていない。 派閥の政治資金パーティーについては、販売ノルマを越えた分のパーティー券収入を派閥から所属議員に「還流(キックバック)」しながら政治団体の収支報告書に記載せずに裏金化したケースや、所属議員側がパーティー券の販売ノルマ超過分を派閥に納めずに手元にプールしていた、いわゆる「中抜き」のケースがあったとされる。 この実態は、アンケート結果からは分からない。 国会審議では、調査の実効性を疑問視する声が上がっていた。立憲民主党の長妻昭政調会長は6日の衆院予算委員会で「質問項目が非常に少ない。個人や県連のパーティーもあり、(調査対象の)限定はやめてほしい」と指摘した。 アンケートは、自民党が党所属の各議員事務所に5日付で配布。8日までに回答を回収した。 ●関係者の聞き取りは? 自民党は2日から、安倍派、二階派、岸田派の議員を主な対象とした党の聞き取り調査もした。党の森山裕総務会長は9日、聞き取り調査の対象は、国会議員82人、選挙区支部長3人、八つの派閥・グループだったと説明した。 また、国会には疑惑や法令違反が取り沙汰される議員に説明を求める場として、衆参両院の政治倫理審査会(政倫審)がある。ただ、政倫審での議員の説明は証人喚問と異なり偽証罪に問われることがないため、実効性には限界がある。 |
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●"裏金"調査 不記載など85人 2/13
自民党は13日昼の衆院予算委員会理事会で、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関する党所属国会議員らを対象としたアンケート調査結果を提示した。同委は14日、「政治とカネ」の問題をテーマに集中審議を開く予定。野党は調査結果を基に追及を強める構えだ。 調査結果によると、アンケートは党所属の全議員374人と選挙区支部長10人を対象に実施。パーティー収入のキックバック(還流)や中抜きに関する政治資金収支報告書への不記載・誤記載があったのは85人だった。 一方、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党は13日午前の国対委員長会談で、裏金事件に関与した安倍、二階両派幹部から弁明を聴取するため、政治倫理審査会の開催を求めることを確認した。衆院政倫審の田中和徳会長(自民)に開催を申し入れた。 立民の安住淳国対委員長は自民の浜田靖一国対委員長と会談し、政倫審を受け入れなければ、2024年度予算案採決の前提となる中央公聴会の設定に応じないこともあり得るとけん制した。 自民は5日、キックバックの政治資金収支報告書への不記載が判明した安倍、二階両派の現職議員82人のリストを提示したが、野党は「不十分だ」と主張。自民はこれを踏まえ、82人や党内6派閥の責任者らへの聞き取りとアンケートを進めていた。 |
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●自民・茂木幹事長に選挙資金「二重計上」疑惑…“脱法”は外相時代から 2/13
自民党が裏金事件に大揺れの中、党要職の茂木幹事長に「政治とカネ」の問題が噴出し、大炎上している。文芸春秋電子版が12日、「《1枚の領収書で2件の支出》茂木敏充自民党幹事長が選挙経費を“二重計上”していた 公選法違反の疑い」と報じ、SNSで批判が殺到しているのだ。 記事の概要はこうだ。2021年の衆院選に際し、茂木幹事長が栃木県選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」と、茂木幹事長が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書(21年分)には、同日付で同じ会社に4万数千円を支出したと記されている。それぞれ「備品」と「電気代」で別の名目だ。 驚くのは、選挙運動費用収支報告書に添付された領収書の写しと支部の収支報告書の領収書の写しが、日付や宛名、金額に至るまで全て同じ筆跡だったこと。1枚の領収書を使い回したのは明らかだ。茂木事務所は文芸春秋に「支部の収支報告書に計上すべきところ、事務的ミスで選挙運動費用収支報告書に計上されていることが判明」したとして、収支報告書を訂正すると回答したという。 X(旧ツイッター)では〈自民党議員はこういう手口で裏金作り!〉〈「事務的ミス」などと弁明しているが、全く信用に値しない〉といった声が飛びかっている。 ●1億2000万円の「使途不明金」 もっとも、茂木幹事長の「政治とカネ」疑惑は今に始まった話ではない。外相だった20年には、茂木幹事長の後援団体である「茂木敏充後援会総連合会」で16〜19年、詳細不明の支出が計1億2000万円超に上ったことを共同通信に報じられた。総連合会の同期間の収入は計1億3120万円で、茂木幹事長が代表を務める資金管理団体からの寄付が99.9%を占めた。総連合会の支出のほぼ全てが使途不明だったのである。 カラクリは以下のようなものだ。政治資金規正法は、国会議員が代表を務める資金管理団体については、1件1万円超の支出を収支報告書に記載するよう義務付けているが、その他の後援団体に関しては1件5万円以上の支出のみを記載義務の対象としている。つまり、茂木事務所は記載義務が厳格な資金管理団体から、記載義務が緩い後援団体にカネを移し、支出を“隠蔽”したも同然なのだ。 当時、問題視されたのに、茂木幹事長はその後も脱法的な“支出隠し”を継続。日刊ゲンダイが20〜22年の収支報告書をチェックしたところ、やはり資金管理団体は総連合会に計9650万円を寄付。総連合会は大半の支出を記載していない状態だ。 まだある。経済再生相だった17年には、地元選挙区内の有権者に衆院手帳や線香を配布した公職選挙法違反疑惑が飛び出した。公選法は、議員や候補者が有権者に線香1本でも配ることを禁じている。寄付について「氏名を表示し、または氏名が類推されるような方法でしてはならない」と定めている。国会で追及された茂木幹事長は「秘書が配布した」「配った物に私の名前は入っていない」と疑惑を否定。 ところが、当時、日刊ゲンダイ記者は茂木幹事長の選挙区の有権者から「茂木さんからの頂き物だと思っています」といった証言を得ている。真相は、今なおハッキリしないままだ。 茂木幹事長の政治資金の脱法処理は常態化しているということ。そんな男が幹事長として、裏金事件を受けた「政治改革」を進めるなんて、悪い冗談だ。 「茂木幹事長は裏金事件について『当事者に説明責任を果たしてもらいたい』と言いましたが、自分の問題も説明できない人物に政治改革など無理でしょう。過去の疑惑も含めて、キチンと説明責任を果たすべきです」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学) 「事務的ミス」「秘書が配った」なんて言い訳は、とても通用しない。 |
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●「国民は増税、自民は脱税」平成生まれ国会議員が初の本会議質問 2/13
立憲民主党の馬場雄基衆院議員(31)は13日、衆院本会議で質問に立ち、冒頭で、平成生まれの国会議員として初めて本会議で質問に立つことを明らかにした。馬場氏は2021年衆院選に出馬し、小選挙区(福島2区)では落選したが比例東北ブロックで初当選した当選1回の衆院議員。 この日は物価高に対応して、政府が所得税と住民税で1人当たり計4万円の定額減税を6月から行うとしていることに伴う所得税法改正案が審議入りし、趣旨説明と質疑が行われた。岸田文雄首相が昨年、肝いりで発表しながらほとんど共感が広がらなかった「減税政策」だが、馬場氏は「裏金の話に決着をつけなければ、税の話はできません!」と指摘。自民党の裏金事件に言及しながら「国民は増税、自民は脱税」と、繰り返し批判した。 一方、この日、松野博一前官房長官が昨年12月1日から辞任した14日までの2週間に、使途が公表されない内閣官房報償費(機密費)を4660万円支出していたことが表面化したことにも触れ「政治とカネをめぐる問題は今や自民党だけでなく、政府にも雪だるま式に広がっている」とも述べた。 松野氏の問題を11日に報じた「しんぶん赤旗」が、松野氏が約2年の官房長官在任中、約27億4600万円の機密費を支出したとしていることにも触れ「すべての使い道が明らかになっていない。この事態を放置することは、ますます国民に政治不信をあおると思う」などと指摘。「これから確定申告が本格化する今、国民は1円でも大切に納税しているのに、なぜ政治家は(脱税が)許されるのか。インボイスまで導入して、政治家は脱税か。国民と政治家の間には大きなギャップがある」「国民は少額でも税務調査の対象、政治家はお目こぼし。許されるはずはない」と自民党の対応を繰り返し批判し、当該議員については税務調査に入るよう強く求めた。 「負担ばかり強いられることに将来を担う若者たちは怒っている」と平成生まれの国会議員ならではの思いを口にした。「自民党のあしき昭和の政治と決別し、国会で裏金問題を話題にする平成生まれの議員が、私で最初で最後になるように」と、皮肉を込めて訴える場面もあった。 |
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●石川県珠洲市 向井星十さん 救急車も助けも来ない「本当にごめんなさい」 2/13
2024年1月1日に発生した、石川県能登半島地震。 石川県では、これまでに「災害関連死」の疑いを含め、241人の死亡が確認されています。 津波で父・向井宏さんを亡くした息子・星十さんの声です。 ●中学の校長を務めた父 自宅が津波で浸水 石川県珠洲市で亡くなった向井宏さん(97)。 石川県珠洲市やその周辺で40年にわたって教員として働き珠洲市の中学校では校長も務めました。 1月1日、珠洲市宝立町の鵜飼地区の自宅で妻と過ごしていた時に能登半島地震に遭いました。 息子の星十さん 宏さんの息子の星十さん(63)は当時、金沢市内の自宅にいましたが、両親と電話がつながらなかったため、翌日、6時間かけて車で珠洲市の実家へと向かいました。 到着すると1階部分が津波で浸水していたそうです。 息子の星十さん「家の中に入ると母親が廊下で倒れていて意識があり元気だったので起こして座らせました。 父親の方を見ると仏間で横になっていて『寒い、寒い』と言っていて見たら布団もぬれてるし体もぬれていました」 ●呼んでも来ない救急車…そして 星十さんは救急車を呼びましたが、順番待ちで来てもらえず、500メートル離れた避難所に助けを求めに行きましたが被災した人たちが大勢いたため、対応してもらえなかったということです。 星十さんは自分ひとりで宏さんを助けようとしましたが宏さんは足腰が弱く、連れ出すことができませんでした。 宏さんにぬれていない布団をかけて「助けがくるから頑張って」と励まし続けたということです。 3日の朝、通りかかった近所の人に手伝ってもらい母親は無事に助けることができましたが、宏さんは亡くなりました。 星十さんは声を詰まらせながら、今の気持ちを語りました。 「優しい父でした。私が父と同じ教員になる時には『あまり怒らんようにせい』とアドバイスをくれました。寒かっただろうに助けてあげられなくて本当にごめんなさい」 ●どこに行っても好かれる先生でした 亡くなった宏さんは書道が趣味でした。 金沢市に住む書道家、阿部豊寿さん(45)に書を習っていました。 阿部さんによると、年は50歳以上も離れていましたが、20年以上の親交があったといいます。 阿部さんは珠洲市に通いながら宏さんに書を教えていました。 「宏さんの字は生き生きとしていて、本当に元気な人です。宏さんが教え子にあげた作品には『一日生涯』と書いてあり、『あすという日よりもきょう一日が大事だよ』と教えていました。『向井先生、向井先生』とどこに行っても好かれる先生でした。宏さんはじめ、珠洲の人は迎え入れてくれる姿勢があり本当に優しいです。宏さんとの出会いがわたしに珠洲のすばらしさを教えてくれました」 宏さんから月に何度も手紙や作品が送られてきたことも思い出されるといいます。 「いつも手紙や作品が送られてくるのに、地震が起きてからは来ないわけです。『当たり前だったことが当たり前ではない』遅ればせながらその辛さにいま気づいています。宏さんが大好きだった書を一生懸命頑張ることが恩返しになると思っています」 |
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●石川 輪島 3つの学校でボランティアによる昼食の提供が始まる 2/13
能登半島地震で被災し、学校給食が再開するめどが立っていない石川県輪島市で、13日から、子どもたちに昼食の提供が始まりました。 能登半島地震で被災した輪島市内の学校では断水が続き、調理用の設備なども破損したことから、給食を再開するめどは立っていません。 こうした中、ボランティアが市外でごはんやおかずを調理して、弁当のように詰め合わせた昼食の提供が13日から3つの学校で始まりました。 このうち小中学校を含む、合わせて8校の児童や生徒が授業を受けている輪島高校の小学1年生の教室では、子どもたちが友達とおしゃべりをしながら、とんかつやスパゲティ、卵焼きなどをほおばっていました。 男の子は「衣がさくさくしておいしい。友達と食べると安心する」と話していました。 また、このクラスの田中祐太教諭は「知らない学校から集まった子どもたちが、みんなで会話をしながら食べているのを見て、ほっとします。少しずつ子どもたちの日常が戻ってきています」と話していました。 この学校では、13日は390食が提供され、昼食の提供が始まったことで、中学生は13日から、小学生は15日から午後の授業を再開するということです。 |
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●「もうこういう政治は終わりにすべき」 松野前官房長官めぐる機密費支出 2/13
大阪府知事や大阪市長を務めた弁護士の橋下徹氏が12日までにX(旧ツイッター)を更新。自民党安倍派(清和政策研究会=解散)に所属していた松野博一前官房長官が、昨年末に事実上更迭されるまでの2週間に、内閣官房機密費4660万円を自身に支出していたと「しんぶん赤旗」で報じられたことについて言及した。 「しんぶん赤旗」の報道内容を引用しながら「もうこういう政治は終わりにすべきだ。機密をこれだけ使ってもたいした政治になっていない。一定期間後に領収書を公開すべきだ。政策活動費の領収書も公開」と投稿した。 松野氏は1月の会見で、2018年からの5年間で、派閥からキックバックを受けた1051万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことを明かしている。 |
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●松野前官房長官が官房機密費4660万円使用 更迭前の2週間で 2/13
林官房長官は、松野前官房長官が去年12月1日から事実上更迭される去年12月14日までの2週間で官房機密費4660万円を使っていたことを明らかにしました。 使い道については「国の機密保持上、使途を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきていて、個別具体的な使途に関するお尋ねについては答えを差し控える」としています。 そのうえで、機密費についてW松野前官房長官個人に支出した事実はないと申し上げておきたいWとも述べました。衆議院・予算委員会で立憲民主党の山岸一生衆院議員の質問に答えました。 |
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●自民党の裏金は完全に「脱税」である 「政治資金は非課税」にだまされるな 2/13
2月1日、市民グループ「自民党ウラガネ・脱税を許さない会」(代表・藤田高景氏、告発代理人弁護士・大口昭彦氏、一瀬敬一郎氏、長谷川直彦氏)は、自民党安倍派のいわゆる5人衆(萩生田光一自民党前政調会長、西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、高木毅自民党前国会対策委員長、世耕弘成自民党前参議院幹事長)を含む安倍派の議員・元議員計10人を「裏金・脱税」で東京地方検察庁に刑事告発した。 同会の代表・藤田氏は「今回の自民党裏金疑惑は、倫理の底が抜けた、非常識極まりない行為。法律違反であり、明確な犯罪行為だ」「説明責任を果たさぬ政治家は永田町から退場してもらうしかない」と憤りを込めて語った。同氏によれば、多くの市民から怒りの声が寄せられていて、これは何とかしなければと立ち上がったそうだ。 実は、私も藤田氏から声をかけられ、当日の記者会見に臨んだ一人だ。正直言って、居ても立っても居られないという気持ちだった。脱税については、これまで誰も刑事告発していなかったからだ。 テレビの街頭インタビューでも、今回の裏金疑惑については、ほとんど批判一色である。 会社勤めの人は、すべての所得を把握され、そもそも脱税の機会さえ与えられない。140万もの事業者がインボイス導入への対応で一円単位で消費税納税のための帳簿を整備する複雑な仕事を初めて経験し、悲鳴を上げている。 それを脇目に、国会議員は、パーティー券収入の一部を裏金として隠し、好きなように使っていたが、安倍派幹部という重責を担う議員でさえ地検はお目こぼしにした。 「信じられない!」という声が上がっても、飼い慣らされた政治部記者や自民党の御用コメンテーターたちは、「秘書が知っているだけではダメで本人の関与を立証するのは難しいから立件はできない」とか、「そもそも政策活動費の使途は届けなくても良いから、政策活動費を政党支部として受け取ったと言って報告書を訂正すれば何の問題もない」とか、「何でもかんでも立件するわけにはいかず、4000万円、あるいは3000万円を超えなければ無罪放免になるというのが相場だ」などというようなことをわけ知り顔で解説していた。 しかし、3000万円までなら立件しないというのは、単に検察の怠慢でしかない。起訴しないから有罪にならないだけである。これまで裁判で3000万円未満なら無罪だという判決が出たことは一度もないのだ。 日本の検察は、客観的証拠によって立証するということが苦手だ。だから、とにかく自白に頼る。日本ほど自白に頼る検察は先進国にはないと言っても良いだろう。だから、自白してくれなければ、今回のような案件はことごとく不起訴になる。法律も甘いのだが、そもそも、検察の能力が低くやる気もないために、これほどの政治スキャンダルが野放しにされてきたのだということを国民はよく認識する必要がある。 今回の事件で脱税について立件が見送られたことはまさにそれを象徴する出来事だ。 多くの国民は、これも法律が甘いから政治家が逃げおおせてしまうのだと思っているかもしれないが、それは大きな間違いであることを今回の市民による告発は明らかにした。 どういうことか順を追って解説しよう。 まず、一口に裏金と言ってもいくつかの異なるタイプがある。ここでは今回の市民団体による告発状にしたがって安倍派の裏金を3つに分類した。 第一は、各議員がパーティー券の売上金を安倍派に納めたあとで、ノルマを超えた分の金額を安倍派が議員側に返すやり方だ。形の上では安倍派の収入に計上された上でキックバック分も各議員の政党支部の収入にも計上される。量的規制に違反しない限りは、政治資金規正法上は直ちに違法とは言えない。 第二は、各議員がパーティー券の売上金を安倍派に納める際に、ノルマを超えた分の現金を安倍派が各議員に返すやり方である。安倍派の収入に計上しないだけでなく、各議員には政治資金規正法上の収入の記載をしないように念押ししたもので、各議員の政治資金としても表に出ない。非常に汚いやり方である。 第三は、もっと酷いやり方だ。各議員がパーティー券の売上金を安倍派に納める際に、安倍派に収入があったのにそれを報告せず、その分を各議員の懐にしまい込む、「中抜き」のやり方だ。本来は、安倍派のパーティー券を売っているのだから、その売り上げは安倍派のものであるにもかかわらず、勝手に自己のものにしているので、横領罪になる可能性がある行為である。また、パーティー券の購入者に対しては、安倍派のパーティー券だと言って売ったのに、実際は、自分のものにしているので、支援者に対する詐欺罪になる可能性すらある。 前にも述べたとおり、テレビや新聞では、政治家の収入は「政治資金」だと報告しさえすれば非課税になるというような情報が垂れ流しになっていたが、これは完全な「フェイク」である。 確かに、政治資金規正法上は、政治資金収支報告書に収入として記載し、かつそれが政策活動費として使われた場合は、使途を届けなくても問題はない。 しかし、だから、何に使っても非課税になるとはどこにも書いていない。 正確に言えば、政治家の収入について、非課税で申告・納税が不要になるという根拠になり得るのは、所得税法第9条第1項第19号以外には存在しない。 そして、その条項に何と書いてあるかと言うと、 「公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がされたもの」とある。 わかりにくいかもしれないが、簡潔に言うと、非課税となるためには、 1 公職選挙法の適用を受ける選挙に関して 2 法律で認められた範囲での選挙運動に関連する収支であり 3 その収支報告書が提出されている という3つの要件を「すべて」満たしていなければならない。 したがって、政治に関連する支出なら何でも良いわけではないことは明らかである。 私的な支出が対象にならないのはもちろん、単なる議員仲間の集まりでの飲食費でも対象外だし、選挙のためであっても有権者や地方議員の買収は認められていない行為であるから、これも対象外だ。また、政治目的でも、「政治工作」などへの支出も不可である。 さらに、先に解説した3つの裏金類型のいずれにおいても、公職選挙法上の報告書が出されていないので、その一点をもってしても非課税の条件を満たしていない。 結論から言うと、今回明るみに出た裏金はいずれも所得税法上の非課税の要件を満たしていないから、明らかに課税対象である。税務当局は速やかに課税処分を行うべきだ。 さらに、前述の第二、第三の類型では、政治資金規正法上の記載もせずにその収支を隠していたのであるから、悪質性も十分だ。また、第一の類型でも、正当な選挙活動に使っていなかったとすれば、単なるミスや失念という言い訳は通らない。偽りその他の不正により本来支払うべき所得税の支払いを免れたということになるはずだ。 つまり、いずれのケースでも脱税の罪に当たる可能性は極めて高いと言わざるを得ない。 東京地検は、今回の裏金疑惑のうち政治資金規正法違反についての捜査を終えた。会計責任者7人と、議員では、池田佳隆衆議院議員、谷川弥一前衆議院議員、大野泰正参議院議員の3人が立件されたが、安倍派5人衆や下村博文元文部科学相・安倍派元事務総長、塩谷立自民党元総務会長・安倍派元事務総長らの大物議員は無罪放免となった。 一方、脱税疑惑については、本格的な捜査が行われた形跡はない。 ここまで読んで、読者の皆さんはどう思うだろうか。 政治資金規正法違反でさえ、「秘書がやったと言えば逃げられるのか」「トカゲの尻尾切りだ」という批判が渦巻いている。世論調査で自民党に政治改革はできると思うかと聞けば、これまた大半の人ができないと答える。テレビの街頭インタビューを見ても、ストレートに自民党や岸田文雄首相を批判している人がほとんどだ。 政治への信頼は文字どおり地に落ちた。内閣支持率も岸田政権誕生以来最低水準に落ち込んでいる。ここまで来たら、岸田首相も生半可な対応では済まないとわかってはいるだろう。しかし、「火の玉になって」という言葉とは裏腹に、真相解明は時間稼ぎに終始し、改革の本丸である企業団体献金の禁止や政策活動費の廃止についてはいまだに抵抗している。 彼の行動を見ていると、自民党が権力を握っている限り、国民がどれだけ怒っても何の意味もなさず、「民主主義」を根底から否定する政治が延々と続くのだということがよくわかる。 その岸田首相の頭の中にあるのは、解散総選挙での起死回生の復活劇とそれによる秋の自民党総裁選における再選だ。 そこには、「国民はバカだから時間が経てば忘れる」という安倍晋三元首相から引き継いだ哲学がある。先々週の本コラムで書いたように、バイデン大統領の招待による国賓級待遇の訪米と、散々批判されてもこだわった所得減税によるまやかしの実質賃金上昇を見せれば国民は騙されるという読みもある。 頼りない野党を見ることに慣れた国民は、政権交代など「夢のまた夢」だと思っているかもしれないが、今回の自民党への信頼失墜はこれまでの一過性のものとは違うようだ。 現に、2月9日の本コラムで紹介したとおり、自民党員にさえ野党に投票しようとする動きが広がっており、総選挙になれば、自民党の得票が大きく落ち込む可能性が高い。 政権交代はすぐそこまで近づいているのに我々国民が気づいていないだけなのかもしれないのだ。 「民主主義が眠ればファシズムが目覚める」と言うが、それは、国民が動かなければ、私利私欲に目が眩んだ権力者の思う壺だということを意味する。 時はちょうど所得税の申告時期だ。 庶民には一円の脱税の余地も残さず徹底的に徴税する税務署だが、最上級国民である国会議員には裏金を非課税のまま好き勝手に使わせるというダブルスタンダードを許す国民はいない。「そんなことを許すなら、我々は税金を納めないぞ!」と声を張り上げて税務当局に抗議すべきだ。 これからは、官邸、自民党、検察に加えて国税庁や税務署に対してデモを行うのも一案だ。 また、野党は、各選挙区の自民党議員の裏金疑惑について固有名詞をあげて説明を求める街宣活動を行うべきだ。 日本中で、怒れる納税者の声を社会と政府自民党に示そうではないか。 岸田首相が、「国民はバカではなかった!」と気づくまで。 |
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●自民、裏金調査の結果提示へ=14日に集中審議、野党追及 2/13
自民党は13日昼の衆院予算委員会理事会で、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関する党所属国会議員を対象としたアンケート調査結果を提示する。 同委は14日、「政治とカネ」の問題をテーマに集中審議を開く予定。野党は調査結果を基に追及を強める構えだ。 衆院予算委の加藤勝信与党筆頭理事(自民)は13日午前、記者団に、アンケートについて「まだ少し精査が残っている。昼に理事会を開いて提出する」と説明。並行して行った聞き取り調査に関しては「まだだ。弁護士が今まとめている」と語った。 |
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●岸田首相の在職日数、14日で歴代10位の864日…支持率は低迷 2/13
岸田首相の在職日数は、14日で864日となり、自らと同じ宏池会(自民党岸田派)出身の鈴木善幸元首相と並んで戦後の首相35人のうち歴代10位の長さとなる。秋の党総裁選で再選を果たせばさらなる長期政権も視野に入るが、岸田内閣の支持率は低迷しており、厳しい政権運営が続きそうだ。 首相は13日、首相官邸で記者団に対し、政権の課題として能登半島地震や政治の信頼回復、賃上げ、国際情勢への対応などを挙げ、「先送りできない課題に全身全霊で取り組んでいる。その都度の判断に精いっぱい思いを巡らす毎日が続いている」と述べた。 宏池会出身の首相では、同会創始者の池田勇人元首相(1575日)に次ぐ在職日数となる。岸田首相は、来月には戦後歴代9位の田中角栄元首相(886日)、4月には同8位の橋本竜太郎元首相(932日)を超える。 |
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●岸田内閣「支持」25%「不支持」58% 政治資金問題への評価は 2/13
NHKの世論調査によりますと、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、1月の調査より1ポイント下がって25%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は2ポイント上がって58%でした。 NHKは、2月10日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。 調査の対象となったのは2443人で、50%にあたる1215人から回答を得ました。 岸田内閣を「支持する」と答えた人は1月の調査より1ポイント下がって25%でした。 一方「支持しない」と答えた人は2ポイント上がって58%でした。 支持する理由では「他の内閣より良さそうだから」が51%、「支持する政党の内閣だから」が23%、「人柄が信頼できるから」が11%などとなりました。 支持しない理由では「政策に期待が持てないから」が45%、「実行力がないから」が27%、「人柄が信頼できないから」が11%などとなりました。 自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、自民党内では、派閥から受け取った収入を収支報告書に記載していなかった議員が相次いで明らかになりました。 こうした議員が説明責任を果たしていると思うか尋ねたところ、「果たしている」が2%、「果たしていない」が88%でした。 自民党は「政治刷新本部」の中間とりまとめで、政治資金の透明性を高めるとともに、派閥をカネと人事から完全に決別させることなどを決めました。 この評価を聞いたところ、「大いに評価する」が4%、「ある程度評価する」が32%、「あまり評価しない」が29%、「まったく評価しない」が28%でした。 政治資金規正法に違反する会計処理があった場合、会計責任者だけでなく、議員も責任を負う「連座制」を導入すべきかどうか尋ねたところ、「導入すべきだ」が82%、「導入する必要はない」が9%でした。 自民党の派閥の政治資金パーティーの問題に対する岸田総理大臣の対応を評価するかどうか聞いたところ、「大いに評価する」が1%、「ある程度評価する」が22%、「あまり評価しない」が36%、「まったく評価しない」が33%でした。 盛山文部科学大臣は、前回の衆議院選挙の際、旧統一教会の関連団体の集会に出席したことを明らかにした上で、「選挙の支援を依頼した事実や活動は確認できない」と説明しています。 盛山大臣が説明責任を果たしていると思うか尋ねたところ、「果たしている」が5%、「果たしていない」が84%でした。 能登半島地震への政府のこれまでの対応を評価するかどうか聞いたところ、「大いに評価する」が7%、「ある程度評価する」が48%、「あまり評価しない」が28%、「まったく評価しない」が9%でした。 |
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●裏金議員「政倫審」に出るか? 安倍派5人衆や二階元幹事長“とんずら”画策 2/13
派閥裏金事件を巡り、自民党が所属議員への聞き取り調査結果を13日にも野党に提示する。しかし、同時に実施している全議員対象のアンケートの設問がたったの2問という“やってる感”で分かる通り、いずれの調査もユルユルのお手盛り。調査チームを率いる森山総務会長は9日、アンケートについて「新たな聞き取り対象となる事例は今のところ確認されていない」と幕引きムード全開だった。調査結果はとても野党が納得できるものにはならない。国会では14日、衆院予算委員会で「政治とカネ」をテーマとする集中審議が予定されている。大荒れ必至だ。 今後の焦点は、裏金議員が国会に呼ばれるのかどうかだ。12日も立憲民主党の泉代表は、安倍派の5人衆や二階元幹事長らの政治倫理審査会(政倫審)出席を改めて求めた。同党の岡田幹事長も10日、「政倫審に出てこないなら、予算委員会の場で、参考人(招致)や証人(喚問)として出席を求めることになる」と迫った。 自民党内ではいったん、浜田国対委員長が政倫審開催に前向きな姿勢を示した。出席して説明すべしの声もある。が、当事者らは抵抗している。 「政倫審出席は強制力がなく、本人の意思。安倍派5人衆はお互いに責任を押し付け合って、みな逃げている。巨額の政策活動費に『脱税』の疑いがかけられている二階元幹事長については、岸田首相が表向きは守るそぶりを見せている。ただ、予算案の年度内成立を考えれば、今月中に衆院を通過させなければならず、岸田首相は本音では、最後は安倍派も二階派も政倫審に差し出してもいいと考えているようです」(岸田派関係者) ●野党はここで攻めないでどうする 連立を組む公明党は裏金問題では強硬で「国民が納得できる形で説明責任を果たすことが重要だ」(山口代表)と促す。野党もここへきて結束の兆しだ。ガソリン税を引き下げる「トリガー条項」凍結解除をめぐって自公に振られた国民民主党が「裏金問題は看過できない」(玉木代表)と対決姿勢に転じた。 「政治刷新本部も聞き取りやアンケートも、すべて自民党内の内輪の調査であり、国会ではまだ何もやっていません。政倫審や参考人招致、特別委員会の設置などがあって初めて国会でチェックができる。野党はここで攻めないでどうする、という場面です」(ジャーナリスト・鈴木哲夫氏) 安倍派5人衆や二階元幹事長が国会で説明しなけりゃ、世論も納得しない。 |
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●能登半島地震「活動依然活発で震度6弱以上も発生しやすい」 警戒呼びかけ 2/14
政府の地震調査委員会(平田直委員長)は9日に定例会合を開催し、能登半島地震後に行われたさまざまな研究調査結果について検討したうえで、「発生から1カ月が経過しても依然地震活動は活発な状態で、6弱以上の地震も発生しやすい状況」などとする評価をまとめた。平田委員長は会合後の会見で「半島周辺はまだ地震が続いている。大きな津波が来る可能性もある」などと警戒を呼びかけた。 1月1日午後4時10分に石川県能登半島地方の深さ15キロを震源とするマグ二チュード(M)7.6、最大震度7を観測する大地震が発生。同県のまとめでは14日現在、死者は240人を超え、住宅被害6万7000棟以上の大きな被害を出した。発生直後から気象庁、海上保安庁、国土地理院のほか、産業技術総合研究所、防災科学技術研究所などの国立研究機関や、東京大学地震研究所、東北大学災害科学国際研究所といった大学が現地調査を含めた調査研究を続けた。9日の政府調査委ではこうした各機関の調査、解析結果について多方面から検討を加えながら評価した。 検討や評価の結果、「1月1日の地震発生から1カ月以上が経過した現在も地震発生前と比較すると依然として地震活動は活発な状態」「今後1〜2週間程度、最大震度5弱程度以上の地震に注意が必要で、最大震度5強や6弱以上の地震についても平常時と比べると依然として発生しやすい状況」とした。政府調査委は2020年ごろから地震活動が活発化していることを重視し、1月の大きな地震で一連の群発地震が収まったとはみていない。 政府調査委は1964年の新潟地震(M7.5)、1983年の日本海中部地震(M7.7)、1993年の北海道南西沖地震(M7.8)では最大の地震から約1カ月後に大きな規模の地震が発生していることを例示し、特に海底で規模の大きな地震が発生した場合は津波に注意する必要があると指摘した。 今回の地震では、陸域観測技術衛星2号(だいち2号)が観測した合成開口レーダー画像を解析した国土地理院により石川県輪島市で最大4メートル程度の地盤の隆起があったことが確認されている。政府調査委は「能登半島の北西岸で、地震に伴う新たな海成段丘(階段状の地形)が認められた。同半島の広い範囲の(海底で)隆起による「陸化」があった」とした。 政府調査委は、これまで震源断層は能登半島の北東から南西に延びる推定150キロ程度で、同半島沖の複数の断層が連動したとの見方を示している。今回、海上保安庁の新たな調査結果を踏まえて、複数の活断層のうち半島北西にある「猿山沖セグメント」と呼ばれる海域の活断層がずれ動いた可能性が高いとの見解を示した。 海上保安庁は1月8〜19日に測量船「昭洋」で能登半島北部の海底地形調査を実施し、石川県輪島市上大沢町から北西に約1キロ沖の海底が最大3メートル程度隆起しているのを確認した。2003年のデータと比較した結果、水深40〜90メートルの海底が3メートル以上浅くなっていたという。調査結果は9日の政府調査委で報告された。 政府調査委はまた、富山市沖約4キロの富山湾海底で、斜面が長さ約500メートル、幅約80メートルにわたって崩れ、水深が最大約40メートル程度深くなっていたことが海上保安庁の調査で確認されたとした。地震発生の3分後に富山市で観測された津波の原因となった可能性を指摘している。 津波について気象庁は地震直後に観測された最大値は「輪島市輪島港で1.2メートル以上」と発表していたが、地盤の隆起や装置の故障の影響も考えられるとしてこの観測結果を取り消し、欠測扱いにしていた。政府調査委は検潮所で観測した津波の最大値は金沢市と山形県酒田市の80センチで、内陸をさかのぼった高さを示す遡上(そじょう)高は新潟県上越市で最大5メートル以上(気象庁発表では同市船見公園で5.8メートル観測)とした。 |
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●甘利明氏は「時速45万円でお金使い続けた?」 2/14 質問に岸田首相「ですから、適正に処理と認識」 自民党の甘利明前幹事長が在任35日間で受け取った3億8000万円の政策活動費が「24時間、時速45万円でお金を使い続けなければならない」と指摘されたことについて、岸田文雄首相は14日、「適正に処理されている」との考えを示した。 政治とカネの問題についての衆議院予算委員会の集中審議で、立憲民主党の井坂信彦氏の質問に答えた。 甘利氏は、在任中の2021年10月1日から11月4日に自民党本部から8回に分けて計3億8000万円を受け取った。期間中には衆院選があった。首相は「選挙が近い、選挙の最中だからこそ党勢拡大、政策をアピールするなど党として活動しなければならない」と強調した。 政策活動費は、政党から議員個人に支給され、使い道を公開しなくて済む。首相は政策活動費の目的を「党勢拡大、政策立案、調査研究等に党役職に職責に応じて支出している。全額を政治活動のために支出していれば納税の申告の必要はない」と説明した。 甘利氏への政策活動費は、自民党総裁である岸田首相が支払っているため、井坂氏は「自分が支払った政策活動費が適正に使われたか確認する義務があるのではないか」と問いただすと、首相は「ですから適正に処理されていると認識している」と答えた。 使い道の公開については「その内容については政治活動費、個人のプライバシー、企業の営業の自由、さらには外部の政治勢力や外国勢力に政治の方向性が確認されるなどそうした点を勘案して現状の取り扱いになっている」と述べた。 甘利氏が2019年の参院選で陣中見舞いで全国の自民党公認候補に100万円を配ったという中国新聞の報道に関連し、井坂氏は「3億8000万円の政策活動費が2021年の衆院選で違法な裏金として配られたのではないか。確認を」と迫った。 岸田首相は「報道は承知していないが、政策活動費は適正に使われている」と述べた。 政策活動費を巡っては、二階俊博議員に2020年、21年に計10億6930万円が党本部から支払われていた。 |
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●塩答弁 森元首相の裏金問題聞き取り求められ「必要なら適切な対応判断」 2/14
岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、多くの議員が派閥からのキックバックを受けていた安倍派(解散)の正式名「清和政策研究会」でかつて会長を務めた森喜朗元首相(86)への聞き取り調査を求められたが、明言は避けた。 2月5日の同委員会で、立憲民主党の岡田克也幹事長が森氏を聞き取り対象とすべきと指摘した際、首相は「実態把握のためにその範囲で聞き取りを行うか、聞き取りを行いながら判断する」と答弁。その進捗(しんちょく)状況を、同党の本庄知史議員に問われた首相。「聞き取り調査については今、外部弁護士のみなさんにとりまとめをお願いしている。その結果を踏まえて党としての判断を行わないといけないが、森元総理の関与についても聞き取りの中で、今日までの経緯、お金の使途などを確認することを考えている。その内容を踏まえた上で、必要であるなら、さらなる調査など、党として適切な対応を検討する」と述べるにとどめた。 本庄氏は「私は必要と思う」と述べ、月刊誌「文芸春秋」最新号に掲載された対談で、安倍派「5人組」の1人、萩生田光一前政調会長が述べたくだりに言及。「私が初当選の頃から安倍派は同じルールで会計処理してきている。販売ノルマを超えた分は活動費として派閥から戻す。それはこちらで処理をしているので収支報告書には載せなくていいというものでした」「この言い伝えをみんなが律義に何十年守ってきているのがうちの派なんです」と萩生田氏が述べているとして「今起きていることと萩生田さんが初当選された時の状況が、うりふたつではないか」と指摘した。 萩生田氏の初当選は2003年11月で、当時は森派の時代。本庄氏は「当時の経緯、なぜそういうことがあったのか、なかったのかも含め、森元総理からお話を聞くべきではないか」と首相の覚悟を迫った。 これに、首相は「聞き取り調査は、基本的に現職議員に対するもの。その中で今日までの経緯や資金の使い方、使途などについて実態把握をしていきたい。それに加えて実態把握に必要な場合、党としてさらに何をするのかそれは適切に判断します」と述べるだけで、最後までで塩答弁だった 本庄氏は「安倍派の還流は会長案件だったと、事務総長経験者のみなさんが口をそろえている。いまご健在の会長(経験者)といえば森喜朗元総理と小泉純一郎元総理おふたりしかいない。萩生田議員の証言もあり、ぜひ森元総理から話を聞かれることをお勧めしたい」と、あらためて首相に求めた。 |
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●苦言 裏金問題2問のアンケート「世論のやり過ごしできると思ったなら間違い」 2/14
元自民党衆院議員・佐藤ゆかり氏(62)が13日、「よんチャンTV」に出演。自民党が派閥をめぐる裏金疑惑を受け、党内の全ての国会議員を対象に行ったアンケート調査について苦言を呈した。 この日、自民党が現職の国会議員374人と選挙区の支部長10人の計384人に実施したアンケート調査の結果を予算委員会理事会で野党側に報告。政治資金収支報告書への不記載があったと答えたのは85人だった。 ただ、この調査で問われたのは「記載すべきであった収入の記載漏れがあったか」「記載漏れがあった場合、過去5年間の記載漏れ金額を記入せよ」の2問だけ。野党側からは「国民が知りたいのは裏金の使い道や残額だ」などと批判の声が上がった。自民党は並行して行った使い道などの聞き取り調査の結果を「今週中には公表できるよう努力を続ける」としている。 佐藤氏はこの調査について「形式的な対応」と評した。「やはり内容が薄いと言われても仕方ない。私もこの結果で見たかったのは支出先が何であったか。(質問の)2つを聞いた結果何をしたいか、という目的が分からない。支出先を聞くことで初めてどう対処するかという建設的な議論が生まれる」と指摘した。 「(自民党は)認識が相当浅かったと思う。こうした形式的なことは統一教会問題の時も行われたが、過去の事例からこうやればある程度世論のやり過ごしができるだろう、と思ったのであれば間違い」とバッサリ。「第三者委員会などを立ち上げて調査すべき」と語った。 「不記載は法に抵触する。過去5年間に積み上がってきたことはゆゆしき事実。自民党も襟を正して、しっかりと政権与党として抜本的に改革するべき。政治資金規制法の改正、政党法を制定するなどの話にも踏み込んで令和の政治改革を」と提言した。 訂正された収支報告書では、支出の目的や金額、年月日などが軒並み「不明」とされるなど問題は不透明なままだ。「私は“不明”という記載をこれまで見たことがないので、やはり不可解ですね」と佐藤氏。「今の時代、外遊先での視察の際、現地通貨で両替して現金で支払うことはほとんどない。領収証がなくてもクレジットカードの明細でほとんど(使途が)分かる。不明っていうのは疑われても仕方ない」とあきれた。 |
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●“やってる感”丸出し自民議員384人アンケート…裏金議員の“意外な集金力” 2/14
“やってる感”以外の何物でもない。自民党は13日、派閥の裏金事件を受け、所属国会議員ら384人に実施したアンケート結果を公表。政治資金収支報告書に不記載や不正確な記載があった裏金議員は85人に上ったが、いつ誰が何にいくら使ったのか、まったく不明のまま。裏金の多寡を見ると、意外な“集金力”を発揮している議員がいる。 アンケートは野党の要求に基づき、党所属議員374人と次期衆院選の立候補予定者となる支部長10人を対象に実施。設問はパーティー収入に関する不記載や記載漏れが「あったか」「なかったか」を問い、2018年からの5年間の不記載額を1年ごとに尋ねるだけ。これでは、不記載や記載漏れとなった理由や裏金の使途はまったく分からない。 自民は週内にも裏金議員への聞き取り調査を公表して処分を検討する方針だが、最も悪質な安倍派幹部連中が口を揃えて辞職も離党も否定している以上、大甘処分で済まされるのは間違いない。しかし、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党は安倍派や二階派の幹部が政治倫理審査会で説明するよう求めており、そうやすやすとは逃げ切れまい。 改めて不記載額の多さにはア然とする。過去5年間で合計5億7949万円。最多の二階元幹事長(3526万円)に次いで、三ツ林裕巳衆院議員(2954万円)、安倍派5人衆の萩生田前政調会長(2728万円)がトップ3を占めた。 不記載額が2000万円以上は二階氏、三ツ林氏、萩生田氏に加え、山谷えり子参院議員(2403万円)、堀井学衆院議員(2196万円)、橋本聖子元五輪相(2057万円)の計6人だった。 意外なのは、山谷氏や堀井氏、橋本氏の“集金力”。キックバックがデカいということは、それだけノルマを超えるパー券をさばいていたということだ。 ●パーティー1回で収入3000万円超 特に、スピードスケートの五輪メダリストである橋本氏の集金能力は飛びぬけていて、「橋本聖子後援会」の22年の収支報告書によると、個人で開いたパーティーの収入も〈IOC女性スポーツ賞 橋本聖子さんを励ます会「夢と情熱と、その力」〉の1回だけで3393万円にも上る。 堀井氏も橋本氏と同じく、スピードスケートのオリンピアン。2人の元五輪選手が多額のキックバックを受けていたことは7日の衆院予算委でも、野党議員から「国民に夢や希望を与える立場のオリンピアンの国会議員が裏金にまみれている」と批判された。 不記載額1000万円以上が20人に上る中、安倍派5人衆である世耕前参院幹事長(1542万円)や松野前官房長官(1051万円)、高木前国対委員長(1019万円)よりも多額のキックバックを受けていたのが、安倍派の杉田水脈衆院議員(1564万円)だ。 杉田氏といえば、安倍元首相の「お気に入り」だったとされる生粋の安倍チルドレン。今月8日には、X(旧ツイッター)上でジャーナリストの伊藤詩織さんを中傷したとして、詩織さんへの55万円の賠償を命じた2審判決が最高裁で確定した。LGBTやアイヌ民族への差別的言動などで物議を醸してきた上、裏金問題でもミソをつけ、いよいよ政治家たる資格はない。 裏金議員は揃って収支報告書の訂正で逃げ切ろうとしているが、使途すら不明で脱税疑惑がくすぶったまま。逃げ切りなんて許されない。 |
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●松野前官房長官「機密費4660万円」持ち逃げ疑惑… 2/14
松野前官房長官が、昨年12月14日に退任する直前の2週間に内閣官房機密費4660万円を使用していたことが明らかになった。「しんぶん赤旗」が情報公開で入手した「政策推進費受払簿」で判明したとして、11日に「“闇金”抱え退任」と報道。13日の衆院予算委で、この件について野党から質問された林官房長官が事実と認めた。 松野氏は昨年12月1日に機密費9660万円を自身が管理する「政策推進費」に振り分けたが、14日に後任の官房長官に就いた林氏が金庫を確認したところ、残っていたのは5000万円だったという。差額の4660万円は何に使われたのか。 当時は自民党派閥の政治資金パーティーの裏金化が問題になり、松野氏が直近5年間で1000万円を超える裏金のキックバックを受けていたことが新聞などに報じられた時期だ。松野氏は会見でもロクに説明できずヨレヨレで事実上、更迭されたのだが、5000万円近いカネを持ち逃げとはいい度胸だ。 ●パーティー裏金も1000万円超 昨年12月12日に松野氏の不信任決議案が否決された際、ニヤリと不敵な笑みを浮かべたことが印象に残る。キックバックに加え、つかみ金の機密費まで手にしていたら、そりゃ笑いが止まらないだろう。 松野氏は13日、「公益、国益にのっとって使用されている」と記者団に話したが、使途については明らかにしない。松野氏の官房長官在任中に約27億5000万円の機密費が支出され、そのうち約26億5000万円が政策推進費に充てられていた。 「官房機密費はだいたい月に1億円といわれていて、2週間で4660万円は特に多いわけではない。ただ、持ち出したタイミングが悪いよね。12月の後半2週間分の5000万円を残していくところは松野さんらしいと思いましたが、『政治とカネ』に厳しい目が注がれる中で、なかなか国民の理解は得られないでしょう」(自民党ベテラン議員) 松野氏は千葉県立木更津高校から早大法学部に進み、卒業後は生活用品メーカーのライオンに勤務。その後、松下政経塾に入った。政経塾9期生の同期には秋葉元復興相らがいる。1996年に自民党千葉県連の公募に合格し出馬するも落選。2000年の衆院選で初当選して以来、当選8回。安倍派では19年9月から約2年間、事務総長を務めた。裏金キックバックが盛んだった頃だ。 松野氏が自身のHPに残したエッセーには、自宅の庭で缶ビールを空けるのがお気に入りだと書かれている。<うちにあるビールはカロリーオフの発泡酒しかないけど>と庶民的なつつましい生活ぶりをアピールしていたが、地味な風貌からは想像できない銭ゲバだったということか。 |
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●「抜け道を死守する気満々」岸田首相側近・木原誠二氏 連座制「なじみにくい」 2/14
2月13日、自民党の木原誠二幹事長代理は『深層NEWS』に出演。 政治資金規正法の改正で、収支報告書に虚偽記載があった場合に議員にも責任を負わせる「連座制」の導入について、「個人的にはなじみにくいのかなとは思う」と述べ、慎重な見解を示した。 木原氏は「政治家が『何も知らなかった』ということは許されない、と大方の合意がある」とし、罰則強化の必要性を強調する一方、「連座制」については、こう語った。 「個人的には、公職選挙法上の連座制はなじみにくいとは思う。政治資金規正法の収支報告書の不記載はある種の形式犯。不記載であれば即問題になる、ということだから、すべての場合に政治家が責任を取らないといけなくなると、厳しいものがある」 公職選挙法の連座制は、候補者本人以外の陣営の関係者などが選挙違反を理由に有罪となった場合、候補者本人にも責任を取らせる制度。当選は無効となり、同一選挙区から5年間、立候補できなくなる。 その連座制を、政治資金規正法にも導入することを、立憲民主党や日本維新の会などの野党、さらに与党の公明党が主張している。今回の裏金事件では会計責任者や秘書が立件される一方で、立件された議員は4000万円超のキックバックを受けた安倍派の3議員のみとなったからだ。 前大阪市長で日本維新の会前代表の松井一郎氏は2月14日、自身の「X」に、木原氏の発言を報じた記事を貼り付けたうえでこう書きこんだ。 《自民党はあくまでも政治家本人はお咎めなしを継続するつもり、維新は政治家本人が会計責任者となる事を決定、野党は政治家本人が会計責任者となって自民党を追求する覚悟が必要。》 共同通信が2月11日までに実施した自民党の全国会議員を対象にしたアンケートでは、回答率は23%ながら、連座制の導入に「賛成」と「どちらかといえば賛成」が合わせて計82%にのぼっている。 そんななかで、岸田文雄首相の最側近として知られ、自民党刷新本部の幹事長をつとめる木原氏が、連座制の導入は「なじみにくい」と慎重な姿勢を示したことに、SNSでは批判的な声が殺到している。 《岸田首相の側近がこんなこと言うてるんやから、岸田首相もやる気がまったくないな》 《は??抜け道を死守する気満々だな》 《…“秘書が〜!担当が〜!”と言えなくなると困るんですね?》 2月13日には、自民党政治刷新本部の政治資金規正法改正に関する検討チームが初会合を開いたばかり。連座制についても導入に向けて積極的に議論してほしいものだ。 |
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●少子化「支援金制度」1人500円弱見込み「妥当」20%にとどまる 2/14
少子化対策の財源確保のため、公的医療保険を通じて集める「支援金制度」をめぐり、政府が加入者1人あたりの拠出額が月平均で500円弱になると見込んでいることについて、NHKの世論調査で3つの選択肢をあげて尋ねたところ、「妥当だ」が20%、「妥当ではない」が31%、「支援金制度自体に反対だ」が33%でした。 NHKは2月10日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。 調査の対象となったのは2443人で、50%にあたる1215人から回答を得ました。 岸田総理大臣は春闘での賃上げに向けて経済界への働きかけを強めていますが、物価上昇を上回る賃上げを実現できると思うか聞いたところ、「実現できる」が8%、「実現できない」が77%でした。 少子化対策の財源確保のため、公的医療保険を通じて集める「支援金制度」をめぐり、岸田総理大臣は加入者1人あたりの拠出額が月平均で500円弱になると見込んでいることを明らかにしました。 これをどう思うか、3つの選択肢をあげて尋ねたところ、「妥当だ」が20%、「妥当ではない」が31%、「支援金制度自体に反対だ」が33%、「わからない、無回答」が16%でした。 次期戦闘機など、他国と共同開発した防衛装備品の第三国への輸出をめぐって、与党内での議論では自民党は容認する方針なのに対し、公明党は慎重な姿勢です。 政府は2月末までに結論を出すよう求めていますが、輸出を認めることに賛成か反対か聞いたところ、「賛成」が31%、「反対」が51%、「わからない、無回答」が18%でした。 |
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●政治資金問題 野党側 政治倫理審査会に関係議員出席を迫る 2/14
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、野党側は自民党が行ったアンケート調査は不十分だとして、政治倫理審査会を開いて関係議員を出席させるよう14日の予算委員会の集中審議で迫る方針です。一方、自民党は本人の意向を確認しながら、応じるか検討することにしています。 この問題で自民党はすべての所属議員を対象にアンケートを行った結果、現職の国会議員82人にパーティー券収入の収支報告書への不記載や不正確な記載があったと13日、野党側に伝えました。 これについて、野党側は立憲民主党の岡田幹事長が「何にカネが使われたのか説明が一切なく、極めて不十分な調査だと言わざるをえない」と指摘するなど、批判を強めています。 そして、実態解明のため、政治倫理審査会に安倍派と二階派の幹部らを出席させるよう自民党に求めていて、立憲民主党などは14日の衆議院予算委員会の集中審議でも審査会の開催を迫る方針です。 一方、自民党内では「予算審議に協力してもらうためにも応じざるをえないのではないか」という意見が出ていて、安倍派の事務総長を務めた松野・前官房長官は「依頼があれば理由や対象なども踏まえて、総合的に判断したい」と述べました。 ただ、ほかの幹部らの意向は明らかになっておらず、自民党は本人の意向を確認しながら、応じるか検討することにしています。 |
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●低空飛行が続く岸田内閣の支持率 「支持しない理由」で最も多いのは 2/14
岸田文雄内閣の支持率が低空飛行を続けています。朝日新聞社が1月20、21日に実施した全国世論調査(電話)で、岸田内閣の支持率は23%でした。昨年12月の前回調査と同じで、2012年に自民党が政権に復帰して以降、最も低い支持率です。前々回の11月は25%、その前の10月も29%でした。なぜ? 昨年1月以降の全国世論調査の結果から探ってみました。 ●不支持の理由 最多は「政策の面」 調査では毎回、内閣を支持する理由、支持しない理由を質問しています。このうち、支持しない理由の変化を見てみました。 最も多いのは「政策の面」です。昨年1月は33%、最も多かった昨年11月の調査(18、19日実施)は42%でした。 <岸田内閣を「支持しない」理由は…> 政策の面=33%(2023年1月)、29%(2月)、30%(3月)、25%(4月)、23%(5月)、25%(6月)、28%(7月)、30%(8月)、27%(9月)、33%(10月)、42%(11月)、34%(12月)、32%(2024年1月) 自民党中心の内閣=9%(2023年1月)、12%(2月)、11%(3月)、9%(4月)、11%(5月)、13%(6月)、11%(7月)、10%(8月)、14%(9月)、13%(10月)、10%(11月)、17%(12月)、18%(2024年1月) 他のほうがよさそう=5%(2023年1月)、5%(2月)、5%(3月)、6%(4月)、4%(5月)、4%(6月)、7%(7月)、7%(8月)、8%(9月)、8%(10月)、6%(11月)、8%(12月)、9%(2024年1月) 首相が岸田さん=4%(2023年1月)、4%(2月)、3%(3月)、3%(4月)、2%(5月)、4%(6月)、4%(7月)、5%(8月)、3%(9月)、5%(10月)、6%(11月)、5%(12月)、6%(2024年1月) この11月調査の直前、政府は、岸田首相が打ち出した所得税などの定額減税を盛り込んだ「経済対策」を決めました。 これを受け、同月の調査では、「政府は、経済対策として、所得税などを1人あたり年4万円減税し、低所得世帯に対しては現金7万円を給付することを決めました。あなたは、この減税と現金給付を評価しますか」と質問したところ、「評価しない」は68%でした。 さらに、「あなたは、岸田首相がこの減税と現金給付を打ち出したのは、どちらかといえば、国民の生活を考えたからだと思いますか。それとも、政権の人気取りを考えたからだと思いますか」と尋ねると、「政権の人気取り」が76%を占めました。 政権の浮揚を狙った政策と見透かした有権者からの批判が多数を占め、不支持理由の「政策の面」が高まった可能性が考えられます。 ●「自民党中心の内閣」が上昇 「政治とカネ」が影響 ところが、「政策の面」は翌12月調査(16、17日実施)で34%、今年1月の調査では32%に落ちます。 12月になって世の中の注目を集めたのは、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題でした。 11月までは、いくつかの派閥が政治資金収支報告書を相次いで修正した、という報道でしたが、月が変わると、清和政策研究会(安倍派)や志帥会(二階派)で、所属議員が販売ノルマを超えて集めた分を派閥の収支報告書の収入に記載せず、議員側に環流して裏金化していた疑惑が相次いで発覚。自民党への風当たりが強まります。 内閣を支持しない理由にも、このことが現れます。 不支持理由に「自民党中心の内閣」を挙げる人は、11月調査は10%でしたが、12月調査は17%に跳ね上がり、今年1月調査も18%でした。自民党が政権に復帰した12年以降で、最も高い割合です。 無党派層に限ると、11月調査は12%でしたが、1月調査は20%まで増えました。政治とカネに揺れる自民党への批判が、岸田内閣の支持率低迷の要因になっているようです。 自民党の支持率も下落傾向にあります。昨年1月は33%でしたが、7月には20%台に落ち込みました。 それでも11月まで同水準で推移したものの、裏金問題が発覚した後の12月調査ではもう一段落ちて23%になり、今年1月も24%と低調です。 <主な政党の支持率は…> 自民=33%(2023年1月)、31%(2月)、31%(3月)、32%(4月)、33%(5月)、33%(6月)、28%(7月)、28%(8月)、27%(9月)、26%(10月)、27%(11月)、23%(12月)、24%(2024年1月) 立憲=6%(2023年1月)、6%(2月)、6%(3月)、5%(4月)、5%(5月)、4%(6月)、4%(7月)、4%(8月)、4%(9月)、4%(10月)、5%(11月)、5%(12月)、4%(2024年1月) 維新=4%(2023年1月)、4%(2月)、4%(3月)、6%(4月)、7%(5月)、6%(6月)、7%(7月)、5%(8月)、7%(9月)、6%(10月)、5%(11月)、4%(12月)、6%(2024年1月) 公明=4%(2023年1月)、4%(2月)、4%(3月)、2%(4月)、4%(5月)、2%(6月)、3%(7月)、3%(8月)、3%(9月)、3%(10月)、4%(11月)、3%(12月)、3%(2024年1月) 共産=2%(2023年1月)、3%(2月)、3%(3月)、2%(4月)、3%(5月)、2%(6月)、2%(7月)、2%(8月)、3%(9月)、3%(10月)、3%(11月)、4%(12月)、2%(2024年1月) 無党派層=47%(2023年1月)、46%(2月)、48%(3月)、49%(4月)、45%(5月)、49%(6月)、51%(7月)、54%(8月)、50%(9月)、53%(10月)、50%(11月)、54%(12月)、54%(2024年1月) ●「事務的なミス」首相の発言への評価は 政治とカネの問題で、「身内」に足を引っ張られていると言えなくもない岸田内閣の支持率ですが、首相自身の発言も響いているようです。 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐっては、岸田首相が会長を務めていた宏池政策研究会(岸田派)もパーティー収入など約3千万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことがわかりました。 今年1月に入り、東京地検特捜部が岸田派の元会計責任者を立件する方針を固めたことが報じられると、岸田首相はその日の朝、記者団に「事務処理上の疎漏(そろう)と承知している。それ以上のことは承知していない」、「事務的なミスの積み重ねだ」などと説明しました。 1月調査で、この岸田首相の発言について「自民党の岸田派が、およそ3千万円の収入を政治資金収支報告書に記載しなかったことがわかりました。会長を務めていた岸田首相は『事務的なミス』と話しています。あなたは、この説明に納得できますか」と質問しました。 調査結果は、「納得できない」が89%を占めました。自民支持層でも76%、無党派層では93%に上ります。ほぼ、「総スカン」の状態と言えそうです。 <「事務的なミス」岸田首相の説明に…> 全体=納得できる7%、納得できない89% 自民支持層=納得できる18%、納得できない76% 無党派層=納得できる3%、納得できない93% ※その他・答えないは省略。コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、1月20、21の両日に全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した949世帯から456人(回答率48%)、携帯は有権者につながった1774件のうち723人(同41%)、計1179人の有効回答を得た。 この発言は野党だけでなく、自民党内からも「自分だけ知らぬ存ぜぬは通らない」と批判の声が上がりました。 自身が会長だった派閥側の立件が報じられたことに加え、こうした批判の声もあったためか、岸田首相は、岸田派の解散を検討していると表明し、自民党の複数の派閥が解散するという流れを作ることになります。 ただ、派閥を解散しても、政治とカネの問題が根本的に解決するとは思えません。政治資金の流れを透明化する制度改正の議論を、有権者が納得する形で深める必要があります。 個々の政治家も、政治資金収支報告書の内容を訂正するだけでなく、報告書に記載しなかったお金を何に使ったのか、具体的に有権者に説明することが求められます。まして、自民党総裁でもある岸田首相の説明責任は、言うまでもありません。 岸田首相はこれから先、政治とカネの問題に対してどのような姿勢をとるのでしょうか。それを、有権者はどのように受け止めるのでしょう。今後の全国世論調査には、そうした評価も含まれた結果が現れます。 |
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●岸田首相が旧統一教会と接点の盛山正仁文科相を切れないわけ 2/14
岸田文雄首相はいま、四面楚歌(そか)に陥っている。自民党派閥のパーティー券による“裏金”問題をめぐって党内に政治刷新本部をつくり、その本部長に就任したものの、1月下旬に中間とりまとめを発表する前に前月まで会長を務めていた宏池会の解散を宣言。それが茂木敏充幹事長とともに「トロイカ体制」を組んできた麻生太郎副総裁の逆鱗(げきりん)に触れたのだ。 すでに麻生氏は「ポスト岸田」として、上川陽子外相に着目した。1月28日の講演では上川氏を「カミムラ」と間違えた上、「このおばさん、やるねえ」や「そんなに美しい方とは言わない」などの発言が問題になったが、「堂々と話をして、英語もきちっと話をして、自分でどんどん会うべき人たちの予約を取る。あんなふうにできた外相は今までいない」と述べ、最大の賛辞を送っている。 さらに以前から上川氏に注目していたのが、亀井静香元自民党政調会長だ。昨年12月のテレビ番組で「見てなさい、俺の予測は当たるから」と、将来の自民党総裁に、高市早苗経済安全保障担当相と並んで上川氏の名前を挙げている。 ●自民党政治に飽き飽きした有権者 2月4日に投開票が行われた群馬・前橋市長選で、4期目を狙った自公系の現職を新人の女性候補が1万4099票差で倒したことも、その流れに勢いをつけるだろう。当選した小川晶氏は41歳の弁護士で、群馬県議を4期目途中まで務めた。昨年12月の情勢調査では、現職の山本龍市長より劣勢だった。 もっとも4年前の同市市長選が自民党の分裂選挙だったことも、今回の市長選の結果に少なからず影響していたのかもしれない。しかし既存の自民党政治に飽き飽きした有権者の思いが、その底流にあることは間違いない。 それに大きく影響したのが派閥のパーティー券による“裏金”問題だが、岸田首相はそれを「安倍派の問題」にしようと、問題発覚時に安倍派に所属した官房長官および閣僚を更迭した。安倍派と同じく“裏金”問題で解散した二階派の小泉龍司法相と自見英子万博担当相は、派閥を離脱したことで留任させた。 しかし2月6日付の朝日新聞が、盛山正仁文部科学相が2021年の衆院選で旧統一教会(世界平和統一家庭連合)系の団体から推薦状を受け取っていたことを報じたとたん、風向きが変わった。 これは、昨年10月に盛山氏が、文科相として旧統一教会に対する命令を東京地裁に申請したことへの“報復”だろう。盛山氏は22年9月に行われた自民党の調査には「関係団体とは認識せず、1度だけ参加してあいさつした」と申告していたが、選挙協力に関しては隠蔽(いんぺい)していた疑いが強まった。野党からは大臣不信任決議案を提出する動きもあるが、任命責任を問われかねない岸田首相は、盛山氏を更迭することはできない。 しかも盛山氏は、岸田首相が会長を務めた宏池会に所属していた。これに「ダブルスタンダードだ」と反発したのは、冷遇された元安倍派の議員たちだ。もし大臣不信任案が提出されれば、賛成票を投じなくても、欠席することで反対票を減らし、可決させることは可能になる。 ●国民民主の玉木代表も離脱を決定 そして国民民主党も岸田首相を見放した。2月7日にはトリガー条項凍結解除をめぐる自公との協議からの離脱を正式決定した。 ガソリンにかかる揮発油税を一時的に引き下げるトリガー条項凍結解除は、国民民主党にとって2021年の衆院選に公約として取り入れて以降の「目玉政策」となっている。その実現は悲願であり、そのために野党でありながら政府予算案に賛成を投じてきた。2022年の衆院予算委員会では、岸田首相の「あらゆる選択肢を排除しない」という“トリガー条項”について言及のない発言にすらすがりつき、“から喜び”してきた。 2月6日の衆院予算委員会で、国民民主党の玉木雄一郎代表は「事務手続きはクリアできる。必要なのは総理の政治判断」と迫ったが、岸田首相は玉木氏が提示した事務手続きを「新しいご提案」として「検討する」とだけ回答。これまでの国民民主党が説明してきたことを“リセット”してしまった。 それを冷たい目で見ていたのは、昨年11月に国民民主党を離党し、教育無償化を実現する会を立ちあげた前原誠司氏だった。前原氏は2022年度本予算を決議した衆院本会議を、体調不良を理由に欠席したが、後に「ガソリンを下げることは大変重要だが、それだけではない」と述べ、この時の路線の相違が離党の原因になったことを明かした。 離党という仲間割れを招いてもいとわなかったトリガー条項凍結解除だが、それから3カ月も経ずして国民民主党は岸田政権から離れ、今度は立憲民主党に近づこうとしている。4月28日に行われる衆院東京15区補選で、国民民主党は高橋茉莉氏を擁立。同じく補選が行われる衆院島根1区と衆院長崎3区に候補を擁立している立憲民主党にも協力を呼びかけた。「島根と長崎では立憲の候補、東京では国民の候補を一緒に応援しよう」というわけだ。 “党外与党”のはずの国民民主が…… これは衆院で7人、参院で10人を擁する国民民主党の“野党化”で、岸田政権の“戦力低下”であることは間違いない。玉木氏は、宏池会の中興の祖である故・大平正芳元首相の後継を自任し、国民民主党が2022年度予算に賛成した時には岸田首相と連絡を取っていることを強調するなど、自民党との近似性を示していた。すなわち「党外に置いた与党」というのがこれまでの国民民主党の位置付けだったのだ。 昨年の自民党の調査では、次期衆院選の自民党の予想議席は最悪で220議席となり、この傾向は今年に入っても変わっていない。これに公明党を加えても、かろうじて過半数を維持できる程度だ。 にもかかわらず、岸田首相があえてトリガー条項凍結解除に真剣に向き合わないのは、これに消極的な財務省と、財務省の思惑通りに動く党内の税制調査会(税調)の勢力に制されているためだ。 その財務省に影響力を有する麻生氏は、次の衆院選では不出馬説がささやかれている。とはいえ、その権力は衰えるとは限らない。同じくわずか1年で首相の座を退いた森喜朗氏も、キングメーカーとして長らく君臨した。 だがその威光もまた、安倍派の凋落とともになくなろうとしている。そこで次のキングメーカーにとってかわろうと、それまで岸田政権を支えてきた麻生氏が上川氏を担いで台頭。これに対して岸田首相は衆院解散権の行使で対抗しようとしているというのが現在の永田町の情景だ。 四面楚歌となった項羽は愛する虞美人と別れ、壮絶な死を遂げている。岸田首相は果たして……。 |
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●景気の実態がわかる“ビッグマック指数” バブル崩壊後の日本経済の失敗 2/14
“ビッグマック指数”をもとに日本経済における失敗を経済アナリストの森永康平氏が指摘した。 ビッグマック指数とは大まかな景気の実態がわかる指標で、イギリスの経済専門誌「エコノミスト」が毎年紹介。世界中で同じような材料や調理法で作られているであろうビッグマックの価格を基準にすることで、その国の物価水準などを比較しようというものだ。 森永氏は「ビッグマック指数を見ると、バブル崩壊後の日本経済の失敗が如実に分かります」として「すべてはバブル経済崩壊の後処理に失敗したことが原因」と話す。日本のビッグマックは480円と世界的には安いと言えるが、その価格よりも30年間給料が上がっていないことが、日本経済最大の失策だと指摘。ここ数年間の物価高は、コロナ禍やウクライナ紛争など外的要因によるものだとして、「モノの価格だけ上がって、賃金上昇は伴わないという悪いインフレ」と解説した。 しかし最近ではユニクロや第一生命など大手が初任給を高く設定したり、2023年の春闘でも賃上げ率3.60パーセントと1994年以来の3パーセント台の高い伸びを見せたことが話題となった。物価も上がり賃金も上昇ムード、良いインフレになりつつあるのか。 街の声を聞くと「(給料が安く)物が高くなっているからなかなか手が出せない物がある」「自分の給料が上がってるわけじゃないのに、物価が上がっちゃうと“節約しよう“となる」など、物価の上昇に賃金の上昇が追いついていないという意見が多くみられた。 森永氏は「世界の人たちから見ると、経済第3位の国ですから、なんでそんな経済大国でこんな日本のビッグマック安いの?というのが彼らから見ると不思議でしょうがない」とコメント。 日本経済については、ビッグマックの価格と賃金で見る必要があるとして、日本の時給1113円では480円のビッグマックを2.3個買うことができる。「時給で買えるビッグマックの数はほかの国とそんなに変わらないぐらい買えるので、日本の経済が弱いかというと、そんなことはない」と解説した。 しかし「問題なのは、日本はずっと経済成長していない」と指摘して「経済成長していないイコール賃金が上がらないんです。賃金が上がらないから、結果的にモノを安く売らないと誰も買ってくれない。いわゆるデフレという状態を日本だけが30年続けていて、その間にほかの国というのは物価も上がるけど賃金も上がるという正常な経済を30年間やっていたので、日本はついにドイツにも経済規模を抜かれてしまうというようなニュースがここにきて出てきている」と問題点について語った。 |
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●党首討論が激減、岸田政権下では一度も開かれず…不要論も 2/14
首相と野党党首が向き合い、 侃々諤々 の議論を戦わせる――。英国議会をモデルに2000年に日本の国会に導入された党首討論は近年、開催頻度が年に0〜1回程度と激減し、岸田政権下では一度も開かれていない。討論経験者からは「歴史的使命は終わった」と、不要論すら出ている。その背景を探った。 ●英議会モデル 2000年に導入 党首討論は、英国議会で行われる首相の「クエスチョンタイム」を参考に、国会改革の一環で始まった。本家の英国では、保守党と労働党の2大政党制が根付いており、毎週水曜日、与野党党首が激しい舌戦を繰り広げる。開催時間は日本の45分よりも短い30分だが、1回の質疑と応答は1分程度で、丁々発止のやりとりが基本だ。論客のトニー・ブレア元首相も、「党首討論が行われる日は食事が喉を通らないぐらいだった」と過去の激論を回顧している。 日本で党首討論の導入が検討された1990年代は、大型の贈収賄事件であるリクルート事件がもたらした深刻な政治不信が尾を引き、政治改革の必要性が真剣に議論されていた。自民党の各派閥が対決した中選挙区制は、金権政治の温床とされ、政権交代可能な2大政党制とそれを実現するための選挙制度が志向された。 96年に小選挙区比例代表並立制に移行した後、2009年の衆院選で民主党への政権交代が実現した。野党第1党が単独過半数で政権交代したのは現憲法下では初めてだったが、12年に自民党が政権に返り咲いてからは野党が分裂を重ね、2大政党制は定着していない。 この流れと呼応するように、党首討論は制度が始まった00年には8回、12年の自民党への政権交代までに57回と活発に行われたが、12年を境に激減している。年に0〜2回しか行われず、特に19〜23年の5年間では計2回の開催で、21年6月を最後に2年半も開かれていない。 ●自民1強 「見せ場」減る野党乱立 党首討論が開かれない最大の理由は、12年から自民党の1強状態が続き、野党が乱立している政治状況にある。党首討論は全体で45分間と決まっているため、参加する野党党首が増えるほど1人あたりの持ち時間が減り、野党の“見せ場”が減ってしまうためだ。 さらに与野党は、首相の国会出席の負担を軽減するため、本会議や予算委員会などに首相が出席する週には党首討論を開催しないことを申し合わせており、党首討論の開催には制約がある。そのため野党は、首相を長時間拘束でき、一方的に質問もできる衆参の予算委を優先する傾向にある。ある議会関係者は、「ここ数年、野党は党首討論を本気で求めてこなかった」と指摘する。 ●現政権下「0」 与党側にとっても、「無用な失点」につながりかねない党首討論の積極的な開催を呼びかけるメリットは薄く、低調な開催状況が常態化している。過去には超党派の議員連盟が、定例化や夜間開催などの改善策を提起したものの、実現にはこぎつけていない。 21年10月に発足した岸田政権では、党首討論は一度も開かれていない。こうした実態を見かね、先の臨時国会では日本維新の会などが党首討論を所管する国家基本政策委員会について、「無駄な税金を使う委員会は必要ない」と、廃止法案を提出するに至っている。 駒沢女子大の弥久保宏教授(議会政治)は、「党首討論は政策の違いや党首の資質が明確になり、投票への意欲につながる利点がある」と強調する。今後のあり方について、「定例化などを通じ、日本の議会に合うように改良を重ねていくべきだ」と求めている。 |
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●またぞろ出てきた「6月解散説」で問われる岸田首相の信念=@2/14
「岸田文雄首相が6月に衆院を解散するのではないか」 年明け以降、永田町周辺でこんな噂がささやかれている。 9月の自民党総裁選で、「岸田首相の再選は困難」との見方が党内で広まっている。それを打破するため、6月の通常国会閉会後、総選挙を仕掛けるというのだ。政治改革や、自ら掲げた減税効果≠演出し、多少の「負け」を承知で大勝負に打って出るのか。 だが、情勢は極めて厳しい。 自民党が昨年9月時点で行った情勢調査で、「自民党は衆院選で大幅議席減」という結果だったとされる。これに、自民党派閥のパーティー収入不記載事件などで、信頼は地に落ちているのだ。 岸田首相は孤立を深めている。政権を支えた岸田派(宏池会)、麻生太郎副総裁率いる麻生派(志公会)、茂木敏充幹事長の茂木派(平成研究会)によるトロイカ体制≠ヘ激しく動揺している。 きっかけは、岸田首相が先月18日、唐突にブチ上げた岸田派解散だ。麻生氏に根回しはなく、「そんな話は聞いていない」と、オカンムリだったという。岸田首相は謝罪したが、ご機嫌は直っていない様子だ。麻生氏は最近、「ポスト岸田」として、上川陽子外相を持ち上げるなど、牽制(けんせい)を強めている。 岸田首相は、玉木雄一郎代表率いる国民民主党にも、そっぽを向かれた。国民民主党はガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」の凍結解除を訴えてきたが、煮え切らない態度に玉木氏の我慢が限界を超えた。自民、公明との3党協議は空中分解の様相だ。 衆院7人、参院10人を擁する国民民主党は自民党の貴重な盟友≠セったはずだ。もはや、岸田首相の唯一の友≠ヘ、税制という「聖域」を死守し、減税にひたすら「待った」をかける財務省だけになったのかもしれない。 衆院解散・総選挙は「国民の信」を問うことだ。岸田首相が政権延命のため「伝家の宝刀」を抜こうとしているなら、そこに大義はあるのか。 そもそも、昨年5月の広島G7(先進7カ国)サミット直後など、解散風≠ェ強まるタイミングは幾度もあった。岸田首相はその都度、優柔不断さと「まだまだ大丈夫」という時間的余裕から、解散に踏み切らなかった。 総裁選につなげようと、「負け」を承知で打って出るとすれば、本末転倒もいいところではないか。唐突な派閥解消など、岸田首相は暴走気味だ。退陣水域に近づいた内閣支持率を受けて、なりふり構っていられないのだろうが、「破れかぶれ」の果てに局面打開の光が見えるのだろうか。 |
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●首相 「説明責任を尽くすよう促している」 政倫審は「国会の判断」 2/14
自民党派閥による裏金事件を受け、岸田文雄首相(党総裁)は14日の衆院予算委員会集中審議で、野党側が求める国会の政治倫理審査会(政倫審)について問われ、疑惑をもたれた議員に「説明責任を尽くすよう党として促している」と語った。政倫審の開催自体は「本人の意向を確認したうえで国会で判断することだ」として明言を避けた。 立憲民主党の山井和則氏の質問に答えた。野党側は、松野博一前官房長官ら安倍派幹部や、二階派トップの二階俊博元幹事長らについて、政倫審に出席することを求めている。 山井氏は予算委で、安倍派幹部や二階氏から、「どのような返事が来ているのか」とただした。これに対し、首相は「それぞれの判断で説明責任を果たしている。しかし、まだまだ不十分だとの指摘に対し、説明責任を尽くすよう促している」と語った。 山井氏は「せめて二階氏、安倍派の幹部に、直接、促して欲しい」と求めたが、首相は同じ説明を繰り返した。 政倫審の開催については、委員の3分の1以上の提案か、議員本人が申し出るかの二つの方法がある。現在、衆院では野党の委員は3分の1を満たしていないため、野党側は議員本人が申し出るよう求めている。 首相は自民への批判の高まりを踏まえ、開催に応じる意向を固めている。 |
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●衆院解散に慎重姿勢 「信頼回復や課題に専念する。その先は考えていない」 2/14
岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー不記載事件の局面を打開するための衆院解散について否定的な見解を示した。「政治の信頼回復とともに、目の前の課題に専念する。その先については何も考えていない」と述べた。 首相は「再発防止を実行するとともに、実態把握、説明責任、政治責任を果たしていくことによって信頼回復に努める。これに尽きる」と強調。能登半島地震対応、デフレ脱却、厳しい国際情勢を挙げ「先送りできない課題が山積している」と語った。 日本維新の会の岩谷良平氏の質問に答えた。 |
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●首相 「説明責任を尽くすよう促している」 政倫審は「国会の判断」 2/14
自民党派閥による裏金事件を受け、岸田文雄首相(党総裁)は14日の衆院予算委員会集中審議で、野党側が求める国会の政治倫理審査会(政倫審)について問われ、疑惑をもたれた議員に「説明責任を尽くすよう党として促している」と語った。政倫審の開催自体は「本人の意向を確認したうえで国会で判断することだ」として明言を避けた。 立憲民主党の山井和則氏の質問に答えた。野党側は、松野博一前官房長官ら安倍派幹部や、二階派トップの二階俊博元幹事長らについて、政倫審に出席することを求めている。 山井氏は予算委で、安倍派幹部や二階氏から、「どのような返事が来ているのか」とただした。これに対し、首相は「それぞれの判断で説明責任を果たしている。しかし、まだまだ不十分だとの指摘に対し、説明責任を尽くすよう促している」と語った。 山井氏は「せめて二階氏、安倍派の幹部に、直接、促して欲しい」と求めたが、首相は同じ説明を繰り返した。 政倫審の開催については、委員の3分の1以上の提案か、議員本人が申し出るかの二つの方法がある。現在、衆院では野党の委員は3分の1を満たしていないため、野党側は議員本人が申し出るよう求めている。 首相は自民への批判の高まりを踏まえ、開催に応じる意向を固めている。 |
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●戦闘機輸出、自公が協議格上げ 岸田首相、山口代表と一致 2/13
岸田文雄首相(自民党総裁)は13日、公明党の山口那津男代表と首相官邸で会談し、次期戦闘機を念頭に置いた国際共同開発品の第三国輸出について、自公両党の政調会長を中心に協議を仕切り直すことで一致した。 公明が慎重な立場を崩さず、与党の実務者協議が停滞していた。首相は協議レベルを格上げし、事態を打開したい考えだ。 与党実務者協議は、自民の小野寺五典・安全保障調査会長、公明の佐藤茂樹・外交安全保障調査会長らがメンバー。昨年7月にまとめた中間報告では、国際共同開発品の第三国輸出に関し、容認論が「大宗を占めた」と明記。しかし、同11月に公明が態度を一転させ、結論は先送りとなった。 |
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●二階氏、書籍代に3500万円 3年間、2万7700冊分を計上 2/14
自民党の二階俊博元幹事長の資金管理団体が、2020〜22年の3年間に「書籍代」として約3500万円を支出したと政治資金収支報告書に記載していることが分かった。同氏の事務所は14日にコメントを出し、「政策広報のために購入した書籍」だと説明。領収書を公開し、計2万7700冊に上ることを明らかにした。 領収書によると、購入したのは大中吉一監修「ナンバー2の美学 二階俊博の本心」5000冊(購入代金1045万円)、大下英治著「政権奪取秘史 二階幹事長・菅総理と田中角栄」3000冊(同475万2000円)など。選挙区外の行政・議会関係者らに配布したという。 |
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●首相「説明責任尽くすよう促す」 安倍派幹部や二階氏らに 裏金問題 2/14
岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、安倍派幹部の「5人衆」や二階俊博元幹事長について「説明責任を尽くすよう働きかけている。さまざまな手段があると党としても考えているし、関係者と意見交換している」と述べた。立憲民主党の山井和則氏への答弁。 山井氏は5人衆や二階氏が出席する国会の政治倫理審査会(政倫審)を開催するよう要求した。首相は答弁で「政倫審については、本人の意向等さまざまな観点から国会としてご判断いただくべきものだ。説明責任を尽くすことを党として促していきたい」と述べるにとどめた。 首相はまた、自民の小倉将信氏への答弁で、議員の責任厳格化に向け、3月17日に予定する党大会で党則を改定する考えを示した。自民政治刷新本部の中間取りまとめで、政治団体の会計責任者が逮捕・起訴された場合に団体の代表を務める議員本人も処分できるようにするなど、責任の厳格化に向けたルール化の方針を明記したと説明。その上で「具体化のためのワーキングチーム(作業部会)もスタートした。3月の党大会で党則等を改正すべく議論を加速させたい」と述べた。 |
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●能登半島地震 死者242人に 安否不明9人 断水3万戸割る 2/15
石川県は15日、能登半島地震の死者が珠洲(すず)市で新たに1人確認され、242人(災害関連死15人)になったと発表した。安否不明者は2人減って9人になり、全員が輪島市となった。16市町で最大約11万戸に上った断水は7市町で約2万9520戸になり、初めて3万戸を割ったが、輪島市と珠洲市では依然ほぼ全域で断水したままだ。 |
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●能登半島地震 新潟 花角知事 液状化被害など受け緊急要望 2/15
能登半島地震で液状化などによる被害が相次いだことを受けて、新潟県の花角知事は松村防災担当大臣に住宅応急修理制度の対象を拡大することなど制度の柔軟な運用を求めました。 能登半島地震では、新潟県内で液状化による被害が大きく、住宅被害は1万7200棟を超えているほか道路や港などの公共インフラ施設の被害も150件を超えています。 こうした状況を受けて、花角知事は15日午後、内閣府の松村防災担当大臣と面会し、緊急の要望書を手渡しました。 要望書では、住宅の修理費用の一部を行政が負担する住宅応急修理制度について、生活に不可欠な通路や駐車場への被害も大きいことから、制度の対象を拡大することや、賃貸型応急住宅制度について「半壊」に満たない場合も対象に加えることなどを求めています。 また、液状化による被害を踏まえて、家屋の被害調査について判定や認定の基準を見直すことや地盤改良を行う費用が多額になる場合もあるため、住宅応急修理制度の支給額を増額することなども求めました。 県によりますと、松村大臣は「話は受け止めた。実情をよく見ていきたい」などとこたえたということです。 花角知事は「救われる範囲が実態に合っていないので、もう少し運用を柔軟にし、多くの人を支援できるようにしてもらいたい」と述べました。 |
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●地銀を襲う「新NISA・債券安・融資先倒産」の三重苦… 2/15
株高バブルとは無縁ということか──。地方銀行73社・グループの2023年4〜12月期決算が13日、出揃った。73社の連結純利益の合計は、8177億円と前年同期比6.9%の減少だった。 地銀の純利益が減少したのは、取引先の倒産リスクに備える費用がかさんだのが一因だ。金融機関の資産運用を支援する「日本資産運用基盤グループ」(東京)によると、取引先の貸し倒れに備える与信関係費用が増えているという。実際、地銀の融資先である中小企業は倒産リスクに直面し始めている。コロナ対策として導入された実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済本格化に加え、物価高や人手不足によって経営が苦しくなっているためだ。 また、地方銀行は金利上昇の影響も受け始めている。「異次元の金融緩和」がスタートした後、運用難に苦しんだ地方銀行は、積極的に「債券」を買っていたが、金利上昇によって債券価格が下落し、「国債等関係損益」が悪化。全体で計2978億円の赤字となった。 問題なのは、地方経済と中小企業を支える地銀の収益が悪化すると、日本経済全体に悪影響を及ぼす恐れがあることだ。 しかも、この先、「新NISA」が地銀を苦しめる恐れがあるという。新NISAによって「貯蓄から投資へ」の流れが加速すると、地方銀行から預金が大量流出しかねないという。共同通信は13日、<地銀、新NISAで試練 預金大量流出しかねず>というタイトルの記事を配信した。 地方銀行は「新NISA」「債券価格の下落」「融資先の倒産リスク」--という三重苦に見舞われている形だ。経済ジャーナリストの松崎隆司氏はこう言う。 ●“地方銀行は1県に1行”73社は多すぎる 「多くの地方銀行は、厳しい状況におかれています。決定的なのは、どこの地方も人口減少が止まらないことです。人がいなくなれば、消費も落ち込み、産業も廃れてしまう。地域経済そのものが空洞化しかねない。地方銀行を直撃するのは当然です。この先、M&Aによって地方銀行の再編が進む可能性もあるでしょう。もともと、金融当局は“地方銀行は1県に1行”という構想をもっていました。73社は多すぎる。それに、金利が正常化し、貸し出しによって利ザヤが稼げるようになると、預金残高が多い方が有利というスケールメリットも出てきます」 年明け以降、4500円も上昇した株高は、いつまで続くのか。 |
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●自民党「裏金」問題はパーティー券を「買う側」の問題に行きつく 財界の姿勢 2/15
●国民は納得していない 政治資金パーティーを巡る「裏金」問題への自民党の対応への批判が強まっている。自民党は2月5日に党所属の全国会議員に「派閥による政治資金パーティーに関する全議員調査」と題したアンケートを配布したが、質問は政治資金収支報告書の「記載漏れ」に関する2問だけ。岸田文雄首相は国会で「実態把握」すると繰り返し述べてきたが、実態を把握する姿勢に乏しく、形だけの調査でお茶を濁すつもりではないか、といった声が噴出している。 裏金問題を受けて自民党は「党政治刷新本部(本部長・岸田総裁)」を設置、1月25日に「中間とりまとめ」を総務会で了承、公表した。当初、盛り込むとみられていた全派閥の解散については踏み込まず、派閥を「カネと人事」から切り離すとするにとどまった。その後の国会審議で、解散を拒否している麻生派などへの対応について聞かれた首相は、カネと人事から切り離したことで、従来の派閥は無くなったとする「珍解釈」を展開。そこでも改革に向けた本気度が疑われる結果になった。 NHKが行った世論調査でも、政治刷新本部の中間とりまとめについて、「大いに評価する」とした回答はわずか4%、「ある程度評価する」も32%で、「あまり評価しない」(29%)、「まったく評価しない」(28%)と6割近くが否定的な反応だった。「政治資金問題への岸田首相の対応」についても、「大いに評価する」(1%)、「ある程度評価する」(22%)と評価する声は少数にとどまり、「まったく評価しない」(33%)、「あまり評価しない」(36%)という声が7割近くに達した。自民党の自浄能力に疑問が呈されていると言っていいだろう。 ●出し手が記載していない金を 派閥からキックバックされたカネを政治資金収支報告書に記載していなかった議員も一様に口をつぐんでいる。不記載が4355万円にのぼり略式起訴された谷川弥一衆議院議員は自民党を離党後、議員辞職し、4800万円不記載の池田佳隆衆院議員は逮捕された。安倍派の幹部なども軒並み1000万円を超える不記載が表面化したが、離党や議員辞職は頑なに拒んでいる。 そのカネを何に使ったのかもまったく説明されていない。「政治活動」といった曖昧な説明を繰り返している。首相自身も不記載について「事務的なミス」と言い、誰ひとり「道義的責任」を取る政治家も出てこない。時が過ぎて人々が忘れるのを待っているかのようだ。 NHKの世論調査では、「不記載議員の説明責任」について、「果たしていない」という声が88%に達した。もはや議員本人から説明責任を果させるのは無理ということなのだろう。 「出し手(派閥)が記載していないものを議員が記載するわけにはいかないんです」と党政治刷新本部の主要メンバーのひとりは言う。つまり、カネの出し手が名前や金額を伏せているものを、もらった側が記載できるはずはない、というのだ。結局、事務的なミスでも何でもなく、構造的な問題であることを正直に吐露している。 逆に言えば、裏金の使い道を明確に言えないのは、言えば、その金をもらった側の問題に波及するからだろう。すでに指摘が出ているように、議員の「領収書のいらない金」は、県議会議員や市議会議員などにわたり、選挙などの資金として使われてきた。河井克行元法相夫妻の買収事件でもその一端が現れた。モノいえば唇寒し。下手をすれば買収疑惑が浮上することになりかねない。政治評論家が解説するような、秘書給与に必要だといった類の話ではない。 つまり「出し手」側がきちんと記載すれば、受け取った側は自ら収支報告書に記載せざるを得なくなる。これはパーティー券の構造も同じだ。 ●財界は政策を金で買っている パーティー券は20万円までならば買ってくれた企業名や個人名を記載しなくて良いことになっている。相場は1枚2万円なので10枚までならば名前が表に出ない。しかも1回のパーティーあたり20万円なので、年に何回もパーティーを開けば匿名で寄付ができる。企業も「交際費」や「寄付金」として経費処理ができる。結局、この仕組みが企業などの政治献金の「裏ルート」になっているのだ。 パーティー券の購入者名を開示せよ、ということになるが、出し手がどう処理しているか分からない金を、もらっている政治家の側が公表することなどできるはずもない。この問題を解決する簡単な方法は、企業や個人の側に政治資金を出した場合の公表義務を課すことだ。 経団連の十倉雅和会長は記者会見で「あってはならないこと。検証を徹底的に」と語っているが、本気で経済界が今の政治と金の問題を徹底的にきれいにしようとしているとは思えない。金の出し手である財界が本気になれば、政治と金の問題は一気に透明化できるはずだ。 なぜ、経団連は傘下の企業にパーティー券の購入を止めよと号令を発しないのだろうか。あるいは政治資金の「出し手」の開示ルールを強化しようと提案しないのか。 昨年の十倉会長の記者会見を報じた東京新聞は、「企業団体献金が税制優遇に結び付くなど政策をゆがめているとの指摘に対しては『世界各国で同様のことが行われている。何が問題なのか』」と発言したと報じられた。 2009年に民主党政権が誕生すると同党に「企業献金は受けない」と拒絶されたのを機に経団連は、会員企業に声をかけて政治献金を取りまとめることをやめた。自民党が政権に復帰すると2014年に企業献金を再開。その後、経団連の主張してきた法人税率の引き下げなどが実現している。結局、財界は政治を金で買っているのではないか、という疑惑が付き纏っている。 政治と金の問題の解決を、金の受け手である政治家に期待するのは無理がある。金の出し手である財界が、政治とカネの問題を国民が納得する形で解決しない限り、政治献金を辞めると言えば、この問題は一気に解決するだろう。 |
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●自民・甘利前幹事長に「裏金1億円」ネコババ疑惑…自身の選挙に“流用”か 2/15
「私は未来を見通せる。その私がいなくなれば大変なことになる。未来は変わっちゃう」──あの街頭演説の陰で「裏金」をネコババしていたのか。ダーティーイメージがつきまとう甘利前幹事長に、また新たな疑惑だ。 時は2021年の衆院選のさなか。使途公開の義務がない党の政策活動費(政活費)1億円を、落選の危機にあった自身の選挙に“流用”していた可能性がある。日刊ゲンダイの調べで、その痕跡が浮かび上がってきた。 「政治とカネ」をテーマに14日に開かれた衆院予算委員会の集中審議で、野党は事実上の「裏金」である自民の政活費を追及。立憲民主の井坂信彦議員がターゲットに据えたのは、岸田政権下で幹事長を務めた甘利氏だ。在任期間は21年10月1日から11月4日までの35日間。このわずかな期間に甘利氏は8回に分け、計3億8000万円の政活費を受け取っていた。在任時には衆院選があり、支出は衆院解散の前後に集中。井坂氏は「自身の選挙に使ったのではないか」と問いただした。 ●当時は落選危機で錯乱状態 なぜなら甘利氏は当時、衆院選の陣頭指揮を執る立場ながら、最終盤で全国遊説を見送り。立憲の新人候補の猛追を受け、落選の危機が強まり、自身の選挙区に張りついた。街頭では「私の手の中には日本の未来が入っている」「私の妨害をしたら、これは国家の行く末を妨害しているのと同じことなのであります!」と絶叫。ほぼ錯乱状態だった。結局、選挙区で敗れた甘利氏は比例復活したものの、幹事長として歴代2番目のスピード退任の辛酸をなめた。それだけに井坂氏の訴えには説得力がある。 ●金額も支出の時期の怪しさも突出 日刊ゲンダイも当時の政活費の支出状況を確認すると、興味深い事実が判明した。衆院の解散から公示日の間は党幹部11人に計3億6500万円が支出されたが、公示日が過ぎてからはただ一人、甘利氏のみ。公示翌日の10月20日と選挙終盤の同25日に5000万円ずつ、計1億円を受け取っていた。自民党関係者は「党幹部が公認候補の陣営に現金を配る『陣中見舞い』の原資は政活費。選挙応援に入った際、必ず金一封を手渡すのが慣例です」と語る。選挙終盤に地元に引きこもっていた甘利氏には、この自民の因習を守ることは不可能だったろう。 また、直近の国政選挙における政活費の支出状況も調べたが、19年参院選は二階幹事長(当時)が公示直後に2回、計6500万円を、22年参院選は茂木幹事長が公示翌日に5000万円をそれぞれ受領。甘利氏のケースは金額も支出時期の怪しさも抜きん出ている。落選危機を脱するため、党の「裏金」をネコババした疑いは深まるばかりだ。 「衆院選の経費を記す甘利氏の『選挙運動費用収支報告書』の出入記録に、この記載がなければ、選挙買収など公選法違反に該当するような使い道を疑わざるを得ません。否定するなら、政活費の使途を全面公開すればいいのです」(神戸学院大教授・上脇博之氏) ネコババ疑惑について甘利事務所に質問状を送付したが、期限までに回答を得られなかった。 さらに中国新聞は14日、甘利氏が党選対委員長を務めていた19年の参院選で、8060万円の政活費を原資に全国の公認候補へ陣中見舞いとして「裏金」を配り回っていた疑いを報道。個人が年間に政治家や政治団体などに寄付できる上限額(3000万円)を定めた政治資金規正法に抵触する恐れがあり、違法性が認められれば公民権停止の憂き目が待っている。 未来を見通せる甘利氏の目には、将来の自分のどんな姿が映っているのか。 |
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●盛山文科相、重ねて辞任否定 衆院予算委 2/15
盛山正仁文部科学相は15日の衆院予算委員会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係に関し「解散命令請求を出し、被害者救済法の手続きを進めている。自分の職責を果たしていく」と述べ、重ねて閣僚辞任を否定した。立憲民主党の梅谷守氏への答弁。 梅谷氏は、文春オンラインに掲載された盛山氏の妻のインタビューについて質問。インタビューで妻は、盛山氏が教団関連団体の推薦確認書への署名を「うかつだった」と述べていたと証言した。これに対し、盛山氏は「記憶はないが、かりそめにも(署名)したとしたら軽率であった、という話をした」と釈明した。 鈴木俊一財務相は、自民党派閥の政治資金パーティー収入のキックバック(還流)が政治資金収支報告書に不記載だった議員の納税について「党の立場を見守る」と述べるにとどめた。立民の鎌田さゆり氏への答弁。 |
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●政倫審出席拒まずと自民萩生田氏 2/15
自民党の萩生田光一前政調会長は15日、安倍派の政治資金パーティー裏金事件を巡り、野党が開催を求める政治倫理審査会に関し「出席の明確な基準が公表され、その対象になるのであれば、出席を拒むものではない」と述べた。 |
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●黒スプレーで顔塗りつぶす 堀井学議員の政治活動用ポスターに落書き 2/15
北海道・苫小牧市で堀井学衆議院議員のポスターが落書きされているのが見つかり、警察は器物損壊事件として捜査しています。 落書きが見つかったのは衆議院比例代表北海道ブロック選出の堀井学議員の政治活動用のポスターです。 捜査関係者によりますと、14日までに、苫小牧市若草町3丁目の道路脇などに設置されているポスターなど、10枚以上に落書きが見つかりました。 落書きはいずれも黒のスプレーで顔の部分が塗りつぶされていたということです。 警察はきょう、事務所関係者からの被害届を受理し、器物損壊事件として捜査しています。 堀井議員は自民党の派閥から2196万円のキックバックを受けながら収支報告書に記載していなかったと認めていて、その後、報告書を訂正しています。 |
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●裏金 納税検討巡り野党追及 2/15
国会ではきょうも自民党の派閥の裏金事件をめぐり、野党側が追及を続けています。自民党内からはキックバック分などを収支報告書に記載していなかった議員は追加で納税するべきという意見があがり始めています。 野党側はキックバックされたカネの多くについて使い道がわかっておらず、課税対象になるのではとかねてから批判していました。 このため、自民党内でも政治資金収支報告書に不記載があった議員に対し、「追加納税を義務づけるべきだ」との声が出ていますが、課税額の計算や対象をどうするのかなど、詳細な制度設計は詰め切れていません。 立憲民主党 鎌田さゆり 衆院議員「自民党還流分の納税を検討すると、脱税の批判を踏まえと。つまり脱税を認めるというふうに読み取れる。岸田総理の側近の官房長官として、どのような見解を持つか」 林芳正 官房長官「党としての対応でございますので、官房長官としての立場でお答えすることは差し控えたいと思います」 立憲民主党 鎌田さゆり 衆院議員「この状況を国民の皆さんが見てて、明日からの確定申告、冗談じゃない。ちゃんと矜持を示して、国会議員自らが襟を正してやっていかないと信頼回復なんて始まりませんよ」 政府・自民党の対応について野党側は「国民がなめられている、納税する気持ちにもならなくなる」などと批判したほか、自民党内でも「場当たり的対応だ」との声が漏れています。 |
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●裏金、還流分納税を否定 自民・森山氏 2/15
自民党の森山裕総務会長は15日、派閥の政治資金パーティー収入のキックバック(還流)分などを政治資金収支報告書に記載していなかった議員に対し使途不明などの場合には税を納付させる検討に入ったとの一部報道について、「あり得ないことだ」と否定した。 森山氏は報告書の修正に関し「政治資金として処理しており、所得税は発生しないと理解している」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。 |
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●安倍派と二階派の85人中の53人が「還流分を使用」…事情聴取報告書を公表 2/15
自民党は15日、派閥の政治資金規正法違反事件に関与した議員らに実施した事情聴取の報告書を公表した。派閥の政治資金パーティー収入のキックバック(還流)などの総額は2018〜22年で計約5億8000万円に上った。 聴取は今月2〜8日、安倍派と二階派に所属する85人(議員82人、選挙区支部長3人)のほか、党内6派閥、2グループの事務総長らを対象に、森山総務会長ら党幹部6人が3グループに分かれ、弁護士同席で実施した。 還流分などの使用の有無について、安倍派と二階派の85人のうち53人が「使用していた」と回答した。報告書では、懇親費用や車両購入費、書籍代などの使途も列記された。 |
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●還流不記載「20年以上前から」=安倍派幹部に責任論―裏金事件で聴取報告 2/15
自民党は15日、政治資金パーティー裏金事件を受けて安倍、二階両派の国会議員82人などを対象に実施した聞き取り調査の報告書を公表した。安倍派でキックバック(還流)分の政治資金収支報告書への不記載が始まった経緯について、「20年以上前から行われていた」可能性を指摘。「派閥幹部の痛烈な批判を述べる者も多く、責任を問う回答も数多く見受けられた」と記した。 同党はこれを踏まえ、説明責任をどの程度果たしているかも加味した上で、党則に基づく処分を検討する方針だ。 聞き取り調査は1月29日、岸田文雄首相(党総裁)が「党として実態把握を進める」として実施を表明。森山裕総務会長ら党幹部6人がチームを組み、全国会議員対象のアンケートと並行して2月2日から進めていた。アンケート結果は13日に公表した。 |
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●自民“裏金”聞き取り調査結果を公表 2/15
派閥の政治資金を巡る事件を受け自民党は安倍派と二階派の議員らを対象に行っていた「聞き取り調査」の結果を公表しました。 政治資金収支報告書に記載していなかった、いわゆる「裏金」をどの議員が何に使ったのかはわからない、匿名での公表となっています。 聞き取り調査は収支報告書に不記載があった安倍派と二階派の議員82人と自民党の8つの派閥や政策集団が対象で森山総務会長や渡海政調会長ら党幹部がおよそ1週間かけて実施しました。 調査結果の報告書は聞き取りに同席した外部の弁護士が20ページの報告書にまとめ、政治資金収支報告書に記載していなかった、いわゆる「裏金」の使い道と額を明らかにしています。 いわゆる「裏金」を使っていたと回答した議員らは53人いましたが、使い道は「会合費」「懇親費用」「書籍代」「人件費」「交通費」「使用していなかった」など、類型ごとにまとめるにとどまり、どの議員が何に使ったのかはわからない、匿名での公表となっています。 いわゆる「裏金」は現金や銀行口座で管理していたケースが大半で、現金の保管場所は事務所の金庫や引き出しなどだったということです。 「裏金化」の手法にはキックバック=還付方式と中抜き=留保方式の2つのタイプがあるとされ、前者は53人、後者は16人、両方が16人でした。 自らがキックバックや中抜きを認識していたのは32人で、このうち11人は収支報告書への不記載も認識していたということです。 11人は、いずれも安倍派の所属で「派閥からの指示で記載しなかった」と説明したということです。 また、安倍派の議員からは「派閥の上に立つ人間が責任を取らないといけない」などと、幹部らに対する不満が相次いだとしています。 一方、報告書では「安倍派では、いつ、どのようにして不記載が始まったのか判然としない」と説明した上で、「遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い」と指摘しています。 |
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●岸田首相は、小手先ではなく、根本の政治改革を断行すべき 2/15
岸田文雄首相は、国会において政治とカネの問題で防戦の一方だが、派閥の解散表明をはじめとする動きのなかに、自身の任期をいかに伸ばせるかを考えているふしが見受けられる。 14日午前中の衆議院予算委員会で、自民党の小倉将信衆院議員から、政治資金の在り方などについて質問が行われた。岸田首相は安倍派など自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、派閥を含む政治団体に外部監査を義務づける法整備の必要性について言及した。 ただ、岸田首相は、政治団体の会計責任者が有罪になった場合に議員が失職する公職選挙法の「連座制」の導入については、慎重な議論が必要との認識を示している。 小倉議員は二階派に所属し、岸田政権において子ども政策や若者活躍、男女共同参画などの内閣府特命担当大臣を務めていた。 現在、自民党内で派閥の政治資金パーティー裏金事件への対応策を検討する刷新本部の事務局長を務めており、刷新本部では、3月に行われる自民党大会で党則の改正などを行うことを念頭に3つのワーキンググループを設置し、(1)政治資金に関する法整備、(2)党機能・ガバナンス強化、(3)党則などの見直しについて議論を進めている。 今日の岸田首相の答弁は、身内に質問を行わせ、政治改革を行っている姿勢を見せていると捉えるべきだろう。 自民党は全所属議員にアンケートを行ったが、野党は「不十分」として、衆議院政治倫理審査会(政倫審)の開催を要求しているが、14日の朝日新聞朝刊の1面で、岸田首相(自民党総裁)が政倫審の実施に応じる意向を固めたと報じられた。 このアンケートは、党所属の国会議員374人と次の衆議院選挙の立候補予定者となる支部長10人の、合わせて384人を対象に行われた。 アンケートでは、収支報告書に記載していなかった派閥のパーティー券収入があったかどうかと、あった場合は一昨年までの5年分の不記載金額を年ごとに記載するよう求めていた。 そのなかで、現職の国会議員82人と支部長3人の合わせて85人に、パーティー券収入の収支報告書への不記載や不正確な記載が見られた。 金額が最も多かったのは二階俊博元幹事長で3,526万円、次いで三ツ林裕己衆議院議員が2,954万円、萩生田光一前政調会長が2,728万円、武田良太元総務大臣は1,926万円で、上位10人以内に含まれる。ただ、池田佳隆議員や谷川弥一議員は、除名や離党しており含まれていないという中途半端なものであった。そして、そもそも裏金の使途や目的などは明らかになっていなかった。 政倫審を開催した場合、安倍派5人衆(松野博一、西村康稔、萩生田光一、高木毅、世耕弘成の各氏)や二階元幹事長を出席させることができるかどうかが焦点となる。 岸田首相が自民党内の勢力争いでの小手先の修正ではなく、根本的に政治の在り方を問い直すことをしなければ、国民の政治不信がますます強まることは間違いない。 同時に国民1人ひとりが、政治は自らの生活にかかわる問題と自覚して、来る衆議院解散総選挙をはじめとする選挙において投票を行い、国民の意思を示すことが何よりも求められる。 |
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●23年GDP、独に抜かれ世界4位 10-12月実質年0.4%減、2期連続マイナス 2/15
内閣府が15日発表した2023年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.1%減、この成長が1年続いた場合の年率換算で0.4%減だった。マイナス成長は2四半期連続。23年通年で、国際比較に使われる名目GDPの実額がドイツに抜かれ、世界3位から4位に転落した。 岸田政権が目指す「デフレからの完全脱却」に向けて日本経済は正念場を迎えている。新藤義孝経済財政担当相は15日の記者会見で、日独逆転について「日本がさらなる構造改革や経済成長の新しいステージを一刻も早くつくらなければならない」と強調した。 23年10〜12月期の実質GDPの内訳は、過半を占める個人消費が0.2%減、設備投資は0.1%減と、いずれも3期連続のマイナス。昨年の春闘での賃上げは30年ぶりの高水準となったが、物価高を背景に実質賃金が低迷したほか、コロナ禍明けの需要回復が一服し、内需を圧迫したもようだ。 23年通年の名目GDPは前年比5.7%増の591兆4820億円(4兆2106億米ドル)。名目成長率は3年連続のプラスで、1991年(6.5%増)以来32年ぶりの高水準となり、実額も最高を記録した。ただ、大幅な円安の進行でドル換算のGDPが目減りし、ドイツの名目GDP(4兆4561億米ドル)を下回った。 |
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●「足りないからよこせ」 岸田首相の納税呼びかけ答弁 「ふざけた政権」 2/15
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は15日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、岸田文雄首相が14日の衆院予算委員会で、16日から始まる所得税の確定申告を前に「法令にのっとり適切に申告、納税を行うようお願いしたい」と答弁したことを踏まえて「これほど国民を馬鹿にした話は無い」と投稿した。 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件への対応に批判が集まる中での岸田首相の答弁を受け、「裏金さておき」としたメディア報道の見出しを引用しながら「これほど国民を馬鹿にした話は無い。日々税金を好き勝手に使い、醜く裏金化してきた反省も実態解明も一切せず、『足りないから金をよこせ』とは。こんなふざけた政権は一刻も早く引きずり下ろすべきである」とポストした。 首相の納税呼びかけ答弁に対しては、インターネット上でも怒りのコメントが殺到。「裏金さておき」「裏金さておき納税呼びかけ」「法令にのっとり適切に申告」「納税しろ」などの言葉が、次々にトレンドワードになっており、裏金事件への国民の不信感が高まる中、自民党の総裁という「当事者」である岸田首相の、人ごとのような答弁への怒りが高まっている。 |
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●「盛山文科相の更迭」こそが旧統一教会の狙い… 2/15 リーク写真で政権を批判する朝日新聞と立憲民主党への違和感 ●盛山氏は旧統一教会の支援を受けた 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令を請求している盛山正仁文部科学相が、2021年10月の衆院選でその関連団体から推薦状を受け取り、その写真とともに、選挙支援を受けていた、と2月6日の朝日新聞が報じた。東京地裁での審問が始まる前に教団側が盛山文科相に「攻撃」を仕掛けたと言えよう。 立憲民主党が朝日新聞報道を基に国会などで盛山氏の説明と更迭を求め、岸田文雄首相の任命責任を問うているが、朝日新聞にリーク(情報提供)したのが旧統一教会の関連団体の可能性が極めて大きいことを踏まえれば、敵を間違えていないか、誰を利しているのか、冷静に考えてみたほうがいい。 盛山文科相は6日の衆院予算委員会で、立憲民主党の長妻昭政調会長が朝日新聞の報道の確認を求めたのに対し、「新聞で報道されている写真があるのなら、推薦状を受け取ったのではないかと思うが、改めて確認したところ、過去の衆院選に際して当該団体に選挙支援を依頼した事実はなく、事務所に活動報告があったことも確認できなかった」と答弁した。そのうえで「記憶がなかったので、自民党に対しても報告しなかった。旧統一教会との関係を断っており、引き続き解散命令請求の対応等に取り組んでいく」と反論した。 ●岸田首相「未来に向けて関係を断つ」 岸田文雄首相は、教団との関係について、「旧統一教会と関連団体との関係や過去を点検し、接点があった場合には説明責任を果たす、未来に向けて関係を断つことを徹底していく」と、これまでの方針を説明した。 続いて立民党の山岸一生衆院議員(元朝日新聞記者)が「これから盛山大臣は旧統一教会を相手に裁判を進めないといけない。公平な裁判を戦えない」などと更迭を求めたが、首相が「引き続き職責を果たしてもらいたい」と、これを拒否したのは当然だろう。 旧統一教会の解散命令をめぐっては、2月22日から東京地裁で国と教団の双方から意見を聞く審問が始まる。岸田首相にすれば、旧統一教会側がこの審問を前に仕掛けてきた朝日新聞へのリーク、教団側のお先棒を担ぐ立民党に、負けるわけにはいかないのである。 首相の脳裏にあるのは、朝日新聞が23年12月、自民党政調会長だった19年10月に党本部でギングリッチ元米下院議長と面談した際、旧統一教会の関連団体「天宙平和連合」のトップらが同席していた、と写真付きで報じたことだ。旧統一教会による被害者救済の法案が与野党修正協議を経て衆院本会議で可決された翌日というタイミングだった。 後日に参院で成立したその法案では、法人が霊感などの知見を使って不安を煽り、寄付が必要だと告げるなど個人を困惑させる不当な勧誘行為を禁止することなどが定められた。このため、法案を不服とする教団側が「異議申し立て」の意味でリークしたのではないか、とささやかれている。 ●盛山氏が旧統一教会解散命令を請求 今回、盛山文科相がこれと似通った形で旧統一教会の標的になったのは、言うまでもなく、23年10月に教団に対する解散命令を東京地裁に請求した所管大臣だからだ。文科省・文化庁が宗教法人法に基づいた質問権の行使、被害を受けた元信者らへの聞き取りなどによって、高額献金や組織運営などの実態調査を進めたことによる結論だった。 立憲民主党は、結果的に旧統一教会を利するとしても、岸田政権のイメージダウンを図ることを優先させたのだろう。朝日新聞と組んで、国会で盛山氏に波状攻撃を掛けた。他方で、盛山氏の答弁も曖昧で、しかも二転三転する。 7日の衆院予算委では、立民党の西村智奈美代表代行が、関連団体からの推薦状を受け取ったとされる写真を改めて示すと、盛山氏は「こういうことがあったのかなと、うすうす思い出してきた」と、答弁を修正した。 7日の朝日新聞は、盛山氏が「教団側と事実上の『政策協定』に当たる推薦確認書に署名したと関係者が証言した」と続報する。 西村氏がその報道の確認を求めると、盛山氏は「地元の有権者の方から集会をすると言われて行った。最後に急に推薦状の話が出て、実質的に選挙戦に入っていて、一つの会場からまた次の会場へと行っていた時期で、十分に内容をよく読むことなくサインしたのかもしれない」と答えた。 選挙に不安を抱えた政治家に、旧統一教会の関連団体「世界平和連合」が巧みに取り入っていることが見て取れる。 ●産経新聞社説「更迭をためらうな」 盛山氏は、国土交通官僚出身、田村元・元衆院議長の女婿だ。岸田派に属し、衆院兵庫1区選出で当選5回だが、選挙地盤は必ずしも安定せず、比例復活当選が2回を数える。 選挙に出た経験がある人や、選挙実務を担当したことがある記者にとっては、候補者が1票欲しさに相手をよく確かめずに支援を求めるというのは理解できるが、世間一般には分かってもらえない。 盛山氏は8、9両日の衆院予算委で、推薦状の受け取り、推薦確認書への署名について「はっきり覚えていない」「サインしたかどうかを含めて記憶にない」と突っ張った答弁を連発する。さらに、衆院選では各種団体から200通を超える推薦状があり、選挙後に「全て破棄した」と述べたことから、立民党や一部メディアの批判が強まる一因になる。 9日の産経新聞主張(社説)は「更迭をためらうな」と題し、「最大の問題は、自民党が全議員を対象に旧統一教会との関わりを調査した一昨年9月の『点検』で、盛山氏が『関連団体の会合に出席して挨拶した』とだけ回答したことにある。その時点で、旧統一教会関連団体から選挙で支援を受けていたときちんと明かしていれば、岸田文雄首相が、昨年9月の内閣改造で彼を文科相に起用することはなかっただろう」と指弾した。 そのうえで、「国会答弁もいただけない。推薦確認書への署名について7日、『内容をよく読むことなくサインしたかもしれない』と述べたが、8日には『正直覚えていない』と修正した」「政策に関する支援者との約束を『覚えていない』のなら政治家として失格である」などと厳しく追及した。 ●朝日と週刊新潮に同一写真が載った意味 これには違和感を覚えた。盛山氏を更迭などしたら、旧統一教会とそのグルにも見える朝日新聞、立憲民主党の思う壺ではないか。 メディアの長年の「不作為」を棚に上げての批判もいかがなものか。旧統一教会が献金などの問題を抱えていることが報道されたのは、22年7月に安倍晋三元首相が信者の関係者に銃殺された事件以降である。 それ以前の選挙の際、どのメディアも教団の問題性を指摘してはいない。教団側が政治家に「世界平和連合」を名乗り、旧統一教会とのつながりも判明していない時期の話ではないか。選挙期間中に交わした支援者との約束を覚えていなくとも不思議はない。 8日発売の週刊新潮が、盛山氏が旧統一教会の関連団体から推薦状を受け取ったという写真を掲載し、それが朝日新聞と同一写真だったことから、政府・自民党内やほかのメディアの受け止め方がやや変化した。これは教団側からの意図的リークの可能性が極めて大きいことを意味するからだ。 ●林氏「旧統一教会に賛同していない」 その週刊新潮によって、政権中枢の林芳正官房長官(岸田派座長)まで旧統一教会側の標的になったことで、岸田首相が戦闘モードを高めた、と周辺が受け止めた。 林氏については、参院から鞍替えした21年の衆院選前の9月に元秘書の山口県宇部市長のセッティングで平和連合事務総長らと地元事務所で会談し、必勝祈願の千羽鶴を手渡された、と報じられた。 これに関連し、9日の朝日新聞が、旧統一教会関係者が面会時、林氏に推薦確認書を提示し、選挙支援を申し出ていたと報道した。 林氏は9日の記者会見で「私は政策協定や推薦確認書といったものに署名していない。旧統一教会および関連団体の掲げる方針に一切賛同していない」と関係を否定した。面会については「相手方が旧統一教会関連団体の関係者であるという認識はなく、多数ある面会の一つだった」と説明している。 ●「地方の教団幹部によるリークだ」 旧統一教会を長年取材、追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏は、9日の日刊ゲンダイデジタルで、リークの意図とルートについて、こう解説している。 「岸田氏と教団幹部との面会が昨年末に報じられたのは、解散請求に激怒した韓国本部の意趣返し。日本の頭越しにリークしたと聞くが、盛山氏や林氏については違うラインから漏れている。手のひら返しと言える政権の動きにカンカンの教団は岸田派への攻撃を強めている」 「盛山氏と林氏の件は地方の教団幹部によるリークで、日本本部は黙認しているようだ。自民の党員獲得ノルマは比例復活組ほど厳しく、教団はその面でも盛山氏を支えてきた。党の点検でウヤムヤにせず、第三者委員会を設けて徹底調査し、関係を明らかにしない限り、この問題は終わらない」 確かに党員獲得への旧統一教会の協力については解明されていない。過去の接点についてはきちんと洗い出す必要があるだろう。 こうした持ちつ持たれつの関係は、22年7月の安倍元首相銃撃事件後、教団のいろいろな問題が明るみに出たことで破綻し、自民党は旧統一教会とは未来に向けて決別する方針を打ち出している。 文科相としての適格性は、教団側との「政策協定」などによって行政に影響を与えたかどうかで判断すべきで、盛山氏が便宜供与を図ったなどという証拠は示されていない。 ●旧統一教会とどう戦っていくのか 産経新聞は10日の紙面では、岸田首相が9日の衆院予算委で盛山氏の更迭を改めて否定し、「解散命令請求が行われ、手続が大きく進んだ」と強調したと伝えたうえで、内心に踏み込んで「政策がゆがめられたわけでもなく、盛山氏の更迭はむしろ教団を利する可能性があると考えている」と報じている。 統一教会の関連団体関係者と政治家との写真は、教団の政治力や求心力を高め、信者を繋ぎとめるために使われてきた。一方で政治家は選挙で推薦しましょう、写真を撮りましょう、と言われて断らない人種だ。この手の写真は教団にいくらでもあるだろう。今後も教団側が政府・自民党の対応に不満を覚えれば、次々と過去の接点を示す推薦状や写真をリークしてくることが予想される。 こうした旧統一教会の関連団体とどう戦っていくのかが、問われなければならないのではないか。 |
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●国民民主の変化を評価 前原氏 2/15
教育無償化を実現する会の前原誠司代表は15日の記者会見で、国民民主党が岸田政権との対決姿勢を強めつつあることについて、「今までの自公(政権)との協調路線から転じたことはよかった」と評価した。前原氏は、国民の玉木雄一郎代表の路線に反発して同党に離党届を提出、昨年12月に除籍された。 |
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●内閣支持16.9%、最低更新=不支持初の6割台―時事世論調査 2/15
時事通信が9〜12日に実施した2月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の16.9%となり、発足以来の過去最低を更新した。不支持率は同6.4ポイント増の60.4%で、初めて6割を超えた。 支持率は、2012年12月の自民党の政権復帰後で最低。「危険水域」とされる2割台以下は7カ月連続で、直近3カ月は1割台に落ち込む。一方、不支持率が6割台に達するのは安倍内閣の20年5月以来。自民党派閥の裏金事件などが影響したとみられる。 自民党の政党支持率は前月比1.7ポイント増の16.3%。過去最低を記録した1月から微増したものの、4カ月連続で1割台と低迷が続いている。 自民党は先に、政治改革の中間取りまとめを決定。派閥について、政治資金パーティー開催や人事関与を禁じたが、政策集団としての存続は認めた。この内容を「評価しない」は67.3%で、「評価する」の14.1%を大きく上回った。 派閥の存廃については、「解散すべきだ」が63.8%。「存続すべきだ」は10.3%にとどまった。 能登半島地震の政府対応は、「評価する」29.6%(前月比2.4ポイント減)、「評価しない」37.6%(同2.9ポイント増)だった。 内閣を支持しない理由(複数回答)は「期待が持てない」36.9%がトップ。「政策がだめ」26.8%、「首相を信頼できない」25.1%と続いた。支持する理由(同)は「他に適当な人がいない」8.4%が最も多かった。 政党支持率は自民党が首位で、立憲民主党4.1%(前月比0.6ポイント増)、公明党3.6%(同0.5ポイント増)、日本維新の会3.3%(同0.5ポイント減)の順。23年ぶりにトップが交代した共産党は0.5ポイント増の2.4%だった。以下、れいわ新選組0.9%、国民民主党0.4%、社民党0.3%、参政党0.3%で、教育無償化を実現する会はゼロ。「支持政党なし」は64.7%。 調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は59.1%。 |
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●「派閥からの指示」 自民、裏金事件で91人分のヒアリング結果公表 2/15
派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受け、自民党は15日、組織的に裏金を作っていた安倍派と、政治資金収支報告書への巨額不記載が判明した二階派の各議員らに対する聞き取り調査(ヒアリング)の報告書を発表した。裏金作りの始まった時期について、「場合によっては20年以上前から行われていたこともうかがわれる」と記した。 ヒアリングは、森山裕総務会長を座長とする複数の党幹部や弁護士らで構成する調査チームが担当し、現職国会議員82人と選挙区支部長3人の計85人を中心に行った。このうち79人が安倍派で、6人が二階派(二階俊博会長)で、事件に無関与の派閥幹部にも聞き取りした結果、ヒアリング対象は総計91人となった。 調査結果によると、85人のうち32人が還付金(キックバック)や留保金(中抜き)であることを事前に把握しており、このうち11人が政治資金規正法では記載すべきだったことを認識していたという。 不記載の理由については「派閥事務局から収支報告する必要はないと言われていたのを信じていた」など、派閥の関与を示すものが複数あった。還付金などを認識していなかったケースでは、「派閥の事務所から秘書などに対し、記載しないようにとの指示、説明があった」との回答もあった。 このほかの理由としては、「派閥のお金だという認識」「スタッフに任せており、通帳や帳簿のチェックが不十分だった」「自分たちが汗をかいて集めてきたお金で、派閥のお金という感覚がなかった」などが並んだ。 ほか、今回の裏金事件に対するヒアリング対象者の「所信」には、「秘書の『大丈夫です』という言葉のみで済ませていたことは良くなかった」「力のある議員に対してもおかしいと言っていかないといけない」などの反省の弁のほか、「派閥なら派閥らしく、トップが腹を据えるべき」「派閥の若手議員よりも重鎮議員の方の危機意識が低かった」など、派閥幹部への憤りを示すものがあった。 ●核心迫れず 派閥幹部批判も 自民党が15日公表した裏金事件をめぐる聞き取り調査の報告書には、裏金作りにかかわった議員の生々しい証言が並びはした。ただ、使い道の詳細は明らかにならず、派閥からの還流が始まった経緯についても核心までには迫れていない。 報告書は、派閥の政治資金パーティーを通じて裏金を作った現職議員ら85人の手法を分析。ノルマ超過分を含めていったん全額を派閥に収めた後に還流を受ける「還付方式」のみは53人、ノルマ超過分を手元に残して中抜きした「留保方式」のみは16人、還付・留保2方式を組み合わせたのは16人とした。 還流の存在を認識していたのは32人。このうち、政治資金収支報告書に記載がないことを認識していたのは11人で、いずれも安倍派だった。 裏金の管理者は議員本人が12人、秘書や事務所担当者が73人だった。管理方法は現金39人、銀行口座30人、現金及び口座12人、不明4人とした。 還付金を使用していたのは53人。使い道については会合費▽懇親費用▽事務費▽車両購入費▽書籍代▽人件費▽通信費▽手土産代▽弁当代――などと並べたが、政治活動での使用か私的流用かを区別できるほどの詳しい記述はなかった。 報告書は、裏金作りの経緯について、安倍派幹部への聞き取り調査では「不明」と記述。一方で「30年くらい前」「二十数年前」などと推測する安倍派議員の声を並べた上で、「具体的にいつどのようにして始まったのかは判然としないが、遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い(場合によっては20年以上前から行われていたこともうかがわれる)」と記した。 |
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●自民・萩生田氏「私が話せることか、分からなければ対応できない」 2/15
裏金事件を引き起こした自民党安倍派の萩生田光一・前党政調会長は15日、野党が出席を求めている政治倫理審査会(政倫審)について「どういう話をする必要があるのか、私が話せることなのか、分からなければ対応できない」と述べ、条件次第で判断する考えを示した。朝日新聞の取材に語った。 萩生田氏は「出席の明確な基準が公表され、その対象になるのであれば出席を拒むものではない」と述べた。野党は、萩生田氏ら安倍派幹部の「5人衆」や、3千万円を超える不記載があった二階俊博元幹事長らの出席を求めている。岸田文雄首相は、政倫審の開催に応じる意向を固めており、自民の御法川信英国会対策委員長代理も「野党の要請もあり、しっかり対応する。遠からず結論を出す」と述べている。 ただ、安倍派幹部はこれまで政倫審出席にいずれも否定的。松野博一・前官房長官も「総合的に判断したい」と述べている。 |
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●能登半島地震の死者、1人減り241人に 2/16
石川県は16日、能登半島地震で確認された死者のうち輪島市の1人を、誤って2人分として計上していたと明らかにした。死者数は1人減り、同日午後2時現在で241人になった。 |
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●輪島の港 土砂を取り除く工事始まる 海底隆起で漁船出られず 2/16
能登半島地震の影響で海底の地盤が隆起し漁船が出られなくなっている石川県輪島市の港で、漁業の再開に向けて、16日から港の底の土砂を取り除く工事が始まりました。 輪島港は地震で海底の地盤が隆起し十分な水深が確保できず、およそ200隻ある漁船が港から出られない状態が続いています。 こうした状況の中で国土交通省北陸地方整備局は、漁業の再開に向けて船が移動できる深さを確保するため海底の土砂を取り除く工事を16日から始めました。 16日は港から出られなくなっている船を一時的に移動させておく場所で作業を行い、クレーン船のバケットを使って海底から土砂をすくい上げ、横づけした別の船に積んでいきました。 今回の工事では、港の水深が浅くなってしまった場所を1メートルから2メートル程度掘り下げ、2.5メートルから3メートルの深さを確保する計画だということです。 北陸地方整備局能登港湾空港復興推進室の美野智彦室長は「今回の作業は漁業の再開に向けて重要だ。一刻も早く漁船が移動できるように作業を進めていきたい」と話していました。 国は、津波の被害を受けた珠洲市の飯田港でも2月下旬から転覆した漁船の引揚げ作業を行うということです。 |
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●能登半島地震から1か月半 震度5強以上が発生しやすい状況 2/16
元日に最大震度7を観測した能登半島地震から1か月半が経過しましたが、能登地方を中心に依然として活発な地震活動が続いています。 気象庁によりますと、最大震度7の揺れを観測した先月1日の能登半島地震以降、能登地方などを震源とする震度1以上の地震は16日正午までに1651回発生しています。 地震の回数は増減を繰り返しながら緩やかに減少していますが、石川県能登地方では今月9日からの1週間で震度1以上の地震が40回発生するなど、地震活動は依然として活発な状態だということです。 このため、最大震度5強や6弱以上の地震が平常時と比べて発生しやすい状況であるため、気象庁は今後1週間から2週間程度、最大震度5弱程度以上の地震に引き続き注意するように呼びかけています。 また、海底で規模の大きな地震が発生した場合は、津波にも注意してほしいとしています。 |
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●高橋英樹さん、裏金問題に「なにがなんだか」 確定申告スタート 2/16
2023年分の所得税の確定申告が16日、全国の税務署などで一斉に始まった。消費税のインボイス(適格請求書)制度が昨年10月に導入されてから初めての確定申告となる。売上高1千万円以下で免税事業者だった人も、10月1日に制度に登録した人は12月末までの3カ月分の消費税の申告が必要だ。 品川税務署(東京都港区)にはこの日、俳優の高橋英樹さん(80)が訪れ、タブレット端末を操作して電子申告「e―(イー)Tax(タックス)」を体験した。高橋さんは「あまりの簡単さに驚いた」と話した。自民党派閥の裏金問題については「なにがなんだか。理解しにくいですね」。妻の美恵子さんは「正しく納税をしていただきたい。私たちも正しく納税をしましょう」と話した。 確定申告の期限は、所得税と贈与税が3月15日、個人事業者の消費税が4月1日まで。 |
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●石原伸晃氏「領収書は100円単位でいいのでは」 橋下徹氏「国民はインボイス制度で1円からだ」 自民派閥の“裏金問題”めぐり 2/16
自民党派閥の裏金問題をめぐり、10日の『NewsBAR橋下』で橋下徹氏と元自民党幹事長の石原伸晃氏が議論を交わした。 橋下氏は「伸晃さんがテレビで“(少額の)領収書を1枚も2枚も取ってられるか”みたいな話をされていて、よく言ったなと思った」とコメント。 石原氏は「税理士を雇うのに40万円ぐらいかかる。私なんかはわりと役職をやらせてもらったのですぐ対象者になり、毎年その労力たるや。常識的には(領収書を出すのは)100円単位でいいのでは」との考えを述べる。 これに橋下氏は「我々国民はインボイス制度で1円から全部やらないといけない。これは税務署が見るわけだが、政治家は見られないような特権がある。アメリカでもイギリスでも第三者機関でチェックを受けるが、それを設けないというのは国会議員が選択していることだ」と指摘。 石原氏は「それを特権と見るか、政治活動にかかるお金と見るか。1円というのは非常識だと思う。鉛筆だって買えない。ただ、税務署を政治にコミットさせるのはどうなのかというのは、1つ議論の対象になると思う。第三者機関のほうがいいと思うが、アメリカは州の連合体だから横断的なものを作っているわけで、日本でそれを作るコストと扱われる金額が見合うかだ」と答えた。 また、「遵法精神さえあればこんな問題は起こらない。それがない人間がたくさん出たから国民は怒っているわけで、政治家がしっかりケジメをつけること。そして、政治資金をこれからどう扱っていくのか。“税金と一緒にしろ”“税務署に見せろ”といったのは主だった意見だけど、与野党でコンセンサスを得ないとダメだと思う」とも述べた。 橋下氏が「政治の信頼があるならいいが、こうなった以上は…」と投げかけると、石原氏は「そこは与党の責任だ。今橋下さんが言ったことは、与党から言い出さないといけない。野党が言ってきたら、与党は絶対ノーと言うだろう。裏金化したお金を“とっておくためだ”というのは説得力がないし、“雑所得かどうか”と国税庁に言うのは詮無いこと。そういうことも含めて変えたほうがいい」とした。 ●伸晃氏「(票は)ぐちゃぐちゃになる」 橋下氏は「“秘書の責任だ”“事務局に言われた”と言って、なぜ誰も議員を辞めないのか。辞めて次また選挙に出るというやり方もあるわけで、こんな事態になったら民間で不祥事を起こしても辞めなくなる」と指摘する。 これに石原氏は「小選挙区だから。選挙制度が悪い」と返す。「小選挙区は党の候補が1人。無所属になると宣伝活動費についても大きな差があるから、必死になるわけだ。(無所属になったら)もう通らないのはわかっているから、“秘書が”と言わざるを得ない。河野洋平元衆院議長が“(政治改革は)失敗だった”と、推し進めた当時の総裁が言っているんだから間違いない」。 では、この先政権交代はありうるのか。「(票は)ぐちゃぐちゃになる。今度チャンスがあるとしたら維新だけだ。細部の変な人はたくさんいるけど、維新は保守。やはり日本人は保守だから。ただ、橋下さんみたいなスターがいない」との見方を示す。 橋下氏は「野党も支持率が上がらないのは、自分たちも領収書を公開しないお金を持ちたいから。ここを攻めきれないので、選挙になっても野党が本当に票を取れるかどうかはわからない」とした。 |
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●裏金問題で岸田首相を断罪「国民感情を逆なでる天才的な空気感の読めなさ」 2/16
タレントの長嶋一茂が16日、「モーニングショー」に出演。自民党の派閥をめぐる裏金の聞き取り調査結果を受けて、自民党幹部をバッサリ切った。 自民党は15日に裏金の聞き取り調査結果を公表。調査は現職議員91人に行われ、回答は匿名とした。調査に対し議員らからは「派閥事務局から収支報告する必要はないと言われたのを信じていた」、「派閥から記載しないでほしい記載するとほかの議員に迷惑がかかると言われた」といった回答があったといい、キックバックされた金を使ったのは53人で、会合費、人件費、旅費、交通費に使い、違法な支出はなかったという。 この調査結果に長嶋は「政治家にまつわるお金、曖昧でいいんですねってことになっちゃうんですね。僕らはキッチリ確定申告してくださいって不平等性、本当に何か今後おきるんじゃないですかね」と不満を募らせた。 また、政治資金収支報告書に未記載だったことには、「例えばキャバクラ行きましたと。10人くらいでいって、何か政策論争して、何か政策案を出して、それが国民のためにこういうことで還元されましたって、ちゃんと書けばそれでいいと思うんですよ」と指摘。 また、未記載で使途不明となっている金について、森山裕総務会長が「政治資金としてみなさん処理しておられますから、所得税の関係は発生しないと理解しています」とコメントしたことには「今後もずっと使途不明金は曖昧にしますよって森山さんが言っちゃってるって、この時代に逆行してる」と怒りをぶつけると、自民党総裁でもある岸田首相にも「国民感情を逆なでる天才的な空気感の読めなさ、本当にビックリですよ」と断罪した。 |
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●「税金一揆起きる」「脱税天国」裏金問題で野党追及 政倫審開催へ初協議… 2/16
自民党の派閥の政治資金問題をめぐり、野党側は、16日から確定申告が始まったことを受け、いわゆる裏金づくりは脱税にあたると追及している。国会記者会館から、フジテレビ政治部・鈴木杏実記者が中継でお伝えする。 確定申告について、岸田首相が国民に適切な納税を求める中、野党側は、裏金問題への不信感から「税金一揆だ」と強く非難した。 立憲民主党・江田憲司議員「まさにきょうは、確定申告のスタートする初日です。この問題に対する、特に国税庁の対応を間違うと、税金一揆まで起こるのではないか」 鈴木財務相「大変、国民から強い憤りが寄せられていることは、実感として感じている。丁寧な対応をしていく必要がある」 立憲民主党・江田憲司議員「こんな答弁で許されたらね、脱税天国を許すってことですよ」 一方、与党は16日午前から、安倍派の議員らに説明を求める、政倫審の開催に向けた初の協議を行っている。 高木前国対委員長など、一部の安倍派幹部は、出席の意向を明らかにしていないが、自民党が15日に公表した調査報告書に、党内からは「使い道の詳細がわからず、説明させないと自民党が持たない」との危機感が広がっている。 政倫審の与野党の幹事はこのあと、この問題で初の協議を行う。 |
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●書籍を「爆買い」していた二階俊博氏、モヤモヤ感は晴れるどころか… 2/16
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、二階俊博・元党幹事長(84)の資金管理団体が訂正した政治資金収支報告書が議論を呼んでいる。2020〜22年の3年間で、計約3500万円もの書籍代の支出を追加したためだ。二階氏側は14日になって、書籍代の内訳と領収書を公表したが、内容を見ると疑問は膨らむばかり。説明責任を果たしたと言えるだろうか。 ●17タイトル3万冊に3500万円 二階氏の政治資金管理団体「新政経研究会」は裏金事件発覚後の先月、2020〜22年分の収支報告書を訂正。今月14日になって、二階事務所は自民党本部の記者クラブ宛てに「政治資金の使途について」という題名の説明文と書籍購入時の領収書などを公表した。 領収書や明細書によると、3年間で約3500万円の「爆買い」をした書籍は17書籍、3万冊近くに上る。 書籍別最高額は「ナンバー2の美学 二階俊博の本心」。21年1月27日、国会内のりそな銀行支店から5000冊分計1045万円が、出版した財界通信社(東京)に振り込まれた。その1分前には、和歌山放送が手掛けた「地元メディアが見た二階俊博 力の源泉」の3000冊分275万円が同放送に振り込まれていた。 ●購入経緯は2パターンと説明 二階事務所の説明文によると、購入経緯は出版社側から買い取りを提案されたケースと、政治家や関係者から著書を紹介されて購入したケースがあるという。 和歌山放送の中村栄三社長は「地元放送局として、二階氏が中国の習近平国家主席に会った時などに随行して伝えてきた。書籍化をしたため二階氏側に購入を打診した」と明かす。 「政権奪取秘史」の出版社で、21年3月に3000冊分475万円の支出を受けたさくら舎(同)の古屋信吾代表は「著者の大下英治さんを介して購入してもらった」と話す。 ●図書館の本棚142個分 それにしても計3500万円とは巨額だ。二階氏の地元和歌山県御坊市によると、市立図書館の本年度運営予算は1600万円。2年分の予算に相当する。また、計3万冊近くの書籍は保管だけでも大変そうだ。 図書館用品を専門に扱う「キハラ株式会社」(同)の担当者は「図書館の棚は1段で約35冊入り、高さ6段が一般的。単純計算で図書館の本棚が142個分必要になる」と話す。 二階氏の著書の印刷を請け負ったことがある中和印刷紙器会社(和歌山市)の担当者は「御坊の事務所に大量の本が平積みされているのを見たことがある」と話す。「二階さんは高校時代は新聞部。活字へのこだわりを感じる」と語る。 ●関係の深い「小池百合子」本も 購入書籍の多くは自身の政治家人生を扱った本だが、関係の深い政治家の本も。目を引くのが大下英治氏が書いた「小池百合子の大義と共感」。小池氏が再選を果たした20年の東京都知事選後に3000冊、396万円かけて購入。かねて二階、小池両氏の距離は近く、選挙戦の「慰労」の意味か。 二階事務所の説明文では、購入書籍は「政策広報」のため「選挙区外の関係者に配布」したと強調している。選挙区内の有権者に配れば寄付扱いとして公選法違反になる恐れがあることを警戒したのか。 ●「研さん用」というより「宣伝広告費」 いずれにせよ、研さんを積むための書籍代というより「宣伝広告費」ではないか。正当な支出なら、なぜ最初から報告しないのか。 もやもやを解消しようと、「こちら特報部」は15日、二階事務所に質問状をファクスした。だが、回答時間が限られているとして「記者クラブ宛てにコメントを出しているので、それをご覧ください」という書面での素っ気ない答えしか返ってこなかった。 ●本当に裏金から支出していたのか これほどの大量の本を購入することは、政治家にとっては珍しくないのだろうか。元特捜部検事で国会議員秘書の経験もある坂根義範弁護士は「一般的には3500万円分も書籍を購入して読むのかと疑問を持たれるのかもしれないが、永田町ではあり得る話だ」と明かす。特に二階氏の場合は、派閥のトップであり、所属議員の書籍をまとめて購入することも考えられるとし「自分の政治活動の周知、派閥拡大のため各地で配布するなどしていたのかもしれない」と話す。 一方で「書籍代の支出が、自民党のアンケートで判明した二階氏側への裏金約3500万円に、本当に対応しているのかは別問題。報告義務のない調査研究広報滞在費(旧文通費)から支出したのに、つじつまを合わせるため裏金の使途として付け替えた可能性もある。それができる政治資金規正法の緩さがある」と問題点を指摘する。 ●訂正時の支出先は「不明」でも通ってしまう 自民党議員の収支報告書の訂正内容が問題視されたのは二階氏だけではない。安倍派の萩生田光一前政調会長が代表を務める政党支部は、3年間で派閥からの寄付計1952万円を収入として追加する一方、それに対する支出の具体的内容の多くを「不明」とした。同派の事務総長を務めた高木毅衆院議員の資金管理団体の収支報告書も、訂正した支出の額や相手先の多くが「不明」だった。 総務省政治資金課の担当者は「政治資金規正法には訂正については特段の定めがない。報告書の内容は事実に即して記載されるべきものであり、政治団体から訂正の申し出があれば認める」と説明する。訂正内容の真偽や「不明」の具体的内容について、提出先の総務省や都道府県選管がチェックすることはない。 ●独立した行政機関がないことには 「結局、報告書上で数字の帳尻が合っていれば、それ以上のことはわからない。そこに現行法の限界がある」と話すのは、日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)。国会議員関係の政治団体に適用する政治資金監査制度があるが、訂正時の監査は求められておらず、「今後の議論になる」と岩井氏。さらに「報告書への不記載に対し、政治家本人の責任を問う連座制を導入するためにも、独立した行政機関が必要だ」と訴える。 ただ、政権や自民党の踏み込みは甘い。14日に行われた衆院予算委員会の集中審議で、二階氏の報告書訂正について問われた岸田文雄首相は「事情を知る関係者による明確な説明が必要」と正面からの回答を避けた。同党が公表したアンケート結果で現職国会議員82人の不記載や誤記載の金額が明らかになったが、裏金の使い道などを問う質問はなく、野党から批判が集まる。開催が検討されている政治倫理審査会への関係議員の出席も不透明だ。 ●世論の関心が移るのを待っている? 政治アナリストの伊藤惇夫氏は「ひと言で言えば、やったふり。内輪による調査で全容が明らかになるはずがなく、本気度が疑われる」と批判する。岸田首相は、裏金問題への対応として派閥の解消を表明するとともに、政治資金規正法改正にも言及する。だが伊藤氏は「岸田氏は先頭に立つとしながら、具体的にどこを向いているのかがわからない。改正案は小手先以下のものとなりかねない」と懸念し、こう強調する。「野党やメディアの追及が長引き『これ以外にもやるべきことがあるだろう』というムードが高まるのを待っているのだろう」 ●デスクメモ 3500万円の金額に見合う政策広報の効果が本当にあったのかと、こちら特報部は二階事務所に見解を尋ねたが、具体的回答はなかった。記者会見も開かず、書面だけで終え、時が過ぎるのを待つのか。「家が一軒建つ」とやゆされるほどの支出の説明としてはあまりに不十分だ。 |
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●派閥指示・秘書のせい…言い訳オンパレード 「裏金」聞き取り報告書 2/16
「不明朗な金銭」だと思い手を付けずに保管していた――。派閥の指示から外れたことはできない――。秘書のせい――。自民党が15日発表した派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る聞き取り報告書には、裏金を受け取った議員らの「言い訳」が延々と記されていた。実名では支障があると思ったのか、発言は全て匿名とされた。 報告書によると、派閥からパーティー収入のキックバック(還流)などで裏金を受けていた安倍派と二階派の議員・支部長計85人のうち、39人が現金のみで管理していた。銀行口座管理は30人、現金及び銀行口座は12人、不明は4人だった。現金の保管場所は「事務所の金庫」「鍵のかかった事務所の引き出し」「専用の箱」などだったという。 また85人のうち、裏金を「使用していなかった」と答えた人は31人に上った。このうち13人は「不明朗な金銭だったから」との趣旨を回答。「気持ち悪いと思っていたので使わなかった」「秘書が使うと危ないと考えて、受領した現金をそのまま保管していた」「『裏金』みたいなものではないかと思い、全額残した」などとの声も付記された。 これらの証言に基づけば、かなりの数の議員らが還流資金などの危険性を前々から認識しつつ、具体的な是正の動きにはつなげられなかったことになる。「派閥に返金しようとしているが、まだ手続きが分からないと言われているので早く決めてほしい」との発言も紹介された。 一方、裏金を「政治活動費以外に用いた」「違法な使途に使用した」と答えた人は一人もいなかったという。 自民党の報告書には裏金を使わずに保管してきた議員らの発言も掲載されていた=2024年2月15日、宮島寛撮影 調査対象となった5年間の1人当たりの裏金額は、最高で3526万円。101万円以上は67人に上る。議員事務所の実情をよく知る自民関係者は取材に対し、多額の現金保管は一般的ではないとした上で「領収書がなくてまともな収支報告書の訂正ができず、現金で持っていたことにする事務所があったとしてもおかしくない」と述べた。政治資金は原則非課税だが、仮に私的利用があった場合「脱税」の疑惑がかかる。自民関係者は「現金なら後でいくらでも帳尻を合わせられるから」とも語った。 報告書には、収支報告書に記載してこなかった理由について「派閥から記載するなと言われたものを記載するわけがない」「派閥のルールを踏襲したとはいえ、言われるままに唯々諾々と、自分でリーガルチェックせずに来てしまったことは申し訳ない」といった発言も紹介された。「派閥の上に立つ人間が責任をとらないといけない」など、派閥幹部の責任を追及する声も多数記された。 併せてこうした発言も載せられた。「秘書の『大丈夫です』という言葉のみで済ませていたことは良くなかった。今後はより透明性を持たせなければならない」 |
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●裏金問題で「税金一揆が起こる」と野党議員迫るも…国税ヤル気ゼロ 2/16
「自民党の派閥の裏金問題、どうしてこんなことが起こったのか。国民の怒りは怒髪天です」「どうして脱税にならないのか、どうして犯罪にならないのか。このままだと、税務署の窓口で大混乱が起きるのではないか。税金一揆が起こるのではないか」 自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、16日午前の衆院財務金融委員会で、怒りの声を張り上げていたのが立憲民主党の江田憲司議員(67)だった。 江田氏はこの日から、2023年分の所得税の確定申告の受け付けが始まったのを受け、「この(裏金)問題に対する(国税庁の)対応を間違えると大変なことになる」として、国税当局が裏金議員らに対する税務調査を実施するべきだと主張。 さらに、江田氏は都道府県選挙管理委員会の多くが公表している政治資金をめぐる課税、非課税の考え方に関する資料を示し、記載されている「得た収入を政治活動以外のために使用するような場合については、当然に課税の対象となりますし、また、政治団体が得た収入をその構成員で分配するなどした場合については、その受取者において課税されることとなります」との部分を引用。安倍派や二階派で行われてきた派閥パーティーの各議員へのキックバックはこの事例に当てはまる行為として、「国税庁は看過するのか」と迫った。 ●日本が「脱税天国」になりかねないと懸念する国民は少なくないのでは… 裏金事件を巡っては、すでに市民団体が所得税法違反(脱税)の疑いで、安倍派幹部ら10人に対する告発状を東京地検に提出。岸田文雄首相(66)が衆院予算委で、脱税との見方が出ていることについて、「検察は処理すべきものは厳正に処理した。課税は国税庁などが判断すべき課題だ」と答弁していることから、税務当局の対応に注目が集まっていた。 このため、江田氏も国税庁に「当然、税務調査に入るのでしょうね」と何度も確認したのだが、答弁に立った国税庁次長は「一般論として、政治家個人が政党から政治資金の提供を受けた場合には、所得税の課税上の雑所得の収入」とは言うものの、それ以上は踏み込まず、「適切に対応」を繰り返すばかりだった。 「国税には全くやる気がない。こんなことで済むのか」。税務当局の煮え切らない態度に江田氏がいらだちを募らせていたが、無理もない。自民党が15日に公表した、安倍・二階両派など8派閥・グループの国会議員、担当者ら91人を対象に実施した聞き取り調査によると、不記載は「判然としないものの、遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い」と常態化が指摘され、裏金を「使用していなかった」と回答した31人のうち、13人が「不明朗な金銭だったから」と答えているからだ。 つまり、多くの議員が「怪しいカネ」と分かった上で保管(貯蓄)し続けていたのであり、これが課税上の雑所得と判断されないのであれば、なんでもアリになりかねない。 安倍派では派閥からのキックバックは金融機関の口座経由ではなく、各議員の秘書らに手渡ししていたとも報じられている。これは資金の流れが表面化しないように“証拠隠し”が行われていたと疑われても仕方がない。 江田氏が危惧する通り、このまま日本が「脱税天国」になりかねないと懸念する国民は少なくない。 |
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●確定申告スタートも…自民党の裏金問題に対して納税者から不満の声相次ぐ 2/16
16日から所得税などの確定申告が始まりました。名古屋市中村区の特設会場は、スマホを使った申告のアドバイスが受けられるブースが、朝からほぼ全て埋まる混雑ぶりでした。2024年はインボイス制度の導入で初めて消費税についての申告をする人も多くなると予想され、この会場では整理券による入場制限もありました。岸田総理は14日、「それぞれの納税者の皆さま方に、法令にのっとり適切に申告・納税を行っていただくようお願い申し上げたい」と国会でよびかけていて、野党が「脱税」の疑いを指摘する自民党の裏金問題に対し、納税者からも不満の声が相次ぎました。 申告に来た男性 「呼びかけている人自身が、きちんとよく対応していないですね。個人だと1円単位まで不明金を出せば課税されますでしょ。不公平ですわな。(私は)馬鹿正直に来ていますけども」 申告に来た別の男性 「僕らもこういう状態だもんで、もうちょっと正してほしいと思います。国会議員の方も国民と一緒の扱いをしていただきたいです」 所得税と贈与税は3月15日まで、消費税は4月1日までが申告の期限となっています。 |
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●自民キックバック不記載51人全員の出席 衆院政倫審の幹事懇で野党側要求 2/16
自民党の派閥の政治資金事件を巡り、与野党は16日、衆院政治倫理審査会(政倫審)の幹事が協議し、野党側は、キックバックの不記載が判明した衆院議員51人全員の出席を要求した。 派閥パーティー収入のキックバックについて、安倍派・二階派の幹部らによる弁明を求めている立憲民主党など野党は、政倫審を開催するよう13日に田中審査会長に申し入れを行っていた。 与野党で対応協議するため、政倫審の幹事懇談会が、16日午後、国会内で開催。 野党側は、キックバックの不記載が判明した自民党の衆院議員51人について、全員が政倫審に出席することを要望し、各議員に出席するかの意思の確認をするよう求めた。 特に、安倍派・二階派の幹部は必ず出席するよう要求した。 また、収支報告書の訂正を済ませている議員、済ませていない議員を整理することも要望。 さらに、キックバックの存在を知っていた議員などについて、氏名を明らかにするよう求めた。 与党側は、検討した上で回答するとした。 |
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●派閥からの還付金(キックバック)の税務上の扱いに関する質問主意書の答弁 2/16
衆議院議員江田憲司君提出派閥からの還付金(キックバック)の 税務上の扱いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 内閣総理大臣 岸田文雄 ●問1、派閥(「その他政治団体」)が、政治団体の政治資金収支報告書に記載しないことを前提に、あるいは記載しないことを指示し、所属議員にパーティー(事業)収入の一部を還付した場合、仮に、派閥が政治活動に使用する趣旨で交付したとしても、その還付金は、本来、記載してはじめて非課税になる当該議員の政治団体への寄附ではなく、派閥から当該議員個人への寄附、すなわち、課税すべき雑所得とみなすべきではないか。 問3、去る一月二十九日の参議院予算委員会において、国税庁次長は、「政治資金で政治家個人が受領したものは、その残額がある場合は確定申告する必要がある」旨答弁している。また、「政治団体の手引」(都道府県選挙管理委員会発行)にも、「政治団体が得た(事業)収入をその構成員で分配するなどした場合については、その受取者において課税されることになる。」とされている。これらからすると、還付金の額から実際に政治活動に使用された額(経費)を差し引いた残額には課税されると理解してよいか。 (政府答弁) 一般論として申し上げれば、政治家個人が受け取った政治資金が当該政治家個人に帰属すべきものである場合には、当該政治資金は、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)上、当該政治家個人の雑所得に係る収入金額として取り扱われ、当該一年間の総収入金額から必要経費を差し引いた残額が課税対象となる。なお、残額がない場合には課税関係は生じないこととなる。 その上で、お尋ねについては、御指摘の「還付金」が政治家個人の「課税すべき雑所得」に該当するものであるか否か及び当該「還付金」の額から必要経費を差し引いた残額に「課税される」か否かを、当該「還付金」が当該政治家個人に帰属する政治資金であるか否かについての個々の事実関係に基づき判断する必要があり、当該判断に当たっては、御指摘のように「還付金」を「交付」した者の当該「交付」に係る必要があり、当該判断に当たっては、御指摘のように「還付金」を「交付」した者の当該「交付」に係る意図等のみで判断するものではないことから、一概にお答えすることは困難である。 ●問2、報道によれば、逮捕された池田佳隆衆議院議員他何人もの安倍派議員が、「政策活動費(政治資金規正法第二十一条の二第二項に基づく政党からの政治家個人への寄附)として受け取った」と弁明していることからも、これを前提とすれば、その還付金が当該議員個人への寄附であることは明らかではないか。 (政府答弁) お尋ねは、個別の納税者の課税関係に関する事柄であり、お答えすることは差し控えたい。 なお、政治資金の課税上の取扱いについては、個々の事実関係に基づき判断することとなり、政治資金を受け取った者の説明のみならず、いずれの者が政治資金を実質的に管理していたかなど、様々な要素を精査する必要がある。 ●問4、問3の場合、その経費を証明できる領収書や記録がないとすれば、その全額を課税対象として修正申告させ、追徴課税を行うべきではないか。 (政府答弁) お尋ねについては、問1及び問3についてで回答したとおり、御指摘の「還付金」の課税関係について、当該「還付金」が政治家個人に帰属する政治資金であるか否かを個々の事実関係に基づき判断する必要があることから、一概にお答えすることは困難であるが、一般論として申し上げれば、政治家個人が受け取った政治資金が当該政治家個人に帰属すべきものである場合には、当該政治資金は、所得税法上、当該政治家個人の雑所得に係る収入金額として取り扱われ、当該一年間の総収入金額から必要経費を差し引いた残額が課税対象となるところ、当該必要経費に係る支出の事実の有無については、領収書等を含む様々な情報に基づき、判断されることとなる。 ●問5、木毅衆議院議員は記者会見(一月二十七日)で、還付金を政治活動に使用したという「領収書や記録はない」と述べている。また、谷川弥一前衆議院議員は、還付金を「使わずに保管していた」と記者会見(一月二十二日)で述べている。こうした場合は、全額を課税対象として修正申告させ、追徴課税を行うべきではないか。 ●問6、国税庁は、問3で既述した国税庁次長答弁にしたがって、今回、政治資金収支報告書の訂正を行った自民党国会議員全員を対象に、一斉に税務調査に入り、修正申告による追徴課税や、特に修正額の多い者については脱税で立件するなど、厳正な対応を取るべきではないか。 (政府答弁) お尋ねは、個別の納税者の課税関係に関する事柄であり、お答えすることは差し控えたい。 なお、国税当局においては、様々な機会を通じて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書等を分析し、課税上問題があると認められる場合には、税務調査を行うなどして、適正かつ公平な課税の実現に努めているところであり、今後とも、このような考え方に基づき、厳正に対処していく。 |
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●被災住宅再建の新交付金制度 首相が月内とりまとめを指示 2/16
岸田文雄首相は16日、首相官邸で開かれた能登半島地震復旧・復興支援本部の会合で、被災地の住宅再建を支援するための新たな交付金制度について、月内に制度案をとりまとめるよう関係閣僚らに指示した。 政府は新たな交付金制度を設け、能登地域6市町を中心に高齢者や障害者のいる世帯などに最大300万円の支援を行う方針。首相は「住宅融資の金利負担助成など地域の実情を踏まえたきめ細かな措置と組み合わせて、必要な支援が行き届くよう調整検討を加速してほしい」と述べた。武見敬三厚生労働相は対象世帯について「資金の借り入れや返済が容易でないと見込まれるという点で、若者子育て世帯を含めて幅広く含まれるように制度設計したい」と説明した。 首相はまた、3度目となる予備費の使用に向けた調整の開始も表明。「予算の制約により、震災対応をちゅうちょすることなく、被災者の帰還と被災地の再生に向けて全力で取り組んでほしい」と指示した。 |
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●「子ども・子育て支援法」などの改正案 閣議決定 2/16
少子化対策の強化に向けて、政府は16日の閣議で、児童手当や育児休業給付の拡充などを盛り込んだ「子ども・子育て支援法」などの改正案を決定しました。 改正案では児童手当について、ことし12月の支給分から所得制限を撤廃し、対象を18歳まで広げるとともに、第3子以降は月額3万円に増額するとしています。 また親が働いていなくても子どもを保育所などに預けられる「こども誰でも通園制度」を導入するほか、両親がともに14日以上、育休を取得すれば、最長28日間は実質的な手取り収入が減らないよう、育児休業給付を引き上げるとしています。 さらに家族の介護や世話などをしている子どもたちいわゆる「ヤングケアラー」についても、国や自治体による支援の対象とすることを明記し、対応を強化するとしています。 そして、一連の取り組みに必要な財源を確保するため、公的医療保険を通じて国民や企業から徴収する「支援金制度」を創設し、2026年度から段階的に運用を始めていくことなどが盛り込まれています。 政府は、少子化に歯止めをかけるには、若年人口が急激に減少する2030年代までがラストチャンスだとしていて、今の国会で改正案の成立を図り、施策を着実に実行に移していきたい考えです。 ●林官房長官「理解を得るべく引き続き丁寧に説明」 林官房長官は閣議のあとの記者会見で「わが国の少子化が危機的な状況にある中で、抜本的な給付の拡充と、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える『支援金制度』などを一体的に整備するものだ」と述べました。 その上で「賃上げで国民所得が増えることも社会保険負担率を押し下げる効果があることから、実質的な負担が生じない状況を確保していく考えだ。理解を得るべく引き続き丁寧に説明していく」と述べました。 ●加藤こども相「法案の成立に努力したい」 加藤こども政策担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「『こども未来戦略』の施策を着実に実施するため、給付の拡充と財政基盤の確保を一体的に整備する。将来を支える子どもや子育て世帯を、全世代、全経済主体が応援するという考え方に理解を得られるよう法案の成立に努力したい」と述べました。 その上で「支援金制度」について「これまでは実現できていなかった切れ目のない支援を可能とするもので、歳出改革などにより全体として実質的な負担が生じないようにする。さまざまな機会を捉えて制度の理念などの説明を尽くしていきたい」と述べました。 ●武見厚労相「全体として『実質的な負担』生じない」 武見厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で「『支援金制度』の創設にあたっては、歳出改革と賃上げによって、全体として『実質的な負担』が生じないと申し上げている。社会保障負担率が増加しないよう制度を構築する」と述べ、医療や介護の窓口負担割合の見直しを含め、歳出改革に向けた検討を着実に進める考えを示しました。 一方、記者団が「歳出改革で給付が削減されれば負担増になるのではないか」と質問したのに対し、武見大臣は「質の低下につながらないようにする配慮は常に同時並行的に行っている。自己負担の増加は保険料負担の増加要因にはならない」と述べ、窓口負担が増えても社会保障負担率は上がらないため、政府が説明する「実質的な負担」には含まれないと説明しました。 |
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●「中堅企業」支援などの改正案 閣議決定 国内投資拡大に向け 2/16
国内への投資の拡大や持続的な賃上げの実現に向けて、政府は、中小企業より規模が大きい企業を新たに「中堅企業」と位置づけ、成長を支援することなどを盛り込んだ産業競争力強化法などの改正案を16日の閣議で決定しました。 16日、閣議決定された産業競争力強化法などの改正案では、従業員が2000人以下で中小企業には該当しない企業を新たに「中堅企業」と定義したうえで、賃金水準が高く、国内での投資に積極的な「中堅企業」に対しては、買収による事業拡大を税制面で後押しするほか、日本政策金融公庫による大規模で長期の金融支援を行うとしています。 また、国際的に競争が激化している電気自動車や半導体などの分野で国内生産を促す減税措置を受けられるようにするほか、国内での研究・開発を促すため、特許や著作権などで得られた所得に対する減税措置も講じるとしています。 政府は、これらの施策を通じて、国内への投資の拡大や持続的な賃上げの実現につなげたい考えで、今の通常国会で、この改正案の成立を目指すことにしています。 |
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●公共工事の賃金基準“労務単価” 平均5.9%引き上げへ 国交省 2/16
ことしから建設業界で時間外労働の規制が強化されるのに伴って、人手不足や待遇改善が課題となる中、国土交通省は公共工事の賃金の基準となる「労務単価」を来月から全国平均で5.9%引き上げることを決めました。 労務単価は公共工事の工事費の見積もりに使われ、工事で働く人に支払われる賃金の基準となるもので、毎年見直しが行われます。 これについて、国土交通省は来月から全国平均の労務単価を5.9%引き上げ、一日当たり平均で2万3600円とすることを決めました。 引き上げは労務単価の算定方法が大幅に変わった2013年以降12年連続で、引き上げ率は2014年の7.1%以来の高い水準です。 国土交通省は、建設業界でも物価上昇に伴う賃上げが進んでおり、直近の賃金水準を反映したとしています。 これに加え、ことし4月から建設業界で時間外労働の規制が強化され、人手不足や待遇改善が課題となる中、建設業者が、職人の賃上げを着実に進めたうえで、業務効率化に必要なデジタル技術の導入などを進めてもらいたいとしています。 斉藤国土交通大臣は、閣議のあとの記者会見で「建設業者に対して現場で働く人の賃上げを強く働きかけることで、今後、労務単価をさらに引き上げられるような好循環を実現していきたい」と述べました。 |
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●岸田首相「政治とカネ」野党追及に“秒速”で目のパチパチ止まらない 2/16
自民党派閥の裏金事件をめぐる国会論戦がちっとも深まらない。 岸田首相も出席した14日の衆院予算委員会の集中審議。「政治とカネ」をテーマに実施されるのは、今国会で2回目だ。野党が代わる代わる裏金事件の実態解明を求めたものの、岸田首相は「説明責任を果たすよう促している」の一点張り。不毛な7時間だったが、岸田首相の脳内がチラ見えした。 ●政倫審と総裁選 野党側トップバッターとして質問に立った立憲民主党の山井和則議員は、持ち時間30分をフルに使い、政治倫理審査会への二階元幹事長と安倍派幹部の出席を要求。政倫審の野党メンバーは前日、自民党の田中和徳会長に正式に申し入れており、あとは岸田首相の号令ひとつだからだ。 「決断しないのは自民党、岸田総理が決断しない限り実現しない。止めているのは岸田総理ですよ」「この場で自民党として、安倍派幹部や二階議員に政倫審出席を促すと明言してください」と求める山井氏。「党として説明責任を果たすよう促して参りましたし、これからも促して参ります」とかわす岸田首相。こんなやりとりを15往復も繰り返した。 言質を取らせない防衛ラインを死守するため、岸田首相はゼロ回答をリピート。後半にはニヤニヤする余裕すら見せていたが、業を煮やした山井氏からこう突っ込まれると、秒速で目をパチパチパチパチパチパチ……。 「岸田総理は総裁選のことを考えておられるんですか。二階議員や安倍派幹部に(政倫審に出席するよう)言ったら、9月の総裁選で安倍派は応援してくれないかナー、二階派を敵に回すと総裁続投無理かナー。脱派閥とおっしゃる総理が、いちばん派閥の論理で動いているんじゃないですか」 一般に、まばたきの急増はストレスなどに伴う緊張が原因とされる。痛いところを突かれたのか。 「岸田総理の総裁再選に向けた本気度は、かつてないほど高まっています。派閥解消で政権基盤は弱まったものの、三頭政治で影響力を誇示してきた麻生派と茂木派も弱体化した。ポスト岸田に色気を見せる面々も決め手に欠ける。総すくみが政権に妙な安定感をもたらしているため、『行くところまで行くぞ』と気を強く持っているようです」(官邸事情通) 内閣支持率は政権維持の「危険水域」を深掘りし、自民党の支持率もダダ下がり。誰が言ったか知らないが、まさに「岸田一狂」だ。 「4.28衆院3補選は不戦敗の見通しの長崎3区も含め、全敗もあり得る。能天気な岸田首相が謳歌している我が世の春は、この春に終わるかもしれません」(政治評論家・野上忠興氏) 春は別れの季節だ。 |
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●「岸田リアリズム」が抱える虚実 2/16
自民党は清和会(安倍派)に代表される右派・タカ派路線と、宏池会(岸田派)に代表されるリベラル・軽武装路線が混在する政党だった。その安倍派が液状化し、岸田派が解散を決めた今、政権の方向性はどうなるのか。戦後政治史を専門とする筆者は、岸田文雄首相の本質が「現実主義」にあるとして、現状追認の危うさと可能性の両面を見る。 ●旧来のリベラル色を払拭 2024年1月、派閥政治資金パーティーの裏金化問題を受け、岸田文雄首相は自ら率いてきた岸田派(宏池会)の解散を決定した。1957年に池田勇人が設立した自民党最古の名門派閥は、その歴史にいったん幕を閉じた。 宏池会は、しばしば「リベラル」な政治思想を持つ派閥だと言われる。それは派閥の創設者である池田勇人が、安保闘争の教訓を踏まえて、政治路線を鮮やかに転換した歴史的体験に起因する。所得倍増論を掲げて首相に就任した池田は、1950年代後半から既に始まっていた高度経済成長をさらに促進する政策をとった。左右のイデオロギー分断が進んだ政治問題に正面から取り組むことを避け、経済中心主義による国論の再統合を図ったのである。 この成功体験は宏池会のDNAに強く刻み込まれた。池田の死後、宏池会の指導者たちは軽武装・経済中心主義からなる「吉田路線」を信奉し、憲法改正や日米安保体制の強化を目指す清和会(清和政策研究会)とは一線を画す姿勢をとってきたのである。 岸田首相は宏池会出身としては5人目の宰相である。政権発足直後の岸田首相は、派閥の伝統を引き継ぎ、内外の声を「聞く力」をアピールするなどソフト路線をとっていた。それは強いリーダーシップによって政策を推進する反面、強権的との批判があった安倍・菅両政権との違いを示す狙いもあったといえよう。また「新しい資本主義」を通じて成長と分配の好循環を目指すという、池田勇人の所得倍増論を強く意識した政策を打ち出そうとした。 しかし、外交政策に目を向けると、岸田首相は、当初から宏池会のリベラル色を払拭しようとしていたことが分かる。2022年元旦の年頭所感で、岸田首相は、普遍的価値の重視、地球規模課題の解決、国民の生命と暮らしを守る取り組みを三本柱とした「新時代リアリズム外交」を推し進めることを明らかにしていた。 この岸田外交の方向性を決定付けたのが、翌2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻である。岸田政権は、戦争勃発直後から強力なウクライナ支援を掲げ、ロシアに対する経済制裁を強化するなど、西側先進諸国と歩調を合わせた。さらに台湾海峡における緊張の高まりを念頭におきながら、国家安全保障戦略を含む安保関連3文書の改定や、防衛費の大幅増額などの重要な決定を立て続けに下していった。国際情勢の緊迫化が背景にあったとはいえ、10年前ならば間違いなく国論を二分したであろう防衛政策の一大転換を岸田首相は短期間で実現したのである。 ●福田と大平、イメージのねじれ この宏池会の伝統的イメージとは異なる政策を正当化するために、岸田首相がしばしば用いるのは「現実主義(リアリズム)」という言葉だ。例えば、ある会合で岸田首相は、宏池会について「リベラルなグループだといわれることが多いが、本質は徹底的な現実主義を追求する政策集団だ」と語っている(『日本経済新聞』2023年2月27日) 宏池会出身の政治家は、その時々の国民の声に応えて、経済成長や国際協調など現実に即した政治を行ってきた。自らもまたその伝統を受け継ぎ、第二次世界大戦後、最も厳しい安全保障環境に対峙するための現実主義的な政策をとった、というのが岸田首相の自己認識なのであろう。 確かに宏池会出身の歴代首相の政策を見たとき、現実主義的な考え方が底流にあるのも事実だ。歴史をさかのぼれば、1979年1月にイラン革命が起り、同年12月にソ連のアフガニスタン侵攻が始まるなかで、当時の大平正芳首相は「自由主義陣営の一員」である姿勢を強く打ち出した。それまでの70年代における日本外交の基調は、共産圏に対する外交的地平を拡大していく「全方位外交」であった。だが、大平はソ連のアフガニスタン侵攻は正当化できないとして、COCOM(対共産圏輸出統制委員会)を通じた経済制裁の強化や、パキスタン、トルコ、タイなど紛争周辺国への戦略援助の実施に踏み切った。 デタント(緊張緩和)から新冷戦へと国際情勢の基調が変化するなか、日本外交を新冷戦の現実に適応させたのは、一見タカ派の印象が強い清和会の福田赳夫首相ではなく、リベラル色のある宏池会出身の大平だったのである。 こうした福田と大平に関するイメージと実際の政策のねじれは、プーチン大統領と信頼関係を築き、北方領土返還を目指した安倍晋三元首相と、その安倍政権で長らく外相を務めながらも、対露強硬姿勢を打ち出した岸田首相とのスタンスの違いにも重なる。特定の理念を掲げて、それを政策の推進力とする清和会出身の首相に比べて、状況に柔軟に適応して政策を変化させられるのが宏池会出身の首相の特徴だといえるのかもしれない。 ●「右バネ消滅」がもたらすものは もっとも、岸田首相が現実主義を語るとき、自民党内の権力闘争を勝ち抜くためのマキャベリズムの側面があることを忘れるべきではないだろう。宏池会のリベラルと並ぶもう一つのイメージは「お公家集団」である。前尾繁三郎、宮澤喜一や加藤紘一といった歴代会長は、党内有数の政策通でありながら、権力闘争においては常に後れを取ってきた。 これに対して、岸田氏は、2021年9月の総裁選で大勝負に出て、熾烈(しれつ)な権力闘争を勝ち抜いて総理の座についた。しかし、政権発足時の宏池会は党内第4位に過ぎず、安倍・麻生・竹下(茂木)の3派に支えられた政権基盤は脆弱(ぜいじゃく)であった。それゆえ、外交・安全保障政策を進める上で、防衛力拡充を主張する最大派閥・清和会の意向を尊重せねばならなかったのである。 その意味で今回の宏池会解散という決断は、岸田政権を支えてきた権力基盤を根底から覆すことになろう。首相就任時は清和会の会長ですらなかった安倍元首相と異なり、岸田首相は宏池会のプリンスとして政治家のキャリアを積み、派閥会長として派閥力学を背景に首相となった。いわば伝統的な自民党政治に身を置いてきた岸田首相が、自身の正統性の基盤ともいうべき派閥を否定したのである。 実際、岸田首相の決定は大きな波紋を生み、清和会などの各派閥も次々と解散を宣言した。目下、内閣支持率の低迷に苦しむ岸田政権であるが、宏池会という看板を下ろし、清和会という右バネが消滅したことは、岸田首相が外交政策において独自色を示す契機になるかもしれない。 健全な政治的思考は、理想と現実の双方に裏付けられたものであらねばならない。理想なき現実主義は、結局のところ現状の追認に終わってしまうからだ。岸田外交は多くの点で安倍政権の外交政策を継承したものだ。それらは2010年代の中国の軍事的台頭という現実を前に、日中両国間における力の均衡を回復しようとする大戦略に基づくものだ。 しかし、積極的に世界各国を訪問する岸田首相が、安倍外交を継承してどのような独自のビジョンを示したいのかは未だ明確ではない。従来の宏池会イメージから大きな転換を図った岸田首相が、もう一段大きな進化を遂げることができるのか。岸田政権にとって今が正念場であろう。 |
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●問われる“自浄能力” 「“死に体”の岸田政権だからこそ、やれることがある」 2/16
「本日私は平成生まれとして初めてこの本会議場の質疑に立っている。これからたくさんの平成生まれがこの場に立つだろう。だからこそ、昭和の悪しき風習をここで止めたい。国民は増税、自民は脱税、必死に働いても実質賃金は上がらず、暮らしも苦しい状況なのに、防衛増税、子育て支援金、扶養控除の縮小と負担増税ばかりを強いられることに、国民とりわけ将来を担う若者たちは怒っている」 自民党の政治資金問題などについて、厳しくもフレッシュな口調で指摘したのは、平成生まれの国会議員、立憲民主党の馬場雄基衆議院議員だ。 政治とカネに厳しい視線が向けられる中、自民党は13日、発端となった派閥の政治資金パーティーをめぐる全議員を対象にしたアンケート結果を公表した。 収支報告書への不記載などがあった現職議員は85人。その額は5年間で5億7949万円に上る。金額は明らかになったものの、アンケートは不記載が「あったか」「なかった」とその金額を問う2問のみであり、使途を問うものはなかった。 自民党による所属議員のアンケートというと2022年、自民党は高額献金などが問題視された旧統一教会と所属議員の接点を調査。具体的な接点の内容8項目について調べ、179人の議員が「接点がある」と回答していることがわかった。 このとき岸田総理は、調査の結果を重く受け止め、信頼回復に向けて努力をしていきたいと決意していた。しかし、宗教行政を所管する文部科学省のトップに就任した盛山大臣が2021年の衆議院選挙で旧統一教会の友好団体から推薦状を受け取っていたという疑惑が浮上。 選挙支援を受けていたと指摘されている盛山大臣は22年の調査において「関連団体の会合へ出席し挨拶」とのみ申告し、「選挙支援」などの項目では申告していなかった。 2月7日、旧統一教会の友好団体と共に写った写真を提示された盛山大臣は「こういう推薦状を受け取ったのではないかと思うが、一方、推薦確認書については署名したかどうか記憶にない」と説明している。 党内での調査が本当に再発防止につながるのか疑問視する声が上がる中、連立与党を組む公明党の山口代表は“裏金”問題をめぐる自民党の対応について「今回の問題を引き起こした自民党がどう自浄能力を示すかが問われている」と厳しく非難している。 ●「次の選挙に向けプレッシャーがないと動かない」 派閥の政治資金パーティーをめぐるアンケートについて政治学者の佐藤信氏は「政治資金の使途調査について第三者の活用を求める声が上がるのは当然だが、現状の法制度では罪に問われるわけではないので、自民党としてはさらに調査をするようなインセンティブがあまりない。『次の選挙で本当に自民党が下野するかもしれない。議席を大きく減らすかもしれない』という圧力が世間からかからない限りは、自民党はなかなか動かないだろう」と述べた。 さらに野党については、「現在のように国民から『自民はひどいが、だからといって野党に任せるわけにもいかない』などと思われていては自民党へのプレッシャーは弱い。また、注意深く見てもらうとわかるが、野党のリーダーたちも『岸田総理を辞めろ』とは言わない。なぜなら今の悪い印象がついている政権のまま選挙を迎えたいという思いあるからだ。そのため小出しに責め続けたいという状態だ」と指摘した。 自民党内については、は「参院選も衆院選もまだ先に延ばせる状況にある。今急いで岸田総理を代えても政治と金の問題はすぐには消えず、自民党で問題を起こした人たちが辞めた枠をめぐる4月の補選でも、まだ候補者を決められておらず苦戦が予想される。そのため、自民党側としても岸田総理には続投してもらい、最後に首をすげ替えて戦略的に秋の選挙に突入するという“合理的な選択”をとると予想される」と説明した。 ●官房機密費と政治資金問題は全くの別物 松野官房長官が去年の12月に更迭される直前、4660万円の官房機密費を支出していたことで野党から追及される事態となっている。 この件について佐藤氏は「この官房機密費は今問題になっている政治資金とは全く異なる。官房機密費はその名の通り、政府の中枢がかつてで言うと野党の対策や、外国との対策など、表にならない形で使うためのお金だ。官邸の中に現金が入った金庫があるといわれていて、現金を引き出す時にタッチするのは官房長官と事務の担当者だけ。領収書も必要なく、どこに使われたか全くわからないお金になっている。どう使ったか分からないのが最大の問題で、我々が納めた税金もしくは国債などから出ているお金がどこに使われたか分からない形で消えていく。これをしっかり使途を明確化するという議論は以前からあり、やるべきだが実現していない。そして官房機密費は、政府が活動にあたってどうお金を出していくかという問題だ。対して、政治資金規正の問題は、選挙で競うときに皆がクリーンな形で競争することがポイントになっている。派閥のパーティーが典型だが、国民の税金ではなく、パーティー券を買う、事実上の寄付として支援者が出したお金をどう使うかの問題。どちらもお金が絡み、使途をしっかりと記録することが大切なのは同じだが、性格としては別の問題だ」と違いを説明した。 ●「政策協定を結ぶ重み」とは さらに旧統一教会との関係をめぐる問題も再び大きくなっている。盛山文部科学大臣は、2021年の衆院選において、旧統一教会の友好団体から推薦状を受領し、事実の「政策協定」に署名した疑いがあるが、「覚えていない」などとあいまいな答弁を繰り返している。 この点について佐藤氏は「推薦状はともかく、『政策協定』は極めて重要だ。例えば、脱原発を掲げている議員の中には電力関係の労働組合から支援を受けている議員がいるが、彼らは脱原発を声高に言えない状況に置かれている。つまり、政策協定を結ぶことは議員活動が明確に拘束されることを意味する。そんな制作協定に軽々しくサインをした、あるいは覚えてないというのはあり得ない。万が一覚えてないようなことがあるとすれば、大臣としての資質を疑われることになる」と疑問を呈した。 盛山文部科学大臣の「更迭」はあるのか? 佐藤氏は「もちろん更迭するべきだと思う。やはり旧統一教会の問題は国民からの信用を失うことになる。『大臣として、議員としての資質が十分なのか』という疑問があがるのは当然であり、早い決断が重要だろう」と指摘した。 ●今の岸田政権だからこそ、期待できること 今後の岸田政権について佐藤氏は、「『レームダック』=死に体の政権がしばらく続くが、だからこそ、できることがある。目の前の選挙に自分が勝たなきゃいけない状況であれば、なかなか不人気な政策を出せない。安全保障問題や財政健全化、典型的にはクリーンな政治の仕組みを作っていくことなど、今こそ長いスパンで影響力を持てるような大きな政策を打ち出す機会にもなりえる。そのあたりに力を入れて有終の美を飾ってほしい」と提言した。 |
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●北朝鮮党機関紙、談話報じず 拉致問題、岸田政権の出方探る 2/16
16日付の北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は、金正恩党総書記の妹、金与正党副部長による岸田文雄政権への談話を掲載しなかった。談話は15日夜、国外向けの朝鮮中央通信を通じて発表。労働新聞は国内向けの最も権威の高いメディアで、「個人的な見解」とする談話の位置付けが裏付けられた。 北朝鮮は党中枢を関与させないことで、日本人拉致問題を巡る岸田政権の出方を慎重に探る姿勢とみられる。 北朝鮮は16日、故金正日総書記の生誕82年の記念日を迎え、労働新聞は一面で金正日氏の功績をたたえた。金正日氏は2002年の日朝首脳会談で初めて拉致問題を認め謝罪したが、こうした内容は報じていない。 |
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●子育て支援金「月500円」よりもっと適した財源がある… 2/16
少子化政策の新たな財源として創設される「こども・子育て支援金制度」に注目が集まっている。医療保険料に上乗せで1人あたり月500円弱が徴収される見通しで、実質増税ではないかとの指摘もある。京都大学教授の柴田悠さんは「岸田政権の『こども未来戦略』で拡充されることが決まった児童手当の効果は、合計特殊出生率を0.1程度上昇させるものだ。これに加えて効果的な手段をつくして対策をとっていく必要がある」という――。 ●日本の出生率が他の先進国より大幅に低い3つの理由 日本の少子化の主な原因として、まずは、「高学歴化による育児コストの上昇と価値観の自由化」が挙げられる。しかしこれは、社会の近代化の当然の結果であり、避けようがない。先進諸国ではどこでも少子化が進んでいる(2021年の出生率はフランス1.83、スウェーデン1.67、米国1.66、ドイツ1.58、英国1.56)。 さらに日本では、この不可避的な原因に加えて、主に、1「所得低迷・雇用不安定化」が続いていること、2「男性稼ぎ主モデルの働き方」が根強いために「男性の労働時間」がいまだ長いこと、3学費を含む「育児の家族負担」がいまだ重いことによって、他の先進諸国よりも大幅に低い出生率になっている(2021年1.30、2022年1.26)。 そこで以下では、日本に特徴的なこれら1〜3の要因に着目して、今後の少子化対策について考える。なお日本では、「カップル文化が希薄」などの文化的な要因も考えられるが、文化的要因に対しては政策的介入が困難なため、ここでは扱わないこととする。 ●妻が「正規雇用者」のほうが第1子が生まれやすい まずは、1「所得低迷・雇用不安定化」だ。 全国調査によれば、男女ともに、「高所得者」や「正規雇用者」のほうが結婚しやすい。また、妻が「正規雇用者」のほうが、第1子が生まれやすい(厚生労働省「21世紀出生児縦断調査及び21世紀成年者縦断調査特別報告書」2013年)。 よって、「所得低迷」と「雇用不安定化」は、結婚難と少子化を招く。そのため、「賃金引上げ」と「雇用安定化」が重要だ。デジタル化や働き方の柔軟化・効率化、労働移動の促進、リスキリング支援などによって、労働生産性を上げ、非正規雇用の正規化も進める必要がある。 ●「両立できそうにないので結婚ではなく仕事を選ぶ」女性たち つぎは、2「男性稼ぎ主モデルの働き方による男性の長時間労働」だ。 日本の男性の労働時間は、他の先進諸国よりも長く、しかも1985年以降30年間ほとんど減っていない(たとえ父親でも減っていない)(国立社会保障・人口問題研究所「第28回厚生政策セミナー」配布資料)。 他方で2020年代からは、女性の就業化の結果として、若い未婚女性のあいだで「結婚・出産をして仕事も続けたい」という「共働き・共育て」志向が主流となっている。そして、「現実としては共働き・共育てができそうにないので、結婚ではなく仕事を選ぶ」という非婚化が広まっている(図表1)。 【図表】若い未婚女性の理想と現実 この背景には、男性の長時間労働があるだろう。つまり、「共働き・共育てをしたいのに、もし結婚したら、夫が長時間労働なので、家事・育児は主に自分の負担となる。すると、自分のキャリア蓄積が難しくなってしまう。だから、キャリアのために結婚は諦める」というわけだ。今後も、「男性稼ぎ主モデルの働き方による男性の長時間労働」が続く限り、非婚化と少子化はますます進んでいくだろう。 したがって少子化緩和のためには、男性の働き方を「男性稼ぎ主モデル」から「共働き・共育てモデル」に更新し、男性の労働時間を減らさなければならない。 では具体的にはどうしたらいいのか。 ●夫の収入を下げずに労働・通勤時間を減らす必要がある 日本でのこれまでの多数の調査研究によると、夫の収入に変化がない条件下で、「夫の労働時間・通勤時間」が減ると、「夫の家事時間・育児時間」が増え、「妻の出生意欲・希望子ども数・第1子出産確率・第2子出産確率・子ども数」が増える傾向がある(内閣府「ESRI Research Note No.17, No.66」2011・2022年、厚生労働省「21世紀出生児縦断調査及び21世紀成年者縦断調査特別報告書」2013年)。 よって、男性の「単位時間あたりの労働生産性」を上げて、「収入低下を伴わずに」労働時間を減らしていく必要がある。そのためには、働き方の柔軟化・効率化が重要だ。 たとえば欧州では、多様な労働者の健康保護・人材確保と、労働生産性の向上との好循環を促進するために、デジタル化やテレワーク、フレックスタイム、ジョブシェアリング(タンデム〔二人乗り〕方式)、労働基準法改正(例:11時間の勤務間インターバルの義務化、月20時間超の残業時間の割増率1.5倍化、法定労働時間の週35時間化)などの取り組みによって、働き方の柔軟化・効率化を進めて、労働生産性を高め、男性の労働時間を減らしてきている。日本でも今後、労働基準法の改正などによる「テコ入れ」も含めて、これらの取り組みを進めていく必要があるのではないか。 ●日本では女性のみで「育児による幸福感の低下」が起きる また、国際比較の研究によれば、働き方の柔軟化が進んでいる国のほうが、国民全体の主観的幸福感が高い。そして主観的幸福感が高いほうが、出生率が高い。さらに、働き方の柔軟化が進んでいない国(米国、オーストラリアなど)では「子どもをもつことによる主観的幸福感の低下」(親ペナルティ)が見られるが、働き方の柔軟化が進んでいる国(北欧、フランスなど)ではそのような幸福感低下が見られない(図表2)。 【図表】「働き方の柔軟化支援」と幸福感 そして日本では、「子どもをもつことによる主観的幸福感の低下」は女性のみで見られる(佐藤一磨「子どもの有無による幸福度の差は2000〜2018年に拡大したのか」2023年)。これは、重い育児負担が妻ばかりにのしかかることによって、妻の「夫婦関係満足感」と「消費生活満足感」が下がることが原因だ(佐藤一磨「子どもと幸福度」2021年)。 労基法改正などの「テコ入れ」によって、男性の働き方を柔軟化・効率化し、それによって、「収入低下を伴なわずに」男性の労働時間を減らし、男性がより健康に、より多くの自由時間を持てるようにしなければならないだろう。 じつは未婚女性だけでなく未婚男性においても、2020年代以降は「共働き・共育て」志向が主流になっている(図表1)。男性がより多くの自由時間を持てるようになれば、男性の家事・育児時間が増え、女性にとっても、「共働き・共育て」を実現できる見通しがつきやすくなり、結婚・出産がようやく魅力的になるのではないか。 ●労働時間カットで出生率を0.2引き上げられる OECD加盟諸国の時系列データを用いて私が行った分析によれば、「収入低下を伴わずに平均労働時間が年間235時間(週平均約5時間)減ると、出生率が約0.44上昇する」という傾向が示唆された(内閣官房「第3回こども政策の強化に関する関係府省会議」柴田悠配布資料)。一見大きすぎる効果だが、「収入低下を伴わない労働時間の減少」には少なくとも数年以上の時間がかかり、時間がかかればかかるほど、本稿冒頭で述べた「価値観の自由化」が進むため、出生率は低下する。それでも、そのような出生率低下を上回るスピードで、労働時間が減っていけば、0.1〜0.2ほどの出生率上昇は見込めるだろう。 なお、「収入低下を伴わない労働時間短縮」を促す政策として、取り組み企業への法人税減税などが考えられるが、そのために政府予算がいくら必要になるかは不明なため、政策の「費用対効果」は残念ながら計算できない。 ●高等教育無償化の出生率引き上げ効果は… 最後に、3「学費を含む、育児の家族負担の重さ」だ。 出生率が高い欧米諸国と比べた場合の、日本の育児環境の特徴は、高等教育費の家計負担(学費)が高く、かつ、給付型奨学金も少ないという点だ(出生率の低い韓国も同様)(国立国会図書館「諸外国の⼤学授業料と奨学⾦【第2版】」2019年)。 そこで私は、OECD加盟諸国の時系列データを用いて、「学生一人当たりの高等教育費の政府負担が増える(家計負担が減る)と、出生率がどのくらい増えるのか」を分析した。その結果を日本に当てはめると、仮に、高等教育(大学・短大・専門学校)の全学生に、一律で年間61万円(国立大学相当)の学費を(政府が負担して)免除すると、そのために政府支出は年1.8兆円増えるが、出生率は約0.09上がると試算された。ただしこの分析は、すでに高等教育の無償化が進んでいる欧州諸国のデータが主に基になっているため、日本での無償化の出生率引き上げ効果は、実際はもっと大きくなるかもしれない(内閣官房「第3回こども政策の強化に関する関係府省会議」柴田悠配布資料)。 ●保育拡充の効果 他方で、日本での「育児の大きな家族負担」は、「高等教育の学費が高い」という経済的負担だけでなく、「保育を自由に利用できない」ことで幼児期の育児を主に親だけで担わなければならないという身体的・心理的負担もある。では、今後もっと自由に保育を利用できるようになれば、出生率はどのくらい上がるだろうか。 2005年から2020年にかけて保育定員を約100万人増やした日本の保育政策は、年間政府支出を約3兆円増やしたが、それにより共働きしやすくなるとともに育児負担も減り、結婚と出産の障壁が下がったと考えられる。実際に、都道府県の時系列データを分析した研究によれば、上記の保育政策により女性の生涯未婚率が約5.5%ポイント下がり、それによって出生率が約0.1上がり、年間出生数が約10万人増えたことが示唆された(宇南山卓「保育所等の整備が出生率に与える影響」2023年)。 ●保育が確実に利用できるなら では、今後の保育定員拡大の効果はどうだろうか。 そこで私は、市区町村の時系列データを分析した研究(Fukai, T., “Childcare availability and fertility,” 2017)で示された、「女性就業率が高い(つまり2020年の全国値に近い)場合」での保育定員拡大の出生率引き上げ効果の推定値を基に、今後の保育定員拡大の効果を試算した(内閣官房「第3回こども政策の強化に関する関係府省会議」柴田悠配布資料)。 その試算によれば、今後、(育休明けで保育ニーズが増える)1〜2歳保育の定員を、仮に(1〜2歳人口に対して保育定員率が100%になるように)約40万人分増やすと、出生率は約0.13上がると見込まれた。 ただし、約40万人分の保育定員を増やすには、まずは、そもそも保育士が足りない現状があるため、たとえば、保育士の賃金を全産業平均に引き上げて(年1.0兆円)、さらに保育士の配置基準を先進諸国並みに改善する(年0.7兆円)などの対策が必要だろう。 そのうえで、保育定員を約40万人分増やすとなると、さらに年0.4兆円の追加予算が必要になる(もちろん1〜2歳児の全ての親が保育利用を望むことは現状ありえず、これはあくまで仮定にすぎない)。すると、今後の1〜2歳保育定員拡大の費用対効果は、「(年1.0+0.7+0.4=)年2.1兆円かけて出生率0.13上昇」ということになる。 なお、2020年までの費用対効果(年3兆円で0.1上昇)よりも若干効果が高まることになるが、その背景としては、2020年代以降、未婚若年女性のあいだで、「共働き・共育て」志向が(先述のとおり)主流となり、「保育を使えないなら出産はもちろん結婚さえもできない」という考え方が広まっている可能性が考えられる。 「育児の家族負担」を減らす政策としては、他にも、経済的負担を減らす「児童手当」もあるが、これはすでに岸田政権の「こども未来戦略」で年1.2兆円規模で拡充されることが決まったため、本稿では割愛する。なお、その拡充による出生率引き上げ効果は、諸外国での研究結果を基に試算すると約0.1だろう(内閣官房「第3回こども政策の強化に関する関係府省会議」柴田悠配布資料)。 ●経済成長を最も阻害しない財源は… 以上、1「賃金引上げ」と「雇用安定化」、2「労働時間の週5時間短縮」(出生率0.1〜0.2程度上昇)、3「国立大学相当の高等教育学費免除」(年1.8兆円で出生率0.09上昇)と「1〜2歳保育定員の40万人拡大」(年2.1兆円で出生率0.13上昇)という方向(計年3.9兆円超により出生率0.3〜0.4程度上昇)が、今後の少子化対策の案として考えられる。 なお、財源についていえば、財政学でのこれまでの実証研究の蓄積によれば、社会保険料や多様な税のなかで、経済成長を最も阻害するのは「法人税」と「個人所得税」であり、やや阻害するのは「消費税」と「社会保険料(こども・子育て支援金など)」、そして最も阻害しないのは「資産課税」(相続税・贈与税・固定資産税)だ(Şen, H. and A. Kaya, “A new look at the nonlinear dynamics of taxation-growth nexus” 2022)。そのため、「資産課税」(および場合によっては「つなぎ国債」)も視野に入れながら、多様な財源のベストミックスを検討することで、財政の持続可能性を高めることができるだろう。 |
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●盛山文科相 “選挙支援の指摘 教団側から揺さぶりも”と認識 2/16
盛山文部科学大臣は、前回の衆議院選挙で旧統一教会側から選挙の支援を受けたなどと指摘が出ていることについて、解散命令請求を行った岸田政権に対し、教団側が揺さぶりをかけていることも考えられるという認識を示しました。 盛山文部科学大臣は、前回の衆議院選挙の際、旧統一教会の関連団体の集会に出席して推薦状を受け取り、選挙の支援を受けていたなどの指摘が出ています。 これについて盛山大臣は閣議のあとの記者会見で、「衆議院予算委員会をテレビで放送するタイミングで報道が出たほか、林官房長官や岸田総理大臣についても教団側との関係を指摘する話が出た。教団側の意趣返しかどうかわからないが、解散命令請求を行った岸田政権に対し揺さぶりをかけてきているということも十分考えられる」と述べました。 また、記者団が「説明責任を十分に果たしていると考えるか」と質問したのに対し、「覚えていないものは覚えてないわけで、無理に作文をして思い出したということにならない。国会では、私の方から証明する手だてがないような質問で、悪印象を植えつけるような形で一方的に言われているような気がしてならない」と述べました。 |
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●ガソリン補助金 延長を検討 2/16
政府はガソリンや灯油など燃料油の価格高騰を抑制する補助金について、4月末の期限を延長する方向で検討に入った。食品を中心とする物価高騰や円安が家計に打撃を与えていることを考慮した。複数の政府関係者が16日、明らかにした。 延長幅は今後検討する。ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」凍結解除については、実施を求める国民民主党と自民、公明両党の協議が決裂したことを踏まえ、現時点では見送る。 補助金は石油元売り会社に支給して小売価格を抑える仕組みで、2022年1月に始まった。補助金の効果により、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均価格は現在175円前後で推移している。 |
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●弱い消費が円買い介入誘発か、日銀判断への影響は軽微 2/16
2023年10─12月期の国内総生産(GDP)は前期比年率マイナス0.4%と市場予想の同プラス1.4%を大幅に下回った。下押しの大きな要因は消費の不振で、物価高による実質賃金のマイナス長期化が消費を委縮させ、岸田文雄政権にとって逆風となったかたちだ。 岸田首相は今年の春闘で昨年を上回る賃上げを実現し、6月の減税と合わせて実質賃金をプラスにし、消費の活性化を狙っているとみられるが、円安による輸入物価の再上昇が起これば、思惑通りには進まない。このため、足元で進む円安に対し、政府はドル売り・円買い介入のタイミングを図っているのではないかと筆者は推測する。9月の自民党総裁選で再選を目指す岸田首相にとって、ここから減税が行われる6月ごろまでが正念場になる。 ●テクニカルリセッションと賃上げ・減税の効果 今回のGDPは、経済政策の成果を示したい岸田政権にとって厳しい現実となった。23年7─9月期に続くマイナス成長は、欧米流の解釈では「テクニカルリセッション」とされ、景気後退への転換点と理解される。衆院予算委で答弁に立つ岸田首相にとって、野党から「経済政策の失敗」を追及される材料となる。 ただ、岸田首相は、以下の点で対抗することが予想できる。1つは経済界と労働界に呼び掛けてきた昨年を上回る賃上げを今年の春闘で実現することだ。実際、すでに大幅な賃上げを表明している大企業の経営者が数多く、岸田首相の要望は達成される可能性が高まっている。 2つ目は、今年6月に実施予定の1人当たり4万円の定額減税の効果だ。夫婦と子ども2人の4人家族の場合、年収2000万円超の場合を除き、16万円が支給される。 この2つによって消費を上向かせ、内需中心の経済拡大を目指すのが、岸田首相の考えている「メインストリーム」だろう。 6月23日の通常国会会期末までに衆院を解散し、所得アップと消費拡大を成果に総選挙で勝利すれば、9月の自民党総裁選で再選される道が大きく拓かれる──。これが岸田首相の描く道筋と筆者は読む。 ●円安進行ならCPI上昇に弾み ところが、今回のGDPで個人消費の弱さが露呈し、今のままでは経済面でも内閣支持率の上昇につながらない展開となる可能性が出てきた。さらに問題なのは、足元でドル高・円安が進み始めていることだ。 岸田首相は施政方針演説で、物価上昇を上回る賃上げの実現を目指す考えを強調した。だが、足元で150円台の円安が一段と進行する事態になれば、再び輸入物価の上昇を起点にした物価上昇の加速が懸念される展開になる。 消費者物価指数(CPI)の前年比が3%台になれば、物価上昇を上回る賃上げの実現は「風前の灯」になりかねない。岸田首相からみれば、円安の加速は「総裁選での再選」に大きな障害と映っている可能性があると指摘したい。 ●介入の是非で注目される151.90円 そこで足元のドル/円相場に目を転じると、1月米CPIが市場予想を上回ったことなどを背景に一時、150円88銭まで円安が進行。151円90銭付近にストップロスが並んでいるために、このポイントまで円安が進むと、その先は一気に155円台まで短期間に上昇するチャートになっているとの見方が複数の市場関係者から出ている。 一部の市場関係者は、151円90銭付近を抜けた後にドル買い・円売りのポジションが膨らんだところで、政府・日銀のドル売り・円買い介入が実施されるのではないかと予想している。そのケースでは、かなりの幅でドル安・円高が進むとみられている。 このように今回の弱いGDPと個人消費が、政府・日銀の介入を呼び込む材料になり得ると筆者は考えている。 ●弱いGDP、マイナス金利解除の行方に影響せず ところで、早ければ3月ともみられている日銀のマイナス金利解除の行方に、今回のGDPは影響を与えるのだろうか。筆者は与えないだろうと予想している。 1つには、今年の賃上げが大幅になる可能性が高まっているため、新賃金体系の下での消費のリバウンドが期待できるからだ。 また、GDPギャップのマイナスが続いても、その先でプラス方向への動きが予想できるなら、短期間のデータには影響されないという見方を日銀が持っているとみられるためだ。実際、植田和男日銀総裁は1月23日の会見で、GDPギャップのマイナスに関して質問され「はっきり大きくプラスに行かないと物価目標達成に到達しないのかといえば、そういうことはないとみている」と述べている。 とはいえ、2四半期連続のGDPマイナスに関し、政府関係者の一部からは景気に黄信号のサインが点灯しているとの声も聞かれる。植田総裁はじめ日銀幹部が今後、国会などでどのような情報発信をするか、内外市場関係者の注目を集めそうだ。 |
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●「北陸応援割」に地元から懸念 「いま必要?」 衆院予算委公聴会 2/16
2024年度政府当初予算案を審議中の衆院予算委員会は16日、能登半島地震に見舞われた石川県で地方公聴会を開き、国による支援策について地元首長や経済団体幹部らの意見を聞いた。参加者からは、政府が推し進める旅行支援策「北陸応援割」に懸念の声が相次いだ。 この応援割は、北陸3県と新潟県を対象に、1人1泊2万円を上限に旅行代金50%を支援するものだ。北陸新幹線の福井県敦賀市までの延伸がせまるなか、早ければ3月からの実施が見込まれている。 ●「避難所が優先」「あきらめの気持ち…」 地元選出の近藤和也氏(立憲民主党)は「いまの時期にやる必要はあるのか、との声をかなり聞く」と意見を求めた。これに対し、液状化被害が深刻な内灘町の川口克則町長は宿泊施設はかなり少なく、避難所になっている施設もあると指摘。「避難所が優先だ」として観光どころではないと訴えた。 「観光客は来るはずはない、との愚痴やあきらめの気持ちは(地元の)みなさんにある」と語ったのは、能登半島にある七尾商工会議所の杉野哲也会頭だ。 一方、金沢市周辺では別の悩みも。石川県商工会議所連合会の安宅建樹会頭は、支援関係者や2次避難者らの宿泊需要が多いことから「飲食店など観光業全般に恩恵は及んでいない」と強調。観光に来てほしいが供給が追いつかない現状を訴えた。 ●石川県知事「過疎や高齢化、課題が一気に顕在化」 このほか、中小企業支援のさらなる拡充を求める声も多く、これまでの3年間は比較的規模の大きな地震が続いたことから「3年間の被害を一体的に支援対象にしてほしい」との意見が出た。馳浩・石川県知事は「過疎や高齢化の進む地域の課題が一気に顕在化した。今後、日本の多くの地域が直面する問題だ。こうした観点で支援をお願いしたい」と述べた。 衆院予算委の地方公聴会は必ずしも開催する必要はないが、地方の声を政府予算案に生かそうと、08年から続いている。今回は長崎市でも開かれた。 |
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●少子化対策法案を「閣議決定」 支持率1割台の岸田内閣“乱発”の正当性 2/16
《閣議決定》 普段あまり目にしない政治用語が16日、Xで一時トレンド入りした。 政府がこの日、少子化対策の強化に向けた関連法改正案を閣議決定したのを受けたものだが、この少子化対策の財源を巡っては、岸田文雄首相(66)が6日の衆院予算委員会で、国民1人あたり「粗い試算で月平均500円弱になる」と答弁した際、ネット上で《増税しないと言いながら、結局、増税するのか》《保険料から徴収するなら増税だろ》などと異論が噴出。にもかかわらず、あっという間に閣議決定となったことから、《勝手に閣議決定するな》《閣議決定を私物化するな》などと怒りの声が広がったようだ。 さらに国民の多くが疑問に思っていたのは「閣議決定の正当性」だ。 時事通信が9〜12日に実施した2月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の16.9%となり、発足以来の過去最低を更新。不支持率は同6.4ポイント増の60.4%にも達しており、《7割の人が指示しない内閣が国会の議決も経ずに決めていいのか》《この閣議決定は有効なのか》と感じているようだ。 ●安倍元首相の「国葬」も閣議決定だった 岸田政権は過去にも、戦後の歴代政府が築き上げてきた「武器輸出三原則」を緩和する「防衛装備移転三原則の一部改正」を閣議決定(2023年12月)したほか、原発再稼働を容認する方向に舵を切った「原子力委員会の原子力利用に関する基本的考え方に関する対処方針」を閣議決定(同2月)。2022年7月には、国民世論の賛否が分かれた安倍晋三元首相の「国葬」も閣議決定している。 いずれも世論の反対が大きかった内容だが、時の内閣がすべてを「閣議決定」で決めるのであれば、「国権の最高機関」であるはずの国会は不要になりかねず、まさに議会制民主主義の破壊行為。強行しているのが支持率1割台の内閣なのだ。 安倍政権でも閣議決定を多用し、集団的自衛権の行使容認といった安保法制などをバンバン決めていたが、岸田政権もこの手口を踏襲しているようだ。 そのうち、「自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金は合法」などと閣議決定しかねないのではないか。 |
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●「不公平感ない徴税重要」 確定申告開始で林官房長官 2/16
林芳正官房長官は16日の記者会見で、2023年分の所得税などの確定申告受け付けが同日始まったことを受け、「税制は国民の理解と信頼の上に成り立っており、適正に納税した皆さまが不公平感を抱くことのないように取り組むことが重要だ」と述べた。納税者に向けては「適切な対応をお願いしたい」と呼び掛けた。 自民党派閥の政治資金パーティー収入裏金化に関して「脱税」批判が出ていることに対しては、「国民から厳しい指摘があることは真摯(しんし)に受け止めなければならない」と強調した。 |
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●還流分納税「全く承知せず」 岸田首相 2/16
岸田文雄首相(自民党総裁)は15日、派閥による政治資金パーティー収入の還流分を収支報告書に記載していなかった議員に対し、同党が使途不明の場合は税を納付させる検討に入ったとの一部報道について、「全く承知していない」と否定した。首相官邸で記者団に答えた。 首相は、派閥からの還流に関し「議員個人が受領した例は把握していない」と指摘。「政治団体から政治団体への寄付があったと判断したからこそ、収支報告書の訂正が行われている」と語った。 森山裕総務会長も記者団に、「政治資金として処理しており、所得税は発生しないと理解している。あり得ないことだ」と述べた。 |
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●「聞き取り調査」32人がキックバックを認識 使途は会合費・書籍代・手土産等 2/16
16日午後、国会内で行われた、政倫審・政治倫理審査会の開催をめぐる、衆議院の与野党協議。野党側は、キックバックの不記載が判明した、51人の衆議院議員、全員の政倫審出席を求めた。 衆・政倫審幹事 立憲民主党 寺田学議員「清和研(安倍派)と志帥会(二階派)、両派の会長、事務総長ならびに、そこに準じるような役職にあった、派閥の責任者に必ずこの場に出向いて弁明すべきだと」 安倍派と二階派の幹部は、必ず出席するよう要求。これに対し、与党側は、検討したうえで回答するとした。 そうした中、自民党は15日夕方、安倍派や二階派の議員ら、91人を対象に行った聞き取り調査の報告書を公表。裏金の総額は、2022年までの5年間で5億7,949万円。還付金、いわゆるキックバックがあったとされたのは85人。そのうち、キックバックを認識していたのは32人で、残りの53人は当時、認識していなかったといいます。裏金を使っていたと答えたのは53人で、31人は使っていなかったとしている。 そして、気になる使い道については、会合費や車両購入費、書籍代、手土産代など15項目が挙げられている。 一方で今回、報告書に多く盛り込まれていたのが、安倍派幹部の責任を問う、「派閥の上に立つ人間が、責任を取らないといけないと思う」などといった声だった。 今回の報告書について15日夜、岸田首相は「今回の聞き取り調査、さらには、政治資金収支報告書の修正だけで、責任が果たされるものではない」とコメントした。 一方、立憲民主党の泉代表は16日、「党の幹部によって、聞き取りが行われている。忖度(そんたく)しまくりじゃないですか、やったふり調査であるし」とコメント。 改めて、元派閥幹部らに、政倫審での弁明を求める考えを表明した。 |
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●自民キックバック「当然、納税義務が生じる」党内から指摘 2/16
自民党の派閥パーティー収入のキックバックを巡り、同党の青山繁晴参院議員は16日、「収支報告書に書いていないことは政治資金ではない」として、「当然、納税義務が生じる」と主張した。 自民党の有志による「政治(まつりごと)変革会議」の会長も務める青山氏は、党本部で記者団の取材に応じ、「収支報告書に書いていないことは政治資金ではない」と指摘。 「政治資金ならざるもの」だとして、「当然、納税義務が生じる」と述べた。 これに先立ち、青山氏は「政治変革会議」のメンバーとともに渡海政調会長と会談し、政治刷新本部の最終とりまとめに向けた要望書を提出した。 要望書の内容は次の通り。 ・政策集団の政治団体登録の禁止 ・政党法ないし公党法の制定による政治資金からの「私」の完全排除 ・新政治改革大綱の策定 ・党の収入や支出における政策活動費や所属国会議員からの寄付の使途公開 など また、キックバックの納税についての考えも、渡海氏に口頭で伝えたという。 「政治変革会議」は、全ての派閥を解消するべきだと訴える議員連盟で1月に発足した。 |
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●北陸新幹線延伸まで1か月、地震避難と観光の両立模索… 2/17
北陸新幹線の金沢―敦賀間が延伸開業する来月16日まで、1か月を切った。石川県や福井県では観光の起爆剤になると期待されているが、能登半島地震の2次避難者を受け入れている宿泊施設も多く、観光との両立が課題となっている。 「皆さんを追い出すようなことは絶対にございません」 2次避難者300人超に全客室を提供している石川県加賀市の観光ホテル「みやびの宿 加賀百万石」の夕食会場で今月11日、吉田久彦社長(40)が避難者を前に明言した。 その上で、従業員寮を改修して避難者に開放する予定だと説明した。吉田社長は「最後まで避難者の生活再建を手伝う責任はあるが、観光客に来てもらわないと土産物店や飲食店が立ちゆかなくなり、観光地全体の魅力が衰えてしまう」と焦りを口にする。 延伸を前に、石川県内の宿泊施設は観光客の増加を見込んで態勢を整えてきた。日本政策投資銀行によると、延伸に伴う経済効果は同県で279億円と推計される。 しかし、元日の地震で状況は一変した。同県内6か所の温泉地では1月末までに16万件超の宿泊予約がキャンセルされた。地震の後、多くのホテルや旅館の客室を埋めているのは2次避難した人々だ。 2次避難では、県内外の旅館やホテル245か所に、16日現在で計5275人が身を寄せている。災害救助法に基づいて国が宿泊費を負担するが、避難者の滞在期限は、県と宿泊施設が個別に取り決めている。新幹線の延伸開業を念頭に、2〜3月中としている施設が多い。ただ、仮設住宅の整備が追いついていないため、避難者に次の住まいへ移動してもらうのは難しいのが現状だ。 一方、加賀市観光交流機構などによると、被害が比較的軽微だった同市など県南部では、3月以降の予約や問い合わせが増え始めているという。加賀温泉駅が新幹線の停車駅となるためで、東京―加賀温泉間は現在より24分短縮され、2時間43分となる。 予約が増えているという同市の「ホテルアローレ」は、全130室のうち60室で、同県輪島市などからの2次避難者約140人を受け入れている。 太田長夫社長(65)は「被災者が望む限り部屋を提供したい」と、3月末まで使える客室のカードキーを避難者に配布した。同ホテルは旅行代金を割り引く「北陸応援割」の宿泊プランも検討しており、「避難と観光の両面で対応する」としている。 馳浩知事は「延伸開業の効果を最大限に生かして県内経済を活性化させ、能登の支援にもつなげたい」と、観光客の来訪を呼びかけている。県のPRイベントも行うが、多くの県職員が地震対応に追われており、イベントに充てる人手は限られる。そこで、馳知事と10日に会談した福井県の杉本達治知事は、「石川の分も福井がPR活動をする」と、協力の意向を伝えた。 被災地の観光復興に詳しい橋本俊哉・立教大教授(観光行動学)は「加賀の観光地で能登の食材や土産物を販売するなど、来訪が被災地支援につながる仕組みを作り、広くアピールする必要がある」と指摘している。 |
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●「水道から出た温かいお湯に涙」 能登半島先端の町で断水から復旧 2/17
能登半島地震の被害で、石川県内では断水の復旧が進まない地域が多い。そんな中、珠洲市の北端にある折戸町で、水道が通水し始めた。町中心部の高台にある避難所でも14日から水が出始め、風呂や食事に生かされている。避難所を出て自宅に戻り、生活の再建に向けて取り組み始めた人もいる。 15日、穏やかな海のさざ波が聞こえる折戸町唯一の美容室「トラーニヘアー」。店主の吉井謙太さん(46)が、被災した男性の洗髪をしていた。吉井さんによると、これまでは裏山からくみ上げた水を五右衛門風呂で沸かして、近隣住民の洗髪や散髪などを無償でしてきた。 美容室でも14日に通水し、本格的な営業再開に踏み出す。まず、近隣住民を中心に営業を始めるという。 吉井さんは、「水道から温かいお湯が出た時は涙が出るほどだった。県内を見渡せば喜べる状況ではないが、一歩前進した」と話した。 同じく同町で被災した女性(73)は、娘のいる同市飯田町で避難生活を送っていた。通水したことを知り、15日に自宅へ戻り、洗濯したという。 「子どもたちもお風呂に入りに行きたいと言っていた。本当に助かります」と話した。だが一方で、「家が壊れて折戸町から離れて暮らす人も多い。自宅に住める状態だったのは幸いだったが、自分だけ良い状況なのが心苦しい」と心境を話した。 |
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●石川 七尾 温浴施設が約1か月半ぶりに営業再開 無料開放 2/17
能登半島地震の影響で半数以上の世帯で断水が続く石川県七尾市で、およそ1か月半ぶりに営業を再開した温浴施設が無料開放され、被災した人たちが久しぶりに入浴して疲れを癒やしました。 七尾市では地震の直後にほぼすべての世帯が断水し、いまも市内の半数以上にあたる1万2000世帯余りで断水が続いています。 市の郊外にある温浴施設「ほっとらんどNANAO」は配管が壊れるなどして休業が続いていましたが、修理が終わったため17日、およそ1か月半ぶりに営業を再開し、被災した人たちに無料で開放されました。 受付が始まる午前11時半には被災した人が次々と訪れ、係の人に希望の時間を伝えて整理券を受け取っていました。 そして時間が来ると首までお湯につかり日頃の疲れを癒やしていました。 1週間ぶりに入浴したという市内の70代の男性は「再開後の一番風呂で本当に気持ちいいです。まだ毎日とはいかないですが2日に1回くらいは入りたいです」と話していました。 この施設では2月28日まで無料開放を続ける予定だということで、和田内幸江総支配人は「地震の影響が大きく復旧に時間がかかったが、1日でも早く利用してもらいたいと思い再開しました。ここでゆっくり休んでもらえたらと思います」と話していました。 |
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●自民の裏金調査/自浄能力の欠如が鮮明に 2/17
自民党は派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて、派閥からの資金還流を政治資金収支報告書に記載していなかった議員ら91人への聞き取り調査の結果を公表した。 パーティー券収入の還流を把握していたのは32人に上り、うち安倍派に所属する11人は収支報告書への不記載も認識していた。「派閥事務局から報告する必要がないと言われたのを信じていた」「派閥からの説明で合法だと思った」などと述べている。自分は悪くないと言わんばかりの釈明には、立法府の一員としての自覚と順法精神が感じられない。 還流資金を使ったのは53人。使い道として、会合費、懇親費、書籍代、車両購入、手土産代、次のパーティー券購入費などが挙がった。「政治活動以外に用いた」「違法な使途に使った」との回答はゼロだった。 だが領収書のない支出もあり、本当に政治活動に関連する費用だったかははっきりしない。しかも結果公表は匿名のため、具体的に誰が、何に、いくら使ったのかは不明だ。疑念を払拭するには全く不十分な調査と言わざるを得ない。 異様なのは、還流された金を使わなかったと答えた31人のうち13人が「不明朗な金銭だった」と認識していた点である。「気持ち悪いと思った」「裏金みたいなものではないか」などと感じて、手をつけずに保管していたというのだ。 保管したままなら個人の収入とみなされ課税対象となる可能性があり、脱税の疑いも指摘されている。 多くの議員が違法性をうすうす察しながら、派閥の指示には逆らえないと目をつぶり、裏金づくりに加担してきたことになる。おかしいことをおかしいと言い出せない組織の体質と自浄能力の欠如が鮮明になったと言える。 外部弁護士がまとめた調査報告書は、裏金づくりが始まった時期や動機は「判然としない」と結論付けた。ただ、安倍派については場合によっては20年以上前から、二階派では少なくとも10年前から今の仕組みになったとも言及した。 再発防止策として、不正行為へのペナルティー強化、外部通報窓口の設置、金の流れを可視化する業務のデジタル化などを提言している。 しかし、いくら法改正を重ね、厳罰化を進めても、法を守るべき政治家の意識が低いままでは同じ過ちが繰り返されるだろう。 内部調査には限界がある。自民は野党が求める政治倫理審査会の開催に応じ、裏金づくりに関わった派閥幹部らが出席して疑問に答えるべきだ。岸田文雄首相は党総裁の責任でうみを出しきり、国民の政治不信に歯止めをかけねばならない。 |
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●自民の裏金調査 身内では核心に迫れない 2/17
いつから、何のために裏金づくりを続けていたのか。肝心なことは何も明らかにならなかった。 自民党は派閥の政治資金パーティーの裏金事件を受け、政治資金収支報告書に不記載があった国会議員ら91人の聞き取り調査結果を公表した。 対象は組織的な裏金づくりをした安倍派や二階派の議員ら85人と他派閥の幹部で、党執行部と弁護士が聴取した。 報告書には対象議員の名前が列記されているが、発言内容は全て匿名となっている。裏金問題の全容把握には程遠いと言うほかない。 自民党が並行して進めた全所属国会議員へのアンケートも形ばかりだ。2018〜22年の収支報告書に不記載があったかどうかと、年別の不記載額しか問うていない。 聞き取り調査によると、22年までの5年間の不記載総額は約5億7949万円で、還流資金の不記載を認識していた議員もいた。 53人は還流資金を使ったと答えた。使途は書籍代、車両購入費、人件費、手土産代などの項目を挙げただけで、具体的なことは分からない。その上で「政治活動以外に用いた」「違法な使途に使用した」と答えた議員は一人もいなかったと結論付けた。 そもそも自己申告のアンケート回答や、身内による聞き取りでは問題の核心には行き着くまい。野党が「お手盛り調査だ」と批判するだけでなく、自民党内から「調査に本気度を感じない」と冷ややかな声が漏れるのも当然だ。 安倍派では22年のパーティーに際し、会長だった安倍晋三元首相が収入の還流をやめると決めたが、安倍氏が死去した後に方針が翻った。 この経緯について、安倍派の複数の議員が「誰がその決定をしたのかについては誰も語らない」などと不信感を口にし、幹部の責任を問う声が出ている。 経緯を知る立場にある安倍派の歴代事務総長ら幹部に聞き取りをしたものの、不明確なままだ。 一方、安倍派で裏金づくりが始まったのは「遅くとも十数年前」「場合によっては20年以上前」とみられる。 発端と趣旨を明らかにするには、かつて会長を務め、今も安倍派議員に影響力を残す森喜朗元首相の調査が欠かせない。党総裁の岸田文雄首相が指導力を発揮する場面だ。 アンケートと聞き取りを通じてはっきりしたのは、自民党に自浄能力がないことだ。第三者が調査しない限り、裏金の真相には迫れない。 岸田首相は「今後とも説明責任を果たしていくように求めていく」と言うばかりだ。首相が考える説明責任とは一体何なのか。 野党は国会の政治倫理審査会に安倍派幹部や二階俊博元幹事長らが出席し、説明することを要求している。 国民は調査に納得していないだろう。自民党は政倫審への出席を拒むべきではない。 |
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●政治テロ、本当にある? 「連座制」後ろ向きの理由 2/17
ライバル議員に息のかかった会計責任者を送り込み、わざと違法行為をさせることはあり得るのか―。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、政治資金規正法への導入が議論されている「連座制」。議員に連帯責任を負わせる仕組みだが、自民党議員の一部はこうした「政治テロ」を理由に後ろ向きだ。元国会議員秘書らは「故意の不正の可能性はある」としつつ、丁寧な法改正を求めた。 「議員が法律違反に関わっていない場合の失職や、おとりなどによる制度の悪用防止の議論が必要だ」。14日の衆院予算委員会で自民党の上野賢一郎議員が「職を失うかもしれないという強いプレッシャーを政治家にかけないと、今回のような問題は一向に解決されない」と連座制の採用を求めたのに対し、岸田文雄首相はこう答弁した。 自民党の裏金事件では、安倍派(清和政策研究会)の会計責任者が在宅起訴された一方、幹部議員らは一様に立件を免れた。こうした状況を野党などが問題視。公選法を参考に、政治団体の会計責任者が有罪となった場合に、代表である議員が失職する連座制の導入を提案するようになった。 |
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●「未記載でも合法と認識」「お金のことはあれこれ言うものではないと育ってきて」自民党“裏金”調査報告書に失笑の言い訳続々…「ドリル優子がなぜ聴き取り役?」 2/17
「気持ち悪いと思っていたので使わなかった」「不明朗な金銭だった」……報告書に記された国会議員の数々の証言が、「裏金」の特異性を如実に示していた。自民党が2月15日、党派閥による政治資金パーティーをめぐる政治資金規制法違反事件について、関与した議員らに行なった事情聴取の報告書を公表した。 ●報告書の公表も評価は分かれる 「気持ち悪いと思っていたので使わなかった」「不明朗な金銭だった」…… 派閥からのノルマ超過分にあたる「キックバック」、つまり「裏金」を受けとったものの、その資金を使わなかったとした議員らがその理由を問われて答えた内容の一部である。 多くの自民党議員が、「後ろ暗いカネ」「グレーなカネ」と認識していたことを、この回答が浮き彫りにしているといえよう。20ページにわたる報告書で何が明かされ、何が明かされなかったのか。その中身を詳報する。 「客観性、あるいは中立性にも最大限配慮した報告書を取りまとめていただいたと考えている」 岸田文雄首相は2月15日、首相官邸で記者団に報告書が公表されたことへの受け止めを問われ、こう述べた。さらに、「あらゆる機会を捉えて、国民の信頼回復に向けて関係者には説明責任を果たしてもらわなければならないと考えており、党としても求めていきたい」と議員側に一連の問題についての対応を求める考えも示した。 野党は、橋本龍太郎元首相ら複数の自民党幹部へのヤミ献金が発覚した「日歯連事件」などでも開かれた政治倫理審査会(政倫審)の開催を求めて攻勢を強めており、与党側がそれに応じる構えもみせている。 政倫審の場に、安倍派の「五人衆」、二階派を率いる二階俊博元幹事長ら疑惑の渦中にある大物議員が立つのかが、今後の焦点となりそうだ。 今回の報告書の公表が一連の政治資金パーティー問題の終幕に向けた一つの区切りとなりそうだが、その中身については評価が分かれている。 「調査は、森山裕総務会長を筆頭とする党幹部6人と二つの弁護士事務所から選ばれた7人の弁護士が担当しました。ただ、自民党から選出されたメンバーには小渕優子選対委員長も参加していました。 小渕さんは過去に政治資金規正法違反のスキャンダルに見舞われ、その際に会計記録の入ったハードディスクがドリルで破壊された状態で見つかったことから『ドリル優子』と揶揄され続けている。いわば疑惑の当事者である小渕さんが議員の聴き取り役に回ったことへの批判は当初から燻っていました。 さらに報告書に掲載された回答はすべて匿名になっており、永田町の記者連中からも『お手盛り感満載』『及び腰だ』などの指摘が相次いでいます」(政治部記者) ●失笑ものの言い訳を連発 報告書では、現職議員82人に加え、現職議員ではない選挙区支部長3人、8つの派閥・グループの代表者と事務総長ら91人が聴取対象になったという。 「現職議員82人と支部長3人はそれぞれ、安倍派と二階派の所属です。このうち安倍派の対象は79人で突出しています。一方、二階派は6人ですが、派閥の長である二階俊博元幹事長、武田良太元総務大臣ら大物議員が名前を連ねています。 このうち、安倍派の森まさこ氏については、ほかの議員とは違う対応が取られたようです。森氏の夫が聴取を担当した弁護士事務所の所属であるため、『公平性を担保するため』として夫の所属先とは別の事務所の弁護士が行ったとしています」(同) 報告書では、議員がキックバックを受けたことを認識していた場合、認識していなかった場合、それぞれのケースに応じてその理由を無記名で回答させている。 「名前が出ない」という安心感もあってか、議員側は、失笑ものの言い訳を連発しているのが記されている。たとえばキックバックを「認識していた」とする議員の回答で、「収支報告書に記載しなかった理由」として、 「秘書によれば(中略)派閥の事務局から、領収書はいらないと言われた」 「もともと記載したいという思いはあったが、派閥事務局からの記載不要との説明を受けて、記載しなくても合法なのだと認識した」 などと弁明している。キックバックを「認識していなかった」とした議員からは、「派閥の事務所から秘書に対し(中略)派閥からは記載しないでほしい、記載すると他の議員に迷惑がかかると言われた」などの回答があったが、なかには次ページのように生々しい現場のやり取りを答えた者もいる。 ●「お金のことはあれこれ言うものではないと育ってきて…」 「担当秘書が派閥事務所に呼ばれて、還付金(=キックバック)を現金で渡された。(中略)派閥事務所からは『記載しなくてよい。場合によってはご自身のパーティーのほうに混ぜてもらったらよいのではないか』と言われた。(中略)指示に従って記載はしなかったが、秘書は使うと危ないと考えて現金でそのまま保管していた」 噴飯物だったのは以下の回答だ。 「日ごろ、お金の増減の確認ぐらいしかしていなかったが、会計の確認の習慣を持っておくべきだったと反省している」 「お金のことはあれこれ言うものではないと育ってきて、経理のことは秘書に任せていたが、監督責任を痛感している」 報告書は、キックバックの使途についても調査しており、「会合費」「懇親費用」などのほか、「手土産代」「弁当代」「書籍代」といった政治活動との関連が曖昧なものも。「気持ち悪いと思って使わなかった」「“裏金”みたいなものではないかと思い、全額残した」と違法性を認識していたかのような回答もあったという。 報告書は、調査を踏まえた「再発防止に向けた提言」を打ち出しており、「一人ひとりの議員・秘書において、法令違反やコンプライアンス上グレーな状況を把握した際に、本当にこのやり方でいいのか、霧を晴らす術はないのかを妥協なく追求する姿勢が徹底できなかった」と断じている。 さらに、「上の者に対する畏怖や忖度から指摘されるべきことが指摘されないと不正は重症化」すると指摘。「当選回数による序列や人事への懸念から、若手議員が意見しにくい閉鎖的な組織風土が派閥内に生まれてしまっていたのではないか」と派閥政治が生んだ弊害を訴えている。 結党以来、何度も「政治とカネ」の問題に見舞われてきた自民党。果たして報告書が提案する道筋に沿って、根深い問題の根幹となっている派閥を解消し、再生はできるのだろうか。 |
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●稲田朋美衆院議員「不記載は知らなかった」 196万円の還流・未精算が判明 2/17
大きな政治不信の発端となった自民党の“裏金事件”。福井1区選出の稲田朋美衆院議員は還流金と未精算金があわせて196万円あったことが判明した。 事務所は2023年12月、「キックバック目的でパーティー券を販売したことはない」とし、稲田議員本人は「不記載であったことは知りませんでした」と答えた。 ●6期連続当選 数々の要職を歴任 稲田朋美議員は現在の福井・越前市生まれ。早稲田大学卒業後、弁護士となった。 2005年の衆院選に福井1区から出馬し、初当選。6期連続当選を果たし、自民党政調会長や防衛大臣などの要職を歴任してきた。座右の銘は「高邁(こうまい)な精神で決断し、断固として行動する」。 今回の裏金事件に関連して、還流金と未精算金があわせて196万円あったことが判明した。 稲田事務所は2023年12月、福井テレビの取材に「私を含めてほとんどの議員は割り当て分を消化するのに四苦八苦していたというのが実情だと思います。いわゆる裏金集めやキックバックを目的としてパーティー券を販売したことはありません」と回答した。 2月4日、自民党福井県連の会合が福井市内で開かれ、稲田議員は党員に釈明した。このほか還流金が判明した高木毅衆院議員(福井2区)、山谷えり子参院議員(全国比例区)、還流金があったと指摘を受けた山崎正昭参院議員(福井県選挙区)も出席した。 会合後、稲田議員はマスコミの囲み取材に応じた。 稲田朋美衆院議員(福井1区)「党員という私たちを支えている方々ですが、周りから非常に厳しい声を聞いているし、いろんな意見が出ました。中でも事実関係を明らかにしてほしいという声が出ました。安倍首相がやめると決めたものをなぜ復活させたのかや、これからどういった改革をしていくのか、姿勢をみせることで選挙に向けての環境整備を行うべきなど、たくさんの意見が出たと思います。」 政治資金収支報告書についての不記載などについて問われた稲田議員は、「私はそれは聞いていません。不記載であったことも知りませんでした」と話し、その場を後にした。 |
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●大阪万博“ないない尽くし”設計者が明かす…「強行なら能登復興の足かせに」 2/17
この寒空の下、6万8000人以上が避難生活を送る能登半島地震の被災地を尻目に、来年4月の開幕に向け、急ピッチで準備が進む大阪・関西万博。主催者の政府と大阪府・市、経済界は「万博と復興の同時並行」にこだわり、万博が被災地復興の妨げとなる懸念を一顧だにしない。 岸田首相は各省庁に「復興に支障がないように」と指示したが、少しは万博に携わる現場の声に耳を傾けたらどうなのか。 「万博開催に反対ではありませんが、どう考えても半年は延期した方がいい」--。こう訴えるのは、パビリオン設計を担当する1級建築士だ。 「現状のまま強硬に準備を進めても、復興の足かせになりかねない」と語り、次のように指摘する。 「万博会場となる夢洲は、いまだに水道や電気すら通っておらず、発電機と仮設トイレが欠かせません。水道や電気などライフラインの整備が急がれるのは被災地も同じ。万博会場では春ごろから一気にパビリオン建設が始まる予定です。建機だけでなく、発電機も復興工事と奪い合いとなり、被災地に必要な数が用意できるのか懸念されます。万博準備にかかる現場の負担や被災地復興を考慮するのであれば、万博を半年延期して時間差をつくる方がメリットがある。万博準備に余裕が生まれ、労働災害を未然に防げるかもしれない。被災地に優先的に建機や人手を割いて復興も進められる。政治的なメンツが大事なのかもしれませんが、被災地の復興を何よりも優先すれば、国内外で賛同を得られるはずです」 ●設備関係の人手が少ない 万博協会の十倉会長は万博と被災地では必要な工事は異なるとして「復興に支障をきたすことはない」と主張するが、すでに万博準備ですら人手が足りていない状況だ。 「建設業界の深刻な人手不足は今に始まったことではありませんが、特に電気や空調など設備関係の職人さんが不足しています。パビリオン内部の設備工事に関する概算を取ると、どこも『人がいない』と口をそろえます。全国の大型プロジェクトに職人さんが駆り出されていて、10社に工事を依頼しても引き受けてもらえない状況です。万博会場は冷水供給による空調設備が導入される予定なのですが、人手だけでなく、その専用機器も足りていないようです。実装できないパビリオンも出てくるのではないか」(前出の1級建築士) 時間もインフラも人手も「ないない尽くし」の万博準備。被災地を最優先に考える政治家もいない。 |
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●南海トラフ地震 四国最大9万人超の死者想定 能登地震で警戒強まる 2/17
1月に発生した能登半島地震を機に、四国でも南海トラフ地震への警戒が強まっている。最大クラス(マグニチュード9・0、震度7)が起きた場合、四国4県を合わせた現在の最大被害想定では死者数が9万5500人にのぼり、発生翌日の避難者数は100万人を超える。能登地震を受け、四国でも被害想定の見直しを表明する自治体が相次いでおり、今後さらに増える可能性もある。 ●高知 高知県地域防災計画(2023年6月修正)によると、土佐清水市と黒潮町で最大34メートルの津波襲来が予測されている。揺れも激しく、26市町村で震度7、8市町村で震度6強と想定される。 13年5月に策定した最大の被害想定では、建物被害は全壊・焼失が約16万棟、死者数は約4万2000人(津波約3万6000人)。発生翌日の避難者数は約43万8000人、孤立集落は657集落、直接経済被害額は9兆円にのぼると見込まれる。ライフラインの断絶も深刻で、上水道の断水人口は57万5000人に及ぶ。 高知県では、被害を最小限にとどめることを目的に「南海トラフ地震対策行動計画」を段階的に進めている。住宅耐震化の進捗や津波からの避難タワーの整備などにより、第4期計画終わりの22年3月では、想定死者数を8800人まで減らせたとしている。引き続き、耐震化や住民の高台への早期避難の意識向上などに取り組み、第5期計画終わりの25年3月には想定死者数を4300人に減らすことを目指している。 ●徳島 徳島県地域防災計画(23年1月修正)によると、紀伊水道に面した徳島市から阿南市にかけての沿岸域で震度7、県南部や吉野川下流域で震度6強と予測している。地震発生から44分後には海陽町・宍喰漁港に15・8メートルの津波が押し寄せると見込まれている。 被害想定では、県内で全壊建物は最大11万6400棟。死者は3万1300人、避難所以外での生活を余儀なくされる住民を含めると、避難者数は直後に31万600人、1週間後には36万2600人にのぼる恐れがある。ライフラインでは、発生1日後でも上水道73%、電力72%などが使えないと想定され、県内の直接的な経済被害は6兆4000億円以上と試算されている。 23年1月の県想定は国の中央防災会議が22年6月に修正した「防災基本計画」の内容を前提としている。 ●愛媛 愛媛県の地域防災計画(23年2月修正)などによると、松山市をはじめとする13市町で震度7、7市町で震度6強と予測される。県内最高位の津波は、発災から59分後の伊方町の名取西海岸で、21・3メートルに達するという。 被害想定では、死者約1万6000人を見込み、うち半数は津波が原因としている。全壊または焼失する建物被害は約24万棟と予測。発生翌日の避難者数は約43万7000人にのぼるとしている。電力、ガス、水道のライフラインや交通施設などを含めて、直接的な経済被害は16兆2000億円と試算している。 被害想定は、県が13年に実施した調査に基づいている。23年度からの国の見直しに合わせ、県は24年度当初予算案に新たな調査費を計上している。 ●香川 香川県地域防災計画(24年2月修正)では、県内を三つに分けた場合の東と西の平野部を中心に震度6強、観音寺市と東かがわ市、三豊市のごく一部で震度7を予測している。津波に伴う最高水位は2・2〜3・8メートルで、高松市、観音寺市など8市町で3メートル以上。浸水面積は県全体で69・8平方キロに及ぶ。 14年6月にまとめた被害想定では、最大で3万5000棟が全壊し、死者数は6200人、発生当日と翌日の避難者数は19万9000人。直接的な経済被害は3兆4000億円にのぼると試算されている。 県は家具転落防止など減災対策や県民の防災意識の向上に力を入れており、危機管理課は「今後、能登半島地震での石川県の対応状況、国の検討を踏まえて地域防災計画に反映させていきたい」と話している。 ●高知大・大槻知史教授(コミュニティー防災論)の話 減災には住んでいる場所や小さい子どもがいるかどうかなど、自分の置かれた状況から発生1週間後までに何が心配かを考えることが大事だ。家具の転倒防止など、できることから始めればいい。自分1人で考えるのは難しいので、家族や親戚、地域との会合などで、まずは気軽に話題にしてみてほしい。日常生活がある中で災害対策のために時間を使うのは心理的負担かもしれないが、水を定期便で注文するなど、普段の生活を便利にする延長で災害のためにもなる行動を積み重ねるだけでも意味はある。 |
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●旧統一教会“宣戦布告”岸田派を狙い撃ち…友好メディアで「ツケは高く付く」 2/17
まるで宣戦布告だ。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の友好団体が発行する「世界日報」がここ数日、苛烈な岸田政権攻撃を展開している。 代表例が14日スタートの「検証 家庭連合解散命令請求 暴走した政治とメディア」なる連載コラム。初回は「政府与党の急変」と題し、新たに教団との接点が発覚した盛山文科相を擁護する岸田首相を痛烈批判だ。 〈岸田氏も、関連団体トップと面会した過去があることが分かっているが、辞任ドミノを恐れるあまり知らぬ顔をして乗り切ろうとしている〉と指摘。教団との接点が次々と発覚した山際元経済再生相を辞任させたことを引き合いに〈以前関係があったとして閣僚を外された議員との整合性が保てない〉とこき下ろし、最後はこう締めくくっている。 〈もともと「違法性はない」選挙協力を自ら問題にしたのは、首相ら自民党だ。延命のため世論に踊らされたツケは高く付く〉 盛山文科相のほか、同じ岸田派の林官房長官も新たな接点が判明。岸田首相もまた、教団関連の冊子を手に笑う自身の写真を今週発売の週刊新潮に報じられた。外相時代の8年前に撮影されたという。まさに岸田派の大臣を狙い撃ち。教団関係者の内部告発を思わせる報道が相次ぐだけに、締めの言葉は不気味に響く。旧統一教会問題を追及するジャーナリストの鈴木エイト氏が言う。 「攻撃対象は自民党全体ではなく、あくまで岸田派限定。世界日報も触れていますが、教団側が腹に据えかねているのは、2022年10月19日の岸田首相の国会答弁です。宗教法人法における解散命令請求の要件に関し、前日まで『民法の不法行為は入らない』との解釈を披露し、刑事罰を科された法人に限るとしたのが、1日で『民法上の不法行為も含まれる』とコロリ。閣議決定も経ず、法解釈を変更したことが許せない。国の教団への解散命令請求を巡り、22日に東京地裁が双方の意見を聞く初の『審問』を控え、政権批判で揺さぶりをかける狙いがあるのでしょう」 議員の自己申告に基づく党内点検と違い、教団側は過去の接点を正確に把握。今後もさみだれ式に岸田派の疑惑が飛び出しかねない。教団の肩を持つ気はサラサラないが、ズサン点検でお茶を濁したツケは高く付きそうだ。 |
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●内閣支持16.9%、最低更新 不支持初の6割台 時事世論調査 2/17
時事通信が9〜12日に実施した2月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の16.9%となり、発足以来の過去最低を更新した。 不支持率は同6.4ポイント増の60.4%で、初めて6割を超えた。 支持率は、2012年12月の自民党の政権復帰後で最低。「危険水域」とされる2割台以下は7カ月連続で、直近3カ月は1割台に落ち込む。一方、不支持率が6割台に達するのは安倍内閣の20年5月以来。自民党派閥の裏金事件などが影響したとみられる。 自民党の政党支持率は前月比1.7ポイント増の16.3%。過去最低を記録した1月から微増したものの、4カ月連続で1割台と低迷が続いている。 自民党は先に、政治改革の中間取りまとめを決定。派閥について、政治資金パーティー開催や人事関与を禁じたが、政策集団としての存続は認めた。この内容を「評価しない」は67.3%で、「評価する」の14.1%を大きく上回った。 派閥の存廃については、「解散すべきだ」が63.8%。「存続すべきだ」は10.3%にとどまった。 能登半島地震の政府対応は、「評価する」29.6%(前月比2.4ポイント減)、「評価しない」37.6%(同2.9ポイント増)だった。 内閣を支持しない理由(複数回答)は「期待が持てない」36.9%がトップ。「政策がだめ」26.8%、「首相を信頼できない」25.1%と続いた。支持する理由(同)は「他に適当な人がいない」8.4%が最も多かった。 政党支持率は自民党が首位で、立憲民主党4.1%(前月比0.6ポイント増)、公明党3.6%(同0.5ポイント増)、日本維新の会3.3%(同0.5ポイント減)の順。23年ぶりにトップが交代した共産党は0.5ポイント増の2.4%だった。以下、れいわ新選組0.9%、国民民主党0.4%、社民党0.3%、参政党0.3%で、教育無償化を実現する会はゼロ。「支持政党なし」は64.7%。 調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は59.1%。 |
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●巨額支援なら増税′恃O ウクライナ復興会議、飛び交う「6兆円支援」も 自国防衛手薄の本末転倒 米は日本をATM扱いか 2/17
ロシアの侵略を受けるウクライナの復興について話し合う「日・ウクライナ経済復興推進会議」が19日、東京都内で開催される。岸田文雄首相やウクライナのデニス・シュミハリ首相など、両国の政府、企業関係者ら計約300人が参加し、地雷対策、生活改善といった緊急復旧支援やウクライナの産業高度化をめぐり協力策を議論する。国際機関などの試算で、ウクライナの復興には約60兆〜70兆円が必要とされるが、岸田政権は日本の支援額を明確にしていない。わが国に中国や北朝鮮の軍事的脅威が高まるなか、ジャーナリストの長谷川幸洋氏は飛び交う「6兆円支援」という推測を明かしたうえで、増税や自国防衛が手薄になる懸念に迫った。 ウクライナを支援する「日・ウクライナ経済復興推進会議」が19日、東京で開かれる。日本政府が音頭を取って民間企業の参加を募り、地雷除去をはじめ建設、エネルギーなどの分野でウクライナの復旧、復興を支援する、という。 注目されるのは、政府の支援額だ。すでに「6兆円に上るのではないか」などという推測も飛び交っている。巨額になれば、岸田政権は増税も言い出しかねない。何のための支援なのか、根本に遡(さかのぼ)った議論が必要だ。 日本政府は、ロシアのウクライナ侵略について「一方的な現状変更を許さない」「法の支配に基づく国際秩序を維持する」「ウクライナに寄り添う姿勢を示す」などと繰り返してきた。それに異論はないが、だからといって「日本がいくらでもカネを出す」という話にはならない。 なぜなら、いまや日本自身の平和と安全が脅かされているからだ。まず自分の身の安全を確保しなければならず、そのうえでウクライナ支援を考える、という話になる。 それは米国も同じだ。 いま米国が、なぜウクライナ支援を渋っているかと言えば、「もう十分支援した」「これ以上は欧州に任せよ」「米国は中国との対決に備えなければならない」という理由があり、加えて、「米国自身が南部国境で不法移民の脅威にさらされている」からだ。 米国はバラク・オバマ政権時代に「世界の警察官ではない」と宣言した。いまの米国は自分の国益を最優先で考えている。米国の対応能力に限りがある一方、中国やロシア、イラン、北朝鮮といった「悪の枢軸」勢力とその手先が世界で公然と、あるいは水面下で暴れ回っている現状を見れば、それは当然である。 ●米は日本をATMのように見ているのか 1990年の湾岸戦争で、日本は多国籍軍の支援に約1兆8000億円を負担した。当時の一般会計予算の約3%だ。それを賄うために、石油税と法人税の臨時増税までした。今回、もしも6兆円規模になるとすれば、5%程度になる。前例にならって増税論議が起きても不思議ではない。 日本は増税してでも、ウクライナを支援すべきなのか。 私は、日本自身の安全保障に使われるのであればまだしも、ウクライナ支援のための増税には賛成できない。それほどの支援が必要なら、まずロシアの脅威にさらされる欧州が検討すべきだ。 一部には、「ロシアの侵略を止めなければ、世界が無法状態になる」とか、「中国を元気づけてしまうので、巡り巡って日本にも脅威になる」「だから支援すべきだ」といった議論がある。 だが、そうであるなら、だからこそ、日本は中国の脅威に備えるべきだ。ウクライナを支援するために、日本が自国の防衛に手薄になってしまうのであれば、まさに本末転倒である。ロシアや中国は「おいおい、日本は自分の足元を見たらどうだ」とせせら笑うのではないか。 ジョー・バイデン米政権は、岸田政権を自分の代わりにカネを出す現金自動支払機(ATM)のように見ているのだろう。企業はといえば、政府がカネを出すなら、絶好のビジネスチャンスになる。日本の偽善者たちは「それが日本の世界に対する貢献だ」などと宣伝している。 日本は、いつまでも「世界ナンバーワンのお人よし」であってはならない。 |
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●世界の「民主主義指数」日本は何位? 上位は北欧諸国 2/17
世界各国の「民主主義指数」2023年版ランキング 2024年は、民主主義の転換点になるかもしれない。政治と人の関係性を結び直す方法は? イギリスの経済誌「エコノミスト」の調査部門が、世界の国々の「民主主義」の状況を10点満点で採点する「民主主義指数」の2023年版を発表した。 調査部門EIU(エコノミスト・インテリジェンス・ユニット)の「民主主義指数」は、60に上る指標のスコアを五つのカテゴリーに分類して集計。その平均値を総合スコアとしている。対象は167の国と地域。2023年版は24年2月15日に発表された。 ランキング1位はノルウェーで、総合スコアは9.81だった。最下位はアフガニスタンで0.26。日本の総合スコアは8.40で、世界16位にランクされた。 なお、アジア最上位は台湾で、世界の中では10位。韓国は22位、アメリカは29位、ロシアは144位、中国は148位、北朝鮮は165位だった。 上位5カ国のうち4カ国を北欧諸国(ノルウェー、アイスランド、スウェーデン、フィンランド)が占めた。反対に、最下位からの3カ国(アフガニスタン、ミャンマー、北朝鮮)はいずれもアジアの国々となった。 ●日本は上位だが「政治参加度」が低い 評価で用いたカテゴリーは、次の五つだ。 ・選挙プロセスと多元主義 ・政府の機能度 ・政治参加 ・政治文化 ・市民の自由 日本の数字をみると、「選挙プロセス」や「市民の自由」は9点台だったが、「政治参加」は6.67で比較的低かった。 これに対し、台湾は「選挙プロセス」が10点満点、「政治参加」も7.78で日本より高くなっている。 EIUは総合スコアに基づき、167の国・地域を、完全民主主義(総合スコア10〜8)、欠陥民主主義(8〜6)、混合体制(6〜4)、独裁体制(4〜0)に4分類した。 「完全民主主義」に入ったのは24の国・地域で、世界人口に占める割合は7.8%にとどまっている。 東アジアの台湾、日本、韓国は総合スコアが8点を超えて「完全民主主義」に入った。 EIUは日本について、「アジアの中で最も安定性の高い民主主義国」だと評価。直近の政治情勢については、「長期政権を維持してきた自民党が下野の危機に直面する可能性もある。しかし同国の民主主義の根幹が揺らぐことはないだろう」とコメントしている。 ●2024年は選挙の年 アメリカはどうなる EIUのリポートは、世界全体をみると「2023年は民主主義にとって幸運な年ではなかった」と位置づけている。総合スコアの平均は5.29から5.23に低下。指数の発表を始めた2006年以来最低の記録となったという。 世界人口のほぼ半数、45.4%は「何らかの民主主義」のもとで暮らしているが、「完全民主主義」に住む人は7.8%で、2015年の8.9%から減少した。世界人口の3分の1以上は権威主義的統治下で生活しており、その割合は徐々に増えているとしている。 24年には世界人口81億人の半分以上を占める国々で選挙があり、「普通選挙導入以来、最大の選挙の年になる」という。 リポートでは「選挙は民主主義の条件だが、それだけでは十分とは言えない」と指摘。アメリカの大統領選については、予想通りバイデン大統領とトランプ前大統領の対決となった場合、「かつて民主主義の灯台であった国は、さらに分裂と幻滅に陥る可能性が高い」と予測している。 |
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●国民民主・玉木氏「トリガー」協議離脱の"裏側" 2/17
国民民主党の玉木雄一郎代表が、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」凍結解除をめぐる自民、公明両党との協議離脱を決断したことが、与野党に複雑な波紋を広げている。 これまで、予算案賛成などで与党にすり寄り、次期衆院選後の「政権入り」も取り沙汰された玉木氏の、唐突に見えた“変身”。その裏舞台には、「岸田文雄首相をはじめ与野党最高幹部らの“権謀術数”が渦巻いている」(自民長老)との見方が少なくないからだ。 当の玉木氏は、協議離脱について「岸田首相に『トリガー解除』の余裕がなくなったことが原因。まさに『約束違反』で、離脱は当然」と岸田首相の“裏切り”をなじる。そのうえで、トリガー凍結解除という「政策目標」の実現に向け、一転して旧民主党時代の「仲間」の立憲民主党の協力が必要と秋波を送った。 これに対し、岡田克也・立憲民主幹事長は「考え方を改め、野党がまとまっていくべきだと考えるなら、懐深く対応していきたい」と国民との連携に意欲を示したうえで「国民民主の吸収合併」にも言及した。 これには国民民主幹部が「上から目線」などと猛反発、玉木氏も「ああいう発言ではますます(連携が)難しくなる」と不快感を隠さず、双方の感情のもつれが露呈した。このため、永田町では「自民に使い捨てにされ、立憲にも見放されたのが玉木氏。まさに一人芝居の果ての自滅」(自民長老)との厳しい指摘も広がる。 ●「岸田首相の裏切り」と協議離脱決断 玉木氏は2月6日、衆議院予算委で岸田首相に対し、高騰する燃油価格抑制のための補助金の期限が4月末までとなっていることを踏まえ、「ただちにトリガー条項の凍結を解除してほしい」と迫った。しかし、岸田首相は「3党の検討チームにおいて、ぜひ検討させたい」などと言質を与えずにのらりくらりとかわし続けた。 これに憤慨した玉木氏は、質疑終了後、記者団に対し「5月以降、トリガーの発動のメドがなければ協議を継続する意味がない。協議の離脱を決断せざるを得ない」と自民、公明、国民民主の3党協議からの離脱を宣言。 これを受けて、国民民主は7日の党会合で協議離脱を正式決定。トリガー条項の凍結解除に「政治生命をかける」として自公との協議を進めてきた玉木氏に対する「責任論」も出なかった。それも踏まえて玉木氏は、記者団に「派閥の裏金問題が自民党の政策推進力や調整力を著しく低下させ、難しい減税政策を進められなくなった」と自民に“責任転嫁”した。 ただ、今回の玉木氏主導の協議離脱劇について、昨年末、玉木氏との路線対立から国民民主を離党し、「教育無償化を実現する会」という新党を結成した前原誠司前国民民主代表代行は、翌8日の記者会見で「玉木代表は何らかのけじめが必要だ」と皮肉るとともに、「自民党にすり寄っても相手にされなかった。(政治的に)非常識だったということ」と批判した。 ●「考え方を改め」との岡田発言にも反発 こうした経過を受けて、国民民主は12日、東京都内に所属国会議員と支持者約350人を集めて開いた定期党大会で「政策本位で協力できる政党とは与野党を問わず連携するが、『正直な政治』が大前提」とする2024年度活動方針を決定。ただ、玉木氏はあいさつで「裏金問題は政治への信頼を根底から揺るがす大問題」と厳しく批判するなど、これまでの与党寄りの姿勢を事実上修正してみせた。 これに先立ち岡田・立憲民主幹事長は10日、国民民主の路線転換について「考え方を改め、野党がまとまっていくべきだと考えるなら、懐深く対応していきたい」と国民との連携に意欲を示した。ただ、玉木氏は12日の定期党大会後の記者会見で、岡田氏の「考えを改めるなら」との発言について「(岡田発言で)ますます(連携は)難しくなる。わが党の中にも思いがあるということに、もう少し理解と配慮をいただきたい」と不快感を示した。 そのうえで玉木氏は、立憲と国民の合流の可能性について「安全保障やエネルギー、憲法などの基本的政策について一致できる政党があれば、『連立』は可能だが、現在の立憲民主はそれを満たしていない」と指摘し、「今、ともに政権を担う政党とは考えていない。一致させるために議論する用意はあるが、そういう話は来ない」と突き放した。 そもそも、玉木氏は与党との協議離脱を決断した6日、立憲幹部に4月の衆参統一補選での連携を持ち掛け、両党は14日にも党首会談を行うべく調整に入ったが、10日の「岡田発言」への国民民主の反発で頓挫し、玉木氏は13日の泉健太・立憲代表との電話会談で協議見合わせの意向を伝えたとされる。その際玉木氏は、国民民主がトリガー発動に必要な法案を日本維新の会と共同提出した経緯を踏まえ、立憲との協議先行に否定的態度も示したという。 ●立憲・国民との3党連携は「ナンセンス」と維新 こうした経緯から玉木氏は14日、立憲、維新との連携について「3党で何らかの形で議論したり会ったりすることは否定しない」として、今後は3野党連携を模索する考えも示した。ただ、馬場伸幸・維新代表は15日、「トリガー条項」発動で泉氏から協議呼びかけがあったことを明らかにしたうえで、「今さら、(立憲、国民、維新の)3党で与党側に(トリガー条項発動要求を)突き付けていくのは、非常にナンセンス」と3党連携を全否定した。 こうして、「トリガー凍結解除で右顧左眄の果てに孤立化した玉木氏」(自民長老)について、有力な政治アナリストは「次期衆院選での党の生き残りに懸ける玉木氏が、『裏金事件で国民に見放された自民と組むより、野党と連携したほうが得だ』と考えた結果」と分析。 併せて、自民党のつれない対応についても「改憲や防衛政策で抵抗する公明を牽制するために国民民主の取り込みに動いたが、裏金事件への国民批判で次期衆院選に向けた公明との関係強化が不可欠となり、国民民主どころではなくなったのでは」と解説する。 そもそもここ数十年の政治史を振り返ると、「与(よ)党と野(や)党の間に位置する国民民主のような(ゆ)党は、いずれも一定期間存続後、賞味期限切れで消滅した」(自民長老)のが実態。玉木氏については「もともと自民党からの出馬がかなわず、当時の民主党から中央政界入りした」(同)との指摘もあり、旧民主党政権崩壊後の分裂騒ぎの中で「自民一強政権に潜り込むチャンスを狙ってきた」(閣僚経験者)との見方が少なくない。 だからこそ、「トリガー凍結解除という『国民的人気商品』を自らの自民への売り込み材料に使った」(同)わけだが、「その思惑は昨年末からの巨額裏金事件での元の木阿弥」になった」(同)格好だ。こうした玉木氏の対応に、最新の一部メディア世論調査では国民民主の政党支持率が半減しており、当面は「玉木氏が孤立脱出の妙手を打ち出せるかどうか」が注目されることになる。 |
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●能登半島地震 下水管復旧見通し立たず 9割超で被害 石川 珠洲 2/18
広い範囲で断水が続いている石川県珠洲市では下水管も大きな被害を受け、トイレなどが使えない状況が続いていて、市が被害の状況確認や復旧作業を急いでいます。 珠洲市では市の人口の半数余りが公共下水道が整備された地域で生活していますが、これまでの市の調査でマンホールが浮き上がるなど、市内の下水管の94%で被害が確認されています。 市は復旧を進めるため、被害状況についてさらに詳しい調査を進めていて、18日は専門の業者がマンホールから特殊なカメラを入れて下水管の破損状況などを細かく調べていました。 さらに、各家庭などから集まった下水を処理施設に送り込む「圧送管」と呼ばれる配管も大きな被害が確認されたことから、業者が1本4メートルの仮のパイプをつなぎ合わせて敷設する作業を進めていました。 市によりますと、下水管は大きな被害を受けている一方、調査と工事を行う業者は県外からの派遣に頼っている状況で、復旧の見通しは立っていないということです。 被災地に派遣され、復旧作業にあたっている名古屋市上下水道局 珠洲市応援隊 太田宗由下水道隊長は「熊本地震や東日本大震災では下水管の被災が3割程度だったのが、珠洲市では9割を超えていて被害の大きさがうかがえる。厳しい環境で避難生活を送っている市民のためにも復旧を急ぎたい」と話していました。 ●各家庭の浄化槽にも被害報告相次ぐ 珠洲市では今回の地震で公共下水道が大きな被害を受けているほか、各家庭に設置された、生活排水を処理する浄化槽にも被害の報告が相次いでいます。 市によりますと、市の北部を中心に浄化槽を設置している家庭が多く、浄化槽に亀裂が入ったり沈んだりなどといった被害が出ているということです。 浄化槽を利用しているのは市内の家庭の4割余りに上るとみられ、現在、県の浄化槽協会が点検などを進めていますが、市によりますと、被害の全体像は明らかになっていないということです。 |
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●田に亀裂、コンバインつぶれ「今年は米育てられない」 輪島の農家ぼうぜん 2/18
能登半島地震で農家も打撃を受けている。石川県輪島市門前町の道下地区で稲作に励む農事組合法人「モロオカエーシー」は、管理する田んぼ25ヘクタールの大部分が被災した。代表理事の竹内毅さん(41)は「今年は育てられない」と先の見えない苦境にぼうぜんとしていた。 夏には青々とした苗が風に揺れ、収穫期には一面が黄金色に光る。のどかな田園地帯に広がる田んぼは地震で一変した。所々で亀裂が入ったり、液状化して泥まみれになったり。震災から1カ月がたち、初めて被災状況を目の当たりにした竹内さんは「今年は無理。心が折れかけている。こんな田んぼは見たことがない」と立ち尽くしていた。田んぼ近くの農業機械を格納する倉庫も崩れ、コンバインや田植え機が押しつぶされた。 法人は父の新一さん(故人)と地元の農家数人が約30年前に立ち上げた。2007年の能登半島地震では農機具や田んぼが被災。金沢で営業マンとして働いていた竹内さんは12年に地元の農業を復興させるため帰郷を決意。父と二人三脚で懸命に働いた。現在は1人で法人を運営する。 ミネラル豊かな奥能登ならではの土壌で「コシヒカリ」や「ひゃくまん穀」といった品種を育て「安心安全でできる限り少ない農薬で育てた。東京や大阪に『うちの米じゃないといや』と言うファンもついてきた」という。経営も再び軌道に乗り始めた時に大きく揺れた。 作付け再開の時期は不透明。「正直農業を続けようか、やめようか悩んでいる」。出口の見えない中、不安は募るばかりだ。 |
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●能登半島地震 新潟市の罹災証明書 交付6千件超 被害調査は約1万5千棟 2/18
能登半島地震による住宅被害について、新潟市は18日までに約1万5千棟の調査を終えたと発表しました。罹災証明書の交付は6千件を超えました。 新潟市によりますと、能登半島地震による住宅被害に伴う罹災証明書の申請は、18日までに約1万3千件にのぼっています。このうち、交付された件数は約6千件です。 新潟市は県内の各自治体の職員からの応援を受けていて、交付は2月中に終えたい考えです。 住宅の被害調査は罹災証明書の申請がなくとも進めている分もあり、申請件数より多い約1万5千棟の調査を終えています。 災害ボランティアの活動は2月8日以降、土日のみとなっています。 |
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●還流額は5年で5億8000万円 自民「裏金」 2/18
自民党は安倍派、二階派の国会議員82人と元議員3人、6派閥2グループの事務総長ら91人を対象に実施した政治資金収支報告書への不記載問題(派閥による還流裏金問題)の事情聴取結果を15日公表した。それによると32人が還流を認識し、しかも安倍派11人は政治資金収支報告書への不記載を把握していた。 不記載を把握しながら記載しなかった理由について「派閥の指示を受けての対応だった」などとしている。還流は現職・元職の計85人すべてで確認され、その額は2018年〜22年の5年間で約5億8000万円にのぼった。使い道では懇親会費や手土産などだった。還流は安倍派では10数年前から行われていたとみられる。 また還流資金は「選挙に使われたのではないか」との疑念も上がっている。日本共産党の塩川鉄也議員は14日の衆議院予算委員会でこの点を追及。2019年の参院選挙では橋本聖子元五輪担当大臣が不記載額は1566万円と他の年にくらべ額が7倍以上になっていた。世耕弘成元官房副長官も18年〜21年では102万〜476万円の中で19年は604万円。太田房江元経済産業副大臣も18年〜20年で16万円〜40万円が19年は158万円と突出していた。 岸田文雄総理(自民党総裁)は「関係者に説明責任を果たしてもらわなければならない」と自民党政治への信頼回復には当事者の国会議員による説明が必要との考えを強調した。 |
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●“裏金”自民アンケート「調査の結果がひどすぎ」「単に時間稼ぎをやっている」 2/18
元内閣官房参与の岸博幸氏(61)が18日、TBS系「サンデージャポン」(日曜午前9時54分)に生出演。自民党の「裏金」聞き取り調査でキックバック総額が5億7949万円と判明し、「金額」「使い道」「収支報告書不記載の理由」などの回答が匿名となっていることについて言及した。 「とにかく調査の結果がひどすぎる。去年不祥事があった日大とかビッグモーターとか見れば分かるように、今回はどうやって裏金を使ったっていうのかの詳細が必要ですけれども。それに加えて問題の起きた経緯、何で裏金をつくることをやり出したのか。何が原因でこうなったのか。そういった真相究明が一番大事なのに、そういった部分が一切なくて、表面的な数字だけを出しています。これでは真相を解明する気はないと見えますし、単に時間稼ぎをやっているのかなとしか見えない」と一気に語った。 アンケートの結果、2018年から2022年に政治資金収支報告書に不記載が確認された所属議員は計85人(現職82人、選挙区支部長3人)で、総額は約5億7949万円に及んだ。資金還流について、安倍派を念頭に「一部派閥が報告書に記載しないよう指導していた」と明記。不記載額が最も多かったのは二階俊博元幹事長で3526万円。1000万円超は20人にのぼり、会計士の監査で不正の可能性を指摘された例もあったとされる。 |
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●国民民主悩む「立ち位置」 政権寄りから転換、立民への接近探りさや当て 2/18
国民民主党が党の立ち位置に頭を悩ませている。自民党派閥の裏金事件や、ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」を巡る自民、公明両党との3党協議が破談したことを受け、政権寄りの路線から対決姿勢へとかじを切った。ただ連携相手に見据える立憲民主党とは選挙戦略や政策面で隔たりがあり、関係構築は一筋縄ではいかない。 「ああいう発言があるとますます難しくなる」。12日、都内で開かれた国民の党大会後の記者会見で、玉木雄一郎代表が立民の岡田克也幹事長にかみついた。岡田氏は10日「(国民が)考え方を改め、野党がまとまっていくべきだと考えるなら懐深く対応したい」と国民との合流に意欲を示したが、言い回しは「上から目線」。国民の榛葉賀津也幹事長も大会で「大きなお世話だ」と猛反発した。 国民は所属国会議員17人。小所帯ながらも、政府予算案に賛成するなど独自路線をひた走り、野党内で一定の存在感を示してきた。 旧民主党の流れをくむ国民と立民だが、スタンスは異なる。「対決より解決」を掲げトリガー協議をてこに与党との距離を縮めてきた国民を、立民は「野党分断に利用されている」(幹部)と冷ややかに見てきた。一方、国民も選挙協力で共産党と関係を築く立民を批判。溝は広がっていた。 ただ裏金事件を契機に国民内では「政権と距離を置かなければ、われわれにも火の粉が降りかかる」(幹部)と与党寄り路線に異論が噴出。7日には玉木氏が「政治生命を懸ける」としたトリガー協議を離脱し路線転換は不可避となった。 玉木氏は早速、4月の衆院3補欠選挙での野党連携を立民に打診。島根1区、長崎3区を立民、東京15区を国民の候補者で一本化するよう求めたが、立民は東京15区でも独自候補擁立の姿勢を崩さず、候補者調整の見通しは立っていない。 一方で、立民からも連携への打診はあった。国民に持ちかけ、両党でのトリガー政策協議の初会合を開く予定だったが、今度は玉木氏が「日本維新の会との調整も必要」と主張し先送りとなった。背景には「岡田発言」への反発があるとみられ立民ベテランは「国民が何がしたいのか分からない」とあきれる。 立民とのさや当てが続く国民。中堅は「埋没しないようこちらも必死だ」と語る。野党協調路線の針路は定まらない。 |
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●青木理氏、「サンモニ」で自民党「裏金事件」調査報告書を巡り関口宏に質問…「僕らが『裏金』って言っているの何て書いてるかご存じですか?」 2/18
TBS系「サンデーモーニング」は18日、自民党が15日に派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、収支報告書に不記載があった議員ら計91人に実施した聞き取り調査の結果を公表したことを報じた。 調査結果では、還流資金の不記載があった対象85人のうち39人が還流された金を現金で管理していたと回答した。 また、番組では裏金事件を巡る政府と野党の国会論戦、与野党が衆院の政治倫理審査会の開催可否について幹事懇談会で協議したことも伝えた。政倫審について野党は、還流額を政治資金収支報告書に記載しなかった安倍派、二階派の現職82人のうち衆院議員51人の出席を要求したが与党は回答を保留し、開催合意に至らなかった。 コメンテーターでジャーナリストの青木理氏は「裏金事件」の自民党の調査報告書で「キックバックされた僕らが『裏金』って言っているの何て書いてるかご存じですか?」と司会の関口宏に問い掛けた。「え?」と関口が聞き返すと青木氏は「『還付金』って書いてあるんです。還付金って我々が税金を納め過ぎたら返ってくるのを一般的に『還付金』って言うんですけど。あるいは中抜きしてたのを『留保金』って書いてあるんです」と説明すると関口は「へぇ」とつぶやいた。 さらに青木氏は「還付金と留保金っていう認識を見ると党全体で反省してないんじゃないですか?っていうふうに思われちゃいますよね」と指摘していた。 |
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●テレ東も生中継した田中真紀子氏の政倫審 裏金問題で開かれるのか 2/18
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、関係した当該議員を国会の政治倫理審査会(政倫審)に呼ぶか、呼ばないかで、与野党の攻防が続いている。野党側は、キックバックを受け取ったとして聞き取りの対象になった安倍派、二階派(ともに解散)の国会議員のうち、衆院議員51人の出席を自民党に要求。出席を渋る安倍派幹部もいるとされる中、幹部以外の政倫審での「告発」に期待する側面もあると受け止められている。 政倫審は、疑惑が持たれた議員の政治責任を審査する国会の機関で、きっかけとなったのは昭和のロッキード事件だった。衆参両院に設立され、本人か委員の3分の1の申し出があれば委員の過半数議決で招致されるが、強制力はなく、あくまで「審査」の場だ。 過去9回開かれ(1回は対象者が出席せず)たが、開かれることになった理由は「政治とカネ」をめぐる問題が多い。暴力団との交際疑惑や経歴詐称疑惑、かつて社会問題になった耐震強度偽装をめぐる問題もあった。 原則は非公開で、最初の加藤紘一氏は公開されなかった。その後もメディアへの公開はなかったが、政倫審のシステムを大きく変えたのが、先日「目白御殿」が全焼した田中真紀子元外相が出席した時。「特例」として初めて公開された。 2001年4月に発足した小泉内閣の外相として華々しく活動しながら翌年1月に外務省との対立から更迭され、春になると、週刊誌報道で秘書給与流用の疑惑が指摘された。疑惑浮上後、一貫して否定する真紀子氏に、この時は自民党が再三説明を求め、党の党紀委員会に呼ばれたり、説明文書の提出を求め、これに真紀子氏が反発するなど、すったもんだが続き、取材する立場としても翻弄(ほんろう)されたことを記憶している。 当時の自民党は強硬で、党紀委員会で真紀子氏に党員資格停止処分まで下した。結局、真紀子氏は政倫審に出席することになったが、疑惑が出てから3カ月くらいたった後の2002年7月24日。NHK、民放各局、ラジオ各局がすべて生中継した。独自路線の編成で知られるテレビ東京も中継したことも、注目度の高さを表した。NHKの中継の視聴率は11・7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、国会中継では異例の高さだった。 歯に衣(きぬ)着せない「真紀子節」で知られた真紀子氏も、始まる前は笑顔をみせていたが、審査が始まり各党の質問で詳細な突っ込みが始まると「ええー、あのー」などと、しどろもどろになる場面があった。紙を見ながら答え、同席した公認会計士と弁護士が代理答弁する場面も目立った。約2時間行われたが、真紀子氏は終了後、取材に応じなかった。「再説明」を求める声も出たほどだったが、真紀子氏は、この2週間あまり後に、議員を辞職した(2003年衆院選で政界復帰)。 政倫審で初めて事実を認めたケースもあった。日本歯科医師連盟(日歯連)からの献金問題で、首相経験者として初めて臨んだのが橋本龍太郎氏。この時はメディア公開されなかったが、橋本氏は日歯連からの1億円授受について「思い出せない」としてきたのを、政倫審の場で「客観的に見て、事実であろうと思います」という表現で認めた。当時、出席した議員に取材すると、鼻っ柱の強さで知られた橋本氏が、この時ばかりは弱々しい声で答えていたと聞いた。 政倫審に応じる議員の対応はそれぞれ。説明の場にはなるが、うその証言をすれば偽証罪に問われる証人喚問とは異なり、刑事告発もされない。「みそぎ」「ガス抜き」といわれるのも事実で「とにかく乗り切ることが大事」と聞いたこともある。 一方で、時間が限られた中での説明で、ほとんどが「言いっ放し」で終わる。疑惑が完全に晴れることもなく、出席した後も疑惑を引きずる形にもなる。真紀子氏のように辞職したり、その後の選挙で落選した議員もいる。政治生命に関わる「終わりの始まり」の場になる場合もあるのだ。 今回、自民党は野党に当該議員の出席を求められても、なかなか重い腰をあげようとしていない。野党が求める派閥幹部議員らが出席に応じてもし実施されたとしても、公開されるのかは微妙だ。岸田文雄首相が2月14日の集中審議で30回以上繰り返した「説明責任」という言葉がポーズだけか、そうでないのか、国民も注視しているはずだと感じる。 |
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●岸田内閣支持率、最低14% 不支持率82% 毎日新聞世論調査 2/18
毎日新聞は17、18の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は、1月27、28日実施の前回調査(21%)より7ポイント減の14%で2カ月ぶりに下落し、岸田政権発足以来最低となった。岸田内閣の支持率が20%を切るのは、昨年12月以来2度目。不支持率は前回調査(72%)より10ポイント増の82%だった。 調査方法が異なるため、単純比較はできないが、内閣支持率14%は、2009年2月の麻生内閣(11%)以来の低い水準。また、不支持率が80%を超えるのは、毎日新聞が世論調査で内閣支持率を初めて質問した1947年7月以来、初めて。 支持率は、マイナンバーカードを巡るトラブルが相次いだことなどが影響して昨年6月以降、下落傾向に転じ、9月に内閣改造を実施するなどしたが、政権浮揚にはつながらなかった。11月以降、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が深刻化。今年1月は20%台を回復したが、再び下落した。 |
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●自民の政策活動費 不透明な金の流れ根絶を 2/18
「政治とカネ」の問題に根本から取り組むなら、放置できないはずだ。政治資金規正法の「抜け穴」となっている政策活動費の見直しである。 平成の政治改革で企業や団体から政治家個人への寄付は禁止されたが、例外的に政党によるものは認められた。自民党では政策活動費が該当する。 受け取った政治家は政治資金収支報告書に記載する義務がない。複数の安倍派議員が、派閥からのパーティー券収入の還流分を不記載にした理由について「政策活動費だと認識していた」と説明したのはそのためだ。だが、派閥は政党ではないため方便に過ぎない。 表向きは党勢拡大、政策立案などに使われているとされる。しかし、過去に各種選挙で候補者や陣営などへの陣中見舞いなどに使われたと証言する元党幹部もいる。識者は、裏金として選挙での買収に使われかねないと指摘する。 自民では規模が大きく、2022年に党幹部へ計約14億円を支出した。最多の茂木敏充幹事長は約9・7億円だった。二階俊博元幹事長は在任中の5年間に約50億円を受け取ったとされる。 同様の支出は野党にもあるが、裏金事件に対する国民の視線は厳しく、自民以外の各党は使途公開や廃止を主張している。 だが、岸田文雄首相は見直しに後ろ向きだ。公開すれば「党の活動と関わりのある個人のプライバシー、企業・団体の営業秘密を侵害する」と繰り返す。政治活動について国民が知る権利よりも、党の利益を優先する姿勢が目に余る。 政治家が好き勝手に使える「つかみ金」のような制度は他にもある。国会議員に、歳費とは別枠で月100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)だ。 本来、国会議員としての活動を有権者に伝えるための費用だった。だが、使途を公開する必要がないため、飲食費などへの流用が問題視されてきた。岸田政権下で支給の日割りは実現したが、使途はなし崩しに拡大された。 政治資金を国民監視の下に置くのが規正法の趣旨だ。不透明なカネの流れを断ち切る抜本改正に取り組まなければ、国民の政治不信は払拭(ふっしょく)できない。 |
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●五輪汚職の高橋治之の「告白」を新聞・テレビが報じないワケ… 2/18
東京五輪の受託収賄事件で1億9800万円のワイロを受け取ったとして起訴された高橋治之元電通専務が週刊文春(2月15日号)で、“安倍晋三に裏切られ、森喜朗に嵌められて…”と「初告白」している。 「森さん(喜朗元組織委員会会長=筆者注)から『あなたはマーケティング担当理事です』なんて言われたことは一度もありません。森さんが勝手なことを言っているだけ」 招致委員会から高橋の会社に多額のコンサル料が振り込まれていたことについては、 「招致活動をする時には、当然、渡航費などの経費がかかる。招致委員会にそうした予算はいくらあるのか聞いたら、『ゼロ』というんです。『お金を集めてください』って。それで、一社二億一千万円の協賛金を集めるパッケージを作って、色んな企業に声をかけた。僕だけで約二十五億円集めました。そのうちの三十%は僕の招致活動費に使うという契約を交わしていたので、七、八億円くらいが僕の会社『コモンズ』に振り込まれました」 自身が「見なし公務員」で、スポンサー企業からカネを受け取ることで刑法上の罪に問われる恐れがあるという認識はあったのか問われると、 「僕が理事になった十四年時点では組織委は一般財団法人でしたが、翌十五年に『オリ・パラ特措法』ができて、組織の理事は公務員とみなす、いわゆる『みなし公務員』となることが決定したといいます。でも、この変更について組織委からの説明は何もなく、紙っぺらが送られてきただけ。それも色んな書類に紛れて全く記憶に残っていませんでした」 要は、高橋は民間のコンサルタントとして金集めに協力したので何らやましいところはない、森は法廷に出て本当のことを言ってくれと懇願しているのである。 文春のスクープにケチをつけるわけではないが、高橋側の言い分をそのまま載せるという条件で折り合ったのであろうか、いつもの文春の突っ込みがやや弱いと感じた。 しかし、文春記者とは別に、大手メディアの多くの記者が高橋に接触していたはずなのに、なぜTBS以外のテレビや新聞は報じようとしないのか? それは、彼らが警察や検察に怯えているからである。 私は週刊現代(1996年新年合併号)で、当時、地下鉄サリン事件などの主犯として逮捕・起訴された麻原彰晃の「供述調書」を独占掲載したことがあった。当時、警察も検察も「麻原の調書はない」と言い続けていたが、同じものをいくつかの新聞社が入手していたことは間違いない。だが、彼らは警察、検察の記者クラブから出入り禁止になることを恐れ、出せるはずはなかった。 これを出せば検察は激怒し、私を逮捕するかもしれなかった。なぜなら、調書で麻原は延々と自己弁護し、犯行は自分の知らないところで部下たちがやったという内容だったからだ。当局の面目は丸潰れになり、醜態をさらすことになる。 案の定、掲載誌が出た後の検察の“報復”は厳しいものだったが、ここでは省く。 今回も新聞・テレビが無言なのは、無罪を主張する高橋の言い分をそのまま載せて、検察から睨まれたくなかったからではなかったか。権力を監視するという役割など、とっくに放棄しているのだから当然だろうが。 「事実に反した森さんの供述で、僕は逮捕されてしまった」という高橋の告白から、私が読み取るのは、当局は五輪汚職を事件化するために、森喜朗と「司法取引」したのではないかという“疑念”である。「森さん、あんたを見逃す代わりに高橋を差し出せ」──。ここはぜひ森の弁明が聞きたい。 |
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●GDP4位転落 「一過性」では済まされぬ 2/18
経済大国と胸を張れた時代は、もはや昔話なのか。 2023年の名目国内総生産(GDP)が、日本の人口の3分の2に過ぎないドイツに抜かれ、4位に転落した。 10年に中国に抜かれ、2位から後退して13年。ドイツとは00年に2・5倍もの開きがあったのに逆転され、3年後にはインドにも抜かれる見通しというから残念だ。 転落の要因は、歴史的円安でドル換算の数値が目減りしたことが大きい。ただ、円ベースでは折からの物価上昇もあり、前年比5・7%増と1991年以来の高い伸びでもある。「一喜一憂しない」という政府の受け止めも、分からなくはない。 しかし、今の円安は政府が招いたものだ。物価高などの副作用は深刻で「円安による一過性の現象」と強調したところで、市場が円高に戻るとも限らない。岸田文雄首相はもっと真剣に、成長を促す対策に取り組むべきだろう。 日本は少子化と高齢化で生産人口が今後も減り続ける。その状況下でGDPを増やし、国民生活を豊かにしていくことは並大抵ではない。賃上げと設備投資を積極的に進め、経済の実力を表すともいわれる「潜在成長率」を高めることが不可欠になる。 安倍政権の轍(てつ)を踏んではならない。アベノミクスは円安と株高でその機会を創出したが、結局は企業が内部留保を増やしただけだった。 90年代には5%近くあった潜在成長率が1%を割ったままなのは、企業が設備や人への投資をせずに内向きな経営に終始してきた結果だろう。巨額の財政出動をしながら国民生活が向上するどころか、低下してしまった失敗を繰り返してはなるまい。 現下の経済情勢は楽観できない状況だ。国民が物価高に疲弊したのか、個人消費が落ち込み、直近のGDPは2四半期連続のマイナスに沈む。景気腰折れの懸念さえある。 岸田首相は賃上げを声高に連呼するが、大幅賃上げがあった23年も実質賃金は2・5%もの目減りだった。物価上昇を大幅に上回る賃上げが実現できるかは、極めて微妙と言わざるを得ない。 日本の1人当たりのGDPは既に経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中21位、先進7カ国(G7)では最下位と目を覆いたくなる。経済大国を自負できるどころか、国際社会、とりわけアジアでの発言力低下が避けられないことを直視すべきだろう。 成長には、労働市場の流動性を高め、ITやデジタル技術などの分野を深化させる挑戦がなにより重要になる。人手不足を補うために定年制を廃止して高齢者の就労を促進し、女性や外国人の雇用拡大にも力を入れねばなるまい。成長分野に人材や資金が十分供給できるような制度改革も必要になるはずだ。 日本の株価がバブル期を超えるような上昇機運に乗っていることは追い風には違いない。春闘での賃上げも含め、将来の成長につながる経済の好循環が本当に実現できるかどうか。岸田政権の浮沈が問われる正念場である。 |
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●石破氏のジレンマ…原因は正論? “次期総理の期待トップ”でも党内支持が広がらない理由 2/18
JNNが2月におこなった世論調査で、次の総理にふさわしい人のトップに立った自民党の石破茂元幹事長。石破氏はこの結果について「知名度が高いことと、内閣の外にいるので自由な発言が出来るからだ」と浮かれる様子は見せないが、総理の座を意識していないことはない。 だが、国民からの人気とは裏腹に、自民党内の支持に広がりは見えない。石破氏は今、「正論」を言うほど党内の支持を失うジレンマに直面している。 ●岸田内閣退陣を“提案”? 2023年12月、自民党の派閥の政治資金パーティーの問題が国会でも取り上げられる中、次のような見出しのニュースが自民党で物議を醸した。 「自民・石破氏 来年度予算成立後の岸田内閣退陣を“提案”」 これは、石破氏が民放のテレビ番組に出演した際、安倍派の裏金疑惑について、党総裁である岸田総理の責任の取り方について「来年度予算案が成立したら辞めるというのはありだ。国民に判断してもらおうと衆議院を解散するのも責任の取り方かもしれない」と話したものだ。これには自民党内から、政府・自民党が必死に野党の追及に耐える中、「後ろから鉄砲を撃つのか」と石破氏を批判する声が噴出した。 石破氏としては、岸田総理の責任を追及するとの思いはなく、一般論として発言したつもりだったようだが、党内のひんしゅくを買うこととなった。 不用意な発言をし自身の思いとは異なる受け取られ方をして党内の批判を浴びるのは、石破氏の特徴とも言える。 ●総裁選に意欲にじませる? 2024年2月10日、石破氏の姿は地元鳥取にあった。国政報告会を開いた石破氏は、9月の自民党総裁選に向けた準備について記者団に問われると次のように答えた。 「いつ、何があってもいいようにしておかなければいかん。総理総裁になって欲しい人リストに上がっている人は、みんなそうなんじゃないの」 総裁選をめぐるこうした発言は、今に始まったことではなく、常日頃からインタビューの度に発しているが、裏金事件などで岸田内閣の支持率が低下し「ポスト岸田」に注目が集まる中、“石破氏が総裁選への出馬に意欲を示した”と各メディアは報じた。 これに対し石破氏は周囲に「これまでの発言と何も変わりは無い」と話すなど、ここでも真意とは違う受け取られ方をしていると困惑の表情を見せている。 では、石破氏に総裁選への意欲がないのかというと、そういうことはないだろう。2020年の総裁選で敗れた後、”石破は終わった”とも言われてきたが、石破氏の周辺では総裁選出馬の可否を大きく左右する3つの大きな変化が起きている。 ●石破氏をめぐる環境の変化(1)〜いわゆる派閥の解消〜 これまで4度総裁選に挑戦してきた石破氏だが、当選を阻んだものの一つが「自民党の派閥政治」だった。 自民党の総裁選は「国会議員票」と「党員らの地方票」で争われ、総裁選ごとにこの比重は変わってきたが「国会議員票」を多く取った候補が総理の座を射止める結果が続いている。 つまり、より多くの派閥の支持を得ることで国会議員票を固められるかが総裁選の勝利のカギを握ってきた。 だが、石破氏は出馬した総裁選で、党員票では勝利ないし善戦をしてきたものの、ことごとく国会議員票で大差をつけられ敗北してきた。 しかし、今年に入り、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、安倍派・岸田派・二階派・森山派が解散を決定し、次の総裁選は派閥の影響力が薄れた戦いとなることになる。これが石破氏が総裁選に挑戦する上では追い風が吹く結果となっている。 ●石破氏をめぐる環境の変化(2)〜安倍元総理の死去〜 総理を目指す石破氏にとって大きな壁となり立ちはだかってきたのが安倍元総理の存在だ。 過去4度挑戦した総裁選では2度安倍氏に敗れた石破氏は、森友学園問題などをめぐり時の総理大臣である安倍元総理に苦言を呈し続けてきた。正論ではあるのだが、こうした石破氏の言動を快く思わない安倍氏は石破氏に否定的な姿勢を見せ続け、絶大な影響力を持つ安倍氏に配慮するかのように、議員達にとって石破氏に接近すること自体がはばかられる状況が続いてきた。 その安倍氏が2022年7月、凶弾に倒れた。安倍氏が亡くなった後も党内ではアベノミクスの継承など、安倍政治を引き継ぐ動きが続いてきたが、「旧統一教会問題」や「安倍派の裏金事件」を受け、最大派閥・安倍派の影響力は著しく低下している。石破氏にとってはこれもまた総裁選に出馬する環境へと繋がっている。 ●石破氏をめぐる環境の変化(3)〜石破派の解散〜 石破氏は2015年に石破派を旗揚げし、その後2度総裁選に臨んだがいずれも敗れ、2021年に石破派を解消した。その後、グループとして活動を続けるものの退会者が相次ぎ、活動は縮小を続けている。 総裁選への出馬には20人の推薦人が必要で、派閥を解消した石破氏にとっては、この推薦人確保が大きなハードルとなっている。 ●総裁選、5度目の挑戦はあるか 2月5日、石破氏の姿は都内の日本料理店にあった。食事を共にしたのは河野太郎デジタル大臣だった。関係者によると、この会食は河野氏の呼びかけで行われたという。 石破氏と河野氏と言えば、2021年の総裁選に河野氏が立候補した際、小泉進次郎元環境大臣とともに「小石河連合」を結成し、河野氏の当選を目指し共に戦った間柄だ。 総裁選は岸田総理に敗れたものの、第一回投票、決選投票共に地方票では岸田総理を圧倒した。 国民からの支持が高い2人だが、党内基盤が盤石とは言えない。同時に総裁選に出馬すると地方票を分け合うことになり、他の候補を利することになることから、会合では総裁選への出馬について互いの腹を探りあったものとみられる。 総裁選への出馬に期待の声も上がる石破氏だが、石破氏は「私は政局を仕掛けることはしない」と話す。事実、石破氏が総裁選に向けた仲間集めをするといった動きは見られない。つまり「待ち」の姿勢なのだ。 派閥の裏金事件で自民党が揺れる中、世論調査では自民党支持層でも”次期総理の人気トップ”に浮上した石破氏。今のところ党内では「石破総理待望論」に盛り上がりは見えないが、石破氏はその時を待ち続けている。 |
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●『新潮』のコラムが素晴らしい 2/18
今週も週刊誌を開くとゲンナリ(但し『ニューズウィーク日本版』は別)。 毎号、毎号、岸田政権批判や松本人志の性加害問題。正直、飽きた。 そんな中で、今、ぼくがいちばん愛読し、共感しているのは『週刊新潮』のコラム、里見清一さんの『医の中の蛙』だ。 その斬れ味、かつての『新潮』名物、山本夏彦さんの「写真コラム」に匹敵する。 今週(2月22日号)の「税金を払おう!」も素晴らしい。 まず高坂正堯さんの『歴史としての二十世紀』(新潮選書)の一節を紹介。 「政治家の良し悪しを判断するのによい基準があります。『私は税金を取ります』と言う政治家はいい政治家であって、『税金は取りません』と言う政治家はまやかしなのです。政府がなにかをやるためには、必ず税金を取らなければいけません」 <してみると現代の政治家はだいたいが「まやかし」で、しかもメディアも有権者もまやかしの方を求めるらしい> そこから話は現在、問題となっている「政治資金」へ。 <そもそもなぜ政治資金が非課税になっているのかというと、「政治活動」は憲法が認める言論・表現の自由の大きな柱で、可能な限りその活動の自由を保障し、促進すべきだから、税金を取るなんて邪魔(制限)をしてはいけない、という考えから、なのだそうだ。これは「信教の自由」を保障するために宗教法人が非課税なのと同じ理屈である。だがしかし、活動の自由を保障するのと、税金を取らないのとは話が別ではないか。特別な重税を課すのならともかく、人並みの税金を払わせるのが「弾圧」になるとでも言うのか> <苟(いやしく)も日本のリーダーたらんとする政治家や、「聖職者」を志す宗教人が「自分だけ特別扱いして欲しい」なんてケチなことを言うのは論外である> <だいたい、政党には国庫から政党助成金なんてものが支給されていて、議員さんたちは「もらう」身の上である。もらってばかりいると性根がいじけてしまう> 胸がすく。 |
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●実弾介入の可能性は? 外国為替 2/18
ドル・円相場は心理的節目の150円を上抜け、「為替介入ゾーン」に浮上。米利下げ観測の後退や日銀の政策修正に思惑が広がるなか、年明け以降、ドル高・円安基調を強めています。政府は2年前のような大規模介入に乗り出すか、市場の関心が高まってきました。 2月13日に発表された米1月消費者物価指数(CPI)は前年比で予想を上回り、前月比では昨年12月よりも強い内容となりました。インフレ指標の再加速を受け、市場は3月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利据え置きをほぼ確実視。連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期の予想を5月以降に後ずれさせています。 他の主要中銀の政策方針が不透明になり、足元はドル選好の様相です。 ドル・円相場は今年140円79銭で寄り付き、1月19日に148円80銭まで上昇した後に失速するも、再び値を切り上げています。堅調な米経済指標はソフトランディングへの期待感からドルの押し上げ要因に。半面、FRB当局者の間では利下げ時期について見解が分かれるものの、一部のハト派的な見解が米10年債利回りを押し下げ、ドルの重石になっています。 日本政府は過度な円安に対するけん制姿勢を強め、一段の円安に歯止めをかけたい考え。2022年に150円以上のレベルで大規模なドル売り・円買い介入を実施しており、市場は実弾介入に身構えています。昨年も150円台に浮上した際、22年の高値151円94銭に迫ったタイミングで神田財務官が介入に「スタンバイ」と発言し、151円90銭から下げに転じた経緯があります。 ドル・円が目先も騰勢を強めていく場合、政府は実弾投下に踏み切るでしょうか。一昨年、昨年と152円手前で下げに転じたことから、同水準を上抜けると、それ以上の水準では抵抗線となる節目が見当たらず、ストップロスを巻き込んで弾みがつけば一気に155円付近まで値を上げる可能性が指摘されています。そのため、152円付近でのドル売り・円買い介入というのが現時点での市場の見立て。 ただ、これまでと異なるのは日銀の政策修正が現実的になってきた点でしょう。マイナス金利解除はすでに織り込まれてしまい、緩和的な環境を維持するとの方針の方が重視され、むしろ円安に振れやすい状況にもみえます。日本の10-12月期国内総生産(GDP)の下方修正で不透明感も増し、円を下押ししています。ドル・円は底堅い値動きが続くとみられ、152円トライのシナリオも想定されます。 円安は一段の輸入コストを押し上げ物価高につながるため、岸田政権にとっては向かい風。ただ、鈴木財務相はドル高・円安局面で訪日外国人の増加といった円安のメリットにも言及しています。足元では米国債発行が縮小する見通しで、米国債は需給の引き締まりで金利安・ドル安に向かう可能性があります。日本政府は春先のドル失速をにらみ、待ちの姿勢とみます。 |
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●岸田首相「棚ボタ訪朝」は実現するのか? 国賓訪米前に金与正が秋波 2/18
内閣支持率も求心力もダダ下がりの岸田首相に、思わぬところから“朗報”が届いた。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹の金与正副部長が「首相が平壌を訪問する日が来るかも」とする談話を発表。秋波を送ってきたのだ。岸田は施政方針でも「日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決するためにも金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルでの協議を進める」と力んだが、手だてはない。3月中旬に浮上中の「訪韓」が「訪朝」にチェンジ、なんて展開が起こり得るのか。 事実上のナンバー2の金与正は「個人的見解」と断り入りで15日に出した談話で、一連の岸田発言に触れて「過去の束縛から大胆に抜け出し、朝日関係を前進させようという真意から出たものであれば肯定的に評価されない理由はない」と評価。解決済みとする拉致問題と核・ミサイル開発を横に置けば「両国が近づけないはずがなく、首相が平壌を訪問する日が来るかもしれない」とした。 妙な流れだ。能登半島地震発生後、金正恩が岸田宛てに「閣下」と敬称をつけた見舞い電報をよこしたと日本側は大騒ぎ。自民党の甘利前幹事長は11日に出演した報道番組で「この種の発信は極めて異例。うまく捉えてトップ同士の会談にとにかく持っていくのがいい」と実現をにおわせた。もっとも、政権浮揚カードが切れると「電撃訪朝」が出回るのは永田町のお定まり。そうでなくても、「歴代政権が頼りにしていた密使が昨年亡くなり、官邸には北朝鮮とのパイプがない」(官邸事情通)というから現実になれば棚ボタだ。 「対日関係は外相マターなので、金与正氏が言及するのは非常に珍しい。兄のスポークスマンなのは誰もが認めるところ。金正恩氏は韓国の尹錫悦政権を敵視しており、誘い水を向けることで日韓の分断を狙っているのでしょう。日本同様に無条件対話を呼び掛けている米国は、岸田政権に局面打開を期待している。岸田首相がホイホイ乗ってくればシメシメです」(コリア・レポート編集長・辺真一氏) 国賓訪米に向けた話題づくりと外交パフォーマンスで訪韓を調整する岸田からすれば、訪朝ははるかにうまみがある。究極の能天気男は飛んで火に入るナントカになるのか。 |
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●衆院解散「3つのシナリオ」とは 岸田首相、大逆風のなか狙う起死回生¢蜍`か奇襲かハプニングか「突然思い立ち…実行の可能性」 2/18
「政治とカネ」の問題で岸田文雄政権が大逆風≠ノさらされるなか、衆院解散のタイミングが取り沙汰されている。岸田首相が9月の自民党総裁選で再選するには「衆院選勝利」などの成果が必要だが、内閣支持率は30%以下の「危険水域」に沈み込み、党内には岸田首相を「選挙の顔」として戦うことに否定的な声が強い。一方で、パーティー収入不記載事件を受けた派閥解消の影響もあり、「ポスト岸田」候補が積極的に名乗りを上げる雰囲気もない。膠着(こうちゃく)した状況下で、岸田首相が起死回生≠狙った解散に打って出る可能性があるという。大義か奇襲かハプニングか。「3つのシナリオ」を検証した。 「政治の信頼回復と目の前の課題に専念する。その先については何も考えていない」 岸田首相は14日、衆院予算委員会で「解散の是非(ぜひ)」を問われ、こう答弁した。 派閥のパーティー収入不記載事件を受けて、自民党は独自に行ったアンケートや、関与した議員への聞き取り結果を公開した。ただ、質問は2問のみで、「裏金の経緯と使い道」も聞かない中途半端さもあり、世論の反応は極めて悪い。 こうしたなか、岸田首相は局面打開のためにも、「国民の信」を問うタイミングを見計らっているとされる。 永田町で浮上する主な候補は、12024年度予算が3月に通過した後24月に予定される国賓待遇で招かれた訪米の前後36月23日の通常国会会期末―の3つだ。 ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、大義を得られる「国会会期末」が最有力だと分析し、次のように解説する。 「いまの内閣や自民党の支持率では、とても解散できない。岸田首相としては、訪米などの外交成果を積み上げたうえで、自身が打ち上げた『賃上げ』『所得税・住民税減税』などの効果が世論に浸透するのを待つ。最大のポイントは内閣不信任案だ。野党が『政治とカネ』の問題などで会期末に提出するのは確実だろう。内閣不信任案を受けて立つという『解散の大義』を得て伝家の宝刀を抜く。岸田首相が考える上がり目が重なるタイミングは、ここしかない」 ●有馬氏「突然思い立ち、実行する可能性はある」 「大義」を待つのではなく「奇襲」を狙うとの見方もある。 政治評論家の有馬晴海氏は「どのみち厳しい選挙だ。支持率は下がり切り、好転は難しい。一方で批判票の受け皿となる立憲民主党や日本維新の会が単独過半数を取る勢いはなく、政策の違いから連立の可能性も低い。自民党の議席が大幅減でも政権が維持されるなら、続投の目が出てくる。4月28日の衆院補選前後、6月の国会会期末などの候補があるが、岸田首相が『奇襲』的に決断を下す可能性は常にある」と語る。 確かに、岸田首相は就任以来、たびたび解散風≠吹かせては自ら収束させる言動を繰り返してきた。「同じ発想で、突然解散を思い立ち、実行する可能性はある」(自民党中堅)というのだ。 ただ。岸田首相を取り巻く政治環境は日に日に悪化している。 昨年12月、東京地検特捜部による事件捜査が本格化すると、岸田首相は慣例に反して首相就任後も会長を続投していた宏池会(岸田派)を突然離脱した。今年1月に岸田派の「裏金」が表面化すると「派閥解消」を表明した。主流派として政権を支えた麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長に根回しはなく、激しい怒りを招いた。 ●岸田首相は衆院解散でもハプニングを起こす恐れ 有馬氏は「岸田首相と麻生氏、茂木氏の結束は大きく揺らいだ。党内で岸田首相への反発は強まっている。いまや衆院選よりも、総裁選に勝つ方がはるかに難易度が高くなった」と語る。 鈴木氏も「4月の衆院補選も『負け戦』が前提で、肝心の候補が決まらない。地方組織を含めて『岸田首相では戦えない』との認識は一致している。『ポスト岸田』の動きは静かに、着実に広がっている」と明かす。 岸田首相が政権浮揚のため、「外交で成果を狙う」との見方がある。電撃的な「日朝首脳会談実現」や、4月の「国賓待遇訪米でのサプライズ」などが注目されるが、前のめりを懸念する声は根強い。 鈴木氏は「日朝首脳会談の可能性が取り沙汰されているが、北朝鮮は『拉致問題は解決済み』と主張しており、戦略がないまま会談するのは極めて危険だ。日中関係も結局、前進していない。4月の訪米での議会演説は注目を集めるだろう。ただ、ジョー・バイデン大統領は11月に大統領選を控えており、安易に国際公約を表明するリスクも感じる。岸田首相は『LGBT法』『異次元の少子化対策』など、急転換や思い付きで決断してきた。根回しがなく、場当たり的な政権運営が続いてきただけに、内政・外交だけではなく、衆院解散でもハプニングを起こす恐れはある」と危惧している。 |
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●維新、「自公過半数割れ」目指す=次期衆院選、政権低迷踏まえ 2/18
日本維新の会の藤田文武幹事長は18日放送のBSテレ東番組で、次期衆院選の目標として自民、公明両党を過半数割れに追い込むことを挙げた。これまでは「野党第1党」を掲げてきた。岸田内閣の支持率低迷を踏まえ、与党過半数割れを加えた。来月の党大会で正式に打ち出す見通し。 藤田氏は「自民党は動きが遅い。緊張感を持ってもらうため、過半数を割らせ、改革が進む政治体制をつくらなければならない」と強調。立憲民主党との候補者調整については、憲法や安全保障、政治改革に対する立場の違いを指摘し、「協力は難しい」と述べた。 |
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●「次の首相」1位は石破茂氏25% 岸田首相は1% 世論調査 2/18
毎日新聞は17、18日実施の世論調査で、「次の首相にふさわしい人」を自民党の国会議員8人の中から選んでもらった。最も多かったのは石破茂元幹事長の25%で、上川陽子外相の12%が続いた。3位は高市早苗経済安全保障担当相、小泉進次郎元環境相の各9%だった。 5位は河野太郎デジタル相の7%、6位は野田聖子元総務相の2%、7位は岸田文雄首相と茂木敏充幹事長の各1%だった。「この中にはいない」との回答も34%に及んだ。 石破氏は60代と70歳以上の約3割が名前を挙げるなど、年配者からの支持が厚い傾向があった。上川氏は女性、高市氏は男性の支持が多かった。 自民支持層に限って見ると、1位石破氏▽2位小泉氏▽3位上川氏▽4位高市氏▽5位河野氏▽6位岸田氏▽7位野田氏と茂木氏――だった。 |
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●新潟県内の住宅被害1万7927棟、新潟市は1万2965棟(2月19日時点) 2/19
能登半島地震による新潟県内の住宅被害は、県のまとめによると、19日時点で1万7927棟となった。県内全体で全壊95棟、半壊2496棟、一部破損1万5322棟に上った。 新潟市では1万2965棟の被害が確認され、全壊88棟、半壊2415棟、一部破損1万462棟となった。市に寄せられた罹災(りさい)証明書の申請件数は1万3288件で、このうち交付されたのは6311件。被害認定調査が終了したのは、1万 ・・・ |
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●「確定申告ボイコット」拡散 橋下徹氏「国民は軽蔑のまなざし」…裏金問題 2/19
2月16日から始まった「確定申告」。都内の税務署には多くの人が訪れました。 しかし、今年はそんな納税者から不満の声が。 50代女性: 議員の方だけが優遇されて、ずるいですね! 50代男性: 自分たちがやったこと、税金に対しても反省がないよね。 怒りの原因は、自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る「裏金問題」。 SNSでは、「#確定申告ボイコット」という言葉が、一時、トレンドワードに浮上しました。 16日の国会でも、いわゆる“裏金づくり”は“脱税”に当たると、野党が痛烈に批判。 さらに、X(旧ツイッター)のこんな投稿も取り上げられました。 立憲民主党 中谷一馬 議員: 確定申告書に、収入金額や所得金額等の記載欄に「不明」と記載して、これで確定申告を終わったとするポストが大変反響を呼んでおりまして。 裏金問題を受けて、萩生田前政調会長が“訂正”して提出した収支報告書の、収支総額や支出総額が「不明」だったことへの“揶揄(やゆ)”とみられる投稿。 この投稿には、「やった〜!! 終わった〜!!今回の確定申告、ほぼ不明で税金ゼロ!」という一文が添えられており、約4万7000件の「いいね」が付くほど大きな反響を呼んでいます。 実際に、国民が収支金額や所得金額等の記載欄に「不明」と記載して「確定申告」をするとどうなるのか、野党から質問が及ぶと…。 立憲民主党 中谷一馬議員: 本資料のように確定申告で、収入金額等や所得金額等の記載欄に「不明」と書いて提出すと、実際にはどのような問題が発生するのかと。 国税庁の担当者: 一般論として申し上げますと、収入金額や所得金額の記載欄に「不明」と記載された申告書が提出された場合、税務署におきまして、納税者に対して電話や文書により、申告内容の確認および自主的な見直し依頼をさせていただくことになります。 立憲民主党 中谷一馬議員: 要するに国民に対しては、しっかりと厳しく対応するということなんですね。 さらに、中谷議員が「裏金を作った人は納税をした方がいい、党内でも検討しているのか?」と問いかけると、林官房長官は「党の方の対応に関わる事柄なので」と回答を控えました。 ●橋下氏「国民は軽蔑」不明だらけの報告書 14日には国民に対して、「確定申告において、それぞれの納税者の皆様方に法令にのっとり適切に申告納税を行っていただくようお願いを申し上げたい」と述べていた岸田首相。 橋下徹弁護士: 国民は怒っていますよ。政治家って恐れられたり嫌われたりしても、それはいいと。絶対にやってはいけないのは、イタリアのマキャベリの『君主論』にも書かれていますが、「軽蔑されたら終わりだ」と。今、国民は国会議員のバッジを見てみんな“軽蔑”になっていますよ。こうなったら、統治不全。法治国家・民主国家で唯一国民を統治するというのは、政治家が信頼されているからですよね?これだけ不信感が募ったら、もう政治家の言うこと聞かないですよ。 もちろん、確定申告はやらなければこれは法律違反ですから、確定申告はルール上はやらなければいけないんですけど…、であれば、政治家も絶対にやらなくてはいけない。この人たちは非課税の、それも何千万というお金を自由自在に使いすぎていて、もう感覚が狂ってますよ。 風間晋 フジテレビ解説委員: 納税はきちんとやらなくてはいけないですけど、国民が税金を納めるというのは、国会を運営していく上での基本中の基本なんですよ。税収がなければ国も何もできないじゃないですか。だから税金を払ってもらわないといけないのだけれど、その税金を払おうという意識をここまで毀損して何をやっているのかなと。 橋下徹弁護士: 国民には領収書をきちんと求めて確認するのに、政治家の皆さんに対してはなんの調査もせず、領収書もきちんと確認しない。どうなんですかこの国は? 「不明」「不明」「不明」って萩生田さんどういう感覚だったのか、政治家の皆さんは収支報告書を単なる事務的な文書だと思っているかも分かりませんが、国民に対する確定申告なんです。我々は税務署に対して確定申告しますが、国会議員は税務署に確定申告しない代わりに、国民への確定申告なんです。こんな不明・不明の書面を出すような自民党の国会議員、しかも幹部と言われている人たちの感覚…。僕は全員交代するくらい必要なんじゃないかと。 風間晋 フジテレビ解説委員: しかもそれを20年とか続けているわけで、この無神経さといったらもう大変なことですよ。 |
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●自民議員も「ピンとこない」とダメ出し…裏金事件に揺れる若手教育の笑止 2/19
毎日新聞が17〜18日に行った全国世論調査で、前回調査から7ポイント減の14%となり、政権発足以来最低となった岸田内閣の支持率。自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、国民世論の批判はますます高まるばかりだが、その怒りの炎にさらなる油を注ぐ展開となりつつあるのが、同党が来月から党本部で中堅・若手議員の教育が始める──などと報じられたことだ。 共同通信などの報道によると、裏金事件で解散の方向性が示された派閥に代わり、党本部が党の機能・ガバナンス(組織統治)強化に向けて中堅若手の教育を行うという。既存の党内組織「中央政治大学院」を活用し、政策講義を重ねる考えで、「国家観、歴史観を学び、政治家としての土台をつくる」のが目標だ。 派閥解消が進めば中堅・若手議員の教育の場が減り、党が弱体化するとの懸念から浮上した案のようだが、SNS上では、辛辣な意見が飛び交った。 《泥棒が何を教えるのか》《まずは裏金事件の全容解明が先ではないか》《裏金作りはベテラン議員ばかりだった。その人が中堅・若手を育成するのか?》 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が17〜18日に実施した合同世論調査では、裏金事件に関して、派閥からのキックバックを記載していなかった議員について、「国会の政治倫理審査会で説明するべき」との回答が89%に達したほか、自民党が「記載していなかった議員全員を処分すべき」との意見が55.2%、「派閥幹部を処分すべき」との意見が34.4%にも上っている。 つまり、国民の多くは自民党が裏金事件について説明責任を果たしているとは思っていない。《国民の三大義務である「納税」すら理解していない議員が何を教えるのか》《裏金を作り続けたベテラン議員こそ、中学生の公民からやり直せ》との意見もある。 党内からも懐疑的な見方が出ていて、自民党の小野田紀美参院議員(41)は自身のX(旧ツイッター)で、《うーん…勉強できる場が増えるのは良い事かもですが、そもそも派閥で教育受けた覚えがないから派閥に代わりってのがピンとこないのが正直なところ。部会や議連で政策は研鑽できるし、作法は参議院内で学んだし…》と投稿している。 やはり、岸田政権のピントはズレまくっているようだ。 |
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●自民党が“裏金”議員51人全員に政倫審での説明促す方針固める 2/19
派閥の政治資金問題をめぐり、自民党は19日、安倍派幹部や二階元幹事長など、聞き取り調査を行った51人すべての衆院議員に対し、国会の政治倫理審査会での説明を促す方針を固めた。 51人全議員の出席は立憲民主党など野党側が求めているが、政倫審は原則、本人に出席の意思がなければ強制的に出席をさせることはできず、まずは本人に確認が必要となる。 聞き取り調査を行った森山裕総務会長らが、19日夜にかけて議員に対して連絡を行い、出席の意思確認を行う方針だ。 |
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●小沢一郎氏「国民怒らないと国が壊れる」自民党裏金問題 2/19
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は19日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を念頭に「普通なら政権交代が当たり前の腐敗政治」と、厳しく指摘した。 小沢氏は投稿で「自民は楽しみ、国民は苦しむ。自民は豊かに、国民は貧しく。自民は脱税、国民は納税。自民に甘く、国民に厳しく。自民は明るく、国民は暗く。そんな自民をまだ笑って支持するなら、国民にはますます厳しく醜い国になる」と指摘。「普通なら政権交代が当たり前の腐敗政治。国民が怒らなければ、国が壊れてしまう」ともポストした。 今回の裏金問題をめぐり、報道各社が発表した岸田内閣の支持率や自民党の政党支持率の数字は、悪化している。特に毎日新聞社が18日に発表した全国世論調査では、岸田内閣の支持率が1月の前回調査から7ポイント減の14%まで落ち込み、不支持は前回調査から10ポイント増の82%に。不支持が80%を超えたことについて、毎日新聞は電子版の記事で「世論調査で内閣支持率を初めて質問した1947年7月以来、初めて」と、その異例さに触れている。 |
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●「裏金」なのに「還付」…自民党裏金問題巡って松尾潔がラジオで批判 2/19
自民党の裏金問題調査チームの報告書では、「裏金」は「還付金」、「中抜き」は「留保」と言い換えられた。そしてNHKは報告書そのままの表現で報道した。音楽プロデューサー・松尾潔さんは2月19日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で、こうした言い換えに神経をとがらせ、思考を止めてはならないと呼びかけた。 ●「裏金」を「還付」と言い換え 僕は歌詞を書いたり本を書いたりという、言葉に携わる仕事をやっているので、今回は「政治と言葉」について考えてみたいと思っています。ここ数日、メディアをはじめ、一般でもいろんな方々がメッセージを発していることですが、自民党の裏金問題について「言葉の言い換え」が度を過ぎています。 これまで「裏金」とか「キックバック」といった言葉で報じられ、しかもその表現が定着していますが、ここにきて自民党が何食わぬ顔をして「還付金」と言い換えています。さらに、実態としては中抜きに他ならないものを「留保」とか「留保金」とも言っています。 ●NHKは自民党が言ったままの表現で報道 そういう言い換えをすればするほど、この問題を秘匿したいんだろうな、という意図がよく分かるんですが、そのことに気づくことができるのは、この問題に少なからず意識を持っている人たちだけで、普段あまり政治ニュースは見ないという人は気付きにくいでしょう。 例えばNHKのニュース。自民党の議員が「還付金」とか「留保方式」とか言っている言葉を、そのまま使って報じています。言葉を選ぶべきだと思うのですが、これは呆れますね。大げさかもしれませんが「批評精神のなさ」、少なくとも、公正さを欠いている伝え方ではないでしょうか。 テレビの特性として、トピックを視聴者にイメージで伝えるという機能が高いということがあります。アナウンサーやキャスターの表情ひとつをとってみてもそうですが、たとえば神妙な顔で、かつ低いトーンで伝えれば、それはシリアスな話だと受け止められます。 そういう神妙な感じで、僕に言わせると「すり替えられた言葉」を使われると、それがまるでオフィシャルであるかのように受け入れてしまうという事態が発生するのではないかと危惧しています。 ●「感性は思考なしにはありえない」 朝日新聞の朝刊1面に毎日連載されている「折々のことば」では、大阪大学元総長で哲学者の鷲田清一さんがそのとき気になる、もしくは時代にあった言葉をピックアップしています。昨日(2月18日)はドイツ在住の作家、多和田葉子さんのことばが紹介されていました。 「感性は思考なしにはありえないのに、考えないことが感じることだと思っている人がたくさんいる」。多田さんのエッセイ集の中からの引用です。このことばを受けて鷲田清一先生は「思考もまたセンスや鮮度が問われる。周囲の微細な変化を感知するアンテナのような」と述べています。 まさに微細な変化、微細な言葉の置き換えです。こういったものを感じるためには、やはり普段から「ただ感じる」と思考を停止させるのではなく、思考をずっとアイドリングしておいて、考えることをやめないっていうことが求められます。 もちろん、ストレスフルな現代社会において、考えることのスイッチをオフにする瞬間もあって良いと思うんですが、社会、とりわけ政治のことに関しては、言葉に敏感になりすぎて困ることはないのではないでしょうか。今回のこの裏金をめぐる言葉の置き換えで僕は改めてそう思いましたね。 ●「きちんと考える人が一番クールです」 「(考えるのではなく)感じる」というのは、マッチョな気分とよくフィットしている言葉で「お前考えすぎだよ。感じるように動けばいいんだよ」みたいなことを言われると、考えるのがダサイみたいに思ってしまいます。僕も若いときにはそう思っていたときがあったんですが、いやいや、きちんと考える人が一番クールです。 そこを常時オフにしている人を見かけるときもあるし、むしろそれを誇りにして「俺は感じるままに生きてきた」と自慢げに語る方もいます。なんとなくロックアーティストっぽいかっこよさがあることは否定しませんが。 社会や、とりわけ政治に対して、僕が繰り返し言ってきている「フェアとは何か?」ということを考えるときには、その前提としての「think」という行為を日常化することが大前提です。そのことをここで改めて最後に言いたいです。 |
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●自衛隊 弁当代金キックバック 幹部自衛官自ら“詐欺持ち掛けた”か 2/19
自衛隊の弁当の代金を水増し、約95万円をだまし取ったとして逮捕された幹部自衛官の男は、自ら詐欺を持ち掛けていたとみられることが分かりました。 詐欺の疑いで2月19日送検されたのは、陸上自衛隊旭川駐屯地の幹部 目時芳幸容疑者と旭川市の弁当納入業者の会社役員 宮崎二維容疑者です。 2人は共謀して2023年1月、弁当1250個を水増しし納品を装い、約95万円を旭川駐屯地に請求し、だまし取った疑いがもたれています。 目時容疑者が自ら詐欺を持ち掛けたとみられ、宮崎容疑者からキックバックとして10万円以上の商品券などを受け取っていたとみられています。 警察は2人がほかにも水増し請求を繰り返していたとみて詳しく調べています。 |
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●青汁王子「上級国民が裏金、脱税をしても平然と許され、貧しい人達が搾取され続ける社会って本当にヤバい」 2/19
「青汁王子」こと実業家・三崎優太氏(34)が19日までに自身のSNSを更新を更新。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、脱税の可能性が指摘されていることに言及した。 自民党による党所属国会議員らを対象としたアンケート調査では、2018〜22年にパーティー券収入のキックバック(還流)や中抜きに関する政治資金収支報告書への不記載や誤記載があったのは85人で、総額は計5億7949万円に上った。 政治団体が寄付やパーティーで集めた政治資金は原則、非課税だが、不記載分に関し、野党などは議員個人の「雑所得」とみなして所得税法上の課税対象とすべきだと主張している。 三崎氏は「上級国民が裏金、脱税をしても平然と許され、貧しい人達が搾取され続ける社会って本当にヤバいと思う」と指摘し、「自分には何もできず、本当に無力だと思う。せめて、こうして声をあげることで何かが少しでも変わって欲しい」とつづった。 |
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●文科相不信任案、20日否決=立民、旧統一教会との関係「不適格」 2/19
立憲民主党は19日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連団体との過去の関係について説明責任を果たしていない盛山正仁文部科学相は不適格だとして、衆院に文科相不信任決議案を提出した。不信任案は20日午後の衆院本会議で、与党などの反対多数で否決される見通しだ。 岸田文雄首相は首相官邸で記者団に「盛山氏は過去はともかく、現時点では当該団体と一切関係がない」と強調。「引き続き職責を果たしてもらいたい」と述べ、更迭を否定した。 盛山氏は2021年10月の衆院選で、教団の関連団体から推薦状を受け取っていた疑惑などが指摘されている。衆院予算委員会で盛山氏は「(推薦状を)受け取ったのではないか」などと曖昧な答弁を繰り返していた。 |
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●自民安倍派・衛藤征士郎最高顧問「政倫審、全員が出席してよく説明すべき」 2/19
自民党の裏金事件をめぐり、野党側が政治資金収支報告書に不記載があった安倍派や二階派の衆議院議員51人を政治倫理審査会に出席させるよう求めていることについて、安倍派の衛藤征士郎最高顧問は19日、JNNの取材に対し、政倫審が設置されたら自身も「積極的に対応する」としたうえで、「全員が出席してよく説明すべきだと思う」との考えを示しました。 また、派閥の政治資金パーティー収入のキックバックなどは使いみち次第では課税対象となることから、収支報告書への不記載は「脱税ではないか」と指摘されていることについては、不記載が政治資金規正法に抵触したことは問題だが、「脱税なんか全くないと思う」と強調しています。 |
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●自民裏金「国税が調査すべき」が93%… 2/19
自民党の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、問題のあった自民党議員を「国税が調査すべきだ」が93%――毎日新聞が実施した世論調査(2月17・18日)で報じた数字が話題を呼んでいる。 自民党による党内アンケートや聞き取り調査で、2018〜22年にパーティー券収入の政治資金収支報告書への不記載や誤記載があったのは85人(安倍派79人、二階派6人)で、総額は計5億7949万円に上っている。 裏金事件をめぐっては、会計責任者や秘書が立件される一方で、議員の立件は4000万円超のキックバックを受けた安倍派の3議員のみ。 政治資金は原則非課税だが、裏金が議員本人の収入と見なされれば、所得税の課税対象になり得る。私的利用があった場合、脱税の疑惑がかかる。 だが、2月15日、自民の森山裕総務会長は「政治資金として処理しているので、所得税は発生しない」とし、納税を「党として検討することはあり得ない」と否定的な考えを示した。 また、鈴木俊一財務大臣も同日、「財務大臣の立場で不記載をおこなった議員に対し、納税するようにと言うことはしない。党の立場を見守るということだ」と述べていた。 2月19日、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)は、世論調査で「国税が調査すべきだ」が93%もの高い数字を示したことを取り上げた。 政治ジャーナリストの田崎史郎氏は「93%に達しているのは厳しい状況。世論調査で90%を超すのは非常に珍しい。それを超えているのは国民の怒りそのものだと思う」と解説した。 元テレビ朝日社員の玉川徹氏は、テレビ朝日を退職したため、現在、確定申告の準備の真っ最中だとしてこう語った。 「自分で領収書をなるだけ集めても税務署に『これダメ』って言われるかもしれない。そういうのに少しビクビクしながら税理士さんに渡して申告する。そういうことやってると『こいつら何やってんだ!』っていうふうに思う」 さらに玉川氏は、「日本ってサラリーマンは確定申告じゃなくてもいいじゃないですか、源泉徴収で。他の国のようにみんな確定申告だったら、もう自民党終わってますよ、とっくの昔に」とも語った。 世論調査で、自民党議員を「国税が調査すべきだ」が93%もの高い数字を示したことを受け、SNSでも怒りの声が渦巻いている。 《国税庁さん出番ですよ 仕事してくださいよ 庶民からばかり税金徴収しないで 裏金議員さんからがっぽり徴収して下さいよ》 《当たり前の世論だろ…。日本国民には五公五民クラスの重税が課されるのに、自民党議員は裏金作って脱税しても逮捕されないなんておかし過ぎる》 《国民にはキッチリ納税させて、脱税議員には『お手盛り』の目こぼし、って…コイツら裏金議員を養ってやる為に税金納めてんじゃない!》 元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は、2月18日、自身の「X」に、この数字を報じた記事を貼り付けたうえで、こう書きこんだ。 《これで自民党国会議員への税務調査がなかったらいよいよ統治不全になるで。自民党だけでなく、政策活動費の領収書公開をしていない維新議員も旧文通費の領収書公開をしていない立憲議員も税務調査。》 納税は国民の義務。政治資金であることを理由に、脱税疑惑から逃れ続けていては、国民が納得するわけがない。 |
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●「政権交代して出直す以外に道はない」 岸田内閣の支持率低下で厳しい指摘 2/19
元外務審議官で小泉純一郎政権時代に日朝交渉を担当した田中均さんが19日、X(旧ツイッター)に新規投稿。政治資金の裏金問題などで揺れる岸田文雄政権の内閣支持率が低迷していることについて、「政権交代して出直す以外に道はない」と厳しく指摘した。 田中さんは「内閣支持率軒並み10%台、不支持率80%越え。岸田首相が良く使う『各自の説明責任』は自身の指導権の放棄」と解説。さらに「日本の政治は過去安倍派に率いられてきたが、その安倍派が長年権力の陰で国民を欺いてきたことに誰が責任をとるのか」とし、「このまま実態を包み隠していくのなら、政権交代して出直す以外に道はない」と持論を展開した。 岸田政権は昨年から続く自民党派閥の裏金疑惑が深刻化。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と党との関係を巡る報道も加わり、支持率低下が続いている。 |
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●内閣+自民支持率50%割れ 「青木の法則」危険水域に 支持層も厳しい目 2/19
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が17、18両日に実施した合同世論調査で、自民党の政党支持率が令和3年10月の岸田文雄政権発足後最低の24・8%に落ち込んだ。内閣支持率(22・4%)との合計は47・2ポイント。内閣支持率と与党第一党の政党支持率の合計値が「50」を割り込むと政権運営が程なく行き詰まるとされる「青木の法則(青木率)」の危険域に入り、綱渡りの政権運営を強いられている現状が浮き彫りになった。 青木率は、昨年死去した自民党の青木幹雄元参院議員会長が経験則から唱え、永田町で幅広く知られている法則だ。内閣支持率と与党第一党の合計値が高ければ政権にとって「追い風」で、逆に低ければ「逆風」を示すことから、衆院解散・総選挙のタイミングを諮る指標の一つとみる向きもある。 岸田政権が発足した令和3年10月の調査の内閣支持率は63・2%と自民党支持率は45・3%で、合計した青木率は108・5ポイント。この際は直後の同月末に行われた衆院選で自民は単独過半数を維持し、勝利を収めた。ただ、その後、青木率は緩やかに下降傾向をたどり、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件が浮上した昨年12月の青木率は49・8ポイントで、政権発足後初めて「50」を切った。1月には54・7ポイントに持ち直したものの、今回の調査で再び危険水準に入った格好だ。 内閣と自民の支持率低下の大きな要因の一つである派閥の政治資金パーティー収入不記載事件には、自民支持層からも厳しい視線が向けられている。今回の調査で、不記載があった議員が衆参の政治倫理審査会で自ら説明すべきか尋ねたところ、回答者の89・0%が「説明すべきだ」と回答。自民党支持層に限っても81・3%が「説明すべきだ」とした。 また、不記載議員への自民の対応では自民支持層の46・8%が「派閥の幹部議員を処分すべきだ」と答えた。「不記載のあった全ての議員を処分すべきだ」も31・8%に上った一方、「処分の必要はない」は17・6%にとどまる。自民の閣僚経験者は「(調査結果は)肌感覚に近い。問題はこの状態がいつまで続くかだ。早く何とかしなければ」とつぶやいた。 |
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●不支持8割超♀ン田内閣「退陣水域」に 毎日が調査開始以来初 2/19
岸田文雄政権が歴史的℃x持率低迷に直面している。報道各社の世論調査で、内閣支持率は過去最低を更新、複数の調査で「退陣水域」といえる10%台まで落ち込んだ。「政治とカネ」の問題や、政策に対する有権者の不信感が如実に表れている。 「世論調査に一喜一憂するのではなく、先送りできない課題に結果を出し、国民の期待に応えていくことが重要」 昨年以降、岸田首相は繰り返しこう述べて、平静を装い続けてきた。だが、直近の世論調査は「岸田政治」に極めて厳しい評価となっている。 毎日新聞が18日に公表した世論調査で、内閣支持率は14%で前回1月調査から7ポイント下落し、岸田政権発足以来最低を更新した。不支持率は同10ポイント増の82%で、毎日が1947年に内閣支持率の調査を行ってから初めて8割を超えた。 読売新聞が18日に公表した調査結果も厳しい。内閣支持率は24%で横ばいだったが、2012年に自民党が政権復帰して以降では最低だ。 |
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●「野党組んだら政権交代出来るんちゃう?」最新政党支持率調査の数字に 2/19
「2ちゃんねる」開設者で元管理人の「ひろゆき」こと西村博之氏(47)が19日17日までにX(旧ツイッター)を更新。「政権交代」の可能性に言及した。 ひろゆき氏は、毎日新聞が報じた、同紙による全国世論調査の結果を報じる記事を添付。そこでは各政党の政党支持率も報じられており、前回より大きく低下した自民党の支持率と、各野党の支持率を合わせた数字を比べると、後者が大きく上回る結果となっている。 ひろゆき氏は同世論調査の各政党支持率の数字を掲載し、「世論調査の偏りはあるにせよ、野党が組んだら政権交代出来るんちゃう?」と私見をつづった。 この投稿に「機は熟した感」「時が来たって母さんが言ってた」「選挙いこう!!」「どこが(誰が)中心になるかですよね」「とりあえず交代してください」「選挙行かなきゃですね!」などとさまざまな意見が寄せられている。 |
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●岸田首相 盛山文科相を続投させる考え示す 2/19
立憲民主党が不信任決議案を提出した盛山文部科学相について、岸田首相は19日午後、続投させる考えを示しました。 岸田首相は盛山文科相について、「引き続き職責を全うしていただき、責任を果たしていただきたい」と続投させる考えを示しました。 その理由については「過去の関係はともかく現時点で、当該団体と一切関係がない」とした上で「盛山大臣のもとで解散命令請求手続きを行った」と説明しました。 その上で岸田首相、はいわゆる統一教会の解散と被害者救済に関して「盛山大臣には引き続き責任を果たしてもらいたい」と強調しました。 盛山文科相に対する不信任案は20日午後、衆議院本会議で採決され、与党などの反対多数で否決される見通しです。 |
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●脱炭素政策が作り出す安全保障の脆弱性 3/19
兼原 このたびのウクライナ戦争を見ていて思うことは、戦争というのは正規軍同士が正面からぶつかるところだけを見ていてはいけない、ということです。私たちも最近、国家安全保障戦略で「総合的国力」とかDIME(外交・情報・軍事・経済)とか言い始めましたが、振り返れば第二次世界大戦のときも補給がうまくいかなかったのが日本軍敗北の大きな要因だったわけです。軍事に意識が集中しがちですが、経済で負けたら戦争は負けなのです。今回のウクライナの教訓は、ロシア軍はウクライナ側の電力設備を破壊して、国としての継戦能力を痛めつけ、あの地域の冬は厳寒なので暖房を切って国民の厭戦気分をあおる、そういう攻撃をロシアのような国は当然やるのだということです。民間を狙わないというのは大間違いです。 杉山 おっしゃる通りで、エネルギーインフラ施設がロシア軍による攻撃対象になっていますが、その割には結構すぐ復旧して、何とか電力が供給されているようです。先日、ウクライナの電力会社の技術者のインタビュー記事が産経新聞に載っていました。会社の中だけで100人以上が亡くなっているけれども、それでも電力インフラが破壊されるたびに現場に行って数日かかっても危険を顧みずに復旧作業をしているという話でした。日本でも将来、同様のことがないとは限りません。その場合には攻撃されてもすぐ直して、電力網を維持していかねばなりません。聞いた話ではウクライナはもともと米ソの戦争に備えてあちこち要塞化されているようですし…。 兼原 核シェルターもつくっている国ですから。 杉山 電力インフラもある程度、戦争を想定してつくっていたのではないでしょうか。我々も教訓として学ぶべきことがあろうかと思います。 兼原 ウクライナ周辺の国々も、この戦争の影響を大きく受けています。特にドイツは極端なところがあって、対露関係の安定ということもあり、エネルギー供給でロシアへの依存を深めていましたが結局、プーチン露大統領のような人が戦争に訴えてくると、相互依存関係が武器として利用されてしまいました。ショルツ独首相は気の毒ですが、ロシアからすると「天然ガスなんていつでも止めてやる」という話です。ドイツはガスのおよそ半分をロシアに依存していました。EU全体でも4割ほどをロシアに依存しており、東欧のチェコ、ハンガリー、スロバキアあたりは特に依存度が高かった。そういうところがガス供給を断たれたら大変なことになる。そういうことが実際に起こるということを考えねばなりません。日本政府が、「安全保障に国家全体で取り組みましょう」と言い始めたのは安倍晋三政権からです。NSC(国家安全保障会議)ができて外務省、防衛省に加え警察庁などが一体化した取り組みを始めたのは最近10年のことです。経済官庁についていえば、GHQによる傷跡のひとつなのですが、軍事が全くわからない組織でした。最近はずいぶん状況は改善されましたが、以前は経済戦争しか頭になくて「敵はアメリカ」だったわけです。エネルギー安全保障については資源エネルギー庁に丸投げ状態でした。 杉山 そもそも平和ボケが日本の国中に蔓延していて、産業界も「安全保障」という言葉すら使っておらず、エネルギー安全保障というよりエネルギー安定供給という言い方をする人が多く、有事の発想などありません。エネルギーのベストミックスとか産油国との関係強化とか自主資源開発とか、そういうことには熱心でも、軍事忌避で有事の発想はこれまでまるでなかったのです。 ●シーレーンの安全確保が急務 兼原 そうですね。日本有事となったときにどうするかは、資源エネルギー庁の人は一生懸命考えているわけですが、石油ショック以降も石油やガスを備蓄するだけで、有事の際に石油タンクが爆破されたらどうするかまでは考えていない。国家全体のエネルギー安全保障には手が回っていません。原子力は普通の国では安全保障直結の話ですが、いわゆるNPT(核拡散防止条約)体制遵守とか、核物質防護の話とかはある程度、条約に従って動いているのですが、軍事面・防衛面との関係はゼロ。世界的には異常なことだと思います。 杉山 石油は200日分が備蓄されているとはいえむき出しのタンクで、テロなどやろうと思えば簡単にできてしまいます。一方で原子力発電所については厳重にテロ対策が行われ、そのために発電を止めることまで行われています。それはバランス的にいかがなものか。テロリストが来たとして原発を壊すのは結構、大変でしょう。敷地に侵入して、建物を壊して、さらにその中の格納容器や、補助電源設備まで壊さなければいけない。そんなことをするよりは石油タンクを狙ったり、LNGタンカーを東京湾の入口あたりで狙うほうがよほど容易です。 兼原 エネルギーも含め経済全体が軍事とは別の世界を私たちはつくってしまっているわけです。いま、そこをつなげる動きが始まっていますが、最優先で進めるべきことがエネルギー安全保障です。エネルギー安保の世界では政府の横串がささっておらず、エネ庁が一人でやっている。これでは戦争になったら負けます。太陽光発電にしても安全保障系の省庁との連携はゼロですから。最近やっと、土地利用のあり方がおかしい、なんでここに太陽光発電がいっぱいあるんだという話になってきています。沖縄県の宮古島では自衛隊の駐屯地ができる前に中国企業関連の太陽光発電のパネルがずらっと並んでしまい、そのために駐屯地の場所が10キロほど離れたところに変更になったほどです。経産省は今、技術流出阻止の話などで安全保障の話に乗ってきているので、エネルギー安全保障についても話を進めていかねばなりません。私たちが現役時代にやり残した仕事で申し訳ないと思っています。シーレーン(海上輸送路)の安全確保もそうです。まったく動いていない。台湾有事の際、中国が日本にも手を出すと決めた場合、中国が米軍基地と自衛隊基地だけを攻撃するという保証はありません。戦争は相手の一番弱いところを突くわけだから、当然ながら石油の備蓄タンクを狙うわけです。全部、むき出しになった青空タンクですから。そうすると半年分の油が吹っ飛ぶ。しかも東・南シナ海は戦場になっているからタンカーは通れません。タンカーはフィリピンの南方から太平洋へと大回りせざるを得ません。自衛隊はとても護衛には手が回らない。中国のドローンや潜水艦によって2、3隻でもタンカーが沈められたら大騒ぎになりますよ。20万トンのタンカーが1日15隻は入ってこないと日本経済は回りませんから、2、3隻が沈むことで日本が倒れるかもしれない。そこで倒れるとわかったら習近平は実際やるかもしれない。戦争となれば卑怯も何もありません。先の大戦で、米軍が真珠湾攻撃を受けた後で何をまずやったかといえば、日本の商船隊の壊滅です。中国がそれをやらない保証はない。こういう話は、日本政府はまったく手当てができていません。 杉山 たしかにシーレーンを止められたら大変です。ウクライナを見ていて思うことは、何だかんだいってもポーランドとは地続きで補給を受けられるということです。日本の場合は周りが海ですから、どうなることか。石油は200日分の備蓄ができるとはいえ、脆弱性がある。一方、天然ガスは2〜3週間分しか備蓄ができません。石炭も現状では最小限の在庫があるにすぎず、これは1カ月分程度しかない。原発の場合、いったん燃料を装荷すると普通は1年くらいで交換しますが、頑張れば3年くらい発電は可能です。装荷する前の燃料を長期保管もできる。いざ有事で海上輸送が滞っても電気を供給し続けられるのは原子力のメリットでしょう。ウクライナとも地続きの欧州ですが、ドイツが中心になって進めていた欧州のエネルギー政策の転換は大失敗だったといえます。この戦争の勃発前、欧州はCO2を減らすために石炭などの資源がたくさんあるけれども使わない、さらにドイツは原発も使わないことにしていました。それで風力発電か、ロシアの天然ガスしか頼るものがなくなった。風力は結局、あまり頼りになりません。それでロシアと相互依存のつもりで天然ガスをどんどん輸入していたら、それを武器化されてしまった。プーチンがウクライナへの侵攻に踏み切ったのは、ドイツを筆頭に経済制裁なんて本気でやらないだろう、という計算があったからでしょう。結果としていま、G7(先進7カ国)はロシアからの資源を輸入しないよう結束して経済制裁を科していますが、そもそもロシアに対して「制裁なんてタカがしれている」と思わせてはいけなかった。その点で完全に失敗でした。実は欧州の脱炭素政策が安全保障上の脆弱性をつくり出した、これは非常に重い教訓だと思っています。 ●GDPの3%を脱炭素に投入 杉山 いまの日本政府のエネルギー政策は環境への配慮が最優先になっています。岸田文雄首相肝いりのグリーン・トランスフォーメーション(GX)が国の基本方針として閣議決定されました。関連する法案も今通常国会で可決される見通しです。GXとは、ひらたくいえば「脱炭素」です。官民あわせて10年で150兆円を脱炭素の社会実現に向けて投資するとのことで、年間15兆円の投資という計算ですが、これはGDP(国内総生産)の3%にあたります。しかも、政府はこの動きを支持するため新たな国債を発行します。 兼原 防衛省に聞かせてやりたい話ですね。バイデン政権もGXやインフラや半導体に巨額の補助を出していますが、みな、国家安全保障と絡めて考えています。日本ではGXと安全保障産業政策が全く絡んでいない。 杉山 防衛費がGDPの2%弱になる、と大騒ぎしているときに、それを上回るGDPの3%をグリーン投資につぎ込むという話が、ノーマークで国会を通ってしまいそうな気配なのです。これは一体、何なのか。GXの目玉はやはり太陽光発電で、さらにはその電気を使って水素をつくるという話も出ています。「化石燃料の輸入が減るので安全保障上もプラスだ」と言う人もいますが、実際には幾重にも問題があります。まず太陽光発電は高くつきます。近年、太陽光や風力の電気が安くなったといわれますが、ドイツやデンマーク、あるいは米カリフォルニア州など、再生可能エネルギーの導入を進めた国・地域ほど電気代が高騰しているのは動かぬ事実です。不安定な電源をいくら入れても、安定的な電源が別途必要になり、二重投資にならざるを得ないわけです。そうしてエネルギーのコストが高くなれば、産業は逃げていきます。いま米国で投資が起きているのはレッド・ステート、すなわち共和党知事のいる内陸部の州です。エネルギーの安いそれらの州に、欧州からも企業が集まっている。日本の産業も空洞化が進んでいますが、エネルギー価格が高いというのも大きな要因でしょう。また現在、世界の太陽光パネルの8割が中国製ですが、数年以内に欧州の企業も製造から撤退するため、95%が中国製になる見通しです。中国製のうち半分ほどは新疆ウイグル自治区製で、これを輸入することは人権上も大問題です。太陽光発電についての不安を言い出すと際限がありません。自衛隊基地のそばにもメガソーラーが多数あり、通信の傍受・妨害やテロの基地になりかねない。複数の太陽光発電所の発電を一斉に止められたら周辺は大停電になります。そうしたことが公の場でほとんど検討されていません。 兼原 土地利用規制法に関しては菅義偉政権のときに成立しましたが、もともとは地方議会で最初に火がついた話です。先ほど触れたように沖縄県の宮古島であったような、中国資本の太陽光発電施設のために自衛隊の駐屯地が場所を変えざるを得なかった。中国資本はおそらく、太陽光発電にしても当初は公明正大に参入してくるでしょう。ただ、3人以上の中国人がいる企業には必ず共産党の細胞をつくらねばならず、党の細胞ができてしまうと党には絶対服従ですから、もう日本の憲法や法律など関係なく、平気でいろんなことをやるわけで、後からこの人たちが入ってきたらアウトです。土地利用規制法がザル法だ、という批判はありますが、ともかく施行されたのは立派なこと。私は「ナフタリン法」と呼んでいますが、法律があることに意義があるのです。ナフタリンは置いておけば虫が寄って来ませんから。経産省の太陽光に補助金を付けている部署は、どこに自衛隊の基地があるとかいうことをそもそも考えていませんでした。やっと最近は経産省も安全保障の土俵に乗ってきましたが、まだまだこれからです。国の根幹であるエネルギーの分野と安全保障とのすり合わせが一番、遅れています。これはGHQの日本非軍事化政策の爪痕です。戦後、GHQが入ってきて陸海軍がつぶされ、「一切の軍事をやめろ」と言われて全ての官庁が軍事関連業務をやめてしまった。その後「再軍備しろ」と言われたときに手を挙げたのは外務省、警察庁くらいで、他の役所は軍事とは完全に関係が切れていたのです。 ●有事にはたちまち飢える都市住民 杉山 エネルギーが国の根幹だというのはおっしゃる通りで、エネルギーが断たれると、たちまち食料も干上がってしまいます。食料を1カロリー生産するために、エネルギーはその10倍も使っているのです。何に使うかといえば農業機械もありますし、肥料や農薬も化石燃料からつくられています。もちろん物流や冷蔵などもあり、日本のエネルギー消費の3分の1程度が食料関係ともいわれます。エネルギーがショートしてまず何が起きるかといえば、物が運べなくなって都市の中が飢餓状態になるでしょう。ウクライナ戦争のように長引くことになれば、農業機械も動かせなくなり、肥料に至っては日本はほとんど輸入ですし、その備蓄も非常に心もとないのが現状です。最近、自衛隊の「継戦能力」が話題になっていますが、日本は食料もなければ肥料もエネルギーもない、そういう状態ですから、国全体の継戦能力という観点から考えなければ。 兼原 肥料は昨年、制定された経済安全保障推進法の中の「特定重要物資」に入っています。 杉山 入ってはいるのですが、まだ種類も量もわずかなのでこれからの課題が大です。 兼原 そもそも日本は島国ですから、すべてを自給することは不可能です。自給だけではないから1億2千万の人を養えている。自給だけだった江戸時代は3千万人ですからね。日本の食料・エネルギー安保の根幹中の根幹はシーレーンであって、これを切られたら日本は負けで、いかんともしがたい。 杉山 それでも脆弱性をつくらないことが重要で「豊富な貯えがあるから1年くらいは大丈夫だぞ」という姿勢を見せておけば…。 兼原 それだけ頑張れば、その間にアメリカが敵海軍をたたきつぶしてくれるでしょう。 杉山 敵が「1カ月で勝てる」と思ったら…。 兼原 そうなれば当然、仕掛けてきますね。エスカレーション・コントロールという考え方があって、やられたらやり返せるところには仕掛けてこない、ということです。日本の国会での議論というのは面白くて、土下座して謝ればやられない、という議論が大真面目になされていますが、そんなことはありません。土下座して謝ったら蹴り殺されるかもしれない。食料自給率の問題にしても、いま農業従事者の平均年齢は68歳と高齢化が進んでいます。この国の農業をどうするかを真剣に考えねば。オランダやニュージーランドなど、生まれ変わっている農業国はいくらでもあります。日本も、農林水産物の輸出額が昨年は1兆円を超えました。本当はもっと頑張れるはずです。農協はこれまで日本の農業を支えてきましたが、地方に行ってみるとほとんど銀行化していたりします。漁業も同様で「何かあれば漁業補償でおカネがもらえるから」みたいな話になっている。日本の農林水産業は農政・漁政を根本から考えなければ、自給率の向上は望めません。 杉山 食料自給率については、実はエネルギーをふんだんに使った上での自給率であり、有事を想定した食料自給率になっていません。その食料をどうやって運んでくるか、生産の際に農業機械を動かす油がなくなったらどうするか、肥料が入ってこなかったらどうするか、が度外視されているのです。 兼原 有事に備えたシミュレーションが必要でしょう。地震に関しては、関東大震災が起きた9月1日に全閣僚を集めて、防災服を着てもらって2時間みっちり訓練をします。年に1回、リアルにやっていますので、官僚が用意したシナリオもあり、閣僚もおおよその流れが理解できます。しかし有事については、国民退避から始まって、杉山さんがおっしゃるエネルギー自給とか食料自給とかという一番初めに出てくるべき話が考えられていない。シミュレーションを繰り返せば「あれをやらねば、これもやらねば」という点が出てくるのですが、有事の話はさわるのも嫌だ、となってしまっている。ここを何とかしないといけません。いまはエネルギーや農業の話には火がついておらず、まだ国民保護をどうするかという議論です。沖縄県の先島諸島からどう逃げるかという話の段階ですが、本土に逃げてきても食料がないかもしれない。杉山さんがおっしゃるように、こういう話も全部考えなければいけません。 ●ミサイル攻撃の標的になる石油タンク 杉山 CSIS(米戦略国際問題研究所)の台湾有事シミュレーションが最近、話題になりましたが、最初の3週間程度でミサイルを撃ち合った末に中国が台湾占領に失敗する、という筋書きになっています。しかしその後については書いておらず泥沼化することもあり得ます。台湾有事が1年、2年あるいはもっと長期に及んだ場合に日本の安全保障は、シーレーンはどうなるか、という議論を本当はしなければなりません。 兼原 台湾有事における軍事的な相場観はある程度あって、中国側は何千発ものミサイルを用意していますから、米空母もなかなか台湾には近づけないでしょう。周囲をイージス艦と潜水艦で固めて半径200キロの巨大な防空圏をもっている米空母は、グアムの基地が動いて来るのと同じようなものです。しかし台湾近海まで来ると叩かれるので、その手前で控えているわけです。今は米軍といえど台湾近海の制空権・制海権は握れない。米側からすると、出来ることは限られていて、中国軍を台湾に上陸させなければいいのです。台湾には20万人の軍隊がいます。その台湾を占領するには20万人では足りず、定石としては3倍の60万人が必要です。60万の軍隊を200キロある海峡を渡って上陸させるのは至難の業です。米軍は制海権を100%は取れませんが、敵の船を沈めるのは得意なので、やる。そうすると中国軍は台湾に上陸できません。一部が上陸できたとしても殲滅されますから、戦争はどこかで終わる。それで何が見えてくるかというと、米軍が遠くから撃ってくるだけだとすると、中国側から日本にもミサイルや爆撃機がたくさん飛んでくるわけです。それに関しては米側から「お前、自分で対処するんだぞ」と言われることでしょう。ミサイル攻撃にさらされるに決まっていますから、アメリカは空母機動部隊を後方に下げます。日本防衛では自衛隊が頑張らないといけない。日本は前線国家になるわけです。そのときに中国はどこを狙ってくるか。石油の備蓄タンクを全部つぶせば継戦能力はゼロになるので、そこを狙わないと考えるほうがおかしい。シーレーンを破壊するには、中国としては潜水艦が2、3隻出ていけばいい。最近、『暁の宇品陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』という本が出ましたが、先の大戦で商船隊を徴用したのは陸軍でした。結局、その商船隊は海軍にもほとんど守ってもらえず9割、約1万5千隻が沈められます。6万人近い若い商船隊員が死んでいる。帝国海軍人の死亡率をはるかに上回る死亡率で、実態は輸送船団といっても特攻隊に近かった。しかしこれまでシーレーンの確保に向けた国の動きは、ほとんど進んでいないのが現状です。 ●まだ深い眠りにある日本 杉山 先述したGXですが、いま経産省・資源エネルギー庁が力を入れています。20兆円の「GX経済移行債」なる国債を発行し、それを20年くらいかけて償還するということで、年に1兆円程度の新しい特別会計がまたできることになりそうです。そして「GX経済移行推進機構」がつくられ、再生可能エネルギーを普及させ、それで水素をつくるとかいった話が進められていますが、日本の電力コストは上がるばかりで、日本経済の発展に逆行する話です。それは当然、安全保障にも逆行する話となります。GXの話が持ち上がってきたのは一昨年で、その後にロシアのウクライナ侵攻があったので方針転換するかと思って見ていたのですが、全然そうした転換の動きはありません。「脱ロシアの次は脱炭素」などと言われているのが現状です。脱ロシアの後には中国というさらに怖い相手も控えているのですが。 兼原 GXの話は、安全保障とは全くすり合わせなく動いていますね。特にエネルギー関連の新産業技術開発の話が安全保障と絡んでいないのが残念です。 杉山 全くです。日本のエネルギーをどうするつもりなのか。欧州も平和ボケで、実態としては世界中の化石燃料を買いあさったりしながら、表向きは脱炭素を掲げて、「化石燃料を買っているのは一時的なものです」と言い張っている。 兼原 欧州で必要な天然ガスの量は、世界のLNG(液化天然ガス)のスポット(短期当用)取引の量とほぼ同じです。だから欧州諸国が天然ガスを買いあさると、発展途上国は困ってしまう。 杉山 実際に天然ガスを買い負けて停電に陥る発展途上国も出始めています。一方、アメリカではバイデン大統領が温暖化対策に熱心ですが、インフレ抑制法という謎の名前の法律が成立し、「アメリカは本気で脱炭素に取り組むのだ」と日本では報道されています。しかし法律の内容をみると、蓄電池製造や重要鉱物の採掘といった産業にテコ入れする補助金を日本円で年5兆円ほど投入することになっており、自国を強くする方向での施策なのです。バイデン大統領の発言には米民主党の中でも急進的な人たちが主張するグリーンな話も入りこんでいます。ただ、アメリカは世界一の産油国であり、石炭の産出も多く化石燃料で潤っている州が多いだけに、全米的な脱炭素の規制は絶対に採用されません。共和党議員が反対するのはもちろん、民主党議員も「やっぱり産業が大事」というわけです。彼ら米国の多数派の合言葉は「エネルギー・ドミナンス」、つまりふんだんにエネルギーを供給して自国を潤し、友好国にも供給するのだということで、アメリカらしい物量作戦の発想です。日本もそのくらいの心意気で原子力の推進や化石燃料の調達なども進めていけばいいのですが。 兼原 やはり日本は敗戦の結果GHQに解体されて一度、国としての生存本能が死んで、ボーッとした社会になってしまっています。その点、アメリカは生き残るためなら何でもやる、というところがあります。 杉山 ようやく日本も目が覚めつつあるかと…。 兼原 いや、眠りは深いと思いますよ。 杉山 いい加減、目覚めてほしいものですが。 兼原 軍事の面では、少し目が覚めつつあるといえます。ウクライナの状況を見て、「あれを中国にやられたらどうなるか」を考え始めている。それで弾薬が足りないじゃないか、防衛費も2倍にしなければ、と動き始めているわけです。純軍事面では進展があるのですが、では有事になったら国民全体で自衛隊をどう支えるのか、エネルギーは大丈夫か、国民生活は大丈夫か、というところまではまだまだ意識が回っていません。 杉山 ウクライナの戦争でショックだったのは、アメリカが最優先したのが「核戦争を起こさないこと」で、ウクライナ人の命は二の次だったことです。台湾有事の際、日本は出撃拠点を米軍に提供しますから当然、日本も標的になります。そのときにアメリカは、やはり核戦争回避を最優先することでしょう。 兼原 アメリカは台湾有事の際、中国のA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略を恐れて台湾近海には近づかず離れて戦う、しかも全面核戦争を恐れるので本気ではやらない、ということが明らかになりつつあります。核戦争にならない範囲で、アメリカは局地戦をやるつもりです。先ほどお話のあったCSISのシミュレーションですが、あれは日本人への「あなたたち、中国にやられますよ」というメッセージなのです。 ●有事に頼れる原発に注力を 兼原 ウクライナの状況を見て、国民は目が覚め始めたといえます。しかし国会での論戦があまりに低調です。安全保障について本質的な議論をする人がおらず、議員は次の選挙のことばかり考えている。本当の問題はこれだ、と言ってくれるリーダーが不在なのです。国民的議論を巻き起こす発信力があるのはやはり首相です。安倍首相はその点、凄かった。全左翼を敵に回しましたが、それくらいのガッツのある人でないと務まらないと思います。 杉山 発信力のある方はGXに熱心なんですよね。河野太郎さんに小泉進次郎さん、そして菅義偉前首相も。 兼原 それが間違いだとは言いませんが…。ところで長年、役人をやっていて思うことですが、経産省というのは特殊な官庁なんですね。彼らの構想力・行動力は他の省庁にはないものです。GXも、経産省内でどのような意思決定過程があったのか、私には分かりませんが、首相を担いで突っ走っておカネも確保してきて、どうにか形にしてしまった。なかなか他の役所ではできないことです。 杉山 いま太陽光発電は全国各地で問題を引き起こしていますが、安全保障の観点から風向きが変わってきているように思われます。 兼原 安全保障ということでいえば2019年に秋田県の由利本荘沖の領海内で風力発電建設に向けた調査をするため、中国が公船を新潟港にまで派遣してきたことがありました。「何だこれは」と大騒ぎになってすぐに追い返したのですが、「誰が連れてきたのか」と調べたら民間の調査でした。そのころから経産省もだんだん安全保障について考えるようになってきました。それにしても、杉山先生が指摘されたエネルギー安全保障の話は、まだ十分にテーブルの上に載っていません。自衛隊の継戦能力の話ばかり出てきて、国家全体の継戦能力については議論が後回しになっています。いくら自衛隊が頑張っても、「電気がありません、油がありません」で国民が干上がってしまったら、日本はお手上げです。 杉山 シーレーンが封鎖されて石油・天然ガスの輸入が途絶えたら、日本は非常に厳しいことになります。その際には原子力発電所を全て稼働させることで、国内で必要な電力の2割程度は確保でき、加えて水力発電で1割程度は確保できるでしょう。それを優先順位の高い、継戦能力に関わるところに回せるようにしなければ。 兼原 そういう議論を今からきっちり進めておかねばなりません。そういう面倒なことは議論しない風潮がありますが、言いにくいことを言ってでも票を取ってくるのが本当の政治家です。その点で岸田首相は―直接、お仕えしていないのであくまで印象ですが―逃げない人ですよね。大きなものごとを決めるのには時間がかかりますが、進むべき方向は外していない。防衛費に5年で43兆円という決断もしましたし。原発の新増設も打ち出しました。そして結構、頑固で、いったん決めたら動じない人だと思います。 杉山 原発の再稼働・新増設という英断はありましたが、その先にまだまだ決めるべきことが残っています。一方でGXの導入に関しては、拙速なように思えてなりません。そうした国の存亡にかかわる議論が、国会できちんと行われることを望んでいます。 |
●岸田政権の総務大臣政務官に「旧統一教会との接点」が浮上…国会では“うそ”の答弁を繰り返していた! 2/28
●写真が示す「旧統一教会との接点」 真夏の西日に照らされた、30人ほどの老若男女が写った集合写真。Tシャツ姿の若者たちと、ダークスーツを着込んだ高齢の男性たちが同じ1枚に収まる構図が、なんとも言えないコントラストを生みだしている。 彼らは何者なのか。写真をよく見ると、掲げている横断幕にはこうある。 これは、15年8月7日、石川県七尾市にある道の駅「能登食祭市場」で行われたピースロードと呼ばれるイベントで撮られた1枚なのだ。ピースロードとは、日本と韓国の若者たちが、自転車で両国各地をリレー走行し、世界平和を訴えていくというイベント。主催はUPF(天宙平和連合)で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体である。 実際にイベントのホームページには、次のような記述がある。 〈ピースロードは、世界平和を推進するUPFの世界的な友好親善プロジェクトです。1981年、UPFの故文鮮明総裁が世界中のすべての人々を物理的に結ぶという国際平和高速道路を提案しました。ピースロードイニシアチブは、特に日韓を結ぶ海底トンネル構想とアラスカとシベリアを結ぶベーリング海峡計画の2つの事業を推進しています〉 そして、この1枚は、写真の中央やや右側に写る、黒スーツに白シャツのひときわ大きな体格の男性のfacebookにいまもアップされているものだ(2月27日現在)。彼は当時、石川県議会議員だった西田昭二氏(54歳)。西田氏はその後、国会議員への転出を果たし、現在は、岸田政権で総務大臣政務官を務めている。 つまり、この写真は、現政権を支える政務三役の1人が、過去に旧統一教会との接点があったことを示している。ただ、西田議員は、そのことを国会審議などの場で明かさず、これまでに“うそ”の答弁を繰り返しているのだ。 「西田さんは世渡り上手で目立ちたがり。とにかくパフォーマンスの男で、どこにでもホイホイ行って顔をだす軽い男だから、旧統一教会のイベントに参加していてもおかしくはないね」 自民党石川県連の関係者はそう指摘する。 ●前任者の不祥事を受けての抜擢だったが… 七尾市議、石川県議を経験した西田議員は、2017年の衆院選で石川3区から出馬して初当選。22年8月から約1年間、国土交通大臣政務官などを務めた。その後、自民党派閥の裏金問題が明るみになると、岸田政権を中核で支えた安倍派の政務三役が次々と交代。西田議員も、前任者の辞任を受けて、急遽2度目の大臣政務官を務めることになった。 「前任者の不祥事を受けての抜擢ですから、岸田文雄首相としては、絶対に失敗できない人事です。だからこそ政務官の経験があり、同じ派閥でもあった西田さんを信頼して登用したんです」(宏池会関係者) ところがその西田議員に、旧統一教会と接点があったことが浮上したのである。西田議員のfacebookには、前出の集合写真のほかにも複数の写真が投稿されていて、なかにはピースロードを周知するための巨大地図に、ほかの参加者とともに激励メッセージを寄せ書きしている姿を写した写真もある。 「22年7月にあった安倍晋三元首相の銃撃事件後、旧統一教会が、自民党の政策や政権運営に及ぼしてきた影響に注目が集まりました。自民党や朝日新聞などのメディアは、各議員に対して、教団との過去の接点を確認するアンケート調査を行いましたが、西田さんはいずれの調査に対しても教団との関係を否定しています」(全国紙政治部記者) そのうえで西田議員は国会でも“うそ”の答弁を行っているのだ。国土交通大臣政務官に就任後の臨時国会で、立憲民主党の小宮山泰子衆院議員が、旧統一教会との関わりについて「会合への出席」「選挙応援」「政策協定書(推薦書)へのサイン」という3つの観点から問うたところ、西田議員は次のように答弁している。 〈一番の、旧統一教会またその関係団体の会合に出席したことはございません。二番目の、旧統一教会またその関係団体から組織的な選挙協力を受けたことはございません。三番目の、旧統一教会またその関係団体の推薦確認書にサインしたこともございません〉(22年10月28日付国土交通委員会会議録) このような国会答弁とfacebookの写真との矛盾について、西田議員に直接尋ねた。 ●「ちょっと確認してみないとわからない」 ――15年8月7日に、旧統一教会の関連団体が主催したピースロードというイベントに参加していませんか。 「ちょっと、確認してみないとわからない」 ――自民党の調査や、国会での答弁では、教団との関係はなかったと言っています。 「もちろん関係ないですし、要請があったときもお断りをしていました」 ――要請? 「選挙の要請、(旧統一教会側が西田議員の選挙活動を)お手伝いするとかっていうことが、(17年10月の)国会議員の初挑戦のときもありましたけど、すべてお断りはしておりますけれど」 ――自民党などの調査では、県議時代までさかのぼって教団との接点を調べて、そのうえで関係はなかったと回答したのでしょうか。 「過去のことまではわからないですから、わからないですから。衆院議員の立場になってからの、あの、過去を全部調べました」 ――西田さんの記憶では、県議時代に教団との接点があったかどうか、覚えていないのですか。 「あの、もう(予定表などの記録が)手元になにもないものですから、ちょっとわからないんですけれども」 教団との関係はなかったという説明は、あくまで国会議員になって以降の活動に限られ、県議時代は含まれないという。また、安倍元首相の銃撃事件によって、旧統一教会に対する社会的な関心が高まる以前から、西田議員は、教団の活動に問題意識があったことも強調するのである。 一方、西田議員側には、衆院議員2期目をめざす総選挙に臨んでいた21年10月にも教団からのアプローチがあった。前出とは別の自民党石川県連関係者が明かす。 ●「旧統一教会みたいな話をされた」 「選挙区内にある内灘町のA町議から、旧統一教会のイベントに参加するよう誘われています。西田さんは当時、情勢調査の支持率が伸びず、野党候補に追い上げられて焦っていた。当初は『自分ひとりの力で勝つ』と意気込んでいましたが、このままでは危ないとわかると、ビラやハガキなどあらゆる配布物に岸田首相とのツーショット写真を載せて、岸田さん頼みに方針転換しています。 そのうえで旧統一教会の力にもすがりたかったのでしょうが、結果的には、日程が合わずに参加を断念したようです」 この点に関して、西田議員は次のように説明する。 ――A町議から、旧統一教会関連のイベントの案内がありましたか。 「うん。お断りしましたけど」 ――それは、どのようなイベント? 「あの、わかんないから、旧統一教会関連みたいな話をされたので、『私は行きません』って」 ――A町議から、旧統一教会という言葉が出たのか。 「あの、そこまでははっきり、出たかは記憶はわかりませんが。そういう(旧統一教会の)流れをくんでいる可能性があるみたいな話は、ちらっと。その話をいただいたときに『私は、それでは行けませんから』ってお答えはしています」 ――すると、当時から、旧統一教会関連の団体とは接点をもたない方がいいという問題意識があった。 「旧統一教会っていうことについては、はい、あの、私はすべてお断りしておりますけど」 一方のA町議にも電話で話を聞いた。 ●浮き彫りになった「認識の違い」 ――21年の総選挙中、西田さんを旧統一教会の関連イベントに参加するよう呼びかけましたか。 「私がですか? それは全然ないですけど」 ――西田さんの選挙を応援する目的で、教団関係者と引き合わせたこともなかったか。 「だって、私、旧統一教会(の信者)ではないもの。浄土真宗ですから。そういう宗派の違うところは、頭から否定しますけど」 旧統一教会の関連イベントへの参加をめぐって、認識の違いが浮きぼりになった西田議員とA町議。一方、前述のように、参加を見送ったのは、日程が合わないという偶然の産物だった可能性が高いのだが、西田議員は鼻高々だったという。 「総選挙後から1年後に教団の問題に焦点があたるようになると、西田さんは、同僚の議員に『問題のある団体だから、あのとき僕は出席を断ったんだ』と胸を張っていました。当選回数では西田さんより上のその議員から『すごいな。やっぱり地方議員が長かったからしっかりしているな』と言われると、ますますうれしそうでした」(同前) 教団との関係について、西田事務所にあらためて書面で質問したところ、おおむね次のような回答があった。 〈県議時代に、道の駅のイベントに顔を出してあいさつしたことはありますが、旧統一教会のイベントとの認識はありませんでした。国会議員になってからも、旧統一教会の会合に参加したことはないと認識しているため、党本部からの問い合わせにも、そのように回答しています〉 現在、旧統一問題との関係がとりざたされている盛山正仁文部科学大臣は、ごまかしや言い訳する姿勢にも批判が集まっている。西田氏の説明はどのように受け止められるだろうか。 |
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●舌打ちを繰り返していた「岸田首相」 心が折れるのは「4月28日」説 2/28
●足元をすくわれる案件がどんどん 能登半島地震や自民党派閥の裏金問題への対応について、国民からなかなか評価を得られない岸田文雄首相。ここ最近は舌打ちを繰り返すシーンが見られるようで、「心が折れるタイミング」に注目が集まっているという。 「元々、内閣支持率がなかなか浮上のきっかけを掴めない中、能登半島地震や自民党派閥の裏金問題への対応の物足りなさに加え、盛山正仁文科相と旧統一教会側との関係が新たに浮上するなど、足元をすくわれる案件がどんどん続いていますね」と、政治部デスク。 「首相を長年支え、現在は政務秘書官を務める山本高義氏の不適切な銀座のクラブ通いが報じられ、政権運営が好転するきっかけをなかなかつかめないままです」(同) そんな中、岸田首相が舌打ちを繰り返すようなシーンがあったのだという。 ●普段は強気だが 「2月19日に発表された産経新聞・FNN(フジニュースネットワーク)による世論調査で、内閣支持率が前月から5.2ポイント急落し、過去最低の22.4%を記録しました。これを知った岸田首相は舌打ちを繰り返していたようです。普段から支持率に一喜一憂しつつもそれを外には決して見せないタイプなのですが、さすがに我慢できなかったのかもしれません」(同) 他の世論調査と合わせ、国民の心が離反していることを目の当たりにさせられ、イライラが募り、つい素の顔が出た瞬間だったのかもしれない。とはいえ、タフというべきか、政権運営に関する気力が衰えたということもなければ、弱音を吐くような事態にはなっていないとされる。 「内閣支持率がどこで底を打つかによりますね。このまま右肩下がりを続けるなら、逆境に強い岸田首相もさすがに気持ちが萎えてしまうのではないかと見られています」(同) そこで永田町では、実際に「岸田おろし」ののろしが上がるのはいつか、首相の心が折れるのは何時ごろかという話が取り沙汰されているという。 ●茂木幹事長の考え 「4月28日に行われる東京15区、島根1区、そして長崎3区の衆院補選の結果がひとつのタイミングになりそうです。与党が候補を全選挙区で立てるか否か未確定ですが、0勝2敗か0勝3敗か、いずれにせよ“勝てない”となると、岸田首相の責任論、退陣論に発展することでしょう。選挙を取り仕切る茂木敏充幹事長は岸田政権を追い込むため、3選挙区での擁立にこだわり、0勝3敗を敢えて目指すかのような動きを見せています。」(同) もっとも、東京15区では野党候補が乱立し、共倒れの可能性が指摘されている。一方の与党には都民ファーストの候補に相乗りする動きも見られるが、いつ状況が変わるかも知れず、与党にとって楽観視できるものではないだろう。 「むろん、選挙で敗北すれば茂木氏自身の責任も問われるわけですが、それよりも首相が追い込まれて退陣するほうが先だろうと見越しているフシがあります。つまり、補選で負けた場合には『岸田おろし』はなくなる、なぜなら首相が自発的に辞任するから、という見方すら浮上しています。茂木氏もそれを狙っているのかも知れません」(同) いよいよ岸田政権の最終章に入ってきたのか、それとも……。 |
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●「支持率たったの14%」でも余裕の表情…「裏金、増税、統一教会問題」を抱える岸田政権がダラダラ続く本当の理由 2/28
岸田内閣の支持率が政権発足以来、最低記録を更新した。毎日新聞の世論調査(2月17日、18日実施)によると、支持率は14%で、前回調査から7ポイント減少した。ジャーナリストの鮫島浩さんは「裏金問題があっても、野党への期待感や政権交代の機運は盛り上がっていない。岸田首相や自民党に危機感がないのは、支持率がいくら落ちても政権交代が起きない構造的な問題があるからだ」という――。 ●支持率が急落しても緊張感のない岸田政権 岸田内閣や自民党の支持率は裏金事件の大逆風を受けて過去最低水準に落ち込んでいる。ところが、野党への期待感は高まらず、支持率がいくら下がっても政権交代の機運は盛り上がっていない。 自民党が裏金事件の全容解明や政治資金の透明化にまじめに取り組まず、政治責任をあいまいにしたまま幕引きを図ろうとしているのは、国民の怒りが爆発しても、次の衆院選に惨敗して野党へ転落するリアリティーがなく、切迫感を欠いているからだ。 野党が自民党に代わる政権の受け皿になり得ていないことが、この国の政治から緊張感を奪い、政治腐敗が続いている最大の理由である。 野党の低迷について「野党がバラバラだからだ」「野党第1党の立憲民主党の泉健太代表が首相候補として不人気だからだ」など、さまざまな要因が指摘されている。いずれも的を射た分析であろう。 しかし、より根源的な要因は、政治制度にある。小選挙区制度と比例代表制度を組み合わせた衆院の選挙制度が、野党乱立による「自民一強・野党多弱」を生み出し、政権交代を起こりやすくすることで政治腐敗を防ぐ二大政党政治のダイナミズムを失わせている。 ●自民党の万年与党体質が「失われた30年」を招いた ここまで自民党不信が高まりながら政権交代の機運が醸成されない現状は、ふたつの政党が競い合い、政権を交互に担うことで政治の健全化を目指した1990年代以降の政治改革が完全に頓挫したことを端的に物語っている。 日本がこの30年に経済大国から転落したのは、自民党に対抗する政治勢力が育たず、その結果として自民党は万年与党体質を引きずり、前例踏襲を重ね、少子高齢化や第三世界の台頭が進む時代に対応できなかったことに最大の要因があると私は考えている。 今回の裏金事件を、この国の政治制度の欠陥を見直し、政治が活力を取り戻すための制度変更のスタートとしなければならない。1990年代以降の政治改革が目指した二大政党政治の歩みを改めて検証し、抜本的な改革案を提言したい。 ●中途半端で終わった1990年代の政治改革 1993年衆院選で自民党が初めて野党に転落して非自民連立政権が誕生するまで、この国の政治は自民党が万年与党第1党、社会党が万年野党第1党の「自社体制」だった。両党はどちらも1955年に結集したため「55年体制」とも呼ばれてきた。 自社体制を支えてきたのは、当選枠が複数ある衆院選の中選挙区制度だった。例えば定数5の選挙区では、自民党は3、社会党は1、公明党は1の指定席を維持するケースが多かった。社会党や公明党には1議席を確実に守る組織票があった。 保守系新人は自民党公認を得られず、国会議員になるには無所属で出馬して保守票をむしり取り、自民現職3人のうちのひとりを自力で蹴落とすしかなかった。当選して初めて自民党から追加公認されたのだ。その過程で自民現職3人とは別の派閥の支援を受けた。自民党に常に4つ以上の派閥が存在してきたのはそのためである。中選挙区は与野党対決というよりも、自民党内の派閥同士の闘争の側面が強かったのだ。 一方、社会党は中選挙区に擁立する候補者を原則として現職一人に絞った。二人目に新人を擁立すると組織票が割れて共倒れになる恐れがあるからだ。全国の中選挙区で現職が確実に議席を維持し、野党第1党の座を守ることを最優先したのである。 ●万年野党と呼ばれた社会党 その結果、仮に全員が当選しても過半数には届かないことになった。衆院選がはじまる前から社会党の単独政権が誕生する可能性はゼロだった。ハナから「選挙による政権交代」をあきらめていたのだ。社会党が万年野党と呼ばれた最大の理由はここにある。 とはいえ、社会党は政策実現を放棄していたわけではない。社会党が最重視したのは、主力支持団体である自治労や日教組が求める「公務員の賃上げ」だった。野党第1党として与党第1党の自民党に常に「公務員の賃上げ」を求めてきたのである。自民党はその要求を簡単には受け入れてくれない。 そこで登場するのが「国対政治」だった。自民党と社会党の国会対策委員長が、どの法案をいつ採決するかという国会運営を密室で協議するのである。 社会党は予算案や外交・安全保障などの重要法案に断固反対し「徹底抗戦」した。その裏側で自民党に「公務員の賃上げ」を迫り、それが受け入れられた時点で予算案や重要法案の採決に応じたのである。この裏取引こそ「国対政治」の真髄だった。 自民党は1993年衆院選で野党に転落した後、社会党の村山富市氏を首相に担ぐ「奇策」で政権復帰を果たしたが、村山氏は自民党と国会で裏取引を重ねた国対族議員の大物だった。だからこそ、自民党は安心して村山氏を首相に担ぐことができたのだ。 ●二大政党政治を目指し、小選挙区制を導入したが… このような自社体制の「国対政治=談合政治」と決別し、衆院選による政権交代の実現を目指して中選挙区制度を廃止し、与野党一騎打ちの小選挙区制度を導入したのが1990年代の政治改革の柱だった。有権者に「与党か野党か」の二者択一を迫ることで「与党が失敗したら野党が代わって政権を担う」という二大政党政治をいわば強制的に作り出そうとしたのである。 新しい選挙制度は1996年衆院選から始まった。この時は橋本龍太郎首相が率いる自民党と、非自民連立政権を主導した小沢一郎氏が率いる新進党ががっぷり四つで激突し、自民党が勝利した。新進党は解党し、その多くを吸収して野党第1党にのしあがったのが民主党である。 2000年衆院選は自民党と民主党が激突して自民党が勝利したものの、民主党は大きく議席を伸ばした。選挙制度改革によって強制的に生み出された自民党vs民主党の二大政党政治は、こうして幕を開けたのである。社会党は消滅し、社民党と名を変えて細々と存続するものの、中選挙区時代の野党第1党の姿は今や見る影もない。 二大政党政治のもとで「国対政治」は変貌する。民主党は選挙による政権交代を目指して国会での裏取引から手を引き、自民党政権を容赦なく追及する「ガチンコ国会」が始まった。自民党は2005年衆院選で郵政民営化を掲げ大勝したが、2007年参院選では国会でスキャンダルを徹底追及されて惨敗し、野党が参院の過半数を占める「衆参ねじれ国会」が出現した。 ●民主党政権の3年間で自民党が学んだこと 与野党の実力は伯仲し、国会での与野党激突は熾烈(しれつ)を極めた。選挙で白黒をつける二大政党政治が本格化し、ついに2009年衆院選で民主党が自民党を圧倒して政権を奪取したのである。 ところが民主党政権は小沢派と反小沢派の内紛で瓦解(がかい)し3年余で幕を閉じる。政権に返り咲いた自民党が真っ先に取り組んだのが、野党分断工作だった。野党がひとつに結束していたら、いずれ自民党政権が失敗した時に、再び政権交代があっけなく実現してしまうことを極度に恐れたのである。 安倍晋三首相や菅義偉官房長官は、大阪を本拠地として橋下徹氏や松井一郎氏が旗揚げした維新に肩入れして第三極の政党へ躍進させ、選挙で自民批判票が民主党に集中するのを妨げることに成功した。 維新は国会対応や個別政策で民主党より自民党に近づくケースが増え「自公の補完勢力」と揶揄されたが、一方で民主党も「批判ばかり」と批判され、野党支持層は自公与党(安倍政権)と「是々非々」か「全面対決」かで分断されたのである。 維新の台頭と裏腹に民主党は失速し、民進党としてリニューアルしたものの離合集散を繰り返した。2017年衆院選目前に小池百合子・東京都知事が旗揚げした希望の党に合流したのは、「小選挙区制度のもとで与党に対抗するには野党勢力がひとつに結集しなければならない」という二大政党政治の理念を忠実に実行したものといっていい。 ところが小池氏が枝野幸男氏らリベラル勢力の合流を拒んだことを機に失速して惨敗。枝野氏が急ごしらえで立ち上げた立憲民主党が代わって野党第1党に躍進したものの、その後は維新と野党第1党の座を競い合う状況が続いている。 ●強い自民党と「野党多弱」 安倍政権が終焉(しゅうえん)した後は、立憲も泉代表のもとで維新と競うかのように自公与党と「是々非々」で向き合う傾向を強め、維新とは対決するのか共闘するのか、迷走している。 立憲への合流を拒む玉木雄一郎氏ら国民民主党も一定の勢力を保ち、山本太郎氏が2019年に旗揚げしたれいわ新選組も徐々に勢力を拡大。党勢は縮小しながらも全国網の組織を維持する共産党を含め、「野党多弱」の政治状況が定着した。自民党が政権復帰後に仕掛けた野党分断工作は予想を超える成果を収めているといえるだろう。 自公与党にすれば、政権批判票が野党第1党に集中せず分散するため、選挙で地滑り的な大敗を喫するリスクは限りなく小さい。とりわけ与野党一騎打ちとなるはずの衆院選小選挙区に野党が乱立することで、どれだけ国民の政権批判が高まっても自公与党が組織票を固めて競り勝つという歪んだ選挙情勢が常態化してしまったのである。 一方、野党各党は大物議員の選挙区や都市部(立憲は首都圏、維新は大阪)などを除いて小選挙区で勝利することを半ばあきらめ、自党の比例議席を伸ばすことを最優先するようになった。小選挙区で自公与党を倒すために共闘するよりも、野党同士が比例票獲得で競い合い、政権批判票を激しく奪い合うことになったのだ。 ●比例代表制が野党分断を生み出す 小選挙区で当選が難しい候補者たちは最初から「比例復活」を目指し、同じ比例ブロックの同僚議員をライバル視する傾向が強まった。 党執行部としては比例票を増やすには全国各地の小選挙区に候補者をできるだけ擁立し、政党の存在を広くアピールするほうがいい。その結果、小選挙区の野党乱立に拍車がかかり、候補者を一本化する自公与党がますます優位になる負の連鎖に陥った。 野党乱立は、国会にも重大な影響をもたらした。自民党は立憲、維新、国民を競わせるように予算案や重要法案への賛成を迫った。維新との窓口は菅氏が、国民との窓口は麻生太郎氏が担い、立憲とは財務省が交渉役となった。 自民党政権の中枢を菅氏が担う時は維新が協力し、麻生氏が担う時は国民が協力するというように、自民党内の権力闘争の帰趨が「野党間の競争」にそのまま投影されるようになったのである。 その結果、「ガチンコ国会」は影をひそめ、野党各党による「政権与党へのすり寄り合戦」の様相を呈してきた。維新が自民党以上に過激な安全保障政策を打ち出したり、国民がガソリン税のトリガー条項凍結解除の協議を理由に補正予算案に賛成したり、立憲が財務省と歩調をあわせて財政健全化を迫ったりするのは、その証左であろう。 今国会で旧統一教会との関係が問われた盛山正仁文科相への不信任決議案を立憲が提出しても維新が反対に回ったのは、野党分断の象徴的場面だった。裏金事件をめぐる政倫審や証人喚問などの国会対応をめぐっても、立憲と維新の足並みが今後乱れる可能性は高い。 ●裏金を作っても、増税しても政権交代は起きない 仮に衆院選で自公与党が過半数を割ったとしても、維新、国民、立憲のうちのひとつを与党へ引き込み、連立の枠組みを拡大させれば政権は維持できる。それを拒んで野党連立政権を樹立するほど野党の結束は固くない。 自民党は野党同士の連立入りを競わせればいいのだ。ここに野党分断工作の最大の狙いがあるといえるだろう。自民党には「衆院選で多少敗れるくらいでは野党に転落することはない」という緊張感の緩みが広がり、裏金事件の膿を出し切って自民党への信頼を回復させる本気度を失わせているのである。 この状況では、いつまでもたっても自民党を野党に転落させる政権交代は実現せず、政治は緊張感を失ったままで再生されることはない。 この閉塞(へいそく)状況を打破して政権交代を実現させるにはどうすればよいのか。 短期的には、国民の期待を一身に集める圧倒的な首相候補が野党陣営に現れ、そのもとに野党各党が利害を超えて結集するほかなかろう。立憲・泉代表、維新・馬場伸幸代表、国民の玉木代表はマスコミ世論調査の「次の首相」上位に名前さえあがらない。 現時点で可能性があるカリスマとして、マスコミに引っ張りだこの泉房穂前明石市長や裏金事件で久々に記者会見した田中真紀子元外相らに期待が集まっているが、国民の圧倒的支持を集める首相候補になるかどうかは見通せない。彼らは永田町に政治基盤がなく、野党各党が結束して担ぐ政治環境をつくるには相当な政治手腕を持つ仕掛け人の存在が不可欠であろう。 ●いまの選挙制度のままでは政治腐敗は止められない 中長期的な手段としては、やはり選挙制度を変えることだ。 小選挙区制と比例代表制を組み合わせた現在の衆院選の仕組みは、二大政党政治を中途半端なかたちにして「自民一強・野党多弱」の政治状況を作り出している。自民党による野党分断工作がこれほどやりやすい選挙制度はないといってよい。 万年与党の自民党、万年野党の社会党による「自社体制」を作り出した中選挙区制に逆戻りするのが良いとは思わない。政権交代が起こりやすくする二大政党政治のダイナミズムを生かしつつ、野党分断工作による「自民一強・野党多弱」が続く閉塞状況を打破するひとつの方策として、衆院は完全な小選挙区制(比例制度を廃止)とし、参院は完全な比例代表制とする極めてシンプルな選挙制度を私は提案したい。 現在は衆院選も参院選も、政治家個人が競う選挙区と政党が競う比例代表を組み合わせる複雑な制度になっており、衆参それぞれの役割がぼやけている。 衆院は政権交代を起こりやすくする二大政党政治を徹底させるため小選挙区一本とする代わりに、参院は二大政党政治の暴走と少数意見の切り捨てを防ぐため比例代表一本とすれば、衆院で巨大与党が誕生しても参院で一定のブレーキはかけられる。 二大政党が交互に政権を担うことによる政治の緊張感と、幅広い声を受け止めて合意形成を図る政治の協調性の双方を衆参でバランスよく実現できるのではないだろうか。 ●「自民一強・野党多弱」の政治がダラダラと続く 選挙制度改革には時間がかかる。現制度で当選を果たした国会議員たちは自らの議席を守るため与野党を超えて選挙制度改革には後ろ向きになりがちだ。世論が高まらない限り、選挙制度改革は動かない。 だが今の制度を放置したままでは「自民一強・野党多弱」の政治がダラダラと続き、閉塞感を打破できず、カリスマ政治家の誕生を待望する風潮が広がるばかりだ。選挙制度改革こそ、政界の新陳代謝を進める王道である。 |
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●政倫審、安倍派幹部らが「公開」開催に応じる方針 非公開から一転 2/28
自民党派閥による裏金事件の当事者が弁明する衆院政治倫理審査会をめぐり、出席を申し出ながらも「完全非公開」を主張してきた安倍派座長の塩谷立・元文部科学相ら5人全員が一転、「公開」での開催に応じる意向を固めた。塩谷氏や党幹部が28日午後、朝日新聞などの取材に明らかにした。 同日午前、岸田文雄首相が党総裁として衆院政倫審に公開で出席する考えを表明。塩谷氏は「総理の出席は大変重たい。(政倫審への出席を申し出ている)みんなが『公開』を受け入れるなら、そうしようという話をしている」と語った。党幹部によると、塩谷氏のほか、衆院政倫審への出席を申し出ている安倍派事務総長経験者の西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、高木毅前国会対策委員長、二階派事務総長の武田良太元総務相も、公開での開催に応じる意向を示しているという。 政倫審をめぐっては、テレビカメラ入りで中継もされる「完全公開」を求める野党側に対し、塩谷氏ら5人が難色を示したため、与野党協議は不調に終わり、大筋で合意していた28日の開催が見送られていた経緯がある。 |
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●「裏金」問題で岸田首相が自ら政倫審出席へ。安倍派幹部も「公開」受け入れ 2/28
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は2月28日、開催が先延ばしされていた衆院政治倫理審査会(政倫審)に自ら出席する考えを表明した。マスコミ各社が一斉に報じた。現役の首相が政倫審に出席するのは初めてのケースとなる。 岸田首相が首相官邸で「党総裁として自ら出席し、マスコミオープンのもとで説明責任を果たさせていただきたい」と記者団に語った。 これを受けて、政倫審は29日と3月1日に、全面公開の形で開催されることが決まった。首相は29日に出席する。 政倫審をめぐっては、与野党で28、29日の開催で大筋合意していたが、審議を公開するかどうかで折り合わず、28日の開催が見送られていた。 首相の出席表明を受けて、出席の意向を示しながも審議公開に難色を示していた安倍派幹部ら5人も、一転して公開での審議を受け入れる意向を示したと報じられている。 |
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●「補選全敗なら岸田降ろし」 自民・船田氏 2/28
自民党の船田元・衆院議員総会長は28日、4月に実施される三つの衆院補欠選挙の結果が岸田政権に与える影響について、「二つ勝てば首はつながる。全部負けると『岸田降ろし』が始まる」との見方を示した。衆院解散・総選挙に関し「この支持率で選挙に突入したら(自民党が下野した)2009年の二の舞だ」と述べた。東京都内で開かれた会合で発言した。 |
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●「裏金」問題で岸田首相が自ら政倫審出席へ。安倍派幹部も「公開」受け入れ 2/28
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は2月28日、開催が先延ばしされていた衆院政治倫理審査会(政倫審)に自ら出席する考えを表明した。マスコミ各社が一斉に報じた。現役の首相が政倫審に出席するのは初めてのケースとなる。 岸田首相が首相官邸で「党総裁として自ら出席し、マスコミオープンのもとで説明責任を果たさせていただきたい」と記者団に語った。 これを受けて、政倫審は29日と3月1日に、全面公開の形で開催されることが決まった。首相は29日に出席する。 政倫審をめぐっては、与野党で28、29日の開催で大筋合意していたが、審議を公開するかどうかで折り合わず、28日の開催が見送られていた。 首相の出席表明を受けて、出席の意向を示しながも審議公開に難色を示していた安倍派幹部ら5人も、一転して公開での審議を受け入れる意向を示したと報じられている。 |
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●森元首相の証人喚問「何ら支障はないのでは」自民派閥裏金事件めぐり 2/29
弁護士の萩谷麻衣子氏は28日、テレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」(月〜金曜午前10時25分)に出演し、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、「清和政策研究会」(解散)としての安倍派の流れをくむ森派で会長を務めた森喜朗元首相(86)の国会招致を求める声があることについて「事情を知っているということであれば、お話は聞きたい」と述べた。 萩谷氏は「裏金の問題は民主主義の根幹にかかわる問題で、非常に重要なこと。裏金づくりが森元首相(が会長)の時に始まった可能性があると指摘される方も結構いる」とした上で「事情を知っているということであれば、お話は聞きたい」と話した。 今月15日に自民党が公表した、派閥や収支報告書への不記載が確認された安倍派と二階派の議員ら計91人に対する聞き取り調査では、キックバックが始まった時期について「場合によっては20年以上前から行われていたことも窺われる」と記載。森氏は1998年12月〜2000年4月と、2001年5月〜2006年10月に森派会長を務めており、キックバックのシステムについて知っていた可能性があるのではと、野党は追及を強めている。 萩谷氏は「(会長時代は)だいぶ前のことなので、本人が仮に証人喚問に出てきても『昔のことなので記憶がございません』と言うのかもしれませんが、刑事訴追という面ではもう時効にかかっていて、刑事訴追される可能性はない。証人喚問の本来の目的の話を引き出せるはずです」と指摘した。 その上で、森氏の立場に言及。「元議員、元総理は公人ですよね。記憶に新しいところでは、籠池(泰典)さんは一私人で、刑事訴追の可能性がある中で、あれだけの追及を受けてきた」と、森友学園をめぐる問題で2017年3月に衆参両院で証人喚問を受けた籠池泰典受刑者(森友学園をめぐる補助金不正受給事件で、詐欺などの罪で懲役5年の実刑が確定)のケースに言及。「比べるのは変ですが、それからすると、森元総理が証人喚問に呼び出されてもおかしくない。何ら支障がないのではないかと思う。お話いただきたいなという思いがすごく強いです」と、私見を述べた。 |
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●政治倫理審査会 自民党の裏金問題をテーマに与野党が攻防戦。公開、非公開を巡り激しい駆け引きが!決着の行方は? 2/29
静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「政治倫理審査会」。先生役は静岡新聞の橋本和之論説委員長です。 (山田)今日は政治倫理審査会の話題ですね。 (橋本)そうですね。1月にこのコーナーで自民党の派閥による裏金事件を取り上げたんですが、その続報ということです。 (山田)政治倫理審査会はいまニュースで話題になってますね。 (橋本)はい。自民党派閥の政治資金パーティーによる裏金事件を受けて、与野党が衆議院の政治倫理審査会を開催する方向で大筋合意しています。出席者は松野博一前官房長官ら自民党の安倍派、二階派の5人の名前が上がっています。いずれも非公開の審査を希望しています。 (山田)というわけで注目を集めているということですね。略して「政倫審」というんですね。改めて経緯を説明していただけますか。 (橋本)今回問題になっているのは、政治資金パーティーを頻繁に開いて政治活動に使うお金を集めていた自民党の派閥のうち、安倍派や二階派が法律で義務付けられている政治資金収支報告書へのお金の出入りの記載を怠ったり、虚偽の記載をしたりして、パーティー券の売り上げの一部を所属議員にキックバックしていたというものです。 帳簿に載らないお金になりますので、組織的に裏金を作っていたという疑惑を持たれています。覚えている方も多いと思いますけど、東京地検特捜部が捜査して国会議員1人が逮捕、別の国会議員2人と派閥の会計責任者、議員秘書らが立件される事態となりました。 (山田)これがいわゆる派閥の問題にも広がりましたよね。 (橋本)そうですね。自民党は派閥を解消するなど再発防止対策を示しました。その過程で国会でも政治倫理審査会を開こうという動きになっています。事件は立件された国会議員3人を除いては、国会議員は共謀していないとされました。立証はされなかったけど、安倍派や二階派の幹部は本当に関与していないのかという疑惑はまだ残っています。野党側としては政治倫理審査会を開いてきちんと説明するべきだと主張していて、与野党の駆け引きが続いています。 (山田)なるほど。政治倫理審査会の話はどの程度進んでいるんですか。 (橋本)東京地検特捜部の捜査が終わった段階で、大方の議員はお咎めなしというような形になりましたが、世論の批判が巻き起こりました。その批判をかわすためというと語弊があるかもしれませんが、自民党は全議員に対して政治資金収支報告書への不記載がないかというアンケートを実施しました。その結果、85人に不記載があったことが判明しました。 聞き取り調査も行い、不記載やキックバックがあったことを認識していたという議員も複数いたんですが、裏金となったお金の使い道は政治活動に使っていて違法なことはしていないという結論を出して決着させようとしました。それがまた野党の反発を招いて政治倫理審査会での説明を求められるという流れになっています。 ●「政倫審」制度化の契機はロッキード事件 (山田)その政治倫理審査会は、そもそもどのようなものなんでしょうか? (橋本)1983年に田中角栄元首相がロッキード事件で摘発されて裁判で有罪になりました。当時は現職の国会議員だったので、野党から責められて辞職勧告決議案を出す、出さないという議論が起こりました。その与野党の攻防の中で1985年に政治倫理審査会を国会に設置し、議員自身が説明する仕組みを作ろうとなり、制度が設けられました。 (山田)初めて設けられたのが1985年。 (橋本)審査会は衆議院と参議院にそれぞれあります。参議院ではこれまで開かれたことがないので、今回、参議院で開催されれば初めてのことになります。 (山田)審査会はどういうときに開かれるんですか。 (橋本)衆議院では25人、参議院では15人の委員が与野党から出ています。その委員の3分の1以上が開催を申し出て、委員の過半数が賛成すれば開かれます。もう1つ、疑惑を持たれた議員が釈明をしたいから開催してほしいと申し出るパターンもあります。 今回の場合は野党が政治倫理審査会の場で説明するよう求めたのが始まりですが、手続き上は出席する議員が開催を申し出たという形になっています。 (山田)審査会を開くには結構ハードルが高いんですね。 (橋本)説明をすべき議員が開催を求めれば簡単なんですが。ちなみに政治倫理審査会は過去、議員8人の審査が行われました。説明する議員が欠席したのを含めると計9回になります。 (山田)そうなんですね。 (橋本)8人については議員自らの申し出で審査会が開かれました。国会で決められている議員の行動規範というものがあるんですが、それに著しく反するようなことが政治倫理審査会の場で明らかになった場合は、出席委員の3分の2以上の議決があれば登院を自粛するよう勧告ができます。 ただ、この勧告や、委員の過半数の賛成で政治倫理審査会の開催が決まった場合の出席に関しても法的拘束力はないんです。このため、仮に欠席したり、勧告に従わずに登院しても罪には問われません。 ●今回の焦点は裏金問題の経緯。派閥幹部はどこまで知っていたか? (山田)それもありなんですか。今回の政治倫理審査会はどうなりそうですか? (橋本)今回の場合は、自民党のアンケート調査や聞き取り調査の中ではどのようにして裏金作りが始まったのかという経緯がはっきりと分かっていません。出席するのは各派閥の幹部クラスで、経緯を知っているのではないかという疑いを持たれていますので、まずはその辺りを追及されるのではないかと思います。 また、多額の裏金は政治活動以外のやましいことには使ってないとされていますが、本当にそうなのか、選挙のときにこっそりと誰かに渡したりしていないか、というような追及もあるのではないかとみています。 出席する議員は例えば証拠を示すなどして説得力のある説明がきちんとできるかというところが焦点になります。 安倍派の場合は、安倍晋三元首相が存命で派閥のトップだったときにキックバックをやめるよう指示したのに、安倍さんが亡くなった後に復活したという疑いが出ています。それが本当なのか、そうだとしたら誰が決めたのか、そのことを幹部なら知っているのではないか、という点が追及されると思います。ここがどうなるかもポイントです。 (山田)もう1つ話題になってるのが非公開にするのか、公開にするのかというところですよね。 (橋本)これが今一番問題になっています。政治倫理審査会の仕組みでは、原則非公開なんです。ただ、これまで完全非公開だったのは自民党の加藤紘一元幹事長が出席した最初の1回だけです。その後はほとんど公開されています。 (山田)そうなんですか。 (橋本)公開と言っても、政治倫理審査会の委員以外の国会議員が傍聴してもいいという部分的公開だったり、マスコミが入ってもいいが撮影や録音は認めないという制限がかかっていたりするので、すっきりとした公開というのはあまりありません。 (山田)そうなんですね。 ●公開を渋る自民党。印象悪い? (橋本)国民に疑惑を持たれているのであれば、本来は国民に向かって説明しなければいけないですよね。自民党にとってもそのほうがメリットがあるはずなんですけどね。やましいことはしていないと言っているのだから、そのことをきちんと説明すればいいと思うんですけど。でも、公開を渋っているんです。これでは印象が悪いですよね。 これはやはり公開するしかないと思うんですが、非公開を条件に出席すると言った議員もいるんです。公開した場合にはその方が出席しないということにならないとも限らないので、いろいろと駆け引きが続いています。 (山田)なんか変な話ですね。 (橋本)ちなみに過去、唯一過半数の委員が開催に賛同して政治倫理審査会を開いた時に、出席を拒んだ方がいます。誰だと思いますか? (山田)誰ですか?わかりません。 (橋本)首相になる直前だった当時民主党代表の鳩山由紀夫さんです。 (山田)自分にデメリットになる可能性があるからですか。 (橋本)政権交代が実現するかしないかという中、既に亡くなられている方から献金を受けたとする記載があったことなどを追及されました。最終的には謝ったんですが、どういう言い訳をしたと思いますか? (山田)いや、わからないです。 (橋本)これはもうオーソドックスな言い訳です。「私は知りませんでした。秘書が勝手にやりました」です。秘書の方は後に起訴されて裁判で有罪となりました。 (山田)今回は本当に公開してほしいですね。 (橋本)きちんと公開して国民の前で説明するという決着になってほしいですね。開催されれば、今週はこの話題で持ちきりだと思いますので、ぜひ新聞で見ていただきたいなと思います。 (山田)ぜひ注目しましょう。今日の勉強はこれでおしまい! |
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●首相 4月“クビ”も…「親財務省」議員が集結で、背後で進む消費税増税19% 2/29
裏金問題に揺れる岸田政権が、ガケっぷちだ。2月17〜18日に発表された各新聞の世論調査で、内閣支持率が14%(毎日新聞)、21%(朝日新聞)と、政権発足後最低を記録した。毎日新聞の調査では不支持率も82%を記録。同紙の調査では自民党の支持率も16%と、自公連立政権発足後、最低になっている。 しかし、その裏で「消費増税へのカウントダウンが始まっている」と警鐘を鳴らすのが、政治ジャーナリストの鮫島浩さん。 2月14日、「日本社会と民主主義の持続可能性を考える超党派会議」(以下、超党派会議)が会合を開いた。超党派会議とは、財界や識者などの有志が集まった政策提言集団「令和国民会議」(通称・令和臨調)の趣旨に賛同する与野党5党(自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会)の議員85人が参加する会議のこと。 議員らが賛同している「令和臨調」のウェブサイトには、〈民主主義の持続可能性を守るため、立場や利害を乗り越えて手を携える〉と記されている。経済界からは、キッコーマンや東京電力ホールディングスの会長、サントリーホールディングスの社長などがメンバーに名を連ねている。 超党派会議はさまざまな課題について話し合い、今から1年後をめどに提言をまとめるという。 「“持続可能性”を考えると謳っていますが、要は“増税”して財源をがっちり固めようという意味です。つまり、令和臨調に参加しているような大企業や政治家ら“上級国民”の利益を持続可能にするために、一般庶民から税金をむしり取ろうということです。 なぜなら、この超党派会議の裏で糸を引いているのは、増税の機会を虎視眈々と狙っている財務省だからです」(鮫島さん) とはいえ、国民が物価高と低賃金に喘いでいるときに、消費増税に踏み切れるのだろうか。 ●訪米を花道に首相交代シナリオも 「国民に根強い反対がある消費増税を実現させるためには、与野党の合意がなくては進みません。ですから財務省は、この超党派会議で与野党の合意をとりつけようとしている。過去に成功例があるからです」(鮫島さん) 成功例とは、民主党政権時代の2012年の“3党合意”(民主党、自民党、公明党)による消費税増税だ。これにより消費税は5%から8%、10%と段階的に引き上げられた。 「3党合意のときの首相は“ミスター消費税”こと立憲民主党幹部の野田佳彦氏。財務省と近く、今回の超党派会議にも、特別顧問として名を連ねています」(鮫島さん) 超党派会議には、ほかにも財務省寄りの議員たちの名がズラリ。象徴的なのが、筆頭世話人を務める小渕優子議員(50、自民党選挙対策委員長)と、岸田文雄首相(66)の最側近である元官房長官の木原誠二議員(53、自民党幹事長代理兼政務調査会長特別補佐)だ。 「小渕優子氏の父親は、言わずと知れた故・小渕恵三元首相です。彼は財務省のシンパでした。その娘を首相の座に押し上げて、消費増税に踏み切らせようというのが財務省のもくろみです。また、木原誠二氏も元大蔵官僚。現在でも、財務省と自民党のパイプ役を果たしています」(鮫島さん) いったい、どのように増税が行われるのか。鮫島さんはこう語る。 「支持率が過去最低になっている岸田政権。その顔をかえてからという予測がひとつ。国民人気の高い石破茂さんや、にわかに麻生太郎元総理が推しはじめた上川陽子外務大臣などを新総理にして、ご祝儀相場で人気があるうちに、解散総選挙に打って出て勝利する。 それを受けて、与野党が歩み寄って、来年の春に消費税増税に向けた議論を始める。財務省が描いているのも、こんなシナリオです」 4月10日に岸田首相は米国を国賓待遇で訪問する予定だが、これを花道に岸田首相は退任するのではないかという説も永田町で出ている。最短で今春の首相交代はありうるのだ。 「いずれにせよ、このまま支持率低迷が続くと、岸田さんは9月の自民党総裁選に出るのは難しいでしょう」(鮫島さん) 一方で、岸田首相が自ら勝負に打って出る可能性もあるという。 2月18日、立憲民主党の泉健太代表(49)は、党の会合であいさつし、「3補選でどうせ負けるなら、全国で選挙してしまえという『やけくそ解散』もありうるといわれている」と語った。 亡くなった細田博之前衆議院議長、公職選挙法違反で起訴され辞職した柿沢未途前衆院議員(53)、裏金事件を受けて辞任した谷川弥一前衆院議員(82)の後釜を決める補欠選挙が4月28日に予定されている。 「米国から帰ってきて評価が少し上がったタイミングですぐ解散総選挙。議席はかなり減らしたとしても過半数を割ることはないので、その分を維新や、立憲の一部と手を組んで乗り切る。 私は岸田首相がそう考えている可能性も高いと思います。その場合は、岸田首相のもとで、増税への手続きが行われることになります」(鮫島さん) ●財務省の消費税19%の夢 元国税調査官で、『消費税という巨大利益』(ビジネス社)などの著者がある大村大次郎さんは、「財務省は消費税19%をもくろんでいる」として、こう述べる。 OECD(経済協力開発機構)は2018年に〈日本の消費税は将来的にOECD加盟国平均の19%にまで引き上げる必要がある〉と提言したことが報じられました。本来、OECDは日本の消費税などに関心はありませんから、財務省が働きかけて提言させたのは明白です」 日本は多額の拠出金を出しているため、財務省はOECDに影響力があるのだという。 岸田首相が続投しようが、首相が交代しようが、自民党政権が続く限り、“増税路線”は変わらないということか。 増税はどうすれば阻止できるのか。最後に鮫島さんはこう語る。 「“超党派会議”に参加しているかどうかも、ひとつの判断基準になります。また、野党だから消費税増税に反対というわけではない。党だけで判断せず、議員個人の主張を見ることも重要でしょう」 |
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●あきれた政倫審見送り 献金禁止・政治資金透明化・裏金課税…自民が率先して断行せよ 徴用工訴訟「実害」は岸田政権の大失態 2/29
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる、衆院政治倫理審査会(政倫審)の28日開催が見送られた。与野党が公開のあり方をめぐって対立しているという。あきれるしかない。 政倫審の最重要ポイントは「国民への説明責任を果たせるかどうか」だ。安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の限られた幹部が、非公開の場で説明するだけなら、確定申告シーズンの国民は決して納得しないだろう。 日本を取り巻く外交・安全保障環境は厳しさを増している。能登半島地震の対応も一刻も早く進める必要がある。子ども・子育て支援の抜本的強化策など、今国会で議論すべき問題は山積している。だからこそ、与党第一党の自民党にはすべての疑惑を明らかにして、「政治とカネ」の問題に早くケリを付ける責任があるのだ。 政党助成金制度は1994年に創設された。政治腐敗の「温床」といわれた企業・団体献金を廃止して、政官業の癒着構造を断ち切るために、国民1人あたり250円の税金を政党に拠出することから始まった。ところが、企業・団体献金は今でも続けられており、パーティー収入は「裏金」化していた。これでは、「国民への裏切り」である。 自民党が率先して、「企業・団体献金の禁止」を法制化するとともに、今後は政治資金規正法を透明化したルールに変えるべきだ。一般の納税者と同様、領収書のない経費は決して認めない。調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)も、領収書公開と年一回の精査は不可欠だ。政党から議員個人に渡される政策活動費の使途も公表する。 元内閣参事官の高橋洋一氏が「裏金に課税すべきだ」と語っていたが、経費ではなく個人の所得なら課税は当然だ。国会議員は特権階級ではない。ブラックボックスを許してはならない。 ●徴用工訴訟日本企業「実害」は岸田政権の大失態 さて、岸田文雄政権が「政治とカネ」の問題で混乱するなか、いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐり、日立造船が韓国の裁判所に預けていた供託金6000万ウォン(約670万円)が原告側に渡った。日韓の請求権は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」しているが、日本企業に初めて「実害」が出た。岸田政権の「外交大失態」といえる。 林芳正官房長官と上川陽子外相が「極めて遺憾だ」「強い遺憾の意」などと、いつもの「遺憾砲」を繰り返しているが、何の役にも立たない。原告側は「日本企業による事実上の賠償」などと勝ち誇っており、今後、他の日本企業に実害が発生する可能性がある。 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は昨年3月、韓国最高裁が日本企業に命じた賠償支払いについて、「韓国政府傘下の財団が肩代わりする」と表明した。それを岸田政権は受け入れて日韓関係正常化にかじを切った。岸田政権は完全に舐められ、裏切られた。情けない。これを放置すれば、世界各国に「日本は泣き寝入りする国だ」と軽んじられる。 ●安倍政権が準備した「対抗措置」に踏み切れ 安倍晋三政権では、日本企業に実害が生じた場合に備えて、韓国への「対抗措置」として100前後の選択肢をリストアップしていたという。岸田政権は即刻、それらの対抗措置に踏み切るべきだ。日本の世界での位置付けが、岸田政権によって大いに毀損(きそん)されている。 |
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●岸田首相が「政倫審出席」という"捨て身の大博打" 2/29
前半国会の最大のヤマ場となった2月28日に、岸田文雄首相(自民党総裁)が「捨て身の“大博打”」(官邸筋)に踏み切った。「来年度予算の年度内成立」のカギとなる衆院政倫審開催をめぐり、自民党内の混乱が野党の攻勢を招くという悪循環を断つため、総裁として「率先垂範で全面公開での政倫審出席を宣言する」という“奇手”で、事態打開を狙ったものだ。 この「岸田流の“奇襲”」(官邸筋)は与野党双方の国会担当者に衝撃を与え、結果的に、安倍、二階両派の事務総長経験者5氏の「全面公開での政倫審出席」も確定。併せて、国会日程上も、実質的に予算の年度内成立が確実視される状況をつくり出した。 さらに、今回政倫審出席の対象議員から外れたが、野党側が強く出席を求めている安倍派「5人衆」の残る1人の萩生田光一前政調会長や、同様に野党が強く求める二階俊博元幹事長のそれぞれの政倫審出席に、「強い“圧力”をかける形」(自民長老)となりつつある。 加えて、「裏金事件の首謀者」(自民長老)とも目されている森喜朗元首相の国会招致問題も、今後の与野党国会攻防の重要な題材となりそうだ。 ●「岸田決断」には、評価と反発が交錯 今回の岸田首相の「決断」には、与党内から「自ら捨て身になって事態を打開した」(自民国対幹部)と評価する声が相次ぐ。その一方で、安倍、二階両派からは「自分だけいい子になって我々を追い詰めるやり方は許せない」(安倍派幹部)との不満・反発も顕在化させた。 このため、今後の政局の焦点となる衆院解散の可否や、「ポスト岸田」が絡む9月の自民党総裁選を視野に入れた自民党内の権力闘争構図が、一段と複雑・重層化することは間違いなさそうだ。 事実上与野党合意での開催が決まりかけていた28、29日の政倫審開催が、27日夜の自民党内の混乱で先送りとなったことが、岸田首相の突然の決断の背景にあることは間違いなさそうだ。 岸田首相は同夜、周辺に「自分が決断するしかない」と漏らしたとされ、28日昼前、首相官邸でのインタビューで「自民総裁として政倫審に自ら出席し、マスコミオープンの下で説明責任を果たしたい。また、志のある議員に、政倫審をはじめ、あらゆる場で説明責任を果たすことを期待する」と記者団を見回しながら決意表明した。 併せて岸田首相は「(政倫審)開催の見通しが立たないのは極めて残念だ。今の状況のままでは国民の政治に対する不信がますます深刻になってしまうと強い危機感を感じていた」とも強調した。 ●29日、3月1日に政倫審、中央公聴会も29日開催 これを踏まえ、浜田靖一・自民国対委員長は安住淳・立憲民主国対委員長と国会内で会談し、岸田首相の意向を正式に伝達。それを受けて立憲など野党4党は国対委員長会談で、岸田首相の政倫審出席に応じることを確認。併せて、安倍、二階両派の5人の政倫審出席が確定しない限り、予算案の日程協議に応じないことでも一致した。 これを受けて開かれた政倫審幹事会で、テレビ中継も含め、報道機関に全面公開する形で、29日と3月1日に審査会を開催することが決定。具体的には29日に岸田首相と二階派の事務総長を務めた武田良太元総務相が、翌3月1日には、安倍派事務総長経験者の西村康稔・前経済産業相、松野博一・前官房長官、塩谷立・元文部科学相、高木毅・前国対委員長の4氏が出席する。 また、出席者1人当たりの持ち時間は1時間20分とし、まず議員自身が15分間弁明、それを踏まえて各党委員が1時間5分の質疑を行うことも確認された。政倫審に現職の首相が出席するのはこれが初めてで、議員が出席して弁明を行うのは2006年以来となる。また、これに合わせて予算案採決の前提となる29日の中央公聴会開催も決まった。 ●「派閥解散」宣言が“成功体験”に 一連の決定を受け、政府・自民党は3月1日の政倫審開催後、週末の3月2日までの予算委締めくくり質疑と採決と予算案の衆院通過を目指す。ただ、野党側は審議時間不足と週末開催拒否で衆院通過を週明けの4日にすべきだと主張しており、最終的に予算案は4日午後の衆院本会議で可決、同日夕にも参院予算委審議が始まるケースも想定される。 その場合、憲法の規定で予算の自然成立は30日後の4月2日となり、年度内成立の「保険」はなくなる。ただ、参院自民側は「審議促進によって3月29日までの予算成立は可能」(国対幹部)としており、野党側も、能登地震対策が含まれる予算成立を遅らせることによる国民的批判を恐れ、実質的に年度内成立に協力せざるをえないのが実態とされる。 そうした中、今回の岸田首相の決断について、周辺からは「1月18日の派閥解散宣言と同じ手法で、あのときの成功体験が今回の決断につながった」(側近)との見方が出ている。これまでも政権危機が強まるたびに岸田首相が突然決断することで事態打開につなげてきたのは事実だからだ。 しかし、ここにきて「その手法自体が国民に見透かされている」(自民長老)とされ、内閣支持率も過去最低を更新し続けている。このため、今回の決断を踏まえ、裏金事件での国民の怒りにも対応するには、「企業献金も含めた抜本的な政治資金法改正が必須」(同)とされそうだ。 また、次の政局の大きな節目となる4月28日の衆院統一補選をそのまま実施するか、予算成立直後に衆院解散を断行して新しい区割りでの選挙戦とするかも、岸田首相の決断次第となり、与党内には「補選に合わせた解散も選択肢」(自民幹部)との声も出ている。 ただ、岸田首相周辺は「補選は何とか1勝1敗1不戦敗で乗り切れそう」(岸田派幹部)との判断から、「統一補選後の5月連休以降、首脳外交などで支持率を回復させ、会期末解散に打って出る」(同)との戦略も視野に入れているとみられる。 もちろん、現状を見る限り「岸田首相の思惑通りの展開となるかは極めて不透明」(自民長老)なのも事実。しかも、今回の「岸田流奇襲作戦」への党内の反発もあるだけに、「4・28統一補選」をなんとか乗り切ったとしても、その後の会期末までの自民党内の権力闘争は一段と激化する可能性が少なくないのが実情。 ●「3頭体制」崩壊で厳しい政局運営に すでに自民党内では石破茂元幹事長が勉強会を再開、高市早苗・経済安保相もポスト岸田をにらんでの総裁選出馬の準備を進めている。さらには麻生太郎副総裁も初の女性首相候補として上川陽子外相の担ぎ出しを画策しているとみられる。 さらに、ここにきての岸田首相の「独断専行」で、これまでの麻生副総裁、茂木敏充幹事長との「3頭体制」が崩壊しつつあり、岸田首相は「腹背に敵を抱える形での厳しい政局運営を強いられる」(自民長老)のは間違いなさそうだ。 |
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●裏金問題めぐる自民派閥幹部の説明、「十分」がわずか3%だった世論 2/29
自民党派閥の政治資金をめぐる裏金問題を受け、衆院政治倫理審査会(政倫審)に関心が集まっています。政倫審という国会の場で派閥幹部がどの程度説明するかに注目が集まりますが、説明責任について、有権者はこれまでどう思っていたのでしょうか。 朝日新聞社が2月17、18日に実施した全国世論調査(電話)では、この問題に関係する派閥幹部の説明が十分かどうかについて聞きました。調査時点では与野党が政倫審の開催について協議し始めたばかりの段階のため、その詳細はまとまっていません。 結果は「十分ではない」が90%にも上り、「十分だ」はわずか3%でした。 「十分ではない」と答えた人をみてみると、無党派層では92%に上り、自民支持層でも84%と多かったのが特徴です。 ・・・ |
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●北朝鮮が日本に秋波送る@摎R 拉致問題「毒まんじゅう」で岸田政権試す狙い 国連は機能不全、ミサイルの脅威は本物に 2/29
日本時間2月23日に開かれた日米韓外相会談で、上川陽子外相は、北朝鮮のミサイル開発に深刻な懸念を表明すると同時に「緊張緩和に向け、対話の道は開かれている」とも述べた。一方、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は「岸田文雄首相が平壌を訪れることもあるだろう」と発言している。 岸田政権が、安倍晋三・菅義偉政権の対北朝鮮交渉を継承しつつ、拉致問題の電撃的な解決を狙っているのはよく知られている。 解決というのはいいが、問題はその中身だ。2人程度の拉致被害者を帰国させ、それで拉致問題は事実上終了とし、日本からの巨額援助を受けるというのが北朝鮮のシナリオだといわれている。拉致問題のために形式的な日朝間協議を継続するといっても、日本側が望む結論となるのかは疑問との見方もある。 与正氏が日本政府に秋波を送るのはなぜか。この案は安倍・菅政権は「毒まんじゅう」だとして応じなかったようだが、岸田政権は北朝鮮の甘言に乗りやすいとみられているのではないか。実際、安倍元首相は拉致問題をライフワークとし、実際に訪朝した経験もあるので、北朝鮮の本質を熟知していた。岸田首相はどうだろうか。 その一方で、北朝鮮は着々とミサイル開発を進めている。また、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに北朝鮮が武器を供与していると欧米などから懸念が強まっている。北朝鮮製の「KN23」短距離弾道ミサイルがロシアから発射され、ウクライナ軍の兵站基地2カ所が攻撃され、貴重なタンク車が少なくとも9両撃破されたという。 KN23は500キログラムほどの弾頭を搭載可能で、射程は900キロメートル程度だ。北朝鮮が自国製のミサイルを輸出することは国連安保理決議に違反する。それは日本や米国など48カ国・1機関による今年1月の共同声明でも明らかだ。しかし、そうした国際社会からの非難にも、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記はどこ吹く風だ。 その返礼なのか、プーチン氏が正恩氏に大統領の専用車両を贈ったことを両国ともに認めている。これも、国連安保理決議に違反する。 国連安保理常任理事国のロシアが安保理決議を平然と無視するのは、改めて国連が機能不全になっていることを認識させられる。 そもそも北朝鮮から日本への秋波が怪しいものであることに加えて、明確に国連安保理決議違反の片棒を担いでいるので、日本としても拉致問題に関して、北朝鮮に融和的な姿勢をとりづらいだろう。 北朝鮮の思惑は、日本の岸田政権が支持率低迷に悩み、政権基盤が盤石でないことを見越して、支持率アップにつながる拉致問題の「解決」というエサをまき、岸田政権を試しているのではないだろうか。 一方でミサイルの脅威は本物だ。実戦で使えることが分かったうえで、射程900キロとなれば、西日本が射程内になってしまう。 |
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●「疑惑議員は国民に丁寧に説明すること」…実は自民党の指針 自ら決めたルールも無視する議員たちの厚顔さ 2/29
自民党の裏金疑惑について説明が尽くされずにいる。今に至る状況は、彼らが自ら定めた「ガバナンスコード」に反するように思えてならない。この指針では「政治資金で疑念を持たれた議員は、国民に対して丁寧な説明を行う」と記すからだ。28日に党総裁の岸田文雄首相が衆院政治倫理審査会に出席する意向を示したが、果たしてこれで十分なのか。 ●自民の姿勢「腹立たしい」 「説明せず逃げている人がたくさんいる印象」 衆院政倫審が開かれるはずだった28日、国会周辺を歩いていた東京都世田谷区の会社員梶原未帆さん(26)は、裏金疑惑で満足に説明しない自民に冷ややかな視線を送る。「政治とカネの問題は今に始まったことじゃないのに」 同じく国会周辺にいた埼玉県羽生市の会社員男性(44)は、説明を尽くさない自民の姿勢に「腹立たしい」と憤慨する。「ちゃんと説明責任を果たしてもらわないと困る。裏金を何に使ったか知りたい」 ●発覚85人のうち政倫審には6人だけ 裏金疑惑で説明責任を果たそうとしない自民の後ろ向きな姿勢は明らかだ。 党は国会議員らにアンケートを行ったが、設問は「政治資金収支報告書への記載漏れの有無」と「過去5年の不記載額」を尋ねる2問のみ。裏金をつくった経緯や使途は聞いていない。 このアンケートで不記載が発覚したのは85人。説明の場となる衆院政倫審に出るのは、二階派の武田良太元総務相、安倍派の西村康稔前経済産業相ら5人と党総裁の岸田氏だけだ。 ●岸田政権の改革推進の象徴だった 今の局面で目を向けるべきは、自民党のガバナンスコードだ。岸田総裁、茂木敏充幹事長体制となり、党改革推進の象徴として2022年5月に策定した指針で、党所属国会議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が表面化したことを受けて同年10月に一部改訂した。 注目したいのが「原則五—三 厳正なコンプライアンス対応」。こんな文言が記されている。 ●「ガバナンスコードに反している」 「党所属の国会議員の政治資金の取り扱い等に関するコンプライアンス上の疑義があった場合には、疑念を持たれた議員は、政治資金規正法及び政党助成法等の趣旨に則り、国民に対して丁寧な説明を行う。また本党は、党則、規律規約及び倫理憲章に基づき厳正にこれに対処する」 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「政倫審に一握りの議員しか出ないのは、明らかに説明責任を怠っている。ガバナンスコードに反していると言える」と指弾する。 ●違反しても懲罰規定なし ガバナンスコードは透明性と説明責任を担保し、国民の信頼を確保、増進することを目的としているが、違反した場合の懲罰規定はない。 党本部によると「何かを縛るものではなく、あくまで党運営の指針。違反したからといって直ちに処分されるわけではない」という。 ●「順守しなくても問題ない」開き直る議員も これに対し、角谷氏は「『国民に丁寧に説明』とあるのだから、違反した場合は党としての処分が必要だろう。説明を怠っている現状を問題としないこと自体が問題で、自民党の統治能力が失われていると言わざるを得ない」と語る。 自民議員の意識はどうか。あるベテランは「順守しないからといって法的に問題があるわけではない」としつつ「国民は納得しないので説明は必要だ」と語り、別の若手は「適切に順守できている状況ではない」と認めた上で「党大会などで順守の徹底を強化する必要がある」と述べた。 ●「あくまでも留意しましょうという認識」 一方で戸惑いを覚える言葉も。ある中堅は「何をもって丁寧な説明か、いつまでに説明しなければならないかなど判断は難しい」とした上で、ガバナンスコードについては「違反したからといってすぐに処分されるものではないので、党内ではあくまでも留意しましょうという認識にとどまっていると思う。違反した場合に党執行部が指導などしないかぎり機能しないのでは」と語る。 曖昧に扱われるガバナンスコードだが、そこに記される「国民に対する丁寧な説明」を尽くさずに済まそうとすれば、多くの問題が残ることになる。 ●語らぬ現状「国民の代表を自ら放棄」 そもそも国会議員は選挙によって国民の負託を受けている。駒沢大の山崎望教授(政治理論)は「何か問題が起きた時、説明責任を果たすことで国民が納得できる状況を保たなければいけない」と指摘する。 「議員たちに権力を預けていいのか、有権者が判断する上で必要になるのが丁寧な説明だ」と話し、裏金疑惑を持たれる議員が多くを語らない現状を「国民の代表であることを自ら放棄している」と糾弾する。 ●「捜査中」を理由に拒むケース相次ぐ 説明が尽くされない今、裏金が生み出された経緯や使途などの詳細は曖昧なままだ。山崎氏は「慣習として当たり前のように行われ、疑問視する人はいなかったのか。派閥を解消したら裏金づくりの仕組みが消えるのか。事実関係が明らかにならなければ、派閥と裏金づくりがどうリンクしているのかも分からない」と述べ、有権者も判断に窮する状況だと語る。 裏金疑惑を巡っては派閥幹部らが刑事告発され、東京地検特捜部が今年1月、現職議員3人を含む計10人を政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で立件した。この間、「捜査中」を理由に説明を拒むケースが相次いだ。元東京地検特捜部副部長で衆院議員も務めた若狭勝弁護士は「刑事的な責任を追及する捜査と、政治的な説明責任は別物。立件されたかどうかにかかわらず、告発された議員は政治倫理審査会で説明を果たすべきだ」と強調する。 ●谷川弥一氏は「議員辞めたから許して」 捜査機関に対する説明だけで済ませ、国民への説明を怠ると、刑事処分の妥当性がチェックできないことにもなる。「特捜部が不起訴の理由を説明しないという問題はあるが、議員側が説明しないことで捜査が適正に行われたかも分からなくなってしまう」 立件後に衆院議員を辞職した谷川弥一氏は「国会議員の身分を辞めてきて、おわびしているんだから許して」と口にし、裏金の詳細の説明を最後まで拒んだ。 ただ、裏金疑惑は「辞めたから済む話」でもない。 ●「実態解明と再発防止策は一体」 法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)は「実態解明と再発防止策は一体のはずだ」と指摘。丁寧な説明で問題の所在を明らかにし、過ちを繰り返さないための議論につなげる必要があると語る。 衆院政倫審は公開を巡って二転三転した後、岸田氏が出席する意向を示したことで安倍派、二階派の計5人が出席する形となった。 ガバナンスコードが示す「丁寧な説明」に向け、党総裁の岸田氏が率先垂範したようにも見えるが、白鳥氏はこう訴える。 ●重要なのは語る中身 「総裁として岸田首相が出なければならないほど、党内のガバナンスが効いていないということだ」 政倫審に出席を予定するのは、まだ一握りの議員。首相の出席ばかりに目を奪われてもいけない。「重要なのは語る中身だ。党の調査を超えるような全容解明ができなければ出る意味がなく、単なるパフォーマンスと言われても仕方がない。総裁が出てきたという形だけで、真実の追及がうやむやに終わることはあってはならない」 ●デスクメモ 政倫審の開催や公開は「国会で決める」と繰り返してきた岸田氏。人ごと感から一転、自らの出席を打ち出した。これだけでも「ん?」と思うが、勘ぐりたくなる事情も。支持率は低迷し、足元が揺らぐ現状。世間の目を引く手を打たないと…。そんな打算ありきの政倫審出席では困る。 |
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●岸田政権はNHKネット受信料徴収検討で個人からの反対意見には同意せず 2/29
岸田政権が実施している、NHKのインターネット受信料の徴収などの業務の在り方などを取りまとめたパブリックコメント募集に対して、個人からはインターネット受信料徴収に反対する意見があったが、政権側からは反対意見に同意することはなく、意見として承るとの旨を示すだけであった。 総務省では、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会 公共放送ワーキンググループにおいて策定された「公共放送ワーキンググループ第2次取りまとめ(案)」について、意見募集を行ったところ、120件の意見の提出があった。 その結果などを踏まえ、公共放送ワーキンググループ第19回会合において、「公共放送ワーキンググループ第2次取りまとめ」が決定されたため、意見募集の結果についても公表されることとなった。 個人の意見として、『利用料について、インターネットにアクセスできるスマートフォンやPCを保持するだけで利用料徴収の対象とすることは反対です』などとの意見に対しては、【スマートフォン・PC等の通信端末を用いてNHKの放送番組等を視聴する意思を持って能動的な一定の行為を行った者であれば、汎用的な通信端末をNHKの放送番組を視聴するための受信設備として設置したと評価し、費用負担を求めることを基本とすべきと考えています】との旨の見解を示している。 また、『不必要な人にまで見もしないのに契約を強要する恫喝体質から開放する議論を先にするべきです』『子会社という隠れ蓑を作るべきではない』『NHKの放送内容について、きちんと検証して公平性を担保すべき』などのネット受信料を徴収することに反対している意見に対しては、【今後の放送行政に対する御意見として承ります】との旨の見解を示すのみであった。 |
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●岸田首相「国民に心からおわび」政倫審で野党が責任追及 再発防止へ言及は 2/29
自民党の派閥の政治とカネの問題をめぐり、衆議院の政治倫理審査会が開かれ、岸田首相が現職の首相として初めて出席しました。 15年ぶりの政倫審は、岸田首相による「国民に対する心からのおわび」という謝罪の言葉で幕を開けました。 岸田首相「国民の皆様方に大きなこの疑念を招き、そして政治不信を引き起こしていることに対しまして、自民党総裁として心からおわびを申し上げます」 続いて行われた質疑では、立憲民主党の野田元首相が、裏金に関わった自民党議員全員の責任のとり方を追及しました。 立憲民主党・野田元首相「刑事事件にもならない、責任を問われない、説明責任を果たさない、税金も払わない。処分もない。何にもないんだったら同じことがまた起こりますよ、という意味で、そろそろ党として総裁としてのリーダーシップを振るって、処分を考えるべき時期ではないですか、お考えをお聞かせください」 岸田首相「法律上の責任以外にも、政治家として説明責任、そして政治責任、道義的な責任という言葉も先ほど使いましたが、こうした責任はあると私は思っています。説明責任の果たし方、そして、事実の状況もしっかり踏まえながら、党として処分をはじめとする政治責任についても判断を行ってまいります」 野田元首相はまた、首相在任中には個人として「政治資金パーティーを開かないと明言できるか」と迫り、岸田首相は「在任中に行うことはない」と答えました。 岸田首相は再発防止のため、会計責任者だけでなく政治家も責任を負うようにする、いわゆる「連座制」の導入や、外部からの監視を強化するために政治団体への監査の対象や範囲を拡大すること、さらに、収支報告書のオンライン提出の促進や銀行振り込みの推進などを含めた法改正について検討していく考えを示しました。 |
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●「私のパーティーは勉強会だ」⇒「もうしない」と岸田首相 2/29
自民党の主要派閥が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していた問題を審議する、衆院の政治倫理審査会(政倫審)が2月29日開かれた。岸田文雄首相が自民党総裁として出席し、一連の事件について弁明した。 政倫審はロッキード事件をきっかけに1985年に設置された。衆院では過去に9回開かれているが、現役の首相が疑惑の当事者として出席し、弁明を行うのは今回が初めてだ。 岸田首相はもっぱら、安倍派(清和会)や二階派(志帥会)、自身が率いていた岸田派(宏池会)の問題について説明したが、審議では岸田首相が首相就任後も政治資金パーティーを繰り返し開いていたことの是非が問われた。 「大臣規範」では、大臣は政治資金パーティーの開催を自粛することが定められているからだ。 ●岸田首相は「2022年に7回開催」 この問題を取り上げたのは野田佳彦元首相。岸田首相が2022年には7回もパーティーを開催したと指摘。そのパーティーを「勉強会」と称していることについて、「一晩で3千万円も収入を得ている。勉強会というのはごまかしだ」と迫った。 これに対し、岸田首相は「私のパーティーは総理就任前から続けている勉強会を続けているものだ。大臣規範にある『国民の疑念を招く』ものにはあたらないと判断した」と述べた。 野田氏は質問を重ねた。「大臣規範には反しないというが、内閣総理大臣としての心の中の規範はないのか」。さらに、首相がパーティーを開いていた時期には、ロシアによるウクライナ侵攻が緊迫化し、歴史的な円安が進み、北海道・知床半島沖では遊覧船沈没事故も起きていたと指摘。「内なる規範はないんですか、内閣総理大臣としての」とたたみかけた。 岸田首相は「指摘を受けていることについてしっかり受け止めて、判断していく」と応じ、今後については「在任中は(パーティーを)やることはないと考えている」と述べた。 ●「疑惑を招くものではない」と首相 大臣規範は2001年に閣議決定され、その後幾度か改正された。総理大臣を含む国務大臣は「公私混淆を断ち、職務に関して廉潔性を保持することとする」と定め、パーティーについては「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する 」としている。 岸田首相は自身が繰り返していたパーティーについては、「疑惑を招くようなものではないと判断していたことには変わりない」と重ねて強調した。 自民党派閥の裏金づくりについては、安倍派の場合は「遅くとも十数年前から行われていたことが明らかになった」と説明した一方で、党の聞き取り調査では「議員個人が受領した例は把握していない」「政治活動費以外、違法な使途に使用した例も把握していない」と述べた。 二階派についても政治活動費以外の使用などはなかったと説明。岸田派については、会計担当者による「事務処理上の粗漏によるものだ」と述べた。 |
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●政治資金パーティー、首相在任中は開催せず=岸田首相 2/29
岸田文雄首相は29日、自民党派閥の政治資金問題を巡る衆議院政治倫理審査会に出席し、首相在任中は自身の政治資金パーティーを開くことはないと明言した。野田佳彦元首相(立憲民主党)の質問に対し、「在任中はやることはないと考えている」と答えた。 また、野田氏から裏金問題に関わった議員の責任を問われ、「事実の状況もしっかり踏まえながら党として処分を始めとする政治責任についても判断していく」と話した。 |
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●若狭勝弁護士、支持率14%の岸田内閣の北朝鮮訪問計画を強烈批判「外交を自分の内閣延命策には使うな」 2/29
元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏が、自身の公式YouTubeチャンネルにて岸田内閣に北朝鮮訪問計画があると言及し、「外交を自分の内閣延命策には使うな」と強く批判した。 毎日新聞が公表した2月17、18日の全国世論調査によると、岸田政権は支持率を14%まで落とした。前回より7ポイント減で、岸田政権発足以来最低の結果となっている。岸田首相は国会の施政方針演説で金正恩との首脳会談を実現したいと述べており、岸田内閣に北朝鮮訪問計画があることが取り沙汰されている。 若狭氏は「訪朝に向けて1番重大な問題は日本人拉致問題」と指摘。しかし、「今回北朝鮮を訪問して岸田さんが2人だけ帰す(帰国させる)と言われたときに、それで拉致問題解決とされるのであれば、それは拉致被害者家族としては許せないと思う」と厳しく語った。 そして「岸田さんが自分の保身で支持率を急上昇させられるとかいう幻想の下で、国家の大事な方向性を決める」ことはあってはならないと批判し、もし訪朝して拉致問題に取り組むのであれば「北朝鮮へのお土産として、人道支援の大義の下で食料支援とか水道施設などの技術供予・学校建設、そうした数十億円の支援を与えることも考えられていく」と懸念を述べた。そして、若狭氏は岸田内閣は今年の衆議院議員補選に向けた“岸田降ろし”が始まる前の支持率上昇を狙っているが、そのための道具として北朝鮮外交が使われることを危惧した。 視聴者からは「岸田首相は自ら得意なのは外交と言っているが、これを自画自賛という」「岸田はこれ以上余計なことをせずに、一刻も早く辞めてほしい」といった、若狭氏に同調するコメントが相次いだ。 |
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●岸田政権の「子育て支援金」は、むしろ「婚姻撲滅・少子化促進」と最悪の政策 2/29
●支援金の「ステルス値上げ」は必至 「これでは、少子化対策という名を騙った増税ではないか」 2月16日に閣議決定された「異次元の少子化対策」の関連法案を受け、SNS上ではこうした大きな非難の声があがりました。 今回の法案では、児童手当の拡充や育休給付金の充実などのほか、「こども誰でも通園制度」の導入なども盛り込まれていました。同時に、これらの政策の財源として「子ども・子育て支援金制度」を創設することも明記されましたが、非難の的はまさにここに集中しました。 この「子育て支援金」について、岸田首相は「実質的な社会保険負担増にはならない」という旨の発言を繰り返していますが、誰がどう見ても「負担増」であり「増税」だからです。 この支援金分の徴収は、ひとり当たり月500円や初年度は300円などと言ったかと思えば、月1000円を超えるなどと少子化担当大臣の答弁がコロコロと変わり、一体何が正しいのかすらわからない状態てす。いずれにしても、支援金の徴収額は、これから毎年のように少しずつステルス値上げされていき、いつしか当初の何倍もの金額に膨れあがることだけは間違いないでしょう。 それは、今までの社会保険料の負担増の推移を見れば明らかです。「小さく始めて大きく徴収する絶対解約できないサブスク」のようなものです。 ●「異次元の少子化対策」で出生数は増えない 当初、政府の少子化対策として児童手当の拡充が喧伝された際に歓迎の声をあげた子育て世帯の人からでさえ、この政府のカラクリに対し「配った上で、その後徴収するのなら最初から配らなくていい」という声すらあがっています。 それはそうでしょう。児童手当の金額や対象年齢が拡大されたところで、その給付金額を相殺するように、年少扶養控除などが廃止や縮小をされてきたわけです。その一方で、税金や社会保険料などを含む国民負担率は毎年のようにあがっているのですから。 今回の「子育て支援金」も各所から徴収したものを一度ブラックボックスに格納した上で分配されるお決まりのスキームになっていますが、徴収した金額のうちどれくらいが利権や中抜きのために無駄に使われるかわかったものではありません。そんなことをされるくらいなら、「最初から取るな」と言いたいのは当然でしょう。 私は、この「異次元の少子化対策」が言われ始めた当初から、子育て支援一辺倒の少子化対策は、本来の少子化対策としての出生増にはつながらないと当連載でも何度も書いてきました。 ●「少子化対策は北欧を見習え」は本当か そもそも子育て支援は、少子化であろうとなかろうとやるべきもので、出生増を図るための少子化対策とはまったく別次元の話です。少なくとも今までの過去の実績からも、子育て支援を充実させれば、出生数が増えるという因果は見られません。 それどころか、2007年に少子化担当大臣が創設されて以降、いわゆる児童手当などの家族関係政府支出GDP比は右肩上がりに増え続け、対1995年比で2倍増にまで拡充されています。予算が2倍になったにもかかわらず、出生数は逆に4割減です。もし、これが民間会社の事業プロジェクトなら、大失敗の事業として見直されるし、責任者は交代でしょう。 何も、家族関係の政府支出を削れという話をしたいのではありません。しかし、「この家族関係政府支出予算が北欧に比べて低いから日本は少子化なのだ」とか「この予算を北欧並みの比率まであげれば少子化は解決する」などという根拠のない言説を「有識者の見解」などとしてさんざん取り上げてきたメディアの責任も大きいと思います。予算だけつけても、出生数が増えるわけがないのです。 ●政府支出は日本の1.7倍でも子供が増えない事実 ちなみに、さんざん見習えといわれてきた北欧のフィンランドの家族関係政府支出GDP比は2019年実績2.9%で、これは同年の日本の1.7倍ですが、それだけ予算を割いているはずのフィンランドの2023年の合計特殊出生率は、速報値でもはや日本と同じ1.26まで下がっています。これを見ても、予算をかければ出生増になるなどという話ではないことがわかります。 フィンランドの少子化について、同国の家族連盟人口研究所のアンナ・ロトキルヒ氏は「フィンランドの家族支援政策は子を持つ家族には効果があったのかもしれないものの、本来の目的である出生率の上昇には結びついていない」と述べており、これが正しい事実認識であると私も思います。 もちろん現在の日本の出生減の原因は、出産対象年齢の女性の絶対人口が減少しているという物理的理由が第一にあり、日本においては、1990年代後半からゼロ年代頭にかけて起きるはずだった第3次ベビーブーム(第2次ベビーブームで産まれた子どもたちが親になる時期で出生が増えると見込まれたこと)が起きなかった時点で、未来永劫出生数という観点では増えないことが確定しています。 加えて、絶対人口が減少している上に未婚化で子を産まない女性も増えており(2020年時点で日本の女性の生涯無子率は27%)、人口減と非婚化というダブルパンチによる「少母化」が現在の出生減の要因です。1985年に比べて、1人以上の子を産んだ女性の数は60%も減少しています。どう逆立ちしても、出生数は増えません。 ●20代の婚姻数を増やすしかないが… そして、上記の話ともかぶりますが、出生減は婚姻減と完全にリンクしています。婚外子の極端に少ない日本では結婚をしないと出産をしないからです。逆にいえば、結婚して15年以上継続した夫婦は2021年出生動向基本調査によると、平均1.9人の子どもを産んでいます(完結出生児数)。 また、15年継続しなくても、離婚があった分を含めても、婚姻がひとつ成立すれば、1.5〜1.6人の子どもが産まれてくるという傾向は20年以上続いています(発生結婚出生数)。つまり、婚姻がひとつ増えれば1.5人出生されるということで、出生数を増やすには婚姻増を目指すことが正しいわけです。しかも、出生につながる婚姻という観点では20代の婚姻が増える必要があります。 よくフランスの出生率と比較されますが、日本とフランスの出生率の違いの大半は20代の出生率の差です。フランス20代出生率0.78に対し、日本は0.48しかありません。その差は0.3もあります。もし日本の20代の出生率がフランス並みなら、日本の出生率はそれだけで1.26から1.56にあがることになります。 【図表】日仏韓 2020年年代別出生率比較 ●「若者が20代のうちに結婚できない」問題 実際はもっと効果があります。20代で第1子を産むことが、早めの第2子、第3子出産へとつながるからです。それは、出生率が世界最下位の韓国の20代出生率が極端に低いことからも明らかです。日本の20代の婚姻・出生が減ることは韓国と同じ道を辿ることを意味します。 要するに、出生減とは「20代の若者が20代のうちに結婚できない問題」です。 しかし、婚姻数を増やすためにはまたそこで越えるべき別のハードルがあります。厳密には、社会環境面と経済環境面のふたつがありますが、本稿では文字数の関係上、後者の経済環境面のお話をします。 20代の婚姻減の理由としては、「これから結婚・出産をする20代の若者を取り巻く経済問題とその経済問題がゆえに発生する若者の心の問題」です。 1996年から2022年にかけて、20代の所得や婚姻数・出生数などの推移を、1996年の数値を1として見たものが以下のグラフです(図表2)。 【図表】20代の経済環境と不安が婚姻出生に及ぼす影響 ●経済的不安→将来への不安→恋愛どころではない 20代の可処分所得中央値は、1996年以降一度もその水準に戻っていません。その最大の理由は、税・社会保険料など額面給料から差し引かれる割合が2倍以上にあがっているからです。ただでさえ給料が少ない上に、引かれる割合が多く、手取りが減っています。 さらに、注目したいのは、内閣府「国民生活に関する世論調査」から「今後の収入など経済的不安を感じる」という20代の割合がこの期間に激増して、2022年には67%にも達しています。 この負担率と不安率が増えれば増えるほど、婚姻も出生も減るという完全に強い負の相関を生んでいることがわかります。満足に手取りが増えない状況、恋愛や結婚どころか自分ひとりの生活で精一杯の20代の若者が、その現状ゆえに自分の将来の経済的不安感を募らせている。 当然、20代の若者の中には、大企業に就職して、この20代中央値の倍以上の手取りのある恵まれた層もいるでしょう。しかし、それは一部であり、手取りの中央値がいまだ300万円にも達していないことのほうが異常です。 ●2020年代は「結婚氷河期」時代になるのか いうまでもないことですが、結婚しないという選択的非婚の若者に無理に結婚を推奨するものではありません。その意思は尊重されるとして「結婚したいのにできない」という不本意未婚の若者には目配りが必要だと思います。 政府が2023年6月に出した「こども未来戦略方針」の中では、3つの基本理念の第一に「若い世代の所得を増やす」というものが掲げられていました。これはまったくその通りですし、その課題認識も間違っていません。 が、具体的にこの「若い世代の所得を増やす」方策は何一つ提示されず、逆に「子育て支援金」など、ただでさえ少ない若者の手取りをますます少なくしようとしている。理念とは真逆の「若い世代の所得を減らす」ことをしているのです。これでは「婚姻撲滅・少子化促進政策」でしょう。 これは決して現在20代の若者だけの問題ではなく、今子育て中の世帯の子どもたちが大人になった20年後に、その子たちを苦しめる大きな負担として立ちはだかるものになります。今、この問題を野放しにしてしまっては、後世2020年代は「結婚氷河期」と呼ばれる時代になると考えています。 |
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●ウォシュレットなどまた値上げ TOTO「企業努力だけで対応困難」 2/29
衛生陶器大手のTOTO(北九州市)は29日、住宅設備機器の希望小売価格を8月受注分から引き上げると発表した。値上げ率は、便器などの衛生陶器が平均5%、システムキッチンが同3%などで、商品の種類ごとの平均では2〜11%。希望小売価格の引き上げは3年連続となる。 そのほかの主な商品の値上げ率は、水栓金具が同11%と最も高い。「ウォシュレット」と洗面化粧台は同3%、ユニットバス・システムバスが同2%となっている。 同社によると、住宅設備機器全般を対象とした近年の値上げは、12年8カ月ぶりに踏み切った2019年10月以降4回目。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻を受けた原燃料価格の上昇などで、22年10月と23年8月にも実施していた。 同社は「全社をあげて生産性の向上やコストダウン、諸経費の削減をしてきたが、外部調達コストなどの上昇が続いており、企業努力だけでは対応が困難な状況になっている」と説明している。 |
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●日野・三菱ふそう、経営統合延期へ 競争法や不正問題対応で 2/29
経営統合を目指しているトラック大手の日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは29日、統合の日程を延期すると発表した。2024年中の完了をめざしていたが、国内外の競争法への対応や、日野の企業価値の算定が認証不正問題で遅れていることから間に合わなくなったとしている。 日野と三菱ふそうは昨年5月、脱炭素化に向けた投資を加速させるなどとして、経営統合の基本合意を発表。両社の親会社であるトヨタ自動車と独ダイムラートラックが新設する持ち株会社の傘下に入る方向で、協議を続けている。統合の実施時期は4社で合意次第、改めて公表するとしている。 当初、日野と三菱ふそうは今年3月末までに最終契約を結び、24年中の統合完了をめざしていた。しかし、両社は日本や東南アジアで高い市場シェアを持っており、競争当局の許認可の取得に想定以上の時間がかかっているという。 ・・・ |
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●安倍派幹部4人が事件後初、国会で答弁 衆院・政治倫理審査会 3/1
国会では、きのうに引き続いてきょうも、衆議院・政治倫理審査会が開かれます。安倍派の幹部4人が国会で答弁に立つのは、派閥の裏金問題に捜査のメスが入ってから初めてです。 衆院・政治倫理審査会はきのう、15年ぶりに開催され、岸田総理らが出席しましたが、きょうは西村前経済産業大臣ら安倍派の幹部4人が裏金事件をめぐって、「政治的・道義的責任」の審査を受けます。 自民党の聞き取り調査では、安倍派では20年以上前から組織的な裏金作りが行われていた可能性が指摘されているほか、中堅・若手議員からは派閥幹部の責任を問う声が相次いでいて、4人がどれだけ実態解明に繋がる答弁を行うかが注目されます。 一方、並行して行われている2024年度予算案の審議をめぐり、自民党の小野寺衆院予算委員長は、予算案をきょう採決する日程を委員長の職権で決めていて、与党はその後の本会議で可決して参議院に送り、憲法の規定によって23年度内の成立を確実にしたい考えです。 立憲民主党 安住国対委員長「疑惑にふたをして強行採決するってことですから、我々としては、これはもう対抗措置を執らざるをえない」 野党側は「審議時間が足りない」などと反発していて、小野寺委員長の解任決議案を提出することなども視野に、徹底抗戦する構えです。 |
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●安倍派・松野前官房長官 キックバックの現金845万円を議員会館事務所で保管 3/1
松野前官房長官は、2021年の段階で、安倍派から還付されていた現金845万円を秘書が議員会館の事務所で保管していたことを明らかにしました。 「他の政治資金とは別に管理をしていたと報告を受けている」としています。 松野氏は還付金について「報道が出てから知った」としたうえで、「国会議員などとの会合費等、政治活動費として認められる使途に使ったとのことであり、不正な目的や私的な目的で使用されていない」と説明しています。 衆議院の政治倫理審査会で立憲民主党の枝野幸男衆院議員の質問に答えました。 |
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●西村前大臣 キックバックの再開は「経緯を把握していない」 政倫審で弁明 3/1
自民党の派閥の裏金問題をめぐり、西村前経済産業大臣ら、安倍派の事務総長経験者が衆議院の政治倫理審査会に出席し弁明しています。 「清和会の会計については一切関わっておりませんでした。(幹部と)還付の話、資金の話は一切しておりません。秘書に指示しておりますので、私自身はノルマが幾らかということは具体的に意識したことはありません」(西村前経産大臣) ただ、立憲民主党の枝野氏は、西村氏の指示なくして秘書が勝手に虚偽記載することができるのかと厳しく追求しました。 また、安倍元総理が2022年の4月に塩谷氏、下村氏、西村氏、そして世耕氏を集め、還付を止める方針を決めたものの、その後再開したことについて西村氏は「その経緯を把握していない」と、従来の主張を繰り返しました。 一方、松野前官房長官はキックバック分は「秘書が現金で受けとり事務所内で保管、管理していた」と述べました。 ずさんな処理が改めて浮き彫りとなり、焦点となっていたキックバックの再開についても誰が主導したのか明らかにならないままです。 |
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●安倍元首相のもと、4幹部で裏金還流廃止決定したのに… 西村康稔前経産相、復活の経緯問われる 政倫審 3/1
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)が29日に続き、3月1日午前9時すぎから始まった。 この日、最初の審査は、安倍派の有力者「5人組」の一人、西村康稔前経産相。安倍派で2021年10月〜22年8月、派閥を取り仕切る事務総長を務めた。この間、22年のキックバックは行わないとの話し合いが幹部間であったとされる。 裏金作りへの関与を追及され、西村氏はどう答えたのか。質疑を詳報する。 ●9:08 西村氏の弁明始まる 西村氏は冒頭、「政治団体清和政策研究会の政治資金の問題に関して、このような事態を招き、国民の皆さんの政治不信を招いたこと、幹部の一人として心よりお詫び申し上げます」と陳謝し、軽く頭を下げた。 安倍派幹部として裏金事件の責任として「幹部の一人として、けじめをつけるべきと判断し、経産大臣の職を辞し、捜査に全面的に協力してきた」と説明。自身の関与については「捜査を尽くした上で処分しないことになった」と強調しつつ、「今後も引き続き説明責任を果たしていく」と述べた。 ●9:10 キックバック「歴代会長と事務局長との間で」 西村氏の弁明は続く。 西村氏は安倍派事務総長を務めた約10カ月の間、若手議員の人事の調整や政治活動の支援・協力・指導などに当たっていたとして、「清和会(安倍派)の会計には一切関わっていませんでした。今の時点まで清和会の帳簿、収支報告書などを見たことがありません」と弁明した。 派閥パーティー券の売り上げノルマ超過分のキックバックについては、「歴代会長と事務局長との間で長年慣行的に行われていたので、会長以外の私たち幹部が関与することはありませんでした。私は問題が表面化するまで、(政治資金)収支報告書に記載されていないことを知りませんでした」と釈明。その上で、「政治不信を招いたことについて、知らなかったとはいえ、幹部の1人として深くおわび申し上げます」と陳謝した。 また、2021年に会長に就いた安倍晋三元首相の意向を踏まえ、22年のキックバックは行わないとの話し合いが幹部間であったが、結果的にはキックバックが続いたようだと説明。これについても、「事務総長を退任したため、継続された経緯を含め、全く承知していない」と語った。 派閥からのキックバックは、自身の政治資金パーティーの収入として計上しており、「いわゆる裏金となっていたことは一切ない」と強調。「検察当局の捜査に協力する中で、寄付として記載すべきとの指摘を受け、これに沿って収支報告の訂正を行いました。忙しかったとはいえ、適切な指示をしておけば良かったと反省しており、監督責任を強く感じております」と話した。 ●9:20 安倍元首相の意向で還流廃止決定 西村氏は、自民党の武藤容治衆院議員の質問に対し、2022年に派閥会長だった安倍晋三元首相が、パーティー券収入のキックバック(還流)の廃止を主張した経緯を明かした。 西村氏は、安倍元首相から2022年の4月、「現金での還付を行っているのを止めると言われた」と説明。「私もこれは止めようということで、幹部でその方針を決めまして、若手議員何人かの議員に手分けして電話もした。私自身も若手議員に電話をして止めるという方針を伝えた」という。 キックバックを止めた理由は「現金は不透明で疑念を生じかねないから」だったとした。 2022年7月に安倍元首相が亡くなった後、「ノルマのよりも多く売った議員がいたようでありまして、返してほしいという声が出てきた。それを受けて8月の上旬に幹部で議論をしたが、結局結論は出ずに、私は8月10日に経産大臣になりましたので事務総長を離れることになった」という。 西村氏は「その後、どういった経緯で現金での還付が継続されることになったのかその経緯は承知しておりません」と語った。 ●9:37 2022年4月に幹部が集まって還流廃止決定 立憲民主党の枝野幸男衆院議員も、安倍派で還流廃止から復活に至る経緯を追及した。 西村氏は「安倍会長の元で、2022年4月上旬、当時の幹部が集まって方針を決めた」と発言。集まった幹部は、西村氏のほかに塩谷立氏、下村博文氏、世耕弘成氏や派閥の事務局長だったという。 2022年5月の派閥のパーティーを控えた4月、「還付は止めるという方針を決めて、私は若手議員中心だったと思いますけど連絡した」と説明。「その後、ノルマ以上に売った議員から、返してほしいという声があり、8月上旬に幹部で集まってどう対応するかと協議したが結論は出なかった」と述べた。 1月31日の会見で下村博文氏は… 安倍氏が還流廃止を提案した22年4月の協議には、下村氏と当時事務総長だった西村康稔前経済産業相、塩谷立元文部科学相、世耕弘成前参院幹事長が出席。22年8月にも下村氏と西村、塩谷、世耕の三氏が再び対応を話し合ったが「(8月の)協議の中で(還流継続を)決めた事実はない」。 ●9:42 各議員のパーティーに上乗せ、西村氏提案 枝野氏は、西村氏が派閥からのキックバック分を自身の政治資金パーティーの収入に上乗せしていたことに関し、さらに追及した。 下村博文元文部科学相が今年1月の記者会見で、2022年8月に行われた派閥幹部の協議の場で「ある人から、その還付(キックバック)については個人の資金集めパーティーに上乗せして、それで(政治資金)収支報告書で合法的な形で出すということもあるのではないかという案もあったと思う」と証言していると指摘し、「これ、西村さんですよね」と迫った。 西村氏は「還付は行わないという方針を維持しながらも、一方で返してほしいと(いう要望もある)。どう対応するかということで、いろんな意見が出された。その中でアイデアの一つとして、今後議員が開くパーティー券を清和会が購入するということはどうかという代替案が出た。私自身も、検討できるのではないかと発言した。この方策が実際に採用されたわけではないし、結果的に現金での還付が継続されたようだ」と説明。 枝野氏は「おかしいですね。下村さんは『個人の資金集めパーティーに上乗せして』という話をしている。上乗せして合法的なように見せるって、あなたがやっていることそのものじゃないですか」とたたみかけた。 これに対し、西村氏は「結果としてそのように見えるかもしれないが、私の会計責任者の秘書が、収入の一部として政治資金の収支(報告書)に載せていたことは承知していなかった」などと述べ、あくまでも個人パーティの収入に上乗せする方法は自身の発案ではないと否定した。 枝野氏が「現金で秘書が受け取っていたものを、西村さんの個人パーティーの売り上げに上乗せしていた。そんなことを秘書さんが勝手にできるんですか」と強い口調で問い質した。 西村氏は「秘書と何度も確認した。(キックバック分を)不記載にしたくないという思いがある中で、私のパーティーの収入に入れておかしくないと判断して、そのような処理をしていたということだ」と弁明。 さらに枝野氏が「派閥の側から(収支報告書に)記載しなくていいと言われたお金を、あなたのパーティー(収入)として計上すれば、精査されたらつじつまが合わなくなる。(西村氏に)相談すべきだと判断できない秘書を雇っていたのか」とたたみかけると、口を結んで枝野氏をじっと見つめていた西村氏は「経験がある秘書で、信頼していた」と話した。 枝野氏は「下村さんの発言と、西村さんの今の証言は全く食い違っている」「西村さんの証言だけでは、はいそうですかとは到底ならない」と批判し、下村氏の政倫審への出席や参考人招致を要求した。 ●10:06 「正直に申し上げている」 日本維新の会の青柳仁士衆院議員は、安倍派の裏金還流の復活について「キックバックを復活させるのは、非常に大きな決断。こんな大きな決断を幹部に相談なく、事務局長だけで決めることは絶対にない」と疑念をぶつけた。 なぜ還流が復活したのかを問われた西村氏は眉間にしわを寄せながら、「幹部との間で、資金に関する協議にはいっさい関わっていませんので、知らないというのが正直なところです」とし、「今思えば、還付しない方針を徹底しておけばよかったと深く反省しています」と述べるにとどまった。 事務総長の職を離れた2022年8月直後、還流復活の結論が出たとの西村氏の説明に、青柳氏は「事務総長が変わった同じ月に結論が出た。客観的に見れば、(安倍派幹部の)4人で話し合って決めたとしか思えない」と迫った。 「説明責任を果たせているのか」と問われても、西村氏は「経緯は全く承知していない。全て正直に申し上げている」「どういう質問されても、その後の経緯については承知していない」と繰り返した。 ●10:20 森元首相の関与「聞いたことない」 共産党の塩川鉄也氏は、安倍派のパーティー収入のキックバックが歴代会長と事務局長との間で長年慣行的に行われていたとする西村氏の弁明について、「事務総長が関わっていないとは、にわかに信じ難い。歴代会長に事実関係を確認しなかったのか」と尋ねた。西村氏は「亡くなられた方も多い。派閥として、そういったことは私の知る限りは今の時点では行っていないのではないか」と説明した。 この問題では、1998〜2006年に派閥会長を務めた森喜朗元首相の指示があったかどうかも焦点の一つとなっている。 自民党の聞き取り調査の報告書(2月15日公表)では… 「安倍派で収支報告書に記載しない取り扱いが、いつどのように始まったかは判然としないものの、遅くとも10数年前から行われていた可能性が高い。場合によっては20年以上前から行われていたこともうかがわれる。二階派では少なくとも10年前から今の仕組みになっていた」と結論づけている。 塩川氏が「森元会長には確認はしないか」と迫ると、西村氏は「森元総理が関与していたという話は聞いたことがないので、確認していないが、もし疑念が生じるのであれば、(派閥の)幹部が確認しても口裏を合わせたのではないかと言われかねないので、第三者が確認するのがいいと感じている」と答えた。 塩川氏は「(森氏に)国会で説明いただきたい」と求めた。 |
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●岸田総理 東日本大震災の追悼式出席のため福島へ 岸田総理は談話発表 3/1
林官房長官は、東日本大震災の発生から13年となる今月11日に岸田総理が福島県を訪問し、県主催の東日本大震災の追悼式典に出席すると明らかにしました。 また、岸田総理は、災害に強い国づくりを進める決意を示した国民向けの談話を発表しました。 東日本大震災による「原発事故の被災者を含めいまだ被災地の方々が様々な課題に直面している現実を心に刻み、復興に全力で取り組んでまいります」としています。 |
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●岸田首相、能登半島などでの災害初動対応「6月までに緊急に取りまとめを」 3/1
岸田首相は1日午前、首相官邸で開かれた「能登半島地震復旧・復興支援本部」で、半島などの地理的制約がある地域での災害対応を巡り、初動対応強化に向けた対策を6月までに取りまとめる考えを示した。「即効性あるものを中心に6月までに緊急に取りまとめてほしい」と関係閣僚に指示した。 首相は、今回の地震でドローンや循環型シャワーなどの新技術が初動対応で役立ったことを指摘し、「早期に実施可能なものから取りまとめ、対策に反映してほしい」とも強調した。 |
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●次期戦闘機の輸出解禁、与党が2月中の合意を見送り−岸田政権に痛手 3/1
自民、公明両党は日英伊で共同開発する次期戦闘機の第三国への直接輸出解禁を巡り、目標としていた2月中の合意を見送った。岸田文雄首相が自ら掲げた期限に間に合わなかった形で、政権にとって痛手となる。 公明党が国民の理解を得る必要があるとして慎重姿勢を崩さなかった。同党は今後の参院予算委員会での質疑などで岸田首相らの見解をただす考えだが、調整が長引けば、今月始まる予定の開発企業間の作業分担交渉で、日本が不利益を被る可能性も出てきた。 岸田首相は戦闘機の輸出は平和国家の基本理念に反しないとし、第三国輸出によって調達価格を抑えられるとの見解を示してきた。ただ、2月に行われたNHKの世論調査では、他国と共同開発した防衛装備品の輸出解禁に反対は51%と、賛成の31%を上回るなど国民の理解は進んでいない。 公明党の北側一雄副代表は2月22日の記者会見で、次期戦闘機の共同開発の意義や必要性も含めて説明する必要があると指摘。山口那津男代表も同月27日の会見で、「国会で議論をして国民側の理解を求めるというのが一つの重要な機会」と述べた。 こうした中、林芳正官房長官は1日の定例会見で、国会質疑を通じて必要性を説明し、与党の最終的な合意が速やかに得られるよう政府として取り組む考えを示した。 日英伊3カ国の防衛相は昨年12月、次期戦闘機の共同開発に向けた「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」に署名した。民間からは、三菱重工業と英BAEシステムズ、イタリアのレオナルドが参入し、2025年までの開発段階への到達、35年までの戦闘機の配備開始を目指している。 日英伊、次期戦闘機の共同開発で条約署名−35年までの配備開始目指す 日本は戦争放棄を定めた憲法9条の下で武器の輸出を事実上禁止してきたが、防衛力強化を背景に輸出規制を徐々に緩和している。昨年末には米国企業の特許を使って国内で生産した地対空誘導弾パトリオットミサイルの米国への輸出を認めた。 |
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●岸田首相訪朝前のめり≠フ懸念 日朝首脳会談、駆け引き緊迫 国民・玉木氏が与正氏の談話問題視 拉致被害者一括帰国に主眼を 3/1
日朝首脳会談の開催に向けて、日本と北朝鮮の駆け引きが続けられている。最重要課題である日本人拉致事件や、核・ミサイル開発問題の完全解決を求める日本に対し、北朝鮮側は経済支援などを念頭に秋波を送ってきている。拉致被害者や被害者家族が高齢化するなか、拉致事件解決には一刻の猶予もない。岸田文雄首相は自身直轄で「ハイレベル協議」を主導すると宣言している。ただ、岸田内閣の支持率が「危険水域」に沈み込むなか、外交成果を政権浮揚の足掛かりにしたい焦りも感じられる。相手はニセ遺骨を送り付けてきた北朝鮮である。最大級の警戒が必要だ。 「私自身が主体的に動いて、トップ同士の関係を構築する」「昨今の日朝関係の現状に照らして、大胆に現状を変えなければならない必要性を強く感じている」 岸田首相は2月9日の衆院予算委員会で、拉致事件解決に向けた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との首脳会談実現への意欲をこうにじませた。 北朝鮮側の特異な動きも相次ぐ。 正恩氏は1月、祖父の金日成(キム・イルソン)主席以来、同国が掲げてきた南北平和統一という政策を転換し、韓国を「主敵」と憲法に明記するよう指示した。 一方、正恩氏は同月発災の能登半島地震を受け、岸田首相に「閣下」の敬称を付けて、お見舞いのメッセージを発表した。 さらに、正恩氏の妹、与正(ヨジョン)党副部長は今月15日、岸田首相を名指しし、「平壌(ピョンヤン)を訪問する日が来ることもあり得る」「(日朝は)いくらでも新しい未来をともに開ける」とする談話を朝鮮中央通信で発表した。 まさに、「北朝鮮トップや、その親族が、首相宛にメッセージを発信する異例ずくめの展開」(外交関係者)で、「政治とカネ」の問題が直撃して窮地の岸田首相や、官邸周辺の期待は一気に高まっているようだ。 ただ、日朝関係筋はこう警鐘を鳴らす。 「2002年の日朝首脳会談前後にも、拉致事件や核の問題を置き去りにして、一足飛びに『日朝国交正常化』を進めようとする動きがあった。北朝鮮には、豊富な埋蔵資源や安価な『労働力』がある。経済的な可能性や、利権への思惑は常に、日朝双方にある」 超党派の国会議員でつくる「日朝国交正常化推進議員連盟」は27日、国会内で総会を開いたが、不穏≠ネ一幕があった。 会長の衛藤征士郎元衆院副議長が、岸田首相の早期訪朝を要請する決議採択を求めたが、案文を問題視する声が複数の出席議員から上がり、大幅に修文することになったのだ。 衛藤氏が当初、採択しようとした決議案は、「北朝鮮のこの新しい動きに我々は真摯に対応すべきだ」として、岸田首相の早期訪朝を求める内容だった。 これに対し、議連メンバーの国民民主党の玉木雄一郎代表は「日本国から複数のメッセージを出すべきではない」と指摘したうえで、与正氏の談話が拉致問題を「すでに解決した」「(日朝)両国関係展望の障害物として捉えることさえしなければ」としていることを問題視した。玉木氏は「(これらを)飲んだかのように捉えられるのは、日本国のメッセージとしてどうなのか」と訴え、案文通りの採択に反対した。 共産党の笠井亮衆院議員も「(02年の)日朝平壌宣言、拉致、核・ミサイル(などの諸懸案の包括的解決)、(不幸な)過去の清算をきちっと書き込む必要がある」と不備を指摘した。 衛藤氏は総会後、記者団に朝鮮総連の幹部2人と25日に面会したことを明かした。 公安関係者は「岸田首相が『直轄のハイレベル協議』を行うと表明した昨年5月以降、総連の動きも活発化した。ただ、総連と北朝鮮上層部との関係は希薄化しているとされる。日本政府が働きかけを進めるなか、別ルートの構築が好影響をもたらすか大いに疑問がある」と語る。 ●全被害者一括帰国に主眼を 一方、拉致被害者家族は焦りを募らせている。 家族会は25日、支援組織「救う会」との合同会議を東京都内で開いた。「親世代が存命中の全拉致被害者の即時一括帰国」という従来の主張を堅持しつつ、それが実現するならば、「わが国が(北朝鮮に)かけている独自制裁を解除することに反対しない」との運動方針を決めた。 親世代で存命なのは、横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(88)と、有本恵子さん=同(23)=の父、明弘さん(95)の2人だけだ。家族会は一貫して制裁強化を求めてきたが、「時間的制約」を念頭に、融和的な方針を表明する決断に至った。 永田町周辺では以前から、「日朝首脳会談を受けて、北朝鮮が認定被害者1人と未認定被害1人を帰国させ、日朝国交正常化を進める」「残りの人々については『日朝合同調査委員会』を設置して調査を続ける」という案がささやかれている。 ただ、北朝鮮は拉致被害者の動向をすべて把握している。「日朝合同調査委員会」の設置は、拉致事件を棚上げする謀略とみられている。 拉致被害者を救う会会長で、麗澤大学客員教授の西岡力氏は「北朝鮮側が首脳会談に意欲的なのは確かだ。ただ、岸田首相は訪朝そのものを目的にしたら失敗する。新たな運動方針でも、全拉致被害者の一括帰国が実現しなければ逆に『独自制裁を強化すること』も求めている。岸田政権は謀略に惑わされず、全被害者の一括帰国に主眼を置いてほしい」と強調している。 |
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●中国の「領事ボランティア」は日本でいったい何をしているのか…岸田政権がスパイ防止法の制定に本腰を入れるべき「これだけの理由」 3/1
●中国の「非公式警察署」とは 日本にある中国の「非公式警察署」に捜査のメスが入った。だが、中国は海外に設置した警察以外の手段でも、在外中国人に対する監視や情報収集活動を活発化させている。その1つが「領事ボランティア」の活用だ。いったい、それはどういう存在なのか。 警視庁公安部は2月21日、新型コロナウイルス対策の持続化給付金を騙し取ったとして、中国籍の女性2人を書類送検した。この事件の関係先として、同部は昨年5月、東京・秋葉原のビルに入居していた一般社団法人を家宅捜索していた。 スペインの非政府組織(NGO)、セーフガード・ディフェンダーズが2022年9月に発表した報告は、このビルに「中国の非公式警察署が設置されている」と記していた。同年12月に発表された報告の続編によれば「世界53カ国に102の拠点がある」という。 報告は世界で大きな反響を呼び、欧米各国は直ちに拠点や関係者の摘発に動いた。たとえば、米国の司法省と連邦捜査局(FBI)は昨年4月、ニューヨークを拠点に活動していた中国人男性2人を逮捕している。だが、スパイ防止法がない日本は出遅れていた。 国民民主党の玉木雄一郎代表は2月24日、X(旧ツイッター)に、中国人の摘発を報じたデイリー新潮を紹介しつつ「警視庁公安部の手柄であると同時に深刻な現状が明らかになったと言える。松下新平議員以外にも、どこまで与野党の議員に影響が及んでいたのか徹底的に捜査してもらいたい。松下議員も自ら捜査に協力し説明すべきだ。」と投稿した。 ●スパイ防止法の制定に本腰を入れるべき なぜ、松下参院議員の名前が出たかといえば、書類送検された中国女性の1人が同議員の元秘書だったからだ。デイリー新潮によれば、彼女は「参院議員会館の通行証まで受け取っていた」という。事実なら、まさに由々しき事態と言わねばならない。 私は、この問題を22年11月4日公開コラムで初めて紹介して以来、夕刊フジのコラムやYouTube番組などで何度も取り上げてきた。。今回の摘発は一歩前進であり、警察関係者の努力を高く評価したい。 だが、これで安心している場合ではない。岸田文雄政権はスパイ防止法の制定に本腰を入れるべきだ。各国の摘発で中国の秘密活動は収まるどころか、水面下で一段と活発になっているからだ。その手口の1つが、中国の大使館や領事館が在外の一般中国人を対象に募った「領事ボランティア」の活用である。 セーフガード・ディフェンダーズが昨年11月に発表した調査記事によれば、中国は各国で在外中国人のボランティアを募って、反体制活動家を含む中国からの逃亡者に対する監視活動や情報収集を強化している。 発端は昨年5月の先進7カ国首脳会議(広島サミット)で採択された共同声明だった。声明は中国を名指しして、こう記していた。 〈我々は中国に対し、外交関係に関するウィーン条約及び領事関係に関するウィーン条約に基づく義務に従って行動するよう、また、我々のコミュニティの安全と安心、民主的制度の健全性及び経済的繁栄を損なうことを目的とした、干渉行為を実施しないよう求める〉 これは、中国の非公式警察活動に対するG7による公式の非難と警告である。 ●優秀なボランティアは国家が表彰 すると、中国共産党は1カ月後の昨年6月29日、領事ボランティアに関する新たな「領事保護と協力条例」を制定して、在外中国人の摘発に民間人を動員する体制を強化した。それによれば、次のように、領事の仕事を定めている。 〈第1条 海外にいる中国市民、法人、不法者組織の正当な権益を守り、領事保護と協力業務を標準化し、強化するために、本条例を制定する。 第2条 領事保護と協力業務は中国共産党の指導を堅持し、人民を中心として、全体的な国家安全保障観を貫き、調整を強化し、領事保護と協力能力を高める。 第3条 本条例は領事保護と協力及び関連指導調整、安全予防、支援保障などの活動に適用される。 本条例でいう領事保護と協力とは、海外の中国市民、法人、不法人組織の正当な権利が侵害されたり、助けが必要な場合、駐外外交機関が法律に基づいてその正当な権益を守り、協力を提供する行為を指す〉 そのうえで、ボランティアについて、こう記している。 〈第24条 国家は関係組織と個人が領事保護と協力業務のためにボランティアサービスを提供することを奨励する。国家は保険会社、緊急救援機関、弁護士事務所などの社会勢力が領事保護と協力に協力することを奨励し、支援する。 第25条 領事保護と協力業務に顕著な貢献をした組織と個人に対して、国家の関連規定に従って表彰、奨励を与える〉 もしも中国人や企業などの権益が外国で不当に侵害されれば、領事が権益を守るように努力するが、ボランティアは領事を支援し、優秀なボランティアは国家が表彰するのだ。 条例に基づいて、各国の中国大使館や領事館はボランティアの登用に動いている。日本も例外ではない。 中国外務省のホームページによれば、条例制定と同じタイミングで、日本に設置された、中国のある総領事館は領事協力ボランティア訓練交流会を開催し、出席した約20人が「総領事館と協力して、管轄地域の中国市民と機関の安全と合法的な権利を守る」ことを誓い合った。 ●国際法に違反する可能性も 彼らは、単なるボランティアではない。 たとえば、中国系経済団体に所属する経済人でありながら、中国国務院華僑事務弁公室(OCAO)の指揮下で活動している。OCAOは中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)の外部向けの別名だ。OCAOは立派な実績を挙げたボランティアを訓練交流会で表彰している。 中国共産党が一体何の訓練をしているのか、不明だが、カナダの裁判所は22年1月、中国人夫妻が永住権を求めた裁判の判決で、OCAO(=UFWD)を「スパイ活動に従事し、カナダの利益に反する活動をする組織」と認定した。いざとなれば、中国共産党のために在外の反体制派を監視したり、情報収集をして領事館の活動を支援するのだ。 そもそも、領事ボランティアという仕事自体が国際法に違反する可能性がある。 領事の仕事は領事関係のウィーン条約に定められているが、そこに領事を支援するボランティアなどという取り決めは存在しない。ウィーン条約には、こう記されている。 〈第3条 領事任務は領事機関によって遂行される。また、この条約の定めるところにより外交使節団によっても遂行される。 第4条の1 領事機関は接受国の同意がある場合にのみ、接受国の領域内に設置することができる。4 総領事館または領事館がその所在地以外の場所に副領事館または代理領事事務所を開設することを希望する場合にも、接受国の同意を必要とする〉 セーフガード・ディフェンダーズは、この条文を根拠に「中国は接受国の同意を受けずに、世界中で領事業務を支援するボランティア制度を運用しているように見える」と指摘している。中国は国際ルールを無視して、勝手にボランティアを募って、海外で暮らす自国民を監視しているのだ。 こうした活動には、世界各国で警戒心が高まっている。 たとえば、カナダのグローブ・アンド・メール紙は2019年12月19日付で、カルガリーとトロントにある中国領事館が「ボランティアを募集し、訓練している」と報じた。当時は中国の電子機器大手、ファーウエイの最高財務責任者がカナダで逮捕され、両国の緊張が高まっていた時期だ。カナダでは一足早く、ボランティア制度がスタートしていた。 カナダに滞在中の香港の民主活動家、周庭さんが昨年12月、現地で事実上の亡命宣言をしたが、中国の領事ボランティアたちは周庭さんの身辺を探っているかもしれない。彼女は「絶好のターゲット」だろう。 米メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)中国語版は昨年7月20日、中国共産党の新条例を紹介して「中国は国力を外に伸ばして、中国市民に対する監視を拡大しようとしている」と報じた。 各国の摘発で中国の非公式警察署が活動しにくくなったとしても、安心できない。むしろ、中国の秘密活動は普通の中国人を使って、水面下で活発になっている。中国人ボランティアは日本で、いったい何をしているのか、はたして、自国民の監視と情報収集にとどまっているのか。日本の死活的な権益を脅かす恐れはないのか。日本は警戒心を高める必要がある。 |
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●敗訴で沖縄知事「反対貫く」 3/1
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設工事を巡り、国が代執行するため起こした訴訟で、県側の敗訴が確定した。玉城デニー知事は1日、記者団の取材に応じ、「司法が具体的判断も示さずに門前払いをしたことは極めて残念と言うほかない」と批判。現行計画について「立場はいささかも変わらない。反対を貫く」と強調した。 移設反対を公約の柱に掲げて当選した玉城氏は、司法の命じた軟弱地盤改良のための設計変更の承認を拒んできた。工事は国による昨年末の代執行を経て今年1月に着手されており、司法に訴える道も完全に閉ざされた。 玉城氏はこの日も、「政府と県でしっかり向き合って話し合うことが、問題解決に向けた取り組みになる」と繰り返し主張し、計画断念に向けた対話に応じるよう政府に訴え掛けた。 その上で、「ずっと沖縄では不条理が続いている。解決する責任は誰にあるのか。もっと真剣に国民の方を向いて政治を行っていただきたい」と述べた。 |
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●与党に漂う「逃げ切りムード」 政倫審出席、岸田首相の思惑 3/1
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)は1日、安倍派(清和政策研究会)の幹部4人が出席して開かれた。 与党が衆院政倫審の開催をてこに、与党が来年度予算案の自然成立が確実となる2日までの衆院通過を急いだのは、4月の衆院3補選を視野に、今後の参院審議でも予算を「人質」とした野党ペースの追及が続くことを避けたかったためだ。野党は裏金事件の真相解明に向けて参考人招致や証人喚問を要求し、引き続き追及する構えだが、与党は幕引きを図る考えだ。 「国民の皆さんの理解、納得してもらえる発言はなかった。(今後は)参院の予算審議で関係者の皆さんに参考人等で出てもらうこともできる。岸田さんが積極的に説明責任を果たすと言ってきたことが、ここから真価が問われる」。政倫審での質疑を終え、立憲民主党の枝野幸男前代表は、裏金事件のさらなる真相解明に期待した。 ただ、与党には「逃げ切りムード」が漂い、参考人招致などに応じる気配はない。 自民は、裏金事件を巡る説明責任に後ろ向きな印象を残したまま予算案採決を強行して、世論の批判が高まることを懸念して… ・・・ |
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●能登地震後、県外への“転出者”が大幅増…“過疎化”懸念も 3/2
能登半島地震の発生から1日で2か月。石川県の発表で、地震後県外への転出者が大幅に増加していることが分かりました。一方で、被災地では、復旧にむけて2日もボランティアが活動を行いました。中継です。 珠洲市正院町です。地震の被害が大きかった能登地方では2日朝、雪が降り、とても寒い一日となりましたが、2日もボランティアの方が訪れ、がれきの撤去などの作業にあたりました。 県の被災地では現在、バスを手配して現地に送る形で1日あたり330人程度のボランティアを受け入れています。先月26日には穴水町に宿泊拠点を設け、1泊2日で長時間活動できるボランティアも始まりましたが、県は個人で被災地に入ることは控えるように求めていて、十分な支援は行き届いていません。 そんな中、石川県は県内の人口動態を発表し、地震発生からの1か月で転入者から転出者を引いた数が540人のマイナスと、1月としては過去最大となったことが分かりました。 市町別での減少率が最も高かったのは256人減少した輪島市で、次いで130人が減少した珠洲市となり、地震の影響を色濃く反映した結果となっています。 珠洲市民「地震で急に(人口が)減っていくと思う。仮設住宅を申し込んでも当たるか当たらないか分からないし」「私自身自宅が半壊しているし、どうしようかな。こっち(珠洲市)に自宅を建てようか、子どもがいる向こう(遠方)に建てようか、迷いはありますよね」 また、出生数から死亡者数を引いた数も、地震後の1か月で1030人のマイナスとなり、1971年の統計開始以来石川県では過去最大となっています。 珠洲市では2日、氷点下を記録し、厳しい寒さの中、作業にあたるボランティアの方は、涙を浮かべながら、「元の姿に少しでも近づけるよう、力になれたら」と話していました。 地震の影響を受けて、人口減少が進む一方で、石川県は「ふるさとに戻れるような環境を目指して復興を急ぎたい」としています。 |
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●今後もM7、津波3m発生を懸念 能登震源域周辺、専門家が解析 3/2
能登半島地震の震源域周辺に、あまり動いていない断層や、ひずみのたまった断層があり、今後もマグニチュード(M)7クラスの大きな地震や津波の発生が懸念されるとの解析を、東京大地震研究所の佐竹健治教授(地震学)や東北大の遠田晋次教授(地震地質学)が2日までにまとめた。 1月1日に最大震度7、M7.6を観測した後も周辺では地震が続いている。同9日には震源域の北東端付近でM6.1の地震があり、新潟県長岡市で震度5弱を観測。佐竹氏は「さらに大きなM7クラスの地震が発生すると、佐渡島を含む新潟県沿岸で3m程度の津波が予想される」と注意を促す。 能登半島地震の震源域は、半島を北東から南西に横断するように約150キロにわたって延び、北東端は佐渡島西方沖、南西端は半島の西方沖に及ぶ。複数の断層が連動したとみられている。 佐竹氏は今回の震源域と重なる七つの断層の動きを分析。半島北側の沿岸部周辺にある四つの断層が1.2〜4.1mずれ動いた一方、北東端の二つと南西端の一つはほとんど動いていないとの結果が出た。 |
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●政倫審 安倍派4人“裏金づくり”否定 来年度予算案めぐり“夜中の国会” 3/2
国会では、自民党の派閥の政治資金パーティー事件を受けて、衆議院の政治倫理審査会が開かれ、出席した安倍派の幹部4人全員が、いわゆる裏金づくりへの関与を否定した。 西村前経産相「私は今回の問題が表面化するまで、収支報告書に記載されていないことを知りませんでした」 松野前官房長官「パーティー券の販売収入の管理や収支報告書などの経理会計業務には、一切関与しておりませんでした」 塩谷元文科相「政治資金パーティーをめぐる問題に関しましては、一切関与しておりません」 高木前国対委員長「私自身承知をいたしておらず、関与することは一切ありませんでした」 また、2022年4月に安倍元首相が決めたキックバックをやめるという方針を撤回した時期をめぐり、西村氏と塩谷氏の発言に食い違いが生じた。 8月に派閥幹部が対応を協議した際、当時事務総長を務めていた西村氏は「結論が出なかった」としたが、塩谷氏は「話し合いの中で継続になったと理解をしている」と説明した。 一方、国会は、2024年度予算案をめぐり、夜遅くまで与野党の攻防が続いた。 「審議時間が不十分だ」として衆議院予算委員会での採決に反対する立憲民主党は、小野寺予算委員長の解任決議案に続き、1日夜、鈴木財務相の不信任決議案を提出した。 1日午後10時から開かれた衆議院本会議で不信任案は否決され、2日午前9時から、予算委員会で異例の土曜日の審議が行われる。 |
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●裏金議員、早期に処分=岸田首相「収支報告修正見ながら」 3/2
岸田文雄首相は2日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー収入裏金化に関係する議員の処分について、「政治資金収支報告書の修正の進み具合などを見ながら、できるだけ早いタイミングで政治責任などのけじめをつけていきたい」と述べた。また、「信頼回復は党に突き付けられた課題だ」と強調した。立憲民主党の逢坂誠二代表代行への答弁。 共産党の宮本徹氏は、自民の井上信治元万博担当相が所属する麻生派(志公会)からの2018年の寄付458万円について、資金管理団体の収支報告書に記載していなかったと追及。首相は「党として確認する」と述べた。 |
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●国会は「異例」の展開 衆議院政倫審に安倍派幹部4人が出席、野党が追及 3/2
政治とカネの問題をめぐる衆議院の政治倫理審査会に自民党安倍派の幹部4人が出席しました。野党側はキックバックの廃止が一度決まった後、再開された経緯を追及しました。その国会では異例の展開になっているということです。現在はどのような状況でしょうか。 国会では1日午後11時25分ごろに、立憲民主党が提出した鈴木財務相の不信任決議案の採決が行われ、否決されたところです。 ところで、なぜこんな深夜に審議が行われたのかというと、憲法の規定で2日までに予算案が衆議院を通過すれば、年度内での成立が確定します。 そのため何がなんでも2日中に予算案を採決したい与党側と、それを阻止したい立憲民主党側が、そのタイムリミットをめぐる攻防をしているからです。 1日深夜は、ひとまず解散することで与野党が合意したため、2日午前9時から予算委員会の集中審議が再開される見通しです。 国会議員や職員などの多くが「いつまで続くんだ」と漏らす国会審議は、2日も続くことになります。 |
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●異例の“土曜国会”で野党側追及続く 派閥裏金問題 3/2
国会は、来年度予算案の審議が休日の土曜日にも行われる異例の展開となっています。野党側は、いわゆる裏金問題で追及を続けています。 野党側は、政治倫理審査会での議論では実態解明が不十分だとして、安倍派の事務総長経験者の下村元文科相に加え、森元首相も国会に呼ぶよう迫りました。 立憲民主党・江田憲司議員「とにかく、下村博文さんと森喜朗さんにね。ここが一番キーパーソンだと思いますよ。この裏金システムをどういう経緯で作ったのか、何が目的だったのか。ぜひ、総裁自らこの2人に確認してください」 岸田首相「国民の皆さんからの疑惑の指摘がある以上、関係者として、引き続き、この収支報告の修正とともに、説明を尽くしていかなければならない。国会等においても、そうした説明を続けることは大事であると考えます」 岸田首相は説明を続けることが重要と述べるにとどめ、野党側は2人の参考人招致を要求しました。 一方、政府・与党は来年度予算案の年度内の成立を確実にするため、1日午後に予算委員会と衆議院本会議で採決する方針です。 岸田首相としては予算案の通過で「反転攻勢」に出たい考えですが、安倍派幹部らの処分や政治資金規正法の改正など課題は山積で綱渡りの政権運営が続きます。 |
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●予算案めぐり“異例の土曜国会” 午後にも衆院通過の方針 3/2
2024年度予算案をめぐり、国会で土曜日の3月2日も異例の審議が行われていて、2日中に予算案が衆議院を通過すれば、憲法の規定で年度内の成立が確実になる。 国会記者会館からフジテレビ政治部・若田部遥が中継でお伝えする。 深夜まで続いた1日の審議からの仕切り直しとなる「異例の土曜国会」で、立憲民主党はあらためて採決を急ぐ与党側に「強く抗議する」と非難している。 立憲民主党・江田憲司議員「岸田総理は委員長に、そういう“強行(採決)路線”を指示されたんですか」 岸田首相「私自身、委員長に対して何か直接、指示をしたということはありません」 予算委員会の集中審議で岸田首相は、「(能登半島地震の)復興予算をはじめ、国民生活に深く関わる内容が含まれている」と述べ、早期成立の重要性を強調した。 野党側は、自民党の派閥の政治資金の問題について追及を続けていて、岸田首相が信頼回復の決意として用いた「火の玉」という言葉をやゆした。 立憲民主党・江田議員「あなたの『火の玉』はね、もう燃え尽きている。本当に本当情けないですよ」 ただ、与党は午後、予算案を委員会で可決したうえで、本会議に緊急上程し、衆議院を通過させる方針。 |
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●浮かび上がる“キックバック復活”経緯 安倍氏の肖像画のもと政倫審出席した4人の弁明は?自民85人の「追徴税額」は1億3500万円との試算も 3/2
1日に、2日目の政倫審が行われ、安倍派幹部4人が出席しましたが、“キックバック復活”や経緯実態解明は進んだのでしょうか。 ●安倍氏の「肖像画」のもと政倫審 安倍派4幹部が出席 自民党麻生派 武藤容治 衆院議員「この第5委員室は安倍晋三先生の肖像画もあるということで、何か因縁を感じますけれども」 西村氏の視線の先にあるのは安倍元総理の肖像画。議員在職25年を記念したもので、4年前、たまたまこの部屋に掲げられたものです。 肖像画が見下ろす中行われた2日目の政治倫理審査会。裏金問題をめぐって、安倍派の幹部4人が追及を受けました。 日本維新の会 青柳仁士 衆院議員「この裏金作りは違法行為であるという認識をお持ちだということでよろしいですね」 松野博一 前官房長官(安倍派・1051万円不記載)「それが収支報告書に計上されていないということは、政治資金規正法上の違法行為であると考えている」 日本維新の会 青柳仁士 衆院議員「当時の事務総長として監督責任は感じますか」 松野博一 前官房長官「それに関して事務総長の立場として知り得ないものであったと考えております」 高木毅 前国対委員長(安倍派1019万円不記載)「どのような経緯で行われるようになったのかという点については私自身承知しておらず、かなり前から慣行的に行われていたとしか答えることができません」 ●安倍氏が“廃止”も…誰が決定? “キックバック復活”の経緯 知らぬ存ぜぬの一方で、少しずつ見えてきたことも。それは、キックバックがいったん廃止されたのに復活した経緯です。 西村康稔 前経産大臣(安倍派・100万円不記載)「安倍会長が2022年4月に現金での還付(キックバック)を行っている、これをやめることを言われまして、私もこれをやめようと、私自身も若手議員に電話をして『やめる』という方針を伝えた」 西村氏によると、2022年4月。安倍元総理ら6人で集まり、現金でのキックバック廃止の方針が決まったといいます。安倍元総理はなぜキックバックをやめようとしたのでしょうか。 西村康稔 前経産大臣「安倍会長から『現金で還付(キックバック)が行われている』と。これは『非常に不透明で疑義を生じかねない、疑念を生じかねない。還付(キックバック)そのものをやめる』と」 共産党 塩川鉄也 衆院議員「政治資金規正法の虚偽記載にあたると、違法行為という認識はなかったか」 西村康稔 前経産大臣「その時、収支報告書の話はしていないし、還付(キックバック)が適法か違法かといった議論も行っていない」 立憲民主党 寺田学 衆院議員「(安倍氏は)なぜ現金で還付(キックバック)することに懸念を示されたんですか」 塩谷立 座長(安倍派・234万円不記載)「透明性を高めるために、現金はやめたほうがいいというような考えだったと思います」 立憲民主党 寺田学 衆院議員「塩谷さんには代弁していただかなければいけない。安倍さんは不記載であることわかってたんじゃないですか。不記載が違法状態だから改善しなければならないと思って、改善しようとしてたんじゃないですか」 塩谷立 座長「もし仮に不記載のことであれば、明確に話が出たんではないかなと思っている」 立憲民主党 寺田学 衆院議員「本当に安倍会長は不記載を知らなかったのか。その場で不記載のことは話題に上らなかったのか。安倍会長自身、そのときのこと言えないんですよ。だからこそ、ご出席された方に本当のことを述べてほしい」 塩谷立 座長「私も真実を申し上げていますが、その話は出ませんでした」 ●西村前経産大臣「現金での還付が続けられることになったのか、経緯は承知していない」 キックバック廃止が決まった3か月後に安倍元総理が死去。西村氏らによると8月には所属議員からキックバックしてほしいという声があがったといいます。 西村康稔 前経産大臣「還付(キックバック)は行わないという方針を維持する中で、しかし“返してほしい”という人をどう対応するか、結局、結論は出ず、私は(2022年)8月10日に経済産業大臣になりましたので事務総長を離れることになる。その後、どういった経緯で現金での還付(キックバック)が続けられることになったのか、その経緯は承知をしていない」 日本維新の会 青柳仁士 衆院議員「だから『自分は知らない』と。説明責任、果たせていると思いますか」 西村康稔 前経産大臣「その後の経緯については全く承知していない。これはすべて正直に申し上げていること」 2022年8月上旬、西村氏が事務総長を退任する前にもたれた幹部会合。 西村氏はここではキックバックについての結論は出なかったと言いますが、塩谷氏は…。 公明党 中川康洋 衆院議員「塩谷氏はじめ4人ともに会計責任者・松本淳一郎氏が同席したこと、これは事実かどうか」 塩谷立 座長「(2022年)8月会合は私の事務所で行いました。『今年に限っては(キックバックを)継続するのはしょうがないかな』というような話し合いがされた。具体的な話はあまり詰めた話はなかったわけで、そういう中で継続して還付(キックバック)がされたと理解している」 安倍元総理死去の余波の中、8月上旬の会合で、深く議論することなくキックバック復活の流れができたといいます。 西村氏の後任の事務総長である高木氏は…。 高木毅 前国対委員長「私は令和4年(2022年)8月25日から清和研(安倍派)の事務総長を務めています。それまでの間、清和研(安倍派)内でどのような検討がなされたかについて私自身は全く認識しておりませんし、一切関与していない」 ●“還付”「表現自体おかしな話」 税理士が見た政倫審 浦野広明 税理士「『還付』は税金を払いすぎたものを戻すのに『還付』という言葉が使われる。表現自体おかしな話」 政治資金に詳しい税理士の浦野氏。不記載のあった議員全員が追徴された場合の税額を、自民党の資料を基に独自に試算したうちの一人です。 今回政倫審に出席した中で最も多いのは松野氏の約245万円。そのほか、二階氏は1000万円以上、萩生田氏は750万円以上で、不記載のあった85人の総額は1億3500万円あまりにのぼるといいます。 浦野広明 税理士「一般企業で考えたらとんでもない、全員逮捕されなきゃいけないような事件。『今後気を付けます』で許される問題ではない」 ●“納税”促し…「笑いごとじゃない!」 政倫審に安倍派4幹部 納税についても追及されました。 立憲民主党 寺田学 衆院議員「納税が必要な場合にはしっかりと納税をするよう(所属議員に)強く促すこと。約束してください」 塩谷立 座長「私ども清和政策研究会(安倍派)は2月1日に解散することを決めたので、いま政治活動等は行っておりません。必要があればまた検討してまいりたい」 立憲民主党 寺田学 衆院議員「そんなときだけ派閥が解散したことを理由にしないでください。一時的に復活しても納税を促してください。笑いごとじゃないですよ。誰がイニシアチブ(主導権)取ってやるんですか」 安倍派の座長として所属議員に納税を促すよう改めて問われると…。 塩谷立 座長「しっかり検討させていただきます」 公明党 河西宏一 衆院議員「最終的に使途を明らかにできなかった場合、申告し納税する考えがあるか」 高木毅 前国対委員長「精査をしているところでございますので、その状況を見ながら考えたい」 ●安倍派 キックバック“継続”の経緯は? 食い違う幹部の説明 23ジャーナリスト 宮本晴代記者: 幹部の証言は微妙に食い違っていて、一体何が真実なんだろうというふうに思いますよね。 今回、特に注目したいのは安倍派でキックバックが続いた経緯です。 2022年の4月に安倍さんも出席して幹部の会合が行われ、現金での還付(キックバック)をやめようという話になりました。 ところが、安倍さんが亡くなった後の8月に幹部の会合が再び持たれました。安倍さん亡くなった後どうしようか?ということになったんですが、当時の事務総長の西村さんによると、ここでは結論は出なかった。ところがここに出席した塩谷さん曰く『話し合いの中で継続することのになった』。何となく流れの中で、ということです。 その後、西村さんの後に事務総長になった高木さん曰く、『11月になって初めて、事務方から還付(キックバック)を続けると聞いた』。それが初めて聞いたのが11月だったということで、大事なことなのに決まった経緯がよくわからないのです。 喜入友浩キャスター: 一方でTBSスペシャルコメンテーター星浩さんが注目した2つのポイントがあります。 1つ目は4人とも「違法性は認識していなかった」と発言が揃ったこと、そして還付を止めようとした経緯について、「安倍さんから現金は不透明なのでやめようといった趣旨の発言があった」という2点です。 宮本記者: いわば死人に口なしなんですよね。本当に安倍さんが「現金は不透明だからやめよう」と言ったのかどうか、これはまずわかりません。 実はもしかすると現金だからまずいと安倍さんは言ったのではなくて、現金をキックバックしてそれを不記載にすると「裏金」になってしまう。このシステム自体がまずいと言っていたのかもしれない。そうすると、違法性の認識に関わってくる可能性が残っているわけです。 ●異例の“深夜国会”与野党の攻防「持ち越し」 過去最長 2時間54分 山本恵里伽キャスター: 深夜まで与野党の攻防が続いていた国会から青木孝仁記者の報告です。 青木記者: 国会では与野党双方が一歩も主張を譲らない、まさに“ガチンコ対決”を繰り広げていましたが、急転直下、いったん仕切り直すことになりました。 立憲民主党 安住淳 国対委員長「本気でやっぱり戦うときは、こうやって戦うということを私はやっぱり貫徹したい」 事の発端は、来年度予算案の審議をめぐって自民党の小野寺委員長が委員会での採決を職権で決めたことでした。「審議が尽くされていない」と猛反発した立憲民主党は、採決を阻止するため、小野寺委員長に対する解任決議案を提出しました。 立憲民主党 山井和則 衆院議員「裏金問題を幕引きするから、小野寺委員長は解任に値するんじゃないですか」 その後、解任決議案を採決するために行われた衆院本会議では、山井議員が大量の資料を持ち込み、自民党の裏金問題を批判。衆議院では憲政史上、最長となる2時間54分の趣旨弁明を行いました。その後、夜になって今度は鈴木財務大臣に対する不信任決議案を立憲民主党が提出し、抵抗しましたが、与党などの反対多数で否決されました。 深夜国会となりましたが、与野党が『一時休戦』することで合意し、極めて異例ですが土曜日を使って仕切り直すことで、徹夜国会は避けられることになりました。 ●裏金の実態解明 今後のポイント 萩生田氏、下村氏、森氏は? 山本キャスター: 今後のポイントは? 宮本記者: 政治とカネの問題、特に発端となった安倍派の裏金がどう始まったのかがポイントになってくると思います。 ここで4人の方に特に注目したいと思います。この先、安倍派幹部で参院議員の世耕弘成さんは「説明責任を果たしたい」と言っているので、参議院の政治倫理審査会に出てくるかどうかも注目です。 そして、安倍派の元事務総長・下村博文さんも安倍さんはじめ幹部会合など一連の会合に同席していました。何か語ることがあるのではないでしょうか。 そして安倍派幹部・萩生田光一さんはキックバックの金額が多かった方です。そして安倍派の元会長だった森喜朗さん。やはり、なぜこのシステムが始まったのか、当時の責任者は誰だったのか。会長というのはある意味最高責任者ですので、森さんが語ることはないのかということは引き続き注目したいと思います。 |
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●腐っている自民党を倒せない立ち枯れの野党 3/2
岸田内閣そして自民党の支持率下落に歯止めがかかりませんね。 裏金の弁明機会として開かれた政倫審は予想通り全くの茶番でした。裏金を何に使ったかも不明、余った裏金に税金が課せられることもありません。財務大臣が裏金に対する税金を支払うかは議員の裁量との趣旨で、国民の納税意欲が失われています。 それでも、こんな自民党を野党は倒せません。2/13付のNHKによる政党支持率を見ると、「自民党」が30.5%、「立憲民主党」が6.7%、「日本維新の会」が3.1%、「公明党」が3.2%、「共産党」が2.1%、「国民民主党」が1.3%などです。即ち、野党が束になっても自民党の支持率に及ばないのです。従って、いかに体たらくでも、自民党内閣がつぶれることはありません。 野党がこれほど落ち目になった要因は、一度は政権を担った立憲民主の失敗によって国民のトラウマが消えません。 民主党が最も愚かだったのは、官僚を使いこなせず勝手に自爆したことです。また、鳩山由紀夫首相は、沖縄の普天間移設について「最低でも県外」と言い出し、なんと、在日米軍を追い出すどころか、平成17年の「民主党沖縄ビジョン」では、沖縄で「一国二制度」を推進すると滅茶苦茶なことまで言い出します。結果、3年で民主党政権は国民から見放されてしまいました。 野党の中で、支持率を伸ばしている維新ですが、大阪万博で自爆寸前です。そもそも現状では海外のパビリオンは開幕までに間に合いませんし、日よけのリングや文化財とも言える大阪城の石垣を使った2億円のトイレに、でたらめな経済効果。万博の開催目的はカジノ会場の建設の露払い的な工事と言うことが見透かされています。 やはり、次期政権は自民党なのでしょうね。 |
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●予算成立にこだわる岸田首相、弱体化を懸念か 3/2
新年度政府予算案をめぐる1日の審議は深夜に及んだ。年度内成立が確定する2日までに衆院を通過させようと自民が強行し、野党が抵抗したためだ。誰よりも2日の通過にこだわったのは岸田文雄首相本人だった。 1日の衆院本会議は、拍手とヤジ、双方が飛び交う騒然とした雰囲気となった。 「予算審議は円満にやってきたのに、強行するなんてありえない」 立憲民主党の山井和則氏の衆院本会議での「演説」は、記録が残る1972年以降最長の2時間54分間にわたった。小野寺五典・予算委員長(自民)の解任決議案を説明する場だが、国会混乱の発端は裏金問題にあるとして、裏金作りに関わった自民議員を一人ずつ読み上げて指弾した。 自民の強行に対し、野党はそろって批判した。日本維新の会の馬場伸幸代表は「原因は与党にある」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表も「上半身は謝っているけれど、下半身は蹴飛ばしているような対応だ」と首相の姿勢を批判した。 ただ、この日深夜、立憲は態… ・・・ |
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●裏金作り いつから?違法性の認識は? 安倍派幹部の証言 残る疑念 3/2
組織的に裏金を作ってきた自民党安倍派の幹部がようやく国会での説明に臨んだ。具体的証言はわずかだったが、実態解明に向けた「宿題」が浮き彫りに。予算審議を最優先し、政治不信を直視しない岸田政権の姿勢も鮮明になっている。 1日の衆院政治倫理審査会での安倍派幹部4人に対する審議でも、明らかにならなかった問題の核心が大きく二つある。 一つは4人がどの段階で、裏金作りの違法性を認識していたかという点だ。政倫審では安倍晋三元首相が領袖(りょうしゅう)だった2022年春から、死去後の同年夏にかけての経緯に焦点が当たった。 最初に立った西村康稔前経済… ・・・ |
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●政倫審 予算案強行の踏み台か 3/2
派閥ぐるみの裏金づくりを、中枢幹部が「知らぬ存ぜぬ」では、到底納得できるはずがない。国民の信頼を取り戻すと言いながら、遮二無二に新年度予算案の衆院通過に突き進む岸田政権からは、説明責任を全うしようという姿勢は感じられない。 衆院政治倫理審査会が2日間にわたって開かれ、岸田首相と安倍、二階両派の幹部が出席した。テレビ中継もあったが、肝心の中身は、自民党の極めて不十分な聞き取り調査の結果や、これまでの国会や記者会見での説明の域を出なかった。これで理解が得られると思っているなら、国民をみくびっている。 安倍派の幹部4人は口々に、パーティー券収入の還流は知っていたが、政治資金収支報告書への不記載は承知していなかったとか、自分が還流を受けているとは知らなかったと語った。 派閥の事務総長が経理には一切、関与せず、事務局長任せで、会計帳簿も収支報告書も見たことがないとは、にわかには信じがたい。ノルマの額や達成状況も聞いていないという発言もあった。還流は歴代会長と事務局長が担当し、幹部はあずかっていないというなら、やはり会長経験者の森喜朗元首相を国会に呼び、説明を求めるしかない。 22年4月に、会長だった安倍晋三元首相の指示で、還流の廃止がいったん決まりながら、安倍氏の死後、従前通りとなった経緯についても、誰がどんな場で決めたのか、はっきりしないままだった。 当時、幹部協議に参加していたとされる下村博文元文部科学相や世耕弘成前党参院幹事長にも事情を聴くことが不可欠だ。参院議員を対象とする参院での政治倫理審査会も早急に開く必要がある。 岸田政権は政倫審の初日が終わるやいなや、審議がまだ不十分という野党の主張には耳を貸さず、衆院予算委員会で予算案を採決する日程を決めた。憲法の規定で年度内成立が確実になる2日までに、何としても衆院を通過させたいという狙いは明白だ。 首相が唐突に全面公開下での政倫審出席を表明したのは、実態解明の先頭に立つという決意などではなく、予算案の採決を強行する「踏み台」として政倫審の開催を急いだというのが実際だろう。 予算案の審議が参院に移ったとたんに、衆院での究明が鈍るようでは困る。二階派会長の二階俊博元幹事長や、安倍派「5人衆」で残る萩生田光一前政調会長ら、当事者は大勢残っている。参考人招致や証人喚問も含め、説明責任を果たさせねばならない。 |
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●AI駆使の創薬、米で活況 3/2
米国で人工知能(AI)を駆使し、医薬品の開発効率を高める動きが広がっている。けん引役はスタートアップ。AI創薬で少なくとも6社がユニコーン(企業価値が10億米ドル=約1500億円=の未上場企業)に成長した。病院が持つ大量のデータを分析するなど、これまでになかった取り組みで躍進している。 「AIで治療薬をより早く、安く提供できる。いずれは、なぜがんが発症するのか謎が解ける… ・・・ |
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●BYD、欧州攻略へ自動車船 2年で7隻追加 3/2
中国の自動車大手、比亜迪(BYD)は今後2年内に7隻の自動車船を確保する。1月に初めて運航した自動車船と合わせると8隻になり、海運の輸送能力が大幅に向上する。中国の自動車輸出は2023年に日本を抜き世界首位となった。中国船主による自動車船の発注は世界最多で、海上でも中国車の存在感が高まっている。 「輸送能力の不足を補うために、BYDは今後2年で7隻の自動車船を投入する」。2月中旬… ・・・ |
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●岸田政権がNTT法改正案を閣議決定。通信各社が懸念表明 3/2
岸田政権は、NTT法改正案(日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案)を閣議決定しました。今後国会に諮ります。 これに対し、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯三社は、法案への見解を表明しました。 それによると、今回のNTT法改正案は附則に「日本電信電話株式会社等に関する法律の廃止」を含め検討し「令和七年に開会される国会の常会を目途」とあり、時限を設ける旨が規定されているため、今後の法制度の在り方を方向付け、拙速な議論を招きかねないとの強い懸念を表明しました。 NTT法に規定されている責務の担保について、十分な検討なく電気通信事業法に一本化することは必要な規律を欠くと批判。引き続きNTT法の廃止に反対、慎重な政策議論を求めました。 |
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●〈政倫審・野田VS岸田〉「総理の指導力の問題だ」野田元首相の口撃に岸田首相が豹変。安倍元首相が乗り移ったかのような“民主党ディス”を繰り出すも… 3/2
2月29日午後に開かれた政治倫理審査会(政倫審)。過去にはロッキード事件や日歯連ヤミ献金事件など、「政治とカネ」にまつわる数々の問題をめぐって開かれてきた「審判の場」に現役首相として初めて岸田文雄首相が出席した。 ●政倫審で岸田首相が表情を変えた瞬間 「自民党の派閥の政治資金問題をめぐり、国民のみなさまに大きな疑念を招き、そして政治不信を引き起こしていることに対して、自民党総裁として心からお詫び申し上げる」 岸田首相は冒頭、謝罪の言葉を連ねた。幕末の志士、吉田松陰が遺したとされる、「志を継ぐ者がいれば、まいた種は絶えない」という意味を示す、「後来の種子、いまだ絶えず」との言葉も引用して政治不信の払拭に向ける意欲を示した。 テレビカメラによる中継も入る「マスコミフルオープン」の形式で行われた政倫審で 、反省姿勢をアピールした格好だが、肝心の答弁の中身はスカスカだった。これまでの国会での答弁を超える踏み込んだ発言はなく、野党が狙った「新事実」が明らかになることもなかった。 記者団から感想を問われた立憲民主党の泉健太代表が、「岸田総理の出席は無意味だった」と酷評するなど、国民の怒りを鎮めるにはほど遠い内容となった。 政倫審では、当選同期でもある立憲民主党の野田佳彦元首相から厳しく追及を受けた岸田首相だったが、様相が一変したのは、「宰相」としての資質を問われたときだった。 野田氏は、首相が「安倍派五人衆」ら野党から政倫審への出席を求められていた議員に出席を命じることなく、自らが政倫審に出席したことに「強烈な違和感を覚える」とバッサリ。「後手に回って的外れな対応をしなければいけない事態になった。総理の指導力の問題だ」と厳しく指摘した。 この指摘にむっとしたような表情を浮かべた岸田首相は、すかさず挙手し、次のように反論した。 「政倫審の規則の中で、本人の意思を尊重するとある。出席、形式についても本人の意思を尊重すると明記されている。私はそのことを申し上げ続けてきた」 そして、さらに語気を強めてこう続けた。 「だから例えば、御党のルーツである政党の元党首も政倫審に招かれた際に出席しなかった。こういった歴史があった」 ●岸田首相が言う立憲の歴史とは? ここで岸田首相が持ち出した「歴史」とは、民主党政権時代の2009年7月に開かれた政倫審のことを指す。 当時の首相である鳩山由紀夫氏の資金管理団体の政治資金収支報告書に個人からの献金が記載されていることが発覚。政治資金規正法違反となる「虚偽記載」との指摘を受けたことで開かれたものだ。 鳩山氏は当時、政倫審への出席を見合わせており、この件を岸田首相は揶揄した形だ。言うまでもなく、野田氏は旧民主党の所属であり、同党が政権与党にあった時代に首相を務めた。岸田首相は「人のことを言えるのか」とばかりにチクリとやり返したわけである。 まるで、「悪夢の民主党政権」のフレーズを広め、民主党政権のネガティブキャンペーンを繰り広げて権力基盤を固めた安倍晋三元首相を彷彿とさせる“反撃”を見せた岸田首相は、さらにこう付け加えた。 「私はそれを決して非難しているわけではなくて、政倫審というのはそういうルールに基づいて行われるものだという風に認識をしてきた。このように思っている」 その後も、安倍元首相の亡霊が乗り移ったかのような「民主党ディス」を用いた反撃は続いた。 野田氏から岸田首相自身が、首相就任後も続けていた「勉強会」と称する事実上の集金パーティーについてとがめられた場面。野田氏は「法令上パーティーだ。そのパーティーを開いて勉強会と言い換えるようなやり方はごまかしだ」と指摘し、大臣規範に反すると岸田首相の政治姿勢をただした。 岸田首相は、「従来から答弁させていただいているように、総理就任前から続けている勉強会を引き続き、継続するというものだ」「大臣規範に対する政府の解釈だが、これについては、国民の疑念を招かない、これは各国務大臣が判断するというのが、従来の政府の答弁であった」と反論した上で、今度は野田氏にこうぶつけたのである。 ●岸田VS野田、勝敗は…? 「歴代内閣においてもそういった考え方に基づいて、各大臣はそれぞれの政治資金パーティーについて取り扱っていると承知している。 野田内閣の際も、何人かの大臣がこの政治資金パーティーを開催しているが、その際にそれぞれの大臣が『従来から続けていたものである』とか、『大臣規範にはふれるものではない』と、そういった説明を行いながらそうしたパーティーを開催していると承知している。要は大事なのは説明であると思う」 野田氏は、この反撃をスルーしつつ、「大臣規範には反しないというが、内閣総理大臣としての心の中の規範はないのか」と迫った。 さらに、「内閣総理大臣としては政治資金パーティーはやらないと明言できないか」と畳みかけ、岸田首相から「在任中はやることはない」との答弁を引き出している。 やり取りの一部始終を見ていた政治部記者はこう振り返る。 「野田さんが首相の“口撃”をかわして的確に問題をついた印象です。国会答弁には定評のある野田さんが一枚上手だったと見るべきでしょう。驚いたのは、首相が『民主党批判』を繰り広げたことです。 これまで『聞く力』を強調し、融和姿勢を全面に出して攻撃的な『安倍カラー』を排除してきた首相としては珍しい場面でした。逆に言えば、そうした禁じ手を出さざるを得ないほどに追い込まれているともいえるでしょう」 政倫審へのサプライズ登壇で、意外な顔を見せた岸田首相。「窮鼠猫を噛む」の心境だったのか、それとも隠していた攻撃性が露呈したのか…。 |
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●自民・茂木幹事長に「不要論」…政倫審騒動で存在感ゼロ 3/2
出る出ない、公開か否かで開催までモメた衆院政治倫理審査会(政倫審)。呼ばれてもいない岸田首相が出席を申し出て、ようやくフルオープンでの開催が決まったが、この騒動の間、まったく機能していなかったのが茂木幹事長だ。 自民党内では、「党の危機に幹事長は何をしているのか」という不満の声が上がっている。 「国会の膠着状態を打開するために総理自らが乗り出すなんて、みっともない話です。自民党派閥の問題なのだから、本来なら、ナンバー2の茂木幹事長が党内の調整に動かなければいけない。政倫審に出たくないとゴネる議員がいたら、『しっかり説明しろ』と出席させるのが党務を預かる幹事長の仕事でしょう。当初予定されていた2月28日の政倫審が見送られて、総理が困っているのが分かりながら、何もしないなんて幹事長失格です」(自民党閣僚経験者) ●連立を組む公明党も苦言 2月29日の政倫審でも、開催決定までやたら時間がかかり二転三転した自民党のガバナンス欠如を野党が問題視。フルオープンで出席し、説明責任を果たすよう党幹部から指示や働きかけはあったのかという質問に対し、二階派事務総長の武田元総務相は「働きかけ、連絡は一切なかった」と明かしていた。 連立を組む公明党の北側副代表も辛辣だ。29日の会見で、「総理がリーダーシップを発揮する前に、しかるべき人が党内をしっかりまとめてもらいたい」と苦言を呈した。「実際に汗をかいたのが見えるのは森山総務会長ではないか」とも言っていたから、汗をかかない茂木幹事長を念頭に置いた発言なのは明白だ。 岸田政権は、岸田派・茂木派・麻生派の主流3派で支えてきたため、岸田首相と茂木幹事長、麻生副総裁の「3頭体制」と呼ばれていた。しかし岸田は内心、「ポスト岸田」の意欲を隠さずスタンドプレーに走りがちな茂木幹事長を警戒していたとされる。 「もともと関係が微妙だったところへ、総理が唐突に派閥の解散を打ち出したことで完全に溝が深まった。茂木さんにとって、派閥会長であることが総理総裁を狙う命綱ですから、事前の相談もなく派閥解散を言い出した総理に不信感を募らせたのは当然です。2人の関係が冷え込んでいることも、党内のガバナンスが利かない原因かもしれません」(茂木派関係者) 茂木派は政策集団として存続することを決めたが、退会者が相次ぎ壊滅状態。存在感ゼロの茂木幹事長には、ポスト岸田どころか、早期の幹事長交代論まで出始めている。 |
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●松原仁元拉致問題担当相、「子供抱きしめるまで残された時間わずか」 3/2
北朝鮮による日本人拉致問題を巡っては小泉純一郎首相(当時)が2002(平成14)年9月17日、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)朝鮮労働党総書記(当時)と会談し、拉致被害者5人の帰国を決めて以降、具体的な成果が挙げられていない。横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の母、早紀江さんも今年2月、88歳になった。松原仁元拉致問題担当相が産経新聞のインタビューに応じ、「親世代が拉致された子供を抱きしめるために残された時間はわずかだ。政府は拉致解決の現実的な出口論を持つべきだ」と指摘した。要旨は以下の通り。 ●北朝鮮に2002年のトラウマ 最近、北朝鮮に拉致問題膠着(こうちゃく)打開のシグナルがある。能登半島地震に際し金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は1月5日、岸田文雄首相に見舞いの電報を送り、妹の金与正(キム・ヨジョン)党副部長も2月15日、首相訪朝の可能性に触れた談話を発表した。岸田政権もさまざまに北朝鮮側にアプローチしているのだろう。 ただ、北朝鮮政権内で「拉致問題は解決済」と主張する党統一戦線部が巻き返す可能性がある。金与正氏の談話も「個人的な見解」とした上で、拉致問題について「すでに解決された」としている。日本政府は交渉に臨むにあたって相手の論理を把握する必要がある。 北朝鮮の複数のエージェントは「2002年を繰り返したくない」と口をそろえる。北朝鮮にとって拉致被害者5人を日本に返し、日本から「感謝」されるはずだったが、実際は日本の世論が沸騰し、反北キャンペーンが展開されたとの認識だ。日本としては同胞が誘拐されているわけで非礼も何もないが、北朝鮮の理屈はそうだ。 具体的にいえば、日本のステークホルダーが何をもって納得するのかが探れていないという。日本政府も軍事力で拉致被害者を取り返すことができない以上、現実的な出口論が必要で、それは相手の立場を踏まえて検討すべきだろう。 ●拉致解決の「3原則」 こうした事情から旧民主党の野田佳彦内閣で拉致問題担当相を務めた平成24年当時、拉致問題解決のための「3原則」を掲げた。 1 被害者と家族の再会が果たされて初めて拉致問題の解決となる。 横田家でいえば早紀江さんが帰国しためぐみさんと抱き合ってこそ、解決となる。逆にいえば、早紀江さんが亡くなれば、拉致問題は未来永劫解決されないことになる。 時間軸を入れることで解決を急がせる圧力になる。 2 北朝鮮が「既に死亡」とした人が実は生存していた場合、日本側は非難せず前進と捉える。 (日本側に被害者死亡に関する情報を提供した)朝鮮赤十字会が「死亡した」と言っている人間が生きていても文句は言わない。早く生き返らせてほしい。 3 家族会、支援組織「救う会」、特定失踪者問題調査会など関係者(ステークホルダー)が合意する「一定の進展」を得れば、人道支援を可能とする。 「一定の進展」は、もちろん拉致被害者全員の帰国だ。ただ北朝鮮に拉致被害者が何人いるのか、われわれに調べる術がない。警察は800人以上の行方不明者について「拉致の可能性を排除できない」とするが、調査会が日弁連に人権救済を申し立てた24人、認定拉致被害者の12人を合わせた36人くらいではないだろうか。 実際の線引きや「一定の進展」が図られたかどうかは、ボードメンバーを組織して、判断するべきだ。北朝鮮にとってステークホルダーが合意すれば、「ちゃぶ台返し」される心配がなくなる。救う会の西岡力会長や調査会の荒木和博代表、ジャーナリストの櫻井よしこさんらが挙げられる。岸田文雄首相が訪朝すれば、同行して首相に助言してほしい。 ●アメとムチの洗い出しを 帰国するべき拉致被害者とは誰かというゴールポストを示した上で、日本政府は北朝鮮にどう圧力をかけて解決に追い込んでいくか。「アメ」と「ムチ」の選択を精査する必要がある。 例えば、日本への入港が禁止されている北朝鮮の貨客船「万景峰(マンギョンボン)号」の運航再開は北朝鮮のメンツが立つ良い「アメ」になる。制裁としては金正恩氏の個人制裁は効果的な「ムチ」だろう。日本政府はロシアのプーチン大統領の個人資産を凍結した。外務省は明言していないが、金正恩氏に対しても制裁は可能だ。 昨年5月に北朝鮮の外務次官は「日本が新たな決断を下し、関係改善の活路を模索するなら、朝日両国が会えない理由はない」と談話を出した。その上で今年に入ってからの金正恩、金与正両氏の対応につながっている。北朝鮮の対日交渉の担当部局は前向きなグループが掌握していると考えられる。 最後の勝負だ。早紀恵さん、有本恵子さん=拉致当時(23)=の父の明弘さん(95)が先に亡くなれば、拉致問題は永久に解決されない。そのことを政府は明確に北朝鮮に伝えるべきだ。世論も関心を高めて、今こそ解決すべく危機感を持つべきだ。 |
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●裏金の議員処分「できるだけ早いタイミングで」 首相、予算委再開で 3/2
衆院予算委員会の集中審議が2日午前、再開した。新年度政府予算案の採決をめぐる与野党対立で1日に審議が中断していたが、自民党と立憲民主党が同日深夜、審議再開と2日中の採決で合意。賛成多数で可決される見通しで、自民は衆院本会議に緊急上程して参院に送り、年度内成立を確定させる方針だ。 国会審議は金曜から日付をまたぐ例は多いが、土曜の日中の開催は異例。予算案は憲法の規定で参院に送られてから30日で自然成立するため、2日の衆院通過で今年度中の成立が確実になる。参院では2日午前、自民、立憲両党の国会対策委員長が会談し、4日からの審議入りで合意した。 予算案の衆院採決を急ぐ政府 ・・・ |
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●新年度予算案が衆院通過、年度内の成立確定 異例の土曜日審議の末に 3/2
新年度政府予算案は2日、衆院本会議で賛成多数で可決し、参院に送付された。自民、公明両党が賛成し、立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党、有志の会などが反対した。憲法の規定で2日までに参院に送付すれば、年度内の自然成立が確定する。 予算案は一般会計の歳出総額112兆5717億円と過去2番目の規模となる。能登半島地震への対応として、5千億円を積み増し、一般予備費として計1兆円が計上されている。 予算案の採決をめぐり、1日深夜まで与野党の攻防が続いた。その後、2日の採決について与野党が合意。異例の土曜日の審議、採決となった。 |
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●衆院政倫審、自民議員5人ほど追加出席へ 参院でも今後開催の見通し 3/2
自民党の浜田靖一、立憲民主党の安住淳両国会対策委員長は2日、国会内で会談し、自民派閥の裏金事件をめぐる衆院政治倫理審査会(政倫審)を、来週にも開催することで合意した。安住氏によると、自民議員5人程度が出席の意向を示しているという。 立憲は1日に閣僚の不信任決議案などを提出し、新年度政府予算案の2日の衆院通過に抵抗していた。この日の会談で、政倫審の開催のほか、4月に「政治とカネ」をテーマとした予算委員会集中審議の開催、政治改革を議論する特別委員会を設置することで合意。予算案採決を容認した。 会談後、安住氏は予算委集中審議で参考人招致や証人喚問を実現したいとし、安倍派事務総長だった下村博文元文部科学相について「野党一致して要求することになる」と語った。 ・・・ |
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●なぜ小渕優子氏が各党筆頭代表世話人に…? 3/2
●超党派会議のメンツに隠された真意とは 不覚にもつい最近まで「日本社会と民主主義の持続可能性を考える超党派会議」なる組織の存在を知らなかった――。 自民党、立憲民主党、公明党、日本維新の会、国民民主党は1月24日、各党代表世話人会を開き、テーマ別4部会の編成・運営方針、共同座長などのメンバー人選を承認・決定した。 先ず、代表世話人会メンバー。自民党代表世話人(各党筆頭代表世話人):小渕優子選対委員長、自民党世話人・幹事:木原誠二幹事長代理、立憲民主党代表世話人:大島敦企業・団体交流委員長、公明党代表世話人:伊藤渉政調会長代理、日本維新の会代表世話人:藤田文武幹事長、国民民主党代表世話人:古川元久国対委員長。 この4つの部会は、第1部会「統治構造・政治改革」、第2部会「経済・財政・社会保障」、第3部会「人口減少・地域・国土構想」、第4部会「科学技術・イノベーション」で構成されている。 超党派会議の85人メンバーリストを吟味して筆者が関心を持ったポイントを幾つか挙げる。 (1) 自民党派閥の政治資金裏金疑惑の究明と政治刷新が求められるなか「統治構造と政治改革」を看板に掲げた第1部会の自民党メンバーは? (2) なぜ小渕氏が各党筆頭代表世話人に選出されたのか、そして誰(どこ)が同氏に打診したのか? (3) 同会議のスポンサーは誰(どこ)なのか? (4) 今春から夏にかけての政局と関係があるのか? ●若手の有力者が集結 第1部会には共同座長の木原幹事長代理(衆院当選5回・旧岸田派)、同事務局長の小倉将信前少子化担当相(4回・旧二階派)、そして自民メンバー9人に齋藤健経済産業相(5回・無派閥)、小林史明元デジタル担当副大臣(4回・旧岸田派)の名前がある。 第2部会メンバーに鈴木馨祐政調会副会長(5回・麻生派)、第3部会メンバー神田潤一(1回・旧岸田派)、第4部会は事務局長の大野敬太郎総務副会長(4回・無派閥)、同メンバーに小林鷹之前経済安全保障相(4回・旧二階派)、塩崎彰久(1回・旧安倍派)が名を連ねる。 岸田文雄首相(総裁)最側近の木原氏を筆頭に鈴木、小林両氏も旧大蔵省(現財務省)出身、齋藤氏は旧通商産業省(現経済産業省)、小倉、神田両氏が日本銀行出身。大野氏は父の功統氏が元防衛庁長官であり、父・母方の祖父が共に政治家一族である。そしてニューヨーク州弁護士出身の塩崎氏の父・恭久氏は安倍晋三政権で官房長官、厚生労働相を歴任している。 皆が超エリートなのだ。そして将来を嘱望される自民党の中堅・若手がこの超党派会議に蝟集している。 では、いったい誰(どこ)の肝いりでこの会議が発足したのか。日本生産性本部会長の茂木友三郎キッコーマン名誉会長、同副会長の小林喜光東京電力ホールディングス会長、佐々木毅元東大総長、増田寛也日本郵政社長が共同代表となって2022年6月に発足した令和国民会議(令和臨調)である。 令和臨調は先の4人の共同代表以下、10人の運営幹事、そして経済・学界(元官界も含む)からの会員102人で構成される。令和臨調の事務局は日本生産性本部内に置かれているが、同本部の前田和敬理事長が与野党国会議員有志の超党派会議との連携構築、さらには今後の基本方針までの絵図を描いているというのだ。 ●トップには注目の二人 同会議4部会発足直前の年初1月11日、令和臨調は自民党派閥による政治資金問題を受け、政党改革を起点とした令和の「政治改革大綱」策定を求める共同声明を公表している。一連の動きを筆者流に解釈すれば、令和臨調がエンドースする自民党中堅・若手に同党の政治刷新を託すマシーンとしてこの超党派会議を位置付けているのではないか。 そのトップに臨調幹部の期待を集める小渕優子氏、準トップに岸田首相の懐刀である木原誠二氏が就いたということが興味深い。そして同会議を自民メンバーとして支える政策エリートが旧岸田派、旧大蔵省出身に多いこともまた示唆するところ大である。 政局絡みの印象を抱くのは筆者だけではあるまい。首相(総裁)主導の政治刷新本部の“政治利用”との声が上がりそうだ。ともあれ歴代首相では安倍、中曽根康弘両氏を高く評価する茂木友三郎氏は岸田氏が発信力に欠けるとの不満を抱いているとされる。 いずれにしても、各部会の初会合は3月中に開催が予定されている。その後、毎月2回程度の頻度で行われるが、しかも原則として平日夜19時または20時前後から90分程度開催すると決めている。こうした運営方針からも超党派会議に集まる自民党新世代がやる気満々であることだけは間違いないようだ。 |
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●倒壊家屋の「公費解体」進まず、被災住民「本当に先が長い」…完了は来年10月 3/3
能登半島地震で家屋被害が深刻な石川県輪島市、珠洲市などの6市町で、倒壊家屋の「公費解体ゼロ」が続く。がれきが消えない街では、自宅の建て直しなど生活再建のステップにも移れない。被災者からは「時間が止まったままだ」とため息が漏れる。 ●がれきの街で 「がれきが目に見えてなくならなければ、復旧、復興どころではないだろう」。馳浩知事は地震発生から2か月となった1日の記者会見で、被災者の気持ちをそう推し量った。 輪島市河井町の男性(80)は1日、1階が完全につぶれた自宅を前に涙ぐんだ。45年暮らした我が家は、盆や正月になれば自立した3人の息子が戻ってくる大切な場所だった。「小さな家でいいから早く再建したい」と願うが、輪島市は被害認定調査を終えたエリアから罹災証明書を交付しており、男性宅はまだ対象外だ。 傾いた屋根が隣家に接触しそうで、余震のたびに気が気でない。2日に1度は避難先の金沢市から通っている。証明書が手に入れば、すぐに公費解体を申し込むつもりだという。 6市町のうち輪島、珠洲、志賀の3市町は公費解体の申請受け付けが始まっていない。穴水町は2月28日に開始したが、着工は「4月中旬以降」としている。「半壊」の罹災証明書を受け取り、2日に申請をした穴水町川島の男性(70)は「解体の時期が決まらず、本当に先が長い」と疲れ切った表情で語る。 ●確認作業が膨大 公費解体を進めるうえで、自治体職員のノウハウ不足も悩みの種だ。穴水町では、2016年の熊本地震を経験した熊本市の応援職員から必要書類や手続きなどの助言を受け、準備を進めている。 災害対応の経験が豊富な自治体職員は環境省の「災害廃棄物処理支援員制度」(人材バンク)に登録されているが、公費解体の分野では全国で53人しかいない。この2か月で石川県内の市町に派遣されたのは延べ29人。環境省の担当者は「人材不足は否めず、リモートでもいいので現地を支援する態勢を整えたい」と話す。 家屋の解体には所有者の同意・立ち会いが不可欠だ。だが、申請の受け付けを開始した市町では、建物の所有権が何代も移転されていなかったり、一つの建物に複数の所有者がいたりして、確認作業が膨大になっているという。 ●作業員は確保 県によると、公費解体は16市町で予定され、対象は推計2万2000棟。解体業者でつくる「県構造物解体協会」(金沢市)は県の依頼を受け、新潟、富山、福井と合わせ4県で2500人規模の作業員を確保しており、「明日にでも工事を始められる状態だ」と説明する。 一方で、公費解体は屋内に残る家財などを手作業で分別する必要があり、協会は「1棟あたり10日は必要」とする。市町からの要請が集中した場合、作業員不足が懸念される。 熊本地震では約3万5000棟を公費解体するのに2年8か月かかった。石川県は完了見通しを来年10月としており、長期戦になるのは確実だ。 がれきの処理も問題になる。県は年間のごみ排出量の約7年分に相当する244万トンの災害廃棄物が発生するとしており、2月末時点で県内11市町の21か所を仮置き場として確保した。ただ、最終的な処理施設は決まっておらず、環境省は「他県に広域処理を依頼するなどサポートしていく」としている。 |
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●能登被災6市町、人口の2割が「避難要支援者」…支える側も高齢化で「助け合いにも限界ある」 3/3
一人暮らしの高齢者や障害者など、災害時に自力で逃げることが難しい「避難行動要支援者」が、能登半島地震で被害が大きかった石川県の6市町で2万5845人にのぼることが、読売新聞の調べで分かった。地域人口全体の20・7%で、5人に1人の割合だ。支える側も高齢化しており、被災自治体からは「助け合いにも限界がある」との声も上がる。 東日本大震災で犠牲者の6割が高齢者だったことを受け、政府は災害弱者対策を強化。2013年に災害対策基本法を改正し、要支援者の名簿作成を市町村に義務づけた。21年からは一人一人の具体的な避難ルートや近所で支援する人などを決めておく「個別避難計画」の策定を努力義務とし、平時からの備えの強化を求めている。 輪島、 珠洲 、七尾市、能登、穴水、志賀町の6市町で、個別避難計画づくりまで済ませていたのは2617人分。策定率は要支援者全体の1割にとどまり、全国(14・3%、昨年1月時点)より低かった。 能登地方には人口の50%前後が65歳以上という市町が多く、地域ぐるみの支援が困難になりつつある。輪島市では10人を超す要支援者を1人の民生委員が援助することになっている地区もあった。「若い世代が減り、仕組みとして回らない」と担当者は嘆く。 津波被害が大きかった珠洲市では、事前に高齢者らのサポート役を決めておいた地区でも、「みんな自分のことで精いっぱいで、隣近所で声をかけ合う程度だった」(自主防災組織関係者)という。珠洲市では今回、揺れから10〜30分程度で津波が到達していた。一方で、「名簿を使い、避難所で要支援者の安否確認が素早くできた」とメリットを実感した地区もあった。 片田敏孝・東京大特任教授(災害情報学)は「どんな要支援者が近所のどこにいるか、地域レベルで把握し、情報を更新しておくことが共助の場面で役に立つ」と指摘。そのうえで、「個別避難計画は万能ではない。特に津波からの避難は余裕がなく、自分の命は自分で守る意識を持つのが大原則だ」としている。 |
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●立憲・泉代表 裏金問題で「自民は逃げ切りをはかっている」 3/3
立憲民主党の泉代表は3日、訪問先の島根・松江市で、自民党の派閥パーティー資金問題について「自民党は裏金問題をうやむやにして、逃げ切りを図ろうとしている」と述べ、衆議院の政治倫理審査会で安倍派幹部らがキックバックの不記載について関与を否定した対応を批判した。 その上で、与野党で合意した国会での政治改革特別委員会での今後の議論について「自民党は不祥事を起こした立場で自民党が政治改革を阻む立場であってはならず、各党の改革案を受け入れる姿勢であるべきだ」と述べた。 自民党に対しては「裏金問題を明らかにすることで、政治改革に繋げる役割が重要で、自民党が政治文化を変えるつもりがあるのが問われる」と強調した。 |
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●安倍派幹部の塩谷立氏、裏金の還流復活「2022年8月の会議で決まった」 西村前経産相は「結論出ず」と言っていたが… 政倫審 3/3
3月1日の自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)は、午後5時すぎに再開した。4時間に及ぶ中断を挟み、安倍派の座長だった塩谷立元文科相の審査が行われた。裏金のキックバック廃止が復活した経緯について、あいまいな説明を繰り返す塩谷氏。午前中の西村康稔前経産相の証言との食い違いも。 ●17:10 4時間遅れで再開 新年度予算案の審議を巡り、立憲民主党から小野寺五典予算委員長の解任決議案が出た影響で、午後からの政倫審の審査はストップしていた。政倫審の審査は、4時間遅れで再開した。 ●17:12 塩谷氏の弁明始まる 塩谷氏は、用意していた資料を読み上げる形で、安倍派の裏金事件の経緯や自身の関与について説明を始めた。 「国民の政治に対する信頼を失墜させてしまった」「法令違反を重ねてしまったことは極めて問題」「順法精神の欠如には恥じ入るばかり」「国民感覚とはかけ離れた永田町の意識を反省」 塩谷氏は、神妙な顔で、次々と反省の言葉を口にした。 ところが、安倍派の裏金づくりに関しては「一切関与していない」と主張し、西村氏、松野氏同様、自身の関与をきっぱり否定した。 塩谷氏は、安倍派において2012年1月〜18年1月に事務総長、その後は会長代理、22年8月からは座長を務めてきた。長年、安倍派で要職にあった塩谷氏だったが、「適法でない処理をしていたことは全く認識していなかった」と強調した。 キックバックの慣行については「20数年前から始まったのでないかと思いますが、明確な経緯については、承知しておりません」と説明。 安倍派でのキックバックは「個人でのパーティー開催など政治資金を自前で調達することが大変な若手や中堅の政治活動を派閥のパーティーを通じて支援するとの趣旨であったように理解している」とも明かした。 ●17:27 「誰かがやってくれるだろう」 自民党の丹羽秀樹氏は、安倍派座長だった塩谷氏に、政治資金収支報告書への不記載が起きた原因を質問。塩谷氏は「いつ頃から還付をして、それを不記載で行うということがなされたということも、全く承知していない」と答えた。 丹羽氏は「全員が全員、誰かがやってくれるだろう、そういったところも一つの要因となっているかもしれない」と述べ、安倍晋三会長が死去した後の「5人組」らによる集団指導体制の体質を指摘した上で、「しかし、座長としての責任の重さというのはある。座長としてもっと指導するべきだった」と批判した。 これに対し塩谷氏は、座長に就任したのは昨年8月だったとして、「指導する間もなく清和研(安倍派)は解散した」などと述べるにとどめた。 ●17:35 「政治活動費、納税するつもりはない」 立憲民主党の寺田学衆院議員は、「国民の皆さんが怒っている一つは、自分らが裏金作って持っていたのなら、そんなもん政治資金じゃねだろうと、ちゃんと納税しろという話だ」と国民の怒りを代弁。「納税するつもりはあるのか」と迫った。 これに対する塩谷氏の回答は「私自身はしっかりとそれを政治活動に使用しておりますので、納税するつもりはございません」だった。 ●17:55 「安倍派は解散したので…」 寺田氏の追及は続く。 塩谷氏に、安倍派座長だった立場として「所属議員に納税を呼び掛けるつもりはないのか」と尋ねたときのことだ。 寺田氏の問いかけに塩谷氏は、「清和政策研究会(安倍派)は2月1日解散することを決めましたので、今政治活動等は行っておりません。そういう意味では今後、簡単には自分なり活動はできないと思っています」と答えた。 「笑いごとじゃない」。塩谷氏の発言に立民の寺田氏は、机をたたいて怒りをあらわにした。 「そんなときだけ派閥が解散したことを理由にしないでください」 「国民の皆さんは国税から全てを見られて、1円たりとも流されないように納税を促されている。それなのに政治家は何なんだって言われている。その原因を作ったのは皆さんじゃないですか。ちゃんとけじめつけてください」 厳しい批判を浴びた塩谷氏。「検討させてください」 ●18:00 還流復活「しょうがない」 日本維新の会の岩谷良平衆院議員も、安倍晋三会長(当時)の意向を踏まえていったん廃止が検討されたキックバックが、その後も継続した経緯を尋ねた。 岩谷氏は、2022年8月10日に安倍派事務総長を退任した西村康稔氏が午前の審査で、継続を決めた会合には出席していないと説明している一方、8月25日に後任の事務総長に就任した高木毅氏は「還付(キックバック)を継続することは決まっていた」と証言していると指摘。 西村氏と高木氏、どちらの証言が正しいのか。 塩谷氏の回答は「当時は(安倍氏が死去して)清和研をどうするかということが大変な問題で、還付をどうするかということについて、(廃止されると)困る人がたくさんいるから継続でしょうがないかなという、そのぐらいの話し合いの中で継続になったと理解している」と、煮え切らない。 岩谷氏は「安倍さんがやめろとおっしゃったことをひっくり返して継続とする。事務方ができる話ではない」「高木さんが嘘ついてるか、あるいは塩谷さんが嘘ついてるか」と重ねて迫った。 それでも塩谷氏は「大変責任が重たいと受け止めている」と正面から答えることはなかった。 ●18:10 西村氏の証言と食い違い 公明党の中川康洋衆院議員も、いったん廃止を決定した裏金還流がなぜ復活したのか、その経緯を尋ねた。 塩谷氏によると、8月上旬の会合は、塩谷氏の事務所で開かれたという。 「具体的にパーティー券、個人のパーティーにどうするこうするなんていう具体的な話はあまり詰めた話はなかったわけで、そういう中で継続して還付されたというふうに理解しております」 ただし、午前中の西村氏は、2022年8月上旬、安倍派幹部らが集まり、還流の取り扱いについて協議したが、結論が出なかったと証言。西村氏は、8月の会議直後、派閥の事務総長の職を離れたため、還流が復活した経緯は承知していないとしていた。 塩谷氏は「8月で協議した以降は、具体的に我々で決めたことはございません」と発言。西村氏の説明とは食い違いを見せた。 ●16:20 還流廃止決定「違法性の認識あったのでは」 共産党の塩川鉄也氏は、塩谷氏も参加した2022年の安倍派幹部の話し合いで安倍晋三会長(当時)がキックバックの中止を持ち出したのは「不記載という違法性の認識があったからではないのか」と追及した。 この話し合いの場で、個人の政治資金パーティーの収入に上乗せして合法的な形で出す案もあったと下村博文氏が証言していることにも触れ、「合法的な形で出すということは、違法性の認識があったということになる」とも迫った。 だが、塩谷氏は「現金(でのキックバック)をやめようという中で、そういう(個人パーティーの収入に上乗せする)案が出たと私は理解している。あくまで不記載のことについては一切話が出ていない」と否定した。 塩川氏は「違法性の認識が幹部の中で共有されていたのではないか。しっかりとした解明が求められている」と訴えた。 |
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●裏金を「納税するつもりはございません」自民・塩谷立議員の政倫審の発言に批判殺到「怒りを通り越して悲しい」「堂々と脱税宣言」 3/3
自民党の政治資金パーティーの裏金問題をめぐり、1日に開かれた衆院政治倫理審査会で、元文科相の塩谷立衆院議員の発言に対する批判が高まっている。清和政策研究会の(安倍派)座長だった塩谷議員は、政倫審で「法令違反を重ねてしまったことは極めて問題であり、残念」などと反省の弁を述べた一方、裏金について「適法ではない処理をしていたことは全く認識していなかった」と主張した。 立憲民主党の寺田学衆院議員は質疑の中で「国民の皆さんが怒っている一つは『自分らが裏金をつくって持っていたのなら、そんなもん政治資金じゃねえだろう。ちゃんと納税しろ』という話です」「納税するつもりはありますか。安倍派議員の皆さんに、ちゃんと納税しろと呼びかけるつもりはありませんか」と追及した。これに対して、塩谷衆院議員は「私自身はしっかりとそれを政治活動に使用しておりますので、納税するつもりはございません」と答え、安倍派の議員に対しては「具体的に税法上どうなるかは確認して指導してまいりたい」と述べた。 この「納税するつもりはございません」という言葉が、ネット上で怒りに火をつける結果になった。X(旧ツイッター)では「堂々と脱税宣言」「納税するか否かを自分の一存で決められるんだ…」「これで許されるのなら日本国民全員が言うよね?」「怒りを通り越して悲しい」などの声が続々と上がり、大荒れとなっている。 |
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●原発処理水、日中になお影=放出半年、輸出解禁見通せず 3/3
東京電力福島第1原発の処理水放出から半年が経過した。政府は各国の懸念を踏まえ、安全性の説明に奔走。国際原子力機関(IAEA)の「お墨付き」も後ろ盾に、一定の理解を得てきた。だが、水産物の大口輸出先である中国はなお「核汚染水」と批判したままだ。日中両国は対話による解決を探るものの、禁輸解除は見通せていない。 森屋宏官房副長官は1日の記者会見で「中国との意思疎通はさまざまなレベルで行っている。引き続き丁寧に説明するとともに、輸入規制の即時撤廃を強く求めていく」と語った。 昨年8月24日の海洋放出直後に中国が日本産水産物の全面禁輸を発表すると、日本政府内には「そこまでやるとは」(高官)と動揺が広がった。主力のホタテなどが打撃を受け、同年の中国向け水産物の輸出額は前年比約3割減と大きく落ち込んだ。 岸田文雄首相はこの間、国際会議や首脳会談で安全性を繰り返し訴えた。外務省は風評被害につながる「偽情報」がないか各国報道を監視。韓国からは専門家視察団も受け入れた。 日本は特に太平洋島しょ国を重視した。過去に米英仏の核実験場となり、強く憂慮を示していたためだ。首脳らを日本に招くなどして説得を重ね、当初反対していたミクロネシア連邦などから支持を取り付けた。 IAEAは、放出前後から一貫して日本の対応を「安全基準に合致」と評価。グロッシ事務局長は今月12日から来日し、同原発を改めて視察する。国際社会の理解が広がる中、日本政府は中国の対応を世界の潮流と逆行した「突出した行動」(首相)と主張。禁輸撤回を求めつつ、専門家による説明を打診したが、中国側はなかなか応じなかった。 昨年11月の日中首脳会談で、ようやく専門家協議の実施で一致したが、この場でも習近平国家主席は「核汚染水」と表現した。今年1月に行った初回協議は、放出に批判的な中国の世論に配慮して非公表扱いとなり、協議自体も「平行線」(日本外務省筋)をたどったという。 中国側は対話を維持する姿勢を示し、2月には日中の外務省局長協議も開かれた。日本政府内には「状況は改善している」との期待もあるが、楽観はできない。 同原発では汚染水漏えいなどトラブルが相次ぎ、日中協議にも影響を与えかねない。神経をとがらせる首相は関係閣僚に国内外への丁寧な説明を指示した。5日開幕の中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)も控え、「すぐに禁輸解除とはならない」(首相周辺)との見方が大勢だ。 ●処理水放出に関する日中の動き 2011/ 3 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故発生 2021/ 4 菅義偉政権、海洋放出を2年後をめどに開始する基本方針を決定 2023/ 1 岸田文雄政権、放出時期を「春から夏ごろ」と決定 2023/ 7 国際原子力機関(IAEA)が放出計画は「安全基準に合致する」とした包括報告書 2023/ 8 海洋放出開始。中国、日本産水産物の輸入を全面停止 2023/10 IAEAが調査団を日本に派遣し現地検証。中国の専門家も参加 2023/11 岸田首相と習近平国家主席が会談、専門家協議の実施で一致。習氏は処理水を「核汚染水」と表現 2024/ 1 日中両国の専門家による初協議(非公表) IAEAが「安全基準に合致」との検証結果を公表 2024/ 2 日中の外務省局長が福岡市で協議 |
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●泉氏 改革"自民発言権ない" 3/3
立憲民主党の泉健太代表は3日、自民党派閥の裏金事件を受けて衆院に設置される政治改革特別委員会(仮称)について、「自民には基本的に発言権はない。各政党が出す政治改革プランに議論を委ね、そこの成果を飲み込む、受け取るべきだ」と訴えた。松江市で記者団の質問に答えた。 泉氏は自民を「罪を犯した、不祥事を起こした立場」と指摘、「政治改革を阻むことはあってはならない」とけん制した。自民、立民両党は2日に特別委の設置で合意。同委では裏金事件を踏まえた政治資金規正法の改正を議論する。 |
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●岸田内閣の支持率22.9% 過去最低更新 JNN世論調査 3/3
岸田内閣の支持率が政権発足後、過去最低だった先月の調査からさらに0.8ポイント下落し、22.9%だったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。これで5か月連続で過去最低を更新したことになります。 不支持率も先月の調査から0.2ポイント上昇し、74.4%で過去最高となりました。不支持率についても3か月連続で過去最高を更新しました。 また政党支持率では自民党の支持が前月の調査から0.3ポイント上昇し、24.7%、立憲民主党は2.1ポイント上昇し、7.1%、日本維新の会は1.2ポイント下落し、4.0%でした。 3月2日(土)、3日(日)に全国18歳以上の男女2581人〔固定975人、携帯1606人〕に調査を行い、そのうち47.0%にあたる1212人から有効な回答を得ました。 |
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●野党は政治刷新戦線を組み自民党に圧力をかけよ 3/3
稀にみる政治改革の好機到来 自民党派閥の裏金事件を巡り、2日間わたる政治倫理審査会が行われ、日本が政治を刷新する好機がきたのに、虚しく時間を空費しています。新聞、テレビも説教調の報道を続けていれば、自民党が自ら改革に動きだすとでも思っているようです。 岸田政権支持率も自民党支持率も20%台に低下し、「支持政党なし」は50%台まで上昇しています。こんな時でもないと、自民党は本当の危機感を覚えません。自民党改革、政治改革の滅多にないチャンスがきたはずです。 自民党は守勢に回り、野党は攻勢にでられる絶好の機会です。目先の自民党追及ではなく、日本に政治改革をもたらす戦略を描いてみるべきです。 私は野党が政治改革戦線を組み、選挙に臨むよう期待します。各種の政策の違いを捨て、今回は政治改革という一点で連立を組んだらどうでしょう。政治資金規正法の改正、年功に従った閣僚就任の是正、3、40年後の日本の姿を描ける次世代議員の登用、世襲政治の制限、政治資金監視機関や財政独立機関の設置など、論点はいくらでもあります。 メディアも説教調の報道はやめ、二大政党的な政界構造に変化できるような政策提言、助言をしていったらどうか。これからの日本を作り直す「次世代党」とでもいえるような政治勢力を育成していくべきです。 「五界五悪」といって、日本の政治、経済社会には、政界、財界、学界、医界、メディアという5つの悪が存在するとの指摘を聞いたことがあります。この中で政界が質のレベルの低さが最も劣る。政界が立ち直らないと、日本の経済社会を変えていくことができません。 世論調査では「支持政党なし」は52%(読売新聞)という高率です。政党支持率は自公支持率の合計26%に対し、立民・維新・共産・民主は合わせて13%ですぎなくても、「支持政党なし」が動けば、勝敗は左右されます。野党連合が勝てなくても、自民党に対する相当な圧力になるでしょう。 自民党が修羅場をくぐり抜けたかというと、そうでもなさそうです。仏教用語でいう五悪(仏教信者が守るべき戒め、五つの不善)のうち、自民党はそのいくつかを破ったことは否定できません。 「妄語(もうご)はいけない(嘘をついてはいけない)」は破ったとみるべきでしょう。「政治資金収支報告書への不記載は承知していない」、「自分は関与していなかった。事務総長ではなく派閥事務局、会計責任者の担当だった」などと、言い逃れをしました。 派閥の会長、事務総長がいるのに、「派閥事務局」というブラックボックスを存在させ、そこを通した形にして責任を回避する便法です。闇の勢力が使うマネーロンダリング(資金洗浄)の手法と似ています。 「殺生してはいけない(生き物を殺してはいけない)」はどうでしょうか。さすがに「殺人、殺生」はしていなくても、「パーティ券収入のキッバック、納付の留保(裏金)は、政治倫理、政治道義に対する殺生」に相当します。 「偸盗(ちゅうとう=ひとのものを許可なく自分のものにする」にも引っかかってきます。パーティ券収入の一部を派閥に納めず、自分の懐にいれてしまう行為がこれに相当します。もともと少人数の勉強会なのに、「詐称」して、あちこちに声をかけ、大勢から資金を集める。出席はあえて求めず、資金さえ集まればよい。 自民党側には真実を語る気持ちはもともと、ありません。本来なら、政倫審開催を求めた野党側にこそ、新事実を発掘してきて、自民党側を追い詰める責任がありました。「事実関係を語れ」、「政治不信を払しょくせよ」と説教調でした。政倫審は説教をする場ではありません。 テレビ、新聞の大々的な報道に「だからどうなのよ」思った国民がほとんどでしょう。だから視聴者、読者のメディア離れが進むのです。憲法改正や安全保障など、新聞が政策提言に熱心な時期がありました。そのことを思い出してみたらどうなのでしょうか。 「言論の府の権威を貶めるな」(読売社説、2日)、「政治責任を不問にできぬ」(朝日社説、1月20日)などと叫んでも政治的な影響力はありません。もっと期待感を抱かせられるような主張を今こそすべきです。 |
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●“小泉進次郎というカード”自民内で増す存在感 小泉純一郎元総理がそれでも“待った”をかける理由 3/3
「僕のことはいいから。政策取材をやって欲しいな」 小泉進次郎元環境大臣は周囲の記者にこう話す。 2023年11月に開催された第1回の「超党派・ライドシェア勉強会」でも、「世論調査で総理にふさわしい人として名前が出ているが」という記者の質問に対し、「きょうはライドシェアで質問していただきたい」と打ち返した。 こうして“政局”とは一線を画する様子を見せている小泉氏だが、本人の思いとは裏腹に、彼をめぐる政局的な動きが注目される場面が増えてきた。 ●派閥の裏金事件やライドシェアで増す存在感 1月11日。かつて父・小泉純一郎元総理も所属した自民党の最大派閥・清和政策研究会、通称・安倍派の裏金事件を発端に自民党で新設された、政治刷新本部の初会合が開催された。 自身は無派閥を貫く小泉氏は会合後、記者団に対し次のように主張した。 小泉進次郎氏(1月11日)「派閥はなくしたらいいじゃないか。派閥から人事とお金をしっかりと切り離して、政策集団だと胸を張って言えるような環境を整えることは、自民党を立て直す上で最低限必要なことなんじゃないか」 それから2週間後。政治刷新本部が決定した「中間取りまとめ」では「『派閥』から脱却し本来の政策集団に生まれ変わらねばならない。そのカギは、政策集団が『お金』と『人事』から完全に訣別することである」と記載された。 小泉氏は、自身の主張に沿う結論となったことに「申し上げたことが、結果盛り込まれて、しかも『完全に訣別』ってのは非常に重い」と手応えをにじませた。 一般の人が自家用車を使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」の導入に向けた活動でも、存在感を高めている。 2023年11月に超党派の国会議員による勉強会を立ち上げ、会長として地方の首長やタクシー事業者などと意見を交わしてきた。 小泉進次郎氏(2023年11月)「ライドシェアにしろ、タクシーに対する過剰な規制の打破にしろ、いま迅速な対応が求められている」 勉強会は同年12月、道路運送法の見直しや新たな法律の制定、タクシードライバーが増えない要因の一つとされる、タクシーの営業地域の地名や道路の名前などを問う「地理試験」の抜本的見直しなどを盛り込んだ提言をまとめた。 その後、政府は地理試験の廃止や、4月からタクシーが不足する地域や時間帯に限りライドシェアを解禁する方針を決めた。小泉氏の提言が交通政策を動かす結果となった。 ●圧倒的人気も「具体性がない」迷言で批判された過去 JNNが2月に行った世論調査で、石破茂元幹事長に次ぎ「次の総理にふさわしい人」の2位となった小泉氏。 各社の世論調査でも必ずと言っていいほど上位に名前が挙がる。 圧倒的な知名度と発信力を誇る政界のサラブレッドは、「未来の総理候補」として早くから注目されてきた。 しかし常に順風満帆だったわけではない。 安倍政権と菅政権で環境大臣を務めた際は、“迷言”で痛烈なバッシングを受けた。 2019年9月、国連の「気候行動サミット」に出席した際の記者会見で「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールでセクシーでなければならない」と発言。 この発言に対し、各方面から「何をしたいのか分からない」「具体的な対策についての発言がない」などと批判の声があがった。 また2021年4月、政府が2030年度の温室効果ガス排出を2013年度比で46%削減する目標を定めたことをめぐっては、こう話した。 小泉進次郎氏(2021年4月 TBS「news23」インタビューにて) 「くっきりとした姿が見えているわけではないが、おぼろげながら浮かんできた。46という数字が」 この発言は「数値の根拠が曖昧だ」としてネット上などで炎上した。 ●国対で裏方修行しサーフィンも 実行力をアピール こうして「政策に具体性が欠ける」と批判されてきた小泉氏だが、2022年に、国会の日程調整や野党との交渉などにあたる「国会対策副委員長」に自ら希望して就任。メディアへの露出も少なく“縁の下の力持ち”的な仕事で、閣僚経験者がこの職に就くのは異例だ。 小泉進次郎氏(2022年当時、自身の活動報告にて) 「この法案は国対の知恵と経験で会期内に成立したな、とか、ニュースでは取り上げられない仕事師たちが働いている。そんな国対に身を置いていると今までとは違う学びと、今までとは違う政治の景色も見えるようになった」 また2023年7月、自身が議連幹事長を務める「自民党サーフィン議員連盟」は緊急総会を開催。 東京電力・福島第一原発の処理水放出が8月に始まるのを前に、放出後の海でサーフィンをすることで、その安全性を示すことができると訴えた。 その後9月には、小泉氏自身が福島県南相馬市の海岸で地元の子どもたちとのサーフィンに参加、その狙いをこう説明している。 小泉進次郎氏(自身のSNSで)「処理水放出後に政治家の私が福島で地元の方々とサーフィンをすることで、少しでも今まで頑張ってきた方々の発信の助けになれば。パフォーマンスだと言われても構いません」 ある外務省幹部は「海水を飲むとかじゃなくて、サーフィンをしに行った。普通はそんなこと思いつかない」とまで絶賛している。 ●キーマンは菅前総理 永田町では今、岸田内閣の支持率が政権発足後過去最低を記録し、「ポスト岸田」への関心が高まっている。 こうした中、ある政府関係者は、2021年の総裁選で立候補した河野太郎氏の当選を目指し、小泉氏・石破元幹事長・河野氏の3人が結成した「小石河連合」を引き合いに、次のように話す。 「次期総裁候補は、小石河連合のうちの誰かか、上川陽子や高市早苗などの女性候補だろう」「菅さんや麻生さんの動き次第だ」 中でも、小泉氏と同じく無派閥である菅前総理は、派閥解消を強く唱え、ライドシェア導入の旗を振り始めた張本人。 昨今の小泉氏の主張とリンクする。 関係者によると菅氏は、派閥の裏金事件を契機に低迷する自民党支持率を念頭に、こんなことをつぶやいているという。 菅義偉前総理(周囲に対し)「次の総裁は思い切って変えないとダメかもしれない。そろそろ進次郎というカードを使うときが来たのかもしれない」 ●42歳の総理候補「まだ知識や経験不足だ」若さという壁 しかし、菅氏に近い政府関係者は小泉氏について「まだ知識や経験不足だ」と指摘する。 そのうえで「菅さんも、進次郎を次の総裁候補にしようと思っていたけど、流石に『あいつじゃまだ…』って誰もついてこないと分かったから、次は早いとなっているのでは」と分析する。 別の菅氏周辺も「菅さんは小泉進次郎を大事にしている。まだ総裁には早いかもしれないから、潰さないようにタイミングを見ているんだろう」と話す。 父・小泉純一郎元総理も“待った”をかける。 2023年12月中旬。 山崎拓・元自民党副総裁は東京都内で小泉元総理と会食し、進次郎氏についてこんなやりとりを交わしたことを記者団に明かした。 小泉純一郎元総理(山崎氏に対し)「進次郎はまだ40歳だから、50歳になるまでは総裁選に立ってはならない。次の政権を支える立場でやりなさいというふうに申しつけてある」 「未来の総理候補」は「総理」になる力を身につけられるか。 政府関係者は「進次郎はまだ42歳、時間がたっぷりある。絶対選挙に落ちないし、既に大臣もやっている。他の同じ年齢の人に比べたら圧倒的に経験があるわけで、焦る必要は無い」と期待をにじませる。 「若さ」という壁を乗り越え、“政策”面でも“政局”面でも真価を発揮することができるかが注目される。 |
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●「反主流派会合」菅義偉前首相がポスト岸田≠吟味の動き 萩生田氏、加藤氏、進次郎氏と会食 「主流派」麻生氏とも 3/3
岸田文雄内閣の支持率が「危険水域」に沈み込むなか、自民党内で新たな動きがあった。岸田首相と距離を置く菅義偉前首相が1日、立場が近い萩生田光一前政調会長(安倍派)や、加藤勝信前厚労相(茂木派)、武田良太元総務相(二階派)、小泉進次郎元環境相(無派閥)と会食したのだ。菅氏は先月末には、主流派の麻生太郎副総裁(麻生派)と会食している。菅氏の狙いは何なのか。 注目の会合は、自民党の政治資金パーティー裏金事件を扱う2日目の衆院政治倫理審査会が開かれた1日夜、都内の日本料理店で開かれた。 集まったのは、菅政権を閣僚として支えた面々である。萩生田、加藤、武田の3氏は衆院の初当選同期で、早くから要職を務め、党内では3氏の頭文字をとって「HKT」とも呼ばれる。無派閥の小泉氏を含め、「ポスト岸田」の一翼を担う面々だ。 党ベテラン議員は「菅氏側が『他意はない』と説明しても、今は岸田内閣や自民党の支持率が激減し、政局が大混乱している。『ポスト岸田』を見据えた水面下の動きに感じる」と語る。 菅氏は「無派閥」「官僚主導打破」を掲げる。財務省の影響力が極めて強く、「増税・負担増路線」の岸田内閣とは距離を置いてきた。 中堅議員は「自民党内では、『岸田首相のガバナンス能力の欠如』や、『場当たり的な政治手法』に嫌気が充満している。根回しなしで自己都合の『派閥解消』などは最たるものだ」と吐き捨てる。 確かに、萩生田氏と武田氏が所属した安倍派と二階派は、東京地検特捜部の捜査が直撃し、解散の道を選んだ。「派閥解消」は結果的に、党総裁(岸田首相)の権限を強めることにつながりかねない。 この日の会合では、岸田首相の政倫審などを含めた国会運営や、党内情勢で意見を交換したとみられるが、「岸田首相を牽制(けんせい)する動きとして効果的」(党中堅)なのは事実だ。 菅氏は先月22日、麻生氏とも会食している。麻生氏は主流派として岸田内閣を支えてきたが、岸田首相が唐突に「派閥解消」をブチ上げたことに激怒し、距離感が生じたとされる。 別のベテラン議員は「麻生―菅会談は定期的なものだが、タイミングに意味がある。岸田内閣の不支持率が80%を超えた(毎日新聞)直後だ。ここまで国民に嫌われると、岸田首相による衆院解散も党総裁再選もなかなか難しい。麻生、菅両氏のスタンスや思惑には違いがあるが、『ポスト岸田』を吟味するキーマンであるのは間違いない。憶測を呼んでいる」と語る。 |
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●岸田首相の政倫審電撃出席は、予算案成立が本来の目的 異例の土曜開催で予算案衆院可決 3/3
自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題を受けて開かれた、2日間の衆院政治倫理審査会が終了した。出席するのしないの、公開するのしないのとすったもんだの末、結果的に予定されていた5人がフルオープンで証言した。加えて岸田文雄首相も出席。新事実が出たわけではないが、もともと政倫審はその程度のものだ。 誰の判断でキックバックが慣例化したのか、収支報告書への不記載を指示したのは誰かという肝心な点について、全員が口をそろえて「知らない」「分からない」との回答だった。起訴された派閥の会計責任者が勝手にルールを決めたり、議員に不記載を指示したりすることなどあり得ない。派閥の幹部レベルの人が指示をしたものであることに違いはない。 「奇策」と呼ばれた岸田首相自身の政倫審出席は、後ろ向きだった安倍派幹部ら5人の出席を結果的に促す形となった。一方で、異例の土曜日開催により2日、衆院本会議で24年度予算案を可決させ、これで予算案の年度内成立が確定した。岸田首相としては、政倫審を予定通り終わらせて何としても予算案を年度内に成立させるというのが「奇策」の本来の目的だったようだ。 野党側では予算案の審議時間不足を挙げて数日間の成立が遅れても大したことではないとの主張もあったが、やはり政権の最大の仕事は国民から預かった税金で速やかに予算を組み、執行することだ。裏金問題ももちろん大切な課題だが、この問題に時間を費やして予算審議の時間が不足してしまった側面もある。そして政倫審で新たに明らかになった事実は少なく、こちらも不十分な結果に終わったと言わざるを得ない。 とにかく、二度と裏金問題が起きないようにする罰則や、議員の責任を問う連座制などの新たなルール作りに向かうしかない。公民権停止か議員永久追放の決まりを設けなくてはならない。 |
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●歴代首相4人輩出の「保守王国」群馬に異変、何が起きた? 前橋市長選で現職完敗、衝撃の背景探る 3/3
今年2月4日夜、群馬県の県庁所在地で衝撃が走った。この日投開票だった前橋市長選で、野党系の新人が自民、公明両党推薦の現職を大差で破り、初当選したからだ。群馬は歴代首相4人を輩出し「保守王国」と呼ばれる。今回起きた異変は、今も尾を引く。 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件、前回2020年の市長選で保守分裂したしこり―。さまざまな敗因が指摘される中、一体何が起きたのか。現職が完敗した背景を探った。(共同通信=岩沢隼紀) ●くすぶる保守分裂の火種 昨年9月12日、前橋市議会の本会議場。現職の山本龍氏(64)は今年2月の任期満了に伴う市長選へ4回目の当選を目指し、出馬の意向を表明した。「まだやり残したことがある。これからも続けたい」 この出馬表明を受け、焦点は自民党群馬県連の対応へ移った。なぜなら前回2020年2月の市長選は保守分裂選挙となったためだ。 前回の市長選に出馬した6人のうち、山本氏を含む3人が自民党籍を保有。県連はいずれにも推薦を出さず、自主投票を決めた。結果は、山本氏が3選を果たし、次点だった自民党の元県議の岩上憲司氏に約1万票差をつけた。 前回の市長選直後、保守分裂のしこりは市議会内に表れる。選挙戦で岩上氏を支援した市議の一部が、市議会の新会派「前橋高志会」を結成。市政運営を巡り、山本氏と目立った対立は見られなかったものの、分裂の火種はくすぶり続けた。 こうした状況を踏まえ、山本氏も4選を狙うに当たり、高志会に協力を要請。高志会内も「今回は一枚岩だ」として異論は出ず、自民党県連も昨年10月、山本氏の推薦を決めた。公明党県本部や多数の業界団体も山本氏を推薦し「オール保守態勢」の構築が進んだ。 ●リベラルのエースが出馬 3期12年の実績を持つ現職に対し、野党側の動きは必ずしも早くなかった。山本氏の出馬表明から2カ月半後の昨年11月26日。群馬県議会の野党系会派「リベラル群馬」に所属する新人の小川晶氏(41)が、今回の前橋市長選への立候補を明言した。「市民が納得できる市政をつくりたい」 小川氏は昨年4月の県議選の前橋市選挙区(定数8)でトップ当選。2011年の初当選以来、4回の当選を重ね、保守地盤が強い群馬で「リベラル系議員のエース」(立憲民主党県連幹部)として将来を嘱望された存在だった。 今回の市長選に向け、小川氏は「市民党」を掲げる。特定の政党に推薦を求めない代わり、立憲民主、国民民主両党を支持する連合群馬の推薦や、共産党前橋地区委員会などでつくる市民団体「民主市政の会」の自主的支援を得た。 民主市政の会は1980年代から続けてきた独自候補擁立の見送りを決定。理由は現職に対する批判票の分散を防ぐためだ。関係者は「市政刷新を見据えた大局的な判断だ」と語った。 こうして今回の市長選は、事実上の与野党対決の構図が固まった。 ●潮目変えた「種まき」 群馬県は強固な保守地盤に支えられ「保守王国」と称される。自民党は2012年衆院選から4回連続で県内5小選挙区を独占した。これまでに福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三、福田康夫各氏の計4人の首相が誕生した。 県庁所在地の前橋市は、県内でも郡部に比べ無党派層の割合が高いとされる。それでも、自民党県連関係者は今回の市長選に自信を見せた。「山本氏が1万票差で勝ちきれる」 これに対し、小川陣営は「今のままでは、小川氏が1万票差で負ける」と認めつつも、こう付け加えた。「今まいている種が芽を出さなければね」 次第に「種」の正体は明らかになる。昨年12月末、山本陣営に重苦しい空気が広がった。「小川氏支持に一部の保守層が回っている」 山本陣営の関係者は「前回と同様、今回の市長選も保守分裂選挙となり、厳しい展開が予想される」と懸念。潮目が変わった瞬間だった。 ●伏線は12年前の確執 伏線は、山本氏が初当選した2012年の前橋市長選までさかのぼる。当時の現職は高木政夫氏。群馬県議会議長を経て、2004年から市長を2期務めた重鎮だ。 2012年市長選も保守分裂選挙で、初当選の山本氏と落選の憂き目に遭った高木氏との確執が生じた。これに加え、前回2020年の市長選も保守分裂により、元県議の岩上氏が山本氏と対立し、落選した。 小川陣営は過去の市長選を巡る経緯に着目。高木、岩上両氏を支持する保守層の取り込みを急いだ。「敵の敵は味方」との発想だ。陣営関係者は「今回の市長選も保守票の行方が勝敗を決する」と強調した。 ●自民批判控える作戦が奏功 対する山本陣営は、各勢力が結集した小川陣営にくさびを打ち込む。今回の前橋市長選告示まで約2週間となった今年1月13日。山本氏は自身のX(旧ツイッター)に「共産党と連携する政治に前橋を任せられない」と投稿した。 狙いは「共産党アレルギー」に敏感な保守層を小川氏支援から引きはがすためだ。「一定の効果はあった」(山本陣営)ものの、保守層をつなぎとめる決定打とならなかった。 一方、小川陣営の戦略は対照的だった。保守層を含む幅広い支持層への浸透を見据え、自民党批判を抑制。派閥の裏金事件への言及を控えた。 代わりに小川氏は、山本市政3期目に起きた前橋市の元副市長による官製談合事件に触れ「クリーンな市政への刷新」を主張。「初の女性市長誕生」をスローガンに、子育て支援施策の拡充などを訴えた。 この戦略が奏功し、有権者の中には山本氏の会合へ参加しつつ、小川氏に投票した「面従腹背」(小川陣営)の人もいたという。2月4日夜、小川氏の初当選が確実になると、陣営幹部はこう述べ、胸を張った。「われわれの作戦勝ちだ」 ●低投票率でも圧勝、地殻変動か 今回の前橋市長選は投開票の結果、小川氏6万0486票、山本氏4万6387票。小川氏が山本氏に約1万4千票差をつけ圧勝した。とはいえ、有権者の関心が高まったわけでなかった。 投票率は39・39%。前回の市長選より3・77ポイント下回った。一般的に低投票率なら、現職の山本氏が優勢となるはずだ。なぜなら3期12年の実績と組織力があるからだ。 2月14日。山本氏が市長として最後となる記者会見に臨んだ。会見の終盤、報道陣から問われるわけでもなく、こう切り出した。「中央政界も自己浄化できていない。身を切る痛みを示さないと、この地殻変動は止まらない」 発言は自民党派閥の裏金事件を念頭に、今回の市長選への影響を示唆したとみられる。 自民党群馬県連幹事長で県議の井下泰伸氏も、自民党が惨敗し政権から転落した2009年衆院選を引き合いに「謙虚に声を聞く姿勢が有権者に伝わらなければならない。政権交代で学んだはずだ」と警告する。 ●「王国」の不敗神話が崩れる 山本氏の敗因分析は他にもある。群馬県の山本一太知事は自身のブログで、支援した山本陣営に「油断と慢心」があったと指摘。自民、公明両党の推薦を取り付けた直後から「特に強まった」と書き込んだ。 自民党県連幹部は「有権者が10年超も続く現市政に閉塞感を抱いた」と総括する。 国民の政治不信が自民党派閥の裏金事件で高まり、岸田内閣の支持率は低迷したままだ。自民党筋は来たる国政選挙を意識し、警戒を強める。「保守地盤で不敗神話が崩れた。『前橋ショック』が全国各地で生じかねない」 小川氏は2月28日、新市長に就任した。1892年の市制施行以来、初めての女性市長となるった。 |
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●村山富市元首相が100歳 「平和な国であり続けて」 3/3
自民、社会、新党さきがけの3党連立内閣を率いた村山富市元首相が3日、100歳の誕生日を迎えた。社民党の福島瑞穂党首は、村山氏が先に発表した「日本がどこまでも平和な国であり続けることを願っている」とのコメントを踏まえ「本当におめでとうございます! 平和の実現に向けてがんばります」とX(旧ツイッター)で祝意を表した。 村山氏は1924(大正13)年3月3日生まれ。社民党の前身、社会党の委員長だった94年6月、連立政権の首相に就き、96年1月まで務めた。 今月1日に発表したコメントで、100歳を迎える心境を「実感はないが、一日一日、家族と過ごせることを幸せに思っている」と明かした。 |
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●村山富市元首相が100歳に「大相撲を見るのが楽しみ」健康の日課は「1日2回の散歩と体操」 3/3
「トンちゃん」の愛称で知られ、第81代内閣総理大臣を務めた村山富市元首相が3日、100歳の「百寿」の誕生日を迎えた。 村山氏は3日までに、社民党を通じてコメントを公表。100歳を迎えた感想や長寿の秘訣(ひけつ)について「100歳の実感はないが、無理をせず、自然体で暮らすことかな。1日1日、家族と過ごせることを幸せに思っている」と回答。健康のための日課は「大相撲を見るのが楽しみ」とした上で「週3回、デイケアに行き、1日2回の散歩と体操を続けている」と、最近の日常についても語った。 「今の日本の政治について思うこと」としては「日本がどこまでも平和な国であり続けることを願っている」としている。 村山氏は1914年(大正3)3月3日、大分県生まれ。明大卒業後、大分市議、大分県議をへて1972年(昭47)12月の衆院選で初当選。2000年6月まで当選8回を数えた。 1994年6月、羽田孜首相の退陣を受け、自民党、社会党(当時)、新党さきがけによる自社さ連立政権の首相として就任。社会党の首相は、1947年の片山哲内閣以来、当時47年ぶりだった。在職中には1995年の阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件など、社会を大きく揺るがした自然災害や事件の対応に当たった。1996年1月11日まで561日間、首相を務めた。 先月23日には、母校の明大の卒業生でつくる「校友会」会長を務める北野大さんらが大分市内の村山氏の自宅を訪れ、100年分の新聞記事を集めた記念品を贈り祝福。村山氏はその際も、元気そうな姿をみせている。 |
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●地震で液状化の復旧、説明不足 発生2カ月、石川・内灘町 3/4
能登半島地震で地盤が液状化し、住宅に傾斜や沈下の被害が多発した石川県内灘町で住民向けの説明会などが開かれず、復旧や復興に向けた具体的な方策が見えないまま発生2カ月を超えた。被害が出た地域は町内でも高齢化率が高く、住宅再建が難しければ人口流出の恐れも。町が掲げる「災害に強い町づくり」に向けては、住民にとって合意形成の前提となる情報が不足している。 国土交通省が公表した宅地の液状化被害は推計で石川県のほかに新潟県と富山県の計約1万5千件に上る。内灘町では砂質の地面が液状化するだけでなく、横に滑る「側方流動」が起きたとみられる。砂が流出した部分で建物や道路が陥没し、流れ込んだ部分で建物が傾いたり地面から砂が噴き出したりしている。 町内の住宅被害は今月1日現在、1421棟に上り、大半は液状化が原因とみられる。特に被害が大きかった宮坂、西荒屋、室、湖西といった地区は砂丘の斜面を切り出して開かれた古くからの住宅街。4地区の高齢化率は38%と町全体に比べて10ポイントほど高い。高齢者にとって再建の負担は重い。 |
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●安倍派で事務総長経験 下村博文議員が“政倫審”に出席の意向を党幹部に伝える「出席して説明する用意がある」 3/4
自民党の派閥の裏金事件をめぐり、安倍派で事務総長を務めた下村博文議員が衆議院の政治倫理審査会に出席する意向を党幹部に伝えたことがわかりました。 下村議員はJNNの取材に対し「出席して説明する用意がある。今後、政倫審が開催されるのであれば、党と相談をして説明責任を果たしていきたい」と話しています。 |
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●真相は藪の中? 「事実を話している」 安倍派トップが政倫審に出席も自らの関与を否定するばかり 3/4
自民党の派閥による政治資金パーティーをめぐる裏金事件に関連し、清和政策研究会の塩谷立 座長が衆議院政治倫理審査会に出席した。しかし、自らの関与を否定するばかりで、真相究明とは程遠い結果に終わった。 ●裏金関与や私的流用を否定 2024年度の政府予算案の採決をめぐり、立憲民主党が衆議院予算委員会・小野寺五典 委員長の解任決議案を提出したことに伴い、約4時間遅れで始まった自民党・安倍派の塩谷立 座長に対する政治倫理審査会。 塩谷座長は冒頭、「長年、清和研の幹部を務めてきたが、政治資金パーティーをめぐる問題には一切関与しておりません。東京地検特捜部が捜査を尽くした結果、立件の必要なしとの結論に至ったと承知している」と裏金事件への関与を明確に否定した。 安倍派では、各議員がパーティー券の販売ノルマを超えた分について、派閥の政治資金収支報告書に記載しないまま議員側にキックバックし、議員側も自身の収支報告書に収入として記載しないことが常態化していて、塩谷座長も受領したキックバックを収支報告書に記載していなかったが、「今回の一連の問題が発覚するまで一切関知していなかった」と釈明。その上で、受領したキックバックは「交通費や交際費など、すべて政治活動のための費用として全額適切に使用し、私的流用は一切ない」と強調した。 ●キックバック存廃に関する議論の経緯 塩谷座長によれば、キックバックは「二十数年前から始まったのではないかと思うが、正確には承知していない」という。 ただ、このキックバックに関して、2022年4月に当時の派閥会長である安倍晋三 元総理が廃止する方針を示したと言われている。 この点については塩谷座長も認めていて、「安倍会長がどういう言葉で言ったか記憶がないが、いわゆる『金の流れには不透明性がある』『現金での支給はやめた方がいい』というような話があって、還付(キックバック)はやめようということになったと記憶している」と口にした。 そうなると、安倍元総理がその時に不記載を認識した上でキックバックを廃止しようとしていたのではないかという疑問が浮かぶが、塩谷座長は「私だけでなく不記載のことを聞いた人は(その場に)1人もいないと思うし、その指示は受けていない。仮に具体的に不記載のことがあったら当然直していたと思う、その時点で。不記載について、それを改善しようとは話は残念ながらそこで出なかった。これは事実」と断言。そして、「しっかり事実を話している。ぜひ、それは理解してほしい」と語気を強めた。 ところが、派閥幹部の間でこうした議論がありながらも、実際には2022年7月に安倍元総理が凶弾に倒れて以降もキックバックを継続。であるならば、問題は誰が継続を“主導”したのかということだ。 塩谷座長は直後の8月に行われた派閥の会合の中でキックバックについて協議したことは認めながらも、「多くの人たちから『なくなっては困る』と。清和研をどうするかが大変な問題で、還付をどうするかということについて、困っている人がたくさんいるから『それではしょうがないかな』という、それくらいの話し合いの中で継続になったと私は理解している」と、最終決定を下した幹部について明言を避け、「8月に協議して以降は具体的に我々で決めたわけではない」と、にわかに信じがたい発言に終始。 また、会合ではキックバックの方法について議員個人の政治資金パーティー券を派閥が購入するアイデアも出たとされているが「私は誰が言ったか記憶がないが、そういったことがアイデアとして出されたことは記憶している」と話した。 ●モヤモヤ残った政倫審 この裏金問題をめぐっては、安倍派に所属する前防衛副大臣の宮澤博行 衆議院議員が、2023年12月に「『しゃべるな!』『しゃべるな!』これですよ」と派閥の中でかん口令が敷かれていたことを明言している。 しかし、このことを問われた塩谷座長は「宮澤議員に対してそのようなことを言ったことはない。宮澤議員に誰が言ったか聞きたいところではあるが、こちらからそういった指導をしたことはない」と否定。 結局、1時間あまりの審査で新たな事実が明らかにされることはなく、従来通りの話が繰り返された。 だが、過去の発言と整合性が取れない部分や事実に反する発言があったことも事実だ。 思えば安倍派の裏金事件は、まだ疑惑の段階だった際に塩谷座長がキックバックについて「そういう話はあったと思う」と言及したことで疑念が深まった。 事の重大性に気付いたのか、この発言はわずか数時間で「事実確認しておらず撤回したい」と翻したが、今回の政倫審で塩谷座長は「還付については政治資金を調達する方法としては良いことだと思っていた」「還付することについては、若手議員がパーティーを活用して政治資金を調達する方法としては良いことだと思っていた」などと繰り返し、以前からキックバックの存在を認識していたことを明らかに。当該の発言は「誰に(キックバックが)あったか確認してないので撤回した」と苦しい言い訳をした。 さらに、キックバックが「二十数年前から始まったのではないか」と推測する理由については、「私自身は1996年から7年間浪人した。派閥のパーティーが始まって『こういう仕組みでやるんだ』という時にはいなかったと思うし、私が戻ってきてそういうことになっていたという記憶で話をしている」と説明。 たしかに、塩谷座長は1996年の衆院選で北脇保之 氏(元浜松市長)に、2000年の衆院選で鈴木康友 氏(前浜松市長)に敗れ、比例復活も叶わなかったし、落選期間中にキックバックの仕組みが作られたことも事実なのかもしれない。 とはいえ、北脇氏の市長選立候補に伴い行われた1999年の補欠選挙では鈴木氏に勝利し、1年あまりの間、国政の舞台に戻っていて、その記憶まで失くしてしまったということはないだろう。 ●国民から厳しい目が向けられる中で 「国民感覚とはかけ離れた永田町の常識を反省し、実態を是正した上で政治資金のさらなる透明化を図ることが必要」 政倫審で与えられた弁明の機会に、このような主張をした塩谷座長だが、審査では本当に自らが知っていることを洗いざらい話したのだろうか。 自身を含む安倍派幹部が立件されなかったからといって幕引きを図ることなく、この言葉を体現できるよう汗をかくのか、国民は塩谷座長の今後の言動や行動に厳しい目を向けている。 |
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●「安倍派幹部の証人喚問を」 参院でも裏金問題追及続く 3/4
2024年度予算案を巡り、参議院での本格審議が始まりました。野党側は裏金問題で安倍派幹部を証人喚問するよう迫りました。 立憲民主党は、安倍派がキックバックを継続した経緯について西村氏と塩谷氏の説明に食い違いがあるとして確認するよう求めました。 立憲民主党 辻元代表代行「総理が電話かけるなり、官邸に呼んで聞けばいいだけの話じゃないですか」 岸田総理大臣「実態把握に向けて党として対応を考えます」 辻元代表代行「党の誰がやるんですか。茂木幹事長ですか」 岸田総理大臣「党としての対応を党の幹部で判断致します」 辻元代表代行「最初から呼んで聞けばいいじゃないですか」 岸田総理大臣「食い違っているかどうかという判断も含めて、実態把握に努めて参ります」 野党側は、真相解明のため証人喚問などを求めていく構えです。 秘書だけではなく、政治家の責任を問う連座制の導入については、岸田総理は「一定の悪質な部分について考えるべきだ」と述べるにとどめました。 衆議院では予算案の審議を急いだ理由について「4月に衆議院解散を考えているからではないか」との質問に、岸田総理は「全く考えていない」と否定しました。 |
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●参院でも裏金論戦、野党追及 予算委に首相と全閣僚出席 3/4
令和6年度予算案は4日午前、参院予算委員会で基本的質疑が始まる。衆院は異例の土曜審議を経て2日に通過した。予算委には岸田文雄首相と全閣僚が出席し、参院の論戦が本格化する。午前中は立憲民主党が質問に立ち、衆院に引き続き自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を追及。少子化対策の財源に関し、実質的な負担は生じないとする首相の説明姿勢も厳しくただす。 立民の辻元清美氏は、裏金事件の再発防止に向けて企業・団体献金の禁止を要求する。石橋通宏氏は、少子化対策の財源として公的医療保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金」を取り上げ「実質的な増税」だと批判。裏金を受領した安倍、二階両派幹部ら自民議員の責任の取り方や処分方針を問う。石垣のり子氏は、東京電力福島第1原発の汚染水漏れや作業員への廃液飛散など相次ぐトラブルについて説明を求める。 |
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●「総理、火の玉になれ」立憲・辻元氏、派閥裏金問題で岸田氏を追及 22年前には自身の秘書給与問題で議員辞職 3/4
参議院予算委員会で、立憲民主党の辻元清美議員は、衆議院の政治倫理審査会で、塩谷元文科相と西村前経産相が、安倍派での裏金復活の経緯について発言が食い違っている問題について「総理、火の玉になってと言ってる、塩谷さんと西村さんを呼んで『食い違ってるじゃないか、そこが国民関心があるんだ』と確認したらどうですか」と岸田首相に詰め寄った。 これに対し岸田首相は「政治資金収支報告書の修正作業が今行われている、説明が続けられる中で実態をどこまで把握することができるのか」と述べるにとどめた。これに対し辻元議員は「首相が電話かけるなり、官邸に呼んで聞けばいいだけだ、やる気無いのか」とさらに詰め寄った。 辻元氏の追及はさらに続き、岸田首相が「党幹部を中心に実態把握についてさらに何が必要か考える」と述べたのに対し「党の誰がやるのか、茂木幹事長がやるのか」と質したが、岸田首相は「幹部で判断し、総裁である私が判断する」と述べるにとどめたため辻元氏は「最初から呼んで聞けばいい、食い違いがはっきりした、この点が焦点だ」と食い下がった。 この質問に対しても岸田首相は、裏金のキックバックが復活したことについて「(党の調査で)復活させた幹部の責任が把握されている、これからの政倫審での国会での議論を総合的に党の判断の材料としなければならない」と述べ、岸田首相自ら、塩谷氏や西村氏を呼んで調べる対応を示さなかった。 辻元氏は、22年前に、自身の秘書給与問題で議員辞職をし、その際に国会の参考人招致に出席して説明した経験も踏まえ「参考人招致から私は逃げなかったから(国会議員に)復帰できた、自民党若手議員に、真実を語れと呼びかけてください」と求めた。 |
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●辻元清美氏「国民に代わって総理が」裏金議員への事実確認求められるも岸田首相は「空虚答弁」 3/4
立憲民主党の辻元清美参院議員は4日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席した安倍派幹部の言い分が食い違ったままのことを踏まえ、自身が指導力を発揮して説明責任を果たさせるよう岸田文雄首相に求めた。 さきの政倫審では、会長を務めた安倍晋三元首相が生前、廃止するとした裏金のキックバックが、安倍氏の死後に復活したことをめぐって、その経緯や時期について西村康稔前経産相と松野博一前官房長官、塩谷立座長、高木毅前国対委員長の間で、一部食い違いが明らかになった。 辻元氏は「西村さんは結論が出なかった、塩谷さんは今年は継続は仕方ないということになったと。どっちかがうそをついているということですね」と指摘したが、首相は「私が食い違いなどについて判断することはできないが、国民の関心事なので、説明が行われることが期待される」と、人ごとのような答弁を口にした。 辻元氏は「総理は火の玉になると言っている。火の玉になるなら、塩谷さんと西村さんを呼んで、どっちなんだと確認したらどうですか」「官邸に呼んだり、電話すればいい。国民(の疑問)に代わって総理がただしてほしい」と、積極的に真相解明に動くよう求めたが、首相は「実態把握に向けてどうした方策が可能か考える」「党として役割を果たす」などと述べるだけ。「誰がやるのか。茂木(敏充幹事長)さんか」と、最近首相との関係悪化が指摘される茂木氏の名前を挙げて辻元氏が突っ込んでも、首相は「党の幹部で判断し、私が最終的には判断します」とこわばった表情で答えるだけだった。 実態解明に向けて、幹部だけではなく若手議員を政倫審に出席させて説明させるべきとの指摘にも、首相は「政倫審での議論を総合的に党として判断し、実態把握に務める」と述べ、辻元氏は「空虚な答弁だ」と、首相の塩答弁を批判した。 |
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●子育ては社会全体で行うもの!こどもスマイルムーブメント「育業」の考え方 3/4
2021年6月に「育児・介護休業法」(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)が改正され、「産後パパ育休」の創設や育児休業を分割で取れるようになりました。 また、昨今は岸田政権が「異次元の少子化対策」と題して、さまざまな支援施策を始めたりと、出産支援や子育て支援に焦点が当たっています。 そこで、今回は東京都が行っている「こどもスマイルムーブメント」という取り組みをご紹介します。 ●こどもスマイルムーブメントとは? こどもスマイルムーブメントは、2021年12月19日にスタートアップイベント「キックオフ・アクション」をオンラインで開催し、本格始動しました。 東京都をはじめ、市区町村、企業、経済団体、大学・学校など幅広い主体と連携し、主体それぞれの強みを活かした取り組みを展開することで、「チルドレンファースト」の社会を創出することを目指しています。 行動指針は以下のとおりです。 こどもスマイルムーブメント宣言(行動指針) 01 全てのこどもが今と将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに成長できるよう、全力でサポートする 02 こどもが社会の一員として様々な場面で参画できる機会の創出に努め、こどもの目線に立った取組を推進する 03 社会全体で「こどもを大切にする」気運を醸成し、安心して働き、子育てができる環境づくりに取り組む 引用元:東京都こどもスマイルムーブメント「こどもスマイルムーブメントとは」 ●こどもスマイルムーブメントの「コア・アクション」 上記の行動指針に基づき、こどもスマイルムーブメントを牽引するコア・アクションが4つ展開されています。 ●育業 育業は、サイト内に以下記載があるように、育児休業にある「休む」というイメージから「大切な仕事」と考えるマインドチェンジを図るため、さまざまなコンテンツを公開しています。 育児は「休み」ではなく、「未来を育む大切なしごと」 だから「育休」ではなく「育業」です 引用元:東京都こどもスマイルムーブメント「育業」 ●地域におけるアクションの促進 地域におけるアクションの促進としては、市区町村と企業・団体が協働して、子ども向けの体験イベントを開催しています。 直近ですと、「こどもがつくる『期間限定の仮想都市』体験」として、仮想都市の中でやりたいお店を考えたり、仮想都市の住民になってお店屋さんとお客さんを体験するプログラムや、「身近な樹木に親しむプログラム」が開催されました。 ●こどもスマイル大冒険 「こどもスマイル大冒険」では、子どもたちが夏休みの期間中に、遊び・学びにつながるイベント・プログラムを集中的に開催していました。 オーケストラコンサートの招待もあったようです! 2023年分は終了していますが、2024年の夏も開催するのではないでしょうか。 ●こども・子育てお悩み相談室 また、「こども・子育てお悩み相談室」として、子どもや子育て世代からのお悩み・質問に、著名人が回答するかたちの記事が公開されています。 子ども向けの記事では、ひらがなが多く使われているなどの配慮がされています。 親子で読んでみるのも面白いかもしれませんね。 さて、4つのコア・アクションをご紹介しましたが、企業の方々にとって一番関わりの深い「育業」について、もう少し深掘りして見ていきたいと思います。 ●育児休業は単なる休みではない! 「育業」とは、育児休業に対する愛称であり、「育休」と同じく育児・介護休業法で定められている育児休業制度を指します。先に少し記載した通り、育休にある「休み」のイメージを刷新し、今後の日本の未来のために「皆で取り組むべき大切な仕事」であるという考えにしていこう!という意味が込められています。そのため、育児休業そのものだけでなく、育休から復帰した後の子育て支援(短時間勤務や看護休暇など)も含めて「育業」と呼んでいます。また「育業」には、子育ては夫婦だけでなく、職場の人を含め社会全体の理解とチームワークが大切という意味もあります。 2021年6月の「育児・介護休業法」改正で、「産後パパ育休」などが話題になり、企業内で産休・育休の支援であったり、子育て世代に対する支援に対して、改めて話し合ったりしたのではないかと思いますが、ただ制度を整備しただけになっていませんか? 制度の内容や取得方法をしっかりと周知することが、周りの理解にもつながります。「どんなことが育業にあてはまるのか」「何をすればいいのか」育業を推進するうえでお悩みの企業担当者さまは、HPに掲載されている「参画企業・団体の活動レポート」を見てみるのをおススメします。多種多様な企業・団体のレポートが掲載されているので、きっと参考になる事例があるはずです。 その他のコンテンツとして、育業PR動画や小池東京都知事と企業のトップとの対談動画が公開されています。まず「育業」のイメージをつけたい、東京都がどんな思いで「育業」を始めたのか知りたい、という方は動画コンテンツを見てみるところから始めるもの良いでしょう。 「育業」を推進することは、今現在在籍している社員の離職を防ぐこともできますし、推進していることを社外にアピールすれば優秀な人材確保にもつながります。高齢化社会で人材不足が度々話題になる現代だからこそ、「育業」のような施策、考え方も必要なのではないでしょうか。 |
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●パーティー開催「適切に判断」 林官房長官 3/4
林芳正官房長官は4日の記者会見で、在任中に自身の政治資金パーティーを開催する考えがあるか問われ、「国民から政治に対する厳しい目が向けられていることも踏まえて適切に判断する」と明言を避けた。他の閣僚の開催については「大臣規範の趣旨も踏まえて適切に判断すべきだ」と述べた。 |
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●少子化に歯止めかけないと経済・社会システム維持困難=岸田首相 3/4
岸田文雄首相は4日午前の参院予算委員会で、人口動態統計速報で2023年の出生数が過去最少となったことについて「深刻に受け止めている」と述べた。その上で「急速な人口減少、あるいは少子化に歯止めをかけないと、わが国の経済・社会システムそのものを維持することが難しい」と語った。石橋通宏委員(立憲)の質問に答えた。 岸田首相は、子ども・子育て政策に注力する必要があるとの認識を示す一方、若い世代の所得向上など「経済の好循環もしっかり取り戻さなければならない」と主張した。 厚生労働省が発表した人口動態統計速報によると、昨年の年間出生数は75万8631人で8年連続減少した。婚姻数は48万9281組で戦後最少、死亡数は159万0503人で過去最多だった。 |
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●岸田首相「解散、全く考えていない」 4月解散の可能性を問われ 3/4
自民党派閥の裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は4日の参院予算委員会で、4月の衆院3補欠選挙のタイミングに合わせた衆院解散の可能性について問われ、「まったく考えていない」と答えた。立憲民主党の辻元清美代表代行への答弁。 辻元氏は質問で、「4月に補欠選挙がある。補選に負けたら総裁選が危うくなる。だから、4月に一か八か『裏金解散』を考えているのではないか」とただした。これに対し、首相は「まったく考えていない。いま政府与党としては、(新年度政府)予算を年度内に成立させることが何より重要だ。今考えていることは、これに尽きると思っている」と応じた。 予算案をめぐっては政府・与党が野党の反対を押し切り、衆院予算委での採決を1日に強行しようとした経緯がある。憲法の規定で、2日までに参院に送付されれば年度内に自然成立が確定するためで、1日深夜の与野党攻防を経て、土曜の2日に異例の採決となった。 辻元氏は4日の参院予算委で、「月曜に採決をすればいいのに土曜に強行し、参院議員も、職員も官僚も首相にふりまわされることになった」と批判した。 |
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●岸田首相「東電は強い危機感を」=汚染水漏れで、参院予算委 3/4
岸田文雄首相は4日の参院予算委員会で、東京電力福島第1原発で汚染水が漏えいした問題について「安全性向上に向けて、対策を講じていくことを指示した。東電には強い緊張感を持って指示を貫徹してもらうことを求めていきたい」と述べた。立憲民主党の石垣のりこ氏への答弁。 |
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●日経平均株価4万円超え 岸田首相「力強く思っている」 3/4
岸田文雄首相は4日の参院予算委員会で、日経平均株価が史上初めて4万円を超えたことに関し「日本経済の変革の足音に対し、マーケット関係者がポジティブな評価を行っていることは力強く思っている」と述べた。「こうした動きを定着させるために今年は正念場だ。構造的な賃上げを含む好循環が実現できるように政府として取り組む」とも語った。自民党の佐藤正久氏への答弁。 首相は岸田政権で賃上げや投資促進などの経済政策に特に力を入れてきたと強調した。 ● 週明けの東京株式市場で日経平均株価の終値は198円高い4万109円となりました。史上で初めて4万円を突破し、先週金曜日に続き、2営業日連続で史上最高値を更新しました。 週末のニューヨーク市場でハイテク銘柄が多いナスダック総合指数が連日最高値を更新していることを背景に、東京市場でも半導体関連株に買い注文が膨らみました。 日経平均株価の上げ幅は今年に入ってからすでに6000円を超えていて、上昇の勢いが止まりません。 |
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●株価4万円 首相が成果強調 3/4
岸田文雄首相は4日、日経平均株価が史上初めて4万円を突破したことに関し、賃上げなど自身の経済政策に触れ「日本経済の変革の足音に対し、マーケット関係者がポジティブな評価を行っていることは力強い」と語った。「今年は正念場だ。構造的な賃上げを含む好循環が実現できるよう取り組む」とも述べた。参院予算委員会で自民党の佐藤正久氏の質問に答えた。 首相は、政権として投資促進や科学技術・イノベーションの推進に「特に力を入れてきた」と強調。4日発表の法人企業統計調査で全産業の経常利益が4四半期連続で増益となったことを踏まえ、「日本企業の稼ぐ力が裏付けられた。昨年を上回る賃上げも期待したい」と訴えた。 |
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●女性議員を増やすためには 1年生議員がリレートークでもらした本音 3/4
女性の政治参画がうたわれながら、北海道は女性議員が少ない。179市町村議会の25・7%にあたる46議会は女性議員がゼロだ。女性をもっと増やすために必要なものとは何か。地方政治の現場に初めて飛び込んだ1年生議員らの言葉から考えてみたい。 3日、札幌市内で「新春ひな祭り座談会」が開かれた。主催したのは、クオータ制を推進する会(Qの会)・北海道。2022年に発足した超党派議員でつくる団体で、候補者や議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入を目指している。 同会のまとめによると、23年に道内で当選した女性議員は105人。昨年末時点で道内の全女性議員は355人という。 ・・・ |
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●日産、下請けへの約30億円を一方的に減額 法違反で公取委が勧告へ 3/4
日産自動車(横浜市)が下請け業者への支払代金を一方的に減額したことは下請法違反(減額の禁止)にあたるとして、公正取引委員会は近く同社に再発防止を求める勧告を出す方針を固めた。関係者への取材でわかった。計約30億円にのぼる違法な減額があったと認定する見通しで、日産自動車はすでに下請け業者側に相当分を返金した。 関係者によると、日産自動車は遅くとも数年前から、同社に納入する部品を製造する30社以上の下請け業者に対し、発注時に決めた金額から一方的に数%を減額して支払っていた。計約30億円にのぼる違法な減額は、1956年の下請法施行以来、公取委が認定するものとしては過去最高額となる見通し。 ・・・ |
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●岸田首相が参院論戦で強気の答弁、旧民主党批判も 3/4
参院予算委員会で令和6年度予算案に関する実質審議が4日始まり、岸田文雄首相と野党の論戦は参院に舞台を移した。自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡る追及は続くものの、同予算の5年度内成立は確実になっている。首相は旧民主党を皮肉る強気の答弁も見せ、「高揚している」(閣僚経験者)との指摘もある。 「マーケット関係者によるポジティブな評価を力強く思っている」 首相は4日の参院予算委で、東京株式市場で日経平均株価が史上初めて4万円を超えたことを歓迎した。「私の政権になってから、賃上げ、投資促進、科学技術イノベーションに特に力を入れてきた」と誇った。 立憲民主党議員に対する反論も目立った。 辻元清美氏は次期戦闘機を含め国際共同開発する防衛装備品の第三国輸出を巡る自民、公明両党の協議について「武器輸出国にならないという国是のようなものを変える大きな問題だ」と指摘。これに対し、首相は「平成23年、民主党政権時代に、殺傷兵器も含めて初めて包括的に当時の武器輸出三原則の例外化措置として、パートナー国からの第三国移転も容認された」と反論した。 石橋通宏氏は自民議員ら32人の参院政治倫理審査会への出席を求めた。首相は鳩山由紀夫元首相を念頭に「御党の前身であった民主党の当時の党首が出席を拒否した経緯もある」と皮肉った。 首相の強気の背景には、予算案の年度内成立が確実になったことがありそうだ。難航した場合、さらなる求心力低下が予想されたほか、予算成立と引き換えに退陣するとの見方も党内にあったからだ。 一方、蓮舫氏は、自民の茂木敏充幹事長らが資金の一部を使途の公開基準が厳格な政治資金規正法上の「国会議員関係政治団体」から公開基準が緩い「その他の政治団体」に移したことで、使途不明となりうる点を追及した。 首相は「現行法の範囲で対応が行われている」とした一方で、「本人が丁寧に説明することが重要だ」と述べた。この答弁について自民ベテラン議員は「突き放したように聞こえた。首相と茂木氏にすきま風がある」と話した。 |
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●立憲・辻元氏「22年前、私は逃げなかった」 首相に真相解明要求 3/4
参院予算委員会で4日、異例の土曜審議で衆院を通過した新年度政府予算案の実質的な審議が始まった。自民党派閥の裏金事件の実態解明を求める野党は、先週の衆院政治倫理審査会で浮かんだ矛盾点などを追及。だが岸田文雄首相は、最後まで自ら解明に乗り出す姿勢を示さなかった。 最初に質問に立った立憲民主党の辻元清美代表代行がただしたのが、安倍派が政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分のキックバック(還流)を廃止する方針を覆した経緯だ。 安倍派では2022年4月、安倍晋三元首相の方針に従って還流廃止を決めながら、同7月の安倍氏死去後に再開した。衆院政倫審では、再開を議論した同8月の幹部会合について、当時、同派事務総長だった西村康稔前経済産業相が「結論が出なかった」と発言。一方、会長代理だった塩谷立元文部科学相は「継続はしょうがないとの結論になった」と述べていた。 辻元氏は食い違いがあるとして、「総理が電話をかけるなり(首相)官邸に呼んで聞くなりすればいい」と指摘。首相に党総裁として自ら主導して真相解明するよう迫った。だが首相は、「発言の食い違いなどについて私は判断することはできない。国民の関心事について説明が行われることが期待される」「党として実態把握を考えていく」と語るだけで、具体策は示さなかった。 辻元氏は、自らが02年に秘書給与の流用問題で議員辞職した過去に言及。「22年前、議員辞職しても(衆院予算委の)参考人招致に応じろと私を引きずり出したのは自民党だ」と指摘したうえで、「私は逃げなかったから(国政に)復帰できたと思っている。『真実を語れ』とここで呼びかけてください」と諭した。だが、首相は「説明責任を尽くしてもらいたいと申し上げている」と繰り返すだけだった。 首相、7回目の再質問でようやく「検討させる」 立憲の石橋通宏氏は、安倍派… ・・・ |
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●岸田首相、裏金問題で自分の処分答えず「結果出すことで責任」裏金議員には「けじめつける」 3/5
岸田文雄首相は5日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて、自身に対する処分について問われたが、答弁しなかった。「法改正など結果を出すことで、責任を果たしたい」と述べるにとどめた。 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文議員の質問に答えた。 首相は2日の衆院予算委員会で、裏金が指摘された議員については「政治資金収支報告書の修正の進み具合などを見ながら、できるだけ早いタイミングで政治責任などのけじめをつけていきたい」と述べ、処分に踏み切る考えに言及している。 |
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●裏金問題対応めぐり「最大の責任者は私」岸田総理 自身の処分には言及せず 3/5
参議院の予算委員会で、岸田総理大臣は「自民党の裏金問題を対処する最高責任者は誰か」と問われたのに対し、「総裁である私だ」と述べました。 日本維新の会 柳ケ瀬参議院議員「裏金問題なかなかこれ全容見えてこないわけでありますけれども、この裏金問題に対処する最大の責任者、最高の責任者これは誰ですか」 岸田総理大臣「今回のこの事態に対応する最大の責任者、それは自民党にあっては総裁である私であると考えます」 日本維新の会の柳ケ瀬議員は、「最高責任者として自らの処分についても言及すべきだ」と迫りました。 これに対し、岸田総理は政治資金規正法の改正などの取り組みを具体的に進め、「結果を出すことで責任を果たしていきたい」と強調しました。 |
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●自民「解体的出直し図る」 運動方針案発表、裏金陳謝 3/5
自民党は5日、2024年運動方針案を発表した。派閥の政治資金パーティー裏金事件について「深くおわび申し上げる」と陳謝。派閥からの脱却を宣言し「全く新しく生まれ変わる覚悟で解体的な出直しを図る」と表明した。3月17日の党大会で正式決定する。 派閥に関し、資金力と人事への影響力で所属議員を集める「数の力で影響力を持つことを志向する集団だった」と指摘。金と人事から決別し、派閥を二度と復活させないと明記した。 制度改革として「政治資金の透明化や公開性の向上」を掲げた。各党と協議した上で政治資金規正法改正などの法整備を「早急に進める」とも強調した。 |
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●自民党の裏金問題めぐり「声を上げる人が一人もいない。本当に恐ろしいことだよ」 3/5
「青汁王子」こと実業家三崎優太氏が5日までにX(旧ツイッター)を更新。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる問題についてコメントした。 三崎氏は「そもそも自分の事務所の経理もろくに管理できないのに、国のお金の管理ができるわけない」と切りだし「誰がそんな議員に重要な政策を任せたいと思う?」と強調。 続けて「秘書も国民から泥棒扱いされているのに、黙ってていいの? 若手議員もたくさんいるのに、声を上げる人が一人もいないなんて、本当に恐ろしいことだよ」と苦言を呈した。 |
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●岸田首相、「自身の処分は」との質問に論点ずらし答弁 裏金事件の責任は「法改正で果たす」 3/5
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、岸田文雄首相は5日の参院予算委員会で、党総裁として自身を処分する考えがあるか問われたが、直接は答えず、「具体的に(政治資金規正法などの)法改正などの結果を出すことによって責任を果たしたい」と論点をずらして答弁した。 予算委では、日本維新の会の柳ケ瀬裕文氏が「これだけの問題があって、自分の責任についてどのように考えているのか。どのような処分を考えているのか」と追及した。岸田首相は「今回の事態に対応する最大の責任者は自民党総裁である私」と認めながらも、責任の取り方については「法改正等を通じて再発防止を実行することによって責任を果たしていきたい」と述べるにとどめた。 政治資金規正法を巡っては、企業団体献金の全面禁止や政治資金パーティーの全廃、会計責任者とともに政治家本人も刑事責任を問われる連座制の導入などを盛り込んだ改正案が、野党から出ている。 柳ケ瀬氏は続けて、1日の衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席した安倍派の西村康稔前経済産業相と塩谷立元文科相とで、いったん中止が決まった派閥パーティー収入の議員への還流が継続されることになった経緯に関する証言が食い違っていることについて、岸田首相自らがリーダーシップをとって真相を解明するよう要求した。 民間企業に例えて「脱税問題があった。それは経理がやったらしい。部長、課長はみんな、私の問題ではないと逃げ回っている。株主に対して説明する責任は社長にある」と迫ったが、首相は政倫審などでの説明を「見守りつつ、党としても実態把握について総合的に判断するための取り組みを用意したい」などと消極的な答弁に終始した。 |
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●裏金議員の閣僚起用、責任踏まえ判断と首相 3/5
岸田文雄首相は5日の参院予算委員会で、裏金を受領した議員の、閣僚を含む政務三役など要職起用に関し「本人が説明責任、政治責任を果たしたという判断が求められる」と述べた。 |
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●松尾貴史 「お答え差し控える」急増の国会に提言「3回目で自動的に議員辞職」 3/5
俳優の松尾貴史が5日、X(旧ツイッター)を更新し、国会で激増する定型文≠ノあきれ果てた。 自民党の裏金問題を筆頭に国民の不満は高まるばかり。そんななか、立命館大学研究者の桜井啓太氏が1月、国会会議録検索システムを利用して、国会で「お答えを差し控える」が飛び出した回数を可視化した。 そのデータによると、1970年にはわずか7回だった「お答えを差し控える」の回数は、2014年の275回から急増し、昨年はついに602回の新記録≠樹立した。 これに松尾氏はXに「3回目で自動的に議員辞職を」と投稿。 現在、このグラフはSNSで拡散。一連の政治とカネの問題でも「お答えを差し控える」が乱発されていることもあり、「そんな言い訳は通用しない」「聞かれても答えない国家」などと怒りの声が上がっている。 |
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●「自ら墓穴を掘るタイプ」辻元議員、岸田首相に裏金問題迫るも…なぜか自身の醜聞持ち出して大ブーメラン 3/5
3月4日の参院予算委員会は、立憲民主党の蓮舫議員と辻元清美議員の独壇場だった。 蓮舫議員は前夜7時すぎにXを更新。《辻元ちゃんと連絡。 明日に向けてお互いがんばろう、と。》と綴るなど、気合は十分の様子だった。 「蓮舫氏は、新藤義孝経済再生担当大臣が領収書の公開が必要な政治団体から公開の必要がない政治団体に2億6000万円を移していることを指摘。 『裏金化しているのではないか。政治資金の隠蔽じゃないのか』と迫ると、新藤大臣は持っていた書類を机に叩きつけ、『隠蔽とはどういうことですか』と激怒、反論しました」(政治担当記者) その蓮舫議員に先立ち、午前の質問に立ったのが辻元氏だ。辻元氏は不敵な笑みを浮かべながら質問席に。対峙する岸田文雄首相に対し、自民党のパーティー収入不記載について道義的責任を問いただした。 「辻元節は絶好調でしたね。『自民党の裏金議員は何人いるのか。4.4人に1人だ。大臣席に(座るのは)20人。このなかに5人いるということだ』と具体的な数字をあげ、さらに『塩谷さん、西村さん2人を呼んで『どっちなんだ』と確認したらどうか。電話かけるか、官邸に呼んで聞けばいいだけの話だ。火の玉になってやるのではないか』と迫りました。 さらに、『4月、イチかバチかの “裏金解散”、総理、ちょっと考えているんじゃないですか』とも聞きました」(前出・政治担当記者) ところが、辻元氏はここで自らの醜聞をあえて持ち出した。 「私ね、22年前、秘書給与問題で議員辞職したんですよ。そのときですね、『議員辞職しても参考人招致に応じろ』と、私を引きずり出したのは自民党なんですよ。 私は、震えながら(参考人招致に)出たんです。でも、逃げなかったから(国会議員として)復帰できたと思っています」と自身の体験談を織り交ぜながら疑惑の解明を訴えたのだが――。 「この発言にブーメランが襲いかかりました。辻元氏は2002年、勤務実態のない政策秘書に、国から支給される秘書給与のうち月5万円を『名義料』として支払い、残りを私設秘書やアルバイトの給料などに流用していたことが発覚。議員辞職しました。 その際に記者会見を開いたのですが、そこで『お詫び』はしましたが真相についてはほとんど語らず、会見は15分で打ち切られたのです。 当時、共産党の志位和夫委員長は『心情は語ったが、真相は語っていない』と評しました。そのため当時を知る自民党議員などから『逃げっぱなしだったじゃないか』という声が出ているのです」(永田町関係者) SNSにも、《過ぎたことは綺麗さっぱりや忘れる方のようです》《自ら墓穴を掘るタイプ》《逃げてたと思うんですけどね》などの書き込みが多かった。立憲民主党関係者からも「あえてこのエピソードを持ち出す必要はなかったのでは」という声が聞こえる。 |
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●裏金づくりいつ誰が再開? 安倍派幹部“食い違い” カギ握る下村氏 3/5
5日も参議院で裏金事件を巡る論戦が交わされました。注目は下村議員です。「実態解明のキーパーソン」とも呼ばれています。 ●安倍派幹部“食い違い”きょうも追及 裏金問題の全容解明を求める声に岸田総理大臣はどう応えるのか。 日本維新の会 柳ケ瀬裕文議員「西村さんと塩谷さんで発言が食い違っている。総理がリーダーシップを持って発言の食い違いをしっかりと明らかにする、これは総理の責任でしっかりやるべきだと」 岸田総理大臣「党としても実態把握について総合的に判断するための取り組み、これを用意したいと考えています」 先の政倫審で浮き彫りになった「謎」の一つ。それは、安倍元総理の死後、“誰が裏金づくりを再開させたのか”という問題です。 おととし4月、安倍元総理のもとで幹部4人らが集まり、いったんやめることが決まったキックバック。 ところが7月に安倍元総理が亡くなると所属議員から再開を求める声が上がり、8月上旬に再度話し合いが持たれたとのこと。 自民党安倍派 元事務総長 西村前経済産業大臣「どう対応するかと協議を致しましたが、その時は結論は出なかったと」 結論は出なかったとする一方…。 自民党安倍派 座長 塩谷元文科大臣「今年に限っては(キックバックは)継続するのはしょうがないかなと」 どちらが正しいのか…。 ●カギ握る下村氏 政倫審出席は? ここへきてその会合に出席した1人、下村元文部科学大臣が突然、衆議院の政倫審に出席する意向を党幹部に伝えました。 安倍元総理亡き後、安倍派の集団指導体制から外れたものの、当時、安倍派の中枢にいた下村元文科大臣。キックバック再開の経緯をどう説明するつもりなのか。 実はおととし8月上旬の会合についてはこんな話をしています。 自民党安倍派 元事務総長 下村元文科大臣「還付については、個人の資金集めパーティーの所に上乗せしてそこで収支報告書で合法的な形で出すということもあるのではないかと」 それまで現金で行われていたキックバックについて、派閥が議員個人のパーティー券を購入する形にしたらどうかという代替案が出たというのです。 安倍派幹部がキックバックの違法性を認識していた可能性があるのでは、との臆測を呼んでいます。 衆議院で政倫審が再び開かれるのか、自民党内からは冷ややかな声が上がっています。 自民党幹部「せっかくここで収まっているのに政倫審に出席して食い違いがあれば、また複雑になるだけだ。最初から出てこなかったんだから立ち止まっておけという話だ」 自民党側は弁明は記者会見でもできるとして、政倫審を開くことに否定的です。 |
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●岡田幹事長、裏金議員は「閣僚、党の幹部をやっている資格があるのか」 3/5
岡田克也幹事長は3月5日、国会内で会見を行い、先週衆院で行われた政治倫理審査会、昨日行われた参院予算委員会における自民党の裏金議員について発言しました。 先週行われた衆院の政倫審の質疑について、岡田幹事長は、西村康稔議員が言及した「現金でキックバックをやるのをやめる」との安倍元総理の提案に関連して、「振込にできない理由があった」「違法性の認識を持って、幹部が集まって話し合ったのではないか」と指摘しました。 昨日の参院予算委員会で蓮舫議員が指摘した、茂木自民党幹事長、新藤経産大臣が、領収書を公開する必要がある国会議員の関係政治団体から、公開の必要が緩い「その他の政治団体」に、多額の資金を移して「裏金化」しているのではないかとの疑惑について、岡田幹事長は「未だにこんなことをやっているのか」「閣僚、党の幹部をやっている資格があるのか」と批判しました。 石橋議員がとりあげた「参院選挙の時には参院議員は全額キックバックを受けていた」件について、岸田総理は「把握できない」ではなく「きちんと確認すべき」「横領、詐欺の可能性もでてくる」と述べ、「残された課題だ」と指摘しました。 |
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●「恥の上塗り」不倫謝罪の広瀬めぐみ氏に自民党内でも厳しい声 裏金問題にラブホ不倫重なる 3/5
「週刊新潮」で、カナダ国籍男性との「ラブホ不倫」を報じられた自民党の広瀬めぐみ参院議員(57=岩手選挙区)は5日、地元の盛岡市で報道陣の取材に応じ、報道内容を「事実でございます」と認め、謝罪した。 広瀬氏は、ダーク系のスーツに、いつもの国会でのスタイルとは違って、眼鏡をかけて臨んだ。 「私の不徳の致すところにより多くの方々に多大なるご迷惑とご心配をおかけしてしまった」と述べた上で「私の軽率な行動で学生時代から支え続けてくれた夫を裏切ることになり、子どもたちにもつらい思いをさせ、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と、涙ながらにコメント。「それでも家族はこんな私を許してくれ、今後も一つの家族として頑張っていこうと言ってくれた。私も一生かけて夫と家族に償ってまいります」と訴えた。 記事では、不倫問題を報じられることによる「身の処し方」に触れたくだりもあるが、広瀬氏はこの日、議員辞職や離党は否定した。一方で、党岩手県連副会長は、辞職勧告を受けたとして辞任した。 党からは「厳重注意」を受けたという。 「申し訳ありませんでした」のフレーズを、何度となく繰り返した広瀬氏。「公務」を理由に取材対応は10分弱だった。 広瀬氏は1男1女の母親で、弁護士を経て、2022年参院選で初当選したばかり。岩手は、立憲民主党の小沢一郎衆院議員の影響力が強い「小沢王国」と呼ばれる地域だが、その牙城で小沢氏側近の現職をやぶった。自民党が参院岩手で議席を得たのは30年ぶりで、それだけ広瀬氏への注目も高かった。 自民党が裏金問題で国民の厳しい批判を受けるさなかの不倫スキャンダルには、身内からも「恥の上塗りだ」(自民党関係者)などの厳しい声が出ている。広瀬氏は「仕事で精進する姿を見せ、少しでも信頼を取り戻せるよう誠心誠意努めたい」と述べたが、前途は多難だ。 |
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●岸田首相、裏金議員の閣僚起用に条件「説明、政治責任果たしたか」 3/5
自民党派閥の裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は5日の参院予算委員会で、党総裁である自分に責任があるとする一方、自らの処分については答えなかった。また、裏金作りが判明した自民議員が説明責任と政治責任を果たさなければ、今後、閣僚など政務三役に起用しない考えを示した。 日本維新の会の柳ケ瀬裕文氏は、安倍、二階両派幹部が弁明を行った先週の衆院政治倫理審査会について、「責任逃ればかり。無責任な体質が日本の政治の姿なんだと、がくぜんとした」と語り、「裏金問題に対処する最高責任者は誰か」とただした。 これに対し首相は、「今回の事態に対応する最大の責任者は、自民党総裁の私である」と回答。柳ケ瀬氏が首相自身の処分について繰り返し尋ねたが、「法改正などを通じて再発防止を実行することで、責任を果たしていきたい」と述べるにとどめ、正面から答えることはなかった。 一方、裏金作りが判明した議員の処分については、この日も重ねて言及した。 維新の音喜多駿政調会長が「裏金議員たちには議員辞職も含めて厳しい処分を促すべきではないか」と求めると、首相は「関係者の処分などの政治責任は可能な限り早いタイミングで党として判断する」と応じた。 関係議員を今後、政務三役などに起用する可能性について問われると、首相は「説明責任、政治責任を十分果たしていないということならば、役職に就いた際に、国政の遅滞を生じさせてしまうことになりかねない」と答えた。そのうえで「それぞれの立場を踏まえた説明責任、政治責任を果たしたという判断が求められる」とし、これらが起用の条件になるとの考えを示した。一方、説明責任と政治責任を果たしたとする判断基準には触れなかった。 ・・・ |
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●森元首相の関与、還流の継続判断…… 問われる下村氏の発言 3/5
かつて自民党安倍派の幹部だった下村博文・元文部科学相が、衆院政治倫理審査会に出席する意欲を示した。現幹部の「5人衆」とは距離があり、同派のオーナー的存在の森喜朗元首相とも疎遠。出席が決まれば、実態解明へのキーパーソンになるとみられる。 還流をめぐっては、会長だった安倍晋三元首相が2022年4月上旬の幹部会合で廃止を打ち出したが、安倍氏の死去後の同年8月上旬、廃止方針の見直しをめぐり、幹部が協議したことが分かっている。方針は覆り、22年のパーティー分では還流を実施。1日の政倫審での高木毅前国会対策委員長の証言によれば、22年暮れごろの幹部会合で23年分の還流廃止が決まったという。 下村氏は22年4月、同年8月、同年暮れごろ、それぞれの幹部協議に参加していたとされる。このため、幹部たちが違法性を認識した時期、還流の廃止をめぐって二転三転した経緯など、安倍派幹部4人の証言で明らかにならなかった核心部分を知りうるとみられ、注目が集まっている。 下村氏が政倫審に出席する場… ・・・ |
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●岸田総理が解散したくない理由とは? 3/5
岸田総理の思惑を邪推 私は昨年の臨時国会における補正予算が成立した時点で、岸田総理は解散に打って出ると読んでいたが、ハズレた。 次に今国会の冒頭解散がありうるかとも見ていたが、能登半島の震災の影響で国会を止める訳にはいかないとなり、また昨年末に噴出した自民党内派閥の政治資金不記載問題によって、来年度予算成立まで、解散はしないことがはっきりした。 では次のタイミングはいつになるだろう? 常識的に考えれば3月末の参院での予算成立をきっかけにする可能性が高いが、ここまで来たら、むしろその可能性は低いように感じてきた。 9月には自民党総裁選が控えており、現状で考えれば岸田総裁がそのまま総裁を続けると考えられる。 確かに自民党や岸田政権の支持率は低空飛行を続けているが、実は、低いながらも野党の求めに応じて岸田総裁自ら政治倫理審査会に出席して直接、野党の質問に応じたり、名前が出ている大臣経験者の多くが、今回の政治資金問題の中身を詳らかにしている。そして、野党の抵抗虚しく、岸田政権は今国会において来年度の本予算を衆院で通した。本来、野党がもっと追求できると踏んでいたのだろうが、そうはならなかった。 この原因は、政倫審を開催したことによることが大きい。野党は政倫審に、ましてや岸田総裁自ら出席するとは予想してなかっただろう。つまり、岸田総理は逃げると予測していたのだ。その根拠は、マスコミと野党とその支持者が騒ぐことで、岸田政権の支持率が低下したことで、これ以上の低下を恐れて、ダラダラと予算審議を長引かせると考えていたのだ。 そうなればますます支持率が低下し、追い込まれて解散になれば、或いは政権交代までも考えていただろう。 しかし、現実はそうはならなかった。 ここは自民党国対が老獪だったと見るべきだ。つまり、野党の思惑の裏を描いた形で、政倫審を開催し、予算審議も結果的に日程通り行われた。そもそも政倫審を開催せよと迫ったのは野党であり、その野党が政倫審で岸田総裁を追い込むことが出来なかったのが、野党の全ての敗因だ。野党はタカを括っていたのである。どうせ岸田総裁は政倫審開催を回避するだろうと読んでいたのだ。 その裏を描いた自民党国対は、やはり今の野党など到底、敵う相手ではないことを証明してしまった。 前回の拙稿でも触れたが、野党議員とその支持者は、小野寺予算委員長の不信任決議あんの弁明において、山井議員の3時間にわたる無駄話を評価しているが、あれはむしろ逆効果だったと見るべきだ。また、その直後に提出された鈴木財務大臣の不信任決議案にしても、アッサリと一蹴された。 むしろ、それらを主導した立憲民主党に対して、他の野党から批判の声が出始めている。私は、泉代表の責任論が出てもいいくらいだと考えている。何故なら、仮に今解散されたら、立憲民主党は大きく議席を減らす事態になるだろう。 そして、これが肝心なのだが、今回の政倫審開催と衆院における本予算の決議によって、極端に言うと野党は岸田総理に解散の含みを持たせることになってしまったのだ。これは野党国対の対応の不味さを如実に示すものだ。 つまり、本予算が可決することは決まったので、総理はいつでも解散に打って出ることが出来る。政倫審を開催し、総理自身が出席して説明を行ったことで、野党は他に自民党を追求する術を失ってしまったのだ。 今後、参議院での質疑が始まり、立憲民主党を中心とした野党は衆議院以上に苛烈を極めた攻勢を考えていたとしても、与党議員の中に政治資金不記載問題を抱えながらも今年度中に来年度予算を通すことが決まったのは、岸田政権の離れ業と言ってもいいほど、意味が大きい。日程闘争は、今回の衆議院で終わったのだ。それを終わらせるしかなかった立憲民主党の安住国対は、能力不足を自ら示したと言える。 |
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●子育て支援金 将来の増加「法律上可能性ある」加藤こども政策相が答弁 「増加していく仕組みはない」との見解も 3/5
岸田政権が掲げる少子化対策の財源として公的健康保険に1人あたり平均で月500円弱が上乗せされる子ども子育て支援金について、5日の参院予算委員会で、日本維新の会の音喜多政調会長が、将来的に負担率が増加する可能性があるか質したのに対し、加藤鮎子こども政策相は、増加しないとの見通しを示す一方、「法律の建て付け上、可能性としてはありうる」と答弁した。 質疑の中で音喜多氏は支援金制度について「一度成立してしまえば、なし崩し的にその負担が増えていく可能性もある。厳しい言葉で言えば唾棄すべき最悪の制度だ」と批判した。その上で、支援金の率は政令で定める範囲内で保険者(健保組合など)が定めることになっているが、政府はどの程度の金額を想定しているのか尋ねた。 これについてこども家庭庁の担当者は、「政令については、関連法案が成立すれば2026年度に支援金が施行されるので、その施行に向けて今後検討していく」との方針を示した。 音喜多氏は「法律を見ると子育て支援金が政府の一存で引き上げられていくという可能性が全く否定できない」として、将来的に国民の負担が増える可能性を質した。 これに対し加藤大臣は「支援金の総額は2028年度において、1兆円程度とすることを法案に明確に規定しており、政府としてはこれを着実に実施をしていく」と述べた上で「実質的な負担が生じないことを制度面で確保することとしている」と強調した。 音喜多氏は政府が支援金の率を決める政令について、「社会保障負担率の上昇に与える影響の程度が、社会保障の歳出削減などによる負担率の低下に与える影響の程度を超えないものとする」とした法案付則の規定を「考慮しなければならない」とされていると指摘。その上で「これは禁止規定ではない。法的な解釈とすれば、考慮した結果、負担率を増加させることもできる。支援金の負担が上がっていく可能性は法的には否定できない」として加藤大臣の見解を求めた。 これに対し加藤大臣は「政府が政令を定める際においても法の趣旨が考慮されることになる。なお、支援金は児童手当に充当されるものであり、高齢化に伴い費用や保険料が増大する医療・介護とは異なる」として、支援金の実質負担は増えないとの見通しを強調した。 そこで音喜多氏は重ねて「規定では考慮はするけれども禁止はされてない。法的には負担率が上がる可能性は残っているのではないか」と尋ねた。 これを受け、こども家庭庁の担当者は「子どもの数が増えていかない限りは、支援金は増えない建て付けになっている。基本的に増加していくという仕組みにはなっていない」と強調する一方、「端的に(上がる)可能性があるかないかということであれば、可能性としては総額によるので、ある」と答え、加藤大臣も「法律の立て付け上、可能性としてはありえる」と述べた。 |
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●豊田自動織機、エンジン3機種の型式取り消し 国交省 3/5
豊田自動織機の排ガスデータ不正問題で、国土交通省は5日、ショベルカーとフォークリフト向けエンジン計3機種で生産に必要な認証「型式指定」を取り消した。同社は2023年4月にもフォークリフト用エンジン2機種の型式が取り消されており、今回の処分で5機種に広がった。 3機種では、実測値と異なるデータを用いるなど悪質な不正が確認されたほか、排ガス性能が基準に適合していなかった。国交省は2月29日に豊田織機の意見を聞く聴聞を実施したが、同社側は欠席した。提出した陳述書でも「意見はない」と回答していた。 型式を取得するには通常、申請してから約2カ月かかるとされる。不正が判明した企業には審査が厳しくなり、再取得には通常より時間を要するとみられる。 |
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●れいわ・山本氏「いつ辞める」「いつ解散する」、岸田首相「今…考えていない」 3/5
岸田文雄首相は5日の参院予算委員会で、れいわ新選組の山本太郎代表から「いつ辞めるのか」と問われ、「今は私の職責を果たすために全力で取り組んでいる。この先のスケジュールについては何も考えていない」と述べた。 山本氏は、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡り「裏金問題で国民に信を問う解散が必要ではないか。いつ解散するのか」とただした。首相は「政治資金を巡り国民に大きな不信の思いを抱かせ、政治の信頼を失った。深刻に受け止めている」とした上で「おわびするとともに、信頼回復に向けて先頭に立って取り組む。それ以外のことは今考えていない」と強調した。 山本氏は「自民議員の4分の1は裏金ネコババの泥棒だ」と決め付けた。さらに「泥棒が作った(令和6年度)予算案を普通に審議している現在もおかしいし、泥棒が作った法案を通常国会で成立させようとしていること自体おかしい」と主張した。 立憲民主党にも矛先を向け、「粛々と泥棒予算を審議し、最後だけちょびっと戦うふりをして、結局年度内成立に力を尽くした衆院野党第一党もグルだといえる。国民の信を問う必要がある」と訴えた。首相は「政治の信頼回復に全力で取り組まなければならない。(能登半島地震の)復興予算をはじめとする国民生活にかかわる重要な予算の審議をお願いしている。予算の成立に全力を尽くしていく。それ以外のことは今考えていない」と否定した。 |
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●派閥がダメなら「勉強会」だ!「世界観、国家観、歴史観」の講演に「それは自分で勉強するもんだろ」冷笑 3/5
裏金・脱税にまみれる自民党は、岸田文雄首相らが派閥解消を打ち出したことで、派閥の代わりに中堅・若手の国会議員らを育成するためとして、新たな勉強会を立ち上げた。だが、そのピント外れぶりが、かえって浮き彫りになっている。 岸田首相に近い党中央政治大学院(「国及び地域の将来を担うにふさわしい人材を発掘、育成すること」を目的として設置された機関)の遠藤利明学院長(元総務会長)と、小渕優子選対委員長が中心となって動いた。遠藤氏は次のように呼びかけている。 「ひとつひとつの政策もちろん大事だが、世界観、あるいは国家観、あるいは歴史観、こうしたものをしっかり踏まえて、それを背骨にして対処していかなきゃならない。そんな勉強会にしよう」 1回目の3月4日は、齋藤健経産相が「戦前史」をテーマに講演し、中堅・若手の国会議員と選挙区支部長ら、合わせて94人が参加した。 もっとも、党内からは冷笑が漏れており、「『世界観、あるいは国家観、あるいは歴史観』なんて自分で勉強するものだろう。そもそも、国会議員になる以前に持ってるべきものじゃないのかな。こういうところが自民党のダメなところだと思うんですがね」(松本尚防衛政務官) これにはさる全国紙論説委員も松本氏の主張に呼応する形で、〈本当にそう。的外れに世論に迎合しようとして幼稚化する。かつての民主党政権の小沢チルドレンみたい〉とXに投稿した。 勉強会は政治家としての自覚の欠如をかえって印象付けた。今の岸田自民党の低迷ぶりを象徴しているようである。 |
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●米政府 五ノ井里奈さんに「世界の勇気ある女性賞」授与 3/5
アメリカ政府が女性の地位向上などに貢献した人を表彰する「世界の勇気ある女性賞」の授賞式がホワイトハウスで行われ、みずからの性被害を訴え、自衛隊の改革にもつなげたとして選ばれた元陸上自衛官の五ノ井里奈さんらに賞が授与されました。 アメリカ国務省は人権擁護や女性の地位向上などに貢献した女性に「世界の勇気ある女性賞」を授与していて、ことしは元陸上自衛官の五ノ井里奈さんなど12人が選ばれました。 4日、首都ワシントンのホワイトハウスで開かれた授賞式には、ジル・バイデン大統領夫人やブリンケン国務長官らが出席し、壇上に並んだ五ノ井さんら一人一人に対して賞が授与されました。 国務省は五ノ井さんの受賞理由について「自衛隊での性被害を訴え、日本社会ではタブー視されている問題に光をあてた」と説明しています。 ジル氏はあいさつの中で「この壇上にいる女性たちは、沈黙することを拒み、恐怖やリスクにさらされながらも、自分自身やみんなのために声をあげた人たちだ」とたたえました。 また、授賞式では、ホワイトハウスのジャンピエール報道官が、五ノ井さんが東日本大震災で被災した際の経験がきっかけとなり自衛隊に入隊したエピソードを紹介しました。 五ノ井さんは、柔道着姿で式に参加し、笑顔でトロフィーを受け取っていました。 ●五ノ井さん「自分の行動 間違っていなかった」 授賞式のあと五ノ井さんは国務省でNHKの取材に応じ「1人で声を上げ続けてきた中でこういう賞をいただけたのは、自分の行動が間違っていなかったのだと思いました。日本で声を上げると、ひぼう中傷がありましたが、心が折れそうなとき、海外で評価されたり、直接、『あなたは間違っていない』という言葉をもらったりするたびに心が救われたので、感謝しています」と話していました。 また、柔道着で授賞式に出席したことについては「幼いころから柔道を通して心も体も強くなりました。自衛隊で被害にあって声を上げ、心が折れそうになったときも柔道があったからこそ立ち直ることができました。投げられても何度も立ち上がる強さを教えられ、人生においても戦う力に変わっていきました。柔道に敬意を表すために柔道着を着て出席しました」と話していました。 そのうえで、今後の活動については「柔道のすばらしさを伝えていきたい。柔道を通して投げられても立ち上がる強さというのを悩んでいる人や苦しんでいる人に伝えていきたい」と話していました。 |
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●「敵に塩」は若者には難しい?"伝わらない"日本語 3/5
スマホ社会の現代日本。 若者たちは黙々と動画やゲームの画面と向かい合い、用事は絵文字を含む超短文メールを素早く打つばかり。 時間を割いて他人と会って話すのは「タイパが悪い」とすら言う彼らと、「生きた」日本語の距離がいま、信じられないくらい離れたものになっています。 言い換えるならそれは、年配者との間の大きなコミュニケーションの溝。 「日本人なのになぜか日本語が通じない」という笑えない状況は、もはや見過ごせませんが、「その日本人同士と思うところが盲点」と、話すのは、言語学者の山口謡司氏。 『じつは伝わっていない日本語大図鑑』と題された一冊には、日本人ならハッとする指摘が満載。 その中から、会話が通じない「落とし穴」になりがちな日本語の興味深い例を紹介してみましょう。 ●言葉の理解は、歴史・文化を知ってこそ 日本語は、本当にもののたとえが上手です。 ・「赤子の手をひねるように」→簡単な ・「奥歯にモノが挟まったように」→言いたいことを素直に言わない ・「芋を洗うような」→すごい混雑ぶり ・「絵に描いた餅のように」→実現不可能な ・「腫れ物に触るような」→緊張感をもって慎重に ……などなど。 これらは、頭に何となく具体的なイメージが浮かびますから、若い人であっても、比較的容易に意味をつかむことができると思います。 けれども、ウクライナ戦争に関して、先ごろ出された次のような新聞記事についてはどうでしょう。 単純なイメージをふくらませたところで理解に至らないある比喩の言い回しが添えられていました。 それは、ロシアがますます侵攻して、欧州有数の岩塩鉱があるウクライナ東部のソレダルという土地を占領したというもの。 そこから採れる良質な塩は、ウクライナ人にとっては「国民の誇り」にほかならず、まさにウクライナ人の命のもとだったそう。 やむなくウクライナはアフリカから塩を買わざるをえない窮状に追い込まれてしまった――。 一方、もともと塩の輸入国だったロシアは一転して、塩の大量保有国に。 こうした状況を伝えた最後に書かれていたのが、この結び文です。 「塩の純輸入国だったロシアは生産量が増えたが、敵に塩を送る気配はなさそうだ」(読売新聞2024年2月7日付) ●意外にも歴史をもとにできている言葉は多い 我が国で古くから言いならわされた「敵に塩を送る」という言葉を織り込んでいます。 この言葉は、越後の上杉謙信が、宿敵・甲斐の武田信玄に塩を救援物資として送ったという逸話からきています。 海を持たない山国の甲斐で人の命に関わる塩が不足とは一大事。 敵の弱みに付け込まない謙信の振る舞いは、優れた人間性を示すと同時に、最終的にはそういう行為が巡り巡って自分たちのプラスになることもありうるという、いわばある種の教訓も込めながら伝えられてきました。 このように、有名な史実や故事が由来となっている言葉は、私たちの身の回りにたくさんありますが、年配者なら長い人生の途中で何度かは耳にして、多くの人が意味をだいたい知っているはず。 けれど、はたしてスマホの動画やゲームに夢中になっている現代の若者たちに、それらの理解がどこまで及んでいるのか……少なからず疑問です。 「敵から塩を送られる」とは、「かたじけない、身に染みてありがたい、感謝すべきこと」などと、即座に意味を把握できる若者は、実際どれくらいいるのでしょうか。 先日も「常陸牛」など、茨城県がブランド化している「常陸」の字を20〜30代の約半数が読めなかったという調査が話題になりました。 おそらく、いまや我が国の喫緊の課題となっている若者たちの活字離れ(読書離れ)と連動していると思われるのですが、豊富な活字知識の蓄積がある中高年と、対照的に奥深い日本語とは遠く離れている現代の若者たち……。 世代間のコミュニケーションがスムーズにいかない一因が、こうしたところにもあるような気がしてなりません。 ●たかが言葉一つ、されど言葉一つ 難しい言葉なんか知らなくたって、コミュニケーションは成り立つ。 確かに若い人からはそういう声も聞こえてきそうです。 しかし、言葉一つでも、史実や故事が由来になっているものは、他の言葉とは圧倒的に重みが違います。 その言葉(言い回し)を発しただけで、歴史の知識や教養がおのずと立ち昇ってきます。 それらを知っていることが、会話の豊かな潤滑油になり、あなたの人間としての奥行きも示してくれるはずです。 たとえば、年配者も交えてスポーツ観戦などに行くことがあった場合、「応援しているのは、どっちのチーム?」と尋ねられて、「僕は『判官びいき』ですから、Aチームを」などと答えたなら、年配者からは「ほう、なかなか学のある奴だ」などと思ってもらえるかもしれません。 もしも、その人が会社の上司だったなら――、次からあなたを見る目もきっと変わるのでは。 ・「判官びいき」……「判官(はんがん/ほうがん)」とは、鎌倉時代の武将である九郎判官(源義経)のこと。兄の頼朝に憎まれて悲運の最期を遂げた薄幸の英雄を、多くの人々が愛惜し同情したことから転じて、弱者や弱い側に同情して肩をもったり応援すること その他、故事由来のこのような言葉も、覚えておいて損はないでしょう。 ・「外堀を埋める」 ・「いざ鎌倉」 ・「背水の陣」 ・「ルビコン(川)をわたる」 ・「さいは投げられた」 歴史由来だけではありません。 日本語には、歌舞伎や日本建築などの文化と結びついている言葉も多数あります。 たとえば、あなたは次のような言葉を、由来と正しい意味を認識したうえで、日々の会話の中にスマートに滑り込ませることができますか。 例を5つ挙げてみますので、説明を読みながら確認してみてください。 ・「板に付く」……板とは舞台のこと。役者が経験を積んで、その芸が舞台にぴったり調和する意から転じて、職業や任務、地位、服装、態度などがその人にしっくり合うこと ・「反りが合わない」……人と気心が合わないこと。刀の反りと、それをしまう鞘(さや)が合わない意から ・「うだつが上がらない」……出世ができない。いつまでも身分が低いままでパッとしない。「うだつ」とは、家の建築で梁(はり)の上に立てる短い柱。屋根の重みを受け、上から押さえつけられているように見える。それにたとえて ・「タガがゆるむ」……タガは竹や金属で作る輪。桶や樽などの外側にはめ、きつく締めあげて、堅く丈夫に仕上げるためのもの。それがゆるむとは、すなわち、緊張がゆるんだり、気力や思考力などが衰える、などの意 ・「お膳立てが揃う」……始めようとしていることの準備がすべてできた。すっかり支度が整った。そのような場合に使う言葉。食膳に料理が全部並べられたという意から ●語彙を増やせば人生も豊かになる 現代における世代間のコミュニケーション・ギャップは、読書も含め活字のシャワーを浴び続けてきた上の年代と、スマホ画面と首っ引きの若いデジタル世代の間に横たわる深い言語の溝に問題があることは、確かです。 しかしながら、歴史や文化に由来する言葉については、まったく別だと言えましょう。 なぜなら、いまを生きる老いも若きも皆、同じような過去に連なっている人間です。 昔の人が残した戒めや、故事が伝える教訓などは、現代人にとっての財産でもあります。 それゆえ、若いから昔のことには関心ないとか、興味ないとか、そんなことを言うべきではないと思うのです。 日本人が代々寄り添ってきた格言などを、若い方は、もっと若い方に、順々に伝えていく……そうした使命のようなものがあるのではないでしょうか。 せめて過去の人に学ぶ貴重な言葉の習得だけでも、ふだんからできるだけ努めてほしいと願うばかりです。 具体的には、次のようなことを心がけてほしいと思います。 ●日本に関する教養を広げる 本を読む。映画(時代劇や、アニメでも)を観る。演劇を観る。落語を聞く……。 いずれからも、私たちの歴史に触れ、日本文化を感じ取ることができる。知識を得て、いままで知らなかった言葉も知り、語彙が増える。 ●視野を広げる 室内にこもってゲームばかりするのではなく、外に出て行動してみよう。 たとえば旅に出る……など。古い寺社を訪れたり、新しい建築物に目を見張ったり。初めての人と話をする機会もあるはず。 そうした経験が重なることで、日本語も豊かになる。 ●たとえの各言い回し:詳しい説明 ・「赤子の手をひねるように」……まったくたやすくできるさま ・「奥歯にモノが挟まったように」……言いたいことがあれば素直に言えばいいものを、思わせぶりに言い切らないさま ・「芋を洗うような」……体と体が擦り合うほど、大勢の人々で混雑している様子 ・「絵に描いた餅のように」……絵に描いた餅は食べられないことから、実際の役に立たないもののこと。また、計画などが実現する見込みがないこと。失敗して無駄な骨折りになるさま ・「腫れ物に触るような」……気難しい人などに対し、万が一、機嫌を損ねたら大変と思いながら、慎重に接するさま 古くから言い伝えられている話が由来となっている日本語も多数あります。 ●故事由来の言い回し ・「外堀を埋める」……目的達成の邪魔になるものを、適当な口実を設けて取り除くこと。徳川家康が口実を設けて豊臣方の大坂城の外堀を埋めさせて、やがて攻略したことから ・「いざ鎌倉」……これは大ごとだ、大事件が起きた、と身構えること。鎌倉幕府に大事が起きたなら御家人がすぐに駆けつける、という謡曲の一場面から ・「背水の陣」……一歩も退けない状況において、全力を尽くして事にあたること。中国漢の韓信が敵の趙と戦ったとき、退却すれば溺れるしかない川を背にした捨て身の布陣で勝利した故事から。決死の覚悟が兵士たちを奮い立たせた ・「ルビコン(川)をわたる」……ルビコン川はイタリアの川の名前。紀元前49年、ローマのポンペイウスとの戦いを決意したシーザーが、ルビコン川を武装して渡ることは禁じられていたにもかかわらず、この川を渡って進撃した史実から、きわめて重大な決断をするという意。日本の会社経営者が、社員にこの言葉を使って呼び掛けることも ・「さいは投げられた」……ルビコン川を渡る際、シーザーが言ったとされる言葉。「さい」は「サイコロ」。もう投げてしまったのだから、後戻りはできない。考えたり悩んだりは無用――。強い決意で断行あるのみだ、という意味で、日本社会の主に仕事関係でも、しばしば聞かれる |
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●日本に外国人自治区を作らせるな 3/5
●在留資格の見直し案 岸田政権は以前から不法滞在外国人の在留資格を見直すことを明らかにしていたが国内では批判が出た。不法滞在は犯罪なので強制送還が妥当であり特別に在留資格を与えることは危険だとの声が出ている。だが岸田政権は国内の批判の声を聞かず、法務大臣の裁量で在留資格を特別に認める基準を定めたガイドラインを見直す案が公開された。 公開されたガイドラインの見直し案は親子が日本社会に溶け込み子供が日本の教育を受けていることで在留資格が与えられる見込み。実質的に移民政策であり、不法滞在が正式に在留資格に変わるガイドラインは曖昧なまま強行されようとしている。 ●在留資格がないなら犯罪 不法滞在は犯罪なのだが岸田政権は国民からの批判を無視し不法滞在の外国人を優遇する道を邁進している。ガイドラインの見直し案では、在留資格がない親でも地域社会に溶け込んでいることが条件とされるが、この溶け込む条件が曖昧だ。何故ならクルド人のように集団で生活し日本人を排斥する立場になっても地域に溶け込んでいると見なされる危険性がある。こうなると中国人・朝鮮人・ベトナム人を問わず集団で生活しているなら強引に地域に溶け込んでいると見なされる。 ・在留資格がなくても親が地域社会に溶け込んでいる。 ・子供が長期間、日本で教育を受けている。 さらに子供が日本で長期間教育を受けているなら、子供をネタに在留資格を与える好条件となる。さらに家族単位で在留資格を得るなら短期間で現地の日本人よりも多数派になることも可能。 岸田政権が進める在留資格の乱発は犯罪である不法滞在を移民政策に変える手段と言われているが、実際は日本各地に外国人自治区を作らせる最悪の未来に導いている。今でさえ難民とされるクルド人と日本人の関係悪化が拡大しているが、これは狭い地域に2000人以上のクルド人が集まったことで対立が先鋭化している。 ●外国人自治区の誕生 難民であるはずのクルド人は日本で起業し収入を得ている。本来は働けないはずのクルド人が国内で働き住所不定でも車を運転している。さらに収入を得ているが納税もしていない。これがネットで拡散し国内で批判の声が出ているが政府・警察は動かない。これは何を意味する? 決論から言えば国内にクルド人自治区が生まれようとしている。これを生み出しているのが岸田政権であり、在留資格の見直し案が決まればクルド人は正式に在留資格を得るだろう。だが岸田政権は外国人との理由で日本人とは異なり納税の義務をクルド人に与えない可能性がある。もしくは税務署すら介入できない特別なクルド人自治区が与えられる。 日本とは異なるがジョージア(旧名グルジア)は移民に国を奪われた典型例。ソ連はロシア系住民をジョージアに送り込んでいた。ソ連が崩壊しロシアに変わる時代になるとロシア系移民が現地民よりも多くなった。するとロシア系移民は移民自治を求め選挙を求めた。選挙は多数派が勝利するからロシア系移民が多いから勝利するのは当然。 ロシア系移民が移民自治を選挙で獲得するが、これで終わりではない。ロシア系移民は祖国ロシアへの帰属をプーチン大統領に求めると、プーチン大統領は国民の要請に応じ「自国民保護」を名目にジョージア北部に軍隊を派遣した。これでジョージア・ロシア戦争(2008)に至った。 岸田政権が進める不法滞在外国人の在留資格の見直しが成立すれば、日本各地に家族単位で在留資格を得る外国人が激増するはずだ。次は在留資格を持つ国民同士が特定の場所に集まり日本人を少数派に変える。そうなれば町の区画単位で外国人自治区が形成されるだろう。区画単位が連結し町単位で外国人自治区となれば警察すら介入できない世界となる。では、外国人自治区を獲得した者が祖国に保護を求めたらどうなるのか? 答えは明白だ。ロシアのように自国民保護を名目に日本に軍隊を派遣する可能性が高くなる。日本周辺で可能性が高いのは中国・韓国・ロシアとなるだろう。中国と韓国は戦後から日本各地に自治区に近い共同体を形成していることが知られている。ならば在留資格を悪用して家族単位で人数を増やし日本人を少数派に変えることは容易だ。 ロシアがジョージアで行ったように中国も日本国内に人民解放軍を「自国民保護」を名目に派遣するだろう。仮に岸田政権であれば人民解放軍を受け入れることは間違いない。それでは岸田政権の次であれば? もし次の首相が親中派であれば間違いなく日本各地に外国人自治区を作り中国人自治区への批判を回避する。そして中国人自治区から保護を名目に人民解放軍を派遣させることになる。 この予測が実現すれば他の国も自国民保護を名目に軍隊を日本に派遣する危険性もある。その場合は政府が受け入れると自衛隊は何もできないことになる。そうなれば日本は外国人自治区で分断されるか国を守るために内戦に至ることになる。 ●政治に無関心な国民 個人の利益よりも全体の利益を優先した多数決が民主主義。これが民主主義の条件であり、「国民は公正無私の立場で選良を選ぶ」という仮説により成り立つ。人間は不完全な生き物という前提を無視しているので仮説が崩れると衆愚政治や扇動政治に陥る。実際にギリシャは民主主義の始まりだが、ギリシャの民が民主主義の基本を忘れて己の欲望を優先すると民主主義は衆愚政治に至り腐敗した。 今の日本はどうか? 多数決が民主主義との間違った部分が拡大し多数派工作で政策が作られている。もしくは個人の利益を優先し全体の利益にすり替えた衆愚政治になっているではないか。これは国民が政治に無関心だったことが原因で、愛国心は忌避され反日政治家が大量に生まれた。 ならば選挙権を持ち愛国心がある者は次の選挙で愛国心のある政治家を選ぶことが未来を変える手段となる。政治家は国民の代表なのだから、個人の利益よりも全体の利益を優先する政治家が求められる。それは日本の伝統・文化・風習・言語・価値観などを次世代に渡す使命だ。この覚悟を日本人は求められている。今の日本は外国人自治区が生まれようとしているが、変えられるのは今の日本人だ。そして未来の日本人から憎まれるか尊敬されるかの分かれ道なのだ。 |
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●4月解散否定の岸田首相は「政権交代までないと思ったら、行くかも知れない」 3/5
元衆院議員の金子恵美氏が5日放送のTOKYO MX「バラいろダンディ」に生出演。岸田文雄首相が4日の参院予算委員会で4月の衆院解散、総選挙について「まったく考えていない」と否定したことについて、私見を述べた。 「安倍(晋三)さんは『まったく考えていない』って言う時が一番考えていただろうなって。まったく考えていないって時が一番危ないって、私たちは思ってはいましたけど…」とまず話した金子氏。 その上で「岸田さんがそうかは分かりませんし、去年のサミット後とか、やれるタイミングがあったはずだけど、中々、タイミングを逸して今に至っているから、カードを切る勇気が岸田さんにあるのかは分からない」と続けた。 「総裁選がある年の3、6、9(月)が気を付けた方がいいって聞いたことがあって、3月は予算が成立したタイミング、6月は国会閉会で不信任案を出されるかも知れないタイミング、9月は総裁選本番で、何かあるかも知れない」と説明した上で「自民党が減っても、減り幅で政権交代までないとなと思ったら(解散に)行くかも知れないなと私は思ってるし、なんなら9月の本番になったら、そのまま終わっちゃうので、その前になんとか信を問うてって。国民の皆さんに信を得た総理を代えることはできないですから、なんとか、その前で一回やりたいと。やらないまま総裁選を迎えたら難しいと…」と続けていた。 |
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●「政倫審にはしゃしゃり出たのに」山本太郎氏、能登半島地震議論の災害特別委へ岸田首相出席を要求 3/5
れいわ新選組代表の山本太郎参院議員は5日の参院予算委員会で、自民党の裏金問題をめぐり自ら衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席を発表した岸田文雄首相が、能登半島地震への対応を議論するため、衆参両院の災害対策特別委員会には自発的な出席表明をしていないと批判した。 山本氏は「(首相は)政倫審は自分を出してくれと言ったのに、災害特には『自分が出たい』とは言わないんですね」と指摘。地震発生後、首相出席の災害対策特別委員会が開かれていないとして、首相の見解をただした。 首相は「私自身は予算委員会で、予算全体についての議論にしっかり答弁させていただく。その中で、災害対策も答弁させていただくことで、説明責任を果たして行くべきと考えている」と反論。山本氏は「呼ばれてもいないのに政倫審にはしゃしゃり出る。災害特にはだんまりというのは、腰が引けてません? ご自身で出ると言ってほしい。被災地、被災者にあまりご関心がないのか」と指摘したが、首相は「(政倫審も地震対応も)ともに重要な議論だ」として、災害対策特別委員会の開会や自身の出席が必要と判断されれば「運営にしっかり協力したい」と述べた。 山本氏は、岸田政権の地震対応は不十分と再三指摘しており、この日も「被災者を切り捨てる程度では、政権は吹っ飛ばないという危機感ですよね。でも政倫審は(開催しないと)政権が吹っ飛ぶ可能性がある。被災地に関してはその心配がないと。そんな薄情なことを言っているのではないか」ともただした。 一方、山本氏は能登半島地震対応をめぐり、被災した住民への食事について自衛隊による炊き出しで確保すべきと迫ったが、首相は「自衛隊だけではなく、自治体と協力しながら対応している。ご指摘の点を踏まえながら引き続き、最大限の努力を続ける」と述べるにとどまった。首相は、次の被災地入りの予定を再三問われると「今、具体的な日程は決まっていないが、現地と意思疎通をはかり、現状を把握した上で必要なタイミングでさらなる現地入りも考える」と応じた。 |
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●自民・茂木氏の政治資金移動、首相周辺も「脱法的」裏金処分にも影響 3/5
自民党の茂木敏充幹事長をめぐり、専門家が「脱法行為」と厳しく指摘する政治資金の移動が明らかになった。裏金事件に関係した議員を処分する際、重要な役目を担う幹事長自らが「政治とカネ」で問題視されたままでは、処分の正当性が揺らぎかねない。 茂木氏の政治資金をめぐっては自らの国会議員関係政治団体から、住所や会計責任者が同じ「その他の政治団体」に2022年までの10年間で約3億2千万円が移されていた。その他の政治団体は、国会議員関係政治団体より金の使途の公開ルールが甘く、何に金を使ったか分かりにくい。 茂木派事務総長の新藤義孝経… ・・・ |
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●世論調査が各社で違うのはなぜ?朝日新聞と産経新聞の調査を両紙の記者が比較・解説!選挙ドットコムちゃんねるまとめ 3/5
YouTube「選挙ドットコムちゃんねる」では、毎週選挙や政治に関連する情報を発信中です。 2024年3月2日に公開された動画のテーマは……最新世論調査チェック!各社ごとに違うのはなぜ? ゲストに朝日新聞政治部記者の今野忍氏と産経新聞政治部記者の水内茂幸氏をお招きし、新聞各社の世論調査の違いについて語っていただきました。 世論調査はなぜ各社で異なる?低支持率でも岸田政権が維持できている理由とは? 【このトピックのポイント】 ・新聞各社で調査手法は大きく変わらないが、さら問いの有無などによって数字が変化している ・岸田政権の弱点は岸田総理のタフさゆえに役割分担ができていないこと ・岸田政権のターニングポイントは4月の衆院補選 ●各社世論調査 2024年2月の結果 2月の世論調査で、産経新聞は内閣支持率が5.2ポイントと大きく下落しています。水内氏はこの結果について「他紙に比べると今の政権に強めの数字が出る傾向はある」としつつ、今回の大幅下落で他紙と同水準の支持率になったとコメントしました。 その要因として、水内氏は自民党派閥の政治資金パーティーの影響に言及しました。 水内氏「自民党が飽きられていて、その象徴みたいな形で岸田さんも飽きられている部分が出ているのかなと思います」 今野氏は水内氏の「産経は政権に強めに出る」という意見に対し「安倍政権時代に比べたらそうでもなくなった感じがする」とコメント。安倍政権時代は岩盤支持層の存在によって支持率が安定していた点に言及しました。 実際、安倍政権が支持率20%台まで下がったことは一度しかありません。それに対し、岸田政権は20%台が定着しつつあります。 本来であれば政権交代が起きてもおかしくない数字ですが、野党第一党である立憲民主党の支持率が低いため、その実現には至っていません。 今野氏「下手したらこのまま選挙やっても、立憲と維新で競い合ってくれれば漁夫の利で自民党が勝つかもしれないっていう不思議な状況が今起きてますよね」 今回、朝日と産経は内閣支持率、自民党支持率どちらも同水準の結果となりましたが、そもそも集計方法に違いはあるのでしょうか。 水内氏によると、産経新聞ではオペレーターによる聞き取りを行っており、地域や年代、固定電話と携帯電話で偏りが出ないようにバランスを取っているとのこと。この手法はどの新聞社でも大きくは変わらないのでは、とコメントしました。 今野氏は毎日新聞と時事通信の数字が低く出る傾向がある点に言及。調査方法が異なる可能性があるとしました。 さらに、日経新聞は質問の回答に対してさらに質問する「さら問い」を実施しているため、数字に違いがでると今野氏。「どちらとも言えない」との回答に対し、「しいて言えば?」とさら問いすることで、政権が上向きな時は支持率が高くなる傾向があるとのことです。 現状、各社とも内閣支持率・自民党支持率ともに低迷が続いています。この数字を見て2009年の政権交代の時のようだという自民党議員もいるようですが、今野氏は野党の支持層が上がっていない点が異なると指摘します。 その状況について水内氏は「岸田さんにとってはラッキー」とコメント。他の野党に政権担当能力がないと思われている証拠であり、岸田おろしが起きない証拠でもある、と語りました。 |
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●岸田首相の資金管理団体、22年は政治資金パーティー収入が98・4%… 3/5
総務省は5日の参院予算委員会で、岸田首相の資金管理団体「新政治経済研究会」の2022年分の収入のうち、政治資金パーティーによる収入が98・4%を占めたと明らかにした。 共産党の田村委員長の質問に答えた。パーティー収入の割合は21年分で82・6%、20年分で96・9%だった。岸田首相はパーティーに関し、「法律に従って対応しており、問題がないと考えている」と述べた。 首相は2月29日の衆院政治倫理審査会では、首相在任中のパーティー自粛を表明した。 |
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●政治資金問題 “関係議員 要職起用は責任踏まえ判断”岸田首相 3/5
国会は参議院予算委員会で新年度予算案の審議が行われ、岸田総理大臣は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、関係議員の要職への起用は、どのように説明責任や政治責任を果たしたかを踏まえ判断する意向を示しました。 日本維新の会の音喜多政務調査会長は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて「『裏金』議員たちの疑惑は当分、払拭(ふっしょく)されないし、法的な処分が下る可能性もある。この間は政務三役などの要職への登用は極めて難しいのではないか」と指摘しました。 これに対し岸田総理大臣は「説明責任や政治責任を十分果たさなければ、役職に就いた際、国政に遅滞を生じさせることになりかねず、それぞれの立場を踏まえ責任を果たしたという判断が求められる。国政が遅滞しないよう人事を考えるのは当然だ」と述べました。 国民民主党の川合幹事長代行は実態解明をめぐり「真相究明につながる答弁がなされない中で問題が長期化すれば政治不信はより大きくなる。原因を究明しなければ再発防止は絶対にできず、政治倫理審査会にはすべての当事者が出席しきっちり答えてほしい」と求めました。 これに対し岸田総理大臣は「関係者は、会見などで説明してきたが、まだ不十分だという指摘を受けて政治倫理審査会などへの出席が求められている。審査会のルールに従って説明責任を果たしてもらわなければならない」と述べました。 共産党の田村委員長は、安倍派で行われていた所属議員へのパーティー収入のキックバックをめぐり「参議院選挙の改選の年だけ『裏金』が膨れ上がっていた議員がいる。増えた『裏金』は選挙運動への寄付ではないのか。公職選挙法違反の重大な疑惑で、わからないでは済まされない。徹底した事実解明を行うべきだ」とただしました。 これに対し岸田総理大臣は「参議院選挙の年の還付金などについてより詳細な事実関係の把握を求める声は承知している。聴き取り調査だけで説明責任が尽くされたとは言っておらず、党としても実態把握に向けてさらなる取り組みを進めたい」と述べました。 れいわ新選組の山本代表は「『政治とカネ』の問題をどう是正するのか。これから数々の法案をこの通常国会で成立させようということ自体がありえない話だ。国民に信を問う必要があるのではないか。衆議院を解散しないのか」と質問しました。 これに対し岸田総理大臣は「説明責任と政治責任を果たし再発防止に向けた法改正などを今の国会で実現したい。復興の予算をはじめ国民生活に関わる重要な予算案の審議をお願いしており、成立に全力を尽くす。それ以外のことは今は考えていない」と述べました。 一方、防衛力の抜本的強化に向けた施策を検討する有識者会議をめぐり、岸田総理大臣は、防衛装備品を受注する三菱重工業の会長がメンバーとなっていることについて問われ「20人近いメンバーの中に防衛産業の現場の関係者が入っていることは総合的な防衛力を考える上で決しておかしなことではない。有識者会議は防衛費の増額を議論する場ではない」と述べました。 北朝鮮による拉致問題をめぐり、岸田総理大臣は、きのうの家族会との面会を受けて「日朝間の懸案を解決し、ともに新しい時代を切り開くには、主体的に動いてトップどうしの関係を構築することが重要と考え、私自身が判断することを改めて強く決意した。首脳会談を実現すべく、さまざまな働きかけをより強い思いで進め、結果に結び付けたい」と述べました。 |
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●裏金2000万円還流の堀井学衆院議員に不満噴出 地元北海道 3/5
自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件を巡り、派閥から計2000万円超の還流を受けていたと明らかにした堀井学衆院議員(比例北海道)に対し、地元の主要支部が、多数の党員から「候補者を替えるべき」との不満の声が出ているとして、今後の活動姿勢などを問いただす意見書を送付したことが5日、関係者への取材で分かった。 北海道9区党支部長の堀井氏は裏金問題を巡り1月に地元の登別市で記者会見。関係者によると、支援者向けに説明の機会を設ける予定だったが、2月の党苫小牧支部定期大会を欠席。追加で説明する意思はないことを支部側に伝えたという。 意見書は苫小牧支部役員一同名で今月はじめに送付。堀井氏への不満から大票田の都市部で後援会活動が相次いで停止するなど「極めて異常な状態」にあると指摘し、支部会合など地元での活動を軽視しているとして「猛省」を促した。今後の活動方針などについて回答しない場合は「われわれにも覚悟がある」と含みを持たせた。 支部長の板谷良久道議は「与党議員を失うのは地域のためにならない。(議席を)死守するため、今後の戦い方について考えを聞きたい」と話した。 |
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●自民、裏金巡り「解体的な出直し」 派閥完全解消掲げず 運動方針案 3/5
自民党は5日、17日の党大会で採択する2024年運動方針案を発表した。党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け「解体的な出直し」を図ると明記。派閥からお金と人事を切り離すことで「これまでの『派閥』から脱却し、二度と復活させない」とした。 方針案は全25ページ。派閥の完全解消までは掲げなかった。 裏金事件について前文などに「自民党全体に国民の厳しい目、強い疑念が向けられている」との危機意識を明示した。「『身内の論理』が『国民の感覚』に優先」していなかったかと投げかけ、「政治は国民のもの」という「立党の原点」に立ち返る必要性を訴えた。制度面の改革として、政治資金の透明化や公開性の向上に向け、政治資金規正法の改正などを早急に進める方針も示した。 岸田文雄首相が9月までの総裁任期中の実現を掲げる憲法改正については、年内の実現に向け「国民投票を通じ、国民の判断を仰ぐことを目指す」と明示。緊急事態や自衛隊明記に関する条文を起草する機関を「各会派の理解を得て設置」し、憲法改正原案を作成するとした。安定的な皇位継承策についても「党内での議論を進めていく」と初めて記載した。 金子恭之・党運動方針案起草委員長は記者会見で、裏金問題を巡る記載について「現状を見た中で、このことにまず冒頭で触れるということは当然だ」と述べた。 |
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●自民・森山氏、裏金事件巡る処分「党大会までに整理つけば」 3/5
自民党の森山裕総務会長は5日の記者会見で、派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る議員の処分について、17日開催の党大会までにめどを付けるのが望ましいとの考えを示した。 「党大会が党にとっては一番大事な大会なので、そこまでに一定の整理がつけば一番良いことではないか」と述べた。 処分を巡っては、岸田文雄首相(自民総裁)も「できるだけ早いタイミング」で行う方針を示している。 |
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●至る所に亀裂、能登半島地震――老舗旅館・若女将が語る苦悩 3/6
2006年4月に千葉県から創業130年に上る能登・和倉温泉の老舗旅館「多田屋」に嫁いだ多田弥生さん(46)。会社員の家庭に生まれ育ち、看護師として働いていた弥生さんが、「花嫁のれん」をくぐり若女将になってからの苦労や喜びを、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」はこれまで7回にわたって放送してきた。そんな若女将18年目の弥生さんを2024年元日、かつてない大きな試練が襲った。言わずと知れた能登半島地震だ。2007年の能登半島沖地震以来2度目の試練といえるが、その被害は1度目とは比べものにならない。しかし、そんな中でも、夫を信じて前に進もうとする弥生さんの長い闘いの始まりを取材した。 ●能登半島地震発生当日 2024年1月1日。弥生さんは自宅で家族とおせち料理に箸をのばした後、旅館の事務所に向かった。 午後4時ごろだった。この日も旅館は満館。正月をゆったりと過ごそうと、およそ150人の宿泊客が訪れていた。 見上げると、冬の澄んだ青空が広がっていた。「元日からこんなにいい天気なんて、何か起こりそう…」。そんな思いがふと頭によぎった。 そして、そんな弥生さんの予感は、残念な形で的中することになる。 前触れは午後4時6分、最大震度5強の地震だった。旅館がある石川県七尾市の震度は3。ここ数年、能登半島では地震が頻発していた。 弥生さんは「いつもどおり、すぐに収まるかな」と思ったが、一方で揺れている時間がいつもより長いのでは、とも感じた。 「揺れが収まったら、館内放送を流さないと…」 そう考え始めた矢先、今度はさっきとは比べものにならない強烈な揺れに見舞われた。ドンっと下から突き上げる、これまでに経験したことがないような揺れだった。とても立っていられない。 最大震度7の能登半島地震の発生だ。 慌てて事務所から外に飛び出した。スタッフや宿泊客の悲鳴が次々と耳に入ってくる。ミシッ、ミシミシミシッという音がする方を見ると、旅館が大きく揺れているのがはっきりわかった。瓦も次々と落ちてきている。 弥生さんは、外に出てきた宿泊客に向かって「建物から離れて!」と必死に叫んだ。建物が倒れ、下敷きになってしまうことを恐れたのだ。 そして、旅館のすぐそばにある自宅に走った。 94歳の大女将の様子が心配だった。自宅に入ると、ガラスの破片が飛び散った部屋の中、大女将がうずくまって揺れに耐えている姿が見えた。弥生さんは、分厚い布団で大女将を包むと、義父に向かって「おばあちゃんをお願い!」と叫び、踵を返した。 とにかく宿泊客のことが心配だった。 旅館に戻ると、スタッフが宿泊客に声をかけながら、大駐車場に誘導していた。浴衣1枚で避難してきた人も多く、誰もが寒さと恐怖に震えていた。大津波警報が発表されたとの情報も入った。 警報を聞いたためか、草履のまま大駐車場を見下ろす裏山に登る人たちもいた。しかし、裏山はいつ崩れるかわからない。スタッフが必死で降りてくるように呼びかける。 宿泊客が集まっていた正面ロビーと大駐車場はビルの4階に相当する高さに位置していた。とりあえず津波の心配はなさそうだ。 その間も、何度も何度も地震は起こり続けていた。 暖を取るための布団などをスタッフが駐車場に運び出す姿が見えた。声をかけ合いながら、混乱の中でも自主的に動いている。「なんて頼もしいんだろう」。弥生さんは、心の底から感謝した。 しかし、自分は何をしていいのか、わからない。「どうしよう、どうしよう。落ち着け、落ち着け」。自分に言い聞かせる。 やがて、近くの和倉小学校が緊急の避難所として開放されたことを小学校のPTAのLINEで知る。「若女将、バスを出して和倉小学校に誘導しましょう」。スタッフの声を受け、バスによる宿泊客のピストン輸送を行う。同時に、布団や物資なども避難所に運び込んだ。 避難所には、近隣の旅館の宿泊客や地元の住民など約1400人以上が集まっていた。地震発生からおよそ2時間後、弥生さんは宿泊客とスタッフ全員の無事を確認することができ、安堵した。 まさに「奇跡」だと感じていた。 ●取材班訪問 しかし、本当の試練が始まったのはその後だった。 地震発生からおよそ2週間後。ザ・ノンフィクション取材班は多田屋を訪れた。 7年ぶりの多田屋は激しく被災していた。 久々に会う弥生さんは健太郎社長や居合わせた従業員さんたちと、取材班をいつものような笑顔で迎えてくれた。懐かしさで嬉しく感じたが、無理しているのだろうと思うと、複雑な気持ちになった。 弥生さん、弥生さんの夫である社長の多田健太郎さん、施設管理課の古河朋明さんの3人の案内で被災した建物の中を歩く。本館から新館につながる継ぎ目を境に建物自体が沈み、至る所に亀裂が入っていた。亀裂の隙間からは青空がのぞく。 天井も落ち、あちこちの床が歪んでいる。特に、七尾湾に面した自慢の大浴場や客室の露天風呂の状況は無惨なものだった。事務所は壁が落ち、客室は慌てて避難した宿泊客の痕跡がリアルに残っていた。 館内を歩けば歩くほど、「営業再開」への道のりは気が遠くなるほど遠いのだという現実を、私たちも思い知らされた。 「どうやって直しましょう…」 途方に暮れたのか、弥生さんが、冗談っぽくつぶやいた。 ●山積みの問題、スタッフの雇用をどうする? 実際、営業再開に向け、問題は山積みだ。 修繕程度で済むのか? 再建のための費用は? 国や県はどれぐらい援助してくれるのか? 現時点ではわからないことだらけだ。 そして、弥生さんが何よりも気にしていたのが、営業ができない間、スタッフ70人の雇用をどうすればよいのか、ということだった。「雇用調整助成金」を利用したとしても、これまでのような給与を支払うことはとてもできそうにない。 一方で、地震発生から現在に至るまでのスタッフの頑張りは目を見張るものがあった。そんな姿を見るたびに、弥生さんは「これからもこのスタッフと頑張って多田屋を復活させたい」と強く思った。 1月末、全従業員に今後の雇用条件を提示した。営業ができない以上、良い条件を提示できるわけもなかった。 「いったいこんな条件で何人が残ってくれるのだろうか?」 しかし、これまで(2024年2月末現在)、退職を希望したスタッフは1人もいない。 岐阜出身で客室係の水野美里さんは「多田屋から見える能登の景色、そして職場の仲間が大好きだから、辞めることは考えられません」と話し、山梨出身の客室係の土屋斎さんは「社長の将来的ビジョンや夢に強く共感して入社しました。それを実現するために辞めたくない」と語った。 弥生さんは彼らの言葉を聞き、「思いを共有できている」と嬉しく思った。 そんな弥生さんの横で、夫である健太郎さんは力強く語った。「不安が全く無いといえば嘘になる。でも再開できる自信はあります」 健太郎さんのそんな言葉を聞いて、弥生さんは18年前、「花嫁のれん」をくぐった日に心に誓ったことを思い出した。「私は経営のことは分からない。だけど、健太郎さんのことは絶対的に信じていこう」。今こそ、その時だと思った。 「もしかしたら、この先、辞めていく人も出てくるかもしれない。けれど、再開したらきっとみんな戻って来ると信じているから、何も心配していません。だから今はやれることをやるだけです」 |
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●野口健さん【能登半島地震】「避難所から車中泊へと逆戻り」被災者の苦境に強く批判「国家としての敗北」 3/6
アルピニストの野口健さんが、自身が率いる「ピークエイド」による能登半島地震の被災地支援に際して、被災者の方々の苦境に直面。SNSを通じて強い批判を表明しています。 野口さんは4日に「ピークエイドは今日も被災地に寝袋(52個)を配送致しました。」と書き出し、段ボール箱で多くの寝袋を搬入する写真を投稿。「避難所から在宅避難、車中泊へと逆戻りされる方々」にも寝袋を渡したとして「災害発生から2ヶ月が過ぎても、今だに変わらない」「何週間も何週間も寝袋を待ち続ける人々の姿。」と綴り「この現実を知るべき。そして最後にすべきだと。」と訴えています。 この投稿の前には、道の脇に瓦礫が寄せられただけの被災地の写真とともに「避難所から在宅避難、車中泊避難に逆戻りされるケースが大半。」と投稿。"避難所は仮設住宅ができるまでの繋ぎ" という前提が崩れてはいないかと危惧しつつ「仮にその大前提が崩れ去るようなことがあれば国家としての敗北を意味する。」と強く批判しています。 被災者の方々から「今だに敷き布団がなくダンボール1枚に毛布1枚で寝ています。」という訴えが寄せられたときに「『この国は果たして本当に先進国なのか』と強く感じた」と野口さんは振り返り、「支援の輪がまだまだ、まだまだ必要です。」と呼びかけています。 |
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●「納税するつもりはございません」自民・塩谷立の脱税宣言を読み解く3つのカギ 3/6
自民党の裏金問題で、多くの国会議員に本来課税対象となる真っ黒な収支が見つかったことで、日増しに高まる「政治家の脱税許すまじ」の声。SNSでも「確定申告ボイコット」など怒りのハッシュタグが飛び交っていましたが、今度は自民・塩谷立議員(しおのや・りゅう:静岡8区)の「 #納税するつもりはございません 」という“脱税宣言”が大炎上しています。さらに国税庁も、まるでタイミングを合わせたかのように「収入の申告漏れにご注意」と政治家ではなく国民に呼びかけて一般納税者の神経を逆撫でし、火に油を注ぐ始末。このような「おまいう(=おまえが言うな)」発言の背景には一体何があるのでしょうか?冷泉彰彦さんが詳しく解説します。 ●「納税するつもりはございません」塩谷議員の“脱税宣言”が大炎上 自民党のパーティー券収入の裏金化問題をめぐって、3月1日に衆院では政治倫理審査会が開かれました。 そこで飛び出した、「旧安倍派の幹部だった」一人である塩谷立衆院議員(元文科相)の発言に対する批判が高まっています。 塩谷議員は、裏金について「納税しろ」という野党議員の追及に対して「私自身はしっかりとそれを政治活動に使用しておりますので、納税するつもりはございません」と述べたそうです。 何ともひどい「居直り」です。ですが、この塩谷氏の金銭感覚が狂っているとか、根性が極悪だというのではないと思います。そうではなくて、もっと具体的には3つの問題があるのではと考えられます。 ●なぜ自民党議員はナチュラルに脱税するのか?3つのポイント 1つは、必要経費という感覚です。 会社勤めだろうが、自営だろうが、とにかく社会人としてカネの出入りに関わっている人には、カネの公私の区別というのは、社会人として初歩の中でも初歩になります。 例えばですが、会社で使う文房具が足りなくなって、上司に命じられて急いで買ってきた場合には、領収証を出して経理に費用精算の申請をします。上司が命じたのであれば、これは業務の経費になるからです。 一方で、昼休みに外出してランチを食べたとか、会社帰りにスーパーで食料品を買って帰ったなどというのは私用です。給料をもらって税金を天引きされて残った手取りの中から、自分で払うのが当然です。 この2つの区分からすると、裏金というのは、別に自分で飲み食いしたわけでも家計に流用したわけでもないということになりそうです。 例えば、支援者を接待した、地方議員への激励に使ったなどという場合に、いちいち全部について自腹を切っていたら、公私混同になります。 だったら、この裏金は業務上の支出だという感覚になるのだと思います。 ですが、塩谷氏をはじめとした政治家たちは、その使途については「知らぬ存ぜぬ」で一貫しています。つまりカネを何に使ったかは明かせないというのです。 ●「使途不明金には課税される」のが当たり前 もちろん、実社会にはそのような例はあります。ですが、税法上は「税務署に経費を否認されるイコール課税」というのが常識です。これが第2の問題です。 個人の納税者にしても、あるいは企業などの法人にしても、使ったカネの中で、どうしても税務当局に知られたくないという場合はあると思います。 例えばですが、オーナー経営のベンチャー企業が、儲かったので社員と家族を呼んで派手なBBQパーティーを行い、その経費は会社のオゴリだったとします。 ですが、その金額が「社会通念」を上回る場合には、費用として認められないので課税されます。 また、あまりにも大きな額になると、今度は参加した社員の方が「所得税」を取られてしまいます。そうなると、参加した分だけ社員は損をしてしまうので、せっかくBBQをやっても社員のモラルは下がってしまいます。 ●「使い道を明かせない」裏金は納税義務とセット そこで、企業は税務署に対して支出の目的を隠し「使途不明金」として処理します。つまり、このカネは確かに使ったが、その使途は明かせないという宣言です。 その額があまりに非常識ですと、税務署はそれでもBBQを食べた社員からも課税しようとするし、さらに非常識な高額だとなると、会社は株主への背任ということで刑事告発を受けるかもしれません。 そこまで行かない範囲、つまり会社としては「社会通念より贅沢なBBQ」で経費にはならないが、食べた社員に所得税脱税の強制捜査を入れたり、背任とするほどの金額ではないという範囲は、実はあると思われます。 その場合は、企業側は使途不明金としての処理を行い、詳しい実態を税務署には報告しません。そのかわり、その金額は全く経費としては認められないので、利益と同じように、そのBBQ代金には法人税がかかります。 ●自民議員を支配する、どす黒い権力意識と「被害者意識」 つまり、否認イコール課税というのが民間の常識なのです。塩谷氏をはじめとする政治家は、この常識が完璧に欠落しているということになります。 そこにあるのは、どす黒い権力意識です。これが第3の問題です。 自分たちが自由経済を守り、国を守っている、野党には任せられない、でも選挙地盤にはカネを投入しないと当選できないという一種の被害者意識のようなものとも言えます。 ●「俺たちが国を動かしてるんだからガタガタ言うな」 実はこの被害者意識は、「自分たちが国家を動かしている」という権力意識と裏表の関係にあるわけです。この2つの身勝手な意識が一緒になることで、どういうわけか完全に罪の意識が消えてしまうのです。 そうした思考法、発想法の全体が国民に対する裏切りだということに、とにかく気づかない限り、自民党の信用回復というのは難しいと思います。 |
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●岸田首相、なぜ森元首相をかばう? 裏金事件、頑なに聞き取り調査を拒否 3/6
3月6日に開かれた参院予算委員会では、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、岸田文雄首相が安倍派(清和政策研究会)会長だった森喜朗元首相や安倍派幹部をかばうようなやりとりがあった。 ●「森元首相の関与は客観的に明らか」 立憲民主党の小西洋之氏は、安倍派のパーティー収入の議員側へのキックバック(還流)について、派閥の会長と事務局長(職員)で取り扱う案件として20年ほど前から行われていたことは自民党の聞き取り調査に複数の議員が証言しているとして、「(当時の会長だった)森元総理が関与していたのは客観的に明らかだ」と指摘した。 森氏に事実関係を確認した上で実態を説明するよう求めたが、岸田首相は「調査では具体的に森元総理の関与を指摘するような証言は確認されていない」などと拒否。「実態把握の努力は続ける」と言い訳のように繰り返した。 森氏は1998年から2006年にかけて、自身の首相在任期間(2000年4月〜2001年4月)を除き清和政策研究会の会長を務めている。 ●還流継続の経緯、安倍派幹部らの証言は食い違い 小西氏は、1日の衆院政治倫理審査会(政倫審)で安倍派の西村康稔前経済産業相と塩谷立元文科相が、いったん中止が決まったパーティー収入のキックバックが継続されることになった経緯についてそれぞれ食い違う証言をしたことについても、岸田首相自身が安倍派幹部に聞き取って確認するよう要求した。 だが、首相は「政倫審の発言の食い違いについて私自身、党としても実態把握につとめているが今現在確認はできていない」などと応じなかった。 小西氏は、岸田首相が2023年12月に「国民の信頼回復のため火の玉となって先頭に立つ」と決意を述べていたことを引き合いに、「森元総理や安倍派幹部に事実関係を確認すらしない。確認すら拒否するなら、火の玉の決意とは何なのか。線香花火程度の決意じゃないか」と批判した。 小西氏は、岸田首相に参院政倫審の参考人としての出席も求めたが、首相は「出席は考えていない」と否定した。 この日の参院予算委では、共産党の山添拓氏も岸田首相に森氏への聞き取り調査を求めた。だが、首相は「党の調査で森元総理が直接関わったという発言は確認されていない」などと繰り返すにとどめた。山添氏は、森氏と安倍派事務局長の証人喚問を要求した。 ●「森元首相への聞き取り拒否なら実態解明は不可能」 安倍派のパーティー収入の議員への還流がいつから始まったのかを巡っては、解明が全く進んでいない。 自民党内では「岸田さんに森さんの聞き取りをしようなんて思いはこれっぽっちもない」(中堅)との見方が大半だが、野党からは「長年にわたり安倍派会長を務めた森元首相への聞き取り調査を岸田首相が頑なに拒否するなら、これ以上の実態解明は不可能だ」(立憲民主党若手)との声も上がる。 一方、安倍派の下村博文元文科相は既に党幹部に衆院政倫審への出席意向を伝えているが、森氏と距離があることが警戒され、実現するかどうかは見通せない。下村氏の審査が実現した場合は、森氏に関する発言が出るのかも注目される。 |
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●不倫、裏金…自民“エッフェル軍団”に「しっかりやっていると言うんだったら…」 3/6
弁護士の萩谷麻衣子さんが6日、コメンテーターを務めるテレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」に出演。不倫を認め、謝罪した自民党の広瀬めぐみ参院議員(57=岩手選挙区)に関連し、自民党女性局について言及した。 広瀬氏は5日に自身の地元・岩手県内で不倫報道後、初めて取材対応し「相手の方との関係については報道されている通り、事実でございます」と認め謝罪。党岩手県連の副会長を勧告を受けて辞職したことを明らかにした。一方で、議員辞職や離党については否定。会見はわずか7分間で打ち切った。 広瀬氏をめぐっては、昨年10月、カナダ出身の50代サックス奏者とレストランで食事後、自身が運転する赤いベンツで東京・歌舞伎町のラブホテルに移動し、一緒に宿泊したとして週刊新潮に「赤ベンツ不倫」と報じられた。 2022年の初当選後は、松川るい参院議員(53)が「エッフェル姉さん」として批判を浴びた昨年7月の自民党女性局のフランス研修にメンバーの一人として参加。不倫報道後は現在放送中のTBSドラマ「不適切にもほどがある!」で多用されて話題になっている昭和の流行語「チョメチョメ」にちなんで「チョメ姉さん」とネット上で呼ばれていた。 自民党の今回の裏金事件では、松川氏が政治資金収支報告書に記載していなかったパーティー券収入は、2019年からの4年間で計204万円だったことも分かっている。 萩谷弁護士は、フランス研修の報告書がいまだに公表されていないことに「自民党って裏金の問題もそうですが、国民から疑念を強く持たれていることに関して、しっかりやっていると言うんだったら積極的にこれだけやっていますということを示すべきだと思う。それを裏金に関しても不明ですとか、フランス研修の報告書も出さないってことになると、ますます本当はちゃんとやっていないんじゃないのって疑いを強く持たれるだけ。そこをどうしてやらないのかなというのがすごく不思議」と自身の見解を述べた。 |
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●岸田首相、裏金問題めぐる政倫審で指導力不足を露呈 3/6
裏金問題は、岸田文雄首相の政治倫理審査会出席にまで進展した。だが、核心は明らかにならなかった。確定申告の時期に重なり、納税者の怒りを買っている。 国会議事堂の3階で2月29日に開かれた衆院政治倫理審査会。現役の首相として初めて出席した岸田文雄氏は終始、緊張した面持ちだった。派閥の裏金問題をめぐって「自民党は抜本的な出直しをしなければならない」と表明したが、裏金問題の経緯や使途について具体的な言及はなかった。立憲民主党の野田佳彦元首相は、岸田氏自身が資金集めパーティーをたびたび開催していることを批判。岸田氏は「首相在任中のパーティーは行わない」と約束する答弁に追い込まれた。 自民党派閥のパーティーにからむ裏金問題はついに、岸田首相自身の政倫審出席にまで進展した。しかし、政倫審での説明では、安倍派、二階派の幹部も含め派閥から議員へのキックバックが続いてきた経緯や、受け取った裏金を何に使ったかといった疑惑の核心は明らかにならないままだ。岸田政権を取り巻く暗雲が晴れる様子はない。2年半前に「聞く力」をアピールして登場した岸田氏は、持ち味を発揮することがないまま舞台を降りるのだろうか。 ●最低水準の支持率 自民党の安倍派を中心とした裏金問題で、この党の体質がさらけ出された。安倍派の国会議員3人、安倍派、二階派、岸田派の会計責任者らが立件された。 多額のパーティー券を企業に買わせ、キックバックをうけた裏金は選挙基盤の強化に充てた。建設や農業といった支持業界が細る中で、地方議員対策などに裏金が使われた可能性が大きい。領収書のないケースが多く、本来なら「脱税」に問われる。確定申告の時期に重なり、納税者の怒りを買っている。2月中旬に各メディアが行った世論調査では岸田内閣の支持率は最低水準(朝日新聞21%、毎日新聞14%、読売新聞24%)だ。 支持率低下は昨年秋から続いている。防衛費増額の財源として所得税・法人税などの増税を予定し、岸田首相が「増税メガネ」と揶揄された。それに対して所得税・住民税の減税を打ち出したが、「ごまかし」という批判が高まり、支持率が急落。岸田氏に対する信頼が失われた結果が支持率低下だった。そこに裏金疑惑の直撃を受け、岸田政権は存亡の危機に追い込まれた。 苦境打開のために岸田首相が打ち出したのが「派閥解散」だった。裏金の温床は自民党の派閥体質だとして、自らが率いてきた岸田派の解散を明言。これを受けて、ほとんどの所属議員が裏金を受け取っていた安倍派も解散を決め、二階俊博会長(元幹事長)が直近5年間で3526万円の裏金を受け取っていた二階派も解散することになった。ただ、麻生派、茂木派は事実上、存続し、派閥解散は中途半端なものとなった。自民党は岸田首相の指示を受けて、所属国会議員へのアンケート調査と裏金を受け取ったとされる議員に対する聴き取り調査を実施。だが、裏金が続いてきた経緯と使途は明らかになっていない。 ●指導力不足を露呈 野党側は自民党の調査では不十分だとして、衆参両院の政倫審で関係議員が説明するよう要求。衆院では、裏金を受け取った51人の全衆院議員の出席を求めたが、自民党は安倍派座長の塩谷立元文部科学相と事務総長経験者の西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、高木毅前国会対策委員長、二階派事務総長の武田良太元総務相の5人が説明することになった。しかし、5人は政倫審の規定に従って非公開とすることを要請。公開を主張する野党側との交渉が難航した。業を煮やした岸田首相が、自ら全面公開の政倫審に出席することで5人の公開審議も決まったが、その過程では岸田首相の指導力不足を露呈することとなった。 衆院の政倫審で、首相を含め出席者はすでに公表されている不記載の金額などを説明するだけで、キックバックの経緯や使途については明確な回答を避けた。野党側は「疑惑は解消されていない」として、今後、衆院予算委員会などで二階元幹事長や萩生田光一前政務調査会長らの参考人招致や証人喚問を要求する構えだ。 |
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●パリピ岸田首相、98.4%がパーティー収入の唖然…国会では「裏金の定義知りません」で責任逃れ 3/6
3月5日、参院予算委員会では自民党の裏金問題が議題にのぼったが、いつものように「堂々めぐりの議論」が繰り広げられることに。質問に立った国民民主党の川合孝典議員も、冒頭に「裏金問題(を議論するの)は時間のムダなんですが」と、自民党の調査が進展しないため、まともな国会論争ができないと苦言を呈していた。 「その川合氏が、岸田首相に『裏金とはどういうものか』と質問すると、首相は『定義については衆議院の議論においてもあったが、(私は)裏金の定義に確たるものは持っていない』と答弁しました。 また、不記載の金額についても『全額、手をつけずに置いておいた者もいれば、全額領収書を保存していた者もいる。政治活動にかかわる支出だと聞いている』など、これまでの『のれんに腕おし』の答弁を繰り返すだけでした」(政治担当記者) その後、共産党の田村智子議員が「派閥が議員事務所に記載するなと指導したのは、組織的な犯罪がおこなわれたことになるのでは」と岸田首相に問いただすと、「組織的犯罪という言葉の定義は承知していない」と答えるにとどまった。 「さらに田村氏は、岸田首相の『パリピ(パーティー好き)』ぶりを取り上げました。岸田首相の資金管理団体『新政治経済研究会』の2022年分の収入のうち、政治資金パーティーによる収入が98.4%を占めていたことが明らかになりました。 岸田首相は、2月29日の衆議院の政治倫審査会(政倫審)でも立憲民主党の野田佳彦元首相に「2022年だけで7回、開催していた」と指摘されましたが、田村氏の資料によれば、総収入約1億5765万円のうちパーティー収入は1億5509万円にもなります。パーティーは2022年7月に安倍晋三元首相が暗殺されたあともずっと続いていました」(政治ジャーナリスト) 岸田首相は、野田氏から「内閣総理大臣になったら、やめないといけない慣習だと思いますよ」と追及され、渋々ながら「内閣総理大臣としてパーティーを開催することは、今は考えていない」「在任中はやることはない」と答弁した。 こうした生煮えの答弁に、ニュースサイトのコメント欄には、 《くだらない言い訳していないで素直に「政治資金集めてました、何故ならば理由がこうだからです」ってしっかり言えばいいのに》 《大臣規範の『国民の疑念を招きかねない』ということにはあたらないと判断した次第だ 疑念を招くか招かないかは、あなたの判断ではない 国民の判断だ》 《7回もの政治資金パーティーは全て「勉強会」だとか。どこの世界に1億5千万円もの水揚げがある勉強があるのか》 など怒り書き込みが目立った。問題解決に向けた岸田首相のリーダーシップがまったく見えない。 |
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●「リアクション政治家」になった岸田文雄に自民党議員が「リアルガチなダメ出し」 3/6
「増税メガネ」と揶揄されて、過剰反応した岸田文雄総理。自身が率いた自民党派閥「宏池会」(岸田派)の解散を表明したほか、衆院政治倫理審査会に出席するなど、自民党内では「リアクション政治家」と呼ばれている。 芸能界では「何かに対して過剰な反応をする芸風の芸人」のことを「リアクション芸人」と呼んでいるが、それにちなんだアダ名の命名だ。 3月2日の衆院予算委員会でも、質問した立憲民主党の馬淵澄夫氏は、「初っ端で『火の玉』とか『先頭に立つ』とか勇ましい言葉を発するが、その後は全く無関心で放置。窮地に陥るとサプライズ。サプライズでは問題解決にならない」 そう言って、岸田総理の政治姿勢を斬り捨てた。これに岸田総理は「ご指摘はあたらない」と反論したものの、朝日新聞によると、自民党閣僚経験者も、「総理の(政倫審出席という)決断は評価するが、その後は成り行き任せ。『必ず成し遂げる』『みんなついてこい』というエネルギーが足りない」と評する。 岸田総理本人は派閥解散や政倫審出席を自身の「決断」と意気軒高のようだが、リアクション芸人のように、対応は受け身。たまに唐突に「決断」を見せるものの、総じて指導力が足りないと、党内では映っている。このため、自民党内では「党のガバナンス(統治)が崩壊している」という声が多くなっている。 令和6年度の予算案が衆院を通過したことで、自民党中堅議員は、「これで『ポスト岸田』の号砲が鳴った」 支持率低迷が続く岸田総理では次期総選挙は戦えない、との認識から出た言葉だ。岸田総理に残された時間は少ない。いつまでも「リアクション政治家」では、現状打破はとうてい無理だろう。 |
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●「小池百合子首相」説が急浮上、悪夢の連立政権誕生シナリオの現実味 3/6
●自民党内に幽霊が出る 小池百合子という幽霊が 古参の自民党職員が、昭和世代には懐かしい言葉で今の自民党内を自嘲していました。 「自民党内に幽霊が出る――小池百合子という幽霊である。古い自民党のすべての派閥領袖は、この幽霊を退治しようとして同盟を結んでいる。だが、小池百合子はすでに、次期首相の有力候補として認められている」 有名な『共産党宣言』の冒頭の言葉をもじって、裏金問題などで揺れる自民党内に、ポスト岸田の有力候補として、小池百合子氏の名前が「恐怖」と共に浮上しているのです。 確かに、今の自民党および岸田内閣の支持率は史上最悪レベルです。しかし不人気の岸田総理下ろしをして、顔をすげ替え、解散をしたところで、石破茂、河野太郎、小泉進次郎といったかつてのスターは人気が衰え、茂木敏充、萩生田光一、林芳正、高市早苗、上川陽子などの有力者が出馬したところで、劇的に人気を回復するほどの首相候補は見当たりません。 一方、東京都知事としてコロナ禍でも着実に実績を積み重ねてきた小池百合子氏は、2020年の都知事選では366万票の圧倒的得票で当選したという実績を持ちます。しかもその4年前、2016年に安倍・菅長期政権で唯一最大の危機と言われた「希望の党」を小池氏が結党するという騒動では、自民党は政権交替の危険にさえ晒されました。よって現在のこの危機に、喉から手が出るほど候補に欲しい人材ではありますが、これほど毒のある候補もいません。 私は、小池百合子氏の人生が嘘に塗り固められ、権力欲、上昇欲で一貫していることを完璧に暴露したと絶賛されたノンフィクション作品『女帝 小池百合子』(石井妙子著)の取材に協力したので、小池氏のどんなことをしても自分の欲望を実現するという人生観はよくわかっています。そして、実際の政権担当能力も政策の構想能力も否定的に見ていますが、今の自民党が「選挙の顔」としての魅力を感じていることは否定できません。 自民党内で囁かれる、小池氏国政復帰(「自民党」復帰ではなく、あくまでも「国政」への復帰であり、これが自民党にとって悩ましいのです)のシナリオを紹介しましょう。 ●まことしやかに囁かれる 「小池首相」誕生シナリオ (1)岸田政権の最初の関門は4月第4日曜におこなわれる3つの衆議院議員補欠選挙です。長崎3区の補選は裏金問題で起訴された谷川弥一議員の政治資金規正法違反による辞職に伴うもので、自民は候補を立てられず不戦敗。島根1区の補選は自公連立ですが苦戦。東京15区の補選は柿沢未途議員の公職選挙法違反によるもので、有力な立候補者はなく、小渕優子選対委員長などはすでに「不戦敗」を考え始め、都民ファーストの会の候補を自公が推薦するという形になりそうです。 しかし、自民勝利の可能性はゼロではありません。野党も乱立気味だからです。日本維新の会が新人の金沢結衣氏(33)を、共産党が新人の小堤東氏(34)を擁立することを決定。立憲民主党も候補擁立を検討。国民民主は候補者の疑惑で立候補を取り下げました。都民ファーストの会もまだ自公の推薦を受けることを正式には表明していません。 野党に有力候補はいないので、自民党ではなく保守系無所属ということで「自民隠し」をすれば、当選の可能性は出てくるのです。野党が確実に勝利するには、野党共闘、候補の調整が必要です。もしここで、小池氏が顧問となる都民ファーストの会の全国版「ファーストの会」が候補を出し、自民党を倒す作戦に変更したらどうなるでしょうか。 第一の可能性として、ファーストの会の候補が小池氏自身であったら圧勝でしょう。しかしそれでは、小池氏は自分を高く自民党に売りつけることができません。政界には、過去に小池氏の裏切りで痛い目に遭った議員が多数いて、一議員として復帰しても、総裁候補となるだけの人数を集められる議員になるとは思えないのです。 (2)次に考えられるのがファーストと日本維新の会の連携です。まずは、小池氏が維新の候補を応援する形で補選をすれば、相手が無名の保守系無所属程度では勝てません。野党勝利となって自民は1勝2敗か全敗。こうなると、岸田政権はかなり厳しい状況に追い込まれます。 そして国政については、3月末日で予算が成立します。岸田首相は、ここで補選も含めた解散総選挙に踏み切る可能性もありますが、政治資金問題の改革など大きなテーマの結論がたった1カ月で出る可能性は低く、大義名分のない解散と受け取られ、お膝元の自民党からも反対される可能性が大きいと考えます。 (3)そうなると解散総選挙は、7月の通常国会終了後か、岸田首相が任期切れとなる10月の自民党総裁選のタイミングが浮上します。この場合も、4月より支持率がアップしているとは思えず、その前に岸田下ろしが始まり、自民党は新しい「首相」候補で選挙に挑むしかありません。なにしろ自民党にはタマがない。しかし、野党にもタマがない。自民党都連など萩生田会長が安倍派不祥事に連座しているため、5月まで会長決定は延期という有様です。 数字的に分析しても、自民党に厳しい選挙になります。というのは、小選挙区制度になってからの国政選挙では東京・大阪といった浮動票が多い地域での結果が、全体の結果を決めることが多いからです。たとえば、民主党が政権交替をした2009年の衆議院選挙では、東京では25区の選挙区のうち前回の総選挙で自民が24、民主が1だったのに対し、このときは民主が21で自民が4という結果でした。 国全体の結果は民主が308で自民が119。小選挙区では民主221、自民64という大逆転でした。東京が日本を変えたのです。ポスト岸田の選挙でも、東京に強い小池氏とファースト、そして大阪に強い日本維新の会がタッグを組むと、今でも維新は45の議席があるため、その2倍近い議席数も予想できます。しかも、維新もファーストも基本的に保守政党を自称しているので、自民離れした票が流れる可能性が高く、自民党が過半数を制する可能性が少ないことは十二分に予想できます。 過半数割れをした自民には、公明との連立でも数が足りない事態が起きて、自民、維新、小池連合が模索される可能性は高いでしょう。維新と小池氏の思想から見て、立憲や共産との連立は考えにくく、維新の馬場伸幸代表ではあまりに全国での知名度が足りません。そして自民から首相が出るようでは、維新も小池氏も連立を断る可能性が高くなります。 ●自民・維新・ファースト連立で 少数政党の小池氏がトップに? これではあまりに不安定な内閣になるため、少数政党の小池首相を中心に、1993年の政権交代で日本新党の細川護煕氏が首相になったのと同じパターンになる可能性は大いにあります。やはり、実績と知名度が他の候補より相当大きい上に、東京五輪開催を成し遂げ、1000万人という小さな国家なみの人口を抱える東京都の政治を一定期間担ったという安心感もあります。 その上、自民党には小池氏と繋がる二階元幹事長という応援団もいるため、場合によっては、自民党脱党組と野党連合の政権も成立しかねないのです。菅義偉元首相や河野太郎氏、小泉進次郎氏などは可能性が十分あるでしょう。要するに、与党にも野党にも、顔と名前が全国区で好感度が高い、あるいは政治的信頼度が高いという政治家が、ほとんどいないのです。 以上が、選挙通や自民党関係者から集めた「小池首相誕生」というシナリオです。ただ、こんな風に私は小池首相を予想しましたが、決してそれを望んでいるわけではありません。 都知事に立候補したときの小池知事の公約を覚えているでしょうか。(1)待機児童ゼロ、(2)満員電車ゼロ、(3)残業ゼロ、(4)都内電柱ゼロ、(5)多摩格差ゼロ、(6)介護離職ゼロ、(7)殺処分ゼロという7つの公約でした。そのうち、達成されたのは(7)の殺処分ゼロだけ。このゼロは大々的に宣伝されましたが、実は不健康なペットや病気のペットは保護せず、今まで通り殺処分はされていたので、本当はゼロではなく150匹は殺されていました。 小池氏の生き方は流れを読み、キャッチコピーで人気を得て、その時々の大物に媚びを売って出世するというパターンでした。その本質が都知事経験で変わったとは思えません。小池氏に近い関係者は、「彼女の最近の行動は明らかに国政復帰を目指しているように見える」と言います。「カスハラ条例」をつくるといった若者やマスコミうけする政策、「無駄な出費」と批判を受けた都庁プロジェクションマッピンクも、側近によると「国政進出策と考えると無駄ではない」そうです。 「東京を制する政党が国政を制します。毎日都庁のプロジェクションマッピングを見せつけられたら、古い体質の自民や公明では太刀打ちできない新しい政党という印象を十二分にアピールできる仕掛けになっています」(側近) 小池氏の政治的行動については、小泉郵政選挙で刺客として立候補、小沢一郎氏との蜜月と離別後の小沢氏に対する罵倒、そして盟友だった舛添要一氏のあとを受けての都知事選における舛添氏への悪口雑言と、とにかく裏表があり過ぎる印象です。しかも、実行した政策についてはクールビズなど目先のアイデアしか思いつきません。 唯一の信条がタカ派的な国家観ですが、これが発揮されたのは彼女の人生の最大の失敗である希望の党の「排除の論理」でした。全員が希望の党に入党し、反安倍政権で選挙を闘うと思っていた民主党議員たちはあっと言う間に分裂、立憲民主の結党に走ったため、希望の党は泡のように消えました。憲法観や国家観を全面に出したとき、彼女は大失敗したのです。今回は色々な政党を糾合するのに、どんなキャッチコピーを使うのでしょうか。 ●「空気」は研究し尽くしているが 「失敗の本質」は学んでいるのか 折しも千葉方面では地震が頻発し、都庁でも地震対策について現実的な研究が命じられているようです。私はダイヤモンド・オンラインの過去の連載記事で、震災や噴火がこれから頻繁に起こりかねないのに緊急時の法体制が整備されていないこと、そして大破壊のあとの国家の改造計画がないことについて警告してきました。これはどこの政党が、そしてどんな首相が政権を担当しても、やり遂げねばならない課題です。 次期政権には、せめて災害時に機能する憲法の緊急事態条項を提案するといった、国家百年の大計を作れる政権になってほしいと考えます。小池氏は人生に影響を与えた本として『「空気」の研究』(山本七平著)と『失敗の本質:日本軍の組織論的研究』(野中郁次郎他著)を挙げています。確かに「空気」は研究し尽くしているように見えますが、「一度成功すると同じ作戦を繰り返す」という日本軍の欠点を指摘した『失敗の本質』から学んだようには見えません。 読者の皆さん、日本の将来を決める選挙がすぐそばに迫っていることだけは忘れないでください。 |
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●裏金問題キーマンが反論「私の意思は変わらず」 政倫審出席見送り報道受け下村博文氏がX投稿 3/7
自民党の下村博文衆院議員は7日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、自民党の派閥政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席しない見通しになったと報じられていることについて、反論の投稿をした。 「一部報道で、私自身が政倫審出席を見送るようにとられかねない記事がありましたが、私の意思はまったく変わっておりません」と投稿。自身の出席の意思はあくまで変わっていないと強調した。 下村氏は安倍派(解散決定)で事務総長を務めた経験があり、1月には記者会見も開いた。この時、1度は廃止が検討された裏金のキックバック(還流)が復活したことをめぐり、議員のパーティー収入に上乗せした上で、治資金収支報告書に記載する案が安倍派幹部の間で協議されたことがあると明かした。キックバック復活の経緯については、今月1日に政倫審に出席した安倍派幹部の間で主張が食い違ったため、幹部協議に出席していた下村氏が真実を証言すれば、真相解明の「キーマン」になるとみられている。 一方で下村氏の出席をめぐっては「爆弾発言」への警戒が自民党内で根強いとして、出席への調整が難航しているとの見方も出ている。 下村氏は4日のX投稿で「今後政倫審が開催されるのであれば、党と相談して説明責任を果たしていきたいと考えています」と投稿していた。 一方、立憲民主党は、真相解明に向けて下村氏の証言が必要だとして、参考人招致や証人喚問の実施を求めている。 |
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●自民党「脱法」“荒稼ぎ”議員ランキング 3位甘利明、2位茂木敏充、1位は? 3/7
“パー券裏金問題”に大揺れの自民党。党のアンケート調査で明らかになった“裏金議員”(派閥の政治資金パーティー券の収入のキックバック分を収支報告書に不記載)は、90人超えに。 2月29日の衆議院の「政治倫理審査会」で岸田文雄首相(66)は「私的利用は確認できず……」と“しらばっくれる”始末。 ところが、これ以外にも脱法的な方法で、多額の資金を得ている議員たちがいる。 そこで本誌は、“脱法荒稼ぎ議員ランキング”を作成。そこでは、「派閥パーティー禁止」を声高に訴えている小泉進次郎元環境大臣(42)も4位にランクインしていた。 小泉氏に関しては、『週刊ポスト』により一連の報道がなされている。 小泉氏は、コロナ禍の2021年、自身の資金管理団体主催による「小泉進次郎オンライン研修会」を4回開催。計1528万円もの“荒稼ぎ”をしたという。 ●オンライン会合では政治資金規正法が適用されず透明性が低くなって 総務省は、オンライン会合による収益を禁じてはいないが、「新たな“抜け道”になる」と懸念するのは、裏金問題を告発している神戸学院大学教授の上脇博之さん。 「政治資金パーティーの代金は、会場費や飲食代などの“対価”として支払うという建前です。しかしオンラインの場合、会場費も飲食代も発生しない。よって、政治資金パーティーの扱いにならず、小泉氏は“その他の事業”として、政治資金収支報告書に記載しています。そうなると、〈20万円を超える購入者は、氏名等を記載しなければならない〉〈1回のパーティーにつき、同一の者からの支払いは150万円以下に限られる〉といった政治資金規正法も適用されません。極めて透明性が低くなるのです」 小泉氏のオンライン研修会は、利益率が8割と非常に高いという。 「利益率があまりに高いと、実質、献金です。献金なら、同一の者から年間5万円を超える寄付を受けた場合、政治資金収支報告書に寄付者の氏名など明細を記載しなければならないのです。このような抜け道につながりかねない事業は禁止すべきです」(上脇さん) また、小泉氏は、2022年にもセミナーや政治文化パーティー等を計12回開催。稼いだ額は、総額8578万円にものぼるとのこと。 これについて小泉進次郎事務所に見解を求めたところ、〈法令及び総務省の見解などに従い適正に実施し、その収支は当該年分の収支報告書に記載している通り〉と回答があったのみだった。 より悪質なのが、“安倍派5人衆”のひとりで派閥のパー券収入のキックバックも受け取っていた西村康稔前経済再生担当大臣(61)。 『週刊文春』2023年12月21日号の報道では、裏金問題が発覚した昨年10月以降も、3回にわたって大口の支援企業が1枚2万円のパー券を購入するかたちで「西村やすとし茶話会」を都内のホテルで開催。参加者はパー券を購入していない経産省の職員ら10人弱。利益は1回あたり数100万円とボロ儲けの“架空パーティー”だったという。 |
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●岸田首相、自民党派閥の裏金議員に「納税を促す対応は考えていない」 3/7
岸田文雄首相は6日の参院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件に関し、キックバック(還流)分を政治資金収支報告書に記載しなかった同党議員に納税を促さない考えを明らかにした。「政治家の関連政治団体が、派閥から政治資金を受け取る行為に法人税の課税関係は生じない」と説明し、「現時点で納税を促すなどの対応は考えていない」と明言した。国民民主党の舟山康江氏への答弁。 自民が裏金事件を受けて党所属国会議員らを対象に行ったアンケートは2018〜22年の5年間が対象だった。共産党の山添拓政策委員長が17年以前も調べるべきだと追及すると、首相は「刑事責任、保管されている資料との関係で(対象を)5年間と定めた」と述べるにとどめた。 |
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●「政治不信が最悪」岸田首相支持率、裏金問題直撃 2月世論調査 3/7
岸田内閣の支持率が低迷している。毎日新聞の2月17、18両日の全国世論調査で支持率は14%と内閣発足後の最低を更新し、不支持率は82%に上った。有権者の支持離れはどこに原因があるのか。調査回答者の自由記述から探った。 調査は固定電話と携帯電話のショートメッセージサービスを組み合わせて実施した。このうち携帯電話で回答した453人を対象に岸田内閣を支持する理由、支持しない理由を自由に書いてもらい、344人が回答を寄せた。 不支持の理由では、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件への不満が目立った。「裏金問題について責任を果たしていない」(30代男性)、「裏金問題で政治不信が最悪なのに改革への意気込みが全くない」(70代男性)など政権の対応が不十分だと感じる人が多い。 調査後、衆院で2日間の政治倫理審査会が開催された。しかし、実態解明は進まず、「パーティー券の裏金問題をしっかり精査し処罰してほしい」(70代男性)と望んだ人には消化不良だったと言える。50代男性は「以前は支持していたが、続々と出てきた(裏金問題の)金額の総額を見ると、庶民の立場では理解できなくなった」と書き込んだ。40代女性は「裏金を受領した議員には遅滞上乗せで課税し、議員辞職させるべき」だと求めた。 生活苦が改善されないと感じる人もいる。40代男性は「どんどん生活が厳しくなる中、国民に寄り添った対応をしていない」と訴え、50代女性は「物価高で国民が疲弊しているときに、防衛増税、インボイス制度など平気で推し進める」と批判した。調査後、日経平均株価は史上最高値を記録した。調査では新NISA(少額投資非課税制度)を評価する記述もあったが、国民の生活実感からすると、株高が支持率上昇につながるかは見通せない。 支持する理由では「他にもっと良い人がいないのなら仕方がない」(50代男性)、「岸田さんより適任の人材がいない」(10代男性)など消極的な評価が少なくない。「野党が政権をとればさらにひどくなる」(50代男性)、「自民党以外に日本を安定して運用できる党がない」(40代男性)」など野党の力不足を挙げた人も多かった。「(児童手当の拡充など)私のような子供がいる世帯にとってありがたい政策が多い」(40代女性)という声もあった。 |
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●「裏金議員に課税しろ」“税金一揆”いよいよ現実に、市民有志が国税庁に怒りの申し入れ 3/7
「このままだと税金一揆が起きますよ」 自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、立憲民主党の江田憲司議員(67)は2月16日の衆院財務金融委員会でこう声を張り上げていたが、国民の怒りの声はいよいよ税務当局にも向き始めた。 市民有志でつくる「自民党ウラガネ・脱税を許さない会」(藤田高景代表)が7日、国税庁に対し、今回の件に関与した自民党国会議員の裏金は「雑所得」として扱い、課税対象にするべきとの申し入れを行ったのだ。 裏金事件で、同会はすでに、政治資金パーティーで得た売上金(収入)を正当な理由もなく申告しなかった所得税法違反(脱税)の疑いがあるとして、「安倍派」(清和政策研究会)の幹部ら10人に対する告発状を東京地検に提出している。 国税庁長官あてに提出された申し入れ書では、「今回問題となった自由民主党の各議員の裏金は、すべて『雑所得』として計上させ、課税対象とすべきである」「政党から受けた政策活動費や、個人、後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品等による寄附などはすべて一律に『事業所得』として計上させ、課税対象とすべきである」などと主張。 |
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●「違法性の認識があったにもかかわらず、キックバックを再開したことが事実なら大問題」長妻務調査会長 3/7
長妻昭政務調査会長は3月7日、国会内で記者会見を開き、「自民党とカネの問題」について発言しました。 長妻政調会長はまず、自民党の大臣や幹部らが、自身の「国会議員関係団体」で得た収入を、使途公開基準の緩い「その他の団体」に寄付することで多額の資金移動をしていたことが明らかになったことについて、「非常に悪質。徹底解明しなければならない」と批判しました。 次に、長妻政調会長は、裏金問題をめぐり、キーマンである下村博文衆院議員が政治倫理審査会に出席の意向を示したことについて言及しました。一方で、自民党が下村議員の政倫審への出席を妨害している疑惑があることについて、「本人が出たいと言っているのだから、政倫審で事実を述べてもらいたい」と述べました。 その上で派閥のキャッシュバックについて、下村議員の発言では、一度はキャッシュバックを廃止する方向を決めた後の安倍派の会合で、個人のパーティーに還流分を上乗せして合法的な形で収支報告書に計上する案もあったと明らかにしており、長妻政調会長は、「違法性の認識があったにもかかわらず、キックバックを再開したことが事実なら大問題」と指摘しました。いずれも「徹底した実態解明をし、その後に責任を取ってもらうと同時に納税をしてもらう」「法律の抜け穴をふさぐ」ことなどを主眼として取り組みを進めると述べました。 ●相次ぐ収支報告書の訂正にも「どこに信用性があるのか」と疑問 裏金事件発覚後、関与した議員の収支報告書の訂正が相次いでいることに対しても、「一体これらの『訂正』のどこに信用性があるというのであろうか」「このデタラメ極まる『訂正』で『一件落着』となれば、国民の当局に対する信用は地に堕ちたなどという生易しいレベルの話どころではない」としている。 さらに「各議員は、元々これらの裏金を『政治資金』ではないと考え、政治資金規正法上の『政治資金』として届けていない以上、もはやいかなる意味でも『政治資金』ではない」として、「国民の信用を取り戻すためには、裏金には徹底的に課税すべきであるし、課税されなければならない」と断じている。 申し入れを行った藤田代表があらためてこう言う。 「100人を超える自民党国会議員がパーティー券収入を自分の懐に入れていた裏金事件は、政治資金規正法に明確に違反する違法、脱税行為。国税庁への申し入れは、『庶民は増税。自民党は脱税。絶対おかしい。絶対許さない』という国民の怒りを受けた行動であり、これからも取り組みを強めていきたい」 |
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●予算成立で岸田首相が解散画策か…政治刷新vs裏金・派閥“色分け総選挙” 3/7
永田町では、4月の衆院3補選に合わせた衆院解散・総選挙の臆測が急速に広がっている。 4日の参院予算委員会では、立憲民主党の辻元清美代表代行が「4月、イチかバチかの“裏金解散”、考えているんじゃないですか」と岸田首相に問う場面もあった。 岸田首相は「まったく考えておりません」と答えたが、この答弁について見解を聞かれた自民党の森山総務会長は、5日の会見で「きのうは、そうだったのだと思います。きのうまでは、です」と意味深な発言。4月解散の可能性については「総理でないと分からない」とケムに巻き、否定はしなかった。やはり岸田首相は、やる気なのか。 「総理周辺は『やるなら赤組・白組選挙になる』と言っていました。党内を政治刷新派と裏金・派閥の守旧派に色分けして、政治改革で信を問うというのです。総理は説明責任を果たそうとしない安倍派にも、党の危機にまったく動かない茂木幹事長にも怒り心頭で、選挙で叩き落とすつもりです。小泉郵政選挙の手法で、自民党内の争いに注目が集まれば、野党は埋没し、低支持率でも勝てるという計算があります」(官邸事情通) 岸田首相と気脈を通じる森山総務会長は、5日の会見で裏金議員の処分について「17日開催の党大会までに整理できればいい」と言っていた。岸田も「できるだけ早いタイミングでけじめ」と言っている。 自民党が党則で定める党紀委員会の処分には、重い順に1除名2離党の勧告3党員資格の停止4選挙における非公認5国会および政府の役職の辞任勧告6党の役職停止7戒告8党則順守勧告の8段階がある。 岸田首相は安倍派の裏金議員を党の要職や閣僚から駆逐しただけでなく、衆院の委員会理事からも外す方針だ。すでに5の役職辞任までは事実上、進んでいるわけで、その上で改めて処分を科すとなると、軽くても4非公認か3党員資格停止になる。 ●小泉郵政解散のパクリ そんな状態で選挙に突入したら、裏金議員はたまったものじゃないだろう。公認候補は改革派、非公認は抵抗勢力ときれいに色分けされてしまう。大量落選は避けられない。 「呼ばれてもないのに突然、政倫審に出席したり、岸田総理は何をしでかすか分からない怖さがある。自分の保身延命のためなら愛着ある派閥も解散する男です。党内に抵抗勢力を仕立て上げ、4月選挙を強行しかねない。それに、本音では政治資金規正法の改正に手をつける前に総選挙をやってしまいたいはずです」(自民党閣僚経験者) 予算成立後の後半国会では、裏金事件を受けた政治資金規正法の改正がテーマになる。「法改正で責任を果たす」と首相自身が言っている以上、会期末までに改正法を成立させなければ政治生命はオシマイだ。 だが、野党が求める連座制の導入や政策活動費の廃止などに自民党は後ろ向き。かといって、抜け穴だらけの法改正では世論が納得しない。規正法改正の本格議論に入る前に選挙に持ち込んだ方が都合がいいのだ。 「政治刷新」や「規正法改正」を掲げて改革派ヅラして総選挙を乗り切ってしまえば、しばらく選挙はない。後はのらりくらり、形ばかりの骨抜き法改正で済ませる算段である。 自民党は3月29日までに参院で予算案を成立させる方針だ。成立後には首相会見が予定されている。その場で「解散宣言」が飛び出すのか。 |
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●「政権機能不全」か「野党腰砕け」か 政倫審の「岸田サプライズ」に予算案めぐる立民議員の「議事妨害」…敵も味方も右往左往 3/7
先週金曜(1日)に国会で行われた衆院政治倫理審査会をテレビで見ていたのだが、新しい話はもちろん出ず、あまりにもつまらなくて居眠りしていたら、「ドジャース、大谷翔平結婚」というニュース速報が出て、飛び起きた。 民放はともかく、NHKの夜9時のニュースのトップが大谷で、政倫審は2番目だった。国民の関心というよりも、明らかにニュースバリューとして、大谷の方が上、ということだったのだろう。 政倫審をつまらなくした「犯人」は、サプライズ参加した岸田文雄首相だ。公開に消極的とされていた安倍派幹部だけでなく、野党も驚いた。予算委員会や記者会見での質疑の繰り返しになって、緊張感が全くなくなった。 問題はこの後で、2024年度予算案の年度内成立、自然成立を目指す自民党は、衆院での採決を予算委員長の職権で決め、反発した野党第1党の立憲民主党は、委員長の解任決議案と財務相の不信任決議案を出した。 ここまでは良かったのだが、立憲民主党の山井和則衆院議員が行った「フィリバスター」がマズかった。山井氏は大きな紙袋を持って現れ、そこから資料を出し、歴代最長の2時間54分間、演説を続けるという「議事妨害」を行った。 この映像を見た瞬間、「これはダメだ」と思った。「議事妨害」には国民からの批判が強いのに、山井氏が何だか楽しそうに、笑顔でやっているように見えたのだ。 山井演説への批判がすごかったからか、与党側との交渉が成立したからか知らないが、立憲民主党は妨害戦術をあっさりやめてしまった。 国民民主党の衆院議員だった菅野(旧姓・山尾)志桜里氏はX(旧ツイッター)で、「勝ち戦でオウンゴールするのはなぜ?」とつぶやいた。 翌朝の読売新聞も「年度内成立。与党は安堵。立憲腰砕け。徹底抗戦貫けず」と立憲民主党を批判した。これに対し、朝日新聞は「首相無援。政倫審や土曜国会…政権機能不全」と、逆の見出しなのが面白かった。 悪いのは政治資金規正法違反をやった自民党なのだから、読売新聞の「立憲腰砕け」はかわいそうな気もする。朝日新聞の「政権機能不全」も違うのではないか。 岸田派解散に続き、今回の政倫審出席も、敵も味方も驚かせて事態打開を図る、最近首相が得意な「岸田サプライズ」だ。 採決強行は先週の早い段階で筆者の元に情報は入っていた。株をさらに上げ、実質賃金をプラスにし、減税し、「デフレ終了」を宣言して衆院を解散したい岸田首相にとって、予算の年度内成立は絶対に譲れない一線だった。 内閣支持率は相変わらず低い。政権はかろうじて維持できるが、とても解散できる数字ではない。 だが、岸田首相は強い。金曜日のつまらない政倫審、深夜国会の議事妨害、そして、異例の土曜国会での予算案衆院通過という一連の流れを見ていて、岸田首相の強さを感じたのだ。 |