ポスト岸田

ポスト岸田

石破茂元幹事長                 しっかりした政治理念 
河野太郎デジタル相             理想の追求
小泉進次郎元環境相            経験不足
高市早苗経済安全保障担当相 綺麗なおみ足そろえる
上川陽子外相                     印象が薄い

小池百合子都知事              華のある舞台づくり

政治実績 
一長一短 帯襷 (帯に短し襷に長し)
好き嫌い 人の好み
個性 ある人ない人
応援団の有無 大小
 


 
 
 
 
●裏金疑惑で窮地の自民、「ポスト岸田」に女性で局面打開の見方も 2023/12/18
自民党安倍派の裏金疑惑は4人の閣僚らの辞任に発展し、党全体を揺るがしている。来年9月に総裁としての任期が満了する岸田文雄首相への内閣支持率は低迷しており、「ポスト岸田」に女性議員が就任して同党は局面打開を図るとの見方も出ている。
産経新聞とFNNが9、10両日に行った各社の世論調査で、次の首相に誰がふさわしいかの質問に、石破茂元幹事長が1位だった。2位に小泉進次郎元環境相、3位には河野太郎デジタル相が続いた。4位は高市早苗経済安全保障担当相、5位は上川陽子外相だった。このほか、茂木敏充幹事長や林芳正官房長官の名前も挙がっている。
岸田内閣は安倍派の4閣僚を交代させたが、先週末の世論調査でも2012年12月の政権復帰後で最低を相次いで更新。自民党の政党支持率も急落している。最大派閥の支えを失った岸田首相の党内での求心力は低下。一部では来春の予算成立後の退陣論もくすぶっている。裏金疑惑の捜査が進展して支持率がさらに落ち込んだ場合は、清新な印象のある政治家が次期首相候補として浮上する可能性もある。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは14日付のリポートで、政治資金を巡る問題で「ポスト岸田」には脱派閥やクリーン、新鮮なイメージを有する候補が求められると指摘。「最終的に誰が出馬するかを現時点で予想するのは難しい」としながらも、女性候補が選出される可能性は政治資金問題発生前よりも高まっているとの見方を示した。
石破茂元幹事長
総裁選には過去4回立候補した。2回目の12年は決選投票で安倍晋三元首相に敗れた。安倍政権発足時は幹事長として支えたが、要職を外れてからは批判的な立場に転じた。石破派は21年に他派閥とのかけもちが可能な議員グループとなったが、世論調査では首相候補の上位につける。
裏金疑惑を巡っては、自身のブログで、1988年のリクルート事件から35年を経て「再び政治とカネの問題が噴出し、政治不信が高まりつつあるのには強い既視感に近いものを覚える」と述べている。11日のBSフジ番組では岸田首相について「予算が通ったら辞めます、とかそういうのはありだ」と述べ、2024年度予算案成立後の首相退陣に言及し、波紋を呼んだ。
小泉進次郎元環境相
元首相の次男で、自民党が野党に転落した09年に初当選した。父親譲りの歯切れの良い言動は早くからメディアの注目を集めた。19年に環境相として初入閣。米国で気候変動問題への取り組みは「セクシー」であるべきだと発言して物議を醸したこともある。
初当選から無派閥を貫く。菅義偉前首相と近く、最近では一般の人が自家用車を使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」の導入推進で歩調を合わせている。政治資金を巡る疑惑については「無派閥であろうと派閥の議員であろうと自民党全体の問題だ」と危機感を示した。
河野太郎デジタル相
米国の大学を卒業し、英語に堪能。外相、防衛相などを歴任した後、新型コロナ禍では担当相としてワクチン接種を陣頭指揮した。X(旧ツイッター)を通じた情報発信も積極的に行っており、フォロワー数は260万を超える。岸田内閣ではデジタル相としてマイナンバーカード普及の旗を振るが、24年秋の健康保険証との一体化を決め、強引との批判も受ける。
麻生派に所属しているが、2回目の挑戦だった21年の総裁選では派閥からの一致した支持は得られず、決選投票で岸田首相に敗れた。父親は党総裁も務めた洋平元衆院議長。
高市早苗経済安全保障担当相
終戦記念日には靖国神社を参拝する保守派。「鉄の女」と呼ばれた英国のサッチャー元首相を目標とする。総務相、党政調会長などを歴任した。21年の総裁選では安倍元首相の支援も受け、岸田首相、河野氏に次ぐ3位となった。
来年の総裁選出馬への意欲を示したが、無派閥のため立候補に必要な推薦人20人を確保できるかが課題だ。11月に自らが主宰した議員連盟の発足が、総裁選への足場固めと捉えられ、党内から批判も受けた。
上川陽子外相
女性では約20年ぶりに外相に就任し、首相候補の一人として脚光を浴びるようになった。岸田派所属。法相を長く務め、オウム真理教事件の麻原彰晃(本名・松本智津夫)元死刑囚らの死刑執行を命じた。
東大のクラスメートで銀行員だった夫と二人の娘を育てた。三菱総合研究所の研究員や、米上院議員の政策スタッフを務めた経験も。00年の初当選時は自民の公認を得られず、09年の衆院選では落選も経験した苦労人で女性議員の育成策にも取り組んできた。
その他の候補
麻生太郎副総裁と共に首相を支えてきた茂木氏は、経済産業相、外相などを歴任。第三派閥の領袖だが、知名度では石破氏らの後塵(こうじん)を拝している。岸田派ナンバー2の座長を務める林氏は、12年の総裁選に立候補し、首相の座に意欲を見せる。経済財政担当相、外相など閣僚経験が豊富。日中友好議員連盟の会長だったため、中国寄りと批判を受けることもある。
 
 
 
 
●大混乱の自民党を仕切れる「ポスト岸田」はこの人しかいない!? 1/4
安倍派の裏金問題が発覚し、支持率が急降下。いつ退陣してもおかしくない状況の岸田首相。では、ポスト岸田は誰なのか? そして、今年の政界はどうなるのか? ふたりの識者に聞いた!
岸田退陣は4月!? 新首相は上川氏!?
岸田文雄内閣の支持率が危険水域に達している。時事通信が12月に行なった世論調査では17.1%。これは2012年12月に自民党が政権復帰して以来、最低の数字だ。
そのため「9月の自民党総裁選まで持たないのでは?」との声が出ている。では「岸田首相はいつ退陣するのか?」「次に首相になるのは誰なのか?」などを政治ジャーナリストの藤本順一(ふじもと・じゅんいち)氏に聞いた。
「岸田首相は自らの手で解散を打ち、9月の自民党総裁選での再選を目指していましたが、増税批判に加えて裏金問題が浮上して不支持率は史上最高を更新しています。再選どころか、解散を打てずに退陣するとの見方が党内の大勢です。
では、すぐに辞めるのかというと、支持率が約9%と低迷していた森喜朗内閣(2000〜2001年)でさえ、予算が成立する4月までは辞めなかった。ですから、岸田内閣も4月までは持たせる≠フではないでしょうか」
岸田首相は4月に退陣する可能性が高いという。では、その後を継ぐのは誰なのか?
「マスコミでは、石破 茂氏(無派閥)、河野太郎氏(麻生派)、小泉進次郎氏(無派閥)、高市早苗氏(無派閥・元安倍派)、茂木敏充氏(茂木派)、上川陽子氏(岸田派)、林 芳正氏(岸田派)らの名前が挙がっています。
しかし、今の主流派を占める岸田、麻生、茂木の3派が推す候補が有力です。そうなると茂木、上川、林の3氏に加えて河野氏あたりが有力候補となりますが、中でも最有力と目されているのが上川氏です。
彼女は安倍政権以降、法務大臣などの閣僚を歴任、昨年9月の内閣改造では総理総裁への登竜門のひとつとされる外務大臣に抜擢(ばってき)され、高市氏と並んで初の女性首相への期待が高まっています。
さらに、派閥を率いてないので主流3派のコントロールが利く。党内に敵が少ない彼女であれば、裏金問題の震源地である安倍、二階両派も受け入れざるをえないでしょう。
政局を取り仕切る最高実力者の麻生太郎氏は、上川氏をワンポイントで起用して支持率を上げ、選挙の顔として使い、その後に茂木氏などにバトンタッチして本格政権をつくるというシナリオを考えているようです」
では、その上川氏はどういう人物なのか?
「東京大学を卒業して米ハーバード大学大学院に留学。民間のシンクタンクを経て、米上院議員の政策スタッフに。その後、政治家になったかなり実力のある政治家です。
彼女の性格を表すエピソードは、法務大臣時代の2018年にオウム真理教の元代表・麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚ら13人の死刑を執行したことです。感情で物事を判断しない。知性的で、国際政治に長(た)けていて、胆力があるのが上川氏です。
ただ、年齢が70歳と高齢であることと党内に権力基盤がないことが弱みといえるでしょう。小泉純一郎政権での清和会や安倍晋三政権での麻生氏など、自分が首相になったときに睨にらみを利かせて支えてくれる組織や実力者がいない。だからワンポイントリリーフになると思います」
女性対決なら、高市氏に軍配!?
元自民党議員で厚生労働大臣を務めた経験を持つ舛添要一氏はどう考えているのか。
「岸田首相は早ければ予算編成が終わる4月、遅くても自民党総裁選が行なわれる9月には辞めることになるでしょう。そして、安倍派の裏金問題がここまで大きくなってしまうと、安倍派から次の首相候補を出すことは難しい。するとほかの派閥か無派閥から選ぶことになります。
国民に人気の高い石破氏は、党内基盤がゼロに等しい。総裁選挙は票数で決まるのでまず無理です。では、河野氏はどうか。河野氏は麻生派なのでバックはついているけれども、『あいつだけは絶対に嫌だ』という議員が多く、候補としてまとめるのが難しい。小泉氏は首相になるには若すぎる。茂木氏は国民的にも党内にも人気がありません。
もし、菅 義偉氏(無派閥)がもう一度出てくると党内はまとまるかもしれませんが、それならば自民党は起死回生を狙って、女性を首相にすると思います。
女性の首相候補となると、高市氏か上川氏。どちらかというと、私は高市氏だと思います。彼女は元安倍派なので、安倍派議員の支持を得やすい。知名度もある。当選回数も上川氏より多く大臣経験も豊富。
21年の自民党総裁選での国会議員票では岸田氏に次ぐ2位。党内で拒否する人は少ない。やはり、上川氏と比べるとどうしても高市氏に軍配が上がってしまいます」
高市氏はどんな人物か?
「国民からは、ちょっと怖いようなイメージを持たれているかもしれませんが、そんなことはありません。以前、あるテレビ番組で政治家が時代劇をやるという企画があったんですが、彼女も出てきて一緒にやったことがありました。だから、特に怖いということはないと思います(笑)」
ふたりの話からすると、ポスト岸田は「上川陽子」と「高市早苗」が最有力のようだ。そして、どちらが勝っても日本初の女性首相が誕生する。
2024年の政界は、これまでと大きく変わるのかもしれない。
 
 
 
 
●上川外相、「ポスト岸田」へじわり 女性首相に期待、発信力課題 1/14
支持率低迷に苦しむ岸田内閣で、昨年9月に就任した上川陽子外相の評価が徐々に高まっている。精力的な外国訪問を通じて存在感をアピール。「ポスト岸田」候補の一人に浮上した。与党内では、初の女性首相への期待も出始めている。
上川氏は12日(日本時間13日)、米ワシントンでブリンケン国務長官と会談。会談後、上川氏は記者団に対し「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するため、日米が連携することで一致した」と説明した。
これに先立ち、ロシアとの戦闘が続くウクライナを訪問。クレバ外相との会談は空襲警報下で行われたが、上川氏は「慌てる様子もなく、毅然(きぜん)としていた」(外務省幹部)という。
昨年12月の時事通信の世論調査で、首相にふさわしい自民党の国会議員を尋ねたところ、上川氏は3.1%で6位に入った。石破茂元幹事長ら「常連組」にこそ及ばなかったが、現職の岸田文雄首相の1.6%を上回った。
上川氏は衆院当選7回で、岸田派所属の70歳。法相を3回務めるなど実務能力の高さに定評はあったが、外相に就任するまで首相候補と目されることはなかった。
自民党派閥の政治資金規正法違反事件で、世論の「政治とカネ」の問題に対する視線は厳しい。公明党関係者は「上川氏なら清廉潔白な感じがある。女性首相は選挙の顔にもなる」と期待。自民党閣僚経験者も「派手さはないが、能力は高い」と評価する。
ただ、上川氏は記者会見や国会審議で、官僚の用意した答弁を読み上げることが多い。当意即妙なやりとりは苦手とされ、情報発信が課題となりそうだ。自民党関係者は「上川氏がどういう主張なのか全く知らない。首相を目指すなら幅広い政策発信が必要だ」と注文を付けた。
 
 
 
 
●小池百合子都知事の「理念なきバラマキ」はもう許せない… 1/16
元都知事が「続投なら東京は死ぬ」と警告する理由
2024年7月に東京都知事選挙が予定されている。元東京都知事の舛添要一さんは「2期8年の小池都政の実績は皆無で、選挙での公約はどれも無視されたままだ。もし3期目に突入すれば、東京は『奈落への道』をたどるだろう」という――。
「3選出馬」を明言しない小池都知事
2016年6月に私が任期途中で都知事の職を辞した後、小池百合子氏が都知事選挙に勝利し、後任となった。今年の夏には2期8年間の任期を終えるが、3選を目指して出馬するか否かは明言していない。
これは邪推かもしれないが、小池氏が何も言わないのは、自民党の派閥のパーティ券問題による政界の激震を、国政への復帰のチャンスと見ているためかもしれない。
小池氏が都知事を続けるにしろ、国政に復帰するにしろ、この8年間の都政のかじ取りについてきちんと総括する必要があるだろう。
小池氏は公約を実行していない。「築地は守る」と言ったが、築地市場は解体され、豊洲に移転した。また、「情報公開は1丁目1番地」と言ったが、公開文書は黒塗りのままである。
さらに、2016年7月の都知事選の選挙公報では、1待機児童ゼロ、2介護離職ゼロ、3残業ゼロ、4都道電柱ゼロ、5満員電車ゼロ、6多摩格差ゼロ、7ペット殺処分ゼロ、という「7つのゼロ」を掲げたが、実現したのは7のみであった。
東京のランキングが16位も低下
小池都政が東京から活力を奪い、その国際的地位を大きく低下させたことを示すデータがある。
イギリスのシンクタンクZ/Yenが昨年3月に発表した世界金融センター指数(GFCI)によると、国際金融センターとしての東京のランキングは21位に留まった。
ちなみに前回は16位、私が都知事のときは5位だった。小池都政の8年間で、東京の順位は16位も後退している。
私は都知事時代、「東京世界一」を目指して、様々な施策を展開した。その一つが「東京国際金融センター構想」であり、2014年5月に専門家からなるタスクフォースを発足させた。
バブルの時代には、国際金融はニューヨーク、ロンドン、東京の3都市を中心に展開されていた。だがバブルが崩壊した後、デフレの時代を迎え、国際金融における日本の地位は低下。日本の銀行や証券会社は、次々に海外支店を閉鎖していった。
国際金融には興味がなかった?
そこで、私は、東京を国際金融都市として大きく飛躍させることを政策目標に掲げ、シンガポール、香港、上海からアジアの金融ハブ機能を東京に取り戻そうとした。
そのために、規制緩和、行政手続きの簡素化・迅速化、英語表記を増やすなど社会インフラの整備、外国人向け医療やメイドサービスの確保など生活環境の整備、空港の機能強化、能力の高い人材の供給、ファンド・マネジメント強化など、様々な政策を進めた。
私の辞任後も、タスクフォースの金融専門家は私の構想をもとに検討を続けたものの、私の構想としてではなく、全く新しい構想であるかのように小池新都知事に提案したようである。
どのような形であれ、国際金融センターとしての東京の地位を向上させることが重要であるので、タスクフォースの「悪知恵」は是としなければならない。
しかし、提案を受けたはずの小池都知事は、国際金融に関してはあまり興味がなかったようだ。アドバイザーがいかに頑張ろうとも、トップにその気がなければ前進するはずがない。小池氏に投票した結果、都民が払うツケは余りにも大きいと言わざるを得ない。
「選挙のためのパフォーマンス」だったのか
小池氏の関心は、自身が権力を握り、大衆の喝采を浴びることにある、と私には見える。政策の勉強や新しい課題への挑戦などにはあまり関心がないのではないか。
もしそうであれば、小池氏はパンとサーカスで大衆を煽る、パフォーマンスだけ得意な亡国政治家だと言わざるを得ない。
視聴率と部数しか関心がない日本のマスコミはその共犯者である。
私が辞任した直後の知事選では、小池氏のそのパフォーマンス能力が猛威を振るう。そのおかげで当選した彼女は、都知事就任後もパフォーマンス政治を続けた。
その第1は築地市場の豊洲移転問題である。2016年7月に都知事に就任した小池氏は、豊洲市場の安全性に疑義を呈し、同年11月7日に予定されていた築地から豊洲への移転を延期した。
豊洲の安全性は繰り返し確認してあった
しかし、豊洲新市場については、私の在任中に、安全性確保のために必要な工事を行い、法律で定められている以上に何度も繰り返し安全性を確認していた。
そうした努力を積み重ねた上で、築地から豊洲へ移転する日を決めた。なのに小池都知事はさしたる根拠もなく移転を白紙に戻したのである。最終的には小池氏も豊洲移転を決めたのだから、白紙撤回した目的はパフォーマンスだったと批判されても仕方がないだろう。
この時はNHKをはじめ、各マスコミも「小池応援団」になるという愚行に終始した。
IOCも小池氏を蚊帳の外に置いた
第2は、東京オリンピック・パラリンピックである。
膨れ上がった経費を前に、私は森喜朗組織委員会会長と協力して、競技会場を埼玉県や千葉県の既存施設を活用するなどして、約2000億円の経費削減に成功した。
ところが、組織委員会とIOCと私で調査を繰り返して決定しているのに、ボート競技の会場を宮城県に移そうとするなど、パフォーマンスを繰り返した。
東京五輪のマラソンと競歩の開催地が、東京から札幌に変更になったのはその結果だ。
最終的にはIOCが決定したので、小池氏は完全に蚊帳の外に置かれてしまった。これは、開催都市の首長にとって最大の屈辱とも言える。IOCが小池都知事を無視したのは、彼女のパフォーマンスに辟易していたからである。
コロナ禍で政府の足を引っ張る
2019年末に中国の武漢で新型コロナウイルス感染症が発生した。翌年の7月に都知事選を控えた小池氏は、これを最高の選挙キャンペーンの機会ととらえたかもしれない。
小池氏はコロナについて、「オーバーシュート」「ロックダウン」といった横文字を駆使し、必要以上に危機感を煽ってしまった。
そのため、都内のスーパーで商品が棚から消えてしまうなどの騒動が起こる。この騒動のあおりを受け、政府は、当初2020年3月末に予定していた緊急事態宣言の実施を、4月7日まで待つことになってしまう。
しかし、小池氏は連日のようにテレビに出て、自身のコロナ対策を説明することで、最大の選挙運動とした。
しかも小池氏は、「3密」を理由に、街頭演説も、公開討論も、ほとんど拒否した。
そのため、都知事選では1期目4年間の小池都政の功罪を検証する機会が奪われてしまった。
いまだに答えていない「学歴詐称問題」
小池氏には週刊誌報道などで「カイロ大学を首席で卒業した」は嘘だという学歴詐称問題も浮上していた。だが、前回の都知事選では、他の候補がこの点を争点化することもできなかった。
ちなみに、作家の黒木亮氏はカイロ・アメリカン大学で修士号を取得しているが、彼は小池氏は嘘を連ねた履歴書を仕立てあげていると指摘している。
小池氏の経歴において、最大の売りが「カイロ大学首席卒業」であり、彼女はそれを武器にして、出世の階段を登っていった。
アラビア語を学んだり、エジプトに留学したりする日本人はあまり多くはないため、嘘を言ってもすぐにはばれない。だが、カイロ留学時代の元同居人も彼女の嘘について証言しているという。
ちなみに学歴詐称は、公選法違反に該当する。
「太陽光発電義務化」は天下の愚策
小池都知事は都内の新築家屋に太陽光発電装置の設置を義務化しようとしている。だが、これはエネルギー問題の現実を無視した天下の愚策である。
多くの西側先進国は、地球温暖化や環境問題への対策として再生可能エネルギーを推進してきたが、太陽光や風力は安定供給という点で課題がある。
また、価格の問題も大きい。再生可能エネルギーは安価ではない。日本政府は、2012年に固定価格買い取り制度(Feed-in Tariff 、FIT)を導入し、太陽光発電を対象に電力を買い取っている。
太陽光6000万kW超の買い取り額は3兆8400億円にものぼり、その分を「賦課金」として一般家庭に負担させている。その額は平均的な家庭で年間1万円以上、製造業の企業では従業員1人当たり年間10万円にものぼる。
アメリカは中国製太陽光パネルを禁輸
ちなみにこのFITのような制度は、再生可能エネルギー先進国であるドイツでは2014年に廃止している。
しかも、太陽光発電は、パネルの取り付けのみならず、老朽化したパネルの除去にも大きなコストがかかる。また廃棄物の大量発生という問題もある。
しかも太陽光発電パネルは中国から輸入することになる。中国の太陽光発電用結晶シリコンの世界シェアは約8割であり、しかもその半分以上は新疆ウイグル自治区で生産されているとも言われる。実際、アメリカは人権問題を理由に中国製太陽光パネルの禁輸措置を実施している。
また、ロシアのウクライナ侵攻は、これまでのような再生エネルギー至上主義ではなく、安定供給や価格も考慮したエネルギー政策の必要性を再認識するきっかけとなった。
所得制限撤廃で高所得世帯を優遇
小池氏は、「018サポート」と称して、都内に住む18歳以下の子どもに対して、親の所得に関係なく、月額5000円(年額6万円)を支給する制度を今年1月から実施する。
また、「世帯年収が910万円未満」を対象としている私立高校の授業料支援制度について、所得制限を撤廃するという。
公立高校については、国の支援金制度で、所得制限が無くなっている。
この財源は税金でまかなうことになるが、結果的に高所得世帯を優遇することになる。
また、高校授業料無償化については、施設や設備に優れる私立高校の授業料が無償化されることで、公立高校の人気が下がり、定員割れが懸念される。
人気取りのための「ばらまき」
いずれの施策もこうした問題点があり、今年の都知事選をにらんだ小池流のパフォーマンス、人気取りのための「ばらまき」の色が濃いように見える。
こうした「ばらまき」が可能なのは、東京都が地方交付税交付金を国から支給されずにすむ日本一豊かな都市だからだ。
しかし、その豊かさを維持するには、都市の活力を増し、世界中から最先端企業を集めるための投資が必要だ。ただ、冒頭に述べたように、小池都政は東京の地位を低下させている。
小池氏は都市計画についてあまり関心がないようだが、現在行われている渋谷の再開発事業は、私を含め先代の知事たちが残した「遺産」である。
次の再開発は新宿、さらにその次は池袋となるが、現在のところ、こうした問題に小池都知事がリーダーシップを発揮しているフシは皆無だ。
小池氏は自分が興味のない分野、あるいは人気取りのパフォーマンスの対象とならない分野については全て役人任せである。
ただ、役人としてはそういう都知事のほうがいいのかもしれない。私のように都庁の人事まで細かく指示し、課題解決のためにタスクフォースを設置するような知事は、役人としてはうるさくて仕方がない。
それよりは小池氏のように役人まかせの知事のほうが扱いやすく、騙しやすいのだろう。
マスコミも、小池氏をもちあげたほうが視聴率が取れるし、部数が伸びる。
東京も日本全体もすっかり「小池応援団」ばかりになってしまった感もあるが、その道は東京の地位がますます低下する「奈落への道」だと思われてならない。
 
 
 
  
●麻生副総裁と菅前首相密談の中身=uポスト岸田」にらみ動き出したか? 2/23
自民党の麻生太郎副総裁と、菅義偉前首相が22日夜、東京都内の日本料理店で会食したことが憶測を呼んでいる。岸田文雄政権を支える「主流派」の麻生氏だが、首相が「派閥解散」を打ち出したことで関係が悪化しているとみる向きもある。一方、「非主流派」の菅氏だが、派閥解消の方向性は首相と同じだ。複雑な関係の2人が「ポスト岸田」をにらんで動き出したのか。
ともに首相経験者の麻生氏と菅氏は、派閥のパーティー収入不記載事件を受けて岸田首相が立ち上げた党政治刷新本部で最高顧問を務める。
22日の会食では、党改革や今後の政権運営をめぐり、意見を交わしたというが、気になるのは方向性が異なる2人の会談の中身だ。
麻生氏は先月27日、福岡県飯塚市での国政報告会で、麻生派(志公会)を政策集団として存続させる意向を表明した。これに対し菅氏は同23日、「党として、方向性は一体であった方が国民から理解される」と述べ、派閥存続に否定的な見解を示した。
第2次安倍晋三政権当時、麻生氏は副総理、菅氏は官房長官を務めて内閣を支えたが、政治家一族出身の麻生氏と、「たたき上げ」の菅氏は歩みも異なる。
2人の密談≠どうみるか。
政治評論家の有馬晴海氏は「『天敵』とみられている両氏が会うことは、次期衆院選や、総裁選に向けて党が切羽詰まっている状況を示している。麻生氏は、岸田首相に副総裁にしてもらった恩もあり、岸田批判の急先鋒である菅氏にクギを刺したのではないか。一方、菅氏は首相を下ろされた恨みもある。敵方の様子見か、あわよくば『ポスト岸田』の提案が出ると考えて、麻生氏と会ったのではないか」と話す。
政治ジャーナリストの安積明子氏は「『ポスト岸田』を見据えた動きの可能性もある。主流派の麻生氏だが、離脱者が続出する茂木派と連携しても、多数派を得にくい状況で求心力の維持が難しい。『ポスト岸田』に麻生氏は上川陽子外相、菅氏は河野太郎デジタル相を推しているとの見方もあるが、方向性が違うなかでも共通項を見いだそうとしているのではないか」との見方を示した。
 
 
 
 
●「ポスト岸田」で上位進出も… 上川外相、高い「総裁」へのハードル 2/28
上川陽子外相が次期首相候補としてにわかに知名度を上げつつある。派閥の裏金問題で自民党が揺れる中、最近の世論調査の「次の首相にふさわしい人」で、人気の低迷する岸田文雄首相や自民の茂木敏充幹事長ら党内実力者を抑え、「小石河連合」とともに上位に食い込む。久しぶりの女性外相として活躍する上川氏が新鮮味をもって世論に受け止められ、注目を集めている格好だ。
毎日新聞の2月の調査では、上川氏は石破茂元幹事長に次ぐ2位。テレビ朝日やTBS、産経新聞・FNNの調査では、石破氏、小泉進次郎元環境相に次ぐ3位で、河野太郎デジタル相を上回った。上位独占の常連組の「小石河連合」の一角が崩れた、と永田町関係者の間で評判となった。参院自民幹部は「(派閥の裏金問題で)自民そのものがダメだという烙印(らくいん)が押される中、上川氏なら刷新感が出る」と期待感を示す。
上川氏は岸田派所属で、当選7回の70歳。三菱総合研究所を経て、林芳正官房長官と茂木氏も学んだ米ハーバード大ケネディスクールを修了。米上院議員の政策立案スタッフを経て「政治がもっと主体的に国際問題に取り組まなければ」と政治家を志したという。国政への初挑戦となった1996年衆院選の静岡1区で無所属で出馬し落選、2000年衆院選では自民内の公認争いに敗れ再び無所属で挑んで当選し、復党した。法相在任中の18年、オウム真理教による一連の事件で、死刑確定した13人全員の執行に署名したことでも知られる。
 
 
●ポスト岸田「菅カード」ばかり 相次ぎ会食、メディアも注目 3/6
自民党派閥の裏金事件などを巡り党総裁の岸田文雄首相が窮地に陥る中、「ポスト岸田」として浮上してきた候補が菅義偉前首相(衆院神奈川2区)とつながる「菅カード」(自民幹部)ばかりになってきた。菅氏が会食などを行うたびに今秋の総裁選と重ねて報じられる状態。最高顧問を務める党政治刷新本部での「派閥なくせ」発言が安倍派など主要派閥解散の流れをつくった政治力も奏功しているようだ。
「たまに人と会って飯を食っているだけ。『活発』と言われてもね」。2月末以降の菅氏の面会者によると、同氏は全国紙などが「総裁選へ動き活発」と報じ始めたことを踏まえ苦笑いしているという。刷新本部が中間とりまとめを決定した1月末以降は各社のインタビュー取材も応じていないが、周辺取材による報道で観測が広がる。
自民にとって事態は悪化の一途。衆参の政治倫理審査会を巡り開催や人選などで与野党の攻防が激化。政策面では子ども・子育て支援金の社会保険料からの負担が不興を買うなど岸田首相の置かれた立場は厳しい。与党内でも交代がささやかれ始めているほどだ。
ポスト岸田としてこれまでに名前が挙がっている議員と菅氏とは縁深い。先の総裁選に挑んだ河野太郎デジタル相(15区)は首相当時に支持を明言した間柄。同選挙では小泉進次郎元環境相(11区)、石破茂元幹事長が「小石河連合」を名乗り河野氏を応援した。菅氏と懇意のこの3人は報道各社の世論調査で「次の総理」候補のトップ3でしのぎを削っている。
 
 
 
 
●小泉元首相「野党が一本化したら大変」 「ポスト岸田」も話題に 4/8
小泉純一郎元首相や小泉政権を支えた山崎拓・元自民党副総裁、武部勤・元幹事長らが7日夜、東京・銀座の日本料理店で会食した。「抵抗勢力」として敵対した亀井静香・元政調会長、現職国会議員では二階俊博元幹事長も参加した。
小泉氏は会食後、記者団に「今年は(衆院解散・総)選挙があるんじゃないか。もし野党が一本化したら自民党も大変だな。いまは野党がばらばらだから助かっている。そんな話をした」と語った。
山崎氏によると、「ポスト岸田」として石破茂・元幹事長の名前があがった。また、4月に行われる三つの衆院補欠選挙で自民が全敗した場合、岸田文雄首相が退陣する可能性もある、といった意見が出たという。
 
 
●「ポスト岸田は俺だ!」 暴走路線を突っ走り疲労困憊の岸田首相 「悪あがき」 3/10
自席に突っ伏してうつむく姿から、一国の宰相たる覇気は一切感じられない。
異例となる土曜国会が行われた3月2日午後、予算案の採決に臨む岸田文雄首相(66)は疲労を隠せなかった。
「2月29日に裏金問題に端を発した政治倫理審査会が行われ、首相も出席した。3月1日は予算案に反対する野党との攻防が長引き、深夜国会になった。低支持率もどこ吹く風とばかりに、政権運営を続けてきたが、ここにきて精神、肉体ともに限界を迎えつつあるのだろう」(全国紙政治部記者)
支持率10%台も珍しくなくなったことで、’09年衆院選の大敗を知るベテランを中心に、下野の可能性を口にする自民党議員も出てきた。首相は急速に孤立を深めている。
「茂木敏充幹事長(68)が完全に党のグリップを放棄している状況だ。首相が是が非でも3月2日までに終わらせたかった予算の審議も『日程を延ばしたほうがいいのではないか』と反対した。麻生太郎副総裁(83)とも、事前の根回しなく派閥解散を宣言して以来、溝ができた。今回の政倫審出席も麻生さんに相談せず、独断で決めたという。もはや相談役は誰もいない」(政治評論家の有馬晴海氏)
その結果が「暴走」ともとれる行動に現れている。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が孤独な首相の胸中を推し量る。
「旧安倍派の幹部は、この期に及んで政倫審への出席を嫌がり、『カメラを入れるな』など注文を付けていた。首相からすると、お前らが注文を付けられる立場じゃないだろう、と危機感がないように映っていた。首相自らが出席することで安倍派元幹部らも追従。捨て身の決断で局面を変えようとした」
最高権力者である自分が政倫審の舞台に立った、これで裏金問題も幕引きだろう――。だが、感情的なスタンドプレーで状況が好転するはずもない。
「派閥解散を表明することで『裏金は安倍派と二階派の問題、俺の責任ではない』とアピールしたかったのだろう。だが、問題をすり替えようという狙いは見透かされ、支持率低下という形で返ってきた。今回も同じ轍を踏もうとしている」(前出・記者)
疲労困憊になりながらも、岸田首相が「悪あがき」を続ける理由は何なのか。前出の有馬氏が打ち明ける。
「首相は2月14日で在職日数が864日となり、宏池会出身の鈴木善幸元首相と並んだ。目下、目標としているのは宏池会創設者の池田勇人元首相の1575日だと周囲に漏らしている。在職日数はすでに戦後歴代10位に入った。首相はこれを誇りに思っていて、在職日数こそ総理の評価だと信じている」
「結局、俺しかいない」
首相が警戒するのは、国会閉会後の党内での「岸田おろし」である。だが、その旗振り役と目される二階俊博元幹事長(85)に異変が起きている。2日の予算案審議前、報道陣の前に現れた二階氏は、頼りない足取りだった。予算案の採決時には投票して自席に戻るだけでも一苦労する素振りを見せた。寄る年波には勝てないのか。
「独自の政局観でキングメーカーを務めた二階氏が、本格的に政界引退の時期を探り始めている。二階派の裏金問題の責任を取る形で、次の選挙前に辞職。禊は済んだというイメージを作り、子飼いの鶴保庸介参院議員に和歌山新2区を譲る。鶴保氏が抜けた参院和歌山県選挙区には、自身の三男を擁立する案を勘案している」(前出・角谷氏)
延命しか頭にない首相は、″二階引退″を追い風ととらえている。自民党ベテラン秘書の談。
「今の首相は、秋の総裁選で誰がライバルとなるかで頭がいっぱいのはず。河野太郎デジタル相(61)はベテラン議員からの評判が芳しくなく、茂木幹事長からは、故・青木幹雄氏に近かった議員を中心に人が離れていっている。9月総裁選を前に『結局、次の総裁も俺しかいない』との考えを深めている」
ちっぽけなプライドのため、延命に奔走する岸田首相。残念ながら、その煽りを受けるのは国民だと気づくことはないだろう。
 
 
●「この時期に決めるわけがない」“キングメーカー”の次の一手は 3/31
「誰をやるとか、この時期にまだ決めるわけがない」
菅前総理は今年9月の自民党総裁選への対応を問われると、必ずこのように強調するという。
岸田内閣の支持率が過去最低水準にある中で、“このままでは自民党全体が沈没する”との危機感を持っているとされるが、本人は多くを語らない。
かつて安倍元総理を説得して総裁選挙に担ぎ出し、歴代最長政権を実現させた“キングメーカー”の動向が注目されている。
「もうやらない」前総理に一目置く岸田総理
3月に行ったJNN世論調査の「次の総理にふさわしい人」という質問で菅氏は5位に入った。
いまだ、菅氏の総理復帰を望む声は多いが、当の本人は「やりたいことをやった」「もうやらない」と周囲に語っており、党幹部の1人も「やる気はないだろう」と語る。
そんな菅氏に一目置いているのが岸田総理だ。
岸田総理は数か月に一度のペースで定期的に菅前総理の事務所を訪れ、政権課題についての報告とアドバイスを受けている。
この1年でも5回訪ねているが、ここで菅氏からされたアドバイスについては、岸田総理は忠実に実行している。
パッと挙げるだけでもマイナンバーカード普及、コロナ禍後のインバウンド復活、出産費用の無償化などがあるが、直近で注目されたのが「派閥解消」と「ライドシェア」だ。
自民党“裏金事件” 派閥解消を主張し、解散の流れを作る
菅前総理「非常にわかりやすいのが、派閥の解消。スタートラインとして、そうしたことを進めていく必要がある」
自民党の派閥の裏金事件を受け、発足した「政治刷新本部」。
最高顧問を務める菅前総理は初会合後のぶら下がりで“派閥の解消”を主張した。
閣僚経験者からは「無派閥の人が派閥の解消を訴えても説得力がない」との声も上がったが、その1週間後…
岸田総理(1月18日)「(派閥を)解散することを検討している。政治の信頼回復に資するものであるならば、考えなければならない」
岸田総理が宏池会(岸田派)の解散を検討すると発言。
その翌日(19日)には派閥の関係者らが立件された志帥会(二階派)、清和政策研究会(安倍派)も相次いで派閥の解散を表明した。
岸田総理は、派閥解消を打ち出す直前の15日に菅氏の事務所を訪れ、約30分面会している。
菅氏のアドバイスが岸田総理の背中を押した格好だ。
菅氏は岸田総理の派閥解消の決断に対し、「よかったと思う」と評価する一方で、いまだ、派閥を解散していない麻生派、茂木派に対しては「党で1つ、ということにしないとダメだと思ってる」と自民党としてまとまった対応の必要性を周囲に語っている。
ライドシェアでも存在感
菅氏の発言が岸田総理の政策判断に影響を及ぼした、もう一つの例が「ライドシェア」だ。
菅氏は安倍政権が観光立国を宣言した後、ビザの緩和などに精力的に取り組み、訪日観光客の増加に大きく貢献してきた。
コロナ禍も明け、インバウンド需要が高まる一方で、国内外の観光客が思うようにタクシーを利用できない状況について「政府が責任もって解決しないといけない」との考えを持っていた。
去年の夏、菅氏がライドシェアの国内解禁について必要性を述べると一気に議論が加速。
10月13日、臨時国会召集の10日前に岸田総理は菅氏の事務所を訪れ、約30分面会した。
この場で菅氏は「ライドシェアをやったほうがいいですよ」と岸田総理に進言している。
そして臨時国会の所信表明演説には「地域交通の担い手不足や、移動の足の不足といった、深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題に取り組んでまいります」との一文が盛り込まれた。
民放の番組に出演した際には「最終的には法改正というものを、視野に入れて取り組んでいく必要がある」と語っている。
菅氏の訴えに応じるかのように、「ライドシェア」をめぐる超党派の勉強会が立ち上がった。
菅氏に近い小泉進次郎元環境大臣らが呼びかけ人となり、11月22日に国会内で初会合を開いた。
2023年11月22日
年末には政府による中間とりまとめが示され、タクシーが不足する地域や時間帯に限り、タクシー会社の運行管理の下で2024年4月から一部解禁される方針となった。
菅氏の動向が次の総裁選のカギを握る 本命は誰?
3月1日の夜、国会で2024年度予算案の成立をめぐって与野党で攻防が繰り広げられる中、菅氏の姿は都内の日本料理店にあった。
菅政権下で閣僚を務めた萩生田元経済産業大臣、加藤元官房長官、武田元総務大臣に加え、小泉元環境大臣と会食したのだ。
萩生田氏、加藤氏、武田氏は衆院の当選同期で、3氏の頭文字をとって「HKT」と呼ばれ、しばしば会合を重ねているが、小泉氏が参加するのは初めてのことだった。
菅氏のもとに自民党の有力者が一挙に集まった形で、あるベテラン議員は「加藤勝信が総裁選に出たら、全員(加藤氏に)乗れるメンバー」と分析している。
ただ、加藤氏は菅政権下で官房長官を務めたが、世論調査での次期総裁候補としての“数字が低い”との指摘も党内で出ている。
世論調査で常に上位 小石河連合は 
裏金事件で大きなダメージを負った自民党。今年9月の総裁選では選挙を見据え、「勝てる人」を選ばなければならない。関係者によると、菅氏はこのような考えを持っているようだ。
次期総裁候補としては、小泉進次郎元環境大臣、石破茂元幹事長、河野太郎デジタル担当大臣のいわゆる「小石河連合」が世論調査でも高い支持を得ている。
中でも注目されるのが、菅氏に近い進次郎氏だ。
菅氏は昨年末、周囲に対し「次の総裁は思い切って代えないとダメかもしれない。そろそろ進次郎というカードを使うときが来たのかもしれない」と語っていた。
一方で、菅氏の周辺は「(進次郎氏を)大事にしている。まだ早いかもしれないから、潰さないようにタイミングを見ている」と話している。現時点では、“進次郎というカード”をいつ切るべきか、見定めている状況のようだ。
石破氏に関しては、かねてから「政策が合わない」と語り、2012年の総裁選では石破氏ではなく安倍元総理を擁立した過去があるが、自民党最大の危機の今、世論調査で常に上位に位置するの石破氏を担ぐ可能性も否定できない。
また、麻生副総裁の“失言”によって一気に知名度を上げた上川陽子外務大臣も待望論が出ているが、次の総理大臣を目指すにはキャリアが足りず、まだ早いとの声が党内にあり、菅氏もこうした意見に耳を傾けているようだ。
岸田総理 再選の支持の可能性は?
もっとも、菅氏が岸田総理の再選を支持する可能性もある。
これまで、インバウンドの復活や出産費用の保険適用にライドシェアと、菅氏が提案してきた政策を岸田政権は受け入れてきた経緯がある。
しかし、岸田総理は野党から指摘されてから検討するなど、対応が後手に回ることも多いことから、「スピードが遅い」との不満を周囲に漏らしている。
岸田総理の再選を支持するのか、はたまた別の候補を推して阻む立場に回るのか。
“キングメーカー”としての菅氏の一挙手一投足が注目される季節がまもなくやってくる。
  
 
●小池百合子に命運を託すはずだったのに…岸田首相の悪夢シナリオ 4/16
岸田文雄首相は14日、アメリカへの公式訪問を終えて帰国した。これから岸田政権はどうなるのか。ジャーナリストの鮫島浩さんは「岸田首相は9月の総裁選で再選できると考えているようだが、非常に厳しい。4月28日の衆院3補選で完敗すれば、岸田政権はレームダック化し、9月退陣は避けられない」という――。
アメリカではニコニコ、ジョーク連発の岸田首相
政局は首相不在の間に動く。
岸田文雄首相が米国ワシントンに国賓待遇で招待され、大統領専用車ビーストに同乗してバイデン大統領と満面笑顔で写真に収まり、ホワイトハウスの晩餐会でジョークを連発して喝采を浴びている隙に、東京では「岸田おろし」の火蓋が切って落とされた――。
4月8日から14日までの米国訪問を岸田首相は何よりも楽しみにしていた。日本の首相が国賓待遇で米国に招待されるのは2015年の安倍晋三首相以来だ。
岸田政権発足から2年半。首相在任期間は田中角栄を超え戦後9位になり、4月22日には8位の橋本龍太郎と並ぶ。今世紀に入って衆参選挙に勝利したのは小泉純一郎政権、安倍政権、岸田政権しかない。ついには国賓待遇の米国訪問という栄誉にも浴することになった。岸田首相が日本政治史に名を刻む宰相になった昂揚感に包まれていたのは想像に難くない。
内閣支持率こそ低迷しているものの、それは安倍派の裏金事件のせいであって、自分が悪いわけではない。米国訪問で「外交の岸田」をアピールし、今国会で政治資金規正法を改正すれば、内閣支持率は回復してくるだろう。そうなれば国会会期末に6月解散・7月総選挙を断行し、9月の自民党総裁選で再選を果たす流れができる。支持率回復が思うように進まず、6月解散に踏み切れなくても、派閥解消で茂木敏充幹事長ら党内のライバルたちは弱体化している。有力なポスト岸田は見当たらず、総裁再選は十分に可能だ――。
岸田首相の胸の内はそんなところだろう。
乙武氏を公認しなかった小池都知事の意図
岸田首相は4日4日、安倍派の裏金議員ら39人に離党勧告や党員資格停止、党の役職停止などの処分を突きつけ、自民党を直撃した裏金事件に一定のケジメをつけた。
国内世論は「処分が甘すぎる」と反発し、自民党内では「なぜ首相自身は処分されないのか」「処分の線引きが恣意的だ」との不満が渦巻いていたが、お構いなし。首相の頭は米国訪問の晴れ舞台でいっぱいだった。
翌5日からは英語スピーチの練習に励み、週明けの8日午前には歴代駐米大使と面会し、午後に羽田空港から裕子夫人を連れ立って政府専用機でワシントンへ飛び立ったのだ。
この8日に政局は動き出す。
まずは小池百合子東京都知事が衆院東京15区補選(4月16日告示・28日投開票)に擁立した作家の乙武洋匡氏が出馬会見を開いた。それ自体は予定された出来事だったが、想定外のことが起きた。乙武氏は小池知事と二連ポスターに囲まれて会見に臨んだが、小池知事が事実上支配している「ファーストの会」の公認ではなく、無所属で出馬すると表明したのだ。
裏金事件で自民党に逆風が吹き付ける最中の4月の衆院3補選(長崎3区、島根1区、東京15区)は、岸田首相の総裁再選への第一関門である。全敗すれば「岸田首相では選挙は戦えない」との声が党内で高まり、6月解散どころではなく、9月の総裁選不出馬・退陣に追い込まれていく。3補選に勝ち越したいし、最悪でも全敗は避けなければならない。
「岸田政権の命運を小池都知事に預けた」はずが…
裏金事件で起訴された安倍派の谷川弥一氏の議員辞職に伴う長崎3区で自民党は候補者擁立を早々に見送り、不戦敗を決めた。
旧統一教会問題やセクハラ疑惑で批判を浴びて衆院議長を退任した細田博之氏の死去に伴う島根1区は、細田氏が安倍派会長を務めていたことに加え、後継候補の元財務官僚の評判も悪く、立憲民主党元職に大きく後れを取っている。
そして柿沢未途氏が公選法違反事件で起訴され議員辞職したことに伴う東京15区も独自候補を擁立できる環境にない。そこで小池知事が擁立する「ファーストの会」の候補に相乗りし、小池人気にあやかって「1勝」を拾う虫の良い選挙戦略を描いていたのだった。「岸田政権の命運を小池知事に預けていた」(岸田派関係者)といっていい。
小池知事自身が東京15区補選に電撃出馬して国政復帰し、自民党に復党して9月の総裁選に出馬し、初の女性首相に挑むという観測も永田町に流れていた。
ライバル不在の政治状況をつくって総裁再選を狙う岸田首相にとって警戒すべき事態だったが、小池知事は自民党の萩生田光一都連会長らを通して自らは出馬せず、乙武氏を擁立する意向を内々に伝えてきたため、岸田首相は安堵していた。そこで自公与党で乙武氏を推薦し、3補選のうち1勝を確実にして、できれば2勝1敗、悪くても1勝2敗で乗り切ろうという算段だったのだ。
公明党に存在した小池待望論
ところが、小池知事は乙武氏を公認せず、無所属で出馬させた。乙武氏は小池氏との二連ポスターに囲まれて出馬会見しながら、なぜ無所属なのかという批判がネット上で噴出。自民党内でも「小池知事はなぜ半身なのか。本気で乙武氏を応援する気があるのか」という不信感が広がった。
さらに誤算だったのは、公明党が乙武氏の過去の女性問題を理由に推薦に慎重な姿勢に転じたことだ。組織選挙を支える創価学会婦人部(現在は女性部)に反発が強いという理由を自民党に伝えたが、本当の理由は別にあるのではないかと私はみている。
公明党は岸田政権を支える麻生太郎副総裁や茂木幹事長と折り合いが悪い。不人気の岸田首相が6月解散を断行することにも反対で、9月の総裁選で首相を差し替え、新政権誕生後にただちに総選挙を行うよう求めてきた。
公明党と都政で緊密な関係にある小池知事が東京15区補選に電撃出馬して国政復帰し、自民党に復党して9月の総裁選で勝利し、小池政権誕生後にただちに解散総選挙を断行するのがベストシナリオだったのだ。小池知事自身も7月の都知事選に出馬するかどうかを明言せず、4月の補選出馬に含みをみせていたため、公明党では小池待望論が膨らんでいたのである。
補選全敗・6月解散見送りで「岸田おろし」が始動
小池知事が補選出馬を見送り、代わりに乙武氏を擁立したことは、公明党を落胆させた。しかも乙武氏を無所属で出馬させたことに不信感を募らせた。
小池知事から十分な根回しを受けていなかったのだろう。小池知事が出馬しないのなら、過去の女性問題で婦人部に反発が強い乙武氏を無理に応援するメリットはない。むしろ公明党が3補選をサボタージュして岸田政権を全敗させ、6月解散の芽を摘むほうがよい。
公明党は岸田政権で非主流派に甘んじている菅義偉前首相や二階俊博元幹事長と密接な関係を築いている。岸田首相・麻生副総裁・茂木幹事長の現執行部に協力する義理はない。乙武氏の推薦見送りを決める際にも、菅氏や二階氏と入念なすり合わせをしたことだろう。菅氏や二階氏にとっても補選全敗は「岸田おろし」を仕掛ける契機となり、都合がよい。
再燃した小池氏の学歴詐称疑惑の影響
トドメは『文藝春秋』が9日に報じた小池知事元側近の爆弾告発だった。
4年前の都知事選目前、小池知事が「カイロ大卒」の学歴を詐称しているという疑惑が浮上したが、カイロ大が卒業を認める声明文がエジプト大使館のフェイスブックで公開されて疑惑は沈静化し、小池知事は再選を果たしていた。ところがこの声明文は、実は元側近が発案し、小池知事に近い元ジャーナリストが作成して、最終的には小池知事がエジプト政府側へ渡していたと暴露したのである。
元側近は弁護士の小島敏郎氏。東大法学部を卒業して環境庁に入庁した元キャリア官僚だ。小池知事就任後は東京都の特別顧問や都民ファースト事務総長も務めた側近中の側近だった人物である。
元側近の爆弾告発は、学歴詐称疑惑を再燃させた。小池知事が補選出馬を見送ったのも、代わりに擁立した乙武氏を公認しなかったのも、これが本当の理由であろうと永田町の多くが受け止めた。小池知事が疑惑再燃で逃げ出したというわけだ。
衆院補選は長崎3区、東京15区で不戦敗に
乙武氏は公明党から推薦を得られない事態を受けて、裏金事件で批判を浴びる自民党だけから推薦を受けるのは逆効果と判断し「自民党から推薦を受ける予定はない」と表明。自公与党の組織票を固める選挙戦略から、無党派層に訴える選挙戦略に急遽転じたが、東京15区の街頭に立つと小池知事の学歴詐称疑惑でヤジを浴びている。戦線崩壊の様相だ。
事態の急変を受けて自民党も乙武氏推薦の方針を撤回した。留守役を任されている麻生氏や茂木氏が主導して決定したのだ。もちろんワシントンへ報告はしたものの、晩餐会や米議会でのスピーチに追われる岸田首相にとって国内政局は二の次だったに違いない。
乙武氏の推薦見送りにより、自民党は衆院3補選のうち2補選の不戦敗が確定した。岸田政権の命運を左右する重大決定は、首相不在の間に下されたのだ。首相の帰国は補選告示2日前の14日。今更如何ともし難い状況だったのである。
岸田政権の「レームダック化」は避けられない
この時期の訪米日程を米側と最終調整したのは、麻生氏である。
当初は不人気の岸田首相の「卒業旅行」とするつもりでいた。国賓待遇の訪米を花道として退陣させ、茂木氏に政権を引き継がせ、自らはキングメーカーとして君臨し続ける政局を描いていた。ところが岸田首相は退陣を受け入れず、両者の関係は軋んだ。麻生氏もまた4月の3補選を全敗させることで6月解散を阻み、9月の岸田退陣の流れをつくる方が得策だと判断したのだろう。
公明党も、非主流派の菅氏や二階氏も、主流派の麻生氏や茂木氏も、「補選敗北による6月解散阻止」で利害は一致していた。小池知事の学歴詐称疑惑の再燃が東京15区補選からの撤退に格好の口実を与えたといっていい。
3補選の負け越しは決まった。残る島根1区も劣勢だ。補選全敗なら6月解散は困難となり、岸田政権はレームダック化する。9月退陣へ外堀は埋まった。
逆に立憲民主党は補選全勝で勢いづく可能性が高い。国会会期末に向け政治資金規正法の抜本改正を迫ってくる。政治資金パーティーの全面禁止など改正のハードルをどんどん上げてくるだろう。岸田首相が野党の要求を受け入れれば自民党内がまとまらず、自民党内に譲歩すれば与野党協議は決裂する。6月解散に踏み切れる状況にはなりそうにない。
岸田首相の強みは「ポスト岸田がいないこと」
岸田首相の頼みの綱は、有力なポスト岸田の不在だ。
最大のライバルである茂木氏は麻生氏に同調し茂木派存続を表明していたが、小渕優子選対委員長ら離脱者が相次ぎ、ついには派閥解散へ追い込まれそうな気配である。二階氏が温めてきた小池擁立論は学歴詐称疑惑の再燃で潰れた。菅氏が前回総裁選で擁立した河野太郎デジタル担当相はマイナンバーカード問題で失速。小泉進次郎元環境相は父親の純一郎氏から「今は動くな」と止められている。菅氏は国民人気の高い石破茂元幹事長の擁立を検討してきたが、党内の支持は広がっていない。
一方、麻生氏は岸田派に所属していた上川陽子外相をポスト岸田にショーアップすることに成功した。茂木氏を嫌う岸田首相の意向を踏まえ、政治基盤のない上川外相を麻生・岸田・茂木3氏で担ぐ傀儡政権を想定したものだ。だが、岸田首相が退陣を受け入れるのか、茂木氏が総裁選出馬を諦めるのか、そして麻生氏を後見人とする上川外相への支持が本当に広がるのか、不確定要因は多い。
裏金事件を受けた派閥解消によって自民党議員の大半は無派閥となった。最大派閥・安倍派は消滅し、大幹事長だった二階氏も次期衆院選への不出馬を表明。派閥の引き締めは弱まり、岸田首相が相対的に強くなった側面は確かにある。
岸田首相は補選全敗を想定して6月解散をあきらめ、現総裁として人事権をちらつかせて党内を掌握し、総裁再選を果たす戦略に転じたとみていいだろう。
選挙に勝てない、解散できない首相では再選は難しい
とはいえ、解散総選挙を先送りして9月を迎えた場合、総裁選は「選挙の顔」を決める戦いとなる。衆院任期は来年10月まで残り1年。来年夏には参院選も控えているからだ。
内閣支持率が回復しなければ、岸田首相がどんなに人事権で党内を引き締めたところで「新しい選挙の顔」を求める党内世論が高まる。岸田首相の総裁再選は相当に険しい道だ。
岸田首相の国賓待遇の訪米は、バイデン政権が主導したウクライナ支援に同調して巨額支援を表明し、米国製ミサイル・トマホークも大量購入した「ご褒美」の側面もあった。岸田首相を歓待したバイデン大統領は高齢不安が強まり、11月の大統領選にむけてトランプ氏にリードを許し、再選へ黄信号が灯っている。
後世振り返れば、岸田夫妻が満喫した国賓待遇の訪米は「卒業旅行だった」と評価されるかもしれない。ひょっとして首相自身、「これが卒業旅行になるかも」という思いがよぎり、ワシントンでの大はしゃぎになったのではないかと私は想像している。
 
 
 
 
●小池百合子都知事の学歴詐称疑惑巡り元側近「図らずも加担してしまった」 4/17
東京都の小池百合子知事(71)のカイロ大卒業の学歴をめぐり、2020年に同大学長名で出された小池氏の卒業を証明する声明に関し、「学歴詐称疑惑の隠蔽(いんぺい)工作に加担した」と月刊誌「文芸春秋」に手記を発表した元側近の小島敏郎氏(75)が17日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見した。
小島氏は環境省の元官僚で、小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の事務総長も務めた。弁護士の資格も持つ小島氏は冒頭、「私は図らずも小池知事の学歴疑惑隠蔽(いんぺい)工作に加担してしまった」と言及。大学側の声明が、駐日エジプト大使館のフェイスブックに掲載された経緯について「6月6日に小池知事に相談を受け、カイロ大に声明を出してもらったらどうかと提案した。翌日、中身に関する相談をメールで受けたが私は対応せず、既に来ていた大学からのイベントの招待状で追及を乗り切る旨、返信した」とし、小池氏に送付したものだとするメールの文面を公開した。
この時、小池氏は小島氏の友人の「元ジャーナリストのA氏」に「声明文の作成を依頼した」と、小島氏は主張。翌日、小池氏から大学長のサイン入り声明文が送られてきたとして「驚異的な早さだ」と訴え「実際には彼女が作成に関わっていた」「隠蔽(いんぺい)工作に現職知事が関わったことは重大な問題」などと訴えた。
小池氏が留学当時に同居していた女性が、著書などで小池氏のカイロ大卒業について否定している証言があるとして「実態を調べないといけないというのが、法律家の考えだ」とも口にした。
A氏とも情報交換を続けているとして、いずれはA氏も実名を明かして証言すると主張。小池氏がもし7月の都知事選に3選を目指して出馬した際に、カイロ大卒業と経歴に書くようなら公職選挙法違反の疑いが生じるとして、刑事告発に踏み切る考えを表明。「小池氏と法廷で闘うことになれば、すべてを明らかにする」とも口にした。
一方、小池氏は学歴詐称疑惑について一貫して否定している。4月12日の定例会見では、小島氏の手記内容にも反論。「卒業していないとおっしゃるが、大学が卒業を認めており、すでに卒業証書と卒業証明書はこの場でもお伝えしてきている」と述べ、大学側の公表の早さは「卒業の事実があるからこそのスピード感だ」と強調。小島氏の提案については「あまり鮮明には覚えていない」とした上で「前回(学歴詐称疑惑で)騒いだ時は2020年6月で(再選出馬した)都知事選の直前。選挙のたびにこうした記事が出るのは、そもそも残念」と述べた。
 
 
●小池百合子知事の学齢詐称疑惑 4/18
ポスト岸田に浮上していた東京都の小池百合子知事の学歴詐称疑惑が再燃し、4月28日投開票の衆院東京15区補選を含む政局に大きな影響が出ている。「マスコミがカイロ大学に確認すればいいのでは」という声もあるが、事はそう単純ではない。小池知事とエジプト政府がカイロ大卒をでっちあげた「共犯関係」にある可能性が指摘されているからだ。
その場合、小池知事が国民を騙しているというだけではなく、国益にかかわる重大な事態に発展する。だからこそ、疑惑解明は不可欠である。
最大の問題は何か。じっくり解説しよう。
小池知事がカイロ大学を卒業したことへの疑念は、前回知事選(2020年)の直前に高まった。この時はエジプト大使館が、卒業を証明するカイロ大の声明文をフェイスブックで公開し、事態は沈静化。小池知事は都知事選に圧勝して再選を果たした経緯がある。
この学歴詐称疑惑が再燃したのは、小池元側近の小島敏郎氏が文藝春秋で、この声明文について「小池氏が作成した」ことを暴露したからだ。小島氏自身がカイロ大に声明文を出してもらうことを発案し、元ジャーナリストが原案を作成し、小池氏が仕上げてエジプト側へ渡したという内容である。
小島氏は「小池氏がカイロ大学を卒業していない相当な理由がある。自分は偽装工作に加担してしまったのではないか」と語っており、衝撃の内部告発といっていい。
小島氏は東大法学部を卒業した弁護士である。環境省キャリア官僚から小池知事就任にともなって東京都の特別顧問となり、都民ファースト事務総長を務めた側近中の側近だった。告発内容は信憑性が高いとみられている。
これに対し、小池知事は定例記者会見で「カイロ大を卒業したことはカイロ大が認めている」と繰り返すばかりで、声明文を作成した事実はあるのかどうかについては避け続けた。
カイロ大学の声明そのものに疑惑が向けられているのに、その声明をもって「卒業した」と言い張るだけでは、自らの潔白を立証したことにならない。
専門家によると、エジプトは軍事政権下で、国内外の政治家や軍幹部の子息らに「不正卒業証書」が発行されてきたといわれる。「カネやコネで卒業証書を手にいれることは十分可能」との証言も相次いで報じられている。カイロ大学に卒業の有無を確認しても、実態解明はできないといっていい(日本でも財務省の公文書改竄や検察の証拠改竄が行われてきたので、他国政府の批判ばかりはできない。政府が認めたからといって事実とは限らないのは世界の常識だ)。
しかも日本政府はエジプトに巨額のODAを実施してきた。日本の大物政治家である小池知事の意向は簡単には無視できない。
さらに小池知事は2022年11月にエジプトを訪問し、閣僚と面会して両国の連携を確認したほか、カイロ大も訪問して講演しているのだ。当時も「学歴を証明してもらったお礼に行ったのではないか」との憶測を読んだが、元側近の暴露で改めて小池知事とエジプト政府・カイロ大学の不透明な関係に関心が集まるのは必至だ。
そもそもカイロ大学の声明がエジプト大使館にアップされたのは不自然だった。小池知事は声明作成に関与したのか、明確に説明する責任がある。
元側近の小島氏は小池知事を刑事告発することも検討しているという。
最初に問われるのは、学歴詐称だ。公職選挙法では虚偽事項を公表して選挙に出馬した場合の罪が定められている。だが、この時効は3年。前回知事選分はすでに時効が成立している。
問題は、今年7月の知事選だ。
小池氏が改めてカイロ大卒を掲げれば、新たに公選法違反の疑いが発生する。かといって小池氏がカイロ大卒を掲げなければ「やはり学歴詐称だったのか」と認めるようなものだ。いずれにしろ小池知事は追い詰められる。
そこで出馬自体を断念し、政界引退に追い込まれる可能性が出てくる。衆院東京15区補選への出馬を見送った本当の理由も学歴詐取疑惑にあるとの見方が政界では強まっている。
小池知事がカイロ大の声明文を勝手に作成したのなら、私文書偽造が成立する。エジプト政府と連携して偽造したのなら「共犯」となる。カイロ大学の事後的に了承を得たとしても免責されるかどうかは微妙だ。卒業の有無とは別に、声明文作成の経緯そのものも重大な疑惑といっていい。
深刻な問題は、小池知事がODAをはじめ日本政府のエジプト支援を背景に「卒業証明」を得たとすれば、税金で学歴を買ったという構図が成り立つことだ。これは日本の有権者の怒りを爆発させるだろう。小池知事の政治生命は尽きることになる。
さらに問題なのは、小池氏がエジプト政府に秘密を握られた可能性があることだ。本当は卒業していないのに、エジプト政府のはからいで卒業を偽装したとすれば、小池知事はエジプト政府に政治生命を握られたことになる。このような立場で知事を続けることは不可能だ。まして首相を目指すことなどあり得ない。これまた政治生命は終わるといっていい。
以上の状況を踏まえると、この疑惑はうやむやにしてはいけないことがよくわかる。マスコミは相変わらず小池知事に手ぬるいが、ことの重大性を理解しているのだろうか。 
 
 
●「党内で人気がないんだなぁ」菅義偉がポツリと漏らした石破茂「世論No.1でも総理・総裁NG」なダメっぷり 5/3
衆院3小選挙区補欠選挙で自民党が全敗したことを受けて、「岸田文雄首相(総裁)では次期総選挙は戦えない」との声が大勢となっている中、「ポスト岸田」の有力候補とみられているのが、石破茂幹事長だ。
というのも、報道各社の世論調査で「次の首相」として、最も高いポイントを毎回出しているのが石破氏だからだ。だが、世論調査とは対照的に、党内でのあまりの人気のなさに、石破氏を担ごうとした菅義偉前首相が諦めムードとなっている。
FNN(フジニュースネットワーク)が4月20、21の両日に行った世論調査で、「次の首相に誰が最もふさわしいか」と尋ねたところ、首位は石破氏(17.7%)で、これに小泉進次郎元環境相(14.1%)、上川陽子外相(7.9%)、河野太郎デジタル相(7.7%)が続いた。同じ質問をした2月の調査や、誰が次の自民党総裁にふさわしいかと聞いた3月の調査でも、石破氏ら4人の順位は同じだった。
自民支持層の回答に限ってみても、石破氏(17.3%)と小泉氏(17.0%)が「2強」。なお、石破氏は立憲民主党支持層でも34.6%と、高い人気を示している。
この結果を見ると、仮に自民党が政権を維持した場合、石破氏が「次の首相」として最右翼ということになる。これまで4度も総裁選に出馬し、いずれも敗れてきたが、その知名度は高い。
もっとも、4月の島根1区の補選では、鳥取選出の石破氏が隣県の島根に入り、きめ細かく自民党候補を応援したにもかかわらず、選挙結果に生かすことはできなかった。
石破氏は補選から一夜明けた4月29日、BS番組に出演して、次のように危機感をあらわにした。
「島根のような保守の強いところでこういうことが起きるのは、瞬間風速と片付けないほうがいい。次の選挙はかなり厳しい気がする」
石破氏の指摘はもっともだが、自民党の閣僚経験者は手厳しい。
「もはや『現役政治評論家』になっている。自分自身もあれだけ入れ込んで応援した責任の一端があるにもかかわらず、まるで他人事のような言い方をする。後ろから鉄砲玉を撃っているような印象を与えるから、たとえ世論調査で人気は高くても、党内で石破支持が広がらない」
菅氏も周辺に「(石破氏って)党内で人気ないんだなぁ」と漏らしている。
石破氏は「5度目の正直」を目指しているが、前途は厳しいようだ。
 
 
 
 
 
 


2024/4