選手交代してください 岸田さん 

岸田総理

長い期間
お疲れさまでした
ご苦労さまでした


新しい総理
何か新しい政治が見られるなら 見たいものです

民のための政治

日本を どんな国に
 


4/14/24/34/44/54/64/74/84/94/10・・・4/114/124/134/144/154/164/174/184/194/20・・・4/214/224/234/244/254/264/274/284/294/30・・・
5/15/25/35/45/55/65/75/85/95/10・・・5/115/125/135/145/155/165/175/185/195/20・・・5/215/225/235/245/255/265/275/285/295/305/31・・・
6/16/26/36/46/56/66/76/86/96/10・・・5/116/126/136/146/156/166/176/186/196/20・・・6/216/226/236/246/256/266/276/286/296/30・・・
 
 
 
 4/1-4/10

 

●岸田首相国賓訪米の罠<Eクライナ巨額支援・武器輸出…バイデン政権の言いなりに 日本は独立国として国益判断すべき 4/1
岸田文雄首相は来週10日、国賓待遇で訪米し、ジョー・バイデン大統領と首脳会談を行い、11日に上下両院合同会議で演説を行う。岸田首相は3月28日の記者会見で、「日米両国の緊密な連携を一層深め、強固な日米同盟を世界に示すことは有意義だ」と語った。ただ、米ホワイトハウスは「世界における日本の指導的役割の強化が示される」(3月25日)との声明を発表している。中国の覇権拡大が著しいインド太平洋地域だけでなく、ウクライナや中東でも「新たな要求」を突き付けられるのか。ジャーナリストの加賀孝英氏が最新情報をリポートする。
岸田首相の訪米と日米首脳会談が注目されている。その意義について、「日米同盟や日米関係の重要性を明確に示す」と伝えられるが、主要テーマの1つに「ウクライナ支援」が指摘されている。現に、日本は2月、東京で「日・ウクライナ経済復興推進会議」を開催している。
そのウクライナがいま、敗北危機にある。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米CBSテレビのインタビュー(3月28日放送)で、「(ロシア軍が)5月末から6月にかけて、ウクライナに大規模な攻勢に出る」との情報を明かし、悲痛な表情で追加の武器支援を呼びかけた。
外事警察関係者は「極めて深刻だ。ロイド・オースティン米国防長官は3月中旬、訪問先のドイツで、『ウクライナは生存の危機にひんしている』と語った。もし、ロシアが勝利して『力による現状変更』が現実となれば、台湾有事や朝鮮半島有事を誘発しかねない。ポーランドのドナルド・トゥスク首相が『戦争前夜』と語るなど、欧州各国は対露戦争を警戒している。第二次世界大戦後、最大の危機だ」と語った。
前出の日米首脳会談についても情報がある。
英紙フィナンシャル・タイムズ(3月24日)は、「日米首脳会談で、在日米軍司令部の再編計画を発表する見通し」「日米両国は(中国の脅威に対抗して)1960年の日米安保改定以来、最大の大幅改定となる」「作戦計画立案と演習を強化する」などと報じた。
首脳会談ではこのほか、1対露制裁とウクライナ支援の継続2米国と英国、オーストラリアによる安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」と日本との技術協力協議3航空自衛隊の練習機「T4」の後継機を共同開発4ワシントンで7月に開催されるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に岸田首相を招待―などが話し合われる。
こうしたなか、日本の「ウクライナ支援」が注目されている。以下、日米情報当局関係者による驚愕(きょうがく)情報だ。
「日米首脳会談における最大の焦点は、バイデン氏の要求を受けて、岸田首相が『日本のウクライナ支援』をどこまで認めるかだ。米国を含むNATOの狙いは、日本による巨額資金の提供といえる。『岸田首相は水面下で、巨額支援を約束している』という指摘もある。さらに、日本が昨年12月に決定した、米国ライセンスで生産する地対空ミサイル『パトリオット』の米国輸出も注目だ。パトリオットをウクライナに供与している米国の在庫を補充するもので、間接的なウクライナ支援といえる」
ロシア警告のパトリオット提供
ロシアは当然、岸田政権を警戒している。
新しい駐日ロシア大使のニコライ・ノズドレフ氏は14日、外務省で岡野正敬事務次官に信任状の写しを提出し、日本での外交活動を始めた。ノズドレフ氏はプーチン氏直結のヤリ手だ。日米情報当局の情報はこう続く。
「ノズドレフ氏は密命を受けている。国営ロシア通信が3月22日に報じたインタビューで、『日露関係は(日本の指導部の反ロシア的措置で)戦後最低レベルにある』と断言。日本がパトリオットの米国提供を決めたことについて、日本製兵器がウクライナ軍の手に渡れば『最も深刻な結果を招く』と警告した。ロシアの諜報機関は、日本で監視・工作体制を敷いている。『ロシアが中国、北朝鮮と一体となった対日攻撃を準備している』という情報もある」
日本は独立国として国益を判断すべきだ
日米同盟が、日本の外交・安全保障の基軸であることは間違いない。ただ、日本は独立国であり、バイデン政権の要求にただ従うのではなく、自国の国益を考えて判断すべきだ。11月の大統領選次第では、ドナルド・トランプ前大統領が復活し、米国の政策が変わる可能性もある。
国会やメディアが「政治とカネ」で大騒ぎする陰で、国運を左右しかねない重大事が、支持率が「危険水域」に落ち込んでいる岸田内閣によって、ひそかに進められているとすれば危険だ。
2022年7月に凶弾に倒れた安倍晋三元首相は、19年1月の施政方針演説で、明治天皇の次の御製を引用した。
「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」
日本人の強さは非常時にこそ発揮される。わが民族は、幾多の国難を力を合わせて乗り越えてきた。戦後最大の危機を前に、「救国」に立ち上がる政治家はいないのか。
●東京15区補選出馬の乙武洋匡氏「女性5人と不適切関係」払拭なるか 岸田政権の命運左右 4/1
衆院東京15区補選(16日告示、28日投開票)に作家の乙武洋匡氏(47)が出馬を調整している。小池百合子東京都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が国政進出に向けて設立した「ファーストの会」が擁立する。自民党は独自候補の擁立が難航し、乙武氏に相乗りする方向だが、乙武氏とは平成28年参院選で自民が擁立を調整したものの、女性5人との不適切な関係が発覚し、断念した因縁がある。乙武氏がこうしたイメージを払拭できるかも焦点だ。
小池氏「誠実な活動を確認」
「私自身が素行不良だという指摘は間違っていない。ただ『障害者』という属性によって役割を制限したりする表現は一考いただければ」
乙武氏は3月30日、X(旧ツイッター)で、日本維新の会の地方議員の書き込みに対し、こう反論した。地方議員は乙武氏の同補選出馬について、乙武氏の障害者という属性を挙げて揶揄したと捉えられかねない投稿をしていた。
乙武氏は29日にファーストの会副代表に就任した。乙武氏も都民ファの政治塾で講師を務めるなど、同会と関係が近かった。小池氏も同日の記者会見で、乙武氏について「インクルーシブな社会を体現し、実現する人物で、お声がけし、本人もそれに臨んでいきたいという意思だ。日本のゲームチェンジを担っていくのに、ふさわしい方ではないか」と述べた。
乙武氏は先天性四股欠損症(生まれつき両腕と両足がない)という大きな障害を抱え、車いすで活動する。平成10
年、早大在学時に出版した「五体不満足」がベストセラーになった。スポーツライターや小学校教員などを務めながら、28年7月の参院選では自民が東京選挙区から2人目の候補者として調整した。しかし、同年3月に週刊新潮に「5股」での不倫が報じられ、最終的に出馬は見送られた。乙武氏は令和4年7月の参院選東京選挙区に無所属で出馬したものの、落選している。
今回の出馬にあたり、焦点となるのは乙武氏の過去の醜聞だ。小池氏は3月29日の記者会見で、「二度とそういう過ちを犯さないということで、以来、誠実な活動を続けているということを確認している」と強調した。
勝敗は岸田政権の命運を左右
同補選の実施は公職選挙法違反事件で有罪が確定した柿沢未途被告(自民離党)の議員辞職に伴うもので、自民は派閥の政治資金パーティー不記載事件など「政治とカネ」で逆風下にさらされていることもあり、独自候補の擁立は困難な状況だ。自民幹部は「ファーストの会の候補に相乗りさせてもらうしかない」と明け透けに語る。
最近の乙武氏は、自民側とも良好な関係を築いている。5年10月、フェイスブック(FB)などで、岸田文雄首相の長男の翔太郎氏や自民の小林史明衆院議員らと一緒に広島を訪れ、瀬戸内海を観光した様子などを報告している。同年11月は首相の政治団体で「高額会食」が多数あったとする報道に対し、乙武氏がXで「居酒屋やファミレスで会食をしろとでも言うのでしょうか」と記すなど援護射撃≠キる場面もあった。
党執行部でも、乙武氏への懸念が完全に消えたわけではない。茂木敏充幹事長は、自身が選対委員長時代に乙武氏の参院選出馬断念という苦い経験をしただけに、乙武氏の推薦に慎重な態度を示したこともあったという。
自民党都連は、ファーストの会の候補を自民が推薦すること自体に複雑な心境を抱える議員もいる。ある自民都議は「日頃選挙で戦ってきた都民ファーストの会関係の幹部を応援しろとなった際、地方議員はまだしも、その先の支援者に納得してもらうのは容易ではない」と漏らす。
今回の東京15区補選は、岸田文雄政権の行く末も占う重要な一戦となる。自民は同時に行われる衆院長崎3区補選で不戦敗を選ぶ方向だ。もう1つ、同じ時期に実施される衆院島根1区補選は野党系候補の一本化が図られ、自民の新人候補の苦戦が伝えられている。野党系候補が乱立している東京15区は、3補選のうちで自民系の勝ち星が最も見込めそうな選挙でもある。ここも落として全敗となれば、首相の求心力がさらに低下し、政権がレームダック化する可能性さえある。
東京15区補選は日本維新の会が新人の金沢結衣氏(33)を、共産党は新人の小堤東氏(34)を、参政党は看護師で新人の吉川里奈氏(36)を、政治団体「日本保守党」はイスラム思想研究者の飯山陽氏(48)をそれぞれ擁立する。立憲民主党も前江東区議の酒井菜摘氏(37)を擁立する方向で調整に入っている。
●自民党に激震 次期衆院選「政権交代のぞむ」4割以上、JNN調査 裏金事件厳罰<Aピールも国民世論は冷淡 4/1
自民党派閥のパーティー収入裏金事件で、岸田文雄首相(総裁)ら党執行部は、週内にも関係議員を処分する。安倍派(清和政策研究会)幹部に「離党勧告」を科すなど厳罰≠アピールする構えだ。ただ、岸田政権への国民の視線は厳しく、JNN(TBS系、3月31日公表)の世論調査では、4割以上が次期衆院選で「政権交代をのぞむ」と答えた。
党執行部は1日にも党紀委員会の招集を要請し、今週中にも処分内容を最終決定する方針だ。
安倍晋三元首相の「還流廃絶」という指示を無視し、還流を続けた安倍派幹部には、党処分で2番目に重い「離党勧告」を検討している。5年間の不記載額が500万円以上という安倍派と二階派(志帥会)の約40人の議員を処分する方向という。
ただ、岸田首相が率いた岸田派(宏池会)でも、約3000万円の不記載で元会計責任者が東京地検特捜部に立件されている。岸田首相自身も2022年、政治資金パーティーを年7回も開き、1億3000万円以上を売り上げたとして、大臣規範の逸脱だと批判されている。
党ベテラン議員は「自分は『責任不問』では情けなくて示しがつかない」と語る。
世論は当然厳しい。
JNNの最新世論調査では、岸田内閣の支持率は過去最低の22・8%(前回比0・1ポイント減)。不支持率は75・0%(同0・6ポイント増)と3カ月連続で過去最高を更新した。同調査では、次期衆院選について、「政権交代をのぞむ」が42%で、「自公政権継続」は32%だった。
●岸田政権はパナマに短期ビザ免除、犯罪認知件数が殺人16倍、強盗54倍 4/1
岸田政権は、4月1日から、90日を超えない「短期滞在」での活動を目的とするパナマ国民であって、IC一般旅券を所持する者に対し、査証免除措置を開始することとなった。
今回実施される査証免除措置は、1月10日に開催された日・パナマ外交関係樹立120周年記念レセプションにおいて、柘植外務副大臣から発表されたものであり、2月23日に実施された上川外務大臣のコルティソ・パナマ共和国大統領表敬において、同大統領から上川大臣に対し、この査証免除措置の導入に対する謝意が表明されている。パナマ政府は、日本人に対する査証免除措置を既に導入済みであり、4月1日から、日・パナマ両国国民は、査証を取得することなく相互に訪問できるようになる。
日・パナマ外交関係樹立120周年の本年、この査証免除措置が導入されることで、両国の人的交流の活性化を通じた一層の友好関係の強化が期待されます。
なお、外務省の海外安全情報によると、パナマの人口は約420万人となり、2022年に年間92,501件の犯罪が発生している。治安のバロメーターと言われる殺人と強盗については、殺人は480件(日本853件)、強盗は2,062件(日本1,148件)であり、単純に人口一人当たりの犯罪認知件数で比較(日本人口約1億2,000万人)すると、殺人は日本の約16.2倍、強盗は日本の約54.4倍に達している。
●岸田政権は地域全体で外国人患者を受け入れようと 4/1
岸田政権は、地域全体として外国人患者を受け入れる環境整備への支援の一環として、外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)などを推進していくことが明らかになった。
厚生労働省では、外国人患者が円滑に医療機関を受診するにあたり、医療機関だけではなく、地方自治体、観光事業者・宿泊事業者等が連携して、地域全体として、外国人患者を受け入れる環境整備への支援を実施している。
今回は、平成24年度から実施している外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)等推進事業について、令和6年度において実施する団体を選定するために、公募を開始した。なお、この認証制度は、外国人患者の円滑な受入れを推進する国の事業の一環として厚生労働省が平成23年度に実施した「外国人患者受入れ医療機関認証制度整備のための支援事業」を基盤に策定されている。公募期間は、4月1日から4月15日となる。
公募要領によると、この事業は、選出された医療機関に係る情報の周知や今後の選出の推進を含め、外国人患者の受入れ体制の整備に資する情報の発信を行うことを目的としている。具体的には、『ワークショップ・セミナー等の開催』『各地の取組等の実態調査の実施』『外国人患者受入れ体制の整備に資する情報発信』などを実施する必要がある。
●「岸田政権はよく考えながらやっているなぁ」4月物価上昇と6月定額減税の実施 4/1
大阪府知事や大阪市長を務めた弁護士の橋下徹氏が1日、フジテレビ系「めざまし8」に出演。物価上昇と減税について、「岸田政権はよく考えながらやっているなぁ」と感心した。
4月から加工食品、飲料、調味料などの食料品や、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの紙製品、配送料などが相次いで値上げされる。家計への負担は約6万円と言われている。これに対し、今年6月以降に1人あたり所得税3万円、住民税1万円を合わせた4万円の定額減税がある。さらに春闘で33年ぶりに賃上げ率が5%を超えた。これでうまく相殺できる計算だ。「賃金に反映してほしい。ただ、税金で物価上昇分を補っている」と分析した。
オリーブオイルなしで生きていけないという2014年ソチ五輪出場のプロフィギュアスケーターでタレントの村上佳菜子(29)は、「(物価上昇は)困るけど逃れられない。物だけ上がるんじゃなくて、お給料も上がってもらえれば」と話した。
●自民の派閥裏金、計39人を処分へ 首相と二階氏は見送り 4/1
自民党は1日、派閥の裏金事件をめぐり、党総裁の岸田文雄首相と二階俊博元幹事長に対する処分を見送ることを決めた。過去5年間の政治資金収支報告書への不記載総額が500万円以上の議員らと、一部の安倍派幹部を含む計39人を処分対象とする。4日に正式に処分を下して幕引きを図る構えだが、トップの責任回避の判断に批判が強まる可能性がある。
首相、茂木敏充幹事長、麻生太郎副総裁が処分内容を水面下で協議してきた。この日、自民は処分を決める党紀委員会の招集に向けた幹事長名による「政治倫理に係る事案の処分審査について」と題した文書を公表。派閥の政治資金パーティーに端を発する裏金事件について「(自民に)批判の声が寄せられるとともに、大きな政治不信を招いている」とし、関係者の処分が必要と記した。
そのうえで、「『派閥』の幹部の立場にありながら適切な対応を取らず大きな政治不信を招いた者」と、「不記載または不適正な記載の金額が過去5年間で500万円以上と多額に上った者」を処分対象とし、計39人への審査を同委員会に要請した。 ・・・

 

●裏金500万円以上の議員ら39人処分へ 4/2
自民党は派閥政治資金パーティーを巡る裏金問題で39人を処罰する方針で党党紀委員会に審査を要請した。茂木敏充幹事長が1日公表した。派閥幹部でありながら適切な対応を取らずに政治不信を招いた者や政治資金収支報告書への不記載額が500万円以上などを処分の基準にした。離党勧告を含め処分を検討するが、国民からは党として除名、議員自ら辞職すべきなどの声もあり、国民が納得できる処分を行えるのか、処分内容が注視される。
処分対象の議員は衆議院議員27人。参議院議員11人と次期衆院選に出馬予定の中山泰秀大阪4区支部長。なお今回の処分対象に次期衆院選に出ないと表明した二階俊博元幹事長が含まれていないことから、衆院選不出馬で対象から外すのは外す理由にはならないのではないかとの声も出ている。
衆議院議員27人は三ツ林裕已、萩生田光一、堀井学、武田良太、中根一幸、平沢勝栄、簗(やな)和生、林幹雄、杉田水脈、宗清皇一、菅谷一郎、小田原潔、衛藤征士郎、松野博一、高木毅、大塚拓、和田義明、柴山昌彦、関芳弘、吉野正芳、尾身朝子、細田健一、西村明宏、高鳥修一、下村博文、塩谷立。
参議院議員11人は山谷えり子、橋本聖子、世耕弘成、宮本周司、堀井巌、丸川珠代、羽生田俊、岡田直樹、加田裕之、末松信介、山田宏。
●自民党“裏金事件” 安倍派幹部の塩谷、世耕氏の2人に「離党勧告」処分の方向で調整 4/2
自民党は、いわゆる裏金事件の処分をめぐり、安倍派幹部の塩谷立氏と世耕弘成氏の2人を「離党勧告」処分とする方向で調整に入りました。
自民党は裏金事件の処分で、安倍派と二階派の幹部に加え、不記載額が5年間で500万円以上あった議員ら39人を処分する方針です。
2022年にキックバックの再開を協議した安倍派幹部4人のうち、派閥トップの座長を務めた塩谷立氏と参議院側のトップだった世耕弘成氏については「離党勧告」処分とする方向で調整しています。
協議に加わっていた下村博文氏、西村康稔氏の2人についても重い処分とする方向で調整しています。
また、自民党執行部は安倍派幹部の萩生田光一氏、松野博一氏、高木毅氏と二階派の事務総長だった武田良太氏も「塩谷氏ら4人に次いで責任が重い」とみていて、処分の内容について検討を進めています。
一方、不記載額が500万円以上1000万円未満の議員は下から2番目の「戒告」処分とする方向です。
自民党執行部は2日、詰めの調整を行い、4日の党紀委員会で処分を正式に決定する方針です。
●北海道関連で堀井学・橋本聖子・和田義明氏の3議員を処分へ “裏金問題” 4/2
政治資金パーティーのいわゆる裏金問題を巡り、自民党は今週木曜日に39人の議員の処分を決める予定です。
北海道関連では、橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣など3人が対象となっています。
自民党は、安倍派・二階派の幹部と2022年までの5年間で政治資金収支報告書の不記載が500万円以上にのぼる議員ら39人を処分の対象としました。
道内関連では、金額が大きい順に堀井学衆議院議員、橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣、和田義明衆議院議員の3人が含まれています。
500万円に満たなかった高橋はるみ参議院議員は対象から外れています。
自民党は今週木曜日に党紀委員会を開き、処分を決める方針です。
●イシケン「ある種幕引き」「処分の基準も不明瞭」 自民党派閥の政治資金裏金疑惑議員の処分問題 4/2
イシケンこと、起業家の石田健氏が2日、日本テレビ系「DayDay.」に出演。自民党派閥の政治資金裏金疑惑議員の処分問題で、「全容解明がなされていないタイミングであるにもかかわらず、処分という、ある種幕引きを図っている。ここに納得しない人が多いんじゃないかなと思います」と話した。
今回の処分についても、「処分の対象となっている39人は何の基準なのか、党内の基準だけで勝手に決められている。問題を起こした人が、自ら問題を起こした人たちを対象に自ら線引きしているというところも不明瞭。政権支持率は上がっていないし、処分が出た場合もそのまま浮上しないんじゃないかと思う。もう少し抜本的に対応が求められる」と予測した。
4日に処分が発表されるが、適切な対応をとらなったとして安倍派の塩谷立元文科相、下村博文元政調会長、西村康稔元経産相、世耕弘成前参院幹事長は離党勧告、同じく安倍派の高木毅元国対委員長、萩生田光一前政調会長、松野博一前官房長官と、二階派の武田良太元総務相には役職停止、このほか、不記載額が500万円以上だった議員31人には戒告の処分が下される見込み。これらを除く不記載額500万円以下の関係議員は、幹事長注意にとどまっているという。
●泉房穂氏 “裏金問題”自民の大甘処分内容を猛批判「こんなもん処分とは言わない、もみ消し」 4/2
前明石市長の泉房穂氏(60)が2日、カンテレ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演し、政治資金問題に関する自民党の処分内容について「こんなもん処分とは言えない。もみ消し」と痛烈に批判した。
処分の対象は85人だったが、政治資金の不記載額が500万円未満だった40人以上の議員については処分を見送ったことを公表。これには党内外から批判が相次いでいる。自民党の青山参院議員は「処分まぬがれた人が次の選挙で説明できるんですか?私は正しいって、まさか言えないでしょ?」と怒りをにじませた。
泉氏もあきれた様子で「そもそも実態解明してから処分なのに、それもせずに処分できるわけがない。マスコミもこんなの処分とか言わない方がいいですよ。もみ消しと書いた方がいい」と訴えた。さらに「政倫審はうそつき大会、証人喚問は物忘れ大会。ジャニーズや宝塚、ビッグモーターなど民間でも不祥事があれば第三者委員会を作って調査するのが当たり前。今からでもやればいい」と批判は止まらなかった。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「みなさんだまされちゃいけません」と視聴者に語りかけた。「ぼくらが審判できるのは選挙しかない。自民党はみんな忘れていくと思っている。今でも大谷のことや紅麹のことが起こって、政治とお金の問題は小さくなっていくが、でもこれにぼくらは負けちゃいけない」と熱く訴えていた。
●背水の自民総裁選まで半年 言は行を顧み、行は言を顧む 4/2
新年度の政府予算が成立し、自民党の議員たちは9月の総裁選を見据え走り始めた。その道のりは衆院の解散戦略とも絡み合い、野党にとってもひとごとではない。総裁選で何が問われるのか、世代も立ち位置も異なる与野党の4人に聞いてみた。
総裁選までのシナリオは、現総裁の岸田文雄首相からみて大きく二つある。一つは、6月の国会会期末までに衆院を解散し、選挙の成果を掲げて再選をめざすシナリオ。もう一つは、自民内の抵抗などで解散に踏み切れないまま迎える総裁選だ。後者は、衆院選に向け政権の刷新感を演出することが肝といえ、首相が退陣に追い込まれる可能性も高い。裏金問題で派閥が溶解し、背水の状況にある自民内の駆け引きは熾烈(しれつ)を極めること必至だ。
各種の世論調査で「次の首相への期待」でトップに立つ自民の石破茂元幹事長(67)は、総裁選の争点は「派閥なき後の自民は何なのか。総裁選の仕組みをはじめ、党のあり方そのもの」と語った。
カネとポストをテコに国会議員の支持を得るのではなく、一般の党員が政策本位で選べるような総裁選にする。問うべきは、急速な人口減少への対応策や都市と地方の関係、独立主権国家としての対米関係など安全保障だという。総裁選を通じて自民が変われなければ「政権交代が起こるだろうね」と、野党転落もありうるとした。 ・・・
●日本を破壊する岸田政権の移民政策 4/2
外国人優遇の日本
日本は尊王攘夷を掲げ鎖国を求める派と開国を行い貿易で豊かになる派で対立した時代があった。鎖国と開国の対立は徳川幕府を打倒し新たな権力構造で欧米列強に挑む世界となった。徳川幕府の統治下で鎖国が行われていたが、長崎の出島で限定的な外国との貿易は行われていた。欧米列強に対応するために開国して豊かになる開国派が勝利して明治政府が誕生。だが、その後の日本は欧米列強に食い物にされる時代が続き強力な軍事力を持つまで対等にはなれなかった。
令和の時代では岸田政権による移民政策が進められており、日本各地で国民からの不平不満が高まるようになった。これは外国人が逮捕されても理由不明のまま不起訴になる事案が増加。日本人であれば起訴されるが外国人では起訴されない。さらに不法滞在者への在留特別資格が法務大臣の裁量で与えられることになり、実質的な移民政策だと国民は批判する。
さらにイスラム教徒による日本の神社・仏閣への破壊行為が続くようになり、国民からは日本の伝統・文化・風習・価値観・宗教を否定する行為を怒る声が増加。さらに難民クルド人による日本人へのヘイトスピーチが重なり国民は岸田政権による外国人優遇を許せない状況まで到達している。
昔は鎖国と開国、今は移民反対と移民賛成
明治維新は鎖国と開国で対立し開国派が勝利。明治政府が徳川幕府に代わり政治を行うようになったが本質は変わらない。国内の権力闘争と鎖国と開国の対立関係が結果的に明治維新となった。
   移民の区分
・受け入れ国の人間になる移民:原則的に現地政府に従う
・植民地としての移民    :原則的に移民自治(現地政府・原住民無視)
実際に本質を見ていないから今では移民受け入れ肯定派と反対派で対立している。安易に移民政策を行った欧米は移民に国盗りをされて社会が破壊された。移民は現地政府に従い現地の伝統・文化・風習・価値観・言語を受け入れる。だが移民の多くが現地政府無視の移民自治を行った。これで移民を受け入れた欧米は苦しんでいる。
日本は帰化・難民を受け入れているが条件を厳しくすべき。実際は帰化・難民受け入れを国内から手引する者たちがいる。これで受入国の日本に感謝しない外国人が増加し日本の伝統・文化・風習・価値観・言語を否定し、代わりに祖国の伝統・文化・風習・価値観・言語を日本人に強要する発言まで出るようになった。これでは日本は多民族国家へ移行し最終的には国家が分裂することになる。
   人間としての条件
・制限の範囲内の自由:人間・個人主義
・無制限の自由   :獣・利己主義
   → 【社会】制限の範囲内の自由を選んだ人間同士の共同体。
      → 【政治】個人の利益よりも全体の利益を優先した多数決が民主主義。
民主制は地縁・血縁関係のために利益誘導型の共同体の代表が集まり協議する。各地から利益誘導型の代表が集まるから民主制の原点である多数決の意味である“個人の利益よりも全体の利益を優先した多数決が民主主義”を忘れると個人の利益が共同体の利益になり国家の団結力が低下する。その典型が衆愚政治・煽動政治。
例を挙げればユーゴスラビアのような多民族国家で民主制政治は難しい。何故なら地域=民族単位で多数決を行えば“個人(民族)の利益を全体(国家)の利益”にすり替えた多数決が強行される。
各民族の代表が利益を主張するから国全体で欲求不満になる。こうなると国家としての団結力が薄れて最終的には空中分解しユーゴスラビアは消滅した。多民族国家の民主主義は現実的には難しい。だから民主制は多民族国家には適しておらず多民族国家で国内に民族主義が芽生えれば民主主義が崩壊するのは歴史の経験則と言える。
「日本は天皇家と共に神話を受け継ぐ歴史を持ち、拡大化された自己認識として愛国心を持つ」
この価値観で日本は古代から現代まで続いている。古代から日本は帰化を認めているが帰化人は天皇の存在を受け入れたことで日本の歴史に組み込まれている。だから単一民族と言える共同体に至ったが、現代では天皇陛下の存在を認めないまま帰化する外国人がいるのも事実。このような外国人は日本国籍は仕事上有利だから帰化した例が散見される。
日本人になるため日本の伝統・文化・風習・価値観・言語を受け入れるどころか天皇陛下の存在を否定する。さらに祖国の伝統・文化・風習・価値観・言語を日本人に強要することを平然と実行。これを見た国民がネットで批判することが増加した。それだけ危機感を持った証であり、拡大化された自己認識が激突する時代になった。
移民政策が続けば日本の国家体制が破壊され日本人としての存在が消える。移民政策で外国人が増加すると新しい日本人が誕生する。では新しい日本人とは何か?
今の日本の伝統・文化・風習・価値観・言語を否定すれば新しい日本人は国籍だけの存在になる。つまり国家と国民の関係ではなく企業と顧客の関係に変わる。これが新しい日本人。
移民政策を実行した欧米で求められたのは“企業と顧客の関係”としての移民。これが国家と国民の関係だと誤認したことで欧米は先住民と移民の対立関係に至った。これはユーゴスラビアの再現であり、皮肉なことにユーゴスラビアを空爆したNATO加盟国で悲惨な再現をしている。
尊王攘夷が必要だ
今の日本に必要なのは明治維新の失敗から学び尊王攘夷が必要だ。日本は天皇陛下の存在を認め天皇家と共に歴史を受け継ぐ拡大化された自己認識が愛国心となる。この基準から帰化を認めれば良いし、日本政府・法律に従う外国人を受け入れるだけ。偽装難民・不法滞在者・犯罪を犯した外国人は強制送還で対応すれば穏健な尊王攘夷に至る。
今の日本は偽装難民・不法滞在者などが優遇されており住民税を支払わないのに住民サービスを要求。これでは日本が不良外国人に寄生され社会が疲弊する。しかも外国人に参政権を与えれば日本各地に外国人自治区が生まれる。こうなれば日本人は排斥され新たな日本人として企業と顧客の共同体に堕ちる。
今の日本人は移民政策を続ければ間違いなく排斥され国を奪われる。日本を不良外国人に盗られたくなければ尊王攘夷で対応するしか道が残されていない。何故なら不良外国人は祖国の価値観を日本人に強制するため共存共栄を否定している。ならばこのような不良外国人を強制送還することは差別ではなく拒絶になる。これを実現するために選挙で愛国心のある政治家を選ぼう。そうしなければ日本は国家を失うことになる。 
●首相訪米後に予算委集中審議 4/2
与野党は2日の国対委員長会談で、今月前半に米国を訪問する岸田文雄首相の帰国後に予算委員会集中審議を開催することで合意した。今国会中に党首討論を開く方針でも一致した。実現すれば岸田政権で初めての開催となる。
集中審議では訪米の成果や、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた安倍、二階両派議員の処分などが議題になる見通しだ。

 

●能登半島地震で被災者やボランティアに対する大企業の寄付金64億円… 4/3
能登半島地震について、被災者やボランティアなどに対する大企業の寄付金が64億円ほどにのぼることが、経団連の調査でわかりました。
この調査は、経団連が会員企業1563社に能登半島地震の支援活動に関するアンケートを送り、269社から回答を得たものです。
被災地への資金支援を行った企業は242社にのぼり、企業からの寄付金と従業員からの募金額などを合わせ、64億円ほどにのぼるということです。
また、物品やサービスの無償提供など企業の特色を生かした支援を行ったのは118社でした。
企業が行った支援には、KDDIが車両型の出張ショップを出したり、スポーツクラブなどを運営するコナミグループが石川県内の温浴施設を被災者に無料開放したことなどがあったということです。
●「能登半島や熊本地震より規模大きい」東大名誉教授 沖縄津波警報 4/3
3日午前8時58分ごろに台湾付近で発生した推定マグニチュード(M)7・7の大規模な地震について、政府の地震調査委員会委員長を務める平田直・東京大名誉教授は「1月の能登半島地震(M7・6)や2016年4月の熊本地震(最大M7・3)より大きな規模の地震だ」と指摘した。震源は台湾東部の陸地に近い海底の比較的浅い場所だったため、津波が発生したと考えられるという。
沖縄県与那国島ですでに高さ30センチの津波が観測されているが、平田名誉教授は「一般的に津波の第2波、第3波は第1波より高くなる。午前8時58分の地震以降も次々と地震が起きており、気象庁が津波警報・注意報を出している間は、高台への避難を続けてほしい」と呼びかけている。
●“裏金処分”めぐり大詰め 幹部は「離党勧告・党員資格停止・役職停止」へ 4/3
派閥の裏金問題を巡り、岸田総理大臣は自民党の茂木幹事長ら幹部と会談し、安倍派や二階派の議員らの処分について詰めの協議を行いました。自民党は安倍派と二階派の議員ら39人を処分する方針です。
岸田総理大臣は、国会内で約1時間半にわたって麻生副総裁や茂木幹事長森山総務会長らと断続的に会談し、安倍派と二階派の幹部の処分の内容について話し合いました。
会談後、幹部の1人は「大枠は決まった」と述べ、幹部については「離党勧告」や「党員資格停止」「役職停止」の3段階になるとの見通しを示しました。
処分の内容を巡っては、安倍派で衆議院と参議院でそれぞれトップを務めた塩谷元文部科学大臣と世耕前参院幹事長の2人は「離党勧告」とすることで調整しています。
離党に応じない場合は、最も重い「除名」を科すこともありえます。
キックバックの再開について協議していた西村前経済産業大臣と下村元文部科学大臣、その他数人に「党員資格停止」の重い処分を検討しています。
他の安倍派や二階派の幹部は「選挙での非公認」とする案も検討されましたが、「役職停止」の方向で調整しています。
収支報告書の不記載の金額が500万円から1000万円の人は比較的軽い処分の「戒告」とする方針です。
4日の党紀委員会で正式に決める見通しです。
●自民党“裏金問題” 安倍派と二階派の39人処分について詰めの調整 派閥会長の二階元幹事長の処分は見送られる 4/3
自民党の政治資金事件に関連し、岸田首相と茂木幹事長らは、2日に議員処分の調整会談を行った。
対象は安倍派と二階派の39人で、塩谷元文科相と世耕前参院幹事長には「離党勧告」が検討されている。
しかし、不出馬を表明した二階元幹事長の処分は見送られた。
二階元幹事長の処分はなし
自民党派閥の政治資金事件を受けた議員への処分をめぐり、岸田首相は2日午後、茂木幹事長らと会談し、詰めの調整を行った。
岸田首相は午後3時半ごろから国会内で、茂木幹事長、麻生副総裁と協議を行ったほか、相次いで党幹部との会合を続けている。
処分の検討対象は、収支報告書の不記載などが5年間で500万円を超えた、安倍派と二階派の議員39人で、安倍派でキックバックをめぐり、幹部として協議した塩谷元文科相と世耕前参院幹事長には「離党勧告」が検討されている。
また、同じく協議の場にいた西村氏と下村氏に加え、ほかの安倍派幹部らの処分も焦点で、4日の党紀委員会で審査が行われる。
こうした中、39人の議員に対し、党紀委員会が2日、通知書を送り、弁明を希望する場合は当日の4日午前10時までに、A4用紙1枚に内容をまとめ提出するよう求めた。
一方、不記載額が500万円未満の中堅・若手の議員への処分は行わず、「注意」にとどめる予定で、次の選挙に出馬しないことを表明した二階元幹事長の処分も見送る方針。
党紀委員会による処分対象を39人とすると発表したが、次期衆院選に不出馬を表明した二階元幹事長は処分の対象にならなかった。
次期衆院選に不出馬を表明したことが大きいが、この問題に対する政治的責任を果たしたかは疑問が残る。
二階元幹事長は派閥のトップで、不記載額が一番大きいのに処分なし。
国民の理解が得られるかどうかという声も聞こえてくる。
ここからは、フジテレビ政治部・西垣壮一郎デスクがお伝えする。
── 派閥の会長でもあった二階元幹事長はなぜ、処分なしとなったのだろうか?
二階元幹事長は、衆議院当選13回、自民党幹事長在任期間は5年2カ月で歴代最長、政権復帰後の自民党の基盤固めに貢献したなど党への貢献度が大きい。
そして二階元幹事長は、安倍派幹部は「知らない」と自ら責任を取らなかった中、「政治責任はすべて私の監督責任にある」ことを理由に、自ら出馬しないことを表明したため、処分は見送られたと思われる。
3月25日、二階元幹事長は会見で「みなさんご苦労様でございます。すでに派閥の元会計責任者と私の秘書が刑事処分を受けておりますが、その政治責任はすべて監督責任者である私自身の責任にあることは当然のことであります。岸田文雄自由民主党総裁に対し、次期衆院選挙に出馬しないことを伝えました」と話した。
また、記者の「不出馬は年齢の問題?」との質問に「年齢の制限があるか。お前もその年来るんだよ。ばか野郎」と言うシーンもあった。
岸田首相は自ら処分も検討
── しかし、3500万円を超える不記載額は、起訴されなかった議員の中で最多。処分なしは甘いのではないだろうか?
同じく派閥会長として、岸田首相自らの処分の見送りに合わせたともみられる。二階派の不記載額は2億6460万円で、岸田派の不記載額は3059万円、岸田首相は次元が違うと言っているが、会計責任者は岸田派でも起訴されている。
そのため、二階派の議員などからは「二階元幹事長を処分するならば、岸田首相も処分すべきだ」といった声も出ていた。
そういったこともあり、実は岸田首相は、自ら処分も検討した。しかし、自民党内の処分の8段階だが、下から2番目だと実質的な注意レベルなので甘い。ただし、下から3番目の党の役職停止以上でも、総裁でいられないということになる。
ひいては、総理大臣の身分にも関わるので、元派閥会長として、処分を自らしない形にした。
連動して、問題の期間の派閥会長として責任が連動しないように、派閥会長の二階元幹事長には処分なしという判断とした面もあるかと思われる。
岸田首相は、9月までに総裁選挙を控えている。最大派閥だった安倍派の幹部は処分に反発もある中、二階派は、不出馬という判断をもって処分はしないことで、二階派所属議員との関係を断絶させないという狙いと、二階派への影響を最小限にしたいという二階元幹事長と考えが一致したとみることもできる。
二階元幹事長は、実は国土強靱(きょうじん)化の担当。二階元幹事長にとっても、担当の部屋も残り、影響力がそがれるわけではない。
しかし、二階元幹事長は3526万円の不記載があり、国民にとっては処分なしというのは納得できないという声もある。
●日本を震撼させた「自民党裏金」スクープ…「食べ物の出ないパーティー」が糸口 4/3
昨年11月から自民党派閥の裏金問題が日本社会を熱くしている。派閥に所属する議員の相当数がかなり前から裏金を作っていた事実が知らされ、日本列島が衝撃に包まれた。岸田文雄首相が数回にわたって謝罪を表明し、政治改革を公言している。60年以上続いた自民党の6つの派閥のうち4派閥がすでに解散を決めた。東京地検特捜部の捜査に続き、自民党では該当議員らの大規模な懲戒が進められている。日本の政界で空前絶後のことだ。
日本社会を襲った裏金問題は、ある新聞社のスクープから始まった。数百万部の部数を誇る巨大メディアではない。野党の日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」だ。14日、東京都渋谷区にある日本共産党本部で、しんぶん赤旗の小木曽陽司編集局長(69)と山本豊彦日曜版編集長(61)に会い、話を聞いた。
「最初の報道の時は、ここまで問題が発展するとは予測できなかった」。山本編集長は「派閥の政治資金パーティーは古くから注目されてきた事案」だとし、「政治家個人に対しては企業と団体の献金が禁止されるが、パーティー券の購入や政党の本部、支部への献金は可能だという弱点があるため」と話した。
取材は小さな問題意識から始まった。通常、政治資金の募金のための自民党派閥パーティーでは食べ物が出る。新型コロナ大拡散(パンデミック)の当時は、食べ物が出てこないのに以前と同じようにパーティー券1枚当たり2万円を受け取っているのを知り、担当記者が政治資金に対する取材に乗り出した。総務省と都道府県所管の全国の政治団体約5万件の報告書を一つ一つ見て、パーティー券の購入内訳を調査した。これを派閥が必ず書かなければならない政治資金収支報告書と比較した。担当記者とデスクまで取り組んでおよそ4〜5カ月がかかる、「気が遠くなるような作業」だった。結果は驚くべきものだった。自民党の5派閥が2018〜2020年の3年間で約2500万円の金を政治資金収支報告書に記載していないことを確認した。これは明白な政治資金法違反だ。2022年11月6日、「しんぶん赤旗」日曜版を通じてこのような事実を暴露した。
「しんぶん赤旗」の報道後、神戸学院大学のある教授がこの事案を検察に告発した。昨年11月、東京地検特捜部が1年ぶりに本格的な捜査に乗り出し、これまで隠されていた自民党派閥の裏金問題という「パンドラの箱」が開いたのだ。山本編集長は「検察が捜査をしなければ、マスコミはなかなか動かない。自分たちの力で報道することになれば、責任を負わなければならないなどリスクがある。それを避けるという感じだ。これは非常に大きな問題だと思う」と語った。
「しんぶん赤旗」のスクープは今回が初めてではない。先月には、日本の海上自衛隊司令官と隊員らが、遠洋実習航海に先立ち、数十年にわたり太平洋戦争でのA級戦犯が合祀されている靖国神社に集団参拝をしてきた事実を初めて報じた。小木曽編集局長は「靖国神社を参拝するということは、侵略戦争に対して全く反省していないということを内外に知らせることと同じだ。このような問題があったかこそ、海上自衛隊が靖国神社を集団参拝したことを知った時、すぐに動くことができた」と強調した。
菅義偉前首相の辞任にまでつながったいわゆる「菅ブラックリスト」と呼ばれた日本学術会議の会員任命拒否問題も、「しんぶん赤旗」が2020年10月に暴露した内容だ。無所不為の権力を振るった安倍晋三首相を検察の調査まで受けさせた「桜を見る会」報道(2019年10月)も赤旗の報道だ。安倍首相が自身の選挙区の住民と後援会員を政府の公式行事である「桜を見る会」に大勢招待するなど、税金で支持者を接待したことで波紋が広がった。
「しんぶん赤旗」の相次ぐスクープは、どのようにして生まれたのか。小木曽編集局長は「問題意識とそれをタブーなく追及する意思があるかが重要だと考える。赤旗はそれに自信がある」と述べた。山本編集長も「ジャーナリズムはどのような視点から見ているかがとても重要だと思う」と強調した。自民党派閥のパーティーや「桜を見る会」はすべて公開された行事で、主要マスコミが常に取材をしてきた事案だ。山本編集長は「他のメディアの場合、どんな政治家が参加してどんな発言をしたのかを中心に取材してきた」とし、「私たちはパーティーで企業・団体による事実上の献金が可能だという弱点に対する問題意識があった。『桜を見る会』も、赤旗は『政治の私有化』という見方でアプローチしたため、スクープが可能だった」と説明した。
1928年2月に創刊された「しんぶん赤旗」は、96年の歴史を持つ新聞だ。創刊当時から日本共産党の方針によって朝鮮の独立運動を支持し、植民地支配の徹底した反省を訴えるなど、日本では最も進歩的な声を上げている。日曜版、地方駐在、海外特派員まで含め、記者は350人余り。月〜土曜日まで平日版があり、日曜版はスポーツ・芸能・企画報道など別途発行している。有料部数は85万部に上る。
二人にこれからどんな新聞を作りたいかを尋ねた。山本編集長は「これまでどおり権力を監視する報道をしていく考え」だと述べた。小木曽編集局長は「政治がひどい状況だが、ここに希望があることを示したい」と強調した。「希望はただ訪れるのではない。真実に基づいたタブーのない報道を通じて『これを変えれば希望が開かれる』というメッセージをどれほど発信するかが非常に重要だ」
●二階氏「不出馬表明」という"したかかな戦略" 4/3
「政治改革国会」の召集からすでに2カ月余が経過したが、肝心の自民党による巨額裏金事件の真相解明は一向に進まず、「疑惑の闇」(立憲民主幹部)は深まるばかりだ。その中で、自民党の二階俊博元幹事長(85)が3月25日、岸田文雄首相に次期衆院選不出馬を伝え、直ちに記者会見で表明したことが、与野党双方に複雑な波紋を広げている。
二階氏を巡っては、裏金事件での虚偽記載で秘書が立件(略式起訴・罰金)された。さらに、自らの政治団体の不記載額も極めて多く、その使途も不透明さが際立つことから、その政治・道義的責任が厳しく問われていた。
その最中の、二階氏の唐突ともみえた「政界引退」宣言は、裏金事件での自民党内の関係者処分の調整作業にも大きな影響を与えた。ただ、一連の動きの舞台裏を探ると、故安倍晋三元首相から「最高の政治技術を持った方」と評された二階氏の「極めてしたたかな“権謀術数”」(自民長老)が浮き彫りになる。
総裁選での「恨み」で岸田政権揺さぶる
二階氏は1983年衆院選で初当選して以来13回連続当選し、前回衆院選後は最高齢の現職議員となった。その二階氏は、2012年末の自民党政権復帰以降、領袖として二階派(志帥会=解散)を率いる一方、5年超の長期にわたって党幹事長を務め、権勢をほしいままにしてきた。
さらに、2021年10月の岸田政権発足以降は、首相の座を追われた菅義偉前首相と共に、反岸田勢力の中軸として、ことあるごとに政権を揺さぶり続けている。その背景には、2021年9月の総裁選に立候補、当選した岸田首相が掲げた「幹事長など主要役員の任期は3年以内」という党改革案によって、要職から“追放”された恨みがあるとみられる。
これに対し、岸田首相も「総理総裁の絶大な権限で、党・内閣人事での二階派冷遇などで対抗」(岸田派幹部)。その結果、二階派から離脱する議員も相次ぎ、ここにきて二階氏の影響力低下も目立つ状況となっていた。
そうした中、今回の裏金事件では、二階派の政治資金パーティに絡む収支報告書への不記載額が5年間で3526万円もあったことが発覚、二階氏への厳しい処分は避けられない状況となった。これに対し、かねて次期衆院選での引退と息子へのバトンタッチを画策してきた二階氏が決断したのが、次期衆院選への「不出馬」表明だった。
その背景には、同じ和歌山の有力参院議員で、二階氏の“後釜”として世襲阻止も理由に衆院くら替えを狙う世耕弘成前参院自民幹事長が、裏金事件で問われた安倍派有力幹部の1人として「離党勧告」などの厳しい処分が想定されることがあったことは間違いない。
「バカ野郎」暴言で悔しさも露呈、晩節汚す
3月25日の引退表明会見で二階氏は、冒頭から聞き取りにくいほどの小さな声で「自らの政治的責任を明らかにすべく、岸田総裁に次期衆院選に出馬しないことを伝えた」「(不出馬理由は)派閥の政治と金の問題が政治不信を招き、その責任を取るため」などと手元のメモを読み上げた。傍らには最側近の林幹雄元経済産業相がサポート役として並び、会見の司会役も務めたことで、二階氏の弱々しさも際立っていた。
ただ、質疑応答の終盤に、顔見知りの地元記者から「引退理由に年齢も含まれるのか」と問われると、その記者をにらみつけて「(政治家の)年齢に制限があるのか」と突然声を荒らげ、捨て台詞のように「お前もその年が来るんだよ。ばか野郎」と恫喝した。
もちろん、この異様なやり取りはすぐさまインターネットにアップされ、瞬く間に大炎上。トレンド上位となる中で「バカ野郎はお前だ」などと二階氏批判の書き込みがあふれたことで、「会見自体がまさに晩節を汚す結果」(閣僚経験者)となった。
一方、二階氏の後継問題については、もともと二階氏周辺が「二階さんの息子は派閥会長でも何でもないから、後継者として公認すればいい」と主張してきたこともあり、今回の引退表明は「結果的にベストなタイミング」(自民幹部)となったことは否定できない。
党執行部、二階氏を処分せず“無罪放免”
しかも、裏金事件での政治・道義的責任による処分を協議している党執行部が1日に「二階氏は不出馬表明で自ら政治責任をとった」(茂木敏充幹事長)として処分しない方針を打ち出したことで、事実上の無罪放免となった。このため、党内では「首相と二階氏の“裏取引”の結果ではないか」(自民長老)との臆測が広がる一方、「政治資金の説明もできず、『これから先の追及も嫌だ』と投げ出しただけで、何の反省もない」との批判も相次いでいる。
ただ、今回の二階氏の決断が、「知らぬ存ぜぬ」で責任逃れを続ける安倍派幹部に対する「自発的引責を求める強い圧力」(自民長老)になったことは間違いない。自民党執行部は4日に関係議員の処分を決める方針だが、その内容は1不記載によるキックバック継続決定に絡んだ安倍派幹部らは厳重処分2不記載額が500万円以上の議員も一定の処分――との方針を固めている。
その一方で、裏金事件の最大のキーマンとされる森喜朗元首相については、岸田首相との隠密裏の接触の結果、「森氏が裏金事件に自ら関わった証拠はなかった」(党幹部)として、こちらも「お咎めなし」と結論付けた。
岸田政権を追い詰める「国民的自民批判」
ただ、政界周辺では「今回の一連の動きは国民からの自民批判を拡大させるだけ」(政治ジャーナリスト)との指摘も相次ぐ。最新の世論調査でも内閣と自民党の支持率が最低記録を更新しており、「このままでは4・28トリプル補選も全敗しかねない」(自民選対)との声が広がる。
そうした状況にもかかわらず、岸田首相自身は依然として「とにかく明るい岸田」を演じ続けている。その裏には「4月9日からの国賓としての訪米による首脳外交の成果や、大幅賃上げと景気回復による株価高騰などが支持率回復の要因になる」(側近)との読みがあるとされる。 
ただ、今回の裏金事件の関係議員処分については「自民党内の裏取引ばかり。これで幕引きなら多くの国民は絶対許さない」(政治ジャーナリスト)との見方が支配的。このため、一連の自民党の対応への国民的反発が「岸田政権をさらに追い詰める」(自民長老)ことは間違いなさそうだ。
●“岸田政権のスタートアップ支援”を分かりやすく整理する 「5か年計画」開始から1年4カ月、現状は 4/3
日本のスタートアップエコシステムを強化する「スタートアップ育成5か年計画」が2022年11月に閣議決定されてから、1年4カ月がたった。計画では、2027年までの5年間でスタートアップへの投資額を8000億円規模から10兆円規模に拡大し、ユニコーン(時価総額10億ドル以上の未上場企業)を100社、スタートアップを10万社創出することを目指している。
一方、スタートアップの育成や支援に向けた施策は多岐にわたり、なかなか全容が把握しにくい。あらためて、この5か年計画が何を目指しており、どんな施策が実施されているのか、振り返ってみたい。
スタートアップのための環境整備で持続的な成長を目指す
スタートアップ育成5か年計画は、岸田内閣の「新しい資本主義」政策の中で、国内投資活性化施策のひとつとして掲げられた。新しい技術やビジネスモデルでイノベーションをけん引するスタートアップは、経済成長のドライバーであり、将来の所得や財政を支える新たな担い手といえる。スタートアップの成長により、雇用創出や国際競争力の強化、経済成長が期待されている。
しかし起業を望ましい職業選択と考える人の割合は高くない。内閣官房の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023改訂版」によれば、中国で79%、米国で68%であるのに対し、日本では25%と先進国・主要国の中で最も低い水準にある。また企業の参入率・退出率の平均(創造的破壊指標)が高い国ほど、国民1人当たりの経済成長率が高いというデータがあるのだが、日本は開業率・廃業率ともに低い水準にとどまっている。
   企業の参入・退出と一人あたりの経済成長率
スタートアップ育成5か年計画では、起業家になりたい人を増やし、初めての起業と再チャレンジのハードルを下げ、スタートアップが成長できる環境を整備。これにより、新たな産業構造への転換を進め、日本経済の持続的な成長を確保することを目的とする。
計画では「スタートアップは、新しい技術やアイデアにより社会課題をスピード感を持って解決していく存在であると同時に、市場に新たな刺激を与えることで市場の活性化や既存企業の生産性向上をもたらす」としている。一方で「昨今の世界の社会・経済情勢の急速な変化により、スタートアップをめぐる環境は厳しさを増している」と政策的対応の重要性を強調する。
スタートアップ創出に関する支援施策関連予算は、2022年度補正予算で約1兆円、23年度補正予算で約2300億円(関連事業総額約1兆円の内数)が計上され、24年度当初で約500億円(関連事業総額約1000億円の内数)が見込まれている。
スタートアップ育成5か年計画 3つの柱と具体的施策
スタートアップ育成5か年計画は、以下の3つの柱を中心に進められている。
   ・スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築
優れたアイデア・技術を持つ若い人材の発掘・育成のため、ストックオプションなどに関する環境整備、国内外のメンターや教育機関を活用した実践的な起業家育成、人材の海外派遣研修などを実施。起業を担う人材の育成や人材のグローバルネットワークの構築も進めている。
   ・スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化
公的資本を含む資金供給の拡大を促すため、国内のベンチャーキャピタル(VC)の育成に加え、海外投資家・VCの呼び込みを図る。スタートアップに対する公共調達の拡大なども推進。特に、科学的な発見によって社会に影響を及ぼす「ディープテック」系スタートアップを中心とした事業展開や出口戦略の多様化も進める。
   ・オープンイノベーションの推進
オープンイノベーション促進税制などスタートアップと連携する場合にかかる税金の優遇措置や、副業・兼業禁止の見直しによる人材移動の円滑化など、大企業とスタートアップが連携し、新しい発想が生まれやすい環境をつくる。
これまでに実施された、あるいは実施が検討されている主な支援施策は以下の通りだ。
スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築
   ・ストックオプションの環境整備
会社法制上の措置の見直しや税制適格ストックオプションの制度見直しを通じて、ストックオプションの活用を促進。また、未上場会社の株価算定ルールの策定を行い、スタートアップがストックオプションを導入しやすい環境を整備する。
   ・メンターによる支援事業の拡大・横展開
若手人材の育成と支援プログラムを拡大し、国内外のメンターと連携して起業家教育を強化。IT分野の若手人材の発掘・育成プログラムである「未踏事業」の拡大などが行われている。
   ・海外起業家育成拠点の創設
若手人材をシリコンバレーなどのイノベーションの拠点に派遣し、グローバルなネットワークを構築。起業家輩出を目指す海外派遣プログラム「J-StarX」などが実施されている。
   ・グローバルスタートアップキャンパス構想
海外トップ大学との連携やディープテック分野の共同研究・投資/融資機能を兼ね備えたキャンパスを創設する。
スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化
   ・中小企業基盤整備機構(中小機構)と産業革新投資機構(JIC)の出資機能強化
中小機構へは200億円の出資機能の強化を実施。内外VCへの有限責任投資を推進する。JICは、新たに2000億円規模のファンドを立ち上げ。さらにファンド運用期限を2050年まで延長し、出資機能を強化する。それ以外の官民ファンドも含め、公的資金による国内外VCへの有限責任投資の強化を進める。
   ・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による研究開発型スタートアップへの支援策強化
補助上限や支援メニューの拡大、海外VCを含む対象VCの拡大を実施。研究開発型スタートアップへの支援策を強化する。さらに、量産化や事業開発の支援等を含めたディープテックスタートアップに対する支援事業を拡充する。
   ・海外進出を促すための出国税等に関する税制上の措置
スタートアップの海外進出時に経営者自身が海外赴任する際の税制上の措置を検討。スタートアップの海外展開を促進する。
   ・スタートアップへの投資を促すための措置
保有する株式を売却してスタートアップに再投資する場合の優遇税制を活用し、創業者など個人からスタートアップへの資金供給を促進。またエンジェル投資促進のため、エンジェル投資家・スタートアップ間の情報共有やマッチングを行うプラットフォームの普及を図る。
   ・公共調達の促進
国や国の関係機関が調達する物件、工事、サービスについて、スタートアップからの調達比率を3%以上に拡大することを目指し、スタートアップの政府調達の参画を拡大。
   ・未上場株の取引環境の整備(セカンダリーマーケット整備など)
スタートアップが未上場のまま成長できるよう、プロ投資家向けの非上場株式の取り扱いを可能とするための金融商品取引法の関係政令を改正。またセカンダリー市場でのオンライン取引の規制緩和なども図る。
オープンイノベーションの推進
   ・オープンイノベーション促進税制
国内の事業会社やCVC(事業会社が自己資金で形成したファンドによるVC)が、オープンイノベーションによる新事業開拓・生産性向上を目的としてスタートアップに出資する場合、取得価額の25%を課税所得から控除する制度。24年度税制改正で適用期限を2年間延長。
   ・パーシャルスピンオフ税制・カーブアウト加速支援
大企業が有する経営資源(人材、技術等)の潜在能力の発揮や大企業発のスタートアップ創出のため、スピンオフを行う企業に持分を一部残す場合についても課税の対象外とする。また事業会社内の優れた技術・人材の流動化によるイノベ−ションを後押しするため、事業会社に蓄積された技術を活用して新たな会社を立ち上げる起業家を対象に、研究開発費の助成や専門家による伴走支援などを行う。
その他の施策
   ・J-Startup(スタートアップ育成支援プログラム)
外部有識者の推薦などに基づき、潜在力のあるスタートアップを選定し、官民連携で集中支援するプログラム。23年に実施した第4次選定からは、関係各省が推薦する有識者とインパクト(気候変動や少子高齢化などの社会・環境課題に効果をもたらす)投資・インパクトスタートアップ分野の有識者を委員に追加し、新たに50社を選定した。
   ・インパクトスタートアップに対する総合的な支援
インパクト投資拡大に向け、産官学金など幅広い関係者が協働・対話を行う場として「インパクトコンソーシアム」を23年11月に設立。国際認証を踏まえ、インパクトスタートアップの日本版の認証の枠組みとして、「J-Startup Impact」を同年10月に新設し、30社を選定した。
欧米と比べ、依然として低水準のスタートアップ投資
日本のスタートアップの資金調達額は22年、過去最高の9664億円となったが、23年はこれを下回る8500億円程度となる見込みで、欧米諸国と比較すると依然として低い水準にある。23年は欧州・米国ともに投資が低調で、それぞれ2021年のおよそ半分にとどまっているが、それでも米国では1710億ドル(約25兆8925億円)、欧州は571億ユーロ(約9兆3925億円)となっている(調査会社の米Pitchbook調べ)。
「5年で投資額10兆円規模」を絵に描いた餅に終わらせないためには、官民ともにより一層の投資促進と、実際にスタートアップが成長できるための支援、制度整備が欠かせない。
   国内スタートアップの資金調達額・社数
日本では、始めから海外市場へ展開するのではなく、国内市場に注力するスタートアップが多い。事業ドメインにもよるが、国や地域独自の法規制が強い医療や金融などの領域を除けば、最初から大きな規模が狙えるグローバル市場を念頭に成長を目指したほうがよいだろう。
国内ユニコーン数は2023年時点で7社と、目標の100社にはほど遠い。時価総額10億ドル規模の未上場企業を多数創出するためには、今までの小さな成功で満足するやり方だけではなく、失敗しても大きな成功を狙いに行く必要がある。
となると、スタートアップの「多産多死」も経験しなければならないだろうし、スピンオフやカーブアウトも含めて起業経験者が再チャレンジしやすい環境も欠かせない。そのベースとなるのは、十分な成長資金の供給と起業経験者や有識者による起業家への支援だ。
そもそも起業を望ましい職業選択と考える人の割合が先進国・主要国の中で最も低い水準にあることは、それだけでも日本で起業家を数多く生み出すための障壁となる。10年前と比べれば「スタートアップ」という言葉は、当たり前に使われるようになってきた。しかし、日本のスタートアップとそのエコシステムをより強く大きくするためには、5か年計画にとどまらず、官民双方からの多面的な支援と国民全体の理解が不可欠といえる。 
●岸田政権の命運決める「4・28衆院島根1区補選」自民に吹く逆風のなか“頼みの綱”は小池都知事&進次郎氏 4/3
政治資金規正法違反をめぐり、自民党執行部が安倍派幹部らに4月4日午後、党紀委員会で正式に処分を下す。
ところが3日昼すぎ、「FNNプライムオンライン」は、「離党勧告」の処分方針が決まった塩谷立(しおのや・りゅう)氏と「1年間の党員資格停止」の方針が決まった下村博文氏の2人が、処分を不服として弁明書を提出する、と報じた。さらに別の安倍派幹部が「訴訟も辞さない」と反発しているとも報じた。
「現在、安倍派を中心に、岸田文雄首相への反発がかなり強まっており、当日は大荒れになる可能性もあります。とはいえ、党執行部は粛々と処分を下す以外に道はない。国民からの反発を考えると、何らかの厳しいけじめは必要不可欠です」(政治担当記者)
●岸田政権では更なる外国人受入と日本人は生涯現役で生涯労働も 4/3
岸田政権では、日本の経済を維持するためなどの理由により、さらなる外国人の受け入れと、日本人は生涯現役として生涯労働を行う社会が構成されていく可能性があることが明らかになった。
岸田総理は、総理大臣官邸で4月2日に令和6年第3回経済財政諮問会議を開催した。総理は、議論を踏まえ「本日は、足元の春季労使交渉の状況などを踏まえたマクロ経済運営及び中長期の重点課題について議論を行いました。今後深刻化する人口減少に対応するため、年齢に関わらず能力・意欲に応じて生涯活躍できる社会の構築、希望出生率の実現による出生率の向上等に取り組んでいく必要があります。新藤大臣におかれては、こうした点を踏まえながら、骨太方針に向けて、中期的な経済・財政の枠組みの検討を進めてください」との旨を述べた。
今回の会議に対して、十倉雅和氏、中空麻奈氏、新浪剛史氏、柳川範之氏は連名で、【「新たなステージ」に向けた経済運営〜日本経済の成長力強化に向けて〜 】と【中長期の政策方針の考え方】とのタイトルで提言を実施している。
これらの提言では、『将来人口推計は外国人人口の拡大を前提としているが、海外活力を取り込んでいく観点も含め、どの国・地域からどのように外国人材の受入れを拡大していくかの方針についても提示すべき』『将来的には、能力・意欲に応じて生涯活躍できる社会の構築、希望出生率の実現による出生率の向上等を進めるべき』などを提言している。また、参考として『国民一人一人のライフプランに応じて、生涯活躍できる社会の構築が重要。そのためには、全世代型リスキリングや個別最適な学びの実現、若年期からの健康意識向上、高齢期就労を促す制度改革を、DXを活用しつつ、統合的に進め、将来の方向性を国民に分かり易く提示すべき』『米中関係の変化、東アジアの高齢化・人口減等グローバルな変化・リスクに効果的に対処するため、対日直投やアジアトップ若手人材の受入れ等海外活力を取り込み、わが国経済の強靭性を高めるための構造変化を進めるべき』なども提示している。

 

●千年、万年の大地の営み、能登で実感 求められる「自然への謙虚さ」 4/4
その場所に立ち、大地がもたらす変動のスケールの大きさ、不思議さを改めて実感した。
能登半島地震で、石川県珠洲市の若山川沿いに現れた「断層」。最大で2メートルほどの崖ができ、平らだったはずの水田が大きくたわんでいた。
この地面の変動は、4キロほどの範囲で連なっているという。人家に通じる小道も大きく上下にずれ、応急の補修が施されていた。さらに西へと進むと、水田に地溝のようなくぼ地ができ、水がたまっているところもある。道端のU字溝は立ち上がっていた。
ここは震源となったとみられる海底の活断層から、10キロ近く南に位置する。震源断層本体が地表に出たというよりも、副次的に生じたものらしい。それでも、思わぬ場所に出現した大きな崖に専門家の注目が集まった。
「かなり離れたところに現れた」。3月末にあった原子力規制委員会の会合でも、十数キロの位置に生じた別の地面のずれとともに重要な知見として取り上げられた。国内外の事例と合わせ、引き続き検討することになった。 ・・・
●萩生田氏「党役職停止」は「軽すぎる」 背景に岸田首相の情実と思惑 4/4
自民党安倍派の裏金事件で、派幹部の萩生田光一前政調会長(衆院東京24区)の処分案の軽さが反感を買っている。要職を歴任し、裏金額もトップ3だが、処分案は実効性のない「党の役職停止」。不釣り合いの内容は、処分決定過程の不透明さを象徴している。
自身もかつて処分を受けたことがある閣僚経験者は3日、こう憤った。「萩生田氏の処分が軽すぎる。最も重い『除名』か、次の『離党勧告』でないと駄目だ」
役職停止は8段階ある処分の6番目。萩生田氏は裏金作りを受け、昨年12月、政調会長を辞任し、すでに無役であるため、役職停止を受けても「無傷」のままだ。 ・・・
●松野氏、党役職停止1年 萩生田、二階派林氏も 4/4
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、党執行部が検討した関係議員処分の概要が判明した。安倍派幹部のうち事務総長経験者の松野博一氏に対しては党役職停止1年を科す。萩生田光一前政調会長、二階派幹部の林幹雄氏も同1年とする。派閥幹部以外については、政治資金収支報告書への不記載額で処分の軽重を線引きし、2千万円以上の議員には同1年を科す。複数の関係者が3日明らかにした。
4日の党紀委員会で処分を正式決定する。党紀委に諮る処分案については2日夜、岸田文雄首相が茂木敏充幹事長、森山裕総務会長とそれぞれ協議。3日は茂木、森山両氏が会談したほか、党幹部が水面下で内容を詰めた。茂木氏は逢沢一郎党紀委員長と党本部で会い、不記載額500万円以上の議員ら計39人の処分審査を改めて要請した。4日の決定後、茂木氏が記者会見して説明する。
対象者には弁明が認められており、党紀委への弁明書提出を準備している議員は少なくない。
●橋本聖子氏ら北海道関係の3議員を処分へ 4日夕方に正式決定 “裏金問題” 4/4
政治資金パーティーのいわゆる裏金問題をめぐり、自民党は4日夕方、39人の議員の処分を正式に決定します。
北海道内関連では、橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣など3人が対象です。
自民党は4日午後に党紀委員会を開き、安倍派・二階派の幹部と、2022年までの5年間で政治資金収支報告書の不記載が500万円以上にのぼる議員ら39人の処分を決定します。
道内関連では金額が大きい順に、堀井学衆議院議員、橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣、和田義明衆議院議員の3人が対象です。
500万円に満たなかった高橋はるみ参議院議員は対象から外れています。
自民党の処分は8段階あり、最も重い場合は「除名」となります。
●安倍派・塩谷座長が処分に反発…離党勧告となる見通しに 自らの責任を否定 4/4
自民党の派閥の政治資金問題をめぐり、岸田総理は塩谷氏などへの処分を行う方針で、4月4日午後の党紀委員会で正式に決定します。
岸田総理は派閥の政治資金をめぐる問題で、塩谷氏と参院のトップだった世耕氏を8段階で2番目に重い「離党勧告」とする方針を決めています。
処分対象は39人で、大半は8段階で7番目の「戒告」とする見通しです。
一方、塩谷氏などは処分に反発し、自らの責任を否定する弁明書を提出する考えを示しています。
安倍派座長・塩谷立 氏:(Q.弁明書など出すか?)はい、出します
自民党は弁明書の内容も踏まえ、4日午後の党紀委員会で処分を正式決定する予定です。
●衆院憲法審が初開催 裏金問題のあおり受け開催遅れ 4/4
衆議院では4日、今の国会で初めてとなる憲法審査会が開催されました。自民党の派閥の裏金事件を受け、審査会はこれまで開かれていませんでした。
4日に行われた衆院の憲法審では、幹事選任の手続きなどを行い、およそ2分で終了しました。
衆院の憲法審をめぐっては、これまで立憲民主党などが委員のなかに自民党の派閥の裏金事件に関係した議員がいることから開催に反発。
自民党側が3日、処分の対象となった3人の議員を委員から外したことで開催にこぎつけました。
与党側は11日に実質的な討議を始めることを提案していますが、野党側は持ち帰りました。
●崖っぷち岸田政権の生殺与奪は補選出馬表明の乙武洋匡氏が握る? 須藤元気氏も出馬表明の東京15区。補選全敗なら「岸田おろし」が一気に加速も… 4/4
JNNの世論調査で内閣支持率が6ヶ月連続で過去最低を更新するなど、裏金問題に端を発した苦境から脱することができない岸田政権。裏金議員の処分をめぐっても国民からは「甘い」と批判の声が噴出し、反転攻勢は厳しい。もはや首相の頼みの綱は、東京15区補選に出馬する乙武洋匡氏となっているが、ここに来て格闘家としても知られる須藤元気参院議員も参戦を決めた。首相の今後の命運は……。
首相や二階氏の処分はなし…除名もゼロで反転攻勢の道筋描けず
JNNが3月30、31日に実施した世論調査で、内閣支持率が過去最低の22.8%となり、6ヶ月連続で過去最低を更新した。不支持率は75.0%で、こちらは3ヶ月連続で過去最高を更新。
長らく崖っぷち状態の岸田政権だが、この調査では立憲民主党などによる「政権交代を望む」が42%にのぼり、「自公政権の継続を望む」(32%)を上回ったことも注目された。
自民党関係者は「支持率は一向に上がらず、裏金だけでなく、青年局の『チップ口移しパーティー』、長谷川岳参院議員のパワハラなどスキャンダル続き。議員は地元でも厳しい声を受けています。こんな状態で本当に6月に解散するんでしょうか……」と困惑する。
なんとか国民からの批判をやわらげようと、裏金議員の処分をめぐっては、首相自ら安倍派の塩谷立氏や世耕弘成氏の離党勧告処分の方針を決めた。
しかし除名処分は「ゼロ」で、首相自身や、引退を表明した二階俊博元幹事長、収支報告書への不記載額が500万円未満の議員には処分がされないことに野党や国民だけでなく、党内からも「全員を処分しないと有権者が納得してくれない」などと批判が噴出している。
乙武氏が「全敗」防ぐ最後の砦?
日に日に焦りを強める自民党議員たちを尻目に、首相は衆院解散や自身の総裁選再選に前向きだとみられている。首相の今後の解散シナリオや政局を左右するのが、4月の3補選だ。
「自民は、『あんた、頭悪いね』の発言で炎上した谷川弥一氏の選挙区だった長崎3区では候補者を立てずに不戦敗。島根1区には新顔の元財務官僚、錦織功政氏を擁立しましたが、立憲の亀井亜紀子氏は元職で、保守層にも食い込んでいます。実際に情勢調査で錦織氏は亀井氏に差をつけられています」(全国紙政治部記者)
となると、必然的に頼みの綱は東京15区となる。
「当初、自民東京都連は独自候補を擁立しようとしましたが、自民への逆風が強く断念。小池百合子都知事が擁立する乙武氏に“乗っかる”形となりました。小池氏の応援と乙武氏自身の知名度のおかげで乙武氏さえ当選すれば、補選全敗だけは免れますからね。『乙武頼み』の状況です」(同)
乙武氏は2016年の参院選で自民が擁立を模索したものの、女性問題が報じられて話は頓挫。それだけに茂木敏充幹事長らは乙武氏の推薦に当初難色を示し、創価学会女性部が強い影響力をもつ公明も推薦を見送る方向だが、自民は背に腹は代えられず、乙武氏を推薦する方針だ。
「乙武氏が勝ったところで自民の『1勝』となるかというと微妙ですが、乙武氏が負けて全敗となると、『岸田おろし』の可能性も現実味を増してきます。2021年、当時の菅義偉首相が3国政選挙で全敗した半年後には解散も総裁選出馬も断念し、岸田政権が誕生した流れと重なります。
奇しくも、菅氏は自民党の信頼回復について『生やさしいものではない』などとテレビでの発信を強めており、菅氏ら非主流派が、岸田政権から主導権を奪い返しに動くかもしれません」(自民党関係者)
須藤元気氏の参戦で漁夫の利となるか、それとも…
一方の野党も、「政権交代を望む」声が強くなっても、勢いに欠ける。乙武氏の出馬が明らかになった同日には、立憲が元江東区議の酒井菜摘氏を擁立する方針が報道された。
ただ、酒井氏擁立に至るまでに立憲は迷走。一時は知名度を重視し、江東区出身の須藤元気参院議員を擁立する案も出ていたが、須藤氏は2020年に「世代交代したい。上の人には引退してもらいたい」と号泣会見を開いたうえで立憲を離党した経緯があった。
そのため党内でも懸念の声があり、共産が難色を示して須藤氏の擁立は断念。結局、酒井氏は主要政党の候補者の中では最も遅く名乗りをあげることとなった。
立憲内からは「酒井氏は2023年12月の江東区長選に出ていたとはいえ、乙武氏に比べ知名度も低い。擁立が遅くなりすぎた」(立憲関係者)と早くも出遅れを指摘する声があがる。
さらに、野党が一枚岩になれていないことも立憲にとってはネックだ。 国民民主党はもともと小池氏に近く、乙武氏に相乗りする見込みで、維新も新顔の金澤ゆい氏をすでに擁立している。さらにここに来て、須藤氏も無所属での立候補を表明した。
「須藤氏は江東区出身で知名度も高く、一定の野党票を獲得するでしょうから、野党票の分散という意味では自民にプラスです。ただ一方で、乙武氏の票も奪われる可能性があります。野党票を分散しつつ、票をとりすぎないでほしい、というのが自民の願いでしょう」(全国紙政治部記者)
岸田首相の今後は、乙武氏と須藤氏の戦いの行方しだいか。
●「日本が米国をサポートする時代」岸田首相の国賓訪米と経済支援へ 訪朝で支持率V字回復狙いか 衆院3補選にらみ危険な賭け 4/4
岸田文雄首相は国賓として訪米する。さらに北朝鮮訪問についても取り沙汰されている。
以前は、首相の訪米は卒業旅行≠ニいわれたこともあったが、低支持率でも岸田政権はなんとかもっている。それどころか、旧安倍派を解体に追い込み、その幹部にとどめを刺そうとしている。
同時に、二階俊博氏に後継問題で恩を売りつつ次期衆院選不出馬に持ち込んだ。お公家さん≠ニ揶揄(やゆ)される宏池会政治家としてはなかなかの政治策士であることが明らかになったが、支持率低下の中で政権浮揚を狙うなど、政治家としての瀬戸際の底力をみせている。
岸田首相は3月22日、訪米について「今までの日米関係は、いろいろ助けられていたが、日本がアメリカをサポートしていく時代に入ったことを考えたい」と意気込んだという。
これから考えられることは2つある。
1つは、ウクライナについて日本が経済支援することだ。ジョー・バイデン政権の軍事支援が連邦議会で阻まれているので、日本は非軍事の支援を行い、米国を間接的に助けるというものだ。
もう1つは、日本が北朝鮮との関係正常化に乗り出すことにより、極東アジアの安全保障での米国の負担を減らすことだ。ただし、これには拉致問題の完全解決が必要だ。北朝鮮に対しては、拉致問題と関係正常化のうち前者の完全解決がまず必要だが、外務省の中には、関係正常化に前のめりの人もいる。岸田首相は拉致問題にこれまで関わってこなかったともいわれるが、拉致問題の完全解決を置き去りにして関係正常化に走る可能性もある。
そうなると、岸田政権は支持率アップ、北朝鮮は喉から手が出るほど欲しい日本からの経済援助、そして北朝鮮でこれまで成果が出ていない米国は、アジアで中国と北朝鮮という二正面作戦を回避できるという三者にそれぞれメリットがある。
特に岸田政権は、4月28日投開票の衆院3補選で、不戦敗を含めて全敗が懸念されている。仮に全敗となれば、支持率が危険水域に入っているので、岸田降ろしが一気に加速する可能性がある。
それを回避するためには、訪米の際に、米国支援の下で4〜5月の訪朝をぶち上げれば、支持率のV字回復が見込まれ、衆院補選の打開策にもつながる。
しかし外交は国内基盤がしっかりしているときに行うものだ。国民に支持されずに足元がぐらついている政権が外交で無理をして支持率アップを狙うと、国としての基本的な方向を見誤り、ろくなことにならない。
北朝鮮はそうした岸田政権の足元を見て、言いたい放題の談話を発表するなどして、日本側に揺さぶりをかけている。
岸田政権は4月の補選の前に、訪米でギャンブルをするのかどうかが注目されるが、米国をサポートする時代というのは、現状認識と時代認識がずれていると言わざるを得ない。  
●中国は岸田政権の外交政策をどう見ているのか?内政では低支持率で苦しむも 4/4
内政では低支持率で苦しんでいる岸田文雄首相であるが、外交においては同一人物と思えないほどさえている。特に来週水曜日(10日)にワシントンで行われる日米首脳会談の成り行きを中国とロシアが注意深く観察している。
3月末にモスクワのクレムリン(大統領府)筋から筆者のところに興味深い情報が届いた。中国が岸田政権の外交政策をどう見ているかについての分析だ。
「 1.4月10日の岸田訪米によって日米軍事協力が強化され新兵器の日本配備が決まれば、中国は政治・軍事における新しい対日行動計画を採択する可能性がある。
2.中国は、ワシントンで開催される日米比(フィリピン)3カ国会議の後、宣言されるであろう新しい対中プロジェクトに日本が積極的役割を果たすと確信している。
3.日米等によって提案される可能性がある、あらゆるタイプの対北朝鮮策につき、中国は、ロシアと共同で、これらを阻止することを決意している。」
中国が軍の近代化を急速に進めている。これに対抗して、日本が米国との防衛協力を強化するのは必然だ。この動きは習近平・中国国家主席が太平洋における中国の覇権的地位を確保しようとする戦略の阻害要因になる。だから日本に対抗する新たなアクション・プログラム(行動計画)を作るというのだ。
これ自体は悪い話ではない。なぜなら中国が帝国主義的な勢力均衡ゲームの主要なプレーヤーとして日本をとらえていることの証左だからだ。対立するところは争い、利益があるところでは手を握るというのが岸田首相と習国家主席が再確認した戦略的互恵関係である。その本質は、アジア太平洋における帝国主義的勢力均衡ゲームに対等の立場で日本と中国が参加するということだ。
また、中国もロシアも、日本のイニシアチブで、日米同盟関係にフィリピンを加えた新たな協力メカニズムを形成していくことが、21世紀版「大東亜共栄圏」を形成していく端緒になるのではないかと警戒している。
中国もロシアも日本が、米国の影響力が低下しつつある太平洋における新秩序を形成する動きに着手したと見ているのだ。客観的に見て中ロの評価は正しいのだが、なぜか日本の国際政治学者には、岸田首相が国際政治における能動的プレーヤーであるという現実が見えないのだ。
●「党運営は独裁的」不満続出…経緯に不信感も…裏金問題39人の処分を決定 4/4
派閥の裏金問題をめぐり、自民党は、安倍派と二階派の幹部を含む議員ら39人の処分を正式に決定しました。
最も重い『離党勧告』は安倍派幹部の塩谷元文部科学大臣と世耕前参議院幹事長。
世耕氏は、離党届を提出して会見に臨みました。
自民党・世耕前参院幹事長「私自身、政治的責任をとる決断をした。明鏡止水の心境で、ほかの方の処分は全く意識していない」
「(Q.党への不満・不服は)まったくありません。明鏡止水の心境」
明鏡止水とは、邪念がなく澄み切って落ち着いた心の喩えです。
自民党・世耕弘成参議院幹事長「(Q.誰に責任があるか不明なままだが)それはわかりません」
「(Q.政治責任を取ることで終わりなのか)説明はこれまでも尽くしてきた。知ってることはすべて包み隠さず話をしてきた。刑事事件としても嫌疑なしで不起訴になっている。そのうえで、政治責任をとるという決断をした」
議員辞職はせず、無所属で活動していくそうです。
同じく『離党勧告』を受けた塩谷氏。党紀委員会に弁明書を提出し、執行部を「独裁的」と批判しました。
自民党・塩谷元文部科学大臣「(Q.ご自身は離党勧告に該当すると)そうではないと思っている。検察の捜査や政倫審、聴取も受けて、記者会見をして、事実を正直に話した。その事実に基づいて判断してもらいたい」
「(Q.弁明書では『岸田総理の責任を問われるべき』と)今回の問題で、いくつかの派閥が関わっていたので、そういう点では公平な処分をしていただくというのが、なぜそこで線を引いたのか、私は理解できなかったので」
「(Q.安倍派幹部の処分の違いは)聞いてみないとわからない。どういう理由でこうなったのか、しっかり聞いてみたい」
不服申し立てを検討する考えです。
そのほかに決まった処分です。
おととし、キックバック再開を協議した安倍派幹部。当時、会長代理だった下村元文科大臣と、事務総長だった西村前経産大臣は1年の『党員資格停止』。協議にいなかった高木前国対委員長は、6カ月の『党員資格停止』となりました。一方、松野前官房長官と萩生田前政調会長の2人は、1年の『党の役職停止』にとどまりました。
『党員資格の停止』以上では、政治活動にどのような影響があるのでしょうか。
政党交付金の支給は受けられなくなります。選挙でも、党から公認はなく、比例代表での復活当選はありません。総裁選への立候補や投票もできません。
総裁選に出馬したこともある西村氏は『党員資格停止』です。
自民党・西村康稔前経済産業大臣「(Q.総理を目指す考えに変わりは)いまはもうある意味ですべてを失ったと思っている。裸一貫で、もう一度ゼロから再出発する」
「(Q.安倍元総理にどう報告する)墓前には報告に行かなければと思っている」
処分はされても、真相は明らかにならないままです。
自民党・高木毅前国対委員長「「いわゆる還流を再開した会合には関わっていないし、どうして、ああいうことになったのかわからないが、私は事務総長という立場で、派閥の運営に関わっていたということが、この処分に至ったんじゃないか」
自民党・下村博文元文部科学大臣「いつから還付不記載が始まったのか。そのあと、また還付が復活した。なぜ復活したのか。しっかり党として調べてもらいたい。その結果を踏まえた処分であるなら納得感もあるが。私自身は、真相解明はきちんとやってもらいたいが、やはり、5年間、清和研の事務総長も会長代理もしていたから、組織としての責任の重さはあると思う」
二階派は、幹部経験者3人が『党の役職停止』となりました。派閥幹部ではない議員は、不記載の金額で処分がわかれました。
不記載994万円で『戒告』となった大塚拓衆議院議員は、処分決定のプロセスに不信感をあらわにしました。
自民党・大塚拓衆議院議員「甚だ遺憾に感じている。党紀委員会の手続きが極めて短時間で、弁明書を私も出したが、弁明書を党紀委員会の皆さんが読み込む時間もあったかどうかを含め、今回の手続きには、極めて強い不信感を持っている」
39人、大量の処分者を出した党総裁。その責任については。
岸田総理「私自身については、個人として不記載がないこと、検察当局からも支出について特段の問題があるとはされていなかったことなどから、今般の処分に際して対象とならなかったものと承知している。最終的には、国民の皆さん、党、党員にご判断をいただく立場と考えている」
政治部官邸キャップ・千々岩森生記者に聞きます。
Q.今回の処分について、どう感じますか。
千々岩森生記者:裏金事件自体も大問題ですが、その後の対応がまずかったと思います。もともとは、安倍派を中心とした、ある意味、限られた問題だったのが、時間を追うごとに自民党全体の深手を負うという悪循環に陥っていったという見方、嘆きが自民党の中に広がっていると思います。
いわゆる不祥事対応という意味では、最悪の経過をたどったと思います。不祥事の対応で、こうしてはいけないと教えられそうな対応です。不祥事の対応3点セット『実態を明らかにする』『スピード感』、そして言われる前に『自ら身を処す』。政治家にとっては、『自ら身を処す』というのが一番、大事かもしれません。これが、すべて逆だった。実態を明らかにできない、しないという部分もあったかもしれません。そして、時間がズルズルかかる。結局、安倍派幹部を中心に、離党など、自ら身を処せなかったという結果になってしまったということです。
Q.おととし安倍元総理が亡くなり、主なき安倍派が誕生しました。岸田総理にとっては、主なき安倍派は理解者なき安倍派ですので、向き合い方が非常に難しかったと思います。実際に振り回されたり、あるいは、岸田総理の対処が間違ったのかもしれません。この一連の動きをどうみますか。
千々岩森生記者:岸田総理にとっては、安倍元総理がいなくなったあとの安倍派をどうマネージするかが非常に重要でした。まさに、そこで頼ったのが、かつて派閥の会長で、安倍元総理なき後に影響力を増してきた森元総理でした。もともと、森元総理と岸田総理は、同じ早稲田出身で親しい間柄でした。岸田総理は、安倍派をまとめる手段として頼ったわけですが、その分、今回の問題で森元総理に厳しい対応を取れなかったという側面も否定できないとみています。
実は、岸田総理にとって、安倍派幹部で一番近く、直接、コンタクトを取っていたのが塩谷元文部科学大臣でした。その塩谷さんに、今回、最も厳しい『離党勧告』を出し、逆に「総理も同じような公平に処分を受けるべき」と迫られている現状です。まさに安倍派と岸田総理がかみ合わない、混乱した状況を象徴しているように思います。
Q.今月28日、3つの選挙区で衆議院の補欠選挙が行われます。自民党は、東京15区、長崎3区では、公認候補の擁立を見送りました。島根1区では公認候補を立てて戦います。この島根の勝敗が、岸田政権の命運を握るのではないかと思いますが、どうでしょうか。
千々岩森生記者:まさにおっしゃる通りです。ここが、最大の焦点となります。いま、自民党の中を見渡してみると「岸田総理では次の選挙は戦えない」という声が沸々としています。もし、島根で負ければ、その流れを決定づけてしまう。つまり、岸田総理が狙っている解散総選挙も、そして、9月の自民党総裁選での再選も狙っていますが、島根を落とせば、限りなく不可能に近くなる。ただ、島根を獲れば、首の皮一枚残るという状況だとみています。
●自民党 39人処分決定 塩谷氏 世耕氏 離党勧告 4/4
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で自民党は安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決定し、安倍派幹部の塩谷 元文部科学大臣と世耕 前参議院幹事長は離党勧告となりました。
これを受けて世耕氏は離党届を提出し、受理されました。
安倍派と二階派の議員ら39人の処分決定
今回の問題で自民党は4日午後、党本部で党紀委員会を開き、安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決定しました。
それによりますと安倍派でキックバックの扱いを協議した幹部4人のうち、派閥の座長を務めた塩谷 元文部科学大臣と、参議院側のトップだった世耕 前参議院幹事長が離党勧告、また下村 元政務調査会長と西村 前経済産業大臣は1年間の党員資格停止となりました。
安倍派で事務総長を務めた高木 前国会対策委員長は半年間の党員資格停止、同じく事務総長経験者の松野 前官房長官と、二階派で事務総長を務めるなどした武田 元総務大臣、林 元経済産業大臣、平沢 元復興大臣は1年間の党の役職停止となりました。
また、萩生田 前政務調査会長ら5年間の不記載などの額が2000万円以上だった議員も1年間の党の役職停止となりました。
さらに不記載などの額が1000万円から2000万円の議員は半年間の党の役職停止、500万円から1000万円の議員らは戒告となりました。
一方、5年間の不記載が3526万円と最も多かった二階・元幹事長は次の衆議院選挙に立候補しない考えを表明したことを踏まえ、処分の対象とはなりませんでした。
また、岸田総理大臣はみずからが会長を務めていた岸田派の元会計責任者が有罪となりましたが、処分されませんでした。関係者によりますと、出席者から「処分が厳しすぎるのではないか」といった意見も出されたということです。
処分の決定を受けて、世耕氏は離党届を提出し、受理されました。
39人の処分一覧
処分を受けた議員ら39人の氏名、おととしまでの5年間の収支報告書への不記載などの金額、選出された選挙区です。
「離党の勧告」は安倍派の2人です。
  ・塩谷立氏、234万円、衆議院比例代表東海ブロック選出です。
  ・世耕弘成氏、1542万円、参議院和歌山選挙区選出です。
1年間の「党員資格の停止」は安倍派の2人です。
  ・下村博文氏、476万円、衆議院東京11区選出です。
  ・西村康稔氏、100万円、衆議院兵庫9区選出です。
半年間の「党員資格の停止」は安倍派の1人です。
  ・高木毅氏、1019万円、衆議院福井2区選出です。
1年間の「党の役職停止」は安倍派と二階派のあわせて9人です。
  安倍派は6人で、衆議院議員は
  ・萩生田光一氏、2728万円、東京24区選出です。
  ・堀井学氏、2196万円、比例代表北海道ブロック選出です。
  ・松野博一氏、1051万円、千葉3区選出です。
  ・三ツ林裕己氏、2954万円、埼玉14区選出です。
  参議院議員は
  ・橋本聖子氏、2057万円、比例代表選出です。
  ・山谷えり子氏、2403万円、比例代表選出です。
  二階派はいずれも衆議院議員の3人で
  ・武田良太氏、1926万円、福岡11区選出です。
  ・林幹雄氏、1608万円、千葉10区選出です。
  ・平沢勝栄氏、1817万円、東京17区選出です。
半年間の「党の役職停止」は安倍派の8人です。
  衆議院議員は
  ・衛藤征士郎氏、1070万円、大分2区選出です。
  ・小田原潔氏、1240万円、東京21区選出です。
  ・菅家一郎氏、1289万円、比例代表東北ブロック選出です。
  ・杉田水脈氏、1564万円、比例代表中国ブロック選出です。
  ・中根一幸氏、1860万円、比例代表北関東ブロック選出です。
  ・宗清皇一氏、1408万円、比例代表近畿ブロック選出です。
  ・簗和生氏、1746万円、栃木3区選出です。
  参議院議員は
  ・宮本周司氏、1482万円、石川選挙区選出です。
「戒告」は安倍派の17人です。
  衆議院議員は
  ・大塚拓氏、994万円、埼玉9区選出です。
  ・尾身朝子氏、623万円、比例代表北関東ブロック選出です。
  ・柴山昌彦氏、896万円、埼玉8区選出です。
  ・関芳弘氏、836万円、兵庫3区選出です。
  ・高鳥修一氏、544万円、比例代表北陸信越ブロック選出です。
  ・西村明宏氏、554万円、宮城3区選出です。
  ・細田健一氏、564万円、新潟2区選出です。
  ・吉野正芳氏、660万円、福島5区選出です。
  ・和田義明氏、990万円、北海道5区選出です。
  参議院議員は
  ・岡田直樹氏、774万円、石川選挙区選出です。
  ・加田裕之氏、648万円、兵庫選挙区選出です。
  ・末松信介氏、584万円、兵庫選挙区選出です。
  ・羽生田俊氏、818万円、比例代表選出です。
  ・堀井巌氏、876万円、奈良選挙区選出です。
  ・丸川珠代氏、822万円、東京選挙区選出です。
  ・山田宏氏、560万円、比例代表選出です。
  次の衆議院選挙の立候補予定者となる支部長は
  ・中山泰秀氏、908万円です。
以上となります。
塩谷氏「まずは説明を聞き 地元の後援会とも相談する」
安倍派で座長を務め、離党勧告の処分を受けた塩谷 元文部科学大臣は記者団に対し「非常に厳重な処分で残念だ。検察の捜査を受け、政治倫理審査会に出席し、事実を正直に話したので、事実に基づいて判断してもらいたかった。党紀委員会がどの程度の役割を果たしたか疑問だ」と述べました。
その上で「なぜ安倍派と二階派を対象にし、線を引いたのか理解できない。各派閥で同じように処分を受けることが公平な考え方だ」と述べ、元会計責任者が有罪となった派閥を率いた岸田総理大臣の責任も問うべきだという考えを示しました。
また記者団から離党する考えがあるか問われたのに対し「まずは説明を聞き、地元の後援会とも相談する必要があると思っている。その上で結論を出したい」と述べました。
下村氏「責任は免れないので甘受」
自民党から1年間の党員資格停止の処分を受けた下村 元政務調査会長は、都内で記者団に対し「処分について私から不服を申し立てることはない。派閥の事務総長や会長代理という立場にあった責任は免れないので甘受しなければならない」と述べました。
また、離党や議員辞職を否定したうえで、次の衆議院選挙には自民党の公認が得られなくても立候補する考えを示しました。
一方、下村氏は「いつから還付や不記載が始まったのか、なぜ還付が復活したのか、党としてしっかり調べてほしい。その結果を踏まえての処分であればまだ納得感もある」と述べました。
西村氏「裸一貫でもう一度ゼロから再出発したい」
自民党から1年間の党員資格停止の処分を受けた西村 前経済産業大臣は記者団に対し「大変厳しい処分だが真摯(しんし)に受け止めて初心に戻り、いわば裸一貫でもう一度ゼロから再出発したいという覚悟だ」と述べた上で、離党や議員辞職については否定しました。
また「少し党から離れる立場になるが、もう一度、自民党のあり方を考え、政治改革、資金の透明化にも取り組んでいきたい」と述べました。
高木氏「処分を重く受け止め、判断に従いたい」
安倍派で事務総長を務めた高木 前国会対策委員長は記者団に対し「長きにわたって不記載という状況が続いたことは反省しなければならない。処分を重く受け止め、党紀委員会の判断に従いたい。襟を正して一から出直す気持ちで政治活動を頑張り、信頼回復に努めていきたい」と述べました。
また、離党の考えはないと説明した上で、次の衆議院選挙について「いつ行われるかわからないが、選挙に立候補して審判を仰ぎたい」と述べました。
萩生田氏「叱声を肝に銘じ 信頼回復に努める」
自民党から1年間の党の役職停止の処分を受けた萩生田 前政務調査会長は「還付額の多寡に限らず、派閥内での役割や収支報告書の訂正内容、説明責任の果たし方などを踏まえ、処分に至ったと推察している。政治不信を招く結果となったことを強く反省し、心よりおわび申し上げる。国民の叱声を肝に銘じ、今後、政治資金の適正管理に取り組み、国民の信頼回復に努めていく」というコメントを出しました。
松野氏「重く受け止める 深刻な政治不信 心よりおわび」
自民党から1年間の党の役職停止の処分を受けた松野 前官房長官は「処分を受けたことを重く受け止めるとともに、改めて国民の皆様に深刻な政治不信を招き心よりおわびする。二度とこのような事態を招くことがないよう初心に立ち返り、これまで以上に誠心誠意、政治活動に取り組み、政治と党の信頼回復のため真摯に努めていく」というコメントを出しました。
大塚氏「処分は遺憾 プロセスに強い不信感」
戒告となった、大塚拓 衆議院議員は国会内で記者団に対し「疑義が生じた際には、党のコンプライアンス組織にも相談し、指導に従って会計処理を行ってきたので、党から処分を受けることは筋が通っておらず甚だ遺憾に感じている。また、今回の処分に至るプロセスについて強い不信感を持っていて、極めて大きな問題だ。党を立て直していくため全力で政治活動をしていく」と述べました。
また「岸田総理大臣は派閥の会長を長年務めてきたので、おそらく総理自身の身の処し方について今後、考えていくものだと思う」と述べました。
高鳥氏「処分を厳粛に受け止めたい」
戒告となった、高鳥修一 衆議院議員は国会内で記者団に対し「私自身、不記載だったお金を触ったことも、使ったことも一切ないが、私の事務所に不記載があったことは事実だ。最終的な責任はすべて私が負うということで、処分を厳粛に受け止めたい。新潟県連の会長はみずから辞任し、私なりに責任はしっかり受け止めさせていただいている」と述べました。
茂木幹事長「派閥幹部の政治責任は極めて重い」
自民党の茂木幹事長は記者会見で「派閥の政治資金パーティーの不正な処理に関わる問題について、大きな政治不信を招いており、極めて深刻な問題であると受け止め、 党紀委員会に審査を要請した。特に『清和政策研究会』=安倍派では、長期にわたり大規模かつ継続的に派閥の政治資金収支報告書だけでなく、大半の議員の報告書に還付金の不記載が判明するなど、組織的な不正が疑われている」と述べました。
その上で「党紀委員会では、これらの不正、不適切な会計処理について、派閥の幹部の立場にありながら適正対応をとらず、大きな政治不信を招いた者の政治責任は極めて重いとの審査結果だった。これまでに党の執行部としてさまざまな聴き取りや追加の調査、アンケートも行い、把握した事実関係や問題認識については党紀委員長に話した。それも踏まえた処分であったと考える」と述べました。
また、今回の処分で国民の納得が得られるかと問われたのに対し「党紀委員会の審査をお願いした私の立場からコメントは差し控えたいが、これだけ多くの処分者が出て、厳しい処分も含まれていることを重く受け止めたい」と述べました。
処分の対象とならなかった議員などへの対応について「不記載額が過去5年間で500万円未満の45人については、党の聴き取り調査などでも意図的な不正な処理に関与したという事実は認められなかった。党則に基づく処分ではなく、幹事長による対応として厳重注意を早急に行いたい」と述べました。
さらに、世耕氏については「世耕 前参議院幹事長が離党届を出したということであれば、受理することになると思う」と述べました。
一方、記者団が「森元総理大臣への聴取は行われたのか」と質問したのに対し「追加の聴取などは必要に応じて実施しているが、聴き取りの対象や内容は外部に明らかにしない方針だ」と述べました。そのうえで「事実関係を究明することは極めて重要でその努力は続けなくてはいけないが、一定の処分はいつまでも延ばすことはできない。調査結果や事実確認を踏まえ、再発防止策についても早急に検討を深め、具体的な内容を詰めていきたい」と述べました。
「離党勧告は議員にとってかなり厳しく、党員資格停止も厳しい処分だ。こういう判断に至ったことは、それだけわが党に対する批判が大きく、政治不信を招いてしまったことについて強い反省が必要だということだ。仲間を処分しなければならないことは 率直に苦しい思いもあるが、それだけ危機的な状況にあることを改めて痛感しなければいけない。この処分を踏まえて、党の再生を進め、国民に対する信頼回復を図るスタートにしていきたい」と述べました。
1年間の党の役職停止となった萩生田 前政務調査会長が務めている、東京都連会長の取り扱いについては「役職停止は基本的に党本部の役職が停止になる。その上で、それぞれの都道府県連で役員を決めており、そこで判断することになる」と述べました。
逢沢 党紀委員長「自民党の再生や党を変えていく一歩に」
自民党の逢沢 党紀委員長は記者会見で、4日の党紀委員会の議論について、個別の発言は公表しない約束をしているとした上で「党紀委員会の委員は31人の議員から提出された弁明書を精読して委員会に臨んだ。今回の処分の結果が国民や全国の党員に広く積極的に受け止められ、未曽有の危機的状況である自民党の再生や新しく党を変えていく機運に一歩でもつながるように、思いを集中させて真剣に議論した」と述べました。
また、処分は全会一致で決定したとした上で「ルールに従い10日間の異議申し立ての期間がある。今月13日まで異議申し立て期間があり、処分は14日から効力を発する」と述べました。
岸田首相「深刻な政治不信 心からおわび ガバナンス改革進める」
自民党の処分の決定を受けて、岸田総理大臣は4日夜、総理大臣官邸で記者団の取材に応じました。
この中で岸田総理大臣は今回の処分について「関係者の政治責任を明らかにする観点から行われたものだ。長年にわたり集団的に不記載が行われてきた疑いの強い派閥については、長年の慣行を是正することなく、結果的に放置してきた幹部の責任を重く見る内容となっている」と説明しました。
その上で「国民から多くの疑念を招き、深刻な政治不信を引き起こす結果となったことは党総裁として心からおわびを申し上げる。今後は二度とこうした事態を招くことがないよう、党のガバナンス改革を進めるとともに政治資金規正法の改正に向けて全力を尽くしていきたい」と述べました。
また岸田派の元会計責任者が有罪となったものの、派閥を率いていたみずからは処分されなかったことについて「個人として不記載がないことなどから、今般の処分の対象とならなかったと承知している。しかし、党全体として政治不信を招いたことは事実で、党総裁としての責任は重く受け止めなければならない。政治改革に向けた取り組みの進捗(しんちょく)などを見てもらった上で最終的には国民や党員に判断してもらう立場にあると考える」と述べました。
さらにかつて派閥会長を務めた森 元総理大臣への対応について「私の判断で森 元総理大臣についても私が直接電話をかける形で事情を聴いた。しかしながら引き続き具体的な関与については確認できていない」と述べました。
党紀委員会委員 金美齢氏「処罰だけが先行 納得いかない」
自民党の党紀委員会の委員で評論家の金美齢氏は記者団に対し「物事はすべて納得するということにはならず、いろいろな人がいろいろな意見を言ったが、厳しすぎるというのが私の感想だ。国のためにたくさん頑張った人たちがいるので、少しのことで処罰だけが先行することには納得いかない」と述べました。
39人の処分は郵政民営化関連法案の処分に次ぐ規模
自民党によりますと党紀委員会が行った処分で最も人数が多かったのは、2005年に郵政民営化関連法案に反対した59人だということです。
この時は綿貫民輔 元衆議院議長ら10人が除名され、27人が離党勧告となりました。39人が処分された今回は、それに次ぐ規模だということです。
野党4党 参院国対委員長 処分内容の説明要求で一致
自民党の党紀委員会が開かれるのを前に、立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党の野党4党の参議院の国会対策委員長が会談し、今後の対応を協議しました。
この中で野党4党は、あすにも参議院予算委員会の理事懇談会を開き、自民党から処分の内容や安倍派の幹部4人に行った追加の聴取の結果などについて説明を求めることで一致しました。
また、これまで参議院政治倫理審査会に出席していない29人の議員に、改めて出席を求めていくことを確認しました。
このあと立憲民主党の斎藤 参議院国会対策委員長は記者団に対し「一部の議員は自民党の党紀委員会には弁明書を出しているようだが、審査会で弁明をしておらず、国会軽視も甚だしい。審査会に対し、意思表示をしてもらい、具体的な審査を進めたい」と述べました。
自民党の8段階の処分の種類と事例は
自民党は、所属議員に政治不信を招く政治的・道義的な責任があると認めた場合、党則に基づいて8段階の処分を行うと規約に掲げています。
処分は重い順に「除名」「離党の勧告」「党員資格の停止」「選挙における非公認」「国会および政府の役職の辞任勧告」「党の役職停止」「戒告」「規定の順守の勧告」となっています。
最も重い「除名」は、直近では派閥の政治資金パーティーをめぐる今回の事件で逮捕・起訴された池田佳隆衆議院議員が受けています。
また2005年には、郵政民営化関連法案に反対し、新党に参加した綿貫民輔・元衆議院議長や亀井静香・元政務調査会長ら10人が除名されました。
「離党勧告」は、郵政民営化関連法案に反対し直後の衆議院選挙で無所属で立候補した野田聖子・元総務大臣ら衆参両院の議員あわせて27人が一度に処分を受けました。
「党員資格の停止」は最近では、2021年の衆議院選挙で立憲民主党の候補者の応援演説を行った山崎拓元副総裁が1年間の処分を受けた例があります。
「党の役職停止」は、おととし(2022年)安倍元総理大臣を「国賊だ」などと発言した村上誠一郎・元行政改革担当大臣が1年間の処分を受けています。
「戒告」は、民主党政権だった2012年、当時の野田内閣に対する不信任決議案の採決で、党の方針に従わなかった小泉進次郎・元環境大臣ら7人が処分を受けた例があります。
一方、自民党によりますとこれまでに「選挙における非公認」の処分を受けた議員はいないということです。
また、2021年に新型コロナの感染拡大で緊急事態宣言が続く中、深夜まで銀座のクラブに出入りした議員3人に対し当時の二階幹事長が離党を促し3人が離党しましたが、これは規約に基づく処分ではありませんでした。
処分を受けたらこうなる
自民党が党則に基づいて行う8段階の処分のうち、2番目に重い「離党の勧告」は党が自発的に離党するよう勧告するものです。処分を受けてみずから離党すれば、その後、党紀委員会の審査を経て復党することができます。復党までに必要な期間は定められていません。
一方、勧告を受けても離党しない場合は「除名」されることになります。
3番目に重い「党員資格の停止」は原則3か月以上2年以下の期間を定め、党員としての資格を停止するものです。この処分を受けると総裁選挙への立候補や投票ができなくなり、党役員の選出などにも関われなくなります。また国政選挙の立候補予定者となる支部長は解任されます。
一方、党員ではあるため、党費の支払いなどの義務は継続します。
6番目の「党の役職停止」は原則3か月以上2年以下の期間を定め、党の役職を停止するものです。今回の問題では安倍派幹部らがすでに政府や党、国会の役職を退いているため、こうした処分では実効性がないという指摘が出ていました。
「戒告」は、8段階の処分のうち下から2番目で、対象者に文書か口頭で注意するものです。この処分を受けても議員活動に制約は生じません。党関係者の1人は「サッカーでいう『イエローカード』のイメージで次はより厳しい処分を下すと警告する意味合いもある」と話しています。
なお、今回の処分では、最も重い「除名」、4番目の「選挙における非公認」、5番目の「国会および政府の役職の辞任勧告」、そして最も軽い処分の「規定の順守の勧告」はありませんでした。
自民党の党紀委員会とは
自民党の党紀委員会は「党の規律をみだす行為」などを行った議員らに対する処分を決める機関で、衆参両院の議員や元議員、それに民間人のあわせて18人で構成されます。委員長は逢沢一郎・元国会対策委員長が務めています。
幹事長からの要請か、5人以上の党紀委員による請求があった場合に招集され、審査を行った上で処分を決定します。
党紀委員会が決定する処分は重い順に「除名」から「規定の順守の勧告」までの8段階あります。
処分の審査の対象となった議員らは、党紀委員会に弁明書を提出することができ、委員会はその内容も踏まえ処分を決定することになります。
党紀委員会が決定した処分に不服がある場合は、総裁に対し、再審査の請求を行うことができます。
再審査が請求されると、総務会で扱いが協議され、相当の理由があると認められた場合には党紀委員会で再度審査が行われることになっています。
塩谷氏「処分の基準を明確にしてもらいたい」
安倍派の座長を務めていた塩谷 元文部科学大臣は、処分が決まる前に記者団に対し「事実に基づいて、処分の基準を明確にしてもらいたい。まだ処分が出ていないからわからないが、離党勧告は厳しいと思う」と述べました。また記者団から岸田総理大臣の責任について問われ「党の代表としての責任はあるのではないか」と述べました。
林官房長官「説明責任を果たすことが重要」
林官房長官は午前の記者会見で「政府として自民党の処分について申し上げる立場にはないが、一般論として、それぞれの政治家が必要に応じて適切に説明責任を果たすことが重要だ」と述べました。
各党の反応
立民 泉代表「総理が処分の対象にならず 紛糾して当然」
立憲民主党の泉代表は党の会合で「不記載が500万円以上という処分の基準も全くわからず、何より、自分の派閥の元会計責任者が略式起訴されている岸田総理大臣自身が処分の対象になっていないのだから、紛糾して当然だ。真相をしっかりと語り、それに基づいて秩序だった処分が行われなければならないが、やっていることは、党内抗争ではないか。自民党はコントロールを失っており、党運営の能力もない」と述べました。
また、記者団に対し「処分の軽重がぐちゃぐちゃで、不公平だという声が自民党内からも上がっており、 自民党はコントロールを失っている。岸田総理大臣は、他人をさばくばかりで、みずからに一番甘い。非常に恣意的(しいてき)で、党内抗争でやっているような国民不在の処分だ」と述べました。
立民 長妻政調会長「総理が処分対象外は非常に不可解」
立憲民主党の長妻政務調査会長は記者会見で「実態解明なしに、処分だけでふたをしては困る。野党側は国会で10人の証人喚問を要求しているので、説明を果たした上で、処分すべきだ。岸田総理大臣も、派閥の会長をしていて、元会計責任者が有罪になっているので、処分対象になることは明白だが、外れているのは非常に不可解だ。きちんとした対応をすべきだ」と述べました。
維新 馬場代表「処分の物差しがはっきりわからず不可解」
日本維新の会の馬場代表は記者会見で「真実の解明ができていないので、処分の物差しがはっきりわからず、非常に不可解な思いを国民は持っているだろう。企業で言えば、何か不正が起こればトップが責任を取るのは常識で、岸田総理大臣はみずからを処分すべきだ。自民党の中のみならず、国民が『なるほど』と思うことをやってほしい」と述べました。
公明 北側副代表「党内が混乱することはないように」
公明党の北側副代表は、自民党の処分が決まる前の記者会見で「説明責任をしっかり果たして政治責任を明確化し、再発防止策を今の国会できちんと仕上げていくことが大事であり、国民の理解が得られるような判断をしてほしい。政策を前に進めていくためにも党内が混乱することはないようにしてほしい」と述べました。
共産 小池書記局長「幕引き図ろうとすること許されない」
共産党の小池書記局長は記者会見で「処分の基準が全く分からず、党の最高責任者で、岸田派の会長でもあった岸田総理大臣自身が処分されていないのは、保身ありきで、みずからに波及しないところで線を引いていると思われてもしかたない。けじめには程遠く、このような処分で幕引きを図ろうとすることは許されない。証人喚問も含めて、徹底的な真相解明が必要だ」と述べました。
国民 玉木代表「国民の納得得られない 全容解明が必要」
国民民主党の玉木代表は記者団に対し「役職の重さなどで処分を決めたのであれば、いちばん責任がある岸田総理大臣が処分を受けていないのは、国民の納得を得られない。全容解明が行われていないからこそ、処分の基準があいまいだったり不満が出たりしている。これで幕引きを図ることになってはならず、証人喚問をして、全容解明をしっかり行っていくことが必要だ」と述べました。
れいわ 山本代表「茶番もいいところ」
れいわ新選組の山本代表は、記者会見で「茶番もいいところだ。離党勧告と言っても、一定の期間がたてば党に戻るのだろうから、いったい何の意味があるのか。少なくとも議員辞職させるくらいの話でなければ筋は通らない」と述べました。
塩谷立氏とは
塩谷立氏は、衆議院比例代表東海ブロック選出の当選10回で、これまでに文部科学大臣や党の総務会長、選挙対策委員長などを歴任しました。
安倍派では、2012年11月から5年余り、当時の町村会長や細田会長のもとで事務総長を務めました。
そして、おととし7月に安倍元総理大臣が亡くなり、会長が不在となったあとも会長代理を務め、去年8月に派閥の意思決定にあたる常任幹事会が発足してからは、取りまとめ役の「座長」を務めました。
所属議員へのキックバックの取り扱いを話し合ったおととし8月の幹部協議に出席した1人でもあります。
政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、派閥が解散を決めるまでの意見集約を担い、みずからは衆議院政治倫理審査会長の役職から退きました。
おととしまでの5年間の収支報告書への不記載の額は234万円でした。
先月には衆議院政治倫理審査会に出席し、派閥の会計処理について「去年8月から、清和会が解散を決定したことし2月1日までの5か月余り常任幹事会の座長を務めてきたが、政治資金パーティーをめぐる問題に関しては一切関与していない」と述べていました。
また、おととし8月の幹部協議については「多くの所属議員から『困っている』という意見があり、『ことしに限って継続するのはしかたがないのではないか』という話し合いがなされた。『継続していくしかないかな』という状況の中で終わったと思う」と述べていました。
世耕弘成氏とは
世耕弘成氏は、参議院和歌山選挙区選出の当選5回で安倍元総理大臣に近かったことで知られ、経済産業大臣や官房副長官などを歴任しました。
2019年からは自民党の参議院幹事長を務めましたが、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で去年12月に辞任しました。
所属していた安倍派では「5人衆」と呼ばれる議員の1人で、派閥の意思決定にあたる常任幹事会のメンバーでした。
所属議員へのキックバックの取り扱いを話し合ったおととし8月の幹部協議に出席していた1人でもあります。
おととしまでの5年間の収支報告書への不記載の額は1542万円でした。
先月には参議院政治倫理審査会に出席し、派閥の会計処理について「派閥の会計や資金の取り扱いに関与することは一切なかった。パーティー券販売のノルマやノルマ超過分の還付方法などについて関与したこともなければ報告・相談も受けてこなかった」と述べていました。
おととし8月の幹部協議については「この時に何か確定的なことは決まっていない」と述べていました。
一方、世耕氏は先週になって、おととし3月、安倍元総理大臣や西村前経済産業大臣らと4人で参議院選挙の候補者調整に関する打ち合わせを行ったと明らかにする一方、キックバックの扱いは協議していないと説明していました。
下村博文氏とは
下村博文氏は衆議院東京11区選出の当選9回で、これまでに文部科学大臣や党の政務調査会長などを歴任しました。
安倍派では、2018年1月から2019年9月まで当時の細田会長のもとで事務総長を、安倍元総理大臣が会長に就任した2021年11月から去年8月まで塩谷 元文部科学大臣とともに会長代理を務めました。
所属議員へのキックバックの取り扱いを話し合ったおととし8月の幹部協議に出席した1人でもあります。
ただ、かつて派閥の会長を務めた森 元総理大臣や「5人衆」と呼ばれる有力議員とは距離があるとされ、去年8月に発足した新たな体制では派閥の意思決定にあたる常任幹事会のメンバーにはなりませんでした。
おととしまでの5年間の収支報告書への不記載の額は476万円でした。
先月には衆議院政治倫理審査会に出席し、キックバックが続いた経緯について「いつ誰がどんな形で決めたか本当に知らない」と述べていました。
また、おととし8月の幹部協議については「結論が出たわけではなく、この会合で還付の継続を決めたということは全くない」と述べていました。
西村康稔氏とは
西村康稔氏は衆議院兵庫9区選出の当選7回で、経済再生担当大臣や官房副長官などを歴任しました。
おととし8月からは、経済産業大臣を務めましたが、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で去年12月に辞任しました。
所属していた安倍派では、2021年10月から、おととし8月まで、当時の細田会長や安倍会長のもとで事務総長を務めました。
また「5人衆」と呼ばれる議員の1人で、派閥の意思決定にあたる常任幹事会のメンバーでした。
所属議員へのキックバックの取り扱いを話し合った、おととし8月の幹部協議に出席した1人でもあります。
おととしまでの5年間の収支報告書への不記載などの額は100万円でした。
先月には衆議院政治倫理審査会に出席し、派閥の会計処理について「会長のもとで事務局長が対応していたので、ほかの幹部、特に事務総長は関与していない」と述べていました。
また、おととし8月の幹部協議については「ノルマ以上に売った議員から『返してほしい』という声があり、どう対応するかを共有したが、結論は出なかった」と述べていました。
高木毅氏とは
高木毅氏は、衆議院福井2区選出の当選8回。これまでに復興大臣や衆議院議院運営委員長などを歴任しました。
2021年10月の岸田政権の発足以来、自民党の国会対策委員長を務めましたが、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて去年12月に辞任しました。
所属していた安倍派では、安倍元総理大臣が亡くなったあとのおととし8月から事務総長を務めてきました。
また「5人衆」と呼ばれる議員の1人で、派閥の意思決定にあたる常任幹事会のメンバーでした。
おととしまでの5年間の収支報告書への不記載額は1019万円でした。
高木氏は先月衆議院政治倫理審査会に出席し、派閥の会計処理について「私が事務総長の立場で政治資金パーティー収入を管理したり、収支報告書の作成や提出について事務局長から報告を受けたり、決裁などをしたりして関与することは一切なかった。そのため収支報告書の不記載や虚偽記載も全く認識していなかった」と述べていました。
またキックバックが続いた経緯については「どのような検討がなされたか、私自身は全く認識しておらず、検討の場にも出席したことはなく、一切関与していない」と述べていました。
萩生田光一氏とは
萩生田光一氏は、衆議院東京24区選出の当選6回。安倍元総理大臣に近かったことで知られ、経済産業大臣や文部科学大臣などを歴任しました。
おととし8月から党の政務調査会長を務めましたが、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で去年12月に辞任しました。
所属していた安倍派では「5人衆」と呼ばれる議員の1人で、派閥の意思決定にあたる常任幹事会のメンバーでした。
おととしまでの5年間の収支報告書への不記載の額は2728万円で、今回の問題の関係議員ら85人の中で3番目に多くなりました。
衆議院政治倫理審査会には出席していません。
ことし1月に行った記者会見では「事務総長経験者でもなく、常任幹事会のメンバーに就任したのは去年であり、これまでのパーティーの開催概要や派閥運営に関して、どのようなやり取りがあったのかなどは存じ上げない」と述べていました。
松野博一氏とは
松野博一氏は、衆議院千葉3区選出の当選8回。文部科学大臣などを歴任したあと2021年10月の岸田内閣の発足以来、官房長官を務めました。
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で去年12月に不信任決議案が提出され、決議案は否決されましたが、2日後に「国政に遅滞を生じさせたくない」などとして辞任しました。
所属していた安倍派では2019年9月からおよそ2年間、当時の細田会長のもとで事務総長を務めました。
また「5人衆」と呼ばれる議員の1人で、派閥の意思決定にあたる常任幹事会のメンバーでした。
おととしまでの5年間の収支報告書への不記載の額は1051万円でした。
先月には衆議院政治倫理審査会に出席し、派閥の会計処理について「派閥のパーティー券の販売・収入の管理や収支報告書の作成といった経理、会計業務には一切関与していなかった。事務局から経理・会計に関する決裁を含め、判断を求められたり報告を受けたりしたことは一度もなかった」と述べていました。
武田良太氏とは
武田良太氏は、衆議院福岡11区選出の当選7回。これまでに総務大臣や国家公安委員長などを歴任しました。
所属していた二階派では2021年10月から事務総長を務めました。
おととしまでの5年間の収支報告書への不記載などの額は1926万円でした。
ことし2月に衆議院政治倫理審査会に出席し、派閥の会計処理について「私も派閥会長の二階元幹事長も会計責任者から収支報告書の内容の説明を受けることなく、虚偽記載などが行われていたことは全く知らなかった。二階氏も私も全く関与していない」と述べていました。

 

●能登半島地震 「のと鉄道」全線再開を前に試運転 4/5
能登半島地震でレールの損傷など甚大な被害を受け、一部の区間で運休が続く「のと鉄道」が6日、全線で運行を再開します。これを前に列車の試運転が行われました。
「のと鉄道」は能登半島の石川県七尾市と穴水町を結ぶ鉄道です。
このうち、不通となっていた能登中島駅から穴水駅の間の復旧工事が終わり、5日、列車の試運転が行われました。
地元の人「うれしいですよ。車の運転ができる人は何も心配ないけど。病院にも行かなきゃいけないし」
6日は穴水駅で出発式が行われます。
復興の願いを込め「がんばろう能登」と書かれた看板を列車の先端に掲げ、運行が再開される予定です。
●能登の小中学校で入学式 地震で被災も元気に新たな一歩 4/5
能登半島地震で被災した石川県珠洲市などの小中学校で5日、入学式が行われた。被災を理由に引っ越した家庭も多く、例年より新入生が減った学校もあったが、児童生徒は元気に新たな一歩を踏み出した。
珠洲市立飯田小の新1年生は5人。入学予定者が2次避難で地元を離れるなどし、昨年度の18人から大幅に減少した。式は地震の影響で体育館が使えず、音楽室で開催された。四十住基子校長が「復興の中で子供たちの存在は大人に希望を与えてくれました。元気なあいさつと勉強を頑張ってほしい」と語りかけた。
入学式を終え、比古咲陽大君(6)は「緊張したけど楽しかった。これから体育を頑張りたい」と笑顔。母の彩加さん(32)は「入学予定だった友達が転校した不安もあるが、明るく元気に通ってほしい」と話した。
●自民党“裏金関与”議員に処分決定 4/5
自民党は裏金問題に関係した議員の処分を決定し、安倍派幹部の塩谷元文部科学大臣と世耕前参院幹事長の2人を「離党勧告」としました。
自民党の党紀委員会は、安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決定しました。
キックバックの再開について協議していた安倍派4人の幹部のうち、塩谷氏と世耕氏の2人は「離党勧告」としました。
また、西村氏と下村氏に加え、事務総長を務めていた高木氏については「党員資格停止」としました。
安倍派の松野氏と萩生田氏、二階派では林氏と武田氏を「党の役職停止1年」としました。
一方、「離党勧告」の処分を受けた世耕氏は離党届を提出し、受理されました。
世耕前参院幹事長 「今回は弁明書を提出することもせず、決定に従って離党することを決断させて頂きました」
また、塩谷氏は岸田総理が処分対象でないことに不満を示しました。
塩谷元文部科学大臣 「(Q.岸田総理の処分については?)今回、関わった派閥の関係のそれぞれの立場の人は、同じように処分を受けるということが公平な処分の考え方だと思ってます」
そのうえで、自らの離党については「地元の後援会とも相談する必要がある」と述べるにとどめました。
●齋藤経産大臣「極めて深刻に受け止め」 自民党・裏金問題で39人処分 4/5
派閥の裏金事件で、自民党が安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決定したことについて、齋藤経済産業大臣は「極めて深刻に受け止めている」と話しました。
齋藤 経済産業大臣「まず一連の今回の事態について、いち国会議員としてではあるが、極めて深刻に私は受け止めている」
齋藤経産大臣は閣議の後の会見で、自民党の派閥の裏金事件についてこのように話しました。
また今後については、次の選挙を念頭に「自民党の国会議員1人1人がそれぞれの選挙区でしっかり説明責任をはたし、国民に判断をしていただく段階になっていく」との考えを示しました。
自民党の派閥の裏金事件をめぐっては、4日の党紀委員会で安倍派・二階派の議員ら39人に対する離党勧告を含む処分が決定されています。
齋藤大臣は自民党の無派閥で、対象となっていません。
●「裸一貫ゼロから再出発」「初心立ち返る」 処分受けた主な自民議員 4/4
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、処分を受けた主な議員らが記者団の取材に応じたり、コメントを発表したりした。
西村康稔・前経済産業相(党員資格停止1年)「大変厳しい処分だが、この処分を真摯(しんし)に受け止め、初心に戻り、いわば裸一貫でゼロから再出発したい。信頼回復は容易ではないと思うが、一歩一歩愚直に活動していきたい。党員資格停止なので、少し党からも離れる立場になると思う。離れてみて、もう一度自民党のあり方や政治改革、政治資金の透明化といったことにも取り組んでいきたいと考えている。」
下村博文・元文部科学相(同)「党の処分を謙虚に受け止め、一議員として政治資金規正法の厳罰化、国民の皆さんに納得してもらえる政治改革に取り組んでまいりたいと思います。処分について、改めて私の方から(不服の)申し立てをすることはございません。」
高木毅・前国対委員長(党員資格停止半年)「多くの国民の皆様に多大な政治不信を招き、ご支援いただいている方々に大変なご迷惑やご心配をおかけをし、心からおわびを申し上げたい。私自身はこの処分をしっかりと重く受け止め、襟を正して一から出直すという気持ちをもって政治活動を頑張ってまいりたい。」
松野博一・前官房長官(党の役職停止1年)「二度とこのような事態を招くことがないよう、初心に立ち返り、これまで以上に誠心誠意、政治活動に取り組み、政治、党への信頼回復のため真摯に努めてまいります。」
萩生田光一・前政調会長(同)「政治資金の収支の透明化は、国民の政治に対する信頼の基盤であることを改めて自戒し、今後、政治資金の適正管理に取り組み、国民の信頼回復に努めてまいる所存です。」
●裏金問題で“戒告”処分の高鳥衆院議員「金額で線引きする合理的根拠はない」 4/5
派閥の政治資金問題をめぐり、自民党は4日、党紀委員会を開催。政治資金収支報告書への不記載が500万円以上にのぼった高鳥修一議員と細田健一議員に戒告処分が下されました。
以下、処分決定後に高鳥修一議員が発表したコメント全文
・処分については厳粛に受け止め真摯に国民の負託にこたえて参ります
・今回の問題の混乱は「積極的に裏金を作り脱税の疑いをもたれる議員」とそうでない議員が「ごちゃ混ぜ」になっていることです
・清和研の中堅・若手の多くは、会計責任者が派閥事務局からの指示に従って一律に不記載の処理していたため裏金議員の汚名を着ることになりました
・この事実は500万円でも499万円でも差異はありません。金額だけで線引きする合理的根拠はありません
・一方で「多額の使途不明金」がある議員がいます
本質的な問題は「使途不明金の額」であり、これがあれば「私的会食や個人の物品購入」にあてた「疑念」が拭えず「脱税」の疑いが晴れません
・私の事務所では領収書があり「使途不明金」が無いので「完全な形で収支報告書の訂正」が終わhttps://news.livedoor.com/topics/detail/26172362/っています
・一般論として脱税にあたらないことを国税庁にも確認しております
・使途不明金があり私的流用の疑念を払拭出来ない議員は納税すべきです
●裏金問題で“戒告処分” 細田健一議員が問題発覚後初の会見「文書で必要な説明責任果たしたと…」 4/5
派閥の政治資金問題を巡り、自民党から戒告処分を受けた細田健一衆院議員が4日、会見を開き、これまでの経緯などについて説明。同じく戒告処分となった高鳥修一衆院議員もコメントを発表しました。
4日に開かれた自民党の党紀委員会。派閥の政治資金を巡る問題で39人の処分が決定し、不記載額が500万円以上だった細田健一議員と高鳥修一議員は戒告処分となりました。
自民党 細田健一議員「改めて今回の問題により県民の皆様に深刻な政治不信が引き起こされていることについて心からお詫びを申し上げます」
処分を受け、4日に会見を開いた細田議員。派閥からのキックバックを収支報告書に記載しなかった理由について「派閥からの指示だった」と釈明しました。
Q指示をおかしいとは思わなかったか
自民党 細田健一議員「正直疑問がなかったわけではないが、私の判断の甘さもあったが、慣例でそうなっているということで…」
また、問題発覚後、報道各社の求めにも応じず、これまで会見を開かなかった理由については…
自民党 細田健一議員「文書発表させて頂いて必要な説明責任はその時点で果たしたと自身が判断していた」
こう話した上で、議員辞職や離党については否定しました。
一方の高鳥議員もコメントを発表。処分については厳粛に受け止めるとした一方で金額だけで線引きする合理的根拠はありませんと主張。また、使途不明金があり、私的流用の疑念を払拭出来ない議員は納税すべきとしています。
●自民党 戒告処分の細田健一議員が謝罪 「派閥から還付金が来ているとの認識はあった」と説明 新潟 4/5
自民党のいわゆる裏金事件で、キックバックを受けていたとして戒告処分を受けた細田健一衆議院議員が4日夜、問題発覚後初めて会見を開き謝罪しました。
裏金事件をめぐり県内では安倍派の高鳥修一衆議院議員と細田健一衆議院議員が戒告処分となりました。
4日夜、細田議員は問題発覚後初めて会見を開き「派閥から還付金が来ているとの認識はあった」と説明し謝罪しました。
自民党 細田健一 衆院議員「深刻な政治不信が引き起こされていることについて心からお詫びを申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」
高鳥議員はことし2月に会見を開き、県連会長を辞任しています。
●自民党裏金問題 県関係は菅家一郎議員「党役職停止6か月」吉野正芳議員「戒告」処分 福島 4/5
自民党は政治資金をめぐる問題で39人の議員の処分を発表し、福島県関係では2人の衆議院議員が処分を受けました。
自民党は4日、政治資金パーティーをめぐり、派閥からのキックバックを収支報告書に記載していなかった金額が、5年間で500万円以上だった議員39人の処分を決めました。
このうち、県関係では、衆議院比例東北ブロック選出の菅家一郎議員は不記載が1289万円あり「党役職停止6か月」、衆議院福島5区選出の吉野正芳議員は660万円の不記載で文書や口頭で注意する「戒告」の処分を受けました。
一方、不記載が500万円未満で処分の対象にならなかった亀岡偉民衆議院議員、上杉謙太郎衆議院議員、そして森まさ子参議院議員は「幹事長注意」となりました。
●政権崩壊ギリギリ「岸田首相」の秘密会談の相手は 誰でも首相になれる千載一遇のチャンスを狙う面々 4/5
岸田首相や二階氏には処分なし
岸田文雄首相の命運を握る4月28日投開票の衆院3補選が近づいている。とはいえ、自民党は長崎3区、島根1区、そして東京15区のうち、独自候補を擁立するのは島根1区のみ。それだけにその勝敗に注目が集まるが、他方、永田町では支持率の上昇が長らく見込めない岸田政権がいつ倒れるのかが既定路線となり、さまざまな水面下での動きが始まっている。
まずは、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題からおさらいしておこう。安倍派と二階派の39人の議員らの処分内容が4日、発表された。
安倍派の座長を務めた塩谷立元文科相と参院側の代表・世耕弘成前参院幹事長に「離党の勧告」が、下村博文元文科相と西村康稔前経産相にはその次に重い「1年間の党員資格の停止」が、安倍派解散決定時まで事務総長を務めていた高木毅・前国対委員長には「半年間の党員資格の停止」が、それぞれ下った。
一方で、自民党のトップであり、自ら率いる派閥の会計責任者が立件された岸田首相、同じく自ら率いる派閥の会計責任者が立件され、派閥を率いた二階俊博元幹事長はおとがめなしとなった。
島根1区の情勢は
「当初取り沙汰されていた処分よりはかなり重くなった印象で、世論の厳しさを反映したと見られています。が、岸田首相や二階氏に何の処分も下されないというのでは、国民の納得を得るのは難しいでしょう。加えて、安倍元首相が廃止の方針を打ち出したキックバックについて、安倍氏の死去後、存続を決めた会議に出席していた安倍派内の4人(塩谷、下村、西村、世耕の各氏)の間で処分に差があるというのも分かりにくいように感じますね」
と、政治部デスク。岸田首相としては不祥事に厳然たる対処をしたことで世の中の評価を得たかったのだろうが、なかなか目論見通りに行かないようだ。首相は4月10日に国賓待遇で訪米し、バイデン大統領と会談する。「外交の岸田」をアピールしたいところだろうが、これもまたアピールポイントとしては物足りないものとなりそうだ。
「4月28日投開票の島根1区の結果が岸田政権の命運を握っているのは間違いありません。細田博之前衆院議長の死去に伴う“弔い選挙”だけに与党側有利のはずなのですが、候補の評判が芳しくなく、一時は野党側候補に結構なリードを許していました」(同)
事務総長との秘密会談
もっとも、島根での選挙に与党側が勝利しても、その後に岸田政権の内閣支持率が急上昇すると見ている関係者はほとんどいないのだという。
「連立を組む公明党でさえ、“次期総選挙は岸田氏以外で”という認識でいるほどです。したがって、岸田首相が狙ってきた9月の総裁選での再選どころか、首相が総裁選に出馬できない可能性も大いにあります」(同)
状況を客観的に見れば、すでに政権は末期。「聞く力」があれば、身を引くタイミングを真剣に考えるべき時期ともいえる。が、ここ最近の岸田首相の政局への対応ぶりから、「聞く力」を標榜しながらも党内では聞く耳を持たず、独善的に振る舞うタイプだとの評価が固まりつつあるとされる。
「その点から、岸田首相がどこかのタイミングで解散に打って出るのではないかとの見方があります。実は3月末、自民党で選挙のカギを握る元宿仁事務総長が“なかなか外しづらいない案件をキャンセルした”ことがありました。表立ってのキャンセル理由が見当たらないことから、岸田首相から解散をテーマに会談を要望されたのではないかとの指摘もあるようです」(同)
ポスト岸田は
負けることがわかっている解散総選挙だけに誰もが羽がい締めして止めそうな気もするが、首相が決意を固めていれば翻意させるのは難しいのかも知れない。
「岸田首相の解散戦略の一方で、ポスト岸田への動きも活発化しています。主流派である麻生太郎自民党副総裁と茂木敏充幹事長と非主流派の菅義偉前首相が主導権争いを繰り広げています。それぞれが候補を絞り切れず、ギリギリまで検討を続けることになりそうです。現時点で国民的な支持がほとんどと言って集まっていない候補であってもリーダーに担がれる可能性もあり、ある意味で、誰もが首相の座にたどり着ける千載一遇のチャンスが訪れているとも言えるでしょう」(同)
永田町内のこうした観測や見立てに、政策論はまったく聞こえてこない。
新しいトップもまた古いトップと同じようなもの、といった無情というか情けない状況も十分予想される。国民不在の裏金疑惑が忘れられた後、また新たな国民不在の政局が始まりそうだ。
●「政治責任取る」「ゼロから再出発」 安倍派元幹部、塩谷氏は反発―裏金処分 4/5
自民党安倍派の裏金事件で処分が決まった元幹部は4日、それぞれ記者団の取材に応じた。離党勧告を受けた世耕弘成前参院幹事長は「参院安倍派会長だった私が政治的責任を取るべきで、決定に従い離党する決断をした」と強調。同じ処分となった塩谷立・元総務会長は「非常に厳重な処分で残念だ。(党側の)説明を聞きたい」と反発した。
世耕氏は「明鏡止水の心境だ」と表明。裏金事件の責任の所在を問われると「それは分からない。知っていることはすべて答えたつもりだ」とかわした。塩谷氏は、岸田派の元会計責任者が立件されたにもかかわらず岸田文雄首相が処分対象外となったことに「理解できなかった」と不満を漏らした。
党員資格停止1年となった西村康稔前経済産業相は、離党や議員辞職を否定。首相を目指す考えを示していたことに関し「今はある意味、全てを失った。ゼロから再出発する」と語った。下村博文元政調会長は「処分は受け入れるが、きちんとした真相解明をしてもらいたい」と主張。高木毅前国対委員長は「処分を重く受け止め襟を正して出直す」と語った。
萩生田光一前政調会長は「政治不信を招く結果となったことを強く反省している」とのコメントを発表。キックバック(還流)分の使途について「私的流用や不正な支出はない」と重ねて強調した。松野博一前官房長官もコメントで「政治、党への信頼回復のため真摯(しんし)に努める」とした。
●実態解明なき幕引き優先 自民裏金事件 4/5
岸田文雄首相(自民党総裁)が派閥裏金事件で実態解明よりも関係議員の処分を急いだのは、政権の危機的状況を踏まえ「幕引き」を優先したためだ。安倍派のキックバック(還流)はいつ、誰の意向で、なぜ始まり、継続を決めたのは誰なのか。国民の疑問に一切答えておらず、「政治の信頼回復」には程遠い。
安倍派は会長だった安倍晋三元首相が還流廃止を指示した後、塩谷立・元総務会長や世耕弘成前参院幹事長ら幹部4人の協議を経て覆された。4人は衆参両院の政治倫理審査会で弁明したものの、いずれも関与を否定。首相自らが異例の追加聴取に乗り出したが、その内容は明らかにしていない。
還流開始と継続の真相を知り得る森喜朗元首相からの聴取も焦点だった。首相は4日になって「今般、直接電話をかけた」と明かし「具体的な関与は確認できていない」と語った。説明責任を尽くそうとする姿勢は最後まで見えなかった。
首相は1日の参院決算委員会で「事実の解明は大事だが、派閥幹部の政治責任も判断しなければならない」と述べた。処分を決めた後も、真相究明に全力を挙げる必要がある。自身の政治責任を果たして初めて信頼回復のスタートラインに立つことができる。
●岸田政権は日本人ではなく外国人旅行者の受入支援、税負担等で25億円投入 4/5
岸田政権は、日本人旅行者ではなく訪日外国人旅行者の受け入れを支援するため、国民らの税負担などにより、25億円を投入する予定であることが明らかになった。
観光庁の見解によると、訪日外国人旅行者を中心にサステナブルな旅行や宿泊施設の選択傾向が高まっている中、世界各国の旅行者に旅先として選択してもらうためにも宿泊施設のサステナビリティ強化が必須となってきたとしている。
そのため、訪日外国人旅行者の受け入れに向け、旅館・ホテル等の宿泊施設が実施するサステナビリティの向上に関する取組を支援するため、【宿泊施設サステナビリティ強化支援事業】の特設サイトを開設することとなった。
補助対象となる施設は、『宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドラインに基づく登録制度(高付加価値経営旅館等登録規程)の登録を受けた方、又は同制度の登録申請をされた方』『上記の登録又は登録申請はしていないが、金融商品取引法第24条に基づき有価証券報告書を内閣総理大臣に提出する会社又はその子会社及び関連会社であり、かつ観光施設における心のバリアフリー認定制度の認定を取得済み又は1年以内に取得予定である方』となる。
補助額は、補助率が1/2、補助上限が1,000万円となる。補助対象経費は、省エネ型空調、省エネ型ボイラー、配管等、二重サッシ等、太陽光発電、蓄電設備、節水トイレ等、照明機器、その他省エネ対象に必要な設備、備品となる。
なお、観光庁としては、【宿泊施設サステナビリティ強化支援事業】の予算は25億円としており、事務経費は直接経費として交付される額の10%を上限としている。この事業の事務局は、民間企業に委託している。 
●塩谷氏「甚だ心外」再審査請求を検討 “裏金問題”処分の甘さ指摘する声も 4/5
派閥の裏金問題で、4日に『離党勧告』処分を受けた、塩谷衆議院議員。5日に開いた会見では、処分に対する不服を改めて示し、再審査の請求も辞さない構えです。
「事実誤認で心外」再審請求も
処分から一夜明け、政府・与党から相次いだのは“けじめ”という言葉でした。
公明党 山口那津男代表 「自民党としての一つのけじめを示した」 土屋品子復興大臣 「自民党がしっかりとけじめをつけて次へ進んで行くことを希望する」
これで、一つの区切りがついたということなのでしょうか。処分を甘んじて受け入れる議員がいる一方で、離党勧告処分を受けた塩谷衆議院議員は、公然と批判をしました。
自民党 塩谷立元文科大臣 「事実誤認の中で処分が下されたことについて甚だ心外な思い。初めから『組織ぐるみの裏金づくり』とレッテルを貼られてますから、それに伴わない答えだと『説明責任を果たしてない』と」
処分を不服として再審査請求を検討すると表明しました。総理の姿勢にも思うところがあるようです。
自民党 塩谷立元文科大臣 「(Q.今総理に対してどういう思い)残念な思いというか(総理から)一言あるかなと。『自民党の窮状でやむを得ず処分する』そういう言葉があれば『はい、分かりました』と言ったかもしれませんね」
萩生田氏 自身の処分は「重い」
不満が渦巻く自民党。その一因は、今回の処分の線引きの不透明さにあります。
立憲民主党 山岸一生衆院議員 「処分について基準がさっぱり分からない。最大のミステリーが、私は萩生田議員の取り扱い。下から3番目『役職停止』という処分」
安倍派幹部5人衆の1人、個人として3000万円近い不記載があった萩生田氏。処分が決まる前に政調会長を辞任していて、実質的には新たな制裁はありません。キックバックをめぐる協議には参加しておらず、事務総長も経験していなかったことなどが理由とされていますが……。
立憲民主党 山岸一生衆院議員 「萩生田氏は、なぜこんなに処分が甘かったんですか」 岸田文雄総理大臣 「しかるべき手続きを踏んだうえで判断を定めた次第。この判断は大変重いものであると」
萩生田氏はメールマガジンでこう述べています。
はぎうだ光一メールマガジン(5日配信) 「今回の処分を一部メディアでは『軽い処分』とご批判をいただいておりますが、政治家として与党の政策責任者を離れ、今後もしばらく第一線で力を発揮できないことは忸怩たる思いですし『重い処分』と真摯に受け止めております」
高まる岸田総理の責任論
処分の甘さを指摘する声は、総理自身に対しても……。
立憲民主党 泉健太代表 「最大の甘さの象徴は岸田総理自身、何の処分もないということ。『最終的には国民・党員に判断いただく』と。なんですかこれは。例えば企業で不祥事が起きた時に、社長が部下を処分して、最後に私の処分についてはユーザーの皆さんに決めていただきますとかあり得ますか」
岸田派の不記載額は3年間で約3000万円。岸田総理は、議員へのキックバックはなかったと強調しますが、派閥がため込んでいた形です。
自民党中堅議員 「日本の文化的に、部下だけが責任を取ることはないと思う。総理が責任を取るべきという論調は、さらに高まってきている」
肝心の真相究明を棚上げにしたまま、繰り広げられる“処分劇”に、人々は……。
50代 会社員 「処分がもっと厳しくてもいいと思うし、民間企業はあんなものじゃない」 40代 会社役員 「独立した第三者の立場から究明していただける方を入れて調べてほしい」 50代 自営業 「頭っていうのは一般の企業であれば、ああいう不祥事を組織的に行ったのであれば、トップは何らかの責任を負うべきで、スルーしているのは違和感がある(Q.岸田総理も責任を取るべき?)それはそうでしょ。確実にそうだと思います」
●デーブ・スペクター氏、裏金問題での処分に「離党勧告の人もどうせ復党します」 4/5
テレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏が5日放送のTOKYO MX「バラいろダンディ」に生出演。自民党が派閥の裏金事件で39人を処分。安倍派座長の塩谷立氏、参院側トップの世耕弘成氏を離党勧告とする一方で岸田文雄首相の処分は見送り、党内から不満の声が出ていることについて、コメントした。
この日の番組冒頭で、この問題が取り上げられると「まあ、総理大臣ですから、自分をビンタするようなもんですから、ちょっとやりにくいとは思うんですけど」と話し出したデーブ氏。
「自民党の中に不満、納得してない者がいれば、自民党全体的に処分が必要なんですよ、イメージ的にも。それでも足りないし、裏金問題は結局、証人喚問もやらずにそのまま終わったわけですから、ある意味、楽に済んだんですよ」と続けると「何人かの議員が生け贄、スケープゴートになってしまったんですけど、自民党は一つの団体ですからね。たまには自分が犠牲にならないといけないなって考えもなくはないと思う。しかも、離党勧告の人もどうせ復党しますから。早ければ1、2年後とか」とピシャリ。
「総括すると、あくまで自民党の中でこれが正しいとか、必要なステップだと思います」と結論づけていた。
●“裏金事件”戒告処分の細田健一衆院議員 問題発覚後初めての会見で謝罪 「還付金の認識あった」 新潟 4/5
自民党のいわゆる裏金事件で、キックバックを受けいてたとして戒告処分を受けた細田健一衆議院議員が4日夜、問題発覚後初めて会見を開き謝罪しました。
4日夜、会見の予定時間より10分ほど早く姿を現した細田議員。神妙な面持ちで立ったまま開始を待ちました。
裏金事件をめぐり、県関係ではいずれも安倍派で不記載額が544万円だった高鳥修一衆議院議員と564万円だった細田健一衆議院議員が戒告処分となりました。
細田議員が記者会見を開くのは問題発覚後初めてのこと。「派閥から還付金が来ているとの認識はあった」と説明し謝罪しました。
細田健一 衆院議員「深刻な政治不信が引き起こされていることについて心からお詫びを申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」
キックバックについては細田議員本人が自身の寄付金として小選挙区新潟2区の支部へ振り込んでいたということです。
細田健一 衆院議員「やや疑問がなかったわけではないですが、私の判断の甘さもありましたけども、慣例でそうなっている。私どもの事務所としてはいかんともしようがなかったことはご理解いただければ」
処分は甘んじて受けると繰り返し、議員辞職はしないとしています。
また、高鳥議員は「処分は厳粛に受け止め真摯に国民の負託にこたえてまいります」とコメントを発表。一方で、処分が金額で線引きされたことには疑問を呈しました。
高鳥議員はことし2月に会見を開き、県連会長を辞任しています。

 

●輪島朝市の出店者 地震後初の地元販売 地域の人たちと再会喜ぶ 4/6
能登半島地震で大規模な火災が発生した石川県輪島市の「輪島朝市」の野菜の出店者たちが、地震のあと初めて、地元で販売を行い、地域の人たちと再会を喜びました。
石川県輪島市の「朝市通り」では地震に伴う大規模な火災で多くの店などが焼け、先月には金沢市で出張開催の形で販売が行われました。
6日は出張開催に参加できなかった一部の出店者たちが、地震のあと初めて地元での販売を行い、軽トラックの荷台に野菜を載せて仮設住宅をまわりました。
「朝市通り」の近くにある仮設住宅の前では、午前8時すぎに販売が開始されると地域の人たちが次々と訪れました。
そして、地元で育てた大根やネギなどを買い求めながら、店の人との久しぶりの再会を喜んでいました。
仮設住宅で暮らす70代の女性は「朝市の人たちが元気でよかったです」と話していました。
夫婦で訪れた60代の女性は「新鮮なものを食べられるし、少しでも被災した店の人たちの役に立てばうれしいです」と話していました。
野菜を販売した輪島朝市野菜部会の水口美子さんは「本当に3か月ぶりに元気をもらいました。久しぶりに会うお客さんともお互いの無事が確認できてよかったです。また次の野菜を育てて定期的に販売したいです」と話していました。
●「能登の宝は震災に負けない」…輪島塗の製造販売拠点、金沢にオープン 4/6
能登半島地震で被災した輪島塗の製造販売拠点が6日、金沢市内のビルにオープンした。被災した五つの漆器店から作品を集めており、関係者から「再興の糧になる」と期待が寄せられている。
拠点は、石川県輪島市の大藤漆器店が整備した。1階のギャラリーで地震の被害を免れた品約300点を展示・販売し、3階の仮設工房を、住居などを失った職人に作業場として提供する。
仮設工房は、金沢市内に避難する50〜60歳代の職人ら4人が利用し、沈金や 蒔絵 など仕上げの装飾の工程を担っている。利用の希望が増えれば、作業場を増やす予定という。
この日は、午前10時の開店とともに客が来店した。同県内灘町の医師(68)は「輪島市が被災してどうなるかと思っていたが、数々の美しい品があって安心した。買って応援していきたい」と話した。大藤漆器店の大藤孝一社長は「輪島塗は能登の宝。震災に負けずに手を尽くす」と力を込めた。
●裏金問題処分でゆれる和歌山政界 世耕氏が自民離党、次の選挙は 4/6
自民党は派閥の裏金事件をめぐり、安倍派、二階派計39人を処分した。安倍派の参院側トップだった世耕弘成前参院幹事長(和歌山選挙区)は8段階ある処分のうち2番目に重い離党勧告を受け、離党届を提出した。二階派会長を務める二階俊博元幹事長(衆院和歌山3区)は、次期衆院選への不出馬を表明したため、処分は見送られた。
和歌山県内の議員や首長らには、今後の選挙戦や県政への影響は避けられないとの見方が広がっている。
世耕氏への処分を受け、山下直也・県連幹事長は4日夜、「重く受け止め、信頼回復に向けて一層真摯(しんし)に努めてまいるところです」とのコメントを発表した。
ある県連幹部は「国民が納得せず、党も処分せざるを得なかったのだろう。参院幹事長という重い立場の中で責任をとる発言がなかった」と述べた。参院政治倫理審査会での世耕氏の答弁について、県議の一人は「知らん、知らん、というのはいかがなものか。本人が責任者だ」と批判した。 ・・・
●自民裏金問題で処分 三ツ林議員コメント「指導に誤り、複雑な思いも」 4/6
自民党派閥の裏金事件を受けた党内処分で、1年間の党役職停止となった安倍派の三ツ林裕巳衆院議員(埼玉14区)は4日夜、報道機関にコメントを出した。
三ツ林氏は2018〜22年の収支報告書への不記載額が党内で2番目に多い2954万円。コメントでは「報告書への記載は不要という誤った指導を受けた結果であり、現状には複雑な思いもある」とした上で「応援していただいている皆さまに本当に申し訳なく、心苦しく思っている」と謝罪した。
さらに「党からの処分を受け止め、今後、再び政治と金の問題で疑念を抱かれることがないようにしっかりと襟を正す」と記した。
三ツ林氏は党国会対策委員会副委員長を務めているが、同氏の国会事務所によると、5日昼すぎの時点で党からの連絡や指示はなく、「(副委員長職が)役職停止の対象になるのかわからないので、待機している状態」という。
●裏金処分 “しりすぼみ”幕引きの内幕 岸田首相は「日米安保見直し」を置き土産に交代か 4/6
国民の政治不信を高めるだけ高めた自民党の裏金問題。結局は、最大のブラックボックスだった森喜朗元首相の聞き取り結果は「関与なし」、次期衆院選不出馬を宣言した二階俊博前幹事長の責任は不問、当の旧清和会5人衆の処分でも、政権寄りの萩生田光一前政調会長と松野博一前官房長官は党の役職停止に留まり、しりすぼみの幕引きとなった。
それもそのはず、岸田首相の頭の中は4月10日にホワイトハウスで行われる日米首脳会談訪米のことでいっぱいだからだ。
国内は裏金一色だが、じつは海外では日米首脳会談とその先の国際情勢の変化を見通すような報道がなされている。
「3月24日付けの英フィナンシャル・タイムズが、日米安保の大幅な見直しが打ち出される可能性について報じています。それによれば、現在は在日米軍司令部はハワイのインド太平洋軍の出先機関のような扱いになっているところを、日本の司令部の権限を強化して、ガッツリと対中国シフトを固めようというのです」(全国紙記者)
その通りだとすれば、日米安保は1960年の改定以来の大幅変更となって、それこそ元安倍首相が念頭においていた祖父・岸信介の大業とも重なる。だが考えてみれば、バイデン大統領も岸田首相も年内には政治の中心から遠ざかっているかもしれないのだ。
「特に岸田首相は、自民党総裁任期の9月いっぱいまでというのが大方の見方です。もっとも日本の首相が変わったところで、外交・防衛で大きく方向性が変わることはないですし、政権バランスもさほど変化するとも思えません。ただし、アメリカの場合は『もしトラ』が実現すれば、壮大なちゃぶ台返しが行われて、協定が白紙に戻される可能性もあります」(同)
それ以前に、あの岸田首相がそんな大それた約束をできるはずがないと思われるかもしれないが、「防衛3文書の改定」「防衛費倍増」と、この分野では歴代の内閣が果たせなかったことをシレっと決めてきたのが岸田政権の実像でもある。
だから今回も、とんでもない置き土産を残すかもしれず、せめて禍根を残すことにならなければ良いのだが。
●近畿大学で入学式 裏金問題で離党の世耕議員が祝辞「自分の立ち位置をしっかり把握してもらって…」 4/6
近畿大学では6日、入学式が行われ、自民党の裏金問題で離党した世耕弘成参議院議員も出席しました。
午前10時から行われた入学式には、新入生約8000人が参加しました。近畿大学の理事長は、自民党を離党した世耕弘成議員が務めていて、次期衆院選に鞍替えして出馬するかが注目されています。
世耕氏「変化の激しい社会における自分の立ち位置をしっかり把握してもらって、立派な社会人として近畿大学を巣立っていただきたい」
入学式は、ことしも音楽プロデューサーのつんく♂さんが演出を手がけ、在校生らによるパフォーマンスが披露されるなど、キャンパスライフの第一歩に盛大なエールが送られました。
●立川談四楼 れいわ山本太郎氏の裏金問題めぐる発言を絶賛「ズバリ核心をついた」「国民の不満はそこ」 4/6
落語家の立川談四楼が6日までに、自身の「X」(旧ツイッター)を更新。自民党の裏金問題での処分についてコメントした。
党内では同問題の処分内容について調整が進むが、不記載額が「500万円未満」の議員の処分を見送り、注意勧告に留める判断をとったことで各所から疑問の声が噴出している。
れいわ新選組の山本太郎代表も、4日に開いた記者会見でこれに言及し「500万以下が免責≠ノなるのであれば、一般の方々に対しても『500万円以下のものに関しては免税でいい』『税の徴収はいらない』ということにしないとバランスが取れない」「500万円のネコババが許されるということ」などと痛烈に批判していた。
談四楼はこの発言を引用したうえで「山本太郎がズバリ核心をついた」と絶賛すると「そうなんだ、国民の不満はそこにあるんだ。そうなれば喜ぶ国民は多いだろうなあ」と共感した。
●政権交代に現実味は? 6か月連続で支持率過去最低を更新…与党に焦りの声 4/6
最新のJNN世論調査で岸田内閣の支持率は22.8%で6か月連続で過去最低を更新。次の衆議院選挙で「自民・公明による連立政権の継続をのぞむ」か「立憲民主党などによる政権交代をのぞむか」を聞いたところ、「政権交代をのぞむ」声が自・公政権継続を大幅に上回った。政権交代に現実味はあるのだろうか?与党内には焦りの声が広がっている。
全世代で「政権交代」が「自公政権継続」を上回る結果に
「各世代」と「性別」でより詳細に分析したところ、全世代で「政権交代をのぞむ」声が「自公政権継続」をのぞむ声を上回っている。(30歳未満女性のみ同率)
過去の民主党政権を覚えている世代と、知らない世代で結果が分かれるかと思ったが、とくに「世代別」「性別」で特徴が明確にでることもなく、全世代で「政権交代」を望む声が上回った。しいて言えば、「女性」のほうが、どちらも判断つかず「無回答・わからない」割合が多い傾向にあった。「全体」でも「無回答・わからない」は25%にのぼっている。
勢いづく立憲民主党 安倍派幹部の地元で「裏金一掃行脚」をスタート
「これは結構まずい」
ある自民党重鎮議員はこの結果に危機感を示した。これまで岸田内閣の支持率は低迷しても、自民党支持率が一定水準で保たれていることや、野党の支持率が伸びないことから、自民党内には楽観視する傾向にあったが、自民党の派閥パーティーの裏金事件が発覚してからその景色は一変した。別の閣僚経験者も「民主党政権の3年3か月を覚えている人はどんどん減っている。今は自民党いかがなものかと思う層が確実に増えてきている」と警鐘を鳴らしている。
「この板橋は意味のある場所になってませんか。相手は誰ですか。安倍派の幹部だったんじゃないですか。だから来たんですよ。一緒に裏金議員を一掃しようじゃないですか。私はこの政権交代行脚、まっとうな政治行脚、裏側一掃行脚をこの板橋からスタートさせました」
一方、立憲民主党は攻勢を強めている。
3月29日。野党第一党・立憲民主党の泉健太代表は東京・板橋区の成増駅で、完成したばかりの「まっとうな政治へ」と書かれたのぼりを立て、街頭演説を行った。ここは安倍派の事務総長をつとめた下村博文元文科大臣の地元だ。泉代表は「自民党の党内処分はとにかく甘い。自ら処分できないのであれば国民が処分するしかない」と語り、次の衆院選で、政権交代することの必要性を強く訴えた。
さらにこの日、安倍派「5人衆」のひとり萩生田光一前政調会長の八王子市でも街頭演説を行い、「裏金議員一掃行脚」をスタートさせた。立憲が独自で調査した直近の情勢調査で、好調な結果が出たことも攻勢に拍車をかけている。
政権交代“前夜”は自民・民主の支持率拮抗・・今回の政権交代望む声に「ほんまかいな」
しかしながら、自民党の支持率が25%(前回調査から+0.3)であるのに対し、立憲の支持率は6.1%(前回比ー1.0)、維新は4.3%(前回比+0.3)。自民と立憲などその他の野党との間には、支持率に大きな差がある。
岸田内閣が発足した21年10月から2年半、立憲民主党は4〜9%の間で支持率が推移している。
一方、2009年9月、自民党が野党に転落する直前の自民と当時の民主党の支持率は、数か月にわたり両者が拮抗、民主党が追い抜く月も多く、今日とは随分風景が異なる。
今回「立憲などによる政権交代をのぞむ」声が「自公政権継続をのぞむ」声を上回ったことへの立憲内の意見は様々だ。「ついにここまで来たか」と勢いづく声もあるものの、立憲の支持率があがっていないことから、この結果に実感をもてない人も多い。
静岡県知事選の対応を巡り4月3日、取材に応じた立憲の渡辺周衆院議員はJNNの世論調査の結果に思わず「ほんまかいなっていうぐらい。今ちょっと支持率は上がってないんだけど」と漏らした。
これに対し、自民党関係者も「前回(09年)の政権交代の時よりも有権者は冷めている。あの時は一度民主党(当時)にやらせてみようという雰囲気があった。今は野党もダメなので、政治全体への見方が冷めている」と話した。
内閣支持率は6か月連続過去最低を更新 「岸田総理も処分を」が6割超
岸田内閣の支持率は22.8%で6か月連続で過去最低を更新。不支持率も75.0%でこちらも3か月連続で過去最高を更新した。裏金事件発覚から、岸田総理は意表を突く「岸田派」の解散、政倫審の自らの出席など“奇策”を打ったが、支持率は下げ止まらない状態だ。
岸田総理自らが新たに聴取を行った安倍派4人の幹部の処分を巡っても、自民党の8つの処分のうち最も重い「除名」、次に重い「離党勧告」を求める声が61%にのぼった。さらに岸田派の元会計責任者が政治資金規正法違反で有罪が確定しているが、岸田総理自身も処分を受けるべきかどうか聞いたところ、「受けるべきだ」が62%にのぼった。
4日、自民党の党紀委員会で、処分の内容が正式に決まった。報告書に不記載がないことを理由に岸田総理自らの処分は見送られた。今回の処分内容は国民世論と随分乖離があるのではないか。
「拉致問題解決問わず首脳会談を」37% 岸田総理の訪朝の後押しに?
岸田総理は就任以来、拉致問題など諸懸案の解決のために「条件をつけずいつでも金正恩総書記と直接向き合う」と首脳会談へ意欲を示している。
今回、北朝鮮の金正恩総書記との首脳会談を行うべきかどうか聞いたところ、
「拉致問題の解決にかかわらず会談を行った方が良い」が最も多く37%、次いで「拉致問題の解決が見通せるなら会談を行った方が良い」で29%だった。
ただ、金与正朝鮮労働党副部長は立て続けに談話を発表し、拉致問題を「これ以上解決することもない問題」、首脳会談についても「自分が望むからといって会うことができるわけではない」「首相の人気集めのための構想」などと強く牽制、3月26日には「日本側とのいかなる接触も拒否する」と表明した。
小泉総理時代の2002年は外務省の田中均アジア大洋州局長(当時)が極秘で北朝鮮側と交渉を続けてきたが、今回は金与正氏が「最近あるルートでできるだけ早い時期に(正恩氏に)直接会いたいという意向を我々に伝えてきた」と談話を表明。さらに29日は駐中国大使が日本側からの接触提案があったと暴露するなど、水面下の交渉が難航していることがうかがえる。長年拉致問題に取り組んできた閣僚経験者は「前回は極秘に進んだが今回は筒抜けだ。前回ほど北朝鮮も経済支援を求めておらず、首脳会談を行うことにメリットを感じていない」など首脳会談は容易ではないとの見通しを語っている。ただ一方で「安倍さんだったら頑なに拒否しただろうが、岸田さんだったらまだ可能性はあるのではないか」とも話す。4月10日(現地時間)に行われる予定の日米首脳会談でも、岸田総理が北朝鮮との交渉についてどの程度言及するかも注目だ。

4月JNN世論調査結果概要は以下の通り
岸田内閣の支持率は22.8%。前の調査より0.1ポイントの下落。6か月連続過去最低を更新。不支持率は75.0%で前の調査より0.6ポイント上昇で4か月連続で過去最高を更新。
政党支持率では自民党の支持が25.0%(0.3ポイント上昇)。立憲民主党は6.1%(1.0ポイント下落)。日本維新の会は4.3%(0.3ポイント上昇)。
政治倫理審査会に出席した安倍派・二階派7人について、説明責任を「果たした」が4%、「果たしていない」が83%。
実態解明のため森喜朗元総理への聴取が「必要だと思う」が77%、「必要だとは思わない」が13%。
新たに聞き取りが行われた安倍派の幹部4人について、「除名」や「離党勧告」といったより厳しい処分が「必要だと思う」が61%、「必要だとは思わない」が26%。
岸田総理自身も処分を「受けるべきだ」が62%、「受けるべきではない」が23%。
次の衆議院選挙で、「自公政権の継続をのぞむ」が32%、立憲民主党などによる「政権交代をのぞむ」が42%。
岸田総理が、北朝鮮の金正恩総書記と首脳会談を行うべきかどうかについては、「拉致問題の解決に関わらず会談は行ったほうが良い」が37%、「拉致問題の解決が見通せるなら会談を行った方が良い」が29%、「拉致問題の解決が見通せないなら会談を行うべきではない」が23%、「拉致問題の解決に関わらず会談は行うべきではない」が9%だった。
日英伊で共同開発する次期戦闘機を、政府が紛争国は除外し、同盟国などに限定して輸出する方針を閣議決定したことについて、「賛成」が42%、「反対」が40%。
●岸田首相、裏金議員に「甘すぎる処分」で墓穴掘る 4/6
自民党を揺さぶり続ける巨額裏金事件を巡り、同党は4日、安倍(清和会・解散)二階(志帥会・同)両派幹部など関係議員らの処分を決定したが、「党内の暗闘を露呈したような結果」(自民長老)に、野党はもとより大多数の国民が「怒り心頭」で、処分を主導した岸田文雄首相は「墓穴を掘った格好」(同)となりそうだ。
処分決定を受け、岸田首相と党執行部は「裏金事件は一定のけじめがついた」として、政治的幕引きとしたい考えとみられる。ただ、注目の安倍派「5人衆」や二階俊博元幹事長の「処分」で「首相の“ご都合主義”が際立った」(自民長老)ことで、厳罰を受けた安倍派幹部らによる“内ゲバ”も表面化。このため「政局混迷に拍車がかかり、自民内の反岸田勢力の台頭による政権危機拡大にもつながる事態」(同)を招いている。
2人だけ「離党勧告」に、“大甘処分”批判
裏金事件での道義的・政治的責任を明確にするため、自民党は4日夕の党紀委員会(逢沢一郎委員長)で安倍、二階両派の議員ら39人の処分を決めた。まず、安倍派でキックバックの是非を協議した4幹部については、同派座長だった塩谷立・元文部科学相と、同派参院議員を取り仕切っていた世耕弘成・前参議院幹事長を「離党勧告」、下村博文・元政調会長と西村康稔・前経済産業相は「党員資格停止1年間」とした。
これにより、1年以内に次期衆院選が実施されれば4氏は無所属での出馬を余儀なくされるため、「事実上の“死刑宣告”」(閣僚経験者)との見方も広がる。さらに、派閥運営責任者の事務総長経験者で、高木毅前国対委員長(安倍派)は「党員資格停止半年」となったが、松野博一前官房長官(同)、武田良太・元総務相(二階派)らは「党の役職停止1年間」という「実害のない処分」に。
併せて、5人衆の1人の萩生田光一・前政調会長や、5年間の不記載額が2000万円以上だった衆参議員も同じ処分とする一方、500万円以上で1000万円を超えない議員らは「戒告」とし、500万円以下の議員らは「厳重注意」にとどめたため、「国民不在の大甘処分」(立憲民主)との批判、反発が広がる。
処分対象となった衆参議員ら39人に対し、党紀委員会は「弁明を希望する場合は4日午前10時までに文書で提出するように」と要求。これに対し塩谷、下村両氏らをはじめ31人が応じた。ただ、同委は改めて踏み込んだ事情聴取はしないまま、2時間足らずの協議で処分を決定。しかも、処分内容は「ほぼ、事前に岸田首相らが決めた通り」(党紀委メンバー)になったとみられている。
政治責任は「最終的に国民、党員の判断に」
これを受け岸田首相(自民党総裁)は4日午後7時半過ぎ、首相官邸で記者団の取材に応じて、経過を説明。まず、改めて裏金事件について「党総裁として心からおわびする」と陳謝。関係者が立件された宏池会(岸田派)の会長だった岸田首相自身を処分の対象としなかったことについては、「首相個人としての不記載がなく、岸田派としての不記載も事務の『疎漏』が原因だった」と釈明した。
自らの政治責任については「今後、先頭に立って政治改革に全力で取り組むのが総裁の責任。そのうえで最終的には国民、党員の皆さんにご判断いただく」と述べ、解散断行による衆院選や党総裁選による決着を示唆。これは、岸田首相が「破れかぶれ解散」の可能性をにじませて党内を牽制したと受け止める向きが多く、党内外に波紋を広げた。
その一方で岸田首相は、過去に清和政策研究会(現安倍派)の会長を務め、「裏金事件のキーマン」とされてきた森喜朗元首相については、「私の判断で(直接電話で)聞き取りを行った」ことを明かした。ただ「(森氏の)具体的な関与については確認できていない」と語っただけで、聞き取りを行った日付や具体的なやりとりは明かさず、不透明感ばかりが残った。
また、処分決定までの党執行部内での協議では、岸田首相と麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、森山裕総務会長の間で意見が対立。特に、二階派の武田氏の処分を巡り、同氏と政治的に敵対する麻生氏が「離党勧告」を強く主張したが、「最終的に“首相裁定”での甘い処分で決着した」(党幹部)とされる。
その背景には「政界引退を表明した二階氏を処分なしとし、それに合わせて武田氏も軽い処分とすることで、岸田首相自身の政治責任も逃れる思惑があった」(安倍派幹部)との見方が多く、「それが自民党内に反発を広げる要因」(同)となったのは否定できない。
離党した世耕氏、「衆院くら替え」断念せず?
そうした中、最も重い「離党勧告」という処分を受けた世耕氏は4日夜、党執行部に離党届を提出、直ちに受理されて自民党を離党した。その際同氏は記者団に対し「国民に大変大きな政治不信を抱かせることになり、心より深くおわびしたい。離党勧告が出されたことを受けて、政治的責任を取って自民党を離党することにした」と語った。
そのうえで同氏は「今後は、議員としての仕事を一生懸命やることに徹したい」と議員辞職を否定。記者団から「衆議院にくら替えして立候補する意向はあるか」と問われると「1日1日議員活動を懸命に務めていくということに尽きる」と答えるにとどめた。ただ、同氏周辺は「選挙に自信を持つ世耕氏は、無所属になっても衆院くら替えの意思は捨てていない」と漏らすなど、政敵の二階氏との確執はなお続きそうだ。
一方、「離党勧告」処分に「全く納得がいかない」と強く反発していた塩谷氏は5日午後、国会内で記者会見し、党規律規約に基づき、岸田総裁(首相)への再審査請求を検討していることを明らかにした。実際に請求すれば、党総務会が扱いを議論し、「相当の理由」があると認められれば党紀委が再審査することになる。
岸田首相は処分を決めた4日も、官邸に多数の外務省幹部を集め、9日からの国賓としての訪米の事前準備を進める一方、アメリカ公共放送のインタビューに応じるなど「問題を引きずらないいつもの岸田流」(側近)で政権運営への自信をにじませている。
これに対し、野党側は「もはや岸田首相は“死に体”」(立憲民主幹部)として、4月下旬にも設置される「政治改革特別委」を主舞台に、関係議員や森氏の証人喚問などを要求することで岸田首相を追い詰める方針だ。現状では自民党が「全会一致」を盾に拒否する構えとされるが、その対応自体が野党だけでなく国民の強い自民不信につながることは確実で、今後も政権危機の拡大が岸田首相を追い詰める展開となる可能性が大きい。
●岸田首相の延命もここまでだ…「安倍派は処分、自分は続投」というサイコパスな判断の重すぎる代償 4/6
岸田首相は、自民党の裏金問題に関与した議員ら39人を処分した。政治ジャーナリストの清水克彦さんは「岸田政権は、低支持率ながら『一強』体制でなんとか延命してきた。しかし、今回の処分で政権を支えてきた安倍派が壊滅的な打撃を受け、結果的に自らの首を絞めることになるだろう」という――。
岸田首相は自民党屈指の「壊し屋」
歴代の自民党総裁(首相)の中で「壊し屋」と言えば、小泉純一郎元首相の印象が強い。「抵抗勢力」というワードを多用して仮想敵を作り、郵政民営化などを実現させていった政治手法は記憶に新しいところだ。
しかし、筆者は、岸田文雄首相こそ、70年近くに及ぶ自民党の歴史の中でも屈指の「壊し屋」ではないかと考えている。
そのことは、東京大学の御厨貴名誉教授も、朝日新聞の言論サイト「RE:RON(理論)」(3月22日)の中で、「岸田さんは『究極の壊し屋』」との表現を用いて、「支持率を気にすることなく、妙に達観している。結果的に強い首相になってしまった」と分析している。
御厨氏は「結果的に……」と指摘したが、岸田首相の場合、重要な局面で見せるサプライズ、もっと言えば、自民党全体を揺さぶるようなショック療法によって、安倍晋三元総理とは趣がことなる「一強」体制を構築してきたと言っていい。
就任早々、野党を驚かせた「奇襲攻撃」
まずは、第100代内閣総理大臣に就任した2021年10月4日の記者会見で、10日後の10月14日に衆議院を解散すると表明したことだ。就任早々の解散権の行使は、野党にとってはまさに夜討ちのような「奇襲攻撃」で、結果、自民党は勝利を得た。
2つめは、今年1月18日、政治資金パーティー裏金事件を受け、他派閥に先がけて岸田派(宏池会 46人)の解散を表明した点だ。
宏池会と言えば、1957年に創設された自民党内で最も伝統のある派閥である。それを「解散する」と表明した衝撃は大きく、このひと言で、安倍派(96人)や二階派(38人)が派閥解消を余儀なくされ、麻生派(56人)や茂木派(53人)も、その実態はともかく政策集団へと衣替えした。
それまで党内第4派閥のトップにすぎず、党内基盤も弱かった岸田首相は、自ら派閥解消に先鞭をつけることで自民党を内部から壊し、党全体を掌握できる立場に上り詰めたことになる。
摩訶不思議な「一強」体制が出来上がり
そして3つめは、2月28日、裏金事件をめぐる政治倫理審査会に自ら出席すると述べたことである。
「ぜひ志のある議員に政倫審をはじめ、あらゆる場で説明責任を果たしてもらいたい」
この言葉、とりわけ「志のある議員に……」のくだりは、政治倫理審査会への出席を逡巡していた安倍派や二階派の幹部に、「出席しなければ、有権者に『志がない』と見られかねない」と思わせるには十分なインパクトがあったに相違ない。
このように、党内基盤が強くなかった岸田首相は、「まさか、そんなことはしないだろう」という予想を次々と覆す手法で、内閣支持率は超低空飛行なのに「岸田降ろし」には至らないという摩訶不思議な「一強」体制の構築に成功したのである。
裏金議員の処分で安倍派が完全に崩壊
しかし、岸田首相の成功はここまでだ。
4月4日、自民党が決定した安倍派と二階派39人の議員に対する処分は、以下の2つの点で大きな禍根を残した。
(1)安倍派元幹部の失墜と安倍派議員からの不満増大
(2)岸田首相(自民党総裁)にすべて背負ってもらうべき、との声の拡がり
まず、曲がりなりにも岸田政権を支えてきた安倍派が、処分によって完全に崩壊したことはマイナスに作用する。
すでに報道されているとおり、安倍派の座長を務めてきた塩谷立元文部科学相と世耕弘成前参議院幹事長が。「除名」の次に重い「離党勧告」、下村博文元文部科学省と西村康稔前済産業相が3番目に重い「党員資格停止(1年)」、そして、高木毅前国対委員長も「党役員資格停止(半年)」、萩生田光一前政調会長と松野博一前官房長官、それに二階派の武田良太元総務相ら9人は「党の役職停止(1年)」で決着した。
「これは安倍派いじめの権力闘争」「処分がマスメディアの報道を受けて重くなっている」「その基準も不明確」との声は従来からあったが、処分が決まった後、塩谷氏が議員事務所で記者団に語った言葉が、全ての不満を表している。
「今回、(還流に)関わった派閥の関係のそれぞれの立場の人は、同じように処分を受けるということが公平な考え方だと思っている」
普段は穏やかな塩谷氏の言葉は、処分の対象外となった岸田首相への強い憤りを如実に物語っているように思えてならない。
「除名」経験者が語る処分の代償
岸田首相と同じ1993年当選組で、小泉政権時代の2005年、郵政民営化に反対し党を除名(2017年に復党)された荒井広幸氏は、筆者にこう語る。
「実際に何度も選挙をやった立場から言えば、これらの処分は大きなダメージになります。中には、たとえば『党員資格停止1年』に関して、1年以内に衆議院選挙があれば党の公認を得られない反面、選挙がなければ特に問題もないという人もいます。しかし、党が処分を下したという意味、処分の理由などを考え合わせると、ものすごくマイナスになります」
「処分された幹部の中には、『ポスト岸田』を目指すような人もいますよね。通常は、若手や中堅議員に分け与えるべき立場の政治家が、自分もキックバックを受けていました、でも詳細は知りません、となると、リーダーになる資格はないですよ。若手議員からすれば、『この人はこの程度の人。腹が据わっていない』って思っちゃいますよ。やはり、『申し訳なかった』と非を認め、議員辞職をして次の選挙で返り咲くことを目指すべきだったと思いますね」
「私は、もう岸田さんを支持しない」
荒井氏は、2005年8月、当時の小泉首相に離党届を提出して門前払いを受け、武部勤幹事長宛てに出し直した過去を持つ。荒井氏は、直後の「郵政民営化解散」で自民党が圧勝した後、除名処分となるのだが、そのとき、参議院議員だった荒井氏は「次の選挙は難しいだろうな」と実感したと語る。
郵政民営化の是非は、政策に関する考え方の違いだが、今回は政治資金規正法違反事件に絡む処分である。有権者の反応はもっと冷たいはずだ。すでに派閥は解消したとはいえ、最大勢力を誇った安倍派が壊滅的な打撃を受ければ、自身の処分は回避した岸田首相はもとより、しぶしぶながら処分を主導した茂木敏充幹事長への不満も一段と高まる。
「亡き安倍元首相が、一致団結して岸田政権を支えようと言うから支えてきただけ。少なくとも私は、もう岸田さんを支持しない」(安倍派中堅議員)
先に紹介した塩谷氏のコメントからもうかがえるように、9月の自民党総裁選挙で再選を目指す岸田首相にとって、今回の処分が、求心力を高めるどころか大きな遠心力へと変わっていくことは避けられそうにない。
岸田首相では、衆議院解散も内閣改造もできない
もう1つは、「岸田首相全責任論」の高まりである。荒井氏の見立てをもう1つ紹介しよう。
「岸田さんは、今の状況を建て直せるのは自分しかいないと思っているかもしれませんが、私は、岸田さんで次の衆議院選挙は戦えないと見ています。岸田さんはおそらく内閣改造をした後に自民党総裁選挙に臨む考えでしょうけど、果たして組閣ができるのかどうか疑問です。いろいろな議員と話をするとね、『岸田さん、通常国会が終わったら、全部背負って退陣してくれ』という声もあるんですよ」
筆者が見る限り、岸田首相本人は続投に意欲満々だが、最新の内閣支持率と自民党支持率を足した合計は50%を割り込み、昨年死去した自民党の青木幹雄元参議院議員会長が経験則から唱えた「青木率」(内閣支持率+政党支持率=50%を割り込むと危険水域)と呼ばれる水準を下回っている。
永田町でもよく知られたこの法則に照らせば、岸田首相は、衆議院の解散どころか内閣改造もままならず、早晩、退陣に追い込まれることになる。
「岸田降ろし」を回避しようするものの…
こうした中、岸田首相と自民党執行部は、4月28日に投開票が行われる衆議院3つの補欠選挙(東京15区、島根1区、長崎3区)のうち、東京15区と長崎3区を不戦敗にすることで「負け数」を減らし、「岸田降ろし」につなげない作戦に出た。
また、6月20日に告示(7月7日投開票)される東京都知事選挙をにらんで、小池百合子知事が国政にくら替え出馬しないよう、衆議院の解散日程も入念に検討している。
しかし、いくら補欠選挙で「負け数」を減らし、小池氏の国政復帰を阻止し自民党総裁選挙出馬の可能性をゼロにしたとしても、今年夏ごろ、内閣改造に着手した途端、「もうここらへんで降りてくれ」との声が高まり、入閣を要請した議員の固辞も相次いで、結局、内閣改造ができないまま表舞台から去る可能性は十分にある。
「反岸田」の流れを作るのはだれか
今の自民党には、政局の流れを作るシナリオライターが不在だが、麻生太郎副総裁か、もしくは、党から処分される前に次期衆議院選挙への不出馬を表明した二階俊博元幹事長が、GNPと略される二階氏独特の政治手法、「義理(G)と人情(N)とプレゼント(P)」攻勢で、「反岸田」の流れを作るかもしれないと注視している。
すでに、公明党の山口那津男代表や石井啓一幹事長らは、しきりに「秋の総裁選以降の衆議院解散」を説いている。この背景には、公明党や支持母体である創価学会のお家事情もあるだろうが、「(岸田首相に代わる)新たな総裁で選挙を戦ったほうが有利」との思惑も働いている。
岸田首相としては、4月中旬の訪米と6月からの定額減税で政権浮揚を狙うほかないが、俳人・松尾芭蕉の句になぞらえて言えば、「何しても首筋寒し秋の風」になりそうだ。
●再エネ廃棄 750億円分見込む 24年度 原発・火発推進の岸田政権 4/6
再生可能エネルギーの電気の買い取りを電力大手が一方的に停止する「出力抑制」が2024年度に前年度比で1・4倍、家庭の平均電力料金に換算して750億円分に上ることが、日本共産党の岩渕友議員の国会質疑(2日、参院経済産業委員会)で明らかになりました。岸田政権は原子力発電を推進し、石炭火力発電を延命させています。同政策が再生可能エネルギーの普及に障壁を作り出しています。
電力大手は、地域の再エネ事業者が発電した電気を買い取り、市場に卸しています。電力大手による出力抑制は政府の「優先給電ルール」に基づき無制限・無補償で行われ、再エネの電気を無駄に捨てています。
岩渕氏の質問に、資源エネルギー庁の井上博雄新エネルギー・省エネルギー部長は、23年4月〜24年1月には東京電力の管轄地域を除く9社の管轄地域で出力抑制が実施されたと答弁。抑制量は前年同時期と比べて約7倍に急増し、増加幅が最も大きかった中国電力の地域は15・7倍でした。抑制量の最多は九州電力の地域でした。24年度については、合計24億2000万キロワット時(750億円分)の見込みだとしました。
政府の原発推進政策のもと、電力大手は原発の出力を抑制した実績がありません。中国電力は24年度に抑制量が急増する原因として島根原発の再稼働があるとしています。岩渕氏の質問に対し、原発再稼働が再エネ普及の障害であると認めた形です。
火発の出力抑制については、政府の対策は出力を50%から30%に引き下げる「お願い」にとどめています。既存の発電所には「技術的に(抑制は)困難だ」(斎藤健経済産業相)と開き直っています。東電と関西電力の両地域では火発の出力が50%を超過した発電所が多く、効果は見込めていません。
電力大手は今後も再エネの出力抑制を増加する方針です。北海道電力と東北電力の両地域では有効な対策を取らなければ30年に抑制率が50%を超える見通しです。岩渕氏は再エネ事業者が見通しを持てないとして、営農型太陽光発電に取り組む福島県農民連では出力抑制による損失金額が23年に50万円を超えたと告発。「原発事故の被害が続くもとでも復興に尽力してきたのに」と怒りの声を紹介し、出力抑制への補償を求めましたが、斎藤経産相は「国民負担は妥当ではない」と背を向けました。
深刻化する気候危機への対策は急務です。各国は再エネの主力電源化を進め、30年の電源構成目標に再エネが占める割合を80%(ドイツ)、72%(イタリア)と高めています。日本の目標は36〜38%の低水準です。「再エネの最大限導入、原発ゼロ、石炭火力発電の廃止と化石燃料依存からの脱却が必要です」(岩渕氏) 

 

●石川 避難の住民 桜のもとで地元に戻ることを誓い合う 4/7
能登半島地震で住民が一時孤立し、自衛隊のヘリコプターで避難した石川県輪島市の深見町では、7日、地区の外に避難した人たちがふるさとに咲く桜の木のもとに集まり、地元に戻ることを誓い合いました。
輪島市の深見町は、地震による土砂崩れで道路が寸断され、最大8日にわたって孤立状態となりました。
地区の人たちは自衛隊のヘリコプターで避難し、72世帯およそ130人のほとんどが小松市などに2次避難しています。
7日、地区の外に避難した人のうちおよそ60人が避難先からバスで戻り、咲き始めた桜の木のもとに集まりました。
そして、七尾湾特産の「能登かき」などを味わいながら、ふるさとのなつかしい風景を確かめていました。
深見町の総区長山下茂さん(74)は、「これだけ多くの人が集まるとは思いませんでした。早く帰ってきたいですが、まだまだめどがたたないのが歯がゆいところです。地元はやっぱりいいなとつくづく思います」と話していました。
企画した佐藤克己さん(57)は、深見町で民泊を営むほかNPOの代表も務めていて、地区の人たちにアンケートをしたところ、回答したすべての世帯がふるさとに戻りたいと答えたということです。
しかし、長引く避難生活で将来に不安を抱く人も多くいたことから、総区長などにも協力を求め、今回、地区の人が集える場を設けました。
佐藤さんは「避難のあと深見町に来ることができない人が大勢いました。2次避難所で、毎年桜を見るのが楽しみだったという話を聞き、企画しました。戻れてよかったと言ってもらえるように、楽しい町にしていきたいです」と話しています。
●“裏金問題”巡り「岸田首相が衆院解散も」自民・片山さつき氏が見解 「離党勧告」2人には… 4/7
自民党の片山さつき政調会長代理は7日、「日曜報道 THE PRIME」で、派閥の政治資金問題を巡り、岸田首相が、衆院解散・総選挙に踏み切り、国民に信を問う可能性に言及した。
派閥の政治資金問題を巡り、自民党は4日に関係した議員の処分を決め、岸田首相は処分の対象とならなかった。
片山氏は、「党と党紀委員会でまとめたものは一つの理屈」としつつ、党幹部の一人として、「(岸田首相は)政治的な責任は何かした方がいいのではないかということは、ちらっと申し上げている」と明かした。
その上で片山氏は、岸田首相が国民の「厳しい声を感じたら、何らかのことをするのではないかと思っている」として、「当然、首相には(衆院を)解散する権利もあるし、(内閣)総辞職する権利もある」と述べた。
さらに、岸田首相が「信頼回復の努力は、最後は国民・党員の皆さんに判断していただく」と述べたことについて、解散総選挙も考えていると受け止めたかと問われた片山氏は、「私はそうなんだろうなと思った」と答えた。
一方、「離党勧告」処分となった安倍派幹部の2人についても、片山氏は見解を述べた。
参院の安倍派のトップで処分を受けて自民党を離党した世耕弘成氏と、片山氏は5日に面会しているが、本人から「トップとしての責任を私がとりますという気持ちを伝えられた」と明かした。
また、安倍派の座長で「離党勧告」処分に不満を表明している塩谷氏については、「人情味のある先生、優しい先生」としつつ、無所属で次の選挙に立候補した場合、厳しい選挙戦になるとの見方を示した。
片山氏は、かつて塩谷氏同様、静岡県の選挙区の衆院議員だったが、「こういう状況になると、はっきり物を言う」との地域性を指摘した。
●自民党裏金処分に「検察や国税庁の処分の基準はどうなっているのか」 4/7
7日放送の「サンデージャポン」は自民党が裏金問題で議員らの処分を行った件について特集。処分基準が不明確だとして出演者らから不満の声が上がった。
自民党は裏金問題で39人の処分を決定。特に重いのは安倍派の座長だった塩谷立元文科相と世耕弘成前参院幹事長の「離党勧告」だった。安倍派幹部ではほかに、下村博文元文科相と西村康稔前経産相が「党員資格停止1年」、高木毅前国対委員長が「党員資格停止6か月」、松野博一前官房長官と萩生田光一前政調会長が「党の役職停止1年」となり、明暗が分かれている。
出演者から岸田文雄首相に処分がないことや、処分基準が分かりにくいことなどに苦言が呈される中、元自民党衆院議員の杉村太蔵氏は「離党勧告が2人に出ましたが、中にいた人間からすると厳しい処分だ。ご本人たちに刑事責任は問われていない状況での離党勧告は、これまでの処分の中だと厳しい」と話した。
続けて、「ひとつ思うのはこれだけの不記載があって自民党の処分の基準も分からないけど、検察とか国税庁の処分の基準はどうなっているのかな。まだ検察の捜査が終わってなくて、6月の国会閉幕から秋の臨時国会の間に検察がなんら立件なかったら刑事的には問題ないんじゃないか。そこまではまだ分かんないって印象を持っています」と、捜査継続の可能性を指摘していた。
●裏金問題めぐり自民・片山さつき氏“早期の解散総選挙あり得る” 4/7
自民党の片山さつき政調会長代理が7日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、派閥の裏金問題を巡って、岸田首相が早期の解散総選挙に踏み切ることもあり得るとの認識を示した。
また、岸田首相が党紀委員会の処分対象にならなかったことについて、「党と党紀委員会でまとめたものは一つの理屈にはなる」としつつ、「(岸田首相の)政治的な責任は、何かした方がいいんじゃないかということは、チラッと申し上げたりしている」と述べた。
一方、立憲民主党の小川淳也議員は、離党勧告処分に反発している安倍派の塩谷立・元文科相について、「二重三重に晩節を汚した」と批判する一方、「この問題の形式上の最大の責任者は岸田首相だ」と指摘した。
さらに、番組コメンテーターの橋下徹氏は、「民間で組織がこれだけの不祥事を起こして、トップが辞めないなんていう企業はあるのか」と指摘し、「岸田首相は自民党総裁を辞めるべきだと思う」と厳しく批判した。
以下、番組での主なやり取り。
梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー): 議員にとって(離党して)無所属で選挙を戦うということはどれほど大変なものなのか。
片山さつき氏(自民党・政調会長代理): 衆議院の場合、比例復活が全くないっていうのは、今の制度ではそれで議席を得ている人も多いし、塩谷氏は前回もそうだったが、年齢制限が自民党にあるので、全くこういう一連の事件がなくても、塩谷氏は次の選挙は選挙区で絶対勝たなきゃダメだっていうことで、私も浜松に地盤を持っていて支援者も重なっているので、そういう危機感で、実はかなり結束していたが、この状況になると遠州(えんしゅう)の方々は、ものすごくはっきりものを言う。もう選挙に落ちたら、「もうあんた終わっているのでは?」とか言われて。ただ、必死に頑張って、地べたを這うようにすると温かい言葉をかけてもらうこともあり、そこがはっきりした県民性、住民性でもあるので、これからどういう風にするか(塩谷氏は)多分悩まれるところだと思うが、あの地域からなられた方、ご苦労されてなられた方で、とてもその人情味のある議員、優しい議員なので。塩谷氏にとっていい(結果になる)ように、というふうに思う人は多いと思う。それが、晩節を汚さないでほしいっていうことになると、(支援者のほうも)厳しい言い方にもなっちゃうのかなと思う。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員): 自民党では過去にも離党勧告が党紀委員会から出されて、結果としてその後に復党したという議員も多数いるが。
片山氏: まさに郵政民営化の時がそうだった。私は郵政選挙の「刺客」で行って相手に勝ったが、その後、何年かして戻ってきた方は復党している人が多いし、最近のコロナ禍での外出の方(いわゆる銀座3兄弟)もそうなので。ただ、その前提としてやっぱり選挙で勝っていないと残ってないので、その過程は大変つらいものになるが、今回のこの状況はまた新しい状況なので、今までとちょっと要因が違う。
松山キャスター: この一連の裏金問題の中で一番厳しい措置がこの離党勧告の2人になるが、結果として自民党の過去の例のように、また復党するという可能性もある中で、この判断をどう見るか。
小川淳也氏(立憲民主党・前政調会長): 私は率直に、再チャレンジの環境が政界にあっていいとは思っている。ただ、そのためにも自ら潔く腹を切って、出処進退を明らかにするということが必要だっただろうし、その意味では、二重三重に塩谷氏は晩節を汚したと言わざるを得ないと思う。なので、形式上、塩谷氏は派閥の座長、世耕氏は参議院の責任者だったということになるが、最大の形式上の責任は岸田首相になるので。宏池会(岸田派)のトップであり、党の総裁でもある。いま非常に自民党内に不満が充満してるのが伝わってくるが、自民党の統治能力そのものが崩壊しているのではないかというふうに私は受け止めている。
松山キャスター: 塩谷氏は岸田首相に対しても、総理・総裁としての責任があると、道義的・政治的に責任があるという言い方をした。自民党内にも岸田首相自身が責任を取るべきなんじゃないかという声はあったようだが、このあたりは?
橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事): それは当然のことだと思う。民間企業で、組織がこれだけの不祥事を起こして、トップが辞めないなんていう民間企業はあるのか。岸田首相が責任取らないということになれば、今後、日本において民間企業が不祥事を起こした時に行政として指導できない。だから、僕はもうこれは岸田首相が責任何もなしなんていうのはもう信じられない。というのは、どうも自民党のこの議論の中で、岸田首相は自分の派閥じゃないからとか言うが、派閥というのは自民党の内部のグループの話であって、自民党は160億円の政党交付金が出ている。160億円、しかも税金を払わないお金がそのまま行く。その組織において、このような不祥事が起きた時にトップが責任を取らない。僕はもう、(岸田首相は)総裁を辞めるべきだと思うが、トップが何も責任はないなんて、160億円を受ける資格ないと思う。
片山氏: まず、政党を法律で位置づけた上に、今回政党の中にミニ集団(=派閥)があったわけだが、これは、こうなってみてわかったが、無理なこと。あそこ(派閥)で人とあれだけの金を扱うってことは。だから、(派閥は)解散にどんどんなっていくが、(党総裁は)代表取締役社長なので、その企業で言えば。それは今回いろいろなルールを作って、金額の問題とか、あるいは、運営における責任の度合い。座長だったとか事務総長だったとか。それを縦糸や横糸でそれなりのルールを作っている、茂木幹事長の説明のように。ただ、それが国民にストンと落ちるかというとそれは違うので、党と党紀委員会でまとめたあれは一つの理屈にはなる。私も党の執行部の一人なので、そういうことにしても政治的な責任は、何かした方がいいんじゃないかということは、チラッと申し上げたりしている。
梅津キャスター: (番組内の視聴者投票の結果について)裏金問題、岸田首相に処分なしに対し、処分を受けるべき87%、受ける必要がないが9%、どちらとも言えないが4%の結果になった。
松山キャスター: 自民党の党紀委員会の結果はすでに出ているが、岸田首相に責任を求める声がこれだけあることをどう受け止めるか。
片山氏: (岸田首相の責任を求める声について)いずれにしても、政倫審への出席も自身で制止を振り切って決めたので、多分、政治刷新車座対話を連日やって厳しい声を感じたら、党紀委員会の決まった規則とは別の次元で何らかのことをするのではないかなと思っている。その選択肢の中には、当然、首相には解散する権利もあるし総辞職する権利もあるわけだから、憲政の常道として様々な選択肢があるのだろう。これについては党内では、いろんな意見があるのだろうが、それは当然政治家の決断、内閣総理大臣、与党総裁の決断というのはあると思う。
松山キャスター: (処分に関し)岸田首相は最終的には国民や党員の皆さんに判断いただく立場になると言っていたが、これはいざとなったら早期の解散総選挙も考えているというふうに受け止めたか。
片山氏: 私はそうなんだろうなと思った。私たちも時々官邸に報告に行くが、その覚悟でずっといろいろな政策を組み立てているように感じるので、今一つ一つのことをそのために積み上げているのかなと思う。
●塩谷議員が再審査請求の方針 離党勧告に 「処分の理由に事実誤認」と主張 4/7
塩谷立元文科相が、再審査を請求する方針を固めたことがわかった。
自民党の安倍派の座長を務めていた塩谷氏は、4月4日、離党勧告の処分を受けたものの、「処分の理由に事実誤認がある」と主張し、処分の再審査の請求を検討する考えを示していた。
関係者によると、塩谷氏は週明け早々にも再審査を請求する方針を固め、地元の支援者たちに伝えたという。
再審査の請求期限は13日。
●東京15区の混沌 4/7
今回の東京15区補選にみる候補者乱立の状況を分析してみると、自民党の弱体化した選挙には往々、リベラルを自称する候補者が乱立することになるという典型例がそこにある。
日本の政治環境では必然だが、同時にその先にあるものを注視する必要があるだろう。
ジャーナリストの長谷川幸洋氏が、ご自分のYouTubeチャンネルにおいて、「日本の政界における対立軸の本質は、保守対リベラルであり、今の自民党は保守政党ではなくリベラル政党であって、日本国内の本来の保守政党は日本保守党だ」と評していて、「自民党がリベラル政党になったからこそ、その対立軸としての新しい保守政党である日本保守党がクローズアップされてくるだろう」と分析していた。
私は長年、自民党がその本質においてリベラル政党であり、むしろ日本の唯一のリベラル政党は自民党であると言ってきた。私がそれを確信したのは、今の岸田政権ではなく安倍元総理の時代だ。
リベラルと言う言葉の定義については、諸説あるとしても、以前から指摘しているように、アメリカの哲学者ジョン・ロールズが提唱した地域コミュニティにおける共生社会の最適解を模索する上でのリベラリズムがそもそもの発端ではないかと私は考えている。
現代の奴隷商人と併せて、この点については、後ほど触れる。
さて、今回全国的にも注目されている東京15区だが、その原因は、自民党が独自候補を擁立せずリベラル寄りの乙武氏を支援すると決めたことで、先述の長谷川氏は、LGBT理解増進法推進時の有り様も含め、自民党がリベラル寄りの政党に移行してきた証左だと解説している。
流石にそれは極端だと思わないでもない。そもそも、政治資金不記載問題で揺れる自民党にとって、今回の補欠選挙に独自候補を立てて全力で応援できる状況にないことが、年初来からはっきりしていた。自民党としては補欠選挙ににエネルギーを割く余裕が無い。
東京と言えば公明党のお膝元でもあるが、公明党もだからと言って、即座に集票力のある候補者を立てられる状況には無かったのだろう。いれば直ぐにでも擁立した筈だ。つまり公明党も内部的には創価学会自体の基盤も怪しい状態になってきていることを示している。
自民党が独自候補を立てず乙武氏支援を決めた背景は、乙武氏を擁立した「ファーストの会」が中道保守の政治思想を持っているからで、立ち位置としては自民党に近いからだろう。今回の乙武氏支援がそのまま小池都知事の「都民ファーストの会」との協力関係強化や、都民ファーストの会が自民党を取り込んで、小池百合子政権誕生まで一気に進むと予測している人もいるようだが、それはないだろう。
仮に衆院解散に合わせて小池都知事が辞任し、衆議院に鞍替えしたとしても、公明党を押さえつけて小池総理誕生まで持っていくには、時間が必要だ。自民党内の派閥が解消されたと言うのはただ表面的なことであって、元々、清和政策研究会(安倍派)の流れを汲む小池百合子は、自民党内では保守本流と言えなくもない。
その意味で旧安倍派が小池百合子を担ぎ上げれば、或いは自民党内の取りまとめも可能かもしれないが、現在の自民党にその体力は無い。だから、小池百合子は都民ファーストからファーストの会を作り、独自候補として乙武氏を立てる戦略に出た。
ファーストの会が躍進することは地域政党の都民ファーストの会が躍進することになる。つまり、現在の大阪維新の会と日本維新の会の構図に似ている。というか、小池百合子氏は、維新の成功事例に学んだのではないだろうか?
保守本流を自認する日本保守党が、本当なら都民ファーストの会と組むべきなんだろうが、百田尚樹氏も有本香氏も飯山陽氏も、小池百合子のことが大嫌いなので、それは考えられない。
また、日本保守党は単独で6万人の党員を集めたため、資金的にも多少の余裕があり、初戦の戦場に東京15区補選を選んだのは、初陣としてはド派手なデビューになり、名前を売るには十分な舞台だろう。ご本人たちは当選する気マンマンだろうが、仮に落選しても日本保守党の名前を売るに十分な役割を果たすことになるだろう。
ただ、保守を自認する有権者の多くは既に日本保守党入りしているので、これ以上、日本保守党の党員が増えるとか、次の衆院選で日本保守党が躍進するとは考えにくい。
今の日本保守党に対する有権者の動きは、日本第一党支援の有権者の動きと極めて酷似している。つまり保守層は動くかもしれないが、肝腎要の最大政党である無党派層を動かすにまでは至っていない。無党派層が動かない限り自民党の盤石の体制は変わることは無いだろう。
無党派層が常に注視しているのは、極端から極端に走ることの危険性ではないだろうか?確かに最近の自民党には問題があるとしても、だからと言って、売り手市場の現在、特に新卒者に有利な労働市場であれば、他に文句は無いだろう。
ましてや賃金もバブル期並みのベアが続いている。企業は賃金を上げなければ雇用を確保できない状況になっている。この状況で、保守だの革新だのリベラルだのと言ったところで、若い人の心は動かない。むしろ、そうやって騒ぐ中高年を冷ややかな目で見るだろう。
仮にデフレ脱却だと騒いだところで、そういう日本にしたのはあなたたち世代でしょ?と言うのが本音の部分ではないだろうか?
日本保守党に入党し、リベラル政党に堕した自民党に喝を入れる!と息巻いているのは、実は高齢者であって、そこに若い人は魅力を感じない。私が日本保守党を見ていて感じるのは、中高年は心を動かすかもしれないが、これから日本の担う年齢層には、主張の中身の割にそれほどの魅力はない。
●ポスト岸田と言われ続ける茂木敏充氏「負ける戦いしない」 総裁への道のり 4/7
4月4日、派閥の裏金事件をめぐる自民党の処分が決着した。検察の捜査が終わってから、2か月以上の時間を費やした処分の舞台裏では、9月の総裁選を見据えた、激しい党内争いが繰り広げられた。「誰かに任せるとサボタージュと言われ、率先してやると出しゃばりと言われる」。一連の対応で茂木敏充氏は、総裁と二人三脚で政権のかじ取りを担う幹事長としての一挙手一投足に悩み続けた。
自民党の足元が揺らぐ中、ある党重鎮は「次の総裁は選挙の顔になれる人じゃないとダメだ」と話す。世論調査で「次の総理にふさわしい人」の数字が上がらず、“選挙の顔にはなれない”茂木氏の総裁選での勝算は低いとの見方も出るなか、本人は側近に「圧倒的な発想力で社会の常識を変える政策を打ち出せばいい」と語る。「選挙の戦略を考える時もそうだが、彼は負ける戦いは絶対にしない」(茂木氏側近)。自民党幹事長3期目のポストも勝ち取った茂木氏はいま、総裁への道筋をどのように描くのか。
処分をめぐって行われた駆け引き
3月17日に行われた自民党大会。岸田総理は挨拶で、「幹事長に対し、(裏金事件の)関係者に対する党としての処分について結論を得るよう指示をした」と述べた。岸田氏に近い党幹部は「これはある意味、総理から幹事長への宣戦布告だ」と読み解くが、茂木氏は「党幹部で協議して決める話なのに、なぜ幹事長とわざわざ名指しするのか」と周辺に総理への不信感を漏らした。
党紀委員会で処分が正式に決定したあとに行われた会見も、誰がどのような形で行うか、当日まで調整が難航した。茂木氏の側近は「幹事長は前面に出ない方がいい。自民党全体の事案なので、トップの総裁が会見をやるべきだと思います」と進言したが、官邸は岸田総理の側近である木原誠二氏を通じて「党紀委員会は幹事長の要請で行われるものなので、会見は幹事長がして下さい」と譲らなかった。
9月の総裁選を見据え、処分を主導したと思われれば、安倍派や二階派の議員から反発を受け、応援されないリスクもある。安倍派幹部らが責任を取ろうとせず、党の対応も後手に回る状況に、ある閣僚経験者は「日本は国政を決めるイベントが多すぎて本当に必要な議論が前に進まない原因になっている。この国の不幸だ」と嘆いた。
自民党を両輪で支える立場の総理と幹事長だが、一連の裏金事件への対応で、2人の間の溝は深まり続けていた。
「もう令和の明智光秀とは言われない」
岸田総理と茂木幹事長の溝が決定的となったのは、1月18日、岸田総理がこれまで“三頭政治”として岸田氏を支えてきた麻生副総裁、茂木幹事長に根回しをせず、岸田派の解散を検討する意向を表明した時だった。「岸田さんの自分勝手な決断で、問題のない他派閥にも影響が及ぶ。事前に相談がないなんてあり得ない」。裏金事件を受けて党の政治刷新本部で改革に向けた議論を進めるさなか、また自民党の改革実行本部を主導してきた茂木氏にとって、派閥の領袖という立場が“守旧派”と思われ得る決断を、総理が独断で決めたことは受け入れ難かった。
一方で、茂木氏周辺は「これで茂木さんは動きやすくなった。総理から喧嘩を仕掛けてきたので、もう何をしても明智光秀とはいわれない」と解説する。
総理を支える幹事長の茂木氏は、2012年に当時の石原伸晃幹事長が谷垣禎一総裁を押しのける形で総裁選に出馬し、「平成の明智光秀」と呼ばれたことになぞらえて、「令和の明智光秀」と表現されることがある。しかし、本人は戦国武将でいえば、明智光秀ではなく、「織田信長タイプ」。ホトトギスが鳴くまで待てないし、ホトトギスを無理やり鳴かせることもしない。“極めて合理的”な茂木氏が、この句を詠むとしたら「鳴かぬなら 代えてしまおう 別の鳥」。
一方、茂木氏の合理的な判断が、永田町の世界では「冷たい」「人望がない」と受け取られてしまうことも多い。岸田総理や官邸との溝が深まるにつれて、党内では茂木氏の一つ一つの決断に、本人の思惑以上の陰謀論が囁かれる状況になっていた。
総裁へのカギは“良き土台づくり”?
茂木氏が敬愛する作家・塩野七生氏が著書の題材にしたこともある、イタリア・ルネサンス期の政治思想家、マキアヴェッリ氏の言葉に「自己の戦力に基礎を置かない権力の名声ほど不確かで不安定なものはない」「君主にとって必要なものは良き土台である」とある。
総裁への道のりで、茂木氏にとって“土台”となる自身の政策集団、平成研をまとめきれるかは、大きな課題の1つだ。ある平成研幹部は「今はみんな様子見をしている。茂木さんが幹事長でなくなれば、ぽろぽろ抜けていく可能性がある」と茂木氏の“土台の弱さ”を指摘する。特に平成研に所属する参議院側との確執は大きく、参院中心に一定の勢力が「将来の首相候補」として推していた小渕優子氏が、事前の相談なく平成研を抜けた時には、それに乗じて関口昌一氏が参院全体で平成研から抜けることを画策した。そんな平成研の状況に、永田町のキングメーカー、麻生氏をよく知る議員は「麻生さんが茂木さんのずば抜けた頭脳を認めているのは間違いない。でも自身の派閥をまとめきれなくなったら、総裁選の時は見捨てるよ」と話す。
幹事長の素顔
平成研は4月にも、次の全体会合を開く予定だが、そこで「政治団体の登録を取り下げて一度、平成研を解散すべき」と主張する仲間を、納得させる結論を出せるのか、茂木氏は一つの正念場を迎える。
また最近、“土台の拡張”を意識してか、茂木氏は平成研に限らず、これまで関わりのなかった中堅・若手議員とも飲みに行く機会を増やしている。幹事長という自民党を取り仕切る立場がゆえ、強権的なイメージが先行し、「素顔が知られていない」との課題を自覚するためだ。飲み仲間は、永田町界隈だけに留まらず、20代の若手経営者らとも積極的に懇談を行い、こうした機会が自身の政権構想を考える際の発想力に繋がっている(茂木氏側近)という。実際、いま議論されているライドシェアなどシェアリングエコノミーの導入はすべきとの立場で、選択的夫婦別姓などリベラルな政策にも理解が深い。
「目指すポストは1つしかない」
茂木氏は自身を支える議員らに「今後政治家として目指すポストはもう1つしかない。そこに勝負するか、もしくは政治家を辞めるか、二択なんだ」と語るなど、次の総裁選を射程に準備していることを隠さない。
ただ、派閥の裏金事件が表面化して以降、「今、党内の争いをしている場合ではない。まずは自民党を立て直さないと、9月の総裁選を見据えても仕方ない」と静観の様相も見せる。
「50年後の日本が良くなる議論をしたい」。自身が総裁になって実行したい政策がある茂木氏が、総裁選に出る決断をするのは、自身の軍備と自民党の足元が固まったタイミングなのかもしれないが、幹事長という立場と向き合いながら、「負けない戦い」へ備える時間は、あまり残されていない。
●岸田総裁、麻生副総裁、茂木幹事長、森山総務会長の思惑が入り乱れた「恣意的」裏金処分〜安倍派5人衆の明暗を分けたのは? 4/7
自民党裏金議員たちへの処分は、岸田文雄首相、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、森山裕総務会長の密室協議で最終的に決まった。政治の信頼回復のためというよりは、4人の思惑が入り乱れる党内闘争の帰結として決定されたとみていい。
その結果、5人衆ら安倍派幹部の明暗はくっきり分かれた。
最も重い「離党勧告」を受けたのは塩谷立氏(座長)と世耕弘成氏(参院安倍派会長)。離党勧告に応じなければ除名され、原則として復党は認められなくなる。塩谷氏は不満を公表して異議申し立てをする構えをみせている。世耕氏は離党届を提出して「明鏡止水の心境」と平静を装ったが、悔しさがにじんでいた。
次の重い処分となったのは、下村博文氏(元会長代理)と西村康稔氏(元事務総長)の「党員資格停止1年」。塩谷氏と世耕氏とともに還流継続を協議したとされる派閥幹部会議に出席していたことが痛手となった。1年後には党員資格が回復するが、政治的には失脚だ。西村氏は「すべてを失った」と落胆を隠せない。
裏金事件発覚時に事務総長だった高木毅氏は「党員資格停止半年」。4人会議に加わっていなかったとして4人より処分が軽減された。
以上の5人は、次の選挙で党公認を得られず、無所属で出馬するしかない。党から選挙資金や運動員の支援を受けられず、政見放送もできない。たたでさえ裏金事件の大逆風が吹き付けるなか、厳しい選挙戦となる。何よりも比例区に重複立候補できず、比例復活の道は閉ざされ、選挙区で敗北すれば即落選だ。
塩谷氏は前回衆院選で比例復活でかろうじて当選しており、次回は無所属出馬となれば落選の可能性が高い。自力で当選すれば「禊を済ませた」として復党のへの道が開けるが、当選は難しいとみて不出馬・政界引退へ追い込まれる可能性も高い。
世耕氏は地元・和歌山で衆院への鞍替えを目指しながら、政敵である二階俊博元幹事長に阻まれてきた。今回の離党で衆院鞍替えへの道はほぼ閉ざされただろう。来年夏の参院選で改選を迎えるが、参院和歌山選挙区(定数1)に無所属で出馬できるのか、二階氏が自民党公認候補を擁立しないのか、正念場となる。いずれにせよ、政治的復権への道のりは相当に険しい。
世耕氏は二階氏が先手を打って次期衆院選不出馬を表明したのも響いた。二階氏はそれと引き換えに世耕氏の厳罰を岸田首相に迫ったとみられる。さらに世耕氏は国会質問で岸田首相を「国民の期待に応えるリーダー像を示せていない」と突き上げていたことも裏目に出たのではないか。
西村氏は地元・兵庫9区(明石市と淡路島)で、野党第一党が強力な対抗馬を擁立することを水面化で封じることで当選を重ねてきた。しかし次回は泉房穂・前明石市長の出馬が取り沙汰されている。それが実現すれば厳しい選挙戦となり、落選の現実味が増す。こちらも正念場であろう。
一方、5人衆でダメージを最小限に抑えたのは、萩生田光一氏(前政調会長)と松野博一氏(前官房長官、元事務総長)だ。「党の役職停止1年」というのは、すでに党幹部や閣僚を辞任している二人にとって、事実上のお咎めなしといえる大甘処分である。世耕氏や西村氏と明暗がくっきり分かれたといっていい。
萩生田氏は森喜朗元首相の寵愛を受け、非主流派の菅義偉前首相とも気脈を通じている。5人衆のなかでは岸田首相とも距離が近かった。さらに裏金事件後は茂木幹事長にも接近し、厳しい処分を回避するため手を尽くしてきたことが功を奏したといっていい。9月の総裁選に向けて、萩生田氏を取り込んでおきたいという心理が岸田首相にも茂木幹事長にも働いたといえるだろう。
萩生田氏は5人衆のなかでダメージを最小限に切り抜けた。最大のライバルだった世耕氏や西村氏と比べて処分が軽かった政治的効果は大きい。森喜朗元首相の寵愛を受け、世耕氏や西村氏よりも「子分」が多い。9月の総裁選にむけて、世耕氏や西村氏よりも萩生田氏を取り込んでおくメリットが高いと判断されたのだろう。次の衆院選で逆風を跳ねのけて当選すれば、政治的復権の可能性はいちばん高いといえる。
松野氏は岸田内閣で官房長官を務めていたことで命拾いした。岸田官邸の内情を知りうるだけに、岸田首相としては松野氏を切り捨てるわけにはいかなかった。松野氏を断罪して「岸田首相に味方しても切り捨てられる」という印象が広がれば、9月の総裁選にマイナスだ。松野氏は何としても守るしかなかったといえるだろう。とはいえ、千葉3区の選挙地盤は決して固くはなく、党公認を得ても苦戦は免れない。党内基盤も決して強くはなく、萩生田氏と比べると政治的復権の芽は小さい。
岸田首相や茂木幹事長が総裁選に向けて萩生田氏らの貸しをつくることに主眼を置いたことに対し、麻生氏は地元・福岡の天敵である二階派の武田良太氏(事務総長)を「党員資格停止」に追い込むことに躍起になった。次の衆院選で党公認を与えず、無所属での出馬を強いて、地元での影響力を落とす狙いがあったのだろう。
これに対し、二階氏と気脈を通じている森山氏は武田氏擁護にまわり、武田氏の処分が土壇場まで決まらず、難航した。岸田首相は森山氏に軍配を上げ、武田氏は萩生田氏らと同じ「党の役職停止1年」にとどめた。
麻生氏とすれば、武田氏を失脚させるだけではなく、「岸田首相は俺の言うことを聞いた」ということをアピールしてキングメーカーとしての立場を党内向けに誇示する狙いもあっただろうが、逆に岸田首相との関係が冷え込んでいることを露呈することになった。森山氏としては麻生氏の影響力低下に成功したといえ、そこにこそ最大の狙いがあったとみられる。
今回の処分は、安倍派幹部らの政治人生を大きく左右しただけではなく、岸田政権の中枢4人の力学にも影響を与えたといっていい。9月の総裁選にむけて4人がどのように立ち回るのかを方向づけるものになったのではないか。
●岸田総理、裏金事件を陳謝 自民党員「倫理観が欠如している」など苦言相次ぐ 4/7
熊本県で自民党員らとの車座対話に出席した岸田総理大臣は、裏金事件を陳謝しましたが、自民党員からは「倫理観が欠如している」などの苦言が相次ぎました。
「国民の皆さんに大きな政治不信を招いてしまっている。心からおわびを申し上げる次第」(岸田総理大臣)
「自民党のあり方が非常に問題だと」「議員としての倫理観が欠如しているのではないか」(参加者)

岸田総理は、今の国会で政治資金規正法を改正し「厳格な内容を実現することで国民の信頼回復につなげたい」と強調しました。
また、車座対話の終了後、記者団の取材に応じ、自民党内で処分に対する不満が出ていることについて「意見は受け止めたいが、最後は党の決定に基づいて一体で取り組むのが自民党だ」と述べ、理解を求めました。
●公式晩餐会にYOASOBIなど出席へ 岸田首相8日から国賓待遇で訪米 “お土産”には輪島塗 4/7
岸田首相が国賓待遇で訪問するアメリカでの公式晩餐(ばんさん)会に、世界的ヒット曲「アイドル」で知られる音楽ユニット「YOASOBI」などの著名人が招待されていることが、FNNの取材でわかった。
岸田首相は、8日にワシントンに向けて出発するが、今回は、2015年の安倍元首相以来となる国賓待遇のアメリカ訪問となる。
最大級の格式で開かれるバイデン大統領夫妻が主催の公式晩餐会などで、両首脳が友好ぶりをどうアピールするか注目される。
岸田首相は、1日の参院決算委員会で、「(今回の訪米は)強固な日米同盟を世界に示すうえで、大変有意義なものになる」と述べている。
複数の関係者によると、10日にホワイトハウスで催される晩餐会には、異例の世界的ヒットとなった楽曲「アイドル」で知られ、初めてのアメリカ単独公演を行う「YOASOBI」や、スポーツ選手などの著名人が出席する方向で調整が進んでいる。
また岸田首相は、アメリカ側への“お土産”として、能登半島地震の被災地の伝統工芸品「輪島塗」を手渡すほか、日米友好の象徴である桜の木を贈る意向を表明する見通しとなっている。
●「任期満了まで3カ月」小池百合子都知事、副知事のひとりを突如交代の人事で匂わす「3選出馬の意思」 4/7
2024年7月30日、東京都知事は任期満了を迎える。最大の注目点は「小池百合子現都知事が、3選を目指して出馬をするのか」である。
「あと3カ月というタイミングですが、いまだ小池知事の対抗馬は名乗りをあげていません。知名度のある小池知事が出馬宣言をすれば、断然有利であることは間違いありません」(都政関係者)
だが、小池知事の進退をめぐって周辺はかまびすしい。「衆院東京15区の補選に出馬するのではないか」との観測が流れ、永田町では自民党幹部と会談した、という情報まで駆けめぐった。
「東京都の江東区長選挙、八王子市長選挙では、いずれも小池知事が応援した自民党系候補が、『苦戦』の前評判を覆して当選しました。この結果を見せつけられた自民党は、やはり『小池人気』にすがりたいし、敵に回したくはない存在だと再認識したはずです。
小池知事は国政時代からずっと、『女性初の総理大臣になる』という“野望”を持っています。それはいまでも変わりません。政治資金パーティー裏金事件や増税などで、岸田政権が国民から見放されているいま、自民党が政権維持のため、なりふり構わず小池知事を担ぐ可能性はあります。お互いの利害が一致するタイミングは近いと思います」(政治担当記者)
衆院東京15区の補選出馬を見送った小池知事は、「いまはそのタイミングではない」と見たのだろうか、都知事続投の“布石”を打った。
東京都には4人の副知事がいるのですが、そのうちのひとりが、任期を1年以上残したまま交代するという人事案が、3月28日の都議会定例会最終日ではかられ、議会は同意しました。新しい栗岡祥一副知事は環境局長だった人物です。
副知事人事は、知事が政策を実現させるために“最適の人物”を指名することが多く、そのため、知事が変わると総退陣することが通例です。もし、小池知事が次の知事選に出ないのであれば、このタイミングで副知事を交代させる必要はありません。そのため『続投の意思あり』とみられているのです」(社会部記者)
故・石原慎太郎氏は2012年、4期めの途中で都知事を辞任して国政選挙に出馬、当選している。「機を見るに敏」といわれる小池知事だが、今後も何かと「台風の目」になりそうだ。 

 

●新しい門出に誓う「私たちはくじけません」 能登・輪島高校で入学式 4/8
能登半島地震の被害があった石川県の奥能登4市町を含む県内の公立高校で8日、入学式があった。同県輪島市の輪島高校では、集団避難を終えて、地元に戻った新入生76人が、青いコチョウランのコサージュを胸に着けて、桜の咲く校内で入学式にのぞんだ。
例年、大型の第一体育館で在校生らも出席して行ってきたが、地震の影響で床板がゆがみ、小型の第二体育館の2階で保護者と教職員、新入生らでの縮小開催となった。1階は、現在も地域住民らの避難所として使われているという。
平野敏校長は式辞で、新入生らが胸に着けた青いコチョウランの花言葉にちなんで、「めったにない災害を経験したが、愛情と尊敬をもって歩んでもらいたい」と述べた。
新入生代表の高橋惺(さとい)さんは、「避難先で不自由な生活をしている仲間がいます。しかし、私たちはくじけません」と宣誓し応えた。
●石川 珠洲 唯一の高校で入学式 生徒たちが復興への決意新たに 4/8
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市にある唯一の高校でもきょう入学式が行われ、生徒たちはふるさとの復興に向けて決意を新たにしました。
珠洲市にある県立飯田高校は、地震からおよそ1か月にわたって避難所となったほか、いまでも校舎の壁にひびが入り、トイレが使えない状況が続いています。
入学式には地元に残ることを決めた50人余りの新入生が出席し、式では新入生を代表して前野静奏さんが「勉学に専念し、部活動や学校行事にも積極的に参加して明るい学校生活送ります」と誓いのことばを述べました。
これに対して角秀明 校長は「地震による劣悪な環境に置かれている中でも、常に感謝の気持ちを持って自立した人間に成長してほしい」とエールを送りました。
このあと、新入生たちはそれぞれの教室に移動しました。
担任の先生は「将来に不安を感じることもあるかもしれないが、自分の可能性を信じて前向きに学校に通ってほしい」と話していました。
学校によりますと、ことしの新入生は例年の半数ほどにとどまったということです。
女子生徒の1人は「避難所生活や2次避難を経験しほかの学校の選択肢もありましたが、地元で頑張りたいと思ってこの学校に入学しました。地元の復興に少しでも貢献していきたい」と話していました。
●地震被災の生徒、新たな一歩 石川県立高で入学式 4/8
石川県立高の入学式が8日、行われた。能登半島地震の被災地では避難や転居で地元を離れた子どもも多く、生徒が減少した学校もあった。それでも新入生は「地域貢献したい」「数学を勉強したい」と思いをはせ、新たな一歩を踏み出した。
1923年に創立した輪島市の輪島高には昨年より14人少ない76人が入学し、平野敏校長が式辞で「101年間で最も少ない」と説明。同校を選んだ新入生と保護者に感謝を述べた後、「未来を生きるために必要な力を3年間で学んでほしい」と呼びかけた。
珠洲市の飯田高では地震後在校生が20人以上転校するなどし、新入生は例年から半減し51人だった。
●石川 能登町「イカの駅つくモール」約3か月ぶりに営業再開 4/8
能登半島地震で休業していた、巨大なイカのモニュメントがあることで知られる石川県能登町の観光施設「イカの駅つくモール」が8日、およそ3か月ぶりに営業を再開しました。
イカの水揚げが盛んな能登町の観光施設「イカの駅つくモール」は、全長13メートルの巨大なイカのモニュメントがあることで知られています。
能登半島地震で津波が店内に押し寄せて電気設備が壊れるなどの被害を受けたため休業していましたが、設備の修理が終わり上下水道も復旧したことから、8日、およそ3か月ぶりに営業を再開しました。
午前11時に開店すると地元の人たちが訪れ、地元産ののりなどの海産物を買い求めていました。
施設によりますと、しばらく営業時間は午前11時から午後2時までで、特産のイカを使った料理が味わえるレストランは従業員が被災して職場にまだ復帰できないため、開いていないということです。
能登町に住む60代の女性は「施設を応援したいと思い買い物に来ました。震災前のように多くの観光客でにぎわってほしいです」と話していました。
「イカの駅つくモール」の林生一郎 駅長は「元どおりではありませんが、被災地にとって明るいニュースになると思います。復興に向けて地元の商品をアピールし、販売していきます」と話していました。
●自民党裏金事件「離党勧告」議員それぞれの週末 新入生へ贈る言葉、異例発言、その胸の内は… 4/8
自民党の裏金事件をめぐり、39人に処分が下されて迎えた週末。今回、最も重い「離党勧告」を受けた世耕弘成議員と塩谷立議員、2人のもとへ向かうと…。離党後の動向とその胸の内は?
6日、桜が満開を迎えた大阪。
バンキシャ「新入生が続々と入学式の会場に入っていきます」
近畿大学では新入生およそ8000人が参加し、入学式が行われた。そこへ…
司会「近畿大学理事長、世耕弘成様」
スポットライトを浴び登場したのは、理事長を務める世耕参議院議員だ。
世耕 弘成 参院議員「新入生のみなさん、本日はご入学、誠におめでとうございます」
この2日前、“裏金事件”をめぐり離党勧告を受けた世耕議員。処分を受け入れ、自民党を去ることになった。4日の会見では…
世耕 弘成 参院議員「(今回)一番重い処分を私自身が誠実に受け止めることによって、政治責任を果たしたい」
記者「党への不服、不満はないか?」
世耕 弘成 参院議員「まったくありません」
自民党一筋、25年。その胸の内は――
(6日、近畿大学にて)およそ8分の祝辞では、最後にこうアドバイスを送った。
世耕 弘成 参院議員「変化の激しい社会における自分の立ち位置をしっかりと把握してもらって、立派な社会人として近畿大学を巣立っていただきたい」
次の選挙、このままでは「無所属」での出馬に。不利な状況で勝ち抜くしかなくなる。
そしてもう1人、離党勧告となったのが塩谷衆議院議員。こちらは「離党」をすぐには受け入れなかった。5日の会見では…
塩谷 立 衆院議員「事実誤認の中で処分が下されたということについては、甚だ心外な思いでございます」
処分を不服として「再審査」の請求を検討するとしたのだ。前回の選挙では比例で復活当選。自民党の後ろ盾がなくなれば、次は厳しい戦いを強いられることになる。今後の策を練るため、その日のうちに地元の静岡県浜松市へ。
記者「後援会にはどう伝えるのでしょうか?」
塩谷 立 衆院議員「……」
口をかたく閉ざしたまま、車に乗り込んだ。
6日、事務所(静岡・浜松市)を訪ねると…
バンキシャ「ポスターが掲げられています。こちらはすべて、自民党の文字が入っていますね」
そこへ、塩谷議員が姿を見せた。
バンキシャ「日本テレビのバンキシャです。再審査、出されるんですか?」
手をあげて応じるが、質問には答えず。去り際も…
バンキシャ「塩谷議員!」
無言を貫いた。再審査の請求を行うかは、13日までに判断するという。
●「どれだけ面の皮が厚いのか」裏金問題で離党の世耕氏 近大“祝辞スピーチ”に批判殺到 4/8
4月6日、近畿大学が行った入学式に、先日自民党を離党した世耕弘成参議院議員(61)が出席。理事長として行った新入生への祝辞スピーチに波紋が広がっている。
世耕氏は政治資金パーティーをめぐる問題で、昨年12月に自民党の参議院幹事長を辞職。党紀委員会より離党勧告の処分を受け、4日に離党届を提出していた。所属していた安倍派では、「5人衆」とよばれ派閥の中枢を担っていた。世耕氏が収支報告書に記載していなかった額は、おととしまでの5年間で1542万円にものぼる。
世耕氏の一族は祖父の弘一氏の代から近大の理事長を担っており、世耕氏は4・6代目の理事長を務めている。しかし裏金問題を受けて、3月下旬より近畿大の一部教職員が理事長の辞任を求める署名活動を開始しており、6日時点で4万筆近い賛同が集まっていた。
“歓迎ムード”とはいえないながらも、当日、世耕氏は笑みを浮かべながら壇上に登場した。
入学生に対してお祝いを述べたあと、近大が派手な入学式を行っている理由について「学生の皆さんをこんなに温かく迎える大学なんだと、こんなに大切にする大学なんだと示したい気持ち」とコメント。
続けて「近畿大学は躍進を続けている」と11年連続で全国受験者数が最多であることを強調。そして「近畿大学で過ごす時間はスピードの早い時間になる」とし、人工知能や量子コンピューターの例を挙げ、「その技術によって社会がどんな変化をしていくんだろう、そんな中で自分がどんな役割を果たせるんだろうかということをつかみ取っていくこと」が重要だと述べた。
最終的にゴーギャンの絵画「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」を話に出し、再度「変化の激しい社会における自分の立ち位置をしっかりと把握をしてもらって、立派な社会人として近畿大学を巣立っていただきたい」と激励を送った。
「自分の立ち位置をしっかりと把握してほしい」と強調した世耕氏。しかし、自身は安倍派の幹部という立場ながら、3月に開かれた政治倫理審査会でキックバックが継続された経緯などについて「知らない」「わらかない」との答弁を繰り返すなど、説明責任を果たしているとは言い難い。ネット上では世耕氏の登壇に批判が噴出している。
《自分の今置かれている立場でよくこんな挨拶が出来るものだ。国会議員という人はどれだけ面の皮が厚いのだろうか!》
《普通の感覚ならこんなところに出向けない 堂々と挨拶をしてしまうあたりはやっぱり議員って普通とは感性が違うんだと思う》
《自身がトップの一端を担っていた組織で起こした問題を、知らぬ存ぜぬで通した人間がよく言えたものだな。自分の立ち位置をしっかり把握できているのなら真相究明に注力するのが当たり前だったと思うが》
●「9月までに改憲」絶望的 岸田首相公約、迫る総裁任期 4/8
岸田文雄首相が目指す9月の自民党総裁任期満了までの憲法改正は絶望的な状況だ。衆院憲法審査会は11日にようやく実質審議入りする見通しだが、今国会の審議日程は窮屈。総裁任期切れが迫る中、国会発議に向けた与野党の歩み寄りは難しそうだ。
「総裁任期中に実現するとの思いの下、今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速していく」。3月の自民党大会で、首相は改憲への決意を重ねて強調した。
衆院憲法審は2023年6月に緊急事態条項に関する各会派の立場をまとめた論点整理にこぎ着けたが、その後の与野党協議に具体的な進展は見られない。
これに追い打ちをかけたのが裏金事件だ。今国会で、立憲民主、共産両党は事件への対応が先決だとして、衆院憲法審の審議入りに猛反発。自民党関係者は「立民の中でも特に改憲に後ろ向きな勢力が、審議が進まないよう糸を引いていた」とこぼす。
6月23日の会期末まで、衆院憲法審の定例日である木曜は大型連休を除くと11日を含め10日のみ。改憲の国民投票法は国会発議から投票までの期間を最低60日と定めており、総裁任期中の改憲実現はますます難しくなっている。立民内からは「条文案すらなく、今国会で通せるわけがない」(幹部)と改憲阻止に向け余裕の声が漏れる。
首相は21年10月の就任以来、繰り返し改憲に意欲を示してきただけに、ある中堅議員は「ハト派の岸田氏なら改憲できるのではと期待したが、もう厳しいだろう」と指摘。保守派内からは「改憲できなければ、岸田政権は終わりだ」(自民ベテラン)との声も出ている。
●《「バブル超えの株高」の実態》儲けているのは一部の富裕層と外国人投資家だけ、物価上昇に賃上げが追いつかず大多数は「貧しいまま」 4/8
「日経平均株価4万円超え」「バブル超えの株高」──メディアでは連日“好景気”が報じられているが、果たしてそれを実感できている人がどれだけいるだろうか。
ファイナンシャルプランナーの松岡賢治さんは、日本人の9割は株高の恩恵を受けられていないと話す。
「個人で好景気を実感できているのは、基本的に“株を持っている人”だけで、これは日本人の1割程度にすぎません。
例えば高級品を扱うデパートや旅行関連など、株価が上がることで心理的な余裕が生まれて消費が増加する業界には、お金の流れが見込めます。また株価と不動産は相関関係が非常に強く、実際にこの株高を受けて公示地価はバブル崩壊以後最大の伸びを見せているので、不動産業界は大きな恩恵を受けるでしょう」
物価の上昇に追いついていない賃上げ
そもそも、株価だけがいくら上がっても、肝心の賃金が上がらなければ、豊かさを実感できるはずはない。
今年の春闘は満額回答ラッシュで、33年ぶりに平均5%以上の賃上げとなり、中小企業でさえ平均4.5%の賃上げ率となった。この数字だけを見れば、さも賃金が上がって豊かな暮らしに近づいているかのように錯覚するが、実態は大きく異なると、経済評論家の加谷珪一さんが解説する。
「この5%には、ただの昇給分も含まれているのです。日本企業の多くは年功序列で、年次が上がれば自動的に賃金も上がる。その分も合わせての5%なので、厳密には賃上げとは言えません。
定期昇給分を差し引いた給与水準を底上げするベースアップ(ベア)は3%台。前回のベアは2%台だったので賃上げ率は上昇しているように見えますが、この2年で10%近く物価が上がっているのには、まったく追いついていません」
事実、厚生労働省が3月7日に発表した毎月勤労統計調査によると、物価上昇分を除いた実質賃金は22か月連続のマイナスとなっている。岸田政権は声高に「賃上げ」を叫んでいるが、実現しているとは到底言えない。株価がいくら高騰しても、春闘が満額回答だったとしても、大多数の国民は「貧しいまま」ということなのだ。
「このままでは国民の不満が高まって政権がますます危うくなるのは想像に難くない。岸田政権としても、賃上げを切に望んでいるのは本当でしょう。しかし、充分な利益を出せずに賃金を上げたくても上げられないような“ダメな企業”ばかりが生き残っているのがいまの日本の現状。それこそが低賃金の温床になっているという面があります」(加谷さん・以下同)
外国人投資家にとっては大バーゲンセール状態
なにより、いまの株価高騰は、企業の業績がよく、株価も賃金も右肩上がりだったバブル期のような「実態を伴うもの」とはかけ離れている。
「円相場は2021年初頭には1ドル=100円台だったものが、ここ1年の間は150円台で推移することも珍しくなくなりました。わずか2年ほどで、日本円の価値は3分の2に暴落したといえる。諸外国からみれば、いまの日本は株も不動産も、それまでの3分の2の価格で買える大バーゲンセール状態。
つまり、外国人投資家たちがこぞって日本の株を買い集め、その結果株価が上がっているだけ。そのため、今回の株高でいちばん利益を得ているのは外国人投資家なのです」
この株高で儲けを得て金持ちになったのはごく一部の富裕層と外国人だけ。1980年代は多くの国民がその恩恵を受け、誰もが「もっと景気がよくなるに違いない」と期待しすぎた結果バブル崩壊につながったが、株高に実態が伴っていないいまはもはや、崩壊するほどのバブルすらない。
ほとんどの日本人にとって「実感なき株高」なのだ。
●小池知事が「乙武洋匡」氏を衆院東京15区補選に擁立も自民党内部で「強烈な反発」が起きているわけ 4/8
「居酒屋のせがれとして、国民と向き合った政治をしたい」
4月3日、元格闘家で参議院議員の須藤元気氏(46)は衆院東京15区補選に無所属で出馬する意向を表明。’19年、参院比例代表選挙で立憲民主党で出馬し、初当選。’20年に無所属となり、任期1年を残し、4月16日告示、28日投開票の補選に出馬する予定だ。須藤氏は出馬への思いをこう語る。
「江東区では2回連続で自民党の代議士が逮捕され、残念ながら既得権政治の象徴的な場所になってしまった。私がこの状況に終止符を打ち、江東区を変え、日本を変える」
今回の衆院東京15区補選は、昨年の江東区長選をめぐり公選法違反事件で柿沢未途元法務副大臣(53)が辞職したことで生じた。その前任の秋元司元衆議院議員(52)もIR事業を巡る汚職事件で、収賄と組織犯罪処罰法違反で逮捕されている。
自民党の茂木敏充幹事長は候補者擁立を断念したことに対して
「我が党にとって候補を擁立しにくい状況にあった」
と語った。自民党が独自候補を擁立しないことで、補選は候補者が乱立し、激戦になるとみられている。
そんな中注目を集めているのは作家の乙武洋匡氏(48)だ。小池百合子都知事(71)が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」(以下、都ファ)が国政進出に向けた「ファーストの会」から公認候補として出馬予定で、自民党が推薦する方針だ。
「3月28日に小池さんが主だった関係者に『うちは乙武さんでいきますから』と直電し、急遽、都ファの副代表として迎え入れた。現場は寝耳に水で、自民、公明の都議が聞いていないと怒り出す。事務所設営、選挙関連の手配など作業は山積みで、都ファ執行部はてんてこ舞い。いまだに出馬会見が開けないことで乙武氏に『また女性スキャンダルが発覚するのでは』と噂が立ってしまった」(都ファ幹部)
もともと乙武氏は’16年の参院選で自民党の公認候補として調整を行っていた。しかし、『週刊新潮』が5人の女性との不倫を報じたことでご破算となった。
「知名度も抜群で、東京選出にするか全国比例にするか、とほぼ出馬が決まった状況での発覚で、当時選対委員長だった茂木幹事長の面子は潰れ、大激怒。3月29日、小渕優子選対委員長や森山裕総務会長を交えて協議しましたが、茂木氏の怒りは冷めておらず、乙武氏を自民党が推薦することに難色を示していた」(全国紙政治部記者)
自民党は4月の衆院3補選のうち、長崎3区は公認候補擁立を見送った。保守王国の島根1区でも劣勢と見られており、東京15区でも敗れてしまうと岸田政権では選挙に勝てないというイメージが付いてしまい、窮地に陥る。
危機を免れるために小池氏との相乗りで乙武氏を擁立する方針でまとまった。乙武氏が当選すれば、岸田政権としては「独自候補は断念したが、推薦した候補が当選したので、自民党は負けではない」と強弁できる。しかし、このような姿勢は、内部ではよく思われておらず、選挙を支えることになる自民党に所属する江東区議は嘆息混じりにこう語る。
「4月3日に自民党江東総支部で総支部長の山崎一輝元都議から乙武氏を推薦する、という党本部の意向を伝えられると、『党本部は地元の声を無視するのか』と非難轟々でした。そもそも山崎氏自身が小池さんと距離があり、反小池を隠していない。また昨年4月の区長選をめぐる公選法違反で自民党所属の区議は裁判を抱えている。『乙武氏の選挙なんてできるわけない』『秋元さんを応援したい』という声もあり足並みが揃わない」
乙武氏は不倫で出馬断念に追い込まれた経緯があり、「二度と過ちをおかさない」と謝罪をしているが、公明党は冷淡で、党として支援者に指示することはなく「自主投票」となる運びだ。
一方の立憲民主党は、元江東区議の酒井菜摘氏(37)を擁立。共産党の小堤東氏(34)との間で最終調整を行っている。
「乙武氏の出馬宣言前ですが、立憲民主党独自で世論調査を取ったら区長選でも次点につけているように酒井氏のポイントが良かった。須藤氏を支援する声もあったのですが、須藤氏が小池知事の出馬のあるなしを見極めるために保留し続け、態度を明確にせず時間切れとなった」(立憲民主党都議)
他には、日本維新の会の金沢結衣氏(33)、参政党の吉川里奈氏(36)、日本保守党の飯山陽氏(48)、元自民党衆議院議員の秋元司氏(52)がそれぞれ立候補を表明。秋元氏以外は全員新人で、候補者乱立の様相を呈している。
告示日まで1週間を切り、各政党で候補者擁立が相次ぐ中、須藤氏は「江東区生まれ江東区育ちは私しかいない」と釘を刺し、決意をこう述べた。
「候補者が乱立した方が面白い戦いができる。人生において『桶狭間の戦い』をどこかしらでやらないと政治家としては成長しない。損得抜きに勝負をすることで、政治家として大成していくことを信じている」
4月の「江東区バトルロイヤル」を制するのは、作家か格闘家か元地方議員か、はたまた第三者か。
●萩生田光一 裏金2728万円でも“事実上お咎めなし”で高笑い! 岸田と森に取り入って安倍派も“独り占め”の悪夢のシナリオ 4/8
自民党が4日に発表した裏金事件をめぐる議員の処分内容に対し、「甘すぎる」「納税者を舐め過ぎだ」と非難が巻き起こっている。
当然の反応だ。茂木敏充幹事長は安倍派の裏金について「長期にわたり大規模かつ継続的に組織的な不正が疑われている」などと述べながら、裏金づくりをいつ誰がはじめたのか、誰がどれほどの権限を持っていたのかなど真相の解明をまったくおこなっていない。そんな何もわかっていない状態で、どうして処分を決めることができるというのか。
その上、裏金キックバックをもらっていた議員は85人にものぼっていたにもかかわらず、処分が下されたのは、たったの39人。しかも、元会計責任者が立件された岸田派と二階派のトップだった岸田首相や二階俊博元幹事長は一切のお咎めなし。トップが責任を免れるなど、一般企業では絶対に考えられない話だ。
だが、「甘すぎる」という声が高まっているのは、言うまでもなく、安倍派幹部に対する処分内容だ。
8段階ある処分のうち2番目に重い「離党勧告」となったのは、安倍派座長を務めた塩谷立氏と参院幹事長だった世耕弘成氏。3番目に重い「党員の資格停止」(1年)が、事務総長経験者である下村博文氏と西村康稔氏。一方、事務総長経験者である高木毅氏は「党員の資格停止」(6カ月)、同じく事務総長経験者の松野博一氏と安倍派5人衆のひとりである萩生田光一氏は6番目の「党の役職停止」(1年)となった。
自民党はこの処分の軽重について、座長だった塩谷氏と参院をまとめていた世耕氏の責任は重いとし、裏金キックバックの廃止を安倍晋三・元首相が指示したとされる2022年の幹部会合や、キックバック再開が決定されたと見られる同年8月の幹部会合に出席していた下村氏と西村氏を次に重い処分としたというが、いまだにキックバック再開にいたった経緯がわかっていないのに、なぜ幹部会合の出席を線引きにするのか。まったく道理が通らない。
しかも、「離党勧告」がまるで重い処分であるかのように語られているが、選挙で無所属として当選すれば復党させる気でいるのが見え見え。「党員の資格停止」にしても、1年以内に衆院解散で総選挙がおこなわれたとして、自民党はよほどの事情がないかぎり処分議員の選挙区に対立候補を立てることはしないだろう。いわんや、萩生田氏と松野氏に下された「党の役職停止」(1年)という処分には、何の意味もない。
裏金2728万円で“安倍派5人衆”の萩生田光一がほぼ“お咎めなし”なのはなぜ?
とくに、今回の処分発表で高笑いしているのは、萩生田氏だ。
萩生田氏は裏金不記載額が2728万円という巨額にのぼっているにもかかわらず、世間で非難轟々となった政治倫理審査会にも出席せず、たった1回、会見を開いただけ。「文藝春秋」3月号に登場した際には“立件もされていないのに悪者扱いされる”ことの不満を述べ、「すごく理不尽な話」などと被害者ヅラで逆ギレする始末だった。
だが、今回の裏金事件における萩生田氏が責任は極めて重い。まず、萩生田氏の裏金不記載額2728万円は“立件スレスレ”ラインであり、「検察は萩生田氏を立件しないで済むように裏金の下限を3000万円に設定したのでは」と囁かれたほど。さらに、萩生田氏は事務総長経験者ではないというだけで政倫審の出席を回避したが、実際には事務総長レベルの影響力を持っていたのは周知の事実だ。
「離党勧告」を受けた塩谷氏は安倍派座長という肩書きを与えられていたとはいえ、実権を握っていたのは森喜朗氏を後ろ盾にした「安倍派5人衆」の面々であり、塩谷氏はたんなる「お飾り」にすぎなかった。かたや、萩生田氏は「安倍派5人衆」のなかでも森氏にもっとも可愛がられており、安倍派内でも大きな権力を誇ってきた。こうした実態があるからこそ、塩谷氏は今回の処分に対して「スケープゴートにされた」と憤慨しているのだろう。
つまり、安倍派幹部のなかでも萩生田氏だけが、実際には大きな権限を握っていたにもかかわらず、世間の矢面にもほぼ立つこともなく、事実上、無傷の状態でやってきたのだ。
しかも、今回の処分によって、萩生田氏が自民党内でさらにプレゼンスを高め、今後、大きな実権を握っていくことは間違いない。
じつは、萩生田氏の処分をめぐっては、当初、「党員の資格停止」となるのではないかという話もあった。萩生田氏が2009年の総選挙で落選したことや、地元である八王子市で1月におこなわれた市長選が辛勝だったことを考えれば、もし党員資格の停止期間中に解散総選挙となった場合、かなり厳しい選挙戦を迫られることは必至だ。
ところが、その話が消え、萩生田氏の処分が大甘に終わってしまったのだ。そればかりか、岸田首相は今回の萩生田氏の処分について、停止する役職は「党本部における役職だ」とし、自民党東京都連会長の続投を容認する考えまで示している。
ようするに、萩生田氏は立件スレスレの巨額の裏金を手にしながら、実質的に何の処分も受けないのである。これで、安倍派幹部の有力議員の中で萩生田氏だけが政治力を温存できるわけで、将来の安倍派領袖になる確率も非常に高まったといえる。
萩生田光一がほぼ無傷で勢力拡大の可能性も… 後ろ盾・森喜朗の責任追及を!
この異常な大甘処分の背景には、萩生田氏と岸田首相の関係がある。そもそも岸田首相は、萩生田氏には極端に弱く、過去の人事や政策決定でも「萩生田氏に強く迫られると、言いなりになってしまう」(官邸担当記者)と言われてきた。統一教会問題でも関係のあった閣僚を辞任させる一方で、あれだけ教会とべったりだった萩生田氏については不問に付して政調会長続投を決めた。
今回も同様に、萩生田氏にねじ込まれて「事実上の処分なし」という結果にしたのではないかと言われているのだ。
もちろん、岸田首相の側にも政治的な思惑があるはずだ。岸田首相はこの期に及んでもまだ、総裁選再選を狙っており、自分と近い萩生田氏に分断状態の安倍派をまとめさせ、自分に協力させようとしているのではないか。しかも、萩生田氏は安倍派以外の自民党重鎮たちとも関係が良好だ。ここで恩を売っておけば、続投に向けた党内調整役としても使える、と考えたのだろう。
実際、朝日新聞も今回の処分の裏側について、このように報じている。
〈萩生田氏は森氏に加え、首相や麻生太郎副総裁ともパイプを築く一方、首相と距離を置く菅義偉前首相とも良好だ。9月の総裁選での再選をにらむ首相が、折り合いの悪い実力者同士のつなぎ役にもなり得る萩生田氏を引き込もうと「情実」で処分案を決めたとの見方もあり、党幹部は「首相との個人的関係など色々なものが働いたのだろう」と漏らす。〉(朝日新聞4日付)
総裁選再選という私利私欲のために、裏金事件の処分さえ政局に利用する──岸田首相の自己中心主義には呆れ果てるほかないが、問題は、これにより、裏金事件の重要人物のひとりであるはずの萩生田氏が無罪放免となり、その権力を増大させてしまうということだ。
しかも、本サイトでも何度も指摘してきたとおり、萩生田氏はかつての親分である安倍元首相以上の国粋主義、差別思想の持ち主として知られ、メディアに対しても「報道の自由」を封じ込める圧力をかけてきた。そんな人物が自民党元最大派閥のボスになり、政権を裏から動かす力を持つことになるのだ。
こんなバカな話があっていいはずがない。国民の間ではすでに、萩生田氏の処分の甘さに対する怒りの声が広がっているが、この声をさらに大きいものにして、少なくとも「離党勧告」レベルの処分をさせる必要がある。
さらにもうひとつ、岸田首相と萩生田氏のやりたい放題を止めるために不可欠なのが、森喜朗氏の責任追及だ。
萩生田氏の権力の後ろ盾は、裏金キックバックをはじめた張本人だと見られている森喜朗氏であり、今回の大甘処分の背景にも、森氏の口添えがあった。岸田首相は森氏に電話で聴取をおこない、「従来から党として把握していた事実以上のことは何も確認されなかった」として幕引きを図ろうとしているが、森氏の責任を追及することなく増長を許せば、萩生田氏が軸となった“新安倍派”において、裏金事件のような不正が繰り返されていくことになるだろう。少なくとも、森氏の国会での証人喚問が必要だ。
●裏金事件 混乱まるで「学級崩壊」 選挙にらむ岸田政権 処分の結末は… 4/8
自民党裏金事件 混乱まるで「学級崩壊」 選挙にらむ岸田政権 処分の結末は…【バンキシャ!】
自民党の裏金事件をめぐり、39人に処分が下されました。しかし、処分後も混乱が続いていて、収拾は見通せない状態です。異例の事態となっている理由と政権への影響などについて、政治部・自民党担当キャップの前野全範記者が説明します。
(桝) かなり混乱しているなという印象がありますが、前野さん、どう受け止めていますか?
(前野) 処分後も混乱が続いていて、収拾は見通せない状態です。処分を決める過程は幹部の間での意見対立も表面化し、岸田総理本人が幹部の間を行き来して調整せざるを得ないという異例の事態となりました。ある党幹部は「学級崩壊だ、恥ずかしい」と嘆いています。岸田政権の発足以降、ここまで幹部の足並みが乱れてバラバラになったことはありませんでした。
(桝) なぜ、ここまで大混乱になってしまったのでしょうか?
(前野) 1つは、裏金をいつ誰が始めて、そしてキックバック再開の真相も解明できないまま、処分だけを急いだということがあります。また、複数の自民党議員が「処分の線引きに政治的な損得や幹部のエゴ、好き嫌いが持ち込まれた」と漏らすなど、不満のマグマがたまっているということもあります。
例えば今回、裏金が5年で500万円未満だった議員は、1年間に3桁にいってないなどの理由で処分を免れましたが、この点については、茂木幹事長が「ポスト岸田や次期総裁選をにらんで、安倍派の中堅・若手議員に恩を売った」との指摘も出ています。
(桝) とはいえ私たち有権者としては、“課題山積”の日本にあって、とにかくしっかりと舵取りをしてほしいという思いですが、政権運営にも影響がでてきそうでしょうか?
(前野) 岸田政権は元々苦しい状況が続いていたが、総理の側近議員ですら「かつてないピンチだ」と語っています。岸田総理は8日からアメリカ訪問へ出発しますが、帰国直後、今月16日には衆議院の3つの補欠選挙の選挙戦がスタートします。自民党内からはこの補欠選挙で負けると、「岸田おろしが始まる」「政局含みの展開になる」という声が出ています。 
(桝) 岸田総理は自らの責任については「国民や党員に判断してもらう」と発言しています。総選挙をにおわせているということでいいのでしょうか?
(前野) 岸田総理は9月に自民党の総裁任期を迎えますが、今のままでは再選は厳しい状況です。そこで総裁選より前に解散総選挙をおこなって勝利して、総裁選を無風で勝ち抜くことを狙うとみられます。解散の数少ないチャンスとみられるのが、6月の通常国会の会期末。ここに向けて、得意の外交や定額減税で支持率を回復させて、解散を模索することになるとみられます。
(桝) なるほど。前野記者に詳しく伝えていただきました。
●「小さなごまかし」が政権の致命傷に 説明求めるだけでは足らぬ 4/8
政権に責任を取らせるとはどういうことなのか。政治学者の豊永郁子さんは、野党がただ「説明」を求めるだけではダメで、民主主義の政治は機能しないといいます。英国の事例を参考に、「責任の取らせ方」を考えてもらいました。
今、国会では、首相からも野党からも「説明責任」という言葉が乱発されています。英語のアカウンタビリティーの訳ですが、「説明する責任」という意味で使うのは誤りです。
アカウンタビリティーは情報を開示し、説明する義務があるだけでなく、責任を追及され、解任などの罰を与えられる立場にあることを意味します(「答責性」とも訳されます)。説明するだけでは許されず、結果責任も問われ、制裁もある厳しいものです。
民主主義は、政権の国民に対するアカウンタビリティーを、選挙で国民が政権を解任できるようにすることによって実現しました。ただ、自民1強の下、国民から解任される恐れがない自民党政権に、そうしたアカウンタビリティーがあるかは疑問です。 ・・・
●空前の賃上げも懸念される「人件費」値上げ…美容費や家賃も対象に 4/8
賃上げの成果を誇る岸田首相だが、年金生活者を中心に賃上げの恩恵を受けない家庭も多い。そんな家庭に、さらなる苦難が。新年度は空前の値上げの年になるという。
「われわれはデフレから完全に脱却する千載一遇の歴史的なチャンスを手にしています」
岸田文雄首相は、3月28日に行われた2024年度予算成立を受けての記者会見でこう語った。総務省は3月22日に2024年2月の消費者物価指数を発表した。2020年の物価を100とした指数では106.9と、昨年の同じ月より2.8%も上昇している。
岸田首相は“賃上げ”があるから大丈夫と豪語してきたが、「大手労働組合である『連合』傘下の組合の平均賃上げ率は5.25%と、前年を1.49ポイントも上回りました。これは1991年以来、33年ぶりの5%超えです。しかし、これは大手企業がけん引している数字です。中小企業には賃上げが見えていない会社も多い。また、年金生活者の年金額が増えるわけでもありません。
岸田首相は『物価上昇を上回る所得を必ず実現する』と語っていますが、“賃上げ”が期待できない家庭にとっては、物価上昇を放置しているといってもいい状況でしょう」(大手紙記者)
今回発表された消費者物価指数で気がかりなのが、物価の伸び率が今年1月より0.8ポイント高くなり、4カ月ぶりに拡大したことだ。ファイナンシャルプランナーで消費生活アドバイザーの丸山晴美さんが語る。
「2021年後半から始まっている物価上昇は、原材料価格の高騰や円安による輸入コストの増加が大きな要因でした。しかし、今後はそこに“賃上げ”も加わるでしょう。すべての商品、サービスにおいて、値上がりの新たなフェーズが到来していると感じています」
円安や原材料費の高騰に、人件費も
はたして、今後どのようなものが値上がりしそうなのか。
すでに、食品や日用品などは大きく上がっているが、現在、美容院やエステなどを含む理美容サービスの費用や、習い事などの月謝、映画や演劇のチケット料金など、“人件費”に関わるものの価格がじわじわと上がっている。みずほリサーチ&テクノロジーズ主席エコノミストの酒井才介さんが解説する。
「人件費のコストを価格に上乗せする動きが見られます。2023年にも賃上げが行われましたが、サービス関連全体の値上げには広がりませんでした。今年は昨年を上回る賃上げが予想され、増加した人件費がサービス関連の価格に転嫁されていくとみられます。
現在のサービス分野の物価の伸び率は2%前半ですが、今後は3%程度まで上昇する可能性が。宿泊や外食はもちろん、映画や演劇のチケット料金、美容院やマッサージの料金、学校や塾の授業料など、人が関わる身近なサービスの値段が軒並み上がっていくことが予想されます」
この4月からトラックドライバーの時間外労働の規制が強化される。それに伴いトラック運転手が人手不足になる、いわゆる「2024年問題」も家計に与える影響は大きいと、丸山さんが語る。
「すでにヤマト運輸や佐川急便が運賃の値上げを発表していますが、物流はすべての分野に関わってきます。人手不足による物流費のコスト増は、商品に転嫁せざるをえない状況です。
ティッシュやトイレットペーパーなどのさらなる値上げはもちろん、あまり値上げのなかった衣料品や化粧品などにも値上げの動きが出てくるでしょう」
マイナス金利解除も円安傾向は変わらない
これまでの値上げの要因のひとつである円安も続いていく可能性が高いと、酒井さんは指摘する。
「日銀がマイナス金利政策の解除を決めても、円安が続いています。日米の金利差が解消するのはまだ先だと市場はみており、円安傾向は続きそうです。円安は食料品などの幅広い品目に波及します」
さらに一部品目では、原材料価格そのものが上がることも。
「原材料価格の上昇率は緩やかになっていますが、たとえば西アフリカの天候不順で、カカオ豆が不足してチョコレートの値段が急騰したり、トマトやオレンジの価格が上がることでケチャップやジュースが値上げされるなど局所的な高騰もあるでしょう」(酒井さん)
負担軽減措置によって抑えられていた光熱費も値上げが迫る。
「政府は、物価高騰対策として家庭や企業に行ってきた電気料金とガス料金の負担軽減措置を5月使用分で約半分に縮小し、それ以降はいったん終了する方向で調整しています。
補助金がなくなると、光熱費が家計を圧迫するだけでなく、企業は電気料金が上がった分を価格転嫁するので、とりわけ冷凍食品や加工食品、菓子などの加工度合いが高い商品の値上げを招く可能性があります」(丸山さん)
そもそも電気料金は、今年5月から再生可能エネルギー促進賦課金が上乗せされる。すでに年間1万円ほどの負担増になることが決まっているのだ。
さらに“値上げのラスボス”である家賃の値上げの可能性も。
「家賃は長らく大きな変動はありませんでした。そんな家賃が前年同月よりも0.2%上昇しています。これは24年ぶりのことなんです」(酒井さん)
実は家賃は明確な要因で上がるというよりも、モノの価格が上がっているという“空気感”によって、引き上げられるのだという。
「家賃の値上げは、すべての物価が上がるのが当たり前の世界に入ったことを意味するシグナルでもあるのです」(酒井さん)
今後の値上げは、家計にどのような影響を与えるのだろうか?
「賃上げの影響、物流コストの増加、円安の長期化などを考えると2024年度の1世帯当たりの支出負担増はプラス10万円以上になると見込んでいます。物価高が人々の暮らしの重しになっていくことでしょう」(酒井さん)
最後に丸山さんがこう語る。
「価格が比較的安定しているお米を中心に旬の野菜、まだ価格が抑えられている納豆、豆腐、厚揚げなど、栄養バランスを最優先に考えて、お財布と相談しながら自衛策を講じていくことです」
年金生活者や零細企業の社員とその家族……。賃上げの恩恵の届かない家庭にとっては厳しい新年度となりそうだ。
●岸田首相、世界は「歴史的転換点」と警鐘 首脳会談前に日米同盟アピール 4/8
岸田文雄首相は7日、今週予定されるバイデン米大統領との注目の首脳会談を前にCNNのインタビューに応じた。地政学的緊張の高まりで世界は歴史的転換点に近づいており、日本は防衛姿勢の変化を迫られているとの認識を示した。
岸田氏は東京で行われたインタビューで、ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢、東アジア情勢を見るに、我々は歴史的転換点に直面していると述べた。
日本が防衛力を抜本的に強化する決定を下したのはそれが理由だとし、こうした面で安全保障政策を大きく転換したと説明した。
安全保障上の課題が山積する中、日米同盟はかつてなく重要性を増しているとも強調。こうした認識が米国で民主、共和両党の支持を得られることを望むと述べた。
岸田氏は10日、米首都ワシントンでバイデン大統領と会談する。訪米中、連邦議会の上下両院合同会議で演説を行うほか、史上初の日米比3カ国の首脳会談にも臨む。
米政府は岸田氏とバイデン氏の首脳会談について、日米同盟の現代化に向けた歴史的機会と位置付ける。日米両国は北朝鮮の兵器実験やロシアとの関係の発展から、南シナ海や台湾に対する中国の強硬姿勢に至るまで、地域の脅威をにらんだ対応を迫られている。
日本とのパートナーシップは長年にわたり米国のインド太平洋戦略の要となってきた。日米の防衛関係は岸田政権下で拡大しており、岸田氏は世界や地域の安全保障における日本の存在感を高めている。
岸田氏は2021年の首相就任以来、日本政府の防衛姿勢の抜本的変化を主導してきた。第2次世界大戦後の平和憲法から距離を取り、27年までに防衛費を国内総生産(GDP)比約2%に増額すると表明。反撃能力を獲得する方針も示している。
こうした動きに異論がないわけではなく、特に第2次大戦時中の日本の軍国主義で多大な被害を受けた中国やアジアの他地域では反発が根強い。
岸田氏は防衛姿勢の変化について聞かれ、日本を取り巻く「厳しい難しい」安全保障環境に言及した。
そのうえで「我が国の周辺においては、弾道ミサイルや核の開発を進めている国、また不透明な軍事力の増強を進めている国(がある)。そして実際に南シナ海、東シナ海においては、力による現状変更が現実に行われている」と指摘した。日本、フィリピン両国に関係する中国の強硬な海洋進出を念頭に置いた発言とみられる。 
日本の抑止力や対抗能力を構築することは日米同盟にとっても不可欠だと主張。米国がこの点を理解し、地域の平和と安定の向上に共同で取り組むことができれば望ましいと述べ、今回の訪米を通じて日米協力をさらに進化させる姿勢を世界に示すことが重要だとの認識を示した。
今週の訪米は日本とフィリピンの関係深化の舞台ともなる。フィリピンはアジア地域における米国のもう一つの重要パートナーであり、米国と相互防衛条約を結ぶ同盟国でもある。
1年足らず前には、米国と日本、韓国の間でも歴史的な首脳会談が開かれた。この二つの首脳会談は、米国のインド太平洋安全保障戦略における日本の重要性や、地域の緊張が高まる中で同盟国やパートナー国との協力を強化する動きを浮き彫りにしている。
今週の日米首脳会談は、両首脳が国内で不透明な状況に直面する中で行われる。
岸田氏は主に自民党の問題を受けて低支持率にあえいでいる。米国では選挙が近づいており、トランプ前大統領が来年ホワイトハウスに返り咲いた場合、政策の見直しが起きる可能性もある。
トランプ氏は大統領在任中や退任後、米国の防衛・安保条約に繰り返し冷や水を浴びせてきた経緯があり、アジアでも欧州でも警戒感が高まっている
岸田氏はトランプ氏の再選を懸念しているかどうかについてコメントを控え、日米同盟の重要性は所属政党に関係なく広く認識されているとの見解を示した。
岸田氏は首相就任以降、日本をアジアに限らず広く世界における米国のパートナーと位置付けてきた。
欧州とインド太平洋の安全保障は密接に結びついているとの見解を支持し、ウクライナを断固支援する姿勢を表明。ロシアを巡る立場で他の主要7カ国(G7)と足並みをそろえてきた。
岸田氏はまた、北朝鮮との未解決の問題を解決して日朝関係の安定化を図るため、金正恩(キムジョンウン)総書記との会談実現に向けたハイレベルの働きかけを行っていることも明らかにした。
日本は韓国と同様、北朝鮮の兵器実験の脅威にさらされており、北朝鮮の実験用ミサイルが頻繁に周辺海域に落下する状況にある。北朝鮮による拉致被害者の問題は依然、感情面で大きなしこりを残している。
岸田氏は北朝鮮とロシアの間の装備品のやり取りを注視していることを明らかにし、中ロ合同軍事演習にも言及。こうした協力は国際秩序や安定の点で懸念すべきものだと指摘した。
同時に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持するためには、国際社会の平和と安定、繁栄が重要だとの断固としたメッセージを北朝鮮と中国に送ることが重要だと述べた。
そのうえで、強力な国際社会を推進するには、分断や対立ではなく、両国と協力することも必要だと指摘。米国や同盟国と協力して、分断や対立ではなく国際社会を前進させる協調的な雰囲気を醸成することが重要だとの見解を示した。
●第一三共、抗がん剤の適応拡大 米当局の承認取得 4/8
第一三共は8日、がん治療薬「エンハーツ」について、複数の固形がんの治療にも使えるよう米食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表した。これまで乳がんと肺がん、胃がんのみに使用できたが、より多くの種類のがんに使えるようになる。
がん細胞の目印となるたんぱく質「HER2」が陽性のタイプのがん患者が対象だ。治療後に転移や再発をし、他の治療手段がない患者に投与する。胆道がんやぼうこうがん、子宮頸(けい)がん、卵巣がん、膵臓(すいぞう)がんなど種類を問わず、固形がんで使える。
日本での複数の固形がんへの適応拡大申請は未定としている。エンハーツは標的に結合する抗体とがん細胞を攻撃する薬剤を組み合わせた「抗体薬物複合体(ADC)」の技術を使い、効き目を高くした第一三共の主力品だ。2023年度の売り上げは日本を含む世界で3839億円と見込んでいる。
●岸田総理 訪米の狙いどこに? 4/8
岸田総理は、8日午後、アメリカへ出発します。総理に同行する政治部の平本キャップに聞きます。訪米の狙いはどこにありますか?
総理周辺は「裏金問題で続く閉塞感を、得意の外交で反転攻勢につなげたい」と話しています。
というのも、今回の訪米はいつもと違います。9年ぶりの「国賓待遇」、日本の総理としては2人目の上下両院合同会議での演説、大統領主催の晩餐会などが予定されています。まさに「スペシャルゲスト」の扱いです。
日米同盟の強化を成果に、「外交の岸田」をアピールしたい考えです。
――11月にはアメリカ大統領選が控えています。これを意識した動きはありそうですか?
トランプ氏の勝利、いわゆる「もしトラ」をにらんだ動き、ありそうです。それは、建設中のトヨタの現地工場の視察です。
トランプ氏は日本に対し、アメリカでの雇用創出を求めてくる可能性がある中、この工場は建設が完了すれば、5000人もの雇用を生む可能性があります。
ある政府関係者は「誰が大統領かは関係なくアメリカ経済への貢献をアピールする機会になる」と話す一方、外務省関係者は「『もしトラ』を意識したメッセージとなる」と本音で狙いを語っています。
●東京15区補選 乙武洋匡氏が無所属で出馬「どの党にも推薦依頼出してない」 4/8
作家の乙武洋匡氏が8日、都内で会見を行い、衆院東京15区補欠選挙(16日告示、28日投開票)に無所属で出馬することを表明した。選法違反事件で有罪が確定した柿沢未途前衆院議員の辞職に伴う補選。
乙武氏を巡っては、東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が国政進出に向け設立した「ファーストの会」が擁立するとされていたが、乙武氏は「まっさらな状態で政治をしたい。今回も無所属という立ち場で今回の選挙戦戦っていきたい。現時点ではどの政党にも推薦依頼をだしていない」と強調した。
一方、会見では小池知事とのツーショットポスターに囲まれた舞台に登壇した乙武氏。会見の司会もファーストの会の幹事長が務めた。また、3月にはファーストの会の副代表に就任している。
●南シナ海で日米豪比が初の共同訓練 中国をけん制する狙いか 4/8
中国が威圧的な行為を繰り返している南シナ海で、フィリピン軍は日本の自衛隊やアメリカ、オーストラリアの軍とともに初めて、4か国による共同訓練を行い、4か国は自由で開かれたインド太平洋に向けた取り組みを強化すると強調しました。
フィリピン軍によりますと共同訓練は7日、南シナ海のフィリピンの排他的経済水域で行われ、フィリピンの艦船とともに日本からは海上自衛隊の護衛艦「あけぼの」が参加し、アメリカ海軍の沿海域戦闘艦やオーストラリアのフリゲート艦も加わったということです。
訓練は、4か国による初めての「海上協同活動」と位置づけられ、艦船どうしの通信訓練を行ったり隊列を組んで航行したりして連携を確認したということです。
4か国は共同で声明を発表し、自由で開かれたインド太平洋に向けた取り組みを強化するとして航行の自由や国際法の順守を掲げて連携する姿勢を示しました。
南シナ海では中国海警局の放水銃の発射でフィリピン側にけが人が相次いでいて、4か国の共同訓練は中国をけん制する狙いがあるものとみられます。 
●岸田首相、訪米で反転攻勢なるか 処分で不記載問題に区切り 政権浮揚か 4/8
岸田文雄首相(自民党総裁)は8日からの国賓待遇での訪米を政権浮揚につなげたい考えだ。首相は昨年末から最大の火種だった党派閥パーティー収入不記載事件で安倍派(清和政策研究会)の幹部らに処分を科し、区切りをつけたが、党内からは処分への不満がくすぶる。衆院解散・総選挙や秋の総裁選に勝ち抜く求心力を回復するためにも、得意の外交で反転攻勢に打って出る構えだ。
「事件への対応で首相の体力が相当奪われたのは確かだ」
側近の一人は首相を取り巻く政治情勢について、こう語る。
年明け以降、外交や経済で支持率を底上げし、通常国会中に衆院解散・総選挙を行い、秋の総裁選で再選を果たす−。もともと首相が描いていたシナリオは昨年末、東京地検特捜部が政治資金規正法違反の疑いで安倍派と二階派(志帥会)の事務所を家宅捜索したことで大きく狂った。年明けの南米訪問は見送りとなり、元日からは能登半島地震への対応に追われた。
今回の訪米では、平成27年の安倍晋三元首相以来、日本の首相としては約9年ぶりとなる上下両院合同会議での演説に臨むほか、日米比首脳会談も予定する。首相が党内の処分を訪米前に終えたのも、事件に区切りをつけ、外交成果で局面を変えたい狙いがあるからだ。
首相には、過去にも政権が窮地に陥った際に外交で局面を転換した成功体験がある。令和4年後半には、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題や閣僚の辞任ドミノなどで支持率急落に苦しんだが、翌5年3月のウクライナへの電撃訪問や、成功裏に終えた同年5月の広島での先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)などで支持率を上昇させ、求心力を回復した。
強固な日米の結束を世界にアピールするため、重要な訪米となるのはもちろんだが、政権の立て直しに向けた思惑も交差する。
●「国民の怒りは沸点に」「倫理観が欠如」岸田首相が初参加の政治刷新車座対話が熊本で 参加者からは厳しい声 4/8
岸田首相は4月6日、自民党総裁として自民党熊本県連を訪れ、党幹部が各地を回る「政治刷新車座対話」に初めて出席した。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題について岸田首相は「国民に政治不信を招き、厳しい声をいただいている」と述べ、党総裁として陳謝した。
「党総裁として心からおわび申し上げる」
自民党総裁として自民党熊本県連を訪れた岸田首相は県連の役員を前に、自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題について「強い危機感を持って、党再生に取り組んでいかなければならない」と強調した。
岸田首相:国民に大変大きな政治不信を招いてしまっている。大変厳しい声を受けている。党総裁として心からおわびを申し上げる
その上で「今国会中に政治資金規正法の改正を約束する」と述べた。
県連役員との対話は非公開で行われ、先月の熊本県知事選挙については「国政選挙ならばもっと厳しい結果だった」などの意見が挙がったということだ。
自民党県連・前川收会長:首相に言うようなことじゃないことも含めて厳しい表現もあった。それに対しても(首相は)ちゃんと答え、受け止めていた
参加者からは厳しい声が…
また、「政治刷新車座対話」は県連役員だけでなく、党員や有権者も参加し、参加者からは厳しい声も聞かれた。
熊本商工会議所・久我彰登会頭:自民党の派閥が招いた政治不信は私も含め多くの国民の怒りはいま沸点に達している
熊本県看護連盟・矢野メリ子会長:自民党は女性局の問題、青年局の問題、個人の問題が噴出しているが、議員としての倫理観が欠如しているのではないか
初めて「政治刷新車座対話」に参加した岸田首相は「大変厳しい意見をいただいた。改めて重く受け止め、真摯に反省するとともに信頼回復に努めなければならない。再発防止の観点から政治資金規正法の改正など結果を出していかなければならない」と述べた。

 

●自分の処分を棚上げした岸田首相が「国民に判断してもらう」…そしてアメリカへ こんな幕引き許される? 4/9
自民党の裏金問題で、党総裁の岸田文雄首相は処分の対象から外れた。その当人は自らの責任について「国民に判断してもらう」とのたまった。衆院解散・総選挙をにおわせる言いぶり。現政権に対する審判は望むところだが、違和感も抱く。まず必要なのは裏金問題の引責のはず。真相解明の棚上げも困る。「すり替え」「おざなり」はやはり見過ごしたくない。
引退表明の二階俊博氏とともに処分見送り
「最終的には国民と党員に判断してもらう」
自民党の処分が発表された4日夜。岸田首相は自身の責任について、記者団にこう言及した。5日の衆院内閣委員会でも同様の認識を示し、「個人的な政治資金の修正はなかった。派閥の不記載についても他とは内容が異なる」と述べた。
自民党はこの問題を巡って安倍派、二階派の議員ら39人を処分。安倍派幹部を務めた塩谷立元文部科学相と世耕弘成前参院幹事長を離党勧告とした。
党の調査で政治資金収支報告書への不記載があったのは85人。5年間で不記載額が500万円未満の議員は処分がなく、不記載額が最多の二階俊博元幹事長、自身の派閥の元会計責任者の有罪が確定した岸田氏も処分が見送られた。
「選挙で審判を」前のめりになる野党だが…
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「処分の基準が役職の重さか、金額の多さか曖昧で説明がつかない」と首をかしげる。
そんな中で出たのが、自らの責任は「国民が判断する」とした岸田氏の発言。「通常であれば選挙を示唆する言葉だが、『党トップの自身をジャッジできるのは国民しかいない』という弁明の意味で使ったのだろう」と読み解く。
岸田氏の言葉に食いついたのが野党の面々だ。立憲民主党の泉健太代表は5日の会見で「開き直って『文句があるなら判断してみろ』という言い方だ」と述べた上で「選挙で国民が首相を処分するしかない」と解散・総選挙に前のめりな姿勢をあらわにした。日本維新の会の馬場伸幸代表も6日、「すぐにでも選挙で信を問うべきだ」と訴えた。
野党議員「前回の二の舞いは避けないと」
立民の中堅議員は「国民が怒りを忘れないうちに選挙をやりたいと思っている人は多い」と党内事情を明かす。一方で「現状が好機だと浮かれてはいけない」とも。立民は2021年10月の前回衆院選で、岸田氏が新総裁に就いた自民に対峙(たいじ)。議席増を狙ったが、逆の結果となった。先の議員は「前回の二の舞いは避けないといけない」と話す。
「国民に判断を」という岸田発言から「選挙で審判を」の空気が高まる一方、小さくない違和感も残る。
批判を強めたのが共産党の田村智子委員長。7日の会見で「(岸田氏の)みそぎのために総選挙を使うことになる」と断じた。
「みそぎ」の口実になるのでは…懸念も
岸田氏が自身の処分を棚上げしたまま、総選挙で信を問うことに対しては、市井の人びとからも厳しい指摘が寄せられた。
8日、東京都北区から新橋を訪れた主婦(74)は「まずは上に立つ人が処分やけじめをしっかりとするべきだ」と語り、「選挙となれば、国民の思いにかかわらず『信頼された』という形にされる。何かおかしい」と怒りを込めた。
横浜から新橋に来たという無職今宮五良(ごろう)さん(79)は一連の裏金問題について「何をやってるんだと言いたいね」とあきれ気味。岸田氏自身の処分については「やれと言ってもできっこない。これまでと同じことを繰り返すのか。野党も含めて政治家は情けない」と突き放した。
直接審判の前に真相解明を
総選挙自体は待ち望む人が多いだろう。裏金問題の渦中にある党や議員が民意を代弁する資格があるか、直接審判を下したい、と。
ただ「総選挙をすれば万事解決」とはいかない。
おざなりのままで困るのが裏金問題の真相解明だ。にもかかわらず、自民が所属議員らを対象に行ったアンケートは「収支報告書への記載漏れの有無」「過去5年の不記載額」の2問のみ。国会の政治倫理審査会でも、安倍派や二階派の幹部らは「記憶にない」「知らない」を連発した。
元東京地検特捜部副部長で衆院議員も務めた若狭勝弁護士は「肝心な点を曖昧にしたまま処分して幕引きを図ろうとする自民党は、世間と懸け離れている」と批判する。「裏金をどう使ったのか、どのような経緯で裏金づくりが始まり、誰が還流を復活させたのか。これらが解明されなければ議員の罪深さ、自民党の裏金問題の根深さが分からない。総選挙で国民が投票する判断材料が足りない」
幹部への再聴取が必要
では今、何をすべきか。
若狭氏はまず、軽い処分だった議員への再聴取が必要だと説く。「ほとんどの議員が裏金づくりの実態を知っているはずだ。免責を条件に真実を語るよう促し、概要を把握してから幹部の再聴取に臨むべきだ」
その一方、安倍派に影響力を持つ森喜朗元首相に電話で聴取した岸田氏を「論外だ。真相を電話で話す人間なんて誰もいない」と切り捨て、正当な理由なく出席を拒否できず、ウソをつくと偽証罪に問われる証人喚問の実施を促す。
安倍派幹部のうち、世耕氏の証人喚問を求めるのが近畿大学教職員組合書記長の藤巻和宏教授(日本古典文学)。近大理事長でもある世耕氏は「受けざるを得ないでしょう」と語る。
「証人喚問を」SNS投稿の世耕氏にブーメラン
自民が下野していた2010年2月、当時与党だった民主党の幹部の「政治とカネ」を巡る問題で、世耕氏は「証人喚問は当然。このような疑惑に関して自民党は過去ある程度証人喚問に応じてきましたよ」とSNSで投稿していた。藤巻氏は「人に厳しく、自分に甘く、は許されない」と強調する。
真相解明と同様、置き去りにされて困るのは再発防止の議論だ。法政大の白鳥浩教授(現代政治分析)は「連座制を導入し、独立した第三者による監査機関を設けるべきだ。収入だけでなく、支出のチェックも厳しくし、透明性を確保しなければ政治への信頼性は上がらない」と説く。
岸田氏は今月3日、政治資金規正法の改正案の作成作業を急ぐよう、自民側に指示を出した。しかし、自民を除く主要各党はすでに独自の改革案を公表しており、対応の遅れは顕著だ。
「国民の興味がそれるのを待っている面も」
麗沢大の川上和久教授(政治心理学)は「『ザル法』と呼ばれる議員に有利な法律を厳しく改正して、自ら首を絞めたくないとの思いがあるのではないか」とし「時間がたち、国民の興味がそれるのを待っている面もあるだろう」とみる。
裏金問題を巡っては、やらねばならない仕事が山積する。そんな中で岸田氏は8日、米国に向かった。公式夕食会には日本の2人組音楽ユニット「YOASOBI」が招待されることも話題となっている。
川上氏は「米国とのきずなの強さを強調し、自身の支持率を上げる狙いだ。総選挙をにらんでいることが透けて見える」と語る。
浮かび上がる打算。先の若狭氏は「課題を棚上げし、ずさんな幕引きを図ろうとする岸田首相。この姿勢こそ、次の総選挙の争点の一つになる」と話す。
デスクメモ
裏金問題の自民。万博で右往左往の維新。逆風続きの立民にすれば千載一遇の好機と前のめりになる事情もあるだろう。ただ打算の気配が漂えば有権者はげんなりする。岸田氏に対し、そう思うように。彼らと同様に審判の機会は求めたいが、筋を通す姿勢を失ってもらっては困る。
●“政治とカネ”巡り国会に特別委員会 政治資金規正法の改正など議論 4/9
自民党の派閥の裏金問題を受け、与野党は今週、衆議院と参議院で政治資金規正法の改正などについて議論する特別委員会を設置することを決めました。
自民党 石井参院国対委員長 「政治が国民の信頼を取り戻す第一歩だと思ってますので、国民に理解を求められるようなしっかりとした熟議の議論をしながら法案を成立させていきたい」
政治改革を議論する特別委員会は衆議院で11日に、参議院で12日に正式に設置されます。
与野党で再発防止に向け、連座制の導入や収支報告書のデジタル化などについて議論し、今の国会での法改正を目指します。
野党側は裏金問題の実態解明についても追及する方針です。
●衆院憲法審、11日に初討議 4/9
衆院憲法審査会の与野党筆頭幹事は9日、今国会初の自由討議を11日に行うことで合意した。自民党派閥の裏金事件の影響で日程協議が滞っていた。一方、参院憲法審は10日に幹事の選任を行う。
●裏金問題と自民党政権 4/9
自民党安倍派の政治資金パーティーのキャッシュバックによる裏金づくり事件で、39人の国会議員が、自民党から処分を受けました。離党勧告が2人、党員資格停止が2人。対象議員86人のうち、47人が処分無しでした。
この事件は、自民党の派閥が、政治資金獲得のために開催するパーティーの収益の一部を現金で還元し、派閥側の支出記録も、各議員の収入記録も残さず、金の動きを隠す裏金を作ったらしい、というものです。
安倍派では、約20年前から行われていたようで、野党やマスコミが暴いたのでなく、神戸学院大の上脇博之教授の政治資金規正法違反容疑の告発で明らかにされました。
検察とは別に、政治不信に対応すべく、自民党・岸田政権も調査に乗り出したのですが、実態が明らかになりません。誰が主導した事件か? 裏金は何に使われたのか?―が明らかにされていません。
まず、何に使われたのかですが、何に使ったかの説明もせず、使途不明あるいは思い出せないということは、不法な買収とか供応、選挙違反となるような選挙運動の経費に使ったと判断せざるを得ないでしょう。手ぬぐい一本の配布や香典一つで責任を取り、議員辞職した例は数多くあります。
今回の事件は、不正とわかっていた裏金処理の確信犯です。金額の多寡にかかわらず、議員辞職すべきでしょう。
それよりも、誰が主導したかですが、裏金で最大の効果を得たのは、故安倍総理でしょう。安倍一強の体制は、配下の議員数の多さ以外の何物でもないでしょう。裏金の効果は絶大で、また違法性が高いという認識があったから還元を止めようとしたのでしょう。
止めていれば、今回の事件は、告発を受けることも無かったかもしれません。調査すべきは、還元再開後ではなく、20年前からの裏金と選挙・政治への影響です。
賢明な国民に期待
旧統一教会問題も、中途半端な教会と議員の表面的な関係だけの調査で、今後関係を断つという裏付けの無い結末でお茶を濁してしまいました。本来は、安倍政権が教会との癒着の中で、選挙協力をいかに得ていたかを調査すべきでしょう。国政だけでなく地方議会も、「政策協定」により、ジェンダーフリーの否定、家父長制的な政策提言が多くの地方議会で議決されているのです。
岸政権の調査は、まさに政治家が説明責任を果たさせず、いずれも本質に踏み込んでいません。
極言すれば、裏金問題といい、旧統一教会問題といい、本来であれば、議員の資格の無い者の多数で、政権与党が成り立っていたことになります。この間、大企業や外国資本に有利な経済財政運営がなされ、慢性的な低賃金と非正規雇用が続き、格差社会が拡大し、一方で、分不相応な軍事「費」大国がつくられようとしています。
最悪の安倍政治が、終焉どころか、増長しているように見えます。まっとうな政治家と、まっとうなマスメディアと、賢明な国民に期待するだけです。
●日朝首脳会談は完全消滅…金与正が激怒した背後に金正日“忠誠派” 4/9
米国と韓国は日朝首脳会談に関心を寄せるが、その可能性は消えた。原因は林芳正官房長官発言と、岸田文雄首相の「姿勢変化」だ。官房長官の「拉致問題がすでに解決されたとの(金与正党副部長の)主張は全く受け入れられない」との言葉に、金与正氏が怒り「日朝交渉はない」と宣言した(3月26日)。官房長官は翌日には「従来の立場に変わりはない」と言葉を変えたが、今更遅い。岸田文雄首相も「無条件の首脳会談」の言葉を使わなくなった。真実は、何か。
林官房長官の失敗
私は林官房長官と古い知り合いだ。官房長官の成功を願っている。残念だが、官邸には「北朝鮮的文学」を解析できる人物がいなかった。林長官は知識と教養ある政治家だが、官僚を信頼し過ぎ、自分の判断を示す度胸に欠けると心配されている。政治判断は政治家がするもので、官僚に任せたら国民の信を失うからだ。
北朝鮮の金与正・党副部長は、金正恩総書記の実の妹で、指導者に直言できる唯一の人物だ。「日本とのいかなる接触・会談も拒否する」と宣言した(3月26日)。2月中旬には「日朝首脳会談は可能かも」と述べていたのに、なぜ態度を急変させたのか。
彼女はその理由を述べた。「内閣官房長官は、記者会見(3月25日)を通じて、拉致問題が解決したとの(私の)主張を、絶対に受け入れることができないとの立場を明確にした。…日本とのいかなる接触、会談も拒否する」。
与正氏は、一連の談話で「拉致問題解決を、首脳会談の前提にするな」とは要求しなかった。「すでに全て解決した拉致問題を過去に持ち出したから(日朝関係は)悪化の一途をたどった」と、過去の経過に触れただけだ。拉致問題についても「障害物」と述べ、「動かせる」との理解を示唆していた。
彼女の一連の発言は、日本に配慮していた。北朝鮮が経済・外交で日本を必要としている事情が、読み取れた。「会談の入り口で、拉致問題を首脳会談の前提と言わないでほしい」との、思いを込めた発言だった。
金与正の「反対派」
なぜ、ここまで「弱気」の発言をしたのか。与正氏の発言については、内外で多くの分析がある。歓迎の一方で、日本や韓国では「日米韓離間戦略」「戦争の準備」まで様々だ。ただ、現段階では軍事行動の余裕はない。中露が阻止する。
日本と同じように、平壌の高官の間でも異見がある。最大の反対派は「金正日忠誠派」だ。「金正日総書記は、拉致問題を二度と日本と話し合うなとの遺訓を残した」と主張する。
金正日の遺訓とは、日朝首脳会談で日本側が(1)国交正常化実現(2)経済協力資金提供に合意したのに、履行しなかったことに怒ったためだ。この遺訓を修正できる人物は、誰もいない。残念ながら、この事情を官房長官周辺は理解していない。結果として、林長官の足を引っ張った。
与正氏表現の意味
金正恩総書記と与正氏は、金正日氏の「遺訓」に従ったふりをしないと、幹部らに「日朝首脳会談」を説得できない。与正氏の発言は「反日派」に配慮したものだ。でも「拉致、核・ミサイルを持ち出すな」とは言わなかった。
そう受け取られる表現をしたに過ぎない。「(日本が拉致問題を)持ち出したから、(過去に)日朝関係は悪化の一途をたどった」と述べた。金正恩忠誠派の老人グループと軍幹部がヘソを曲げると、首脳会談はできない。この与正氏表現の意味を、残念ながら官邸は理解できなかったのだろう。
どうすれば良かったのか。林長官は(1)無条件での首脳会談実現(2)日朝平壌宣言に従い問題を解決するとだけ言うべきだった。平壌宣言は金正日総書記がサインした文書だから、誰も反対できない。平壌宣言の文言には、拉致問題を話し合える根拠がある。
もう一つ不可解なのは、岸田首相の姿勢だ。岸田首相は、4月の記者会見から「無条件の日朝首脳会談」の言葉を使わなくなった。何があったのか。一つは、総選挙(4月10日)を前にした韓国から「選挙が終わるまで、日朝首脳会談に言及しないでほしい」との申し入れがあった。
米国からは「首脳会談はいいが、国交正常化と経済協力資金の提供は問題」との意向が、伝えられた。
岸田首相の「別のルート」
官邸周辺では、拉致解決の主導権をめぐる省庁間の争いがあった、とも勘ぐられている。与正氏は3月25日に「岸田首相が別のルートを通じて、日朝首脳会談の意向を伝えてきた」と、歓迎する立場を述べた。これは、岸田首相の意向が公式に届いたとの、初めての言及だった。
この「別ルート」を知らない政府関係者は、驚愕した。「別の経路」は、北朝鮮と親しい国家の首脳が金正恩氏に岸田首相のメッセージを届けた、との意味だ。首脳の「経路」でないと、正恩氏と与正氏は受け取らない。北朝鮮と親しいベトナムかモンゴルの首脳が、首相メッセージを伝えたのだろう。
自分たちが知らないルートで首相が動いていると知り、妨害に走ったと語る人たちがいる。誰かが官房長官の記者会見問答集に、「拉致問題がすでに解決したとの主張は、全く受け入れられない」との表現を入れたのだ。
北朝鮮は、なぜ日朝首脳会談を必要としたのか。昨年末の党中央委総会で建国の目標であった「南北統一政策」を放棄し、史上初めて大韓民国と尹錫悦大統領の存在を認めた。以前は「南朝鮮」であったから、国内は混乱した。さらに、年初には唯一の同盟国であったキューバが裏切り、韓国と国交正常化した。この「失点」を巻き返すために、日朝首脳会談を必要とした。
北朝鮮は極度の経済難
林官房長官の発言を、与正氏は岸田首相が指示したものと受け止めた。平壌では「だから日本人は嘘つきだ」とのウワサが流れた。この言葉には、「それも知らないのか」との与正批判が込められた。
与正氏の「2・15談話」は、自分が「日本担当の責任者」であるとの、初の公式挨拶状であった。それなのに、日本にコケにされたとの感情が伝わる。
北朝鮮は社会主義国家だ。労働党が政府省庁や軍を指導する。その意味では、岸田首相が主張してきた「首相直轄のハイレベルでの対応」は正しい。北朝鮮の外務省には、決定権限はない。金正恩氏と面会でき、直接報告できる人物が、北朝鮮では高官だ。それは与正氏しかいない。
今回の挫折で、岸田政権下での日朝首脳会談は消えた。でも、北朝鮮は極度の経済難に直面しているから、また必ず呼びかけてくる。日本からの資金がないと、経済困難は打開できない。中国とロシアの北朝鮮戦略は「生かさず、殺さず」で、経済発展を望んでいない。発展した北朝鮮が言うことを聞かなくなるのは、中露の悪夢だ。
●岸田政権がまた売国法案!日本の食料安保を破壊する「平和ボケ」「お花畑」 4/9
岸田政権は、今国会に数々の売国・壊国法案とも呼ぶべき法案を提出している。その一つに、食料・農業・農村基本法改正案がある。この法案がどのような問題をはらんでいるかについて、簡単に解説したい。
食料安全保障確保とは 正反対の改正内容
1月26日に召集された第213回国会(常会)、冒頭から質疑の中心となったのは、自民党の派閥パーティー収入記載漏れ問題であった。ちまたでは自民党「裏金問題」とされ、さも汚い金を巡る問題かのように報じられ、論じられた。そして、政策集団として存続することとした麻生派および茂木派を除く各派閥が解散を決めるや、立憲民主党を中心とする野党は一層攻勢を強め、テレビ入りの衆議院予算委員会の審議は、この問題一色のような様相を呈していた。
さて、そうした中で、岸田政権は、今国会に数々の売国・壊国法案とも呼ぶべき法案を提出し、また、今後も提出しようとしている。
その一つに、食料・農業・農村基本法改正案がある。同法案は、2月27日に閣議決定、国会に上程され、3月26日に衆議院で審議入りした。大手メディアの報道では、今回の改正は我が国の食料安全保障の強化につながるものであるとされ、これに関心のある多くの国会議員や一般国民もそのように捉えているようである。しかし、その実態は、我が国の食料安全保障の確保とは正反対の改正内容なのである。
そこで、本稿では、本法案がどのような問題をはらんでいるかについて、簡単に解説したい。
食料・農業・農村基本法を 根本的に変えかねない改正案
この食料・農業・農村基本法について、同法は1999年に第145回国会(常会)において可決・成立し、公布即施行された、我が国の農政の基本的な枠組みを規定した法律である。それまでは農業基本法がその役割を果たしてきたが、同法の施行により廃止された。
このように非常に重要な法律の改正ということであるが、今回の改正は、基本理念の見直しまで行うこととされている。つまり、同法の在り方を根本的に変えてしまうことにもなりかねない改正であるということである。
したがって大改正なのであるが、それが我が国の農政を、我が国および国民にとって、発展させる方向に働くものであればいいが、むしろ衰退させるか国民のためにはならない、いびつな方向に持っていってしまう可能性が高いのである。以下で具体的に見ていこう。
まず、今回の大改正の背景として、「世界の食料需給の変動、地球温暖化の進行、我が国における人口の減少その他の食料、農業及び農村をめぐる諸情勢の変化」が挙げられている。そして、我が国の農業、農政をこれに対応させるために、「食料安全保障の確保、環境と調和のとれた食料システムの確立、農業の持続的な発展のための生産性の向上、農村における地域社会の維持等を図る」こととしている。
これらのことが同法の基本理念において規定されている。我が国の置かれた状況、取り巻く環境の変化を踏まえた基本理念の改正であればいいが、具体的な施策についての改正を見ていくと、どうもそういうわけではないようである。
次に、その具体的な施策についての改正であるが、先にも挙げた(1)食料安全保障の確保、(2)環境と調和のとれた食料システムの確立、(3)農業の持続的な発展、および(4)農村における地域社会の維持を4本の柱としている。
食料安全保障の確保については、特にウクライナ紛争以降の輸入食料の価格の高騰を受けて、我が国でも強く認識されるようになった。遅きに失してはいるものの、関係法令において、これについて具体的に規定すること自体は悪い話ではない。経済安全保障法制の制定時においても、その対象から農業・食料が除外されていることを問題視する声は党派を問わずあり、ある意味、それが別の法制において手当てされたとみることもできなくはない。
しかし、それをどう担保しようとしているのかと言えば、我が国の食料供給能力を食料の海外への輸出によって維持することと、農産物や農業資材の海外からの安定的輸入の確保の、主にこの二つによって行うというのである。
世界の食料需給事情が変動し、世界各国で食料価格の高騰や食料が入ってこないといった事態が起き、各国は食料自給をさらに強化しようと動き出しているというのに、輸出と輸入を食料安全保障の確保の手段として考え、それを法律に規定しようとは、我が国の政府、現政権はどこまで平和ボケでお花畑思考なのか。
輸出促進という考え方自体は、我が国の農業を持続可能なものにするために、岸田政権ではなく菅政権下で具体的な施策として始められたものではあるが、それを食料・農業・農村基本法に規定するのは、論外であるとしか言いようがない。
ビジネスベースに乗せれば 農業は持続可能なのか
環境と調和の取れた食料システムの確立についても、「食料システムについては、食料の供給の各段階において環境に負荷を与える側面がある」とされ、「その負荷の低減が図られることにより、環境との調和が図られなければならない」とし、農業や食品製造業における環境への負荷の低減を促進させるための措置が規定されている。
だが、我が国農業はそうした措置を講じなければならないほどに環境に負荷をかけているのだろうか?
無論、農業は自然を利用し、自然にはたらきかけて生産活動を行うものであり、原野や山林を切り開いて農地を造成してきているのだから、全く環境負荷がないとまでは言わない。しかし、法律を改正してまで、環境負荷を低減させるための措置を新たに設ける必要があるとは到底思えない。何か別の意図があるのではないかと邪推したくなるが、少なくとも、この措置は農家に対して新たな負荷をかけるのは間違いないだろう。
農業の持続的な発展については、総論としてはもっともであり、こちらも今更ではあるが、施策の方向性として打ち出すこと自体はいいことである。
しかし、各論では、農業経営以外の多様な農業者による農地の確保、農業法人の経営基盤の強化といったように、農業を国の基(もとい)、インフラとして位置付け、戦略物資としての食料を生産する農業を持続可能にするという経済安全保障、食料安全保障の観点とは程遠い。というより真逆の、農業をよりビジネスベースに乗せれば持続可能になるという発想に基づくものばかりである。
ビジネスベースに乗せるということは事業者の収益が最優先にされることになるので、国民に必要な食料の確保や、農業生産者の確保・育成、生産技術の向上や継承、さらには種の保護や改良、低廉な費用での提供といった、食料安全保障の確保に不可欠な機能、役割が蔑ろにされる可能性がある。
本気で持続可能にしたいというのであれば、欧米諸国と同様に、国が各農家に補助金を交付したり、国が買い上げることによって価格を保証したり、海外から輸入される食料に対する関税を増やしたりすべきであろう。裏を返せば、スローガンとして食料安全保障を掲げてはいるものの、本気で考えていないということではないか。
農村における地域社会の維持については、「地域社会が維持されるよう農村の振興が図られなければならない」とうたっておきながら、具体的な措置として挙げられているのは、農地の保全に資する共同活動の促進、地域の資源を活用した事業活動の促進、農村への滞在機会を提供する事業活動(いわゆる農泊)の促進等である。
要は自分たちで共同活動を推進せよ、地域の資源を活用して事業活動をして自分たちで稼げと、地域社会の維持を農村の自己責任として押し付けている。裏を返せば、国として農村の地域社会を維持する責任を放棄するに等しい。食料の生産の現場である農村を事実上見捨てるような措置を規定して、何が食料安全保障だと言いたくなる。
指摘しようと思えばまだまだ同法案の問題点はたくさんあるが、法案をしっかり読んで、一つ一つ指摘できる野党議員はどの程度いるのだろうか?少なくともこうした大枠の問題点ぐらいは指摘し、反対の声を上げてほしいものであるが。
●世耕氏を追い出し松野氏、萩生田氏を救った…岸田首相が"処刑"した人、残した人にみるエグい自民権力闘争 4/9
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で処分された安倍派・二階派の議員ら39人は今後、どんないばらの道を歩むのか。元自民党参議院議員で大正大学准教授の大沼瑞穂さんは「岸田首相は今回、安倍派5人衆の世耕氏を追い出し、松野氏、萩生田氏を救う形をとった。この判断の裏には次期総裁選を念頭に置いた党内の権力闘争がある」という――。
政界を揺るがした裏金問題は、自民党の党紀委員会による処分決定で一定のけりをつけた形だが、「離党勧告」処分を受けた安倍派幹部議員と、それを免れた同派議員とでは今後、その歩む道は大きく異なっていく。
1 離党宣告とは露ほども思わなかった安倍派幹部
政界を揺るがしている「裏金問題」。検察は、還付金(キックバック)の不記載が高額だった中堅の3人(池田佳隆氏、大野泰正氏、谷川弥一氏)を起訴した。結果的に政治資金収支報告書への不記載が「4000万円以上」という金額が起訴の基準となった。この金額は、2022年末に議員辞職し離党した薗浦健太郎元衆議院議員が政治資金規正法違反で略式起訴された時の金額がひとつの目安となったと言われている。
国民からすれば、この3人は裏金づくりの主犯ではなくスケープゴートにされただけで責任を取る幹部は他にいるはずだとの見方が強まる中、自ら手を挙げ役職を降りた安倍派幹部たちは「起訴されていない」のであるから、役職辞任で責任は十分に取ったという認識だったのだろう。離党する者や議員辞職する幹部はいなかった。
3月半ばに実施された政治倫理審査会において世耕弘成参議院議員が「昨年12月に政治的、道義的責任を取る意味で参議院幹事長を辞任した」と述べたことは、すでに役職辞任によって政治的、道義的責任を取ったのだから、それ以上の責任を取る必要はないとの認識の表れだったとも言える。
その証拠に、世耕氏は昨年末に参議院幹事長のポストを降りた後も、その後任には安倍派の自分の部下や自分の思い通りになるパペット(操り人形)を幹事長ポストへ置くべく画策してきた。そのため参議院幹事長のポストは衆議院側とは異なり年をまたいで2024年1月末にようやく決まることになったが、そんな抵抗もむなしく、参議院幹事長には岸田文雄総理側近の旧宏池会の松山政司氏が就任した。
その後も世耕氏は、参議院の安倍派(清風会)を期別に集めて懇親会を精力的に行い、「せいぜい役職停止1年だろうから、1年経ったら戻ってこられるので、一致団結みんなでがんばっていこう」と声がけしていたという。この時は自らが離党勧告されるなどとは露ほども思っていなかったはずだ。
塩谷立安倍派座長に至っては、「自分は年長者という理由だけの座長で、実権も決定権もないのだから、処分などされるはずもないし、されるべきでもない」と強く信じていた節がある。そのため、離党勧告処分に対し「心外だ」として、党紀委員会に再審請求を検討しているという(2024年4月8日現在)。
塩谷氏は弁明書の中で、「私が座長を務めたのは令和5年8月から本年2月1日までの5カ月余りです。令和4年の打ち合わせ時には、私は下村博文先生と共に会長代理に就いていましたが、そもそも、会長代理は、会則に規定された役職ではなく、清和研の運営に関する決定権限がありません。当時の清和研は、会長不在で決定権限を有する者がいなかったことから、複数の幹部で協議して運営を決めていました。ですから、還付への対応の議論に加わった者の責任の有無は措くとしても、議論に加わった他の方と比較して私の責任の方が重いということはありません」として、「党員資格停止」にとどまった他の衆議院の安倍派幹部たちとの処分の差を不服としている。
しかしその後の政倫審でも安倍派幹部から長年にわたる組織的な裏金づくりが、いつから、どのように始まり、その違法性を誰が気づき、還付金(キックバック)をやめようと話した安倍晋三元総理の遺志を誰がどのように覆したかは明らかにならず、安倍派幹部は全員が「他人事」のようにふるまう始末であったため、国民からの安倍派幹部に処分を科すべきとの声は日に日に大きくなっていった。一部世論調査では、離党などの厳しい処分をすべきとの声は84%にも上った。
結果、岸田総裁含む執行部は、衆議院側の責任者として安倍派座長であった塩谷氏、参議院側の責任者として40人ほどを取りまとめていた参議院安倍派である清風会会長であった世耕氏の2人を、「除名」の次に重い「離党」勧告とし、裏金問題の責任を取らせたのだ。
塩谷氏の言い分には、多少同情の余地もあるが、もし結果責任を取る気がなかったのであれば、そもそも座長を引き受けるべきではなかった。本人の言う通り安部派内での実権はなかったのだろうが、実権の有無に関係なく、組織として責任を取るのがトップの仕事であるということを認識できなければ、どんな組織のトップも務まらない。それが世間の「常識」である。
また、塩谷氏が弁明の中で、岸田総理の責任を追及するというのは筋が違う話だ。最大派閥の安倍派による組織的な裏金づくりこそが国民の自民党への不信感の最大要因という認識、その安倍派の幹部だったという認識が全く欠けているからだ。無派閥の議員が言うのであればまだ理解できるが、まさに「おまいう」だ。
2 離党勧告後は一体どうなるのか
離党勧告された世耕氏と塩谷氏は当然のことながら、永田町の自民党本部への出入り、つまり部会や政調会への出席が不可能となり、政策決定に携わることもできなくなるばかりか、自らが支部長となっている政党支部を解散しなければならない。
このことは、自民党から各所属議員に支給される年1200万円ほどの政党助成金や企業からの寄付の窓口がなくなることを意味する。そして何よりも厳しいのは選挙である。自らの選挙区には自民党所属の国会議員が存在しなくなるゆえ、党本部が「自民党公認候補」を送り込んでくる可能性は濃厚だ。
特に参議院の選挙は3年に一回であり、自民党公認候補を立てなければ、自民党所属議員が3年間不在になることを意味するため、自民党が候補者を立てないということは想定しにくい。世耕氏は来年改選期を迎えるため、無所属のままとなれば、全県(和歌山県)の選挙戦では到底戦えない。支持母体である農協、建設、医療・福祉団体は、仮に新人であっても自民党候補に投票するからだ。同県における最近の参議院選挙の投票率は5割程度であり、組織戦がものを言う。
しかも、裏金づくりにかかわってきた派閥幹部という負の“実績”に加え、「秘書に任せていた」という言い逃れのような物言いなどから無党派層からの心証も悪いだろう。筆者の周りの現役議員を含む知人友人も「世耕さんってこれまでは政策通で発信力もあって、にこにこしていていい人そうと思っていたけれど秘書のせいにしまくる記者会見見て、あんな人だったの? とびっくりよ」と言っていた。そうしたリアクションは1人や2人でない。それだけこれまでの世耕氏の議員としてのイメージづくりは上手だったのだろう。今回の処分は、長年培ってきた信用や実績を一気に失墜させ、議員として“処刑”されるに等しい厳しい内容と言えるだろう。
そういう意味では、同じ安倍派幹部の西村康稔氏(兵庫・九区)はこれまでパワハラや女性問題などで週刊誌を賑わせ叩かれてきた分、逆にイメージダウンは少ないかもしれないという皮肉な結果となった。次の選挙で苦戦必至と見た世耕氏が衆議院への鞍替えを検討しているという報道もあり、その可能性は高いだろうが、こちらも当選のハードルは決して低くはないと言わざるを得ない。
塩谷氏も苦境に立たされている。仮に、次の衆議院選挙で自民党が公認候補を塩谷氏の選挙区(静岡・八区)に送り込まないとしても、戦況は厳しい。そもそも前回の衆議院選挙では選挙区では負けており、比例復活での当選だったからだ。当然、無党派層は塩谷氏に冷たいだろう。次回の選挙は党の比例名簿に掲載してもらえないため当選は前回以上に困難な状況と思われ、すでに赤信号状態である。
3 党員資格停止と役職停止となった5人衆
筆者は、プレジデントオンラインで〈「安倍氏亡きあとの親分は俺だ」内閣改造・党役員人事から読める岸田首相の真の狙い〉(2022年8月13日配信)と題する記事を執筆した。その中で、当時の内閣改造・党役員人事は国民向けというものではなく、「安倍氏亡きあとのリーダーは、安倍派の『松野、西村、萩生田』の中で誰かを優遇するのではなく、平等に扱うことで同派の安定化を図ること、さらには、岸田総理自身の立ち位置を明確にし、安倍氏の代わりになるリーダーは自分だということを党内外に誇示したかったのではないかと推察できる」との見立てを書いた。
今回の処分でも、そのことがよくわかる。筆者の見立てでは5人衆の中でもっとも総理が嫌っていたであろう人物は世耕氏である。参議院の本会議場で、議事録にもしっかり残す形で、岸田総理のリーダーシップや言葉の重み、発信力をこき下ろしたためである。あの時は安倍派議員からも、「さすがにやりすぎ」との声があったという。そのため、参議院側の安倍派の会長という肩書きであることを理由に、派閥座長である塩谷氏とともに、復党もできない可能性がある離党勧告という厳しい処分を下した。
一方、西村康稔氏は党員資格停止1年になり、松野博一氏と萩生田光一氏は党の役職停止1年という処分になった。
党員資格停止は、自民党を離党するわけではないのでいずれ自民党で仕事ができるということが確約されており、離党勧告との大きな違いはそこになる。
つまり前出2人の離党勧告者が再び自民党に戻るためには党紀委員会での再度の議論を経て、復党を認められるかどうかが決められるため、自民党に戻れるかの保障はないのだ。世間的には、「いずれしれっと復党する」との意見もあるが、それほど簡単ではない。
では、党員資格停止はどうか。この場合、1年が過ぎれば自民党員としての資格が戻ってくるものの、次期選挙では自民党の公認がもらえず、自民党での部会などに出ることもできないのは離党勧告者と同様である。そういう意味では、党員資格停止の西村氏と、役職停止の松野氏・萩生田氏の処分には極めて大きな差がある。
西村氏は次の選挙は自民党からの公認をもらえないものの、その選挙区に自民党公認候補が本部から送り込まれることはないため、無所属で勝ち上がってくることができれば議員を続けることは可能で、さらに選挙を経ることで、一定のみそぎが済んだということになれば、大きく影響力がそがれることはないかもしれない。
ただ、西村氏は選挙に強いと言われているものの、最近メディア出演の多い元衆議院議員で、前明石市長の泉房穂氏などが野党候補として出てくれば苦戦を強いられる可能性は高い。
一方、松野氏、萩生田氏は政府や党の役職はすでに降りていることもあり、今回はさらなる処分はなかった。岸田総理も安倍派の中で森喜朗元総理と距離のある松野氏と萩生田氏を頼ってきたという経緯がある。今後は検察審査会での審査が待ち受けているが、松野氏と萩生田氏が次の総裁選でどう動くのか注目される。
今回の処分では、役職が処分の基準となったことに注目したい。なぜなら、金額での処分が検察の処分基準であり金額も処分基準に入れることもできたからだ。
安倍派「座長」や「参議院会長」「事務総長」経験者として、還付金(キックバック)の戻し方を安倍元総理が今のやり方から変えようとしたにもかかわらず、幹部として変えようとしなかったというところに処分の力点が置かれている。
5人衆のうち、世耕氏が離党勧告、西村、高木氏が党員資格停止、松野、萩生田氏が党の役職停止という段階的処分になったことの意味は、金額をあえて処分基準に入れないことで、松野氏、萩生田氏を救い、世耕氏を追い出したことだ。
そこに今回の党内権力闘争の本当の意味が隠されている。
下村氏は、安倍元総理の死後、森元総理によってすでに次期リーダーを外されていた。そして今回、世耕氏は岸田総理によって次期リーダーを外された。生き残ったのは松野氏と萩生田氏だが、検察審査会や総選挙といった壁が立ちはだかる。
国民の支持率が依然低迷し、「なぜ岸田首相自身への処分はないのか」と厳しい意見も出る中、自民党内では「岸田の後も岸田だ」と言われているゆえんはそこにある。今回の処分で、松野氏と萩生田氏のチームは反岸田として動きたいところだろうが、義理と人情が大切な政治の世界でそれを実行したら……。上に行けば行くほど、そのことはよくわかっているはずだ。
とはいえ、いつの時代も政界には魔物が住んでいる。一瞬先は闇であり、どうなるかは誰にもわからない。
●大乱戦の東京15区補選、「岸田政権の命運」も左右 4/9
岸田文雄政権の命運も左右するとされる衆院東京15区、同島根1区、同長崎3区の「4・28トリプル補欠選挙」も、いよいよ16日の告示まで残り1週間。その中で、今後の政局展開とも絡んで注目されているのが、公職選挙法違反で議員辞職した柿沢未途氏(自民離党)の後継を決める衆院東京15区補選だ。
自民が候補者擁立を断念する一方、立憲民主、日本維新の会両党と地域政党「都民ファーストの会」や、「日本保守党」「参政党」などの新興勢力に、地元出身の現・元職の衆院議員までが参戦。しかも、一定以上の得票が見込まれる候補が多いため、各陣営の戦略や思惑が複雑に絡み合う「過去に例のない大乱戦」(自民選対)となっているからだ。
他の2補選をみると、細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区は、自民と野党統一候補の事実上の一騎打ち。裏金事件で東京地検に立件された谷川弥一前衆院議員(自民離党)の議員辞職に伴う長崎3区は、自民の不戦敗で立憲と維新の激突となる。
東京15区に中央政界の注目が集まる理由
そうした中、これまでの各種情勢調査などから、全国有数の保守王国の島根は、故細田氏が、裏金事件を起こした清和研(安倍派)の会長を長期間務めていたことに加え、議長時代の担当女性記者への「セクハラ疑惑」への批判や反発も重なって、「自民敗北の可能性大」(選挙アナリスト)との見方が少なくない。
一方、長崎3区は「『10増10減』に伴い次期衆院選で新2区に移行する」こともあり、自民は土壇場で不戦敗を決定。これを受け、前回衆院選の同区で比例復活した立憲現職と、維新の新人が「野党第1党争いを意識したがっぷり四つの戦い」を展開する見通しだ。
こうしたことから、3補選の構図は自民にとって「形式的には劣勢1不戦敗2の最悪の事態」(選挙アナリスト)となる。ただ、岸田首相や自民執行部は「東京15区で都民ファ候補への相乗りで勝てれば、全敗は免れる」(自民選対)と判断しているとされる。だからこそ、同区の戦いに中央政界の注目が集まるのだ。 
須藤氏の参戦で選挙戦の構図がさらに複雑化
自民党は2日、東京15区と長崎3区での公認候補擁立見送りを正式決定。これにより、同党の公認候補擁立は島根1区だけとなった。同日午前、茂木敏充幹事長が萩生田光一・党東京都連会長、古賀友一郎・党長崎県連会長とそれぞれ会談した際、茂木氏は二つの補選が「自民現職議員による『政治とカネ』の問題が発端で、擁立しにくい状況だった」として、擁立見送りを表明した。
その一方で、公職選挙法違反で有罪が確定した柿沢未途前法務副大臣=自民離党=の辞職による東京15区補選では、事実上地域政党・都民ファを率いる小池百合子都知事が、3月29日に作家の乙武洋匡氏(47)の擁立を公表した際、茂木氏は無所属で立つ乙武氏を自民が推薦する方針を示していた。
これに対し、3日には立憲民主を離党していた元格闘家の須藤元気参院議員(46)が無所属での出馬を表明。翌4日には江東区議の酒井菜摘氏(37)が立憲民主から立候補を表明したことで、立憲民主陣営は「実質的には分裂選挙」(党幹部)となった。
これにより、乙武、須藤、酒井氏以外で東京15区の立候補予定者や擁立の調整が進んでいるのは維新・金澤結衣氏(33)=元会社員=、参政党・吉川里奈氏(36)=看護師=、日本保守党・飯山陽氏(48)=イスラム思想研究者=、政治団体「つばさの党」・根本良輔(29)=党幹事長=、無所属・秋元司氏(52)=元衆院議員=の6人となる。
組織票で優位の乙武氏に「女性問題」の不安
この顔ぶれの中では、同区でも圧倒的な人気を誇る小池都知事をバックに出馬し、自民も支持表明している乙武氏が「組織票も含めて最も優位な立場」(選挙アナリスト)とみられている。
ただ、過去に女性問題を起こして「涙の謝罪」でザンゲした乙武氏については、公明党が支援に慎重なのが「大きな不安要因」(都民ファ選対)だ。公明党東京都本部代表の高木陽介政調会長は3日の記者会見で、乙武氏について、「(女性問題で)地元の声は大変厳しい状況だ」と指摘するなど、支援見送りの可能性も示唆した。
そうした中、乙武氏は8日の記者会見で「無所属での出馬」を正式に表明したうえで、「誰よりもサポートを受けることの重要性を実感してきた私だからこそ、政治によってを人々をサポートしていきたい」と熱っぽく有権者の支持を訴えた。
立憲民主も、8日に共産が候補を取り下げたことで、同党と野共闘態勢は確保したものの、酒井氏と須藤氏の“競合”で、「支持票が分かれて当選の目途が立たない」(党選対)と頭を抱える。同党内ではもともと、須藤氏を推す声が根強かったが、「前回都知事選での党方針に反して離党したことを問題視する党執行部が、最終的に酒井氏に乗り換えた」(同)のが実態とされる。
これに反発した須藤氏は3日の出馬会見で「(現時点では)江東区生まれ江東区育ちは私だけ」「自民党は一度壊してつくり直すべき。与党も野党も壊すべきだ。私は右でも左でもない、候補者が乱立した方が面白い戦いができる」と胸を張った。ただ、江東区を地元とする現職議員の須藤氏の挑戦が、補選の構図をさらに複雑化させた」(有力ジャーナリスト)ことは否定できない。
保守票割れ、無党派層の動向が勝敗のカギに
さらに、当初、乙武氏の支援を表明していた国民民主党は榛葉賀津也幹事長が5日の記者会見で、「自民党が推薦を出すような人は応援できない」と明言、自民が乙武氏を推薦か支持した場合は支援しない考えを示したことで、「都民ファの推薦候補を自公と国民民主が支援する構図は完全に崩壊した」との指摘も少なくない。
こうしたことから、選挙アナリストの間では「表向きは一定の組織票が見込める乙武、酒井両氏が優勢にみえるが、日本保守党、参政党に加えて、秋元氏の挑戦で保守票が割れるため、無党派層の動向が優劣のカギになる」との見方が広がる。
特に、自民現職議員の「政治とカネ」の問題で辞職が連続した東京15区では「有権者の『反自民』意識は極めて強い」(有力選挙アナリスト)とみられている。しかも「自民候補不在の中で、無党派層が一体誰に投票するのか。さらに、投票率も影響する可能性が大きく、今回ばかりは極めて読みにくい選挙戦になる」(同)と嘆息する。
いずれにしても、今回の東京15区補選の結果は「岸田政権にとって、トリプル補選全敗の危機を回避できるかどうかのカギとなる」(官邸筋)ことは間違いない。それも踏まえ、岸田首相や自民執行部の間からは「投開票日までの3週間には、岸田首相の国賓訪米(8日から14日)があり、それと並行して景気回復ムードが広がれば、党・内閣支持率も底打ちするはず」(自民幹部)との期待の声も漏れる。
しかし、野党側は今週中に衆参に設置される見通しの「政治改革特別委員会」で、裏金事件の追及をさらに強める構え。さらに、最新の世論調査結果でも「国民の大多数が岸田首相や自民党への不信、不満を募らせている」(有力アナリスト)だけに、「岸田首相らの思惑通りの展開になるかどうかは極めて不透明」(自民長老)だ。
●「国賓待遇」首相の米訪問…到着も“スペシャル” 4/9
9年ぶりとなる首相の国賓待遇でのアメリカ訪問。岸田首相は日本時間の9日午前6時半ごろ首都ワシントンに到着したが、出迎えから「スペシャルゲスト」扱いとなった。
9年ぶりの「国賓待遇」での米訪問…到着から“スペシャル”
「国費待遇」でのアメリカ訪問は、空港到着から“スペシャル”だった。
日本時間9日午前6時半ごろ、岸田首相を乗せた政府専用機がアメリカの首都ワシントン近郊にあるアンドリュース空軍基地に降り立った。そこには、通常のアメリカ訪問の出迎え時にはいない、儀仗隊、音楽隊が待ち構え、国賓待遇の首相を歓迎した。
そして首相が降りるタラップの前には、こちらも通常の訪問時にはない「赤絨毯」が用意された。この赤絨毯は「国賓待遇」の首相と裕子夫人専用に敷かれたもののようで、通常は首相と同じ政府専用機の前方から降りる官房副長官や総理秘書官ら政府高官も、赤絨毯を歩くことは許されず、いつもとは違う専用機の後方から降りることを強いられる事態となった。
30年以上、外交官経験のある外務省幹部も「こんな景色は外交官人生で最初で最後ですね」と漏らした。
公式晩餐会に「YOASOBI」招待…首相は「輪島塗」贈呈か
日本時間9日から14日までの予定の、岸田首相のアメリカ訪問。11日未明には日米首脳会談、12日未明には日本の首相として9年ぶり2人目となる米議会上下両院の合同会議で演説に臨む。
その夜には、バイデン大統領主催の公式晩餐会。政府関係者によればアメリカでも知名度が高い、音楽ユニット「YOASOBI」が招待されているという。
首相はバイデン大統領へのお土産として、能登半島地震の被災地・石川県の伝統工芸品「輪島塗」を贈ることを検討している。
裏金問題でピンチ…「得意の外交」で政権浮揚なるか?
年末から裏金問題で政権のピンチが続く中、総理周辺は「得意の外交で政権浮揚につなげたい」と意気込む。去年もいわゆる統一教会の問題などで追い込まれた局面を「電撃的なウクライナ訪問」や「G7広島サミット」など、外交の成果をあげることで政権浮揚につなげていた。
ある政府関係者は「裏金問題での逆風を少しでもアメリカで変えることができたら」と期待を寄せる。
●岸田総理“訪米” 米は歓迎ムード…バイデン政権の狙いは 4/9
岸田総理を迎えるバイデン政権の狙いはどこにあるのか。ワシントンからの報告です。
ホワイトハウスの前には、日米両国の国旗が至る所に掲げられ、歓迎ムードを演出しています。
バイデン政権になって国賓待遇で招待されたのは岸田総理で5人目で、日本の首相としては9年ぶりです。
バイデン大統領は日本が防衛費を増額したことなどについて、高く評価しています。
対中国を念頭に10日の日米首脳会談では、安全保障分野で連帯強化を打ち出すほか、フィリピンを加えた3カ国による史上初めての首脳会談も予定されています。
バイデン大統領は、日米関係を軸に他国との連携を強化していくことで同盟国を軽視するトランプ氏との違いを鮮明にし、大統領選挙に向けて外交の成果にしたい考えです。
●倒産急増「日本のパン屋」が抱える特殊な問題、消費者にとっては嬉しいが、店にとっては負担なパンの種類 4/9
日本にパン好きは多いが、町のパン屋は危機を迎えている――。東京商工リサーチによると、2023年度、町のパン屋の倒産は過去最多の37件に上った。実は2019年度にも、倒産件数がそのとき過去最多の31件(帝国データバンク調べ)となり、話題になっていた。
パンデミックという特殊事態が起こり、各種新型コロナ関連支援や、外食の制限でテイクアウト需要が伸びたことなどで延命できたパン屋も、もとの日常が戻るにつれ、抱えていた課題が顕在化し、耐えきれなくなったのではないだろうか?  何が問題なのか、改めて考えてみると、日本のパン屋が抱える特殊な問題が見えてきた。
薄利多売のうえ、手間がかかる
倒産が増える要因としてよく指摘されるのは、物価高やロシア-ウクライナ戦争による小麦価格の高騰、原油高、人手不足や人件費の上昇といったコスト高だ。
パン屋はもともと、薄利多売の商売である。私はこれまで大手メーカーを含めてパン屋の取材を10年近く続けてきたが、よく聞くのは、「儲けようと思ってこの商売を始めても続かない」という言葉だ。
大量生産が前提のメーカーですら、手作業の要素を残す場合があるなど、製造に手がかかるほか、発酵食品ゆえの手間もある。もちろん、冷蔵庫で長時間発酵させるなど、労働時間を短縮する努力を進めてきた個人店も多いが、基本的に煩雑で体力が必要な仕事であることは変わらない。
そのうえ、近年は、インストアベーカリーを始めるスーパーが増え、焼き立てパンを売りにするなど、ライバルが増えている。
加えてパンはロス率が高い食品でもある。近年は、古くなったがまだ食べられるパンを扱うビジネスも増えたが、全体から見ればごくわずか。前述の各種要因のほか、実はこのロス率の高さに、倒産が増える要因があると私はにらんでいる。そしてもう1つ、考えられる別の理由がある。この2点について、掘り下げたい。
食事パンより菓子パン・総菜パンが人気
ロス率が高くなる背景に、日本特有の事情がある。パンを中心的食糧にしてきたヨーロッパでは、古くなったパンの再利用方法が発達している。フレンチトーストやパン粉、クルトン、ラスクのほか、日本ではあまり見かけないが、国によって「クネル」「クネーデル」などと呼ばれる団子に加工し、食べる料理もある。それができるのは、再利用されるパンがシンプルな食事パンだからである。
しかし、日本では菓子パン・総菜パンの人気が非常に高く、特に町のパン屋では数十、100といったバラエティを誇る店が多い。セルフサービスの店では、レジ待ちの行列に、トレイいっぱいに菓子パン・総菜パンを並べている人をよく見かける。
菓子パン・総菜パンの人気の高さは、総務省の家計調査からわかる。2人以上世帯における2023年のパン消費金額は、1位が神戸市で4万1183円だったが、そのうち食パンは1万3468円、と約3分の1に過ぎない。朝食にパンを選ぶ、ハード系パンを好む人が多いなどパン好きで知られる神戸市民ですら、菓子パン・総菜パンにより多くのお金を使っている。
食パンなどの食事パンは、2〜3日食べられるものが多いし、冷凍保存すれば何日も持つ。しかし、菓子パン・総菜パンは中の具材によって冷凍に向かないものも多く、基本的にその日に食べ切る必要があるものがほとんどだ。食事パンはラスクにする店もあるが、売れ残った菓子パン・総菜パンは捨てざるを得ない。
また、菓子パン・総菜パンは製造にも、より手間やコストがかかる。具材製造を専業メーカーに外注するパン屋もあるし、地元の飲食店とコラボして人気店のカレーを入れたカレーパンにするなどと、あえて外注を売りにする店もある。一方で、店内での「手作り」を売りにするパン屋もある。こちらは、具材作りの負担も大きい。
本来、パン屋はパン生地の質が売りになるはずだが、菓子パン・総菜パンについては具が目当てで、パン生地の味を気にしない客もいるのではないか。それは、誇るべきパンの味が二の次になってしまうことにつながり、本来伸ばすべき技術を伸ばせずにいるパン屋もありそうだ。本来の仕事でないはずの、菓子パン・総菜パンの開発と製造の負担が大き過ぎ、パン屋を苦しめているようにも見える。
15年にしてパンブームの収束の気配
パンブームが始まって約15年。そろそろブーム自体が収束している可能性も高い。実際、高級食パンブームの火付け役の1つ、「乃が美」のフランチャイズ店が2023年末時点で、最盛期の半分以下になるなど、チェーン店でも閉店が目立つ。
高級パンのブームは2013年に始まったが、急速に広がり異業種からの参入も多かったせいか、必ずしも質が高いとは言えないという声もある。多くなり過ぎたこともあり、10年も経てば飽きられても不思議はない。
また、小麦価格が上昇したここ1〜2年はコメ回帰現象も目立つ。ハンバーグ専門店などご飯のおいしさを前に出す定食屋が増え、おにぎりブームも加速し、パンではなくご飯を使った食べ物を選ぶ人も多いのではないか。
一方で、若手オーナーや新規参入者が、時代のニーズをつかんだ商品構成や店の構えで人気になる店を作る、あるいは、ロス率を減らす工夫を凝らす店が出てきている。ブームにあやかろうとした新規参入者や、変化することで失敗を恐れる老舗が、時代から取り残された可能性も否めない。
ここに、パン屋倒産が相次ぐもう1つの理由が見える。老舗にせよ、新規出店にせよ、町に愛される努力をし続けない個人店は定着が難しい。商品の質はもちろん、ハード・ソフトのどちらかあるいは両方の問題で店の雰囲気が悪くても、客離れは起こりやすい。
客離れを恐れ、コストの上昇を価格転嫁できない店も多いと思われるが、それでは持続可能な商売にならない。例えば店頭に張り紙をして説明するなど、価格上昇を認めてもらう努力はしているだろうか。ふだんから客とコミュニケーションをしていてファンが多い店なら、コストに見合った販売価格のアップはできるはずだ。
パン屋も「変化」を求められている
こうして分析してみると、パン屋の倒産ラッシュは、変化に対応できない店が淘汰されている現象と言えなくもない。総務省家計調査による2人以上世帯のパンの消費金額自体は、2010年以降上昇傾向にあり、パン自体の人気は今もあるからだ。
消費者の目は厳しいが、インフレが必要な時代になったことも理解されてきている。インフレは、消費者であると同時に働く人でもある皆が、必要としているからだ。
時代に合った質と価格を提供すべく、パン屋も発想の転換を求められている。そして、消費者である私たちも、価格上昇を受け入れなければならないだろう。 

 

●「どうぞお許しを」川勝知事が入学式で謝罪 “職業差別”発言で辞任へ “裏金”世耕氏は「変化への対応」を力説 4/10
静岡県立大学の入学式で9日、川勝平太知事が「職業差別」と受け取られかねない発言を謝罪した。川勝知事は、10日に退職届を提出する予定。一方、裏金問題で自民党を離党した世耕弘成参院議員は、近畿大学の入学式で変化への対応の重要性を強調した。
謝罪後にうっすらと笑みを浮かべる
9日午前、静岡県立大学の入学式で、職業差別発言が問題となっている静岡・川勝平太知事があいさつの冒頭で「謝罪」を行った。
川勝知事は「私の言動が大きく騒がせることになりまして、皆さま方の中に不愉快な思い、あるいは傷ついた人がいれば本意ではございません。どうぞお許しください」と謝罪した。
川勝知事は、こう言い終えると、なぜかうっすら笑みを浮かべた。
川勝知事は1日、「毎日毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、あるいはものを作ったりとかということと違って、基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たち」と発言。
「職業差別」ともとれるこの発言が問題となると、その翌日に、川勝知事は辞意を表明。
さらに5日には、自らの発言を撤回した。
川勝知事は5日、「職業差別ととらえられかねないところは、全部削除して撤回いたします」と話した。
発言の理由について、原稿を読まない自分のスタイルにあったと釈明。
川勝知事は「自分の言葉で『ハートトゥハート』で、相手に訴えるというのが筋だと思っていました」とも話してる。
9日の川勝知事のあいさつでは、「(静岡)県立大学は地域の誇る“知の拠点”でございます」と、スタイルを改めたのだろうか、用意した原稿に目を落としたまま、祝辞を述べた。
川勝知事は10日、県議会に退職届を提出する予定だ。
自民党離党の世耕氏 自身の裏金問題には触れず
一方、裏金問題をめぐり、4日に自民党を離党した世耕弘成参院議員は6日、自らが理事長を務める近畿大学の入学式に参列した。
世耕参院議員は新入生に向け、「ある思い」を語っていた。
近畿大学理事長・世耕弘成参院議員は「みなさんが近畿大学で過ごされる4年間、6年間、あるいは2年間は、本当に変化のスピードの速い時代になる。こういった変化に対応していかなければいけない」と伝えた。
壇上で「変化への対応」が大切だと力説。
その後も、世耕参院議員は「社会がどんな変化を、変化の激しい社会における自分の立ち位置を」と発言。
自分自身も自民党を離党するなど変化の真っただ中にある世耕参院議員。一方で、自らの裏金問題に触れる場面はなかった。
●小泉進次郎氏「見たくない景色が広がっていました」 4/10
自民党の小泉進次郎元環境相が10日までに、自身のインスタグラムを更新。花見で「見たくない景色広がっていた」ことを報告した。
小泉氏は「夜、ある公園の夜桜が綺麗だなぁと公園内を歩いていたら、桜の木の下は桜の美しさとは対照的な見たくない景色が広がっていました。残念すぎる」とつづり、桜の木の他に、ペットボトルやビニール袋、割り箸などのゴミが散乱している様子をアップした。ハッシュタグでは「#桜」「#花見」「#公園」「#ゴミ」などと記述した。
この投稿にユーザーからは「確かに残念です お花も泣いてます」「サクラ満開は皆が感動するけど…ゴミの散乱は感動しない…マナーを守って欲しいです」「まぁザンネンですね 子ども達も見てるのに」などの声が上がった。
●「4億円に迫る報酬」“辞表提出”静岡県の川勝平太知事(75)が「暴言」と「リニア反対」の末に稼いだカネ「退職金ゼロの公約を掲げ当選した時もあったが…」 4/10
4月10日に辞表を提出し、4期目の任期途中で辞職する静岡県の川勝平太知事(75)が、2009年の初当選から15年間で累計4億円に迫る報酬を受け取る見通しであることが「週刊文春」の取材で分かった。
川勝氏は4月1日の新入職員への訓示のなかで、職業差別と受け取られかねない発言をして批判にさらされていた。翌2日には、職業差別発言は報道の切り取りであると“逆ギレ”しながら、「この職を辞そうと思っている」と、辞意を表明した。
任期15年の間に受け取った報酬総額は…
静岡県知事の報酬は毎年の給与、ボーナス、そして4年の任期ごとに支払われる退職金からなる。給与とボーナス合わせて毎年2000万円前後が、退職金は4年の任期を勤めあげるごとに約4000万円が支給される。
川勝前知事の初当選は2009年7月。以来、連続4期当選し、15年にわたり知事の座にあった。単純計算で給与とボーナスあわせて約3億円が支給されることになる。
退職金に関してはどうか。川勝氏は09年の出馬時に「退職金ゼロ」の公約を掲げ当選した。実際、1期目はその公約を守って退職金を辞退。しかし2期目、3期目の退職金は満額受け取っており、任期途中で辞職することになった今期の退職金は、残りの任期分を差っ引いても約3000万円が支給される見込みだ。
実は川勝氏、舌禍の責をとって過去に一度ボーナスを返上したことがある。その額約400万円。
上記の公表された各数字を合算すると、川勝氏は推定4億円に迫るカネを手にして県知事の座を去ることになりそうだ。
知事人生のほとんどが度々の失言とリニアへの強硬な反対に彩られた印象のある川勝氏。はたしてその15年間の真の功罪とは――。 ・・・
●「講演会100本」「資産億超え」杉村太蔵の逆転人生 パワハラ長谷川岳議員との因縁=@4/10
運命とはわからないものだ。
演歌歌手・吉幾三から「態度が横柄な国会議員」と暴露された自民党の長谷川岳参院議員と、元衆院議員でタレントの杉村太蔵の浅からぬ因縁≠ェおもしろい。
吉は自身のユーチューブで長谷川議員が飛行機のファーストクラスに同乗した際にクレームをつける姿を目撃したといい「横着な態度というのはやめてもらいたい」と告発=Bこれ以降、同議員のパワハラエピソードが出るわ、出るわ…。
HBC北海道放送は9日、北海道の幹部職員4人が長谷川議員への説明のため、昨年1年間に東京の同議員事務所などに出張した回数は70回で「およそ550万円」の費用がかかったと報じた。
週刊文春も「被害者告発『死人が出る』長谷川岳の地獄パワハラ」と大報道。これを受け、長谷川議員は自身ブログで「私の過去の表現方法をめぐる報道がなされ、不徳の致すところです」とつづり、6日にも「表現方法に関して無自覚だったと心から反省している」と釈明した。
連日繰り返された報道で長谷川岳=パワハラのイメージが定着。これを払拭するのは、容易ではない。
「あれだけ横柄な態度をとりながら、マスコミの前で釈明する長谷川議員は汗ダラダラ。何とも言えぬ小ささ≠感じましたね」とはテレビ関係者だ。
そんな長谷川議員の姿を懐かしそうに見ていたのが、杉村だ。
杉村は2005年の衆院選に自民党から比例代表で出馬し26歳の若さで初当選。「早く料亭に行きたい」「BMWに乗りたい」などの発言が話題となり、政界の問題児として認知された。
09年衆院選では出身の北海道1区から自民党の公認候補として出馬を目指していたが、そこに現れたのが長谷川議員だった。
党道連は長谷川氏を公認候補に選び、杉村氏は出馬を辞退。10日放送のテレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」に出演した杉村は当時について「僕が辞退を表明した後、長谷川さんと食事をしたんです。その時、長谷川さんの擁立論が出て『僕でも杉村太蔵より、YOSAKOIソーラン祭り創設者の方(長谷川氏)がいいと思います。頑張ってください』と言った記憶があります」と回顧。「あの時は本当に、くやしかった」と述べたが、直後に「くやしかったんですけど、まさかその後、こんな素晴らしい人生が待っているとは思っていなかった。こうしてTVで使っていただけて。何が起きるか分かりませんね」と笑顔で語った。
杉村は政界引退後、タレントとしてテレビ番組に引っ張りダコ。講演会依頼も殺到し、実業家の堀江貴文氏からは「あの人、講演会で1回50〜60万円でやってるんでしょ? それ100本こなして稼いでますって言っていた」と暴露された。事実ならば、講演会だけで5000〜6000万円の収入があることになる。
加えて投資家としての一面も持ち、関係者によると「株や不動産投資で、資産はゆうに億を超えています」という。
窮地の長谷川議員とは対照的に、完全に「勝ち組」の杉村。つくづく人生、何が起きるかわからない――。
●裏金問題めぐり自民党の茂木敏充幹事長 県選出の野上浩太郎参議院議員と田畑裕明衆議院議員に厳重注意 4/10
派閥の裏金問題をめぐって、自民党の茂木敏充幹事長は、富山県選出の野上浩太郎参議院議員と田畑裕明衆議院議員に対し、厳重注意を行ったことを明らかにしました。
自民党 茂木敏充幹事長:「結果的に不記載を招いてしまったということについては、しっかり管理する責任があるということで、私の方から個別に厳重注意をさせていただきました。お二人とも今後はこういうことがないようにしっかり対応したいというお話でした。党としてもこれからそれぞれの議員がどういった形で責任をもって政治資金の管理をしていくかということは見ていきたい」
収支報告書への不記載額は、野上議員が100万円、田畑議員が68万円で、自民党は不記載額500万円未満の議員には、茂木幹事長が厳重注意とする方針を示していました。
●「岸田首相はかなりムッとしていた」 即日離党の世耕氏と悠然と引退の二階氏に“差”が出た理由 4/10
「いつ選挙になってもおかしくない雰囲気です」。和歌山県内の首長はそう語る。県内の自民党議員を牽引してきた2人の重鎮が相次いで裏金問題の責任を取ることになった和歌山。早くも県内政界の再編が始動している。
4月4日、自民党は裏金事件を受けて安倍派、二階派計39人の処分を発表。安倍派幹部で参院議員の世耕弘成前参院幹事長を離党勧告とした。世耕氏は即日、これを受け入れて離党届を提出、「無所属」となった。
一方、これに先立ち、二階俊博元幹事長も3月25日、裏金問題の責任を取り、次の解散総選挙には出馬しない「政界引退」を表明していた。
無所属で衆院選へ?
翌5日。世耕氏の地元、和歌山では、世耕氏の今後の身の振り方を伝えるニュースが流れた。「世耕氏が参院から衆院に鞍替えし、無所属で出馬の意向」。和歌山県の政治情勢は、長く二階俊博元幹事長が牛耳ってきた。そこへ、近年は世耕氏が経産相、参院幹事長と要職につくことで頭角を現わし、和歌山県の自民党は二階氏vs.世耕氏という構図となってきた。
参院議員として当選5回を重ねる世耕氏は、これまで何度も衆院への転身を噂されてきた。その際に、ターゲットに上がっていたのは現在の和歌山3区、二階氏の地盤だ。「2021年の衆院選では、直前まで二階氏と争う覚悟で準備していた。最後に思いとどまった」と世耕氏の支援者は打ち明ける。裏金問題で2人が一度に「失脚」してしまい、県政界は混迷を極めているのである。
衆院鞍替えのニュースは、世耕氏側が飛ばしたアドバルーンだったのではないかという見方がある。
「まず、参院から衆院転身の情報を流して二階氏陣営の動きを見ようとしたのでしょう。最初は支援者へ挨拶まわりにくるらしいという話だったが、実際には来なかった」(前出・世耕氏の支援者)
次の衆院選では、定数を人口に応じて増減させる「アダムズ方式」を初適用し、15都県で選挙区が「10増10減」となる。和歌山は3から2に減る。世耕氏が狙うとみられるのは新しい和歌山2区。ここは自民党県連がすでに二階氏を支部長にと決めていた。
「やりすぎ」が仇に?
世耕氏は自らの処分について、まさか離党勧告という厳しいものになるとは想定していなかったとされる。二階氏が記者会見で政界引退を表明した後、急激に世耕氏の処分が厳しいものになるとする報道が相次いだ。同じ安倍派の参院議員によると、世耕氏は「どうしてそんな処分になるんだ」「岸田首相は何を考えているのか」とかなり怒っていたという。
「世耕氏は最大派閥安倍派の参院のトップに君臨して我が世の春だった。4月4日の数日前まで、処分をひっくり返すとも言っていた。ただ、岸田首相に対してやり過ぎたことで、厳しい処分につながったように思います」
岸田首相。考え込む姿が多くなってきた
昨年10月、代表質問に立った世耕氏は、
「支持率が向上しない最大の原因は、国民が期待するリーダーとしての姿が示せていないということに尽きる」
「国民が岸田政権に対し、もう一つ物足りないと感じているのはスピード感」
などと政府を批判した。これが「やり過ぎ」という理由の一つだ。
「岸田首相はかなりムッとしていた。その後に安倍派などの裏金事件が表面化。そりゃ厳しい対応に傾きますよね」(官邸関係者)
世耕氏にとっての想定外はさらに続く。4月6日に行われた近畿大学の入学式。理事長を務める世耕氏は挨拶に立ち、
「激しい社会における自分の立ち位置をしっかり把握してください」
と激励した。このスピーチが厳しいバッシングを浴びることになった。
立憲民主党の蓮舫氏は〈ご自身の立ち位置が見えていない方に言われても…〉と早速反応。SNSでは世耕氏関連のキーワードが急上昇した。
逆風からの起死回生を期す世耕氏に対して、二階氏は悠然と構えているようだ。
「安倍派も二階派も同罪。安倍派が責任のなすりあいをする中で、絶妙のタイミングで政界引退を表明した二階氏の潔さが際立った。引退表明によって、岸田首相も二階氏には処分が打てなくなったが、世耕氏には厳しくやれるようになった」
宏池会の職員から自民党政務調査会の調査役を長年務めた田村重信氏は そう分析する。
二階俊博・元幹事長。衆院本会議場で
絶妙の引き際を演出
安倍派は最大派閥としてキングメーカーとなったが、裏金問題によって岸田首相にはしごを外された。二階氏は非主流派とされながら最後は岸田首相にしっかり恩を売った。二階氏の引退表明直後の夕刻、岸田首相がわざわざ、記者団に話した言葉に二階氏への配慮が読み取れる。
「自民党の再起を強く促す出所進退であると思いました。そのうえで二階氏とお会いさせていただきました。50年にも及ぶ政治経験、印象深いお話を聞かせていただいた」
岸田首相の思いを代弁しているのか、茂木敏充幹事長の記者会見では、世耕氏ら安倍派幹部に対して厳しい言葉が目立った。
「不正・不適切な会計処理について、派閥幹部の立場にありながら適切な対応を取らず、大きな政治不信を招いた者の政治責任は極めて重い」
和歌山における自民党の勢力図はこれからどうなるのか。注目はもちろん二階氏の後継候補だ。二階氏は記者会見で「それは和歌山3区の皆さんが決めることだ」と語った。しかし地元では、二階氏の秘書を務める長男か、三男か、などと、身内から後継を出すのが決まったのも同然と受け止めているという。二階氏の支援者はこう話す。
「二階氏は政界引退表明後も『県連で後継は決めればいい』とすっかり余裕で、世耕氏の処分は全く意に介さない感じです。無所属で、かつ裏金事件のイメージダウンが激しい世耕氏ではとても勝ち目がないと誰もが考えますよ。ただ、二階氏も世襲批判が巻き起こるのは間違いない。もし世耕氏にチャンスがあるなら、そこでしょう」
「どっち派」のリストも
和歌山の自民党県議によると、「この議員は二階氏側、この町長は世耕氏側」というリストまで出回っているという。二階vs.世耕となれば、県内を衆院と参院で棲み分けていた2者による初めての激突になる。
世耕氏の参院議員の任期は来年夏まで 。今のまま参院議員を続けるにしても、二階氏の牙城に挑むにしても、当面は無所属での活動になる。
「政治家にとって最も実力を試されるのは無所属での選挙。世耕氏が衆院か参院かどちらを選ぶのかはわかりませんが、これを勝ち抜けば、彼にとっても新たな展開が生まれてくるはずです」(田村氏)
●米上院超党派議員団、尖閣へ安保条約適用を明記した決議案提出 岸田首相訪米を歓迎 4/10
米上院の超党派議員団は9日、岸田文雄首相の国賓待遇での訪米を歓迎し、日米同盟の重要性を確認する決議案を提出した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)が米国による防衛義務を定めた日米安保条約第5条の適用対象だと明記した。
共同提出者には上院外交委員会の民主党カーディン委員長と共和党リッシュ筆頭委員のほか、駐日大使を務めた共和党ハガティ上院議員、民主党の日系ヒロノ上院議員らが名を連ねた。
決議案は、岸田政権が防衛力強化の柱となる反撃能力の保有や、防衛費を国内総生産(GDP)比2%に引き上げる方針を決め、国家安全保障戦略の現代化へ「歴史的な一歩を踏み出した」と称賛した。
ロシアによるウクライナ侵攻後、日本がウクライナを支援し、経済再建に向けて「日ウクライナ経済復興推進会議」を2月に開催したことも評価。日米韓の協力強化がインド太平洋地域の安全保障に欠かせないと強調した。
●安倍派幹部は処分しても、自分の責任は問わない…岸田首相が「国民に判断してもらう」と言い放った背景 4/10
安倍派の塩谷、世耕両氏に離党勧告
自民党は、派閥の政治資金規正法違反事件をめぐって、4月4日に党紀委員会を開き、安倍派元幹部の塩谷立元文部科学相、世耕弘成前参院幹事長を離党勧告などとする処分を決定した。
事前の予想よりも処分がやや重くなったのは、二階俊博元幹事長が3月25日に次期衆院選に出馬しないと表明し、自ら政治責任を取ったこと、各種世論調査で安倍派元幹部に厳しい処分を求める声が上がり、岸田文雄首相(自民党総裁)が党内の反発も限定的だと踏んだことによるのだろう。
首相は今回の処分決定で政治責任問題に幕を引きたい考えだが、処分の有無や軽重をめぐる駆け引きを通じ、9月の総裁選に向けた党内抗争が始まっている。首相は総裁再選を目指し、4月28日投票の衆院3補選で「1勝」をもぎ取りたい考えだが、情勢は明るくなく、政権浮揚の兆しはうかがえない。
「自らの政治的責任を明らかにする」
二階氏が衆院選不出馬を表明した3月25日は、岸田首相が処分検討に向け、塩谷氏ら安倍派元幹部4氏に再聴取を開始する26日の前日というタイミングだった。
二階氏は党本部での記者会見で「派閥の政治資金問題が政治不信を招く要因となったことに、国民に深くおわび申し上げる。自らの政治的責任を明らかにするべく、岸田総裁に次期衆院選に出馬しないことを伝えた」と明らかにした。
重い決断だが、これで処分を免れるという計算も入っているだろう。結果的に誰一人自発的に責任を取ろうとしない安倍派元幹部への心理的圧力になったに違いない。
二階氏に関しては、秘書が資金管理団体の政治資金収支報告書に二階派からのパーティー収入3526万円(党内最高額)を記載しなかったとして略式起訴され、有罪が確定した。同派の元会計責任者はパーティー収入など計約2億6400万円の収入を派閥の収支報告書に記載しなかったとして在宅起訴されている。
これについて、二階氏は記者会見で「政治責任が全て監督責任者である私自身にあるのは当然だ」と述べたが、自身にかかわる政治資金問題の内容については説明を避けた。
「その歳来るんだよ。ばかやろう」
二階氏は、区割り変更に伴う次期衆院選の和歌山2区の後継候補については「地元の判断に任せる」と述べるにとどめた。
毎日放送記者から自身の年齢(85歳)も不出馬の理由に入るかと問われ、「年齢に制限があるか? お前もその歳来るんだよ」といら立ち、横を向いて「ばかやろう」と囁いた場面は、テレビ報道などで伝えられた。
衆院当選13回、経済産業相や総務会長を歴任し、2016年8月から歴代最長の5年2カ月も幹事長を務めた実績がある政治家が、政治責任を取るとの決断に対する質問としては粗雑かつ非礼というものだろう。
岸田首相は、25日の参院予算委員会で、二階氏から不出馬の意向をその日朝に伝えられたとし、「熟慮の上の判断だろうから、重く受け止めると申し上げた」と明かした。予算委終了後には二階氏を党本部に訪ね、「党の功労者として、今後もご指導ください」などとねぎらい、長きにわたった議員生活の思い出話に耳を傾けたという。
首相にとっては、これまでの党への貢献を考えれば、二階氏の処分が最大の難題だっただけに、不出馬表明に安堵したというのが本心だろう。首相はその後、記者団に「自民党の再起を強く促す出処進退であると、重く受け止めた」と高揚気味に語っている。
「OBになってもっと自由に活動される」
実は、二階氏のような実力者なら、議席バッジを外しても、政治活動にそれほど影響が及ばない。森喜朗元首相、古賀誠元幹事長、故青木幹雄元官房長官らが議席を持たずとも、個人事務所に政治家や官僚、陳情客が訪れ、政局や政策に政治力を行使したように、二階氏も事実上、二階派を率い、国土強靭化などの政策に関与していくのだろう。
この点、二階派の事務総長を務めた武田良太元総務相は3月27日のBS日テレ番組で、二階氏について「365日政治を考えている」「卒業され、OBになってもっと自由に活動されるフィールドが広がると思う」と語っている。
二階氏は、今回の処分を免れることによって、次期衆院選まで議席を保ち、党和歌山県連会長として、衆院和歌山2区の後継者選びにも発言力を持つ可能性がある。二階氏は、参院和歌山選挙区選出で衆院への鞍替えを広言している世耕氏を警戒してきた。二階氏が三男で秘書の伸康氏を後継者にしたい思惑があるのに対し、世耕氏は二階氏が引退し、子息にバトンを渡すタイミングで衆院選に出馬する意向を示していたからだ。
今回の不出馬表明は、その時点で世耕氏に対して重い処分が予想されており、仮に次期衆院選に非公認で出馬すれば、反党行為だとして除名され、無所属で当選しても、復党まで長い道のりになることも、判断材料になったのではないか。
下村、西村、高木3氏に党員資格停止
4月4日夕の党紀委員会では、政治資金収支報告書への不記載額が2018〜22年の5年間で500万円以上だった安倍、二階両派議員ら39人が処分され、離党勧告(2人)、党員資格停止(3人)、党の役職停止(17人)、戒告(17人)の4段階で行われた。
離党勧告は、離党が必要で、拒めば除名になるが、将来の復党はあり得る。党員資格停止は、3カ月〜2年の期間で実施され、その間は総裁選への出馬や投票ができない。選挙区支部長を解任され、政党助成金も受け取れない。選挙の公認を得られない。これに対し、党の役職禁止は、期間が3カ月〜2年でも、総裁選へ参加でき、選挙で公認もされる。戒告は、文書か口頭で注意されるにとどまる。
党紀委は、塩谷、世耕両氏に離党勧告、同じ安倍派元幹部の下村博文元文部科学相、西村康稔前経済産業相、高木毅前国会対策委員長の3氏に党員資格停止の処分を下した。
下村、西村両氏は、安倍晋三元首相が不正還流を止めるよう指示した2022年4月の会合と、安倍氏死去後の対応を協議した同年8月5日の会合に出席し、不正還流を復活させない「立場」にあったために政治責任は免れず、資格停止は1年となった。高木氏は直近まで事務総長を務めていた責任を問われ、資格停止は半年とされたという。
武田氏を重い処分にと麻生氏が主張
安倍派事務総長経験者の松野博一前官房長官と二階派事務総長だった武田氏は、党の役職停止1年とされた。安倍派5人衆の1人だった萩生田光一前政調会長は、不記載額が2000万円以上だったとして同じく党の役職停止1年となった。相対的には軽い処分で、今後の政治活動にもそれほど支障はない。
このほか、二階派元幹部の林幹雄元幹事長代理、平沢勝栄元復興相ら不記載額が2000万円以上の6人が党の役職停止1年、1000万円以上2000万円未満の8人が6カ月とされ、不記載額1000万円未満の17人は戒告とされた。党紀委員会の対象とならなかった500万円未満の45人は、幹事長の厳重注意となっている。
今回の処分に当たって、党執行部の協議が紛糾したのが、武田氏への処分内容だった。4月2日の協議で、麻生太郎副総裁が「派閥の事務総長は党員資格停止だ」と主張、高木氏と同じ処分を求めた。麻生氏は武田氏と敵対関係にあるが、二階氏に近い森山裕総務会長が「安倍派は二階派よりも悪質だ。二階さんは引退を表明している」と指摘し、武田氏については党の役職停止が妥当だと反論したとされる。最終的には、首相が4日の党紀委員会直前に党の役職停止と結論づけたという。
萩生田氏をめぐっては、麻生氏と茂木敏充幹事長が軽い処分を求め、首相の判断もあって、党の役職停止に落ち着いたが、近い将来の復権を見据え、次期総裁選に向けて「貸し」を作ったのではないか、との憶測も出ている。
協議に入る前日の4月1日には、茂木氏が処分対象者39人のリストを報道陣に配布した際、茂木派を離脱した関口昌一参院議員会長が参院11人を含むにもかかわらず、事前に知らされなかったとして反発し、茂木派「分裂」の余波を感じさせられる場面もあった。
「還流再開の判断に森氏が関与した」
岸田首相は今回の処分をどう考えたのか。首相にとって、安倍派元幹部らの処分を軽くすれば、世論の反発を招き、4月の衆院3補選やその後の国政選挙に不利に働く。重くすれば、今後の政権運営や次期総裁選で安倍派や二階派からの協力や支持が得られなくなるなどの懸念があるとされた。
首相は3月26、27両日、茂木、森山両氏とともに、都内のホテルで塩谷、下村、西村、世耕4氏から相次いで再聴取した。4氏は不正還流が続いた経緯について「全く分からない」と答えるばかりで、政倫審での質疑の域を出なかったという。こうした態度には安倍派を含む党内からの不満も大きく、首相が塩谷氏らを重い処分にしても、党内に大きな亀裂は走らないとの判断につながっている。
これに関連し、日本テレビは27日、4氏の中から「還流再開の判断には森元首相が関与していた」との新たな証言があったと報じた。だが、首相が4月5日の衆院内閣委員会で「今週頭に電話で連絡を取り、話を聞いた」「具体的な森氏の関与を確認することは何もなかった」と説明したことで、真相は解明されていない。
首相の背中を押したのは、各種世論調査で安倍派元幹部に対し、厳しい処分を求める声が多かったことだ。例えば、3月の読売新聞世論調査(22〜24日)で、岸田内閣の支持率は5カ月連続で「危険水域」といわれる2割台にとどまったが、不正還流に関係した安倍派元幹部らに対し、厳しい処分をするべきだと「思う」との回答が、自民党支持層で77%(全体で83%)に上り、前回2月調査から5ポイント上昇していた。
「独裁的な党運営には断固抗議する」
処分対象者は、反発した。塩谷氏は4日の党紀委前に提出した弁明書でこう主張した。
「スケープゴートのように清和研(安倍派)の一部のみが、確たる基準や責任追及の対象となる行為も明確に示されず、不当に重すぎる処分は納得がいかず、到底受け入れることはできない。独裁的・専制的な党運営には断固抗議する」
塩谷氏は5日には記者会見を開き、「党全体の責任と言うなら、総裁の責任はあると思う」と述べ、岸田首相が処分対象とならなかったことに怒りを露わにしたうえ、党紀委の処分を不服とする再審査の請求を検討する意向を示したが、最終的に離党は避けられまい。
世耕氏は4日夜、離党届を提出し、受理された。記者団には「当時、参院清風会(参院安倍派)会長であった私が、政治的責任を取るべきであると考え、今回は弁明書を提出することもせず、決定に従って離党することを決断した」と述べたが、安倍派以外からは同情的な声はほとんど聞こえてこない。
世耕氏に関しては、関西テレビが5日、処分決定前に和歌山県内の自治体の首長に電話で「無所属で衆院の方に出る」と伝え、次期衆院選で和歌山2区に鞍替え出馬する意思を示したと報じたが、世耕事務所は「全く事実無根」とのコメントを出している。
「政治改革の取り組みをご覧いただく」
首相は4日の党紀委後、記者団に対し、自らを処分の対象外にしたことについて「私自身は個人として不記載がなく、宏池会(岸田派)の不記載は事務疎漏によるものだ」と弁明するとともに、自らの政治責任については「政治改革に向けた取り組みをご覧いただいたうえで、最終的には国民、党員に判断してもらう立場にある」と述べ、最終的には解散・総選挙で国民に、総裁選で党員の審判を仰ぐ考えを明らかにした。
永田町に緊張感が走った。立憲民主党の安住淳国会対策委員長が6日、宮崎市内で記者団に「国民に判断してもらうと言ったんだから、解散・総選挙で信を問うてもらうしかない」と応じ、日本維新の会の馬場伸幸代表も同日、長崎市内の会合で「首相に意思表示するには選挙しかない」と述べるなど、「6月解散説」が取りざたされてきている。
だが、首相が解散の前提とする政治改革は、政治資金の透明性や議員の罰則強化を図る政治資金規正法改正をめぐる与野党調整が容易ではなく、近く設置される衆参両院の政治改革特別員会での議論は見通せない。
国民の判断をまず問う衆院3補選は、自民党の0勝3敗となれば、「岸田降ろし」が始まりかねない。自民党は長崎3区で不戦敗を選択し、島根1区でも擁立した元財務官僚の苦戦が伝えられている。東京15区は独自候補をあきらめ、小池百合子都知事が擁立する乙武洋匡氏(ファーストの会副代表)に相乗り推薦せざるを得ないが、過去の女性問題に対して党内に抵抗があるほか、公明党も自主投票に回る方向で、「1勝」をカウントできるかどうか、危うくなっている。
●処分見送りの45人、茂木幹事長が厳重注意 自民、急ぐ幕引き 4/10
自民党の茂木敏充幹事長は10日、派閥の政治資金パーティーを通じて裏金を作っていた議員ら85人のうち、党の処分を見送った45人を個別に厳重注意したと明らかにした。能登半島地震の被災地視察で訪れた富山県高岡市で記者団に語った。
裏金事件をめぐり、同党は2018年からの5年間の政治資金収支報告書の不記載総額が500万円以上の議員らと一部の安倍派幹部らを処分した。一方、500万円未満の議員については幹事長による厳重注意にとどめる方針を示していた。
処分に続き、厳重注意を急いだ背景には、裏金事件に対して党としてけじめをつけたことをアピールし、世論の批判を収束させたい思惑がある。
岸田文雄首相ら党執行部は事件の再発防止を名目とした政治資金規正法改正に向けた準備を進めており、実態解明を置き去りにしたまま、幕引きを急ぐ姿勢に、党内からも「首相は『やっている感』を出したいのだろう」(党三役経験者)と冷ややかな声が上がる。
共産党の山添拓政策委員長は朝日新聞の取材に「実態が解明されていないのに罪に合った処分はできない。自民党が解明できないなら、関係者には国会に出てきてもらわないといけない」と話し、引き続き真相究明を迫る構えを強調した。
●バイデン米大統領、グローバルな日本の役割重視 岸田首相を国賓待遇「同盟の高い志を」 4/10
バイデン米大統領は10日の日米首脳会談などのため、岸田文雄首相を国賓待遇で招待した。中国や北朝鮮、ロシアの脅威を受け、米国だけで世界の「平和と安定」を担うことが難しくなる中、岸田政権の外交・安全保障政策を高く評価し、インド太平洋地域やグローバルな課題に対する日本の役割拡大を重視しているためだ。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は9日、岸田氏の国賓待遇の訪米を通じ「日米同盟の高い志を強調する」と語った。
バイデン氏が政権発足後、国賓待遇で招待した首脳は岸田氏で5人目。以前の4人のうち、3人はインドと韓国、オーストラリアで、政権のインド太平洋重視の姿勢がうかがえる。
サリバン氏はその中でも、バイデン政権が取り組む同盟再構築で「インド太平洋、特に日本との関係ほど、その戦略が発揮されているところはない」と強調した。
岸田政権はこれまで防衛力の強化を推進。さらにバイデン政権が歳出削減で国防予算を思うように増やせない中、日本が米国ライセンスで生産する地対空ミサイル「パトリオット」の対米輸出を決めた。外交専門家からは「日本が米国を助ける場面が増えている」との声が上がっている。
バイデン政権はインド太平洋で中国の覇権拡大を阻止するため、東南アジアや太平洋島嶼(とうしょ)国との関係のテコ入れを図る。それらの国々にインフラ整備など積極的な支援を続ける日本との連携は重要だ。11日に行われる日米比首脳会談も、この取り組みの一環だ。
ロシアに侵略されるウクライナへの経済・財政支援を巡っては「最大の支援国の1つ」(政府高官)と日本を評価。欧州や他の地域の国に協力を促す材料となっている。
バイデン政権は議会の反対でウクライナ軍事支援の追加予算を成立させられず頭も抱える。欧州とアジアの安全保障を一体視し、ウクライナ支援に尽力するアジアの指導者の訪米は、国内世論の喚起にもつながる。
バイデン氏は9日、X(旧ツイッター)に岸田氏と笑顔のツーショットを投稿し、こう記した。「再び米国で会えてうれしい」。親密ぶりをアピールする姿に、岸田氏への期待が示されている。
●岸田首相、米大統領選後に備え 強固な同盟を誇示―日米首脳会談 4/10
岸田文雄首相は10日(日本時間11日未明)のバイデン米大統領との会談で、揺るぎない日米同盟を改めて確認する。安全保障、経済、人的交流など幅広い分野での連携強化を米国内や国際社会にアピールし、11月の米大統領選後に備える。
日本の首相による国賓待遇での訪米は2015年の安倍晋三氏以来、9年ぶり。昨年11月にバイデン氏から直接招待を受けたのがきっかけだが、実際は水面下で日本側が働き掛けてきた。外務省関係者は、数年前から「いつ国賓で行ってもらうか考えながら調整していた」と明かした。
満を持して臨んだ首相は、ホワイトハウスでの歓迎行事から始まって首脳会談、夜の大統領夫妻主催の公式夕食会まで、バイデン氏から手厚い歓待を受ける。両首脳の「固い絆」(政府関係者)を前面に押し出し、蜜月ぶりを内外に誇示する。
厚遇で迎えるバイデン氏に対し、首相は自らが主導した日本の防衛力強化が、日米の安全保障協力に貢献してきたとの自負がある。岸田政権は国家安全保障戦略など3文書を改定し、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有に踏み切った。27年度までの5年間の防衛費の総額を約43兆円とし、防衛費の国内総生産(GDP)比2%への増額も決定。装備品輸出ルールも大幅に緩和した。
インド太平洋地域で覇権主義的な動きを強める中国への対応や、ロシアの侵攻を受けるウクライナ支援の継続など、日米が手を組む場面は多岐にわたり、首相は周囲に「日本が米国をサポートする時代になった」と語る。今回の会談では、日米の関係を国際秩序を維持・強化する「グローバル・パートナー」と定義する。
首相が気をもむのは、バイデン氏とトランプ前大統領が激突する大統領選の行方だ。同盟を軽視するトランプ氏が再登板すれば民主主義や国際秩序が揺らぎ、日本に対し防衛負担や経済面で圧力を強めかねない。
首相はどのような選挙結果になっても、日米関係の重要性が強固で不変であることを両国の共通認識にしたい考え。外務省幹部は「信頼できるパートナーとして日本の貢献を米国に説明したい」と意気込む一方、水面下では「トランプ勝利」をにらんだ準備も進めているとみられる。
●日米首脳、法の支配維持に注力 対中国ロシア、サイバー対策強化 4/10
岸田文雄首相は10日、米ワシントンのホワイトハウスでバイデン大統領と会談する。覇権主義的な動きを強める中国、ロシアをにらみ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持に連携して注力する方針を表明。宇宙やサイバー対策などの安全保障協力で一致する見通しだ。日米双方の投資拡大や人材交流の促進も確認する。
日本の首相として9年ぶりの国賓待遇による訪米。両首脳は幅広い分野で関係を強化し強固な日米同盟を国際社会にアピールしたい考えだ。合意事項を盛り込んだ共同声明を発表する。
首脳会談では、東・南シナ海で海洋進出を強める中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指す考えを共有。台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調する。
ウクライナ情勢ではロシアによる侵攻を重ねて非難。欧米諸国に「支援疲れ」が広がる中、厳しい対ロ制裁とウクライナ支援の継続で合意する。北朝鮮の核・ミサイル問題への対処力向上でも一致する見込み。ベンチャーキャピタルなどに関する人材交流拡大も打ち出す方向だ。
●退職届提出した川勝知事が会見 「リニア推進派から外れたことない」 4/10
職業差別と受け取られかねない発言が批判された静岡県の川勝平太知事(75)が10日午前に退職届を県議会議長に提出し、午後2時から県庁で会見を開いた。会見で知事は退職届を提出した理由について問われ、「私の発言で県民の皆さまにご迷惑をかけたので、なるべく早く、県政の空白を短くするということで提出した」と述べた。
退職届を出す際に、関ケ原の戦いの前に命を落とした細川ガラシャの辞世の句「散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ」が口をついて出たことを説明した。この句は「花は散る時期を知っているからこそ美しい。人もそうありたいものだ」という心情を表現したものとされる。
リニア中央新幹線の事業計画で静岡工区での工事着工を認めていない川勝氏。会見では「リニア推進派から外れたことはない。推進(の立場)に変わりない。ただ、南アルプス(の環境保全)と両立しないといけない」と自身の考えを改めて説明。その上でリニアと環境保全をめぐる問題が「一区切りした」ことも辞職の理由として挙げた。具体的には、監督官庁の国土交通省が(財界出身の)矢野弘典氏を座長に、環境保全策の監視などを目的する有識者によるモニタリング会議を設置したことやJR東海が2027年の開業目標を見直したことに触れ、「モニタリングと事業計画は一体。(静岡工区のトンネル)工事に10年かかることがわかり、一つのめどがみえたと思った」と述べた。
その上で「(JR、県幹部らでつくる)ハイレベル会議ができるなど、僕の役割は終わった。矢野さんに任せられる」と説明。「南アルプスの現状を守るために粉骨砕身、全力で取り組んできたつもりだ。しっかりとモニタリングする道筋が見えた。矢野さんに任せられる、バトンタッチできると思った」と述べた。
矢野氏と辞意表明する直前の2日午後に面談した際のエピソードとして「ハイレベル会議に『わたしは出るんですか』と尋ねると、『出なくていい』といわれ、『お任せします』と答えた」と明かし、「僕の手を離れた」とも語った。
●バイデン米大統領夫妻、岸田首相夫妻を歓迎 国賓待遇で訪米 4/10
米国のバイデン大統領夫妻は9日、ホワイトハウスで、国賓待遇で訪米した岸田文雄首相夫妻を歓迎した。
ホワイトハウスは、バイデン氏が日米間の強固な同盟関係を強調できるよう、国賓待遇の華やかさを前面に打ち出そうとしている。大統領の任期1期目はウクライナとパレスチナ自治区ガザ地区での戦争に大きな注目が集まっているが、バイデン氏はインド太平洋地域での戦略と中国への対抗策を外交政策の重要な柱に据えている。
バイデン夫妻は岸田夫妻をホワイトハウスで出迎えた後、地元のシーフードレストランで夕食を楽しんだ。
10日には公式の歓迎式典が開催されるほか、日米首脳会談や共同記者会見などが予定されている。 
●アメリカ 3月の消費者物価指数 前年同月比3.5%の上昇 4/10
アメリカの先月の消費者物価指数が発表され、前の年の同じ月と比べて3.5%の上昇となりました。上昇率は2か月連続で前の月を上回り、インフレの根強さが改めて示された形です。
アメリカ労働省が10日に発表した先月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて3.5%の上昇となりました。
上昇率は2か月連続で前の月を上回り、3.4%程度を見込んでいた市場予想をわずかながら上回りました。
項目別では、いずれも前の年の同じ月と比べて
   輸送費が10.7%
   住居費が5.7%
   電気代が5.0%
   外食が4.2%
それぞれ上昇しました。
また、これまで下落傾向が続いてきたガソリン価格が1.3%と上昇に転じました。中東情勢の緊迫化を受けた原油価格上昇の影響を受けたものです。
また、変動の大きい食品やエネルギーを除いた物価指数は前の年の同じ月と比べて3.8%の上昇でした。
上昇率はこちらも市場予想をわずかに上回り、インフレの根強さが改めて示された形です。
市場ではこれまでFRB=連邦準備制度理事会がことし6月の会合で利下げに踏み切るかどうかが大きな関心となってきましたが、今回の物価統計を受けて6月の会合での利下げの予測は20%程度に低下しました。
インフレの収束には時間がかかり、FRBが利下げに踏み切る時期が遅れるとの見方が広がっています。
●中国 習主席と台湾 馬前総統が会談 習主席が頼次期総統けん制 4/10
中国の習近平国家主席と台湾の馬英九前総統は北京で会談し、習主席は、台湾統一に改めて意欲を示すとともに、「中国大陸と台湾が一つの中国に属する」という考え方を認めていない台湾の頼清徳次期総統をけん制しました。
習近平国家主席は、今月1日から中国を訪れている台湾の馬英九前総統と10日、北京の人民大会堂で会談しました。
会談の前に習主席が馬前総統を出迎え、台湾のメディアによりますと2人は16秒間握手したということです。
会談で、習主席は馬氏を前総統の肩書きではなく、「さん」付けで呼び「馬さんは『92年コンセンサス』を堅持するとともに『台湾独立』に反対し両岸関係の平和と発展を推進した」と高く評価しました。
そのうえで「制度の違いは両岸が1つの国家と1つの民族であるという客観的な事実を変えられず、外部の干渉は家族と国家が一緒になる歴史の流れをとめることができない」と述べ、台湾統一に改めて意欲を示しました。
これに対し、馬前総統は習主席の中国共産党の肩書きを使って「習総書記」と呼びかけたうえで「両岸が『一つの中国』の原則を堅持し共通点を見つけ出し、異なる点は残すとともに、争いを棚上げすることで、平和と発展をともに追求すべきだ」と応じました。
「92年コンセンサス」は、1992年に、中国の共産党政権と当時の台湾の国民党政権が「中国大陸と台湾が一つの中国に属すると確認した」とされるもので、中国は、台湾との対話の前提条件としています。
台湾では、来月、民進党の頼清徳次期総統が就任する予定ですが、会談での両者の発言は「92年コンセンサス」の存在を認めていない頼氏をけん制した形です。
また日本時間のあす未明にアメリカで行われる予定の日米首脳会談で台湾情勢も議題になる見通しの中、中国は、地域の緊張緩和に努めていると印象づける狙いもあると見られます。
習主席は、台湾の最大野党の国民党に所属する馬前総統と2015年11月に史上初めての中台首脳会談をシンガポールで行っていて、両者が会うのは今回が2回目です。
●バイデン大統領 “ネタニヤフ首相のしていることは間違い” 4/10
アメリカのバイデン大統領は、9日放送されたメディアのインタビューで、ガザ地区での軍事作戦を続けるイスラエルのネタニヤフ首相の対応について「彼のしていることは間違いだ。彼のやり方には賛成できない」と述べて批判するとともに、直ちに停戦に応じて十分な食料や医薬品などの搬入を行えるよう、対応を強く求めました。
ガザ地区ではイスラム教の断食月ラマダンが明け、本来なら「イード」と呼ばれる祝日の期間に入り、祝いの雰囲気に包まれますが、地元のメディアは10日、前日の夜から朝にかけてイスラエル軍による空爆などがあり、中部では14人が死亡したと伝えています。
イスラエルの軍事作戦で人道危機が深まる中、アメリカのバイデン大統領は事前に収録され9日放送されたアメリカのテレビ局、ユニビジョンのインタビューで、イスラエルのネタニヤフ首相の対応について「彼のしていることは間違いだ。彼のやり方には賛成できない」と述べて、批判しました。
そのうえで「イスラエルには、直ちに停戦に応じ、今後6週間から8週間、食料や医薬品をすべて搬入できるようにすることを求める。人々に必要な医薬品や食料を届けないことに弁解の余地はない」と述べて、対応を強く求めました。
バイデン大統領は、今月4日のネタニヤフ首相との電話会談で民間人の保護などでイスラエル側の対応に変化が見られなければアメリカの政策を見直す可能性があると警告するなど、圧力を強めています。
一方、イスラエル首相府の報道官は9日、これまでで最多となるトラック400台以上の支援物資がガザ地区に搬入され、物資は足りているなどとしたうえで「国連が分配に失敗し、ハマスが盗んでいる」などと述べ、責任は国連とハマスにあるとの主張を展開しました。
●中国 3月の新車販売台数 EVなど前年同月比35.3%増 好調続く 4/10
中国の3月の新車の販売台数が発表され、EVなどの「新エネルギー車」の販売は去年の同じ月と比べて35.3%のプラスと引き続き好調で、販売全体を押し上げました。
中国の自動車メーカーなどでつくる「自動車工業協会」によりますと先月の新車の販売台数は、269万4000台となり、去年の同じ月と比べて9.9%増えました。
EVなどの「新エネルギー車」の販売が、去年の同じ月と比べて35.3%のプラスと引き続き好調だったことが主な要因です。
このうちEVは15%余り、プラグインハイブリッド車が95%余り増加しています。
販売台数に占める新エネルギー車の割合は、32.8%となりました。
ただ、中国では、内需の停滞や、消費者の節約志向の高まりなどを背景に自動車メーカーの間で値下げ競争が激化し、国内の収益環境は厳しくなっています。
このため、各社は輸出に力を入れていて、先月の輸出台数は、50万2000台と、去年の同じ月と比べて37.9%増え、自動車輸出で世界一となった去年を上回るペースで拡大が続いています。
 4/11-4/20

 

●裏金議員を“厳重注意”で済ませる自民党…「前例ができた」と皮肉る声も 4/11
《500万ていうと、日本の平均年収以上ですね。多くの方が1年間働いて稼いだ給料以上の金額を違法に着服しても、自民党では注意で済むそうです》
《労働者1人あたりの平均年収以上の金額を簿外会計や脱税まがいの事をしても、単なる注意だけ。政党や国会議員さんがそんなにお金にルーズなら、サラリーマンも平均年収まで納税するのも不要でしょう》
《500万までは税金納めなくても厳重注意で済むという前例ができました。行政のトップである岸田総理のご指示なので税務署の方々もしっかりと従ってくださいね。》
ニュースサイトのコメント欄に寄せられた怒りの声だ。
4月10日、能登半島の被災地を視察した自民党の茂木敏充幹事長は、派閥の政治資金パーティー裏金事件で、裏金を作っていた所属議員85人のうち、党の処分を見送った45人を個別に厳重注意したことを記者団に明らかにした。
「不記載額が500万円以上だった議員と安倍派、二階派の幹部ら合わせて39人の処分は4月4日に決定していました。主だったところでは安倍派の幹部だった塩谷立氏、世耕弘成氏に離党勧告、下村博文氏、西村康稔氏に党員資格停止1年、高木毅氏に同6カ月を科しました。
一方、500万円未満の議員については幹事長による厳重注意にとどめる方針を示していたので、それを実行しました。45人のなかには安倍派の稲田朋美氏や福田達夫氏も含まれています」(政治担当記者)
しかし、実態解明が進んでいないなかでの処分に、党内からも「言い方は悪いが、犯罪実態が明らかになっていない犯人に刑を言い渡すようなもの」(自民党議員秘書)と岸田首相の幕引きを急ぐ姿勢に異論が出ている。
「国民からは『マネーロンダリングか』と怒りの声が渦巻く中で、この問題を早く決着させたい意図が見え見えです。岸田首相周辺は、安倍元首相以来9年ぶりとなる国賓待遇の訪米、賃上げ、所得税と住民税定額減税の3段ロケットで支持率アップを狙っています。そのため、国会でいつまでも裏金問題を追及されることを警戒して、この45人の処分を『けじめ』として全てを終わらせたいのです」(同前)
茂木幹事長は同日、「政治資金規正法の改正に向けて公明党と調整を行う」と述べ、衆議院では11日、参議院では12日に政治改革を議論する「特別委員会」が設置される。
しかしSNSには
《泥棒(自民党)が法律作ろうとしているんだから。政治資金規正法の改正なんかできるわけないじゃん。》
《「政治資金規正法の厳罰化改正を今の政権でやるって何かの冗談ですか?》など実効性に疑問を持つ書き込みが目立っていた。
国民には「やるせなさ」ばかりが募るーー。
●「裏金問題解決できないのに改憲を論ずる正当性なし」衆・憲法審で立憲が批判 4/11
衆議院の憲法審査会で、今の国会で初めてとなる実質的な議論が行われました。自民党は改正原案の作成に向け協議を呼び掛けましたが、立憲民主党は裏金問題を引き合いに出して難色を示しました。 自民党 中谷元衆院議員 「幅広い会派間で憲法改正原案作成の協議を行う環境を早期に整備することを提案を致します」 立憲民主党 逢坂誠二衆院議員 「裏金問題の解決もできず、自浄作用のない自民党が憲法改正を論ずることに正当性があるのでしょうか」  自民党の中谷議員は改めて緊急事態条項の創設や自衛隊を憲法に明記することの必要性を訴えました。  そのうえで、緊急時に国会機能を維持するための緊急事態条項について「いつでも起草作業に入っていけるところまで議論は進んでいる」と述べ、起草委員会の設置を提案しました。  一方、立憲民主党の逢坂議員は「憲法を変えることが目的化する議論は不見識だ」と指摘し、「数の力で議論を押し切る姿勢は慎まないといけない」と批判しました。  また、憲法改正に前向きな日本維新の会の馬場代表や国民民主党の玉木代表は国会での発議に向けた具体的なスケジュールを示すよう求めたのに対し、自民党の中谷議員は「この国会中には一定の節目が迎えられるように努力したい」と述べるにとどめました。
●〈自民・裏金疑惑〉“岸田裁き”で離党勧告の塩谷氏は不満爆発。「名ばかり座長だったのにかわいそう」と同情の声も。首相は安倍派分断に成功?も同派閥幹部は総裁選での逆襲を画策 4/11
裏金問題をめぐって安倍派や二階派の幹部らに処分が下され、永田町ではさっそく処分された議員や、処分を下した首相の今後に注目が集まっている。処分された派閥幹部の中でも、その内容は離党勧告から党の役職停止までさまざま。責任を押しつけあう幹部もいれば、「明鏡止水の心境」と潔さをアピールする議員も。首相の「安倍派分断工作」は吉と出るか、それとも……。
議員辞職の勧めも「無視」した塩谷氏
「私のことで迷惑をかけた。これで出席は最後になると思うが、みなさんには引き続き頑張ってもらいたい」
4月9日、自民党静岡県連の国会議員が集まった会議で、そう陳謝したのは安倍派の塩谷立座長。しかし、今回の処分で最も重い離党勧告を受けて翌5日に開いた会見では「私どもが何かを画策して指導したことはまったくない。事実誤認がもとになった判断。はなはだ心外」と、処分に不快感をあらわにし、再審査請求を検討する考えを表明していた。
塩谷氏が強気の姿勢を見せた背景には、「塩谷さんは名ばかり座長だったのにかわいそう」「トカゲのしっぽ切りだ」との同情論がある。
「塩谷氏は座長とはいえ、実際の派閥運営は西村康稔元経産相や萩生田光一元政調会長ら5人衆が取り仕切る形だった。前回の衆院選で比例復活だった塩谷氏が座長になったのは、当選回数が多かったことと、もう一人のベテランの下村博文元文科相のことを、安倍派のオーナー的存在である森喜朗元首相が嫌っていたからにすぎません。
政治手腕を買われたわけでなく“無害”だったからこそ座長になった。なかには『森さんは最初からこうなることを予想しており“生贄”として塩谷さんを準備していたのでは?』と陰謀論を話す議員もいます」(全国紙政治部記者)
一方、「彼はベテランにもかかわらず前回の衆院選で比例復活だったのだから、自民党公認で戦えたとしても次はなかったような人物。『自分は知らなかった』と責任逃れをするのは、往生際が悪い」(自民党関係者)との批判の声もあがる。
自民党のベテラン議員は裏金問題が発覚して以降、塩谷氏に議員辞職を促したこともあったが、塩谷氏は首を縦に振らなかったという。
こうした塩谷氏の態度に安倍派議員からは「最初は5人衆による集団指導体制で進めていこうと話がついていたのに、自分も安倍派の幹部でいたいと座長になったのは、塩谷さんでしょう。塩谷さんがさっさと責任をとって辞めてくれれば、他の安倍派幹部もこんなに重い処分をされることはなかったのに」と恨みの声も聞こえてくる。
離党がチャンス?の世耕氏&会合に姿を見せなくなった西村氏
一方、同じ離党勧告でも「明鏡止水の心境」として処分を受け入れ、早々に離党した世耕弘成前参院幹事長。塩谷氏とは対照的に潔いと評価されているかと思いきや、直後に衆院鞍替えの意向が報じられる(世耕氏本人は否定)など、永田町では「無所属になったことをチャンスとして一気に仕掛けてくるのでは」との憶測が絶えない。
「もともと世耕氏は選挙区での鞍替えを狙っていましたが、無所属となったことで、出馬が噂される二階氏の息子とのガチンコ対決となるかどうかが注目されます。世耕氏が無所属で当選、二階氏の息子が比例復活となれば、世耕氏の復党を求める声が上がるのは必至で、次の選挙に向けてどちらが公認となるか、ややこしいことになりますし、二階氏VS世耕氏の争いはまだまだ続きそう」(全国紙政治部記者)
一方、これまで首相をめざす意欲を隠してこなかったが、党員資格停止(1年間)の処分後は「すべてを失った」として「裸一貫」の覚悟を示した西村氏。
「世耕氏や高木毅前国会対策委員長など他の安倍派幹部と比べ、選挙が厳しいとみられているのが西村氏。兵庫県内の地元選挙区には維新の新顔が立ち、地元・明石市の泉房穂前市長の出馬の憶測も絶えない。党員資格停止中であっても国会内の自民会派の会合には出られるのですが、西村氏の姿は見かけません。それだけ地元活動に必死なのでしょう」(自民党議員)
首相の「安倍派分断」は成功したのか
一言で「処分を受けた」と言っても、それぞれ異なった道を歩み始めた安倍派幹部ら。これこそが首相のねらいだったと安倍派議員は分析する。
「離党勧告から党員資格停止(1年と半年)、党役職停止と細かく分けることで、『あいつは俺より処分が軽かった』『なんで俺がこの処分だったんだ』と安倍派幹部を分断させ、『岸田おろし』でまとまることを防ぐねらいがあったのだろう」
それでも「首相の処分がないのはおかしい」との怒りのマグマは溜まり、首相の求心力には陰りがみられる。
自民党関係者は「夏前のたった4万円の定額減税で、支持を集められると思うか? 政治資金規正法の改正も、議員の反発を招く。裏金問題がホットなうちに解散されると困る議員が大勢いるし、今の首相にはとても6月に解散する力なんてないのでは」とみる。
安倍派議員も「派閥がなくなっても、分断されようとも、これからも後輩議員の面倒は見続ける」と宣言。「岸田首相の看板では選挙は戦えない」との危機感は強まり、9月の総裁選に向けた多数派工作は始まっている。
分断された安倍派は逆襲に打って出られるか。多数派工作VS分断工作の行方は……?
●「岸田政権が続くかぎり今より豊かにはならない」実質賃金1年11か月連続で前年割れ…“財務省のポチ”岸田首相の「物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる」X投稿の違和感 4/11
厚生労働省は4月8日、2月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)を発表し、実質賃金は前年比1.3%減少して、1年11か月連続で前年割れとなった。国民の所得は右肩下がりを続けており、政府の早急な対応が求められる。経済学に精通している京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡氏に話を聞いた。
岸田首相は国民負担率の高さを知らない?
実質賃金が前年比1.3%減少し、1年11か月連続で前年割れしていることを危惧しているのか、岸田文雄首相は3月28日に自身のXに物価高を乗り越える2つの約束として、「今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現」「来年以降に、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着」と投稿した。この2つの約束は本当に所得増につながるのだろうか。
まず、最初に「今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現」と掲げたものの、国民所得に占める税と社会保障負担の比率を示す“国民負担率”は、現在45.1%。頑張って働いても約半分の稼ぎを政府に奪われており、物価上昇を下回る所得になっている原因は政府の政策にあるように感じる。岸田首相はそういった現状を把握していると思うかについて、藤井氏は「把握していないと思います」と答えた。
「2023年10月からは免税事業者から消費税を支払うように誘導する“インボイス制度”が、多くの国民の反対の声にも耳を貸さず、施行されました。他にも、『森林を整備するため』という名目で2024年4月から年間1000円を徴収される“森林環境税”も始まっています。『政府が国民の所得を奪っている』という認識を持っていれば、所得増を約束しながらこういった増税策を推進するとは思えません」
給与が増えたとしても、その分増税されてしまえば、当然ながら所得は増えない。岸田首相の矛盾した発言を鑑みると、岸田内閣では国民の所得が増える見込みがいかに低いのかがうかがえる。
「賃上げのために何が政府として必要なのか」
岸田首相のX投稿には「来年以降に、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着」とも記されていた。しかし、賃上げは企業が判断することであって首相に決定権はない。岸田首相はそのことを理解しているのかについて、「さすがに『理解していない』ということはないと思います」と藤井氏はいう。
「岸田首相の発言を好意的に解釈すれば、『十分な賃上げを各企業が判断したくなるような、活気ある良質なマクロ経済環境を創出します』と読めなくもない。しかし、『そういったマクロ経済環境とはいかなるものなのか?』ということは一切理解せずに発言したものと思います。
なぜなら、それを理解しているのであれば、減税や社会保険料引き下げ、内需拡大のための財政出動といったさまざまな経済政策を行なうはずだからです。ただ、そういった政策は行なっておらず、『賃上げのために何が政府として必要なのか』という具体策をまったく知らないままに発言したのだと断定できます」
株主・大手企業優遇の政策運営
また、岸田首相は上記の投稿と同じタイミングで「岸田政権発足後『新しい資本主義』を提唱、『成長と分配の好循環』の実現が私の使命と思い定めました」と投稿していた。岸田首相は就任直後から“新しい資本主義”と再三にわたり口にしていたが、結局のところ“新しい資本主義”とは何なのか。藤井氏は岸田首相が目指した“新しい資本主義”の概要を次のように推測する。
「総裁選の際に『分配』という言葉を多用して“新しい資本主義”を提唱したことから考えると、日本の考古学者・原丈人氏が提唱していた“公益資本主義”、つまりは株主や経営者だけではなく、労働者や下請け企業などにも公平に売上が分配される “社中分配”が、適切に行われる資本主義を目指していたと思われます。
しかし、岸田首相は総理着任後からしばらくしても『分配』という言葉を使うことはほぼ皆無。そして、株主を重視した“株主資本主義”を推進する議員から構成される委員会を構成しました。ただ、これでは当初掲げていた“新しい資本主義”の内実とは完全に異なります。株主・大企業を重視した内閣となり、国民経済を豊かにする政策運営はしていません」
所得増のために必要な約束
それでは改めて所得増を実施するために岸田首相がすべき約束(政策)とは何なのか。藤井氏は消費税減税、社会保険料の引き下げ、ガソリン税凍結の実施を提案する。
「加えて、国内で満たされていないさまざまな需要、例えば、被災地の復興需要、産業投資需要、人材投資需要、科学技術投資需要、防災投資需要、インフラ投資需要、エネルギー投資需要、国防投資需要を満たすための大規模な経済対策を実施すべきです。
トランプ大統領やバイデン大統領は、合計1千兆円規模のこうした経済政策を行なった結果、コロナ禍による経済ダメージを乗り越えました。日本でも同様に国民のためにお金を使う政策を実施すれば所得増につながります」
それでは、なぜ岸田内閣は消費税減税、大規模な財政出動を実施しないのか。
財務省のポチ
その背景には、社会保障や公共事業といった行政サービスを提供するための経費を、国債ではなく税収などで賄えるかどうかを示す指標“プライマリーバランス(PB)”の影響が大きいと指摘する。
「政府はPB黒字化を2025年に達成することを目標に掲げているため、あらゆる増税策を講じる一方で、国民のために財政出動をしません。この目標を延期されなければ、政府は増税を止めず、国民のためにお金を使いません。しかし、岸田首相は“財政健全化推進本部”を設置して、PB黒字化をより積極的に推進していこうとしています。
なぜ岸田首相がPB黒字化を強化する動きを見せているのかというと、財務省の働きかけが大きいからです。財務省は『国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない』と記された“財政法第4条”に基づいて仕事をしているため、国債発行を嫌い、増税を好みます。そして、岸田首相は“財務省のポチ”と揶揄する識者が多い通り、財務省が望むように政策運営をしているため、私たちの所得が一向に上がらないのです」(藤井氏)
岸田首相は“増税メガネ”とSNSで批判されていたが、増税メガネと呼ばれる背景には“財務省のポチ”だったことが大きかったようだ。
“財務省のポチ”である岸田首相が日本のトップであり続ける限り、私たちの所得はなかなか上がりそうもない。私たちが今よりも豊かに暮らすためには、「現実的に考えれば、実際に政権が何らかの形で変わる以外に望みはないように思います」と藤井氏は言う。
それでは、政権交代が達成され、所得増を勝ち取るためにこれから国民がすべきことは何だろうか。
政権交代のためには草の根運動
「まず国民1人1人が岸田首相が“何を言っているのか”ではなく、“実際に何をやったのか”をしっかりと見つめ、『支持すべきかどうか』を見極める姿勢を持つことが大切です。そのうえで周囲の人たちに日常会話やSNSなどを通して、岸田政権が“実際に何をやったのか”という情報をしっかりと伝えていかなければいけません。一見地味ですが、こうした草の根の運動を多くの国民が行なえば瞬く間に支持率は激変します。
そして、選挙の時期が訪れた際は投票所に行って実際に投票するという姿勢が特に重要。自民党は現在、国民の3割程度の得票で大半の議席を獲得しています。これは投票率が低く、ごく一部の得票でも大半の議席を獲得できる構造になっていることが大きい。いいかえれば、多くの国民ではなく一部の人たちのために働く議員が生まれやすい状況です。
日常生活から政治経済を意識して、投票に行けば、選挙結果は現状と全く違うものに激変する事になります。現実を見据えた国民が大量に選挙に行く、という当たり前に求められる状況をつくり上げることこそ、所得増を実現する最善の近道だと思います」(藤井氏)
多くの国民が政治に無関心でいることは、一部の人たちに利益を集中させることに他ならない。生活が苦しい今こそ、岸田内閣に厳しい目を向けなければいけない。
●〈批判殺到の子育て支援金〉「月500円弱」は大ウソ…年収200万世帯からも徴収へ「韓国では30兆円溶かしても成果なし」答弁タジタジ 加藤こども相の能力にも疑問符 4/11
岸田政権が「異次元の少子化対策」を掲げる、子ども・子育て支援法改正に絡めての、年収別の負担額の試算を示した。年収400万円の人なら月650円、年間で7800円もの負担増になり、さらに上がる可能性もある。日本を上回る少子化が進む隣国の韓国では少子化対策として、15年間に日本円にして30兆円超を投入したがさしたる成果はなく、大金をドブに捨てながら子どもは減り続けている。
年収400万円で年間7800円の負担
岸田政権が今回集める金をもとに拡充するという少子化対策は、子を持つ夫婦を対象とするものに偏重し、若者が結婚や子どもを持つことをためらう環境を変えられず失敗した韓国と同じ道を行くのではないかとの憂慮もある。
岸田首相は2月の国会で「粗い試算でいえば2028年度の拠出額は、(医療保険)加入者一人当たり月々の平均は500円弱と見込まれている」と口にしていた。
「しかし、これは支払い能力がなく、親の扶養に入っている子どもにまで払わせて平均すればいくらになるかという前提のおかしな算出額で、一人当たりの負担額を少なく見せるためのトリックです」(野党関係者)
実際にはいくらの負担増になるのか。
4月9日に政府がまとめた年収別の拠出金額によると、初年度の2026年度から段階的に引き上げられ、2028年度には年収200万円の人は月額およそ350円(年間4200円)、400万円の人はおよそ月額650円(年間7800円)、600万円の人はおよそ1000円(年間1万2000円)、800万円の人はおよそ1350円(年間1万6200円)、1000万円の人はおよそ1650円(年間1万9800円)としている。
「夫婦がそれぞれ年収400万円の共働き家庭なら年間の負担増は1万5600円になります。政府はこうして徴収した金で、支援拡充のための“子ども子育て支援金制度”を設けるとしており、支援金制度の規模は2026年度は6000億円、27年度は8000億円、28年度以降は1兆円になると説明しています。
ただ加藤鮎子こども政策担当相は『正確な試算は難しいが、参考になるものとして令和3年(2021年)実績の総報酬で機械的に計算した』と話し、見通しの正確性について逃げを打っています。加藤氏は国会で、負担額が将来上がるのではないかと聞かれ『法律の建てつけ上、可能性はある』と認めています」(社会部記者)
政府は少子化対策で、
1 童手当の所得制限を撤廃し対象を18歳まで広げる
2 親がともに14日以上育休を取得すれば最長28日間は手取り収入が減らないよう育児休業給付を引き上げる
3 娠・出産時の10万円給付
といった施策を行なうと発表している。
専門家も「本来は税で対応すべき」と非難
「このために前述の財源が必要だと政府は説明しており、社会保険の徴収額を増やして『子ども子育て支援金制度』を創設するとしています。しかし、子育てをしない人や、すでに子育てが終わっている人を中心に、自分や家族の病気やケガに備えた健康保険で収める金が少子化対策に使われるのはおかしいとの声もあります 」(政治部記者)
4月9日の国会では参考人の専門家からも「本来は税で対応すべきものだ。理論的にまったく正当化されない財源が投入されようとしている」(西沢和彦・日本総合研究所)との指摘が出た。
「岸田首相は防衛費増額で大幅な増税を行なうと表明したときに“増税メガネ”と非難されたことがトラウマになっており、増税ではなく社会保険の上乗せという手に目をつけたとみられています。しかし社会全体で子育てを支援するというなら正々堂々と税金で財源を集めるのが筋だという声は根強い」(政治部記者)
少子化対策をうたいながら、結婚も出産も困難に思えるような年収200万円という低所得者からも徴収することに「貧乏な者からも子育て支援を名目にカネを取るというのか」(20代女性)と怒りの声が上がっている。
「岸田首相は『歳出改革と賃上げで社会保障の負担率を抑え、全体として実質的に負担が生じないようにする』と説明していますが、現実には一人ひとりに負担増が生じます。物価高続きで名目賃金に物価上昇分を加味した『実質賃金』は、最新の2月分の毎月勤労統計で23ヶ月連続の減少となりました。賃上げで負担はなくなるとの首相の言葉は多くの人には詭弁にしか聞こえません」(野党関係者)
韓国は巨額の財源を投入も効果出ず
負担が増えても効果が出るなら救いはある。だが問題は、これだけの負担増を負っても成果が得られないのではとの不安が尽きないことだ。
「政府の対策は子育ての負担をいかに減らすか、に焦点が当てられています。しかし、この方向で少子化対策をやって大失敗し、今や『世界で最初に消滅する国』になるといわれるほど子どもが減った国があります。他でもない、隣国の韓国です」
そう話すのは韓国取材経験がある外報部デスクだ。女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、日本は2022年に1.26だったが、韓国はさらに深刻で、2023年は0.72。
韓国の少子化の背景には、人口が集中する首都圏での住宅費高騰や、学歴を競い合う風潮がもたらす教育費による家計の圧迫、晩婚化や未婚率の上昇などさまざまな要因が絡まりあっている。もちろん、これまで韓国政府が何もしなかったわけではない。
「韓国では政府が2004年には本格的な少子化対策に乗り出し、2006年から2021年までの15年間に関連事業に280兆ウォン(約31兆5千億円)を投じています。それでも合計特殊出生率は2004年の1.16から下がり続けてきたんです」(韓国紙記者)
日本企業に就職し、日韓双方の社会を知る24歳の独身女性Aさんは「韓国は育児の支援金はちゃんとあるし、子どもが遊べるところも多く、制度的な環境は悪くないと思います。でも本来は結婚する前、子どもを産む前の段階から対策を取るべきでしょう」と話す。
Aさんは子育てに理解がない職場で勤務を続けることをあきらめた姉を見て「韓国で子どもを育てながら仕事をするのは難しい」と考えるようになったといい、政府からの育児支援が充実していても、社会の環境が子育てを受け入れるものでなければ子を育てようとは思わないと指摘する。
政策を理解できていない担当大臣の加藤鮎子氏
少子化がここまで進んでしまった韓国社会を見て「私が子をひとりもうけても解決にならない。その子が20年、30年たって今の私の年になったとき、状況はもっと悪くなっているでしょう」(独身男性Bさん・22歳)といった意見や、「ここまでくれば対策をいくらやっても現実的に解決することはできないでしょう。対策によって社会の衰退の速度を遅らせることはできるかもしれないが、どうせ止まらない」(独身男性Cさん・37歳)など、人々の間ではあきらめ感が漂っている。
「実は日韓は、10年以上前から少子化対策の担当閣僚が往来するなどして対策や経験をシェアしてきましたが、どちらも少子化に歯止めがかけられていません。特に韓国は近年合計特殊出生率がさらに減少したことで『子育て支援』の強化には効果がないことがほとんど実証されました。
若者が家庭や子を持っても安心して暮らしていけるという社会に変えられなければ、日本も韓国と同じ姿になるのではないかと危惧します」(前出、外報部デスク)
低支持率に悩む岸田政権は子育て支援を政権浮揚策の目玉にする考えだが、担当大臣の加藤鮎子氏の国会での不安定な姿は政権の本気度を疑わせる。
「答弁を求められると『えー』『あー』と言いながら答弁席で資料をめくり続け、要領を得ないことを言うなど、政策を理解できていないことが透けて見え、首相やほかの閣僚が助け舟を出しています。首相がかつて活動をともにした故・加藤紘一氏(元官房長官)の娘で2児の母だから子ども政策担当相に抜擢されたとみられていますが、これほどの重要政策を任せるには経験不足が明らかです」(政界関係者)
「少子化対策は最重要課題」と政府高官は強調しているが、これら対策が効果を生むのかどうか、先行きは暗そうだ。
●韓国総選挙で尹錫悦政権支える与党が惨敗 韓国紙「残り3年(態度を)変えろ 民心爆発」報じる 日韓関係改善の動き停滞の恐れも 4/11
韓国で10日に行われた総選挙の結果は確定し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権を支える与党は惨敗に終わった。
尹大統領は政権運営の方針を見直さざるを得ない状況で、日韓関係への影響も懸念される。
ソウルから、FNNソウル支局・一之瀬登支局長が中継でお伝えする。
選挙での惨敗を受け、先ほど首相や与党のトップが相次いで辞任を表明するなど、尹政権は大幅な刷新に迫られている。
小選挙区と比例代表合わせて300の議席を争った韓国の総選挙では、最大野党「共に民主党」が175議席を獲得し、単独過半数を維持した一方、政権を支える少数与党「国民の力」は108議席にとどまった。
またチョ・グク元法相の新党などを含めると、左派系野党で190議席に迫り、与野党の議席差は過去最大となったと韓国メディアは伝えている。
日韓関係の改善など、外交面では成果を残した尹政権だが、格差の是正や少子化対策など国会での審議が必要な政策では目立った成果はなく、国民が厳しい審判を突きつけた形。
外交政策で重視してきた日韓関係については、尹大統領の方針が変わることはないというのが大方の見方だが、尹大統領の求心力の低下は避けられず、日韓関係改善の動きが停滞するおそれもある。
●岸田首相のジョークに拍手…日米晩餐会スピーチ全容 日米の絆強調も豪華ゲストに「誰が主賓か…」 4/11
岸田首相は、日本時間11日午前、米国のホワイトハウスで行われた日米首脳公式晩餐会でスピーチし、ジョークをふんだんに織り交ぜて笑いを誘うと共に、日米の絆の重要さを強く訴え大きな拍手を受けた。
晩餐会には、日本の音楽ユニットYOASOBI、米俳優のロバート・デニーロさんほか、日米の政治・経済・文化など各界の著名人が招かれた。
岸田首相のスピーチは以下の通り。
大統領、バイデン博士(学者であるジル・バイデン夫人)、ご来賓の皆様、このような素晴らしい夕食会を主催していただいたこと、そして温かい歓迎とおもてなしに心から感謝の意を表したいと思います。
私がここに来る前に、私のスタッフは、私のスピーチが短すぎると文句を言った人は誰もいなかったと私に言いました。(会場笑)これはおそらく良いアドバイスです。 したがって、私のスピーチは短くしておきます。
何よりもまず、正直に言うと、これほど多くの日米の著名なゲストを前に、息を呑み、言葉を失いました。
私の妻の裕子も、言葉を失うくらいで、主賓が誰なのか見分けるのは難しいと私に言いました(会場笑)。それで大統領の隣の席に案内されたときは安心しました。(会場爆笑)
昨年、バイデン大統領とバイデン博士は、G7首脳会議に出席するため、私の故郷である広島を訪れました。
米国への日本人移民の中で最も多くの人が広島から来たことはあまり知られていません。多くの広島の人が、新たな世界、より良い未来、より高みを求めてアメリカへ向かいました。
大統領、故ダニエル・イノウエ上院議員が大統領の良き友人だったことは知っています。彼の母親も広島出身でした。
日米両国の長い歴史を振り返ると、先人たちは両国を行き来しながら、ビジネス、学術、芸術、スポーツなどのさまざまな分野で道を切り開いてきました。
「太平洋は日本と米国を隔てているわけではありません。むしろ、それは私たちを団結させます」。これは、約60年前、ホワイトハウスで開かれた国賓昼食会で、ケネディ大統領が同じく広島出身の池田首相に贈った言葉です。
私はこのセリフが気に入りました。私はこの言葉を何度も使用したため、スタッフはこのフレーズがスピーチ原稿に出てくるたびに、それを削除しようとしました。(会場笑)
しかし、私たちの関係をこれほど目に見える形で表現したものはなく、今日ほどこの言葉に意味があることはありません。日本と米国はこれまで以上に団結しています。(会場拍手)
太平洋が日本と米国を結びつけ、これほど近づけたのは、私たちの先人たちの開拓者精神と、私たち全員が共通に持つフロンティア精神のおかげだと私は信じています。フロンティアに立つ彼らの成功は、個人の努力だけではなく、チームとしての総合的な努力の結果でもあります。
これは国家間でも当てはまります。私たちの共同の取り組みは多様であり、私たちの明るい未来と世界の平和と安定にとって不可欠です。
私たちは今、揺るぎない日米関係をさらに高め、次世代に引き継いでいくための新たな境地に踏み出す歴史の転換点に立っています。
最後に皆さんご存知のスタートレック(米国のSFドラマ)のセリフ「誰も行ったことのないところへ果敢に行く」で締めくくりたいと思います。(会場笑いと拍手)
ちなみに、USSエンタープライズ(スタートレックに登場する宇宙艦)の操舵手ヒカル・スールーを演じたジョージ・タケイも広島にルーツを持っています。(会場笑いと拍手)
大統領、バイデン博士、ご来賓の皆様、そして紳士淑女の皆様、私たちのフロンティアへの航海に乾杯したいと思います。
日米関係のこの言葉、Boldly Go!(人類未到の地へ果敢に旅立とう!)。乾杯!
●バイデン氏“我々がインフレ率を劇的に下落”トランプ氏は批判 4/11
アメリカで10日に発表された消費者物価指数は市場の予想を上回りました。これについてバイデン大統領が「我々はインフレ率を劇的に低下させてきた」と述べる一方で、トランプ前大統領は「インフレが猛威をふるっている」とSNSに投稿し、批判しました。
アメリカ労働省が10日発表した先月の消費者物価指数は、上昇率が2か月連続で前の月を上回ってインフレの根強さを示す形となりました。
これを受けて、市場ではFRB=連邦準備制度理事会が利下げに踏み切る時期が遅れるという見方が広がりました。
バイデン大統領は10日、アメリカを訪れている岸田総理大臣との共同記者会見で記者団から「FRBが年内に利下げを行うという自身の予測に変化はないか」と問われたのに対し「我々はインフレ率を劇的に低下させてきた」と強調しました。
そのうえで「FRBが年内に利下げを行うという予測は変わっていない」と述べました。
これに対し、トランプ前大統領はSNS上に「インフレが再燃し猛威をふるっている。FRBは史上最悪の大統領を守りたいからといって利下げに踏み切ることは絶対にできないだろう」と投稿し、バイデン政権を批判しました。
アメリカでは住居費や食品価格など生活に欠かせないコストの上昇が続いていてインフレが秋の大統領選挙の争点になる可能性もありそうです。
●FRB“インフレ率 持続的低下に自信深まらず”会合 議事録公表 4/11
アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は先月の会合の議事録を公表しました。参加者たちはこの会合の前、インフレ率の上昇を示す経済指標が相次いだことについて、「インフレ率が目標の2%に向かって持続的に低下しているという自信は深まっていない」との見解を示していたことが分かりました。
FRBは先月開いた金融政策を決める会合で、インフレ率は、この1年で和らいでいるものの目標の2%を上回っているとして、およそ23年ぶりの高い水準となっている政策金利を据え置くことを決定しました。
10日に公表された議事録によりますと、この会合の前、インフレ率の上昇を示す経済指標が相次いだことについて、参加者たちは総じて「インフレ率が目標の2%に向かって持続的に低下しているという自信は深まっていない」との見解を示していたことが分かりました。
この会合後の記者会見で、FRBのパウエル議長は「インフレ率は時に『でこぼこ』な道をたどりながらも徐々に2%に向かって低下していくものだ」と述べていましたが、10日に発表された消費者物価指数はインフレの根強さを改めて示していて、FRBとしては今後、難しい政策判断を迫られる形となりました。
●韓国総選挙 野党の過半数維持が確実に 公共放送KBSが伝える 4/11
10日に投票が行われた韓国の総選挙について、公共放送KBSは、革新系の最大野党・共に民主党が過半数を維持することが確実になり、系列の政党を含めて170議席以上を獲得する見通しだと伝えました。就任から3年目に入るユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は、少数与党のもとで引き続き難しい政権運営を迫られることになりそうです。
韓国の総選挙は、一院制の国会の小選挙区と比例代表あわせて300議席をめぐって争われ、10日に投票が行われました。
公共放送のKBSは11日朝、革新系の最大野党・共に民主党が過半数を維持することが確実になり、系列の政党を含めて170議席以上を獲得する見通しだと伝えました。
一方、ユン・ソンニョル大統領を支える保守系の与党・国民の力は系列の政党を含めて100議席あまりを獲得する見通しだと伝えています。
韓国の選挙管理委員会によりますと、暫定投票率は67%で前回4年前より0.8ポイント高くなりました。
今回の総選挙はユン・ソンニョル政権の中間評価とも位置づけられていましたが、5月で就任から3年目に入るユン大統領としては国会で野党側の強い抵抗に直面することは避けられず、引き続き難しい政権運営を迫られることになりそうです。
専門家 “ユン政権の求心力の低下は避けられない”
韓国政治に詳しい静岡県立大学の奥薗秀樹教授は、選挙の結果がユン・ソンニョル政権の対日姿勢に影響を与えるのかどうかについて「野党の反発があり、政治的リスクのある決断でも、ユン大統領は韓国の将来に必要ならば推進すると宣言し、その1つに対日関係の正常化を挙げている。選挙の結果を受けてむしろ政権の数少ないレガシーとして日韓、日米韓の連携強化にさらに取り組むことも考えられる」と述べて、外交方針は維持されるとの見方を示しました。
一方で「これだけ明確に民意が示されると、大統領としても政権与党としてもこれを無視できない。政権発足からこれまでの2年、必ずしも世論の支持がなく、野党の反発があっても強引に進めてきた諸政策の推進力を落とすことになる」と述べて、ユン政権の求心力の低下は避けられないと指摘しました。
●日米首脳会談、共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」を発表…「ミサイルの共同生産」への協議開催を盛り込む 4/11
岸田首相は10日午前(日本時間10日深夜)、バイデン米大統領と米ホワイトハウスで会談した。新時代の日米同盟を目指し、「未来のためのグローバル・パートナー」と題した共同声明を発表した。ウクライナへの間接支援も念頭に、「ミサイルの共同生産」に向けた協議の開催を盛り込み、幅広い分野での産業連携を打ち出した。
首相は歓迎式典で、「共通の価値とコミットメント(関与)により結びついた両国の協力はグローバルなものとなり、宇宙から深海までをカバーする広さと深さを兼ね備えたものになった」と述べた。その後の会談の冒頭では、「今や日米は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を先頭に立ってリードする立場にある」と語った。
共同声明では、日本の防衛力強化の取り組みなどを踏まえ、「日米同盟は前例のない高みに到達した」と強調。「戦略的協力の新しい時代」に入ったとの認識を示した。
日米の防衛産業の連携を促進するため、当局間の定期協議を開催し、優先分野を特定する。ウクライナ支援で米国の防衛装備品の生産体制が 逼迫 していることを踏まえ、「ミサイルの共同生産」を議題とする。地対空誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)や関連部品の生産を日本が担う案が浮上している。
定期協議では、在日米海軍の艦船やF15戦闘機など米空軍の航空機を日本の民間施設で維持整備することも議題となる。6月までに、艦船の補修に関する初めての作業部会を開く。
有事に備え、自衛隊と在日米軍の相互運用性を向上させるため、それぞれの司令部機能を強化することも表明。航空自衛隊のT4練習機の後継となる「ジェット練習機」の共同開発・生産に向けた作業部会を設置することも確認した。サイバー攻撃に備え、重要インフラの防護で協力を強化することも申し合わせた。
米国が主導する有人月探査「アルテミス計画」では、米側が、日本人の宇宙飛行士が月面着陸する機会を2回提供する。
「軍民融合」を掲げる中国に対抗するため、人工知能(AI)や量子技術、半導体など先端技術の開発と保護で連携を強化することも盛り込んだ。中国産の「レガシー」(非先端)半導体への依存度を下げるため、価値観を共有する同志国と供給網の 強靱 化を進める。
日本の首相の公式訪米は、安倍晋三元首相以来、9年ぶり。
●バイデン・岸田「世界のために協働する同盟」宣言 4/11
米国のバイデン大統領と日本の岸田文雄首相は10日(現地時間)、ワシントンDCで開かれた首脳会談で、米国が日本を「保護(protection)する」同盟の時代を終わらせ、世界で両国の戦略目標を達成するために協働して力を「投影(projection)」する新たな米日同盟の時代を宣言した。
バイデン大統領は日本の首相としては9年ぶりに米国を国賓訪問した岸田首相とこの日ホワイトハウスで首脳会談を行い、このように合意した。
これに関連して米政府高位当局者は前日の記者会見で「日本は今回の首脳会談を通じて米国の『全面的なグローバルパートナー』として重大な転換をすることになるだろう」としながら「米日関係はさらに高く、異なる水準にシフトするだろう」と明らかにした。あわせて「今回の会談で過去の同盟を締めくくり、同盟の次の時代を定義した」とし「これは外交、国防、経済などあらゆる分野の新しい標準で、日本は定数になるだろう」と説明した。
この当局者は具体的に「今後、日本は日本周辺だけでなく欧州や中東、インド太平洋で起きることに対して、米国の『グローバル・パートナー』として関与することになる」と強調した。
これはウクライナ戦争、イスラエル−ハマス戦争、中国の台湾侵攻などのような状況で、今後日本の自衛隊が米軍と共に参戦する道を開いたもので、日本が第2次大戦後の1947年に戦勝国米国の指針により制定された平和憲法体制から米国の容認下で戦争に参加できる「正常国家」に事実上転換するという意味だ。
会談に先立ち、公式歓迎式でバイデン大統領は「わずか数世代前、両国は激しい葛藤を経た敵対国だったが、今や最も近い友人になった」とし「両国はこれまでになく強力な国防パートナーシップとインド太平洋を構築している」と述べた。岸田首相は「日本は米国の友人と手を携え、10年後、100年後の世界の在り方を見据え両国の関係を発展させながら、ともに世界の課題解決の先頭に立つ」とし「日米同盟の桜の絆は、今後もこの地で更に太く強くなっていくと確信している」と呼応した。
両国はこの日の会談で約70件に達する項目に合意したと伝えられた。ホワイトハウスによると、両国はこの日武器の共同開発および生産を議論する「防衛産業政策調整会議(military industrial council)」を立ち上げることにした。この当局者は「日本の強力な産業力が米国の防衛産業生産の脆弱な部分を埋めることができる」と期待した。
この当局者はまた「初めて日本での戦力構造を変化させ、新しく立ち上げる(陸海空自衛隊の)『統合作戦センター(joint operations center)』を最大限活用することができるようにする」と説明した。今年末に創設される日本陸海空自衛隊の統合作戦司令部と在日米軍司令部間の緊密な調整が可能になるように米日同盟の指揮構造に実質的な変化を加えるということだ。
岸田首相は、11日には上下院合同会議で演説する予定で、同日午後にはホワイトハウスで史上初めて米国・日本・フィリピンの3国首脳会議も行う。
●日米首脳会談 アメリカ側の“狙い”は…バイデン氏“大統領選”を意識? 4/11
アメリカを国賓待遇で訪問している岸田首相は、バイデン大統領と首脳会談を行い、防衛・安全保障面での連携強化を確認しました。ワシントン支局の山崎大輔支局長に聞きます。
――アメリカ側の狙いはどこにあるのでしょうか。
ウクライナ戦争や中東情勢への対応に追われる中、アメリカだけでは中国に対抗できないという危機感から、日本にこれまで以上に大きな役割を担ってもらいたいという思惑があります。
中国を抑止するため、アメリカが主導してきた日米韓、またフィリピンやオーストラリアなど複数の国の枠組みで、日本が果たす役割が今後、より重要となります。
――バイデン大統領は11月の大統領選も意識しているのでしょうか。
実は、いま行われている公式晩さん会も選挙対策の一環として使われています。出席者の一人に聞きますと「民主党に寄付をしている人が複数、呼ばれている」と話したほか、日本政府関係者も「党の支持基盤である労働組合の幹部が招待されていて、完全に選挙対策だ」と指摘しています。
大統領選のために、使えるものは何でも使いたいという姿勢が見えます。 

 

●岸田政権でまさかの実質賃金23カ月連続減、国民を蚊帳の外に置いた「勘違い政策」の元凶 4/12
「新しい資本主義」が大スベり、賃上げは大企業止まり
「春には、春闘があります。近年、賃上げ率の低下傾向が続いていますが、このトレンドを一気に反転させ、新しい資本主義の時代にふさわしい賃上げが実現することを期待します」(首相官邸ホームページ、22年1月17日)
今からおよそ2年前、「聞く力」のアピールで、当時は内閣支持率57%(NHK世論調査)と人気絶頂だった岸田文雄首相は、国会の施政方針演説でそのように語っていた。ただ、今にして思えば、この時が「終わりのはじまり」だったのかもしれない。
岸田首相が得意満面で「一気に反転」とぶちまけたこの時から、実質賃金はなんと23カ月連続で減少していく。これだけ長期間におよんで国民が貧しくなっていく現象は、2008年のリーマンショックを挟んだ、2007年9月〜2009年7月以来のことだ。
では、なぜ岸田政権の「新しい資本主義」は、ここまで豪快にスベってしまったのか。
いろいろな意見があろうが、「敗因」のひとつはわかりきっている。「新しい資本主義」と言いながら、高度経済成長期に社会に定着した「古い資本主義」から脱却できなかったからだ。
具体的に言うと、日本経済の課題を解決していく上で、あらゆることで大企業を基準に物事を考え、大企業が変われば日本経済も変わっていくーーという「大企業中心主義」ともいうべき誇大妄想にとらわれてしまっていたのである。
その「病」を、これ以上ないほどわかりやすく示しているのが、先ほどの施政方針演説以降も首相が繰り返し訴えていた「春闘で賃上げトレンドをつくる」という言葉だ。
残念ながら、これは客観的な事実やデータとかけ離れた、「根性論」のようなものだと言わざるを得ない。
大企業がいくら賃上げできても、大半の中小には関係のない話
日本の賃金が低いのは、国内企業の99.7%を占めて日本人の7割が働いている約350万社の中小企業の賃金が低いから、というのは有名な話だろう。
しかし、その中でも特に低賃金の温床となっているところは知られていない。
それは、「小規模事業者」である。これは従業員が5人から20人という規模で、いわゆる「家族経営の小さな会社」をイメージしてもらえばいい。この小規模事業者は350万社ある中小企業の中でも8割以上を占めている。
つまり、日本の賃上げをしていこうと思ったら最もテコ入れをしなければいけないのは、この「小規模事業者の賃上げ」ということである。
そういう現実を踏まえて、岸田政権が掲げていた「春闘で賃上げムード」という政策を冷静にふりかえってみよう。
日本の労働組合は激減していて、現在2万2789組合。「従業員29人以下」になると21組合しかない(2023年労働組合基礎調査)。春闘で賃金の爆上げを勝ち取ったところで、全国350万社の中小企業に波及しないというのは、説明の必要もあるまい。
波及しないどころか、中小企業で働く7割の日本人をどんどん貧しくしてしまう恐れがある。
政府が「春闘で賃上げムードを」と要請すれば、大企業はそれに協力をせざるを得ない。ただ、ボランティアでやっているわけではないので、当然賃上げ分を補うために「値上げ」に踏み切っていく。ただ、これは大企業にとっては悪い話ではない。
これまでは値上げや価格改定をすると「高い」「消費者をナメているのか」とボロカスに叩かれたものだが、今回は政府の要請を受けて仕方なくの対応だ。つまり、国が大企業の「値上げ」にお墨付きを与えたような形なのだ。消費者から文句を言われても「いや、人件費高騰ですので」と言い訳が立つ。
こうして大企業の「値上げラッシュ」が加速しているわけだが、99.7%を占める中小企業が同じことができるのかというと難しい。結果、日本人の7割は給料が上がらないまま、大企業社員の賃金と物価だけが上昇していくという状況が続いて、気がついたら「実質賃金23カ月連続減」という悲惨な状況になっていたというワケだ。
「大企業が賃金上げれば、中小企業にも波及する」は幻想
このような話を聞くと、「大企業が賃上げすれば、下請け企業などの賃金も上がっていくわけだから、それなりに影響があるのでは?」と思う人もいらっしゃるかもしれない。
ただ、それも「大企業中心主義」にとらわれてしまっている方特有の考え方だ。
よくドラマやマンガでは、大企業の下請けで搾取されたり、低賃金で無理な仕事を振られる町工場のような中小企業が登場する。そのため、「中小企業ってのは大企業の下請けが多い」と思い込んでいる人が多いが、それはフィクションが広めた誤ったイメージで、現実ではかなりレアだ。
「中小企業白書2020年版」の中には、「受託事業者の現状」という項がある。これは下請法に基づく受託取引のある事業者を、広義の「下請事業者」と捉え、その現状を調査・分析したものだ。それによると、中小企業全体で「下請け事業者」はわずか5%しかないのだ。
もちろん、これは業種によってレイヤーがある。例えば、情報通信業が最も多く36.2%、次いで製造業が17.4%、運輸業、郵便業が15.2%、卸売業は3.1%、小売業は1.0%、宿泊業、飲食サービス業にいたっては0.1%しかない。
そんな「下請けの実像」を踏まえて、大企業の賃上げがどこまで波及をするかを考えていこう。
確かに、IT業界は最も下請けが多いのでそれなりに波及するかもしれない。しかし、製造業や運輸業は1割程度しかないし、卸売業、小売業、宿泊業、飲食サービス業に関して大企業の影響は「皆無」と言ってもいい。
大企業の下請けをしている中小企業は確かに存在している。その中には、春闘の賃上げの恩恵を受けて、自分たちも賃上げができたという成功事例もあるだろう。
ただ、それは日本経済の実情に照らし合わせると「超マイノリティ」な個別ケースに過ぎない。少なくとも、日本人の7割が働く「中小企業全体の賃上げ」とは関係のない話なのだ。
なぜ岸田政権は「大企業中心主義」にとらわれるのか
さて、このように「大企業が賃上げしたら中小企業も賃上げできる」という考え方がいかにトンチンカンなのかということをわかっていただくと、みなさんは不思議に思うことだろう。
政府には頭のいいエリートが山ほどいる。データを見てちょっと冷静に考えれば、全体の0.3%に過ぎない大企業が賃上げして、99.7%の中小企業に波及をさせるなんて話が荒唐無稽だということはすぐにわかる。この30年、先進国で日本だけ平均給与が上がっていないという現実からも疑いようがない。
にもかかわらず、なぜ岸田政権は「大企業中心主義」にとらわれているのか。
まず、身も蓋もない話をすると、ひとつには「自民党の選挙対策」ということも大きい。
大企業を中心に構成される経団連は、毎年秋になると、「社会貢献の一環」として約1700の会員企業・団体に、与党(自民党)に献金を促す。そして、自民党は選挙でも大企業の組織力をあてにしている部分がある。
だから、自民党は露骨に大企業を優遇をする。例えば、岸田政権は大企業に対して「賃上げ」で協力をしてもらう代わりに、「賃上げ減税」という優遇措置をした。中小企業のほとんどは赤字企業で法人税を払っていないので、恩恵はない。つまり、これも「大企業中心主義」を体現した政策ということだ。
しかも、「大企業中心主義」のメリットには、国民に対して“やってます感”を出したアピールができるということもある。
実はこれまで説明した「大企業中心主義」にとらわれているというのは、岸田政権だけではなく、マスコミ、そして我々国民にも当てはまることではないか。
中小のサービス産業が日本経済を支えている
マスコミは、正月になると必ず経団連の賀詞交換会で、「今年の景気はどうですか」なんてやっている。国民の中にも「トヨタなど大企業製造業が日本経済をけん引している」と考えている人は多い。
実際は、日本のGDPの7割はサービス産業で、日本人の7割がここで働いている。そして、サービス産業には圧倒的に中小企業が多い。「大企業が日本経済をけん引している」というのは間違ったイメージで、現実の日本経済は、中小のサービス産業がけん引しているのだ。
なぜこんな勘違いが定着したのかというと、高度経済成長期のマスコミと教育のせいだ。
1968年に、日本のGDPがドイツを追い抜き、世界2位になった。同じくらいの生産性の国のGDPは人口に比例する。実はこの時期、日本の人口はドイツを抜いて、先進国の中で世界2位になったので、そこまで驚くような話ではなかった。
ただ、そこでマスコミがやらかした。「技術大国のドイツを追い抜かしたということは、これは日本の技術力が抜いたということだ」という斬新な説をふれまわったのである。当時、ホンダやソニーという「大企業製造業」が、世界で存在感が高まっていたことにこじつけたのだ。
普通の国なら、「さすがにそれはないでしょ」というツッコミが入るところだが、日本人は戦前からこういう「日本スゴイ論」に目がない。結果、小学校などの教育現場にまで浸透し、「戦後、日本が奇跡の経済成長を果たしたのは、ホンダやソニーなど世界一の技術をもつ大企業のおかげ」というご都合主義的な話を、教師が当たり前のように子どもたちに教えるようになった。気がつけば、「日本経済をけん引しているのは大企業」という“神話”が常識として定着してしまったのである。
今、日本のGDPは中国とドイツに抜かれて世界4位まで転落した。この現象について「中国やドイツの技術力が、日本を上回ったからだ」と思っている日本人は少ないはずだ。
中国は約14億も人口がいるので生産性が上がれば、日本など軽く上回るのは当然だ。ドイツも人口は日本よりも少ないが、労働生産性が日本を大きく上まっているので追い抜かした。「高い技術力をもつ大企業がけん引した」なんて話は関係ないというのが事実なのだ。
ただ、そういう本当のことを言っても、あまり国民ウケは良くない。昭和に支持された神話”も否定することになるので、なんとなくバツも悪い。
そこで国民ウケを狙う政治家としては、「大企業が日本経済をけん引して、彼らを優遇すればシャワーのように景気の良さが波及していく」というストーリーを今もふれまわっているというワケだ。
政治家としても、そういう政策を進めた方が、経団連も喜ぶので、選挙対策的にもありがたい。やめる理由が見当たらない。
かくして、「大企業中心主義」は続いていく。来年も「春闘で賃上げムードを」とか言っているのだろう。実質賃金減少記録はもうしばらく更新されていくのではないか。
●子育て支援金は「消費税0.8%分」のステルス増税だ! 4/12
こども家庭庁が4月9日に公表した、子育て支援金制度の年収別徴収額(試算)が話題です。試算によると年収600万円なら1000円、年収800万円は月1350円、年収1000万円は月1650円を徴収するとのこと。しかし、残念ながらこの制度、「消費税0.8%分のステルス増税」と言えるのです。
国民の負担増?「子育て支援金」試算案で物議
岸田政権の掲げる異次元の少子化対策の中核といえる子育て支援金制度について、こども家庭庁が発表した財源の試算案が「結構、国民の負担が多くなるね」ということで物議をかもしています。
子育て支援金制度とは国が子育て世代に手厚い支援をする制度です。その財源が税金だけではまかなえないため、新たに国民全体から広く徴収することになり、その負担についての試算案が公表されたというのが今回のニュースです。
「異次元の」というほどお金をかけて少子化対策を実施する覚悟をみせた一方で、実現には財源が足りなかった政策です。
そしてふたを開けてみたら、やはり1兆円分の財源は国民による負担という話になってきました。これまで「全体として実質的に負担は生じない」と言ってきた話はやはり絵に描いた餅で、「負担はワンコイン」と後出しで出てきた情報も、実はワンコインでは済まない構図に変わってきたわけです。
先に読者の皆さんがイメージできるようにざっくりと全体像を説明します。
子育て世帯は厚生労働省の直近の調査によれば全世帯の18.3%です。シンプルにモデル化して説明すれば約2割。その子育て世帯の支援金の財源を10割の世帯(=子育て世帯を含む全世帯)から徴収する仕組みだと理解することができます。
ですから月500円のワンコインなら子育て世帯に使える財源は月2500円になりますし、月2000円を徴収すれば月1万円が活用可能になります。
それで今、世間がざわついているのはどうも試算結果を見ると負担レベルは後者なのではないかという話なのです。
「労使が折半して負担」の条件で賃上げに悪影響の可能性も
日本の一世帯あたりの平均所得は545万円ですが、労働者の大半が属する高齢者世帯以外の世帯の場合は665万円です。
子育て支援金の試算によると年収600万円の人の2028年度の負担額が月1000円となっています。
仮に夫婦共働きだとして片方が年収400万円、もう片方が年収200万円で世帯合計が600万円の場合も同じで、ふたり合計で月1000円の徴収になります。
そしてここが一番あやしいところなのですが、その試算は会社員や公務員が入っている健康保険から徴収するとされていて「労使が折半して負担」とも表現されています。
会社員が入る被用者健康保険では給与明細に入っている健康保険料は実は半分の金額で、残り半分は会社が負担しています。
ですから労働者が負担する月1000円とは別に、雇用者も1000円負担するようにも読めるのです。雇用者が1000円負担するといってもそれはもともと人件費の一部ですから、負担が増える分は賃金上昇を抑える方向に力学が働きます。
つまり、制度上は折半して負担でも、実質は労働者が負担することになるのです。
加藤鮎子こども政策相は記者会見で「機械的に計算した数字だ。正確なものではないが、議論の役に立てていただきたい」とおっしゃっているので、今後議論をしていく中で、平均的な所得の世帯の負担額が月1000円なのか、それとも実際は会社があと1000円負担して実質的に月2000円なのかがつまびらかになっていくことと思われます。
「月2000円負担」が既成事実化する可能性も
それでこういった議論に騙されないようにするために重要な視点が「結局は2割の子育て世帯の支援財源を10割の世帯が負担するのだ」という全体像の理解です。
月1万円レベルの支援を国が考えているのであれば、わたしたち国民から広く徴収する負担分は当然月2000円になります。
さらにいえば、今回の子育て支援金は「これまで支援が薄かった0歳から2歳までの子どもを重点的に支援する」という議論があります。
仮に試算として3歳から18歳までをゼロで計算すれば対象世帯は6分の1、支援は全子育て世帯にまんべんなくする場合と比較して6倍給付できます。つまり月2000円の徴収で月6万円分の支援財源を確保できます。
この月6万円という金額は、公表されている少子化対策の施策と近い数字です。
もともと政府は制度の使い道を4つに絞ると説明しています。妊産婦への10万円支給、育児休業給付の引上げ、こども誰でも通園制度、児童手当の拡充がその4つです。
対象世帯が受けるサービスは月1万円では足りない施策ですから、こうやって給付対象の子育て世帯の数を絞るつもりなのだなと捉えるとだんだん数字の辻褄があってきます。
このように政府がどんな使い道を想定しているのかをチェックすれば、月500円なのか月2000円なのか、政府はどちらを想定しているのかが推定可能なわけです。
子育て支援金制度はこの後、国会での審議が本格化していきます。
野党が頑張ってくれて元のワンコインに戻る可能性もないとはいえませんが、こういった制度は常に膨張する性質があります。
最終的には月2000円負担が既成事実化していく流れができていく未来を予測するのが妥当な線でしょう。
子育て支援金は消費税0.8%分のステルス増税だ
それにしても現役世代はすっかり政府のATMとなり果てています。新制度に怒りをぶつける際に重要なのは「搾取の全体像」を把握することです。
そもそも消費税が10%に引き上げられた背景は、福祉財源を確保するためのはずでした。福祉財源から子育て支援を行えばいいだけの話ですが、それでは足りないからあと2000円というのが今回の話です。
しかし、私が一番問題だと思うのは今回、不足財源を増税しなかったことです。
国民や企業が所得の中からどれだけ税金や社会保険料を払っているかを示す国民負担率は直近では47.5%まで上がっています。Xでは「五公五民」がトレンドワードになりました。
年収600万円の世帯が五公五民で消費できるのは約300万円。“月2000円”の場合、年間2万4000円の追加負担が発生します。これは自由に消費できるはずの300万円のうち0.8%を占めます。
つまり、月2000円の負担増は生活者の目線では消費税が0.8%上がったのと同じです。
でも「消費税を上げる」というと選挙で負けるから、別の財布から搾取すると国が言っているのです。
皆さんが払う年金はそのまま高齢者の年金に流用されますし、健康保険料も構造は同じです。そこに介護保険料も加わっているというのが皆さんの実態です。
「健康保険や介護保険はいつか自分に戻ってくるから税金ではなく保険なのだ」というのは理屈です。
しかし、「子育て支援金の恩恵が自分に戻ってこない場合、保険にならないのではないか?」と疑問がわくわけです。
なぜ、健康保険から徴収するのでしょう?結局のところ子育て支援について国がやろうとしているのは消費税0.8%分のステルス増税です。
選挙で「自民党と公明党は4万円の減税をしました」と言いたいという理由が透けてみえます。馬鹿な国民は騙せるとでも思っているのでしょうか。
「五公五民」がトレンドワードになったのは、江戸時代の四公六民よりも令和の暮らしが厳しいという意味です。そもそも江戸時代では不作で年貢が五公五民に陥ると一揆がおきたものです。
現代の民主主義では一揆に代わるものは政権交代ですが、それがどうにも起きそうにもない。また一段と寒い時代が訪れたのだと私は思います。
●「裏金」解明は放置のまま「改憲」具体化に走る岸田政権 衆院憲法審査会では「資格ない」「不見識」と批判 4/12
衆院憲法審査会は11日、今国会で初の実質的な議論となる自由討議を行った。自民党は、岸田文雄首相(党総裁)が約束した9月の総裁任期までの改憲実現に向け、緊急事態条項の条文案を作成する起草委員会の創設を提案。野党第1党の立憲民主党は、自民派閥の政治資金パーティー裏金事件の全容が明らかになっていないとして「自浄作用のない自民が改憲を論ずることに正当性があるのか」とけん制し、首相の主張通りに議論を進めることに慎重な姿勢を示した。
「今国会で節目を」起草委員会設置を提案
自民の中谷元氏は憲法審で「緊急時の国会機能の維持については、いつでも条文起草作業に入れるところまで議論が進んでいる」と強調。改憲原案の起草委の設置を各党派に呼びかけた上で、定例日の毎週木曜以外の憲法審開催も持ちかけて「今国会中に一定の『節目』が迎えられるよう努力する」と意気込んだ。
日本維新の会の馬場伸幸代表は自民の提案に同調して「首相は9月の総裁任期までの改憲実現の前提となる国会発議をした上で衆院解散すべきだ」と指摘。維新に加え、国民民主、衆院会派「有志の会」は約1年前、共同で条文案をまとめており、改憲に前向きな立場だ。
自民党大会で「総裁任期中に実現」強調
首相は保守層の支持を得るため、事あるごとに改憲への意欲を見せる。3月の党大会では「総裁任期中に実現するとの思いで条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速する」と明言した。そんな首相に対して、国民の玉木雄一郎代表は審査会で「威勢のいいかけ声だけは続けている。パフォーマンスにしか見えない」とやゆした。
立民などは、裏金事件で多くの議員が法律違反をしていた自民が、改憲論議を急ピッチで進めることを疑問視する。
改憲の主体は「縛られる権力側ではない」
逢坂誠二氏は「憲法も社会の変化に応じて不断の見直しを行うことが求められている」としつつ、改憲の主体は憲法に縛られる権力側ではなく、主権者である国民だと強調。憲法の順守義務を負う首相が期限を区切った改憲に意欲を示すことを「不見識だ」と訴えた。
共産の赤嶺政賢氏も「長年、国民を欺き、議会制民主主義の土台を踏みにじってきた自民に改憲を語る資格はない」と厳しい言葉を浴びせた。
参院では裏金議員3人を差し替え
参院でも裏金づくりをしていた憲法審の幹事3人が交代する事態に発展している。与党筆頭幹事を務める自民の佐藤正久氏は10日の憲法審後、記者団に「今回の始まりは異常かつ異例だ。自民側に責任がある」と話した。
●「岸田・バイデン」日米首脳会談で語られなかった「ほんとうの問題」…日本が抱えている「致命的な弱点」の正体 4/12
日米の枠を超えた会合
岸田文雄首相とジョー・バイデン大統領による日米首脳会談は、中国やロシア、北朝鮮の脅威に対して、共同で対処する決意と具体策を示した。だが、相手側陣営から見れば、日本は決定的な弱点を抱えている。首脳会談で語られなかった「真の問題」とは何か。
両首脳は4月10日、会談で「日米は国際社会の問題に取り組むグローバル・パートナー」という認識で一致した。そのうえで、中国や北朝鮮の脅威に対して、緊密に連携し、共同で対応していく方針を確認した。
具体的には、在日米軍と自衛隊の連携強化や防衛装備品の共同生産、極超音速兵器に対する迎撃ミサイルの共同開発などを列挙した。
協力関係は日米にとどまらない。
米国、英国、オーストラリアは首脳会談に合わせて、3カ国による安全保障枠組み「オーカス(AUKUS)」で、日本と「人工知能(AI)やサイバー、量子コンピューターといった先端防衛技術分野での協力を検討する」と発表した。
さらに、日米豪とフィリピンの4カ国は7日、南シナ海で合同軍事演習を実施した。首脳会談に合わせたタイミングであり、これも成果の1つと数えてもいい。実際、日米比の3カ国は11日にワシントンで首脳会談を開く。
こうしてみると、今回の日米首脳会談は、日米の枠を超えて、英国やオーストラリア、フィリピンという同盟、同志国も巻き込んだ幅広い会合になった、と言える。この方向性は、まさに「グローバル」だ。NHKのインタビューに応じたジェイク・サリバン大統領補佐官は「地球規模の協力関係」と言っている。
だが、日本は本当に米国のグローバルなパートナーでありうるのか。
日本が抱える最大の弱点
首脳会談で語られず、共同声明もまったく触れていないが、実は、米国が期待する地球規模の協力関係を遂行していくには、日本は大きな障害を抱えている。中国やロシア、北朝鮮など敵の陣営から見れば、「最大の弱点」でもある。それは、日本国憲法である。
たとえば、中国が台湾に武力侵攻しても、憲法は、自衛隊が台湾を守るために戦うことを許していない。米軍と一緒になって戦うことも認めていない。自衛隊は専守防衛のための組織であって、原則として、日本自身が攻撃されなければ、反撃できないからだ。
安倍晋三政権は2015年に憲法解釈を見直したが、それでも基本的にこの事情は変わっていない。あくまで(1)日本と密接な関係がある他国に武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされる明白な危険がある(2)他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使ーという3つの要件を満たす場合に、台湾防衛に活動する米軍などを守れるだけだ。
制約は、戦場だけでもない。
自衛隊と米軍が統一司令部を作って、日米の部隊を一体的に動かして台湾を守ることもできない。それでは米国と「武力行使が一体化している」とみなされるからだ。日本が直接、武力行使していなくても、司令部が一緒なら、中国は「日本は米国と一緒に中国を攻撃している」と言い出しかねない。
そのあたりの事情を勘案したように、首脳会談の共同声明は、米軍と自衛隊の連携について、次のような微妙な言い回しになっている。
〈地域の安全保障上の課題が展開する速度を認識し、日米の二国間同盟体制がこうした極めて重要な変化に対応できるようにするため、我々は、作戦及び能力のシームレスな統合を可能にし、平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能にするため、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる意図を表明する〉
前段で「シームレスな統合」をうたいながら、後段では「二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる」としているのは、矛盾していると言ってもいい。シームレスに「一体化させる」のか、それとも「2国間でバラバラなまま」なのか。本音は一体化だが、憲法に抵触したくないので、わざわざ「2国間でそれぞれ」と言っているのだ。
「日本は米国と一体には動けない」という事実
いくら共同声明が「グローバルなパートナー」とか「地球規模の協力」などと美辞麗句を並べても、実際には「日本は米国と一体には動けない」のである。
バイデン政権とすれば「日本はさっさと憲法を改正して、真のグローバル・パートナーになれ」と言いたいところだろうが、それを言ったら、内政干渉と反発を招き、岸田政権も苦境に立ってしまうので、あえて言わない。それが真相、と私は思う。
岸田首相は1月の施政方針演説で「自民党総裁の任期中に憲法改正を実現するため、最大限努力したい」と語った。だが、9月の任期終了までに、改憲が実現するなど、誰も思っていないだろう。私は、まったく期待していない。
バイデン氏は岸田首相を追い詰めなかったが、もしも11月の米大統領選でドナルド・トランプ前大統領が復活すれば、どうなるか分からない。バイデン政権以上に日本に役割を果たすよう、期待する可能性もある。そうなれば、憲法改正は、これまで以上に待ったなしの課題になる。
一方、バイデン政権の側にも、避けて通りたい課題があった。イラン問題である。
イスラエルをテロ攻撃したイスラム過激派、ハマスの背後にイランがいるのは、世界の誰もが知っている。イランはウクライナに侵攻したロシアにもドローンなどの武器弾薬を提供している。米共和党は中国、ロシア、イランを新しい「悪の枢軸」と名付けたほどだ。
にもかかわらず、共同声明はハマスのテロを非難しただけで、イランについて一言も触れなかった。共同声明だけではない。3月8日に発表した一般教書演説でも、バイデン大統領は、イランに1カ所触れただけで事実上、素通りしていた。
なぜかと言えば、バイデン政権のイラン政策が失敗しているからだ。
バイデン大統領はイランの核問題について、政権発足当初から、トランプ前大統領が離脱した核合意への復帰を目指していた。たとえば、2021年4月16日、当時の菅義偉首相をホワイトハウスに迎えた際、記者会見で問われた大統領は「どうすれば、核合意に戻れるか、イランが協議に応じてきたことに満足している」と述べている。
ところが、この3年間、まったく協議は進展していない。それどころか、先週のコラムで指摘したように、いまやイランは兵器級の濃縮度90%のウランを備蓄し、国際原子力機関(IAEA)は「その気になれば、5カ月で13個の核爆弾を作れる」段階にまで達してしまった。
だから、大統領はイラン問題に触れたくないのだ。
それは、日本の思惑とも一致している。イランが支援するイエメンの民兵組織、フーシ派が日本の貨物船を攻撃しているにもかかわらず、日本はイランを伝統的な友好国に位置付けている。日本はイランから一滴の原油も輸入していないのに「原油欲しさ」の姿勢が抜けきれないのだ。だから、日本も、ことさらイランを批判したくない。
そんな両政権の思惑が重なって、共同声明は一切、イランの脅威に触れなかった。
イランのエイブラヒム・ライシ大統領は2月の演説で「ガザの戦いは世界を支配する不正義の秩序を変える」と力説した。イランはロシアや中国などと連携して、戦後の世界秩序を根本からひっくり返そうとしている。イランにとって、ガザ戦争は、これから始まる大戦争の前触れにすぎない。
そういう意味で、日米両国とも世界の脅威を正しく認識しているとは言えない。
トランプ氏は、イランに厳しい態度を示してきた。米国で政権交代が起きれば、ここでも日本は辛い立場に立たされるだろう。
●日米の軍事協力 衆議なき一体化を糾す 4/12
岸田文雄首相とバイデン米大統領が日米軍事協力の強化に合意した。岸田政権が2022年12月に改定した国家安全保障戦略に沿った内容だが、同戦略は国会の議決も国民の審判も受けていない。
米国との軍事一体化を国民的な議論を経ず、既成事実化するような振る舞いを糾(ただ)さねばならない。
両首脳は会談で、自衛隊と在日米軍の相互運用性を高めるため、双方の指揮・統制枠組みを見直すことで一致。防衛装備品の共同開発・生産に関する定期協議の開催にも合意した。
日本は殺傷能力のある武器の輸出を一部解禁し、迎撃用地対空誘導弾パトリオットの対米輸出も決めており、武器を巡る日米協力はさらに拡大されることになる。
首相の国賓待遇での訪米は、日本の安保政策の転換を米側が評価した結果でもあるが、そもそも国会の関与も国政選挙もなく、平和憲法の理念を形骸化させる政策転換は許されるものではない。
いくら米国と合意しても、国民が幅広く賛同しなければ、合意の有効性すら疑われかねない。
覇権主義的な動きを強める中国に対抗するためとはいえ、日米が「グローバルなパートナー」(共同声明)として軍事一体化を際限なく進めれば、米国の戦争に日本が巻き込まれる懸念も高まる。
日本側には、11月の米大統領選でトランプ氏が返り咲くことも想定し、米国の東アジア関与を確実にしておきたい思惑もあろう。
首相が米上下両院合同会議での演説で、米国第一主義を掲げるトランプ氏の支持層を意識し、米国が引き続き世界秩序を主導するよう求める狙いは理解する。
ただ「日本は米国と共にある」との呼びかけは、米国に常に追従し、軍事・財政負担の一層の用意があると受け取られかねない。
イラク戦争の例を挙げるまでもなく、米国が判断を誤れば、国際情勢に深刻な影響を及ぼす。
首相が「日本は米国の最も近い同盟国」と胸を張るなら、米国が独善的な行動に走る場合には誤りを正し、修正を促す役割があることも忘れてはならない。
●「米国と共にある」岸田首相が米議会で演説 国際秩序を守る決意を強調 初の日米比3カ国首脳会談では中国をけん制 4/12
アメリカを訪問中の岸田首相は、議会の上下両院合同会議での演説で、日米がグローバルパートナーとして自由で開かれた国際秩序や平和を守っていく決意を強調した。
そして岸田首相は、FNNの単独インタビューに応じた。
アメリカ議会での日本の総理大臣の演説は9年ぶりで、岸田首相は大きな拍手で迎えられた。
岸田首相「日本の国会では、これほどすてきな拍手を受けることはまずない。現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向は日本の平和と安全だけでなく、(国際社会全体の)平和と安定にとっても、これまでにない最大の戦略的な挑戦をもたらしています。日本はすでに、アメリカと肩を組んで共に立ち上がっています。米国は独りではありません。日本は米国と共にあります」
岸田首相は、アメリカが引き続き、国際秩序の維持に取り組む重要性を訴え、日本もグローバルパートナーとして協力していく姿勢を強調した。
その後、岸田首相は、日米にフィリピンを加えた3カ国での初の首脳会談に臨んだ。
岸田首相「自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けて、大きく前進させる歴史的な会合になると思っています」
会談では、尖閣諸島周辺や南シナ海での中国の一方的な現状変更の試みに反対し、自衛隊とアメリカ軍・フィリピン軍の海上共同訓練を拡充するなど連携の強化に合意した。
●立憲・安住国対委員長 岸田首相の米議会演説に皮肉エール「裏金疑惑でリーダーシップとったら私たちも”喝采”」 4/12
訪米中の岸田首相が米の議会演説で、米上下両院の議員から、拍手やスタンディングオベーションを受け「日本の国会ではこれほど素敵な拍手をうけることはまずない」と演説したことについて、立憲民主党の安住国対委員長は12日、「政治改革や疑惑の追及でちゃんとリーダーシップをとってくれたら、私どもは喜んでスタンディングオベーションしたいと思っている」と述べた。
さらに「それ(疑惑の究明)をやらないから自民党も含めてそういう拍手になってないのではないか」と日本の国会では岸田首相を取り巻く評価は厳しいと指摘した。
その上で安住氏は「自らの処分や自ら率先してリーダーシップをとって、この政治とカネの問題で決着をつけてくれれば、私一人でもスタンディングオベーションしたいと思っている」と皮肉めいたエールを送った。
●裏金とともに沈みゆく岸田内閣・自民党 「青木率」麻生政権に並ぶ 4/12
時事通信社の4月世論調査で、岸田文雄内閣の支持率は16・6%(前月比1・4ポイント減)、自民党の支持率は15・3%(同2・4ポイント減)で、そろって低下した。内閣と党の支持率を合わせると「31・9%」で、衆院選惨敗前の麻生太郎内閣の「31・4%」=内閣16・3、自民15・1=にほぼ並んだ。自民党安倍派(清和会)などの政治資金規正法違反事件が影響したのは明らかで、裏金事件とともに沈みゆく岸田自民党の現状が浮き彫りになった。
内閣支持、最低を更新
調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で5〜8日に実施。有効回収率は60・4%。
それによると、内閣支持率は、自民党の政権復帰後の最低を更新し、不支持率は59・4%(同2・0ポイント増)。自民党支持率も1月(14・6%)に次ぐ低水準だった。政界では、「内閣と党の支持率を足した数字が5割を切ると、政権運営に早晩行き詰まる」との説が定着。自民党の青木幹雄元参院議員会長が唱えたことから「青木の法則」「青木率」と言われる。
岸田内閣発足以降の調査結果をこれに当てはめると、5割切りは2023年10月(47・3%=内閣26・3、自民21・0)から7カ月連続。4割を下回るのは同12月(35・4%=内閣17・1、自民18・3)から5カ月連続で、2割台突入が迫っている。
この間の岸田政権を取り巻く政治状況を振り返ると、東京地検特捜部が安倍派事務所に家宅捜索に入るなど強制捜査に着手したのは昨年12月で、今年1月に捜査が終結。岸田政権は2〜3月にかけて、安倍派議員らへの聞き取りなどの調査を実施し報告書をまとめ、衆参の政治倫理審査会で同派元幹部らが弁明した。
これらを受けて、自民党は今月4日、裏金議員への処分を決定。ただ、党の処分で2番目に重い離党勧告は2人にとどまり、幹部間で処分の軽重が分かれたほか、裏金額が5年間で500万円未満の議員は処分を免れた。また、岸田派の会計責任者も政治資金収支報告書への過少記載で略式起訴されたが、同派会長を務めた岸田首相は「個人として不記載はない」などとして処分の対象にならなかった。
内閣や党の支持率低迷は、岸田政権の裏金事件への取り組みが、有権者に評価されていないことを裏付ける。特に、今回4月調査で、内閣と党のいずれの支持率も下落したことは、裏金議員らへの処分内容への不満が一因と言えるだろう。
森元首相の説明、7割弱が「必要」
実際、今回の調査では、関係議員に対する処分内容の評価も聞いている。結果は、「軽すぎる」56・4%、「妥当だ」29・2%、「重すぎる」2・6%、「わからない」11・8%。ただ、自民党支持層では「妥当だ」が49・7%で、「軽すぎる」は35・7%にとどまった。同じ与党でも、公明党支 ・・・
●初の日米比首脳会談 海洋の安全保障協力を強化で一致 4/12
岸田総理大臣は訪問先のアメリカで、日米両国にフィリピンも加えた、3か国の首脳による初めての会談に臨みました。中国の動向を踏まえ、3か国の海上保安機関による合同訓練を行うなど、海洋の安全保障協力を強化していくことなどで一致しました。
岸田総理大臣は、日本時間の12日朝早く、ワシントンのホワイトハウスで、アメリカのバイデン大統領と、フィリピンのマルコス大統領との3か国による初めての首脳会談に臨みました。
冒頭、岸田総理大臣は「世界が複合的な危機に直面する中、国際秩序の維持・強化に向けて同盟国、同志国との重層的な協力が重要で、きょうの会合は取り組みを大きく前進させる歴史的な会合になる。3か国の協力のさらなる強化を確認し、具体的な方向性を示したい」と述べました。
会談では、中国による南シナ海での攻撃的な行動や、東シナ海での一方的な現状変更の試みへの深刻な懸念を共有した上で、3か国の海上保安機関による合同訓練に加え、海域のパトロールを行うなど、海洋安全保障協力を強化していくことで一致しました。
自衛隊と各国海軍の合同演習や、日米両国によるフィリピン軍の近代化支援といった防衛協力を推進していくことも確認しました。
またバッテリーの材料に欠かせないニッケルなどの重要鉱物や半導体の供給網の構築など、経済安全保障分野での協力を強化することも申し合わせました。
さらに、フィリピンのルソン島周辺の航路など、インフラの連結性を高める回廊プロジェクトを立ち上げ、港湾施設といったインフラ整備を推進していくことでも合意しました。
バイデン大統領 連携強化の意義を強調
会談の冒頭、アメリカのバイデン大統領は「われわれが1つになれば皆のためによりよい未来をつくることができる。インド太平洋地域、そして世界の人たちのためのよりよい未来だ」と述べて3か国が連携を強化することの意義を強調しました。
また「アメリカによる日本やフィリピンの防衛への関与は強固だ。南シナ海におけるフィリピンの航空機や船、それに軍に対するいかなる攻撃にも相互防衛条約が適用される」と述べて南シナ海で威圧的な行動を続ける中国をけん制しました。
マルコス大統領「共通のビジョン」
フィリピンのマルコス大統領は「われわれはきょう共通のビジョンや、インド太平洋地域の平和と安定、そして繁栄への追求で結ばれた友人やパートナーとして集まっている。このパートナーシップは利便性から誕生したものではなく、民主主義やよい統治、法の支配を深く尊重する3か国が関係や断固とした協力を深める中で、自然に誕生したものだ」と述べ3か国の今後の連携強化に期待を示しました。
林官房長官「安保や防衛協力などで一致は有意義」
林官房長官は閣議のあとの記者会見で「3か国がインフラ、サプライチェーン強じん化、情報通信などの経済分野に加え、自由で開かれたインド太平洋をともに実現すべく、安全保障、防衛協力、海上保安協力を強化していくことなどで一致したことは有意義だった」と述べました。
記者解説 3か国の連携 課題は
Q. アメリカにとって、3か国の首脳会談の成果は?
最大のライバル、中国への対抗を念頭に、民主主義の価値観を共有する3か国で首脳レベルの枠組みを設け、結束を示したことです。3か国の会談の冒頭、バイデン大統領は「われわれが1つになればよりよい未来をつくることができる」と述べ、連携を強化する意義を強調しました。
中国が台頭し、相対的にアメリカの力が低下する中、バイデン政権は、2国間の同盟だけでなく、同盟国どうしの横のつながりも強めようとしてきました。その一環が、日米韓の枠組みや、イギリス、オーストラリアとの安全保障の枠組み「AUKUS」です。今回の日本、フィリピンとの3か国の枠組みについてバイデン政権は、いわば“総仕上げ”と位置づけています。
Q. 日本、アメリカ、フィリピンの連携が強まった一方で、課題もあるのでしょうか?
南シナ海で中国が威圧的な行動を強める中、この枠組みをいかに迅速かつ効果的に機能させていくかだと思います。南シナ海のセカンド・トーマス礁の海域では中国海警局の船がフィリピンの運搬船に放水銃を発射し、けが人が出る事態となっており、バイデン政権は、これ以上の緊張の高まりは避けたいと考えています。
南シナ海で仮に力による現状変更を許せば、台湾をはじめ他の地域にも波及する可能性があります。ただ、アメリカはウクライナや衝突の拡大が懸念される中東への対応も迫られる中、南シナ海だけに集中できないのが実情です。バイデン政権は、日本に対しフィリピンへの安全保障協力や経済協力をはじめこの地域で果たす役割の拡大をさらに求めていくものとみられます。
●岸田首相 “日米がパートナーであり続けること伝えられた” 4/12
岸田総理大臣は、アメリカ議会で行った自身の演説について、日米同盟が堅固で、両国が今後もグローバルなパートナーであり続けることを具体的なビジョンと共に伝えることができたと意義を強調しました。
アメリカを訪れている岸田総理大臣は日本時間の12日午前、首都ワシントンからノースカロライナ州に移動したあと、記者団の取材に応じました。
この中で、総理大臣としておよそ9年ぶりに行ったアメリカ議会での自身の演説について「日米同盟は堅固で不朽の友好に基づくものであり、両国が今後もグローバルなパートナーであり続けることを具体的なビジョンと共に伝えた。反応を見ても、多くのアメリカの議員にそうした思いを伝えることができたのではないか」と述べ、意義を強調しました。
また、日米両国にフィリピンも加えた3か国の首脳による初めての会談について「地域、国際情勢だけでなく、インフラや情報通信といった経済の問題、外交、安全保障など幅広く議論し、大きな方向性を示す成果があった。定例化するかはいまはなにも決まっていないが、3か国の枠組みをこれからも大事にしていきたいという思いは一致したと考えている」と述べました。
そして、このあと行う予定のトヨタの現地工場などの視察について「日本企業がいかにアメリカ経済に貢献しているのかをみずから確認し、発信する機会にしたい」と述べました。
●22年度国内の温室効果ガス、過去最低 リバウンドから減少に転じる 4/12
環境省は12日、2022年度の温室効果ガスの総排出量が11億3500万トンで、過去最低だったと発表した。21度は新型コロナウイルスの流行で落ち込んだ経済活動が再開したことで8年ぶりに増加したが、再び減少に転じた。
総排出量は21年度より2・5%(2860万トン)減少した。政府は現在30年度に13年度比46%の削減目標を掲げているが、13年度比では22・9%減った。旅行などの増加で運輸部門からの排出は増えたが、工場などの産業や家庭部門のエネルギー消費が減り、排出も減ったという。 ・・・
●年金財政の検証に向け「経済前提」公表 4ケース設定 厚労省 4/12
公的年金の見通しをチェックする財政検証に向け、厚生労働省は12日、検証作業の基礎となる「経済前提」の案を公表した。同日開催される社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の専門委員会に示し、決定する。5年前の財政検証の時より二つ少ない四つのケースを設定し、実質賃金上昇率を幅広に設定したのが特徴だ。
年金財政検証は5年に1度、100年先までの公的年金の財政収支や給付水準を見通すために実施し、今夏に結果が公表される予定。少子高齢化が進む中でも、必要な年金を確保するため、どのような制度改革が必要かを議論する土台となる。
検証には、年金の受給者や保険料を払う働き手の将来的な増減に加えて、経済成長率や賃金増加率、積立金の運用利回りなどの経済前提が必要で、専門家が2022年から議論を重ねてきた。 ・・・ 
●農業基本法改定に待った! 食料・種の自給なき「食料安保」 種子を守る!緊急院内集会で鈴木宣弘教授、岩月浩二弁護士が講演 4/12
岸田政府は農政の憲法といわれる「食料・農業・農村基本法」を25年ぶりに改定しようとしている。気候変動や異常気象による世界的な農作物の不作の頻発にウクライナ戦争も加わって、食料、肥料、飼料不足に直面したことがきっかけだ。だが蓋を開けてみると「食料安全保障」をうたう政府が示した改定法案には、「食料自給率の向上」も「種子の自給率向上」の言葉もなかった。そして危機的な農村を支えるのではなく規模拡大やスマート農業の推進、さらには食料や農業資材の安定輸入を重点に置く内容となっている。同時に、有事のさいに政府が増産・供出を命令することを可能にする「食料供給困難事態対策法案」を新法として提出し、今国会での成立をめざしている。「日本の種子(たね)を守る会」は4日、食料自給、種子の自給を基本法に盛り込むことを求めて参議院議員会館講堂で「種子を守る! 緊急院内集会」を開催した。会場・オンライン合わせて約600人が参加し、熱い議論がおこなわれた。
開会の挨拶に立った日本の種子を守る会副会長の安田節子氏は、「今国会での基本法改正の背景には、化学肥料やエネルギーなど生産資材の輸入に頼る日本のリスクが顕在化したことがある。日本のリスクはそれだけでなく、国内の農家人口の激減、水田がこの65年間で100万fも減っているという農業の衰退に根源がある。すぐそこにある危機として近未来の食料生産力に危険信号がともっている。このような状況に直面する今、基本法の中心には食料自給を据えるべきだ。しかし、中間報告ではいったん上がった自給率と、それを支える多様な農業形態の支援は消え、加わったのは食料安全保障の確保だけになった」と指摘。「食料安全保障をいうなら、国土に一番適した水田農業に依存するのが最良の道であり、コメは籾(もみ)で保管すれば長いあいだ保存することができる安全保障に適した作物だ。ところが政府はこの間、コメなどの種子をないがしろにする政策をとってきた。TPPの日米文書によって設置された規制改革推進会議によって主要農作物種子法の廃止、種苗法の改悪、また農業競争力強化支援法によって公的な種子育種から民間の商業的種子へ移行することになってしまった。この背景に種の自給を奪い、日本の食料支配を完成させようとする力が海の向こうから働いているのではないかと思わざるを得ない」とのべた。
企業の種子は多様性に欠け、農家の選択肢は少なくなっていくこと、価格は必ず上がり、アメリカの場合、遺伝子組み換えの種子が過去20年間で700%以上上昇したことを指摘。農研機構が3月に公開した在来種280品種も、新品種開発の素材として民間に提供することを掲げていることに「在来種も民間の手に渡そうとしている」と警鐘を鳴らし、改定基本法の中心に自給を掲げること、そのために不可欠な種子の自給を明示することを求めると訴えた。
続いて、同会会長の秋山豊氏(JA常陸組合長)のビデオメッセージが紹介された。秋山氏は「日本の食料自給率を上げるために畜産のエサ、飼料用トウモロコシ、大豆、麦などを国内でつくろうとしたとき、日本に十分な種はないと思う。畜産のエサを国内でつくり、コメ、麦、大豆、野菜も緊急時に十分足りるだけの生産をするには、まず種の自給を基本に入れなければならない」と呼びかけた。
集会では、同日朝から衆議院・農林水産委員会の参考人質疑に参加した東京大学大学院の鈴木宣弘教授が「食料・農業・農村基本法の改定は食料・農業・農村を救うか」と題して、農業と食料自給率の現状とともに、改定基本法の問題点を講演。種子法廃止違憲訴訟弁護団の岩月浩二弁護士が「『みつひかり』不正事件から考える種子の自給」をテーマに話した。
   農業者や農協関係者 「国を滅ぼす法律」と
会場からは危機感を持った農家や地方自治体、農協関係者などから意見が出され、活発な議論がおこなわれた。
千葉県の有機農家は、「今回の基本法改定は、国民的な合意がほとんど形成されていない。目立つのは輸出の話で、農村政策はほとんど記述なしだ。このままいくと農村ががたがたになってしまう。現行基本法は決めるのに6年かかった。もっと時間をかけて日本の農業をどうするのか、食べ物をどうするのか、農村をどうするのか、しっかり議論が必要だ。このまま4月に可決されて参議院に送られたら国を滅ぼす。絶対に継続審議だ」と発言した。
北海道の議員は、自治体議員が連携し、鈴木宣弘教授を顧問に「食料自給の確立を求める自治体議員連盟」をつくったことを紹介した。
そして「先日、要望書を農林水産省に提出した。要望は7項目で、食料自給率の数値目標などを含めた自給率の向上を掲げること、ヨーロッパなどで当たり前になっている直接支払いをもっと拡充すること、種子法が廃止されて種の生産をしっかりと自国でできる仕組みをつくることなどだ。残念ながら農水省の回答は『自給率は一本足打法だからこれだけではだめなんだ』『直接支払いはもうしている』というものだった。食料・農業・農村基本法ということなので、農村を守るたたかいと合わせながら、消費者と連携をとれるたたかいを粘り強く進めていきたい」とのべた。
そのほか「農水省は海外のリスクが低いところで種をつくっているから大丈夫だというが、先日いつも使っているカリフラワーの種が手に入らなかった。ブラジルで気候変動、異常気象によって種がつくれていないということだった。ニュースを見ていても、日本以上に異常気象の被害は海外で出ている。であれば身近で、見えるところでつくった方が安全だ。基本法は農業の憲法といわれているが、憲法とは国家権力から国民の権利を守るものだ。これに“種”というワードがないということは、なんでもできるということだ。だからこそ、基本法には“種”を明記してほしい」(茨城県、農家)、「改正案に種の記述がないのは大変間抜けな話だ。今の国際情勢のなかでは食料を輸入に頼るのはなんの安全保障にもならない。輸出入については、大変なエネルギー浪費があり、地球環境に大きな負担をかけている。環境と調和のとれた食料システムと相容れないものだ。基本構成からして論理的に成り立たない変更案だ。しっかり見直ししないといけない」(栃木県、農家)など多くの意見がかわされた。
食料・農業・農村基本法の改定は食料・農業・農村を救うか 東京大学大学院特任教授 鈴木宣弘
   今何が求められているのか
全国の農村を回っていると、高齢化が進み、農業の後継ぎがいない。中心的な担い手もこれ以上は農地を受け入れられないような形で限界が来ている。そして耕作放棄地がどんどん広がっている。農業従事者の平均年齢は68・4歳。この衝撃的数字は、あと10年もしたら日本の農業の担い手が極端に減少し、農業・農村が崩壊しかねないということを示している。しかも今のコスト高で、農家はコストを販売価格に転嫁できず赤字に苦しみ、酪農・畜産を中心に廃業が後を絶たず、崩壊のスピードは加速している。私たちに残された時間は多くないというのが今の現実ではないか。一方の国際情勢は、いわずもがなだが、もうお金を出せばいつでも食料が買える時代でなくなっている。
それを受けて25年ぶりに食料・農業・農村の「憲法」たる基本法が改定されることになった。基本法の見直しを今やる意義とは、世界的な食料需給情勢の悪化と国内農業の疲弊を踏まえ、国内農業を支援し、種の自給率も含めて食料自給率をしっかり高め、不測の事態にも国民の命を守れるようにしなければいけない。そういうことを宣言するんだと、みな考えた。
確かに、新基本法は食料安全保障の重要性については認識されている。しかしながら、基本法の原案には種の自給どころか、食料の自給率向上という言葉さえ出てきていなかった。与党からの要請を受けて、「食料自給率向上」という文言を加える修正はおこなわれたが、なぜ自給率向上が必要で、そのためにどのような抜本的な政策が必要なのかという内容はまったくないままだ。
   自給率の意味がわかっているか
そもそも食料自給率という指標の位置づけについても、審議会関係者のなかでは、「食料安全保障を自給率という一つの指標で議論するのは、守るべき国益に対して十分な目配りがますますできなくなる可能性がある」とさえ指摘されていたというのだから理解に苦しむ。事務方からは「自給率という『一本足打法』では不十分だ」という言葉も出てきている。農地や労働力、肥料などの生産要素・資材の確保状況などが食料自給率とは別の指標として重要だといいたいようだが、これは食料自給率の意味が十分に理解されていないことを意味する。
食料自給率は生産要素・資材と一体的な指標である。なぜなら、生産要素・資材がなければ食料生産ができず、食料自給率はゼロになるからだ。今も、飼料の自給率が勘案されて38%という自給率が計算されていることからもわかる。私の試算では、ほぼ100%輸入に頼っている肥料を考慮すると実質自給率は22%、さらに、野菜だけでなくコメなどの種の自給率も10%に低下すると想定すると、日本の実質自給率は9・2%だ。
つまり、生産資材、種の自給率などすべてを総合的に高めることが重要なのであり、それが下がれば食料自給率が極端に下がって国民の命を守れなくなる。このようにすべてが食料自給率に集約される要素であることを考えれば、「自給率の一本足打法はだめだ」というような議論で整理すること自体が間違っている。これは食料自給率の定義・意味を理解していないといわざるをえない。
   なぜ農村現場が苦しんでいるか
もう一つの重大な問題は、農村の疲弊を改善し、自給率向上のための抜本的な施策強化は必要ないとの認識があることだ。畑作には内外価格差を埋めるゲタ政策がある。コメなどには収入変動緩和のナラシ政策もある。収入保険もある。中山間地・多面的機能直接支払いなどがおこなわれている。だから十分だ、新たな施策は必要ないというのが事務方の説明である。
しかし、十分ならなぜ現場がこれほど苦しんでいるのか。政策が不十分だから農業危機に陥っているのは明白ではないか。今のコスト高に対応できていない政策では現場の赤字は解消できない。そのことを認識せずして、もう政策は必要ないかのような議論をなぜ基本法を改定するときにやるのか。
一方で出てくるのは、規模拡大によるコストダウン、輸出振興、スマート農業、海外農業投資して海外農業生産を増やす、あるいは農業法人に企業の参入を促進するために、半分未満に制限されている農外資本比率を3分の2まで増やすということだ。これはだれのためなのか。
   有事立法つくり罰則だけ強化
今苦しむ農業を支える施策は提示されないまま、「目玉はある。有事立法(食料供給困難事態対策法)だ」という。平時からしっかりと自給率が向上できるようにするのではなく、輸入先との関係強化と海外での日本向け生産への投資を増やすことが重要だという。
しかし、不測の事態になれば自国の国民をさておいて日本に先に売ってくれる国があるはずはなく、物流が止まれば海外農業生産を増やしていても運んで来れない。なぜまず国内生産を増やすことが大事だとならないのか。 
一方で、有事になったら慌ててカロリーを摂りやすい作物への転換と増産命令を出し、供出を義務づけ、増産計画を提出しないと罰金を科すような有事立法をつくるという。平時は輸入に頼り、有事になったら命令するからそれに従ってつくれというが、できるわけがない。そんなことを罰則まで決めてやる前に、平時からしっかり政策を打ち、種の自給を含めて食料の自給を高めておけばすむ話だ。
   多様な農業経営体の位置づけ
今回の基本法改定の過程において、農村における多様な農業経営体の位置づけが後退しているとの指摘が多くなされてきた。最終的には、多様な農業者に配慮する文言は追加されたが、条文を見るとわかるように、26条の1項で、効率的かつ安定的な農業経営に対しては「施策を講じる」としている一方で、2項で、多様な農業者については「配慮する」と書いているだけだ。つまり、効率的な経営以外の農業経営体は施策の対象ではない、と位置づけていることがわかる。
基本的な方向性は、長期的・総合的な持続性ではなく、狭い意味での目先の金銭的効率性を重視していることが懸念される。農家からの懸念に、ある官僚は「潰れる農家は潰れたほうがよい」と答えたと聞いた。自給率向上を書きたくなかった理由には、「自給率向上を目標に掲げると非効率な経営まで残ってしまい、予算を浪費する」という視点もあったと思われる。
今、農村で中心になる担い手が重要なのは間違いないが、一部の担い手への集中だけでは地域が支えられないことがわかってきている。定年帰農、兼業農家、半農半X、女性グループで農地を借りて自然栽培をする動き、若手が有機や自然栽培で小さい面積から始めたいなど、さまざまな動きがある。多様な担い手がいて、あぜ道の草刈りや水路の管理も含めて地域コミュニティが機能し、資源・環境を守り、生産を維持することができる。これが今の農村を支えている。このことを無視して結局ごくわずかな企業なりが入ってきてやればそれでいいという流れが非常に強まっている。
   田んぼ潰しに750億円
麦や大豆の増産も重要である。しかし今、短絡的に「コメは余っているから」と田んぼをつぶし畑地化を推進しているのは危険だ。2023年度補正予算でこれに750億円つけるといっている。加工用米や飼料米も含めて、水田を水田として維持することが、有事の食料安全保障の要であり、地域コミュニティ、伝統文化の維持、洪水防止機能などの大きな多面的機能もある。こうしたことを無視した議論がおこなわれているのは間違っているのではないか。
中国は今、有事に備えて14億人の人口が1年半食べられるだけの穀物を備蓄するとして世界中から買い占め始め、国内も増産している。かたや日本の備蓄はコメを中心にせいぜい1・5カ月分だ。コメは今800万d弱しかつくっていないが、日本の水田をフル活用すれば1200万dつくれる。潜在生産力があるのだから、農家がもっと頑張れるような政策をして生産を増やし、しっかり備蓄すれば、不測の事態にどれだけ国民が安心して命を守れるか。
「そんな金がどこにある」といわれるが、よく考えてほしい。いざというときに国民の命を守るのが国防だというならば、アメリカからミサイルを買うのに43兆円も使うお金があるのだったら、食料を国内で生産し、政府の責任で備蓄するのに数兆円かかっても、それが一番の国防だ。田んぼつぶしに750億円使っている場合ではない。また、物流が止まれば意味のないような海外における日本向け生産への投資などに資金を使うなら、なぜ国内生産強化に財政投入しないのか。財政負担が限界だという説明は理由にならない。
   種の自給の重要性への認識欠如
種の問題も深刻だ。日本の野菜の自給率は80%といわれるが、その種の9割が海外の畑で種採りをしている。コロナ・ショックでこれが止まりそうになって大騒ぎになった。本当に止まれば自給率は8%に落ち込む。種の輸入が止まったら、国内で種採りすればいいというが、ほとんどの種はF1(一代雑種)にされているので種を植えても同じものはできない。
だから、自分たちの大事な種を国内で循環させる仕組みをつくらなければ日本は持たない。食料は命の源だが、その源は種だ。それを含めて、日本の食料自給率を再計算すると、38%の自給率は、もしも肥料が止まり収量が半分になるとすると22%に、そのうえ種も止められたら9・2%にまで落ち込む。
私はこの計算で野菜の種子だけでなく、コメ・大豆・麦の種子も海外に9割を握られると想定した。「その想定がおかしい」とよくいわれるが、私たちは日本の大事な種をどんどん海外に渡してしまう方向性を進めてしまっている。グローバル種子農薬企業は「種を制するものは世界を制する」といって世界中の種を自分のものにし、それを買わないと生産できないような状況をつくろうとした。しかし世界中の農家・市民が猛反発して苦しくなっている。すると、なんでもいうことを聞く日本でもうけようじゃないかと、日本にどんどん要求が来た。
まずいわれたのが、公共の種をやめろということだ。国がお金を出して、都道府県の試験場で良い種をつくり、農家に安く供給する、こんな事業はやめろといわれて種子法を廃止した。そして良い種は企業に差し出せといわれ、そういう法律までつくらされた。さらに農家が自家採種できると次の年から売れなくなるので、自家採種を制限しろといわれて種苗法も改定した。シャインマスカットの苗が中国・韓国にとられたから日本の種を守るんだといったが、実際にやったことは日本の大事な種を海外の大きな企業に渡していくような流れを自らつくることだった。そう考えると食料自給率9・2%という事態は目の前に近づいている。
じつは中国も動いている。中国も野菜の種などが90%以上海外依存になっているが、習近平国家主席がこれに慌てて国民に大号令をかけた。「種は我が国の食料安全保障のカギだ。自分の手で種を握ってこそ、中国の食料事情を安定させることができる」「中国の国家戦略としてすべてを国内で完結させ、国際情勢に左右されない国づくりを目指す」と。
私たちも今日本で起きている流れに歯止めをかけ、種の自給を確立し、農家の自家採種の権利を守ることを基本法に明記しなければ、いざというとき日本人の命を守ることができない。種の自給なくして食料の自給はない。
このことにしっかりとふれていただくことが必要だ。
「日本で種採りするのは非効率だ」「気候も悪いし圃場も小さいから輸入した方が安いではないか」というのは大きな間違いだ。食料も種も、輸入が止まったときに命を守るコストを考えれば、国内生産のコストが少々高くてもその費用を負担することこそが、一番の安全保障であり、長期的・総合的には一番安いのだ。このことをしっかりと位置づけなければならない。
   相変わらずの規模拡大、輸出、スマート農業〜誰の利益?
それを位置づけないまま、国内農業を支える施策は十分であるかのような説明をして、あいかわらず規模拡大してコストダウンすれば、1面1区画の面積を増やせばオーストラリアとたたかえる――というような議論をしている。日本でどんなに1面1区画の田・畑の面積を増やしても、北海道でもせいぜい6f。オーストラリアの1面1区画は100fだ。規模拡大してコストダウンするのも大事だが、同じ土俵でたたかっても勝てるわけがない。そのことをいまだにいい続け、あとは輸出拡大、スマート農業、海外農業生産増大、農業法人への企業参入の比率を高めるといっている。だれのためなのか? 現場で苦しんでいる農家にどれだけ直結する政策なのか? 関連する企業は利益を得られるかもしれないが、政策がどこを向いているのかということが今大きく問われる。
今現場で頑張っている人たちをないがしろにして、一部の企業につながっているような方々が利益を得られる構造をつくろうとする大きな流れが非常に心配される。IT大手企業が描くような無人農場がポツンポツンと日本に残ったとしても、日本の多くの農山漁村が原野に戻り、地域社会と文化も消え、食料自給率はさらに低下し、食の安全性も失われ、そして不測の事態になれば過密化した都市部で餓死者が続出する――そんな歪な日本にしてしまうわけにはいかない。
   国内農業支援の明確な位置づけと関連法の必要性
今必要なのは、国民の命をいつでも守れるよう食料自給率を高めることだ。そのためには今現場でコスト高で苦しみながら、歯を食いしばって頑張っている農家を支えられる仕組みをしっかりつくる。そして種の自給を実現させるための施策を強化することだ。農業問題は農家の問題をはるかにこえて、消費者、国民一人一人の自分の命の問題だということをしっかりと認識し、みんなで農業・農村を守り、自分たちの命を守れる政策を、農業の憲法といわれる食料・農業・農村基本法改定にしっかりと入れていくことが必要だ。これを今やらなければ間に合わなくなる。
防衛予算は年間10兆円規模になっているのに対して、農水予算はいまだに2兆円で頭打ちといわれている。このバランスの悪さを考えてほしい。武器は命を奪うものだ。いざというときに命を守るのが国防というならば、国内の食料、農業、種を守ることが日本の国民にとっての一番の国防だ。今こそ農林水産省予算の枠をこえて、安全保障予算という大枠で捉え、国民の食料と農業・農村を守るために抜本的な政策と予算が不可欠である。農業・農村のおかげで国民の命が守られていることを今こそ認識しないと手遅れになる。今が正念場だ。
「みつひかり」不正事件から考える種子の自給――三井化学クロップ&ライフソリューションの報告書を読む 種子法廃止違憲訴訟弁護団共同代表 岩月浩二
種子法廃止の表向きの理由は「民間の種子の参入を種子法が邪魔している」ということだった。そのとき農水省が一番力を入れて強調したのが三井化学の「みつひかり」というイネの品種だ。農水省は「みつひかり」について、「38都府県で栽培され、超多収(1反で12俵とれる)、吉野家でも採用された美味な銘柄」だとし、このような優良な種子が普及しないのは、種子法が邪魔をしているからだと説いて回った。ところが、錦の御旗だった「みつひかり」が不正の温床になっていたことが発覚し、三井化学は2026年に撤退するといっている。種子法廃止とは公共の種子をつぶすことだけが目的だったのではないかと疑わざるを得ない事態だ。
「みつひかり」事件の発端は、2023年2月20日ごろ、突然三井化学から「今年の『みつひかり』は供給しない」という通知が栽培農家や種苗会社に一斉に届いたことだった。「昨年の天候の影響によると思われる交配不良による純度不足」が理由だ。これから種を植えようという時期であり、突然の供給停止は農家に大混乱をもたらした。さらに同年7〜8月にかけて三井化学クロップのサイトに「お詫びと回収」が掲載され、農水省に対する報告書が出されて不正が明らかになった。
まず、2016年からずっと生産地を偽っていた。2015〜17年ごろまでは茨城県産が多かったが、2019年は0・2d、2020年は1・2dしかない。にもかかわらず「茨城県産」をうたっていた。
そして「みつひかり2003」に、「みつひかり2005」など別の品種を混合して売っていた。その割合は2017〜2019年が3%、2020年は25%で、2021年に至っては合計39%も別の種子を混合していた。「2003」と「2005」はまったく違う品種だ。それを40%近く混入させて売っていたのだ。
さらに、「発芽率90%以上」とうたっていたが、2019年以降ずっと、90%に満たないものが出荷されていた。とくに2020年は18ロットのうち17ロットが発芽率90%未満だった。2021年は4ロットすべてが90%未満だったという実態だ。
種子法廃止が施行されたのが2018年、議論されたのが2017年だが、その当時からずっと不正をしていたということだ。明らかになったのは2016年以降だが、これは農水省から命じられて社内調査をしたところ、社内のメールが2016年以前はなかったから、2016年以降しか調べられなかったという曰くつきの報告書だ。
発芽率が90%に満たない問題については、山田正彦元農林水産大臣が、これを問題にしようとしていた種苗会社を訪ねて確認したところ、全然発芽しないロットもあり、平均すると70%未満ではないかという。こんなものを種として販売し、農水省が優良な品種としてふれ回り、まんまと騙されて種子法を廃止してしまったのである。
来年以降について、三井化学から農家や種苗会社に通知があった。「DNA検定には1月下旬から2月までかかることから、DNA検定の結果により、場合によっては『雑稲種子(その他うるち米)』として販売することになる可能性がある」「弊社の種子生産・販売事業については、技術的、経済的、人材的要因から本事業を継続することは困難な状況にある。…(中略)令和8年以降に向けては別の品種への切り替えをご検討いただけますようお願い申し上げます」というものだった。撤退する再来年以降は別の種で考えてくださいということだ。種子法廃止の錦の御旗だった「みつひかり」はこれにて幕引きだ。
教訓として、三井化学自体が、F1という一代限りの種子を開発するのは大変だったといっている。少し考えればわかるが、公共の種子は、3年かけて増殖した種子を売る。民間は毎年種子を買わせるためF1の種子を開発する。ところが一代で種子にする生産コストはきわめて高く、採算がとれない。営利をはかろうとすれば、きわめて高い値段で売るしかない。現実に「みつひかり」は公共の種子の約10倍だったが、それでもコストが持たないから撤退するといっている。コストをとるためにはどれだけの値段の種子になるかが問題だ。そうなると唯一採算がとれるのは広大な農地と安い人件費の海外での生産だ。
野菜がたどったのと同じ道を、種子法廃止でやらせようとしているのではないかと思うような事態だ。だが、これだけ「みつひかり」の粗悪品が出たということは、栽培を委託した農家に対するチェックができなかったことを意味する。国内の栽培農家すら管理できなかった企業が海外生産を管理できるだろうか。
民間は責任をとる義務がない。種子提供でもうけようとしたが、提供しなければならない義務はなく、採算がとれなければ撤退する。種子法の狙いどおり、民間の種子が支配的になれば、外資かどうかは別として、民間企業の不正や撤退は国民の生命を直接危険にさらすことになる。これが「みつひかり」不正事件の重大な教訓だ。公共の種子を守り、種子の自給を確保することがきわめて大事である。
●【年金】えっ、4月15日から増額じゃないの?2年連続増額「厚生年金・国民年金」仕組み&「年金振込通知書」の注目ポイント 4/12
ロシアとウクライナの戦争が始まって早2年ほどが経過。もともと原油産出国であるロシアへの経済制裁からエネルギー価格の高騰に始まり、急速な物価上昇が始まりました。
この物価上昇に家計の負担が大きくなっているというのは皆様感じられているのではないでしょうか。
そんななかで、2024年1月19日に2024年度の厚生年金と国民年金の年金額の例が公表され、夫婦の標準的な年金は23万483円で大幅な上昇となりました。
しかし、ここでひとつ「落とし穴」が。実は増額されるのは4月支給分からではありません。
今回は、2024年4月からの厚生年金と国民年金の受給額を解説するとともに、実際に受給している方の平均受給額や、それぞれの年金の計算方法なども解説していきます。
2024年度の厚生年金・国民年金は増額へ。最初の振込日は6月14日
厚生労働省は、2024年度の年金額の例として下記のとおり公表しています。
 ・国民年金(老齢基礎年金):6万8000円(1人分※1)
 ・厚生年金:23万483円(夫婦2人分※2)
※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万7808円(対前年度比+1758円)です。
※2平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準。
国民年金(老齢基礎年金)の満額は、2023年度が6万6250円、2024年度が6万8000円と増額しています。
※ただし、2023年度の既裁定者(68 歳以上の方)の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額 6万6050 円(対前年度比+1234円)。また、厚生年金の金額は夫婦2人分となっていますが、これは「40年間会社員として月額43万9000円を稼いだ夫の厚生年金と国民年金」と「40年間専業主婦(もしくは自営業など)だった妻」を想定。
同じ夫婦世帯を想定したモデル年金額は、2023年度(令和5年度)が22万4482円だったので、6001円の増額となりました。なお、2023年度、2024年度と2年連続での増額改定になります。
しかし、増額される対象月には注意が必要です。
【年金カレンダー】2024年の支給月一覧&「6月支給分」から増額されるワケ
年金額が増額になるのは「2024年4月分」からで、実際の振込は「2024年6月14日(金)」です。
対象月と実際の年金支給月に、タイムラグがあることに注意しましょう。
2024年の年金支給カレンダーは、以下の通りです。
年金の見込み額は「ねんきん定期便」や「年金振込通知書」で確認できます。では、実際にどんな箇所をみるべきなのでしょうか。
次の章から、年金支給月に送付予定の「年金振込通知書」のチェックポイントをみていきましょう。
年金支給月に送付予定「年金振込通知書」のポイントまとめ
毎年6月に送付される「年金振込通知書 」に、6月から翌年4月までの期間に振り込まれる年金額が記載されていますので、手元に届いた際は早めに確認しましょう。
年金振込通知書の具体的な記載内容は以下のとおりです。
   年金支払額
年金支払額は公的年金の総支給額で、「年金証書・年金決定通知書」に記載されている金額と基本的に一致します。これまで確認していたねんきん定期便の見込額も、近い金額になるのではないでしょうか。年金は年6回に分割して偶数月の15日に振り込まれるので、1回あたりの支給額は年金年額の1/6になります。
   介護保険料額
こちらには、年金から天引きされる介護保険料額が記載されています。金額が記載されるのは天引きされる方だけで、対象者は「年間で受給できる公的年金が18万円以上ある人」です。
   後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
介護保険料額の下段に金額が記載されていれば、後期高齢者医療保険料や国民健康保険料(税)の天引き対象になっています。該当する記載がない場合は、天引き対象とはなりません。
   所得税額および復興特別所得税額
年金から天引きされる所得税及び復興所得税の金額が記載されます。年金支払額から社会保険料と各種控除額(扶養控除や障害者控除など)を差し引いた後の額に5.105%の税率を掛けた額となります。ただし、所得が一定額に満たない場合は非課税になるため記載されません。
   個人住民税額
年金から天引きされる住民税の金額が記載されます。こちらも、所得が一定額に満たない場合は非課税になるため記載されません。
   控除後振込額
年金額から天引きされる社会保険料、所得税額および復興特別所得税額、個人住民税額を差し引いた後の振込金額です。実際に口座に振り込まれる金額は、必ずこちらの項目で確認しましょう。
   振込先
こちらには、年金が振り込まれる金融機関の支店名が記載されています。支店には、支店のほか支所、営業所、出張所等が含まれます。どこの金融機関で年金受取の請求をしたのか、念の為確認しておきましょう。
記載される金額はあくまでも予定額で、年度途中で変更になることがあります。その都度市区町村から送付される通知書で確認するようにしましょう。
次の章からは、現代シニアが受給している年金の平均受給額をチェックしていきます。
【最新】「国民年金&厚生年金」のリアルな受給額は?
厚生労働省が公表しているのは、あくまでも「国民年金の満額」と「モデル夫婦の厚生年金額」です。そもそも国民年金や厚生年金の金額には、個人差があることに注意しておきましょう。
参考までに、2023年12月に更新された最新データから、今のシニア世代が受給する年金額を見ていきましょう。
   国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額(月額)
・全体平均月額:5万6316円
・男性平均月額:5万8798円
・女性平均月額:5万4426円
平均月額は男女ともに5万円台。過去5年間の受給額もおよそ5万5000円〜5万6000円台で推移しています。
   厚生年金(老齢厚生年金)の平均受給額(月額)
・全体平均月額:14万3973円
・男性平均月額:16万3875円
・女性平均月額:10万4878円
※国民年金の金額を含む
厚生年金は男女全体だと14万円台ですが、男性は16万円台、女性は10万円台と男女で約6万円もの違いがあります。
厚生年金は現役時代の年金加入期間や年収により受給額が決まるため、男女による差が発生しやすくなります。
なお、令和4年度の厚生年金のモデル夫婦の年金受給額は月額21万9593円でした。
ちなみに、厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、標準夫婦の平均受給額は「夫16万3875円+妻5万4426円=21万8301円」となっており、モデルケースからはわずかに下回るものの、おおむね近い金額での受給がなされているようです。
現役世代の方で、ご自身の年金見込額を知るには、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などをご確認ください。
まとめにかえて
本日は、最新の年金と仕組みについて確認してきました。2024年度の年金は4月分から増額となりますが、実際に受給できるのは6月ということになります。
年金を受給している方には、毎年6月に年金振込通知書が送付され、翌年4月までの受給額を確認できます。いくら受給できるのか、手元に届き次第忘れず確認しましょう。
また、標準世帯の受給額は23万483円でしたが、働き方によって個人差は大きくなります。物価上昇に泣かされないためにも、早いうちから準備しておくことが大切です。
2024年からは新NISAもスタートし、資産運用を考えるきっかけも用意されています。実際にNISA以外にも資産運用方法はございますので、自分に合った方法で投資を始めてみるのもよいかもしれませんね。
参考資料
・厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
・日本年金機構「年金振込通知書」

 

●「能登さくら駅」に花見客続々 4/13
桜の名所として知られ、「能登さくら駅」の愛称もある石川県穴水町ののと鉄道能登鹿島駅で、桜が満開を迎えた。同駅は能登半島地震の被害を受け、6日に復旧したばかり。13日は県内外の多くの花見客でにぎわった。
●裏金処分に「納得いかない…!」と不満表明の安倍派議員がそのウラで行っていた「驚くべき還付手続き」 4/13
「正直言って、非常に不満です」
自民党を揺るがす裏金問題。4月4日には自民党の党紀委員会が安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の39議員に対する処分を決定した。
安倍派では派閥のパーティー券で各議員に課していたノルマを超えた売上分についてキックバックしていた。そのキックバックの扱いについて話し合ったとされる幹部は、塩谷立衆院議員と世耕弘成参院議員が離党勧告を受けるなど重い処分を受けた。その一方、そうした立場になかった議員は還付金が過去5年で500万円以上あった議員に限って処分の対象となった。
4月1日、党紀委員会にかけられる39人の処分者リストが出ると、これに対して即座に不満を表明したのが、菅家一郎衆院議員(当選4回)だった。
「金額ではなくて取扱いを丁寧に見てほしい。正直言って、私は不記載ではなく誤記載なので、そのリストに載っていることは非常に不満ですね」
官邸で記者の囲み取材を受けた菅家氏はこう憤ってみせた。菅家氏は2022年までの5年間で1289万円の不記載があった。そのため、「1千万円以上の不記載」があったとして「役職停止・半年」の処分を受けた。
菅家氏は、これらの1289万円は安倍派からの寄付として収支報告書には記載していなかったものの、受け取った1289万円は全額、菅家氏個人から自民党福島第4選挙区支部に寄付しており、使途についても収支報告書に記載してあるというのだ。そのため「不記載ではなく、(安倍派からではなく個人からの寄付としてしまった)誤記載である」と主張しているのだ。
安倍派でパーティー券売上の還付金を受け取っていながら収支報告書に記載していなかった議員は、法律で保存が義務付けられている過去3年間分について修正している。菅家氏の場合、2020年は104万円、2021年は574万円、2022年はゼロで3年間の合計は678万円。修正はそれぞれの年に清和政策研究会からの寄付として収入に計上すると同時に、2021年の収入のうち「菅家一郎からの寄付」として計上していた700万円を22万円に修正することで金額の置き換えをしている。
「裏金」を原資として…
しかし、これに対して自民党関係者からは「菅家氏が『誤記載なのに処分されるのは不当だ』と主張しているのは、一体どういう了見なのか」という疑問の声が挙がっている。
「実は、菅家さんは毎年、自らの政党支部に数百万円の寄付をしているが、これに対して寄付控除を受けていたことがわかったのです」
個人から政党または政治団体への寄付は寄付控除の対象となる。寄付した合計額から2千円を引いた額の30%が「寄附金控除」として還付されるのだ。もともとは政治への個人献金を促すための制度であり、政治家が自分の政治団体に寄付することは禁止されているが、抜け道として自らが代表を務める政党支部に寄付することは寄付控除の対象となるのだ。
「菅家氏は毎年、個人として多額の寄付を政党支部に行っている。それだけでも道義的には疑問があるが、これは違法ではない。問題は、菅家氏が派閥からの裏金をも寄付控除を受ける原資としていたことにあります。菅家氏は、過去5年分では実に1289万円もの還付金を原資に寄付控除を受けていたわけです。まさに『裏金を原資に、国から多額の還付金を受け取った』ということになる。これはどう考えても、問題があります」(前出・関係者)
菅家氏の場合、過去5年で「裏金」だけで400万円弱の還付を国から受けていたということになる。
菅家一郎議員に見解を問うと…
寄付控除を受けるには、県の選挙管理委員会に届出をする必要がある。その書類を一部入手したところ、2020年には220万円、2021年には1201万4470円もの寄付控除を申請していた。これは両年ともに派閥から受け取っていた還流金の額を上回る。
さらにさかのぼると、菅家氏が2018、2019年に派閥から受け取った「裏金」は合計で611万円に及ぶ。菅家氏は個人から政党支部へ2018年には407万円、2019年には550万円を寄付しており、『裏金は全額』寄付控除を受けていたことは確実だ。
菅家事務所に質問書を送付したところ、以下のような回答があった。
「派閥からの還付金については、派閥からの寄附として計上しないよう言われていたことから、やむなく個人名義とし政治団体の収入に計上した上で政治活動などに使い、その支出はすべて政治団体の収支報告書に記載してきたものであり、いわゆる裏金ではありません」
「なお、確定申告についてはすべて税理士に任せていたところ、今回の訂正にあたり税理士に確認をしたところ、個人寄附について寄附金控除をしていたことが判明しましたので、直ちに法令に従い修正申告し、返った金額は税務署に納付したところです」
政治家が自らの政治団体に寄付することは一般的だ。しかし、政党支部に寄付して、それで寄付控除を受けることは道義的に問題があるとして、過去に指摘されてきた。
だが、今回の菅家議員の場合は派閥からの還流金を収支報告書に「不記載」だったことで「裏金問題」が発生しているのだ。その上、その「裏金」を原資として国からの寄付控除を受けていたというのは、問題があると言わざるを得ない。
過去には同様に政党支部への寄付で寄付控除を受けていた議員が数多く指摘されてきた。その中には今回「裏金議員」として名前の挙がった議員も含まれている。
自民党が国民からの失った信頼を取り戻すためには、そこまで踏み込んで調査するべきだろう。政治資金規正法を改正するならば、政党支部への寄付控除という言わば「抜け道」についても再検討すべきだ。自民党は39人を処分して終わりではなく、そこまで徹底的な取り組みをして、国民の疑念を晴らす責任があるのではないだろうか。
●裏金事件で抜本的な政治改革は進むか? 自民は早くも予防線「一気にやるの大変」 与野党で争点は一致 4/13
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて12日、衆院に続いて参院でも「政治改革特別委員会」を設置した。岸田文雄首相は政治資金規正法改正をはじめ、今国会での改革実現に意欲を示す。だが自民党内で首相の責任を問う声もあり、自前の改正原案すら作れていない。抜本改革を求める他党との隔たりは大きい。
「実態解明がまだなのに…」
自民党の政治刷新本部は12日に法改正に向けた作業部会を開いた。首相の指示を踏まえ(1)政治家の罰則強化(2)第三者による政治資金の監査徹底(3)デジタル化による透明性向上―の3点を検討したが、具体案はまとめなかった。鈴木馨祐座長は終了後、来週にも公明党と改正案の協議を始める方針を示した上で「協議前に自民案は固めない」と語った。
出席者によると、会合では「実態解明が不完全なのに議論のしようがない」「首相の責任はどうなのか」といった意見も出た。
首相指示の3点、与野党で食い違いなし
もっとも首相が指示した3点は与野党で食い違いはない。「罰則強化」の軸となるのは、会計責任者とともに議員本人も処罰対象とする連座制の導入だが、どのような違反行為を対象にするのかなど細部で意見が割れる可能性はある。
「監査の徹底」では、第三者機関の設置を求める意見が強い。現行の監査制度は国会議員関係の政治団体の支出のみの点検にとどまっているため、監査対象を他の政治団体や収入に拡大する必要がある。
政治資金の流れをチェックしやすくするため、アナログな収支報告からの脱却も急務。多くが紙で提出される報告書を電子化し、検索できるようにルール化する案がある。
企業献金を禁止しては?「寄付の自由がある」
一方、資金の集め方に直結する論点では自民の及び腰が際立つ。野党が禁止を訴える企業・団体献金は、税金で賄われる政党交付金との二重取りや、政策決定をゆがめる恐れへの指摘が根強い。だが、多額の献金を集める自民は「企業は寄付の自由を有する」と取り合わない。
事実上の企業献金の受け皿となっている政治資金パーティーも、自民が現時点で打ち出すのは派閥開催の禁止だけ。議員個人も含む全面廃止や企業・団体のパーティー券購入禁止に踏み込むかは見通せない。
二階俊博元幹事長が現職時代の5年間に約50億円を受け取っていたことで問題が露呈した政策活動費についても、他党は廃止や使途公開を求めているが、自民の抵抗は強い。
今国会の会期末までは2カ月超で、残された議論の時間は多くない。鈴木座長は9日のBS番組で「一気にやるのは時間的にも大変」と話し、部分的な改正で終わらせる予防線を張った。「抜け穴」を残す対策で終われば、国民の政治不信はさらに深まりかねない。
●岸田首相が突き進む、本気の「6月解散、7月総選挙」戦略 定額減税、夏のボーナス増額、株価高値更新で“布石”が揃う 4/13
本気でやろうとしている──岸田文雄・首相が「6月解散、7月総選挙」に打って出るシナリオが現実味を帯びてきた。自民党内で裏金問題の処分をめぐって怨嗟の声が渦巻くなか、岸田首相が自らの延命のためだけに練っている謀略の内実とは──。
補選全敗でも“余裕”
国賓待遇での米国訪問を終えて帰国する岸田首相を待ち受けるのは、4月28日投開票の衆院3補選だ。
自民党は選挙買収で議員辞職した柿沢未途・元法務副大臣の東京15区、安倍派の裏金問題で議員辞職した谷川弥一・元代議士の長崎3区で候補者擁立を断念して不戦敗が決まり、残る島根1区でも大苦戦している。
党内では、「補選に全部負けると岸田おろしが始まる」(2月28日の船田元・衆院議員総会長の講演)との見方が強く、反主流派はその機会をうかがっている。
ところが、追い詰められているはずの岸田首相には、ここにきて開き直りの様子さえうかがえるのだ。
自民党関係者は言う。
「日本の総理大臣が米議会の上下両院合同会議で演説をするのは安倍(晋三)首相以来、9年ぶりのこととなった。訪米直前の岸田首相は、“日米の未来像を発信するんだ”と熱心に演説内容を練り込んでいた。9月の自民党総裁選で再選を果たして、“来年以降も自分が日本の総理だ”と確信している様子にさえ感じられた」
それというのも、危機的状況にあるように見える岸田首相は、永田町で囁かれ始めた「6月解散、7月総選挙」を本気でやるつもりなのだ。
訪米前、裏金議員への処分を発表した岸田首相は、国会で責任の取り方が不十分だと追及されるとこう言ってのけた。
「最後は国民と党員のみなさんに判断いただくのが、自民党総裁としての立場だ」
与野党ともに、この発言を総選挙で「国民」の審判を受け、勝利したうえで9月の自民党総裁選で「党員」の支持で再選されるという宣言だと受け止めている。
政治評論家の有馬晴海氏はこう語る。
「岸田総理は早くから今年6月の解散・総選挙を念頭にシナリオを練ってきた。鳴り物入りで打ち出した所得税の定額減税の実施時期をわざわざ6月にしたのもその布石の一つ。しかも、経済団体に賃上げを強く要請して今年の春闘では一斉に大幅賃上げ回答が出され、夏のボーナスは上がる。そこに減税も重なるからちょうど選挙期間にサラリーマンの手取りは大きく増える。株価も過去最高を更新し、景気のマインドも良くなった。加えて米国訪問という華々しいイベントでアピールし、このまま解散・総選挙に突き進む姿勢です」
裏金問題で自民党への批判が強いことも、岸田首相は逆にチャンスと計算しているというのだ。
「自民党議員は大逆風を感じているから、総選挙になれば勝敗ラインは下がる。総理はたとえ議席を大きく減らしても、自公で過半数さえ取れば、“国民の信を得た”とするつもりでしょう。そのためには何でもやる構えです」(有馬氏)
和歌山で二階氏と世耕氏の潰し合い
自民党ではいま、裏金問題で処分を受けた議員から「不公平だ」と怨嗟の声が渦巻いている。
離党勧告を受けた塩谷立・元文科相は「(企業なら)何かあったら社長が責任取る話が出る。まさに道義的責任だ」と総裁である岸田首相への処分がないことに不満を述べて再審査を要求した。
岸田首相の後見人の麻生太郎・副総裁、茂木敏充・幹事長らはこんな状況での解散には「絶対反対」の立場とされる。
それも岸田首相には都合がいいようだ。岸田側近が首相の胸の内を読み解いて見せる。
「総理はすでにルビコン川を渡っている。それでも麻生さんが解散を止めようとするなら、引退を勧告して国民に覚悟を示すことまで考えている」
後見人さえ切り捨てるというのだ。政治評論家の有馬晴海氏も同じ見方だ。
「解散反対なら麻生さんには引退勧告、茂木幹事長は交代させ、選挙パフォーマンスに利用することは十分考えられます。岸田首相は自民党役員の任期を最長3年に制限したから、2人とも9月には任期が切れる。それを選挙前に早めるわけです。それだけではありません。選挙戦術上、『政治資金問題のケジメをつける』と離党勧告処分の塩谷氏に刺客候補をぶつけたり、処分を受けた裏金議員を全員公認しないことも考えているのではないか。彼らが落ちても“自民党の落選者”にはカウントされないし、当選した者だけ後で追加公認すればいい」
こう見ると、岸田首相にとっては、今回の裏金議員の処分それ自体が解散・総選挙とその後の自民党総裁選を見据えた「再選戦略」に沿ったものだったことがわかる。
だから真っ先に最大の障害になりそうな反岸田の大物、二階俊博・元幹事長を引退に追い込み、最大派閥の安倍派を大量処分で弱体化させ、同派幹部の中でも「国民が期待するリーダーとしての姿を示せていない」と岸田首相を公然と批判してきた世耕弘成・前参院幹事長を離党勧告処分にして“追放”した。
しかも、引退する二階氏の和歌山2区では同氏の公設秘書を務める長男か三男が後継者として総選挙に出馬すると見られていたところ、そこに離党した世耕氏が参院から鞍替えして「無所属」で出馬する意向と報じられた。
世耕氏の有力支持者が語る。
「世耕さんへの処分は重すぎると思うが、もともと衆院への鞍替え準備をしていたから、離党したことで自民党への遠慮なく衆院選に出馬できるようになった。二階さんの三男が出るとしても、次の選挙は荒れますよ」
岸田首相にすれば、どちらも政敵。潰し合ってくれるなら思うツボだろう。
岸田首相が強気でいられるのは、自民党内の反岸田勢力が一つにまとまれず、さらには党内の支持を集められそうな次の首相候補も見当たらないという事情も大きい。また、「世論調査で内閣や自民党の支持率が下がっても、野党への支持が高まっているわけではない。だからまだまだ延命が可能と自信を深めている」(前出・自民党関係者)のだとみられている。
ギリギリ過半数でいい
岸田首相は総選挙後の自民党総裁選再選への布石も打っている。自民党内で強い疑問があがっている萩生田光一・前政調会長への大甘処分だ。
萩生田氏は安倍派からキックバックを受けた金額が2728万円と立件された3人(※注)に次いで多く、裏金問題の政治責任の重さでいえば“最重量級”と見られている。
【※注/政治資金規正法違反(虚偽記入)で安倍派の池田佳隆・衆院議員(不記載額約4800万円)が起訴、大野泰正・参院議員(同約5100万円)が在宅起訴、谷川弥一・衆院議員(同約4300万円)が略式起訴された】
ところが、安倍派5人衆の中で1人だけ「党の役職停止」という軽すぎる処分になった。岸田側近が語る。
「萩生田氏は森喜朗・元首相と非常に近いうえ、反主流派の菅義偉・前首相とも関係が良い。総裁選のキーマンになる。だから総理は味方に取り込むために恩を売った」
安倍派5人衆の他の幹部は離党勧告や党員資格停止処分となったので、次の総選挙が7月なら自民党の公認を得られない。比例復活の可能性がない以上は、落選を免れるために地元を走り回らなければならなくなる。結果、政局絡みでは身動きできなくなる。
「その間に萩生田氏がバラバラになった安倍派の一部をまとめ、選挙で生き残った議員は総裁選で岸田支持に回る算段になっている」(前出・岸田側近)
岸田首相は森氏に対しても、電話一本かけただけで「(キックバックへの)具体的な関与については確認できなかった」と責任をウヤムヤにした。
案の定、萩生田氏と森氏は大甘処分の陰で動き出した。安倍派の若手議員の1人が明かす。
「最近、仲間にメシに誘われて行ったら、そこに森先生と萩生田先生がいた。総裁選をにらんで2人を中心に派閥を立て直す考えのようだ」
岸田首相はそこまでお膳立てしたうえで、解散・総選挙に踏み切ろうとしているのだ。
衆院の自公の現有議席は304。総選挙で両党合わせて最大71議席減らしても、ギリギリ過半数で政権は維持できる計算になる。その間に党内の反対勢力を徹底的に追放すれば、たとえ議席大幅減でも総裁再選は可能という岸田首相の独善的な戦略が見えてくる。
裏金問題の責任に頬被りしたばかりか、国民の審判が下って選挙に負けても総理・総裁の座に居座ろうと悪知恵をめぐらせている。だが、その身勝手な目論見が外れれば、権力にしがみつく船長とともに、自民党という船が沈んでいくことになる。
●“派閥の裏金問題” 岸田総理「信頼回復の先頭に立つ」 4/13
岸田総理大臣は一連の訪米日程を終えて取材に応じました。派閥の裏金事件をめぐる自身の責任について問われ「信頼回復の先頭に立つ」との考えを改めて示しました。
「自民党総裁として、政治の信頼回復の先頭に立って、努力することによって自民党総裁としての責任を果たしていかなければならない」(岸田総理大臣)
また、政治家本人の責任をどう厳格化するかが焦点となっている政治資金規正法の改正については、「自民党として案をまとめていく」と述べるにとどめました。
野党側が「信を問うべきだ」として求めている衆議院の解散・総選挙については「政治の信頼回復と経済などの先送りできない課題に専念するのみで、それ以外のことは考えていない」と述べました。
一方、今回の訪米については「未来に向けたメッセージ」を世界に発信できたと成果を述べました。
●自民・茂木幹事長「逆風の時、凧は一番高く上がる」 4/13
(派閥の裏金事件を受け)政治責任や道義的な責任、けじめはどうなるんだというお話もいただき、今月4日に党紀委員会を開催し、議員39名の処分を決定した。仲間を処分しなければならない大変苦しい思いもある。しかしそれだけ今、自民党が置かれている位置、環境というものは大変厳しい。
(自民党は)逆風の中にある。しかし、逆風の時に凧(たこ)は一番高く上がる。(元英国首相の)ウィンストン・チャーチルの言葉だ。逆境のときこそ、強い意志と結束力が試される。一番の結束力を持っているのが自民党の組織、そして地方の組織だと思っている。(沖縄県浦添市での会合で)
●岸田総理の絶賛スピーチ「基本レベルの英語」でも大成功のナゼ 4/13
岸田首相の英語スピーチが聴衆の心をつかんだ“勝因”は何だったのでしょうか? 米議会でスタンディング・オベーションが10回以上も起きた演説について、難易度や発音・スピード、内容の展開、目線や仕草も含め分析してみましょう。
岸田首相のスピーチ「大ウケ」はなぜ?
4月8日から14日まで、米国を国賓待遇で公式訪問している岸田文雄首相の英語スピーチが高評価されています。日本時間11日、ホワイトハウスで開かれたバイデン大統領夫妻主催の公式夕食会でのスピーチでは、ジョークを織り交ぜて笑いを誘うと共に、日米の絆を訴えて拍手喝采を受けたそうです。
夕食会の翌日、総理大臣としては約9年ぶりに米議会の上下両院の合同会議で演説し、ここでも日米の結束を呼びかけつつ、ジョークを繰り出して議場内の笑いを誘ったといいます(以下、時事通信の報道から引用)。
冒頭、聴衆から歓迎の拍手に包まれると、「日本の国会では、これほどすてきな拍手を受けることはまずない」と断言。自民党裏金問題などで厳しい追及を受ける日本の国会との違いをネタにした。
ニューヨークで過ごした小学生時代に「面白かったアニメ」が、原始時代の家族を描いた「フリントストーン」だったと明かした。「今でも懐かしく感じる。ただ(登場人物のせりふ)『ヤバダバドゥー』の意味を日本語訳することはできなかった」と話すと、再び大きな笑いが起きた。
日本人が英語でスピーチする、どうしても堅苦しくてつまらない印象を与えがちです。しかも、歴代の首相が、ジョークで場を沸かせたと繰り返し報じられた記憶もほとんどありません。
岸田首相の英語スピーチが聴衆の心をつかんだ“勝因”は何だったのでしょうか? 米議会でスタンディング・オベーションが10回以上も起きた演説について、難易度や発音・スピード、内容の展開、目線や仕草も含め徹底分析してみましょう。
英単語は「大学共通テスト」くらいの難易度
まず、「単語」の観点で分析をしてみます。オックスフォード大学出版局が発行している『オックスフォード・ラーナーズ・ディクショナリー』のテキストチェッカーを使うと、英文の単語の数やレベルを簡単に知ることができます。
岸田首相の演説の単語数は2185単語でした。そして、頻出の単語群をレベル別に分類したのが、下の図です。
   岸田首相の24年の米議会演説
Categoryを上から順に見ていきましょう。まず、「Oxford3000」は、全ての英語学習者が知っておくべき3000の主要単語のリストを指します。CEFR(外国語の運用能力を測る国際標準)に準拠しており、英語学習者がCEFR のA1〜B2レベルで知っておくべき単語をガイドしています。岸田首相の演説は、このレベルの単語が84%を占めていました。
その次に高度な単語群が「Oxford 5000」で、上級英語学習者向けに拡張されたコア単語リストです。Oxford 3000のコア単語リストにCEFR準拠の2000単語が加わった、CEFR のB2〜C1レベルの上級学習者がさらに語彙を増やすために学ぶべきハイレベル単語群です。同様に、このレベルの単語で89%をカバーしていました。
その下の「OPAL written words」は、アカデミックな分野のライティングで知っておくべき重要な単語群です。同じく、このレベルの単語が16%含まれていることが分かります。なお、分類できない単語も11%ありました。
さて、この結果だけを見てもよく分からないと思いますので、ここでバイデン大統領が2021年1月20日に行った就任演説についても同様の分析をしてみましょう。
   バイデン大統領の21年の就任演説
単語数は2368単語で、単語の難易度はOxford 3000で89%、Oxford 5000で94%をカバーしています。また、OPAL written wordsが10%含まれています(未分類は6%)。
岸田首相とバイデン大統領の演説を比較してみましょう。単語数ではバイデン大統領がやや多いですが、ほぼ同程度。単語レベルで見ると、岸田首相の方が難しい単語や分類されていない単語を、バイデン大統領よりは多く使っていることになります。
ただ、いずれにしても、日本でいうところの大学共通テストくらいの難易度に、メッセージを伝えるのに効果的なキーワードを足したレベルです。
また、OPAL written wordsは岸田首相が16%、バイデン大統領が10%なので、どちらかというと「書き言葉」寄りの難しい単語を使っていることになります。が、岸田首相の演説は一般人に対してというよりも、議員に対してだったので、これも適切だと思います。
欧米スピーチの典型的話法に徹した
ここで、スピーチした時間と話す速さについても分析してみましょう。岸田首相が約34分、バイデン大統領が約21分でした。岸田首相のほうが約1.5倍の時間がかかっています。1分間に話す単語数であるWPM(Words Per Minute)では、岸田首相がWPM64、バイデン大統領がWPM113になります。
英語のネイティブ話者は一般的に、WPM180以上です。それに比べると岸田首相のWPM64は、ずいぶんゆっくりですね。しかし、バイデン大統領の演説でもWPM113でした。米国において政治家のスピーチは、英語が第一言語ではない人にも容易に聞き取れることが重要なため、この程度の速度が適切と考えられています。なので、岸田首相のWPM64も、英語のネイティブ話者でない政治家のスピーチとしては問題ない速度だと思います。
それでは、話の組み立て方についてはどうでしょうか。岸田首相の演説は、イントロダクションで夫人への感謝の気持ちを表し、続けて少年時代に米国で暮らしていた体験談を披露し、好きだったアニメに関するジョークを飛ばしたことで大きな笑いを誘いました。つまり、序盤から積極的に「自己開示」することで、場の空気を「ツカミはオーケー」状態にしたのです。
そして、本題に入ると最初に「平和には決意が必要」とキーメッセージを伝え、日本がパートナーとして共に歩むことを述べ、具体例を多く挙げています。そして、最後にまたキーメッセージとして次のように述べて締めくくっています。
「私たちは共に大きな責任を担っています。私たちは平和にとって不可欠であり、自由とって不可欠であり、繁栄にとって基本的な存在であると信じています。私たちの信念によって結ばれた日本の確固たる同盟と永続的な友好を、私は皆様に誓います。"未来のためのグローバル・パートナー" -- 私たちは今日、皆様のグローバル・パートナーであり、これからの時代もグローバル・パートナーであり続けます。」
このようなスピーチは、「PREP話法」と呼ばれます。PREPとは、Point(結論・主張)、Reason(結論・主張の理由)、Example(裏付けになる事例・データ)、Point(結論・主張)の頭文字を取ったもの。岸田首相の演説は、欧米におけるスピーチの典型的話法に徹したことで、米議員からも共感や賛同を得たのでしょう。
最後に、発音についてはどうでしょうか。一部、言い淀むところもありましたが、ネイティブ話者が聞き取ることが容易にできる発音で、全く問題なかったと思います。
また、全体の雰囲気や仕草については、プロンプター(原稿を投影する透明の板)をうまく使いながら視線を高く、左右に違和感なく聴衆全体に振り分けていた点が非常に良いと思いました。ジェスチャーも自然で程よく、相当な気配り(あるいは練習)をしていたと思いました。
結果、岸田首相の演説の間にスタンディング・オベーションがなんと10回以上も起き、終了後は米議員らが握手やサインを求める列ができていました。日本人が英語で行うスピーチとしては、非常に効果的で、素晴らしいものだったと言えるでしょう。
個人的に今回のスピーチは、日本の今後の安全保障のために大きな意味があったのではないかと思います。また、米議会でウクライナへの追加支援予算に反対している一部の共和党議員が再考するきっかけになるのではないかと感じました。岸田首相に賛辞を送りたいと思います。
●米国連邦議会上下両院合同会議における岸田総理大臣の演説
「未来に向けて 〜我々のグローバル・パートナーシップ〜」 (令和6年4月11日)
   1 冒頭
議長、副大統領、連邦議会議員の皆様、御来賓の方々、皆様、ありがとうございます。日本の国会では、これほど素敵な拍手を受けることはまずありません。
そして、ギャラリーにいる妻の裕子を御紹介します。私が裕子と結婚したという一事をもって、私の決断全てが正しいものであると、皆様に信用いただけるのではないでしょうか。
民主主義の本丸であるこの議場で、そして米国国民の代表である皆様の前で、こうしてお話しできることを大変光栄に存じます。
9年前、私の盟友であった故・安倍元総理が、まさにこの壇上で、「希望の同盟へ」と題した演説を行いました。私は当時、安倍内閣の外務大臣として両国間の絆を目の当たりにし、深く感銘を受けました。
幼少期からずっと、私は米国とのつながりを感じてきました。おそらく、小学校の最初の3年間をニューヨークのクイーンズにある公立小学校であるPS20とPS13で過ごしたからでしょう。日本人は私一人でしたが、同級生達は私を親切に受け入れてくれ、お陰で新しい文化に溶け込むことができました。
そうしてニューヨークにやって来た私たち家族は、1963年の秋から数年間にわたり、米国人と同じような生活を送りました。父は通商担当官として、職場のマンハッタンまで地下鉄で通っていました。私たちは、メッツやヤンキースを応援し、コニーアイランドでホットドッグをほおばり、休日には、ナイアガラの滝や、ここワシントンD.C.まで出かけたものです。
そして今も思い出すのは、日本の少年にとってはもの珍しく面白かったアニメ「フリントストーン」。今でもあの番組を懐かしく感じます。ただ、「ヤバダバドゥー」の意味を日本語訳することはできませんでしたが。
あれから 60 年の歳月を経て、クイーンズの善良なる皆様にメッセージがあります。私の家族と私をあれほど温かく迎えてくださって、ありがとうございました。あの時代のことを、私は一時も忘れたことはありません。
だからこそ、私は本日、米国の長く、親しい友人として、皆様にお話しさせていただきます。
米国国立公園局が、タイダル・ベイスンの再生プロジェクトを実施中と承知しています。日本は友情の証として、米国の建国250周年に先立ち、タイダル・ベイスンに植えられる予定の桜250本を贈呈させていただきます。
   2 米国のリーダーシップ
当時のことを憶えている方もいらっしゃるかもしれませんが、1964年の世界博覧会は、クイーンズで開催されました。シンボルは巨大な球体のモニュメントで、テーマは「相互理解を通じた平和」でした。
しかし、今の私たちは、平和には「理解」以上のものが必要だということを知っています。「覚悟」が必要なのです。
米国は、経済力、外交力、軍事力、技術力を通じて、戦後の国際秩序を形づくりました。自由と民主主義を擁護し、日本を含む各国の安定と繁栄を促しました。そして必要なときには、より良い世界へのコミットメントを果たすために、尊い犠牲も払ってきました。
およそ人類は、権威主義的な国家に抑圧されるような、つまり、追跡され、監視され、自己の内心の表現を否定されるような生き方はしたくない − 米国の政策はそのような前提に基づいていました。
米国は、自由こそが人類にとっての酸素のようなものだと信じていました。
この世界は、米国が引き続き、国際問題においてそのような中心的な役割を果たし続けることを必要としています。
しかし、私は今日、一部の米国国民の心の内で、世界における自国のあるべき役割について、自己疑念を持たれていることを感じています。
   3 新たな挑戦
この自己疑念は、世界が歴史の転換点を迎えるのと時を同じくして生じているようです。ポスト冷戦期は既に過ぎ去り、私たちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいます。
米国が何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面しています。そしてそれは、私たちとは全く異なる価値観や原則を持つ主体からの挑戦です。
自由と民主主義は現在、世界中で脅威にさらされています。
気候変動は、自然災害、貧困、そして地球規模での避難民を引き起こしています。新型コロナウイルスのパンデミックでは、全人類が苦しみました。
AI 技術の急速な進歩により、AI の本質をめぐり、その将来性と危険性との狭間で、攻防が繰り広げられています。
経済力のバランスは変化しています。グローバル・サウスは、課題と機会の双方に対処する上で一層重要な役割を果たし、より大きな発言力を求めています。
日本の近隣諸国に目を向けると、現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向は、日本の平和と安全だけでなく、国際社会全体の平和と安定にとっても、これまでにない最大の戦略的な挑戦をもたらしています。
中国からのこのような挑戦が続く中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、平和を守るというコミットメントは、引き続き決定的な課題であり続けます。
広島出身の私は、自身の政治キャリアを「核兵器のない世界」の実現という目標に捧げてきました。NPT 体制の再活性化と、国際的機運の向上に長年取り組んでまいりました。しかし、東アジアでは、核兵器拡散の差し迫った危険が存在します。北朝鮮による核・ミサイル計画は、直接的な脅威です。北朝鮮による拉致問題は、引き続き重大な問題です。
北朝鮮による挑発は、地域を越えたインパクトをもたらしています。北朝鮮は、ウクライナに対する侵略戦争を支援するための弾道ミサイルをロシアに輸出し、その結果、ウクライナの人々の苦しみを大きく増大させています。
ロシアのウクライナに対するいわれのない、不当で残酷な侵略戦争は3年目を迎えました。私がよく申し上げているとおり、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれません。さらに、ロシアは核による威嚇を継続しており、核兵器の惨禍が実際に再び繰り返されるのではないかと世界が懸念しています。このような現実の中で、日米同盟の抑止力の信頼性と強靱性を維持するために、日米間の緊密な連携がこれまで以上に求められています。
新しい形の抑圧が、世界で見られるようになっています。デジタル技術を通じた自由の抑圧も行われています。ソーシャルメディアは検閲され、監視され、そしてコントロールされています。
経済的威圧や、いわゆる「債務の罠」外交と呼ばれる、国家の経済的依存を悪用し、武器化する事例が増加しています。
このように急速に変化する困難に直面し、私たちは、私たちが共有する価値をいかに守り続けるのでしょうか。
   4 グローバル・パートナー
ほぼ独力で国際秩序を維持してきた米国。そこで孤独感や疲弊を感じている米国の国民の皆様に、私は語りかけたいのです。
そのような希望を一人双肩に背負うことがいかなる重荷であるのか、私は理解しています。
世界は米国のリーダーシップを当てにしていますが、米国は、助けもなく、たった一人で、国際秩序を守ることを強いられる理由はありません。
もちろん、米国のリーダーシップは必要不可欠です。
もしも米国の支援が無かったら、モスクワからの猛襲を受けたウクライナの希望は、どれほど前についえ去ってしまっていたことでしょう。
もしも米国の存在が無かったら、インド太平洋地域はどれほど前に、より厳しい現実にさいなまれていたことでしょう。
皆様、米国の最も親しい友人、トモダチとして、日本国民は、自由の存続を確かなものにするために米国と共にあります。それは、日米両国の国民にとどまらず、全ての人々のためにであります。
私は、これを米国への強い愛着から述べているのではありません。私は理想主義者であると同時に、現実主義者です。自由、民主主義、法の支配を守る。これは、日本の国益です。
日本国民は、これらの価値に完全にコミットしています。人権が抑圧された社会、政治的な自己決定権が否定された社会、デジタル技術で毎日が監視下にある社会を、私は我々の子供たちに残したくありません。
皆様も同じく感じておられますよね。これらの価値を守ることは、日米両国、そして世界中の未来世代のための大義であり、利益でもあるのです。
今この瞬間も、任務を遂行する自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和を確かなものとするため、足並みをそろえて努力してくれています。
私は隊員たちを賞賛し、感謝し、そして、隊員たちが両国から感謝されていることが、私たちの総意であると知っています。
「自由と民主主義」という名の宇宙船で、日本は米国の仲間の船員であることを誇りに思います。 共にデッキに立ち、任務に従事し、そして、なすべきことをする、その準備はできています。
世界中の民主主義国は、総力を挙げて取り組まなければなりません。皆様、日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。米国は独りではありません。日本は米国と共にあります。
日本は長い年月をかけて変わってきました。第二次世界大戦の荒廃から立ち直った控えめな同盟国から、外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきました。
日本は国家安全保障戦略を改定しました。インド太平洋地域の将来の安定に関する不確実性が、私たちの政策、さらには考え方自体を変える契機となったのです。私自身、日米同盟を一層強固なものにするために、先頭に立って取り組んできました。
2022 年、日本は、2027 年度までに防衛予算を GDP の2%に達するよう相当な増額を行い、反撃能力を保有し、サイバーセキュリティーを向上させることを発表しました。今日、日米同盟の抑止力は、かつてなく強力であり、それは米国の日本への拡大抑止によって強化されています。
日本は、ロシアによるウクライナ侵略を受け、強力な対露制裁を実施しています。ウクライナに対し、対無人航空機検知システムを含む120億ドル以上の援助を表明してきました。このシステムの供与は、NATOによる支援策の一環であり……そう、日本は、地球の裏側にあるNATOとも協力しているのです。
さらに、2月、荒廃したウクライナがこの苦難の時を乗り越えることを支えるべく、私はウクライナの経済成長と復興のための会議を主催しました。日本はこれからもウクライナと共にあります。
地政学的な状況が変化し、自信を深めるにつれ、日本は米国の最も近い同盟国という枠を超えて、視野を広げてきました。日本はかつて米国の地域パートナーでしたが、今やグローバルなパートナーとなったのです。日米関係がこれほど緊密で、ビジョンとアプローチがこれほど一致したことはかつてありません。
今日、両国のパートナーシップは二国間にとどまりません。例えば、米国、日本、韓国、豪州、インド、フィリピンによる三か国間や四か国間の協力、さらには G7 を通じた協力や、ASEAN との協力が挙げられます。日米韓の首脳は、三か国のパートナーシップの新時代の幕を開くため、昨夏、キャンプ・デービッドに集いました。
このような様々な取組から、多層的な地域枠組みが生まれ、日米同盟はその力を増強させる役割を果たしています。そして、同志国と共に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指しています。
こうした努力に対し、ここ米国連邦議会では、超党派の強力な支持がいただけるのではないでしょうか。
日本は米国のリーダーシップを信じています。そして、米国の経済を信じています。
日本は世界最大の対米直接投資国です。日本企業は、約8,000億ドルを投資し、米国内で約100万人の雇用を創出しています。これらは良質な雇用であり、製造業だけで50万人の雇用を生んでいます。
日本国内では、私は日本経済を牽引するために「新しい資本主義」という取組を推進しています。現下の課題や取組を成長の力へと変化させるために官民が連携しています。賃上げ、設備投資、株価。全てが 30 年ぶりの高い水準に達しました。日本経済は現在、いまだかつてない大きな変化を力にして、前進しています。成長志向の日本経済は、米国への更なる投資にもまた拍車をかけることでしょう。そして、日米両国は今後、世界経済を後押しし、力強い成長軌道へと導くことでしょう。
つい昨日、バイデン大統領と私は、AI、量子、半導体、バイオテクノロジー、クリーン・エネルギーといった次世代の新興技術の発展において、日米両国が世界をリードすることへのコミットメントを示したところです。
そしてまた、両国間の協力分野は宇宙にも広がっています。これは、明るく希望に満ちた明日への道を照らしています。1969 年のアポロ 11 号による月面着陸のテレビ中継は、今でも私の記憶に焼き付いています。1月に、日本の月探査機は、史上初の月面へのピンポイント着陸を達成しました。昨日、バイデン大統領と私は、アルテミス計画の将来ミッションにおいて、日本人宇宙飛行士が米国人以外として初めて月面に着陸することとなると発表しました。
本日は、2名の宇宙飛行士に来ていただいています。星出さん、タニさん、御起立いただけますでしょうか。
星出彰彦氏は、これまでに3回、宇宙に飛び立たれてきました。また、2021年には国際宇宙ステーションの船長を5か月間務められました。隣にいらっしゃるのはダニエル・タニ氏です。タニ氏は、船外活動を6回経験した日系米国人の元宇宙飛行士で、2回のミッションでは、なんと5,000万マイル以上のフライトを達成しました。ものすごい大量のマイレージ・ポイントになりますね。
星出氏とタニ氏は、宇宙における日米協力の象徴的存在です。両国は今後も、このような協力をもっともっと将来にわたって築いていきます。 お二人ともありがとうございました。
   5 結語
最後に、一言述べて締めくくらせていただきます。日本が米国の最も近い同盟国としての役割をどれほど真剣に受け止めているか。このことを、皆様に知っていただきたいと思います。
私たちは共に大きな責任を担っています。日米両国は、平和にとって、自由にとって、そして繁栄にとって、必要不可欠な存在です。そう私は信じます。 信念という絆で結ばれ、私は、日本の堅固な同盟と不朽の友好をここに誓います。
「未来のためのグローバル・パートナー」。今日、私たち日本は、米国のグローバル・パートナーであり、この先もそうであり続けます。本日の御招待、皆様のおもてなし、そして米国が世界で果たしている役割に感謝します。
●衆院解散を巡り「課題に専念する以外は考えていない」岸田首相 政治資金“責任論”「先頭に立つ」 4/13
訪米中の岸田首相は12日、ノースカロライナ州で記者団の取材に応じ、衆院解散を巡り「先送りできない課題に専念するのみだ。それ以外のことは考えていない」と述べた。
国賓待遇で訪米した岸田首相は、首都ワシントンに続き、南部ノースカロライナ州での視察や会談などの日程を終え、記者団の取材に応じた。
日本国内で野党から早期の衆院解散を求める声が相次いでいることを受け、どのような状況になれば解散に踏み切るのか問われた岸田首相は、「政治の信頼回復、経済をはじめとする先送りできない課題に取り組んでいく。今はそれに専念するのみだ。それ以外のことについては考えていない」と述べた。
一方、来週、告示される衆院の3補選では、自民候補の擁立が島根1区のみにとどまったが、「選挙事情は様々だ」として、「課題に対する実行力をしっかり訴えていく」と述べた。
また、政治資金問題を巡り、安倍派の塩谷元文科相が12日、離党勧告の処分に対し再審査を請求をしたことについて問われると、「処罰については、外部の有識者も含めた党紀委員会において議論を行い、結論を出した」と強調。
その上で、「請求については、今後、総務会においてどのように扱うのか判断される」と述べた。
そして、塩谷氏が「岸田首相の責任も問われるべきだ」と指摘したことについては、「自民党総裁として、政治の信頼回復の先頭に立って努力することによって、責任を果たしていかなければならない」との考えを改めて示した。
●訪米の成果強調も国内“難題”山積 岸田首相「今は課題に専念するのみ」 4/13
アメリカを訪問中の岸田首相は、南部ノースカロライナ州で現地に進出する日本企業の視察などを行い、一連の日程を終えた。
アメリカ・ノースカロライナ州から、フジテレビ政治部・瀬島隆太郎記者が中継でお伝えする。
同行筋は、「異例の厚遇で、かつてない反響の大きさだった」と自信を見せているが、留守にしている日本には難題が山積したまま。
岸田首相は12日、トヨタとホンダの工場を相次いで視察し、日本の投資が雇用を生んでいることをアピールした。
その後、記者団の取材に応じ、訪米の成果を強調した。
岸田首相「いかなる未来を次の世代に残そうとしているのか。米議会、米国民、さらには世界に向けて発信することができた」
一方、衆議院の解散総選挙について問われると、「今は課題に専念するのみで、それ以外のことは考えていない」と述べた。
首相周辺は「今回の成果で支持率が上がってくれれば」と本音を吐露するものの、反転のきっかけとなるかは見通せず、帰国後も厳しいかじ取りが続きそう。
●このままでは電気料金は5倍になる…岸田政権の脱炭素政策が目論む「年間20兆円の国民負担増」の恐ろしさ 4/13
なぜ電気料金が上がっているのだろうか。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志さんは「再生可能エネルギーの導入にかかる費用を国民に負担させる『再エネ賦課金』の負担が大きい。しかもそうした負担をさらに増やすことが計画されている」という――。
小泉進次郎氏と河野太郎氏が押し込んだ「再エネ最優先」
日本は菅義偉(よしひで)政権のときに、2030年までのCO2削減目標(2013年比)を26%から46%へと、20%も引き上げました。
そして、エネルギー政策の基本的な方向性を示すエネルギー基本計画書には「再エネ最優先」と書き込まれました。
これは当時の小泉進次郎環境大臣と河野太郎規制改革担当大臣が押し込んだものです。
しかし、これを実現しようとすると、費用はいったいいくらかかるのでしょうか。政府は沈黙したままです。
3人世帯で年間約6万円が上乗せされている
これまでの実績を確認してみましょう。再生可能エネルギーは過去10年間、「再生可能エネルギー全量固定価格買取制度」のもとで大量導入されてきました。これによるCO2削減量は年間約2.4%に達しています。
ところが、これには莫大な費用がかかりました。
それを賄うため、「再生可能エネルギー賦課金」が家庭や企業の電気料金に上乗せされて徴収されてきたのです。この賦課金は総額で年間約2.4兆円(2019年度)に達しています。
これは1人あたりで約2万円ですから、3人世帯では6万円になります。3人世帯の電気料金はだいたい月1万円、年間では12万円くらいです。
「再エネ賦課金」で電気料金が約1.5倍に
12万円に対して6万円ということは、賦課金によって実質的に電気料金が1.5倍になるほどの、極めて重い経済負担がすでに発生していることになります。
国の総額でみると、2.4兆円を負担して2.4%の削減なので、これまでの太陽光発電等の導入の実績からいえば、CO2削減量1%あたり毎年1兆円の費用がかかっているわけです。
すると、単純に計算しても20%の深掘り分だけで、毎年20兆円の費用が追加でかかることになります。
「消費税率20%」に匹敵する
言うまでもなく、20兆円というのは巨額です。今の消費税収の総額がちょうど約20兆円です。すなわち、20%もの数値目標の深掘りは、消費税率を今の10%から倍増して20%にすることに匹敵します。
これを世帯あたりの負担に換算してみましょう。
20兆円を日本の人口一人あたりで割ると約16万円、3人世帯だと3倍の48万円です。
電気料金が年間12万円で、それに48万円が上乗せされるとなると、電気料金が実質5倍の60万円になってしまいます。
もちろん、現実にはこれらすべてが家庭の負担になるわけではありません。
しかし、たとえ企業が負担するとしても、それによって給料が減ったり物価が上がったりして、結局は家庭に負担がのしかかります。
政府の脱炭素目標は破綻する
政府が目標に掲げた2030年といえば6年後です。
これに国民が耐えられるとは、到底思えません。脱炭素は必ず破綻します。
電気代が上がるだけでも国民の生活は十分に苦しいのに、岸田政権はさらに、化石燃料の炭素含有量に応じてコストを課する「カーボンプライシング」まで導入しようとしています。
2022年6月21日には環境省の審議会が開かれ、「CO2排出1トンあたり1万円の炭素税をかけても経済成長を阻害しない」という試算が示されました。
いったいどういう理屈でそうなるのでしょうか?
「炭素税導入」は消費税を15%に上げるのと同じ
その主張をまとめると「炭素税の収入の半分を省エネ投資の補助に使うことで、経済成長を損なうことなく、CO2の削減ができる」とのことです。
そんなはずはありません。
CO2排出1トンあたり炭素税1万円なら、日本の年間CO2排出量は約10億トンなので、税収は10兆円となります。
この金額は消費税収20兆円の半分にあたるので、消費税率を10%から15%に上げるのと同じことです。普通の経済感覚があれば、これが大変な不況を招く結果になることはすぐに分かることでしょう。
地方経済にとって重い負担になる
この「炭素税1万円」が実際に導入されれば、人々の生活はどうなるでしょうか?
北海道などの寒冷地では、年間のCO2排出量は一世帯あたり5トンを超えます。つまり、炭素税率1万円ならば、年間5万円の負担が発生するわけです。過疎化、高齢化が進む地方経済にとって、これは重い負担になります。
産業はどうなるでしょうか?
例えば大分県のように製造業に依存している県では、県内総生産100万円あたりのCO2排出量は6.7トンにのぼります。炭素税率1万円ならば、納税額は年間6.7万円。県内総生産のうちこれだけが失われると、企業の利益など軒並み吹っ飛んでしまうことでしょう。
「再エネ投資で経済成長」はナンセンス
また、「炭素税収を原資に、大々的に省エネ投資への補助をすれば経済は成長する」という議論もナンセンスです。
確かに、数値モデル上では、そのようなことも起こりえます。「愚かな企業や市民がエネルギーを無駄遣いしている」ところを「全知全能のモデル研究者と政策決定者」が儲かる省エネ投資に導く、という前提になっているからです。
しかし、「政府が税金を取って、民間に代わってどの事業に投資するか意思決定することによって経済成長が実現する」という考え方は、そもそも経済学の常識に反します。
特に省エネ投資のように、大規模な公共インフラとは異なり、無数の企業や市民が自分の利害に直結する意思決定をする場合は、なおさらです。
政府の補助があったので購入したものの、受注が不調で工場が稼働しない(で使われていない)、という“ピカピカの無駄な設備”は日本のいたるところにあります。
政府の補助をもらってゼロエミッションの大きな住宅を建てたものの、予想外に家族構成が変わってしまい、一人で住むことになってしまった。そこでローンの支払いに苦労するといったこともあるかもしれません。
「再エネ投資が進まない」のは理由がある
将来のことはよく分からないと思ったら、あまり大きな投資をしないで、現金を手元に置いておいた方がよい、というのは常識的な経済感覚を持つ経営者や普通の人々がする賢明な判断です。
単純な計算では、投資回収年数が短くて、一見するとすぐに元が取れそうな省エネ投資でも、現実にはあまり進まないというのは、それなりに合理的な理由がある場合が多いのです。
政府には、エネルギー効率が悪い粗悪品を市場から排除したり、エアコンなどの機器のエネルギー消費量の表示を義務付けたりすることで、消費者に情報提供をするといった役目はあります。
しかし、個人が何を買うべきかまでこまごまと指図するのは出しゃばり過ぎです。
政府の事業はよく失敗する
政府の事業はよく失敗します。これは決して政府の人間が無能だからだということではありません。政府が何か事業をするとなると、政治家が介入し、官僚機構が肥大し、規制を歪ませて利益誘導しようとする事業者が入り込むので、うまくいかないことが多いのです。これを経済学では「政府の失敗」と言います。
「政府が民間より効率的に投資ができる」という発想は、計画経済そのものです。
北朝鮮と韓国と、どちらが経済成長したかに思いを馳せれば、この考え方の愚かしさが分かるでしょう。朝鮮戦争の直後に南北が分かれた時点では、むしろ北朝鮮の方が工業化は進んでいて、韓国の方が遅れていたのです。
ところが、今では大きく逆転しています。
韓国は先進国なみの経済水準に達したのに、北朝鮮は世界で最も貧しい水準です。
このように、環境省審議会の試算は前提のところですでに根本的に誤っています。
モデルの詳細は資料を見てもブラックボックスになっていてよく分かりません。というより、知る価値もありません。
審議会は御用学者ばかり
こんな経済学の初歩に反するような話がなぜ政府の審議会で大手を振って議論されるのでしょうか。
審議会の委員のセンセイ方は何をしているのでしょうか。
知り合いのエネルギー経済学者に聞いてみると、経済学を本当にやっている人は、環境やエネルギーのことをよく知らず、興味もないので口を出さないのだそうです。
その結果、このような審議会に出てくるセンセイ方は政府のお気に入りの御用学者ばかりとなる。
御用学者だらけの学会も学部もあるので、何も困ることもない。博士にもなれるし、先生にもなれて食い扶持ちには困らない。それどころか、「気候変動」という接頭辞をつければ潤沢な政府予算をもらうこともできる。残念ながらこんな構図になっているようです。
再エネの大量導入で日本の製造業は全滅
最近よく聞く意見に「日本は海外に比べ温暖化対策が遅れている。製造業が生き残るためには、製造工程でのCO2を減らすために、ゼロエミッション電源の比率を上げなければいけない」というものがあります。
ゼロエミッション電源というのは、原子力や再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、水力)などによる、発電時にCO2を排出しない電源のことです。
もちろん、原子力の再稼働でゼロエミ電源比率を上げるなら、安価なので何も問題はありません。
しかし、再エネの一層の大量導入でそれをやろうとすると、コストが嵩みます。これでは、CO2云々以前に、そもそも日本の製造業自体がサプライチェーン(供給網)に生き残れず、全滅してしまいます。
4.3%だけゼロエミッションであればいい
海外が製品のサプライチェーンに対してゼロエミを義務付けるといっても、すべての企業がそうするわけではありません。世界全体での割合でいえば、ごく限定的になると思われます。
ここでは仮に「米国とEUのすべての企業が輸入品に対してゼロエミ電源100%を義務付ける」と想定した上で、日本の輸出のために必要なゼロエミ電源の量を勘定してみます。
日本の対世界の輸出総額は2019年は7060億ドルでした。
このうち、対EU輸出総額は820億ドルで、対米輸出総額は1400億ドルです。したがって、これに対EUと対米分を足すと2220億ドル。これは輸出総額の31%にあたります。
これに対して日本のGDPは5兆1540億ドルでしたから、米国とEUへの輸出合計金額はGDPとの比率では222/5154=4.3%に過ぎません(以上のデータは日本貿易振興機構・ジェトロによる)。
ここでGDPを1円生み出すための電力消費と、輸出を1円にするための電力消費を等しいとすると、日本の電源の4.3%だけゼロエミッションになっていれば、それを使うことで米国とEUへの輸出製品はすべてゼロエミッション電源で賄えることになります。
日本のゼロエミ電源は“あり余っている”
具体的な業務手続きとしては、輸出する製品について投入電力量を計算し、実際にそれだけのゼロエミ電力を買えばよいのです。
もしそれで足りなければ、それに見合うだけのゼロエミ電力の証書である「非化石証書」を買えばよいのです。
日本のゼロエミ電源比率は2018年度で23%でした。これは2030年度には44%になる予定(図表1)なので、実は日本のゼロエミ電源は、すべての輸出を賄ってなお“あり余っている”のです。
もしも強引に再エネを大量導入して、前述のように電気料金が高騰すれば、日本の製造業は壊滅するでしょう。
●松井秀喜さんが大谷175号祝福 「今後もファン喜ぶ数字を」 4/13
米大リーグでドジャースの大谷翔平が12日のパドレス戦でメジャーの日本選手最多タイの175号本塁打を打ったことについて、記録に並ばれた松井秀喜さん49は「今後も大谷選手が200、300、400本と日本の野球ファンが喜ぶ数字を残していくことを私も応援している」と、祝福のコメントを発表した。
ヤンキースなどで10年プレーした松井さんの数字に、昨年日本人初の本塁打王にも輝いた大谷は7年目でたどり着いた。「昨年、本塁打のタイトルを取ったほどのパワーも技術もある選手。私の本塁打数は私自身誇れる数字ではないと感じている」と謙遜した。
●自衛隊の歴史観 戦争の反省 風化を懸念 4/13
戦後、平和憲法の下で再出発した自衛隊で、旧軍と「断絶」していないのではないかと疑われる事態が相次いでいる。アジアへの植民地支配と侵略、国民を存亡の危機に陥れた敗戦という歴史への反省の風化を強く懸念する。
陸上自衛隊の第32普通科連隊(さいたま市)が、X(旧ツイッター)の公式アカウントでの投稿に「大東亜戦争」という用語を使ったことが、「侵略戦争の正当化」などと議論を呼び、この言葉を削除して投稿し直すということがあった。
戦前、欧米の支配からアジアを解放する「大東亜共栄圏の確立」を外交方針に掲げていた日本は、41年12月の米英への開戦直後、この戦争を「大東亜戦争」と呼ぶことを閣議決定した。
敗戦後、神道の国家からの分離を命じた連合国軍総司令部(GHQ)の「神道指令」の中で、軍国主義を連想させるものとして公文書での使用を禁じられ、占領解除後も、政府は一般に公文書では使わずにきた。
連隊の投稿は、硫黄島で開かれた日米合同の戦没者追悼式への参加を伝えるもので、「大東亜戦争最大の激戦地硫黄島」と記されていた。木原稔防衛相は「激戦の地であった状況を表現するため、当時の呼称を用いた。その他の意図は何らなかったと、報告を受けた」と説明した。
確かに、歴史的な用語として、文脈によって、この言葉を使うことはあるだろう。しかし、侵略戦争の肯定につながるとの指摘は重く、現に政府が一般的な使用を控えていることも踏まえれば、自衛隊員を含む公務員が公に発信することは適切でないと言わざるを得ない。
そうした歴史的文脈に思いが至らないとしたら、それこそが、戦争の記憶の風化といえよう。
今年に入り、陸上自衛隊、海上自衛隊で続けて、幹部を含む自衛官らによる靖国神社への集団参拝が明らかになった。海自の海将だった大塚海夫氏の靖国神社トップの宮司への就任もあった。
現在の自衛隊に対する国民の高い信頼は、旧軍の反省を踏まえ、専守防衛に徹するとともに、災害派遣などに力を尽くしてきた結果だろう。先人の地道な努力で得た信認を、自ら掘り崩すような言動は慎むべきだ。
自衛隊の最高指揮官である岸田首相の責任は重い。防衛力の抜本的強化の旗をふるばかりで、歴史の教訓がなおざりにされる現状を放置するようでは、その指導力に国民の支持は得られまい。
●安倍元首相よりも後退した岸田首相…米議会演説「歴史問題」一切言及せず 4/13
米国を国賓訪問中の日本の岸田文雄首相が11日(現地時間)、米連邦議会上下両院合同会議で演説したが、過去の侵略戦争と植民地支配に対する反省どころか、これらの内容について一切言及しなかった。「歴史修正主義」で批判を受けた安倍晋三元首相の9年前の演説よりも後退したものだ。
岸田首相は同日、ワシントンの連邦下院本会議場で、「未来に向けて〜我々のグローバル・パートナーシップ〜」という題名で34分間にわたり英語で演説を行った。米国を訪問する外国指導者に対する最高の礼遇である上下両院合同会議での演説は、2015年4月の安倍元首相以来、日本の首相として2度目。
岸田首相は長い演説で、過去の日本の侵略戦争と植民地支配など歴史的過ちについては一言も触れなかった。首相は幼い頃家族と共に米国で過ごした経験から、中国・北朝鮮・ロシアに対する批判、米日同盟、米国経済のための日本の努力などだけを具体的に説明した。
岸田首相は中国を名指しし、「現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向は、日本の平和と安全だけでなく、国際社会全体の平和と安定にとっても、これまでにない最大の戦略的な挑戦をもたらしている」と批判した。北朝鮮については「核・ミサイル計画は、直接的な脅威」だとしたうえで、ロシアのウクライナ侵攻と結びつけて「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と警告した。さらに、「米国は、助けもなく、たった一人で、国際秩序を守ることを強いられる理由はない。『トモダチ』として、日本国民は自由の存続を確かなものにするために米国と共にある」と述べた。また「(日米)両国のパートナーシップは二国間にとどまらない」とし、韓国、オーストラリア、インド、フィリピンなどを取り上げ、多国間協力を強調した。
今回の演説は日本軍「慰安婦」など歴史的事実を歪曲し、「歴史修正主義」と批判された安倍元首相の演説よりも退行的という批判を免れないものとみられる。2015年4月に米国を国賓訪問した安倍首相は米議会演説で「戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻んだ。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではない」と述べた。しかし、韓日関係の争点だった日本軍「慰安婦」について言及せず、過去の侵略と植民支配に対する明確な反省も盛り込まなかったため、批判を受けた。
当時、朴槿恵(パク・クネ)政権は外交部報道官声明を発表し、米議会での安倍首相の演説が正しい歴史認識を通じて周辺国と真の和解と協力を成し遂げられる転換点になり得たのに、そのような認識も心からの謝罪もなかったことを非常に遺憾に思うと指摘した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、その時よりも深刻な認識が盛り込まれた今回の演説に対し、何の対応も示していない。
岸田首相の演説は、国際社会でこれ以上歴史問題に言及しないという日本政府の意志を示したものといえる。日本の反省を求めてきた韓国で、尹大統領が就任して以来、このような要求が消えたことと関係があるものとみられる。尹錫悦政権は昨年3月、韓日関係の最大争点である強制動員被害者賠償と関連し、最高裁で敗訴した日本企業の賠償金を韓国の日帝強制動員被害者支援財団が肩代わりする「第三者弁済」案を発表し推し進めている。尹大統領は就任後、三一節記念演説や光復節記念演説などでも日本の過去の歴史に対する反省を全く求めていない。
●ロシアが北方領土周辺で外国艦艇や公船の航行認めない措置…外務省「日本固有の領土」と抗議 4/13
ロシアが11日午後8時から17日午後8時までの間、北方領土周辺で外国艦艇や公船の航行を認めない措置を出したことがわかった。外務省は12日、在日ロシア大使館に対し、「北方領土は日本固有の領土であり、措置は受け入れられない」と抗議した。
国連海洋法条約は、沿岸国の安全を脅かさない限り、他国の領海を自由に通航できる「無害通航権」を認めている。沿岸国は自国の領海で必要な場合、「無害通航権」を停止することも認めており、今回の措置は、ロシアが北方領土の領有権を主張する狙いがあるとみられる。 
●米国防長官“フィリピン軍への支援拡充” 初の「3プラス3」も 4/13
アメリカのオースティン国防長官は、フィリピンのマルコス大統領と会談し、フィリピン軍への支援を拡充していくと伝えました。会談に先立って、両国は外務・防衛の閣僚に安全保障を担当する高官も交えた初めての「3プラス3」の協議も開催し、南シナ海での中国による威圧的な行動を念頭に安全保障での連携を一段と強めています。
アメリカのオースティン国防長官は、アメリカを訪れているフィリピンのマルコス大統領と12日、首都ワシントンで会談しました。
アメリカ国防総省の発表によりますと、会談でオースティン長官は、アメリカ軍がフィリピン軍と共同使用できる基地に関連する予算を大幅に増額させる見通しであることや、両軍による海上での合同パトロールの頻度を増やすなど、フィリピン軍への支援を拡充していくと伝えました。
一方、マルコス大統領は、「私たちがともに向き合わねばならないあらゆる脅威と挑戦に対して、アメリカとフィリピンの関係の強さを再確認するものだ」と応じました。
会談に先立って、両国は12日、これまでの外務・防衛の閣僚協議の枠組みを拡大して、安全保障を担当する高官も交えた初めての「3プラス3」も開催していて、南シナ海での中国の威圧的な行動を念頭に、安全保障での連携を一段と強めています。
●訪米の岸田首相、米経済への貢献アピール トランプ政権復活もにらむ 日米比の連携強化も 4/13
岸田文雄首相は12日(日本時間同)、訪問先の米ノースカロライナ州でトヨタ自動車が建設中の車載用電池工場を視察した。11月の大統領選でのバイデン大統領の再選に加え、現地生産や雇用を重視するトランプ前大統領が返り咲く「もしトラ」にも備えて日本の貢献をアピールした。首相は一連の訪米日程で、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に日米やフィリピンを加えた3カ国の連携強化に取り組んだ。
「今回の視察は日本企業がいかに米国経済に貢献しているのか、自ら確認するとともに発信する機会にしたい」
首相はトヨタ工場の視察に先立ち、記者団に語った。工場の投資額は約139億ドル(約2兆1千億円)、雇用は5千人超になる見込みだ。
首相はホンダの小型ビジネスジェット機を手がける米子会社「ホンダエアクラフトカンパニー」の工場も訪れた。首相周辺は同州について「日本の投資をアピールできる場所だ」と解説する。
同州は、大統領選で民主党と共和党の勢力が拮抗する「揺れる州(スイング・ステート)」でもある。2020年の前回大統領選ではバイデン氏が接戦でトランプ氏に敗れており、バイデン氏は同州の情勢を重視しているとされる。バイデン氏は電気自動車(EV)普及などの環境政策に力を入れているだけに、トヨタの電池工場はこうした動きにも対応している。
雇用を重視するのはトランプ氏も同様だ。17年1月にはトヨタがメキシコで着手した新工場の建設計画を「あり得ないことだ」と批判し、米国での生産を求めたこともある。官邸幹部は「バイデン氏とトランプ氏のどちらかに肩入れをするわけではないが、日本の投資が党派を超えて米国民に喜ばれているのは事実だ」と強調する。
日本企業の米国進出を巡っては課題もある。日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収について、トランプ氏は「私なら即座に阻止する」と批判を浴びせた。バイデン氏も支持基盤の労働組合に配慮し、「国内で所有、運営される米国の鉄鋼企業であり続けることが不可欠だ」と表明している。
首相は10日(同11日)、バイデン氏と会談後の共同記者会見で「米国政府において法に基づき適正に手続きが進められると考えている」と述べた。だが、大統領選に向けて政争の具となる懸念はくすぶる。
訪米日程を終えた首相は14日に政府専用機で日本に帰国する。
●訪米手応えも難局続く 岸田首相、衆院補選が関門 4/13
岸田文雄首相は14日、米国訪問を終えて帰国する。バイデン米大統領から国賓待遇の歓待を受けて強固な日米同盟を内外に誇示し、米議会での演説でも手応えを得た。しかし、今回の訪米が政権浮揚につながるかは見通せず、28日投開票の衆院3補欠選挙が関門となる。
「日米がグローバルなパートナーとして、いかなる未来を次の世代に残そうとしているのか、米議会、米国民、世界に向けて伝えることができた」。首相は12日(日本時間13日)、訪問先の南部ノースカロライナ州で同行記者団にこう語った。
首相は10日の日米首脳会談で、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、安全保障・防衛分野をはじめ多岐にわたる連携強化で大統領と一致。議会演説では、国際秩序維持に日米が協調して対応する必要性を訴え、民主、共和両党議員から総立ちの拍手を受けた。
11月の米大統領選を見据え、ノースカロライナでは日本による投資をアピール。経済面で実利を重視するトランプ前大統領の返り咲きを意識して布石を打った。
しかし、自民党派閥の裏金事件は政権運営に影を落とす。訪米に先立ち、首相は安倍、二階両派幹部を処分し、一区切りを付けたい考えだったが、塩谷立元総務会長が再審査を請求し、首相への不満を公言。処分内容に対する世論の目は厳しく、22、24両日の衆参予算委員会で野党の追及に遭うのは確実だ。
3補選で、自民党は島根1区以外への独自候補擁立を見送り、東京15区と長崎3区は不戦敗となる。島根で敗れた場合、自民内で首相の責任を問う声が高まる可能性がある。
9月の自民党総裁任期が迫る中、再選の見通しには不透明感が漂う。訪米を契機に反転攻勢につなげたい狙いだったが、政府高官は「成果がなかなか伝わらない」と焦りを口にした。6月の通常国会会期末に合わせた衆院解散もささやかれるが、内閣支持率や党内の求心力が回復しているかは見通せず、ある自民ベテランは「首相に解散はできない」と断言した。
●規正法見送りは「不信任」 立民代表、首相に責任 4/13
立憲民主党の泉健太代表は13日、自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正を今国会で実現できない場合の岸田文雄首相の責任を問われ「不信任に値する」と述べた。6月23日の会期末を控え「実は2カ月ぐらいしかない。自民によって議論する期間がどんどん短くなっている」として、自民案の早期策定を求めた。東京都江東区で記者団の質問に答えた。
泉氏は「自民の不祥事によって政治改革が問われているにもかかわらず、もし成案を得られなかったら全て自民の責任だ」と主張した。
●茂木幹事長「政治家が責任持てるように」 政治資金規正法改正を強調 4/13
自民党の茂木幹事長は派閥の裏金事件を受けた政治資金規制法の改正について、政治家が責任を持てるような制度にすると述べたうえで、今の国会での成立を目指す考えを強調しました。 自民党 茂木幹事長 「会計責任者が、秘書がということだけで終わりにしない。政治家が責任を持てるような体制・制度を作っていく必要がある。この国会で必ず成案を得るという形を取って参りたい」  沖縄県連と政治刷新車座対話を行った茂木幹事長は議員本人への厳罰化や外部監査の強化を進めていくと強調し、理解を求めました。  自民党は16日にも公明党の実務者との協議を始める見通しで、茂木幹事長は「公明党の意見も聞きながら一致点を見いだしていきたい」との考えを示しました。

 

●週刊地震情報 大隅半島東方沖でM5.1の地震 最近1か月で4回目の震度5弱 4/14
この1週間で国内で観測された有感地震の回数は、前週に比べると若干少ない水準です。
東北の太平洋側や能登半島周辺、九州の太平洋側で地震が多くなっています。震度3以上の地震は3回発生しました。(4月8日〜14日10時の集計)
国内:大隅半島東方沖の地震で震度5弱の強い揺れ
大隅半島東方沖の地震
8日(月)10時25分頃、大隅半島東方沖を震源とするマグニチュード5.1、深さ39kmと推定される地震が発生しました。この地震で宮崎県日南市で最大震度5弱、宮崎県串間市、鹿児島県大崎町、錦江町で震度4の揺れを観測しています。
大隅半島東方沖を震源とする地震で震度5弱以上を観測するのは、2022年10月24日以来です。メカニズムは東西方向に圧力軸を持つ型と解析されています。
大隅半島東方沖と称される震央地名は日向灘と隣接していて、フィリピン海プレートが沈み込むことによるプレート境界型の地震や、プレート内での地震がしばしば起きている領域です。今回の地震はメカニズムや深さなどから、プレート内部で発生したとみられます。
最大震度5弱の地震は3月15日に福島県沖、21日に茨城県南部、4月2日に岩手県沿岸北部で起きていて、この1か月で4回目です。
国内:能登半島周辺で5日ぶりに震度3
石川県能登半島の地震
8日(月)22時29分頃、石川県能登地方を震源とするマグニチュード4.1、深さ13kmと推定される地震が発生しました。この地震で石川県珠洲市で最大震度3を観測しています。
元日に発生した能登半島地震の余震活動はだいぶ減っているものの、依然として有感地震は多い状況です。震度3以上の揺れを伴う地震は3月が4回でしたが、4月は13日(土)までに3回発生しました。
ただ、有感地震全体の発生回数は3月に比べて少なめで推移していて、活動の活発化を示すものではありません。
世界:インドネシアでM6.6の地震
世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は2回発生しています。いずれもインドネシア周辺で発生し、最も大きな規模の地震はマグニチュード6.6です。
日本時間の9日(火)夕方にインドネシア・ハルマヘラ島の北の沖合でマグニチュード6.6、深さ約35kmの地震が発生しました。地震のメカニズムは北西ー南東方向に張力軸を持つ正断層型と解析されています。
震源が島からは少し離れていたため、陸域で強い揺れになった所はないとみられ、津波の発生もありませんでした。
今回の震源付近はユーラシアプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレート、オーストラリアプレートがそれぞれ接していて、地震が頻発している領域です。昨年1月には今回とほぼ同じ震源でマグニチュード7.0の地震が起きていて、2007年にはマグニチュード7.5とさらに規模の大きな地震も発生しています。
●「徐々に倒壊していく家も」「ダークツーリズムのようになってる」 能登“進まぬ復旧”の現状、ボランティア不足への対策は 4/14
能登半島地震発生から3カ月余り。6日には「のと鉄道」が全線で運行再開するなど、復旧が進んでいるように見えるが、周辺に目を移すといまだ壊れた家屋がそのまま。倒れた家屋や瓦礫撤去の中核となるボランティアの数が、今なお足りていないという。
その理由の1つとされているのが、「能登への不要不急の移動は絶対に控えてください」という、二次被害を防ぐための馳知事の当初の呼びかけ。これがネットで拡散され、ボランティア自粛論へと曲解されたという意見も。
能登の現状と、今後ボランティアを増やすために必要なことについて、『ABEMA Prime』で被災者と支援者とともに考えた。
「二次災害が起こるのではないかという怖さも」
能登半島地震の復旧・復興について財務大臣の諮問機関は9日、人口減少と財政上の観点から、集約的な町づくりの必要性を提言した。これに馳知事は「過度な投資にならないようにと受け取れるような表現は、冷水をバケツでぶっかけられたような気持ちだ」と不快感をあらわにした。
この提言に輪島市の漆芸家・桐本滉平氏は「まだまだ支援が足りない状況。金銭的にも人員的にも支援が見込まれているだろうと、我々は淡い期待を持っている中で、この報道はありがたくないというのが率直な感想だ」と話す。
石川県の12日14時時点の住宅被害状況は、全壊が8241棟、半壊が1万5326棟、一部破損が5万3011棟。「震災が発生した日から何も変わっていないエリアが多すぎる。全焼した河井町の一部で、瓦礫が撤去できている場所はうちだけだ。徐々に倒壊していく家も少なくない。ダークツーリズムのようになって、いろんな方々が動画を撮りながら街を歩いている状況に心が痛む」。
さらに困っているのが、収入・仕事と住む場所がないこと。「僕は今31歳だが、転居届を出す周りの同世代は多い。また、輪島は7割の介護福祉施設が閉鎖していて、避難所から出れない方がほとんどだ。住む場所も仕事場もなくした個人事業主も多い中で、車中泊をしている人もいる。なんとかしたいが、本当に収入がなく、家賃を払って県外に出て生活するのも難しい。支援物資の配布も炊き出しも4月1日からなくなっていて、二次災害が起こるのではないかという怖さを感じている」と語った。
ボランティア人員と仕事がマッチしきれていない状況も
「災害NGO結」は、発災翌日の1月2日から現地入り。七尾市を拠点に、ベースや物流、炊き出しなどの班に分かれ、これまでに約2500人が活動してきた。前原土武代表は「能登半島という立地と、元々人口が少なく、土木や解体、大工、水道設備、精密機械などすべての業種が少ない所が被災している。外から入ってもらわないといけないが、宿泊する場所がない。七尾市の下のほうだと復旧は進んでいるが、そこから通うのにも1〜2時間かかってしまう」と説明する。
災害ボランティアセンター経由の発生3カ月の参加のべ人数を見ると、東日本大震災が約43万人、熊本地震が約10万人だったのに対して、能登半島地震は約1万4000人。前原氏はボランティア不足の理由として、コーディネーターがいないこと、人員と仕事がマッチしきれていないこと、専門的知識が必要な場所で人が足りていないことをあげる。
「リディラバ」代表の安部敏樹安部氏は「1、2カ月前、例えば七尾市では市長が個人の携帯番号を書いて、“なにかあったら俺に連絡をしてくれ”と。(当時は)あれこれ言っても、行政機関がちゃんと上にあげて処理されているか、情報が統合されているかわからない。組織と指揮命令系統としてはかなり厳しい状態だった」と指摘。
石川県の創造的復興プラン(仮称)骨子では、9年後(2032年度末)をめどに段階的に復興、単なる復旧ではなく創造的復興を目指すとしている。2年後(2025年度末)までに、罹災証明「半壊以上」の建物の撤去完了等が目標となっている。
安部氏は「大震災の復旧・復興は続いていく。10年どころか15年、20年続くもので、福島も中盤戦ぐらいだ。そのマネジメントのノウハウは正直、ほとんどの自治体は持っていない。とにかく今やらなくてはいけないことがいっぱいあって、自分たちの仕事を頑張っているものの、10年後に振り返ると“うまくいっていなかった”と評価されてしまう状況に向かいつつある」との懸念を示した。
「片付けだけではない」今&これからできるボランティアは?
では、どうすればボランティアを増やすことができるのか。安部氏は「受け入れる時に、“何をしてもらうか”という仕事を作る作業がある。これは住民がいないとニーズが上がってこないもの。なので、まず水を戻して、仮設住宅になるだろうが住民が戻って生活する環境ができて、初めてボランティアが回せるようになる」と述べる。
さらに、「今まさにボランティアに行くべきだ」と提示。「ボランティアツーリズムの形が一番良いだろう。例えば、前原さんと一緒に炊き出しをするとか、桐本さんの所に行ってお話を聞いてもいい。地域の課題解決にそれほど短期的には効かないが、長期的に見ると地域の人や復興の支えになることは間違いない」とする。
前原氏は「片付けだけがボランティアではない。炊き出しもそうだし、お風呂のお湯を届けたり、最近はお茶会のような形式で傾聴やお話をすることもある。厳しい現状の所もあるが、すべてが危ない家屋ではない。安全な建物からの家財出しは手伝えるし、瓦を拾ったり、倒壊しかけているブロック塀の撤去もある。ゴールデンウィークはたくさんの人に来てもらいたい」という一方、「まだコーディネートが足りていない」と前述の課題をあげた。
桐本氏は「ボランティアに来ていただき、行政にはさらなる手厚い支援を求めたい」と訴えた。「まだ復興できていない中でも、なんとか能登にしがみついている人間は数千人いる。自分の生活がどうなるかというのは、震災とはまた違う、人口が減って能登が消滅してしまうのではという壮大な問題と向き合っている感覚がある。なんとか被災者で助け合うことについて、“共倒れするのではないか”と批判をSNS上でいただくことも多い。我々はこれを美学だとは思っていないし、とにかく必死に日々を生きている。もっと現状を知っていただきたい」。
●衆院3補選、政権の命運左右 裏金で論戦、16日告示―自民異例の2不戦敗 4/14
春の衆院補欠選挙が16日、東京15区、島根1区、長崎3区で告示される。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた初の国政選挙で、「政治とカネ」の問題を巡る岸田政権の一連の対応に有権者が評価を示す機会となる。9月には岸田文雄首相の自民総裁の任期切れを控えており、結果は政権の命運を左右しそうだ。投開票は28日。
首相は訪問先の米南部ノースカロライナ州で12日(日本時間13日)、3補選について「政治の信頼回復、経済、震災対応などへの実行力を訴えていくのみだ」と記者団に語った。
3補選のうち、東京15区と長崎3区は裏金事件などで立件された前職(ともに自民離党)の辞職に伴い実施される。自民への逆風は強く、両選挙区とも同党が候補擁立を断念し、不戦敗に追い込まれる異例の展開となった。
島根1区は細田博之前衆院議長の死去によるものだが、同氏は長年にわたる組織的な裏金づくりが判明した清和政策研究会(安倍派)の元会長。同区でも「政治とカネ」の争点化は避けられない。同氏は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係も取り沙汰され、教団問題での批判もくすぶる。
保守地盤の島根は唯一の与野党対決の舞台となる。自民は元財務官僚の錦織功政氏を擁立。週明けには公明党が推薦を決める方向だ。野党系候補は立憲民主党の元職、亀井亜紀子氏に絞られ、事実上の一騎打ちの構図となる。
首相は21日に島根入りする方向で調整しており、「天王山」(岡田克也幹事長)と位置付ける立民も党幹部を相次いで応援に投入する。
一方、東京と長崎では次期衆院選を見据え、野党各党が政権批判票の争奪戦を繰り広げそうだ。東京15区では立民が元区議の酒井菜摘氏を擁立。共産党は候補を取り下げ、立民の支援に回った。
日本維新の会は新人の金沢結衣氏を公認。小池百合子東京都知事が擁立を主導した作家、乙武洋匡氏は無所属で出馬する。自民は当初、乙武氏推薦を模索したが、乙武氏側に難色を示され、断念した。国民民主党は乙武氏を推薦する。
立民の泉健太代表は13日、東京15区の応援に入り、記者団に対し「裏金問題にイエスかノーかの戦いだ」と強調。乙武氏陣営を「反自民なのか、自民とともに歩むのか曖昧だ」とけん制した。小池知事は街頭演説で「(乙武氏は)五体不満足だが有権者には満足できる人材だ」と訴えた。14日には維新の吉村洋文共同代表(大阪府知事)も同区に入る。
長崎3区は「野党第1党」の座を争う立民と維新が激突する構図となる見通しだ。立民からは比例代表九州ブロック選出の現職、山田勝彦氏が出馬し、維新は新人の井上翔一朗氏を公認した。
●深まる日米の一体化 安全と安定に資するのか 4/14
誇らしい気分だったか。
首相として9年ぶりに国賓待遇で訪米した岸田文雄首相が、バイデン米大統領と車の後部座席に並び、満面の笑みを浮かべている。
首相が9日(日本時間10日)にX(旧ツイッター)に投稿した写真だ。大統領夫妻との夕食会に向かう際の大統領専用車「ビースト」。外国の要人が同乗するのは「特別サービス」とされる。
首脳会談後の11日には連邦議会の上下両院合同会議で演説。誇示したのは、ここ数年の「実績」だ。「日米同盟を一層強固なものにするために、先頭に立って取り組んできた」と胸を張った。
今回の首脳会談では、自衛隊と在日米軍の一体化をさらに進めることに合意した。日米の同盟が新たな段階に入り、専門家は会談を「歴史的」とも評する。
米軍が果たしてきた「矛」の役割の一部を日本が担い、米軍は自国の負担減につながる。米国の歓待はある意味、当然だろう。
強まる軍拡の波
安倍晋三政権が安全保障関連法を施行してから8年が経過した。
米国などが攻撃を受け、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」での集団的自衛権の行使を可能にした。「専守防衛」の枠を超え、憲法9条の下、抑制的な姿勢を取ってきた戦後日本の防衛政策の大転換だった。
岸田政権はさらに枠を踏み越えた。追い風にしたのが、中国の軍事力増強と、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻だ。
ロシアの「国際秩序の根幹を揺るがす一方的な現状変更の試み」(岸田首相)。各国の危機感は高まり、侵攻後に欧州各国が軒並み国防費を増額した。
岸田政権も防衛費を現在の国内総生産(GDP)比約1%から2%に増やす目標を設定。国民の議論を欠いたまま、5年で総額約43兆円に増やす方針に行き着いた。
22年12月には国家安全保障戦略など安保関連の新3文書を閣議決定し、敵基地攻撃能力の保有を明記した。「わが国への侵攻を抑止する鍵」と位置づけ、国民には「ミサイル攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限の自衛の措置」との強弁を続ける。
米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入を決め、「防衛装備移転三原則」も改定して殺傷兵器の輸出まで解禁した。
他国に脅威を与えず、攻撃兵器は持たないとする専守防衛の原則を覆している。不安定な国際情勢が理由にされ、戦後日本が築いてきた平和主義は見る影もないほど色を失い、軍拡の波が押し寄せつつある。
これらの岸田首相の「実績」が、国民への十分な説明もなく、国会の議決もされないまま、閣議決定だけで積み重ねられてきたことを見過ごしてはならない。
中国の強い反発
一方で際だっているのが、中国への対抗姿勢である。
岸田首相は米上下両院の演説で中国の対外的な姿勢や軍事動向が「国際社会全体の平和と安定にとって、最大の戦略的な挑戦をもたらしている」と主張した。
首脳会談では、半導体のサプライチェーン(供給網)構築など、経済分野での連携を強化することも打ち出した。中国に依存しない体制をつくるためだ。
米英豪の安全保障の枠組みAUKUS(オーカス)は、極超音速兵器などの共同開発で日本との協力を検討していくことを発表している。日本と連携して、中国に対抗していく狙いがある。
中国は一連の動きに対し、「日本の軍事動向にアジアの隣国や国際社会は懸念を抱いている」などと反発を強めている。
日中を取り巻く状況は厳しい。中国は沖縄県・尖閣諸島周辺に繰り返し侵入し、ロシア軍との訓練と称して威嚇を続ける。日本が台湾関係の平和と安定の重要性に言及すれば、中国は「内政干渉」と反発する。東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出でも、日本と対立したままだ。
岸田首相と中国の習近平国家主席が昨年11月の会談で再確認していた「戦略的互恵関係」の構築は、一向に進まない。
日中関係の発展が両国の利益に合致するとの認識で、政治や経済両面で協力して、地域や世界規模の課題解決に取り組む―と定義づけられる関係である。
最大の貿易相手
日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、貿易額は年間総額で40兆円を超える。安定的な関係が何より求められるはずだ。
岸田首相は就任以降、習主席と2回しか会談していない。対話を欠いたまま、中国を最大の競争相手と位置づける米国を安全保障面で追従していては、中国との感情的な対立をあおり、戦略的互恵関係の実現など望むべくもない。
国内景気が減速する中国も、日中関係の再構築で経済の立て直しにつなげる姿勢は維持している。日本の安全と地域の安定に必要なのは、独自の多面外交の構想であり、対話の積み重ねである。
●岸田首相 国賓待遇の訪米終え帰国 イランのイスラエル攻撃受けG7首脳と協議へ 4/14
国賓待遇でアメリカを訪問していた岸田首相は、4月14日午後、政府専用機で日本に帰国した。
今回の訪米で岸田総理は、バイデン大領と日米首脳会談を行い、「グローバル・パートナー」として、日米同盟の強化を確認した。
バイデン大統領は14日、イランによるイスラエル攻撃を受けて、G7=主要7カ国の首脳と協議すると表明しており、帰国した岸田首相がオンラインで行われる首脳会合で何を発信するかが注目される。
●世界がうらやむ日本経済の未来。2つの革新的技術「水素エネルギー」「光半導体」で再飛躍は確実 4/14
日本経済「再飛躍」は確実と言える。本稿では、日本の技術開発力にスポットライトを当てた。技術は地味だが、その効果は世界を突き動かす巨大なものになる。日本には現在、そうした貴重な技術が2つも実用化に向けて動き出している。これを、読者とともに認識したい。
日本経済「再飛躍」をもたらす2つの技術
社会が発展する動因は、技術開発の進歩発展にある。この発展は、直線的に進むものでない。必ず、「休止期」が訪れて階段状に発展する。これが、過去の人類が歩んで来た道である。
18世紀後半から19世紀前半にかけた約100年間、英国で始まった産業革命によって、人類は長足の経済発展が実現した。石炭による蒸気機関がもたらした成果だ。エネルギー革命が、経済発展のカギの1つを握ることを証明している。
技術発展は、一国経済発展の基盤である。第二次世界大戦後の米ソの冷戦で、ソ連敗北の理由は技術発展が軍事に偏り、民間経済の発展を阻害したことにある。皮肉にも、ロシアの経済学者コンドラチェフは、資本主義経済に50年周期の循環があると指摘した。これ以降は、「コンドラチェフ循環」として世界的に知られるようになった。コンドラチェフは、資本主義経済に「死滅」がないとの仮定に立つので、ソ連首脳部から睨まれ「行方不明」という悲運に襲われた人物である。
資本主義経済の「50年循環説」は後に、技術革新がその主たる理由と解釈されている。画期的技術は、連続して起こるものではない。発明の必要性が認識される時代背景によって、新技術が登場するものだ。第二次世界大戦が終わって、すでに80年近い歳月が経つ。新しいエネルギー革命が、起っても不思議はない時代環境を迎えている。
当メルマガ では今回、日本の技術開発力にスポットライトを当てた。技術は地味だが、その効果は世界を突き動かす巨大なものになる。日本には現在、そうした貴重な技術が2つも実用化に向けて動き出している。これを、読者とともに認識したい。
クリーン水素製造に道
上述の通り、エネルギー技術の革新が、人類を次なる経済発展段階へ押し上げてきた。第二次世界大戦後は、原子力発電がエネルギー革命の担い手として登場したが、主役は化石燃料の石油や石炭で大きなシェアを占めている。これが現在、大量の二酸化炭素を排出させて、環境破壊をもたらしている。
これを反面教師にし、無公害(二酸化炭素ゼロ)エネルギーとして水素が登場した。原料は無限に存在する水だ。この水素を製造するには、太陽光など自然エネルギーで水を分解し酸素を取り出すことがベストの選択である。このほか次善の策では、石炭や天然ガスから水素を製造する方法もあるが、二酸化炭素の排出を伴う難点がある。そこで、究極の無公害エネルギーの水素製造法として、高温ガス炉(原子力発電の一種)が脚光を浴びている。高温ガス炉は、発電するだけでなく水素も製造する。一人二役である。
高温ガス炉では、温度850度で水を分解して水素を製造する。日本は3月28日、これに成功した。OECD(経済協力開発機構)と共同で、次世代原子炉と期待される高温ガス炉(HTTR、茨城県大洗町)の安全確認試験を行った。商用化に向けた関門の1つをクリアした形である。日本原子力機構は、24年にも水素製造施設を高温ガス炉に接続する審査を原子力規制委員会へ申請する。順調に審査が進めば、28年には水素製造試験を始める計画とされる。日本が今、水素社会へ門を開いたのだ。
日本政府は、2040年の水素供給量を、現在の6倍になる年間約1,200万トン目標にしている。研究炉である日本原子力機構のHTTRは、熱出力30メガワット(1メガワットは1,000キロワット)である。250メガワットに高めれば、FCV(燃料電池車)で年間20万台分の脱炭素水素を製造できると試算する。政府は、出力が小型なので数基設置することを想定している。政府は、今後10年間で高温ガス炉などの建設に1兆円を充てる計画である。
経済産業省はすでに、高温ガス炉について、実証炉の開発で中核となる企業に、三菱重工業を選定した。実証炉の基本設計や将来的な製造、建設を担う。また、高温ガス炉の実証炉の建設では昨年9月、英国政府との協力の覚え書きを結んでいる。日英は、知見を共有して実用化を目指し、脱炭素社会の実現につなげる目的だ。
日本が、英国と協力の覚え書きを結んだ裏には、この分野でまだ明確な国際基準がないので、先行して基準を示して水素製造の国際標準を主導する思惑があるとみられる。今回の安全確認試験では、OECDが立ち会っている。日本には、英国と協力しOECDも加わって、水素の国際標準づくりをリードしたい執念を感じるのだ。これまでも、一貫して「水素の日本」という旗印を立ててきた。それへのこだわりである。
鉄鋼・自動車等で活用
日本の水素社会は今後、どのような構想で進むのか。
日本政府は2月、水素社会促進法案とCCS(CO2回収・貯留)事業法案を閣議決定し、現在開会中の国会へ提出した。両法案は、鉄鋼・化学などの産業、モビリティ、発電といった脱炭素の難易度が高い分野で、水素などの供給・利用の促進、CCSに関する事業環境を整備するものである。こうして、日本は水素社会へ向けて動き出している。その技術的裏付けは、今回の高温ガス炉による安全確認試験の成功である。日本にとっては、大きな一歩である。
水素社会を実現する上で、二酸化炭素排出量の多い産業が技術革新対象になる。鉄鋼・化学などの産業、モビリティ、発電が主要対象だ。
鉄鋼では、水素製鉄が関心を呼んでいる。2008年から、水素を使ってCO2排出量を削減するプロジェクトが始まり、世界に先がけた技術開発が進んでいる。現在、開発されているのは、水素を使って鉄鉱石を直接還元する「水素還元製鉄」である。既存の「高炉法」では、コークス(石炭)を使って鉄鉱石を還元するので、大量のCO2が発生する。「水素還元製鉄」技術では、コークスの代わりに水素を使って還元するため、CO2発生量を削減できる。この技術は、世界的にまだ確立されていない。
日本製鉄は、米国のUSスチールとの合併を両社の役員会レベルで決定した。USスチールの株主総会の承認を得ていないが、近く承認される見通しだ。米国の労組や政治家は、政治的理由で反対している。だが、米大統領選後に承認を得られるとの見方もある。
日鉄が、USスチールとの合併に積極的なのは、USスチールが水素製鉄技術と、これに適した鉄鉱石鉱山を保有していることに魅力を感じているからだ。両社の水素製鉄研究が合体されれば、大きな成果を上げられることは確実である。両社が今後、世界鉄鋼市場をリードできる、またとないチャンスが到来するはずだ。
モビリティの代表は、自動車である。水素をエネルギー源にする自動車は、燃料電池車(FCV)と水素エンジン車がある。いずれも、トヨタ自動車が世界の先頭を切って開発している。2014年に、FCV「MIRAI」を発売した。また、トヨタは水素を使う燃料電池(FC)システムを、2030年に年間10万台を供給できる体制を整えつつある。水素時代への準備が、進んでいるのだ。
前記の10万台の内訳は、小型商用車・乗用車が5割強、大型トラックが3割強を占めている。独ダイムラートラックなど海外自動車大手とも、水素分野で連携を強化する手はずだ。水素市場は、欧米や中国を中心に拡大が見込まれている。先ず、トラックなど商用車への搭載を目指す。長距離を走る商用車は、EV(電気自動車)よりもFCVが適している。トヨタは、海外の自動車メーカーなどと連携し潜在需要を掘り起こす戦略である。
ホンダもFCVに取組んでいる。ホンダは今年2月、日米で年内に投入する新型のFCVを発表した。北米や中国などで販売しているスポーツ多目的車(SUV)の「CR─V」をベースにしたFCVである。日本車メーカーとして初めて、家庭や外で充給電できるプラグイン機能を備え、利便性を高めた。世界初公開である。
FCVの普及は、水素を充填する拠点がまだ少なく、思うように進んでいない。ホンダは人気のSUVタイプでEVとしても走行できる充給電機能も搭載することで普及につなげたい考えだ。1回の水素充填による走行距離は600キロ以上。充電だけでは60キロ以上となる見込みとしている。FCV普及への努力を重ねているのだ。
NTTは光半導体開発
技術の世界では、次々と新分野が登場している。AI(人工知能)は、ここ1年で燎原の火の勢いで普及している。ホワイトカラーは、仕事の30%がAIに置き換わるとの予測まで出ている。このAIは、莫大なエネルギーを消費する点で、将来の電力供給を脅かす要因にもなってきた。
現在、データ量が急増している結果、データセンターがさばける情報量の限界を越えようとしている。これを解決するのが、「インメモリーコンピューティング」である。これは、メモリと演算を一緒に行うというアイデアだ。現在、米国ではこの半導体開発でしのぎを削っている。実現すれば、消費電力が大幅に減らせるとしている。
インメモリーコンピューティング半導体は未だ、計算誤差が出ると指摘されている。米国政府は、この半導体を開発している新興企業の開発情報が、国外へ漏洩しないように監視するほどの騒ぎである。この技術を抑えた国が、優位になるという視点からだ。
こういう喧噪を離れて、世界初でNTTが開発した「光半導体」が、すでに実用化に向けて国際的な協力網を構築している。
これまで半導体は、「微細化」という技術で性能を上げてきたが物理的な限界へ近づいている。NTTは、半導体内の電子処理を電気信号から光に置き換える「光電融合技術」を開発し、大幅な消費電力の削減を実現させるメドがついた。
NTTは、すでに製品化へ向けて動き出している。演算用の半導体を手掛けるインテルや、記憶用の半導体を手掛けるSKハイニックスと必要な技術の擦り合わせなどで協力を要請している。NTTは、この技術を核にして次世代通信基盤「IOWN」の実用化を目指す。2028年度に伝送容量125倍を処理し、32年度に電力消費100分の1削減を達成できると見込んでいる。つまり、現在よりも125倍のデータ伝送を1%の電力消費で行うのだ。夢の実現である。
NTTは、30年に実用化が見込まれる次世代通信規格「6G」で、IOWNを世界標準へ押し上げる目標だ。NTTは、過去の国際標準化失敗を教訓にし、海外のネットワークづくりによって孤立を避け、支持グループの拡大を目指している。インテルやSKハイニックスへ製造を任せれば、IOWNの世界標準づくりに協力するだろうという読みだ。日本が、現在の「5G」の次世代「6G」で世界標準を目指しているのである。
日本政府は、NTTへ技術開発支援として約450億円の補助を決定した。生成AI(人工知能)やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及により、世界のデータセンターの電力消費は激増することを見込んだもの。膨張する消費電力を削減するには、光技術を使った半導体量産が不可欠となろう。
2技術は国際標準化へ
日本が、水素エネルギーと光半導体で画期的技術を開発し、その応用にメドを付けたことは、日本の潜在的な技術開発力が衰えていなかったことの証明でもある。これら二つの技術は、冒頭でも指摘した時代を画する「エネルギー革命」を担っている。日本が、「失われた30年」という雌伏期を経て復活できる基盤は、こうした技術開発力が支えるに違いない。さらに、2つの技術が国際標準になれば、日本から部品が大量に輸出される恩恵もあるのだ。
米国は、日本の高度の技術開発力に注目している。対中軍事同盟のAUKUS(米英豪)は、日本に対して技術開発面でのサポートを申し込んできた。具体的には、海底・量子技術・人工知能(AI)・サイバー・極超音速・電子戦武器などを共同開発する、としている。
前記の技術は、戦争をする目的でなく戦争抑止のために不可欠とされている。日本は、米同盟国の有力な一員として悲惨な戦争を防止するべく、その潜在的技術が注目されているのだ。アジアでの戦乱が未然に防げれば、日本の未来は確実に明るくなるであろう。 

 

●さだまさし&泉谷しげる 能登半島地震の被災地を訪れ義援金を贈る 4/15
歌手のさだまさしと泉谷しげるが15日、「令和6年能登半島地震」による災害支援のため石川県珠洲市をはじめ能登町、穴水町、中能登町などの役場を訪れ義援金を贈り、各所の神社では奉納ライブを行った。
さだが設立した「風に立つライオン基金」に泉谷や歌手の半崎美子と相川七瀬が賛同。同基金は、能登半島地震が起こった1月後半から災害地での炊き出しや自宅避難の方々への食材支援活動をしていきた。この支援では珠洲市を始め輪島市や七尾市、能登町などで既に1万4500食以上の食材を提供してきたという。
そんな中、「直接、被災地を回って支援したい」と、さだ、泉谷らは朝7時に金沢をバスで出発。3時間半の移動で珠洲市に到着。日本海側一帯の守護神と言われる「須須神社」を訪れ、お松明奉納や植樹、さらには奉納ライブを行った。
さらに能登町役場を訪れ、大森凡世町長に義援金300万円を贈った。その後、穴水町の介護施設「能登清水の里」を見舞い、ライブを行い、穴水町役場では宮崎高裕副町長を尋ね義援金300万円の目録を手渡した。
最後は中能登町の久氐比古(くてひこ)神社で、さだが自らの作品「案山子」を奉納した。
今回の支援活動に参加した泉谷は「実は、去年の11月頃、珠洲市にある『ラポルト珠洲』という会館から、今年9月221日に“会館自主コンサートをやってほしい”と依頼があった」と切り出した。
泉谷は、このオファーを受けたというが、今回の地震被害で「もうやれないと思っていた」。ところが、会場の被害は最小限に済み、水道、トイレ以外はほぼ問題ないことがわかったそうで、同会館から「予定通り、コンサートを開催してほしい」と再度、依頼あったことを明かした。
泉谷は「オレとしては、今、珠洲市民からチケット代をもらいたくはないし、売りたくもない。やるんだったら、コンサートは『市民激励の無料コンサート』にしたい。ギャラはナシで構わないから、なんとか、市民激励の無料コンサートを実現したい」と語った。
さだと泉谷は、南こうせつらと共に被災地へエールを送りたいと、19日には名古屋センチュリーホールで「がんばれ能登 緊急支援チャリティーコンサート」も開催する予定だ。
●新潟大の液状化調査、地下水位の高さ指摘 再発防止の可能性も 能登半島地震で被害 4/15
新潟大の卜部厚志教授(地質学)は15日、能登半島地震による新潟市の液状化被害について調査した結果、地下水位が比較的高かったと明らかにした。液状化は地下水より深い地層で起きていたため、水位を下げる工事で再度の液状化が防げる可能性があると指摘。行政による対応も求めた。
卜部教授らは3月、液状化被害が大きかった信濃川の旧流路など新潟市西区の6地域で調査を実施。ボーリングで土壌を採取したほか、地盤の強度を調べる試験も行った。
地下水は地表から1〜2メートル程度の深さにあり、そこからさらに3メートル程度深い層までが液状化していた。卜部教授は対策として、技術的な課題はあるものの、地下水位の工事や地盤に薬剤を注入して固める工事が考えられると説明した。
比較的被害の小さかった新潟市中央区の調査では、液状化しにくい泥の層も混ざっていたため被害が抑えられた可能性が分かった。
●ANN世論調査 自民党の処分基準「納得しない」が8割 4/15
自民党の派閥の裏金事件を受けて関与した議員に対する処分の基準について「納得しない」という回答が約8割にのぼることがANNの世論調査で分かりました。
自民党が政治資金収支報告書に総額500万円以上の不記載があったかどうかを基準に処分を決定したことについて、「納得する」と答えた人は11パーセント、「納得しない」は81パーセントでした。
また、3526万円の不記載があり次の衆院選に立候補しないことを発表した二階元幹事長を処分対象としなかったことについて「納得する」が11パーセント、「納得しない」が81パーセントでした。
一方、日米首脳会談で防衛協力の強化で一致するなど、岸田総理の外交姿勢について「評価する」と答えた人が半数を超えました。
また、物価上昇を上回る「賃上げ」について「期待できない」が約8割にのぼりました。
岸田内閣の支持率は26.3パーセントで、先月の調査より5.4ポイント上昇しました。
●日経平均取引開始直後から大幅下落 一時3万9000円割れ 中東情勢影響 4/15
週明けの日経平均株価は取引開始とともに急落し、3万9000円を割り込みました。
15日の東京株式市場は、先週末にニューヨーク市場が大きく下落したことに加え、イランがイスラエルに向けてドローンやミサイルなどを発射したことで地政学的リスクへの懸念が高まったことから、ほぼ全面安となりました。
日経平均は先週末と比べて400円以上値下がりして取引が始まり、その後も下げ幅を広げています。
日経平均が3万9000円割れとなるのは、4月5日以来10日ぶりです。
●萩生田氏と密約説も「岸田独裁」まっしぐらで自民党「分裂」の危険水域 4/15
自民党内が「分裂」の危険水域に入ったという。理由はほかでもない、裏金問題の処分をめぐり「岸田独裁、不公平、血も涙もない奴」と党議員の間に不満が充満しているためだ。
不満を象徴するのが、最も重い処分「離党勧告」を受けた安倍派座長の塩谷立元文部科学相(不記載額234万円)だ。処分理由は「安倍派幹事会座長ながら派閥資金処理に適切な対応を取らず大きな政治不信を招いた」こと。だが塩谷氏にすれば、座長就任は昨年8月から。裏金継続を協議した時点ではその立場になかったと反発する。
自民党長老が言う。
「塩谷は処分発表後、特に岸田が処分対象から除外されたことについて『 (一般社会では)何かあったら社長が責任取る。岸田氏も同じような処分を受けるのが公平だ。安倍派の一部議員だけがガス抜きスケープゴートにされた』と怒りをぶちまけた」
岸田氏と塩谷氏の関係は元々良好だった。
「選挙応援に駆けつけてもらったり酒を酌み交わすなど仲は良かったと聞く。それだけに今回の処分で岸田から一言もなく、いきなり後ろからバッサリ切りつけられてガマンならないのだろう」(同)
もう1人、「岸田独裁」に穏やかでないのが西村康稔前経済産業相だ。党の処分としては3番目に重い、1年間の期限付きの「党員資格停止」だ。
西村氏は元経産官僚で、官僚時代に石川県に出向し、石川のドンであり日本政界のドンであった森元総理の知遇を得て政界進出。そして21年には安倍派事務総長を担っていた。自民党関係者が言う。
「西村氏は問題発覚以前から今秋の総裁選に出馬する意向を示していた。岸田氏にすれば西村氏は森元総理の腰ぎんちゃく。これをバッサリ切れば自分の総裁選のライバルが1人消えると読んでの処分ではとも揶揄されている」
逆に処分が甘く、何か密約でもあるのでは?と勘繰られているのが萩生田光一前政調会長だ。
「萩生田氏は事務総長経験はないが不記載額が2728万円と5人衆の中で最も多額。それが1年間の『党の役員停止』で実質、お咎めなし。そのため党内外から『甘すぎる』と厳しい声があがる。さらに今回、都連会長は続投というから『筋が通らない』と猛批判が出ている」(前出・自民党関係者)
旧安倍派議員もこう言う。
「若手・中堅の間では岸田おろしをするしかないとの声が蔓延している。それが叶わなければ岸田自民党から離脱だ。狼煙となるのは4月28日投開票の島根1区補選。自民が負ければ一気に岸田と勝負だ」
注目された補選は、長崎3区と東京15区は不戦敗。唯一野党とガチンコ対決となるのが島根1区だ。自民は元財務省新人を擁立、立憲民主は元職。島根は竹下元首相らを産み出した自民党の牙城、そこで野党に負ければ岸田自民はいよいよ崩壊か分裂だ。
岸田首相は国賓待遇で訪米、10日には日米首脳会談のあとにYOASOBIらも招かれた晩餐会に臨んだが、自民党関係者からは「最後の晩餐か」という揶揄が止まない。
●自民裏金議員が国会で野党に激しいヤジを…《本気で反省?》と国民怒り 4/15
「かなり具体的な案を持っている」
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、自民党の茂木敏充幹事長(68)が13日、今後の焦点となっている政治資金規正法の改正について意欲を見せた。
同党は近く、改正法案について公明党と与党協議に入るとみられているが、すでに具体案を示しつつある野党案との隔たりが大きく、今国会中にまとまるかどうかは不明だ。
裏金事件が発覚してから5カ月近く。防衛費増税などの政策はアレヨアレヨという間に決まるにもかかわらず、自分たちのカネに絡む政治資金規正法の改正については腰が重い自民党。「違法、脱法行為」に手を染めた裏金議員たちが、予算委員会や各委員会で質問に立つ姿に違和感を覚える国民は少なくなく、SNS上でも《裏金議員が法律についてエラソーに言っている姿がむかつく》《本気で反省しているのか》といった投稿が目立つ。
ヤジを飛ばしていたのは元安倍派2人
そんな中、《やっぱり反省していない》《許せない》との意見が出たのが12日の衆院内閣委員会だった。
「道路交通法の一部を改正する法律案」などについて議論され、れいわ新選組共同代表の大石晃子議員(46)が「この法案は、国民に法律を守りや、ルールを守りや、というものなんですけれど、法律を守らない裏金を作った自民党に政権与党として、この法案を成立させるということは……」などと切り出すと、議場に激しいヤジが飛び交ったのだ。
大石氏はあきれた様子でヤジを飛ばしたとみられる委員席を振り向き、「大西さん、前の委員長ですよね。何で何回も何回もヤジっているのか」「杉田水脈さん!裏金議員じゃないですか」と声を張り上げる場面も。
ちなみに「大西さん」とは大西英男議員(77=東京16区)、「杉田水脈さん」とは5年間の不記載額が1564万円に上った杉田氏(56=比例中国)のことだ。2人とも元安倍派所属で、大西氏は同派所属の議員や会計責任者が政治資金規正法違反の疑いで立件された際、「安倍派の主要幹部は十分責任を果たした。党内にこれ以上の責任を求める声は、ほとんどない」などと言い放って批判の声が出た人物だ。
《裏金議員がワーワーやって野党質問を邪魔するとは…。早くクビにしろ》
《裏金を作ったことを悪いと今も思っていない。間違いなく落選運動だ》
「反省ゼロ」に等しい裏金議員ばかりで、政治資金規正法改正案は本当にまとまるのか。
●裏金問題で萩生田光一議員だけ“大甘処分”に旧安倍派から批判殺到 派内で囁かれている「森と岸田」の身勝手な思惑 4/15
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、党の政調会長を務めた萩生田光一氏に批判が集まっている。朝日新聞は4月5日の朝刊に「処分『市民感覚とズレ』 自民裏金、有権者厳しい目」との記事を掲載。萩生田氏に対する有権者の厳しい声を伝えた。
有権者が萩生田氏の何に怒っているのかをお伝えする前に、裏金事件における萩生田氏の問題点を改めて確認しておこう。
萩生田氏は自民党安倍派の「5人衆」の1人という重職を担い、派閥からのキックバック──ここでは政治資金収支報告書の不記載額──は2018年からの5年間で2700万円を超えた。額の多さに誰もが驚いたが、実際に党内で3番目という巨額の裏金だったのだ。
自民党は4日、国会議員39人に対する処分を発表した。ところが、岸田派の元会計責任者が立件されているにもかかわらず、岸田文雄首相は“無罪放免”となった。この時点で多くの有権者が強い反発を示した。
さらに萩生田氏に対する党の処分は、8段階のうち軽いほうから3番目という「党の役職停止(1年)」だった。「これでは実質的に処分なしだ」との批判が自民党の国会議員からも殺到したが、それも当然だろう。
他の議員に対する処分と比較してみよう。党則の処分では2番目、今回の処分の中では最も重い「除名」となった塩谷立氏の不記載額は234万円。西村康稔氏は3番目の「党員資格停止(1年)」だったが、不記載額は100万円だった。
萩生田氏は2700万円と裏金の額が突出しているにもかかわらず、処分は極めて軽い。これが不可解であることは言うまでもないだろう。
八王子市民の怒り
冒頭で紹介した朝日新聞の記事に戻ると、萩生田氏の地元である東京・八王子市で有権者に取材。これまで萩生田氏に投票してきたという建築作業員の男性が応じ、処分について「軽すぎる。本当は議員を辞めるべきだ」と不満を述べた。
物価高や光熱費の高騰を受け、作業員の男性は外食や酒を減らすなど、出費を切り詰めてきたという。一方、萩生田氏は多額の裏金を作っていた。男性は「自分は好き勝手に金を動かしていたなんて、支持者への裏切りだ」と怒り心頭だ。
萩生田氏だけ“減刑”が実施されたことについて、理解を示す政府関係者もいる。萩生田氏は「安倍派5人衆」の1人に数えられる実力者だ。しかし、裏金作りの実態を把握していた可能性の高い、安倍派の事務総長に就任したことはない。
また安倍派は、一度はキックバックのシステムを停めた。それが22年8月など派の幹部が集まり、裏金システムの復活について話し合っている。この場に萩生田氏は出席していないことになっている。
ただし、以上の2点だけでは、萩生田氏の処分が甘い理由の説明にはならないという。なぜ萩生田氏だけ“えこひいき”されたのか、旧安倍派の議員が言う。
比例復活の問題
「旧安倍派内でも、今回の処分は軽すぎる、おかしいという声が出ています。萩生田さんは2003年に初めて立候補して以来、6回の当選回数を誇ります。ところが、民主党政権が誕生した2009年の総選挙では比例復活もできず落選しました。これに懲り、萩生田さんは旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との関係を深めるなど、なりふり構わず“基礎票”作りに励んだのです」
自民党の処分を重さの順に並べると、【1】除名、【2】離党勧告、【3】党員資格停止、【4】選挙での非公認──となるが、この4つは選挙の際に党の公認が得られない。無所属で立候補することになる。
「自民党の公認候補でなければ、連立を組む公明党における最大の支持母体である創価学会の信者も表立って応援ができません。さらに最も重要なのが、比例区の重複立候補が不可能になるということです。小選挙区制で落選してしまうと、どれだけ接戦で惜敗率が高くとも、敗者復活は叶いません」(同・議員)
自公の公的支援が受けられないため、基礎票が減ってしまう。しかも小選挙区で落選すれば一巻の終わりという“背水の陣”で選挙を戦う必要があるというわけだ。
岸田首相の大罪
「選挙に強いことで有名な世耕弘成さんなら、公認を得られなくとも勝てるかもしれません。ところが、萩生田さんは選挙に強いタイプではないのです。つまり萩生田さんの処分は『処分したように見えても、実は次の選挙でも勝てる可能性を残した』という、少なくとも自民党にとっては絶妙なバランスの上に立ったものなのです」(同・議員)
こんな“えこひいき”が、なぜまかり通ったのか。
「旧安倍派議員は、『森喜朗さんが萩生田さんを守るため、岸田さんに処分を軽くするよう頼んだ』と理解しています。森さんは今でも、萩生田さんが中心になって旧安倍派のメンバーをまとめてくれると期待しているのです。しかし、旧安倍派の議員は『勝手に決めないでほしい』、『森さんに特別扱いされた結果、有権者の信頼を失ってしまった。萩生田だけは許せない』などと反発する声が出ています」(同・議員)
一方、岸田首相も萩生田氏の軽い処分には積極的だったという。
「岸田さんは裏金事件の抜本的な再発防止ではなく、政権維持を最優先にしているのでしょう。あまり報じられてはいませんが、岸田さんと萩生田さんは非常に関係がいい。岸田さんとすれば、自民党総裁の再選を目指すにあたって、萩生田さんに旧安倍派議員をまとめてもらいたいと考えているようです。ここで萩生田さんに恩を売っておくことは決して悪くないということです」(同・議員)
●笑顔の訪米→硬い表情で帰国の総理 続く“いばらの道”政治資金規正法の改正実現は? 4/15
日本の総理としては9年ぶりとなる国賓待遇でのアメリカ訪問を終え、14日に帰国した岸田文雄総理大臣。これから厳しい国内政局に再び向き合うことになります。
晩餐会でもジョーク受け…すこぶる上機嫌
アメリカを出発し、14日に帰国した岸田総理。飛行機に乗り込む時には、笑顔で手を振っていましたが…。
日本に到着して飛行機から降りると、口を真一文字に結び、硬い表情で車に乗り込みました。
アメリカ議会での演説では、冒頭のジョークが受けると、「つかみはOK」とばかりに満足気な笑みを浮かべていました。
岸田総理「日本の国会でこれほどの拍手を受けることはまずありません」
「ここに来る前、私のスタッフがこう言いました。『私のスピーチが短すぎると文句を言った人は誰もいない』」
「『主賓が誰なのか分からない』と妻の裕子が言っていました」
多くのゲストを招いた晩餐(ばんさん)会でも、ジョークが受けに受け、すこぶる上機嫌でした。
補選に裏金問題…「いばらの道」続く岸田総理
アメリカでは笑顔も見せていた岸田総理ですが、国内では問題が山積みです。
政治ジャーナリスト 田崎史郎氏「岸田内閣にとっては、いばらの道が続くだろうと思います」
補欠選挙は裏金問題が起きてから初めての国政選挙で、16日が告示日。岸田内閣にとっては、逆風が吹いています。
16日に告示日を迎える東京15区の補欠選挙。自民党の候補者はいません。
自民党は東京と長崎で候補者の擁立を見送ったため、戦わずしてすでに2敗している状況です。
唯一、審判を仰ぐこととなるのは島根1区です。ここでは、自民党の候補者・錦織功政氏(55)と立憲民主党の候補者・亀井亜紀子氏(58)で、事実上の一騎打ちとなります。諸派の佐々木信夫氏(85)も立候補しています。
田崎氏「島根1区も自民党にとっては厳しい戦いとみられています。もし補選で3つとも負けて全敗となりますと、政権にとっては打撃になります」
政治刷新本部“総理の責任問題”追及も
さらに、難しい課題も待ち受けています。
田崎氏「一番、岸田さんにとって厳しいのは、政治資金規正法の改正論議です」
4月13日・14日に行われたANN世論調査によると、自民党の派閥の裏金事件を受けて、政治資金収支報告書に総額500万円以上の不記載があったかどうかを基準に処分を決定したことについて、「納得しない」と答えた人が81%でした。
岸田総理は政治資金規正法の改正に意気込みを見せますが、12日に行われた政治刷新本部では、総理の責任問題を追及する声が上がったといいます。
自民党 青山繁晴参院議員「責任ある人が本当は責任を取っていないとか。そういう根本問題をやらずに各論に入ると、うやむやのまま法改正にも臨むことになるとおかしいという意見が出た」
しかし、岸田総理は次のように述べました。
岸田総理「自民党総裁として、政治の信頼回復の先頭に立って努力することによって、自民党総裁としての責任を果たしていかなければならない。このように考えております」
果たして、政治資金規正法の改正は実現できるのでしょうか。
田崎氏「岸田総理は今国会中に成立させたいと何度も言っているが。野党、特に立憲民主党は自民党がのめないような高いボールを投げて来て、それに対して自民党はどうにものめないという局面になると、政治資金規正法の改正案の成立は難しくなってくる」
●衆院3補選あす告示 島根1区は与野党対決に 岸田政権の行方を左右 4/15
衆議院の3つの補欠選挙があす、告示を迎えます。自民党が2つの選挙区で不戦敗となるなか、事実上の与野党対決となる島根1区の勝敗に注目が集まりそうです。
きのう、アメリカから帰国した岸田総理。ただ、ゆっくりする時間はなさそうです。
政権の今後を左右する衆議院の3つの補欠選挙が、あす告示を迎えます。
自民・閣僚経験者「補選は総選挙の先行指標になる。結果は政権運営に相当影響するよ」
“補選で全敗すれば岸田総理は9月の総裁選で再選できない”そんな声も上がるなか迎える3つの補選。
東京15区と長崎3区は「政治とカネ」の問題で自民党を離党した議員の辞職に伴い行われるもので、自民党は独自候補の擁立を断念しています。
唯一、事実上の与野党対決となるのが島根1区。ただ、ここも旧統一教会との関係などが指摘された細田前衆院議長の死去に伴うもので、自民党にとっては逆風のなか迎える選挙となります。自民党公認の新人・錦織功政氏は…
自民・新 錦織功政氏(7日)「政治資金を巡る問題です。今回の問題については皆さんと同様、私自身もとても強い憤りを感じています」
党の改革を訴えて支持を呼びかけます。
一方、立憲民主党・元職の亀井亜紀子氏は「政治の変化」を訴えます。
立憲・元 亀井亜紀子氏(6日)「保守王国、自民王国と言われている、この島根県民が怒ったら永田町は震撼します、びっくりします。島根が変われば日本の政治の流れが変わります」
島根1区にはこのほか、諸派の佐々木信夫氏も立候補を表明しています。
正念場を迎えている岸田総理。勝敗ラインは設けない考えです。
岸田総理(日本時間13日)「先送りできない課題に専念をし、そうした課題に対する実行力をしっかり訴えていくのみであると思っています」
一方、野党は3つの選挙区で勝利し、さらに与党を追い込むことをもくろんでいます。
立憲民主党 泉健太代表(12日)「これまでの自民党の裏金問題に対する対応の是非が問われる。政治改革に向けての国民の皆様の意思が問われる」
補欠選挙はあす16日告示、28日投開票です。
●岸田政権を操る「電力マフィア」が焦りだした…「能登半島地震」でバレた「原発再稼働」避難計画のお粗末すぎる実態 4/15
地震で「潮目が変わった」
「電力マフィアの頭目」と綽名される嶋田隆首相秘書官(1982年旧通商産業省)と結託して岸田文雄政権を操り、政府のエネルギー政策を「脱原発」から「原発推進」に大転換させた経済産業省。
ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油・天然ガス供給不安の高まりや、地球温暖化防止のための脱炭素化の取り組み強化にかこつけて、昨年には、60年超の運転容認など既存原発の再稼働推進や原発のリプレース(建て替え)を国の正式な方針に位置付けさせた。
村瀬佳史・資源エネルギー庁長官(1990年同)ら幹部は「フクイチ(東京電力福島第一原発)事故の呪縛からやっと解き放たれた」(資源エネルギー庁幹部)などと溜飲を下げていた。
だが、好事魔多しとはよく言ったもので、元日の能登半島地震をきっかけに、「原発復権路線」の旗色は急速に悪くなっている。北陸電力の志賀原発(石川県志賀町)は運転休止中だったことも幸いし重大なトラブルを免れたが、原発事故が起きた際の住民避難計画が機能しない代物であることが白日の下にさらされたからだ。
避難計画は「絵にかいた餅」
「原子力災害対策指針」では、重大事故の際、原発から半径5km圏内の住民は即座に避難し、5kmから30km圏内の住民は「屋内退避」が原則だ。
だが、能登半島地震では志賀原発周辺の広い範囲で土砂崩れにより道路が寸断された上、家屋・建物の倒壊が相次いだ。地震と原発事故の複合災害では、政府が想定する圏外避難も屋内退避も「絵にかいた餅」だと浮き彫りになった。
原子力規制委員会は「避難のあり方について外部の専門家も交えて議論する」というが、抜本的な指針の見直しは見送る方針だ。指針に欠陥があると認めてしまえば、圏外避難と屋内退避の組み合わせを前提に策定された各原発の避難計画が意味をなさなくなる。
福島事故を教訓に「推進」と「規制」を分離する目的で、国家行政組織法3条に基づく「政府から独立性の高い機関」として設立されたはずの原子力規制委が、すっかり経産省に取り込まれた様子には驚くばかりだが、立地住民に広がる原発不信は覆い隠せない。
地元では推進派さえ「反対」に
それが如実に物語るのが、村瀬長官と東京電力柏崎刈羽原発(通称・KK)が立地する新潟県の花角英世知事(1982年旧運輸省)による3月21日の会談だ。
村瀬長官は「エネルギー安定供給や福島廃炉費用の捻出のため、KK6、7号機の早期再稼働が必須」と説明した斎藤健経産相名の文書を手渡し、協力を求めた。
「能登半島地震など災害から得た教訓を原子力災害対策の強化に活かし、再稼働後も政府が責任を持って対処する」とも強調したが、花角知事は「県民の間で不安が広がっている。(KK再稼働の是非を)どう受け止めているか、丁寧に見極めていきたい」などとして再稼働同意の言質を与えなかった。会談後の取材にも「『お話は承りました』と答えた」と聞き置く姿勢を強調するばかりだった。
KKを巡っては県民の間に「東電に再び原発を動かす資格があるのか」との疑念が根強い上、6、7号機が原子力規制委の安全審査をパスした後の2021年1月以降、東電社員がIDカードを不正に利用して中央制御室に出入りするなど、テロ対策上の不備が相次ぎ発覚したことで不信を増幅させた。
2021年4月には原子力規制委から事実上の運転禁止命令を食らっており、今ではかつて再稼働推進派だった自民党県議の中からも「不祥事を二度を起こさないという確証があるのか」など厳しい声が出る始末だ。岸田政権の水面下の働き掛けも奏功してか、昨年12月には再発防止策が認められ、命令はようやく解除されたが、再稼働に必須の地元の同意のハードルは高いままだ。
頼みの政治家は裏金で失脚
そんな中、能登半島地震により事故時の避難計画の実効性の乏しさが露わになったことで県民の態度はいよいよ硬化している。
花角知事はかねて再稼働の同意の是非を判断する際には「県民の信を問う」と明言。出直し知事選も「一つの選択肢」としてきたが、永田町では、立憲民主党など野党が地元で知名度が高い前知事の米山隆一衆院議員を対抗馬に立てる可能性も取り沙汰されており、容易には踏み切れないだろう。
経産省のある幹部は「前経産相の西村康稔氏ならエネ庁長官任せにせず、自ら新潟県を訪れたはず。そうすれば、知事の態度も違ったはずだ」と嘆く。安倍派の裏金事件で大臣が昨年12月に交代したことの影響を示唆したものだ。
旧通産省OB(1985年入省)でエネ庁石油部などに在籍した経験がある上、地元が兵庫県である関係で関西電力をはじめ電力業界首脳とも親しい西村氏が大臣なら「KK再稼働にもっと汗をかいてくれたはず」とのぼやきだ。
斎藤経産相も旧通産省OB(1983年入省)で同じく資源エネ庁石油部で働いたキャリアを持つが、政界入り後は主に農水族議員として活動してきた。その上、当選同期の小泉進次郎氏や、河野太郎氏らアンチ原発派議員と親しく「原発復権に西村氏ほどの思い入れがない」(エネ庁幹部)という。
経産省は花角知事が官僚時代に二階俊博運輸相(当時)の大臣秘書官を務め、その後も可愛がられてきたことから「いざとなれば経産相経験者で自民党幹事長も務めた実力者の二階氏に動いてもらえる」とも期待していた。
だが、その二階氏も3月25日、派閥の裏金事件に絡んで次期衆院選への不出馬を表明。事実上、「蟄居の身」となり、この知事説得工作も露と消えた。
嶋田秘書官は「ご執心」だが…
福島事故後、1基も再稼働できていないフクイチと同型のBWR(沸騰水型原子炉)について、まず今秋、東北電力女川2号機(宮城県女川町)と中国電力島根2号機(松江市)を先行して再稼働させ、それに続く形でKKも年内に動かすというのが経産省が描くシナリオだった。実現すれば、各電力会社に家庭向け電気料金などを引き下げさせ、原発の優位性を世論にアピールすることも算段していたようだ。
しかし、能登半島地震をきっかけとした住民の不安の高まりは新潟県だけにとどまらず、女川2号機や島根2号機についても再稼働に向けた地元同意をしっかりと確認する必要があり、シナリオ全体に暗雲が垂れ込めている。福島事故直後に社外取締役として東電に出向して経営再建策を主導した経緯から嶋田首相秘書官は「KK再稼働にことのほかご執心」(官邸筋)というが、さすがにゴリ押しできないだろう。
原発復権のもう一つの柱である「リプレース」も視界不良だ。経産省は昨年、国会で成立した「GX(グリーントランスフォーメーション)推進法」を根拠に、原発のリプレースにも公的支援できる道を付けたが、大手電力からは「支援の規模が小さ過ぎる。投資回収の予見可能性が立たない」などと不満の声が噴出している。
笛吹けど踊らず
福島事故後の安全対策の厳格化でリプレースには1基当たり1兆円規模の投資コストがかかるとされるだけに、各電力とも「投資回収を終えて確実に儲かる」(関電幹部)の既存原発の運転延長を優先したいのが本音。新たに巨費を投じるリプレースには二の足を踏む。
資源エネ庁の村瀬長官や松山泰浩次長(1992年同)らは「国民の理解を得ながら支援を徐々に拡大していく」などとしきりに囁いているが、公的支援を拡大すればするほど原発は「高い電源」となり、世論の反発を招くジレンマを抱える。
今年は国の中長期のエネルギー政策の方向性を示すエネルギー基本計画を改定する節目の年でもある。前回2021年の改定では脱炭素に向けて原発活用をうたいながら「可能な限り原発依存度を低減する」との文言が入るなど中途半端な内容となった。
このため、経産省は今回、「2050年に温室効果ガスの排出量実質ゼロ」という国際公約も錦の御旗に原発復権を大々的にうたい上げたい方針だが、衆院解散・総選挙の可能性も取り沙汰され、秋には自民党総裁選も控える中、国民の不興を買いかねないリスクがある。
そもそも既存原発の再稼働推進にしろ、リプレースにしろお題目ばかりで実態が付いてきておらず、改定を主導するエネ庁幹部らは「笛吹けど踊らず」の現実に頭を抱えている。
●「与党でも野党でもない候補」は結局、自民党になびく…乙武洋匡氏の「無所属出馬」にみる拭いがたい違和感 4/15
4月16日に告示される衆院東京15区補選で、作家の乙武洋匡氏が無所属での出馬を表明した。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「国政選挙の立候補者が与党寄りか野党寄りかのスタンスを曖昧にするというのは、有権者に対して不誠実だ」という――。
衆院3補選は「自民が政権を担い続けるべきか否か」の選択
衆院の三つの補欠選挙(東京15区、島根1区、長崎3区)の告示が16日に迫っている。主要政党の候補擁立への動きがなかなか固まらなかった東京15区も、8日に作家の乙武洋匡氏が無所属での出馬を正式表明したことで、すべての選挙で「構図がほぼ固まった」ように報じられている。
だが、主要政党の擁立が出そろったことを指して「構図が固まった」と呼ぶことには、違和感を禁じ得ない。小選挙区制で争われる衆院選は、国政与党と野党の二つの陣営が争う「政権選択選挙」であり、それは補選であっても変わらない。
重視すべきは「どの候補がどちらの陣営に与しているか」だ。すべての候補者は、現在の岸田政権に与するのか対峙するのか、つまり「与党と野党のどちらの立場で臨むのか」について、立場を明確にすることが求められる。
特に今回の3補選は「自民党にこれ以上政権を任せるべきか否か」が、近年になく強く問われている選挙だ。自民党に対する国民の怒りを当てにして、自らを「野党系」の如く見せかけ、選挙後に口をぬぐって自民党側に転じる、という行動は許されない。
「与党も野党もどっちもどっち」とうそぶきながら、時々で都合よく双方の立場を使い分けてきた「第三極」的政党や候補者は、そろそろ自らの立場を選び取り、その結果に責任を取る覚悟を持つべきだ。
3補選中2戦で「自民の不戦敗」が決定
3補選のうち、自民党が公認候補を擁立して、立憲民主党の候補と事実上の「与野党一騎打ち」に持ち込めたのは、島根1区ただ一つ。長崎3区は立憲の現職と日本維新の会の新人が出馬予定だが、自民党は自主投票、すなわち「不戦敗」となった。残る東京15区で自民党はどうするのか。そこに焦点が集まった。
東京15区補選は、自民党推薦で当選した(後に離党)柿沢未途前副法相が、昨春にこの選挙区と地盤の重なる東京都江東区長選をめぐり、公職選挙法違反容疑で逮捕・起訴され辞職した(後に有罪判決が確定)ことに伴い発生した選挙だ。
この選挙区では前任の秋元司氏も、カジノを含む統合型リゾート(IR)を巡る汚職事件をめぐり逮捕されており(秋元氏は上告審を戦いながら今回の補選に出馬を表明した)、2代続けて自民党議員が不祥事を起こしている。
ファーストの会・乙武氏が「無所属」での出馬を表明
そんな自民党を横目に動いたのが、東京都の小池百合子知事だ。小池氏は3月29日の記者会見で、自身が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が国政進出を目指し設立した政治団体「ファーストの会」が、作家の乙武洋匡氏を擁立する方針であると明らかにした。自民党はこれに相乗りし、乙武氏を推薦する方向だと報じられた。
都内の地方選挙で振るわなかった自民党が「負け」を回避するため小池氏の知名度にすがる例は、昨年12月の出直し江東区長選でもみられた。自民、公明、国民民主の3党と都民ファーストの会が推薦した大久保朋果氏が、立憲などが支持した候補や維新の推薦候補らを破り初当選した。自民党は東京15区補選で、それを再現しようとしたのだろう。
野党第1党の立憲民主党は酒井菜摘氏、野党第2党の日本維新の会は金澤結衣氏と、ともに新人の公認候補擁立を決めている。自民党の乙武氏推薦方針によって、ともあれ与野党が戦う(三つ巴ではあるが)構図は確立されたとみえた。
ところがこの10日後、4月8日に行われた乙武氏の記者会見で、その様相は揺らいだ。乙武氏は「無所属での立候補」を打ち上げたのだ。会見場には乙武、小池両氏の顔を大きくあしらい「ファーストの会」と大書された緑色のポスターが、何枚も貼られていたにもかかわらずだ。
「国政無党派」をうたう乙武氏のズルい答弁
実は今回の補選では、昨年末の江東区長選のような支援体制を組める見込みは薄くなっていた。自民党には、柿沢氏の辞職の原因となった昨春の江東区長選が分裂選挙となったしこりが残り、都民ファーストと競合する地方議員にも連携への不満がある。
公明党は乙武氏の過去の女性問題を嫌気する声が党内に強く、国民民主は「自民党が推薦を出すような人は応援できない」と斜に構える。「大きな塊」どころか、遠心力のほうが強いのが実情だ。
そういう状況を考慮したのか。乙武氏は、人気のある小池氏の顔だけを前面に出しつつ「まっさらな状態で勝負する」と述べ「国政無党派」を演出した。
結果として都民ファーストは、その後乙武氏の推薦を決め、自民党は推薦を見送った。自民党の推薦見送りをみて、国民民主党が乙武氏を推薦。一見、乙武氏は「野党系」に色分けされたようにみえる。
自民、公明支持票を当て込んでいるのは明らか
しかし、告示直前の13日、乙武氏の街頭演説には、江東区の大久保区長が応援に駆けつけていた。前述したように自民、公明、国民民主の3党と都民ファーストの会の枠組みで当選したばかりの区長である。擁立見送りで行き場を失っている自民、公明支持層のからの集票を当て込んでいるのは明らかだ。
自民党の「推薦見送り」さえ、ある種の「戦術」である可能性をうかがわせる。
乙武氏に限ったことではない。実は平成の時代に「個別の政策実現のためには与党も野党も関係ない」などということを口にする無党派系の候補者は結構いた。与党か野党かの立場をあいまいにすることで、双方の支持者から都合良く集票することが可能だからだ。
「政策実現」のみを目的とするのなら、時の政権与党に与した方が都合がいいに決まっている。こうした立場で選挙を戦った候補の多くが、その後自民党側に軸足を移した。非自民系の無党派層の支持は、やがて「自民党を支持したもの」として回収されていった。
しかし、くどいようだが衆院選で争われるのは「政権のありよう」だ。無所属候補であろうと、政権与党の自民党にどういう立場で対峙するのかを明らかにしないわけにはいかない。実際、8日の乙武氏の出馬表明会見では「与党候補として出馬したつもりなのか、(野党候補として)自民党政権を打破するつもりで立候補したのか」との質問が飛んだ。
乙武氏は「与党である、野党であるということに対するこだわりは、そこまで強く持っていない」「与野党の枠組みではなく、私にしか出せない論点で課題意識を共有いただき、法制化につなげる活動をしたい」と述べた。
小選挙区制が有権者に求めているもの
だが、こういう「政策実現のためなら与野党どちらでもいい」という政治スタンスは、平成の時代とともに古びてしまったのではないだろうか。
政権を争う二つの政治勢力は、本来「目指す社会像」を争っているはずだ。それぞれの目指す社会像に沿って、個別政策の内容や、政策実現の優先順位にも違いが生じる。例えば同じ民法改正でも、現在の自民党政権の場合「離婚後の共同親権」導入の動きは急ピッチで進むが、「選択的夫婦別姓」の導入は、四半世紀をかけても進まない。
野党第1党の立憲民主党が政権を取れば、おそらく逆になるだろう。「目指す社会像」、この場合「家族のあり方」に関する姿勢が、両者で大きく異なるからだ。
だから「自分自身が目指す社会像」が明確であれば、候補者は「与野党の2大政治勢力のどちら側に立つのか」を迷うことはないし、与野党間の政党移動など、本来起こり得ないはずだ。たとえ完全に一致していなくても「どちらの政治勢力のほうがより自分に近いか」を考え、選び取ることは可能である。
候補者だけではない。有権者も「自らの目指す社会像」を2大政治勢力のそれと照らし合わせながら、選挙での投票に臨まなければならない。小選挙区制が国民に求めているのはそういうことだ。
「無党派」で「誰が首相にふさわしいか」を選べるのか
補選に勝利して衆院議員になれば、本会議で首相指名選挙に臨むこともあるだろう。一度でどの候補も過半数を得られなければ、決選投票になる。よほどの政治的動乱がない限り、それまでの政権与党と野党第1党の党首の一騎打ちになるはずだ。その時、自分はどうするのか。
衆院議員の大切な仕事の一つは「国民の代理人として、首相を選ぶ一票を投じる」ことだ。「自分はどちらが首相にふさわしいと考えるか」に対する答えは、候補者の段階から当たり前に持っていなければならない。それが有権者の投票の判断基準になるからだ。有権者が「自民党政権の継続を望まない」つもりで一票を投じた候補者が、当選後に首相指名選挙で自民党総裁に投票すれば、民主主義は成り立たない。
「無党派」乙武氏に足りない覚悟
東京15区には忘れがたい事例がある。2021年10月の首相指名選挙で、無所属で立憲の会派に属していた柿沢氏が、自民党の岸田文雄総裁(現首相)に投票したことだ。「野党系」として一貫して自民党と戦っていたはずの柿沢氏は、衆院選直前に騙し討ちのように自民党に寝返り、衆院選になだれ込んだ。柿沢氏は無所属で選挙を戦い、勝利するや否や自民党入りした。
正直筆者は、あの「変わり身」は、その後の公選法違反に匹敵する、政治家にあるまじき行為だったと思う。柿沢氏を「野党系」と認識して投じられたかもしれない自民党への批判票が、一定程度「自民党支持票」に化けた可能性を否定できないからだ。
同じ選挙区で似たようなことを繰り返してはならない。
「不戦敗」の補選は岸田政権の命運を左右しない
一つ付け加えるなら、巷間言われている「東京15区補選の結果が岸田政権の命運を左右する」などということは、おそらくもうないだろう。
冒頭にも述べたが、この3補選で自民党が公認候補を擁立できたのは、島根1区ただ一つだけ。長崎3区は不戦敗となり、東京15区も結局は候補擁立に失敗した。野党第1党の立憲が3選挙区すべてに、第2党の維新も東京と長崎の2選挙区で公認候補を擁立したのに、である。
裏金問題で「国民への説明が足りない」と大きな批判を受けながら、信頼を取り戻すため国民に直接訴える最大の機会だったはずの選挙で「逃げ腰」の対応しか取れなかった。この時点で自民党は「戦う前から負けが決まっている」のである。
●使用済み燃料「共用プール」の建物に土砂災害リスク 今後10年で建物裏の土手を削る方針《福島第一原発》 4/15
東京電力は福島第一原発で使用済燃料を保管している建物に災害リスクがあるとして、今後10年をかけて対策を行う方針だ。
福島第一原発で使用済み燃料を冷却・保管している「共用プール」の建物を巡っては、原子力規制委員会が裏の土手までの距離が短く「災害時に土砂が流入し、冷却が止まるリスクがある」などと指摘していました。
この指摘を受け東京電力は今後10年ほどをかけて「共用プール」の建物の裏にある土手を削り、距離を確保しながら土砂の流入を防ぐ方針だ。
●島根1区、政権の命運握る 事実上の与野党一騎打ち 衆院3補欠選挙16日告示 「政治とカネ」最大の争点に 4/15
衆院3補欠選挙が16日に告示される。細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区は、自民党新人の錦織功政氏、立憲民主党元職の亀井亜紀子氏、無所属新人の佐々木信夫氏の3人が立候補を予定する。3補選のうち唯一となる事実上の与野党一騎打ちとなり、岸田政権の命運を握る注目区。自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた「政治とカネ」の問題が最大の争点になる。
島根は1996年の小選挙区制導入以降、2021年衆院選まで県内全小選挙区の議席を自民が独占した「保守王国」。自民は東京15区、長崎3区での候補者擁立を断念し、与野党とも島根1区に告示前から党幹部や国会議員が島根入りして総力戦を展開。告示後も自民総裁の岸田文雄首相や立民の泉健太代表らが島根入りを予定し、28日の投開票に向けて激しい戦いが予想される。
自民の錦織氏は昨年12月、島根県連の候補者公募に名乗りを上げ、今年1月に党本部の公認を受けた。企業や業界団体へのあいさつ回りを重ね、県連地域支部の会合などに出席。152団体から推薦を受け、15日には公明党の推薦を得た。裏金問題を踏まえ、政治改革を訴えるとともに賃上げやインフラ整備、中山間離島振興などに力を入れ、約30年の行政経験を生かし、島根と国とのつなぎ役になると強調する。
16日は午前9時、松江市殿町の県庁前で第一声。その後、出雲、雲南、奥出雲の各市町の計10カ所で街頭に立つ。
立民の亀井氏は今年1月に党本部が公認し、連合島根の推薦や候補者を取り下げた共産党の自主支援、国民民主党の県連レベルの支援を受ける。選挙区内で60回の対話イベントを重ね、700人超の声に耳を傾け、自民支持層の切り崩しに向けて企業や業界団体も訪問。自民の裏金事件を批判し、政治資金パーティー禁止といった政治改革や教育・子育て予算の増額、農林水産業の振興、地方の公共交通維持などを訴える。
16日は午前9時半、松江市朝日町の松江テルサ前で第一声に臨み、松江、安来両市内の計4カ所で街頭演説する。
佐々木氏は16日に第一声などは予定していない。
●円相場 一時153円台後半まで値下がり 4/15
15日の東京外国為替市場、イランによるイスラエルへの攻撃で中東情勢が一段と緊迫化する中、ドルを買う動きが進み、円相場は一時、153円台後半まで値下がりしています。
外国為替市場では中東情勢が一段と緊迫化する中、ドルを買って円を売る動きが進み、午前中、円相場は一時、1ドル=153円台後半まで値下がりしました。
市場関係者は「投資家の間では政府・日銀による市場介入への警戒感も出ているが、中東情勢の緊迫化を受けたエネルギー価格の上昇傾向で日本の貿易収支の悪化も意識されていて、円安方向に進みやすい環境が続いている」と話しています。
●規制委、柏崎刈羽原発7号機の核燃料装塡を承認 東電は午後にも開始 4/15
原子力規制委員会は15日、東京電力柏崎刈羽原発7号機(新潟県)の原子炉に核燃料を装塡(そうてん)することを承認した。東電は準備ができ次第、同日午後4時ごろをめどに燃料の装塡を始める方針。
今後は原子炉の特性を調べる試験などを実施。確認が終われば、原子炉内で核分裂が連続する「臨界」の操作の承認書を規制委が出し、再稼働できる状態となる。柏崎刈羽原発はテロ対策の不備が相次ぎ、規制委から2021年に事実上の運転禁止命令を受け、昨年末に解除された。再稼働に向けて地元自治体の同意が焦点となっている。 
●円安加速 一時154円台半ばに 約34年ぶりの円安ドル高水準 4/15
15日のニューヨーク外国為替市場ではアメリカの経済指標の発表を受けて円安が一段と加速し、円相場は一時、1ドル=154円台半ばまで値下がりしました。1990年6月以来、およそ34年ぶりの円安ドル高水準です。
15日のニューヨーク外国為替市場ではこの日、発表されたアメリカの先月の小売業の売上高が市場予想を上回っ
たことで、アメリカ経済は堅調でFRB=連邦準備制度理事会の利下げが遅れるとの見方が広がりました。
このためアメリカの長期金利が上昇し、日米の金利差の拡大が意識されてドルを買って円を売る動きが一段と強まり、円相場は一時、1ドル=154円台半ばまで値下がりしました。
これは、1990年6月以来、およそ34年ぶりの円安ドル高水準です。
イランによるイスラエルへの攻撃によって中東情勢が一段と緊迫化し、原油価格の上昇が続けばアメリカのインフレが長引き、さらに利下げが遅れるという観測が出ていることも円安につながっています。
市場関係者は「日本政府・日銀による市場介入への警戒感もあるが、アメリカの経済指標が相次いで市場予想を上回っているためFRBの利下げが遅れるとの見方は根強く、円安に歯止めがかからない状況となっている」と話しています。
●アメリカ 3月の小売り統計 前月比0.7%増 4/15
アメリカの先月の小売業の売上高は前の月と比べて0.7%増加し、市場予想を上回りました。堅調な個人消費がアメリカ経済をけん引する状況が続いていて、市場ではFRB=連邦準備制度理事会の利下げ時期が遅れるという見方が広がっています。
アメリカの商務省が15日に発表した先月の小売業の売上高は、7095億9000万ドル、日本円で109兆円余りでした。
前の月と比べ0.7%増加し、0.3%程度の増加を見込んでいた市場予想を上回りました。
小売業の売上高が前の月を上回るのは2か月連続です。
   項目別では
   「ネット通販など」が2.7%
   「ガソリンスタンド」が2.1%
   「外食」が0.4%
それぞれ増加しました。
アメリカでは、堅調な個人消費が企業の売り上げを増加させ賃金や物価の上昇につながっていると指摘されていて、先週発表された先月の消費者物価指数も前の年の同じ月と比べて3.5%の上昇と市場予想を上回り、インフレの根強さを示す形になりました。
市場ではFRBの利下げが遅れるとの見方が広がっていて、パウエル議長が16日首都ワシントンで開かれるイベントで物価や個人消費の現状、それに利下げ時期などについてどう発言するか注目されています。

 

●森山氏、塩谷氏再審査「きょう判断」=裏金事件で自民総務会 4/16
自民党は16日午前、党本部で総務会を開いた。派閥裏金事件を巡り、安倍派の座長だった塩谷立・元総務会長が「離党の勧告」処分を不服として請求した再審査の扱いを協議し、森山裕総務会長らに対応を一任。森山氏は終了後の記者会見で「きょう中に判断し、岸田文雄首相に報告したい」と述べた。
塩谷氏は「事実誤認」などを理由に処分を疑問視している。申し立てに「相当の理由」があると認められれば、党紀委員会が再審査する。一方、却下されれば処分が確定する。この場合、塩谷氏は離党を検討する意向を示している。
●岸田政権キモいり「子育て支援制度」財源めぐる大ウソ…金持ちを優遇、自営業者には重い負担 4/16
岸田政権肝いりの「子ども・子育て支援制度」の財源をめぐるインチキが次々に露呈している。医療保険料と合わせて徴収する金額について、サラリーマンらに続き、自営業者などの試算額を公表。2月に岸田首相が「粗い試算で拠出額は加入者1人当たり月平均500円弱になる」と国会答弁していたのは、やっぱり真っ赤なウソだった。4ケタ負担はぞろぞろで、高所得者層に甘いことも判明。こんなデタラメ、誰も納得しない。
岸田政権がひた隠しにしてきた支援金の全容がようやく見えたのが、11日の衆院特別委員会だ。野党議員に問われた加藤こども政策相が、自営業者らが入る国民健康保険(国保)についても、加入者1人当たりの年収別試算額を示した(別表)。加藤大臣は「機械的な計算」と断りを入れた上で、総額1兆円を集める2028年度時点では、年収200万円で月額250円、400万円で550円、600万円で800円、800万円で1100円――と具体的な数字を例示した。
ただし、年収1000万円の試算額については、保険料負担の上限額に達する可能性もあるとして「現時点で申し上げることができない」と逃げた。高所得者の負担が頭打ちであれば、ますます公平性を欠く。
「所得によって負担が増減する増税で手当てするのが筋」
淑徳大大学院客員教授の金子勝氏(財政学)はこう指摘する。
「医療保険制度は職域や地域、年齢によって大企業の会社員らが加入する健康保険組合、中小企業の協会けんぽ、公務員の共済組合、さらに国保、後期高齢者医療制度に分かれ、保険料率にはバラつきがある。ベースがバラバラなのに、公平な負担をはじき出すことはできない。そんなことは、はじめから分かっていたことですし、子育てを社会全体で支えるという支援金制度の趣旨に照らせば、医療保険料とごっちゃにして徴収するのは邪道。負担額について同じ物差しで論理的に説明することはできないでしょう。所得によって負担が増減する増税で手当てするのが筋なのです」
国税庁の民間給与実態統計調査(22年分)によると、年間平均給与は458万円。より具体的には男性563万円、女性314万円だ。加藤の国会答弁によれば、国保に加入する9割の世帯が年収400万円未満だという。
支援金制度は若い世代の子育てを助けるとうたうが、年収200万〜400万円の低所得者層の犠牲の上に成り立つという欺瞞に満ちている。それでいて、どんなに大金持ちでも負担額に上限を設ければ、ますます格差は広がるばかりだ。
こんな制度設計で国民の理解を得られるのか。ゼロからやり直さなければおかしい。
●岸田首相 裏金問題の責任「再発防止・法改正で総裁としての責任明らかに」 4/16
岸田首相は16日の衆議院の特別委員会で、自民党の派閥の政治資金問題に関する処分に関し、野党議員から今からでも自身を処分すべきではないかと問われた。
これに対し岸田首相は「今回の事案によって、自民党の、政治の信頼を損なうことに至った点については自民党総裁として責任を重く受け止めなければならない。だからこそ政治の信頼回復のために総裁が先頭に立って取り組みを続けていかなければならない」と指摘し、「何より信頼回復のためには、再発防止、国会における法改正をはじめとする取り組みを続けていかなければならない。こうした取り組みをしっかりと先頭を切って進めることによって総裁という責任を明らかにしたい」と強調した。
●日銀ETFの子育て活用、安定財源と考える余地ない=岸田首相 4/16
岸田文雄首相は16日の衆院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会で、立憲民主党が提案している日銀保有の上場投資信託(ETF)分配金の子育て財源活用について、安定財源と考える余地はないと否定した。
岸田首相は、日銀保有ETFの分配金収入は国庫納付金の一部として国の一般財源にすでに活用されているため、子ども・子育て財源に活用する場合、一般財源の不足分に国債発行が必要になると説明した。
河西宏一委員(公明)への答弁。
●「保守王国」与野党一騎打ち、岸田政権の命運握る戦い火ぶた 自民・錦織氏、立民・亀井氏が立候補 4/16
衆院3補欠選挙が16日告示された。細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区は、3補選のうち唯一の与野党一騎打ちの構図となり、岸田政権の命運を握る注目区。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた「政治とカネ」の問題が最大の争点となり、28日の投開票に向けて12日間の選挙戦に突入した。
島根1区は届け出順で、自民新人で元中国財務局長の錦織功政氏(55)=公明推薦、立憲民主党元職で党県連代表の亀井亜紀子氏(58)が立候補した。
錦織候補は松江市殿町の島根県庁前で第一声。「有権者への政治改革に向けたアンケートをまとめて党本部に提出した。自民党、国会は政治改革に向けた動きが進んでいる。後ろからしっかり押していける立場になりたい」と主張。自民党本部の小渕優子選挙対策委員長が応援に駆けつけた。
亀井候補は同市朝日町の松江テルサ前で第一声に臨み、「裏金事件が発覚してから初めての選挙。ここで勝てば岸田政権に大打撃を与えることができる。自民王国を崩すことで真面目に日本を変えよう」と訴えた。立民党本部の辻元清美代表代行、福山哲郎元幹事長がマイクを握った。
島根は1996年の小選挙区制導入以降、2021年衆院選まで県内全小選挙区の議席を自民が独占した「保守王国」。自民は3補選のうち、東京15区、長崎3区での候補者擁立を断念し、自民、立民とも島根1区に告示前から党幹部や国会議員が応援に入り、総力戦を展開してきた。
告示後も21日の日曜日に自民総裁の岸田文雄首相と立民の泉健太代表が島根入りを予定。自民が島根1区を落として全敗となれば、首相への大きな打撃となるのは確実で、激しい戦いが予想される。
15日現在、島根1区の選挙人名簿登録者数は26万1528人(男12万4955人、女13万6573人)。
●支援金など少子化対策法案 19日衆院通過へ 18日に委員会採決で与野党合意 岸田首相「実質負担生じない」と強調 4/16
児童手当の拡充などの子育て支援策と、財源として公的医療保険に上乗せして徴収する子ども子育て支援金の創設などを盛り込んだ少子化対策法案について、与野党は、18日に衆院の特別委員会で採決し、19日に衆院本会議に上程する日程で合意した。19日中に可決され参院に送られる見通し。
岸田首相は16日の特別委員会に出席し、支援金の創設によって実質的な国民の追加負担は生じないとの考えを強調すると共に、支援金の額が今後増加する可能性について、「児童手当、子ども誰でも通園制度など支援金が当てられる事業の充当割合は法定化されているため、政府が支援金の総額や使途を勝手に増加させられるものではない」と指摘した。
さらに法案の附則に言及し、「支援金の導入によって社会保障負担率は上がらないということを具体的に約束するとともに、被用者保険の支援金の料率の上限を定める時に、附則の規定の趣旨を考慮しなければならないとしている」と説明し、「附則に違反して支援金の料率を政府が勝手に引き上げることはない」と強調した。
●岸田首相訪米「日米首脳会談」の成果は 日米比3国の連携強化 緊張激化の中比、かつて飛びついた習政権投資拡大のまやかし看破へ 4/16
日米首脳会談は10日午前(米ワシントン時間)、ホワイトハウスで開催された。
その後に発表された共同声明のタイトルは「未来のためのグローバル・パートナー」である。その骨子は、日米及(およ)び世界のために、諸課題に対処し得るグローバルなパートナーシップを構築すべく、あらゆる領域・レベルで協働する――。
諸課題とは、日米で中国を念頭に置く半導体・脱炭素・安保政策に関わるテーマである。平たく言えば、日米二国間同盟をより強固なものにするということだ。
際立つのは、防衛・安保協力の強化である。
分(わ)けても、米側がパートナーである日本を高く評価するのは、防衛予算のGDP(国内総生産)比2%への増額、反撃能力の保有、自衛隊の統合作戦司令部設置を含む日本の防衛力抜本的強化の取り組みだ。
改めるまでもなく、岸田政権が2022年12月16日に閣議決定した「安保関連3文書改定」が、その根底にある。
そして23年度から5年間の防衛費総額43兆円が決まった。加えて、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有のために25年度から米国製巡航ミサイル「トマホーク」を導入する。実際、自衛隊配備のため米軍による運用訓練(座学)が3月下旬に始まった。
こうした日米連携強化の念頭にあるのは、もちろん台湾有事である。
ところが、憂慮すべき新たな「有事」が表面化した。南シナ海南沙諸島のセカンド・トーマス礁を巡る中国とフィリピンの緊張激化のことだ。
本来は中比両国に領土問題は存在しない。国連海洋法条約は、フィリピンが同諸島に対する法的主権を有すると裁定しているからだ。付言すれば、セカンド・トーマス礁は同国の排他的経済水域(EEZ)内にあり、かつ実効支配してきた。
中国は、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺海域で、度重なる領海侵入を行ってきた。それ同様、いやそれ以上の過激な挑発を繰り返しているのだ。
ニュース映像からも、フィリピン船舶に対する示威行動は目に余る。しかし、実効支配の弱体を目指す中国は止めることはない。
理由は唯(ただ)ひとつ。ドゥテルテ前大統領が、習近平政権による対比投資拡大に飛びつき対中融和策にカジを切ったことだった。だが、そのまやかしを看破し、マルコス大統領は対米、対日連携に転じた。そして現在の中比一触即発を招いた。ともあれ、4月11日の日米比首脳会談が実現した。結果、日米韓同様に、日米比安保連携も強固なものとなったのである。
●衆院3補選が告示=裏金事件後初、政権運営左右 4/16
衆院東京15区、島根1区、長崎3区の補欠選挙が16日、告示された。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた初の国政選挙で、「政治とカネ」を最大の争点に、12日間の選挙戦の火ぶたが切られた。2選挙区で自民の不戦敗が確定した異例の補選の結果は、衆院解散戦略を含め、岸田文雄首相(自民総裁)の今後の政権運営を左右しそうだ。投開票は28日。
東京15区は江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で有罪が確定した柿沢未途前法務副大臣(自民離党)の辞職に伴うもので、9人が乱立。自民が公認・推薦を断念する一方、立憲民主党、日本維新の会、参政党、諸派が新人を擁立し、無所属の新人・元職も出馬した。
細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区は、3補選で唯一の与野党対決の構図。自民が細田氏の後継として新人を擁立し、立民は元職を立てた。諸派の新人も立候補を表明している。
長崎3区は裏金事件を受けた谷川弥一氏(自民離党)の辞職に伴う。自民は東京と同様に擁立を見送り、立民と維新による一騎打ちとなる。
自民は唯一候補を擁立した島根1区の勝利に全力を挙げる。16日は小渕優子選対委員長が現地入り。「政治とカネ」の問題を陳謝した上で「不断の決意と努力で政治改革、党改革を進めていく」と訴えた。
これに対し、野党側は党首らが都内を回った。補選全勝を目指す立民の泉健太代表は街頭演説で「裏金問題にノーの答えを出す選挙だ。自民党、岸田首相に処分を下すのはわれわれだ」と強調。維新の馬場伸幸代表は「クリーンな政治家を輩出して日本を大改革する」と述べた。参政党の神谷宗幣代表も支持を呼び掛けた。
衆院東京15区補選立候補者名簿
 福永 活也 43 弁護士      諸新 
 乙武 洋匡 48 作家        無新  推(国)
 吉川 里奈 36 看護師      参新
 秋元 司   52 元衆院議員   無元
 金沢 結衣 33 元食品会社員 維新  推(教)
 根本 良輔 29 会社役員    諸新
 酒井 菜摘 37 元江東区議   立新
 飯山 陽   48 大学客員教授 諸新
 須藤 元気 46 元参院議員   無新
衆院島根1区補選立候補者名簿
 錦織 功政 55 元財務省職員 自新  推(公)
 亀井 亜紀子58 元衆院議員  立元
衆院長崎3区補選立候補者名簿
 山田 勝彦  44 元衆院議員  立元  推(社)
 井上 翔一朗40 学習塾経営  維新  推(教)。 
●衆院3つの補欠選挙、注目ポイントや政権運営への影響は? 4/16
衆議院の東京15区、島根1区、長崎3区の合わせて3つの選挙区で補欠選挙が16日、告示されました。政治部の天野裕貴記者に聞きます。
――今回行われる補欠選挙の注目ポイントはどこになりますか。
自民党が事実上の全敗となるかどうかです。自民党は東京15区と長崎3区で候補者をたてることができず、すでに不戦敗となりますが唯一、島根1区には候補者を擁立しており、与野党対決の構図となっています。岸田首相自身も週末に応援に入ることを検討するなど、力のいれようです。島根1区の勝敗が岸田政権の今後を占うと言えます。
――補選の結果は政権運営にどんな影響を与えそうですか。
いわゆる「裏金」問題で強い逆風となる中、自民党のあるベテラン議員は「補選が3敗となれば政権はもたない」、別の閣僚経験者は「岸田総理のままでは今後の選挙は戦えないとなる」と述べるなど、「岸田おろし」の動きが表面化するおそれもあります。
これに対して、岸田首相に近い政権幹部は「党内で騒いでる場合ではない」と指摘し、政権運営への影響は限定的なものになるとの見方を示しています。
一方の野党側ですが、全勝を目指し、次の総選挙に向け弾みをつけたい考えです。特に3選挙区、全てに候補者を擁立している立憲民主党のある幹部は「3勝したら党にとって大きな弾みになる」と話しています。
●衆院3補欠選挙が16日告示 訪米終えた岸田総理の“正念場” 結果は政権運営の浮沈に直結 4/16
訪米を終え、帰国した岸田総理。国賓待遇を受けたアメリカでは笑顔が印象的でした。ただ国内では、三つの衆議院の補欠選挙が16日に告示されるなど、政権運営の“正念場”を迎えていて、笑顔ばかりとはいかないようです。岸田総理が越えなければならない「二つのハードル」とは。
訪米終えた岸田総理 政権運営の正念場
15日、岸田総理は公明党の山口代表と総理官邸で会談。16日に告示される衆議院島根1区補欠選挙に出馬予定の自民党候補への推薦を改めて要請し、公明党が推薦を決定しました。
事実上の与野党対決となる見通しの島根1区は、この人の選挙区でした。
細田博之 衆院議長(去年10月 当時)「どうして私がセクハラ議長などと言われなければならないのか」
女性記者へのセクハラ疑惑や、旧統一教会との関係の説明責任を問われた細田前衆院議長の死去に伴い実施されるもので、与党への“逆風”が予想されます。
ほかに、東京15区と長崎3区でも補選が実施されますが、派閥の裏金事件など、「政治とカネ」の問題で自民党に所属していた議員が辞職したことによるものです。
自民党は既に独自候補の擁立を断念していて、“不戦敗”となっています。
自民党内では、“補選で全敗すれば、9月の総裁選で再選できない”との声も上がります。
補選の結果は、政権運営の浮沈に直結するとされ、政権内の危機感は高まっています。
一方、野党側も次の衆院選挙で、高まる自民党批判の受け皿になれるのかが問われているとしていて、有権者の判断が注目されます。
岸田総理 2つの“ハードル”
小川彩佳キャスター: アメリカ訪問から岸田総理、帰国しましたけれども、共同通信の世論調査では、内閣支持率が少し上昇しました。星さんこれはどう読みますか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: 総理官邸のスタッフも非常に喜んでおりましたけども、やっぱりあれだけ首脳会談とか議会演説で、テレビも新聞も報道しましたからね。それなりに支持が戻ってきたというのは、当然という面もあると思いますが、これが長続きするとは限らないということですよね。当面のハードルは2つありまして、一つは28日投開票の補欠選挙ですね。自民党が唯一公認候補を立てる島根でもなかなか厳しい情勢だということで、ここで負けると3敗ということもありますし、もう一つは裏金問題を受けた政治資金規正法の改正なんですけど、連座制の強化とか、企業団体献金の禁止というのを野党が唱えているんですけど、自民党の中で慎重論が多くてですね、果たして岸田総理が成果を出せるかどうか、非常に厳しい状況です。この2つのハードルを越えて、衆議院の解散総選挙を狙うという、岸田さんにとってみるとここ1か月ぐらいがかなりの正念場ということだと思いますね。
●衆議院補欠選挙 3選挙区で告示 自民は2選挙区で擁立見送り 4/16
衆議院の3つの補欠選挙が4月16日に告示されました。選挙結果は岸田総理大臣の今後の政権運営や衆議院の解散戦略に影響を与えることも予想され、4月28日の投票日に向けて、激しい選挙戦が繰り広げられます。
衆議院の3つの補欠選挙の立候補の受け付けは午後5時に締め切られました。
《島根1区》
島根1区は前の衆議院議長の死去に伴って行われます。
《東京15区》
東京15区は、前の法務副大臣が公職選挙法違反の罪に問われ、衆議院議員を辞職したことを受けて行われます。
《長崎3区》
長崎3区は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で立件された衆議院議員が辞職したことに伴って行われます。
3つの補欠選挙は政治とカネの問題や経済政策などをめぐって論戦が交わされる見通しです。
選挙結果は岸田総理大臣の今後の政権運営や衆議院の解散戦略に影響を与えることも予想され、4月28日の投票日に向けて激しい選挙戦が繰り広げられます。
政治部 記者解説
Q1.今回の補欠選挙、どう位置づけられる?
A1.現時点での岸田政権への評価が示されることになると思います。今回の選挙は、去年秋に自民党の政治資金問題が明らかになってから初めての国政選挙です。自民党は東京15区と長崎3区の2つの選挙区で候補者の擁立を見送りましたが、与野党が対決する構図になる唯一の選挙区、島根1区で逆風を食い止め、1議席を死守したい考えです。
Q2.野党側はどうでしょうか?
A2.立憲民主党は3つの選挙区で、また日本維新の会は東京と長崎、2つの選挙区で候補者を擁立しています。政治資金問題の追及を強めるなどして自民党から議席を奪い、今後に弾みをつけたい考えです。
Q3.補欠選挙の結果は政権運営に影響を与えますか?
A3.ないとは言えないと思います。実際、補欠選挙の結果はときの政権に影響を与えてきたんです。
たとえば2008年4月に行われた衆議院山口2区の補欠選挙で自民党は当時の民主党に敗れ、福田内閣は9月に退陣しています。また3年前の4月に衆参3つの補欠選挙などが行われ自民党は候補者擁立を見送った選挙を含めて敗北しました。その後、菅総理は9月の総裁選挙への立候補を断念した経緯があります。ただ、今のところ、岸田総理周辺は「選挙区によって事情が異なるため、結果が政権運営に直結することはない」と話しています。
一方、立憲民主党の泉さんですが、就任して2年半ほどたちますが補欠選挙で党の公認候補が勝利したことがありません。9月には代表選挙を控える泉さんにとっても、選挙結果が持つ意味は小さくないと思います。
今回の補欠選挙は与野党各党にとって次の衆議院選挙の行方を占うものとなるだけに、勝敗に加え、その戦い方も重要になります。
●衆院3補選、政権の今後に影響 告示受け与野党幹部 4/16
与野党幹部は、16日告示された衆院補欠選挙の結果が今後の政権運営に影響するとの認識を示した。自民党派閥パーティー収入不記載事件を受け「政治とカネ」が争点になるとも強調した。
自民党の梶山弘志幹事長代行は記者会見で、自民が唯一候補を擁立した島根1区に関し「政治の信頼回復に向けた取り組みや、岸田政権の経済再生の具体策をしっかりと伝えていく」と述べた。公明党の山口那津男代表は「政治とカネにどう向き合うかが焦点になる」と言及し、不記載問題に対する自民党の姿勢が問われると指摘した。
共産党の田村智子委員長は会見で「岸田政権に厳しい審判を下さなければならない」とし、3選挙区で立民候補を支援する考えを強調した。国民民主党の玉木雄一郎代表も会見で「日本の政治の未来を決める重要なきっかけとなる選挙だ」と語った。
●イランのイスラエル報復に「強い非難」…岸田政権の露骨な“名誉白人”外交ここに極まれり 4/16
緊迫する中東情勢をめぐり、岸田外交のグロテスクな一面が浮き彫りになっている。
国連安全保障理事会はきのう(15日=日本時間)、イランによるイスラエルへの報復攻撃に関する緊急会合を開催。グテレス事務総長は「われわれは平和のために努力する責任がある」と訴え、イランとイスラエル双方に最大限の自制を求めた。日本政府はアメリカやイギリス、ドイツなどと共同歩調を取り、イランの報復攻撃を非難している。岸田首相は14日のG7首脳会議で「(イランによる)攻撃を深く懸念し、エスカレーションを強く非難する」と主張。上川外相も同様の談話を発表した。
そもそも、イランの攻撃のキッカケは、今月1日に発生した在シリアのイラン大使館空爆だ。イランはイスラエルによる攻撃と断定し、報復として13〜14日にかけて初めてイスラエル領内を攻撃。更なる報復を牽制したうえで「作戦終了」を宣言した。
問題は、イスラエルの行動に関して評価を避け続けている岸田政権の外交姿勢だ。上川氏は5日の会見でイラン大使館への攻撃について「確定的な評価をすることは差し控えたい」と濁し、「国際法上、外交使節団等の公館に対する攻撃は、許されるべきものではない」と一般論で片づけた。
●小池百合子に命運を託すはずだったのに…「卒業旅行」を終えた岸田首相のゾンビ化という悪夢シナリオ 4/16
岸田文雄首相は14日、アメリカへの公式訪問を終えて帰国した。これから岸田政権はどうなるのか。ジャーナリストの鮫島浩さんは「岸田首相は9月の総裁選で再選できると考えているようだが、非常に厳しい。4月28日の衆院3補選で完敗すれば、岸田政権はレームダック化し、9月退陣は避けられない」という――。
アメリカではニコニコ、ジョーク連発の岸田首相
政局は首相不在の間に動く。
岸田文雄首相が米国ワシントンに国賓待遇で招待され、大統領専用車ビーストに同乗してバイデン大統領と満面笑顔で写真に収まり、ホワイトハウスの晩餐会でジョークを連発して喝采を浴びている隙に、東京では「岸田おろし」の火蓋が切って落とされた――。
4月8日から14日までの米国訪問を岸田首相は何よりも楽しみにしていた。日本の首相が国賓待遇で米国に招待されるのは2015年の安倍晋三首相以来だ。
岸田政権発足から2年半。首相在任期間は田中角栄を超え戦後9位になり、4月22日には8位の橋本龍太郎と並ぶ。今世紀に入って衆参選挙に勝利したのは小泉純一郎政権、安倍政権、岸田政権しかない。ついには国賓待遇の米国訪問という栄誉にも浴することになった。岸田首相が日本政治史に名を刻む宰相になった昂揚感に包まれていたのは想像に難くない。
内閣支持率こそ低迷しているものの、それは安倍派の裏金事件のせいであって、自分が悪いわけではない。米国訪問で「外交の岸田」をアピールし、今国会で政治資金規正法を改正すれば、内閣支持率は回復してくるだろう。そうなれば国会会期末に6月解散・7月総選挙を断行し、9月の自民党総裁選で再選を果たす流れができる。支持率回復が思うように進まず、6月解散に踏み切れなくても、派閥解消で茂木敏充幹事長ら党内のライバルたちは弱体化している。有力なポスト岸田は見当たらず、総裁再選は十分に可能だ――。
岸田首相の胸の内はそんなところだろう。
乙武氏を公認しなかった小池都知事の意図
岸田首相は4日4日、安倍派の裏金議員ら39人に離党勧告や党員資格停止、党の役職停止などの処分を突きつけ、自民党を直撃した裏金事件に一定のケジメをつけた。
国内世論は「処分が甘すぎる」と反発し、自民党内では「なぜ首相自身は処分されないのか」「処分の線引きが恣意的だ」との不満が渦巻いていたが、お構いなし。首相の頭は米国訪問の晴れ舞台でいっぱいだった。
翌5日からは英語スピーチの練習に励み、週明けの8日午前には歴代駐米大使と面会し、午後に羽田空港から裕子夫人を連れ立って政府専用機でワシントンへ飛び立ったのだ。
この8日に政局は動き出す。
まずは小池百合子東京都知事が衆院東京15区補選(4月16日告示・28日投開票)に擁立した作家の乙武洋匡氏が出馬会見を開いた。それ自体は予定された出来事だったが、想定外のことが起きた。乙武氏は小池知事と二連ポスターに囲まれて会見に臨んだが、小池知事が事実上支配している「ファーストの会」の公認ではなく、無所属で出馬すると表明したのだ。
裏金事件で自民党に逆風が吹き付ける最中の4月の衆院3補選(長崎3区、島根1区、東京15区)は、岸田首相の総裁再選への第一関門である。全敗すれば「岸田首相では選挙は戦えない」との声が党内で高まり、6月解散どころではなく、9月の総裁選不出馬・退陣に追い込まれていく。3補選に勝ち越したいし、最悪でも全敗は避けなければならない。
「岸田政権の命運を小池都知事に預けた」はずが…
裏金事件で起訴された安倍派の谷川弥一氏の議員辞職に伴う長崎3区で自民党は候補者擁立を早々に見送り、不戦敗を決めた。
旧統一教会問題やセクハラ疑惑で批判を浴びて衆院議長を退任した細田博之氏の死去に伴う島根1区は、細田氏が安倍派会長を務めていたことに加え、後継候補の元財務官僚の評判も悪く、立憲民主党元職に大きく後れを取っている。
そして柿沢未途氏が公選法違反事件で起訴され議員辞職したことに伴う東京15区も独自候補を擁立できる環境にない。そこで小池知事が擁立する「ファーストの会」の候補に相乗りし、小池人気にあやかって「1勝」を拾う虫の良い選挙戦略を描いていたのだった。「岸田政権の命運を小池知事に預けていた」(岸田派関係者)といっていい。
小池知事自身が東京15区補選に電撃出馬して国政復帰し、自民党に復党して9月の総裁選に出馬し、初の女性首相に挑むという観測も永田町に流れていた。
ライバル不在の政治状況をつくって総裁再選を狙う岸田首相にとって警戒すべき事態だったが、小池知事は自民党の萩生田光一都連会長らを通して自らは出馬せず、乙武氏を擁立する意向を内々に伝えてきたため、岸田首相は安堵していた。そこで自公与党で乙武氏を推薦し、3補選のうち1勝を確実にして、できれば2勝1敗、悪くても1勝2敗で乗り切ろうという算段だったのだ。
公明党に存在した小池待望論
ところが、小池知事は乙武氏を公認せず、無所属で出馬させた。乙武氏は小池氏との二連ポスターに囲まれて出馬会見しながら、なぜ無所属なのかという批判がネット上で噴出。自民党内でも「小池知事はなぜ半身なのか。本気で乙武氏を応援する気があるのか」という不信感が広がった。
さらに誤算だったのは、公明党が乙武氏の過去の女性問題を理由に推薦に慎重な姿勢に転じたことだ。組織選挙を支える創価学会婦人部(現在は女性部)に反発が強いという理由を自民党に伝えたが、本当の理由は別にあるのではないかと私はみている。
公明党は岸田政権を支える麻生太郎副総裁や茂木幹事長と折り合いが悪い。不人気の岸田首相が6月解散を断行することにも反対で、9月の総裁選で首相を差し替え、新政権誕生後にただちに総選挙を行うよう求めてきた。
公明党と都政で緊密な関係にある小池知事が東京15区補選に電撃出馬して国政復帰し、自民党に復党して9月の総裁選で勝利し、小池政権誕生後にただちに解散総選挙を断行するのがベストシナリオだったのだ。小池知事自身も7月の都知事選に出馬するかどうかを明言せず、4月の補選出馬に含みをみせていたため、公明党では小池待望論が膨らんでいたのである。
補選全敗・6月解散見送りで「岸田おろし」が始動
小池知事が補選出馬を見送り、代わりに乙武氏を擁立したことは、公明党を落胆させた。しかも乙武氏を無所属で出馬させたことに不信感を募らせた。
小池知事から十分な根回しを受けていなかったのだろう。小池知事が出馬しないのなら、過去の女性問題で婦人部に反発が強い乙武氏を無理に応援するメリットはない。むしろ公明党が3補選をサボタージュして岸田政権を全敗させ、6月解散の芽を摘むほうがよい。
公明党は岸田政権で非主流派に甘んじている菅義偉前首相や二階俊博元幹事長と密接な関係を築いている。岸田首相・麻生副総裁・茂木幹事長の現執行部に協力する義理はない。乙武氏の推薦見送りを決める際にも、菅氏や二階氏と入念なすり合わせをしたことだろう。菅氏や二階氏にとっても補選全敗は「岸田おろし」を仕掛ける契機となり、都合がよい。
再燃した小池氏の学歴詐称疑惑の影響
トドメは『文藝春秋』が9日に報じた小池知事元側近の爆弾告発だった。
4年前の都知事選目前、小池知事が「カイロ大卒」の学歴を詐称しているという疑惑が浮上したが、カイロ大が卒業を認める声明文がエジプト大使館のフェイスブックで公開されて疑惑は沈静化し、小池知事は再選を果たしていた。ところがこの声明文は、実は元側近が発案し、小池知事に近い元ジャーナリストが作成して、最終的には小池知事がエジプト政府側へ渡していたと暴露したのである。
元側近は弁護士の小島敏郎氏。東大法学部を卒業して環境庁に入庁した元キャリア官僚だ。小池知事就任後は東京都の特別顧問や都民ファースト事務総長も務めた側近中の側近だった人物である。
元側近の爆弾告発は、学歴詐称疑惑を再燃させた。小池知事が補選出馬を見送ったのも、代わりに擁立した乙武氏を公認しなかったのも、これが本当の理由であろうと永田町の多くが受け止めた。小池知事が疑惑再燃で逃げ出したというわけだ。
衆院補選は長崎3区、東京15区で不戦敗に
乙武氏は公明党から推薦を得られない事態を受けて、裏金事件で批判を浴びる自民党だけから推薦を受けるのは逆効果と判断し「自民党から推薦を受ける予定はない」と表明。自公与党の組織票を固める選挙戦略から、無党派層に訴える選挙戦略に急遽転じたが、東京15区の街頭に立つと小池知事の学歴詐称疑惑でヤジを浴びている。戦線崩壊の様相だ。
事態の急変を受けて自民党も乙武氏推薦の方針を撤回した。留守役を任されている麻生氏や茂木氏が主導して決定したのだ。もちろんワシントンへ報告はしたものの、晩餐会や米議会でのスピーチに追われる岸田首相にとって国内政局は二の次だったに違いない。
乙武氏の推薦見送りにより、自民党は衆院3補選のうち2補選の不戦敗が確定した。岸田政権の命運を左右する重大決定は、首相不在の間に下されたのだ。首相の帰国は補選告示2日前の14日。今更如何ともし難い状況だったのである。
岸田政権の「レームダック化」は避けられない
この時期の訪米日程を米側と最終調整したのは、麻生氏である。
当初は不人気の岸田首相の「卒業旅行」とするつもりでいた。国賓待遇の訪米を花道として退陣させ、茂木氏に政権を引き継がせ、自らはキングメーカーとして君臨し続ける政局を描いていた。ところが岸田首相は退陣を受け入れず、両者の関係は軋んだ。麻生氏もまた4月の3補選を全敗させることで6月解散を阻み、9月の岸田退陣の流れをつくる方が得策だと判断したのだろう。
公明党も、非主流派の菅氏や二階氏も、主流派の麻生氏や茂木氏も、「補選敗北による6月解散阻止」で利害は一致していた。小池知事の学歴詐称疑惑の再燃が東京15区補選からの撤退に格好の口実を与えたといっていい。
3補選の負け越しは決まった。残る島根1区も劣勢だ。補選全敗なら6月解散は困難となり、岸田政権はレームダック化する。9月退陣へ外堀は埋まった。
逆に立憲民主党は補選全勝で勢いづく可能性が高い。国会会期末に向け政治資金規正法の抜本改正を迫ってくる。政治資金パーティーの全面禁止など改正のハードルをどんどん上げてくるだろう。岸田首相が野党の要求を受け入れれば自民党内がまとまらず、自民党内に譲歩すれば与野党協議は決裂する。6月解散に踏み切れる状況にはなりそうにない。
岸田首相の強みは「ポスト岸田がいないこと」
岸田首相の頼みの綱は、有力なポスト岸田の不在だ。
最大のライバルである茂木氏は麻生氏に同調し茂木派存続を表明していたが、小渕優子選対委員長ら離脱者が相次ぎ、ついには派閥解散へ追い込まれそうな気配である。二階氏が温めてきた小池擁立論は学歴詐称疑惑の再燃で潰れた。菅氏が前回総裁選で擁立した河野太郎デジタル担当相はマイナンバーカード問題で失速。小泉進次郎元環境相は父親の純一郎氏から「今は動くな」と止められている。菅氏は国民人気の高い石破茂元幹事長の擁立を検討してきたが、党内の支持は広がっていない。
一方、麻生氏は岸田派に所属していた上川陽子外相をポスト岸田にショーアップすることに成功した。茂木氏を嫌う岸田首相の意向を踏まえ、政治基盤のない上川外相を麻生・岸田・茂木3氏で担ぐ傀儡政権を想定したものだ。だが、岸田首相が退陣を受け入れるのか、茂木氏が総裁選出馬を諦めるのか、そして麻生氏を後見人とする上川外相への支持が本当に広がるのか、不確定要因は多い。
裏金事件を受けた派閥解消によって自民党議員の大半は無派閥となった。最大派閥・安倍派は消滅し、大幹事長だった二階氏も次期衆院選への不出馬を表明。派閥の引き締めは弱まり、岸田首相が相対的に強くなった側面は確かにある。
岸田首相は補選全敗を想定して6月解散をあきらめ、現総裁として人事権をちらつかせて党内を掌握し、総裁再選を果たす戦略に転じたとみていいだろう。
選挙に勝てない、解散できない首相では再選は難しい
とはいえ、解散総選挙を先送りして9月を迎えた場合、総裁選は「選挙の顔」を決める戦いとなる。衆院任期は来年10月まで残り1年。来年夏には参院選も控えているからだ。
内閣支持率が回復しなければ、岸田首相がどんなに人事権で党内を引き締めたところで「新しい選挙の顔」を求める党内世論が高まる。岸田首相の総裁再選は相当に険しい道だ。
岸田首相の国賓待遇の訪米は、バイデン政権が主導したウクライナ支援に同調して巨額支援を表明し、米国製ミサイル・トマホークも大量購入した「ご褒美」の側面もあった。岸田首相を歓待したバイデン大統領は高齢不安が強まり、11月の大統領選にむけてトランプ氏にリードを許し、再選へ黄信号が灯っている。
後世振り返れば、岸田夫妻が満喫した国賓待遇の訪米は「卒業旅行だった」と評価されるかもしれない。ひょっとして首相自身、「これが卒業旅行になるかも」という思いがよぎり、ワシントンでの大はしゃぎになったのではないかと私は想像している。
●シャープ 大型液晶パネル一部で生産停止方針 赤字拡大歯止めへ 4/16
液晶パネル事業の低迷を踏まえ、「シャープ」は、大阪・堺市の工場で手がけている大型液晶パネルの一部製品の生産を停止する方針を固め、取引先に伝えていたことが関係者への取材で分かりました。これによって赤字のさらなる拡大に歯止めをかける狙いがあるものとみられます。
シャープは、巨額の赤字となった2022年度に続いて、昨年度1年間の決算についても100億円の最終赤字になるという見通しを明らかにしていて、不振が続く液晶パネル事業の立て直しが課題となっています。
こうした中、シャープは、大阪・堺市にある子会社、SDP=「堺ディスプレイプロダクト」の工場で手がけている大型液晶パネルの一部製品について生産を停止する方針を固め、取引先に伝えていたことが関係者への取材で分かりました。
生産停止の具体的な時期については、取引先と協議した上で決めるとしています。
SDPをめぐって、シャープは親会社のホンハイ精密工業側に株式を売却したあと出資比率を下げましたが、おととし6月に一転して再び株式を取得して完全子会社化していました。
液晶パネル市況の長引く低迷を背景にSDPは赤字が続いており、生産停止によって赤字のさらなる拡大に歯止めをかける狙いがあるものとみられます。 
●自民党 塩谷元文科相の離党勧告処分の再審査認めず 処分が確定 4/16
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、自民党は離党勧告の処分となった安倍派の塩谷元文部科学大臣が請求していた処分の再審査を認めないことを決めました。これにより塩谷氏の処分が確定しました。
今回の問題で、安倍派の塩谷元文部科学大臣は4月4日に離党勧告の処分となりましたが、納得できず、受け入れられないとして先週、再審査を請求しました。
これを受けて自民党は16日に、総務会や、そのあとの総務会幹部の会合で対応を協議し、森山総務会長に扱いを一任しました。
森山氏は、塩谷氏の主張や党紀委員会が処分を判断した理由を精査した結果、請求には相当の理由がないとして、再審査を認めないことを決め、16日夕方、総理大臣官邸で岸田総理大臣に報告しました。
そして、塩谷氏に決定の内容が伝えられ、離党勧告の処分が確定しました。
森山氏は、記者団に対し「処分で国民の信頼を回復できるほど簡単な話ではないが、政党として一定のけじめをつけた。今後は政治資金のあり方を法律でどう担保していくか、野党とも協力し、一つ一つ実績を積み上げていくことが国民の信頼回復につながると思う」と述べました。
塩谷元文科相「理不尽な結果で非常に残念」
自民党の塩谷元文部科学大臣は離党勧告の処分が確定したあと記者団に対し「理不尽な結果で非常に残念だ。私が具体的に不記載や還付を指導したことは全くない。座長という立場で政治的、道義的な責任を問われたならば、これだけ大きな問題になったことに対する党の責任は誰が取るのか」と述べました。
その上で、離党するかどうかを含む今後の対応は、地元の後援会などと相談し来週の初めごろまでに判断する考えを示しました。

 

●岸田首相、自民党総裁の辞任要求を拒否「私が先頭に立つことしか考えていない」野党質問に反論 4/17
岸田文雄首相は17日の参院本会議で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる党内処分で、自身が対象にならなかったことから、あらためて責任を取り自民党総裁を辞任する考えがあるか問われ「私が先頭に立って責任を果たすことしか考えていない」と述べ、辞任要求を拒否した。
立憲民主党の杉尾秀哉議員の質問に答えた。
「訪米お疲れさまでした」と切り出した杉尾氏は、米国から帰国後の岸田首相を「裏金問題とともに沈みゆく岸田総理」と表現。「自民党裏金問題という、あり地獄。処分が実に評判が悪く、自民党には怒りや恨みが渦巻いていると聴く」とも述べ、離党勧告処分を不服として再審査請求を行ったものの、16日に処分が確定した元安倍派座長の塩谷立元文科相が岸田首相の処分がないことを批判的に論じていたことを「至極、まっとうな主張」と皮肉った。
杉尾氏はその上で、自民党総裁ながら裏金問題でまったくおとがめなしとなっている岸田首相に対し「1度でも、自分の処分を考えたことはあるか。総裁を辞めても当面は総理でいられる。今からでも遅くない、自民党総裁を辞めてはどうか」と、ただした。
これに対し、答弁に立った岸田首相は「(自身を処分の)対象としないと、党として判断されたことと思う」と、人ごとのように答えた上で「党全体として政治不信を招いたことについて、自民党総裁としての責任は重く受け止めている」と述べた。
一方で、党のガバナンス改革や、政治資金規正法改正を含めた再発防止策や政治改革を断行することが「総裁の責任のあり方だ」と持論を主張。「これからも私が先頭に立って責任を果たしていくことしか、考えておりません」と述べ、辞任要求を拒否した。
首相のゼロ回答答弁には、野党側から大声のヤジが飛んだ。
●衆院3補選巡り論戦 立民「裏金問題解決せず」 自民、信頼回復を最優先 4/17
衆院3補欠選挙の告示から一夜明けた17日、与野党幹部は論戦を本格化させた。立憲民主党の泉健太代表は、唯一の与野党対決となった島根1区に入り「裏金問題は解決していない」と批判。岸田文雄政権に審判を下すよう呼びかけた。自民党の森山裕総務会長は東京都内で講演し、派閥のパーティー収入不記載事件を受け「何としても国民の信頼を取り戻す」と訴え、政治改革に意欲を示した。
泉氏は松江市での街頭演説で、東京15区と長崎3区を不戦敗とした自民の対応について「黒星を付けたくないから逃げた」と反発した。一方、森山氏は政治改革に関し「どう法律で担保していくのか、野党と議論して改めるべきは改めるのが大事だ」と強調。政治資金規正法改正の論点の一つである厳罰化に関し「会計責任者を監督する立場にある議員の過失責任を厳格化する方法もある」と提起した。
●衆院3補選 不戦敗が自民の劣化を物語る 4/17
政権を担う政党が、選挙で有権者に選択肢を示せないのはあまりにふがいない。かといって野党への期待が高まっているとも言い難い。
今回の補欠選挙の構図は、日本の政治がいかに深刻な状況に陥っているかを物語っている。
衆院東京15区、島根1区、長崎3区の補選が告示された。自民党の派閥の政治資金規正法違反事件が表面化してから、初の国政選挙だ。来年10月の任期満了までに行われる次期衆院選の前哨戦にも位置付けられている。
選挙結果は、岸田首相の解散判断だけでなく、内閣の命運にも影響を与えそうだ。
自民は、元議員が政治とカネの問題で辞職した東京15区と長崎3区については劣勢とみていずれも不戦敗とし、細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区だけ新人を擁立した。島根1区は、立憲民主党の候補と一騎打ちとなった。
東京15区では、立民や日本維新の会のほか、小池百合子東京都知事に近い政治団体が擁立した候補らが乱立した。長崎3区は立民、維新の野党対決となった。
不戦敗は、国民に選んでもらうに値しない、と自ら認めたことになる。信頼を取り戻したいのであれば、不祥事を反省し、なすべき改革を断行したうえで、候補者を擁立して地道に支持を訴えていくのが筋だろう。
つい最近まで「1強」と呼ばれた自民が躓いた原因は、派閥の政治資金規正法違反事件だ。ただ、事件を踏まえ、真相解明や法改正に誠実に取り組んでいれば、ここまで党勢が衰退することはなかったのではないか。
一方、立民など野党も不満の受け皿になれていない。
野党は、原則非公開の政治倫理審査会へのテレビ入りにこだわった。安倍派の議員らを追及する場面を中継して自民を貶めようとしたようだが、独自の追及材料もないため解明が進まず、かえって国民の不満を高めてしまった。
少子化対策など社会保障に関しては、負担増に反対するばかりだ。大衆迎合的な主張は、国民に見透かされていよう。
読売新聞の全国世論調査では、「支持政党なし」と答えた人が2か月連続で5割を超えている。昨年10月に行われた衆院長崎4区、参院徳島・高知選挙区の両補選とも、投票率は過去最低だった。
無党派層の増大や低投票率は、政治が有権者に見放されつつあることを示している。その責任は与野党双方にある。
●日本国民は売られた。岸田首相「訪米の成果」で得する人損する人…戦争、経済破綻、異常な未来はこの後すぐ 4/17
新聞はおろか地上波ワイドショー番組までもが手放しで褒めちぎる、岸田総理の「訪米の成果」。だが、めくりフリップを駆使して解説される「良好な日米関係」には、芸能スクープ然とした印象とは裏腹に多くの罠が潜んでいる。米国在住作家の冷泉彰彦氏は、防衛面で近い将来リアリズムを伴わない“利敵保守”イデオロギーが台頭する恐れを指摘。さらに国内経済面でも大半の一般労働者にとってマイナスの影響が生じうると警鐘を鳴らす。
YOASOBIまで担ぎ出した岸田総理は、どんな「成果」を上げたのか
岸田総理大臣が予定通り訪米しました。直前の状況としては、支持率は地を這うような状況が続く中で、4月の補選は3選挙区中2つが不戦敗確定、一方で処分した安倍派の元幹部からは不満タラタラということで、内閣としては最悪でした。
そんな中での訪米ですから、世論的には「税金使って漫遊旅行」「天皇を差し置いて国賓気取り」「英語ジョークで滑りまくり」というような批判が噴出してもおかしくなかったわけです。
その意味では、世論はそんなに関心を持たなかったわけで、予想よりはややプラス寄りの反応だったとも言えます。
漠然とした印象としては、日米関係が良好であることは、どこか世論の心理の琴線に触れる部分としては、悪い気はしないということだったのかもしれません。かといって、この訪米の「成功」によって、支持率がアップするかというと、そうした力学は働いていないようです。
つまり国内世論との関係、国内政局との関係ということでは、これだけ大掛かりな訪米であった一方で、影響は限りなくプラマイゼロという感じがします。大統領専用車に同乗してニヤけた自撮りをしても、身の毛もよだつような軽薄さが満開である反面、やっぱり日米は緊密なら安心という感じが相互に帳消しになっているようです。
YOASOBIまで担ぎ出して、日米の若者の反応を取り込もうとしたのは、恐らくは空振りなのでしょう。ですが、ご両人の人気と権威は「ホワイトハウスに引っ張り出された」ぐらいでは傷はつかないのでこれまたプラマイゼロという感じがします。
岸田訪米を「1.対中関係、2.アメリカ政局、3.日本経済」の観点で評価すると
それはともかく、では、今回の首脳会談というのは全く意味がなかったのかというと、そんなことはありません。下らないスピーチや軽薄な写真などとは別のところで、本質的な3つの問題が問われていると思うからです。
1つ目は、中国との関係です。日米が緊密であることは、基本的に抑止力になります。中国は台湾に軍事侵攻をかける可能性は低いですが、それでも日米で抑止力を維持しておいて、暴発の可能性を抑え込むというのは必要な措置です。
また、香港があのような形になったのは、不動産投資の巨大な負債を抱えた国営銀行を政治信用力で維持すると中南海が決意した中では、「見せしめ」的な形を取らざるを得なかったことには合理性はあるのだと思います。これに対して、日米が自由と民主主義の立場で対抗するというのは、台湾やASEANに安心感を与えるという意味でも必要です。
ですから、総論としては何も間違っていないのですが、問題はメッセージが強すぎるのであれば、中国には不快感を与えるということです。勿論、イデオロギーが違い、軍事外交の抑止力で均衡を保つというのは、物理的なエネルギーとしては対抗しているわけですから、敵味方的な力学になるのは仕方がありません。
けれども均衡があり、その均衡しているという全体構図が、当事者双方に理解されているのであれば、当座の危険はないし、中長期の危険も管理できるということになります。その限りにおいては、危険性は十分許容範囲です。
ですが、そのような当事者間の理解が欠落していると短期的、あるいは中期的に問題を生じる可能性が出てきます。あまり多くの方が指摘しているわけではないのですが、一つ私がとても恐れているシナリオがあります。
“利敵保守”イデオロギーが跋扈する恐れ
それは、日本国内で「改憲、自主防衛、軍拡」を進める必要が出ていく中で、こうした政策に対して平均的な日本の世論は消極的である一方で、抑止力強化のためには「保守イデオロギー」の推進力が必要になるという流れです。
その「保守」というのが限りなくリアリズムであるのならいいのですが、例えば枢軸日本の名誉回復だとか、21か条要求以降の対中政策の正当化などを伴っていると、これは仮想敵を勢いづかせてしまいます。
そんな中で、過剰に自己正当化を行ういわゆる歴史修正がある臨界点を超えると、いとも簡単に日本と米国、あるいは日本と欧州の紐帯を切り離す事ができてしまいます。
対中国の抑止力は必要であり、その維持は必要です。ですが、この種の「利敵行為になる保守イデオロギー」だけが推進力になるようですと、最終的には向こう側が正当性に自信を持ってしまい、更に米欧との離反工作を進める動機を持ってしまうという危険な状況になってしまいます。
抑止力の確認と維持は必要ですが、そのことを進めると悪しき「保守」が拡大してしまう、その結果、利敵と孤立を呼び込んでしまうというのは、パラドックスに違いありません。そして、非常に難しい方程式だと思います。難しさの一端には、危険な歴史修正に反対する勢力の問題があります。彼らは、残念ながら抑止力を維持する責任や必要性を軽視するわけで、違った意味での利敵効果や均衡の破壊をやってくるからです。
この方程式といいますか、連立不等式には実は重なる解はないのかもしれず、個人的にはその辺りには悲壮な思いを持っているのも事実です。それはともかく、とにかく対中の抑止力の話についてはそうした危険性を感じます。
岸田政権の対中抑止政策は「安倍政権よりも危うい」
例えば安倍晋三政権の場合は、一見すると危険な保守イデオロギーを暴走させているように見えたわけです。
ですが、実際は安倍晋三という人は保守イデオローグを抱え込んでいる一方で、官僚などが立案してくるリアリズムにはしっかり乗っていたのも事実です。例えば、決して評判の良くない第一次政権の際にも、小泉純一郎が停滞させていた日中の首脳外交を再開しています。また、オバマと協調して日韓合意をやった、上皇さまの退位を円滑に実施したなど、そのバランス感覚は評価しなくてはなりません。
これに対して、岸田政権の場合はそこに確たる支持層はないわけです。その一方で、自分自身は中道的な立ち位置が本籍だという自己認識があり、そのために、保守票への警戒というか、理解されないという一方的な距離意識を持っているわけです。そのために、本籍が中道なために保守政策の歯止めが効かないという危険性があります。
これは直近の問題ではありませんが、例えば台湾が国民党政権になって緊張が緩む一方で、米軍が東シナ海におけるプレゼンスを極端に減らすとします。その場合には、南西諸島の自主防衛強化になりますが、その際に悪しき歴史修正主義が自主防衛とセットで拡大するとなると、中国サイドの危険信号は真っ赤になってしまいます。
キッシンジャー=周恩来の約束で明確にされていた「日米安保が日本の軍国主義復活を抑制する」という前提があって、初めて「中国の敵は日本の軍国主義であり、日本人民ではない」という「周恩来ドクトリン」は成り立ちます。
反対に、中国にとっては悪しき保守イデオロギーと自主防衛が合体するというのは、そのドクトリンが成立しないということを意味します。その延長にあるのは、台湾への軍事侵攻に巻き込まれるのではなく、直接的に中国と日本の間に軍事的緊張が生じるという可能性になってきます。
そうした最悪の事態というのは、短期的には起こりえません。ですが、今回の岸田=バイデンの蜜月演出と、露骨なまでの中国敵視、そこにおける思考停止状態というのは、そのような中期的なリスクと比較しておく必要を感じるのです。
バイデンにベッタリ。岸田総理の立ち回りに懸念
2番目は、米国の他の政治勢力の問題です。今回の岸田総理を歓迎するホワイトハウスの晩餐会には、当然のように民主党の要人たちが参加していました。具体的にはクリントン夫妻やその人脈に連なる人々などです。それはまあ自然といえば自然ですし、バイデン側の事情もあるのは分かります。
ですが、アメリカは一枚岩ではありません。そして今年の11月には大統領選を含む総選挙があります。そのような中で、ここまでバイデンとの蜜月を演出するというのでは、「非バイデン」勢力との関係ということでは心配が残ります。
その最たるものは「もしトラ問題」ですが、その可能性については改めて精査するとして、気になるのは民主党の左派です。現時点では、日本の自民党政権は民主党左派との間で良好な関係が築けているとは思えません。具体的な必要がなかったということもあるのかもしれません。ですが、とにかく関係性の死角に入っている感じがします。
例えば、財政金融政策などでは日本の自民党政権は、現時点では極端な緩和政策を取っています。また福祉政策では、国営の年金と国民皆保険制度を維持して(維持できているといえるか議論の分かれる点もありますが)います。その意味では、アメリカの民主党左派にとっては、日本はお手本になります。ですが、実際はお手本とは言いません。どうしてかというと、世代的に全く状況が異なるからです。
アメリカの民主党左派は、ミレニアルからZに至る若い分厚い人口の層です。この層は、日本のような超高齢社会、そして若者の少ない異様な人口構成というのは、全く親しみも何もありません。ですから、福祉政策の点で、民主党左派が日本に共感したりということは全くありません。
一方で、昨今のガザ情勢などで、イスラエルとパレスチナの間の民間人犠牲の「命の格差」について、民主党左派は非常に厳しい観点を持っています。この点では、立ち位置そのものとしては、日本の立場に近いものがあります。
ですが、アメリカの民主党左派からすれば、日本のアラブびいきというのは、その動機の中に「化石燃料確保」という意図があるのはバレバレであるわけです。そして、この21世紀も四分の一が過ぎようとしている現在、日本が「化石燃料をモクモク」焚いていることには、彼らは激しい怒りを抱いていると考えた方がいいと思います。
米民主党左派に「根回し」の好機を逃す
日本の世論の漠然とした感覚としては、原子力の平和利用は自然への反逆で究極のケガレだから最低限にしたい、その代わり省エネ努力をした上での化石燃料の使用は許されるという感じがあると思います。ですが、アメリカの左派からすれば、これは大罪になります。
欧州のグレタ・トゥーンベリ氏なども、世代的に真剣に温暖化に対して危機感を持っており、その観点からすれば原子力の平和利用も手段の一部としています。アメリカの左派も似た立ち位置であり、日本の世論と理解し合う地盤は薄いのです。
例えばですが、民主党左派の議員の地盤の中には、カリフォルニアやニューヨークのアジア系の居住区があります。仮に、日本が自主防衛を進めるために必要だとして、歴史修正主義を強めるようですと、こうした選挙区の議員は強く反発する可能性があります。そうなれば、日米離反は簡単になってしまいます。移民や人種の問題に関しても、日本の世論の平均値とアメリカの民主党左派には乖離があります。
岸田総理は5日もアメリカに滞在して、その費用もバカにならないのですから、民主党の左派への接触や関係改善、相互理解などを試みればよかったのにと思います。例えば、岸田総理自身が幼少期を過ごしたNYのクイーンズ区は、それこそ左派のリーダーであるAOCこと「アレクサンドリア・オカシオコルテス」議員の選挙地盤に他なりません。何か接点を探して個人的な知己を得るといった工夫もできなかったのかと思います。
余談ですが、AOCは日本の新幹線は高く評価しています。ですが、LGBTQ政策や移民政策については批判的なようです。日本として、まだまだ彼女との相互理解は不十分と思います。
トランプが日米同盟をボロボロにし、その後に民主党左派の政権が登場した場合に、日本が余計に孤立と無視に追いやられるという順序の踏み方は、もしも起きるようなら、このままでは最悪シナリオになりかねません。
岸田総理「訪米の成果」で得をする人、損をする人
3番目は、経済の問題です。岸田総理はワシントンの後は、ノース・カロライナに足を伸ばしています。EV関係の日系工場を視察して「現地雇用に貢献」などと胸を張ったようです。また、一方で、岸田訪米と前後して日鉄によるUSスチール買収の問題が議論になっています。
こうお話しすると、いかにも岸田総理は日本経済の利益のために戦っているという印象を与えます。ですが、この点に関しては、もうここまで来たらもっと冷静になって良いのではと思います。
EVの基礎技術を日本はかなり持っています。バッテリーも、モーターも、重電のマネジメント技術も、60年代以降培ってきた基礎があります。ですが、EVに関しては、北米の場合は超保護貿易主義とセットになっていて、日本発の多国籍メーカーが割って入るには、とにかく部品段階、バッテリーの素材段階からアメリカ製でないとダメということになっています。
ということは、どんなに頑張っても日本のGDPへの貢献は限定的です。また日鉄のUSスチール買収にしても、沈みゆく日本と日本円ではなくグルーバル経済の投資して、協業のシナジー効果を追求するのが目的です。こちらも日本のGDP貢献は限られた話です。
とにかくグローバル経済の中で、もうそろそろ日本の政財界は気づいたほうが良いと思います。それは「日本発の多国籍企業の連結決算は、日本のGDPにはならない」という厳然たる事実です。円安の進行は、このトレンドをどんどん加速させます。
円安だから製造業が日本に回帰するというのは極めて限定的です。労働力が少なく、エネルギー供給が不安定で、しかも市場が急速に縮小する日本でモノを作り、それを無理に売って相手の保護主義と喧嘩するよりも、経団連加盟企業のほとんどは現地生産を選択します。そして各国の現地法人が稼いだ外貨を、日本円で連結決算すると円安のために海外の売り上げ利益が膨張します。
これによって、円建ての株価は上がり、大企業の円建ての賃金は上がります。ですが、そのトリクルダウンは、恐らくは円安によるインフレで帳消しになります。
つまり、円安経済の中で、更に空洞化を加速するというのは、多国籍企業とその関係者にはいいかもしれませんが、日本の国内経済と多くの国内労働者にとっては、プラマイゼロいやマイナスになるのが現状のトレンドだと思います。
今回の訪米で「岸田無能」があらためて明らかに
岸田総理には、このことが問題だという意識はないようです。そして、日銀の植田総裁は、恐らく日本経済の実力を考えると、このトレンドが不可避だということを深く理解しているのだと思います。
そして、財務省は、このような日本のGDPの先細りの先には、弱りゆく円建ての国債を、縮小する個人金融資産では消化できず、国際市場に出してゆく時期が来ることを知っています。その先にあるのは、ハイパーインフレと通貨のクラッシュで、資源のない日本にとってはその痛みはアルゼンチンの比ではなくなることを知っているのだと思います。
今はまだ、IMFは日本を潰す力はありませんが、やがてGDPがもっと縮小すればそれも可能になっていくかもしれません。そのような悲観シナリオを恐らく財務省は持っているのだと思います。
その一方で、脳天気な多国籍企業は再現のない空洞化を進めています。大卒50%の超高教育国家において、国内の主要産業が観光業だというような悲喜劇はその結果です。
いずれにしても、そのような経済政策の歪んだ姿に対して、岸田総理には何の理解も反省もないということも、今回の訪米では明らかになりました。
●島根1区の自民vs立憲“姫バトル”を制するのは? 小渕優子選対委員長は3タテ回避へおわび行脚 4/17
岸田政権の余命を占う衆院3補選が16日、告示された。唯一独自候補を擁立した島根1区を落とせば、自民党は全敗。「岸田降ろし」の号砲が鳴るのは必至だ。
しかし、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着、セクハラ問題、裏金事件など、疑惑まみれの細田博之前衆院議長の死去に伴う選挙で、後継候補の影は薄い。「経世会のプリンセス」ともてはやされる小渕優子選対委員長が現地でおわび行脚をする姿の方が話題になっており、島根1区は「女の闘い」もとい「姫バトル」の様相だ。
島根県は1996年の小選挙区制導入以降、全国で唯一、自民が県内全ての小選挙区の議席を独占してきた「保守王国」。自民は県連の公募を経て元財務官僚の錦織功政(55)を立て、立憲民主党は前衆院議員の亀井亜紀子氏(58)を擁立した。与野党一騎打ちの構図だ。
錦織氏の出陣式でマイクを握った小渕氏は、「政治資金の問題で皆さまに大変な政治不信を招いている。そのことについてまず心からおわび申し上げる。自民党は変わらなければならない」と神妙な表情を浮かべていた。
「姫をお支えせねば」と優子ファンは腕まくり
「自民党内の対応は割れています。総理と距離を置く無派閥系の議員の中には、応援要請を断った人もいるようですが、優子ファンは腕まくり。今週以降のスケジュールをキャンセルし、続々と島根入りする予定です。優子ちゃんの選挙を支えなければ、優子姫を何としても勝たせなければ、ということ。亀井さんも世が世ならお姫さまですから、『姫対決』ですよね」(与党関係者)
亀井氏が旧津和野藩主亀井家の末裔であるのは知られたところ。参院議員を経て鞍替えしたものの、過去2回とも細田氏に敗れ、前回は比例復活もできなかった。
「情勢調査では知名度で勝る亀井氏がリードしています。裏金事件への批判も追い風になっている。ただ、選挙は水物。逃げ切れるかどうかは分からない。死に物狂いになった自民党の終盤の追い上げは凄まじいものがありますから」(野党中堅議員)
岸田首相も島根入りし、支持を訴える予定だが、吉と出るか凶と出るか。そもそも、いまだに「ドリル優子」と揶揄される小渕氏も「政治とカネ」の問題を抱えている。投開票は28日だ。
●自民・石破氏、島根補選の結果注視 4/17
自民党の石破茂元幹事長は17日のラジオ日本番組で、28日投開票の衆院3補欠選挙のうち、自民が唯一擁立した島根1区の結果を注視する考えを示した。「島根に全力投球して、有権者がどういう判断をするか。それを見ないと次の局面にならない」と指摘した。「島根(の候補支援)を一生懸命やらないで『岸田(文雄首相)けしからん、辞めろ』なんて、自民党のやることではない」とも語った。
●石破氏、島根1区補選注視 性急な岸田降ろしにくぎ 4/17
自民党の石破茂元幹事長は17日のラジオ日本番組で、支持率が低迷する岸田文雄首相の政権運営を巡り、28日投開票の衆院島根1区補欠選挙の結果を注視する考えを示した。「島根の有権者がどう判断するかを見ないと、次の局面にはならない」と述べた。「島根を一生懸命やらないで『岸田けしからん、辞めろ』というのは、自民のすることではない」とも指摘し、性急な「岸田降ろし」論にくぎを刺した。
隣県の鳥取1区選出の石破氏は、自身も自民候補の当選に全力を尽くすと強調した。島根1区は、16日告示の衆院3補選のうち唯一自民が新人の公認候補を擁立、立憲民主党元職との与野党対決の構図となっている。
●FRBパウエル議長、インフレ率低下まで「予想以上に時間かかりそうだ」…利下げ開始時期の先送り可能性を示唆 4/17
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は16日に出席したイベントで、インフレ(物価上昇)率が持続的に目標の2%に向かっているとの確信を得るまでに「予想以上に時間がかかりそうだ」と述べ、利下げの開始時期が先送りされる可能性を示唆した。
米国では、1〜3月の消費者物価指数の上昇率はいずれも市場予測を上回る結果となった。雇用統計も非農業部門の就業者数の伸びが加速し、労働市場も堅調さを維持している。パウエル氏は物価上昇率の低下については、「今年に入ってから更なる進展が見られていない」と指摘した。
その上で、「最近のデータは、明らかに私たちに自信を与えていない」と述べ、高い水準の政策金利をより長く維持し、インフレ抑制効果を見極める必要性があるとの考えを示した。
FRBは3月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、2024年中に3回の利下げを行うとの従来の想定を維持した。パウエル氏は、インフレ率が2%まで低下すると確信できるまで利下げは適切ではないとの見解を示している。
●FRBの利下げ観測後退、NY外国為替市場の円相場は一時1ドル=154円79銭に下落 4/17
米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退したことで、16日のニューヨーク外国為替市場の対ドルの円相場は一時、1ドル=154円79銭に下落し、1990年6月以来、約34年ぶりの円安水準を更新した。17日の東京市場の円相場も、前日(午後5時)に比べて30銭程度円安・ドル高の1ドル=154円台後半での取引となっている。
市場では日米の金利差の拡大が意識され、運用に有利なドルを買って円を売る動きが広がっている。心理的節目の1ドル=155円台が近づき、投資家の間では、政府・日本銀行による円買い・ドル売りの為替介入に対する警戒感も強まっている。
対ユーロでは、40銭程度円安・ユーロ高の1ユーロ=164円台前半で取引されている。
●日経平均の午前終値、66円安の3万8404円…石油や輸送など幅広い銘柄が下落 4/17
17日の東京株式市場は、一時ほぼ全面安の展開となった。日経平均株価(225種)の午前の終値は前日終値比66円75銭安の3万8404円45銭だった。
前日の米株式市場でダウ平均株価(30種)は7営業日ぶりに値上がりしたが、東京市場は買いの材料が乏しい展開となっている。石油や輸送、電機、機械関連株など、幅広い銘柄が下落している。
市場では「(来月の)決算発表時期まで材料難で、目立った動きはない」(大手証券)との見方があった。
●ガソリン平均価格、5週ぶり値下がり174・9円 4/17
資源エネルギー庁が17日発表した全国のレギュラーガソリンの平均価格(15日時点、1リットルあたり)は、前週より0・1円安い174・9円で、5週ぶりの値下がりとなった。
中東情勢の緊迫や円安を理由に原油価格は上昇傾向にあるが、政府が石油元売り会社に支給する補助金の上げ幅の方が大きく、差し引きで値下がりとなった。補助による抑制額は28・6円だった。
都道府県別では、長野の185・7円が最も高く、山形と鹿児島の182・4円が続いた。最も安かったのは岩手の168・1円だった。 

 

●政治資金規正法改正 政治信頼回復の道筋示せ 4/18
「政治とカネ」の問題が招いた深刻な政治不信を払拭しなければならない。その覚悟が問われている。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、衆参両院は「政治改革に関する特別委員会」の設置を決議した。自民、公明両党は政治資金規正法の改正に向けた実務者協議を16日に初開催した。
裏金事件が表面化して以降、国会などで議論が続いていた政治資金規正法改正に向けた具体的な作業が始まった。法改正の焦点は国会議員が連帯責任を負う連座制の導入だ。企業・団体献金廃止の是非、政策活動費の見直しも併せて論議することとなろう。岸田文雄首相は今国会中での法改正を明言している。
政治の信頼回復に向けた道筋を付けるために、裏金事件の実態解明と議員の処分と並んで政治資金規正法の改正が不可欠である。国民が求めているのは法改正による政治資金の透明化と、連座制導入を含む議員の厳罰化である。
与党内の協議、国会審議は国民の声を踏まえた法改正を断行しなければならない。自民は党独自の案をまとめないまま公明との協議に入ったが、問題を起こした党の姿勢として疑問だ。自民党には連座制導入に消極的な慎重論があるというが、国民世論から乖離(かいり)していると言わざるを得ない。中途半端な結果を導くならば、政治不信はさらに増幅しかねない。
衆参両院は裏金問題の実態を解明するための政治倫理審査会を開き、派閥責任者から事情を聞いたが、真相解明には遠く及ばなかった。関係議員の処分も不十分だった。岸田首相を処分対象にせず、政治資金収支報告書への不記載額が500万円以下の議員を幹事長注意にとどめたことへの不満が根強い。
共同通信が13〜15日に実施した全国電話世論調査では、岸田首相が処分されなかったことに「納得できない」と答えた人は78.4%、安倍派、二階派の議員の処分が「軽い」と答えた人は65.5%に上った。裏金事件の実態が「十分解明されていない」との回答は93.3%に達した。岸田内閣の支持率も23.8%と低迷が続いている。
裏金事件とその後の対処について国民は厳しい目を向けている。これで幕引きとはならないというのが国民の声だ。国会や与党間の政治資金規正法の改正論議もそのことを意識すべきである。
衆院3補選が告示された。裏金事件への岸田内閣の対応が焦点となる。28日の投開票に向け、各党は政治の信頼回復に向けた姿勢を明確に示すべきである。政治資金規正法改正の具体策も有権者の前に提示してほしい。
補選告示に当たって岸田首相は「政治の信頼回復に向け、政治資金規正法改正などの取り組みを訴える」と述べた。ならば、問題を起こした党として法改正案を示し、国民の審判を仰ぐべきである。
●岸田首相 解散断行か、解散見送りで総裁選出馬断念か 待ち受けるハードル 4/18
通常国会の会期末が迫るなか、解散に踏み切るのか、総裁選前の退陣に追い込まれるのか。岸田文雄首相は瀬戸際に立たされている。AERA 2024年4月22日号より。
岸田文雄首相は4月8日から米国を「国賓待遇」として訪問した。10日のバイデン大統領との首脳会談では、軍事的台頭を続ける中国を念頭に自衛隊と米軍との連携強化を確認し、11日には連邦議会の上下両院合同会議で演説。「外交の岸田」を内外にアピールするのが狙いだ。
日本国内では、春闘で大企業を中心に大幅な賃上げが実現した。6月には、岸田首相がこだわった1人当たり計4万円の所得税、住民税の減税が国民の懐に届き始める。可処分所得が増え、消費が拡大し、長く続いたデフレ状況が転換するかもしれない。そうした経済状況を受けて、6月23日の通常国会会期末ごろには、内閣支持率を反転させたい。そのうえで、衆院解散・総選挙に踏み切り、9月の総裁選で再選、長期政権への流れを作りたい。それが岸田首相の本音だろう。
一方で、そうした流れができなければどうなるか。裏金問題の処分をめぐっては、自民党内に不満の声が渦巻く。内閣支持率も低迷し、この状況で解散・総選挙となれば、自民党議員の多くが討ち死にする。自民、公明両党が過半数を維持できずに政権交代となる可能性さえある。だから、自民党内では「岸田さんを羽交い締めしてでも解散させない」(閣僚経験者)といった本音が聞かれる。茂木幹事長もこの国会での解散には否定的だ。公明党も裏金問題で政権与党に逆風が吹き荒れる中での解散には反対している。
仮に岸田首相がこの国会で解散ができず、秋の総裁選を迎えるとすれば、自民党内では総裁選で「新しい顔」を選び、その下での解散・総選挙を求める意見が大勢を占めるだろう。岸田氏の再選の可能性はなくなる。総裁選への出馬断念に追い込まれて、みじめな「野垂れ死に」となることは明らかだ。そうした展開を考えれば、岸田首相が今国会中の解散にこだわる理由が見えてくる。
解散断行か、解散見送りで総裁選出馬断念か。切羽詰まってきた岸田首相にとって、目前のハードルは二つだ。一つ目は4月16日告示、28日投開票の衆院補欠選挙(東京15区、島根1区、長崎3区)。自民党は東京15区と長崎3区で公認候補の擁立を見送り、「不戦敗」となった。そのため、島根1区は負けられない選挙だ。島根県は竹下登元首相や青木幹雄元官房長官の地元で「自民党王国」だ。ただ、島根1区選出の細田博之前衆院議長は生前、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との密接な関係が指摘されたにもかかわらず、明確な説明を避け、批判が広がった。細田氏が会長を務めていた安倍派の裏金問題も批判された。
その細田氏の死去に伴う補選とあって、自民党は財務官僚OBを公認したが、支持者の動きは鈍い。立憲民主党は元衆院議員を擁立、共産党が自前の候補をおろして支援を決めるなど、連携が進んでいる。自民党が島根で敗退するようだと、自民党内では「岸田首相の下では総選挙は戦えない」という声が高まるだろう。
この1、2カ月が山場
もう一つのハードルは、裏金問題を受けた政治資金規正法の改正だ。衆参両院で4月11、12両日に特別委員会が設置され、まず衆院で本格的な審議が始まる。(1)政治資金収支報告書に虚偽記載などがあった場合、会計責任者が立件されれば政治家本人も罪に問われるようにする「連座制」の導入(2)政党から幹事長らに支給されながら領収書を公開しなくてもよい「政策活動費」の制度を廃止する、などが焦点となる。
岸田首相は、この法改正で成果を上げて解散・総選挙に向けた環境作りを進めたい考えだ。そのためには、立憲民主党など野党との話し合いが不可欠となる。裏金問題で関係議員への聴取などに積極的に動かず、岸田首相との溝が深まっている茂木敏充幹事長では野党との話し合いが進まないだろう。岸田首相がそうした事情をどう打開していくのか。この1、2カ月が、岸田政権だけでなく自民党、そして日本政治の将来を決める大きな山場となる。
●裏金質問はNG…知事は指示否定、責任は? 規制でないと強弁から一転謝罪、記者が見た山梨県の「ドタバタ劇」 4/18
2024年2月、山梨県庁で県の広報担当者が口にした言葉に耳を疑った。「政治資金の質問は削除してほしい」「削除しなければ取材に応じるのは難しい」。報道各社による長崎幸太郎知事への個別インタビューの実施に先立ち、県が自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の関連質問を扱わないよう、突如求めたからだ。
当初、県は取材活動規制の意図を否定し「調整を提案した」と強弁。報道側の抗議を2度受け、一転して謝罪する事態に至った。長崎氏は一貫して自身の指示を否定。一方、県職員には「政治資金関連の質問は別の場で聞いてほしい」との趣旨を伝えたと認めたものの、知事の責任の所在は曖昧なままだ。
有識者からは「質問封じは国民の知る権利を阻害する」との指摘も続出。県側の対応が約2カ月にわたり「ドタバタ劇」を繰り広げた面は否めない。県政取材を担当する一記者として、一連の問題を振り返る。
自民元幹事長に近い知事が政治資金不記載疑いで告発される
発端は1月20日の記者会見にさかのぼる。長崎知事が、自身の資金管理団体「日本金融経済研究フォーラム21」の2019〜22年分の政治資金収支報告書に、自民党二階派からの寄付金1182万円を記載していなかったと発表。二階派から現金を受け取り、事務所の金庫に保管したまま失念したと説明した。
長崎氏は財務省出身。2005年衆院選で初当選し、衆院議員を3期務めた。2017年の落選後、二階派会長で自民党の二階俊博幹事長(当時)が幹事長政策補佐に起用。長崎氏は衆院議員時代から2019年の知事就任後の現在まで一貫して、二階派に所属する。
会見前日の1月19日、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で二階派の元会計責任者を在宅起訴。関係者によると、2018年からの5年間に収入と支出を計約3億8千万円少なく記載したとされる。
こうした中、1月30日に市民団体が政治資金規正法違反容疑で長崎氏に対する告発状を甲府地検へ提出。裏金事件への注目が集まっており、報道各社がインタビューで長崎氏に不記載問題を尋ねるのは必然と言えた。
自民党二階派の総会後、記者会見する派閥会長の二階元幹事長=2024年1月19日、東京都千代田区
質問取りやめ要請巡り県職員と押し問答
そもそも長崎知事が就任6年目のインタビューに応じるとして、山梨県政記者クラブ加盟の14社中12社が希望し、県の広聴広報グループが調整を進めた。当初の計画では(1)新聞・通信各社が一斉に取材するグループ方式(2)テレビ各局が別々に取材する個別方式―の2通りで実施する予定だった。
取材前日の2月1日、県の担当者から突然、取材延期と方式変更の連絡が届く。2日予定のグループインタビューを取りやめ、新聞・通信各社のインタビューも個別方式に変更するとの内容だ。当然「複数の記者から不記載問題を矢継ぎ早に質問され、集中砲火を浴びるのを避けるためでは」との見方が広がる。担当者は変更理由について「知事の公務のため」としか答えなかった。
2月2日、担当者から直接電話がかかってくる。事前に伝えた質問項目に対する要請だ。「インタビューで政治資金の不記載問題を質問するか」「インタビューでなく、会見で聞いてくれないか」「会見で答えている以上の回答はないと思うが…」
これまで閣僚や首長ら政治家を取材してきた経験でも、不利益を被るような質問は受け付けないと言われたのは初めてだった。驚き呆れながらも、要請に応じられない旨を伝えた。担当者も譲らず、押し問答が続いた。簡単に引き下がれないよほどの事情があるのかと感じた。
共同通信のインタビューが行われた2月5日。いざ不記載問題を切り出すと、長崎氏は「説明責任を果たしている。別に法的に問題ない」などと語り、自身の対応は適切だったとの考えを示した。
なお、担当者からは1月11日までに質問項目を出すよう求められていた。インタビュー取材は、限られた時間を有効に使う必要がある。取材を受ける側は根拠となる法律や条例、予算額など細かい数字を示す場面も多い。
事実関係を間違わず円滑に進められるよう準備してもらうため、質問項目を前もって通知することがある。もちろん必要に応じ、事前に伝えていない質問をぶつける場面も少なくない。
日々強まる「圧力」、テレビ局が取材拒否される事態に
こうした要請を受けたのは共同通信だけでない。インタビュー希望の12社中、9社が質問を扱わないよう何らかの形で伝えられていた。うち2社は「不記載問題を聞くなら、インタビューに応じるのは難しい」と迫られ、地元民放のテレビ山梨は取材自体を拒否される事態に至る。複数社が不記載問題をただしたものの、やむなく紙面掲載を見送った社もあった。
報道各社の話を総合すると、インタビューが実施された2月5〜15日、県の担当者による要請が日に日に強まっていく様子も浮き彫りになった。記者クラブは一連の対応を問題視し、21日に長崎知事と広報部門責任者の小林徹地域ブランド・広聴広報統括官の2人宛てに抗議文を提出。「県の意に沿わない報道に圧力をかけた」「質問規制は異例で到底受け入れられない」と批判した。
取材規制でなく「調整提案」…県の強弁にあ然
2月27日、山梨県の回答文書を読み、あ然とした。県はインタビューの時間的制約から、県政以外の内容を長崎知事の会見で尋ねるよう「調整を提案した」と主張。「規制は到底あり得ない」と反論した上で、記者クラブと「行き違いが起きないよう、意思疎通に努める」とした。
つまり取材活動の規制でなく「調整の提案」だったのに、記者クラブとのコミュニケーション不足から「行き違い」が生じただけ―。回答文書から、そう言わんばかりの県の姿勢がうかがえた。
翌28日、長崎氏は担当部局への指示の有無を記者団に問われ「なかった」と明言。県の対応も「問題なかった」として擁護した。この日の県議会本会議では、定例会見で質問制限を一切行っていないとし、インタビューは「付加的なサービス」だとの持論を展開。報道各社に「趣旨が伝わっておらず誠に遺憾だ」と開き直ってみせた。
県は規制しようとした事実を認めず、詭弁を弄する姿勢を改めなかった。記者クラブは看過できないとして、3月5日に再度抗議。県の回答は「一方的な決め付けで事実誤認だ」と非難し、認識を改めるよう求めた。
一転謝罪で幕引きか、知事は職員の忖度示唆
1週間後の3月12日。山梨県が5日の回答内容を一転させ、報道各社に謝罪した。広報部門責任者の小林氏の名前が記された文書で、原因に関し「当方の見識不足に端を発した」と明記。一連の対応を「前例のない深刻なもの」と捉え「認識を新たにし、深く反省する」とした。
小林氏は知事政策補佐官や知事政策局次長、秘書課長も兼ねており、長崎知事をかばう姿勢をにじませた。イメージ悪化から早期幕引きを図る狙いがあったとみられる。
3月22日の知事定例会見。長崎氏はインタビュー実施に当たり「県政運営を中心に発信したい」との趣旨を担当者に伝達したと明らかにした。理由はこれまでの会見で政治資金関連の質問が集中しているからだとした。自身の発言が指示と受け取られ、質問規制につながった―。担当者が忖度したとの見方を記者から問われ「あるのかもしれない。その点は反省している」と述べた。一方、自身の指示は頑なに認めなかった。
有識者「不適切な対応は徹底抗議せよ」
一連の山梨県の対応について、専修大の山田健太教授(言論法)は「国民の知る権利を阻害し、決して許されない」と糾弾する。行政機関が不都合な質問を拒んだり、特定のメディアの取材を受けなかったりして、報道をコントロールしようとする行為に警鐘を鳴らす。
同時に「新型コロナウイルス禍の影響で、取材される側が1社1人、1問までといった制限を設け、取材する側も慣れてしまった側面が否めない」とも指摘。報道機関の役割は権力監視だとした上で「不適切な対応が見られれば、徹底して抗議し、権力側の姿勢を正すべきだ」と訴える。
トップの責任、曖昧なまま釈然とせず
2通の回答文書を見て気になったのは、長崎知事に回答を求めていたのに、いずれも長崎氏の名前がなかった点だ。山梨県トップとしての責任をどう考えているのか。3月22日の会見で問うと「メディアの皆さんと意思の齟齬ができたのは大変残念。今後こういうことがないようコミュニケーションを密にする」などとして、正面からの回答を避けた。質問封じ問題は収束に向かっているよう見える中、肝心な部分は曖昧なままで釈然としない。
ある山梨県職員は「誰でもハレーションは予想できるはずだ。組織で不祥事が起きれば、トップが自身の責任を説明して謝罪するのが筋だ。県庁も例外ではない」と断言。自身の関与を否定し続ける長崎氏の姿勢に、疑問を投げかけた。
今回の一件を通じ、記者が取材先の対応を問題視し、声を上げる重要性を改めて実感した。取材先に報道機関をコントロールできると思わせないよう、身を引き締めなければならないとも思った。二度と質問封じが起きないよう、引き続き取材を進めたい。
●子育て支援金導入するなら「裏金議員から徴収を」「国会議員を減らして財源つくれ」…政府に厳しい意見続出 4/18
「裏金議員から税金を徴収するのが先」「国会議員を減らして財源捻出を」−。少子化対策の財源として創設される「子ども・子育て支援金」について、南日本新聞「こちら373」で行ったアンケートでは、国政に対する厳しい意見が相次いだ。子育て支援の必要性には理解を示す声も目に付く一方で、政治不信の根深さが浮き彫りとなった。
薩摩川内市の学校職員女性(51)は「裏金問題は解決しておらず、税金が無駄遣いされている。国民に負担を求める前に、政治家自身が襟を正してほしい」と語る。その上で「ばらまきのような策ではなく、子育てしながら働きやすい環境づくりや賃上げといった抜本的な改革が必要」と指摘した。
南さつま市の団体職員男性(50)は「出生率の低下を食い止めなければ、国が成り立たない。ずっと前から分かっていたのに、議員が自分事として考えていないのでは」と疑問を呈した。
「物価は上がっても賃金は上がらず、負担が増えるばかり」と漏らすのは、鹿児島市の会社員男性(42)。「議員歳費を見直すなどして、財源を捻出すべきだ」と求めた。
地域活動を通じて子育て世代と交流する鹿児島市の無職男性(73)は「自分たちが若い頃は夢を持てたが、今の人は大変そう」と支援には賛成だ。ただ、過去の政策に対する失望から「今回も他の目的で使われないか」と危惧する。南さつま市の自営業男性(58)も「本当に子育て支援に使われるのだろうか」と不信感を募らせた。
公的医療保険料に上乗せして徴収する制度や支援の在り方にも、不満や疑問が渦巻く。鹿児島市の自営業男性(65)は「すでに国民は多額の税金を納めている。それでも足りないからと、だますように徴収するやり方が汚い」と憤る。
4人の子どもを育てる同市の主婦(35)は「『支援金』という名だと、子育て世帯だけが優遇される印象を与え、社会の分断が進まないだろうか。異次元の少子化対策というなら、過去にはない政策を期待したい」と語った。
●首相が衆院で訪米報告、手応え語る 野党「国会で拍手ない理由は…」 4/18
岸田文雄首相は18日の衆院本会議で、安倍晋三首相(当時)以来9年ぶりの国賓待遇での訪米について報告した。「日米両国が深い信頼と重層的な友好関係で結ばれたグローバルなパートナーとなっていると確認した」と強調。米軍と自衛隊の相互運用性強化など安全保障面での協力拡大などをアピールした。野党からは「米軍の事実上の指揮統制のもとで自衛隊が参戦する道を開くことになる」(共産党の志位和夫議長)などと批判の声も上がった。
「世界が歴史的にも大きな転換点を迎える中で、日米がグローバルなパートナーとしていかなる未来を次世代に残そうとするのか。米国国民や世界にしっかりと伝えることができた」。首相は、日米首脳会談などへの手応えを隠さなかった。
訪米の成果については「大きく五つあった」として、安保・防衛面での日米間の協力のほか、日米比首脳会談の実現、経済や宇宙分野での協力推進などを列挙。日米共同声明で、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることなどで「日米同盟の抑止力強化について改めて強い意志が示されたことは非常に意義がある」と強調した。
また、バイデン大統領と計9時間を共に過ごしたと繰り返し紹介。大統領夫妻との夕食会などで「家族のこと、趣味、日課について話が及んだ」と良好な関係をアピールした。
これに対して、立憲民主党の源馬謙太郎氏は「日米関係は安定して強固だと確認できたことは評価すべきだ」としながらも、米軍と自衛隊との連携強化の内容などを追及。首相が米連邦議会での演説で「日本は米国と共にある」などと語ったことを取り上げ、「武力の行使など軍事的手段も辞さない覚悟で責任を担うのか」と迫った。
首相が米連邦議会での演説で「日本の国会ではこれほどすてきな拍手を受けることはない」と発言したことについても、「国会で拍手されない理由は、自民党の裏金問題をはじめ多くの問題に真摯(しんし)に向き合わないご自身にある」と厳しく批判した。
●少子化対策法案、19日にも衆院通過へ 野党「事実上の増税」と反発 4/18
岸田政権の少子化対策を盛り込んだ「子ども・子育て支援法等改正案」が18日、衆院特別委員会で、与党の賛成多数で可決された。野党は、財源の一つで医療保険とあわせて徴収する「支援金」について、「増税そのもので少子化対策に逆行する」などとして反対した。19日にも衆院を通過する見通し。
支援金は法案をめぐる最大の争点。ところが政府は、歳出改革と賃上げにより社会保険料を軽減させる効果が生まれるとして、「実質負担ゼロ」と繰り返し説明。これに対し、野党側は「事実上の増税」と反発した。
国民負担に関する試算額の公表も、混乱を招いた。岸田文雄首相が初めて試算額に言及したのは2月初旬。野党側の求めがあった一方で、より具体的な試算額が示されたのは約2カ月後の3月末だった。その後も逐次的な公表が続き「小出し」と批判された。
18日は、立憲民主党と日本維新の会が提出した、支援金を撤廃して別財源を充てる修正案も採決したが、いずれも否決された。
●子ども・子育て支援法可決で負担増確実 散々繰り返した岸田首相「実質的な負担にはつながらない」の大嘘 4/18
《この先、一体いくらになるのか》《100年安心と言っていた年金制度が20年で破綻したことを考えると、これもどうなるか分からない》……。SNS上で疑心暗鬼の声が広がっているのが、18日、衆院特別委員会で可決した「子ども・子育て支援法」などの改正案だ。
児童手当の拡充といった対策の財源確保のため、公的医療保険に上乗せして徴収する新たな支援金制度を創設する。こども家庭庁は支援金について、2028年度の1人当たりの平均負担額は月450円と試算。政府は26年度から支援金の徴収を始め、28年度にかけて段階的に増額する考え。被保険者1人当たりの月平均負担額(28年度)は、サラリーマンが入る被用者保険で800円。このうち公務員らの共済組合が950円、大企業の健康保険組合が850円、中小企業の協会けんぽが700円となる。75歳以上の後期高齢者医療制度は350円で、自営業者らが入る国民健康保険は1世帯当たり600円という。
裏金政権は信用できない。また目的外に使うのではないか
岸田文雄首相(66)が打ち出した「異次元の少子化対策」。国会質疑ではその財源が一つの焦点となっていたのだが、岸田首相が繰り返し強調していたのが「新たな国民負担なし」だったはずだ。
「少子化対策のこの財源としては、先ほど来申し上げておりますように、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担、この追加負担が生じないようにする、そのように申し上げています」(2023年12月8日の参院予算委員会)
「財源は、まずは徹底した歳出改革等で確保することを原則としてまいります」(24年1月31日の衆院本会議)
「支援金については、社会保険負担の軽減効果の範囲内で行うということで、実質的な負担にはつながらないと説明をさせていただいています」(24年2月26日の衆院予算委員会)
「歳出改革で財源を捻出する」と断言しながら、いざふたを開けてみればこの通り。しかも、歳出については「何を」「いつまで」「どの程度」改革するのか。「賃上げ」はどうなったのか。それらについて実現のめどはついているのか。全く分からないのだ。
これでは世論の不信感が広がるのも無理はないだろう。自民党政権は以前も、「税と社会保障の一体改革」など称して消費税増税を強行。「増税分は全額、社会保障費に充てる」と言っていたにもかかわらず、実際は違っていたことが国会で問題視された。
《裏金政権は信用できない。また目的外に使うのではないか》
《自分の政治資金さえ管理できない人たち。何に使うか分からない。本当に嫌》
消費税と同様、小さく生んで大きく育てるのは国の常套手段。不安は尽きない。
●日鉄のUSスチール買収、法に基づいて手続き進められる=岸田首相 4/18
岸田文雄首相は18日の衆院本会議で、日本製鉄による米USスチール買収について「法に基づいて手続きが進められると考える」と述べた。日本は米国にとって最大の投資国と指摘し「今後も(日米が)ウィンウィンとなる流れを確実にしたい」と強調した。
先週行われたバイデン大統領との日米首脳会談で、日鉄の買収案件についてどのようなやりとりがあったかについては明言を避けた。日本企業のビジネス環境の整備に関し米連邦政府や州政府と意思疎通しているとし、「日本企業にとって適切なビジネス環境を確保する」と述べた。
●岸田首相、バイデン氏のUSスチール買収反対 「法に基づき手続き」 4/18
岸田文雄首相は18日の衆院本会議でバイデン米大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収に反対を表明していることについて「本案件は法に基づき適正に手続きが進められると考えている。日本は現在、米国にとって最大の投資国であり、今後も両国のウィンウィンの流れを確実なものにしていきたい」と述べた。日本維新の会の三木圭恵氏の質問に答えた。
●岸田首相の訪米成功=Aさすがの野党も攻め手欠き…「評価すべき」 内閣支持率も上昇 4/18
岸田文雄首相は18日、衆院本会議に出席し、国賓待遇での訪米の際に行ったバイデン大統領との会談や、米上下両院合同会議での演説の成果を訴えた。立憲民主党など野党は党勢を左右する衆院3補欠選挙(28日投開票)が目前に控えていることもあり、首相の巻き返しを防ごうと試みたが、訪米以降、内閣支持率が上昇に転じていることもあり、攻め手不足は否めなかった。
「バイデン氏と合計で9時間もの時間をともに過ごした。現在の国際情勢のもとで日米がとるべき戦略について首脳レベルですり合わせることができた」
首相は本会議で訪米をこう振り返り、日米関係を「かつてなく強固な信頼関係に基づくグローバルパートナー」と強調した。
首相は訪米前、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件による支持率下落に苦しんできた。だが、帰国してからは共同通信社の13〜15日の全国電話世論調査で前回調査から3・7ポイント増の23・8%となるなど回復の兆しがある。令和4年に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題が直撃し、支持率が急落した際、翌5年3月のウクライナへの電撃訪問など外交成果で政権浮揚につなげた成功体験の再現を期待する声も政権内にある。
一方、立民としては補選を前に、訪米成果による首相の巻き返しは看過できない事態だ。この日の本会議では源馬謙太郎氏が首相の議会演説での「日本の国会ではこれほどすてきな拍手を受けることはない」というジョークについて「首相が国会で拍手されない理由は多くの問題に真摯(しんし)に向き合わない首相自身にある」とあげつらった。
ただ、「日米関係は安定して強固であるということが確認できたことは評価すべきだと考える」と成果を認める場面もあった。国民民主党の玉木雄一郎代表も「今回の日米首脳会談は成功だったと率直に評価する」と語った。
また、共産党の志位和夫議長は、首脳会談で確認した自衛隊と在日米軍の指揮・統制枠組みの見直しについて「米軍主導で行われ、自衛隊は米軍の指揮・統制のもとに置かれることは明瞭ではないか」と首相に迫ったが、首相は「自衛隊のすべての活動はわが国の主体的判断のもと行われる。自衛隊と米軍は独立した指揮系統に従って行動することに何ら変更はない」と反論した。
●日米韓、為替巡り「緊密協議」 急速な円安・ウォン安懸念に言及 4/18
日米韓は17日に開催された初の財務相会合で、外国為替市場の動向について「緊密に協議する」ことで合意した。
共同声明で「最近の急速な円安およびウォン安に関する日韓の深刻な懸念」への認識を示し、「既存の20カ国・地域(G20) のコミットメントに沿って、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」とした。
また「持続可能な経済成長、金融の安定、秩序があり十分機能する金融市場を促進するため、引き続き協力していく」とした。
声明発表を受けドルは対円で下落。1ドル=154.18円を付けた。16日に付けた34年ぶり高値の154.79円は下回っている。18日アジア時間は直近で154.24円。
日本が前回、為替介入を行ったのはドルが151.94円を付けた2022年10月。
マネックスUSA(ワシントン)の外為トレーダー、ヘレン・ギブン氏は、今回の声明で政府・日銀による市場介入の地合いが整う可能性があると指摘。「文言がかなり強いため、週末までに何らかの具体的な動きがあっても驚くべきことではない」と述べた。
協調介入の可能性にはコメント回避
鈴木俊一財務相は17日にイエレン米財務長官と2国間会談も開き、「行き過ぎた動きには適切に対応する」用意があることを説明したと記者団に語った。詳細には言及しなかった。 もっと見る
神田真人財務官は過剰な円の動きに対処する上で、いかなる選択肢も排除しないと述べた。
神田氏はドルの上昇抑制に向けた協調介入の可能性に関する質問にはコメントを控えた。
コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「過去数回の介入サイクルでは、米当局(特にイエレン氏)が日本の動機を認める声明を発表し、口頭で支持を表明した」と指摘。
「戦略的な観点からすると、為替介入は国際的な協調によって行われる方が成功する可能性がはるかに高い。一方的な介入はボラティリティーの緩和には役立つが、長期にわたる金利差による円安を反転させるには不十分だ」と述べた。
みずほ証券のチーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏は、ドル/円が155円を突破した場合、それだけで日本当局が介入するかどうかは分からないと指摘。
強い米経済が米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期を遅らせ、ドルを押し上げている状況で、単独介入の効果は長続きしないと当局は考えているだろうと語った。
声明はこのほか「われわれはともに、対ウクライナ戦争の負担をロシアに科すため、および北朝鮮の兵器計画を標的にするため、各国の制裁手段を活用し、調整するとのコミットメントを確認する」とした。
さらに「経済的威圧と主要部門における過剰生産能力を含む、サプライチェーンの脆弱性と他国の非市場的慣行がわれわれの経済に損害を与える可能性の克服に向け、協調して行動することの重要性を強調する」とした。
G7声明、日本の主張も反映
神田財務官は米国時間17日夜(日本時間18日午前)、訪問先のワシントンで記者団に対し、今回のG7財務相・中銀総裁会議の声明で「日本の主張も踏まえて、為替を含む過去のG7における政策対応に関するコミットメントが再確認された」と述べた。
その上で、コミットメントの内容とは「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与え得るとの認識だ」とした。 

 

●能登半島地震で被害の旅館 約3か月半ぶり営業再開 石川 能登町 4/19
能登半島地震で建物や客室が被害を受けて営業休止を余儀なくされた石川県能登町の旅館がおよそ3か月半ぶりに19日、営業を再開し、従業員が到着した宿泊客を笑顔で出迎えました。
石川県能登町にある旅館「百楽荘」では、地震発生時、宿泊客や従業員は安全な場所に避難して無事でしたが、釣りができる施設内の桟橋に津波が押し寄せて壊れたり、建物の一部が水没したりするなどの被害が出ました。
また、旅館の客室や廊下の壁にひびが入るなどして営業休止を余儀なくされましたが、修復作業を進めておよそ3か月半ぶりに営業を再開しました。
19日は関東や海外から10組の予約が入っていて、従業員はベッドを整えるなどして宿泊客を迎える準備を進めていました。
そして午後2時半すぎ、最初の宿泊客が到着すると、従業員は笑顔で出迎えました。
石川県羽咋市から訪れた輪島市出身の60代の男性は「輪島の知人に会う予定があり、利用しました。営業の再開はうれしく、早く復興してほしいです」と話していました。
支配人の田保政紀さんは「まだインフラが整っていない時期に再開することへの葛藤もありました。能登全体の復興に向けて協力していきたいです」と話していました。
能登町によりますと、今月8日時点で町内に38ある旅館や民宿などの宿泊施設のうち、30軒が営業を再開しているということです。
●岸田自民「政治とカネ」改革はヤル気ゼロ! 政活費の見直しは先送りと朝日新聞が連日報道 4/19
「火の玉になる」「先頭に立って信頼回復に努める」――この言葉は一体何だったのか。
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、党総裁の岸田文雄首相(66)は国会や会見で度々、こう声を張り上げていたが、案の定、「カラ手形」だったことが分かった。
18日付の朝日新聞によると、自民党は「政治とカネ」をめぐる改革について、〈使途を公開する義務のない政策活動費や調査研究広報滞在費(旧文通費)の今国会中の見直しを見送る方針を固めた〉というのだ。
記事によると、〈企業・団体献金の廃止も先送り〉するほか、茂木敏充幹事長(68)ら複数の国会議員で発覚した、使途公開基準の厳しい「資金管理団体」から基準の緩い「政治団体」に資金移動し、使途を分かりにくくさせる手法の是非についても議論しないという。19日付の同紙では、自民の先送り方針に対して野党が反発している記事を掲載している。
国民もずいぶんと舐められたものではないか
さらに、領収書のいらない“つかみ金”として配られ、「政治とカネ」問題の温床となっていると指摘されている「政策活動費」についても、どうなるはか分からないから、まさに「ないない尽くし」。こんなデタラメな姿勢では、国民もずいぶんと舐められたものだ。
《ヤルヤル詐欺より酷い岸田首相》
《内閣支持率が落ち続けている理由を分かっていますか。国民の声をよく聞くはどうなったのか》
《「政治とカネ」問題には一切手を付ける気がないということだな。国民のけんかを売っているぞ》
防衛費増税など国民が嫌がる政策はすぐ実行し、国民が求める政策は知らんふり。つくづく、何のために政治家、総理大臣になったのか分からない。
●反省ゼロの自民に公明幹事長も異例の苦言 「政治資金規正法改正案なし」「派閥存続」でよぎる30年前の悪夢 4/19
さすがに腹に据えかねたのだろう。
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、同党と政治資金規正法改正の与党案協議に入った公明党の石井啓一幹事長(66)が19日の会見で、「問題の当事者は自民だから、自民案をまとめる努力もぜひ強く求めたい」「(自民案を)公にされることが本来のあり方ではないか」などと発言。公明党がすでに会計責任者だけでなく議員本人の責任も問える「連座制」導入や、パーティー券購入者の公開基準引き下げなどの改正案を示しているのに対し、いまだに具体策を示さない自民党に対して苦言を呈した。
「踏まれてもついてゆきます下駄の雪」などと揶揄される公明党の幹部が、表立って自民党の姿勢に“注文”を付けるのは異例だが、無理もない。石井幹事長が言う通り、裏金事件の“張本人”は他でもない自民党なのだ。にもかかわらず、まるで他人顔だ。
やはり、自民党には「反省」という言葉はない。それは「解消」したはずの派閥が今もなお“存続”し続けている状況からも明らか。
最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)や二階派(志師会)などの派閥を舞台に繰り広げられた裏金作り。岸田文雄首相(66)は唐突に「派閥解消」を打ち出し、自身の岸田派(宏池会)の解散を表明。以降、安倍、二階、森山、茂木の各派閥もこれに続いた。
ところが一部報道によると、解散を決めたはずの各派とも、政治資金規正法に基づく「その他の政治団体」の届け出を取り下げておらず、事務所も残ったままだという。さらに懇親会や昼食会などを開いてメンバーが集まっている派閥もあるという。
「何の問題の解決にもならない」立憲の馬淵議員の指摘通りの展開に
大騒ぎした「派閥解消」とは一体何だったのか。思い出されるのが、自民党が「リクルート事件」をきっかけに1989年5月にまとめた「政治改革大綱」。「国民の政治に対する不信感は頂点」「国民とのずれを深く反省し、国民の信頼回復を果たさなければならない」などとして、当時も「派閥解消」を掲げたが、結局、掛け声倒れに終わった。
今回の裏金事件でも自民党は「政治刷新本部」を立ち上げ、「国民の信頼回復に努める」「派閥解消」などと言っているが全く同じ。デジャビュというのか、悪夢を繰り返しているようだ。
3月2日の衆院予算委員会で、立憲民主党の馬淵澄夫議員(63)は岸田首相の「派閥解消」について、こう言っていた。
「総理は唐突に、直接的に裏金の解決には至らない自民党の派閥の解消を表明して、煙に巻こうとされました。総理はいつも(略)火の玉であったり、あるいは先頭に立つと言って、大変勇ましい、国民に受けそうな言葉を発せられます。しかし、その後は全くの無関心の放置。(略)何の問題の解決にもならない。したがって、成果はゼロ」
これに対し、岸田首相は「派閥の解消、これも煙に巻くものではないかという御指摘がありましたが、(略)派閥の関係者とよく諮った上で、けじめをつけるために解散をしたということであり、これは対応として決しておかしなものではなかったと思います」と答弁していたが、今の状況を見る限り、どうやら裏金事件は馬淵氏の指摘する通り最悪の展開になりつつあるようだ。
●裏金と地方議会 忖度せずに声を上げよ 4/19
国民の信頼を裏切った自民党の裏金事件は、政治全体への疑念を巻き起こしている。地方議員も自らの問題として向き合い、国政を突き動かす声を上げてほしい。
4日までの参院事務局のまとめなどによると、全国66の自治体議会で、裏金事件に関する意見書が可決され、国会に送付された。
事件解明や再発防止、政治資金の透明化などを求めており、地方議員の危機感の表れではあろう。
ただ、全国の都道府県、市町村合わせて1765自治体の5%にも満たない。京都は府、京都市をはじめ、向日、京丹後、京田辺、長岡京の6自治体。滋賀は県だけにとどまる。
京都府議会では、最大会派の自民中心でまとめた政治資金規正法の厳格化議論などを求める意見書が可決される一方、真相究明や企業・団体献金禁止の文言が入った他会派の意見書は否決された。
滋賀県議会では「事案の全容を徹底的に解明する」とした意見書が提出されたが、自民会派がこの文言を除いた案を出し、双方とも可決された。
自民地方議員は事件の解明に後ろ向きなのかと見えかねない。検察の捜査で刑事処分にいったん区切りがついたが、裏金化の経緯や使い道などの全容は依然、闇の中である。規正法の抜け穴を本気でふさぐなら、国民の目を欺く手口や動機などの調査が不可欠だ。
それとも実態が判明すれば、地方議員にも不都合が及ぶのだろうか。自民国会議員からは裏金を「地元の議員や後援会幹部との飲食に使った」「選挙区対策に必要だった」とする証言も出ている。
自民の京都市議と府議が、党府連主催の政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分を還流され、政治資金収支報告書に記載していなかった問題も発覚している。
意見書内容の忖度(そんたく)に加え、意見表明をしない大半の地方議会の背景に、国会議員との不明朗なカネや票の結びつき、自身の後ろ暗いカネの出入りがあるのなら、この空前の不祥事を断ち切る機会にしなくてはならない。
京都市議会の意見書では、特に検討を要する法改正課題として、事務方だけでなく政治家も責任を負う連座制、政党支部などから透明性の低い後援会などへの資金移動の規制を挙げる。必要だが、不十分である。
税金を原資にした政党交付金や報酬を受け取る以上、カネの出入りをガラス張りにし、企業・団体との癒着を招くカネ集めパーティーは国、地方とも禁じるべきだ。
●蓮池薫氏・櫻井よしこ氏と考える拉致問題解決への道筋…北朝鮮のシグナルの背景を読む 4/19
北朝鮮による拉致被害者家族の高齢化が進む中、北朝鮮に対し拉致問題解決に向けたプレッシャーをどのようにかけるべきか。アメリカとの関係、日本政府の動きはどうあるべきか。「BSフジLIVEプライムニュース」では北朝鮮に拉致され、その後帰国した蓮池薫氏を迎え、櫻井よしこ氏・礒ア敦仁氏とともに議論した。
横田早紀江さんと有本明弘さんが娘に会わなければ「解決」ではない
長野美郷キャスター: 2004年以降、日本は北朝鮮から拉致被害者とその家族を戻せていない。蓮池さんは特に2023年ごろから積極的に発信をされているが、心境の変化などは。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 特別変化はないが、親の世代の方々が次々に他界され、まだ帰国されない被害者の親御さんは横田早紀江さん、有本明弘さんの2人になってしまった。2021年に家族会で「期限」という言葉が出て、お2人と娘さんたちが会わなければ解決ではない、これで押していかないと動かせないと思った。
櫻井よしこ 国家基本問題研究所理事長: 2022年10月に岸田総理が「時間的制約」と言っている。2023年5月の「全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」では総理大臣として初めて明確に、時間の制約のある人道問題だから直接自分の下にチームを作ると述べた。それに対し北朝鮮から反応が出てきた。時間の制限については、被害者・家族会の皆さんも政府も同じ思いだと感じる。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 岸田総理は、今の状態では日朝関係の改善は困難と言っている。北朝鮮は日本との国交正常化によって経済協力を得ることを必ず組み込んでいるはずで、期限が守れない場合にどうなるか危機感を覚えているのでは。
礒ア敦仁 慶應義塾大学教授: すぐ効くものでなくても日本としては当然発信すべき内容。櫻井さんがおっしゃったように、岸田総理の発言の2日後に金正恩(キム・ジョンウン)政権では初めて外務次官レベルが日本に対して融和的な談話を送ってきた。総理の真意を探っている。
反町理キャスター: 蓮池さんは今日、平壌が見ているという気持ちで来られているか。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: もちろん。私が言うことは北朝鮮にとってかなり重みがあると思う。北に伝えることは私の活動の中で最も重要な部分。
櫻井よしこ 国家基本問題研究所理事長: 北朝鮮は、拉致された人たちは皆死んでいると言っているが、生存していることについて私達はそれなりの情報を持っている。だが日本国内でももう死んでいると言う人たちがおり、出版物も出ていることに対して、私は非常に憤り心配している。それもご出演の背景にあるか。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: はい、もちろん。我々が帰国した段階では全員生存していたが、北の都合で死亡としなければならず、無理やりストーリーを作り上げた。これは断定的に言える。北の「解決済み」を絶対に受け入れられないと伝える意味もあり、今日出てきた。
拉致問題と経済支援を「人道問題」パッケージに
長野美郷キャスター: 2024年に入って北朝鮮から日本へのシグナルが発信されているようにも見える。1月5日、金正恩総書記から岸田総理に宛てて能登半島地震の見舞いの電報が送られた。北朝鮮が友好国以外に電報を送るのは非常に珍しく、岸田総理に対して閣下という敬称を用いたことも注目された。2月と3月には金総書記の妹の金与正(キム・ヨジョン)氏が談話を出し岸田総理の訪朝に言及。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 以前と違い賠償や経済協力という言葉がない。代わりに「正当防衛圏」の話など核保有国としての自分たちに口出しするなという内容が目立つ。日本に譲歩する動きがあるかを確認している。ハノイの米朝首脳会談のとき、日本はアメリカに核問題における譲歩はしないでくれと言ったが…。
反町理キャスター: 安倍さんがトランプ大統領に。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: それを踏まえ、先を見た狙いがある気がする。日本の経済援助を諦めたわけではない。北朝鮮も日本の立場は百も承知の上で、拉致問題は論議しない、核問題も口出しするなとわざわざ国のトップとナンバー2が言ってきており、次の段階への布石と見える。次に米朝関係が動くときが日本の正念場だと考える。
礒ア敦仁 慶應義塾大学教授: 北朝鮮は「もしトラ」を相当意識していると思う。トランプ政権期には金正恩氏と3回の米朝首脳会談があったが、ブレーキをかけたのは日本の安倍政権。最低限、日本から邪魔されない関係を作っておこうという考えや、短期的には日米韓が安全保障上で協力を深めていることに楔を打ちたい思いもあると思う。そもそも金与正氏が日本にメッセージを投げたのは初めて。北朝鮮は岸田総理の真意を知りたい。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 岸田総理は拉致問題について「人道問題」と言った。人道問題としてまず拉致被害者を返せば、経済協力、つまり人道支援として北側に施すことになる。お互い人道で、という次のステップへの意図が明らかに読める。
櫻井よしこ 国家基本問題研究所理事長: 私達がいつも意識しておかなければいけないのは、北朝鮮の一番の重要事は金ファミリーの存続だということ。それにはお金も要る。そして日本しかお金を出す国はない。北朝鮮は日本を通してアメリカを見ているが「我々を無視したらどうなるかわかっているのか」というメッセージを毅然として伝えなければいけない。日本国は、拉致被害者を一括して取り戻すことなしには未来永劫独立国たりえない。私達はその瀬戸際にいる。北朝鮮に騙されず、揺るがないこと。
暫定措置の失敗を繰り返さないためには日米韓の意思疎通が不可欠
長野美郷キャスター: 北朝鮮の非核化を求める交渉が難航する中、米NSC(国家安全保障会議)のラップフーパー上級部長が「非核化への道における暫定措置を検討する」と発言。
礒ア敦仁 慶應義塾大学教授: トランプ政権もその考え方をしていた。北朝鮮の核を一瞬にしてなくすのは技術的にも不可能で、実際は暫定的な措置を積み上げていくことになる。それがバイデン政権からもかなり明確に発信されるようになった。
反町理キャスター: こういう暫定措置、段階的な対応にアメリカが舵を切っていることは、北朝鮮にとって外交的な勝利なのでは。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 核の能力を高めて強いカードにした上で中間措置の方向に持っていくのが北の基本戦略。アメリカの方から言われるのは願ったり叶ったり。そこで経済制裁をある程度骨抜きにすれば自分たちのやりたい放題にできる。1994年の枠組み合意も2005年の六者協議も暫定でやって失敗している。それを繰り返さないため、日米韓が意思疎通し方向性を決めること。
櫻井よしこ 国家基本問題研究所理事長: 日本だけの力ではある意味どうしようもない。アメリカが全ての核保有国に対して睨みをきかせることができなくなった時代に私達は生きており、そこでどうやって日本を守るかという発想が必要。我々もそこを補完すること。だから岸田さんはアメリカでグローバルパートナーシップと言った。暫定措置についても日米韓で協議をすることは大事だが、一番重要な軸の国であるアメリカが今の姿勢ではダメ。
長野美郷キャスター: 拉致問題の解決にアメリカの協力や支援は重要かどうか。
櫻井よしこ 国家基本問題研究所理事長: 国際社会は一国で全ての問題を解ける時代ではなくなった。そして今の自衛隊は、残念ながら正式な軍隊ではない。日本国の国家としての脆弱性を考えるとき、アメリカの協力なしでどうやれるのか。もちろんアメリカもどの国も自国の国益が最優先。アメリカに頼るのではなく、助言や助力が欠かせないと私は思う。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 日本がやることをアメリカに支持してもらうこと。例えば拉致問題解決のために努力する上で人道支援を行うときに賛成してくれるという支援。アメリカがやってくれることに期待し寄りかかるようなことはダメ。
礒ア敦仁 慶應義塾大学教授: 日本の立場への理解をアメリカに示してもらうのは最低限必要なことで、それは今まで20年間かけて十分やってきた。これからは日本がきちんと動くこと。日本人を取り戻すのは日本政府しかない。だが2024年に入ってから北朝鮮が発信している談話を見ると、水面下交渉には至っているようには到底見えない。本当に拉致問題最優先でやってきたのかという疑問は感じざるを得ない。
長野美郷キャスター: 岸田政権は拉致問題解決に向けて何をすべきか。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 北の言う死亡説を崩す最も強力な手段は、現在の拉致被害者の生存情報。これを得ることはいろんな手立てにつながる。韓国との協力を含め情報収集を強化してほしい。
反町理キャスター: どうなれば「拉致問題は解決した」となるか。
蓮池薫 新潟産業大学特任教授: 日本で拉致被害者としてまだ認定されてない方々がいる。その対処が必要。認定拉致被害者と特定失踪者については、全てを救うという原則は同じだが、アプローチには差が出てもしょうがないかなと。確証がある方々はどんどん認定し、まだ認定できていない方々については、関係が一定改善したときに協力を得て行方不明者として救出してもらうなど。万が一の万が一として亡くなっているなら、ご家族が納得できる真相解明を北朝鮮がすること。
礒ア敦仁 慶應義塾大学教授: 「決着」には何らかの政治的な定義が必要。いざ首脳会談で拉致問題だけ解決しようとしても、核・ミサイル問題でも要求しようという世論になる。総理自身が調整し国民を説得する努力が要る。
●罰則強化や透明性向上 公明党が政治資金規正法改正案の要綱案まとめる 4/19
自民党の派閥の裏金事件を受け、与野党が今の国会で政治資金規正法の改正を目指す中、公明党は19日、政治改革本部を開き、党がまとめた改正案の要綱案が了承されました。
公明党の案では、会計責任者だけでなく政治家も責任を負うよう罰則を強化し、いわゆる「連座制」を導入して『政治団体の代表者が会計責任者の「選任」、または「監督」のいずれか一方について相当の注意を怠ったときは、50万円以下の罰金に処する』としています。
また、政治資金の透明性を向上させるため、パーティー券購入者の公開基準を現在の「20万円超」から「5万円超」に引き下げることや、政策活動費の使い途の公開を義務づけるなどとしています。
●「野放しは異常」外国人パー券購入の抜け穴°魔キな! 派閥裏金事件受け政治資金規正法改正、自公で協議開始も抜け落ちた焦点 4/19
自民党派閥の裏金事件を受け、政治資金規正法改正を議論する、自民、公明両党の実務者協議が16日、始まった。岸田文雄首相(党総裁)は、1議員本人を含めた厳罰化2収入の第三者による監査徹底3デジタル化による政治資金の透明性向上―の検討を指示している。ただ、重要な焦点が抜け落ちている。外国や外国勢力の浸透や介入を防ぐ、「外国人や外国法人などによるパーティー券購入禁止」である。日本を取り巻く外交・安全保障環境が悪化するなか、日本の平和と安全、国益を守り抜くためにも、「ザル法」と揶揄(やゆ)される同法を厳格化できるのか。16日告示された衆院3補選(28日投開票)の争点にすべきだ。
「政治の信頼回復へ、政治資金規正法改正などの取り組みを訴えなければならない」
岸田首相は衆院3補選(東京15区、島根1区、長崎3区)が告示された16日、官邸で記者団にこう強調した。
自民、公明両党の実務者協議が始まった。岸田首相は今国会中の改正を目指しており、早期に与党案を取りまとめることを確認した。
ある自民党議員は「動きが遅い。本気で『厳罰化』する気があるのか疑問だ」と焦りを見せた。
公明党はすでに、政治資金収支報告書の不記載(裏金化)など、虚偽記載があれば、会計責任者にとどまらず、国会議員も連帯責任を負う「連座制」の導入を柱とした案をまとめたが、自民党内には慎重論もある。野党各党も、連座制導入や企業団体献金やパーティーの制限強化、政策活動費廃止などを含めた改正案を打ち出している。
こうしたなか、岸田政権が二の足≠踏んでいるように見えるのが、「外国人によるパーティー券購入禁止」の明文化だ。
政治資金規正法では「外国人献金の受け取り禁止」を明記している(第22条の5)。外国勢力が、わが国の政治や選挙結果に影響を与えて、国益を害するのを防ぐためで、外国人や外国法人から寄付の受け取りはできない。
国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一名誉教授は「外国人献金や資金流入の法規制は、安全保障やスパイ防止の観点から、極めて当然の対応で、あらゆる手段により措置を講じるのが国際常識だ」と解説する。
米国では、外国政府や外国団体の権益を代表するロビイストは司法省への登録制にしている。不正な接触や資金提供を禁じるためだ。
ドナルド・トランプ前大統領の選対本部長を務めたポール・マナフォート氏は2016年、無登録で外国政府や指導者の代理人としてロビー活動を行ったとして立件されている。
島田氏は「外国人献金を禁じながら、外国人のパーティー券購入を野放しにするのは異常だ。例えば、中国は『国防動員法』などにより、民間・企業を含めた、すべての中国人が有事を念頭に国家に協力することを強制している。『台湾有事』の懸念も高まるなか、接触やパーティー券購入などによる資金提供は『中国共産党政権の意を受けた行動』だと警戒しなければならない」と指摘する。
自民党内にも問題視する声はある。
小野田紀美参院議員は1月16日、党政治刷新本部の会合で問題提起した。自身のX(旧ツイッター)で翌17日、自身の発言をこう紹介した。
「外国による政治介入を防ぐために外国人献金は禁止されているのに、政治資金パーティー券は外国人が買えてしまう」「パーティー券を某外国人がたくさん買っていたことが問題になった事例も自民党議員にあった。この抜け穴は絶対防がなきゃいけない」
有村治子参院議員も3月6日の参院予算委員会で、岸田首相に次のように訴えた。
「特定の外国の人が、パーティー券を買い続け、参政権がないにもかかわらず少なからず経済的支援を続けているとすれば、相当の(政治的)動機があるはずだ」「日本の政治が、外国勢力から『支配』『干渉』を受ける制度的脆弱(ぜいじゃく)性を持ち続ける」
これに対し、岸田首相は「問題意識は共有する。自民党として何ができるか考えたい」と述べるにとどまった。
門田氏「SC制度と一体で改正を」
作家でジャーナリストの門田隆将氏=写真=は「岸田首相は、すべてがその場しのぎで、責任を取らない。裏金事件で安倍派と二階派の議員を断罪しながら、自ら引責しなかったのは象徴的だ。政治資金規正法改正も、本丸である『外国人のパーティー券購入禁止』に乗り出さなければ、本気度≠ネどないと分かる」と厳しく突き放す。
折しも、今国会では、経済安全保障分野の機密情報の取り扱い資格を認証する、「セキュリティ・クリアランス制度(SC制度)」を創設する「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案(SC法案)」が議論されている。
門田氏には、外国勢力の国政への浸透工作問題に迫った『日中友好侵略史』(産経新聞出版)という著書がある。2022年5月に都内で開かれた岸田派(宏池会)の政治資金パーティーに出席した中国人から直接話を聞いたという。門田氏は総括する。
「外国人によるパーティー券購入を許す限り、政界は『買収』され続ける。岸田首相が率いた宏池会でも、多くの中国人らがパーティー券を購入していた。彼らの目的は『政治家とのつながりを深める』ことなどにある。パーティー券を大量購入してもらうのは『借り』をつくることだが、その見返りは何か。岸田首相は実態を率先して説明すべきだ。外国勢力の介入を阻止するため、SC制度と一体のものとして、政治資金規正法を改正し、外国人によるパー券購入も禁止しなければならない」
●規正法改正「自民案示す」=公明要求で方針転換―岸田首相 4/19
岸田文雄首相(自民党総裁)は19日の参院本会議で、派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正について、「わが党としての最終的な改正案を責任を持って取りまとめ、可能な限り早期に示したい」と表明した。立憲民主党の小西洋之氏への答弁。
自民幹部も19日、党の独自案を示す考えを強調した。自民は当初「案を党としてまとめることは検討していない」(作業部会座長の鈴木馨祐衆院議員)との立場で、独自案を示さないまま公明党との協議に入った。
しかし、公明の要求や野党の反発を受けたほか、衆院政治改革特別委員会の26日開催が決まったことを受け、方針を転換したとみられる。
公明の石井啓一幹事長は19日の記者会見で、「問題の当事者は自民党だ。自民案をまとめる努力をぜひ強く求めたい」と強調。「(自民案を)公にすることが本来の在り方ではないか」と語った。この後、記者団に、こうした考えを自民の茂木敏充幹事長に伝えたとも明らかにした。
●不公平にも程がある! 75歳以上「月750円」負担の非情、問題だらけの子育て支援金 4/19
老人をムチ打つ制度だ。こども家庭庁が16日、少子化対策の財源として公的医療保険料に上乗せして徴収する支援金について、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の年収別負担額の試算を公表。徴収を始める2026年度から段階的に上がり、28年度には年金収入のみの単身世帯で月50〜750円の負担が生じる見込みだ。
会社員らが加入する被用者保険と自営業者らの国民健康保険に続き、収入別の試算が出そろった。問題は不公平な徴収額だ。
後期高齢者医療制度の場合、1人あたりの負担増は年収180万円が月200円、年収200万円が同350円、年収250万円が同550円、年収300万円が同750円。一方、被用者保険は年収400万円で650円、国保は同550円。後期高齢者の方が被用者保険や国保に比べ、明らかに負担が重いのだ。
16日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で立憲民主党の岡本章子議員が「不公平感を是正すべきではないか」と問いただしたが、加藤こども政策相は「(負担額の平均は)被用者保険で500円、国保で400円、後期高齢者医療制度で350円と示しており、実際の拠出額は世帯の状況等によりさまざまであります」と原稿をボー読み。「いずれにしても、負担能力に応じたものとなることは、これまで申し上げてきた通り」とはぐらかした。
保険料の上げ幅は過去最大
ただでさえ、高齢者の負担増は深刻だ。2年に1度、都道府県ごとに改定が行われる後期高齢者医療制度の保険料は今年度、全国平均7000円を突破。前年度に比べ507円もアップし、伸び率は2008年の制度開始以降、最大となった。年収400万円の高齢者は、保険料が年間で1万4000円も高くなる。
いくら現役世代の負担軽減や支援のためとはいえ、こうも負担増が続いては、高齢者の家計は逼迫するばかりだ。経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「岸田首相は『賃上げと歳出改革によって実質的な負担は生じない』と強弁していますが、そもそも、年金暮らしの高齢者にとって賃上げは関係ないし、むしろ年金は目減りする一方です。社会保険料のような取りやすいところから取るのではなく、真正面から『子育て世代のために増税します』とお願いするのがスジなのに、口を開けばごまかしばかり。どういう費用対効果が見込まれるのかすら示せていない。あらゆる面でチグハグです」
高齢者により重い負担を課すあたり、「姥捨て」よりもタチが悪い。不公平にも程がある。
●林官房長官「物価高から国民守る」 4/19
林芳正官房長官は19日の記者会見で、2023年度の全国消費者物価指数が3年連続でプラスとなったことに関し、「物価高から国民生活を守るとともに、所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実に作り出していきたい」と強調した。同時に、前年度比で上昇率が縮小したことも指摘。「資源価格の落ち着きに加え、燃料油や電気・ガスの激変緩和措置の効果で、財価格の上昇ペースが落ち着いてきた」との認識を示した。
●カオスな東京15区は水面下で情報戦…岸田自民は衆院3補選で立憲の「完勝」阻止を画策か 4/19
岸田政権の明暗を分ける衆院3補欠選挙で、東京15区には9人もの候補者が乱立。カオスな展開となっている。選挙戦は連日、各候補の街頭演説で熱を帯びているが、水面下の情報戦も激しくなっているようだ。永田町では真偽不明の情勢調査が複数、出回っている。
「ひとつは『自民党調査』と明記されていて、実施時期は先週末とある。立憲民主党の候補が、次点の日本維新の会の候補に20ポイント近く差をつけています。もうひとつは、あるメディアが先週末に実施したとされる調査で、こちらも立憲が次点の維新を10ポイント超も上回っている。ただ、世論調査で立憲の政党支持率が伸びているわけでもないし、どうにも不自然な結果です。誰かが意図的に流しているのでは、という声もある」(永田町関係者)
自民は小池都知事がバックアップする無所属の作家・乙武洋匡氏への相乗り推薦を狙ったが、失敗し擁立を断念。「裏金自民」という最大の敵が不在の中、立憲にここまでの追い風が吹くことには違和感が残る。そもそも、候補者乱立で票が割れ、誰も当選に必要な法定得票数に届かず、再選挙になるとの見方もある。「立憲リード」の調査結果流出は、自民による策略の可能性がある。
「候補がいないとはいえ、後の選挙に生かすため、自民が定期的に情勢調査を実施しているのは間違いない。あえて『立憲リード』の調査結果を流すことで、立憲陣営を油断させる狙いがあるのではないか」(官邸事情通)
策略が効き始めているのか、実際、立憲関係者は「15区はウチの候補で決まりだ」と余裕たっぷり。真偽不明の調査結果を流したか否かハッキリしないが、自民が立憲を狙い撃ちする動機はある。
「3補選を巡って、自民は長崎3区で不戦敗を選び、立憲の当選が確実視されている。保守王国の島根1区は立憲との一騎打ちですが、こちらも情勢は絶望的です。立憲が東京15区も制し、『3戦全勝』を許せば、次期衆院選で一気に立憲が『反自民』の受け皿になりかねません。年内解散がささやかれる中、自民としてはそうした展開だけは避けたい。15区は与党寄りの維新や乙武陣営に当選してもらった方が御しやすい。『立憲完勝』を阻みたい思惑があるはずです」(前出の官邸事情通)
裏金自民の策略にハマってはダメだ。
●定額減税を一斉給付にしなかった岸田首相の思惑と計算 4/19
3月28日「税制改正関連法」が成立しました。6月から「定額減税」が実施されます。
定額減税は1人につき所得税を3万円、住民税を1万円減税するもの。ただし給与収入が2千万円を超える方は対象外になりました。
定額減税は、扶養家族も対象です。たとえば専業主婦の妻と子ども1人を扶養する会社員のAさんは、3人家族ですから所得税は9万円、住民税は3万円、合計12万円が減税されます。減税の方法は、所得税と住民税で異なります。
所得税は、会社員なら給料から天引きされています。たとえば先のAさんが天引きされる所得税が毎月1万5千円とすると、6月は天引きゼロ、7月もゼロと、所得税の減税額9万円に達する11月までゼロが続きます。Aさんは12月から1万5千円に戻ります。
自営業者などの所得税は、2025年に行う確定申告で減税します。
いっぽう住民税は、6月の徴収をなくし、7月から減税分を11カ月で均等に分けて減らします。
Aさん世帯の住民税が年間18万円とすると、18万円から住民税の減税分の3万円を差し引いた15万円を11等分。15万円÷11=1万3千636円を7月以降11カ月間納めるかたちです。
トラブルを怖れたのかマイナンバーカードを使わずに
定額減税の目的は、物価高に対抗できるよう税金を減らして手取りを増やすこと。ですが、減税だけだと税金を納めていない世帯に支援が届きません。
そこで、住民税非課税世帯などには1世帯あたり7万円の給付を行います。低所得の子育て世帯には、18歳以下の子ども1人あたり5万円を追加します。
さらに、税金を納めていても、ふるさと納税などの節税で、2024年中に納める税額が定額減税の額より少ないケースもあります。こうした減税しきれない方には、夏以降に不足分の給付を行います。
結果、定額減税は(1)減税だけ(2)給付だけ(3)減税と給付の両方の3種類ある複雑な制度になりました。実務担当者の苦労がしのばれます。
なにより減税ではなく給付金が欲しいと思いませんか。でも、国は「減税」にこだわった。定額減税を議論してい2023年秋、岸田首相を“増税めがね”と揶揄する風潮に対抗したかったのでしょう。
加えて、給付ならマイナンバーカードが使えます。マイナンバーカードに公金受取口座をひもづけている方には、給付は簡単に完了するはず。国がそう喧伝していたのですが、実際は、ひもづけミスなどさまざまなトラブルが噴出するのを怖れたのか、マイナンバーカードは使われません。
4月は食品が半年ぶりの値上げラッシュとなり、6月には電気やガスの補助金が終わるといわれています。少子化支援金や防衛増税など、今後は負担が増えることばかり。たとえ定額減税があっても、家計にとってはマイナスでしょう。
岸田首相のバラマキ作戦をうのみにして、財布のひもをゆるめてはいけません。
●《岸田政権が進めるまやかしの負担増》「子育て支援金は“隠蔽増税”だ」 元経産官僚らが「見直しではなく、撤回すべき」と緊急声明 4/19
少子化対策に充てる費用を公的医療保険料に上乗せして徴収する「子育て支援金」の制度創設を含む関連法案が4月19日、衆議院本会議で可決したが、この制度に有識者から「待った」の声が上がっている。財政学者の小黒一正氏や経済ジャーナリストの磯山友幸氏ら29人の知識人が〈「子育て支援金」制度の撤回を求める〉と緊急声明を発表したのだ。
この制度をめぐっては、政府は加入者1人あたりの負担額をめぐる説明の揺れが指摘されながらも、裏金問題の騒動を尻目に、するすると国会審議をすり抜けた。法案は参院に送られるが、緊急声明のとりまとめに携わった元経産官僚で政策工房代表の原英史氏に問題点を聞いた。
私たちはこの制度の「見直し」ではなく、「撤回」を求めています。この制度は根本的に間違っているので、撤回しかありえません。今国会に提出された当初、政府は「実質負担増はない」「1人月平均500円弱」などと説明していましたが、その後、負担額の説明はコロコロかわりましたよね。もっと問題なのは、報道はこの金額の話ばかりに偏ってしまい、この制度の“根本的な欠陥”がまったく見過ごされたまま、法律が成立しようとしていることです。
根本的な欠陥とは何か。そもそも、医療保険は病気になった時に備える社会保険であって、「少子化対策」はその目的から外れています。しかも、現役世代に重く負担がのしかかり、少子化対策に逆行しています。
そうした本末転倒が起きる最大の原因は、国民に負担増を求める説明から政治が逃げているということにあります。岸田文雄首相は〈異次元の少子化対策〉を掲げる一方、〈増税や負担増はしない〉という矛盾した方針を打ち出しました。少子化対策をやるなら国や自治体の税財源から出すのが当然なのに、政治が議論から逃げたために、役所は〈社会保険料で取る〉という“ごまかし”のプランを仕立て上げた。要するに子育て支援金は、取りやすいところから取るという“隠蔽増税”なのです。
マスコミも経済団体もおかしい
そうした議論が深まらなかった大きな原因のひとつに、経済団体や健保組合連合会のようなステークホルダーが沈黙していることがあります。
本来なら、社会保険料を折半することで負担が生じる企業も反対の声をあげるはず。しかし、昨年秋に内閣官房やこども家庭庁の官僚がこうした団体を軒並み回って「反対しないで」と説得して回ると、その説得が効いてしまった。これで黙ってしまうほうも情けないですが、マスコミも同じです。全国紙では加入者の負担金額の話に終始して、根本論に立ち入る批判はしていません。
じつはマスコミがちゃんと報じないだけで、野党議員は国会でじつに的確な質問をしています。ただ、何がなんでも徹底抗戦して止めさせる、という構えにならなかったのは、国民の反発が弱かったからでしょう。与党も衆議院の採決に踏み込んでも強い批判は起きない、とタカを括ってしまった。国民の反発が強ければ、与党もこんな拙速な国会運営はできなかったはず。
今回の緊急声明を主要政党には届けていますが、立憲民主党や日本維新の会からは、「なんとか撤回させましょう」と心強い反応をもらいました。参議院の議論に注目しています。
財源の議論の前に、一度、撤回を
立憲民主党は、日銀が保有している上場投資信託(ETF)から出ている分配金を代替財源として活用する修正案を提出しましたが、財源の議論を始めると、議論はまとまらなくなるんです。私は増税せずに歳出削減を通じて財源を出すべきだという考え方ですが、「消費税でやるべき」という人もいれば、「資産課税でやるべき」という人もいる。国債(借金)でまかなうべきという議論もあるでしょう。
ただ、ここで誤魔化されてはいけないのですが、いずれの立場であろうと、社会保険料に上乗せして財源に充てる政府方針が間違っていることだけははっきりしている。
岸田政権は、国民がよくわからないうちにごまかし切ってしまおうという作戦のようですが、こんなものはいずれ国民に見透かされるに決まっています。バレた時に、国民の激しい怒りを買うに違いありません。そんなことになる前に、一度、立ち止まって撤回してもらい、1年かけて正面からの議論をしないと。
支持率が低いことがネックになるなら、負担が生じるような子育て支援の支出を止める選択肢もあるはずです。増税であろうと、歳出削減であろうと、どのような提案をしても反発は食らいます。その反発から逃げない政治を期待しています。
●たとえ補選全敗でも今の自民党には岸田首相をおろすパワーはない 4/19
政権交代ののろしが上がるか
4月28日の衆院3補選。自民は長崎3区で候補者を擁立できず、東京15区では小池百合子都知事が推す候補を推薦もできず、唯一立てている島根1区でもし負けたら、補選全敗になってしまう。
反対側から見ると立憲民主党が3勝する可能性があるということで、むしろそちらの方が今後の国政選挙をにらんで大きなニュースになるだろう。つまり政権交代ののろしが上がるという事だ。
岸田文雄首相は補選全敗を免れれば、すなわち島根1区で勝てば、国会会期末での野党の内閣不信任案提出を受けて解散し、総選挙で国民に信を問うという見方があるが、なかなか難しそうだ。
こうした中、次期総裁に名前が挙がる石破茂元幹事長が17日の「ラジオ日本」の番組で、「島根を一所懸命やらないで、岸田けしからん、辞めろというのは自民のすることではない」と述べた。
ゆっくりおろせばいいのか
この発言について共同通信は「性急な岸田おろしにくぎを刺した」という記事を出したが、筆者はそれを読んで「じゃあ島根で負けたらおろすということなのか。性急ではなくゆっくりおろすのか」と思った。
ただ主流派のある幹部はたとえ補選全敗でも岸田氏がおろされることはない、と明言している。総裁選に名前が挙がっている、茂木敏充、石破茂、高市早苗、河野太郎、そして上川陽子氏ら、及びその周辺に岸田氏をおろすだけのパワーはないという見方だ。
確かに、これはたまたま3人の自民の議員から同じ話を聞いたが、「国民は岸田政権というより自民党がダメだと言っている」という事だった。そうであれば岸田氏をおろして顔をすげ替えてもあまり意味はないのかもしれない。
つまり岸田氏をおろして新しい顔で解散するというのは必ずしもいいシナリオではないのだ。
自爆テロ解散はやめた方がいい
ちなみに自民にとって最悪のシナリオは、補選全敗にも関わらず岸田氏が「国民にお灸をすえられてみそぎは済んだ」などと言い出して解散してしまうという「自爆テロ解散」だ。
党内では岸田氏による突然の宏池会解散宣言や、首相の政倫審への出席、さらに安倍派幹部への意外にも厳しい処分など「岸田サプライズ」に戦々恐々としており、「次また何をやるかわからん」という警戒心を抱く人が多い。
解散するには地合いが悪い、岸田氏をおろしても次の人がいない、ということであれば、このまま岸田首相で解散もせず、ズルズルいくしかないのかもしれない。
衆議院の任期はまだ1年半も残っている。内閣不信任案が可決されない限り岸田氏は国民から政権を任されているわけだから、ズルズルと、いや粛々とやらねばならぬことをやるしかないのではないか。 

 

●裏金発覚でも減らない「政党交付金」は年間315億円 「民主政治の健全な発展」に役立っているのか 4/20
総務省は19日、政党交付金78億8413万円を9党に交付した。自民党派閥の政治資金パーティー収入裏金事件を受け、与党の政治改革協議が始まったが、政党交付金の議論は置き去りになっている。余ったら国庫へ返すのが原則なのに、基金にため込んで選挙の資金源とし、裏金事件を起こしても支給停止や減額はない。国民1人当たり250円の税金を原資とする年315億円の政党交付金は「民主政治の健全な発展」のためというが、本当に政治の発展に役立っているのか。
   政党交付金
所属国会議員数や国政選挙の得票数に応じて配分され、4、7、10、12月の4回に分けて支給される。2024年分の政党交付金の総額は315億3652万円。自民党が5割超の160億5328万円を受け取る。共産党は制度に反対して受け取っていない。みんなでつくる党は、交付に必要な届け出書類を提出していない。
不祥事を起こした日大は「3年連続で全額停止」
問題の一つは、贈収賄や選挙違反などの事件発覚後もおとがめなしで満額を受け取れる仕組みだ。野党からは、日本大が不祥事を起こして私学助成金を3年連続で全額停止されたことを引き合いに、自民への支給を疑問視する声が上がる。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「起訴された議員にかかる政党交付金を返還すべきでは」と指摘。不祥事で削減される私学助成金のように、所属議員が起訴されたら交付金を停止する法改正を求める。
政党助成法ではその年に余った交付金などについて、総務相が返還を命じることができると規定するが、返還事例は多くない。例外として基金に移せば返還を免れることができるとし、貯蓄して選挙の年につぎ込んでいるのが実態だ。
基金残高(政党本部・支部の合計)は22年末の時点で、自民が216億3900万円と桁違いに多い。次いで日本維新の会が12億7000万円。野党第1党の立憲民主党は6億6600万円で、国民は3億4200万円だった。
企業献金を廃止するはずだったのに…二重取り
9党の基金総額は、国政選挙も統一地方選もなかった20年末には323億4400万円だったが、衆院選を経た21年末には281億3300万円に減少。公認推薦料や陣中見舞いなどの選挙関係費が伸びていた。
政党助成法は第1条で「政治活動の健全な発達の促進及び公明と公正の確保を図り、民主政治の健全な発展に寄与する」と目的を掲げるが、逆に金権選挙を助長し、選挙の公平性をゆがめている面は否定できない。実際、19年参院選の広島選挙区の買収事件では、自民党本部から河井案里氏の陣営側に政党交付金1億2000万円を含む1億5000万円が投入されていた。
政党交付金は1994年の政治改革で導入された。代わりに企業・団体献金を廃止するはずだったが、政党と政党支部への献金は温存され、二重取りの問題も放置されている。
日大の岩井奉信(ともあき)名誉教授(政治学)は「日本の政党助成は世界最大規模」と指摘。「総コストを明示させ、無駄や二重取りを洗い出す必要がある」と話す。
●政治資金規正法改正へ攻防本格化 特別委始動、裏金追及も 4/20
国会は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治改革特別委員会を26日に初開催する。岸田文雄首相が今国会成立を明言する政治資金規正法改正を巡り、与野党の攻防が本格化。衆参両院の予算委員会では集中審議が開かれる。野党は裏金事件の実態解明が不十分として追及を続ける構えだ。
規正法改正を巡っては、自民と野党の立場の隔たりは大きい。自民は議員の厳罰化や第三者による監査徹底、デジタル化による政治資金の透明性向上を重視。一方の野党は、政治資金パーティーや企業・団体献金の禁止のほか、使途公表が不要な政策活動費の廃止などを求めている。
●〈崖っぷちの女帝〉学歴詐称疑惑再燃で崩れた小池知事「国政回帰のシナリオ」。東京15区補選惨敗なら求心力低下は必至、元側近の“刑事告発示唆”で7月の都知事選も黄信号 4/20
“女帝”小池百合子東京都知事が学歴詐称疑惑で窮地に追い込まれている。4月16日に告示された衆院東京15区補選では、小池氏が満を持して作家の乙武洋匡氏を擁立したが、自民党の推薦見送りもあって目下、大苦戦。さらに、元側近が疑惑について公職選挙法違反の罪で刑事告発する可能性も示唆しており、7月に投開票される都事選にまで暗雲が立ち込め始めている。
推薦して負けるくらいなら不戦敗のほうがマシ
「小池知事の学歴詐称疑惑で、乙武氏はさらに劣勢に追い込まれている」
永田町関係者は国会周辺で出回っている情勢調査の数字を見ながらそう解説した。大乱戦となっている東京15区補選について、自民党が4月13、14日に実施したとされる情勢調査では、立憲民主党の酒井菜摘氏が他候補を大幅にリードして首位となり、肝心の乙武氏は酒井氏にトリプルスコアのリードを許している状況。
都内の選挙では異例の強さを誇る小池氏と知名度抜群の乙武氏がタッグを組んだにもかかわらず、厳しい数字が叩きつけられた形だ。
東京15区補選をめぐっては、自民党が裏金問題の逆風で候補者すら立てられず野党候補が乱立するなか、小池氏が乙武氏を擁立することによって一気に流れをつくることを目論んでいた。
小池氏は自民幹部に乙武氏の擁立について発表前から内々に伝え、自民からの推薦をもらう方向で調整。自民にとっても候補者擁立がままならないなか、小池氏の候補に相乗りできるのは渡りに船で、茂木敏充幹事長は乙武氏が8日に出馬会見を開く前から推薦する方針を記者団に明らかにしていた。
しかし、その算段は小池氏の学歴詐称疑惑が再燃する前から崩れ始めてしまった。自民は上記調査の1週間前にも情勢調査を実施しており、そのときすでに乙武氏の状況は芳しくなかった。
乙武氏は2016年3月、週刊新潮に不倫などの女性疑惑が報じられて参院選への出馬を断念した過去があり、ここにきても小池氏の思惑とは裏腹に支持が伸び悩み、自民内からは推薦への慎重論が浮上した。
一方、乙武氏も自民の裏金問題に関する悪評を懸念し、出馬会見では「政策を見て推薦したいという思いをいただけるのであれば一つひとつの政党とお話をしたいが、現時点では私自身から推薦依頼を出している事実はない」と発言。結局、12日、自民は乙武氏の推薦見送りを決定した。
見送りの理由について、自民党は「本人から推薦の要請がないこと」「選挙区である江東総支部から党としての推薦を出さないでほしいとの要望があがっていること」などとコメントしている。
だが、自民党関係者は「情勢調査の結果から乙武氏が苦戦を強いられると分析し、推薦して選挙に負けるくらいなら、推薦を出さずに不戦敗のほうがマシという考えも背景にあった」と明かす。
擁立する小池氏の学歴詐称疑惑が乙武氏のさらなる逆風に
乙武氏の選挙体制が瓦解するなか、さらに追い打ちをかけているのが小池氏の学歴詐称疑惑だ。
小池氏の「カイロ大学卒業」については1992年に国会議員に初当選したころから「詐称ではないか」という疑惑がついて回っていたが、知事再選をかけた2020年の都知事選前には『女帝 小池百合子』(ノンフィクション作家・石井妙子著)が発売され、書籍内ではカイロ時代の同居人から「卒業していない」という証言も飛び出し、疑惑に再び注目が集まった。
この直後に駐日エジプト大使館がFacebookに小池氏の卒業を認める「カイロ大学声明」を突如として掲載。疑惑は一気に沈静化することになる。
だが、小池氏の元側近で都民ファースト事務総長を務めていた小島敏郎氏がこのことについて、4月10日発売の文藝春秋に「私は学歴詐称工作に加担してしまった」と告発。「カイロ大学声明」は小池氏の依頼によってジャーナリストが執筆したものだと明らかにした。
告発のとおりなら疑惑払拭の声明自体に、疑惑をかけられた小池氏自身が関与していたことになり、その正当性は大きく揺らいでいる。
そのような背景で乙武氏の情勢はこの1週間でさらに厳しいものになってしまったというわけだ。
「小池氏は東京15区補選の勝利を足掛かりに、自民に恩を売って、国政に回帰して総理大臣を目指すことも視野に戦略を立てていた。しかし、補選惨敗となれば、国政回帰はおろか、今年の都知事選での3選も危うくなってくる」(永田町関係者)
近づく女帝の最期…?
自民党が東京15区から手を引いた今、補選は岸田政権ではなく小池氏の実力を測るバロメーターと化しており、結果によっては求心力が一気に低下する可能性もある。
さらに、小池氏を告発した小島氏は17日、日本外国特派員協会で記者会見を開き、小池氏が今年の都知事選にカイロ大卒と明記して選挙に出た場合には公選法違反にあたるとして刑事告発することを示唆。「法廷で戦う段階になればすべてを明らかにする」と宣言した。学歴詐称疑惑が東京15区補選だけでなく、都知事選にも直撃することが予想される。
都知事選をめぐっては、まだ小池氏と争う有力な対抗馬は出てきていないが、立憲は勝つための候補者選定に向けて動いている。
立憲関係者は「前回は小池氏に勝てる見込みがなかなかないまま、これまで都知事選に挑戦し続けてきた宇都宮健児氏を支援することで体裁を保っていたが、今回は小池氏にとって大逆風の選挙となるだろう。本気で知事の座を獲りにいかないといけない」と意気込む。
関係者によると、著名な男性の学者から立憲に立候補の申し出があったといい、擁立の選択肢に入れながら、今後の情勢も見極めて慎重に候補者を選定していくという。
東京15区補選を制して国政に殴り込もうとしてきた小池氏だが、乙武氏の支持が伸び悩んで失速し、さらに学歴詐称疑惑が追い打ちとなって自身の都知事の座すら危うい。
「政治の世界は一寸先は闇」とはよくいうが、この約3週間でここまで周囲を取り巻く環境や情勢が変わるとは、小池氏も3月末に乙武氏を擁立した時点では微塵も予想していなかっただろう。
女帝の力が弱まりつつあるなか、都民はどのような判断を選挙で下すのか。
まずは4月28日、東京15区補選の投開票に注目が集まっている。
●小池都知事は「カイロ大卒」について国会議員時代は何と言っていた? 学歴詐称疑惑はいよいよ佳境に 4/20
「稀代のペテン師」か、それとも「世紀の大誤報」となるのか。
“権力と寝る女”、“政界渡り鳥”などと言われた東京都の小池百合子知事(71)の「カイロ大卒」という学歴詐称疑惑の展開に再び注目が集まっている。
浮上しては消え、あやふやなままだった小池知事の学歴詐称疑惑だが、地域政党「都民ファーストの会」元事務総長の小島敏郎氏(75)が、月刊誌「文藝春秋」(2024年5月号)で「(小池氏の)学歴詐称疑惑の隠蔽工作に加担した」と告発し、再燃した。
小池都知事の元側近で、法曹資格もある小島氏が爆弾証言したからには、これまでのように尻すぼみで終わる展開は考えにくい。過去に静観してきた大手メディアも重い腰を上げるだろう。
「カイロ大卒」の真偽について都議会で何も語ろうとしない小池知事だが、国会議員時代にはどう説明していたのだろうか。
国会会議録を検索すると、小池氏自身が「カイロ大卒」と発言しているくだりは見つからない。代わって明確に「卒業」と言い切っていたのは、元法務大臣で、現在、小池知事の政治団体「百乃会」の代表兼会計責任者を務める杉浦正健氏(89)だった。
2002年4月18日の衆院安全保障委員会で、当時、外務副大臣の杉浦氏は中東情勢をめぐる質問をした小池氏(知事)に向かってこう切り出している。
「まず、小池先生におかれましては、カイロ大学を御卒業ということもございまして、アラブ、イスラエル、あのあたりの問題については大変な理解者であり権威でいらっしゃる」
カイロ大を卒業し、かつ、中東情勢の理解者であり権威もある人——。外務副大臣から、こう持ち上げられれば、さすがに卒業していなければ「いやいや」と否定するだろうが、小池氏(知事)はノーリアクションだった。
アルカイダ首謀者ザワヒリを「同級生」と呼んでいた
「カイロ大を首席卒業」という立派な肩書が事実であれば、あらゆる場面でアピールしたいのが政治家の本能だろう。「緑の狸」などと言われ、目立つことが大好きなどと評されてきた小池知事の政治スタイルとも重なる。ところが、国会議員時代の小池氏は学歴について踏み込んだ発言をしていない。「卒業」ではなく、「母校」「同級生」という別の単語で「カイロ大卒」をほのめかす場面が目立つ。
「先週、私は、エジプトのカイロの方に行ってまいりまして(略)私の母校であるところの大学の方で記念講演をしてまいったのですけれども、先生の今の大学も大変な学生数でございますけれども、私がおりましたころに既に10万人の生徒数、それが、20数年後の先週参りまして伺ったのが、何と22万人の生徒数でございまして」(2001年2月22日の衆院憲法調査会)
「テロリストとの対話ができればこれにこしたことはないというように思うわけでございますが、なかなか、ウサマ・ビンラディンの生存そのものが確認されていない、またナンバーツーのザワヒリ、彼も死亡説が流れておりますが確認がとれていない。友人の友人がアルカイダという方が以前おられましたが、ザワヒリ氏とは、氏と言っていいのかな、ザワヒリと私はカイロ大学の同級生でございますが、連絡先は存じ上げておりません」(2008年10月17日の衆院国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会)
小池都知事がカイロ大に留学して在籍していたのは事実だ。仮に卒業していなかったとしても、小池都知事にとって同大は「母校」であり、共に学んだ知人・友人は「同級生」という認識は間違いとも言えない。
ちなみにテロ組織アルカイダの首謀者となり、2022年にアフガニスタンで米軍に殺害されたザワヒリはカイロ大医学部卒だったが……。
●国政補選、政権浮沈に影響 福田・菅首相退陣の引き金―衆院補選 4/20
自民党派閥の裏金事件後、初の国政選挙となる衆院3補欠選挙は、「政治とカネ」の問題が最大の争点だ。逆風下の自民は2選挙区で候補擁立を見送り、既に負け越しが確定する異例の展開。過去には補選の結果が引き金となり、時の首相が退陣に追い込まれた事例もある。岸田文雄首相にとって、求心力を保てるか正念場の戦いとなる。
「残り1週間余りだが、さらなる力添えを心からお願いする」。自民の松山政司参院幹事長は19日の党会合で、唯一候補を立てた島根1区の勝利に全力を挙げるよう所属議員に求めた。同氏は組織票を固めるため、この直前まで現地入りしていた。
島根補選は、細田博之前衆院議長の死去に伴う。自民にとっては、有利とされる「弔い選挙」だ。しかも、島根は1996年の小選挙区比例代表並立制の導入以降、自民が小選挙区で負けたことのない「保守王国」。本来なら「勝って当然」(関係者)の選挙だが、細田氏が裏金事件の中心となった清和政策研究会(安倍派)の会長を務めていた影響などで、苦戦が伝えられている。
過去の補選では、結果が政権の命運を左右したこともある。顕著な事例は、2021年4月の衆参3補選・再選挙だ。自民は不戦敗を含めて全敗。菅義偉首相(当時)は求心力が低下し、同年9月の党総裁選への出馬断念に追い込まれた。
08年4月の衆院補選も、保守地盤の山口2区で自民が敗北。福田康夫首相(同)は同年9月に退陣し、自民は翌09年の衆院選で政権を失った。
一方、安倍政権下の19年4月の衆院2補選は、自民が全敗したものの、同年夏の参院選で与党は改選過半数を確保して乗り切った。
岸田政権下では、23年4月の衆参5補選で、自民が当初の劣勢予想を覆して4勝した。翌5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)による浮揚効果もあり、政府・与党内で一時、衆院解散・総選挙の「好機」との声が広がった。
今回、岸田首相は島根で勝利を収め、反転攻勢のきっかけとしたい考え。ただ、敗北すれば打撃は大きく、党内で「岸田降ろし」が表面化する可能性もある。党中堅は「『選挙の顔』を変えるのが解散の前提になる」と指摘した。
●安倍元首相の不毛な宣言が日韓関係の改善を縛る 4/20
韓国の総選挙は、結局、保守系与党「国民の力」が敗れた。改選前でさえ国会(定員300)で114議席と、過半数を占めていなかった少数与党状態が、今回108議席とさらに議席を減らしたのだ(114→108)。
実は、選挙戦終盤にメディアで大きく報じられたイシューの一つは、進歩系最大野党「共に民主党」の候補による放言であった。過去に「梨花女子大学の初代総長が学生たちをアメリカ軍将校たちに『性上納』していた」と根拠も示さぬまま述べていたことが露呈したのだ。
直前の敵失が追い風にならなかった与党の惨敗
これには他党や梨花女子大の卒業生たち、それに多くの女性団体が一斉に反発して立候補辞退を迫る騒ぎとなった。くだんの候補は平身低頭で発言を謝罪・撤回したものの、立候補は取り下げず、「共に民主党」の李在明代表もほぼ知らんふり。そうした開き直りのような態度に世論はさらに硬化。土壇場での敵失で与党に思わぬ追い風か、とも目された。
しかし、投票箱のフタが空けられると、そうした失言は尹錫悦大統領の不人気を帳消しにするにはまったく至らなかった。「共に民主党」や゙国元法相の新党「祖国革新党」が大きく議席を伸ばす結果となった。「性上納」発言議員も、僅差ながら小選挙区で当選した。
つまりは、どうあっても尹政権に対する「ダメ出し」は避けられない情勢であったわけだ。尹大統領の国政運営に対する逆風はさらに強まっている。
ただ、俯瞰してみれば尹政権に大きな失政はなかった。むしろ、文在寅前政権が「やろうとしたけど、できなかった」課題解決を、尹政権は矢継ぎ早にやってのけてきたと評価することが可能だ。
そうした前政権からの積み残し課題の筆頭といえるのが、徴用工訴訟をめぐって極度に悪化した日本との関係改善だ。韓国大法院(最高裁)の判断を迂回する形の第三者弁済という尹政権の解決策は、日本では称賛されても韓国内では批判がやまない。
「日本からの圧力で韓国の司法判断がないがしろにされた」と反感を覚える韓国人が多いのは自然なことだ。どれほどの影響を与えたかを数値化することは難しいが、尹政権の支持率低迷の一因となってきたのは否定できない。
難しくない外交に終始する岸田文雄政権
であればこそ、日本の政府・経済界は今回の総選挙を見据えて尹大統領を「援護射撃」すべきであったのだが、「熱しやすく冷めやすい」かのように徴用工訴訟問題の後続措置に対する関心は低下した。
韓国総選挙のとき、岸田首相が訪米中であったのは、たまたまであったとはいえ、日本外交のアンバランスを象徴しているように思える。
岸田首相はアメリカ連邦議会におけるスピーチで「日本の国会では、これほど素敵な拍手を受けることはまずありません」と自民党の裏金問題を棚に上げてのジョークを交えて英語で語った。それは、発音練習をはじめ、いかに岸田政権が訪米に向けて入念な準備を重ねたかを端的に示していた。
日本の安全保障政策を考えれば、岸田首相がバイデン政権や議会と良好な関係を構築することが重要であるのは論をまたない。そのためには、ジョーク交じりのスピーチだけではなく、アメリカの防衛装備品を購入したり自衛隊と在日アメリカ軍の連携強化を表明したりするといった実質的な貢献策を打ち出すことも、必要なのかもしれない。
だが、やはり偏りすぎている。もとから関係が良好なアメリカの歓心を改めて買うのは、それほど難しくないのだ。そうした「難しくない外交」にばかり注力して韓国や中国、さらには北朝鮮との「難しい外交」に関して、第2次安倍政権以降の自民党政権は果たしてどれほどの成果を挙げたのであろうか。
アメリカから戻った岸田首相は2024年4月17日、尹大統領と電話で会談した。外務省によれば、時間は約15分間。発表された内容をみても、「岸田首相からアメリカ訪問の結果について説明し、尹大統領は情報共有に感謝し、両首脳は引き続き日韓・日韓米の連携を深化させていくことで一致した」という。時間も内容も、通り一遍だ。
このように日本外交がアメリカとの同盟強化に「全振り」する様相を呈しているのに、一方では韓国総選挙で与党が敗北したことで「日韓関係は再び『ちゃぶ台返し』で悪くなるのだろうか」といった懸念の声が日本側で出ている。
近年の日韓関係を振り返れば心配になるのも無理からぬことではあるが、そこでは「日本として韓国との関係を安定させるために十分な外交や協力をしたのか」という問いが抜け落ちているように思える。
韓国との関係を安定させる外交はやったか
喫緊の課題は、徴用工訴訟で日本企業に代わって原告たちに賠償額を支払う韓国政府傘下の財団が、そう遠くないうちに資金不足に陥る公算が高まっていることだ。財団には、これまで韓国の鉄鋼最大手ポスコくらいしか資金を拠出していない(日本円で約4億5000万円)。
しかし各地の裁判所で「日本企業に賠償責任あり」という判決は出続けていて、追加の資金拠出がないと「第三者弁済」は行き詰まる。
こうした厳しい状況に関して、尹大統領は今年に入って「コップの半分は韓国側が埋めた」と述べている。これは、韓国企業(ポスコだけだが)からは資金が財団に入ったので、今後、日本企業の自発的な拠出によってコップの「残り半分」が埋まるように財団の支払い能力が保たれることに期待を寄せたものだ。
裏を返せば、日本との関係を非常に重視する尹大統領とはいえ、財団への日本企業の関与がないようではこの解決スキームは「もたない」という不安を表したといえる。
また、将棋の棋士が対局で敗れて「どの一手がまずかったか」をさかのぼって分析するかのように、与党「国民の力」が総選挙での敗因を洗い出す過程で、徴用工訴訟問題で尹政権が日本に歩み寄ったことが「悪手の一つだった」とみなされる余地がある。
そうなると、野党は言うに及ばず与党からも、尹大統領に「よりタフな姿勢を日本に示せ」という声が高まることにつながるであろう。
日本企業が韓国の財団に資金拠出することに慎重なのは、「韓国大法院の判決は国際法違反で賠償には応じられない」と安倍政権が内外に宣言したことの記憶が鮮明なためと思われる。事実上、被告の日本企業に対して政府が賠償に応じさせなかったものだ。
確かに日本でも韓国でも、あの判決の組み立て方は国際法に照らして無理があったと指摘する専門家は少なくない。
だが、民間人が民間企業を相手取った訴訟で、日本政府が前面に出て、かつ半導体関連素材の輸出規制といった事実上の報復措置までとったことも、やはり無理はあった。
仮にアメリカの裁判所で独善的な判決が出て現地の日本企業が不利益を被りそうになったとして、日本政府が同じように猛然と抗議して報復措置をとるかといえば、想像しにくい。
「第三者弁済」の財団への出資は、韓国の司法判断に従うということを意味するわけではない。日本企業が自主的に判断できるはずだ。
それが、まだ安倍政権時の宣言ゆえに資金を拠出しにくいということであれば、岸田政権として一言、「財団への関与は企業の判断です」と述べるだけでも効果は大きい。
それが、尹政権に対する最大の「援護射撃」となるし、韓国の野党陣営にくすぶる日本への不満を抑えることにもつながる。
いや、そうした政治的な打算を抜きにしても、元徴用工やその遺族たちに日本の政府や企業が寄り添える人道的な一歩にもなる。
アメリカでスピーチしたのに韓国ではできないのか
総選挙は終わり、遅きに失した感は強いが、5月下旬に日中韓3カ国の首脳会談をソウルで開催する方向で調整が進んでいると伝えられている。スケジュールが確定すれば、3カ国の会談に合わせて、当然、日韓2カ国の首脳会談も開かれることになる。
その機会に、岸田首相は徴用工訴訟の財団に関して踏み込んだ姿勢を示すべきだ。願わくはアメリカ訪問と同じくらいの労力をかけて準備をして、韓国語で韓国国民に語りかけるくらいのことは期待したい。首相が韓国で、韓国語によってスピーチをしたのは、中曽根康弘元首相の例もある。
すでに尹政権の政治的な体力が落ちたのは確かだが、大統領の任期はあと3年間あり、また2025年は日韓が国交正常化から60年という節目にあたる。「日韓関係は再び冷え込むか」と他人事のように評論するだけでなく、当事者として何ができるか日本社会全体議論が高まるのを願う。
●岸田総理「誰ひとり取り残さない社会」実現へ 4/20
単身世帯の増加や高齢化などに伴い、社会から孤立したり孤独を感じる人が増えるなか、岸田総理大臣は対策の策定を関係閣僚に指示しました。
「孤独・孤立の状態は人生のあらゆる段階で何人にも生じうるものであり、個々人の幸福度や心身の健康のみならず、社会機能の存続にもかかわる問題です」(岸田総理大臣)
岸田総理は、「孤独・孤立対策推進会議」の初会合で「孤独・孤立に悩む人を誰ひとり取り残さない社会の実現」を強調しました。そのうえで、有識者や関係者から意見を聞き対策の指針となる重点計画を策定するよう加藤こども政策担当大臣に指示しました。
また、一人暮らしや身寄りのない高齢者へのサービスの需要が増えるなか、利用者と事業者の間のトラブルを防止するため「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」の案も公表されました。
岸田総理は、意見を公募したうえで「速やかに策定」するよう指示しました。
●「実質負担なし」だけに国会論戦が集中する「子育て支援金」 この事態は誰が招いたか 関連法案が衆院通過 4/20
児童手当や育児休業給付を拡充する少子化対策関連法案は19日の衆院本会議で、自民、公明両党の賛成多数により可決され、衆院を通過した。財源確保策として、公的医療保険料と合わせて徴収する「子ども・子育て支援金」を2026年度に創設する。岸田文雄首相は「実質負担はない」としているが、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主といった野党は容認できないとして、反対した。
法案では、現在中学生までにとどまっている児童手当緒支給を高校生年代まで延長し、所得制限も撤廃する。両親が共に育休を14日以上取った場合、育休給付を最大28日間、実質10割に引き上げる。保育サービスも拡充し、親の就労に関係なく預けられる「こども誰でも通園制度」を設ける。
今後3年間で、新たに年最大3兆6000億円の財源が必要となり、社会保障費の歳出削減や支援金などで賄う。支援金は26年度に徴収を始め、段階的に引き上げて28年度に1兆円とする。
政府が示した負担額の試算によると、28年度は会社員らの「被用者保険」では年収600万円で月1000円、年収1000万円の場合は月1650円。事業主も原則的に同額を負担する。自営業者らが加入する国民健康保険、75歳以上の後期高齢者医療制度では、年収80万円でいずれも月50円などと幅がある。
少子化対策の中身より…
少子化対策関連法案を巡る衆院審議では、法案に盛り込まれた施策の中身よりも「子ども・子育て支援金」の新設による「負担増」の是非に論戦が集中した。理由は、政府が国民負担に関する丁寧な説明を避け続けたからにほかならない。
岸田政権は昨年、早々に増税はしないと明示し、公的医療保険料と合わせて徴収する支援金の制度を設計した。実際は国民に新たな支出を求めるにもかかわらず、岸田文雄首相は「実質的な追加負担を生じさせない」との答弁を繰り返してきた。徴収額に関する試算も「1人当たり月平均で500円弱」を皮切りに、小出しにしてきた。
「野党も実効性ある財源確保策を」
「追加負担はない」との首相の主張は、歳出改革で社会保険料負担の伸びを抑え、浮いた分の範囲内で支援金を捻出することが前提だ。高齢者人口が増加の一途をたどる中、社会保障の必要経費を圧縮することは容易でない。子育て支援策を充実させるのに、新たな負担がゼロとの説明は、ほとんどの国民は理解できないはずだ。
人口減少が続く日本。2070年には人口の3分の1を失う恐れがあるとの推計がある。論戦の舞台は参院に移るが、政府が「異次元の少子化対策」を掲げるならば、児童手当の支給拡充など新たな支援策に必要な「負担増」の内容を詳細に国民に説明し、正面から理解を求めるべきだ。支援金の在り方を批判する野党も、実効性のある財源確保策を示して、政府に建設的な議論を求める責任がある。
●八木秀次 突破する日本 「血を流す場合もある」国民に説得を 岸田首相「グローバル・パートナー」の責任 集団的自衛権のフルスペック行使、憲法改正が必要 4/20
岸田文雄首相は18日午後の衆院本会議で、米国に国賓待遇で訪れた結果を報告した。ジョー・バイデン大統領との首脳会談などを受け、日米関係を「かつてなく強固な信頼関係に基づくグローバル・パートナー」と強調した。岸田首相は米上下両院合同会議での演説で、「(日米は)共にデッキに立ち、任務に従事し、そして、なすべきことをする」「米国は独りではない」などと語った。麗澤大学教授の八木秀次氏はこれを、安倍晋三元首相の悲願だった憲法改正を成し遂げ、さらに「自由」「民主主義」「法の支配」を守るために犠牲をいとわない「血の同盟」の決意を示したと分析した。岸田首相が背負った「責任」と「覚悟」に迫った。
日本は米国の「グローバル・パートナー」との岸田首相の米連邦議会での発言はリップサービスではないはずだ。首相には、それを裏付けるための国内法整備と国民への説得が求められる。
「グローバル・パートナー」と称した以上、集団的自衛権の行使に限定があってはならない。中国・ロシア・北朝鮮などの権威主義国家に対し自由社会を守るために同盟国・同志国と連携しなければならない。国内事情を理由に集団的自衛権の行使をためらうことは許されない。そのためにはフルスペックでの行使を可能とする憲法改正が求められる。
かつて安倍晋三元首相は同盟を「血の同盟」という言葉で説明した。
「軍事同盟というのは血の同盟≠ナす。日本がもし外敵から攻撃を受ければ、アメリカの若者が血を流します。しかし、今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはないわけです…これが完全なるイコールパートナーと言えるでしょうか」(『この国を守る決意』扶桑社、2004年)
第一次政権で首相になる数年前の自民党幹事長時代の発言だ。「血の同盟」という表現は同盟関係についてリアリティーをもって理解させる。
安倍氏はその後、第二次政権で政府の憲法解釈を変更し、それまで保持するが行使できないとされていた集団的自衛権を限定的ではあるが、行使可能とした。現在では米軍が攻撃されたときに日本の自衛隊員もともに戦い、場合によっては血を流すこともあるようになった。
岸田首相は安倍氏の第二次政権、後継の菅義偉政権を経て政権の座に就いた。特に、安倍氏の政治的遺産≠継承して国家安全保障戦略の改定、防衛費対GDP(国内総生産)比2%への増額、反撃能力の保有など安全保障政策を推し進めた。それが今回の「グローバル・パートナー」発言に結びついた。それ自体は日本の抑止力を高め、国際社会における日本の地位を格段に上げたものとして高く評価すべきことだ。
しかし、「グローバル・パートナー」であるためには相応の犠牲や負担も強いられる。自衛隊員やその家族、広く国民に、場合によっては「血を流す」こともあるのだと説得し、その覚悟を持たせることが必要となる。
自由社会は権威主義国家の脅威にさらされている。自由社会を守るための日本の責任は重く、相応の役割を果たさなければならない。犠牲や負担もあり得る。岸田首相や政府には、そのことを国民に真剣に訴える覚悟が必要となる。
●マイナ保険証へ至る歴史 豪商は警察署長とつかみ合い寸前に 4/20
健康保険証はスペードのエース――。厚生労働省の元幹部からこんなセリフを聞いた。
トランプ最高位のカードにたとえる心は「これがあれば、日本全国の医療機関を受診できる。支払いは、実際にかかった費用の1〜3割」だ。
その健康保険証が12月に原則、マイナンバーカードを使う「マイナ保険証」に切り替わる。ただ、個人情報のひもづけ誤りなどの混乱で、昨年は岸田政権を苦しめるジョーカーの役回りも演じてしまった。
新しい仕組みのPRには現場がいる。東京慈恵会医大付属病院(東京都港区)は、マイナ保険証活用の先進地として度々、大臣らの視察やメディアの取材を受け入れてきた。霞が関の官庁街からほど近く、毎日3千人近い患者が訪れる新しい外来棟のカウンターには7台のカードリーダーがずらりと並ぶ。
自らも説明したいと、取材に同席した厚労省の伊原和人(かずひと)保険局長(59)は「診療や薬剤の情報共有など医療DXの本丸はこれから」と力をこめた。
膨大なレセプト情報を管理、一部手作業も
そう言えるのは、公的医療保険を使って受けた医療の情報は、政府が一元的に把握する仕組みがあるからだ。
その要の役割を果たす場所を訪ねた。池袋駅から徒歩約8分の社会保険診療報酬支払基金関東審査事務センター。病院や薬局など都内約3万3000の医療機関からのレセプトと呼ばれる請求書は、治療や薬の明細つきでここに集まる。その数は、月約1600万件。医師らによる委員会の審査を経て、健康保険組合など保険者ごとに請求し、医療機関に払う。
月に1度、請求書などの書類を都内約2200の保険者や自治体ごとに束ね、宅配便で発送する作業日に取材した。デジタル化を進めているが、紙でのやりとりがなくなる見通しは立っていない。
1億2千万人が加入し、年間の保険料22兆5千億円を払い、窓口負担と公費を加えて45兆円の医療費を使う。国民皆保険という巨大なシステムの源流は、ドイツの鉄血宰相、ビスマルクの制定した疾病保険だ。これをモデルに、日本で健康保険法が制定されたのは1922年。第1次世界大戦後の深刻な不況で、都市労働者が困窮、争議が頻発したことへの対策だった。
健康保険に戦時立法の性格
この健保法の対象外だった農民も、世界恐慌の影響に凶作も重なり窮乏、治療費が払えず身売りする事態も生じていた。このため、農村医療の確保が喫緊の課題となり、33年から内務省社会局保険部は健保法の農村版の検討を始める。
「商工自営業者も対象だが、主な目的は中産階級以下の農民の救済。日本はすでに準戦時体制下にあり、農村の小作争議を防ぐとともに、健康な兵力を確保して銃後の守りを図るという戦時立法の性格をあわせ持つ」と、島崎謙治・国際医療福祉大大学院教授は解説する。
翌34年に国民健康保険制度(国保)の要綱案が発表された。だが、減収を心配した医師会や売薬業者をはじめ医療関係団体は大反対した。また、健保法と異なり、諸外国に例をみない日本独自の構想であり、政府部内でもうまく機能するのか懸念も大きかった。
この段階で重要な役割を果たしたのが、埼玉県越ケ谷町(現越谷市)である。 ・・・
●「島根1区」補選で立憲民主が手抜き? 自民全敗なら目算に狂い…“最後の緩み”心配する声 4/20
岸田政権の浮沈がかかる衆院3補選(28日投開票)は折り返し、唯一、与野党一騎打ちの島根1区ではデッドヒートが繰り広げられている。残り2つは不戦敗の自民党は、ここで負ければ全敗。岸田首相の余命は一気に縮まる。焦る岸田首相はラストサンデーの21日、現地に飛んでテコ入れを図るが、金権腐敗の象徴区で立憲民主党が勝たなければウソだ。
島根1区の補選は最大派閥・清和会(安倍派)の会長だった細田博之前衆院議長の死去に伴うもの。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着やセクハラ疑惑についてマトモに説明せず、裏金事件の表沙汰と相前後して鬼籍に入った。金城湯池にも自民に対する嫌悪感が広がり、弔い選挙にもかかわらず大逆風。県連の公募を経て擁立した元財務官僚の錦織功政氏(55)と、立憲前職の亀井亜紀子氏(58)が火花を散らしている。
「錦織陣営は“細田隠し”に懸命。本人は政治改革を訴えていますが、どうしたって鼻白む。知名度で勝る亀井氏への期待が膨らんでいます」(地元メディア関係者)
20日は人寄せパンダの小泉進次郎元環境相も現地に投入される。3戦全勝を目指して飛び回る立憲の泉代表も21日、2度目の応援に入るという。
碧南市でも争点
「事実上の野党共闘が再構築され、与野党総力戦。互いに絶対落とせない。必死で支持をお願いしていますが、どうも心配なのが立憲側の手抜き。破れかぶれの6月解散を期待する立憲は、低支持率の岸田政権と総選挙をやりたい。自民全敗で岸田降ろしの流れになれば、目算が狂ってしまうので、最後の最後で緩んでしまわないか。そんな懸念の声が上がっています」(野党関係者)
楽観を重ねた挙げ句の「岸田温存作戦」なんて、有権者の怒りを見誤るにもほどがある。リトマス試験紙になるのが、旧統一教会と現職の関係が争点となっている愛知・碧南市長選(21日投開票)だ。16年ぶりの選挙で5選を狙う祢宜田政信氏(72)は関連団体の共同議長などを歴任してきたが、「個人の政治活動の一環で公務とは一切関係ない」とゴマカしている。
「新顔の2候補とも繰り返し説明責任を果たすよう求めている。2期目以降は無投票再選だった市長は有権者をナメていて、落選もあり得る雰囲気です」(地元関係者)
どこもかしこも審判を下すしかない。
●日経平均終値、1011円安の3万7068円…今年最大の下げ幅で全面安 4/20
中東情勢の緊迫化などから、19日の東京株式市場では投資家のリスク回避の姿勢が強まり、全面安の展開となった。日経平均株価(225種)は前日比で一時1300円超下落し、終値は1011円35銭安の3万7068円35銭と、今年最大の下げ幅を記録した。値下がりは2日ぶり。
前日の米株式市場でハイテク株が下落し、東京市場も流れを引き継いだ。取引開始直後は半導体関連株のほか、自動車や商社など幅広い銘柄が売られた。さらに、イスラエルがイランに報復攻撃を行ったとの報道が伝わると、売りが加速した。
●なぜ「大東亜戦争」と呼んだのか 戦没者追悼式で自衛隊が浮彫りにした課題 4/20
陸上自衛隊大宮駐屯地(さいたま市)の第32普通科連隊が4月5日、X(旧ツイッター)の部隊の公式アカウントで「大東亜戦争」という用語を使って投稿し、8日に削除した。投稿は、硫黄島(東京都)であった日米合同の戦没者追悼式を伝えた。木原稔防衛相は大東亜戦争という用語を使った投稿の削除について「一般に政府として公文書に使用していないことを踏まえた」と説明した。 この問題について、OBを含む自衛隊の隊員らの反応は「硫黄島が激戦の地であった状況を表現するため、当時の呼称を用い、その他の意図は何らなかった」という木原防衛相の説明とほぼ同じだった。ただ、日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、自衛隊員だけではなく日本人全体が考えなければならない課題も浮き彫りにした。
1941年12月の日米開戦直後、当時の東條英機内閣が「大東亜戦争」という呼称について閣議決定した。戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が使用を禁じ、「太平洋戦争」という米側の呼称が日本に広まった。自衛隊内で行われる戦史研究では大東亜戦争という呼称を使うことはあるが、史実を忠実に再現する意図からで、政治的な思惑などは含まれていないという。
日本政府は新たな呼称を正式に定めてこなかったため、戦争の呼称を巡っては様々な意見がある。
「満州事変(1931年)以降、ずっと侵略を続け、最後に米国と衝突した」と考える人々は「アジア・太平洋戦争」と呼ぶ。連続性を強調したい人は「アジア太平洋戦争」と呼ぶ。戦争の開始時期も明治維新(1868年)以降とする人もいるし、終わりを「日本の侵略と関係がある」として、朝鮮戦争やベトナム戦争までと区切る人もいる。
今の世の中にも、全く関心がない人が多い一方、大東亜戦争と呼ぶことに肯定的な意見と否定的な意見がある。
鹿児島県にある知覧特攻平和会館には、この異なった立場の人が訪れ、全く違った理由から同じように感動する。大東亜戦争と呼ぶことを肯定的に受け止める人々は、日本を守るために若い命を散らした人々に感動し、哀悼する。大東亜戦争に否定的な人々は、若い命を散らす結果を生んだ戦争や軍国主義に怒り、同じように哀悼する。
大東亜戦争という呼称を使ったことについて、一部では侵略戦争に対する内外の批判を受け止めていないという指摘が出た。逆に大東亜戦争と呼ぶことが、戦没者の慰霊につながると考える人々もいる。
日本の歴史学者だった家永三郎氏がかつて、戦争を繰り返さないためにという文脈で戦死者について「犬死にだった」だったと評論したため、戦死者の遺族会などが反発し、亡くなった人々は無駄死にではなく、国や家族を守るために死んだという主張を強調する意味で、大東亜戦争という言葉を積極的に使うようにもなった。
元陸将の一人は「自衛隊は過去、(大東亜戦争の呼称を肯定的に受け止める)一方の側の人たちとしか付き合ってこなかった」と語る。
遺族会の関係者らも参加する自衛隊協力会や防衛協会の人々は、概して、大東亜戦争と呼ぶ。戦史研究でも大東亜戦争という呼称は使われている。自衛隊員も生死をかける必要がある仕事である以上、自分たちの存在価値を確認しやすい大東亜戦争という呼称を素直に受け入れる。この元陸将は「50代以上の政治的な意識が強い隊員ならいざ知らず、若い世代は戦争の呼び方に論争があることも知らない」と語る。
元海将は「部隊のトップに立つと、部下を危険な場所に送るときがある。そんなとき、わらにもすがる思いで過去の戦史を参考にしたことがあった。でも、我々が参考にするのは戦術や部隊の運用であって、戦争の呼称をどうすべきかではない」と語る。
現役の海佐は「我々は過去、国会答弁に立つことがなかった。下手に政治意識を持つべきではないが、政治的に無関心になりすぎている側面もある」と語る。
問題は、政府・自衛隊が国民の団結を何よりも必要としている状況に置かれているという現実だ。
米国と米軍は現在、中国が台湾に侵攻する事態が2027年に起きる可能性があるとして、様々な準備を進めている。10日の日米首脳会談でも、様々な安全保障協力の強化で合意した。台湾有事の際、戦域が完全に重なると言われている南西諸島など、沖縄県では「防衛力を強化してこそ、中国の侵略を抑止できる」という主張と「防衛力を強化すれば、戦争に巻き込まれる」という主張の対立が先鋭化している。
木原防衛相は11日、南西諸島の防衛力強化の一環として沖縄県うるま市に陸上自衛隊の訓練場を整備する計画を断念すると発表した。木原氏は「住民生活と調和しながら、訓練の所要等を十分に満たすことは不可能と判断した。地元の皆様におわびを申し上げる」と述べ、地元の理解を得られなかったことを明らかにした。
現役の陸佐は「国民に自衛隊に対する不信感を持たれるのは良いことではない。私だったら、先の大戦とか、無難な言い方でおさめておく」と語る。元空将は「国民の理解は、戦ううえでの重要な要素になる。命をかける自衛隊員が戦争を望むはずもない。今回の事件で、国民が自衛隊を誤解したとすれば残念なことだ」と語った。 
●松野博一前官房長官「不記載、全く私のミス」 政治とカネ巡り地元・千葉でおわび行脚 4/20
自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件で党役職停止1年の処分を受けた衆院千葉3区(千葉県市原市など)の松野博一前官房長官(61)が20日、地元でのおわび行脚を本格化させた。地元の有力な支援者からは党の処分はやむを得ないとしながらも、引き続き松野前長官を支援する声が相次いだ。松野前長官は政治とカネの問題で失われた信頼を早期に取り戻し、次期衆院選に向け、支持固めを急ぐ構えだ。
「全てが私自身の不徳の致すところ。申し訳ない」
松野前長官は同日、市原市内の自治会館に集まった後援会の各地区役員ら約20人を前に、こう語った。
松野前長官は所属していた安倍派のパーティー券収入のキックバック(還流)を受けながら、平成30年からの5年間で計1051万円を政治資金収支報告書に記載しなかったことの責任を問われた。
複数の会合出席者によると、松野前長官はこうした不記載の経緯を説明した上で、「国会は法律を作る所だが、その議員が不記載で法律を犯してしまった。全く、何と言われても、私のミスだ」と語ったという。
出席者から地元での活動を増やすよう注文が付くと、「できるだけ努力します」と応じたという。
この日のおわび行脚は1時間以上続いた。会合後、30年来の支援者の一人は「直接話を聞き、安堵した。有権者には厳しい声もあるが、離党をせずに済み、不起訴となった以上、引き続き応援する」と語った。
●枝野幸男氏「まっとうな政治取り戻す」東京15区補選で立民候補応援、補選の関心低さに危機感も 4/20
16日に告示された衆院3補選(4月28日投開票)は20日、初めての週末を迎え、東京15区、島根1区、長崎3区に各党の党首クラスが応援に入り、候補者への支持を訴えた。
9人が乱立する東京15区補選では、立憲民主党の新人で元江東区議の酒井菜摘氏(37)の応援に、同党の枝野幸男前代表が入り、東京都江東区の門前仲町駅前などで街頭演説を行った。 枝野氏は、自身が2017年10月に同党を立ち上げた時に「まっとうな政治を取り戻す」と訴えたことを引き合いに「あの時のポスターには『まっとうな政治』というスローガンを掲げた。この江東区の補選では、まっとうな政治を取り戻し、草の根からボトムアップで政治を変えていくのに、酒井さんはぴったりの候補だ」とした上で、短期決戦に加え補選そのものへの関心の低さに言及。投票日の4月28日はすでにゴールデンウイークに入っていることにも触れ「そもそも選挙にすら気付いていない区民のみなさんもいらっしゃる。候補者を知っていただくこと以前の方が、たくさんいらっしゃることが現実で、まさにあなたの力が必要だ」と、危機感を口にしながら支持を訴えた。
また、同区で当選した自民党の議員が2人続けて「政治とカネ」の問題で辞職したことを念頭に「残念な議員が2代続いた江東区から、地に足の付いた本物の政治家を送り出すことができたら、日本の政治は大きく変わる」とも訴えた。
同補選には、NHKから国民を守る党の新人で弁護士の福永活也氏(43)、作家の乙武洋匡氏(48=国民民主党、都民ファーストの会推薦)、参政党の新人で看護師の吉川里奈氏(36)、無所属の元衆院議員、秋元司氏(52)、日本維新の会の新人で元会社員の金沢結衣氏(33=教育無償化を実現する会推薦)、つばさの党の新人で会社経営の根本良輔氏(29)、日本保守党の新人で大学客員教授の飯山陽氏(48)、無所属の前参院議員、須藤元気氏(46)も立候補している。
●「日朝交渉を1日、1時間でも早く…」拉致被害者・曽我ひとみさん、母の早期救出へ署名活動 4/20
拉致被害者・曽我ひとみさんが20日、新潟県佐渡市で署名活動を行い、母親・ミヨシさんの早期救出への協力を呼びかけました。
曽我ひとみさん「拉致問題解決のための署名活動を行っております」
佐渡市真野で開かれている桜まつりで署名を呼びかけた曽我ひとみさん。今月から新たに佐渡市総務課の拉致被害者対策係で勤務を始めました。
一緒に北朝鮮に拉致され、今も帰国を果たせていない母親・ミヨシさんは92歳となりました。
曽我ひとみさん「とにかく元気でいてほしい。日朝交渉のテーブルを一日も早く、一時間でも早く作っていただき、そこで何かしらの結果が出てくれることを祈っています」
曽我さんは市役所の仕事として各地での講演のほか、佐渡へ修学旅行で訪れた子どもたちに対しても事件を風化させない活動を続けているということです。
 4/21-4/30

 

●「のと鉄道」地震被害から再出発 再開「待ちに待った」住民歓喜 4/21
能登半島地震で被害を受けた石川県の第三セクター「のと鉄道」が6日、全線で運行を再開した。沿線の高校の入学式や始業式に間に合った形となる。久しぶりに地域を走る鉄道車両を、人々は大喜びで出迎えていた。
「新年度、新学期に間に合った。地域にとって大きな意味を持つ再開だ」。6日、穴水駅(穴水町)での出発式のあいさつで、同鉄道の中田哲也社長は力を込めて語った。また社員に対し「被災しながらも家族を、地域を思い、鉄道への愛を忘れずに前に進んだことに心からの敬意と感謝を表します」と声をふるわせながら述べた。
のと鉄道は穴水駅―七尾駅(七尾市)を結ぶ。JR西日本所有の路線を使用して運行する第2種鉄道事業者だ。利用者全体の7割が定期利用で、その多くが高校生という。
だが、元日の地震で、線路がずれたり、駅ホームが沈下したりと被害を受けた。JR西主体で復旧工事が行われ、2月15日に七尾駅―能登中島駅が、残る区間が4月6日に運行を再開した。1月末の段階では全線再開見通しは「おおむね4月中」とされていたが、新学期に間に合い、JR西は「住民の皆さんに工事に必要な土地を提供していただいた。順調に進んだ要因の一つ」と説明する。
全線運行再開の日、各駅を訪ねて回った。桜の名所として知られる能登鹿島駅(穴水町)で出会った同町の介護福祉士兼調理師の60代女性は「待ちに待っていた」と笑顔。この日桜はまだ大半の花が開く前だったが、駅には観光客の姿もあり、大阪府から訪れた70代女性は「鉄道は地域にとって大事な足。良かったです」と話した。
西岸駅(七尾市)は、アニメ「花咲くいろは」に登場する架空の駅「湯乃鷺(ゆのさぎ)駅」の駅名看板が設置される。同駅を発着する列車の姿に「時刻表通りに動いている!」と夫と一緒に歓喜していたのは穴水町の70代女性だ。車で移動中に鉄道車両が見えて「思わず駅まで飛んできた」という。女性は「有るものが無くなってまた復活した。うれしい」と興奮気味に語り、元気いっぱいに駅を後にした。
●細田健一衆院議員が謝罪、新潟市中央区での支部長・幹事長会議で 4/21
自民党の衆院新潟2区支部は4月20日、新潟市中央区で支部長・幹事長会議を開き、派閥の政治資金パーティー裏金事件で党からの戒告処分を受けた細田健一衆院議員(旧新潟2区)が、参加者に向け「大変な迷惑をおかけしていることを心からおわびしたい。本当に申し訳ございません」と謝罪した。
2区支部内の18支部の支部長・幹事長が出席し、冒頭を除いて非公開だった。 ・・・
●自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の「驚きの実態」 4/21
与野党対決の選挙
「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとは違って、皆様方は頭脳、知性の高い方たちです」
新年度早々、静岡県庁の新入職員に対する訓示で、とんでもない職業差別的な発言をして電撃辞職することとなった川勝平太知事。
5月9日告示、26日投開票と短期決戦で行われる知事選を巡っては、4月18日に自民党が元副知事の大村慎一氏を、立憲民主党と国民民主党が元浜松市長の鈴木康友氏を推薦する方針を固め、与野党対決の構図が決まった。
永田町では自民と立憲が知事選に向けて実施した情勢調査の内容が出回っている。
自民党が実施した調査によると鈴木氏が39.9ポイントを獲得し、大村氏の29.3ポイントから10ポイント以上リード。
立憲が実施した調査でも鈴木氏が28.2ポイントを獲得し、大村氏の20.9ポイントに対して差をつけている。
調査結果を見て永田町関係者は「もともと衆議院議員や浜松市長を歴任してきた鈴木氏が知名度で優っている分、数字が良く出ているのだろう」と分析した。
一般的に短期決戦で行われる選挙では、すでに地域に浸透している知名度の高い候補が有利となる。
今回の発言があった当初、川勝氏は6月議会冒頭で辞職する意向を示していたが、「県政の空白を短くする」として辞表提出を4月10日に前倒し。
その背景には、知事選の投開票までの期間を短くすることで、鈴木氏が有利になるよう取り計らったという事情もあったという。
こうした舞台作りのために働きかけたとされているのが、浜松市に本社を置くスズキの相談役、鈴木修氏だ。
「鈴木修氏は川勝氏や鈴木康友氏を支援してきており、自身の意中の人物が次の知事となるように調整したのだろう」と永田町関係者は語る。
それに対して自民は大村氏側に付き、非自民として活動してきた川勝氏なきあとの知事の座奪還を目指す。
自民県連の増田享大幹事長は4月18日、大村氏を支援する理由について「全県的な視点で課題を捉えている」と話したが、浜松市の地域色がついている鈴木氏よりも、大村氏のほうが県内全域からの支持が得やすいと踏み、形勢逆転を目指していく戦略のようだ。
もし自民が「全敗」したら…
急転直下の辞任劇から、5月投開票という短期決戦となった静岡県知事選。
与野党対決となったことを受けて、4月28日投開票の衆院3補選に続いて、岸田政権の求心力や、与野党の力関係を測るバロメーターとしても機能することになりそうだ。
もし、自民党が3補選で全敗を喫し、静岡県知事選でも敗れることとなれば、岸田政権にとっては大きな痛手となり、国政運営や解散戦略、今年9月の自民党総裁選にも影響が生じ得るだろう。
奇しくも静岡県は、自民党を揺るがす裏金問題において、安倍派座長として離党勧告を受けた塩谷立衆院議員のお膝元でもある。
地域の課題に加えて、国政の問題も様々問われる中で、静岡県民はどちらの候補を選ぶか判断を迫られることとなる。
●武田砂鉄が政治家のスピーチ力を問う 「もうちょっと自分の言葉で喋ってよ」 4/21
アメリカの議会で上機嫌にスピーチした岸田文雄総理大臣。この様子を見て、ライターの武田砂鉄は違和感を覚えたという。なぜか?
政治家のスピーチが滑稽過ぎる
インタビューする仕事を続けていると、今、目の前で話し始めた内容が、真摯なものなのか、表層的なものなのか、ある程度は読み取れるようになる。スラスラ話しているからといって、気持ちがこもっているとは限らない。これまでの取材で答えてきた内容を繰り返しているだけかもしれない。無論、それはこちらの投げる質問が弱いからであって、このままでは相手の奥底に行き着かないまま終わってしまうと焦る。質問を重ねていくと、ようやく、相手が慎重に話し始める。戸惑いながら話し始めたとしても、それは、それを話すのが初めてだからかもしれない。心の中で「よしっ」と思う。
政治家のスピーチは、大抵が政治家自身で用意した言葉ではない。もはや周知の事実だ。答弁に困ると、後ろから忍者のように官僚が出てきて、なるべく存在を隠しながら、ここですと指差したり、紙の束を急いでめくって、このあたりですとサポートしたりする様子を見る。その後でマイクの前に立ち、「えー、ただいま、ご指摘いただいた点でございますが……」と言い始める。さっき、ここを読んだらいいと指示された箇所を読み上げる。ファミリーレストランにいる、出来上がったものを厨房から運んでくるロボットと、役割はそう変わらない。そこに載っているハンバーグを作ったのがロボットではないように、その答弁を作ったのは政治家ではないのだ。
ずっとそうでしょ。日本だけじゃないでしょ。そんなツッコミが想定される。確かにその通り。でも、やっぱり、改めて考えてみると、だいぶ滑稽じゃないかと思う。「えっと、2019年のデータと比較しますと……」の途中で2019年の正確なデータを引っ張り出してもらうのはいい。でも、「ここを読んでください」「はい、読みます」って、あまりに滑稽。自民党の裏金問題で結果的に出席者全員が自己保身に走ったのが政治倫理審査会。不十分な答弁が続いたが、そもそもあの場に出てくるのを渋っていた事実を忘れてはいけない。自分の言葉で答えなければならない環境が生まれるのをとにかく怖がっていた。嘘の証言をすれば偽証罪に問われる証人喚問なんて、とてもじゃないが耐えられないのだろう。政倫審にさえ登場せず、ブログやSNSで形だけの謝罪文を載せる議員も続出した。
誰かに用意してもらった言葉ばかりが飛び交っている。自分の言葉ではないので、なにかあるとすぐにパニックになる。2021年8月6日、広島で行われた平和記念式典で、当時の菅義偉首相が「日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない、核軍縮の進め方を巡っては各国の立場に隔たりがあります」と意味の通らない文言を読んだ。本来の文章は、「日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない世界の実現に力を尽くします……」と続くのだが、A4用紙を蛇腹状に四つ折りしたものの一部が糊づけされてしまっており(糊は付着していなかったとの指摘もある)、読み飛ばしてしまったのだ。
政府は、めくれない状態になっていた、としたが、問題は、めくれたか、めくれなかったか、ではない。「そういうことじゃなく、読んでいておかしいと思わなかったのか?」と多くの人が突っ込んだ。菅首相は、自分が読んでいる内容が通っていないことにさえ気がついていなかったのである。もし、誰かが「日本は非核三原則を捨て、核兵器を持つ国へと移行していきます」と書かれた原稿にさしかえていたとしても、そのままスラスラ読んだのではないか。
先日、アメリカの連邦議会上下両院合同会議で、岸田文雄総理大臣がスピーチをした。全編英語でのスピーチは、かつて、レーガン米大統領のスピーチを書いた経験があるベテランのスピーチライターが作り上げたものとのこと。身振り手振りなどもレクチャーを受けたそう。冒頭で、岸田首相は「Thank you, I never get such nice applause from the Japanese Diet.(ありがとうございます。日本の国会では、これほど素敵な拍手を受けることはまずありません)」(英文・和文とも外務省のサイト参照)と述べた。
議会はそれなりに笑いに包まれたが、この演説がメディアを通じて流されるのは、米国よりも圧倒的に日本なのは明らか。日本で報じられるこのくだりが、裏金問題の雑な対応で批判を浴びる自分自身にどのような影響を及ぼすのか、本人もスピーチライターも周りの人間も考えなかったようなのだ。本人は、極めて上機嫌にスピーチを続けた。もし、「自分の言葉で語ってよ」という要望のハードルが高いなら、「誰かに用意してもらった言葉を、しっかりと自分なりに受け止めた上で話してよ」と思うし、「誰かに用意してもらった言葉をそれぞれ検証して、この言葉を言ったらどういう反応が起きるか想像してみてよ」とも思う。
「日本の国会では、これほど素敵な拍手を受けることはまずありません」で笑顔になった首相は、素敵な拍手を受けられない理由をまたひとつ作ってしまった。青臭い意見だと言われるかもしれないが、「自分の言葉で喋ってよ」という要請を怠ったらいけないと思う。
●岡田幹事長、枝野前代表が酒井なつみ候補とともに「まっとうな政治へ変える」と訴える。 4/21
衆院東京15区補欠選挙(投開票4月28日)5日目、最初の土曜日となる4月20日に、岡田克也幹事長と枝野幸男前代表がそれぞれ酒井なつみ候補の応援に入り、街頭演説で酒井候補とともに「まっとうな政治へ変える」と訴えました。また、同日に女性街宣も開催し、塩村あやか・高木真理両参院議員や多くの自治体議員が参加しました。
岡田幹事長は、まず、補欠選挙の投票率が非常に低いことに触れ、今回の選挙は「政治とカネの問題」に対して、「国民の皆さんがどう判断されるのか」といった重要な選挙。「今の政治がおかしい」と意思表示をするためにも「必ず投票に行ってもらうことをお願いしたい」と訴えました。
また、派閥ぐるみで法律を無視し、公然と行ってきた自民党の裏金問題を「酷い話」だと指摘した上で、20数年前から安倍派の裏金づくりが始まったと言われ、当初から関与しているとされる森元首相に対して、電話1本での確認のみで「何もなかった」と済ませたことについて、「事実を無視して、蓋をしようとしている自民党、岸田首相はもっと酷い」と声を張り上げました。
その上で、自民党には今の政治を変えようといった気持ちがないので、「まっとうな政治」に変えていくためにも、この補選で「皆さんの力を酒井なつみ候補に結集してもらいたい」「日本の政治の流れが大きく変わることになる」と酒井候補への支援を訴えました。
酒井候補は江東区議会議員2期を務め、昨年12月の江東区長選挙に挑戦したことなど、日頃から地域の人たちに活動を支えてもらっていることに、あらためて感謝の言葉を述べました。
看護師・助産師として12年間勤務した経験から、区議会議員として、医療・保健・福祉・子育て・障害者の施設・防災対策などに力を入れてきたこと。海抜ゼロメートル地帯が多い江東区の特性により、世論調査での区民の第1位「防災対策をしっかりしてほしい」といった不安の声を同じ江東区で生活する者として理解した上で「今、被災している人や復旧・復興に取り組むとともに、社会の不安を解消するよう取り組みたい」と訴えました。また、自身ががんサバイバーであることにも触れ、「今順風でも明日は身になにか降りかかるかもしれない」といった不安を安心に変えられるようなベーシックサービスの充実やセーフティネットにも取り組みたいと訴えました。
その上で、医療や保健、福祉などの政策を提案・実現していくこそが「まっとうな政治」であり、利権やお金で動く政治ではなく、「国民の声を受け止めて動く政治をつくっていきたい」「酒井なつみに託してほしい」と支援を求めました。
枝野前代表は、今の政治状況について「上からの政治」と指摘。多くの裏金をつくることができるのは、それだけ多くのお金を提供する企業や人が居るということ。これまで「その人たちに向けた政治」しか行ってこなかったことで、30年間賃金が上がらないなど国民生活に影響が及んでいると述べた上で、「政治を上からではなく、一人ひとりの足元、暮らしに光を当てていく方向へ変えるには、 今回の補欠選挙を大きなきっかけにしなければならない」と力を込めました。
酒井候補について枝野前代表は、実績だけではなく本人と接する機会があれば「すごくいい候補」だと評価してもらえるとした一方で、残念ながら補欠選挙は認知度が低く、江東区民のなかでも選挙が行われていることを認知していない人も少なくないとして、区民の皆さんへ補欠選挙の周知とともに酒井候補への支援を呼びかけてほしいと求めました。
●自民党“目クソ鼻クソ”5番勝負【二階俊博VS世耕弘成】「二階世襲」を許すまじ!離党男が和歌山2区で背水の陣 4/21
安倍派幹部への厳しい処分で一応の幕引きを見せたかに見える裏金問題。だが、それは同時に遺恨バトル第2ラウンド開戦の合図でもあった。舞台は新和歌山2区。2世代にわたる陣取り合戦の行方やいかにーー。
離党勧告を受け、自民党を去った世耕議員。政治ジャーナリストの青山和弘氏は処分の発表がある前に、直接本人から、「処分が出たら、潔く瞬時に離党する」と告げられたという。
「常日頃、総理を目指すと公言している世耕議員は、このままくすぶるのが嫌なんでしょう。言い訳もせず離党したのは、次の衆院選に、無所属でくら替え出馬することが視野に入っているからだと思います。総理になるには、衆議院議員である必要があります」(青山氏)
大願成就のために、ピンチをチャンスに変えるつもりなのだ。
そこで立ちはだかるのが、お膝元である和歌山県の大物、二階俊博議員(85)だ。世耕議員がくら替えを狙っていた経緯から議席を取り合う関係でもあり、ここ10年ほどは緊張状態が続いていた。とはいえ、来る選挙で直接対決するわけではない。
「二階議員は裏金発覚で処分を受ける前に、派閥の親分として次回の衆院選への不出馬を岸田総理に申し出ました。和歌山は22年の公職選挙法改正で、小選挙区数が3から2に減少。世耕議員はこの新和歌山2区からの出馬を目論んでいるとみられ、そこに自民党が公認候補として二階議員の秘書を務める三男を送り込むことが、確実視されています」(政治部デスク)
当然ながら同一の選挙区で世耕議員と二階ジュニアの両者を公認するわけにもいかない。そんな理由から、世耕議員に離党勧告を突きつけたといぶかる声すら聞こえてくるという。
その一方で、和歌山県といえば昨年11月開催の「過激ダンス懇親会」で地元県連が猛批判を浴びた因縁の地。これを世耕議員がもはや「党の看板は不要」と判断した一因と見るムキもあるが、ジャーナリストの山村明義氏はこう言う。
「二階議員は永田町でも名うての老獪さを持つ政治家です。世耕氏の離党に一枚かんでいてもおかしくない。鞍替え選挙で負ければ政治家生命がほぼ絶たれるだけに、立候補すらできないかもしれない、と読んだかもしれません。対して世耕議員は、即日の離党で潔さをアピールし、機先を制したつもりかもしれないが、現状では圧倒的に不利な立場にあると思います。なにせ和歌山2区は、二階王国≠ニ呼ばれるほど二階さんの影響力が大きい選挙区ですからね。何なら、2つの選挙区で長男と三男の兄弟W当選すら狙っている、と噂されるほど、地元を知り尽くしています」
前出・青山氏は、二階王国に付け入るスキはあると踏んで、世耕氏は背水の陣を敷くと見る。
「世耕議員は、勝算があると見ているはず。二階議員の長男は16年に地元・御坊市長選で落選して、ミソをつけています。もう1人の候補の三男は、裏金問題が発覚した事務所で秘書をしていました。『子供を応援する義理はない』と考える人も多いのが実情です。ミソギを済ませて、背水の陣で臨めば勝機もある。次が乾坤一擲の勝負だと腹をくくっているでしょう」
王の威光が勝つか、総理への執念が勝つか――。
●6月衆院解散説が急浮上 補選全敗でも首相退陣は薄く…国会会期末前に勝負かける? 4/21
「衆院補欠選挙後に解散総選挙が行われるのでは」。こんな声が永田町で聞こえてくるようになった。現在、3選挙区で衆院補選(28日投開票)の最中。自民党は派閥の政治資金パーティー裏金事件の影響で2選挙区は不戦敗、唯一候補を立てた島根1区も苦戦している。島根を落とせば全敗で、岸田文雄首相が退陣するか、イチかバチかで解散に打って出るかと憶測が飛び交っているわけだ。
首相が退陣するのは、総選挙で政権を奪われるか、議席を大きく減らした結果責任か、総裁選で敗れるか。あとは森喜朗元首相のときのように、支持率低迷で今後の選挙が戦えないと判断した場合か。今回の岸田退陣論も、低支持率と今後の選挙への不安が背景にある。だが、衆院の任期は来年9月でまだ1年以上残っている。
さらに今回の3補選について、全敗は織り込み済みのはず。その結果だけで、岸田首相が退陣を決断するのか。首相にしてみれば、裏金問題に直接関与しておらず、処分も決めて改革の旗振りをしている自分がなぜ責任を取らなくてはいけないのかと考えるところだろう。補選の結果だけで首相に引導を渡すのはハードルが高い。
一方、9月には自民党総裁選がある。世論調査で人気の高い石破茂元幹事長、あるいは女性初の首相として上川陽子外相か高市早苗経済安保相に「党の顔」を替えて、支持率を少しでも上げて解散総選挙すべしとの声も党内で出てくるだろう。そうなる前に岸田首相が解散を仕掛けるというのが、補選を節目とした総裁選前の解散説だ。
国会で裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡る論議が今後本格化し、法案を成立させた後の6月23日の国会会期末直前がタイミング。株高を維持、6月から一人4万円の定額減税実施、あわよくば訪朝も実現させて、支持率を上向きにしたいと考えているところではないか。
総選挙で勝つことが、総裁選の必勝法。当然負ければ退陣が待っているが、ピンポイントの勝負どころかもしれない。伝家の宝刀は、首相しか持っていないのだ。
●簗氏が処分の経緯説明 大田原で後援会役員会 自民裏金問題 4/21
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関連し、党役職停止6カ月の処分を受けた簗和生(やなかずお)衆院議員の後援会総連合会拡大役員会が20日、大田原市内で開かれた。
関係者によると、簗氏が一連の経緯などを説明したという。会は報道陣に非公開で行われ、簗氏側は取材に応じなかった。
●家計負担は3万円超! 電気・ガス代補助終了で「賃上げに水差す」 「ガソリンは継続」は“選挙対策” 4/21
電気と都市ガスへの補助金が5月の使用分で終わる。補助がなくなると電気やガス代が増え、家計の負担は重くなる。一方で、ガソリンの補助金は継続する方針だ。経済やエネルギーの専門家は、こうした岸田文雄政権のちぐはぐな物価高対策について「国民のことを考えていない」などと批判する。
電気・ガス代への補助金は昨年1月にスタートした。当初は家庭向けの電気代は1キロワット時あたり7.0円、工場や中規模マンション以上といった高圧の契約向けは同3.5円を補助する内容だった。都市ガスへの補助は1立方メートルあたり30円だ。
補助は段階的に減り、昨年9月の使用分からは半額に、今年5月分はさらにその約半分へ。そして6月分からは補助そのものがなくなる。
加えて、2024年度は電気代に含まれる再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)も値上がりする。再エネ賦課金は太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの普及のため電気代に上乗せされており、送配電会社が再エネで発電した電気を発電会社から買い取る費用に充てられる。従来の1キロワット時あたり1.4円から、3.49円になる。
その結果、家計の負担は増す。第一生命経済研究所シニアエグゼクティブエコノミストの新家義家さんが3月28日にまとめたレポートによると、標準的な家庭では電気代、ガス代を合わせて年3万2300円程度の負担増となる計算という。物価の値上がりや高どまりは続いており、家計にとっては痛手だ。
政府がこうした方針を示したのは、先行きに光が差し込みつつあるタイミングだ。今年の春闘は大幅な賃上げが実現した。労働組合の中央組織・連合が4月18日に公表した第4回集計結果によれば、定期昇給を含む正社員の賃上げ率は平均5.20%で、1991年以来33年ぶりの高水準だ(月あたりの賃上げ額は加重平均で1万5787円)。
好循環の流れに…
賃上げの額は会社やその人の年齢などによって異なるものの、期待が持てる内容だけに、新家さんは前述のレポートで「電気・ガス代の上昇が賃上げ発の好循環の流れに水を差すことが懸念される」などと指摘している。
ここで不思議なのは、電気・ガス代への補助はやめるのに、ガソリンへの補助金は続ける点だ。
ガソリンへの補助金は石油元売り会社に補助金を出してガソリンスタンドの仕入れ価格を下げる仕組みだ。22年1月にスタートし、レギュラーガソリンの全国平均価格を「1リットルあたり175円程度」に抑えることを目標としている。
補助をやめるとガソリン代は同190〜200円に値上がりするとされるから、車を利用する家計にとってはひと安心だ。しかし車を使わなかったり、使う頻度が少なかったりする家庭にとって恩恵は少なく、理不尽に感じる。
エネルギー問題に詳しい国際大学の橘川武郎学長は、政府の矛盾にも映る姿勢について「選挙対策を意識したのかもしれません」と話す。
「電力の利用者は、どちらかと言えば『広く、浅く』分布しているのに対し、ガソリンの利用者はそれに比べて偏っています。業界団体のあり方も違う。ガソリン経営者が集まる団体は全国にあって結束力もあり、集票が期待できると考えたのではないでしょうか。そもそも電気・ガスもガソリンも、今回の補助金の制度に合理性はありません。ガソリンの補助金を続けるのは、中東情勢が緊迫化し、原油価格上昇の恐れがあることも理由でしょうが、今は与党に逆風が吹いていますから、引っ込みがつかなくなったことも大きいと思います」
眼中にない
経済評論家の斎藤満さんは、政府がこうしたちぐはぐな方針を示すのは「経済の論理や国民の生活なんて、最初から眼中にないからだ」と批判する。
「岸田政権が声の大きな団体や大企業寄りの姿勢を取るのは、自分にとって得かどうか、自身のポストを維持する上でプラスかどうかを基準に置いているためです。そのため物価高対策は本来、国民のための対策であるべきはずなのに、企業にばかり目が向いている。ガソリンにかかる揮発油税を一時的に引き下げる『トリガー条項』を凍結解除する手もあるのに、財務省の顔色をうかがって、それもできない。今回の姿勢には誰のために政治をやっているかがはっきりと表れています」
そのうえで「本気で物価高対策を考えるなら、金融政策を正常化して円安に歯止めをかけるべきだ」と指摘する。ドル・円相場は18日時点で1ドル=154円台半ばで推移し、約34年ぶりの円安・ドル高の水準が続いている。斎藤さんは言う。
「日本銀行が3月にマイナス金利を解除したと言っても、政策金利を0.1%程度引き上げただけで、米国との金利差は広がったまま。円安を解消するため為替介入に踏み切ったとしても、効果は一時的なものに限られるでしょう。緩和策によって円安が続いていれば企業に対してはいい顔はできるでしょうが、原油をはじめ輸入品の値上がりを通じて物価を押し上げ、家計を圧迫します。正常化を急ぐべきです」
●首相が島根で街頭演説「心からおわび」 党員から「恥ずかしい」の声 4/21
自民党総裁の岸田文雄首相は21日、衆院トリプル補欠選挙(28日投開票)で自民が唯一擁立した島根1区の応援のため、選挙区入りし、裏金事件が表面化して以降、初めての国政選挙での街頭演説に臨んだ。島根1区での劣勢が伝えられるなか、首相は街頭演説で「大変厳しい声を受けている。本当に自民党総裁として心からおわびを申し上げる」と語った。
3選挙区はいずれも自民の議席だったが、東京15区、長崎3区では公認候補を擁立できず不戦敗が確定。与野党一騎打ちとなる島根1区の勝敗が焦点となる。
正午ごろ、山あいにある島根県奥出雲町の商業施設の駐車場でマイクを握った首相は冒頭、「自民党が政治資金の問題を巡って国民の皆さんに政治不信を巻き起こしている」と陳謝。「再発防止に向けて、この国会において公明党の力を借りながら政治資金規正法の改正を必ずやり遂げ、政治の信頼回復につなげる」と語った。
首相は街頭演説に先立ち、県東部の安来(やすぎ)市の温泉旅館で開かれた自民党による政治刷新車座対話に出席。こちらでも冒頭、党員や一般市民ら16人に対し「国民に大きな政治不信を招いていることを、党総裁として心からおわび申し上げる」と頭を下げた。参加した男性からは「党員として恥ずかしい気持ちでいっぱい。今回勝っても負けても、自民党は変わらなければならない」との声が上がった。
●岸田首相、靖国神社に真榊奉納 春の例大祭にあわせ 4/21
岸田首相は、靖国神社の春の例大祭にあわせ真榊と呼ばれる供え物を奉納しました。
東京・九段の靖国神社では、21日から23日まで、春の例大祭が行われています。
岸田首相は21日朝、「内閣総理大臣・岸田文雄」の名前で供え物の真榊を奉納しました。
また岸田内閣の閣僚では新藤経済再生担当相が21日午前、靖国神社を参拝しました。
新藤経済再生担当相「かつて国のために精魂込めて働いた方々の御霊に対して尊崇の念を込めてお参りをさせていただきました」
このほか衆議院・参議院の議長らも真榊を奉納しています。 0
●岸田首相、靖国神社の春季例大祭に合わせ真榊を奉納…参拝は見送り 4/21
岸田首相は21日午前、東京・九段北の靖国神社で始まった春季例大祭に合わせ、神前に供える 真榊 を「内閣総理大臣 岸田文雄」名で奉納した。23日までの例大祭期間中の参拝は見送る。
●韓国、岸田文雄首相の靖国奉納に「深い失望と遺憾の意」 外務省報道官論評を発表 4/21
韓国外務省は21日、靖国神社へ岸田文雄首相が供物を奉納し、一部閣僚が参拝したことについて「深い失望と遺憾の意を表する」との報道官論評を発表した。
論評は「日本の責任ある指導者らが歴史を直視し、過去への謙虚な省察と心からの反省を行動で示すこと」を促すとし、それが未来志向的な日韓関係発展の「重要な土台」になると強調した。
●政治資金の悪質な不記載は「国庫納付」…規正法改正へ自民案、議員の罰金刑要件拡大し厳格化 4/21
自民党は、政治資金規正法改正に向けた党の独自案に、政治資金収支報告書への悪質な不記載があった場合に不記載額を国庫に納付させる規定を盛り込む方向で調整に入った。国会議員の罰則強化を巡っては、議員が罰金刑の対象となる要件を拡大して厳格化し、自身の政治団体の会計責任者に対する監督責任をより厳しく問う内容とする方向で検討している。
複数の党幹部が明らかにした。自民は22日にも党政治刷新本部の作業部会を開いて議論を進め、党内の意見を集約した上で週内に取りまとめる方針だ。
国庫に納付させる範囲は、会計責任者や議員らが刑事罰を受けた場合の額とする案が出ている。一連の同法違反事件では、関連政治団体で約3500万円の不記載が発覚した二階俊博・元幹事長の秘書の有罪が確定しており、こうした事案が対象となる見込みだ。党内には「刑事罰に至るケースだけでなく、悪質性の高い不記載は対象とするべきだ」との声もある。
不記載のあった政治資金を「没収」する規定には、「裏金で私腹を肥やしている」との批判をかわす狙いがある。現行法では、政治資金を国庫に納めた場合、公職選挙法の規定に抵触する可能性も指摘されている。党は公職選挙法との整合性を含め、詳細な制度設計を進める。
政治資金規正法では、罰金刑が確定すると、議員は公民権が停止されて失職する。罰金刑となる要件は、現行法では会計責任者の「選任」「監督」の両方で相当の注意を怠った場合とされており、立証が難しいとの指摘がある。自民案では、「選任または監督」を要件としている公明党案と同じ方向性とすることを想定しており、詳しい文言は今後詰める。
このほか、自民の改正案には、収支報告書への第三者監査の強化や、収支報告書のオンライン提出などデジタル化による透明性向上なども盛り込まれる。
●島根1区補選に大物…小泉進次郎氏「新自民を作るメンバーに」、野田元首相「ガツンと一発反省させる」 4/21
衆院島根1区補欠選挙(28日投開票)は20日、告示後初の週末を迎えた。立候補した自民党公認の新人、錦織功政氏(55)と、立憲民主党公認の前衆院議員、亀井亜紀子氏(58)の2人は、選挙カーで選挙区を回り、街頭で声をからすなどして支持を訴えた。
錦織氏は地元選出の国会議員とともに、大票田の松江市で街頭演説を重ねた。
JR松江駅前での街頭演説では、自民党派閥の政治資金規正法違反事件で逆風が吹く中で立候補したことについて、友人から「なぜこのタイミングに」と言われたと明かした。その上で「ふるさとのために恩返しがしたい。地域の発展のために貢献したい。前の世代から受け継いできた大切なふるさとを、より良い形にして、より豊かにしてから次の世代に引き継ぐ。私が生涯をかけて取り組みたい仕事だ」と声を振り絞った。
また、応援に駆けつけた小泉進次郎・元環境相も、「錦織氏がこの選挙で勝つことができれば、今、自民党が向き合わなければいけない政治資金規正法改正のメンバーになる。新しい自民党を作り上げるメンバーとして、なんとか力を貸してほしい」と呼びかけた。
2人はその後、駅前に集まった人たちとの握手や記念撮影に応じた。このほか、同市内にある錦織氏の実家の酒店前でも街頭演説をした。
亀井氏は選挙カーで雲南市、松江市を回り、街頭演説した。
雲南市内の街頭演説では、応援に駆けつけた野田佳彦・元首相が政治資金規正法違反事件に触れ、「(自民党は)説明責任を果たさない。税金は払わない。処分は甘い。保守王国である島根だからこそ、今回はガツンと一発、反省させるしかない」と痛烈に批判した。
亀井氏は、公共交通の人手不足などに触れ、「この数十年、自民党が取ってきた政策はおかしい。このままだと地方が切り捨てられる。岸田政権に一撃を食らわせ、みなさんの力で政治を変えよう」と訴えた。
午後から2人に合流した蓮舫参院議員は、松江市内で街頭に立ち、物価高や低賃金による生活問題に触れて「家計の痛みを和らげないといけないのに、自民党がしているのは裏金(作り)だ。こんな政治を許してはいけない」と主張。「島根のみなさんの生活に寄り添うことができる生活感覚をもった亀井さんこそ、みなさんの声を代弁できる」と声を張り上げた。
●米韓より高い日本の電気料金 円安、中東情勢に再エネ賦課金も…上昇に警戒感 4/21
令和6年度から、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの普及のため電気料金に上乗せしている賦課金の負担が標準家庭で年1万円程度増える。電気料金の上昇は家計を圧迫し、企業活動にも影響を与えそうだ。特に産業用の電力需要は、人工知能(AI)の普及本格化で拡大する可能性が指摘されている。日本の電気料金は、先進国の中で中位とみられるが、資源を輸入に頼っているだけに足元の円安進行、中東情勢の緊迫化がエネルギー価格上昇につながる打撃となりやすく、警戒感が高まっている。
エネ価格「不透明さ増す」
電力中央研究所の調べによる国際比較では、2022年の日本の電気代は、英国やドイツよりは低かったが、米国や韓国、フランスよりは高かった。産業用では、米国や韓国の2倍前後。一方、再エネ普及が進んでいるデンマークの家庭用料金は日本の2倍近くだった。
資源のない日本にとって、エネルギー価格上昇のリスクは深刻だ。電力大手でつくる電気事業連合会の林欣吾会長(中部電力社長)は「今後のエネルギー価格の不透明性が、さらに増しているのは事実」と話す。そのうえで「2年前(ロシアによるウクライナ侵略開始)のような高騰があれば対応が大変だが、学んだこともある。調達先を工夫するなど、事業者は価格の乱高下を回避できる対策を講じていくと思う」と述べた。
電気料金、価格転嫁進まず
国内では人口減少が進んでいるものの、今後はAIの普及を背景に、電力需要は高まるという見通しがある。
科学技術振興機構の推計では、AIなどの情報処理を行うデータセンターの電力消費量は、平成30年の140億キロワット時に対し、令和12年には6倍以上の900億キロワット時まで拡大。現在の国内の総需要の1割近くまで伸びる計算だ。
東京商工リサーチが行ったインターネット調査(2857社回答)では、今年1月時点で本業に係るコストが前年より「増加した」と回答した企業は、73・6%と7割を超えた。特に多かったのが「原材料や燃料費、電気代の高騰」の91・2%(1920社)だ。
このうち、高騰した分を商品の価格に上乗せする価格転嫁が全額できたのは、3・6%の63社にとどまる。「受注減など取引への影響が懸念される」「同業他社が転嫁していないため」などが理由として挙げられた。
東京商工リサーチの担当者は「価格転嫁はまだ十分ではない。再エネ賦課金の値上げは、ようやく出てきた良い流れをとどめてしまう可能性がある」と指摘する。
政府は電源として再エネの比率を高める計画だが、その分賦課金の必要性も高まってくる。「再エネ普及と国民負担抑制の両立」が重い課題として残り続ける。 
●裏金問題で派閥幹部「証人喚問すべきだ」80% 毎日新聞世論調査 4/21
毎日新聞は20、21の両日、全国世論調査を実施した。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題の真相解明のため、派閥幹部らを国会で証人喚問すべきだと思うか尋ねたところ、「証人喚問すべきだ」が80%を占め、「証人喚問する必要はない」(13%)を大きく上回った。
証人喚問では、虚偽の証言をした場合、偽証罪に問われる可能性がある。裏金事件を受け、衆参両院で政治倫理審査会が開かれ、派閥幹部らが弁明したが、問題の真相解明は進んでいない。
調査は、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯519件、固定513件の有効回答を得た。

 

 

●首相、旧文通費の使途制限や公開の在り方議論を指示 衆院予算委 4/22
岸田文雄首相は22日の衆院予算委員会で、国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧・文書通信交通滞在費)について、使途の制限や公開の在り方について各党と議論するよう自民党に指示したことを明らかにした。
旧文通費は国会議員としての活動を有権者に伝えるための費用だったが、使途を公開する必要がないため、飲食費などへの流用が問題視されてきた。首相は「支出可能経費の確定、支出の公開の在り方について各党会派間で議論を再開してもらう。自民党として積極的に議論に参加していきたい」と述べた。
首相はまた海上自衛隊のヘリコプター2機の墜落事故について「重く受け止め、自衛隊機の安全な運航に万全を期したい。任務遂行のための厳しい夜間訓練のさなか、大切な隊員を失ったことは痛恨の極みだ」と述べた。事故原因に関しては「2機が衝突して墜落した可能性が高いと報告を受けている」と説明した。
自民党の大串正樹、井出庸生両氏に対する答弁。
●自民党裏金問題、再発防止で責任果たすのが責務=岸田首相 4/22
岸田文雄首相は22日の衆院予算委員会集中審議で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題に関し「トップとしての責任を重く受け止めないといけない」とした上で、「党の信頼回復は道半ばで、党総裁としてトップとしての責任を果たしていくのが私の与えられた責務」と述べた。自らの引責辞任の必要性を否定した。
江田憲司委員(立憲)への答弁。江田氏は、多くの上場企業で不祥事の責任を取って経営トップが辞任した例を示し、首相の責任について質問した。
●岸田首相に公明党議員が苦言&疑問連発 政治資金規正法改正に向け「本当に先頭に立っている?」 4/22
公明党の赤羽一嘉元国交相は22日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる問題に触れ「率直に言って恥ずかしいし、同じ国会議員として情けない」と、岸田文雄首相に対して苦言を呈する場面があった。
また、裏金事件を受けて与野党が今国会中での成立を目指す政治資金規正法の改正について、赤羽氏は「総理は先頭に立って取り組むと再三、発言しているが、先週与党協議が開始され、これから与野党会議も、という段階で、自民党案がまとまらない現状は、本当に総理が先頭に立って取り組んでいるといえるのでしょうか」と、自民党の対応を疑問視。「真剣に法改正への覚悟があるなら、すぐに提示すべきだ。いつ提示するのか」と、強い調子で岸田首相の自民党総裁としての立場に迫った。
これに対し、岸田首相は「政治資金規正法の重要性、国会議員の自覚の欠如はご指摘の通りだ。政治資金規正法改正が行われないといけないことは自民党も強く感じています」とした上で「まずは、今ご指摘されている事案に直接対応する課題として、責任の厳格化、政治資金の透明化の点を重視することから、議員本人の責任強化、外部監査強化、デジタル強化は最低限行わないといけないから、議論を行っている」と説明を繰り返した。「今週(自民党案の)取りまとめの作業を予定している。とりまとめ次第、与党としての考え方を国会の議論に供し、今国会において間違いなく政治資金規正法の成立に向けて作業をしていく」と訴えた。
ただ赤羽氏は「とりまとめ次第、というのでは通じないと思う。政治家の責任については必ず実現しないといけない。一両日中に自民案をまとめ、しっかりした議論に臨んで欲しい」と納得せず、「総理自身が政治家の責任について成案を得ると、政治生命を懸けて約束をしてほしい」と、さらに迫った。岸田首相は「自民党として、議員本人の責任を強化するのは重要なポイントだ」などと応じるにとどまった。
●内閣支持率26.9%…3月から3.7ポイント上昇 “裏金”首相不処分を7割が問題視 FNN世論調査 4/22
FNNがこの週末に実施した世論調査で、岸田内閣の支持率は、3月から3ポイント以上上昇し26.9%だった。派閥の裏金問題で、自民党が岸田総理大臣への処分を見送ったことに7割が「妥当ではない」と答えた。
“裏金”首相不処分を7割が問題視
FNN世論調査は、4月20、21日に電話調査(RDD固定+携帯)で行い、全国18歳以上の男女1010が回答した。
岸田内閣を支持するとの答えは、3月から3.7ポイント上昇し、26.9%だった。4月、国賓待遇で訪米し、日米首脳会談などを行ったことについて「評価する」と答えた人は55.5%だった。
また、派閥の裏金問題をめぐり自民党の党紀委員会が、安倍派幹部ら39人を「離党勧告」や「党員資格の停止」などとした処分については「納得できる」と答えた人が40.7%「納得できない」と答えた人は55%だった。
一方、今回の処分で岸田総理大臣への処分が無かったことについては「妥当ではない」と答えた人が7割近くに上った。
5割以上が「政権交代」を期待
厚生労働省が、年金制度の点検として検証を行うとしている国民年金の保険料を納める期間を5年間延長して65歳までとすることについては「賛成」と答えた人が42%、「反対」は49.9%だった。
2025年10月までの衆議院任期の中で、いつ頃解散総選挙が行われることが望ましいかという質問で、最も多かったのは「6月まで予定されている通常国会中」との答えで、33.5%だった。
さらに、選挙後の政権のあり方については「自民党中心の政権の継続」を期待する人は40.1%、「政権の交代」を期待すると答えた人は52.8%だった。
年始から、大きな地震が頻繁に発生する中、地震への備えについて聞いたところ「あまり準備ができていない」と答えた人が、49.2%、「全く準備ができていない」との答えが21.5%と続いた。
●首相と泉氏、島根で舌戦 「裏金おわび」「責任判断を」 衆院島根1区補選 4/22
全国3補選のうち唯一の与野党対決となった衆院島根1区補選で、岸田文雄首相(自民党総裁)と立憲民主党の泉健太代表が21日、島根入りした。「政治とカネ」の問題で政治不信が高まる中、候補者の応援マイクを握り、舌戦を展開。岸田政権の行方を左右する戦いでの勝利に向け、「直接対決」で火花を散らした。
告示前を含めて初めて島根入りした岸田首相は、安来市内であった党員や市民16人との座談会に出席。冒頭のあいさつで、自民派閥の政治資金パーティーの裏金事件に関して「国民の大きな政治不信を招いている」と語り、政治資金規正法の改正を通じた再発防止に注力する考えを示した。
島根県奥出雲町内の商業施設前でも約600人を前に「本当に自民党総裁として心からおわび申し上げる」と謝罪。出雲大社やたたら製鉄といった地域資源を生かした観光振興のほか、地方や中小企業への賃上げの波及、防災・減災対策などを進める考えを強調し、「未来に向けて政治を進めるのは誰なのか、どの政党なのかをこの選挙で考えていかないといけない」と支持を呼びかけた。松江、出雲両市内でも街頭に立った。
立民の泉代表は告示前を含めて4回目の島根入り。安来市内の商業施設前の街頭演説では約300人を前に、岸田首相の来県に触れ、「(応援に入ることが)マイナスになるかもしれないと言われる中、訪れた。対決するこの日こそ、(支持を)大きく伸ばす日にしていこうではないか」と呼びかけた。
また、スサノオノミコトがヤマタノオロチを倒す出雲神話に例え、「裏金、古い政治、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)など多くの『首』がある中、何一つ処分されずに首が残っている」と指摘。首相が裏金事件を巡る自身の責任について「最終的に国民、党員に判断してもらう」と発言したことを挙げ、「島根1区から国民の判断を見せようではないか」と語気を強めた。その後、松江市内でも街頭演説した。
●信念や思想のない岸田首相のポピュリズム$ュ権運営 政治不信の正体、大衆の「政治家を血祭りに挙げたい」感情をかき立て 4/22
自民党派閥の裏金事件を受けた、衆院政治改革特別委員会が来週26日に初開催される。国民に「政治とカネ」への嫌悪感が広がるなか、後半国会最大の焦点となる政治資金規正法改正に向けた議論がスタートする。ただ、近年にない「政治不信」が高まっている原因はこれだけではない。麗澤大学教授の八木秀次氏は、岸田文雄首相の強い信念や思想のない「後手後手」の「ポピュリズム政治」が、大衆の「政治家を血祭りに挙げたい」という感情をかき立てていると喝破した。
今年1月、岸田首相が宏池会(岸田派)の解消を突然言い始めたとき、「他派閥も倣わざるを得ず、解消か活動停止に追い込まれるだろう」「これは9月の自民党総裁選に向けて首相には都合がよい」と、夕刊フジの本欄(1月22日発行)で指摘した。
個々の議員と首相(自民党総裁)や執行部との間に介在して首相らを牽制(けんせい)し、個々の議員を守ってきた派閥という「中間団体」が解消することで、首相らは個々の議員を直接統治でき、議員は従わざるを得なくなる。ライバルの台頭に向けての「議員の集結」を阻止できるというのが理由だ。
同時に、それは強い政治的信念や思想を持った統治者には都合がよいが、そうでない統治者の場合、マスコミ世論の動向に振り回され、不安定な「ポピュリズム政治」になる可能性が高いとも指摘しておいた。その後の政治情勢は、ほぼ私の見立て通りに推移しているようだ。
岸田首相には強い政治的信念や思想は見受けられない。人からよく思われたいタイプだ。だから、マスコミ世論が示す方向に流れていく。その割に、現在は「独裁者」だ。独裁者が相談や根回しなしでマスコミ世論の示す方向に向かっていく。
しかも、決断までにやや時間の掛かるタイプに見える。マスコミ世論はその先を行っている。だから常に「後手後手」と批判される。だが、いったん決断すると猪突(ちょとつ)猛進、ここでも相談や根回しなしに実行に移す。岸田首相の政権運営の姿はそう見える。
旧清和政策研究会(安倍派)や旧志帥会(二階派)の政治資金パーティー券収入不記載事件、いわゆる裏金事件だが、東京地検特捜部の捜査の結果は「大山鳴動して鼠一匹」の状態だった。特捜部がメディアにリークして大騒ぎした割に若干名の逮捕や略式起訴に終わった。
法治国家の罪刑法定主義の考えからすれば、これで一件落着のはずだが、マスコミ世論は収まらなかった。政治的・道義的責任とやらを問い始めた。岸田首相はここで果断に何人かを処分して終わりにすればよかった。
それを「派閥解消」という大きな話にし、野党やマスコミ世論の示すままに国会の政治倫理審査会を開かざるを得なくなり、しかも自らが出席することで関係議員を引っ張り出した。野党やマスコミ世論はこれでは納得しない。関係議員を党として処分せざるを得なくなり、それが中途半端と批判される始末だ。
芥川龍之介の『侏儒(しゅじゅ)の言葉』に、「輿論は常に私刑(リンチ)であり、私刑は又常に娯楽である」という大衆社会への警句があるそうだ。岸田首相の政権運営は、大衆が政治家を血祭りに挙げたいという感情をかき立てている。政治不信と言われるものの正体だ。
●自民党はボロ負け必至…追いつめられた岸田首相が手を組む「意外な相手」 4/22
訪米を済ませてご機嫌だが
岸田文雄首相が4月14日午後、1週間の米国訪問を終えて帰国した。バイデン大統領に大統領専用車の“ビースト”に同乗させてもらい、米国連邦議会上下合同会議での演説で大喝采を受けるなど、アメリカから受けた厚遇にすっかりご満悦の様子。だが日本では過酷な政治日程が待っている。
まずは4月28日に投開票される衆院補選だ。自民党が公認候補を擁立できたのは島根1区のみで、長崎3区では早々と不戦敗を宣言。東京15区ではなんとか乙武洋匡氏を推薦しようと模索したが、それも諦めた。
それでも永田町では「6月解散説」が消えない。岸田首相が9月に予定される自民党総裁選を乗り切るには、その前に衆院選を行い、党内の求心力を高める必要があるが、肝心の内閣支持率がここ最近は伸びていない。これでは9月に予定される総裁選どころか、「岸田降ろし」も起こりかねない。
以上は誰もが懸念することだが、意外なことに岸田首相は衆院補選を楽観していると伝わっている。ある自民党関係者は、「もし衆院補選で最悪な結果になったとしても、岸田首相はそれを『ガス抜き』ととらえているようだ。自民党が惨敗すれば国民の不満が解消され、その後は内閣支持率が上昇すると見ているらしい」と語った。
そして今、永田町で流れているのは「内閣支持率が3ポイント上がると、岸田首相は衆院を解散する」という噂だ――。
実際に4月の内閣支持率は、ANNの調査では前月から5.4ポイント上昇の26.3%で、共同通信の調査でも23.8%と3.7ポイント上昇。自民党政権に厳しい数字が出ることで知られる毎日新聞の調査も5ポイント上昇の22%と、3か月ぶりに20%台を回復した。
しかしこれらの数字は、過剰な演出が盛り込まれた訪米の影響が多分にある。一方で調査の具体的な内容を見ると、たとえば自民党の「政治とカネ」問題で岸田首相が自らを処分しなかったことについて、ANNの調査では66%、共同通信でも78.4%が「納得できない」と回答し、毎日新聞の調査では62%が「政権交代してほしい」とするなど、岸田政権に対する根強い不信が感じられる。
よって11日に発売された週刊文春4月18日号が「自公83議席減!」と報じた記事は、自民党に大きな衝撃を与えた。同記事によると、自民党は現有議席の259議席から186議席と激減し、公明党も22議席しか獲得できず10議席も減らし、208議席となった自公は政権を維持できなくなるというものだ。
自民と維新の蜜月
一方で同記事では、立憲民主党は52議席増の147議席、日本維新の会も21議席増の62議席を獲得すると予想している。ここで「自公維連立論」が浮かび上がる。3党を合わせれば270議席となり、衆議院(定数465議席)で過半数を維持できるからだ。そしてそれを意識するかのような行動が、最近の日本維新の会に見ることができる。
日本維新の会の馬場伸幸代表は4月16日、東京15区の補選の応援で、「立憲民主党に投票しないでください」と有権者に訴えた。馬場氏はまた18日に国会内で開かれた会見でも、「立憲民主党は叩き潰す必要がある」と述べている。
さらに同党の三木圭恵衆院議員は18日に開かれた衆院憲法審査会で、立憲民主党を「立憲共産党」と揶揄して、立憲民主党の逢坂誠二野党筆頭幹事を激怒させた。もっとも維新側のこうした行動の背景には、改憲に消極的に見える立憲側が審査会を仕切ることに対する改憲積極派である維新側からの不満がある。
そうした“対立”はこの度の衆院補選でも見ることができる。日本維新の会は長崎3区と東京15区に公認候補を擁立し、いずれも立憲民主党と闘っている。
一方で維新は島根1区で独自候補を擁立していない。同党の藤田文武幹事長は4月17日の会見で島根1区での「自主投票」を言明し、自民党にも立憲民主党にも与しない姿勢を示している。
立憲が勝つのは困る……
要するに衆院補選については、自民党と維新は相反する立場にないことになる。そこで立憲民主党の躍進を阻止したい自民党は、思わぬ「禁じ手」を講じるかもしれない。ある自民党関係者は次のように打ち明けた。
「東京15区は立憲民主党の公認候補が優勢だが、彼女が当選して立憲民主党が勢い付いてしまっては、我々が困る。そこで15区内の自民票を“2位の候補”に集中させることで、なんとか挽回をはかりたいところだが、都連上層部からの具体的な指示はまだ来ていない」
そもそも東京15区は自民党系の牙城で、小選挙区制度が導入されて以来「反自民」の候補が当選したことはなかった。また2023年4月の江東区議選で自民党公認候補が獲得した票の総数から、15区の「自民票」は約5.5万票と推定され、2人続けて自民党議員が逮捕されたという不祥事が続いたとはいえ、これらの票が東京15区補選の結果に大きく影響することは間違いない。
ならば、立憲民主党を厳しく批判し始めた馬場氏らの一連の言動は、こうした票を狙っての自民党へのアピールも含んでいるのかもしれない。そうした彼らのシグナルを、政権延命を何よりも優先する岸田首相はどのように受けとめているのか――。
空気の読めない首相の“仁義なき戦い”は、これからも続いていくのだろうか。
●旧文通費の公開などで岸田総理「自民党として積極的に議論に参加したい」 4/22
岸田総理は、国会議員の旧文書通信交通滞在費のありかたをめぐり、自民党総裁として、と前置きしたうえで使途や公開のありかたについて、「各党・会派間で議論を再開してもらうことを指示した」「自民党として積極的にこの議論に参加してまいりたい」と語りました。
衆議院・予算委員会で、自民党の井出庸生衆院議員の質問に答えました。
●「岸田“隠蔽増税”メガネをクビにしろッ」国民年金「65歳まで納付」で令和一揆もある! 4/22
岸田政権は主に自営業者らが加入する国民年金の保険料の納付期間を現在より5年延長し「65歳までの45年」にする方針を固めたことで、国民の間に不満と不安の声が渦巻いている。
年金に詳しいファイナンシャルプランナーは今回の「延長論」をこう解説する。
「少子高齢化で年金を負担する若い層が減り、高齢者が増えることで年金資金が不足する。今のままなら近い将来の年金支給額が3割前後減るとの試算も。そのため、22年頃から社会保障審議会で5年延長論が議論されてきたのだが、いよいよそれを実施する段階にさしかかったということで、延長はほぼ決定です。5年延長となれば負担者は、およそ100万円前後余分に支払う計算になる」
しかし、この納付期限延長策には納付者の間から「あと2年で納付期限が終わると思っていたのに、ゴールポストを勝手に遠くに動かすのは岸田詐欺だ」「国民年金支払い延長は実質増税だ。岸田内閣は、この他にも手を変え品を変え次々とステルス増税を仕掛けている。岸田増税メガネを早くクビにしないと今後も令和増税は増え続け我々の老後は地獄になる」などと大ブーイングだ。
「岸田ステルス増税」では、2026年度に始まる「子ども・子育て支援金」の財源を巡ってのものがある。
4月11日、国会で「子ども・子育て支援金」の国民負担の具体的額を問われた加藤鮎子こども政策担当大臣は国民健康保険に加入する自営業者などが担う負担額の試算を明らかにした。
それによると28年度は年収200万円の人は加入者1人当たり月額250円、400万円の人は同550円、600万円の人は同800円、800万円の人は同1100円となる。月では数百円とはいえ年額にすれば数千円、これが生涯続くとなれば庶民にすれば重い負担だ。
そしてもうひとつ気になる増税案は防衛費だ。岸田政権は防衛費を23年から27年度の5年間で従来の1.6倍に増やして総額43兆円程度にする方針を示している。自民党関係者が内情を明かす。
「防衛費増額のため、まずは建設国債などを利用して増額を試みるだろう。しかし、それだけでは43兆円は賄いきれないので法人税などの増税はせざるを得ないという見方が強い。本来、岸田内閣はその増税を25年度にもやりたかったが自民党裏金問題で身動きがとれなくなった。だが日本を取り巻く世界情勢が厳しくなる中で、いつまでも先延ばしにはできない。おそらく26年度を目途に動きだすだろう」
シンクタンク関係者の見通しによると、事態はさらに深刻だ。
「43兆円の防衛費だが、円安と資材高騰で、ここにきて防衛装備品などはすべて値上がりが続いている。例えばヘリ1機だけでも43兆円と決めたときより50億近く跳ね上がっている。ほかの装備品などもしかりで2倍近く高くなっている。となると43兆円が60兆から70兆円に膨れ上がる可能性はかなり高い。今後、増税の割合が重くなる懸念は強い」
増税ラッシュで、もはや令和一揆がいつ勃発しても不思議ではない。その手始めは28日投開票の国政補選となるのか。
●裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗 4/22
裏金総理の応援は完全に不発だった。岸田政権の行く末を占う衆院3補欠選挙(28日投開票)。長崎3区と東京15区で候補者擁立を見送った自民党が、唯一、擁立したのが島根1区。与野党一騎打ちの構図で「天王山」に位置付けられている。ラストサンデーの21日、自民党総裁の岸田首相と立憲民主党の泉代表が現地入りしたが、明暗が分かれた。
立候補しているのは、自民新人の錦織功政氏と、立憲前職の亀井亜紀子氏の2人。
岸田首相は21日正午前、選挙区の中心地JR松江駅から車で1時間ほどの山間地域、奥出雲町内のスーパーで演説。錦織氏本人が市街地での遊説で不在の中、約500人の聴衆を前に「政治の信頼回復へ先頭に立ち、責任を持って進める」と訴えた。ところが、聴衆からの拍手はパラパラ。お寒いムードが漂っていた。
険しい表情で話す岸田首相を前に、2人組の高齢男性はこんなヒソヒソ話を交わしていた。
「こんな所に総理大臣が来るって、あれはソックリさんじゃないかね。こぎゃん田舎の山奥にわざわざ来るなんて、自民党も必死だ。相当追い詰められてるんだろうね」
1996年の小選挙区制導入以降、同区では自民の細田博之前衆院議長が連戦連勝。首相の応援は異例なだけに、岸田首相を「ソックリさん」と思ったのかもしれない。
「岸田さんのことを良く言っておいたから!」と“ヤラセ”暴露
錦織氏の妻が聴衆に挨拶して回ると、ある男性は「さっき、メディアの取材に岸田さんのことを良く言っておいたから!」と、まさかの“ヤラセ”を暴露。集まった聴衆の大半が「動員」なのは明らかだった。
動員された70代男性は日刊ゲンダイ記者にこう打ち明けた。
「うちは代々自民党支持の家系ですから、今回も自民党に投票したいとは思っています。とはいえ、今回の裏金のことで多くの県民が怒っている。今後は、日本維新の会を支持することも視野に入れようかと」
動員しても岸田演説が盛り上がらなかった一方、立憲の亀井陣営の演説は上々だった。泉代表は午後3時半、松江駅前で行われた亀井氏の街頭演説に駆けつけた。聴衆こそ300人程度だったが、泉氏が裏金事件を念頭に「一緒に政治を変えたい」と訴えると、拍手と共に「そうだ!」という声がそこかしこから上がり、大盛況だった。
情勢調査では亀井候補がリード
選挙情勢はどうなっているのか。
「直近の情勢調査では、立憲の亀井さんがリードしている状況です。選挙前の段階で、錦織さんは15ポイント離されているとの調査がありましたが、現時点でも差は縮まっていないようです。裏金事件の影響で、地元自民関係者からは『総理に来てほしくない』という声もある。一部の支援者は、度重なる動員にヘトヘトになっています。そもそも、過去の選挙は細田さんの連勝だったから、ここの自民党はマトモに選挙を戦ったことがない。対立候補を追いかける展開を経験したことがないため、どう活動すればいいのか分からないようです。諦めムードすら漂っています」(官邸事情通)
地元紙「山陰中央新報」電子版(20日)は、ある県議の「国会議員が次から次に入ってきてかきまわしている。訳が分からない状態だ」とのコメントを報道。岸田首相の現地入りは、やはり地元関係者に迷惑がられている可能性がある。
このままでは補選3連敗まっしぐらだ。岸田首相は表に出ず、おとなしくしていた方がいいのではないか。
●次期衆院選で政権交代「期待」52%、自民政権「継続」40% 内閣支持率は微増の26% 産経・FNN合同世論調査 4/22
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が20、21両日に実施した合同世論調査で、次期衆院選後の政権について尋ねたところ、「政権交代を期待」が52・8%に上り、「自民党中心の政権の継続を期待」の40・1%を上回った。岸田文雄内閣の支持率は26・9%で前回調査(3月16、17両日)比で3・7ポイント増えたが、「危険水域」とされる20%台が6カ月続いている。不支持率は67・7%(前回比4・1ポイント減)だった。
自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡る安倍派(清和政策研究会)幹部らに対する離党勧告や党員資格停止などの処分については「あまり納得できない」「全く納得できない」が計55・0%で、「大いに納得」「ある程度納得」の計40・7%を上回った。岸田首相自身は処分の対象にしなかったことについては68・2%が「妥当ではない」と答えた。
衆院解散・総選挙の時期については「6月まで予定されている通常国会中」が33・5%で最多。「来年10月の任期満了まで解散する必要はない」21・7%▽「秋ごろ」20・3%▽「年内」15・3%▽「来年以降」4・5%−と続いた。
岸田首相にいつまで続けてほしいかの質問では「9月の自民党総裁任期まで」が最も多い43・2%。「国会が終わる予定の6月ごろまで」が25・0%、「すぐに交代してほしい」は20・7%で、「9月以降も続けてほしい」は8・2%にとどまった。
一方、岸田首相が国賓待遇で訪米し、日米首脳会談で自衛隊と在日米軍の連携強化に向けた防衛協力を確認したことへの評価は「大いに評価する」「ある程度評価する」が計55・5%に対し、「あまり評価しない」「全く評価しない」は計37・4%だった。少子化対策の財源を確保するため公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」に関しては「反対」が59・1%で「賛成」の36・3%を上回った。
調査では内閣支持率に関し、答えが不明確な場合は「どちらかと言えば」と再度、質問して回答を得た。
●岸田首相、森喜朗元首相への聴取「記録はございません」 4/22
22日午前の衆院予算委員会の集中審議で、立憲民主党の岡田克也幹事長は、裏金事件への関与が指摘されている森喜朗元首相への岸田文雄首相による聴取について「電話で確認されたときに総務会長とか幹事長は同席されてましたか。電話の横に行って一緒に聞いておられましたか、そして記録はあるんですか」と質問。
岸田首相が「私の責任で聞き取り調査を行いました。記録はございません」と答弁すると、委員会室から「うわー」という声があがった。
岡田氏は「もっと真剣に考えて、しっかり森元総理を呼ぶなり、行くなりして、複数できちっと聞いて記録取ってください」と指摘した。
●内閣支持率は微増も「危険水域」続く、衆院3補選が命運左右の可能性 4/22
岸田文雄首相の内閣支持率が週末に実施された一部の世論調査で微増したが、3割を切る「危険水域」を脱していない。秋の自民党総裁選を控え、28日に投開票が行われる衆院3補選の結果は政権の命運をも左右しかねない。
今月10日に米ワシントンで行われた日米首脳会談は評価されたものの、政治資金問題への国民の不満が根強く、支持率の大幅アップにはつながらなかった。朝日新聞が20−21日に行った調査では26%だった。前月比で4ポイント増加。同時期に行われた毎日新聞の調査では支持率も3カ月ぶりに22%と20%台を回復した。読売新聞の19−21日の調査での内閣支持率は前月比横ばいの25%だった。
3補選は東京15区、島根1区、長崎3区で行われるが、自民党が候補者を擁立できたのは細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区のみだ。細田氏が当選を重ねてきた「保守王国」の同選挙区で敗北すれば1勝もできなかったことになり、政権運営は厳しさを増す。菅義偉前首相は2021年4月の衆参2補選と参院広島選挙区の再選挙で1勝もできず、同年9月の総裁選で立候補せずに退陣した。
与野党一騎打ちの構図となった島根1区では、16日の告示後に各社が行った調査で対抗馬の立憲民主党候補の優位を伝えている。朝日は、自民新人の錦織功政氏が自民支持層の8割を固めたものの立憲前職の亀井亜紀子氏に「食い込まれている」と報道。読売も亀井氏が先行し、錦織氏が苦戦しているとしている。
林芳正官房長官は22日午前の会見で世論調査の受け止めを問われ、「国民の政治に対する不信の声は真摯(しんし)に受け止めなければならない」と答えた。党のガバナンス改革や政治資金規正法の改正など内政外交の諸課題に取り組み、「ひとつひとつ結果を出していく」と述べた。
日米首脳会談を行った直後の調査でも内閣支持率は上昇したもものの、20%台にとどまっていた。共同通信の調査(13ー15日)では前回3月調査を3.7ポイント上回る23.8%。ANNの調査(13ー14日)でも26.3%と前回比で5.4%上昇していた。
岸田首相は訪米中の12日、衆院解散について問われ、今は政治の信頼回復と経済を始めとする先送りできない課題に専念するのみだとして「それ以外のことについては考えていない」と記者団に語った。
●衆院補選 “一騎打ち”与野党幹部ら島根入り “逆風”あせる自民 政権への影響は? 4/22
衆議院・島根1区の補欠選挙が16日に告示され、与野党幹部が候補者の応援のために続々と現地入りしています。自民党が圧倒的な強さを見せてきた“保守王国”の選挙区ですが、裏金事件による逆風で党内に危機感が高まっています。注目の補選の行方は…?
20日、島根県の松江駅前には…
バンキシャ「すごい人が集まっています。駅前には人だかりができていますね」
そこに現れたのは、小泉進次郎衆議院議員だ。自民党候補の応援に駆けつけた。
バンキシャ「みなさん、進次郎氏にくぎづけですね」
応援演説に立つと、ある言葉を繰り返した。
自民党・小泉進次郎衆院議員「この選挙、私たちは負けてるんです。私たちは負けてるんです!」
“裏金事件”で逆風が吹く自民党。今回の衆議院“トリプル補選”では、すでに2つの不戦敗が確定している(東京15区・長崎3区には自民候補者の擁立なし)。
全敗阻止へ―。与野党一騎打ちの島根1区は、負けられない戦い。自民党から立候補しているのは、元財務官僚の新人・錦織功政氏だ。
バンキシャ「逆風は、やりづらさがありますか?」
自民党・錦織功政候補(55)「いえ!もうここまでくれば国会や自民党内でも政治改革の動きはすでに始まっています。私はこの勢いに乗って、選挙戦を戦い抜いていきたいと思っています」
しかし選挙運動を手伝う自民党陣営のスタッフからは、こんな本音が…
自民党陣営のスタッフ「パンフレットを受け取っていただけないとか多々ありましたし、門前払いされるというか…厳しいです」
また、この翌日、21日には岸田総理大臣が選挙応援に入ることになっていたが…
自民党陣営のスタッフ「もし来ていただいて(裏金事件について)何かしゃべっていただくことができれば、いいこと…。これで何も語らなければ、逆に言うとマイナス」
“逆効果”となることを心配していた。
そして、21日。島根・奥出雲町でマイクを握った岸田総理は。
岸田首相「政治資金の問題をめぐって、国民のみなさんに政治不信を巻き起こしてしまっている。心からおわびを申し上げる次第であります」
さらに、岸田首相は政治資金規正法の改正を目指す考えを重ねて示した。
対する立憲民主党。21日、泉代表が島根入りした。
立憲民主党・泉健太代表「岸田総理がやってくるっていうじゃないですか、各地回ってるっていうじゃないですか。ただ自民党からもそれはマイナスになるかもしれないと言われているんですよ、みなさん」
自民党の“裏金事件”を追い風に…。さらに20日、島根・松江市にて応援合戦に加わったのは…
バンキシャ「蓮舫議員がいらっしゃいました。拍手がおきています」
トレードマークの白いスーツ姿の蓮舫参議院議員だ。
バンキシャ「意気込みというか(選挙を)どう見ている?」
立憲民主党・蓮舫参院議員「むしろ島根県民の方が迷惑だと思いますよ。自民党王国と言われることが」
その立憲民主党から立候補したのは、亀井亜紀子氏だ。
立憲民主党・亀井亜紀子候補「みなさんの反応はすごくいいと思います。ただあまりそれに流れされずに、やはり自民王国で、自民党は組織固めてじわっと見えない選挙をするので、油断せずに全力で攻めていきたい」
小選挙区制の導入以降、衆議院の選挙区では自民党が議席を独占し続けている島根県。“保守王国”での勝利へと、選挙区内を広く回る。住民を見つけると…
バンキシャ「亀井候補が坂道を走って有権者の元へ…」
直接、支持を訴えた。現時点での手応えを選挙スタッフに聞くと…
立憲民主党陣営の選挙スタッフ「東京に比べるとこちらの風弱いと思う。保守王国っていうのがあって、昔のすごく良かった時代の自民党の記憶が、まだ有権者のみなさまの頭の片隅に残っているのではないかなと…。我々としてはこれを食い止めたいという思いが強いですね」
――この選挙の結果は、岸田政権にどんな影響を与えるのか。
政治部 自民党担当キャップ・前野全範記者「もし敗れれば、自民党内からは岸田総理のままでは選挙は戦えなくなるとして、岸田降ろしやポスト岸田に向けた動きが始まるとの声が出ています。一方で、総理の側近議員は、負けても総理1人ではなく自民党全体の責任だと強調し、政権幹部の1人も、とてもじゃないが党内でガタガタしている余裕はないと指摘しています」
5月以降は、外交日程が続くこともあり、すぐには政権運営の大きな影響はでないとの見方も根強くあります。いずれにもしても島根一区で敗れれば、今の国会中での解散総選挙のハードルは上がることになります。
●3万7000円台中心に上値重い、中東情勢や日米決算を見極め=今週の東京株式市場 4/22
今週の東京株式市場で、日経平均は3万7000円台で上値の重い展開が見込まれる。日本株は総じて軟調な値動きが続いているため自律反発が期待されているが、中東情勢への警戒や米利下げ観測後退の思惑がくすぶるほか、日米での企業決算発表を控え戻りは限定的となりそうだ。
日経平均の予想レンジは3万6900円─3万7900円
19日の東京株式市場で日経平均は1011円35銭(2.66%)と大幅に下落し、今年最大の下げとなった。日経平均はこのところ軟調な値動きとなっており、週間では2455円下落した。ただ、1─3月で約6900円(20%)上昇していたため、市場では「買われすぎの修正」(国内証券ストラテジスト)と冷静な見方も少なくない。
外部環境を巡ってはイスラエルとイランの衝突など中東情勢の緊迫化のほか、米利下げ観測の後退、半導体需要を巡る慎重論など、複数の懸念材料が重なっている。警戒感が強い状況が続きそうだ。
また、国内外で半導体・ハイテク企業の決算発表が始まる。米国ではテスラ(TSLA.O), opens new tab、メタ(META.O), opens new tab、アルファベット(GOOGL.O), opens new tab、マイクロソフト(MSFT.O), opens new tab、国内ではキーエンス(6861.T), opens new tab、ニデック(6594.T), opens new tab、アドバンテスト(6857.T), opens new tab、信越化学工業(4063.T), opens new tabなどが発表を控えている。
大和証券の石戸谷厚子ストラテジストは「中東情勢を巡る報道に一喜一憂する局面は続くとみられるが、ショックがある程度和らいだら市場の目線は決算に向かうだろう」との見方を示す。特に半導体需要への市場の関心は強く、決算後は関連株の選別物色が加速すると予想されている。
25─26日には日銀が金融政策決定会合を開催し、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表する。加速するドル高/円安や追加利上げを巡り、植田和男日銀総裁の会見での発言が注目される。 

 

●衆院東京15区補選・候補者に聞く「政治とカネ」 4/23
衆院東京15区補選(28日投開票)に立候補している元職・新人の9氏に、「政治とカネ」について聞いた。
質問「自民党派閥のパーティー収入不記載事件が問題となっているほか、東京15区の補選も『政治とカネの問題』が原因となっています。政治とカネをめぐる問題にどのように取り組みますか」
福永活也氏 43 諸新
僕自身については、リタイア済で一定の資産形成をしてしまっているので、今更、やましい経済的利益を求めることなく、政治活動が可能になると考えています。現在問題となっている自民党の問題について、僕の知見や影響力で実効的に改善できるものではないですが、中期的には政治家の収支についても、原則課税し、領収書等の経費明細を必要とする通常のフリーランス等と同じ扱いをすべきだと思います。
乙武洋匡氏 48 無新
政治とカネの問題は、根本的に決着をしていく必要がある。まずは政治資金規正法を改正し、政治資金収支報告書の虚偽記載に対する罰則を強化、政治資金・政党助成金を監督する第三者独立機関を設置、調査研究広報滞在費(旧文通費)などの使途公開を進める。また、同じことが繰り返されぬよう、お金がかかりすぎ、政治家の多様性を無くす要因にもなっている
現在の選挙のあり方そのものを見直していくべき。
吉川里奈氏 36 参新
参政党は結党当初から、党運営の資金については党費や個人からの寄付等で適切にまかなっています。「政治とカネの問題」を防ぐために、既存政党にはないガラス張りでクリーンな資金運用を行っており、今後とも実直に取り組んでいく所存です。
秋元司氏 52 無元
国会議員関係政治団体と政治家との連座制を導入し、特に実質支配権を持つ団体については同様とする。
金沢結衣氏 33 維新
この問題は意図的・組織的に裏金づくりを行った点で、国民の政治不信を招く極めて悪質なものであり、政治資金の在り方のみならず、選挙制度や国会運営まで抜本的に改革しなければ、完全解決はあり得ない。
我が党は企業・団体献金の禁止や政治家自らが会計に責任を負う体制の整備、旧文通費の使途公開などを自主的に行った。法改正を目指すのはもちろん、成立前から自ら実施する、有言実行の改革を与野党問わず巻き込んで進めたい。
根本良輔氏 29 諸新
政策活動費に関しては、使徒不明のままでも合法になっているので、それを違法にすること。政治家の所得は1割しか把握できていないという国税庁の言葉があるぐらいなので、政治家には積極的に税務調査を行う必要がある。長い目で見ると、現金からデジタルマネーに移行していくことでこういった問題は無くなっていくと思う。
酒井菜摘氏 37 立新
国会や江東区での「政治とカネ」の問題は、ほとんどが自民党議員によるもの。私たちがこの衆院補選に勝利することで、お金に汚い、古い政治ときっぱり決別し、国民に信頼される「まっとうな政治」をつくります。自民党がどこまで賛同してくれるかはわかりませんが、企業・団体献金およびパーティーの禁止、連座制を含めた政治家本人の処罰強化など、政治資金の透明性確保へ向けた政治資金規正法の改正を速やかに実現します。
飯山陽氏 48 諸新
与野党が口をそろえて政治資金規正法改正を言っています。しかし「政治と金」の問題を根本解決するにはそれだけでは不十分で、徹底的に「カネのかからない政治」を実現すべく、議員報酬を引き下げ、政党交付金を減額し、さらに選挙制度の改正も行うべきと考えます。
須藤元気氏 46 無新
そもそも、国税局が租税制度における「公平負担の原則」に反している課題がある。国税局が収支報告書に不記載分を、原則として全て政治家個人の所得とすべきである。そうすれば、政治家個人に課税あるいは追徴課税を求め、法で裁くことができる。国税局が増税派議員を擁護し、減税派議員だけを狙い撃ちにしていること自体が間違いである。政治資金と個人所得の透明性を高めるためには、政治家個人の確定申告書も開示すべきである。
●裏金問題への批判続出 自民幹部ら県連と車座対話 「信頼回復せず」「処分甘い」 4/23
自民党の金子恭之組織運動本部長と山際大志郎同本部長代理が22日、三重県津市桜橋2丁目の党県連を訪れ、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題について、県連の役員や党員から意見を聞き取った。出席者らは「信頼回復には到底至っていない」などと批判。関与した議員に対する処分の甘さを指摘する声も上がった。
県連によると、裏金問題を受けて党幹部らが現場の声を聞く「政治刷新車座対話」として実施。県連の役員を務める9人の県議らと意見交換した後、13人の党員・有権者とも対話した。
「情報公開の徹底が必要」(中嶋年規県連幹事長)との考えから、全て報道陣に公開した。フルオープンでの開催は初という。信頼回復に向けた県連の姿勢を示す狙いがあるとみられる。
金子氏は冒頭のあいさつで「大きな政治不信を招いたことを、執行部の一人として深くおわびする」と陳謝。「処分で終わりにはせず、党と政治の改革に不断の努力をしたい」と述べた。
議員への処分で「500万円」を線引きにした党の方針に対し、県連役員と党員の双方から「いかがなものか」との批判が上がった。処分が甘いと指摘し、厳正な処罰を求める声もあった。
野口正組織委員長は、支持者から「今の自民党では駄目」「次の選挙では投票できない」との声を受けたと説明。小林正人総務会長は「国民の信頼回復には到底至っていない」と訴えた。
青木謙順副会長は、使途の報告義務がない調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しを要請。「政務活動費の使途を1円単位まで報告する県議会からは程遠い」と指摘した。
このほか、党員からは「国会議員はそれほどカネが必要なのか」「裏金は脱税だ」と厳しい意見も。「謙虚だった政権奪還時の党に立ち返り、一から出直してほしい」との訴えもあった。
金子氏は「皆さんの意見をしっかり受け止めて対応する」と説明。支持者からの批判は「自覚している」とし、今後の選挙は「下野した時以上に厳しくなる」との声があることも紹介した。
●《引退してほしい女性政治家ランキング》2位杉田水脈にダブルスコア!圧倒的1位は「客寄せパンダ」 4/23
衝撃の“赤ベンツ不倫”ですっかりその名が全国区となった、自民党の広瀬めぐみ参議院議員。
《歌舞伎町のホテルから国会に直行の57歳、いろいろすごすぎ》《20代のお子さんらと、ご主人がただただ気の毒》
など、ネットで国民のあきれ声が続出したが、不倫報道から1か月がたち、今度は秘書の給与を詐取した疑いが浮上。次々と湧き起こる騒動に、地元・岩手からも辞任を求める声が高まっているという。
国会議員としての資質を疑いたくなる女性議員は、広瀬氏だけではない。いまだ追及が続く自民党裏金問題では、山谷えり子参議院議員が2403万円、橋本聖子参議院議員が2057万円もの収支報告漏れを指摘され、国民の厳しい批判にさらされている。
政治への不信感が高まるなか、今回は女性議員にスポットを当て、30〜60代の女性1000人を対象にアンケートを実施。同性の厳しい目でジャッジしてもらった。
スキャンダルがあっても無名でランクインせず
アンケート結果で意外だったのは、これだけ国民の注目を集めた広瀬氏がトップ10にも入っていなかったこと。
「簡単に言えば、政治家として広瀬さんはまだまだ無名だから(笑)。永田町では“悪名は無名に勝る”が常識。つまり、それなりに知名度がなければこういった不名誉なランキングにすら選んでもらえないのです」と語るのは、政治評論家の有馬晴海さん。その言葉どおり、5位にランクインしたのはおニャン子クラブ出身で知名度バツグン、自民党の生稲晃子参議院議員。
「どんなことを実行・実現しているのかまったくわからない」(埼玉県・58歳)、「政治に関する知識もやる気も感じられない。こんな人に税金から報酬を支払ってほしくない」(徳島県・62歳)と、手厳しい意見が並ぶ。
「自民党の事情で担ぎ上げられたものの、政治的な視点はあまり持っていなかったのでは。ある意味気の毒にも思えますね」(有馬さん、以下同)
初当選から2年目に突入したが、いまだ目立った活動は見えてこない。
「当選できて参議院議員として6年ごはんが食べられてよかったね、と批判されて終わってしまうタレント議員はこれまでもたくさんいました。そうなりたくないのなら、国のために自分に何ができるのか、もうそろそろしっかりとしたテーマを掲げていく必要があるでしょう」
野党ゆえに批判的な姿が目立つ
第4位は立憲民主党の辻元清美参議院議員。
「大した政策もなく、自分のことは棚に上げて自民党の批判ばかり」(北海道・46歳)、「人を批判するだけでなく、違う目線で議員としての仕事をしてほしい」(神奈川県・54歳)などの声が聞かれた。
「まず大前提として、野党議員の一番の仕事は与党を牽制すること。張り切れば張り切るほど言葉が強くなるのも仕方ないことではあります」
先月の参院予算委員会でも、自民党の裏金問題について厳しい言葉で繰り返し岸田総理に迫っていた。
「辻元さんといえばいまだに“ソーリ、ソーリ!”の印象が根強いですが、彼女は以前『ああやって叫んでるときは私だって足が震えてるのよ』と話していたんです。辻元議員本人は、国民の代表として、与党がよくない方向に行かないよう精いっぱい頑張っているとは思いますよ」
第3位は同じく立憲民主党の蓮舫参議院議員。
「うるさく騒ぐだけで解決策を提示しないイメージ」(大阪府・60歳)、「他者の問題は舌鋒鋭く攻めるくせに、自らの問題には知らん顔する」(宮崎県・50歳)と辛辣な声が上がった。
「テレビタレント出身であるぶん、自分の見せ方は上手なはず。でもこのようなランキングに名前が出てしまうのはやはり辻元さん同様、野党であるがゆえ。国会では皮肉屋の嫌なやつという役割を担い、演じている部分もあるのです」
不祥事だらけの自民党議員がトップに
2位にランクインしたのは自民党衆議院議員の杉田水脈。
2016年に国連の女性差別撤廃委員会に参加した際は「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさん」「日本の恥さらし」などと自身のSNSに投稿。アイヌ民族や在日コリアンに対するこれらの発言が法務局から「人権侵犯」と認定されるなど、数々の差別発言が問題視されている。
「非常に偏った私的な価値観や認識を持っている危険人物。人として最低。こんな人を国会議員と認めている自民党の常識を疑う」(埼玉県・54歳)、「ジェンダーに対する考え方も時代に合っていない」(福岡県・56歳)など、やはり差別発言に対しての批判が目立つ。
「個人的にはこの方が2位にランクインしたことに驚きです。というのも、芸能人議員に比べて圧倒的に知名度が低いと思っていましたから。それだけ彼女の発言が、国民に強いインパクトを与えているということの表れだと思います」
これまでも、同性カップルを「生産性がない」と表現したり、性被害を公表した女性ジャーナリストを中傷するSNSコメントに「いいね」を押したりと、その言動がたびたび非難を浴びてきた。
「これまでは安倍晋三元首相から目をかけられていましたが、今でも一部に彼女の過激な発言を重宝がる人たちがいることも確か。しかし個人的な意見を押しつけるようなことは国会議員としてあってはならないこと。自民党内では、公認すべきではないという声もあります」
2位にダブルスコアをつけ1位となったのは、元SPEEDで、自民党の今井絵理子参議院議員。
新幹線での手つなぎ不倫、広瀬氏らと共に参加したフランス研修など不祥事には事欠かない。最近では、突如SNSを閉鎖したことが「フランス研修の責任逃れか」と報じられたばかりだ。
「政治活動より醜聞が目立つ。客寄せパンダ的な立ち位置でしかなく、税金の無駄遣い」(山梨県・57歳)、「素人目にも政治家として“学がない”ことがわかる」(岐阜県・36歳)など、容赦ない。
「もともと自民党は、基地問題などさまざまな課題を抱える沖縄県出身の今井さんに、その特性を生かした活動を期待していました。ただ2期目を迎えた今でも、政治家としての顕著な活動は見られません。永田町でも『飯を食うために政治家やってんのか』といった声は実際に上がっています」
政治への無関心さのためか当てはまる人はいないが最多に
実は今回のアンケートで、もっとも多かった意見は「当てはまる人はいない」で、338票を集めた。
「誰が当選しようが引退しようが変わらないから」(北海道・48歳)と、あきらめモードの意見が多数のなか、「日本のためにみな頑張っていると思うので、引退してほしい人はいない」(埼玉県・51歳)と励ましの声も。
「選挙のたびに永田町では、政治的能力はないが当選できる確率の高い有名タレントを担ぐべきか、それとも無名だが本当に政治をやりたい人を推すべきか議論になります。このようなランキングに名が出るのは有名な人ばかりですが、国会議員になったからには国民の夢を託されているのだから覚悟が必要。それを忘れてはいけません。かつては滅私奉公という言葉が使われていましたが、残念です」
選ぶほうにも責任があることも忘れてはならない。
引退してほしい女性政治家ランキング
   1位 今井絵理子(自民党)  199票
   2位 杉田水脈(自民党)       91票
   3位 蓮舫(立憲民主党)       54票
   4位 辻元清美(立憲民主党)  45票
   5位 生稲晃子(自民党)       43票
●元TBSの立民議員「出鱈目」岸田首相の森氏聴取を批判 維新への「ヤクザ」投稿に続き対決姿勢 4/23
元TBSキャスターで立憲民主党の杉尾秀哉参院議員が23日、X(旧ツイッター)を更新し、自民党安倍派の裏金事件への関与が指摘される森喜朗元首相に対して岸田文雄首相が行ったという聴取について「出鱈目な調査」と断じた。
杉尾氏は、岸田首相が22日の衆院予算委で、森元首相の聞き取り調査について「私の責任で聞き取り調査を行いました。記録は、ございません」と報告したことを伝える記事を引用。「これについては更に質すつもり。こんな出鱈目な調査はありません」と投稿した。森氏はかつて安倍派の前身、森派会長を務めており、キックバックの慣行についての関与を指摘する声が上がっている。
杉尾氏は最近では、「立民は、たたきつぶす必要がある」と発言した日本維新の会の馬場伸幸代表に対しても、激しい言葉で応酬。「第二自民党はヤクザと一緒だ」と、強い言葉で批判し、自民、維新との対決姿勢を鮮明にしている。
杉尾氏は東大卒後、81年にTBS入社。報道局記者の後、90年代以降、夕方の報道番組「ニュースの森」キャスターを長らく務めた。15年末に同局を退社。翌16年の参院選で長野選挙区から出馬して初当選し、2期務めている。
●自民・宮沢博行議員、議員辞職願を提出 女性問題が週刊誌報道に報じられることが原因か 裏金事件では派閥幹部を公然と批判 4/23
自民党の宮沢博行衆院議員(比例東海)は23日、額賀福志郎衆院議長に議員辞職願を提出した。自身の女性問題が週刊誌に報じられることが原因とみられる。複数の関係者が明らかにした。宮沢氏は派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、昨年12月に防衛兼内閣府の副大臣を辞任していた。
宮沢氏は当選4回。党国防部会長、内閣府大臣政務官などを歴任した。
安倍派(清和政策研究会)に所属していた宮沢氏は、裏金事件について「多くの仲間は身の潔白を証明したいと思っているが、派閥からしゃべるなと言われている」などと派閥幹部を公然と批判したことで注目を集めていた。
●女性問題をめぐる不祥事か 自民裏金問題“宮沢の乱”の宮沢博行衆議院議員が辞職意向固める 4/23
静岡県磐田市などを地盤とする宮沢博行衆議院議員(比例東海ブロック選出)が議員辞職する意向を固めたことが分かりました。宮沢議員は4月23日午前、磐田市の事務所で関係者らに対し「申し訳ありません」と自ら頭を下げ、辞意を伝えたということです。
磐田市議などを経て2012年の解散総選挙で初当選した宮沢議員(49)は現在当選4回で、これまで防衛大臣政務官や防衛副大臣を歴任しました。
関係者によりますと、4月25日発売予定の週刊誌に宮沢議員の女性問題をめぐる不祥事に関わる記事が掲載される見通しとなったことから辞職する意向を固め、周囲に辞意を伝えているということです。事務所で辞意を伝える際には、週刊誌にどのような記事が掲載されるかについては明らかにしなかったということです。
関係者の1人はSBSの取材に対し「びっくりしている。支えてきた分、裏切られた気持ちでショック」と答えています。
宮沢議員をめぐっては2023年12月、所属していた清和政策研究会(安倍派)の裏金事件に関して、派閥の指示があったことなどを明らかにして注目されました。
●自民・塩谷立氏が離党 裏金事件めぐる勧告処分受け 4/23
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で離党勧告処分を受けた塩谷立元文部科学相(衆院比例東海)は23日、離党届を提出し、受理された。塩谷氏は安倍派トップの座長を務めた。
自民党紀委員会は4日、塩谷氏と安倍派参院側会長だった世耕弘成氏(既に離党)を離党勧告処分とした。塩谷氏は処分を不服として再審査請求したが却下されていた。
●岸田内閣の支持率が最低を更新!その背後に「政治への無関心」? 4/23
JNNの世論調査で支持率が22.8%となり、過去最低を更新した岸田内閣。 しかし一方で「支持なし」との回答が過半数に達しており、無関心の世論が不支持の影に隠れていました。 4月20日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが岸田内閣の問題点について解説します。
面白みがない?岸田総理
JNNの世論調査で22.8%と6ヶ月連続で過去最低を更新した岸田内閣。この調査は3月30日と31日に行われたもの。アメリカ議会訪問により、今後支持率は上昇が見込まれるとはいえ、不支持はなんと75%に達していました。
大石「これでよくもつな、と思いますけどもね」
さらに「支持なし」と答えた方は52.9%でした。「低支持率より問題なのは、政治に無関心な方が多いこと」と大石。
以前、伊勢志摩サミットについてのインタビューで岸田総理と面識があり、その時の印象を語る大石。
大石「いつも答えは同じでしたね。手を変え品を変え質問しても。コメントに幅がないっていうか…面白みがないっていうとあれかな」
「故・安倍元首相と共通するのは温和な印象」と振り返ります。
ただ、裏金問題に話が及ぶと、口を尖らせる大石。
世論調査では62%が「岸田総理も処分を受けるべき」と答えていますが、自身にお咎めはありませんでした。
大石「自分に甘く、安倍派にはとても厳しく、みたいな」
安倍元首相と比較すると…
このことについて党内でも異論があるはずですが、そうした声が上がらないのはなぜでしょうか?
ある自民党議員に大石が尋ねたところ、「(岸田総理に)あまり関心がない」との回答。岸田総理には敵もいなければ味方もいない、というのが正直なところのようです。
対照的だったのは、安倍元首相。民主党政権に敵意むき出しで、良くも悪くも、野党との対立軸を明確に打ち出していました。
大石「(岸田総理は)めちゃめちゃ低姿勢。丁寧ですよね。すぐ謝る」
「その割には何でもかんでも閣議決定で決めてしまう傾向がある」と指摘します。
賛否のあった国葬や、防衛費43兆円(2023年度から5年間)のほか、「安保3文書」を決定した岸田総理。これは「敵のミサイル拠点への攻撃能力を持つことで、相手に躊躇させる反撃能力を有する」というもの。
大石「中国・ロシア・韓国・北朝鮮…『必要だろう』という考え方もよくわかるんですけど。これ、閣議決定しちゃったわけですよ」
閣議決定後に国会で審議しても、衆参両院とも自公が過半数を占めているため、結構大事な話がツルッと決まってしまう、と大石。
大石「ほぼほぼ、反対はないんですよ、閣議決定で」
過去には、郵政民営化法案を巡って「待った」をかけた大臣が罷免されたこともありますが、そうした例は稀なようです。
勝てば解散総選挙の可能性も?
何年か前は若者の政治団体がデモを扇動していましたが、最近はデモもめっきり見かけなくなりました。
大石「立派な学生たちだなと。僕たちは政治に無関心な世代だったから『彼らすごいな』って思っていました。頼もしいとも思っていました」
「そうした活動は、いい意味で民主主義のブレーキになっていた」と大石。
大石「ブレーキすらなくなってきている。政治への無関心」
今回のアメリカ議会での演説では、協調路線を打ち出した岸田総理。防衛予算や反撃能力の保有についても、しっかりとした立場を表明しました。
大石「あそこまではっきり言うべきなのかな?と聞いてて少し不安に思いましたけどね」
今月末に行われる衆院の3補選。長崎・東京では自民党が候補を立てられず、不戦敗。一方、島根では与野党対決型となっています。
「自民党が負けると厳しいが、勝てばもしかすると解散総選挙があるかも」と岸田政権の行方を占う大石でした。
●岸田首相、「1勝」と「全敗」で分かれる"天国と地獄" 4/23
「4・28トリプル補選」の投開票まで残り5日となり、衆院の東京15区、島根1区、長崎3区で、それぞれ各党や政治団体がしのぎを削っている。ただ、いずれも自民の議席だった補欠選挙にもかかわらず、同党は東京、長崎で不戦敗に追い込まれ、公認候補擁立は島根のみ。しかも、ここでも立憲民主の公認候補が先行しており、岸田文雄首相や自民党執行部は「全敗」への不安におののいている。
今回のトリプル補選は、昨年11月に自民党の巨額裏金事件が発覚して以来の初の国政選挙。自民が公認候補擁立を複数区で見送る補選は2002年以来の異常事態となるが、この時は7補選の中で擁立を見送った3カ所も、すべて無所属候補を推薦した。しかし、今回は東京、長崎では他候補の推薦もできず、保守王国の島根でさえも、裏金事件での強い逆風で苦戦を強いられている。
情勢調査では立憲民主公認候補がリード
週明けに公表された大手メディアの情勢調査では、3選挙区すべてで立憲民主公認候補がリードしており、「自民全敗」の場合には、岸田首相(自民党総裁)の責任が問われ、島根での票差次第では、党内に早期退陣論が台頭する可能性もある。その一方で、「立憲全勝」となれば、一部でささやかれていた泉健太代表の交代論は消滅しそうだ。
そうした中、情勢調査通りの「自民全敗」となった場合、岸田首相は「すべて私の責任」と陳謝したうえで、「国民の批判を真摯に受け止め、まずはやるべきことをしっかりやることで責任を果たす」と、政権維持を表明する考えだとされる。
これに対し、自民党内では菅義偉前首相を中心とする“反岸田勢力”が、「次期衆院選を岸田首相で戦うことはあり得ない」と主張する構え。これが党内で常識化すれば、岸田首相が執念を燃やす会期末解散も困難となり、当面、政権は維持できても、9月の総裁選での不出馬・退陣に追い込まれる事態も想定される状況だ。
焦点の島根1区は「自民VS野党」に
今回の3補選で自民を苦境に追い込んでいるのは、岸田政権の「不透明で不誠実な巨額裏金事件への対応」(政治ジャーナリスト)についての国民の怒りの大きさだ。特に、自民の細田博之前衆院議長の死去による島根1区の選挙戦がそれを裏付けている。
同区は、自民が新人で元財務官僚の錦織功政氏(55)を、立憲は同区で故細田氏と長年戦ってきた元議員の亀井亜紀子氏(58)を、それぞれ公認候補として擁立。共産など他党・政治団体が候補を取り下げたことで亀井氏が事実上の野党統一候補となり、「自民VS野党」の形となった。
同区はもともと、竹下登元首相、青木幹雄元官房長官(いずれも故人)が県民の圧倒的な支持を集め、現在もすべての選出国会議員が自民という、全国でも有数の保守王国だ。にもかかわらず、今回の補選で苦戦しているのは、同区でも裏金事件への有権者の強い反発があるからだ。
そもそも、裏金事件の発覚とほぼ同時となる昨年11月10日に急逝した細田氏は、裏金を組織的に作っていた清和政策研究会(安倍派=解散=)で2014年から2021年まで会長を務め、裏金づくりで采配を振るえる立場だった。
しかも、議長在任中には世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との深い関係や、担当女性記者に対するセクハラ疑惑が取りざたされたが、いずれもきちんとした説明をしないまま、死去したのが実態だ。
これに対し、岸田首相は2021年10月の政権発足時、「細田問題を積極的に解明したい考えだった」(側近)とされる。しかし、相次ぐ閣僚辞任などで政権危機を招くと、求心力維持のため最大派閥に“忖度”せざるを得ず、真相究明には踏み込めなかったのが実情だ。
こうした経過も踏まえ、岸田首相や自民執行部は細田氏の後継に、財務省キャリア官僚だった錦織氏を擁立し、「公明の支援も得て、組織力で当選を目指す」(自民選対)ことを決めた。しかし、野党の事実上の一本化で全面的な「与野党対決」となり、「国民注視の中での“島根決選”」(閣僚経験者)となったことが苦戦の原因とみられる。
一方、不戦敗による「自民不在」という極めて異例の事態となった東京15区、長崎3区では、自民1強が際立った安倍・菅両政権以来、各野党などが自民とどう対峙してきたかが問われる選挙戦となる。
大乱戦の東京15区、自民票の行方が注目の的
特に、公職選挙法違反の罪で有罪となった柿沢未途前法務副大臣=自民を離党=の辞職に伴う東京15区補選は、主要野党に小池百合子都知事が率いる地域政党・都民ファーストの会、さらには日本保守党(百田尚樹代表)など新興勢力も参戦、大乱戦の様相だ。
同区に出馬したのはいずれも新人で届け出順に1福永活也(43)=弁護士=(諸派)2乙武洋匡(48)=作家=(無所属・国民民主推薦)3吉川里奈(36)=看護師=(参政党)4秋元司(52)=元衆院議員=(無所属)5金沢結衣(33)=元食品会社員=(維新・「教育」推薦)6根本良輔(29)=会社役員=(諸派)7酒井菜摘(37)=元江東区議=(立憲・共産支持)8飯山陽(48)=大学客員教授=(諸派)9須藤元気(46)=元参院議員=(無所属)――の9人。
各情勢調査では、いずれも立憲・酒井氏が優勢とされるが、小池都知事と国民民主が支援する乙武氏、維新の金沢氏、諸派の飯山氏が追い上げており、「ふたを開けるまで分からない混戦」(選挙アナリスト)となっており、自民票の行方によっては、予想通り立憲が勝てるかどうかはなお微妙とみられている。
対照的に、谷川弥一元衆院議員=自民を離党=の裏金事件での辞職に伴う長崎3区補選は、前回衆院選の同区で谷川氏に破れた立憲現職・山田勝彦氏(44)=社民推薦=と、維新新人・井上翔一朗氏(40)=学習塾経営=による野党の一騎打ちとなった。
情勢調査でも、前回衆院選で谷川氏と大接戦を演じた山田氏が優位とされるが、ここも自民支持層の行方が焦点。特に、次期衆院選での野党第1党を狙う維新が自民票を取り込んで立憲に迫れるかどうかが注目の的だ。
岸田首相の島根入りに「逆効果」の不安も
そうした状況下、岸田首相は日曜日の21日に自民総裁として島根入りし、街頭演説では竹下、青木両氏の名前を挙げて「先人たちの志、魂をつなげていくのかどうかが問われている選挙だ」と悲壮な面持ちで支持を訴えた。「何もしないで負けるのは最悪なので、何とか接戦に持ち込みたいとの思い」(側近)からとされるが、地元自民県連からは「岸田首相の応援は逆効果になりかねない」との不安の声も漏れてくる。
いずれにしても、今回の3補選の結果は、岸田首相の政権運営に大きな影響を及ぼすことは間違いない。大手メディアによる最新の世論調査でも、補選告示直前の岸田首相の「国賓訪米」の成果への一定の支持はあるものの、内閣・自民党支持率は微増もしくは横ばいで、政権発足以来の最低レベルから脱け出す気配はない。
それだけに、今回の島根補選が「自民完敗」となれば、岸田首相の求心力や指導力はさらに低下することは確実。その場合、「岸田首相が狙う会期末解散断行は極めて困難になる」(自民長老)とみられ、「秋の総裁選前の退陣表明も現実味が増す」(同)ことになりそうだ。
●能登半島地震支援に予備費1389億円支出、総額は約4100億円に 4/23
政府は23日午前の閣議で、能登半島地震の被災者支援のため、今年度予算の予備費から1389億円を追加支出することを決定した。仮設住宅の建設や、道路や水道のインフラ復旧などに充てる。能登半島地震対応の予備費支出は4回目となり、総額は約4100億円となった。
閣議に先立って開かれた「能登半島地震復旧・復興支援本部」で、岸田文雄首相が予備費の支出を表明した。首相は「(震災発生から)4カ月が経とうとする中、再び能登に戻れないのではないかといった不安の声も聞かれる。そうした被災地の声に寄り添い、復旧復興を全面的にバックアップしていく」と語った。今回の予備費には、介護福祉サービス提供の体制整備や農林漁業者支援も盛り込んだ。
首相はまた、被災自治体が被災者の要望に早急に対応するため、6月の復興基金創設に向けた準備を進めるよう関係閣僚に指示した。
●レベル低すぎ「子育て政策」議論 政府の「追加負担なし」は詭弁、立民の「ETF分配金」も問題だ 4/23
少子化対策財源としての「子育て支援金」をめぐる法案が衆院を通過した。岸田文雄首相は「実質的な追加負担は生じない」と説明している。一方、立憲民主党は、支援金の代わりに「日銀が保有する上場投資信託(ETF)の分配金を財源に充てる」として政府の子ども・子育て支援法改正案の修正案を打ち出したが否決された。
政府・与党側の子育て支援金の議論は、かつて自民党の若手から出た少子化対策としての「こども保険」を想起させる。
本来「保険」とは、偶然に発生する事象に備えるために多数の者が保険料を出し、事象が発生した者に保険金を給付するものだ。仮に子供を持つことを「偶然」としても、夫婦になるのが75%程度、そのうち子供を持つのが90%程度なので、ざっくりいえば、100の保険料支払いで子供を持った人が150程度を受け取り、独身または子供を持たない人は100の保険料を取られっぱなしとなる。
子供を持つ人にとって、100出して150受け取るのではあまり意味はないし、独身または子供を持たない人にこうしたペナルティーを与えるのは適当でないので、保険にはなじまない。そもそも、子供を持つことが偶然とも言えないという本質的な問題がある。
ここまで来ると、子育て支援を推進する勢力は、税金を財源にしたいが、世間の反発があるので、「社会保険料」や「支援金」と名前を変えて国民から徴収するというのが狙いだとバレバレになってしまう。
基本的なコンセプトが間違っているのに言い訳を重ね、ついには「子育て支援金は負担にならない」と言い出した。賃上げがあるから負担ではないとか、政府内で歳出をカットするから負担ではないという理屈だ。
賃上げがあっても子育て支援金を取られるなら負担であるし、歳出カットができるというのなら、国民に支援金を求めずとも、政府内でカネを回せば子育て対策ができてしまう。つまりこれらは全くの詭弁(きべん)だ。
この子育て政策は、かつて自民党内で少子化対策の「子ども保険」といっていたあたりから、本質がズレまくっていたが、ついにここまできたかとあきれてものも言えない。
こんな与党の情けない議論が許されるのは、野党側の対案もまったくなっていないからだ。立憲民主党はETFの分配金を財源にすると主張したが、ETF分配金は、すでに「日銀納付金」として一般会計に入っている。与党の体たらくをさらに上回るもので、本当にどうしようもない低レベルなものだった。
保険とはいえないのに保険と称して国民から徴収しようとする発想が情けない。堂々と増税を掲げたり、既存経費を削減するというほうがまだましだ。
筋論をいえば、少子化対策が本当の目的であるならば、未来への人的投資として考え、国債を財源とするのが最も適切であろう。この考えについては「教育国債」として何度か紹介した。なお、少子化対策は各国でも行われているがこれといった決定打は少ない。投資である以上、効果が確実なものに絞るべきだ。
●岸田文雄首相、橋本龍太郎氏抜き単独8位 戦後の首相在職日数 4/23
岸田文雄首相は23日に在職日数が933日に達し、橋本龍太郎元首相を超え、戦後の首相で単独8位となった。7位の岸信介元首相(1241日)を超えるには9月に予定される総裁選に勝利することが条件となる。
林芳正官房長官は22日の記者会見で、首相の在職日数について「能登半島地震への対応、政治の信頼回復、物価高に負けない賃上げ、厳しい国際情勢の対応など、先送りできない課題に取り組む毎日の積み重ねの結果と受け止めている」と語った。
●自民案 未だ「提示なし」に政権の“身内”からも苦言、政治資金規正法改正めぐる議論 とりまとめが遅れる背景に“2つの問題”? 4/23
国会で行われている自民党の裏金事件に端を発した政治資金規正法の改正にむけた議論。自民党だけが未だ改正案の「提示なし」の状況に、岸田総理が政権の“身内”から厳しく批判される場面も。なぜ、とりまとめが遅れているのでしょうか。
自民案 未だ「提示なし」 “身内”も批判 政治資金規制法改正めぐり
公明党 赤羽一嘉衆院議員「率直に言って本当に情けないし、同じ国会議員として恥ずかしい思いでございます。自民党案がまとまらないという現状、本当に総理が先頭に立って取り組んでいると言えるのでしょうか」
国会で岸田総理に厳しく迫ったのは、与党公明党の赤羽議員です。政治資金規正法の改正をめぐり、各党が改正案を取りまとめる中、自民党だけがまとまらない状況に苦言を呈しました。
赤羽議員「いつ提示するのか明言をいただきたい」
岸田総理「今週、その取りまとめの作業を与党と並行して行うことを予定しているわけでありますが、取りまとめ次第、与党としての考え方をこの国会の議論に供し…」
赤羽議員「取りまとめ次第というのでは、やはり通じないと思いますよ」
赤羽議員は、一両日中に自民党案をまとめるよう、岸田総理に強く求めました。
自民党 なぜ遅い? 「解散はいつ…」「総裁選は…」 で動きが鈍く
小川彩佳キャスター: 岸田総理は、今国会中に取りまとめを行うということですが、そもそも自民党の単独案を策定するつもりはなかったということもあり、本気度が伝わりません。
プチ鹿島さん: のらりくらりしていれば、時間が経てば、そのうち国民は忘れるだろうと思っているのでしょうか。もう党内の権力闘争に集中しようという態度にしか見えません。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: 自民党の反応が遅い理由は2つあると思います。1つ目は本来、幹事長が中心になって動くべきなのですが、当の茂木幹事長は次の総裁を狙うということで、『解散はいつあるんだろう』『総裁選いつなんだろう」と、そわそわして、動きが非常に鈍くなっているのです。
2つ目は、実際に規制法改正に踏み込むとなると、例えば『パーティーを全廃するのは嫌』『連座制を強められたら嫌』それから『企業・団体献金を残してほしい』など、党内からたくさんの注文が出てくるので、岸田さんはそれらに合わせようと踏み切れないでいるようです。
このまま政治への信頼が落ちていきますと、自民党だけではなく、日本の政治全体が沈没してしまうかもしれません。岸田さんも茂木さんも危機感を持ってもらいたいですね。
プチ鹿島さん: 少し前に、政治資金収支報告書に悪質な不記載があった場合は国庫に返納を検討するという報道がありました。そこを検討するのか、ずれているなと思いました。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: 全体のパーツの一つではありますが、それだけではありませんよね。
小川キャスター: 皆さんご自身のことばかり考えていますよね。その姿勢ばかりが目立ちます。
●解散総選挙なら野党転落&党分裂も…ヤケクソ岸田文雄首相「自民党道づれ」策謀 4/23
派閥の政治資金パーティ裏金事件などで、国民の自民党に対する政治不信は高まる一方だ。
内閣支持率は過去最低も
「JNN世論調査によれば、岸田内閣の支持率は22・8%で6か月連続で過去最低を更新。次の衆議院選挙で〈政権交代をのぞむ〉の声が42%に上り、〈自民・公明による連立政権の継続をのぞむ〉の32%を大きく上回りました」(全国紙政治部記者)
政治評論家の角谷浩一氏も、こう分析する。
「首都圏や地方の都市部選出で当選3〜4回以下の議員の間に、“次の選挙で勝てるのか”との不安が広がるだけでなく、自民党が下野するかもしれないという危機感が高まっています」
   9月の総裁選で再選に意欲マンマン
自民党総裁として、所属議員らの不安を解消する立場の岸田文雄首相だが、「首相の頭の中にあるのは、党利党略どころか私利私欲。“もしもトランプが大統領に……”の“もしトラ”ならぬ、“また岸田総理”の“またキシ”ですよ。身を引くどころか、9月の総裁選で再選されることに意欲マンマンです」(自民党関係者)
   裏金問題の処罰も激アマ、森喜朗との関係も良好
4日、裏金問題で党の党紀委員会は旧安倍派と旧二階派所属議員39人を処分したが、「これで裏金問題の幕引きを図ろうとする思惑が見て取れる」(野党関係者)
処罰自体も激アマだ。
まず、政治資金報告書への不記載額が2728万円と“裏金議員”の中でトップクラスの萩生田光一前政調会長を「党の役職停止1年」という、事実上の“無罪放免”にしたが、「萩生田氏は旧安倍派の若手を掌握し、派閥のドンである森喜朗元首相との関係も良好。岸田首相は次の総裁選をにらみ、萩生田氏に恩を売り、手駒として使う魂胆です」(前出の自民党関係者)
“免罪符”を受け取ったのは、処分を免れた議員らも同じ。裏金が発覚した82人の所属議員のうち、43人は処分されていない。
「つまり、半数以上の議員に恩を売った形。岸田首相が彼らに対して貸しを作り、総裁選で“忠誠心を見せろ”という意思表示をしたわけです」(前出の角谷氏)
大手企業の賃金アップ、株価も好調で
二階俊博元幹事長のみならず首相自身も処分対象に含まれなかったが、会見でその責任について問われると、「国民に判断してもらう」と発言した。
「マスコミは一斉に“衆院解散を示唆する発言”としてとらえ、世の関心を解散総選挙へ向かわせました」(前同)
だが、実際のところ、勝算はあるのだろうか。
「春闘で大手企業が軒並み賃金アップを行い、6月から1人4万円の定額減税が実施されます。株価も好調で、それらをプラス材料に首相は6月末に解散・総選挙に踏み切り、余勢を駆って総裁選で再選を狙う考えのようです」(前出の記者)
しかし、そう思惑通りに事は運びそうにない。
創価学会員の支持が得られない公明党が反対
「国民の政治不信を払拭しないまま選挙に入ると、創価学会員の支持が得られないと考えた公明党が、6月解散に反対しているんです」(自民党関係者)
永田町で囁かれる選挙結果予測では、「自民党20〜30議席減」にとどまるものの、
「もし公明党の反対を押し切って解散すれば、自公合わせて過半数確保は難しい」(前同)という。
8月お盆明けに!
しかも、今回の離党勧告処分を不服とする塩谷立元文部科学相が、再審請求する動きを見せるなど、党内には不満が渦巻いている。
「党内からも裏金問題の真相究明を求める声が上がっています。さらに、首相から“免罪符”を受け取った議員らが素直に忠誠心を示す保証はどこにもない」(同)
いつ後ろから刺されても不思議ではない状況なのだ。そんな中、「8月のお盆明け解散説が急浮上してきました。しかし、選挙結果予測が示す通り、自公合わせて過半数確保は難しく、自民党は野党に転落、党分裂の危機にも直面しそうです」(同)
総理の座に妄執する岸田首相が、自民党を道連れにした“ヤケクソ解散”に走る公算は大きい。 
●政治とカネ巡り岸田総理の本気度?森元総理の聴取「記録ない」“距離感” 4/23
政治資金規正法改正に向け、自民党独自の取りまとめ案を巡る協議が23日午後、始まりました。政治とカネを巡る問題、岸田総理大臣はどこまで本気なのでしょうか。鍵となるのは、この人との関係です。
“政治とカネ”巡り 塩谷氏が離党届
自民党 梶山弘志幹事長代理「政治資金規正法に関する法整備に向けて、我が党では議員本人への罰則強化、外部監査の充実、デジタル化による透明性の向上の3点を中心に議論を進めているところ」
公明党や野党各党はすでに政治資金規正法の改正案を示していますが、自民党もようやく取りまとめに動き出しました。
そもそも事の発端は自民党派閥の裏金事件。離党勧告を受けていた安倍派の座長は…。
自民党 安倍派 塩谷立座長「きょう、離党届を提出しました」
不満はにじませています。
自民党 安倍派 塩谷立座長「総理の立場としてはやはり信頼回復と、そしてやはり国民の支持をどう得ていくかでしょうから、そこは頑張っていただきたいと思いますが、今の状況で果たしてどうかなと」
その塩谷座長は今年1月。
自民党 安倍派 塩谷立座長「正確にいつから始まったか分かりませんけど、多分二十数年間続いてきたんだろうと」
安倍派においては20年以上前からキックバックが行われていたと話しています。
森氏への“裏金”聴取「記録はない」
そのころの派閥会長といえば、森喜朗元総理です。
岸田総理は電話で話を聞いたとしていますが…。
岸田総理大臣「こうした慣行がいつから始まったのか、というようなことについて直接、関与したという証言は得られなかったということであります」
立憲民主党 岡田幹事長「総務会長とか幹事長は同席されていましたか。電話の横にいて一緒に聞いておられましたか。そして記録はあるんですか」
岸田総理大臣「私の責任で聞き取り調査を行いました。記録はございません」
直接会わずに電話で話を聞き、その記録を取ることもしていないといいます。
岸田総理 本気度は?森氏との“距離”
キーマンの森元総理、なぜ表に出さないのでしょうか。
政治部・官邸キャップ 千々岩森生記者「岸田総理と森元総理は、同じ早稲田大学出身で元々関係は近かった。特に安倍元総理が亡くなって、自民党の最大派閥の安倍派内部が不安定になって以降、岸田総理からすると、安倍派に強い影響力を持っていた森元総理に安倍派の抑え役になってもらったという経緯がある。なので、単に総理経験者だからというわけではなくて、政権基盤の安定に尽力してもらったという意味で、岸田総理は森元総理になかなか頭が上がらない。政治とカネの問題は、今の岸田総理にとって間違いなく最大のハードル。この問題を納得のいく形で処理できなければ、岸田総理はずっと解散総選挙を模索したが、これも無理だし、自民党総裁選で再選を狙っているが、これも夢のまた夢だと思う」

 

●石川 珠洲 伝統的技法「揚浜式」での塩作り始まるのを前に神事 4/24
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市で伝統的な技法による塩作りが始まるのを前に神事が行われました。
珠洲市の仁江海岸にある「道の駅すず塩田村」では、江戸時代以前から行われてきた国の重要無形民俗文化財の「揚浜式」と呼ばれる技法で塩を作っています。
24日は塩作りが始まるのを前に「塩浜祝」と呼ばれる神事が行われ、製造にあたる職人など10人余りが出席して、作業の安全と地震からの復興を祈願しました。
「揚浜式」は砂地の塩田にくみ上げた海水をまき、天日で水分を蒸発させます。
そして、集めた砂に海水をかけて濃い塩水を作り、それを釜で煮て塩を製造します。
道の駅によりますと、地震の影響で、一部の塩田に亀裂が入ったほか、海底が隆起し海岸線が50メートルほど沖合に動いたため、海水をくみあげるホースを延長させたということです。
さらに、塩作りに携わっていた1人が亡くなったほか、市外へ避難している人も多くいて、製造量は去年の3分の2程度まで減る可能性もあるということです。
塩作りの指揮を執る「浜士」の浦清次郎さんは「なんとか塩作りを始められ、ほっとしています。人手不足など問題もありますが伝統を絶やさぬよう頑張ります」と話していました。
この道の駅では、天候が整い次第、塩作りが始まり、10月中旬ごろまで続くということです。
●闇パーティー疑惑に説明ゼロ 岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況 4/24
裏金事件がこれだけ問題になったのに大した処分もなく、「次の選挙でも結局、政治は変わらないのでは」と諦めを抱く人もいるかもしれない。決してそんなことはない。問題議員たちを退場させれば、政治は変わる。有権者の間で「落選運動」が大きなうねりとなれば、選挙結果は変わる。岸田文雄・首相その人もまた、裏金疑惑で処分されなかった。
岸田首相は裏金問題で自分を処分しなかった理由を、「私自身は個人的な政治資金の修正はなく、派閥の不記載も他の政策集団とは内容が異なる」と開き直ったが、真っ赤な嘘だ。
本誌・週刊ポストは2022年6月に岸田首相の地元・広島で開催された「総理大臣就任を祝う会」が、実質的に岸田事務所の仕切りで運営された資金集めパーティーだったにもかかわらず、形式的に任意団体の主催にして岸田首相の政治資金収支報告書に収支を記載しない“闇パーティー”としていた疑惑をスクープした(2024年1月22日発売号)。
この疑惑は今国会でも追及されたが、岸田首相は「事務所の主催ではなかった」と言い張って政治資金収支報告書の修正をせず、いまも詳細な説明責任を果たしていない。
そして、麻生太郎・副総裁も裏金問題では、「オレは関係ねぇよ」とばかりに派閥解散を拒否している。しかし、副総理兼財務大臣だった2021年9月と10月、診療報酬改定をめぐって日本医師会の2つの政治団体から麻生派に5000万円という異例の高額献金がなされていた重大疑惑が報じられた。こちらも何の説明もしていない。
広島の自民党組織はバラバラの状態
岸田首相も麻生氏も強固な地盤を持ち、「説明なんぞしなくても当選できる」とタカをくくっているようだが、そんな甘い状況ではない。
広島の地方議員が語る。
「総理はサミット以来、地元に帰っていないが、かわりに裕子夫人と長男の翔太郎さんが地元回りをしている。先日も、岸田首相が名誉会長を務める広島県バスケットボール協会の大会の開会式で翔太郎さんが代理で挨拶していた。裏金問題など政治的な話はなかった。首相公邸でのどんちゃん騒ぎで厳しい批判を浴びただけに余計なことは言わないようにしているんでしょう。
広島の自民党組織は河井克行・元法相夫妻の選挙買収事件以来バラバラの状態でもあり、総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況。広島の他の選挙区では自公の議員たちは軒並み討ち死にしかねない」
他党の動き次第では有権者の1票で「現職総理のクビ」を取ることさえ不可能ではないという。
麻生氏は小選挙区制になって以来、9回連続大差で当選を重ねてきたが、長男で後継者の将豊氏(麻生商事社長)が昨年いっぱいで日本青年会議所会頭の任期を終え、地元では「次の総選挙で世代交代」とみられてきた。
だが、本人はまだやる気らしい。
「麻生さんは自民党が弱っている時に引退するわけにはいかないという考えのようです。そうはいっても今年84歳になるし、地元でも早く将豊さんを国政にという声が強い。だから次の総選挙に出馬しても、1〜2年後に任期途中で引退して息子に地盤を譲るつもりでは」(後援会関係者)
地盤の私物化である。有権者が「世代交代」を掲げて麻生氏に引退を求め、バッジを外させるやり方も考えられる。
●岸田総理、裏金事件巡る森元総理聴取の「記録なし」に専門家「嘘をついたら偽証罪を問われる場であれば“記録なし”の蓋然性高い」 4/24
「電話で確認したときに総務会長とか幹事長は同席したか。電話の横にいて一緒に聞いていたのか。そして記録はあるのか」(立憲民主党 岡田克也幹事長)
「私の責任で聞き取り調査を行った。記録はない」(岸田総理)
「それは何もしていないと一緒だ。総理ご自身がやっていて、電話でやって記録もないし周りに人もいなかったんだと。何もなかったんだと。誰が信じるのか?」(立憲民主党 岡田克也幹事長)
22日、自民党の派閥による裏金問題について、岸田総理は森元総理の関与についての聴取、そして記録について述べたが批判の声も上がった。
日本大学危機管理学部教授/東京工業大学特任教授の西田亮介氏は岸田総理の対応に対する批判ついて「当然だ。『電話で聞いた』というが、同席者もおらず、記録もない。しかもそれが本当なのかもはっきりしない。求められるのは、国会の証人喚問という嘘をついた場合に偽証罪に問われる場における証言だ。公の場でしっかりと、嘘をつきにくい形で証言することが重要だ。そのような場においても『記録はない』とおっしゃるのであれば記録はないと考える蓋然性は高まるが、今は全くそういう状況ではない」と述べた。
●裏金の二階氏の息子 衆院選の新・和歌山2区で三男に出馬要請「裏金の世耕氏」鞍替え出馬の可能性も 4/24
次期衆議院選挙の新・和歌山2区の候補者について、和歌山県町村会は不出馬を表明した自民党元幹事長・二階俊博氏の三男・伸康氏に出馬を要請しました。
二階伸康氏(46)は、自民党元幹事長・二階俊博氏の三男で公設秘書を務めていて、24日朝、和歌山県町村会から次期衆院選の新・和歌山2区への出馬を要請されました。
新・和歌山2区 世耕氏が鞍替え出馬の可能性も
二階俊博氏は政治資金パーティーをめぐる裏金問題で、次期衆院選への不出馬を表明していて、伸康氏は出馬要請を引き受ける意向を示しました。
新・和歌山2区をめぐっては、裏金問題で自民党を離党した世耕前参院自民幹事長が鞍替え出馬するかどうかや、現・和歌山2区の石田元総務大臣の動向も注目されていて、元和歌山県議の楠本文郎氏が共産党の公認で立候補すると表明しています。
父・二階俊博氏は3500万円超の不記載判明 自民党は処分せず
自民党の裏金問題をめぐって、伸康氏の父・二階俊博氏は党内で最も多い3500万円を超える不記載があったことが分かっています。
この問題を受けて、二階氏は先月、次期衆院選に立候補しないと表明。
自民党は、二階氏を処分していません。
党の重鎮として君臨 使途不明の「政策活動費」は50億円以上
二階氏は、小泉純一郎元総理のもといわゆる「郵政解散」で自民党圧勝の功労者となり、2016年から歴代最長となる5年以上にわたって幹事長をつとめるなど党の重鎮として君臨。
その間に受け取った使いみちが公開されない「政策活動費」は50億円以上にのぼります。
『父は政治責任を明らかにした。自らも秘書として責任を負う』との考え
息子の二階伸康氏は裏金問題について問われた際、記者団に「秘書という立場で、私もこの事案が発生したときにはですね、今もそうですけど、二階代議士の公設秘書として、務めていたというのもこれは事実でございます。従いまして過日二階代議士がこの件に関して『政治責任』を明らかにした。私たちも同じ秘書という立場としてその責任は連帯して負うべきものであるという風に私は考えております。今もこの考えは変わりません」と語り、『父の二階俊博氏は裏金問題で政治責任を明らかにした。自らも秘書の立場でこの問題の責任を負うべき』との考えを示しました。
また続けて「従いまして、次の選挙に自ら手を挙げるとか、そういったところに関しては、果たして自分自身にその資格があるのだろうかということを常に頭に自問してきた日々でありました。ただ、昨日まぁ私が想像だにしなかった形で町村会の町村を代表する首長の皆さんからですね、全会一致で決意を頂いたとこれはこれで、重く受け止め熟考を重ねてまいりたいと思います」と語り、『和歌山町村会からの出馬要請は予想していなかった』と明らかにしました。
●二階氏の三男、要請「熟慮」 衆院和歌山2区の立候補巡り 4/24
自民党の二階俊博元幹事長(85)が支部長を務める衆院和歌山2区を巡り、和歌山県の町村長でつくる町村会は24日、二階氏の三男で公設秘書の伸康氏(46)に立候補を要請した。伸康氏は「重く受け止めている。熟慮を重ねて結論を得たい」と記者団に述べた。自民に公認申請するかどうかは言及を避けた。
二階氏が次期衆院選不出馬を表明し、後継が焦点となっている。町村会長の岡本章九度山町長が伸康氏と和歌山県印南町内で会い、要請書を手渡した。
二階氏は、自民派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で二階派が立件されたのを受けて不出馬を表明。後継については「地元の判断にお任せする」としていた。
●自民党・宮沢博行議員が辞職願 政治の闇暴露は?宮崎謙介氏が予測「彼の今後の身の振り方による」 4/24
元衆院議員の宮崎謙介氏(43)が24日、TBS系「ゴゴスマ〜GO GO!smile〜」にリモートで生出演し、議員辞職願を提出した自民党安倍派の宮沢博行衆院議員(比例東海)についてコメントした。
辞職願提出の理由は、宮沢氏自身の女性問題が原因とみられる。辞職願提出後、国会内で記者団の取材に「私の不祥事が重なり、辞職を決意した。政治不信を増幅しかねないということもあった」と述べた。不祥事の内容については、政治資金収支報告書の不記載とは別だと主張。近く週刊誌に掲載されるとして、詳細な説明を避けた。辞職は25日の衆院本会議で許可される見通し。
宮沢氏は派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、昨年12月に防衛兼内閣府の副大臣を辞任。裏金事件に関し「多くの仲間は身の潔白を証明したいと思っているが、派閥からしゃべるなと言われている」などと派閥幹部を公然と批判し、注目を集めていた。宮崎氏は「まっすぐな性格。その場を空気を若干、壊してでも正論を吐く議員ですね」と、宮沢氏の一本気な性格を分析した。
宮沢氏の報道を受け、宮崎氏は一部の国会議員と話したという。「内容的に全部出たわけじゃないので何とも言えないですけど、第2弾もあるかも分からないので現段階ではっきり言えませんが」と前置きしつつ、「現時点では議員辞職するところまでなのかな?という声も聞かれました」と永田町内の声をピックアップ。「彼としては裏金問題もあり、さらに自分の女性問題のこともあって、自分の中で自分を許せなくなって辞めたのではないかなと思います」と、宮沢氏が辞職を決意するに至った理由を推測した。
フリーアナウンサー高橋真麻は「女性問題よりも裏金問題の方が問題視されるべきだと思っているので、今回の女性問題はどっちでもいいとは思っています」とコメント。その上で、宮沢氏について「辞めてしまったら、今度もっといろいろお話をして下さるのかなと思ったり」と、政治の闇についての暴露を期待した。
すると宮崎氏は「彼の今後の身の振り方によると思います」と指摘。「議員辞職をして、次の衆院議員選挙にもう1回出たいんだというのがあるのであれば、もしくはまた、次休んでも政治家を続ける、自民党で続けたいのであれば、ぶちまけないでしょう。もう辞めて、自分は政治家じゃない側から政治を良くしていきたいということであれば、大いに暴露していくんじゃないですかね?」と、自身の見解を述べた。
●宮沢博行衆院議員が女性スキャンダルで辞職 裏金問題で自民党裏切り制裁リーク≠ゥ 4/24
自民党元防衛副大臣の宮沢博行衆院議員が23日に突如、議員辞職願を提出した。今週発売の週刊誌で女性問題が取り上げられることで辞職を決断したとみられるが、永田町ではさまざまな憶測も飛び交っている。
「私の不祥事が重なり、責任をとり、ケジメをつけなければならないと判断して本日辞職願を提出した。国民に深くおわび申し上げる」と報道陣に説明した宮沢氏。不祥事の内容については「週刊誌に出る」とだけ話した。一部報道によれば、今週発売の週刊誌に女性スキャンダルが掲載される予定で、事前に取材を受けたことで観念したとみられる。
宮沢氏は時の人となっていた。昨年12月に自民党が派閥の裏金問題で揺れる中、「派閥の方から、しゃべるな」と所属する清和会(安倍派)から指図があったことを暴露。防衛副大臣を辞任し、裏金問題が一気に明るみに出るきっかけを作った。
その後、メディアから引っ張りだこになり、今年1月には地元の静岡・浜松市の天竜川では、ふんどし一丁での大寒みそぎに参加。お約束のパフォーマンスで信頼回復を表明していたものの、裏金に続き女性スキャンダルとなれば、もうこれ以上の申し開きはできなかったようだ。
一方で衆院3補選の投開票が28日に迫る中での辞職を巡っては、さまざまな憶測も飛び交った。
「衆院補選や5月に予定される川勝平太氏の辞職に伴う静岡県知事選を前に野党側に刺されたのでは」「週刊誌内容が漏れる前のスピード辞職で、よほどの女性スキャンダルで恥ずかしい内容なのでは」との声も漏れた。
永田町関係者は「おそらく内部リークによるものでしょう。裏金問題では、いわば党を裏切ったわけですから」と指摘する。
宮沢氏は1月の政治刷新本部の会合で「安倍派は解散すべき。私が派閥を介錯する」と演説ぶったが、よもや3か月後に自身が詰め腹を切らされる形になるとは思ってもいなかっただろう。
●岸田自民「政治資金規正法」改正案は“抜け穴”だらけのザル…専門家「悪質な論点ずらし」とバッサリ 4/24
自民党は組織的な裏金事件をみじんも反省していない。26日に初開催される衆院政治改革特別委員会が迫る中、「ザル法」と呼ばれる政治資金規正法改正をめぐる独自案を23日、ようやく取りまとめた。これで主要各党の案が出そろった形だが、自民案は抜け穴たっぷり。
岸田首相はこのところ「規正法改正をこの国会会期中に実現する」と力んでいるが、フタを開けてみればやっぱりハリボテだ。これで政治改革なんてふざけるにもほどがある。
自民案はこうだ。政治資金収支報告書の提出時に国会議員による「確認書」添付を義務付け、不記載・虚偽記載への監督責任を明記。会計責任者が収支報告書への不記載などで処罰された場合の罰則規定は、議員が必要事項をチェックせずに確認書を交付したケースに限定した。厳罰化からはほど遠く、大甘だ。一方、不記載の相当額を没収し、国に納付させる規定を設けた。
法大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)はこう指摘する。
「法的責任を最大限回避し、金銭的責任を取るポーズでお茶を濁す。自民党案は盗品に色を付けて返せばいいだろう、と言っているようなもので、議論のたたき台にもなりません。悪質な論点ずらしです。会計責任者が有罪になった場合、議員が自動失職する連座制を導入しなければ、再発防止策にはなり得ない。岸田首相は会長を務めていた宏池会の元会計責任者が有罪になったにもかかわらず、自身にはおとがめなし。規正法改正案も“抜け道”だらけ。ここまで世論の怒りに鈍感なのは、国民を代表する首相ではなく、自民党員の首相だからなのでしょう」
白鳥氏は国会から独立した第三者機関による外部監査の導入、収支報告書のデジタル化のほか、政党交付金の減額や不交付などのペナルティーも必須だとする。調査研究広報滞在費(旧文通費)の透明化もしかりだ。連座制導入も含め、このあたりは野党も要求していて、政治資金パーティーや企業・団体献金、政治活動費の禁止も求めている。
規正法改正をめぐる自民の作業部会座長の鈴木馨祐衆院議員はきのうの会合後、「厳密な『連座制』ではないが、『連座制』といわれるものには近いと思う」と発言。骨抜きの自覚をポロリした。
自民の裏金問題は、派閥の政治資金パーティーの販売ノルマ超過分の還流にとどまらず、政治団体間で資金を移動させて使途公開率を引き下げるマネロン疑惑もくすぶっている。金権腐敗のド真ん中にいる連中が政治改革なんて片腹痛い。どだい無理な話なのだ。
●自民党内に日銀の追加利上げは時期尚早との声−年内は困難との見方も 4/24
円安が急速に進む中、日本銀行の追加利上げ観測に自民党内から時期尚早との声が上がっている。総裁選や年内にも取り沙汰される衆院解散・総選挙などの政治日程を控え、国民生活に不安を与えかねない材料を可能な限り排除したいとの思惑が背景にはある。
西田昌司参院議員は、7月や9月に追加利上げに踏み切る可能性について「あり得ない」と切り捨てた。中小企業は人手不足を補うための賃金上昇を迫られており、利上げによる借り入れ負担の増加を受け入れる余力がないとも指摘した。岸田文雄政権下では経済の実需を伸ばすことに集中すべきだとし、早期の利上げ観測に不快感を示した。西田氏は党財政政策検討本部長を務めている。
利上げの是非について聞いた同党議員10人は、住宅ローン金利の引き上げなどを通じて国民生活に直接的な影響が出てくるため時期尚早との懸念を表明。うち6人は政治資金問題に対する選挙区での風当たりは強く、解散・総選挙前に金利が上昇すれば自民党が歴史的な大敗を喫する可能性もあると指摘した。4人は党内の利上げ反対論は、9月の党総裁選前後まで根強く残るとの見方を示した。
岸田文雄首相の内閣支持率は先週末の一部世論調査で微増したが、3割を切る「危険水域」を脱していない。28日投開票が行われる衆院3補選で唯一、候補者を擁立した島根1区でも自民党は苦戦が報じられている。
岸田首相は衆院解散の時期を明言していない。衆院議員の任期満了は来年10月だが、今年6月までの今国会中や9月の総裁選直後の解散・総選挙の可能性も指摘されている。市場では日米の金利差を受けた円安の進行に焦点が当たる中、自民党内では選挙を控え、住宅ローン金利上昇や中小企業の経営悪化など国民生活への利上げによる弊害が懸念材料となっている。
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、自民党総裁選やその後の総選挙の可能性を考慮すると、9月と10月の決定会合での利上げは難しいとみる。特に米大統領選を控えた10月はトランプ前大統領の勝利を見据えて市場が不安定となり、「日銀にとって政治リスクが大きい」と指摘。7月に利上げができなければ、今年は利上げが難しくなると予想する。
ブルームバーグが12ー17日に実施したエコノミスト調査では、追加利上げの時期を41%が10月会合、19%が7月、17%が9月と予測した。年内に追加利上げに踏み切ると予想するエコノミストが8割に達した。
新藤義孝経済再生担当相は11日のインタビューで、追加利上げについて「何らかの措置が取られるためにはその前提となる条件がそろう必要がある」と述べ、実体経済が十分に強化される前の利上げに否定的な見方を示した。日本は、生産性向上や労働力の流動化を促進して潜在成長力を伸ばす「千載一遇の機会にある」と指摘。この機会を逃さないためにも、「金融政策は適切な判断によって決定される」べきだと述べた。
●政治資金規正法、自公合意5月に 議員罰則強化が焦点、実務者協議 4/24
自民党の茂木敏充、公明党の石井啓一両幹事長は24日、国会内で会談し、自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正に向けた与党合意を、5月の大型連休後に持ち越す方針を確認した。幹事長会談後、両党の実務者が協議した。自民は政治資金収支報告書の提出時、国会議員に「確認書」添付を義務付け監督責任を明記。公明案はより厳しく、両党に隔たりがあり、罰則強化が焦点になりそうだ。
両党は今国会での法改正実現を目指し、実務者間で調整を急ぐ。
自民が23日にまとめた案は「国会議員関係政治団体」の収支報告書について、議員に内容の把握と確認書作成を義務化。罰則を受けた議員の公民権停止を記し、連座制に近い仕組みとした。ただ、適用要件を会計責任者が不記載や虚偽記載で処罰され、議員が必要事項を確認せずに確認書を交付したケースに絞った。
一方、公明案は議員が会計責任者の選任または監督に注意を怠った場合に罰金刑を科す。「いわゆる連座制」と位置付け、自民よりも厳罰化に踏み込んでいる。
●首相「今国会で規正法改正」 信頼回復のためと重ねて意欲 4/24
岸田文雄首相は24日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、今国会中の政治資金規正法改正に重ねて意欲を示した。「政治の信頼回復のため、今国会で実現しなければならない」と述べた。
党執行部が全国各地で実施している「政治刷新車座対話」を踏まえ「厳しい声をしっかり受け止め、自民自身もガバナンス強化に努めなければならない」と強調した。
自民の長谷川英晴氏は「政治資金の問題で、国民の政治への信頼が大きく損なわれていることは深刻な問題だ」と指摘した。
自民に続いて立憲民主党、公明党、日本維新の会なども質問。裏金事件に対する首相の責任などが論点になりそうだ。
●岸田首相、支持率50%回復の秘策は「ライドシェア全面解禁」!? 4/24
岸田文雄首相は2024年4月22日に開催されたデジタル行財政改革会議において、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に関する法制度について、論点整理を行い、5月中に規制改革推進会議に報告するよう指示した。ライドシェアの全面解禁の議論が本格化する。
首相としての在職期間が戦後8位となった岸田首相。現在のライドシェア法制は極めて限定的との批判も多く、在職期間中にライドシェアの全面解禁は行われるのか。そして低迷する岸田政権の支持率はライドシェアの全面解禁によって、50%程度まで回復するきっかけとなるのか。
ライドシェアの全面解禁での注目点
一般客を有償で運ぶ営利目的のライドシェアは、今月、「自家用車活用事業」の枠組みで解禁された。しかし、「日本版ライドシェア」と称されるこの仕組みでは、ライドシェアの運行事業者はタクシー事業者に限定されており、海外のライドシェア大手であるUberやDiDiが直接参入できない状況だった。
今回の岸田首相の指示通りに事が進めば、この状況が今後どうなるのかの方向性が、5月中に規制改革推進会議で報告されることになる。主なポイントは、タクシー事業者以外もライドシェア事業を行えるようになるかだが、ライドシェアの今後については他にも注目すべき点はある。
今後、「ギグワーカー的にライドシェアのドライバーとして働くことができるようになるか」や、「いつでもどこでもライドシェアを展開できるようになるか」だ。
・ギグワーカー的にライドシェアのドライバーとして働くことができるようになるか
・いつでもどこでもライドシェアを展開できるようになるか
現在では、ライドシェアのドライバーはタクシー事業者に雇用されなければ、ライドシェアで稼ぐことは実質できない。雇用を伴う場合、当然、事前面接などの入社試験を伴うことになる。海外では自由な働き方を求めてライドシェアドライバーになる人も多いという実態があり、現在の状況のままではライドシェアのドライバーは集まりにくい。
また現在ではタクシーが不足している地域・時間に限定してライドシェアが解禁されているが、こうした制限を無くして全国どこでもいつでもライドシェアが展開できるようになるのかもポイントだ。
自家用車活用事業の実施状況
デジタル行財政改革会議では、自家用車活用事業の実施状況についての報告もあった。東京では44事業者(389人)による運行回数が2,308回で、1台1時間あたりの運行回数は約1.5回だった。
運行回数は4月8日(神奈川は12日)から4月15日までの累計で、資料では「今後増加見込み」とされている。
●自民が下野する政権交代は再現されるか 4/24
失敗をしたわけでもないのに、何をやっても盛り上がらない岸田政権。決着しない自民党の裏金問題。これまで旧民主党の残党に国政は任せられないと思い込んできた日本人も、「自民党でも大同小異。ならば」と、そろそろ考え始めるかもしれない。
衆議院議員の任期は来年10月末に切れる。現状は、2009年8月の総選挙で自民党が181議席を失い、民主党(193議席も増やした)に政権を渡した時に酷似している。その時と違うのは、自民党に代わる受け皿が割れていること。やるのなら、派閥を解消して液状化した自民党が割れ、小池百合子東京都知事や野田佳彦元首相などを核に、野党の一部と新党をつくらなければなるまい。その時間と資金はあるのか。
日本の政治は歌舞伎に似ている。日銀と役人がしっかりしていれば、日本という一座は回る。今の日本は、賃金は上昇、雇用は良好。国民はコロナ後の景気回復で忙しく、歌舞伎を見に行く時間がない。看板役者=首相も地味なので、行く気もしない。
だから、自民党の裏金問題は本質的にむなしいのだ。どの国でも政治にはカネがかかる。政治家は政策で選べ、人柄で選べと言われても、街頭にポスターが貼ってなければ、誰が地元の候補者なのかも分からない。そして至る所にポスターを貼るだけでも、人員とカネがかかる。
政治資金は集め方、使い方について、先進国ならどこでも厳しい規制があるのだが、問題はいつでも起きる。日本の場合、今回のように問題が表面化すると、政治資金規正法を少しだけ改正し、違反の責任者を仕立て上げて処罰した格好を取り、謝罪し、その上で選挙という「禊(みそぎ)」をやって一件落着。改正された規制をくぐるべく、新たな手法を開発する──。
結局は岸田首相の焼け太り?
これの繰り返しだ。政治資金が実質的に青天井になってしまったアメリカや、当局による選挙操作が表に出てこない、あるいは批判者を力でつぶすロシアのような国に比べれば、日本ははるかにましなのだが。
成人が全員投票権を持つ現代の民主主義は、取りまとめるのが困難至極。政党は票が欲しいから、投票権をどんどん広げて、一人一票の現在に至ったのだが、その結果、政党は多数の人間と渡りをつけるのに、大変な資金を要することになった。
皮肉なことに、われわれ一般大衆に国会は関係ない。国会どころか、町内会の活動にさえ、「町内会? 誰かうまくやっといてくれれば」程度の話で、関わり合いたくない。国が、市が、われわれの生活に「触ってきた時」にだけ、発言権を行使する。それは増税、徴兵、インフレなどで、そうなると選挙で与党を落とすのだ。
西欧近代の華、民主主義の実態はこんなもの。もっと「国民一人一人のニーズをくんだ、きめの細かい」政治はできないものか。それはインターネットの普及とAI(人工知能)の発達で可能になったようにも思うが、インターネットを使えない人はまだ多数いる。それに多数の問題について1億人もの成人の意見を集めて集計、分析したら、AIでもおかしくなるだろう。
それでも選挙という19世紀のシステムは、政治家、政党に緊張感を与え、政策・法案を磨かせる。国防費増加のような大きな政策転換の時には、選挙をやれば国民のお墨付きを得たことにもできる。
で、当面の政局は? 結局のところ岸田首相が焼け太りで、今秋の自民党総裁選で再選され、総選挙では辛勝ということになるのではないか。岸田首相、たたかれているうちに鍛えられ、顔立ちが看板らしくなってもきている。
●トランプ氏「シンゾーを通して知っている」…麻生氏とニューヨークで会談 4/24
自民党の麻生副総裁は23日夕(日本時間24日朝)、訪問先の米ニューヨークでトランプ前大統領と会談し、日米関係の重要性や中国、北朝鮮情勢などについて意見を交わした。トランプ氏が11月の大統領選で勝利する可能性に備えて個人的な関係構築を図る狙いがある。
会談はトランプ氏が拠点とするトランプタワーで約1時間行われた。トランプ氏は麻生氏を出迎え、記者団に「親愛なる友人であるシンゾー(安倍元首相)を通して知っている」と紹介。「麻生氏は日本だけでなく世界でも尊敬されている人物だ」と述べ、「我々は互いを知り合わなければいけない。これから日本と米国のことや他の様々なことについて話す」と語った。
トランプ氏は安倍氏との親密な関係で知られ「(安倍氏は)偉大な人物だった」とも振り返った。麻生氏との会談でトランプ氏は、日本の防衛費増額を歓迎した。
麻生氏は1月にもニューヨークを訪れ、トランプ氏との面会を調整したが実現しなかった経緯がある。麻生氏は現職のバイデン大統領と個人的な信頼関係を深めている岸田首相に代わり、党の立場から日米の関係を強化したい考えだ。
●日経平均、午前終値は777円高の3万8329円…一時800円近く上昇 4/24
24日の東京株式市場は、買い注文が優勢の展開となっている。日経平均株価(225種)は前日終値と比べ、一時800円近く上昇した。午前の終値は前日終値比777円23銭高の3万8329円39銭だった。
前日の米株式市場でハイテク株が上昇した流れを受け、東京市場でも半導体関連株を中心に幅広い銘柄が買われた。国内では2024年3月期の決算発表が本格化しつつあり、好決算を受けた個別銘柄への買い注文もあった。
その一方、円相場は1ドル=154円台と円安・ドル高で推移している。政府・日本銀行による為替介入への警戒感もあり、市場では「様子を見極めたいという思惑も強い」(大手証券)との見方があった。
●軍事転用リスクの高い汎用品の輸出規制を強化、政令改正へ…センサーやモーター 4/24
政府は、軍事転用リスクの高い 汎用 品の輸出規制を強化する方向で調整に入った。輸出企業に対し、軍事技術を用いていない民生用の装置や部品などであっても軍事転用の可能性を調査するよう義務付ける案を軸に検討している。ウクライナへの侵略を続けるロシアなどが汎用品の転用を加速させていることを念頭に年内の政令改正を目指す。
複数の政府関係者が明らかにした。産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)が24日午後にも、輸出規制の強化を支持する報告書を公表する予定で、政府は具体化を急ぐ方針だ。
政府は現在、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、機微技術を中心に大量破壊兵器などに転用される恐れが強い物資を列記して規制する「リスト規制」と、大量破壊兵器と通常兵器に使用可能な物資の輸出を制限し、リストに記載されていない汎用品に対して広く規制をかける「キャッチオール規制」を実施している。
今回、政府が強化を想定しているのは通常兵器に関するキャッチオール規制だ。ロシアは無人機や衛星通信装置など多くの汎用品を軍事転用しているとされる。戦局にも大きな影響を及ぼしていると指摘されており、対応を急ぐ必要があると判断した。
規制の柱となる輸出許可申請を巡っては、現在は軍事転用の恐れがあるとして経産相に個別に要請された場合のみが対象となっている。軍事転用の恐れがあるかどうかの調査は、輸出企業の自主性に任されているのが実態だ。政府は一般的に市場に流通する3Dプリンターなどの技術も転用される可能性があるとして調査を義務化し、企業が通常兵器の製造に使われる恐れがあると把握した場合は、輸出許可申請を必要とする方向で検討を進めている。
ただ、企業の取引にも大きく影響することになるため、政府は調査対象とする品目をセンサーやモーターなど「安全保障上の懸念が高い」ものに限定する考えだ。「軍事転用につながる懸念の高い取引かどうかを判断するための基準」を公表し、企業側の負担軽減にも配慮する方針だ。 

 

●自民の政治資金改正案 骨抜きの「連座制」を見直せ 4/25
派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、自民党がようやく政治資金規正法改正の独自案をまとめた。
最大の焦点は、会計責任者が処罰された時に国会議員本人が責任を取る「連座制」にある。しかし、自民案は議員に責任を逃れる余地を残し、実効性に疑問符が付く。
他党が早々と改革案を示す中、重い腰を上げた末の「後出し」だけに失望も大きい。裏金事件で国民の政治不信を招いたという自覚に、著しく欠けると言わざるを得ない。
連座制は公選法の規定にあり、選挙で陣営幹部に一定の罪があれば議員が当選しても無効になる。「ザル法」と批判され続けてきた規正法を本気で改めるなら、失職の恐れを抑止力にするほかはない。
自民案は政治資金収支報告書の提出時に議員による「確認書」の添付を義務付ける。議員には失職につながる公民権停止の罰則を設けたが、肝心の適用要件が甘過ぎる。
具体的には会計責任者が収支報告書の不記載などで処罰され、かつ議員が必要な確認を怠ったまま確認書を添付した場合に限った。これでは政治資金の透明化には程遠い。
なぜなら今回の裏金事件に自民案を適用しても、大半の議員が「連座制」の対象にはならないからだ。
裏金をつくった80人以上の議員のうち、会計責任者が処罰されたケースはごくわずかだ。仮に会計責任者が処罰されても、議員が「確認はしたが不正は知らなかった」と言い逃れる可能性もある。
きのうの国会論戦で、野党から「抜け道だらけ」「なんちゃって連座制」などと批判が出たのも当然だろう。防戦一方だった岸田文雄首相は認識を改めるべきだ。
会計責任者や秘書が自分だけの意思や判断で裏金をつくる―と思っている国民は少なかろう。政治とカネを巡る不祥事が繰り返される中、「秘書が勝手に…」という釈明は不信にまみれている。
改正案では議員に当事者責任があると明確にすべきだ。会計責任者を議員に限定するのも一案だろう。不祥事があれば議員が責任を取り、秘書たちが「連座制」に問われるのが本来の筋である。
自民党内には、会計責任者が意図的に不正を行うケースなどを想定し、導入に慎重な意見もあるという。それこそ議員の監督責任で防ぐべき事態ではないか。自らの収支に目を光らせるのは当然だ。
民間企業で不正経理などが発覚した場合、社長が「知らなかった」で責任を免れることはまずない。政治資金の取り扱いだけが、国民の感覚とは懸け離れていることを改めて自覚すべきだ。
こぞって「連座制」の導入を訴える他党の本気度も問われる。特に公明党の責任は重い。きのう始まった与党協議では自民案の抜け穴をふさぐ対策はもちろん、甘い認識をただす役割も求めたい。
自分が手にし、使ったカネに責任を持つ。それが、一部の議員が言う「政治活動の自由」の妨げにつながるとは到底思えない。国民の疑問に答えない改革など無意味だ。
●郵政民営化法、自民議連「今国会で改正やりたい」 社内には慎重論も 4/25
日本郵政グループが民営化する道筋を定めた郵政民営化法について、自民党の議員連盟「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」が25日に都内で総会を開き、今国会での改正をめざす方向を確認した。全国郵便局長会の要望などを受け、郵便局網の維持コストを捻出する狙いだが、日本郵政グループ側には慎重論もある。国会が自民党の裏金問題で揺れるなか、調整は難航しそうだ。
議連の山口俊一会長は総会の冒頭、「(郵政事業は)このままでは数年でやっていけなくなるのではないか。この改正が急がれる」と訴えた。総会後、山口氏は報道陣に「(改正案の骨子に)了承いただいた。今国会でやりたい」と述べた。
法改正案の骨子では、日本郵政と日本郵便を合併させ、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社は一定の株式を日本郵政が持ち続ける案などが示された。郵便局網維持のために金融2社株の売却益を積み立てる基金をつくり、財政支援措置の規定も盛り込む。日本郵政への外資規制も検討している。
ただ、骨子に対しては、金融2社の完全民営化が撤回されることで、将来の経営の自由度が狭まりかねないなどの慎重論が日本郵政社内では根強い。25日の総会でも一部の項目に反対意見が出たといい、法改正案の具体化は今後、与党内などでの調整が続く。
●“女性問題”宮沢博行議員の辞職議決 衆院本会議で決定 4/25
衆議院は25日午後の本会議で、女性問題を受けて宮沢博行議員から提出された辞職願を許可する議決を行った。
宮沢議員をめぐっては文春オンラインで「パパ活不倫」などが報じられ、宮沢氏は報道に先立つ23日に議員辞職願を提出、24日には自民党を離党していた。
宮沢議員は23日、FNNの取材に対し女性問題が辞職の理由であることを認めた上で、「ご迷惑をおかけした国民の皆さん、有権者の皆さん、支援者の皆さんに改めておわび申し上げます。大変申し訳ございません」と陳謝していた。
宮沢議員は当選4回で、直近の衆院選では静岡3区から出馬して敗れ、比例で復活した。所属していた安倍派の政治資金パーティーをめぐる事件では132万円の不記載が発覚して防衛副大臣を辞任する一方、派閥幹部からの箝口令を暴露して注目を浴びた。
●二階氏の三男に世襲を 和歌山町村会から異例の要請 批判も「二階ブランド揺るがず」 4/25
引退を表明している自民党の二階俊博元幹事長(85)の後継者として、和歌山県の地元は二階氏の三男に世襲を要請しました。
伸康氏に世襲を…町村会から出馬要請は異例二階氏(先月25日)
「政治責任はすべて私の、監督責任者である私自身の責任にあることは当然のこと」
「(Q.後継候補については?)それは和歌山3区の皆さんが決めることです」
地元に託すとしていた後継者に選ばれたのは、若き日の二階氏を彷彿(ほうふつ)とさせるこの人でした。
和歌山県町村会は、全会一致で自民党の重鎮・二階俊博氏の三男・伸康氏(46)に世襲を要請しました。
二階伸康氏「本当に重く重く受け止めなければならないと考えております」
町村会のほうから出馬を要請するのは異例だといいます。
次期衆院選の「新・和歌山2区」といえば、父・俊博氏が負けなしで当選し続け、「二階王国」とも呼ばれる、強固な支持基盤を誇った選挙区です。
裏金問題は未解決も「“二階ブランド”ある」
先月、自民党の裏金問題を巡り、二階氏は次期衆院選への不出馬を表明しました。
ただ、二階氏自身に処分は下されず、幹事長時代の50億円に上る“使途不明の政策活動費”の実態は、いまだ不透明なままです。
共産党 小池晃書記局長「二階さんの場合は、50億円近く出ている。使い道を明らかにできないってことは、表にできないようなやましい政治活動やってると言われても仕方ないんじゃないですか」
「政治とカネ」の問題が未解決にもかかわらず、地元は世襲候補を選びました。番組が地元の県議を取材しました。
自民党和歌山県連の関係者「知名度なくして票は得られない。裏金の問題もあるが、有権者には理解していただけるだろう。“二階ブランド”を出していけば、そんなに揺らぐことはない」
国会議員の世襲を巡っては、親などの政治団体の資金は子に引き継いでも、相続税や贈与税がかからないという実態もあります。
二階伸康氏「世の中全般に世襲ということに対して、いろんなご意見があるということは当然承知をしています。皆さん、逆に注目をいただいているところだと思いますので。その点も自らの考え、そういう場になれば明らかにしたい」
長男・俊樹氏は出馬経験あるも「三行半?」
二階氏の長男の俊樹氏は地元市長選の出馬経験もあります。なぜ三男の伸康氏だったのでしょうか。
和歌山選挙区を長年取材ジャーナリスト 須田慎一郎氏
「2016年に(長男の俊樹氏が)地元の御坊市長選挙に出馬したんですけど、大差で敗退すると。二階さんの後ろ盾を得ながら、長男が大きく落選した。地元の町議・市議にしてみますと、長男が後継者になったとしても、とてもじゃないけど、衆議院選挙で当選することはおぼつかない。長男に三行半を突きつけて、三男を担ぎだした」
新和歌山2区では、元県議の楠本文郎氏(69)が共産党公認での出馬を表明しています。
●《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響 4/25
裏金事件がこれだけ問題になったのに大した処分もなく、「次の選挙でも結局、政治は変わらないのでは」と諦めを抱く人もいるかもしれない。決してそんなことはない。有権者の間で「落選運動」が大きなうねりとなれば、選挙結果は変わる。“親の七光り”で当選してきた世襲議員たちも今度は厳しい審判を受けるのではないか。
安倍派からの裏金を政治資金として父から“相続”した疑いがあるのが岸信夫・元防衛相の長男・信千世氏だ。
「(父の代を含めて)事務所内で適切な対応を取っていることを確認した」
信千世氏は裏金問題についてそう説明していたが、今年2月、父から引き継いだ資金管理団体「誠信会」が2020年と2021年に安倍派から合計30万円のキックバックを受けていたと政治資金収支報告書を修正。資金管理団体が持っていた裏金を含む政治資金を“相続”した疑惑につながるのだ。
岸事務所に聞くと、「ご質問のパーティーにかかる収入は前代表者の時代に事務所で販売したものであり、後任代表者である岸信千世は全く関与しておりません」と回答するが、2021年当時、信千世氏は父の防衛大臣秘書官を務めていた。
次の総選挙でこの裏金相続問題を争点に落選運動が展開されれば、政界に大きな影響力を誇った安倍・岸家は残った唯一の議席を失うかもしれない。
裏金問題引きずる候補者の対決に地元は困惑
二階俊博・元幹事長の引退表明で「世襲候補vs裏金議員」の対決になりそうなのが和歌山新2区だ。後援会関係者の間では、ともに公設秘書を務める二階氏の長男か三男が「後継者として出馬する」との見方が強いが、そこに裏金問題で離党勧告処分を受けた世耕弘成・参院議員が衆院に鞍替えして無所属で出馬するとの報道がなされ、激戦が予想されている。
地元の市民団体関係者は困惑顔だ。
「二階さんの元秘書は政治資金規正法違反で立件された。2人の息子さんも長く秘書を務めているから裏金問題と無縁とは言えない。それと裏金問題で離党した世耕さんが戦うことになれば投票したい人がいない。日本維新の会の新人などの候補が出馬すれば、批判票の受け皿になるでしょう」
裏金批判を浴びる二階氏の後継者と世耕氏を共倒れさせるには、双方の落選を求める有権者の投票先となれる“第3の候補”擁立を維新などに求めるのが早道のようだ。
●《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響 4/25
裏金事件がこれだけ問題になったのに大した処分もなく、「次の選挙でも結局、政治は変わらないのでは」と諦めを抱く人もいるかもしれない。決してそんなことはない。有権者の間で「落選運動」が大きなうねりとなれば、選挙結果は変わる。“親の七光り”で当選してきた世襲議員たちも今度は厳しい審判を受けるのではないか。
安倍派からの裏金を政治資金として父から“相続”した疑いがあるのが岸信夫・元防衛相の長男・信千世氏だ。
「(父の代を含めて)事務所内で適切な対応を取っていることを確認した」
信千世氏は裏金問題についてそう説明していたが、今年2月、父から引き継いだ資金管理団体「誠信会」が2020年と2021年に安倍派から合計30万円のキックバックを受けていたと政治資金収支報告書を修正。資金管理団体が持っていた裏金を含む政治資金を“相続”した疑惑につながるのだ。
岸事務所に聞くと、「ご質問のパーティーにかかる収入は前代表者の時代に事務所で販売したものであり、後任代表者である岸信千世は全く関与しておりません」と回答するが、2021年当時、信千世氏は父の防衛大臣秘書官を務めていた。
次の総選挙でこの裏金相続問題を争点に落選運動が展開されれば、政界に大きな影響力を誇った安倍・岸家は残った唯一の議席を失うかもしれない。
裏金問題引きずる候補者の対決に地元は困惑
二階俊博・元幹事長の引退表明で「世襲候補vs裏金議員」の対決になりそうなのが和歌山新2区だ。後援会関係者の間では、ともに公設秘書を務める二階氏の長男か三男が「後継者として出馬する」との見方が強いが、そこに裏金問題で離党勧告処分を受けた世耕弘成・参院議員が衆院に鞍替えして無所属で出馬するとの報道がなされ、激戦が予想されている。
地元の市民団体関係者は困惑顔だ。
「二階さんの元秘書は政治資金規正法違反で立件された。2人の息子さんも長く秘書を務めているから裏金問題と無縁とは言えない。
それと裏金問題で離党した世耕さんが戦うことになれば投票したい人がいない。日本維新の会の新人などの候補が出馬すれば、批判票の受け皿になるでしょう」
裏金批判を浴びる二階氏の後継者と世耕氏を共倒れさせるには、双方の落選を求める有権者の投票先となれる“第3の候補”擁立を維新などに求めるのが早道のようだ。
●裏金 自民総裁には特別の責任 4/25
首相は処分されないのか 参院予算委 小池氏が追及
   企業・団体献金の全面禁止を
「説明責任も、政治責任も全く果たされていない」―。日本共産党の小池晃書記局長は24日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件の責任を何一つ果たそうとしない岸田文雄首相の姿勢を批判し、徹底的な真相解明を求めました。
小池氏は、自民党が23日に政治資金規正法の改正に向けた提案をまとめたが、政治をゆがめる大本にある企業・団体献金の禁止も、領収書なしで使い放題の政策活動費の見直しもないとして、「ひとかけらの反省もない中身だ」と批判。「そもそも真相解明に背を向けていて、まともな改革案など出せるわけがない」と主張しました。
裏金事件で岸田首相が処分されなかったことに大多数の国民が「納得できない」と声を上げています。小池氏は、他派閥同様に岸田派でも3000万円を超える政治資金収支報告書への不記載があったとして、責任を追及。「何よりも総理は自民党の最高責任者である総裁であり、主要派閥ぐるみの裏金づくりに特別の責任がある。何の処分もなしで国民が納得できるわけがない」と批判し、「総理自身の処分がないということは、総理には政治責任がないということか」と迫りました。
ところが岸田首相は「総裁としての責任は免れない」としつつ、「だからこそ信頼回復に努める」というだけ。小池氏は「最高責任者がまず処分を受けるのが当然ではないか。トカゲの尻尾を切って、自らの延命を図ろうとしているだけだ」と批判しました。
自民党は政策活動費や企業・団体献金の禁止など抜本的な改革に背を向けています。小池氏は、政策活動費の廃止・見直しを否定しているのは自民党だけだと指摘し、「『政治活動』と言いながら結局使い道を明らかにできない金だ。これを続けるのか」とただしました。
岸田首相は「議論を避けているわけではない」などと弁明。小池氏は「議論をするといいながら使途を明らかにすることは拒否するではないか」と批判しました。
さらに小池氏は、トヨタ自動車の自民党への献金が総額6億1520万円(2013〜22年)で個別企業としては常にトップだとしたうえで、同時期の研究開発減税の総額は8700億円だと告発し、「研究開発減税は、企業献金の見返りだったのではないか。キックバック(還流)だと言われても仕方がない」と主張。「しかも、献金は自民党の懐に入るが、減税は国民の血税から出ていく。極めて悪質だ」と批判し、企業・団体献金の全面禁止を求めました。
論戦ハイライト 小池書記局長の質問 参院予算委
   裏金解明抜きに改革なし
「トカゲの尻尾を切って、自らの延命をはかろうとしているだけだ」―。日本共産党の小池晃書記局長は24日の参院予算委員会で、自民党の裏金事件の説明責任を果たさず、政治的責任も取ろうとしない岸田文雄首相を厳しく批判。さらに、自民党が企業・団体献金の禁止など肝心の問題に全く切り込もうとしないとして「ひとかけらの反省もない。そもそも真相解明に背を向けていて、まともな改革案を出せるわけがない」と訴えました。
森氏と口裏合わせか─首相「控える」小池「結論ありき」
自民党安倍派(清和会)が裏金づくりを始めた時のキーパーソンとされている派閥会長だった森喜朗元首相。しかし、岸田文雄首相は森氏に電話をして聞き取った内容は何も明らかにしていません。
小池氏は、元清和会の参院議員だった山本一太群馬県知事も「(裏金づくりは)間違いなく森派が始まってからだと思う。会長の了解なくできるわけない」と述べていることを挙げ、次のようにただしました。
小池 森氏への電話は何分ぐらいだったのか。何を聞いたのか。
首相 聞き取りの実効性を高めるため、内容を明らかにしないことを前提とし、長さ、内容など具体的なやりとりを推測させるような答えは控える。
小池 電話の長さも言えない、同席者もいない。記録もない。これではそもそも電話をしたかもわからないではないか。
小池氏は、首相は聞き取りの内容を明らかにできないと繰り返しながら、「森氏は関与していない」ということだけは明言するとして「結論ありきの口裏合わせではないか」と厳しく指摘しました。
小池 森氏とのやりとりを明らかにしない限り、国民の疑問は解決しない。
首相 国民の最大の関心である長きにわたる不記載に森氏が関わったかどうかについて、私自身の責任で関わった事実は確認されていない。
「森氏は関わっていないと確認した」と繰り返すだけの岸田首相に小池氏は、「結論だけ言って、中身を一切言わないのは説明になっていない。これでは国民は誰も納得しない」と厳しく批判しました。
自身の疑惑隠し延命─首相「信頼回復…」小池「処分を」
   「事務ミス」勝手な説明
自民党の裏金事件で、政治責任が問われる岸田首相自身は処分されていません。小池氏は「総理は自民党の最高責任者である総裁だ。自民党の主要派閥ぐるみの裏金づくりに特別の責任がある」とただしました。
岸田首相が2012年以来会長を務めてきた岸田派でも、元会計責任者が政治資金規正法違反で略式起訴されています。小池氏は、立件された不記載額3095万円について、岸田首相が「事務的ミスの積み重ね」と説明しているが、「事務的ミスの積み重ねで3000万円はあり得ない」「本当に自分勝手な言い訳だ」と批判しました。
小池氏は、岸田首相が「検察の捜査で刑事責任を認められなかった場合でも、政治責任を明らかにするために処分を行った」と述べているとして、次のようにただしました。
小池 自身に処分が必要ないということは、総理には政治責任がないということか。
首相 外部の関係者も含めた党紀委員会等を通じて判断した。そうであっても、総裁としての責任は免れないので、政治の信頼回復に努めなければならない。
小池 普通は最高責任者がまず処分を受けるもの。総理はトカゲの尻尾を切って、自らの延命を図ろうとしているだけだ。
   パー券疑惑 無責任答弁
さらに、岸田首相は、自身の政治資金パーティーをめぐる疑惑についても何一つ説明していません。小池氏は「調べれば報告できることが、いまだに明らかになっていない」と追及しました。
20年に開催された岸田派の政治資金パーティー「宏池会と語る会」を巡っては、パーティー収入が訂正された一方、購入者数が変わっておらず、齟齬(そご)が生じています。岸田首相は1月29日の衆院予算委員会で、「人数については精査を続けている」と答えていました。
小池 (指摘から)2カ月以上たったが、訂正したのか。
首相 20年の数字なので、資料等の確認に時間がかかっており、精査を続けている。
小池 結局、真相解明をする気がないということだ。虚偽記載を放置していることになる。違法状態を放置していいのか。
首相 確認した段階で訂正を行う。
さらに昨年12月に開催予定だった自身の政治資金パーティー「第45回岸田文雄と国政を語る会」の中止を巡っても、岸田首相は売上枚数や総額を整理・集計中としていました。
小池 これも(指摘から)1カ月以上たった。中止になったパーティー券代金は返金したのか。
首相 販売枚数は約1600枚、総額は約3200万円。希望に沿って返金を始めている。
小池 (政治資金収支報告書への)訂正の届け出が出ていないようだが。
首相 報告は来年になる。
小池氏は「説明責任は果たされておらず、ましてや政治責任は全く果たされていないのが現状だ」と指摘。岸田首相の無責任さを強調しました。
献金見返り巨額減税─小池「トヨタに血税還流 1400倍」
   表に出せぬ政策活動か
小池氏は、自民党がまとめた政治資金規正法改正案は、企業・団体献金の禁止もなければ、政策活動費の見直しもなく、「ひとかけらの反省もない代物だ」と批判。「読売」の最新の世論調査で、裏金問題の実態把握や真相解明が「必要だと思う」は78%に上るとして、「徹底的な真相解明が必要だ。真相解明に背を向けていて、まともな改革案を出せるわけがない」と厳しく批判しました。
小池氏は、政党から政治家個人に交付され、領収書なしで“使い放題”となっている「政策活動費」の問題を追及。自民党の二階俊博元幹事長は、幹事長時代の5年間に約47億7000万円が支払われたとされています。
小池 「政策活動」と言いながら、表に出せないようなやましい政治活動をやっているのではないか。自民党以外は見直しを言っている。
首相 使途を明らかにすることは慎重でなければならない。議論を避けるものではない。
小池 議論すると言いながら、肝心の使途を明らかにすることは拒否する。全く後ろ向きだ。国民から見れば“つかみ金”だ。政策活動費はやめるべきだ。
   「研究開発」1社で1割
さらに小池氏は、減税の恩恵を受ける業界団体が自民党に巨額献金をし、その見返りとして自民党が大企業減税を繰り返し、いかに税制をゆがめてきたのかを追及しました。
2022年度の法人税減税は約2兆3000億円で、最大のものが「研究開発減税」(総額7636億円)。資本金100億円超の企業が65%を占め、文字通りの大企業減税です。
小池 研究開発減税の22年度分の減税額トップの企業は約802億円にのぼる。1社で減税額の1割以上を占める企業はトヨタ自動車以外にあり得ない。ばく大な減税をしながら企業名すら明かさずに、こんなやり方を続けていいのか。
首相 公益性上の必要性があるかどうかを見極める必要がある。
個別企業名を答えない岸田首相に対して小池氏は、自民党へのトヨタの献金額は6億1520万円(13〜22年)に上り、同時期のトヨタの研究開発減税総額は8700億円だと指摘。「研究開発減税は企業献金の見返りだったのではないか。1400倍超以上のキックバック(還付)だ」「献金は自民党の懐に入るが、減税は国民の血税から出ている。きわめて悪質だ」と批判し、企業・団体献金の全面禁止を求めました。
●金融所得を巡る社会保険料算定の不公平是正、自民PTが検討開始 4/25
自民党は、医療・介護保険の保険料の算定に、金融所得をどう反映させるか検討を始めた。一部の公的医療保険では、利子や配当など金融所得の確定申告の有無で支払う保険料が異なり、不公平だとの指摘が出ているためだ。
25日に初会合を開いたのは、自民党の「医療・介護保険における金融所得の勘案に関するプロジェクトチーム(PT)」(座長・加藤勝信前厚生労働相)。現在、国民健康保険や75歳以上の後期高齢者医療制度、介護保険に加入している場合、上場株式の配当など金融所得の一部について保険料に反映されるのは確定申告した場合のみ。金融所得があっても確定申告をしなければ保険料に反映されず、同じ所得でも保険料に差が生じている。
昨年12月に閣議決定した「社会保障の改革工程」では、2028年度までにこうした保険料の差の是正を検討するとしている。国保や後期高齢者医療、介護保険では、源泉徴収でも金融機関が国税庁に提出する情報で金融所得を把握できるという。事務などの仕組み作りには時間がかかるが、保険料の反映は可能という。政府・与党内では今後、保険料の差の是正に向けて検討を深める方針だ。
サラリーマンらが加入する被用者保険については、保険料を給与所得に基づき算出し、労使折半で負担しているため、「簡単には手を出せない」(自民党厚労族議員)との声もある。金融資産の反映について今後議論する可能性もある。
●【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も 4/25
自民党の裏金問題で、派閥の指示があったことを初めて認め、「安倍派を介錯する」とまで言い放った宮澤博行・衆院議員(49)が4月23日、辞職願を提出した。翌々日に発売された『週刊文春』で、〈裏金前副大臣はパパ活&デリヘル常習!〉という記事が出る前に、潔く責任を取ったつもりのようだが──。『週刊ポスト』は3月、そんな宮澤氏の夜の姿をキャッチしていた。
4月25日、衆議院で宮澤氏の議員辞職願が許可された。現在4期目の宮澤氏は、直近の衆院選では静岡3区で敗れ、比例復活していた。「自民党からもらった議席なので返すのが筋」として潔く辞職を決意した格好だが、宮澤氏に近い自民党関係者はこう話す。
「昨年末に裏金問題で自身も所属する安倍派幹部を批判し、かん口令が敷かれたことを暴露して一気に時の人となりました。“宮澤の乱”などとメディアでも注目されましたが、一方で完全なるスタンドプレーで、防衛副大臣を辞任せざるを得なくなったことへの腹いせからの暴走だったと党内でも冷ややかな目で見られていました。
裏金問題で注目されるまでは存在感はいまひとつの議員でしたが、東京でも地元でも酒席での下ネタが大好きで、かつて自民党の飲み会で今井絵理子・参院議員が食べた後の鶏の骨をむさぼり食うという芸を披露して周囲にドン引きされたこともありました。記者との懇親会でも女性記者への不適切発言を連発して不興を買ってしまい、宮澤氏と記者との懇親会はなくなりました。
さらに宮澤氏はなぜか数年前に赤坂議員宿舎を出て、新宿区内のマンションを借りるようになった。家族は地元で暮らしているため、東京で“一人暮らし”状態の宮澤氏が夜にどんな活動をしているのかは謎に包まれていました」
『週刊文春』によると、記者の直撃に、〈相当、性欲が強かったものですから。色んな遊びもやった〉などと答えた宮澤氏は、いったいどんな日常を過ごしていたのか──。
スーツの下半身だけデニムに着替え
3月初旬、そんな宮澤氏の姿はサラリーマンの聖地、新橋にあった。夕方に党本部を出た後、鍼灸院で施術を受けた宮澤氏は、1人で新橋の街を彷徨っていた。食事する肉系の店を探している様子でひたすら歩き回ったところ、ご飯・味噌汁などが食べ放題のステーキが1000円前後という“コスパ最強の店”で、足を止めた。店の前に掲げられたメニューをじっと見て熟考した末、“1人飯”に決定したようだ。性欲が旺盛だという宮澤氏は、食欲も旺盛な“肉食”だったようで、定食に肉を追加してぺろりと食べ切ったのだった。
翌日の宮澤氏はアクティブだった。永田町を出た宮澤氏は、駅構内にいた。電車を待つわずか数分でも文庫本を読むという東大法学部卒らしい知的な面を見せていたが、電車に乗り込むと不思議な行動に。両手でバッグを持ち、ドアに額と身体をぴったりとくっつけて仁王立ちした体勢を続ける宮澤氏。その様子は不審で、乗客たちは少し距離を置いていた。
電車を降りていったん自宅に戻った宮澤氏はスーツの下半身だけデニムパンツに着替えて、繁華街に繰り出した。知人とみられる男性と合流すると、キャバクラの呼び込みらしき女性たちに何やら嬉しそうに話しかけていたものの、その先にある庶民的な居酒屋に入った。
居酒屋を出た宮澤氏は、先ほど通った道で再びキャバクラの女性たちを発見。振り返って見つめたものの、男性2人はラーメン屋に向かうのだった。『週刊文春』の記者の直撃で「素人」が良いのかとの問いに、〈銀座のクラブに行ったって、何も面白くないんです。エッチできなかったら不満が残るだけです〉と答えていた宮澤氏。クラブやキャバクラにはやはり行かないよう自制しているようだった。前出の自民党関係者が語る。
「議員同士でつるんで派手に遊ぶようなことは少なく、移動は基本的に電車を使うなど倹約家。今時珍しい庶民派の議員とも言えますが、これまで垣間見えていた宮澤氏の“裏の顔”から、近しい人間はいつか女性関係や下半身ネタで問題を起こすのではないかという危うさを感じていました。パパ活&デリヘル報道で潔く辞職したことを評価する声も出ていますが、辞職に値するほどの不適切行動をしていると自覚があったからこそ、『週刊文春』の記事を読む前に決意できたのでしょう」
●目的は立憲と国民民主の「フュージョン」? エネルギー議連立ち上げ 4/25
立憲民主党と国民民主党の議員有志らが25日、次世代のエネルギーとして注目されている核融合(フュージョン)エネルギー政策に関する議員連盟を立ち上げた。立憲からは、原発政策をめぐって溝がある国民民主との「橋渡し役」として議連に期待する声が上がる。
発足したのは、「フュージョンエネルギー推進議連」。立憲の大島敦衆院議員が会長、国民民主の竹詰仁参院議員が幹事長に就いた。電力会社の労組連合体である電力総連から支援を受ける議員のほか、国民民主の玉木雄一郎代表ら約30人が出席した。
立憲、国民民主両党を支援する「連合」は次の衆院選に向けて、「対話と協力」を両党に呼びかけている。立憲中堅は「表のテーマはエネルギーだが、裏のテーマは立憲と国民の連携だ」とみる。
一方、国民民主の出席者の一人は「考えが違うから立憲と分かれた。一緒になっても、すぐバラバラになる」と話している。
●自民、政治資金支給を6月に前倒し=計500万円、解散巡り臆測も 4/25
自民党が所属国会議員に年4回支給する「支部政党交付金」について、7月分の支給時期を同月末から6月に前倒しすると通知したことが25日分かった。交付金200万円に加え、夏の活動費(氷代)を通常の200万円から300万円に増額し、合わせて500万円を配る。
●首相最側近の木原誠二幹事長代理、政権交代の可能性に言及 呼ぶ臆測 4/25
岸田文雄首相の最側近の木原誠二・自民党幹事長代理は25日、東京都内の会合で「政権交代が起こってもおかしくない」と述べた。裏金事件を受けた党への逆風に危機感を示した形だが、6月の国会会期末までに首相が衆院解散に踏み切るとの見方もくすぶる中、発言の真意をめぐって臆測を呼んでいる。
木原氏は安全保障分野での他国との連携を語る文脈で、米国の大統領選を念頭に「米国は結構スイングをする国」と述べた上で、「日本はそういう国ではない。もちろん、いま自民党は非常に厳しい。政権交代が起こってもおかしくない状況だろうが、仮にそういうことがあっても日本の政治は、霞が関がしっかりしており、安定している」と語った。
財務官僚出身の木原氏は、日本の政府は官僚機構が中核を握り、政権交代でも政策は大きく変わらないとの認識を述べたかったようだが、首相側近の発言だけに注目を集めている。
●岸田政権の外交が優れているとの評論が静岡新聞に掲載されました。首相は、平和の維持は「理解」するだけでは駄目と説きます。 4/25
岸田文雄首相の外交政策が「とても優れている」との評論が静岡新聞に掲載されました。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が記した4月19日付朝刊の「論壇」です。内政で失態が続き、岸田政権の支持率は低迷状態を脱しきれませんが、外交では的を射た政策を推進していると指摘。バイデン米大統領との首脳会談で岸田首相は、国際情勢を踏まえた現実主義的外交政策を展開したと評価しました。
米国は自由と民主主義の旗を掲げ、同盟国を率いてきました。しかし、地域間紛争が激化し、ロシアと中国は覇権を強める一方、経済分野で各国の相互依存は強まるばかり。国際政治情勢は多極化し、理念を前面に出した外交で同盟国を率いることの困難さが増しているのです。佐藤氏は日米首脳会談の共同声明に「価値観」「民主主義」の言葉が出てこなかった点に着目し、米国の影響力が後退していると読み解きました。国際情勢を理解するのに役立つヒントを提供しています。
外交に必要な「覚悟」
このコラムのタイトルにある英文は日米首脳会談の翌日、岸田首相が米国連邦議会上下両院合同会議で「未来に向けて−我々のグルーバルパートナーシップ」と題して行った演説の一説です。
And yet we also know that peace requires more than understanding. It requires resolve. = しかし、今の私たちは、平和には「理解」以上のものが必要だということを知っています。「覚悟」が必要なのです(外務省訳)
岸田首相は世界の安定と繁栄をけん引してきた米国の功績を高く評価した上で、平和の尊さやあるべき姿を理解するだけでは不十分だと指摘しました。日米両国が人権の抑圧、政治的な自己決定権の否定、デジタル技術で人々を監視し続ける社会を排除するために行動することの必要性に言及し、それが「世界中の未来世代のための大義であり利益」と強調しました。そのために覚悟が必要だと。
佐藤氏はこの発言を受け、軍事力に裏付けられた外交によってこそ腹を割った本音の対話が実現すると解釈します。この点は評価が分かれるかもしれません。
サプライチェーンの実像
価値観を掲げる外交戦略が奏功しにくくなった要因である経済の相互依存。それを理解するため、私たちが愛用するスマートフォンなど、日常生活を支える電子機器がどのように製造されているのかをたどってみましょう。キーワードは「サプライチェーン」。ものづくり産業で、材料調達から生産、物流、販売など消費者に品物が届くまでの一連の流れを意味します。
「カリフォルニアでデザインされたApple製品。作っているのは、世界中の人たち」。米アップル社はコーポレートサイトで、50以上の国と地域で数千の事業者と数百万の人々により自社製品の製造、配送、修理、リサイクルが成り立っていると説明。人権、環境、安全に配慮し、サプライチェーンに関わる人やコミュニティーを支え、地球を守る取り組みを進めていると記しています。
このように資本や労働力、サービスが国境を越えて行き来し、国際的分業が進展しています。経済活動のグローバル化と称し、サプライチェーンは国境をまたぎ複雑さを増しています。国境や政治体制は国際政治で重要な意味を持ちますが、サプライチェーンの議論に限れば供給網の維持で考慮すべき事項の一つと言える状況になってきました。
中国はアジア地域で覇権主義的な実効支配を拡大し、日本政府は警戒感を高めています。米国内でも中国脅威論が隆盛です。ところが、日本の外務省がまとめた中国経済概要(2022年)によれば、中国の最大の貿易相手国は米国です。日本は韓国に次いで3位。また、日本にとって中国は米国、オーストラリアに次いで第3位の投資先。中国には日系企業の拠点が3万1324拠点もあり、日系企業の海外拠点数で中国は第1位です。
ロシアのウクライナ侵攻を機に、欧米は世界のエネルギー市場からロシア産の天然ガスや原油を締め出す経済制裁に踏み込み、国際金融決済市場からの退出を迫りました。やがてロシア経済は疲弊し侵略行為をやめるだろう−との期待がありました。現実はどうでしょう。中国やインドは安くなったロシア産原油を買い増しました。そればかりか、ロシアの液化天然ガス(LNG)は今年1月、欧州連合(EU)向け輸出量が約160万トンで、ウクライナ侵攻前の22年1月比で3割増加しています。
民主主義とてアラカルトの一つ
国際社会で「民主主義陣営か権威主義陣営のどちらに与(くみ)するのか」の二者択一は大した意味を持たなくなってきました。安全保障では米国を頼り、経済では中国やロシアとの親密な関係を維持したいと考える新興国、途上国はたくさんあります。歴史ある超大国といえども、自由と民主主義の理念を語っているだけで実利をもたらさなければ仲間と思っていた国にそっぽを向かれる−。外交の実像は私たちの社会生活と似通った面もあるのです。国際政治の厳しさに思いを致せば、茶の間で見聞きする難解なニュースがちょっと身近に感じられるかもしれません。
●首相側近「政権交代も」 自民の党勢低迷に危機感 4/25
自民党の木原誠二幹事長代理は25日、東京都内での党会合で、派閥の政治資金パーティー裏金事件の影響を念頭に「今、自民党は非常に厳しい状況だ。政権交代が起きてもおかしくない」と述べ、党勢が低迷する現状に危機感を表明した。木原氏は岸田文雄首相の側近として知られる。
米国では大統領が代わるたびに政策方針に変動があることに触れ「仮に政権交代が起こったとしても、日本の政治システムは、霞が関もしっかりしているし、非常に安定している」と語った。
麻生太郎副総裁とトランプ前米大統領との会談に関し「あまり騒ぎ立てることはない。日米関係は大統領が誰であれ揺るがないものだ」と語った。
●岸田総理の“側近”木原議員「あまり騒ぎ立てることはない」麻生氏とトランプ氏の会談に 4/25
自民党の木原幹事長代理は都内で開かれた会合で、麻生副総裁とトランプ前大統領の会談について「日米関係が揺るがないことを確認したもので、あまり騒ぎたてることもない」と指摘しました。
岸田総理の側近として知られる木原幹事長代理はきょう、自民党の猪口邦子元少子化担当大臣が主催するセミナーで、国賓待遇での岸田総理のアメリカ訪問について「成功だった」と評価しました。
一方で、麻生副総裁とトランプ前大統領の会談については「国賓待遇での訪問が成功したから実現した対談であり、日米関係が揺るがないことを確認したもので、あまり騒ぎたてることもない」と述べました。
さらに、「アメリカは政権交代で政策が根本的に変わる可能性がある」と指摘した上で、「日本とアメリカは違う。日本は政治の安定した国。だから信頼がある」との見方を示しました。
また、今の自民党の置かれた状況について「非常に厳しい」との認識を示しました。
●なぜ上がった自民党の支持率 国民の気分≠甘く考えるな「顔を変えれば何とかなる」軽い気持ちで解散しない方がいい 4/25
FNN(フジニュースネットワーク)と産経新聞が20、21日両日に実施した世論調査で、岸田文雄内閣の支持率は前回比3・7ポイント増の26・9%だった。他社の調査でも「微増もしくは横ばい」。前週の調査も同様の傾向だったので、どうやら支持率の下落は底を打ったようだ。
気になったのは政党支持率で、FNN・産経、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞のいずれも自民党は上がり、立憲民主党と日本維新の会はほぼ下がる傾向だ。なぜなのか。
内閣支持率が上がるのは分かる。岸田首相の国賓訪米の評価が高いからだ。FNN・産経では「大いに」「ある程度」を合わせて55・5%が評価し、「評価しない」(37・4%)を上回っていた。読売新聞、朝日新聞も同じ傾向だった。
だが、自民党の支持率が上がった理由が分からない。自民党議員から「岸田首相でなく、自民党がダメだと言われる」と聞いていたからだ。
1つ面白いと思ったのは、政治資金をめぐる自民党の処分について、ざっくり聞くと評価する人は1割から2割しかいないが、「安倍派幹部の塩谷立氏と世耕弘成氏への離党勧告」など具体的な厳しい処分に触れて聞くと、読売調査で「妥当だ」が47%となっている。
つまり保守層の中には、自民党の処分を評価して、いったん離れた後に、少し戻っているのかもしれない。あるいは自民党は嫌いだが、野党にもそれ以上に魅力を感じていないのか。
だからといって、岸田首相は気楽に解散してはイカン。
28日投開票の衆院3補選は、各社の記事を読む限り、「自民党劣勢、立憲民主党優勢」のようである。自民党が島根1区で逆転勝ちして衆院解散とか、あるいは全敗でも「これでお仕置きは終わった」などと岸田首相が勘違いして解散という説があるのだが、やめた方がいい。
というのは、今回の調査で、自民党にとって恐ろしい結果が1つあったのだ。
次期衆院選後の政権のあり方を聞いたところ、FNN・産経は「政権交代を期待」が52・8%で、「自民党中心の政権継続」が40・1%。毎日新聞に至っては、62対24で政権交代に期待する声の方が多かった。
これは1993年と2009年の政権交代時の「自民党はもうイヤ」という国民の「気分」に似ている。あの時との決定的な違いは、次にどういう人たちに政権を任せるか、今回まだ国民は決めていない、ということだ。
だからといって、「政権を担当できるのはどうせ自民党だけ」「顔を変えれば何とかなる」などの軽い気持ちで解散はしない方がいい。少なくとも、国民は「自民党はもうイヤ」という気分なのだから、何かのきっかけで地殻変動が起こるかもしれない。
もう一つ、岸田首相の外交成果は評価されている。安保、エネルギー、経済など時々間違えることはあるが、政策はそんなに悪くないと思う。だから自民党の人たちは間違っても「岸田降ろし」をしてはダメだ。
9月の総裁選で、岸田首相も含めて政策論争をして総裁を決め直してから、解散するかしないかは決めればいい。国民の「気分」を甘く考えてはいけないと思う。
●政治資金収入も外部監査 自公実務者 4/25
自民、公明両党は25日午前、政治資金規正法改正の実務者協議で、従来は支出のみだった政治資金の外部監査について収入も対象とすることで一致した。収入は現金による管理を排除し、金融機関を経由して処理することも確認した。
協議後、自民の鈴木馨祐衆院議員は記者団に「自公で収入も含めた外部監査を強化していこうと話をした」と語った。
●防衛産業育成と海外移転で「中長期戦略の策定を」 自民議連が岸田首相に提言 4/25
岸田文雄首相は25日、防衛産業基盤の強化と装備品の海外移転促進を目指す自民党の議員連盟(会長・小野寺五典元防衛相)メンバーと官邸で面会し、政府の中長期的な戦略文書として「国家防衛産業・装備移転強化戦略」を策定するよう求める提言書を受け取った。
提言はロシアによるウクライナ侵略を契機に、防衛装備の研究開発や生産などで同盟国・同志国が補完しあう態勢の重要性が増しており、米欧で防衛産業に特化した戦略文書の策定が相次ぐ状況を指摘。「戦略策定のプロセスそのものが、不足・欠落している能力や体制(の洗い出し)、投資促進、技術革新などさまざまな効果をもたらす」と指摘した。
小野寺氏によると、首相は「どういう形で実現できるか検討していきたい」と応じたという。
●「政権交代が起こってもおかしくない状況」 岸田首相最側近の自民・木原幹事長代理が危機感示す 4/25
岸田首相の最側近である自民党の木原幹事長代理は、党の現状について、「政権交代が起こってもおかしくない状況だ」と危機感を示した。
木原氏は、参加したセミナーで、アメリカは日本と違い、政権交代にともない政策が頻繁に変わることを説明する中で、「今、自民党は非常に厳しい状況であり、政権交代が起こってもおかしくない状況だろうと思う」と述べた。
そのうえで、木原氏は、「仮にそういうことがあっても、日本の政治システムは非常に安定している」と述べ、日本の国際的な役割を強調した。
●「間違いなくそうなるんですよ、このままだったら」全国4割超の744自治体が「消滅可能性」 4/25
4月25日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、744自治体の「消滅可能性」に関するニュースについて意見を交わした。
民間有識者らで作る「人口戦略会議」は、全国の4割以上にあたる744自治体が、若年女性人口の大幅な減少に伴って将来的に「消滅可能性がある」とする報告書を公表した。「少子化の基調は全く変わっていない」として、各地域の実情に応じた対策を求めている。
報告書は、国立社会保障・人口問題研究所が昨年12月に発表した地域別将来推計人口を基に、出産の中心世代である20〜39歳の女性人口について、2020〜50年の減少率を推計。減少率が50%以上の自治体を「最終的には消滅する可能性が高い」とした。東北地方が165自治体と最も多く、北海道117、中部109が続いた。
寺島アナ「藤井さん、これはどうご覧になりますか?」
藤井氏「まぁそうでしょう。この問題もずっと増田寛也さんが言ってて、間違いなくそうなるんですよ、このままだったら。ただ、この対策は科学的・技術的に考えれば簡単なんですよ」
寺島アナ「あっ、はい!」
藤井氏「まず、人口減を食い止めること。それと同時に東京一極集中を食い止めること。これなんですよね。出生率を上げるためにはどうしたらいいかっていったら、若年層の所得を上げればいいんですよ。だからデフレを脱却すればいいだけの話なんですよ。デフレ脱却をちゃんとすれば東京一極集中も実は緩和するんですよ。デフレだから東京でしかビジネスができない会社が増えているので、東京一極集中が進んでいるっていう側面があるんですよ。だからデフレ脱却をすればいい。これが一つです」
寺島アナ「はい」
藤井氏「で、もう一つは地方にしっかりとしたインフラを作ればよい。もう東京ばっかりですからね、インフラが作られているのは。たとえば福井は人口減少で衰退していたんですけども、北陸新幹線ができたら駅前なんてものすごく活性化してるわけで。ちょっと前だったら金沢なんてものすごい発展してるし、高速道路を作ったら高速道路の周辺に工業団地がいっぱいできたりする現象がいまだにずっと続いてるんですよね。
だから、地方にしっかりインフラ作ればよい。デフレ脱却をして地方にしっかりインフラ作ればよいという、普通の国家であれば当たり前のことをすればよいだけなんです。そしたら消滅自治体っていうのはグッと減って、この半分とか3分の2は救われることになります。場合によっては全て救われるでしょうね」
寺島アナ「はぁ〜!」
藤井氏「ところが岸田政権をはじめとして、そういう当たり前のことを一つもしてないんですよ。東京一極集中なんて安倍内閣が誕生した時に年間10万人以上が東京に吸い込まれていたんですよ、人口が。これをゼロにするっていう目標を安倍さんが掲げたんですけど、初期はアベノミクスの影響でちょっと減ったんですけど、財政政策をしっかりやってデフレ脱却しそうだったから。
ところが消費増税を2回やっちゃったでしょ? そしたらまたデフレが加速するんですよ。東京への人口集中がまたすごく進んでしまって。で、岸田さんの時代でもそれをずっと継続してるので、いまや10数万人ずつぐらい東京に人が集まっている」
寺島アナ「そうなんですねぇ」
藤井氏「で、全国で人口減ってるでしょ? 地方は基本的な人口も減るわ、東京に人取られるわ、これはもう消滅するしかありまへんみたいなことになってるんですよね。普通の途上国でもこんな状況は放置しないですよ」
寺島アナ「いまの藤井さんの話聞いて思いましたけど、やっぱり経済の大本からしっかり立て直さないと、すべてに影響していくよっていうことですよね」
藤井氏「まったくその通りです」
●「消滅可能性」山口県内は8市町…人口戦略会議、子育て世代減少目立つ田布施町が新たに加わる 4/25
民間有識者による「人口戦略会議」が24日に公表した将来人口の報告書で、消滅する可能性のある自治体に山口県内では8市町が分類された。2014年の前回と比べ、子育て世代の減少が目立つ田布施町が新たに加わった。
会議は、出産の中心世代となる20〜39歳の女性に注目し、20〜50年の減少率が50%以上となった自治体を消滅する可能性がある自治体と位置づけた。該当したのは萩、長門、美祢3市と周防大島、上関、田布施、平生、阿武5町で、いずれも転出者が転入者を上回る「社会減」対策が重要と指摘された。
今回新たに加わった田布施町は、減少率が50・4%と推計された。30〜40歳代の子育て世帯の転入が減っており、町企画財政課の担当者は「報告書の結果には正直驚いた。女性が働きやすい町づくりを意識して対策を考えたい」と話した。
●日経平均株価、一時700円超下落…3万7700円台を推移 4/25
25日の東京株式市場で、日経平均株価(225種)は一時、前日終値(3万8460円08銭)に比べて700円超下落した。3万7700円台を推移している。
●東京円、50銭程度安の1ドル=155円台前半…米利下げ先送り観測が根強く 4/25
25日の東京外国為替市場の円相場は、前日(午後5時)と比べ50銭程度円安・ドル高の1ドル=155円台前半で取引されている。一時、155円40銭台をつけ、約34年ぶりの円安・ドル高水準を更新した。
前日のニューヨーク市場で、米国債の入札が不調だったことを受けて米長期金利が上昇。日米金利差の拡大を意識した円売り・ドル買いが広がり、155円台まで円安が進んだ。東京市場でも円売り・ドル買いが優勢になっている。
背景には、米国経済の堅調さがある。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが先送りされるとの観測が根強く、運用に有利なドルを買う動きが続いている。市場関係者には、日本銀行が25、26日に開く金融政策決定会合で現状の政策を維持するとの見方が多く、円売りを促している。
市場では、政府・日銀による円買い・ドル売りの為替介入に対する警戒感が一段と増している。ただ、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏は、「円安が進む一方、原油価格や輸入物価はそれほど上昇していない。物価に与える影響は限定的で、為替介入を急ぐ状況ではない」との見方を示した。 

 

●島根1区補選の争点は「政治とカネ」だけじゃない…深刻な過疎化で揺れる有権者 4/26
長年の自民党王国で、島根は栄えたのだろうか?
与野党一騎打ちの衆院島根1区補欠選挙(28日投開票)。自民党の錦織功政候補が裏金問題などで劣勢を強いられ、立憲民主党の亀井亜紀子候補が最終盤になっても優勢だ。しかし、争点は「政治とカネ」だけではない。
民間組織「人口戦略会議」は24日、全国の40%を超える自治体が将来的に「消滅の可能性」があると発表。島根県は、2014年に「日本創成会議」がまとめた「消滅可能性都市」から、12の市町村が脱却したものの、依然として過疎化は深刻だ。総務省の発表では、22年の島根県の人口増減率はマイナス1.05で、全国35位。20年の国勢調査で全国2番目に少なかった人口は、昨年9月に65万人を割り込んだ。
県庁所在地の松江市中心部でも、衰退の兆しは見られる。商店街の多くの店がシャッターを下ろし、今年1月には県内唯一のデパートだった「一畑百貨店」が閉店した。「地元のシンボルがなくなった。島根の衰退を表しているようで、県政に対する落胆は大きい」とは、亀井候補の演説を聞いていた地元に住む男性だ。亀井陣営の幹部はこう話す。
「数十年間、自民党は何をしていたの?」
「島根県では、半世紀近く自民党勢力が政治の実権を握ってきたが、地元が栄える気配は一向になく、若者は減る一方。『この数十年間、自民党は何をしていたの?』という疑問の声が広がりつつある」
日刊ゲンダイは22日、松江市の中心部から車で1時間ほど離れた県北の農村地域に向かい、50世帯ほどの小さな集落で行われた錦織陣営の演説を取材した。その際、割烹着姿の70代女性は周囲の目を気にしつつ、記者にこう打ち明けた。
「この辺りは自民党支持者がほとんどだけど、私はどちらに投票しようか悩んでいるの。私たちの集落は耕作放棄地が増え、6つあった小学校が今では1校に。この先どうなってしまうの……。政治家のみなさんには、こうした地域を何とかしてほしいんです」
女性が話すように、地域の商店はさびれ、かつては青々と田んぼが広がっていたと思われる広大な耕作放棄地には、高さ1メートルにもなる雑草が生い茂っていた。
漂うのは地元の閉塞感だった。
●「案(餡)の入っていないあんころ餅」立憲泉氏が批判 政治資金規正法改正へ特別委員会が初開催 焦点は「連座制」と「政策活動費」 4/26
自民党のいわゆる裏金問題を受け、国会では26日午後、政治資金規正法の改正に向けた特別委員会が初めて開催される。
国会記者会館から、フジテレビ政治部・阿部桃子記者が中継でお伝えする。
連休前の26日、ようやく議論が始まるが、与野党の主張に大きな隔たりがあり、波乱含みの幕開けとなる。
26日の委員会では、規正法の改正に向け、各党が10分ずつ意見表明を行う。
焦点の1つは、会計責任者が刑事責任を問われた場合に議員も責任を負う「連座制」だが、全面導入を求める野党に対し、自民党は否定的。
立憲民主党が、不記載が150万円を超えたら過失でも処罰という案を示す中、自民党は「単純ミスでも処罰されるのは厳しすぎる」などとして、処罰は議員が報告書の確認を怠った場合などに限る条件付きの案を示している。
もう1つの焦点は、使い道の公開義務がない「政策活動費」。
野党がそろって廃止を求めているのに対し、自民党は慎重。
立憲の泉代表が自民党案について「案(餡)の入っていないあんころ餅。不十分だ」と批判する一方、自民党幹部は「結局何をやっても批判される。なかなか苦しい」と漏らしていて、議論はかなり難航するもよう。
●森山派が政治団体の解散届を提出 裏金事件後 解散届提出は初 自民党の派閥裏金事件 4/25
自民党の派閥の裏金事件を受け、森山派が政治団体の解散届を総務大臣宛に提出し、派閥を解散したことが分かりました。
関係者によりますと、森山派はきょう、政治団体の解散届を総務大臣宛に郵送したということです。
派閥の裏金事件をめぐっては、これまでに安倍派、二階派、岸田派、茂木派も政治団体を解散する方針を表明していますが、裏金事件後、解散届が提出されるのは森山派が初めてです。
森山派は刑事告発を受けず、会計責任者なども立件されていません。
しかし、自民党が「政策集団が『お金』と『人事』から完全に決別する」と決めたことも踏まえ、会長を務める森山総務会長は「国民から見ると派閥と政策集団の違いが理解されにくい」などとして、派閥を解散する意向を表明していました。
●「私から電話があったことをおっしゃらないでください」森喜朗元首相が、岸田首相「事情聴取」の全容を明かした! 4/26
「総理は早く結論を出して(4月8日からの)訪米にそなえたい気持ちが強かったのでしょう。だから、私にも真実を確認するためにやむをえず電話をかけてきて、それで済んだ、という形をつくろうとしたのだと思います」
4月18日、森喜朗元首相が都内の事務所でノンフィクション作家の森功氏のインタビューに応じた。
その中で森元首相は、自民党の政治資金パーティを巡る裏金問題について、4月上旬に岸田文雄首相から電話で聴取をされた際のやり取りについて詳細に明かした。
「岸田総理からの電話は、『例の問題について、森先生の話を聞いたかどうか、質問が集中しますので、含みおいてください』というような内容です」
「私が裏金作りを始めたと言っているのは誰なんだ」
岸田首相は、これまでマスコミ各社の取材などに対し、森元首相には、裏金作りへの関与について、直接尋ねたと説明してきた。
しかし今回、森功氏が、「(岸田首相から)『キックバックを知っていたか』、あるいは『裏金システムそのものを作ったのではないか』という質問はなかったのですか」と確認すると、森元首相は「はい」と認め、上記のように詳しい内容に踏み込んだやり取りはなかったと答えた。
岸田首相としては気遣ったつもりかもしれないが、調べる立場の自民党総裁として事実関係をきっちり問いただすべきだろう。森元首相は次のように補足した。
「ただ岸田総理も、私の関与がなかったことについては、だいたい分かっているんです。電話があったのは訪米前が初めてではありません。私に聞けと野党が騒ぎ始める前から、総理には『私の会長時代には、派閥ぐるみの裏金作りなどありませんでした。それは私がいちばんよく知っています』と話してきました。(中略)もし国会に呼ばれたら、『森が裏金作りを始めたと言っているのはいったい誰なんだ』と言いたいです」
「強いてお目にかかることはありません」
岸田首相が4月上旬に改めて電話をかけてきた理由について、冒頭のように訪米にそなえたい意向が強かったのだろうと推測した。
「総理はこう言っていました。
『私から森先生に電話した事実を言わなければならない事態になれば、それを公表させていただきます。それまでは、私から電話があったことをおっしゃらないでください』
私は『承知しました』とだけ答えました。あとは『ご体調はいかがですか』とか『強いてお目にかかることはありません』というようなことを言われました」
岸田首相はこれまで聴取について、「森氏の(裏金問題への)具体的な関与は確認できなかった」と説明。国会でたびたび追及を受けた際には、「記録はございません」などと語り、会話の内容については一切明かしてこなかった。しかし森元首相の今回のインタビューから、事情聴取の実態がお粗末なものだったことがよくわかる。
「キックバック復活」への関与は?
ノルマ超過分のキックバックは、安倍晋三元首相が中止するよう指示したにもかかわらず、2022年8月5日に下村博文氏や世耕弘成氏、塩谷立氏、西村康稔氏ら派閥幹部が会合を開き、復活が決まったとされる。キックバックが復活したことについて、森元首相が関与していたのではないかという疑惑には、次のように語った。
「キックバックを復活させるかどうか議論したとされる会合の日、私は東京オリンピックの後始末のために静岡県の下田へ行っていました。会合にも出ていませんし、話し合いがあったことすら知らなかった。どんな経緯で再開されたか、本当にわかりません。下村君一人だけが、私がそこに関係しているかのように言っているわけです。あの会合に参加している他の誰も、私が関与したなんて言っていません」
240分にわたってインタビューに応じた記事「 森喜朗元首相『裏金問題』真相を語る」 は、5月10日発売の「文藝春秋」6月号に掲載するほか、「 文藝春秋 電子版 」では、4月26日に先行配信を行い、 全文を公開 。森元首相は、自身が清和政策研究会の会長を務めていた頃に始まったとされる裏金作りについて詳細に語っている。
さらに、昨年7月、清和研の会長になることを望んだ下村元文科相から、2000万円の入った紙袋を持参された際のやり取りの詳細や、今年1月、塩谷元座長に対して、「(裏金問題の)全責任を取って仲間を救ってやれ」などと説得したことについても明かしている。
●優柔不断な岸田首相、今こそ衆議院解散を行い国民の信を問え 4/26
岸田文雄首相(自民党総裁)は24日の参議院予算委員会で、28日投開票の3つの補欠選挙について、「私への判断も含まれる」と自身の進退に影響をおよぼすとの認識を示した。昨年来、解散の可能性を示唆しつつ、のらりくらりと決断を先送りし続けたつけが、ここにきて岸田首相に迫ってきている。
微増した内閣支持率
9月の自民党総裁選で岸田首相は、再選を目指しているといわれる。そのためには、総裁選に先立つ今国会会期末の6月に衆議院解散・総選挙に打って出て、選挙による国民の信任を得ることが大義名分として求められている。
直近の4月20日、21日に朝日新聞が行った電話による世論調査によると内閣支持率は、26%と前回よりもやや増加した(前回3月の調査は、22%)。一方の不支持は、62%(前回は、67%)にのぼる。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が同日程で実施した合同世論調査では、26.9%と、前回調査(3月調査、23.2%)より3.7ポイント増えたが、こちらも依然として危険水域といわれる20%台にとどまっている。
自民党派閥の裏金問題が追及され始めた昨年11月以降、内閣支持率は20%台の低水準で推移しており、本来なら、自民党内で岸田おろしが起きてもおかしくない状況にある。しかし、当の派閥の政治資金問題を口実に、自身が会長を務めた宏池会(岸田派)の解散を宣言するという奇策を用いて、麻生太郎氏らの動きを牽制し、岸田おろしの動きを封じ込めた形だ。
派閥解散の副作用への懸念
宏池会の解散に続いて、清和政策研究会(安倍派)、志師会(二階派)などが派閥解散を決め、17日の会合で平成研究会(茂木派)も政治団体の解散を決定した。残る派閥は、麻生氏率いる志公会(麻生派)のみとなった。
これまで内閣人事や党役員人事については、派閥からの推挙を踏まえて、党総裁や幹事長らがバランスを考慮して人選してきた経緯がある。二階派の解散に賛成した武田良太元総務大臣(二階派事務総長)も「派閥の教育的役割は大きい」と公言しており、派閥が果たしてきた役割は大きい。
派閥の力が急速に弱くなった現状に対して自民党内では「今後、総裁や幹事長などに権限が集中し、恣意的な人事が横行しかねない」と、派閥解散の副作用を懸念する声も少なくない。ある自民党関係者は「岸田さんは、人事が好き。2019年の総裁選の際、あるテレビ番組で、首相になったら何をやりたいか聞かれて『人事』と答えたからね」と語る。
他方、岸田首相は、派閥解散に抵抗した麻生・茂木両氏に守旧派のレッテルを貼ることによって、当面の倒閣運動を阻止する狙いが成功したと言える。岸田首相が、訪米前に政治資金問題で処分を断行したのも、自分の留守の間に反対ののろしがあがらぬよう手を打ったものと見られる。
アメリカの「ポチ」なのか
岸田首相は、4月8日〜14日の訪米において、国賓待遇を受けた。このことによって岸田首相自身が、「宗主国アメリカの承認を受けたと考えている」と指摘する声は多い。
10日に行われた日米首脳会談後、岸田首相とバイデン大統領は、中国への対抗を念頭に、安全保障、経済、先端技術など幅広い分野での協力を盛り込んだ共同声明を発表した。
中国の覇権主義的な動きは、警戒すべきだが、米軍と自衛隊の部隊運用にかかわる「指揮統制」の連携強化を行うことで、自衛隊が米軍の指揮下に置かれかねない。日米の連携強化とは、当然、それにともなう経済的要求をのまされたと考えるのが自然だ。安倍晋三元首相も、対米追従との批判を受けたが、米側に釘をさす姿勢をもっていた。しかし、岸田首相からは、そうした矜持が感じられない。
昨年の広島サミットについても同様で、岸田首相は広島出身であり、被爆国の議長としてアメリカをはじめとする核保有国にモノをいう絶好の機会だったが、核軍縮に関する共同文書「広島ビジョン」では、核抑止力を肯定し、被爆者から失望の声が挙がった。
どの政治家も政権の座についたら、その維持を考えるのは当然だが、岸田首相から思想なり、理念に基づいた政策や政治的メッセージが感じられない。
岸田家の墓地は、広島市の隣、東広島市の農村地域にある。元衆議院議員の父、文武氏につながる親族も広島で被爆し、亡くなっている。
カナダ在住で核廃絶を訴えるサーロー節子さんは、広島出身の被爆者である。サーローさんの姉と子も被爆し、岸田家の墓所に埋葬されている。サーローさんの姉の夫のいとこが、岸田首相の祖父・正記氏である。
リーダーとしての決断が問われる
世襲政治家にありがちな典型的な東京育ちであるからか、岸田首相からは広島の地の人間の雰囲気をあまり感じないのは、筆者だけだろうか。宏池会の前会長・古賀誠氏は「宏池会の理念は、軽武装で経済重視」であることを繰り返し述べてきた。古賀氏の父親は、フィリピン・レイテ島で戦死、母に育てられたという生い立ちをもつ。
古賀氏は、福岡県南部の旧瀬高町(現・みやま市)の出身。政治家を引退した今も東京に拠点を置き、地元と行き来をしているが、福岡筑後の地の人間の風格を帯びている。岸田首相とは対照的である。
今年1月、古賀氏は、自民党広島県連所属の地方議員の会合で講演したが、参加者によると、岸田政権の動きを懸念する発言があったという。岸田首相は、総裁選で安倍元首相や麻生氏の力を借りたため、その意向に配慮してきたのだろうが、一昨年7月に安倍元首相が亡くなった後も、「本来の宏池会の政策」(古賀氏)の道筋は見えてこない。
いずれにしても、28日、東京15区など3つの補欠選挙の結果が明らかとなる。もう、のらりくらりした引き延ばし戦術は通らない。
一国のリーダーである岸田首相は、長く政権の座にいることや、人事権を行使することに力を注ぐのではなく、自身のビジョンを示し、国難に立ち向かうべきである。首相の専権事項である解散権の行使にも躊躇するようでは、国民の信は得られない。
●宮沢議員“パパ活不倫辞職”が「ポスト川勝」をめぐる静岡知事選にも飛び火! 補選も苦戦の自民にさらなる逆風…「岸田おろし」はさらに加速か 4/26
自民党の宮沢博行衆院議員がパパ活などの女性問題発覚で、電撃辞職した。宮沢氏の地元である静岡県では来月、静岡県知事選の投開票がされるが、この問題の影響は不可避。岸田政権は選挙戦略の見直しも迫られており、単なる一議員のスキャンダルでは済まされない事態となっている。
静岡県知事選で漂う暗雲
「不祥事が重なり議員を辞職する決意をした。改めて国民のみなさまに深くお詫びを申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」
4月23日、宮沢氏は衆院議長に辞職願を提出した後、報道陣の前で沈痛な面持ちで語り、深々と頭を下げた。
この翌日、週刊文春が宮沢氏について、コロナ禍の2021年に妻子とは別の女性と同棲していたことや、出会い系サイトで知り合った女性にお金を払って性行為をしていたことなどを明らかにした記事を掲載。
安倍派に所属し、裏金問題が発覚した際には派閥から口止めがあったことを暴露。「安倍派を介錯する」という名言も残した宮沢氏だが、最終的には自身が週刊誌から介錯される形となった。
そして、この宮沢氏の不祥事は、ただ一議員のスキャンダルでは済まない事態に陥っている。
というのも、宮沢氏の地元は静岡県で、5月には川勝平太知事の辞職に伴う静岡県知事選が予定されているからだ。地元から選出された国会議員の電撃辞職は、知事選において自民党に大きな逆風になるのではないかと見られている。
「静岡は裏金問題で離党勧告を受けた安倍派座長の塩谷立衆院議員の地元でもあり、もともと知事選は逆風が予見されていた。そこに宮沢氏の不祥事も重なった。自民党の静岡県連はまさに泣きっ面に蜂の状態だ」(永田町関係者)
静岡県知事選をめぐっては、すでに元副知事の大村慎一氏と前浜松市長の鈴木康友氏が立候補を表明。
自民党静岡県連は大村氏の推薦を決定して党本部に上申、一方で立憲民主党や国民民主党は鈴木氏の推薦を決め、与野党対決の構図になろうとしている。
自民党が劣勢の大村氏を応援する理由
そうしたなか、永田町では自民と立憲がそれぞれ独自に実施した情勢調査の結果が出回っている。筆者が入手した自民の情勢調査によると鈴木氏が39.9ポイントを獲得し、29.3ポイントの大村氏に対して大幅にリード。立憲の調査でも傾向は同じで、鈴木氏28.2ポイントに対し、大村氏20.9ポイントとなっている。
鈴木氏は衆議院議員や市長を務めていた経験もあり、知名度がある分、大村氏よりも支持を伸ばしているようだ。
しかし、自民党は劣勢の大村氏を応援する方向で調整している。その背景には複雑な静岡県における政財界の事情がある。
静岡県に本社を構える有名企業といえば、浜松市にある自動車メーカーのスズキであるが、そこで最高経営責任者などを務めた鈴木修相談役は川勝知事の後ろ盾として活動。
静岡県がリニア中央新幹線の着工に反対を続けているのも、表向きはトンネル工事が地下水に影響を与え、大井川の水量が減少してしまうからだとされているが、実際のところは静岡を素通りするリニアに鈴木修氏が強く反対しているという事情が大きい。
この鈴木修氏はこれまで鈴木康友氏の支援もしてきたため、鈴木康友氏が次の知事となれば、鈴木修氏が今後も県政に強い影響を及ぼし続けるのではないかと懸念する政財界関係者は多い。
さらに、スズキの本社が浜松市で、鈴木康友氏が前浜松市長であることから、”浜松色”が強く出すぎていて、他地域が反発する可能性もある。特に静岡市は静岡大学と浜松医科大学の法人統合、大学再編をめぐって浜松市と対立してきており、両者の溝は深い。
自民党はこうした事情を勘案して、鈴木修氏の影響力に懸念を示している県内の財界関係者や、浜松市以外の地域の票をまとめ上げることができれば、大村氏が逆転可能だと考えたようだ。
実際に自民党静岡県連の増田享大幹事長は大村氏を支援する理由について「(元副知事として)全県的な視点で課題を捉えている」と語っている。
早期解散となれば負けられない前哨戦となるが…
だが、こうした構図作りも宮沢氏のスキャンダルによって台無しとなってしまった。
ただでさえ裏金問題の逆風を抱えている自民に、宮沢氏の不祥事も有権者の投票行動に影響を与えれば、多くの無党派層の離反を招きかねない。自民党関係者からは「推薦を出して敗れるくらいなら、党本部としては推薦を見送ったほうがよいのではないか」との声もあがり始めている。
静岡県連は23日に自民党の茂木敏充幹事長に大村氏の推薦を上申したが、茂木幹事長は「党本部として大村氏を推薦するかは相談しながら考える」と述べるにとどめたといい、雲ゆきは怪しい状態だ。
党本部が静岡県知事選の対応に慎重なのは、ここで与野党対決に敗れれば、岸田首相の解散戦略に影響を及ぼしかねないからだ。
9月には自民党総裁選が予定されており、「岸田おろし」を警戒して岸田首相が早期解散に踏み切るという観測も根強いが、現在、苦戦が伝えられている4月28日投開票の衆院3補選・島根1区に続いて、静岡県知事選でも負けを重ねれば、一気に岸田文雄首相の求心力は低下しかねない。
一方で現在行われている東京15区補選でも、小池百合子都知事が擁立した乙武洋匡候補の推薦を、自民党が急きょ見送ったことは記憶に新しい。
解散や総裁選に向けた自民党内のさまざまな思惑、そこに鈴木修氏の影響力をめぐる政財界の動きや、静岡市と浜松市の対立などが重なり、知事選に向けた情勢は非常に混沌としている。
地域の課題、国政の課題について静岡県民はどんな判断を下すのか。静岡県知事選は1ヶ月後の5月26日に迫っている。
●自民劣勢の衆院補選・島根1区で岸田首相の直電作戦=u今は大変厳しい状況ですが…」 4/26
28日に投開票が迫る衆院島根1区(松江市など)が揺れている。昨年11月に急逝した細田博之元衆院議長のセクハラ・裏金疑惑が払拭されない中、同時に行われる3つの補選で自民党が唯一擁立した公認候補が、立憲民主党公認の女性候補に苦戦を強いられているのだ。崖っぷちの情勢に、なんと岸田文雄首相自ら驚きの作戦に出ているようだが、地元自民関係者の間ではむしろ困惑が広がっている。
島根1区は自民公認の元財務官僚・錦織功政(のりまさ)氏(55)と立民公認の元衆院議員、亀井亜紀子氏(58)の一騎打ち。先週末に行ったマスコミ各社の世論調査で、亀井氏のリードが伝えられたその矢先…。選挙区内のある有力者が声を潜める。
「実は週明け、スマホに知らない携帯の番号から着信履歴があった。折り返しの電話をしたら『内閣総理大臣の岸田です』と、なんと首相本人が出たんだよ!」
岸田首相は「今は大変厳しい状況ですが負けられない。どうか、よろしくお願いします」と頼み込んできたという。「俺の番号、どこで調べたのか…。補選全敗は避けようとする執着心を感じた」。かく言う有力者によれば、集票を期待できそうな人物に、相次いで岸田首相から直電が掛かってきているという。
ただ激戦の島根1区では、毎日のように世論調査の電話がジャンジャン鳴りまくる状態が続いていて「せっかくの首相からの電話を取り逃した」というケースも少なからずあるという。岸田首相の直電が形勢を変えるかは怪しいところだ。
首相の電話といえば、1999年度の新語・流行語大賞で年間大賞を受賞した故小渕恵三元首相の「ブッチホン」が有名。今の岸田政権と同様、当時は小渕政権も支持率低下に悩んでいた。だが、現役の首相である小渕氏が民間人に突然電話する行動で、親しみやすい人柄が伝わり支持率は回復した。
小渕氏の次女で、自民党の小渕優子選対委員長が今、島根で候補にベタ付きし応援に走り回っている。このほか小泉進次郎元環境相や上川陽子外相など、自民党は目を引く政治家を続々と投入。さる21日は岸田首相自ら島根入りし、演説した。
ただ、自民党の地方支部幹部いわく「支持率が低迷しているし、地元陣営からは『来ない方がいいのではないか』という意見が根強くあった」。なるべく大人数が集まりにくい、松江市郊外のJAが経営するスーパーに会場を設定するのが「中央へのせめてもの抵抗だった」と明かす。
島根1区は1996年の小選挙区になってから、9回連続で細田氏が当選。近年は、本人が選挙区にほとんど入らずとも対立候補を秒殺≠オ当確を出すほどだった。
地元の自民党関係者いわく「浮動票はいらない。昔からの支持者を説得して、投票してもらうだけで勝てるはずだ」。丹念に支持者の元へ候補を回らせる戦略だったという。それだけに「中央が入ってきて、引っ掻き回されている。首相の電話や、有名人を投入する空中戦は、浮動票が対立候補に流れる恐れがあり、むしろマイナスだ」と困惑しきり。
「実は岸田首相が選挙戦最終日となる27日も『選挙区に立ちたい』と熱望している」(官邸筋)といい、島根の自民党選対関係者は身の毛がよだつ思いをしているとか。キッシーホン≠ヘ功を奏するのだろうか…。
●「リテラシー向上を加速」=安藤理事長が就任会見―金融教育機構 4/26
国民の金融知識を高める狙いで官民が設立した「金融経済教育推進機構(J―FLEC)」の安藤聡理事長は25日、就任記者会見を行った。
安藤氏は金融業界での経験が長く、オムロンの取締役も務めた。会見では、若者らが基礎的な金融リテラシー(活用能力)がない中で投資をするのは危険だと指摘。「もっと金融経済教育、金融リテラシーを上げていくことを加速していく必要がある」と強調した。
機構は岸田政権が掲げる資産所得倍増プランの一環で今月5日設立され、25日に第1回運営委員会を開いた。国民が投資などを通じて適切に資産形成できるよう、金融に関する中立的なアドバイザーの認定事業や学校・企業への講師派遣などに取り組む。8月から本格稼働する。
講師派遣などは業界団体などが行ってきたが、安藤氏は機構による年間の派遣回数や参加人数を従来の約2倍に増やす目標を表明。金融知識に関する問題の正答率を、現状の40〜50%から欧米並みの70%に引き上げることを目指す。 
●公明・石井幹事長「肌感覚としては」自民・木原氏「政権交代」発言に 4/26
公明党・石井啓一幹事長(発言録)
(岸田文雄首相の最側近の木原誠二・自民党幹事長代理が「政権交代が起こってもおかしくない」と発言したことについて)私どもも全国的に情勢調査をやっているわけではなく、具体的な数字を持ってお答えすることは難しい。ただ、肌感覚としては(自民党派閥の)いわゆる裏金問題に対して、国民はやっぱり非常に厳しい反応をしており、そういう発言につながったんじゃないかというふうに考えている。
●東京15区は大波乱¥O院3補選最終情勢 自民は岸田首相「派閥解消」裏目に 島根1区、細田前衆院議長の「弔い合戦」も大逆風 4/26
岸田文雄政権への審判≠ニなる衆院3補選は、28日の投開票日が迫り、各陣営は懸命な訴えを続けている。派閥の裏金事件など、「政治とカネ」の問題で国民の政治不信が集中した自民党は、候補擁立を断念した東京15区と長崎3区で不戦敗≠ニなり、唯一、公認候補を立てた島根1区でも厳しい戦いだ。野党第一党の立憲民主党は総取り≠狙うが、大乱戦となっている東京15区で共産党と連携したことで、最大の支援団体である連合が距離を置いた。LGBT法成立などで自民党から離反した「岩盤保守層」の行方も注目される。異常な妨害行為も発生した。日本の命運を左右する3補選の最終情勢を探った。
「選挙の勝敗は地元の事情をはじめ、多くの要素が含まれる」「(国民の)私への判断も含まれる」
岸田首相は24日、参院予算委員会の集中審議で、3補選について、こう語った。だが、情勢は厳しく「3戦全敗」の観測が強まっている。
自民党関係者は「街角の有権者が見せる自民党への『冷たさ』『無視』が異常事態を物語っている。一連の不祥事への怒りに加えて、岸田首相の不人気も大きい」と焦る。
今回の3補選で、最も話題となっているのは、自民党候補が不在の東京15区だ。9人が立候補する大乱戦となっている。
報道機関や各党の情勢調査などによると、立憲民主党新人の酒井菜摘氏(37)が先行し、日本維新の会新人の金澤結衣氏(33)や、日本保守党新人の飯山陽(あかり)氏(48)らが猛追する展開といえる。
立憲民主党の酒井氏は江東区議を2期務め、昨年12月の江東区長選でも3万4000票を取り、地元の知名度もある。立憲民主党に加え、共産党、社民党などの支援を受ける。
ただ、東京青年会議所などが共催した討論会を1人だけ欠席して批判を浴びた。連合の芳野友子会長は18日の記者会見で、酒井氏と共産党との連携について「容認できない」と言明した。連合東京も自主投票。「伸び悩みの主要因」(野党幹部)との指摘がある。
日本維新の会の金澤氏は2度目の衆院選で、江東区での活動歴は5年目に入った。昨年末時点で街頭演説が1万5000回を超えた。地道に積み上げてきた認知度を武器に支持を広げている。
   【東京15区立候補者】 (届け出順)
   福永活也43 諸派新
   乙武洋匡48 無新
   吉川里奈36 参政新
   秋元 司52 無元
   金澤結衣33 維新新
   根本良輔29 諸派新
   酒井菜摘37 立民新
   飯山 陽48 諸派新
   須藤元気46 無新
岩盤保守層の支持の行方も焦点
こうしたなか、「台風の目」となっているのが日本保守党の飯山氏だ。
同党は、ベストセラー作家の百田尚樹氏らが「保守の旗を立て直す」「日本を豊かに、強く」「政治の家業化をやめる」などを掲げて立ち上げた。飯山氏はネットの世界では有名人だったが、地元での知名度は低かった。ところが、明快な言葉で人々に訴えていく魂の辻立ち≠ナ話題となっている。
ある選挙アナリストは「飯山氏は政治家としての『見識』が感じられる候補として評価を上げている。組織がないなかで健闘し、『岩盤保守層』や『保守系無党派』の票も流れそうだ」と指摘する。
小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党が設立した「ファーストの会」副代表で、無所属で出馬した新人、乙武洋匡氏(48)=国民民主党推薦=は過去の醜聞もあり、自民党と公明党が距離置いて伸び悩んでいたが、「トップの背中が見えてきた」と反撃の機運を高める。
小池氏は23日、自民党本部で開かれた同党都連の勉強会に出席した。前出の選挙アナリストは「終盤戦に入り、自民党と公明党の一部が動いた。組織票が押し上げとなる」と分析する。
某陣営による妨害行為≠ェ社会問題化するなか、投票率次第で、大波乱もあり得る選挙区といえる。
3補選で唯一、自民党が候補者を立てた島根1区は、同党の細田博之前衆院議長の死去によるもので、本来は「弔い合戦」で有利のはずだったが、自民党に大逆風だ。
立憲民主党元職の亀井亜紀子氏(58)が、同党と共産党の支持層を固めたうえ、自民党支持層の切り崩しまで伺う様相という。自民党新人の元中国財務局長、錦織功政氏(55)=公明推薦=は、自公の支持層を固めきれず、無党派層の支持でも後れを取っている。
岸田首相は21日に島根入りし、有権者らとの握手や記念撮影など懸命のアピールを行ったが、地元の声は厳しい。
「そもそも、候補者選定が納得を得られず、組織はバラバラ。岸田首相が『派閥解消』を打ち出したことで、派閥の秘書軍団も動いていない。支持率は危険水域で、言動がことごとく裏目となる首相が選挙区入りしても、状況を悪くしただけ」(地元関係者)と突き放す。
自民党が不戦敗となった長崎3区では、立憲民主党前職の山田勝彦氏(44)=社民推薦=がやや先行し、日本維新の会新人の井上翔一朗氏(40)=教育推薦=が追っているという。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「3補選は、次期衆院選や、9月の自民党総裁選を占う意味で重要だ。いずれも立憲民主党が優位に立っているが、それだけ岸田自民党への反発が全国的に相当深刻ということになる。地方組織の崩壊は顕著で、次期衆院選の懸念は深まっている。岸田首相は責任を受け止める気はなさそうだが、自民党が全敗すれば責任論は不可避だ。『岸田降ろし』が本格化する可能性もある」と指摘した。
   【長崎3区立候補者】 (届け出順)
   田勝彦44 立民前
   井上翔一朗40 維新新
   【島根1区立候補者】 (届け出順)
   錦織功政55 自民新
   亀井亜紀子58 立民元
●日銀、金融政策の維持を決定…政策金利据え置き・長期国債買い入れ継続 4/26
日本銀行は26日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決め、短期金利の誘導目標を0〜0・1%程度とした。会合後に公表した3か月に1度の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では2024、25年度の物価上昇率の見通し(生鮮食品を除く、政策委員の中央値)をそれぞれ1月時点から上方修正し、新たに示した26年度の見通しは1・9%とした。
日銀は前回3月の会合で、マイナス金利政策の解除や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃など、大規模な金融緩和策の終了を決めた。前回の会合後の記者会見で、植田和男総裁は「基調的な物価上昇率がもう少し上昇すれば(金利の)引き上げにつながる」と述べたが、経済情勢や物価動向の見極めに時間をかける必要があると判断した模様だ。
長期国債の買い入れも、前回の会合で決めた月6兆円程度のペースで継続する。YCCの撤廃で長期金利は操作の対象から外れたが、前回の会合では、買い入れ額の縮小による金利上昇を防ぐために従来と同じ規模の買い入れを行うとした。
展望リポートで示した24年度の物価上昇率の見通しは、1月時点から原油高が進んでいることや、24年春闘で高水準の賃上げの動きが出ていることを踏まえて上方修正した。また、今回初めて示した26年度の見通しは1・9%で、日銀の物価安定目標である2%程度で推移するとした。
植田氏は26日午後に開く会見で、決定内容を説明する。会見では、約34年ぶりの水準となる1ドル=156円台まで進んだ円安に関する発言にも注目が集まりそうだ。
植田氏は今月18日に米国で開いた会見で、円安が物価に影響する可能性について言及し、「無視できない大きさの影響が発生した場合は、金融政策の変更もあり得る」と述べた。経済界などからは政府・日銀に対し、円安の是正を求める声も出ている。
●陰謀論者の常套句「メディアは操られている」が隠す”不都合な事実” 4/26
日本も例外ではない、陰謀論やフェイクニュースの影響。背景にある実態を知ることで、われわれは適切なメディアリテラシーを身につけなければならない。日本大学危機管理学部教授、同大学院危機管理学研究科教授の福田充氏が解説する。
陰謀論はプロパガンダに利用される
「トランプ大統領は闇の政府(ディープステート)と戦う救世主=光の戦士」であるという陰謀論を信奉した「Qアノン」や「プラウド・ボーイズ」のメンバーたちがトランプ大統領の「議会を目指せ」というメッセージに煽動されて起こした事件が、2021年1月6日の米連邦議会襲撃事件である。
共和党のトランプ候補と民主党のバイデン候補が激突した大統領選挙において、「大規模な不正があった」とするフェイクニュースが数多くネット、SNS上で拡散された。その証拠とされた画像、動画も捏造されたフェイク画像であった。
陰謀論とは「大事件や社会問題の背後には隠された裏の権力による謀略がある」とする信念に基づいたナラティブのことであるといえる。アメリカでは大事件が起きるたびに、「真実は隠されている」「この事件の背後には闇の権力の存在がある」という態度によってさまざまな陰謀論が生み出されてきた。
戦後の事例だけを見ても、ケネディ大統領暗殺事件やジョン・レノン暗殺事件といった政治的、文化的リーダーの死の背後には「CIA陰謀説」が生み出され、アメリカ同時多発テロ事件においても「自作自演説」がまことしやかに流行した。
旅客機によるワールドトレードセンターへの激突は、「戦争屋=軍産複合体」が儲けるために引き起こした自作自演であるという陰謀論である。
トランプ前大統領は、こうしたフェイクニュースや陰謀論を意図的にプロパガンダ(政治的宣伝)に利用した政治家であり、それによって米連邦議会襲撃事件という民主主義の破壊行為が引き起こされたことは負の歴史として語り継がねばならない。フェイクニュースや陰謀論は、政治的にそれだけの大きな力をもっていることを肝に銘じなくてはならない。
陰謀論は不正義を隠ぺいする
「ゼレンスキー大統領はネオナチである」というフェイクニュースを世界中にプロパガンダしたのはロシアのプーチン大統領であった。
「ゼレンスキー大統領自身の出自がユダヤ系である」という公開された事実を知っていれば、またナチスドイツがそのユダヤ人を大戦中に大量虐殺したというホロコーストの事実に関する知識をもっていれば、この言説に根本的な矛盾があることに気付けるはずであるが、それを理解できないのが陰謀論信者である。
そのプーチン大統領が引き起こしたロシア軍によるウクライナ侵攻さえも、「ロシア・ウクライナ戦争は存在しない」という陰謀論の対象となる。ロシア軍による「ブチャの大虐殺」に関するメディア報道で使用された画像、動画自体がフェイクであると陰謀論者が攻撃した。
発端は、ロシア軍が侵攻したウクライナ北部の町、ブチャで住民がロシア軍によって大量に殺され、その遺体が大量に道路に放置されていた動画の存在である。この動画自体がフェイクであるという言説から、この住民を殺したのはウクライナ軍であり、これも自作自演であるという言説まで発生した。
これこそがプーチン大統領が実践してきた「ハイブリッド戦争」(hybrid war)である。戦争において軍事や経済などハードパワーだけで戦うのではなく、文化や情報などソフトパワーを駆使して政治的な優位を保ち勝利しようとする戦略である。
そこで重要になってくるのが、テレビや新聞、雑誌、ネット、SNSなどのメディアにおいて語られる戦争の言説「ナラティブ・ウォー」(narrative war)である。
実際の戦争において、事実がどのようなものであったかよりも、時間軸と空間軸を超えて、メディア空間においてその戦争がどう語られているか、それを制御することによって戦争の勝敗は決するという考え方や社会情勢がその背景にある。
かつて第二次世界大戦において、アウシュビッツでのユダヤ人大量虐殺はなかったとするフェイクニュースも現代まで繰り返し拡散され、日本でもこの言説を1995年に記事として流布した雑誌『マルコポーロ』は国際的な非難を浴び当時廃刊となった。
このように陰謀論は、権力による暴力、不正義を隠ぺいする機能ももつ。つまり事実に対してそれをフェイクニュースとラベリングすることによって、暴力の事実や不正義の事実を隠ぺいすることに加担しているのである。
社会不安を引き起こす重大な危機において、何が真実で何が虚偽であるかを判断することにリテラシーを要するようなインフォデミックな状況において、陰謀論はフェイクニュースによって虚偽の事実、デマを拡散させるだけではなく、反対に真実の情報をデマだとしてプロパガンダするという両面の機能をもつ。
陰謀論は日本にも存在する
陰謀論は世界中の文明国において発生しているが、日本もその例外ではない。世界規模でパンデミックを引き起こした新型コロナウイルスに関しては数多くのフェイクニュース、陰謀論が発生した。
新型コロナは研究所で製造された人工ウイルスであるといったものから、コロナワクチンがヒトのDNAを書き換える有害なものであるといったものまで多岐にわたるが、それによって日本国内でも「神真都Q(やまとキュー)」による反ワクチン運動なども広がりを見せた。
自然災害でも陰謀論は発生し、東日本大震災で発生した人工地震説は、今年の元日に発生した令和6年能登半島地震においても見られた。
これらの日本の陰謀論の共通点は、感染症や自然災害といった高度な自然科学の知識を背景とした領域において、ほぼオカルト信仰に近い似非科学がいまだに蔓延しているという点である。
この自然科学の最先端とオカルト信仰的似非科学の結合は、80年代後半からのカルト、旧オウム真理教の信者拡大にも見られる現象であり、この旧オウム真理教はその後、松本サリン事件、地下鉄サリン事件などの無差別化学兵器テロ事件を引き起こした。
旧オウム真理教の信者拡大と政界進出のための選挙戦出馬、無差別テロ事件への一連の流れは、似非科学と宗教、陰謀論の結合が政治状況を混乱させ、カタストロフをもたらすという、トランプ前大統領の支持者とQアノンの結合による米連邦議会襲撃事件というアメリカのカタストロフを、4半世紀も先取りしたものであったといえるかもしれない。
さらに近年のものでは、「安倍晋三元首相の銃撃事件には真犯人がいる」という言説も陰謀論の類のものである。これは先述したケネディ大統領暗殺事件の陰謀論に近いケースであり、洋の東西を問わない普遍的な陰謀論である。
他にも安倍元首相にまつわるものでいえば、2017年の北朝鮮ミサイル危機において、北朝鮮が弾道ミサイルを数多く発射したが、そこで全国瞬時警報システム(Jアラート)が発表される際には、必ず安倍首相が首相官邸に宿泊していたため、「この弾道ミサイル発射は安倍首相が脅威を演出するための自作自演である」という言説がネット上で発生した。
事実は、北朝鮮を常時監視しているアメリカの情報衛星から得られた情報分析によって、北朝鮮が近日中に弾道ミサイルを発射する可能性が高いという確度の高い分析結果が得られていたために安倍首相は首相官邸に宿泊していたのであり、その期間に予測どおりに北朝鮮が弾道ミサイルを発射したというのが、事実に基づいた経緯、因果関係である。
これはアメリカ軍のインテリジェンス活動、とくに情報衛星の画像情報分析によるイミント(IMINT)によるインテリジェンスの成果である。陰謀論者はこのインテリジェンス活動を理解するリテラシーをもたず、その原因と結果を捻じ曲げ、逆転させて、つねに事象の結果から遡って万能な悪の権力者像を妄想することにより、陰謀論を完成させるのである。
これらの陰謀論には他にも共通点がある。それは、陰謀論の背景にあるものが、社会全体が注目するような大事件、危機事態であるという点である。そしてこうした大事件、危機事態においてメディアスクラム(集中的過熱報道)とも呼べるような報道キャンペーンが発生しているという点である。
その報道の言説において語られている主流派の解釈、解説に対して疑義を呈するのが陰謀論の特徴である。つまり、「社会全体はこの主流派メディアが報道していることを信じ込んでいるが、じつはこのメディア報道は裏の権力によってコントロールされていて、真実は隠されている。一般市民の多くはこの報道によって騙されている」というのが陰謀論者の思考パターンである。
つまり、陰謀論の問題、フェイクニュースの問題は民主主義を支えるジャーナリズムの問題であると同時に、危機管理におけるリスクコミュニケーションの問題であるともいえる。
陰謀論はインテリジェンスの「こじらせ」
陰謀論は大衆が注目する危機事態において発生するインフォデミックのなかで培養される。陰謀論者は、自分の信念にとって都合のよい情報に接触し(選択的接触)、その情報を都合よく解釈し(選択的解釈)、都合よく記憶する(選択的記憶)という社会心理学の「認知的不協和」のモデルに基づいて、陰謀論を形成する。これは人間の情報処理過程の問題とみなすことができる。
かつてテレビやラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアが主流であった20世紀の時代にも陰謀論は存在したが、そこにはマスメディアがつくり出す情報環境においてマスコミが一方的に流す主流派のメッセージに対する、アンチテーゼとしての陰謀論が存在した。
マスコミは民主主義における第四権力であり、その権力が社会の情報をコントロールしているという前提のもとに、陰謀論はアンダーグラウンドなカウンターカルチャーを形成していた。
しかしながら、インターネットの時代からスマホ、ユーチューブなどの動画サイト、SNSによる情報爆発の時代を経て、情報環境におけるメインストリームとカウンターの区別は相対化され、多様な情報源からインフォデミックな情報環境が形成される時代に突入した。このSNSの時代に、新しい時代の新しい陰謀論が誕生し始めた。その一例がQアノンであり、反ワクチン運動である。
現代の陰謀論にはさまざまな特徴が見られる。数々の陰謀論研究が明らかにしてきたように、陰謀論者に見られる知性、リテラシーの欠如に加えて、インテリジェンスの「こじらせ」が発生している。
それは、インテリジェンス活動の失敗事例として有名な「インテリジェンスの政治化」とは異なる、「インテリジェンスの個人化」「インテリジェンスの稚拙化」によって発生する。たとえば、社会の複雑な事象を単純化する思考、因果関係理解の失敗、社会の一般的言説への裏張り欲求、ドラマティックな劇場型言説の欲望などの心的態度がその原因と考えることができる。
また、社会のほとんどの一般市民は権力によって騙されているが、「自分だけが真実を知っている」と思いたいという選民意識、「自分は他者より賢い」と思いたいという願望、それを社会に示すことによって得られる承認欲求など、これらの歪んだ現代人の欲求を最も容易に満たすことができるのが陰謀論なのである。
こうした現代人の反知性主義的態度を満たす陰謀論やフェイクニュースを供給することで社会にダメージを与えることが、権威主義国家のハイブリッド戦争の目的である。心理学的に人びとの認知構造を歪める認知戦、これこそが、ロシアや中国が展開するハイブリッド戦争の実態だ。
陰謀論は分断を生み出す
ナチスドイツのヨゼフ・ゲッペルス宣伝大臣は「嘘も100回言えば本当になる」と述べたが、これはプロパガンダで用いたデマゴギーも、何回も繰り返して言い続けることで、社会において信じる人が増えれば「社会的な真実」になるというプロパガンダの鉄則を意味している。
つまり、「何がファクトか」が大事なのではなく、「人びとが何をファクトだと信じているか」が大事な社会が「ポスト・トゥルース社会」である。
つまりこのポスト・トゥルース社会においては、ウォルター・リップマンが「疑似環境」と名付けたメディアがつくり出す情報環境において、人びとがファクトだと信じる情報がトゥルースであるか、フェイクであるかは、その流布された量とそれを信じる人間の数によって判断されるということである。
つまり、より多くの人びとの情報環境を制すること、より多くの人びとの脳内環境を制すること、これを中国人民解放軍は新しい認知領域、認知空間という戦場での「制脳権」と名付け、欧米では認知戦、世論戦としての「マインド・ウォーズ」(mind wars)と呼び、注目を高めている。
ポスト・トゥルース社会において、フェイクニュースは生成AIなどのテクノロジーによる言語テクストや映像テクストの製造によって社会により多く蔓延する。その精度の向上により、ディープフェイクに対してその真偽を判断する能力はより高度なメディアリテラシーを必要とするようになる。
GAFAがもたらす「フィルター・バブル」(filter bubble)のなかで、人びとの情報接触はより選択的な認知的不協和を生み出し、フェイクニュースを好む陰謀論者はより大きなコミュニティを形成し、それが「エコー・チェンバー」(echo chamber)となって増幅する。
エコー・チェンバーとは、自分と同じ意見や態度、関心をもった人ばかりが相互にフォローしあってネット・コミュニティを形成し、自分がメッセージを発信しても、その自分の意見に対して共鳴する賛成意見ばかりが返ってくるようになる状態のことを指している。
イーライ・パリサーやキャス・サンスティーンらが指摘してきたように、インターネット上に発生するエコー・チェンバーのような「閉じたネットワーク」が人間関係の蛸壺化をもたらし、それが社会に分断をもたらす。
インターネットは開かれた社会ではなく、むしろ「閉じたネットワーク」を社会にもたらし、その閉じたネットワークを形成する価値観同士が対立しあって、社会を分断するのである。
陰謀論は民主主義を破壊する
陰謀論はコミュニティにおける相互理解を分断して、コミュニケーション不全を引き起こすディープステート信奉は、現実社会における認知の枠組みの共有を阻害し、建設的な政策議論を不可能にする。反ワクチン信奉は、家族内でも友人間でも相互信頼を破壊して、社会関係を不可能にする。
陰謀論は人びとの間の対話を困難にさせることにより、そのコミュニケーション的行為によって成立する民主主義を破壊するように機能するのである。
陰謀論の伝播自体が民主主義の破壊工作であり、民主主義社会における分断を防ぐために、私たちはこの陰謀論の伝播を防がねばならない。そのために必要なことは、陰謀論を形成するフェイクニュースやデマを見抜くメディアリテラシーをもつことであり、市民のメディアリテラシーを高めるために、ジャーナリズムや教育がファクト・チェックの機能をもつ社会を構築することである。
私たちが日々接しているネットニュース、SNSのメッセージに対して、「このニュースは真実か」「このメッセージは陰謀論ではないか」、それをつねに気にしながら情報を批判的に解釈する姿勢が現代人に求められている。これが陰謀論とフェイクの時代のメディアリテラシーであり、私たちの自由や民主主義を守るために、不可欠な態度となるだろう。 
●衆院3補選の投開票日迫る、唯一の与野党対決・島根1区…結果次第で岸田政権の行方を左右 4/26
衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙が28日、投開票される。自民党は東京15区と長崎3区で候補を擁立せず、「不戦敗」が確定している。唯一の与野党対決となった島根1区の結果は、岸田政権の行方を左右する可能性がある。
島根1区(松江市など)補選は、自民の細田博之・前衆院議長の死去に伴い実施される。自民の元財務官僚と立憲民主党の前衆院議員の一騎打ちとなっており、27日には岸田首相(自民総裁)と立民の泉代表が現地入りする見通しだ。
東京15区(東京都江東区)補選は、公職選挙法違反で有罪が確定した柿沢未途・前法務副大臣(自民を離党)の議員辞職に伴うもので、計9人が出馬した。
立民は前江東区議、日本維新の会は元会社員を擁立し、国民民主党と、小池百合子・東京都知事に近い政治団体「ファーストの会」は無所属で出馬した作家を推薦した。
政治資金規正法違反事件で有罪が確定した谷川弥一氏(自民を離党)の議員辞職を受けて行われる長崎3区(長崎県大村市など)補選は、立民の前衆院議員と維新の学習塾経営の新人による野党候補同士の争いとなった。
●島根 亀井亜紀子候補「お願いします」と言われることが多くなった 4/26
衆院島根1区補選(投開票4月28日)も残すところあと2日となった4月26日、亀井亜紀子候補は十六島町からスタート。その後、出雲市平田町、雲南市、奥出雲町、安来市と、松江市を取り囲む地域をまわり支持を訴えました。
JAしまね伯太店前での演説で、郷原信郎弁護士は「島根1区の補欠選挙は全国から注目されている」と述べたうえで、自民党の裏金問題で検察は、実態がどうだったのが全然調べなかったと指摘。岸田総理は「検察の厳正な結果を踏まえて考える」と発言。党の処分については「国民に判断してもらう」と述べていることから、郷原弁護士は「国民の判断とは、まさに選挙のこと。最初に岸田総理に対する評価・判断が行われるのは、この島根1区の補欠選挙だ」「もしこの選挙で(自民党が)勝ったらどうなるか、いままで批判してきたことがチャラになる。これから好き放題やっていということになってしまう」と指摘。「この投票権をもっているのは皆さんだけ」「ゆめゆめこのプラチナ・チケットを無駄にしてほしくない」「けじめがおこなわれるかどうかは、これから先の日本がどうなるのかにもかかわってくる」「極めて重要な選挙でみんさんのこれまでの自民党政治に対する評価を突きつけてやろうじゃありませんか」と訴えました。
長妻昭政務調査会長は、自民党の裏金問題は「日本の奥深い構造的な問題でもある。なぜ格差が拡大するのか、なぜ少子化対策が進まないのか、なぜ地方と都市部の格差が大きくなるのか。この背景には金権政治という問題がある。金が集まるか集まらないかで政策の優先順位が変わる。長年国会議員をさせていただいているが、嫌というほどそういう現場を見てきた。パーティー券が売れない分野は国の予算は後回しになる。こんなことがまかり通っていいのか」と述べ、「政治を最も必要としている人は、政治から最も遠くにいる。困っている人や地域に目を向けることが政治の役割だ」と訴えました。
亀井候補は、自民党の裏金問題、人口減少問題、農業課題などを取り上げ、農業については、資材高騰、高齢化などで担い手が激減するとの危機感を示しました。そして今こそ一緒にこの島根県から変えようと訴えました。
また、プラーナ(安来市)前の演説で亀井候補は、これまで「(1票)お願いします」とこちらから言うことが普通だったが、今回の選挙では逆に有権者から「お願いします」と言われることが多いと述べ、しっかりと声を受け止め、頑張っていきたいと決意を語りました。

 

●衆議院補欠選挙でも問われる「1票の格差」 裏金事件の「政治とカネ」問題だけじゃない、もう一つの注目点 4/27
衆議院の補欠選挙が4月28日に投開票されます。東京15区、島根1区、長崎3区という3つの選挙区(いずれも定数1)。自民党の裏金事件以後では初の国政選挙とあって全国的な関心を集めています。実はこの選挙には隠れた注目点もあります。それは「1票の格差」。東京は全国で最も1票の価値が低い地域の1つであり、逆に島根や長崎は最も高い地域の1つです。国政選挙のたびに問われる「1票の格差」とは、どういう問題なのでしょうか。専門記者グループのフロントラインプレスがやさしく解説します。
そもそも「1票の格差」とは?
1票の格差とは、議員1人あたりの有権者数が選挙区ごとに大きく違うことにより、選挙区によって1票の価値に大きな差が生じる問題のことです。
議員1人あたりの有権者が選挙区内に多ければ多いほど、当選に必要な得票数のラインは上昇し、1票の投票価値は相対的に低くなります。主には大都市部でこの事態が生じます。逆に、地方や過疎地など有権者数が少ない選挙区では、候補者は少ない得票数で当選が可能になります。最多の選挙区と最少の選挙区の差が何倍になるのかを示した数字が1票の格差です。
憲法第14条は「法の下の平等」を掲げていますが、民主主義の根幹である選挙においては都市部と郡部で、すなわち住む場所によって1票の価値が異なっていることになります。誰もが同じ価値の1票を持つという「1人1票」は、実は日本で達成できていないのです。
では、直近の国政選挙ではどの程度の格差が生じたのでしょうか。
2021年10月の衆院選で比較すると、議員1人あたりの有権者数が最も多かったのは東京13区の約48万人でした。最も少ないのは鳥取1区の約23万人。その差は実に2.08倍になりました。
足立区の一部で構成される東京13区と、鳥取市や倉吉市などの鳥取1区を比較すると、東京13区の有権者が持つ1票の価値は鳥取1区の半分しかないということなのです。しかも、1票の価値の格差が2倍を超えた選挙区は29を数えました。
この選挙の直後、関係法令が改正され、衆院選挙区の区割り変更が行われました。いわゆる「10増10減」と呼ばれる施策で、有権者の多い選挙区で議員定数を10増やし、少ない選挙区で10減らします。有権者の多い都市部選出の議員を増やすことによって格差を是正していく狙いです。
実施は次の総選挙からで、このうち、東京都では定数が5増えて合計30となり、新たな小選挙区が5つ誕生します。神奈川県は2増、埼玉、千葉、愛知の3県ではいずれも定数が1増えます。逆に減るのは福島や新潟など10県。定数が1ずつ減り、それに伴って各県で小選挙区が1つずつ消滅します。
長崎県も消滅県の1つ。長崎県には現在4つの選挙区がありますが、再編され、「4区」は消滅。4月28日に投票される「3区」は現在の区割りで最後の投票です。次の総選挙では、現在の3区を構成する大村市や対馬市などが2区に組み込まれ、3区には消滅する4区から佐世保市などが移動する形となるのです。
かつて衆院では4.99倍、参院では6.59倍も
投票の価値に差のない、本当の意味での1人1票を実現するには、人口の増減や移動などに目配りし、選挙区の線引きをどうするかという「区割り」を速やかに見直していく姿勢が欠かせません。ところが、戦後の日本は衆院も参院も長くその努力を放棄していました。
戦後最初に投票された1946年の衆院選では1票の格差は1.5倍でしたが、高度経済成長によって都市部への人口集中と地方の過疎化が同時並行で進むようになると、この格差は次第に拡大。衆院では中選挙区時代の1972年の選挙で、その差がピークに達しました。
千葉市や市川市などを中心とする「千葉1区」(定数4)の有権者数は全国で最も多い約39万人だったのに対し、兵庫県の豊岡市や周辺郡部で構成する「兵庫5区」(定数3)は最少の8万人弱。その差は4.99倍となったのです。
参院でも1票の格差は広がっていきます。1962年に4.09倍となって4倍を超えると、1970年代には5倍以上が当たり前に。1989年にはついに6倍を超え、1992年には過去最大の6.59倍となったのです(当時、有権者の最少は常に鳥取県でした。のちに同県はやはり有権者の少ない島根県と一緒に1つの選挙区を構成することになります)。
地方地盤の自民党は是正に消極的だった
こうした格差を問題視する考えは早くから関係者の間に浸透しており、有権者数と議員定数の不均衡問題はしばしば新聞で報道されていました。長く政権を握ってきた自民党は地方を地盤としており、是正に消極的な姿勢が批判の対象になっていたのです。
そして1962年の参院選で格差が4.09倍になった際には、東京都内に住んでいた当時30歳の司法修習生が「鳥取選挙区では有権者18万人に議員1人だが、東京選挙区では実に74万人に1人だ。この4倍もの格差は憲法の定める法の下の平等に反しており、選挙は無効だ」と訴えたのです。これが一票の格差をめぐって選挙の無効を求める最初の訴訟となりました。
一審の東京高裁は4倍の開きがある現実を前に「この程度の不均衡ではまだ平等の原則に反するとは認められない」として訴えを退けましたが、その後、一票の格差をめぐっては選挙のたびに弁護士グループらが「憲法違反であり、選挙は無効」として訴えていくことになります。
しばらくは提訴しても「定数是正は立法府の問題」という判決が続きましたが、1972年の衆院選をめぐって司法判断が大きく動くことになりました。
「違憲」「合憲」の境界は? 
先述したように1972年の衆院選は1票の格差が4.99倍に達し、戦後最悪となった選挙です。これを違憲とする訴えに対し、最高裁は1976年に初めて「憲法違反」とする判決を下しました。
一方、行政の決定を取り消すと公共の利益に著しい損害を与えるため、違法・違憲であっても取り消しはしないという「事情判決」の法理を用い、選挙の無効は認めませんでした。
それでも、この判決をきっかけとして裁判所は次第に「違憲」「違憲状態」という判決を下すようになります。これまでの判決を見ると、最高裁は「1票の価値に著しい不平等が生じている場合」「不平等状態が長期間続いているにもかかわらず、国会が是正措置を怠っている場合」という2点を判断基準にしているようです。
両方を満たしていれば「違憲」、前者のみであれば、「違憲状態」。双方とも満たしていなければ「合憲」というわけです。
是正し過ぎると「地方切り捨て」の懸念も
数字的な基準は明示されていませんが、格差が2.30倍だった2009年の衆院選は最高裁で「違憲状態」と判断されました。他方、2.08倍だった2021年の衆院選は「合憲」でした。2.08と2.30の間に合憲・違憲の境があるのでしょうか。
そうではありません。2009年の衆院選ではそれまでの10年間にわたって国会が定数是正をしなかったことを最高裁が問題にして違憲状態と判断し、2021年は国会が大幅な定数是正に動こうとしていたから合憲となったのです。
それでも、大都市圏の有権者には割り切れない思いが残るでしょう。国会が10増10減に向けて動いていたとしても、司法の頂点に立つ最高裁は「都市部の有権者の1票には0.5票の価値しかありませんが、仕方ありません」と宣告したに等しいからです。
しかし、格差の是正を優先し過ぎると、地方の声が国政に反映されにくくなり、「地方切り捨て」がさらに進むかもしれません。政治の恩恵が都市部に集中するようなバランスを欠く日本が本当に望ましいのでしょうか。
1票の格差を考えることは、実は日本のグランドデザインをどうするかというテーマにもつながっているのです。
●安倍政治の遺産を台無しにする森喜朗氏と日本保守党 4/27
松田政策研究所チャンネルで、『特番『八幡先生に訊く!混戦模様!衆院補選どうなる東京15区』という番組に出演したので、そこでの発言内容を紹介します。
1 自民党は森喜朗と小泉純一郎を守るために、清和会の若い議員たちを犠牲にした。
清和会の裏金問題の処分内容は全般的にみたら、過去の例からすれば、だいたい妥当なものだといえる。
しかし、そもそものシステムができたころの会長だった森喜朗と小泉純一郎が無罪放免なのはおかしい。白髪クビを差し出して、若い議員たちを救うのが正しい道だった。
また、西村康稔や世耕弘成など関西組への厳しい処分と萩生田光一ら関東組への軽い処分とはアンバランスだ。
若い議員の東京の秘書の多くは派閥の紹介で送り込まれた人が多い。彼らが派閥との関係は仕切っており、議員本人は本当に関与していないことが多いと理解している。
2 立憲民主党は旧華族の世襲政治家で勝っても政治革新になるのか。
島根一区の亀井亜紀子氏は、津和野藩主家で元議員の亀井久興さんの娘。岩倉具視の秘書でもある。このような名門世襲政治家を立てて勝っても政治の革新にならない。
自民党も竹下元首相の孫で北川景子の夫のDAIGOだしたら楽勝だった。それに元緑の党共同代表の亀井氏が電力総連の票目当てに原発について沈黙するのもお笑いである。
3 日本保守党は安倍政治の遺産を否定するための党である。
それなりに無党派市民層にアピールする参政党と違って、日本保守党は、自民党の票を奪うだけで他からは票を取れずに立憲民主党に奉仕するだけである。
安倍路線の継承のようなことを言っているが、憲法改正で安倍氏が第九条そのものには手を触れない方向に転じて憲法改正の具体化を図ろうとしたのに逆戻り。ウクライナではプーチンとの対話を重視していた安倍氏に対して脳天気にウクライナ一辺倒なのだ。
そして何より中東問題では、パレスティナなどだけでなくイランとの対話を重視した安倍さんに対し極端なイスラエル強硬派支持。いまや、アメリカのバイデン政権からも見放され、ガザでのジェノサイドを批判されるイスラエル全面支持なんぞ論外なのである。
飯山あかり氏は、月刊hanadaでの出馬時の記事で、自らの決断を、ハマスと戦うイスラエルの兵士に比べれば取るに足らないとぶっ飛んだ決意表明していたがいかがなものか。少なくとも安倍路線とはかけ離れている。
安倍氏が人気があるのですり寄っていただけの極右勢力が安倍レガシーを世界でも自民党でも自爆テロを展開しているようにすらみえる。
4 中道寄りの乙武洋匡氏に、公明党は政策面ではそれなりに共感しているようだ。しかし、乙武氏の女性部には公明党女性支持者は強い拒否感があるので、組織としては動きづらい。しかし、それなりに公明票は乙武氏に流れるのではないか。
5 この選挙区では、関係者の多くは公民権停止明けの柿沢未途氏の復活を待望しているのではないだろうか。
●中条きよし議員 カラオケ大会で参加者に「おひねり」要求 4/27
4月7日、東京・青山の結婚式場でカラオケ大会を開催した日本維新の会の参院議員・中条きよし氏。国会議員として首を傾げたくなるような言動がありました。
マイクを渡され歌を求められると、「歌う時は一応、タダでというわけにはいかない」「やっぱ茶で、3枚以上から5枚を皆さんにしていただかないと」などと発言した中条氏。
参加者に対して「おひねり」を求めてから歌を熱唱しました。
歌い終わると、何人かの参加者が実際に1万円札を手に中条氏のもとへ。
中条氏は、5〜6枚の1万円札を受け取ると、「寄付したいと思ったけど……」と言いながら自身のポケットにお札を入れてしまったそうです。
●“パパ活報道”元衆議院議員の宮沢博行はある意味いいやつ?「もうちょっとしっかりしてればいい政治家になったのに」 4/27
元『週刊文春』記者の赤石晋一郎氏と甚野博則氏が4月24日、自身のYouTubeチャンネルで生配信を実施。自民党の宮沢博行・元衆議院議員に関して“ある意味いいやつ”と分析した。
25日発売の『週刊文春』にスクープ記事が掲載されることが明らかになり、23日に宮沢氏は辞職願を提出。後に妻子ある身でありながら、当時28歳の女性と同棲生活を送っていたことが明らかになった。
赤石氏は、“パパ活”と報じられた宮沢議員の記事について「もちろんろくでもない話なんだけど」と前置き、「好きになるというかね。淡い恋心抱いちゃう話です」と嘆くと、甚野氏も「もうちょっとしっかりしてればいい政治家になったのに」と惜しんだ。
赤石氏は、取材の過程で記者が宮沢氏に電話している点が特筆すべき点だと述べた。甚野氏は記者と宮沢氏が2回会い、電話までしていると指摘。宮沢氏が電話にまで出るとは、とスタッフが驚くと、赤石氏は「ある意味いいやつなんです。ただ倫理感が良くなかったっていうだけで……」と人物像を想像した。
宮沢氏は昨年12月に自民党の裏金問題で、安倍派内で口止めされたことを暴露し「しゃべるなしゃべるなって、これですよ」と報道陣の前で語り話題になった。
昨年末、注目を集めた宮沢氏について赤石氏は「目つきはちょっとね、挙動不信でちょっと“おやおや?”と思うものもあった」と吐露。「多分言いたいこと、抑えられない人。欲望もコントロールできなかったっていうことなんだと思いますけどね」と分析した。
甚野氏は「根はいい人なんですよ、きっとね」と人柄を評価。視聴者は「憎めない人だね宮沢くん」と、政治家であることを考えなければ共感の持てる人物なのかもしれないと想像していた。
●裏金問題 法改正へ議論 「連座制」は? 4/27
裏金問題を受け、政治資金規正法の改正に向けた与野党の議論が始まりました。
自民党 大野敬太郎衆院議員「会計責任者に任せていた、知らなかった、お金の問題には一切関与していなかった。そういう政治家の言い逃れを今後は二度とさせない。いわゆる『連座制』の導入が必要と考えております」
自民党は、議員の責任を強化するため本人による収支報告書の「確認書」の作成を義務付けることなどを主張しています。一方…。
立憲民主党 笠浩史衆院議員「政治資金規正法は政党から政治家個人への寄付を例外的に認めており、使途の報告義務はなく表に出ない金になっており、裏金の温床とも言えることから政策活動費について全面的に禁止します」
立憲民主党などの野党は実態解明のほか、「政策活動費」を廃止することなどを訴えています。
●森喜朗元首相に「私から電話があったことをおっしゃらないで」、岸田文雄首相との裏金事件めぐるやりとり、報道に「国民をバカにするな」の声 4/27
自民党の政治資金パーティー裏金事件を受け、森喜朗元首相が、岸田文雄首相から電話聴取を受けた際に裏金づくりへの関与について踏み込んだやりとりはなかったと明かしたと、文春オンラインが26日報じた。ネット上には「国民をバカにするな」「ただのアリバイ作り」などと怒りの声が挙がった。
文春オンラインは、ノンフィクション作家の森功さんによる森元首相へのインタビューとして、4月上旬にあった電話聴取のやりとりを報道。キックバックを知っていたかや、裏金システムを作ったのではといったやりとりがなかったことを認めた上で、岸田首相が電話をした事実を公表するまでは、「私から電話があったことをおっしゃらないでください」と言われたことを明かしたという。
森元首相は清和会(現在の安倍派)の会長を長く務め、森会長時代に裏金づくりが始まった可能性が取り沙汰されており、国民からは説明を求めるべきだとする声が強く起こっている。
岸田首相はこれまで裏金問題について森元首相に直接尋ね、「具体的な関与は確認できなかった」と説明してきた。一方で「記録はございません」と、聞き取りの内容については一切明らかにしていない。
事情聴取の体をなしているとはとても言えない報道の内容に、X(旧ツイッター)には「腹立つわ〜なんじゃそりゃ」「はいはい。これが岸田のいう信頼回復ね」など怒りやあきれる声が殺到。「国会で野党からの追及がわずらわしいから『電話をしたというアリバイ作り』」「国会でウソついたんか?」「岸田は森喜朗に聞いてないのに聞いたとウソ 森喜朗は裏金知ってるのに知らないとウソ」「先頭に立って説明責任を果たす、と繰り返す人の実際の行動」といった声が挙がった。
●派閥の裏金事件を受け自民党役員らが車座対話 岡山 4/27
政治資金パーティーを巡る裏金問題を受けて自民党が全国で行っている「政治刷新車座対話」が27日、岡山県でも開かれました。
自民党岡山県連の会議室で開かれた政治刷新車座対話には、党本部の渡海紀三朗政調会長や牧原秀樹政治刷新本部幹事らが出席しました。
渡海政調会長は「現場の皆さんに大変ご苦労をいただいている」と述べました。
対話では、県連役員らから政治資金問題について「より踏み込んだ議論をするべきだ」などの意見が出たということです。
渡海政調会長は「率直な意見をいろいろ聞かせていただいて、大変有意義な会だった」と話しました。
●年内衆院解散の可能性大 メインシナリオは自民党総裁公選後の解散、岸田首相の一か八か解散もあり得る 4/27
「岸田おろし」を仕掛ける派閥そのものが消えた
今年秋に自民党総裁選が実施される。総裁選に前後して衆院解散となる可能性が高い。首相交代や連立政権組み替えに至る可能性があろう。いずれにせよ、自民党を軸とした政権が継続しようが、新首相や連立相手次第で経済政策が変わる。
【政治シナリオ】
   支持率は低いが、政局は生じていない
昨年末に浮上した政治資金問題を背景に、内閣支持率と自民党の政党支持率はともに低迷している。特に、内閣支持率が自民党支持率を下回ったままである点が目を引く。自民党支持層の一部が政権を見放している状態であることを示唆する。
過去の例を見れば、与党内で「〇〇おろし」と呼ばれるような政局、倒閣運動が生じやすい局面のはずだが、これまでのところ、政局や倒閣運動が本格化するには至らず、岸田政権は継続している。
派閥の在り方が問題となり政局を仕掛けづらくなったこと、それを仕掛けるような派閥自体がなくなったためと考えられる。
4月28日に控える衆院補欠選挙の結果次第では、「岸田おろし」が本格化するとの見方もあるが、派閥のほとんどが解散した状況下では、実際に倒閣に至る可能性は低いように思われる。
よって、メインシナリオとしては秋の総裁公選までの岸田政権継続、そして新・総理総裁による衆院解散を予想する。
2025年までに訪れる2つの国政選挙
   メインシナリオは秋の総裁公選後の衆院解散
3年の総裁任期満了に伴い実施される総裁公選では、国会議員のみならず党員党友が投票権を有する。翌2025年の7月に参院議員、10月に衆院議員の任期満了を控えているため、自民党にとって2つの国政選挙の「顔」として誰が相応しいかを選ぶ総裁選になる。
内閣支持率が大幅に上昇し、昨年来の低下を挽回すれば岸田総裁が再選される可能性は残されているものの、低迷したままであれば新しい総裁が選ばれそうだ。
その新首相が、総裁選を勝ち抜いた余勢を駆って、衆院解散・総選挙に踏み切るだろう。新政権発足直後ならば「ご祝儀相場」により高い支持率を得ることもできる。
ちょうど3年前の2021年秋に、自民党総裁選を勝ち抜いた岸田首相が直ちに衆院解散・総選挙に打って出たのと似た展開になりそうだ。
   リスクシナリオは総裁公選前の衆院解散
リスクシナリオとして、岸田首相による総裁公選前の衆院解散を考える必要があろう。内閣支持率、自民党支持率ともに低迷しているものの、岸田首相は依然として長期政権を目指しているように見える。
昨年末に、政治資金問題を機に安倍派の主要メンバーを内閣および党役員から排除、安倍派の影響力低下を図った。また、今年に入ると、従来かなり強いこだわりを見せていた宏池会をあっさりと解散した。
派閥よりも自民党の改革を優先したと言えるが、自らの支持率上昇や政権維持への強い意欲があってこその決断であろう。
岸田首相による一か八か解散の可能性
岸田首相があくまでも長期政権を目指し、かつ秋の総裁公選で続投が難しいと判断すれば、一か八かで早期の衆院解散に踏み切る可能性がある。
内閣支持率が低迷した状況下での衆院解散・総選挙は、与党過半数割れにつながりかねないため、通常は選択されない。だが、現在は野党が分裂、対立している。
仮に与党が敗北しても、2009年のような政権交代に至るわけではなく、連立政権のパートナーを組み替えて自民党が与党としての地位を維持する選択肢がある。
総裁公選への出馬や勝利が難しいと判断すれば、支持率如何にかかわらず早期の衆院解散に踏み切るインセンティブが岸田首相には存在する。
岸田首相が衆院を解散する場合、通常国会会期末までのタイミングが有力だ。延長がなければ6月23日が会期末。そうなると、6月末から7月にかけて総選挙が実施されるだろう。
家計にとっては、ちょうど夏のボーナスが支給され、かつ春闘の大幅ベースアップが実際の賃金に反映される頃であり、所得税・住民税減税の恩恵を受ける頃にも重なる。総選挙を実施するタイミングとして選ばれやすい。
   衆院補選の影響は?
4月28日に控える衆院補欠選挙は、政治情勢にどのような影響を与えるであろうか。
自民党の候補が出馬している島根1区で敗北となれば、「岸田おろし」が本格化するとの見方もある。しかし、上述の通り、派閥のほとんどが解散した状況下では、実際に倒閣に至る可能性は低いように思われるので、岸田政権は当面継続しよう。
あえて挙げれば、岸田首相が総裁公選前に衆院解散に踏み切るリスクシナリオの可能性が低下し、岸田政権が総裁公選まで継続するメインシナリオの可能性を高めると思われる。
逆に、島根1区で自民党が勝利を収めれば、早期解散のリスクシナリオの可能性を高め、早期解散見送りのメインシナリオの可能性を低下させる。それでも、メインシナリオとリスクシナリオの位置づけを逆転させるには至らないイメージだ。
金利上昇でプライマリーバランスの黒字化がより重要な局面に
【経済政策シナリオ】
   骨太方針は岸田政権が取りまとめへ
例年6月に、政府は「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる骨太方針を取りまとめる。年末に策定する来年度の本予算や税制改正に向けた議論の土台となるほか、中長期的な政策方針も盛り込まれる。
上述の通り、早期の衆院解散があるとしても、通常国会会期末のタイミングが見込まれるため、岸田政権が骨太方針を取りまとめることになりそうだ。
今回の骨太方針は例年にも増して注目される。特に、2025年度にプライマリーバランス黒字化の財政健全化目標の期限を迎えるため、その扱いをどうするかは大きな論点だ。
物価上昇が定着し、金融政策運営の正常化に伴って金利が上昇しやすい局面を迎える中では、日本財政の持続可能性を担保する上で、プライマリーバランスの黒字化がこれまで以上に重要視される。
早期の衆院解散を選択するにせよ、見送って総裁公選に臨むにせよ、岸田首相は基本的にプライマリーバランスの黒字化目標を堅持するだろう。
今年1月時点の内閣府による「中長期の経済財政に関する試算」では、一定の歳出効率化努力により2025年度に黒字化し、2026年度以降に黒字幅拡大との見通しが示されている。
財政健全化目標として、例えば一定の歳出効率化努力の遂行による2025年度黒字化目標の堅持、かつ2026年度以降の黒字維持の目標が打ち出されるのではないか。早期解散の場合に岸田首相が財政拡張路線に転じる可能性もあるが、現時点では低いと予想する。
   政治情勢次第で経済政策の方向性は変わり得る
今年6月の骨太方針取りまとめまでは、岸田政権が経済政策を決める。だが、その後の経済政策は政治情勢次第であろう。
メインシナリオのように、総裁公選で選出された新・総理総裁の主導により衆院解散・総選挙が実施される場合、自民党が勝利を収めれば、新首相が経済政策の方向性を決める。一方、自民党が敗北すれば、連立政権の組み合わせ次第で経済政策の方向性が決まる。
リスクシナリオのように、岸田首相が早期の解散総選挙に踏み切る場合、仮に勝利すれば現在の政策路線が継続されるが、敗北すれば、やはり連立政権の組み合わせ次第となる。
各政党の経済政策スタンスは多様で、特に財政、金融政策の方向性が分かれる。2017年の衆院選の頃から、多くの野党が外交・安全保障で現実路線を打ち出す中、経済政策で与党や他の野党との差別化を図ろうとしたためと考えられる。
また、自民党有力政治家の経済政策スタンスも多様だ。自民党は、元々政策の異なる派閥の集合体であったため、多様なスタンスが許容されている。すなわち、政権交代や連立政権組み替えの際には当然だが、自民党内での首相交代であっても経済政策の方向性が変わり得る。
財政政策が大きく異なる連立候補の2つの野党
   「ポスト岸田」の行方は?
自民党内で、誰が「ポスト岸田」となるであろうか。派閥がほぼ解消されたため、派閥力学から予想することが難しくなった。ただ、国政選挙の「顔」としての役割を果たすため、ある程度の人気や知名度が求められる点に変わりはない。
世論調査では、石破元幹事長や小泉元環境相、河野デジタル相の人気が以前から高い。また、茂木幹事長や林官房長官も候補に取り上げられるケースも多い。最近の調査では、上川外相や高市経済安保相が浮上している。
昨年12月16日の拙稿「絞られる次期首相の条件、「ポスト岸田」の一番手は初の女性首相か」でも指摘したように、自民党が直面する政治資金問題を打破するため、クリーンもしくは新鮮なイメージを有する新総裁が求められやすい。女性2人は有力候補の一角に浮上しているだろう。
有力候補の中には、例えば上川外相のように、経済閣僚の経験がなく、その政策スタンスが不透明な候補もいる。総裁選出馬の際は、掲げる公約などが注目される。
   連立政権組み替えの候補は?
総裁公選の前もしくは後の衆院選において、過半数割れとなるなど与党が敗北すれば、時の首相は退陣し、かつ連立政権の組み替えが生じる。
国民民主党は、しばしば政府予算案に賛成するなど、与党に協力的であり、連立相手の有力候補だ。
日本維新の会も連立政権入りの可能性がある。馬場代表は、松井前代表と同様、野党第一党を目指して立憲民主党と対決する姿勢を堅持しているが、松井氏と異なり、与党との連立を否定していない。
   経済政策の方向性は?
誰が新首相になっても、あるいは連立政権の組み替えが生じても、製造拠点の国内回帰や設備投資、輸出を促進する政策が推進されやすい。経済安全保障や人手不足対応を促す政策には異論が出づらいからだ。
だが、財政政策の先行きは読みづらい。自民党内で路線対立が継続しており、誰が首相になるか次第でスタンスが異なるほか、連立候補となる2党の隔たりも大きい。
これまでの公約などを見る限り、国民民主党は大きな政府を志向する一方、日本維新の会は小さな政府を志向しており真逆と言える。
今年の骨太方針で財政健全化目標が堅持されたとしても、首相交代や連立政権組み替えを経て見直される可能性がある。防衛増税の実施時期確定なども政治情勢次第になりそうだ。
一方、日銀の金融政策については、現・植田総裁の体制下で、金融政策運営の正常化を進める方向性だ。首相交代や連立政権の組み替えでも、当面影響を受けないと予想する。
無論、金融緩和を重視する新首相が誕生すれば、例えば来年以降に予定される審議委員の交代を機にリフレ派が送り込まれる可能性があるものの、現役のリフレ派の審議委員は正常化路線に反対しているわけではない。
●第95回メーデー中央大会 4/27
令和6年4月27日、岸田総理は、都内で開催された第95回メーデー中央大会に出席しました。総理は、挨拶で次のように述べました。
「内閣総理大臣の岸田文雄です。
働く人々の祭典第95回メーデーがこのように盛大に開催されますことを、心よりお慶(よろこ)びを申し上げますとともに、開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。
年初に発生した能登半島地震については、被災者の皆様が一日も早く安心して暮らせる生活を取り戻すことができるよう、生活や生業(なりわい)の再建、地域の再生に全力で取り組んでいます。
連合の皆様におかれましても、義援金やボランティア活動等の支援を頂いており、深く敬意を表し申し上げます。
さて、岸田政権では、『経済、経済、経済』と申し上げてきておりますが、長年にわたり染みついたデフレ心理を払拭し、賃金が上がることが当たり前との方向に、社会全体の意識を一気呵成(かせい)に変えなければならない、こうした思いで、一歩も二歩も踏み込んだ政策を進めています。
今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現する、そして、来年以降に、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる。この二つを必ず果たすため全力を挙げています。
まず、今年の春季労使交渉において、昨年を大きく上回る力強い賃上げの流れができていること、大変心強く思います。連合の皆さんの御努力に心から敬意を表し申し上げます。
また、全就労者の14パーセントを占める医療や福祉の現場で働く方々、物流・建設業界の現場の方々の賃上げのための新たな仕組みも動かしていきます。
春からの賃上げに加えて、6月からは、一人4万円の所得税・住民税減税を行い、物価上昇を上回る所得を必ず実現いたします。
さらに、来年以降、持続的な賃上げ定着の鍵を握るのは、先ほど芳野会長の御挨拶の中にありましたように、中小企業、そして、地方です。労務費の価格転嫁を通じた賃上げを進めるため、独占禁止法と下請法(下請代金支払遅延等防止法)に違反する事案に対して厳正に対処するとともに、いわゆる買い叩き(たたき)による下請事業者の経営の圧迫を防ぐため、下請法の運用基準の改正に取り組みます。
また、男女間賃金格差の是正や、21万人が活用する予定の『年収の壁』対策を更に広げるとともに、被用者保険の適用拡大など次期年金制度改革に向けて精力的に検討を進めます。また、人手不足対策を始め、中小企業の稼ぐ力の後押しにも全力を挙げます。最低賃金引上げも目標をできる限り早期に達成すべく、環境整備を加速してまいります。
もう一つの大きな課題は少子化です。2030年代に入るまでが、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであるとの認識の下、岸田政権では、約3.6兆円規模に及ぶ、前例のない規模で、こども・子育て支援を抜本的に強化することとしています。
児童手当の抜本的拡充、こども誰でも通園制度の創設、育児休業給付の充実など、長年指摘されながら実現することができなかった施策を盛り込んだ子ども・子育て支援法等の改正法案の今国会中の早期成立に向けて最大限努力してまいります。
制度や施策の充実と併せて、社会全体で、子供や子育て世帯を応援する機運を高める取組を進めてまいりますので、引き続き、労働界の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
今後も、連合の皆様方の御意見に耳を傾け、より連携し、政策を一つ一つ、果断に、そして丁寧に進めてまいります。
あわせて、皆様方の御健勝、益々の御発展を祈念申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。本日は、誠におめでとうございます。」
●岸田首相 2年連続でメーデー中央大会に出席 4/27
労働組合の全国組織「連合」のメーデー中央大会が開催され、岸田首相が2年連続で出席しました。
第95回メーデー中央大会は27日午前、東京・渋谷区で開催され、岸田首相や小池都知事、武見厚生労働相らが出席しました。岸田首相の出席は2年連続です。
岸田首相「今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現する。そして来年以降に物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる」
岸田首相は、「賃金が上がることが当たり前の方向に社会の意識を変えなければならない」と全力をあげて賃上げに取り組む姿勢を強調しました。
また、連合の芳野会長は「今年は高い賃上げが実現している」としながらも、「多くの労働者が働く中小企業などでは、この先も交渉が続く」と述べて賃上げの流れが波及することに期待を寄せました。
●岸田首相 2年連続メーデー出席「賃金上昇が当たり前の方向に」 4/27
岸田首相は27日、渋谷区の代々木公園で、労働団体の大会、メーデーに出席し、「経済、経済、経済、長年にわたり染みついたデフレ心理を払拭し、賃金が上がることが当たり前との方向に社会全体の意識を一気呵成に変えなければならない」と強調した。その上で「今年物価上昇を上回る所得を必ず実現し、来年以降に定着させる」と掲げた。
メーデーには連合の芳野会長も出席する中、岸田首相は春闘で2023年の大きく上回る力強い賃上げの流れができていることを心強く思うとして、労使間での賃上げ交渉にあたった労働組合に対し「経緯を申し上げる」と述べた。
また、6月に1人あたり4間年の食税減税を実施し、これまでに実施している低所得者への住民税減税と合わせて、物価上昇を上回る所得を政府として実現の後押しをする考えを示した。
さらに、最低賃金引き上げ目標の早期実現に向けた課題として、少子化問題をあげて「2030年代にはいるまでが少子化傾向を反転させられるかどうかのラストチャンスだ」として、子ども子育て支援金を創設し、児童手当の拡充、こども誰でも通園制度の創設、育児休業給付の充実などの施策を実現するために、関連法案の早期成立に最大限努力する、と述べた。
●東京15区、各陣営が最後の訴え♂゚去最多9候補が乱立 自民不在、他陣営による妨害活動など異例の選挙戦 衆院3補選 4/27
衆院3補選(28日投開票)は27日、選挙戦最終日を迎えた。東京15区(江東区)、島根1区(松江市など)、長崎3区(佐世保市など)の3選挙区で行われる補選がこれだけ注目されるのは、岸田文雄政権の「政治とカネ」への対応や政権運営に対する有権者の審判が、次期衆院選の行方も占うことになるためだ。なかでも大乱戦のまま最終盤に突入したのが、過去最多の9候補が乱立する東京15区だ。自民党系の候補が不在で、他陣営による妨害活動も行われる異例の選挙戦で、各候補は最後まで訴えを続けた。
日本保守党の新人、飯山陽氏(48)は26日、門前仲町の商業施設前で街頭演説を行った。
「『飯山陽に一票入れてください』と江東区の皆さんに呼び掛けてください。絶対ですよ、皆さん、約束です!」
「日本の国会は保守の系譜がほとんどいない。民主主義なのに民意が反映されていない。今ここで協力して飯山陽に投票して、国会へ。ここから本当の保守が始まると思いませんか」
共同代表の河村たかし名古屋市長も合流、国際政治学者で福井県立大学の島田洋一名誉教授も応援に駆け付けた。 選挙戦では他陣営の妨害で街頭演説の場所の変更を余儀なくされることもあった。この日も事前に告知をしないゲリラ街宣≠セった。
無所属の新人、乙武洋匡氏(48)にも26日、強力な援軍≠ェ合流した。友人で実業家の「ひろゆき」こと西村博之氏が、在住するフランスから帰国した。2022年の参院選でも応援演説を行った西村氏は、今回も「『乙武さんが出るんだったら行く』と前から言っているんで」と話し、乙武氏も「すごく心強く感じる」と感謝した。
乙武氏も他陣営からの妨害に苦しむ選挙戦だったが、「結果として得しているのは乙武さんと立憲民主党。メディアに出ることになったわけだから」と西村氏。
27日は乙武氏を支援する小池百合子都知事、国民民主党の玉木雄一郎代表も演説に参加する。乙武陣営は「選挙は最後の3日間でひっくり返るもの」と逆転を期す。
酒井氏「全然リードしている認識はない」 金澤氏「あともう一歩。政治を諦めないで」
立憲民主党の新人、酒井菜摘氏(37)については、情勢調査で「やや先行」などと伝えられてきた。
「(優勢という)重圧がすごく大きかったが、全然リードしている認識はない」と酒井氏。勝てば岸田政権にも大打撃となるが「政権交代を望む声は高まっているし、試金石にもなると思っている。やっとここまで来た。最後まで頑張ります」と話す。
酒井氏は江東区議を2期務め、昨年末の江東区長選では次点だった。区長選では無所属で出馬し、応援演説でも立民と共産党、れいわ新選組などが共闘する場面もみられた。今回は立民公認のため、応援弁士も主に同党議員だったが、共産党が自前の擁立を取り下げるなどして支援している。
日本維新の会の新人、金澤結衣氏(33)は26日、門前仲町交差点で「あともう一歩なんです。民間企業出身で奨学金を返済しているような、いたって普通の人間。いまの政治、私たちの声が届いていないですよね」と訴えた。
陣営関係者は「猛追している。(他陣営の妨害で)普通の選挙ができず、正直萎縮していたが、ちゃんとやろうと仕切り直している」と話す。
金澤氏も「組織、団体がないので、誰よりも多く有権者と話をして握手していく。投票率が下がったら伸びない。『政治を諦めないで』と訴えることが大事」と強調した。
無所属の新人、須藤元気氏(46)は、生まれも育ちも江東区とあって地元人気は高い。電気で光る特製タスキをかけて街頭活動に臨み、「いつでも元気! みんなで元気!」の合言葉で通行人と握手を続け、無党派層の取り込みにつなげる作戦だ。
参政党の新人、吉川里奈氏(36)は「真の保守派」をアピールする。「日本保守党さんはLGBT法の問題でも岸田政権批判止まりで、本質的なことに触れていない。私は街頭で伝えられることを最後まで言論で訴えたい」と述べた。 

 

 

●成田悠輔氏「派閥間抗争に裏金問題が使われた」改革案は「ヤル気はありませんという宣言」 4/28
経済学者の成田悠輔氏が28日放送の「サンデージャポン」にリモート出演した。
番組では自民党派閥の裏金問題を受けた政治資金規正法の改正をめぐる議論について取り上げた。
自民党は再発防止策として議員も会計責任者と共に罪に問われる連座制の導入を検討。しかし議員本人が罰則の対象になるのは、会計責任者が処罰された場合のみ。これに対して立憲民主党の蓮舫議員は「全く連座になっていない。なんちゃって改革じゃないですか」と批判している。
成田氏は「ヤル気はありませんという宣言じゃないですかね。細かい制度の話とかでヤル気ありませんと言っても世の中はそんなに騒がないだろうって見越している気がするんです」と分析。
一連の騒動を振り返り「裏金不記載騒動があって、個々の政治家の不祥事が出てきた。その結果、何が起きたかと言うと自民党内の派閥抗争で、安倍(晋三)さんが亡くなられた後の安倍派の人達が潰された。そういう派閥間抗争に裏金問題が使われたという感じじゃないですか」と感想を述べた。
制度変更の議論について「ほぼ骨抜きされたような形のものが出てきて、企業献金、団体献金とかほぼほぼ手つかずで何もやりませんという感じ」。続けて「世の中が個々の不祥事に怒るだけじゃなくて、こういうタイミングで怒りまくらないと何も変わらくて。むしろ古い自民党の騒動のために、こういう不祥事が使わるだけという状態が続いちゃうんじゃないかという気がしました」と話した。
●鶴保庸介参院議員 新・和歌山1区への鞍替え出馬の見送りを表明「地域の声は無視できない」 二階氏不出馬&世耕氏離党で地元の一部首長・議員から要請 4/28
和歌山選出で元沖縄北方担当相の鶴保庸介参院議員が28日、和歌山市内で会見を開き、次期衆院選への鞍替え出馬を見送ると表明しました。
鶴保氏は会見で「県議会議員の有志のみなさんや県下の町村会長の方々から参議院にとどどまるよう要請があった。和歌山選出の自民党議員がいなくなり、その結果、和歌山県の声が中央に届きにくくなることへの危惧など、多くの地域の声は私にとって無視できるものではない。これらの声に私は従うべきだという結論を出した。引き続き、参院議員のまま、和歌山県のみならず国のために粉骨砕身の努力をする」と語りました。
次期衆院選では、「10増10減」の選挙区調整で、和歌山県の選挙区は1減となり、和歌山市・紀の川市・岩出市の北部3市が新1区、それ以外の全市町村が新2区となります。
去年4月に行われた現・和歌山1区の補欠選挙で、自民公認の元職候補が維新の新人候補に敗れたため、去年6月、新1区の立候補予定者について、参議院で実績のある鶴保氏が鞍替え出馬し、鶴保氏が新1区の立候補予定者になることが決まっていました。
ところが、自民党の派閥のパーティーでの裏金問題で、同じ和歌山選出の二階元幹事長が不出馬を表明。さらに、世耕弘成・元自民参院幹事長が離党し、無所属になることから、一部の県議や和歌山県町村会の一部の首長から鞍替え出馬を見送るようくるよう要請されていました。
●「欲を抑えきれなかった。欲が出ない生活スタイルに改める」女性問題で辞職の宮沢博行議員が地元で陳謝 4/28
女性問題を受けて議員辞職した宮沢博行前衆院議員は28日、地元・静岡県袋井市で開かれた自民党の会合で支援者らに経緯を説明し、謝罪した。出席者からは「人格を疑う」「謝罪だけではすまない」などと厳しい声が出たという。
会合後、宮沢氏は記者団に対し、「支援者の皆さん、地元の有権者の皆さん、すべての国民の皆さんに改めてお詫びを申し上げる。誠に申し訳なかった」と深く頭を下げた。
辞職した理由については、自身の女性問題が新型コロナウイルスの緊急宣言下の不祥事で、「過去の事例に照らしても、離党に相当すると判断した」と説明。「私は比例代表の身なので、離党する場合は議席を党に返さなければならないと考え、辞職を決断した」と述べた。
さらに政治資金パーティー裏金事件を受け、「絶対に不記載の資金を不祥事に流用したということはない。しかし、そう見られることも世の常だと思うので、そうではないことを職を辞することで訴えたい」と述べた。
宮沢氏は、妻とは別の女性と金銭援助を伴う「パパ活」の関係を持っていたなどとした「週刊文春」の報道を大筋認めた上で、「記録にあるものは記憶にあるから、逃げてもしょうがない。やっちゃったものはやっちゃったこと」と強調した。さらに「まずいなという気持ちはあったが、欲を抑えきれなかった」と心情を吐露した。
そして、「欲が出てしまう生活スタイルだったかもしれない。休みを取らず、ずっと働き続けるやり方をとっていた」と自身の生活を振り返り、「きちんと自分を管理して、欲が出ないよう生活スタイルを改めていく。この数日間、蟄居(ちっきょ)の身でいろいろ考える中で、一番の反省点はそこだと思った。欲を抑えるのは難しい」と述べた。
一方、今後の政治活動については「全くの白紙だ」と述べた。
●政治資金規正法改正、岸田・自民の“2大残念”はこれだ…「みみっちいスケール感」と「なんちゃって連座制」 4/28
・国会で、政治資金改革にようやく焦点が当たり始めた。政権・与党は今国会で政治資金規正法を改正する道筋を描く。
・細川内閣で首相秘書官を務め、平成の政治改革に携わった成田憲彦・駿河台大名誉教授は「今国会で」と成立を急ぐ岸田首相の姿勢に、自民党の魂胆が見えると指摘する。
・本腰を入れて取り組むべき改革は何か。浮上している連座制や第三者監督機関の必要性はどう見るか。成田氏に聞いた。
魂胆が透ける、極めて小さなスケール感
――裏金事件を受けた政治資金規正法改正に向け、国会がようやく動き出します。岸田首相は「今国会(6月23日会期末)で結果を出さなければならない」としていますが、どこに注目していますか。
成田憲彦・元首相秘書官(以下、成田氏):まず、そもそも「今国会で」というところです。要するに、問題を小さく小さくしようとしているということです。政治改革はそんな小手先で済む問題ではありません。
平成の政治改革は6年かかりました。その間に5つの内閣がかかわり、そのために2つの内閣がつぶれています。それくらいのスケールの問題です。
それを「今国会で」なんていうのは、あまりに残念でみみっちい。できるだけこの問題を小さくして、早く終わらせてしまいたいと。そういう自民党の魂胆が見え見えです。
そうした手っ取り早い法改正の手法として、「政治倫理・公選法改正特別委員会」(倫選特)を改組した「政治改革特別委員会」で議論していくことになりました。委員会で法案をまとめて提出する委員会立法という形式が考えられますが、これは極めてスケールが小さい。
日本の国会において、委員会立法は最も透明性の低い立法形態だと言ってもいいでしょう。委員会が法案をまとめ、委員長が提出者になって成立させる形態ですが、その実態はというと、理事が中心になって決める。理事と言っても、与野党それぞれ1人ずつの筆頭理事による筆頭間協議が中心です。
理事の構成で言っても少数野党まですべて網羅されているわけではありません。筆頭同士の話し合いとなれば自民と立憲の理事同士で終わりです。
委員会立法が不透明だと言ったのは、こうした理事同士、筆頭同士でどういう協議が行われたのか、まったく表に出てこないからです。
突如協議がまとまったと言って、委員会で法案の趣旨説明がなされ、委員会採決される。その後、本会議で討論もされず通っちゃう。質疑がないから、会議録を見たって中身は何もわかりません。
メディアの報道はあるでしょうが、会議録という公式の記録では残らないのです。
――平成の政治改革はどのように進んだのでしょうか。
“交通違反を取り締まる機関がない”状態
成田氏:まず、各政党が入った政治改革協議会というものを作りました。座長は自民党幹事長です。野党の方も、幹事長・書記長クラスが入ります。
ここで大きな枠組みを話して、実務者会議の場で調整します。この実務者会議の座長は自民党政調会長で、野党各党の政調会長もこの場に入りました。
海部内閣で発足し、実質的審議は宮沢内閣で行われましたが、最終的に21項目の緊急政治改革をまとめました。現在のパーティー券規制の内容は大体ここで決められました。
そのほか平成の政治改革では、有識者による選挙制度審議会を発足させ、その答申を受けて政府法案を提出したり、野党も共同で法案を提出したりと大掛かりな態勢で取り組みが行われました。
しかしそれでも実現できず、結局宮沢内閣の不信任案が可決され、政治改革政権としての細川内閣が成立しました。権力構造の転換があってはじめて、大規模な改革ができたわけです。
それを、倫選特をちょっといじった委員会で議論し、今国会で成立だなんていうのは、さっさと片付けようというのが見え透いています。委員会立法で大きな改革ができるわけがない。国民を納得させるような改革なんてできません。
――改革の中身はどうでしょうか。本腰を入れて取り組むべき課題はどんなものが考えられますか。
成田氏:最も大切なのは、行政監督機関の設置です。メディアや政党などは「第三者機関」と言っていますが、政治資金における第三者というといま一つよくわかりません。
会社や団体での不祥事の調査などを行う第三者機関は、現場と経営部門以外の外部の機関という意味ですが、政治資金問題で第三者機関と言われているのは、正確にいえば政治資金を監督する行政機関のことです。
政治を行政機関が監督するのかと言われるかもしれませんが、政治を丸ごと監督するわけではなく、例えば選挙の執行における違反を警察が監視、監督し、取り締まっているのと同じです。
岸田さんは「政治活動の自由」ということを盛んに言っていますが、そもそも日本の政治資金規正法は政治活動を極端に重視した仕組みになっています。「そこのけ、そこのけ“政治活動の自由”が通る」という状態です。
あるいは、元首相の選挙演説にヤジを飛ばした聴衆が警察に排除されるような状況を見れば、「政治活動の自由」でなく「政治家の自由」なのかもしれません。
政治活動の自由と国民の知る権利とのバランスを取ると岸田さんは言いますが、政治活動の自由とバランスする相手は、そんな国民の権利の一部ではありません。主権者国民の主権の行使とバランスを取るべきです。
そういう考えのもとで、ではいま何が具体的に問題かと言えば、違反を取り締まる行政機関がないということです。
ビッグモーターが違反をした際には、国土交通省が立ち入り調査をしました。銀行や保険会社が不正をすれば、金融庁が立ち入り調査をします。
ですが、政治資金の違反が疑われる事案があっても、立ち入り調査をする行政機関がありません。
私は比喩的に、日本の政治資金規正制度は「道路交通法があって、交通違反を取り締まる機関がない状態」だと言っています。
収支報告書「誤記載」には行政罰を
――政治資金規正法自体は総務省の所管です。
成田氏:政治資金規正法に関して総務省は一切、監督権限を持っていません。政治資金収支報告書の提出があったら、形式的な違反だけはチェックしますが、中身がおかしいという口出しは一切できません。
安倍派のヤミ金問題で所属議員たちが政治資金収支報告書の訂正をしましたが、総務省のホームページを見てください。
訂正した収支報告書には「願により訂正」という総務省のスタンプが押してあります。
あれだけの違反があっても総務省には、訂正を命じる権限はないのです。目に余るものは検察が立件します、という話になってしまっているわけです。
諸外国は監督機関を設けています。アメリカなら「連邦選挙委員会」、イギリスなら「選挙委員会」という監督機関があり、立ち入り調査や制裁による監督権限が認められています。
今回の裏金事件では、収支報告書の訂正だけすれば何でも済んでしまうということが批判されました。虚偽記載には刑事罰が適用できますが、誤記載に刑事罰を適用するのは過失罪を法定しない限り無理でしょう。
行政監督機関を設置すれば、誤記載に対する行政罰を設けることもできます。例えば、反則金だとか、政治資金パーティーの1回禁止だとか、政治資金の受領3か月停止、といった行政罰が考えられるでしょう。
もし監督機関があれば、森派ヤミ金問題も…
安倍派(清和政策研究会)の裏金事件で森喜朗元首相が注目されていますが、森派時代の1998年から2003年まで、森派は「餅代・氷代」と呼ばれる派閥議員への活動資金をヤミで配っていました。
議員はみな「派閥からもらっている」と言うのに、収支報告書に出てこなかった。それをしんぶん赤旗が報じました。
実際、当時は大きな問題にならなかったのですが、それは刑事告発がなかったからです。検察はそれなりの根拠で固められた告発やしかるべき端緒がなければ動けません。
その一方で、行政監督機関なら事情聴取ができるでしょう。だから監督機関が必要なんです。
新設でコストがかかるということであれば、中央選挙管理会に併設するような形でもいいでしょう。
何度も言いますが、今国会で倫選特を改組した透明性の低い委員会でちょこちょこっと話し合ってするような改革ではダメです。
抜本的な改革を、1〜2年かけてきちっと整えていく。特に行政監督機関を設置するとなると法案は政府提出にならざるを得ず、政府提出にするためには選挙制度審議会をやる必要があるので、それなりに大掛かりな作業になるでしょう。
岸田さんが本当に取り組むべきことは、そのための道筋を作ることです。
自民案「連座制」が機能しないわけ
――実際に各党から浮上している改革案の中では、連座制の導入が検討されています。
成田氏:連座制は必要だと思っています。ぜひ、おやりになってもらいたい。
現在、公職選挙法で導入されている連座制は、幹部運動員が選挙違反をして罪に問われた場合、不正な選挙によって議員になった者の当選を取り消すという仕組みです。
政治資金の不正に対しても同じようなペナルティを課すことはなじまないのではないかという声が、自民党あたりで出ていますが、連座制をやらないための口実のような気がします。選挙の連座制について、最高裁はそんな理屈を言っているわけではないからです。
公選法の連座制の合憲性が問われた、平成9年3月の最高裁判決があります。連座制は憲法違反ではないかという訴えを、最高裁は棄却しました。
民主主義の根幹をなす選挙の公明かつ適正を確保するという重要な法益を実現するために導入された仕組みだとして、合理性を認めました。法律の目的・手段が著しく不合理でない限り、立法府の判断を尊重するという考え方です。
ですから、政治資金規制制度が国民の信頼を揺るがしている昨今の現状を鑑みれば、政治資金の違反に対し議員の公民権を停止するといったペナルティを課すことを、最高裁は許容すると見ています。
――議員による「確認書」の作成を義務付けるという今回の自民党の「いわゆる連座制」の案を成田さんはどう見ていますか。
他の法律の分野でもそうですが、特に政治資金に関する立法では、政治はいいことを言って、いざできてみると確かに言葉じりではあっているけど、中身は国民が期待したものと全然違うということが繰り返されてきたことを思い出すべきです。
平成の政治改革で企業団体献金は政党に対するものに限るとなりました。確かにそうなりましたが、議員が支部長の選挙区支部も政党だとなり、議員はもうひとつ財布を握ることになりました。
2007年に国会議員関係政治団体は、収支報告書の提出にあたって公認会計士や税理士などの登録政治資金監査人の外部監査を受けなければならないことになりました。
これも確かにそうなりましたが、監査人がやれることは帳簿に記載された支出と領収書がマッチしているかだけ。この支出が政治資金として適当かとか、支出が収入と符合しているかといった疑義を呈することは禁じられています。
今度の確認書も、連座的効果を発揮するのは確認もしないで確認書にサインしたときだけです。すると極端な話、秘書にまかせっきりはアウトだけれど、秘書と共謀して虚偽記載をしたときは、共犯の立証がない限りセーフということになります。議員は新たな隠れ蓑を手に入れることになります。
どれだけ事態が改善するのでしょうか。
――成田さんが携わった平成の政治改革以降も政治とカネの問題が相次いでいる現状をどう見ていますか。
ザルの目は小さくなっても水は漏る
成田氏:平成の政治改革を経ても、「政治資金規正法はザル法のままだ」と言われます。何かあって穴をふさいでも、別の穴が開いていると。
とはいえ、ザルの目はどんどん小さくなっているのも事実です。政治家個人への企業献金禁止によって、全体としての企業献金の額は大きく減りました。
以前は政治とカネといえば贈収賄でしたが、今は虚偽記載が中心です。贈収賄の手前で網がかかるようになっているのです。
ですが、どんなにザルの目を小さくしても水は漏る。じゃあ全部ふさごうというと、社会主義国の密告制度のようになってしまう。日本にはなじまないでしょう。
平成の政治改革で残された課題もたしかにありますが、大事なのは、時代の変化に伴って生じる問題に対して不断の政治改革で対応していくという発想ではないでしょうか。
民主主義の公明性や公平さ、誠実さをどう確保していくのか。そして、派閥という権力を取り払って、これからどうやって大きな政策を動かそうとするのか。
こうしたビジョンを一体的に描いた改革を、自民党をはじめ各党に求めたいと思います。
そして自民党がやり切れないとき、政権交代をしてそれを実現したというのが、平成の政治改革の最大の教訓です。
●“ポスト岸田”の「志ある」密かに燃える加藤勝信氏 「幸運の女神の前髪掴む」 4/28
「常に高みを見据える」。自民党・加藤勝信元官房長官が総理・総裁を目指すかを問われ、初めて公然と意欲を示したのは2018年10月。安倍政権下で、自民党の最終的な意思決定を行うポスト「総務会長」に任命された就任会見のときだった。
あれから5年半が経ち、この間は総理総裁への意欲についての発言を封印。そして現岸田政権下では3度目の厚労大臣となるも、去年9月に任を終えてからは閣僚や党の役職に就かず、鳴りを潜めている。しかし、心に灯した火は決して消えたわけではなくて――
「政治家というより官僚」「つまらない」立ちはだかる”1%未満”の壁
「加藤さんは世論調査の人気度で、ちょっと数字が低すぎるんだよな」
総裁選で動向が注目される自民党の閣僚経験者は、周囲にこう呟いた。
各社の世論調査で質問項目にある『次の総理・総裁にふさわしいのは誰か』。
選択肢にたびたび加藤氏の名前は挙がるものの、支持率は1%に満たないことがほとんどだ。
24年3月に実施したJNN世論調査では、1位から順に石破茂氏(19.0%)、小泉進次郎氏(15.8%)、上川陽子氏(10.0%)と続き、加藤氏は0.6%にとどまった。
コロナ禍の安倍政権で厚労大臣、続く菅政権では官房長官への登用と重要閣僚を歴任し、発信の機会を得ながら、なぜ“ポスト岸田”としての支持が広がらないのだろうか。
加藤氏の仕事ぶりを間近で見てきたある政府関係者は、加藤氏についてこう語る。
ある政府関係者「頭も良いし、加藤さんは何でもできる。総理になってくれたらやりやすい。ただ、政治家というより官僚のようだ」
元財務官僚の加藤氏。実際、永田町や霞が関で“加藤評”を聞いてまわると今でも、良くも悪くも「官僚のようだ」と評されることが少なくない。
その理由はまず1つに、加藤氏の実務能力には政官ともに一定の評価があること。
2020年9月に誕生した菅政権で、加藤氏は女房役の官房長官に抜擢された。安倍元総理の生前、自らが官房長官だった頃から菅氏は「他に官房長官が務まるのは加藤氏か河野氏」との考えを持っていた。
官房長官時代、幾多の災害や北朝鮮のミサイル対応など危機管理、調整能力の高さなどで腕を鳴らした菅氏。その菅氏から信頼を得るほどに、答弁力や安定感には定評がある。
また加藤氏は厚労大臣時代、働き方改革法、年金制度改革法、改正マイナンバー法など、重要法案の成立にあたり幾度も国会で答弁に立ったが、事前に所管省庁から説明を受ける「答弁レク」は、自ら想定問答をチェックし必要箇所のみ最小限で行い、理解も早い。
一方で、「官僚のようだ」と言われるもう1つの理由は・・・
ある政府関係者「加藤さんに足りないのは狡さ。裏表がないんだよな。良く言えば真面目だけど、つまらない」
別の政府関係者「加藤さんは面白味がない、遊びがない、意外性がない。もう少し素を見せたら良いのにと思う」
脱・「つまらない政治家」?SNS戦略で見栄えの良さより重視した「親しみやすさ」
加藤氏の答弁と言えば、厚労大臣時代の2018年、働き方改革の国会審議において、野党側から「質問に正面から答えず、論点をずらす、いわゆる『ご飯論法』だ」と指摘を受け、“不誠実だ”と批判もされた。
官房長官になった加藤氏は在任中、会見などで目立った失言もない一方で、カメラの前で相好を崩すことはほとんどなく、厳しい表情で記者とやり取りする姿が目立った。そのため、加藤氏の周辺は「冷たい印象を与える」「本来の人柄が伝わらない」と気を揉んだ。
そしてわずか1年で菅政権が終焉を迎え、加藤氏も任を終えた。官房長官が行う1日2回の会見がなくなり、“発信”の機会が減ることから、強化したのがSNSでの発信だった。
自撮り動画はSNS上で見知らぬ人が「かつのぶフレーム」と命名し、定着。文字入れの加工などは最近まで4女が担当していた。
視察や地元の行事などの訪問先で加藤氏が自撮りし、カンペを読まずに即興で話す。加藤氏のSNSに投稿された動画を見ると、顔面のアップで画面の半分ほどが埋まる不思議な構図。一貫しているのは、「手作り感」に拘り、あえてNGテイクで緩んだ表情の加藤氏の姿を載せるなど、「動画を見た人に親近感をもってもらう」ような動画であること。「つまらない」「遊びがない」など従来の“加藤評”を覆すべく、薄紙を剥いでいくような作業だった。
今も総理総裁への志消えず 密かに明かす胸の内
様々な角度から発信を試みる加藤氏だが、今もポスト岸田を見据えているのか。公の場でその核心に触れられることはなかったが、周囲にはその胸の内を明かしている。
「ずっと高みを見ている。志はある」
今でも総理総裁への意欲を持ち続けていることを、明言しているという。
まだ一度も総裁選に出馬したことのない加藤氏。では、いつ動くのか。
そもそも、世論調査の数字が低くても「ポスト岸田」の1人として加藤氏の名前が上がり続ける理由の1つに、清和研(安倍派)と志公会(麻生派)という、党内の2大派閥が、「加藤支持」でまとまる可能性がある、という点も大きかった。加藤氏は安倍元総理と近く、麻生副総裁も加藤氏を高く評価しているからだ。また、当選同期の萩生田前政調会長(安倍派)、武田元総務会長(二階派)と定期的に会合をもち、彼らからも「ポスト岸田」の一人として一目置かれる存在となっている。
しかし自民党派閥の裏金事件を受け、麻生派を除く派閥は解散。総裁選に向けての動きは不透明さを増している。
また、自身が所属する平成研の茂木会長が「ポスト岸田」をうかがっていることから、加藤氏も表立っては動きにくかった。派閥としての平成研は解消されたものの、「政策集団」としては存続することとなり、加藤氏は現在もメンバーとして残ったまま。今後、加藤氏がどう動くのかが注目されている。
そんな中、加藤氏は今のタイミングで「ポスト岸田」を狙い、自ら積極的に動くことには否定的な考えだという。
「仕掛けた人は大体、嵌っている。やはり大きな流れというのがあって、それに乗っていくものだ。『幸運の女神に後ろ髪はない(古代ギリシャの諺)』。前を通り過ぎた時には掴める後ろ髪がないので、ふっと現れた時すかさず前髪を掴めるよう準備はしている。いつ、何があるか分からないから」(加藤氏・周囲に対し)
加藤氏は時流に乗ることを大切にし、頼まれた仕事は基本的に断らないスタンスだ。一方で、自ら手を挙げ「これをやりたい」ということはない。それゆえ、「何でもできるが、何を一番したいのかが分からない」と評されることもある。自分が総理総裁になり、一番やりたいことは何か。それは加藤氏自身も模索している最中であるように思える。
党内で今も社会保障や憲法改正、税調の議論をリードする責任ある立場を任されている加藤氏。存在感を示し、総理総裁への足がかりを掴むことはできるのか。
準備に時間をかけ没頭していれば、幸運の女神を見逃すことにもなりかねない。
●丁半バクチの下手な男の小咄(こばなし)がある。この男が丁(… 4/28
丁半バクチの下手な男の小咄(こばなし)がある。この男が丁(偶数)と賭ければ半(奇数)、半と賭ければ丁と出る、腹を立てた男はヤケになって丁と半の両方に賭ける。壺(つぼ)を開けるとサイコロが二つ重なって勝負なし…。品のないたとえだが、丁と半の両方に賭けるというのは外交の世界では珍しいことではないらしい。「賭場」は米大統領選である。トランプさんの勝利にも賭けたか。自民党の麻生太郎副総裁が大統領選挙に出馬しているトランプ前大統領と約1時間会談したそうだ。岸田政権は再選を目指すバイデン大統領と良好な関係にあるが、選挙戦がどう転ぶかが見えず、トランプさんの勝利の可能性も見据えての会談と伝わる。日本としてはバイデンさんにもそのライバルのトランプさんにも賭けておこうというわけである。英国なども既に「トランプ詣で」を済ませたそうだ。日米同盟を外交の基軸とする日本としては「次期大統領」との親密な関係は欠かせないのは理解するにしても丁半両方とはいささか品位には欠けまいか。岸田さんは先の訪米でバイデンさんから歓迎を受けたばかりというのもきまりの悪い話だろう。麻生・トランプ会談を日本政府は「一議員の訪米で政府は無関係」と説明するが、それでバイデン政権が笑って納得してくれるか。バイデン再選の場合、先方にわだかまりも残りそうなバクチにも見える。
●国民に地獄へ落ちろと?…鬼の岸田政権「増税、増税まだ増税」金融所得で保険料増に「もう限界だ!」新NISAで躍らせ負担を強いる 4/28
岸田文雄政権が医療・介護の保険料算定に株式配当などの金融所得を反映させる検討を始めている。超高齢社会の到来に伴い、社会保障費の膨張に対応するため保険料負担を増やすことが狙いだ。だが、首相が「Invest in Kishida!」(岸田に投資を!)とまで宣言し、今年1月にスタートさせた新NISAをプッシュしておきながら、負担増を強いる姿勢には「これが狙いだったのか」といった疑念が渦巻く。「国民に地獄へ落ちろというのか」などとうい声も聞こえる。経済アナリストの佐藤健太氏は「物価上昇に加え、金利上昇の波も押し寄せる中、子ども・子育て支援金の負担も始まる。国民の我慢は限界が近づいてきている」と厳しい。
「増税は考えていない」と言い続けた岸田首相
2022年5月、岸田首相は英・ロンドンの金融街シティーでの演説で「安心して投資して欲しい」と呼びかけ、自らが唱える「新しい資本主義」をアピールした。その具体的内容は明らかではなかったが、政権発足から3年目に入り、うっすらと姿が見えてきた。たしかに岸田氏は「成長」だけではなく、「分配」に重きを置いていることは知られていたが、ここまで分配を採ってくるとは多くの人が思わなかったに違いない。
首相は「増税は考えていない」と繰り返してきたものの、あの手この手で国民からお金を徴収するスキームを描いてきた。防衛費大幅増に伴う所得税、法人税、タバコ税の増税プランに加え、2026年度に開始される「子ども・子育て支援金」は被保険者1人あたりの負担額が2028年度に年収400万円で月650円、年収600万円で月1000円、年収800万円で月1350円と試算されている。
一部から「増税メガネ」と揶揄され、防衛増税は実施時期を先送りしたものの、森林環境税(年額1000円)は2024年度にスタートした。75歳以上の人が支払う医療保険料は2024年度に平均で6000円(年間)アップし、国民年金保険料の納付期間は65歳になるまで5年延長することが検討されている。
「減税分や補助金事業の回収をこれからスタートします」
首相の諮問機関である政府税制調査会が2023年6月に提出した中期答申では、同じ会社に長く務めるほど優遇される退職金の課税見直しなども検討するよう求めている。今後も国民はどんな負担増が待っているのかと不安になるのは当然だ。
2023年は全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年比3.1%上昇し、1982年のオイルショック以来41年ぶりの高水準となった。ワンショットの定額減税を除けば、岸田首相が国民の苦境に寄り添った政策を講じてきたとは思えない。物価高騰対策として始めた電気・ガス料金の負担軽減措置は5月末で打ち切るという。これでは「減税分や補助金事業の回収をこれからスタートします」と言っているようなものではないか。
岸田政権が「金融所得」を狙い撃ちにしていることも疑問だ。国家のリーダーが強烈に推進してきたこともあり、1月にスタートした新NISAは好調な滑り出しを見せた。2月のNISA口座新規開設件数は53万件と、2023年1〜3月の増加数(平均)と比べ2.9倍増加している。東京証券取引所によれば、4月第3週は個人投資家の現物株買い越しが過去最大の9085億円に達し、NISAマネーの流入が膨らむ。
「1億総投資家」構想を打ち出しながら、金融所得を狙い撃ち
少額投資非課税制度の拡充策で「1億総投資家」構想を打ち出しながら、金融所得を狙い撃ちにする首相の姿勢には、頭をかしげる人が少なくないのではないか。投資を推進したいのか、ストップをかけたいのか分からない。
政府は2023年12月に社会保障改革の工程表を決定した。それによると、「国民健康保険制度、後期高齢者医療制度及び介護保険制度における負担への金融所得の反映のあり方について、税制における確定申告の有無による保険料負担の不公平な取扱いを是正するため、どのように金融所得の情報を把握するかなどの課題も踏まえつつ、検討を行う」とある。
2月26日の衆院予算委員会では、立憲民主党の岡本あき子氏が「保険料算定に金融所得を使う。適正化の下に医療や介護の保険料値上げ、サービス縮小そういう改革になってしまわないのか。結局、負担金を増やしていくといくことに変わりないと思う」と問いただした。これに対し、岸田首相は「全世代型の社会保障を実現して持続可能性を高めるという努力、議論を続けていかなければならない課題だ」などと答弁している。
アクセルとブレーキを同時に踏むような施策
社会保険料の算定ベースに年間収入だけではなく、保有する預貯金や金融資産といった「ストック」も含めて算出することは政府内で20年以上も議論されてきた。実際の負担能力に近い応能負担を実現するというのが狙いだ。現行の国民健康保険や後期高齢者医療制度、介護保険における保険料の算定は、市町村民税の課税所得をもとに所得を判断している。現在は確定申告をした人は保険料に反映されるものの、源泉徴収を選択して未申告だった人は対象にならず「不公平」との指摘がなされてきた。
ただ、未申告だった人の保険料は大きく増える可能性がある上、金融所得の把握方法や自治体の事務負担増など課題は山積している。政府は2028年度までに検討するとしているが、アクセルとブレーキを同時に踏むような施策がなぜ今のタイミングで必要なのか国民への説明が欠かせないだろう。
岸田政権は2023年度の税制改正で富裕層への課税強化も打ち出した。資産所得が多い人にターゲットを絞り、年間総所得が30億円超の富裕層を念頭に2025年から追加の税負担を求めるというものだ。対象はまだ少ないとみられるが、努力して富裕層の仲間入りを果たした人を岸田政権がなぜ「不公平」と狙い撃ちするのか理解に苦しむ。
社会保険料のアップといった「隠れ増税」は国民に打撃を与える
「30億円超なんて一握り。だから搾取しても構わない」という人もいるかもしれない。しかし、この「30億円超」というハードルが今後下がらない保証はどこにもない。時の政権の意向で「10億円」「5億円」に対象が広がっていくかもしれないことは注意しておく必要がある。せっかく努力して成功をつかんでも、そこに負担増が待っているのであれば、海外に飛び出す人がたくさん出てくるのではないか。
2023年11月に会計検査院が提出した2022年度決算検査報告によれば、税金の不適切な支出や無駄遣いは国の事業で344件、約580億円に上る。岸田首相はさらなる消費税増税を否定するものの、社会保険料のアップといった「隠れ増税」は国民に打撃を与える。しかも、国民から徴収したお金が不適切な支出や無駄遣い、さらには政治家の「裏金」に使われているのであれば、たまったものではない。
岸田政権の姿勢として浮かび上がるのは、「取れるところから搾り取れ」というものだ。物価高騰で苦しみ、これ以上の負担増を懸念する国民の声に「聞く力」を発揮していないのは間違いない。
●岸田首相X投稿が炎上&トレンド入り 日本経済めぐる言葉に「経済音痴」「どこ見てんだよ」 4/28
岸田文雄首相が27日に自身のX(旧ツイッター)に投稿した「いま日本においては30年ぶりに経済の明るい兆しが出てきました」というフレーズが28日、一時、インターネット上のトレンドワードとなった。
岸田首相は27日、衆院島根1区補選(28日投開票)の自民党候補の応援に入った。同日夜、その際の写真とともに「いま日本においては30年ぶりに経済の明るい兆しが出てきました。大企業だけではなく中小企業、そして地方、農林水産業、介護、福祉、建設等様々な分野で幅広く賃上げを広げていかなければならない」などと投稿した。
ただ、現在日本では急激な円安が進行しており、国民は深刻な物価高にも苦しんでいる。そうした中での「経済の明るい兆し」という首相の楽観的ともいえるフレーズには「どこをどう見れば明るい兆しなんだよ?」「円安で国民の貯金は毎日価値が減っています。どうするんですか?」「どこ見てんだよ」「経済の明るい兆しが、全く見えません。島根一区だけに見えているのでしょうか?ご都合の良いことですね」など疑問や反発のコメントが多く寄せられた。
「本当に経済音痴。。。表面的な数値で判断するのは危険すぎます。これを書いている行政の方々、政治家の方々にはきちんと現状分析をして頂きたいです」と指摘する声もあった。
●衆議院 東京15区 島根1区 長崎3区 補欠選挙の投票始まる 4/28
衆議院の3つの補欠選挙の投票が始まりました。結果は岸田総理の解散戦略に影響を与える可能性があります。
補欠選挙の投票が行われているのは、衆議院の東京15区、島根1区、長崎3区です。
このうち東京・江東区役所に設けられた東京15区の投票所では、けさ7時から投票が始まりました。
東京15区では、きのうまでに有権者のおよそ13パーセント、5万6169人が期日前投票を行いました。
今回の補選は自民党の派閥の裏金事件が明らかになって以降、初めての国政選で、自民党は東京15区と長崎3区で候補を立てず不戦敗となり、島根1区だけが与野党対決の形となりました。
結果は岸田政権の今後の政権運営や解散戦略に影響を与える可能性があります。
即日開票され、今夜遅くには大勢が判明する見通しです。
●衆議院長崎3区補欠選挙、午前10時現在の投票率6・33%…21年衆院選を下回る 4/28
長崎県選挙管理委員会によると、衆院長崎3区補欠選挙の午前10時時点の投票率は6・33%で、2021年衆院選の同時刻との比較では4ポイント減だった。
17〜26日の期日前投票者数は2万7836人で、期日前投票率は11・99%。21年との比較では、投票者数が1万9679人減、投票率も8・04ポイント低かった。
●衆院補選 島根1区 舌戦に幕、一票に命運 錦織候補「政治改革 先頭に立つ」 亀井候補「島根から政治変えて」 4/28
衆院島根1区補選は27日、12日間の舌戦を終えた。立候補した自民党新人、立憲民主党元職の2人は選挙戦最終日も街頭に立って主張を訴え、有権者と握手し、選挙カーから手を振り、最後まで支持を求めた。3補選で唯一の与野党対決となり、岸田政権の命運を左右する戦いの行方は有権者が投じる1票に託される。届け出順に27日の様子を紹介する。
錦織功政候補 55歳(自民、新)
錦織功政候補は午前10時半、安来市内のショッピングセンター前で街頭演説を開始。その後、松江市内を回り、財務省など30年間の行政経験を生かして国とのつなぎ役を担うと訴えた。
学生時代に合唱部で鍛えた喉はつぶれ、色白だった顔は連日の街頭演説で赤黒く日焼け。松江市八幡町の武内神社前の演説では鬼気迫る表情で「全身全霊を傾けて選挙戦を繰り広げた証しだ」と胸を張った。
自民派閥の政治資金パーティー裏金事件で逆風を受ける中、終盤戦に政治改革の主張を「先頭に立つ」と踏み込んだ。公共事業の推進や中小企業の後継者確保などの政策を挙げ、「人口減少に対し、政策を打って打って、打ち続けると約束する」と力を込めた。
合言葉は「逆転の錦織」。岸田文雄首相も、国会議員も、司会も皆が連呼した。最終演説は松江市中原町の松江しんじ湖温泉駅前で約900人を集め、「残りの生涯を全てささげて古里の発展のために誠心誠意働く。どうか、私に仕事をするチャンスを与えてほしい」と声を振り絞った。
亀井亜紀子候補 58歳(立民、元)
亀井亜紀子候補は午前8時、松江市玉湯町内のコンビニエンスストア前から最終日の遊説を開始。大票田・松江市のスーパー前やメーデー会場などを回って「必ず投票に行ってほしい」と繰り返した。
市内の8団地では各団地で選挙カーを止め、ミニ演説会を急きょ開催。玄関から出てくる人や窓越しに手を振る人もおり、イメージカラーのオレンジ色のランニングシューズで駆け寄って一人一人の手を握った。
街頭では、立憲民主党の辻元清美代表代行や連合島根、国民民主党県連の幹部と並び、少子化対策の財源を公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」は実質的な増税と批判。「政治を変えるチャンスが島根1区の住民にだけある」と訴えた。
松江市殿町の島根県庁前での最終演説では、オレンジ色のバルーンスティックを打ち鳴らして応援する約400人を前に「古い政治を一掃し、増税を止め、自民王国の島根から皆さんの力で政治を変えて。最後まで私と一緒に戦って」と声を張り上げた。
●森永卓郎の本音 政権交代にワクワクしないワケ 4/28
裏金問題や相次ぐ不祥事によって、6月にも見込まれる解散総選挙で、自民党が下野する可能性が出てきた。ところが、政権交代に対する期待感はまったくない。結果的にどうだったのかは別にして、2009年の政権交代の際には、政治や経済が大きく変わり、国民生活が改善するのではないかというワクワク感があった。今回それがないのは、仮に立憲民主党中心の政権ができたとしても、マクロ経済政策が何も変わらないと見込まれるからだ。
いつの時代も、どの国でも、国政の最大の対立は、財政金融政策で緩和政策を取るか、緊縮政策を取るのかということだ。今の岸田政権は、歴史上まれにみる緊縮政策を敷いている。デフレが継続する中で、安倍政権末期に80兆円の赤字を出した基礎的財政収支赤字は、今年度予算で9兆円まで圧縮されている。しかも税収を過少推計しているので、実質は黒字だ。
にもかかわらず、増税・負担増路線は変わらない。能登半島の地震では、震度7以上の地震で必ず組んできた補正予算も組まなかった。そのため、4月23日現在で、珠洲市の水道復旧率は41%にとどまっている。金融政策も、マイナス金利解除を断行した植田日銀は、さらなる利上げを示唆している。このまま行ったら令和恐慌到来は確実だ。
ところが、立憲民主は引き締め政策を批判しない。細かい違いはあるが、基本的には自民党と同じ緊縮政策なのだ。緩和策を掲げるれいわ新選組のような政党もあるが、候補者が少ないので、少なくとも小選挙区での選択肢にならない。だから、一番望ましいのは、立憲民主が他の野党と協調して、緩和策を打ち出すことだ。そんなに無理なことではないと思う。前回の総選挙で、野党は消費税引き下げで共闘したのだから。
●「岸田政権の行方に大きな影響を与える」 舛添要一前都知事、衆院3補選に言及も反応は鈍く… 踏み込み不足が原因か 4/28
国際政治学者の舛添要一・前東京都知事が28日、自身のX(旧ツイッター)で同日投開票の衆議院の3選挙区の補欠選挙に言及した。しかし、反応はほとんどなく閑古鳥状態となっている。
「今日は衆院3補選の投票日。岸田政権の行方に大きな影響を与える。また、東京15区補選では、学歴詐称疑惑が再燃している小池百合子都知事も問われている。小手先の対応、嘘で固めた経歴などに対して、有権者の審判が下るかどうか、注目したい」
これに対し、投稿から約1時間半経過した正午時点でも、ついたコメントは「3」だけ。衆院補選についても自身の後任の小池都知事についても、踏み込んだ言及がなかったことがスルー状態につながっているとみられる。
舛添前都知事のアカウントは、国内外のニュースを引用して「パリ五輪が近づいている」「円、一時、1ドルが155円に。この円安はひどすぎる」など、あっさりした投稿が続いている。
●岸田首相米国議会演説の自虐ネタユーモアと「もしトラ」の恐怖 4/28
英語圏ではユーモアありき。知的でもてる人の大前提
欧米社会、英語コミュ力において、ウィットやユーモアは、不可欠です。
とにかく、絶妙なタイミングで気の利いたユーモアを言える人は、頭の回転の速い人、何より、男女問わず人気者、「もてる人」となるのです。
その点、先日の岸田首相の米国議会演説は、ユーモアに溢れていたという点でも、英語話者としてお手本になるでしょう。
(くどいでようですが、だからといって岸田政権を支持するというわけではないですが。)
特に、拍手で米国議会に迎えられて後の、スピーチ冒頭の下記ユーモアは、いろいろな意味で、ただの「自虐ネタ」と言えない深みがありました。
Thank you, I never get such nice applause from the Japanese Diet.
(ありがとう。こんな素晴らしい拍手を日本の国会からもらったことは一度もありません。)
この時、米国議会場でどっと笑いが起きます。
岸田政権の支持率が下がっていることは米国でも知られているし、また、ご当地、バイデン大統領も、高齢であることやイスラエルへの対応などで支持率が芳しくなことにも重なるのでしょう。
しかし、ポイントは、その笑いの後に拍手が起こり、スタンディングオベーションさえあったことです。岸田首相も、その拍手に我が意を得たりのごとく、微笑みながらウンウンとノディング(うなずき)をしています。
これは何を意味するのでしょう?
それは、第一に、独裁国家との比較でしょう。
北朝鮮を思い起こしてください。
金正恩氏が最高人民会議場に入場する際は、そこにいる全員が起立し、一糸乱れぬ拍手をするのが通常です。もし一人でも拍手しない「同志」がいたら、翌日には抹殺されているでしょう。
それは、ロシアや中国とて似たり寄ったりではないでしょうか。
「民主国家の長たる者、自国の国会から大拍手なんかもらったら、ある意味終わりだよね。」
そんなシンパシーが会場に漂っていたのかもしれません。
「もしトラ」から「ほぼトラ」へ。民主主義の砦の終わりの予感?
更にここからは、私の深読みですが、「もしトラが現実になったら、話は別だよね。」こんなニュアンスが共有されていたかもしれません。
もしトラとはご存知のように、もしまたトランプ氏が大統領に返り咲いた場合の、日本含む国際社会全体の備えのこと。
なんでもトランプ氏は、「ディープステイト(闇の政府)を解体すること。」を公約の第一に掲げているというではありませんか。
トランプ支持者たちは、この北朝鮮ばりの陰謀論を信じて疑わない層であり、なんと米国成人の4割が信じているというデータさえあります。
岸田氏はスピーチでこう挨拶しました。
I am truly honored to speak here in this citadel of democracy.
(私は、この民主主義の本拠地で演説できることを、真に誇りに思います。)
citadalは、城砦とか砦といった意味があります。
もしトラは、今や「ほぼトラ」となっているようで、「これで民主主義の砦もいよいよ終わりか。」との哀愁さえあったかもしれません。。
そう考えると、民主国家のリーダーは、下手にカリスマ性などなく「どうしようもないねぇ。」と国民が気軽にこきおろせるような、岸田首相みないにどこにでもいる普通のおじさん風の方が適しているのかもしれません。
ただ、そのように国民を油断させておいて、タカ派バリバリの政策をいつの間にか推進しまうという、アクロバティックな手法を取るケースもあるでしょう。
いずれにせよ、政治を負託している側の私たちは、「岸田首相の英語、結構うまいらしいよ。」そんなことでもネタにして、あきらめずに政権を監視し、最低でも話題にする努力をすべきでしょう。 

 

●投票は「裏金問題重視」が77% 島根1区、出口調査分析 4/29
衆院3補欠選挙のうち自民党が唯一候補を擁立した島根1区補選で共同通信社が実施した出口調査によると、投票の際、自民の裏金問題をどの程度重視したかとの質問に「大いに重視した」は40%、「ある程度重視した」は37%で、計77%に上った。自民と立憲民主党による一騎打ちとなった注目区で、裏金問題が投票行動に影響したことが裏付けられた形だ。
「あまり重視しなかった」は13%、「全く重視しなかった」は4%にとどまった。
東京15区補選では同様の質問に「大いに重視した」44%、「ある程度重視した」33%、「あまり重視しなかった」15%、「全く重視しなかった」5%となり、島根1区と同傾向だった。
長崎3区補選では投票の際、何を一番重視したのかを質問した。「政治とカネ」は16%で、他は「年金・医療・介護」28%、「景気・雇用」17%、「教育・子育て」15%が多かった。
●梅沢富美男 衆院3補選、自民“全敗”も…裏金問題の真相究明求める「1番許せない」 4/29
俳優の梅沢富美男(73)が29日、コメンテーターを務める日本テレビ系「ミヤネ屋」に出演。28日に投開票された衆院3補欠選挙の結果を受け、自身の思いを述べた。
派閥の裏金事件後初の国政選挙で、自民党は候補を唯一擁立した島根1区で立憲民主党に惨敗した。東京15区、長崎3区は不戦敗で全敗。立民が全勝した。
3選挙区は元々自民の議席で、岸田降ろしが本格化する可能性がある。東京15区で小池百合子東京都知事が全面支援した無所属の作家・乙武洋匡氏が落選し、集票力を誇った小池神話の陰りが指摘され始めた。
この結果を受け、番組の司会を努めるフリーアナウンサーの宮根誠司が「総裁選で総裁が変わるのか岸田さんが再選するのか。我々の関心は政治とカネの問題で。裏金の問題がちゃんと究明されるのか…」と不安視した。
梅沢は「ネタをほかの方にどんどんも持っていこうとしているのが1番許せないところ。はっきりしてもらわないと。それがあってこういうことになったんだよってことが大事ですから」と政治とカネの問題をめぐり真相の究明を求めた。
●衆院3補選敗北 岸田政権に与える影響は 4/29
衆院3補欠選挙の敗北が岸田政権に与える影響について国会記者会館から中継です。
岸田首相の政権運営はますます厳しさを増し、今の国会中に衆議院を解散するのは難しくなったとの見方が広がっています。
自民党・茂木幹事長「非常に厳しい結果だとこのように今、考えております。率直に時間はかかると思いますが、国民の信頼をもう一度回復できるように努めていきたいと思います」
自民党内からは「責任を取って茂木幹事長が辞任すべきだ」との指摘も出ていますが、茂木氏は辞任は否定しました。
党内には「岸田首相が局面打開のため茂木幹事長の交代を含む人事に踏み切るかが焦点だ」との見方が出ています。
一方、自民党議員からは「岸田首相のままでは選挙はとても戦えない」との声もあがります。ただ、岸田首相は大型連休中は外国を訪問していて追及される場がないほか、首相に批判的な議員も主戦場は9月までにある「自民党総裁選」とみていることなどから、すぐには「岸田おろし」の動きは起こらない見通しです。
立憲・泉代表「自民党の政治改革案がやはり進まないようであれば、我々は早期の解散これを求めていきたいと考えています」
一方、立憲民主党は全勝の勢いに乗って早期の解散・総選挙に追い込みたい考えです。
後半国会の最大の焦点は政治資金規正法の改正ですが、岸田首相が法改正を実現できるかは予断を許さない状況で、国会は会期末に向け緊迫した展開も予想されます。
●派閥解体で「無敵の首相」になった岸田政権が「自民党補選3連敗」に沈んだ「本当の理由」 4/29
立民3連勝、自民3連敗
4月28日、注目の衆院補選が行われた。東京15区、長崎3区において自民党は「不戦敗」で、島根1区のみ財務省出身の候補者を立てたが及ばず、亀井亜紀子氏(立民)が勝った。
ちなみに長崎3区は山田勝彦氏(立民)が勝利し、混戦の東京15区は9人が乱立する選挙となったが、酒井菜摘氏(立民)が勝利した。結果的に自民3連敗、立民3連勝となった。
自公で候補者を立てなかった長崎3区、東京15区は投票率が前回に比べて10%ポイント程度低下した。GWも影響したのか自公票は伸びず、一方で他候補は自公票を取り込めなかった。なお島根1区は投票率はほぼ前回並だったので自公が力負けしたのだろう。
長崎3区、東京15区は野党の間の争いだったが、結局立民が野党第一党の意地と組織力を見せた。
今回の補選は、少なくとも島根1区では岸田文雄政権に有権者が審判を下す機会になった。「政治とカネ」に加え、震災対策、経済政策など課題は山積している。
政治とカネをめぐる問題おいて「お公家集団」といわれた宏池会であるが、岸田首相は安倍派、二階派、茂木派を解散させたうえで麻生派を「温存」し、「大宏池会」の結成に成功した。これで党内闘争に勝利を納めたわけだが、岸田首相は他人に厳しく自分には甘いことを世間にさらしてしまった。
震災復興はなぜ遅れたか
元日に発生した能登半島地震では、ボランティアとして被災地入りを重ねているアルピニストの野口健氏は「復興の遅れ」や「東京と現地の温度差」を指摘する。
筆者は、復興の遅れについて、昨年度に復興補正予算を出さなかったからと見ている。
気象庁の震度データベースで1919年以降、震度7を記録したものを調べると、1923年9月1日関東大震災、1995年1月17日阪神淡路大震災、2004年10月23日新潟県中越地震、2011年3月11日東日本大震災、2016年4月14、16日熊本地震、2018年9月6日北海道胆振東部地震が起こっている。
その後の財政対応を見ると、1995年阪神淡路大震災のとき1兆223億円の補正予算が2月24日閣議決定、28日国会で成立。2004年新潟県中越地震では、1兆3618億円の災害対策費などの補正予算が12月20日閣議決定、2005年2月1日に国会成立となっている。
また、2011年の東日本大震災では、4兆153億円の補正予算が4月22日閣議決定、5月2日国会成立した。2016年熊本地震では、7780億円の補正予算が5月13日閣議決定、17日国会成立。2018年北海道胆振東部地震では、他の豪雨災害などとともに9356億円(地震への対応は1188億円)の補正予算が10月15日閣議決定、11月7日国会成立という前例がある。
こうした過去の前例をみると、例外なく震災発生後1ヵ月少しで災害対策費などの名目で補正予算が作られた。しかし、今回は予備費対応だった。予備費対応は、各省で詳細な帳簿管理が必要になるなど手続きが煩瑣でまとまった政府支出に不向きだ。
財務省はどうみているのか。4月9日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会を開き、能登半島地震の被災地の復旧・復興について、将来の需要減少や維持管理コストも念頭に置き、住民の意向を踏まえ、十分な検討が必要だとしている。
震災復興について、よりによってコスト論を持ち出したのかと、元財務官僚の筆者は呆れてしまった。被災地の多くが人口減少局面にあることも議論されたらしい。あえて極論を言えば、能登半島のような過疎地では、復興のための財政支出を無駄と財政当局は認識しているのではないかと邪推してしまいそうだ。
さすがに、財務省のこの意見は酷い。石川県の馳浩知事は、11日の記者会見で「最初から『上から目線』でものを言われているようで、大変気分が悪い」などと述べ、不快感を示した。ちなみに、馳知事は、1月10日の年頭記者会見で、能登半島地震からの復興のため政府に「数兆円規模の補正予算の編成を1カ月以内にお願いしたい」と述べていた。
日銀が「動いてはいけない」ワケ
こうした政府の「渋ちん」な姿勢は、日銀の金融政策にも間接的に影響を与えているだろう。
3月19日の金融政策決定会合で日銀はマイナス金利の解除を決めた。これは金融引き締めであり、政府の財政緊縮と表裏一体である。
インフレ目標は2%であるが、3月の利上げ直前、2月27日公表の1月のインフレ率は、いずれも前年同月比で消費者物価総合指数2.2%、生鮮食品を除く総合指数2.0%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数3.5%だ。この程度で、本格的なインフレとは言いがたい。
まず、インフレ目標の2%はプラスマイナス1くらいの幅がある。それに加えて、金融引締めは遅れて行う、いわゆるビハインド・ザ・カーブの運営なので、少なくとも4%くらいまでは動くべきでない。
特に、コストプッシュの場合にはインフレ率の上昇が継続的などうかを見極めるために、すぐには動かないのだ。今の日銀は、今年1月の日銀展望レポートで消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年比は2.4%と昨年10月の2.8%から下方修正されているので、こうした見通しからも、筋論としては動いてはいけない。
なお、アメリカのインフレ目標は、コア個人消費支出価格指数(対前年同月比)でみていが、金融引締めを開始した2022年3月のコアは5.4%。金融引締めにより、その後一時上がったがすぐにピークアウトし低下に転じて11月コアは3.2%になっている。この動きは、まさに金融引締めは遅れて行う、ビハインド・ザ・カーブだ。
なぜ、日銀とFRBに違いがあるのか。そのため、まずそれぞの経済見通しを見てみよう。
4月26日に日銀より公表された経済・物価情勢の展望では、消費者物価指数(除く生鮮食品)の対前年度比について、政策委員の見通しは、2023年度2.8%、2024年度2.8%、2025年度1.9%と、インフレ目標の範囲内といってもよく、物価高騰の問題は見えない。
また、実質GDP成長率は、それぞれ1.3%、0.8%、1.0%と1月段階より下方修正されている。
6月解散で「補選の再来」が起こるか
また、3月20日のFRBより公表されたFOMCによる経済見通しでは、インフレ率(個人消費支出デフレータ)について、2024年2.4%、2025年2.2%。実質GDP成長率では、それぞれ2.1%、2.0%。さらに、日銀にはない失業率見通しもあり、それぞれ4.0%、4.1%となっている。失業率が下がらないのは失業率がほぼ下限近くになっているからだろう。
日銀もFRBもともにインフレ目標は2%である。インフレ率の見通しでは、両国に大きな差があるとは言えない。
しかし、日銀は3月に利上げをしたが、さらに植田総裁は追加利上げの意向を隠さない。一方、FRBは、年内に3回利下げするとの見通しを明らかにしている。
日銀とFRBの一番大きな相違点は、経済見通しにも表れているが、雇用つまり失業率を考慮するかしないかだ。2023年2月13日付けの現代ビジネス〈岸田政権のサプライズ「植田総裁」人事で、これから起こることを予言しよう《高橋洋一の視点》〉で指摘してきたが、植田総裁は雇用より金融機関経営を優先する。そのため、ビハインド・ザ・カーブを無視して利上げに前のめりになる。
日銀の主たる目的は、日銀法においては「物価の安定」である。これは日銀法2条に規定されている。物価の安定が二重の責務(物価・雇用の安定)から雇用の確保につながるのはFRBを含む世界の中央銀行では常識だ。つまりFRBなどの先進国中央銀行固有の目的といえば二重の責務となる。
しかし、日銀は雇用について、明示的に言及しない。それが経済見通しにもでている。FRBは法的根拠なしでも歴史的に二重の責務を負っている。日銀も二重の責務のために経済見通しで失業率を加えるべきだ。
冒頭に述べた通り、岸田政権は補選3連敗だ。なおも有力派閥解散した自民党内で「岸田降ろし」の兆候はまだない。それどころか、6月解散のために、自民党で夏の活動費の支給を前倒しするという観測も出ている。
そうなった場合、島根1区の再来が起きるかもしれない。保守王国で、財務省候補で島根1区が負けたのは、政策論的には、震災対策と経済が無関係ではないだろう。
●衆院3補選 全敗の自民に「顔を洗って出直せ」…立民幹部、裏金解明や政治改革を要求 岸田政権のゆくえは 4/29
衆院の3補欠選挙は28日投開票され、いずれも立憲民主党の候補が制した。派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る逆風にさらされる自民党は島根1区で議席を奪われ、東京15区、長崎3区では候補者を立てられずに不戦敗。実質的に3議席を失った形で、岸田政権は大きな打撃を受けた。
東京15区は酒井氏初当選、小池知事の求心力に陰り?
公選法違反事件を巡る柿沢未途氏=自民離党=の辞職を受けた東京15区では、立民新人の元江東区議酒井菜摘氏(37)が、無所属新人で前立民所属参院議員の須藤元気氏(46)、日本維新の会新人の元江崎グリコ社員金沢結衣氏(33)、諸派「日本保守党」新人の麗沢大客員教授飯山陽氏(48)らを大差で引き離して当選を決めた。小池百合子都知事の支援を受けた無所属新人の作家乙武洋匡氏(48)は5番手にとどまった。東京15区の投票率は40.70%で、過去最低だった2017年の55.59%を14.89ポイント下回った。
酒井氏は28日夜、当選確実の報道を受けて「利権やお金で動く政治ではなく、国民の声を受け止めて動く政治を掲げた。一定の理解を得た」と述べた。自民派閥の裏金事件が追い風となる中、共産党が自前候補を取り下げて支援に回った。
金沢氏陣営は、馬場伸幸代表や吉村洋文共同代表ら党幹部を相次いで投入。「政治とカネ」を巡り政権を攻撃する一方で立民批判も展開したが、有権者に浸透しきれなかった。
乙武氏は、小池知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」を母体とする「ファーストの会」の推薦を受けた。自民は相乗りする方針だったが、地元の反発もあって見送り、公明党も支援に踏み切れなかった。小池知事は、21日投開票の目黒区長選で支援する候補が敗れ、今回の選挙では乙武氏が大敗。求心力の陰りを指摘する声も上がりそうだ。
島根1区は自民の細田博之前衆院議長の死去、長崎3区は裏金事件を巡る谷川弥一氏=自民離党=の辞職を受けて実施された。
がんや不妊治療乗り越え、区議時代は医療施策に尽力
立憲民主党新人の酒井菜摘さん(37)は「政治とカネ」を巡る政権批判の受け皿として幅広い層からの支持を集め、次点に大差をつけて初当選した。
当選確実の報を受けた午後8時過ぎ、喜びに沸く事務所であいさつに立った酒井さんは「市民と野党の共闘候補として、みなさまに支えていただいたことは一生、忘れられません」と共産、社民両党の支援を受けた選挙戦を振り返り「まっとうな政治を実現していきたい」と力を込めた。
酒井さんは看護師・助産師として地元の病院で勤務後、区議2期を務めた。がんや不妊治療を乗り越えてきた自らの経験を語り、がん患者支援や医療施策などさまざまな声を行政に届けてきたことなど、区議時代の実績を強調した。子どもを大切にする社会の実現や、ひとり親支援の充実、保育士配置基準の見直しなども掲げ、子育て世帯の共感を広げた。
立民は、泉健太代表、長妻昭都連会長ら党幹部が連日応援に駆けつけ、自民批判を繰り広げた。勝利を受け、長妻氏は事務所で「はっきりと自民の政治改革案、裏金の実態解明に落第点がついた。顔を洗って出直せということだ」と語った。
裏金だけじゃない…「聞く力」なき自民体質への審判 政治部長・関口克己
衆院3補選で、自民党は不戦敗を含めて全敗を喫した。真相究明に後ろ向きな裏金事件が逆風となったのは間違いないが、敗因はそれだけだろうか。安全保障やくらしに直結する重要課題について、国民への説明を尽くさず、国会での熟議も避けて決めてしまう安倍政権から岸田政権へと続く自民党の体質を否定する審判だと思えてならない。
岸田文雄首相は先の訪米中、「日本は米国の最も近い同盟国」と言い切り、バイデン米大統領との会談では日米軍事協力の強化で合意した。専守防衛を掲げる日本が、米国の戦争に巻き込まれる危険性を高めかねない表明は、国民的議論を踏まえたものなのか。国賓待遇を受けた高揚感で世界に語るべき言葉ではない。
国民のくらしに目を向けても、同じように映る。
少子化対策の財源として公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」。首相は「実質負担は生じない」と、国民の理解とはほど遠い説明を繰り返す。紙の保険証は12月に廃止し、マイナンバー保険証に一本化する。そこに高齢者や医療機関の不安に寄り添う姿勢を感じ取ることは難しい。
物価高に苦しむ国民生活を立て直す気概を、私は首相からくみ取れない。「聞く力」を失った政権に対する国民の信頼は底が抜け、政治不信は頂点に達していることを示したのが、今回の選挙ではなかったか。
補選が終わったばかりであることを承知の上で言いたい。首相はただちに衆院を解散し、国民に信を問うてほしい。それが「聞く力」がまだ残っていることを示す唯一の方法だから。
●衆院3補選で自民全敗、岸田政権に打撃−政治資金問題で逆風 4/29
28日に投開票された衆院3補選は、いずれも立憲民主党の候補が勝利した。不戦敗も含めて自民党の全敗となり、内閣支持率が低迷する岸田文雄首相への打撃となる。
3補選は自民党派閥の政治資金規正法違反事件の摘発後、初めての国政選挙だった。同党は東京15区、長崎3区で不戦敗。島根1区の新人候補は立憲民主の元職に2万5000票近い差をつけられた。小選挙区制が導入された1996年の衆院選以降、同県内の選挙区で自民党の候補者が敗退するのは初めて。
補選の結果は「政治とカネ」を巡る問題に対する国民の反発を浮き彫りにした形となった。内閣支持率は朝日新聞が20−21日に行った調査で前月比4ポイント増えたが、26%と3割を切っている。逆風が吹く中、9月に自民党総裁選を控えた首相が6月23日に会期末を迎える今国会で衆院解散に踏み切ることができるかも今後の政局の焦点だ。
元自民党職員で政治評論家の田村重信氏は補選の結果について「首相にとって大打撃で、党内から批判も出てくるだろう」との見方を示した。低支持率のまま9月を迎えた場合は、岸田首相が総裁選に出馬するのは難しくなると分析。野党の選挙協力が全国的には進んでいないことなどを挙げ、局面打開を狙った首相が今国会中に衆院を解散する可能性はなお残っていると指摘した。
菅前首相は解散せず、総裁選不出馬
現在の衆院議員は来年10月に任期満了を迎えるが、3補選に全勝した立憲民主党は衆院解散を迫る姿勢を見せている。同党の泉健太代表は後半国会の焦点となっている政治改革が進まなければ「早期の解散を求めていきたい」と記者会見で述べた。
これに対し、自民党の茂木敏充幹事長は厳しい選挙結果だったと指摘。「若干、時間がかかる」中でも「国民の信頼を回復できるように努めていきたい」と記者団に語った。産経新聞によると、首相側近として知られる木原誠二幹事長代理は3補選の投開票日に先立つ25日、早期に衆院解散・総選挙を実施すれば政権交代する可能性があるとの認識を示していた。
菅義偉前政権下で行われた2021年4月の衆参2補選と参院広島選挙区の再選挙で自民党は1勝もできなかった。菅前首相はその後行われた地元の横浜市長選でも支援した候補が敗退。在任中に衆院を解散することはなく、同年9月の総裁選にも立候補しなかった。
●補欠選挙で自民全敗…“ポスト岸田”に向け動き活発化の可能性も 9月総裁選の行方は…? 4/29
28日に行われた、衆議院の3つの補欠選挙は、いわゆる裏金問題で逆風を受けた自民党が全敗し、岸田政権に大きな打撃となった。
今後の政権運営への影響について、国会記者会館から、フジテレビ政治部・木村祐太記者が中継でお伝えする。
自民党内では、岸田首相では次の選挙は戦えないといった声が強まり、秋の総裁選挙を見据え、「ポスト岸田」に向けた動きが活発化する可能性がある。
自民党議員の間では、選挙戦最終日に応援演説に入ったにもかかわらず、惨敗を招いた岸田首相の姿を見て、「次は自分が落選する」という危機感が広がり、首相の交代を訴える声が強まっている。
あるベテラン議員は、「岸田おろしが起きるだろう」と息巻いていた。
ただ一方で、「岸田おろし」は今すぐには起きないとの見方が根強く、ある党幹部は、「今の自民党には、そんなエネルギーもまとまりもない」と分析していた。
このため焦点は、岸田首相が再選を賭ける9月の総裁選となる。
特に最近、政権批判を控えていた石破元幹事長は、補選の応援に何度も入りつつも、「結果次第では世の中が動くかも」と匂わせ発言をしていて、注目が集まる。
さらに高市氏、茂木氏、河野氏らも出馬を模索するとみられるほか、党内では上川氏を推す声もある。
対する岸田首相は、「6月に解散して勝利し再選に持ち込む」シナリオを描いていたが、補選の惨敗で「厳しくなった」という見方が大勢で、この数カ月がかつてない正念場になるとみられる。
●立民3補選勝利 泉氏“解散・総選挙を”自民全敗“信頼回復を” 4/29
衆議院の3つの補欠選挙は、いずれも立憲民主党が勝利し、自民党は候補者擁立を見送った選挙を含め全敗しました。
立憲民主党の泉代表は、自民党に対し、政治改革案の実現を迫るとともに、衆議院の解散・総選挙を求めていく考えを示しました。
一方、自民党は、信頼回復を図り、次の衆議院選挙に向けて態勢の立て直しを進める方針です。
一夜明けて当選した候補者たちは
28日に投票が行われた選挙から一夜明けて、当選した候補者たちは早速動き出しています。
島根1区 大差で自民に勝利の亀井亜紀子氏は
今回唯一の与野党対決の構図となった島根1区で、自民党の新人に2万4000票余りの大差をつけて勝利した亀井亜紀子氏はJR松江駅近くで活動をスタートさせました。
亀井氏は行き交う車に笑顔で手を振って「多くの人に支えられて選挙戦を戦うことができた。即戦力として活動し、島根から政治の新しい流れを作っていきたい」と意欲を示していました。
このあと記者団に、「みんなで力を合わせれば、島根でさえこうした結果を得られることを証明できた。そういう意味で大きな勝利だった」と選挙戦を振り返りました。
その上で「選挙で訴えた人口減少や公共交通の問題などのテーマについて質問する機会があったらうれしい。また、自民党におきゅうを据えようと応援してくれた自民党支持者の信頼を今回だけでなく今後も得られるように努力していきたい」と抱負を述べました。
長崎3区 山田勝彦氏は
長崎3区で日本維新の会の候補を破った山田勝彦氏は大村市の事務所で自身の当選を伝える新聞に目を通していました。
そして「政治不信を回復するためにも、国会に戻って、政治改革を進めないといけないという強い自覚と責任を感じている」と話していました。
立民・泉代表「解散・総選挙を求めていく」
立憲民主党の泉代表は29日、大阪市で労働組合の中央組織、連合の関係者との会合に出席してあいさつしました。
この中で、衆議院の3つの補欠選挙でいずれも勝利したことについて「自民党に対する有権者の強い怒りを感じる。選挙期間中に突如出された自民党の政治改革案が、全く空虚で中身のないものだと瞬時に有権者が見切ったのだろう」と指摘しました。
その上で「私たちの改革案は、与党や一部の野党から『高めのボール』と言われるが、国民から見れば『ど真ん中ストライク』だ。自民党議員の腹が痛くなるような改革でなければ意味がなく、実現を今の国会で目指す」と述べ、自民党に対し、政治資金パーティーの全面禁止など、党が掲げる政治改革案の実現を迫る考えを示しました。
また「補欠選挙の結果を受けても自民党の姿勢が変わらないのであれば、さらに攻勢を強める。衆議院の解散・総選挙も含め、今の政権は信任に値しないと明確にしていく」と述べました。
自民・茂木幹事長「大変厳しい選挙結果 信頼回復に努める」
一方、自民党の茂木幹事長は28日夜、「大変厳しい選挙結果だったと受け止めている。不断の改革努力を重ね、課題を解決することで、時間はかかると思うが国民の信頼を回復できるよう努めていきたい」と述べました。
党内では「政治とカネの問題に対する国民の強い不信感のあらわれだ」という受け止めとともに、危機感が広がっています。
自民党は、政治資金規正法の改正などを通じて、信頼回復を図り、次の衆議院選挙に向けて態勢の立て直しを進める方針です。
記者解説 「自民党関係者 一様に衝撃」
地元やそれぞれの政党は、結果はどう受け止めているのか?
島根1区の現地・松江局と、政治部記者の解説です。
Q.島根1区は自民党が敗れることに。地元の受け止めは?
A.(松江局記者)
自民党の関係者は、一様に衝撃を受けています。選挙戦が始まる前は「保守王国の島根だから、きっちりやれば最後はひっくり返せる」と自信を示す関係者も少なくなかったんです。しかし、前回3年前の衆議院選挙では、細田さんと亀井さんの差がおよそ2万3800票だったんですが、今回は、それ以上の差を亀井さんにつけられた形です。自民党のある地元議員は「時代の流れが変わったと感じる。保守王国の島根でこのような結果になったということは、こうした流れが全国に広がる可能性もある」と危機感を示していました。一方の亀井さんの陣営の関係者は「自民党の岩盤支持層は簡単には崩れないだろう。これからが勝負になる」と気を引き締めていました。
Q.政党の結果の受け止めは?
A.(政治部記者)
松江からの話にもありましたが、自民党内では「保守王国」島根での敗北に危機感が広がっています。党内からは「政治とカネの問題による逆風で劣勢とは言われていたが、想像以上の厳しい結果だ」という声が出ています。また、公明党内からは「もはや政治資金規正法の抜本的な改正を成し遂げる以外に道はない」という指摘も出ています。政府・与党としては、いまの国会で野党の協力も得て法改正を実現し、信頼回復につなげたい考えです。一方の立憲民主党ですが、いわば野党統一候補としての今回の勝利に手応えを感じています。立憲民主党は次の衆議院選挙に向けて、ほかの野党に粘り強く連携を働きかけるとともに岸田総理のもとでの解散を迫る方針です。
Q.政権運営への影響は?
A.(政治部記者)
補欠選挙は、現時点での岸田政権に対する評価とも言えますので、政権にとってダメージになることは避けられないと思います。実際、自民党の中堅・若手からは「政治資金問題でリーダーシップを発揮できていない責任は大きい」と岸田総理に矛先を向ける声も聞かれます。一方で、政権幹部を中心に「党全体の問題で、岸田総理の責任には直結しない」という意見も出ていまして、ただちに政局になる可能性は高くないと思います。また、いまの国会での衆議院の解散は難しくなったという見方も広がっていまして、岸田総理は党内情勢を見極めながら秋の総裁選挙への対応と解散戦略を検討していくことになります。
●自民3敗で“岸田おろし”の動きは 党内に「自ら身を引く」との声 4/29
「自民全敗」という今回の結果は岸田政権の今後にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
自民党にとっては大きな打撃となりましたが、すぐさま「岸田おろし」が起こるという動きは見えず、不気味な静けさが漂っています。
注目されたのは茂木幹事長の動向です。3敗の責任を取って辞任し、9月の総裁選に出馬する機運を作るのではないかとの臆測も広がりましたが、「信頼回復と党勢の回復に全力で取り組みたい」と強調するのみで、自身の進退については言及しませんでした。
自民党 茂木幹事長「非常に今、自民党が厳しい状況に置かれている。こういう状況だからこそ、党が一致結束して臨んでいく必要があるなと」
ただ、これからは「ポスト岸田を皆が腹の中で考える数カ月になる」と話す議員もいます。
保守王国での惨敗で、岸田総理はある意味、6月解散を封じ込められた形で、党内からは「政治資金規正法を改正した後、党の刷新のために自ら身を引くのではないか」との見方も出始めています。
ただ、法改正も自民党案への批判が強く、国会で与野党の議論が激しさを増す恐れもあり、今後の課題となります。
●衆院3補選全敗、岸田首相の「政権運営」「解散戦略」は 「悪夢の民主党政権」が「悪夢の岸田政権」に転換? 4/29
岸田文雄首相(自民党総裁)が、国民から「痛烈な審判」を突き付けられた。28日投開票の衆院3補選で、唯一の党公認候補を立て、自身が2度も選挙区入りした島根1区で惨敗し、擁立を見送った東京15区、長崎3区を含めて全敗したのだ。全選挙区で、野党第一党の立憲民主党が勝利した。内閣支持率の低迷に直面していた岸田首相だが、「政治とカネ」の問題を受けた政治不信の高まりは収まる気配がない。今後、一層厳しい政権運営を強いられそうだ。
「逆風が非常に強かった。厳しい結果になったことを重く受け止めねばならない」
茂木敏充幹事長は28日夜、険しい表情で記者団にこう語った。国民が岸田自民党に示した意思表示は、明確な「ノー」だった。
3選挙区は、もともと自民党議員の議席だった。東京15区と長崎3区の補選は、公職選挙法違反事件や派閥裏金事件による議員辞職が原因で、自民党は候補者さえ立てられず、2つの「不戦敗」が確定した。
それだけに、桜内義雄元衆院議長や竹下登元首相、青木幹雄元官房長官といった自民党大物議員を次々と輩出し、中選挙区制時代から自民党系が議席を守り、小選挙区制となっても不敗だった「保守王国」の島根1区は死守すべき「最後の砦(とりで)」だった。
島根1区で、自民党の元財務官僚、錦織功政氏は序盤から劣勢だった。岸田首相は21日と27日の2度も現地入りした。自民党は石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相といった人気者も送り込んだが、勝利した立憲民主党の亀井亜紀子氏に約2万4000票差も付けられる惨敗だった。
ある保守系のベテラン議員は、嘆息して語る。
「拙速なLGBT法の成立や、前のめりな外交姿勢、増税・負担増路線に続き、派閥裏金事件は、多くの国民の離反を招いたようだ。政権交代に期待したものの失政続きだった民主党政権のイメージは、国民に広く浸透し、定着していた。安倍晋三元首相による2012年の政権奪還後、『悪夢の民主党政権』というキーワードは、自民党の正当性や安定性を説明する強力な説得材料だった。だが、いつの間にか、国民にとっては『悪夢の岸田政権』『奢(おご)る自民党』に変わっている気がする」
立憲民主党の泉健太代表は、3補選全勝の情勢が判明した28日夜、「早期の衆院解散を求めたい」と述べた。6月の通常国会会期末に合わせて、内閣不信任案を提出することも視野に入れているとみられる。
政治評論家の有馬晴海氏は「野党としては、『支持率が地に落ちた岸田政権を相手に選挙をやりたい』との思いが強い」と語る。
ただ、立憲民主党としては、外交・安全保障政策で現実の情勢と乖離(かいり)する共産党との共闘問題や、次期衆院選をめぐる他の野党との候補者調整などの課題を含め、党内外の課題が多いのも事実だ。
岸田首相とすれば、9月の自民党総裁選で再選されて続投するためにも、野党が一致団結できない状況で「衆院解散」という勝負をかける可能性はある。ただ、メディアによる次期衆院選の議席予測では、「自民党70議席減」という衝撃的なものも見られる。
少なくとも、自民党と選挙協力する公明党の山口那津男代表は先月、「政治不信が深まり、内閣支持率が下がり続けている状況で、信頼を回復するトレンドを作り出さない限り、解散はすべきでない」と述べている。
岸田首相は今後の政権運営や選挙戦略をどう判断するのか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「地方組織からは、次期衆院選を念頭に『岸田首相の顔では選挙は戦えない』との声が強まっていた。衆院3補選は、その事実を厳然と突き付けた。ただ、自民党内に『岸田降ろし』につながる機運は乏しい。裏金問題で派閥が消滅して、党組織がガタガタになった。自民党は『崩壊した』とも言える。こうしたなか、岸田首相は、自ら掲げた『減税』効果や、外交成果などをアピールしつつ、浮揚策を探るだろう。衆院解散のタイミングを模索している」と語る。
●田崎史郎氏 衆院3補選の結果に「政治不信じゃなくて政権不信…岸田政権に対する不信感がこれだけ強い」 4/29
政治ジャーナリストの田崎史郎氏が29日、レギュラーコメンテーターを務めるTBS「ひるおび!」に出演。28日に投開票された衆院3補欠選挙について言及した。
派閥の裏金事件後初の国政選挙で、自民党は候補を唯一擁立した島根1区で立憲民主党に惨敗した。東京15区、長崎3区は不戦敗で全敗。立民が全勝した。
3選挙区は元々自民の議席で、岸田降ろしが本格化する可能性がある。東京15区で小池百合子東京都知事が全面支援した無所属の作家乙武洋匡氏が落選し、集票力を誇った小池神話の陰りが指摘され始めた。
田崎氏は「予想通り。自民党にとって勝てる選挙ではなかった」と言い、「先週の前半から、NHKが(開票開始の午後)8時と同時に当確を3つとも打つだろうと言われていて、それくらい差が開いていた、世論調査の結果で。だから、意外性はないんですけれども、しかしながらやっぱりこれだけ政権に対する不信感、僕は政治不信じゃなくて政権不信だと思う。岸田政権に対する不信感がこれだけ強いということだと思う」と自身の見方を述べた。
●衆議院補欠選挙 立民 3選挙区すべて勝利 自民は議席失う 4/29
岸田総理大臣の今後の政権運営に影響を与えることも予想される衆議院東京15区、島根1区、長崎3区の3つの補欠選挙は、いずれも立憲民主党の候補者が勝利し、自民党は、候補者擁立を見送った選挙区を含め、議席を失いました。
今回の3つの補欠選挙は、去年秋に自民党の派閥の政治資金問題が明らかになって以降初めての国政選挙で、自民党は、東京15区と長崎3区で候補者の擁立を見送りました。
唯一、与野党対決となった島根1区では、選挙戦最終日のおとといも岸田総理大臣と立憲民主党の泉代表が応援に入るなど、総力戦が展開されました。
島根1区は、立憲民主党の元議員、亀井亜紀子氏(58)が2回目の当選を果たしました。
また、過去最多の9人による争いとなった東京15区は、立憲民主党の新人、酒井菜摘氏(37)が初めての当選を果たしました。
さらに、野党候補2人の争いとなった長崎3区では、立憲民主党の前議員、山田勝彦氏(44)が2回目の当選を果たしました。
一方、今回の投票率は島根1区が54.62%、東京15区が40.70%、長崎3区が35.45%で、いずれもこれまでで最も低くなりました。
各党反応
   自民・茂木幹事長「非常に逆風が強かった」
茂木幹事長は記者団に対し「大変厳しい選挙結果だったと受け止めている。選挙戦を通じて逆風の中、島根1区では圧倒的な運動量だったが、非常に逆風が強かった。候補者の人柄や政策を浸透させられなかった。厳しい結果を重く受け止め、不断の改革努力を重ね、課題を解決することで、国民の信頼を回復できるよう努めていきたい」と述べました。
   小渕選対委員長「この責任の重さを痛感している」
小渕選挙対策委員長は記者団に対し「私自身も現地に入り、一生懸命、応援活動したが、こういう結果になった。批判もたくさん頂いた。この責任の重さを痛感している。今回の結果は国民の信頼を頂けなかったと思うので、しっかりと今回の選挙を分析して信頼回復に努め、分析して、次の選挙に備えていきたい」と述べました。
   立民・泉代表「早期の解散を求めていきたい」
立憲民主党の泉代表は記者会見し「自民党の裏金問題発覚以降、真相究明はおぼつかず、処分は中途半端、自民党の政治改革案もまったくの期待外れで、むしろマイナスに働いた。3つの選挙区で勝利したが、全国でも意思表示したい人はたくさんいる。自民党の政治改革法案が進まないようであれば、早期の解散を求めていきたい。後半国会でみんなが納得する政治改革案にするため最大限の努力をしていきたい」と述べました。また、内閣不信任決議案の提出について、「会期で1回きりと言われているので、適時適切に判断していきたい」と述べました。一方、今後の野党連携について「自民党の政治を変えるために、多くの人たちが協力や連携をすれば、大きな保守地盤を覆すことができると今回の選挙で証明された。今の自民党政治を許さないという思いで各党が考えれば、おのずとやることが見えてくる」と述べました。
   維新・馬場代表「わが党の実力のままの結果」
馬場代表は、大阪市の党本部で「わが党の実力のままの結果で、まだまだ関西以外の地域の小選挙区で勝つことは非常に厳しい状況だ。維新の会は企業や団体、労働組合の後ろ盾がないので、自分で票を積み重ねる以外に勝つ方法はなく、近く行われるであろう衆議院選挙に向けて、一から活動を積み重ねていく」と述べました。その上で、自民党が候補者擁立を見送った選挙区を含め議席を失ったことについて「国民の怒りは頂点に達しており空気を見誤ると大変なことになる。国会の政治改革を議論する特別委員会で、国民が『そうなのか』と思えるような結論を出す必要がある。自民党のお茶を濁そうという考えは許さない。国会議員に毎月支給されている調査研究広報滞在費の問題の結論を出すよう、一致団結して臨む」と述べました。一方、次の衆議院選挙に向けたほかの野党との連携について「立憲民主党の方々が野党第一党をやっていても日本の国はよくならない。政治は選挙に勝って数を集めればいいものではなく他党との選挙協力は一切考えていない」と述べました。
   公明・西田選対委員長“国民の政治に対する信頼回復に全力注ぐ”
西田選挙対策委員長は「今回の結果を真摯(しんし)に受け止め、国会で議論が始まった政治資金規正法の改正などの政治改革を必ずやり遂げ、国民の政治に対する信頼回復に全力を注いでいく」というコメントを出しました。
   共産・小池書記局長“有権者は首相に明確な不信任突きつけた”
小池書記局長は記者団に「大変うれしい結果だ。自公政権に対する有権者の厳しい審判が下され、自民党の補完勢力である日本維新の会にも厳しい審判が下った。市民と野党の共闘に力を尽くしたすべての人に心から敬意を表したい。有権者は岸田総理大臣に明確な不信任を突きつけたので大型連休後の国会でも、裏金問題や、暮らしと経済の問題など、岸田政権の政治責任を徹底的に追及して、解散・総選挙に追い込んでいく」と述べました。
   国民・浜野選対委員長“政権運営に国民から厳しい評価が下された結果”
国民民主党の浜野選挙対策委員長は「東京15区で乙武氏を推薦して戦ったが、政権に対する批判票の充分な受け皿になれなかったことは真摯に反省しなければならない。自民党が1議席も得られなかったことは、現在の岸田内閣の政権運営、とりわけ、裏金問題に対する改革が全く不十分だと国民から厳しい評価が下された結果であり、岸田内閣は、調査研究広報滞在費や政策活動費の使途の公開など、野党案も取り入れた、実効性のあるより厳しい法改正に速やかに取り組むべきだ」というコメントを出しました。
記者解説 「政治資金問題への強い批判があらわれた」
Q.自民議席を失い立民は3勝。全体の結果をどうみるか。
A.自民党の派閥の政治資金の問題に対する強い批判があらわれた。自民党は、2つの選挙区で候補者を擁立できず、残る島根1区に総力戦で臨んだ。連日幹部が入ったほか、岸田総理も27日に急きょ現地に入って逆転を呼びかけたが、厳しい情勢は変わらなかった。選挙戦のさなか、ある与党議員が「政治不信のマグマがたまっている状況だ」と話していたのが印象的だった。一方の立憲民主党、泉さんが代表に就任してから国政選挙で初めての勝利。しかも3つ全てで勝ち、自民党への逆風をしっかりと支持につなげた。
Q.島根1区の勝因と敗因。どうみるか。
A.自民党への批判が直撃した。NHKの出口調査、投票する際に政治とカネについて考慮したか尋ねた。「考慮した」人は76%。このうち、およそ70%が亀井さんに投票したと回答した。亀井さんは今回、ほかの野党の支援も得た、いわば、野党統一候補。自民党への批判票の受け皿づくりに成功した形だ。一方の錦織さん。自民支持層はおよそ70%にとどまった。公明支持層も50%台後半どまり。いずれも前回より低くなり、亀井さんに一部を切り崩されたということになる。実際、自民支持層のおよそ30%が亀井さんに投票したと答えている。
Q.東京15区の勝因と敗因。どうみるか。
A.酒井さんは、立憲民主党支持層の80%あまり、共産党支持層の70%台半ばから支持を得た。さらに、無党派層は最も多い30%あまりを固めた。候補者の擁立を見送った自民党支持層の票は特定の候補に集中せず、維新の会の金澤さん、無所属の須藤さん、諸派の飯山さん、無所属の乙武さんらに分散。酒井さんが抜け出す結果となった。
Q.与野党の受け止めや反応は。
A.自民党内はある程度覚悟はできていたかもしれないが島根1区の結果は衝撃。島根は保守王国。小選挙区制の導入以降、島根県は全国で唯一、自民党が選挙区の議席を独占してきた。それだけに、自民党内では、次の衆議院選挙がいつあってもいい時期に入っているので厳しく受け止めざるを得ないと思う。立憲民主党の泉代表は「政治改革を前に進めるために極めて大事な戦いだ」と強調してきただけに、これを追い風に国会でさらに攻勢を強める構えだ。
Q.政局への影響は。
A.政権にとってダメージなのは間違いないところか。取材をしていると、選挙基盤が不安定な中堅・若手を中心に「岸田総理で次の衆院選は戦えないのではないか」という声も。一方で、ある政権幹部は「岸田総理の責任論にはならず、政治資金規正法の改正を実現しなければならない」と話していて、当面、政策課題を優先するものとみられる。岸田総理の総裁としての任期は9月に満了し、衆議院議員の残りの任期が1年半。岸田総理は党内の状況を慎重に見極めながら、総裁選挙と衆議院の解散への対応を検討していくことになる。
●「清濁併せ呑む」ツケ 内閣不信任案の対応分かれ道 4/29
戦国時代の豪傑を彷彿させる「清濁併せ呑む」器量が自民党長期政権の極意である。懐の深さ、何ごとも大雑把、融通無碍(むげ)、カネにモノを言わせる金権体質等、自民党の良い面も悪い面もすべてが、そこに起因している。70年前、「赤化」を防ぐために泥縄で実現させた「保守合同」の偽らざる帰結でもある。高潔な人士もいれば破落戸(ごろつき)から左右を問わない暴れ者まで総結集したからである。
そのせいで、時に、鼻持ちならない傲岸さ、目を覆うような「汚濁」が噴き出す。ロッキード事件、リクルート事件、東京佐川急便事件に限らず、いま永田町を揺さぶっている派閥によるパーティ券の売り上げの一部を裏ガネ化した事件も、ある意味では起きるべくして起きた「必然」と言える。
一つ間違えば政党でなく徒党になりかねなかった氏素性である。「数は力」「力は数」の原点でもある。都合の良いことに、この国には格好のお手本が存している。聖徳太子が制定した十七条の憲法(604年)である。その第1条に「和を以て貴しと為」とある。この教えは、いまなお日本民族のDNA(遺伝子)に深く刻み込まれている。国家レベルに留まらず社会でも家族、友人の間でも出来るだけ争いを避け穏便に収めることが優先される。
鈴木善幸は、宰相になるや福田赳夫と田中角栄、大平正芳による血塗れの権力闘争から脱するべきだと「和の政治」を唱えた。国際社会でも2度にわたる世界大戦という破壊に懲りて戦争を起こさない、起きても最小限に食い止める道を模索してきた。その道理が、いま内外とも破局の淵に立たされている。
永田町には折り合いの悪い分子を峻別した小沢一郎、郵政民営化に反対した同志に刺客を差し向けた小泉純一郎、野党の大同団結を峻拒した小池百合子という「変人」がいた。裏ガネ事件では、宰相・岸田文雄が39人の国会議員に離党勧告、党員資格停止、役職停止、戒告等の処分を下した。新たな「分断」を生みかねない。世界中に「分断」を広めたアメリカ大統領ドナルド・トランプの登場と軌を一にする流れである。あたかも「パンドラの箱」を開けたようである。
思えば日本の戦後そのものが忌まわしい過去から始まっている。「好ましからざる人物の公職からの除去及び排除」という二つの指令をGHQ(連合国軍総司令部)が発出したのは終戦の翌1月4日だった。27団体の解散指令と人物に対する追放指令である。追放の対象は、A項・戦争犯罪人、B項・陸海軍軍人、C項・超国家主義と暴力主義者、D項・大政翼賛会指導者、E項・日本の膨張に関係した金融、開発機関及び財界の役員、F項・占領地の行政長官、G項・その他の軍国主義者や極端な国家主義者――に分類されていた。
問題はG項である。この追放令は、ナチス党員らに重労働、財産没収、市民権剥奪等を課した敗戦国ドイツの「非ナチス化」をモデルにしてつくられたが、ドイツにはなかったG項が付け加えられた。この、どうとでも解釈できるG項に基づいて宰相になる寸前だった鳩山一郎や石橋湛山、平野力三が追放されたのである。
鳩山一郎が率いた自由党は戦後初の総選挙(1946年4月)で過半数は得られなかったものの第一党になった。大命降下を受けるはずの5月4日に追放され、代わって宰相の座に就いたのが吉田茂である。あまりに吉田に都合が良かったので「G項パージ」ならぬ「Y項(吉田茂)パージ」ではないかと揶揄された。吉田・鳩山の遺恨試合の嚆矢(こうし)である。
宰相・岸田文雄の大鉈は郵政民営化法案に造反した37人の除名、離党勧告を含む59人の処分(2005年)に次ぐ大量処分である。21万人を処分した公職追放令に比すべくもないにしても「政敵」を狙い撃ちしたように見える点は酷似している。何かと煩い安倍派や二階派を一掃し、当の宰相はなんら「お咎めなし」、岸田に親近感を抱く萩生田光一らを「減刑」している。永田町では記録的な低支持率にも拘わらず総裁再選を目論む宰相が依怙贔屓をしたと不満を募らせ「K項(岸田文雄)パージ」と囁かれてもいる。
総裁選や衆院選の前哨戦となった衆院東京15区、島根1区、長崎3区補欠選で自民党は全敗を喫した。「岸田降ろし」が始まるのか、その気力さえ失せているのか。通常国会の会期末に立憲民主党が意気揚々と突き付ける内閣不信任案を、自民党が「粛々」と否決できるのか。宰相が得たりや応と「伝家の宝刀」を抜くのか。「殿ご乱心」と封じ込められるのか。修羅場は近づいている。 

 

●岸田首相含め政務三役31人、渡航費用12.6億円!円安放置し“血税ごっつぁん”外遊三昧のア然 4/30
歴史的な円安・物価高に苦しむ庶民を尻目に、税金で海外出張とはいいご身分である。ゴールデンウイーク(GW)期間中の閣僚の外遊ラッシュが今年も繰り返される。岸田首相は5月1日から6日までの日程で、フランス、パラグアイ、ブラジルを訪問する。
岸田首相は南米訪問に先立ち、フランスのパリに本部がある経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会で2日に基調演説を行い、マクロン大統領と会談する予定。日本の首相としては約10年ぶりとなる南米への個別訪問でも首脳会談を予定しており、新興・途上国「グローバルサウス」との関係強化を狙うという。
GW期間中に日本を離れるのは、岸田首相を含め大臣20人中14人。すでに外遊へと旅立った副大臣・政務官をあわせると、計31人が37カ国を訪問予定だ。雁首そろえて何しに行くのか。
OECD閣僚理事会やG7会合への出席など、目的がハッキリした外遊もある一方、「政府要人との会談等」など、あいまいな内容も。すべてが物見遊山ではないにせよ、「ファーストクラスで渡航する大臣は1回あたり1000万〜2000万円程度の費用がかかると見込まれる」(政府関係者)というから出費はバカにならない。
2016年5月に野党議員が出した質問主意書への政府答弁によれば、当時1回分の外遊費用は首相が約2億円、大臣が約3000万円に上る計算だった。副大臣・政務官が大臣の半分の費用と仮定して、今回の渡航費用をはじき出すと、全体で約8.4億円。
費用は2016年の約1.5倍増
16年が平均1ドル=108円だったことを加味すれば、足元の水準1ドル=160円では約1.5倍も費用がかさむことになる。今年の外遊も例年の規模感と同じなら、単純計算では12.6億円の出費である。
「個人的に行くのならまだしも、問題は国民から預かった税金を使って何をしているのかということです。そもそも、対米追従ばかりで独自外交を展開していないのだから、外遊の成果が見えない。だから毎度、『物見遊山に行っているだけ』との批判が出る。政府にとって慣例になっているだけで、円安・物価高に苦しむ庶民なんて知ったことではないのでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
しかも、外遊先として集中しているのが欧米だ。最多7人がフランスを訪れ、次いで4人がベトナム、ベルギー、イタリア、アメリカを訪問する。ことごとく円の価値が下がっている国である。
一方、庶民の選択肢は対照的だ。大手旅行会社JTBの推計では、4月25日〜5月5日に海外旅行に出かける人は前年比約68%増の52万人の見込みだが、人気旅行先ベスト3は上位から、円安の影響が小さい韓国や東南アジア、台湾。ちなみにコロナ禍前の19年のベスト3は上から東南アジア、ヨーロッパ、ハワイだった。
円安のせいで海外旅行は、すっかり高根の花。一体どこまで“貧乏”になってしまうのか。
●1ドル=160円台突入を指をくわえて傍観か…34年ぶり円安水準で問われる財務省の姿勢と曖昧説明 4/30
アジア市場では1990年4月以来、34年ぶりの円安水準となる1ドル=160円台に急落した29日の東京外国為替市場の円相場。午後になって154円台へと約6円も急反発したことから、市場では政府、日銀が為替介入に踏み切ったとの観測が広がった。
一夜明けた30日午前の円相場は、1ドル=156円台前半に上昇したものの、神経質な動きが続いている。円相場は今年1月初旬時点で1ドル=140円台だったから、この4カ月で約20円も円安が進んだわけだ。
ゴールデンウィークを利用して海外旅行に出かける観光客からは「食料を持参します」「現地では何も買わない」といった、ため息交じりの声も漏れているが、SNS上で上がり始めたのが《結局、財務省は何をやっていたのか》《財務省は傍観していただけではないのか》といった投稿だ。
アベノミクスによる異次元金融緩和を続けてきた日本と、緩和策を徐々に修正し、利上げを行ってきた米国。ここ数年の日米の金利差は広がるばかりで、円安ドル高の傾向が続いていたのは周知の事実だろう。円安進行による物価高の影響を懸念する声も強まり、国会質疑では緩和策の見直しや為替に関する政府の姿勢が問われてきたのだが、政府や財務省が繰り返してきたのが「高い緊張感」という曖昧な言葉だった。
「高い緊張感を持って注視し、適切に対応」してきたのか?
「政府といたしましては、引き続き、為替市場の動向、高い緊張感を持って見守ってまいりたい、注視してまいりたいと考えております」(鈴木俊一財務大臣=2024年2月22日の衆院予算委員会)
「私どもとしまして、引き続き、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視をするとともに、必要な場合には適切な対応を取る、こういう考え方で引き続き臨んでまいりたいと考えてございます」(三村淳・財務省国際局長=2022年11月18日の衆院財務金融委員会)
「為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しては適切な対応を取りたい」(鈴木俊一財務大臣=2022年11月2日の衆院財務金融委員会)
「為替市場の動向に高い緊張感を持って注視しつつ、過度なこの変動に対しては適切に対応するということを申し上げさせていただいております」(岸田文雄首相=2022年10月24日の参院予算委員会)
「財務省といたしましては、引き続き、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに…」(土谷晃浩・財務省国際局次長=2022年9月30日の衆院経済産業委員会)
米国の動きもあるとはいえ、財務省が答弁通り、「高い緊張感を持って注視し、適切に対応」してきたのであれば、さすがに34年ぶりの円安水準とはならないのではないか。これではネット上で、《財務省は傍観していただけ》《財務省はむしろ円安を容認していた》と指摘する声が出るのも無理はない。
ベストセラーとなった経済アナリストの森永卓郎氏(66)の著書「ザイム真理教--それは信者8000万人の巨大カルト」は、低迷を続ける日本経済の背景として財務省の責任を説いていたが、そろそろ「最強官庁」「エリート集団」といった見方は改めた方がいいかもしれない。
●首相、政権立て直しに全力=補選全敗、退陣論を警戒 4/30
岸田文雄首相は30日、衆院3補欠選挙の全敗を踏まえた自身の責任について「党総裁として課せられた課題に取り組み、結果を出すことで果たしていかなければならない」と述べた。退陣論が広がるのを警戒しているとみられ、立て直しに全力を挙げる姿勢を示すことで政権の安定を図る狙いだ。衆院解散や党執行部人事に否定的な考えも表明した。
首相官邸で記者団の取材に応じた。補選後に首相が公の場で語るのは初めてで、「真摯(しんし)に重く受け止める」と強調。特に自民が唯一候補を立てて敗れた島根1区について「政治資金問題が大きく足を引っ張った。地元に申し訳ない」と陳謝した。
その上で政治改革や物価対策を挙げ、「課題に一つ一つ答えを出し、国民の信頼回復に努めたい」と語った。衆院解散について「全く考えていない」と明言した。
政治改革に関しては「政治資金規正法改正以外の課題でも党の方向性を明らかにしたい」と述べた。調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開が念頭にあるとみられる。
公明党の山口那津男代表は30日の記者会見で、補選の結果は「自民裏金事件への厳しい評価が表れている」と指摘。投開票日の28日夜に首相から電話で謝罪があったと明かした。
公明にも次期衆院選に向け不安が広がる。山口氏は自民案で「検討項目」とされた政策活動費の使途公開などに触れ、「透明性強化へ積極的な対応を求めたい」と強調。解散に関しては「信頼回復に力を注ぐことが一番大事だ」と述べた。
一方、立憲民主党の岡田克也幹事長は会見で、補選結果について「自民の政治改革案が駄目だとはっきり示された」と主張。立民案は公明案とも共通点が多いとし、「(自民に)正面から問うていく」と語った。
共産党の小池晃書記局長は「補選の結果は岸田政権に対する明白な不信任の審判だ」として解散を要求。企業・団体献金の全面禁止などを迫っていく考えを示した。
●韓国野党議員が竹島上陸 日本政府は抗議 4/30
韓国の最大野党「共に民主党」の地方組織は30日、同党の一部国会議員らが同日、竹島(韓国名・独島)に上陸したと発表した。日本外務省は韓国政府に強く抗議したと明らかにした。「事前の中止申し入れにもかかわらず強行された。到底受け入れることはできず、極めて遺憾だ」としている。
共に民主党の議員らは「独島に対する日本の領有権主張は帝国主義の侵略を正当化するものだ」「(尹錫悦政権の)一方的な親日行為では日本の領有権主張に対処できない」と主張した。
●岸田首相、茂木敏充氏の扱いに苦慮 不記載問題で対応せず、地固めに奔走 4/30
自民党の衆院3補欠選挙での全敗を受け、岸田文雄首相(党総裁)が選挙の責任者である茂木敏充幹事長の扱いに苦慮している。茂木氏は首相を支える党ナンバー2だが、秋の総裁選に出馬する意欲を隠さず、首相との関係が悪化している。首相が派閥の政治資金パーティー収入不記載事件の対応に追われる中でも党内の中堅・若手らを取り込む動きをみせ、党内からは不満の声も出ている。
「責任を果たすことが何よりも重要だ。それに基づき、国民の信頼回復に向けて全力で取り組む」
首相は30日、官邸で記者団に補選全敗を受けた自身を含む党執行部の交代の必要性を複数回問われたが、こう述べるにとどめ、明言を避けた。
執行部の交代が取り沙汰されるのは、首相と茂木氏の関係が修復不能なほど悪化していることが大きい。
党内には、茂木氏が不記載事件で深入りを避けてきたとの見方がある。関係議員の衆参政治倫理審査会への出席の調整が進まず、首相自ら出席表明する形になった。政治資金規正法改正など政治改革の自民案の取りまとめは、各党から遅れた。党幹部は党本部4階に幹事長室があることを念頭に「4階のサボタージュだ」と不快感を示した。
一方で、茂木氏は不記載事件を受けて執行部が全国を行脚する「政治刷新車座対話」には頻繁に足を運んでおり、地方固めにも映る。首相周辺は「政権がつぶれるのを待っているんだろう」と冷ややかにみている。
また、茂木氏は安倍派(清和政策研究会)などの中堅・若手の取り込みを進めている。3月にも同派の会合に顔を出し、逆風の中、首相による早期解散を恐れる若手に対し「解散はさせない」と明言した。総裁選への布石とみられるが、同派若手は茂木氏が事態を収拾する立場だったことを踏まえ、「問題を放置し、結果的に安倍派をつぶした」と不快感を示した。
党役員は「連続3年まで」という任期の制限があり、秋には茂木氏は交代となるが、閣僚経験者は「秋まで茂木氏を続投させれば、政治改革の与野党協議にも本腰を入れず、首相は足を引っ張られるのではないか」と心配を口にした。
ただ、首相が茂木氏を事実上更迭できるかというと、簡単ではない。茂木氏は首相の後見役である麻生太郎副総裁とのつながりが深く、首相が麻生氏の理解なく茂木氏の交代に動けば麻生氏との関係悪化が避けられないからだ。
また、補選全敗で首相の求心力が低下する中では、後任の幹事長候補に打診を断られる可能性もある。実際、菅義偉前首相が令和3年夏、内閣改造・党役員人事を断行しようとしたが、多くの辞退者が出ることが分かり、結果的に政権の寿命を縮めた例がある。
補選の最中には、茂木氏が自ら引責辞任し総裁選の準備に本腰を入れるとの臆測もあった。首相も「茂木さんが辞めるというのなら仕方がない」と周囲に漏らした。
しかし、茂木氏にとっては、報道各社の世論調査の支持が伸び悩む中、党の資金や人事を差配できる幹事長ポストを手放すことはデメリットが大きい。首相と茂木氏がにらみ合ういびつな状況は当面続く可能性が高い。
●金子恵美氏、「パパ活不倫」宮沢前議員に絡め夫・宮崎謙介氏に言及「衆院議員で2人目。性欲について言及したのは」 4/30
元衆院議員の金子恵美氏が30日放送のTOKYO MX「バラいろダンディ」に生出演。「週刊文春」で女性との「パパ活不倫」が報じられ自民党を離党、25日に議員辞職した宮沢博行前衆院議員について、コメントした。
自身の夫で元衆院議員の宮崎謙介氏とともに宮沢氏とは衆院当選同期だった金子氏。
宮沢氏が辞職にあたり「性欲が強かった」、「記憶はございます」など数々の“迷言”を残したことに絡め、「性欲の話をするなら、宮崎も『性欲が勝った』って言ったんですけど」と自身の妊娠中に不倫、議員辞職した宮崎氏が辞任会見で言ったセリフを口に。
「衆院議員で2人目ですよね。性欲について言及したのは」と苦笑。宮沢氏の裏金問題については「オカネの面では、自分よりもっと額的に多い人がいたから、そこで自分が辞めるっていう判断ではなかったんだろうな」と推測。
「普通に考えれば、刑事事件にはなってないですけど、オカネの方が問題で、倫理的な女性の問題より大きいだろって国民の皆さんとしたら言いたくなるだろうなって思いますね」とコメント。
最後には「宮崎は魔の3回生とか辞めた議員を集めてコメンテーターやるプロダクションとかを考えてるみたいです」とまで話していた。
●「パパ活不倫で辞職」宮澤元議員が許された"なぜ" 4/30
4月28日、地元で開かれた会合に出席し、支援者に謝罪した宮澤博行氏。その後、報道陣の質問に答えた。
「(報道された不祥事は)記憶にございます」
これほどまでキッパリと不祥事を認めた政治家が、これまでいたでしょうか。
家庭を持ちながら20代女性と同棲するなど、不適切な女性関係が報道された自民党の宮澤博行衆議院議員。4月25日、不始末の責任をとって議員を辞職しました。24日には疑惑を追及する取材に対し、冒頭のように回答したとのことです。
「パパ活不倫」などと呼ばれた自らの愚かさを、言い訳するどころかすべて認めてすっぱり議員辞職に突き進んだ姿勢は驚きでした。普通ならば全面的に認めるのはためらってしまうような自らの下半身問題を潔く認めた今回の「全面謝罪」について検証してみましょう。
単なるダメ政治家の愚行という批判だけでは済まない、人間の性(さが)や同じ中年男性として身につまされる思いが浮んでしまったことをあらかじめお詫び申し上げます。
すべての欲望を認め、議員辞職にまっしぐら
不祥事を起こしても言い訳、逃げ口上で取り繕う政治家が多い中、ここまであけすけに自らの過ちを認めてしまう辞職インタビューには驚きでした。
宮澤氏は「パパ活不倫」報道だけでなく、自民党安倍派の裏金問題でも渦中に置かれた一人です。逆風真っ盛りの自民党への批判をさらに加速させるようなタイミングの悪さで、“ついてない人”だとあわれにすら思えます。
4月28日、記者から辞職に対しての質問を受け、
「欲を抑えられなかった」
「ストレス発散」
と率直に回答するだけでなく、防衛副大臣時代にも派遣型風俗店を利用していたことを認める素直っぷり。
所属する静岡3区支部での役員会では、「人格を疑う」「謝罪だけでは済まない」など厳しい批判を浴びたということでした。見ているこちらがいたたまれない気持ちになってしまったのは私だけでしょうか。
「真実」を話せばいいというわけではない
政治家はじめ、有名人がスキャンダルや炎上を起こした際、「真実を伝えたい」と発言するのをよく見ます。しかし、真実を話したからといって炎上が収まることはまずありません。
私はこれまで、さまざまな企業や著名人の方に危機対応コミュニケーションのアドバイスをしてきました。共通して言えるのは、彼らの「真実を伝えたい」という気持ちは本心であることが多いということ。とはいえ、炎上はその「真実」とは関係なく、誤解や思い込みから延焼する場合もあります。真実を裁くために起こるものばかりではないのです。
カエサルは「人は見たいものしか見ない」と言いました。自分の信じたいものが真実であってほしいと思うのは、古代から人間の行動原理なのでしょう。
つまり、ボンボンと炎上しているときに、見ている人びとが「信じたいもの」は、その行為を批判する材料であって、当事者の反論ではないのです。炎上という一種の興奮状態にある人びとは、冷静な理解や客観的情報把握より、感情に突き動かされます。「真実を訴えたい」という当事者の声は、それが真実だとしても、多くの場合、聞き入れられることはないでしょう。
では、ただ泣き寝入りするしかないのかといえば、そうではありません。炎上は永遠に燃えさかることはありません。必ず火の勢いが止まるときが来ます。燃えさかる爆弾に反撃、反論するのは限りなく不可能に近いことですが、時を待つことができればチャンスはゼロではありません。
火あぶりにされ、ボロボロになった当事者の姿を見て、批判する人たちにいたたまれない気持ちが芽生え、批判者自身が少し冷静さを取り戻して状況把握ができはじめるところまで待てば、チャンスはあります。
しかしなぜそれができない人が多いかというと、政治家や芸能人のような、ある種「人気」に支えられている人たちは、激烈な批判に耐え切れず、つい反論を我慢できなくなってしまうのです。
今回の宮澤氏については冒頭でも書いたように、あまりにも自らの恥部をさらけ出す姿に、私も「いたたまれない気持ち」を感じてしまいました。
「4WD不倫」俳優・原田龍二の復活劇
2019年にファンの女性との不倫が報じられた、俳優の原田龍二氏。抜群のルックスと体格を生かし、水戸黄門の助さん役などで活躍していたイケメン俳優がさらされた、ハレンチ不倫スキャンダル。
その内容は、何人ものファンと不倫を重ねていたり、その場所もホテルではなく家族で使用していた愛車の中だったりと、赤面したくなるようなものでした。
謝罪会見ではとにかく平謝りに徹し、イケメン俳優である自らの性欲までいじられるなど、その謝罪スタイルは強烈でした。報じられた以外にも複数のファンとメッセージのやり取りをしていたことや、自身の性欲が強く抑えきれなかったことを明かすなど、自らすべてをさらけ出す「全面謝罪」でした。
愛車の車種に絡めて「4WD不倫」などといじられ、イケメン俳優についた印象としてはダメージが大きかったでしょう。一方、原田氏の真摯な態度は、視聴者から一定の理解と好感を得られた側面もあります。
当たり障りないイケメン俳優から、何事にもよくも悪くも体当たりで取り組む原田氏のイメージ定着にもつながり、確実に有効だったと思います。この例は、数少ない芸能人の成功した謝罪の一つだと言えます。
あの会見を経て、現在の原田氏は、東京MXテレビのバラエティー番組の司会やCM出演など、芸能活動を継続するどころか、その活躍の場を広げています。もっと小さなスキャンダルでも火消しに失敗して、存在ごと消えてしまった多くの芸能人と比べ、明確に芸能事業というBCP(事業継続)に成功している例でしょう。
ちなみに私は騒動後、バラエティー番組で2回ほど原田氏とご一緒させていただきました。その都度、スキャンダルに触れるという役回りをしたのですが、原田氏はそのフリに快く応えてくださり、素人の私にもていねいに接してくださる好感の持てる方でした。
宮澤氏は一連の報道に対し、すべてを認め、さらには釈明で延命を図るのではなく議員辞職という選択をしました。また、報道が出たと同時に議員辞職まで一気呵成な展開として、あれよあれよという間に進みました。
行った行為が犯罪ではなくとも不道徳かつハレンチ、何よりいい歳をした国会議員・元副大臣という立場を考えればダメダメなのは言をまちません。しかしその謝罪姿勢を見て、さらけ出された内情を知るにつれ、似たような年代、かつ煩悩だらけの人生、愚かな失敗をさんざんしてきた筆者は、本音を言えば、同情を感じてしまったのでした。
実際、インターネットやSNS上でも宮澤氏について「潔く認めた姿勢はいい」「嫌いになれない」といった意見が多く見られます。この結果は、行為の是非はさておき、宮澤氏の対応には効果があったと言えるのではないでしょうか。
「そんなに叩かなくても……」と人に感じさせられるかどうかは、謝罪のテクニックに左右されます。逆に、どれだけ本当のことを話していたとしても、こうした納得感を与えられない謝罪は謝罪としては成立していない、少なくともBCPは成り立っていないのです。
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
さまざまな醜聞や不適切行為が批判を浴び、4月28日に投開票された衆議院の補欠選挙で“全敗”してしまった自民党。その中でも宮澤氏は、自身のダメさ加減をさらけ出した全面謝罪によって、今後浮かび上がれる可能性を残せたのではないかと思います。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」とは、溺れてもじたばたせずに身を任せれば体が浮いて命が助かるという意味とのこと。まさに宮澤氏はすごい身の捨て方を実践したのです。
会見ではちょっと情けない感じを醸し出していた宮澤氏ですが、地方の公立高校から東大法学部を経て、就活氷河期に苦労して市議から代議士になった叩き上げの議員です。その経歴も相まって、世論の共感と同情を引き込みました。
これらをすべて計算して実行していたとしたら……。私もすでにその術中にはまっているわけですが、その判断力と実行力は危機管理の視点からもパーフェクトでした。なかなか真似できることではありませんし、何より批判される行為をしてはダメなのですが、不祥事を起こしてしまった場合の姿勢として、一つのお手本になるかもしれません。
●ジワり広がる嫌悪感…宮澤博行氏が議員辞職も《そこ?》…自民党には「裏金」より「女性問題」が裏目にの深刻 4/30
「週刊文春」で女性問題が報じられて、25日に衆院議員を辞職した自民党の宮澤博行前防衛副大臣(49)。取材陣に「不祥事があったことは自覚をしております」と認めて謝罪した。宮澤氏は妻子をもちながら28歳の女性と金銭援助を伴う同居生活をしていたと報じられた。
宮澤氏は2023年12月に所属していた清和政策研究会(安倍派)の裏金事件に関して、派閥ぐるみの裏金作りを明かして注目された。当時、取材陣に「私の不記載分は140万円です」「派閥の方から『収支報告書に記載しなくてよい』という指示がございました」などと語り、「(派閥からは)しゃべるな!しゃべるな!これですよ」と、かん口令を敷かれていたことを暴露していた。
しかし、この時は防衛兼内閣府副大臣を辞任したのみ。そして宮澤氏は、今回の議員辞職は女性問題の報道を受けて、「責任をとり、けじめをとるしかない」としている。一見、潔く議員辞職したふうにみせたが……。
「この辞職を受けて国民からは日に日に《モヤモヤする》という声が相次いでいる。相手女性は未成年でもないし、家族または当事者の問題です。極めて私的なことに『責任を取ります』と辞職できるのに、裏金問題という国民への"裏切り""犯罪"行為では辞めることはなかった。"裏金"は議員辞職に値する問題だと思っていないことがよくわかります。もちろん、自民党の議員の多くに言えること。自民党議員の中には、余計なことを言うリスクを伴う宮澤氏が女性問題で辞職してほっとしているでしょう。しかし、このタイミングで裏金ではなく女性問題で辞めたことはマイナスに。国民には党に対する嫌悪感がさらに強まった印象です」(政治部担当記者)
《女性問題(まぁ一応は当人同士の問題)では辞めても裏金(脱税)では辞めないという価値観を露わにしてくれました》
《裏金では辞職せず女性問題で辞職とは情けなさすぎる。裏金犯罪議員の皆さん。どうぞ自分から議員辞職していって下さいね》
《女性問題が出るから辞める 裏金問題じゃ辞めるつもりなかったって事#自民党裏金問題》
《さすが自民党!裏金では辞職しないが女性問題では辞職だってよ!》
《宮澤議員が辞職するのは結構だけど、女性問題と裏金問題、バランス考えると、裏金問題は、永遠に被選挙権剥奪でもいいくらいじゃないの?》
《裏金脱税は問題ではなくて、週刊誌に女性問題をリークされたのが辞職の理由なんだと。なんだそれ。かたや吉川赳や木原誠二や広瀬めぐみが辞めないのは何なん?なにが違うん?》
また「女性問題」で辞められるなら、他にも辞めるべき議員がいるのではないか、という不満が溢れている。
宮澤氏は、静岡県を地盤とする自民党「比例東海ブロック」選出だった。同ブロックには、2022年6月に週刊誌で18歳の女子大学生と飲酒したなどと報じられた吉川赳衆議院議員、裏金事件で離党勧告を受けた塩谷立衆議院議員もいる。
また、21年に参院補選で初当選した山崎真之輔議員(22年の参院選で落選)も週刊誌に女性問題が報じられていた。そして、職業差別発言などで4月に辞職願を提出した川勝平太県知事と静岡県ゆかりの政治家が世間を騒がせている。
●田嶋陽子さんブチギレ 皇室議論に「不愉快!何が男系だ!男子がどうたら失礼だ」 門田氏と激突「利権」「説明して!」 橋下&竹田氏がなだめる 4/30
英文学・女性学研究者の田嶋陽子氏が28日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」に出演。番組では「皇室典範に関する有識者会議に 意味がある?意味がいない?」が議論された。
田嶋氏は「ない」とし、「私、すんごく不愉快なの。これ人間の問題でしょ?皇室の人たちの人権を大事にしてもらいたい」と述べた。
エンジンがかかり「合わないと思うんだけど、私の意見は皆にギャーといわれるかもしんないけど」として、他論客からのカットインを跳ね返す声で「私本当に人間として、もう男系とかなんか、そういう言葉使うのも嫌!なにが男系よ!」とお怒り。
作家・ジャーナリストの門田隆将氏が「なぜ男系男子の養子縁組を認めないのか」と指摘し、「皇統というものを理解しないまま、一般の話と同じように、こういう意見の人がいるから」と返した。
田嶋氏が「失礼な!何が男系だ、男子がどうたらこうたらよ、失礼だよ!」「特定の人たちの利権なんだよ」、門田氏が「皇統という唯一のルールによって脈々と2000年続いてきたわけです」「どこに利権あるのか説明して!」と激突し大論争に。
珍しく橋下徹弁護士や竹田恒泰氏がなだめる側に回っていた。
●衆院補選3勝の立憲民主党「自民党自ら真相を表に」と強調も…刑事告発・梅谷議員の対応決まらず 4/30
自民党の政治資金パーティをめぐる裏金問題などを受け、3つの補選で勝利し、勢いに乗りたい立憲民主党ですが、新潟県内では公職選挙法違反の疑いで刑事告発された梅谷守衆院議員の対応をめぐり、頭を悩ませています。
議員辞職などに伴う衆議院の3つの補選に勝利し勢いに乗る立憲民主党。その背景にあるのが政治資金をめぐる自民党の裏金問題です。
【立憲民主党 泉健太 代表】
「自民党の裏金発覚以降、彼らの真相究明はおぼつかないし、処分は非常に中途半端。自民党自身が自ら真相を表に出さなければならない」
補選の勝利を次の衆院選の勝利につなげるべく、早期の解散を求めています。
【立憲民主党 菊田真紀子 衆院議員】
「自民党の敵失ということで、まだまだ立憲民主党に政権を託そうというところにはまだ行っていない。勝って兜の緒を締めて頑張りたい」
ただ、県内では選挙への影響も懸念される問題が残されています。
4月30日に開かれた県連の常任幹事会を連絡もなく欠席した梅谷守衆院議員。
選挙区内で去年7月以降、日本酒などを配っていたとして公職選挙法違反の疑いで刑事告発され、県警と地検が受理しています。
自民党には自ら真相を明らかにするよう求める一方で、立憲民主党に所属する梅谷議員が真相を語る機会は問題の発覚後、一度も設けられていません。
【立憲民衆党 西村智奈美 衆院議員】
「早急に本人からの説明を含めて、党本部の対応は必要だという認識に変わりはない。時間が経っても対応されていないということで、またきょう皆さんからも『とにかく早くやるべき』という話も出たので、改めて話はしたい」
党本部の岡田幹事長に対し、連休明けにも早期の対応を求めると話す西村県連代表。
自民党に求めることを党内で実践できなければ、有権者の不信の目は立憲民主党に向けられることになるかもしれません。
●「補選には勝ったものの…」立憲民主新潟県連には不安の種も 自民は尾を引く裏金問題 4/30
28日に投開票が行われた衆議院の3つの補欠選挙では立憲民主党の候補が全議席を獲得しました。この結果を受け、新潟県連は「政権交代へ」と意気込みますが懸念もあります。
30日、新潟市内のホテルで開かれた立憲民主党県連の常任幹事会。
【立憲民主党県連 西村智奈美 代表】「自民党の裏金問題、国民の皆さんが本当にお怒りになっているということ。その思いの結実であったと思う」
28日に投開票が行われた衆議院 島根1区の補選は、立憲民主党の候補が自民党候補を破り当選。
東京15区、長崎3区も立憲民主党の候補が当選する結果となりました。
【立憲民主党県連 西村智奈美 代表】「今回の補選結果を受けて、もう生ぬるいこと言っていられないなと、次の総選挙で必ず政権交代をしなければいけないと」
県連もこの流れに乗りたいところですが、懸念が残されています。
それは、旧新潟6区選出の梅谷守 衆議院議員が選挙区内で有権者に日本酒を渡していた問題です。
問題発覚後、梅谷議員はホームページで「軽率な行動であり深く反省をしております」とコメントする一方、これまで会見などは開いておらず、30日の常任幹事会にも姿を表しませんでした。
【立憲民主党県連 西村智奈美 代表】「早急にご本人からの説明含めて、党本部の対応は必要だという認識に変わりはありません。時間がたってもまだ対応されてないということで、また、きょう皆さんからも『とにかく早くやるべきだ』と…」
県連は党本部に対して再度、早期の対応を求めるとしています。
一方の自民党も態勢の立て直しを急いでいます。
【自民党 細田健一 衆議院議員】「大変なご迷惑おかけしている。そのことについて改めて心からおわびを申し上げたいと思っています。本当に申し訳ございません」
自民党 新潟2区支部が開いた支部長・幹事長会議。
あいさつしたのは細田健一 衆議院議員です。
派閥の裏金問題を巡り、党から戒告処分が下ったことを受け、参加者に謝罪。この問題に対し、参加者からは厳しい声が投げかけられました。
【自民党第2選挙区支部 高橋直輝 選あち本部長】「地元で自民党の看板を背負って立ってる我々にとって、本当に迷惑な話でもありますし、肩身の狭い思いをしているのは事実。そんな状況をしっかりと見直していただきたい」
会議は冒頭以外、非公開で行われましたが次期衆院選に向けて態勢の締め直しが必要などの声があったということです。
【自民党 細田健一 衆議院議員】「相当ねじを巻いてたいおうしないと、次の選挙は大変厳しいと、危機感を共有した」
早期の解散もささやかれる中、来る衆院選に向けた態勢をいかに整えられるかが与野党ともに重要な課題となっています。
●補選で自民全敗 首相に「処分」が下された 4/30
自民党の政治資金問題に対し、民意は厳しい審判を突き付けた。岸田文雄首相の求心力は低下し、政権運営は一層厳しさを増す。
派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件の発覚後、初の国政選挙となった衆院3選挙区の補欠選挙で、自民が全敗した。3議席とも元は自民の議席だった。
これまでのように「政治とカネ」の問題に誠実に向き合わないなら、民意はますます離れる。首相は自戒して政治改革に取り組むべきだ。
3補選で唯一、与野党一騎打ちとなったのが島根1区だった。組織的な裏金づくりをしていた安倍派の会長だった細田博之前衆院議長が、死去するまで保持した議席だ。
自民新人は立憲民主党の元職に大差をつけられた。小選挙区の導入以来、自民が負けたことのない金城湯池でさえ逆風をはね返せなかった。それほど有権者の不信、怒りは大きい。
自民は裏金事件の実態解明に消極的で、全体像が明らかにならないまま関係者を処分し、幕引きを図った。再発防止策をまとめたのは補選の告示後で、内容は他の政党案に比べ手ぬるい。
共同通信社が島根1区で実施した出口調査で、裏金問題を投票の際に「大いに重視した」または「ある程度重視した」が計77%に上った。
首相は党総裁である自身を処分せずに「最終的に国民、党員に判断していただく立場だ」と述べている。補選については「私の政治姿勢も評価の対象」と明言していた。
3選挙区であるとはいえ、国民が首相に「処分」を下した選挙結果と言える。
自民は、裏金事件で有罪となった現職が辞職した長崎3区、区長選に絡む公職選挙法違反事件で議員が辞職した東京15区で、候補者を擁立できず不戦敗に終わった。
3選挙区とも投票率は過去最低だった。裏金事件で政治離れを助長し、2選挙区で選択肢を提示できなかった自民の責任は否めない。
3補選は野党第1党の立民が3勝した。島根1区では、野党が候補者を一本化すれば勝機が広がることを改めて示した。多弱の野党をまとめる力をつけないと、政権交代は近づいてこない。
今後は衆院の解散・総選挙の時期と自民党総裁選に関心が集まる。
首相は9月の総裁選での再選を目指し、解散のタイミングを計っているとみられる。補選が全敗だったため、早期解散には踏み切れないとの見方が強い。そもそも政権延命のための解散は許されない。
首相は6月の国会会期末までに、政治改革をやり遂げなくてはならない。裏金の実態は未解明だ。政策課題への対応も必要である。
そこで国民の信頼を回復する成果が出せないようであれば、岸田政権は信任に値しない。広く国民の信を問うべきではないか。
●自民全敗で政権交代の恐れ現実に、与党に広がる「岸田では戦えない」…縛られる首相の解散権行使 4/30
「もし今すぐ衆院選をやれば、政権交代が起きるかもしれない」
28日投開票の衆院3補欠選挙で自民党が不戦敗を含めて全敗を喫したことを受け、首相で自民総裁の岸田文雄(66)は周囲にこう危機感を示した。
唯一、候補を擁立した島根は自民が牙城としてきた保守王国だ。2万票以上の差で完敗したことは、派閥の政治資金規正法違反事件を巡る逆風の強さを浮き彫りにした。
「2024年は政治イベントがある」
岸田は昨年末、閣僚の一人にこうした見通しを語っていた。念頭にあったのは、通常国会会期末である6月の衆院解散だ。9月末の総裁任期満了を見据え、夏の総選挙に勝利すれば、総裁選は「無風再選」への道が開けるためだ。
岸田自身は今回の補選敗北を強く懸念しながらも、解散に関して「まだ先のことは決めていない」と周辺に漏らしており、政権浮揚を図りつつ、6月を含めた可能性をなお追求したい考えだ。
ただ、与党内では、岸田の思いとは裏腹に解散権を自由に行使できない状況が作られつつある。「岸田では選挙は戦えない」との見方が拡大しているのだ。
●立憲・泉代表「岸田政権が信任に値しないと明確にする」内閣不信任決議案提出の可能性に言及 補選で自民3敗受け 4/30
衆議院の補欠選挙の結果を受け、立憲民主党の泉代表は29日、「岸田政権が信任に値しないと明確にする」と述べ、内閣不信任決議案の提出の可能性に言及した。
大阪市の会合で「さらに攻勢を強め、解散総選挙も含めて、今の政権は信任に値しないということを明確にしていきたい」と述べた泉氏は、その後、記者団から内閣不信任案を提出するか問われ、「通常国会を含め、どこかのタイミングで検討する可能性は当然ある」と答えた。
また、3つの補選で自民党が議席を失った結果を受け、「岸田首相には、政治改革を本当にやるつもりがあるのか、今の自民党案ではダメだと強く主張したい」と述べた。
●衆院3補選、自民全敗=立民完勝、維新も下す―岸田政権に打撃 4/30
自民党派閥の裏金事件後初の国政選挙となった衆院東京15区、島根1区、長崎3区の補欠選挙が28日、投開票され、自民党は唯一候補を立てた島根を落として全敗を喫した。
立憲民主党は9人乱立の東京、日本維新の会と一騎打ちを展開した長崎を含めて完勝。岸田文雄首相(自民総裁)に深刻な打撃となった。
3補選はいずれも「政治とカネ」の問題が取り沙汰された自民議員の辞職・死去に伴う。強い批判が民意として示された形だ。
与野党は5月の大型連休明けから、後半国会の焦点となる政治資金規正法の改正論議を本格化させる。規制強化を訴える立民など野党が攻勢を強めるのは必至。9月に党総裁任期満了を迎える首相は局面転換を図るため、6月23日の会期末に合わせた衆院解散を模索しているとされるが、「岸田降ろし」の動きが表面化する可能性もある。
自民の茂木敏充幹事長は28日夜、党本部で記者団に「大変厳しい結果だ。国民の信頼を回復できるよう努めたい」と述べた。立民の泉健太代表は記者団に「自民党の政治改革案が進まないなら(国民に)信を問わなければならない。早期の衆院解散を求めていきたい」と強調した。
島根1区は細田博之前衆院議長(自民)の死去を受けて実施され、立民元職の亀井亜紀子氏(58)が自民新人の錦織功政氏(55)=公明党推薦=との一騎打ちを制した。細田氏は安倍派(清和政策研究会)の会長経験者。島根は全国有数の「保守王国」として知られ、自民は1996年の小選挙区制導入以降で初めて議席を失った。
自民は東京15区と長崎3区で候補擁立を見送り、不戦敗を選択した。
東京15区は公職選挙法違反(買収など)事件で柿沢未途前法務副大臣(自民離党)=有罪確定=が議員辞職したことに伴う。立民新人で元東京都江東区議の酒井菜摘氏(37)が、無所属新人の須藤元気氏(46)、維新新人の金沢結衣氏(33)=教育無償化を実現する会推薦=、諸派新人の飯山陽氏(48)、小池百合子都知事が支援した無所属新人の乙武洋匡氏(48)=国民民主党推薦=ら8人を下した。
長崎3区は安倍派裏金事件を受けた谷川弥一氏(自民離党)の辞職による。立民前職の山田勝彦氏(44)=社民党推薦=が維新新人の井上翔一朗氏(40)=教育推薦=を破った。
●衆院3補選全敗の岸田政権人事で延命画策$ホ破氏、進次郎氏を要職起用か…総裁選見据え目先をそらす? 乏しい「岸田降ろし」の機運 4/30
岸田文雄首相(自民党総裁)に、国民から「痛烈な審判」が突き付けられた。衆院3補選(28日投開票)で唯一の公認候補を立て、岸田首相が2度も選挙区入りした島根1区で惨敗し、東京15区と長崎3区の不戦敗と合わせて3選全敗した。岸田首相の「不人気」ぶりに加え、「政治とカネ」の問題による政治不信は収まる気配がないが、意気消沈する自民党内で「岸田降ろし」の機運は高まらない。こうしたなか、岸田首相が9月の総裁選を見据えて、「人事」で目先をそらす可能性もありそうだ。
「一つ一つ課題を乗り越えるしかないな」
岸田首相は28日夜、島根1区での敗北を知り、周囲に語ったという。
茂木敏充幹事長も同日夜、「逆風が非常に強かった。厳しい結果になったことを重く受け止めねばならない」と記者団に語った。衆院3補選で、有権者が岸田自民党に示した意思表示は、明確な「ノー」だった。
3選挙区は、もともと自民党議員の議席だった。東京15区と長崎3区の補選は、公職選挙法違反事件や派閥裏金事件による議員辞職が原因で、自民党は候補者さえ立てられず、「不戦敗」が確定した。
それだけに、桜内義雄元衆院議長や竹下登元首相、青木幹雄元官房長官といった自民党大物議員を輩出し、中選挙区制時代から自民党系が議席を守り、小選挙区制となっても不敗だった「保守王国」の島根の議席は死守すべき「最後の砦(とりで)」だった。
島根1区で、自民党公認の元財務官僚、錦織功政氏は序盤から劣勢だった。岸田首相は21日と27日の2度も現地入りした。石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相といった人気者≠熨翌闕桙だが、立憲民主党の亀井亜紀子氏に約2万4000票差も付けられる惨敗となった。
ある保守系のベテラン議員は、嘆息して語る。
「拙速なLGBT法の成立や、前のめりな外交姿勢、増税・負担増路線に続き、派閥裏金事件は、多くの国民の離反を招いたようだ。かつて満を持した政権交代で失政続きだった民主党政権のイメージは国民に広く浸透し、定着していた。安倍晋三元首相による2012年の政権奪還後、『悪夢の民主党政権』というキーワードは、自民党の正当性や安定性を説明する強力な説得材料だった。だが、いつの間にか国民にとっては『悪夢の岸田政権』『奢(おご)る自民党』に変わっている気がする」
鈴木哲夫氏「『岸田おろし』につながる機運は乏しい」
ただ、3補選敗北後、自民党内で「岸田降ろし」が盛り上がる雰囲気はない。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「地方組織からは、次期衆院選を念頭に『岸田首相の顔では選挙は戦えない』との声が強まっていた。衆院3補選は、その事実を厳然と突き付けた。ただ、裏金問題で派閥が消滅して、党組織がガタガタになった自民党内は『崩壊した』ような状態だ。『岸田降ろし』につながる機運は乏しい」と語る。
こうしたなか、立憲民主党の泉健太代表は「早期の衆院解散を求めたい」と明言している。6月の通常国会会期末に合わせて、内閣不信任案を提出することも視野に入りそうだ。
政治評論家の有馬晴海氏は「野党としては、『支持率が地に落ちた岸田政権を相手に選挙をやりたい』との思いが強い」と語る。
石破氏や進次郎氏要職起用♂ツ能性
しかし、立憲民主党としては、外交・安全保障政策で現実の情勢と乖離(かいり)する共産党との共闘問題や、次期衆院選をめぐる他の野党との候補者調整などの課題を含め、党内外の課題が多いのも事実だ。
岸田首相としては、9月の自民党総裁選での再選を念頭に、野党が一致団結できない状況で「衆院解散」という勝負をかける可能性はある。ただ、メディアによる次期衆院選の議席予測では、「自民党70議席減」という壊滅的なものも見られ、相当危険だ。
そこで、岸田首相が「内閣改造・党役員人事」で局面転換を図る策が指摘されている。
前出の有馬氏も「内閣支持率が下がり切った状況だけに、人事に踏み切って、世論の目先を変えようとするかもしれない」と語る。
党内では、6月末の国会閉会後の人事断行がささやかれている。3補選でも島根1区入りした石破氏や進次郎氏らを要職で起用≠キる可能性がささやかれている。そりが合わない、茂木氏の処遇も注目される。
公明党の山口那津男代表は先月、「政治不信が深まり、内閣支持率が下がり続けている状況で、信頼を回復するトレンドを作り出さない限り、解散はすべきでない」と述べた。
もし、内閣改造・党役員人事でトレンドが変われば、岸田首相の選択肢は増えることになる。暗中模索、岸田首相のいばらの政権運営は続きそうだ。
●衆院3補選“全敗” 岸田総理「政治資金の問題が足引っ張った」政権運営厳しく 4/30
衆議院の3つの補欠選挙で全敗したことについて、岸田総理大臣は「自民党の政治資金の問題が大きく重く足を引っ張った」と敗戦の弁を述べました。
岸田総理は何度も唇をかみながら、いつになく厳しい表情で語りました。
岸田総理大臣「自民党の政治資金の問題が大きく重く足を引っ張ったことについては、候補に対しても、また地元の応援していただいた方々に対しても申し訳なく思っております」
また、負けた責任については「課せられた課題に取り組んで結果を出す」と述べるにとどめました。
連携不足が深刻になっている茂木幹事長の交代など、人事の刷新についても言及を避けました。
自民党幹部の一人は「茂木さんを交代させるなら通常国会が終わったところだろう」と話しています。
自民党内では岸田総理のもとで、選挙はできないという空気が広がっていて政府高官も「6月の衆議院解散はない」と明言しています。
解散総選挙で勝利し、9月の総裁選で再選を目指す当初の戦略は厳しくなってきています。
●自民・衆院3補選で全敗 保守王国・島根でも「自民離れ」 党内から「政権交代に現実味」の声も 岸田総理の解散判断は? 4/30
全敗で政権交代に現実味か
自民党議員が議席を持っていた3つの選挙区で衆議院の補欠選挙が行われましたが、全て立憲民主党の候補の勝利となり、自民党内からは「政権交代の現実味が出てきた」との声も上がっています。唯一の与野党直接対決となった保守王国・島根でもあらわになった「自民離れ」。急速に求心力が低下する岸田総理の次の一手は?
自民党幹部「トップは交代しないとだめ」 “保守王国”の島根で自民離れ
立憲 島根1区 亀井亜紀子元衆院議員「なぜ良くならないのだろうかという、(有権者の)その苦しさが私に対する期待に変わったんだと思います」
28日投開票の3つの衆議院補欠選挙(東京15区、島根1区、長崎3区)のうち、唯一の与野党対決となった島根1区。勝利した立憲民主党の亀井亜紀子元衆院議員は政権批判の受け皿になったことへの手ごたえを語りました。
竹下元総理らを輩出した島根県は、全国で唯一、衆院のすべての小選挙区を自民党が独占してきました。その「保守王国」で異変が…
岸田文雄総理「本当に厳しい、苦しい選挙が続いています。何としてもこの選挙、大逆転させていただきたい」
2度も島根入りした岸田総理。裏金事件の逆風はやみませんでした。
島根1区の有権者(30代)「自民党が『政治とカネ』の問題でいろいろ大変なことがあるので、やはり今後のことを考えて他の党に頑張ってほしいな」
島根1区の有権者(70代)「今回は(自民党を)ちょっとだけ個人的に懲らしめたいなと思っております」
3つの補選全敗の結果に自民党内からは…
自民・島根1区選対幹部「暮らしが苦しい中、自民党のカネの問題が有権者の怒りを買った結果だ。怒りの大きさは正直、想像を超えていた」
自民党幹部「トップは交代しないとだめだよ」
自民党中堅議員「自民党は“NO”との民意の表れだ。政権交代も現実味が出てきた」
表立った「岸田おろし」の声はまだ上がっていませんが、求心力は急速に低下しています。
星氏「岸田総理はまったくめげていない」 “解散”いつ?
藤森祥平キャスター: 今回の補選では3つの選挙区で自民党が負ける結果になりました。唯一、与野党対決となった島根1区では、当選となった立憲・亀井亜紀子氏(58)に82691票、自民・錦織功政氏(55)に57897票と差がつく結果となりました。
期日前のJNN出口調査で、島根1区の自民党支持層の投票先を聞くと、立憲・亀井氏が31.0%、自民・錦織氏が62.0%と約3割が立憲民主党に投票するという結果でした。
小川彩佳キャスター: 自民党が議席を守り続けてきた島根でこの数字、自民党にとってどのくらいショッキングなことなのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏: 相当ショッキングなできごとだと思います。今回の補選のポイントは3つあります。
1つ目は、元々自民党はかなり優位な立場にありましたが、その約3割が「棄権」ではなく、立憲に投票したということで、これは自民党にとっては非常に大きなマイナスになったわけです。
2つ目は、立憲もこういう構図を知っていたため、保守系の亀井氏も「脱原発」などリベラル系の主張は抑えて、自民党票の取り込みに専念したことが功を奏したようです。
3つ目は、この島根1区のようなことが全国で起きたら「政権交代になってしまう」という危機感があり、自民党議員に取材すると
「このまま解散すれば、政権交代(2009年)の再現になりかねない」という雰囲気を感じます。
小川キャスター: 自民党内からは岸田総理に対する厳しい声も上がっているようですが、その中で岸田総理は次にどういった手を打つのでしょうか。
星浩氏: 解散の情勢は厳しいですが、岸田総理は解散権をどこで行使するかということを真剣に考えていると思います。
総理周辺の情報では、岸田総理はまったくめげていないということです。6月には所得減税が行われ、賃上げも進み過去最高水準です。さらに、政治資金規正法の改正を野党と合意して成立させようとしているということもあり、成果を生み出せばそこで政権に勢いを戻して解散に踏み切ることも考えられます。
解散は法律や予算と違い、岸田総理1人の決断でできるものです。つまり閣僚全員が反対しても岸田総理が断行できますので、政治学というより心理学に近い岸田総理の分析が必要です。
小川キャスター: 腹づもりのようにいかなかった場合、どうなるのでしょうか。
星浩氏: 6月になっても政権の勢いが回復せず、解散どころではないという状況は考えられます。その場合は解散を見送り、岸田総理が9月の自民党総裁選に出ても全く勝ち目はありませんので、自民党は新総裁のもとで解散総選挙という道を探ることになると思います。
小川キャスター: まずは実効性のある政治資金規正法の改正となるのか、しっかり見ていかなければなりません。
●北斗晶 岸田政権の大挙外遊に私見「少し減らすとか、もうちょっと好かれることを考えた方が…」 4/30
元女子プロレスラーでタレントの北斗晶(56)が30日、TOKYO MX「5時に夢中!」にコメンテーターとして生出演し、岸田政権の外遊について自身の考えを示した。
番組では、大型連休中の閣僚らの外遊日程について報じた日刊ゲンダイの記事をピックアップ。岸田文雄首相が5月1〜6日の日程でフランス、パラグアイ、ブラジルを歴訪するのをはじめ、大臣20人のうち14人が外遊予定。副大臣や政務官の予定を含めると、単純計算で12・6億円の出費になると伝えている。
歴史的な円安、収まる気配の見えない物価高で、国民生活が窮地に立たされている中での大挙外遊。北斗は「必要ならば仕方のないことなのかもしれませんけど」としつつ、「少し減らすとか、もうちょっと好かれることを考えた方がいいんじゃない?文句言われるのが分かっちゃうわけだから」と提案した。
また「私たちなんか、12・6億円とか言われても想像つかないじゃない?何ともコメントしがたいですけど、ここでこういうふうにしちゃったら、こういうふうに国民からお叱りを受けるんじゃないかとか、考えて。それだったら、もう少し時期をずらしましょうとか」と対案も口にした。とはいえ、「ただ、どこかに行くイコール相手さんの都合もありますからね。こればっかりはね」と、批判一辺倒とはならず、理解も示していた。
●神田財務官、為替介入あったかどうか「申し上げることはない」…「必要な時に適切な対応取る」 4/30
財務省の神田真人財務官は30日朝、財務省で記者団の取材に応じ、政府・日本銀行による円買い・ドル売りの為替介入があったかどうかについて、「申し上げることはない。24時間体制なので、(取引時間の中心が)ロンドンだろうが、ニューヨークだろうが、関係ありません」として、実施の有無を明言しなかった。
為替について記者団の取材に応じる財務省の神田真人財務官(30日午前8時1分、財務省で)
神田氏は「必要な時に、適切な対応を取るということに尽きる。過度の変動が投機によって発生すると国民生活に悪影響を与えるので、しっかりと対応しなければいけない」とも強調した。
30日朝の外国為替市場の円相場は、1ドル=156円台前半で取引されている。 
 5/1-5/10

 

●「内輪もめ」批判懸念、動けない「ポスト岸田」…「国会閉じてからが勝負」 5/1
全敗ショック 衆院3補選
岸田内閣の支持率低迷を受け、「ポスト岸田」を巡る動きは水面下で勢いを増している。
「押しかけて悪いね」
3月12日夜、幹事長の茂木敏充(68)は東京・赤坂の衆院議員宿舎の自室を出ると、こう言って別室に姿を見せた。
部屋では安倍派の中堅・若手5人ほどの飲み会が行われていた。茂木はノンアルコールビールとウイスキーを手土産に飛び入り参加し、衆院選を心配する声には「6月に解散なんかさせないよ」と上機嫌で応じた。
茂木は首相で総裁の岸田文雄(66)を支えつつ、総裁選出馬への機会をうかがっている。最近は安倍派議員との会食を増やし、今月には自身を顧問とする「GX(グリーントランスフォーメーション)促進議員連盟」を設立した。
ぐらつく足元
茂木の基本戦略は副総裁の麻生太郎(83)との連携を土台に置くものだ。麻生も23日、ニューヨークでの米前大統領ドナルド・トランプ(77)との会談前、「日本には茂木もいると伝える」と茂木に電話をかけるなど、後押ししている。
ただ、茂木の足元はぐらついている。茂木派は退会者が相次ぎ、つなぎ留めのために緩やかな政策集団へ移行させたが、有力メンバーである元官房長官の加藤勝信(68)は「もう全員が無派閥だ」と周囲に語るなど、結束が乱れている。茂木が安倍派議員らに接触していることについて、自民内には「派閥をまとめられない焦りの表れだ」と冷ややかな声もある。
「自殺行為」
前首相の菅義偉(75)と、元幹事長の二階俊博(85)は岸田政権で非主流派に甘んじてきた。自民内では、総裁選で2人が岸田との対立軸を形成するとみる向きが多い。
菅と、二階派の元総務相の武田良太(56)、元幹事長代理の林幹雄(77)は衆院3補欠選挙期間中の21日夜、東京都内の日本料理店で、気脈を通じる総務会長の森山裕(79)を交えて歓談した。会食中は、次々と運ばれる天ぷらに箸をつけながら、「早期の衆院解散なんてできない。自殺行為だ」などと政局について意見を交わした。
菅は自民が次期衆院選で苦戦するとみて、「総裁は負け幅をなるべく減らせる人がいい」と周囲に語っている。念頭にあるのは、いずれも知名度が高い元環境相の小泉進次郎(43)、元幹事長の石破茂(67)、デジタル相の河野太郎(61)の「小石河」だ。
小泉は菅と党改革でそろって「派閥解消」を主張してきた。政策面でも、個人が自家用車で乗客を運ぶ「ライドシェア」導入の発信で歩調を合わせ、菅は期待を強めている。
石破は2月に自身を中心とした勉強会を再始動させ、総裁選への準備を進めた。政治資金規正法違反事件を巡り、衆院選不出馬を表明した二階を慰労するため、武田と林も含めた計4人で会食し、距離を縮めている。
派閥解消の流れが進む中、麻生派にとどまっている河野は菅との連携は難しく、「2人の距離は広がっている」との見方もある。
首相も動けず
自民内では、3補選全敗を受け、茂木や菅らが岸田に対抗した動きに出るのではないかとの臆測が出た。
ただ、党へのあまりの逆風の強さに、「内輪もめ」はさらなる批判を招くとみて自重を余儀なくされているようだ。
「勝負は国会が閉じてからだ」
「ポスト岸田」候補の一人は周辺にこう漏らした。
動けないのは岸田も同じだ。岸田は前回2021年の総裁選で戦った河野と経済安全保障相の高市早苗(63)を閣内に入れてライバルの「封じ込め」を図ってきた。
今回も党役員人事や内閣改造を行って茂木を切り、小泉や石破を取り込んで政権浮揚を図る案が党内で取りざたされたが、首相周辺には「もし打診を断られれば、政権が本当に立っていられなくなる」との警戒感が強い。
●円安進行に打つ手なし!岸田首相「物価高から国民生活を守る」の空虚、むしろ手立ては緩みっぱなし 5/1
29日に34年ぶりの円安水準となる1ドル=160円台に急落した東京外国為替市場の円相場。一夜明けた30日も正午時点で1ドル=156円71〜72銭と「円安・ドル高」の傾向は変わらず。さらなる円安進行となれば、懸念されるのが今夏以降の物価高だ。
民間調査会社の帝国データバンクは30日、5月に値上げする予定の飲食料品が417品目になると発表。4月の約2800品目から減少するものの、平均値上げ率は31%。値上げが本格化した2022年以降で最も高くなった。
値上げの要因は「輸入品などの原材料費の高騰」「物流コストの上昇」で、いずれも大きくかかわっているのが円安だ。市場では「1ドル=170円台」の可能性も指摘され始めているから、そうなれば幅広い品目で大幅な「値上げラッシュ」は避けられない。
政府が物価高対策として続けてきた電気・ガス料金の負担軽減措置も5月の使用分までで終了。6月の電気とガスの料金はともに値上がりする見通しだから、さらなる物価高となれば国民生活への影響は計り知れない。
国民の実感は「生活が壊されてきた」の方が強いのではないか
SNS上では《これ以上の値上げはヤバい》《政府は何をやっているのか》といった怒りの投稿も見られるが、岸田文雄首相(66)は物価高に対してこう繰り返していた。
「物価高から国民生活を守る手立ては緩めません」(2024年1月の衆院本会議)
「国民の皆さんが苦しんでいる物価高騰に的確に対応し、そして暮らしやなりわいを守る、これは大変重要なことであります」(2023年12月の衆院予算委員会)
「物価高から国民生活と事業活動を守り抜きます」(2022年10月の衆院本会議)
「足下の物価高騰等に直面し困窮する方々の生活を守るための支援にも取り組んでまいります」(2022年4月の衆院本会議)
「物価高から国民生活を守る」「暮らしを守る」「手立ては緩めない」――。岸田首相はこう声を張り上げていたが、国民の実感は「生活が守られてきた」ではなく、手立ては緩みっぱなしで、むしろ、少子化対策のための実質的な増税やガソリン税減税の拒否、インボイス導入などによって「生活は壊されてきた」という思いの方が強いのではないか。
いずれにしても、今の為替動向と秋以降の値上げに注視する必要がある。
●自民「全敗」でも岸田首相"会期末解散"を狙う事情 「絶体絶命のピンチ」に追い込まれつつあるが… 5/1
岸田文雄政権の「命運」が懸かるとされた「4・28トリプル補選」は、自民党が「全敗」、立憲民主党は「完勝」で終わった。その結果、与党内には「岸田首相では選挙を戦えない」との判断から、「今国会での衆院解散などあり得ない。9月の自民総裁選で“顔”を変えるしかない」(閣僚経験者)との声が大勢となり、岸田首相は「絶体絶命のピンチ」(自民長老)に追い込まれつつある。
その一方で、与党内での“岸田離れ”は加速しているものの、“岸田降ろし”の動きは顕在化していない。「当面は岸田政権の下での自民団結を最優先し、時間をかけて国民の信頼を取り戻すしかない」(党幹部)との発想が背景にあるからだ。ところが、岸田首相はこの状況も踏まえ「虎視眈々と会期末解散断行を狙う」(岸田派幹部)との見方も少なくない。
これに対し、野党側は「こうなった以上、岸田首相は国民に信を問うしかない」(立憲民主幹部)と速やかな衆院解散断行を求める構え。また、多くの主要メディアも「今国会での解散」を主張する。このため、補選後口を閉ざしていた岸田首相が30日午前のインタビューで「(解散は)全く考えていない」と否定しても、政界では会期末解散を巡るざわめきが消えないのが実情だ。
そうした中、岸田首相は5月1日からの連休後半の欧州、南米歴訪での首脳外交で態勢立て直しを図る一方、後半国会の最大の課題の政治資金規正法の改正についても、「大胆な決断で国民の批判を交わす構え」(側近)だとされる。このため、連休以降の政局は「会期末解散を巡り、与野党入り乱れての駆け引きが続く」(自民長老)ことになりそうだ。
自民は島根1区で惨敗、東京15区では「小池神話」崩壊
4月28日に投開票された、衆院の東京15区、島根1区、長崎3区のトリプル補欠選挙は、自民の巨額裏金事件に対する有権者の怒りが岸田政権を直撃。自民が唯一公認候補を擁立した島根1区も、「有数の保守王国でしかも弔い選挙という有利な条件」(自民選対)だったにもかかわらず、事実上の野党統一候補となった立憲民主の元職に大差で敗北した。
また、「政治と金」が絡んで自民が不戦敗を余儀なくされた東京15区、長崎3区でも、立憲民主の公認候補が圧勝。同党内でくすぶっていた泉健太代表の早期交代論も消え、次期衆院選に向け、「日本維新の会との野党第1党争いもほぼ決着した」(幹部)との安堵の声が広がる。
さらに、東京15区で小池百合子東京都知事が率いる地域政党・政治団体「ファーストの会」副代表の乙武洋匡氏は、同会の支援を受け、小池氏と二人三脚での選挙戦を展開した。しかし、圧勝した立憲公認の酒井菜摘氏に大差をつけられて5位と惨敗し、東京の各種選挙で勝ち続けてきた小池氏の“常勝神話”も崩壊した。
これにより、「今年の政局の重大な分岐点」(政治ジャーナリスト)とされたトリプル補選は、「勝者は立憲だけで、自民、維新、そして小池氏が敗者」という結末に。もちろん、次期衆院選は「各党の候補擁立状況や野党共闘も含め、今回の3補選とは全く条件が異なる」(選挙アナリスト)だけに、「やってみなければ分からない状況」(同)ではある。ただ、客観的に見れば「自公は極めて苦しく、維新の伸び悩みも確実なので、相対的に立憲が優位となる」(同)との見方が支配的だ。
岸田首相、敗北陳謝し衆院解散も否定
そうした中、岸田首相は30日午前に首相官邸で記者団のインタビューに応じ、3補選での自民「全敗」について「結果を真摯(しんし)に重く受け止める。今後は、政治改革などの課題で結果を出し、国民の信頼回復に取り組むことで、責任を果たす」と政権維持への意欲を示したうえで、衆院解散については「全く考えていない」と厳しい表情で語った。
岸田首相は特に、公認候補が惨敗を喫した島根1区について「自民党の政治資金の問題が大きく重く、足を引っ張ったことについては、候補者にも地元で応援してくれた方々にも申し訳ない」と陳謝。そのうえで、自身や党執行部の責任について「総裁としても政権与党としても課題に1つひとつ取り組んで結果を出し、責任を果たしていかなければならない。自民党改革や政治改革、さらには賃金や物価対策などで答えを出し、国民の信頼回復に努めていきたい」と語った。
さらに、当面の焦点となる政治資金規正法の改正に向けた自民の対応については「問題の再発防止に向けて政治資金規正法の改正に取り組まないといけないが、それ以外の課題にも委員会での議論に資するよう、党としての方向性を明らかにする」と、国会での多角的な協議の必要性を指摘。注目の衆院解散については「1つひとつの課題に取り組み、結果を出すことに専念しなければならず、全く考えていない」と繰り返した。
その一方で、今回の3補選への対応や、選挙戦終盤での岸田首相や茂木幹事長の動きを検証すると、「選挙後に向けた様々な政局的動き」(政治ジャーナリスト)が目立った。特に与党内では「全敗」を前提に「茂木氏が責任をとって幹事長を辞任する」との憶測が駆け巡り、「岸田首相もそれを察知し、補選後に党・内閣人事を断行し、出直しを図る」(閣僚経験者)とのうがった見方も広がっていた。
岸田首相、島根惨敗で開票時の「敗北談話」断念
そうした中、岸田首相は補選最終日の27日、2度目の島根入りで「何とか逆転したい」と必死の形相で有権者に訴えたが、その効果もなく結果は惨敗だった。これについて地元の自民県連からは「かえって票が減った」(幹部)との声が噴出したが、岸田首相の側近は「敗北を前提に、覚悟を示すためのパフォーマンスだった」と解説する。
しかも、その時点で岸田首相は28日午後8時からの開票には党本部で立ち合い、結果を受けて自ら敗戦の弁を述べる意向を固め、秘書官に「談話作り」を指示したという。ただ、これは「接戦に持ち込めたことを前提にしたもので、結果的に当日の大手メディアの出口調査で大差の惨敗が確実となった同日夕刻には、茂木氏と連絡の上、党本部入りを断念した」(側近)とされる。
これは、裏金事件への対応を巡る岸田首相(総裁)の“独断専行”で茂木氏との溝が広がり、「茂木氏は辞任によって政権から離れ、秋の総裁選出馬へのフリーハンドを得ようとしている」との見方があったことが背景にある。
だからこそ岸田首相が茂木氏とも意を通じた結果、茂木氏は28日夜、補選結果を受け党本部で記者団に「厳しい状況だからこそ、一致結束して臨む必要がある」と、ことさら団結して岸田政権を支える姿勢を強調したとみられる。
こうしたことから、「今後の政局は表向き平穏なまま、政府は淡々と政策課題に取り組み、国会では政治改革を巡る与野党協議が続く」(官邸筋)ことになる。ただ、水面下では岸田首相と菅義偉前首相を旗頭とする「反岸田勢力」との暗闘が激化し、「政局は会期末が近づくにつれ、何が起こるかわからないという緊迫した状況になる」(自民長老)ことは間違いなさそうだ。
●国民に舌打ちされる自民党、次期衆院選はどうなる? 元事務局長「首相を代え、どれだけ議席減を抑えるかだ」 5/1
衆院3補欠選挙で全敗を喫した自民党。派閥の裏金事件に加え、女性問題を週刊誌に報じられた宮沢博行氏が衆院議員を辞職するなど、組織の「瓦解(がかい)」が止まらないように映る。その要因や岸田政権の今後の見通しについて、元自民党事務局長で選挙・政治アドバイザーの久米晃氏(70)に聞いた。
岸田政権は危機への対応が遅すぎる
――補選は全敗だった。
「驚きはない。個々の事情はあるが、全体的には政治とカネの問題で、自民への逆風が予想以上に強かったということだろう」
――自民が読み誤ったか。
「今回の選挙で、ということではなく、昨秋以来、岸田政権はこの問題への対処を誤り続けている。例えば処分も先延ばしした上に中途半端だった。危機への対応が遅すぎるのではないか。首相は『結果を出す』と言い続けているが、何一つ結果が出ていない。支持率は回復しようがない」
襟を正さぬトップ、声を上げぬ若手
――自民は政治改革にも消極的に見える。
「本来は1989年の党政治改革大綱を守っていれば、今回の問題は起こらなかったはずだ。一番上に立つ人が襟を正さないから下も守ろうとしない。一方で30年前の政治改革の時のように、若手議員が声を上げることもない」
――その理由は。
「昭和20年8月15日(終戦)を経験していない人が政治の中心になり、政治に対する志や使命感が薄れてきてしまっているのではないか。今は、明治維新が忘れられた大正・昭和初期の時代と共通項があると思っている。もう一つは選挙制度。無所属での立候補は制約が大きく、志のある人が出づらい一方、政党には世襲議員が増えてきている」
自民支持者は納得できる人でなければ投票しない
――思い切った改革をすれば支持は回復するか。
「難しいのではないか。今、首相の交代を望む世論が大勢になりつつある。大型連休明けに自民内で何らかの行動が起こらなければ、次期衆院選で厳しい結果になる。首相は解散について『全く考えていない』と強く否定し、自分で解散権を封じたということだろう。そう思われても仕方がない状況だ」
――菅義偉前首相から、顔を変えて大勝した2021年衆院選の再現か。
「一度失った信用は簡単には戻らない。国民が(自民に)舌打ちしたくなる状況が何年も続いている。リーダーを代えて議席減をどれだけ抑えるかという話だ。自民の支持者は保守的無党派層。自民候補でも、信用できて納得できる人でなければ、投票しない」
●表紙を替える熱あるか 伊東正義と自民党 5/1
感情や勘定に流されずに生きたい―。そう願う時、ハードボイルド小説を読みたくなる。先日、ある直木賞作家の短編集を書店で購入した。
帰宅後、未読の文庫が積み重なる本棚に同じタイトルを見つけた。別の出版社が表紙を替えて発売した新装版を誤って買ってしまったのだ。積読(つんどく)ゆえの重複購入に、硬骨ならぬ筆者はうろたえた。
「本の表紙だけを替えても中身が変わらないと駄目だ」
官房長官や外相を務めた伊東正義は1989年、リクルート事件で退陣する竹下登首相の後継に推され、こう固辞した。結局、後継首相には宇野宗佑が選ばれ、自民党は直後の参院選で惨敗した。
首相の座を目前に動じなかった伊東はハードボイルドを地で行く人物だった。その名言をよそに、表紙の張り替えが奏功した例も少なくない。
直近では2021年秋、菅義偉首相は新型コロナ対策の遅れを批判され、総裁選への再選出馬を断念した。代わって就任した岸田文雄首相が衆院解散・総選挙に踏み切り、自民党は勝利した。
さらに遡(さかのぼ)ること20年。支持率の低迷が続いた森喜朗首相は01年春に退陣し、後継の小泉純一郎首相が夏の参院選で大旋風を巻き起こした。
自民党の表紙を替えるスキルを侮ってはならない。
国政選挙が近づくと、所属議員の生き残りたいという欲求の総和が原動力となり、不人気の首相を降ろし、新たな「選挙の顔」を選ぶ。言い換えれば、時の首相と国民世論の隔たりを是正し、政権与党であり続ける能力である。
伊東発言から35年。表紙の張り替えが繰り返され、政治の中身はどうなったか。
裏金事件で明らかになったのは、少なくとも自民党の金権体質は何ら変わっていないということだ。有権者にそう見透かされ、自民党は4月末の衆院3補選で全敗した。
岸田内閣が支持率低迷から抜け出す気配のないまま、衆院議員の残り任期は1年半となり、来夏の参院選も迫る。従来なら、そろそろ自民党議員の生存本能が蠢(うごめ)き、表紙を替える機が熟してくる頃だ。
しかし、今の自民党からは所属議員が国民の信頼回復に向けて首相や党執行部に改革を迫る「熱」が伝わってこない。つまり、表紙を替える技量の劣化が兆している。
当の首相は権力維持に固執し、9月の党総裁選での再選を諦めてはいない。6月23日の国会会期末に向けて支持率が上向けば、イチかバチかの衆院解散・総選挙を探る可能性もないではない。
党内抗争劇に惑わされないようにしたい。首相が続投するにせよ、代わるにせよ、私たち有権者は選択に備えねばならない。そして、政党や候補者の表紙だけではなく、中身も見極めて投票したい。
こう呼びかける手前、表紙を替えた短編集の中身は味読した。藤原伊織さんの「ダナエ」は掛け値なしの傑作だと請け合う。
●自民党腐敗の温床「経団連」による政治献金の知られざる内情 自民党側の“営業活動”や収支報告書から見えた“横並び献金”の実態とは 5/1
「裏金問題」を発端として企業献金に疑念が抱かれる中、わが国最大の経済団体「経団連」にも注目が集まっている。政界との癒着を疑う声も高まる一方だが、その正体は、カネに物を言わす圧力団体でしかないのか。知られざる政治献金の実態に迫る。
「何が問題なのか」――。昨年12月、加盟企業による自民党への献金の是非を問われた経団連・十倉雅和会長は、記者団を前にこう言い放った。
今なお、岸田政権を大いに揺るがしている派閥の「裏金問題」。この原資となっているパーティー券収入の多くは企業の“まとめ買い”によるもので、実質的な企業献金の体を成している。
さらに、自民党の政治資金団体である「国民政治協会」に対しても、毎年多額の企業献金が行われている。その額、実に24億円。そしてこの大部分は、経団連が主導しているものなのだ。
“政治とカネ”の問題が指摘されて久しい。それでもなお、なぜ企業は政治に対する寄付を行うのか。主導する経団連の目的は何なのか。そして冒頭の会長発言の通り、そこには本当に「何の問題もない」のだろうか。
献金の「廃止」と「再開」の歴史
経団連の事情に通ずるジャーナリストが政治献金の歴史を概説する。
「もともとは『自由主義経済を守るため』という理念のもとで始まったものです。個々の企業が直接的に政治家に何かを要求することがないようにと、経団連が間に入る仕組みが整えられていった。経団連が業界ごとに額を割り当て、各企業の献金をあっせんしていた形です。この規模は拡大し続け、バブル期の頃には、100億を超える額が自民党に寄せられていました」
こうして献金に歯止めが利かなくなった中で転機となったのが、「リクルート事件」や「佐川急便事件」など、いわゆる“政治とカネ”の問題だ。桁違いのカネが政策をゆがめていた事実が相次いで発覚し、政治献金に強い疑念の目が向けられることになったのだ。
その結果、自民党が下野するのと時を同じくして、93年、当時の平岩外四会長(東京電力)の時代に献金のあっせんは全廃された。
さらに政界では、特定の企業や団体に政治がゆがめられることのないようにと、政党交付金制度も導入される。毎年約300億円もの税金が各政党に分配されることで、民間からの寄付に頼らずとも、十分な政治資金を得られるようになったということだ。
だが、経団連の「献金廃止」の意思は、そう固いものではなかった。
「政治への影響力低下を懸念して、04年、一時的に献金は復活されることになりました。『政策評価方式』という、自民党への献金を正当化する仕組みを用意したのです。しかし、09年に民主党政権が発足すると、自民党支持のスタンスを取る経団連としては、野党に献金することになり不都合な状況となってしまった。そこで、ほどなくして献金への関与を取りやめることになりました」(同)
まさに紆余曲折。「廃止」と「再開」の狭間で揺れる経団連だったが、
「やはり献金を廃止していた間、政界における経団連の存在感が低下した感は否めません。米倉弘昌会長時代(10〜14年)には、当時の安倍政権と関係が悪化し、経済財政諮問会議のメンバーから経団連が締め出されたこともあった。このような背景が重なって、ついに14年、榊原定征会長(東レ)時代に、経団連による献金は本格的に再開されることになったわけです。“あっせん”という言葉は使われず、強制力のない“呼びかけ”という表現に変わりはしたものの、『政党交付金がありながらなぜ献金が必要なのか』という批判の声は、今も絶えず上がっています」(元日経新聞証券部記者で、経済ジャーナリストの磯山友幸氏)
●吉田茂の受諾演説に誇り 首相には宰相の威厳が… 書く書く鹿じか 5/1
4月28日は72年前、対日講和の平和条約が発効し、連合国軍による占領統治が終わって日本が主権を回復した日である。大型連休に埋もれてしまっているが、「独立記念日」としてもっと周知されていい。
昭和26(1951)年9月8日、米サンフランシスコで、連合国48カ国と日本との間で講和条約が調印された。首席全権の吉田茂首相は、用意されたペンではなく、ポケットから自分のペンを出してサインした。そして和紙に毛筆で書かれた受諾演説を日本語で読み上げた。長さ30メートルもの巻紙で、現地のメディアは「トイレットペーパーのようだ」と報じた。
演説の草稿は当初、英文で書かれていたが、側近の白洲次郎が「独立の演説を相手の言葉でするばかがどこの世界にいるんだ!」と一喝して、日本語に書き直させたとされる。白洲自身は「なぜ日本語で演説したかという理由については、こまかいところは知らない」(「講和会議に随行して」から)と言っており、吉田の英語があまり上手ではなかったからという説もある。ただ、20分にも及んだ日本語の演説は、戦後の再出発にあたって日本人に誇りを取り戻させてくれた。
岸田文雄首相が先月、国賓待遇で米国を訪問した。米議会での演説や公式晩餐会のスピーチは、英語で「日本の国会では、これほど素敵な拍手を受けることはない」などとジョークを連発して笑いを誘った。さらにバイデン大統領のリムジンに同乗した際、ツーショットを自撮りしてご機嫌だった。
ケチをつけるつもりはないが、ちょっとミーハー的で、前出の吉田茂のような宰相の威厳が感じられない。このところ国内では不祥事続きで、苦虫を噛み潰したような表情だったから、日本を離れて羽を伸ばし、得意の外交で失地を回復した気分だったのだろう。
目論見(もくろみ)通り、訪米の成果が評価されて、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、内閣支持率が26・9%で前月より3・7ポイント上がった。だが、気になる数字がある。「政権交代を期待」が52・8%で、「自民党中心の政権継続」の40・1%を上回ったのだ。
有権者は自民党に愛想が尽きている。案の定、3つの衆院補欠選挙は不戦敗もあって1つも勝てなかった。それでも、立憲民主党を中心とした野党に政権を委ねるのは不安だ。かつての民主党政権の悪夢がいまだに消えないし、この国をどう舵取りするのか見えない。
「ワンマン」と称され、短気で癇癪(かんしゃく)持ちのイメージが強かった吉田茂だが、こんな言葉も残している。 「忍耐がどんな難問にも解決策になる」
岸田首相もジタバタせずに風向きが変わるのを待ってはどうか。もちろん自民党は裸一貫になっての出直しが必要だが。
●岸田文雄首相、空路54時間の強行軍で経済協力の強化図る 対中意識、南米と仏へ出発 5/1
岸田文雄首相は1日午前、フランス、ブラジル、パラグアイ訪問のため政府専用機で羽田空港を出発した。空路で計54時間以上、機中2泊で地球を1周する3泊6日の強行軍。南米2カ国とは貿易・投資の拡大、市場開拓、現地の雇用創出といった「ウィンウィン」の経済関係強化を図る。ロシアのウクライナ侵略や中国の覇権主義的な行動により国際秩序が揺らぐ中、経済力の大きい中国に傾斜しないよう引き止めたい考えだ。
首相は1日の出発に先立ち、記者団に「ブラジルのルラ大統領とは二国間関係、国際場裏の連携などを確認したい。パラグアイのペニャ大統領とは経済、宇宙、情報通信、人的交流といった二国間関係とあわせて国際的な課題も意見交換したい」と抱負を語った。中南米は今年、ブラジルが20カ国・地域(G20)議長国を務めるなど国際社会でカギを握る存在といえる。日本の首相の中南米訪問は2018年以来。
日本政府には「中国が中南米に積極進出し、影響力を高めているのに、日本は出遅れている」(外務省幹部)との危機感がある。中南米はエネルギー資源、鉱物、食料の一大供給地で、中国は年間貿易額を約20年で40倍程度に増やしている。
首相は今回のブラジルとパラグアイそれぞれの首脳との会談で、「力による現状変更」を試みる中露を念頭に「『法の支配』に基づく自由で開かれた国際秩序」の重要性について認識の共有を図る。加えて、相手国の経済的利益につながる協力強化を打ち出す。ブラジルには40社以上、パラグアイには10社以上の日本企業の幹部が同行し、現地企業と協力の覚書を結ぶ見通しだ。
ブラジルは、リチウムイオン電池の主要原料であるリチウム、ニオブなど重要鉱物の産地。首相は3日(日本時間同)のルラ氏との首脳会談で、重要鉱物の供給網(サプライチェーン)構築について協議する。
また、脱炭素社会実現に向けた包括的な協力の枠組み「グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ」を立ち上げる。ブラジルはバイオエタノール生産国で、ガソリンの代替燃料として普及している。日本には調達先確保やエタノールを燃料に走る自動車市場の開拓、ブラジルには日本の技術力の活用というメリットがある。
3日(日本時間4日)のパラグアイとの首脳会談でも貿易・投資の拡大を議論する。パラグアイは中国ではなく台湾と外交関係を結ぶ世界12の台湾承認国の1つ。首脳会談では「力による一方的な現状変更」への反対を確認したい考えだ。
4日(日本時間5日)には、日本の首相として10年ぶりに中南米に関する政策スピーチを行う。日本と中南米の深い歴史を強調しながら、日本は強権的ではなく信頼できるパートナーだとのメッセージを打ち出す。
首相は南米2カ国に先立ってフランスを訪問し、日本が議長国を務める2日(日本時間同)の経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会で、基調演説を行う。
基調演説では「自由で公正な経済秩序」の重要性を指摘する。これに反する動きを見せる中国を念頭に、経済的威圧や非市場的政策・慣行への対応、サプライチェーン強靱化のため各国の協力の必要性を強調。OECDの分析や評価を通じた国際標準の形成により、そうした取り組みに貢献できると訴える方向だ。
●岸田総理“GW外遊”は信頼回復に繋げられるのか 政権幹部「外交で稼げる」と期待寄せる 5/1
岸田総理は、けさ、パリに向け出発しました。OECD=経済協力開発機構の議長国として演説を行うほか、南米を歴訪します。同行する渡部記者の報告です。
衆議院の3つの補欠選挙が全敗に終わり、岸田総理は「国民の信頼回復に努める」と訴えていましたが、その直後の外遊ということもあり、冷ややかな目も向けられそうです。
岸田総理「日本はルールに基づく自由で公正な国際経済秩序を構築し、そして強化する。こうした取り組みを主導していくことを訴えたい」
フランスではOECD本部での演説やマクロン大統領との首脳会談を通じ、安全保障・防衛分野などでの協力関係を強化したい考えです。
フランス訪問後には、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国の筆頭格であるブラジルやパラグアイを総理就任後初めて訪問します。
先月のアメリカ訪問後には報道各社の支持率が上昇したこともあり、ある政権幹部は「岸田は外交で稼げる」と期待を寄せていますが、外交の成果をどのように内政に繋げていくのかが問われます。
●岸田首相がフランスと南米歴訪へ出発…「国際経済秩序を構築し強化する取り組みを主導していくことを訴えたい」 5/1
岸田首相は1日午前、フランス、ブラジル、パラグアイの3か国を歴訪するため、政府専用機で羽田空港を出発した。2日は最初の訪問地となるフランスで、パリに本部を置く経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会で基調演説を行い、生成AI(人工知能)に関するイベントにも出席する。
首相は出発に先立ち、同空港で記者団に「ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序を構築し、強化する取り組みを主導していくことを訴えたい」と語った。「生成AIをはじめとする国際的な課題についての議論も推進したい」とも述べた。
ブラジルではルラ・ダシルバ大統領と会談し、脱炭素分野での協力を確認する見通しだ。ブラジルは今年、主要20か国・地域(G20)の議長国を務めており、新興・途上国「グローバル・サウス」との連携を重視する姿勢も示す。6日に帰国する予定だ。
●岸田首相の外遊に《行くなら自腹で》と揶揄皮肉…外交のキシダで浮上? 否、国民の怒りは最高潮 5/1
「終活旅行」「最後の想い出づくり旅」——。SNS上では揶揄する声が溢れているようだ。
1日午前、フランス、ブラジル、パラグアイを訪問するため、政府専用機で羽田空港を出発した岸田文雄首相(66)。パリで開かれる経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会での基調演説や各国首脳との会談が予定されており、岸田首相は出発前、「日本がルールに基づく自由で公正な国際経済秩序を構築、強化する取り組みを主導していくことを訴えたい」などと、ご機嫌な様子で話していた。
《ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序の維持・強化を、また総理就任後初の訪問となる中南米では、未来に向けた政策を打ち出します》
首相官邸のSNSにもこう投稿されていたのだが、このニュースが報じられた直後からネット上では否定的な意見や突っ込みが相次いだ。
ルールがないから裏金事件が起き、処分も公正ではないのが自民党
《「ルールに基づく自由で公正な秩序の維持」って、どの口が?ルールがないから裏金事件が起き、処分も公正ではないのが自民党》
《中南米で「未来に向けた政策」を掲げてどうするの。肝心要の日本の未来の政策はまだ何も示されていないよ》
《行くなら自腹で行け。超円安で庶民は近場の海外にすら行けないんだぞ。それに今出かけるなら、おフランスではなく能登半島でしょ》
岸田首相の外遊といえば、2023年1月にも問題視された“事件”があった。当時、総理秘書官を務めていた長男の翔太郎氏(33)が欧米歴訪に同行した際、パリやロンドンで現地大使館の公用車を使って観光や買い物に興じていた――と「週刊新潮」に報じられたのだ。
この時もネット上では、《公費で家族旅行、観光三昧。ふざけるな》《政治利用のファミリービジネス=岸田家》……などと批判的な投稿が溢れたが、今回はさらに怒りの声が目立つようだ。
衆院3補選で全敗、各メディアの世論調査はそろって「危険水域」とされる支持率2割台が続いている岸田政権。岸田首相は「外交のキシダ」で浮上を図りたいと考えているようだが、世論の反応を見る限り、そう甘くはない。
《退陣前のご褒美旅行》との指摘が現実になる日は近いかも……。
●集会で労働者の格差是正を訴え 5月1日はメーデー 5/1
5月1日はメーデーです。神戸市内で集会が開かれ、参加者たちが労働者の格差是正などを訴えました。
神戸市中央区の「みなとのもり公園」で開かれた集会には、兵庫労連など県内30以上の団体からおよそ1000人の労働者が集まりました。
集会では、兵庫労連の成山太志議長が、2022年から続くロシアのウクライナ侵攻に触れて平和の大切さを呼び掛け、防衛費を増額してきた岸田政権に対しては、「社会保障を充実させ、消費税を減税すれば暮らしが豊かになる」と訴えました。
また、参加者たちは、物価高以上の賃上げや最低賃金1500円の実現、労働環境の整備などを強く訴えました。
集会の後、参加者たちは、のぼりや横断幕をかかげながら神戸市内をデモ行進しました。 
●世界と日本の経済と人口の行方は? 5/1
ウクライナ戦争、イスラエルとハマスの戦争など、先の見えない混沌とした国際情勢が続いています。ロシアにプーチン、中国に習近平、北朝鮮に金正恩など、権威主義国のリーダーが、まるで世界の時計がストップしたかのように、いつまでも権力の座に居座っています。そこに、トランプ前米大統領がまた返り咲きかねないというのですから、世界は前に進むどころか、泥沼にはまり込んで動けないような状態ですね。現在の国際情勢を覆う共通の感情は、出口の見えない「閉塞感」といってもいいのではないかと思われます。
そこで、このような世界のなかでわたしたちはどう生きたらよいのかという難しいテーマで、先日新潟で講演をしてまいりました。食の新潟国際賞財団のご親切なお招きを受けて、「激動する世界情勢と食料問題」と題する講演会で、私と国連世界食糧計画(WFP)の津村康博日本事務所代表のそれぞれの講演でした。
皆さんに少しご注目いただきたい点だけを取りあげますと、以下の通りです。
(1)世界は、自由主義国圏と権威主義国圏に分断されているわけですが、その間を右往左往する、いわゆるグローバルサウスの国々の存在感が増大しています。そして、驚くべきことに、最近の世論調査では、ロシアに好感を持つ新興国・途上国が増加しており(スライド4)、また、ASEAN10カ国中、米中なら「中国を選ぶべき」とする人々が過半数を占めたということです(スライド5)。
(2)トランプがもし再選されたら、という「もしトラ」の場合に起きうるシナリオについては、佐々江賢一郎元駐米大使の日本記者クラブでの発言要旨をまとめました(スライド8)。英国のフィナンシャル・タイムズ紙のコメントは明快です。トランプには、「カネの亡者」として対応するのがよいとすすめています。「金で動く人物なのだ。それも法外な金額でなくてもいい」と言い切っています(スライド9)。
(3)中国の経済力が米国を追い抜くのかどうかについては、これまで諸説が飛び交ってきました。以前、2030年ごろには中国のGDPは米国を追い抜くと見られていましたが、22年12月に日本経済研究センターが米国越えは困難となったと発表して、「なんだ、米国が世界一を続けるのか」と思わせました。ところが、23年12月には、英国のシンクタンクが、37年には米中のGDPが逆転するとの予測を発表して、「やはりそうか」という状況です(スライド11,12)。この予測で注目されるのは、38年には、中、米、インドに続いて、日本が4位に残っていることです。現在の日本の経済力は、米、中、ドイツに続く4位で、もうすぐインドに抜かれると巷では予測されているのですが、どっこい、ドイツは再び日本の後を追うことになるとのことです。それでも、現在のような円安が続けば、このような予測もどうなることやら。
(4)これからは、データとAI(人工知能)の世紀になることは間違いがないと思います。すでに企業へのAIの導入が日米とも急速に進んでいます。

 

●能登地震なぜ復興が遅れているのか…馳知事は水道復旧に “お花畑” 発言 5/2
能登半島地震の発生から5月1日で4カ月が経過した。石川県内でこれまで245人の死亡が確認され、3人がいまなお行方不明となっている。県によると、4月30日時点で避難所に身を寄せている被災者は4606人になるという。
「被害を受けた住宅は7万8568棟で、1割を超える8142棟が全壊でした。仮設住宅の建設も進んではいますが、県が6421戸の完成を目指しているのに対して、4月末時点で完成したのは3368戸。まだまだ不足しています」(社会部記者)
仮設住宅の工事着工を妨げている要因のひとつに、倒壊家屋の撤去が進んでいないことがある。
「所有者に代わって自治体が家屋を解体撤去する『公費解体』の手続き申請がおこなわれていますが、解体しなければならない家屋が2万棟以上あると言われるなかで、申請済みは約8500棟にとどまっています。
申請が少ない背景には、家屋が未登記だったり、数十年も前に亡くなった方がそのまま所有者として登記されているケースがあるからです。
そうすると、解体の前提である『所有者の同意』が不可能だったり、権利確認などに時間がかかったりします。そのうえ、解体業者の不足もあり、撤去できたのは緊急性がある家屋も含めて100棟ほどになっているのです」(同)
倒壊家屋の撤去が進まないことで、「断水」の解消にも影響が出ている。メインとなる本管は徐々に復旧しているが、そこから個々の住宅につながる水道管の復旧が進んでいないのだ。
「珠洲市、輪島市、能登町の3780戸で断水が続いています。本管から家屋に引き込む水道管の復旧工事ができないのです。
県内の水道工事業者には依頼が殺到しているので、各家庭が個別に県外業者に工事をお願いするのですが、遠方から来るため交通費などが請求され、どうしても県内業者より割高になってしまいます」(同)
5月1日、金沢市内の避難所を視察した馳浩知事は、被災者からこのことを聞き、記者団に「県でこのぶん(増加した経費)を負担してあげられないかと。6月の議会を待たずに何かできないかなあと(考えています)」と、追加経費を補助する方針を示したのだが……この発言について、“まるでお花畑” と能天気ぶりを指摘する声が相次いでいる。
SNSには、《馳知事はこの4ヶ月間、何やってたんですかね?》《5月1日に住民から聞かされるまで、馳知事はこれを知らなかったのだろうか。対応が遅すぎる…》《復旧する為の業者が足りなくなるのは、かなり前から判り切っていた。個人レベルでも金銭的な事や修繕の問が出る事も判っていた。それを言われて今更気が付くとは》
など対応の遅さに批判の声があがっていた。被災者の疲弊は募るばかりである。
●石川 内灘町 液状化で下水道壊れる トイレが使えない状況続く 5/2
石川県内灘町では、能登半島地震による液状化で一部の地域の下水道が壊れ、トイレが使えない状況が続いています。町は、詳しい測量や地盤の工事が必要になるとして、復旧までにはかなりの時間がかかるという見通しを示しています。
金沢市に隣接する内灘町では、地震によって地盤が大きく隆起したり沈んだりするなど、液状化の深刻な被害が出ています。
このうち西荒屋地区では、およそ60戸でトイレなどを使うことができなくなっていて、住民たちは、町が屋外に設けた仮設のトイレなどを使う不便な生活を余儀なくされています。
住民のひとりは「寒い時期は仮設トイレまで行くのも大変でした。これから暑くなってくるので、臭いや衛生面が心配です」と話していました。
また、別の住民は「電気などに問題はないので住み続けたいと思いますが、本当に不便でとても困っています」と話していました。
町によりますと、復旧にはかなりの時間がかかる見通しだということです。
下水道は、水圧で水を送る上水道とは異なり、勾配を利用して流していく方式がとられています。
下水管は道路などから5メートルほどの地下に整備されていますが、液状化によって位置が大きくずれてしまったということです。
内灘町上下水道課の四月朔日松英課長は「下水が流れる向きが逆になってしまうような状況も起きている。復旧にあたっては、元の下水管の位置を詳しく調べる測量や、地盤そのものの工事が避けられない」と話していました。
●富山 氷見 能登半島地震で被害の土産物店 きょうから営業再開 5/2
能登半島地震で被害にあった富山県氷見市の土産物店が2日から営業を再開させ、地元の常連客や観光客でにぎわいました。
氷見市の漁港近くにある土産物店は、店主の川嶋裕美子さん(64)が休業中だった店の再開を検討していたやさきに能登半島地震が起き、被害にあいました。
店の前の地面に亀裂が入ったほか、建物の屋根瓦が崩れたり、壁に穴が開いたりする被害があったということです。
店では復旧工事を進めてきましたが、このほど完了したことから2日午前9時に営業を再開し、地元の常連客や観光客などが次々に訪れると、店主と会話を楽しみながら買い物をしていました。
店主の川嶋さんは営業再開を記念して、店内で氷見特産のブリをテーマにした替え歌を披露し、客らは手拍子をするなどして楽しんでいました。
川嶋さんは「地震で被害を受けましたが前向きに頑張っていくので、ぜひ多くの人に氷見市に来てほしい」と話していました。
岐阜県から観光で訪れた60代の女性は「亀裂が残る氷見市内の道路を見ると改めて地震の大きさを感じます。この土産物店も頑張ってほしいです」と話していました。
●萩生田前政調会長・世耕元経産大臣を不起訴 東京地検特捜部 自民党「裏金」事件めぐり刑事告発 5/2
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、東京地検特捜部は、刑事告発を受けていた萩生田前政調会長と世耕元経産大臣について、きょう付けで不起訴処分としました。
不起訴処分となったのは、自民党の萩生田光一前政調会長、自民党を離党した世耕弘成元経産大臣、そして、それぞれの関連政治団体の会計責任者らあわせて8人です。
萩生田氏と世耕氏らはそれぞれ、2018年から2022年までの間、安倍派から受けたキックバックを関連政治団体の政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反の疑いで神戸学院大学の上脇博之教授から刑事告発されていました。
特捜部は、萩生田氏と世耕氏ら6人については「嫌疑不十分」としていますが、萩生田氏の秘書と世耕氏の会計責任者については「起訴猶予」としています。
また、世耕氏は去年、都内のホテルで和歌山県内在住の男性に8000円のクッキー缶を渡したとして、公職選挙法違反の疑いでも刑事告発されていましたが、特捜部はこの告発についても嫌疑不十分で不起訴処分としています。
●世界で広がるロビイング活動の可視化 日本では規制もなく、実態も不透明 5/2
政策や法律などに対して、政策決定者に口頭や文書で働きかけることは、「ロビー活動」と呼ばれる。時には寄付など合法的な金銭のやりとりもある。だが、やり方によっては、政策や法律が声の大きさやお金の有無でゆがめられかねない。各国ではロビー活動の監視を強める規制が進み始めているが、日本では規制もなく、その実態すらつかめていないのが現状だ。
「CSR(企業の社会的責任)の次はCPR(企業の政治的責任)!?」─そう銘打たれたイベントが1月、都内で開かれた。主催者は、スタートアップの支援をする企業「マカイラ」だ。ロビー活動やPR、キャンペーンなどで政府や世論に働きかける活動を助けている。
IT系のスタートアップは、民泊やライドシェアなど事業をする上で規制緩和が必要なことがある。個人情報などにもかかわる場合は世論の理解も必須で、新しい政策作りやルール形成が必要なことが多い。
藤井宏一郎代表は、新しいビジネスを生み出すため、こうしたスタートアップの声を届ける支援をしてきた、と説明した上で、こう語った。
「既得権益や世の中を変えないようにする人ではなく、社会変革やイノベーションを起こしたい人の小さな声を届けたいと思ってきた」
IT業界が興隆するなかで、IT企業のロビー活動も激しくなった。欧米各国でロビー活動に費やされた額を見ると、昨今では、GAFAなど大手IT企業名が上位に並び、「やりすぎている」という批判も出るほどになった。
民主主義ゆがめないカギ 透明性の担保
ロビー活動は本来、だれもが公共的な政策について有益な情報を届けて、政策策定につなげられる仕組みだ。ロビイストも企業の人間だけでなく、NGOや消費者団体など幅広い。ただ政治献金など、金銭の授受を伴うこともあり、それが過度に行われる場合には、利益誘導につながりかねない側面もある。民主主義がゆがめられないようにするカギは、透明性の担保といわれる。
OECD(経済協力開発機構)の調べによれば、2023年の段階で、主要7カ国(G7)のうち、日本以外ではロビー活動の規制があり、加盟29カ国中12カ国は、監督組織を設置している。
このうち10カ国はロビイストの名前とロビー先、具体的なロビー活動内容も登録が必要だ。3カ国は、資金の予算と支出、さらにどのような政策が対象かも明記することになっている。また29カ国中10カ国が、活動の透明性に違反があった場合は制裁を科す仕組みがある。
OECDによれば、ロビー活動の規制は米国では1940年代からあったが、OECDが2010年に「ロビー活動の透明性や公正性にかかわる原則」について理事会勧告を出してから、英国やイタリアなどにも規制が広がりだした。
日本でも古くから「鉄のトライアングル」といわれるような政官財の癒着構造を示したり、金融機関で監督官庁の大蔵省(現・財務省)を担当する人を「MOF担」と呼んだりする言葉もある。今も企業では渉外担当、スタートアップでは公共政策担当がロビー活動をしている実態はある。
ただ規制がないため、ロビイストの定義も定まらず、人数や費やされた金額などの実態も把握されていない。政治とカネが問題になっても、もう一方の当事者である企業のロビー活動を見えるようにするべきだとの声は高まっていない。
この日のイベントでは、登壇者の元衆院議員が、ロビイストら数十人が集まった会場で、「ロビー活動の情報が表に出ることになっても議員を訪問するか」と問うと、ほとんど手を上げなかった。
ある男性は「議論が固まるまではオープンにされたくない」「どの議員からまわったかが表に出るとやりづらい」と本音を打ち明けた。元議員も「仮想通貨の企業がルール作りを求めて、政治家のところに行けば、金融庁から『お前何の話に行った』と言われる」と応じ、ルール作りの議論が進まない理由の一端が垣間見えた。
もう一人の登壇者で、企業の政治的な責任を包括的に評価することに取り組むNGOを作った仏HEC経営大学院教授のアルベルト・アレマノは「ロビー活動が可視化されなければ、政策形成で、一定の力がある人の影響力のみが反映され、消費者団体やNPO、市民の声が十分に聞かれない可能性もある。日本でもルール作りは必要ではないか」と話した。
欧州でも、ルールがあっても問題は生じている。それでも透明化する重要性が共有されることで、社会のさまざまな立場の人が声をあげられる仕組みづくりにつながっている。
競争環境整わず 経済発展もそがれる可能性 
ロビー活動の状況が見えなければ企業の競争力がそがれ、経済全体の成長につながらない懸念もある。一定の産業や企業の影響力が強まり、十分な競争環境が整わず、その中でそれぞれの取り分を増やそうとばかりしかねないためだ。東京大の渡辺安虎教授は「個々のロビー活動の善しあしの判断は難しいが、ロビー活動の透明化に消極的な姿勢は利益誘導だと思われかねない」と指摘する。
とはいえ、効果的な規制作りには時間がかかる。東京財団政策研究所の岸本充生研究主幹は、まずはたとえば企業のCSRリポートに政治活動も記入することなどを提起した上で「公表した方が信頼性が高まって得であるという流れをつくることも重要だ」と話した。
●補選で「否」を突き付けられた岸田文雄首相はいつ有権者に「否然」を問うか 5/2
日本神話の舞台として知られる島根県出雲市の稲佐(いなさ)の浜は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)から遣わされた武神、建御雷神(たけみかづちのかみ)が地上世界を統治した大国主命(おおくにぬしのみこと)に国譲りへの「YES」(然=しか=り)か「NO」(否=いな)を迫った場として「否然(いなせ)」が転じた地名とされる。
先月28日の衆院3補欠選挙は、稲佐の浜にほど近い島根1区で、立憲民主党元職が自民党新人を破った。自民党は不戦敗の東京15区と長崎3区を含め3戦全敗となった。補選を巡り国会で「私への判断も含まれる」と答弁していた岸田文雄首相の政権運営が有権者から「否」を突き付けられた。
この結果は衆院解散戦略に影響し、首相は衆院解散を「全く考えていない」と強調した。ただ、派閥パーティー収入不記載事件で岸田派の解散を表明したときもそうだが、首相は追い込まれてから捨て身技に出ることもある。国民に「否然」を問うのはいつだろう。
●パウエルFRB議長、利下げ「予想より時間」 高金利の長期化を示唆 5/2
米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は1日、政策金利を6会合連続で据え置くと決めた。FRBのパウエル議長は記者会見で、「(最近の)インフレ率は予想を上回っている」として、利下げを判断するには「以前の予想よりも時間がかかりそうだ」と述べ、高金利を長く保つ意向を明らかにした。一方で、再び利上げする可能性は「低いと思う」と述べた。
FRBは同日発表した声明文で、前回までなかった「ここ数カ月、(インフレの)目標の2%に向けたさらなる進展がみられない」という文言を追記した。米国の消費者物価指数(CPI)は10カ月連続で前年比で3%台の上昇が続き、ここ2カ月続けて加速している。
●円相場、NY市場で一時153円台に 4円急騰 為替介入の観測 5/2
1日の米ニューヨーク外国為替市場で、1ドル=157円台で取引されていた円相場が一時、153円台前半まで4円ほど急騰した。政府と日本銀行が円安の進行を止めるため、為替介入したとの観測が出ている。
米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は1日、政策金利を6会合連続で据え置くと決めた。FRBのパウエル議長は記者会見で、利下げを判断するには「以前の予想よりも時間がかかりそうだ」と述べ、高金利を長く保つ意向を明らかにした。一方で、再び利上げする可能性は「低いと思う」と述べた。
●円高に振れたタイミング狙った為替介入か 識者「疑心暗鬼膨らむ」 5/2
日本時間1日午前5時過ぎの外国為替市場で、対ドル円相場が一時1ドル=153円00銭まで4円ほど急騰した。先月29日に続く急変に、市場では政府・日本銀行による為替介入があったとの観測が出ている。しかも今回は、市場が注目していた米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後、円高方向に振れつつあるタイミングだった。為替介入だったのか。その場合の狙いは何か。三菱UFJ銀行の井野鉄兵チーフアナリストに背景を聞いた。
――FOMCでは6会合続けて政策金利の据え置きを決め、パウエル議長は会見で「再び利上げする可能性は低い」と述べました。
「総じて、事前の想定よりもタカ派(金融引き締め、利上げに積極的)ではない印象を受けました。利下げ期待が大きく後退する結果ならば、米国の長期金利が上昇して円安が進行する可能性もありましたが、長期金利は低下し、円高で市場は反応しました」
――FOMC終了後の午前5時ごろから急速に円高に振れました。
●公明・山口代表「国民主権を脅かす」憲法引用し裏金事件で自民を批判 5/2
公明党の山口那津男代表は2日、3日の憲法記念日を前に東京都内で演説し、自民党の裏金事件について「国民主権を脅かす行為だ」と批判した。国民主権は基本的人権の尊重、平和主義とともに憲法の三大原則だ。
山口氏は「そもそも国政は国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」という憲法の前文を引用して前置きした上で、裏金事件について「国民主権を脅かす、ゆがめるような政治の行為は断じて正されなければならない」と訴えた。
事件を受けた政治資金規正法改正をめぐっては、衆院3補選での自民全敗について「民意を重く受け止めるべきだ」とした。自民の改正案が抜本的改正とは程遠いことを念頭にしたとみられ、「連休明けに、自民と公明の協議は佳境には入るが、透明性の強化に更なる一歩を進めていくべきだ」とも述べた。
●岸田首相、デフレ脱却宣言に意欲 局面転換へ思惑、政権に賛否 5/2
岸田文雄首相が「デフレ脱却宣言」に意欲を見せている。自民党派閥の裏金事件を巡って政権への逆風がやまない中、成果を印象付けて局面転換を図る思惑からだ。政権内には宣言の環境は整いつつあるとの声がある一方、宣言後にデフレに戻れば打撃は計り知れないとの慎重論も根強い。
「経済、経済、経済と言ってきた。長年染み付いたデフレ心理を払拭し、賃金上昇が当たり前との方向に社会全体の意識を一気呵成(かせい)に変えなければならない」。首相は4月27日、連合のメーデー中央大会に出席し、こう声を張り上げた。
デフレからの完全脱却は首相が「政権の存在意義」とまで言い切る政策課題だ。「もはやデフレではない」が政府の現状認識だが、「デフレに再び戻る見込みがない」が政府の定義する脱却。日銀による3月のマイナス金利解除後、首相は記者会見で「いよいよデフレ脱却宣言かと言う方もいるが、いまだ道半ばだ」と踏み込まなかった。
政府が2006年以来、デフレ脱却の判断材料と位置付けてきたのが消費者物価指数や需給ギャップなどの4指標だ。林芳正官房長官はこれに加え、賃金上昇や価格転嫁の動向を「総合的に考慮し、慎重に判断する」と説明する。政府関係者は「ポイントは賃上げだ」と口をそろえる。
周辺によると、首相は4指標が改善基調にあり、賃上げも広がりつつあるとして、デフレ脱却宣言に意欲を示している。政府関係者は「政権の成果をアピールできる」と首相の狙いを説明。衆院3補欠選挙で示された政権批判を和らげたいとの計算ものぞく。
ただ、最近の物価上昇は円安の影響が大きい。賃上げの流れが中小企業などに行き渡っているとも言い難く、財務省幹部は「デフレ脱却を宣言しても、賃金の上がらない層から猛反発を受けるだけではないか」と懸念。閣僚経験者は「宣言後にデフレに戻るリスクもある」と指摘する。
政府内では宣言の時期として6月の定額減税の効果が出る今夏が取り沙汰され、首相が矢面に立つリスクを軽減するため、首相の言葉ではなく「月例経済報告」で宣言する案も浮上する。自民内からは「デフレ脱却など宣言しても政権は浮揚しない」(ベテラン)と冷ややかな声も漏れる。
●機能不全と劣化の政策決定システム 5/2
政策決定システムがこれほど劣化しているとは思わなかった。
「子育て支援金」の政策決定過程を垣間みて、感じたことだ。子育て支援金はあまりにデタラメな制度案だ。さすがに撤回させられないかと考え、私も政策決定システムに踏み込み、主要政党への働きかけなど手立てを講じた。だが、関与を深めるほどわかってきたのは、システムの各所が壊れていて、正常な軌道修正が困難を極めることだった。
「反対」なのに黙った人たち
背景から説明しよう。岸田政権の「異次元の少子化対策」を実現するための法案が今国会に提出されている。少子化対策の内容は、児童手当の所得制限撤廃などが柱だ。財源として「子育て支援金」、つまり健康保険料に上乗せして徴収する仕組みが示されている。
そもそも少子化対策の効果が疑わしいことを脇においても、子育て支援金は根本的に間違った制度案だ。
第一に、健康保険は、疾病のリスクに備える保険だ。少子化対策に用いるのは目的外の流用であり許されない。第二に、社会保険を用いれば、現役世代に偏り、しかも逆進性の高い負担構造になる。経済的理由で結婚や子どもを持つことを躊躇する現役世代が多い中、少子化対策に逆行する。
もちろん、法案を作った官僚や与党議員たちも、問題点はわかっている。非公式には「本当はおかしいとわかっているが…」と認める人もいる。だが、岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」を唱え、同時に増税など負担増はしないと表明した中で、「取りやすいところから取り、負担増はごまかす」との方針をとった。本来ならば、こんな制度案には経済界が反対するはずだ。会社員の社会保険料は本人と企業で折半し、企業にも負担が生じる。しかも、その負担が不合理なものだからだ。
ところが、経済界は反対していない。二月十三日の十倉雅和・日本経済団体連合会(経団連)会長会見では、「現役世代だけでなく高齢者からも医療保険料に上乗せして徴収する仕組み」と理解を示し、「国民の理解醸成にしっかり取り組んでほしい」と政府に求めるだけだった。
なぜそうなったかというと、昨年秋、内閣官房や子ども家庭庁の役人らが経済団体(経団連、経済同友会、日本商工会議所)や健康保険組合連合会を説得して回ったからだ。経済同友会だけは当初は説得に応じず異論を唱えていたが、法案提出後には声が小さくなった。
「反対するな」と言われて黙ったのは経済界だけではない。マスコミもそうだ。主要紙は、子育て支援金の根本的問題を報じていない。負担額が月五百円か千円かといった報道に終始し、政府に対し「わかりやすく説明せよ」と求めるだけだった。唯一、問題を指摘し続けたのは日本経済新聞の大林尚編集委員だが、同紙の社説は異なる論調になった。
「緊急声明」と「檄文」
これではまずい。そう認識し、何とかできないかと試みた。
まず、所属する制度・規制改革学会の関係者とともに、「『子育て支援金』制度の撤回を求める緊急声明」を起草し、学会内外の賛同者を募って、四月五日に公開した。
幸いにして、日本の代表的な経済学者、社会保障研究者など約三十人の賛同者が集まった。中には元社会保障法学会代表理事、元社会保険庁長官など、社会保険制度の構築に長年携わってきた人たちもいる。財政に関して積極財政論者もいれば、これを批判する論者もいる。さまざまな立場の違いを超え、「子育て支援金」がおかしいことは合致した。
法案が衆議院で審議入りしたのは四月二日だ。声明を公表した五日当日、直ちに主要政党に申し入れを行った。特に立憲民主党や日本維新の会の関係議員は、声明に賛同し、何とかすると応じてくれた。マスコミではほぼ報じられていないが、彼らはそれまでも予算委員会などの場で、問題点を的確に指摘する質疑を行っていた。
心強く思っていたところ、五日夕刻、「この法案は早期に採決の見通し。四月十五日の週には衆議院通過の方向」との情報が入ってきた。言うまでもなく、採決になれば、野党がいくら反対しても政府案で可決だ。「早期採決」との情報が流れるのは、「野党が本気で抗戦するつもりはない」と与党側が見極めていることを意味する。
これはまずい。再びそう認識し、四月八日の週、改めて有志で野党の現場責任者らと面談し、「本気で撤回に追い込んでほしい」と要請して回った。「檄文」も届けた。
●労働者の祭典メーデー 賃上げ・環境改善、府内各地で訴え 5/2
働く人たちは1日、メーデーに集った。
全国労働組合総連合(全労連)系の京都総評などは、京都市中京区の二条城前広場で集会を開いた。約3千人(主催者発表)が参加し、デモ行進。全国一律1500円以上の最低賃金の実現や非正規雇用労働者の処遇改善をスローガンに掲げ、原発の再稼働・増設などに反対する「全京都統一メーデー宣言」を採択した。
梶川憲実行委員長は「物価高騰を上回る賃上げ、とりわけ中小企業や非正規労働者、ケア労働者の賃上げなどは、現在も闘い真っただ中」とし、賃金格差をなくすためのジェンダー平等の必要性なども訴えた。
企業の枠をこえて個人加入できる合同労組・ユニオン系は、東山区の円山公園音楽堂で第34回京都地域メーデーを企画した。「権利は闘いとるもの」とストライキをする意義を確認しあい、岸田政権との対決姿勢をはっきりさせた。
日本労働組合総連合会(連合)系の集会は4月28日に府内5カ所であった。下京区の梅小路公園であった京都中央メーデーには約1万3千人(主催者発表)が参加。連合京都の原敏之会長は「コロナ禍や世界情勢の不安定化による価格高騰により、全ての生活者が疲弊している」として、労働環境の改善に取り組むと述べた。
●自民党がパーティー券公開基準20万円からの引き下げを検討「10万円超」案も 補欠惨敗で一転 5/2
補欠選挙の惨敗を受け、自民党は公明党が求めてきたパーティ―券購入者の公開基準の引き下げを受け入れる方向で調整に入った。
政治資金規正法の改正をめぐっては、パーティ―券の購入者の名前などを収支報告書に記載する額の引き下げが焦点で、現在は20万円を超えなければ記載の必要がない。
安倍派の政治資金報告書の裏金問題については、一口あたり20万円以下のパー券購入が、収支報告書に記載されず、裏金に繋がった問題などが指摘されていた。
公明党は、公開基準が20万円超と多額であることについて「裏金化の温床だ」として、公開基準を「5万円超」にするよう求めている。
これまで自民党内は、基準を低くして購入企業などの開示が広がることが、パーティー券販売が滞ることにつながるとの懸念などから、難色を示していた。
しかし、4月28日の衆議院の3つの補欠選挙で惨敗したことを受け、容認に傾いた形だ。
自民党は、連休明けから公明党と具体額の調整に入る方針。
●岸田首相が“生成AIのルール作りを議論する国際的枠組みの創設”表明へ マクロン大統領と新たな安全保障協定に向け協議も 5/2
フランスを訪問中の岸田首相は、日本時間の2日、OECD(経済協力開発機構)の会合で、生成AI(人工知能)のルールづくりを議論する国際的な枠組みの創設を表明する方針。
日本が議長国として臨むOECDで、岸田首相は生成AIや気候変動など、世界的な課題で議論をリードしたい考え。
岸田首相は、OECD閣僚理事会の議長国演説で「ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序」を訴える。
生成AIに関する会合では、2023年のG7(主要7カ国)広島サミットで提起した「広島AIプロセス」への賛同を募り、国際ルールを議論する枠組みの創設を表明する。
さらに、OECDと東南アジアの関係強化を訴える予定で、同行筋は「グローバル・サウス諸国を巻き込むことが重要だ」と話している。
また、マクロン大統領と首脳会談を行い、海洋進出を進める中国を念頭に、新たな安全保障協定に向け協議する考え。
●速度表示「91」SNSで発覚 武井衆院議員が乗った車、速度超過か 5/2
自民党の前外務副大臣、武井俊輔衆院議員(49)=比例九州=を乗せた車が、宮崎県内の国道を制限速度を超えて走った疑いがあることが事務所への取材でわかった。武井氏がSNSに投稿した車内の画像が拡散して発覚した。運転していた秘書は、宮崎県警に申告したという。
武井氏の地元事務所によると、画像は4月28日、同県日南市から宮崎市方面へ国道220号を移動する車内の後部座席から武井氏が撮影。「今日は朝から日南海岸を移動。高速が開通し、自動車が減りかなり快適になりました。最高のドライブルートです」などとするコメントとともに、X(旧ツイッター)に投稿した。
この投稿を引用した第三者の投稿をきっかけに、画像に映っていた車内の速度表示が、制限速度を上回る「91」だったことが発覚し、宮崎県警に申告した。運転していた秘書は「急いでいたが、どれぐらいの速度だったか覚えていない」と話しているという。武井氏の投稿はすでに削除されている。
事務所の責任者は「議員が(速度違反を)認識していれば投稿しない。お騒がせして申し訳ないと話している」と説明。法令順守を再徹底し、無理な移動にならないようなスケジュール管理を事務所内で共有したという。2日午後に武井氏が記者会見を開いて経緯を説明する。
武井氏は当選4回。2022年から23年には外務副大臣を務めた。
●岸田首相 仏 アタル首相と会談 ウクライナ情勢で緊密連携一致 5/2
フランスを訪れている岸田総理大臣は日本時間の2日未明、アタル首相と初めて会談し、両国関係のさらなる強化や、ウクライナや東アジア情勢で緊密に連携していくことで一致しました。
会談の冒頭、岸田総理大臣は「緊迫する国際情勢の中、価値や原則を共有する特別なパートナーであるフランスとの関係を重視している」と述べました。
このあと岸田総理大臣とアタル首相は、去年12月に両政府で合意した安全保障や経済など幅広い分野で連携を深める今後5年間のロードマップを通じて、両国の関係をさらに強化していくことを確認しました。
そして、ウクライナや東アジア情勢で緊密に連携していくことで一致しました。
また両氏は、ことしのパリオリンピック・パラリンピックや、来年の大阪・関西万博などを通じて若者らの交流が活発化することに期待感を示しました。
フランスでは日本文化の人気が高く、アタル首相は「DRAGON BALL」などの作品で知られる漫画家の鳥山明さんが亡くなったことに改めて弔意を示しました。
●岸田首相、フランスのアタル首相と初会談…お土産にドラゴンボールのこけし 5/2
岸田首相は1日夜(日本時間2日未明)、フランスのガブリエル・アタル首相とパリの首相府で約40分間会談し、ウクライナや東アジアの情勢を巡り、緊密に連携することを確認した。
両氏の会談は初めて。岸田首相は会談の冒頭、「緊迫する国際情勢の中で、価値や原則を共有する特別なパートナーであるフランスとの関係を重視している」と述べ、経済安全保障分野などでの連携を呼びかけた。アタル氏は「具体的な成果を上げ、日本との関係を一層強化する」と応じた。
また、両氏は、今夏のパリ五輪・パラリンピックや2025年大阪・関西万博を通じて両国間の交流が活性化することへの期待を表明した。
アタル氏は大の日本好きとして知られ、「ドラゴンボール」などの世界的なヒット作を生んだ漫画家の鳥山明さんの死去に弔意を示した。岸田首相は、お土産にドラゴンボールのこけしを贈呈した。
●9条改正、安保環境に懸念 違憲論解消は少数派 5/2
9条改正が必要な理由、9条改正が必要ない理由
憲法9条改正が必要と回答した人の中で、最も多かった理由は「北朝鮮の核・ミサイルや中国の軍備拡張、ロシアのウクライナ侵攻など安全保障環境の変化」で67%に上った。「今の憲法では自衛隊は憲法違反との指摘がある」を選んだ人は20%と少数派だった。
「自衛隊違憲論」の解消は、自民党が9条改正を主張する根拠の一つ。岸田文雄首相も改正に意欲を示すが、世論は厳しい国際情勢を懸念する割合の方が多い結果となった。
必要ないとする理由は「平和主義が崩れる恐れがある」が50%で最多。「他国の戦争に巻き込まれる恐れがある」30%、「今の憲法でも自衛隊は合憲と解釈できる」14%と続いた。 
●改憲「賛成」27% 2年連続で減少 5/2
日本国憲法は3日、1947年の施行から77年を迎える。毎日新聞が4月20、21の両日に実施した全国世論調査では、岸田文雄首相の在任中に憲法改正を行うことについて尋ねたところ、「賛成」との回答は27%で、「反対」との回答の52%を下回った。
2022年4月の調査は「賛成」が44%、「反対」は31%と賛成が上回っていたが、23年4月の調査では「賛成」が35%、「反対」は47%と賛否が逆転している。2年連続で「賛成」が減少する一方、「反対」が増加した。首相は自身の自民党総裁任期中に憲法改正を目指すと発言しているが、9月末に1期目の任期満了が迫る中、世論の機運は高まっていない。
支持政党別に見ると、自民党支持層では「賛成」が6割弱、「反対」は約2割だったが、公明支持層では「賛成」が2割弱にとどまり、「反対」は4割弱だった。改憲に積極的な日本維新の会の支持層でも、「賛成」と「反対」が拮抗(きっこう)した。立憲民主党の支持層では「反対」が約7割に上った。「支持政党はない」と答えた無党派層では「賛成」が2割弱、「反対」は6割弱だった。男女別、年代別では、いずれも「反対」が「賛成」を上回っている。
9条を改正して自衛隊の存在を明記することについては、「賛成」が49%で、「反対」の34%を上回った。自民支持層で「賛成」が7割強を占めた一方、立憲支持層では「反対」が約5割、無党派層では賛否が拮抗した。
緊急事態の際に国会議員の任期を延長できるようにする憲法改正については、「賛成」が31%で、「反対」の48%を下回った。自衛隊明記、議員任期延長のいずれも2年連続で「賛成」が減少し、「反対」が増加する傾向となっている。

 

●全国744市町村は30年以内に消滅してしまうのか? 全国の知事たちが冷静に反論した“納得の理由”「消滅可能性自治体というのは一種の煽りです」 5/3
20〜30代の女性が30年間で半減すると見込まれる744市町村を「人口戦略会議」(議長、三村明夫・日本製鉄名誉会長)が「消滅可能性自治体」と位置づけた。だが、センセーショナルな報道とは裏腹に、多くの知事の反応は冷静そのものだ。「消滅可能性自治体は一種のアジテーション(煽動)」と発言する知事もいた。
各自治体はどのような対策をとっているのだろうか?
「(人口戦略会議の)レポートが出なくても承知はしている」(山梨県、長崎幸太郎知事)
「2年前に人口減少の予測値を県内の市町ごとに出した。いろんな現実を見て、県と市町が一緒になって、様々な対策を打っている。何もしていないと、えっという驚きをもって受け止めることになると思うが、今回は『そういうことでしょう』という数字」(愛媛県、中村時広知事)
こうした淡々とした反応だけでない。愛媛県のように既に対策を取っていると語る知事が多かった。
「職員と話をしたのですけど、(人口戦略会議で出た)議論は三重県では2年前から行っているので、これは初めてだというのはあんまりなかった。ただ、いろいろ参考になることはあって、加速しないといけないことはあるかなと思った」(三重県、一見勝之知事)
「人口問題はそれぞれの県で最重要課題。どこの地方も一丁目一番地の課題としてやってきている」(山口県、村岡嗣政知事)
もちろん、人口戦略会議のレポートを受けて何らかの対処をしようと考えている県もある。
栃木県の福田富一知事は「消滅可能性自治体とされた8市町と連携し、『消滅克服プロジェクト』みたいなものができるかどうか。その会議を持つ必要があるかどうかから議論していきたい」と述べた。
だが、多くの知事は民間団体が試算したデータの一つとして見ているようだ。
データ分析上の問題点を指摘した知事も
驚いたのは、人口戦略会議のメンバーに入っている長野県の阿部守一知事がデータ分析の問題点について言及したことだ。
「あの分け方で一喜一憂する必要は全くないのではないかと思っています。推計には市町村の規模とか、広域的にどういう位置づけの地域かというような観点が全く入っていません。我々が人口戦略を考える時には一つの参考データとしては使えると思いますけども、単にあの切り口だけで、これからの将来像を論じるつもりはありません。むしろ人口減少下でも明るい未来をどう描くかということに、しっかり力を注いでいきたいと考えております」と明言したのだった。
「消滅可能性自治体というショッキングなタイトルがつけられているので、各メディアがそういう形で報道しているわけでありますけども、私としては一つの参考とすべきデータと受け止めています」とまで語った。
分析上の問題点については、佐賀県の山口祥義知事も指摘した。
人口戦略会議のデータは市町村の単位になっている。しかし、エリアが広い自治体では地域ごとに課題が違う。特に平成大合併で面積が拡大した市町村はそうだ。
このため、「合併したりしていると、問題は地域ごとに起きていることもあるので、見落としてしまいます。小さな村も福岡市みたいな大きなところも、それぞれ一団体として考えるので、地域の実情をつぶさに見ていかないとミスリードが起きてしまう」と話した。
一方、人口戦略会議の分類が一人歩きする危うさを具体例を挙げて説明した知事もいた。
宮崎県の河野俊嗣知事は「今回の分析は20〜30代の女性が30年間で50%以上減少するかどうかに基準を置いています。それをちょっと上回ったから『よかった』ということにはなりません。例えば、五ヶ瀬町は消滅可能性自治体から脱却し、日之影町は残りました」と話す。
「消滅可能性自治体というのは一種のアジテーションです」
今回のような出産適齢期の女性減少に着目した分析は、人口戦略会議の副議長を務める増田寛也・日本郵政社長が10年前の2014年、座長を務めた「日本創成会議」で打ち出したのが最初だ。この時は全国の市区町村の半数近くに当たる896自治体が消滅可能性都市とされた。今回は744自治体が消滅可能性自治体とされ、各都道府県ごとの増減が関心事になっている。こうした話題そのものに罠があるというのだ。
河野知事が続ける。「五ヶ瀬町は前回、減少率が50数%だったのですが、今回は50%を微妙に切ったので、消滅可能性自治体から外れました。決してそれだけでよかったということにはなりません。一方、日之影町は前回の70%台が今回は50%台。減少率は18ポイントです。消滅可能性自治体のカテゴリーには入っていますが、これまで10年間の取り組みに一定の手応えを感じることができます。
また、西都市と川南町は50%近くまで減少しているのに、消滅可能性自治体とはされていません。入らなかったからよかったというふうに受け止めるべきではなく、それぞれが個別に検証を行うべきだと考えています」と、データの見方に留意するよう呼び掛けた。
既に全国の知事が危機感を共有している人口減少。青森県の宮下宗一郎知事は「人口減少が進んでいくことは、確かな未来としてその通りです。消滅可能性自治体というのは一種のアジテーションで、煽動的にそのようなことを言って、何らかの行動を促したいということだけだというふうに思っています」と語った。
出生率の向上対策は国の役割ではないかという指摘が知事の間で噴出していることについても、ドライな反応だった。
「(国は)求めてもやってくれないからね、あんまり。今はもう、自分達でどうしなきゃいけないか考えることの方が大事かなと、知事になってからすごく思うようになりました(2023年6月就任)。今の青森県にいる若い人達が、どういうふうなことを考えて出て行ってしまうのか。出て行った人が戻って来ないのは何でなのか。突き詰めて考えていった方が、自分として前向きな仕事をできるような気がします。
国全体の課題が地方に押しつけられているということは確かにその通りなんですけど、自分達ができることを考え始めないとだめな時代なんですよ。これは県庁だけじゃないです。皆がどう取り組むかの方がたぶん大事なんですよね。そこを忘れてしまうといけないと思うので、国に何だかんだと言うことを考えるより、自分は青森県知事としてできることを考えていった方がいいかなと思います」
解決には「非常識的な施策を国が打つしかない」
「アジテーション、アジテーショナルといった方がいいか、煽動的な言葉に負けずにやるべきことをしっかりやって、県内で若者が自由に未来を描き実現できる社会を実現したいと思っています」
現状をどうするか。悩んだ末に紡ぎ出された言葉なのだろう。
しかし、具体的に行動することがどれくらい難しいか。
茨城県の大井川和彦知事は「私は就任以来、人口減少のことしか頭にないぐらい取り組んできました。社会的移動は若干好転しても、自然減の波を変える状況には全く至っていません。こういう状況を反転させるには、やっぱり非常識的な施策を国が打つしかないのかなと思います」と述べた。
「非常識な施策」。大井川知事は会見で2度もこの言葉を使った。記者からは当然、「どんな施策を思い描いているか」という質問が出る。
ところが、大井川知事は「非常に難しい問いで、私もこれだ、これをやればということは申し上げる能力はないというふうに思っております」と吐露した。
これらの論点とは一線を画し、徒花のようにしてネット上で話題になった知事がいた。
大阪府の吉村洋文知事である。
「ゼロ歳からの選挙権」導入を訴えた吉村知事。その真意は…
政治を次世代に向かせる方策として、「ゼロ歳からの選挙権」導入を訴えた。
「ゼロ歳から選挙権を持って、成人になるまで親が代理行使をするのです。選挙で影響力があるのは若い世代だとなってくると、政治家はそちらの方に向いてくるのではないかと思っています。ドメイン投票といって、研究もなされています。なかなか採用はされていないですが、日本には必要じゃないかと思います」
吉村知事は3人の子がいるので、4票になる。
保護者のうち誰が権限を行使するのか。保護者と子の意見は一致するのか。子の投票の秘密は守れるのか。そもそもゼロ歳児に政治的な判断はできるのか。多くの疑問が出て、話題に花が咲いた。
●小沢一郎氏「これはひどすぎる」水俣病被害者団体に対する環境省の“マイク音絞り”報道に怒り 5/3
立憲民主党の小沢一郎衆院議員が3日、X(旧ツイッター)を更新。水俣病被害者団体との懇談会における環境省側の対応についての報道をうけ、私見をつづった。
四大公害病の一つである水俣病の犠牲者慰霊式が1日、熊本県水俣市で営まれ、その後、被害者団体が伊藤信太郎環境相らとの懇談会に参加した。小沢氏は、この懇談会において環境省の職員が、苦悩を訴える被害者団体側の話をさえぎったりマイクの音を絞った事態が生じたなどと報じる、RKK熊本放送の記事を添付。「これはひどすぎる。対話と言いながら、マイクを切って強制終了。聞く気など更々無い。聞いてるふり。完全に国民を愚弄している。自民党政権は、もう駄目」と厳しい語調で述べた。
続くポストでも同記事で報じられた内容をもとに「『時間だぞ』とばかりに3分毎にマイクの電源をブチッと切り、『はい、次』。非難されると『不手際だ』と意味不明な言い訳。『自分は知らん』と逃げる大臣。苦しむ国民に寄り添うどころか踏みにじる国。だから自民党に皆で言うべき。『交代の時間だぞ、そこをどきなさい』と」と痛烈に指摘した。
これらの投稿に対し「怒りを覚える」「被害はいつも一般市民が被り、弱者にされ、分断され、寝た子にされる」「血も涙もないのか…」「マジ酷すぎ!」「腹立つなぁー!」「おっしゃる通りです」「こんなことがまかり通るなんて…」などとさまざまな声が寄せられている。
●えっいまさら?杉田水脈議員『コスプレおばさん』と「そもそも投稿していませんし…」と主張、ネットは「なんで嘘つく?」と総ツッコミ 5/3
自民党の杉田水脈衆院議員が、過去に自身のブログに「アイヌの民族衣装のコスプレおばさん」と投稿したことについて、2日にX(旧ツイッター)で一転して「投稿していません」と主張。だが、過去に国会で投稿の事実を認めており、アーカイブにも文言が残っていることから、総ツッコミが起きている。
杉田議員は16年、自身のブログに「日本国の恥晒し」という書き出しで「国連の会議室では小汚い格好に加え、チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」と投稿。当該ブログは既に削除されているが、インターネットアーカイブには、その記述がしっかりと残されている。
さらに22年の参院予算委員会では、野党議員が「民族衣装のコスプレおばさん」の部分を読み上げて「このブログを書き、ツイッターで拡散したのは事実ですか」と追及。杉田議員が「はい、事実ではございます」と答えていたことが議事録に残されている。
だが今月2日、杉田議員は自身のX(旧ツイッター)で一般ユーザーに返信する形で「そもそも『民族衣装のコスプレおばさん』なんて投稿していませんし」と、事実関係を覆す謎の主張を展開。「なんでそうやって嘘をつくんですか?」「息を吐くように嘘をつく」「女性はウソをつくという迷言を実行する杉田水脈」「書き込んだことはあるが投稿はしていない」などの声が殺到する事態となった。
●首相「改憲は先送りできない」 立憲「議論する正当性はあるのか」 5/3
岸田文雄首相(自民党総裁)は憲法記念日の3日、東京都内で開かれた憲法改正派の集会にビデオメッセージを寄せ、「社会が大きく変化し、憲法改正がますます先送りのできない重要な課題となる中、国民に選択肢を示すことは政治の責任だ」とし、改めて改憲への意欲を示した。
首相は、大規模災害時の議員任期の延長といった緊急事態条項の創設などに触れつつ、「いたずらに議論を引き延ばし、選択肢の提示すら行わないということになれば、責任の放棄と言われてもやむを得ない」と強調した。
ただ、これまで主張していた今年9月までの総裁任期中の改正には言及せず、「党派を超えて真摯(しんし)に議論を行う姿を国民に見せたい」などと述べるにとどめた。改憲のための国民投票を行うには国会発議から60〜180日間の周知期間が必要な一方、6月の今国会会期末までに衆参両院で改正原案を可決・発議するのは日程的に厳しい状況にある。
一方、都内で開かれた護憲派の集会に出席した立憲民主党の逢坂誠二代表代行は自民派閥の裏金事件に触れ、「法律を犯しているかもしれない裏金議員の方々に憲法の議論をする正当性はあるのか」と指摘した。
共産党の田村智子委員長は、4月の日米首脳会談で米軍と自衛隊の「指揮統制」の連携強化を確認したことなどについて「武力で平和は守れない」と批判し、「戦争の放棄」を定めた憲法9条に基づき、対話を続けることこそが重要だと訴えた。社民党の福島瑞穂党首は、同性婚を認めていない民法などの規定は違憲とした札幌高裁判決などに触れ、「憲法改正ではなく、憲法を生かしていこう」と呼びかけた。
●「明らかに庶民の常識から外れている!」萩生田氏・世耕氏らの不起訴や検察の動きに喝! 5/3
5月3日の『大竹まことゴールデンラジオ』は、憲法記念日でお休みの大竹まこと・室井佑月に変わって、ジャーナリストの青木理さんと経済学者の金子勝さんが2時間半の生放送!ラジオをお聞きの皆様から頂いたメッセージをテーマに議論を交わした。
――自民党の裏金問題で検察の動きはこれでよかったのか?というメッセージを紹介――
金子「いいとは思いませんね。青木さんの方がもっと内情は詳しいし、検察オタクだからさ」
青木「(笑)検察オタクじゃない。僕は、検察のような国家権力が4000万円以上だったらアウトとかっていうのはおかしいと思う。そんなものを勝手に検察が決めて、こいつは処分する、こいつは処分しないなんておかしいと思うんだけれど、ただ検察が過去の摘発基準みたいなものを無視して、仮にも一応選挙で選ばれた人を片っ端から刑事訴追して、それを見て我々市民がザマーミロって留飲を下げて、結局なにも変わらないっていうのは、ある種不健全だと思う」
金子「僕は、あまりに恣意的だからそれはどうなんですかっていうね。今も、萩生田・世耕が不起訴になっちゃったでしょ?これはどうなんですか?って、明らかに庶民の常識から外れている。2700万円はOKで、4000万はOKじゃないとか、そんなものはおかしいでしょう。だから検察審査会がちゃんとやって、もう一回きちんとすることが必要だと思うんです」
青木「もちろんそうでしょうけどね」
金子「だけど、おっしゃるとおりの意味は分かるんだ。検察だけが肥大化するのは危険だっていうのは」
青木「だから今回、他のところでも書いたり喋ったりしたんですけど、検察の幹部が裏金問題の捜査の終盤で、ある新聞記者にこう言ったらしいんですね。「我々の操作が不十分だっていうのは充分わかるけれど、でもある意味で事案の概要は明確に示された」と、「あとは政治がどういうふうに判断して、どう対処するか。それから最終的には有権者がどう判断するかだ」って。これが捜査は尽くしたという検察の自慢・自負だとするなら、とんでもない勘違いです。そもそもあれは、赤旗がスクープして、上脇博之教授が一生懸命調べて告発して、ようやく出てきた話じゃないですか」
金子「そうそう」
青木「だから金子さんおっしゃるように、4000万だったらアウトってのはどう考えたって庶民感覚から外れてるから、検察が捜査を尽くしたという自負だったら、とんでもない勘違いだとは思うんだけれども、ただ一応、赤旗のスクープに始まり、上脇さんの告発、検察の捜査があって、一強政権下で我が世の春を謳歌していた自民党最大派閥をはじめとする複数の派閥が、長年に渡って堂々と、裏金づくりという明白たる違法行為をしてたっていう概要は分かったわけですよね。しかも政治は、一応微温的な処分をしたけれども、結果的には政治資金規正法の改正すらまともにやろうとしない、となったら最終的には有権者が鉄槌を食らわすしかないんだろうなと思います」
金子「僕も、その意味でずっと言ってるのは、第三者委員会。「会計の専門家や弁護士を集めた第三者委員会がきちんと精査して、いわゆる一般の人と同じような基準で、議員の辞職を求めるかどうかは別にして、脱税行為はきちんと課税をするとか、あまりに悪質だったらきちんと法律違反を問うとか、そういうことをやるべきだと思う」
●「カイロ大卒」と書いても地獄、書かなくても地獄…女帝・小池百合子都知事の「3選」が危ぶまれるワケ 5/3
9日間も応援に入った東京補欠選で惨敗
小池百合子東京都知事の“女帝”の座が危うくなっている。
4月28日に投開票された3つの補欠選挙は、自民王国だった島根1区でも立憲民主党の亀井亜紀子氏が勝利して、裏金問題を含む不祥事が続発する岸田自民党への逆風が、予想以上に強いことが裏付けられた。
島根ほどではないが注目されたのは東京15区だった。ここは小池都知事が自ら推し、全面的に支援した乙武洋匡氏が落選したのだ。それも当選した酒井菜摘氏からは約3万票も離された第5位だった。
朝日新聞デジタル(4月30日4時00分)によると、小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」のある都議は「負けすぎ」とつぶやいたという。
「乙武氏の選挙は、文字通り小池氏が仕切ったものだった。3月末の定例会見で、都民ファ政経塾の講師役などで縁のあった乙武氏の擁立を初めて公表。12日間の選挙戦のうち9日間も応援に入った。
『乙武洋匡、何としても勝たせていただきたい』。運動員と同じジャンパー姿で選挙カーからも声を張り上げた。『自分以外の選挙で、こんなに力を入れているのは見たことがない』(側近)という奮闘ぶりだった」(同)
「学歴詐称疑惑」は前回知事選でも燃え上がったが…
小池氏は今夏、自身が3選に挑む都知事選挙が控えている。それだけに力の入れようも違ったのだろうが、彼女にとって大きな痛手になった敗戦であった。
落選が決まった28日の夜、乙武氏の選挙事務所に姿を見せず、支持者から不満の声が上がったという。
2期目の前回の都知事選では、選挙前の5月下旬、ノンフィクション作家の石井妙子氏が『女帝 小池百合子』(文藝春秋)を上梓し、その中で小池氏のカイロ時代のかつての同居人が、小池氏のカイロ大学首席卒業は作り話だと告発した。
これが大反響を呼び、都議会でも自民党や共産党が「小池都知事のカイロ大学卒業証書・卒業証明書の提出に関する決議案」を提出し、大騒ぎになった。
だが、突然、駐日エジプト大使館がフェイスブック上でカイロ大学長名の声明を英語と日本語で公表した。
「カイロ大学は、1952年生まれのコイケユリコ氏が、1976年10月にカイロ大学文学部社会学科を卒業したことを証明する。卒業証書はカイロ大学の正式な手続きにより発行された」
日本のジャーナリストがたびたびこれについて疑義を呈し、信憑性に疑問を抱いているが、これはカイロ大学および、カイロ大学卒業生への名誉棄損であると警告。これが続くようならエジプトの法令に則り適切な対抗手段を講じると表明したのだ。
元側近が「学歴詐称工作に加担してしまった」と告白
公式なHPでの発信ではなくSNSでの発信。しかも日本語と英語だけで、アラビア語は載っていないというやや不思議なものだったが、事態を鎮静する効果は絶大だった。
結局、都知事選に自民党は対抗馬を立てず、366万票という票数を得て小池氏は圧勝したのである。
学歴詐称問題はこれで決着がついたと思われていた。
次の3選を達成した後は、都知事の座を捨てて衆院選に出馬し、自民党総裁選に名乗りを上げるのではないかとも囁かれていた。
初の女性都知事から初の女性総理へ。女帝から国王へと駆け上るのではないか。そのためには次の都知事選で再び圧勝する必要がある。
だが、小池氏の元側近で、都民ファーストの会の元事務総長だった小島敏郎氏が、文藝春秋5月号で「私は、学歴詐称工作に加担してしまった」と告白したのである。
小島氏は東大法学部を出て1973年に環境省に入庁。次官級ポストに就いたのちに退官。大学教授や弁護士としても活躍している。
2016年から都政に関わるようになり、築地市場移転問題を中心に政策を提案。小池氏が都知事就任後に特別顧問になり、都民ファが誕生してからは同党の政務調査会事務総長に就任した、小池氏の側近中の側近であった。
小島氏はその中で、次の都知事選に出馬するのなら、学歴詐称の公職選挙法違反で刑事告発するとまで語っているのだ。
内容を紹介しよう。
「卒業証明書を見せればいい」に小池氏は…
先に書いたように、前回の都知事選前に小池氏の学歴詐称疑惑が大きな問題になっていたが、駐日エジプト大使館がフェイスブックに載せた声明で一気に沈静化した。
小島氏はこう書いている。
「小池さんは懇意にしている自民党の二階俊博幹事長(当時)に、都議会自民党をなんとかして欲しいと頼んでいました。しかし、それでも追及は止まらず、(中略)都議会自民党の若手が、小池さんの対抗馬として都知事選に立候補する動きもありました。
学歴詐称の疑惑を払拭しなければ、小池さんは出馬宣言ができない状況でした。彼女にとって政治生命の危機だった。困り果てて六月六日に私を呼び出したのです。都知事選は七月五日に迫っていました。(中略)
私は率直に聞きました。
『卒業証書や卒業証明書を見せればいいんじゃないですか。それがあれば通常、それ以上の証明は求められません。それはあるんですよね?』
小池さんは言いました。
『あるわよ。でも、それで解決しないから困っているのよ』」
小島氏は小池氏に、「カイロ大学に証明してもらえばいい」と提案した。その後、小島氏は、小池氏が出馬宣言をした場合の想定問答集を作っていたそうだ。
わずか2日で「学長署名入りの声明文」が出た
すると、6月9日、カイロ大学学長のモハメド・オスマン・エルコシト氏署名入りの声明文が、駐日エジプト大使館のフェイスブックに載った。小島氏は、「こんなに早くカイロ大学が対応してくれたの?」と驚いたという。
「私が『カイロ大学に証明して貰えばいい』と提案したのが、六日の夕方。七日の朝に小池さんから文面や宛先について問い合わせのメールが来たのですから、その時点ではカイロ大学とやり取りさえしていないはず。
それなのに、九日には学長のサインのついた『声明文』が大使館のフェイスブックに掲載された。その間、わずか二日。通常、大学の公式声明なら、決裁の手続きもあるだろうし、エジプトとは時差もあるはずなのに……。
ただ、『やけに早いな』と思ったものの、当時は深くは考えませんでした」
小島氏はメディアへの疑問も呈している。
「私はこの時『大手メディアは、大使館のフェイスブックに載っただけで信じるんだ。大学ホームページを調べたり、アラビア語の原文はどう書いてあるかとか、学長への取材などもしないのだろうか。それで済むんだ』と正直、不思議に思いました」
小島氏は、こうした早すぎる対応に違和感を覚えていたが、そんな時、ある人物に出会って衝撃的な事実を知ったというのだ。
「文案を小池さんに頼まれ、私が書いたんです」
「その人物、A氏は元ジャーナリストで表には出ていませんが、小池さんのブレーンの一人で、私とも旧知の間柄でした。A氏は私に言いました。『実は駐日エジプト大使館のフェイスブックに上げられたカイロ大学声明は、文案を小池さんに頼まれ、私が書いたんです』と。(中略)そして、A氏は、更にこう言いました。
『声明文は、私が日本語で書いた文案を書き換えたものを英訳、カイロ大学の声明文として学長のサインをつけて発表したものです。時間が限られていたのでそれしか方法がなかったんだと思います。当時は私も、彼女は卒業していると思っていたから原案を書いたし、気軽に「エジプト大使館のHPに載せればいい」などと助言しました。
結果、エジプト政府も認めている形となり、メディアはこの問題を取り上げなくなった。今となっては忸怩たる思いです。このことは、どこかで明らかにするべきではないか、そう思ったりもしています』」
「カイロ大学卒」と明示すれば「刑事告発します」
小島氏はこうも記す。
「声明文は、はからずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた。そして、ここからは推測になりますが、彼女側から大使館へ依頼して掲載された。これがカイロ大学声明発出の内実だ、というのが私とA氏の結論です」
この学歴詐称の件はすでに時効になっているが、今夏には再び都知事選がある。
「学歴の詐称は、公職選挙法の虚偽事項公表罪にあたります。ただ、公訴時効は三年。二〇年の都知事選の選挙広報にも、小池さんはカイロ大学卒業と明記していますが、すでに時効が成立しています。この手記を読んで、次の都知事選で彼女が再び学歴を明記するかどうか。私は注目しています」
そしてこういい切る。
「小池氏が『カイロ大学卒』と選挙公報に明示すれば、刑事告発します。その時に備え証拠を保全しています」(週刊文春4月25日号)
もし、小池氏が「カイロ大学卒」と書かなければ、カイロ大卒という経歴は虚偽だったと自ら認めることになる。小池氏にとっては、どちらも致命傷になりかねないのである。
小池氏が政界の師と仰ぎ頼りにする二階元自民党幹事長は、派閥の裏金問題もあり、次期衆院選に出ないことを表明した。
小池氏の元同居人の告発を朝日新聞は無視
後ろ盾を失い、これまですべて自分中心でやってきた小池氏だから、心を許せる友人や仲間はそう多くないようだ。
だが、小池氏には心強い味方がいる。メディアと多くの支持者たちである。先の朝日デジタルにもこうあった。
「朝日新聞の28日の出口調査では、『小池知事を支持する』という回答が54%だった」
支持者が離れない理由は、メディアが小池氏の「悪い話」を報じないからである。
今回の小島氏の告発も、ほとんどの大メディアは取り上げていない。都民は知る術がないのである。
同じ文藝春秋に、『女帝』の中で小池氏の学歴詐称を初めて告発した、かつての同居人、北原百代氏がメディアの怠慢をこう告発している。
「百合子さんがしていることは、やはり犯罪なのです。黙っていることは、その罪に加担するのと同じです。
そこで私は、メディアに伝えようと思い立ち、まず朝日新聞に配達証明郵便で、手紙を送りました。『小池百合子さんは学歴を詐称している。自分は同居しており、全てを知っているので、話を聞いてくれないか』という内容でした。自分の氏名と、当時は日本に滞在していたので、その住所も書きました。ところが、まったく連絡がなかった。メディアにもあなたの力が及んでいるのではないかと、私はさらに恐怖の念に囚われました」
朝日新聞はこの告発に対して沈黙したままである。
公約の「7つのゼロ」はほとんど達成されていない
私も東京都民だが、東京都から恩恵を受けたことはほとんどない。
彼女が初当選した時の公約を憶えているだろうか。「7つのゼロ」を掲げた。「待機児童ゼロ」「残業ゼロ」「満員電車ゼロ」「ペット殺処分ゼロ」「介護離職ゼロ」「都道電柱ゼロ」「多摩格差ゼロ」。
この中で達成できたのは「ペット殺処分ゼロ」だけだが、これも「獣医師の判断によって病気やけがなどを理由に処分したイヌ、ネコは除外されています」(しんぶん赤旗2020年6月28日付)。
私の家の前の道は狭くて救急車が何とか通れるぐらいで、消防車は入れない。道路には多くの電柱が立ち並んでいて昭和30年代そのままの姿だが、首都圏大地震が来たらと思うと夜も眠れない。
築地の女将さんたちを喜ばせた、豊洲移転を白紙にし、築地を残すという“約束手形”も、いつまでも結論を出さなかった。
結局、2年遅れで土壌汚染問題が完全に解決されたわけではないのに、十分な説明もないまま豊洲市場移転を決めてしまったのである。
挙句に、築地を5万人収容のエンタメ施設にするなどといい出し、裏切られたと築地の女将さんたちを激怒させた。
異論に耳を傾けず、「小池劇場」に終始している
東京五輪開催についても、先の小島氏はこう書いている。
「国内スポンサーからの収入は三千七百六十一億円にのぼり、そのうちIOC・JOC・電通の取り分は総額一千七十七億円でした。それらは適正な金額だったのか。どこにいくら入ったのか。東京都は五輪組織委員会に監事を送り込んでいましたが、言を左右にして説明していません」
「異論を許さない強権的な体制」(小島氏)は、現在、世界的な問題にもなっている明治神宮外苑の再開発問題でも同様、何ら説明責任を果たしていない。
思い出されるのは、2017年に安倍晋三首相(当時)が臨時国会冒頭解散を打ったときである。
彼女は突然「政治をリセットする」と宣言し、新党「希望の党」を立ち上げるといい出したのである。
突如、打倒安倍政権を旗印にしたのだが、党勢が勢いをなくしていた民進党は、前原誠司代表が前のめりになり、希望の党に民進党が吸収される形で合意したのである。
安倍一強政治に飽いていた国民は、これで政権交代ができると歓迎し、大フィーバーが起きた。
メディアも挙(こぞ)って希望の党を持ち上げ、安倍自民党も相当な危機感を持ったといわれる。
「小池劇場」最大の見せ場だった。
しかし、この勢いを止める小池氏本人の“本音”を引き出したのは、大メディアではなく都知事の定例会見に出ていたフリージャーナリストの横田一氏だった。
加盟社の記者たちがニヤニヤ笑って見ている中…
いつもは小池氏は彼を指名しないのだが、この日の小池氏は高揚していたようだった。
横田氏は質問を始めたが、他の加盟社の記者たちはニヤニヤ笑って見ているだけだったと『女帝』の中にある。
要約するとだいたいこういう内容である。
「安保・改憲で一致しない人は公認しない。前原氏を騙して、リベラル派を大量虐殺、公認拒否をするということか」
小池氏は笑いをこらえるようにしながらこういった。
「『排除されない』ということはございません。排除いたします」
しかし、このひと言がここまでの流れを一気に変えてしまったのである。
細川護熙元首相は「公認するのに踏み絵を踏ませるというのはなんともこざかしいやり方」だと毎日新聞紙上で厳しく批判した。希望の党への国民の期待はあっという間に萎んでいってしまった。
これまでの政治家人生で、小池氏が味わった最大の“挫折”だったはずだ。
“モンスター”に変身させたメディアの罪
私は彼女がまだ『竹村健一の世相講談』のアシスタントキャスターをしていた頃に、一度会ったきりだ。もちろん、今のような“女帝”になる片鱗もなかった。
私は、小池氏を“モンスター”のごとく変身させてしまったのは、メディア側の責任が重大だと考える。
前回の学歴詐称疑惑の時も、駐日エジプト大使館がSNSに載せただけの声明文に何ら疑いを持たず、裏も取らず、これで疑惑は晴れたとメディアは早々に追及の矛を収めてしまった。
小池氏の都知事としての実績を一つ一つ点検し、評価したメディアはほとんどないのではないか。
彼女の学歴詐称問題が再び問われているのを機に、人間・小池百合子と小池都政を冷静に総点検してみる必要があるこというまでもない。
●憲法記念日 危ういなし崩しの変容 5/3
日本国憲法はきょう、施行から77年を迎えた。 
戦後日本は憲法の理念を礎とした「平和国家」を掲げてきた。ところが、現政権下では岸田文雄首相の信念や哲学が伝わらず、国民的な議論や合意も欠いたまま安全保障政策の転換が続く。国の在り方がなし崩し的に変容していることを危惧する。
一昨年末、政府は安全保障関連3文書を閣議決定によって改定した。専守防衛を形骸化させかねない反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有や、歴代内閣の方針を覆した防衛費の国内総生産(GDP)比2%への増額が正式方針になった。
岸田首相は先月、米連邦議会で演説し、「日米同盟を強固なものにするために先頭に立って取り組んできた」と誇示している。
だが、相手領内を攻撃する行為が専守防衛の範囲内といえるのか、周辺国を刺激し際限のない軍拡競争に陥らないか、といった懸念は拭えていない。防衛費の財源となる増税の開始時期の決定が先送りされ、不透明な状態が続くのも、国内の疑問が根強い証左だろう。
今年3月には英国、イタリアと共同開発し、高い殺傷能力を持つ次期戦闘機の第三国輸出を解禁する方針を閣議決定した。現に戦闘が行われている国には輸出しないなどの歯止め策は設けたが、輸出先が将来、戦闘国になる危険性は否定できず、紛争を助長する不安は募る。
日本は憲法が掲げる「平和主義」の精神を踏まえ、かつて武器輸出三原則に基づき事実上の全面禁輸を基本方針としてきた。
しかし、2014年に安倍内閣が防衛装備移転三原則を新たに閣議決定。従来の禁輸政策を撤廃した。岸田内閣もこの流れを踏襲。22年末の新たな国家安全保障戦略で「防衛装備移転の推進」を明記している。
批判されるべきは近年、ことごとく閣議決定によって歴代政権が堅持してきた安保政策の方針転換が続いていることではないか。国民の代表が集う国会での議論を避ける政策決定は、国民を置き去りにすることに等しい「あしき慣行」である。
岸田首相は今通常国会の施政方針演説で、自身の自民党総裁任期が切れる9月までの憲法改正実現に意欲を示した。総裁選再選を見据え、改憲に関心が高い保守層をつなぎとめる狙いという見方が強い。
むろん、憲法の論点は多様化している。事実上、首相の専権事項とされ、政権の自己都合が目立っている衆院解散権の制約や、本県も当事者である参院選挙区の「合区」解消を改憲で行うかどうかといった、時代の要請に応じた議論は必要だろう。
ただ、共同通信の世論調査では改憲の国会論議は「急ぐ必要はない」が65%を占める。改憲の進め方も「慎重な政党も含めた幅広い合意形成を優先するべきだ」が72%に上った。世論は拙速な手法ではなく、幅広い合意形成を求めている。
岸田政権による平和国家の変容と同様、憲法論議も国民を置き去りにしたやり方は許されない。
●はたして蓮舫氏に「選挙妨害」を批判する資格はあるのだろうか 東京15区「場外乱闘問題」の背景 5/3
岸田政権にとって厳しい結果となった衆議院補欠選挙。東京15区では、各党が「突撃」「いやがらせ」に悩まされるという騒動も起きていた。当選した立憲民主党も「被害者」側なのだが、その言い分に違和感があると語るのは、元産経新聞記者のフリーライター、三枝玄太郎氏だ。これはある種のブーメランなのではないか――。
逮捕者も出た選挙妨害
4月28日の衆議院補欠選挙は立憲民主党が3勝、自民党は完敗1、不戦敗2という結果に終わった。野党側は「政権交代前夜」と言わんばかりに鼻息も荒いのだが、この選挙を取材に行った筆者が気になったのは、結果のほかに選挙戦の最中の「場外乱闘」とも言うべき騒動であった。
東京15区補選は、立憲民主党の元江東区議、酒井菜摘氏(37)、日本維新の会の新人、金澤結衣氏(33)、日本保守党の新人でイスラム思想研究家、飯島陽氏(48)に、無所属新人で作家、乙武洋匡氏(48)=国民民主党が推薦、無所属で元参院議員の須藤元気氏(46)の5人を中心とした争いとなった。
4月20日と21日、豊洲に行ってみた。ららぽーとの前に聴衆が集まっており、聞けば維新の候補の応援に吉村洋文・大阪府知事(日本維新の党共同代表)(48)が来るのだという。吉村知事のファンである妻は「絶対に(演説を)聞く!」と譲らない。続々、100人ほどの人が集まってきた。
演説が終わったころ、運動員の間から「つばさの党が来るらしい」という声が聞こえ始めた。金澤候補と吉村知事が練り歩きを始め、ららぽーとそばの公園を歩きだしたころ、メガホンを持った男性が現れた。
男性は、維新の対中姿勢について喚きながら金澤候補と吉村知事を追いかけだした。陣営のボランティア(区議や市議が多かった)が身を挺してガードする。途中「携帯電話を落とされた!」などの怒声が聞こえた。横断歩道を渡っていた中学生くらいの男子生徒が「うるさすぎると思います!」と絶叫していた。この党は、その日は維新の行く先々で妨害行為をしていたという。
彼らが敵視しているのは、維新の会だけではなかった。あちこちの対立陣営に対して執拗かつ過激な妨害行為を繰り返し、ついに21日には、逮捕者が出た。
この日の午後7時40分ごろ、JR亀戸駅前で行った乙武氏陣営の街頭演説中のことだった。東京都の小池百合子知事(71)と国民民主党の玉木雄一郎代表(55)が応援演説中、男が駆け寄り、「おい。乙武! お前何しに来たんだ!」と叫んで突進し、止めようとしたスタッフが転倒するなどしたという。警視庁城東署は暴行の容疑で現行犯逮捕した。23日、警視庁は公選法違反(選挙の自由妨害)容疑に切り替えて、男の身柄を東京地検に送った。
乙武陣営は午後5時にも東京メトロ有楽町線豊洲駅前で街頭演説会を行った際、補選に出馬しているつばさの党の候補者男性本人(29)にスタッフの男性を引き倒されるなどしており、陣営幹部が傷害容疑などを視野に警視庁に被害届を出すことにしているという。
いやがらせと突撃
このいやがらせや突撃を繰り返す「つばさの党」関係者は上記の主要候補の前にはほぼ姿を現している。参政党の吉川里奈氏の陣営にも現れたという。選挙最終週に入った22、23日にもあちこちの陣営に「突撃」を繰り返していたというから、確信犯だろう。
聴衆とて、静かに演説を聞いてなどいられない。私は乙武氏の豊洲での街頭演説の会場にいたが、「不倫」「不倫」とうるさいことこの上ない。警視庁警護課は数十人のSPを配置し、車線規制までして対応したが、彼らを囲んで動けなくしたり、警告したりするものの、あまり効果があるようには見えなかった。
立憲民主党の蓮舫参院議員(56)は21日に選挙カーで遊説中、執拗に追い掛け回された上、暴言を浴びたと22日、X(旧ツイッター)に投稿している。
こうしたことの影響だろう、各党の街頭演説の予定はXから姿を消し、各党とも事前予告なしに姿を見せて演説を終えるとサッサと次の場所に移る「ゲリラ街宣」を余儀なくされた。おかげでXの情報をもとに各党の演説会場に向かって取材しようという私の目算は外れてしまった。
選挙妨害がやりやすくなったのは誰のせいか
この件に関して、蓮舫氏は「警察の対応が遅くて怖かったです」と書き込んだ。
私は苦笑を禁じえなかった。なぜなら警察が対応しづらい状況を作ってしまったのは、ほかならぬ左派勢力の人たちだからである。私には蓮舫氏の書き込みは、いつものブーメランの類に思えてならなかった。
2019年、札幌市で街頭演説をしていた安倍晋三首相(当時)は男女にヤジを飛ばされた。1人の男性は「アベヤメロ!」もうひとりの女性は「増税反対!」と叫んだ。男性は北海道警の警察官に現場から排除された。警察官は「選挙の自由を妨害してはいけない」「他の人や演説者に迷惑」と話したという。
これに対して、男女は「表現の自由を侵害された」として、北海道に計660万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。札幌地裁の広瀬孝裁判長は訴えを認め、道に計88万円の賠償命令を出したのである。しかもその約3カ月後の2022年7月8日、安倍晋三元首相は奈良市で演説中に凶弾に斃れた。
安倍元首相の暗殺事件後に開かれた札幌高裁(大竹優子裁判長)の判決公判でも、大竹裁判長は、男性の訴えこそ退けたが、女性の訴えは認め、1審の女性に対する55万円の賠償命令は維持した。
問題は、いずれの判決も「ヤジは表現の自由」とする原告側の主張の根幹部分を認め、道警の排除は「表現の自由の侵害に当たる」と判事したことである。これで萎縮しない警察があるだろうか。
この一件で北海道のメディアは、こぞって道警の対応を批判し、地元HCB(北海道放送)のデスク職の男性は自らメガホンをとって、「ヤジと民主主義」というドキュメンタリー映画まで作った。この訴訟の原告の女子大生は、その後、労組の専従職員となり、書記次長となっている。この労組の上部団体は自治労であり、立憲民主党の支持母体である。
そして、今回の補選で警察の迅速な対応を求めていた蓮舫参院議員は2019年7月、前述の裁判闘争となった安倍首相(当時)へのヤジについて「この(北海道警の)排除の在り方はおかしい」とXに投稿している。
こうした混乱を受けて、ついに松本剛明総務相は23日、会見で「公職選挙法の自由妨害罪などの処罰対象となりうる」との認識を示した。
ヤジは「表現の自由」として認められるのだろうか。
もちろん、ちょっとしたヤジを飛ばした者までも警察が弾圧するのは行き過ぎだろう。しかし、北海道の件でいえば、警察は妨害をやめるよう排除しただけであり、誰かを逮捕したわけではないのだ。
その一方で明らかに最初から妨害を目的とした者による執拗なヤジも「自由」としていいのだろうか。周囲の聴衆が演説を静かな環境で聞く権利というものは認められないのだろうか。蓮舫氏に問うてみたい。
死刑制度とこの問題は自らが当事者になってみないと実感できないのかもしれない。札幌のヤジ訴訟は最高裁に上告されており、係属中だ。
今回の東京15区補選の場外乱闘は、演説妨害を「表現の自由」として、褒めたたえていた政治家を含む人々とそれを後押しするマスコミ、司法も、その姿勢、あり方を問う一件だったと思う。
●岸田政権と憲法 平和主義の原点、見つめ直せ 5/3
岸田文雄首相が、自身の自民党総裁任期である9月までの憲法改正を目指す姿勢を崩していない。
派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、島根1区など先の衆院3補欠選挙で党支持層の離反が浮き彫りになった。総裁選での再選や次期衆院選をにらみ、時間的に非現実的でも改憲をアピールすることで求心力を確保する狙いがあるのではないか。
だとしたら、憲法を政治利用していると指摘されても仕方あるまい。国民は見透かしているのだろうか。77回目の憲法記念日を前に共同通信社が実施した世論調査で、改憲の国会議論を「急ぐ必要がある」は33%にとどまった。皮肉にも首相が前のめりになるほど、改憲を遠ざけている。
首相は根っからの改憲派ではない。党政調会長だった2017年の衆院代表質問では当時の安倍晋三首相に「改正のための改正であってはならない」とくぎを刺していた。安倍氏からの禅譲を期待しながら首相の座を目指すうち、改憲の旗を振り始めた。
岸田政権は防衛力を強化するため22年末、安全保障関連3文書の改定を閣議決定した。ロシアがウクライナに侵攻し、中国は台湾統一への野心を隠さない。北朝鮮はミサイルの発射を繰り返し、性能を向上させている。日本を取り巻く安保環境が厳しさを増しているのは確かだろう。
だが防衛力強化の中身とその進め方は、憲法の三大原則である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義をないがしろにしていると言わざるを得ない。
3文書には他国のミサイル発射拠点などを攻撃する敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有とともに、武器輸出に道を開く防衛装備移転三原則の運用指針見直しが掲げられた。中でも注目されたのは英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の日本から第三国への輸出解禁である。与党協議を経て3月、閣議決定された。
14年の集団的自衛権行使容認から、閣議決定による安保政策転換が続く。本来は関連法案を提出し、国会で憲法との整合性について議論を尽くすべきだ。政策決定手続きから国民の代表を排除する運用は民主主義の形骸化を招く。改めるよう強く求める。
憲法は前文で「全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有する」と平和主義をうたう。同時に平和を人権の問題として捉える。その精神を踏まえて日本は、国際紛争を助長しないよう武器輸出を厳しく制限してきた。
背景には銃後の市民が犠牲になった戦争の反省がある。特に米国による広島、長崎への原爆投下では、女性や子どもを含む非戦闘員に多数の死者が出た。だからこそ被爆地は核廃絶とともに、核兵器を使わせないために戦争を起こさせないよう訴えてきた。
被爆地選出の首相はいま一度、平和主義の原点に立ち返るべきだ。「平和国家としての基本理念を堅持する」と繰り返したところで、武器が売られた先で起こるかもしれない犠牲を正当化するのであれば、平和国家とはいえまい。
●岸田総理「ずっと俺のターン!」...補選惨敗なのに「岸田おろし」が起こらない驚くべき「カラクリ」 5/3
空前の円安で、ゴールデンウィークは「節約旅」がトレンド入り。国民が物価高にあえぐなか、裏金問題の真相究明すらしようとしない自民党に、補選で「ノー」が突きつけられた。ところが……。
「ゼロ打ち」惨敗の衝撃
「島根1区においては、これまでの選挙を上回る圧倒的な運動量でありましたけれど、非常に逆風が強かった」
自民党が唯一、候補者を擁立した島根1区の惨敗を受け、幹事長の茂木敏充は党本部でこう語った。午後8時の投票終了直後、開票率0%で立憲民主党候補・亀井亜紀子の当確が報じられた。
自民党中堅議員が言う。
「事前調査で厳しい数字が出ていたとはいえ、岸田(文雄)総理が投票前日にも現地入りしたのに、『ゼロ打ち』で惨敗は衝撃が大きい。茂木さんも自身の責任を回避するために、『裏金問題』の逆風が強かったと強調したのでしょう」
かくして3補選は下馬評通り、自民党の全敗で終わった。
「岸田総理では次の選挙は戦えない」「一刻も早く新しい選挙の顔を」
自民党の若手議員からはこんな声があがる。
新聞各紙が行った世論調査でも、「政権交代を望む」という意見が軒並み50%を超えている。もはや岸田政権が国民の信を失っているのは明白だ。
しかし、不思議と党内には本格的な「岸田おろし」につながる気配はない。永田町には妙な凪の雰囲気が漂っている。
岸田の必殺「解散ちらつかせ」作戦
実は岸田はこうなるように布石を打っていた。補選から遡ること3日、最側近である幹事長代理の木原誠二が党会合で突如、こう切り出した。
「今、自民党は非常に厳しい状況だ。政権交代が起こってもおかしくない」
この発言に永田町は騒然となった。
「岸田さんがもはや木原さんの進言も聞かなくなったのではないかとの憶測を呼んだのです。このままでは岸田さんが暴走してやけっぱち解散を打ちかねない。そこで木原さんが党会合で危機を煽り、岸田さんに思いとどまらせようとしているのではないか、と」(元安倍派若手議員)
さらに党本部は岸田と茂木の連名で、所属の国会議員に年4回支給する「支部政党交付金」について、7月分の支給時期を同月末から6月に前倒しすると通知した。しかも「パーティー収入の減少などを鑑みた」として支給額を増額させた。
「これは総理からの『6月解散7月選挙に備えよ』というメッセージではないか」(二階派若手議員)
しかし、こうして議員たちに解散があるのではないかと思わせることこそが、岸田の手なのだ。
総理を批判して刺激しすぎると、本当に解散を打ちかねない。そして自公が過半数を失う─こう思わせることで、「岸田おろし」を封じ込め、党内に萎縮ムードを作り出そうというわけだ。
もちろん岸田とて、今の状況で解散を打つほど愚かではない。あくまで解散はちらつかせるだけ。皆が慌てているあいだに、党内のライバルの動きを見て、弱体化させることに勤しんできた。
財布の紐を握って「茂木封じ」
現在、岸田にとってもっとも目障りなのは、幹事長の茂木だ。
「政治資金規正法の改正について、岸田さんは渡米前に自民党の改正案をまとめるよう指示を出していた。にもかかわらず岸田さんが渡米すると、取りまとめの動きに急ブレーキがかかった。結果、自民党は公明党からも『独自案がないのはおかしい』と非難されるハメに。これは茂木さんがわざとサボタージュしたためと言われています」(自民党幹部)
茂木はこのように、ことあるごとに岸田の足を引っ張ろうと小細工をしかけてきた。総裁選への意欲も隠そうとしない。
そこで岸田は茂木の首に鈴をつけることにした。
「23日の党総務会で、政治資金収支報告書の記載漏れの処分を受けた元二階派の林幹雄さんの後任として、岸田さんは信頼している山本有二さんを経理局長に任命しました。経理局長は幹事長から政策活動費などをはじめとしたカネの使い道の指示を受け、差配するポスト。茂木さんは元自派閥で前復興相の渡辺博道さんを推しましたが、岸田さんがこれを却下して、山本さんにしました。
今後、茂木さんのカネの使い道はすべて岸田さんの耳に入るわけで、茂木さんは動きづらくなりました」(自民党議員秘書)
すでに茂木の足場となるはずだった茂木派は解消が決まっている。そこで元安倍派の若手議員らと会食を繰り返しているが、党内支持はまったく広がっていない。茂木に誘われたという安倍派の若手議員が言う。
「茂木さんは自分の話ばかりで、こちらが話をしても途中で遮って、一方的にまくし立ててきた。そういうのが続いて、もうこちらから話すのはやめた。正直がっかりした。
茂木さんは後ろ盾になっていた麻生太郎さんからも見切りをつけられたと言われている。もはや総裁選に出られないんじゃないか」
●岸田首相「6月解散」まだ画策? 囁かれる6.25公示、7.7投開票“出し抜き自爆選挙”の不気味 5/3
衆院3補欠選挙の「自民党全敗」を受け、永田町では急速に「6月の衆院解散は遠のいた」との見方が広がっている。自らの政治生命がかかるだけに、自民党内から慎重論が噴出。「いま解散なんかしたらボロ負けだ」「羽交い締めにしてでも解散を止める」といった怒声が上がる。
岸田首相本人も4月30日、補選全敗について「自民党の政治資金の問題が足を引っ張った。候補者や応援していただいた方々に申し訳なく思っている」と陳謝したうえで、解散・総選挙について「全く考えていない」と否定した。
これまで記者から同じ質問をされると「今は考えていない」が定番だったが、今回は「全く」と強めに否定したことや、終始、険しい表情だったことから、新聞・テレビは「岸田首相の解散戦略練り直し」などと報じていた。さすがに、岸田首相の解散熱はしぼんだのか。
「いや、むしろ逆に警戒感が高まった」というのは自民党の閣僚経験者だ。
「岸田さんは逆張りの人。何を考えているのかさっぱり分からないし、突然の派閥解散宣言に政治倫理審査会出席と、誰も想定しないことをまるで愉快犯のように実行する。昨年は自ら解散をあおって党内を浮足立たせ、結局やらなかった。今回は強めの否定や慎重な言い回しをしていることが、逆に不気味です」
補選全敗について、岸田首相は「みんな予想していた」「不祥事の後の選挙はこういうものだ」と漏らしたと報じられた。まるで他人事。険しい顔の陳謝は党内を出し抜くためか。
6月の会期末解散が岸田首相の基本線だ。6月25日公示、7月7日投開票などという日程も囁かれている。この大逆風でも岸田首相は「自公で過半数は維持できる」と思っているらしい。ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
首相は解散についてウソを言ってもいい
「まず大前提として『首相は解散についてウソを言ってもいい』という永田町の論理がある。『やります』以外は真に受けてはダメです。岸田首相が総裁再選をめざすなら、選挙をやって自公でそこそこの数を維持して信任してもらうしかない。解散しないで総裁選を迎えれば、『選挙の顔にならない』と降ろされるのは確実です」
岸田首相が党務で信頼を置いている森山総務会長は主戦論者だ。先月の講演で「首相が(解散を)選択するなら、いかなる状況にも対応できるようにしておくことが当然だ」と話していた。
「6月解散の可能性はあると思います。岸田首相が踏みとどまるとしたら、最終判断に影響を与えるのは、党内の力学でも、羽交い締めにされるからでもなく、党の情勢調査の結果でしょう」(鈴木哲夫氏)
世論調査では「政権交代」もあり得る情勢だ。岸田政権を葬り去れるなら、自爆解散、大歓迎だ。
●小池氏が担いだ乙武氏惨敗で都知事選に「暗雲」 5/3
東京都知事選(7月7日投開票)が目前に迫る中、小池百合子都知事が窮地に追い込まれている。政局を揺るがせた「4・28トリプル補選」の1つの衆院東京15区補欠選挙で、自ら担ぎ出した乙武洋匡氏と二人三脚での選挙戦を展開したにもかかわらず、当選した立憲民主公認候補に大差の5位と惨敗したからだ。
乙武氏の過去の「女性問題」や、無所属にこだわって自民、公明の支援が得られなかったことなど、「悪条件はいろいろあったが、選挙直前の小池氏の学歴詐称疑惑再燃による支持離れが大きな要因」(選挙アナリスト)との見方が支配的。選挙戦を支えた小池氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」幹部も、「想定外の結果で、負けすぎ」とうなだれる。
これにより、補選前には永田町で飛び交っていた「小池氏の国政復帰」の臆測も消え去り、次期都知事選での「記録的圧勝」による3選にも、暗雲が広がり始めている。小池氏サイドは「都知事選ではすでに自公との協力関係を構築しており、野党側にも有力な対抗馬擁立の動きがないので、勝利は動かない」(側近)と強気だが、学歴詐称疑惑の今後の展開次第では、「思わぬ苦戦を強いられる」(選挙アナリスト)との声も出始めている。
乙武氏、立憲・酒井氏に大差の5位に
大乱戦として注目された東京15区(江東区)補選は、結果的に立憲民主が擁立し、共産が候補を降ろして支持に回った酒井菜摘氏が、約5万票を獲得して圧勝。小池氏の全面支援で酒井氏を追い上げていたはずの乙武氏(無所属=都民ファ副代表)は、他の無所属や日本維新の会、諸派の候補にも及ばない2万票足らずの得票で、9人中5位に沈んだ。
岸田文雄政権の命運が懸かったトリプル補選は、投票が締め切られた28日午後8時に、NHKはじめ主要メディアがそろって、酒井氏を含めた立憲民主公認候補の「当選確実」を速報し、「自民『全敗』・立憲『完勝』」の大見出しでの臨時ニュースを流した。
そもそも、今回の自民の「全敗」は、選挙期間中の各種情勢調査通りの結果で、巨額裏金事件とその対応への国民の強い不満、反発が、最大の要因であったことは間違いない。ただ、自民不戦敗の中で各党・各政治団体の候補が乱立した東京15区では、「裏金事件よりも、小池氏の担いだ乙武氏の得票が注目されていた」(選挙アナリスト)だけに、小池氏への大きな打撃となったのは間違いない。
今回の乙武氏の選挙活動では、小池氏が12日間の選挙戦のうち9日間も応援に入るなど、まさに陣頭指揮で勝利を目指した。3月末の定例会見で、都民ファ政経塾の講師役も務めた乙武氏の擁立を公表した小池氏は、選挙期間中も運動員とおそろいのジャンパー姿でウグイス嬢を買って出て、選挙カーから「乙武洋匡、何としても勝たせていただきたい」と連呼し続け、側近も「自分以外の選挙で、こんなに力を入れているのは見たことがない」と驚くほどだった。
しかし、告示後に実施された各種情勢調査では、いずれも乙武氏は劣勢で、焦った小池氏は、乙武氏への推薦を見送った自民と公明の都連国会議員らに、連日自ら電話で支援を求め続けたとされる。そのうえでの惨敗だけに「選挙に強いとされてきた小池神話が崩壊した」(政治ジャーナリスト)ことは間違いない。
都知事としての国政選挙敗北は3度目
小池氏が都知事として臨んだ国政選挙での敗北は、「希望の党」を立ち上げて敗れた2017年衆院選と、2022年の参院選東京選挙区で擁立した元秘書が10位と低迷したことに続く3度目。特に今回の惨敗には小池氏周辺からも「初の女性首相を目指しての国政復帰への期待など全くなくなった」との厳しい声が漏れてくる。それもあってか、小池氏は落選が決まった28日夜には、選挙事務所にも姿をみせなかった。
そうした状況の中、約1カ月半後の6月20日には都知事選が告示される。これまで出馬するかどうかを明らかにしてこなかった小池氏だが、3月末の人事で副知事1人を新たに登用する一方、側近を異例の処遇で続投させたことなどから、「3選出馬は既定路線」(都幹部)との見方が支配的。中央紙が補選で実施した出口調査でも「小池知事を支持する」という回答が半数以上だったとされ、「乙武氏の敗北による知事選への影響は少ない」(選挙アナリスト)とみる向きも多い。
ただ、「再燃した学歴詐称疑惑をさらに深めるような新たな展開があれば状況は変わる」(政治ジャーナリスト)との指摘もある。小池氏を巡る今回の学歴詐称疑惑再燃のきっかけとなったのは、4月10日発売の月刊文藝春秋5月号での「小池百合子元側近の爆弾告発」と題する特集記事だ。
これも踏まえ、小池氏と長年の交流があり、同氏の学歴詐称疑惑についてもその信憑性を指摘してきた舛添要一前東京都知事は、28日夜の東京15区補選の開票終了に合わせて、自らのXに「小池都知事が支援した乙武は5位に沈んだ」「小池の国政復帰などあり得ないし、彼女がこれ以上東京を沈没させるのは阻止すべきだ。政界からの引退を求める」と0書き込んでいる。
「3選出馬」確実視、主要メディアも疑惑報道自粛へ
こうした状況を受け、小池氏の3選出馬が焦点となる都知事選に向け、立憲民主や共産などの野党関係者、市民団体が1日、国会内で選定委員会の4回目会合を開き、小池氏の対抗馬擁立について協議した。その結果、「候補者は5人以内に絞られた」(立憲幹部)として、5月下旬までに有力な対立候補を正式決定する構えだ。
そこで都知事選関係者が注目しているのは、小池氏の疑惑について「文藝春秋や他メディアが、さらに踏み込んだ材料を記事化するかどうか」(自民都連幹部)。ただ、「ここにきて文春側は、都知事選への政治的影響も考慮して、さらなる“小池攻撃”は自粛する方向」(文春関係者)との見方も出ている。
その一方で、主要メディアもこれまでと同様に「小池氏の学歴詐称疑惑は報道しない姿勢を変えていない」(政治ジャーナリスト)とされる。しかも、「岸田首相の会期末解散断行で衆院選と都知事選がダブル選となる可能性もある」(自民長老)だけに、「その場合は小池疑惑が政局混迷の渦の中に消える」(都知事選関係者)との声もささやかれている。
●岸田総理がブラジル到着 「グローバルサウス」との関係強化へ 5/3
岸田総理大臣は先ほど、2カ国目となるブラジルの首都ブラジリアに到着しました。G20=主要20カ国の議長を務めるルラ大統領と首脳会談を行います。
ブラジルは、今年G20の議長国を務めていて、11月にリオ・デジャネイロで首脳会合を行う予定です。
岸田総理が総理大臣として南米を訪れるのは初めてで、ブラジルなど新興国・途上国を中心とするグローバルサウスとの関係強化に取り組みます。
ルラ政権が力を入れるアマゾンの森林保護への基金の拠出など、脱炭素社会に向けた協力文書などに署名する予定です。
また、ブラジルには世界最多270万人の日系人が生活していて、懇談を行うほか開拓戦没者の慰霊碑を訪れる予定です。
●岸田総理“外遊ラッシュ” フランスでマクロン大統領と会談後、ブラジルに到着 今夜ルラ大統領と会談へ 5/3
フランスを訪問した岸田総理は、日本時間のきのう夜、マクロン大統領と首脳会談を行いました。会談の狙いと成果について、同行している渡部記者の報告です。
会談では岸田総理から、マクロン大統領が「大ファン」と公言する鳥山明さんの人気漫画「ドラゴンボール」の切子グラスが手土産として渡され、和やかなムードで始まりました。
両首脳が対面で会談するのは去年5月以来で、自衛隊とフランス軍の共同訓練をしやすくする「円滑化協定」の締結に向け交渉を開始することで合意するなど、安全保障分野での協力をより一層深めていくことで一致しました。
岸田総理「日仏の安全保障協力をさらに促進するとともに、インド太平洋地域の平和と安定に貢献するものであります。ぜひ着実に進めていきたいと考えています」
政府関係者は今回の会談の狙いについて、中国の習近平国家主席が今月5日からフランスなどヨーロッパを訪問する予定であることを「意識する側面もある」と解説しています。
一方、岸田総理は先ほどブラジルに到着しました。
日本時間の今夜、ルラ大統領と首脳会談を行う予定で、気候変動対策や脱炭素社会の実現に向け議論する⾒通しです。
ブラジルはいわゆる「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国の筆頭格で、日本は中南米地域との連携をより一層強化したい考えです。
●「インド太平洋と欧州大西洋の安全保障は“不可分”」岸田首相がマクロン仏大統領と一致 5/3
岸田首相は2日、訪問先のフランスで記者団の取材に応じ、マクロン大統領との会談で「インド太平洋と欧州大西洋の2つの地域の安全保障を切り離して考えることは困難だ」との認識で一致したことを明らかにした。
フランス・パリでマクロン大統領との首脳会談など一連の日程を終えた岸田首相は、出国前に記者団の取材に応じ、会談の内容などを説明した。
この中で、自衛隊とフランス軍の協力の強化に向け、「部隊間協力円滑化協定(RAA)の交渉開始について合意した」と明かし、「着実に進めていきたい」と強調した。
そして、「中国を含むインド太平洋、ウクライナ、中東情勢」を挙げ、「地域情勢について忌憚のない意見交換をした」と述べた。
その上で、「緊迫度を高める国際情勢の中で、インド太平洋と欧州大西洋の2つの地域の安全保障を切り離して考えるのは困難であるということで一致できた」と明らかにした。
また、「G7の場を含め、価値や原則を共有する日仏連携を強化していく」との認識でも一致したと説明した。
●早期解散、野党が要求強める 選挙協力は不透明 5/3
野党各党は、4月の衆院3補欠選挙で自民党が「全敗」したことを踏まえ、岸田文雄首相に対して早期の衆院解散・総選挙の要求を強めている。ただ、立憲民主党と日本維新の会が100以上の小選挙区で競合するなど、次期衆院選に向けた協力は依然、先行きの見通せない状況が続く。
大型連休明けの後半国会は、自民派閥の裏金事件を受けた政治改革が最大の焦点となる。政治資金規正法改正などを巡る自民の姿勢について、立民は「話にならない」(幹部)と酷評。泉健太代表は4月29日、大阪市の会合で「今の政権は信任に値しない」と断じ、内閣不信任決議案の提出を検討する考えを示した。
他の野党も、政権と厳しく対峙(たいじ)する姿勢は共通している。維新の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は「維新も自民にどんどんぶつかる」と強調。共産党の小池晃書記局長は「解散・総選挙で国民の信を問えと迫る」と訴え、国民民主党の玉木雄一郎代表も足並みをそろえる。
野党が早期解散を目指すのは、裏金事件による自民への逆風を「瞬間風速」(立民の枝野幸男前代表)と見て、最大限生かしたいとの思惑があるためだ。関係者によると、立民が3月に実施した情勢調査では、大きく党勢拡大が見込める結果が出たという。
もっとも、次期衆院選に向けた野党連携は進んでいない。泉氏は、政治改革や教育無償化など政策ごとに賛同する野党が連携する「ミッション型内閣」構想を提唱したが、反応は芳しくない。
3補選も、自民が公認候補の擁立を見送った東京15区と長崎3区で、立民と維新が激突。維新の馬場伸幸代表は「立民をたたきつぶす」と敵対心をあらわにした。そもそも、維新は次期衆院選での「野党第1党」獲得を目標に掲げており、立民との候補者調整に応じる気配はない。
3補選で立民の支援に回った共産も「補選はあくまでも特例的な対応だ」(幹部)との立場。次期衆院選で競合する70超の小選挙区の調整については「対等・平等、相互尊重」の関係構築を求めている。立民とともに連合を支持母体とする国民との協力もなお不透明だ。 
●立民"裏金議員が憲法を議論" 5/3
岸田文雄首相は憲法記念日の3日、東京都内で開かれた集会に自民党総裁としてビデオメッセージを寄せ、憲法改正について「最終的には国民投票で決めるもの。(発議で)国民に選択肢を示すことは『政治の責任』だ」と訴えた。
集会は憲法改正を掲げる民間団体が開催。首相は裏金事件を謝罪し、「政治の信頼回復のためにも、政治改革の議論と併せて憲法改正について党派を超えて議論を行う姿を見せていきたい」と意欲を示した。
自民、公明、日本維新の会、国民民主の各党幹部らも出席。公明の大口善徳憲法調査会副会長は、緊急時の国会機能維持に関し「賛同する会派と近々、改正案のたたき台を出す」との方針を明らかにした。
一方、立憲民主、共産、れいわ新選組、社民各党の幹部は都内で開かれた護憲派の集会に出席。立民の逢坂誠二代表代行は「法律を犯しているかもしれない裏金議員が、憲法の議論をする正当性はあるのか」とけん制。共産の田村智子委員長は岸田政権による反撃能力(敵基地攻撃能力)保有などに触れて、「戦争する国造りを何としても止めよう。憲法9条にこそ力がある」と強調した。         

 

●首相に残された3つの選択肢 5/4
「やりたいのは経済」ポスターに込められた思い
岸田総理(周囲に対し)
「やはり経済をやりたい。経済があって、社会があって、外交がある」
「(政治とカネの問題の対応に追われる現状に)巡り合わせだろう。それを乗り越えてこそ、自分のやりたいことができると考えてやるしかない」
もし自民党総裁選で再選されたら何がやりたいか問われ、岸田総理はかつて周囲にこう語っていた。
4月15日に発表された自民党の政党活動用のポスターのキャッチコピーは「経済再生 実感をあなたに」。
このキャッチコピー自体は自民党が独自に開発したAIが発案したのだが、「経済」というキーワードを設定したのは岸田総理だった。
ポスター製作に携わった関係者「総理も賃上げの実感が伝わり始める時期だし、やはり経済を重視したいということで、『経済再生』を打ち出すことには誰も異論はなかった」
ちなみに、このポスターでの岸田総理のワイシャツは襟が広くなっているワイドカラー。これは、「首回りがキレイに見えるから絶対変えた方がいい」と周囲が長年勧めていたもの。「うまくいけば解散総選挙でも使うポスターになるので、こだわり抜いた」と関係者は話す。
ただ、“政治とカネの問題に一定のメドをつけ、2期目で経済再生の総仕上げを”との岸田総理のプランは夢物語となりつつある。
徳川家康の“耐える精神”に共感
岸田総理は以前、過去の戦国武将のうちでシンパシーを感じるのは「徳川家康」と答えたことがある。
自民・岸田政調会長(当時)(2019年12月18日BS-TBS「報道1930」で)
「(Q.昔の武将で、織田・豊臣・徳川、3人のうち誰にシンパシーを感じるか?)シンパシーという意味では徳川家康だと思います。
「(Q.なぜ?) 耐える精神、じっと努力を続ける精神。こういった政治家にとって、絶えず持たなければいけない強い意志、絶えず未来を見続ける、この辺のバランスなのかなと思います」
岸田総理は別のインタビューでも「若い頃の家康は織田信長や豊臣秀吉にずいぶんといじめられ、苦労したので共感できた」と答えている。
9年近く続いた安倍政権では外務大臣、自民党政調会長の要職に就くも、安倍総理の辞任を受けて行われた2020年の自民党総裁選では菅義偉官房長官(当時)に敗北。
翌年、自民党の広島県連会長として臨んだ参議院広島選挙区の再選挙でも候補者を当選させられず、「岸田は終わった」と言われるなど、辛酸をなめてきた。
それだけに、やっとつかんだ総理大臣のポストに対する思いはきわめて強い。
2024年初旬、派閥の政治資金の問題で支持率が過去最低を更新し続ける中、岸田総理は周囲にこう語っている。
岸田総理(周囲に対し)
「今は総理大臣になっているんだから。『岸田は終わった』と言われていた頃に比べたら、今はまだ幸せだと思うよ」
「総理は本当に精神的にタフだ」「どれだけ支持率が低迷しようが辞めないだろう」、周辺のこうした声も岸田総理のトップに居続けることへの強い思いを裏付けている。
補選“惨敗”で残された3つのシナリオ
とはいえ、現状は崖っぷちだ。
4月28日の衆院の3つの補欠選挙。“保守王国”島根1区を含め1勝もできなかったことで、またも「岸田は終わった」という評価が永田町で広まりつつある。
自民党関係者「総裁選で(岸田総理の)推薦人20名が集まらないことが明確になった」
自民党幹部「これで岸田総理の総裁選での再選はなくなった」
あくまで9月の自民党総裁選での再選を目指す考えは曲げていない岸田総理だが、今後の選択肢としては、以下の3つがあると言われている。
   1 総裁選前の解散総選挙
   2 解散せずに総裁選に突入する
   3 総裁選に出ない(出られない)
これまで岸田総理にとっての本命は、
1「総裁選前の解散総選挙」
だったが、補選の惨敗で「こんな状況で選挙に臨むのは集団自決だ」などの声が自民党内から漏れる。与党・公明党が早期解散に否定的なこともあわせると、実現に向けてのハードルが極めて高くなったのは間違いない。
ただ、総理自身はまだ模索を続けているようだ。6月に実施される1人4万円の定額減税や外交成果などを訴えるほか、かねてから掲げている北朝鮮訪問や憲法改正の実現についても具体的な結果を出そうとしている。
2「解散せずに総裁選に突入する」
については、現時点では現職である岸田総理を引きずりおろす具体的な動きが見えておらず、そのまま総裁選に出馬しても勝てるのではないか、との見方が一部の政府関係者などから出ている。
また、石破元幹事長などのライバルを事前に内閣改造や党役員人事で処遇し、取り込めば良いとの声もある。
一方で、9月に選ばれる自民党総裁で解散総選挙や参院選を戦うことになることから、与党内では「岸田総理のまま選挙に臨むことはない」との見方が大半だ。
総裁選で動向が注目される閣僚経験者は「結局、総裁選の勝者は『選挙に勝てる人』になる」と予見している。
3「総裁選に出ない(出られない)」
はどうか。総理大臣のポストへのこだわりの強さを考えれば、岸田総理としては最後までとりたくないだろう選択肢なのは間違いない。ただ、総理を支える関係者からも「総理の座を引きずり降ろされるような形は避けたい」との声が出てきていて、このシナリオが最も濃厚、と見る政府・与党関係者も多い。
「99敗の男」〜“紅天”はあるか
俳優の真田広之氏がプロデュース・主演を務めるハリウッドドラマ「SHOGUN 将軍」。真田氏演じる吉井虎永は徳川家康からインスパイアされたとされる。
ネタバレにならないように詳しくは触れないが、ドラマの中では大老・石堂(石田三成がモチーフ)の策略によって窮地に陥った虎永が、
“紅天”に打って出るのか、それとも降伏するのか、迫られる場面がある。
“紅天”とは、石堂を倒すため、大阪に攻め上ることだが、多勢に無勢は否めない。
勝ち目の薄い戦いに打って出るのか、座して死を待つのか。
家康に共感を覚えるという岸田総理だが、奇しくもこのドラマと今の岸田総理の置かれた状況は似ている。
総理の側近議員は、岸田総理は「99敗する男」だと語った。
総理側近議員「小さい負けが次から次へとあって、あらゆるところで馬鹿にされてきたんだけど、どこか大事なところは必ず『1勝』できる人だと思ってる。その価値のある1勝は何が何でも手に入れるタイプ」
価値ある1勝を掴むための岸田総理の“紅天”はあるのか。秋の自民党総裁選に向け、政府・与党内の暗闘は続く。
●日仏外相 安保で連携を強化 5/4
上川陽子外相は3日(日本時間4日)、訪問先のパリでフランスのセジュルネ外相と会談し、安全保障分野での連携を強化していくことで一致した。両外相はウクライナ支援とロシア制裁の継続も確認。中国を含むインド太平洋や中東の情勢、新興・途上国「グローバルサウス」の動向について意見交換した。
●Youは何しに海外へ?超円安のGWに「裏金」議員含む多くの自民議員が渡航 事前提出の「渡航計画書」は非公開 5/4
円安、超円安である。一時1ドル160円台に突入した。政府・日銀による為替介入の可能性も指摘されるが、それでも150円台で推移している。ゴールデンウィークとはいえこんな時期に海外旅行するのは大変である。日本から食材を買ってしのいでいるハワイ旅行の映像などを見るとなかなか涙ぐましいものがある。
さて、そんな円安の最中、このゴールデンウィーク期間中(4月27日〜5月6日)に国会議員も海外へと渡っている。
岸田総理はフランスやブラジルなどを訪問
まず、岸田内閣からは14人が渡航している。岸田文雄総理が5月1日〜6日の日程でフランス、ブラジル、パラグアイを訪問。フランス・パリでのOECD閣僚理事会や各国首脳との会談を行う。上川陽子外務大臣は同じくフランスを始め、マダガスカル、コートジボワール、ナイジェリア、スリランカ、ネパールと多彩。閣僚の場合、上記OECDの理事会があることに加え、国会日程の合間を縫って外交日程を組まざるを得ない事情もある。
自民党は4月28日の衆院補選で「3敗」したが、党内には岸田総理“お得意”の外交で支持率を少しでも上向きにできれば…との淡い期待もあるようだ。
GW中に登院できない議員はほとんどが自民党…萩生田、塩谷氏など「裏金」処分議員の名前も
一方で、そのほかの国会議員。GW中に国会へ登院できないという届け出をした衆議院議員はのべ34人。写真は4月25日付けの公報に掲載されたもの。衆議院の公報上ではこの期間に国会へ出られないということしか確認できないため、34人すべてが必ずしも海外渡航とは限らないのだが、政権中枢に近い木原誠二議員、ベテランの船田元議員、甘利明議員のほか渡海紀三朗政調会長の名前がある。なかには派閥の政治資金パーティーをめぐる「裏金」事件で、2728万円の不記載があった安倍派「5人衆」の1人、萩生田光一元政調会長や、安倍派の座長だった塩谷立議員の名前もある。パッと見ただけで自民党の議員が圧倒的に多いことがわかる。塩谷議員は処分を受けて離党し無所属となったが、あとは立憲民主党の中川正春議員を除くとすべて自民党所属で、たまたまかもしれないが公明や維新、共産の議員はいない。実に34人中32人が自民党だ。
「エッフェル塔」写真で物議の松川るい議員はGW期間中2回渡航
続いて参議院議員はのべ17人。参議院の場合、公報上に日程とともに渡航先、ごく簡単な目的も確認できる。こちらも安倍派に所属し「裏金」事件で問題となった議員がいる。政治資金収支報告書に2400万円の不記載があった山谷えり子議員(全国比例)はアメリカへ。876万円不記載の堀井巌議員(奈良選挙区)はグアテマラへ、306万円が未記載だった佐藤啓議員(奈良選挙区)は韓国へ、それぞれ渡航する。
また、去年夏、自民党女性局の研修で訪れたフランス・パリにあるエッフェル塔前で撮った写真がSNS投稿され、批判を受けた松川るい議員(大阪選挙区)はこの間2回渡航する。政治経済事情を視察するため前半の4月26日から6日間はオーストラリアへ、後半の5月2日から3日間は韓国へという予定だ。観光産業復興の状況視察のためタイへ赴くれいわの山本太郎議員、シンガポールで政治経済事情を視察する社民党の福島みずほ議員などもいるが、それでものべ17人中11人と多数を占めるのは自民党であった。
国民の目から見えにくい議員の渡航…その中身と費用の実態は?
そもそも国会議員の海外渡航はどういった手続きを経て行われるものなのか。衆議院事務局に問い合わせると、いまの通常国会など国会開会中は各議員が「請暇(せいか)」を届け出るのだという。聞きなれない言葉だが、暇(いとま)を請うという意味で一定の期間、国会へ登院がかなわないことを願い出るという主旨だそう。渡航の期間が7日以内の場合は議長の許可が、7日以上の場合は本会議での了承が必要だという。実際に海外へ渡航する場合、各議員は所属会派に請暇届と渡航計画書を出し、あらかじめ議会運営委員会の理事会で了解を得るのだという。
ただ、問題は、残念ながらこの海外渡航の中身やお金が一般には見えづらいことだ。例えば先日、自民党の麻生太郎副総裁はアメリカへ渡航した。4月22日からむこう4日間渡航するとの届を出して許可されている。たしかにこの事例などはアメリカのトランプ前大統領に面会するなどしたことがニュースとなり、何を目的に渡航したかは一般の方の目にも触れることとなった。
しかし、一方で多くの議員の場合、海外渡航の実態はなかなか見えない。事前に会派や議運に提出する「渡航計画書」なるものは非公開だ。また、あくまで議員個人の活動であるため、渡航後、国会などで活動報告が義務づけられてもいない。さらに、渡航費については各委員会や公式な議員派遣団とは異なるため予算がついておらず、各議員が処理する形で公表が義務付けられているわけではないため、どのように渡航費をねん出しているのかもわからない。毎年この時期に議員団として海外渡航し議員外交をしている例もあり、個々の議員がSNSなどで発信している例もあるのだろう。ただ、当方のようなメディアがよほど細かく各議員の活動をチェックし、渡航の中身や費用について問い合わせでもしない限り広く知られるところとはならないだろう。
国会議員たるもの海外で研鑽を積み議員交流を深めることは必要で、海外渡航すべてを否定するものではない。届や渡航計画書を出して議運の了解を得ての渡航だけに「旅行」ではないと信じたいが、あまりに議員の裁量と性善説にたった運用だとも感じる。Youは何しに海外へ。今後の議員活動や国会での質疑にどう生かされていくのか。連休明け以降の仕事でまた見ていきたい。
●自民党自体のレベル低下 さまざまな分野での胆力低下、人材不足は否めない 5/4
連休を利用して昨今の政党事情を整理してみた。自民党と政治とカネは切っても切れないが、裏金問題がここまで発展するとは思わなかったのではないか。東京地検特捜部が党の幹部級を軒並み捜査すると国民は期待する。だが、リクルート事件も佐川急便事件もいずれも相当数の大物政治家の名前が取りざたされたものの、逮捕者は大物とは言い切れず、それもごく小人数。検察のメディアを使って風呂敷を広げる手法は相変わらずで、検察は手をつけなかったものの、市民団体などが刑事告発していた前政調会長・萩生田光一、元経産相・世耕弘成を2日、地検特捜部はいずれも嫌疑不十分で不起訴にした。
世耕が政倫審で「嫌疑なし、真っ白」と胸を張ったのに今では離党の身。世耕の判断は昭和の政治そのものの価値観。そこからアップデートできていなかった。だが、自民党議員の不祥事は政治とカネだけではない。最近でも女性問題が報じられ、先月25日付で議員辞職した前防衛副大臣・宮沢博行は「欲を抑えきれなかった」とした。自民党衆院議員・武井俊輔の乗った事務所の車は国道で91キロを出していたが、それを自らネットに上げ、謝罪会見を開いた。同議員は3年前にも都内で車検切れで無保険の車を秘書に運転させ、当て逃げ事故を起こしている。
自民党自体のレベルの低下。政治家としての自覚、倫理観やモラルの低下。国民の代表であるとか与党の一員である覚悟など、さまざまな分野で胆力が低下、人材不足は否めない。それは小選挙区制になったからだとか、派閥の機能が作用しないなどの小手先の話ではない。与党政治家としての万能感、権力のうまみだけを感じ、その責任や危険さを感じない、与党の庇護(ひご)の下ならば無理が通るという感覚ではないか。昭和の政治は往々に古くて、悪い政治の例えに使われがちだが、特権的なふるまいはあったにせよ、昨今のような勘違い政治家はあまりいなかったし、国民のため、平和のためという思いが絶えずあったのではないか。
●東京15区補選で「タワマン」問題は触れられず… 背景にある重要な課題とは 5/4
2024年4月16日告示、4月28日投開票の衆議院議員3補選は立憲民主党が全勝した。 3補選で、もっとも話題を集めたのが東京15区だ。
東京15区は江東区全域が選挙区で、多くの自治体が直面する少子化や人口減少といった社会問題とも縁遠い。江東区の人口は2004年に約39万7,000人だったが、2014年に約48万7,000人まで増加。2016年には大台の50万人を突破し、2024年には約53万2,000人となっている。
わずか20年間で江東区の人口は10万人以上も増加したわけだが、江東区の出生率が上昇しているわけではない。過去20年間の江東区における出生率は常に1.4前後で推移している。
それにも関わらず江東区で人口増という現象が起きている理由は、大量の新住民が転入しているからだ。江東区の人口増を牽引しているのが、湾岸エリアに立ち並ぶタワーマンション、いわゆるタワマンの存在だ。
乱立するタワマン問題
昨今、タワマンといえば話題は2020東京五輪の選手村跡地に整備されたHARUMI FLAG(晴海フラッグ)を思い浮かべる人も少なくないだろう。 晴海フラッグは中央区に所在しているが、それ以前までは「タワマンといえば豊洲」と言われるほどだった。
当初の江東区はタワマン乱立による弊害に手をこまねき、対策は後手に回っていた。タワマン乱立によって引き起こされる問題とは何か? 豊洲のタワマンに転居してくる世帯は、小さな子供のいるファミリー層が多い。タワマンが一棟完成すると局地的に人口が増加し、そのタワマン周辺で保育所や小中学校が不足するという事態が発生する。
江東区は転入してくるファミリー層を受け入れるべく、保育所や小中学校の新設計画を策定するが、それには区議会で予算を通し、それから用地を選定するという手順を踏むことになる。その間にも、タワマンは次々と建ち、ファミリー層は続々と江東区へと流入する。
窮した江東区は、タワマン対策として2004年にタワマン建設を抑制する条例を制定。同条例は4年間という時限立法だったが、施行された当初は効果を存分に発揮し、江東区の人口増は一時的に緩やかになっていく。しかし、2007年に条例が失効すると、再び豊洲界隈でタワマンが建ち始めた。
江東区は、新たに『マンション建設計画の事前届出等に関する条例』と『マンション等の建設に関する条例』の2つの条例を制定し、爆発的な人口増加を引き起こすタワマン対策とした。特に後者の『マンション等の建設に関する条例』では、151戸以上のマンションに対して原則的に保育所などを併設することを定め、大きな効果を発揮している。
これらの条例によって待機児童問題は解消へと向かったが、それが子育てしやすいという評判につながり、さらに江東区にファミリー世帯を呼び込む現象を生み出した。当然ながら、江東区内のタワマンも増えていった。
保育所の併設などを条例で定めることで待機児童などの問題は解消したが、解決できない課題も残った。それがタワマン住民の通勤・通学の足を確保すること、平たく言えば公共交通の整備だった。
「南北移動」に難
江東区には、東京メトロの東西線・有楽町線のほかJR総武線や京葉線、都営地下鉄新宿線といった多くの鉄道が走っている。これらは東京駅や大手町駅、秋葉原駅といった都心部につながっているため、通勤の便は決して悪くない。
しかし、江東区の鉄道路線は多くが東西の移動で、南北移動は都営大江戸線に頼るしかない。大江戸線は場所によって大きな迂回を強いられるので使いづらく、江東区の南北移動は都バスが主力になっていた。
都バスの輸送力は鉄道よりも小さい。それゆえに以前からラッシュ時は混雑を極めていた。そこにタワマン乱立が拍車をかけた。通常、需要が増加するなら、バスも発着便数を増やすなどの対応策をとる。
だが、話はそう単純ではない。バスの運転本数を増やせば、道路が渋滞するという問題を引き起こす。また、駅前広場にバス待ちの長い列ができ、歩行者の妨げにもなる。なにより、昨今のバス業界は人手不足が常態化しており、とても運転士を増やせる状況になく増便は難しかった。
こうした状況から、東京都や江東区といった行政はバスよも輸送力の大きい公共交通の整備計画を練り始めた。その尖兵として、東京都は2020年から新橋駅と豊洲・晴海といった湾岸エリアを結ぶ東京BRTの運行を開始する。東京BRTは、湾岸エリアで建設が進むタワマン住民の通勤の足となることが期待された。
BRTだけでは今後も増える湾岸エリアの需要に対応できないと考えた小池百合子都知事は、2022年11月に東京駅と東京ビッグサイトを結ぶ東京臨海地下鉄の構想も発表している。東京臨海地下鉄は2040年代までに開業するとの目標を定めている。
東京BRTと臨海地下鉄は、江東区で増えるタワマン住民の足となり、通勤時間帯の混雑緩和に加えて江東区の発展にも大きく寄与する。
この問題に触れなかった候補たち
今回の東京15区補選で小池都知事は乙武洋匡候補の応援演説で何度もマイクを握ったが、東京BRTや臨海地下鉄に触れなかった。特に4月21日の日曜日と、選挙戦最終日となる4月27日の土曜日の豊洲駅前での街頭演説は東京BRTと臨海地下鉄をアピールする絶好のチャンスだった。
筆者は東京15 区補選に立候補した9名のうち、立候補の届出後にエベレスト登山へと旅立った福永克也候補を除く8名の候補者の街頭演説を取材している。多くの候補者が自民党の裏金問題や少子化対策といった一般的な政治課題を述べるにとどまった。
そうした中で秋元司候補だけが東京15区が抱える政治課題についても触れ、整備計画が進んでいる豊住線がもたらす江東区発展について演説をしていた。
豊住線とは、東京メトロ有楽町線の豊洲駅から東西線の東陽町駅、都営新宿線の住吉駅を経由して錦糸町駅まで乗り入れる支線的な路線だ。江東区は錦糸町駅までの開業を2030年代半ばとして計画を進めている。
そのほか、江東区を南北に縦断する越中島貨物線をLRT化した上で旅客転用する計画も進む。越中島貨物線のLRT化は2000年頃に浮上したが、その後は忘れられた計画になっていた。ところが、2023年8月に栃木県宇都宮市で新たにLRTが開業。これが活況を呈していることからLRT化への整備計画が再び走り始めた。
さらに、ゆりかもめを延伸する計画もある。ゆりかもめは新橋駅と豊洲駅を臨海部経由で結ぶ鉄道だが、当初は豊洲駅から晴海・勝どきを通って新橋駅に戻るという環状線化が想定されていた。そのため、豊洲駅は路線の延伸が可能な状態で建設され、現在は延伸を待っている状態のまま放置されている。
豊住線と越中島貨物線のLRT旅客化、そしてゆりかもめの延伸といった鉄道計画は、江東区が主導しているが、江東区だけで実現できない。隣接する中央区・港区・墨田区・江戸川区などとも協調しなければならず、さらに東京都の協力、国土交通省への働きかけも重要になる。東京15区選出の国会議員には、それらが求められる。
東京15区の選出議員にとって、タワマン問題とそれに付随する公共交通の整備は避けて通れない。今回の東京15区補選は話題の多い選挙だったが、そうした政策課題は残念ながら議論されなかった。
●「円安上等。1ドル300円でも誰も文句言うはずない」経済学者の高橋洋一さん主張 『正義のミカタ』 5/4
経済学者の高橋洋一さん(68)が4日、ABCテレビの番組「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」に出演。「1ドル=300円でも、政府が儲けた分を国民に還元すれば誰も文句を言わない」と主張し、歴史的な円安進行を肯定する見解を述べた。
高橋さんは「円安上等。1ドル=300円なら成長率20%」などと書かれたフリップを手に「円安は日本政府が最大のメリット享受者」と解説。政府が保有するドルが、円安により約40兆円の為替差益が生じていると推計し「これを(国民に)吐き出せば円安なんか誰も文句言う人はいなくなる」と述べた。
さらに「『1ドル=300円になったら』と安倍さんが3年くらい前に言ったんだけど、その時はだいたい300兆円くらい儲かる。そうすると1人あたり250万円返せるから、誰も文句言うはずない」「安倍さんにこの話をしたら『そうだな〜』って言ってました。そりゃそうでしょう」と高笑い。さらに財務省が「円安埋蔵金」を隠していると主張した。
タレントほんこん(60)も「テレビの経済評論家の方はこの話を全くしない」「キー局の番組で偉そうに安倍さんの言うてることに『音痴や』と言うてる方おったけど、このことを一切言わないのは何なんですか」などと同調した。
日米金利差の影響で4月29日には34年ぶりに1ドル=160円台をつけたが、為替介入とみられる2度の急変動で5月3日には1ドル=152円台となっている。アベノミクスを主導した安倍晋三元首相も2年前に自民党の会合で「1ドル=300円になったら、あっという間に経済回復」という主旨の発言をしていたことがBS−TBSの番組「報道1930」で報じられている。
●「誰も声を上げないと為政者はやりたい放題」シールズ元メンバーは、弁護士になった今も国会前で叫び続ける 5/4
「平和を守らぬ政治家いらない」「市民は見てるぞ」「政権変えよう」…
4月26日夜。国会正門前に、軽快なリズムのコールが響く。「さようなら自民党政治」と題したデモ。自民派閥の裏金問題が表面化した昨年末から、交流サイト(SNS)などを通じて集まった若者たちが毎月数回、政治に対する怒りの声を上げている。
「日本が戦争する未来って実はもう2、3年後とか、本当にすぐそこまで迫ってきてしまってるんじゃないかという危機感をみなさんと共有したいと思って、ここに立っています」
デモの冒頭、弁護士の久道瑛未(ひさみち えみ)さん(28)が、詰めかけた100人超の聴衆を前にマイクを握った。「防衛に関することを閣議決定で決め、憲法違反を上塗りするのはやめろと言いたい。憲法を無視しても何とも思わない、人々の人権を何とも思わない、そんな自民党に憲法改正なんて絶対させちゃいけない」と批判した。
原点は2015年「思い出すだけで泣ける、悲痛な叫び」
2015年からずっと「憲法違反」の安保法制が日本にはある。そこでたがが外れてしまい、日本はずっと戦争への道を突き進み続けている…というのが、久道さんの現状認識だ。
安保法制は日本が攻撃を受けていなくても、存立危機事態に他国を武力で守る集団的自衛権の行使ができると定めた安全保障関連法。日本が戦後堅持してきた憲法9条に基づく専守防衛の転換とも指摘された。
その安保関連法が成立した15年9月19日未明。前日から国会前で抗議の声を上げる人の渦の中に、当時東北大2年だった久道さんもいた。「民主主義って何だ」「憲法守れ」―。安保関連法に反対する学生グループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」の一員として仙台から駆け付け、「日本の平和と憲法を守れ」との思いで叫び続けた。
「思い出すだけで泣けてきそうだけど、あの時そこにいた人たちはみんな悲痛だった。本当に成立を止められると思っていたし、そのために一市民としてできるのは声を上げ続けることしかなかった。叫びに、全てを託した」。しかし、安保関連法は参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。
社会の中の構造的な理不尽の解消、が根底に
それから間もなく9年。弁護士になった今も立場は違えど、国会前に立つ。行動の根底には「社会の中にある構造的な理不尽の解消のために貢献したい」との一貫した思いがある。
宮城県出身。弁護士を志したのは、高校2年のことだ。紛争地域などで国際協力に取り組んできた高校OBの医師山本敏晴さんの講演で、子どもを兵士にするため母親をその場で殺害させるといった内戦地の実態を知り、自分が生きる環境との隔たりに大きな衝撃を受けた。「理不尽なことで苦しむ人たちがいなくなるような社会になればいい」。そのために将来、法律の専門性が役立つのではと考え、進路を定めた。
14年に東北大法学部に進むと、日本にある構造的な理不尽の数々に触れるようになる。入学してすぐ、社会問題に関心のある学生有志の団体に参加。沖縄の米軍基地関連や福島原発事故の被害を知って、現地を訪れるなどして当事者の話に触れた。「負担を押し付けられた一部地域の人たちの人権が侵される状態がずっと続いているのに、それに対して多くの人が問題意識を持っていない状況を変えなくてはいけないと感じるようになった」
憲法の価値がゆがめられてしまう社会に恐怖心
2014年7月、第2次安倍政権が歴代内閣の憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。
久道さんはその頃、大学で憲法の授業を受け始めていた。授業で習った9条の話とは整合しない憲法解釈の変更。「自分が先例として学んだ政府見解や学問の世界での共通認識が、目の前で変わっていくことへの危機感を覚えた」。その後に続く、安保法制の議論。
「理不尽と闘うよりどころである憲法の価値がゆがめられてしまう社会に恐怖心を抱いた。憲法の価値をないがしろにするような社会で弁護士になっても、自分のやりたいことは達成できないのではないか」
「東北でもやればいいじゃん」でシールズ東北立ち上げ
くすぶる気持ちを抱いていた15年、同じ問題意識を持ってデモで声を上げる同世代の姿が背中を押した。「まだ何も力はないと思っていたけど、同じ学生が社会に影響を与える姿を見て、自分にもできることがあると思わせてもらった」。すぐにシールズの公式アカウントに、参加したいとメッセージを送った。
ただ、グループに招待されて訪れたシールズの会議で議題となっていたデモの計画などは全て東京での動きだった。中心メンバーだった奥田愛基(あき)さんに相談すると、「東北でもやればいいじゃん」。7月、「SEALDs TOHOKU(シールズ東北)」を立ち上げ、約20人が参加した。
翌月、仙台市で初めてのデモを企画し「戦争法案絶対反対」「東北だって黙ってないぞ」と中心部を練った。集まった数百人を前に「抑止力の名の下に憲法を、平和国家の在り方をねじ曲げて推し進めようとしている安保法制は、いま政府がやらなくちゃいけないことなのか」とスピーチした。それに東北では、原発事故後の福島から避難させられ、居住の権利を奪われ故郷に戻れない人たちがいる。「人権侵害への対応はないがしろにして、目に見えない危機をあおって戦争リスクを高める政府は絶対許しちゃいけないですよね」と呼びかけた。
その後はほぼ毎週末、街宣や集会を開き、抗議の意思を示した。安保関連法成立後は、東京のシールズと同じく16年夏の参院選後に解散。司法試験に向け勉強に専念した。「あの時シールズの学生たちが多彩に声を上げ、全国にもその運動が派生したのは一つの時代の変わり目だったと思う」と振り返る。そして、今も「シールズをやっていたことを誇りに思っている」。
若者が「戦争したくない」と声を上げなければ
一方で、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有や武器輸出ルールの緩和など、戦後日本の安保政策の転換は現在の岸田政権でも続く。そうした現状に「安保法制から脈々と戦争準備が進んでいる」と懸念を募らせる。さらに「危機的な状況だと報じるメディアも安保法制の時ほどの盛り上がりがないため、呼応する市民も当時と比べものにならないくらい少ない」と危惧する。
誰も声を上げなかったら為政者のやりたい放題の政治がまかり通ってしまう。それに今、パレスチナやウクライナで起きている惨状を目の当たりにして「戦争がどういうものか想像できる人が『戦争反対』『平和を守れ』と当たり前に声に出していかないと、戦争しても別にいいのではと思う若い世代はどんどん増えるんじゃないか」と思う。「だから、若者が『戦争したくない』と声を上げる役割はより重みを増している」
2022年に弁護士登録し、東京の法律事務所に所属する。第二東京弁護士会の憲法問題検討委員会にも属し、安保法制廃止や立憲主義の回復を求める街宣を行うなど、意見発信を続ける。
「憲法は私たち国民の命と権利を守る最大の武器であり、盾だと思う。憲法があることで日本の平和を守れるし、国際社会の平和構築のために日本だけが果たしていける役割があるはず。平和主義を掲げる9条の価値をいま一度見つめ直してほしい」(曽田晋太郎)
デスクメモ
当時19歳の久道さんにシールズの会合で取材したことがある。震災と原発事故からまだ4年余り。東北の復興を地方から考えたいと語る真っすぐな瞳が印象的だった。安保関連法が成立し、落胆した国会前のコールはいつしか「選挙に行こうぜ」に変わった。民主主義は続いている。
●岸田総理が考える、「史上最低の総裁再選戦略」...「支持率が上がらないなら、ライバルを蹴落とせばいいじゃない」 5/4
空前の円安で、ゴールデンウィークは「節約旅」がトレンド入り。国民が物価高にあえぐなか、裏金問題の真相究明すらしようとしない自民党に、補選で「ノー」が突きつけられた。ところが……。
石破茂が総理以上に補選で奔走
総裁選で岸田にとってもっとも強敵になりそうなのが石破茂だ。世論調査では毎回「ポスト岸田」候補1位を独走している。「選挙の顔はやはり石破しかいない」となれば、議員票も一気に石破へと雪崩を打つ可能性がある。
「石破さんは総理がピンチのときにも、党内野党よろしく平気で政権批判するので、『石破は皆が苦しいときに、後ろから鉄砲を撃つ』と評判が悪く、なかなか党内での支持が広がらなかった。
最近は石破さんもそれではまずいと思ったのか、補選で皆があきらめムードの中、島根に4回も入って必死に応援活動をしていた。そういう姿を見せることで、『石破が頑張ってるじゃないか』という空気が少しずつ党内にでき始めています」(二階派中堅議員)
補選前にラジオ日本の番組に出演した際には「島根(の補選)を一生懸命やらないで『岸田けしからん、辞めろ』と言うのは自民のすることではない」と宣ってみせた。これまでとは一味違う。
しかし、岸田はこちらについてもすでに手を打ってある。
ライバルを蹴落として、自分を上げる
「最近、麻生さんが突然、『石破も見どころがあるじゃねえか』と言い出した。麻生さんは首相だった'09年に、現職の農水相だった石破さんに早期退陣を迫られたことを根に持っており、石破さんを嫌っている。だからこの発言はおかしい。もちろんこれは罠です。党内支持を集めようと必死な石破を増長させるために、わざと言っているのでしょう。
石破さんも真に受けているわけではないのですが、どうもこの動きを麻生さんの政敵である菅義偉さんが警戒しているようで、石破さんと距離を置き始めました」(自民党関係者)
二階俊博が引退を表明した今、非主流派を取りまとめるキーマンは、前総理の菅しかいない。長年、無派閥を貫いてきた菅が持っている手駒は2枚。それが石破と、自身の内閣で法相を務めた上川陽子だ。
麻生は石破を持ち上げることで、菅と石破のあいだに楔を打った。一方、「ポスト岸田」として名前があがり始めた上川についてはとっくに手を打ってある。
「そもそも麻生さんが上川陽子を『このおばさんやるねえ』と持ち上げたのは、単なる失言ではなく、『ポスト岸田』となりうる菅さんの持ち駒を潰すため。その思惑通り、すでに上川は菅の手から離れている」(同前)
残るは党内基盤のない高市早苗や河野太郎などのザコばかり。総裁選に立候補したとしても岸田にとって敵ではない。
解散をちらつかせることで、あえて遠心力を働かせ、ライバルたちを浮き足立たせる。相手の失策を誘い、最後は総裁選で僅差であっても再選に持ち込む。これが岸田が目論む勝利のシナリオだ。
自民党が再び野党に転落する日
こう考えれば11月に大統領選を控えたこのタイミングで、麻生がわざわざ渡米し、トランプ前大統領と会談したことも得心がいく。
「麻生さんはかねてより『俺は岸田を支え続ける』と周囲に言っている。トランプとの会談も、表向きは官邸も『一議員として行われたもの』(林芳正官房長官)と説明しているが、事前に岸田さんと相談したことはあきらかです。これこそ岸田再選のための戦略でした。
すでに岸田さんはバイデン政権とは信頼関係を築いている。日米首脳会談はそのアピールでした。
もし11月の米大統領選でトランプが勝った場合には、パイプがあるのは麻生さんだけ。となると麻生さんが推す岸田さん以外にトランプとまともに交渉できる総理候補はいない。これは岸田総裁の再選に有利に働くのではないか。そう思って麻生さんはメディアを引き連れて訪米したのです」(全国紙政治部記者)
さらに岸田は党の人事制度に大きな変更を加えることで、権力を一手に掌握しようとしている。
「派閥の人事関与を断つために検討している人事制度の原案では、幹事長ら『党七役』に対して、代行や代理などの部下を選ぶ権限をそれぞれ付与することになっています。これまでは党本部が派閥のバランスを考慮して決めていたのですが、今後、党七役は自分の意に沿う議員を引き上げることができる。
そして、その党七役の人事を握っているのは総裁に他なりません。もはや誰も岸田さんに逆らえなくなる」(同前)
解散せずに、総裁選で再選される─これが岸田が現時点で考えているメインシナリオだろう。
しかしその先のことは何も考えていないに違いない。来年には参院選もあるし、衆院も任期満了を迎える。その間、物価は上がり続け、国民の暮らしは大変になるばかり。
断末魔の自民党─再び下野する日がやってくるのも近い。
●自民・公明・維新・国民4党連立℃汪衆院選で大再編か 健闘の日本保守党「全国なら勝利確実」 立民が政権交代に至らない理由 5/4
岸田文雄首相は大型連休に合わせて、フランスとブラジル、パラグアイを訪問する6日間の外遊を続けている。首相自身が「(国民の)私への判断も含まれる」と語っていた衆院3補選(4月28日投開票)は、自民党が不戦敗を含めて「全敗」、立憲民主党が「全勝」という結果となった。野党は連休明けの国会で、政治資金規正法改正などの政治改革をめぐって攻勢を強める構えだ。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、3補選を受けた政治潮流を考察した。次期衆院選後、「3党連立」「4党連立」の可能性も。東京15区で飯山陽氏が健闘した日本保守党の全国規模の戦いにも注目した。
3つの選挙区で争われた衆院補選は、いずれも立憲民主党の候補が勝利した。立憲民主党がこの勢いを続けたら「政権交代もあり得る」という見方も現実味を帯びてきた。だが、私は否定的だ。立憲民主党は「自民党の自滅」と「共産党の支援」で勝ったにすぎない。
立憲民主党は、なぜ3連勝という「離れ業」ができたのか。
最大の理由は「自民党の自滅」である。それは自民党が東京15区と長崎3区で自前候補を擁立できなかった時点で明らかだった。候補を立てた島根1区でも、普通なら本来、負けるはずのない財務省出身の新人、錦織功政氏が、立憲民主党の元職、亀井亜紀子氏に惨敗した。
NHKの出口調査によれば、自民党支持層で約3割の有権者が亀井氏に投票していた。自民党vs立憲民主党の対立構図から考えれば、考えられない事態だ。支持政党が「特になし」の層では、亀井支持が7割以上に上った。それほど自民党は嫌われてしまったのである。
もしも、いま衆院解散・総選挙を行えば、同じ現象が全国で起きて、自民党は大敗北を喫するだろう。自民党議員が「岸田文雄首相による解散絶対阻止」に動くのも当然だ。
だが、総選挙で自民党が敗北したとしても、政権交代が起きるかと言えば、そう簡単ではない。立憲民主党が単独過半数をとるのは、ほとんどあり得ず、共産党との連立ないし協力が不可欠であるからだ。
それは、衆院補選の東京15区が象徴している。立憲民主党が擁立した酒井菜摘氏の勝利は、共産党が独自候補を降ろして、酒井支援に回った効果が大きい。自民党vs立憲民主党の一騎打ちになった島根1区も、NHK調査によれば、共産党支持層は、ほとんど立憲民主党候補の亀井亜紀子氏に投票していた。
つまり、立憲民主党が勝利するには、共産党支持層の獲得が大きな条件になる。だが、共産党は早くも「総選挙の対応は別だ」と言っている。仮に、立憲民主党と共産党の選挙協力が実現して、選挙に勝ったところで、政権を握るには他の野党との協力が不可欠になる。
立民「躍進」も政権交代には至らない
ところが、例えば日本維新の会や国民民主党が「共産党の入った連立政権」に参加するか、と言えば、難しい。「日米安保廃棄」や「自衛隊解消」を綱領に掲げた共産党とは、とても組めないからだ。そんな連立政権に加わったら、既存の支持者からもそっぽを向かれてしまうに違いない。
結局、立憲民主党が総選挙で議席を大きく伸ばしたところで、政権交代には至らない可能性が高い。
逆に、自民党は公明党と合わせても過半数を握れなければ、日本維新の会や国民民主党に声をかけるだろう。連立相手の数が増える分だけ、政権運営は不安定になるが「政権を失うよりはマシ」と考えるはずだ。
解散・総選挙の時期にもよるが、かくて日本の政治は自民党を軸にした3党連立、または4党連立の可能性が高まってきた。今回の衆院補選が示す政治潮流の第1点だ。
新しい政治集団「日本保守党」の健闘も見逃せない。東京15区で同党から立候補した新人、飯山陽(あかり)氏の戦いは異例だった。
ネット上では連日、飯山氏の名前がトレンド入りし、街頭演説も「聴衆の半数以上が選挙区以外の人だった」という証言がある。つまり、飯山氏は15区のみならず、全国から支持を集めて戦った。
15区では落選したが、全国規模の戦いとなったら、勝利は確実ではないか。それは、そのまま保守の勢いを示す。今後に期待したい。
●岩田明子氏、「ウェークアップ」で自民党「3補選全敗」を解説…「党内からは次の衆院選挙では『岸田総理では戦えない』こんな声が公然と出ています」 5/4
日本テレビ系「ウェークアップ」は4日、4月28日に投開票された衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙で自民党が島根1区以外で候補者擁立を見送ったため、不戦敗を含めて異例の全敗を喫したことを報じた。立憲民主党は3補選すべてを制した。
岸田政権への打撃が必至となる結果にスタジオ生出演した元NHK解説委員の岩田明子氏は、自民党内で「大きな痛手で衝撃をもって受け止められています。政治とカネを巡る問題に対する強い批判だという受け止めですね」とし「自民党内からは次の衆院選挙では『岸田総理では戦えない』。こんな声が公然と出ています。特に選挙の基盤が弱い中堅若手からこうした声が出ています」と解説していた。
●岩田明子氏「ポスト岸田」は「決め手に欠ける」岸田首相の生き残りに向けた執念について分析 5/4
元NHK解説主幹でジャーナリストの岩田明子氏は4日、日本テレビ系「ウェークアップ」に出演し、4月28日投開票の衆院3補選で全敗するなど厳しい政権運営を余儀なくされている岸田文雄首相の、今後について解説した。
岩田氏は「会期末に向けて(内閣)改造、選挙などを仕切る幹事長を交代させるのではないかという見方もあったが、ここまで選挙で厳しいことになってしまうと、それをやりきる体力があるのか。(打診に)断られてしまったら改造しようとしても立っていられなくなる。なかなか厳しいものがあるのではないか」と述べ、現時点では内閣改造や党役員人事による局面打開は厳しいとの見方を示した。
番組パートナーのタレント山崎怜奈から、衆院解散・総選挙の見通しについて問われると「岸田総理としては9月の総裁選で無風に再選されるためには、6月の会期末で解散という構想もあったと思うが、この(衆院3補選)の結果を受けて、自民党も公明党も選挙を先送りしろという風が強まっているので、やりにくくなっていると思う」と分析。岸田首相が腹の中では機会を探っているとされる衆院解散に踏み切るのは、なかなかハードルが高いとの認識を示した。
その上で「6月が自公の反対でやりにくくなってくるとなると、次のチャンスは9月に、新しい顔になってもらって、解散総選挙に打って出るというのが与党には望ましい(シナリオ)」と述べ、与党内には9月の自民党総裁選で新総裁を選んだ上での衆院選への期待があることにも触れた。
一方で「ポスト岸田」について「決め手に欠ける」と指摘。「茂木幹事長もやる気満々ですし、いわゆる『小石河』ですよね。大いに局面転換しようということで女性となると高市さんや、上川さんですね」と名前を挙げた上で、「ただ岸田さんとしても、政治資金規正法などを粛々とあげることで、ネクスト(ポスト岸田)がしっかり決まっていない、野党の支持もいまいちだということで、もしかしたら生き残りができるんじゃないかということで、とにかく政策課題に取り組むというものを崩していない」とも分析。岸田首相の、自らの生き残りに向けた「執念」についても言及した。
●「実質賃金マイナス」が続く理由 安倍・菅政権に大きな試練も…岸田政権と顕著な差 利上げ急いで好機を逃すのか 5/4
実質賃金のマイナス基調が続いている。プラスに転換させるには、どのような経済政策運営が必要となるだろうか。
物価と失業率の逆相関関係(物価が上昇すれば失業率は下がる)を示す「フィリップス曲線」上で、NAIRU(インフレを加速させない失業率)を目指すというのが筆者の主張だ。
この状態になれば、「インフレ率プラス1、2%程度」の継続的な賃上げ、つまり実質賃金のプラス転換を実現しやすい。
ただし、この筆者の理解は、日本の経済学者には不評だ。その理由は「フィリップス曲線は安定的ではないので、インフレ率と失業率の実際の関係は簡単には分からない」というものだ。
しかし、統計数字の小数点以下をきちょうめんに考えすぎではないか。経済学は精密科学ではないので、小数点以下はあまり意味がないと捉えて大ざっぱにみれば、フィリップス曲線の不安定性も気にならなくなる。
『安倍晋三回顧録』にもフィリップス曲線の話が書かれている。「最も重要なのは雇用です。2%の物価上昇率の目標は、インフレ・ターゲットと呼ばれましたが、最大の目的は雇用の改善です。マクロ経済学にフィリップス曲線というものがあります。英国の経済学者の提唱ですが、物価上昇率が高まると失業率が低下し、失業率が高まると、物価が下がっていく。完全雇用というのは、国によって違いはありますが、大体、完全失業率で2・5%以下です。完全雇用を達成していれば、物価上昇率が1%でも問題はなかったのです」とある。
日本のNAIRUは、安倍元首相のいうように2%台前半だが、安倍氏は「NAIRUを聞いても答えられない人ばかりだ」と嘆いていた。
となると、景気をみるうえで重要な指標は「失業率」と「インフレ率」になる。ただし、インフレ率は、「ビハインド・ザ・カーブ」の原則から、インフレ目標の2%を超えてもすぐ引き締めをせずに、4%程度まで我慢したほうがいい。そのほうが高圧経済を誘発し、賃金上昇が容易になる。2%を下回るようなら、財政・金融政策の一体発動で対処すべきだ。
このあたりのマクロ経済の理解の差なのか、実質賃金の動きをみると、第2次安倍政権・菅義偉政権と、現在の岸田文雄政権の差は顕著だ。
安倍・菅政権当時は、民主党時代に仕組まれた2度の消費増税と「コロナ・ショック」という大きな試練があり、その直後は実質賃金はマイナスになったが、それ以外の期間ではおおむねプラスだった。安倍・菅政権の105カ月中、実質賃金がマイナスだったのは57カ月で、54%だった。
一方、岸田政権では菅政権直後のプラスを除き、29カ月中24カ月がマイナスで、その比率は83%だ。
6月に所得税と住民税の減税を行うのはいいが、もっと早く、昨年12月に行っておくべきだった。その一方で、利上げをするなど、岸田政権はせっかくのチャンスを生かせていないのではないか。
●改憲機運「高まっていない」7割、議論望むテーマは… 朝日世論調査 5/4
国民の間で、憲法を変える機運は「高まっていない」という受け止めが70%にのぼっていることが、朝日新聞社の全国世論調査(郵送)でわかった。憲法改正が必要だと思う人や自民支持層でも機運は「高まっていない」という回答がそれぞれ63%、64%と目立つ。
岸田文雄首相は9月までの自民党総裁任期中の改憲実現を唱えてきたが、世論の大勢は冷めた目で見ている。
機運は4択で聞き、「あまり高まっていない」が55%、「全く高まっていない」が15%。一方、「高まっている」は「大いに」4%、「ある程度」24%の計28%だった。 ・・・
●日パラグアイ首脳が会談 台湾念頭に「力による現状変更に反対」 5/4
岸田文雄首相は3日午後(日本時間4日午前)、パラグアイの首都アスンシオンでペニャ大統領と会談し、東アジア情勢について「力による一方的な現状変更は許されない」との認識で一致した。パラグアイは南米で唯一、台湾との外交関係を結んでおり、地域への軍事的威圧を強める中国を牽制(けんせい)した形だ。
日本の首相によるパラグアイ訪問は、2018年の安倍晋三氏以来。
岸田首相は会談後の共同記者発表で、「自由、民主主義、法の支配、人権といった価値と原則を共有するパートナーであるパラグアイとの二国間関係の重要性は高まっている」とし、国連などの議論で連携を強める考えを示した。ぺニャ氏も「私たちは自由や法の支配などの価値観を共有している」と語った。
会談では、パラグアイやブラジルなどが加盟する「南米南部共同市場(メルコスール)」との関係強化も議論した。日本の経済界からはメルコスールとの経済連携協定(EPA)を求める声が出ており、首相は「メルコスールとの経済関係の緊密化を進める」と述べた。
●岸田首相 ブラジルと温暖化対策で枠組み作ることなど合意 5/4
就任後初めて南米を訪れている岸田総理大臣は、グローバル・サウスの主要国であるブラジルのルーラ大統領と首脳会談を行いました。温暖化対策として、アマゾンの森林保護の支援強化や、脱炭素化を進めるための政府間の枠組みを作ることなどで合意しました。
会談はブラジルの首都・ブラジリアの大統領府で、日本時間の3日午後9時半すぎからおよそ2時間行われ、会談後、両首脳は記者会見し、共同声明を発表しました。
それによりますと、両首脳は、ブラジルがことしG20=主要20か国の議長国であることを踏まえ、成功に向けて協力を確認したほか、ウクライナ情勢や中東情勢などをめぐり意見を交わし、緊密に連携していくことで一致しました。
そして「戦略的グローバル・パートナー」として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、人間の尊厳が守られる世界の確保に向けて力を合わせていくことを申し合わせました。
また、来年「COP30」=国連の気候変動対策の会議がブラジルで開かれることも踏まえ、日本が温暖化対策としてアマゾンの森林保護のため、300万ドルを基金に拠出したことなどを通じ、協力を推進していくとしています。
さらに両首脳は農地開発のための森林破壊の抑止や荒廃した土地の復旧に向けた協力のほか、脱炭素化に向け、バイオ燃料などブラジルの豊富な資源と、ハイブリッドエンジンなど日本の技術を相互に利活用するため、新たな政府間の枠組みを作ることで合意しました。
このほか国連改革に向け、安保理の常任理事国入りを目指す両国にドイツとインドを加えたG4で、緊密に連携していくことも確認しました。
岸田総理大臣は記者会見で「伝統的かつ良好な2国間関係の礎は、世界最大の日系社会を介した特別な絆の存在だ。絆を大切にしつつ連携を強化していく」と述べました。
ブラジル大統領 “来年 日本訪問することで合意”
ブラジルのルーラ大統領は、岸田総理大臣との首脳会談のあとの記者会見で「ブラジルと日本の間にはかつて180億ドル近い貿易があったが、現在は110億ドルにまで落ち込んでいる。これは日本とブラジルの人口規模から見ても小さすぎる」と指摘し、貿易の活性化を改めて訴えました。
その上でルーラ大統領は「岸田総理大臣は来年・2025年に私を日本に招待した。来年はわれわれの戦略的パートナーシップを完成させる年だ」と述べ、日本を訪問することで合意したと明らかにしました。
また、日本政府が去年、ブラジル人の短期滞在者のビザ取得を免除する措置を導入したことに感謝の意を示しました。
さらに「ブラジルは非常に勤勉で寛大な国民をもつ大国だ。日本がブラジルを優先的なパートナー、戦略的パートナーとして受け入れることが重要だ」と述べ、農業やエネルギーなどの分野で日本の投資を呼び込み、関係を強化することに意欲を示しました。
●南米唯一“親台湾” パラグアイで首脳会談 「力による一方的な現状変更は許されない」岸田首相 5/4
大型連休に合わせ、3カ国を歴訪中の岸田首相は、日本時間4日、南米で唯一、台湾と外交関係を持つパラグアイのペニャ大統領と会談し、「力による一方的な現状変更は許されないとの意思」を確認した。
岸田首相は3日(日本時間4日未明)にパラグアイに到着し、首都アスンシオンでペニャ大統領との首脳会談に臨んだ。
中国が経済・軍事的台頭を背景に、台湾と外交関係を持つ国に断交を求める中、パラグアイは関係を維持している。
首脳会談後の共同記者会見でペニャ大統領は、日本について「自由と法治国家などの価値観を共有する」と語ったうえで、台湾について言及。
ペニャ大統領は、「台湾とは66年間の長い外交関係を有している」と述べ、「今後とも広範な協力関係を推進したいと思っている」と強調した。
一方、岸田首相は、「首脳会談で、地域情勢についても率直な意見交換を行った」として、「世界のどこにおいても、力による一方的な現状変更は許されないとの意思を確認をした」と説明。
そして、「パラグアイが、日本にとって必要不可欠な友人であることをあらためて確信した。ペニャ大統領と手を携え、2国間関係のみならず、国際社会においてもいっそう、緊密に協力する決意を表明する」と述べた。
●パラグアイ大統領 首脳会談で“日本へ農産物の輸出拡大を” 5/4
南米・パラグアイのペニャ大統領が岸田総理大臣との首脳会談を前にNHKの単独インタビューに応じ「パラグアイは世界が必要としている食料安全保障を提供できる」と述べ、農産物の日本への輸出拡大について首脳会談の場で取り上げたいという考えを示しました。
パラグアイのペニャ大統領は3日に岸田総理大臣と首脳会談を行うのを前に、首都アスンシオンでNHKの単独インタビューに応じました。
この中で、ペニャ大統領はパラグアイと日本との関係について「日本はパラグアイに開発や資金調達などの面で多大な支援を行ってきた。私自身、日本政府からの奨学金のおかげでアメリカの大学に留学することができた」と述べ日本の貢献を高く評価しました。
そして岸田総理大臣との首脳会談について「私の目標は日本側にパラグアイの可能性を理解してもらうことにある。パラグアイは世界が必要としている食料安全保障を提供できる」と述べました。
その上で「パラグアイは世界有数の食肉輸出国だ。私たちが長年要望してきた日本の食肉市場へのアクセスをめぐる交渉を加速させられれば非常に興味深い」と述べ、牛肉など主力農産物の日本への輸出拡大について岸田総理大臣との会談の場で取り上げたいという考えを示しました。
さらにパラグアイが南米各国の中で唯一、外交関係を維持している台湾について「中国から嫌がらせを受けてきたが、こうした逆境は半導体製造の分野において世界の技術大国となるための障害ではなく、むしろ原動力となった」と評価しました。
そして「民主主義の原則や価値観を共有する日本との関係はパラグアイの助けになっている。パラグアイを助けることは、台湾を助けることにもつながる」と述べ、日本や台湾との外交関係の強化に意欲を示しました。
ペニャ大統領は、来年参加を予定している大阪・関西万博についても触れ「パラグアイの一部を大阪の街で紹介してもらうことはパラグアイをより身近に感じてもらう機会になる」と期待を示していました。
●報道の自由度ランキング、日本は70位に後退。G7で最下位、ウクライナや韓国を下回る。その要因は? 5/4
国際的な非政府・非営利組織の「国境なき記者団(RSF)」は5月3日、2024年の「報道の自由度ランキング」を発表した。
1位にノルウェー、2位にデンマーク、3位にスウェーデンがランクイン。日本は2023年から順位を下げ、70位だった。
RSFは、「世界全体的に政治指標が低下している」と指摘。「メディアの自主性に対する支持と尊重が憂慮すべきレベルで低下し、国家や他の政治主体からの圧力が増大している」と分析した。
また、RSFは「2023年10月以降、ジャーナリストとメディアに対する違反行為が相次いでいる」と指摘。イスラエル国防軍によって、100人以上のパレスチナ人記者が殺害されており、そのうち少なくとも22人は業務中に殺害されたという。
RSF編集ディレクターのアンヌ・ボカンデ氏は「国家やその他の政治勢力が報道の自由を守るために果たす役割が減少している」と警告した。
また、2024年は世界人口の半数以上が投票に行く「世界史上最大の選挙の年」だ。RSFは「ディープフェイクは現在、選挙の行方を左右する主要な位置を占めている」と指摘。偽情報などへの規制がない場合、生成AIが政治目的の偽情報の武器として使用される懸念があることを示した。
日本が70位に後退した理由は?
日本の報道の自由度は、2023年の68位から70位に順位を下げた。この順位は先進国が集まるG7で最下位、戦争中のウクライナ(61位)や近隣の韓国(62位)を下回る結果だ。
日本についてRSFは、新聞やテレビなどの従来のメディアが依然として大きな影響力を持っているとした上で、以下のように分析している。
「日本は議会制民主主義国家であり、メディアの自由と多元主義の原則は一般に尊重されている。しかし、伝統的な利害関係やビジネス上の利害関係、政治的圧力、男女間の不平等が、ジャーナリストが監視者としての役割を完全に果たすことをしばしば妨げている」
加えて、政府や企業が主要メディアの運営に日常的に圧力をかけていることや、2020年以降、政府が新型コロナウイルス対策を理由に、記者会見に招待するジャーナリストの数を削減したことなども指摘した。
また、記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判している。 
●泉房穂氏「ないのはお金ではなく、やる気と知恵」岸田政権の子育て支援策を「しょぼい」 5/4
前明石市長で弁護士の泉房穂氏(60)が4日、ABCテレビの生情報番組「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」(土曜午前9時30分)に出演。番組では「少子化と子育て支援」を取り上げた。
明石市長時代には独自の子ども施策で地域経済を盛り上げ、出生率アップを実現した泉氏は「やる気なし総理、ウソつきにもほどがある」とフリップを出し、斬り込んだ。
子育て支援策の1つとして「保育士の待遇改善」を挙げた。「子どもを応援するということは子どもに寄り添う保育士を応援すること。明石市の場合は給料を2万円アップ、7年間で160万円の現金を保育士の口座に振り込む。家賃は市が持ち、トラブルの場合は保育士の味方を市が雇った弁護士が担当する。どんどんいい保育士が来る。いい保育士が来ると、子どもにとってもいい環境になる」と主張した。
政府が発表した「子ども・子育て支援金」について、財源を社会保険の枠組みからとることについて「そもそも負担しなくてもいい。国債を発行してもいい」と猛反対した。
岸田政権の児童手当の拡充などの支援策について「こんなん、しょぼいですよ」と言い放ち、パネルに「私が総理やったらもっとできる」の文字に「これ、言うてない。私は政治を卒業しています」と弁明。岸田総理に「ないのは、お金ではなく、やる気と知恵ですわ」と批判した。
●英“総選挙の前哨戦”地方選で与党・保守党が大敗 5/4
イギリスで行われた地方選挙でスナク首相率いる与党・保守党が議席を大きく減らし、大敗しました。来年1月までに行われる総選挙で政権交代する見通しが強まっています。
2日、イギリス・イングランドの107の自治体の議会選挙とロンドンなどの市長選挙が行われました。
BBCによりますと、議会選挙では106の自治体の開票が終わった時点で合わせて2600以上の議席のうちスナク首相が率いる与党・保守党は472議席を失い、508議席の獲得にとどまり大敗しました。
一方、最大野党・労働党は185議席増やし1128議席を獲得、48の自治体で過半数を占めました。
また、自由民主党101議席増、緑の党72議席増など野党は議席を増やしています。
スナク首相は選挙結果を受け「優秀で勤勉な議員を失うことは残念だ」とコメントしました。
今回の選挙は、来年1月までに行われる総選挙の前哨戦と位置付けられていて、14年ぶりの政権交代が実現する可能性が強まりました。

  

●宮城で青いこいのぼりの祭り 大震災が契機、能登地震にも思い 5/5
東日本大震災で被災した宮城県東松島市で5日、全国から集まった青いこいのぼりが空を舞う「青い鯉のぼりまつり」が開かれた。今年は、能登半島地震の被災地から「がんばろう能登」などのメッセージが書かれたこいのぼりも登場。会場は晴天に恵まれ、子どもたちの歓声が響く中、犠牲者への鎮魂や未来への希望を込めた約550匹が元気よく空を泳いだ。
震災の津波で家族4人を亡くした市職員伊藤健人さん(31)が、自宅跡のがれきから、犠牲になった弟律ちゃん=当時(5)=のお気に入りだった青いこいのぼりを見つけたのをきっかけに始まり今回で14回目。昨年から現在の名称になった。
会場は親子連れでにぎわった。
●能登半島地震の被災地 大型連休に避難先から戻る人も 5/5
能登半島地震で被災した石川県輪島市では、大型連休にあわせて避難先から故郷に戻り、壊れた家から荷物を運んだり公費での解体を申請したりする人たちの姿が見られました。
輪島市 大型連休にあわせて避難先から戻り自宅の片づけ
輪島市堀町の自宅が半壊し、夫と孫、それにひ孫と一緒に岐阜県に避難している梶喜代江さん(76)は、5月3日、孫が運転する車でおよそ4時間半かけて故郷に戻りました。
梶さんの自宅は屋根が壊れて雨漏りし、入り口には隣家の塀が倒れかかって危険なことなどから、取り壊すことを決め、長女が4日に市役所を訪れ、公費での解体を申請しました。
このあと、家族総出で自宅の片づけを行い、まだ使える家具などを外に運び出し、トラックの荷台に積み込みました。
作業を終えたあとは、みんなでカレーやおにぎりを食べ、久々に一家団らんのひとときを過ごしていました。
梶さんは「避難先が遠いので、休みがないと戻って来られない状況ですが、別々に生活している家族の顔を見られただけでもよかったです」と話していました。
また、長女の谷内美紀さんも自宅が被災し、市内に住む息子のもとに身を寄せているということで、「連休は本当はのんびりしたいけれど、やることに追われています。でも、久しぶりに家族に会えて、やっぱり皆でいるのが、にぎやかでいいなと思います」と話していました。
梶さんは夫とともに仮設住宅への入居を申し込んでいますが、建設が追いついておらず、入居が決まりしだい、避難先から輪島に戻りたいとしています。
輪島市 気温25度以上のなか がれきの撤去作業
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市では、5日午前中から気温が25度以上の夏日となるなか、各地でがれきの撤去作業などが進められています。
このうち輪島市河井町の重蔵神社では、学生ボランティアなど4人が境内に集まり、地震で倒壊したやしろの周辺でがれきの撤去作業を行いました。
学生たちは、汗をにじませながら、木材などを集めて次々に運び出していました。
ボランティアに参加した金沢工業大学3年の藤井信吾さんは「被災地の力になりたいと思い参加しました。かなり暑いので、飲み物は多めに持ってきています」と話していました。
輪島市出身で金沢大学1年の曽又丈諭生さんは「連休で帰省するのに合わせて参加しました。こまめな休憩と水分補給に注意しています」と話していました。
穴水町 津波被害免れた田んぼで地震後初めての田植え
石川県穴水町で5日、津波の被害を受けたコメ農家が、地震のあと初めて田植えをしました。
穴水町甲地区でコメを育てる泊一夫さん(76)は、地震で津波が押し寄せ、所有する田んぼおよそ3000平方メートルが浸水しました。
田んぼには大量の泥や漂着物が流れ込み、用水路なども壊れたため、ことしの田植えは諦めざるをえませんが、泊さんは被害を免れた残りの田んぼでコメを作ることを決め、5日、地震のあと初めて田植えをしました。
泊さんは、連休で帰省していた家族にも手伝ってもらい、15センチほどに育った苗を田植え機で次々に植え付け、機械での作業が行き届かない田んぼの端には子どもたちが手作業で1本ずつ丁寧に植えていました。
泊さんによりますと、ことしは作付面積が半分ほどに減ったため、出荷はせず、家族が食べる分のコメを作るということです。
泊さんは、自宅が全壊し、家の片付けと稲作を両立できるか不安だったとした上で、「はじめは余裕がなかったのですが、やっぱりこのままではだめだと思い、田植えをすることにしました。周りにはことしは諦めた人もいて寂しいですが、自分は自分なりにできることをやっていきたいです」と話していました。
コメは順調に育てば9月上旬に収穫できる見込みだということです。
七尾 「曳山行事」の「でか山」取りやめ 代わりに小さな山車で
石川県七尾市の伝統の春祭り「青柏祭」で巨大な山車が練り歩く「曳山行事」は、ことし、能登半島地震の影響で取りやめとなりましたが、5日は代わりに地元の有志らが製作した小さな山車を引いて子どもたちが練り歩きました。
4日に開催された七尾市の「青柏祭」は、「でか山」と呼ばれる巨大な山車が練り歩く「曳山行事」が最大の呼び物ですが、地震で道路がひび割れるなどした影響で取りやめとなりました。
5日は、こどもの日にあわせて、子どもたちに伝統の祭りの雰囲気を少しでも味わってもらいたいと、地元の有志らが「でか山」の代わりに小さな山車を製作してイベントを開きました。
「ちびでか山」と名付けられたこの山車は、高さ2メートル余りと「でか山」の5分の1ほどの大きさで、子どもたちはまず、こいのぼりなどの形をした板に色を塗るなどして山車を飾りつけました。
このあと、子どもたちは「わっしょい」などと大きな掛け声を上げながら山車を引いて、倒壊した家屋などが残された市の中心部の通りを練り歩きました。
参加した子どもたちは「楽しかった」などとうれしそうに話していました。
地元の45歳の女性は「本当にお祭りをしているみたいで泣きそうになりました。みんなで力を合わせて一緒に頑張っていきたい」と話していました。
イベントを企画した岡田翔太郎さんは「少しの時間でしたが、本物の『でか山』のようにみんなで楽しみながら動かすことができてよかったです。倒壊した建物は残ったままですが、少しずつ元気を取り戻していきたい」と話していました。
珠洲 子どもたちのために縁日を模したイベント
「こどもの日」の5日、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市で、縁日を模したイベントが開かれ、子どもたちが楽しいひとときを過ごしました。
このイベントは、能登半島地震の被災地で炊き出しを行ってきた四国地方の飲食店で作る団体が、珠洲市の「野々江総合公園」で開きました。
会場では、縁日を模した9つの露店が、うどんやベビーカステラ、それに、たこ焼きなどを無料でふるまい、地元の親子連れがおいしそうに味わっていました。
また、輪投げを楽しむコーナーも設けられ、参加した子どもたちが景品のおもちゃをもらって笑顔を見せていました。
地元の30代の女性は「このようなイベントは子どもの息抜きにもなるので、ありがたいです」と話していました。
珠洲市では1年前の5月5日、1人が死亡する震度6強の地震が起きていて、会場に集まった人たちは、発生時刻の午後2時40分すぎになると、能登半島地震も含めた犠牲者に黙とうをささげていました。
イベントを開いた団体「四国ケータリング」の尾濱大生代表は、「能登半島地震だけでなく、1年前の地震も忘れてはいけないと思い、きょうイベントを開きました。子どもたちが笑顔で過ごしてくれてよかったです」と話していました。
●「住民税払えや」「ガタガタ言うな」竹中平蔵氏のYouTubeが地獄絵図 5/5
経済学者の竹中平蔵氏が、自民党の裏金問題について持論を述べたのは3月2日公開の投資情報サイトだった。「年間200万円程度の不記載で大臣クラスの首が飛ぶのは海外ではありえない」とブチ上げ、猛批判を浴びたのだが、本人にとっては痛くもかゆくもないのかもしれない。かねて竹中氏の公式YouTubeには大量の非難と中傷が集まっていたからだ。(以下は3月7日配信記事)

小泉内閣では経済財政政策担当大臣に抜擢され、政界引退後は人材派遣大手のパソナグループ会長などを務めた竹中平蔵氏が、ネットメディアに寄せた記事で“大炎上”している。
「批判の的となっているのは『MINKABU』に掲載された記事。自民党の裏金問題について『年間200万円の不記載で過剰にガタガタすべきではない』などと持論を展開。世間で裏金議員へのバッシングが過熱していることについても『これは自分に対する不満を他人にぶつけている状況』とバッサリ。これにはネット民から《異次元の擁護》《火に油》と批判の声が殺到しています」(ネットライター)
この炎上ニュースを取り上げたのは3月4日放送のラジオ番組「垣花正 あなたとハッピー」(ニッポン放送)。垣花正アナウンサーが「竹中平蔵さん、政治家の5年1000万円不記載で『ガタガタすべきではない』」と前述の記事のタイトルを述べ、「健全な社会にはグレーゾーンをある程度許容することが必要」とする内容を紹介。これに垣花アナが「清濁併せのむ、という言葉もありますが」とコメントすると、コメンテーターを務める経済アナリストの森永卓郎氏は「おっしゃるとおり」「まさにそれを実践してきたのが竹中平蔵という人」と前置きしてこう語った。
「日本の住民税って1月1日の住所にかかるんですけど、竹中さんは1月1日になると、アメリカに引っ越しをするっていうのをやってきましたし、マクドナルドの未公開株をこっそり仲良くなって経営者から譲り受けて大儲けをしたりですね」
ここで垣花アナが「個人の感想ですね。本当かどうかはまたね、細かい検証が必要です」とフォローしていたが、SNSには《竹中さん住民税払ってないのか》《脱税してるやつにガタガタ言われたくない》などとリスナーがコメントを寄せていた。
「竹中さんは20年よりYouTubeチャンネル『竹中平蔵の平ちゃんねる』を開設。これまで400本以上の動画をアップし、経済論などを語っていますが、コメント欄を見ると、これが9割以上は批判や誹謗中傷という地獄絵図。《ところで住民税は払ってる?》《住民税しっかり払えや》《脱税しといてガタガタ言うなよ》と住民税の未納疑惑へのツッコミも目立ちます。果たして本人は住民税の疑惑についてどう思っているのか。じつは昨年にネットメディアに掲載された対談記事では、“脱税疑惑”について『イチャモンもいいところ』と反論しつつも、90年代にはアメリカと日本を行ったり来たりで、1月1日に日本在住ではなかった時期もあると告白。アメリカではきちんと住民税を納めていたと説明しています。ラジオで森永卓郎さんが語っていたことは、ほぼ事実と言っていいでしょう」(前出・メディア誌ライター)
森永氏のコメントで再燃した竹中平蔵氏の住民税問題。日本を拠点にしている現在は、きちんと納税していると信じたい。
●乙武洋匡氏、補選落選で「お金がもうないです」の本音 連日大音量浴び「ずっと不眠」 5/5
衆院選補選に立候補するも、落選となった作家の乙武洋匡氏が5日、フジテレビ系「ワイドナショー」に出演。今、一番何がしたいか?と聞かれ「ずっと不眠で…」と選挙妨害の影響を振り返った。
乙武氏は衆院東京15区補欠選挙にファーストの会副代表という立場でありながら無所属で立候補。小池百合子都知事の応援なども受けたが投票結果は5番目と惨敗となってしまった。
今回の選挙では、選挙妨害の影響で、演説会場などを事前に告知できなかったとし、乙武氏は「一番悔しかったのは、演説を邪魔されただけではなく、有権者の大切な1票を決めるために、候補者の主張を聞きにいきたいのに、それも妨害されるのは、有権者の権利も侵害されているのは許せない」と述べた。
今回は落選となったが、泉谷しげるは「これで終わるわけじゃないでしょ?またやるでしょ?無所属でやってほしい」と次のチャレンジを期待。すると東野幸治が「無所属って大変なんでしょ?」と質問し、乙武氏も「お金がもうないです」と本音をポロリ。
選挙にお金が掛かりすぎることを「おかしい」と言う声も上がったが、東野は「理想論は。でも実際にお金はかかるから…」と乙武氏に同情だ。
最後に「今、一番何をしたい?」と聞かれた乙武氏は少し考え込んだ後「こうやって、やっと皆さんと普通に会話できるんだなって」としみじみ。そして「ずっと不眠で。あの音量を毎日浴びせられると寝られないです」と率直に振り返っていた。
●負け戦でも出陣する岸田首相の「センス」衆院3補選全敗でも衰えない「先頭に立つ」のなぜ? 5/5
まさかというより、やっぱりと言うべき結果が出た。
4月28日に投開票された3つの衆院補欠選挙で、自民党は全敗した。派閥パーティー裏金問題を引きずった状態で、前所属議員の公選法違反事件に伴う東京15区、裏金事件に伴う長崎3区は候補すら擁立できず、細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区は元財務官僚の後継候補をたてて立憲民主党と激突したが、2万5000票近い差をつけられ大敗。同区では小選挙区制導入以降の1996年から細田氏が議席を守り続け、「細田」としか書いたことがない自民党支持者が多いといわれる中での結果に、自民党内では「負けるにしても、負け方がひどすぎた」と嘆きの声を聞いた。
選挙戦前、選挙戦中も、さまざまな情勢調査の数字が流れたが、いずれも自民は劣勢だった。期間中、候補者と同じ名字のテニスプレーヤーにあやかった「逆転の錦織」というキャッチフレーズを応援弁士などが連呼した。劣勢を逆手に取ったのかもしれないが、野党側からは「センスがない」と、思わぬ形で引き合いに出された本家に同情する声も聞いた。
一方、岸田文雄首相に対しては「びっくりした」という言葉を耳にした。首相は最初の週末に応援に入った。3つの補選で候補者を擁立しているのはこの選挙区だけで、後半戦を前に党トップが地元に入って支援を訴えるのは自然なこと(それでも「来てくれるな」という声もあったと聞いた)だが、首相が応援に入っても自民候補の情勢は「まったく上向かなかった」(関係者)という。投票締め切りと同時に立民に当確が出るだろうとささやかれる中で、岸田首相は投票日前日、再び応援に入った。この行動に驚いた人は少なくなかった。
「負け戦」が見込まれる選挙に、首相が応援に入るのは極めて異例なことだからだ。行って勝てれば「首相のおかげ」、負ければ「首相のせい」になり得る。敗色濃厚な中での投開票前日の選挙応援。しかも「迷惑がられていた」とされる首相の「最後のお願い」。「1日で状況が変わるとはだれも思っていない」(関係者)中、投票箱が閉まった瞬間に自民党の負けが確定した。首相の判断には「政治センスがない」という評価もあったし、「いつもの『やってます感』に見えた。目も当てられない」と話す関係者もいた。
同じ日に投開票された東京15区補選でも、結果的に5位で落選した乙武洋匡氏の応援に、小池百合子都知事が最終日を含めて12日中9日応援に入ったが、こちらは小池氏自身が出馬を打診した「製造者責任」の側面があり、頻繁な応援は首相よりむしろ切実だった。
一方で、複数の関係者によると、岸田首相の最終日の島根入りが決まったのは「直前」だったという。「勝負師」「ケンカ師」といわれる首相だけに「負け濃厚でも『逃げた』と思われたくなかったのだろう」とする声もあるが、勝負を懸けた「負け戦での出陣」は、結果的に裏目に。「選挙の顔」にNOを突きつけられ、首相にダメージが上乗せされる結果に終わった。
首相はかねて、賃上げや派閥裏金事件を受けて「私が先頭に立って」というフレーズを繰り返してきた。今回の選挙応援も「先頭に立つ」という意識の表れだったのかもしれない。一方で、先頭に立った末の結果が明確に現れていないため、自身の言葉にがんじがらめになり続けているように感じてきた。
それでも、首相には「先頭に立つ」という意識が相当強いと指摘する自民党関係者の声を聞いた。これは、総理大臣として国を引っ張るという意識の強さにつながっているとみる向きも強い。国民の心も離れて、どんなに足元が揺らいでも、首相の立場にあることには変わりない。
永田町では、かねてささやかれてきた岸田首相による早期の衆院解散・総選挙の可能性はほぼ消えたといわれるが、首相は依然、局面打開のチャンスをうかがっているとの見方もある。自民党総裁選で1度は敗北し「終わった」といわれた中でのぼりつめた首相の座を、そう簡単に降りるつもりもないのだろう。
大型連休が終われば、通常国会の会期末まで50日を切り、永田町の緊迫感は日に日に高まる。「サプライズ好き」といわれ、よくも悪くも「永田町の常識」が通じない岸田首相が、また何かを仕掛けてくるのだろうか。その時の光景を予想するのは、今はなかなか難しい。
●太田光、選挙妨害「つばさの党」に「裏金問題と一緒、法律的に許されるなら何してもいいのか」 5/5
お笑いコンビ爆笑問題の太田光(58)が5日、TBS系「サンデー・ジャポン」にMCとして生出演。4月28日投開票された衆院東京15区補選で、政治団体「つばさの党」の“妨害行為”とみられる活動について私見を述べた。
「彼らは戦略的、言論の自由と言ってるけど、言ってるのを見れば暴言、罵詈(ばり)雑言、誹謗(ひぼう)中傷ですよ。怒鳴りつけて、相手を怖がらせて。恐怖心を抱かせてどう喝する。果たしてこれが言論の自由かどうかっていうのは、法律的には抜け道、グレーゾーンを突いてるんだっていうんだけど」と切り出した。
そして「彼らが批判している、岸田政権や既存の政権はいってみれば、今回の裏金問題何かでも一緒ですよね、法律的には許される。だったら何をしてもいいのかっていうところに国民の不満がある」と語った。さらに「彼らがやっていることは、岸田政権や裏金をもらった大臣と同じことを主張しているだけで。それを正義って言ってるみたいだけど、ちゃんちゃらおかしくて。きれいごとって言ってるけど、お前らがやってることもきれいごとなんじゃないの」と続けた。
今回の補選では、街頭演説の妨害行為が問題化。先月21日に行われた乙武洋匡氏の街頭演説では、同氏の陣営関係者が男に突き飛ばされ、暴行容疑で男が警視庁に現行犯逮捕され、その後、公選法の選挙自由妨害罪(容疑)で送検されていた。テレビ各局では、結果確定を受け同29日の各番組で、立憲民主党の候補が街頭演説や会場の告知をとりやめる様子を伝えていた。
東京15区は立憲民主党の酒井菜摘氏が当選。無所属新人乙武氏は5番手、「つばさの党」新人根本良輔氏は9候補中の最下位に敗れた。
●パックン バイデン大統領の“日本人は外国人嫌い”発言に「そこまで間違っていないかも」 5/5
お笑いコンビ・パックンマックンのパックンことパトリック・ハーラン(53)が5日「X」(旧ツイッター)を更新。米国・バイデン大統領の「日本人は外国人嫌い」発言に言及した。
バイデン大統領は1日、選挙関連のイベントで「われわれの経済が成長した理由の1つは移民を受け入れているから」と述べた後にロシア、中国、インドと並べ「なぜ、日本が問題を抱えているのか。それは彼らが外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」と発言した。
これには日本国内から反発の声が噴出。日本政府は「正確な理解に基づかない発言があった」となどと米側に申し入れた。
バイデン大統領の発言についてパックンは「10年で在留外国人の人数が50%アップ。15年で外国人労働者が4倍に増えた!この数字を見ると、日本は本当に外国人ウェルカムな国に映るでしょう」と指摘。
さらに「しかも、日本人は昔から外国の時事、文化、職、エンターテインメントにも目を向け、外国語も全員勉強している。外国人に多大な興味を示していると思う。字幕付きの映画をまず観ないアメリカ人の数を考えると、我が国のほうが内向きに思われる」と文化面では日本人の方が世界に目を向けている…と分析した。
また「30年の在日経験からいうと、僕はたまに嫌われることがあるが、それは多分自分の落ち度ついては「なだけ。日本人は外国人嫌いではない」とバイデン大統領の“外国人嫌い”という見方を否定。
ただ、一方で「ただ、増加率が高いとは言え、日本にいる外国人の絶対数は、西洋各国に比べて非常に少ない。まだおよそ全人口の3%だし、このまま増え続けても2070年にはそれが10%に上がるだけ」と数字上では欧米に及ばないとし「また、在日外国人の経済的な貢献は間違いないが、まだアメリカみたいに上場企業を大量に創立しているなどの経済効果は見えていない」とも。
その上で「バイデンの思い込みは古いとはいえ、中国、ロシア、インド、日本が経済的に振るわない理由に(少なくとも数年前までは)移民に後ろ向きだったことを挙げているという、発言の趣旨自体はそこまで間違っていないかもしれない」とバイデン大統領の発言が必ずしも間違っているわけでない、といった見解を示している。
●9条で「日本は戦争をしないですんできた」に共感8割 朝日世論調査 5/5
戦争放棄や交戦権の否認などを定めた憲法9条について、世論はどう見ているのか。朝日新聞社の全国世論調査(郵送)で聞いたところ、9条があることで「日本は戦争をしないですんできた」という意見に共感する人が8割を占めた。一方、いまの9条では日本防衛に支障があるとの意見に共感する人も6割いる。9条へのまなざしは交錯している。
9条については調査票で条文全体を示して質問した。
「いまの9条があることで戦争をしないですんできた」との意見については、「共感する」という回答が「大いに」(21%)、「ある程度」(55%)を合わせ76%に上る。「共感しない」という割合は計21%(「あまり」15%、「全く」6%)と少ない。
一方、「いまの9条では日本防衛に支障がある」との意見への共感度合いは、「共感する」が計59%(「大いに」12%、「ある程度」47%)だった。 ・・・
●裏金問題だけじゃない!「時速10万円」の政策活動費の使途公開は? 補選惨敗の自民、どう対処するか 5/5
4月28日投開票の衆院3補欠選挙は、自民党が3議席を失う結果となった。自民が唯一候補者を擁立した島根1区も、事前の予想通りだった。この結果に、メディアは9月の総裁選前の衆院解散は見送られると一斉に報じた。だが、島根で勝っていたとしても選挙に打って出るのは困難という状況は変わらない。
これまでも本欄で何度か指摘してきたが、岸田文雄首相が自ら退陣でもしない限り、首相(党総裁)を替える方法はない。引きずり下ろすとか総裁選で替えるとか息巻いている議員もいるが、どのような方法で誰に替えることができるのか聞いてみたいものだ。党と内閣の支持率が低迷を続ける原因は、政治資金パーティー裏金事件や旧統一教会問題。岸田首相の立場からすると、自身が直接関与していない不祥事で支持率が低迷するのはむしろ迷惑だと思っていることだろう。現時点で9月の総裁選に出馬しないという考えはないはずだ。
自民党には裏金問題とともに、政党から議員に支出される「政策活動費」の問題も重くのしかかっている。立憲民主党の議員は、5年間で50億円ということならば計算上「時速10万円」(単純計算で1時間に10万円が消費されているという意味)が何に使われているか明かさないのは大問題と指摘する。岸田首相は「政治活動の自由にかかわる」として明らかにしようとしないが、内密にしなければならない政治活動は買収以外に思いつかない。
今回の3補選でも「自民党とカネ」の問題が争点となった。しかし各候補者は批判するばかりで、自身が国政の場で何をしたいのかは伝わってこなかった。かつて流行した「マニフェスト」はどこに行ったのか。自民党も謝罪や反省の弁は述べるが、どう制度を変えてどうけじめをつけるのか明確にしていない。
今回の補選では自民が3減、立民が3増となった。衆院の任期はまだ1年余りある。この間に与野党がどう対処するのか。最後は国民が選挙で審判するしかない。
●泉房穂氏、「サンジャポ」で「ポスト岸田」報道への違和感を明かす…「国民の声をテレビや新聞は報じるべき」 5/5
前明石市長で弁護士の泉房穂氏が5日、TBS系「サンデー・ジャポン」にVTR出演した。
番組では、4月28日の衆院3補選で自民党が全敗したことを受け、泉氏がテレビの報道番組などで「ポスト岸田」を報じていることに自身の「X」などで立て続けに批判していることを特集した。
SNS上では様々な声が出ているが、番組では真意を泉氏に取材。泉氏は3補選の結果を受け「国民世論は明らかに今の古い政治にNOなんです」とし「ちゃんと裏金政治やめたらっていうのとちゃんと国民の方を向いた政治してよっていう形が政局になっているのに、選挙が終わり次第、すぐにそのことほったらかしで。次は、岸田さんが人気ないんだったら次の自民党の総裁誰でしょうか?みたいに言ってるけど、そうやないねん」と明かした。
その上で「ちゃんと国民に取材にして、ちゃんと国民の声をテレビや新聞は報じるべきなのに、結局、取材しているのは、一部の政治家、有力者に取材してその情報ばっかり垂れ流すからズレるんやと思うけどね」と指摘していた。
●自民党は9月総裁選で「石破首相ー高市幹事長」体制を発足させ10月解散総選挙!? 野党は「擬似政権交代」に備えよ! 5/5
自民党は衆院3補選に全敗し、国民から完全にそっぽを向かれた。次の総選挙で政権交代の機運が久しぶりに高まっている。
しかし、自民党は侮れない。これまでも窮地に立っては「擬似政権交代」を演出し、政権を維持してきた。
最たるものは、2001年の小泉純一郎政権の誕生だ。その前の森喜朗政権は支持率が一桁台に突入し、自民党は深刻な危機を迎えていた。そこで森氏が退陣し、小泉氏が「自民党をぶっ壊す」と絶叫して総裁選に勝利し、支持率はV字回復。直後の参院選に圧勝して自民党が完全復権したのである。
政権交代とは本来、与党から野党へ政権の担い手が変わることだ。しかし、同じ自民党のなかで「首相の顔」を差し替え、イメージを刷新することで、あたかも政権交代が実現したように装う。これが「擬似政権交代」だ。つまり自民党内での「権力をたらい回し」である。
森氏も小泉氏も同じ清和会(近年の安倍派)に所属したいた仲間だったのだから、森氏から小泉氏への首相交代が政権交代であるはずがない。しかも森氏は小泉政権でキングメーカーとして君臨した。まさに「自民党をぶっ壊す」という小泉氏の絶叫にマスコミも世論も欺かれて、自民党の復権を許したのだった。
近年では菅義偉政権から岸田文雄政権への交代も「擬似政権交代」といえよう。衆院任期満了が迫る2021年夏、菅氏は内閣支持率の低迷にあえぎ、解散総選挙をあきらめ、総裁選不出馬を表明した。後継首相に就いたのは影の薄かった岸田氏。「新しい資本主義」と掲げて安倍・菅路線からの転換を打ち出し、直後の衆院選で圧勝して自民党は政権を維持したのである。
その岸田政権で君臨したのは、安倍政権のナンバー2だった麻生太郎副総裁だった。まさに「擬似政権交代」が実現したのだ。
今回も不人気の岸田首相を9月の総裁選で退陣させ、目新しい首相を担ぎ出して「擬似政権交代」を演出し、直後の10月に解散総選挙を断行して政権を維持するというのが、自民党内の大勢が描く生き残り策である。
衆院任期は来年10月まで。来年7月には参院選がある。わずか3ヶ月の間に衆参両選挙を別々の日程で行うのは「税金の無駄づかい」との批判を浴びる。来年まで解散を先送りすれば、7月の衆参同日選挙の可能性が高まってくる。
衆参同日選は自民党にとってリスクが高い。かりに大逆風下で実施すれば、衆参双方で惨敗し、一気に権力から転落する恐れがある。リスクを分散させるためには衆参同日選は避けた方がよく、そこから逆算すると今年10月の解散総選挙が唯一の勝負時期となる。
公明党も衆参同日選には反対だ。創価学会の組織力をフルにいかすには、衆参選挙は別日程で行われるほうがよい。一方で、不人気の岸田首相のもとでの解散総選挙も絶対に避けたい。そこで9月の総裁選で首相が交代した直後の10月解散総選挙がもっとも望ましいということになる。
それではポスト岸田は誰がふさわしいのか。解散総選挙に勝つには誰が良いのかという視点で多くの自民党議員は総裁選に臨むのは間違いない。
最有力なのは、世論調査の次の首相で1位を独走する石破茂元幹事長だ。安倍政権以降、ずっと干されて非主流派に甘んじてきたが、裏金事件で安倍派が壊滅し、チャンスが巡ってきた。久しぶりにマスコミに次々に出演して「ひとり浮かれている」と陰口もたたかれているが、背に腹は変えられない。自民党大ピンチのもとで石破氏しかないという空気が強まる可能性は十分にある。
安倍政権で非主流派に転落していたことが幸いし、野党支持層に抵抗感が少ないのも強みだ。自民党が強い時はむしろ野党支持層での人気はマイナス要因となるが、自民党が弱っているときは野党支持層を引き込むことができるのはプラス要因となる。
立憲民主党の泉健太代表は一時、党内で「泉おろし」が吹き荒れていたが、補選全勝を受けて9月の代表選を乗り切る公算が高まった。裏を返せば、立憲は「党の顔」を刷新するチャンスを失ったともいえる。自民党が岸田首相から石破首相に切り替え、立憲が泉代表のまま代わり映えしないとなれば、世論の風向きは変わるかもしれない。
もうひとりのキーマンは高市早苗経済安保担当相だ。安倍晋三元首相に担がれ前回総裁選に出馬したことで、安倍支持層の熱狂的な支持を集めることになった。安倍氏が他界した後、安倍派5人衆から疎まれて自民党内では孤立感を深めていたが、安倍派解体で高市氏に近づく右派議員も増えている。
さらに安倍支持層は岸田政権に批判的で、作家の百田尚樹氏が旗揚げした日本保守党の支持へ向かうようになった。
自民党はこれまで野党を分断して政権を維持してきたが、今度は自民党側が分断されることになったのだ。安倍政権を支えた右派支持層が日本保守党へ流れ、自民党の岩盤支持層が壊れてきたのである。
この流れを食い止めるのは、高市氏を党の要職につけるのがいちばんだ。石破政権が誕生した場合、高市氏を幹事長に起用すれば、野党にも右派にも手を伸ばすことのできる布陣となる。
自民党は政権維持のためならなんでもやる政党である。野党は「石破ー高市」新体制樹立による擬似政権交代に備えて、次の総選挙の戦略を練った方が良い。
●岸田首相 党の刷新本部と協議へ 政治資金規正法「今国会中の改正に全力挙げる」 5/5
岸田首相は日本時間の5日、訪問先のブラジル・サンパウロで会見し、自民党の派閥の政治資金問題を受け、6日の帰国後にも党の政治刷新本部のメンバーと協議すると明らかにした。
岸田首相「政治資金規正法については、今国会中の改正に向けて全力を挙げていきます。6日の帰国当日にも、党の政治刷新本部のメンバーと面会をし、さらに何をすべきか、改革の方向性を確かなものにしていきたい」
さらに岸田首相は、国会議員に対して月額100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開などについて、「早期に結論を出せるよう各党と議論を行っていく」と述べた。
また、衆議院の解散や9月の自民党総裁選の対応については、「内外の諸課題に全力で取り組むことに専念する。結果を出すことが重要で、それ以外のことは現在考えてはいない」と述べた。
●政治改革、自民と6日協議 衆院解散「現在考えず」―岸田首相 5/5
岸田文雄首相は4日午後(日本時間5日午前)、訪問先のブラジル・サンパウロで内外記者会見を行い、自民党派閥の裏金事件を受けた政治改革を巡り、帰国当日の6日にも党政治刷新本部メンバーと協議する方針を明らかにした。「さらに何をすべきか、改革の方向性を確かなものにしていきたい」と強調。今国会中の政治資金規正法改正の実現に向け、「全力を挙げていく」と重ねて意欲を示した。
首相は、国会議員に月100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開などで「早期に結論を出せるよう各党と議論を行っていく」と述べた。
衆院解散・総選挙については「政治改革、経済対策など先送りできない課題に全力で取り組んでいく。それ以外のことは現在、考えていない」と述べるにとどめた。
憲法改正に関し、首相は「(党総裁としての)任期中に実現したいとの思いはいささかも変わりはない」と説明。その上で「時間的制約がある中で、一歩でも議論を前に進めるため、最大限努力したい」と決意を語った。
●衆院解散「考えていない」 首相が会見、政治改革への取り組みを強調 5/5
岸田文雄首相は4日午後(日本時間5日午前)、訪問先のブラジル・サンパウロで記者会見し、自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法改正について、帰国当日の6日にも党の政治刷新本部メンバーと面会すると明らかにした。自民案は抜本改革への踏み込み不足が指摘されており、首相は「さらに何をすべきか改革の方向性を確かなものにしたい」と述べ、今国会中の改正に改めて意欲を示した。
焦点の一つが、国会議員に毎月100万円が支給される「調査研究広報滞在費(旧文通費)」の使途の公開だ。自民案では「検討項目」としているが、首相は「党に対し、支出可能経費の確定、支出の公開のあり方など、残る課題について各党、各会派間で議論を再開するよう既に指示を出している」と述べ、議論を急ぐ考えを示した。
衆院解散・総選挙については「政治改革の実行や経済対策など先送りできない課題について、全力で取り組んでいく。これに専念していく」と強調。「それ以外のことは現在考えてはいない」と、これまでの発言を繰り返した。
●日本スリランカ外相会談 債務問題で“公正な再編へ協力”確認 5/5
上川外務大臣は日本時間の4日夕方に訪問先のスリランカでサブリー外相と会談しました。スリランカの債務問題をめぐってすべての債権国が関わる公正な債務再編に向けて協力していくことを確認しました。
会談で上川外務大臣はスリランカの債務問題について、債権国の立場から「すべての債権国との間で、透明性と公平性が確保された形で、債務の再編を進めることが重要だ」と述べました。
その上で、スリランカが債権国との間で合意すれば日本として円借款の事業を早期に再開する意向を伝えたのに対し、サブリー外相は「引き続き透明性をもって再編を進めていきたい」と応じました。
この問題で、日本はインドやフランスとともに「債権国会合」の共同議長として解決に向けた協議を主導してきた一方、最大の債権国の中国はオブザーバー参加にとどまっています。
一方、上川大臣はスリランカがインド洋のシーレーンの要衝であることを踏まえ、「海洋分野での協力を一層強化したい」と述べ、海図の作成に使うソナーを搭載した船舶を供与する方針を伝えました。
日本としては、海洋進出を強める中国を念頭に、スリランカとの連携を強化したい考えです。
●岸田首相 フランス ブラジル パラグアイ訪問終え 帰国の途に 5/5
大型連休中、フランスと南米のブラジル、パラグアイを訪問した岸田総理大臣は、一連の日程を終えて、日本時間の5日昼すぎ、政府専用機で帰国の途につきました。
岸田総理大臣は5月1日に日本を出発して、フランスを訪れたあと、南米のブラジルとパラグアイを訪問しました。
最初の訪問国フランスでは、OECD=経済協力開発機構の会合で、ルールに基づく自由で公正な経済秩序の重要性を訴え、生成AIのルールづくりを議論する国際的な枠組みを創設することを明らかにしました。
またマクロン大統領との首脳会談では、中国も念頭に、自衛隊とフランス軍が共同訓練をしやすくする「円滑化協定」の締結に向け交渉に入ることで合意しました。
続いて、就任後初めて南米を訪れ、中間的な立場をとるグローバル・サウスの主要国、ブラジルでは、ルーラ大統領と会談し、ことしG20=主要20か国の議長国を務めることから、サミットの成功に向け協力を確認しました。
また南米で唯一、台湾と外交関係があるパラグアイでは、ペニャ大統領と会談し、力による一方的な現状変更は許されないという意思を共有しました。
一連の日程について岸田総理大臣は記者会見で、「『人間の尊厳』を守る世界を実現するため、中南米諸国を含む各国に対し、多様性や包摂性のある日本らしいきめ細かい協力を行っていく。今後も協調の国際社会に向けた首脳外交に全力で取り組んでいく」と述べました。
そして日本時間の5日昼すぎ、政府専用機で帰国の途につきました。
●適性評価制度 もっと具体的に説明を 5/5
「経済安全保障」の分野に「適性評価制度」を導入する法案が国会で審議中だ。成立すれば重要情報を扱う民間人の身辺を国が調べることになる。対象者の人権が守られ、不利益を被らない運用を徹底できるのか。秘密の範囲が不必要に拡大しないのか。さらに議論を詰めるべきだ。
重要なインフラや物資の供給網に関して政府が持つ情報で、漏れれば安全保障に支障を与える恐れのあるものを保護の対象とし、適性評価の合格者だけに取り扱いを認める。漏洩(ろうえい)には、5年以下の拘禁刑などの罰則も設ける。
適性評価では、犯罪歴や借金の状況、家族の国籍、飲酒の節度などを調べる。同様の制度は、防衛、外交、スパイ・テロ防止の分野で10年前にできた特定秘密保護法にもあるが、新法では、対象者が経済官庁や民間企業に広がる見込みだ。
法案は、適性評価を「対象者の同意を得て実施する」とする。だが、適性評価を拒否しても、会社内で配置転換などの不利な扱いを受けることがないと確約されなければ、事実上の強制になる恐れがある。管理職や役員をどこまで適性評価の対象にするのかもあいまいで、企業統治にも影響しかねない。
政府は、法案成立後につくる運用基準の中で弊害防止策を検討するというが、国会審議の中で具体的に説明しなければ、疑念を払えない。
対象にする情報についても、サイバー攻撃対策関連などを例示するだけで、これも運用基準で「一層の明確化を行っていく」(岸田首相)という。恣意(しい)的な運用への懸念を抱かざるを得ない。すべてを事細かに法案に書き込めないとしても、運用基準への委任は抑制的にすべきだ。
法案は、適性評価で得た情報の目的外利用を禁じている。だがプライバシーに関わる大事な個人情報が国に集まるだけに、確実に保護される仕組みにできるのか、さらに詳しい説明が必要だ。
衆院通過時には、運用状況を毎年国会に報告するなどの修正が加えられた。特定秘密保護法の運用を監視する国会の情報監視審査会も活用する見通しだ。必要な修正だが、特定秘密保護法と同水準の仕組みに過ぎない。広く民間人が対象になる以上、一段の監視強化も検討すべきだ。
政府は、経済安保関連で特に機密度が高い情報は、特定秘密保護法の対象になるとし、新法と「継ぎ目なく運用する」との方針を示している。それが特定秘密保護法の拡大解釈につながらないか、十分に確認する必要がある。 
●日本名目GDP、2025年にインドに抜かれ世界5位へ…円安でドル換算が目減り 5/5
日本の名目国内総生産(GDP)が2025年、インドに抜かれ、世界5位になる見通しとなった。国際通貨基金(IMF)が4月に公表した推計によると、インドのGDPは4兆3398億ドル、日本は4兆3103億ドルとなる。円安でドル換算が目減りしており、逆転時期は1年早まった。
インドの人口は世界最大の14億人を超え、高い経済成長を維持している。IMFによれば、23年の実質成長率は日本の1・9%に対し、7・8%だった。内需の強さに加え、政府は外国企業に国内での生産を促している。27年にはドイツを上回り、3位に浮上する見込みだ。
日本のGDPは23年にドイツに抜かれて4位に転落した。高度成長期の1968年に旧西ドイツを抜いて世界2位となったが、バブル崩壊後の不況が長引き、2010年に中国に追い越された。
名目GDPは、物価の上昇で押し上げられるほか、国際比較では為替相場に左右される。円相場は、4月29日に一時、約34年ぶりの円安・ドル高水準となる1ドル=160円に達した。今年初めに比べて20円も円安・ドル高が進んでいる。
経済の長期低迷を反映している面もある。長引くデフレで企業はコスト削減を優先し、稼いだお金を十分に国内投資に回してこなかった。大和総研の神田慶司氏は、「円安とデフレ傾向からの脱却を機に企業は国内投資を増やし、経済が成長する構造を目指すべきだ」と指摘している。

 

● 地震で隆起した海岸に道を整備し復旧、輪島の国道249号…当面は地元住民や緊急車両が通行 5/6
能登半島地震で通行止めとなっている国道249号のうち、石川県輪島市野田町の海岸沿いの区間で復旧作業が終わり、2日開通した。一部は土砂崩れ現場を 迂回 し、地震で隆起した海岸に道を整備する異例の方法を採用した。
国土交通省能登復興事務所によると、復旧した約800メートルの区間うち、土砂崩れ現場付近の約430メートルは隆起した海岸に道を造り、元の国道につなげた。幅5メートルの対面通行ができる道路で、左右に土のうを積んだ。
崩れた土砂は大規模で、撤去しても再び崩落する可能性があった。これに対し、隆起した海岸は十分に広く、工事に適した硬さで、近くには盛り土に使える砂も多くあった。このため海岸に道を通す方が効率が良いと判断され、3月末に着工した。
2日は、復旧した区間近くの名舟漁港で、同事務所が地元住民に利用上の注意点などを説明。その後、道路が開放されると住民たちは早速、市中心部に向かう道路を車で走っていた。
名舟地区の古酒谷政幸区長(76)は「市役所や買い物に行くのが楽になるので、とてもありがたい」と話していた。復旧区間は当面、緊急車両や地元住民の通行に限り、天候などで通行止めになる可能性があるという。
●能登半島でようやく20歳の門出、施設が避難所になった志賀や中能登で…「将来は地元に恩返し」 5/6
能登半島地震で被災した石川県志賀町と中能登町で4日、延期されていた20歳の門出を祝う記念式典が約4か月遅れで行われた。晴れ着姿の参加者は旧友との再会を喜びながら、地元の復興に貢献するため大人としての自覚と成長を誓った。
「地元のため働きたい」
志賀町の「二十歳のつどい」は、4月末まで避難所に使われていた町文化ホールで開かれ、140人が出席した。式では参加者らが地震の犠牲者を悼んで黙とうをささげた。
同町高浜町の自宅が被災した金沢星稜大3年の男性(20)は、断水が解消するまで地域住民と水を分け合うなどして過ごし、「人は支え合って生きていることを痛感した」という。進学や就職で町外に住んでいる友人に会い顔をほころばせつつも、「生まれ育った志賀に恩返しできるよう、将来は県庁や町役場で地元のために働きたい」と力強く話した。
稲岡健太郎町長は「ふるさとを心のよりどころに、誇りと愛着を忘れず、自信を持って歩むことを願っている」と祝辞を述べた。
中能登町では、会場の生涯学習センター「ラピア鹿島」で天井が壊れるなどの被害を受け、延期を余儀なくされていた。施設の修理が3月末に終わり、帰省しやすい大型連休中の開催にこぎ着けた。式典には140人が出席。参加者代表の大学3年高野航汰さん(20)が「能登半島地震は日常生活を奪った。若い活力と柔軟な発想で困難に向き合い、解決できるよう努力を重ねていく」と語った。
参加した大学3年女性(20)は、「地震で延期になった時は残念だったが、ようやく大人への第一歩を踏み出せた実感がある」と笑顔を見せた。
県教育委員会のまとめによると、県内19市町のうち、12市町が地震の影響で当初の開催予定日での実施を見送った。
●能登半島地震で被災 日本航空学園 移転先で1か月遅れの入学式 5/6
能登半島地震で被災した石川県の「日本航空学園」の高校と大学校の入学式が、移転先の東京 青梅市で、およそ1か月遅れで行われました。
石川県輪島市にある日本航空高校石川と、日本航空大学校石川は、能登半島地震で被害を受け、4月から東京 青梅市にある使われていない別の大学の校舎に拠点を移していて、6日は、およそ340人の新入生が1か月遅れの入学式を迎えました。
式では、最初に新入生代表が「勉学に励み立派な航空人になることを誓います」などと抱負を述べ、学園の理事長の祝辞に、生徒や学生たちは緊張した面持ちで耳を傾けていました。
日本航空学園によりますと、輪島市の校舎は現在、復旧や復興活動に対応している人たちの宿泊場所に使われていて、戻れる時期の見通しはたっていないということで、青梅市では、多くの新入生が寮生活などを送るということです。
石川県珠洲市の実家の旅館が被災し、休業することになったという高校の新入生の刀祢優里花さん(16)は「被災したことで、みんなに支えられて生きていることを実感しました。高校で礼儀作法を学び、将来は旅館を再建したいです」と話していました。
●終盤国会と政治改革 抜け道ふさぎ透明性を 5/6
小手先の修正では誰も納得しない。問題の深刻さに見合った抜本的な改革が必要だ。 岸田文雄首相は滞在先のブラジルで記者会見し、政治資金規正法改正について「今国会中の改正に向けて全力を挙げる」と重ねて強調した。
6日にも党政治刷新本部メンバーと面会し、改革の方向性を協議する予定である。
事の発端は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件だ。
安倍派では、パーティー券収入のノルマを超えた分を議員側に還流する一方、政治資金収支報告書には記載せず、裏金化していたとされる。派閥が組織ぐるみで規正法を「悪用」していたことになる。
抜け道が多く「ザル法」といわれてきた規正法の問題点が、裏金事件を契機にして次々にあぶり出された。
論点として浮上しているのは政治家本人の責任を問う連座制の導入、パーティー券購入者の公開基準の引き下げなど、多岐にわたる。
多額の裏金不記載が発覚しても収支報告書を訂正し、政治資金として届け出ればおとがめなしというのでは、「ザル」そのものだ。
自民党が幹部らに支出している政策活動費も問題が多い。議員個人への寄付は原則禁じられているが、政党からの支出は例外的に認められている。
二階俊博元幹事長には在任中の5年間で約50億円が渡った。何に使ったかの報告義務もない。
総じて現行法に決定的に欠けているのは透明性である。

1994年の政治改革で、企業・団体献金の仕組みが見直された。
「5年」「年間50万円」を限度に政治家の資金管理団体への献金を認める一方、「5年後の禁止」で合意し、その代わりに政党に公費を助成する政党交付金制度が導入された。
だが、自民党の意向をくむ形で、99年の法改正でも、政治家が代表を務める政党支部への献金は認められた。
献金を迂回(うかい)する抜け道がつくられたのである。
民間の政策提言組織「令和国民会議」(令和臨調)がまとめた緊急提言は、抜け道をつくることによって改革が骨抜きにされることがないよう、資金の不透明なやりとりをなくすための抜本的な改革を打ち出している。
独立性が高く強力な行政処分権限を持つ第三者機関の設置については、ぜひ各党協議で取り上げ、検討してもらいたい。

安倍晋三元首相の下で圧倒的な政治力と資金力を誇り、巨大派閥に発展した安倍派。
政治資金パーティーの華やかさの裏で、組織ぐるみの「裏金」づくりを行っていたというのだから驚きだ。
誰がどのような理由でいつから還流を始めたのか。
安倍派の幹部は派閥の総会でも国会でも「知らぬ存ぜぬ」の一点張りだった。
真相は依然として謎のままだ。
岸田首相には真相を究明する責任がある。この問題をうやむやに終わらせてはならない。
●麻生太郎、9月の総裁選に向けて「岸田でいいじぇねえか」の真意〜トランプと会談、岸田再選でも新首相誕生でもキングメーカーに踏みとどまる強烈な決意 5/6
自民党のキングメーカーである麻生太郎副総裁が9月の総裁選に向けて「岸田再選でいいじゃねえか」と周辺に言い始めている。岸田文雄首相との関係が悪化し、一時は上川陽子外相を担ぐそぶりをみせていたが、ここにきて関係が修復したのか。私はそうはみていない。
麻生氏は岸田政権の「生みの親」だ。自民党本部に陣取り、子飼いの茂木敏充幹事長長ともに岸田首相を官邸から呼びつけ、あれこれ申し渡してきた。岸田政権は紛れもなく「麻生傀儡」だった。
岸田首相は麻生氏からの自立を模索してきた。最初に「親離れ」を目指したのが昨年9月の人事だ。茂木幹事長の更迭に動き、麻生氏の猛反対され、失敗した。
それでもあきらめず。所得税減税を打ち上げた。「増税メガネ」というあだ名を嫌った面もあるが、「財務省の後見人である麻生氏のいいなりじゃない」とアピールしたい思いもあったに違いない。
二人の関係はきしんだ。トドメになったのは裏金事件だ。
岸田首相は岸田派が立件されたことを受け、岸田派解散を独断で表明し、派閥解消の旗を打ち上げた。麻生氏は激怒し、麻生派存続を打ち出したが、他の派閥は岸田派に続いて解散を表明し、麻生氏は孤立した。二人の関係は壊れた。
岸田首相が派閥解消、安倍派処分、国賓待遇の訪米という勢いで4月か6月に「裏金解散」を断行できれば総裁再選への流れができ、麻生氏からの「親離れ」が完成する。麻生氏は焦った。
そこで、岸田首相を牽制するため、岸田派に所属していた上川氏をポスト岸田にショーアップした。本気で上川氏を擁立するというよりも、岸田氏を自らの元へ引き戻すためのカードだといえるだろう。
結局、岸田内閣の支持率は派閥解消、安倍派処分、国賓訪米でも上がらず、4月の衆院補選に惨敗し、裏金解散は困難になった。岸田首相は6月解散を見送り、解散権を封印したまま総裁再選を目指す方針に転換。麻生氏と関係修復をはかる必要性が生じたのである。
麻生氏の「岸田でいいじゃねえか」発言は、そうした流れから出てきたものだ。
しかし、額面通りには受け取れない。あくまでも6月解散の見送りが確定するまで、岸田首相との激突は避け、岸田首相がヤケクソ解散に突き進まないように見張る必要があるからだ。
政治家同士の信頼関係は一度壊れると修復は容易ではない。再び裏切られるかもしれないという疑心暗鬼が双方に膨らむからである。岸田首相と麻生氏の「和睦」は6月の国会会期末までの暫定和解で、国会閉会後は総裁選へ向けて仕切り直しということではないか。岸田首相が麻生氏の意向を無視して総裁選出馬に突き進めば、再び関係は壊れる可能性がある。
岸田首相がワシントンでのバイデン大統領の会談から帰国した直後、麻生氏が入れ替わるようにニューヨークへ飛んでトランプ前大統領と会談したのは、11月の大統領選で優勢なトランプ氏との窓口を独り占めし、「岸田首相が再選しても新しい首相が誕生しても、トランプ氏との橋渡し役を独占することでキングメーカーの座に踏みとどまる」という露骨な政略とみていいだろう。
自民党の裏金事件で清和会(安倍派)に隠然たる影響力を残してきた森喜朗元首相の影響力は大きく弱まり、二階俊博元幹事長も政界引退に追い込まれることになった。二階氏に次ぐ高齢の麻生氏はまだまだ政界を去るつもりはなさそうである。
●江東区で記者が目撃した選挙妨害騒ぎの阿鼻叫喚 5/6
選挙カーで他候補者を追いかけ回す。他候補者が演説する最中に電話ボックスによじ登り、声を被せるようにマイクで大声を出す――。
4月28日に投開票が行われた3つの衆議院議員補欠選挙。このうち、東京都江東区を選挙区とする「東京15区」の選挙は、公職選挙法違反(買収など)をめぐる柿沢未途・前法務副大臣の辞職に伴って実施された。
自民党が候補者を擁立せず、9人の候補者が乱立して繰り広げられた激しい戦いの裏側では、ある陣営による、冒頭のような「妨害行為」も注目を集めた。
「命の危険を感じるような場面もあった。これまでに経験したことがない選挙妨害が発生している」。候補者の乙武洋匡氏を支援した東京都の小池百合子知事は、そう憤りをあらわにした。補選の投票が終了した直後の4月28日夜には、政治団体「つばさの党」(黒川敦彦代表)から出馬した根本良輔氏や黒川氏らが、他候補者の街頭演説を妨害した公選法違反の疑いがあるとして、警視庁から警告を受けていたことが報じられた。
記者は選挙期間中、江東区に住む1人の有権者として、この選挙妨害ともとらえられる活動の一場面に遭遇していた。現場でいったい何が起きていたのか。
昔ながらの下町に響いたアナウンス
江戸時代の埋め立てで誕生し、隅田川につながるいくつもの水路に囲まれた門前町に起源を持つ江東区の深川・門前仲町。現在も富岡八幡宮や深川不動堂といった寺社仏閣を擁しており、昔ながらの居酒屋が軒を連ね、縁日には出店が並ぶ。東京を代表する下町の1つだ。
今回の選挙期間中、唯一の日曜日となった4月21日午後。この街の大通り沿いにある商店街を記者が歩いていると、拡声器で大声を上げながら、街を巡回する老人男性とすれ違った。
「選挙妨害を許してはなりません!」。そんなアナウンスを繰り返している。
いぶかしげに思いながら先を進むと、商店街の一角に設けられた、政治団体「日本保守党」(百田尚樹代表)の候補者・飯山陽氏の事務所前に大勢の人々が集まっていた。そばには飯山氏の選挙カーが停車し、一時的に遊説先から事務所に戻ってきているようだった。
昨秋結成された日本保守党は、X(旧ツイッター)で自民党や立憲民主党を上回るフォロワー数を抱えていることが話題になっている。どんな演説や選挙活動を行っているのか。有権者として興味が湧いてきたところで、車道から突如、大音量が響き渡った。
「ヘイヘイヘイ、ヘーイ♪ 日本保守党はカルト、日本保守党暴力ふるう 日本保守党を駆逐してやるー」
拡声器でラップ調の歌をとどろかせながら急に現れた1台の街宣車が、飯山氏の選挙カーにピッタリと横付けして止まった。
車に目が釘付けになっていると、いつの間にか先ほどすれ違った高齢男性がそばに立ち、「選挙妨害するな! 馬鹿野郎!」と叫びながら、街宣車に接近していった。すると車から、撮影用のスマホを手にしたオレンジのシャツを着た男性が降りてきた。
直後、高齢男性に少し触れたように見えたオレンジシャツの男性が、「イタッ」と大声を上げて倒れ込み、顔をゆがめてのたうち回った。「暴行されました! 暴行されました!」。
聴衆がオレンジシャツの男性につかみかかり、男性が「犯罪者! 犯罪者!」と飛び跳ねながら大声で連呼する。「皆さん110番してください」「選挙妨害だよ、この野郎!」と怒鳴り声が響く。普段は落ち着いた下町の商店街は、一気に地獄絵図と化していた。
「来い」と言われたから来た
突然目の前で起きた事態から我に返り、事務所に目を移すと、つばさの党の代表である黒川氏が、小さな太鼓を打ち鳴らし、事務所入り口に向かう姿が目に入った。その横には、不敵な笑みを浮かべた若い男性が「日本を壊した安倍晋三を崇拝する政治音痴w」「ハマスをつくったのはイスラエル」と書かれたボードのようなものを掲げている。
「根本りょうすけ」と刻印されたタスキを身につけたこの男性は、補選の候補者の1人、根本氏本人だった。
選挙妨害とみられる行為が発生した現場の様子
他の陣営の事務所に向かう根本氏。その後、聴衆から「帰れ」の大コールが鳴り響いた(記者撮影)
根本氏らは事務所前に立つ日本保守党陣営とみられる男性に詰め寄り、何かを大声で主張しているように見えた。マイクを手にした根本氏は「みなさんねえ、なんで俺らがここにいるかというと、(日本保守党代表の)百田に『来い』って言われたからなんすよ」と話す。
記者が後で日本保守党の配信動画を確認すると、飯山氏がつばさの党とみられる陣営から妨害に遭ったことで、同情票が投じられたとのエピソードを紹介し、百田氏が「また来てくれ」などと冗談めかして述べていた。根本氏はこの発言を聞き、押しかけたという。
「邪魔だ」「うるせえよ」――。聴衆からは多くの怒号が飛び交うようになり、どこからともなく、「帰れ」という叫び声が上がった。その声は一気に膨らみ、大合唱になった。
「帰れ」の大コールを前に、一瞬聞こえなくなった根本氏の声が再び響き渡った。「はい、日本保守党から逮捕者が出てしまいました。コイツ、私人逮捕しまーす。俺にタックルして殴ってきました」。
その瞬間を記者は見ていなかったが、聴衆の1人が根本氏に手を出したようだった。中年くらいの男性が、体を押さえようとする黒川氏らともみ合っていた。この男性が実際に、日本保守党の支援者であったかどうかはわからない。
「暴力でしか訴えることのできない境界知能のバカどもの信者。これが日本保守党の正体でございまーす。江東区民の皆さん、よーく見てください」と、勝ち誇ったような根本氏の声が響き渡る。
聴衆から抗議の声が上がると、根本氏は挑発を重ねた。「お前も私人逮捕だからな、クソオヤジ。こっちこいよ、てめえ。もっと罪重ねてごらん。牢屋ぶち込んでやるよ」「IQ80以下の境界知能が。おめえらみてえなバカが日本の政治をダメにしてんだよ。もっと勉強しろ、おめえらよぉ!」。暴言は続く。
「なぜ取り締まらない」警察に訴える飯山陣営
しばらく時間が経つと、サイレン音が響き渡り、5台のパトカーが駆けつけた。現れた警察官たちが事情を尋ねる。黒川氏らに取り押さえられていた男性が最終的にどうなったか、記者は確認できなかった。
「これがありなんだったら、何でもありじゃないですか。やったもん勝ち!」「なんで取り締まらないの!これだけ警察がいるのに!」。飯山氏陣営の男性が、駆けつけた警官らに必死の形相で訴える姿が目に入る。警官側は、静かに耳を傾けているだけだった。
子どもが泣き叫ぶ声が聞こえ、現場が騒然となる中、ついに日本保守党陣営が聴衆に呼びかけた。「人が集まっていたら連中の思うツボですので、すみやかに解散してください」。呼びかけに応じるかたちで、集まっていた聴衆たちは三三五五と少しずつ散らばっていった。
「じゃ、帰りまーす」。聴衆が引き上げたからか、つばさの党陣営も街宣車に乗り込み、去っていった。その後、事務所脇には路傍を塞ぐように重厚な機動隊のバスが停車した。
記者の傍らにいた地元民とみられる男性がつぶやいた。「ずっと、この繰り返し。全然話が聞けねえよ。いい加減にしてほしい」。
記者が目撃した、約50分にわたる突然の他陣営への乱入。今回は飯山氏が演説中などではなかったため、直接的な「選挙妨害」には当たらないかもしれない。ただ、陣営が大混乱し、予定していた選挙活動に支障が出た可能性は高いだろう。
飯山氏の事務所にはこんな貼り紙もあった。「今のところ決まった場所、時間での公開街宣はありません」。乱入行為を恐れて候補者が自身の活動をアピールできなかったのであれば、純粋に候補者の主張を聞きたいと思う有権者の機会が奪われたともいえる。
「妨害」は、候補者の体調にも影響した。日本保守党は、飯山氏が選挙期間中に不眠や耳鳴りに悩まされるようになり、専門医から「加療が必要」と判断されたと明らかにしている。
投開票の結果、根本氏の得票数は1110票(投票数の0.6%)にとどまり、候補者9人の中では最下位だった。
その一方、根本氏は自身のXで、「この腐敗し切った政治を変えるには、やはりこの方法を継続するしかない」と投稿し、今後も同様の選挙活動を行うと表明。「今の日本人はこの状況でもまだ平和ボケしてるので票に表れていませんが、継続して目立ち続けることで必ず票につながるようになると確信しています」と発信した。
公選法の見直しに向けた議論も?
次期衆院選の前哨戦として、全国的に注目度が高かった今回の選挙では、多くの著名人が立候補し、東京都の小池知事や大阪府の吉村洋文知事といった有名政治家が何度も現地入りした。社会的知名度が低いつばさの党は、大勢の有権者が集まってくる他陣営に乗り込み、自分自身が目立つことによって、聴衆に存在をアピールすることが主目的だったのかもしれない。
ただ、実質的に有権者が候補者の演説に耳を傾ける機会を奪う手法に対する批判は大きい。
今回「選挙妨害」として問題視された行為について、選挙制度を所管する総務省の松本剛明大臣は「公選法上の選挙の自由妨害罪、刑法上の暴行罪などの処罰の対象となりうる」と指摘。岸田文雄首相も「何らかの対策が必要ではないか。選挙制度の根幹に関わる事柄として、各党・各会派で議論すべき課題だ」と述べた。
今後も同様の状況が続けば、公選法の見直しによる規制強化に向けた機運が高まる可能性は高い。
前議員の公選法違反に端を発して行われた、今回の東京15区の補欠選挙では、さらにタガが外れ、江東区は何でもありの「無法地帯」と化した。
悪名は無名に勝る――。こうした歪んだ民主主義の一側面が、一気に表出したように感じた12日間の選挙戦だった。
●停滞する消費の回復が好循環実現への試金石、今こそ重要な実質所得増 5/6
実質民間最終消費支出(年率換算額)の2023年1〜3月期から10〜12月期までの変化額
個人消費が停滞している。実質民間最終消費支出は年率換算額で、2023年1〜3月期から同年10〜12月期にかけて3.8兆円減少した。遡及可能な1980年以降で3四半期以上連続して個人消費が減少したのは、97〜98年のアジア通貨危機前後と、08〜09年のリーマンショック前後の2回だけだ。
GDPの約6割を占める個人消費の回復は経済成長に不可欠だが、「賃金・物価の好循環」を実現する上でも重要である。
個人消費の先行きを占う上での最大の注目点は実質賃金だ。23年の春闘賃上げ率は30年ぶりの高水準となったものの物価高に追い付かず、実質賃金の前年割れが続いた。だが24年は物価を主に押し上げてきた食料品価格の高騰が一巡しつつある。春闘賃上げ率は前年超えが確実で、中小企業への広がりも見られる。
そのため実質賃金の増加への期待は高まっているが、物価の上振れリスクには注意が必要だ。
企業が大幅な賃上げに前向きなのは、人手不足に加え、価格転嫁を行いやすくなったことが一因だが、人件費の増加分を価格転嫁すると強い物価上昇圧力が生じる。仮に欧州で見られた「グリードフレーション(強欲なインフレ)」のように、コスト増分を超える転嫁が行われれば、物価上昇が想定以上に加速する恐れがある。
日経平均株価は24年2月に史上最高値を更新したが、株高による個人消費の押し上げ効果(資産効果)は不透明である。家計の株式保有比率は低く、その分布は消費性向の低い高所得者に偏在している。株価は23年も上昇したが、消費は減少した。足元の株価上昇も実質賃金の増加なしには消費の拡大につながりにくいだろう。
実質賃金の持続的な上昇に向け、政府は規制緩和などを通じて雇用の流動性を高める余地があるだろう。経済全体で適材適所を促進できれば、所得の増加につながる。
消費の停滞が続けば、いずれ企業は販売価格の引き上げに消極的になる。賃金と物価の好循環が定着しつつある今こそ、実質的な所得増をもたらす取り組みを進め、個人消費を拡大させる必要がある。
●岸田総理 きょうにも政治刷新本部と協議へ 5/6
裏金事件を巡り、祝日の6日にも政治刷新本部のメンバーと協議します。
岸田総理大臣 「政治資金規正法については、まずは再発防止に向けての改正が喫緊の課題であり、今国会中の改正に向けて全力を挙げていきます」
訪問先のブラジル・サンパウロで岸田総理は、6日にも自民党の政治刷新本部のメンバーと会って、政治改革について協議することを明らかにしました。
また、国会議員に支給される旧文通費の支出公開のあり方などについて、「早期に結論を出せるよう各党と議論を行う」と述べました。
●政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…田中優子さんに聞いた 5/6
昨年発足した市民グループ「テレビ輝け!市民ネットワーク」がテレビ朝日ホールディングスに株主提案を行い、話題を集めている。権力による報道介入を防ぐため、定款変更を求めるというもの。過去10年間に圧力を受けたり、放送番組審議会が機能不全に陥っている場合などには、独立した第三者委員会を設立して調査・公表する、番組審議会委員らの任期に上限を設ける、共同代表を務める元文科次官の前川喜平氏を社外取締役に就ける──とする議案を出した。なぜ今、こうした手法で問題提起をしたのか。勝算はあるのか。前川氏と共に共同代表を担う法政大前総長に聞いた。
──在京キー局を抱える持ち株会社は5社あります。どうしてテレ朝なのですか。
テレビ朝日の報道姿勢は、ある時を境に大きく変わってしまった。政権に対する忖度が露骨になった。そうした認識を私たちが共有しているからです。
──「ある時」というのは?
「報道ステーション」のコメンテーターだった(元経産官僚の)古賀茂明さんが降板した2015年です。(過激派組織)イスラム国による日本人人質事件をめぐり、古賀さんは政府の対応を「I am not ABE」という言葉で批判したため、2カ月後に番組から降ろされてしまった。チーフプロデューサーも異動を命じられた。官邸がテレビ朝日側に圧力をかけたと古賀さんらからも聞き、とんでもないことが起きていると危機感を抱き始めました。
──安倍首相が中東歴訪中に「ISIL(イスラム国)と戦う周辺各国に総額2億ドル程度、支援をお約束します」と発言。反発したイスラム国が人質殺害を警告する事態となり、古賀発言につながっていきました。
耐えがたかった卒業生殺害
拉致された末に殺害されたフリージャーナリストの後藤健二さんは、法政大学の卒業生なんですね。私は総長として、悲しく耐えがたい出来事を特に卒業生たちに報告しなければならなかった。とても、とてもつらいことでした。ですから、古賀さんの発言の真意はよく分かりましたし、深く共感していた。後藤さんを救出したい一心のご家族は、水面下で必死の交渉を続けていたんです。にもかかわらず、安倍政権が待ったをかけた。なぜあんな結末を招いてしまったのか。政府の対応は疑問だらけだし、テレ朝の動きもおかしい。そうした疑念を裏付けたのが、(昨年明るみに出た)総務省の内部文書でした。
──総務省文書には、放送法が定める「政治的公平性」の解釈変更をめぐり、2014年から15年にかけて官邸が総務省側に圧力を強めていった記録が克明に記されています。
やり玉に挙げられていたのが、テレビ朝日とTBSでした。(TBSの)「サンデーモーニング」には私自身が出演していましたが、特に変化はなかった。(司会の)関口宏さんが3月末にお辞めになったのは、世代交代が理由でした。それはそうなのでしょう。だけれども、テレビ朝日で明らかに大問題が起きた以上、番組の質を注視していく必要はあると思っています。
大手ほどやらない調査報道
──テレビ朝日HDの株主総会は6月。市民ネットワークは昨年9月末までに48人で計4万株(400単元=約6000万円分)を購入し、会社法に基づく議題提案権行使に必要な「300単元以上の議決権を6カ月継続保有」をクリア。他の株主に提案を開示させる道筋をつけたほか、株主名簿の閲覧謄写も請求できるそうですね。
提案できる態勢を整えたのは、すごく大事なこと。テレビの影響力はまだまだ強い。信頼しているがゆえにしっかりしてほしい。資金もマンパワーもある大手メディアこそ調査報道に力を入れるべきなのに、大手ほどやらない。おかしいでしょう。私たちは批判するのではなく、励ますための提案をしているんです。
──前川氏は官僚時代、安倍官邸から強い圧力を受けました。社外取締役への推薦は、テレビ朝日に果たし状を突きつけたように見えます。
前川さんはふさわしい人物だと思います。社外取締役は取締役会などを通じて経営に助言したり、監督する立場。テレビ朝日HDの大株主である朝日新聞を含む報道機関としての経営のあり方、政権との関係をちゃんと見ておくことが必要なのであって、「公正にやってください」と言っているに等しい。番組制作の現場に直接口を挟めるわけではありません。取締役会の決定を覆すこともまずできないので、果たし状でも何でもない。それでも、テレビ朝日は私たちの提案にはなかなか応じないでしょうね。
──議決権比率の問題ですか。
そのあたりは事務局の阪口徳雄弁護士が詳しいのですが、米国では株主の10%以上が賛成した提案について、会社は何らかの対応をしなければならない。相当な発言力を得られるんですよね。私たちもそこを目指したいのですが、とても遠い。さらに200倍を超える資金を投じなければならなくて。
──200倍! テレビ朝日HDの時価総額は2190億円超に上ります。いかに賛同を広げるかが今後の展開を左右しますね。
この運動は今年限りのものではありません。これを機に「そういう方法があったのか」と知っていただき、来年に向けて多くの方が「一緒に株を買いましょう」となれば、大きなうねりになる可能性はあります。政府は22年末、閣議決定で安全保障関連3文書を改定しましたよね。安保政策を大転換し、大軍拡に舵を切った。それを受けて23年1月に「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」を立ち上げ、一連の動きを俯瞰したいと思って年表を作ったんです。自民党は野党時代の12年4月に改憲草案を発表し、12月に政権復帰。13年に特定秘密保護法、15年に安保法制、17年にいわゆる共謀罪法が成立した。第2次安倍政権以降の10年あまりで軍拡の流れは確固としたものになり、その間にマスコミに対する圧力を次第に強めていったのではないか。そうした思いを強めました。
「◯◯政権」と呼ぶ意味がない
──確かに、深掘り報道がグッと減りました。
沖縄に関する情報は本土では全然報じられない。自衛隊の南西シフトに対し、沖縄の人々はどう反応しているのか。メディアが伝えなければ、一般市民は正確な情報を知る術がないでしょう。それともうひとつ、企業の存在も大きい。提供(広告)を通じてテレビ局に影響を及ぼしています。軍拡に関与している企業は少なくありません。一方で、企業は消費者の声やプレッシャーを無視することはできない。そうした関係を踏まえながら、報道を望ましい方向へ持っていくアプローチを始めたということなのです。
──タカ派の安倍政権、菅政権の9年。当初はハト派と目された岸田政権は、3年を待たずに馬脚を現しました。
状況はどんどんひどくなっている。首相の名前を取って「◯◯政権」と呼びますけれど、私は全く意味がないと思っているんです。自民党政権は首相が誰であっても中身は同じですから。米国の傀儡であり、抱き込まれるままなのが既定路線。訪米した岸田首相は米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化で合意しました。その先に主権制限があるのは明白ですが、それも自民党政権は織り込み済みなのでしょう。
──主権の一部を切り離す方針は米軍の公式文書に明記されています。
民主主義を担保するのは選挙です。それなのに、投票行動の前提となる情報が圧倒的に足りない。政府が、自民党が何をしようとしているのかが判然としない。だから、私たちはちゃんとした報道を求めているんです。
●「全拉致被害者が即時一時帰国」なら日本が北朝鮮への独自制裁解除 訪米中の被害者家族らにバイデン政権高官が理解示す 5/6
ジョー・バイデン米政権高官が、訪米中の拉致被害者家族らに対し、「全被害者の即時一括帰国と引き換えに日本が北朝鮮への独自制裁を解除する」方針に理解を示した。先月の日米首脳会談でも、バイデン大統領は「(日本と北朝鮮との)対話は望ましく前向きなことだ」「歓迎する」と語っており、北朝鮮の核・ミサイル問題と切り離して、拉致被害者救出のための日朝交渉の進展を容認したかたちだ。岸田文雄政権は具体的成果を出せるのか。
産経新聞によると、家族会や支援組織「救う会」、超党派拉致議連メンバーらによる訪米団と面会したバイデン政権高官らは、全拉致被害者を帰国させる正当・合理的手段として、日本が独自制裁を解除するオプションを支持、評価したという。
拉致問題では、横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の母、早紀江さんが88歳、有本恵子さん(64)=同(23)=の父、明弘さんが95歳となるなど、親世代の高齢化が進んでいる。
家族会と救う会は今年2月、「親世代の家族が存命中に全拉致被害者の即時一括帰国が実現するなら、日本政府が北朝鮮に人道支援を行い、独自制裁を解除することに反対しない」とする新たな運動方針を表明していた。
核・ミサイル問題との切り離しを容認
北朝鮮は現在、金正恩(キム・ジョンウン)体制を維持するため、米国の圧力に対抗する核戦力強化を加速している。
米国はこれまで、拉致被害者家族を支持し、日本を支援する意向を表明してきた。ただ、核・ミサイルの脅威に直面するだけに「拉致問題の切り離し」による日朝交渉を容認するかが懸念されていたが、今回理解を示した。
北朝鮮は2002年、金正日(キム・ジョンイル)総書記(当時)が、小泉純一郎首相(同)との日朝首脳会談で拉致を認めて謝罪した。被害者5人が帰国したが、それ以外の被害者については「死亡した」などと言い張り、「ニセ遺骨」を提出してきたこともある。
岸田首相は現在、正恩氏との首脳会談を模索している。
ただ、政府関係者は「交渉には相当なハードルがある」とみている。北朝鮮が再び「ウソ」を報告し、数人の被害者帰国で「幕引き」を図る懸念は根強い。内閣支持率が「危険水域」にある岸田首相が前のめりに交渉に乗り出すことを警戒する声もある。
●バイデン大統領は日本の敵ではないか? 5/6
読者の皆さんにタイトルの質問をすると、ここをお読みの方々の大半は、「そうだ!」とうなずく方ばかりではないでしょうか?
2013年に安倍総理(当時)が靖国神社に参拝した時、「失望した」とアメリカ政府が非難しましたが、その言葉を発したのが、当時オバマ政権時に副大統領だったバイデン氏でした。
不可逆的「日韓合意」を台無しにした文在寅元大統領
安倍総理が保守派からも総叩き的に批判された日韓合意(2015年)を主導したのもバイデン副大統領でした。これで慰安婦問題は不可逆的に終わったという触れ込みでしたが、頭のおかしな文在寅前大統領により一方的に破棄されました。
2018年に起こったレーダー照射事件で、日韓関係は大きく傷つきました。なぜなら火器管制レーダーというのはロックオンと同じであり、ミサイル発射のボタンを押せば、あの距離ならばいくら韓国海軍でもほぼ命中という状況下にあるものです。
これは敵対行為として友好国の間なら話し合い、敵対している国家同士で行えば、即戦争につながるような危険な行為でした。
そして2019年には韓国への戦略物資を簡単には輸出できなくするホワイト国から外すという措置は、文政権が日本を敵視し、北朝鮮への阿る態度を示し続けたために引き起こされた問題でした。
バイデン大統領の助言に無条件に従った岸田首相
それを昨年、岸田政権は韓国から何の謝罪も受けずになし崩し的にうやむやにしてしまいました。それも日韓が仲良くしろというバイデン政権の意向が強力に働いたからだと言われています。というよりもそうだと確信します。
しかし、尹政権は総選挙で敗北し、韓国民の支持を大きく失っており、岸田政権の前のめりの尹政権への応援は逆効果だったようです。
そうならば、日本がメンツを保てずに韓国になめられっぱなしの状況で手打ちをしたこととなり、日本国民である私は忸怩(じくち)たる思いをしています。きっと私だけではないでしょうが。
そういう状況下でのバイデン爺さんの発言は全く許すことのできないものだと思うのです。
「なぜ中国経済は失速しているか?なぜ日本はトラブルを抱えているか?ロシアは?インドは?それは彼らが外国人嫌悪の国だからだ。彼らは移民を望んでいない」 (バイデン大統領の発言)
「外国人嫌悪(xenophobic)の国」という発言は、とても強い言葉であり、単なる言い間違いやスピーチの対象であったアジア・太平洋系のアメリカ人向けのリップサービスでは済まされない問題です。
ほんの二週間ほど前、満面の笑みで岸田総理をアメリカに迎えたバイデン爺さんのこの発言は、先の岸田総理の訪米をすべて覆し、そして今までの日米の外交努力をすべて白紙に戻すほど強烈な悪意を持った言葉ではないでしょうか。
「排外主義」とも訳されますが、私は「外国人排斥主義」というくらい強い偏見と憎悪を持った言葉だと感じています。
よく日本人の差別主義者が「ちゃんころ」とか「バカでもチョンでも」というような強い差別発言のようなものと考えていいでしょう。普通の日本人が聞いたら、嫌悪感を持つような差別発言と言ってもいいのではないでしょうか。
そういう言葉で日本やインドをロシアやCHINAと同列に批判したことに痛烈な嫌悪感を感じるのは私だけでしょうか?
「ラストキングダム」に見る血統の大切さ
今時間があるとネットフリックスで「ラストキングダム」という9世紀ごろのイングランドで起こった歴史ドラマを観ています。サクソン人の土地であるイングランドにバイキング(デーン人)が侵入し、多くの土地を支配しましたが、アルフレッド王が出現し、デーン人を追い出し、今のイングランドの基礎を作る時代の物語です。
主人公のウートレッドはサクソン人の豪族の息子に生まれながら父親が戦死し、デーン人に連れ去られ、デーン人として育てられたという特殊な経歴を持つ架空の人物ですが、そこに描かれる人間模様はとても興味深いものがあります。
寝不足覚悟の人は、ぜひご覧ください。シーズン2くらいから一話がとても短く感じられますよ。
そこに描かれているのは、「血」つまり血統です。誰の子供であるか、というのが日本人と同じでとても重要になってきます。
またキリスト教者か、異教徒かによっても大きく変わり、そこには大きな溝があることがわかります。ここは知っていても日本人の感覚とは全く異なるところです。
そしてサクソン人、デーン人(バイキング)という人種間の戦争です。殺して当たり前、力のあるものが強奪して当たり前の社会情勢が、日本の戦国時代と大きく異なります。
左巻きの小説家や歴史家は戦国時代が始終殺し合いの時代のように言われますが、戦国時代が100年続いても日本の総人口は減っていません。なぜならば同じ民族同士無駄な殺し合いをしてこなかったからです。
そして日本には宗教戦争がありませんでした。イエズス会などの西洋のキリスト教が入ってきて、大村純忠の領地などで先祖伝来の墓や神社をキリシタンが壊すなどの事件はありましたが、それを避けるためにも南蛮人に港になる場所を与えました。
それが長崎港です。そこは山が多く、コメ作りには適さなかったので、人がほとんど住んでいませんでしたが、水深が深く、山から湧き出る水があったので、良港として栄え、貿易の一大拠点となりました。
長崎市の神社仏閣に行くとよくわかります。1600年以降に建立された神社仏閣しかありませんから。
日本人の想像をはるかに超える異民族同士の戦い
話を元に戻します。
異民族同士の戦いは凄惨なものでした。相手を殺しつくすまで戦うのです。だから私たちから見ればびっくりするほど戦闘の規模が小さいのです。1000人いれば大軍なのです。
 数千単位の将兵で戦った日本の歴史とは大違いです。それもそのはず、荒野が広がり、食べ物がとても少ないので多くの人口を保てなかったのです。関ヶ原の数十万の将兵が戦う戦闘なんて当時のイギリスには考えられないのです。
そして人種、信仰が違うのでまったくの別な存在として偏見があり、相手を殺すことに躊躇がありません。そこの精神性の違いもこういう外国のドラマをいくつか見るととてもよくわかりますよ。そこが日本人とは全く違うところです。
戦い方も剣や槍が多く、弓矢などの飛び道具はあまり出てきません。力と力のぶつかり合いを欧米の視聴者は好むのでしょうが、日本は弓矢が主力だったので、鉄砲を活用する戦(アウトレンジの戦い方)に自然に変化していきます。
また脱線しました。
ここで言いたいのは、異民族同士の戦いがいかに激しく、悲惨で、その憎悪たるや日本人の想像をはるかに超えるということです。そして外国人嫌悪(xenophobic)の国と言われることがその憎き、憎悪の対象となる国であるということを物語っているのです。
バイデン大統領が持つ憎悪感
そういう言葉の意味があるにもかかわらず、バイデン大統領がそういう言葉を使うということは彼の深層心理の中に日本やロシアなどに対してとてつもなく大きな憎悪感が潜んでいるのではないでしょうか。
それを普通だったら理性で隠すのでしょうが、痴呆が進むとそういう理性が働かなくなってきて、ぽろっと目の前の支持者にリップサービスをするために本性が出たのではないかと思うのです。
かつて神道系の団体への講演で、森元総理が「日本は神の国ですから」と発言し、マスコミに相当叩かれましたが、神道の関係者の前で「日本は神の国」と言って何がおかしいのか私はわかりませんが、今回のバイデン爺さんの「外国人嫌悪(xenophobic)の国」発言は日本を貶める大きな問題発言のはずですが、マスコミは全然話題にしません。しても伝えるだけで、森さんの時のように大騒ぎするようなことはありません。
現在日本が抱える移民問題
日本は私たちが大反対しているにもかかわらず、外国人労働者を大幅に受け入れようとする大間違いの政策をしようとしています。
トラック労働者の勤務時間を突然大幅に制限して、その人たちから収入を奪い取り、2024年問題として物流が滞るようなことをして、そのために外国人労働者を大量に導入しようとしています。
日本語が理解できなくてもその人の言葉で試験が受けられるようにもなり、外国人ドライバーが急増します。するとまたドライバーの収入が減り、日本人ドライバーがいなくなってドライバーは外国人ばかりとなります。それによって移民を大量に受け入れられるようにしているのが現実です。
日本人はバイデン大統領の差別発言と岸田首相の移民政策に怒れ
日本国民は二つのことにもっと怒るべきなのです。
一つは、バイデン大統領の差別発言。
もう一つは、移民の大量受け入れを岸田政権はしれっとやっていることです。
このことをバイデン爺さんは全く認識がありません。あなたの言うなりに移民政策を忠実に進めていますよ。
ちょっとあたりを見渡すとコンビニの店員さんは外国人労働者ばかりです。日本人の若者はどこに行った?
観光地に行くと外国人だらけ、日本人はどこに行った?
私は外国人嫌いではありません、逆に大好きです、特に金髪の若い女性が。
決して受け入れるなと言っているのではありません。きちんと法的体制や受け入れた外国人がちゃんと日本で生活ができるようにすることです。そうでなければ外国で起こっている外国人の犯罪組織が隆盛を極めることになりますよ。
そのころには暴対法の強化で日本のやくざはいなくなり、外国人の無法者が幅を利かすことになっているでしょう。警察は市民から差別だと訴えられるのが怖くて、何も手が出せなくなっていることでしょう。
これでいいんですか?
岸田はもうだめです。自民党の議員さん。保身を考えないで誰がこの日本を救えるのかを考えてください。
私は高市早苗さんしかいないと思っています。
●次の衆院選で「政権交代」のぞむ人、「自公政権の継続」上回る JNN世論調査 5/6
次の衆院議員選挙で「政権交代」をのぞむ人が「自公政権の継続」を上回ったことがJNNの世論調査で分かりました。
来年10月に衆議院が任期満了を迎えるなか、次の衆院選で「自民・公明による政権の継続」か「立憲民主党などによる政権交代」のどちらをのぞむか聞きました。
その結果、「自公政権の継続」は前回の調査から2ポイント増えて34%、「政権交代」が6ポイント増えて48%でした。
各党の支持率は、自民党と立憲民主党の差が5ポイント以上縮まっています。
岸田総理にいつまで総理を続けて欲しいか聞いたところ、最も多い回答は「9月の総裁任期まで」で60%、「すぐに交代して欲しい」が27%で続く結果となりました。
また、自民党の中で次の総理にふさわしい人を聞いたところ、1位は石破元幹事長で、3月の調査から5ポイントあまり上昇しました。2位には小泉元環境大臣、3位には河野デジタル大臣が入りましたが、それぞれ下落しています。岸田総理は7位でした。
【政党支持率】
   自民 23.4%(1.6↓)  
   立憲 10.2%(4.1↑)
   維新 4.6%(0.3↑)  
   公明 2.9%(0.8↑)
   共産 2.9%(0.1↑)  
   国民 2.3%(1.6↑)
   教育 0.2%(0.1↑)  
   れいわ 1.8%(1.0↑)
   社民 0.2%(0.2↓)  
   参政 0.3%(0.5↓)
   その他 1.2%(0.2↓) 
   支持なし 46.9%(6.0↓)
●岸田総理が3か国歴訪の“GW外遊”から帰国 政治資金規正法改正の議論を本格化へ 5/6
大型連休を利用して海外を訪問していた岸田総理が先ほど帰国しました。このあと連休明けの国会で最大の焦点となる政治資金規正法の改正などをめぐり自民党の議員と協議する予定です。
岸田総理は1日から6日間の日程でフランスのほかブラジルとパラグアイを訪問していました。
このあと総理公邸で自民党の政治刷新本部の議員と面会することにしていて、派閥の裏金事件を受けた再発防止に向け、政治資金規正法の改正をはじめとする改革の方向性などについて話し合う予定です。
政治資金規正法の改正をめぐっては連休明けの国会で議論が本格化する見通しで、岸田総理は訪問先のブラジルで行った会見で「今国会中の改正に向けて全力を挙げる」と強調していました。
●補選惨敗でやむか、疑心暗鬼が吹かせた「風」 5/6
ある男が、斧をなくした。
男が「隣家の子どもに盗まれたんじゃないか」と怪しんで様子を観察すると、その子どもの歩き方から表情、言動まで、何もかもがいかにも盗っ人のように見える――。
古代中国の書物「列子」に記されたとされるこのエピソードから、「疑心、暗鬼を生ず」のことわざが生まれた。
首相が目指す?「6月解散」…狙いは確実な総裁再選
与党の国会議員はこのところ、 斧 をなくした男の気分を味わってきた。「疑心」の対象は岸田首相、「鬼」は衆院解散・総選挙である。
「岸田首相が6月23日の今国会会期末に合わせて衆院解散に踏み切るのではないか」との観測が絶えない。9月に自民党総裁としての任期満了を迎える首相が総裁再選を確実にするには、その前に解散・総選挙で勝利して民意を得ることが必要なためだ。
そう疑えば、岸田首相の言動の何もかもが、いかにも「6月解散」を目指しているように見える。首相肝いりで6月から実施される1人あたり4万円の所得税などの減税は、解散に向けた政権浮揚策に見えるし、憲法改正や安定的な皇位継承のための皇族数確保策の実現に意欲を示しているのも、選挙に備えて保守層の支持固めを図っているようだ。
国会で「先送りできない政治課題で結果を出すべく全力で取り組んでいる。今はそのことしか考えておりません」(4月17日参院本会議)と答弁すれば、「『今は』ということは、そのうち解散を判断するということだろう」と解釈される。
首相の「サプライズ」解散警戒…何とか求心力保つ
もっとも、岸田政権は「政治とカネ」による猛烈な逆風にさらされ、内閣支持率は低空飛行を続けている。「選挙をすれば与党は壊滅状態になる。普通に考えれば解散などできるはずがない」(自民中堅議員)状況だ。
それでも、連立を組む公明党が再三、「信頼回復のトレンドが確認できるまでは解散すべきではない」(山口代表)と 牽制 しているのは、「解散があるかもしれない」という疑念が 払拭 できていないことの裏返しだ。
議員たちが疑心にかられる背景には、これまで岸田首相が繰り返してきた「サプライズ」がある。自民派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、首相は派閥解消や衆院政治倫理審査会への自らの出席を唐突に表明し、党内外を驚かせてきた。いずれも、主要な党幹部に根回しはなく、首相の独断だったとされる。
こうした一連の行動が、「岸田首相は何をしでかすか分からない」「非常識な解散だってやりかねない」との印象を増幅させてきたのだ。
衆院解散は首相の最大の武器であり、解散を封じられた首相は急速に求心力を失うのが政界の常だ。意図的か無意識か、岸田首相は低支持率にあえぎながらも、疑心暗鬼が吹かせた「解散風」のおかげで、政局の主導権をかろうじて手放さずにきたと言える。
保守王国でも敗北…政権運営ますます苦しく
だが、そんな状態も、いつまでもつかは分からない。
4月28日投開票の衆院3補欠選挙で、自民は二つの不戦敗を含めて全敗を喫した。与野党対決の構図となって敗北した島根1区は、現行制度となった1996年衆院選から自民が一度も議席を失ったことのない「保守王国」だった。「今の状況で選挙をすれば負ける」ということが、はっきりと可視化された結果だった。
斧をなくした男の話には、続きがある。
男がくぼ地を掘ってみると、盗まれたと思っていた斧が見つかったのだ。後日、隣家の子どもの様子を改めて観察したが、今度は、その言動に盗っ人と思わせるものは何も感じられなかった――。
4月30日、首相官邸で補選後初めて記者団の取材に応じた岸田首相は、衆院解散の考えを問われ、こう答えた。
「一つ一つの課題に取り組み、結果を出すことに専念しなければなりません。解散・総選挙については、全く考えておりません」
以前と似た言い回しだが、「今は考えていない」は「全く考えていない」に変化した。
永田町の住人は、発言に何を感じたか。衆院解散が「暗鬼」、つまり「実際にはないこと」だと見なされれば、岸田首相は政局の主導権を失い、政権運営はますます苦しくなる。 

 

●石破、茂木、河野、高市…ポスト岸田の「総裁選」で、最も「派閥解体の影響を受けそうな候補」の名前《『自民党と派閥』緊急復刊》 5/7
読売新聞グループ本社代表取締役主筆である渡辺恒雄氏が1967年4月に刊行した『派閥と多党化時代―政治の密室 増補新版』が、『自民党と派閥 政治の密室 増補最新版』として緊急復刊された。当時、30代後半から40代初めの政治記者で、幅広く政界を取材していた渡辺氏の分析は、「政治とカネ」や「派閥」が大きな問題となっている現代にも通用するものが少なくない。今回は、本書に収録されている元読売新聞政治部長・前木理一郎氏による解説の中から、渡辺氏の記述を理解するうえで重要な補助線となる増補第一章「令和の派閥」の一部を特別公開する。
総裁選はどう変わる?
派閥の存在意義とも言われてきた自民党総裁選は今後、どうなるのだろうか。次の総裁選は予定通りなら、2024年9月に行われる。派閥解消の動きが加速されるのか、それとも派閥的な動きが復活するのか、試金石になるとみられる。
自民党の政治刷新本部の中間とりまとめに盛り込まれた派閥を「『お金』と『人事』から完全に訣別する」という改革が実行されれば、派閥領袖がカネや閣僚ポストの配分を通じて所属議員を縛ることが困難になるだろう。総裁選での派閥の締め付けも当然、緩くなり、派閥単位で結束した投票行動を取るといった旧来あった総裁選とは違った形の総裁選が展開される可能性が高い。
内閣や部会、議員連盟で一緒に仕事をした経験や、当選同期や定期的な飲み会、勉強会などを通じた議員個々のつながりが意味を持ってくることが予想される。「ポスト岸田」をうかがう候補者の一人は既に、「政策や当選同期など様々なつながりで集まる小グループに声をかけ、会食の機会を増やしている」と語る。
2024年の総裁選は、それまでに衆院解散・総選挙が行われていない場合には、2025年夏の参院選だけでなく、衆院選も2025年10月までに行われるという状況で実施される。つまり、「選挙の顔」を選ぶ総裁選という側面が強まるのも必至だ。
似たような状況の総裁選としては、内閣支持率が低迷した森喜朗首相の退陣表明を受けた2001年の総裁選が挙げられる。小泉純一郎氏が「自民党をぶっ壊す」と宣言して改革を求める国民を熱狂させ、下馬評を覆して最大派閥を擁する橋本龍太郎氏を破った。
「ポスト岸田」候補たち
この総裁選でカギを握ったのは、全都道府県連が実施した党員による予備選だった。2024年の総裁選でも、地方の党員たちの声が中央を動かす構図が再現されるかどうかが、焦点の一つとなるだろう。
2024年3月の時点では、「ポスト岸田」候補として、茂木敏充幹事長や、これまでに総裁選に出馬経験のある石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安全保障相に加え、若手の小泉進次郎元環境相、外相就任で一気に注目が高まっている上川陽子氏らの名前が挙がる。
こうした面々の中で、派閥解体の流れの影響を最も受けそうなのが、茂木氏だ。茂木氏は従来、自ら率いる茂木派を固めたうえで、麻生派領袖の麻生太郎副総裁の後押しを受けて総裁の椅子を狙う構えだった。安倍派幹部とも良好な関係を築くことに努めてきた。
ところが、茂木氏は、麻生氏に足並みを揃えて茂木派を存続させたものの、小渕優子選挙対策委員長や青木一彦参院議員ら有力メンバーに加え、茂木氏と折り合いの悪かった参院幹部らが相次いで離脱し、足元が揺らいでいる。派内に河野氏を抱える麻生派が、総裁選で一致して茂木氏を支持するかどうかも不透明だ。安倍派は解散を決め、総裁選へのまとまった対応が期待できないうえ、今後の処分などの対応を巡って党執行部への反発を強める可能性もある。
女性初の総理候補
今回の派閥解散の動きを受けてポスト岸田への意欲を強めているのは、石破氏だ。各社の「ポスト岸田」を問う世論調査ではトップが定位置だ。ただ、党内からは「後ろから鉄砲を撃つ」と評判が悪く、総裁選で過半数の議員の支持を獲得する見通しは立っていない。
知名度と人気の高さでは、小泉氏もダークホース的存在だ。これまで、2024年の総裁選へは出馬せず、3年以内に行われる次々回総裁選を目指すとの見方があったが、自民党への支持率が急落する中、小泉氏への期待が高まるケースも考えられる。本人も派閥解散などで発信を強化している。
女性初の首相候補として人気が急上昇しているのが、上川外相だ。読売新聞社が3月下旬に実施した全国世論調査で次の自民党総裁にふさわしい政治家を尋ねたところ、石破氏の22%、小泉氏の15%に続いて、9%で3位に入った。
●能登の水産加工業者倒産 津波被災で継続困難 5/7
石川県能登町の水産加工業「石川県いか釣生産直販協同組合」が事業を停止し、清算に向けた手続きに入ったことが7日、分かった。東京商工リサーチ金沢支店によると、能登半島地震で津波や断水の被害を受け、事業継続が困難となった。同地震の影響による石川県の水産関連業者の倒産は初めて。負債総額は約9千万円。
1982年創業で、イカの加工品をインターネットなどで販売していた。今月2日付で事業を停止した。全業種で見ると、能登半島地震による石川県内の倒産は3社目という。
●石川 能登町 一時孤立の集落 避難した人戻るも 過疎化を懸念 5/7
能登半島地震で一時孤立した石川県能登町の山あいにある集落では、町の外に避難していた人が戻る動きがありますが、住民からは「地震の影響で今後、過疎化が一層進んでもしかたがない」という声が聞かれました。
能登町の山あいの北河内地区は、能登半島地震によって集落につながる道路が土砂崩れなどで寸断され、一時孤立しました。
地区の区長によりますと、地震の前には15世帯27人が住んでいたということですが、地震のあと、このうち6人が町の外に避難したということです。
その後、道路の復旧が進み、4月下旬には水道も使えるようになったことから、避難していた住民が戻り始めていて、7日は、1人暮らしの西谷進さん(71)が4か月ぶりに自宅に戻りました。
西谷さんは地震のあと、地元の病院で持病の治療ができなかったため、金沢市のホテルに避難していましたが、自宅に大きな被害がなく、病院での治療も再開できることになったため、戻ることを決断したということです。
一方、西谷さんは、深刻な過疎化に直面している北河内地区の人口が、地震をきっかけにさらに減り、ふるさとがなくなってしまうのではというさみしさを感じているということで、「自宅に戻って落ち着きますが、住民どうしが協力して生活することができなくなるという不安があります」と話していました。
北河内地区は、65歳以上の住民が8割を超えるいわゆる「限界集落」で、池田光正区長も、今後、地区を離れて都市部などに移り住む住民が増え、過疎化が一層進むことを懸念しています。
池田区長は「1人暮らしの高齢者も多いので、人口減少はしかたがないと思っています。残った住民で協力しながら、なんとか集落を存続させていきます」と話していました。
●野党 政治資金規正法改正の早期協議を求める 政策活動費の使途公開主張 5/7
大型連休明けの国会で最大の焦点となる政治資金規正法の改正に向け、野党側は自民党と公明党に対し、速やかに与党案をまとめて協議するよう求めることで一致しました。
立憲民主党 安住国対委員長「野党側は大体考え方出そろっております。会期末まであと1カ月半でございますから、時間的猶予はもうないんですね。ですからそういう点では一日も早い案を出してほしい」
立憲、維新、共産、国民民主の野党4党は、いわゆる「連座制」の導入や企業・団体献金の禁止、政党から議員個人に渡される政策活動費の使い道の全面開示を与党側に求めていくことを確認しました。
また、4月に行われた衆議院の3つの補欠選挙で立憲が全勝し、政治倫理審査会における野党側の委員が増えたことを受け、8日にも派閥の裏金問題を巡り、まだ政倫審で弁明していない44人の自民党議員の審査を申し立てることで合意しました。
●岸田首相が政治資金規正法改正「週内にも与党案とりまとめ」方針明言 5/7
岸田首相は7日夕、官邸で記者団の取材に応じ、自民党派閥の政治資金問題を受けての政治資金規正法改正案について「昨日、実務者と会ったが、自公協議を幹事長のもとで今週中にも取りまとめを行うよう、協議を加速することを指示した。それについては、今日も幹事長に確認した」と述べた。
また、政党から幹部議員らに支出される政策活動費について、使途を公開する調整に入ったかどうかについては「今、自公で協議を行っているところなので、私の方から今の時点で具体的に申し上げることは控えたい」と述べた上で、「いずれにせよ、今国会中に政治資金規正法の改正の実現に向けて、全力で取り組んでいきたい」と強調した。
政策活動費をめぐっては、自民党でこれまで幹事長に1年あたり約10億円を支出するなどしてきたほか、立憲民主党や日本維新の会も、過去や直近に自民党より額は少ないものの政策活動費などを支出し、これらの使途が不明であることが問題になってきた。
今回の政治資金規正法改正をめぐる議論では、立憲など野党各党は政策活動費の廃止や全面的な使途公開を訴え、公明党も使途公開を主張している。一方、自民党は、政治活動の自由とのバランスが大事との観点や、政党助成金の使途公開を優先すべきだと立場から、見直しに慎重姿勢を示してきた。
●上川外相、逆風政権を下支え 「ポスト岸田」広がりは不透明 5/7
上川陽子外相が大型連休中もアフリカ、アジア訪問を精力的にこなし、派閥裏金事件で逆風を受ける岸田政権を外交面で下支えしている。次期衆院選をにらみ、自民党内には「ポスト岸田」候補として期待する向きがあるものの、具体的な動きが広がるかは不透明だ。
上川氏は5日、訪問先のネパールでのオンライン記者会見で、今回の歴訪を振り返り「グローバルサウス(新興・途上国)への関与を深めていくことは極めて重要だ。力強いメッセージを発信することができた」と語った。
上川氏は4月26日〜5月6日の日程でマダガスカル、コートジボワール、ナイジェリア、フランス、スリランカ、ネパールを訪問。中国が影響力を強めるグローバルサウスの引き寄せや、来年8月に横浜市で開く第9回アフリカ開発会議(TICAD9)に向け、各国外相と会談した。
日本の外相によるマダガスカル訪問は初めて。コートジボワールとナイジェリア訪問は1979年の園田直外相以来45年ぶり。それぞれ海上交通の要衝、西アフリカの物流拠点、アフリカ最大の人口2億人を抱える大国と、戦略的に重要な地域だ。上川氏は人材育成支援などに取り組み、経済関係を強化する方針を伝えた。
スリランカは、中国からの巨額融資の返済に窮しており、上川氏は経済危機の克服を後押しする考えを伝達。中国に国境を接するネパールでも2国間関係強化の方針を示した。
昨年9月の外相就任後の訪問国は延べ30カ国に上り、首相と二人三脚で経済外交を推進。自民の麻生太郎副総裁が今年1月の講演で「このおばさん、やるねえ」と評し「カミムラ」と言い間違えたことで逆に知名度も向上した。
「次の首相にふさわしい人」を尋ねる報道各社の世論調査でも、石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相に次ぐ3位に入る結果が出ている。
党内には、低支持率にあえぐ岸田文雄首相では「衆院選は戦えない」との危機感が拡大。党関係者は「初の女性宰相として刷新感のある上川氏を『顔』にすれば衆院選を乗り切れる」と指摘した。
ただ、上川氏が所属した岸田派は解散を決め、上川氏を首相候補に担ごうとする具体的な動きも今のところ見られない。局面打開に向け、目先を変えたいとの思惑だけが先行しているのが実情だ。女性首相候補としては高市早苗経済安全保障担当相、野田聖子元総務相らがライバルとなる。
上川氏の地元の静岡県では現職の辞職に伴う知事選が9日告示、26日投開票の日程で行われる。事実上の与野党対決の構図で、結果は上川氏の党内評価にも影響を与える可能性がある。
●茂木氏と距離、森山氏が存在感 岸田首相面会、「裏金」で変化 5/7
自民党の茂木敏充幹事長と距離を置く一方、麻生太郎副総裁との連携は引き続き重視し、森山裕総務会長が存在感を高めている―。岸田文雄首相(党総裁)の面会相手を記録する「首相動静」を振り返ると、派閥の裏金事件への対応を巡る首相と党幹部の関係の変化が浮かび上がってきた。
首相は2021年11月に茂木氏を幹事長に任命して以来、麻生氏を含む3者会合で政権の重要方針を決定。古代ローマの政治体制になぞらえて「三頭政治」とも呼ばれた。茂木氏は毎月のように首相官邸に出向き、個別に相談もしてきた。
ただ、昨年9月の党役員人事で幹事長交代論が一時浮上するなど、首相と茂木氏の距離は拡大。茂木氏が「ポスト岸田」への意欲を隠さず、首相が警戒を強めたためだ。3者会合以外の幹部協議も行われるようになり、10月には森山氏と小渕優子選対委員長らを加えた「6者会合」が、12月からは参院幹部も交えた「8者会合」の枠組みが発足した。
派閥の裏金事件を受けて首相が岸田派解散を表明した今年1月以降、面会の形態はさらに変化していく。茂木氏が官邸を訪ねる形での協議は3月7日まで約3カ月途絶えた。6者と8者の枠組みも2月21日以来、行われていない。首相は派閥解散方針を、麻生、茂木両氏に事前に伝えていなかったとされる。
衆院3補欠選挙で自民が全敗した先月28日には「茂木氏は辞任して総裁選準備を始めるのではないか」(ベテラン)との臆測が党内を駆け巡った。
一方で首相は麻生氏との関係維持には腐心する。元日の能登半島地震の発生以来、夜の会食を控えていた首相が今年初めての会食相手に選んだのが麻生氏だった。1月21日夜に東京都内の日本料理店で二人きりで面会。直前の派閥解散表明で取り沙汰された亀裂の払拭に努めた。2人は4月末までにさらに2回、一対一で食事を共にした。
首相は森山氏とは今年に入り6回(計2時間14分)、単独で面会した。3補選の全敗で首相の求心力が低下する中、党内では局面打開を狙って「森山氏を幹事長にして衆院解散・総選挙へ一気に流れをつくるかもしれない」(参院中堅)との見方がある。
木原誠二幹事長代理も頼りにしている。昨年9月に官房副長官を退任した後もほぼ毎週、官邸や首相公邸に赴き、今年、首相と個別に面会した回数は党幹部で最多の11回(計5時間25分)。政府高官は「首相側近と言える数少ない存在。党務について相談している」と指摘した。
●補選で野党圧勝でも政権交代は起きない日本…日本の政治学者が語った理由 5/7
日本の政界が揺らぎ始めた。4月28日に行われた衆院3補欠選挙で最大野党の立憲民主党が全勝し、岸田文雄首相はこれ以上、自民党の「顔」となり得ないという世論が高まっている。
それは世論調査を見ても明らかだ。4月下旬に実施された世論調査では「政権交代してほしい」(62%、毎日新聞)、「政権交代を期待」(52.8%、産経新聞)と政権交代を望む回答が過半数に上るほどだった。
しかし、日本の政治に詳しい専門家は「政権交代の可能性は非常に低い」と見ている。なぜこうした乖離が生じるのか。現在、日本の政界で最も注目を集める政治学者の一人である中北浩爾・中央大教授にその理由を尋ねると、世論が望むのは現在の与党から野党への政権交代ではなく、「与党内での政権交代」という答えが返ってきた。中北氏は「ポスト岸田」についての見解も示した。
――補選の結果はどのような民意の現れか。
今回は自民党にお灸をすえたということであって、立憲への政権交代を求める動きとは言い難い。世論調査をみても、自民が暴走しないよう与野党の勢力が拮抗した方がいいというところまでで、野党への政権交代は望んでいない。やはり現時点で立憲に政権を任せられると考えている国民は少数であり、多数は自民内での疑似政権交代を求めているように見える
――自民が唯一候補を立てた島根1区は立憲候補が大勝して注目されたが。
島根のような農村部でも自民の支持基盤が弱まっていることは確かだ。ただ、死去した細田博之氏は安倍派のパーティー収入の裏金化問題や旧統一教会との結びつきなどについて批判が強かった。これに対し、今回勝利した亀井亜紀子氏は元職で知名度が高かったうえ、父が元自民国会議員で保守系の支持を得やすかった側面もある
――補選直前のメディアの世論調査では、政権交代への期待感が過半数を超える結果が出ていた。それでも現時点で政権交代が起きる可能性はほぼないと言われるのはなぜか。
自民はずっと政権を担ってきており、政権担当能力があるとみられている。つまり、自民は安心できるブランドがあると多くの国民は考えている。一方、2009年に一度、国民は民主党(民進党を経て現在の立憲や国民民主党に分裂)に政権を託したが、うまくいかなかった。立憲の最大の課題は外交安全保障政策だ。民主党政権当時、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題で米国と摩擦を起こしただけでなく、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問、李明博大統領の竹島(韓国名・独島)上陸、尖閣諸島をめぐる中国との対立激化など、危機的ともいえる状況に陥った。しかも、民進党になって以降、日米安全保障条約の廃棄を掲げる共産党との野党共闘を進めた。しかし、ウクライナ戦争の勃発によって、日本国民は安全保障問題に一層敏感になっており、日米同盟強化への支持が明らかに強まっている。立憲への政権交代が見えてくれば、2015年に成立した安保法制をどうするかをはじめ、その安全保障政策への不安感が国民の間で高まるはずだ
――2012年に自民が政権を奪還してから12年がたつが、立憲は政権当時の総括を未だにできていないようだ。
政権から転落した後、民主は党内対立を恐れて総括できなかった。そのため、民主党政権のどの政策が正しく、どの政策が間違っていたのかという整理がなされず、安倍晋三元首相がしきりに口にした「悪夢の民主党政権」というイメージを払拭できなかった。政策に加えて重要なのは、民主党政権が社民党の連立離脱によって行きづまったことの総括だ。立憲が本気で政権を目指すのであれば、安全保障などで現実的な政策を打ち出すことに加え、安定した連立の枠組みを提示することが不可欠だ。
――9月に自民党総裁選がある。その前に岸田氏は解散をして総選挙で勝利し、総裁選での再選を狙っていたようだが。
今すぐ「岸田おろし」が起きないのは、遅くとも9月には総裁選があるのと、それに向けて「出る杭」になりたくないからだ。岸田氏は衆議院の解散はおろか、総裁選への出馬も難しくなってきた。自民党内や連立を組む公明党からも「岸田氏のままでは選挙は戦えない」と考えられている状態だ。現職の首相が自民党総裁選で負けたのは福田赳夫氏のみで、岸田氏は結局、名誉ある撤退を選ぶのではないか。総裁選に向けた動きが出てくるのは、6月末に予定される通常国会閉会後になると思う。衆議院議員の任期満了が近づくなか、「選挙の顔」になり得る総裁を選ぶことが至上命題となる
――ほとんどの派閥が解散した状態で迎える総裁選。どんな候補者が出てくるか。
2001年に総裁に選ばれた小泉純一郎氏のように、「古い自民党をぶっ壊す」と叫ぶような人が出てくる可能性もないわけではないが、総裁選は決選投票になれば国会議員票のウェイトが大きくなるので、それほど破壊的な人物は選ばれないのではないか。今のところ、上川陽子外相や石破茂元自民党幹事長が有力候補ではないかと思う。上川氏なら初の女性総理になるし、石破氏の場合は安倍氏に異を唱え続けた「脱安倍政治」というストーリーがある。両氏とも総裁になれば相当なインパクトがあり、時を置かずして衆議院解散に踏み切れば、自民、公明両党で過半数を維持する可能性は低くない
――韓国との政治制度や風土の違いは。
日本は議院内閣制だが、韓国は大統領制で、政治制度が大きく異なる。また、韓国では、今もある程度、支持政党に地域差があり、与野党がそれなりに均衡している面があると思うが、日本は全国的にほぼ自民一強だ。例えば全国の都道府県議会での自民の割合は2023年12月現在、約49%を占めているのに対して、立民は約9%に過ぎない。この差は大きい 。
●防衛費に充てる建設国債1.2倍に 「不文律」破り今年度5千億円超 5/7
防衛費に充てる建設国債の額が膨らんでいる。政府は今年度に5117億円の発行を計画し、昨年度の1.2倍、額にして774億円増やすことがわかった。過去の戦争の反省から、国は長らく防衛費を借金で賄わないとしてきたが、岸田政権が防衛力強化を旗印に昨年度の予算から解禁。借金をあてにした防衛費の増額に歯止めがきかなくなるおそれが出ている。
政府は野放図な借金を重ねたことが先の大戦を招いたことから、国債を防衛費に充てないことを不文律としてきた。1965年度に戦後初めて国債を発行した際、当時の福田赳夫蔵相は「公債を軍事目的に活用することは絶対に致しません」と国会で明確に答弁していた。
その禁を破ったのが岸田首相だ。2022年末、今後5年間の防衛費をこれまでの1.5倍以上の43兆円とする方針を決定。「将来に向けた投資」のために発行する建設国債の対象に、自衛隊の隊舎などの施設整備や艦船の建造費を追加した。23年度の当初予算に4343億円の発行を計上した。
今年度当初予算の防衛費は前年度より1兆1277億円多い7兆9496億円で、5117億円を建設国債でまかなう方針だ。防衛費に充てる建設国債の額が増えるのは、「防衛力強化を段階的に進めるなかで、国債の対象となる施設整備費や艦船建造費が増えたため」(財務省主計局)という。
●神田財務官「過度な変動があれば適切な対応を取る」と改めて強調 5/7
先週、政府による為替介入の可能性が指摘されるなか、財務省の神田財務官は「過度な変動があれば適切な対応を取る」との考えを改めて強調しました。
「過度な変動がある場合、ファンダメンタルズから乖離するような場合には適切な行動をとらせてもらう」(神田財務官)
外国為替市場では先週、5兆円規模と3兆円規模の介入があった可能性が指摘されています。政府は介入の有無を明らかにしていませんが、アメリカのイエレン財務長官は4日、ブルームバーグなどに対し「介入はまれであるべき」との考えを示しています。
これに対し神田財務官は「投機などで過度な変動がある場合は、政府が適切な対応を取らなければいけないことがある」として、アメリカを含めた各国の当局との連携を続ける考えを強調しました。
●田崎史郎氏 立憲民主への政権交代世論「どんな政策?僕でもすぐ答えられない」「期待感、別にない」 民主バラ色感の09年とは違うと 5/7
政治評論家の田崎史郎氏が7日、TBS「ひるおび」に出演。番組ではGW中に行われたJNN電話世論調査の内閣支持率などの結果が紹介され、衆院3補選で惨敗するなど自民党が苦境を迎える中で、次期衆院選後の政権に関する質問で「自公政権の継続34%(2%増)」を「立憲などによる政権交代48%(6%増)」が上回ったと紹介された。
番組で「驚きの数字」として取り上げられ、民主党が政権奪取した2009年は自民と民主の支持率拮抗が続いていたと説明された。田崎氏は、現在は自民党批判が強く出ていると分析し、09年を「当時の民主党に対する期待感は相当強かった」と指摘。公表したマニフェストの内容を「バラ色の世界を描いた」と評した。
一方で現在を「マニフェストを争うように手にした、そういうものがいま立憲民主党にないということです」と指摘した。
「立憲民主党がいまどういう政策をやろうとしているのか、僕でもすぐ答えられないですよ。なにか期待を抱かせるものを打ち出しているかというと、別にありませんので、自民党批判は相当強いけれども、立憲民主党に対する期待感が全然違うと思います」と語った。
●政権維持に固執する岸田首相が選挙準備=u政活費公開」「外交」「減税」で大博打 衆院3補選全敗も…なぜか支持率UP 5/7
岸田文雄首相(自民党総裁)は6日、公邸で自民政治刷新本部メンバーと面会し、派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正をめぐり、公明党との協議を加速するよう指示した。自民党は、及び腰だった政策活動費の使途を公開する方向で調整に入った。岸田首相は、日本維新の会が強く主張してきた「調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)」の使途公開の検討も指示している。先月末の衆院3補選では、不戦敗を含めて全敗したが、なぜかTBS系JNNの最新世論調査では内閣支持率が7ポイントも上昇している。政権維持に固執する岸田首相だけに「政治資金改革」と「外交」「減税」などをアピールして、6月の通常国会会期末での衆院解散の準備を始めたのか。
「今国会中の改正に向けて全力を挙げていく」「改革の方向性を確かなものにしていきたい」
岸田首相は外遊中の4日(日本時間5日)、ブラジルでの記者会見で、政治資金規正法改正への道筋を説明した。帰国した6日には、自民党政治刷新本部のメンバーと面会し、翌7日に始まる自民・公明両党の実務者協議へ検討を加速させるよう指示した。
自民党のあるベテラン議員は「岸田首相は『改革姿勢』のアピールに必死になっている。国民の怒りに相当、焦っているのだろう」と指摘した。
確かに、岸田首相が指示したという「政策活動費」と「旧文通費」の使途公開については、自民党内から「自由で幅広い政治活動が制約されかねない」などと、慎重な声が強かった。
だが、先の衆院3補選で、自民党は唯一、公認候補を擁立した島根1区で惨敗し、候補を擁立できず不戦敗≠ニなった東京15区、長崎3区を含めて、3戦全敗を喫した。
一方、3戦全勝した野党第一党の立憲民主党は勢いづいている。
泉健太代表は6日、与党の政治資金規正法改正案について、「政治資金パーティーや企業・団体献金の禁止」「政策活動費の使途公開」などが盛り込まれるかどうかを注視すると強調したうえで、「これだけの裏金事件を起こした自民党が反省しないのであれば、しかるべき判断をしたい」と述べ、6月の国会会期末に合わせた内閣不信任案の提出をチラつかせて圧力をかけた。
自民党の中堅議員は「内閣支持率が(30%以下の)『危険水域』に低迷するなかで衆院3補選で厳しい結果が出た。このまま、中途半端な改革姿勢に終始すれば、岸田首相の『求心力』は完全に潰える。『前向きな姿勢』を示さざるを得ない状況に追い込まれた」と語る。
政治資金規正法の改正をめぐって、自公両党はすでに、現在20万円超のパーティー券購入者公開基準の引き下げを明記する方針を固めている。
自民党内では慎重論が根強かったが、主要各政党が「パーティー禁止」や「公開基準引き下げ」を打ち出すなか、「ゼロ回答」は許されなくなった。
一方、同法改正の本丸≠ニもされた、外国勢力の浸透や介入を防ぐ「外国人のパーティー券購入禁止」については、自民党内からも重要性を指摘する声があがったが、岸田首相の指示にはないようだ。
こうしたなか、5日に公表されたJNNの世論調査では内閣支持率に異変≠ェ見られた。「支持」が29・8%と7ポイントも上昇したのだ。国民世論の「岸田離れ」が底を打てば、国賓訪米など外交成果や、6月実施の定額減税なども加えて、衆院解散の大博打で起死回生を狙う可能性もありそうだ。
今後の政局をどう見るのか。
政治評論家の有馬晴海氏は「ここにきて、内閣支持率7ポイント増は多くの人にとって予想外だったはずだ。『政治とカネ』の問題で、安倍派座長だった塩谷立元文科相らを離党させたことが転機になったかもしれない。国民には岸田首相のリーダーシップとして映ったのではないか。岸田首相は解散について無反応を貫いてきたが勝負師≠ナもある。『自公与党で過半数』ぐらいの展望が出てくれば、『解散』の選択肢は頭に浮かんでいるはずだ。要注意な局面になった。ただし、国民の評価は冷めやすい。今回のような支持率アップが一過性で終われば、岸田首相の判断も『慎重』なままだろう」と語った。
●派閥の論理 危機一層深刻に 岸田政権「レームダック化」可能性も 衆院補選は「全敗」 5/7
派閥の連合体と言われる自民党。派閥による政治資金規正法違反事件で窮地に陥っているが、その対応でも派閥の論理が作用して危機をより深刻にしたのかもしれない。
お祭りムードなく 総裁演説に違和感
3月17日、東京都内で開かれた自民党の第91回党大会。例年のようなお祭りムードはなく、まるでお通夜のような雰囲気の中、党総裁として登壇した岸田首相の演説で、会場に違和感が広がった。
「現在、一部の派閥の政治資金に関わる問題によって、国民から多くの疑念を招く深刻な政治不信を引き起こす結果となっております」
東京地検が自民党国会議員を逮捕する事件となった「政治とカネ」の問題。首相は陳謝しながら、「一部の派閥の政治資金に関わる問題」と表現した。「リクルート事件」以来の危機とも言われ、党全体を揺るがしているにもかかわらずだ。首相の言い回しに気づいた参加者が違和感を覚えたのも当然だろう。
首相がこの表現を用いたのには理由があり、首相の思惑や問題の経緯が関係している。
事件がまだ表面化していなかった昨年9月。東京地検特捜部による自民派閥の事務局長、会計責任者らへの任意の事情聴取はひそかに始まっていて、いずれ事件化するとみられることは、首相の耳にも入っていた。首相は通常国会会期末の6月に衆院解散を見送ったので、秋の解散を考え、精力的に動いていた。5人も女性閣僚を起用した内閣改造や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求、総額13・1兆円を計上した巨額の補正予算による経済対策。次々と手を打ち、衆院解散に向けた環境を整えようとしていた。10月に入ると、所得税、住民税あわせて4万円の定額減税まで打ち出した。「禁じ手」と言われる減税にまで踏み込んだ首相の念頭にあったのは、2024年9月の自民党総裁選で再選するため、衆院選で勝利しておくという戦略だ。一方、検察の捜査をにらみながら、事件が公になる前に解散・総選挙を終えた方がいいという計算もあったのだろう。
「三頭政治」にかげり
岸田派の首相と麻生派の麻生副総裁、茂木派の茂木幹事長は党内の主流派を形成し、「三頭政治」と言われていた。三氏は頻繁に意見交換しており、首相は解散・総選挙についても相談したが、麻生、茂木両氏は反対した。首相は事件のことにも触れたが、両氏は「安倍派と二階派の問題だ」と主張した。「一部の派閥」の事件であり、麻生、茂木、岸田派には関係しない。この問題で安倍派が崩れ、離脱する議員があれば、自派に吸収すればいいという思惑があったようだ。
首相からすれば、総裁選に向け、麻生、茂木両氏とは協力関係を維持することが望ましい。事件で最大派閥・安倍派の勢力が縮小すれば、政権運営や総裁選に向けてプラスになる面もある。麻生、茂木両氏の説く「派閥の論理」に傾き、首相は解散を決断できなかった。11月9日、首相は解散見送りを表明した。
実は検察側も解散を巡る首相の判断に注目し、非常に慎重に捜査を進めていた。選挙結果に影響を及ぼす恐れがあり、総選挙となれば、選挙が終わるまで、捜査を進められなくなるからだ。首相の見送り表明を見届け、検察は動き出す。まもなく、捜査が始まっていることが報じられた。下落傾向にあった内閣支持率はさらに急落。読売新聞の11月世論調査で24%となり、12年に自民党が政権復帰後、最低を記録した。もはや、解散などできる状況になかった。
「昨年衆院解散していれば」
指導者が決断できずに危機に陥る。典型的な例と言えるが、想定外のことが起こって、さらに窮地に陥ることもよくあることだった。年が明けて、1月18日、政治資金規正法違反で岸田派も会計責任者が立件されることが報じられた。首相には計算外の事態。このままでは岸田派も「一部の派閥」に含まれ、自らにも政治責任が生じかねない。政権の生き残りをかけ、林官房長官ら派閥幹部と協議し、岸田派の解散を決定。同日夜、明らかにした。ただ、急きょ、決断したために、首相は麻生氏、茂木氏に相談できなかった。立件された「一部の派閥」とは異なるとして、派閥を維持する方針だった麻生氏、茂木氏には「寝耳に水」で、三頭政治には亀裂が入り、事実上、崩壊する。
首相が派閥解消を決断したことで、安倍派、二階派、森山派も解散を決めた。派閥を維持する麻生派、茂木派も影響は避けられなかった。特に茂木派は衆院で小渕優子党選挙対策委員長や古川禎久元法相、参院から関口昌一参院議員会長や青木一彦参院議員ら、退会者が相次いだ結果44人になり、46人の岸田派に抜かれて第4派閥に転落した。
自民党への世論の批判は厳しく、首相らの想定をはるかに超えた。「一部の派閥」のみならず、ダメージは党全体に及んだ。茂木氏は最近、「こんなことなら去年10月に解散・総選挙をしておけばよかった」と周囲に漏らしているという。首相も同じように思っているのかもしれない。ただ、依然として、次の総裁選で再選し、政権を維持する意欲は衰えていないようだ。党大会での演説にその思惑がうかがえる。
党大会後の焦点は、事件に関連した「一部の派閥」の議員に対する処分をどうするかだった。首相としては、ここで政治的責任を明らかにすることで、一定の区切りをつけ、政治資金規正法改正などの政治改革に移行したい。政治改革の議論に国民の関心が集まれば、事件のダメージを回復できる可能性も出てくる。そのため、「一部の派閥」である安倍派、二階派には厳しい処分を下すが、自らの処分は避けなければならなかった。政治責任を問われ、進退につながりかねないからだ。
首相は処分対象外、保守王国でも惨敗
4月4日、党紀委員会で決定した処分では、安倍派の塩谷立座長と世耕弘成前参院幹事長に離党勧告など、両派の39人が処分された。岸田派の会長だった首相は処分の対象とはならず、二階派会長だった二階俊博元幹事長も、自ら引退を表明したことで処分なしとした。首相だけでなく、二階氏も処分対象としなかったことは、「首相だけは例外」と批判されないための政治的な配慮だろう。
ただ、政治不信を強める国民の目からどう見られるだろうか。派閥の解消をうたいながら、派閥の力学に基づいた動きが目立つ自民党の党内政局に向けられる視線は厳しいものになるだろう。
処分決定後、首相は自らの政治責任について、「政治改革に向けた取り組みの進捗などを見てもらった上で、最終的には国民や党員に判断してもらう」と語った。衆院選や党総裁選を示唆したものだった。
試金石となった4月28日の衆院3補選は厳しいものだった。3選挙区とも自民党の議席だったが、2選挙区で自民党は公認候補擁立を断念した。自民党新人が細田博之・前衆院議長の弔い合戦に挑む「保守王国」の島根1区ですら惨敗し、勝負にならなかった。衆院に小選挙区制が導入されてから、島根1区で自民党が議席を失ったのは初めてだった。
2009年、政権交代が起きた衆院選でも取れなかった島根1区で完勝し、野党は勢いづいている。5月の大型連休を挟んで、岸田内閣のレームダック化が進む可能性がでてきたと言えるだろう。
●岸田首相の十八番“なんちゃって”手法 連座制に続き政策活動費の使途公開でも国民を騙すのか? 5/7
《政権与党の現役の国会議員が逮捕されたという重大事件を全く反省していない》
SNS上では評価する声はほとんど聞かれない。むしろ怒りの声が日増しに高まるばかりだ。自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を機に始まった政治資金規正法改正案の議論。同党総裁の岸田文雄首相(66)は6日、党政治刷新本部の作業部会座長である鈴木馨祐衆院議員(47)らと首相公邸で会談。与党案の取りまとめに向け、これまで「検討項目」としていた「政策活動費」の使途公開についても協議するよう指示した、と報じられた。
政党から議員個人に支出される「政策活動費」は使途公開の義務がなく、「裏金の温床」になっているとして、見直しを求める声が出ていた。「政界50億円プレーヤー」と揶揄されている二階俊博元幹事長(85)に支出された巨額のカネも「政策活動費」が“原資”だ。
自民党というのはなぜ、これほどカネに執着するのか
「火の玉になる」などと言いながら、裏金事件の真相解明や規正法改正について、てんでヤル気が見られなかった岸田首相。衆院3補選全敗という結果を目の当たりにして、ようやく重い腰を上げる気が出てきたのかと思いきや、騙されてはいけない。
一部メディアによると、自民党は「政策活動費」の使途について「調査研究費」「党勢拡大」などの項目を絞って公開するなど“条件付き”を考えている、などと報じられているからだ。この期に及んでも、使途の「全面公開」でもなく「抜け穴」を作りたい姿勢がアリアリ。「なんちゃって連座制」に続く「なんちゃって使途公開」だ。そもそも「政策活動費」について野党はそろって「廃止」を主張しているのだから、現時点ですでに自民党案は惨敗ではないか。
《自民党というのはなぜ、これほどカネに執着するのか》
《自民党はこれまで、よっぽど知られたくないことにカネを使っていた》
《裏金事件は氷山の一角で、ほかにも汚いカネの問題がわんさかありそう》
JNNが実施した最新の世論調査で、岸田内閣の支持率は前回調査から7.0ポイント上昇して29.8%となり、支持率が7か月ぶりに上昇。あらためて岸田首相は「国民はちょろいな」と思っているかもしれないが、冗談ではない。
●政策活動費の使い道公開で検討に入る中、岸田首相が政治資金規正法改正に向け自民党幹部と相次いで会談 5/7
自民党が政策活動費の使い道を公開する方向で検討に入る中、岸田首相は、政治資金規正法の改正に向け、自民党幹部との会談をハシゴした。
岸田首相は、自民党の派閥の裏金事件を受けた今国会中の政治資金規正法の改正に向け、国会内で、浜田国会対策委員長と会談した。
会談で岸田首相は、今週中に与党案をまとめたい意向を示した。
その後、岸田首相は、党本部で森山総務会長と昼食をとりながら会談したあと、茂木幹事長とも会談。
さらに7日午後3時ごろ、党本部で、麻生副総裁、茂木幹事長と会談するなど、あわただしい動きを見せた。
こうした中、自民党は、政党から議員に支給される政策活動費の使い道を公開する方向で検討に入った。
政策活動費をめぐっては、野党に加え、公明党が7日も補欠選挙の惨敗を引き合いに出し、公開を求めた。
公明党・山口代表「(自民は衆院の3補選で)議席を取れなかったわけで、これは極めて重く受け止めるべき。(政策活動費の)使途を明確化すべきである」
このあと、法改正に関する与党協議が開かれるが、政策活動費は、政治資金パーティー券の購入者の公開基準額引き下げとともに、どのような形で与党案に盛り込まれるのかが焦点となる。
●「裏金で汚れた手で憲法に触るな!」改憲に猛反発で岸田政権狙う「プチ緊急事態条項」が危ない! 5/7
「憲法改正がますます先送りのできない重要な課題となるなかにあって、国民のみなさまに選択肢を示すことは政治の責任です」
“任期中の憲法改正”を目指している岸田文雄首相。5月3日の憲法記念日に行われた右派団体「日本会議」の憲法改正を求める集会に、自由民主党総裁としてこんなビデオメッセージをおくった。
《裏金議員は憲法に手を出すな》
《まずは法律を守ってから、憲法議論しろよ》
《裏金で汚れた手で憲法を触るな》
自らの不祥事で改憲への反発を強めたのは自業自得だが、いま自民党は論点を限定したうえで、“一点突破”の改憲を狙っているようだ。
「ここ数年、衆参の憲法審査会の開催頻度は高まっているところであり、特に緊急事態条項については、各党の考えを含めて論点整理が進むなど、与野党の枠を超えて、活発にご議論いただいてきたものと認識しています」
前述のビデオメッセージで、こうも述べていた岸田首相。
“緊急事態条項”とは、大災害や新型コロナのようなパンデミックが起きて内閣が“緊急事態”と判断すれば、一次的に権限を政府に集中させたり、国会議員の任期を延長させたりできるというもの。
現在、衆議院の憲法審査会で、自民党は条文案の起草委員会を立ち上げるよう主張している。それに公明党や日本維新の会などの一部野党が同調する一方、立憲民主党と日本共産党は難色を示している。
憲法改正は難しいから、まずは法律から
一方、岸田政権は緊急事態条項の“尖兵”というべき法案を3月1日に閣議決定し、国会に提出した。大規模災害や感染症の蔓延のような非常時に、国が法律を変えることなく自治体に指示権を発動できる“地方自治法改正案”だ。今国会で可決し法律の成立を目指すという。
「この法案は、緊急事態条項を憲法に入れずして、緊急事態条項と同じ効力を地方自治体に適用しようとするものです。これは大変な暴挙です」
そう危機感を募らせるのは、法学者で自民党の改憲草案に詳しい慶應義塾大学名誉教授の小林節さんだ。
「自民党はかねてより憲法改正の機会を狙っていました。しかし、今、憲法改正の発議を行っても、国民投票で過半数を得られる可能性は低い。それで岸田政権は、新型コロナや能登半島地震を口実に、とりあえず地方自治法改正を狙っているのではないでしょうか」
憲法改正による「緊急事態条項」の創設は難しいので、とりあえず法改正による“プチ緊急事態条項”を実現しようという腹積もりのようだ。
岸田首相は、新型コロナのようなパンデミックや大規模災害などが起きた際を想定しての地方自治法改正だ、と主張しているが……。果たして必要なのか。
「日本の行政府は、とても緻密に法律を張り巡らしています。すでに、災害対策基本法や感染症対策基本法、国民保護法などの法律群があり、阪神淡路大震災や東日本大震災、新型コロナの際にも、これらの法律で対応してきました。不十分な点については、すでに改正を重ねてきたのです」(小林さん)
法の不備ではなく、政治能力の欠如
むしろ問題は、法律はあっても適切に運用できていない政府の側にあるという。
「今回の能登半島地震でも露呈したことですが、首相や知事が災害規模を見誤ったために初動が遅れ、結果的に被害が拡大してしまいました。気象庁のネットワークを駆使すれば、翌朝には能登半島の被害状況を正確に把握できたはず。その情報がきちんと岸田首相に伝わっていれば、もっと迅速に、大規模の自衛隊員を出動させられたのではないか 」(小林さん)
岸田首相は1月4日、非常災害対策本部で「総力を挙げて一人でも多くの方を救命、救助できるよう全力で取り組んでほしい」と述べたものの、実際には発災から2日目に1000人、3日目に2000人、5日目に5000人と自衛隊員を逐次投入。熊本地震では3日に1万4000人余を投入していたことから、“初動の遅れ”が批判されていた。
「能登半島のアクセスの悪さや、道路が寸断されている等の諸事情はあったとしても、自衛隊なら小型のヘリで近づくこともできます。地震で岸壁が隆起していても、岸壁から離れた場所に大型船を止めて、小型の船で近づくなど、なんらかの対処はできたはず。
馳県知事が出動要請を出さなくても、自衛隊の最高司令官は岸田首相ですから、やろうと思えばできたんです」(小林さん)
原発事故すら隠蔽されるおそれ
政府の“後手”は、災害に限らない。新型コロナのパンデミックの際も、政府より自治体主導で対策が進んでいったことは記憶に新しい。
いち早く、区でPCR検査場を立ち上げて、1日に2000〜3000件の検査を可能にした“世田谷モデル”の立役者、保坂展人世田谷区長も3月9日、YouTube番組『デモクラシー・タイムズ』で、こう地方自治法改正案を批判している。
〈経験から言えば、安倍政権も菅政権も世田谷区の提案をかなり取り入れたりしています。自治体がいろいろ研究して意欲的にやってみようと言った案を、厚労省が少し遅れて取り入れて、総力戦で取り組んだ結果だと思うんですね。もし、全部国がハンドリングしていたら、『PCR検査は無理ですよ、増やしませんよ』ということがずっと続いていたかもしれません〉
つまり、法案成立後にパンデミックが起き、政府が不要と判断したら、“世田谷モデル”のような自治体独自の対策も不可能になるかもしれない。小林さんは、「問題はパンデミックだけではない」と、こう続ける。
「今度、原発事故が起きたら、情報を隠したい時の首相が〈原発内部や5km圏内には誰も立ち入るな〉という命令を自治体に下す可能性もあります。その結果、原発の制御が不能となり、福島第一原子力発電所以上の大事故につながる可能性もあるのです」
地方自治法の改正についてだけでも、これだけの懸案がある。憲法改正ともなれば、より緻密な議論が必要だが、岸田首相は自分の任期中の改憲を目指すという。
●後半国会、野党攻勢強める=衆院政倫審、8日にも申し立て 5/7
立憲民主党など野党4党は7日、自民党派閥裏金事件の実態解明と再発防止を進めるため、足並みをそろえて岸田政権を追及していくことで合意した。
国会で弁明していない関係議員44人の審査を8日にも衆院政治倫理審査会に正式に申し立てる。同時に政治資金規正法改正論議で企業・団体献金禁止などの抜本改革を要求する。6月23日の会期末に向け、攻勢を強めていく構えだ。
立民、日本維新の会、共産、国民民主4党の国対委員長が国会内で申し合わせた。会談後、立民の安住淳国対委員長は記者団に、政倫審申し立てについて「対象議員は知らん顔するわけにはいかなくなる」と指摘。「実のある改革をやらなければ、国民の不信感は払拭できない」と述べ、安易に妥協しない姿勢を強調した。 
●日本の土地を買う中国人 人民解放軍派遣も 5/7
対応しない岸田首相
日本は外国人が土地を買える国として知られており、中国人・韓国人などの富裕層が日本各地で土地を買っていることが知られている。問題なのはテレビなどでは報道されずネットで外国人が日本の土地を買っていることを知る程度。このためネットでは日本の土地が外国人に買われる危険性を危惧する声が出ているが日本政府の反応は鈍い。
ネットで危惧されるのは在日米軍基地・自衛隊基地に隣接する土地を仮想敵国の人間が購入することだ。さらに日本の水源地を中国人が買ったことで自然破壊に危機感を持つ声もある。だが岸田首相は3月の段階で外国人による土地取得規制の検討を進める程度であり5月の段階では明確な対応には至っていない。
仮想敵国の人間が日本の土地を買うことは国防から見ると素早く対応しなければならないが岸田首相の対応は遅れている。ネットのニュースを見ると外国人による犯罪が聞かれ、逮捕されても理由不明で不起訴になる事案が続いている。このため国民よりも外国人を優先する岸田首相への怒りの声が日々増大している。
外国人が土地を買う危険性
結論から言えば、外国人が日本の土地を買うことは外国人自治区を作る未来が待っている。何故なら今の日本各地で中国人が土地を買っているが、買えば私有地となり日本人が入ることは出来ない。さらに警察すら容易に入れない中国の領土が日本国内に生まれる。そこに家族単位で中国人が生活すれば現地で生活する日本人よりも多数派になることは容易。
アパート・マンションで外国人が多数派になれば少数派の日本人の声は無視されてしまう。日本の領土だとしても中国人が多数派になればアパート・マンションは日本の法律など無視されて中国式が横行する。これが現実だから日本各地で危機感を持つ日本人が増加した。
ソ連時代にロシアは隣国のジョージア・ウクライナ東部に国民を移民として送り込んだ。ソ連が崩壊して現在のロシアに変わった時にロシア国境付近のジョージア北部はロシア系移民が現地民よりも多数派になる。ロシア系移民が多数派になると移民自治を求めて選挙を実行。選挙は多数派が勝利するからロシア系移民が選挙で勝つことになる。これでロシア系移民は移民自治を獲得するがそれでは終わらない。ロシア系移民は移民自治を獲得した土地の祖国への帰属を求めてロシアに保護を求めた。するとプーチン大統領は“自国民保護”を名目にロシア系移民を国民として保護するためにジョージア北部に派遣した。これでジョージア・ロシア戦争(2008)に至っている。
日本各地の危機
現在のウクライナ東部でもロシア系移民が現地民よりも多くなるとジョージアと同様に国盗りを行っており、移民は外国から国を奪う道具にされている。日本を見ると日本各地で中国人が土地を買っており家族単位で日本で生活すれば現地で生活する日本人よりも増加する。さらに中国人がオーナーとして会社を経営すれば中国人労働者が家族単位で生活するので現地で生活する日本人は少数派として排斥される。
埼玉県川口市ではクルド人が集まり治安が悪化して日本人による自警団が誕生。これは警察が国民を守らないことを意味しておりクルド人自治区と言える状態にまで悪化した。だが岸田首相は未だに有効な対策を行わず、それどころか移民受け入れを拡大することすら匂わせている。
しかも恐ろしいことに与党・野党・警察・検察・裁判所・メディアが官民一体となり移民政策を容認し外国人優先を進めている。これは官民一体となり売国をしており国民を排斥する動きを意味している。
この状態で中国人富裕層が土地を買っている。ならば次は中国から大量に日本に移住し中国人が多数派になれば結果的に中国人自治区に至る。警察は国民を守らないから治安の悪化と同時に警察・検察は中国人自治区を守るために動く。こうなると次は習近平に保護を求め、習近平はプーチン大統領と同じように“人民保護”を名目に人民解放軍を日本に派遣する。
ジョージア・ウクライナは危機感のなさが原因でロシア系移民に国を奪われた。このためプーチン大統領は軍隊を送ることができたのだ。ならば習近平としても日本に自衛隊・在日米軍の反撃を受けることなく日本領土に人民解放軍を派遣できることを意味している。
仮に自衛隊が反撃するとしても人民解放軍が日本の領土に駐留してからになる。通常の戦争であれば人民解放軍が日本に侵攻する途中の空と海で迎撃できるが、日本国内の中国人が保護を求める場合は戦争ではない。だからジョージア・ウクライナでロシア軍が領土に展開するまで対応が遅れている。
通常の戦争で勝てないならどうするか?
正面で勝てないなら人民を国盗りの道具として使い人民解放軍が日本領土に展開できる環境を作れば良いのだ。さらに今の日本は与党・野党・警察・検察・裁判所・メディアが官民一体となり外国人優先。こうなると習近平が人民保護を名目にすると自衛隊に迎撃命令など出さないことを私は断言する。
日本領内に人民解放軍が展開しても岸田首相は自衛隊に反撃命令を出さない。それどころか“話し合いで解決する”を連呼して数年間放置されるだろう。この段階で日本人は中国人自治区から排斥され日本人は内戦を経験してから人民解放軍を排除することになる。
日本の未来と対応
では在日米軍は? 既存の日米安保では対応できない領域であり日本政府からの要請もないから動けない。今の日本政府を見れば自衛隊・在日米軍に中国人自治区・人民解放軍の排除命令を出さない。こうなると埼玉県川口市の自警団が日本各地に生まれ、自衛隊・在日米軍に訓練・支援された自警団が日本に展開した人民解放軍と戦闘することになる。
最初は国民の自警団で構成されるが次第に自衛隊員が増加して表向きは自警団だが中身は自衛隊となり人民解放軍と戦闘を行う。これが数年続き正式に自衛隊・在日米軍が人民解放軍と戦闘することになる。これはジョージア・ウクライナ東部で発生したことを日本で再現した予測。外れてくれたらお祝いだが、日本人は内戦を体験し国土が荒廃してから再建の道を歩むことになる。 

 

●「岸田VS麻生」と政権の命運 驚くべき「大宏池会」事実上の復活 総裁選で「新しい顔」選ぶか「破れかぶれ解散」に活路か 5/8
4月に行われた衆院3補選で自民党は「全敗」したが、岸田文雄首相については「岸田降ろし」の機運は高まっていないようだ。衆院解散・総選挙は遠のいたのか。自民党総裁選に向けて岸田首相はどのような戦略を立てているのだろうか。
2022年7月に安倍晋三元首相が暗殺された後、岸田首相は、旧統一教会騒動を「安倍派(清和政策研究会)」の一掃に利用しようとしたフシもある。今回、「政治とカネ」問題を奇貨として、自らの派閥を解散しつつ、安倍派、二階派(志帥会)、茂木派(平成研究会)を解散に追い込み、一方で麻生派(志公会)は温存し、「大宏池会」を事実上復活させたのは、政治闘争としては驚くべき成果だ。政策より「人事をやりたい」とされる岸田首相の面目躍如といえるかもしれない。
補選で3連敗、低い内閣支持率など、墜落寸前にもみえる岸田政権であるが、好きな「人事」を自由にできるという充実感があるのだろう。
岸田首相は持ち前の鈍感力≠ナ、低い政権支持率を気にせず、訪米の成果などで底打ちすると思っているだろう。いずれにしても自民党内では、「大宏池会」しかないのだから、他の勢力には「岸田降ろし」の戦闘力がない。
その一方、「大宏池会」では、麻生太郎副総裁が事実上のキングメーカーであるので、その意向を無視することもできず、結局両氏の力関係次第で、解散・総選挙の日程が決まるだろう。
早ければ6月の国会会期末に野党からの内閣不信任案が提出され、それに乗じて解散・総選挙というシナリオはある。岸田首相としては、自民党と公明党で過半数さえ維持できれば「負け」ではないので、9月の総裁選で再選の目も出てくる。
しかし、麻生氏としては、立憲民主党の単独過半数はないにせよ、自公で過半数割れすることを警戒するだろう。なにしろ、麻生氏は09年の政権交代を引き起こした当事者であるので、トラウマがあるはずだ。
その場合、岸田首相を降ろして、「大宏池会」から別の候補者を立てざるを得なくなる。岸田首相による「6月解散」をさせずに、国会終了後、自民党総裁選を前倒ししてでも、岸田首相ではなく新しい顔で、総選挙に臨むと考えても不思議ではないだろう。
今回の補選3連敗は、この「岸田対麻生」の主導権争いでは、多少、麻生氏に有利に働くだろう。
しかも、「政治とカネ」をめぐり政治資金規正法改正を主張しながら、鳴り物入りの連座制もザル改正≠ノなりかねない。そもそもトカゲの尻尾切りの会計責任者を置く段階で魂胆がバレている。政治家自身が会計責任者になれば済む話だ。そして外国人のパーティー券購入禁止はまったくのスルーだ。
となると、ここも麻生氏有利となる。岸田首相に残されたのは、首相権限をフル稼働させた「破れかぶれ解散」である。人事好きの岸田首相が、全衆院議員を解雇≠キるという大ばくちの大ナタ人事、つまり解散を打てるのだろうか。
●岸田首相の「リーダーシップ」に戸惑いも 規制法の改革主導アピール 5/8
岸田文雄首相(自民党総裁)が自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正論議をリードしようと奔走中だ。外国歴訪から帰国した6日には自民の実務者を首相公邸に呼び、与党案とりまとめの加速を指示。7日には国会に自ら赴き、浜田靖一国対委員長らに改正案の審議日程などを確認した。政権内には首相の「リーダーシップ」だと評価する声もあるものの、にわかに陣頭指揮を執り始めた首相への戸惑いも広がっている。
首相は7日午前、国会内で浜田氏や石井準一参院国対委員長と約30分面会し「(規正法改正の)自公案を今週中にとりまとめ議法(議員提出法案)としてしっかりと出せるようにしてもらいたい」と指示した。
首相はこの日、本会議や委員会などへの出席予定はなく、浜田、石井両氏に会うために自ら国会に足を運んだ。こうした対応は異例で、浜田氏は「びっくりした」と同僚に語った。首相はその後、自民党本部に移動し、森山裕総務会長、茂木敏充幹事長らと会談を重ねた。
首相は6日も、フランス、南米歴訪から帰国した直後に自民政治刷新本部の作業チームメンバーを公邸に呼び、規正法改正について協議。党が政治家個人に支出し、使途公開の義務がない「政策活動費」について、公開を検討するよう指示した。
政策活動費は規正法改正にあたっての主な論点の一つで、自民が先月23日に発表した具体案には検討項目とするにとどめていた。首相自身も国会答弁で公開に慎重な姿勢を示していたこともあり、党内からは「首相が政治不信の払拭(ふっしょく)に向けて動き始めた」(党幹部)との声も上がる。
とはいえ規正法改正論議では、政策活動費を全面公開するのか、部分的な公開にとどめるかなど、多くの論点が残されている。自民中堅は「政治改革に前のめりな姿勢を打ち出すにしても、政策活動費は党内でかなりもめる話だ。全く筋書きがない」と困惑気味に語った。
●二階元幹事長の「後継争い」で和歌山が大混乱 5/8
巨額裏金事件で自民党の「一強態勢」が大きく揺らぐ中、その中心人物でもあった二階俊博元幹事長(85)の政界引退宣言を受け、地元・和歌山での「後継争い」が「何でもありの混乱状態」(自民選対)に陥っている。
「衆院10増10減」で小選挙区が3から2に減る和歌山では、事前の予想通り、二階氏の強固な地盤だった衆院和歌山新2区を巡る二階氏の長男・俊樹氏(59)と3男・伸康氏(46)による「後継争い」が激化。加えて、二階氏の“天敵”とも呼ばれる世耕弘成前参院幹事長(61)も鞍替え出馬を窺っているため、「今後の展開次第では、収拾不能になりかねない」(地元県連)からだ。
先の「4・28トリプル補選」の自民“全敗”で、政権維持に苦闘する岸田文雄首相(党総裁)は、裏金事件の“主役”の1人とされた二階氏について、次期衆院選不出馬表明を理由に「無罪放免」とする一方、後継争いについては、「当面様子見の構え」(自民幹部)とみられている。
これに対し、二階氏自身は「議員は引退しても、和歌山のドンの立場は変わらない」として、2人の息子を和歌山の国会議員とすることで「院政を敷きたい考え」(側近)だとされる。ただ、ここにきて、「体調不良で緊急入院した」との噂が飛び交う一方、後継争いを巡る“権謀術数”も顕在化し、関係者の間では疑心暗鬼が広がるばかりだ。
地元・町村会が3男に出馬要請
もともと、有力国会議員の後継争いは、「政界の風物詩」(政治ジャーナルスト)ではある。ただ、今回の二階氏後継を巡る「醜い身内の争い」(同)は異例。かねて二階氏は、「政治家と言っても、『家』をつけていいほどの器の人は数えるほどしかいない」が口癖だったが、その「二階家」が大揺れというのは皮肉でもある。
今回、身内の後継争いが表面化したのは、地元・和歌山県町村会が二階氏の公設秘書を務める3男・伸康氏に新2区へ出馬要請したのがきっかけ。同区については、旧3区選出の二階氏が出馬を予定していたが、裏金事件関与の責任を取る形で不出馬を表明し、後継については「地元の判断に委ねる」としていた。
これに対し、同町村会は「二階(俊博)さんが和歌山県のため、国のためにやってきたことを秘書として全部見ているので、県のため、国のために即戦力として頑張っていただけると期待している」(岡本章会長=九度山町長=)と出馬要請の理由を説明した。
その背景には、かねて同町村会で「長男は『俺は二階の息子だ』とふんぞり返って嫌われており、2016年に地元の御坊市長選に出馬したが現職候補に惨敗している。これに対し、3男は物腰が柔らかくて、人あたりもいい」(町村会幹部)との意見が大勢だったことがあるとされる。
ただ、これに、地元事務所を取り仕切る長男・俊樹氏が反発したことで、一気に兄弟や関係者を巻き込んでの後継争いが本格化。関係者の間では「長男は簡単に引き下がるはずがない」(二階派幹部)との見方が支配的で、裁定役となるべき自民党本部は「うっかり手を出すと火傷する」と事態の推移を見守る構えのため、地元県連を舞台とした後継争いは「当面、収まる気配がない」(県連幹部)とみられている。
「世耕氏鞍替えで長男は参院」との“策略”も
この新2区を巡っては、さらに混乱に拍車をかけかねない要因がある。巨額裏金事件での「旧安倍派責任者」の1人として自民党から離党勧告を受け、無所属になった世耕氏が「虎視眈々と同区出馬による衆院鞍替えを狙っている」(自民幹部)とされるからだ。同氏周辺も「かねて衆院への”鞍替え”を公言し、それを阻止すべく圧力をかけ続けた二階さんが引退宣言したので、次期衆院選は2区出馬の最後のチャンスと考えているはず」(同)と指摘する。
そこで3男支持派が不安視するのが、世耕氏と長男の共闘だ。「2人は昨年の衆院和歌山1区の補選で自民候補を担いで共闘した。敗北はしたものの、それ以来、世耕さんと長男の関係は深まっている」(二階氏後援会幹部)とみられているからだ。そこで取り沙汰されているのが「世耕氏が長男・俊樹氏に参院の議席を譲り、その見返りとして俊樹氏が世耕氏の新2区出馬を支援する」(同)という両氏の“策略”だ。
これに関連して、次期衆院選で和歌山新1区からの鞍替え出馬を予定していた鶴保庸介参院議員(57)=和歌山選挙区=が、4月28日に地元和歌山市で記者会見し、鞍替え出馬断念を表明した。二階氏の引退表明や世耕氏の離党を受け、同党の県議有志や、県町村会の岡本章会長が鶴保氏に対し、参院議員にとどまるよう要請していたことを受けたものだ。
鶴保氏は会見の中で「声が中央に届きづらくなるのではないかと危惧されていた。県南部をはじめとする多くの地域の声を無視できない」としたうえで、「衆院選から撤退することのご批判は甘んじて受けなければならないが、引き続き、参院議員のまま和歌山県のみならず、国のために粉骨砕身努力をしたい」と強調した。ただ、関係者からは「世耕氏への当てつけのように聞こえる」(自民県連幹部)との声も出る。
二階氏の「関与」を否定する町村会会長
そもそも、二階氏自身は引退会見で「後継者は地元に一任」と明言した。しかも、4月21日の和歌山県連の会合を欠席したことで「心臓の疾患で都内の大学病院に入院中」という噂が広がる。その中で、今回の後継選びを主導する町村会・岡本会長も「町村会の出馬要請が二階氏と関係しているような報道もあるが、二階氏からも伸康氏でなんて話は一切ない」と二階氏の関与を否定する。
そうした状況も踏まえ、自民党和歌山県連は連休中の5月4日、和歌山市内で石田真敏衆院議員や鶴保氏、県議らが参加した「代表役員会」を開き、新1区と新2区の候補予定者を「原則、公募する」と決定。ただ、県連内で推薦があれば、同月中に開く「拡大役員会」に諮る方針も確認した。
役員会後、県連幹事長の山下直也県議は「公募方法や日程は今後詰める」としたうえで、伸康氏については「本人から県連に(出馬の意向の申し出を)頂いていない。(県連)内部の関係者が立候補することになった場合、拡大役員会に諮ることになる」と説明した。
そうした中、自民党内には「岸田首相は、引退表明した二階氏を裏金事件では無罪放免とすることで、自らの政治資金疑惑も棚上げするという“裏取引”をした。それだけに、後継選びも二階氏の意向を優先する」(選対幹部)とみる向きが多い。このため「世耕氏が鞍替え出馬して二階氏の息子と対決すれば、反党行為として自民党除名処分とすると脅しをかけるはず」(同)との声も漏れてくる。
トリプル補選の自民全敗を受けて多くの世論調査では「会期末解散はなくなった」との声が広がっていたが、5月に入って各種世論調査で内閣支持率が回復し始め、「岸田首相自身も会期末解散断行への様々な手を打っている」(官邸筋)とされる。このため、二階氏後継問題も早期決着を迫られるが、「二階家、地元、党本部の思惑が複雑に交錯するだけに、現時点では全く見通しが立たない」(自民選対)のが実態だ。
●東京為替見通し=ドル円、円安進行局面での円買い介入の可能性に要警戒か 5/8
7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁のタカ派発言「米連邦準備理事会(FRB)は金利を長期にわたり現行水準に維持する必要がある。年内は金利据え置きの可能性が高い」などで154.75円まで上昇した。ユーロドルは1.0787ドルから1.0748ドルまで下落。ユーロ円は166.57円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、155円に向けた円安進行局面での本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒していく展開が予想される。
昨日、植田日銀総裁は岸田首相と会談し、為替が経済物価に与える影響などについて議論した。植田日銀総裁は、円安は「経済物価に潜在的に大きな影響を与え得るものであり、最近の円安について日銀の政策運営上、十分注視していくことを確認した」と述べ、今後「基調的物価上昇率にどういう影響が出てくるかについて注意深く見ていく」と語った。
今回の円安は、4月26日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、植田日銀総裁が円安進行による政策運営への影響について現時点で大きな影響を与えてはいない、と述べたことで円売りが誘発されており、昨日は、円安への懸念を強める姿勢を示したことになる。
1ドル=154円程度を前提にした場合、2人以上世帯における家計負担増額は今年度、平均10万円超に上るとの試算もあり、6月に予定されている4万円の定額減税の恩恵を無にすることになる。岸田政権が解散・総選挙を目論んでいるのであれば、150円台の円安を抑える必要があると思われ、財務省による円買い介入、日銀による円安懸念という円安阻止の連携姿勢を打ち出したのかもしれない。
ドル円は4月29日(※昭和の日で休場)に高値160.17円を付けた後、159円付近での本邦通貨当局によるドル売り・円買い覆面介入で154.54円まで5.63円下落した。1日には157.99円まで反発し、フィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しをほぼ達成した。円買い介入金額は5.5兆円程度と推定されており、157円で換算すれば350億ドル程度になる。
5月2日の未明5時過ぎには、157円付近でのドル売り・円買い覆面介入で153.04円まで下落し、3日の米4月雇用統計を受けて151.86円まで合計6.13円続落した後、154円台後半まで反発しており、61.8%戻しならば155.65円となる。
円買い介入金額は3.5兆円程度と推定されており、157円で換算すれば220億ドル程度になる。
過去2回の覆面介入を参考にするならば、155円台での3回目の円の押し上げ介入の可能性に警戒すべきかもしれない。
また、明日発表される本邦4月末の外貨準備高では、ドル売り・円買い介入の原資が外貨預金(※1550億ドル=24兆円@155円)だったのか、米国債(※9948億ドル=154兆円@155円)の売却だったのかを確認することになる。
●衆院補選「立憲民主党3選全勝」 政権交代に向け野党が国会でやるべき「3つ」のこと 古賀茂明 5/8
4月28日投開票の衆議院の補欠選挙において、立憲民主党が3選挙区全てで大勝した。
「次の選挙で政権交代だ!」とリベラル勢力は勢いづいている。
しかし、大手メディアの政治部記者たちの多くは、仮に解散総選挙になっても、野党共闘がまとまる気配がないことから、政権交代につなげるにはまだハードルが高いと見ている。したがって、彼らにとっては、自民党内部の話の方が野党の話よりも大切だということになる。
そのため、ポスト岸田をめぐる動きを面白おかしく伝えることに彼らはご執心だ。
さらに、彼らは、岸田文雄首相側から見て、終盤国会の焦点が、「政治資金規正法(以下『規正法』と呼ぶ)の改正が今国会中に実現できるかどうか」に移ったと報じている。
今回は、この報道は完全に間違っているので、絶対に信じてはいけないという話をしてみたい。
まず、政権交代へのハードルが本当に高いのかどうかについて考えてみよう。
実は、今回の補選の投票率は低かった。
国民の裏金問題に対する怒りが沸騰していたのに、投票率が低かったのは、有権者の中に、「選挙に行ってもどうせ何も変わらないだろう」という諦めと政治への強い不信があったからだ。これでは、いくら野党が頑張っても投票率は上がらず、組織票が多い自民や公明党に有利だというのがオーソドックスな見方かもしれない。
しかし、この低投票率については、二つの意味で野党、とりわけ立憲側にプラスの面がある。
まず、低投票率でも島根1区で自民党が大敗したのはなぜか。
時事通信の出口調査では、自民党支持層の2割が立憲候補に投票した。JNN(TBS系の民放ネットワーク)の期日前出口調査では、これが3割だった。これは、2月9日配信の本コラム「独自入手『自民党員1000人調査』で見えた岸田政権崩壊の予兆『自民に投票しない』が2割強の衝撃」で紹介した自民党員調査の結果どおりだ。
自民支持層のかなりの部分が、棄権ではなく、わざわざ投票所に足を運んで立憲に入れるというとんでもないことが、実際に起きたのである。
同じことが次の総選挙で起きれば、自民票が大きく減り立憲票に上乗せされる可能性が高い。これまでにない地殻変動である。
低投票率については、「伸びしろ」というもう一つのプラス面がある。
今回は、仮に立憲候補全勝でも、国会での自公圧倒的多数は変わらないことはわかっていた。そんな「意味のない」選挙に、GWのお祭りムードの中で無理して投票に行く気がしないという有権者が多くても不思議ではない。
しかし、次の総選挙では、大きな変化が期待できることが今回の選挙でわかった。これにより、「選挙に行っても無意味」というムードが、「選挙に行って政治を変えよう」となり、投票率が大きく上がる可能性が高い。2009年の民主党政権誕生の時も、政権交代の可能性が高いと報じられたことで投票率が大きく上昇して民主党大勝となった。
もう一つ、大きな地殻変動がある。維新人気が急降下していることだ。
長崎3区では、立憲と日本維新の会の一騎打ちで維新が完敗した。
都市型選挙の東京15区でも、維新候補は立憲候補に大差をつけられた上に、完全無所属候補にまで敗れた。政治資金改革が主要テーマだったのに、「改革政党維新」という宣伝文句が全く通用しなかったのだ。
今回の選挙で、維新は立憲を叩く戦略をとったが、これにより、有権者に自民に近いとみられて失速した。維新の馬場伸幸代表はいまだに立憲叩きを続けている。もはや、「自民に近い維新」というイメージを拭い去るのは難しい。これを立憲がうまく利用すれば、特に都市部では、維新と戦っても勝てる選挙区が増えるだろう。
さらに、連合とその支援を受ける国民民主党の力もかなり落ちている。   
長崎と島根では国民が立憲候補を応援したが、共産党が自前候補を立てずに立憲候補を支援した効果の方が大きかったと見るべきだ。
東京で都民ファーストの会と組んで立憲候補に大敗したことも、国民の力が非常に弱くなったことを明示した。国民の自民補完勢力というイメージが強まった結果であろう。
連合の芳野友子会長もまた自民に擦り寄っていたが、今後は、その連合が味方につくことで、自民寄りと見られる効果のマイナスが大きくなるはずだ。
次の総選挙では、「共産党と組む立憲は共産主義勢力だ!」という自民、維新、国民などからの批判を立憲が過度に恐れる必要はなくなった。
以上のとおり、さまざまな観点から見て、これまでの政治の常識、というより政治部記者の常識が通用しない大きな地殻変動が起きている。
それを明確に認識した上で、当面の国会について、何が最も重要かを考えてみたい。
冒頭で紹介したとおり、大手メディアの政治部記者たちは、終盤国会の焦点は、規正法改正を「今国会中に実現できるかどうか」だと報じている。
しかし、これは、規正法改正実現で裏金問題を収束させ、その後は、6月からの定額減税実施や春闘の結果を反映した賃金上昇などを材料として支持率アップを狙う岸田首相のシナリオに乗った報道に過ぎない。
そもそも、自民党政治の問題の本質は何かというと、補助金、減税、公共事業の配分などを期待する企業・団体・富裕層に、政治献金やパーティー券購入で自民党に資金を提供させ、その資金を使って選挙を戦い権力を維持するという金権体質にある。
1件ごとの献金と利益供与が結びつけば「贈収賄罪」だが、阿吽の呼吸で特定の結びつきを見せないため、実際には野放し状態である。こうした仕組みの中で、政治家は裏金を作り、選挙で広い意味での買収が行われてきた。今回の裏金問題は、それを見事に暴露したわけだ。
この構造はかねて問題視され、1994年成立の政党助成法や99年改正の規正法では、公費による政党助成金導入の代わりに企業献金を廃止することを大きな目標として設定していたが、実際には企業献金は残し、政党は国民の税金による政党助成金を受け取るという「二重取り」の制度となってしまった。
こうした経緯と問題の本質を正しく理解すれば、これから行われる政治資金改革においては、「企業団体献金」を全面禁止することが最重要だということがわかる。
その際、裏金問題の温床となった「政治資金パーティー」(献金の上限や情報開示の規制の抜け道となっている)を個人向けやネット開催も含め全面禁止することも必要だ。
二階俊博自民党元幹事長が5年で50億円を使った例に見られるように、使途不明で許される巨額の資金を政党幹部に流すことにより、選挙における買収資金などに使われてきたと見られる「政策活動費」の全面禁止も必須である。
これまでの政治資金改革が失敗に終わったのは、この禁止3点セットを実施しなかったことが原因だ。
この本質を国民が理解することが必要だが、そのためには、まず、裏金問題の全容解明を行うことが大前提となる。裏金作りがいつからどのように行われ、その裏金がどう使われてきたかを明らかにすれば、前述の禁止3点セットがいかに重要かが理解できるだろう。
そのためには、忘れられた森喜朗元首相や二階氏を含めた関係者の証人喚問を終盤国会の最大のテーマとすべきだ。これを自民が拒否するなら、野党は全ての審議を拒否し、今回の補選で示された民意に応えよと自民に迫れば良い。
大手メディアの政治部記者たちは、こうした本質論を無視し、証人喚問も忘れたまま、今国会で規正法改正ができるかどうかが焦点だなどと喧伝する。そのために野党も妥協が必要だという方向に世論を誘導しようとしているのだ。
彼らは、「企業団体献金の禁止を野党が主張しているが、これはハードルが高いので実現は難しい」と決めつけているが、過去の経緯を無視した暴論だ。
国会最終盤になれば、全く内容がない自民案に反対する立憲民主党など野党に対して、政治部記者たちは、「今国会で改正を実現する」ためには、「妥協が必要だ」という論調の記事を流すだろう。
その際注意すべきは、維新の出方だ。
維新は、政治資金パーティーについて、個人向けは残すという妥協をする可能性が高い。彼らは、収入が激減するのでこれを絶対に残したいと考えている。政策活動費もなんらかの形で残したいと考える維新はそこでも妥協するだろう。
自民との妥協を選べば、企業団体献金という本丸中の本丸はもちろん禁止できない。
維新との妥協案ができれば、自民は、「議論は尽くした。お互い妥協するのが民主主義だ。妥協案を頭から拒否する立憲の態度は許されない。『今国会中に改正を実現』できなければ、その責任は全て立憲にある」と批判するだろう。
維新も、「立憲は批判だけの『古い』『昭和』の万年野党だ。維新こそ、古い政治に終止符を打つ、真の改革政党である」と攻め立てる。
だが、立憲は、このような批判に怖気付いて中途半端な改正で折り合ってはいけない。そうなれば共犯者となり、次の総選挙で自民批判ができなくなるからだ。
万一、裏金問題が、規正法の「なんちゃって改正」で「一段落」となれば、6月からの定額減税と春闘の効果による賃上げなどを実感できるタイミングで解散総選挙だという岸田首相の思う壺である。
こうした展開を予想して立憲などの野党が今すぐなすべきことは何か。
まず、審議拒否も辞さない強い姿勢で証人喚問を要求して実現する。
その上で、
・企業団体献金の全面禁止
・政治資金パーティーを個人向け・ネット開催も含めて全面禁止
・政策活動費の全面禁止
の3点が、自民の「贈収賄政治」を根本から断つために不可欠であることを強く主張し、これができない規正法改正なら今国会での成立はさせないと宣言する。
同時に、次の総選挙でこれらを争点として国民の審判を仰ごうと唱えるべきだ。
本物の改革は自民党政権にはできない。
私たち国民は、岸田政権と政治部記者たちの世論操作に騙されず、立憲中心のリベラル政権実現を目指すべきだ。
●岸田政権はまだまだ続く可能性が高い…政治的には詰んでいる岸田首相が「続投に自信満々」となっているワケ 5/8
岸田内閣はいつまで続くのか。ジャーナリストの鮫島浩さんは「岸田首相は衆院解散権を封じられ、9月の総裁選で再選する可能性はほとんどなくなったが、総裁再選に自信満々のようだ。これは岸田首相が単に強がっているからではない」という——。
「岸田首相では選挙は戦えない」が共通認識になった
岸田内閣は万策尽きた感がある。派閥解消を打ち上げても、裏金議員たちを処分しても、国賓待遇で訪米しても、支持率は2割台に低迷したままだ。
ついには4月28日投開票の衆院3補選(東京15区、島根1区、長崎3区)で全敗し、自公与党内では「岸田内閣では解散総選挙は戦えない」が共通認識となった。ここまで国民に嫌われてしまった内閣が息を吹き返すことはなかなか想定しにくい。
6月解散・7月総選挙で自公過半数を維持し、その勢いで9月の自民党総裁選を乗り切るという岸田文雄首相の総裁再選シナリオは、今や風前の灯である。
衆院議員の任期は来年10月まで。9月の総裁選時点で残すところ1年だ。来年7月には参院選もある。日本政界はいよいよ「選挙の季節」に突入する。
9月の総裁選は当然のことながら「選挙の顔」を選ぶ戦いとなる。自民党がこれほど国民に不人気な岸田首相を再び党首に担ぎ出す理由はどこにもない。
「岸田おろし」が盛り上がらない自民党内の事情
6月に会期末を迎える今国会は裏金問題一色だ。これから政治資金規正法の改正をめぐる与野党協議という難題に直面する。自民党への大逆風は当面やみそうにない。
だからただちには「岸田おろし」を仕掛けず、世論の批判を一身に浴びる役回りを岸田首相に押し付ける。9月の総裁選で「新しい首相」を選んでイメージを刷新し、新内閣誕生のご祝儀相場に乗って10月に解散総選挙を挙行する——。
自民党内で首相を差し替える「疑似政権交代」で解散総選挙を乗り切るのは、自民党のお家芸である。今回の裏金問題もそれで凌ぎ切るしかないというのが、今の自民党内の相場観だ。
ところが、岸田首相本人はまったく別の政局展望を描いている。
田中角栄に続いて橋本龍太郎の首相在任期間も抜いて戦後8位となった岸田内閣の余命はあと4カ月。自民党内の誰もがそう確信しているのに、張本人の岸田首相はなぜか意気軒昂だ。大型連休もフランス、ブラジル、パラグアイを3泊6日で駆け巡る世界一周の弾丸ツアーを精力的にこなし、補選全敗もお構いなしの気配なのだ。
6月23日の国会会期末の直前に衆院を解散すれば、総選挙の投開票日は7月7日の東京都知事選と同時になる公算が高い。ところが岸田首相は7月9日から米国ワシントンで開催されるNATO首脳会議に参加する方針を迷いなく決めた。
もはや6月解散をあきらめ、大好きな外遊で頭がいっぱいのように見える。
「総裁選前に解散しなくても総裁再選は可能」と首相は強気
それでも9月の総裁選で再選を果たす道はあきらめていない。単に強がっているのかというと、どうやらそうでもなさそうだ。周辺には「総裁選前に解散しなくても総裁再選は可能」との見方を示しているという。
岸田首相の自信の根拠はどこにあるのか。永田町を探し歩いてもその答えは見つからない。国内政治的にはどう考えても「岸田首相は詰んでいる」のだ。
ナゾを解く鍵は、4月の国賓待遇の訪米にある。岸田首相は大統領専用車ビーストに同乗してバイデン大統領と満面笑みでツーショット写真に収まり、晩餐会では英語スピーチでジョークを連発してご満悦だった。国会で裏金問題の追及を受けてみせる沈鬱な表情とは別人のようだった。
岸田内閣が発足した4カ月後、ロシアがウクライナに軍事侵攻した。それから岸田首相はバイデン政権に全面的に服従し、ロシアを強く非難してウクライナ支持を表明した。ウクライナのゼレンスキー政権に武器装備品を送り、1兆円を超える支援を打ち上げてきた。戦後復興でも巨額の財政負担を担う方針だ。
しかも東アジアの緊張が高まったとして、米国製ミサイル・トマホーク400発を総額2000億円で一括購入。米国内で長引くウクライナ支援への不満が高まり窮地に立つバイデン政権を財政面で徹底的に支えてきた。
バイデン米政権の「欠かせないアイテム」
岸田夫妻の国賓待遇の訪米は、バイデン政権に尽くしてきた「ご褒美」の側面が強い。同行記者団は「岸田首相は破格の厚遇を受けた」とワシントンから報じていたが、日本が米国に献上してきた「巨額の貢物」からすれば、ずいぶんと安い返礼である。
バイデン大統領は昨年6月、日本の防衛費の大幅増額について「私は3度にわたり日本の指導者と会い、説得した。彼自身も何か違うことをしなければならないと考えた」と明かし、岸田首相に増額を迫ったことをあけすけに暴露した。
今年5月1日には、日本をロシアや中国と同列に並べて「彼らは外国人嫌いだ。彼らは移民を望まない。移民こそが我が国を強くしている」と見下した。岸田首相を「金づるの配下」としか見ていないのだろう。
バイデン大統領は今年11月の大統領選でトランプ前大統領にリードを許している。米国内で批判が高まるウクライナやイスラエルへの外交政策について世論を納得させ、大統領選を勝ち抜くには、バイデン政権の言うがままに財政支援を肩代わりしてくれる岸田政権は「欠かせないアイテム」なのだ。
実はこれが岸田首相の唯一最大の自信の根拠なのである。
「米政権の後ろ盾こそ最大の権力基盤」
バイデン大統領は何があっても岸田首相を切り捨てない。日本国内で内閣支持率が低迷していても、自民党内で「岸田おろし」が動き出しても、バイデン政権の後ろ盾がある限り、岸田内閣は倒れない。
各界に働きかけ、岸田首相の総裁再選を陰に陽にサポートしてくれるはずだ。キングメーカーの麻生太郎副総裁も、非主流派のドンである菅義偉前首相も、ポスト岸田を狙う茂木敏充幹事長や石破茂元幹事長も、ポスト岸田に急浮上してきた上川陽子外相も、米国の意向には決して逆らえない。
日本国内でどんなに岸田批判が高まっても、バイデン政権に寄生して「一心同体」でさえあり続ければ、財界も官界もマスコミ界も岸田政権を見限らず、自民党内の大勢も最後は自分になびいてくる——岸田首相はそう確信している。「米政権の後ろ盾こそ最大の権力基盤」というわけだ。
もちろんバイデン大統領が11月の大統領選に敗れれば万事休すである。トランプ政権が復活すればウクライナ支援から撤退し、国際情勢は激変するだろう。バイデン政権に追従してきた岸田外交は居場所を失う。その時は自らも退場するほかないと岸田首相は腹をくくっているのかもしれない。
岸田首相が描くのは「日米連動政局」だ
岸田首相にとって幸運なのは、米大統領選(11月)より自民党総裁選(9月)が先にやってくることだ。
仮に大統領選が先に行われ、トランプ政権が復活したら、岸田首相の総裁再選は絶望的である。だが、先に総裁選が行われる以上、バイデン氏がいくら劣勢で「もしトラ」に備えた動きが広がっていても、9月時点で勝敗は決していない。バイデン氏が土壇場で巻き返す可能性は残る。「バイデン政権の後ろ盾」は総裁選時点でなお一定の効力を維持しているに違いない。
岸田派関係者は「11月の米大統領選の行方を見定めるまで、9月の総裁選は岸田続投で様子を見るという流れをつくれれば、6月解散を見送っても総裁再選は可能ではないか」と期待を抱く。米大統領選でバイデン政権が継続すれば岸田首相も権力の座にとどまり、トランプ政権が復活すれば来春の予算成立を花道に退陣し、「新しい首相」に引き継いで来年7月に衆参同日選挙を行えばよい。
岸田首相が描くのは「日米連動政局」だ。バイデン政権と「運命共同体」になることで政権延命を図ろうというわけである。
トランプ前大統領と面会した麻生氏の狙い
岸田首相と真逆の立ち位置に陣取ったのが、岸田政権の「生みの親」である麻生氏だった。岸田首相がワシントンから帰国した後、入れ替わるようにニューヨークへ飛び立ち、トランプ前大統領とトランプタワーで会談したのだ。
岸田首相がワシントンでバイデン氏と過ごしていた頃、フロリダにあるトランプ氏の自宅「マール・ア・ラーゴ」を英国のキャメロン外相が訪れていた。米国と最も絆の深い同盟国である英国が露骨に「もしトラ」に動き出したのだ。世界の注目はワシントンよりフロリダに集まり、岸田首相の国賓待遇の訪米は米国内では見向きもされなかった。
麻生氏は日本で真っ先に「もしトラ」へ動いたといえる。
麻生氏は岸田政権のキングメーカーとして君臨してきた。子飼いの茂木幹事長とともに自民党本部に陣取り、岸田首相を首相官邸から呼びつけ、その3者会談で政権の大方針を決めてきたのである。岸田政権はまさに「麻生傀儡」だった。
つかず離れずの「仮面夫婦」状態となった岸田氏と麻生氏
岸田首相は麻生氏からの自立を模索してきた。最初に「親離れ」を画策したのは昨年9月の内閣改造・党役員人事だった。ポスト岸田への意欲を隠さない茂木幹事長の交代を目指したが、この時は麻生氏に土壇場で猛反対され断念した。それでも諦めなかった。財務省の後見役である麻生氏の意向を無視し、所得税減税を打ち上げたのだ。このあたりから岸田—麻生関係は冷え込み始めた。
両者の関係が決定的に悪化したのは、裏金事件を受けて岸田首相が独断で岸田派解散を表明した後だ。岸田首相が派閥解消を呼びかけたことで、安倍派、二階派、森山派が相次いで解散を表明し、茂木派も解散に追い込まれることになった。麻生派存続にこだわる麻生氏が逆に孤立する事態になったのである。麻生氏は激怒し、岸田首相への疑念を深めた。
岸田首相が派閥解消——安倍派処分——国賓待遇の訪米で支持率を回復させ、6月解散を断行するなら、麻生氏からの「親離れ」は完結するだろう。総選挙に勝利して総裁再選を果たせば、もはや麻生氏に頼る必要のない強力な政権基盤を手に入れることができる。
しかし支持率は回復せず、補選全敗で6月解散は困難になり、総裁選に向けて麻生氏と決別するわけにはいかなくなった。岸田—麻生関係は外見上はよりを戻し、つかず離れずの「仮面夫婦」状態にあるとみていい。
鍵を握るのは9月時点の米大統領選情勢
麻生氏は、9月の総裁選で岸田首相が再選を果たしても、新しい首相が誕生しても、トランプ氏との交渉窓口を独り占めすることで、キングメーカーの座に踏みとどまるつもりである。バイデン政権が麻生—トランプ会談に不信感を強めたのは気にも留めず、岸田首相とは裏腹に、トランプ勝利に賭けたのだ。
日本政界のトップ2はそろって「日米連動政局」を描いている。
それでは国内政局はどう動いていくのか。自民党内でただちに「岸田おろし」は広がらず、6月解散は見送られ、9月の総裁選までこう着状態が続くとみられる。
最大の鍵を握るのは、9月時点での米大統領選の情勢だ。バイデン劣勢が顕著になっている場合は、岸田首相は出馬を断念する可能性が高い。逆にバイデン氏が巻き返し優劣が混沌としている場合は、岸田首相は出馬に踏み切るだろう。
自民党内に「11月の米大統領選までは様子見」という空気が強まれば、岸田再選の可能性は十分にある。もちろん「ここで再選を許せば岸田首相が息を吹き返す」という危機感が強まり、石破氏や上川氏ら対抗馬へ支持が流れる展開もあり得る。
主権国家としては不甲斐ないが…
自民党総裁選で現職が敗れたのは1978年の福田赳夫首相だけだ。これを根拠に「岸田首相が再選を果たす」という見方も流れているが、これは説得力を欠く。なぜなら、歴代首相の多くは勝てないとみた場合は不出馬・退陣の道を選んだからだ。岸田首相の前任の菅義偉前首相がそうだった。
岸田首相も「勝てるかどうか」で出馬か不出馬を決めるだろう。歴代首相と違うのは、自民党内の情勢よりも米大統領選の情勢を最大のバロメーターとして決断する点だ。
自民党総裁選の行方は米大統領選の動向に大きく左右される。自民党の有力者たちは海の向こうの大統領選の動向を固唾を飲んで見守っている。主権国家としては不甲斐ないが、それが日本政治の現状である。
繰り返しになるが、仮に米大統領選が先に行われてバイデン氏が敗れ、トランプ政権が復活すれば、岸田首相が総裁選に出馬することはあり得なかった。大統領選に先立って総裁選が行われる手順前後が「すでに詰んでいる岸田政権」の命運を変えるのか。「日米連動政局」の先は読みにくい。
●“エッフェル姉さん”は何しに豪州・韓国へ? GWに再び海外視察、松川るい事務所を直撃した 5/8
これほど円安を実感したゴールデンウイーク(GW)は過去になかった。先月29日に一時1ドル=160円を突破。歴史的な円安水準で海外旅行が遠のく庶民を尻目に、岸田政権の政務三役と自民党議員は堂々と海外に出かけた。岸田首相を筆頭に大臣20人中14人、副大臣・政務官を含め計31人が37カ国を訪問。渡航費用は推計12.6億円に上る。原資は血税だ。
衆参両院の事務局によると、GW中に国会へ登院できないと届け出た政務三役以外の議員は衆参計46人。衆院32人中30人、参院14人中9人が自民党所属だ。衆院は渡航届が非公開のため、全員が外遊目的とは言い切れないが、裏金2728万円の萩生田前政調会長や、離党した安倍派座長の塩谷元文科相、過去に旧統一教会関連団体の海外イベントに参加した山際元経済再生相の名前もある。
参院は渡航先と日程、簡単な目的も確認可能だ。今月4日まで6日間、米国を訪問した裏金2403万円の山谷元国家公安委員長ら裏金議員5人がGW中に海を渡った。裏金204万円の松川るい議員もそのひとりだ。
昨夏の仏研修は大炎上
松川氏は昨夏、党女性局の研修で仏パリ・エッフェル塔前で撮った写真をSNSに投稿し、「まるで観光旅行」と大炎上。女性局長を辞任した。それでもGWには1日まで前半6日間は豪州へ、4日まで後半3日間は韓国へと旅立っていた。
仏研修では次女を同行、現地大使館員に世話をさせたことも批判を浴びた。今回も家族同伴の半ば観光旅行だったら問題だ。「エッフェル姉さん」は何しに海外へ? 松川事務所に聞いた。
「豪州渡航は豪州政府の招聘プログラムへの参加であり、旅費は豪側負担。プログラム詳細も豪州政府側のアレンジによるものです。サイバーセキュリティやエネルギー、安全保障における日豪協力につき、閣僚を含む政府関係者や有識者とのハイレベルな意見交換ができ、大変有益だったと考えています」
韓国渡航は──。
「世宗研究所主催の『日韓戦略フォーラム』にパネリストとして参加招待を受け、旅費は世宗研究所の負担と承知しています。総選挙後の政治状況を把握し、厳しい安保環境下にある地域情勢の中、あるべき日韓関係、日米韓をはじめとする地域連携などについて有意義な意見交換ができました」
豪州、韓国とも家族・親族の同行は「ない」と答えた。松川氏は元外務官僚。夫で外務官僚の新居雄介氏は先月17日付で、駐イスラエル大使に任命されたばかり。エッフェル騒動に懲りたのか、GW中に自身のSNSには一枚も外遊中の写真を投稿することはなかった。
●外交儀礼そっちのけ 再びの「トランプ氏詣で」に見る利害と打算、両者の思惑とは? 5/8
自民党の麻生太郎副総裁は4月23日午後(日本時間24日午前)、米ニューヨーク中心部のトランプタワーでトランプ前米大統領と会談した。トランプ氏は麻生氏を出迎えると、「彼(麻生氏)は素晴らしい人物だ。私たちは現在の日本と米国、そして他の様々なことを話し合う」と語った。
11月の米大統領選に向け、「トランプ陣営には今回の会談を政治的に利用する意図があった」と複数の日米の外交経験者は指摘する。
会談が、岸田文雄首相の「国賓待遇」での訪米からわずか2週間ほど後に行われたからだ。トランプ氏は同日、外国為替相場でおよそ34年ぶりに円安ドル高水準になっていることについて、「アメリカにとって大惨事だ」とSNSに投稿していた。4月10日の日米首脳会談では為替の問題で目立った合意はなかった。
日本の外務省元幹部はトランプ氏の思惑について「首脳会談直後のタイミングといい、為替の問題といい、バイデン(大統領)との差別化を狙ったのは間違いない」と語る。トランプ氏は麻生氏を出迎える様子も一部メディアに公開した。
「麻生氏にも利益があった」と別の外務省元幹部は語る。
麻生氏を巡っては一時期、派閥解消などの問題で岸田首相との間ですきま風が吹いていると伝えられたが、最近は関係も修復されているようだ。麻生氏が周囲に、「ポスト岸田」含みで、上川陽子外相の名前に触れる機会も減っているという。
自民党内では、4月28日に行われた衆院3補選で自民党「全敗」の結果を受けても、倒閣の動きは起きないという見方が大勢になっている。自民党に対する支持率がどん底の今、「火中の栗」を拾うのは得策ではないというわけだ。
麻生氏はこうした状況を見極め、トランプ氏との会談を通じ、政権ナンバーツーとして存在感を示したい思惑があったようだ。
麻生氏は2022年11月、日韓関係の改善が始まらないなかで訪韓し、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と会談した。日本に戻った後、麻生氏は岸田首相らに「尹氏は良い奴だった」と説いて回った。これが契機となり、岸田首相は日韓関係改善にかじを切る決意を固め、翌年3月の尹大統領の訪日と関係改善につながったという。
麻生氏にしてみれば、「トランプと直接会えるのは俺だけ」という状況を作りたかったのだろう。林芳正官房長官は麻生氏とトランプ氏の会談を「一議員としての行動」としたが、元外務省幹部の一人は「政府と麻生氏の出来レースだろう。トランプとパイプができることは、岸田政権にとって悪い話ではない」と話す。
ただ、現職のバイデン大統領も11月の大統領選に出馬する。いくら一議員とはいえ、首相まで務めた麻生氏とバイデン氏の対抗馬であるトランプ氏の会談は、外交的にみてお行儀のよい行動とは言えない。実際、バイデン政権内では、今回の会談について不快感を示す声が上がっているという。
もちろん、麻生氏ら日本側にも言い分はある。安倍晋三元首相は2016年11月、米大統領選に勝利したばかりのトランプ氏と面会した。外務省は当時、「外交儀礼上問題がある」として反対したが、振り切った安倍氏の判断のおかげで、トランプ氏と親しい個人関係を築くことができた、というものだ。
元外務省幹部の一人はこう語る。「日米思いやり予算の大幅な増額や日本の輸出自動車への高額な関税などを避けられたのは、安倍氏とトランプ氏の個人的な関係があったからだろう」と語る。別の元幹部は「トランプ氏に影響力があって、必ず日本側の考えを伝えられる側近がいれば、無理をする必要はないかもしれない。そういう人物が見当たらない以上、トランプ氏との関係を作っておくことは重要だ」とも語る。
それでもやはり、現職のバイデン大統領を差し置いて、大統領選を争うトランプ氏に接近することは外交的に好ましくないだろう。
最近、「トランプ詣で」をした、ハンガリーのオルバン首相やポーランドのドゥダ大統領、英国のキャメロン外相らをみても、その印象はぬぐえない。
オルバン首相は、露骨にロシアに接近して、ウクライナを支援する欧州連合(EU)の結束をかき乱す問題児だ。ドゥダ大統領は地政学的なロシアの脅威にさらされ、ウクライナ支援を積極的に行ってはいるものの、反LGBT(性的マイノリティー)発言でも知られる。キャメロン氏といえば、首相時代の2016年、ブレグジット(英国のEU離脱)を止められないなど、英国の政治的混乱を引き起こした人物という評価が定着している。
日本外務省の元幹部の一人は「元首相なのに外相を引き受けた。要請する方も問題だが、受けたキャメロン氏もどうかと思う」と話す。別の元幹部は「トランプ氏と麻生氏は、お互いにヒール(悪役)だから、すわりがいいのかもしれない」と冗談交じりに指摘する。
一部とはいえ、外交儀礼を混乱させるトランプ氏は、それだけ国際政治にとって脅威ということなのかもしれない。ただ、米国務省の元幹部は「トランプには本物の友達はいない。利用価値がなければ会わないし、自分を気持ちよくさせてくれる人だけと会う」と語る。
安倍元首相の側近たちは、安倍氏がトランプ氏と親しい関係を築けた秘訣として、「公式の場では面と向かって、トランプ氏の言うことを否定しない」やり方を挙げていた。
普通の人間関係にあてはめて考えてみても、麻生氏とトランプ氏の会談は、「親しい友達の再会」といったものでも何でもなく、「利害と打算に満ちた政治ショー」だと言えるだろう。
●税金下げろ、政権交代へ!増税地獄、鬼の岸田に国民がNOを突き付けた…減税候補の得票総数は53%の真実が明らかになった 5/8
4月28日に行われた衆議院補欠選挙で立憲民主党の酒井菜摘氏が初当選した。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「投票結果を読み解くと、自民党支持層の重大な意識の変化が見えてきました」という――。
東京15区衆院補選は立憲・共産党の勝利に見えたが…
東京15区の選挙結果と選挙公報を比べると面白いことが分かる。東京15区を制した立憲民主党の酒井菜摘氏の得票数は49476票で約29%であった。そのため、メディアでは立憲民主党(+共産党)が勝利したと喧伝されている。もちろん、東京15区の補欠選挙が政治とカネに関する不祥事に起因する選挙であり、その分野で舌鋒鋭く与党を批判してきた同党候補者が最多得票することは不思議なことではなかった。
そして、特に候補者が乱立する中で、立憲・共産の両組織力は酒井氏が無党派層に訴求するための土台となった面も大きいと言えるだろう。したがって、候補者が乱立する中で、組織力に勝る酒井氏が勝利したことには何ら驚きはない。
「消費税減税」を打ち出した候補者たちの強さ…自民党支持層も消費減税を願っていた
しかし、選挙公約である「選挙公報」を比較してみると、この選挙の違った側面がもう一つ見えてくる。それは「消費税減税」に対する分厚い支持層の存在だ。特に投票率が40.7%と極めて低水準に留まったにも関わらず、「消費税減税」を掲げた落下傘候補者や強い地盤を持たない候補者が自民党支持層や無党派層を吸収して絶大な得票を得ることに成功したことは興味深い。
選挙公報に消費税減税を掲げた候補者は、須藤元気、金澤結衣、飯山陽、吉川里奈の4名である。この4名の合計得票数は91,033票、全体の53%を占めている。つまり、消費税減税の賛否のみを選挙争点とした場合、消費税減税を掲げる候補者は勝利していることになる。
そして、更に重要なことは「自民党支持層」の大半が「消費税減税」を掲げた、これらの候補者に投票したという事実である。NHK世論調査によると、自民党支持層の投票先は主に須藤元気氏、金澤結衣氏、飯山陽氏の三名に投票しており、そのいずれもが消費税減税を選挙公報に明記している。つまり、自民党・公明党が散々に主張してきた消費税増税による「全世代型社会保障」など、自民党自体が無くなってしまえば、その支持層にとってはどうでも良いものであることが明らかになったと言えよう。
「増税メガネ」に大打撃…自民党支持層は増税を求めていないのに、金融資産からの社会保険料取り立てを企む岸田首相
これは「増税メガネ」と揶揄された岸田首相にとっては、ボディブローのように刺さる事実だ。つまり、自民党支持層は「政党公認候補者に対する支持」という枠組みを一度外れてしまえば、その大半は「減税政策を求めている」ということを意味するからだ。
現在、岸田政権は子ども子育て支援のような事実上の増税を断行し、なおかつ金融資産に対する社会保険料取り立てを企図しており、その増税姿勢には国民からの批判の声が極めて強い。今回、東京15区の選挙では自民党支持層が実は「消費税減税を掲げた候補者を支持していた」ことが世間に正しく理解されるようになると、岸田政権の土台は更に揺らぐことになるだろう。彼らは1回限りの定額減税などでは全く満足しておらず、より強力な景気浮揚策・家計救済策としての消費税減税を支持しているのだ。
●【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏 5/8
自民党の支持率が低迷するなか、岸田文雄・首相が目論んでいたとされる「6月解散」に黄信号が灯ったように見える。ところが、崖っぷちのはずの岸田首相は“伝家の宝刀”を抜くため、密かに準備を進めていた。その証拠となる内部報告書を入手した。
「岸田おろし」が起きないワケ
大型連休明けの国会は会期終盤を迎えるが、自民党議員の間に「奇妙な安堵感」が広がっている。
「いま自民党は非常に厳しい状況だ。(総選挙になれば)政権交代が起こってもおかしくない」
岸田首相側近の木原誠二・自民党幹事長代理がそう語るなど、「補選全敗で岸田さんも解散・総選挙は打てないはずだ」(閣僚経験者)との見方が広がっているからだ。
自民党内では予想されていた「岸田おろし」の動きも起きない。
「岸田総理がいち早く派閥の解散を決め、裏金議員を大量処分したことで党内に不満があっても反岸田勢力は身動きが取れない。官邸は補選後に党内情勢が不穏になると予測していたから、危機管理として事前に手を打っていたわけです。総理のリスク管理が機能している」(岸田側近)
さらに岸田首相は会期末の6月、派閥解散で派閥からの「氷代」がもらえない議員たちにカネを大盤振る舞いする。自民党本部は例年7月末に支給していた各議員(党支部)への活動費を400万円から500万円に増額し、6月に前倒しして配ることを決めた。「資金」の根元を押さえられ、特に若手議員は岸田首相にますます弓を引けなくなった。
その岸田首相は、解散・総選挙も自民党総裁選での再選も全く諦めていなかった。
衆院補選では「保守王国」の島根1区で岸田首相が2回も応援に入ったにもかかわらず大敗し、首相の“解散断念”につながったとされているが、官邸では補選直後に敗因を分析し、全く違う結論を出したという。
「最大の敗因は自民党のサボタージュだ。島根で勝てば総理が解散・総選挙に踏み切ると心配した自民党議員や公明党が、“負けたほうがいい”と考えて選挙に身を入れなかった。そのため組織票が動かなかった。衆院の補選は3選挙区ともに投票率が過去最低だったが、総理は、解散・総選挙を打っても組織票さえ動けば戦えると考えている」(前出・岸田側近)
岸田首相には、自民党の組織票を動かす「奥の手」がある。それを発動していた。
本誌・週刊ポストはそれを示す自民党の内部資料を入手した。
「前年度を上回る」を連発
自民党組織運動本部団体総局が3月に作成した〈令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】〉と題するA4判31ページの文書だ。
全国1000社以上が加盟する団体の事務局幹部が語る。
「自民党は300以上の業界団体を建設、農林水産、厚生、宗教関係など15分野に分類し、分野別に都内のホテルで総理や幹事長らが出席する『各種団体協議会懇談会』という陳情会を開いている。そこで各団体の代表が予算や補助金、税制特別措置の要望書を手渡し、予算概算要求の前や年末の税制改正の前には役所や議員会館に陳情攻勢をかけるわけです。
そして自民党議員たちは新年度の前に、各団体に『あなたがたの要求をこれだけ実現した』と成果をアピールする。資料はそのためのものです。われわれ団体側は見返りに献金やパーティー券を引き受け、選挙になれば名簿を提供し、総理など党幹部の遊説には各団体から応援の人出を動員し、人も票もカネも出すわけです」
文書は自民党の「票とカネ」を根幹で支える業界へのバラ撒きを示すものだ。
内容を個別に見ていくと、日本医師会などは診療報酬引き上げ、建設コンサルタンツ協会は公共事業費の確保など、各団体が予算や補助金の増額、業界への税制優遇を求める要求のオンパレードで、ほぼ“満額回答”だ。
「資料を見れば、岸田首相が今年を“総選挙イヤー”にする見通しを持っていたことがよくわかる。資料の中の『自民党の回答』欄には『前年度を上回る』という文言が連発され、今年は特に幅広い業界に例年以上の補助金を計上、税制優遇の措置が取られている」(同前)
古くからの自民党支持団体として知られる日本行政書士会連合会は、「マイナンバーカード交付事務費補助金の確保」を要望し、自治体に約743億円の補助金が出た。なぜ行政書士会がマイナ普及を求めるかというと、自治体は地元の行政書士会にマイナカードの申請サポートや代理交付の業務委託を行なっており、行政書士には申請1件2000円、代理交付の受け取りも1件2000円が入る。その予算は国が自治体に出す補助金で賄われており、行政書士のビジネスに直結するのだ。
政策の意外な舞台裏も見えてくる。
この4月から、サラリーマンが社外の人と飲食した時に損金不算入(非課税)となる交際費が従来の1人当たり5000円以下から「1万円以下」へと2018年ぶりに引き上げられた。喜んだ“社用族”も多いだろう。政府は「物価上昇のため」と説明しているが、文書からは、サラリーマンのためではなく、自民党の支持団体である全国商工会連合会などが売り上げを増やそうと強く働きかけたことで実現したことがわかる。
庶民には無縁なものも目立つ。経団連や日本暗号資産ビジネス協会は、企業が保有する「暗号資産」の税制見直し(優遇)を求めて実現した。
経済ジャーナリストの荻原博子氏が指摘する。
「本来、政治は国民の生活を豊かにするものでしょう。しかし、この資料からは、自民党は国民に負担増を押しつけているのに、パーティー券を買ってくれたり、選挙を手伝ってくれる業界や団体には補助金や税の優遇で細かくサービスしていることがわかる。国民から召し上げたカネを業界にせっせと配っているのが自民党政治の実態なんです」
解散前の人事で勝負
これらの団体はどれだけの集票力を持つのか。
有力な団体は、自民党の参院の比例代表に「組織内候補」を擁立し、議員を送り込む。組織内候補の得票数(2022年参院選)を見ると、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護連盟など医療系団体は約69万票、全国郵便局長会は約41万票、農政連など農協系は約18万票と巨大だ。
自民党が何度も政治とカネの不祥事を起こし、国民の怒りを買っても政権を維持できるのは、補助金(カネ)と票のギブ・アンド・テイクで結びついたこれらの団体の「組織票」があるからだ。
岸田首相は業界団体へのバラ撒きを進めることで、「組織票」を頼みに解散・総選挙に踏み込もうとしている。
4月末の補選全敗を受けて、岸田首相側近の木原誠二・自民党幹事長代理は「いま自民党は非常に厳しい状況だ。(総選挙になれば)政権交代が起こってもおかしくない」と語ったが、その真意は別にある。
「自民党が政権を失うと業界団体は困る。木原さんは総理の意を汲んで、業界団体の危機感を煽ることで総選挙で組織票をフル動員させようとしている」(岸田側近)
官邸では国会閉会後に内閣改造と自民党役員人事を行なって人事一新し、「総選挙シフト」を敷くプランが練られている。官邸スタッフが言う。
「岸田首相が警戒しているのは大臣たちの解散への抵抗だ。閣僚で解散に強硬に反対しそうな大臣を全員交代させておく必要があると考えている」
党役員人事では、これまで主流3派として政権を支えてきた麻生太郎・副総裁、茂木敏充・幹事長の交代が既定路線だ。自民党閣僚経験者はこう見る。
「総理は就任時に党役員の任期を最長3年に制限した。麻生さんも茂木さんも任期3年目の半ばを過ぎたから、役員改選となれば自動的に退任でしょう。後任の幹事長は選対委員長を経験した森山裕・総務会長を起用するんじゃないか。他に選挙を仕切れる人物はいない。
内閣改造も大幅になる。新大臣は安倍派や二階派を一掃し、ポスト岸田に名前が挙がる石破茂、河野太郎、小泉進次郎の小石河トリオ、上川陽子・外相や高市早苗・経済安保相も全員入閣・留任させる。
麻生さんの後任の副総裁には、反主流派の菅義偉・前総理に打診する可能性もある」
総裁選で動けないようにライバルを閣内と党役員に封じ込めておく構想だ。そのうえで、「組織票」に選挙の号令をかける。
政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。
「解散を諦めたと思われている岸田首相が抜き打ちで解散に動けば、自民党内は阿鼻叫喚になるでしょう。しかし、総理大臣がひとたび伝家の宝刀(解散権)を抜くと腹を固めれば、自民党にも野党にも総理を引きずり下ろす手段はない」
だが、そんなやり方で有権者の批判をかわし、業界頼みで選挙を乗り切れると思っているなら、岸田首相はいまや完全に「裸の王様」である。
●伊藤環境相が水俣病患者に直接謝罪 マイク切った問題「深く反省」 5/8
水俣病の患者・被害者らが1日に伊藤信太郎環境相と懇談した際、環境省職員が被害者側のマイクの音を発言中に切った問題で、伊藤環境相は8日午後、熊本県水俣市で患者団体の関係者と面会し、直接謝罪した。伊藤環境相は「心からおわび申し上げたい。今日はその謝罪に参った。今回のことを深く反省し、環境省全体として皆さまのお気持ちに沿えるよう環境行政を進めていくことを約束する」と述べ、深々と頭を下げた。
懇談は、水俣病公式確認から68年となった1日、慰霊式の後に水俣市内で開かれた。八つの団体の代表がそれぞれ3分間の持ち時間で国への要望を述べていた中、持ち時間を超過した団体の発言中に、司会役の職員がマイクの音を切った。
環境省特殊疾病対策室によると、持ち時間を超えた場合にマイク音を切るという方針を事前に決めていたという。
伊藤環境相は8日昼、東京都内で報道陣の取材に「マイクを切ったことは大変遺憾であり、申し訳ない。深くおわび申し上げる」と述べ、その後、水俣市を訪れた。
熊本県の木村敬知事は伊藤環境相の水俣訪問に先立ち、コメントを発表。「このような事態になったことは大変残念。(懇談が)実りある場となるよう、環境省において運営の改善をお願いしたい」とする一方で、「国会審議のさなか、環境相が水俣市にお越しになり、直接謝罪されるとうかがっており、大臣が水俣病問題に真摯に向き合っておられることの表れであると受け止めている」とした。
●伊藤環境大臣 涙流し「深くおわび」水俣病患者らのマイクオフ問題 5/8
水俣病被害者らとの懇談で、環境省が被害者側のマイクのスイッチを切った問題で、伊藤環境大臣は8日正午から会見し「深くおわびする」と涙を流しました。
伊藤環境大臣「大変申し訳ない思いでございます。深くおわび申し上げたいと思います。環境省の大臣として(水俣病が省の原点という)このことをいかに大切に思っているかということをお伝えしたいと思います」
1日に熊本県水俣市で開かれた懇親会で、複数の被害者らが苦しみなどを大臣らに訴えている途中、環境省は3分の持ち時間を過ぎたとしてマイクのスイッチを切るなどしました。
伊藤環境大臣は、この対応について「大変遺憾だ」と述べ、8日夕方に水俣市を訪ねて被害者らに謝罪すると明らかにしました。
また、事務次官や担当の部長を「厳重注意」にしたということです。
●環境省が水俣病被害者団体に謝罪へ 姑息にマイク音切り「聞くフリ」が岸田政権のやり方 5/8
伊藤信太郎環境相(71)が熊本県水俣市で水俣病の被害者団体と懇談した際、同席した環境省職員が団体側のマイクの音を切って発言を遮った問題。環境省は7日、発言の持ち時間3分を経過したため、発言者2人のマイクの音を切ったことを認め、伊藤大臣や水俣病対策を担当する環境省職員らが8日午後に同市を訪れ、被害者側に謝罪する。
「最後まで聞いてほしい」――。問題が起きたのは水俣病の公式確認から68年を迎えた1日。水俣病の犠牲者を追悼する慰霊式の後に行われた、伊藤大臣と患者や被害者でつくる8団体の代表との懇談だった。団体側がコメントを述べていたところ、環境省職員が話の途中にもかかわらずマイクの音を切ったり、マイクを回収したりしたのだ。
この懇談は毎年行われていて、環境省によると、一定時間を超過すればマイクを切る運用だったという。林芳正官房長官(63)は7日の会見で「不快な気持ちにさせてしまったことは適切な対応ではない」とコメント。同省も「(今後は)円滑な運営を検討する」などと説明しているが、そもそも、伊藤大臣や環境省側が、この懇談がなぜ毎年開かれているのかという意味を理解していたのかどうか疑問だ。
行政の取組の在り方やその責任を含め、水俣病問題が持つ社会的・歴史的意味について総括する必要がある
「水俣病は我が国の公害問題ひいては環境問題の原点であり、また、日本の戦後社会史の中でも極めて重要な問題である」「水俣病関西訴訟最高裁判決も踏まえ、本問題に対するこれまでの行政の取組の在り方やその責任を含め、水俣病問題が持つ社会的・歴史的意味について総括する必要がある」「未だ現在進行形の問題である水俣病問題への対応にとって重要であることはもとより、行政としての過去の反省を含めた水俣病の経験と教訓を後世に引き継ぎ、国内そして世界に発信していく上で大きな意義があることと考える」
環境省は2005年4月から「水俣病問題に係る懇談会」を開催。その意味と目的、趣旨についてこう説明していた。そして翌年9月に同懇談会まとめた提言では『国民のいのちを守る視点を行政施策の中で優先事項とすることを行政官に義務づける新しい「行政倫理」を作り、その遵守を、各種関係法規の中で明らかにすること』『とくに苦しむ被害者や社会的弱者のいる事案に関しては、行政官は「行政倫理」の実践として、「乾いた3人称の視点」ではなく、「潤いのある2.5人称の視点」をもって対処すべきことを、研修等において身につけさせること』などとある。
戦後史に残る公害、環境問題が起きた反省から、行政や行政官が地域住民の意見をよく聞くことが何よりも重要——と総括されているわけで、それなのに環境省職員は「聞くフリ」をして「時間だから」と自分たちの都合を優先させたわけだ。
「聞くフリ」といえば岸田文雄首相(66)も同じだ。2021年の自民党総裁選に立候補した際、「自民党に声が届いていないと国民が感じ、政治の根幹である信頼が崩れている」と言い、特技について「人の話をよく聞くということ」などと語っていたが、今では「聞き流す力は天下一品」などと揶揄する声ばかりだ。
《親分が親分なら子分も子分》《今の政権の実態を表しているな》
今回の問題で、SNS上でこんな声が出るのも当然だろう。
●GW明け、目まぐるしい「政局」の幕開けか まずは都知事選…そして自民党総裁選、各党の態度や戦略には「変化」も 5/8
大型連休が明けて、政局があわただしく動き始める。岸田文雄首相(自民党総裁)の再選が焦点の自民党総裁選を9月に控え、まず注目すべきは、7月の東京都知事選だ。
「政治とカネ」の問題で、国民世論は岸田政権に強く反発している。首都・東京で存在感を発揮してきた小池百合子都知事の「3選」は、政局のポイントになりそうだ。
だが、「日本初の女性首相」が悲願で、「救世主」のような国政復帰を念頭に動いてきたとされる小池氏は、厳しい局面だ。
岸田政権への国民の審判≠ニなった衆院補選(4月28日投開票)では、東京15区で作家の乙武洋匡氏を推したものの、9人中5位に沈んだ。
小池氏は、4月10日発売の文藝春秋で「学歴詐称疑惑」が再燃して大逆風となった。ただ敗北には、さまざまな要因が絡んでいる。まずは候補者の知名度を頼りにする空中戦≠ノ傾き、十分な戦略がなかったことだろう。
組織力の面で、頼りは強力な地上戦≠展開する公明党だった。だが、その中核たる支持母体「創価学会」の女性部が、乙武氏の過去の女性スキャンダルを嫌った。
衆院補選前哨戦の目黒区長選(4月21日投開票)では小池氏の支持した候補が敗北した。危機感を持った小池氏は公明党にテコ入れを要請したが効果は薄かったようだ。
もっとも小池氏だけが読み違えたわけではない。2年前の参院選に続き「小池氏と組む」という戦略ミスを犯した国民民主党は、衆院東京15区補選でいち早く独自候補を擁立しながら、すぐに出馬を取り消し、騒動に発展した。
各党の態度や戦略には、変化もうかがえる。
公明党は、自民党が衆院補選で唯一、公認候補を擁立した島根1区でも、十分に動かなかった。自民党全敗≠燉\想された危機なのに、公明党の山口那津男代表は、応援に入らなかった。
公明党は、創価学会の組織高齢化などの変革期にあり、選挙戦略や他党への距離感を変化させつつある。それが垣間見られたのが、昨年10月の衆院長崎4区補選だ。
自民党公認の金子容三氏に対し、公明党が推薦を出したのは告示日前日だった。金子氏と、父で農水相や県知事などを務めた原二郎氏は、その直前、福岡市の創価学会重鎮を訪ね、深々と頭を下げたという。これを受け、公明党はようやく「動いた」のだ。
金子氏は約7000票差で勝利。推薦の見返りは、次期衆院選で、公明党側に1万票の比例票を回すことだという。
今後、公明党の「言い値」はよりシビアになるのか。次期衆院選で自民党は議席を激減させ、「自公での政権維持が困難」との予想から、日本維新の会の連立入りも噂される。だが、大阪府や兵庫県で日本維新の会は公明党に対立候補を立てている。
各党のパワーバランスは、目まぐるしく動きそうだ。
●立民・亀井氏、ロシア侵攻はNATOのせいだと開き直り? 5/8
ウクライナ戦争についての過去の投稿で批判を浴びていた立憲民主党の亀井亜紀子衆議院議員がその真意を披露しました。
亀井氏は「ロシアの肩を持つ意味」は無かったと釈明したものの、ウクライナ戦争が北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大によって引き起こされたことは「間違いない」と断言しました。
また、亀井氏はロシアと西側がお互いの意図を「見誤った」結果、戦争が勃発したとの持論を展開しています。
NATO拡大がウクライナ戦争に直結したという見解は人工学者のトッド氏だけではなく、著名な国際政治学者であるミアシャイマー氏も共有しています。
実際、ロシアはNATOの存在を脅威として認識していたのかもしれませんが、その脅威は果たして実態があったのでしょうか?
NATO悪玉論を主張する識者は東欧諸国が自国の意思によって次々と加盟した事実を見落としがちです。
冷戦中の東欧諸国はソ連の圧政に苦しんでいた歴史があり、NATOに加盟することで再び隷属状態に陥ることを回避できるという期待が持たれていました。
NATO拡大を批判する亀井氏は小国が大国の意向を忖度する国際秩序が理想だと考えているのでしょうか?
亀井氏は西側が外交努力を怠っていたと示唆していますが、ロシアがウクライナを侵攻した当日には米露外相会談が予定されており、その後には首脳会談も計画されていました。
しかし、ロシアが侵攻を決意したという情報を米国が入手したため、会談は中止となりました。
米国が緊張緩和を模索している間にロシアは着々と軍事侵攻の準備を進めていました。外交を軽視したのは、西側ではなく、ロシアではないでしょうか?
亀井氏の過去の投稿をきっかけに、ウクライナ戦争の起源、そして教訓を再考するべきではないでしょうか?
●放言・抗議・刑事告発…立憲民主党を悩ます「危ないアキレス腱」3人の大失態 5/8
衆院3補選で全勝し、「次期総選挙では政権交代だ」と勢いづく立憲民主党だが、頭を悩ます問題を抱えている。
まず、島根6区補選で当選した亀井亜紀子氏の「ウクライナ戦争はロシア対NATO(北大西洋条約機構)の代理戦争」と持論を述べた、過去のX投稿。次に自身のYouTubeチャンネルに出演したコメンテーターが、在日ウクライナ人を「CIA(米中央情報局)のスパイ」と発言した問題で、このウクライナ人から謝罪を求められている原口一博衆院議員(佐賀1区)。そして選挙区内で日本酒を配っていたとして刑事告発された、梅谷守衆院議員(新潟6区)である。
亀井氏の投稿は2022年8月2日のものだが、今回の当選を受けてセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使が反応し、「選挙で選ばれた公職者として、亀井さんには意見を述べる権利がある」としつつ「彼女の意見が間違っていて、自分の党の公式見解とさえ矛盾しているのは残念だ」と不快感を表明した。
亀井氏はXに「まず侵略した方に否があるのでロシアの肩を持つ意図はありません。戦争とは外交の失敗であり、終わらせる方が難しい。ウクライナに平和が訪れる日を願っています」と投稿したが、「侵略した方に否がある」と「戦争とは外交の失敗」は両立しておらず、意味不明だとの批判が出ている。
原口氏のYouTubeで「CIAのスパイ」と名指しされたのは、ナザレンコ・アンドリー氏。原口氏の動画ではナザレンコ氏に関する部分が削除されたが、同氏はXで発言者が同党議員の政策担当秘書を務めていた人物と特定。発言に対しての原口氏の対応を「根拠を求めることも、相手を止めることもなく、『ああそうなんですね』と肯定的に受け答えする部分もありました」と記し、立憲民主党に原口氏への謝罪の指示や指導を求める公開状を出した。
梅谷氏は選挙区内で2023年7月以降、日本酒などを配っていたとして公職選挙法違反の疑いで刑事告発され、新潟県警と新潟地検が受理した。梅谷氏が説明する機会は一度も設けられていない。
いずれも小選挙区で当選した3人であり、立憲民主党としては大事にしたいところ。だが自民党には説明責任を強く求めてきただけに、「ブーメラン」のように跳ね返ってきているのが悩ましい。 
●鬼の岸田含め31人、渡航費用12.6億の最終攻撃…「世間ズレ」腐敗の根本を断てない政治、弁護士の指摘「ふざけるのは大概にせい」 5/8
歴史的な円安・物価高に苦しむ庶民を尻目に、ゴールデンウイーク(GW)期間中の岸田文雄首相含め31人が外遊ラッシュが今年も繰り返される。岸田首相は5月1日から6日までの日程で、フランス、パラグアイ、ブラジルを訪問した。日刊ゲンダイは4月30日配信の記事で「今年の外遊も例年の規模感と同じなら、単純計算では12.6億円の出費」と分析している。国民の政府に対する不信感は強まる一方だ。元プレジデント編集長で作家の小倉健一氏がなぜ政治が信用されないのか、弁護士に取材した――。
自民党のなんちゃら裏金対策にNOをつきつけた衆院補選
「後出しで『実は政治資金でした』と申告しても、何のお咎めもなしでは世間の感覚とのギャップが大きすぎます」
こう述べるのは東京都大田区蒲田の商店街に事務所を置く弁護士の野澤隆氏だ。野澤隆弁護士は、このフレーズに関連して今回の裏金問題を次のとおり解説する。
「民主主義には、選挙での当選や議会での多数派工作が大前提です。そのため有権者に対するアピールや党内政治を勝ち抜くための軍資金がどうしても必要となりますが、今回の3つの衆院補選の結果をみる限り、昔の感覚では通用しないようです。多くの有権者が資金の透明性を求めており、制度を改善する必要があります。今になって振り返れば、数千万円単位の裏金でも100万円程度の罰金、数百万円単位の裏金では党内の戒告レベルの処分といった対応で乗り切ろうとした自民党の目論見が世間ずれしていたのは明らかです。衆議院の任期満了まで、まだ時間がありますので、世論の怒りが沈下したり、総理・総裁の『首のすげ替え』などによってこのピンチを脱する可能性は十分あります。『政治とお金の問題は、民主主義のアキレス腱』。世間で裏金問題が大々的に取り上げられた昨年冬頃、かつて大学の政治学・政党論の授業で聞いたこのフレーズを久しぶりに思い出しました」
あまりにも世間とのギャップがひろがりすぎた
論戦が続く制度改正について野澤隆弁護士にさらに尋ねると、次のとおり分析した。
「政治資金として計上していなかった分については、本来、『雑所得』などの形で所得税を納めるべきものです。後出しで『実は政治資金でした!』などと申告しても、何のお咎めもなしでは世間の感覚とのギャップが大きすぎます。後出しできる分は過去3年分程度までとするぐらいの制度改正はすぐに導入すべきです。また、政治資金という名目だけで1円も所得税を払う必要がない、死亡後の相続税も取れないでは(政党ではなく政治家個人の後援会が頼みの綱の日本では)政治家の家業化・世襲化を防止することが困難です。政治資金としてプールできる金額に上限を設けたり、不動産や株の取り引きなどで行われている一律20パーセント程度の税を課すといった制度導入も検討すべきです」
そもそも日本の国会議員は世界3位の高給取り
NHKニュース(2月8日)によれば<東京地検特捜部の捜査で、自民党の安倍派、二階派、岸田派が、おととしまでの5年間で合わせて9億7000万円余りのパーティー収入を政治資金収支報告書に記載していなかったことが明らかになりました>という。
日本の国会議員の報酬は、世界議員報酬ランキング(東洋経済オンライン「日本3位「国会議員の報酬」世界30カ国ランキング」2022年1月17日)で、世界第3位の高級取りだ。世界で3番目にお金をもらっておきながら、さらに裏金をつくっているというのは、呆れるほかない。
一体、何にお金を使っているのだろうか。月刊文藝春秋(2024年2月5日)では、萩生田光一前自民党政調会長、加藤勝信元内閣官房長官、武田良太元総務大臣がこのように説明をしている。
まず、萩生田氏。
「政治は金がかかる」のら地元にバラ撒くため
「冠婚葬祭については、これはポケットマネーで、人間関係の中でやっていることなので、それを負担だというふうにはあまり思いません。ただ、例えば、普通は講演すれば講演料を貰えますが、我々は逆にお祝い金を持っていかないといけません。一般の方からすれば理解できないところがあると思いますが……」
徹頭徹尾、政策は関係ないようだ。ただただ、選挙対策。地元にお金をばら撒くことでお金が大変になっていることが見て取れる。
次に、加藤氏。
「事務所費や人件費の負担も大きいです。私の地元は、衆院選の区割り変更に伴い、選挙区が2倍以上広がって5000キロ平米弱となりました。新たに事務所を増やしましたし、様々な行事に参加したり、有権者から政策課題を聞くのにも人手が必要です。国が給料を負担する公設秘書は3人までですから、それ以上は自腹です」
なんでパーティー券を非課税にする必要があるのか
これまた選挙運動である。政治にお金がかかるというよりも、ひたすら地元にお金をばら撒いて有権者の歓心を得ていることがわかる。民間企業で言えば広告・宣伝活動費だ。なんでそのような目的のために、パーティ券の収入を非課税にする必要があるのか。私たちは、税金で世界で3番目に高い給料を彼らに支払わされ、その金で自分たちの宣伝活動をしているのだ。
最後は、武田氏だ。
「私の選挙区は十数市町村にまたがっていて、20人近く秘書がいますが、彼らにも家庭があり、生活がある。しっかりと給料を支払わないといけません。また、当選3回くらいまでの若手議員であれば、携わる政策分野は限られますが、当選回数が増えていろんな役職を経験して、内政、外交と分野が多岐にわたってくれば、いろんな専門家の方々と会合や勉強会を重ねて、自分なりの「シンクタンク」を形成していかなければなりません。そのための費用も手当てしなくてはならない」
武田氏になって、やっと、国民にとってかろうじてメリットのありそうな、まともそうな使い方が示された。
それにしても、ふざけるのは大概にせい
それにしても、ふざけるのは大概にせいといいたい。政治にはカネがかかるというが、民間企業だってカネがかかるのだ。外国からの賓客をもてなすというが、民間企業並みの接待で十分だ。いずれにしろ、そんなわけのわからないお金は自分のお金で出すべきだ。私たちの税金で支出すべきではない。先述の野澤弁護士は、こう見解を示す。
「政治は、公務と私生活では割り切れないグレーな活動範囲が広く、このグレーな部分にいかに対処するかという問題は民主主義最大の難問です。解決策の一つは、ワークライフバランスの観点から個人競争・家族競争ではなく政党間競争を前提に公費範囲を拡大させプライベートな部分を切り離すことで、政治家を地元の冠婚葬祭・飲み会への参加や利益誘導・あっせん関連の仕事から解放し女性の政治参加を進めるヨーロッパ、特に北欧のスタイルで、新聞やテレビなどで理想モデルとしてよく紹介されていますが、政治風土が違う日本ですぐ適用するのは困難です。もう一つは、自助努力でかき集めた巨額マネーが大統領選挙などで動くことを前提に情報公開を進めるやり方、グレーな部分を少しでも透明化するアメリカ型で、今の日本ではこちらの方が現実的だと思われます。とはいえ、政治家に活動資金を提供することが『悪代官に賄賂を渡している』と疑われがちな日本では、スポンサーサイドが自己の情報ができる限り出ないことを望んでいる以上、公開対象をどうするか、公開基準をいくらにするかは熾烈な政党間駆け引きを経て決定されることになるでしょう」
腐敗が当たり前になってしまう『腐敗の罠』にはまっている
先の3人の議員たちの証言を踏まえれば、選挙区にばら撒くだけばら撒いて腐敗した現職政治家と新人候補との争いでは、圧倒的に新人候補が不利ということになる。選挙制度は、不自然なぐらいに、お金を使うことに厳しいルールづけをする一方で、選挙期間に至る過程で現職政治家が腐敗を続けることができてしまう。官僚や利害関係者を高価な飲食店で接待し、許認可や公共事業における情報の優位性を確立していくわけだ。この点について、先行研究である『政治腐敗の罠』(Marko Klasnja氏ら「Political Corruption Traps*」2016年、ケンブリッジ大学)は、このように指摘している。
「政治学者や政策立案者は、政治の制度的な腐敗には深刻なコストが伴うことを認識している。しかし、多くの国や地域は頑固にも、腐敗が当たり前になってしまう『腐敗の罠』にはまっている。ほとんどの既存の理論は、一定の官僚や政治家の間で腐敗行為への期待がお互いに強化しあっている」
自分の影響力を高めようとすることで、腐敗が増えていく
この論文が総じていっているのは、政治の腐敗は、まったく公共の利益になっていないこと。そして、公共の利益になっていないとみんなが認識しているのに、それぞれの立場が、自分の影響力を高めようとすることで、腐敗が増えていくというわけだ。これが腐敗の罠だ。「政治にはカネがかかる」という政治家の口車に乗るのは、本当に危険だ。政治に金がかかっているわけではなく、選挙、党内政局、自分自身の地位の確立にお金がかかっているだけなのだ。政治の腐敗は、腐敗者が自分のしてきたことを完全に後悔させるレベルまで追及しなくてはいけない。
まずは、腐敗した政治家を選挙で落とし、民間レベルの給料、民間レベルの刑罰、民間レベルの課税方式を政治家に課すことからはじめようではないか。

 

●「裏金づくり」再発防止へ連座制は「矛」か「盾」か…ポピュリズムが誤らせる道 5/9
朝ドラ(NHK連続テレビ小説)「虎に翼」の主人公のセリフに、2024年通常国会の終盤で焦点となっている政治資金規正法改正の議論に対するもやもやした思いが、消えていく感じを覚えた。
まだ女性が司法で活躍する場のなかった時代に法律を学び、女性初の弁護士資格の取得を目指す主人公が、身内が巻き込まれた裁判の経験を通じ、法律とは人を守る「盾」でも、社会と戦うための「矛」でもなく、法律自体が守るべき「水源」だと語るシーン(24年5月3日放送)だ。
政治資金パーティーを悪用した「裏金づくり」の再発防止のため、政治資金規正法を改正して公職選挙法並みの連座制を導入するという案が勢いを持つ様子を見ていると、いくら「矛」や「盾」を強くしたところで、「政治とカネ」の問題の抑止効果は限定的で、むしろ、副作用の方が懸念され、それこそ矛盾に陥る――そんな現代の永田町を覆うポピュリズムに起因する懸念と、このシーンで主人公が吐露した思いが、重なる気がした。
民主政治を守る政治資金規正法の「目的」と「基本理念」
ドラマでは、伊藤沙莉さん演じる主人公の猪爪寅子が、父親が巻き込まれた政財界を揺るがす贈収賄容疑事件の裁判が終わった後、松山ケンイチさん演じる判事・桂場等一郎に茶屋で語りかける。
寅子「私はずっと考え続けてきたんです。『法律とは何なのか』って。私は、法律って守るための盾や毛布のようなものと考えていて、私の仲間は戦う武器だと考えていて、でも、今回の件で、どれも違うなって……」
桂場「続けて」
寅子「法律は道具のように使うものじゃなくて、法律自体が守るものというか、例えるならば、奇麗なお水がわき出ている場所というか……」
桂場「水源のことか」
寅子「はい。私たちは奇麗なお水に変な色を混ぜられたり、汚されたりしないように守らなきゃいけない。奇麗なお水を正しい場所に導かなきゃいけない。その場合、法律改正をどう捉えるかが微妙なところではありますが、まあ、今のところは、私の中では、法律の定義はそれがしっくりくるといいますか」
桂場「なんだ。君は裁判官になりたいのか」
寅子「へ?」
桂場「君のその考え方は非常に……。そうか。ご婦人は裁判官にはなれなかったね。失礼」
寅子「はて?」
政治資金規正法が「道具」だとすれば、何にとって「盾や毛布」となり、何にとって攻めるための「武器」となるのか。
それを考えるためには、同法の「目的」と「理念」を知る必要がある。
同法第1条には「議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする」とある。
懸念は罰則という「矛」を手にする主体は誰か
その基本理念を定めた第2条には「政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない」とし、政治資金の収受は「いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に」行うよう求めている。
同法が「盾」だとすれば、どうやら守る対象は人というよりも「民主政治」で、その根幹を脅かす存在に対しては、同法違反に対する罰則が「矛」になるということらしい。
「法律=道具」論に立つならば、少なくとも20年以上前から続いていた可能性が濃厚な自民党の清和政策研究会(森派〜町村派〜細田派〜安倍派)による「裏金づくり」を前に、同法の「盾」の機能をどう考えればいいのかという疑問が浮かぶ。
清和研の「裏金づくり」が、同法の目的や基本理念から外れていることは間違いない。
とはいえ、組織的かつ継続的で悪質な「裏金づくり」の発覚は、政治不信を増幅させたという意味で民主政治の根幹にかかわる問題だと考えられるとしても、日本の民主政治の土台をむしばんでいる多くの要素の一つに過ぎない。
その意味でも、道具としての政治資金規正法は、政党や政治家にこれを守る意識が十分でない以上、民主政治にとって「盾」の役割を果たしてきたとは言い難い。
ならば、「矛」の機能を強化するしかないというのが、24年通常国会での政治資金規正法改正をめぐる議論の中核になっている。
「矛」、つまり罰則強化をめぐる各党の考え方は、自民党と野党の間のみならず、自民、公明両与党の間にも、深い溝がある。
多くの論点がある中で、健全な民主政治という観点から注目され、かつ、懸念を覚えるのが、同法違反を犯した会計責任者を「選任」し、「監督」した政治家の責任を問うハードルを下げ、しかも、公職選挙法違反と同様に失職、公民権停止を科す連座制の導入の是非だ。
懸念の理由は、罰則という「矛」を手にして、民主政治の根幹を揺るがすやからを成敗する主体とは誰かを考える時に、見えてくる。
有権者に委ねるべき「懲罰」
連座制に関して、これまで各党が出してきた案は、公職選挙法上の連座制とは少し違う。
公職選挙法の場合、選挙運動の総括主宰者、出納責任者、親族、秘書など候補者と特定の関係にある人が同法違反で有罪となった場合、候補者本人の関与がなかったとしても当選無効となり、公民権停止処分を受ける。
各党の政治資金規正法改正に関する案をみると、会計責任者の有罪が確定すれば自動的に政治家も非を問われ、失職や公民権停止になるのではなく、クッションを挟むやり方になっていくと思われる。少なくとも、現行法では会計責任者のみが罰を受ける同法違反の罰則を、会計責任者を選任し、監督する立場にある政治家にも適用しやすくするという点は一致している。
公明党や立憲民主党などの案では、政治資金収支報告書の虚偽記載などが明らかになった際、故意や重大な過失があったと認められれば、会計責任者が罪を問われるだけでなく、政治家も公民権停止となる。
自民党案では、政治資金収支報告書の内容が適正に記載されているかどうかを政治家が点検したことを示す「確認書」の作成を義務づけ、それでも虚偽記載が判明するなどした場合、政治家が会計責任者の選任や監督に十分な注意を払っていたかどうかが問われ、不十分だと認められた場合、失職や公民権停止の対象にするという方向が示されている。
罰則の抜本的強化を求める立場からは「手ぬるい」「国民に対する挑戦状」とまで非難される自民党案でも、前提条件があるとはいえ、失職や公民権停止になり得るという意味では「連座制的な要素」が盛り込まれていると言ってもいい。
最終的に与野党がどこで折り合うにせよ、「ほぼ連座制」の流れができつつあるように見える。
これについて識者の間では、「当然」とする受け止め方と、「行き過ぎ」と懸念する意見に割れる。
「当然」派は、「法律=道具」論に立っているようだ。
罰則強化が「矛」となって、政党、政治家が二度と「裏金づくり」のような問題に手を染めることがなくなるだろうという期待と、そこまで徹底しなければ有権者の政治不信は消えないという考え方からは、道具としての「矛」が弱いと抑止力にならないという発想も出てくる。
「行き過ぎ」派は、民主政治の根幹をなす選挙のルールである公職選挙法違反であればともかく、かつては「駐車違反と同じ形式犯」とさえ言われていた政治資金規正法違反のみで、選挙を通じて有権者から選ばれたという重みを顧みずに、失職、公民権停止まで求めることには慎重であるべきだと唱える。
「自分のあずかり知らぬところで、会計責任者がやった」という政治家の言い訳をどう受け止めるかも含め、そんな人物を当選させた反省に立って、有権者が次の選挙で裁きを下せばいいという考え方は、筋が通っている。
「法律=道具」論をとるとしても、現在の「矛」が弱いと言えるのかどうかについても、よく検証する必要がある。
道義的責任を問うなら現行法のままでも可能
自民党の政治刷新本部作業部会の会合であいさつする鈴木馨祐座長(中央)(4月23日、党本部で)
確かに、現行の政治資金規正法では、政治家の法的責任をしっかりと問えないかもしれない。
しかし、道義的責任を問うことは、現行法のままであっても、国会や日常の自由な言論の中で可能だ。
東京地検特捜部の捜査では罪を問われなかったものの、政治資金収支報告書の不記載を行っていた政治家に対し(多分に「とかげのしっぽ切り」的な面があるとはいえ)自民党が処分を下さざるを得なかったのは、道義的責任を問う世論の高まりがあったからだ。
離党中や党員資格停止中に次の国政選挙を迎える自民党現職は、自民党の公認を得られないから、党の支援を十分に受けられないばかりではなく、衆院選の場合、自民党の比例名簿に重複立候補者として搭載できず、小選挙区で敗れて復活当選する展開もあり得ない。
あくまでも小選挙区で示された有権者の審判に従うしかないという意味では、「懲罰投票」の効果が出やすい。
ただちに失職や公民権停止ということにならなくても、道義的責任を問うための「矛」は機能していて、政党の処分を通じて最終的には有権者の判断に委ねるということであれば、「ほぼ連座制」の罰則強化の議論にエネルギーを費やすより、政治資金の透明性を高める仕組み、例えば「ブラックボックス化している」との批判がある政策活動費の使途公開のルール作りなどに力を注いだ方がよほど建設的だ。
検察権限が強大化する懸念
3月1日の衆院の政治倫理審査会に出席した安倍派の元幹部4人
心配なのは、政治資金規正法違反に連座制を導入することに強く反対する意見を、特捜検事を経験したことのある複数の検察OBから聞かされることだ。
事情は異なっても、検察を見限って退職した「ヤメ検」たちが口をそろえるのは、「検察は世論に迎合するポピュリズムの傾向がある」ことと、「自分の見立てに沿って、捜査を曲げる傾向」があることへの警戒感だ。
そうした検察の体質が、近年の相次ぐ不祥事の底流にあることを、検察OBたちは身をもって知っていると強調する。
だから、政治資金規正法の改正をめぐり、虚偽記載などの違反を犯した会計責任者を選任し、監督した政治家が「十分に注意を払っていたかどうか」を判断する客観的な物差しがなければ、連座制の導入は事実上、より強い権限を検察に与える結果となる。検察OBは「検察が暴走を始めれば、戦前の軍部主導の政治と同じような状況に陥りかねない」とまで訴える。
注意の払い方が十分か不十分かという判断は、主観的だ。
つまり、検事の主観によって、ある政治家を立件するか、しないかが決まることになる。
そう言えば、2023年秋に火を噴いた自民党安倍派の「裏金づくり」の問題でも、100人近くいた派閥メンバーのうち、政治資金パーティーの売り上げからキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかった額(18〜23年の総額)は、数万円から数千万円までかなりの幅があった。
どれを立件し、どれを見送るかは、捜査の進み具合によるところが大きいとしても、具体的な不記載額の基準が公表されていたわけではない。それでも、「立件にふさわしい不記載額」の「相場観」がなければ、「これはセーフ」「これはアウト」と仕分けることは難しかったはずだ。
本来、政治資金規正法を厳密に適用するなら、たとえ数万円の不記載でも違反は違反なのだが、額が少なければ報告書の修正でことが足りるというのがこれまでの永田町の「常識」だった。
額が大きな場合でも、検察が立件に動くかどうかの「相場観」は、直近だと自民党の薗浦健太郎・前衆院議員が約4000万円の不記載によって議員辞職、略式起訴と進んだ事例があり、自民党安倍派の「裏金づくり」でも4000万円は一つの指標になっていたと見られる。
とはいえ、政治資金規正法違反の容疑のみで現職議員が初めて逮捕された03年の自民党の坂井隆憲衆院議員(当時)の事例では、立件の対象となった不記載額が約1億2000万円だったことを思うと、検察にとっての立件のハードルはどんどん下がっているように見える。
そこに、合理的で透明性のある説明はない。
「平成の政治改革」が教えてくれていること
30年前の「平成の政治改革」は、実現困難と言われた選挙制度改革を成し遂げるエネルギーがあった。それは、「政治とカネ」の問題に怒りを募らせた有権者の声を背景にした「政治改革ブーム」という一過性の熱狂だった。
結局、選挙制度を変えれば全てうまくいくという幻想が、改革全体を 俯瞰 しないまま象徴的で難しい選挙制度改革にばかり焦点を当て、これが達成されると残りの改革に対する熱意は冷め、中途半端でいびつな「平成の政治改革」は終わりを迎えてしまった。
その後、改革を促す熱量が上がることもなく、衆院小選挙区比例代表並立制のもたらすデメリットは、メリットよりも大きくなりつつある。
「令和の政治改革」は、30年前に比べれば冷めた部分があるとしても、久々に訪れた改革を求める熱狂が推進力となっている点では「平成の政治改革」と類似している。
しかも、次の総選挙のタイミングが近いと考える中での熱狂だから、現職議員はこぞって、世論に迎合的な姿勢になってしまう。
「政治とカネ」の問題に対し、少しでも「緩い」と思われれば、総選挙で勝ち残れない――そんな危機感の裏返しで、各党が「改革合戦」に走っている。
改革熱に浮かされることが、必ずしも良い結果ばかりをもたらすわけではないことは、「平成の政治改革」が教えてくれている。
そもそも、熱狂は一過性かもしれない。
政治資金規正法は、何度も改正を重ねてきたにもかかわらず、「政治とカネ」の問題を解消する道具にならなかったことも、動かしがたい事実だ。
それは、この法律を「水源」と考え、守ろうという意識が、ほとんどの政治家に希薄だったからだろう。
朝ドラの寅子も「法律改正をどう捉えるかが微妙」と留保をつけているように、「世論受け」のための連座制導入であるなら、それは「水源」に変な色を混ぜることに等しい。
勢いでバランスの悪い改革を進めれば、今の野党が将来、政権の座に就いた時に手かせ足かせになるという想像力も働かせた方がいい。
一度、立ち止まって考えるという態度がなければ、10年、20年、30年と長い間にわたって前向きの意味を持つ改革を成し遂げることは、難しい。
●「政治とカネ」の抜け穴をふさげそうにない自民案 温存?禁止?政治家の特権「政策活動費」どうする 5/9
自民党派閥の裏金事件を巡り、政党から政治家個人に支出され、使途を公開する必要がない「政策活動費」の公開案がにわかに浮上している。30年前の政治改革で生まれ、表に出せない金を差配する党幹部の力の源泉になってきた資金。「政治とカネ」問題のたびに批判されながら、存続してきた合法的な抜け穴は、これでなくなるのか。
使途の公開なし「一般企業では考えられない」
「信頼を回復するために、公開は当然でしょう」。8日午後、JR新橋駅前で、団体職員の男性(78)に政策活動費の公開について尋ねると、こう語った。「国会議員たちは『国民は時間がたてば忘れる』と思っているかもしれないが、かなりの不信感を持った。もう『いただきます』は許せない。改革はどんどん進めるべきだ」
「政策活動費は大物議員の特権のようで不平等だと感じていた」と話すのは横浜市から訪れていた主婦(59)。10年前まで会社勤めしており、「使い方が分からないお金なんて、一般企業では考えられない。公開で少しでも透明化につながってほしい」と注文を付けた。
二階氏は幹事長在任中に47億円を受領
政策活動費は、政党から議員個人に支出される政治資金。政治資金規正法では、議員個人に対する金銭などの寄付は原則として禁止されているが、政党から議員個人への寄付は例外的に認められている。政党の政治資金収支報告書には支出先の議員名や金額が記載されるが、受け取った議員側には記載義務がない。
自民党は例年、他党を圧倒する政策活動費を幹事長など党幹部に支出してきた。二階俊博元幹事長は5年余りの幹事長在任中に約47億8000万円を受領。2022年も党役員15人が計約14億円を受け取り、茂木敏充幹事長が最も多い9億7150万円だった。
公明案では議員側が使途の明細書を作成
裏金事件を受け、野党は政策活動費を「巨額の合法的な裏金」として、廃止や使途公開を要求。与党は週内の合意を目指して実務者協議中だ。共同通信などによると、自民は項目ごとに金額を公表する案を検討。公明は議員側が使途の明細書を作って提出する案を主張している。
新橋駅前のベンチに腰かけていた会社員男性(50)は「項目だけの公表なんてあり得ない。国民がチェックできない」と切り捨てる。「裏金づくりができなくなるような使途公開でなければならない。明細書の提出は必要だ」
「自民案は使途が全く分からない」専門家が指摘
東京都江東区の男性(25)は衆院東京15区補選で候補者が「裏金をなくす」と口をそろえていたと振り返り、「国民の信頼を取り戻せる『公開』にしてほしい。項目ごとの公表でも、接待費や交通費など使用目的が分かりやすい文言を用いて」と求める。
専門家はどうか。政治資金に詳しい岩井奉信日本大名誉教授(政治学)は、自民案について「『調査研究』や『党勢拡大』などの名目で政策活動費の項目が細かくなっても、使途が全く分からない。透明化にはつながらない」と指摘。公明案に関しては「『明細書』は領収書や受取書が想定でき、政策活動費の支出先が明らかになる。使途が具体的になる」とみる。
「政治とカネ」の問題に詳しい神戸学院大法学部の上脇博之教授は、自民案について「使用目的を公表すると言っても、具体的には分からないだろう。そもそも公表目的通りに使用されるかも分からない」と指摘。「政策活動費は禁止されるべきだ。幹事長を中心とした党幹部が自由に使えるお金が欲しい、裏金をつくりたいとの思いが透けている」と批判した。
平成の政治改革、政党から政治家への寄付は禁止されず
政策活動費は、リクルート事件などをきっかけにした「平成の政治改革」の過程で生まれた。同事件では、値上がりが確実なリクルート関連企業の未公開株が政財界の要人らにばらまかれ、国民の間に、政治家と企業の癒着に対する不信感が広まった。
このため、1994年に改正された政治資金規正法では、政治家個人への企業団体献金は癒着につながるとして禁止された。ところが、政党から政治家への寄付は例外として、このルールは適用されないことになった。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「リクルート事件を受けて自民党がまとめた政治改革大綱では問題点をあぶり出し、改革の方向性を示したが、法制化の段階で次々に抜け穴ができた。政策活動費の例外規定はその典型だ」と指摘する。
政党や政党支部への献金も容認され…
実際、一連の改革で企業は政治家個人への献金はできなくなったが、政党や政党支部への献金は容認された。政治家個人への資金提供も、パーティー券購入という道が残った。
使途を明らかにしなくて良い政策活動費は、各議員の選挙費用や陣中見舞いなど「表に出せない金」に使われてきたとされる。政治ジャーナリストの野上忠興氏は「配る方は子分を養う意味もある。使途が公開されないから、もらう方もそのご相伴にあずかる。双方が得するから、自民党の政治家からこれをやめようという議論にはならなかった。みんなで渡れば怖くない、だよ」と指摘する。
風向きが変わった衆院3補選の全敗
確かに自民党派閥の裏金事件が起きてからも、岸田首相が国会で「政治活動の自由と密接に関わる問題」と述べるなど、自民党は政策活動費改革に後ろ向きだった。様子が変わったのは、4月28日、衆院3選挙区の補欠選挙で、自民党が不戦敗も含めて全敗してからだ。
政治ジャーナリストの泉宏氏は「首相も負けは想定していたが、あそこまで負けるとは思っていなかった。そこで政治とカネの問題に踏み込む決断をした」と解説する。
だが改革の見通しは不透明。泉氏が「一番の問題」と指摘するのは、首相の改革動機が「政局」にあることだ。「活動費の透明化はそれでなくとも難しい問題で、政局的要素を排除してきちんと議論しなければ結論は出ようがない。ところがそうした議論は全くしていない。総選挙はあるのか、首相は続投するのか、降ろされるのか。野党も野党でどこが主導権を握るのかと、政局的な思惑が入り乱れている」と嘆いた上でこう指摘する。
「政治とカネに後ろ向きな自民党に有権者はしらけている。その証拠に衆院3補選の投票率はいずれも最低を更新した。これで改革の中身が伴わなければ、ますます国民は政治からそっぽを向くだろう」
「証人喚問で実態解明を」
野上氏は「政治とカネの問題で改革すると言いながら、これまでは必ず抜け道が仕組まれてきた」と、改革案の内容を注視する必要性を強調する。
伊藤氏も「必ず抜け穴作りの話が出てくる」と懸念する一方、そもそも事件の実態解明が全く進んでいないことを問題視する。立憲民主党など野党は8日、衆院政治倫理審査会で弁明していない自民党の関係議員44人の出席を求め、審査会開催を申し立てた。だが、これまでの政倫審で安倍派の幹部らは弁明に終始し、議論は深まらなかった。
「政倫審では、『知らぬ存ぜぬ』が繰り返されるだけ。(ウソの証言をすると偽証罪に問われるなど)強制力のある証人喚問くらいまで持って行き、実態解明を進めるべきだ」
デスクメモ
「裏金」への怒りが、これほど強いのはなぜか。人々を疲弊させてきた数々の政策への批判も重なっているはずだ。物価や消費税は上がるのに、実質賃金は上がらず、長時間働いても将来の不安は消えない。そうした視点から永田町を見れば、常識外れの金銭感覚がさらに際立つ。
●「塩谷先生が派閥の責任を引き受けてくれたらありがたい、というのが皆の意見です」“塩谷座長の説得”を森喜朗元首相に依頼した安倍派五人衆 5/9
4月26日に「文藝春秋 電子版」が配信した「森喜朗元首相『裏金問題』真相を語る」が波紋を広げている。240分にわたってノンフィクション作家・森功氏のインタビューに応じた森元首相は、これまで口を閉ざしていた自民党の政治資金パーティを巡る裏金問題について初めて言及した。
4月上旬に岸田文雄首相から電話で聴取をされた際のやり取りについても詳細に明かしたが、その内容は、岸田首相のこれまでの説明と大きく異なっており、今後の国会で議論となる可能性が高い。
「岸田首相は国会などで、裏金作りへの関与について、森元首相に直接尋ねたと説明してきましたが、森元首相はインタビューで、キックバックへの関与などについて、岸田首相から具体的な質問はなかったと語っています。5月10日には政治改革を議論する特別委員会が参院で開催される予定です。今後の国会で、岸田首相は森元首相の証言について追及されると見られます」(政治部記者)
「森先生に頼むしかない」
今回のインタビューで初めて明かした秘話は、岸田首相からの事情聴取だけではない。そのひとつが、裏金問題を巡って安倍派(清和政策研究会)幹部の五人衆が、森元首相を介して座長である塩谷立元文科相が引責辞職することで、派閥としての責任を取るかたちにしようとしていたという一件だ。
五人衆の要請を受けた森元首相は今年1月26日、塩谷氏を呼び出して、安倍派座長として裏金事件の責任を取って議員辞職するよう迫っていたことを明かし、その経緯についてこう説明した。
「『誰かが罪をかぶり、総理の判断を願い出るようにすればいい』と知恵をつけた人が党内にいたそうです。それで五人衆が相談し、座長の塩谷君にその役を担ってもらおう、となった。五人衆の総意として、塩谷君の説得を『森先生に頼むしかない』となったようです」
塩谷氏を説得するよう連絡してきたのは、萩生田光一前政調会長だったという。
「萩生田君から『こんなことを先生にお願いするのも変だけれど、ここは塩谷先生が引き受けてくれたらありがたい、というのが皆の意見です』と連絡をもらいました。直接会うとマスコミがうるさいので電話です」
「なんで私一人が貧乏くじを……」
萩生田氏の要請を受けて、森元首相は塩谷氏を呼び出してこう説得した。
「ここはいったん議員辞職して次をねらったらどうかね。全責任を取るので仲間を救ってください、と申し出れば、君は立派だと光り輝くよ」
だが、塩谷氏は首を縦に振らなかった。
「なんで私一人が貧乏くじを引かねばならないのですか。議員辞職だけは絶対に承服できません」
結局、15分ほどの面談は物別れに終わり、塩谷氏は4月4日、岸田首相から党内で2番目に重い離党勧告処分をくだされた。処分理由について「事実と違う」などと訴えて再審査請求を行ったものの認められず、4月23日には離党届を提出した。
他方、森元首相に塩谷氏の説得を依頼した萩生田氏に対する処分は、「党の役職停止」に留まった。萩生田氏にとって処分としての実質的な意味はなく、将来の総理総裁候補としての目も残した。
森元首相もインタビューの中でこう語っている。
「派閥内では萩生田君を(総理総裁に)推す声が多いけれど、彼もあちこちに弾を受けてますから、少し時間を置いた方がいい」
240分にわたってインタビューに応じた記事「森喜朗元首相『裏金問題』真相を語る」は、「文藝春秋 電子版」で先行配信しているほか、5月10日発売の「文藝春秋」6月号に掲載している。森元首相が会長を務めていた頃に始まったとされる裏金作りについて、詳細に述べただけでなく、昨年7月、安倍派の会長になることを望んだ下村博文元文科相から、2000万円の入った紙袋を持参された際のやり取りなどについても明かしている。
●国民の怒りが爆発!小池百合子と日本維新の会も失速で立憲民主「政権交代」に現実味 5/9
岸田文雄首相の政権運営を左右するといわれた4月28日投票の衆院3補欠選挙で、自民党は島根1区で敗北、東京15区と長崎3区での不戦敗を含め3戦全敗という悲惨な結果となった。
それを尻目に立憲民主党が全勝したことから、裏金問題や補選で惨敗しても首相や党執行部が責任を取らないこの政権与党の機能不全ぶりが浮き彫りとなっている。
自民党が旧民主党に政権を奪われたのは2009年だったが、止まらぬ自民党の劣化≠ノ、再び立憲民主党への政権交代が現実味を帯び始めているのだ。
全国紙政治部記者が言う。
「自民が全敗した以上、首相は当面解散できないでしょう。党執行部は当初、全敗しても7月7日投開票の東京都知事選と衆院選の七夕ダブル選挙≠仕掛け、3選を目指すとみられる小池百合子都知事と連携すれば衆院選での勝ち目はある、とみていた。しかし、頼みの綱の小池氏も失速。シナリオが大きく崩れ、政権交代の機運が高まっているのです」
というのも、昨年12月の江東区長選、今年1月の八王子市長選などでは小池氏支援の候補者がことごとく当選した。
ところが、4月の目黒区長選では地域政党「都民ファーストの会」が支援した候補が現職に敗れ、今回の東京15区の補選でも同党推薦の乙武洋匡氏が5位に甘んじた。小池氏の神通力に陰りが出ているのは明らかなのだ。
そうした状況下で首相が睨んでいると評判なのが、このまま9月の任期満了に伴う自民党総裁選になだれ込み、再選を果たした上で来年の通常国会冒頭の1月解散、または来年度予算成立後の4月解散に持ち込むという戦略だ。
来年7月の参院選とのダブル選挙は公明党が嫌っているだけでなく、負け幅に拍車がかかりかねないため、その前の決着を望んでいるのだ。
政治部デスクがこう語る。
「岸田首相が余裕をかましているのは、ポスト岸田の本命がいないからです。ほとんどの派閥を解散させたため、組織的な岸田降ろしが起こりにくくなっていることも大きい」
ただ、このままだと求心力は低下する一方。そこで、以下の心理戦を展開すると分析する。
16月23日が会期末の通常国会を大幅に延長
2政治資金規正法の改正にダラダラと時間をかける
3常に閉幕したら解散するぞと思わせる
これで求心力を維持する、という岸田首相らしい実にしたたかな策略だ。
「実際、ポスト岸田に名前が挙がっているのは石破茂元幹事長、上川陽子外相、河野太郎デジタル相、加藤勝信元官房長官、高市早苗経済安全保障相、茂木敏充幹事長などなど。いずれも決定打を欠いた面々ばかりですからね」(同)
「補選でガス抜きが終わったとは言えない」
もっとも、永田町では解散を来年に先送りしたところで、「自民の惨敗は目に見えている」との声も根強い。
理由は数多あるが、裏金問題の実態が解明できないばかりか、岸田派(宏池会)の元会計責任者が東京地検特捜部に立件され有罪が確定したにもかかわらず、首相は自らを処分しなかったこと。
また、離党勧告を突きつけられた安倍派(清和政策研究会)の座長である塩谷立元文部科学相が「再審査請求」を行った揚げ句に却下され、国民の怒りの炎に油を注いだこと。
さらに、今回の補選惨敗の責任を執行部が取らないことなどが挙げられる。
保守王国、島根1区を落としたにもかかわらず、茂木幹事長は「厳しい結果を重く受け止め、不断の改革努力を重ね、国民の信頼を回復できるように努める」と引責辞任する気はサラサラなし。
小渕優子選対委員長も「責任については重さを誰よりも痛感している」としながらも、「選挙の結果を分析して次の選挙に備えていきたい」と責任を取らない気満々なのだ。
ちなみに、岸田首相は島根1区の補選について「一生懸命やっているのに、やればやるほど差が広がる」と嘆いていたという。
首相が表に立てば票が逃げるという現実を受け止めきれていない「KY」ぶりにはあきれるばかりだ。
そのためか、若手議員からは「うちの党はいつからこんなに劣化したんだ」「やってられない」との不満の声が続出しているという。
一方、今回の衆院3補選を通じて明らかになったのは、日本維新の会が非自民の受け皿≠ノなり得ていないという動かし難い事実。
同党の藤田文武幹事長は「立民と実力差があることを認識した」と語ったが、そもそも「第2自民党」(馬場伸幸代表)と言っている時点で、浮かぶはずもない。
政権を担えるレベルに達していないのが衆目の一致するところで、相対的な評価として立憲民主党が浮上したというのが、今回の補選結果なのである。
とはいえ、有権者の自民党に対する怒りは補選後も依然充満しており、同党の閣僚経験者は「3補選だけでガス抜きが終わったとはとても言えない」と戦々恐々としている。
実際、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が補選後に行った合同世論調査では「政権交代を期待」が52.8%に上り、「自民党中心の政権の継続を期待」の40.1%を上回った。
同様の傾向は他の世論調査にも表れている。
ただ、補選で全勝した立憲民主党も9月の任期満了に伴う代表選を控えており、党内には泉健太代表の交代を求める声もある。
代わって名前が挙がっているのは、枝野幸男前代表や野田佳彦元首相らだが、党が一つにまとまらず党内政局に明け暮れれば、政権交代は夢のまた夢に終わるだろう。
●立憲・国民「自民案はごまかし」 政治資金規正法改正案の共同提出に向け協議開始 5/9
自民党の派閥の裏金事件を受けて、立憲民主党と国民民主党が政治資金規正法の改正案を共同提出する方向で協議を始めました。
立憲民主党 岡田幹事長 「(自民党の改革案は)何かちょっと問題になった部分だけ手直しすればいいという、今の総理の発想自身が全く受け入れられませんね」
国民民主党 古川国対委員長 「目先だけでやったふりのようなそういう改正で、おためごかしでごまかそうとしているとにしか見えない。そういう理念がないところが私は一番の問題だと思っています」
立憲民主党の岡田幹事長と国民民主党の古川国対委員長らが会談し、政治改革についての両党の考え方について協議しました。
政治資金規正法を改正するにあたり、政策活動費の見直しなど政治資金の透明化や「連座制」を導入し、政治家への罰則強化、政治資金を監督する第三者機関の設置の3点で両党が一致していることを確認しました。
今後、それぞれが法案の調整を行ったうえで両党が合意すれば来週早々にも改正案を共同提出する方針です。
●90%が女性天皇に賛成!岸田政権内でも高まる「愛子天皇」実現の機運で心配される「紀子さまの胸中」 5/9
少しずつ緑が深まってきた4月30日、東京都清瀬市を訪問した紀子さまは、市郷土博物館で結核に関する展示をご覧になったほか、結核の療養施設群があった場所を巡られていた。
就任して30年となる公益財団法人結核予防会の総裁として、たびたび同地を訪れている紀子さまだが、この日はいつもよりご表情に影が差されているようだった。宮内庁関係者は、
「やはり、この数日前に報じられた世論調査の結果をご覧になり、動揺されるお気持ちがあったのかもしれません」
共同通信は4月28日、天皇陛下のご即位5年を前に、18歳以上の男女3千人を対象に実施した皇室に関する全国郵送世論調査の結果を報じた。
なかでも女性天皇を認めるという意見が90%に上ったことは、紀子さまのみならず宮内庁内にも衝撃が走ったという。
「メディア各社が行う世論調査で、これまでも女性天皇への賛同は6〜8割台でしたが、9割という高い数値で、かつ反対派が1割以下にとどまった調査結果はこれまで見たことがありません。この結果に、宮内庁内からは『愛子さまの存在感が大きくなっているからだろう』という声があちこちから聞こえてきます」(皇室担当記者)
三重県と奈良県のご訪問時の国民へ寄り添おうとされるお声がけ、日本赤十字社でのご精勤ぶり、初めての園遊会ご出席……。愛子さまがお務めに励まれるほど、より身近な存在として、親しみの感情を抱く国民が増えているのだ。
「9割という結果は、『愛子天皇』を想定した女性天皇の誕生を期待する国民がより多くなっているということの証左なのでしょう。じつはこうした機運の高まりと前後するように、“愛子さまが即位されるにはどうすべきか”と、政権上層部で検討が始まったというのです」(前出・宮内庁関係者)
起死回生の一手は「女性天皇の実現」
岸田文雄首相は昨年、「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」を発足させ、皇室が直面する問題を議論してきた。そして大型連休明けの国会では、減少する皇族数の確保など皇室典範改正に向けた与野党間の協議が本格化する。こうした状況のなか、岸田首相や自民党幹部の間で、「愛子天皇実現」へ向けた動きが、水面下で始まっていたのだ。自民党関係者は内情を明かす。
「4月下旬に、岸田総理と麻生太郎副総裁の間で、“自民党として女性天皇容認を打ち出せないか”という話し合いが持たれたというのです。同じタイミングで、総理の最側近で、懇談会の事務局長を務めている木原誠二幹事長代理が“極秘に動いている”という情報も広がっていて、より現実味を帯びた話だとみられているのです。
先月末の衆院補選で議席を減らし、内閣支持率の低迷も続いています。各種世論調査で多数派になりつつある女性天皇容認を打ち出せば、岸田総理にとっては支持率の回復を見込める起死回生の一手となるでしょう」
自民党はこれまで、2022年に死去した安倍晋三元首相を筆頭に保守派の影響力が大きく、男系男子による皇位継承の堅持という意見が支配的だった。
「生前の安倍元首相が“愛子天皇誕生に道筋をつけるべきだ”と、親しいジャーナリストに語っていたことが没後に報じられ、党内にも動揺が広がっていました。
女性皇族が皇族以外の男性と結婚して、生まれた子供が皇位を継ぐという女系天皇の前例はありません。しかし、歴史上には10代8人の女性天皇がいます。男系の“皇女”である愛子さまが即位することは、皇室の伝統から照らしても不自然なことではないのです」(前出・皇室担当記者)
静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは、女性天皇を認めることは安定した皇位継承のために欠かせないとし、こう続ける。
「皇室の将来にとって大きな問題は、皇位継承者の不足にあります。現状では、皇嗣である秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さまのお三方のみしかおられません。
最新の研究では、男系男子による皇位継承には根拠がないとされています。国民の大多数が願う『愛子天皇』へ政権が舵を切ることは、民主主義国家として正しい流れではないでしょうか。一部の保守派の意向を、世論を無視して強引に推し進めるほうが、よほど問題があるはずです」
だが政権の方針転換に紀子さまは愕然とされているのではないかと、前出の宮内庁関係者は語る。
「2006年9月、39歳だった紀子さまは、部分前置胎盤のため帝王切開で悠仁さまを出産されました。身体的に大きな負担がかかっていたはずですが、“皇室の将来を救うため”と、壮絶な使命感で臨まれたと聞いています。
その後も、名門校への進学など教育環境の整備、沖縄、広島や長崎といった戦争の記憶を語り継ぐ場所へいっしょに足を運ばれたり、紀子さまは悠仁さまの帝王教育に必死に心を砕かれてきました。
それだけに、『愛子天皇』の実現で悠仁さまのご即位が遠のくというシナリオに、紀子さまが複雑なお気持ちを抱かれても、無理もないことのように思えます」
日を追うごとに高まる「愛子天皇」への国民の支持に、紀子さまは憂愁を募らせておられるのか。
● “岸田包囲網”が着々 茂木幹事長、菅前首相らが水面下でうごめくなか、崖っぷちの岸田首相の次の一手は?「首相は“一か八か解散”しかねない。でも、やったら自民党は終わりだ」 5/9
4月28日投開票の3補選は、永田町の大方の予想どおり、不戦敗も含めた「全敗」に終わった自民党。党内の動揺が収まらないなか、岸田文雄首相は大型連休中にフランスやブラジル、パラグアイを訪問。フランスでは、同国でも人気の日本の少年漫画を題材にした江戸切子のグラスやこけしをマクロン大統領らに贈る“クールジャパン外交”を展開した。だが、6日に帰国した首相を待ち構えていたのは「岸田包囲網」だった。
お得意の「解散風あおり」も封印
「課題について結果を出すことが重要だ。それ以外は現在考えていない」
5月4日、訪問中のブラジル・サンパウロでの内外記者会見で、衆院解散について問われた首相は、淡々と語った。
出発前、30日の記者団の取材には衆院解散について「まったく考えていない」と厳しい表情で答え、これまでの「今は考えていない」から「今は」が消えていた。いずれにせよ、かつて解散風をあおっていたような余裕はなくなっている。
全国紙政治部記者はこう解説する。
「これまで首相は解散について問われたときにニヤリと笑みを浮かべることもあり、解散権をちらつかせることで、求心力を保ってきたのです」
それが、「まったく考えていない」と変化した背景には何があったのか。
「3補選の中でも、とくに島根1区の結果が衝撃的でした。2009年の政権交代時でも自民が勝てていた選挙区だったにもかかわらず、今回は投票締め切りの午後8時と同時に立憲の亀井亜紀子氏の当選確実が報じられるほどの惨敗。
『島根1区でこの結果なら、衆院選をしたら全国的に散々な結果になってしまう。何とかして早期解散は止めたい』と自民党内の危機感は高まりました」(同)
それだけに岸田首相としては、ささやかれていた6月解散の観測を打ち消し、「岸田おろし」の芽を摘んでおくことを優先した形だ。
「岸田包囲網」の中心はあの人?
外遊から帰ってきた岸田首相を待ち構えていたのは、補選3勝で勢いづいた立憲などの野党だけではない。自民党内の「岸田包囲網」もできつつある。
本来、首相を支えるはずの茂木敏充幹事長は「岸田首相には解散させない」と周囲に語るほど、首相の早期解散を阻止したい意向だ。
「3補選の投開票前、『全敗』の責任を取る形で茂木氏が幹事長を辞任するという噂が永田町を駆け巡りました。茂木氏としては幹事長にとどまっていると、総裁選で再選を目指す岸田首相を支えるべき立場となり、戦うことは難しい。
かといって岸田首相の求心力が落ちている今、岸田首相からの禅譲も現実的でない。3補選での敗北は、茂木氏が幹事長を辞めて総裁選出馬をねらうためのチャンスになりうるとみられていたのです」(自民党関係者)
しかし、茂木氏は続投した。
「ただし、茂木氏が続投したのは決して岸田首相を支えたいためではなく、幹事長としてカネや人事を握れる立場にいたいから。しばらくは様子をみるのでしょう。
そのうち、首相が解散を決心しても周囲から止められるようなことがあれば、途端に首相の求心力は落ちます。そうなったときに茂木氏は一気に勝負に出るのかもしれません」(同)
「解散は1日でも遅くして」と安倍派議員は願うも岸田首相は…
「ポスト岸田」をめぐる攻防も水面下でうごめく。
「3補選の結果をみたら、とても岸田首相では選挙は戦えないのでは。来年秋までに衆院選はあるのだから、なるべく国民人気の高い人に首相をしてほしい」(自民党関係者)
党内では圧倒的な「ポスト岸田」候補はいないものの、首相となれば女性初となる上川陽子外相、国民人気の高い石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相らの名前が取りざたされる。
「非主流派の筆頭、菅義偉前首相も二階派の武田良太氏らと会合を重ね、メディア露出もするなど、存在感を高めています。首相を支える立場であるはずの幹事長の『岸田離れ』に加え、非主流派もうごめき、処分を受けた安倍派なども首相を快く思っていないとなれば、首相の力が弱まってしまうのは必然といえます」(同)
こうした事態を打開するため、岸田首相が早期に解散しかねないという声も、党内には相変わらず残る。
自民党安倍派議員の一人は「とにかく解散は1日でも遅くしてほしい。今解散されたら、まだまだ国民が裏金問題を覚えている。でも、岸田首相のことだから、何をしてくるかはわからない。このままずるずると9月の総裁選に突入するよりは『一か八か』での局面打開を図るのでは」と恐れる。
これまでも突然の岸田派の解散表明、衆院政治倫理審査会への出席など、「サプライズ」を繰り返してきた首相だけに、“ほぼなくなった”とみられる6月解散の可能性も完全に否定しきれないという。
「首相は外遊からの帰国当日の6日に党の政治刷新本部のメンバーと面会し、政治資金規正法改正に関して、『今週中にもとりまとめを行なうよう、協議を加速することを指示した』と語りました」(全国紙政治部記者)
「自分の延命のためなら何でもする」「党内の重鎮たちからの不満もなんとも思わないくらい鈍感力がすごい」と言われてきた岸田首相。
「岸田包囲網VS鈍感な首相」の攻防の行方はいかに……。
●岸田首相では「選挙の顔」にならない…誰もがそう思っているのに「総裁再選プラン」がしぶとく残る理由 5/9
政治資金規正法違反事件を受けた逆風
4月28日投開票の衆院3補選は、午後8時の投票終了と同時にNHKなどメディアが立憲民主党3候補に当確を打った。自民党は、唯一候補を擁立した衆院島根1区で大敗し、東京15区、長崎3区の不戦敗と合わせて0勝3敗に終わった。
一義的には派閥による政治資金規正法違反事件を受けた逆風に抗し切れなかったものだが、岸田文雄首相(自民党総裁)の政権運営は厳しさを増すばかりで、党勢の立て直しも視野に入ってこない。
衆院の解散・総選挙は当面困難な情勢で、岸田首相は9月の自民党総裁再選への展望もすっきりとは見通せなくなっている。永田町では直ちに「岸田降ろし」は起きないにしても、「ポスト岸田」をめぐる動きは始まっている。
島根「保守王国」は既に崩壊していた
衆院島根1区補選は、自民党の細田博之前衆院議長(旧細田派会長)の死去に伴うもので、立憲民主党元職の亀井亜紀子氏が、自民党新人で財務官僚出身の錦織功政氏との一騎打ちを制した。島根県は、衆院に小選挙区制が導入された1996年衆院選以降、自民党が小選挙区の議席を独占してきた唯一の県だった。
錦織氏の敗因は「政治とカネ」の問題への批判を浴びたためだが、島根1区特有の事情もある。弔い選挙は本来、後継候補に有利に働くが、細田氏は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との深い関係、女性記者へのセクハラ疑惑などへの説明責任を果たさないまま2023年11月に死去し、その後、安倍派(旧細田派)の政治資金規正法違反事件が発覚したため、錦織氏はこうした「負の遺産」に苦しんだ。錦織氏は、細田氏の父である細田吉蔵元運輸相の初当選から64年にわたる細田家の実績に触れることもなく、選挙戦を終えた。
自民党島根県連も一丸となって戦う態勢ではなかった。島根県議会の自民党は、2019年に丸山達也県知事が自民党推薦候補を破って初当選したのを契機に2派に分かれ、2期目も引き続き、その第1会派が立憲民主党や国民民主党と組んで県政を運営している。竹下登元首相、青木幹雄元官房長官らが築いた「保守王国」は既に崩壊していたのが実情だ。
岸田首相が1月に党の派閥を解散した影響も受けた。錦織氏は公募に応じ、無派閥で臨んだため、岸田派を除いてどの派も秘書軍団を送らず、党本部職員や中国ブロックの議員秘書らが実務を担わされた。自民党は、岸田首相、茂木敏充幹事長、小渕優子選挙対策委員長ら国会議員が80人前後も現地入りしたが、誰も錦織氏に責任を持たなかったのと同然だったのである。
小池都知事から投げられた「クセ球」
衆院東京15区補選は、公職選挙法違反で有罪となった柿沢未途前法務副大臣(自民党離党)の辞職に伴うもので、立憲民主党新人で前江東区議の酒井菜摘氏が9人の候補による混戦を断った。
自民、公明両党は、昨年12月の江東区長選、今年1月の八王子市長選などで連携してきた小池百合子東京都知事が担ぐ候補に相乗り推薦する方針だった。だが、3月29日に小池氏から投げられたのは「クセ球」だった。乙武洋匡氏(作家、ファースト副代表)である。
公明党、自民党江東総支部からは過去の女性問題を理由に推薦見送りを求める声が上がった。自民党本部は4月2日に予定通り乙武氏の推薦方針を決定したが、乙武氏に8日の出馬記者会見で、「逆風になる」から自民党に推薦を求めない、と袖にされてしまう。
小渕選対委員長は12日、党の推薦方針を撤回し、「推薦の要請がない、地元から推薦を出さないでほしいとの要望が上がっている」と苦しい説明を余儀なくされた。公明党は「未決定」という苦肉の態度決定となった。
乙武氏は、小池氏が選挙期間12日中9日も選挙区入りしたが、自公両党支持層が離れたこともあって、5位で落選した。これは小池氏にとっても「誤算」だった。3期目となる東京都知事選(6月20日告示―7月7日投票)を控え、自公両党との連携を固めたいところだが、それが叶わなかったからだ。
政府・自民党内には、小池氏の神通力に陰りが出たとの見方も出た。確かに、小池氏が全面支援しても、自公両党の協力がなければ、当選させることは難しい。だが、自身の選挙となれば、また異なる評価があるだろう。
4月28日の補選投票日の読売新聞出口調査で、小池知事を支持すると答えた人は52%に上った。文藝春秋(4月10日発売)報道で再燃したカイロ大卒の学歴詐称疑惑などマイナス材料も抱えるが、小池氏が都知事選に3選出馬すれば、大勝するに違いない。
「3敗なら引責辞任し、総裁選に出る」
岸田首相は4月30日、衆院3補選全敗について、首相官邸で記者団に「真摯に重く受け止めている」と語るにとどめ、解散・総選挙については「課題に取り組み、結果を出すことに専念しなければならない。全く考えていない」と改めて否定した。
自民党内には、岸田首相では国政選挙は戦えないことがはっきりした、との声が充満している。首相は事実上、解散権を封じられ、求心力の更なる低下は避けられないだろ
首相と距離があることを隠さない茂木氏が衆院3補選期間中、次のような意向を周辺に語っているとの情報が永田町を駆け巡った。
「島根1区を含めて衆院補選で3敗だったら、引責辞任し、9月の総裁選に出るつもりだ。幹事長を辞めれば、『令和の明智光秀』と言われなくなる。小渕優子(選対委員長)にも辞めるよう求めている」
首相は昨年9月、茂木幹事長の交代を企図したが、麻生太郎副総裁から「『令和の明智光秀』にさせないから」と留任を要請され、受け入れていた。2012年の総裁選で石原伸晃幹事長が出馬に手を挙げ、谷垣禎一総裁が続投を断念した際、麻生氏が石原氏を「平成の明智光秀」と非難して、その勢いを失速させた結果、安倍晋三元首相が選出されたという経緯があるためだ。
茂木氏が辞意を表明すれば、「岸田降ろし」の号砲となりかねないだけに、首相らはその動向に注意を払っていた。だが、茂木氏は4月28日夜の開票速報を受け、「党の信頼回復に努めていく」と記者団に述べただけで、進退に言及することはなかった。
首相側近の1人は、この茂木氏の心変わりについて、「幹事長を辞めれば、(茂木派の)仲間がさらに減ることも考えたと思う。加藤勝信元官房長官が脱会するとの情報もあった。幹事長でいても、既に9人も抜けているのだから」と冷ややかに分析している。
「総裁選前の衆院解散は難しくなった」
岸田首相は今後、衆院解散・総選挙、自民党総裁選について、どう戦略プランやシナリオを描き直していくのか。
首相は当初、今年9月の総裁選の前に衆院を解散し、民意を勝ち取って、ほぼ無風で総裁再選を目指す考え(プランA)だった。
経済政策では3月に物価上昇を超える賃上げによって消費を後押しし、新たな投資を呼び込む好循環を目指し、外交では4月の国賓待遇での訪米、政治とカネの問題については終盤国会で政治資金の透明化を図る政治資金規正法改正を果たすことなどで政権の体力が回復すれば、茂木幹事長を更迭してでも、6月の会期末に衆院解散に打って出るというシナリオを用意していた。
だが、4月の読売新聞世論調査(19〜21日)で、岸田内閣の支持率は前回3月調査と同じ25%で、6カ月連続で2割台に低迷する。政治資金規正法違反事件を巡る自民党の処分について「納得できない」は69%に上った。首相が処分の対象外になったことを妥当だと「思う」が26%、「思わない」は64%で、首相は厳しい評価を突き付けられていた。
そこへ衆院3補選全敗という結果は、衆院を早期に解散すれば、自民、公明両党が大幅に議席を減らす恐れがあることを意味する。この先、政権浮揚策は期待できず、首相周辺も「6月衆院解散は難しくなった」との見解を明らかにしている。
「総裁選で現職が負けたのは1回」
岸田首相が、解散・総選挙を経ずに9月の総裁選に臨み、再選されれば、その勢いを駆って10月にも衆院解散を断行するという考え(プランB)が、替わって浮上している。
麻生氏が当初から「これまでの総裁選の歴史で、現職が負けたのは1回しかないのだから」と岸田首相に提言しているシナリオだ。その1回とは1978年の総裁選で、福田赳夫が大平正芳に敗れたケースだが、それほど現職の壁は高いと言いたいのだろう。
麻生氏は、1月に岸田首相が事前の連絡なしに派閥を解散した際、4月の首相訪米までは首相を支えるが、総裁選対応では距離を置くとして、上川陽子外相を「新しいスター」と持ち上げたこともあった。その後、茂木氏や義弟の鈴木俊一財務相(麻生派)を含めて総裁候補として検討したが、岸田首相主導で3月に国際共同開発する防衛装備品輸出の容認で公明党の合意を取り付けたことから、その手腕を見直すことになる。
麻生氏は「岸田(首相)は仕事をしている、防衛費倍増や原発再稼働で。安倍晋三(元首相)以上だ。日本の政治は安定している」と周辺に語るなど、麻生派としても岸田再選支持に回帰してきている。
この場合、岸田派や首相周辺が現時点で想定する総裁選の構図は、岸田首相、高市早苗経済安全保障相、石破茂元幹事長、茂木氏の4人の戦いになるという。
総裁選に向けて派閥が「復活」するのか。次期衆院選、来年の参院選の顔を見据え、誰が選ばれるのか。予断は許されない。
「(新)総裁は非常に支持率が高くなる」
岸田首相が総裁選に出馬せず、9月の後継総裁選で勝利した新首相が10月にも衆院を解散するという考え(プランC)も、与党内にある。
この岸田退陣論の先陣を切ったのは、公明党の石井啓一幹事長だ。3月10日放送のBSテレ東の番組で、解散・総選挙の時期について「総裁選の期間中は、自民党が非常に注目を浴びる。そこで選ばれた総裁は非常に支持率が高くなる。その後の秋というのが、一番可能性が高いのではないか」との期待感を明らかにしたのだ。
公明党の山口那津男代表も3月27日、都内内で講演し、衆院解散・総選挙の時期について「信頼回復のトレンドが確認できるまでは解散すべきではない」と強調し、早期解散に否定的な考えを示した。
そのうえで、来年夏に参院選や東京都議選を控え、「大きな選挙が重なると、選挙に注ぐエネルギーが分散される。少し離した方がいい」と述べ、トリプル選挙やそれに近い選挙に反対する意向を示していた。
公明党にとって、自民党との選挙協力に都合がいいのは今年秋だと説明したものだが、岸田首相に解散してほしくないというのが本意だったのだろう。
衆院3補選全敗を受け、自民党内には岸田首相は政治とカネの問題で政治不信を招いた責任を取るべきだとの声も出ている。首相は4月24日の参院予算委員会で、劣勢が伝えられた補選情勢について「私への判断も含まれる」との認識を示していた。
世論は「9月の総裁任期まで」が60%
岸田首相が総裁選に不出馬という状況は、来年の参院選に勝てず、「衆参ねじれ」を生じかねないと判断された場合である。
3年ごとの総裁選は、10カ月後に参院選が行われるというめぐり合わせになる。参院選から逆算して総裁選を戦うことにもなる。
自公連立政権の場合、衆院選で大敗して過半数割れしても、国民民主党や日本維新の会を連立政権に取り込むことで再スタートを切れるが、参院選で敗北する(自公両党で19議席以上減らす)と、即ねじれが生じてしまう。そして政治が動かなくなる。衆参ねじれに苦しんだ安倍、麻生両氏の首相経験者らは、参院選を意識して総裁を交代させてきた。
21年のコロナ禍にあえいだ菅義偉前首相がその例だ。自民党が4月の衆参補選・再選挙で0勝3敗を喫し、その後も内閣支持率が低迷し、6月の静岡県知事選も推薦候補を落とした。そこで安倍、麻生両氏が7月末に会談し、「菅首相では、22年の参院選に勝てない。衆参ねじれになりかねない」「ここは岸田(無役=当時)で行こう。場合によっては菅の不出馬もある」との認識で一致し、ここから「菅降ろし」が始まる。8月の横浜市長選の敗北を経て、岸田氏が総裁選出馬を表明し、9月の菅首相の出馬断念につながっていった。
岸田首相の場合、こうした絵が描け、進退を相談できるのは麻生氏くらいではないか。今後、その決断の指標になるのは、内閣・自民党支持率の推移、衆参両院選の情勢調査、静岡県知事選(5月26日投票)など地方の首長選などの結果になるのだろう。
5月6日のJNN(TBS系)世論調査(4〜5日)では、次期衆院選で「政権交代」を望む人が48%で、「自公政権の継続」の34%を上回った。岸田首相にいつまで続けて欲しいか聞いたところ、「9月の総裁任期まで」が60%、「すぐに交代して欲しい」が27%だった。
●外交敗北…!岸田総理は訪米後、バイデン大統領から思いっきりはしごを外されていた 5/9
訪米によって「強固な日米関係」を世界にアピールしたつもりの岸田総理。しかしアメリカと中国は急接近をはじめ、日本の対中強硬路線に怒った習近平は前代未聞の対日政策を繰り出そうとしている。
帰国後顔色がずっと悪い
4月28日の補選で3つの惨敗を喫した岸田政権だが、実はもうひとつの大敗を喫していた。「外交敗戦」である。
4月8日から14日まで、国賓待遇で訪米した岸田総理。自身が「この3年間の政治活動のなかでも最大のハイライト」と位置づける力の入れようで、ホワイトハウスで行われた晩餐会でのジョークと自虐を盛り込んだスピーチを中心に、日本のメディアも「外交の岸田、ここにあり」と好意的に取り上げた。総理もお得意の英語でアメリカ高官たちを笑わせることができ、米国滞在中はずっとご満悦だったという。
ところが、帰国後の岸田総理の顔色は思わしくなく、「なんのための訪米だったのか……」と苦虫を噛みつぶしたような様子だったという。外務省の関係者が明かす。
「実は、総理は『バイデン大統領にはしごを外された』と落胆しているのです。せっかく自分が中国に向かって上げられるだけ拳を振り上げたのに、バイデン政権は岸田総理の帰国後、総理をあざ笑うかのように中国に急接近を始めたからです」
一体どういうことか。
日本のメディアでは晩餐会の様子ばかりが報じられたが、今回の岸田訪米で国際的に注目を集めたのは、4月10日、ホワイトハウスでの日米首脳会談の終了後に発表された「日米首脳共同声明」だ。
この首脳会談は、日米同盟の深化を強調すると同時に「共通の仮想敵国」である中国への対抗をこれまで以上に鮮明にしたものとなった。共同会見で、岸田総理はこう力説した。
「力、または威圧による一方的な現状変更の試みは、世界のいかなる場所でも断じて許容できない。そのような観点からも、中国をめぐる諸課題への対応にあたり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました」
もうひとつ注目されたのが、翌11日に行われた岸田総理のアメリカ連邦議会での演説だ。安倍元総理が'15年4月に行って以来9年ぶりとなる日本の総理の演説だったが、そのなかでも総理は力強く「反中」を宣言、民主党・共和党両党の議員から拍手が送られた。日本では経験したことのない万雷の拍手に包み込まれ、岸田総理は天にも昇る心地だったという。
この岸田総理の挑発的な宣言に、中国は猛反発した。まだ岸田総理がアメリカ滞在中だというのに、翌12日に中国外交部の劉勁松・アジア局長が北京の日本大使館の横地晃・首席公使を呼び出して、厳正な申し入れ、深刻な懸念、強烈な不満を表明したのだ。
「さらに同日の中国外交部の定例会見でも、毛寧報道官が日本を名指しして吠えました。『アメリカと日本は仲間を引っ張り込んでミニグループを作り、集団的な対抗を策動している。それこそが地域の平和と安定を脅かしている』と、激しい口調で非難したのです」(前出・外務省関係者)
秘密の夕食会の内側
しかし、この反応は岸田総理の想定内だった。先の共同声明では「日米の防衛関係をかつてないレベルに引き上げる」と謳い、「陸・海・空の自衛隊を統合した作戦司令部を発足させること」「日本にトマホークミサイルを配備すること」などを宣言している。ここまで踏み込めば、中国の反発を招くのは当然だ。
それをわかってなお、岸田総理が日米の結束をアピールし、これまで以上に踏み込んだ「対中防衛強化」を宣言したのはなぜか。
「実はその答えが9日の夜に行われた、バイデン夫妻と岸田夫妻との非公式夕食会にあるのです」
日本の政府高官の一人が明かす。
事態の急変
「この夕食会は、シーフードレストラン『ブラックソルト』で行われました。ここはバイデン大統領にとって最も思い入れのあるレストラン。なぜなら、'18年暮れに大統領選出馬を決めたのがこの場所だったからです。
その決意の場で大統領と総理が話し合ったのは『トランプの再選防止対策』でした。なんとしても次の選挙で勝ちたい大統領は、岸田総理に『あなたは私の息子のようだ。ともにあと4年、頑張ろう。君にもきっと長い未来がある』とおだて倒し、バイデン政権への忠誠強化を呼びかけたのです。
岸田総理も、トランプ再選を歓迎していません。そもそもトランプ氏とウマが合うわけがないし、トランプ政権が誕生すれば、麻生太郎さんがトランプ氏を利用して『岸田降ろし』をはじめるかもしれない。
総理は大統領のこの言葉を聞いて、バイデン-岸田ラインが今後も続くと確信。大統領のために自分ができることはなにかを考えたのです」
あと4年、総理としてバイデンを支えたい。4年というスパンで考えれば、中国をどう押さえ込むかが日米最大の外交課題となるだろう。日米で対中強硬姿勢を示せば、トランプ陣営もバイデン陣営を「中国に弱腰」と批判できなくなる。バイデン-岸田ラインで、長期的に中国を押さえ込む、今日はその始まりの日なのだ。
そんな使命感を抱きながら、総理はあの日米首脳共同声明を力強く読み上げたのだ。
ところが、渾身の「反中演説」からわずか数日後に、急転直下の事態が起こった。
「総理がアメリカから帰国するや、バイデン政権が習近平政権に急接近したのです。まず16日にオースティン国防長官が中国の董軍・国防部長とオンライン会談を行い、『信頼関係をもう一度構築すべきだ』と確認しあいました。1年半ぶりとなったこの米中国防相会談が、日本側が想定していたより友好的な会談になったことに総理は驚き戸惑い、国会の合間に官邸に岡野正敬外務次官を二度も呼び出して事情を聞いていました」(同前)
さらに追い打ちを掛けるように、24日から26日にかけてブリンケン国務長官が中国を電撃訪問。上海・北京を訪れ、王毅外相らと会談した。
「この国務長官の訪中も、上海の市街を楽しそうに歩き小籠包をほおばるなど友好ムードに満ちていて、岸田総理は『あれだけ対中強硬姿勢で結束したはずなのに、私の演説は一体何のためだったんだ……』と卒倒せんばかりでした」(同)
恐怖の体験
大統領との4年間を夢見て対中強硬路線を打ち出した総理を見捨てるかのような「米中急接近」。バイデン側にも狙いはある。皮肉にも、岸田総理にも呼びかけた「トランプ再選阻止」だ。外務省の幹部が明かす。
「習近平主席もまた、トランプを大の苦手としています。というのも、習氏とトランプ大統領との最初の米中首脳会談となった'17年4月、フロリダの大統領の別荘で、習氏は在任中でもトップクラスの『恐怖の体験』をしたからです。円満な雰囲気で進んだディナーが終わる頃、大統領が突然『今夜のデザートはトマホークミサイルだ!』と告げました。その直前に地中海東部に展開する米海軍の駆逐艦から、シリアに向けて59発のトマホークミサイルが発射された報告を受けて、快哉を叫んだのです。まるで、当時シリア紛争を巡って立場を異にしていた中国を威嚇するかのように、です」
このときの体験がトラウマとなった習主席にとって、トランプ再選は悪夢そのもの。トランプは「再選されたら中国に60%の関税をかける」と公言しているが、そんなことをされたら、中国経済は崩壊する。それはすなわち、習近平政権の崩壊をも意味する。
「なんとしてもトランプ再選を阻止したいという点で、習主席とバイデン大統領は利害が一致している。そこで、大統領選まで米中でハイレベルの交流を継続して行い、お互いに譲るところは譲って『どうすれば天敵・トランプの再選を防げるか』を協議することにしたのです。岸田総理はバイデン政権が中国に接近したことで、はしごを外されてしまった。結局、アメリカからいままで以上に重い軍事的な責務を負わされたうえ、中国の逆鱗に触れただけだった、とも言えます」(同)
中国の恐るべき一手
外交の岸田と呼ばれた私が、アメリカにハメられるとは___。「バイデンショック」とも言うべき事態を前に、岸田総理はいま茫然自失状態だという。それを見計らったように、中国は厳しい一手を打ってきた。外務省幹部が続ける。
「中国の元慰安婦の遺族が、中国で日本政府を提訴し謝罪と賠償を求めたのです。中国人の元慰安婦をめぐって日本政府を提訴するのは、中国では初めてのこと。習近平は急接近している日韓の引きはがしを図って、この『慰安婦カード』を切ってきたのです」
実に厄介な問題で、今回の日米共同声明に対する中国の怒りが伝わってくる一手だ、とこの外務省幹部は解説する。
それでも、バイデン大統領が再選されれば「フミオ、あのときの約束を覚えているかい? もう中国への歩み寄りは終わりだ。これからの4年間、君とともに歩もう」と再度「強固な日米関係」が示されるかもしれない。
しかし総理は今回の訪米を通じて密かに感じ取っているはずなのだ。「アメリカ全土がトランプ再選の熱気に包まれていて、それは避けられそうにもない」ということを。つまり、バイデン大統領との強固な関係など、あと1年もすれば意味をなさないものになってしまうということを……。
●大ブーイングを浴びても成立を急ぐ…岸田政権が「子育て支援金」にすべてを賭けている本当の思惑 5/9
子育て支援制度への非難のわけ
「増税によってではなく、医療保険料から徴収したおカネを使う『子ども保険』というアイデアに総理はひどく感心しました。しかも、優秀な官僚が書いたということで、ほぼそのまま現実に応用できる内容です。
岸田総理は山崎さんのもとに秘書官を派遣し、『内閣参与となって、岸田政権の少子化対策を支えてほしい』と打診しました。山崎さんは固辞しましたが、再三の説得に総理の本気を感じ取り、内閣参与に就任。総理周辺と入念な打ち合わせを重ねて『子ども・子育て支援金制度』の策定に全力を注いだのです」
日本を救うための一手として考え抜いたアイデア。それがこんなに批判を浴びるとは思ってもいなかっただろう。
「国会での議論やメディアの論調を見て、制度の『生みの親』である山崎さんは『総理の説明が足りないな……』と落胆していると聞きます」(同前)
理念自体に問題はなかった。制度もよくできている。ただ、その必要性を国民に理解してもらうための総理の真摯な説明が足りなかった。これが子育て支援金が集中砲火を浴びた最大の理由だ。
この失敗を横目に、薄ら笑いを浮かべているのが財務省の官僚たちだ。
実は、この支援金制度の策定には、財務省出身の官僚が深く関わってきた。その筆頭格が、岸田政権で首相秘書官を務める一松旬氏だ。
東大法学部を卒業後、'95年に大蔵省入省。厚労担当の主計官などを務め、社会保障政策に精通した財務官僚で、昨年7月に首相秘書官に起用された。
「誰もが財務省のエースと認める人物。頭が切れるのは言うまでもなく、物怖じせず、政治家にもはっきりとモノをいう姿勢が評価されています」(財務省中堅官僚)
実は一松氏を中心とする財務省の官僚は近年、厚労省へのいらだちを抱えていた。この財務官僚が続ける。
「財政危機を憂う財務省は、とにかく国全体の歳出を削減したい。ところが、その意向に反するように、厚労省は医師らの人件費を上げようと診療報酬の増額を求めてくる。結果、社会保障費は膨らむ一方で、財政を逼迫させています」
'19年11月に開かれた財政制度等審議会では、財務省の官僚らが「財政再建には医師らの人件費の削減が必須」と訴えると、医師会がバックに控える厚労省は「むしろ医療従事者の賃上げが求められている」と主張、最終的には医師らの人件費が引き上げられた。
小説の驚きの「提案」
このとき、真正面から厚労官僚と激しくぶつかった財務官僚の一人が一松氏だった。雪辱を果たすため、一松氏らが目を付けたのが「子育て支援金制度」なのだ。前出の官邸関係者が解説する。
「子育て支援金が導入されれば、国民の毎月の負担が増えることになる。当然『実質負担はないといってたのはウソじゃないか!』と怒りの声があがります。そうなると政府と厚労省は子育て支援金で増えた分の国民の負担を減らすために、社会保障費の抑制・削減に着手せざるを得なくなる。
国民の批判の目を社会保障費に向けさせるために、財務官僚たちは制度に反対せず、むしろ総理の背中を押した。いつも消費税ばかりに不満の矛先が向けられているが、本当は社会保障費のほうが問題だらけだという本音が彼らにはあるわけです」
もう一つ、財務官僚たちにはこんな狙いもあるという。
「医療保険料を徴収して集めたおカネの使い道も、現状は少子化対策のために使われるとしていますが、一度でも『目的外使用』を許せば、今後さまざまな施策の財源として使われる可能性もある。極端な話『未来の子どものためには防衛も大事だ』と、徴収したおカネを防衛費に回すことも理論上は可能となります」(前出・官邸関係者)
穴だらけとわかっていながら、財務官僚らも子育て支援金制度を「日本の人口問題の解決には必須」と後押しした。岸田総理も「一松秘書官らも後押ししてくれるなら間違いない」と自信を持ってこれを推し進めた。
結果的に国民の総理への不信は高まり、厚労省は今後社会保障費の削減に取り組まざるを得なくなる。同時に財務省は労少なくして新たな財布を得た。結果は財務省の一人勝ち、というわけだ。
まんまと罠にハマったのか。それとも罠を承知で「それでも少子化対策のためにこの制度は必要だ」とあえてハマりにいったのか。総理の本心は見えないが、確かなのはこれから国民の負担が一層増えるということだ。
なお、小説『人口戦略法案』では、国民一人当たりの負担額は「月額平均3600円」とされている。最終的には負担額はここまで上げられることを覚悟しておいたほうがよさそうだ。
●毎月負担増の「子育て支援金」はすべてここに書かれていた…!元高級官僚が執筆した「日本の未来」を予測するヤバすぎる本の中身 5/9
国民の反発が渦巻くなか、子育て支援金制度に関する法案が成立する。いったいなぜこんな問題だらけの制度の導入を決めたのか。過程をたどると、総理と財務省、それぞれの思惑がわかってきた。
これは保険じゃない
インフレと増税に苦しむ国民の財布から、政府はまたこっそりカネを抜き取ろうとしている。
4月19日、子ども・子育て支援法の改正案が衆議院本会議で可決された。少子化対策を「最重要課題」と位置づける岸田政権肝煎りの政策だ。
'23年の合計特殊出生率が1.20前後と過去最低の見通しとなり、少子高齢化が加速する日本。これを食い止めるため、岸田政権は3.6兆円規模の財源を確保し、少子化対策に充てると発表。うち約1兆円は、医療保険料などに上乗せして徴収するという。
これを実現するために提案されたのが、子ども・子育て支援法等改正案に含まれる「子ども・子育て支援金制度」だ。参議院でも可決される見込みで、まもなく「幅広く国民からおカネを徴収する制度」が誕生する。
だが、この制度はすでに悪評を買っている。経済ジャーナリストの磯山友幸氏が指摘する。
「岸田総理は就任直前に『消費税は10年は上げない』と明言しました。そこで、少子化対策の財源を『保険料』に求めざるを得なくなった。
しかし保険料というのは『みんなでおカネを出して、病気になったときの医療費のリスクに備えましょう』という制度。全員が恩恵を享受できるから成立するわけです。
ところが『保険料で少子化対策を』といっても、子育て支援の拡充で恩恵を受けられるのは子どものいる・生まれる世帯だけ。すでに子育てを終えた世代や独身、子どものいない世帯には直接恩恵がない。そういう人たちからもおカネを集めるというのは保険制度として筋が通っていません」
すべてここに書かれていた
また、岸田総理はこの制度を説明するときに「国民に実質的な負担は生じない」と繰り返したが、この発言も反感を生んだ。国会でこの制度の問題点を追及した立憲民主党の藤岡隆雄議員が指摘する。
「政府の試算に基づく参考値からすると、国民健康保険の加入者一人当たりで、年収400万円の世帯では月額550円、600万円世帯なら800円、800万円世帯なら1100円の負担に、さらに夫婦と子ども一人の3人世帯では、それぞれ1650円、2400円、3300円を負担するわけです。最大で年間3万9600円超の負担増。これのどこが『実質負担なし』と言えるのでしょうか」
そもそも、なぜ総理はこんな制度を導入しようと思い立ったのか。その過程を紐解いていくと、驚きの事実が浮かび上がってきた—。
「ここに書いてあることは実現できるのか? これが本当なら、わが政権の目玉施策になるな」
まだ日本がコロナ禍にあった'21年末のこと。岸田総理は一冊の本を読むと、側近らにこう話したという。
総理が手にしていたのは『人口戦略法案』という560ページもある大著だ。'21年11月に発売された本書は小説の形をとってはいるが、日本の人口減少の実態とそれによってもたらされる悪夢のような未来が書かれた「告発本」である。
執筆したのは山崎史郎氏。介護問題や人口問題に精通した元厚労省の幹部官僚だ。元官僚が実名で小説を書くこと自体異例だが、本作品のなかには少子化がもたらす問題点とともに「政府がいま打つべき対策」も多数提言されている。
いわば、「人口問題のすべてがわかる教科書」なのだが、そのなかでも特に強調されているのが、「保険料を財源とする『子ども保険』の創設」だ。ディテールに違いはあるものの、実はこれが岸田総理が推し進める「子ども・子育て支援金」のベースになっているのだ。官邸関係者が明かす。
●静岡県知事選が告示、26日投票 与野党対決の構図、リニア争点 5/9
川勝平太氏の辞職に伴う静岡県知事選が9日告示され、諸派新人の政治団体代表横山正文氏(56)と、共産党新人の党県委員長森大介氏(55)、ともに無所属新人の元浜松市長鈴木康友氏(66)=立民、国民推薦、元副知事大村慎一氏(60)=自民推薦=ら6人が届け出た。投開票は26日。
与野党対決の構図で、自民が全敗した4月の衆院3補欠選挙に続き、岸田政権に対する世論の動向がどう影響するかが注目される。川勝氏が環境への影響を懸念し、静岡工区の着工を認めてこなかったリニア中央新幹線への対応が主な争点となる。
ほかに届け出たのは無所属新人の自営業村上猛氏(73)と会社社長浜中都己氏(62)。
●解散巡り「火遊びもできない」 5/9
教育無償化を実現する会の前原誠司代表は9日の記者会見で、岸田文雄首相が従来、自ら衆院解散風を吹かせて求心力を維持していたとした上で、現在は同様の対応が難しいほど政権が行き詰まっていると指摘した。「今すると『岸田降ろし』が始まるかもしれない。火遊びもできない状況に置かれている」と述べた。
一方で、早期の解散断行への警戒感も示した。「6月の会期末解散もあり得る。常在戦場で身構えなくてはいけない」と語った。
●水俣病被害者に大臣謝罪 社会弱者の声 真剣に聴け 5/9
環境行政の原点である公害被害への国の姿勢が厳しく問い直されていよう。
水俣病が公式確認されて68年となった今月1日、熊本県水俣市で行われた伊藤信太郎環境相と患者・被害者団体との懇談会で起きた事態の波紋は、広がるばかりである。
発言した2人について、環境省職員がマイクの音声を一方的に切るなどして制止したからだ。時間を3分とあらかじめ設定し、それをオーバーしたという理由である。これまでも同じ運営方法だったというが、痛みに苦しんで亡くなった妻の記憶を語る途中で遮られた出席者の気持ちは、察するに余りある。
人道的にも許されない暴挙であり、言論封じとして批判を浴びたのも当然だろう。あいまいな釈明をした環境省も非を認め、きのう担当室長を謝罪に差し向けたのに続いて大臣自らが水俣入りして「深く反省している」と当事者に謝罪した。岸田政権へのさらなるダメージを避けたい思惑があることも想像できる。
伊藤氏は事務次官らを厳重注意としたが、事務方だけの問題ではない。その場で抗議の声を受け流し、新幹線の時間が迫っているとして立ち去った大臣の責任も重い。もはや単なる発言制止に関する謝罪では済まされない。
毎年、犠牲者慰霊式後に開いてきた懇談会は形式の見直しを検討するというが、本質はそこにない。要は水俣病に政府がどう向き合うかだ。そもそも歴代の自民党政権に問題解決の熱意がさほど感じられないことが、この事態の背景にあるように思える。
この懇談会も本来なら被害者の声をじっくり聴き、誠実に対話する場のはずだ。「一応聞いておく」だけの分刻みのセレモニーとして、形骸化していた面はないのか。
水俣病を巡っては2009年の特別措置法で未認定の被害者救済が一定に実現した。その認定基準から漏れた人たちが国などに賠償を求める訴訟が続く。だが、かつて公害を放置した結果、長年にわたる被害を生んだ国の対応が、歳月を経てもなおざりになっていいわけがない。
例えば、この特措法が国に義務付ける幅広い健康調査である。15年たっても始まらない現状を、ことしの懇談会でも多くの団体が指摘した。本当にやる気があれば、前に進む話ではないのか。
ふと思うのは、この問題で浮き彫りになった社会弱者への視線の冷たさだ。環境行政だけの問題なのだろうか。
8月6日、広島市の平和記念式典後に市主催の「被爆者代表から要望を聞く会」が開かれる。首相が式典に参列すれば、7団体から生の声をじかに伝える。核兵器廃絶への訴えとともに、戦後の「原爆孤児」や「黒い雨」被害の救済について要望してきた。
首相をはじめ国の側がどこまで本気で聞き、施策に反映しようとしているのだろう。水俣の事例を見ると「聞くだけ」ではないかと、不安にもなる。どんな分野であっても弱者の声に真剣に耳を傾け、その命と暮らしを守る責任を忘れないでもらいたい。
●水俣病「マイクオフ問題」 環境相が懇談の場を再設定へ 時期は未定 5/9
水俣病患者らの団体と伊藤信太郎環境相の懇談の場で、環境省職員がマイクの音を切るなどして団体側の発言を遮った問題をめぐり、伊藤氏は9日、患者らとの懇談を再設定すると明らかにした。同日の参院環境委員会で発言した。具体的な時期や方法は今後調整するという。
伊藤氏は8日に熊本県水俣市を訪れ、団体側に「不適切な対応だった」として直接謝罪している。伊藤氏は9日の委員会の冒頭で、団体側に謝罪した際に懇談の再設定を求められたと説明。「私の責任で懇談の場を設けることを決定した」と述べた。
一方、質疑では、自らの大臣の任期中に水俣病問題の最終解決をする意思があるかと問われ、「能力の限りにおいて最大限努力したい」と答えた。
また、伊藤氏は同日午後、岸田文雄首相に対応を報告。伊藤氏は、岸田首相から、「二度と再発しないよう、厳重に注意してもらいたい」と指示を受けたと記者団に説明した。懇談の再設定については、「丁寧にご意見をいただけるような運営の仕方をよく検討してもらいたい」と求められたとも明かした。
この問題をめぐっては、団体側はマイクを切られたことだけでなく、話す時間を3分と制限されたことなども問題視。懇談の場のあり方自体を強く批判していた。
9日夕には国会内で野党による環境省へのヒアリングがあり、マイクの音を切られたと主張しているが、環境省は切ったと認めていない水俣病不知火(しらぬい)患者会の岩崎明男会長もオンラインで参加した。岩崎氏は、8日の伊藤氏による謝罪の対象になっていなかったと説明。謝罪の場には「私はマイクを切られた人に入っていなかったから参加しなかった。馬鹿にされていると思って」と話した。
岩崎氏は環境省に対し、「人間の血が流れていない。その結果が1日(の懇談の場)に出た」「今回の対応を一生忘れない」と批判し、懇談のあり方の再考を求めた。
●水俣病被害者団体のマイク遮断問題 「聞く力」などひとごとのような大臣がいては政権の足を引っ張られるばかり 5/9
5月9日 まるで病気のお見舞いに行って病人の話もろくに聞かず、しまいには布団をはいで帰ったようなものだ。水俣病の患者・被害者らの話を聞く「重要な機会」だったはずの伊藤信太郎環境大臣の熊本・水俣市での今月1日の懇談会は被害者側の発言中、環境省側がマイクの音を切る異常事態が生じた。テレビでそのシーンを見たが何とも腹立たしい。
被害者側8団体の発言の持ち時間は1団体わずか3分ずつ。話のプロでも3分で要点を整理して伝えるのは難しい。水俣病に認定されないまま妻を昨年亡くした男性が「妻は痛いよ、痛いよといいながら…」と、話していると「話をまとめてください」と声がかかりマイクが切れた。
環境省側は伊藤大臣の帰京時間も考慮したとか。「重要な機会」なら帰京予定を変更すればいい。会場の怒号の中で「私はマイクが切れたと認識していない」と大臣がしれっといってのけたのにはあきれる。「発言中に失礼だろう!」と事務方を叱責し、発言を続けてもらうのが大臣の器量というものではないか。
就任当初から「聞く力」をアピールし、庶民目線の「車座対話」で政治刷新を目指しているはずの岸田政権。「聞く力」などひとごとのようなこういう大臣がいては足を引っ張られるばかりだ。さすがに、林官房長官は「環境省の対応で不快なお気持ちにさせたことは適切とはいえない」と指摘した。
環境省も不適切を認め、事務方が8日熊本に飛んで謝罪した。懇談会から1週間。当の伊藤大臣も事の重大さにやっと気付いたのか、同日大慌てで現地入りし「大変申し訳ない」と謝罪したが遅すぎる。はいだ布団はきちんと掛け直したか。しっかり点検する必要がある。
●円安で基調物価上振れ続けば正常化ペース「速まる」=4月日銀意見 5/9
日銀が4月25―26日に開いた金融政策決定会合で、円安によって基調的な物価上昇の上振れが続けば「正常化のペースが速まる可能性は十分にある」との意見が出ていたことが分かった。国債買い入れについて、現状の毎月6兆円から減らすことも選択肢だとの指摘が出されたほか、日銀が保有する上場投資信託(ETF)の取り扱いを巡り「具体的な議論ができる環境になりつつある」との発言もあった。
日銀が9日、決定会合で出された主な意見を公表した。同会合では、全員一致で政策金利の据え置きを決めた もっと見る 。
年初来の円安進行を受け、決定会合でも円下落の影響について議論された。ある委員は、円安と原油高は「コストプッシュ要因の減衰という前提を弱めており、物価の上振れ方向のリスクにも注意が必要だ」と指摘した。
円安は短期的に輸入価格の上昇を招いてコストを押し上げ、経済を下押しするが、インバウンド需要の増加や製造業の国内回帰などを通じ「中長期的には生産や所得への拡張効果もあるため、基調的な物価上昇率の上振れにつながり得る」との意見も出ていた。
先行きの政策金利について、ある委員は「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の見通しが実現すれば「約2年後に2%の物価目標を持続的・安定的に実現し、需給ギャップもプラスになる」と指摘。金利のパスは「市場で織り込まれているよりも高いものになる可能性がある」と話した。
物価目標達成時の不連続かつ急激な政策変更によるショックを抑えるために「経済・物価・金融情勢に応じて、緩やかな利上げを行うことで金融緩和度合いを調整することも選択肢」との指摘もあった。
金融緩和のさらなる調整を検討するに当たり、堅調な設備投資の継続や賃上げを契機とする年後半に向けた個人消費の改善傾向を、夏場にかけて確認することがポイントになるとの声も出た。
日銀は決定会合で、国債買い入れについて「3月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施する」とし、月間6兆円程度の買い入れを維持した。ただ、委員からは、国債の需給バランスを踏まえ、市場機能の回復を目指す観点から「現状6兆円程度の毎月の長期国債買い入れを減額することは選択肢だ」との意見も出ていた。
ある委員は、国債保有量の正常化や過剰な水準にある準備預金の適正化のため、日銀のバランスシートの圧縮を進めていく必要があると主張。昨年、段階的にイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を柔軟化したことが、円滑な出口戦略につながったと述べ「国債買い入れの減額も、市場動向や国債需給を見ながら、機を捉えて進めていくことが大切だ」と話した。
日銀は同会合に先立つ3月の金融政策決定会合で大規模な金融緩和を終了し、ETFの新規買い入れも終えた。
保有するETFや不動産投資信託(REIT)の取り扱いは今後の焦点の1つで、ある委員は4月の会合で、市場動向を踏まえれば「具体的な議論ができる環境になりつつある」と述べた。別の委員はETFの処分方法が株式市場の機能に与える影響や市場に及ぼすインパクトの大きさなどを考慮する必要があり「簡単な解決策はない」とする一方、「仮に長い時間がかかっても方向としては残高をゼロにしていくべきだ」と発言した。 
●鬼の岸田の大ウソつき…新NISAは非課税のはずだったのに「社会保険料は税金ではありませーん」…円安、物価高、苦しむ国民を更に追い込む 5/9
2024年から新NISAがスタートした。新NISAの枠組みで投資した利益は非課税、ということで、今年から投資をスタートした国民も少なくないだろう。実際に、1〜3月にかけて日経平均株価は伸び続け、一時は4万円台を突破した。
しかしここにきて、新NISA投資家たちの前に暗雲が立ち込めている。4月25日、厚労省が自民党の部会で、金融所得課税の手続きで確定申告をするかしないかを選べる所得について、社会保険料の徴収に反映させるようにする案を提示した。これを受けてSNSユーザーたちは大激怒。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏も「社会保険料と言い方が変わったところで、増税に変わりない。新NISAは非課税と言っていたのにもかかわらず、詐欺に等しい」と切り捨てるーー。
新NISA開始したのに金融所得から増税しようと企む岸田首相
自民党が金融所得に対して更なる負担強化を狙って動き始めている。具体的には、自民党の内部会議に、厚生労働省が所得に応じて集める医療や介護保険料の算定に株式の配当などの金融所得を反映する仕組みを提示したとのことだ。岸田政権が政権発足当時に真っ先に口にしていた金融課税の端緒がいよいよ切られたことになる。
政府は巨額の社会保障支出を賄うために、あの手この手で国民の懐に手を突っ込むことを試みている。今回は源泉分離課税となっている金融所得に対する課税方式を改め、それらの利益からも新たに社会保険料を毟り取ろうと襲いかかる準備中だ。仮にこの制度が導入された場合、新NISAなどで得られた利益にも新たに社会保険料が課される可能性もあり、将来的には大増税の最初の一歩となる道が開かれることが懸念される。
「増税メガネ」と言われたくない岸田首相は「増税」という言葉を使わずに国民からお金をむしり取ろうと画策
岸田政権は「増税メガネ」と揶揄されたこともあり、ストレートな増税政策を回避する傾向がある。そのため、GX賦課金のような複雑なスキームによる負担増や税金という名称ではない社会保険料上乗せなど、とにかく「増税」という表現に抵触しないように、国民に新たに負担を課すことにご執心だ。
このような増税もどき政策が実施される状況になった背景は、いわゆる有識者とされる人々が「賦課金」や「社会保険料」は増税ではない、という不可思議かつ複雑な論調を形成してきた負の影響が少なくない。
一般庶民からしたら、手取りが減るなら全部「増税」。言い方の問題ではない
賦課金や社会保険料の増加はあまり世間の注目を浴びることなく増加の一途を辿ってきた。「社会保険料は税金ではない」と主張する有識者とされる人々の中には「社会保険料を引き上げないように消費税増税をするべきだ」と主張している唾棄すべき言説を展開する人々すら存在する。
一般国民から見れば、家計に対する負担が増加する政策は、常識として全て「増税」である。名称や形式に多少の違いがあれども、賦課金だろうが、社会保険料だろうが、税金と何ら変わらないものである。このような当たり前のことを無視し、彼らは「片方を生贄に捧げる代わりに、もう片方を見逃してもらう」という負け犬の考え方を世間にばらまいている。その結果として、消費税であろうが、社会保険料であろうが、両方とも一方的に増加し続けてきたのが実態である。
「新NISAは非課税」と言っておきながら社会保険料取るなら国民に対する詐欺だ…金融立国を目指すのではなかったか
さらに、最悪なことに「社会保険料は税金ではない」とする詭弁は、今回の金融所得に対して更なる課税(社会保険料)を迫る動きに大義名分を与えてしまっている。
金融立国に向けて国民の資産運用を促す行為に水を差すどころか、新NISAなどを「非課税」としながら、それらに社会保険料を新たに課すことになった場合、政府は国民に対して事実上詐術を用いて投資を促したと言って良いだろう。このような複雑怪奇な課税方式で国民を欺き不信感を抱かせて投資意欲を削がせようとする試みは愚策である。

 

●「信用できない」政治家ランキング 3位二階俊博、2位麻生太郎を抑えた1位は? 5/10
4月に行われた衆院の3補選で、大敗を喫すこととなった自民党。自民党の総裁である岸田文雄首相(66)は敗因について、「補選の結果については真摯に重く受け止めています。自民党の政治資金の問題が大きく足を引っ張ったことは候補にも応援してくださった方にも申し訳ない」と述べている。
しかし、自民党に対する不信感をあおったのは裏金問題だけではない。これまでも旧統一教会との癒着ぶりや、大量の税金を投入して強行的に開催された安倍晋三元首相(享年67)の国葬などが問題視されてきた。さらには円安や物価高により国民の生活が圧迫されていることや、不祥事、失言など自民党議員の人権感覚や倫理観を問う声も相次いできた。
自民党が評判を落とす一方で、期待されるのが野党だが、その野党についても支持率は伸びないまま。政治不信は政党を問わず拡大しているようだ。そこで今回、本誌は、「信用できる・できない政治家」をテーマに20代〜60代の1000人を対象にアンケートを実施した。ここでは「信用できない」政治家の結果について公表する。
まず第3位に選ばれたのは自民党の二階俊博衆議院議員(85)だ。和歌山県第3区が選挙区である二階議員は当選13回。自民党の幹事長を歴代最長となる5年あまり務め、裏金問題で解散するまで二階派こと志帥会を束ねていた重鎮議員だ。
安倍元首相の国葬について世論から疑問の声が上がった際には、「国葬をやらなかったらバカ」「黙って見送ったらいい」「日本人ならやってよかったと思うはず」と発言し、批判が噴出。
また裏金問題では’20年からの3年間で、政治資金収支報告書に記載していなかった裏金で書籍を約3470万円分も購入していたことが発覚。問題を受けて、“政治不信を招いた”責任から次回の衆議院選挙に出馬しないと表明した。しかし、この“引退”会見で、不出馬の理由が高齢なのかと問われると否定した上で「年齢制限があるか? おまえもその年がくるんだよ」と、記者を睨みつけ威嚇。そして横を向き「バカ野郎」と呟いた。
今後、出馬はしないものの3男の伸康氏が県内の町村長らから出馬要請を受けており、伸康氏が“選挙の三バン”を世襲的に継ぐ可能性がある。
そんな二階議員について、アンケートでは《裏金作りをしても何らペナルティーを受けていない、息子を出馬させる》と怒りの声が。さらに、その言動から《人を見下した態度》《威張りすぎ》《権力だけはあって牛耳ってるイメージ》《愛想が悪く、裏で何をしているかわからず、かつ偉そうにしている》と厳しい声が相次いだ。
公式サイトに「天に星 地に花 人に愛」と直筆で綴っている二階議員。しかし、“人への愛”は国民になかなか伝わっていないようだ。
第2位は自民党の麻生太郎衆議院議員(83)だ。当選14回を果たし、現在自民党の副総裁である麻生議員。第92代内閣総理大臣であり、外務大臣や総務大臣といった大臣職を務めたという経歴の持ち主でもある。
しかし、何より’83年の「婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった」発言を筆頭に失言が多く、’19年には「(少子高齢化は)子どもを産まなかった方が問題なんだから」と暴言を吐き、’20年1月には「2000年の長きにわたって、1つの民族、1つの王朝が続いているなんていう国は、ここ(日本)しかない」とアイヌ民族を否定するような発言をしている。
今年1月の講演でも上川陽子外務大臣(71)のことを「カミムラ」と複数回誤って発言した上に、「そんなに美しい方とは言わんけれども」「俺たちから見てても、『このおばさんやるねえ』と思った」と話し、呆れ声が上がっていた麻生議員。アンケートでも《言葉も人名も覚え間違いして堂々と発言してて本当に理解する気ないんだなって落胆と呆れを感じる》《失言が多い》《失言はするし、態度がでかい》と振る舞いを問題視する声が上がった。
‘23年5月、『北國新聞』の記事で「萩生田光一政調会長は親分タイプですね。西村康稔経済産業相は、頭はいいと思いますが、みこしに乗ってじっとしていられるタイプですかね」など当時の安倍派の会長候補を論評していた麻生議員。しかし、キングメーカーを気取る前に、政治家として国民に誠意を見せてほしいところだ。
そして第1位は岸田文雄首相だ。10回当選し、外務大臣や防衛大臣といった大臣職を務めた岸田首相。’21年10月から国のトップに立っている。
しかし世論からの支持は得られておらず、冒頭で説明したような問題が積み重なり、内閣支持率が10%台になったことも。また7割を超える人が、裏金問題をめぐる岸田首相の対応を「評価しない」と回答したという世論調査もある。子育て支援金やインボイス制度などが「実質的な増税だ」と指摘されており、SNSを中心に「増税メガネ」という不名誉なあだ名で呼ばれている。
今回のアンケートでも、《嘘つき増税》《国民の金銭的負担をどんどん増やしていくから》《国民の貧困に対応できていない》《減税とか強調して結局大幅に増税となってしまいます》と増税に対する意見が噴出。さらに《説得力がない》《信用できない、価値観が違いすぎ》《何をしたいかわからない》と政治家としての資質を問う声も相次いでいた。
「中国新聞」による今年年始のインタビューで、経済などの政策分野について「具体的な結果を示す1年にしたい」と語っていた岸田首相。結果を示し、世論との溝を埋めることはできるだろうか。
今回のアンケートでは二階議員、麻生議員、岸田首相という3名に票が集中したが、「政治家は誰1人として信用できない」という声も多数寄せられていた。《すべての政治家が、国民のためではなく自分のためにやってるようにしか見えないから》《何も変わらなかったから》《嘘だらけ》とその理由が挙げられており、こうした嘆きを救う政治家が今、求められているのかもしれない。
●「外交の岸田」は本当か? 日本が直面している“本当の課題”とは 5/10
国民に負担増を押し付け続ける中で起きた自民党派閥の裏金問題。岸田内閣の支持率は低迷し、先に行われた衆院補選の3選挙は、2つの不戦敗と1つの大敗北と大ピンチに陥っている。しかし、そんな国民の怒りが爆発する中で、岸田政権は「外交」に光明を見出そうとしている。米国のあと、フランス、ブラジル、パラグアイと立て続けに首脳会談を行ったところ、これまでの政権批判とは打って変わって岸田首相の外交手腕が評価され始めている。果たして、その実態はどうなのだろうか。
批判から一転、岸田外交の“評価が甘い”理由
国賓待遇で招かれた米国では、晩餐会でのスピーチが大ウケし、その後のフランス、ブラジル、パラグアイとの個別首脳会談はメディアに好意的に取り上げられた。
日頃は岸田政権の政策に厳しい批判を加える有識者も、マクロン大統領の「戦略・防衛に関して、日本とフランスは、経済・産業分野およびインド太平洋地域での協力を強化します。親愛なる文雄、この協力は日仏両国の相互信頼の証であり、私はあなたに感謝しています」(2024年5月3日・Xへのポスト)を引用して、「男岸田、GWの外遊でフランスと関係強化の実績を作る」と誇らしげだ。
しかし、本当に岸田外交は誇ってもいいものかは、きちんと検証されなければならない。
まず、日本の言論界の状況であるが、選挙で自民党に圧勝した立憲民主党はリベラルな政策を掲げており、保守系のオピニオンリーダーたちは、立憲民主党に政権が変わるのであれば、岸田政権のままのほうがいいと信じている節がある。
また、自民党内で政権交代(自民党総裁を替えること)をするにしても、国民の人気が高いポスト岸田候補は「小泉進次郎、石破茂、河野太郎」の3氏であるが、これまた保守ウケが非常に良くない。3氏それぞれに悪い部分があるのだが、共通するのはともにパフォーマンス先行で、国民の役に立っていないと印象付けられていることに尽きるだろう。
これらの問題が背景にあるために、「岸田政権は実はいいことをしている」「岸田首相は増税メガネなどではない」というキャンペーンを張らなくてはいけないという使命感に陥ってしまうのだ。
さすがに「岸田首相は増税していない」という認識が間違っているのは「子育て支援金」なる増税で理解できたものと思われるが、実質賃金は23カ月連続マイナス、名目GDPは4位に転落、これらの数字を一切無視するのであれば、褒めることもできようが、さすがに内政分野で褒めることは限られている。
そこで出てきたのが、外交で甘い評価をしてみるということだろう。
首脳外交が自国にもたらす「ある効果」とは
安倍晋三政権は「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、戦略的に世界中を回っていた。中国を包囲するような姿勢なのかと思いきや、トランプ大統領との緊密な関係を軸に、最終的には中国とも友好的な関係を作ろうとするしたたかな戦略であった。
小泉純一郎政権は、北朝鮮拉致問題のワンイシューで世界中を駆け巡っていったといっても過言ではないだろう。北朝鮮に関連する国の首脳へ金正日委員長に対話をさせるべく弛まない努力をしていたことは、後に飯島勲氏(当時、首席首相秘書官)が明らかにしている。これが功を奏し、拉致被害者の一部が日本へ帰国できることになった。
では、岸田首相の外交ポリシーとは何か。「新時代リアリズム外交」と岸田首相が自ら名付けているものの、中身は「新しい資本主義」並みにフレーズが先行している。
実態はどうなっているのかというと、日経新聞(2024年5月4日)によれば「岸田首相は世界全体を見渡す姿勢を継承しつつ、価値観の押し付けではなく相手国の需要に寄り添う傾向」を強めているのだという。つまり、何ら戦略性を持たずに行動しているということになる。相手が望むことを聞き出し、それに「YES」と言っているだけなのであれば、相手国は喜ぶだろう。
たしかに、首脳外交は、それ自体に経済効果がある。「国賓訪問と国際貿易」(フォルカー・ニーチェ)という外交に関する有名な論文によれば、「国家元首の公式訪問は 輸出と正の相関関係があることがわかった。典型的な訪問は、ほかの要因を一定に保ったまま、二国間輸出を8〜10%増加させる」可能性があるという。
これは、1948年から2003年までのフランス(大統領)、ドイツ(首相)、米国(大統領)の国家元首の渡航活動を網羅した大規模なデータから導き出された効果だ。両国の友好関係が醸成されれば、自由貿易が促進されるというメカニズムだ。
つまり、日本の首相が世界中を飛び回ること、恐らくそれ自体に価値があることになる。そのため、岸田首相でなくとも立民の泉健太氏や石破氏、小泉氏、河野氏が日本の首相になったところで、同じく積極的に海外へ出れば、同じだけの成果が得られるのである。
詰まるところ、岸田外交の問題は、現在の日本外交における獲得すべき目標が設定されていない点と、目標がないために本質的に有益な行動ができていない点ということだ。
そんな日本外交の喫緊の目標は、中国と北朝鮮問題であろう。
“大きな失敗を犯した”中国・北朝鮮外交
中国は、2023年8月から東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出に反発し、日本の水産物輸入を禁止している。この問題は、禁輸措置の前に「QUAD(日米豪印戦略対話)」などで中国を刺激した上に、中国のシグナルを読み違えて首相自ら説明をしに中国へ行かなかった点と禁輸措置後に問題のエスカレートを恐れて対抗措置を取らずに放置することにした点という2つの点において、岸田外交の大きな失敗と言える。 ・・・
●意外にも「岸田再選」の可能性あり 5/10
4月28日の衆院補選で自民党は東京15区と長崎3区での候補者擁立を見送り、保守王国の島根1区での戦いに全エネルギーを投入した。だが、当初からの劣勢を跳ね返すことはできず、投票締め切りと同時に野党候補に「当確」を打たれる屈辱を味わった。強い向かい風が吹いていることは頭では分かっていたが、それが実際に数字で表れると、厳しい現実に戦慄(せんりつ)が走った。
補選の結果を受け、「やはり次の選挙は岸田じゃ戦えない」とささやかれるが、「じゃあ次は誰?」に対する明確な答えは聞こえてこない。世論調査では、石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相、上川陽子外相などの名前が挙がるが、本人たちの準備が進んでいるわけではないし、自民党内における支援の輪が広がっているわけでもない。ネクストバッターズサークルで、誰かが素振りをしているわけではないのだ。
表向きは自民党内の内輪もめがマイナスになるとの理由だが、「ポスト岸田」の本命が不在なため、大型連休が明けても「岸田降ろし」は始まっていない。他の議員と違うことをしたくないのか、干されたくないのか、それとも単に冷ややかなのかはともかくも、「昔なら党内から倒閣ののろしが上がったり、中堅・若手が声高に改革や刷新を叫んだりしたが、今の議員は本当におとなしい」(ベテラン秘書)という。
「ポスト岸田」を巡る動きが本格化しないもう一つの理由は、次の政権が短命になるかもしれず、火中の栗を拾いたがらないからだ。内閣や自民党の低支持率は、必ずしも岸田文雄首相だけによってもたらされたわけではない。物価高や負担増といった問題のみならず、裏金問題や収賄容疑、それにパパ活や不倫、パワハラなどによって引き起こされた政治不信は、たとえ新しい首相が誕生しても簡単に風化することはない。
一方、自民党は衆院補選で敗北を喫したものの、ここ最近の世論調査で内閣支持率はほんのわずかながら上昇に転じている。まだまだV字回復からほど遠いが、岸田首相はがぜん張り切り、諦めかけていた総裁再選へのイメージトレーニングを再開したようだ。自民党の元宿仁事務総長や最側近の木原誠二幹事長代理との打ち合わせに、何かしらのきな臭さを嗅ぎ取る者もいる。
永田町では、「岸田首相は政治資金制度の見直しと首脳外交で実績を上げた後、党役員人事と内閣改造を断行し、会期末に衆院を解散するのではないか」と予想する者もおり、その場合、投票日は7月28日か8月4日になると見られる。5月26日投開票の静岡県知事選で自民党推薦候補が勝てば、いくらかの勢いも加わるだろう。
内閣を改造しようと思っても“泥船”に乗ることを断る者が出てくるのではないか、党内の反対で解散権を行使できないのではないか、といった指摘もある。しかし、「現職総理の権力はすさまじい。昔よりもっと強大になっている」(閣僚経験者)という。それに加え、ほとんどの派閥が解体し、また政治資金パーティーも開催しにくい状況下では、総裁の力は一段と強く、盾突くことは容易ではない。
たとえ多少の減税効果や賃金上昇効果があったとしても、次の衆院選で与党が議席を減らすことはほぼ確実だ。だが、補選や参院選ならいざ知らず、「首相を選ぶ選挙」である衆院選で、「泉健太首相」が誕生することは想像しにくい。野田佳彦元首相あたりが党首に返り咲いた上で野党連携を強化しない限り、与党は50議席前後を減らしても首の皮一枚で過半数を維持でき、岸田首相は何とか総裁に再選されるのではないかと楽観視する者もいる。その可能性は消費税率くらいかもしれないが、決してゼロではないのだ。
だが、そもそも「信なくば立たず」や「聞く力」を訴えていた者が、わずか20%台の支持率で政権を維持しようとすること自体、間違っている。もしもあえて茨の道に挑むのであれば、何を成し遂げたいのかが明確でなければならないが、それも伝わってこない。会期末まで約1カ月半、岸田首相は自らの再選に向けたものだけでなく、退陣に向けた周到なイメージトレーニングもしておいた方がいいかもしれない。慌てて首相の座を降りる姿は、あまりにもみっともない。
●自民党・内部報告書から露呈した税制優遇のオンパレード 5/10
支持率が低迷する自民党。そんななか、岸田文雄首相が解散総選挙に向けて密かに準備を進めていたことがわかる内部報告書を入手しました。
文書は、自民党の「票とカネ」を支える業界へのバラ撒きを示すもの。内容を個別に見ていくと、診療報酬引き上げや公共事業費の確保など各団体が予算や補助金の増額、業界への税制優遇を求める要求のオンパレードで、ほぼ“満額回答”となっていました。全国1000社以上が加盟する団体の事務局幹部によると資料のなかの「自民党の回答」欄には「前年度を上回る」という文言が連発され、今年は特に幅広い業界に例年以上の補助金を計上、税制優遇の措置が取られているとのこと。
その事務局幹部は「資料を見れば、岸田首相が今年を“総選挙イヤー”にする見通しを持っていたことがよくわかる」と語っています。
●“復興へ向けた第一歩”自衛隊 能登半島地震被災地の石川・穴水町での支援活動終了「帰隊式」行われる 5/10
復興へ向けた第一歩。能登半島地震の被災地、石川・穴水町で活動していた自衛隊の活動が10日で終了した。
穴水町で入浴支援や給水支援などを行ってきた自衛隊員は、被災地での復旧が進んだことから10日で活動を終えることとなり、部隊が戻る「帰隊式」が行われた。
最後に穴水町に残っていたのは、京都の自衛隊から派遣された約20人で、町長や集まった50人の職員に見送られながら町をあとにした。
穴水町にあった本部機能は金沢市に移されるが、珠洲市や輪島市、能登町での自衛隊の支援活動は、引き続き行われるという。
●石川 珠洲 約1割の事業所が廃業または廃業予定 商工会議所調査 5/10
石川県珠洲市の商工会議所が地震後、初めて市内の事業所の経営状況を調査したところおよそ1割に当たる48の事業所が廃業したか廃業を予定していることが分かりました。今後も廃業が増えるおそれがあり、商工会議所は「事業所の不安を少しでも解消できるよう融資などの情報を提供していきたい」としています。
珠洲市にある「珠洲商工会議所」は先月、市内にある533の事業所に地震の被害と現在の経営状況に関するアンケート調査を行い、235の事業所から回答を得ました。
事業所の建物への被害については、全壊が68、半壊が48、一部が損壊した事業所が108あり、回答した事業所のおよそ9割が直接的に地震の被害を受けたということです。
また、15の事業所は「廃業を予定している」と回答しました。
珠洲市内ではすでに33の事業所が廃業していて、市内の事業所のおよそ1割に当たる合わせて48の事業所が廃業することになるということです。
二次避難などで市内で生活する人が減る中、事業を再開しても継続できるのか不安に感じる経営者が多いということで、今後さらに廃業する事業所が増えるおそれがあるということです。
珠洲商工会議所の袖良暢事務局長は「海岸沿いのエリアは特に被害が大きく、今後、どのようにまちづくりが進むかにかかっている。事業の再建に向けて、不安を解消できるよう融資や補助金などの情報を提供していきたい」と話していました。
●18歳の8割が「説明責任を果たしていない」…自民党裏金問題受け日本財団が意識調査、政治への関心低下に影響も? 5/10
自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、日本財団(東京都港区)は4月に「18歳意識調査」を実施。政治家に対する認識や政治資金問題に関する考えを聞いた。
同財団は選挙権年齢の引き下げをきっかけに、2018年10月から18歳前後の若者の価値観、政治・選挙に対する態度、社会課題の理解などを継続的に調査してきた。今回が63回目。インターネットで17歳〜19歳の男女計1000人が回答した。
まず日本の政治に対する印象については、「クリーンである」「民意をよく反映している」「必要な判断が適時できている」の3点とも「そう思わない」「どちらかというとそうは思わない」が計75〜87%に上った。政治資金の集め方や使い方についても80%超が「国会議員が説明責任を果たしているとは思わない」と回答。国会議員が「特権や待遇を多く受けている」とみる若者も70%を超えていることが分かった。
その上で、今後、投票機会があった場合の対応は、「行く」が64%、「行かない」が13%。行くと答えた人のうち23%は「政治資金問題のあった候補者・政党に不支持の意思を示したいから」、行かないとした人の28%は「政治資金問題で政治全体が信頼できなくなった、興味がなくなったから」と答えるなど、政治資金問題の深刻な影響が数字にも表れている。
日本の政治の現状に対する質問では、54%が「若者の政治離れが進んでいる」とする一方で46%は「政治の若者離れが進んでいる」と答えた。若者が政治に背を向ける一方で、若者の声に応えていない政治の現状を冷めた目線で見ている現実をうかがわせる数字として注目される。
●「国会議員関与せず」 安倍派会計責任者初公判で検察側 5/10
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、清和政策研究会(安倍派)の政治資金収支報告書にパーティー券収入のノルマ超過分の収支を記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた会計責任者、松本淳一郎被告(76)の東京地裁で開かれた初公判で、検察側は10日、「収支報告書の作成に国会議員は関与していなかった」と明らかにした。
検察側は冒頭陳述で、収支報告書の原案を安倍派の事務局の担当職員が作成し、松本被告が了承していたと指摘。東京地検特捜部は安倍派の幹部議員の立件を見送っている。
また、パーティー券収入のノルマ超過分が安倍派から議員にキックバック(還流)される仕組みについて、検察側は松本被告が前任者から存在について聞かされていたと言及。「(収支報告書に)記載しない運用になっていると引き継ぎを受けていた」と述べた。
起訴状によると、松本被告は2018〜22年分の安倍派の収支報告書に、収入と支出をそれぞれ計約6億7000万円少なく記載したとされる。
●安倍派“金庫番”の松本淳一郎被告が初公判 虚偽記載は“前任者からの引き継ぎ”? 政治資金裏金事件 5/10
自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、在宅起訴された会計責任者が、初公判で起訴内容を大筋で認めた。東京地裁前から、フジテレビ社会部・空閑悠記者が中継でお伝えする。
一連の裏金事件で、初めての正式裁判に出廷した松本被告は、質問に対して力強い声でハキハキと答え、堂々としていた。
安倍派の会計責任者、松本淳一郎被告は、派閥の政治資金パーティーをめぐり、約6億7500万円の収入と支出を収支報告書に記載しなかった罪に問われている。
松本被告は初公判で、起訴内容を大筋で認めたうえで、一部の議員が中抜きした分については、把握していなかったと主張した。
一方、検察側の冒頭陳述で「安倍派の収支報告書については事務職員が作成していて、議員が関与することはなかった」と指摘した。
―― 松本被告は、なぜ虚偽記載をすることになったのか?
ポイントは、前任者からの引き継ぎ。
検察側は、「松本被告は引き継ぎの中で、キックバックした分を除いた金額を記載していると報告を受けた」と明らかにし、「それまで虚偽記載が発覚しなかったことから虚偽の金額で報告書を作成した」などと主張した。
次回の裁判は6月18日で、被告人質問が行われる予定。
●安倍派の“金庫番” 初公判で起訴内容おおむね認める 議員側の中抜き「認識していなかった」 5/10
自民党の派閥のパーティー券をめぐる事件で、政治資金規正法違反の罪で在宅起訴された安倍派の会計責任者の初公判が10日午後、開かれました。一連の事件での初めての裁判です。
安倍派の会計責任者の松本淳一郎被告は、起訴内容についておおむね認めた上で、パーティー券収入の一部については、「認識していなかった」と述べました。
安倍派・清和政策研究会の会計責任者の松本淳一郎被告は、2022年までの5年間でおよそ6億7000万円のパーティー券収入と、ほぼ同額の支出を、派閥の収支報告書に記載していなかったとして、政治資金規正法違反の罪に問われています。
10日の初公判で、松本被告は起訴内容をおおむね認めた上で、2018年度と19年度のパーティー券収入の一部、いわゆる議員側が「中抜き」していた分については、「収支報告書の提出の時点で認識していませんでした」と述べました。
検察側は冒頭陳述で、前任者からの業務の引き継ぎで、ノルマ超過分の金額を除いて収支報告書に記入する説明を受けたとし、「虚偽の金額を記入することとなると認識したが、かねて、この方法で発覚してこなかったことなどから、虚偽記入を継続することとした」と指摘しました。
10日の裁判で検察側は、安倍派の日常的な経理事務では、収支報告書の作成は事務局の職員が行っていて、「議員が関与することはなかった」と指摘しました。
また、事件に関する、安倍派議員の供述調書などの証拠についても10日の法廷では明らかになりませんでした。
次回行われる被告人質問で、議員の関与について松本被告が発言するかが注目されます。
●岸田首相“裏金問題”森元首相聴取で「具体的な関与確認できず」改めて強調 5/10
自民党の“いわゆる裏金問題”をめぐり、10日発売の文芸春秋に森喜朗元首相のインタビューが掲載され、岸田首相から電話で聞き取りを受けた際に“裏金問題”について詳細な質問はされなかったなどと述べていることについて、岸田首相は「聴取を行ったが、森氏の具体的な関与は確認できていないと申し上げてきた。この発言はまったく変わらない」と改めて強調しました。
岸田首相は「雑誌報道ひとつひとつについてコメントすることは控える」と述べたうえで、「私から森氏に対し、一連の事案と森元首相の関係について、国民の関心も踏まえて聴取を行った。そして結果として、森氏の具体的な関与は確認できないと申し上げてきた。この発言はまったく変わらない」と述べました。
岸田首相はまた、森氏への聴取は1回だけだったと述べました。
●岸田首相、森氏聴取の説明変えず=「裏金質問なかった」報道に 5/10
岸田文雄首相は10日、同日発売の月刊誌「文芸春秋」で森喜朗元首相が「岸田首相から安倍派の裏金づくりに関する詳細な質問はなかった」と主張したことについて、「(裏金問題で)森氏の具体的な関与は確認できていない、と言ってきた。この発言は全く変わることはない」と従来の自身の説明を繰り返した。首相官邸で記者団に語った。
首相は4月上旬の森氏との電話について「一連の事案と森氏の関係について、国民の関心を踏まえて聴取した」と述べ、聞き取りはこの1度だったと説明した。
●政治への企業献金「透明化しないなら禁止を」と経済同友会 政治不信の解消に向けた改革案を提言 5/10
経済同友会は10日、政治への信頼がこれまでにないほど失われているとして「政治不信解消に向けた政治改革」と題する提言を発表した。焦点となっている企業・団体献金については、政治家側が資金の使途などを透明化しなければ献金を禁止すべきだと指摘した。
政治・行政改革委員会が1年間議論してまとめた。国会議員や政党が早急に取り組むべきこととして、政治資金収支報告書のオンラインでの提出や現金授受の全面禁止、さらに政治活動と政治資金の使途をひもづけるガラス張りの情報公開を求めた。
同友会はこれまで企業・団体献金は禁止との立場だったが、献金が行われている現状を踏まえ、現実的な対応策を示した。
このほか衆院の解散権行使の条件を具体化するなど国会審議の充実に向けた提言や、政党のガバナンス(統治)を高めるために政党法の制定など中長期的な取り組みも盛り込んだ。
●安倍派幹部へ批判続出、与野党 真相究明を要求、事務局長初公判 5/10
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、政治資金規正法違反の罪に問われた安倍派事務局長が起訴内容を大筋で認めた10日の初公判を受け、与野党から関与否定に終始する安倍派幹部への批判が相次いだ。自民の閣僚経験者は「被告だけの責任ではない。派閥の無責任体質の被害者だ」と指摘。改めて真相究明を求める声が強まった。
岸田文雄首相は「公判中の個別案件に首相の立場で触れることは控える」と述べるにとどめた。
安倍派の西田昌司元政調会長代理は「派閥幹部が説明責任を果たしていないことが不信感を呼んでいる」と非難。同派中堅は「トカゲのしっぽ切りだ」と事務局長に同情を寄せた。
公明党の石井啓一幹事長は裏金問題の真相解明について「裁判でその一端でも明らかにされることを望んでいる」と注文。立憲民主党の泉健太代表は「裏金づくりが続いてきた経緯が解明されなければならない」と訴え「安倍派幹部が誰も責任を取らないのはいかがなものか」と酷評した。国民民主党の榛葉賀津也幹事長は「責任を取るべき議員が逃げ回っている」と断じた。
●20日からサウジアラビア皇太子来日へ 天皇陛下と会見、岸田総理とも会談 5/10
林官房長官は、サウジアラビアのムハンマド皇太子が今月20日から来日し、天皇陛下と会見するほか、岸田総理と会談すると発表しました。
林官房長官「滞在中は、天皇陛下は、ムハンマド皇太子殿下と御会見になるほか、宮中午餐を催される予定です。また、岸田文雄内閣総理大臣は、ムハンマド皇太子殿下と会談し、夕食会を催す予定です」
林官房長官は、午前の会見で今月20日から23日の日程で、サウジアラビアのムハンマド皇太子が公賓待遇で来日すると発表しました。
岸田総理との会談では、「中東や国際社会が複合的な問題に直面する中、平和と繁栄の実現に向け、緊密な連携を確認する」と見通しを示しました。
さらに、来年、両国は外交関係樹立70周年を迎えることから林官房長官は「両国の親善関係が一段と深まることが期待される」と述べました。
●与野党協議で法案「理想的」 石井公明幹事長 5/10
公明党の石井啓一幹事長は10日の記者会見で、政治資金規正法改正案は今後の与野党協議でまとめることが望ましいとの考えを示した。「野党にも意見をもらった上で法案がまとまれば一番理想的だ」と述べた。
自民党に対しては「自民の派閥パーティー問題に端を発して政治不信が最高潮に達していることを強く自覚し、法案の詰めや与野党協議に臨んでほしい」と注文を付けた。
●自民・石破元幹事長「責任は伊藤大臣が負うべき」 水俣病の懇談会で環境省の職員がマイクの音を切った問題 5/10
水俣病の患者らの団体との懇談会で、環境省の職員が団体側の発言を遮りマイクの音を切った問題について、自民党の石破元幹事長は「責任は伊藤大臣が負うべき」との考えを示しました。
自民党 石破茂 元幹事長「責任はなんだかんだいって、大臣が負うべきものですよ。それをどうするかは、任命権者(岸田総理)の判断であり、大臣本人のご判断だけど」
石破氏はTBSのCS番組の収録で、水俣病の患者らの団体側が発言している最中に環境省の職員が持ち時間を過ぎたためマイクの音を切ったことについて、“官僚の判断で行われたとしても、責任は大臣が負うべきだ”との考えを示しました。
また、JNNの最新の世論調査で、「政権交代」を望む人が「自公政権の継続」を上回った現状について、“自民党支持層が自民党自身の変化を求め投票しなくなると、政権交代が起こる”と危機感を示し、支持者の期待に応えられるよう変わる必要があると訴えました。
●「大臣も環境省もつるし上げられてた」熊本知事が発言、すぐ撤回 5/10
水俣病患者らの団体と伊藤信太郎環境相が今月1日に懇談した際に、環境省職員がマイクの音を切るなどして団体側の発言を遮った問題をめぐって、熊本県の木村敬知事が10日、同席していた知事自身の対応について説明する際、紛糾した懇談の様子を「事実上、つるし上げになっていた。大臣も環境省も」と表現した。直後に訂正し謝罪する一幕があった。
10日の定例記者会見の場で記者団に対して自身の考えを述べた際の発言。患者らの団体側が威圧していたという認識か、と記者に確認を求められ、木村知事は、「言葉を訂正します。そう受けとられかねない表現だった。おわびします。厳しい怒りをこめて叱責(しっせき)されたということを言いたかった」と釈明した。
●水俣病懇談会、聞く耳なし!無能大臣と環境省官僚のうそ 5/10
下記、動画(国会質疑)の文章は整理していますが、「あの〜、え〜」の連発、進行表は誰かが作ったもの、知らないはずがない… ウソをついていることになります。
記事全文 [​​Yahoo! ニュース TBS NEWS DIG(2024年5月9日)​​]
​「3分でマイクオフ」環境省の司会の台本に明記 「後でしゃべらせろと言われた場合」も想定 水俣病の懇談会でマイク切った問題
水俣病の患者らの団体との懇談会で、環境省の職員が団体側の発言を遮りマイクの音を切った問題で環境省の担当者が司会をする際に使用した台本に「3分でマイクオフ」と明記されていたことがわかりました。
この問題は今月1日、伊藤環境大臣と水俣病の患者らの団体との懇談会で、環境省の職員が団体側が発言している最中に持ち時間を過ぎたため、マイクの音を切ったもので伊藤大臣は8日、熊本県水俣市を改めて訪れ、団体側に謝罪しています。
環境省は9日、懇談会で担当者が司会をする際に使用していた台本を公表しました。
台本には制限時間の3分が近づいた場合には、司会が「申し訳ありませんが、他の団体様のお時間もございますので手短にお願いします」と伝えたうえで、「3分でマイクオフ」とマイクの音を切ることが明記されていたことがわかりました。
また、台本には「長くなるようでしたら、失礼とは存じますが、途中でお声かけし、当方でマイクをオフにさせていただくこともあるかもしれません」とあらかじめ団体側に伝えるようにとの文言が準備されていましたが、司会が読み飛ばしたため、事前にマイクの音を切る可能性は団体側に伝えられていなかったということです。
さらに、台本には団体側から「時間を短くしたから後でしゃべらせろと言われた場合」と書かれていて、その際には「時間を見つつ対応させてください」などと回答するようにと書かれました。​
国会質疑
野党:「誰の指示でこのオペレーションを作ったんですか?」
神ノ田部長「こちらですね、長い経緯がございまして、でも、今となっては確認する作業はしたんですけれども、どの時点で、そういった対応が組み込まれることになったかという経緯については確認できておりません。」
●"水俣病 懇談会"伊藤大臣は六本木豪邸のボンボン2世議員 5/10
​適材適所の逆を行く「岸田政権」。トップがボンボンなら、部下もボンボン。
そもそも、1団体の持ち時間が、たったの「3分」〜はじめから聞く気などない。 しかも、マイクを切るタイミングの悪さに気配りもない「お坊ちゃま大臣」。
「聞く力と決断し実行することのバランスが政治に求められる」…これは昨年10月に岸田総理が語った言葉... 岸田に言いたい、「これが、おまえの聞く力か?」
記事要約 [Yahoo! ニュース 日刊ゲンダイ(2024年5月10日)]
伊藤信太郎環境相は“ボンボン”2世議員…六本木の大豪邸、幼稚舎から慶応育ちで「弱者の気持ち」分かるワケなし
裏金事件でボロボロの岸田政権から、新たなトンデモ大臣が飛び出した。
水俣病患者・被害者の団体が今月1日に伊藤信太郎環境相と懇談した際、環境省職員が被害者側の発言中にマイクの音をオフにした問題。 伊藤大臣は8日午後、熊本県水俣市に出向き、被害者側に直接謝罪した。
これに先立ち、都内で報道陣の取材に応じた伊藤大臣は「水俣病は環境省が生まれた原点…。 いかに大切に思っているかを伝えたい」と涙ながらに語っていた。
しかし、泣いて謝って済む問題ではない。
1日の懇談では、水俣病患者連合の松崎重光副会長が、水俣病に認定されないまま昨年亡くなった妻について「痛いよ痛いよと言いながら死んでいきました」と窮状を訴えたところで、強制的にマイクが切られた。
発言時間が1団体3分に制限されていたことが原因だが、不誠実な対応に被害者側から「聞いてやれーな、大臣」といった声が上がり、会は紛糾。
終了間際に「マイクオフ」の見解を問われた伊藤大臣は「私はマイクを切ったことを認識していません」と冷たく言い放ち、そそくさとその場を立ち去っていた。
●日銀、国債購入減額へ検討本格化 円安にらみ正常化加速も 5/10
日銀が国債買い入れの減額に向け検討を本格化させていることが、9日公表した4月25、26日の金融政策決定会合の主な意見で明らかになった。ある政策委員が「(減額は)機を捉えて進めていくことが大切だ」と主張するなど、同会合では国債購入縮小に関する意見が相次いだ。歯止めがかからない円安をにらみ、日銀が追加利上げを含めて金融正常化を加速させる可能性もある。
日銀は3月の会合で、マイナス金利政策の解除に踏み切ったが、国債買い入れについては月間6兆円規模で継続することを決めた。
これに対し、4月会合では「市場機能回復を志向し、減額することは選択肢だ」「どこかで削減の方向性を示すのが良い」など、国債買い入れの減額を巡り議論が本格化。日銀の国債保有量の圧縮など、量的引き締め(QT)も視野に入れるべきだとする意見もあった。
同会合では、声明文から「6兆円」という購入額の表記を削除し、実際の買い入れをある程度柔軟に行えるよう布石も打った。
日銀の植田和男総裁は会合後の記者会見で、円安の影響は限定的との考えを示し、市場では一段の金融正常化に慎重だと受け止められた。このため円安が加速し、円相場は一時1ドル=160円台まで下落。政府・日銀はその後、円買いの為替介入で対抗したとみられている。
4月会合では、ある委員が「円安を背景に基調的な物価上昇率の上振れが続く場合には、正常化のペースが速まる可能性は十分にある」と指摘するなど急速な円安を警戒する声も目立った。為替の動向次第で、追加利上げや国債買い入れ減額などの正常化に向けたタイミングが前倒しされることもありそうだ。
●急激な円安、成長への課題 日銀に適切な金融政策要請―諮問会議 5/10
政府は10日、経済財政諮問会議(議長・岸田文雄首相)を開き、外国為替市場での急激な円安進行をマクロ経済運営上の課題と位置付け、日本が「新たな経済ステージに向けた正念場」を迎えているとの認識を示した。経済団体のトップらで構成する民間議員は、大幅な円安や資源高による過度な物価上昇は「民需の抑制につながる」と指摘した上で、日銀に適切な金融政策運営を求めた。
会議では民間議員が日本経済の現状に関し企業収益や賃金が堅調な一方、「円安傾向が続き、物価上昇が賃金上昇を上回る中で消費が力強さを欠いている」と指摘。政府に1%を安定的に上回る実質成長を目指した経済対策の実施を求めるとともに、日銀に急激な円安による物価への影響を注視し金融政策を運営するよう要請した。
その上で、岸田政権が目指す物価と賃金の好循環実現に向け、(1)賃金・所得の拡大(2)価格転嫁(3)人手不足対応―が三つの課題と指摘。最低賃金の引き上げや、供給網全体での価格転嫁実現に向けた監視・法執行の強化、省力化投資の促進を通じた人手不足対応などを政府に提言した。
岸田首相は提言を受け、「最近の円安の動きを注視している」と強調。賃金拡大や価格転嫁対策の強化に取り組む考えも示した。
●韓国の革新系野党代表が竹島上陸を宣言、LINE問題に抗議か=韓国ネット「行くべきところは独房」 5/10
2024年5月9日、韓国・文化日報によると、4月の総選挙で躍進した革新系野党「祖国革新党」は同日、チョ・グク代表が今月13日に島根県の竹島に上陸する計画を明かした。
記事によると、「祖国革新党」は「独島(竹島の韓国名)は韓国の領土。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の対日屈辱外交に審判を下す」としてチョ・グク代表の竹島上陸計画を発表した。
記事は「今回の独島訪問は最近のLINE問題に抗議する目的とみられる」と分析している。
元グーグル社員の李海a(イ・ヘミン)祖国革新党次期議員は9日に行った記者会見で「日本で成長した韓国企業が日本の手に渡ってしまいそうだ」とし、「尹大統領は一体どこの国の大統領なのか」「尹大統領が主張する日韓関係の正常化は、対日屈辱外交の別名だったことがあらわになっている」と批判したという。
記事は「チョ・グク代表の独島上陸計画の適切性については議論を呼ぶとみられる」「敏感な外交懸案を国内の政治に利用する『外交ポピュリズム』と捉えられかねない」と指摘。「実際に、日韓関係において独島問題を持ち出すのは、独島を紛争地域としたい日本の意図の中に巻き込まれる行為だとの主張が以前からなされてきた」「進歩・保守問わず過去の政権が独島の領有権をめぐって日本と論争を繰り広げず、独島に対する実効支配力を高めることに注力してきたのも、このためだ」と伝えている。
この記事を見た韓国のネットユーザーからは「法相まで務めた文在寅(ムン・ジェイン)政権時代には見向きもしなかった独島を、徐々に回復しつつある日韓関係をぶち壊すために今になって利用するだなんて卑劣」「李明博(イ・ミョンバク)元大統領が上陸したときは『紛争地域にするつもりか』と批判していたのに」「あなたが行くべきところは独島ではなく独房だよ(チョ・グク代表は子どもの入試に関する不正事件などで起訴され、2月にソウル高裁で懲役2年、追徴金600万ウォンの実刑判決を言い渡されて上告中)」「監獄に入る前の最後の旅行?」「大韓民国は犯罪者が『大統領に審判を下す』と言って暴れるような国になってしまった」「独島に何度も上陸して政治的象徴性を持たせると、紛争地域と捉えられかねない。なぜ政治家がそうするのか分からない」などの声が寄せられている。
●岸田首相 拉致被害者家族と面会 “日朝首脳会談の実現目指す” 5/10
岸田総理大臣は、先にアメリカを訪れた北朝鮮による拉致被害者の家族会のメンバーらと面会しました。岸田総理大臣は、アメリカを含めた国際社会の協力を得ながら、日朝首脳会談の実現を目指す考えを示しました。
拉致被害者の横田めぐみさんの弟で、家族会の代表を務める拓也さんや、田口八重子さんの長男の飯塚耕一郎さんらは大型連休中にアメリカを訪れて政府や議会の関係者と面会し、拉致問題の早期解決に向けた理解と支援を訴えました。
横田さんらは、10日、総理大臣官邸で岸田総理大臣と面会し「アメリカのどの方からも『事あるごとに拉致問題を取り上げていく』などという話をもらい、日朝の水面下交渉に大きく寄与するのではないかと考えている。日朝首脳会談の実現に向け、活用してもらいたい」と述べました。
これに対し岸田総理大臣は、自身も先月、アメリカを訪問した際に、バイデン大統領から力強い支持を得たと説明しました。
そのうえで「今後もアメリカの理解と協力を得ながら、北朝鮮への働きかけに一層力を入れる。国際社会と協力し、日朝首脳会談の実現に向けたハイレベルでの協議を続けていきたい」と述べ、問題解決への決意を示しました。
横田拓也さん「拉致事件の全面的解決に向けて活用を」
横田拓也さんと飯塚耕一郎さんが、岸田総理大臣に訪米の結果を報告したあと記者団の取材に応じました。
この中で、横田拓也さんは訪米中、被害者の家族会がことし2月に決めた「親の世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国が実現するなら、わが国が北朝鮮にかけている独自制裁を解除することに反対しない」とする新しい活動方針を説明し、すべての人から理解を得られたと述べました。
そして「私たちの訪米が今、進んでいるであろう日朝間の、水面下の交渉に寄与することを願っていますし、一刻も早い拉致事件の全面的解決に向けて大きく活用していただきたいと総理に伝えました」と話しました。
そのうえで、「すべての拉致被害者の即時一括帰国しかわれわれは求めていません。その要求の水準を絶対下げることなく、怒りの気持ちを持ち続けた形で北朝鮮と強い外交を貫いてほしい」と求めました。
また、飯塚耕一郎さんは北朝鮮に対する制裁の実施状況を調査してきた国連安全保障理事会の専門家パネルの活動が先月で停止されたことに触れ、「拉致問題に関しては圧力も重要なポイントですので専門家パネルの再開、もしくはそれに類するような活動を日米で進めてほしい」と求めました。
林官房長官「今回の米訪問は非常に有意義」
林官房長官は閣議のあとの記者会見で「拉致問題の解決には、アメリカをはじめとする国際社会との緊密な連携も重要だ。政府としても今回の3団体によるアメリカ訪問は、関係者の拉致問題に対する理解をより一層深める上で非常に有意義だったと考えており、私からもその旨を伝えた」と述べました。
その上で「拉致被害者家族も高齢となる中で時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題だ。すべての被害者の1日も早い帰国の実現に向け、国際社会と連携しながら、引き続き全力で果断に取り組んでいく」と述べました。
●拉致被害者家族、岸田首相に訪米報告 日朝首脳会談の実現を改めて求める 5/10
拉致問題解決への協力を求めてアメリカを訪問していた拉致被害者の家族らが、10日朝、岸田首相に面会し、日朝首脳会談の実現を改めて求めました。
先週、アメリカを訪問し、国務省の政府高官などと面会した家族らは、解決に向けた日米間の連携の重要性について、アメリカ側と確認できたと岸田首相に報告しました。
拉致被害者家族会・横田拓也代表「アメリカ側の理解を得られたことは、日朝の水面下交渉にとても大きく寄与するのではないか」
また、家族らは、拉致被害者の親世代が存命のうちに全ての被害者の一括帰国が実現すれば、北朝鮮に対する独自制裁の解除に反対しないなどとする活動方針についても、アメリカ側の理解が得られたとし、岸田首相に対し、日朝首脳会談の実現に向けた対応を改めて求めました。
 5/11-5/20

 

●[政策活動費] デパートの紙袋に“2億円” 野党の分裂狙い…元秘書が告白「こういうお金が動くのか」 5/11
政党から党幹部に支払われ、巨額ながら使い道を公開する義務がない「政策活動費」。“合法的な裏金”とも言われています。その内情について、永田町に詳しい元秘書の男性に直撃取材。自民党幹部は詳細な説明を避けますが、政策活動費は一体何に使われているのでしょうか?
もう1つの“ブラックボックス”
政治部の川上泰記者が、森喜朗元首相に呼びかけます。
「森さん、すみません。森さん、一言いただけませんか。一連の裏金問題でご説明するお考えはございませんでしょうか?」
キーマンの1人とされる森元首相は口を閉ざしたまま。自民党の派閥の裏金問題は、いまだ実態解明が進みません。
裏金とともに“ブラックボックス”と言われている金、それが「政策活動費」です。政党から党の幹部に支払われるもので、国民に使い道が公開されないことから、“合法的な裏金”とも言われています。
その内情を知る人物に迫りました。
政治資金収支報告書に見る各党の支出
このギモンを調査する川上記者は自民党を担当し、河野デジタル大臣や麻生副総裁を日々取材しています。まず川上記者が調べたのは、各政党の政治資金収支報告書です。
政党から党の幹部に支払われる政策活動費。2022年の政治資金収支報告書によると、1年間で、日本維新の会は約5057万円、国民民主党は6800万円、立憲民主党は1億2000万円、自民党は14億1630万円という大金を支出しています。
何に使ったのか明らかにする必要がないため、“合法的な裏金”とも言われています。
過去映像には分厚い封筒と200万円が
日本テレビには、自民党から現金を受け取った議員の映像が残されていました。1998年の映像では「その黄色いやつが…」という問いかけに、議員が「えへへへ」と笑う声が確認できます。手元には、分厚い封筒が握られていました。
2005年の映像には、封筒に「政策活動費」の文字がありました。中から出てきたのは200万円の現金です。
11人の幹事長経験者に取材を依頼
金は一体何に使われるのでしょうか。川上記者は、自民党幹部の中で最も多い9億7150万円を2022年に受け取った茂木幹事長を会見で直撃しました。
──幹事長も受け取っていらっしゃると思いますけれども、どのようなものに使ってきたのでしょうか?
茂木幹事長「使途の公開について、政治活動の自由とのトレードオフ(二律背反)の関係にある問題であると考えておりまして…」
政策立案や調査研究などを目的に使っているとし、具体的な使い道は明らかにしませんでした。
そこで、11人の幹事長経験者に政策活動費の使い道について取材を申し込みました。しかし「時間がない」「答えられない」などとして、誰一人応じることはありませんでした。
選挙の際の「陣中見舞い」に充当
政策活動費を、政治家たちは一体何に使っているのでしょうか。永田町で自民党幹部らの秘書を長年務めた男性が、その実態を明かしました。
──渡されたお金をまず、どこに持って行くんですか?
元秘書の男性「主に選挙が多かったですね。選挙の時の応援。党の幹部がある候補者に、陣中見舞いとして渡します」
「陣中見舞い」とは、党の幹部が候補者の選挙応援に行く時に配る現金のこと。そこに政策活動費が使われているといいます。
──それって1回、いくらぐらいなんですか?
元秘書の男性「それは100万から、例えば500万とか」
元自民党の鈴木宗男議員も告白
かつて自民党で選挙対策の幹部を務めた鈴木宗男議員も、こう振り返ります。
「私の時も(自民党から)1億2000万円とか1億3000万円という支出になっていると思いますけどね。選挙の時はあるんです」
人目につかぬよう…「懐事情は厳しい」
党の幹部が選挙応援に行った時に渡すという現金は、どうやって渡されているのでしょうか。
元秘書の男性「ほとんど見えないところで渡しますので。一般の目に触れないところ。例えば車の中とか。それから候補者の奥さんとか」
人目につかないところで渡されていたといいます。その使い道について元秘書の男性は「例えば地元の事務所の家賃、私設秘書の給料、ガソリン代、慶弔費とかですね。寄付金だけではまかなえないですから。かなり懐事情は厳しいと思います」と明かします。
身内だけに限らない使い道とは?
また、政策活動費の使い道は身内だけではありません。元秘書の男性は、相手陣営であるはずの野党に政策活動費を渡した経験を告白。
「最高額で私は2億運んだことはあります。一度にです。議員から『誰々のところに持って行くように』と言われて、紙袋2つ渡されて」
デパートの紙袋に入っていた2億円の現金。「それをみんなに見えないように車に積んで、届け先に持って行きましたね」と振り返ります。元秘書の男性は「詳しいことは明かせない」としながらも、野党の分裂を促すため現金を渡したという。
「やっぱりすごいなとは思いましたけどね、その時。こういうお金が動くのかと」
政治が動くそのウラで使われてきたという政策活動費。川上記者は最後に、こんな質問を投げかけました。
──疑問に思ったことは?
元秘書の男性「疑問……うーん、疑問に思うっていうのはあまり。その時はマヒしてましたから」
大金が動く政策活動費。その使い道に説明が求められます。
幹事長経験者「言えるわけがない」
川上記者「今回の取材では政策活動費が選挙活動のために多く使われていることは分かりましたが、具体的に何に使われているのかは、受け取った本人以外は分からないのが現状です」
「例えば政治活動ではなく自分の借金の返済に充てていたり、私的なものに使ったりしたとしても報告する義務はありません」
「実際に幹事長経験者の1人に取材をしてみても、『この陣営に500万円、あの陣営に200万円渡したとか、そんなこと言えるわけがない』と話しています。公開されていない以上、実際に何に適切に使われているか追いようがない状況となっています」
どうあるべき?…各政党の主張は
森圭介アナウンサー「ただ、政治とカネの問題で国民から厳しい目が向けられていますよね。使い道を明らかにしようという動きはないんですか?」
川上記者「岸田首相はいわゆる派閥の裏金事件の再発防止に向けて、今の国会中に政治資金規正法の改正を目指しています」
「その中で政策活動費のあり方について、公明党は使途公開の義務化、野党の立憲民主党や日本維新の会、国民民主党、共産党は政策活動費をやめるべきと主張しています」
「政治資金規正法」改正の焦点は
鈴江奈々アナウンサー「一方で自民党はどうなのでしょうか?」
川上記者「岸田首相は国会で、政策活動費の使い道を公開すると『政治活動に影響が出る』『個人のプライバシーや企業、団体の営業秘密を侵害する』と話しています。与野党の主張が異なる中、いかに政治不信の払拭につながる対策を打ち出せるかが法改正の焦点です」
●検察、初公判で「政治屋ではない」会計責任者主導を強調…裏金づくりの背景には踏み込まず 5/11
派閥の解散や政治資金規正法の改正議論に発展し、自民党を揺るがし続けている政治資金パーティーを巡る事件。同法違反(虚偽記入)に問われた安倍派の会計責任者・松本淳一郎被告(76)の初公判が10日、東京地裁で開かれた。派閥での「裏金づくり」の実態解明が期待されたが、検察側は背景事情には踏み込まず、派閥幹部でも政治家でもない被告が事件を主導したと強調した。
10日午後2時半、東京地裁104号法廷。紺色のスーツに赤色のネクタイを締めた松本被告は、細谷 泰暢(やすのぶ) 裁判長から名前や生年月日を確認され、職業を問われると、「団体職員をやっています」とはっきりとした口調で答えた。続く罪状認否では封筒から取り出した紙に目線を落とし、「一部間違いがあります」と述べたものの、起訴事実をおおむね認めた。
NTT出身の松本被告は退社後に元社員らでつくる政治団体の代表を務め、同社出身の世耕弘成・前参院幹事長(61)(離党)の紹介で2019年2月に安倍派の事務局長に就任。会計責任者も担うことになったが、国会議員はもちろん、議員秘書や党職員の経験もなかった。
ある安倍派関係者は、松本被告について「選挙や政治資金のあり方に精通した『政治屋』ではなく、事務屋だ」と指摘。その被告が巨額の政治資金を還流させ、政治資金収支報告書への虚偽記入を実行できたのか、という疑問がくすぶっていた。
しかし、検察側は冒頭陳述で「収支報告書の作成に国会議員は関与しなかった」と明言。松本被告が部下の事務局職員に原案作成を指示した上で、内容を確認・了承し、内容が真実だとする宣誓書にも押印していたと指摘した。
さらに、松本被告が会計責任者になる際、前任者から還流や虚偽記入の仕組みを説明されたとし、かねて行われていた裏金化が引き継がれたと言及。「被告は虚偽記入になると認識していたのに、発覚しなかったために継続した」と非難した。
検察側はこの日の公判で、松本被告の捜査段階の供述調書も読み上げた。虚偽記入を続けた理由について、「大きな問題になったことはないということだったので、深く考えることなく続けてしまった」と述べたとし、「会計責任者として深く反省している」と謝罪したことも明かした。
松本被告は捜査を受けている間も派閥の業務に追われ、東京都千代田区にある派閥事務所に出勤していた。在宅起訴後も解散が決まっている派閥の残務整理などを淡々と続けているという。安倍派は現在、中堅・若手議員らによる実務チームが解散手続きを進めているが、解散の時期は未定だ。
事件では、松本被告を含め、現職の国会議員や秘書ら計10人が同法違反で起訴(在宅・略式含む)されている。
4000万円超の虚偽記入罪に問われた池田佳隆衆院議員(57)と大野泰正参院議員(64)らは起訴事実を争う方針とみられるが、初公判の期日は決まっていない。「 志帥(しすい) 会」(二階派)の元会計責任者・永井等被告(70)は6月19日に初公判を迎える。
略式起訴された谷川弥一・前衆院議員(82)や谷川議員の元秘書、「宏池会」(岸田派)の元会計責任者、二階俊博・元党幹事長(85)の秘書は有罪が確定している。
「包み隠さず語って」議員ら
派閥側の指示で自身の政治団体の収支報告書に計数百万円の還流分を記載しなかったという安倍派の衆院議員は「なぜ派閥があのような指示を出したのか知りたかったが、何も明らかにならないまま初公判が終わってしまった。国民も納得しないだろう」と語った。
6月18日の次回公判では被告人質問が予定されており、別の安倍派若手議員は「松本さんには真相をぶちまけてほしいとの思いはある」と漏らした。ベテラン参院議員の秘書は「事務方の松本さんが一人で虚偽記入を決断できるはずがない。派閥幹部の指示が本当になかったのか、法廷で包み隠さず語ってほしい」と話した。
日大の岩井奉信名誉教授(政治学)は「検察側の立証は機械的で、事件の 全貌(ぜんぼう) は見えないままだ」とした上で、「大規模な違法行為が、なぜ平然と続いてきたのか分からなければ『政治とカネ』の問題の抜本的な解決にはつながらない。今後の公判で明らかになることを期待したい」と話した。
●自民党派閥・裏金事件 安倍派“金庫番”が初めて法廷に 概ね起訴内容認めるも「一部に間違い」 5/11
一連の自民党派閥の裏金事件で初めての公開裁判が10日、開かれました。最大派閥・安倍派の会計責任者を務めた“金庫番”は法廷で何を語ったのでしょうか。また、「政治とカネ」の問題への対応策として、自民・公明両党が大筋合意した政治資金規正法改正案の概要について、国会で野党側は「中途半端だ」と追及を強めています。
パーティー券収入の「中抜きは認識していなかった」と主張
自民党派閥の裏金事件で、安倍派“金庫番”は何を語ったのか。一連の事件で初めての公開裁判です。
裏金事件をめぐっては、国会議員や会計責任者ら合わせて10人が立件。
最大派閥・安倍派5人衆をはじめとする幹部らは不起訴処分となっています。
パーティー券収入やキックバックなど、収支13億5000万円余りを報告書に記載しなかった罪に問われている安倍派の会計責任者・松本淳一郎被告(76)。初公判で、起訴内容を概ね認めましたが…
安倍派 会計責任者・松本淳一郎 被告
「一部に間違いがある」
パーティー券の収入のうち、議員側が手元で管理し、派閥に納めていなかった「中抜き」については「認識していなかった」と話しました。
一方、検察側は冒頭陳述で、「中抜き」についても松本被告が派閥の職員から聞くなどして、存在を認識していたと主張。
法廷で安倍派幹部の認識についての言及はなく、6月、松本被告本人への質問が行われる予定です。
自民党内「危機感が足りない」規制法改正 与党案
国会では…
立憲 小沼巧 参院議員「政策活動費の使途を収支報告書に記載するという考え方は、禁止と比べると、踏み込み度合いが中途半端ではないか」
野党が「中途半端」と追及したのは、自民・公明がまとめた政治資金規正法改正案の概要。
立憲 泉健太 代表「政策活動費そのもの、やっぱりなくすことがあるべき姿であってね。闇資金や暗闇資金、裏資金みたいなもんですよ」
与党が大筋で合意した案では、パーティー券購入者の公開基準について、公明党が現行の20万円超えから5万円超えに引き下げることを主張しましたが、自民党が難色を示し、まとまりませんでした。
自公の“溝”が埋まらない中、自民党内からは…
自民 牧原秀樹 衆院議員「本当に国民の信頼をいま失っていて、これを取り戻すためには、余程の覚悟が必要だと」
自民 青山繁晴 参院議員「主権者・国民の目から見ると、何も良くなってないように見える。このままですと政権を失います。すごく危機感が足りないということを感じましたね」
●離党世耕氏の対抗馬見送り言及 自民森山氏「実績考え対応を」 5/11
自民党の森山裕総務会長は11日、派閥裏金事件で離党勧告処分を受けた世耕弘成前参院幹事長(和歌山選挙区)が改選になる来年の参院選で、対抗馬擁立を見送るべきだとの考えを示した。和歌山市で開いた党の政治刷新車座対話で「実績や今後を考えれば、しかるべき対応があっていい」と述べた。世耕氏は党公認を得られない見通しだ。
森山氏は記者団の取材に、自身が2005年の郵政選挙で公認を得られず刺客候補を送り込まれた経験に触れ「それで本当に良かったのかといまだに思う。県連に委ねるが、賢明な判断をお願いしたい」と求めた。
自民は衆院選の和歌山1区で鶴保庸介元沖縄北方担当相がくら替えを断念し、2区は二階俊博元幹事長が不出馬を決め、県内候補が不在の状況。森山氏は車座対話で、来年の参院選対応と合わせて「県連にとって大きな課題だ」と指摘した。
裏金事件を巡っては、4月の衆院3補欠選挙で争点となり「失ってはいけない議席を失った。本当に申し訳ない」と全敗の結果を陳謝した。
●紀藤正樹氏 裏金問題初公判「国会議員の関与なし」を猛批判「検察の政治への忖度が見苦しい」 5/11
弁護士の紀藤正樹氏が11日、自身の「X」(旧ツイッター)を更新し、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる検察の対応を批判した。
政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪に問われた安倍派(清和政策研究会)の会計責任者・松本淳一郎被告の初公判が10日に開かれ、検察側は冒頭陳述で「安倍派の収支報告書作成に国会議員は関与していなかった」とした。
紀藤氏はこの問題に関する記事をXに貼付したうえで、「事務方の億単位の経理のミスを管理する側の政治家が気付かずチェックもしないこと自体が関与ではないか」と疑問を呈した。さらに「検察の政治への忖度が見苦しい」と、事件の核心に踏み込もうとしない検察側を厳しく批判した。
裏金問題について国民は実態の解明を望んでいるが、今回の裁判では問題の核心が明らかになることは期待できそうになく、出来レース≠ニの批判も噴出している。
●選挙厳しいと自民県連幹部、山口 裏金事件で首相処分なしなら 5/11
自民党山口県連の友田有幹事長は11日、派閥の政治資金パーティー裏金事件で党総裁の岸田文雄首相が自らを処分しない場合、次期衆院選は「大変厳しいものがある」と述べた。山口市内で開かれた政治刷新車座対話後、記者団の取材に答えた。対話でも「首相は総裁として責任を取るべきだ」との声が出たという。
対話には党本部から平井卓也広報本部長らが出席し、県連幹部や県議と非公開で意見交換。「政治資金を巡る対応が全て後手に回っている」との批判も出た。友田氏は次期衆院選について、情勢が厳しいとの認識を記者団に示した上で「いつあるか分からないが、全力を挙げて候補者を国政に送り出す」と語った。
●「ポスト岸田」で上位進出も… 上川外相、高い「総裁」へのハードル 5/11
上川陽子外相が次期首相候補としてにわかに知名度を上げつつある。派閥の裏金問題で自民党が揺れる中、最近の世論調査の「次の首相にふさわしい人」で、人気の低迷する岸田文雄首相や自民の茂木敏充幹事長ら党内実力者を抑え、「小石河連合」とともに上位に食い込む。久しぶりの女性外相として活躍する上川氏が新鮮味をもって世論に受け止められ、注目を集めている格好だ。
毎日新聞の2月の調査では、上川氏は石破茂元幹事長に次ぐ2位。テレビ朝日やTBS、産経新聞・FNNの調査では、石破氏、小泉進次郎元環境相に次ぐ3位で、河野太郎デジタル相を上回った。上位独占の常連組の「小石河連合」の一角が崩れた、と永田町関係者の間で評判となった。参院自民幹部は「(派閥の裏金問題で)自民そのものがダメだという烙印(らくいん)が押される中、上川氏なら刷新感が出る」と期待感を示す。
上川氏は岸田派所属で、当選7回の70歳。三菱総合研究所を経て、林芳正官房長官と茂木氏も学んだ米ハーバード大ケネディスクールを修了。米上院議員の政策立案スタッフを経て「政治がもっと主体的に国際問題に取り組まなければ」と政治家を志したという。国政への初挑戦となった1996年衆院選の静岡1区で無所属で出馬し落選、2000年衆院選では自民内の公認争いに敗れ再び無所属で挑んで当選し、復党した。法相在任中の18年、オウム真理教による一連の事件で、死刑確定した13人全員の執行に署名したことでも知られる。 ・・・
●舌鋒鋭く「独りよがり!」 ポスト岸田浮上の上川外相、地元で別の顔 5/11
上川陽子外相(71)=自民党岸田派、衆院静岡1区=は11日、地元・静岡県の知事選で街頭演説に立った。関係者によると、地元入りは昨年9月の外相就任後、初めてで、約8カ月ぶり。永田町では堅実な実務派とされるが、地元では別の姿を見せた。
11日午後、上川氏は選挙区である静岡市の山間部の街頭でマイクを握った。川勝平太氏の辞職に伴う知事選で立候補した自民推薦候補を応援するためだ。 ・・・
●岸田首相vs木原誠二氏のバトルが過熱…「政権交代が起こってもおかしくない」その発言意図 5/11
自民党の「厳しい状況」
永田町ウォッチャーの間で、岸田文雄首相の最側近である木原誠二自民党幹事長代理の公然、非公然の言動が密かな話題となっている。
少々前の事だが、4月26日の朝日新聞(朝刊)は「政権交代起こってもおかしくない。首相最側近・木原氏が発言、広がる臆測」の見出しを掲げて、次のように報じた。
<財務官僚出身の木原氏は、日本の政府は官僚機構が中核を握り、政権交代でも政策は変わらないとの認識を述べたかったようだが、首相側近の発言だけに注目を集めている>。
「仮にそういうこと(政権交代)があっても日本の政治は、霞が関がしっかりしている」の引用が木原氏自身の言葉であったとしても、それは何ら不思議なことではない。
それよりも何よりも、どのような脈絡から「政権交代起こってもおかしくない」という表現となったのかの検証である。それを以て木原氏の発言意図が見えて来るからだ。
そもそもの経緯から説明したい。同25日午前、東京・平河町のルポール麹町で自民党の猪口邦子参院議員(麻生派)の朝食勉強会が開かれた。そのゲストスピーカーが木原氏である。
猪口事務所スタッフから新聞記者が聴衆に紛れ込んでいると聞かされたこともあり、猪口氏が木原氏に質問する形式で進行された。その中で大統領選を控えた米国の分断について尋ねられた木原氏が、派閥の政治資金規正法違反事件を念頭に「今、自民党は非常に厳しい状況にあり、政権交代が起こってもおかしくないが‥‥…」と続けたのである。
前のめりになる岸田首相、その一方で…
言葉遣いとしての「政権交代」は確信犯である。その意味では「読売」の見出しにある「『政権交代も』木原氏が危機感」は正しい。すなわち、自民党が直面する現状への危機感を促すための発言となる。
同氏と話す機会が少なくない筆者が斜に構えて推測すれば、やや異なる見方が生じる。それは岸田首相の国賓待遇による訪米(4月8〜14日)の1、2週間前頃から、岸田氏と木原氏の間に隙間風が吹き始めたという話が耳に入るようになったことと無関係ではない。
今国会会期内の衆院解散を巡り、前のめりになる岸田氏に対しブレーキをかける木原氏という対立構図がそれだ。
改めて指摘するまでもなく9月の自民党総裁選で再選を目指す岸田氏は、それまでに衆院解散・総選挙を断行して自公過半数を維持できればそれが叶うとの見通しに立つ。しかし、多くの選挙予測のプロは自民党が現有の257議席の200割れは必至であるだけでなく、自民、公明両党合わせても過半数233議席に届かないと断じる。これが永田町で支配的な見方である。
因って早期解散反対論の麻生太郎自民党副総裁は岸田首相(総裁)支援を大義にして傍らで暴走阻止のため目を光らせているのだ。たとえ同床異夢であれ麻生、木原両氏は“同志”と言っていい。
最近の木原氏は、BSフジの報道番組「プライムニュース」生出演やテレビ・ラジオ局(放送人)政治記者OBの勉強会ゲスト、大型連休前の(4月25〜30日)にオーストラリア政府招聘による豪州訪問に自民党旧二階派の小倉将信、旧安倍派の松川るい両副幹事長を同行するなど精力的だ。
筆者は当コラムの3月2日付で「令和臨調」(共同代表・茂木友三郎日本生産性本部会長)の肝いりで1月下旬に発足した「日本社会と民主主義の持続可能性を考える超党派会議」(自民、公明、立民、維新の会、国民の各党衆参院議員85人)について言及した。いま想い起こしてみれば、これが兆しだったのかもしれない。
自民党代表世話人・各党筆頭代表世話人の小渕優子選対委員長(衆院当選8回・無派閥)を除くと、テーマ別4部会の主要メンバーは木原氏(5回・旧岸田派)の人選と言える。齋藤健経済産業相(同・無派閥)、鈴木馨祐政調会副会長(同・麻生派)、小林鷹之前経済安保相(4回・旧二階派)、大野敬太郎総務会副会長(同・無派閥)、塩崎彰久厚労相政務官(1回・旧安倍派)など。
面子からも分かるように、いずれもが同党の政策エリートである。そして上述メンバーから自民党政治刷新本部の「政治資金に関する法整備検討ワーキンググループ」座長に鈴木氏、同事務局長に大野氏が選ばれている。要するに“木原イニシアチブ”なのだ。言うまでもないが、5月6日午後、フランス・南米歴訪から帰国した岸田首相が羽田空港から首相公邸に直行し、いの一番に面会したのは鈴木、大野両氏だった。
永田町では8日昼過ぎに7月7日投開票の東京都知事選と衆院選のダブル選挙説が駆け巡った。共同通信は来週18日に選挙班拡大会議を予定していることもあり、霞が関(選挙事務を担う総務省)も巻き込んだ大騒ぎになっている。孤高の岸田氏は政治資金規正法改正実現を錦の御旗にして強行突破の意向のようだ。
●増税、裏金、選挙惨敗…岸田内閣「支持率29.8%」は何が評価されているのか 専門家が語る「外交頼み」の危うさ 5/11
内閣支持率に一喜一憂するのは永田町の常だが、支持率上昇で与党が困惑するという事態も珍しい。
5月4日と5日に行われたJNN世論調査によると、岸田内閣の支持率は前回調査から7ポイント上昇し、29・8%になったという。
この結果には自民党議員すら予想外だったようで、「TBS NEWS DIG」は6日、「そんなはずがない」「困るんだよ。どうするんだよ、(衆議院を)解散したら」と自民議員らがうろたえる様子を伝えた。
岸田文雄首相は5月1日から6日間の日程でフランス、ブラジル、パラグアイを訪問していた。TBSは内閣支持率が「外遊後は上昇する傾向がある」と分析したが、度重なる増税や自民党の裏金問題など、内政で不満が蓄積する岸田内閣の評価が上がるのは意外な感もある。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「首相の外遊後に支持率が上昇するのは珍しいことではありません」と言う。
「私が民主党の事務局で働いてきた時、首相の露出度と政党支持率の相関を専門機関で調べてもらったことがあります。結果はシンプルで、『首相に関してポジティブなニュースが報じられると、支持率は上がる』というものでした。岸田さんの場合、昨年5月にG7広島サミットが開かれた時も支持率が上昇しました。今回の外遊はGW休みの間、3カ国での活動がさかんに報じられたので、有権者が好感を持ったのでしょう。ただし、外交での支持率上昇は長続きしません。おまけに岸田首相の場合、日本に帰れば裏金事件を筆頭にネガティブな報道が連続するのは明らかです。支持率は再び下落する可能性が高いと思います」
なぜ自民党は劣化したのか
支持率が上昇したとはいえ、四捨五入しても30%。依然として低空飛行を続けていることは間違いない。さらに同じJNNの世論調査では、「次の衆院選で立憲民主党などによる政権交代」を望むという回答は6ポイント増えて48%に達した。伊藤氏はその背景をこう分析する。
「自民党の裏金事件ついて、岸田首相は衆院補選で3連敗するまで、国民の声に動揺する気配すらありませんでした。1988年にリクルート事件が起きた時、自民党はすぐに危機意識を持ち、迅速に動きました。特に後藤田正晴さんや伊東正義さんら大物政治家が党利党略を離れ、この国をどうするかという大局的な見地から政治改革を実現させたのです。あの時の議論は常に自民党がリードしていましたが、今の自民党は大物議員も新人議員も何も発言しません。どうして自民党はこれほど劣化したのか。やはり安倍一強の余波なのでしょう。岸田さんも安倍さんの人気を当て込み、それだけで選挙に勝ってきた。党の幹部クラスも政治家として成長する機会を失い、裏金事件のような大問題が起きても何をしたらいいのか分からないのだと思います」
結局、自民党議員が関心を持っているのは、今年9月の総裁選前に「岸田首相が衆院を解散するかどうか」だけなのだろう。
「解散さえなければ、9月に新しい総裁を選べばいいと考えているのでしょう。総理総裁が変われば、多少は支持率が回復します。衆議院議員の任期は来年の10月までですが、とにかく総選挙は後回しにして、有権者の不満が沈静化するのを待つというのが自民党の本音だと思います。たとえ総選挙に追い込まれ、敗退したとしても、いざとなったら維新とでも連立を組んで政権を維持できると考えているはずです」(同・伊藤氏)
有権者の怒りは持続する
だが、このような“引き延ばし戦略”で自民党が危機を乗り切れるかどうかは未知数だ。場合によっては、次の衆院選で有権者が自民、公明、そして維新以外の候補者に票を投じる可能性もある。
「森友学園問題などを思い出してもらいたいのですが、これまで大きなスキャンダルが政権や自民党を揺るがしたとしても、『もっと他に国会で議論すべき重要な問題がある』という反論が必ず出てきました。ところが今回、こうした意見は目立っていません。なぜなら裏金事件は“政治とカネ”という、まさに国会で議論すべき重要な問題だからです。その分だけ有権者の怒りが持続する可能性があり、簡単には忘れられないでしょう」(同・伊藤氏)
一時的に支持率が上がろうとも、岸田首相が追い詰められていることには変わりない。
●日経平均株価「天国と地獄」でも安心の銘柄選び 「新NISA族」よバタバタするな! 5/11
日経平均株価が史上初の4万円を突破してから2カ月が経過した。その後、チャートは右肩下がり、あれよあれよという間に3万7000円台に‥‥。天国から地獄に突き落とされた気分に苛まれている人も多いはず。そんなあなたに送る安心の銘柄選びを以下!
「資産倍増計画」を掲げる岸田政権のもとでスタートした「新NISA」。この機を逃すなという風潮に押されて飛びついたはいいものの、ここへ来て日本株は失速気味。「ヤバい」とビビりまくっている若葉マークの個人投資家は多いはずだ。
そんな悩みを打ち消すかのように、「相場の福の神」の別名で知られる、マーケットアナリストの藤本誠之氏がこう語る。
「確かに日経平均の上げはいったん収まりました。が、デフレからインフレへのトレンドは今後も変わらない。また、慢性的な人手不足に加えて、少子高齢化が進むので、企業の人材獲得競争が激しくなるでしょう。実質賃金も上がっていくことが予想されます。こうした状況下では、余剰資金は株式投資に回した方が、確実に増えます」
それでも不安が拭いきれないムキのために、専門家をもうお一方お招きした。週刊アサヒ芸能連載陣の1人、経済評論家の佐藤治彦氏だ。
「新NISAで投資を始めた人の中には、日経平均が1日で1000円も下げる日があって、内心ヒヤヒヤなのは理解できます。でも、株式市場では上げた後に下がるのは当たり前の話です。土地を耕す上での地ならしみたいなもの」
ということは、株価は今後、グンと上がるということなのか。
「5月中旬までは企業の決算が続くので、投資家は冒険をせずに静観するでしょう。したがって、現在の3万円台後半の株価を維持するのではと見ています。そして決算が出そろった頃に株価が動き始めるはずです。6月に控える所得税の定額減税で浮いた資金を、サラリーマンは再び新NISAを通じた投資に回すでしょう。個人的には8月までに4万5000円を超えてもおかしくはないと見ています」(佐藤氏)
今は次の段階に進む前の一時的な下げであり、ジタバタする必要はないと言うのだ。では、来るべき暗いトンネルを抜ける時、どんな投資を行えばよいのか。
●バイデン氏の「日本人は外国人嫌い」に現れた差別感 岸田政権、中身を明らかにしない米への抗議…裏で画策する「移民受け入れ」 5/11
ジョー・バイデン米大統領が「日本人は外国人嫌い」と発言したことが注目されている。ワシントンでの選挙イベントで、米国の経済成長を支えているのは「移民の受け入れ」だと指摘し、日本を中国やロシアと並べて批判したのだ。日本政府は「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言だ」と米政府に申し入れたが、実は、岸田文雄首相自身が今年2月、日本人が外国人やマイノリティーを差別していると言及して問題になっていた。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、永田町が「政治とカネ」の問題で大騒ぎする陰で、岸田政権が大きくかじを切った「移民推進」への懸念を指摘した。日本の雇用や賃金、社会保障は守られるのか。
バイデン米大統領が「日本は外国人嫌い」と語った発言について、日本政府が米政府に抗議した。ところが、「日本の政策の正確な理解に基づかない発言があったのは残念だ」などと公表しただけで、具体的な中身を明らかにしていない。国民に「政府の思惑」がバレてしまうと、都合が悪いからだろう。
バイデン氏は1日、ワシントンで開かれた選挙集会で、次のように語った。
「われわれが成長している理由の1つは、移民を歓迎しているからだ。中国はなぜ停滞しているのか。日本やロシアはなぜ問題を抱えているのか。彼らは外国人嫌いだからだ。移民は私たちを強くする」
同盟国の日本を、中国やロシアと同列に扱ったのもひどいが、3月にもラジオで同様の発言をしていたことを踏まえれば、この発言には、バイデン氏の対日認識がにじみ出ている。大統領は心底から、そう思っているのだ。
日本は低賃金のままでいいのか
日本の外国人に対するホスピタリティの良さは、「おもてなし」を紹介する英語のYouTube番組がいくつもあるほど、海外でも有名だ。
バイデン政権は、LGBT(性的少数者)問題でも「日本に差別がある」という認識を前提に、理解増進法の制定を日本に迫った。私には、バイデン氏の方こそ、今回の発言と共通する「日本に対する根深い差別感」が潜んでいるように思える。
そもそも、「米国は進歩した社会」という認識は、リベラリズム(理想主義)の核心である。リベラリズムを信奉する民主党の大統領とすれば「日本が米国よりも遅れた国」という認識は、ごく自然な結論なのだ。「移民が経済成長をもたらした」という認識も根拠が怪しい。
情けないのは、岸田政権である。
岸田首相は2月、「共生社会と人権」をテーマにしたシンポジウムに、「雇用や入居で、外国人、障害のある人などが不当な差別を受けている」という内容のビデオメッセージを送った。首相自ら差別の存在を認めたも同然だ。こんな発言が平然と飛び出すくらい、岸田政権は米民主党流のリベラリズムに染まっている。
今回の抗議で、具体的な中身を明らかにしないのは、実は「オマエだって外国人差別を認めていたじゃないか」と反論されたら、返す言葉がないからだ。それが1つ。
もう1つの理由は、岸田政権は、すでに「移民受け入れ」に大きくかじを切っているからだ。政府は外国人労働者に道を開く、出入国管理と技能実習法の改正案を今国会に提出した。人手不足を補うために「安い労働力」を受け入れたい経済界の要望に応えたのだ。
だが、公然と「移民受け入れ」を宣言すると、反発が出るのを恐れて、「外国人に選ばれる共生社会を目指す」などときれい事を言っている。政府は実質的に方針転換しているのに、国内の反対派を刺激したくないから、政策の中身を公表できなかった。
外国人の安い労働力を雇えるようになれば、企業は助かるかもしれない。だが、それでは低賃金が固定化してしまう。結局、日本の賃金はいつまでたっても上がらない。左翼はそれでいいのか。
「共生社会」を唱える左翼やリベラリストは、自分で自分の首を締めているようなものだ。今回の騒動は、日米両国にまたがるリベラル政権の浅はかさを浮き彫りにした。
●岸田首相「雑誌報道についてコメントすることは控える」森元首相への事情聴取のあまりにもお粗末な実態 5/11
「私から一連の事案と森氏の関係について、国民の関心を踏まえて聴取を行った」
5月10日夜、首相官邸で記者団の取材に応じた岸田文雄首相は、自民党の政治資金パーティを巡る裏金問題で、4月上旬に行った森喜朗元首相への電話による「事情聴取」についてこう強調した。
だが、この日発売の「文藝春秋」6月号に掲載されている「森喜朗元首相『裏金問題』真相を語る」では、森元首相がノンフィクション作家・森功氏のインタビューに応じ、「事情聴取」のお粗末な実態を明かしている。そこで森元首相は、岸田首相から裏金問題について具体的な質問はなかったと証言しているのだ。
その点を記者団から問われると、岸田首相は次のようにはぐらかした。
「雑誌報道ひとつひとつについてコメントすることは控える」
「総理は訪米にそなえたい気持ちが強かったのでしょう」
240分に及んだインタビューで森功氏から、「(岸田首相から)『キックバックを知っていたか』、あるいは『裏金システムそのものを作ったのではないか』という質問はなかったのですか」と問われると、森元首相はこう答えている。
「岸田総理からの電話は、『例の問題について、森先生の話を聞いたかどうか、質問が集中しますので、含みおいてください』というような内容です」
これでは聴取したというアリバイ作りのために電話しただけと批判されても仕方あるまい。
森元首相は、岸田首相が4月上旬に電話をかけてきた理由について、こう推測した。
「総理は早く結論を出して(4月8日からの)訪米にそなえたい気持ちが強かったのでしょう。だから、私にも真実を確認するためにやむをえず電話をかけてきて、それで済んだ、という形をつくろうとしたのだと思います」
ただ、森元首相は一連の裏金問題について岸田首相と電話で話したのは、この一回だけではなかったとも証言している。
「岸田総理も、私の関与がなかったことについては、だいたい分かっているんです。電話があったのは訪米前が初めてではありません。私に聞けと野党が騒ぎ始める前から、総理には『私の会長時代には、派閥ぐるみの裏金作りなどありませんでした。それは私がいちばんよく知っています』と話してきました」
実際、岸田首相は5月10日、記者団にこう語っている。
「聴取を行ったが、森氏の具体的な関与は確認できていないと申し上げてきた。この発言はまったく変わらない」
だが、その聴取の実態は、安倍派の裏金問題の真相に迫ろうとするものではなかった。首相自らによる異例の「事情聴取」も、期待していた国民にしてみれば、まったく拍子抜けするものだったとしか言いようがない。
「強いてお目にかかることはありません」
加えて、岸田首相は国会で、事情聴取が対面ではなく電話になった理由について「日程の都合で直接会うことはできませんでした」と説明してきた。だが、森元首相によれば、岸田首相からは「強いてお目にかかることはありません」とも言われていたという。
「総理はこう言っていました。
『私から森先生に電話した事実を言わなければならない事態になれば、それを公表させていただきます。それまでは、私から電話があったことをおっしゃらないでください』
私は『承知しました』とだけ答えました。あとは『ご体調はいかがですか』とか『強いてお目にかかることはありません』というようなことを言われました」
10日夜の岸田首相の官邸での弁明は、窮地に追い込まれた末の言い訳でしかない。
240分にわたってインタビューに応じた記事「森喜朗元首相『裏金問題』真相を語る」は、5月10日発売の「文藝春秋」6月号及び「文藝春秋 電子版」で公開中だ。森元首相は、自身が清和政策研究会の会長を務めていた頃に始まったとされる裏金作りについて詳細に語っている。
さらに、昨年7月、清和研の会長になることを望んだ下村博文元文科相から、2000万円の入った紙袋を持参された際のやり取りの詳細や、今年1月、塩谷立元座長に対して、「(裏金問題の)全責任を取って仲間を救ってやれ」などと説得したことについても明かしている。
●"衆院選で政権交代望む"48% 5/11
環境大臣の水俣病被害者との懇談の「マイク切り」では、自らも「すみません。ごめんなさい」と謝罪し、「責任は大臣が負うべきもの」ときっぱり。「政権交代」は「自民党的なものに対して忌避みたいなものがあった」と2009年を振り返り、野党の野田佳彦元総理らについて「人材はいるんだろうから、スポットがあたり始めると本当に怖い」と警鐘をならします。そして、迫る「総裁選」では「政策の争いであってボスのお山の権力争いでないと国民に理解していただくことが党の活性化になる」。「ポスト岸田」1位の石破氏の熱い語りを是非ご覧ください。
水俣病患者との懇談でマイク音切り「やってはいけない」「責任は大臣に」
――水俣病の懇談会で環境省職員がマイクの音声を切り、被害者側2人の発言を遮りました。1団体3分の持ち時間を超えたから、ということですが。
石破茂元幹事長: 本当にすみません、ごめんなさい。それはやってはいけないことです。官僚がやったからとかなんとかって言うけど、やめろとかそんな話じゃなくて、責任はなんだかんだ言ったって大臣が負うべきものですよ。それをどうするかは任命権者の判断であり、大臣本人のご判断なんだけど、とにかく「こういうことをやってはいけませんでした」ってことを本当にお詫びするところから始めるということで。あとの判断は任命権者ご本人がなさることで、私がとやかく言うことではございません。
自民・補選全敗 「政治改革大綱」35年前を覚えていれば・・・ 
――政権運営に直結する衆議院の3補欠選挙で自民党は全敗。島根では岸田総理も乗り込んでの総力戦でした。石破さんも4回も入って戦った。この応援演説でリクルート事件を取り上げたというのはどういう考えでですか。
石破茂元幹事長: リクルート事件というのは、我々当選1回のときで35年も前ですよ。そのときのことを覚えてる人はほとんどいない。あのときの「政治改革大綱」は竹下総理最後のお仕事だったと思うけどね。あのとおりやっていればこんなことになってないよねというのがありました。私も大臣とか、党役とかやったけど、私自身忘れてたよねっていう反省がありましたね。
自民支持者の「忌避感」から起きた2009年政権交代
――2009年、麻生内閣の総選挙は「民主党が勝った」というより「自民党が負けた」と言われます。就任当初の解散を狙った麻生内閣でしたが、リーマンショックへの対応を理由に先送り、相次ぐ失言、漢字の誤読などで支持率急落。自民党が181議席も減らして119議席に。民主党は115議席から308議席で単独過半数。このときの選挙を振り返ってどうでしたか。
石破茂元幹事長: 私はあのとき農林水産大臣で閣内にいましたけどね、リーマンショック直後の政権だったわけですよ、麻生内閣というのは。確か3回補正予算を組んだんじゃないか。1年間の内閣だったけれど、ずっと予算委員会をやってたような覚えがありますね。もう経済対策を、やるべきものすべてやったんです。政策が間違っていたとは私は思わない。あの時、あれしかなかったと思います。政策が間違っていたというよりも、自民党的なるものに対して、政策の良し悪しじゃなくて自民党的なるものに対して忌避感みたいなものがありました、ということじゃなかったかという感じがしましたね。だから、政策と同時に政権のイメージ。大臣がしょっちゅう変わります、あるいは失言があります、例えば「後期高齢者」なんぞというなんだか血も涙もないような言い方をしましたよね。そういう「感覚的に嫌だな」というのがあったのと。支持政党はどこですかって聞かれたら「自民党」と答える人が自民党に入れない。「俺が好きだった自民党はこうじゃないんだ」と、「自民党目覚めてくれ」っていうね、自民党支持者の人が自民党を好きであるが故に変わってほしいという願いを込めて入れると、こういうことが起こる。
――直近のJNN世論調査では、次の衆院選で「政権交代を望む」が6ポイント増えて48%、「自公政権継続」との差が広がっています。
石破茂元幹事長: 「政権継続を望む」と、「政権交代を望む」という方の支持政党を見てみないとわからない。先ほどから申し上げているように自民党支持だけど、交代を望むという人がいるとすれば、もともと自民党支持じゃない人は交代を望むに決まってるので。自民党支持だった人が交代望むってなったからには、そういう人たちが「いいや」と「自民党って分かってくれたよね」。「本来、俺たちが望んでいた自民党になってくれたよね」となると、またそれは変わるわけ。
――「政権継続を望む」に戻ると、そこを目指さなきゃいけないんですね。
縮まる立憲との支持率差 存在感示す野田元総理ら「怖い」
――支持政党に関しては「自民党23.4%」、「立憲10.2%」。13ポイントぐらいに差が縮まってきているわけです。最近、立憲の野田佳彦元総理が存在感を見せてくるなど、怖いですよね。
石破茂元幹事長: 怖い、怖い。立憲であの頃はね、鳩山さんがいて、前原さんがいて、枝野さんがいて、玄葉さんがいて、馬淵さんがいて、原口さんがいてみたいな。なんとなくキラキラしていました
よね。今もそういう人材はいるんだろうが、そこへもっとスポットがあたり始めて泉さんのみならずこんな人もいますよ、あんな人もいますよ、みたいなことになってくると本当に怖い。
――今、総理周辺から内閣改造・党役員人事で人気者を取り込みドリームチームをつくって局面を打開しようという話が出てきています。可能だと思いますか。
石破茂元幹事長: 人事権者は総理だから、可能も可能じゃないも(ない)。ただ、まだ国会やってるわけで、法案もかかってるわけで、その法案がかかっている最中に閣僚を変えるって普通はない。きちんとした区切りがついて、なおかつ人事を変えるとするならば、なんのためにということが有権者にきちんとわかると、なぜこういうふうに人事をやったのですかということが、誰が閣僚になるにせよですよ、そうじゃないとそれは一国の運営としては上手くないから、総理はその辺をきちんと考えておありになるのではないですか。
●米バイデン政権、中国への新たな関税を間もなく発表との情報──EV、半導体など戦略分野が対象 5/11
バイデン米大統領は早ければ来週14日にも、電気自動車(EV)などの戦略的分野を対象にした中国への新たな関税を発表する可能性がある。関係筋が明らかにした。
半導体や太陽光発電設備も対象となる可能性があるほか、注射器など中国製の医療用品にも追加関税が課されるという。
関係者によると、関税の額や対象分野の詳細は不明だが、戦略的競争力と国家安全保障に関連する分野に絞り込まれているという。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は1−日、バイデン政権は、中国製EVに対する関税を現行の25%から約4倍の100%程度に引き上げる見通しと報じた。
●実質賃金 過去最長の24カ月連続マイナス スーパー円安で強まる物価上昇と遠のく 5/11
物価高に賃金が追いつかない状況が、ついに過去最長となりました。今後、春闘での交渉結果を受けた賃上げが、徐々に実現することが期待されるものの、「スーパー円安」の影響もあって、実質所得がプラスになる「好循環」は、さらに遠のいています。
実質賃金は24か月連続マイナス
厚生労働省の発表した3月の毎月勤労統計によれば、3月の現金給与総額、すなわち名目賃金は、前年同月比で0.6%増加しました。
しかし、消費者物価(除く帰属家賃)が3.1%上昇したことから、実質賃金は前年同月比で2.5%の減少となりました。
実質賃金のマイナスは、これで24か月連続のこと、比較可能な1991年以降では、リーマンショック時を超え、過去最長となりました。
「100年に一度の危機」と称された時よりも、懐具合は苦しいのですから、大変なことが起きていると認識すべきです。
名目賃金は春闘の賃上げ率ほど伸びず
実質賃金がマイナスから脱せないのは、物価上昇率が依然高いだけでなく、名目賃金=実際に支給された、あらゆる給与の総額が、期待されたほど伸びていないからです。
まだ3月分の統計が速報段階なので、23年度の数字は出ていないのですが、暦年の2023年通年の名目賃金は前年比で1.2%しか増加していません。
23年には春闘で3.58%(連合集計)と、30年ぶりの高い賃上げ率が実現したにも関わらず、春闘集計の3分の1程度しか、名目賃金(現金給与総額)に反映されていないわけです。
名目賃金が期待ほど伸びないワケ
その理由としてまず考えられるのは、春闘の3.58%賃上げには定期昇給分が含まれているからです。
純粋な賃上げであるベースアップだけでみると、2.12%に留まります。
2つ目にあげられるのが、春闘での賃上げの恩恵がダイレクトに及ぶ勤労者は、全体の一部に過ぎないという当たり前の事実です。
連合加盟どころか、労働組合のない小規模な企業が、数としては圧倒的多数です。
そうした企業の賃上げ率は、連合の数字より低くなりがちですから、全体の数字が押し下げられるのは自然なことです。
3つ目の理由は、労働時間、とりわけ残業時間の縮小です。
働き方改革に加え、いわゆる2024年問題を控えていたので、23年4月以降は、所定外労働時間(残業)が一貫して、ゼロまたはマイナスという状況が続いています。
23年通年の所定外労働時間は、前年比0.9%のマイナスでした。残業は賃金割増の対象なので、時間の減少以上に実入りの減少につながります。
さらに、ボーナスなど「特別に支払われた給与」の伸びの鈍化も理由の1つです。23年の特別給与は前年比1.9%の増加で、22年の4.6%増から、伸び率が大きく鈍化しました。
もちろん事情は個社ごとに様々でしょうが、23年は春闘での月例給の賃上げ率が高かったので、ボーナスの増加は控えめにしたという企業もあったのではないでしょうか。
実際、「春闘でのベアが高かったので、ボーナス回答はいまいちだった」といった声を聞きました。
5%を超える賃上げ率の今年は
24年の春闘は、第一回の連合集計で、5.28%という画期的な賃上げ率となりました。
バブル期の1991年の5.66%以来の高い数字です。春から夏にかけて、この賃上げ率を反映した月例給が支給され始めるので、名目賃金は間違いなく上昇するでしょう。
しかし、連合集計の対象でない企業も含め、残業やボーナスも入れた「全体」がどこまで増えるのか。
仮に23年並みに、春闘の賃上げ率の3分の1しか反映されないとすると、名目賃金は1.8%程度しか増えない計算なります。これでは2%の物価上昇に負けてしまいます。
それどころか、足もとの3月の消費者物価(除く帰属家賃)は3.1%上昇なので、実質賃金プラスの世界は、かなり遠いと言わざるを得ません。
岸田政権は6月の定額減税に期待
岸田総理大臣は「今年中に物価高を上回る所得を実現する」と公約し、6月に実施される1人4万円の定額減税の効果に期待をかけています。
しかし、そもそも減税の恩恵は、世帯の所得や人数によってまちまちです。
しかも、電気・ガス代の補助金打ち切りが決まったことに加え、中東情勢を受けて原油高が進んでいること、さらに想定外の円安が進んだことを考えると、定額減税が実質賃金のマイナスをどこまで補えるか、かなり微妙と言わざるを得ません。
第一生命経済研究所の熊野英生さんの試算によれば、このまま1ドル=155円が続くと、24年度は前年度比7%の円安となって、為替要因だけで消費者物価を0.4ポイントも押し上げることになるといいます。
実質所得がマイナスのままでは、消費拡大や需要増大は望めず、経済の「好循環」には、たどり着きません。
円安や物価高を「注視」しているだけでは、実質所得のプラスは、逃げ水のように遠のいてしまうリスクに直面しているように思います。
●横田めぐみさん弟、岸田首相にクギ「強い外交貫いて」全拉致被害者奪還へ 北の揺さぶり前のめり姿勢≠ノ懸念も 5/11
北朝鮮による拉致被害者の家族らが10日、岸田文雄首相と面会した。大型連休中に訪米した家族らは、米政府関係者らから強力な支援継続を取り付けており、米国の力も活用した取り組みを要望した。1977年に北朝鮮に連れ去られた横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の弟で、家族会代表の拓也さん(55)は面会後、報道陣に被害者奪還への思いを明かした。
「日朝の水面下交渉に大きく寄与するのではないか。日朝首脳会談実現へ活用してもらいたい」
拓也さんは、訪米中に面会した米政権高官が示した共闘姿勢≠踏まえ、岸田首相にこう訴えた。
岸田首相は「米国の理解と協力を得ながら、北朝鮮への働きかけに一層力を入れる。国際社会と協力し、日朝首脳会談実現へハイレベル協議を続けたい」と意欲を述べた。
昨年5月以降、岸田首相は日朝首脳会談に強い意欲を示している。これに対し、北朝鮮は日本に秋波≠送ったかと思えば、直後に「交渉の余地はない」と突き放すなど揺さぶりを強める。岸田首相が外交成果で政権浮揚を図るとの観測もあり、前のめりな姿勢に懸念の声も根強い。
こうしたなか、家族は「全拉致被害者の即時一括帰国」の早期実現だけを一貫して求める。
拓也さんは面会後、「(北朝鮮から)聞こえの良いだましのテクニックが提案されても、一切受け入れられない。要求水準を絶対下げることなく、怒りの気持ちを持ち続けた形で『強い外交』を貫いてほしい」とクギを刺した。
●岸田政権が邁進「認知症いじめ」…超高齢化で患者激増予測なのにマイナ保険証ゴリ押し 5/11
衝撃的な数字だ。厚労省が8日、65歳以上に占める認知症関連の患者の将来推計を公表。2040年には、65歳以上のうち7人に1人が認知症になるという。団塊ジュニア世代が65歳以上になる40年は、全人口に占める65歳以上の割合が約35%に達すると予測されている。超高齢化に伴う患者激増をよそに、政府は「認知症いじめ」に邁進中だ。
厚労省の推計によると、65歳以上のうち認知症患者は40年に584万人、60年に645万人を数える。今回初めて公表された軽度認知障害(MCI)の将来推計は40年に612万人、60年には632万人に上る。MCIを含めた認知症関連の患者は40年に計1196万人、60年には計1277万人に達する見込みだ。
前回09〜12年の調査では、認知症患者は40年に802万人と推計されていた。今回調査は前回から約200万人減ったものの、将来的に65歳以上の3人に1人が認知症もしくはMCIになるとの推計は、超高齢化社会の厳しさを物語る。
政府の「認知症施策推進本部」の本部長を務める岸田首相は、今年1月施行の認知症基本法に基づく施策の基本計画を今秋をメドにまとめる予定だ。「認知症と向き合う『幸齢社会』の実現」を掲げているが、今年12月に予定される現行の健康保険証廃止は既定路線。見直すどころか、「マイナ保険証」の利用促進にシャカリキで、「紙の保険証」廃止に不安を抱える認知症患者や家族らを置き去りにしている。
役人ですら利用率は6%未満
政府は高齢者を対象に暗証番号なしで使えるマイナカードを交付してマイナ保険証の利用促進を図っているが、申請件数は3月末時点で約1万6000枚にとどまる。全体の保有枚数9215万枚のうち、わずか0.02%程度だ。認知症の啓発活動などを行う公益社団法人「認知症の人と家族の会」の鎌田松代代表理事がこう言う。
「そもそも、認知症の方のマイナ保険証の登録・申請はハードルが高い。サポートできる家族や支援者が近くにいればまだしも、1人暮らしの方や遠距離に家族がいる方は、マイナ保険証の取得すら容易ではありません。家族にも負担がかかります。病歴や薬剤情報を十分に記憶できない認知症の方にとって、デジタル化は情報を共有できる点では有意義でしょう。しかし、暗証番号なしのマイナ保険証を発行するのに、なぜ紙の保険証を残さないのか納得がいきません」
こうした懸念や疑問をよそに、政府は今月から7月までの3カ月間をマイナ保険証の利用促進の強化期間に位置付け、利用率5.47%の惨状をどうにかしようと必死だ。マイナ保険証を所管する厚労省の武見大臣に至っては、「利用率に関係なく健康保険証を廃止する」と明言してはばからない。
ところが、マイナ保険証の旗振り役である政府ですら、国会公務員の利用率は5.73%。全国の利用率より0.26ポイントだけ上回っているに過ぎない。
「紙の保険証の廃止は、『認知症の方が尊厳と希望を持って暮らすことができる共生社会』を目指すという基本法の理念と乖離しています。それこそ認知症の方の能力に配慮しながらデジタル化を進めつつ、紙の保険証を残していただきたい」(鎌田代表理事)
「幸齢社会」なんてしょーもないダジャレを掲げる前に、高齢者や認知症患者の不安に寄り添って欲しいものだ。 

 

●杉村太蔵氏「銀座のクラブで飲んでも党勢拡大」政治資金規正法改正の与党案に指摘 5/12
12日放送の「サンデージャポン」(TBS系)は国会で議論される政治資金規正法改正について特集。与党案に批判が出た。
自民党の裏金問題を受けて同法改正が浮上。与党案が取りまとめられたが、特に問題視されているのが、政党から議員へ支出される政策活動費だ。使い道をどこまで公開するかが焦点となっている。自民党は「党勢拡大」など大まかな項目だけでよいと主張している。
元経産省官僚の岸博幸氏は「広報費とか党勢拡大費とかだけなら、何に使われたか分かりませんよね。何も透明化は進まない」と批判。ミキティことタレントの藤本美貴も「先にお金を渡すんじゃなくて、普通の会社みたいに領収書を持ってきてその分だけ渡せばいい」と政策活動費のあり方に疑問を投げかけた。
元自民党衆院議員だった杉村太蔵氏は「党勢拡大といえば何でも使える。銀座のクラブで飲んでたって党勢拡大だから」と曖昧さを指摘。続けて、岸田文雄首相の考えを分析した。
「岸田氏が『よし公開しよう』と言った背景に何があるのか。永田町は9月の総裁選の仁義なき戦いが始まっている。政策活動費を一番もらっているのは幹事長ポスト。岸田氏は1回も幹事長やっていない。幹事長ポスト取っているのはライバル。『これ、何に使ったんですか』って。岸田氏は詰め将棋をやっている感じを受ける」と話した。
政策活動費の使途公開を進めても岸田氏自身にダメージはないが、ライバルにはあるとの見立てだ。
●裏金離党処分の世耕弘成氏に自民は“刺客”立てず?《党内処分も「なんちゃって」》の声 5/12
《政治資金規正法の改正案も「なんちゃって」。連座制も「なんちゃって」。おまけに党内処分も「なんちゃって」。もう解党しかないやろ!》
《これは偽装離党だろ》
SNS上では批判の声ばかりが目立つ。自民党の森山裕総務会長(79)が11日、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で「離党勧告」処分となった世耕弘成前参院幹事長(61=和歌山選挙区)について、来年の参院選で党として対抗馬擁立を見送るべきとの考えを示した――などと報じられたためだ。
安倍派(清和政策研究会)の「5人衆」だった世耕氏は、派閥から受けた政治資金パーティー収入のキックバック総額が、2018年からの5年間で計1542万円だったことが判明。政治倫理審査会(政倫審)に出席したものの、約20年に渡って常習的に続いてきた裏金について知らぬ存ぜぬを繰り返すなど、真相解明に至るのは程遠い弁明に終始し、その後、自民党から離党処分されたことから、次の参院選では党公認を得られない見通しに。
常識的に考えれば、同党は仮に世耕氏が出馬しても当然、郵政民営化を巡る衆院選のように選挙区には“刺客”を送る展開となるだろう。
ところが森山氏は、和歌山市で開かれた政治刷新の車座対話で、世耕氏について「実績や今後を考えれば、しかるべき対応があっていい」などと言い放っていた。
そもそも、世耕氏の「実績」とは一体何なのか。裏金事件についてダンマリを決め込んだことなのか。「実績」があるなら、なぜ、離党処分にしたのか。すべてがいい加減だ。過去の流れを見ると、仮に自民党を離党した世耕氏が次の参院選で当選すれば「裏金事件の禊は済んだ」などと言って、あっという間に復党する可能性が高い。そして裏金事件について国民が忘れ去るのをひたすら待つ。つまり、「離党勧告」処分など、まったく無意味と言っているようなものだ。
《自民が離党させた議員の選挙区に対抗馬を立てないなら意味がない。形だけの処分ね》
《なんだなんだ、この茶弁劇は。報道が事実なら本当の意味の処分ではなく、ほとぼりが冷めるまで隠れて、ということ》
《裏金事件が起きた原因・理由の解明、関与した議員の責任の追及……。自民党はすべてにヤル気がないことがハッキリした》
旧民主党が政権与党だった時代、野党議員として生活保護政策について厳しい姿勢だった世耕氏。自身もいったん「無職」となり、今の庶民がどんな厳しい生活を強いられているのかを体験した方がいいのではないか。
●規正法協議入り、依然見えず 自公、揺れる対応 野党、政倫審で「裏金」攻勢 5/12
週明けの国会は、自民党の派閥裏金事件を巡る与野党の攻防が続きそうだ。
岸田文雄首相(自民総裁)は政治資金規正法改正の与野党協議を速やかに始めたい考えだが、与党案の条文化について自民、公明両党の方針が定まらない。野党は衆参両院の政治倫理審査会で「裏金」議員の弁明を求め、攻勢を強める方針だ。
「早期の法案提出に向け、自民党として条文化に全力を挙げ、公明党に示す」。首相は10日、首相官邸で記者団にこう強調した。だが、公明の山口那津男代表は11日、訪問先の熊本県益城町で「与党合意には直ちに法案にできない部分がある。与野党で協議を進めるのが大事だ」と語った。
自公は9日、与党案の概要について「大筋合意」に至ったが、政治資金パーティー券購入者の具体的な公開基準額など重要な論点が積み残しとなった。強い規制に消極的な自民と、世論の批判を意識する公明の溝が表面化し、条文に落とし込む作業は難航必至だ。
特に公明側に慎重論が強い。共同提出すれば、自民と共に野党の攻撃にさらされることになるからだ。公明のこうした姿勢を受け、自民の茂木敏充幹事長は10日の党会合で「法案化の作業を進め、同時に与野党協議を行う」と語った。自民内には日本維新の会を交えた3党共同提出案もある。
これに対し、立民の泉健太代表は10日の記者会見で、与党案について「裏金が根絶される中身ではない」と非難。立民は「与党の対応が決まらなければ協議できない」(国対幹部)との立場だ。改正案の審議は衆院政治改革特別委員会で始まる予定だが、日程は決まっていない。
野党側は政治改革に関する首相の姿勢をただすため、衆院予算委員会の集中審議を求めることも検討している。
裏金事件の真相究明も継続する。衆院政倫審では14日、野党が先に申し立てた安倍派と二階派の44人に対する審査を行うことを議決する。対象者からは弁明に消極的な声が出ており、自民に対する批判が一層高まる可能性がある。立民幹部は「政倫審が週明けの見せ場だ」と意気込む。
さらに、伊藤信太郎環境相と水俣病被害者団体の懇談で環境省職員が発言を遮った問題が、新たなテーマとして浮上した。野党は13日、同省などへのヒアリングを実施。世論の反応を見ながら伊藤氏の責任追及を強める構えだ。
●政治資金規正法の改正は問題の本質ではない?「調達格差」が政権交代起きない弊害に 元衆院議員の菅野志桜里弁護士に聞く 5/12
岸田文雄首相は今国会での政治資金規正法の改正を表明し、議員本人に対する責任を強化する方向で議論が進められている。
しかし、衆院議員を3期務めた菅野志桜里弁護士は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の本質はそこではないと指摘する。その真意はどこにあるのか―。
注目すべきは政党交付金導入と引き換えに禁止になったはずの企業・団体献金の扱いだ、と訴える。
秘書が議員をかばえなくなるような制度改革が必要 
――議員時代、自民党の政治資金パーティーに問題意識はありましたか。
「販売ノルマがあって大変だという話は聞いたことがありますが、組織的に売り上げをキックバック(還流)しているとは、耳にしたことはありませんでした」
――菅野さんは元検事でもあります。今回の捜査をどう見ましたか。
「政治資金規正法は、処罰対象が会計責任者となっています。安倍派幹部の起訴を期待する向きもあったと思いますが、会計責任者と共謀したとする議員の具体的な証拠がなければ起訴はできないわけですから、限界があったのでしょう。証拠を超えて起訴することの方がむしろ怖いので、規正法の処罰対象に議員を追加するという抜本的な治療が求められます」
――「政治とカネ」の問題はたびたび問題になっています。政治資金の透明性をどう確保していくべきでしょうか。
「永田町には世間の常識とは違う独特の職業倫理観があります。例えば、仕える議員のバッジを守るために、できるだけ議員に責任を負わせないようあえて詳細を報告しない―。こうした文化が秘書に脈々と受け継がれています。だから、政治資金収支報告書の提出時に議員の署名を求めるなど、秘書が議員をかばうことができなくなるような制度改革が必要になります」
「政党から議員個人に支給される『政策活動費』、旧文通費も議論の的になったので、合わせて透明にしていくべきです。あとは企業・団体からの献金やパーティー券の購入など『自由な調達』はこのままで良いのかということもきちんと考えるべきでしょう」 
企業・団体献金の規制が肝、過去に禁止を約束したはずだ
――野党は企業・団体献金の禁止を強く求めています。企業・団体献金は、資本金の額や構成員の数に応じて年間750万〜1億円を政党や政治資金団体に献金できるというものですが、どのような弊害があるのでしょうか。
「応援しようという気持ちから野党にももたらされる個人献金と違い、有利な政策実現のために行われる企業・団体献金は金額が桁違いであるにもかかわらず、与党にしかいきません。現職時代、ある団体のトップから『野党に献金する理由がない』と言われたことがあります」
「自民党はこの企業・団体献金によって小選挙区ごとに集金システムを構築し、豊富な資金力を基に地元での活動量を増やして、選挙で圧倒的に有利な状況をつくっています。選挙区の真ん中に一つ事務所を置いて、限られた人員で活動する手法ではかないません。自民党にとっては政権を維持する基盤となっており、この『調達格差』とも言える状況が二大政党制が実現しない要因になっていると考えます」
――企業・団体献金を規制すべきだ、ということですね。
「30年前の政治改革の際、自民党は政党交付金を導入する代わりに企業・団体献金を禁止すると国民に約束しました。それなのにそれがほごにされ『二重取り』が続けられています。これを放置していいのか、ここが肝だと思います。政治資金パーティーも企業・団体献金の抜け穴に使われているので、そこはふさいだ方が良いでしょう。野党には引き続きしっかり追及してほしいです」 
家宅捜索を受けた自民党安倍派の事務所が入る建物を出る東京地検特捜部係官=23年12月19日
――事件を受けて安倍派などは解散する方向となりましたが、派閥の弊害はどう考えますか。
「能力ではなく派閥の均衡を重視する人事となることで、大臣ポストが『不適材不適所』だと感じる国民は多かったのではないでしょうか。今回の問題を契機に、人事の差配や若手の教育といった機能を派閥から党にどう再配分していくかも注視していくべきです。野党にしても、政権交代を目指すならば、派閥に代わる党内のガバナンス(組織統治)をどのようにしていくべきか示す必要があると思います」
かんの・しおり 1974年仙台市生まれ。元検事。2009年から衆院議員を3期務め、民進党で政調会長。

立憲民主党は政治資金パーティーや企業・団体献金の禁止を柱とする政治改革案を公表したが、自民党案はパーティーについて「透明性の在り方」「外国人へのパーティー券販売の在り方」との記述以上に踏み込まず、企業・団体献金に関する言及は全くない。野党からは「抜け道があり過ぎる」「国民にとってゼロ回答」などと批判が出ている。
一方、自民党案には、政治資金収支報告書の提出時に議員の「確認書」添付を義務付ける制度が盛り込まれた。自民党は、秘書が議員をかばえなくなる仕組みに変わると主張するが、対象は国会議員関係政治団体に限られるため、野党は「連座制もどきだ」などと反発している。
●自民党政治刷新本部が山口県連と対話…「説明できないことが多すぎる」県連からは厳しい意見が 5/12
自民党本部が政治刷新について県連から意見を聴取する会合が11日、山口市で開かれました。
派閥の裏金事件を巡り自民党の政治刷新本部は各都道府県連から意見聴取していて11日は平井卓也副本部長らが山口市で自民党の県議との対話に臨みました。
自民党政治刷新本部 平井卓也本部長「できるだけ早く、もう1度期待していただける自民党に変わっていかなければならない と思っています」
非公開で行われた対話では、県議から「政治資金不記載の説明は国民が納得できるものではなかった」「岸田総裁が全く責任を取っていない」といった意見が出たということです。
また、裏金事件に限らずこども政策などについても岸田政権の説明不足を指摘する声があったということです。
自民党山口県連 友田有幹事長「私どもは県民にいろんなことを説明しなくちゃいけない。説明できないことが多すぎる。それが一番の話だった」
自民党と公明党は9日、政治資金規正法改正の与党案をすでにとりまとめていることから、この意見聴取の開催時期についても異論があり自民党の県議27人中出席したのは16人にとどまりました。
●与党案、裏金の再発防止に意義 野党、企業献金触れず「抜け道」 5/12
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、与野党の実務者らが12日、NHK番組で議論した。自民の鈴木馨祐氏は、与党案は事件の再発防止につながる内容だと意義を強調。立憲民主党の落合貴之氏は、企業・団体献金の扱いに言及しなかった点などを念頭に、与党案には「抜け道がある」と指摘し、実効性に疑問を呈した。
鈴木氏は「再発防止を徹底するのが一番大事だ」と述べた。公明党の中野洋昌氏は、公開基準額の引き下げ幅などで折り合っていないとし「中身を詰める」とした。
落合氏は「個人献金を促進していくことが重要だ」と主張した。日本維新の会の青柳仁士氏は、政治団体の収支報告書を巡り「維新は内規で会計責任者を(議員である)代表者にしている」と説明。議員の「確認書」添付を義務付ける与党案を批判した。
与党案に関し、共産党の塩川鉄也氏は「評価に値しない」と酷評。国民民主党の古川元久氏も「危機意識が欠けている」と苦言を呈した。
れいわ新選組の大石晃子氏は、政治資金パーティーの禁止を唱えた。
●規正法「まず与党協議を」 自民・森山氏 5/12
自民党の森山裕総務会長は12日、政治資金規正法改正に関し、自民、公明両党間の協議を優先するべきだとの考えを示した。両党には政治資金パーティー券購入者の公開基準額などで隔たりがある。「まず与党でしっかり協議をしていくことが大事だ」と述べ、その上で野党との協議に臨むべきだと強調した。
森山氏は与党案の条文化について「党内手続きもあり(会期末まで)もうそんなに時間がない」と急ぐ必要性を指摘した。鹿児島市で記者団の質問に答えた。
●官房機密費「選挙で使わず」 自民・鈴木氏が発言、根拠示さず 5/12
自民党の鈴木馨祐衆院議員は12日のNHKの討論番組で、官房機密費(内閣官房報償費)について「選挙目的で使うことはない。断言する」と述べた。
発言の具体的根拠は示さなかった。鈴木氏は政治資金規正法改正に向けた党の作業部会座長。
機密費を巡っては、自民党政権で国政選挙の陣中見舞いに充てられたとする匿名の元官房長官証言を中国新聞が報じた。機密費は使途が公表されないため問題視されることも多く、昨年11月には石川県の馳浩知事が東京五輪の招致活動に機密費を使ったとの趣旨の発言を行い、後に撤回した。
●「再侵略を合法化」北朝鮮、岸田首相の改憲姿勢を非難 5/12
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は11日、岸田文雄首相が憲法記念日(3日)に際して改めて改憲への意欲を示したことを受けて論評を出し、「再侵略野望実現のための軍国化策動を法律的、制度的に合法化しようとするところに目的がある」と決めつけた。
論評は、日本政府が敵基地攻撃能力の保持や次期戦闘機の第3国への輸出を行う方針を決めたことなどに言及し、「結局、かつて唱えていた『攻撃を受ける場合にのみ防衛力を使用する専守防衛、他国の領域を直接攻撃する敵基地攻撃能力保持の放棄、国際紛争を助長しないために兵器を輸出しないという兵器輸出禁止の原則、防衛費を基本的に国内総生産(GDP)の1%程度に抑制する防衛力整備』などは言葉にだけ残ってしまった」などと指摘している。
●国民民主と連携し政権交代を 立民・安住氏 5/12
立憲民主党の安住淳国対委員長は12日放送のBSテレ東番組で、次期衆院選について、国民民主党と候補者調整を進めれば「過半数までの候補者を何とか立てられる」と強調した。
その上で「(政権批判の)受け皿として認知されれば政権交代は決して夢ではない」と述べた。
●竹中平蔵氏、岸田首相の「偏った聞く力」官僚依存の“あぶなさ”指摘 面会は「ほとんどが官僚」 5/12
元経済財政担当相で経済学者の竹中平蔵氏が12日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」(日曜午後1時30分)に出演。読売テレビの黒木千晶アナウンサーが議長を務め、緊迫する世界情勢での「世界の“あぶない”リーダーたち」について議論した。
ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席らを取り上げた。岸田文雄首相の“あぶない”ところについて、竹中氏は「偏った聞く力」と指摘した。
各紙に掲載される、首相がいつどこで何をして、どんな人と面会したのかを毎日記録する「首相動静」で「小泉さん、安倍さん、菅さんのときと比べ、決定的な違いがある」とした。
小泉元首相らは「たくさんの民間の人、専門家、ベンチャーの人と会っていた。岸田さんは、ほとんどが官僚です。役所から上がってくることをやる」と官僚依存が強いとした。
「偏った官僚の力だけに頼っていて、政治のリーダーシップが発揮できていない」と批判した。
●竹中平蔵氏 岸田首相のリーダーシップに疑問も「官邸に近い人によると総理ご自身は大変強気」 5/12
元総務相で経済学者の竹中平蔵氏が12日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」に出演。岸田文雄首相のあぶない%_について語った。
この日は「世界のあぶないリーダーたち 徹底分析スペシャル!」と題して、各国の指導者について掘り下げて議論した。
その中で岸田首相の話題となり、竹中氏は「総理の動静って新聞に出ますよね。あれ見てると、小泉(純一郎)さん、安倍(晋三)さん、菅(義偉)さんの時と、岸田さんって決定的に違うんです」ときっぱり。
前出3人の元首相は民間人と多く会っていたといい「岸田さんの日程見てください。ほとんど官僚なんです。だから、役所から上がってくるのをやるわけ」と分析した。
「子育て支援金」の国民負担を例に挙げ「あれを保険でやるわけですよ。保険と何の関係もないけども。総理が一人で『何かやらなきゃいけない』と言ったので、財務省とかが考えて『増税ができないとなると保険でやろう』と。これ目的外使用だから、ある意味でめちゃくちゃな政策。隠れ増税」と切って捨てた。
続けて「それを今までの自民党だったら『それはおかしい』と議論できていたが、それがない。偏った官僚の力だけに頼っていて、それで政治のリーダーシップを発揮できておられないのではないか」と警鐘を鳴らした。
その上で「でも、官邸に近い人に話を聞くと、周りは非常に心配してるんですが、総理ご自身は『大変強気だ』と。政権の運営について。目に見えた当面のライバルがなかなか浮かんでこないということも含めて、強気でいらっしゃる」と証言していた。
●アップルの宣伝動画でこれほど心が傷ついた理由 5/12
米アップルが謝罪している。新製品「iPad Pro(アイパッド プロ)」の宣伝動画で、強力な液圧プレスが文化や人々の体験を構成するあらゆる要素を押しつぶし、極薄の端末に変える映像を流したのは、ちょっとばかり検討が不十分だったかもしれないと。
ソニー&シェールの往年の楽曲「All I Ever Need Is You(必要なのはあなただけ)」がバックに流れるこの宣伝動画は、人類の創造性の破壊を賛美しているように見える。映像ではピアノや彫像、あらゆる種類の画材、カメラ、テレビその他が容赦なく押しつぶされていく。
宣伝動画に対して即座に憤りの声が噴出すると、アップルの広報担当副社長トール・マイレン氏はこう言った。「今回の動画は的を外した。申し訳ない」
同氏が言わなかった、というより口にせずに済んだ言葉はこうだ。「目的は果たした」
目的とは、芸術や文化にまつわるこうしたありとあらゆる要素がたった一つの、羽毛のように軽いアイテムの中に凝縮できると伝えることだ。アイテムは紙皿みたいに、どこへでも持ち歩ける。
恐らくは「押しつぶす」の方が、「凝縮する」よりも言葉として正確かもしれない。何かを凝縮する場合、対象が持つ本来の状態は程度の差こそあれ保たれる。一方で何かを押しつぶす、踏みつぶす、粉砕する場合、それは対象を完全に消し去ることを意味する。
確かに芸術の世界に身を置く多くの人々は、アップルのクック最高経営責任者(CEO)が発した健全なメッセージを受け入れなかった。クック氏はX(旧ツイッター)への投稿で、新たなテクノロジーの驚異について説明。「今後それ(iPad Pro)を使うことで、どれだけのものを創り出せるか想像してみてください」
一般論として、創造は必ずしも破壊を必要としない。恐らく例外はあるだろう。英ロックバンド、ザ・フーのライブの終わりに、ピート・タウンゼンドがリッケンバッカーのギターをアンプにたたきつけるケースなどがそうだ。
俳優や監督、作家、学者らはアップルの宣伝動画に怒りを表明した。映像を見て心が傷ついたのは、彼らの多くがやむを得ない事情で抗議デモやストライキに参加しているからだろう。理由は生活費の高騰や企業合併、一時解雇、芸術業界での採算の取れる仕事の減少などが絡み合っているが、全てはある将来の展望に結びつく。そこで彼らは一人残らず、コンピューターが生成した各々の別バージョンに取って代わられてしまうのだ。
筆者が気に入ったのは、脚本家のエド・ソロモン氏によるXへの投稿だ。「人生や、生きる価値を教えてくれる一切の物事など必要か? いいからこのデジタルの幻影に飛び込んで、魂をよこせ。アップルから」
これはアップルが伝えたかったメッセージではないだろう。アップルの意図が自らの存在理由の追求にあったのは間違いない。それは先進的なテクノロジーを駆使し、人生のあらゆる側面で人々がより簡単に目的を果たせるようにすることだ(加えてアップルに収益をもたらすこと)。
そしてアップルがその目標を達成する見込みは十二分にある。テクノロジーの進歩には必ずと言っていいほど熱烈な消費者が付く。今や彼らは、この極薄のiPad Proの威力を目の当たりにした。
間違いなく彼らは、製品が市場に出回るや直ちに入手したいと願うだろう。俗に言うように、金持ちとスリムになるのに越したことはないのだから。
しかし当の宣伝動画は、思慮深い世界の大半にとって一段の警告を発するものでしかない。そこでは既に人工知能(AI)の発達による緊迫感が漂っている。AIは創造性を発揮する人、さらに言えば人類全体を脅かす存在だが、どのように脅威をもたらすかは最も熱心な提供者ですら完全には理解していないようだ。我々はこのまま「トワイライト・ゾーン」の皮肉な最終話の登場人物となってしまうのだろうか。自らの手で作り出したものに征服されてしまうのか。
現在起きている不安や恐怖を考慮すれば、アップルの宣伝動画は感度が鈍いどころではなく、もはや無感覚に陥っている。その中身はまるで、人類の偉業を石器時代にまで格下げしているかのようだ。音楽も美術も文学も、全部忘れてしまえ。「All I Ever Need Is You(必要なのはあなただけ)」、アップル。
バックに流れる歌は、1971年最大のヒット曲だ(人類の創造性の最も偉大な事例とまではいかなくても)。この曲に合わせて塗料缶が爆発し、楽器が壊れてばらばらになる様子が映し出される。宣伝動画の中でかかると、小粋なラブソングというよりもしゃれのきいた、ちょっとした脅し文句のように聞こえる。
ここにソニー&シェールの歌詞を合わせてみよう。「虹を追いかける男もいるらしい(中略)私に必要なのはあなただけ」
宣伝動画のメッセージは、はっきりしている。「虹なんてどうでもいいからアップルを買え」
ビル・カーター氏は米紙ニューヨーク・タイムズで25年以上、メディア業界の報道に携わってきた。CNNにも寄稿し、テレビに関する4冊の著作を出版している。記事の内容は同氏個人の見解です。 

 

●岸田内閣「支持」24% 「支持しない」55% NHK世論調査 5/13
NHKの世論調査によりますと、岸田内閣を「支持する」と答えた人は4月の調査より1ポイント上がって24%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は3ポイント下がって55%でした。
NHKは、5月10日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。
調査の対象となったのは2360人で、51%にあたる1202人から回答を得ました。
岸田内閣を「支持する」と答えた人は4月の調査より1ポイント上がって24%でした。
一方、「支持しない」と答えた人は3ポイント下がって55%でした。
支持する理由では、「他の内閣より良さそうだから」が45%、「支持する政党の内閣だから」が25%、「人柄が信頼できるから」が14%などとなりました。
支持しない理由では、「政策に期待が持てないから」が48%、「実行力がないから」が24%、「人柄が信頼できないから」が10%などとなりました。
政治資金規正法の改正をめぐり、自民・公明両党は与党案の概要をまとめ、「政策活動費」は議員からの報告に基づき、党が金額などを収支報告書に記載することなどを盛り込む一方、パーティー券の購入者などを公開する基準については結論を先送りしました。
この評価を尋ねたところ、「大いに評価する」が2%、「ある程度評価する」が13%、「あまり評価しない」が38%、「まったく評価しない」が39%でした。
また、政治資金規正法の改正をめぐる与野党の議論が政治とカネの問題の再発防止につながることを期待しているか聞いたところ、「大いに期待している」が6%、「ある程度期待している」が29%、「あまり期待していない」が38%、「まったく期待していない」が20%でした。
さらに政治とカネの問題への対応で岸田総理大臣が指導力を発揮していると思うか尋ねたところ、「大いに発揮している」が2%、「ある程度発揮している」が17%、「あまり発揮していない」が41%、「まったく発揮していない」が33%でした。
現在、景気がよくなっている実感があるか尋ねました。
「大いにある」が2%、「ある程度ある」が13%、「あまりない」が39%、「まったくない」が41%でした。
岸田総理大臣は6月から所得税などを1人あたり4万円減税し、ことし中に物価上昇を上回る所得を必ず実現するとしています。
この実現に期待するか尋ねたところ、「大いに期待する」が7%、「ある程度期待する」が24%、「あまり期待しない」が38%、「まったく期待しない」が24%でした。
日本、中国、韓国の3か国は、2019年以来となる首脳会議を5月下旬に開く方向です。
これがアジア地域の平和と安定につながると思うか聞いたところ、「つながる」が34%、「つながらない」が51%、「わからない、無回答」が16%でした。
衆議院の解散・総選挙をいつ行うべきだと思うか、4つの選択肢をあげて尋ねたところ、「今の国会の会期末」が20%、「年内」が28%、「来年の早い時期」が11%、「来年10月の任期満了近く」が24%でした。
●「副業してもいい社会作る」 自民の茂木敏充幹事長が首相に就任した場合の政策に言及 5/13
自民党の茂木敏充幹事長は13日までに配信されたインターネット番組で、自身が首相に就任した場合に取り組みたい政策に言及した。日本の労働生産性向上のため「原則、副業をしてもいいという社会をつくる」と説明。司会者から「首相になったら副業を推進するのか」と問われ「そう思っていただいて結構だ。私はそうしたい」と答えた。
茂木氏は「ポスト岸田」候補の一人と目されている。番組内で、副業を禁じている企業が多いと問題提起されると「政権が大きな方針を示して基本的に認めるようにする」と強調。3年の準備期間を設ければ、現状では導入に慎重な企業も対応は可能との見解を示した。9月の党総裁選に出馬するかどうかの質問は出なかった。
●首相「最近の円安の動き注視」 政府・日銀の密接な連携を強調…日銀総裁も「十分注視していくこと確認」 5/13
「最近の円安の動きを注視している」と、岸田首相が強調した。
岸田首相「最近の円安の動きを十分注視しており、政府・日銀は引き続き密接に連携をしていく」
首相官邸で、13日正午過ぎに開かれた会議で、岸田首相は歴史的な円安に触れ、政府・日銀の密接な連携を強調した。
円安をめぐっては、先週、岸田首相と会談した植田総裁も「十分注視していくことを確認した」と述べていた。
また岸田首相は、13日の会議で「賃上げに加え、来月からは1人4万円の所得税、住民税の定額減税を行い、物価上昇を上回る所得を必ず実現する」と述べた。
●“ポスト岸田論”なく…解散は?麻生氏&小沢氏が顔合わせお互い“チクリ” 5/13
政治とカネをめぐり自民党が揺れるなか、解散はどうなるのでしょうか。与野党の重鎮がお互いに“チクリ”と牽制し合っています。
与野党重鎮 “参院のドン”のパーティーに
週初めの13日、岸田総理と茂木幹事長とのトップ会談に臨んだ麻生副総裁。12日は、83歳の麻生副総裁、81歳の小沢衆院議員と超ベテランたちが集います。なつかしの面々もこの人のために集まっていました。
輿石東 元民主党幹事長(87)「残された時間を、精一杯、頑張っていきたい」
14日、88歳の誕生日を迎える輿石東氏です。
元民主党幹事長で、“参院のドン”といわれた輿石氏。2016年に政界を引退しましたが、今回、回顧録を出版。ただ、12日のパーティーは党を超えた面々が集まっているため、祝辞もピリリ。
自民党 麻生副総裁(83)「ますますご健勝でご活躍をいただいて、(立憲民主党の)泉先生あたりをしっかり指導していただいて」
麻生氏が“チクリ”とやると、立憲民主党の小沢氏は…
立憲民主党 小沢衆院議員(81)「きょう(13日)は麻生さんはじめ、自民党の方もおいでですけど、自民党政権もようやく綻びが大きくなって、いずれ崩壊の日も近いと私は思っております」
ポスト岸田めぐり自民党内の動きは
崩壊の日が近いとまでいわれた自民党。裏金問題に加え、先月の補選は全敗。岸田内閣の支持率は、30%を切ったままです。岸田おろしとなるのか?いま、自民党内で起きていることとは―
自民党 森山総務会長(79)「自民党が政治資金の問題で、国民の皆さんの信頼を失いかけているということは本当に申し訳ないと思っている」
13日、札幌で頭をさげた森山総務会長。党幹部らは来るべき選挙も見据えて地方行脚です。自民党は、先月の衆議院の補欠選挙で全敗しています。この厳しい現状のなか、“ポスト岸田”の動きは出てきているのでしょうか。
政治部・森洋介記者「最大派閥の安倍派も、裏金事件の処分を巡って岸田総理への不満を抱えてはいるものの、事件の当事者で政局を仕掛けにくい状況。また、二階元幹事長が次の衆議院選挙に出ないと表明したことで、二階派も派閥としてはまとまった動きが取りにくい状態が続いています」
「ある閣僚経験者は、『“ポスト岸田”に向けてアクションを起こせる人や旗を振れる人がいない』と指摘しています。つまり、いまの自民党には政局を起こそうにも、その柱となる人がいないという現状があります。今後のポイントは、“ポスト岸田”を自ら名乗り出るのか、あるいは誰かが担ぎ出すのか。誰がいち早く動き出すかというところだと思う」
では、“ポスト岸田”をさぐる動きが表に出てくるのは、いつになるのでしょうか?
政治部・森洋介記者「党内では、補選の3戦全敗を受け、6月の解散はなくなったとの見方が広がっています。総裁選も9月とまだ先で、わざわざいまから岸田総理を降ろそうとする必要はない。あるベテラン議員は、『これからはポスト岸田を腹の中で考える数カ月になる』と話しています。国会では、政治資金規正法の改正に向けた議論も本格化します。いま、党がガタついている時に、政局的な動きをするのは得策ではないとの見方もあり、政局的な動きが表面化してくるのは国会が終わったあとになるとみられます」
●重鎮・森山総務会長来札 自民党の車座集会 政治資金問題に長谷川岳議員へ指導求める声も 5/13
自民党の裏金事件をうけて、党の幹部が地元の議員や支援者などの意見を聞く「政治刷新車座対話」が札幌市で行われました。
政治資金の問題に加えて、威圧的な言動が取りざたされている長谷川岳議員への指導を求める声が上がりました。
自民党 森山裕総務会長「お叱りもしっかりと受け止めて帰りたいと思うので、いろいろなご意見をお聞かせいただけたら大変ありがたい」
札幌市内で開かれた会合には、自民党の森山裕総務会長が参加し、15人ほどの支援者と意見交換しました。
裏金事件にも発展した派閥からのキックバックについて指摘があったといいます。
自民党 森山裕総務会長「自民党がどういう方向に進めばいいかご示唆をいただいた」
これに先立って開かれた自民党道連幹部との会合では、キックバックを受けていた高橋はるみ議員が冒頭に謝罪しました。
自民党 高橋はるみ参議院議員「政治資金規正法の改正など、これからの改革に向けて、私自身も誰よりも一生懸命頑張っていかなければいけない」
また、道職員などに対しての威圧的な言動が問題となっている長谷川岳議員についても、道連側から意見が出されました。
自民党道連会長 中村裕之衆議院議員「(長谷川議員を)厳しく指導してほしいという意見は党本部に対してあった。特権階級意識のような対応をカスタマーとしてされるというのは許されないこと」
道連は、一部の道議も長谷川議員から叱責されたとの情報があることから、今後すべての道議を対象に同様の経験をしたかどうか調査することにしています。
●補正予算案 馳知事”災害関連死・孤独死防止に重点” 5/13
能登半島地震からの復旧・復興に向けた石川県の補正予算案について、馳知事は、災害関連死や孤独死を防ぐための取り組みなどに力を入れていく考えを示しました。
能登半島地震からの復旧・復興に向けた石川県の補正予算案の編成は、13日から「知事裁定」に入りました。
馳知事が、各部局から被災地の状況などを聞き取ったうえで、具体的な事業の内容や計上する額を決めていきます。
このうち、被災者の健康管理に関わる事業について、担当の幹部から「自宅に戻ったり仮設住宅へ入居したりする動きが本格化する」などと説明を受けたのに対し、馳知事は「災害関連死と孤独死を防ぐことが最大の使命だ」として、対策を強化するための費用を盛り込む考えを示しました。
市や町、NPOなどとも連携して見守りを強化するとともに、仮設住宅などでコミュニティーを維持するための機能を充実させていくとしています。
このほか、今回の補正予算案では、液状化による住宅への被害を受けた被災者が活用できる支援制度などが検討されています。
裁定にあたって馳知事は「復興というより、まだ復旧の段階だという現状を踏まえ、当初予算の足りない部分を被災者の目線で埋め合わせていくことが大事だ」と述べました。
補正予算案は、5月28日に開会する県議会の定例会に提出されます。
●「政治資金規正法改正」めぐり自民・公明に温度差 自民は条文化急ぐも先行き不透明 5/13
今の国会での政治資金規正法の改正に向け、自民党は法案の条文化を急ぐ考えですが、与党内に温度差があり、先行きが見通せない状況です。
派閥の裏金事件を受け、自民・公明の両党は先週、政治資金規正法の与党案について大筋で合意しましたが、パーティー券の購入者を公開する基準額の引き下げなどで意見に隔たりがあり、与党としての法案の条文化が進んでいません。
岸田総理は「自民党として条文化作業に全力を挙げ、公明党に示す」としていますが、公明党は裏金問題を抱える自民党との2党での法案提出には慎重な姿勢を崩さず、両党には温度差があります。
与党内には与野党協議を通じて合意形成を図る声もありますが、野党側は「自民党の法案がないことはありえない」と自民党に条文化を急ぐよう求めています。
●機密費使途「差し控える」 官房長官、自民議員発言で 5/13
林芳正官房長官は13日の記者会見で、内閣官房報償費(機密費)の具体的な使途について明言を避けた。「答えは差し控える」と述べるにとどめた。自民党の鈴木馨祐衆院議員が12日のNHK番組で機密費を巡り「選挙目的で使うことはない。断言する」と語ったことに関し、問われた。
「国の機密保持上、使途を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されている」とも説明し、従来の政府見解を繰り返した。
●橋下徹氏「こんなのしか出せないのか、日本の政治家は!」 政治資金規正法の与党改正案 5/13
大阪府知事や大阪市長を務めた弁護士の橋下徹氏が13日、フジテレビ系「めざまし8」に出演。自民党派閥の政治資金裏金疑惑で問題視された政治資金規正法改正案の与党案について、「最悪です。この期に及んでこんなのしか出せないのか、日本の政治家は」とぶった切った。
改正案では、「政治家の責任強化」「外部監査の強化」「政策活動費の使途の公開」「パーティー券購入者の公開基準学の引き下げ」を示している。
橋下氏は「難しく考える必要はなくて、国民が従っているルールに国会議員も従いなさい。それだけ」と強調した。さらに「我々は税務署にチェックを受ける。政治家も第三者機関にチェックを受けなさい。国民は確定申告書を出すときに自分でサインをします。政治家も収支報告書を出すときに会計責任者ではなく、自分でサインをしなさい。政治家が扱うお金は非課税。好き勝手に使う。その特権を受けるのなら、領収書を出しなさい。使途公開といっても、領収書を出さなかったら政治家はウソを書きますよ。政治家は信用できないから」と、最後まで厳しい口調で指摘と非難を続けていた。
●東京都の小池百合子知事、つばさの党家宅捜索に「本来の選挙の目的にかなっているのか」 5/13
公職選挙法違反(自由妨害)の疑いで警視庁の家宅捜索を受けた政治団体「つばさの党」について、東京都の小池百合子知事は13日、都庁で記者団に対し、「ほかの候補者を追い掛け回したり、音声をかぶせたり本来の選挙の目的にかなっているのか。公選法の見直しも必要ではないか」と述べた。
つばさの党は、4月28日に投開票された衆院東京15区補欠選挙で、他候補の街頭演説を妨害するなどした疑いが持たれている。
また、小池氏は、つばさの党が選挙期間中に自宅前でも街頭演説を実施したとし、「こんなに身の危険を感じながら選挙をするのか」と改めて当時の心境を吐露。「候補者も身の危険を感じながら選挙を行う。ここは日本ですよね。非常に疑問というかおかしい」とした。
●参院政倫審29人全員が「出席拒否」 “裏金問題”での追加審査要求に応じず 5/13
自民党の石井参院国対委員長は、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐり、収支報告書への不記載があった議員のうち、政治倫理審査会での弁明を行っていない29人の党参院議員について、全員が出席しない意向を示したことを明らかにした。
石井氏は「与党としてみれば誠に遺憾なことだ。残念だ」と述べた。
参院政倫審をめぐっては、3月14日に、世耕前参院幹事長・西田昌司議員・橋本聖子元五輪相の3人が弁明を行い、残った29人に対し、野村政倫審会長の名前で出席を求める説明文書が発出されていた。
この回答期限は5月13日としていたが、党として29人の意向を確認したところ、弁明のための出席意向を示す議員は誰1人いなかったという。
石井氏はこのことを野党側に報告したうえで、今後は、政倫審の幹事懇を経て、審査会を開き、29人に出席を求める正式な議決を行う方針を示した。
29人の中からは出席しない理由として、「一定の責任は明確にした」という内容が挙げられたという。
政倫審は出席を求める議決を行っても、本人の同意がなければ出席を強制することはできない規定となっている。
●「やる気のないのが明白」規正法改正案の条文化めぐり与党足並み乱れ露呈 5/13
自民党の裏金事件を受け最大の焦点となっているのが、政治資金規正法の改正です。「5年で50億円」支給された政策活動費の公開方法など与党内でまとまらず、「やる気がない」との批判の声があがっています。
岸田総理「与党間でしっかりと協力して、今国会中の政治資金規正法改正の実現に向けて全力を尽くしていただきたい」
先週、政治資金規正法の改正案で大筋合意した両党。ただ、いま与党の足並みの乱れが浮き彫りとなっています。
公明党 山口那津男 代表「与野党間で建設的な議論を行い、法改正の今国会中での実現を総理・総裁として主導していただきたい」
隔たりの原因の1つが、政党から議員個人に支給される「政策活動費」です。これまで、二階元幹事長に5年間でおよそ50億円支給されたものの、使いみちの公開義務がなく「不透明」だと指摘されてきました。
公明党も使いみちの公開を求めてきましたが、自民党が難色を示し、与党がまとめた改正案の概要では、公開範囲などは明記されませんでした。
自民党は法案の条文化を急ぎ、公明党に示した上で、与野党協議に臨む方針ですが、公明党は裏金問題を抱える自民党と2党での共同提出には慎重な構えを崩していません。
公明党 山口那津男 代表「野党の皆さんの意見も伺いながら、国会全体としての合意形成も併せて進めていくべき」
公明党は野党を巻き込み、法案の条文化を図りたい考えですが、野党側は…
立憲民主党 泉健太 代表「やる気がないというのが明白ですね。案らしい案が未だに出てこないというのは、この自民党全体の改革意識の遅れ・不足」
野党側は条文化を急ぐよう求めるなど、与野党の駆け引きが続いています。
●NHK「日曜討論」で陰謀論炸裂のア然…政治改革は「自民の力を削ぐ政局」のトンデモ発言 5/13
厚顔無恥とはこのことだ。自民党の裏金事件に端を発した政治資金規正法改正をめぐり、当事者からトンデモ発言が飛び出した。政治改革をテーマに与野党の実務者が顔をそろえた12日のNHK「日曜討論」で、抜け穴だらけの与党案に批判が集中。すると、自民の鈴木馨祐衆院議員(党政治刷新本部座長)が「自民党の力を削ぎたいという政局的な話がゴッチャになっている」と言い出したからア然だ。陰謀論者なのか。

与党が取り急ぎまとめた改正案はザルだ。
自民の二階元幹事長が5年間で50億円も受け取っていた政策活動費の使途公開義務化▽政治資金パーティー券購入者の公開基準額引き下げ▽国会議員関係団体に比べて緩い「その他の政治団体」の公開ルール強化──が3本柱。政治資金収支報告書の提出にあたり、議員による「確認書」交付を義務付け、不記載などで会計責任者が処罰された場合は政治家にも刑罰を科すという。自民は「いわゆる連座制」(鈴木)と呼ぶが、親族などが選挙違反をすれば議員本人も「即失職」となる公選法の連座制とは似て非なる代物だ。
「国民を小バカにしている」
立憲民主党の落合貴之衆院議員は「自分(議員)が(会計責任者として)サインすればいい。わざわざ複雑な新しい仕組みを作るのは何か意図がある」と指摘。
日本維新の会の青柳仁士衆院議員からも「やっている感の演出だけで、国民を小バカにしている」とコキ下ろされた鈴木氏は、言うに事欠いて「視聴者の方はご理解いただくと思うんですけども、再発防止の話と、自民党の力を削ぎたいという政局的な話がゴッチャになっているところが正直あります」と反論し、こう続けた。
「ファクトに基づいた議論をしっかりやっていくということが、極めて大事だと思います」
盗人に「正直」を説かれるなんて片腹痛いし、実態解明から逃げて「ファクト」を隠しているのは他ならぬ自民。青柳氏から「訳の分からないプロパガンダでゴマカそうという姿勢が良くない」と鼻で笑われ、れいわ新選組の大石晃子衆院議員も「いかに反省していないかって話。その力の源泉は汚いカネ、裏金だったわけじゃないですか」と返り討ちに遭った。
「自民主導の与党案はまがい物です。『いわゆる連座制』は、工場で作ったパンを『手作り風パン』と銘打っているのと同じ。会計責任者が有罪になった場合、議員が自動失職する連座制を導入しなければ、再発防止策にはなり得ません」(法大大学院教授・白鳥浩氏=現代政治分析)
売国奴ほど「美しい国」を標榜するわけだ。
●“棒読み癖”上川外相は「選挙の顔」になれるのか ポスト岸田へ地元・静岡県知事選で問われる真価 5/13
また、政権への打撃となるのか──。岸田官邸が恐々としている静岡県知事選(26日投開票)。全敗した3つの衆院補選(4月28日投開票)につづき、この知事選でも大敗したら、自民党内から「やっぱり岸田首相では選挙を戦えない」の声が噴出するのは間違いない。
選挙戦は、事実上、自民党が推薦した大村慎一元副知事と、立憲と国民が推薦した鈴木康友前浜松市長との争いとなっている。
「告示された9日時点では、野党が担いだ鈴木康友さんが数ポイントリードしていました。やはり自民党への逆風が強いうえ、浜松市長だった鈴木さんは国会議員をやっていたこともあり、一定の知名度があります」(地元関係者)
静岡県知事選では、岸田首相だけでなく、「ポスト岸田」に浮上している上川陽子外相も真価を問われている。地元・衆院静岡1区選出だからだ。逆風をはねのけて自民候補を勝たせたら「選挙の顔」として評価がアップするのは確実。
さっそく、11日(土)、選挙応援のために地元入りし、静岡市内2カ所で街頭演説している。
「上川さんが2カ所で行った街頭演説には、大勢の人が集まり、拍手で迎えられていました。ただ、2カ所ともJA(農協)の駐車場でした。人通りが多い場所じゃないから、恐らく動員でしょう。あれでは、上川さんに“集客力”があるのか分からない。なぜ、繁華街でやらなかったのか。人通りが多い場所じゃないと、集票も期待できないでしょう。しかも、12日は街頭に立たなかった」(県政関係者)
上川事務所によると、11日は日程調整がついたが、この先の日程は決まっていないという。
自民党内では、はたして上川外相が「選挙の顔」になるのか不安視する声があるという。
「4.28補選の1つだった島根1区補選の応援のために、上川外相は島根入りしています。島根県連の依頼を受けて松江市で講演している。しかし、候補者について、ホームページに書かれている程度しか触れず、あまり盛り上がらなかったといいます。上川外相は、国会答弁も官僚が書いたメモを棒読みすることが多い。応援弁士としての力量を疑問視する自民党議員がいるのは確かです」(自民党事情通)
「ポスト岸田」候補の上川外相は、どこまで地元の知事選で「集票力」をみせつけるのか。
●これはパート主婦の兵糧攻めだ…働かない主婦の"3号年金"温存のまま「年収の壁70万円へ引き下げ」案の奇っ怪 5/13
年金制度の抜本的な改革が喫緊の課題となる中、厚労省・社会保障審議会年金部会の報告書に掲載されたある案が注目されている。それは「社会保険の適用拡大」だ。経済学者で昭和女子大学特命教授の八代尚宏さんは「年収100万円台の中途半端な水準で就業抑制しないよう、年収の壁を70万円程度に引き下げ、保険料の増収、つまり企業や個人の保険料負担増を図るという案も候補のひとつとなっている。果たして、これが望ましい解決策なのだろうか」という――。
いっそのこと年収の壁を70万円程度に引き下げよう、という案
昨年度に大きな話題を呼んだ「年収の壁」について、岸田文雄政権は、一時的とはいえ、個人の義務である社会保険料支払いを、企業への補助金で、事実上、政府が肩代わりするという前代未聞の愚策を行った。
厚生年金などに加入する世帯主に扶養される配偶者は、みずから社会保険料を負担せずに、基礎年金や保険診療を受けられる。このため主婦パートタイマーが一定の年収額を超えると、自ら社会保険料を支払わなければならなくなることを防ぐため、年末にかけて働くことを止めてしまう。その結果、パート主婦に大きく依存する中小企業が岸田政権に圧力をかけたことから、年金制度の改革を公約したものだ。
この問題について、仮にパート主婦が年収の壁で一時的に損をしたように見えても、それ以上に働ければ、長期的に年金も増えて有利になるという「お説教」をする有識者もいる。しかし、子育てなどで十分に働けないパート主婦にとっては、現行制度の枠内で働くしかなく、多く働くと損するという不公平な制度の改革を怠る理由にはならない。
この長年の課題の解決のためには、年金制度自体の抜本的な改革が必要となる。しかし、少子化対策をはじめとして、もっぱら補助金のばらまきで対応してきた岸田政権が、どこまで抜本改革に踏み込めるのだろうか。
すでに公表されている社会保障審議会年金部会の報告書にある案として、これを最小限の制度改正で済ませる「社会保険の適用拡大」がある。
現行制度では一定規模以上の事業所で、所定の賃金を超えれば、厚生年金などの適用対象となる。
従業員が50人以下の企業(2023年10月以降)で、年収106万円(月収8.8万円)以上の賃金収入があれば、厚生年金や健康保険料を負担しなければならない。
年金部会では、この賃金要件が年収100万円台前半の中途半端な高さのために就業抑制が生じると考えて、その水準を年収70万円(月収5.5万円)まで、思い切って引き下げれば、さすがにその壁を越えて働かざるを得ないだろうという作戦である。
苦しい家計を補助するために働くパート主婦に対する、いわば「兵糧攻め」である。
報告書の中には3つのケースが挙げられているが、もっとも厳しい場合には、現行で適用除外となっている、学生、雇用契約期間1年未満、非適用事業所の雇用者についてもすべて対象となり、合わせて1000万人超の被保険者(保険料負担者)の増加が見込まれている。
しかし、アルバイトで生計を立てている大学生のように、収入が乏しく、就職するまでの一時的な期間しか働かない者にまで、安定した雇用のサラリーマンを対象とした厚生年金などの保険料支払いを求めることは論外といえる。また、転職率の高いアルバイトなどについて、わずかな保険料徴収のための企業の事務負担増は、かなりのものとなるであろう。
厚生年金保険料の未徴収問題
年金部会では無視されているが、現行制度の下でも厚生年金の被保険者の適用漏れ問題がある。今後、より徴収が困難な零細企業や個人事務所にまで適用を拡大することが、どこまで現実的に可能なのか。
社会保険料の適用漏れ問題については、2006年に会計検査院で指摘されて以来、厚労省でも継続調査をしている。最新の「国民年金被保険者実態調査」による推計では、適用対象であるにもかかわらず加入漏れとなっている可能性がある人が2020年で105万人程度、うち短時間労働者が13万人という。
保険料未納付者に対して、安易に免除者を増やせば済む国民年金の保険料未納付問題と異なり、企業が社会保険料を払わなければならない雇用者数を意図的に過小申告することへの対応はより困難である。
企業の収益に課税される法人税などと異なり、社会保険料は赤字でも支払わなければならない。しかし、企業が倒産すればそもそも徴収できないため、強制的な手段は困難となる。2021年度についての会計検査院の決算検査報告によれば、全国の年金事務所の約半分の所管する1100の事業所で、徴収に不備があったとした。
第3号被保険者問題の放置
この厚生年金などの適用拡大には、政府にとって、反発の大きな第3号被保険者問題(会社員や公務員など厚生年金の加入者=第2号被保険者に扶養されている配偶者)に手を付けなくても良いという、隠れた意図もある。
もともと主婦パートの内、106万円の壁をすり抜けた者にとっては、被扶養者要件が外れる年収130万円の壁がある。従って社会保険適用の事業者や賃金水準などの要件を70万円へ引き下げれば、それだけすり抜けが困難になる。
社会保険の適用対象の賃金が月収5.8万円以下に引き下げられた後でも、就業調整を行う可能性があるパート主婦は、現行の雇用者として働く第3号被保険者370万人(2019年)の内18%に過ぎない(図表1参照)ことから、それ以上、とくに新たな対応策は不要になる。
しかし、これは中小企業のために、パート主婦の就業抑制を防ぐための観点だけで、肝心の働かない者も含めた、830万人もの第3号被保険者全体への対応にはなっていない。
この問題は根が深く、もともとサラリーマンの配偶者には自営業などの国民年金に任意加入できる制度があった。これに大部分の被用者世帯主が、配偶者のために追加的な保険料を自発的に負担することで老後の生活に備えていた。これは現在のNISAのような無税の個人年金の購入と同じことである。
それを当時の厚生省が、1985年に、せっかく任意の保険料負担をしていた世帯も含めて、扶養されている配偶者全員に無料の国民年金をプレゼントしてしまった。
こうしたバブル期の大盤振る舞いを、今からでも一定の経過措置の下で元の制度に戻すべきだろう。低所得で保険料を払えない家計には、免除制度を適用すればいい。
基礎年金に固有の財源を
他の先進国では、国民全員に確実に給付すべき基礎年金は、本来は税で賄うのが当然だ。そうでない日本では、零細な企業や低所得の雇用者にも無理に厚生年金保険を適用しなければならず、保険適用漏れで無年金者が生じる可能性が大きい。
また、国民年金の保険料納付率が「8割」と比較的高い数字でなのは、保険料免除者を乱発しているためで、きちんと納付している者は5割以下に過ぎない。結局、その穴埋めは厚生年金などの被保険者に知らない内に、実質的につけ回しされている。
現行の基礎年金(国民年金)給付額の半分は税で負担されている。残りの半分も年金目的消費税で賄えば、長期的な年金財源は堅実なものとなる。仮に厚生年金の適用漏れがあっても、基礎年金だけは、すべての国民に確実に保障される。既存の国民年金保険料負担がなくなるため、その未納付者や免除者の第3号問題も一挙に解決できる。この年金目的消費税の賦課は、従来、保険料を負担していた被保険者にとっては、基礎年金保険料の引き下げと相殺されるため、「負担増」にならない。
実は、これに近い構想は、福田康夫内閣時に、厚労省ではなく、官邸に設置された社会保障国民会議で提言されており、決して非現実的な内容ではない。あと一歩で実現可能であったが、組織防衛を図る厚労省官僚によって阻止されてしまった。歴代総理の内には、目先の人気に囚われず、年金制度改革に真剣に取り組んだ人物もいたことの一例である。
●「つばさの党」の関係先に警視庁が家宅捜索…衆議院東京15区の補欠選挙で“選挙妨害”か 5/13
先月28日投開票だった衆議院東京15区補欠選挙を巡り、政治団体「つばさの党」の代表らがほかの候補者の選挙活動を妨害した疑いがあるとして、警視庁が「つばさの党」の事務所など関係先へ家宅捜索に入りました。
捜査関係者によりますと、13日、警視庁が公職選挙法違反の疑いで家宅捜索に入ったのは東京・千代田区の政治団体「つばさの党」の事務所や埼玉県朝霞市の黒川敦彦代表(45)の自宅、練馬区の根本良輔氏(29)の自宅です。
先月28日に投開票が行われた衆議院東京15区の補欠選挙で「つばさの党」からは根本良輔氏が出馬していましたが、ほかの候補者の街頭演説の近くで大音量で演説したり、クラクションを鳴らしたりした行為が公職選挙法の「自由妨害罪」にあたるとして警視庁は選挙期間中に黒川代表や根本氏ら3人に警告を出していました。
警視庁は家宅捜索を行って押収物を調べるなどし「つばさの党」の行為が選挙違反にあたるかどうか慎重に調べる方針です。
「つばさの党」の一連の活動を巡っては、各陣営から“恐怖を感じた”“選挙妨害”との声が相次ぐ一方、「つばさの党」側は自分たちも候補者を出していて、“表現の自由”の範囲内だと主張しています。
●輿石東氏パーティーに与野党重鎮、麻生太郎氏「泉氏指導を」 小沢一郎氏「政権崩壊近い」 5/13
旧民主党で幹事長を務めた輿石東元参院副議長(87)が12日、東京都内のホテルで回顧録「疾風に勁草を知る」(私家版)の出版記念パーティーを開いた。老獪(ろうかい)な立ち回りで「参院民主のドン」として君臨した輿石氏。政界引退から8年も与野党の垣根を越えて大物が駆け付けた。さながら民主党政権の与野党同窓会の様相を呈する中、出席者は自民党の麻生太郎副総裁を意識したかのような発言が相次いだ。
約200人の多彩な顔ぶれ
「人と人が出合い、心と心が通じ合ったとき、信頼が生まれる。政治も経済も教育も人と人のつながりから成り立っている。本当に胸いっぱいだ。その一言に尽きる」
登壇した輿石氏は短くこうスピーチすると、来場者やスタッフらに感謝の意を伝えていた。
輿石氏は小学校教諭や山梨県教組委員長を経て、平成2年の衆院選に旧社会党から出馬し初当選。10年以降は参院にくら替えし、参院議員会長として民主党参院を引っ張った。
「教育の政治的中立はあり得ない」などと述べ、自民保守系議員らに敵視されたこともあった輿石氏だが、会場には約200人の多彩な顔ぶれが並んだ。
主賓席には麻生氏、自民党の古賀誠元幹事長、旧民主党の鳩山由紀夫元首相、菅直人元首相ら。ほかに野田佳彦元首相、北沢俊美元防衛相、川端達夫元文部科学相、自民党の甘利明元幹事長、石井準一参院国対委員長らも駆け付けた。
泉氏、挙党態勢の構築呼びかけ
開会のあいさつに立ったのは立憲民主党の泉健太代表。
「大同窓会のような、さながら党大会のような雰囲気を思い出した」と旧民主党の先輩≠持ち上げると、「風に耐え抜き、その時こそ真価を問われる」と「解散風」を念頭に挙党態勢の構築を同僚議員に呼びかけた。
自民党を代表して祝辞を述べた麻生氏は、輿石氏の器量について「『これは』と思ったことを曲げずに通して、立場がどうであろうときちんとやっていかれる姿勢があると政治家として大成していくものだと印象に残っている」と評し、「いましゃべっておられた泉先生あたりをしっかり指導していただいてほしい」と述べ、他党党首の指導を呼びかける余裕を見せた。
すると民主党代表などを歴任し、政権交代に執念を燃やす立民の小沢一郎衆院議員が乾杯の発声で、麻生氏をこう牽制(けんせい)する。
「昨今の状況を見ると、麻生さんはじめ自民党の方もおいでだが、自民党政権もようやくほころびが大きくなった。いずれ崩壊の日も近い。力を合わせて政権交代を成し遂げること、それが輿石先生の大恩に報いる唯一の道だ」
与野党問わず旧交温める
麻生氏の「泉氏指導発言」は印象深かったようだ。自民の伊吹文明元衆院議長も登壇すると「これからも奥さまともどもお元気で」と輿石氏を気遣った上、「泉さんをあまり指導し過ぎて、立派な党首にし過ぎないようによろしくお願いします」と会場の笑いを誘った。
麻生氏を巡っては今年1月、上川陽子外相の容姿に言及して「そんなに美しい方と言わない」と述べ、物議を醸した。それが念頭にあったのか、旧民主党の千葉景子元法相は輿石氏について「そんなにハンサムだというわけにはいかないが、女性には絶大なる人気と信頼を得ている」と発言した。
歓談の場面では与野党問わず、あいさつし合って旧交を温めていた。
会場を後にした鳩山氏は産経新聞の取材に「こういう時に自民党のど真ん中の人が来られるのは輿石先生の幅の広さだ。いかに輿石先生が他党にも信頼されていたかということだろう」と述べ、立民の後輩議員に対して「与党か野党かどっちに行くか分からない方々も野党が政権を取ろうという所でまとめられるかが人間力だ」と語り、輿石氏の幅の広さを参考にするように呼び掛けた。
●「なぜ(日本固有の)竹島に行くのですか?」“タマネギ男”直撃に「どなたですか?」 韓国第3党のチョ・グク代表 竹島に向けて出港 5/13
タマネギ男とも呼ばれ、尹(ユン)政権を厳しく批判する、韓国第3党のチョ・グク代表が13日朝、竹島に向けて出港した。
文在寅(ムン・ジェイン)政権で法相を務めながら、自身や家族をめぐる数々の疑惑から「タマネギ男」とも呼ばれたチョ氏は、4月の総選挙で尹政権を強く批判し、自身が立ち上げた新党が第3党に躍進した。
出港前、FNNの記者が韓国での呼び名である「ドクト」ではなく、「竹島」という言葉で直撃すると、質問に答えず立ち去る一幕があった。
韓国第3党 チョ・グク代表「(きょうはなぜ竹島に?)どなたですか? 教えてほしいです。初めてお会いする方で...」
午前8時に、韓国北東部の江陵(カンヌン)港を出航したチョ氏は、午後4時ごろに竹島に上陸するとしている。
●「解散はない」古舘伊知郎氏が語る、衆議院補欠選挙全敗でも岸田政権が長期化する理由 5/13
フリーアナウンサーの古舘伊知郎氏が、4月29日に自身のYouTubeチャンネル『古舘伊知郎チャンネル』を更新。解散総選挙を迫られる岸田文雄首相と自民党の今後について語った。
4月28日に投票が行われた衆議院東京15区、島根1区、長崎3区の3つの補欠選挙で自民党が全敗。古舘は、解散総選挙をめぐるマスコミの論調が二分していると紹介し「私は、解散はないと思っている」と持論を展開した。
古舘氏は岸田首相について「この人は中途半端なことをやってみせるんですよ。本当に自民党を変えるんだ、派閥を解消させるんだ、派閥の功罪の罪が強く出ちゃってる時代なんだって言うんだったら、今回の安倍派の裏金のスキームを作ったんじゃないの、元々起源は森喜朗さんにあるんじゃないのとも言われてますよね。そこで電話で森さんと話したけども『何にもなかった、ちゃんちゃん』みたいなこと言ってますよね」と語った。
さらに、古舘氏は自民党最大派閥の安倍派を弱体化させた一方で、安倍派の長老たちには気を遣っていると指摘。「中途半端な人だから、俺は解散なんかない」と見方を示した。
古舘氏は、岸田下ろしが始まっても、代わりに「こいつで戦おう」とお膳立てするキングメーカーが今の自民党にはいないと語り、「消去法、消去法でせこく俺みたいに考えていくと 、意外に長いぞ、岸田政権は」と私見を述べた。
さらに『報道ステーション』(テレビ朝日系)で共演していた政治学者の中島岳志氏の言葉を引用し「岸田さんというのは、本当にブレる。つねにブレる、ブレるということが一貫しているというの。一貫してブレるということはF分の1、揺らぎに繋がるよね。だから意外に長期政権になるんじゃないかと思う」と予想した。
●「小心者すぎる」「アイツだけは許せん」…自民党「大物議員」が党内で総スカン!「総裁なんてなれっこない」人望ゼロのワケ 5/13
「おまえ何やってるんだ、この野郎!」
「アイツだけは許せんよ」
自民党の閣僚経験者が息巻く相手は、幹事長の茂木敏充氏である。
事情はこうだ。茂木氏が党のある部会で、次のような指示をしたという。
「裏金処分を受けた議員がカメラに映るところに座っているのはまずい。見えない下手のほうに座ってください」
今回、処分を受けた議員の中には、党役職以外にも顧問などの肩書を持つ議員が複数おり、そうした議員たちは部会でも上座に座っていた。それでは見栄えが悪いということで、茂木氏が移動させたというのだ。冒頭の閣僚経験者が続ける。
「1年生議員が座っている席に座れと言うんだ!
そもそもアイツは先輩議員でも立場が下と見るや、平気で罵倒する。私も一度、『おまえ何やってるんだ、この野郎!』と言われたことがある。あれはさすがに頭にきたよ。
見られ方とか、そういうことばっかり気にして小心者なんだな。総裁なんてなれるわけがない」
「俺は幹事長を辞めるつもりは一切ない」
読売新聞記者出身の茂木氏ゆえ、マスコミからの撮られ方を気にするのはわかるが、あまりに過剰な対応に、党内から不満が噴出している。
茂木氏がこれほどまでに神経を尖らせている理由はなんなのか。
「3補選全敗ですよ。幹事長としての責任は大きい。岸田(文雄)さんは茂木さんを更迭するのではないかという噂も流れています。でも茂木さんは周囲に『俺は幹事長を辞めるつもりは一切ない』と言っているそうです。
岸田政権の支持率が低迷している現在、秋に控える総裁選は『選挙の顔』を選ぶ戦いになるでしょう。出馬を狙っている茂木さんにとって、『選挙に負けたから更迭された人』となるのはそれこそ見栄えが悪い。そこで補選の責任は裏金議員に押しつけ、ギリギリまで幹事長を務めて影響力を保持したい考えなのでしょう」(自民党関係者)
表面だけ取り繕っても、もはや手遅れ。むしろ姑息な手で、人心が離れてしまった。
●賃金と物価の好循環の幻想 5/13
要旨
2024年の春闘賃上げ率が33年ぶりの水準となったことで、早ければ今夏にも実質賃金がプラスに転じることが期待されており、6月給与分から開始される定額減税とも相まって、個人消費の拡大を期待する向きもある。
しかし、実質家計支出の実質雇用者報酬に対する弾力性は2015年ピークの5割強にまで低下しており、マクロで見た実質賃金となる実質雇用者報酬が増加に転じたとしても、物価→賃金→消費の好循環が起こりにくくなっている。
理由としては、先進国でも断トツの国民負担率の上昇で雇用者報酬が増えているほど可処分所得が増えていないことがある。また、無職世帯比率の増加も一因。むしろ世帯の3分の1以上を占める無職世帯にとってみれば、賃金と物価の好循環が進めば進むほど公的年金のマクロ経済スライド制により受給額が減ることになる。
一昨年の防衛増税報道から足元にかけて、様々な負担増の報道が相次いでいることも消費マインドを委縮させている。また、若い頃の不況経験がその後の価値観に影響を与えることが米国のデータから明らかにされており、仮にこれが日本にも当てはまるとすれば、少なくとも失われた30年の間に社会に出た50代前半までの世代の財布のひもはそう簡単には緩まないことになる。
世界でも異例の失われた30年により家計にデフレマインドが定着してしまっていることからすれば、実質賃金が安定的にプラスになった程度では、個人消費の回復もおぼつかない可能性が高い。家計のデフレマインドが完全に払しょくされていない個人消費を盛り上げるためには、支出をした家計が得をするような思い切った支援策を打ち出すことが必要になる。
低下する賃金に対する消費の弾力性
岸田政権は、政権発足当初から「賃金と物価の好循環」を目標として掲げてきた。そして、その実現に向けて積極的に施策を展開しているとされており、2024年の春闘賃上げ率は33年ぶりの水準となった。具体的には33年ぶりに5%を超え、30年ぶりの水準となった昨年を1.5%ポイント程度上回っている。これによって、早ければ今夏にも実質賃金がプラスに転じることが期待されており、6月給与分から開始される定額減税とも相まって、個人消費の拡大を期待する向きもある。
しかし、マクロで見た実質家計支出の、マクロで見た実質賃金となる実質雇用者報酬に対する弾力性を時系列で計測すると、2016年以降低下していることがわかる。
具体的には、1994年第一四半期から2023年第4四半期までの実質家計消費支出(除く帰属家賃)を被説明変数、同時期の実質雇用者報酬を説明変数とし、両者の自然対数を取った単回帰モデルを基に時間の変化に伴う回帰係数の変化を計測すると、2015年をピークに低下に転じており、直近ではピークの5割強にまで低下してしまっていることがわかる。
従って、マクロで見た実質賃金となる実質雇用者報酬が増加に転じたとしても、マクロで見た家計最終消費支出が増加しにくくなっている、すなわち物価→賃金→消費の好循環が起こりにくくなっていることがわかる。
背景にある国民負担率及び無職世帯比率上昇とデフレマインド
理由としてまず考えられるのは、雇用者報酬が増えているほど可処分所得が増えていないことがある。実際にグラフで雇用者報酬と可処分所得の比較をすると、特に弾力性が下がった2010年代後半以降に雇用者報酬が増えるほど可処分所得が増えておらず、社会保障負担や税負担が可処分所得を押し下げていることがわかる。こうした動きは、2010年代以降における日本の国民負担率の上昇幅がG7諸国でダントツに高まっていることからも裏付けられる。
また、無職世帯比率の増加も一因だろう。というのも、総務省の家計調査によれば、二人以上世帯に占める無職世帯の割合は30年前の10%代前半から直近では34%を超えていることがわかる。また、こうした無職世帯のうち大部分が公的年金受給者であるが、年金受給額はマクロ経済スライドにより、賃金と物価の好循環が進む中では自動的に実質の受給額が減る仕組みになっている。
こうしたことからすれば、むしろ世帯の3分の1以上を占める無職世帯にとってみれば、賃金と物価の好循環が進めば進むほど収支環境が悪化することになる。従って無職世帯にとっては、賃金と物価の好循環が消費の活性化につながるどころか、消費活動の抑制につながる可能性すらあろう。そうなると、ここ10年足らずで家計消費支出に対する雇用者報酬の弾力性が半分近くの水準まで低下していることも踏まえれば、賃金と物価の好循環で個人消費が活性化するとの過大な期待は禁物と言えよう。
もちろん、無職以外の世帯が実質賃金プラスに伴って支出が活性化すれば、幾分個人消費にプラスに作用する可能性もある。しかし、これまたタイミングの悪いことに、一昨年の防衛増税報道から足元にかけて様々な負担増の報道が相次いでおり、消費マインドを委縮させている。
また、経済学者のギヴリアーノとスピリンバーゴが2009年に公表した論文によれば、若い頃(具体的には18〜25歳)の不況経験が価値観に影響を与えることを米国のデータから実証的に明らかにしており、その価値観はその後年齢を重ねてもほとんど変わらないとしている。このため、仮にこれが日本にも当てはまるとすれば、少なくとも失われた30年の間に社会に出た50代前半までの世代の財布のひもはそう簡単には緩まないことになる。
使った人が得する政策が必要
こうしたことからすれば、実質賃金がプラスになった程度では個人消費が盛り上がる可能性は低いと思われ、最早、消費をした人が得をするぐらい思い切った政策を打たない限り、日本の個人消費は盛り上がらないだろう。
そうした意味では、韓国の政策が参考になる。というのも、韓国のキャッシュレス普及率は95%を超えて世界トップクラスとなっているが、その理由として上げられる政策の一つが、キャッシュレス決済の所得控除である。具体的には、キャッシュレスの決済額が年収の1/4を超えた分に対して、その一定割合を上限付きで所得額から控除し、年末の源泉徴収時に還付するという制度を始めたことで、キャッシュレス決済の普及と消費の活性化が進んだ。
もちろん、この政策をそのまま日本に導入すべきとまでは思わない。しかし、これまで見てきた通り、失われた30年により家計にデフレマインドが定着してしまっていることからすれば、実質賃金が安定的にプラスになった程度では、個人消費の回復もおぼつかない可能性が高い。従って、家計のデフレマインドが完全に払しょくされていない状況が続く中では、支出をした家計が得をするような思い切った支援策を打ち出すことが必要になるといえよう。 
●安倍派・塩谷元座長 森元総理から“裏金問題”で責任迫る説得「そういう話伺った」 5/13
派閥資金のキックバック問題で自民党から離党勧告を受け離党した塩谷立衆院議員が13日、離党後初めてとなる民放のBS番組への出演で、裏金問題の責任について森喜朗元首相から、責任を取って辞任を迫られた、との一部報道に対し「そういう話は伺いました」と認めた。
塩谷氏は、安倍派の裏金問題が発覚した後の1月に、かつて同派閥の会長経験がある森元首相のもとに出向いた際の話だと明らかにした。
「責任を取れという内容か」と番組内での質問に対し、「そういうような話だ」と述べた。
さらに「議員辞職をしろと言われたのか」との質問に「それらしいことを」と認めた。
安倍派5人衆の1人が森氏をけしかけて塩谷氏に責任を押し付けたとの報道については、「分かりません」と答えた。
また、自民党の自身への処分については「恣意(しい)的な考え方があった」と不満をにじませ、裏金問題で、世耕元参院幹事長とともに、離党勧告処分となったことについて「生贄になったのではないか」との問いには「自ら進んで生贄になったわけではない」と自嘲気味に語った。

 

●岸田総理の3泊6日の超弾丸外遊に世間では厳しい声「俺たち円安で海外旅行も……」「海外なんて行ってる場合か」 5/14
裏金問題に揺れる自民党にあって、ゴールデンウィークに特に忙しかったのが岸田総理だ。
フランス、パラグアイ、ブラジルと3泊6日の超弾丸外遊で、世間からは「俺たち円安で海外旅行もケチケチ旅行だったのにうらやましい」「海外なんて行ってる場合か」といった厳しい声が上がった。
今回岸田総理が南米の前に立ち寄ったのはフランスで、35歳というフランス史上最年少の首相となるガブリエル・アタル氏と会談した。
国際政治学者の舛添要一氏はアタル氏について「彼は同性愛者。非常に若く、まったく未知数」と評しながらも「議会での答弁を聞いていると、まあまあそこそこに頑張っていので、いまからどうなるかというのを見るという感じ」とコメント。
また、「今回岸田総理はどういった理由でフランス訪問されたのか」との問いに対し、舛添氏は「ヨーロッパのなかでもイギリスはアメリカべったり、イスラエルに対してもウクライナに対しても。フランスというのはちょっと違った立場を取るので、そういう意味で日本も若干違った立場が取れればというのはあると思う」と推察。
「ただフランスがすごいのは、最後は絶対にアメリカの仲間になるということがあるから信頼される。そういう面で今回はフランスと日本のあいだの防衛協力について話し合った。南太平洋、ニューカレドニア、あの辺はフランスの領土なわけで、太平洋にフランスの艦隊が展開するので、そういう意味でいざ一朝有事のときは我々と一緒に戦ってもらうということだと思う」と、会談の目的について解説した。
●日本が今でも「報道の自由度」70位に低迷する理由 安倍政治で“変えられてしまった”記者たちの末路 古賀茂明 5/14
国際NGO「国境なき記者団」(RSF)が5月3日に発表した2024年「報道の自由度ランキング」で、日本は180カ国・地域のうち70位だった。
トップ10は1位のノルウェーからG7で唯一入った10位のドイツまで全てが欧州諸国で、評価点数はノルウェー91.89、ドイツ83.84と、いずれも80点を超えた。G7では、14位カナダ(81.7)、21位フランス(78.65)、23位イギリス(77.51)までが70点以上。RSFの分類では、85〜100 点が「good」、70〜85点は、「satisfactory」で、ここまでが何とか合格点だ。
55〜70 点は、「problematic」だが、46位イタリア(69.8)は70点にわずかに及ばず、55位アメリカ(66.59)も3点余り下回った。
日本は、前年の68位からさらに下がり70位で、69位コンゴ共和国、71位コモロ連合と同レベルで点数も62.12。G7の中では大差をつけて最下位である。
日本は、民主党政権の時に12位となったのがピークで、安倍晋三政権の時から急降下し、その後も低順位が続いている。
しかし、安倍氏が死去してから2年近く経ち、さらに裏金問題などで安倍派が壊滅状態になったことで、メディアが異常に恐れていると言われた萩生田光一・前自民党政調会長を中心とする安倍派強硬派の力もほとんどなくなっている。それなのになぜ日本のランキングが下がり続けるのだろうか。
その理由についてRSFのサイトを見ると、以下の記述がある(筆者の翻訳)。
「日本は議会制民主主義国家であり、報道の自由と多元主義の原則は一般的に尊重されている。しかし、伝統的・ビジネス上の利害関係、政治的圧力、ジェンダーの不平等などにより、ジャーナリストが監視役としての役割を完全に果たすことができないことがしばしば起こる」
これだけではよくわからないかもしれないが、私の経験に照らせば、「なるほど」と思わせるものだ。
RSFには世界中のジャーナリストが所属している。その中には、日本に駐在する外国メディアの特派員や日本で取材経験のあるジャーナリストもいる。ランキングには、実際の取材経験に基づく評価も入っているのだ。
私は、2015年に、日本外国特派員協会(FCCJ)から「報道の自由の友賞」という賞をいただいた。テレビ朝日の報道ステーションに対する安倍政権の圧力を批判して同番組を降板した直後のことだ。
当時、多くの外国の記者に取材を受け、翌年には、デビッド・ケイ氏(「表現の自由」国連特別報告者)による日本の報道の自由に関する調査にも協力した。
その時、私が彼らに解説した、日本の大手メディアに関する問題点について、彼らは、一様に賛同してくれた。
それらの問題は、10のポイントにまとめることができる。
それぞれについて簡単に解説してみよう。
第1に、日本の大手メディアの記者たちは、ジャーナリストである前に会社員であるというのが最も本質的な問題だ。ジャーナリストとして何をやりたいかということよりも、例えば読売新聞の会社員として、あるいはテレビ朝日の会社員として割り当てられた仕事をこなすことが最優先という記者が多いのだ。
どのような記事を書きたいかということが先にあり、その記事を書ける会社を選び、実績を積みながら一流のジャーナリストを目指す海外のジャーナリストとは全く異なる。
上司に従っていれば、出世して高い給与がさらに上がる。最後は、役員になるか、関連企業や団体に「天下り」する。そのためにはリスクを避けるという行動パターンが身についているように見える。
それが嫌になった人は会社を辞めてしまったという話もよく聞く。
第2の問題が「記者クラブ」だ。
多くの場合、取材先の官庁、政党、企業・団体の便宜供与により設けられる記者クラブには、大手メディアを中心に、取材先と伝統的に付き合いのある大手を中心とした報道機関がメンバーとして参加する。
記者クラブのメンバー各社の記者は、クラブに常駐し、何もしなくても情報が提供され、記者会見にも自動的に出席できる。また、クラブのメンバーだと言えば、原則取材に応じてもらえる。
彼らは、与えられた情報を右から左に流すだけで記事が書ける。さらに、各社が与えられた情報をどのようなトーンで書くのかも各クラブ内の雰囲気でわかるため、リスクを避けて各社が同じような記事を書くことになる。一種の談合だ。
一方、メンバー外の海外やネットなどのメディアは、そもそも記者会見があることもわからず、今何がテーマなのかを知ること自体が困難で、直接の担当官僚に取材をするのも制限される。この仕組みは、明らかに違法なカルテルだが、これに公正取引委員会がメスを入れたことはない。
第3の問題は、アクセス・ジャーナリズムによる記者の広報マン化だ。クラブの記者たちは取材先に自由にアクセスできるため、どうしても、そこからいかに早く情報を取るかという競争に陥る。取材先に嫌われていわゆる「特オチ」になるのを恐れて、相手の機嫌を取るようになり、やがて、権力の監視役ではなく取材先の広報に使われる存在になっていくのだ。
アクセス・ジャーナリズムは取材先の問題設定に合わせて、そこから得られた情報を流す報道になりがちだ。これは、自ら問題を発掘し、様々な取材先の情報で多様な角度から掘り下げて検証して報道する調査報道とは正反対である。
第4の構造問題は、大手メディアの記者が、庶民からかけ離れた既得権層になってしまっていることだ。戦後、大手新聞やテレビ局が潰れたことはない。記者クラブ制度に守られて、寡占状態で保証された地位に安住しながらニュースを書けば良いからだ。
しかも、給料は一般の企業に比べて高く、彼らは特権階級となっている。政治家や高級官僚たちと非常に似たグループを形成している。
その特権を守るために、自己保身に走ることになり、弱者のために権力と戦おうという意欲を失わせるのである。
第5に、新聞社は、独占禁止法の例外として、新聞の販売店に販売価格を指定して取引することが認められている(再販制度)。また、消費税の軽減税率の適用も受けている。いずれも、新聞社の経営に大きな利益をもたらす仕組みだ。これらの利権を守るために、政府に楯突くことができない。彼らが、消費税増税に反対しない代わりに軽減税率を認めてもらうという行動に出たことはあまりにわかりやすい話だ。
第6に、新聞社とは違い、テレビ局は、放送法および電波法により、国の規制に服している。自民党は、放送法を恣意的に解釈し、厳しい政権批判を行うテレビ局に「停波」の脅しをかけたほど、批判を抑制している。
政府がテレビ局の放送内容を直接規制する日本は、先進国では例外的存在だ。
第7に、日本の大手メディア幹部の権力への擦り寄りが深刻な問題になっている。報道機関のトップが、首相と会食やゴルフをすることは、まともな国ではあり得ない。しかし、日本では、これを公に自慢する風潮さえでてきた。
経営陣の権力への擦り寄りで、現場では、権力側と戦っても最後はトップが折れてしまうから勝ち目がないと、最初から諦めることになっている。
第8の問題は、経営陣による報道現場への介入だ。例えば、テレビ局で、政権批判はあまりしないようにと指示を出したり、出演者の顔ぶれについて文句を言ったり、酷い例では、番組審議会の委員長の会社の販売物を宣伝する放送を強要するといったことも起きているほどだ。
第9の問題は、スポンサーやプロダクションへの忖度が蔓延して、企業の不祥事などの報道が制約されていることだ。
広告を大量に出す企業の批判はできないというのが不文律となっている。例えば、福島の原発事故の際、テレビ局は東京電力批判ができなかった。ジャニー喜多川のレイプ事件をBBCが取り上げるまで各局が見て見ぬふりをして報道しなかったのも同じことだ。
第10に、政党助成金と電通などの広告代理店の問題がある。
電通などの代理店は、新聞やテレビの広告を集める仕事はもちろん、多くのイベントを手掛けることで大手メディアに大きな影響力を持っている。
その一方で、自民党の宣伝も手掛けている。自民党は他党に比べて圧倒的多数の議員を擁するため、政党助成金の額も突出している。そこから電通などに巨額の宣伝広告費が流れるのだ。電通などから見て自民党は「上得意」だ。
当然のことながら、メディア側は、電通の意向を忖度するので、あまり強い自民批判はしにくくなるという面があるようだ。
以上のような構造的問題は古くからあったが、安倍政権になるとメディアに対する直接間接の圧力は異常に高まり、報道の自由度は大きく下がった。
最初は、それでも戦おうとする記者は数多く存在したが、個々の記者やデスクが戦っても、上に上がると負けてしまうことが続くと、現場には厭戦気分が広がり自主規制が始まった。萎縮したという面もあるが、面倒に巻き込まれて時間を取られると他の記事が書けなくなるという理由も大きかったようだ。
自主規制が強まり、長期間継続すると、何が問題なのかを自分で見いだす能力が低下する。テーマ設定は、取材先の政治家や官僚が行い、彼らの情報をもとに記事を書くことが当たり前になってしまうのだ。
記者たちは、自分たちが変わってしまったこと、能力を失ってしまったことに気づくことさえなくなる。実は、それが一番危険なことだ。
記者たちが変えられてしまった今、日本の国民は、真実を知る機会を失いつつある。
これは、民主主義の危機だ。メディアが権力の監視役の機能を果たせない国に民主主義は存在し得ない。
将来的には、記者たちの自由だけでなく、私たちの自由もまた失われることになるだろう。
最後に、ガンジーの言葉を掲げておこう。
あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。
●自民・鈴木馨祐議員が対応急変 官房機密費の選挙利用否定「断言」から「コメントしようがない」 5/14
自民党衆院議員の鈴木馨祐政調副会長が13日放送のBS−TBS報道番組「報道1930」に生出演し、官房機密費について「選挙目的で使うことはない。断言する」としていた自身の発言について、林芳正官房長官が会見で「コメントを差し控える」と発言したことを念頭に「それ以上コメントしようがない」と話し、対応を変化させた。
官房機密費をめぐっては、自民党安倍政権で国政選挙に官房機密費が使われた疑惑が一部報道などで浮上。裏金問題に拍車がかかる中、鈴木氏は12日放送のNHK「日曜討論」で選挙目的の使用を否定していた。一方、林官房長官はこの件について13日の会見で「個々の議員の発言にコメントすることは差し控える」と対応していた。
「報道1930」で鈴木氏は、共産党の小池晃書記局長から「鈴木さんに今日聞きたいと思ったんですが、NHKのテレビで、『選挙目的で使うことはない。そこは断言させていただきます』とおっしゃった。断言するのは根拠がないといけない。これを断言できるのは官房長官だけですよ。官房長官が全部使っているわけですから。官房長官以外の人は使い道知らないわけですから。なんで断言したんですか、その根拠はなんですか、ということを聞きたい。テレビでおっしゃいましたからね」と、使途の記録が残らない官房機密費の特性を前提とした質問を受けた。
これに鈴木氏はまず「そこについては、今の現職の林官房長官が、記者会見でお答えをされています」と回答。すぐに小池氏が「コメントをしてません」と返すと、鈴木氏は「本来の官房機密費の趣旨について、ということで話をされています。今、現政権がそういう対応をされているわけですから、それ以上コメントしようがない、ということです」と説明した。小池氏に「昨日のテレビで『選挙に支出してませんと断言させていただきます』とおっしゃったわけですから。根拠あるでしょう、根拠なしに断言できないでしょう」と追及されたが、鈴木氏は「そういうことで言うと、今日、官房長官がああいった形で答えられているので、それ以上、私も与党の立場で言いようがない」と繰り返した。
小池氏に「根拠なしで言ったってことですよね。それは断言できませんよ、それはおかしい」と指摘されたが、鈴木氏は首をかしげるそぶりで無言の対応に。司会の松原耕二氏に「鈴木さんは『ありえないことだ、これは制度的に』と思ってらっしゃったから、そういう風におっしゃったと考えていいですか」と質問されても鈴木氏は「まあまあ、そこは先ほどの繰り返しになります」と発言し、この話題での議論はかみ合わなかった。
小池氏はあきれた様子で「河村さん、おっしゃってるじゃないですか」と一言。番組内で紹介された、河村建夫元官房長官が昨年の朝日新聞の取材に対し官房機密費を選挙の「陣中見舞い」に使ったとする発言に触れた。
●「与党との交渉も強力になる」立憲・国民民主 改正案の共同提出へ…「政策活動費」の廃止含め透明化進めると確認 自民は法案化進める 5/14
裏金問題を受けた政治資金規正法の改正をめぐり、立憲民主党と国民民主党は、改正案の共同提出に向け、幹部が国会内で会談するなど調整を進めている。
立憲民主党・岡田克也幹事長「単独で法案を出すよりも両党で出した方が、与党との交渉にあたっても強力になるので、できるだけまとめたい」
立憲・国民両党の会談では、政治資金規正法の改正案の共同提出に向け、「政策活動費」の廃止を含めた政治資金の透明化について、調整を進めることを確認した。
これについて、日本維新の会の音喜多政調会長は、「立憲民主党と一緒にやるのは厳しい。法案の条文化が進む中で、部分的に協力する選択肢は排除しない」と述べた。
一方、自民党の茂木幹事長は、党の会合で「今後、詳細を詰めながら法案化作業を進め、同時に与野党協議を行い、法案の成立に万全を期したい」と述べた。
今後の協議の進め方については、与党で条文化したうえで、野党との協議に臨みたい自民党と、先週まとめた「与党案」をもとに、野党との協議を始めたい公明党との間で思惑の違いが見られ、今週中にも結論を出したい考え。
●衆院政倫審、自民議員44人の審査を議決 萩生田氏・二階氏ら出席は本人意向が前提 5/14
自民党の派閥の裏金問題を受け、衆院の政治倫理審査会は14日、まだ弁明をしていない安倍派と二階派の衆院議員44人全員を審査対象にすると全会一致で議決した。
44人には、自民党の萩生田光一前政調会長、二階俊博元幹事長らが含まれる。
審査会で趣旨弁明をした立憲民主党の亀井亜紀子議員は、「再発防止に向け、政治資金規正法の改正を実効性のあるものにするためには、真相解明が急務である」と述べた。
議決を受け、政倫審の田中和徳会長の名前で、対象となる議員44人に出席の意向確認の文書を出した。
締め切りは20日正午となっているが、政倫審の審査の出席は、本人の出席の意向が前提となっており、実際に対象となった議員が弁明するかは不透明だ。
●自民・塩谷立氏に議員辞職を迫った“一般人”森喜朗元首相の何サマ…《まるで「マフィア」》 5/14
《「元総理大臣」というだけで、有権者から選ばれた国会議員を呼び出し、「辞めろ」と迫る異常》《「自民党」という組織はまるで「マフィア」のようだ》――。
SNS上でも驚きの声が尽きない。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、最大派閥だった安倍派(清和政策研究会)でキックバックを始めたとされる頃に同派会長を務めていた森喜朗元首相(86)に対してだ。
衝撃の声が上がるきっかけとなったのは、同派座長だった塩谷立・元総務会長(74=自民離党)が13日のBS日テレに出演した際、森氏から裏金事件の責任を取り、議員辞職を含めて対応するよう迫られていたことを告白したからだ。
塩谷氏によると、辞職を迫られたのは1月下旬に森氏を訪ねた時だったといい、「聞き置いて、そのまま自分の中でしまっていた」と説明していた。とはいえ、ヤクザ組織ではあるまいし、すでに政界を引退している「一般人」から「現職の国会議員」が辞職を促された格好だ。塩谷氏は当然、快く思わなかったに違いない。
文藝春秋のスクープインタビュー「森喜朗元首相『裏金問題』真相を語る」では、この時の様子について、森氏が「ここはいったん議員辞職して次をねらったらどうかね。全責任を取るので仲間を救ってください、と申し出れば、君は立派だと光り輝くよ」などと語りかける場面が出てくる。言葉遣いは丁寧だが、見方を変えれば親分が子分を“恫喝”していると受け取られても不思議ではない。
国会の場に出てきて証人喚問に応じるべき
森喜朗氏は首相時代の政権支持率はわずか8%、失言はしょっちゅうで、立派な体躯とは正反対の「サメの脳みそ」などと揶揄された。引退後も自民党でカネや利権絡みの怪しい問題が浮上するたびに“黒幕”では――と報じられてきた。それなのになぜ、今でも絶大な権力があるのか。
元総理としてそこまで絶大な権力があるなら、自身のお膝元でもある石川県の能登半島沖で起きた大地震被害に苦しむ被災者支援に取り組むべきでは。自らボランティアに出向くことは無理でも、率先して被災地に入り、それこそ政治家として培った知見を活かして助言ぐらいできるはずでは。
《悪事の裏に森あり、みたいに頻繁に名前が出てくるが、なぜ、そんなに力があるのか》
《引退した元首相で、今でも現役議員にあれこれ口出しする人ってみたことないな》
《「力の源泉」は何なのか。結局はカネということなのか。だから自民は政治資金規正法の改正にヤル気なしということか》
ネット上でも森氏の「力の源泉」に関する疑問の投稿が少なくない。
裏金事件を巡り、「自分は全く関係ない」などと語っているという森氏。ならば、自らの潔白を証明し、余生を「立派に光り輝いて」過ごすためにも、国会の場に出てきて証人喚問に応じるべきだ。
●自民王国で目の当たりにした「行って来い現象」 衆院3補選全敗での裏に国民の根深い不満 5/14
大型連休中、岸田首相はフランス、ブラジル、パラグアイ各国を訪問。パリではマクロン大統領と会談し、自衛隊とフランス軍との訓練を進めるための「円滑化協定」を締結することで合意。ブラジルではグローバルサウスとの関係強化を訴えて「外交の岸田」をアピールした。
真相見えず不信感
それでも、政権の勢いは回復しない。裏金問題に対し、国民が二重の不信感を抱いているからだ。第一に、多くの国民は、自分たちは正直に所得を申告して税金を払っているのに、政治家の裏金が「政治活動という口実で非課税になっているのは納得できない」と怒っている。
第二に、裏金問題が発覚しても安倍派の幹部らは「記憶にない」「秘書に任せていた」などと繰り返し、正直に経緯を話そうとしない。自民党を率いる岸田首相も真相解明に切り込まず、関係議員の処分も甘すぎる。そうした不信感が広がり、内閣支持率は20%台で低迷している。
暮らし向きの不安も政権批判につながっている。歴史的な水準で円安が進み、物価高が止まらない。少子化対策として、「国民1人当たり毎月450円程度」の負担となる支援金制度を導入するが、実際には共働き世帯なら、社会保険料の増額は月2千円を超えそうだ。株で儲ける富裕層と低所得者との格差は拡大し続けている。
そうした根深い不満が選挙結果に表れた。4月28日に投開票された衆院3選挙区の補欠選挙では自民党が東京15区と長崎3区で候補者を擁立できずに「不戦敗」。候補者を立てた島根1区では惨敗した。立憲民主党は3選挙区で勝利し、党勢を拡大した。
東京15区と長崎3区では、維新が公認候補を擁立したが、立憲民主党の候補には及ばずに惨敗。関西圏以外での力不足が目立った。東京15区では小池百合子都知事が乙武候補を推したが、5位にとどまり、小池氏の影響力の低下を示した。
「自民王国」でも惨敗
与野党一騎打ちとなった島根1区は、異例の展開となった。
竹下登元首相や青木幹雄元官房長官らを輩出した「自民党王国」の島根県では、衆院に小選挙区制が導入された1996年の総選挙以降、選挙区では自民党が全議席を独占してきた。自民党は今回、財務省出身の錦織氏を公認。多くの業界団体などから推薦を得た。
しかし、結果は立憲民主党の前職・亀井氏の圧勝。各種メディアの出口調査には共通点があった。自民党支持者の2〜3割が亀井氏に流れているのだ。裏金問題で「今回は自民党にお灸を据えよう」と思った有権者が、亀井氏に投票したわけだ。亀井氏がもともと保守系で、選挙期間中も「ただちに脱原発」といった左派系の主張を封印。「地域の活性化」などに重点を置いたことも功を奏した。
自民党から2〜3割が逃げて、その票が相手候補に乗るのだから、相乗効果がある。私はこれを「行ってこい現象」と呼んでいるが、まさにその現象を自民党の国会議員は目の当たりにしたのである。
●「『政権交代しかない』に国民が待望する選択肢とは」東浩紀 5/14
批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。
東京地検特捜部は2日、政治資金規正法違反の疑いで市民から刑事告発されていた萩生田光一前政調会長と世耕弘成前参院幹事長について、いずれも不起訴処分を決めた。他にも告発されている議員がいるが、決定は同じだろう。裏金問題は一部議員の起訴と幹部の懲罰人事で幕引きとなる。
個人的には全く納得できない結末だが、問題は政治資金規正法自体の欠陥にあるらしい。弁護士の郷原信郎氏が8日に更新したブログが参考になる。政治団体宛てではない、政治家個人宛ての寄付が抜け穴になっているというのだ。
抜本的な法改正が必要だ。連休明けの国会で審議が進むのだろうか。4月28日の衆院補選で自民は3区とも敗北した。野党に風が吹いているはずだが、議論が深まるかはわからない。政権にはまだ余裕があるからだ。
それを示すのが5日発表のJNNの世論調査である。そこでは次回衆院選で「立憲などによる政権交代」を望む回答が、政権継続を望む声を上回り48%となった。
厳しい世論の表れと考えられるが、問題は同時に岸田内閣の支持率も7ポイント上昇していることだ。理解に苦しむとの声が多いが、むしろこの矛盾こそいま政治が直面する困難を表している。抽象的には政権交代しかないと感じても、具体的には自民以外の選択肢が思い浮かばない。それが多くの国民の感覚なのではないか。
裏返せば、国民は本気の選択肢の出現を待望している。いま野党に求められているのは、55年体制を彷彿とさせる「お灸を据える」役割ではない。現実の政権交代の緊張感である。それだけが政治とカネの問題を解消できる。
補選全勝を受けて、立憲と共産の「野党共闘」が復活しつつある。目の前の選挙戦略としては妥当かもしれない。しかし共産を入れた政権が現実に運営可能だろうか。いま本当に必要なのは、自民に批判的な中道勢力の再結集だろう。
前述の調査では立憲の支持率は10%強。4ポイントを超える急上昇だ。しかし2009年の政権交代前夜、民主党の支持率はじつに3割を超えていた。風に浮かれてはならない。
●政治資金規正法改正めぐり自公トップ会談…法案化難航 立憲は“提出まで一切応じず” 5/14
政治とカネの問題の再発防止のため、政治資金規正法をどう改正するのか、自民党と公明党のトップ、岸田首相と山口代表が会談しました。中継です。
自民・公明両党は、改正案の方向性、罰則の強化などでは大筋で合意したものの、政治資金の透明化の基準をどこまで厳しくするかなどでは折り合いがついていません。このため改正案を法案の形にする、進め方のメドが立っていません。
公明党 山口代表「自民党として(政治資金規正法改正案の)法案化をしていく作業を進めるという趣旨のお話がありました。出来上がりがどうなるのかわかりませんけれども、その上で公明党とも相談をしたいというお話でありました」
岸田首相はまず自民党案を法案にした上で公明党と協議する、そういう進め方を示しました。ただ、山口代表は「法案化作業と同時並行で野党との協議も行うべきだ」と微妙に違っています。
山口代表は、最初から野党を巻き込んで法案にまとめることでスムーズに成立させることをねらっています。
これに対して、立憲民主党の安住国対委員長は「与党が法案を提出する前の交渉は一切しない」と明言しました。山口代表がねらう「スムーズな進め方」には協力しない、つまり対決姿勢をハッキリとさせたわけです。
こうなると、与党としては自分たちで法案をまとめざるを得なくなったとの見方が多くなっています。
ただ、岸田首相は、今の国会で政治資金規正法の改正を目指すと言ってしまっています。もう今の国会の会期まで1か月とちょっとで、時間はそんなに残されていません。
――時間も少ないなかで与党側はどうしていくのでしょうか?
実は自民党内ではある案が浮上しています。
これは公明党との溝が埋まらない部分は法案の中で「政令で定める」などといった表現で議論を先送りにする案です。こうすれば速やかに法案の形にして提出できるからです。
ただ、公明党との交渉がうまくいくかは未知数で、法案提出にむけて難しい調整が続きます。
●団体側の発言時間3分制限は17年から 水俣病「マイクオフ」問題 5/14
水俣病患者らの団体と伊藤信太郎環境相の懇談の場で、環境省職員がマイクの音を切るなどして団体側の発言を遮った問題をめぐり、伊藤氏は14日の閣議後会見で、1団体3分という時間制限が少なくとも2017年以降は継続していたと明かした。マイクの音を切るという運用方針が始まった時期はわからなかったという。
伊藤氏は8日に団体側に謝罪した後、省内に調査を指示した。書類は残っていなかったが、当時の担当者や懇談時の写真などから把握したという。ただ、3分という制限を始めた理由はわからなかった。
また、マイクの音を切る運用方針については、伊藤氏は「何年前からかまだ不明」とした。環境省は7日時点では、この運用方針は昨年もあったものの、実際には制限時間を超えてもマイクの音を切ることは一度もなかったと説明していた。
●次期衆院選、全党派が立候補したら…トップ自民、2位日本保守党 5/14
産経新聞グループのマーケティング会社「産経リサーチ&データ」は、次期衆院選が行われた場合、小選挙区で入れたい候補の党派について調査した。4月28日に投開票が行われた衆院補欠選東京15区では、自民党が候補者を立てない中で9候補が乱立、無所属や諸派が一定の得票を集める現象も起きたため、全党派の候補者が立候補したと仮定して答えてもらった。その結果、「支持する党派はない」を除くと自民が23%でトップ、2位は日本保守党の17%、3位が日本維新の会の12%となった。日本保守党は現在、政党要件を満たしていないが、東京15区補選では公認の飯山陽氏が約2万4000票を獲得し4位だった。
同社のウェブ上のアンケートモニターサイト「くらするーむ政治部!」の登録者を対象に5月10日午後〜5月13日午前まで実施、全国の1987人(男性1349人、女性638人)から回答があった。岸田内閣の支持率は「支持する」(7%)、「どちらかと言えば支持する」(25%)を合わせると32%で、前回(12月調査)から3ポイント増えた。
「小選挙区で入れたい党派」については現職国会議員を有する政党、過去1年間の衆参補欠選挙に公認候補、推薦候補等を出している全14党派を対象にしたところ、「支持する党派はなく人物で選ぶ」が33%で最も多かった。
党派の中で最も多かった自民を選んだ理由(複数回答)は「保守系の政党だから」(64%)、「現状の政治を維持してほしいから」(41%)、「常にその党派の候補者に投票しているから」(40%)と続いた。自民党に入れると答えた人の岸田内閣の支持率は30%だった。
一方、日本保守を選んだ人の理由は「政策に期待が持てるから」(76%)、「今の政治を大きく変えられそうだから」(68%)、「保守系の政党だから」(48%)と続き、岸田内閣の支持率は15%だった。維新を選んだ人も「政策に期待が持てるから」(80%)、「今の政治を大きく変えられそうだから」(56%)、「保守系の政党だから」(32%)と理由はほぼ同じだったが、岸田内閣の支持率は33%と高かった。
3党はいずれも保守政党とみられるが、日本保守が上位に入ったことで保守系支持者が分裂していることがうかがえる。また、自民を選んだ人は現状維持的な理由が多かったが、日本保守、維新は変化を求める傾向がみられた。日本保守の岸田政権支持率は「どちらかと言えば」が大半で「支持する」は1%に満たず、現政権に対して維新に比べてもより批判的な傾向がうかがえた。
4位は立憲民主党(6%)で「今の政治を大きく変えられそうだから」(81%)、「政策に期待が持てるから」(41%)、「リベラル系の政党だから」(31%)が理由。岸田政権の支持率は「どちらかと言えば」のみで3%だった。他の政党は日本共産党、国民民主党、れいわ新選組がそれぞれ2%ずつだった。
男女別では、「支持する党派はなく人物で選ぶ」が男性24%、女性53%で女性のほうが党派を選ばない傾向が強かった。選んだ党派では男性が自民27%、日本保守20%、維新13%、立憲6%、女性は自民15%、維新10%、日本保守9%、立憲6%の順だった。
通常の世論調査は、調査エリアごとの性別・年齢構成になど合わせて、電話番号を無作為に発生させるRDD方式で電話をかけ、回答数が得られるまで調査を行うなどの手続きを踏むが、「くらするーむ政治部!」ではインターネットアンケートのみに限定、国民の「今感じていること」に焦点をあて、スピード感を持った調査に取り組んでいる。今回調査の年齢の割合は60代34%、50代23%、70代22%、40代10.1%、30代4.3%で50代以上が多かった。

主な質問は次の通り
内閣支持率が低迷する中、岸田文雄首相が6月にも衆議院を解散し、総選挙に臨むのではという観測も出ています。4月28日に投開票が行われた衆院補欠選東京15区では、自民党が候補者を立てられない中で9候補が乱立、小選挙区にもかかわらず無所属や諸派の候補者が一定の得票を集めるという現象も起きました。
1 次期衆院選が行われた場合、あなたが小選挙区で入れたい党派はどこですか。全党派の候補者が立候補したと仮定してお答えください。(現職国会議員を有する政党、過去1年間の衆参補欠選挙に公認候補、推薦候補等を出している党派から選びました)
○自民党
○立憲民主党
○日本維新の会
○公明党
○国民民主党
○日本共産党
○教育無償化を実現する会
○れいわ新選組
○社民党
○NHKから国民を守る党
○参政党
○日本保守党
○ファーストの会
○つばさの党
○支持する政党はなく、人物で選ぶ
2 上記で党派を選んだ方にお聞きします。理由を2つ教えてください。
〇政策に期待が持てるから
○支持する立候補予定者がいるから
○常にその政党の候補者に投票しているから
〇保守系の政党だから
〇リベラル系の政党だから
○現状の政治を維持してほしいから
〇今の政治を大きく変えられそうだから
3 あなたは岸田内閣を支持しますか
1 支持する 2支持しない 3どちらかと言えば支持する 4どちらかと言えば支持しない
●65歳以上の高齢者の孤独死 年間推計6万8000人に上る 3カ月分のデータを元に初めて統計を公表 政府は実態把握進める 警察庁 5/14
2024年、1人暮らしの自宅で孤独死する65歳以上の高齢者は、約6万8000人にのぼると推計されることがわかった。
13日の衆議院の委員会で警察庁は、2024年1月から3月までに亡くなった、65歳以上で1人暮らしの高齢者は全国で1万7034人で、年間の推計が約6万8000人にのぼる可能性があることを公表した。
警察に通報や医師からの届け出があったもので、冬の間は死者が増える傾向があるが、3カ月分のデータを年間ベースに置き換えた場合の推計だという。
死者は、年齢が上がるほど増えていて、85歳以上は最も多い4922人だった。
警察庁では、2024年初めてこうした統計を公表し、政府は、高齢化社会での孤独死について実態把握を進めている。
●共同・NHKの世論調査で微増、岸田内閣支持率「下げ止まり」か 政治とカネの問題や経済政策には厳しい視線 5/14
共同通信とNHKが13日、最新の世論調査を公表した。岸田文雄内閣の支持率は、共同調査で24・2%、NHK調査でも24%と、いずれも微増した。直近の各調査では、内閣支持率に下げ止まりの傾向があるようだが、政策への評価は厳しく、自民党の支持率も下がっている。岸田首相はこれをどう判断するのか。
共同調査では、支持理由に「外交に期待できる」をあげた人が前回比7・7ポイント増の15・8%と目立った。岸田首相の訪米などを評価したともとれるが、不支持理由では「首相が信頼できない」(19・1%)との回答も多く厳しい国民世論に変化はないようだ。
政権浮揚や政治の信頼回復へ、岸田首相が肝≠ノ掲げる政策への評価も厳しい。
派閥裏金事件を受けた政治資金規正法の与党改正案は79・7%が「評価しない」だった。岸田首相は今年中に物価上昇を上回る所得を実現させるとしたが、90・5%が「実現しない」とみている。
NHK調査でも、岸田首相への世論の採点≠ヘ辛い。
政治資金規正法の与党改正案は77%が「評価しない」とし、74%が岸田首相が指導力を「発揮していない」と回答している。
また、8割が景気が良くなっている実感が「ない」とし、来月実施の定額減税をめぐっても、62%が「物価上昇を上回る所得の実現に期待しない」と答えた。
この結果をどう見るのか。
野党幹部は「圧倒的な『不支持』は変わっていない。政治とカネの問題など不祥事を繰り返し、大炎上する政権に反省はない。自民党も評価を落としている」と分析する。
確かに、共同調査の政党支持率では、自民党が前回比0・4ポイント減の24・7%で、立憲民主党が同比1・8ポイント増の12・7%。「次期衆院選の比例区投票先」でも、自民党の20・9%に対し、立憲民主党が15・4%と肉薄している。
自民党ベテラン議員は「有権者の声などを聞くと、自民党の『古い体質』への批判はいよいよ深刻だ。岸田政権も反省が『独りよがり』で、危機管理も任せられないとの声は多い。実際の支持率は『壊滅的』な状況だ。一時的な支持率上昇で解散・総選挙に打って出たら、打撃は避けられない」と懸念している。
報道各社の世論調査 内閣支持率(前回比) 不支持率(同) 自民党支持率(同) NHK
(10〜12日実施) 
   24% (1ポイント増) 
   55% (3ポイント減) 
   27.5% (0.9ポイント減) 
(11〜13日実施) 
   24.2% (0.4ポイント増) 
   62.6% (0.5ポイント減) 
   24.7% (0.4ポイント減)
●迫る米大統領選 バイデン氏とトランプ氏の支持率は「拮抗」 一線の専門家が読み解く両雄≠フ機微とは? 5/14
11月5日の米大統領選まで6カ月を切った。
民主党のジョー・バイデン大統領と、共和党のドナルド・トランプ前大統領が戦う4年前と同じ構図となったが、最近の新聞や雑誌に「もしトラ」や「ほぼトラ」と決めつける予想記事が際立つ。
それでも、米リアル・クリア・ポリティクスが集計した5月1日時点の世論調査の平均によると、支持率はバイデン氏が45・1%、トランプ氏が46・6%と拮抗(きっこう)する。
4つの刑事裁判を抱えるトランプ氏は、機密文書を不適切に取り扱ったとされる問題の裁判で、公判の無期限延期が決まり安堵(あんど)した。一方、不倫の口止め料を不正に処理したとして罪に問われている裁判では、不倫相手のポルノ女優が詳細な証言をしたことから改めて多大なダメージを受けた。
お騒がせトランプ≠ヘ健在である。それが大統領選にどれだけ影響を与えるのか、その予測は難しい。
バイデン氏を「史上最悪の大統領」とトランプ氏は断じ、トランプ氏を「憲法を蹂躙(じゅうりん)する独裁者」とやり返すバイデン氏。両氏の非難応酬こそが「実は米国の脅威だ」との指摘もあるなかで、興味深い記事に接した。
英紙フィナンシャル・タイムズ(4月30日付)の記事「バイデンの変革第一期の教訓―雄弁さとカリスマ性は政治において過大評価されている」
同紙の国際政治コメンテーターであるジャナン・ガネシュ氏の結論は「バイデン政権は弁舌巧みではない偉大な政権といえる」と評価する。
記事中では歴代の民主党政権を引き合いに出し、暗殺されたJ・Fケネディ大統領を引き継いだリンドン・ジョンソン元大統領を挙げて説明した。そのうえで「(リベラル派の雄弁さの象徴であるバラク・)オバマ氏はバイデン氏にとって、ジョンソン氏にとってのケネディ氏のような存在なのだ」と記述している。
筆者は常々、ナイジェリア出身英国人で42歳のガネシュ氏の分析を精読している。
かつて、同氏はトランプ氏と中国の習近平氏の共通項が「恨み」であると看破した。自分が尊敬されるべき対象として認められていないことに不満を抱いているが、西側諸国のエリートには、この感情をなかなか理解できないだろうと指摘する。至言だ。
さて、激戦7州の中でバイデン氏の地元・東部ペンシルベニアでもトランプ氏は1ポイント上回る。やはり、バイデン氏劣勢ということなのだろう。
●「まさしく政権交代前夜」立憲、世論調査で衆院比例投票先が自民党超え…識者も驚く自民の「鈍感ぶり」 5/14
5月13日、選挙ドットコムはJX通信社と共同で行った電話とインターネットによる全国意識調査(5月11、5月12日に実施)を発表した。
次期衆院選の比例投票先をみると、電話調査では立憲民主党が27.3%で、自民党の17.8%を10%近く引き離している(ちなみにネット調査では、自民党が10.5%、立憲民主党が6.8%)。
さらに、投票したくない政党の項目(電話調査)では、自民党の50.9%がダントツで、2位の共産党11.6%を大きく超え、不人気ぶりがあらわになっている(ネット調査でも自民党27.8%がトップで、2位の共産党は6.5%)。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は、この結果についての見解をこう話す。
「この間のJNNの世論調査(5月4、5日実施)においても、政権交代を望む声が48%で、自公政権継続を望む声の34%を大きく上回りました。今回の選挙ドットコムとJX通信社の調査をみると、ネット調査のほうは、そういう数字にはなっていません。ただ、電話調査に応じる人はおおむね年齢層が高く、投票に行くのも年齢層が高い人なのです。その意味では、いま自民党に対して、徹底的にお灸をすえてやらなければいけないね、という声が高まっていることは間違いないでしょう。
立憲民主党に対しては、積極的な支持か、というと必ずしもそうとはいえなくて、自民党はダメだねという表れです。野党をみても、維新も自民党につくのか、つかないのかが分からない部分がある。そうなると、『仕方ない。立憲しかないじゃない』という、消極的な支持につながることが背景にあると思います。
不思議なのは、自党民はなぜ、こんなに鈍感な政党になってしまったのだろうと。一連の裏金問題の対応を見ていると、国民の批判が高まるのがわかり切ったような対応しかしていない。逃げまくる、嘘をつく、実態解明はしない。処分もいい加減で、いま議論している政治資金規正法改正も、かなり後ろ向きです。ひと昔前の自民党って、もうちょっと世論に敏感だったはずなんです。なぜ、ここまで鈍感になってしまったのかなあと思いますね。おそらくひとつは、安倍政権以降の一強体制に浸りきっているのかな。どうせ野党はだらしないから、政権の座を脅かされることもない、とあぐらをかいているのではないかという気がしますね」
この件を報じたYahoo!ニュースのコメント欄には、調査結果に納得するコメントが投稿されている。
《国民の生活苦に危機感を持たず企業に賃上げをお願いするだけで、私利私欲に走る自民党政権。多くの国民が長年の自民党政治の失政に気づき、自民党政権を見限ったということでしょう》
《正にこれが今の民意ですよ。正しく政権交代前夜ではないでしょうか。2009年に民主党に政権交代した時より今の方が国民の自民党に対する「怒り」は強いと思います。この次回の総選挙の比例投票先で自民17.8%、立憲27.3%の数字は政権交代が起こり得る数字です》
X上では、以下のようなコメントが投稿されている。
《それでもまだ自民が17.8%って、日本人ほんとに大丈夫かって言いたくなる》
《小選挙区がなければ政権交代がおきるな…小選挙区がなければ…》
自民党は政権を維持することができるのだろうか。
●バイデン大統領「日本人は外国人嫌い」発言、岸田政権一喝≠ナきない理由 ネットで広まる「移民拡大」と「親族のビジネス」の話 5/14
衆院東京15区での補欠選挙(4月28日投開票)の残務に追われていた4日、とんでもない発言の報が聞こえてきた。ジョー・バイデン米大統領の「日本人は外国人嫌い」発言である。発言の詳細は、以下の通りだ。
「われわれ(米国)の経済が成長している理由の1つは、移民を受け入れているからだ」「(中国、インド、ロシアと並べて)なぜ日本は問題を抱えているのか。それは彼らが外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」
事実誤認も甚だしい「おバカ」発言であり、日本と日本人への侮蔑も含まれている。
この発言のわずか半月ほど前には、岸田文雄首相が国賓訪米して「フミオ&ジョー」の仲良しアピールをしていたというのに、一体、この無礼はどうしたものか。
さすがに、おとなしい日本政府も「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」と申し入れたという。
しかし、こんな申し入れ≠ナは、向こうは蚊に刺されたほどにも感じなかろう。
今もし、石原慎太郎元都知事あたりがご健在なら、このふざけた「バイデン発言」を一喝したに違いない。だが、現在の政界には、日本の名誉のために「言うべきことをズバリ言う」政治家が皆無だ。
そもそも、バイデン氏の言う「移民を受け入れれば経済成長する」という珍説の根拠はどこにもない。
元内閣参事官で数量政策学者の高橋洋一氏が、筆者主宰のネット番組「ニュース生放送 あさ8時!」で明かしたところによれば、国連のデータから、各国の移民人口比と経済成長をプロットして(=グラフにデータを打点すること)も経済成長を示す右肩上がりの線は描けないという。
つまり、バイデン氏の言う「移民を受け入れれば経済成長する」というのはデタラメなのだ。
しかし、日本にもこれに似たことをシタリ顔でのたまう御仁が少なくない。いわく、「日本は人口減少時代に入ったのだから、外国人労働者や移民を受け入れないと経済がしぼむ」。
このウソにだまされてはいけない。移民を受け入れ続けた米欧で今何が起きているかを見れば、そのリスクこそ明らかだ。目先の労働力不足は補えたとしても、福祉などの社会的コストは増える。「異文化との共生」は軋轢(あつれき)を生み、次第に当地の文化や秩序、治安が壊されていく。その良くない予兆は、日本の各地にすでに見られる。
だが、こうした「移民拡大への危機意識」は日本政界に極めて薄い。先の衆院東京15区補選でも「移民拡大の危険性」を強く訴えたのは、私たち日本保守党ぐらいで、他は与野党とも「移民拡大」、多文化強制もとい「多文化共生」路線で一致していた。
岸田文雄政権が外国人労働者や移民拡大に積極的な理由として、財界の「労働力不足解消への要請」に加え、ネット上で「岸田首相の親族のビジネス絡み」という話が広まっている。
ネット検索すると、ある事実に容易にいき当たった。岸田首相の実弟が代表取締役を務める企業のサイトには、次のように記されている。
「JAPAN+INDONESIA」「共生で夢をかなえる」「『特定技能制度 外国人採用』を通じて、インドネシアと日本の懸け橋に」
特定技能制度を活用したインドネシア人の国内(日本)就労を支援する企業であり、業務内容には他に「旅行代理店―東南アジア」「中東からの訪日旅行を企画・運営」と書かれている。ちなみに、インドネシア人の観光旅行者は条件付きだが、ノービザで日本に入国できる。
夕刊フジの取材に対し、岸田首相の実弟の会社は「(当社のような)零細企業が国の方針を動かすことはできない。零細企業のために、国がかじを切るということもない」と語ったという=詳細は別項。
しかし、首相の近親者が、政府が強力に旗を振る「技能実習生」と「インバウンド」の両方でビジネスをしていると聞けば、いぶかる国民も少なくない。
ネット上には、岸田家にとって、バイデン氏のトンデモ発言はむしろ「ありがたい呼び水」だったのかという、意地悪い意見すらある。違法でないことは百も承知だが、とまれ、「李下に冠を正さず」の教えはお忘れなく、と申し上げておく。
●バイデン氏の「日本人は外国人嫌い」に現れた差別感 岸田政権、中身を明らかにしない米への抗議…裏で画策する「移民受け入れ」 5/14
ジョー・バイデン米大統領が「日本人は外国人嫌い」と発言したことが注目されている。ワシントンでの選挙イベントで、米国の経済成長を支えているのは「移民の受け入れ」だと指摘し、日本を中国やロシアと並べて批判したのだ。日本政府は「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言だ」と米政府に申し入れたが、実は、岸田文雄首相自身が今年2月、日本人が外国人やマイノリティーを差別していると言及して問題になっていた。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、永田町が「政治とカネ」の問題で大騒ぎする陰で、岸田政権が大きくかじを切った「移民推進」への懸念を指摘した。日本の雇用や賃金、社会保障は守られるのか。
バイデン米大統領が「日本は外国人嫌い」と語った発言について、日本政府が米政府に抗議した。ところが、「日本の政策の正確な理解に基づかない発言があったのは残念だ」などと公表しただけで、具体的な中身を明らかにしていない。国民に「政府の思惑」がバレてしまうと、都合が悪いからだろう。
バイデン氏は1日、ワシントンで開かれた選挙集会で、次のように語った。
「われわれが成長している理由の1つは、移民を歓迎しているからだ。中国はなぜ停滞しているのか。日本やロシアはなぜ問題を抱えているのか。彼らは外国人嫌いだからだ。移民は私たちを強くする」
同盟国の日本を、中国やロシアと同列に扱ったのもひどいが、3月にもラジオで同様の発言をしていたことを踏まえれば、この発言には、バイデン氏の対日認識がにじみ出ている。大統領は心底から、そう思っているのだ。
日本は低賃金のままでいいのか
日本の外国人に対するホスピタリティの良さは、「おもてなし」を紹介する英語のYouTube番組がいくつもあるほど、海外でも有名だ。
バイデン政権は、LGBT(性的少数者)問題でも「日本に差別がある」という認識を前提に、理解増進法の制定を日本に迫った。私には、バイデン氏の方こそ、今回の発言と共通する「日本に対する根深い差別感」が潜んでいるように思える。
そもそも、「米国は進歩した社会」という認識は、リベラリズム(理想主義)の核心である。リベラリズムを信奉する民主党の大統領とすれば「日本が米国よりも遅れた国」という認識は、ごく自然な結論なのだ。「移民が経済成長をもたらした」という認識も根拠が怪しい。
情けないのは、岸田政権である。
岸田首相は2月、「共生社会と人権」をテーマにしたシンポジウムに、「雇用や入居で、外国人、障害のある人などが不当な差別を受けている」という内容のビデオメッセージを送った。首相自ら差別の存在を認めたも同然だ。こんな発言が平然と飛び出すくらい、岸田政権は米民主党流のリベラリズムに染まっている。
今回の抗議で、具体的な中身を明らかにしないのは、実は「オマエだって外国人差別を認めていたじゃないか」と反論されたら、返す言葉がないからだ。それが1つ。
もう1つの理由は、岸田政権は、すでに「移民受け入れ」に大きくかじを切っているからだ。政府は外国人労働者に道を開く、出入国管理と技能実習法の改正案を今国会に提出した。人手不足を補うために「安い労働力」を受け入れたい経済界の要望に応えたのだ。
だが、公然と「移民受け入れ」を宣言すると、反発が出るのを恐れて、「外国人に選ばれる共生社会を目指す」などときれい事を言っている。政府は実質的に方針転換しているのに、国内の反対派を刺激したくないから、政策の中身を公表できなかった。
外国人の安い労働力を雇えるようになれば、企業は助かるかもしれない。だが、それでは低賃金が固定化してしまう。結局、日本の賃金はいつまでたっても上がらない。左翼はそれでいいのか。
「共生社会」を唱える左翼やリベラリストは、自分で自分の首を締めているようなものだ。今回の騒動は、日米両国にまたがるリベラル政権の浅はかさを浮き彫りにした。
●6月給与分から開始の「定額減税」、「住宅ローン控除」ってどうなるの? 5/14
2024年6月から始まる定額減税は、物価高騰による生活の圧迫を和らげるための政府の重要な施策の一つである。定額減税により、納税者本人だけでなく配偶者や扶養親族1人につき合計4万円が減税される。具体的には、所得税から3万円、住民税から1万円がカットされる形で実施される。年収2000万円を超える高所得者は適用外である。では、「住宅ローン控除」を受けている世帯はどうなるのか。
6月給与・賞与分からスタートする「定額減税」とは
給与所得者にとっては、6月の給与や賞与時に源泉徴収される税額から定額減税が適用される。完全に減税が適用されない場合、7月以降に差額分が調整され、減税額は給与支払明細書を通じて確認することができる。
また、住民税の取り扱いについては、6月分の徴収を行わず、減税後の年間税額を7月〜25年5月までの11カ月間で均等に分割徴収する予定である。
公的年金受給者も同様に減税の恩恵を受けることができる。所得税は6月から減税が適用される。住民税については、公的年金受給者の場合、既に8月までの徴収分の税額が確定しているため、10月分から減税が反映される。
一方、個人事業主やその他の事業所得者については、所得税の減税が25年の確定申告時に適用され、15万円以上の予定納税がある場合には、確定申告前の段階でも減税が行われる可能性がある。住民税は23年6月から減税が適用され、これによりこれらの納税者にも負担軽減の効果が期待されている。
「住宅ローン控除を受けている世帯」はどうなる?
ここで気になるのが、「住宅ローン控除を受けている世帯は、どうなるのか」ということ。住宅ローン控除を受けている納税者にとっては、定額減税で引ききれないと見込まれる場合、不足分が給付金として補填される。
これは、住宅ローン控除など他の税額控除と組み合わせることで、より幅広い家庭が経済的な支援を受けられるようにするための措置である。
このように、定額減税と住宅ローン控除の組み合わせは、多くの国民にとって直接的な経済的利益をもたらし、日本経済の再活性化に寄与することが期待される。
政府はこれらの政策を通じて家計の安定と消費の活性化を目指しているが、一時的な効果にとどまる可能性、低所得者への給付の不十分さ、制度設計の複雑さなど、いくつかの問題点が指摘されているため、事業を実施した後の経済動向にも注視する必要がある。
●立民が政府提出の重要法案に次々と賛成…次期戦闘機の条約案も 自公、維新など賛成で衆院通過 5/14
日本と英国、イタリアによる次期戦闘機の共同開発に向けた企業との契約や輸出管理を担う政府間機関「GIGO(ジャイゴ)」の設立に関する条約の承認案が14日、衆院本会議で自民、公明両党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、衆院を通過した。共産党、れいわ新選組は反対した。近く参院で審議入りする。
日英伊3カ国は2035年の次期戦闘機の配備を目指しており、24年度中にGIGOの本部を英国に設置する予定。承認案には輸出促進が明記されており、政府は3月に武器輸出ルールを緩和し、日本から第三国への輸出を解禁した。木原稔防衛相は14日の記者会見で「共同開発の円滑な実施にGIGOは必要不可欠だ」と意義を強調した。
共産党の宮本徹氏は10日の衆院外務委員会で「国際紛争を助長する殺傷兵器の輸出方針は撤回すべきだ」と批判した。一方、立民の鈴木庸介氏は「開発コストを抑えるため共同開発は必要だ」と理解を示した。
立民は、自衛隊の「統合作戦司令部」創設のための関連法や、重要経済安保情報保護法、共同親権を選べるようにする民法改正案など政府提出の重要法案に相次いで賛成している。 

 

●懲りない自民党「政活費と機密費」で年間30億円の裏金温存 規正法改正でも目に余る往生際の悪さ 5/15
ミゾは埋まらなかった。岸田首相が14日昼、官邸で公明党の山口代表とランチ会談。今国会中の政治資金規正法の改正に向けた話し合いは平行線をたどった。山口代表は会談後、従来と変わらず、野党との協議も重視する考えを強調した。
与党合意など些末なこととはいえ、公明がソッポを向く気持ちは分かる。この期に及んでも、自民は政策活動費(政活費)の使途公開に慎重で「裏金化」をやめるつもりなどサラサラないのだ。
「公明党にはいわゆる政活費に該当する支出はありません。あえて『廃止』を訴えなかったのは、自民党との合意に向けた配慮です。改正案の大枠では議員による使途公開で合意したものの、使途の公開範囲で折り合わず、具体策は依然として不透明。泥舟に乗せられるのはごめんです」(公明党関係者)
自民党幹部に渡る政活費は、領収書不要で使途報告の義務がないブラックボックス。事実上の裏金だ。大半は選挙に浪費しているのが定説で、例えば幹事長が応援演説に行くたび、各陣営に「陣中見舞い」として現金を持っていくという。
在任5年で約50億円が使途不明の二階元幹事長だけが悪目立ちしているが、21年衆院選時にその任にあった甘利前幹事長も、たった35日間の在職中に計3億8000万円の政活費を手にしていた。1日あたりの裏金は軽く1000万円を超える。
2022年の政治資金収支報告書によると、自民の政活費は計14億1630万円。うち7割近くが茂木幹事長に渡っていた(別表)。茂木氏は甘利氏の後任に就いた21年11月4日以降、2カ月足らずで計2億4520万円の政活費を受け取っており、22年までにせしめた裏金は約12億円に上る。
16年8月の二階の幹事長就任以来、甘利氏、茂木氏と3代にわたり、総額65億円以上もの裏金が渡ったことになる。幹事長の「力の源泉」と呼ばれるゆえんで、なるほど温存したくなるわけだ。
自民の政活費は国政選挙の有無でバラツキはあっても、毎年10億円台半ばで推移。衆院選があったピーク時の17年には19億円を超えていた。選挙に掴み金を好き放題、使えば公正な選挙もヘチマもないが、温存される選挙のための裏金は他にもある。内閣官房報償費(官房機密費)だ。
血税が原資の機密費まで選挙に流用
中国新聞は9日、13年の参院選で安倍元首相が自民の公認候補に現ナマ100万円を渡した疑いを1面トップで報じた。このカネも選挙運動費用や収支報告書に記載せず、やはり裏金化。同紙は機密費から出た可能性を指摘したが、翌10日には再び1面トップで、国政選挙の陣中見舞いに機密費を使ったという元官房長官の証言を伝えた。
この報道について、林官房長官は14日の会見で機密保持を理由に事実確認を避けた。機密費は使途の報告どころか、記録の義務すらない「裏金中の裏金」だ。年約12億円は国費で賄われている。本来は国内外の情報収集などに使用すべきカネで、いち政党の選挙のための裏金に使えば目的外使用に他ならない。
「自民党を取材した人間からすれば陣中見舞いに100万円は当たり前。原資が政活費なのは常識です。その上、選挙のバラマキに血税が原資の機密費まで流用するとは、もっての外。次の衆院選で野党は機密費のデタラメな使い道をオープンにすると公約に掲げるべき。その点だけでも政権交代の意義があります」(政治評論家・本澤二郎氏)
政活費と機密費を合わせるとザッと年間30億円。反省ゼロの自民から選挙の裏金を没収するには、下野させるしかない。
●「当面は岸田氏を支える」の真意…石破茂氏総裁選¥o馬ヤル気か 自民下野に危機感持つ小泉氏ら長老と会食、夏にも宣戦布告? 5/15
自民党の石破茂元幹事長の去就が注目されている。岸田文雄内閣の支持率が低迷するなか、報道各社の世論調査で「ポスト岸田」の筆頭格と期待する向きがあるのだ。14日夜には、小泉純一郎元首相や山崎拓元副総裁らと都内の日本料理店で会食した。出席者から「次の自民党総裁選に立候補すべきだ」との声が上がったという。一部報道では、石破氏は「当面は、岸田政権を支える」と語ったというが、時機を見て宣戦布告≠キるつもりなのか。
会食は、小泉政権を当時支えたメンバーが開いたもので、亀井静香元政調会長や武部勤元幹事長も同席した。石破氏は小泉政権下の2002年9月、防衛庁長官として初入閣した。
石破氏は会食後、9月の総裁選が話題に上ったかどうかと記者団に問われ、「一切ない」と説明。「いろいろなことが勉強になったという昔話をした」と語った。
だが、NHKやTBSによると、会食では出席者から「選挙があれば、自民党は政権を失う」との危機感が示され、「石破氏が総裁選に立つべし」という話があったという。これに対し、石破氏は「当面、岸田政権を支えることに徹したい」と語ったというのだ。山崎氏が明かした。
「当面」という言葉が付いている以上、チャンスを見て岸田首相と対峙(たいじ)するという意味に聞こえる。秋の総裁選前、石破氏の今年夏の言動から目を離せない。
有馬晴海氏「国民的人気に期待するが…」
政治評論家の有馬晴海氏は「石破氏は『当面』と発言した。『次の総裁選に出る可能性が高い』と見るべきだ。小泉氏ら長老は自民党下野の危険性を察知して、自民党を救うには国民的人気のある石破氏しかおらず、党内の流れを期待しているのかもしれない。ただ、岸田政権内では石破氏を敬遠する傾向がある。石破氏の発言は、周囲から嫌味に聞こえることも多い。本人も『身内を背後から撃つ』ような行動に出れば総裁になる芽を摘むことになると理解しているだろう」と語った。
一方、石破発言は、「字面通り」との受け止めもある。
政治評論家の小林吉弥氏は「石破氏からは総裁選出馬への強い意欲はみえず、『当面』発言は、自らも総裁選の戦略を固められていないことを示すものではないか。小泉氏や山崎氏らも党内に影響力を及ぼせる腕力も今はない。総裁選の構図や、解散など状況を読み合ったり、旧交を温めたりする程度の会食だったのではないか」と語った。
●「ポスト岸田」自民・茂木幹事長に大批判…小沢一郎氏も苦言を呈した“YouTubeでの発言”の中身 5/15
5月12日、自民党の茂木敏充幹事長がYouTubeチャンネル『ReHacQ-リハック-』に出演。
自身が首相に就任した場合に取り組みたい政策として、「原則、副業をしても良いという社会をつくる」と説明。司会者から「首相になったら副業を推進するのか」と問われ「そう思っていただいて結構だ。私はそうしたい」と答えた。
茂木氏は「ポスト岸田」候補の一人と目されている。9月に予定される党総裁選に出馬するかは語らなかったものの、企業の副業解禁に向け、こう前向きな姿勢を示した。
「夕方から時間が空くから、その時間でライドシェアのビジネスをやるのもいい。『スキマバイト』が流行ってきてるから、やるのもいい。自分の持っている時間を趣味に使ってもいいし、バイトしてもいいし、選択できるようにしていく」
番組内で、副業を禁じている企業が多いと指摘されると、「政権が大きな方針を示して基本的に認めるようにする」と強調。かりに3年の準備期間を設ければ、導入に慎重な企業も充分に対応できるとの見解を示した。
小沢一郎衆院議員は5月15日、事務所の「X」に茂木氏の発言を報じた記事を貼り付けたうえで、こう書きこんだ。
《働けど働けど生活が楽にならず、仕事を3つも4つも掛け持ちして漸く生活できるが、貯蓄はできない…。セーフティネットを軽んじる自民党政治ではそんな社会になる。止めないといけない。》
Xではほかにも、茂木氏が首相に就任した場合、「原則、副業をしても良いという社会をつくる」と説明したことに、批判的な声が殺到した。
《俗に言う二足の草鞋のようだが、成功者は極少数でほとんどは二足ともが駄目になる》
《誰が好き好んで副業なんかやってんだよwww無駄なバラマキをやめて減税で副業しなくて済む社会を作れよwww》
《ヘトヘトになって帰ってきた旦那に「お金が無いから副業頼みます」言えるか だ、か、ら、30年間やらなかった》
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、「平成研究会(茂木派)」は「問題なし」とされてきた。
だが、茂木氏をめぐっては、2009〜22年までの14年間で、資金管理団体から使途の公開基準が緩い政治団体に毎年多額の資金を寄付として支出。計4億4590万円のうち、使途明細がない割合は全体で94.4%にのぼることが問題視されている。
茂木氏が9月に予定される党総裁選に出馬し、企業の副業解禁を公約する日は来るだろうか。
●裏金事件めぐり平井元デジタル大臣が岸田総理の責任に言及「総裁選で考慮されるべき」 5/15
派閥の裏金問題を巡って自民党の広報本部長・平井卓也元デジタル大臣は、東京都連と会談した際に岸田総理大臣の責任を問う声が出たことについて「9月の総裁選では当然、考慮されるべきことだ」と述べました。
自民党 平井広報本部長 「組織というのは上が責任を取るべきだということは皆さんおっしゃっておりました。9月に総裁選があるということですから、その時には当然そういうことが配慮される、考慮されるべきことだ」
派閥の裏金問題を受けた東京都連との政治刷新車座対話では、出席者から派閥の幹部や岸田総理の責任を問う声が相次ぎました。
平井広報本部長は、その後の記者団の取材に対し、今回に限らず「地方を回っていると岸田総裁の責任に触れられる方が多々いる」と指摘したうえで、岸田総理の責任の取り方について「9月の総裁選挙で考慮されるべき」との考えを示しました。
また、「収支報告書の不記載の問題を派閥の解消や処分でどんどん分かりづらくし、党が自ら墓穴を掘った」とも述べました。
そのうえで「政治資金は政治活動に必要なもので、透明性を上げたうえで虚偽があった時には厳しく罰するという分かりやすいものにすべきだ」と強調しました。
●《恐れられる“純ちゃん”の政局勘》小泉純一郎氏、山崎拓氏ら自民重鎮OBの会合に石破茂氏が呼ばれた本当の理由 5/15
5月14日、小泉純一郎・元首相、山崎拓・元幹事長、武部勤・元幹事長、亀井静香・元政調会長の会合の席に、世論調査でポスト岸田の一番手に名前があがる石破茂・元幹事長が招かれ、「自民党重鎮たちの画策」に、永田町はにわかに色めき立った。
石破氏は小泉内閣時代の2002年に防衛庁長官として初入閣し、国防族としてキャリアを重ねるきっかけとなった。それだけに、会合の面々は仰ぎ見る存在であり、この日、石破氏は報道陣が囲むなか、緊張の面持ちで会場の銀座の日本料理店に入った。話題は予想通り、石破氏に決起を促すものだったとみられている。小泉氏に近い議員が言う。
「4人は4月の衆院3補選で自民党が全敗すれば岸田政権は終わりと見ていたが、全敗したのに党内で岸田おろしの動きが起きない。その体たらくに“自民党はいつから権力闘争もできなくなったのか”と憤慨したメンバーが、石破を呼んで発破をかけることにした」
山崎氏も会合後、「石破氏が総裁選に立つべし」との意見が出たことを明らかにした。もっとも、石破氏は世論調査の人気は高いとはいえ、党内に支持が広がっているとは言えない。今年2月から石破グループの勉強会を再開、旧石破派の議員の他に、安倍派や二階派からの参加者もいるが、それでも15人程度だ。総裁選出馬に推薦人として必要な20人にも満たない。
そこに小泉氏をはじめ重鎮たちという強力な援軍が現われたのだ。緊張して会合に出たのも無理はない。一方、岸田首相サイドはこの動きに神経を尖らせている。岸田側近はこう話す。
「石破は総裁選の脅威にはならないと考えていたが、注目度が高い小泉元総理たちが担ぎ出せば、党内の若手が浮き足立って石破につく可能性も出てきた」
解散総選挙、内閣改造・党役員人事への影響は
岸田首相は6月解散でイチかバチかの総選挙に打って出る可能性が囁かれる一方、国会閉会後(会期は6月23日まで)、内閣改造と党役員人事を行ない、後見人の麻生太郎・副総裁と茂木敏充・幹事長を退任させ、内閣も一新するシナリオもある。首相周辺には、「岸田総理は国民の人気が高い小泉進次郎、石破、河野太郎の小石河トリオを党役員や有力閣僚に起用して総裁選に出馬できないように封じ込めるつもりだ」という見方もある。
小泉元首相ら重鎮からすれば、会合が報じられることで自分たちの手のなかに「石破カード」があることをアピールして岸田首相にプレッシャーをかけるとともに、石破氏がポスト欲しさで岸田首相の“入閣要請”に応じないよう釘を刺す意味合いもあったのか。会合後の小泉氏は「(総裁選の話は)全然出てない」と煙に巻いたが、総理時代の総選挙で自民党を空前の大勝利に導いた小泉氏の政局勘は、今も永田町の住人たちに恐れられている。
●森氏再聴取、首相に要求=下村氏「真相究明が必要」 5/15
自民党安倍派の裏金事件を巡り、下村博文元政調会長(党員資格停止中)は15日、国会内で講演し、「岸田文雄首相自ら森喜朗元首相に対して国民が納得できるような聴取をし、真相究明をする必要がある」と訴えた。首相が党の処分で対象外だったことについても問題視し、「組織のトップとして、やはり責任を取るべきだ」と述べた。
下村氏は派の政治資金収支報告書へのパーティー収入不記載について「2005年、(前身の)森派の時にあったことは明らかだ」と指摘。「(事実関係をたださなければ)本質的な解決にならないし、納得できない」と語った。
●自民党「役職停止処分」の萩生田光一氏が「都連会長」に再任へ その理由は「党本部と支部は違う」 5/15
自民党東京都連は15日、役員選考委員会を党本部で開き、会長の萩生田光一衆院議員、総務会長の井上信治衆院議員ら執行部のメンバーを再任する方針を決めた。昨年12月に2年の任期を迎えていたが、裏金事件を巡る混乱を受けて改選を先送りにしていた。
萩生田氏は政治資金収支報告書への不記載計2728万円が判明しており、1年間の党役職停止処分を受けた。ただ、党総裁の岸田文雄首相は、都連会長職は処分対象に含まれないとの認識を示していた。
萩生田氏の再任について、選考委員長の深谷隆司・都連最高顧問は記者団に「行動力、判断力があり、適任だ。異論は一切無かった」と説明。萩生田氏が役職停止処分を受けたことには「党本部の決定と支部の決定は違う。何の問題もない」と強調した。都連大会に代わる総務会で正式決定するが、日程は未定という。
6月20日告示の都知事選を巡る対応は議題にならなかったという。都連として候補者を擁立するかについて、深谷氏は「目下の状況は手を挙げる人はいないが、出さないと決めたわけでもない。萩生田会長を中心に相談をして決める」と述べた。
●自民がパー券公開基準10万円案を正式提示 政治資金規正法改正で公明に条文案示す 5/15
自民党と公明党の政治資金規正法改正に関する実務者が15日会談し、両党で主張が異なっていた政治資金パーティー券の購入者の公開基準について、自民党側は「10万円超」と公開対象にすることを盛り込んだ条文案を正式に提示した。
その上で両党は、法案の提出の仕方を含め引き続き協議していくことを確認し、自民党は党内手続きを進める方針を伝えた。
公開基準額は現在の規正法は「20万円超」とされており、公明党は「5万円超」に大幅に引き下げるよう主張し、「10万円超」にとどめる自民党と見解が分かれていた。
野党各党は、政治資金パーティー自体の禁止や、企業団体によるパーティー券の購入禁止などを主張している。
●規正法、自民単独提出へ パー券「10万円超」、公明難色 5/15
自民党は15日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正に関し、パーティー券購入者名の公開基準額を「10万円超」に引き下げる条文案を公明党の実務者に提示した。公明が「5万円超」を求めていたが、譲らなかった。政策活動費については項目別公開とし、明細書作成を義務付ける公明案との開きを残した。公明側は賛否を回答せず、自民単独で法案を国会提出する見通しが強まった。
協議後、公明実務者の中野洋昌氏は記者団に「条文案の検討状況を伺った。現段階で一致していない点があり、共同提出は難しい」との認識を表明。自民の実務者は、公明の賛同を得られなければ自民単独提出になるとの見通しを示した。
●世耕氏の不起訴処分に「不服」、検察審査会に申し立て 自民裏金事件 5/15
自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化したとされる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)などの疑いで告発された世耕弘成・前参院幹事長(自民を離党)と秘書ら計3人について、検察が不起訴処分にしたのは不服だとして、告発した大学教授が15日、検察審査会に審査を申し立てた。
検察は、過去の同種事件を踏まえ5年間の不記載額が3千万円超の議員らを立件した。自民党の調査では世耕氏側の不記載額は1542万円だった。
申立書で大学教授は、過去の同種事件は一つの政治団体による事件だったのに対し、今回は、派閥側と派閥から還流を受けた全議員側が長年、収支報告書に記載しなかったと指摘。「過去の事件と性格がまったく違う。悪質さの点でも国民への重大な裏切りで、先例を基準に不起訴にしたのは不当だ」と主張した。東京地検特捜部は今月2日、世耕氏と安倍派の萩生田光一・前政調会長らを不起訴とした。大学教授は萩生田氏側も検審に申し立てる方針。
●下村博文氏「森元首相に詳しく聴取する必要」「2005年にスキームできていたのは明らか」 5/15
自民党安倍派の政治資金規正法違反事件で党員資格停止の処分を受けた下村博文・元文部科学相が15日、国会内で講演し、「岸田首相が森(喜朗)元首相に経緯を詳しく聴取する必要がある」と語った。
森氏は同派前身の森派で会長を務めた。下村氏は、派閥の政治資金パーティー収入の不正還流に関し「(森派時代の)2005年にスキーム(枠組み)ができていたのは明らか。党として真相究明する必要がある」とも述べた。
●平井氏「自民自ら墓穴掘った」 裏金問題対応で 5/15
自民党の平井卓也元デジタル相は15日、裏金問題を巡る党の対応に関し、「派閥の解消や党内の処分などで分かりづらくしてしまった。自民自ら墓穴を掘った」との認識を示した。党本部で開かれた東京都連との政治刷新車座対話に出席した後、記者団に語った。
車座では岸田文雄首相(党総裁)を念頭に「上が責任を取るべきだ」という意見が出たという。岸田派の平井氏は記者団から望ましい責任の取り方を問われ、「分からないが、9月の総裁選の時には当然そういうことが考慮されるべきだ」と語った。
●自民幹部「墓穴掘った」 裏金事件対応に苦言 5/15
自民党の平井卓也広報本部長は15日、派閥裏金事件を巡る党の対応に苦言を呈した。政治資金収支報告書への不記載問題に正面から向き合うべきだったと指摘した上で「派閥の解消や党内処分でどんどん分かりづらくしてしまった。自ら墓穴を掘った」と語った。
党本部で開いた東京都連との「政治刷新車座対話」後、記者団の取材に答えた。会合には都連幹部が出席し、岸田文雄首相(党総裁)を念頭に責任を問う声が出たという。平井氏は9月の総裁選では、首相の責任も「考慮される」と述べ、焦点の一つになり得るとの見方を示した。平井氏は解散方針を決めた岸田派に所属している。
●岸田政権の命運がかかった「静岡県知事選」に暗雲…野党の有力候補は「疫病神」菅義偉の盟友! 5/15
野党の有力候補は菅義偉氏の「盟友」
「ついに菅(義偉)さんが動くかもしれないぞ」
とある自民党の中堅議員はこう囁く。5月26日投開票の静岡県知事選挙は、自民党が推薦する元総務官僚の大村慎一氏と、立憲民主党や国民民主党が推薦する元浜松市長の鈴木康友氏による事実上の一騎討ちとなった。
そこで注目を集めているのが菅氏だ。鈴木氏は菅氏の「盟友」として知られ、'21年の衆院選でも応援に入ったほど。そのため、菅氏が水面下で鈴木氏を支援するのではないかと噂されているのだ。
「鈴木さんは旧民主党の衆院議員時代に、本会議で菅さんと席が隣になり、党を越えて関係を深めました。『永田町のフィクサー』として知られる現・大樹ホールディングスの矢島義也代表取締役を菅さんに紹介したのも鈴木さんだと言われています」(大樹グループ元社員)
菅氏は「選挙においては疫病神」
とはいえ菅氏は首相時代に補選全敗、地元横浜市長選の惨敗でその座を追われ、「選挙においては疫病神」(自民党関係者)と呼ばれる始末。今回もすでに雲行きが怪しい。
「事前の情勢調査では鈴木さんが10ポイント以上リードしていましたが、大村さんが巻き返しており、すでに数ポイント差まで迫っています。
党本部は当初、与野党対決で負けるとダメージが大きいとして、大村さんに推薦を出さない予定でしたが、一転して告示直前に推薦を出したのは、勝てると判断したからです」(自民党閣僚経験者)
自民党が推薦を出したことで菅氏はますます動きづらくなった。「菅の恩返し」の行く末やいかに。
●小泉元首相「進次郎は50歳になるまで総裁選に出さない」小泉内閣の同窓会で言及 5/15
小泉純一郎元首相(82)は14日夜、東京都内の日本料理店で自民党の石破茂元幹事長や山崎拓・元自民党副総裁らと会食した際、次男の小泉進次郎元環境相(43)について、50歳になるまでは自民党総裁選に出馬しないよう言い渡していることを明かした。
会合後、山崎氏が報道陣の取材に明かした。
会合では、今年9月に予定される自民党総裁選について、有力候補などの具体的な名前は出なかったという。一方で、小泉氏は「息子は出さない」と述べたという。
山崎氏は「進次郎さんに関しては、50歳になるまでは立たないと。総理を助ける役割を、これから数年続けなさいと諭してあると、小泉さんは言われた」と明かした。
進次郎氏は、石破氏や河野太郎デジタル相とともに「小石河」として、世論調査の次期首相候補で常に上位に入っている。9月の総裁選をめぐっては、支持率低迷の岸田文雄首相が再選を目指して出馬できるかも、大きな焦点になっている。
この日の会合は「小泉内閣同窓会」の位置づけで、小泉政権の閣僚や当時の自民党幹部だったメンバーが集まった。武部勤・元幹事長、亀井静香・元政調会長も出席した。
●補選惨敗で聞こえてきた岸田自民の崩壊の足音 解散か退陣か 首相がもくろむシナリオは 5/15
自民党派閥の裏金問題は、民意の怒りを浴び、選挙を通じて政治を揺さぶり始めた。衆院3補選で自民党が全敗するという衝撃的な結果を受けて、岸田文雄首相は衆院の解散・総選挙にも踏み切れないまま退陣の道を歩むのか。経済無策も露呈し、岸田自民党が崩壊する足音が聞こえてきた。AERA 2024年5月20日号より。
「島根1区のようなことが全国で起きたら政権交代もあり得る」という悲痛な叫びが自民党の国会議員から聞かれた。「岸田さんを羽交い締めにしてでも解散させない」と語る若手もいる。
それでも岸田首相の頭の中からは「解散」の二文字が消えない。なぜか。
仮に、このまま解散ができずに通常国会が会期末(6月23日)を迎えたら、その後は9月の自民党総裁選に向けた動きが一気に強まる。支持率が低い岸田首相の下での総選挙は避けたいというのが多くの自民党衆院議員の本音だ。裏金問題で処分を受けた安倍派の議員の中には「岸田憎し」の感情も強まっている。だから、総裁選になれば、岸田氏に代えて新しい総裁・首相を選び、人気があるうちに解散・総選挙に踏み切ってもらいたい。そんな意見が党内の大勢を占めているのだ。
解散なしで総裁選を迎えれば苦戦必至。場合によっては総裁選出馬を断念せざるを得ない。岸田氏はそんな事情を熟知しているからこそ、通常国会中の解散の可能性を探っているのだ。総裁再選を勝ち取って、次の3年間には財政再建や核軍縮など独自の政策を実行したいという「野心」もある。少しでも政権の勢いを取り戻して、解散のチャンスをうかがいたいというのが、岸田氏の本音だろう。そのための課題は二つ。
まず、景気回復だ。今年の春闘では、大幅な賃上げが実現。加えて6月には1人当たり4万円の定額減税(所得税3万円、住民税1万円)が実施される。人々の手取りが増えて懐が温まれば、政権への支持も高まるはず、という期待の声が岸田氏の周辺から漏れてくる。
もう一つが、裏金問題で高まった政治不信を解消するための政治資金規正法改正だ。(1)政治資金収支報告書の虚偽記載などが判明した場合、秘書や会計責任者だけでなく国会議員本人も立件される「連座制」を導入する(2)パーティー券購入の公開基準が20万円超となっているが、一般の寄付と同様に5万円超に引き下げる(3)使途を公開しなくともよい政策活動費を見直す──などが柱だ。自民党内には抵抗もあるが、世論の厳しい反応を受けて、岸田首相が抜本改正に踏み切れるかどうかが焦点だ。
立憲民主党など野党側は連座制の導入や企業団体献金の見直しなどを求めている。ただ、当面は自民党と歩み寄って法改正を実現し、企業団体献金の見直しなどは将来の検討課題とする妥協案も浮上している。与野党が政治資金規正法改正で成果を出して衆院の解散・総選挙に持ち込もうという思惑は、岸田首相と立憲民主党に共通する。
5月初旬にJNNが発表した世論調査によると、有権者が次の衆院選で望むのは「自公政権の継続」が34%だったのに対し、「立憲などによる政権交代」が48%に達した。裏金問題は、自民党長期政権の腐敗構造と真相解明ができない「もたれあい体質」を明るみに出した。格差拡大や少子化への無策など、政策の行き詰まりも露呈している。岸田首相による解散・総選挙か、総裁選での内輪もめか。いずれにしても自民党が再生に向けて動き出す気配はない。衆院3補選の結果は自民党政治崩壊の序章に過ぎない。
●“ポスト岸田”めぐり 石破氏が小泉元総理らと会食 5/15
自民党の石破元幹事長は、小泉元総理大臣らと都内の日本料理店で会食し、岸田総理の政権運営や9月に行われる総裁選などをめぐり意見交換しました。
「世間話。(総裁選の話は出た?)全然出てない」(小泉元総理大臣)
「(きょうはどういった話を?)小泉内閣の思い出。(自民党総裁選についての話は?)一切ありません」(石破元幹事長)
出席者によりますと会食では、石破氏が「ポスト岸田」の最有力候補で、次の総裁選に立候補すべきとの声が上がりました。
また、小泉元総理は石破氏に「総理になるためには、才能と努力と運が必要だ」と話したということです。石破氏は「肝に銘じる」と応じつつも、当面は岸田政権を支えることに徹する考えを示したということです。
●自民・下村氏「岸田首相が森氏に詳しい聴取を」 スケープゴートに不満 首相の責任明言 自爆解散に反対 5/15
自民党の下村元文科相は15日、東京都内で講演し、自身も党から党員資格停止処分を受けた安倍派の政治資金事件に関して、岸田首相が森喜朗元首相から、さらに詳しい聴取を行うべきだとの考えを示した。
下村氏は講演の中で「これだけの処分を受けたわけだから、党を挙げてしっかりと真相を究明をして、事実関係を明確にしてもらわないといけない。スケープゴートになったということで終わりということでは絶対に本質的な解決にならないし、納得できない」と述べた。
その上で岸田首相が自身の処分を見送ったことに関し「岸田総理の責任というのは私はあると思う」と語り、組織のトップが責任をとるべきだと明言した。
さらに、清和政策研究会(安倍派)について、森元首相が会長を務めていた2005年に既に派閥パーティー収入の議員への還付が行われていたことは「明らかだ」と語った上で、「これについてはやはり岸田総理が森元総理に対してきちっとその時の経緯について詳しく聴取をする必要がある。森さんに、特に政治資金の問題についてはきちっと自民党の総裁として対処してもらいたい」と述べた。
安倍派の政治資金問題が発覚した際に、派内での真相究明が不十分だったことについては、「安倍派のその時の体質的な問題がマイナスなってしまった。15人の常任幹事体制というのは誰が責任を持ってどうするかということがない、ある意味で烏合の衆の集まりの象徴みたいなものだ。構造的な問題があった」と指摘した。その上で「ただ塩谷さんも座長でおられたし、高木さんも事務総長でおられたわけで、強いリーダーシップを持ってやってもらいたかった」と語った。
さらに下村氏は、自民党への不信感が高まっている中での今後の政局について、「そういう状況の中で、とても解散総選挙できる状況じゃないと思う。6月に解散総選挙したとしたら、雪崩現象的に大敗する可能性の方が大きい。今の状況をガラガラポン、清算する、今の状況に対する怒りのようなものがあると思っている。本当の意味での解体的出直しができるかどうかが問われている中で、私は6月の総選挙は自爆選挙になると思っているから、絶対すべきではない」と、岸田首相による解散総選挙をけん制した。
その上で、6月に解散総選挙を行い自民党が敗北しながらも比較第一党を維持した場合について、「他の野党を巻き込んで3党ないし4党の連立政権が可能ではないかと岸田総理が考えるかもと思うが、9月には自民党の総裁選挙がある。仲間が死屍累々の負けたような状況の中で9月の総裁選挙で岸田総理が再選されるということはありえない」と述べた。
また下村氏は「6月に国会が終わった後、内閣改造というのも一つの選択としてある。内閣改造して、同時に自民党は岸田政権のもとで大きく変わったということを自ら示して、総裁選挙に打って出ることも選択肢としてありうる。私はどちらにしてもこの9月の総裁選挙が非常に重要で、本当に自民党が抜本的な改革をどのようにしていくかということが国民目線で見たときにちゃんと納得できるような、そういう総裁選挙ができるかどうかということが問われる」との認識を示した。
●ガソリン価格、2週ぶり値下がり…前週から0・2円安い174・5円 5/15
資源エネルギー庁が15日発表した全国のレギュラーガソリンの平均価格(13日時点、1リットルあたり)は、前週から0・2円安い174・5円で、2週ぶりの値下がりとなった。
●「当面は岸田氏を支える」の真意…石破茂氏総裁選¥o馬ヤル気か 自民下野に危機感持つ小泉氏ら長老と会食、夏にも宣戦布告? 5/15
自民党の石破茂元幹事長の去就が注目されている。岸田文雄内閣の支持率が低迷するなか、報道各社の世論調査で「ポスト岸田」の筆頭格と期待する向きがあるのだ。14日夜には、小泉純一郎元首相や山崎拓元副総裁らと都内の日本料理店で会食した。出席者から「次の自民党総裁選に立候補すべきだ」との声が上がったという。一部報道では、石破氏は「当面は、岸田政権を支える」と語ったというが、時機を見て宣戦布告≠キるつもりなのか。
会食は、小泉政権を当時支えたメンバーが開いたもので、亀井静香元政調会長や武部勤元幹事長も同席した。石破氏は小泉政権下の2002年9月、防衛庁長官として初入閣した。
石破氏は会食後、9月の総裁選が話題に上ったかどうかと記者団に問われ、「一切ない」と説明。「いろいろなことが勉強になったという昔話をした」と語った。
だが、NHKやTBSによると、会食では出席者から「選挙があれば、自民党は政権を失う」との危機感が示され、「石破氏が総裁選に立つべし」という話があったという。これに対し、石破氏は「当面、岸田政権を支えることに徹したい」と語ったというのだ。山崎氏が明かした。
「当面」という言葉が付いている以上、チャンスを見て岸田首相と対峙(たいじ)するという意味に聞こえる。秋の総裁選前、石破氏の今年夏の言動から目を離せない。
有馬晴海氏「国民的人気に期待するが…」
政治評論家の有馬晴海氏は「石破氏は『当面』と発言した。『次の総裁選に出る可能性が高い』と見るべきだ。小泉氏ら長老は自民党下野の危険性を察知して、自民党を救うには国民的人気のある石破氏しかおらず、党内の流れを期待しているのかもしれない。ただ、岸田政権内では石破氏を敬遠する傾向がある。石破氏の発言は、周囲から嫌味に聞こえることも多い。本人も『身内を背後から撃つ』ような行動に出れば総裁になる芽を摘むことになると理解しているだろう」と語った。
一方、石破発言は、「字面通り」との受け止めもある。
政治評論家の小林吉弥氏は「石破氏からは総裁選出馬への強い意欲はみえず、『当面』発言は、自らも総裁選の戦略を固められていないことを示すものではないか。小泉氏や山崎氏らも党内に影響力を及ぼせる腕力も今はない。総裁選の構図や、解散など状況を読み合ったり、旧交を温めたりする程度の会食だったのではないか」と語った。
●小泉元総理、石破元幹事長に会食で助言「総理になるために…」“ポスト岸田”期待か 5/15
14日夜、自民党の石破茂元幹事長が小泉純一郎元総理大臣らと会食した。そのなかで、小泉元総理は石破元幹事長に対して、総理になるために必要なことを話したという。
“ポスト岸田”に石破氏?
14日午後6時前、小泉元総理をはじめ、かつて小泉政権を支えた重鎮たちが都内の日本料理店に集まった。実はこの会食、定期的に開かれていて、いつもなら二階俊博元幹事長も参加するのだが、出席者によると、現在入院中とのことで欠席だった。
そこに姿を現したのが、「ポスト岸田」最有力と目される石破元幹事長だった。石破元幹事長が合流してからおよそ1時間後…。
小泉元総理
「(Q.きょうの会合どうでしたか?)世間話」
「(Q.総裁選の話は出ましたか?)全然出てない」
「(Q.どんな話をしましたか?)世間話」
そして、会食に呼ばれた石破元幹事長も、こう述べた。
石破元幹事長「(Q.どういった話をされたんですか?)山崎先生に聞いてください。小泉内閣の思い出」
山崎拓元副総裁に聞いてみた。
山崎元副総裁「(石破元幹事長に)次の総裁選挙に立つべしという話もあって、激励されたんですが、総理になるためには才能と努力と運が必要だということを小泉さんが何回も石破さんを諭すように指導されたわけです。(石破元幹事長は)それを熱心に聞いておられたわけで、努力の中に義理と人情を重んずるということが大事だということを力説されましたので。その点、肝に銘ずるということでありました」
先月行われた3つの補選で自民党は惨敗。
そんななか、会合では小泉内閣で防衛庁長官として初入閣し、世論調査で人気の高い石破元幹事長に、9月の総裁選出馬を促す意見も出たという。
これに対し、石破元幹事長は当面は岸田政権を支えることに徹する考えを示し、立候補への言及は避けたという。
●バイデン大統領「日本人は外国人嫌い」発言、岸田政権一喝≠ナきない理由 ネットで広まる「移民拡大」と「親族のビジネス」の話 5/15
衆院東京15区での補欠選挙(4月28日投開票)の残務に追われていた4日、とんでもない発言の報が聞こえてきた。ジョー・バイデン米大統領の「日本人は外国人嫌い」発言である。発言の詳細は、以下の通りだ。
「われわれ(米国)の経済が成長している理由の1つは、移民を受け入れているからだ」「(中国、インド、ロシアと並べて)なぜ日本は問題を抱えているのか。それは彼らが外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」
事実誤認も甚だしい「おバカ」発言であり、日本と日本人への侮蔑も含まれている。
この発言のわずか半月ほど前には、岸田文雄首相が国賓訪米して「フミオ&ジョー」の仲良しアピールをしていたというのに、一体、この無礼はどうしたものか。
さすがに、おとなしい日本政府も「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」と申し入れたという。
しかし、こんな申し入れ≠ナは、向こうは蚊に刺されたほどにも感じなかろう。
今もし、石原慎太郎元都知事あたりがご健在なら、このふざけた「バイデン発言」を一喝したに違いない。だが、現在の政界には、日本の名誉のために「言うべきことをズバリ言う」政治家が皆無だ。
そもそも、バイデン氏の言う「移民を受け入れれば経済成長する」という珍説の根拠はどこにもない。
元内閣参事官で数量政策学者の高橋洋一氏が、筆者主宰のネット番組「ニュース生放送 あさ8時!」で明かしたところによれば、国連のデータから、各国の移民人口比と経済成長をプロットして(=グラフにデータを打点すること)も経済成長を示す右肩上がりの線は描けないという。
つまり、バイデン氏の言う「移民を受け入れれば経済成長する」というのはデタラメなのだ。
しかし、日本にもこれに似たことをシタリ顔でのたまう御仁が少なくない。いわく、「日本は人口減少時代に入ったのだから、外国人労働者や移民を受け入れないと経済がしぼむ」。
このウソにだまされてはいけない。移民を受け入れ続けた米欧で今何が起きているかを見れば、そのリスクこそ明らかだ。目先の労働力不足は補えたとしても、福祉などの社会的コストは増える。「異文化との共生」は軋轢(あつれき)を生み、次第に当地の文化や秩序、治安が壊されていく。その良くない予兆は、日本の各地にすでに見られる。
だが、こうした「移民拡大への危機意識」は日本政界に極めて薄い。先の衆院東京15区補選でも「移民拡大の危険性」を強く訴えたのは、私たち日本保守党ぐらいで、他は与野党とも「移民拡大」、多文化強制もとい「多文化共生」路線で一致していた。
岸田文雄政権が外国人労働者や移民拡大に積極的な理由として、財界の「労働力不足解消への要請」に加え、ネット上で「岸田首相の親族のビジネス絡み」という話が広まっている。
ネット検索すると、ある事実に容易にいき当たった。岸田首相の実弟が代表取締役を務める企業のサイトには、次のように記されている。
「JAPAN+INDONESIA」「共生で夢をかなえる」「『特定技能制度 外国人採用』を通じて、インドネシアと日本の懸け橋に」
特定技能制度を活用したインドネシア人の国内(日本)就労を支援する企業であり、業務内容には他に「旅行代理店―東南アジア」「中東からの訪日旅行を企画・運営」と書かれている。ちなみに、インドネシア人の観光旅行者は条件付きだが、ノービザで日本に入国できる。
夕刊フジの取材に対し、岸田首相の実弟の会社は「(当社のような)零細企業が国の方針を動かすことはできない。零細企業のために、国がかじを切るということもない」と語ったという=詳細は別項。
しかし、首相の近親者が、政府が強力に旗を振る「技能実習生」と「インバウンド」の両方でビジネスをしていると聞けば、いぶかる国民も少なくない。
ネット上には、岸田家にとって、バイデン氏のトンデモ発言はむしろ「ありがたい呼び水」だったのかという、意地悪い意見すらある。違法でないことは百も承知だが、とまれ、「李下に冠を正さず」の教えはお忘れなく、と申し上げておく。
●岸田首相のフランスと南米ツアーの成果はあったのか? 5/15
岸田首相は4月28日に行われた3補選の敗北を受け、その責任を回避するかのように、5月2、3日にフランスのパリで開催されたOECD閣僚会議に出席し、議長国の代表として演説を行いました。
その後はブラジル、パラグアイなど南米を歴訪。日本国内では、政治とカネの問題の決着を始め、能登半島地震など災害復旧や今後の予知、予防、復興への道筋を明確に打ち出すことが先決ではないかと、外遊三昧の姿勢を批判する声も上がっていましたが、「外交は十八番」と自信満々の岸田首相には、そうした声は届きませんでした。
実は、日本は今年、OECD加盟60周年を迎えたのです。それに合わせて、岸田首相がOECD閣僚会議出席で目指したのは「デジタル分野で世界的なリーダーシップを発揮すること」に他なりません。
「世界で最もAIに理解があり、AIの研究開発や実装がしやすい国を実現する」というのが岸田政権の目指すところのようです。「AI橋渡しクラウド(ABCI)」の高度化やAI機能を完備した次世代スーパーコンピューターの開発も目指しています。
岸田首相はAIをめぐる国際的な枠組みとして昨年5月のG7サミットで提案した「広島AIプロセス」への賛同者を増やすことに主眼を置いていることは間違いありません。というのも、昨年の広島AIサミットでの提案はAIの開発者から利用者まで「すべての関係者」を対象に守るべき責務を定めたものですが、法的な拘束力はないからです。
そのため、具体的な規制は各国の取り組みに委ねられており、世界的には具体的な成果は見られていません。その一方で、AI技術を悪用した偽情報の拡散が国際社会や民主主義の根幹を揺るがす新たな脅威となりつつある、との危機感に岸田政権は捉えられています。
アメリカの大統領選挙のみならず、世界各地で行われている選挙においても、候補者になりすまし、勝手な主張を展開させることで、候補者の信用を貶めるような選挙妨害も頻発中です。岸田首相もそうしたフェイクニュースの被害を受けているため、AIの開発、利用促進、規制を一体的に進めることには意欲を示していることは理解できます。そうした背景もあり、岸田首相はパリにて広島AIプロセスの賛同国、いわゆる「フレンズ(友好国)」会合の新設を訴えたのです。
岸田政権とすれば、AIを含む新たな課題への対応を議論するOECD閣僚会議の場が、課題解決に有益なルールづくりにとって重要性と緊急性を訴えるうえで最適と判断したに違いありません。具体的には、偽情報対策として世界的に検討が行われているネット上の記事や広告などに発信者の情報を付与する技術の実用化を支援する内容を表明しました。とはいえ、岸田政権では日本国内でも急増する偽動画による詐欺行為を取り締まることすらできていません。現在、OECDは先進国を中心に38カ国が加盟していますが、東アジアは日本と韓国のみで、東南アジアの加盟国はゼロです。
そこで、岸田首相はインドネシアやタイなどの新規加盟を後押しする考えを表明しました。生成AIの利用や気候変動など地球規模の課題解決に向け、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国を巻き込もうとする発想です。また、こうした東南アジア諸国のなかには中国との関係に苦慮している国もあります。
そこで、そうした国々がOECDという国際機構に加盟することを支援し、中国との交渉を側面的にサポートできるとの思惑も秘められていました。要は、支援とのバーターと言っては語弊がありますが、日本が目指すAI政策の同調者を1国でも増やそうという狙いが込められていたわけです。
問題は、そうした岸田首相の思惑がどこまでグローバル・サウスに届いたかという点でしょう。残念ながら、グローバル・サウスの代表格であるブラジルのルラ大統領との首脳会談では「ブラジル産の安くておいしい牛肉を買って欲しい」との切実な要望に対してまったく耳を傾けず、「核兵器のない世界を共に目指しましょう」と、その場の空気を読まない対応に終始したのが岸田首相でした。
結果的には、フランスと南米を駆けめぐる「弾丸ツアー」の成果は、自己満足の「やった感」を残しただけで、これといった具体的な成果はないままで終わりを迎えたようです。なにやら岸田政権の末路を暗示しているように思えてなりません。
●裏金事件めぐり平井元デジタル大臣が岸田総理の責任に言及「総裁選で考慮されるべき」 5/15
派閥の裏金問題を巡って自民党の広報本部長・平井卓也元デジタル大臣は、東京都連と会談した際に岸田総理大臣の責任を問う声が出たことについて「9月の総裁選では当然、考慮されるべきことだ」と述べました。
自民党 平井広報本部長 「組織というのは上が責任を取るべきだということは皆さんおっしゃっておりました。9月に総裁選があるということですから、その時には当然そういうことが配慮される、考慮されるべきことだ」
派閥の裏金問題を受けた東京都連との政治刷新車座対話では、出席者から派閥の幹部や岸田総理の責任を問う声が相次ぎました。
平井広報本部長は、その後の記者団の取材に対し、今回に限らず「地方を回っていると岸田総裁の責任に触れられる方が多々いる」と指摘したうえで、岸田総理の責任の取り方について「9月の総裁選挙で考慮されるべき」との考えを示しました。
また、「収支報告書の不記載の問題を派閥の解消や処分でどんどん分かりづらくし、党が自ら墓穴を掘った」とも述べました。
そのうえで「政治資金は政治活動に必要なもので、透明性を上げたうえで虚偽があった時には厳しく罰するという分かりやすいものにすべきだ」と強調しました。 
●漏洩に首相「由々しき事態」 5/15
政府は15日、特定秘密保護法の運用状況を点検する情報保全諮問会議を首相官邸で開いた。岸田文雄首相は、陸上・海上自衛隊の情報漏えい事案について「積み上げてきた信頼を損なう由々しき事態だ。全ての関係省庁で再発防止と適正運用を徹底する」と強調した。
●首相 永住取消は"悪質"限定 5/15
衆院法務委員会は15日、岸田文雄首相が出席し、技能実習に代わる外国人材受け入れ制度「育成就労」の創設を柱とする入管難民法などの改正案の質疑を行った。永住者が税や社会保険料の納付を故意に怠った場合に永住許可を取り消し可能とする規定について、首相は「(対象は)一部の悪質な場合」に限られると説明。「大多数の永住者に影響を及ぼすものではない」として理解を求めた。公明党の大口善徳氏への答弁。
立憲民主党の道下大樹氏は「永住者の未納がどれだけあるか、調査を行っていない」と批判。法令の必要性や正当性を根拠付ける「立法事実」があるとは言えないとして規定の削除を求めた。
首相は「取り消しは(外国人の)定着性に配慮して慎重に検討する」と強調した。
●自民・下村氏「岸田首相が森氏に詳しい聴取を」 スケープゴートに不満 首相の責任明言 自爆解散に反対 5/15
自民党の下村元文科相は15日、東京都内で講演し、自身も党から党員資格停止処分を受けた安倍派の政治資金事件に関して、岸田首相が森喜朗元首相から、さらに詳しい聴取を行うべきだとの考えを示した。
下村氏は講演の中で「これだけの処分を受けたわけだから、党を挙げてしっかりと真相を究明をして、事実関係を明確にしてもらわないといけない。スケープゴートになったということで終わりということでは絶対に本質的な解決にならないし、納得できない」と述べた。
その上で岸田首相が自身の処分を見送ったことに関し「岸田総理の責任というのは私はあると思う」と語り、組織のトップが責任をとるべきだと明言した。
さらに、清和政策研究会(安倍派)について、森元首相が会長を務めていた2005年に既に派閥パーティー収入の議員への還付が行われていたことは「明らかだ」と語った上で、「これについてはやはり岸田総理が森元総理に対してきちっとその時の経緯について詳しく聴取をする必要がある。森さんに、特に政治資金の問題についてはきちっと自民党の総裁として対処してもらいたい」と述べた。
安倍派の政治資金問題が発覚した際に、派内での真相究明が不十分だったことについては、「安倍派のその時の体質的な問題がマイナスなってしまった。15人の常任幹事体制というのは誰が責任を持ってどうするかということがない、ある意味で烏合の衆の集まりの象徴みたいなものだ。構造的な問題があった」と指摘した。その上で「ただ塩谷さんも座長でおられたし、高木さんも事務総長でおられたわけで、強いリーダーシップを持ってやってもらいたかった」と語った。
さらに下村氏は、自民党への不信感が高まっている中での今後の政局について、「そういう状況の中で、とても解散総選挙できる状況じゃないと思う。6月に解散総選挙したとしたら、雪崩現象的に大敗する可能性の方が大きい。今の状況をガラガラポン、清算する、今の状況に対する怒りのようなものがあると思っている。本当の意味での解体的出直しができるかどうかが問われている中で、私は6月の総選挙は自爆選挙になると思っているから、絶対すべきではない」と、岸田首相による解散総選挙をけん制した。
その上で、6月に解散総選挙を行い自民党が敗北しながらも比較第一党を維持した場合について、「他の野党を巻き込んで3党ないし4党の連立政権が可能ではないかと岸田総理が考えるかもと思うが、9月には自民党の総裁選挙がある。仲間が死屍累々の負けたような状況の中で9月の総裁選挙で岸田総理が再選されるということはありえない」と述べた。
また下村氏は「6月に国会が終わった後、内閣改造というのも一つの選択としてある。内閣改造して、同時に自民党は岸田政権のもとで大きく変わったということを自ら示して、総裁選挙に打って出ることも選択肢としてありうる。私はどちらにしてもこの9月の総裁選挙が非常に重要で、本当に自民党が抜本的な改革をどのようにしていくかということが国民目線で見たときにちゃんと納得できるような、そういう総裁選挙ができるかどうかということが問われる」との認識を示した。
●岸田首相、参院自民の国対幹部と会食 終盤国会へ支援要請 5/15
岸田文雄首相は15日夜、自民党の石井準一参院国対委員長ら幹部と公邸で会食し、終盤国会に向け「最後までよろしくお願いしたい」と支援を求めた。石井氏らは「一致結束し、しっかり岸田政権を支える」と応じた。出席者が明らかにした。
派閥のパーティー収入不記載事件を受けた政治資金規正法改正へ与野党の動きが活発化する中、国会運営について意見を交わしたとみられる。8日夜には自民の浜田靖一国対委員長ら衆院国対幹部とも会食した。
●原発再稼働の「地元同意」対象は広げる?それとも...柏崎刈羽の周辺自治体議員が拡大を政府に求める 5/15
国のエネルギー政策の中長期的な指針「エネルギー基本計画」の見直しに向けた議論が、15日始まった。岸田政権が掲げる「原発の最大限の活用」の具体化を話し合うとみられている。この日、それを警戒する地方議員たちが政府に、原発の再稼働に必要な地元同意の範囲を「広げるべきだ」と求めた。
エネルギー基本計画見直し議論開始の日
東京・霞が関の経済産業省。基本計画の会議が始まる1時間半ほど前、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の30キロ圏内にある自治体の議員たちが、資源エネルギー庁の担当者に、再稼働への同意が必要な自治体の範囲を30キロ圏に拡大するよう求める要望書を手渡した。
地元同意について、基本計画には「立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組む」とある。同意を取る自治体の対象は明示されていない。2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、新規制基準に適合して再稼働した原発では、電力会社は同意の範囲を立地自治体と県に限ってきている。同意が必要な自治体が増えると、再稼働のハードルが高くなるためだ。
原子力立地政策室の前田博貴室長は、新潟県長岡市の関貴志市議から基本計画が規定する自治体の範囲について問われ、「再稼働には広い理解を得ていくことが大事」などと明確には答えなかった。
前のめりな岸田政権が「逆に狭めるのではと心配」
原発で深刻な事故が起きれば、影響は立地自治体にとどまらない。福島事故後、原発から30キロ圏内の自治体に住民の避難計画の策定が義務付けられた。だが、再稼働に同意するかどうかには関われない。自治体はこのジレンマを抱える。
関市議は取材に「基本計画で同意範囲を30キロ圏に広げる意味で明記してほしいが、逆に狭めるのではと心配している。電力会社にとってはハードルだが、それを越えてこそ理解されるということではないか」と指摘した。

 

●自民 政治資金規正法改正案了承も異論相次ぐ パーティー券公開基準10万円超に「もっと厳しく」の声も 5/16
自民党は16日午前、派閥の裏金問題を受けた政治資金規正法の改正に関する党所属全議員を対象とした会議を開き、国会議員本人への罰則強化や、政治資金パーティー券の購入者の公開基準を10万円超とすることを盛り込んだ条文案について了承したが、異論も相次いだ。
会合には議員約60人が参加し、17人ほどが意見を述べた。出席者によると、パーティー券購入者の公開基準について「5万円に下げるべきだ」「もっと危機感をもってやるべきだ」との異論が噴出したが、10万円は落としどころとして妥当だとの意見も出たという。
条文案は部会長と座長に一任する形で了承されたが、内容について公明党の同意が得られず、自民党単独の提出になる可能性が高いことが報告された。政調審議会や総務会での議論を経て、自民党の法案として正式決定される。
●内閣支持、微増の18.7%=裏金対応、7割超評価せず―時事世論調査 5/16
時事通信が10〜13日に実施した5月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は発足以来最低だった前月から2.1ポイント増え、18.7%だった。不支持率は前月比3.8ポイント減の55.6%で、「分からない」は25.8%だった。
自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正などを巡る岸田文雄首相の対応を「評価しない」は72.9%で、「評価する」の8.7%を大きく上回った。首相は外交などの成果をアピールしているが、「政治とカネ」の問題に国民が依然厳しい視線を向けていることがうかがえる。
●「もう世襲議員やめましょうよ」二階氏の三男 衆院選に出馬報道で渦巻く嫌悪感「すごい鈍感力」 5/16
5月15日、自民党の二階俊博元幹事長(85)の三男で公設第1秘書の伸康氏(46)が、次期衆院選で新和歌山2区から立候補する意向を固めたことが明らかになった。5月17日に地元の和歌山県田辺市で記者会見を開いて表明するという。
二階氏といえば、裏金問題で二階氏個人の不記載額は党内最多の3526万円。二階氏の秘書は、政治資金収支報告書に記載せず、寄付の合計額を虚偽記入したとして略式起訴され、罰金100万円と公民権停止3年が先月確定している。
また、二階氏は幹事長時代に党から政策活動費として5年間で50億円を受け取っているが、その使い道についてはいまだに明確な説明がなされていない。
「 二階氏は3月25日、党本部で記者会見を開き、“政治不信を招いた”責任から次の衆議院選挙に立候補しないと表明していますが、実際のところは息子に地盤を世襲するための”出来レース”とみられています。不出馬を理由に党から何の処分も受けていない上に、責任も果たさずにあからさまな世襲となれば、世間の不興を買うのは当然でしょう」(政治部記者)
二階氏は今回新和歌山2区に編入される3区で立候補してきたが、当時から「二階王国」とされるほどの強固な支持基盤を持つ。
世襲議員に対する風当たりも強い昨今。裏金問題を意に関せず、出馬を決めたような態度にネット上では嫌悪感が噴出した。
《50億の脱税発覚で辞職するから倅が出馬ってこんな馬鹿な話あるかよ》
《すごい鈍感力。親子ともども何があろうと投票してもらえると思っている。ある意味和歌山の人たちバカにされてるよ。早く気づこう》
《結局、不出馬しても何も変わらないのではないか。出馬はしないというのは一つのけじめとして良いとは思うが、結局政界への未練が消えてないのがわかる。二階さんにはまだまだ説明の責任など果たすべきものはたくさんあり疑問が残るままなのに、息子に継承させるさせようとしてるのが違和感》
《政党支部引き継げば、相続税も掛からない。裏金丸々だな》
《自民党は腐りきっている だから、 恥ずかしげも無くこんなのが出て来る 出るんなら、オヤジの50億の使い途をキチンと喋るのが真っ当な国民への『スジ』だろ》
●森喜朗・小泉純一郎両元首相は経緯明かし自らケジメつけよ$エ和会の裏金問題 戦後レジーム終焉へ日本維新の会を誘導せよ 5/16
岸田文雄首相は内閣支持率の回復と、野党候補者の擁立遅れを見て、「6月の衆院解散」を視野に入れている。だが、11月の米大統領選の後、新大統領のもとでの外交を見定めてからがいいと思う。
また、皇位継承問題でせっかく方向性が見いだせたのに、衆院選で立憲民主党に「女系継承」へ向けて争点化するチャンスを与えるべきではない。
自民党は、清和政策研究会(清和会)の裏金問題の処理を誤って、政権維持すら危うくなっている。問題の発生経緯を徹底調査せず、責任をしかるべき人が取らなかったからだ。
月刊「文藝春秋」6月号の「森喜朗元首相『裏金問題』真相を語る」で、発生経緯の輪郭が見えてきた。1990年代から清和会事務局や秘書たちの間で徐々に拡大したが、その全容は森氏や小泉純一郎元首相など歴代会長も知らなかったというのだ。
キーマンだった元事務局長は故人である。ただ、関わった政治家や秘書の多くは元気なのだから、徹底的に第三者委員会がヒアリングして経緯を復元すべきだ。
そのうえで、森、小泉両氏が記者会見をして、制度が出来上がった時期の会長として謝罪し、「離党」や「元総裁としての栄誉の辞退」などをすべきではないか。
森氏は、塩谷立座長(自民党離党)に全責任を引き受けて議員辞職したら「光り輝くと思うよ」と言ったそうだが、塩谷氏からすれば、その言葉は森氏に返したいと思ったはずだ。
私は自著『日本の総理大臣大全』(プレジデント社)などで、森氏を首相として高く評価してきた。「アンチ森」ではまったくないが、自民党と若い議員のために、森氏には決断してほしいのだ。
小泉氏が清和会会長だったことを、みんなが忘れているのもおかしい。小泉氏がここで格好良く、森氏とともにケジメをつけたら、「清和会を救った人」として評価され、小泉進次郎氏の総理への道は大きく開けるだろう。
他の政党との関係では、政治資金改革については、公明党の意見を丸呑みしたらいい。本当は、自社さ政権で社会党の村山富市氏を首相にして自民党が復活できた故事に倣って、山口那津男代表に次期首相を引き受けてもらえるなら、その方がいいくらいだ。
それから、日本維新の会が立憲民主党に代わって野党の中心になれるように誘導すべきだ。
安倍晋三内閣では、手ごわかった希望の党を恐れて衆院選で集中攻撃したことで、立憲民主党を野党第一党にしてしまい「55年体制の清算」や「憲法改正」が遠のいた。維新が野党第一党にならないと、「戦後レジーム」は終わらない。
●元官房長官が「官房機密費を選挙に使った」と証言!自民党座長の「選挙目的で使うことはない」という言葉の軽さ〜首相官邸が領収書不要で使える権力の源泉、少なくとも一定期間後は使途を公開する制度に改めるべきだ 5/16
自民党政権の中枢にいた元官房長官が中国新聞の取材に匿名で「官房機密費を国政選挙の陣中見舞いに使った」と証言した。
官房機密費は官房長官が管理し、領収書不要で使える「合法的な裏金」だ。本来は外交安全保障など国家機密のために使用する目的で認められているものだ。選挙という党利党略に使用されているとすれば、明らかな目的外使用である。
自民党の派閥の裏金に続いて、首相官邸の裏金にも、批判が向かい始めた。
官房機密費は毎年約12億円が計上され、毎年ほぼ使い切られている。歴代最長の官房長官だった菅義偉氏は在任7年8ヶ月で90億円近くを使った。その使い道はすべてブラックボックスだ。
私は朝日新聞政治部に着任した1999年、首相官邸を担当し、当時の事務の官房副長官に機密費について尋ねたことがある。彼は「機密費は官房長官室の金庫に常に数千万円は保管されている。機密費を使うと翌朝には元の金額に補充されている」と教えてくれた。まさに「打ち出の小槌」だ。
外交安全保障など国家機密に使用という名目だが、実際は選挙や国対など政治工作、マスコミなど世論対策に使われているのは間違いない。首相と官房長官の権力の源泉といっていい。
今回、中国新聞に匿名で証言した「元官房長官」は、麻生内閣で官房長官を務めた河村建夫氏とみられている。自民党二階派に所属した大物文教族議員だった。麻生氏も文教族で、自らの政権の要職を文教族で固めた。河村氏とも文教族として親しかったのだ。
だが、河村氏は岸田政権下で、地元・山口で衆院鞍替えを目指す岸田派の林芳正氏(現官房長官)との山口3区公認争いに敗れ、政界引退に追い込まれた。長男に国会議員を受け継ぐため、比例中国ブロックの上位に押し込むことを目指したがかなわず、長男は比例北関東ブロックの下位に位置づけられ、落選した。この後、長男は自民党を利用して維新から東京6区で出馬する予定だ。
河村氏はこうした経緯から岸田政権への怨念を募らせており、今回の「暴露」は意趣返しとの見方は少なくない。とはいえ、官房機密費を扱う官房長官経験者の証言とすれば、信憑性は高いとみていいだろう。
官房機密費が首相や官房長官の権力の源泉なら、自民党から幹事長に年間10億円支給される政策活動費は幹事長の権力の源泉だ。いずれも領収書不要で自由に使える「合法的な裏金」といってよい。
二階俊博元幹事長が5年で50億円の政策活動費を受け取り、その使途が明らかにされていないことは、世論の批判を浴びた。官房機密費も政策活動費も使途が一切公開されないのは、あまりに歪んだ制度である。世論の怒りが沸騰するのは当然だ。
火に油を注いだのは、自民党で政治資金規正法改正案をまとめる座長になった鈴木馨祐衆院議員のNHK日曜討論での発言だった。官房機密費について「選挙目的で使うことはない。断言する」と明言したのだ。
そもそも領収書不要で使途が明かされない機密費について、「選挙目的で使うことはない」と明言しても立証のしようがない。それを「断言する」と言い切ること自体、鈴木議員の言葉の軽さは否めない。
しかも鈴木議員は官房長官や官邸の要職を経験していない。それなのになぜ、断言できるのか?
さすがにこの発言には批判が噴出した。このような言葉の軽い政治家が改正案をとりまとめる実務責任者というだけで、自民党のやる気のなさがにじんでくる。
諸外国でも機密費は存在する。しかしその多くは20年とか30年とかしたら公開されることになっている。そこで使途に一定の歯止めがかかるのだ。日本の場合は永久的に使途は公開されない。だからこそモラルが崩壊して党利党略・私利私欲に使われることが常態化しているのではないのか。少なくとも一定期間が過ぎた後は使途を全面公開する制度に改めるべきである。
●エネルギー計画 脱炭素の道筋 見誤るな 5/16
経済産業省が、新しいエネルギー基本計画についての議論を始めた。2040年度の電源構成の目標を盛り込む見通しだ。世界的な急務である脱炭素への道筋を歩むには、省エネと再生可能エネルギーの拡大を大胆に進める目標を掲げ、実現に向け施策を深掘りする必要がある。
今の基本計画は21年につくられた。その後、気候危機は深刻さを増し、脱炭素に向けた流れは強まった。ロシアのウクライナ侵略に伴ってエネルギー安全保障に注目が集まる一方、人工知能や半導体産業の興隆が電力需要を増やす予想もでてきた。
この状況下で、何よりも急ぐべきは化石燃料依存からの脱却だ。だが、日本の22年度の電源構成は火力に73%を頼り、再エネは22%にとどまる。現行計画は30年度の目標を火力41%、再エネ36〜38%としていたが、再エネをもっと増やす目標を掲げ、政策資源を集中させるべきではなかったか。
ましてや40年度は、政府が温室効果ガスの排出実質ゼロを目指す2050年が10年後に迫る段階だ。国際エネルギー機関は脱炭素に向け50年に世界の電源構成の89%を再エネにする見通しを示す。そうした道筋と整合的な計画にできるかが問われる。
太陽光や風力、蓄電池はコスト低下が急速に進む。日本は平地は少ないが、耕作放棄地や屋根上、排他的経済水域を含む海上など、適地は十分掘り起こせる。地域間で電気を融通する連系線の増強に加え、ビルの壁面に使える次世代太陽電池や浮体式洋上風力発電の産業化も急務だ。
今回は、岸田政権が原子力発電の「最大限活用」に方針転換した後の、最初の計画見直しでもある。
現行計画は30年度の原子力比率を20〜22%としたが、22年度実績は6%だ。東京電力福島第一原発事故後、原発への国民の不信感は根強く、電力会社の不祥事もあって再稼働は進んでいない。
安定供給を考えれば、原発を直ちにゼロにはできないとしても、現行計画まで辛うじて維持されてきた「原発依存度を可能な限り低減する」との方針は、震災後の日本のエネルギー政策の原点だ。投げ捨てることはあってはならない。原発は核のごみなどの難題も抱え、安全対策費の増加で経済性も落ちている。
だが、きのう開かれた有識者会合の初回では、早速、産業界の委員らから原発の新増設を求める声が相次いだ。原発推進ありきではなく、幅広い意見聴取を通じて議論を深めるよう、強く求めたい。
●原発推進派を集めて「エネルギー基本計画」議論スタート 「関係者だけで決めるのか」…批判に政府の反論は? 5/16
経済産業省は15日、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会(分科会長・隅修三東京海上日動火災保険相談役、委員16人)を開き、「エネルギー基本計画(エネ基)」を見直す議論を始めた。岸田文雄首相は、福島第1原発事故後は封印してきた原発の新増設などを進める方針に大転換、新計画に明記するかが焦点となる。推進派が大半を占める分科会の委員から早速、原発推進への回帰を求める意見が上がり、新計画が後押しする恐れがある。
   エネルギー基本計画 
エネルギー政策の中長期的な方向性を示す国の指針。エネルギー政策基本法に基づいている。2003年10月に最初の計画が閣議決定された。およそ3年ごとに見直され、政府が目標に掲げる50年までの温室効果ガス排出ゼロを踏まえた電源構成などが示される。21年10月に閣議決定された現行の第6次計画では火力41%、再生可能エネルギー36〜38%、原発20〜22%、水素・アンモニア1%。
資源エネルギー庁「バランスのとれた委員構成だ」と反論
エネ基は3年をめどに改定。政府は新計画を本年度内に決める方針を示している。初日から「大量の電気を安定供給できる」(黒崎健・京都大複合原子力科学研究所所長)など、原発の再稼働や新増設を求める声が相次いだ。欠席した委員の杉本達治・福井県知事も「将来の原子力の必要な規模とその確保に向けた道筋など原子力の将来像をより明確にする必要がある」との意見書を出した。
議論の行方に影響する委員構成を巡っては、原発推進の委員に偏っているとの指摘があり、若者らでつくる環境活動団体が15日、経産省前で多様な意見を取り入れるよう訴えた。これに対し、資源エネルギー庁の担当者は「幅広いテーマを審議するのにふさわしい学識経験者や専門家が参加している。バランスのとれた委員構成だ」と反論した。
現行計画「原発依存度は低減」 → 岸田政権「最大限活用」
2021年10月に策定した現行計画では、30年度の電源構成の目標を示し、うち原発は20〜22%を占める。「可能な限り(原発)依存度を低減する」と明記し、増設やリプレース(建て替え)を進める文言は盛り込まれていない。
だが、21年10月に発足した岸田政権は現行計画を反故(ほご)にするかのように、11年の東日本大震災前の原発推進に回帰している。22年6月に閣議決定した政府の経済財政運営の指針「骨太方針」でも、原発事故後では初めて「最大限活用する」と明記した。
脱炭素社会実現に向けた産業転換などを議論する「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」では、首相自ら議長に就任。23年2月には、原発の60年超運転や次世代型原発への建て替えを柱とする基本方針を閣議決定した。
今回の見直し議論では、40年度を見据えた電源構成など原発の位置付け以外にも、二酸化炭素(CO2)の排出が多い石炭火力の扱い、再生可能エネルギーの推進、人工知能(AI)の普及に伴う電力需要の増加への対応も焦点。電力の安定供給と脱炭素をどう両立するかも大きな課題だ。
13日には、40年の脱炭素や産業政策の方向性を示す国家戦略「GX2040ビジョン」を年内にも策定すると発表。エネ基の改定と並行して、原発推進にお墨付きを与える懸念がある。
「原発リスクの影響を長く受けるのは若者だ」環境団体が訴え
エネルギー基本計画(エネ基)の見直しが始まるのを受け、20〜30代を中心とした環境活動団体のメンバーらが15日、経済産業省前で、原発と化石燃料に依存した現行のエネルギー政策からの脱却を呼びかけた。
経済産業省の前で声を上げる参加者たち=15日、東京・霞が関で(木戸佑撮影)
経済産業省の前で声を上げる参加者たち=15日、東京・霞が関で(木戸佑撮影)
参加者は、分科会委員の大半が原発を推進する立場であると批判。「気候変動や原発リスクの影響を長く受けるのは高齢世代より若者だ」と、若者や女性、原発被災者らの声も聞くべきだと訴えた。
また分科会開催が直前に公表されたことに「関係者だけで決めようとしているのでは」と批判。「安全な未来のため、原発や化石燃料でもうかる世の中を変えよう」と周囲に訴えた。
デモを呼びかけた環境団体「350.orgジャパン」の伊与田昌慶さん(37)は「暮らしや環境に直結する大事な会議なのに、世の中の反応が薄い。再生可能エネルギーへの本気の移行を求め、危機感を持って声を上げていきたい」と話した。
●岸田「1強」政権の行方:9月の総裁選出馬のシナリオも 5/16
4月の衆院補選で惨敗した自民党。岸田政権の支持率低迷は明らかである一方、党内のほとんどの派閥が解散したことで、政局の行方は不透明な状態が続いている。
補欠選挙での自民党惨敗
4月28日に3つの選挙区で衆議院補欠選挙が行われた。唯一の与野党対決となった島根1区では立憲民主党の亀井亜紀子氏が自民党の錦織攻政氏を破って当選した。同区は保守勢力が強く、小選挙区比例代表制の導入後は一貫して自民党が議席を維持してきていたが、今回初めて議席を失った。長崎3区、東京15区で自民党は候補者を擁立せず、不戦敗を選んだ。長崎では立憲民主党の山田勝彦氏が、東京では立憲民主党の酒井菜摘氏が当選した。
自民党は全敗し、岸田政権は打撃を受けた。選挙結果の背景には政治資金をめぐる自民党の不祥事への国民の反発がある。不祥事が大きな要因となって、昨年末から岸田内閣への支持が低迷している。4月のNHKによる世論調査の支持率は23%で、半年続けて20%台にとどまった。
本稿ではこの不祥事について改めて説明し、これが日本の権力構造に及ぼした影響について議論する。その上で、今後の政治の展望について議論する。一言で言えば、皮肉なことに、今回の不祥事がきっかけとなってほとんどの自民党の派閥が解散を決めたため、政権内の岸田文雄首相の権力がかえって強まることになってしまった。岸田「1強」である。これが今後の展開を不透明にしている。そこで2つのシナリオを示すことにする。
政治資金問題
政治資金問題が明るみになるきっかけは、2022年11月の「しんぶん赤旗」日曜版のスクープだった。安倍派、岸田派、茂木派、麻生派、二階派が18年から20年にかけてのパーティー券売り上げ収入を総額2422万円分、政治資金収支報告書に記載していないと報じた。政治資金規正法のもとでは、パーティー券売り上げによる収入は政治資金収支報告書に記入しなくてはならない。この報道を踏まえて神戸学院大学の上脇博之教授が、東京地検に18年から21年の政治資金収支報告書に5派閥がパーティー券収入を4000万円分少なく記載し、政治資金規正法違反の疑いがあると告発する。
23年12月には、安倍派がノルマを超えたパーティー券を販売分を議員側に還流し、派閥の支出としても記載しない「裏金」としていた疑惑が報じられる。さらに松野博一官房長官をはじめとする同派の幹部6人が資金還流を受け、政治資金報告書に記載していない疑いも指摘される。
12月19日に東京地検は強制捜査に着手し、今年1月19日に捜査を終えた。この結果、池田佳隆衆議院議員、大野泰正参議院議員、谷川弥一衆議院議員の3人と各議員の秘書、安倍派会計責任者、二階派会計責任者及び二階俊博元自民党幹事長の秘書、岸田派会計責任者が立件された。安倍派や二階派の幹部は起訴されなかった。検察によると、2018年から22年の間に安倍派はノルマ超過分6億7500万円を収入として記載せず、支出分と合わせて記入しなかった政治資金総額は13億5000万円に達した。二階派の場合、2億6400万円を収入として報告せず、支出分を併せて3億8000万の政治資金の収支を記載しなかった。また、岸田派は18年から20年の間に収入3000万円を記載しなかった。
一方、自民党は2月2日から安倍派や二階派の現職議員82人と選挙区支部長3人、他派閥・グループ責任者6人に対する聞き取り調査を始め、15日に報告書を公表し、18年から22年までの不記載額が総額で5億7949万円に上ることを認めた。還流が始まった時期について、報告書は安倍派議員が「おそらく30年くらい前からの慣習が残ってしまったのだと思う」「二十数年前の当選後に先輩から聞いたような記憶がある」と回答していることを明らかにしている。
真相は闇の中に
真相解明を求める世論が大きいことに応え、2月末から3月中旬まで政治倫理審査会が開かれ、首相や安倍派幹部が出席する。しかし、還流が始まった経緯が明らかにされることはなかった。また、安倍派が安倍晋三会長の意向で2022年4月に還流を止めると決めたにもかかわらず、還流を続けた経緯もうやむやのままに終わった。同派座長だった塩谷立元文科相が、8月に派閥幹部が開いた会合で、「困っている人がたくさんいるからそれでは継続でしょうがないかなというそのぐらいの話し合いの中で継続になったと私は理解」していると証言したものの、出席していた他の幹部は会合での決定を否定した。また、還流を受けていた議員はいずれも、秘書に責任を転嫁し、その事実を知らなかったとの説明を繰り返した。
自民党は4月4日、この問題で39人の議員に対する処分を発表する。塩谷氏と、参議院安倍派会長だった世耕弘成元経産相が離党勧告に、同派会長代理だった下村博文元文科相、同派事務総長だった西村康稔前経産相の3人が1年間の党員資格停止に、同派事務総長だった高木毅前国対委員長が6カ月の党員資格停止となった。派閥幹部以外で未記載額が500万円以下だった議員は、処分の対象とならなかった。
岸田「1強」
政治資金をめぐるこの不祥事は、日本の権力構造にどのような影響を及ぼすのだろうか。
重要なのは、この問題を受けてほとんどの派閥が解散を決めたことである。1月18日に岸田首相は岸田派の会計責任者が立件されることが報じられると、19日に同派の解散を表明する。同じ日に安倍派および二階派も解散を決定、25日に森山派、4月17日には茂木派も解散を決める。活動を続ける考えなのは麻生派だけである。
首相は支持率の低下に悩まされている。しかしながら、派閥の解散によって、党内での権力は逆に拡大し、「岸田1強」の状況が生まれた。
衰退していた派閥の終えん
派閥解散の持つ意味を理解するためには、1990年代以降の政治制度改革により日本の権力構造が変容してきた文脈の中で、今回の事象を考えることが必要である。
1994年に細川内閣が政治改革を実現し、選挙制度は中選挙区制から小選挙区・比例代表制に変更された。また、政治資金に対する規正は大幅強化された。その結果、自民党の派閥は衰退していく。
中選挙区制のもとで派閥は強い自律性を持ち、首相の指導力を制約した。派閥が抵抗した場合、首相はこれに対抗する力をあまり持っていなかった。中選挙区制のもとでは無所属として当選することが容易であり、首相は公認権によって派閥をけん制することができなかった。この結果、首相の閣僚人事権は大幅に制約されることになった。首相は各派閥から政権への協力を得るために閣僚ポストを派閥に配分し、閣僚を選任する際に派閥からの推薦を尊重しなくてはならなかった。また、派閥は企業献金を中心に、巨額の政治資金を集めることができた。
小選挙区・比例代表制が導入で、首相と派閥の関係は逆転する。小選挙区での公認候補は1人に限られるうえ、無所属での当選は難しい。このため、首相は公認権を利用して派閥を掣肘(せいちゅう)できるようになる。また、政治資金への規正が強められた結果、派閥が獲得できる政治資金は大きく減った。
閣僚人事において以前ほど派閥に忖度する必要がなくなり、首相は大きな裁量権を行使できるようになった。例えば、小泉純一郎首相は閣僚人事の際に派閥推薦を受け付けなかった。安倍晋三首相も無派閥や自分が所属した町村派・細田派から多くの閣僚を起用した。総裁選でも派閥はかつてのような結束力を持たなくなる。
55年体制では基本的に、各派閥の領袖は総裁選に出馬した。また、それぞれの派閥は総裁選で1人の政治家への支援を集中するのが常であった。
ところが、政治改革以降の総裁選では1つの派閥から2人の政治家が出馬するという場合も出てくる。例えば、1998年7月の総裁選には小渕派から小渕恵三外相と梶山静六前官房長官が出馬する。また、2009年9月の総裁選でも町村派から町村孝元官房長官と安倍氏が出馬した。また1つの派閥が複数の候補者を支援することも起こる。例えば、08年の総裁選で町村派は麻生太郎幹事長支持派と小池百合子元防衛相支持派に分かれる。20年の総裁選でも麻生派は岸田氏と河野太郎ワクチン担当相の2人の候補者の支持を打ち出す。今回の派閥解散はこうした長期的な流れで起きた。
ほとんどの派閥が解散を決めたことにより岸田首相の党内の力は高まった。力を低下させていたとはいえ、派閥は一定の影響力を持っていたからである。特に最大派閥だった安倍派は、解散に加えて幹部が処分の対象となったことで、力を激減させてしまった。
見通せない総裁選の行方
このため、今後の政治の展開、特に9月に予定される自民党総裁選の行方を見通すことが難しくなっている。
まず考えられるシナリオは、政権支持率の低迷が今後も続き、この結果、ほぼ1年以内に総選挙が行われることを踏まえ、岸田首相が出馬を断念することである。
総選挙が迫っていた2021年9月の総裁選では、菅義偉首相は世論の支持低迷から出馬断念を余儀なくされた。しかし、岸田首相が今回同じような判断を迫られるかははっきりしない。
そこで二番目のシナリオを考えたい。このシナリオでも支持率は低迷することを想定する。しかし、首相は総裁選出馬を決断し、再選を果たす。菅氏の場合には岸田氏が有力な対立候補となり、岸田派という支援勢力も存在した。現在も河野太郎デジタル相、高市早苗経済安保担当相、さらには上川陽子外相など総裁候補と目される政治家はいる。しかし、21年との違いは、こうした候補者を総裁選で支援するために議員らが結集できるかどうか不透明だということだ。
凝集力がなくなったとは言っても、派閥は一部の自民党の政治家が結集する場を提供していた。しかし、議員たちのまとまりはより難しくなった。この場合、自民党は次期総選挙を岸田首相の下で戦うことになる。ただ、総選挙への展望は決して明るくない。
世論調査から判断すると、政治資金不祥事問題への岸田政権・自民党の対応に、国民は大きな不満を持っている。3月の朝日新聞世論調査によれば、回答者の90%が「関係する派閥の幹部の説明」は「十分ではない」と考えている。4月の読売新聞調査では、自民党の処分に69%が「納得できない」と思っており、岸田首相が処分されなかったのは妥当でないと64%が考えている。
補欠選挙の夜、ある自民党の議員は次のように語ったという。「自民党にとって一番盤石だった島根という砦で完敗したというのは、単純に言えば全国ほとんどすべての選挙区で負けるということでしょ。大変な衝撃ですよ」
権力者は地位を維持したがるもの
岸田内閣が国民の信任を失っている場合、今後、支持率を回復させることは難しい。ただ、党内での強さと世論からの支持の弱さのギャップが、今後の展開を極めて不透明にしている。そもそも政治学の通説では、再選を目指すことが議員の最大目標である考えられているように、権力者はその地位を維持することを欲するものである。
●税金5兆円がドブに! 少子化改善の超ムリゲーを押しつけられた「こども家庭庁」という不幸 5/16
子ども・子育て支援金「実質負担ゼロ」のまやかし、グダグダ答弁でさらされた担当大臣のポンコツっぷり、巨額の税金を投入も、期待薄な「加速化プラン」......。政府が進めている少子化対策が批判を浴びている。その中心にいるのは昨年発足したばかりの「こども家庭庁」だ。なぜ、ここまでグダグダなのか。WそもそもWから調査した!
「実質負担ゼロ」のまやかし
総額1兆円の子育て支援金制度の創設などを盛り込んだ少子化対策関連法案が衆院で可決されたのは4月19日のこと。
これで岸田文雄首相がぶち上げた「異次元の少子化対策」を具体化する「加速化プラン」の財源(3.6兆円)確保にめどがつき、少子化対策や子育て支援の司令塔として2023年4月に発足した「こども家庭庁」も本格的に始動することになった。
その総予算は5兆2832億円(24年度)。内閣府の外局扱いながら、文科省並みの予算規模を誇る実力官庁に成り上がった。
日本の少子化は危機的で、23年の出生数は前年比5.1%減の75万8631人と過去最低を記録。このままだと約50年後の日本の総人口は8700万人、生産年齢人口(15歳〜64歳)に至っては4500万人にまで減少する見込みだ。国力のダウンは避けられず、まさしく日本にとって少子化問題は「静かなる有事」だ。
その意味で、この問題に立ち向かうこども家庭庁の本格始動は歓迎されてもよいはず。ところが、聞こえてくるのは不評の声ばかり。いったい、どういうことなのか? 自民党国会議員秘書がこう言う。
「支援金1兆円は医療保険料に上乗せして徴収されることになっており、その負担額は国民ひとり当たり月500円弱。歳出改革によって社会保険料の増加を抑えること、賃金が増加することで実質的な国民負担はゼロになるというのが政府の説明でした。
ところが、いざ国会で審議が始まると、年収400万円の被用者保険加入者で月額650円、年収600万円で月額1000円、年収1000万円では月額1650円(28年度)になることがわかりました。岸田首相が、どう言い繕っても、『事実上の子育て増税』と言ったほうが正しいでしょう」
内閣府関係者も苦しい胸の内をこう明かす。
「実質負担ゼロという岸田首相の説明を聞いたとき、大丈夫かなと心配していました。実は歳出改革はとっくにやっていて、社会保障費も2009年以来、毎年1600億円規模の出費を抑制しています。
実質負担ゼロを実現させるにはこの1600億円に加えてさらなる出費抑制が必要で、本当にそんなことができるのかと危ぶんでいました。なぜなら、出費抑制は国民が受ける社会保障サービスの縮小につながるからです。
実際、政府部内で新たなメニューが検討された様子はない。実質負担ゼロの説明が批判にさらされるのは時間の問題でした」
岸田首相が「異次元の少子化対策をやる」と唐突に言い出したのは23年1月の年頭記者会見でのことだった。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう指摘する。
「その直前の22年11月にGDP(国内総生産)比2%規模の防衛費実現のために増税を打ち出したことで、岸田首相は『増税メガネ』などと揶揄され、内閣支持率もダダ下がりしました。『異次元の少子化対策』はその不評を挽回しようと、生煮えのまま出した政策だったんです。
ただ、財源確保のためにまた増税するのでは批判が再燃しかねない。そこで医療保険料に入れ込む形で徴収し、しかも歳出改革などで実質負担ゼロになるという説明で世論を丸め込もうとしたというわけです」
結婚できない人への支援はなおざり
岸田政権は今後6〜7年間を「少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と想定、今後3年間にその具体策として「加速化プラン」を実施すると発表した。
そのプランは主に以下のようなものだ。
・児童手当の拡充(対象を高校生までに拡大、第3子以降の給付額倍増、所得制限の撤廃など)
・出産費用の保険適用
・育休給付額の引き上げ
・親の就労を問わず、保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度」の導入
・妊娠、出産後に計10万円相当を支援する「出産・子育て応援交付金」の恒久化
・高等教育費の負担軽減
一見、出産、子育てを手厚く支援する政策に見える。だが、少子化問題に詳しい独身研究家・コラムニストの荒川和久氏がこう首を振る。
「少子化対策としては的外れのメニューばかりです。なぜなら、子育て支援が中心で、結婚や出産を希望しながら経済的理由などからそれが実現できない『不本意未婚者』への支援策がほとんどないからです。
婚姻数を増やし、出生数を増やしたいのなら、すでに結婚できている人々への支援でなく、未婚者の40%を占める不本意未婚者への支援―結婚できると安心できるだけの十分な雇用と可処分所得を用意すべきです。
なのに、加速化プランにはそうしたメニューがない。これでは、いくら巨額の税金をつぎ込んでも、出生数が上向くことはありません」
ちなみに、5年ごとに政府が作成する少子化社会対策大綱でも、その冒頭に少子化対策の肝は「若者の結婚、出産への希望を実現することであり、そのために若者の雇用、経済基盤の安定が不可欠」と明記されている。
本質的な対策はわかっているのに、腰が重い。その理由のひとつは、こども家庭庁の出自に関係しているのかもしれない。
同庁は当初、子供のための政策を一元的に行なうことから「こども庁」としてスタートするはずだった。しかし、いざふたを開けてみると「家庭」の2文字が追加され、現在の名称になったという経緯がある。
「名称変更の背景には子育ては母親が担うものという考え方に代表されるような伝統的家族観を重んじる自民党右派の圧力があったとされています。これにより、こども家庭庁は子供支援だけでなく、家庭支援にも力を入れざるをえなくなった。
加速化プランの支援メニューが結婚できない若者個人より、すでに家族を形成している子育て世帯に手厚いものになっているのには、こうした名称変更の経緯が微妙に影を落としている気がします」(全国紙政治部デスク)
少子化対策の司令塔になるはずが......
どうにもパッとしない岸田政権の少子化政策だが、そのダメさ加減に拍車をかけるものがある。こども家庭庁の軽さ≠ニ担当大臣のポンコツぶりだ。前出の鈴木氏が言う。
「少子化対策は国家百年の計ほどの重みがある政策。本来は、岸田首相はこども家庭庁に厚労省や文科省など、これまでバラバラに子供政策を所管していた各省に横串を刺して子供政策を一本化できるくらいの強い権限を持たせるべき。
なのに、実際には各省庁の調整役くらいの役割しか与えられていない。どうにも首相の本気度が感じられません」
前出の自民議員秘書もうなずく。
「こども家庭庁が各省庁でバラバラに囲い込んできた子供関連政策をまとめて行なおうとしてもその権限もない。できるのは各省庁に改善を求める勧告を出すくらいです。
例えば、保育所(厚労省)、幼稚園(文科省)、認定こども園(内閣府)と管轄がいくつかの省庁に分かれていた保育制度。こちらは加速化プラン策定のプロセスで保育所と認定こども園は幼保一元化され、こども家庭庁が一定の采配を振るえるようになった。
ただ、幼稚園を抱える文科省とは連携止まりで、こども家庭庁の影響力は限定的なまま。とてもではないが、少子化対策の司令塔とは言えません」
せめて大臣が実力者で、各省庁に乗り込んでビシバシと注文をつけるくらいのことをしてくれればいいのだが、こちらも期待できそうもない。
昨秋の内閣改造で抜擢された加藤鮎子こども政策担当大臣が国会でしどろもどろの答弁しかできず、こども家庭庁の軽量ぶりを際立たせているためだ。
前出の内閣府関係者がこう嘆く。
「自分の言葉で答弁できないどころか、官僚の用意したペーパーですらまともに読み上げられない。答弁に窮した挙句、後席に控える事務方のアドバイスを聞くため、自席に2度、3度とUターンすることもしばしばです。
質問内容と違う答弁を棒読みし、議場に失笑が広がったこともあった。トップがこの体たらくでは、こども家庭庁は浮かばれません」
このため、こども家庭庁では大臣のサポートをしなければいけないと鮎子シフト≠ネるものが敷かれたという。
「大臣後席でスタンバイする事務方だけでは足りず、大臣席から答弁席までの通路席にも事務方が配置されました。通過中の加藤大臣とアイコンタクトし、答弁内容を追加で耳打ちするためです。私はこの配置を個人的に鮎子シフトと呼んでいます。
ただ、これだけの努力をしても加藤大臣の答弁力はさっぱり向上する気配がない。加藤大臣のお守り役をする事務方は皆、疲弊しきっています」
ゼロベースからの体制の見直しを
ただ、こども家庭庁のような少子化対策を扱う官庁が脚光を浴びるチャンスは乏しいという声もある。前出の荒川氏が指摘する。
「子育て支援では出生減は改善できません。その証拠に家族関係政府支出のGDP比が日本よりも高い欧州諸国でも、30兆円もの予算を子育て支援に投じてきた韓国でも、出生率も出生数も近年下がり続けている。子育て支援の予算を増やせば出生数が増えるというエビデンスは世界のどこにもないんです」
加えて少子化は確定した人口動態であり、どんなインパクトのある少子化対策を打ち出してもすぐには出生率アップにつながらないという現実がある。
「いま生まれた赤ちゃんが大人になって結婚、出産するのは早くても20年後のこと。少子化対策の効果が出るのは20年、30年先の遠い未来であり、それまでは人口は減り続けます」
つまり、少子化対策は短期的には誰が何をやってもクリアができない、ムリなゲームをしているようなものなのだ。その意味で、こども家庭庁が挑もうとしている向こう3年間の加速化プランも、のれんに腕押しに見える。
成果に期待できない以上、こども家庭庁が持てはやされることはないだろう。それどころか、酷評にさらされる恐れすらある。荒川氏が続ける。
「新たな負担をもたらす支援金制度の創設は少子化対策として逆効果。可処分所得が少なくて結婚をためらう若年者にさらなる経済負担を強いるわけですから。これでは『結婚して子供を持とう』という若者の意欲をそぐだけで、むしろ少子化が進むだけです。
3.6兆円もの公金をつぎ込む加速化プランが子育て支援に偏り、少子化対策として的外れで無駄遣いに終わりかねないことを考えれば、むしろこども家庭庁は害悪な役所。廃止も考えるべきでしょう」
前出の内閣府関係者がぽつりとこう語る。
「子育て支援策が少子化対策にならないことは人口減に悩む先行国の経験から官僚たちもよくわかっている。上乗せとはいえ、医療保険料を目的外の子育て支援に流用するやり方も良くないとわかっている。こんなおかしなことをするために官僚になったわけではない。こども家庭庁で働く300人の事務方の多くはそう悩んでいるはず。
ただ、国民に選ばれた議員から方向性を指示されたら事務方としてはそれに沿った政策ペーパーを作るしかない。なんだか、むなしい気持ちでいっぱいです」
少子化対策がそもそもムリゲーなら、こども家庭庁の総予算5兆円超はドブに捨てるようなもの。庁の体制、加速化プランのメニュー、財源確保のあり方など、もう一度ゼロベースから検討すべきではないか?
●2026年にはトヨタの新車の2割が電気自動車になる?「化石燃料をガンガン燃やしてEVを作っている」世界の自動車市場の矛盾 5/16
修理もできないEV車は使い勝手が悪い!
──トヨタが2026年にヨーロッパの新車販売の2割を電気自動車にするという記事を読みました。EVは今後、自動車産業の主流になるのでしょうか。
欧州はいまやEV中心だから、トヨタもビジネスということではやむを得ないんでしょう。率直に言うと私もEVに興味があることはあるんですよ。ただ、現状だとEVは故障した時に修理ができないなというのが気になるんです。
はっきり言うとEVは巨大なスマホみたいなものだから、直すといっても、地元のディーラーにはできませんよ。部品を修理・交換というわけにはいかないでしょう。どこか調子が悪いと、すべて新しくしなければならない。全取っ換えですよ。そこがいつもちょっと気になっている。
だから、いくら補助金が出たって中国のEVを買うつもりはいまのところ、まったくないよ。だって国内のディーラーがきちんとしているならまだしも、中国製はそもそもすぐ壊れそうじゃない。そうしたら全損というか、新しいクルマに替えてくださいと言われるのがオチでしょう。
私はスマホを分解して直す時もあるくらいなんだけど、それでもここはちょっと難しいなというところはけっこう多いし、基板をやられていたら、まず無理。全取っ換えになっちゃうんだよね。さっき言ったように、私にとってはEVってスマホのようなものという認識だから、アフターサービスがきちんとしている日本製ならいざしらず、海外のものは冒険というか、やはり買う気にはならないですね。
にもかかわらず、どうしてEVに興味があるかというと、私の家は実はZEHという仕様でね、それはNet Zero Energy Houseの略で、つまり「エネルギー収支がゼロ以下の家」という意味です。屋上に太陽光パネルが並んでいて、太陽光発電で家の電力はほぼ賄える。これに断熱とか省エネとかをプラスしてね。
ところが、夜になるとこれがうまくいかなくて、蓄電池が必要になる。そこで実は、EVは蓄電池の代わりができるんですよ。というか、もともとEV車自体、蓄電池のようなものだからね。その意味でちょっと興味があるわけ。
でも、都心のZEHマンションには資産性があるとか言って宣伝しているけれど、集合住宅だと権利関係がけっこう大変だと思いますよ。私のウチは戸建てだから問題ないけれど、太陽光発電の電力の発電を各戸にどう配分するかという問題があるでしょう。
各戸に平等に配れればいいけれど、それなりに発電のコストがかかっているわけだからね。そもそもマンションってほとんどが高層建築でしょう。一戸建てなら屋根の上に太陽光パネルの広いスペースをとれるけれど、ビルのようになったら、体積に比べて屋根や屋上の面積は相対的に小さくなっちゃう。たぶん共用部分の電力しか賄えなくて、共益費が少し安くなるレベルじゃないかな。
戸建てならEVが蓄電池代わりに使えたとしても、ZEHマンションだとそうもいかない。それどころか、マンションの住人みんながEVのオーナーだったらどうするか。
化石燃料をガンガン燃やしてEVを作っている
──全員のクルマを充電するのは無理ですよね。
充電設備の争奪戦になってしまうよ。駐車スペースの確保より大変かもしれない。
──そもそもEVは脱炭素になっているのですか。
そんなことあるわけないよ。中国は化石燃料をガンガン燃やしてEVを作っているんだからワケがわからない。いったい何のためにEVを作るのか。なぜ世界がEVの流れになっちゃうのか意味不明だよ。
2026年にはトヨタの新車の2割が電気自動車になる?「化石燃料をガンガン燃やしてEVを作っている」世界の自動車市場の矛盾_2
すべての画像を見る
──水素はどうなのでしょうか。
水素のほうがいいと思う。EVよりは魅力があるよ。その場合、なるべく中央集権的にしないほうがいい。つまり、どこかに大きな発電所を作って、そこから一括供給するんじゃなくて、せめて地域に小型原発(Small Modular Reactor)を作って、なるべく送電のロスを少なくする。そういうやり方ならありかなと思うよ。
送電ロスというのは必ず発生するからね。物理の話として、熱エネルギーというのは必ず損失をともなう。だから、どこか大きな発電所で集権的にやってあちこちに配るんじゃなくて、地域に分けて分権的にやるべきなんだ。
その意味でもガソリエンジン。それがいちばんだけれど、水素ガスもそれに近い。そのほうが最終的にはエネルギー効率がいいと思うんだけどね。
●高橋洋一が語る「新聞、とくに日経新聞が絶対に書けない話」報道しない自由を行使!日銀と大手銀が組んで「最高益」のカラクリとは 5/16
30年もかかった株価最高値で大騒ぎする方がおかしい
──日経平均株価がバブル期以来の3万5000円回復。株価が絶好調なんですが。
バブル期以来って、これ30年ぶりぐらいの話でしょ。それをすごいって言うより、30年間ずっとそれ以下だったほうがおかしいんだよ。
──30年前にやっと戻ったということですか。
ひどい話だよ。30年間何も進歩がなかったということだから。喜ぶような話じゃない。この間の世界では、普通の政策をとっていれば株価は上がったんだから、日本が普通じゃなかったということですよ。
どうしてこんなひどいことになったかという話で言わせてもらうと、アメリカでいろんな国から集まってきた人たちとバブルの研究をしたことがあるんだけれど、日本の場合、明らかなのは、バブルは間違っていたからその後は引き締めをするのが正しいと思い込んだ。それが最大の失敗だった。
バブルなんて別に大した話じゃない。いろいろな国でいくらでもあったことだよ。日本のバブル期の経済パフォーマンスを見ると、失業率が低くて、インフレ率も2.9か3%くらいだったから全然悪くない。なぜこれくらいで引き締めるんですかといろんな国の人に聞かれてね、「いや、ちょっととち狂って、バブルは悪いとみんな思い込んじゃったんじゃないですか」としか答えようがなかったよ。
だから日本のバブルなんて世界的に見れば大したことはなかった。それなのに財政政策、金融政策ともに引き締めを猛烈にやりすぎてしまったのが失敗だった。
それで「財政状況もそんなに悪くないし、金融だって別に引き締めることはないのだから」というのでやったのがアベノミクスなんだよ。アベノミクスをやっている限り株価は上がると私は思っていた。現に上がったんだけれど、その後に民主党が決めていた消費増税がガツンときて、強烈パンチを食らった。
いくらかでもダメージを減らそうとして、安倍さんが実施時期を少しずらしたけれど、二度目の増税がある。たまらないよね。戦艦大和が魚雷を2発食らったようなものだからね、本当にヘトヘトになったけれど、なんとか持ちこたえて、これで大丈夫かなと思っていたら、今度はコロナ禍。魚雷を3発も食らってよく沈まなかったと思うよ。
でも、いまは何もないから普通にやっていれば株価は上がるんです。適切な政策を続ければもっと上がると私は見ています。
さっさと所得税減税をしておけば
──株価は上がっても生活が楽にならないという不満をよく耳にしますが。
株式市場だけが儲かって、株を持っている人はいいけど、持っていない人の懐は温かくならないという話ね。これはものごとには順番があるということですよ。株価が上がると次に少し遅れて雇用者所得が上がることがわかっている。
株価というのはどちらかというと資本家サイドの話だから、そちらが先に上がるだけ。就業者数とか雇用所得というのは後から上がる。それで待っていると、株価が上がって半年くらい良い状態が続くと、まず名目賃金が上がる。いまはインフレ率が高いけれど、そのうち名目賃金がインフレ率を追い越すから実質賃金が上がるようになって、失業率が2.5よりちょっと下くらいでずっと張り付く。こういう状況になるともう賃金はグーンと上がっていくよ。
だから、ものは順番で、株価上昇はその最初に出てくる現象なんだ。だからこれは悪いことでは全然ない。それを見て「俺の給料は上がっていない」なんて文句は言わないで、もう少し待って失業率が低位になって張り付く状況になれば、名目賃金は上がり始めるよ。株価はちょっと先に動くだけで、マクロ全体としては悪い話ではない。
──じゃあ落ちる時もそういう順番で落ちていくということですか。
資本家のほうが先に下がるのが一般的なんだよ。雇用労働者の賃金は下方硬直性があるのでけっこう保護される。資本家の配当所得とかはすぐ下がるけどね。
──給料というのはそう簡単に下げられませんからね。
そう。だから労働者は賃金が上がるのも遅いけれど、下がるのも遅い。一般的にはそういうことだよ。下がらなかったことを忘れて、俺の順番はまだか、上げる時は先にしろと言う人がけっこう多いんだよ。
資本家と労働者で言うと、資本家はリスクをとるから上がるのも早くて下がるのも早い。労働者のほうはリスクをとらないから上がるのが遅れるけど下がるのも遅い。
──なるほど。非常にわかりやすいです。だけど、上がるのを待っていたらお預けを食うこともあるのでは?
株価だけ上がって後の人はお預けというのがいちばんまずいパターンだね。そういうこともあるにはある。でも考えてみれば、自分はお預けでも日本経済全体としては儲かった人がいるのは悪いことじゃない。だから他人のことをあまりやっかまないほうがいいよ。
なにか「俺が俺が」とか「俺はまだか」という人が多いけれど、経済全体として潤ったのであれば、別に他の人が潤ったって、自分が損しなければいいじゃないかと私なんかは思うけどね。
──今後の見通しとしてはとりあえずこのまま行けそうですか。
タイミングを逃さないことだね。たとえばさっさと所得税減税をしておけば、2023年の年末調整でみんな心も懐も豊かになれたのに、6月までお預けを食らったからね。ああいうのはよくないんだよ。やることが決まっているのならタイミングを逃さずにズバッとやるのがいいに決まっているんだから。
あとから一言
2月22日、東京株式市場でバブル時代に記録した史上最高値(3万8957円44銭)を更新して3万9156円97銭に達した。史上最高値の更新は34年ぶり。(2024年1月19日)
日銀と組んで大儲け! 大手銀行最高収益のカラクリ
──大手銀行が最高益を出しているという記事を読みました。あんまり大きく報じられていないので気がつきにくいのですが。
儲かっている話はあんまり言いたくないからでしょうね。この間ある人に急にお礼を言われたから、「何のことですか?」って聞いたら、植田和男さんが日銀総裁になった時に私が「植田さんは国民経済よりどちらかと言うと金融機関に軸足を置いた政策をとりますよ」と講演で話したのを聞いてピンときて、銀行株をたくさん買ったんだそうです。
おかげで儲かりましたって感謝された。なんと答えたらいいのやら。
この5大銀行の2023年4〜9月期の実質業務純益というのを見ると、三菱UFJが7625億円で46%の増益。すごいよね。三井住友は4138億円、みずほ3524億円、りそな943億円、三井住友トラスト1521億円。合計で1兆7754億円。16%の増益です。
これはもうすべて金融政策の結果ですよ。植田さんはいまも金融緩和していますよとしきりに言いつつ、長期金利のタガを少し緩めたから、ちょっと金利は上がっている。設備投資をしようとすればすぐわかるけれど、銀行からの借り入れの長期固定の金利は少しずつ上がっている。そのぶんが収益増になっているんですよ。
金利が100倍になったとか言ったって、0.002%が0.2%になっただけだから、預金金利は全然上がっていないのと一緒でしょ。預金金利というのは短期の金利なんだけど、これはほとんど動かない。だけど長期固定の設備投資資金が上がっているから、そういうところが反映しているのですね。植田日銀が庶民より銀行のほうに軸足を置いた金融政策を行った結果で、私の予想は正しかったことになります。
本来なら預金金利も一緒にちょっと上げておくか、むしろ全然動かさなければどうということはないのだけれど、こういう銀行が儲かるようなオペレーションをしたということですね。岸田政権がボロボロだから、植田日銀がその仮面を脱いで銀行擁護者の正体をどんどん露わにしてきた気がしますね。
日経新聞では絶対に書けない
──でも、景気全体から見ればいいことではありませんか。
よくはないよ。金融機関のほうが儲かるというのはあまりいい話じゃない。逆に言うと国民はそのしわ寄せを受けていることになる。
銀行が儲かる仕組みをもうちょっとバラしちゃうとね、白川方明さんが日銀総裁だった時からやっている話で、一般企業や個人事業主は銀行に当座預金を持っているけれど、これは財布代わりだから、金利がつかない。でもその当座預金を銀行がそのまま日銀に預けると、これには金利がつくんです。0.1%くらいだけど、銀行ぜんぶ合わせると200兆円ぐらいあるから、それで2000億円まるまる頂きということになる。
さすがにこれはちょっと批判があるから、200兆円をちょっと超えると金利が少なくなってきて、さらにそれ以上になるとマイナス0.1%になる。そのいちばん高額のところのマイナス金利という話を強調するんだよ。だけどプラス金利のほうがでかいから、ほとんど関係ない。
──じゃあマイナスと騒いでいるわりには儲かっている?
マイナスになっているのは銀行が日銀に預けている巨額の当座預金のほんの一部だけで、ほとんどがプラス金利で丸儲けしているから銀行収益は底堅いんだよ。企業のほうは金利をもらっていないのに、それを預かってそのまま日本銀行に持って行くと銀行は金利をもらえるんだから。
これは白川日銀時代に導入された。それ以前は銀行から日銀への当座預金も金利ゼロでした。それが当たり前だよ。日銀はお札を刷って儲かっているから、その利益の一部を銀行に分け与えている。私はこれにずっと反対しているんだけどね。
──もうやめたということにはならないんですか。
日銀の中のルールで始めたことだから、それもできるはずなんだけどね。
──法律じゃありませんからね。
でも金融界の猛反対があってできない。一度もらったものはすべて頂きということでね。安倍政権の時でもできなかった。
──テレビとかではよく金融正常化とか言っているじゃないですか。
銀行は当座預金のプラス金利でもらいすぎているんだよ。それなのに自分のいただいたものは正常化したくない。
──本当の意味で正常化と言ったら金利ゼロにすることじゃありませんか。
白川日銀の前に戻すのが正常化だよね。
──これはマスコミも書けない?
マスコミがこれを書いたら金融機関の広告収入がなくなるからね。日経新聞では絶対に書けない。とにかく報道しない自由を駆使するわけです。
──なかなか腹立たしい話です。
普通の企業からすれば、当座預金で金利なんかもらったことはないのに、よく金融機関は平気でもらっているなと思うでしょう。本来であれば日銀納付金という形で国庫に入ってきたお金なのに、その一部を金融機関に還元しているということであります。
●オランダ、極右含めた連立政権樹立で合意 下院選から半年 5/16
オランダの極右、自由党(PVV)のウィルダース党首は15日、同党を含めた4党間で連立政権樹立に合意したと発表した。
昨年11月22日の下院選挙でPVVが第一党となったものの、単独過半数を確保できず連立交渉を開始。移民や財政、気候変動などの問題でなかなか歩み寄りができず、協議は難航していたが、今年3月になってウィルダース氏が反欧州連合(EU)姿勢を弱め、ウクライナへの軍事支援反対を取り下げたことで突破口が開けた。
PVVとの連立に合意したのは、現在暫定的に首相を務めているルッテ氏が率いる中道右派の自由民主党(VVD)、中道の新社会契約(NSC)、農民市民運動。4党で下院150議席のうち88議席を占める。
ウィルダース氏は次期首相には就任しないと表明しており、地元メディアは連立交渉で重要な役割を担ったロナルド・プラスターク氏が首相になる公算が大きいと伝えているが、まだ確定していない。
専門家からは、この首相選任問題で連立政権内に亀裂が生じる可能性が残っているとの声も出ている。
●防衛費を“借金”で賄うという禁じ手を使った岸田政権。なぜ日本の税金で米国景気と軍需産業を支えるのか? 5/16
不文律としてきました。1965年度に戦後初めて国債を発行した際、当時の福田赳夫蔵相は「公債を軍事目的に活用することは絶対に致しません」と国会で明確に答弁しています。その“禁”を破ったのが、岸田文雄首相です。
「防衛費のために借金」という禁じ手を使った岸田首相
防衛費を国債で賄うことなどあってはならない…。
政府は野放図な借金を重ねたことが先の大戦を招いたことから、国債を防衛費に充てないことを
不文律としてきました。
借金で防衛費を賄うということは、ある意味無尽蔵に資金が供給できることになります。借金で得たお金は、使ってしまいたくなるのが“世の常”です。借金を認めるということは、資金供給面でもその資金を利用する側面でも、精神的タガが外れてしまいます。
1965年度に戦後初めて国債を発行した際、当時の福田赳夫蔵相は「公債を軍事目的に活用することは絶対に致しません」と国会で明確に答弁しています。
その“禁”を破ったのが、岸田文雄首相です。
2022年末、今後5年間の防衛費をこれまでの1.5倍以上の43兆円とする方針を決定し、「将来に向けた投資」のために発行する建設国債の対象に、自衛隊の隊舎などの施設整備や艦船の建造費を追加したのです。
「政府は防衛費の財源を確保するため、初めて建設国債を使う。建設国債は主に公共事業の資金を手当てする目的で発行する。過去には海上保安庁の巡視船の調達に使った例はあるものの、防衛費にはあてていなかった。」
防衛費のための建設国債は、2023年度の当初予算に4,343億円の発行を計上しました。そして、2024年5月7日付の朝日新聞の記事では、以下となっています。
「防衛費に充てる建設国債の額が膨らんでいる。政府は今年度に5117億円の発行を計画し、昨年度の1.2倍、額にして774億円増やすことがわかった。」
一度借金をしたら、歯止めが効かなくなるのですよね。朝日新聞は、防衛費が膨らんでいくさまを、グラフに表しています。
財政法が例外的に建設国債の発行を認めているのは、道路や港湾のような社会資本は現在の世代だけでなく将来の世代も利用するので、その建設経費は現在の世代と将来の世代がともに負担すべきであるという考えからです。
「今年度当初予算の防衛費は前年度より1兆1277億円多い7兆9496億円で、5117億円を建設国債でまかなう方針だ。防衛費に充てる建設国債の額が増えるのは、「防衛力強化を段階的に進めるなかで、国債の対象となる施設整備費や艦船建造費が増えたため」(財務省主計局)という。」
政府は防衛費の財源を確保するため、初めてこの建設国債を使っているのです。そして、その発行額が増えているということです。
あの“超タカ派”と言われていた安倍政権でもなし得なかった敵基地攻撃能力(先制攻撃能力)をあっさりと認めさせ、しれっと防衛費を増額させ、それを増税で賄うことへの世論の批判を避けるため(?)か、国債発行という“禁じ手”を、何食わぬ顔で認めさせる荒業を、なんと“ハト派”と目されている「宏池会」出身の岸田政権はやってのけたのです。
軍事費「GDPの1%」の制限もしれっと無視…
そもそも防衛費は、日本が軍事を強化しないようにGDPの「1%」以内に収めるように制限をかけていました。
防衛大綱のもとで防衛政策を推進する毎年度の予算枠として、1976年11月に三木政権によって閣議決定されたのが「1%以内の枠」です。
その後、1986年12月に中曽根政権が撤廃を決め、翌年の1987年度予算編成から総額明示方式へと転換しました。
それでも「1%枠超え」とはなりましたが、超えたのは3回だけで、その数値は1.004%、1.013%、1.006%と僅かな超過にとどまっていました。
それがいまはどうでしょう。
日本の税金で米国の景気と軍需産業を支えている
いろんなところで言われてはいますが、米国製兵器を買うために、防衛費を膨らませているということでしょうか。
日本の税金でアメリカの景気を、アメリカの軍需産業を支えているのです。
日本は兵器を米国からしか買うことはできません。欧州製は、入札はおろか購入検討もできないのでしょう。兵器の性能は関係ありません。
それも“言い値”での購入です。軍事産業は景気に左右されないセクターで、戦争だけでなく、紛争が世界各地でやまないかぎり安定した需要があります。
むかし、防衛省が防衛庁だった頃の職員に「なぜ防衛庁を省に格上げするのか」と訪ねた際に「独自の予算権限を持ちたいから」「その理由は日本に軍事産業を根づかせたいから」と即答されたことを覚えています。
第1次安倍内閣の頃の話です。
米国が、集団的自衛権を日本に容認させたのは、戦地での費用負担を日本に賄ってもらうためだと聞いたことがあります。
そのためには日本が戦争状態の場所に来れるようにしなければならないそのための集団的自衛権なのでしょう。
それだけアメリカにはお金がないのです。“世界の警察”であることをやめたのも、お金がないからです。
アメリカにはお金がない…。この文脈で今あることを考えると、合点がいくところがあります。
かつて田原総一朗氏が安倍晋三氏にインタビューした中で「アメリカは、日本が集団的自衛権を容認したことで、もう憲法改正しろとは言ってこなくなった」という安倍氏の言葉を紹介していました。
安保を巡る世の中で議論されていることと、実際の話しでは、かなりズレが有るように思います。
防衛費増加を求めている人は、NATO加盟国が防衛費をGDPの2%に引き上げることを条件とされていることを取り上げています。
日本もNATOに加盟したいのか。
北朝鮮の存在、中国の脅威、台湾有事と、安全保障の重要性を語る上で妙な説得力ある材料が揃っています。
国会で防衛問題を議論しているときに、やたら北朝鮮がミサイルを発射したり、中国船が日本領土に入ってくるような問題が起きてはいませんかね。
とにかく、今の日本は、借金で防衛費を賄うことができるようになりました…。
●「悪夢の立憲民主党」を日本の救世主に大変身させる、政策転換と人材登用は 5/16
岸田政権が末期的状態でも 政権交代はまず起きない
岸田政権の支持率は極めて低く、政権交替すべきだというアンケート結果が48%を超えて(JNN調査)、俄然「自民党崩壊」「大きな変革の時代がくる」と期待が大きくなっています。
しかし、自民党への信頼は落ちているものの、野党の支持率も全然上がっていません。日経新聞が行った次期衆議院の投票先の調査結果では、自民26% 、立憲12% 、維新11%、公明7%となっています。また選挙結果については、みらい予想研のシナリオでは自民235、公明27と議席は減らすものの与党が過半数を大きく上回りました。立民は13減の83、維新が56増の97で、野党第1党が交代するという結果でしかありません。もう少し過激な予想をするNEWSポストセブンの予測でも、自民202 、公明20 、立憲131 、維新83 、国民10、 共産10 、その他8 と、立憲中心の政権交替は不可能です。
先日の補選で立憲民主党は三戦三勝して、勢いに乗っているのですが、野党が結束して政権交替に挑む姿勢がなく、立憲にもその意志がないようでは、自民・公明がなんとか過半数を確保することはできるでしょう。それが無理でも、国民民主か日本維新と結べば政権は存続し、大きな改革など起こらないという結果になります。
私は、日本社会党に先祖帰りしたかのように、政権攻撃は得意でも具体策のない立憲民主党の現在の状態に、国民が政権を任せる気持ちがあるとは思いません。しかし、日本を大きく変えるためには、自民党が一度下野する必要、いや一度解党するくらいの大変革が必要であり、そのためには、群小の保守系と自民の連立では不十分だと考えています。
そのため、別の角度から考えてみました。実は、政党支持率を元にした予測では、半数近い浮動票を計算できないからです。しかし、浮動票は私にも予測はできません。ならば、歴史に学びましょう。
日本と違い中国では、歴史上、何度も政権(王朝)が交替しました。その度に使われてきた指標が「天の時、地の利、人の和」という孟子の言葉です。この3つがそろっていれば、その王朝が天下をとる。たとえば、三国志の時代は魏の国が「天の時」を持ち、南方の呉の国が「地の利」を持ち、弱小で狭隘な蜀の国は「人の和」で勝負していました。
この観点から、立憲民主が主体となる大きな政権交替が起こる可能性について考えてみました。
日本の全政党を 中国の王朝になぞらえて評価すると?
・自民党……「天の時 最悪」「地の利 安心な選挙区なし」「人の和 派閥解消でバラバラ」
・立憲民主党……「天の時 絶好機」「地の利 リベラル系野党の大きなライバルなし(これは不利にもなりうる)」「人の和 野党連合の総理候補が不在」
・日本維新の会……「天の時 保守派の自民離れ」「地の利 大阪のみ絶対(関東に友党を作るべき)」「人の和 人材の質の悪さが目立つ」
・公明党……「天の時 逆風」「地の利・人の和 いつもブレなし」 
・国民民主党……「天の時 自民党の補完勢力としての期待」「地の利 維新ほど過激でない」「人の和 党首に信頼感なし」
・共産党……「天の時 自民党のウラガネを追及した功労者」「地の利 自民党候補次第で候補者調整ができる」「人の和 内部に不和が保守党・れいわなど小党……「天の時 自民党自壊」「地の利 重要自民党候補の落選に集中できる」「人の和 個人党首の魅力のみ」
・都民ファーストの会……「天の時 自民党に愛想を尽かしたが維新は信用できない自民寄りには、小池人気がまだ有効」「地の利 東京都知事選を控え、都民ファの活動さかんに」「人の和 都知事の後継者として橋下徹か前川喜平を選べば、後継者ができ、国政に小池が出馬できる」
立憲民主党が政権を奪取する ための「政策のススメ」
いかがでしょうか。どの政党も決め手を欠きます。だからこそ、立憲民主はリベラル政党として、過去を捨てるくらいの斬新でしかも保守層も安心できる政策を打ち出し、政権奪取に真剣になるべきなのです。具体的には以下のような政策が考えられます。
(1) 外交
「 非武装中立」「自衛隊の存在を認めない」といった建前の寝言をやめ、対ロ中の安全保障策について日米安保を肯定した上で、横田空域からの米軍撤去、日米地位協定の破棄を踏まえた日米安保の再構築。
(2) 憲法緊急事態条項の成立
先進国OECD加盟国38国中、30カ国はこの制度を持っています。大災害が起きたとき、私権を優先していては緊急事態対応ができません。今でも能登半島は、地震で倒壊した家の持ち主がわからず、復興のための工事ができない場所が続出しています。緊急事態条項があれば、まず復興に全力を注げるのです。立憲は憲法9条にこだわり、戒厳令的な法案に常に後ろ向きでした。党のイメージを変えるためにも、災害時の緊急事態条項を定めるべきです。(いまだに立憲民主は、この条項には反対です)。
(3) 地方分権に注力 
すでに新卒の地方学生は、東京に就職しても親の援助がないと東京に住めない状況です(私の地方大学勤務時代のゼミ生徒の半分が、親からの支援を受けて東京に出ています)。地方を重視し、核家族化を抑止するコミュニティー社会確立のための列島改造を行うべきです。これは、少子高齢化対策としても重要です。
(4) 少子化政策
子育て給付金程度では、少子化は止まりません。少々の金銭的援助では住宅、教育、通勤時間など制約が多すぎる大都会での子育ては困難がありすぎます。子育て世代のテレワーク促進やサテライト勤務などによる、地方移転によるのびのび教育とのびのび子育て策を強化し、何よりも子育てもコミュニティーが行うという前提の社会建設を目標にすべきです。
(5)円高の防止とアベノミクスの後始末のための日銀頭取の更迭
(6)男女平等を進展させるための法律改正
すでに会社勤務の女性のほとんどは、旧姓のまま仕事をしています。男女別姓を主張し続ける妙な原理主義を捨て、現実に合わせることも大事ではないでしょうか。
(7)マイナンバーカード制度導入の延期と再設計
これは、私が何度も主張していることです。
政治家が政治をせずに 優秀な官僚や民間人に任せる法
さて、これだけ保守寄りの公約を掲げても、国民は立憲民主を信用しないでしょう。立憲民主には蓮舫氏や辻元清美氏、長妻昭氏など攻撃型の政治家はそろっていても、政策実行力が高い政治家がいないからです。そこで政治家が政治をするのではなく、優秀な官僚や民間人が大きなプロジェクトの長となり、省庁横断のプロジェクトとして実行するという、新型の政権交替案を打ち出してはどうでしょうか。
安倍、菅政権の10年間は、優秀な官僚を潰し、首相のために公文書を改竄したり、書類を廃棄したりするようなゴマスリ官僚ばかりを登用したため、霞が関は全く機能しませんでした。ですから、その時代にパージされた優秀な役人らを復活登用し、次官としてではなく、プロジェクトの長として全力を出させるのです。
立憲民主党が政策を任せるべき 「鉄壁の人選」はこれだ
たとえば私が思いつくだけで、こんなメンバーにこんな政策を担当してもらったら面白いと思います。
日銀頭取を交代させ、代わりに就任するのは山口廣秀氏。白川頭取時代、学者系の氏に代わって実際の指揮をとり、頭取候補の一番手であった山口氏は、アベノミクスに反対したため安倍元首相に嫌われ、一時は記事のコメントに山口氏を起用した新聞にまで安倍氏が文句を言うほど干されていました。しかし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の経営委員長になり、年金の株式投資の黒字化のサポートにも成功しています。
能登半島地震で明らかになった不備な災害対策への対応に、徳山日出男元国土交通省次官を充てる。彼は東日本大震災時の東北地方整備局長として、震災当日から復興計画を立案、「櫛の葉」作戦と呼ばれる中心部から海岸への道路啓開を、3日で完成しました。これは、以前から震災対応を準備していた賜物です。翻って、能登半島で同じような計画ができたのは地発生から10日後。能力の差は歴然としています。
治安世界一国家の復活を目指し、高橋清孝元警視総監を起用。日本は治安がいい国として世界有数ですが、その神話はトクリュウと呼ばれる反グレ組織や中国からの投資詐欺などのせいで、崩壊しかけています。高橋氏は本来ならば日本版CIAである国家安全保障局長に就くべきでしたが、安倍・菅氏におもねらない人だったため早退。沖縄サミット、北海道洞爺湖サミットと重要イベントでは必ず本部長を歴任。重信房子や尖閣列島に上陸した中国人の逮捕という実績もあり、何よりも警察庁ノンキャリの絶大な支持があります。 
教育復活に前川喜平元文部次官。平気で自民党政権に逆らい、堂々と批判を重ねた彼には、本来の文部科学省の守備範囲に留まるのではなく、一度霞が関を離れたからこそ得た知見をもとに、ICTや生成AIなどの新しく重要な教育の基盤をつくってほしいです。まずは、時代遅れの老教師たちの気持ちから改革をしてほしいと思います。
過疎地対策に石破茂。地方創世大臣として、地方の活性化に尽くしてきた石破氏。自民党議員だからといって、別の政権の行政に参画することは悪いことではありません。その地方創世の知識を大いに使ってプロジェクトを成功させてほしいものです。また自民党には、実務に通じる議員は大勢いるので、立憲民主からプロジェクトの長として使命し、自民党内を揺さぶることもできそうです。
子育て対策に菅野志桜里 (旧姓山尾)。不倫問題で政治家の道を断念しました。託児所問題など、自民党女性政治家のような男に媚びて出世する気配のない仕事人として、もう一度子育て支援に全力を尽くしてほしいものです。
これだけ思い切った政策転換をし、日本に残った数少ない優秀な人材を携えて選挙に望めば、「悪夢の民主党政権」などという安倍総理のキャッチフレーズをぶちこわす成果を上げられるはずです。
そして最後に、野党統一政権の総理候補は泉健太代表ではなく、野田佳彦元総理にすべきです。総理経験者であり、国民から嫌われるとわかっている消費税の導入を決めた人物こそ、今回のような危機の舵取り役にはふさわしいと思うのです。
●岸田首相「暴力を断固非難」 スロバキア銃撃 5/16
岸田文雄首相は16日、スロバキアのフィツォ首相が銃撃された事件を受け、自身のX(旧ツイッター)に「民主主義に対する暴力行為を断固として非難する」と投稿した。「スロバキア政府と国民に強い連帯の意を表する」とも記した。
●岸田総理「断固として非難」「一日も早い回復をお祈りする」スロバキア首相銃撃でSNS上にコメント 5/16
スロバキアのロベルト・フィツォ首相が銃撃され負傷したことを受けて、岸田総理は自身のSNS上で「強い衝撃を覚えます」「首相の一日も早い回復をお祈りします」と表明しました。
そのうえで、「このような民主主義に対する暴力行為を断固として非難し、スロバキア政府とその国民に対し、強い連帯の意を表します」と書き込みました。
●基幹インフラ審査、運用開始へ 政府、サイバー攻撃防止が目的 5/16
政府は経済安全保障の一環で、電気や通信、鉄道などの「基幹インフラ」に関する重要設備を企業が導入する際に国が事前審査する制度の運用を17日から始める。国民生活や経済活動への影響が大きい設備へのサイバー攻撃を防止するのが目的で、14分野の約210の企業・団体が対象となる。
2022年に成立した経済安保推進法に基づき導入が決まっていた。
審査ではメーカー名や型番、機能などを含む設備の詳細やサイバー攻撃などのリスクに対する管理状況を確認する。サイバー攻撃や不正アクセスに悪用されると判断した場合は、設備計画の変更や必要な措置、導入の中止を勧告・命令する。
●総裁選視野に政策提言へ 高市早苗氏顧問の自民「保守団結の会」始動 岸田政権に危機感、安倍氏の遺志引き継ぎ全国行脚♂チ速 5/16
自民党内で、保守系議員の動きが活発化している。安倍晋三元首相が「永久顧問」で、高市早苗経済安保相が顧問の保守系有志グループ「保守団結の会」は15日、9月の総裁選を念頭に提言をまとめる方針を確認した。高市氏自身も、悲願だったセキュリティ・クリアランス(SC)制度を今国会で法制化し、その重要性を訴える全国行脚≠熨蜊D評だ。岸田文雄政権下で離れた「岩盤保守層」を取り戻すことができるのか。
「法律案を深く掘り下げた質疑を通して、貴重なアイデアを賜った与野党国会議員の皆様に、深く感謝申し上げます。委員会前夜は徹夜で頑張って下さった官僚の皆様、立案に向けて様々な知見を賜った有識者会議の委員の皆様、有難うございました!」
高市氏は、経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限るSC制度を創設する重要経済安保情報保護・活用法が参院本会議で可決、成立した翌11日、自身のX(旧ツイッター)で各方面に感謝の言葉をこう発信した。
昨年10月、高市氏はテレビ番組で、「まずは、SCを仕上げ、また(総裁選を)戦わせていただく」と語っていた。「安倍元首相の宿題」とされた法律を通したことで、次の動きに注目が集まりそうだ。
高市氏は昨年11月、国力強化をテーマに勉強会「『日本のチカラ』研究会」を立ち上げた。総裁選出馬に必要な「推薦人20人」を満たす会員が名を連ね、会合を重ねてきた。ただ、高市氏は「岸田首相を攻撃する意図はない」と、閣僚として支える意向を強調している。
保守層に人気が高い高市氏は全国で講演する機会も増えている。作家でジャーナリストの門田隆将氏とのダブル講演会は盛況で、昨年12月の福岡市では約1000人、4月の大阪市では約2000人、5月の高知市では約1000人を集めた。門田氏は「日本を救える唯一の政治家」などと聴衆に訴えているという。6月は広島市で開催するという。
こうしたなか、前出の「保守団結の会」は15日、安保政策や少子高齢化対策などを盛り込んだ提言をまとめる方針を確認した。同会メンバーの約半数は、安倍氏が率いた清和政策研究会(安倍派)の議員が占めており、総裁選に向けた動向が注目される。
岸田首相が勝利した2021年の総裁選で、初出馬の高市氏は国会議員票で2番目に多い票を集めた。これは保守の象徴≠セった安倍氏の支援を受けてのものだったが、後ろ盾だった安倍氏は凶弾に倒れた。
ある保守系議員は「党内で高市氏への支持はまだ広がっていない。ただ、拙速なLGBT法の法制化や、前のめりな外交姿勢など、岸田首相の政権運営への危機感は根強い。安倍氏亡き今、高市氏は自ら仲間を集め、結束を固めて、局面を打開しなければならない正念場だ」と語る。 

 

●「下村君がマスコミに持ち込んだという話もある」森元首相が重大証言 5/17
《自民党裏金問題》
「岸田総理が森元総理に対してきちっとその時の件について詳しく聴取をする必要がある」
5月15日、東京都内で講演した下村博文元文科相は、自民党の政治資金パーティを巡る裏金事件について語り、岸田文雄首相の責任を追及した。
政治部記者が語る。
「下村氏が念頭に置いたのは、『文藝春秋』6月号に掲載された森喜朗元首相のインタビューでしょう。ノンフィクション作家・森功氏の取材に応じた森元首相は、4月上旬に岸田首相から事情聴取をされた際、裏金問題に関する具体的な質問は無かったことを明かしています。これに対して岸田首相は会見で、『森氏の具体的な関与は確認できていないと申し上げてきた。この発言はまったく変わらない』と苦しい言い訳を余儀なくされています」
「検察のターゲットは森さんですよ」
「文藝春秋」のインタビューの中で森元首相は、安倍派(清和政策研究会)の会長代理を務めた下村氏の裏金問題への関与についても、次のように明かしていた。
「下村君がマスコミに派閥の資料を持ち込んで売り込んだ、といった類の話もあります。マスコミだけでなく、党の関係者など方々から聞きました。安倍会長が(キックバックを)やめろと言っていた話をひっくり返したのも森だ、と。名前は言えませんが、検察サイドの人からそう聞きました。『検察のターゲットは森さんですよ。気をつけなさい』とアドバイスしてくれた人もいます」
パーティ券売り上げのキックバックは、安倍晋三元首相が中止するよう指示したものの、没後の2022年8月5日に下村氏と塩谷立元文科相、世耕弘成前参院幹事長、西村康稔前経産相ら派閥幹部が会合を開き、還流再開を決めたとされる。それには森元首相の意向が働いたという情報も流れたが、森氏はインタビューで否定している。
「どんな経緯で再開されたか、本当にわかりません。下村君一人だけが、私がそこに関係しているかのように言っているわけです。あの会合に参加している他の誰も、私が関与したなんて言っていません」
「それが下村君なのは、確信を持っています」
下村氏は、今年3月の政治倫理審査会で、誰の判断でキックバックが復活したのか、「本当に知らない」と答えているが、岸田首相が8月5日の会合に参加した安倍派幹部らに事情聴取したところ、参加者の一人が、森元首相が復活の判断をしたように受け取れる発言をしたという。この発言者について、森元首相はこう語っている。
「それが下村君なのは、確信を持っています。『私の記憶では(裏金作りは)20年ほど前からやってました』と言ったのも、下村君です。なぜ彼がそう言ったのかといえば、私が派閥の会長を務めていた時期に引っかけたいから」
安倍派の元最高幹部として1年間の「党員資格の停止」の処分を受けた下村氏だが、5月9日には安倍派の最高顧問だった衛藤征士郎衆院議員らと共に築地の料亭で会合。「安倍派の再編に向けた動き」と報じられている。
“復権”に向けて動き出す前に、自身の裏金疑惑について真摯な説明が求められるのは言うまでもない。
240分にわたるインタビュー「森喜朗元首相『裏金問題』真相を語る」は、5月10日発売の「文藝春秋」6月号及び「文藝春秋 電子版」で公開中。森元首相は、自身が清和政策研究会の会長を務めていた頃に始まったとされる裏金作りについて詳細に語っている。
さらに、昨年7月、清和研の会長になることを望んだ下村氏から、2000万円の入った紙袋を持参された際のやり取りの詳細や、今年1月、塩谷氏に対して、「(裏金問題の)全責任を取って仲間を救ってやれ」などと説得したことについても明かしている。
●岸田首相のサプライズ連発に自民党内からはボヤきと嘆きとイライラの声 5/17
政策活動費の使い道について
目下、国会の焦点となっているテーマの一つが、政策活動費に関する扱いだ。使い道を明らかにする義務がなく、特に自民党の議員にとって使い勝手のすこぶるよい財布になってきたところは否めない。裏金問題を受けても自民党は使い道を公開することは想定していなかったが、ゴールデンウイークの外遊から帰国した岸田文雄首相は一転、公開を指示した。少し前の唐突な「派閥解消」宣言が想起されるような“サプライズ演出”に自民党内からはボヤきや嘆きの声が聞こえてくるのだという。
「政策活動費をめぐる議論や問題提起は特に真新しいものではなく、以前からありました。今年頭にも“2022年の1年間だけで、自民党では党幹部15人に対し、14億円が支払われている”“二階俊博元幹事長にはなんと(5年間で)50億円を超える政策活動費が渡されていた”などと、野党議員が衆院予算委員会で取り上げるなどしましたね。世の中からも、詳細を明らかにしなくてよいなんてあり得ないよという批判の声が強く、なかなかそれが収まらないような印象があります」と、政治部デスク。
首相自身のサバイブ戦略
「岸田首相はゴールデンウイークの外遊から帰国直後、政策活動費の不透明なカネの流れについて、公開することを前提に進めるよう関連議員に指示をしました」(同)
自民党内ではこの動きがサプライズと受け止められ、混乱を招いているとされる。
「岸田首相は9月に予定される自民党総裁選で再選を目指し、それ以前の衆院解散のタイミングをうかがっています。現時点でほとんど可能性が低くなってしまいましたが、6月の通常国会会期末など、“自身がサバイブできるならいつなのか?”を真剣に検討してきたわけです」(同)
当然そのためには、国民からの信頼回復と低迷を続ける内閣支持率を上昇させる起爆剤が必須だろう。
「起爆剤についてはサプライズ人事などが想定されていますが、裏金問題に象徴される不透明なカネの流れについて国民からの信頼回復がなかなか進んでいないと首相は判断しているようです。政策活動費に関して“公開”を口にしたのは、それを丁寧に説明し、具体的な行動で示せなければ世論がもたないと見たのでしょう」(同)
首相のもとで選挙を
ブラックボックスだったものがクリアになること自体、世論が歓迎しないということはなさそうではある。
「確かにそれはそうなのですが、首相の指示自体、各方面への根回しがほぼなく、サプライズでした。派閥解消をいきなり打ち出した時と全く同じで、その進め方について自民党内からはボヤきや嘆きの声ばかりがあがっているようです」(同)
結果的に政策活動費の使途を公開する方向で話をまとめるにしても、しかるべきポジションの人間には事前に意向を伝えておくべきだったのではないかとの指摘があるようだ。
「岸田首相のもとで選挙を戦いたいと思っている人はあまりおらず、早く辞めて欲しいというのが本音で、そういうイライラが募っての“指摘”なのでしょう。首相の方も世論しか見えておらずサプライズ効果に期待しすぎたきらいはありますね」(同)
そういった声が「岸田おろし」につながっていくことはないのだろうか。
「岸田おろし」はいつ? 
「現時点でそうなっていないですね。岸田首相の次を狙う面々が乱立しているのも一因でしょう。ある程度それが絞られてくれば党内から公然と『岸田おろし』が起こる可能性もあるでしょう」(同)
岸田首相の“サプライズ指示”のあと、政治資金規正法の改正案について与党側で大筋合意したかに見えたが、結局、自民単独で提出する方向だ。政策活動費については金額次第で使途の概略を公開する案を盛り込んでいるとされているが、果たして国民はどう捉えるだろうか。
「ここ最近の世論を見ていると、不透明なカネの流れをクリアにすることを国民は望んでいるものの、それを岸田首相に率先してやってほしいとまでは思っていないようですね。首相には荷が重いだろうとの分析なのか、あるいは首相がアレコレやろうとしているのは自分自身の保身のためではないかと見ている部分もあって、なかなか苦しい状況です」(同)
●「ぬるい改革」政治資金規正法の自民改正案を立憲が批判 パーティー券購入者の公開基準等で公明と折り合わず「自民単独」に 5/17
政治資金規正法の改正について、自民党は「与党案」の作成を断念し、単独での法案提出に向けて17日に正式決定する見通し。
自民党が、まとめた案では収支報告書に虚偽の記載があり、会計責任者が処罰された場合、確認をしなかった議員の公民権を停止するなどとしている。
公明党との溝が埋まらなかったパーティー券購入者の公開基準額は、「10万円超」としている。
自民党は17日午後の総務会で正式に決定し、自民単独で国会に法案を提出する方針。
立憲民主党は、自民党案に対し、不十分な案だと批判している。
立憲民主党・安住国対委員長「わたしどもから見れば、本当に不十分な案だと思う。改革という名には値しないと思う」
また、立憲民主党の野田元首相は、16日夜、自民党の姿勢を批判した。
立憲民主党・野田元首相「遅い、そして非常にぬるい改革案。これでお茶を濁そうというのはとんでもないと思う」
国会では、来週、岸田首相が衆議院予算委員会で自民案を説明し審議が行われ、法改正については、来週半ば以降に特別委員会が開かれる見通し。
●理解できない萩生田の都連会長続投 裏金問題で処分も「党本部と支部は別」 5/17
「都知事・小池百合子との関係を守るためなら都連会長は前政調会長・萩生田光一の続投しかない」という理屈はどの世界で通用するのか。15日、自民党東京都連は政治資金収支報告書への不記載計2728万円が判明して党役職停止1年の処分を受けている現会長・萩生田ら都連役員の続投を内定した。本来は2月の役員改選だが、この裏金事件で延期していた。選考委員長を務める都連最高顧問・深谷隆司は「裏金事件は一時大騒ぎしたが、今は落ち着いている。処分は党本部であり、支部は関係ない。やっぱり萩生田君が適任。彼の将来を考えても、このまま会長をやってもらうことが正しい」と説明した。
驚くべきことがたくさんあるが、まず萩生田が一連の反省などなく、都連会長の辞意を示さないこと。深谷の言う「裏金事件は今は落ち着いている。彼が適任」という理屈が全く理解できない。では東京15区はなぜ補選になったのか、なぜ自民党は候補者を立てられなかったのか、後半国会はこの裏金事件での法改正が最大の焦点。その議論の最中に東京都連は関係ないという説明でいいと思うのか。つまり、都知事選考に都連会長の意向が必要という内向きの理由でしかない。
そもそも、党のルールで役職停止と党本部が決めても地方組織の役職を対象とするか否かは各組織に判断を委ねるという理屈だが、では政治責任とやらはどこに行ったのか。役職停止では軽すぎると党内からも声が出たほどで、本来は離党勧告を受けるべき安倍派5人衆のひとりだったことを鑑みれば、恥ずかしくて続投などできないはずだ。また、都選出議員たちから異論も出ないということは深谷が言う「落ち着いている」と考えているのか、もう問題ないとでも思っているのか。全く理解できない。「この時期に、裏金事件の当事者ともいえる萩生田がわざわざ責任はとりません、続投ですと国民の自民党離れを促すとは、それこそ反党行為だよ。選挙で都連の自民党議員が軒並み落選しても辞めないかもな」とは自民党ベテラン議員の感想だ。
●「政治はどこを向いている?」裏金事件と政治資金規正法案から考える 5/17
1月に始まった今国会も、残す会期は約1か月。パーティ券裏金問題を受けて、最大の課題である「政治資金規正法」の改正は間に合うのかだろうか。問題を起こした当の自民党の改正案は、連立与党を組む公明党の同意も得られていない。元サンデー毎日編集長・潟永秀一郎さんは17日に出演したRKBラジオ『立川生志 金サイト』で「政治はどこを向いているのか?」と指弾した。
公明党の合意得られない前代未聞の事態
皆さんもそうでしょうが、私も「何やってんだ」という思いです。先の三つの衆議院補欠選挙で自民党は事実上全敗して、「裏金問題は許さない」という民意は示されているのに、まだ何とか抜け道を残そうとするかのような素案を出して、連立与党を組む公明党の合意すら得られず、自民党単独で改正案を出すという前代未聞の事態だからです。しかも、それすらまだまとまっていません。怒りを通り越して、あきれますよね。
なぜ、何が引っかかって、こんなことになっているのか、各党の改正案はどうなっているのか、をはじめにおさらいするとともに、そもそもパーティ券問題の背景に何があるのかも考えてみたいと思います。
最初に、主な各政党の政治資金規正法改正案が、今どうなっているか、です。ポイントは三つ。「連座制」の導入と、政策活動費の使い道の公開、そして政治資金パーティなど「企業・団体献金」の取り扱い――で、ここに絞って説明します。
まずは与党です。実は自民、公明両党は5月9日にいったん「与党案」をまとめることで合意していました。連座制については「議員に収支報告書の『確認書』を作成するよう義務づけ、会計責任者が不記載などで処罰された場合、議員が十分にチェックしないまま確認書を作成していれば、議員も処罰され、公民権が停止される」という内容です。
また、政党から議員個人に渡される「政策活動費」については、「支払いを受けた政治家が党に使い道を報告し、それを党が収支報告書に記載しなければいけない」というもの。ここまでは合意したんですが、パーティ券を購入した人の公開基準について、公明党は「5万円を超える場合」と主張し、自民党は現行の「20万円を超えた場合」よりは「引き下げる」としたものの金額を明示せず、折り合わないまま、玉虫色の決着でした。
その後、両党は持ち帰って具体的な改正案の作成を図りましたが、公明党はパーティ券の購入者公開基準で「5万円超」は譲れないとして法案はまとまらず、結局、自民党は公開基準を「10万円を超えた場合」とする独自案を出すことになりました。そもそも公明の当初案は「連座制の導入」や「政策活動費の使途公開義務付け」を打ち出していて、9日の合意にも不満がくすぶっていたという背景もあります。
野党側から「抜け道だらけ」の批判が噴出
ただ、けさ(5月17日)の毎日新聞デジタルによると「(独自の)法案を出せば、自民との協議決裂をより印象づけることになるため、提出を見送る方針」だといいます。公開基準など、自民と合意できなかった部分については、与野党協議の場で考え方を訴えるとみられます。
ということで単独提出になった自民党案ですが、来週半ばからとみられる政治改革特別委員会での審議入りを前に、野党側からは早くも「抜け道だらけ」の批判が噴出しています。
まず連座制ですが、本来「連座」とは、議員事務所の会計責任者が政治資金収支報告書に不記載=収入を書かなかったり、虚偽記載=うその記載をしたりした場合、議員も罪を問われる仕組みです。
ところが自民党案では、「会計責任者が処罰」つまり有罪が確定した場合に、「十分にチェックしないまま確認書を作成していれば」という二重のハードルがあります。だから例えば、今回の裏金問題に照らすと、議員本人が立件された3人以外、裏金を受け取っていた82人で事務所の会計責任者が立件された議員はいないので、全員セーフです。
また、これら議員はほぼ口をそろえて「任せていた」「知らなかった」などと弁明しました。これに関して自民党案では「確認書の作成とチェック」を義務付けますが、何をチェックするのか、どこまでチェックすれば「十分」なのかが明らかでなく、野党側は「抜け道を残そうとしている」と批判しています。
次に「政策活動費」です。議員が使い道を党に報告して党が収支報告書に記載する、としていますが、これも1件当たり50万円を超える場合、しかも記載されるのは大まかな項目だけで、野党からは「大きなブラックボックスが、小分けにしたブラックボックスになるだけ」と批判されています。
野党案の一本化は困難
では、野党側の対案はどうなっているのか、立憲民主、国民民主、日本維新の会、共産の4党について見ていきます。
まず連座制については、4党とも「導入」で一致しています。立憲と共産はさらに罰則の強化や法定刑の引き上げなどを盛り込み、国民民主は「議員が起訴された場合、政党交付金の交付を一部停止する」としています。
次に政策活動費ですが、立憲と共産は「廃止」。維新も現行制度は「廃止」し、使途や領収書の公開を前提とした「新制度を検討する」としています。国民民主も維新とほぼ同じ趣旨で「使途の公開を義務付ける」としています。
政治資金パーティについては、立憲が「全面禁止」。維新と共産は「企業・団体の購入禁止」で、以上3党はパーティ券に限らず、企業・団体献金については全面禁止を打ち出しています。一方、国民民主は「購入者の公開基準を5万円超に引き下げる」とし、政治資金の寄付と同様に、外国人の購入を禁止するとしています。
このように野党各党、一致するところもあればズレもありますし、これ以外に政党助成金の廃止やパーティ券収入の課税といった独自案もあって、一本化は困難です。ただ、先日の衆院補選の結果を受けて「対・自民」の構図は動きそうになく、実際、内容に隔たりもある立憲と国民民主が、改正案の共同提出に向けて一致する部分の条文化を進め、週明けの提出を目指しています。あらためて、選挙で民意を示すことの大切さを実感します。
政治はどこを向いていたのか?
最後に、そもそも今回のパーティ券裏金問題の根っこにあるもの、つまりは毎年億単位のカネが有力者に流れることで、政治はどこを向いていたのか、ということを考えます。
例えば、消費税です。1989年に消費税が創設されてからこれまで、国と地方を合わせた消費税の総額はおよそ476兆円にのぼります。「年金や医療、福祉の財源」とされますが、この間、法人税率は段階的に引き下げられて合計324兆円減っています。さらに経団連は去年、少子化対策の財源として「消費税引き上げは有力な選択肢の一つ」と、政府に提言しています。
法人(企業)に関して言うと、輸出品にかかる消費税率はゼロで、それどころか、原材料や部品の仕入れにかかった消費税分は輸出企業に還付され、元静岡大学教授の湖東京至氏によると、その額は2020年度、自動車や電機など上位10社だけで1兆2000億円を超えます。消費税率が上がると、還付金はさらに増えます。
法人税引き下げも、輸出企業への消費税還付も「企業の国際競争力を高めるため」などと言われています。
この間、サラリーマンの平均年収はバブル期の1992年をピークにじわじわと下がり、近年持ち直しつつあるものの、まだ92年のレベルに達しません。一方で、税と社会保障負担を合わせた国民負担率は、10%以上上がりました。預金金利は91年当時、普通預金でも3%を超えましたが、今はほぼゼロで、株価だけがバブル期を超えています。構造改革の名のもと、非正規雇用も大きく増えて、格差は拡大しました。
多くは言いませんが、これが現実です。政治は変わるのか――。政治資金規正法改正案の審議は、いよいよこれから本番です。
●政治資金改革を時間稼ぎの「政局的な話」としか考えていない自民党 5/17
自民党の裏金問題を機に、国会では政治資金改革の議論が活発に行われている。野党が企業団体献金や政治資金パーティーの禁止など踏み込んだ案を出す中、自民党の改革案が甘いといわれ、厳しく追求されている。
そのような状況下、自民党の政治刷新本部座長を務め同党の改革案をまとめる立場の鈴木馨祐議員が、5月12日、民放の政治番組に出た際に野党から厳しい政治資金改革を求められたことに対して「自民党の力を削ぎたいという政局的な話」と発言した。これは単なる失言ではなく、裏金問題について反省がなく、改革案すら積極的に「政局」に利用しようとする自民党の本音といえよう。
甘過ぎる与党の政治資金法改革案
自民党が今国会に提出するとされる政治資金規正法改革案は、野党案に比べて極めて緩いものだ。たとえば立憲民主党が政治資金パーティー、企業団体献金、政策活動費を全て禁止し、また会計責任者だけでなく議員本人の連座制を導入する案を提出しているのに対し、自民党のそれでは、10万円以上のパーティー券購入者の公開や、政策活動費の使途の概略公開にとどまる。
また連座制についても、会計責任者が不記載・虚偽記載で処罰された場合には、政治資金の収支報告書を確認した議員も責任を問われる可能性があるが、違反に「気づかなかった」場合には責任を免除される。これを野党は「なんちゃって連座制」と批判している。
こうした不十分な改革案は、自民党と公明党の与党内ですら合意を得ることはできなかった。5月16日に自民党は、この政治資金規正法改革案を単独提出する方針を決定した。
野党の追及に「自民党の力をそぐ」と反発する自民党議員
このような自民党の政治改革への「やる気のなさ」は、当然ながら野党によって徹底的に批判されている。5月12日に放映された政治討論番組には、改革案を作成する実務上の責任者である自民党の政治刷新本部座長、鈴木馨祐衆院議員が出演し、野党議員の追及に対して弁明をすることになった。そこで鈴木議員は、政治資金パーティーの禁止といった厳しい政治資金規正法改革を迫る野党議員に対し、「(政治資金問題の)再発防止と自民党の力をそぎたいという政局的な話がごっちゃになっている」と反発したのだ。
この発言がさらなる批判を招いたのはいうまでもない。れいわ新撰組の大石あきこ議員は、「いかに反省していないかって話。力削がなきゃいけないんですよ。その力の源泉は裏金だったわけじゃないですか」と反論。そもそもの出発点が自民党の裏金問題だったことを考えれば、鈴木議員の発言は極めて無責任であり、自民党の印象を更に悪化させる失言であった。
ところが当の鈴木議員はもちろん自民党執行部も、「自民党の力をそぐ」発言を問題視している形跡はみられないのだ。番組放映から一週間たとうとしている現在でも、この発言は撤回されていないし、鈴木議員は月曜日の政治討論番組にも出席しているのだ。
このことは、野党や世論が要求する厳しい政治資金規正法改革を、自民党は本当に自分たちの「力をそぐ」ための攻撃だと思っており、自分たちは「被害者」である。そのような「政局」に対して徹底抗戦するのは当然だと考えているということを物語っているのではないか。
政治改革を「政局的な話」に持ち込もうとしている自民党
実は4月23日、自民党が暫定的に示した政治改革案では、「出版、機関紙販売事業」「労働組合の政治活動および政治資金」の透明性のあり方が検討項目にあがっていた。「機関紙販売事業」は、「赤旗」の販売費を政党の主な資金源としている共産党を念頭においたものであり、「労働組合」とは、連合を主要な支持母体とする立憲民主党を念頭においたものだろう。驚くべきことに、自民党の裏金問題を発端とする政治資金改革機運のどさくさで、自民党は今回の裏金問題にはまったく関係がない機関紙や労働組合の政治活動を規制することで「野党の力をそぐ」ような「改革」を行おうとしているのだ。
立憲民主党の岡田幹事長は、このような自民党の動きに対して、自民党の裏金や政策活動費とは異なり、何が問題なのか具体的に示されていない機関紙や労働組合の話を盛り込むことで論点を無意味に広げることは、政治改革を今国会で行わせないための時間稼ぎであるとして批判している。しかし、果たしてそそのような深謀遠慮が自民党にあるのかは疑わしい。
話はもっと単純なのではないだろうか。自民党は政治資金規正法改革が不可避とみて、せめてもの抵抗として時間稼ぎをしているのではないのではないか。4月4日に自民党が発表した「裏金議員」39人の処分は、一般的な感覚からすると極めて甘いものだった。それは各種世論調査でも明かだ。自民党は、そもそも裏金問題を深刻な問題と捉えておらず、従って改革の必要性それ自体を感じていないのではないか。自民党の関心は最初から、自分たちの力がそがれるか、あるいは自分たちが野党の力をそぐかという「政局」の話なのではないか。
4月の3補選で自民党は3敗を喫した。自民党の支持率は、政権奪回以後最低水準にまで落ち込んでいる。これまで政権の支持率は大きく落ち込むことはあっても、自民党の支持率は3割台をキープしてきたのに対して、今や2割台にまで落ち込んでいる。
この落ち込みは、裏金問題に対する世論の怒りの凄まじさにあるのは明らかだが、当の自民党議員はこの期に及んでもなお、問題の深刻さに気付けていない様子だ。9月の総裁選で岸田総裁の首を挿げ替えれば支持率は回復するだろうと考えている議員もいるようだ。しかし、裏金に対する世論と自民党の温度差に気づかない限り、たとえ総裁が変わっても自民党の再起はないだろう。
●参院政倫審 “裏金”議員29人への“出席要求”議決 5/17
参議院の政治倫理審査会で審査が申し立てられている自民党などの29人の議員に対し、出席と説明を求める議決が全会一致でされました。
参議院の政治倫理審査会をめぐっては、政治資金収支報告書に不記載が確認された32人の議員が審査対象となっていましたが、これまで出席したのは世耕前参院幹事長など3人にとどまり、29人は欠席の意向を示していました。
これを受け、17日に行われた政倫審で、残りの29人に対し、出席と説明を求める議決が行われ全会一致で決定されました。
立憲民主党・吉川参院議員「党に対しては、弁明を行うことができるのに、なぜ政治倫理審査会の場においては、説明をしていただけないのでしょうか。派閥事務局の指示だからではなく、議員として国会において説明責任を果たす必要があるのではないでしょうか」
ただ、出席に強制力はなく議決を受けて、29人の議員が実際に出席する意向を示すかは不透明です。
●「心の整理をして立候補を決意した」自民・二階俊博氏の三男・伸康氏が出馬表明 次期衆院選の新・和歌山2区 5/17
自民党の二階俊博元幹事長の3男で公設秘書の伸康氏が、17日午後4時から和歌山県田辺市で会見を開き、次の衆院選での和歌山新2区からの出馬を表明しました。
伸康氏は町村会など和歌山県内の40を超える団体や、選挙区内の自民党県会議員19人中16人から出馬要請を受けているということです。しかし、これまで態度を保留していました。
一方、伸康氏の父で、和歌山3区選出の二階俊博元幹事長は、自民党派閥の「裏金問題」の責任をとり、次の衆院選へ出馬しないことを明らかにしています。
新2区には、共産党の新人・楠本文郎氏が立候補を予定しているほか「裏金問題」で自民党から離党勧告処分を受けて離党した世耕弘成元参院幹事長のくら替え出馬も取り沙汰されています。
伸康氏「秘書として連帯して責任負うべきで…後継者を名乗る資格はないかと自問し続けてきた」
17日の会見で伸康氏は次のように話しました。
二階伸康氏「今日までの間に県内のあらゆる団体、40件を超える出馬要請を受けてきました。これまで心の整理を進めてきましたが、本日午前に和歌山県町村会の会長を訪ね、自ら和歌山新2区で立候補を決意させていただいたと報告しました。本日の決断に至るまで私の心境も大きく揺れ動いた。二階代議士が派閥の政治資金にともなう責任をみずから明らかにして、不出馬を発表しました。私も秘書として連帯して責任を負うべきだとの考えに変わりはなく、その段階では自ら後継者として名乗る資格はないと自問し続けてきた」
二階俊博元幹事長は今年3月に「すでに派閥(二階派)の元会計責任者と私の秘書が刑事処分を受けていますが、その政治責任はすべて私、監督責任者である私自身の責任にあることは当然」などと述べ、次期衆院選の不出馬を宣言、残りの任期はまっとうするとしていました。
会見で、二階俊博元幹事長は「衆院選の不出馬を決めたのは政治資金パーティー、不記載の責任か、それとも年齢の問題か」と記者に聞かれると、語気を強め、「(政治家に)年齢の制限があるか?」「お前もその年が来るんだよ。バカヤロウ」などと述べていました。
●自民・石破茂氏、「某新聞の党内不人気」論に反論「嫌いだろうが…」 5/17
(秋の自民党総裁選への対応に関して質問され)昨日、私も参加している勉強会をやった。新聞を読んでみると、「国民的人気があるが、党内で人気がない。石破氏はなかなか今後が難しい」と某新聞に書いてあった。
不徳の致すところだが、「この国をこうします」ということにおいて一致すれば、何も無二の親友ではないので、嫌いだろうが、なんだろうと一緒にやるのが、お国のためだ。どんなに好きな人でも政策が違ったら一緒にやってはいけない。
●裏金問題対応を批判 5/17
立憲民主党の岡田克也幹事長、川崎市労連会館(川崎区東田町)で開かれた党10区の総支部主催のタウンミーティングで講演し、政治資金パーティーの裏金問題に対する岸田政権の対応を批判した。
岡田氏は「リクルート事件では自民党には危機感があった」と指摘。自民党から政治資金規正改正法案がいまだに出てこないことに対して「本気で現状に対する危機感がみじんも感じられない」と述べた。裏金問題について岡田氏は「自民党の問題だけではない。日本の政治そのものが大きな危機に面している」との認識も示した。
「閣議決定」が乱発される状況についても言及し、「国会の場で議論して決める真っ当な政治にしていかねばならない」と力を込めた。
●自民党がいよいよ崖っぷち…No2・茂木幹事長が見せている「意味深な動き」 5/17
驚きの調査結果
5月26日に投開票される静岡県知事選で自民党が瀬戸際に立たされている。
岸田政権は4月末に行われた衆院3補選で惨敗を喫したばかりで、さらに黒星をつければ国政運営や解散戦略、また岸田文雄首相自身の去就を左右する自民党総裁選(今年9月に予定)にも影響を及ぼしかねない。
さらにそんな岸田首相の背後では、首相との溝が深まり続けている茂木敏充幹事長が意味深な動きをしていると見られる。
「かなり悪い数字が出ている。自民党に逆風が吹いている中、ここから追いつき、追い越すのは至難の業だ」
自民党が5月11、12日に独自に実施した静岡県知事選の情勢調査が永田町に駆け巡ると、予想以上の内容に永田町関係者は絶句した。
この情勢調査では、立憲民主党や国民民主党が推薦する鈴木康友氏が大きくリードし、自民党が推薦する大村慎一氏が苦戦を強いられる結果となっている。
ただ、このような情勢となることは前々から予想されていた。
4月21日に筆者が寄稿した「自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の『驚きの実態』」では、告示前に自民党が実施した情勢調査の段階で、鈴木氏が大村氏を10ポイント以上引き離してリードしていることについて触れた。
その背景には衆議院議員や浜松市長を歴任してきた鈴木氏が知名度で優っている分、大村氏に対して優勢となっているという状況があった。
一方の自民は、浜松色が強い鈴木氏に対して、全県的な支持を集めることによって大村氏の逆転を目指していたが、その矢先に発覚したのが静岡県を地元とする宮沢博行衆院議員(4月25日に議員辞職)のパパ活不倫スキャンダルだった。
すでに自民党は裏金問題で大逆風が吹いており、4月28日に行われた衆院3補選では保守王国の島根1区で惨敗。
そこに宮沢氏のスキャンダルが追い打ちとなり、続けて静岡県知事選でも敗れることとなれば、岸田首相の求心力はさらに低下しかねない。
そのため、自民党では大村氏に対して党本部の推薦を出さずに静観することも検討されていた。
不穏な動き
しかし、最終的に自民党は知事選が告示される前日の5月8日に大村氏の推薦を決定。
その背景には岸田首相との関係が冷え切ってしまった茂木幹事長の存在が指摘されている。
永田町関係者は語る。
「もともと岸田政権は岸田派、麻生派、茂木派の三派連合で成り立っていたが、裏金問題を受けて岸田首相が独断専行で派閥を解散してから関係が悪化している。政権支持率が低迷する中、茂木氏は裏で『岸田には解散させない』と漏らしているほどだ。今回の知事選推薦も茂木氏が推したようだが、これは、勝つ見込みがあるというよりも、岸田首相に連敗させることで解散戦略を潰しにかかっているということなのではないか」
岸田首相が今国会で衆議院解散に踏み切らなければ、9月に予定されている自民党総裁選で「岸田おろし」が加速する可能性が高い。
茂木氏自身は総理総裁への意欲も示しており、もはや岸田首相は党ナンバー2に後ろから刺されるような事態に陥っているようにも見える。
県政だけでなく国政の今後を左右するバロメーターともなる静岡県知事選。
自民党内でも様々な思惑がぶつかる中、投開票は刻一刻と迫っている。
●これは政権交代前夜だ…立憲、調査で比例投票先自民党超え「岸田首相はもはや自民の疫病神」 5/17
4月の衆院3補選で事実上の全敗を喫した岸田文雄首相(自民党総裁)がピンチを迎えている。選挙分析に定評があるJX通信社と選挙ドットコムの調査で自民党が立憲民主党に追い抜かれたのだ。訪米や大型連休の外遊効果で内閣支持率は好転したとみていただけに、岸田首相は焦りを隠せない。はたして、次期総選挙で政権交代はあり得るのか。経済アナリストの佐藤健太氏が語る――。
岸田首相が渡ろうとしている危ない橋
「トップ同士が腹を割って率直に話し合えるような関係を構築することが極めて重要だ。私直轄のハイレベル協議を進めたい。そのために様々なルートを通じた働きかけを一層強めていく」。岸田首相は5月11日に出席した北朝鮮による拉致被害者の即時帰国を求める集会で、北朝鮮の金正恩総書記との首脳会談実現に向けて強い意欲を示した。
これまでも岸田氏は電撃訪朝による政権浮揚を画策し、北朝鮮との交渉を秘密裏に進めてきた。金総書記の妹、与正党副部長から「岸田首相が可能な限り早期に直接会いたいと伝えてきた」などと暴露されたこともある。だが、北朝鮮側は「拉致問題は解決済み」との立場を崩しておらず、被害者の早期救出を求める日本側との溝は一向に埋まらないままだ。
ある外務省幹部は「与正氏は2月に『岸田氏が平壌を訪問する日が来ることもあり得る』との談話を発表したが、これは岸田首相や日本政府に向けたメッセージというよりも韓国や米国に対するポーズ。日米、日韓の結びつきが強まる中で孤立しないよう談話が発せられたにすぎない。それに気づかない岸田氏は単に乗せられているだけだ」と指摘する。つまり、首相は「直轄のハイレベル協議」と意味深長に語っているものの、その実は「危ない橋」の可能性が高いというわけだ。
なぜそんな危ない橋を…?自民党への逆風は『あの時』と似たものを感じる
岸田氏がこれまで以上に強く電撃訪朝を狙う理由は、言うまでもなく危険水域にある政権を浮揚させ、今夏の自民党総裁選で再選することにある。もはや、「それだけしか考えていない」と言っても過言ではないだろう。自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件を受けた政治資金規正法改正案や、4月の衆院東京15区補選での「選挙妨害」を踏まえた公職選挙法改正案などの与党間調整も首相のリーダーシップの欠如でスムーズにいかず、もはや外遊以外の“見せ場”は見当たらない。
それにもかかわらず、首相は総裁選での再選を目指して解散総選挙のチャンスをうかがう始末だ。自民党の閣僚経験者は「もし今、衆院を解散したら多くの同志(自民党議員)が選挙区で敗北するだろう。自分が首相を続けたいがために『同志を殺す』というなら、岸田氏には辞めてもらうしかない。自民党への逆風は『あの時』と似たものを感じる」と憤りを隠さない。
なぜ麻生内閣は「追い込まれ解散」を迫られたのか
あの時―。それは約15年前の政権交代を意味する。現在は自民党副総裁として岸田首相を支える麻生太郎氏が首相(党総裁)を務めていた時だ。不人気だった福田康夫首相からバトンタッチした麻生氏は就任直後の解散総選挙を期待されて登板した。だが、リーマン・ショックが世界経済を襲い、経済再生を優先せざるを得なくなった麻生氏は衆院解散を見送った。そして、ジリジリと支持率を上げてきた当時の民主党に2009年夏の総選挙で敗北。この「追い込まれ解散」で下野し、3年3カ月の野党時代を余儀なくされた。
NHKが実施した直近の世論調査(5月10日から3日間)によれば、岸田内閣支持率は4月から1ポイント上昇し、24%だった。不支持率は55%だ。JNNの調査(5月4日、5日)では支持率が3月末の調査から7ポイント上昇して29.8%となっている(不支持率は7.1ポイント下落)。
2つの世論調査結果が示すのは、4月の訪米効果だ。バイデン大統領との日米首脳会談、米議会や晩餐会でスピーチする映像が繰り返し報道され、露出増から「政治とカネ」問題による負のイメージが一時的に剥落したことが背景にある。ただ、足元の共同通信の調査(5月11〜13日)では内閣支持率が24.2%に落ち着き、4月調査と比べ0.4ポイント増と横ばいだった。首相は5月頭にフランスと南米2カ国を外遊したが、その外遊効果もほぼ消えていることがわかる。
一見、自民党支持率は回復しているが…
それよりも注目すべきは、自民党の支持率だ。まず、先のNHKの調査によれば、自民党の支持率は27.5%で、3カ月連続で20%台に落ち込んでいる。立憲民主党が6.6%、日本維新の会が4.5%と低いことを考えれば、すぐに問題はないように見えるかもしれない。だが、無党派層の割合は44.3%に達している。4月に行われた衆院3補選の結果を見ても、自民党支持層から相手候補に票が流れた場合、無党派層の動きも加わって大きな票差が生まれ得る。
JNNの調査で自民党の支持率は23.4%(前回比1.6ポイント減)となり、2012年の政権奪還後の最低を更新した。これは先に触れたように、麻生政権が崩壊する直前の2009年8月と同水準(23.8%)にある。立憲民主党は10.2%で前回調査から4.1ポイント上昇し、約6年ぶりに2桁となった。2017年の結党直後(11.0%)に回復し、勢いを見せている。
直接の比較はできないものの、選挙ドットコムとJX通信社による5月の全国意識調査(5月11日、12日に電話とインターネットで実施)の結果は衝撃的だった。まず、支持政党は電話調査で自民党が1.2ポイント下落の23.5%となり、野党第1党の立憲民主党は2.4ポイント上昇の17.8%となっている。
この点だけを捉えると「そんなことはよくあるよ」と感じるかもしれない。だが、問題なのは次の設問だ。「あなたは、次に行われる衆院選の比例代表では、どの政党に投票したいと思いますか」。電話調査で立憲民主党は6.1ポイント増の27.3%となり、自民党の17.8%(5.3ポイント減)に約10ポイントもの差をつけている。ネット調査では2つの設問ともに目立った変化は見られないが、より実感に近い電話調査の結果は衝撃的と言っ良いだろう。
「野党候補者1本化で政権はとれる」
「自民党政権もようやくほころびが大きくなって、いずれ崩壊の日も近いと思っている」。2009年の政権交代選挙で当時の民主党を牽引した立憲民主党の小沢一郎衆院議員は5月12日、都内で開かれた輿石東元参院副議長(元民主党幹事長)の出版記念パーティーで政権交代の好機が訪れていることに強い意欲を示した。立憲の安住淳国対委員長も同日放送のBSテレ東番組で「北海道から沖縄まで国民民主党と選挙区をすみ分け、本物の候補を出せば政権交代は決して夢ではない」と候補者調整がカギを握ると強調している。
2009年に政権交代の立役者だった2人の重鎮は、自民党への支持が選挙結果に結びつかない傾向がある中で野党候補者を一本化すれば、再び政権交代を実現できると見ている。ただ、当時は民主党と自民党の支持率はほぼ拮抗していた。足元の調査では両党の差は依然として大きいままだ。
JNNの調査では次期衆院選で「自公政権の継続をのぞむ」は34%(前回調査比2ポイント増)で、「立憲などによる政権交代のぞむ」は48%(前回調査比6ポイント増)だった。たしかに政権交代を望む声が大きいとはいえ、2009年と同レベルのビッグウェーブが来ているのかと言えば、そうではないように見える。
背景にあるのは、自民党嫌いの異様な急増だ
ただ、次期衆院選の投票行動で気になるのは「消去法による支持」がどこに流れるのかという点だ。つまり、自民党支持層で「今度は自民党に投票しない」という人がどの政党の候補者に一票を投じるのかということである。この行方が「ダメダメだけど、やっぱり自民党」なのか、「保守系ならば維新かな」になるのか、それとも「思想信条は違うけど、立憲に入れちゃえ」になるのかによって総選挙結果は大きく異なる。
通常ならば、「やっぱり自民党」「保守系で維新」という流れが強いはずなのだが、今度の総選挙では「もう野党に入れます」という人が少なくないように感じる。背景にあるのは、自民党嫌いの異様な急増だ。
共同通信の調査によれば、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正の与党案を「評価しない」との回答は79.7%に上っている。物価上昇に国民が苦しむ中、裏金が発覚しながらも責任がほとんど問われない自民党政治への嫌悪感は高まっている。加えて、強固な選挙協力を重ねてきた公明党や支持母体の創価学会には「今のような自民党とは組めない」との空気が充満する。
静岡県知事選が岸田政権を左右する
共同の調査では、次期衆院選で候補者一本化など野党の選挙協力のあり方に関し「進めるべきだ」が52.0%に上り、「進めるべきではない」(36.6%)を上回っているのだが、野党の候補者調整に加えて「公明党・創価学会」の支持を自民党の候補者が十分に得られなければ、大打撃となるだろう。「保守王国」の衆院島根1区補選は象徴的な選挙となった。
保守層の自民離れ、約4割の無党派層の嫌悪感、野党の候補者一本化というトリプルパンチが次期衆院選で出現すれば、世論調査の数字には現われていない衝撃的な結果が訪れる可能性があるだろう。
5月26日には、静岡県の川勝平太知事辞職に伴う県知事選が行われる。自民党は元副知事の大村慎一氏を推薦し、立憲民主党や国民民主党が推薦する鈴木康友元浜松市長との与野党対決の道を選んだ。1つの自治体のリーダー選びにすぎないように見えるが、ここでの勝敗が岸田政権の行方を左右するのは間違いない。
自民党にとって政権交代の危機を招く「疫病神」
知事選には、諸派で政治団体代表の横山正文氏、共産党公認で党県委員会委員長の森大介氏、無所属で自営業の村上猛氏、無所属でコンサルティング会社社長の濱中都己氏の計6人が立候補した。これまで触れてきたように、知事選の投票行動が「異様」なものになるのかは注目だ。
二度あることは三度ある―。少し前まで「増税メガネ」と揶揄されていた岸田首相は、もはや自民党にとって政権交代の危機を招く「疫病神」といわれかねない状況にある。
●岸田首相の「聴く力」〜庶民の願いや訴えは無視 5/17
岸田首相は「聴く力」があると自負している。しかし、それは米国政府や日本の大企業に対してであり、庶民の願いや切実な訴えに耳を傾ける力も意思もないことをこの間のいくつかの事実が示している。
岸田首相は4月に訪米し、バイデン大統領から「国賓級の待遇」を受けたという。それもそのはずだ。大軍拡で米国製兵器の爆買いを進めている上に、発表された共同声明は「未来のためのグローバル・パートナー」と題され、岸田首相は「日米両国が2国間や地域にとどまらず、…グローバル・パートナーとなっている」と述べているからだ。
日米安保体制が軍事面で全世界に関与すると表明したのだ。岸田首相は米国議会で「日本は米国と共にある」とまでブチ上げた。中国が猛反発したことはいうまでもない。しかし、その米国は中国との関係修復に動き始めている。米国から日本ははしごを外されかねない。
5月1日に水俣病の患者・被害者団体と環境省の懇談の場があった。出席した8団体各3分の発言の持ち時間が過ぎると、環境省職員が発言を制止したり、マイクの音を切った。とんでもない暴挙であり、抗議の声が上がったのは当然だ。 長年、水俣病で苦しんできた患者や家族が、伊藤信太郎環境相に直接訴えているにもかかわらず、耳を傾けようとしなかったのである。何が「聴く力」か。ところが、岸田首相は伊藤氏を更迭しない。
岸田政権のこうした本質を見抜き、「政権交代しかない」と有権者が意思表示したのが4月28日に投開票された衆院の3つの小選挙区での補欠選挙だった。
小選挙区制度の導入以来、自民党が議席を失ったことがないという保守王国≠フ島根1区でも社民党が推薦した亀井亜紀子候補(立憲民主党)が当選した。
それでも自民党に反省はない。終盤国会の焦点である政治資金規正法の改正をめぐっても肝心な点は全くのゼロ回答だ。「政治とカネ」問題の発端となった政治資金パーティーと企業・団体献金は当然、全面禁止すべきだが、踏み込もうとしない。
野党は衆院補選の結果を受け、衆院の早期解散、総選挙の実施を岸田内閣に求めている。
社民党もこうした動きに呼応しながら選挙準備を加速させ、岸田政権を退陣に追い込む決意だ。ともに頑張りたい。
●反日暴挙を放置、韓国に岸田政権沈黙≠フ大甘 竹島周辺に海洋調査船、野党上陸と同時期「『領土問題ない』と認めたに等しい」 5/17
韓国が不法占拠する竹島(島根県隠岐の島町)に13日、韓国革新系野党幹部らが上陸したのと同時期に、竹島周辺の日本領海などを、韓国の海洋調査船が数日間にわたり航行していたことが17日、政府関係者らへの取材で分かった。不当な海洋調査を行った疑いがある。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権との融和路線を推し進める岸田文雄政権は、抗議などは行っていない。韓国に忖度(そんたく)し、反日暴挙≠放置するのか。
海上保安庁によると、韓国の調査船「タムグ22」など2隻が12〜14日、竹島周辺海域に現れ、日本の領海内などを航行した。海保は「(不当行為への)中止要求などは行わなかった」としている。
外交関係者によると、日本側に無断で海洋調査などを行った可能性があるが、外務省の担当者は夕刊フジの取材に対し、韓国側への問い合わせや抗議の有無など、一連の経緯を説明しなかった。
国連海洋法条約では、他国の領海やEEZ(排他的経済水域)で当該国が同意しない海洋調査を認めていない。
政府関係者は「海洋調査などが疑われれば即座に韓国側へ問い合わせる。注意喚起を行い、事実確認されれば中止を要請して、外交ルートで厳重に抗議する」と説明する。今回、日本側が海洋調査について確認や抗議を行っていないとすれば、異例の腰が引けた対応となる。
竹島には13日、韓国革新系野党「祖国革新党」代表で、文前政権で法相などを歴任しだ国(チョ・グク)氏らが上陸し、尹政権を「歴代最悪の親日政権」などと激しくこき下ろす声明を発表した。
゙氏上陸と調査船の活動が重なった背景について、関係者は「調査の担当部署は独自の判断で活動することもある。韓国側の一体的行動だったかは不明だ」と分析する。
「タムグ22」は韓国国立水産科学院所属で、2022年にも竹島周辺に現れた。当時は複数の韓国調査船が、日本領海や日韓中間線の日本側のEEZを航行した。日本側の注意喚起に対し、韓国側は竹島の領有権を主張し「正当な調査を行っている」と回答した。
いわゆる「徴用工問題」や韓国海軍による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件など文在寅(ムン・ジェイン)前政権の度重なる反日暴挙≠ナ、日韓関係は極度に冷え込んだ。22年9月、岸田首相と尹氏が懇談し、約3年ぶりに日韓首脳の対面が実現すると、首脳が相互を頻繁に訪問する「シャトル外交」の再開で一致していた。
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「竹島に調査船を派遣する時点で『一線』を越えており、放置すれば、日本は『領土問題はない』と認めたに等しい。厳重に抗議して国際世論に徹底的に主張すべきだ。『親日的な尹政権を支えるべきだ』との声があるが、日本側が忖度しても、国益を切り売りすることにしかならない。外務省は『文句を言わない理由』を探しているようだが、国際社会では国家主権を主張するのは極めて当然だ。岸田首相や外務省が前のめりな対韓外交を続ければ、重大な事態を招きかねない」と指摘した。
●自民提言案で最低賃金1500円前倒し 5/17
岸田政権が掲げる「新しい資本主義」実現に向けた自民党の提言案が17日判明した。最低賃金の全国平均時給を2030年代半ばまでに1500円とする政府目標の達成時期の前倒しを求めた。
●予算が一気に3倍増で「宇宙バブル」の様相…3000億円を50人で当面差配する「岸田政権の宇宙戦略」は大丈夫か 5/17
政府基金は無駄遣いの温床になってきた
政府が新設した「宇宙戦略基金」が動き出す。
スタートアップ(新興企業)、企業、大学の技術開発や研究に補助金などを出し、10年間で総額1兆円規模の支援をするというものだ。
全体をとりまとめる内閣府が、4月末に支援対象22テーマを発表した。費用を100%補助するものや、一企業に500億円を超える支援をする場合もある。
「これまでにない思い切った支援」と宇宙業界は歓迎するが、内容を見ていくと支援企業の選定方法や責任の所在がはっきりせず、支援金が悪用されたり国への依存が強まったりする懸念もある。
内閣府の発表によると、第一弾として、文部科学省が1500億円、経済産業省1260億円、総務省240億円の計3000億円を出し、「宇宙輸送」「衛星」「探査」の3分野22テーマの技術開発や研究を支援する。
基金は宇宙航空研究開発機構(JAXA)に設置。JAXAが基金の運用、支援先の選定、技術支援、全体のマネジメントなどを担う。7月からJAXAが公募を始め、今年度内に支援先を選定する予定だ。
政府基金は2000年代に入ってから各省庁が競うように設立した。政府予算のように1年ごとに計上する必要がなく、複数年分をまとめて計上して使えるなど自由度が高いためだ。一方で国会などの監視の目が届かず、無駄遣いの温床になる問題が起きている。
3000億円が3倍に膨れ上がる「宇宙予算バブル」
政府は4月22日に、基金の一部事業を廃止し、約5400億円を国庫に返納すると決めた。
内閣府が、宇宙戦略基金の支援策を公表したのは、その4日後。逆風の中でも新設できた背景には、宇宙を取り巻く環境が大きく変化していることがある。
安全保障、防災、地球観測、通信など、世界で宇宙開発や利用がさかんになり、市場規模も拡大している。担い手も、国から民間へと移っている。
「1年ごとの予算に縛られたり、JAXAが企画・設計して大手メーカーに仕事を発注したりする硬直したやり方では、世界との競争に勝てない。予算も少なすぎる」――。政治家、宇宙業界、政府などからそんな声が巻き起こった。
米国は、米航空宇宙局(NASA)や国防総省などの政府機関が、スタートアップなどに資金を提供して、技術開発や研究を推進している。日本も宇宙基金を作り、そうしたやり方を目指そうとしている。
宇宙基金を足すと、今年度の宇宙予算は約8900億円になる。宇宙予算は、3年前から少しずつ増えてきたが、長年にわたって約3000億円台の横ばいが続いた。今年度は一気に拡大し、まさに宇宙予算バブルのような状況だ。
宇宙基金とは別にスタートアップ支援もしているが…
それにしても額が大きい。
経産省は、多数の衛星を一体的に運用して、通信や観測に使う「商業衛星コンステレーション構築加速化」に約950億円を投入する。最長7年間支援し、対象は3件〜5件。スタートアップや中小企業の場合、一企業に最大533億円を支援することも見込んでいる。
文科省は、高頻度で詳細に衛星から地球を観測できる「高分解能・高頻度な光学衛星観測システム」をテーマのひとつに設定。1件を対象に最長5年間で約280億円を提供する。
総務省は、「衛星量子暗号通信技術の開発・実証」で、1件を対象に5年程度で約145億円の支援をする。
目標の10年1兆円を目指し、政府は今後も基金を積み増していくという。
技術開発や研究が進展したり、ビジネス化に成功したりするなどの効果もあるだろう。だが、基金の原資が国民の税金であることを考えると、懸念すべき点も目に付く。
ひとつは、宇宙基金を出した3省庁の支援先が重なったり、政府の他の基金や予算と重複したりして、無駄を招かないかという点だ。すでにその兆候が見える。
最近の政府の産業振興策は、スタートアップ支援がブームのようになっている。
文科省や経産省は、宇宙戦略基金とは別の「中小企業イノベーション創出推進基金」に、資金を提供し、スタートアップ支援をしている。
ホリエモンロケット、カイロス、アストロスケールも
例えば文科省は昨年9月に、「民間ロケットの開発・実証」事業として、実業家・堀江貴文氏が創設した「インターステラテクノロジズ」、東京理科大発の「スペースウォーカー」、元経産省官僚が立ち上げた「将来宇宙輸送システム」の3社にそれぞれ、今年9月までに最大20億円の交付を決めた。今年3月に初打ち上げに失敗したカイロスロケットの「スペースワン」にも最大約3億円の交付を決めている。
ほかにも、宇宙ゴミ対策に取り組む「アストロスケール」に、来年1月までに最大約27億円を交付する。
経産省もこの基金を使って、昨年10月に、月面着陸を目指す「アイスペース」に最大120億円、小型観測衛星システムに取り組む九州大発の「QPS研究所」に最大41億円など、計9社への補助金交付を決めた。
基金ではないが、防衛省も宇宙スタートアップと積極的に契約を結んでいる。今年2月に、「QPS研究所」と、56億4900万円で実証衛星の試作を契約した。3月には、ロケットの能力向上の研究として、「スペースワン」とも85億円で契約した。防衛省は、「今後もスタートアップを含む民間事業者と連携しながら、民生先端技術の積極的な取り組みを図っていく」という。
ほかにも、JAXAとの共同研究などの形で支援を受けているスタートアップや企業は多い。
チェックする側は現在40人程度しかいない
日本の宇宙スタートアップは100社程度と言われるが、アクティブに活動をしているところは、限られている。同じところにお金が集中し、「使いきれなくなるのではないか」との懸念や苦言が、政府や産業界、学術界からも出ている。
2つ目は、適切な支援先を選ぶことができるかどうかだ。
基金事業の巨費に目をつけて、詐取しようとする人や組織が現れる可能性もある。支援対象の企業や大学だけでなく、下請け、取引相手、共同研究先などを含めてひとつひとつ確認し、日本の税金や技術が、思わぬ組織や個人に流れてしまわないように注意する必要がある。
きちんとチェックできる体制づくりが欠かせないが、その役目を担うJAXAの担当者は、現在約40人。JAXAによると、金融関係者、政府や自治体からの出向者など、さまざまな人員を集めて順次拡充し、当面は50人程度を目指すという。公募を始める7月には担当組織を整えるため、この時に「かなり人員が増えるのではないか」(政府関係者)と言われている。
だが、第一弾の基金だけでも、JAXAの昨年度の予算の1.4倍もある。ふさわしい対象を選び出し、技術開発を成功させ、実用化、産業化などの成果へと結びつけることができるかどうかの判断は、かなり難しい。どのような陣容でのぞむかという全体像を示さずにスタートを切った形になっていることも、懸念を高める一因になっている。
日本人の税金が海外企業に使われる?
3つ目は、基金の巨費に見合うように、日本の技術力や研究力を向上させることができるかどうかだ。
内閣府によると、海外の企業も、日本法人を作っていれば宇宙基金に応募できる。日本法人がなくても、日本企業との共同研究であれば、基金のお金で技術開発や研究をすることが可能だ。海外の大学も、日本の大学との共同研究であれば基金を使った研究に参加できる。
内閣府の文書では「支援対象者が同盟国・同志国との国際共同研究・実証等を行うことを可とする」としているため、そうした事例が多々出てくるのではないかと思われる。国際協力は重要であり、ビジネスチャンスや成果拡大につながる可能性があるが、あまり増えすぎると、宇宙業界以外の人々から「なぜ日本国民の税金で海外企業を支援するのか」という批判も出てくるだろう。
本当に日本にとってプラスとなるかどうか、精査が必要だ。それもJAXAの役割だという。
基金の目的は、実施した技術開発や研究の成果を、ビジネスにつなげたり、社会で使われるようにしたりすることだ。
かつて、JAXAが開発した技術は、あまり産業化や実用化につながらないと指摘され、「技術開発のための技術開発」と批判されていた。宇宙基金による技術開発も、企業まかせにするだけだと、技術開発だけで終わってしまう心配がある。目的実現に向けてJAXAがどこまで支援すべきかも大きな課題だ。
米国では支援金太りしたスタートアップも
事業が長期間にわたることへの不安もある。技術開発がうまくいかないケースも出てくるだろうし、10年もたてば世の中も変わる。できあがる頃には時代にそぐわなくなっていることもある。
内閣府は、「年に1回」「開始から3年目」などの節目に評価を行い、JAXAが中止などを検討するという。だが、宇宙事業では、これまでもいったん始めるとやめられずにずるずると続けることが何度もあった。評価をきちんと機能させるように、JAXAや資金を出した省庁などの責任をもっと明確にする必要があるだろう。
お手本にした米国では、最近は政府のスタートアップ支援の行き過ぎが、産業界などから問題視されている。NASAや国防総省など政府のお金を獲得し続けることが目的化し、自らビジネスで成功しようという意欲が薄れてきているという。民間の投資会社からも、投資を回収できなくなるという懸念の声が出ている。日本でも、同様の心配がある。
「貧乏研究室」が大量発生した失敗が思い出される
基金の原資は税金だ。責任の所在を明らかにし、無駄な使い方を防止することが必要だ。支援する理由、支援先の下請け企業、共同研究先なども含めて、どこにどれだけお金が流れているか、技術開発がどこまで進み、どんな成果を上げているのか、などについて、国民にもわかるようにデータベースを作って公開するなど、透明化をはかることが必要ではないか。
2000年代初頭の科学技術政策で、研究予算の「選択と集中」を推進した結果、予算が集まりすぎて使いきれない研究室が生まれた。いろいろな役所や政府関連機関が、縦割りのままバラバラに、同じ研究者に重複して研究費をつけたことが原因だった。
一方で、予算に事欠く研究者が多数生まれ、日本の研究力低下につながったと見られている。
同じことを宇宙基金でも引き起こさないためのシステム作りが求められる。
政府基金への批判渦巻く中でのスタートを、内閣府も気にしているのだろうか。「国民の理解は不可欠」と強調し始めた。今まであまり興味を示してこなかっただけに、大きな変化だ。
内閣府は「(宇宙予算が)3000億円の時代から、8000億円時代にギアチェンジした。今まで以上に情報発信をすべき」と言い、宇宙開発を担う産業界などに「宇宙開発の成果の意義」を発信するよう求め出した。
発信だけにとどまらず、宇宙戦略基金を大きな「ブラックボックス」にしないための、透明化の工夫も求められる。
●岸田首相「自民案には実効性」 規正法改正、与野党協議に意欲 5/17
岸田文雄首相(自民党総裁)は17日の参院本会議で、自民の政治資金規正法改正案について「実効性のある再発防止策を提示した」と強調した上で、「各党と真摯(しんし)に協議し、政治の信頼回復に取り組む」と語った。立憲民主党の石垣のりこ氏への答弁。
首相は法案に議員本人の責任も問う「連座制」導入や外部監査の強化、収支報告書のデジタル化による透明性向上などが含まれていることに言及。「私の指示の下、幅広い改正点を提示した」と述べた。
●リニアトンネル工事 井戸水位低下 “原因究明と説明を”国交相 5/17
岐阜県内にあるリニア中央新幹線のトンネル工事の現場周辺で井戸などの水位が低下している問題で、斉藤国土交通大臣は、JR東海に対し速やかな原因究明と住民などへの丁寧な説明を求めました。
岐阜県瑞浪市にあるリニア中央新幹線のトンネル工事の現場では2つの区間で地下水が湧き出し、周辺にある井戸やため池などの水位の低下が確認され、JR東海は、トンネル掘削のルートがこの先、水田が広がる盆地の地下を通るため、その手前でいったん工事を中断して地質調査を行う方針を示しています。
この問題について、斉藤国土交通大臣は17日の閣議のあとの記者会見で「井戸水やため池の水位低下について、JR東海からリニア中央新幹線のトンネル工事の影響である可能性が高いとの報告を受けている。会社に対し、速やかに原因究明を行うとともに、地元住民の方々などへの丁寧な説明を求める」と述べました。
その上で「国土交通省としても会社が現場を調査した上で適切な処置をとっているかどうか、引き続き指導や助言を行っていく」と述べました。
●中国 4月の新築住宅価格指数 主要都市90%超で下落 低迷深刻に 5/17
中国の4月の新築の住宅価格指数は主要な70都市のうち64都市で前の月から下落しました。下落した都市の割合は90%を超え、不動産価格の低迷が一段と深刻になっています。
中国の国家統計局が17日に発表した4月の新築の住宅価格指数は、主要な70都市のうち64都市で前の月から下落しました。
下落した都市は前の月から7都市増え、その比率は主要都市のおよそ91%に上っています。
一方、上昇したのは6都市にとどまりました。
都市別に見ますと、大都市では、上海は0.3%上昇した一方、広州は1.3%、深圳は1%、北京は0.7%それぞれ下落しました。
また、規模の小さい地方の都市も平均で0.6%下がっていて、不動産価格の低迷が一段と深刻になっています。
中国政府は、不動産事業に対する金融支援を強化しているほか、中国人民銀行が、住宅ローンなどの長期の貸し出しの目安となる金利を引き下げるなどの対策を打ち出していますが、不動産市場の改善にはつながっていないことが浮き彫りになった形で、政府がさらなる対策を打ち出すかどうかが注目されます。
●超党派議員連盟 台湾新総統の就任式に30人超の議員団派遣へ 5/17
日本と台湾の交流を進める超党派の議員連盟は、来週20日に行われる台湾の新総統の就任式に30人を超える議員団を派遣することになりました。
議員団を派遣するのは超党派の国会議員で作る「日華議員懇談会」で、会長を務める自民党の古屋元国家公安委員長が17日、記者会見を行って発表しました。
ことし1月の台湾の総統選挙で当選し、新総統となる民進党の頼清徳氏の就任式は来週20日に行われ、これに自民党や立憲民主党など31人の議員で構成する議員団を派遣し、頼氏との昼食会も行うということです。
古屋氏は「頼氏がどのような演説をするか注目している」と述べました。
会見に先立ち、議員連盟のメンバーは東京都内のホテルで、日本を訪れている台北市長の蒋万安氏と会談しました。
蒋氏は最大野党・国民党のホープとされ、会談では日本と台湾が交流を重ねていく重要性を確認しました。 
●岸田首相「自民案には実効性」=規正法改正、与野党協議に意欲 5/17
岸田文雄首相(自民党総裁)は17日の参院本会議で、自民の政治資金規正法改正案について「実効性のある再発防止策を提示した」と強調した上で、「各党と真摯(しんし)に協議し、政治の信頼回復に取り組む」と語った。
立憲民主党の石垣のりこ氏への答弁。
首相は法案に議員本人の責任も問う「連座制」導入や外部監査の強化、収支報告書のデジタル化による透明性向上などが含まれていることに言及。「私の指示の下、幅広い改正点を提示した」と述べた。

 

● “岸田方式”と呼ばれる岸田首相の「脱法パーティー」 主催は“任意団体”、収支を公表せず収益を寄附させる手口は“政治とカネの不正”の温床になる懸念 5/18
低迷する支持率回復のために岸田文雄・首相は「政治とカネ」をめぐる改革アピールに躍起になっている。その議論自体が迷走していることもさることながら、そもそもこの総理に政治改革を進める資格はない。自身が初入閣した15年以上前から、遵法精神を疑わせる資金集めを繰り返してきたからだ。その実態を総力取材で明らかにする。
“ガラス張り”にしたくない
終盤国会は迷走を続けている。
自民党の裏金問題の「再発防止策」として政治資金規正法の改正が議論されているが、政治資金パーティー券購入者の公開基準などをめぐって自民党と公明党の意見が折り合わず、与党の改正案づくりが難航。自民党側は政策活動費の使途公開にも消極的で、政治資金の使い途を“ガラス張り”にすることに後ろ向きなのは明らかだ。
それを野党が批判すると、自民党側は「自民党の力を削ぎたいという政局的な話がごっちゃになっている」と反論する泥仕合となっている。
自民党が改革を進められないのは、総裁である岸田首相の責任に他ならない。口では「今国会での改正に全力で取り組む」「与党間でしっかり協力してもらいたい」と言いながら、本気で再発防止に取り組む姿勢など見えない。
理由は岸田首相自身が「スネに傷」を持っているからだ。
岸田首相は2022年6月に地元・広島で約1100人を集めた「衆議院議員 岸田文雄先生 内閣総理大臣就任を祝う会」に出席している。そこで1100万円以上(会費は1人1万円)のカネを集めたと見られるが、形式上、任意団体が主催したことになっており、政治資金収支報告書に収支を記載しない“脱法パーティー”だったことが本誌・週刊ポストのスクープで明らかになった(2月2日号)。
この問題は国会で追及され、岸田首相は「地元政財界の皆さんが発起人となり開催いただいた純粋な祝賀会」と言いながら、「振込先の口座開設など様々な手続きについて、私の事務所の人間がお手伝いをした」と事務所の関与を認めた。そのため祝う会疑惑について政治資金規正法違反の虚偽記載容疑で広島地検に告発状が出された。
野党側はこの脱法パーティーの手法を「岸田方式」と命名。収支の公開基準の厳しい国会議員関係政治団体から、基準の緩いその他の政治団体に資金を移して使途公開を逃れていた茂木敏充・幹事長の「茂木方式」と併せて、法改正による規制強化を主張している。
ところが、岸田首相が指示して与党が合意した改正方針の骨子は、「茂木方式」の規制には触れているが、「岸田方式」の“脱法パーティー”の禁止は議論に上がっていない。岸田首相は自分の“脱法行為”を野放しにしておこうというのだ。
自民党裏金問題と首相の「祝う会」問題を検察に告発した上脇博之・神戸学院大学法学部教授が指摘する。
「岸田首相のように任意団体主催の形でパーティーを開き、収支を公表せずに収益の一部を寄附させる手法は政治資金規正法の抜け道です。法改正で政治資金パーティーを規制しても、この抜け道を塞がない限り裏金を集めることができる。むしろ、法改正で規制を強めれば強めるほど、政治家は抜け道の“脱法パーティー”に走り、政治とカネの不正の温床になる危険さえあります」
しかも、本誌は岸田首相が任意団体を利用した“脱法パーティー”の「常習犯」であることを新たに掴んだ。
「岸田方式」の繰り返し
本誌は、岸田首相が任意団体を利用した“脱法パーティー”の「常習犯」であることを新たに掴んだ。
岸田首相が第2次安倍内閣の外相に就任した半年後の2013年6月22日、リーガロイヤルホテル広島のロイヤルホールで「外務大臣就任を祝う会」が開かれた。会費は1万円。報道では確認できないものの、地元の広島市議の1人はこのパーティーの壇上で挨拶する岸田首相の写真をフェイスブックにアップしており、広島県熊野町のこの年の町長交際費報告書にも、「衆議院議員 岸田文雄先生 外務大臣就任を祝う会」の名目で1万円の支出が記載されている。会場も会費も2022年6月に開催された「総理就任を祝う会」と同じだ。
外相就任を祝う会に関わった元岸田事務所関係者から具体的な証言を得ることができた。
「会場の収容人数は1000人規模ですが、およそ3000人に招待状を送りました。企業には10枚単位で送るし、欠席者が多いことも見込んでいましたから。会費1万円で収入は1000万円から1500万円くらいだったと思う。招待者の名簿づくりからお金の管理、受付まで全部岸田事務所でやりました。自民党支部、後援会ともに岸田事務所のなかにあって、秘書や元スタッフが応援に駆り出されました」
実質、岸田事務所が運営を取り仕切った“政治資金パーティー”のように見えるが、岸田文雄後援会、岸田首相の資金管理団体「新政治経済研究会」、政党支部(自民党広島県第一選挙区支部)のどの政治資金収支報告書にも、この外相就任を祝う会の収支は記載されていなかった。
祝う会の収益はどこにいったのか。
その一端がうかがえるのは、岸田首相の政党支部の2013年分の政治資金収支報告書に、「衆議院議員岸田文雄先生外務大臣就任を祝う会」なる団体から、パーティー当日の6月22日付で382万6112円の寄附がなされていることだ。団体の代表者名には「岸田文雄後援会」の収支報告書上の代表を2012年まで務め、後援会の会長だったA氏の名前が記載されている。
本誌の調べで、この「外務大臣就任を祝う会」なる団体は法人登記も政治団体としての届け出も出されていない任意団体であることがわかった。
1000万円以上の収入を得たという証言があるにもかかわらず、収支報告書上の寄附は約382万円のみ。差額は何に消えたかわからない。「岸田方式」そのものだ。
岸田首相の総理就任を祝う会(2022年)も企画・準備段階から運営まで岸田事務所が中心になって開催しながら、現後援会長が代表を務める「衆議院議員岸田文雄先生 内閣総理大臣就任を祝う会」なる任意団体が主催したことにして収益の一部である約322万円だけを政党支部に寄附させていた。
結果、パーティーの収入総額や収支、購入者名、寄附額との差額を何に使ったかも政治資金収支報告書に記載されず、“闇の中”になった。しかも、現後援会長は本誌の取材に、「祝う会の代表になったことはないし、寄附した覚えもない」と証言。任意団体は岸田事務所がでっちあげた“ダミー団体”であり、代表者は名義だけ拝借し、政党支部への寄附まで岸田事務所の自作自演だった疑いが濃厚だ。
本誌は改めて外相就任を祝う会の収益約382万円を寄附した主催団体の代表とされている元岸田後援会長A氏の自宅を訪ねたが、本人は亡くなっており、遺族は取材に応じなかった。
外相就任を祝う会でも全く同じ手法
ただ、現地取材ではある重大な証言を得た。外相就任を祝う会に出席した広島の元地方議員が語る。
「政治資金パーティーの案内状などには、政治資金規正法22条の8に基づくパーティーであると記載しなければならないが、岸田さんの外相就任を祝う会の案内状にはそうした記載がなかった。
おかしいなと思って案内状が届いた数日後、岸田事務所のB秘書に電話で『記載がないけど、どうやって会計処理するんですか』と確認したんです。そうしたらB秘書は事前に調べていたようで、『集まったお金から必要経費を差し引いて、残ったお金は寄附する』と即答しました。政治団体の主催にしないのであれば、政治資金収支報告書は出さなくていい。その後の総理大臣就任を祝う会も同じで、このやり方ならば、政治資金規正法を厳しくしても意味がない」
この証言からは、岸田事務所が最初から政治資金集めを目的に外相就任を祝う会を開催しながら、案内状には「政治資金規正法に基づく政治資金パーティー」だという表示をしないで任意団体主催の形を取り、意図的に政治資金規正法逃れをしていたことがうかがえる。
自民党裏金問題と首相の「祝う会」問題を検察に告発した上脇博之・神戸学院大学法学部教授が指摘する。
「岸田事務所の秘書が、外相就任を祝う会について開催前から『経費を差し引いて残ったお金を寄附する』と説明していたのであれば、この祝う会は岸田首相の政党支部や政治団体の政治資金パーティーとして収支を報告するのが筋です。
岸田事務所はそれを百も承知で、案内状に『政治資金規正法22条の8に基づく政治資金パーティー』との告知をせず、“政治資金パーティーではない”と見せかけたのだと考えられる。最初から政治資金規正法の抜け道はないかと考え抜かなければ、こんな手口にはならない。事務所にこんなやり方を認めていたこと自体、岸田さんの総理や大臣としての資質が問われる」
「初入閣でも大々的にやった」
そもそも、「岸田方式」の原点は、外相就任よりもっと前、第1次安倍改造内閣で内閣府特命大臣(沖縄・北方担当相)として初入閣(2007年8月)した時に遡る。
前出の元岸田事務所関係者の証言だ。
「2007年の初入閣の祝う会のほうが大々的でした。初めての入閣祝いとあって事務所も勝手がわからず、警備はどうするか、ゲストは誰が迎えに行くかなど課題が多く、警察に相談しながら準備したことを覚えています」
前出・広島の元地方議員はこう言う。
「会場はリーガロイヤルホテル広島で1000人以上は集まっていたと記憶しています」
この初入閣を祝う会を岸田首相が政治資金収支報告書でどう処理していたかを調べると、2007年に岸田首相の政党支部に「衆議院議員岸田文雄先生内閣府特命担当大臣就任を祝う会」なる団体から240万円の寄附があり、同パーティーの収益の一部だったことが推察される。しかし、同支部や資金管理団体、岸田文雄後援会の政治資金収支報告書には開催した事実も収支も記載されていない。
これに味をしめた岸田首相は“脱法パーティー”を繰り返してきたと考えられるのだ。だからこそ、政治資金規正法改正論議のなかで、「岸田方式」による抜け道を、規制が及ばない裏金づくりの“聖域”のまま守ろうとしているのではないか。
岸田事務所に聞くと、こう文書回答した。
「外務大臣就任を祝う会は、平成25年に地元経済界有志の主催で行われました。したがって、祝う会の主催者が岸田文雄後援会であるとの貴誌のご指摘は事実に反します。なお、同会の詳細を弊事務所は把握しておりません。故B(回答では実名)元秘書はすでに他界しており、同人に確認することもできませんので、貴誌ご指摘の第三者との会話の有無を確認することもできません」
内閣府特命担当大臣就任を祝う会については、「平成19年に地元の政財界の皆様に発起人となって開催していただきました。弊事務所は、同会の詳細を把握しておりませんので、ご質問に回答できる立場にありません」と答えた。
“脱法パーティー”と指摘されるような資金集めを常習的に繰り返していることへの見解を問うた質問には、回答をしなかった。
自身の政治とカネをめぐる重大疑惑に正対しようとしない総理大臣に「再発防止」など無理な話で、それを指揮できるはずがない。
●小沢一郎氏がポスト岸田常連「小石河」を酷評「最後はみんな利権に…自民党は誰がやっても同じ」 5/18
立憲民主党の小沢一郎衆院議には18日までに更新した自身のX(旧ツイッター)で、「ポスト岸田」として各報道機関の世論調査で上位常連の「小石河」についてコメントした。
岸田文雄首相が支持率低迷にあえぐ中「次の首相候補」として綱に名前が上がるのが、自民党の小泉進次郎元環境相、石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相の「小石河」。小沢氏は、次期首相候補にふさわしい人を問う世論調査の数字を受け「自民党内で総理を変えても自民党は自民党。政権交代しかない」と記された投稿を引用した上で「ある人がやれば軍事大国化が進み防衛増税が加速するかもしれない。ある人がやればその言葉の意味を国民は全く理解できないかもしれない。ある人がやれば暴走し国が目茶苦茶にされるかもしれない」と、3人に関するキャラクターを念頭に投稿した。
その上で「そして最後はみんな利権に行き着く。自民党は誰がやっても同じ。今度こそ同じ手口に騙されてはいけない」とポストした。
●能登観光復興へ「輪広げる」 石川・七尾の道の駅が再開 5/18
能登半島地震で被災した石川県七尾市の観光施設、道の駅「能登食祭市場」が18日、営業を再開した。建物の修繕が完了していないため、当面は海産物などの物販店舗の営業は土日祝日に限定。村本能久駅長(50)は「多くの人の声を受けて再開にこぎ着けた。能登全体の復興へ、少しずつ輪を広げていきたい」と力を込めた。
地震で地盤亀裂や水道管破損などの被害が発生。屋外のテントや建物の通路部分に店舗を出すなどして大型連休限定で一部が再開した際は、2万人が訪れた。
18日は、18店舗が営業。浜焼き店の酒井志津代さん(67)は「お客さんの顔を見るとうれしくなる。地元の人たちに元気を届けたい」と話した。
●「白米の千枚田」でボランティアが田植え 石川 輪島 5/18
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市の「白米の千枚田(しろよねのせんまいだ)」で、ボランティアが田植えを行いました。
輪島市の「白米の千枚田」は、日本海をのぞむおよそ4ヘクタールの斜面に1000枚以上の小さな田んぼが連なる棚田で、国の名勝に指定されています。
能登半島地震で全体のおよそ8割に亀裂が入ったり水路が壊れたりしましたが、住民が中心となって復旧を進め、田植えにこぎ着けました。
18日の田植えには地元の人たちや高校生などおよそ30人がボランティアで参加しました。
急斜面にある狭い千枚田には農機具を入れることができず、参加した人たちは夏のような日ざしが照りつける中、手作業で苗を植えていました。
輪島市の60代の女性は「千枚田が壊れたと聞いて心が痛みましたが、復活させなければいけないと初めて田植えに参加しました。この苗が元気に育ってほしいです」と話していました。
千枚田の維持管理を行う「白米千枚田愛耕会」の白尾友一会長は「千枚田では手作業が必要なので、ボランティアの方に手伝ってもらえるのはありがたいです。この場所から『輪島のみんなは前を向いて歩いているよ』と伝わるといいなと思います」と話していました。
●自民党がフリーなカネ「政策活動費」温存に一生懸命 独自の政治資金規正法改正案を提出 しっかり穴だらけ 5/18
自民党は17日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正案を衆院に単独で提出した。焦点の一つである政策活動費の使途公開は項目単位にとどまるなど、支出の実態が見えない「ブラックボックス」は相変わらず。連立与党の公明党ですら共同提出を拒む異例の状況で、野党は「検討対象にも値しない」と一斉に批判。衆院の政治改革特別委員会で22日に審議入りするが、自民と他党の隔たりは大きく、協議の難航は避けられそうにない。
首相「実効性ある」 しかし自民党内にも疑問の声が
岸田文雄首相は17日夕、官邸で記者団に「実効性のある再発防止策になった。政治改革特別委の議論に真摯(しんし)に対応し、政治の信頼回復につなげていきたい」と強調。自民の森山裕総務会長は「自民党が変わったと感じていただけるのではないか」と自画自賛した。
首相らは自民案に「実効性がある」と繰り返すが、実際には与党内にもそんな受け止めはほとんどない。象徴的なのが党から議員個人に支出される政策活動費の使途公開だ。
自民案では政党から50万円以上の支出を受けた議員は使途を政党に報告し、党の収支報告書に記載する。その内容は「組織活動費」「選挙関係費」など大まかな項目だけ。個別の日時や支出先は明らかにされず、領収書の添付も不要だ。
自民の二階俊博元幹事長は5年余りの幹事長在任中に約47億8000万円を受領していたが、使い道がはっきりせず、政治不信を招いた。自民案では、二階氏の時のようなチェックが及ばない資金が残ることになる。
首相は国会審議で詳細な使途の公開に慎重姿勢を示してきた。法案作成を担った鈴木馨祐衆院議員は台湾との議員外交まで持ち出して「果たしてそういったものを全てオープンにするべきなのか」と強弁する。
自民幹部「国民の理解をいただけるのでは」と期待
そんな対応に自民内からも「項目だけの公開では国民の理解が得られない」(閣僚経験者)と懸念の声が上がり、16日の党会合では政策活動費そのものの廃止を求める意見も浮上。中堅議員は「幹部は自由に使える金を手放したくないのだろう」と冷ややかだ。
共産党の小池晃書記局長は「大きなブラックボックスを小さなブラックボックスにするだけ」と批判。立憲民主党の泉健太代表は「これで透明性が高まったというのは大間違い」と突き放す。
パーティー券購入者名の公開基準では、公明や野党各党は現行の「20万円超」から通常の寄付と同等の「5万円超」への引き下げや、パーティーの廃止を主張するが、自民案は「10万円超」で透明性の確保で劣る。野党各党が求める企業・団体献金の廃止も盛り込まれなかった。
自民は他党より企業・団体献金への依存度が高く、その資金源を温存したいのが本音。森山氏は「10万円超に引き下げたのはかなりの決断だった。政治活動にはコストがかかるというのは国民の理解をいただけるのではないか」と述べた。
落選した自民陣営が対立候補への寄付者に押しかけて…
自民党が単独で衆院に提出した政治資金規正法改正案は、政治資金パーティー券の購入者の公開基準については現行の「20万円超」から「10万円超」への引き下げにとどまる。自民は与党協議で「5万円超」からの公開を求めた公明党との合意を見送り、引き下げに強く抵抗する裏にはどんな事情があるのか。
ある若手議員は、自民が「10万円」のラインにかたくなにこだわった背景について「現行の20万から下げすぎることが問題。10万円くらい買う人は結構多い」と解説する。氏名や住所が公開される基準が10万円以下に広がれば、パーティー券の売り上げ減になるかもしれないという理屈だ。
また、議員によると、前回の2021年衆院選では九州地方のある選挙区で、落選した自民候補の陣営が当選した対立候補に寄付した人を割り出し、自宅や会社の事務所に押しかけて詰め寄る事態も起きたという。「立場上の制約はあるがこの人は応援したいという気持ちを否定することにもなりかねない」と寄付者が公開されることになる基準の引き下げに懸念を示す。
「そういう『寄付者つぶし』みたいなことがあると、政界を志そうという若い政治家が出にくくなる。多選の人が有利になって政治の新陳代謝が起きず、おごりや緩みのある政治になってしまう」と指摘する。(佐藤裕介)
   政治資金規正法
1948年施行。民主政治の発達を目的に、政治家や政党の政治資金の収支公開や寄付などについて定める。収支報告書は政党や政党支部、政治家の資金管理団体、派閥や後援会などの政治団体が作成し、毎年公表する。リクルート事件(1988年発覚)を受けた1994年の改正で、政治家個人に対する企業・団体献金は禁じられたが、政党や、政治家が代表を務める支部は対象外とされ、抜け穴として残った。パーティー券の購入は寄付には当たらず、1回150万円まで可能。20万円を超える購入者の名前は公表される。
●〈安芸高田市の石丸市長も参戦〉“女帝”小池都知事は自身の公約「7つのゼロ」未達成でも3選安泰の理由とは…一方、“立憲の女帝”蓮舫氏は補選に続いて党本部と足並み揃わず迷走必至? 5/18
東京15区補選で、小池百合子東京都知事が擁立した乙武洋匡氏が大惨敗の5位に終わってから約3週間。学歴詐称問題もまだ尾を引き、東京都庁での大掛かりなプロジェクションマッピングが「税金の無駄」と批判されるなど都政の課題も山積みだが、小池氏本人は「どこ吹く風」だという。市議会やメディアとの対決姿勢が注目を集めている石丸伸二・安芸高田市長が都知事選出馬を表明するなか、小池氏自身は虎視眈々と「3選」に向けて歩みを進めている。
「裏金」萩生田氏と「学歴詐称疑惑」小池氏の思惑が一致
「自民党さんから何か聞いているわけではない」
5月15日、小池氏は、自民の都知事選擁立見送り報道について記者団に問われ、こう述べるにとどめたが、その顔には余裕の色が浮かんでいた。
「自民は裏金問題による逆風を受け、4月28日の3補選では全敗。5月26日投開票の静岡県知事選でも苦戦を強いられています。そうした中で、7月7日の首都決戦で敗北したら、ますますダメージは大きい。そのため、小池氏との連携に舵を切りました」(自民関係者)
国政への返り咲きも取りざたされてきた小池氏だが、現在は3選に向けた都知事選出馬が既定路線となっている。
「国政に復帰しても、小池氏と親しかった二階俊博元幹事長は次期衆院選への不出馬を表明しており、首相の座への道筋は描きにくい。それならば、首都の知事として大きな予算を握っていたほうが、自身の存在感も保てます。
5月15日には、自民東京都連の会長も、小池氏と近い萩生田光一前政調会長が続投することが決まりました。裏金問題でダメージを受けた萩生田氏と、学歴詐称問題がいまだ尾を引く小池氏の互いの利害が一致し、タッグを組んで小池氏の3選を目指すことにしたのです」(同)
16日には、市議会議員の居眠りを指摘するなど、市議会やメディアとの対決姿勢がYouTubeで話題を集めている石丸伸二・安芸高田市長が「東京を変えて日本を変えたい」と都知事選への立候補を表明。小池氏の都政をどう批判していくのかが注目される。
一方、自民としては、最近は都議会自民会派とも協調姿勢を見せてきた小池氏を何らかの形で支援する方針に変わりはないとみられる。
「7つのゼロ」は未達成でもプロジェクションマッピングでご満悦
3選を目指す小池氏は東京都の潤沢な予算を武器に、注目を集めやすい事業を次々と打ち出してきた。
2月からは東京都庁の建物にプロジェクションマッピングを映し出し、観光地化。その映像は世界最大としてギネス記録にも認定された。
小池氏は「プロジェクションマッピングはキラーコンテンツ。ここ(都庁)をキャンバスとして発信していく」と胸を張ったが、投影のための予算は2023年度だけでも7億円。都は経済波及効果を18億円と見積もるが、「他に優先すべきことがあるのに税金の無駄」と批判も浴びている。
「小池氏は2016年の都知事選で、『介護離職ゼロ』『満員電車ゼロ』『残業ゼロ』など『7つのゼロ』を公約に掲げましたが、達成できたのは、犬や猫の譲渡を進めることで実現した『ペット殺処分ゼロ』くらい。今は小池氏から『7つのゼロ』の話は出てきません」(全国紙政治部記者)
その代わり実行したのは、子ども1人あたりの月5000円給付や、高校授業料の実質無償化などだ。
「小池氏はこれらの施策を国が行なう少子化対策に先駆けて打ち出し、注目を集めました。子育て世帯からは『ありがたい』との声が上がる一方、『露骨な選挙目当て』との声も出ています」(同)
野党は蓮舫氏VS泉代表のバトルも尾を引き…
一方の野党。前回の都知事選では立憲が共産などとともに弁護士の宇都宮健児氏を支援したが、宇都宮氏は小池氏に4倍以上の大差をつけられての惨敗に終わった。
「前回は小池氏の学歴詐称疑惑を告発した書籍『女帝 小池百合子』が発売された直後の選挙戦でしたが、結果は小池氏の圧勝。今回は、そのときに負けた宇都宮氏らが呼びかけ人となって、立憲や共産、市民団体などでつくる候補者選定委員会が野党系の候補擁立を目指す形です」(全国紙政治部記者)
しかし、候補者擁立は思うように進んでいないという。
「これまでに名乗りをあげた人物もいましたが、一般的な知名度がない学者で、さすがに小池氏の対抗馬としては厳しい。ほかに蓮舫氏らの名前もあがっていますが、小池氏に勝てるような本命の擁立には至っていません」(同)
さらに、ここにきて立憲都連と党本部の隙間風も表面化している。立憲は東京15区補選で擁立した酒井菜摘氏を当選させたが、補選で勝利するまでの過程では、都連と党本部との間の溝も浮き彫りになった。
「都連が酒井氏の擁立を進めていた一方、党本部が一時、須藤元気氏の擁立も検討するなど、調整が難航。結局、酒井氏の擁立が決まったが、選挙戦が始まってからも、都連幹部である蓮舫氏が泉代表を毛嫌いしているため、党本部と十分に連携がとれていない場面が目立ちました」(立憲関係者)
この関係者によると、泉氏が酒井氏の応援演説をすると申し出ても、蓮舫氏がしぶり、なかなか演説の予定が決まらない、といったこともあったという。
「都知事選ともなると、大きな注目を集めるため党本部も関わりますが、党本部と都連の足並みの乱れが、都知事選にも影響を与える可能性があります」(全国紙政治部記者)
はたして小池氏の「女帝」としての新たな4年間が始まるのか。
●紀藤正樹氏 役職停止の萩生田光一氏の自民都連会長続投に「世論が読めなくなっていることに驚き」 5/18
弁護士の紀藤正樹氏が17日、自身の「X」(旧ツイッター)を更新し、萩生田光一氏が自民党東京都連会長を続投することに言及した。
東京都連は15日の役員選考委員会で、派閥裏金事件で党役職停止1年の処分を受けている萩生田氏らの都連役員続投を内定した。選考委員長は処分について「支部は関係ない」としている。
紀藤氏は、これを報じた記事をXに貼付したうえで「こういう形式論で人事を決めるのは開き直りに見え不適切ではないでしょうか」と疑問を呈した。
さらに「かえって党の立場を悪くし萩生田氏の立場も悪くするのでは」と続けたうえで、「世論が読めなくなっていることに驚き」と、国民の意向を無視した決定にあきれていた。
●若者の9割弱「日本の政治はクリーンではないと思う」…政治資金問題の影響大きく 5/18
若者の9割弱が「日本の政治はクリーンではないと思う」と回答――そんな調査結果が、日本財団(東京都港区)による、「政治とカネ」をテーマとした「第63回18歳意識調査」で分かりました。また、政治資金の集め方について「説明責任を果たしていないと思う」と答えた若者は8割超に上ることも分かったそうです。
調査は、全国の17〜19歳の男女1000人を対象として、2024年4月にインターネットで実施されました。
まず、「日本の政治に対する印象」について聞いたところ、「民意を反映していない」が79.9%、「クリーンではない(不正や不透明なところがある)」が87.1%、「必要な判断が適時できていない」が75.3%と、いずれも極めて高い数字となりました。
また、「日本の国会議員の印象」については、「政治資金の集め方について説明責任を果たしていない」が81.4%、「活動費含む政治資金の使い方について説明責任を果たしていない」が82.5%と、こちらも高い数字となったほか、71.4%が「特権や優遇を多く受けている」と回答しています。
さらに、「政治資金問題に関する各情報への信頼度」について「信頼できる」と答えた割合をみると、「国会での首相答弁」は15.0%、「該当する国会議員による、メディアへの回答」では9.2%、「政治倫理審査会での弁明と質疑」では11.0%と低い数字に留まりました。
その上で、今後、投票機会があった場合の対応は「行く」が64%、「行かない」が13%となり、「行く」と答えた人のうち23%は「政治資金問題のあった候補者・政党に不支持の意思を示したいから」、行かないとした人の28%は「政治資金問題で政治全体が信頼できなくなった、興味がなくなったから」と答えるなど政治資金問題の深刻な影響が数字にも表れていることが浮き彫りとなりました。
●日本の産業構造が大転換を迎える…岸田政権が推し進める「脱炭素社会」4つのビジョンに早速「温度差」が 5/18
新たな国家戦略
5月13日夕、首相官邸で「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」(議長・岸田文雄首相)が開催された。
岸田政権は脱炭素社会の実現に向けて日本の産業構造の大転換を視野に入れた新たな国家戦略の策定を目指している。
この国家産業戦略の達成目標は2040年を想定しており、「GX2040ビジョン」と名付けられた。同ビジョンは【1】エネルギー【2】GX産業立地【3】GX産業構造【4】GX市場創造――の4つの柱で構成され、2024年度内に策定する。
具体例で説明しよう。先ず【1】エネルギーでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展によって電力需要増加の規模やタイミングの正確な見通しが立てづらい状況下で、(1)脱炭素電源投資促進と電力供給するための送電線整備(2)水素・アンモニアなどの新たなエネルギーの供給確保(3)化石燃料・設備の維持・確保―が求められる。
次の【2】GX産業立地は、脱炭素電源、送電線の整備状況や、新たなエネルギーの供給拠点等を踏まえた産業立地の在り方を論議するということである。その方向性は脱炭素エネルギー適地・供給拠点や、地方ごとのGX産業集積のイメージを示したうえで投資の予見可能性向上に関するものだ。
そして【3】GX産業構造は極めて重要である。経済安全保障上の大きな環境変化を念頭に同盟国・同志国各国の強みを生かしたサプライチェーン強化の在り方の論議を深め、国内では中小企業を含め強みを有する国内産業立地の推進や、次世代技術によるイノベーションの具体化、社会実装加速の方策を探ることだ。キーとなるのは国際競争に勝ち抜くために官民での大胆・実効的な国内投資・イノベーションの促進だ。
最後の【4】GX市場創造は、カーボンプライシングの詳細制度設計を含めた脱炭素の価値が評価される市場造りのことである。GX価値の補助制度・公共調達での評価、AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)などと連携したCO2計測やクレジット等のルール作りを通じた市場創造なのだ。
こうしたフレームワークに沿って上述の論点を議論するというのである。6月には有識者からなる「GX2040リーダーズパネル」を設置し、そこでの論議を深めることで先の「ビジョン」に繋げる構えだ。そして今年度内にエネルギー基本計画・地球温暖化対策計画を改定する。
「朝日」と「産経」でここまで違った
実際、GX実行会議翌々日の15日、経産省内で中長期的なエネルギー政策の指針となる「第7次エネルギー基本計画(エネ基)」の策定に向けて齋藤健経産相が主宰した有識者会議(高村ゆかり東大未来ビジョン研究センター教授ら16人)が開かれ、具体的な議論がスタートした。
新聞各紙(16日付朝刊)の見出しからも、その議論の熱量の高さが窺える。「電力の安定確保 課題―脱炭素電源の拡大 カギ、基本計画見直し」(読売)、「電力需要一転増加の想定―データセンターや半導体工場増 理由に」(朝日)、「電源構成、脱炭素急ぐ―40年度エネ計画着手」(日経)、「『原発』『再エネ』国の命運―エネルギー基本計画見直し着手、電源構成の目標焦点」(産経)。
各紙見出しを並べただけでも分かるように、「脱炭素」は別にしてキーワードは「電力需要増加」と「電源構成(エネルギーミックス)」である。と同時に、各紙本記を読み比べると脱炭素とエネルギー安全保障の観点から電源構成のうち原子力発電活用評価に温度差があることも知れる。「朝日」と「産経」の社論の違いが改めて浮き彫りとなった。
それはともかく、岸田政権は既に昨年2月の閣議で原発の再稼働、建て替え(リプレース)と次世代原発の開発・建設の推進を決定している。政府方針を大転換したのだ。
先述の「GX2040リーダーズパネル」は6月以降、岸田首相らGX関係閣僚とアジェンダごとの分科会の有識者と議論を進めていくことになる。
10年間で官民150兆円超のGX投資が見込まれると言われてきた。だが、この脱炭素戦略の長期ビジョン作成が企図するのは一にかかって国内産業の競争力強化に尽きる。換言すれば、長期ビジヨンを示さなければ民間の巨額投資を引き出せないということである。経産省のGX政策エリートに期待したい。
●台湾で国会乱闘、6議員搬送 頼新政権の発足直前 5/18
台湾の立法院(国会)本会議で17日、立法院の改革関連法案の強行採決を図った最大野党・国民党と、阻止しようとした与党・民進党の立法委員(国会議員)が激しく衝突し、6人が病院へ搬送された。審議は深夜まで続いて中断し、21日に再開されることになった。
立法院前では野党の強引な国会運営に反発する学生らが集まって採決中止を訴え、一時騒然となった。18日以降、抗議活動が広がる可能性がある。
台湾では中国と距離を置く民進党の頼清徳副総統が20日、新総統に就任する。1月に総統選と同時実施された立法委員選では民進党が少数与党に転落し、親中的な国民党に第1党の座を明け渡した。2月に開会した立法院で院長(国会議長)ポストも国民党に譲り、厳しい政権運営が必至の情勢となっている。
●岸田首相よ、あなたはどこの国のトップか?自身の延命のため米国にすり寄り軍拡に走り、ロシアを敵に回し中国を怒らせ日本国民を危険にさらす男 5/18
国賓待遇でアメリカに招かれ、米国連邦議会上下両院合同会議で「対中強硬スピーチ」を行い拍手喝采を浴びた岸田首相。国内メディアも概ね好意的に伝えましたが、はたしてそれは「正しい評価」と言えるのでしょうか。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』〜時代の本質を知る力を身につけよう〜』では、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、あらためて首相訪米の意味を考察。その上で、首相が自負する「外交の岸田」などただの虚像にすぎないとの厳しい評価を記しています。
あらためて岸田首相の4月訪米の意味とは?
ゴールデンウィーク中も、フランスや南米へ外遊三昧だった岸田首相ですが、その前の4月8日から14日までの訪米は、自ら「この3年間の政治活動の最大のハイライト」と位置付け、「強固な日米同盟」を世界にアピールしたつもりで得意満面の様子でした。
米議会での演説でも、米国受けを狙ってやたらと対中強硬路線を強調していましたが、そのことの危うさを含めて、4月26日に配信した本メルマガで、私はこの岸田首相の米議会演説を「歴史に残る売国演説」と強い言葉で批判しました。
岸田首相は、同演説で、お得意のフレーズ「今日のウクライナは明日の東アジア」をまた持ち出して中国の脅威をことさらに強調し、インドやフィリピン、豪州などとも協力した中国包囲網の構築に意欲を示しました。しかし、いくら中国を挑発したところで、いたずらに我が国の立場を危うくするだけでいいことは何もありません。上記メルマガでは、岸田首相の演説に突っ込んで以下のようにも述べました。
「ここでも米国受けを前提に中国の脅威を煽っていますが、岸田政権は中国とほとんど対話をしていません。米国追従一辺倒で国内支持率が低迷する岸田政権を中国がまったく相手にしていない、という現実がありますが、中国の脅威を煽ったり強がりを言う前に、まず日本の対中外交を見直すべきでしょう。」
この演説前日の10日には、ホワイトハウスで日米首脳会談が開催されて共同声明が出されましたが、その内容も、中国を共通の仮想敵国とすることによる日米同盟の強化を強調するものでした。この時の共同会見でも、岸田首相は、「力、または威圧による一方的な現状変更の試みは、世界のいかなる場所でも断じて許容できない。そのような観点からも、中国をめぐる諸課題への対応にあたり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました」と中国を刺激する発言をしていました。
そしてやはり懸念した通り、岸田首相の一連の挑発的な宣言に対して、中国は猛烈に反発してきました。米議会演説翌日の4月12日には、中国外交部アジア局長の劉勁松氏が、北京の日本大使館の横地晃首席公使を呼び出して厳正に抗議し「深刻な懸念」と「強烈な不満」を伝えました。
さらに、同日の中国外交部の定例会見でも、毛寧報道官が日本を名指しして、「米国と日本は仲間を引き込んでミニグループを作り、集団的な対抗を策動している。それこそが地域の平和と安定を脅かすものだ」と、激しい口調で非難しました。
さすがに、今回のような宣言をすれば中国が反発してくることは想定の範囲内だったと思われますが、岸田首相が強気を貫いた背景には、9日夜の岸田夫妻とバイデン夫妻との非公式な夕食会でのやり取りがあったと言います。その夕食会は、バイデン大統領にとって、2018年の暮れに大統領選出馬を決めた思い入れのある場所とされるワシントンDCのシーフードレストランで行なわれました。バイデンは、今年の大統領選で勝利するためのトランプ対抗策について、岸田首相に協力を求め、「あなたは私の息子のようだ。共に後4年頑張ろう。あなたにも良い未来がある」などとおだてて、バイデン政権への忠誠継続を懇願したそうです。
岸田首相にとっても、安倍元首相と親しく、岸田降ろしを画策する麻生氏も接近するトランプが再選されるより、このままバイデン政権が続いた方が好都合です。この夕食会でのバイデンとのやり取りで岸田首相が大いに張り切り、バイデンを支援することが自分の延命にも繋がると確信したのでしょう。バイデン政権への忠誠を示す意味でも「日米の防衛関係をかつてないレベルに引き上げる」などと宣言して対中強硬路線を打ち出すことへの迷いが消えたのだと思います。
ところが、この岸田首相の高揚感は長くは続きませんでした。岸田首相が帰国するや否や、バイデン政権は中国への急接近を始めたのです。まず16日にオースティン国防長官が中国の董軍国防部長とオンライン会談を行って信頼関係の再構築に向けた話し合いを行いました。さらに、24日から26日にかけて、ブリンケン国務長官が中国を訪問して王毅外相らと会談し、台湾や南シナ海の問題、ウクライナや中東の問題、ロシアへの対応などについて話し合うと共に、友好ムードをアピールしました。
これらの状況に、岸田首相は戸惑いを隠せず心穏やかではいられなかったようです。外務省の関係者によると、「何のための訪米だったのか…」と大いに落胆していたとの話も聞こえてきます。さらに追い打ちをかけたのが、「日本人は外国人嫌い」との5月1日のバイデン大統領の遊説先での発言でした。
対中強硬路線を軸にした日米同盟の結束強化を謳った渾身のスピーチを高らかに行い、聞いている方が恥ずかしくなるほどの熱烈なラブコールを米国に送って、日本ではついぞ経験したことがないような拍手喝采を浴びて手応えも十分にあったはずなのに、すっかり梯子を外された気分になったのでしょう。
しかしながら、岸田首相の読みは甘すぎたと言わざるを得ません。トランプ政権が再び誕生することを望まないのは習近平主席も同じです。中国は、かつてのトランプ政権下で、貿易戦争や技術覇権争いなど、散々煮え湯を飲まされています。中国からすればどちらも信用できないものの、「再選されたら中国に60%の関税をかける」と公言し、何をしでかすかわからない予測不能なトランプよりも、まだバイデンの方がマシだと思っているのは間違いありません。すなわち、トランプ再選阻止という面では、バイデン政権は中国と利害が一致するのです。そこでバイデン政権は、岸田首相の思惑など関係なしに、少なくとも大統領選までは中国との関係を修復する方向でしたたかに急接近しているものと思われます。
ちなみに、そうは言いながら、この原稿を書いている最中に、バイデンが中国製のEV、半導体、リチウムイオン電池、太陽光パネルなどの関税を大幅に引き上げる、という報道がありました(下図参照)。これも、大統領選挙に向けて、中国との関係修復を図りながらも、それが逆に国内で中国に対して弱腰との揚げ足を取られないための動きだろうと思います。
結局、岸田首相は、「国賓待遇」とおだてられながら米国にこれまで以上に重い軍事負担を約束し、中国を怒らせるために訪米したようなものです。日本の対中強硬路線に怒った習近平は、前代未聞の対日政策を繰り出しています。中国の元慰安婦の遺族団体が、中国で日本政府を提訴し謝罪と賠償を求めていることが4月22日の報道で明らかになりました。中国人の元慰安婦をめぐって日本政府が中国で提訴されるのは初めてのことです。習近平は、日韓の長年の懸案である慰安婦問題に中国側からも参入して、急接近している日韓の引きはがしを狙っているものと思われます。
いうまでもなく、外交とは国益の追求が目的です。しかし、岸田首相の外交は、国益よりも自身が首相として延命するための手段とすることが目的になってしまっているように思います。「外交の岸田」などというのはただの虚像にすぎません。
個人的な欲望のために、敗戦後の実質的な宗主国とはいえ、米国に過度に擦り寄り、言われるがまま平和憲法を無視して軍拡に走り、本来であればニュートラルな立ち位置を保つべきところをウクライナ政府に肩入れしてロシアを敵に回し、加えて無駄に中国をも怒らせるという失態を演じた結果、最も危険に晒されて被害を受けるのは日本国民で、まったくたまったものではありません。「あなたは一体どこの国の首相ですか」と改めて問いかけたい思いです。
トランプの優勢が伝えられる中、バイデンの命運が尽きるのが先なのか、岸田首相の命運が尽きるのが先なのか。日本の自民党総裁選は9月、その前に衆院解散があるのかないのか。そして米国の大統領選は11月です。少なくとも、年末までには、バイデン大統領も岸田首相も、政治の表舞台から姿を消している可能性は高いと思います。そう考えると、4月の岸田首相の訪米の意味とは、一体何だったのでしょうね…。
●岸田再選支持、6%の衝撃 募る政権交代待望論 5/18
時事通信社の5月世論調査によると、岸田文雄首相に自民党総裁任期が切れる9月以降も続けてほしいとの回答はわずか6.0%だった。政権の枠組みに関しても、「政権交代」が「自民党中心の政権継続」を上回った。岸田首相が今国会中(会期末は6月23日)に衆院を解散しようがしまいが、総裁再選が困難なことを調査結果が示している。
自民支持層でも2割届かず
調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で10〜13日に実施。有効回収率は62.9%。それによると、内閣支持率は18.7%(前月比2.1ポイント増)、不支持率は55.6%(同3.8ポイント減)。自民党の支持率は15.7%(同0.4ポイント増)。内閣、自民党ともわずかに増え、極めて低水準ながら支持率は底を打った感じだ。とはいえ、自民党安倍派などの裏金事件とその後の政権の対応に、有権者が怒りを募らせていることが、他の調査項目からうかがえる。
政治資金規正法改正などをめぐる岸田首相の対応に関する設問では「評価する」8.7%、「評価しない」72.9%、「どちらともいえない・わからない」18.4%。自民支持層でも「評価しない」(54.5%)が「評価する」(22.2%)を大きく上回った。事件の実態解明、裏金議員ら関係者の処分、政治資金の透明化や再発防止への取り組みなどについて、自民党支持者ですら半数以上が納得していないことが分かる。
裏金事件やその後の対応への怒りもあり、有権者の大多数が岸田政権を見限ったことも数字から読み取れる。岸田首相に「いつまで続けてほしいか」との質問に対し、「すぐ交代」27.4%、今国会の閉会予定の「6月」15.7%、党総裁任期が満了する「9月」38.2%。8割強が、総裁任期が切れる9月までの「政権の店じまい」を求めており、総裁再選支持を意味する「9月以降も」は6.0%だった(このほか「わからない」12.7%)。
自民支持層に限っても、「9月以降も」の14.6%に対し、「すぐ」「6月」「9月」の合計は75.7%。自民党支持者の4人に3人が、岸田首相の交代を求めた。ちなみに、公明支持層で「9月以降も」と答えた人はゼロだった。
任期切れに伴う9月の総裁選は、党所属国会議員票と党員票の比率は同じ。もし、岸田首相が総裁選に再選出馬し、現職の利を生かして、国会議員票を固めても、党員票で対抗馬に大きく水を空けられるのは明白。再選は難しいと言えるゆえんだ。
二つのシナリオ、既に破綻
また、今回の調査では、次期衆院選後に「期待する政権のあり方」も質問。結果は、「自民党中心の政権継続」33.2%、「政権交代」43.9%、「わからない」22.9%。連立の組み替えを含めた自民党中心の政権継続ではなく、野党への政権交代を求める回答が10ポイント超多かった。自民支持層でも「政権交代」が11.6%あった。
野党の有力議員は、日々の街頭活動から「有権者の裏金事件への怒りはすさまじい。自民党支持者ですら、鉄ついを下したいと思っている人は多い」と指摘する。自民支持層の1割超が「政権交代」を求めたことは、事態の深刻さを象徴。野党議員の指摘に、説得力を持たせる。
政界では、内閣支持率が低迷する岸田首相は今国会中に衆院解散に踏み切り、自民、公明両党で過半数を確保。「国民の信任をバックに、総裁再選を狙っている」(中堅)との見方が消えない。しかし、このシナリオもほぼ破綻していると言えよう。
というのは、与党の現有議席は自民258、公明32の計290で、過半数は233。両党で58議席減ると、過半数割れする計算だ。政権交代を求める有権者の多くは当然、野党に投票するだろう。調査結果で示された有権者の意識が変わらないまま衆院選となれば、与党で過半数を得るのも容易ではないとみられる。
歴代の首相は衆院選の勝敗ラインを「与党で過半数」と低めに設定してきた。これを下回ることは、主権者たる国民の信任を得られなかったことになり、退陣は避けられないからだ。岸田首相も就任直後の2021年10月の衆院選で、勝敗ラインを「与党で過半数」としている。
もし、岸田首相が今国会中に解散をしようとすれば、党内から多数の反対論が噴出するのは確実。それでも解散を強行し、与党で過半数を得られなければ退陣となり、首相経験者としての党内での影響力もほぼゼロになる。極めてリスクが高く、常識では、現実的な選択肢とは思えない。
こうした政権の現状を踏まえると、総裁選までに解散があろうがなかろうが、岸田首相の再選は困難。政権としては、9月までと期限を切られた「死に体」と言える。
野党の選挙協力、45%が支持
政界では、次期衆院選で与党が現有議席を維持できるとの見方はほぼ皆無。「減少幅」について、さまざまな見方が飛び交う。ある自民党中堅は「自民、公明、国民3党でも過半数に届かない。維新を加えて過半数では」と予想する。
自民党を取り巻く厳しい現状に変化がなかったとして、「減少幅」に影響を与えるのが選挙区での野党間の候補者調整だ。野党の候補者が乱立する選挙区が多ければ多いほど、組織力に勝る自民党の当選者は当然増える。
これに関連して、野党の選挙協力についても質問。それによると、「すべきだ」45.2%、「すべきだと思わない」20.3%、「どちらともいえない・わからない」34.5%。肯定派が否定派より2倍以上多かった。
前回衆院選で、立民、共産、国民、れいわ新選組、社民の野党5党は全289選挙区の7割以上となる213選挙区で候補者を一本化。自民党は、基本政策が異なる立民、共産両党の政権選択選挙での協力について「立憲共産党」などとやゆした。
維新は前回同様、次期衆院選でも野党間の選挙協力には加わらない方針。他の野党間では、候補者一本化への調整は停滞している。ただ、調査結果を見る限り、有権者の多数は、候補者一本化を柱とする選挙協力を野党各党に求めている。
●二階元幹事長の三男が衆院選出馬を表明、世襲に賛否も「有権者が判断」 5/18
次の衆院選の出馬会見に臨んだ自民党の二階俊博元幹事長の三男・伸康氏(46)。会見では、二階元幹事長が病院に入院していることを明らかにしました。
50億円「政策活動費」使途は不明も…
自民党 二階伸康氏 「人間として、また父としては、本当に尊敬するべき師である」
会見で父への思いを口にしたのは、自民党の二階俊博元幹事長の三男・伸康氏です。
支援者に囲まれた檀上に立ち、次の衆院選で和歌山新2区から立候補することを表明しました。
父・二階氏の現在の様子については、入院していて、歩行のリハビリを行っていると明かしました。
伸康氏 「(Q.二階元幹事長の近況は?)ちょっと連休前に、風邪をこじらせたような状況で、病院に入ったといったところがあります」
二階氏といえば、今年3月…。
記者 「政治資金パーティーの問題、不記載であったことに責任を取られたと考えていい?それともご年齢の問題?」
二階元幹事長 「年齢の制限があるか?」
記者 「年齢制限はないですが、お歳を考えてということではない?」
二階元幹事長 「おまえもその年くるんだよ。ばかやろう」
派閥の裏金問題の責任を取り、次の衆院選に立候補しない考えを表明。ただ、幹事長在任中のおよそ5年間に党から受け取っていたおよそ50億円の「政策活動費」の使途はいまだ明らかにしていません。
世襲批判も巻き起るなかでの、伸康氏の立候補の表明。
伸康氏 「今の状況においては世襲のことも含めて、 最後は有権者の皆さまに選挙という機会を通じてご判断をいただくというのが、それしか方法がないのではないかと、今のところは考えております」
和歌山新2区からは、元県議の楠本文郎氏(69)が、共産党公認で立候補を表明しています。
●逮捕者まで出て「カオスだった」 大学生が追いかけた衆院東京15区補選 いまの政治に希望は見えたのか 5/18
政治団体「つばさの党」による他陣営への演説妨害行為が、事件に発展した4月の衆院東京15区補欠選挙。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件への怒りなどを背景に、与党候補が不在となり、投票率は過去最低を更新。国民の間に広がる「政治不信」を、象徴する選挙ともなった。与党の責任は大きいが、野党も批判の受け皿になりきれていない。同補選で、各候補の演説を聴いて回った大学生たちに、いまの政治はどう見えるか。
野党の見本市のような選挙
2019年以降、汚職事件や公職選挙法違反事件で、衆院議員や区長(いずれも辞職)が相次いで立件された江東区。加えて派閥の裏金事件による逆風のなかで、自民党は独自の候補を擁立できず、衆院東京15区補選は、野党や無所属など過去最多の9人が立つ混戦となった。
つばさの党の候補者らが他陣営を追いかけ、拡声器などを使って演説を聞き取れないようにするなどの行為も問題化。他陣営は演説を中止したり、日程の公表を控えたりするなどの対応を余儀なくされた。
不祥事に起因する江東区内の選挙が相次いでいる。「政治に期待しても、何も変わらないと思っているかもしれない」。投開票前日の4月27日夜、女性候補の1人は街頭で政治不信に触れて「政治をあきらめないで」と有権者に訴えかけた。しかし、補選の投票率は、過去最低だった17年をさらに14.89ポイントも下回る40.70%にとどまった。
異例ずくめの補選を「野党の見本市のような選挙。学生が多くの候補者の話を聴ける機会になれば」と位置づけて、フィールド調査をしたのが、法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)のゼミだ。大学2年から院生まで十数人が参加し、告示日や選挙サンデー、最終日の演説を聴き、外交や憲法、消費税など各候補が重視する問題を演説時間から分析した。
陣営同士が争い、警察が介入「演説を聴きに来た有権者もいたのに…」
各候補の訴えや選挙は、学生たちにどのように映っただろうか。
3年白井大也さん(20)=横浜市=は選挙サンデーの4月21日、つばさの党の妨害の影響で、女性候補の事務所に演説場所を教えてもらえず困ったという。ようやく目当ての候補の選挙カーを見つけたと思ったら、つばさの党の関係者が大音量の罵声をスピーカーで流し始め、その場の演説も中止となった。
「陣営や支援者同士で争いになり、警察も来てカオスだった。仕事がない日曜日だから、と演説を聴きに来た有権者もいたと思う。聴かせてあげたかった」と残念がる。選挙運動の最終日、有権者の声援を受けた男性候補が涙の演説を行い、「人柄と熱意に心打たれた場面もあった」という。
気になったのは、やはり自民の裏金問題だ。「税金の使われ方が分からないのは不満だし、クリーンな政治をやってもらいたい。でもどの野党に入れたとしても過半数は取れない。政治が変わらないなら投票行かなくていいや、と若者は思っちゃうんじゃないか」
「もう少し具体的な政策を聴きたかった」と振り返るのは、3年佐川太郎さん(20)=八王子市。告示日と最終日に演説を聴いた女性候補は、政党の理念を説明する場面が多く目立ったという。「どのように政党の理念を実現するのか、候補者が考える方法が知りたかった」と話す。
政権交代を望む声が上がっていることには、少し懐疑的だ。「自民党が長年にわたり政権運営してきた。批判に慣れている野党がいきなり交代して、与党として新たな政策を考えていけるのか、不安はあります」
真剣に演説を聴いたら「好感を持てた候補も」
候補者4人の演説を聴いたという3年加藤巧真さん(21)=同=は「今回ほど真剣に、各候補の演説を聴いたことはなかった。好感が持てた人もいた」と明かし、ある男性候補を「自分が実現したい社会を、分かりやすい言葉で説明していた」と評価した。
補選の投票率は過去最低を更新したが、「国民の政治への関心が低い、とは言い切れないと思う。信頼できる候補を見つけられなかった有権者の中には、白票を投じるのではなく、選挙に行かないことで意思を示す人もいるはず」と話す。
指導した白鳥教授は「政治の閉塞(へいそく)感を表す選挙だった。ただ、政治家の演説をじかに聴くのは貴重な機会。民主主義の実践の現場を学ぶことができ、訴えを分析することで、冷静に候補の主張を受け止める目を養えたのでは」と述べた。
「全敗」でも政治不信に向き合わない自民
東京15区と同日行われた島根1区、長崎3区と合わせ衆院3補選は不戦敗を含め、自民の全敗となった。それにもかかわらず、自民の政治不信に向き合う姿勢は、疑問符が付く状況が選挙後も続いている。
「再発防止の話と、自民党の力をそぎたいという政局的な話がごっちゃになっている」。派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法の改正を巡り、党政治刷新本部座長の鈴木馨祐衆院議員は12日のNHKの討論番組で、野党側の出席者をこう批判した。
企業・団体献金の廃止など、自民党に抜本的な改正案を求める野党への反論だが、裏金事件の真相究明や改革は重要課題だ。自民の責任者でありながら、野党による「政局」であると、問題をすり替えるような意見には、交流サイト(SNS)でも批判が相次いだ。
環境相との懇談で水俣病の被害者らが発言中にマイク音を切られた問題を巡っても、環境省は大臣の謝罪や、対応力を高めるタスクフォースの新設を余儀なくされた。岸田政権の看板の「聞く力」も問われている。
「政権を担えるのか」国民の支持取り込めぬ野党
時事通信の世論調査によると、自民党派閥の裏金が発覚した昨年12月の調査で、岸田政権の支持率は17.1%となり、2009年9月以来2割を下回った。その後も低迷し直近の5月は18.7%だった。
ただ、野党の支持率も低い水準にとどまっている。5月の調査で立憲民主が5.1%、日本維新の会が2.1%。その一方で「支持政党無し」は66.9%に達し、12年に自民党が政権復帰して以降、最も高くなった。政権与党から離れた国民の支持を、野党も取り込めていないのが現状だ。
明治大の井田正道教授(政治行動論)は「金権政治に対する不信があって与党は支持したくないが、野党は分散していて、自民の代わりに政権を担えるのか、その能力にも不信がある。その結果、増えているのが無党派層だ」とみる。今回の補選でも「自民党は嫌だ。でも野党にも入れる気にならない」という人が棄権に回り、低投票率になったと分析する。
与野党が競い合わなければ政治は良くならない
与党にも野党にも満足できず、政治から国民の関心が遠のいている。
中央大の山崎望教授(政治理論)は「政権はレームダック(死に体)で、本来は野党にとってはチャンスのはず」と指摘した上で、「最大野党の立民にしても、今の与党に代わる政権構想を打ち出せていない。自民に政治改革が期待できない以上、野党には、国民の不信不満をまとめあげて、対立軸を示してほしい」と注文する。
前述の白鳥教授も「いまの政治不信は与党の責任が大きい」とした上で「自民の1強多弱が問題の根源にある。国会に緊張感がないから、自民は政治と金の問題でも、抜本的な改革案を示さなくて済んでしまう。与野党が伯仲しなければ、政治は良くならない」と野党に奮起を促した。
デスクメモ
15区補選を追った大学生の中には、候補の事務所付近に張り込んで、演説を待ち続けた人もいるという。「大人として恥ずかしくないのかよ!」と、つばさの党の関係者が子どもに突っ込まれているニュース映像も見た。若い世代を落胆させるような選挙戦は、これっきりにしたい。
●杉村太蔵、総裁選は「岸田文雄VS小泉進次郎の一騎打ちになる」 5/18
元衆議院議員でタレントの杉村太蔵(44)が18日放送の読売テレビ「今田耕司のネタバレMTG」に出演。岸田政権の今後について語った。
MCの今田から「自民党についてどう見ていますか?」と聞かれると、「そんなにしっかり見ていない」と本音をポツリ。スタジオの笑いを誘った。
続けて「岸田首相は6月も解散せずに堂々と総裁選をやって、ギリギリ勝つというのが僕の読み」と明かした。さらに、「対抗馬として小泉進次郎さんが出てくるんじゃないか。岸田文雄VS小泉進次郎の一騎打ちになるんじゃないか」と、持論を展開した。
今田から「石破さんはない?」と、石破茂元幹事長の可能性を聞かれると、杉村は「石破さんよりも…」と言葉を濁した。キャスターの辛坊治郎氏が「この人、石破さんのこと個人的に嫌いだから」と指摘すると、「ただ、総理の可能性があるから寄っていますけどね」と明かし、笑いを誘った。 
 

 

        

 

        
 5/21-5/31

 

 

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

 
 6/1-6/10

 

 

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

 
 6/11-6/20

 

 

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

 
 6/21-6/30

 

 

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

        

 

 
 
 
 
 

 



2024/4-

岸田政権
内閣支持率
裏金問題
能登半島地震
キックバック
ポスト岸田