統一教会の解散命令

解散したら

信者の人たちは ・・・ 


 


〜10/11・・・10/1210/13・・・10/1710/1810/1910/20・・・10/2110/2210/2310/2410/2510/2610/2710/2810/2910/3010/31・・・
11/111/211/311/411/511/611/711/811/911/10・・・11/1111/1211/1311/1411/1511/1611/1711/1811/1911/20・・・11/2111/2211/2311/2411/2511/2611/2711/2811/2911/30・・・
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2023/1/1-1/101/11-1/201/21-1/31・・・
 
 
 
 

●旧統一教会、日本会議、創価学会…自民党「宗教で票集め」の冷徹な実態 7/26
「政治と宗教」が関心を集めているが 宗教団体は「集票マシーン」にすぎない
安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件について、事件の背景には容疑者の「世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)」対する怨恨があったと報じられている。これをきっかけに、「政治と宗教」に対する人々の関心が高まっている。
メディアでは、過度な献金を求める宗教団体が、信者とその家族を苦しめてきた実態が批判的に報じられている。その一方で、宗教団体が政治と深い関係にあることも指摘されている。そして世間では、政治は宗教団体との関係を断ち切るべきだという論調があふれている。
私の考えでは、政党や政治家にとっての宗教団体とは、選挙時の「集票マシーン」にすぎない。特定の宗教団体が強く求める政策が、国民全体の利益よりも優先して実現されたことは、私の知る限りほとんどないからだ。
その代表例が、政治と神道の関係だ。神道系の宗教団体をルーツとする右派組織「日本会議」は、自民党の強力な支持団体として取り沙汰されることがある。メディアでは、日本会議の政界に対する影響力の強さが報道されることも少なくない。
また、自民党議員の多くが、日本会議と関連がある「日本会議国会議員懇談会」と「神道政治連盟国会議員懇談会」のメンバーである。
だが、第2次安倍政権時、日本会議が主張する保守的な政策を自民党が実行することはほとんどなかった(第144回)。むしろ、日本会議が忌み嫌っているはずの社会民主主義的な政策を次々と実現してきた。
例えば、外国人労働者の受け入れを拡大する「改正入管法」だ。この改正案を審議していた際、日本会議は完全に沈黙していた。
確かに過去には、自民党の大物議員が「日本は神の国」「八紘一宇」などと発言して波紋を呼んだことがあった。だが筆者の目には、これらの発言は日本会議に対するリップサービスのように映った。
というのも、こうした発言をした議員たちが神様を熱心に信じ、「神道とは何か」を日々熱心に研究している印象は全く受けなかった。あくまで票をもらうために、日本会議に調子を合わせているだけのように感じたのだ。
とはいえ、自民党はこうしたご機嫌取りはするものの、日本会議が求める政策を実現しなかったのは前述の通りだ。言い換えれば、日本会議は自民党に票だけを取られてきた。
日本会議の中からは「安倍首相(当時)に裏切られた」という声も聞こえてきた。しかし、日本会議が自民党から離れることはなかった。
創価学会を支持母体とする公明党も 自民党にメンツをつぶされている
では、自民党の連立パートナー・公明党の支持母体である創価学会はどうか。公明党は1999年の自公連立政権成立後、約23年にわたって自民党に組織票を提供してきた。
宗教団体を支持母体とする公明党は「平和の党」を自認し、安全保障政策を前進させようとする自民党の「歯止め役」を果たそうとしてきた。だが、その役割を十分に果たしてきたとはいえない。
その証拠に、安倍政権期の自民党は、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍事的拡大といった日本を取り巻く安全保障環境の悪化に対応。「特定秘密保護法」「安全保障法制」「テロ等準備罪(共謀罪)法」という安全保障政策を成立させてきた。
一方で公明党は、支持者が求める利益誘導において、自民党から便宜を図られてきた。消費増税に伴う「軽減税率」や、「クーポン券」「商品券」などの景気対策、コロナ対策の「国民に一律10万円の給付金」などだ。
すなわち公明党は、自民党からの利益誘導でご機嫌を取られながらも、「平和の党」としてのメンツをつぶされ続けているわけだ。それどころか、参院選後は「改憲勢力」の一角として憲法改正に取り組むはめになりそうだ。それでも、公明党の支持母体・創価学会は黙っている。
旧統一教会が望む政策も 全く採用されない現実
今、注目が集まっている旧統一教会については、その関連団体で反共産主義を掲げる「国際勝共連合(以下、勝共連合)」と、安倍元首相の祖父・岸信介元首相が極めて近い関係にあったのは事実だ。
だが現在は、あくまで自民党の支持団体の一つとして、集票に徹しているように見える。
政策的には、旧統一教会は日本会議の主張と似ていることが指摘されている。合同結婚式を主催してまで伝統的な結婚の聖性を維持しようとすることも、伝統的な「家制度」の維持をうたう日本会議と似ている。
また勝共連合は、「ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止」「男女共同参画社会基本法の改廃」などを政治目標に掲げている。だが、これまで述べてきたのと同様、安倍政権以降の自公政権は、これらの政策を全く採用していない。
旧統一教会は、その成り立ちから韓国・北朝鮮と深い関係があるとされる。しかし、「従軍慰安婦問題」「元徴用工問題」がいまだ尾を引いているように、今の日韓関係は全く良好ではない。
昨今は「韓国海軍レーザー照射問題」「韓国による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄(後に撤回)」などが原因で、関係が“最悪”になったのも記憶に新しい。
また、安倍政権期に北朝鮮拉致問題は全くといっていいほど前に進まなかった。これらの事実から、旧統一教会と韓国・北朝鮮のコネクションを、安倍元首相が交渉の裏ルートとして使ったということもなさそうだ。
要するに、さまざまな宗教団体が自民党の支持団体となり、自民党のために集票している。だが、宗教団体の政策的な目標は必ずしも実現されない。また、宗教団体が政治の裏部隊で暗躍する「陰謀論」のような話もあり得ない。
冷徹な扱いを受けているにもかかわらず、宗教団体が熱心に政治と関わる理由は何か。
宗教団体も資金繰りに苦労 政党の「お墨付き」が信者獲得に寄与
その理由を端的に言えば、自民党など政党の有力な支持団体となり、「社会的な信用」を得ることだ。政党の有力な支持団体という「お墨付き」を得れば、信者を集めやすくなる。信者を集められれば「献金」「お布施」「寄付」などの資金集めもやりやすくなるのだ。
宗教団体の経営は、見た目ほど安定していない。少子化による人口減や、宗教に対する根強い不信感の影響から、信者・資金集めに苦労している宗教団体は少なくない。ゆえに、政党からの「お墨付き」を求めて、宗教団体は選挙活動を熱心に手伝ってきた。
旧統一教会についても、選挙活動支援の熱心さがメディアに報じられた。例えば、国会議員事務所を旧統一教会関係者が訪れ、日常的にほぼ無償の形で手伝いをしていた。選挙時には信者を動員して運動を繰り広げていたという。
加えて、自民党の青山繁晴参院議員が明らかにしたように、自民党では「各業界団体の票だけでは足りない議員については、 旧統一教会が認めてくれれば、その票を割り振る」こともしていた。
ちなみに、宗教団体と関係を持った政党は、自公だけではない。旧民主党系の野党も宗教団体と密接な関係を持ってきた。
与野党を問わず 宗教団体と関係を持っている
立正佼成会や崇教真光、パーフェクトリバティー(PL)教団などが作る「新日本宗教団体連合会」(新宗連)という団体がある。いわば創価学会とライバル関係にある新興宗教の連合組織である。
新宗連は自公政権に対抗して、改憲や政治家の靖国神社参拝に反対する姿勢を取ってきた。2009年の総選挙では民主党を強力に支援し、民主党政権の誕生に大きく貢献した。
だが、2012年に自公が政権を奪還して長期政権化し、民主党が弱体化して分裂したことで、自民党との関係を再構築しようとする動きが出るなど、新宗連の勢力は次第に衰退してきた。しかし、左派野党の政治家の一部は、現在でも宗教団体の支援を受けている。
このように、与野党を問わず、政党は宗教団体に票を集めてもらっているのが現実だ。中には、政治献金を合法的に受け取っているケースもあるだろう。ただし、たとえ関係が合法的ではあっても、政治と宗教の関係に問題がないとはいえない。
安倍元首相を殺害した容疑者の母は、1億円以上も旧統一教会に献金して自己破産したという。宗教団体の中には、信者が借金で自己破産するほど寄付をさせる、信者を洗脳のために監禁するなどの違法行為を行っているものがある。
それを知りながら、政党は宗教団体を有力な支持団体として選挙活動に使う。政治家は宗教団体の集会に出席し、あいさつをする。前述の通り、公の場で“神様”に関するリップサービスもする。
そして、それら信用して入信して破産する人、救済を求める家族も多数いる。このことに対して、政治家の道義的責任は絶対にある。政治と宗教の関係は、抜本的に見直すべき時が来ている。
「政教分離」の原則は 日本では守られているのか
最後に、日本における「政治と宗教」の問題を、「政教分離」の原則と照らして考えてみたい。
政教分離には、国家による一切の宗教的活動を禁止する「分離型」、特定の宗教を国家が公的に保護しているが、それと他宗教を国会が平等に扱えばよいとする「融合型」、国家と教会は独立しているが、一定の制度的協力関係が存在する「同盟型」など、さまざまな形態がある。
分離型はフランス、融合型は英国、同盟型はドイツが代表例である。
日本はフランスほど厳格ではないが、第2次世界大戦後、国教であった「神道」を政治から切り離したという歴史的経緯に鑑みると「分離型」に属するといえる。
そもそも政教分離は、16世紀の欧州の宗教戦争に端を発し、フランス革命で実現した。国家が特定の宗教権威・権力(当時で言うローマ教皇)ではなく、世俗権力によって支配されるべきだとする「国家の世俗化」の産物である。
また政教分離とは、どんな形態であれ、権力・権威から信教の自由を守るためのものであることが大原則だ。
日本においては、政党が宗教団体を集票に利用し、宗教団体の組織的拡大を許してきたのは確かだ。だが、宗教団体の要望に沿った政策を一切実現しなかったこともまた事実である。
宗教団体側も、過度な政治的要求は控え、会員増と資金増による「組織存続」のために政治と接することに徹してきた。その意味で、日本では政教分離の原則が守られているという、一定の評価はできるのではないか。
そのため、安倍元首相の殺害事件をきっかけに、特定の宗教を過度にバッシングしたり、その活動を制限したりといった、事実上の「宗教弾圧」が始まることは避けるべきだ。
こうした弾圧を許してしまうと、「信教の自由」にとどまらず、「言論の自由」「思想信条の自由」「学問の自由」が権力によって制限されることにもつながりかねない。
一方、宗教によって被害を受けている人やその家族については、救済を進めなければならない。その困難さ、壮絶さは大学教授として少しだけ関わって知っている。
その経験からも強く主張したいが、政治家が宗教団体を集票組織として安易に使うことや、「お墨付き」を与えることは、今後は厳に慎むべきである。 
●新興宗教7団体に「旧統一教会問題」を直撃! 8/2
安倍晋三元首相の襲撃事件で注目を浴びる旧統一教会と政治家の関係。新興宗教各団体は、どうみているのかーー。本誌が各宗教団体に質問状を送ると、7団体が詳細に回答した。以下に掲載しよう。
各宗教団体への質問
(1)旧統一教会は、霊感商法などが社会問題になっている団体です。こうした旧統一教会について貴団体はどのような見解を持っていらっしゃるでしょうか。
(2)貴団体は、旧統一教会と国会議員や地方議員との関係について、どういった見解を持っていらっしゃるでしょうか。
(3)貴団体は、国会議員や地方議員とどういった関係を構築なさっているでしょうか。
(4)貴団体は、宗教団体と政治がどういった関係にあるべきだと思われるでしょうか。
真如苑
1936年に伊藤真乗氏が設立した真言宗系在家仏教教団。現在は伊藤真聰氏が継主。1953年に宗教法人として認証。本部は東京都立川市。信者数は約93万人。
(1)(2)につきましてずいぶん以前から、同じことを繰り返しているという印象です。
(3)特にしておりません。
(4)ご信徒には、様々な政治信条の方がおられますので、教団として政治に関与しておりません。
新日本宗教団体連合会
1951年に設立した新宗教団体の連合組織。通称新宗連。2012年に公益財団へ移行。立正佼成会や円応教、PL教団など約60団体が加盟。新宗教教団の結束で世界平和を目指す宗教運動を推進する。
(1)(2)当連合会に加盟していない団体についてのコメントは控えさせていただきます。
(3)政界に限らず、公益財団法人としてより良い社会形成の事業推進のため、諸団体と関係を構築しています。
(4)日本国憲法に定める「信教の自由」「政教分離」が遵守され、特定宗教が国家や政府に特別視・利益供与されないようなものであってほしい。
ワールドメイト
1984年に設立された神道系の宗教団体。深見東州(本名・半田晴久)氏が教祖を務める。2012年に宗教法人として認証。総本部は静岡県伊豆の国市。2019年1月現在会員数は約8万2000人。2020年には、小沢一郎、鈴木宗男、前原誠司ら各議員に寄付。深見東州氏は実業家として「みすず学苑」という予備校の運営も手掛ける。
(1)旧統一教会は「この世に価値を置かず、あの世で幸せになる」という、キリスト教系の価値観を継承しています。こうした考え方の宗教は、時として、非常に反社会的で、過激な行動を起こす事があります。ただ、安倍元首相が凶弾に倒れた原因を、旧統一教会への恨みや、狙撃犯の母親が異常に信仰熱心だった等に求める論調が昨今行き過ぎているのではないかと考えます。
(2)旧統一教会が違法に政治に関わったという話は、今のところ聞こえてきません。聞こえてくるのは、旧統一教会と親しくしていた、政治家達の話ばかりです。旧統一教会が問題だとすれば、比較にならないほど大きな、創価学会と公明党との問題をどうするのかを論ずべきと考えます。
(3)選挙活動のボランティアに駆り出したりといったことは、一切しないという原則を厳守しています。本当に社会に有為な政治家を、与野党に関係なく、法的に問題のない形で財政面のみ応援しています。
(4)政治家が1つの宗教団体に偏るのは問題ではないかと思います。現実には、多くの政治家は、複数の宗教と等距離で関わっているようです。それなら、たいして問題はないと考えます。
ひかりの輪
オウム真理教が名称を変えたAleph(アレフ)から独立して、2007年に設立された宗教団体。オウム真理教で広報を担当していた上祐史浩氏が代表を務める。「脱麻原彰晃」を主張しているが、公安調査庁は観察処分を継続。一連のオウム事件の被害者支援機構と合意し賠償金を払い続けている。会員数は約150人(2019年)。
(1)霊感商法を含めて違法行為は厳に慎むべきであり、民事的な解決に加えて、警察当局の厳重な取り締まりを期待します。
(2)独自の知識はなく、報道等で勉強しております。
(3)数名の国会議員の方とオウムの反省をテーマに対談したことがありますが、それ以外は全くありません。ましてや、継続的な関係の構築は全くありません。
(4)政権与党に関しては、政教分離原則に基づいて、特定の宗教に肩入れしたり、弾圧したりしないことが原則だと思います。
幸福の科学
1986年、大川隆法総裁が立宗した、仏教を基盤とする新宗教。1991年に宗教法人として認証。2018年には、国内信者数1100万人、海外信者数100万人と発表している。歴史上の偉人など、霊人の思考を明らかにする「霊言」や、3000書を超える大川総裁による著書など、活動は多岐にわたる。幸福実現党の支持母体。
(1)宗教は本来、「神仏の子」としての人格向上や理想社会の実現を目指す素晴らしいものです。組織的に正体を隠した勧誘や詐欺的行為を行うことは、宗教以前の問題だと考えます。
(2)社会的に問題のある団体であるにもかかわらず、それに目をつぶって利用し続けてきたことは問題だと思います。
(3)幸福実現党の地方議員を応援しつつ、独自の国会議員の輩出を目指していますが、信者一人一人の自由意思は尊重しています。
(4)政治は本来、「神仏の理想」を体現した世界を、地上に実現すべきものと考えています。政治が混迷するなかにおいては、宗教はその理想を示す役割があると考えます。
創価学会
1930年に牧口常三郎氏と第2代会長の戸田城聖氏が創立した在家仏教団体。池田大作氏が名誉会長を務める。1952年に宗教法人として認証。総本部は新宿区信濃町。会員数は、公称では日本827万世帯、海外280万人。世界192カ国に活動を広げている。「聖教新聞」などの機関紙の発行や、創価大学などの学校運営も手がける。公明党の支持母体。
(1)ご指摘の宗教団体について委細は分かりかねます。いわゆる霊感商法については、トラブルが多発しており、悪質な社会問題と考えます。
(2)法的な問題や事件を多発させる団体と議員との関係は、政治家自身が高い見識に基づいて、また公職にある者として責任を持って判断すべきものと思います。
(3)(4)当会は公明党の支持団体です。党に対しては、「大衆とともに」との立党精神を根本に、社会の安定と国際社会の平和に寄与する政治を望んでいます。
立正佼成会
1938年に設立された日蓮系・法華系の新宗教。庭野日敬氏が開祖。現在の会長は庭野日鑛氏。信者数は102万世帯、約222万人。創価学会に次ぐ規模の信者数といわれる。本部は東京都杉並区。もともとは霊友会から派生したもの。7月の参院選では立憲民主党の議員を応援していた。
(1)他のご教団に対して評価をする立場にはございません。
(2)他のご教団に対して評価をする立場にはございません。
(3)宗教と政治は、「人々を幸せにする」「調和の世界をつくる」という点で、共通の目的を持っています。私たちは宗教者としての役割を果たしつつ、国や地域社会がより良い方向に向かうよう、政治に対して高い関心を持ち、取り組んでいく必要があると考えています。具体的には、政治に対する基本姿勢「五項目」(生命(いのち)の尊厳を守る、平和主義の推進、思想・良心・信教の自由を守る、政教分離の原則を守る、政治倫理の確立)を政治課題として掲げ、国会議員や地方議員へその実行を求めつつ、「一党一派に偏しない」、「人物本位」を原則として、各拠点(教会)で取り組みを検討し、会員一人ひとりが主体的に判断し投票していけるよう、政治意識の高揚に取り組んでいます。
(4)弊会は、憲法20条を厳守し、政教分離の原則を守ることを大切にしています。政教分離の原則とは、国家と宗教の分離を目指すもので、厳密には、政治権力が特定の宗教教団を援助、あるいは圧迫しないように定めたものと理解しています。そのため、特定の宗教団体が、自らの利益のために政治的影響力を持つことに反対しています。

また、無回答・回答拒否の団体も。
・霊友会「今回の取材についてはお断わりします」
・天理教「取材はお断わりします」
・日本会議「質問への回答は控えさせていただきます」
・世界救世教「個別のご質問に対するコメントは控えさせていただきたいと存じます」
・PL教団「取材は受けておりません」
・神社本庁「お答えすることはありません」
雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏は、「慎重な模範回答が多い」と解説する。
「多くの団体が社会に糾弾されてきたため、一概に旧統一教会を批判できないのでしょう。そもそも日本の旧統一教会の初代会長は立正佼成会の出身者。冷戦期には当時の保守系新宗教と協力し合い、ここまで大きくなった経緯がある。政治的に政教分離を打ち出すのは当然ですが、創価学会、幸福の科学は、独自の政党の支持母体として積極的に政治に関わっています」
小川氏が注目したのは真如苑の回答だった。
「真如苑は、政界とのつき合いが基本的にないため、回答も歯切れが良い。しかも信者数が減っていないのも特徴的です。一方、創価学会や立正佼成会など、ほぼすべての教団で信者数の減少は深刻です。宗教団体本来の姿に立ち返るべきです」
政治と宗教の関係は変わるのか。 
●統一教会よりもはるかに強力なのは創価学会の選挙支援 8/31
創価学会の選挙活動とは
薄々問題かもしれないと感じつつも政治家の多くが統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と親密な関係を続けたのは、教えに心酔したからというよりは、選挙目当て、というのが一般的な解釈だろう。
宗教団体が選挙に際に頼りになる、というのはよく知られた話である。強い団結心は、他の組織とは比べ物にならない。
こうした選挙戦における創価学会の実力には定評があるところだ。公明党を支えてきた創価学会は、長年、選挙において抜群の存在感を示してきた。
連立を組むようになってからは、自民党にとっても圧倒的に頼りになる存在になったのは言うまでもない。
がぜん注目を浴びるようになった「宗教団体と選挙」というテーマについて今後考えるうえで、創価学会のことを外すわけにはいかないだろう。
以下、宗教学者の島田裕巳氏の著書『創価学会』(2004年)から、創価学会員の選挙活動について解説している箇所を引用してみよう。
「創価学会の選挙活動の核になっているのが、『F取り』と『Kづくり』である。
Fとは、フレンドのことで、F取りとは、学会員が知り合いに公明党議員への投票を依頼し、実際に投票してもらうことを言う。F取りのためには、知り合いに電話を掛けたりすることになるが、その際には、学会員であるということを明かさなければならず、勇気を必要とする。実際、正体を明かしたために、友人と絶縁状態になってしまうこともあるという。
F取りが外部に対する働きかけであるとすれば、Kづくりは、組織の内部に対する働きかけを意味している。Kとは活動家の略で、学会活動に熱心ではなく、ほとんど休眠状態にある会員を掘り起こし、彼らに公明党議員に投票させることが、Kづくりである。これには、組織を再活性化させるというもう一つの機能がある。
また、地方議会などでは特にそうだが、一つの選挙区に、公明党の議員が複数立候補している場合がある。その際には、学会は独自に『管区』を決めて得票の均衡化をはかり、学会員同士で票の奪い合いをしないよう、『管区協定』を結ぶことになる。
創価学会の選挙にかんしては、『血の小便を流す』という言い方がある。これは、投票前の1週間、特に選挙活動に熱を入れることをさしている。血の小便を流すか流さないかで、票はかなり変わってくるという。
おもしろいのは、選挙活動が一種のイベントとしての性格をもっている点である。選挙活動をともにしたことで、親密になり、結婚にいたる学会員のカップルも少なくないという。
このようなきめ細かな選挙活動ができる組織はほかに存在しない」
政治と宗教の一体化を目指していた
もちろん公明党支持者や、一定のシンパシーを抱いている方からすれば、統一教会と同じ土俵で論じられること自体、不本意だろう。改憲に慎重なことなど、現在の公明党の政策は、ある意味で自民党よりも穏当なもの、リベラルなものになっている。
山口那津男代表はじめ、メディアに出てくる議員の多くは弁舌爽やかで、説得力あるトークを披露する場面も多い。
ただ、これも長い年月を経て現在に至っている、という経緯もまた知っておいていいことかもしれない。
同じく『創価学会』から引用してみよう。
「結党当時の公明党は、今とは大きく異なり宗教政党としての性格を前面に打ち出していた。1964(昭和39)年に公明政治連盟を改組して誕生した公明党の綱領では、次の項目の実現がうたわれていた。
 1、王仏冥合(おうぶつみょうごう)と地球民族主義による世界の恒久平和
 2、人間性社会主義による大衆福祉の実現
 3、仏法民主主義による大衆政党の建設
 4、議会制民主政治の確立
福祉の実現や民主主義の確立という部分は現在の綱領と共通するが、決定的な違いは、結党当初の綱領では、『王仏冥合』や『仏法民主主義』といった仏教的、宗教的なスローガンが鮮明に打ち出されていた点にある。
王仏冥合とは、政治と宗教の一体化をめざそうとするもので、当時の池田大作会長(現・名誉会長)による結党宣言でも、日蓮の『立正安国論』が引用され、『公明党は、王仏冥合・仏法民主主義を基本理念として、日本の政界を根本的に浄化し、(中略)大衆福祉の実現をはかるものである』と、王仏冥合と仏法民主主義の重要性が明確に説かれていた。(略)
このように、結党当初の公明党は、宗教政党としての性格を明確に打ち出していた。公明党の政治活動の目的は、王仏冥合という宗教的なもので、それは、『国立戒壇』の建立ということと深く結びついていた。
詳しくは後述するが、国立戒壇の建立とは、創価学会がその創立以来信奉してきた日蓮宗の一派、日蓮正宗(しょうしゅう)の国教化を意味した。
国会で多数派となり、議決によって、国立戒壇の建立をはかろうとしていたのである」
世界平和や大衆福祉はいいとしても、それ以外の部分には現在の目で見ると違和感を抱く人もいることだろう。
こうした路線は、言論弾圧事件(1970年)などから世間の強い非難を浴びることもあって、転換を余儀なくされていくこととなる。
公明党の綱領から宗教的な用語は削られ、国立戒壇の建立も目的として掲げられなくなった。現在の綱領は、人命や生活や地球の大切さを強く訴え、「庶民の党」であることを強調したものになっている。
初期には先鋭的であった宗教が、だんだん世俗化していくこと自体は珍しくない。いい意味で「丸く」なっていくのだ。
ただし、統一教会がそのような形で世の中になじむ日がるのかは不明である。 
●「政治と宗教」批判を懸念、公明が霊感商法対策を議論へ… 9/3
  旧統一教会問題との「同列視」を危惧
公明党は2日、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の問題を巡り、霊感商法や法外な献金要求などの被害防止策を来週から議論すると発表した。問題に積極的に取り組む姿勢を打ち出す狙いがある。宗教団体の創価学会が支持母体で、「政治と宗教」の関係に批判的な世論が高まることに懸念を強めている。
「霊感商法や法外な献金の被害救済を我が党でも検討し、政府の対応とあわせ、課題解決に努力したい」
公明の山口代表は2日、岸田首相と首相官邸で昼食をともにした後、記者団にこう強調した。首相は会談で、旧統一教会と自民党議員の関係や安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)について「ご心配をおかけしている」と陳謝したという。
公明での議論は、党消費者問題対策本部(本部長・古屋範子副代表)で進める。消費者庁や被害者弁護団などから話を聞き、政府への提言をまとめる方針だ。
公明幹部は「社会的に問題のある行為が何かを明確化することで、『政治と宗教』の話と切り分ける必要がある」と訴える。
憲法は20条で「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」と明記しており、宗教団体や信者による政治活動は問題ないとされる。一方で、旧統一教会を巡っては、自民議員が選挙で支援を受けたり、関連団体の会合に出席したりしたことが問題視されている。
山口氏はこの日、政治家が関わりを控えるべき対象を「社会的な問題を抱える団体で、宗教団体に限らない」と指摘した。創価学会の支援を受ける構図が同列視されかねないことを危惧しているためだ。
石井幹事長も2日の記者会見で「宗教団体が政治活動を行うことは全く問題がない」と述べた上で、「旧統一教会の問題は、政治と宗教一般の問題ではない。社会的問題を指摘されている団体と政治との関わりだ」と強調した。 
●公明党 山口代表を直撃 自公の関係は 旧統一教会は 10/6
連立与党の一角を占める公明党で、13年に渡り代表を務めてきた山口那津男。異例とも言える8期・14年目の任期がスタートした。しかし、山口本人にインタビューで直撃すると、ことしの年明けの時点では「代表退任」で心を固めていたと明かした。なぜ、一転して続投を判断したのか。自公の関係は。また、議論を呼んでいる宗教と政治のあり方は。公明党の今後を読み解いていく。
揺れ動く心
「党の力を最大限に発揮できるよう、全身全霊、闘い抜いていく。これまで培った経験をしっかりと伝え、後進の育成に全力を注ぐ決意だ」 公明党全国大会9月25日、公明党の党大会。無投票で代表8選を果たし山口那津男(70)は、力強くこう宣言した。その4日後、9月29日に聞いた山口へのインタビュー。ことしに入ってから揺れ動いてきた心の内を明かした。「代表選挙の手続きのギリギリまで、いろいろと思い悩んだ。正直言うと、ことしの年明けぐらいは、参議院選挙を終えて世代交代を図っていこうと思っていた」(山口)
異例の長期在任
山口が心を固めていたという「代表退任」。その背景にあったのは、第一に、山口の在任期間の長さだ。山口は公明党が野党に転落した2009年から代表を13年間にわたり務めてきた。
   歴代公明党代表・委員長一覧
原島宏治 1964/11/17ー1964/12/09( 1か月弱) 辻武寿 1964/12/09ー1967/02/13( 2年2か月) 竹入義勝 1967/02/13ー1986/12/05(19年9か月) 矢野絢也 1986/12/05ー1989/05/21( 2年5か月) 石田幸四郎 1989/05/21ー1994/12/05( 5年6か月) ――― 新進党参加に伴い、1994年にいったん分党。その後、1998年に再結成 ――― 神崎武法 1998/11/07ー2006/09/30( 7年10か月) 太田昭宏 2006/09/30ー2009/09/08( 約3年) 山口那津男 2009/09/08ー現在 ( 13年)
1964年に公明党が結成されて以降、代表や委員長としての在任期間は、竹入義勝に次いで2番目と、「異例」とも言える長期にわたっている。
世代交代が既定路線
任期満了まで半年を切ったことし4月。山口は東京都内で講演。幹事長の石井について、みずからの後継にふさわしいという考えを示す。「とても聡明で判断が的確で、説明能力もしっかりしているので、ぜひ次のリーダーとして頑張ってもらいたい」 司会者から「後任として有力か」と重ねて質問されると、「それはもうイチオシだ」と応じた。山口はこの講演のあとも、「バトンタッチしていく準備が必要だ」と述べるなど、世代交代を意識していると受け止められる発言を続けた。公明党内でも、この秋の党大会をもって山口は退任し、石井が後任の代表となることが既定路線だという見方が広がっていった。
使わなくなった“バトンタッチ”
しかし、7月の参議院選挙を経て、山口の言いぶりが変化する。参議院選挙の投票日から3週間余りを経た7月29日。突然、次の代表選への立候補に含みを残す発言をした。「参議院選挙が終わり、いろいろな思いが有権者や支持者から出ていると思うし、私のもとにもいろんな声が届いている。熟慮した上で結論を出したい」 このあと山口は“次の世代”“バトンタッチ”といったことばを使うことを控え、「熟慮を重ねている」とだけ繰り返した。
続投決意の訳は
なぜ発言は一転したのか。今回のインタビューでそう問うと、山口が強調したのは、支持者をはじめ周囲から、山口続投による「安定」を求める期待の声だった。
「公明党にとって重要な統一地方選挙を来年に控え、私をはじめ、力を蓄えた人の働きを期待する声があった」(山口)
どういうことか。山口が後継にと一度は口にした石井に対し、党内から、代表になるには、さらに経験が必要ではないかという見方も出ていた。
(党関係者)「知名度はもう少しあった方がいい。まじめでいいが、山口代表が街頭演説で『なっちゃんでーす』とあいさつして盛り上げるように、『けいちゃんでーす』と言えるタイプではない」
そうした見方は、7月の参議院選挙の結果がふるわなかったことで強まっていく。
山口はインタビューでこう述べた。山口代表「参議院選挙の結果というのもある。特に比例代表で800万票という目標を掲げて戦ったわけだが、結果的には610万票余りにとどまった。掲げた目標と結果に大きなギャップが生じ、非常に落胆もあった」(山口)
実際、公明党は今回の参議院選挙の比例代表で、618万票の獲得にとどまり、衆参の国政選挙の比例代表で過去最低の結果に終わった。
「参議院選挙の結果がふるわず『責任を取れ』という声だってあってもいいはずだし、現にあった。しかし、『ここを踏ん張って、党勢の維持拡大にもうひと働きしてほしい』という声の方が勝ったと受け止めている」(山口)
山口は今回のインタビューで、参院選の結果以外にも、年明けからの岸田政権をとりまく状況の変化によって、続投の判断に傾いていったと説明した。2月24日から始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻、物価高や加速する円安などの経済状況、そして7月8日に安倍元総理大臣が銃撃され亡くなったことを例示した。山口は、統一地方選挙に向けて、党勢を回復させるため、8期目を引き受ける決断をしたと強調した。
ある党幹部は、続投の背景をこう明かした。「春先とは状況が変わってしまった。安倍氏が銃撃事件で亡くなり、自民党では動揺が走る。旧統一教会をめぐる問題で自民党が揺れる。岸田政権も支持率が下がってくる。政権は直面している課題をクリアできていない。そうなったときに政権構造をどうしていくのか。そこで公明党も全く新しい、どうなるかよく分からない構造になってしまうと非常に心配だよね。代えることを許さない環境の変化があったということだよ」
さらに別の党関係者は、9月に入って週刊誌で党所属の熊野正士参議院議員(9月30日に議員辞職)のセクハラ疑惑が報じられ、ここで代表が代われば「引責との受け止めが出る」という懸念があったと話す。
総仕上げの8期目スタート
山口は、8期目のスタートにあたり、党大会で新たな幹部人事を発表した。幹事長の石井啓一(64)と国会対策委員長の佐藤茂樹(63)を留任させて「主力」を維持し、政務調査会長に高木陽介(62)、選挙対策委員長に西田実仁(60)を起用するなど、現在70歳の山口の次の世代に党務を任せる体制をとった。山口はこの人事の狙いについて、「世代交代に向けた仕上げのためだ」と語った。
「残された時間でしっかりと後進を育てる。連立政権では、よく『自公のパイプがどうこう』と言われるが、古いパイプは両党の世代交代によって失われていく。新しいパイプをつくっていかなければならない。後進には、選挙や視察、組織運営といった実践の現場で経験を積んでもらい、信頼や期待を集めていくチャンスをたくさんつくりたい」(山口)
宗教と政治のあり方は
一方、連立政権のパートナーである自民党は、いま、旧統一教会をめぐる問題で大きく揺れている。公明党の支持団体は創価学会であることはよく知られている。旧統一教会の問題をどう捉えているのかも尋ねた。
「これは政治と宗教一般の問題ではない。旧統一教会は霊感商法や多額の寄付の強要とかトラブルを数多く抱えている。社会的なトラブルを抱えている団体と政治家との関わりが問題だ。ただ、健全な民主主義のプロセスを経て、政治活動や政治参加をしている宗教団体は数多くあり、それを政治と宗教一般の問題と捉えることは本質を誤るので、きちんと分けて冷静に議論することが大切だ」(山口)
公明党、今後は
党内では自公連立政権の重しとしての山口の役割は重要だとしながらも、今回の続投により「党代表を交代するタイミングを逸した」という見方も根強くある。来年春の統一地方選挙が終われば、また衆議院解散に向けた「解散風」が吹きかねない。山口の任期は2年後の秋までで、任期を全うせずに、例えば、統一地方選挙のあとに退任して、バトンタッチするという見方も少なくない。任期は全うするのか、率直に聞いてみた。
「任期は2年と決まっているので、2年を基本に考えることになり、党のルールをもとにしっかりと頑張っていきたい。ただ、私自身の経験では、最初の代表就任は前任者の任期の残り1年を途中で引き受けた経過がある。突発的に何が起きるかわからないということはもちろんないとは言えない」(山口)
任期について、明言は避けた。
実は、今回の代表選挙の取材の過程で、気になることがあった。党の若手国会議員と話していて、山口が無投票で再選を重ねていることを念頭に、自民党や立憲民主党、日本維新の会のように、複数の候補者が立候補しての政策論争を望む声があったのだ。ただ、党幹部にそうした見方について聞くと「うちの党はそんなに幅がない。どこを切っても金太郎飴で、国会議員60人程度の党では争うより結束が大事だ」と強調していた。公明党と言うと組織政党で一致結束というイメージがある。しかし、党執行部と若い世代との間で、党運営をめぐって認識に違いが生じているのではないかと感じる場面だった。
公明党が、山口の次の世代への引き継ぎのタイミングを図っていることは間違いない。党内での認識のずれもくすぶる中、どのような形でバトンタッチするのか、与党の一角として党がどんな姿になるのか、注目していきたい。 
●「統一教会国会」で問われる宗教と政治とカネ 10/6
  なぜオウム事件の後にブラックボックス化したか
野党は解散命令を視野に入れるが
世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会=統一教会)批判が止む気配のないなか、臨時国会が始まり5日、岸田文雄首相の所信表明演説に対する代表質問があった。
焦点は統一教会と自民党との関わりだ。首相にも細田博之衆議院議長にも、山際大志郎経済再生相ら閣僚にもあった統一教会との関係を具体的に説明し、実態解明に努めたうえでの解決策が求められている。
統一教会信者の被害救済に長年取り組んできた全国霊感商法対策弁護士連絡会は、統一教会への解散命令を求めており、立憲民主党など野党は、それを後押しするように国会での解散命令を視野に入れた論戦に臨む。
誰がどのような関係をいつどこで持っていたかをチェックして報道する「統一教会狩り」の世相のなか、忘れてはならないのは統一教会が「安倍晋三元首相殺害犯の恨みの対象」であったことだ。今、安倍氏と統一教会との関係の深さが批判され、過去に遡っての統一教会の霊感商法や合同結婚式、資産収奪などのカルト性が攻撃されているが、孤立無援に追いやられた山上徹也容疑者が犯した許しがたい凶行だという事件の本質を忘れてはならない。
過去に宗教法人に対して出された解散命令は、地下鉄サリン事件を引き起こしたオウム真理教と「霊視商法」を行なって教団トップらが逮捕された明覚寺の二つだけだ。「反共」で自民党などに食い込み、「反日」で日本信者から資産を根こそぎ収奪する統一教会への心理的な反発はあろうが、「著しく公共の福祉を害する」という解散要件にあたることが指摘されたわけでもない教団を、「いい機会だから」という発想で解散に持ち込もうとするのは現実的でない。
そもそも統一教会を放置し続けたのは誰の責任なのか。著名芸能人やスポーツ選手の合同結婚式などへの反発から加熱した四半世紀以上前の統一教会バッシング以降、マスメディアが放置し続けたのはなぜなのか。オウム真理教事件を機に宗教法人の透明化が求められ、宗教法人法は改正されたのに今回の事件が示すように宗教法人が未だにブラックボックス化しているのはなぜなのか。
放置し続けたのは、最終的には「信教の自由」が絡む宗教問題に入り込みたくないマスメディアの責任であり、創価学会という巨大教団を支援組織とする公明党への遠慮を持つ政治の責任であり、文化庁が所轄庁でありながら宗教法人を監視・監督することに及び腰な行政の責任である。
オウム事件で学ばなかったこと
統一教会問題で問われているのは、「宗教と政治とカネ」の解明だ。それは前述のように、オウム真理教の教訓としての改正宗教法人法で成し得たはずなのに、「空文化」してしまった。その原因から探りたい。
営団地下鉄の車両内で、1995年3月、神経ガスのサリンが撒かれ、13人が死亡、6300人が負傷した。政治と行政の反応はさすがに早かった。4月下旬、与謝野馨文相が宗教法人審議会に宗教法人法の見直しの検討を要請し、9月の審議会で改正案が基本的合意に達した。10月に衆議院で審議が始まり、実質審議はわずか6日間で終わり、参議院に送られて12月に改正宗教法人法が成立した。
最も大きな改正ポイントは、宗教法人に役員名簿、財産目録、収支計算書、貸借対照表などの書類を作成させ、それを当該法人の事務所に備え付けさせるとともに、写しを所轄庁に提出、閲覧義務を課したことだろう。
統一教会の底知れなさは、教団の内実、実相がわからないことである。これまでに3度、会見を開き、9月22日に勅使河原秀行氏が教会改革推進本部長に就任したとして「改革の方向性」を示したが、それよりまず知りたいのは、教団施設がどこにあり、その資産は幾らで、年間いくらのカネを集め、その収支はどうなっているかの客観的情報である。だが、情報は得られない。改正宗教法人法も通用しない。統一教会に限らず、あらゆる宗教法人が「閲覧義務」を拒否する。
なぜそれが可能なのか。宗教法人法第25条3項にはこう書かれている。
《宗教法人は、信者その他の利害関係人であって前項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項各号に掲げる書類又は帳簿を閲覧することについて正当な利益があり、かつ、その請求が不当な目的によるものでないと認められる者から請求があったときは、これを閲覧させなければならない》
普通に読めば開示の義務化だが、文化庁宗務課は宗教法人側の「拒否の論理」を認める。
「『(条文の)信者その他の利害関係人』を判断するのは宗教法人です。主語は宗教法人であり法人が認めなければ閲覧できません」(宗務課)
どう読めばそうなるのか意味不明。「霞が関の条文解釈」というしかないが、改正宗教法人法にはオウム真理教以外のもうひとつの政治的狙いがあった。それは自民党を中心とした勢力による創価学会、公明党攻撃である。
「1993年に非自民連立政権が誕生し、公明党はそちらに加わります。その後、新進党結党にも参加。その頃から自民党は公明党、創価学会の攻撃を強め、反創価学会連合ともいうべき『四月会』を結成します。宗教法人法の改正はオウムをきっかけとしつつ、自民党には『政教一致』などの創価学会攻撃を通じて公明党の勢力を削減する狙いがありました」(政治ジャーナリスト)
政治的な意味合いもある法改正だった。ところが、自民党の創価学会、公明党攻撃は公明党が参加していた新進党の解党(97年)によって劇的に変わり、関係を修復、自民と自由に公明を加えた自自公連立政権(99年)を経て、現在の自公政権という枠組につながった。文化庁の条文解釈は政治に翻弄される宗教法人の立場をおもんぱかるものだった。だから閲覧させない宗教法人の姿勢を支持する。さらに公明党が与党となって以降、自公政権への忖度が働いて開示など望むべくもない状態が続いている。
創価学会のコメントは……
『宗教問題』編集長の小川寛大氏は、現在の宗教法人法でも監視は可能だという。
「現行法の厳格な運用・適用で、法人監視はできるんじゃないでしょうか。ただ17万を超える宗教法人を現況の宗務課や都道府県担当職員だけでチェックするのは無理です。しかし人員を増強、宗務課以外のセクションも場合によっては協力するとか、厳しく監視するための体制を作れば大丈夫でしょう」
確かに、歳出入の規模や資金使途などが把握されれば、献金の強制、反社会的な活動は控えなければならなくなる。その法整備は整っているというべきで、それが宗教法人の不同意によって公開が阻まれ、それを文化庁が今後も容認するというなら新たな法改正が必要だろう。ただ、宗教法人規制がオウム真理教や統一教会のようなカルト集団によって強化される不満も既存の宗教法人にはある。統一教会を巡る霊感商法対応などを検討する消費者庁の検討会では、菅野志桜里弁護士が「解散に至らない場合でも税優遇の略奪を」と、「禁断の非課税問題」にまで踏み込んだ。
政治的にも社会的にも大きな影響力を持つ創価学会は、統一教会批判から始まる規制強化に関し、次のように述べた。この問題について創価学会が公式にコメントするのは初めてだ。
「1995年12月の法改正は、オウム真理教の地下鉄サリン事件を機に、当会をはじめ、その他の宗教団体も管理・規制すべきであるとの一部世論に便乗した当時の政権が、手続きもなおざりにして、拙速に、政争の具として強行した経緯がありました。
今回も、社会的に多くのトラブルを抱える団体の問題に乗じて、同法を改正すべきであるとの動きが生じていることは、民主主義の根幹である『信教の自由』を再び侵害しかねず、当会として、決して容認できません」(広報室)
信教の自由を侵してはならないのはいうまでもないことだ。ただ、金融・証券市場が金融商品取引法を使い、政治資金が政治資金規正法を用いて、「公開」「透明」「開示」を徹底することによって、徐々に正常化されたという流れのなか、宗教法人の財産や収支といった内実が、いつまでもブラックボックスに封印されていいわけがない。非課税という権益を与えられているなら公開は半ばの義務で、オープンにして困る理由がわからない。保護しなければならない情報は、それなりに保護する技術も手立てもある。
国民が注意すべき集団はカルトだけではない。YouTubeやTwitterというSNSが全ての人をメディアにして情報発信するという環境のなか、誰もが政治団体や宗教法人の主宰者、教祖となれる時代である。
中東・ドバイに逃亡した暴露系ユーチューバーのガーシーこと東谷義和氏が帰国せず、SNSだけで30万票近くを集めて国会議員となり、月会費約4000円で約3万人の情報サロン会員を集めて、年に14億円超を稼ぐ時代である。会員は刺激と娯楽を求めているが、そこに「癒やし」や「救済」が加われば宗教にもなる。会費やユーチューブの視聴はお布施だ。
時代環境は変わり、流れをせき止められない以上、我々が把握すべきは「何者がどんな規模で幾らのカネを持ち、何をやっているか」という情報である。統一教会国会には、党利党略ではないそうした将来を見据えた視点の改革も必要だろう。 
●旧統一教会と政治の「癒着」はどこが問題なのか… 10/9
  創価学会と公明党の関係から「政教分離」を解説する
なぜ日本の政治家は「宗教団体」に頼るのか
【池上彰】旧統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)に注目が集まり、信者への多額の献金やいわゆる霊感商法が問題となっているだけでなく、政治とのかかわりに疑問の声が上がっています。特に選挙時に教団や教団関係者がボランティアスタッフを派遣するなどの協力関係があったことがクローズアップされ、その実態が報じられています。
【増田ユリヤ】私は海外の選挙事情を各国で取材しますが、学生を含め多くの人が自発的に選挙スタッフに加わっていて、「人手集めで苦労している」という話はあまり聞いたことがありません。選挙運動自体も日本とは違ってかなり自由に行われており、たとえば交差点の角に旗を立てたテーブルを置き、候補者と地域の有権者がいろいろと話したり、グッズを配ってアピールしたりというのが選挙の風景です。日曜日に公園に集まって、都市の中心部までデモ行進を行うこともありますが、日本のように選挙カーで名前を連呼するような騒がしいものではありません。
共産党や創価学会を恐れて、戸別訪問は禁止になった
【池上】日本の選挙運動は候補者による住宅への戸別訪問が禁止されたために、仕方なく自分の名前を選挙カーで連呼して覚えてもらうしかなくなったんです。戸別訪問が禁止されているのは、それぞれの屋内で金銭のやり取りによる票の買収が行われても確認できないことが理由でした。また、共産党や創価学会など、熱心に選挙活動をしてくれる組織を持つ政党が人海戦術で戸別訪問を行えば、選挙に勝ってしまうのではないか、という自民党の危惧もあったようです。
【増田】戸別訪問が禁止されたとしても、やはり選挙には人手が必要ですよね。
【池上】例えば選挙期間中に配るビラには、選挙管理委員会が発行している「頒布シール」を手作業で貼らなければなりません。貼っていないビラを配布すれば、選挙違反になります。何千枚ものシールを貼る人手をボランティアで集めるのは、そう簡単ではありません。
【増田】一般市民のボランティアが集まらないとなれば、候補者にとってはまとまった人数の人手を派遣してくれる組織との付き合いが選挙の趨勢を左右しかねない、ということになってしまいます。
「旧統一教会と政教分離」でおさえるべき憲法条項
【増田】また、戸別訪問の禁止だけでなく、日本の悪しき選挙習慣はほかにもかなりありそうです。例えば、選挙期間前後には、候補予定者が「本人」というタスキをかけて、駅前や大通りで辻立ちをしています。事前運動をしてはいけないという公職選挙法が理由ですが、あのタスキを見ると滑稽だなと思ってしまって……(笑)。
【池上】公職選挙法はかなり複雑ですし、電子メールやウェブサイトを使ったインターネット上の選挙活動についても、認められたのは2013年で、「ネット選挙解禁」からまだ10年経っていません。
【増田】旧統一教会の問題は、政教分離という点ではどう考えるべきなのでしょうか。
【池上】政教分離については、憲法第20条、89条で定められています。
第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
つまり、政教分離とは、特定宗教団体に対し、政治が弾圧や抑圧を行うことや、不況のための公金支出、あるいはどこかの宗教団体が政権を取って、自分たちの宗教を国教に指定したり、国民に信じるように強要したりすることを禁じています。
「創価学会と公明党」が問題にならない理由
一方で、宗教団体やその信者、教徒が政治活動を行うことは自由です。例えば現在、連立与党に入っている公明党は、創価学会という宗教団体が作った政党で、支持者も信者が多く、選挙前には組織的に活動してもいます。しかしそうした活動を行い、政治に参加すること自体は政教分離に反しません。ただし、仮に公明党が、創価学会にだけ有利なはからいをしたり、ライバルの宗教団体を抑圧したりするようなことがあれば、これは政教分離に反します。
創価学会は以前、国立戒壇を作ること、つまり日本が国家として富士山の大石寺の前に本堂を作り、日蓮宗を国教として定めることを目標としていました。そのために信者から多額の献金を集めることが必要だったので、かなり激しい集金活動を行ったのです。
しかし公明党が結成された時に、政党の母体が国教を定める運動をしていてはまずいのではないか、政教分離に反するのではないか、と指摘されたことで、創価学会は国立戒壇を断念しました。この国立戒壇の断念を許容できなかった人たちが作ったのが顕正会という宗教団体です。そのため、創価学会と顕正会は同じ日蓮宗系の宗教団体ですが(ただし双方とも日蓮正宗からは破門)、激しく対立しています。
「ボランティア人員の派遣」はモラルとして許されるのか
【増田】旧統一教会は政治に接近して、教義を国教にしようとか、自分たちだけを他の宗教よりも優遇してもらいたい、と考えていたのかどうか。
現在のところ、政教分離の観点から違反を問える事例は出てきていません。信者や教団には信教の自由が憲法で保障されていますし、政治活動の自由もあります。旧統一教会の信者が政治活動を行うこと自体は、憲法の範囲内である限り、何の問題もありません。
一方で残るのはモラルの問題で、霊感商法や献金で消費者被害を出している団体の支援を国民や有権者の代表である議員が受けるのは、たとえボランティア人員の派遣だったとしても、モラルとしていかがなものか、という点が問われているのです。
一部の人を不幸にさせたことは間違いない
【池上】本来、国会議員は国民の代表として、国民全体の幸福を考えなければなりません。しかし旧統一教会は、過去には霊感商法について民事裁判で負けるなど、一部の人を不幸にさせたことは間違いない。そうした団体から支援を受けていていいのか、という点が問われています。
【増田】国民の政治参加という点からも、この問題は問われますね。安倍元総理など自民党の一部の政治家が統一教会票を取りまとめたという報道もありますが、市民が政治に参加し、選挙の手伝いはもちろん、投票に行けば、相対的に組織の力は小さくなります。
【池上】そういうことですね。「自分にとっての理想的な政治を実現してほしい。だから自分はこの政治家を応援し、選挙を手伝い、投票する」と言う人が増えれば、モラルが問われる団体に支援してもらう必要はなくなります。政教分離や政治家側の姿勢だけでなく、国民の政治参加意識も問われています。 
 
 
  

 

●旧統一教会は「解散」させられないのか? 「信教の自由」と現行法の課題 10/12
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が、旧統一教会に対する解散命令を裁判所に請求するよう求める申し入れ書を、関係各省庁に送った。7日には、記者会見中に同教団から会見中止を求められた元信者が「どうかこの団体を解散させてください」と涙ながらに訴え、大きな反響を呼んだばかり。政府は「信教の自由」を理由に、慎重な構えだが、本当にできないのか、既存の宗教法人法などに問題はないのか。
何度申し入れても実現しない
「宗教法人に対する税制上の優遇が事実上の助成金になっているという視点が欠如している」。11日に文部科学相や法相、検事総長宛てに送った申し入れ書で、全国弁連は解散命令請求に消極的な文化庁をこう批判した。「刑事事件の有無といった条文にない要件を加えて解散請求を消極に解するのではなく、『優遇措置を受けるに値するか』という観点から積極的な検討を行うべきだ」
また全国弁連は申し入れ書で、過去の刑事事件の資料が教団の組織性、悪質性の裏付けに重要だとするが「これらの資料は(宗教法人を所管する文化庁)宗務課には存在しないものと思われる」と指摘。「手口の共通性や組織性を立証するためには検察官の目が欠かせない」と検察と共同で請求することを求めた。
全国弁連はこれまでも再三にわたって文化庁などに対し、同様の申し入れを行ってきたが実現していない。安倍晋三元首相の銃撃事件後、全国弁連への被害相談が相次いでいる。全国弁連代表世話人の山口広弁護士が今回の請求の理由を説明する。「文化庁の担当者との協議では、柔軟な対応へと感触が変わりつつあったが、対外的には硬直的な消極姿勢のまま。消費者庁の検討会や関係省庁連絡会議での結論が出る前に、請求するべき理由を書面で説明する必要があった」
宗教2世も涙ながらの訴え しかし...
2世信者からも教団の解散を求める声が上がる。
7日に日本外国特派員協会で開かれた元2世信者小川さゆりさん(仮名)の記者会見中、教団側から中止を求めるファクスが届いた。教団は、精神疾患を理由に小川さんの説明が虚偽の可能性があると主張。会見を続けた小川さんは、涙ながらに「どちらが悪なのか。私を正しいと思ってくれるなら、この教団を解散させてください」と訴えた。
「宗教2世」への信仰の強制などは「宗教虐待」だとして、国に対応を求める署名を提出した高橋みゆきさん(仮名)も「さまざまな問題が出ている教団は公益性からほど遠い存在。組織の弱体化のため、解散が必要。他のカルト教団へのけん制にもなる」と話す。ただ、解散命令によって宗教法人格が消滅しても信者の活動はなくならないとし「解散で問題がすべて解決するわけではない。その後も2世への信仰強制など個別の問題への対応が必要だ」と強調した。
野党からも解散命令請求を求める声が上がった。5日の衆院本会議の代表質問で立憲民主党の西村智奈美氏は「教団の反社会性は明白だ。解散命令を請求するべきだ」と岸田文雄首相に決断を迫った。
しかし、政府や与党は消極姿勢を貫く。文化庁も臨時国会前の9月20日の野党ヒアリングで「現状では難しい」と繰り返した。西村氏の質問に対し、岸田首相は信教の自由を理由に挙げ「慎重に判断する必要がある」と答弁。松野博一官房長官も今月12日、改めて岸田首相と同様の見解を示した。公明党も「宗教法人の解散の判断が乱用されたり、恣意しい的に運用されることは厳に慎むべきだ」との山口那津男代表の発言をホームページで紹介している。
2010年ごろには「請求すべきだった」
宗教法人法によると、法令違反や著しく公共の福祉を害する行為などに及んだ宗教法人には、所轄の官庁が解散命令を裁判所に請求し、裁判所は命令できる。文化庁や与党は慎重だが、本当に請求できないのか。
1997〜98年に文化庁宗務課長だった前川喜平氏は当時、旧統一教会に対する解散命令請求を検討したが断念したという。当時は法令違反などを理由とする解散命令の前例が95年のオウム真理教しかなく、「旧統一教会は霊感商法の問題や民事訴訟なども起こっていたが、係争中のものも少なくなかった。判例の動向を見定める必要があった」と振り返る。
ただ、その後、霊感商法を巡る民事訴訟で教団の責任を認める判決が出るなど、判例も増えた。2009年には霊感商法をした教団関連会社の社長らが逮捕、有罪判決を受けた「新世事件」も起きた。
前川氏は「09年以降は教団が『コンプライアンス宣言』して集金の仕組みが変わったものの、それまでの違法行為がなくなるわけではない。10年ごろには解散命令請求できる材料が集まっており、請求すべきだった」と語る。
現行法は機能しているのか
宗教法人法以上に、解散請求命令のハードルになっているのは憲法20条の「信教の自由」だ。
同志社大の小原克博教授(宗教学)は「宗教法人への解散命令が乱発される事態はあってはならず、ケース・バイ・ケースで判断するしかない。外から見ておかしな教義であっても、個人の信教の自由を保障することも必要だ」と指摘。
ただ、こうしたハードルは認めつつも、旧統一教会に対する行政の「不作為」を問題視する。「高額献金のケースや多くの2世信者の告発があるにもかかわらず、行政が何らメスを入れないのは問題だ。宗教法人法が機能していない」
法令違反を理由にした宗教法人への解散命令は、オウム真理教と、霊視商法の詐欺事件で幹部らが摘発された「明覚寺」に対し02年に出た計2例のみ。宗教法人法は、法令違反などの疑いがあれば宗教法人幹部や関係者に質問できるとも定めているが、実施例はないとされる。
言い訳にされる「政教分離」
北海道大大学院の桜井義秀教授(宗教社会学)は「文化庁宗務課は人員が限られ、全国組織の宗教法人をチェックするのは難しい面もある」と指摘。一方、これまでの判例や被害相談の多さから旧統一教会を巡る問題は明らかだとし「宗教法人は公益に資することを前提に税制の優遇を受けているので、国は公共の福祉に反する活動実態がある宗教法人には解散請求し、裁判で公平な裁定を仰ぐべきだろう」と話す。
消費者庁に設けられた霊感商法などの対策検討会委員で弁護士の菅野志桜里氏は「旧統一教会の解散命令を巡る問題は、現行の宗教法人法の枠組みでも十分に対応可能なはず。機能していないのは、行政が政教分離を言い訳に権限行使してこなかったからだ」と苦言を呈する。
まず現行法での調査を尽くした上で、今後は法改正を検討する必要があるという。「法人格を隠れみのに税優遇を受けつつ霊感商法を続けるような宗教法人に対しては、消費者担当相が所管の文科省に調査権の発動を勧告できるなど、他の大臣を関与させる仕組みも一案だ」
現行法であれ法改正であれ、対応は待ったなしだ。
「役所は解散命令が確実に出ると見通せなければ請求に踏み切らない傾向がある。公共の福祉の観点から見ても、政治が決断すべきではないか」と前川氏。桜井氏も「政府や自民党が何もしないなら、国民に『宗教なら何でもあり』といった誤ったイメージを広め、かえって宗教に対する信頼をおとしめることになりかねない」と警鐘を鳴らす。

岸田首相は、法の下の平等に反するなど憲法上の疑義が多数指摘されながらも、強引に安倍元首相の国葬を閣議決定し、実施した。ではなぜ、旧統一教会の解散命令請求には、憲法上の「信教の自由」を持ち出して、「慎重に判断」などというのか。憲法を便宜的に使うべきではない。

 

●解散命令の請求について「『統一教会』国対ヒアリング」を実施 10/13
立憲民主党など野党は10月13日、旧統一教会問題に関する第20回目となる国対ヒアリングを実施しました。全国霊感商法対策弁護士連絡会が11日、宗教法人法第81条1項に基づき旧統一教会の解散命令を請求するよう文部科学大臣らに申し入れを行ったことを受け、弁護士連絡会の木村壮、阿部克臣両弁護士から話を聞きました。さらに解散命令について関係省庁や議員と意見を交わしました。
宗教法人の解散命令は宗教法人法第81条1項で、所轄庁や利害関係人、検察官の請求または職権で「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」を理由に裁判所が命令できるとしています。
宗教法人法の解散命令を受け解散しても、宗教法人格を失い税制上の優遇措置は受けられないものの任意の宗教団体として活動は可能であるとした上で、木村弁護士は解散命令の文化庁と弁護士連絡会との見解の違いについて説明。文化庁は、オウム真理教解散命令事件の抗告審判決を根拠に教会の役職員が刑罰を受けていないことを挙げ、また裁判に勝てるか分からない状況で解散命令の請求はできないとの見解に対し、宗教法人法に「刑法に限定する」と明記されておらず、被害が拡大する中、質問権すら行使していない文化庁の消極的な姿勢を批判しました。
阿部弁護士は、これまで宗教法人法の解散命令はオウム真理教など2例しかなく、この2例を元にしか請求しないという文化庁の論理はおかしいと指摘。判例がないのは請求しないからだと述べました。
山井和則衆院議員(党対策本部・副本部長)は、解散命令で今の信者のみなさんが差別を受けたり生きづらくなるのではないかとの懸念の声があるとして、「私たちは、個人の信者さんを批判をすることは一切ない。個人の信者さんを大切にする。しかし団体としては問題があるのではないか」との立場を説明しヒアリングを終えました。

 

●旧統一教会解散の署名活動を開始 10/17
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求を文部科学相や法相らに求め、教団の元2世信者や民間団体「全国統一協会(教会)被害者家族の会」などは17日、ウェブサイト「Change.org」で署名活動を始めた。同日午後時点で2万人以上の署名が集まっており、11月をめどに関係省庁に提出する予定だ。
署名活動では、全国霊感商法対策弁護士連絡会が、文科相らに対して解散命令請求を求めた申し入れを支持している。
呼びかけ人でジャーナリストの藤倉善郎さんは「市民の声を示さないといけない状況は変わりない。社会に訴える役割を当事者だけに担わせてはならない」と話した。
●信者家族「一刻も早く解散命令を」旧統一教会への調査を指示 10/17
岸田総理は旧統一教会に対して、宗教法人法に基づく調査を行うよう指示しました。
『質問権』という初めての規定を使い、裁判所に解散命令を請求することを視野に入れています。
岸田総理「宗教法人法第78条の2に基づき、報告徴収・質問権の行使に向けた手続きを進める必要があると考えており、文部科学大臣に速やかに着手させます」
『質問権』とは、宗教法人に法令違反などの疑いがある場合、活動実態の報告などを求めたり、質問を行えるものです。
法令違反などがあれば、法人格をはく奪する『解散命令』につながります。
質問権は、オウム真理教の一連の事件を受けて1996年に作られた制度です。
ただ、これまでに行使されたことはありません。
永岡文科大臣「宗教法人審議会を構成する有識者による、専門家会議を設置し、意見も伺いながら、報告徴収・質問権を行使する場合の、基本的な考え方や基準を速やかに示す。25日にも検討を開始する」
これまで慎重な姿勢を見せてきた岸田総理が、なぜ動き出したのか。背景には、河野大臣が所管する消費者庁の検討会が17日に出した提言があります。
消費者庁検討会の報告書「旧統一教会については、社会的に看過できない深刻な問題が指摘されている。解散命令請求も視野に入れ、報告徴収および質問の権限を行使する必要がある」
15日と16日に行った報道ステーションの世論調査では、旧統一教会の宗教法人格について「取り消すべき」が56%、「取り消す必要はない」が23%となりました。
解散命令の請求につながる質問権。宗教法人側が立ち入り調査などに応じるかは任意で、強制力はありません。
野党が追及したのは、調査をいつ始めていつ終えるのかでした。
立憲民主党・山井和則衆院議員「調査はいつ終わらせるつもりか。結局、調査を終わらせないと、解散請求ができない」
岸田総理「調査がいつまでに終わるかについては、今、断定的に申し上げることはできない。大事なことは、調査の結果が出なければ、救済に向けて何もできないわけではない」
立憲民主党・山井和則衆院議員「30年間、私も含めた国会議員や行政は、国民を守る側より、統一教会を守る側に立ってきたのは残念ながら事実。だから今こそ、岸田総理に決断していただきたい」
岸田総理「これは決して、引き延ばすということを申し上げてるんじゃなく、今の法手続きに基づいて、できるだけ迅速に対応したい」
立憲民主党・山井和則衆院議員「もう被害者の方々は、自分たちと同じような苦労する人は増やしたくない。岸田総理、調査がいつ終わるのか、終えるのか、いつ分かるんですか。私たちはいつまで待てばいいのか」
岸田総理「少なくとも年内に(質問権の)権限の行使、これはスタートさせたい。それがいつまでかかるのか。今、具体的に申し上げることは難しい」
永岡文科大臣は、調査の途中でも解散命令を請求する可能性に言及しました。
永岡文科大臣「情報収集・質問の手続きの途中であっても、解散命令を請求するに足る事実関係を把握した場合には、速やかに裁判所に対し、解散命令を請求することを検討してまいります」
関連団体が調査の対象となるかについても質問がありました。
立憲民主党・逢坂誠二代表代行「本体の宗教法人だけではなく、関連団体の数が多くて、関連団体が本体の実態を見えにくくしている。関連団体についても調査しなければ、実態が分からないと思います」
永岡文科大臣「宗教法人法の法人格を持った団体だけが、宗教法人法によって対応できるということになっている。関連団体については、対応できないということになる」
一方、被害者の救済について、岸田総理は、高額の献金や寄付を制限する消費者契約法などの改正について「作業を急がせる」と述べました。
元妻が旧統一教会信者の橋田達夫さん(64)は、傍聴席で涙を拭いながら、審議を見守りました。
橋田達夫さん「悔しさですね。こういう宗教があったから、犠牲者が出た。こういう宗教がなかったら、楽しい人生があるんじゃないかなと。子どものことを思いましたね」
30年ほど前に元妻が入信。所有していた田んぼを売却するなど、高額献金を繰り返し、橋田さんの被害は1億円に上ります。
家庭は崩壊状態に陥り、妻とは9年前に離婚。精神を病んだ長男(36)は、2年前に自ら命を絶ちました。
橋田達夫さん「庭で焼死をしました。自ら命をとりました。教団自体が殺人鬼と思っています。すみません、これ以上言うと涙も出ますので。絶対に若い人の命を救わないといけないと思って始めました。顔も出しました、恥ずかしいですけど」
橋田さんは一刻も早く調査が終わり、解散命令が出ることを望んでいます。
橋田達夫さん「(Q.岸田総理の発言に納得は)いや、もう全くなかったです。期限、全然区切らなかったでしょ。(Q.政府は今、何をすべきだと)それは解散命令です。反社会団体と確実に認定すれば、かなり制裁があるので」
解散命令を求める声は、元2世信者らからも上がっています。17日朝に始まったオンライン署名は、2万5000を超えています。
教会側は…。
旧統一教会広報担当者「指示が出たことは慎重に受け止める。正式な調査依頼があれば、真摯に受け止め、誠実に対応したい」
●旧統一教会への質問権行使提言 解散命令請求も視野―消費者庁検討会 10/17
霊感商法などへの対策を協議してきた消費者庁の有識者検討会は17日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求も視野に、宗教法人法に基づく「質問権」行使などを提言した報告書を公表した。不当な寄付の要求を禁止する法制化の検討や、消費者契約法改正による取り消し権拡充も求めた。
報告書は解散命令について「信教の自由の観点から慎重に判断する必要がある」としつつ、「旧統一教会には民事訴訟で組織的な不法行為に基づく損害賠償を認める裁判例が積み重なっている」と言及。「社会的に看過できない深刻な問題も指摘されており、所轄庁において解散命令請求も視野に入れ、質問権を行使する必要がある」と提言した。
寄付については、正体を隠して行われる伝道や、マインドコントロール下で合理的な判断ができないことなどを念頭に、より幅広く一般的な禁止規定を定めた法制化の検討を行うべきだとした。霊感商法の被害実態を踏まえ、消費者契約法が定める取り消し権の行使期間の延長も求めた。
●岸田首相、旧統一教会の調査を指示 「質問権」初行使、基準策定へ 10/17
岸田文雄首相は17日、永岡桂子文部科学相らと首相官邸で会い、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、宗教法人法に基づく調査を行うよう指示した。同法が規定する「質問権」を使う初めてのケース。永岡氏は衆院予算委員会で、調査に先立ち質問権行使の基準を策定すると説明、25日に検討を開始する。
首相は衆院予算委で、旧統一教会をめぐり組織的不法行為への責任を認めた民事裁判の判例が続いていることや、政府の相談窓口に多数の相談が寄せられていることに言及。「報告徴収、質問権の行使に向けた手続きを進める必要がある。速やかに着手させる」と述べた。
首相は、高額寄付被害の実態を踏まえ、「契約の取り消し権の対象の拡大や行使期間の延長を行う」と語り、消費者契約法などを改正する考えを表明した。「法テラス」などの相談体制拡充や児童虐待などの子どもの被害防止、「宗教2世・3世」への進学・就労支援についても取り組み強化を打ち出した。河野太郎消費者担当相や葉梨康弘法相に対応を指示した。
永岡氏は首相との会談後、記者団に「着実に執行できるように手続きを進める」と語った。質問権行使の基準策定では、宗教や法律に関する専門家、宗教人らによる専門家会議を設置。旧統一教会の調査はその基準にのっとり、文科相がその可否を宗教法人審議会に諮問した上で行う。
●安倍政権が便乗した"右翼ブーム"とコンビニエンスな関係 10/17
安倍晋三元首相の国葬に関連して、安倍政権をファシズムに近いものとして評する言説が飛び交いました。確かに安倍元首相が「美しい国」を標榜(ひょうぼう)し、"右翼ブーム"に便乗してきた過程で、社会の分断がより深まったという点には私も同意します。
とはいえ安倍政権がやってきたことや、それにより醸成された社会の空気は、ファシズムと呼べるような仰々しいものではなかったとも指摘しておきたい。
旧統一教会との関係も含めて明らかになったのは、自民党には一貫した思想や信念などなく、あくまでも権力維持装置であるという現実です。そんな政権・政党が、本当の意味でファシズム的に日本人の思想・信条を束ねる未来は想像できません(そう思いたい人はたくさんいるのかもしれませんが)。
では、今回いよいよ終焉(しゅうえん)を迎えそうな"右翼ブーム"とはなんだったのか。私なりに総括すると、当初は、東西冷戦終結後も窮屈で不自由な言論が支配していた左派論壇への反発だったのだと思います。
当時の"喧嘩上等(けんかじょうとう)"なオンラインカルチャーの勢いもあり、風通しの良さと"なんでも言える空間"を求める若い人たちの間では、反権力的で傍若無人な放言をする人物をネット内から匿名で応援する風潮も広がりました。
ところがその後、インターネットが若者の間でより一般化すると、一部の人々がそういった露悪的で過激な言論をすべて本気にして「真実に目覚めてしまった」。やがてネットリテラシーのない高齢者たちもそこに乗っかり、何層もある"ウエハース状態"で右翼ブームが膨らんでいきました。
安倍政権はそこに利用価値を見いだしたわけですが、なんでも利用するのは自民党の常套(じょうとう)手段です。得票につながるなら創価学会(公明党)にも、統一教会にも、生長の家にも接近する――そこに統一されたイデオロギーなどあるわけがありません。
"なんとなく右翼"のイメージを保ちながら、あらゆる相手とコンビニエンスに手を組み、各派閥に閣僚ポストを分け与えて党内を掌握する。安倍元首相はそんな自民党政治をわかりやすく体現した人物であったのだと思います。
権力がコンビニエンスな関係性に依拠する例は海外にもあります。例えば米共和党は、本来ならイデオロギーがそれぞれ異なるキリスト教福音派、白人至上主義者、銃規制反対派、リバタリアンを無理やりひとつに束ねたいびつな集団になっており、その成れの果てがトランプ前大統領の"共和党ジャック"です。
そう考えると、日本(あるいは自民党)でも未来シナリオとしてありえるのは、ファシズムよりも極端なポピュリズムなのかもしれません。
さらに言えば現在、四面楚歌のロシアに接近している中国や北朝鮮も、プーチン政権のイデオロギーに共感しているわけではありません。あくまで「アメリカにいい思いをさせたくない」という点において一致しているだけです。
こういったコンビニエンスな"契約的関係"は、確かに短期的には有効ですが、互いに損得勘定で動いているため、力がなくなれば裏切られるし、弱みを見せればつけ込まれる。自民党がさまざまな利益団体と結んでいる関係も、おそらくはそういうものなのではないでしょうか。 
●教団の存否を焦点に、「統一教会に質問権行使」という岸田首相の悪手 10/17
政府は、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題をめぐり、宗教法人法に基づく「質問権」を活用した調査実施に乗り出す。一部の報道が速報として週末から伝えている。岸田文雄首相が、きょう17日に開かれる衆議院予算委員会で表明する。
これは宗教法人の解散命令を請求する前段の措置。法令違反などの要件に該当するかどうかを調べる。
報道各社の世論調査で支持率が続落する岸田政権。時事通信が7〜10日に実施した調査では、政権維持の「危険水域」とされる30%を割る27.4%まで落ち込んだ。いずれの調査でも、統一教会をめぐる首相の対応を「評価しない」「不十分」などとする声が6〜7割を占める。
それまで統一教会の解散命令の請求については慎重な姿勢を示していた。ここへきて対応を変えざるを得ないところまで追い込まれたのだろう。
これで解散命令に結びつかなかったら世論は黙っていない
14日にも、立憲民主党の小西洋之参議院議員が提出した、文化庁が宗教法人法に基づく解散命令の請求を裁判所に行わない理由を質した質問主意書に対し、内閣は「憲法の定める信教の自由の保障などを踏まえれば、所轄する庁の関与は抑制的であるべきで、法人格を剥奪する極めて重い措置の解散命令の請求は十分慎重に判断すべきだ」とする答弁書を閣議決定したばかりだった。
そうした中、岸田首相が調査実施を表明したはいいが、解散命令の発動にまでたどり着けなければ、世論の反発は必至で、それこそ政権にとっては命取りになる。じっとしていても、1歩踏み出しても、安倍晋三元首相の襲撃事件で蓋が開いた統一教会をめぐる問題は重くのしかかる。
その一方で、統一教会を解散に追い込んでしまえば、いまも指摘される同教団と自民党との関係、とりわけ安倍元首相との蜜月関係を探られることもなく、臭いものに蓋をすることができる。またとない機会だ。利用しない手はない。
とはいえ、調査の開始から解散命令の請求までには、いくつものハードルがある。岸田首相の思惑通りに進むとも限らない。
法令違反して著しく公共の福祉を害したのか、宗教団体の目的を著しく逸脱したのか
そこでまず、宗教法人法の「質問権」について詳しく見てみる。宗教法人法の第78条の2の条文をそのまま引用する。
「所轄庁は、宗教法人について次の各号の一に該当する疑いがあると認めるときは、この法律を施行するため必要な限度において、当該宗教法人の業務又は事業の管理運営に関する事項に関し、当該宗教法人に対し報告を求め、又は当該職員に当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に対し質問させることができる。この場合において、当該職員が質問するために当該宗教法人の施設に立ち入るときは、当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者の同意を得なければならない」
この「各号」の3に宗教法人の解散命令に規定された事由が盛り込まれている。すなわち、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」あるいは「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」に該当する疑いだ。これを調査する。
その前提で、所轄庁である文部科学省が統一教会に対して報告を求め、職員が質問できることになる。
岸田首相は、文部科学大臣に対して調査の実施を指示する方針だ。ところが、それですんなり調査が開始されるわけではない。
首相が「調査」を指示しても難航しそうな雲行き
やはり同法の第78条の2の第2項と第3項では、こう定めている。
「2 前項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させようとする場合においては、所轄庁は、当該所轄庁が文部科学大臣であるときはあらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞き、当該所轄庁が都道府県知事であるときはあらかじめ文部科学大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聞かなければならない」
「3 前項の場合においては、文部科学大臣は、報告を求め、又は当該職員に質問させる事項及び理由を宗教法人審議会に示して、その意見を聞かなければならない」
つまり、報告や質問をさせるには、宗教法人審議会に諮問しなければならない上に、質問の内容についても同審議会に諮らなければならないことになっている。それだけ手間と時間がかかる。政府内には「信教の自由を侵しかねない」として調査にすら慎重な意見も多いとされる。そこで異論が出ることもあり得る。
しかも、その過程を経て職員が質問をしようと教団の施設に立ち入ろうにも、教団側の同意がなければならないことは、前出の第78条の2の第1項の末尾にある通りだ。すなわち、統一教会は拒否することもできる。まして、すんなりいったところで解散命令の請求にまで至らない可能性も皆無ではない。
その間に、統一教会が対策を講じてくることも考えられる。霊感商法という、あまりにも狡猾な方法で多額の集金をしていた団体であり、社会問題化してもあの手この手で生き残ってきた。安倍元首相の襲撃事件以降の動きをみても、問題の本質をかわすことに執着する。
これまで蜜月関係を築いてきた自民党が訣別を宣言したまでは見過ごせても、法人格を奪われ税制上の優遇がなくなる解散命令となれば、教団も黙ってはいられないはずだ。これまでは隠し通せていた自民党議員との関係についても、もっとも詳細に把握しているのは教団だ。解散にまで持ち込めないように画策することもあれば、実態暴露を仕掛けることもあるかも知れない。これに戦々恐々としている議員がいてもおかしくはない。
統一教会に振りまわれる岸田政権の情けなさ
もっとも、ここまでは政府のシナリオ通りとも言える。岸田首相は「旧統一教会問題関係省庁連絡会議」を立ち上げ、9月5日からフリーダイヤルの合同電話相談窓口を開設した。同月28日までに寄せられた相談は2200件を超えた。これで国がはじめて、そして正式に統一教会による被害の実態把握ができたことになる。客観的な事実がなければ、具体的な行動にも出られない。その事情については、以前にも私見として触れている(『たとえ「解散命令」が出たところで「統一教会」が消えてなくなるわけではない』)。その上で慎重に選んだ手続きだったのだろうが、解散までには時間と手間がかかりすぎる。
しかも、ここまできて確実に解散とまでならなければ、政権の命取りになることは、繰り返すまでもない。むしろ、解散の事由がないとなれば、統一教会の存立にお墨付きを与えることにほかならない。
岸田首相が統一教会の解散を前提とした調査実施を表明した時点から、国民のより厳しい視線が注がれ、統一教会の存否と命運を共にすることになる。それまでのように、解散請求に慎重な姿勢を示していても、やがては統一教会の対処をめぐって政権運営が行き詰まったはずだ。後退(あとずさ)るも前に進むも、どちらにしても統一教会との共存はあり得ないところにまで、岸田政権は追い込まれている。
言い換えるなら、安倍元首相の殺害によって再び問題が噴出した“統一教会ごとき”に、政権がズルズルと振り回されていることになる。ウクライナ情勢にはじまる物価高、円安、北朝鮮、中国、防衛力強化など、課題が山積するなかで、これほど情けない内閣もまたとない。

 

●旧統一教会への解散命令請求の法解釈を求め、一時騒然 10/18
立憲民主党の長妻昭政調会長18日、衆院予算委員会で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題について政府の教団に対する姿勢を追及した。
長妻氏は教団への解散命令請求で要件となる法令違反の解釈は「刑事的な確定判決に限定するということでいいのか」と再三、質疑を行った。これに対して岸田文雄首相は「平成8年の最高裁判決を維持している」とした上で「民法の不法行為は入らない」と明言した。
長妻氏は「これで、今はっきりした。今の判例もオウム(事件の)時の判例。刑事的事件の判例。そういう解釈に固執する限り、刑事的訴追して確定判決が出るまでに何年もかかる。総理の本気度は問われる」などと指摘した。
解散命令請求の法解釈を巡っては長妻氏が岸田氏に対して行った質疑を永岡桂子文科相が答弁し、野党側から「質問妨害」「時間稼ぎ」などの抗議に与党側が応戦し、騒然となる場面もあった。
●旧統一教会への解散命令請求の要件 首相「民法の不法行為は入らず」 10/18
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への対応をめぐり、岸田文雄首相は18日の衆院予算委員会で、宗教法人の解散命令を裁判所に請求する要件について「民法の不法行為は入らないとの解釈だ」と述べた。宗教法人法は「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為をした場合」などが解散命令の事由に当たると定めている。
野党議員らの質問に答えた。岸田首相は、オウム真理教への解散命令の際に裁判所が示した「刑法等の実定法規の定める禁止規範または命令規範に違反」などの基準に言及。「考え方を踏襲している」と語り「禁止規範または命令規範」に民法は含まないとの考えを示した。これに対し野党は「刑事訴追して確定判決を待つと何年もかかる」と反発している。
一方、岸田首相は教団について、政府の電話相談窓口から警察につないだ案件があるとして「刑法をはじめとする様々な規範に抵触する可能性はある」と述べた。
●旧統一教会の解散命令要件「民法不法行為含まず」 首相 10/18
岸田文雄首相は18日の衆院予算委員会で宗教法人への解散命令請求が認められる法令違反の要件は「民法の不法行為は入らないとの解釈だ」と述べた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への対応を巡り認識を示した。
立憲民主党の長妻昭政調会長への答弁。宗教法人法は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」をした場合に裁判所が解散を命令できると規定している。
法令違反の解釈についてオウム真理教の解散時に「刑法等の実定法規の定める禁止規範または命令規範に違反」との判例がある。首相は「これを踏襲している」と説明し、「禁止規範または命令規範」に民法は含まないとの考えを示した。
首相は政府の相談窓口に寄せられた相談の中に「警察につないだ案件が含まれている。刑法をはじめとするさまざまな規範に抵触する可能性があると認識している」と説明した。
旧統一教会の被害者救済に向けた消費者契約の関連法令の提出時期を問われ「政府が考えている法律の見直しは準備ができたものから順次提出したい。今国会を念頭に準備を進めている」と語った。霊感商法の取り消し要件の拡大などを検討している。
永岡桂子文部科学相は閣議後の記者会見で「質問権」について「法に定めるプロセスを適正に踏みつつ、最大限速やかに対応する」と述べた。年内早期の調査開始をめざす考えを改めて示した。
宗教法人に組織運営の報告を求める質問権の規定が適用されるのは初めて。永岡氏は「恣意的に行使されないように考え方や基準を明確化することが必要」と説明した。所管する文化庁が25日に専門家会議を設け、基準などの検討を始める。
基準を設けた後、諮問機関の宗教法人審議会が基準に該当するかを検討する。永岡氏は「年内のできる限り早いうちに権限を行使できるよう手続きを進めていく」と述べた。
●"家庭崩壊"の男性宅に勅使河原本部長「メディアに出ないでほしい」 10/18
旧統一教会への解散命令の可能性は?宗教法人法に基づく解散命令に向けて、国が旧統一教会から聞き取り調査をする質問権行使についてジャーナリストの鈴木エイト氏は『被害の規模を考えて解散請求は可能』との見解を示しています。また妻の高額献金が原因で『家族崩壊』したという男性の元に旧統一教会の勅使河原本部長が訪れて「メディアに出ないでほしい」と要請されたということについてエイト氏は「教会は今かなり焦っている。教団は脅迫めいたことも言っていることもあり、解散命令を恐れている」と話します。
●旧統一教会問題が問い掛ける日本人の「宗教リテラシー」 10/18
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に恨みを持つ山上徹也容疑者の安倍元首相銃撃事件から、3カ月余りがたった。同連合と自民党議員を中心とする政治家との結び付きが問題視されている。韓国発祥の特異な教義を持つ教団が、「無宗教」を自認する人が多い日本で、なぜ多くの信者を獲得し、影響力を持つのか。社会問題化した宗教は規制することができるのか。宗教社会学者の櫻井義秀氏に聞いた。
旧統一教会は「カルト」なのか
「カルト」とは何か。櫻井教授によれば世界共通の概念はない。米国の場合、主流な宗教伝統に属さない宗教、異端的キリスト教を指す。1960年代以降は、活動を活発化した小規模な集団をカルトや「新宗教(新興宗教)」(new religion)と呼ぶことが多くなった。中でも、社会に危害を与える集団は「破壊的カルト」(destructive cult)として、区別している。
日本では、1995年、オウム真理教の地下鉄サリン事件以降、「カルト」とは反社会的で狂信的な集団だというイメージが一般に広がった。専門家の間では宗教的マイノリティー、メディアでは刑事事件を起こした教団など、カルトと呼ぶ根拠がいくつかあるが、明確な定義はない。
旧統一教会(以下、統一教会)は、「宗教的マイノリティーという意味でのカルトには当てはまらない」と櫻井氏は言う。「創始から70年近い歴史を持ち、日本の信者数は5〜7万人。団体の規模、歴史の長さは、カルトの域をはるかに脱しています」
韓国発祥だが、本国の信者数は日本の半分以下。その他海外支部の信者数も含め、世界で10数万人の規模だろうと櫻井氏はみる。
「大きな特徴の1つは、政治と密接に結託して活動していることです。表には出ない。例えばオウム真理教は、自分たちが日本を支配できるという幻想を抱き、信者を増やし、選挙に打って出れば勝てると考えました。一方、統一教会は冷静な判断をしています。独自候補を立てても勝てないが、組織票の力で政治家とパイプをつなげば、全国的な影響力を持てるという考え方です」
“居場所”を提供する「疑似家族」
「八百万(やおよろず)の神々」と言うように、日本では古代から拝む対象が多い。6世紀の仏教伝来当初、神道との対立があったが、奈良時代には、日本の神々はさまざまな仏の化身として日本の地に現れた権現(ごんげん)だとする神仏習合思想が一般的になった。
「日本の仏教は伝来してから常に変容を重ねてきました。明治以降、僧侶は出家することなく妻帯できること、寺が世襲制であること自体、(他国の仏教と比較して)異色です。そこからさらに変質しているのが仏教系の在家主義に立つ新宗教です。
その一方で、明治以降、キリスト教が日本人の宗教観に大きな影響を与えた。
「宗教とは、明確な信仰の対象があること、教会組織に属していること、決まった儀式を行うことだと捉えるようになりました。檀家や氏子であることと、信仰は結びつかない。大多数の日本人は初詣、墓参りや法事など、宗教的行事に参加しても、信者であるとは思ってないのです」
統計数理研究所が5年ごとに実施している「日本人の国民性調査」では、1953年の調査開始時以降、「宗教を信じていない」が常に大半を占め、2018年で74%だった。無宗教を自認する人が多い中で、なぜ多くの新宗教が広がったのだろうか。
「1950〜60年代は、新宗教が最も拡大した時期です。高度経済成長期に地方から都会に働きに出てきて、“居場所”を求める人たちが多かったことが背景にあります」
「小さな町工場や商店などで働く人たちに、居場所を提供して、うまく組織化したのが仏教系の新宗教でした。創価学会は、この時期に600~700万人の会員を獲得しました。月に一度は地域単位の集まりを持ち、連絡を頻繁に取り合ってお互いを気に掛ける。疑似家族や “ムラ”の機能を果たしたのです」
「霊感商法」と正体を隠した布教
一方、統一教会は大学生を対象とした布教で広がった。
1954年にソウルで文鮮明(故人)が創設。64年、日本で宗教法人として認可された。60〜70年代は、大学のキャンパスで「原理研究会」の名の下に若者への伝道を活発化した。68年、国際勝共連合を設立して、反共活動を開始。80年代になり、韓国から輸入した朝鮮人参茶、大理石の壺などの訪問販売を始めるが、姓名判断や家系図鑑定などと絡めた販売法が「霊感商法」として社会問題化し、訴訟が相次いだ。
「80年代後半以降、統一教会という正体を隠して、布教せざるを得なくなりました。やはり手相、姓名判断、占いなどを入り口に、若い人だけでなく中高年も対象にして、セミナーなどに誘うやり方に変えていったのです。一般人への霊感商法は減り、信者に献金させることに力点を移しました」
山上徹也容疑者の母親は、夫の生命保険など計1億円以上の献金をして自己破産し、家族は崩壊した。
「『信教の自由』には内在的制約があります。心の中で何を信じるのも自由。ただ、他人の信教の自由を侵害してはならない。正体を隠して勧誘し、献金すれば先祖の因縁から救われるなど、不安をあおることで自律的な思考を奪い、法外な献金を求めることは許されません」
消費生活センターに寄せらせた旧統一教会に関する相談によれば、同教会への平均支払い額はおよそ270万円だという。また、政府が9月に開設した被害者救済の電話相談には、「先祖に関することなどの名目で、10年間にわたり10万から数百万円の献金を繰り返してきたが取り戻せるか」などの声があった。
イエスの“失敗”後に遣わされた再臨主
統一教会の教義は、後にサタンとなる堕天使ルーシェルとエバが不倫を犯し、神に背いた悪の血統がアダムを経て人類全てに相続されたと説く。神はイエスに人間の娘をめとらせて、無原罪の子孫を残す計画だったが果たせず、「再臨主」(文鮮明)を遣わしたとする。韓国は「アダム国家」で日本は「エバ国家」であり、アダムを堕落させたエバが韓国に奉仕するのは当然だとする。合同結婚式による祝福で、再臨主がマッチングした信者同士が結ばれ、神を中心にした家庭が完成し、無原罪の子どもが生まれる。これまでに、約7000人の日本人女性が合同結婚式を経て韓国で暮らすという。
「統一教会は、本国では“財閥”のイメージが強い。日本の統一教会のミッションは、お金を集めて韓国に送ることです」
米国では、保守系紙「Washington Times」を運営し、ロビー活動に力を入れる。また、全米のすし店に魚を卸ろす系列企業「True World Foods」をはじめ、大々的にビジネスを展開している。
「反日的な教義を持つ教団が、なぜ日本で信者を多く獲得できるのか。海外メディアからよく聞かれる質問です。その理由として、日本人が宗教に関する予備知識を持たないことが大きい。だから、“メシアの再臨” “合同結婚”をうたう教義を変だと思わない。先祖は地獄で苦しんでいるので地上で善行(献金)を積まなければ救われないという教えも受け入れてしまう。主流派のキリスト教や日本の伝統的先祖供養について知っていたら、そもそも入信しません」
「オウム真理教」も終わっていない
日本国憲法は、戦前の「国家神道」体制に対する反省に基づき、「政教分離」「信教の自由」を定めた。公教育が禁じているのは特定の宗教のための教育だが、学校では、宗教についての一般的な知識さえ学ぶ機会がほとんどない。
「知識教育の一環として、世界にはさまざまな宗教があるということを含め、小学校から宗教についての基本的な知識を育むべきです。そうすれば、社会の中に宗教に関するある種の基準、社会通念が生まれる。そこから著しくずれているものに対して警戒心を持つようになります。宗教リテラシーがないと、根拠がないことを説かれて勧誘されても、おかしいと判断できない。無防備な状態に置かれているのです」
櫻井氏は長年、カルト問題で悩む学生や親からの相談を受けてきた。
「カウンセリングには限界があります。例えば、北大キャンパスのある札幌にはオウム真理教の後継団体である『アレフ』の道場が2つあり、入信してそのまま卒業していった学生もいます。アレフは今も麻原彰晃を信奉し、全国的に学生への勧誘を続けている。オウム問題は終結していないのです」
アレフをはじめ、最近の宗教勧誘はSNSが多いと言う。「最初は正体を隠したまま非対面でやり取りし、脈のありそうな相手には、喫茶店などで会う機会をつくり、イベントや勉強会に勧誘する。時間をかけて徐々に引き込んでいくのです。コロナ禍でなかなか友達を作れない悩みを抱える学生は、何も疑わずに相手の誘いに乗ってしまいます」
「解散命令請求」で情報の透明化を
「政教分離」は、国家が特定の宗教と特別な関係を持つことを禁じるもので、宗教団体が政治や選挙に関わることを禁止しているわけではない。創価学会をはじめ、多くの団体が選挙協力を行っている。「統一教会の場合、問題なのは政治家が同教会との関係を隠していたことです。霊感商法や高額献金で国民に被害を及ぼしている教団から、組織的な支援を受けたと公言すれば、国民や国益よりも、自分の利益の方が大事だと認めることになります」
問題が表面化したいま、行政はどんな対応ができるのか。
「最も現実的な対策は、宗教法人法81条第1項による解散命令を出すことです。まず法学者、宗教学者、宗教団体の代表が参加する宗教法人審議会で議論し、その結果を国民に提示すべきです」
同条は、宗教法人が著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした場合、所轄庁の文化庁や検察官などが、裁判所に解散命令を請求できると定める。
請求により解散命令が初めて出されたのは1995年のオウム真理教で、その後は2002年、霊視商法が問題になった明覚寺のみだ。旧統一教会の役職員の逮捕や立件がないので、請求は難しいと政府内には慎重な見方が多いが、対応が不十分だと批判は高まるばかりだ。10月17日、岸田首相は宗教法人法に基づく調査実施を表明した。場合によっては、解散命令請求への道が開ける。
「そうなれば、教団側も反論のために情報を出さざるを得ないので、運営に関する情報開示になります。そもそも、宗教法人として解散請求に値するようなことをしていたということになれば、関係を持とうとする政治家は極めて少なくなる。政治と宗教の関係をただす極めて簡便で効果的なやり方です。一般人も警戒するので、効果は大きい」
ただ、仮に「宗教法人」の法人格を失ったとしても、「宗教団体」として活動することは可能だ。「例えば、関連団体の『天宙平和連合』『世界平和女性連合』はNGOとしてそのまま残るので、組織を再編し、教団は形を変えて活動を続けるでしょう。法律上の規制には限界があります。だからこそ、宗教リテラシーを高めることで、自分を守るしかないのです」 
●旧統一教会への解散命令請求「絶対やらない 質問権を初めて行使します」 10/18
辛坊治郎が10月17日(月)、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』に出演。岸田首相が表明した、旧統一教会への宗教法人法に基づく「質問権」の行使について「最終的に(解散命令の請求を)絶対やらない。つまり、今回質問権を初めて行使しますということをアピールする目的」と持論を述べた。
岸田首相は17日午前の衆院予算委員会で、「旧統一教会」(世界平和統一家庭連合)に対して宗教法人法に基づいた「質問権」の行使に関する手続きを進めると表明した。結果次第では裁判所へ解散命令の請求が出される可能性もある。
これに対し、辛坊は「宗教法人なんてね、基本的に国家が管理するものじゃないという気がしている。もう届け出制にして、自由に活動しろと。どれだけ国民をだまくらかして、いくらふんだくろうが、勝手にしろと。その代わり、法人なんだから税金ちゃんと払えよ」と持論を展開。
「今回も政府は何を脅しに使うかというと、宗教法人格取り消すぞと。(中略)取り消されたら、活動するのは勝手だけれども、法人格なくしますから、商売するんだったら税金払えよという話になる」と言及。
そのうえで「旧統一教会が現実問題として、いまオウム真理教みたいな刑事事件を起こしているんだったら宗教法人格の取り消しもあるのかもしれないけど、最終的に絶対やらない。つまり、今回質問権を初めて行使しますということをアピールする目的」だと指摘。
さらに、旧統一教会への対応の甘さが政権の支持率低下を招いていることに触れ「(質問権の行使は)支持率低下を止めるために、旧統一教会に厳しくするふりをするためのひとつの手段。本気で旧統一教会をつぶそうなんて、これぽっちも思っていないし、今この状況でそれをやったら、たぶん訴えられたら勝てないと思う」と分析した。 
●旧統一教会問題が問い掛ける日本人の「宗教リテラシー」 10/18
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に恨みを持つ山上徹也容疑者の安倍元首相銃撃事件から、3カ月余りがたった。同連合と自民党議員を中心とする政治家との結び付きが問題視されている。韓国発祥の特異な教義を持つ教団が、「無宗教」を自認する人が多い日本で、なぜ多くの信者を獲得し、影響力を持つのか。社会問題化した宗教は規制することができるのか。宗教社会学者の櫻井義秀氏に聞いた。
旧統一教会は「カルト」なのか
「カルト」とは何か。櫻井教授によれば世界共通の概念はない。米国の場合、主流な宗教伝統に属さない宗教、異端的キリスト教を指す。1960年代以降は、活動を活発化した小規模な集団をカルトや「新宗教(新興宗教)」(new religion)と呼ぶことが多くなった。中でも、社会に危害を与える集団は「破壊的カルト」(destructive cult)として、区別している。
日本では、1995年、オウム真理教の地下鉄サリン事件以降、「カルト」とは反社会的で狂信的な集団だというイメージが一般に広がった。専門家の間では宗教的マイノリティー、メディアでは刑事事件を起こした教団など、カルトと呼ぶ根拠がいくつかあるが、明確な定義はない。
旧統一教会(以下、統一教会)は、「宗教的マイノリティーという意味でのカルトには当てはまらない」と櫻井氏は言う。「創始から70年近い歴史を持ち、日本の信者数は5〜7万人。団体の規模、歴史の長さは、カルトの域をはるかに脱しています」
韓国発祥だが、本国の信者数は日本の半分以下。その他海外支部の信者数も含め、世界で10数万人の規模だろうと櫻井氏はみる。
「大きな特徴の1つは、政治と密接に結託して活動していることです。表には出ない。例えばオウム真理教は、自分たちが日本を支配できるという幻想を抱き、信者を増やし、選挙に打って出れば勝てると考えました。一方、統一教会は冷静な判断をしています。独自候補を立てても勝てないが、組織票の力で政治家とパイプをつなげば、全国的な影響力を持てるという考え方です」
“居場所”を提供する「疑似家族」
「八百万(やおよろず)の神々」と言うように、日本では古代から拝む対象が多い。6世紀の仏教伝来当初、神道との対立があったが、奈良時代には、日本の神々はさまざまな仏の化身として日本の地に現れた権現(ごんげん)だとする神仏習合思想が一般的になった。
「日本の仏教は伝来してから常に変容を重ねてきました。明治以降、僧侶は出家することなく妻帯できること、寺が世襲制であること自体、(他国の仏教と比較して)異色です。そこからさらに変質しているのが仏教系の在家主義に立つ新宗教です。
その一方で、明治以降、キリスト教が日本人の宗教観に大きな影響を与えた。
「宗教とは、明確な信仰の対象があること、教会組織に属していること、決まった儀式を行うことだと捉えるようになりました。檀家や氏子であることと、信仰は結びつかない。大多数の日本人は初詣、墓参りや法事など、宗教的行事に参加しても、信者であるとは思ってないのです」
統計数理研究所が5年ごとに実施している「日本人の国民性調査」では、1953年の調査開始時以降、「宗教を信じていない」が常に大半を占め、2018年で74%だった。無宗教を自認する人が多い中で、なぜ多くの新宗教が広がったのだろうか。
「1950〜60年代は、新宗教が最も拡大した時期です。高度経済成長期に地方から都会に働きに出てきて、“居場所”を求める人たちが多かったことが背景にあります」
「小さな町工場や商店などで働く人たちに、居場所を提供して、うまく組織化したのが仏教系の新宗教でした。創価学会は、この時期に600~700万人の会員を獲得しました。月に一度は地域単位の集まりを持ち、連絡を頻繁に取り合ってお互いを気に掛ける。疑似家族や “ムラ”の機能を果たしたのです」
「霊感商法」と正体を隠した布教
一方、統一教会は大学生を対象とした布教で広がった。
1954年にソウルで文鮮明(故人)が創設。64年、日本で宗教法人として認可された。60〜70年代は、大学のキャンパスで「原理研究会」の名の下に若者への伝道を活発化した。68年、国際勝共連合を設立して、反共活動を開始。80年代になり、韓国から輸入した朝鮮人参茶、大理石の壺などの訪問販売を始めるが、姓名判断や家系図鑑定などと絡めた販売法が「霊感商法」として社会問題化し、訴訟が相次いだ。
「80年代後半以降、統一教会という正体を隠して、布教せざるを得なくなりました。やはり手相、姓名判断、占いなどを入り口に、若い人だけでなく中高年も対象にして、セミナーなどに誘うやり方に変えていったのです。一般人への霊感商法は減り、信者に献金させることに力点を移しました」
山上徹也容疑者の母親は、夫の生命保険など計1億円以上の献金をして自己破産し、家族は崩壊した。
「『信教の自由』には内在的制約があります。心の中で何を信じるのも自由。ただ、他人の信教の自由を侵害してはならない。正体を隠して勧誘し、献金すれば先祖の因縁から救われるなど、不安をあおることで自律的な思考を奪い、法外な献金を求めることは許されません」
消費生活センターに寄せらせた旧統一教会に関する相談によれば、同教会への平均支払い額はおよそ270万円だという。また、政府が9月に開設した被害者救済の電話相談には、「先祖に関することなどの名目で、10年間にわたり10万から数百万円の献金を繰り返してきたが取り戻せるか」などの声があった。
イエスの“失敗”後に遣わされた再臨主
統一教会の教義は、後にサタンとなる堕天使ルーシェルとエバが不倫を犯し、神に背いた悪の血統がアダムを経て人類全てに相続されたと説く。神はイエスに人間の娘をめとらせて、無原罪の子孫を残す計画だったが果たせず、「再臨主」(文鮮明)を遣わしたとする。韓国は「アダム国家」で日本は「エバ国家」であり、アダムを堕落させたエバが韓国に奉仕するのは当然だとする。合同結婚式による祝福で、再臨主がマッチングした信者同士が結ばれ、神を中心にした家庭が完成し、無原罪の子どもが生まれる。これまでに、約7000人の日本人女性が合同結婚式を経て韓国で暮らすという。
「統一教会は、本国では“財閥”のイメージが強い。日本の統一教会のミッションは、お金を集めて韓国に送ることです」
米国では、保守系紙「Washington Times」を運営し、ロビー活動に力を入れる。また、全米のすし店に魚を卸ろす系列企業「True World Foods」をはじめ、大々的にビジネスを展開している。
「反日的な教義を持つ教団が、なぜ日本で信者を多く獲得できるのか。海外メディアからよく聞かれる質問です。その理由として、日本人が宗教に関する予備知識を持たないことが大きい。だから、“メシアの再臨” “合同結婚”をうたう教義を変だと思わない。先祖は地獄で苦しんでいるので地上で善行(献金)を積まなければ救われないという教えも受け入れてしまう。主流派のキリスト教や日本の伝統的先祖供養について知っていたら、そもそも入信しません」
「オウム真理教」も終わっていない
日本国憲法は、戦前の「国家神道」体制に対する反省に基づき、「政教分離」「信教の自由」を定めた。公教育が禁じているのは特定の宗教のための教育だが、学校では、宗教についての一般的な知識さえ学ぶ機会がほとんどない。
「知識教育の一環として、世界にはさまざまな宗教があるということを含め、小学校から宗教についての基本的な知識を育むべきです。そうすれば、社会の中に宗教に関するある種の基準、社会通念が生まれる。そこから著しくずれているものに対して警戒心を持つようになります。宗教リテラシーがないと、根拠がないことを説かれて勧誘されても、おかしいと判断できない。無防備な状態に置かれているのです」
櫻井氏は長年、カルト問題で悩む学生や親からの相談を受けてきた。
「カウンセリングには限界があります。例えば、北大キャンパスのある札幌にはオウム真理教の後継団体である『アレフ』の道場が2つあり、入信してそのまま卒業していった学生もいます。アレフは今も麻原彰晃を信奉し、全国的に学生への勧誘を続けている。オウム問題は終結していないのです」
アレフをはじめ、最近の宗教勧誘はSNSが多いと言う。「最初は正体を隠したまま非対面でやり取りし、脈のありそうな相手には、喫茶店などで会う機会をつくり、イベントや勉強会に勧誘する。時間をかけて徐々に引き込んでいくのです。コロナ禍でなかなか友達を作れない悩みを抱える学生は、何も疑わずに相手の誘いに乗ってしまいます」
「解散命令請求」で情報の透明化を
「政教分離」は、国家が特定の宗教と特別な関係を持つことを禁じるもので、宗教団体が政治や選挙に関わることを禁止しているわけではない。創価学会をはじめ、多くの団体が選挙協力を行っている。「統一教会の場合、問題なのは政治家が同教会との関係を隠していたことです。霊感商法や高額献金で国民に被害を及ぼしている教団から、組織的な支援を受けたと公言すれば、国民や国益よりも、自分の利益の方が大事だと認めることになります」
問題が表面化したいま、行政はどんな対応ができるのか。
「最も現実的な対策は、宗教法人法81条第1項による解散命令を出すことです。まず法学者、宗教学者、宗教団体の代表が参加する宗教法人審議会で議論し、その結果を国民に提示すべきです」
同条は、宗教法人が著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした場合、所轄庁の文化庁や検察官などが、裁判所に解散命令を請求できると定める。
請求により解散命令が初めて出されたのは1995年のオウム真理教で、その後は2002年、霊視商法が問題になった明覚寺のみだ。旧統一教会の役職員の逮捕や立件がないので、請求は難しいと政府内には慎重な見方が多いが、対応が不十分だと批判は高まるばかりだ。10月17日、岸田首相は宗教法人法に基づく調査実施を表明した。場合によっては、解散命令請求への道が開ける。
「そうなれば、教団側も反論のために情報を出さざるを得ないので、運営に関する情報開示になります。そもそも、宗教法人として解散請求に値するようなことをしていたということになれば、関係を持とうとする政治家は極めて少なくなる。政治と宗教の関係をただす極めて簡便で効果的なやり方です。一般人も警戒するので、効果は大きい」
ただ、仮に「宗教法人」の法人格を失ったとしても、「宗教団体」として活動することは可能だ。「例えば、関連団体の『天宙平和連合』『世界平和女性連合』はNGOとしてそのまま残るので、組織を再編し、教団は形を変えて活動を続けるでしょう。法律上の規制には限界があります。だからこそ、宗教リテラシーを高めることで、自分を守るしかないのです」 

 

●解散命令請求「民法の不法行為も含む」 岸田首相の答弁修正 評価と戸惑い 10/19
《正しい判断と言えば正しいのだが…》
SNSなどネット上では評価と戸惑いの声が広がっている。19日午前の参院予算委員会で、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の宗教法人法に基づく解散命令請求の要件について、「民法の不法行為も入り得ると整理した」と答弁した岸田文雄首相に対してだ。
岸田首相は18日の衆院予算委員会で、立憲民主党の長妻昭政調会長から解散命令請求の要件となる法令違反の解釈について、「刑事的な確定判決に限定するということでいいのか」と問われると、「平成8年の最高裁判決を維持している」「民法の不法行為は入らない」と明言していた。
ところが、一夜明けた参院予算委で、立憲民主党の小西洋之氏が「宗教法人法の解散命令の要件に不法行為責任などの民法違反は該当しないという政府答弁を撤回、修正する考えはありますか」と質すと、岸田首相は「行為の組織性、悪質性、継続性などが認められ、法令に反して著しく公共の福祉を害すると認められる行為などがある場合には、民法の不法行為も入り得るという考え方を整理した」などと答えたのだ。
一夜にして答弁が変わったことに対し、SNSなどネット上では《これは修正というより、正反対になったということだろう》、《一気に解散請求に進む可能性が高くなった》と評価する声が上がった一方、《野党ヒアリングでも役所側は「民法は入らない」と言っていたのは何だったのか》、《首相の判断で解釈がくるくる変わっていいのか…複雑》といった意見もあった。
刑事事件の判決確定前でも解散命令請求の手続きに入ることはある、との考えも示した岸田首相だが、立憲民主党の小西洋之議員は「朝令暮改にも程がある」と批判された。しばらく経ったら、また真逆の事を言い出しかねないか心配だ。
●首相 宗教法人解散命令の請求要件「民法の不法行為 入りうる」  10/19
旧統一教会の問題をめぐって、岸田総理大臣は参議院予算委員会で、宗教法人に対する解散命令を請求する要件について、「民法の不法行為も入りうる」と述べました。要件には含まれないとした18日の衆議院での答弁を修正しました。
国会では、19日から参議院予算委員会で基本的質疑が始まり、午前中、立憲民主党の質問が行われました。
小西洋之氏は旧統一教会の問題をめぐって、「きのうの衆議院の審議で、宗教法人の解散命令を請求する要件には、民法違反は該当しないと繰り返し明言した。これこそ自民党と旧統一協会の癒着のなれの果てだ。答弁を撤回・修正する考えはあるか」と問いました。
岸田総理大臣は、「改めて関係省庁で集まり議論した。宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたと考えられる場合などには、個別の事案に応じて解散命令の請求を判断すべきで行為の組織性や悪質性、継続性などが明らかで、宗教法人法の要件に該当する場合、民法の不法行為も入りうると整理した」と述べ、答弁を修正しました。
これに対し小西氏は、「朝令暮改にも程がある。確認だが民法の不法行為責任について解散命令の請求ができるというのが政府見解でいいか」とただし、岸田総理大臣は、「ご指摘のように、政府としては改めて考え方を整理した」と述べました。
また岸田総理大臣は、刑事裁判の判決確定前でも解散命令を請求できるかどうかについて、「ありうると考えている」と述べました。
辻元清美氏は、旧統一教会に対する質問権の行使をめぐって議論を行う専門家会議や審議会の議事録について、「解散命令の請求にまでつながる可能性があり、国民は注視している。『密室で決めた』などと言われないためにも公開すべきだ」と求めました。
岸田総理大臣は、「審議会の手続規則に基本的には従うべきだが、文部科学大臣も検討の必要があると答弁しており、検討して、国民の信頼にこたえるような対応を考えていくべきだ」と述べました。
立民 安住国対委員長「朝令暮改の批判は免れないのでは」
立憲民主党の安住国会対策委員長は党の会合で、「解散命令の請求要件は『刑事罰がなければだめだ』という話を延々としていたのに、朝になって一転して『民事も大丈夫です』と言った。そのこと自体は、非常によいとは思うが、政府としては、朝令暮改だという批判は免れないのではないか」と述べました。
公明 佐藤国対委員長「きのうの答弁では不十分で修正と認識」
公明党の佐藤国会対策委員長は記者団に対し、「岸田総理大臣が、きのうの答弁では不十分だという判断から、きょう修正されたと認識している。政府として、さまざまな検討を行ったうえでの答弁なので、われわれとしてはそのとおり受け止めざるをえない。これから『質問権』を行使した調査で、解散命令を請求する要件に該当するものが出てくるかがポイントになるので、しっかり見守っていきたい」と述べました。
共産 穀田国対委員長「解散命令請求の取り組みを」
共産党の穀田国会対策委員長は記者会見で、「考え方を整理したということだが、当然のことだ。私たちが矛盾やさまざまな論点を突きつけことが作用して、解釈を大きく変えたということだと思う。政府として解散命令請求の取り組みに直ちに入ることを求めたい」と述べました。
国民 古川国対委員長「政府や官邸の中の意思疎通大丈夫か」
国民民主党の古川国会対策委員長は記者会見で、「法律の解釈からすると、きょうの答弁がふつうで、なぜ、きのう、非常に狭い解釈で答弁したのかわからない。政府や官邸の中での意思疎通は大丈夫か」と述べました。
●旧統一教会は「かなり焦っている」 本部長「メディアに出ないでほしい」要請 10/19
旧統一教会へ宗教法人法に基づく解散命令に向けて、国が聞き取り調査をする質問権行使についてジャーナリストの鈴木エイト氏は『被害の規模を考えて解散請求は可能』との見解を示しています。また妻の高額献金が原因で『家族崩壊』したという男性の元に旧統一教会の勅使河原本部長が訪れて「メディアに出ないでほしい」と要請されたということについてエイト氏は「教会は今かなり焦っている。教団は脅迫めいたことも言っていることもあり、解散命令を恐れている」と話します。
質問権行使は『遅きに失するギリギリのタイミング』
――宗教法人法に基づいて初めてこの質問権が行使されることになりました。このタイミングでの質問権行使の発言についてどう思われますか?
「これは遅きに失するギリギリのタイミングであると思います。また、解散命令への流れを示した政府の姿勢は評価できます。数日前まではかなりこれは厳しいなと思っている中で、急に解散命令請求の流れが急に出てきたという感じですね」
――質問権の行使は警察ほどの強制力がないとのことですが、そのあたりはどのように思いますでしょうか?
「警察ほどの強制力はないということで、質問の内容がかなり重要になってくると思うんですよね。教団側が嘘をついていたことを容易に検証できるような、どういうメンバーがどんな質問設定をするかということですね。その辺り後に交渉しやすいようなところをギリギリ狙っているのかなと見ています」
――教会が言い逃れできない質問ということですが、例えばどういう内容の質問になるんでしょうか?
「例えば、お金の流れであるとか指揮命令系統などについて、教団側は表向き当たり障りないようなことを言ってくると思うのですが、実はちゃんとこういう証拠でもって明らかに嘘をついて虚偽の回答をしましたよねと言えるような内容。そういうところから攻めていくと思います」
解散命令出た「明覚寺」より被害規模大きく…鈴木エイト氏『解散命令の請求可能』
――鈴木エイトさんによりますと、『旧統一教会への解散命令請求は可能』だということです。理由としては2002年に解散命令があった宗教法人「明覚寺」よりも旧統一教会の方が規模が大きいということでしょうか?
「明覚寺の場合、規模が小さい分組織本部の人間が直接逮捕された案件なんですが、統一教会の場合、組織が大きい分、末端の信者にやらせているんですよということで、本部の人間まで逮捕に至らない状況があったんですね。被害金額は本当に桁違いで全く違うんすよ。去年までの集計で表に出ている被害額は1237億円で、(実際には」その10倍はあるだろうと言われています。当然、信教の自由は保障されているので、解散命令が出たとしても教団組織が解体されるわけではなく団体は残るんですよね。宗教法人としての税制上などの特権がなくなるだけであって信仰の対象がなくなるわけではないです。今までなぜ裁判所に委ねなかったのかという点は政治家側の判断でそこを止めていたと。うがった見方をすれば関係を持ってきた政治家に配慮してきたのではないかという見方をどうしてもしてしまいます」
教会側は「かなり焦っている」「解散命令を非常に恐れている」
――元2世信者の小川さゆりさん(仮名)への会見中止の要求や教会の高額献金などで家庭崩壊した橋田辰夫さんの自宅へ勅使河原本部長が自宅に来て『メディアに出ないでほしい』と要請したことが明らかになっています。こうした点はどのように思われますか?
「旧統一教会側はかなり焦っていると思います。教団も直接会って謝るのではなく『教団の悪口を言わないでくれ』、『あなたの言った発言は全部記録してますよ』ということで脅迫めいたことも言っていると。本当に教団側が解散命令などに問われることを非常に恐れていることが如実に表れていると思うんですよね」
――河野太郎大臣がリーダーとなっている消費者庁の『有識者検討会』の提言には期待できることはありますでしょうか?
「フランスではマインドコントロール法と言われているニュアンスも非常に入っていて、マインドコントロール下において被害に遭った人に非常に手厚いような法整備をするという方向に行っているので非常に高い評価ができる内容だと思います」
――今後はどういったことに期待をしますか?
「韓国の教団本部からいかにお金を取り戻せるかというところですね。あと、有識者検討会が消費者にとって非常にいい内容を挙げています。そこにいかに政権が乗っかるかというところも注目していきたいと思います」

 

●旧統一教会巡る解散命令要件、法解釈変更で首相「不適切なことではない」  10/20
岸田首相は20日午前の参院予算委員会で、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)を巡り、宗教法人法に基づく解散命令の要件に関する法解釈を変更したことについて、「決して不適切なことではない」と理解を求めた。
首相は18日の答弁で、解散命令の要件は「刑法違反のみ」との認識を示したが、翌日には「民法の不法行為も含まれる」と表明した。首相は20日、「法律の厳正な解釈や適用は、絶えず追求していかなければならない」とも述べた。
高額寄付や霊感商法などによる被害の救済・防止については、「準備ができたものは、今国会に提出するのは当然だ」として、今国会での法整備に改めて意欲を示した。河野消費者相は、「消費者庁にチームを設置し、法制化の準備をしている。新法がいいのか、改正法がいいのかを含めて検討し、準備の整ったものから臨時国会を含め提出する」と語った。
首相は、認定こども園や幼稚園などの通園バスに安全装置の設置を義務づけたことに関し、認可外保育施設の通園バスや巡回型バスにも設置すべきだとの考えを示した。
●政府も本腰で強まる“統一教会包囲網”…解散命令求める賛同者14万人突破 10/20
昭和の末から多額の献金や霊感商法が問題視されてきた統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)。安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件を機に政治家との“親密な関係”が明るみになり、被害を訴える“宗教2世”の告発も相次いだ。
10月7日には、元2世信者・小川さゆりさん(仮名)が日本外国特派員協会で記者会見を行ったが、途中、教団側から会見中止を求めるファクスが両親の署名入りで届くという驚愕のアクシデントもあった。小川さんは会見の最後に、「どうかこの団体を解散させてください」と力強く呼びかけていた。
そして11日には、被害者の救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(以下、「連絡会」)が、永岡桂子文部科学大臣(68)、葉梨康弘法務大臣(63)、甲斐行夫検事総長(63)あてに解散命令を請求する申入書を送付。
このように統一教会の解散命令を求める声が高まるなか、慎重姿勢だった政府もついに動き始めた。
岸田文雄首相(65)は17日の衆院予算委員会で、宗教法人法に基づく「質問権」を初めて行使し調査を行うと表明。翌18日には、被害者救済に関する法案について、「政府が考えている法律の見直しは準備ができたものから順次提出したい。今国会を念頭に準備を進めている」と述べた。
また、政府の相談窓口に寄せられた相談事例のなかに警察につないだ案件があるとして「刑法をはじめとするさまざまな規範に抵触する可能性がある」と述べた岸田首相だが、解散命令の請求が認められる法令違反の要件について「民法の不法行為は入らない」と答弁。しかし、19日に「民法の不法行為も入りうる」と法解釈を変更したのだった。
さらに同日、自民党と立憲民主党、日本維新の会が被害者を救済する協議会を設置し、今国会で法案成立を目指すことで合意。各メディアによると、今週中にも初会合を開くという。
解散を求めて立ち上げられた署名は3日で賛同者13万人を突破!
そんななか、17日に署名サイト「Change.org」で立ち上げられた、永岡文部科学大臣、葉梨法務大臣、甲斐検事総長に統一教会の解散を求める署名が注目を集めている。
キャンペーンサイトでは、「連絡会」が解散請求の申入れを行ったことを挙げ、《連絡会のほかメディアや政党の中にも、統一教会の解散を求める議論があります。改めて一般市民の声としてそれを示し、解散命令に向けた動きを後押しするための署名活動です》と説明。
署名活動は1カ月を予定しているというが、開始3日目にしてすでに賛同者が14万人を突破しているのだ(19日23時現在)。
呼びかけ人には「全国統一協会被害者家族の会」などの団体だけでなく、多数メディアにも出演しているジャーナリストの鈴木エイト氏や小川さんなども名前を連ねている。
小川さんはTwitterでも署名を呼びかけており、《被害の一番の原因は、これほど悪質な団体であるにもかかわらず、国が“まともな宗教ですよ“というお墨付きを与えているからです。ここで言う解散は宗教法人格の取り消しなので、信仰は続けられます。信者が生活に困るのではという意見がありますが、献金しづらくなる方がよっぽど生活が保障されます》と訴えている。
賛同者からは、《連絡会弁護士の方々のご努力に感謝です。二世信者や多くの被害者の皆さん、頑張ってください!もう少しです》《必ず解散をさせましょう。被害者を増やさないために》といった声が寄せられている。
政府、民間ともに強まる“統一教会包囲網”。1人でも多くの被害者が救済されることを願うばかりだ。
●旧統一教会「解散命令請求」一夜にして解釈変更の裏側 10/20
岸田首相が久々に「聞く力」を発揮している。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対する宗教法人法に基づく解散命令請求の要件について、19日の参院予算委員会で「民法の不法行為も入りうる」と答弁。「入らない」とした前日までの答弁を翻し、一夜にして法解釈を変更した。
教団をめぐっては、民事裁判で高額献金などの不法行為や使用者責任が認定されていて、「解散要件を満たしている」とする専門家は少なくない。解散へ向けたハードルは一気に下がった格好だ。
「電撃撤回」が飛び出したのは参院予算委の冒頭。質疑のトップバッターに立った立憲民主党の小西洋之議員から「きのう(19日)の衆院の審議で、宗教法人の解散命令を請求する要件には民法違反は該当しないと繰り返し明言した。これこそ自民党と旧統一教会の癒着のなれの果て。答弁を撤回・修正する考えはあるか」と迫られた岸田首相は、官僚が用意したペーパーに始終目を落としながら、こう答弁した。
「改めて関係省庁で集まり議論した。宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたと考えられる場合などには個別の事案に応じて解散命令の請求を判断すべきで、行為の組織性や悪質性、継続性などが明らかで、宗教法人法の要件に該当する場合、民法の不法行為も入りうると整理した」
委員会室は軽くどよめき、出はなをくじかれた小西議員は「朝令暮改にもほどがある」と言っていたが、アッと驚く展開ではある。
そもそも、「解散命令を請求する要件には民法違反は該当しない」という政府の狭義の解釈には、専門家から批判が相次いでいた。
永岡大臣が墓穴を掘る前に先手を打った?
旧統一教会の被害者救済に長年取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)は「旧統一教会の解散請求等を求める声明」(9月16日付)を採択し、今月11日に永岡文科相、葉梨法相、甲斐検事総長に請求を申し入れている。強弁をふるうほど自民党と教団との癒着が浮き彫りになる。解散を求める世論のうねりにあらがえなくなったことも背景にありそうだ。
内閣支持率はつるべ落とし。解散を求めるオンライン署名への賛同も広がる。焦った岸田首相は教団に対する「報告聴取・質問権」の行使を永岡大臣に指示するに至ったが、段取りをつけるのに少なくとも1カ月は要する。
答弁能力の低さが露呈した永岡大臣が墓穴を深掘りする前に先手を打ったつもりなのかも知れないが、半世紀超にわたって旧統一教会とベッタリの自民党政権が腹をくくって解散命令の請求に踏み出せるのか。
司法に圧力をかけた疑いが浮上
18日の衆院予算委では、共産党の宮本徹議員の指摘により、自民党政権が教団の守護神のごとく動き回って司法に圧力をかけた疑いまで浮上している。元信者の70代女性が献金返還などを求めて教団や国を相手取り、2009年に鳥取地裁米子支部に提起した民事裁判で、裁判所が決定した和解調書に国側が猛反発し、一部を削除した「更正調書」を作らせていたことが判明。
「国においても、従前の宗務行政の適法性・妥当性に対する疑問の余地がないわけではないことや、今後適切な宗務行政がなされることを期待する」などとした裁判長の言葉を削らせていた。行政の違法性をうかがわせる記録を消し去る意図がアリアリである。
宮本議員から「和解調書を受けて宗務行政をどう改善したのか」と問われた永岡大臣は質問には真正面から答えず、「(和解調書には)裁判長が発言していない内容が記載されていた」と大ウソをついていた。原告側代理人を務めた全国弁連の勝俣彰仁弁護士はこう言う。
「和解調書にあった裁判長の言葉は一言一句、実際に発言されたもの。大臣答弁は事実に反しています。裁判所に対しても適切な行政に期待して和解を受け入れた原告に対しても失礼極まりない」
ブレまくる岸田首相は今度こそ「決断と実行」をするのか。
●自民 茂木幹事長 旧統一教会 “調査途中でも解散命令請求を“  10/20
旧統一教会に対する宗教法人法に基づく「質問権」の行使による調査について、自民党の茂木幹事長は派閥の会合で、年内のできるだけ早いタイミングで開始し、法令違反が確認された場合は、調査の途中でも解散命令を請求すべきだという考えを示しました。
この中で自民党の茂木幹事長は旧統一教会の問題をめぐり、岸田総理大臣が宗教法人法に基づく「質問権」の行使による、調査を実施するなどとした方針を示したことについて「被害の救済や再発防止、そして国民の不安を解消する観点からも適切な判断だ。関係省庁には速やかな対応を求めたい」と述べました。
そのうえで「調査は年内のできるだけ早いタイミングで開始し、調査の途中過程であっても、違法性、組織性、継続性の観点から法令違反が確認された場合は解散命令の請求を行うべきだ」と述べました。
また、いわゆる霊感商法などの被害者の救済策を検討している党の小委員会で、近く提言をまとめ、政府の対応に反映させていきたいという考えを示しました。
公明党の北側副代表は記者会見で、「さまざまな疑問点についてしっかり調査し、説明責任を果たしてもらいたい」と述べました。
また、旧統一教会の問題をめぐって19日、岸田総理大臣が宗教法人に対する解散命令を請求する要件についての答弁を修正したことについて「答弁は民法の不法行為のすべてが要件に入ると言っているわけではなく、不法行為の中で組織性や悪質性など、宗教法人法の規定に反するような場合も入りうるという趣旨だったと思う。19日は厳密に答弁を修正したと理解しているが、非常に注目されているテーマなので、各省庁とよく連携をとって、正確性はしっかり確保してもらいたい」と述べました。
●旧統一教会国会「第1ラウンド」終了 安保・コロナ深まらず 10/20
国会は20日の参院予算委員会で岸田文雄首相と全閣僚による質疑を行い、今国会で「第1ラウンド」となる衆参計4日間の予算委の質疑日程を終えた。野党は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の追及に傾注し、首相も防戦に追われ、終始野党ペースの展開となった。その一方で、外交・安保や新型コロナウイルス対策など国政の根幹に関わるような議論は深まらなかった。
4日間、計28時間の論戦の中心となったのが旧統一教会問題だ。20日は共産党の山添拓氏が「ただちに旧統一教会の解散命令請求を検討すべきだ」と迫った。首相は「さらに事実を積み上げることが必要という判断から『質問権』の行使などの手続きを決めた」と従来の答弁を繰り返した。
野党の攻勢を招いた一因には、首相の答弁が一夜で変遷するなど、政府側の迷走を突かれた面も否めない。19日の参院予算委では、首相が宗教法人への解散命令請求が認められる要件について、前日否定していた民法の不法行為を「該当する」と修正した。
衆院予算委でこの問題を追及した立民の長妻昭政調会長は20日の記者会見で、「衆院予算委初日の(17日)夜、酒を飲むのでなくちゃんと省庁勉強会をやって国会に臨めばこんなことにならなかったのではないか」と嘲笑気味に語った。
一方で、一連の質疑ではロシアのウクライナ侵攻や中国の軍事増強を受け、防衛力強化のため年末に向け改定作業が進む国家安全保障戦略をはじめとする「安保3文書」や、新型コロナの流行「第8波」とインフルエンザの同時流行に備えた感染対策などの議論はわずかにとどまった。
17日の衆院予算委では、自民党の萩生田光一政調会長が、防衛費増額をめぐり、政府が海上保安庁予算など安保関連経費を幅広く組み入れる北大西洋条約機構(NATO)の基準を参考に検討する考えを示していることに「水増しではだめだ。水増しでは国民の生命財産を守ることはできない」と首相をただす場面もあった。しかし教団の問題と比較すると、論戦のわきに置かれた感は否めない。
立民は教団問題に執心するあまり、19日の参院予算委では、弁護士資格を持つ打越さく良氏が山際大志郎経済再生担当相に信者かどうかを質し、憲法が定める信教の自由に抵触しかねないシーンも飛び出した。
霊感商法による被害者救済に向けた法整備は今国会の焦点だ。ただ、他にも国政の懸案は多い。
国会は、週明けの24日に衆参予算委の集中審議が行われ、11月には令和4年度第2次補正予算案を審議する予算委も開かれる見通しだ。旧統一教会の追及ばかり時間を費やす展開となれば、国家の根幹に関わる議論は一層遠のくことになる。  

 

●統一教会問題 解散命令請求要件に民法の不法行為が急きょ含まれた理由 10/21
岸田文雄首相は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題に関連し、宗教法人法に基づく解散命令請求の要件に民法の不法行為も含まれるとの見解を示しました。これまではなぜ、刑事事件で刑罰を受けたケースに事実上、限定していたのでしょうか。従来の考えを変えた理由は何でしょうか。(金杉貴雄)
Q 解散命令請求とは。
A 宗教法人法は宗教法人が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」や「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」などをした場合、裁判所が解散を命じられると定めています。国や都道府県といった所轄庁などの請求に基づき、手続きが始まる仕組みです。
Q 「法令違反」と認めるには刑事事件の有罪判決が必要なのですか。
A 法律上は刑事や民事という区別はありません。ただ、過去に解散命令が出たのが、サリン事件を起こしたオウム真理教と、詐欺罪で幹部らが摘発された明覚寺(和歌山県)の2件だけだったこともあり、刑法犯以外で請求するのは難しいという立場でした。それが、民事裁判で不法行為を認定されながら、幹部の刑事責任は問われていない旧統一教会を巡る消極的な姿勢につながったようです。
Q なぜ、急に請求要件の判断を変えたのですか。
A 今の狭い法解釈では、社会的に問題のある宗教法人が税制優遇を受けながら野放しになりかねず、霊感商法や巨額献金などの被害が続く恐れがあると考えたからです。旧統一教会に関しては家庭崩壊や自殺に追い込まれるなど、深刻な事例も伝えられています。過度に慎重と受け取られれば、政権への批判が一層高まってしまうという危機感もありました。
Q 民法まで要件を広げたことで、請求のハードルが低くなりました。
A 政府は「組織性、悪質性、継続性が明らか」などの条件をつけています。解散命令は法人格を失わせる重い対応なので、請求にあたっても憲法の信教の自由の保障を踏まえる必要があり、恣意しい的な判断は避けなければなりません。
●旧統一教会の勅使河原秀行氏、解散命令請求めぐる答弁変更に驚き 10/21
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の教会改革推進本部長を務める勅使河原秀行氏は20日、都内で会見し、岸田文雄首相が宗教法人への解散命令請求の要件をめぐる答弁を変更したことについて「びっくりした。なぜ1日で急に変わるのかと。不思議ですね」と述べた。その上で「私たちは日本国民なので、国が決めたことには従っていかざるを得ない。一喜一憂せず改革を進めていく」とした。また岸田氏が宗教法人法に基づく質問権行使による調査を指示したことについては「質問が来たときは、誠実に対応する」と話した。
会見では、高額献金などの被害を訴えている高知県の橋田達夫さんに対し、元妻の信者が、自死した長男のことも含めて主張する教団撮影の動画も流した。勅使河原氏は橋田さんに1対1の面会を拒否されたにもかかわらず、16日に自宅を訪問。橋田さん側は警察に通報し抗議書を送った。相手に恐怖を与えるなどと思わなかったかと問われた勅使河原氏は「アポなしでうかがったことは、申し訳ない。まずお話を聞くのが第1歩だろうと思った」「言論を封殺するような圧力をかけたというのは違う」などと弁明した。
また日本外国特派員協会で行われた元2世信者小川さゆりさん=仮名=の会見前に、教団側が中止を求めるファクスを送ったことについては「すべきではなかったと思う」との発言もあった。
会見では改革の進捗(しんちょく)状況を説明。「宗教2世に寄り添い、さらなる改革を推進するため」とし全国68教区の教区長のうち20人を2世にする、などの施策を明らかにした。会場にその2世信者たちを登場させ紹介もした。
●上祐史浩氏 テレ朝出演 59歳変わらぬ弁論 20/21
元オウム真理教幹部で、現「ひかりの輪」代表の上祐史浩氏(59)が21日、テレビ朝日「モーニングショー」にインタビュー出演。旧統一教会の問題をめぐって、国会で岸田文雄首相が答弁している、宗教法人に対する解散命令請求についての見解を述べた。
上祐氏は経験を踏まえ「宗教法人の解散命令に関しては実際の解散ではないので、あまり(信者たちの)反応はなかったと思います」と語った。
「信者の活動には影響を与えないんだと。使っていた建物などの(資産の)清算はあるが」とした。
宗教法人の解散命令は「端的に言えば法人格と免税権の剥奪にすぎない」と指摘。「彼らが信仰をやめる気持ちにもおそらくならないでしょうし」「請求して認められるか認められないは別にして、『こんなはずではなかった』という状態になる可能性はあると思う」と述べた。
●「2世信者を2世信者に見張らせる」「やるほど馬脚をあらわす」統一教会会見 10/21
菅野志桜里さんが消費者庁の「有識者検討会」にメンバー入りしたのは、河野大臣の指名ですか?
――役所からメールが来て、実際に会って「入ってほしい」と。私としても予想外でビックリしました。背景はわかりませんが、河野大臣の直接の指名ではないと思います。公にしているフォームからメールが来ました。
――旧統一教会の会見では教区長を「宗教2世の20人」にするなどの内容でした。
2世に2世を見張らせるやり方は…。「悩みを通過した方」と本部長は言っていたが、通過した先が教団だった方々ですよね。やり過ごすための弥縫策に見えますし、あまりに非常識でやればやるほど奇異に映るというか、馬脚をあらわすという感想を持ちました。
国際的リーガルチームについては、その前にあえて「第三者的」と強調しておっしゃっていたので、出られた方々は、場合によっては全員信者の可能性もあると思われます。そう思うと外部の目が入っていない、入れようとしていない。だから世間からは、おかしな会見内容に見えてしまうんじゃないでしょうか。
――消費者庁の有識者検討会を経て、はじめて「質問権」を行使へ。菅野さんも「決定的な一歩」と評していますが、検討会をふりかえっていかがですか。
合言葉が「枠を超える」ということで、法改正、旧統一教会への対応を打ち出すんだ、というのが共通事項でしたので、それが力になりました。
――ライブで多くの人が見たことは?
政府におもねった発言はできませんし、終わった後すぐにメールや電話で、委員にならなかったけどジャーナリストや弁護士の反応がダイレクトに来るので、それをすぐ反映させる。週1ペースなのでタイトなのですが、スピーディにものを積み重ねることが出来て、良かったです。
私の元にも、「もっといい方法がある」とか「物足りない」という意見がすぐ来た。委員だけでなく外の皆さんと一緒に作った印象があります。
――この先の流れは、10月25日に専門家会議が予定され、調査は文化庁宗務課の職員8人が行いますが、菅野さんの懸念は「8人に法律の専門家がいない。態勢強化が必要」とのことですね。
文科大臣は「8人で頑張ればやれる」と仰っているようですが、気合の問題ではなく専門性の問題なので、文科省の他の部署や法務省など、日ごろから分析調査している方に早く入ってもらう必要があると思います。
――実際にはできそうなのですか?
政権からも「強化は必要だ」という声も聞こえているので、できるしやってもらわないと困ります。あとは、これまでコツコツ調べてきたジャーナリストや弁護団などに謙虚に教えを乞うて、資料をもらってともに分析することも必須だと思います。
――解散命令の請求について「民法の不法行為は入らない」としていた岸田総理の発言が一転し「考え方を整理した結果、民法の不法行為も入る」と話しました。法解釈が変わる事についてどう思いますか?
正しい軌道修正であれば、この点は歓迎したいと思いますが、「質問権やります」という前にどういう事案で質問するのか詰め切れていない点は、政府としてかなり不安だと感じています。
(当初の発言について)ちょっと穿った見方をすると、岸田総理は「刑法の事案がありそうだ」ともおっしゃっていた。刑事事件をにおわせながら、すでに何十件もある民法関連を外して、先送りして様子を見る、あるいは質問はするけど請求しない。というシナリオが一部で描かれていたという懸念もあります。
いずれにしても「これではもたない」ということで一転させたという事で、逆に解散命令請求に大きく踏み出す結果となった。
――菅野弁護士によると教団側敗訴の民事事例は約30件、法令違反の疑いもあるケースもある、疑いを晴らす説明や資料があるかに注目しているということですが。
教団側の違法行為が裁判で認められている事案が数十件ありますので、ある資料をもとにしっかり質問すれば、疑いは晴れなかったとして、解散命令請求に至る、こういう流れが自然ではないかと思います。
――過去の解散命令請求の2例は刑事事件でした、今回の実現性は?
刑事の場合は捜査のプロがしっかり資料を調べ挙げている点が民事と違います。ただ民事の事件であっても弁護団が詳細を詰めて勝ち取った勝訴判決が多くあるので、刑事事件に劣らない資料が詰まっていると思います。
――請求後、裁判所がもし認めなかったら?
どちらにしても、抗告という手段で争う道はあります。ただ大事なのは、請求へのスピードも大事けれど、裁判所に認めてもらえる資料をしっかり集めて請求する、準備の万全さが結果を左右すると思います。
●自民・茂木幹事長「調査の途中でも法令違反確認なら解散命令請求を」 10/21
いわゆる統一教会への質問権の行使について自民党の茂木幹事長は「調査の途中でも法令違反が確認されれば解散命令の請求を行うべき」との考えを示しました。
自民党・茂木幹事長「質問・調査については年内のできるだけ早いタイミングで開始をして、調査の途中過程であっても法令違反が確認されれば、宗教法人としての解散命令の請求を行うべきである。こんなふうに考えているところであります」
茂木幹事長は、また被害者救済のための党の提言を来週にも、とりまとめる考えを明らかにしました。
「教団」をめぐる問題を受け自民党の党改革実行本部は党運営の指針=「ガバナンスコード」の改定案をまとめました。
「活動の社会的相当性が懸念される組織・団体の活動を助長すると誤解されるような行動を厳に慎む」としています。
執行部は来週の総務会で正式に決定した後地方組織にも周知・徹底する方針です。 
●旧統一教会被害救済で協議会急ごしらえ 与党に温度差 10/21
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)などによる高額献金の被害救済に向けた法整備を議論する自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党による21日の協議会初会合では、今国会中の救済法案成立を目指す方針が確認された。ただ、協議会設置は急ごしらえの感が否めず、法案の扱いや協議会自体の位置付けをめぐり自公間に温度差が生じている。
「今国会中の法案の成立を期すという国対委員長間の合意なので、できるならばそうした形で進めたい」
自民の若宮健嗣幹事長代理は初会合後、4党の議論を踏まえ、記者団にこう強調した。
旧統一教会による高額献金や霊感商法などの被害救済について政府・与党は当初、政府提出法案で対応する構えだった。首相も18日の衆院予算委員会で「今国会を念頭に準備を進める」と述べていた。
しかし、自民議員の「失言」で事態は急変する。
石井準一参院議院運営委員長が17日夜、衆院予算委員会の審議をめぐり「野党がだらしがない」などと発言したことに野党が強く反発。自民は国会審議を円滑に進めるため、立民と維新の要求に応じ、公明を含めた協議会設置を受け入れざるを得なくなった。
協議会は、立民と維新がすでに提出している独自の救済法案と与党が重視する論点を議論し、合意形成を図る方向だ。ただ、協議会を法案協議の場と位置付ける自民、立民、維新の3党に対し、公明のスタンスは微妙に異なる。
公明の高木陽介政調会長は19日、同日設置が決まった協議会について「法案協議ではなく、被害者救済の意見交換をしていく」との認識を示した。石井啓一幹事長も21日の記者会見で「法案の説明を受け、話し合いをすることは当然ありうる」と述べたものの、慎重な姿勢をにじませた。
野党の独自法案は、マインドコントロール下での信者による献金を家族が取り戻せるようにし、罰則付きの是正命令を可能にする内容で、「憲法(が定める財産権)違反の恐れもある」(与党幹部)と慎重な声もある。公明は宗教団体である創価学会を支持母体としているため、自民中堅は公明の姿勢について「自分たちに飛び火しかねないと懸念しているのだろう」と見る。
立民の安住淳国対委員長は21日、協議会について記者団に「意見の開陳や弁論大会のために来ているわけではない。成案を得ることに合意し、参加している。誤解しないでほしい」と述べ、公明を牽制(けんせい)した。 

 

●統一教会、伊藤詩織、辺野古移設、死してなお問題を残す偉大な安倍晋三 10/22
今なお統一教会問題は騒動が広がっており、ようやく自民党議員への応援のバーターとして、統一教会が事実上の政策協定を議員にサインさせていたという問題が出てきました。
宗教法人としての解散命令を出すの出さないの、質問権がどうの、オウム真理教への解散命令は根拠が刑法だった(95年から96年)からどうのという無駄な騒ぎも広がっていますが、信教の自由は別に宗教法人でなくなったとしても問題なく継続できます。その解散命令への準拠が民法か刑法かなんて文化庁にいくら聞いたって彼らは粘るしかできないわけですから、そんなのさっさと裁判所の決定が出るか出ないかに委ねちゃった方が早いんですよ。
8月30日に、WiLLという媒体で、「統一教会は早々に解散命令を出させたらよい」という記事を書いたところ、統一教会の関係者の皆さんからすごく抗議をいただきました。つまり、一番効く方法だぞって彼らが教えてくれていることになります。ありがとうございます、参考になります。
そもそも統一教会というのは、勝共連合を挟んだ、自民党による共産党封じ込めのために都合よく利用してきた歴史的経緯がある偽装宗教団体でした。それが用済みになったにもかかわらず、韓国政府や教祖の文鮮明さん、韓鶴子さんによる日本政府中枢への食い込みが行われていたという点で、深刻な第一級のスパイ事案であったという認識は強く持つべきだと思います。
皆さん、このあたり軽く見ているようですが、海外の、しかも宗教団体を装った組織が、日本国民とその家族に深い傷跡を残しながら、選挙協力を餌に政策に介入し、政府中枢に影響を及ぼしていたんですよ。軽視するわけにはいかないはずです。
それもこれも、自民党の保守傍流であった清和会によるもので、祖父・岸伸介さんから孫・安倍晋三さんという三代にわたって続いていた、ある種の戦後自民党の病理であり、戦後裏面史であったことは言うまでもありません。
米ソ対立下で共産党からの影響を排除するために野合した不幸な構図という洞察を抜きにして、統一教会問題を語ることはできません。共産党が統一教会にこだわるのも、彼らからすれば、長年クビ元に突き付けられたナイフも同然のこの偽装宗教団体をどうにかしたいからでしょう。
しかし一方で、日本共産党もかつての同志であった指導部がソ連から資金供与を受けてきたにもかかわらず、「あれは共産党ではない」とひろゆきばりに論点をずらしてなかったことにしているのも、また欺瞞です。こうした現状を見るに、政治というのはそういうものなのだなあとつくづく思うわけであります。
そこへ来て、今度はTwitter上で伊藤詩織さんに対する中傷ツイートに「いいね」を25個繰り返し行ったかどで訴えられた杉田水脈さんが、東京地裁での勝訴が一転、高裁敗訴となり55万円のお支払いと相成るという事件がありました。
伊藤詩織さんへの評価がどうであるかはさておき、動画でもニュースでも、彼女が登場するコンテンツに対して寄せられるコメントやツイートには目を覆わんばかりの中傷が並ぶことも一再ならずあり、正直、ネットで意見を並べる人たちの民度について深刻に考えるべきことは多々あるのではないかと思います。
杉田水脈中傷ツイート判決は他の「いいね」にも影響する?
他方、そもそも伊藤詩織さんが社会的に名を知られるようになったのは、みんなご存じアベ友筆頭格であった元TBSのジャーナリスト、山口敬之さんとのレイプ訴訟があったからです。ここで山口さんの無罪・冤罪を信じる安倍晋三さんシンパと、伊藤詩織さんの被害に同情を寄せるリベラル勢力によるトントン相撲が勃発します。
もちろん事件単体で言うならば、淡々と刑事事件として実態を判断し有罪か無罪かを裁判所が判断するべきものなのですが、この安倍晋三さんを取り巻く事象となると、一気に右も左も出てきて総立ちになって、本来の事件や問題とは異なるところで大論争になるのも興味深いところです。
その延長線上に、同じく安倍ガールズと目される杉田水脈さんによる伊藤詩織さん&そのシンパへのDISりというコンテクストがありますので、今回の高裁の判断では、原告代理人佃先生のコメントにもある通り、「特殊な事案」に対する特殊な判決ということで、普段Twitterを使う皆さんが「いいね」しようがRTしようが、本件裁判での判断がただちに援用されるものではないという意見が出されるに至ります。
まあ、そりゃあ何らか侮辱ほか名誉感情侵害を伴う書き込みをうっかり「いいね」したら裁判が起こされると思ったら、表現の自由が損なわれ、ネットでの書き込みが委縮すると思われても仕方がないところではあります。
あくまで、伊藤詩織さんに対する「枕営業の失敗」「ハニートラップ」「売名行為」などと中傷するツイートに対して、杉田水脈さんが多数の「いいね」をした結果、さらに中傷内容が拡散して侮辱や中傷のオンパレードになり、それを伊藤詩織さんが訴えたという形を取っている以上、それなりにフォロワー数を抱える議員などのインフルエンサーが、執拗に名誉感情を損ねる書き込みを拡散させた場合は「いいね」も訴訟の対象となり得る、というレベルの話に過ぎないのではないかとは思います。
ただ、それもこれも、すでに亡くなっているはずの安倍晋三さんと山口敬之さん、そして杉田水脈さんというアベ友的人間関係の構図が、今なおネットで安倍ちゃん支持者とリベラル勢力の戦いの消えない火種となっているのは興味深いところです。
ひろゆきと琉球新報の底流に流れるもの
さらには先日、沖縄の左翼系ミニコミ紙、琉球新報の取材を巡り、ひろゆき(西村博之)さんが「取材に応じるからには配信させろ」と条件を出し、これを理由に琉球新報が取材自体を取りやめるという騒ぎもありました。
ひろゆきさん自身は安倍晋三さんとは無関係であるものの、先の沖縄辺野古基地建設反対運動に関して、現地で3000日以上座り込み活動をしていると標榜する団体の立て看板の横で、誰も座り込んでいないところを記念撮影したのが炎上のきっかけでした。
20年の衆院本会議でも、当時総理であった安倍晋三さんが沖縄辺野古基地建設推進を答弁していることも含めて考えれば、これもまあ戦後最長の総理在任期間であった安倍晋三さんの置き土産とも言える問題として、ここでも国論が分かれる論争が繰り広げられているとも言えます。
日本全体の安全のために沖縄に多くの軍事施設が作られ、沖縄県民の負担が大きい状態をどうにかするべきだという左派の理屈も道理であるのに対し、辺野古基地で基地建設反対と叫んでいるのが本当に地元住民であるのかという点も含め、実態が良く分からないのもまた事実であって、どれがどこまで本当で、どこからが嘘や欺瞞なのかが実に謎です。
過去には2017年、健康食品会社のDHCが提供していた東京MXテレビの報道番組「ニュース女子」での内容が捏造であったと問題となり、放送倫理・番組向上機構(BPO)にも持ち込まれ、裁定の結果、重大な放送倫理違反があったと結論付けられています。
その後の裁判でも、批判にさらされた共同代表を務める辛淑玉さんの「のりこえねっと」との裁判では、高裁でも敗訴したDHCが550万円の支払いを余儀なくされています。
ただ、ここで問題とされたのは、「日当をもらって本土から活動を担う人がやってきている」などの報道内容の裏付けが取れなかったという話であって、実際に辺野古基地の建設に対して地元の人がどれだけ反対し、また、反基地活動に主体的に関わって座り込みや妨害をしているのかという点では、今なお不明なところは多くあります。
死せる安倍ちゃん、生ける有象無象を走らす
そこへ、共産党系の応援にも関わりのあった一般社団法人Colabo代表の仁藤夢乃さんや、フェミニズムを標榜する活動家の石川優実さんらが辺野古を訪れたりしており、ひろゆきさんが面白半分に煽ったお陰で騒ぎが広がり、改めて沖縄基地問題が政治的に議論になる効果を示しました。
これら一連の話題は、どういう形かであれ良くも悪くも安倍晋三さんが手がけた問題の副作用とでも言うべき事案ばかりであり、志半ばで逝った安倍晋三さんの偉大さ、または虚像が引き起こした現象であると言えるでしょう。
人間、生きているときより終活の方が問題だというのは介護など福祉に携わる人であれば共通の悩みでしょうし、死ぬにあたって遺言で「ハードディスクを消してくれ」と言いたい男女も少なくないことを考えれば、安倍晋三さんの無念を想うに余るところがあります。
右にとっても左にとっても存在感の大きい安倍さんの死で、今なおアベロスを起こし、問題の整理に追われている人たちを見ると、残った私たちみんなで後片付けをする令和をどうするかについて考えざるを得ないのでしょうね。
●統一教会崖っぷち…「民事も可」解釈変更で解散命令請求に追い込む判例 10/22
「びっくりした。急に民法が一夜にして対象になったのは不思議です」──。20日の会見で旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)改革推進本部の勅使河原秀行本部長は首をかしげた。岸田政権による解散命令請求の解釈変更のことだ。「そのことで一喜一憂せず、粛々と改革を進めたい」とも語ったが、内心は穏やかでないはずだ。解釈変更により、請求の根拠となり得る「判例」が一気に積み上がったからだ。
解散命令の要件である「法令違反」に関し、政権側は刑事事件に限った解釈を改め、民法の「不法行為」と「使用者責任」も対象に加えた。
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)によると、これまでに教団の法的責任を認めた判決は少なくとも29件に上る。うち2件が「組織的不法行為」で、岸田首相が質問権の行使検討を表明した際、言及した2016年と17年の判例だ。
【東京地裁16年1月13日判決】
旧統一教会の女性信者の元夫が、婚姻期間中に夫の意思に反して夫名義の財産から多額の献金をさせられた。地裁は「組織的活動として、夫の財産状態を把握した上で、妻に献金によって夫を救い、夫の家計を救うことが使命であると指導していた」と組織的不法行為を認定。同年6月28日、東京高裁で確定した。
【東京高裁17年12月26日判決】
元信者の女性が多額の献金を強いられた。高裁は「家庭連合が構築した勧誘、教化の過程に取り込まれ、家庭連合が計画したように信者となったことは確か」「社会的に不相当な勧誘、教化、現金の支出をさせれば、宗教活動の一環でも不法行為」と「勧誘行為」の組織的不法行為を認めた。
準備できるか ぐうの音も出ない質問
使用者責任は1994年以降、27件に上る。直近の判例もある。
【東京地裁20年2月28日判決】
訴えたのは旧統一教会の信者4人から違法な勧誘を受け、多額の献金などをさせられた個人。地裁は信者4人の不法行為に加え、「信者への献金勧誘に関し、直接または間接の指揮監督関係を有するというべきである」として教団の使用者責任を認めた。
さらに、政府の相談窓口への相談約1700件のうち、警察につないだのは約70件もある。岸田首相は刑事裁判の判決確定前でも解散命令を請求できるとしており、70件の中に請求の理由になる事例がある可能性もある。
これだけの証拠があれば、請求しない方が無理がありそうだが、懸念もある。教団への質問内容だ。
永岡文科相によると、質問は文化庁宗務課の8人のメンバーが作成する。永岡氏は「できます。頑張ってやります」と答弁していたが、緩い質問で教団にうまくゴマカされたら、“シロ認定”を与えかねない。
「調査の質問は極めて重要です。長年取り組んできた全国弁連やジャーナリストの有田芳生氏、鈴木エイト氏らに協力を仰ぎ、質問を作成すべきです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
岸田首相は「政府全体として総力を挙げて質問内容等を練り上げる。弁護士をはじめとする専門家の意見も汲み上げていくのは重要だ」と答弁。旧統一教会がぐうの音も出ない質問は作成されるのか。 
●本村弁護士 岸田首相の教団解散命令「ヤル気あるのか疑わしい」 10/22
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から名誉棄損で提訴された弁護士でタレントの本村健太郎氏が22日、ABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」に出演。宗教法人法に基づく同教団への解散命令請求の動きについて解説した。
岸田文雄首相は当初、同法に基づく「質問権」を行使することについて「民法の不法行為は入らない」と国会答弁。翌日には「民法の不法行為も入り得ると整理した」と答弁し、野党から朝令暮改との批判を受けた。
本村氏はモニターに「掛け声だけで終わらせてはいけない! 岸田総理が本気でヤル気があるのか実は疑わしい」と文字で表示し警告。続けて「いきなり180度変えて『やる』と言い出した人ですから、ちょっと信用できないというところはある。支持率が下がっているからあわてて言い出したという感じもある」とその文章の趣旨を説明した。
さらに「本気でやると決めたのであればそれはいいと思う。本気でやれば、これは必ず解散命令まで行くはず。要件は十分満たしているはずです。法令に違反して公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をやってますから。裁判所にこれまでの判例の積み重ねを出せば、当然裁判所は認めます」と今後について見込んだ。
だが一方で、岸田首相は質問権行使による調査を「年内にスタートさせたい」とするなど「かなりのんびりしてます」(本村氏)と危惧。「質問権を行使と方針を転換させたことはいいかもしれない。ただ、これだとちょっと時間がかかりそう。本来は質問権の行使なんてしなくたっていい。解散命令の請求はとっくにやれたし、準備をして取り掛かれば今でもできる。質問権の行使は必ずしも前段階で必要なものではない」と見解を示した。 その上で「コロコロ変わる、唐突に『やる』と言い始めたところが疑わしいので、岸田総理が本気でやる気があって、本気で『やれ』と言えば絶対これは解散命令まで行きます。だからあとは岸田総理のヤル気」と訴えた。
●TBS「報道特集」大炎上 安倍元首相のデジタル献花と旧統一教会の関係 10/22
TBS系の報道番組「報道特集」に対する疑問・批判が噴出している。今月15日の放送で、安倍晋三元首相へのデジタル献花について、「デジタル献花に信者が影響?」と取り上げたため、放送を根拠に「旧統一教会が関係していた」という虚偽情報がネット上に拡散したのだ。最終的に取材対象者全員が関係を否定したが、「信者が影響?」というテロップを入れ続け、取材過程を伝える番組内容だったこともあり、視聴者の誤解が広まったようだ。番組スタッフによる「だまし撃ち」的な取材の疑いも浮上し、テレビ放送に詳しい識者は「印象操作に近い」「許されない取材手法では」などと指摘している。
報道特集は15日、デジタル献花が「祝福二世が発案・実行」したとするメッセージが信者間で出回っていて、旧統一教会との関係の有無を探る内容を放送した。発案者とされる人物や、旧統一教会の信者らに献花を呼びかけるメールを送ったとされる男性、デジタル献花プロジェクトの実行委の男性を取材したが、全員が関係を否定した。
結論としてデジタル献花と旧統一教会との関係はなかったが、約8分間の放送中、画面右上には「デジタル献花に信者が影響?」というテロップが表示され続けた。
この放送後、SNSでは、番組を引用して「やっぱり旧統一教会が絡んでいた」などデジタル献花について否定的な内容の投稿が殺到した。放送行政を担当する総務省にも、番組内容の真偽を確認する問い合わせが寄せられた。
ネット上の騒ぎを受け、デジタル献花プロジェクト実行委は16日、公式ツイッターで、《昨日#報道特集が「デジタル献花に信者が影響?」と題して、旧統一教会の方々にデジタル献花との関係を問う取材をしていましたが、彼らは実行委員会のメンバーで無いことを断言します。「立案者が信者」も事実ではありません。このような発信をあえてしないといけないことが残念です。》と声明を出す事態にまで発展した。
夕刊フジの取材に応じた実行委の中心メンバーの男性は、「(番組が)両論併記でやっていても事実、誤解される方が多数いたのは残念」と話し、番組スタッフの取材手法について、次のように証言した。
男性によると、番組スタッフから今月6日、取材依頼のメールが届いた。そこには、聞きたい項目として「国葬を終えてプロジェクトをどう思うか」「(安倍)昭恵夫人に集まった声をどう渡すのか」などがあったが、旧統一教会に関する内容はなかった。
ところが、11日の取材当日、番組のスタッフは突然、献花と旧統一教会との関係を質問してきた。予定されていた質問はわずかで、ほとんどが旧統一教会に絡む内容だった。
番組の取材に対し、男性は「虚偽が分かったわけなので、報道しない方がいい」とTBS側に伝えたという。案の定、放送された結果、虚偽情報が広がり、男性は「非常に残念だ」と悔やむ。
TBSなど放送各局でつくる日本民間放送連盟の「報道指針」には、取材手法について、「人を欺く手法や不公正な手法は用いない」と定められている。
夕刊フジは、TBSに対して、1今回の報道に問題はなかったか2デジタル献花プロジェクト実行委に対する取材手法の真偽―などについて質問状を送った。
同社社長室広報部は文書で、「番組では『デジタル献花プロジェクトは祝福2世が発案・実行』というメッセージが、信者の間で流れていたという事実について取材を行った」と趣旨を説明した。そのうえで、取材対象者全員が否定したことを放送したと回答した。
門田氏「大問題、BPOが扱う案件だ」 和田参院議員「角度ついてる」
取材手法については言及がなかったため、再度確認をしたが、「回答文書がすべて」と返答してきた。
識者はどうみるか。
元NHKアナウンサーである自民党の和田政宗参院議員は「デジタル献花プロジェクトの実行委が完全否定しても、さも信者が中核に関わったかのような流れで放送され、角度がついている。否定も肯定も補強する証拠を示さず、結論も明示せず、意図的に不十分な内容にしたかのようだ。デジタル献花について誤解をする人を増やした責任は大きい」と語った。
テレビ放送は、国民の共有財産である電波の使用免許を得ておこなっている。電波はテレビ局の私物ではない。
作家でジャーナリストの門田隆将氏は「デジタル献花について視聴者に悪い印象を植え付け、貶める目的の印象操作に近いのではないか。公共の電波を使って、一定の方向に持っていこうとしたとすれば大問題であり、放送倫理・番組向上機構(BPO)が扱う案件だと思う。(実行委に取材依頼した際)本来の取材趣旨を言わないことが事実ならば許されないことだ」と語った。
●旧統一教会への“解散命令”に政府が本腰…現実味は? 10/22
立憲民主党 長妻 昭 議員「気になる点を“質問権”ですけれども、お尋ねします。」
岸田 総理大臣「実態を把握するために報告徴収“質問権”の行使、これが必要であると」
“質問権”とは、宗教法人に法令違反などが疑われる場合、行政が運営実態について、調査や質問をできる権利。その先にあるのは『解散命令』です。こうした動きに教団側は、即座に反応。
旧統一教会 教会改革推進本部 勅使河原 秀行 本部長「誠実にその質問に対して対応させて頂きます。」
20人の2世信者を地区ごとのリーダーに抜擢。コンプライアンス専門の弁護士3人を招聘するなど「教団改革」を訴えました。
では、『解散命令』に向けた“質問権”の行使はどのように行われるのでしょうか?
若狭 勝 弁護士「質問権も何回かにわたってされると思います。寄付というのが、どのような形で、実際行われているのか、そこに宗教団体の幹部が関わるということがあるのか、実態把握をさせた上で、事細かな事実が出てくると、おのずと民事の不法行為責任につながっていくと」
法令違反などがあったと文部科学省が判断すれば、裁判所に『解散命令』を請求。裁判所が違法性を認めれば、『解散命令』が決定します。 
こちらの女性は、これまでに6000万円以上を寄付させられたと言います。
元信者の女性(80代)「退職金が2800万円くらいあったんですよ。「その中から出せるでしょう」と言われて。どんどん献金させられました。保険を解約して、借金をしました。解散して欲しいです。無くしてもらいたいです。私の頭の中から全て消したいです。」
過去に『解散命令』が出されたケースで記憶に残るのは、一連の犯罪行為が認定された「オウム真理教」ですが、「旧統一教会」に対して『解散命令』の現実味は?
若狭 勝 弁護士「初めての民事の不法行為責任を土台にした解散命令の請求であるということになれば、収集されたものをきちんと審査するということになりますので、刑事の判決とは、相当違う形での期間が必要にはなると思います。解散命令が仮に出るとしても、1年以上先にはなると思います」
●岸田首相、信頼回復へ決断演出 「解散命令」着地点不透明 10/22
岸田文雄首相が宗教法人法に基づき、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する調査指示に踏み切った。教団への対応をめぐる政権への批判が収まらない中、解散命令請求をにらむ「決断」を演出した形だ。ただ、実際は着地点の見えない「見切り発車」の面が強く、苦境にある政権の信頼回復につながる保証はない。
予算委目前
首相は17日朝、永岡桂子文部科学相ら3閣僚を首相官邸に呼び、「宗教法人法にのっとり、しっかり対応してほしい」と指示した。野党の追及が予想される衆院予算委員会の初日の論戦が始まるわずか数十分前だった。予算委が始まると、首相は「質問権行使に向けた手続きを進める必要がある。速やかに着手させる」と表明した。
自民党も予算委では、教団との接点が相次いで発覚した萩生田光一政調会長ら2人を質問者に起用。それぞれ「猛省する」「深く反省する」と言及させ、政府・自民党一体で教団問題に正面から向き合う姿勢をアピールしてみせた。
解散命令は裁判所が政府などの請求に基づいて行う手続きだ。これまでに地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教など2団体しか例がない。一方、解散命令の前段とも言える報告徴収・質問は1996年の法改正で導入されたが、実施されたことはまだ一度もない。
首相はこれまで質問権の「発動」に慎重な発言を繰り返してきた。7日の参院本会議では「解散命令の事由に該当する疑いのある場合に限り行使できる」と答弁。14日閣議決定の答弁書でも解散命令請求について「信教の自由の保障を踏まえれば十分慎重に判断すべきだ」と明記していた。
首相が慎重姿勢を転換したのは、安倍晋三元首相の国葬を先月27日に終えた後も、逆風が弱まる気配がないためだ。内閣支持率は複数の世論調査で「危険水域」とされる2割台に落ち込んだ。自民党幹部は「何か思い切った決断をしない限り、世論の熱は冷めない」と解説する。
もっとも、首相も今後の展開を読み切れているわけではない。政府は質問権行使に先立ち宗教法人審議会の意見を聞く手続きに入るが、政府関係者は「行使の要件に該当するかがまず問題になる。行使できても強制捜査権はなく、解散命令請求の証拠集めには限界がある」と漏らす。
創価学会を支持母体とする公明党の高木陽介政調会長は予算委で「基準を明確に整理した上で行使するよう強く求める」とくぎを刺した。
野党は厳しい追及
野党は追及を強めた。立憲民主党の山井和則国対委員長代理は予算委で、教団の調査について「いつまでに終わらせるか」と再三質問。「断定的に言えない」とあいまいな答弁を繰り返す首相を「統一教会を守るのか国民を守るのか。(調査終了が)1年後、半年後なら体のいい引き延ばしだ」と厳しく指摘した。
立民の大西健介政調会長代理は、教団関係の会合出席をさみだれ式に認める山際大志郎経済再生担当相に「閣僚不適格だ。(出席を)忘れたのか、黙っていればばれないと欺いたのか」と辞任を要求。山際氏は「批判は真摯(しんし)に受け止める」と釈明に追われた。
17日の予算委は元妻が信者の高知県の橋田達夫さん(64)が傍聴。この後、首相が調査の期限を切らなかったことに触れ、「失敗を恐れているのか。(望みは)解散命令しかない」と記者団に語った。
●山際担当相の進退と解散命令の方向性 対応を間違えると支持率さらに… 10/22
国会は旧統一教会問題に振り回されている。物価高など課題は山積しているが、遅々として進まないのは教団との関係が次々と明るみに出る山際大志郎経済再生担当相の進退と、宗教法人法に基づく解散命令の方向性が曖昧だから。この2点が明確にならない限り、野党の攻勢も内閣の支持率低下もやまないだろう。
山際氏本人に辞任の意思はなさそうだ。教団との接点について「記憶がない」とし、過去の資料は1年で廃棄しているという苦しい説明を続けている。ただ岸田文雄首相が山際氏を更迭すれば、接点があった他の閣僚にも影響が及ぶ。自発的な辞任がないと、首相は従来通り「過去の接点は不問にし、今後は関係を断てば問題ない」という方針を貫くほかない。
野党側も山際氏を辞任に追い込むと勇んでいたが、このまま辞任しない状況が続いた方が自民党にとってダメージが大きいと判断し、作戦を変更したようだ。
教団に対する解散命令請求についても、岸田首相はブレをみせてしまった。請求要件として宗教法人法が定める「法令違反」の解釈で、「民法の不法行為は入らない」と答弁。だがその翌日に「民法の不法行為は入り得る」と一変させた。解散請求のハードルを引き下げた形だが、ここまで踏み込んで結果を出さなければかえって命取りになるという見方も流れている。
教団の関連団体が国政選挙の際、複数の自民議員に「推薦確認書」という政策協定を求めていたことも新たに判明した。この類の推薦は、選挙時に各種業界団体から各政党に広く出される。自民党はこれまで党としての関係はないと主張してきたが、それではもう説明がつかない。今後の対応を間違えると、支持率にさらに響くことになるだろう。
●「それを言っちゃあ〜おしまいよ」石井参院議運委員長 野党はだらしない 10/22
スマホの速報で、自民党の石井準一参院議運委員長が、衆院予算委員会の17日の質疑について、「まったく緊張感がない。野党がだらしない」と述べたというニュースを見た。映画「男はつらいよ」で、渥美清さん演じるフーテンの寅が吐く、「それを言っちゃあ、おしまいよ」という決めゼリフを思い出した。
筆者も17日の予算委員会は、午前9時から午後5時までほぼ見た。その日の産経新聞朝刊は「今日から予算委。旧統一教会焦点」という見出しだったが、野党の立憲民主党は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に関する質問は意外に少なかった。
予算委員会の直前に、岸田文雄首相が宗教法人法に基づく「質問権」を行使することを決めたことが大きかったのだろう。これで、場合によっては教団の解散命令を裁判所に請求できる。
立憲民主党は出ばなをくじかれた形で、例えば、大西健介氏は「解散命令請求を前提に質問権を行使するのか」という質問を言い方を変えて何度も行い、解散命令請求の言質を取ろうとした。だが、岸田首相は「違法性と組織性がしっかりと確認されることが重要」と繰り返すだけで、「ラクに答弁してるなー」という印象だった。
また、「瀬戸際大臣」と呼ばれている山際大志郎経済再生担当相を徹底追及するということだったが、新しい話はなく、山際氏も拍子抜けだったのではないか。
冒頭の石井氏は「通り一遍の予算委員会で『瀬戸際大臣』のクビを取れるのか」とも語ったという。しかも、岸田首相らと都内の日本料理店での会食で、そういう話をしたと伝えられた。
これが本当なら、岸田首相は山際氏のクビを差し出す覚悟もあるが、「野党がだらしない」ので逃げ切れる自信を持っているということなのか。
岸田首相は翌18日の予算委員会で、石井氏の発言について、「(会食の)席で発言はなかったと確信している」と否定した。まあそうは言っても密室の会話ですしね。
石井氏は18日、記者団に「心からおわびする」と発言を謝罪して、撤回した。
岸田首相の国会答弁は、明らかに安倍晋三元首相や、菅義偉前首相よりうまい。安倍氏は時々、ムキになって野党を挑発したし、菅氏は言葉が少なすぎた。
それに比べて、岸田首相は「聞く力」を発揮して、丁寧に答える。だから就任当初、リベラル系メディアは「岸田びいき」だった。ただ、答弁を重ねるうちに、実は岸田首相は野党の話を聞く気はあまりないことがバレてしまったのだが。
この原稿を書いている18日午前も、岸田首相は丁寧に国会答弁を続け、質疑は淡々と進んでいる。これは「野党がだらしない」ではなく、「野党は攻めにくい」、すなわち「首相が手ごわい」のではないか。こういう首相が意外に長続きするのかもしれない。
●「創価学会」が巨大教団となり得た「超戦略」の中身  10/22
今、宗教のあり方が問われている。
「宗教とはネットワーク」だと話すのは、宗教学者の島田裕巳氏だ。信者はネットワークで結ばれており、その広がりによって、宗教は確固たる基盤を持つようになった。そしてその「宗教の地政学」は、歴史のなかで、さまざまな宗教対立や衝突によって変化してきた。特に、経済成長と宗教の興廃は密接に関係している。日本の新宗教のなかでも巨大勢力となり、政治に多大な影響力をもつ創価学会も、経済成長によって地政学的に拡大してきた宗教の一つだ。
新宗教が拡大をなし得てきた、その戦略の中身について、島田氏の『宗教の地政学』から解説していく。
安倍晋三元首相の狙撃事件をきっかけに、統一教会のことが取り上げられ、自民党の議員などとの関係がさまざまに指摘され、問題視されています。
統一教会自体は、それほど多くの信者を抱えているわけではありません。おそらく、数万人のレベルでしょう。
統一教会の戦略は…
しかし、この教団にはネットワークを広げていく確固とした戦略があったことになります。関連する団体をいくつも立ち上げ、それぞれの団体が自民党の議員に接触し、関係を築き上げていったのです。
それによって、自分たちの活動を社会的に認知させようと試みたのですが、活動するための資金集めに大きな問題がありました。
霊感商法や信者の多額献金に頼るというやり方では、必ずや社会の批判にさらされることになります。それでも、統一教会や関連団体が、反共運動などとして社会的に意味を持っていると判断されれば、それを擁護する声も上がります。
しかし、社会の状況は、統一教会が日本に進出した1960年代とは大きく変わってしまいました。あるいは、合同結婚式やマインド・コントロール、霊感商法で批判され、全国で初めて統一教会の霊感商法への関与と賠償責任が認められた1993年とも今は違うようです。現在では、ネットワークを政治の世界に広げたこと自体が、問題視されるようになったのです。
果たしてこうした出来事が、今後宗教の世界全般にどのような影響を与えるのかは分かりません。ただ、日本では、戦後、時代を経るにつれて、政教分離をより徹底すべきだという声が強くなっています。首相の靖国神社参拝が問題視されたのも、その一環です。
そこに宗教と世俗の論理との対立ということを見ていくならば、統一教会問題も宗教の地政学と深くかかわっている可能性があります。より広い視野から、この出来事を見ていったら、どういう問題が浮上してくるのでしょうか。宗教の地政学を考えることは、現在においても重要な課題なのです。
地方から出てきた人を狙い撃ち
今や世界宗教は、それぞれが地域を棲み分け、地政学的には安定した状態にあるように見えます。キリスト教やイスラム教、あるいはヒンドゥー教や仏教は、それが広がった地域から拡大することもなければ、縮小することもないようです。
しかし、より細かく見ていくならば、さまざまな地域で地政学的な変動が起こっています。また、宗教同士の対立も、さまざまな形で起こっています。
近代の特徴の一つは、宗教がしばしば世俗の権力と対立関係に陥ることです。近代国家は、政教分離を原則とし、宗教が権威を持つ、あるいは権力をふるうことを強く警戒します。
その極端な例が、現在の中国における宗教政策でしょう。共産党政府は、1950年代に、宗教として認めた道教、仏教、イスラム教、キリスト教のカトリック、そしてプロテスタントの5つについては、「愛国宗教組織」を成立させています。宗教を国家の管理下におこうというわけです。
中国は社会主義の政権でありながら、市場経済を取り入れ、急速な経済成長を実現しました。
経済成長と宗教の興廃とは密接に関係しています。私たちに身近な日本の例としては、1950年代なかばからはじまる高度経済成長の時代に、創価学会をはじめとする新宗教が急速に拡大していったことがあげられます。経済が発展することで、都市化が進み、労働力として地方からやってきた人々を、新宗教の各教団が布教のターゲットにしたのです。
都市に出てきたばかりの人々は、学歴が低かった人も少なくなく、安定した職に就くことができませんでした。中小企業や零細企業、町工場や商店に雇われるしかなかったので、生活は安定せず、日常の暮らしを支えてくれる助けを必要としていました。新宗教は、そこを巧みに突いたのです。
重要なのは、経済成長が続くあいだは、将来において豊かになれるという夢を抱くことができた点です。よく「苦しいときの神頼み」と言われますが、私は、苦しいから宗教に頼るのではなく、将来への希望があるから信仰を持つようになるのだと考えています。強い信仰を持ち、勤勉に働けば、豊かさを実現する可能性が開かれてくるからです。
これによって新宗教は巨大教団へと発展し、特に都市部を拠点とすることで、日本における宗教の地政学を大きく変えました。既成宗教は、こうした新宗教の脅威にさらされ、対策を講じなければならなくなりました。
新宗教は、地方都市にも広がりました。そうした広がりの結果、日本で大きな勢力を持つようになった新宗教の一つが創価学会です。創価学会などは政治の世界にも進出していきましたから、各地で既成宗教と新宗教とが対立する事態が生まれました。
「横線」戦略が教団拡大に貢献した
創価学会が勢力を拡大していくなかで重要だったことは政治の世界に進出したことです。当初は、「国立戒壇」の建立をめざしていましたが、これは創価学会が密接に関連した日蓮正宗を国教にするための試みであると解釈されました。創価学会の側は、国教にしようとする試みではないとしましたが、では国立戒壇とは何なのか、それは必ずしも明確ではありませんでした。
むしろ、創価学会が政界に進出した最大の目的は、選挙活動に会員を駆り立てることで、組織の引き締めをめざすことにありました。政界進出を主導した当時の会長、戸田城聖は、選挙になると会員の目の色が変わるので、引き締めに役立つと述べていました。
重要なことは、政界進出をはかる際に、創価学会が組織のあり方を大きく変えたことです。これは、一般の新宗教に見られることですが、信仰は「縦線」でつながる形をとっています。ある人間が、誰かの紹介で入信した場合、その人間は紹介者の属していた支部に所属することになるのです。となると、同じ地域にいる他の信者と所属する支部が異なることになってしまいます。
これは、信仰がどのように受け継がれてきたのかが重要だからです。自分を信仰に導いた人と一緒に活動したい。人はそのように考えるわけです。創価学会でも、当初は、この縦線で会員同士がつながるようになっていました。
ところが、選挙ということになると、地域が重要になります。縦線では具合が悪いわけで、同じ地域に住む会員同士が同じ支部に属していた方が好ましいことになります。そこで、創価学会では「横線」に転換したのでした。地政学的な戦略の大きな転換です。
最近の国政選挙では、選挙区の区割りが頻繁に変更され、かなり複雑な形になっていますので、従来とは違いますが、以前は、創価学会の支部やブロックは、選挙区に対応する形になっていました。今でもそうしたところはいくらでもあります。
政界に進出した時点で、大胆な組織の変更をしたことは、その後を考えればかなり重要なことでした。横線でつながることで、それぞれの地域に創価学会の会員のネットワークが広がることになったからです。
これは、創価学会ほど多くの会員を抱えるからこそできたことですが、地域の会員は支部長やブロック長の自宅で開かれる座談会に集まり、また地域の会館に集まって集いを行うようになりました。本部幹部会の中継も、それぞれの会館で視聴するようになりました。
同じ地域の会員同士は顔見知りですから、たとえば、その地域に会員の店があれば、そこでモノを買うようになります。あるいは、地域が同じなら、頻繁に相談事もできます。このことは、創価学会が巨大教団に発展していくことにも寄与しましたし、教団を維持していくことにも貢献しました。信者同士の線による関係が、地域という面の関係に発展していったのです。
中国・韓国ではキリスト教信者が激増
中国でも、経済が発展するなかで、「法輪功」のような集団が生まれました。法輪功は気功が中心ですが、教祖にはカリスマ的な人気があり、急速に拡大し、共産党の幹部にも信者が生まれました。そこで中国政府は、法輪功を厳しく弾圧するようになったのです。
また、経済発展が続く中国では、キリスト教も信者を増やしてきています。これは、公認されたキリスト教ではありません。「地下教会」や「家庭教会」と呼ばれる非公認のキリスト教で、中国政府はくり返し取り締まりを行ってきましたが、法輪功の場合とは異なり、全面的に禁止するまでには至っていません。すでにその勢力がかなりの規模に拡大してしまっているからです。
経済発展によってキリスト教が拡大する先例としては、韓国の場合があげられます。韓国では、1960年代に「漢江の奇跡」と呼ばれる急速な経済発展が起こります。それに伴って、都市化が進み、韓国の場合には特に首都ソウルへの一極集中という事態が起こりました。
それがキリスト教の信者を拡大することに結びつき、現在では国民全体の30パーセント程度がキリスト教徒であるとされています。たしかに、韓国に行ってみると、教会がたくさんありますし、自分はキリスト教徒だという人物によく出会います。
ではなぜ韓国では、創価学会のような新宗教ではなく、キリスト教が伸びたのでしょうか。
韓国にも仏教が伝来しました。なにしろ、日本に正式に仏教を持ちこんだのは、朝鮮半島の百済であったとされているくらいですから。
しかし、儒教の影響が強く、韓流ドラマの時代劇の舞台となる朝鮮王朝(李氏朝鮮)では、皇帝が儒教を信仰し、仏教を排斥する政策をとったことで、仏教は衰えていくことになりました。
日本でも、明治に時代が変わるときに、廃仏毀釈という事態が起こりました。けれどもそれは一時期のことに終わり、一般の国民のあいだには仏教の信仰が定着したままの状態が続きました。そこが韓国とは事情が異なるのです。
韓国のキリスト教は土着のシャーマニズムと融合
日本の新宗教の多くは、創価学会や立正佼成会、霊友会のように、日蓮系・法華系の仏教教団です。仏教が根づいているからこそ、こうした仏教系の新宗教が広がったと言えます。この3つの教団は、それぞれが独自な形で仏壇を重視しています。日蓮系・法華系の新宗教は、仏壇を祀る運動でもあるのです。
韓国では、仏教の力が弱くなっていたため、日本のような形にはなりませんでした。その代わりにキリスト教が拡大していくことになったのです。ただし、韓国の特徴は、キリスト教が土着のシャーマニズムと融合したことにあります。
ですから、韓国のキリスト教は、日本人が考えるキリスト教とはかなり趣が違います。明治時代以降、日本でキリスト教を受容したのは、上層階級や知識人でした。それによって、キリスト教は洗練された宗教というイメージを確立することに成功します。しかし、庶民層にまでは広がることがなく、信者も増えませんでした。
もちろん、韓国でもオーソドックスな信仰を持つキリスト教徒も生まれました。けれども、現世利益を追い求める信者や、シャーマンのような振る舞いに及ぶ牧師が多かったのも事実です。
この点については、崔吉城氏の『キリスト教とシャーマニズム―なぜ韓国にはクリスチャンが多いのか』に述べられています。少し読みにくい本ですが、いかに韓国のキリスト教にシャーマニズムが影響を与えているかが理解できます。 

 

●旧統一教会 橋田さん元妻の反論動画をユーチューブにまで公開 10/23
『世界平和統一家庭連合』いわゆる“統一教会”が10月20日、6回目となる会見を開いた。そこで教会の改革推進本部長を務める勅使河原秀行氏は国民を驚かせる“サプライズ演出”として、あるインタビュービデオを披露した。
「勅使河原氏は、約1億円の献金をしたことが原因で家庭が崩壊したと訴えている高知県の橋田達夫さんの元妻である信者のインタビュー動画を公開したんです。橋田さんによれば、元妻が“悪霊”がとりついているとして所有の田んぼを売却したことで、9年前に離婚。長男は引き取ったのですが、2年前に彼は庭で焼身自殺したそうです」(ワイドショー関係者)
橋田さんは“顔出し・実名”でメディアに出ることを決意し、統一教会のやってきたことを白日の下にさらしている。しかし勅使河原氏がアポなしで高知までやってきて、「メディアに出ないで」とお願いしにきたという。
橋田さんは会見を見ながら驚きを隠せない様子。勅使河原氏は橋田さんの主張に反論するべく元妻を高知県から東京を呼び出し、インタビュー動画を撮影していたという。
「当然、勅使河原氏は橋田さんを説得できなかったので、“ついで”に高知の元妻にも会いに行きインタビューを依頼したようです。本人の意向で“会見”ではなく“収録”にしたというが、統一教会は山上容疑者の母親が会見をすると言ったときも止めたようですから、信者には自由に喋らせない方針のようです。橋田さんはビデオに出てきた女性が一瞬、元妻と分からなかったようです。普段は化粧をしていないし白い衣装をきていたことで驚いたようです」(テレビ局関係者)
元妻は徹底して教団を守った。自殺した息子に関しては“霊的なこと”をよく口にしていたと明かした。
「息子が嫌がったんです。何かちょっと霊的な子で」
「“お母さん売ったらいいよ”って言うんですよね 田んぼ」
息子が田んぼに悪霊がついているので、先祖代々継いできた田んぼを売却したと主張。さらに橋田さんが、息子は部屋の壁に“教団への恨み言”を書いていたと明かしたが、元妻は“100%ない”と否定。どちらかというと息子は教会に賛成で恨みなど一切ないと反論した。
「元妻は橋田さんの酒癖の悪さを指摘したり、息子は“教会じゃなくて別のことを恨んでいた”と匂わしたりするなどして教会のせいではないというニュアンスを強めていた。さらに統一教会は元妻のインタビューを公式のユーチューブチャンネルに投稿しました。橋田さんの辛い気持ちを逆撫でするような行動で、被害者の心情を完全に無視しています」(スポーツ紙記者)
会見に妻のインタビュービデオが出てくると知らされていなかった橋田さんは「ここまでやる?家族を。勅使河原ここまでやる?教団に電話してくれ!」と憤慨した。
政府は今国会で“被害者救済法案”を提出する見通しだ。果たして政府はどこまで国民が納得できる決断を見せられるのだろうか…。
●自民の茂木幹事長、旧統一教会の被害救済関連法「今国会で成立を」 10/23
自民党・茂木敏充幹事長発言録
世界平和統一家庭連合〈旧統一教会〉の被害者救済について、法整備の議論が進んでいる。我が党でも新しい委員会を立ち上げた。相談体制、宗教法人としてのあり方、実態究明、被害の救済について提言をまとめ、政府に対応を求めていきたい。政府でも急ピッチで消費者契約法をはじめ、関連する法律の見直しの検討を進めている。臨時国会でしっかり成立するようにしたい。
これから深刻なのが、冬以降の電気代、ガス代(の値上がり)。だいたい1カ月の電気代が1万円の家庭だと1万2千円になる。2千円の値上がり分を吸収できるような対策を、今回の経済対策に盛り込みたい。ガスは(電気代との)バランスにあったような形の支援策をとる。これが「1丁目1番地」の政策だ。
先月まとめた予備費を使った対策が2・6兆円。これとはひと桁違う総合的で大規模な対策を立てる。
●自民・柴山元文科相「“統一教会”教義が党政策に反映の可能性は低い」  10/23
旧統一教会の関係団体が政策に賛同するよう記した「推薦確認書」に、一部の自民党議員が署名していたことを巡り、23日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」に出演した柴山元文科相は、自民党の政策に「影響が与えられていないことはない」との考えを示しつつも、「教義が党の政策に反映された可能性は極めて低い」と強調した。
旧統一教会の関係団体は、選挙の際に一部の自民党議員に対し、政策を含む「推薦確認書」への署名を求めていて、応じた議員もいたことが明らかになっている。
このことについて、自民党の柴山氏は、「議員によっては、個別に“政策協定”を結んで、『自分の意に沿った発言をしてくれ』という(要請を受けた)可能性はあると思う」として、党の政策に「影響が与えられていないということはないと思う」とも述べた。
ただ、「党でしっかりと討議を経た上で物事を決めている。“統一教会”の教義が政策に反映されるということは、可能性としては極めて低いと思っている」と強調した。
一方、解散命令の請求の要件について、岸田首相が「民法の不法行為も入りうる」と答弁し、当初の解釈を変えたことについて、柴山氏は、「もともとあまり厳格な規定になっておらず、まだ解釈が固まりきっていないという側面があった」と指摘。「解釈の固まりゆく一つのプロセスとして、有識者の意見を聞いた上で、より妥当なものにしていくプロセスだったのではないか」と、岸田首相を擁護した。
また、「それ(刑法)だけだと、恐らく被害救済には役に立たないという部分がかなりあるので、(民法の)不法行為の中で、ある程度、悪質性の高いものについては入れようと、関係者と協議して、答弁を変えたいうことだと考えている」と読み解いた。 
●旧統一教会の解散命令「請求すべきだ」82% 10/23
毎日新聞は22、23の両日、全国世論調査を実施した。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、岸田文雄首相は宗教法人法に基づき調査すると表明した。政府が旧統一教会への解散命令を裁判所に請求すべきかを尋ねたところ、「請求すべきだ」との回答は82%で、「請求する必要はない」の9%を大きく上回った。
旧統一教会との接点を新たに指摘される度に追認してきた山際大志郎経済再生担当相についてどう思うかとの問いでは、「辞任すべきだ」は71%に上り、「辞任する必要はない」は15%だった。野党は山際氏の辞任を求めているが首相は応じていない。
岸田内閣の支持率は27%で、9月17、18日の前回調査(29%)から横ばいだった。不支持率は65%(前回64%)だった。
●「旧統一教会に入信した母」を映画に ごく普通だったのになぜ… 10/23
ごく普通の、お人よしな母がなぜ――。安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者による高額献金や政治との関係が問題になる中、信者だった母親にカメラを向けた15年前のドキュメンタリー映画がリバイバル上映されている。信仰を巡って揺れ動く家族や周りの人々の姿は、誰の身に起こってもおかしくない現実を突きつける。
2007年公開の「belief」は、監督の土居哲真さん(46)が旧統一教会に入信した母や、母の近くで暮らす兄一家、母を勧誘した信者、被害救済に当たる弁護士や専門家らとの対話を通じ、新興宗教にのめり込んでいく心の有りようを丹念に掘り下げた映画だ。
土居さんが母の異変に気付いたのは04年。当時、岐阜県内の大学院に通っていた土居さんはうつを患い、母に電話で悩みを聞いてもらうことが度々あった。
ある時から、母が電話越しに「神が救ってくださる」と頻繁に口にするようになった。実家は浄土真宗の寺。それまでは「仏様」だったのになぜだろうと思った。ほどなくして、母が旧統一教会に傾倒し、関連施設に通っていることが分かった。印鑑やつぼ、絵画、高麗人参(にんじん)茶なども購入し、献金総額は約2000万円に上っていた。
学生時代から自主映画を撮っていた土居さんは、ビデオカメラを手に広島の実家に戻った。「カメラ越しなら母の本音を引き出せるかもしれない。これは映画になると直感的に思った」と振り返る。
なぜ入信し、大金を献金したのかなど答えづらい質問にも、母は苦悩しながらぽつりぽつりと答えた。悩みを抱える息子のため、先祖のためと考えて信仰を深めた母。勧誘した信者も社会を良くしたい、隣人を救いたいとの思いだったと感じ、怒りはわかなかった。
母はその年、土居さんの強い願いで脱会。「心配しなくてもいい」と思えたのは、兄一家に次男が誕生した時だった。孫を見守る母の背中を見て、旧統一教会のことが家族にとって過去のものになったと思えた。
母は家族のためだと話したが、入信した当時は母が長年勤めた仕事を辞め、数年前に夫も亡くして孤独になりがちな時期でもあった。「心が弱った時、『これが答えだ』と示してくれる人にすがってしまう。ひとごとではなく、誰の身にも起きうることだ」
旧統一教会が合同結婚式や霊感商法で社会の耳目を集めたのは1990年代。映画を初公開した当時、土居さんは「過去の出来事」だと受け止めていたが、上映後に観客から「実はうちの家族も……」と悩みが次々に寄せられ、問題が現在進行形であることに衝撃を受けた。
それから15年。リバイバル上映は、初公開時に上映した名古屋の映画館の支配人からの提案で実現した。当初は事件に便乗している気がして断るつもりだったが、「この映画を必要としている人たちがいるかもしれない」と思い直した。
団体名を隠しての勧誘や高額献金、政治家との根深い関係などが次々と明らかになる現状に驚きつつ、土居さんはこう警鐘を鳴らす。「放っておいたらみんな忘れ、また同じことが繰り返される」
●立民 岡田氏 旧統一教会関連団体「推薦確認書」“自民調査を”  10/23
複数の自民党の国会議員が国政選挙の際、旧統一教会の関連団体と「推薦確認書」を取り交わしていたことについて、立憲民主党の岡田幹事長は、政府や自民党の政策に影響した可能性もあるとして、自民党として調査を行うべきだという考えを重ねて示しました。
複数の自民党の国会議員が国政選挙の際、旧統一教会の関連団体「世界平和連合」との間で、憲法改正や家庭教育支援法の制定に取り組むことなどを記した「推薦確認書」を取り交わしていたことが先週、明らかになりました。
これについて、立憲民主党の岡田幹事長は23日、札幌市で記者団に対し「常識的に考えて、団体側がかなり働きかけをしたのではないかという推測はできる。政策協定を結ぶということは、選挙の応援とセットになっている話だ」と指摘しました。
そのうえで「自民党や政府の政策をねじ曲げたかもしれないという重大な問題だという危機感を持って、茂木幹事長が対応すべきだ。放っておくことは許されない」と述べ、自民党として調査を行うべきだという考えを重ねて示しました。

 

●「裁判外も含め情報収集」岸田総理 旧統一教会関連 10/24
岸田総理大臣は衆議院予算委員会で旧統一教会への解散命令の請求を巡り、裁判以外の和解した例などについても情報収集することを明らかにしました。
岸田総理は訴訟になっていないトラブルについても情報収集に努める考えを示しました。
岸田総理大臣「(過去の事例については)徹底的に裁判例、裁判外も含めて情報収集する。それは、当然のことだと思います。しかし、それと併せて報告徴収、質問権の行使によって、より事実を積み上げる」
また、岸田総理は解散命令の請求を巡って組織性、悪質性、継続性を判断したうえで進めていくと強調しました。ただ、質問権の行使は年内に着手する一方、期限については明言しませんでした。
そのうえで、元2世信者らから「直接お話を聞かせて頂きたい」と述べました。
さらに被害者救済に向けた法案については、この臨時国会に早期に提出したいとしました。
●旧統一教会の被害者から「話聞く」 解散要件、民法違反22件は不十分 10/24
衆院予算委員会は24日午前、岸田文雄首相と関係閣僚が出席し、集中審議を行った。首相は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への宗教法人法に基づく初の質問権行使に当たり、被害者らから直接話を聞く考えを表明した。解散命令請求の要件に関し、政府が確認した民法の法令違反計22件では不十分との見解も示した。
立憲民主党の長妻昭政調会長への答弁。首相は質問権行使の過程で「被害者、弁護士、関係団体の方々の話を聞くことは重要だ」と述べた。
22件の内訳は、民法の不法行為責任が認められた事案2件、指揮・監督する人物の責任を問う使用者責任が認められた事案20件。首相は「過去に解散を命令した事例と比較して十分に解散事由として認められるものではない。報告徴収・質問権を行使することでより事実を積み上げることが必要だ」と強調した。
首相は、これまでに解散命令が行われたオウム真理教など2団体の例は、いずれも刑法違反だと指摘。訴訟外の案件についても情報収集に努める考えを示した。
自民党の一部議員が旧統一教会の友好団体と事実上の「政策協定」を結んでいたことに関し、首相は「各議員が説明すべきことであり、未来に向けて関係を断つことを徹底することが党として重要だ」と述べ、追加調査に否定的な考えを示した。立民の後藤祐一氏への答弁。
2019年に旧統一教会の韓鶴子総裁との写真撮影に応じたと認めている山際大志郎経済再生担当相は「明確にその場面を思い浮かべられることはない」と述べた。山際氏の更迭を求められた首相は「説明責任をさらに果たしてもらわなければならない」と語った。
●”解体危機”でなりふり構わぬ旧統一教会 切り札は「山上の母」か 10/24
旧統一教会をめぐって、岸田文雄首相が「質問権」を行使し、組織を調査する方針を示した。場合によっては教団に対して「解散命令」が出される可能性がある。政界関係者によると
「当初、自民党は“痛み”を伴う旧統一教会への調査には及び腰だった。しかし、岸田内閣の支持率はダダ下がりで10月上旬の時事通信の世論調査では27・4%にまで落ち込んだ。そこで旧統一教会にメスを入れることになった」という。
自民党と深い関係だった旧統一教会にしてみれば、急に手のひらを返されたカタチだ。危機感を持つ教団側は20日午後2時から都内で記者会見を実施。勅使河原秀行・改革推進本部長はその席で「質問権が文化庁から来たときは、誠実に対応させていただく」とアピール。同氏は元妻が信者の橋田達夫さんに面談を断られ、自宅を“アポなし訪問”し、批判を浴びたが「言論を封殺するよう圧力をかけたというのは全く違う」と反論した。
会見では2世信者の救済を目的に、全国68教区に新区長を置くことを提示。黒いスーツを着た20名の男性新区長が登場し、会場は騒然となった。さらに前出・橋田さんの元妻のインタビュー映像をVTRで流すなど、異様な展開となった。
生中継していた読売テレビ『情報ライブ ミヤネ屋』は、元妻のインタビューが流れる直前に中継を中止。表向きは元妻の「個人情報に関わる問題」ということのようだが、実際は「お茶の間に流す内容ではないという判断。元妻が教団を擁護することは明らかだった」(番組関係者)という。
これに旧統一教会側は「偏向報道だ」と反発している。
「教団とミヤネ屋は以前からバチバチにやり合っていますが、最近になって教団側は反対に『ミヤネ屋をうまく利用する』という戦略に変えたのではないでしょうか。会見開始はミヤネ屋の放送開始に合わせた午後2時。生中継で教団側の主張を広く世間に広めようという考えだと思われます」(全国紙記者)
教団側は「解散命令」がチラつき始めたことで、なりふり構っていられないようだ。今回は橋田さんのVTRインタビューだったが、然るべきタイミングで安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者の実母を引っ張り出す可能性もあるのでは、とみられている。
「以前にも何度か母親の会見は浮上しましたが、世間の空気を考慮して取り止めてきた。教団側にとっては“切り札”と言えるでしょう。さすがのミヤネ屋も山上容疑者の母が出てきては、生中継せざるをえないと思います」(同・全国紙記者)
一方、教団への解散命令がアダとなる可能性も指摘されている。『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)の21日放送回では、元オウム真理教幹部でひかりの輪代表の上祐史浩氏がVTR出演。過去に解散命令が下ったのは2例あり、そのうちの1つが’95年に地下鉄サリン事件を起こして’96年に解散命令が最高裁で確定したオウム真理教だ。
当時、オウム真理教で緊急対策本部長だった上祐史浩氏は、解散命令が出た時のことを振り返り、「活動には全く影響を与えなかった」と断言。むしろ「彼らは信仰をやめる気持ちにならないだろうし、先鋭化すると陰謀論的になる。自分たちが弾圧されていて、逆に信仰が悪い意味で深まる」と語った。その上で「もしかしたら、(岸田政権的に)こんなはずじゃなかったという状況になる可能性がある」と指摘した。
玉川徹氏の“舌禍問題”で株を下げたテレ朝にしては“攻めた”内容で、今後も安易な解散命令のリスクを取り上げていくという。
岸田首相のひと声でこれまでのステージからワンランク上がった感のある旧統一教会問題。今後の応酬は激しいものになりそうだ。
●“統一教会”民法の法令違反5件の判例把握せず 岸田首相明らかに 10/24
国会で24日、いわゆる「統一教会」の問題をめぐり岸田首相は、解散命令請求の要件である民法の法令違反について、把握していなかった判例があることを明らかにしました。
岸田首相は、文科省が把握していなかった判例が5件あることを認め、今後、被害者弁護団からも情報収集して実態把握に努める考えを示しました。
立憲民主党・長妻政調会長「被害者弁護団の資料等に基づいたものですけれども(判例は)29件になるんですよ。これ、29件ではないんですか」
岸田首相「22件、文部科学省において把握しているわけですが、残り7件については和解が成立したもの2件、文部科学省が判例データで検索したものの把握できなかったものが5件、これが含まれていると承知をしております」
長妻政調会長「なんか検索して把握できないから落としちゃだめですよ、総理。ちゃんと調べないと」
岸田首相「おっしゃるように判例についてはしっかり把握しなければなりません。この把握されていない判例についても文部科学省において、今後、統一教会問題をよく知る弁護士の皆さんなど情報収集を続けていきたいと思います」
また、野党側は選挙の際に教団の関連団体の「推薦確認書」に署名していた議員について、自民党として調査を行うのかただしました。
これに対し、岸田首相は明言を避け「各議員が説明責任を果たすべきことだ」と繰り返しました。
一方、岸田首相は、いわゆる統一教会問題の被害者と直接会って話を聞く考えを示しました。
●答弁修正、参謀不在が起因 岸田首相、文化庁の意見「うのみ」― 10/24
宗教法人法に基づく世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求の要件を巡り、岸田文雄首相が一夜にして答弁を修正したのは、当初は請求に慎重な文化庁の意見を「うのみ」にしていたためだ。首相官邸が法解釈の変更は可能とする法務省とも事前に調整していれば避けられた「失態」だった。政府・与党内には政権中枢と霞が関をつなぐ参謀の不在を指摘する声がある。
18日の衆院予算委員会。首相は解散命令請求に慎重な立場を崩さなかった。教団に絡むトラブルを巡っては民事責任を認めた判決もあるが、請求の要件はあくまで刑法などの規範違反という宗教法人法の解釈を曲げなかった。
政府関係者によると、18日の答弁は事務方の首相秘書官が文化庁と調整して作成した。同庁は要件に「民法の不法行為は含まれない」との見解。だが、教団に刑事責任を認めた確定判決はなく、従来の法解釈のままだと請求は極めて困難だ。案の定、野党は首相答弁に「解釈を変えないと解散請求できない」と猛反発した。
追い込まれた官邸は18日夜、法務省も交えて対応を協議。同省が「民法の不法行為も要件になる」との認識を示したことから、官邸側は法解釈を転換することにした。19日の参院予算委で答弁の修正を強いられることになった首相はいら立ちを隠さなかったという。
文化庁とのやりとりは、もっぱら事務秘書官が当たってきた。一方、政府関係者は、松野博一官房長官と木原誠二官房副長官はほとんど関与しなかったと明かす。
霞が関や与党との重要な調整は官房長官らが取り仕切ることが多い。事務秘書官は各省のエースだが、難局を乗り切る場合、最終的に首相を支えるのは政治家や腹心の役割とされてきたためだ。安倍政権では、菅義偉官房長官と政務秘書官の今井尚哉氏が永田町と霞が関の双方ににらみを利かせ、難しい案件をさばいた。
政府・与党内では現在、松野、木原両氏に厳しい声が出ている。官邸関係者は「松野氏が舞台回しをできていない」と漏らす。参院自民党幹部は「木原氏が機能していない」と話し、参謀役の不在を嘆く。
自民党内では「首相は孤立している」との見方も出ている。政府関係者は「交通整理できる人がいないから首相の一言でみんな右往左往している」と政権の内幕を明かした。
●旧統一教会巡る民事裁判、「使用者責任を認定」20件 政府、調査へ 10/24
岸田文雄首相は24日の衆院予算委員会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る民事裁判について、「使用者責任が認められた事案」が20件あると明らかにした。
教団を巡っては、組織的な不法行為責任が認定された事案が2件明らかになっており、政府としては少なくとも計22件の民事上の事案を把握したことになる。政府はこれらの事案などを基に、宗教法人法に基づき年内に着手する教団への調査の準備を進める。
●自民党が「統一教会の壺」国会持ち込みを「必死で阻止した」ヤバすぎる理由 10/24
「さすがにこれは…」
「実物を見せながら『この壺は100万円、経典と置物はそれぞれ400万円献金するともらえる』と説明すれば、論より証拠、統一教会がどんな宗教か一目瞭然です。それなのに自民党は『本物かどうかわからないから持ち込むな』の一点張り。まったく解せません」
こう憤るのは、立憲民主党で国対委員長代理を務める山井和則衆議院議員だ。山井氏は10月17日、統一教会の被害者が提供した壺・教典・置物を衆議院予算委員会に持ち込もうとしたが、理事会で待ったがかかった。
昨今では中継映えを意識して、野党議員は国会へフリップを持ち込むことが当たり前になっている。だが今回は政権の泣き所の統一教会がらみ、しかも「モノ」の持ち込みとあって、与党側が神経を尖らせた。自民党中堅議員が明かす。
「理事会では、とにかく政権批判のパワーを削ぐことが我々の仕事。フリップも精査し、少しでも間違いがあれば『持ち込み不可』と突き返します。
ただ今回は壺の現物を出されてしまい、どうやって止めるか相当悩んだ。『さすがにこれが出ると支持率に響く』というのがホンネでしたが、そうも言えず『本物だと証明できるのか』と言うしかなかったんです」
議員事務所にも「壺」が
山井氏は「もちろん、どれも統一教会の被害に遭った人から直接提供された本物です」と語るが、結局許可は下りず、抗議も聞き入れられなかった。
ある自民党ベテラン議員は、「過剰反応」の真の理由をこう語る。
「自民党の議員には、何かしらの壺を議員会館の部屋に飾っている人がかなり多い。国会で壺を出されれば『あの議員が持っている壺は統一教会のじゃないか』とネットで詮索大会が始まり、収拾がつかなくなる」
その中には当然「本物」もあるだろう。自民党議員の事務所から、壺が姿を消すことになりそうだ。
●自民、統一地方選候補に「旧統一教会と関係持たない」指針の順守要求へ  10/24
来春の統一地方選に向け、自民党は「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)との関係断絶を打ち出すため候補者に新たな党のガバナンスコード(統治指針)の順守を求める方向だ。地方議員は1万人以上おり、全候補者に徹底できるかどうかが課題となりそうだ。
自民の茂木幹事長は21日の党改革実行本部総会で「今後、旧統一教会と一切の関係をもたない。(ガバナンスコードを)地方組織にも周知し、順守を徹底していきたい」と強調した。
ガバナンスコードでは、旧統一教会を念頭に、「組織・団体との責任ある関係の確保」との項目を設け、「不当な政治的影響力を受け、その活動を助長すると誤解されるような行動を厳に慎む」と明記した。
旧統一教会を巡っては、地方議員との接点も相次ぎ判明し、統一地方選に向けた「最大の懸念事項」(党幹部)となっている。公認や推薦決定後に、接点が判明すれば選挙戦への大きなダメージとなりかねない。森山裕選挙対策委員長は21日、東京都内での講演で、地方組織へのガバナンスコードの徹底について「県議選、市議選などの(候補者公認の)参考にしてもらえるよう、できれば今月中に通知したい」と述べた。
ただ、具体的な取り組みは地方組織に委ねる形となり、実効性に疑問の声も漏れる。
党関係者によると、地方議員の中には「信者の議員もいる」とされる。地方組織からは、憲法が保障する「信教の自由」の趣旨から、「信者かどうか尋ねることは難しい」と困惑の声も上がる。
党本部に先駆け、神奈川県連は今月、旧統一教会との関係見直しを指示した8月の党本部通達に関し、統一地方選の公認・推薦候補に通達順守の誓約書への署名を求めることを決めた。署名できなければ、公認・推薦の取り消しもあり得るという。ある県議は「誓約書によって『清廉潔白』をアピールできる。選挙戦にプラスになる」と歓迎する。
茨城県連は県議選(12月2日告示、同11日投開票)に向け、既に公認・推薦候補を決定している。県連幹部は「関係が指摘されたら対応するが、告示が目前に迫る中で調査なんてできっこない」と吐露する。
もっとも、地方組織ごとに対応が異なれば、混乱に拍車がかかる恐れもある。石破茂・元幹事長は「47都道府県連でバラバラな対応というのはいかがなものか。党の見解を示すべきだ」と苦言を呈している。
●山際大臣交代も視野に検討 “統一教会”めぐり岸田首相 10/24
国会で旧統一教会の問題をめぐり、野党が攻勢を強める中、岸田首相が、山際経済再生相の交代も視野に検討に入ったことがわかった。
国会記者会館から、フジテレビ政治部・阿部桃子記者が中継でお伝えする。
「辞任ドミノは避けたい」と、当初は交代に慎重だった岸田首相だが、自民党内からも「このままでは、世論はさらに離れる」などと厳しい声が上がっていて、難しい判断を迫られている。
立憲民主党・後藤衆院議員「2019年の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁と撮った写真のことを今の時点で覚えていますか? 覚えていませんか?」
山際経済再生相「定かではありません」
立憲民主党・後藤衆院議員「定かではないというのは、覚えていないということでいいですね?」
山際経済再生相「明確にそこの部分の場面を、わたしが思い浮かべられることはありません」
衆議院予算委員会の集中審議で、野党側は、山際大臣が2019年に、韓鶴子総裁と写真撮影をしたことが先週発覚したことを受け、山際大臣の進退について、さらに追及を強めている。
山際大臣をめぐっては、新たな接点が明るみに出る一方、「記憶にない」との答弁を繰り返し、批判が高まっている。
こうした中、岸田首相は、今後の審議にも影響が出かねないとして、山際大臣の交代も視野に検討に入ったことがわかった。
24日の予算委員会での山際大臣の答弁や、世論の反応を見て最終判断する見通し。 
●「旧統一教会の解散請求を」 宗教研究者25人が声明 10/24
島薗進・東大名誉教授ら宗教研究者25人が24日、宗教法人法に基づく世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への調査で、法令違反や公共の福祉を害する行為が確認されれば、裁判所に対し、速やかに解散命令を請求するよう文部科学省などに求める声明を発表した。
声明は、教団による「正体を隠した勧誘が信教の自由を侵害する」と指摘し、家計を逼迫(ひっぱく)させて破産に追い込む献金要請は「公共の福祉に反する」行為だと批判。同法に基づく質問権の行使で調査を急ぐよう求めた。教団による霊感商法の被害者救済や親の信仰で苦悩する「宗教2世」の支援も要望した。
行使や請求について、有志代表の一人で北海道大の桜井義秀教授(宗教社会学)は「膨大な訴訟を抱える宗教法人は明らかに異常だが、誰もが納得できるよう議論の内容や資料を公表しながら進めてほしい」とも求めた。
●臨時国会の焦点 旧統一教会との「関係を絶つ」基準を示せ 10/24
臨時国会の焦点の1つが、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題だ。安倍晋三元首相を暗殺したテロリストが語った犯行動機に、同教団の存在が報じられたことをきっかけに、政治の一大テーマに浮上している。
結果として、テロリストの犯行目的が達成されたかたちになっているが、私は国会で議論することは有益だと考える。ただ、間違っても「凶行にも理由がある」という風潮を生まないようにしなければならない。
報道などが錯綜(さくそう)して、本質が見えにくくなっている現状からして、公の場でバランスの取れた議論を行うことは重要だ。
政治家と同教団との「接点」が注目されているが、この問題がクローズアップされるまで、大きな社会問題を引き起こしていると、広く認識されていたとは言い難かった。政治家が宗教団体と関係を持ち、支援を受けることはよくある。接点自体を「悪」と決めつける議論はおかしい。
今後は政治家個々が認識を改め、関係を見直すことは当然だ。その意味で、岸田文雄首相が「関係を断つ」と表明し、旧統一教会への宗教法人法に基づく「質問権」行使による調査を表明した意味は大きい。
難しいのは、どのように「関係を断つ」かだ。
例えば、信者が秘書だった場合、その信仰を理由に解雇できるだろうか。一定の線引きをすることになるだろうが、その際、憲法が定める「信教の自由」「結社の自由」と抵触しないよう注意しなければならない。
問題は、教団によって政治や行政がゆがめられたかどうかだ。もし、「ゆがめられた」と主張するならば、具体的事実をもって追及する必要がある。一部報道を独自調査もせずに取り上げ、「報道が事実でないことを証明せよ」というのは無益な論争だ。
同教団が実際、どのような問題を引き起こしているのか、事実関係を明らかにする必要がある。霊感商法や多額の寄付、2世信者の問題が、他の宗教団体でも起きていないかも調べるべきだ。
霊感商法や多額の寄付に、どう対応するかは大きなテーマだ。立憲民主党と日本維新の会が、高額献金防止・被害者救済法案を提出している。場合によっては、与野党共同で法改正を行うべきではないか。
同教団に解散命令請求を行うべきとの主張もある。前出の、質問権行使による調査を受けて判断すべきだ。この権限の発動基準、運用のあり方も含め、幅広い議論をすればいい。
衆参の予算委員会に限らず、他の委員会でも専門的な議論を深めるべきだ。問題解決に向けた建設的な議論を期待したい。
●山際経済再生相 岸田首相に辞表提出し辞任 事実上の更迭か  10/24
旧統一教会との関係が相次いで明らかになっている山際経済再生担当大臣は、24日夜、岸田総理大臣に対し、政権運営に迷惑をかけたくないとして、辞表を提出し辞任しました。事実上の更迭とみられます。
山際経済再生担当大臣は、24日夜、総理大臣官邸で岸田総理大臣と短時間会談しました。
このあと山際氏は記者団に、「岸田総理大臣に辞表を提出してきた。国会で予算委員会が一巡し、これからの国会審議を考えた時に、さわらないようにするべきではないかと考えてきた。このタイミングを逃すわけにいかないと思った」と述べました。
そのうえで、「資料を1年ごとに片づけるということをやってきたため、さまざまな過去の出来事を調べられない状況にあった。したがって、外部から指摘されることによって説明するという後追いの説明の形になり、それが政権に対し、迷惑をかけることになった」と述べました。
岸田総理大臣は経済対策や補正予算案、それに旧統一教会の被害者救済などに優先して取り組みたいとして、辞表を受理し、山際大臣は、辞任しました。
山際氏は、衆議院神奈川18区選出の当選6回で54歳。
獣医師などを経て、平成15年の衆議院選挙で初当選しました。
去年10月の岸田内閣発足に伴い、経済再生担当大臣として初入閣し政権が掲げる「新しい資本主義」や新型コロナ対策なども担当し、ことし8月の内閣改造で留任していました。
しかし、旧統一教会をめぐり、先月、自民党が所属の国会議員を対象にした調査結果を公表したあとも、過去に教会主催の会合に出席していたり、会合でハン・ハクチャ総裁と会い集合写真を撮っていたことなど、「記憶にない」としていた関係が外部の指摘で相次いで明らかになっていました。
このため、野党側は山際氏の更迭を求めるなど、追及を強める中、岸田総理大臣が事実上更迭したものとみられます。
岸田首相 山際氏の申し出を了承 後任は25日に発表
岸田総理大臣は24日夜7時半すぎ、総理大臣官邸で記者団に対し、「先ほど、山際大臣からみずからの政治行動に関連し『経済対策や今年度の補正予算案をはじめとする国会審議に支障や滞りが生じる事は本意ではなく、職を辞したい』という申し出があった。経済対策や補正予算案、旧統一教会に関する被害者救済や再発防止といった重要な課題に専念し、それを最優先にすることから申し出を了とする事を決断した」と述べました。そのうえで、山際大臣の後任について、「あす発表し、あす夕刻、所定の手続きを済ませたい」と述べました。また、みずからの任命責任について、「当然、感じている。任命責任を感じているからこそ、職責をしっかりと果たすことによって責任を果たしていきたい」と述べました。一方、今月まとめる総合経済対策については、「各党からの提案を受けて、最終取りまとめの段階だと認識している。月内の取りまとめについては、予定どおり行いたい」と述べました。
自民と立民の国対委員長が協議
山際大臣の辞任を受けて、24日夜7時半すぎから、自民党の高木国会対策委員長と立憲民主党の安住国会対策委員長が国会内で会談し、25日の国会審議について協議しました。この中で高木氏が、「国会運営にもご迷惑をおかけすることになる」と謝罪したのに対し、安住氏は、予算委員会直後に辞任するのは不誠実だなどとして抗議しました。そして、両氏は、衆議院で25日午前中に予定されていた委員会の審議は行わず、午後1時からの本会議については25日、与野党各党の国会対策委員長会談を開いて、改めて協議することになりました。また、議院運営委員会の理事会に、松野官房長官の出席を求めて、これまでの経緯について説明を受けることになりました。25日の衆議院本会議では、安倍元総理大臣に対する追悼演説を、立憲民主党の野田元総理大臣が行う予定となっていて、会談後、安住氏は記者団に対し、「追悼演説は、通常の国会日程とは違うので、考慮の余地がある」と述べました。また自民党の高木国会対策委員長は、記者団に対し「進退については、山際氏本人が重い判断をしたと思われるので、コメントは控えさせていただく」と述べました。
山際大臣 議員辞職は否定
山際経済再生担当大臣は、記者団に対し「説明責任は国会議員も果たしていかないといけないと思うが、閣僚は、より一段重い立場だと思っている。会合に何度か出席したことが、団体に信用を与えるような結果となってしまったことについては深く反省しており、これからは、そういうことがないようにしていきたい」と述べました。そのうえで「国会議員として、何か法に触れるようなことをやってきたわけではないので、国会議員の活動は、しっかり信用を取り戻すためにこれからも続けたい」と述べ、議員辞職は否定しました。
山際大臣 辞任の経緯
山際大臣は、去年10月の岸田内閣発足に伴い経済再生担当大臣として初入閣し政権が掲げる重要政策「新しい資本主義」や新型コロナ対策などを担ってきました。岸田総理大臣は、ことし8月に内閣改造を行うにあたって、すべての閣僚に対し、旧統一教会との関係を点検して厳正な見直しを行うよう指示し、山際大臣は留任しました。この際、山際大臣は、旧統一教会との関係を点検した結果として、過去に関連団体に会費を支払っていたことや、関連団体のイベントに出席していたことを明らかにしました。そして、自民党が所属の国会議員を対象に行った調査の結果、関連団体の会合に出席してあいさつなどを行っていたと追加で公表されました。しかしその後も山際大臣は◇教会主催の会合に出席していたことや、◇会合でハン・ハクチャ総裁と会い、集合写真を撮っていたことなど「記憶にない」としてきていた関係が外部の指摘で相次いで明らかになりました。そのたびに山際大臣は「覚えていない上、事務所にも資料がなく、事前に確認できなかった」と釈明し、陳謝に追われました。こうした状況を受けて野党側は、山際大臣は閣僚の資質はないなどとして辞任を求めて追及を強めていたほか、与党の公明党からも「説明が明快ではない」などといった指摘が出されていました。
山際大臣と旧統一教会
山際経済再生担当大臣をめぐっては、旧統一教会やその関連団体との関わりが次々と明らかになっていました。ことし8月には、自身が代表を務める政治団体が平成25年3月に関連団体の「平和大使協議会」に会費として1万円を支出していたことがわかりました。その後、旧統一教会や関連団体が主催するイベントや会合に参加していたことも明らかになり、平成28年には関連団体がネパールで開いたイベントに、平成23年にはナイジェリアで行われた関連団体の会合にそれぞれ出席していました。さらに山際大臣は10月、4年前の平成30年に旧統一教会が主催した都内の会合で、旧統一教会のハン・ハクチャ総裁に会ったことや、3年前の令和元年に、名古屋市のホテルでハン・ハクチャ総裁に会い、集合写真を撮影していたことを明らかにしていました。
自民党 党三役経験者「判断遅かったことは否めない」
自民党の党三役経験者は、NHKの取材に対し「残念だが、これから補正予算案の編成というタイミングなので、影響のないよう、山際大臣は辞任の判断をしたのだろう。ただ、判断が遅かったことは否めない」と述べました。
自民党岸田派 閣僚経験者「ギリギリのタイミング」
自民党岸田派に所属する閣僚経験者は、NHKの取材に対し「率直に驚いたし、政権へのダメージは一定程度避けられない。一方で、補正予算案の国会での審議を控える中で、ギリギリのタイミングでの判断だったと思う」と述べました。
自民党の閣僚経験者「もっと早く辞任申し出るべき」
自民党の閣僚経験者は、NHKの取材に対し「国民の理解を得る説明はなされていなかったので、辞任は当然だ。総合経済対策の策定を間近に控え、異例のことであり、もっと早く、山際大臣みずからが辞任を申し出るべきだった。ただ、政権への影響は辞任したことによって限定的ではないか」と述べました。
自民党の閣僚経験者「最後まで守って欲しかった」
自民党の閣僚経験者は、NHKの取材に対し「山際氏は機転が利き、優秀な人材だ。岸田総理大臣は、今年度の第2次補正予算案を成立させるためには、もう山際氏を守りきれないと思ったのかもしれないが、ここまで守ってきたのであれば、最後まで守って欲しかったという気もする」と述べました。
参院自民党幹部「判断遅かった」
参議院自民党の幹部は、24日夜、NHKの取材に対し「このタイミングで山際大臣が辞任の意向を固めたことは、この問題を引きずるよりはよかったが、判断は遅かった。政府・与党としては、こういう時だからこそ、総合経済対策について、規模を含めてしっかり打ち出していくしかない」と述べました。
公明 山口代表 “岸田首相から連絡あった”
公明党の山口代表は、国会内で記者団に対して、岸田総理大臣から山際経済再生担当大臣の辞意について連絡があったと明らかにしました。そのうえで、山口氏は「これまでの答弁ぶりが明快さを欠いていると指摘したが、今回の予算委員会などでもそれが解消されたとは言えない印象だ。本人が辞任を決断したのならばやむをえない」と述べました。また、政権運営への影響について「政権への影響は分からないが、とにかく事態を早く収拾して、次の体制を整えることが大事だ」と述べました。
公明党幹部 “政権にとって大きな話”
公明党幹部は24日夜、記者団に対し「政権にとって大きな話だ。総合経済対策を策定している中で、補正予算案の議論もこれからあるのに先が見えない」と述べました。
立民 泉代表「任命責任は重大」
立憲民主党の泉代表は、記者団に対し「旧統一教会との関係をさすがに隠しきれず、ごまかしきれなくなったのではないか。本来は臨時国会前に辞任すべきだ。政府の総合経済対策の発表直前に担当大臣が辞めることにより大きな混乱と国民生活への悪影響が出てくるので、岸田政権そのものが信頼を失っていくことになる。岸田総理大臣の任命責任は重大だ」と述べました。
立民 安住国対委員長「遅すぎる」
立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「ひと言で言って遅すぎだ。山際大臣は事実関係を誠実に答えず、後追い、後追いで、岸田総理大臣は臨時国会が始まる前に更迭すべきだった。政権全体のマネージメントが本当に問われる事態だ」と指摘しました。そのうえで、「ほかにも旧統一教会との関わりが明らかになる閣僚がいて、放置すれば、岸田内閣の屋台骨が揺らぐどころか、崩壊する。教会の解散命令請求や自民党の調査に本腰を入れないと、いつまでたっても同じことを繰り返していくと危惧している」と述べました。また安住氏は、今後の国会日程について、「不正常な状態に陥る可能性もある。もう1回、予算委員会を開いて、岸田総理大臣をただしたい。政府には国会に経緯を説明する責任がある」と述べました。さらに「岸田総理大臣からは、衆議院として、直接、話を聞かないといけない。山際大臣の辞任は時間の問題であったのに、ここまで引き延ばしたのはなぜなのかを聞く舞台を設定できないか、話し合いたい」と述べました。
維新 馬場代表「疑惑なくなるわけではない」
日本維新の会の馬場代表は、NHKの取材に対し「『これ以上、岸田総理大臣に迷惑をかけられない』という判断で決断したのだろう。政治家の出処進退は自身で決めるものであり、辞任そのものは受け止めるが、この間の疑惑がなくなるわけではなく、説明責任は果たさなければいけない」と述べました。
共産 小池書記局長「遅きに失した 任命責任も」
共産党の小池書記局長は、NHKの取材に対し「遅きに失した。国会答弁に行き詰まって辞任に追い込まれたということで、決断できない岸田政権の問題点がはっきりした。ただ辞めればいいのではなく、山際大臣には旧統一教会との関係をすべて明らかにすることを求めたい。岸田総理大臣の任命責任も問われる。すべての閣僚を調査すべきだ」と述べました。
国民 玉木代表「判断遅すぎる 首相には説明責任」
国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「問題を認識していたのであれば、もっと早く辞めるべきだったし、とにかく判断が遅すぎることに尽きる。旧統一教会の影響を受けないための布陣にしたはずの内閣改造は何だったのかと言わざるをえず、岸田総理大臣自身の説明責任も果たしてもらわなければいけない。後任選びも含め、政策の推進に停滞が生じないよう万全を期してもらいたい」と述べました。
れいわ 山本代表「苦しむ人々 理解しない大臣」
れいわ新選組の山本代表は、「コロナ禍で苦しむ人々や事業者の状況を理解しようともしない経済再生担当大臣だった。そのクビをとることになるのが旧統一教会であったなど、山際大臣とつながりが深いと言われる『真のお母様』でもわからなかっただろう」というコメントを出しました。
山際氏の支援団体の幹部は…
支援団体の幹部、山田隆さんはニュースで山際氏の辞意を知ったといい、「旧統一教会との関わりについて最後まで説明しなかったし、遅すぎると思う。今月、地元の支援者への説明会を開く話もあったが延期になり、その後、連絡も動きもなかった」と話していました。20年以上支援を続けているという80代の男性は、「旧統一教会と具体的にどういうつながりがあったのか支援者で知る人はおらず、説明してほしかった。いつか総理大臣になるということで支えてきたのに、非常にショックで残念だ」と話していました。
●旧統一教会「付き合い深くなく、記憶に残らず」 辞任の山際氏釈明 10/24
山際大志郎経済再生担当相が24日夜の辞表提出後、記者団に語った主な内容は次の通り。
――辞任の理由は。
これからの国会審議などを考えた時にこのタイミングを逃すわけにはいかないと思った。
――月末には総合経済対策のとりまとめもある。この時期に退く責任については。
本当に大変重たいと思っている。ぎりぎり考えた中でこのタイミングしかないと思った。
――何が一番問題だったか。
(世界平和統一家庭連合との接点を含む)自身の資料を1年ごとに大体かたづけてしまってきたので、どうしても自分自身で過去の出来事を調べられない状況にあった。外部からの指摘で説明する後追いになってしまった。結果として政権にもご迷惑をおかけすることになった。
――首相からどんな言葉があったか。
政治家同士の話だから控えたい。
――国会議員は辞職しないのか。
当該団体に信用を与えるような結果となってしまったことは深く反省している。私が国会議員として何か法に触れるようなことをやってきたわけではなく、しっかりと信用を取り戻すためにも活動は続けたい。
――今後の説明責任はどう果たすか。
あらゆる機会を使って説明したい。
――旧統一教会との関係は説明できたと考えるか。
付き合いがそれほど深くなく、自分の(記憶の)中に残っていなかった。それがなかなか納得してもらえなかったのが事実ではないか。
●文科副大臣「サイン求められた」 旧統一教会関連団体の「政策協定」 10/24
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体が国政選挙で自民党国会議員に事実上の「政策協定」といえる推薦確認書に署名を求めていた問題で、宗教法人を所管する文部科学省の井出庸生副大臣は24日の参院予算委員会で、昨年の衆院選で関連団体側から事実上の「政策協定」に署名を求められ、断ったと明らかにした。立憲民主党の田島麻衣子氏の質問に答えた。
井出氏は今年8月、自らのフェイスブックで昨年10月の衆院選で団体側の選挙応援を受けたと明らかにしていた。井出氏は推薦確認書に署名はしたのか聞かれ、「書類を提示されたが、署名はお断りした」と説明した。
教団や関連団体との関係をめぐり、自民が所属議員に実施した「点検」結果に井出氏の名前は含まれていなかった。「教団及び関連団体への選挙支援の依頼」など8項目が報告対象となっていたが、井出氏は、「私からお願いしたことは一切ない」との理由で、党には該当は「なし」と回答したと答弁した。
井出庸生事務所によると、昨年9月、団体側から面会依頼があり、具体的な応援の希望を尋ねられた。井出氏は希望しなかったが「主な街頭演説会場に、聴衆として連れ立ってご参加いただくなどの応援をいただいた」という。
●旧統一教会と推薦確認書 自民 茂木幹事長 “各議員が説明を”  10/24
複数の自民党議員が国政選挙の際に旧統一教会の関連団体と「推薦確認書」を取り交わしていたことをめぐり、自民党の茂木幹事長は、記者会見で、仮に法令違反などの指摘がなされた場合は、それぞれの議員が丁寧に説明を尽くすべきだという考えを示しました。
この中で自民党の茂木幹事長は、記者団から「推薦確認書」について、党として追加の調査を行う考えがあるか問われたのに対し、「確認書を結んだ結果、選挙での実際の支援につながっていたかが一つのポイントだが、その点は党の調査で確認し、結果はすでに公表している」と述べました。
そのうえで「公表した結果以上に、公職選挙法違反の疑いや、不適切な政策協定を結んだといった具体的な指摘がなされた場合は各議員において丁寧に説明を尽くすべきだ」と述べました。
一方、教会側から党所属の国会議員への働きかけの影響については「自民党や政府の政策は、経済社会情勢や政策の優先順位などを踏まえ、幅広い議論によって決定されてきており、特定の団体からの要望によって政策が不当にゆがめられたことはないと考えている」と強調しました。
●宗教法人への献金「上限」規制が何とも悩ましい訳  10/24
自民党消費者問題調査会顧問の柴山昌彦元文科相(弁護士)は23日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済策に関し、宗教法人への献金に「上限」規制を設けるべきかどうかについて、「宗教法人側に信者の収入や預貯金を調べる余地を認める」ことになりかねず、「難しい問題だ」との認識を示した。
高額献金など宗教に関する制度制定の難しさ
国会では、旧統一教会の高額献金や霊感商法の問題をめぐり、被害者救済に関する与野党協議が始まっている。立憲民主党と日本維新の会が共同提出した法案では、マインドコントロールなど、正常な判断ができない状態で、可処分所得の4分の1を目安に「著しい損害」を生じさせる行為について、取り消すことができる、としている。また、被害者の家族らが寄付を取り消せる制度も盛り込んだ。
番組に出演した弁護士の菅野志桜里氏(前衆院議員)は柴山氏の意見に同調、「ほかの宗教団体にも『収入把握してください』という方向になりかねないことを危惧(きぐ)する」と述べた。被害者の家族らが献金を取り消す制度については、献金当事者の財産権を侵害する恐れがあることを指摘した。そのうえで「今回(旧統一教会問題)を解決しつつも、必要以上の網掛けを広げすぎない。このバランスを保つ努力も続けてほしい」と強調した。
番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は「いい献金と悪い献金は絶対に区別できない。ほかの宗教団体に広がったとしても、収入要件を決めて簡単に取り戻せるルールをつくるほうがメリットは大きい」と主張。マインドコントロールについて定義するのは難しく、裁判で争われた場合、長期化するとの見方を示した。
以下、番組での主なやりとり。
橋下徹氏: 国会での議論で(宗教法人への解散命令請求の要件に関し)岸田首相がああいう形で法律解釈をパンと変えることは法治国家としていいのか。手順がある。法律解釈を変更するには、専門家の意見を聞いたり、内閣法制局の意見を聞いたり、宗教法人審議会の意見を聞いたりする手続きを踏まえて、最後に政治がこうすると決めるのが法治国家だ。ところが、岸田政権は先に自分の法律解釈を述べ、質問権やる、やらないを決め、これから専門家会議で基準を決めるとか、宗教審議会の意見を聞くと。これ、手順が逆ではないか。
守られるべき法の解釈変更のプロセス
柴山昌彦氏: プロセスとしては確かに平和安全法制のときの解釈変更は内閣法制局がしっかりと見解を示した。
橋下氏: 賛否両論はあったが、内閣法制局長官を代えながらも一応その意見を出した。
柴山氏: 宗教法人法の解釈については、もともとあまり厳格な規定になっていなかった。会社法なども含めて厳格な規定ではなかったのと、まだ解釈が固まりきっていない側面があった。解釈が固まりゆく1つのプロセスとして、朝令暮改との批判はあったが、有識者の意見を聞いたうえでより妥当なものにしていくというプロセスだったのではないか。
菅野志桜里氏: 橋下氏の問題意識は、変わった後の解釈が自分にとり都合がよければOKで、都合が悪ければダメだという、この判断基準はおかしいのではないかということだろう。私もそのとおりだと思う。今回、民法の(不法行為が入る)余地があった、それをなくした、またあるようにしたという(岸田内閣の)一連の解釈変更は、今、皆が解決しなければと思っているからどうしても結論よければ(それでいい)、みたいになってしまっているけれども、本当はこのプロセスについて何が起きたのか、もう1回きっちり分析しなければいけない。さらに今後に向けて考えたいのは、解釈変更の限界、分水嶺とはどこなのだろうということ。政治の通奏にずっと流れている大事な論点だ。
松山俊行キャスター: もう1つの大きな焦点として、教団に対する寄付、献金の上限を設けるべきかどうかという議論がある。
梅津弥英子キャスター: (番組内での)視聴者投票の結果を見たい。宗教法人への献金について「上限」など規制を設けるべきかどうかとの質問に対し「設けるべきだ」という人は83%、「規制すべきでない」という人は11%、「どちらとも言えない」という人は6%だ。
一般には「上限規制」支持が多いが
松山キャスター: 国会で被害者救済法案をめぐる与野党協議も始まっている。その中で個人の財産権を制限できるのかという議論もある。柴山さんはこの視聴者投票の結果を見てどう思うか。
柴山氏: 一般の方々の感覚としては当然、寄付を野放図にさせてはいけないということで、「上限規制を設けるべきだ」というところに多くの支持が集まっているのだと思う。ただ、実務的に考えてみると、では、寄付を求める側が、例えば、あなたの収入や預貯金の2割とか3割を出してくださいと、そういうことを調べる余地を認めるのか。あるいは、信者になろうとする人や信者の人から、口頭でそういうものを聞けばいいのか。そういうことも含めてかなりしっかり詰めなければ、自分たちの財産状況を宗教法人側に明らかにすることに非常に大きなアレルギーがあり、難しい問題だ。
松山キャスター: 与野党協議では、可処分所得の4分の1を超える献金を規制したらどうかという考え方もあるようだが、これについては財産権との兼ね合いもある。
菅野氏: 2点ある。今、柴山さんが言ったように、収入割合をベースにすると、旧統一教会に収入把握の正当性を与えることにもなる。それ以上に、そんなこと(献金強制や高額献金)をやってきていないほかの宗教団体にも「収入把握してください」という方向になりかねないのを危惧する。また、本来は(献金は)自由なので、経済的に余裕のある人が自分の意思で自分の収入割合でいくら献金しようと本質的には自由。今回(旧統一教会問題)を解決しつつも、必要以上な網掛けを広げすぎないというバランスを保つ。この努力もしっかり続けてほしい。
本当の被害者救済のためには
橋下氏: いい献金と悪い献金は絶対に区別できない。与野党でいろいろ案が出ている中で、マインドコントロールについても出ているが、裁判になったらまた長期化する。本当に被害者救済と言うのなら、収入要件を決めて簡単にそれ(献金)を取り戻すことができるルールにしたうえで、ほかの宗教団体に広がっていったとしても、そのメリット、デメリットを考えれば、簡単に取り戻せるルールを作るほうがメリットは大きいと思う。今、与野党が出している法案、これをやったって、どうせまた、前回の消費者契約法の改正(と同じ)のように、使えない法律になると思う。
松山キャスター: 何をもってマインドコントロールとするかを規定するのはかなり難しい。
橋下氏: (裁判で)争われたら、かなり(難しい)。 
●旧統一教会調査で初行使される「報告徴収・質問権」と宗教法人法改正 10/24
  背後にあった「自民vs創価学会」
臨時国会で政府は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対して宗教法人法に基づく「報告徴収・質問権」を行使する方向性を示しました。仮に実施されれば初めてです。いったい何が可能で、いかなる結果が想定されるのかを概観します。
本来別段珍しくもない行政調査権の行使
「報告徴収・質問権」とは、さまざまな法律で規定されている行政調査権の一種とみなしても大きな間違いではなさそうです。
報告徴収権とは調査のために行政機関が資料の提出などを求める権限。消防署が火事を防ぐために必要があるとした時に関係者へ資料提出や報告を求めるといったケースです。拒否したら罰則も。
質問権は宗教法人に法令違反などの疑いがあったら法人の代表役員、責任役員などの関係者に所轄庁が質問できるというもの。税務署の職員が納税状況などに調査に必要があるとみなしたら納税者に質問できる権限などが似通います。
要するに別段珍しくなく「ありふれている」とさえ言っても誇張ではなさそうな行政権限の行使が「前例のない取り組み」とニュースになるのは根拠法である宗教法人法に同項目が盛り込まれたのが1996年と比較的最近というのも関係しています。
行使できる場合とは
「報告徴収・質問権」を多くのマスコミは「オウム真理教事件を契機に盛り込まれた」と表現しています。確かに一義的には正しい。1995年3月の地下鉄サリン事件発生以前から多くの法令違反疑惑を抱えていたオウムに所轄庁(当時の決まりだと東京都)が何らかの調査をする権限を持たなかったから。
さて、前記に「法令違反などの疑い」と簡略化した部分をもう少し具体的に記して「どんな場合に行使できる」を明らかにしておきます。
宗教法人法は「報告徴収・質問権」を「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした」疑いがある時などに行使できるとしています。つまり政府方針が旧統一教会に、そうした疑いを抱く程度の現状があると認めているわけです。
質問は事前決定、立ち入り調査もできず刑事罰も課されない
実は宗教法人の「報告徴収・質問権」は類似の法令(例示した消防法や税法)より相当に緩やかです。特に質問内容は文部科学大臣は諮問機関である宗教法人審議会に質問内容などの意見を「聞かなければならない」。つまり実際に質問する文化庁(文科省の外局)宗務課職員が自由に問うのではなく実質的に事前に決められた質問だけをする形式。宗教法人の同意なき立ち入り調査もできません。
そもそも「報告徴収・質問権」を行政調査権とみなしたとしても警察のような捜査権限はないのです。
質問を拒否したり偽りの報告をしたら罰則はあるものの「10万円以下の過料」。過料は刑事罰ではありません。交通違反の「反則金」と同類です。
緩やかな規定の背後にあった創価学会を巡る綱引き
首都で化学兵器を用いた稀に見る凶悪犯罪を引き起こしたオウム真理教事件を契機に盛り込まれたにしてはずいぶん緩やかな規定ですよね。実は改正案を論じていた95年段階で真に標的となったのが創価学会であったというのが大いに関係しているようです。
当時、創価学会を最大の支持母体とする公明党は国会議員が小沢一郎氏率いる新進党へ合流して与党自民党と対峙する一方、地方組織は合流しないという立ち位置。同年7月の参院選で新進党が善戦すると政府・自民党が学会に揺さぶりをかけるべく法改正を急ぎました。半分は脅しで半分は誘い水。法改正成立後、学会は「政争の具とするもので」「納得できないし極めて遺憾だ」とのコメントを発表しました。
皮肉にも改正法施行からわずか3年後に自公連立政権が誕生し、民主党政権期を除いて今日まで続いています。たぶんに政局的な恣意が働いた改正であったのが新たに与えられた「報告徴収・質問権」すら鞘の内に止めざるを得なかった行政側の気後れの一因なのかもしれません。
あいまいな解散要件。命令を下すかどうか決めるのは裁判所
ここからは仮定の話として「報告徴収・質問権」行使の結果、違法性が確認されたらどうなるかという流れを説明します。
旧統一教会にとっておそらく最悪なのは政府(狭義には文化庁)が解散命令を裁判所に請求するケース。「請求しよう」と決めるのは行政府で認めるかどうかは裁判所(司法府)です。教団の過去から勘案するに「著しく公共の福祉を害する」「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」が具体的に認定できるかが注目されます。
読んでおわかりのように、この解散要件はかなりあいまいです。政府は質問権などの行使とは別に請求そのものには刑事罰が必要という認識を示してきました。というのも過去に請求された2件(オウム真理教と明覚寺)のみ。いずれも教団トップや幹部などが刑事事件で逮捕されているから。民法の不法行為などを除外するとの判断だったのです。
確かに行政があいまいな線引きで解散請求権を振りかざすのは信教の自由の侵害となりかねません。かといって絞り込みすぎて裁判所への判断すら仰がないというのもおかしな話。しばしば根拠としてあげられるオウム真理教への解散請求を認めた最高裁決定も「刑事罰に限る」とはどこにも示していません。岸田文雄首相が国会で前日とは一転して民法の不法行為も入りうると答弁を翻したのは朝令暮改の批判こそ免れないものの妥当な判断といえましょう。
解散で税の優遇は失っても宗教活動まで制限されない
解散命令請求を裁判所が認めて確定すれば「解散命令」が出され、旧統一教会は宗教法人格を失うものの任意団体としての活動は続けられます。剥奪による最大のデメリットは税の優遇を受けられなくなる点。言い換えると宗教活動まで制限されるわけではないから憲法が保障する「信教の自由」を直接侵害するとはいえないのです。 

 

●岸田首相が目論む「旧統一教会解散」の険しい道 10/25
“前門の創価学会”と“後門の保守勢力”からの挟撃も 
支持率急落に歯止めがかからない岸田文雄・首相は、政治生命にかかわる大きな賭けに出た。それまでの慎重姿勢を一転させ、宗教法人を所管する永岡桂子・文科相に旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する解散請求を前提にした「質問権」発動を命じたのだ。
しかし、教団解散は法的なハードルが高い。旧統一教会は教団関連団体やダミー企業などを通じて霊感商法などを行なってきたが、文化庁の質問権は教団本体に対するもので、関連団体には及ばない。そのため、調査で反社会的活動の実態の全容を解明するのは困難とみられている。
そのうえ、解散請求の要件の一つに「法令違反」があげられているが、これは刑事事件に限るというのが従来の政府の解釈だ。同教団は民事訴訟で賠償金などを支払ってきたが、刑事訴訟の確定判決はない。
これについて、岸田首相は「行為の組織性や悪質性、継続性などが明らかとなり、宗教法人法の要件に該当すると認められる場合には、民法の不法行為も入りうる」(10月19日の参院予算委員会)と政府解釈の変更に言及して強引に解散請求手続きを進めたい構えだが、担当の文化庁は及び腰だ。元文科官僚の寺脇研・京都芸術大学客員教授はこう言う。
「私自身は、旧統一教会は解散すべきという考えですが、ただ、質問権の行使については前例がないだけにスムーズに進むとは限りません。
国の質問権は宗教法人だけが対象で関連団体には及ばないことは首相も認めており、文科省が教団への調査だけで反社会性を立証するのはかなり難しい。裁判での解散命令までもっていけるかは疑問だし、首相もやるというポーズだけで、本音では解散申し立てに腰が引けている」
もっと高い壁も控えている。憲法では「信教の自由」(20条)が保障されており、宗教法人法も国民の信教の自由を侵害しないように宗教法人への政治介入が厳しく制限されている。宗教法人の認証取り消し(解散命令)の権限が担当官庁ではなく、裁判所に与えられているのはそのためだ。
今回の国の質問権発動は旧統一教会の高額献金や霊感商法など反社会的行為に国民の批判が強いことが政府の背中を押しているとはいえ、他の宗教団体にすれば、政治の判断で宗教法人を簡単に潰せるようになることに警戒感が強い。『宗教問題』編集長で保守系団体の動向にも詳しい小川寛大氏が語る。
「他の宗教団体は旧統一教会の反社会的活動を知っているので政府の対応を表立って批判はしないが、これが宗教規制の強化につながることを心配している。とくに戦前、国家権力から弾圧を受けた創価学会などの宗教団体は政府の動きに神経を尖らせているはずです。創価学会は国家権力から組織を守るために政界に進出してきた歴史があり、公明党が自民と連立を組んで政権入りしているのも組織防衛のためという面が強い。
自民党議員の多くは選挙で創価学会票に支えられているから、公明党・創価学会が自民党に宗教法人法の解散請求権の“濫用”をしないように圧力をかければ、学会票に依存する多くの議員からは慎重論が高まる可能性があります」
自民党の支持基盤である保守系団体の反応にも目が離せない。小川氏が続ける。
「日本会議を含めて安倍政権下で自民党の強力な支持基盤として成長し、発言力を強めてきた保守派の団体は、長年、旧統一教会の関連団体・国際勝共連合と一緒に憲法改正運動などを展開してきた歴史的経緯がある。いわば同教団は右派勢力の一翼を担ってきたと言っていい。
それだけに、ハト派リベラルの岸田首相がこの機に教団を完全に潰そうとすれば、保守勢力には右派の弱体化をはかっていると受け止められ、自民党内抗争の火種になりかねない。保守勢力が自民党右派に働きかけて岸田首相に抵抗することは十分に考えられます」
岸田首相が教団潰しに力を入れれば、“前門の創価学会”と“後門の保守勢力”に挟まれて身動きができなくなるという指摘だ。
●旧統一教会解散命令積極策に公明党への配慮はあるのか 10/25
首相・岸田文雄は旧統一教会との「関係を断つ」ことに注力しているが、24日の衆院予算委員会では「旧統一教会問題の被害者と直接会い、話を聞く」と言い出した。その一方、「徹底的に裁判外の例も含めて情報収集するのは当然」とした。全国の公安警察からの蓄積された基礎情報を集め、精査するということだろう。当初から所管する文化庁は「要件を満たしていない」と解散命令に極めて消極的だったが支持率の低下も相まり、首相は積極策に転じたといえる。
自民党議員が言う。「支持率のために急に旧統一教会問題に積極的になるのは結構だが、公明党への配慮はあるのか。ほかの宗教団体はこの動きが憲法20条に抵触しないのか、不安を持つだろう」。加えて消費者庁は13日、「日本アムウェイ」に対し、社名や目的を告げずに勧誘する連鎖販売取引は特定商取引法違反にあたるとして6カ月間取引停止の行政処分を命じたが、米共和党政権に強い影響力のある「アムウェイ」に当局のメスが入ったことと、旧統一教会問題を関連付ける政界関係者も多い。
一方、21日、自民党幹事長・茂木敏充は党改革実行本部総会で「旧統一教会と一切の関係をもたない。(ガバナンスコードを)地方組織にも周知し、順守を徹底していきたい」と宣言した。ガバナンスコードには「不当な政治的影響力を受け、その活動を助長すると誤解されるような行動を厳に慎む」と書き込むものの、それを旧統一教会との関係を指すと理解することは難しく、既に全国の自民党地方議員が教会と深い関係を構築していて響くとは思えない。党内地方議員からは旧統一教会が悪いとは思えないという擁護宣言も出ており、一筋縄ではいかない。自民党議員は「解散命令が出たとしても裁判所判断までは執行猶予期間ととらえる者も出てくるのではないか」とみる。岸田内閣で終結宣言までいかれるか。
●旧統一教会への「質問権」、行使に向け有識者会議が初会合… 10/25
文化庁は25日午前、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に対する宗教法人法に基づく「質問権」の行使に向けた有識者会議の初会合を開いた。質問権を用いた宗教法人に対する調査は前例がなく、 恣意しい 的運用を防ぐため、行使に関する基本的な考え方や基準を議論する。政府は、質問項目を決定後、年内に旧統一教会の調査に着手したい考えだ。
会議は、解散命令請求を視野に入れた最初の手続きとなる。宗教団体幹部や法律の専門家ら19人で構成。文化庁の合田哲雄次長は会議の冒頭、「一般的な基準を定め、内外に明確に示すことが必要だ。次回の会議で一定の方向性を共有したい」と述べた。
文化庁は、有識者会議を数回開き、質問権の行使に関わる基準を策定する考えだ。旧統一教会が基準に該当することを確認した上で、具体的な質問事項などについて、文部科学相の諮問機関である宗教法人審議会に諮問する。同審議会は、有識者会議メンバーの19人が委員を務める。
政府は、審議会の意見を聞き、年内のできる限り早い時期に調査に入る方針だ。重大な法令違反などが確認されれば、裁判所に解散命令を請求する。裁判所が命令を決定した場合、旧統一教会は、税制優遇を得られる宗教法人格を失う。ただ、任意の宗教団体としては存続が可能だ。
宗教法人法は、1996年の改正で宗教法人に法令違反などの疑いがある場合、文化庁などが法人の業務や管理運営について報告を求めたり、質問したりできる規定が盛り込まれた。
岸田首相は、調査の理由として旧統一教会の組織的な不法行為を認めた民事訴訟の判決が2件あることなどを挙げている。
●教団調査へ新基準議論、文化庁 専門家会議、次回に方向性 10/25
文化庁は25日、宗教法人法に基づく世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の調査に向け、基本的考え方や調査権限行使の新基準をまとめる専門家会議の初会合を開いた。11月8日の次回会合で基準の方向性を確認する見通し。その後、文化庁が同法に定められた「質問権」活用の手続きを進め、年内にも調査に着手する。
文化庁の合田哲雄次長は初会合で「本件の重大性と緊急性を踏まえ、さまざまな角度から審議してほしい」と説明。議論と並行して旧統一教会への調査項目を検討していく方針も示した。
専門家会議は宗教や法律の研究者、全国的な宗教法人の幹部や関連団体役員ら計19人で構成している。
●外国人の政治活動の容認が統一教会を拡大させた  10/25
「統一教会はなぜ日本で勢力を拡大したのか?」という問いかけに対し「岸信介が文鮮明の対日活動を支援したからである」というのは誤りではないが不十分な回答である。
統一教会の日本進出・勢力拡大を考えるうえで重要なのは外国人の政治活動である。
統一教会の開祖たる文鮮明は外国人である。もし日本で外国人の政治活動が禁止されていたならば岸信介は文鮮明との面会すら容易ではなく、対日活動の支援などできなかったはずである。
統一教会の日本進出・勢力拡大は実は単純な話である。外国人の政治活動の容認が文鮮明と岸信介その他自民党有力者との接触・支援を許し、日本における統一教会の勢力拡張を実現したのである。
このことから統一教会を消費者保護政策の範疇を超え「政治と宗教」「民主主義」の問題と捉え批判する者は外国人の政治活動の規制を主張すべきだろう。
「元信者」自称者に同情し統一教会に怒りを抱く者も是非、外国人の政治活動の規制を主張してほしい。
既に外国人の政治活動の規制として政治献金が禁止されている。政治活動の禁止事項を増やせば良い。難しいことではない。
筆者のこの主張に対し違和感を覚える方もいるだろう。
しかし、安倍元首相への銃撃テロ以降、突如出現したワイドショーによる統一教会報道では時計の針を半世紀以上前に戻して「統一教会とは何か」と論じ「政治と宗教」「民主主義」といった「高次元」から統一教会、そして自民党を批判している。統一教会報道はまさに徹底している。報道というより歴史番組のようだ。
これほど徹底的に「統一教会とは何か」と論ずるならば「そもそも統一教会の開祖たる文鮮明は外国人であり、彼が岸信介に対日活動の支援を依頼することは『外国人による政治活動』に他ならない」という視点を持つことは自然ではないか。話が大きくなれば着眼点も多くなるからだ。
現在、統一教会対策として宗教法人法に基づく解散命令の請求について議論されているが、当然、統一教会の「信教の自由」は尊重されなくてはならない。
信教の自由は歴史ある基本的人権である。歴史ある信教の自由を脅かす措置を国会でおっかなびっくり議論するよりも既に一部規制措置が取られている外国人の政治活動の規制範囲の拡大について議論するほうが簡単だろう。
議論は簡単なものからすべきであり、統一教会を「政治と宗教」「民主主義」の次元で問題視する政治家・記者・識者は宗教法人法に基づく解散命令の請求より「外国人の政治活動の規制」について議論すべきである。
●指導力を発揮しようとしない岸田首相 旧統一教会と自民政治家の関係 10/25
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を巡り、山際大志郎経済再生担当相は辞任に追い込まれたが、岸田文雄首相はこれまで「本人が説明責任を果たす」と一貫して更迭を否定し、任命責任者として指導力を発揮してこなかった。対応が後手に回っただけでなく、故安倍晋三元首相と教団との関係は調査せず、細田博之衆院議長らも十分に説明責任を果たさないままで、問題の真相究明はなお課題として残る。
首相は、山際氏が教団関連の会合への出席や、教団トップとの同席を報じられてから「後出し」で認める不誠実な対応を繰り返しても問題視せず、8月の内閣改造以来、2カ月以上も続投させてきた。自民党と教団との関係が「底無し沼のよう」(与党関係者)とささやかれる中、他の閣僚や党幹部らへの進退問題の波及を恐れたとみられる。
党と教団の関係に対する厳しい世論の反応を見誤り、教団問題の調査は議員本人任せに終始した。内閣支持率の続落を受け、首相は「関係を断ち切る」と強調するが、党のガバナンス・コード改定案に盛り込まれたのは「誤解されるような行動を厳に慎む」と曖昧な表現にとどまった。来春の統一地方選を控える地方議員への記述も見送った。
最近になっても、複数の党所属議員と教団が「推薦確認書」を交わしていた新たな問題が発覚したが、首相は党としての調査に後ろ向きで、国民の不信感は高まるばかりだ。安倍氏の調査や細田議長の説明責任を含め、首相が本気で問題に向き合わなければ、真相究明は果たされず、国民の疑念はいつまでたっても払拭されない。
●首相「旧統一教会と関係断絶が前提」 経財相に後藤茂之氏 10/25
岸田文雄首相は25日、事実上更迭した山際大志郎経済財政・再生相の後任に後藤茂之前厚生労働相を起用すると発表した。首相官邸で後藤氏と面会後、記者団に明らかにした。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を巡り「まず自ら精査し、接点が確認されたら説明責任を尽くし未来に向けて関係を絶ってもらう」ことを前提に打診したと述べた。
人選については「政治経験の豊富さ、説明能力の高さ、経済社会の変革に向けての情熱の3点を重視し即戦力としてお願いした」と説明した。
月内の総合経済対策の策定や11月の国会提出を見込む2022年度第2次補正予算案に触れ「経財相は幅広く調整を求められる重要ポストだ」と語った。総合経済対策については「予定通り今月末にとりまとめを行える」との見通しを示した。 
●旧統一教会の「政策協定」「知らない」「記憶ない」など閣僚は否定 10/25
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体が国政選挙で自民党国会議員に事実上の「政策協定」を求めていた問題で、岸田政権の閣僚に25日の閣議後会見で教団から提示されたかどうか尋ねたところ、いずれも「知らない」「記憶にない」などと否定した。
高市早苗経済安全保障担当相は「報道などを見て確認をすませたが、(提示されたことは)一切ない」。寺田稔総務相は「提示を受けたこともないし、当然署名をしたこともない」と説明。政府や党の政策への影響について「特定の団体の意見のみが採用されるということはない」とした。
西村康稔経済産業相は「知りうる限り、提示されたことも含めて署名したことはないし、関係ないと認識している」、谷公一国家公安委員長は「まったく記憶にない」、加藤勝信厚生労働相は「事務所で確認した限り、そうした事実はない」、小倉将信こども政策担当相は「私の知りうる限り、一切ない」と述べた。
今年の参院選と昨年の衆院選では、教団の友好団体「世界平和連合」「平和大使協議会」が複数の自民党議員に、事実上の「政策協定」にあたる推薦確認書を提示し、署名を求めたことが判明している。24日の参院予算委員会では、井出庸生文部科学副大臣が衆院選で署名を求められ、断ったと説明した。岸田文雄首相(自民党総裁)は党としての実態調査に否定的な見解を示している。
●安倍晋三が統一教会「文鮮明一族」を党本部に招き入れた蜜月写真を入手 10/25
父親は統一教会トップ、義祖父は文鮮明
統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との関係で、自民党は窮地に立たされている。山際大志郎経済再生担当相は、旧統一教会との深すぎる関係への疑惑と、それに対するブレブレの説明が原因で、10月24日、ついに辞任した。
「表向きは辞任だが、実質的には解任だよ。山際は数年前のことを『資料がない、わからない。覚えていない』と繰り返したが、そんな記憶力では大臣は務まらない」(自民党閣僚経験者)
だが、自民党と統一教会の「ズブズブ」の関係は、そんなレベルでは済まされない。「現代ビジネス」は、今回の問題の発端となった故・安倍晋三首相と統一教会の密接な関係を示す、決定的な証拠を入手した。
2014年3月3日、非公開のFacebook上で【がんばれ安倍さん! at 自民党会館 第二次安倍政権発足1年前】という文言とともに、下の写真を投稿したのは、大塚洪孝なる人物。この大塚氏は、日本の統一教会の会長を二度にわたって務めたトップ・大塚克己氏の長男であり、そして文鮮明氏の孫の夫でもある。この写真は洪孝氏と安倍元首相が写っている。
洪孝氏は、韓国の旧統一教会系の中学、高校に進学し。その後、帰国して早稲田大学に入学した。卒業後は日本を代表する名門商社を経て、2006年8月、統一教会の創設者である文鮮明氏の孫・文信淑氏と祝福結婚した「ロイヤルファミリー」の一員だ。その名は教団内でもつとに知られており、洪孝氏が信淑氏と結婚した翌日には、洪孝氏の父・克己氏が日本統一教会会長に異例の「再選」を果たしている。
洪孝氏が投稿したFacebookでは、2009年9月に文鮮明氏と韓国で船釣りに同行して魚を釣り上げた写真が、妻・信淑さんらと一緒にアップされている(下写真)。文鮮明氏は、統一教会では地上に再来したメシアと認識されている。洪孝氏が文鮮明一族、すなわち「ロイヤルファミリー」であることを明確に示す写真だ。
旧統一教会の信者で、洪孝氏とともに韓国に留学した経験のある男性は言う。
「洪孝さんはお父さんが日本統一教会の会長というエリートですし、いずれは旧統一教会を背負って立つことは間違いない。なんといってもロイヤルファミリーの一員ですからね。文鮮明と魚釣りに同行し、写真をとるなんて、普通の信者ではありえない。
安倍元首相とのツーショット写真をSNSに投稿した件は仲間内でもよく知られていて、まさに旧統一教会と自身の力を見せつけるようなものでした。洪孝さんは嬉しそうに『安倍元首相と話してきた。教会のことを気にかけてくれていたんだ。自民党が政権に復帰し、安倍元首相が返り咲けば、もっと教会と自民党の関係は深くなり、選挙など支援に力が入る』と語っていました」
安倍氏のダンス動画まで
この洪孝氏は、Facebookの統一教会信者が参加するグループで、幾度となく安倍総理との「昵懇」ぶりを示す記述を行っている。そのうちの一つが前述した「がんばれ安倍さん!  at 自民党会館 第二次安倍政権発足1年前」である。
前掲の写真には「元ネタ」がある。2011年12月2日、洪孝氏が「With ex-prime minisiter Abe.」と題して、安倍氏と共に写った集合写真を、トリミングのうえで再掲載したものと思われる。再登板を画策していた時期の安倍晋三総理を応援すべく、自民党本部で会っていたという意味であろう。統一教会の「ロイヤルファミリー」と安倍氏の密接な関係を示唆している。
このほかにも洪孝氏は、2015年10月2日、《let's get together .feel all right.by PM Abe》と、安倍元首相が女性と踊っている動画をシェアしているし、2014年5月4日にも《頑張れ安倍さん》などと応援メッセージを書いている。
また洪孝氏が関連しているとみられる統一教会関係者のFacebookグループには、今年夏の参議院選挙で統一教会の組織的応援で当選したとされる井上義行参議院議員についての記述もある。井上氏は、言わずと知れた安倍氏の元秘書官である。
今年6月24日、世界平和連合主催で「より良い社会の実現」「若者の政治参加への関心と行動」について考えるセッションと称して、井上議員を招いてトークセッションを開催したと書いている。
《井上先生は私たちと志をともにしている》《井上先生は安倍政権において総理大臣第一秘書官を務められ、家庭を中心とする私たちの考えに深く共感し、その内容をいかに実現していくかを真剣に考えておられる》といった記述があった。
「井上先生が食口(シック:信者の意味)だと多くの信者が信じている」(統一教会の現役信者)ことを裏付けるような書き込みだ。
安倍元首相は2021年9月、旧統一教会の関連団体「天宙平和連合」の会合にビデオメッセージを送っていた。それが安倍元首相銃撃事件、山上徹也容疑者の犯行の引き金の一つになったとされている。本人も秘書も、統一教会との関係がいかに深かったかは、今回の記述から裏付けられる。
自民党代議士の秘書募集までやっていた
またFacebook上の統一教会系グループでは、洪孝氏の友人で同じ韓国の統一教会系中学・高校に留学していた人物が、こんな投稿をしている。
《【学生必見! 】 政治家をガチで目指すあなたへ 衆議院議員の秘書を募集! これもとある2世のヒョンから伺った話です。神奈川県? にて衆議院議員に当選された政治家の方が、秘書を募集しているとのことです。(UCの方ではないとのこと。) あなた、もしくはお近くに政治家志望の方がいらしたら、滅多にない機会だと思うので、是非、将来を明るくできるようにご協力をお願い致します。詳しく話を聞きたい方はご一報お願い致します! 》
UCとは旧統一教会を意味する。この投稿からすると、旧統一教会が、自民党に入り込んだうえ、そのルートで衆議院議員の秘書を募集していることが示唆される。
投稿は2013年のものだが、時系列から考えると、2012年の衆議院選挙で当選した自民党選出議員の秘書募集だとみられる。ちなみに今回統一教会との関係が取り沙汰された山際大志郎氏は神奈川県選出である。
元統一教会幹部が語る。
「2009年、自民党から民主党への政権交代がありました。そのとき、教義も考慮して統一教会は自民党推しになった。その作戦は見事に的中し、自民党との関係を築くことができたのです。トップや幹部が自民党に行けば、向こうも気遣って目立ってしまう。だが洪孝氏のような若いロイヤルファミリーであれば、表向きは幹部ではないから、自民党も受け入れやすかった」
かくして、統一教会の「ロイヤルファミリー」である洪孝氏は、自民党本部に招き入れるほどの関係を築いたというわけだ。
これまで統一教会は「政治に直接関与していない。関連団体が政治との関係を持っている」「選挙は信者が自由に投票している」と説明していた。だが、文鮮明の一族が自民党本部に乗り込んで安倍元首相と会っていたとすれば、その説明も疑わしくなる。
今回の写真を見た自民党幹部が沈鬱な表情で語る。
「これが自民党本部で撮影されたというのは、背景のカーテンなどから間違いない。大塚氏は教団トップの息子で、創立者の孫の夫にあたる。一緒に映っている関係者も旧統一教会の幹部だ。自民党が下野したとき、多くの支援団体が去ったが、統一教会は逆に支援強化したことで評価され、以前より関係が緊密になった。民主党に政権交代を許し、自民党が厳しい時代で、安倍元首相も苦労したのだと思うが、なぜ党本部で統一教会の関係者と写真をとったのか理解に苦しむ。周囲はどうして止めなかったのか。旧統一教会の幹部一族がこういう投稿を堂々とFacebookに上げていること自体、問題だ。岸田政権に飛び火しないかどうか心配だ」
安倍晋三元首相と統一教会の関係については、「調査しない」と岸田首相は明言した。だがそれで済まされるだろうか。
●旧統一教会関連組織のパンフに名前が載った「メディア人」の実名 10/25
「麻生太郎副総裁が日本を代表して我々の活動に賛同してくれている」
本誌「FRIDAY」が「麻生太郎 韓鶴子主宰の「旧統一教会関連組織」への“所属疑惑”」(2022年10月14日号)と題し、麻生氏と旧統一教会の友好団体「UPF(天宙平和連合)」の関係について報じたのは今年10月のこと。旧統一教会の韓国人幹部から入手したUPFのパンフレット(ハングル版)に、麻生氏の名前が記されていたことを指摘したものだ。
実は、このパンフレットに名前があるのは麻生氏だけではない。自民党関係者やメディア関係者の名前も複数掲載されている。
UPFとは、旧統一教会系のNGOのこと。05年、故・文鮮明と妻の韓鶴子総裁によって創設された団体で、安倍晋三元首相がビデオメッセージを送った団体と言った方がわかりやすいかもしれない。UPFの活動資金の一部は、旧統一教会からの寄付であり、信者からの献金で賄われている。
そのUPFが「Think Tank 2022」なるグループを立ち上げたのは昨年だ。同組織は、韓鶴子総裁をリーダーとして、政治、経済、学術、宗教、メディア、芸術などの分野から、2000人以上の専門家が集まって組織された国際的なネットワークだという。
「Think Tank 2022」は、世界平和頂上連合(ISCP)、世界平和議員連合(IAAP)、国際平和学術協会(IAAP)、国際平和言論人協会(IMAP)、世界平和芸術人連合(IAACP)など、複数の専門分野に分かれている。
本誌が入手した「Think Tank 2022」の活動を紹介する冒頭のパンフレットの巻末には、国や地域別に、各分野に属する人物の名が記された「リスト」が掲載されており、その中で「Japan」と書かれた欄には、日本で1人だけ、麻生氏が世界平和正常連合(ISCP)に属していることが記されていた。さらに麻生氏は、国際平和言論人協会(IMAP)にも名前があることから、「Think Tank 2022」の2つの組織を“兼務”していることになっていた。
当時、本誌の取材に麻生事務所は、「その団体もパンフレットも知りません」と回答。「抗議や削除要請を行わないのか」と聞くと「削除してほしい気持ちはある」とだけ答えている。
20名以上の政治家、メディア関係者の実名が
実は、このリストの「Japan」の欄には、麻生氏の他にも、20名以上の名が記されているのだ。その主な人物は、自民党の元官房長官・河村建夫氏、元副幹事長・長尾敬氏、元副幹事長・柳本卓治氏、元衆院議員・宇野治氏などの政治関係者。さらに、「コリア・レポート」編集長・辺真一氏、元毎日新聞ソウル支局長や元産経新聞ソウル支局長、統一日報論説委員など、メディア関係者の名前も散見されるのである。
一体、彼らとUPFはどのような関係なのか――。
河村氏の事務所はこう文書で回答した。
「日韓トンネル推進全国会議の結成大会に対し、ビデオメッセージを送ったことがあります。これは、日韓関係友好を推進する立場のものとして、日韓友好に資する事業に賛同し送ったものです。旧統一教会及びUPFの活動に対し賛同した認識はないため、なぜ(パンフレットに)名前が掲載されることになったのか、経緯を確認します」
長尾氏はメールで「関係団体との接点はありました。その内容については、現在発売中の月刊Hanada 11月号に寄稿しておりますので、そちらをご参照ください」と回答。同誌では、UPFの付属機関である平和大使協議会の「平和大使」も務めており、世界平和の実現などを掲げて活動する同団体への協力を拒む理由は見当たらない、などと記されていた。
宇野氏は締め切りまでに回答はなく、柳本氏は、秘書が「本人が『回答はしない』と申しております」と答えた。
一方、メディア関係者はどうか。
「コリア・レポート」の辺真一氏は、名前が載っていたことは「知らなかった」と話したうえで、「心当たりがある」と答えた。
「2014年頃に、『在日の涙』という本を出し、その中で、日韓海底トンネルの話を書きました。領土問題を解決するには、イギリス・フランスのように、海底トンネルで結ぶことによって領土問題を軽減できるというのが私の持論です。関連する講演をしたこともありますので、旧統一教会としては、日韓海底トンネルの共鳴者として私のことをとらえていたのではないでしょうか。本人の承諾もなく勝手に名前を使うというのは、あるまじき行為だと思います。ふざけた話です。よく情報を知らせてくれました」
産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏は、自身の名前が載っていることを「知らなかった」とし、旧統一教会の信者とは取材上の付き合いがあると答えた。
「これまで旧統一教会系の団体、雑誌への寄稿や講演とか、そういうのはありました。日韓トンネルのセミナーに呼ばれたこともあります。しかし、だからと言って『俺は利用された』とか『けしからん』とする(抗議する)こと自体が、彼らの宣伝になることもあるような気がします。(今後、寄稿や講演を依頼されたら)今の日本の社会的状況・世論は、勘案せざるを得ません。そうなると、自粛、遠慮ということになると思います」
元毎日新聞ソウル支局長の長田達治氏は「自分の名前が載っているとは知りませんでした。もし載っているとすれば、平和政策研究所の方から行ったのかなと思います」と話した。長田氏は以前、「一般社団法人 平和政策研究所」という団体から招待状を貰い講演を聞きに行ったことがあるという。その後「世界平和研究」という雑誌が送られてきて、その発行元が旧統一教会の関連団体の「世界平和教授アカデミー」だったと話す。
「我々の活動に賛同してくれている」
ただ、こうした会合には、読売や日経などの記者も参加していたようだが、同パンフレットに、彼らの名はない。
また「旧統一教会とは一切関係がない」とする統一日報論説委員のヒュン・ホン氏はこう話す。
「何年か前、場所は覚えていませんがUPFの大きな会合を取材しに行ったことがあると思います。私は他の日本の団体でも、取材先で名刺を交換したら、(許可もなく)名前を使われたことがあります。だから、そういうことでいちいち反応(抗議)しません」
一部の人を除き、UPFの活動に賛同していない者の名前を勝手にパンフレットに載せるなどということがあるのだろうか。掲載許可の有無や経緯についてUPFの韓国事務所に取材を申し込んだが、締め切りまでに回答はなかった。
冒頭の韓国人幹部はこう話す。
「ここに書かれているように、日本の著名人も我々の活動に賛同してくれているのです」
果たしてどちらの話が正しいのか。リストの中に日本の著名人がズラリと並んだ同パンフレットは、今も韓国国内で信者などに配布されており、UPFの「権威付け」や「お墨付き」に利用されていることだけは確かだ。 

 

●旧統一教会 解散命令が出ても、置き去りにされる「宗教二世問題」 10/26
旧統一教会の問題をめぐり、国会では解散請求に向けて連日議論が交わされている。
岸田総理はこれまで、解散請求は刑事判決のみとしてきたが、翌日には民事判決も入りうるという認識を示した。10月24日には“裁判以外”の和解事例も含めて「徹底的に情報を収集する」と話している。解散に向けいよいよ本腰といったところだろうか…。
この日の夕方には、“後出し大臣”や“瀬戸際大臣”と揶揄されていた山際大志郎経済再生担当大臣が、統一教会との関係の責任を取り辞任した。事実上の更迭といえるだろう。
「山際大臣のほかにも、事務所費問題が浮上した寺田稔総務相や秋葉賢也復興相のスキャンダルも報じられているので、野党は追及の手を休めることはないでしょう。ただ岸田首相が“更迭”するとなれば、他の問題がある閣僚も辞めさせろと、“辞任ドミノ”になりかねない。なので、山際大臣には自ら“切腹”してもらう形で去ってもらったのでしょう。水面下で話がついているだけで、完全な更迭と言っていいでしょう。山際大臣は辞任届を提出したあとの会見でも、“教団と関係は深くなかった”と不貞腐れていましたよ」(テレビ局報道記者)
各社の世論調査でも20〜30%台の最低支持率を更新しつづけている岸田政権だが、統一教会の解散は挽回の切り札として考えている可能性がある。物価高や円安、低賃金など景気は悪いが、統一教会への恨みの問題で安倍元首相を暗殺されただけに、もし教団を解散させることができれば“岸田首相を見直した”となる可能性は高い。
しかし山上徹也容疑者のような“宗教二世”問題は、本当に解決できるのだろうか。
「宗教二世や二世信者のカウンセリングなどをしている専門家に取材すると、なにも統一教会に限った問題ではないようなんです。家族で信者というケースは非常に多く、信仰するのが当たり前で、献金するのが当たり前という教育を受けている二世は多い。そこに信仰の自由などはなく、生まれたときから親によって洗脳されていると言っても過言ではない。もし統一教会が解散したら、ニュースでもあまり取り上げられなくなり、この問題は風化するのではないかという懸念がある。統一教会は事件化したから扱えるが、その他の宗教を扱うと“信仰の自由”を侵害しかねないのでテレビで扱うのは非常に難しい」(ワイドショー関係者)
芸人で、創価学会の元二世信者である長井秀和は、FRIDAY本誌のインタビューで苦悩を明かしている。
長井は15年ほど前に創価学会を脱会したようだが、母親は今も信者だ。父は他界したため、母を心配してお金を渡しても使わずに学会に献金してしまうそうだ。
「置かれた環境だけでいえば、山上(徹也)容疑者と同じ。ただ、彼の家が抱えていたような深刻な問題はなかった。だからといって、全面的によかったということではないけど(苦笑)」
長井はツイッターで自分が目の当たりにした創価学会の闇を頻繁に発信している。統一教会が解散したからといって、宗教二世問題は解決されることはないだろう…。
●旧統一教会問題 調査の手続きを丁寧に進めよ  10/26
反社会的な活動が疑われている宗教法人に対して、初めて調査に着手することになる。政府は丁寧に手続きを進めなければならない。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題で、文化庁が有識者会議の初会合を開いた。政府が教団に対し、宗教法人法に基づいて報告を求めたり、質問したりする際の基準を検討する。
この「質問権」の行使は、前例がない。「国の宗教活動への不当介入」といった批判を招かぬよう、調査前に、宗教関係者や法律家らの意見を聞くのは妥当だ。
今後は、会議の見解を踏まえ、文部科学相が宗教法人審議会に調査の実施を諮問する予定だ。調査の結果、悪質な行為が継続的に行われていると判断すれば、裁判所に解散命令を請求する。
旧統一教会を巡っては、霊感商法や高額寄付の被害の訴えが相次いでいる。憲法は信教の自由を保障しているが、心の問題と、宗教活動を隠れ 蓑みの にした不法行為は別問題だ。過剰な寄付の強要などを放置するわけにはいかない。
気がかりなのは、政府の対応に不安定さが目立つことだ。
岸田首相は、今月18日の衆院予算委員会で、解散命令の要件について「民法の不法行為は入らない」と述べていたが、翌19日の参院予算委では「入りうる」と、答弁を変更した。「政府の考え方を整理した」結果だという。
1995年のオウム真理教の解散命令に関する東京高裁決定は、判断基準に「刑法等」の違反を挙げており、必ずしも刑法に限定していない。首相は、旧統一教会に対する厳しい世論を意識し、基準を幅広く捉え直したのだろう。
だが、首相が答弁を変えるのは異例だ。安全保障政策の専守防衛のように、首相の答弁が政府見解として定着しているものは多い。今回の唐突な対応は、準備不足ぶりを印象づけた形で、残念だ。
文化庁の体制も心もとない。宗務課の常勤職員は8人だけだ。関係省庁の協力が欠かせない。
被害者の救済や法外な寄付の規制に向け、自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党が法整備に乗り出したことは評価できる。
だが、立民と維新の案には、問題も指摘されている。マインドコントロール下での高額寄付について、家族が取り消せる制度の創設を主張しているが、本人の同意のない財産権の制約には、憲法上の疑義が生じかねない。
各党には党利党略を排し、冷静で慎重な議論を望みたい。
●永岡文科相、旧統一教会への質問権行使めぐり対策弁護士連絡会参加否定 10/26
永岡桂子文科相は26日午前の衆院文科委員会で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への宗教法人法に基づく質問権行使について「最大限速やかに、年内の早い段階で行使したい」とした。
前例のない行使に向けた調査を担う文化庁は25日、新基準を策定する専門家会議の初会合を開催し、11月8日に次回会合を行う。
立憲民主党の柚木道義氏は霊感商法や高額献金問題などに取り組んでいる「全国霊感商法対策弁護士連絡会」について「実質的に加わっていただくことが迅速、最速の質問権の行使、解散命令請求につながる」と指摘した。
これを受けた永岡氏は「情報提供を受けたりすることは考えられる」としたが「議論の公平性、中立性の確保のためにも係争の当事者であることも考えられるので加えることは考えられない」と否定的な見解を示した。
●旧統一教会の「関係を断つ」盛り込まず 自民党の行動指針改定はあいまい 10/26
自民党は25日の総務会で、党所属国会議員に社会的な問題がある組織・団体との関係見直しを求める行動指針(ガバナンスコード)の改定を正式決定した。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受けた対応だが、岸田文雄首相が繰り返し強調する「関係を断つ」などの表現は盛り込まなかった。地方議員は直接の対象にしておらず、実効性には疑問が残る。
改定した指針は「活動の社会的相当性が懸念される組織・団体」との関係について、新たに規定。政治的な影響を受けることや、活動を助長すると誤解される行動は「厳に慎む」と明記した。自民党の政策を不当にゆがめたり、相手に「お墨付き」を与えたりするのを避ける狙いがある。組織・団体の実態が判然としないケースを想定し、党本部に国会議員からの照会に対応する体制を整備するとも記載した。
ただ、旧統一教会に特化した内容ではないことを理由に、関係断絶ではなく、慎重な行動を要請するにとどまった。党内には「曖昧でわかりにくい」(若手議員)と、より踏み込んだ表現を求める声もある。
首相は地方議員についても「関係を断つという方針を徹底する」と語るが、来春の統一地方選に向けた立候補者の公認などは「各都道府県連が指針に基づいて判断することになる」(党幹部)見通しだ。事実上、地方組織に丸投げする形で、東海地方の自民党市議は「地方議員の中には現役の信者と思われる人物もいる。何かがあった時、党本部に責任が飛び火しないよう予防線を張ったのでは」と話す。
●“旧統一教会による被害者救済 今国会で”立民 安住国対委員長  10/26
旧統一教会による被害者救済をめぐり、立憲民主党の安住国会対策委員長は「この国会で法案が成立しなければ、何も進まなかったことになる」と述べ、今の臨時国会で法整備を行う必要性を強調しました。
旧統一教会による被害者救済を図る与野党4党の協議会をめぐり、立憲民主党の安住国会対策委員長は26日、党の会合で「被害にあった人たちが納得する結論を出すのが議会の仕事だ。政府のスピード感では間に合わないので協議会を設けている」と述べました。
そのうえで「岸田総理大臣に大きな決断をしてもらわないと、この国会での法案の成立は図れない。成立しなければ、議論はあったが被害者の救済は何も進まなかったことになる」と述べ、今の臨時国会で法整備を行う必要性を強調しました。
一方、安住氏は、今後の国会審議について「補正予算案の質疑では、堂々と経済政策や安全保障で論戦していく。自民党に代わりうる勢力が第一歩を歩み出したことを見せていく国会にしなければならず、追及の手を緩めることなく努力していく」と述べました。
●大串副大臣が「推薦確認書」署名 旧統一教会関連  10/26
大串正樹デジタル副大臣は26日の衆院厚生労働委員会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体による「推薦確認書」に署名したことを明らかにした。署名は昨年の衆院選の際で、推薦状をもらったという。
大串氏は「二度とそのような付き合いをしないと誓う」と釈明した。立憲民主党の早稲田夕季氏への答弁。
これまでに井出庸生文部科学副大臣と自民党の斎藤洋明衆院議員が依頼があったことを公式に認め、実際に署名した斎藤氏は「(教団への)認識が誤っていた」と陳謝した。
大串、井出、斎藤の3氏を含め少なくとも5人の自民党議員側が提示されたと認め、実際に署名した議員もいる。
●立民と維新 旧統一教会の被害者救済などで連携継続を確認  10/26
立憲民主党と日本維新の会の幹部が25日夜、都内で会談し、共通の政策課題での連携によって一定の成果が出ているとして、今後も、旧統一教会による被害者救済などで連携を継続していく方針を確認しました。
都内のホテルで行われた会談には、立憲民主党の泉代表と、日本維新の会の馬場代表のほか、両党の幹事長と国会対策委員長も出席しました。
会談では、共通の政策課題で連携する今の国会での対応をめぐって意見が交わされ、共同で独自の法案を提出するなど、一定の成果が出ているという認識で一致しました。
そのうえで、会期末まで1か月半となり、旧統一教会の問題をめぐって、高額献金などの被害者の救済を急ぐ必要があるなどとして、今後も、連携を継続していく方針を確認しました。
●岸田首相 “更迭”の次の一手「山際、萩生田、下村を公認せず」も辞さず… 10/26
狭い委員室。目の前で、「記憶にございません」と、繰り返すだけの山際大志郎元経済再生担当相(54)を見て、岸田文雄首相(65)は、何を思ったのかー。伏し目がちになったり、虚空を見つめたりと、落ち着かない様子だった。
「統一教会問題は、想定以上に世論のバッシングが収まる気配がない。もともと首相は『安倍晋三元首相の国葬が終われば落ち着くはず』という読みでしたが、その目論見は外れて、支持率が低下するばかり。首相はここにきて、『教団への解散命令はやらないとダメだ』と、かなり前向きになってきました」(官邸関係者)
ようやく出てきた岸田首相の“次の一手”が、史上初の宗教法人への「質問権」行使だ。しかし、それで得られた国民からの好感も旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の韓鶴子総裁との接点を追及され続ける山際氏の存在によって、一瞬で霧散しそうな気配。
10月17日の衆院予算委で「私自身は知る限り、旧統一教会とは関係を持たずに政治活動をおこなってきた」と語った岸田首相にとって、この3カ月はもどかしかった。
「岸田政権にとって痛手だったのは、党、内閣の中枢にも問題議員がいたことです。『教団の名称変更問題』などで追及された下村博文氏。7月の参議院選挙の公示直前に、生稲晃子氏を連れて教団施設を訪れていた萩生田光一氏。そして、閣僚だった山際氏。いわば、“統一教会3兄弟”といえるこの3人をはじめとする問題が、断続的にクローズアップされてきました」(政治部記者)
10月20日には、教団と一部の自民党議員の間で「政策協定」が署名付きで結ばれていたという“新事実”が飛び出した。「政策協定」を結ぶことで、教団から強力な選挙支援を受けていたとみられている。
「統一教会は明らかに、やけっぱちになっている。今後も、政権が把握してない自民党議員の“火種”が出てくる可能性があります。そこで、岸田首相は『身内の議員に対してもかなり厳しい態度を取らなければならない』と思い始めています」(自民党関係者)
それは、旧統一教会との関係が深い議員を、次の選挙で公認しないというものだ。
「9月に自民党が公表した、200人近い“関係議員”全員の公認取り消しは現実的ではありません。“マザームーン発言”の山本朋広氏や、賛同会員だった井上義行氏、山際氏といったズブズブ組はもちろんのこと、『教団からヒト、モノ、カネの支援を受けていた議員は公認しない』という線引きを考えているようです。先の報告書をもとに照合すると、萩生田氏、下村氏も、その範囲に入ってきます」(同前)
岸田首相に近い自民党議員は、こう話す。
「総理はこのところ、週末になると“勝負メシ”のステーキを食べるんです。なぜかといえば、月曜日に各紙世論調査の結果発表があるから。憂鬱なのか、少しでも気合を入れたいのでしょう」
“危険水域”とされる30パーセント割れとなった岸田内閣の支持率。浮上のためには、思い切った「ウルトラC」が必要かもしれない。現職議員の多くを失うことは自民党にとって痛手だが、その穴を埋める仰天プランがあるという。
「野党から呼び込むんです。立憲民主党内部では今、リベラル系と保守系との溝が深い。その保守系の筆頭が、安倍元首相の追悼演説を務める野田佳彦元首相。野田氏に近い立憲議員なら離党にも応じるだろうと、自民党は踏んでいます。“野田王国”と呼ばれるほど影響力を持つ地元・千葉県は、衆議院の10増10減で“増”の恩恵を受けます。自民党入りにともない“国替え”となっても『野田さんのいる千葉ならいいか』と思う議員も多いでしょう」(前出・自民党関係者)
“検討使”と揶揄された男にやれるのか? 
●旧統一教会『解散命令』で資金集めなど大幅制限も宗教団体では活動可能 10/26
宗教法人法に基づく「質問権」を初めて行使して「旧統一教会」への調査を年内にも実施したい考えを示した岸田文雄総理。10月25日に、宗教法人法に定められた「質問権」の行使について、基本的な考え方や基準を検討する専門家会議の初会合が開かれました。こうした中、旧統一教会関連の訴訟を長年手掛けてきた紀藤正樹弁護士は特に未成年者が多い2世信者問題について「未成年者の1年は大人の10年に匹敵するため、解散命令や新法を作るなどを急いでほしい」と話しています。
『スピード感が大事』『省庁の枠組みを超えてルール作りを』
――山際経済再生担当大臣が辞任となりましたが、ここまでの流れをどのように受け止めていらっしゃいますか?
「予算委員会が本当に空転しましたよね、私ども被害者を支援する立場なので、こういう事情がわかることはいいことだと思います。しかし予算委員会で本来やるべき経済再生の話はほとんど出なかったということもあって、やはりちょっと残念な感じがしますね」
――質問権とは宗教法人が解散命令に該当する疑いがある場合、文科省又は都道府県が運営実態などを質問することができるというものです。その運用ルールについて宗教法人審議会の委員での話し合いが行われたということですが、この点はどう思われますか?
「各省庁の枠組みを超えて専門家チームを結成してルール作りにあたるべきです。例えば法務省・文科省・消費者庁・警察庁など幅広い枠でチームを作るということです。また、質問権を行使する内容と基準を同じ宗教法人審議会の委員が、専門家会議で質問を発するという相互矛盾した状態になっています。基準は政府側で作るべきであって、質問案を作りそして宗教法人審議会に諮問するのが本来のルールだと私は思います」
――質問権を行使する場合、どのような点が重要と思われますか?
「スピード感がとても大事ですね。国民から見ると基準ってまだ作ってないのかと思うのが我々の常識だと思うんですよね。今から基準を作ること自体が後手後手で、スピード感を感じられないようなやり方になっています。特に2世信者は未成年者が多いです。未成年者にとっての1年は大人の10年分ぐらいに匹敵しますから、そういう意味では早期に解散命令までもっていくか新法を作るなど急いでいただきたいんですよね」
『解散命令』出ても宗教団体としては活動可能 資金集めは大幅制限 
――質問権行使にはどういった側面が強いと思われますか?
「宗教法人法上、解散命令をいきなり出すことはできます。過去の事例ではいずれも質問権の行使をせずに解散命令を申し立てたんですよ、オウム真理教の事件も含めて。つまり質問権の行使をして、一応旧統一教会側の言い分を聞くと、その質問内容が任意の質問に近いので、まともに回答されるとは限らないわけです。だから、極論を言うと嘘をついても構わないんですよ。だけども嘘をついてることが客観的な証拠と矛盾すれば、解散命令の裁判では証拠上有利に扱われます。言い分が不自然、不合理な言い分は一般的には嘘と考えられますから、嘘をつかれることを前提に解散命令、質問権の行使をするわけであって、今回はその前提として相手方の言い分を聞くと、だから手続きの側面が非常に強い。質問権の行使をするにあたって最終的にはどの程度の証拠が政府の中で集められていくかということが一方で焦点になっていくと思います」
――質問権の行使などを経て解散命令が出たら旧統一教会はどうなるんでしょうか?
「宗教法人ではなくなるが、結論から言うと、宗教団体として活動はできるんですね。オウム真理教のときのように市民グループとして活動していくのではないかとみられます。韓国への送金は規制の対象になります。旧統一教会の動きを規制するには大きな効果があるのではないかと思います。宗教活動としてはかなり制限される側面があって、特にお金集めの面では、活動は大幅に制限されるでしょうから。今のような集金体質のあり方は是正せざるを得ないだろうなと思います」
――旧統一教会の場合、民事訴訟ですが裁判所がどのように判断すると考えますか?
「過去の刑事事件も当然旧統一教会との関係で収集された証拠があるはずなんですよ。今度は刑事事件の裁判とは離れて、旧統一教会の問題に関しては、収集された証拠が解散命令の根拠になっていくと思います。民事事件に限らない証拠が、いわば解散命令の申し立てで政府から提出されるということが予想されます」
●旧統一教会、質問への回答 「違法な勧誘、信者が自主的にした」 10/26
政府による世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への質問権行使に向けた動きが具体化する中、教会側はこれまで6回(主催は4回)にわたり記者会見を開き、独自の改革案やメディア報道に対する見解を表明している。
弁護士ドットコムニュースは3回参加(うち主催は1回)。9月22日に参加して以降、希望はしているものの「大手メディア限定」「会場の関係上」などの理由で受け入れられていない。会見で質問することがかなわないため、広報にメールで送ったところ回答が返ってきた。
あくまで「信者が自主的にした」論
宗教法人法の解散命令請求の要件をめぐって、国会の論戦が活発化している。岸田文雄首相は「民法上の不法行為も対象となる」と表明した。
民事上の違法性が認められた判決は、正体を隠した伝道手法を違法と認めた「青春を返せ訴訟」などがあるものの、教会側代理人の福本修也弁護士は会見で「使用者責任が認められただけ」との見解を示している。
この点について「信者が勝手にやった」という認識かどうか問うと、こう回答がきた。
信者が自主的にしたというのが実情です。民法709条の不法行為責任ではなく民法715条1項の使用者責任が認められたのは、このためです。
一方、刑法上の認識について教会側は2009年に霊感商法の会社「新世」関係者が特商法違反事件で罰金刑を受けたことについて、組織として罪に問われたことはないとの立場だ。組織の関与がないならば、コンプライアンス宣言を出す必要もないのでは、と聞いたところ、回答は以下の通り。
職業選択の自由があるため本来信者の活動は自由なはずであり、このため教会から注意勧告することはありませんでしたが、新世事件のおりには、信者の活動の関係で、教会施設に警察の強制捜査が入るなどしたため、信者の活動であっても、教会活動と誤解されることがあってはならないとの観点から、コンプライアンス宣言を出すに至りました。
国際リーガルチームの詳細は謎のまま
10月20日の会見で示された新たな改革案についても聞いた。教区リーダーに昇格させた20人の2世信者は、すべて男性で30〜40代。現場教会の状況を踏まえ、両親との対話から家庭訪問などを中心に行う予定だという。
また、第三者的立場でコンプライアンスの助言をしていくと紹介された日米の3人の弁護士については「第三者機関として今後の改革をサポートする弁護士です。もちろん、家庭連合の信者ではありません」としながらも、詳細についての回答は控えるという。
このほか、9月末に高校生以上の2世信者を対象に行なった緊急アンケートについては、公表する予定はないとの回答。また、山上家のような「過度な献金」の該当例、改革発表後に返金に応じた事例の数を聞いたが「回答を控えさせていただきます」とのことだった。
●旧統一教会の野望を40年前に見抜いていた、米「フレイザー報告書」の慧眼 10/26
ついに山際経済再生相の更迭に踏み切った岸田内閣だが、旧統一教会問題の実態解明にむけてはまだまだ及び腰といえる。これとは対照的なのがアメリカだ。今から40年以上も前に政治と旧統一教会の関係が問題となったが、強い危機意識を持った連邦議会によって驚くほど精密な調査が行われていた。
旧統一教会調査の「日米差」
ここにきてようやく大臣がひとり”更迭”されたが、自民党によれば、旧統一教会と何らかの接点を持っていた議員は党内379人中179人にものぼる。
本来ならば、カルト教団が与党自民党にいかに影響力を行使し、国政に干渉することがあったのかどうか、そして公正な民主主義が脅かされることはなかったのかなどにつき、きちんとした調査が必要なはずだ。
だが、この期に及んで自民党は「点検」という小手先の調査でお茶を濁そうとしているように見える。車の車検じゃあるまいし、部品の交換で済む話ではないだろう。
同じ「点検」でもアメリカの行った「点検」はMRIを使ったような精密検査だった。じつは今から40年以上も前に、アメリカでも政治と旧統一教会の関係が問題となり、連邦議会によって民主主義の「精密検査」が実施されたのだ。
少々古い話なので、当時の時代背景を振り返っておこう。
ことの発端は韓国の朴正熙(パク・チョンヒ)政権がKCIA(朴政権時の中央情報機関)や実業家を使って、不正に米国の内政・外交に影響力を及ぼしているのではないかという疑い、いわゆる「コリアゲート疑惑」(1976年)が浮上したことだった。 
ニクソン政権が在韓米軍の削減・撤退の方針を打ち出したのは1970年代初めのこと。そうなると北朝鮮への抑止がなくなってしまうことを危惧した韓国政府は米政界に働きかけ、その方針を撤回させようとした。
その工作の重要な「実働部隊」となったのが、文鮮明率いる旧統一教会の関連組織だったのだ。
「コリアゲート疑惑」の「点検」を担ったのは米下院の国際組織小委員会だった。民主党のフレイザー議員が委員長を務めたことから、「フレイザー委員会」とも呼ばれる。
その「フレイザー委員会」が1977年から1年半にわたり、11カ国、1563回の聞き取り、123回の召喚状、20回の聴聞会、37人の証言記録をもとに作成したのが「フレイザー報告」である。その量は膨大でじつに447ページにも及んだ。
危険な宗教カルトの本質を見抜く徹底ぶり
これを読んで驚くのは、文鮮明が作った旧統一教会関連組織の本質を見事に見抜き、米国の政治機関が強い危機意識を持って対処したことが余すことなく記述されていることだ。
「フレイザー報告書」は当時の旧統一教会がKCIAの方針で勢力を拡大し、海外の政治工作の手段として使われたと指摘している。たとえば、以下のような記述――。
「1961 年の(韓国の)軍事クーデター直後、首相などを歴任した政治家・金鐘泌(キムジョンピル)がKCIAを設立し、新政権のための政治基盤として掌握した。1963年2月付のCIA未精査報告書によると、金鐘泌がKCIA長官時代、旧統一教会を組織化し、政治の駒として使っていた」(フレイザー報告書・354ページ)
KCIAが旧統一教会を事実上、政治組織化したという表現に、教団側のスポークスマンは強く否定したとされる。
しかし、報告書には1962年にサンフランシスコ・ホテルの一室で教団の古参幹部と金鐘泌が秘密会合を開き、その席で金鐘泌が「旧統一教会の活動を政治的に支援するが、内密にしてほしい」と発言したという会合参加者の証言が記載されている。
こうして、それまで米国内で「田舎のセックス教団」(シカゴ・トリュビューン紙・1978年3月28日付)扱いされていた旧統一教会が、70年代になってKCAIが運営する国際的組織へと変貌したと、同報告書は分析している。
教祖の性癖から政治活動の特徴まで
旧統一教会の実態についての「点検」も綿密だ。1966年8月26日ソウル発の米国大使館極秘電報を公開し、そこに教団の実態がこう記されていたと報告している。
「(旧統一)教会は聖書を性的に解釈し、宗教的経験はセックスと相関関係にあると主張する。教会の指導者、文鮮明は性的行為の数々で逮捕歴があるが、教団スポークスマンは『逮捕は事実だが、起訴には至らなかった』と反論している」
また、教祖の性癖だけでなく、旧統一教会の政治活動の特徴についても教祖の文鮮明の発言を引用し、的確に分析している。まずは文発言から紹介しよう。
「われわれが全力疾走できないひとつの要因は、勝共イデオロギーに基づいてわれわれの運動を教会として宣言できないことにある。我々の哲学、統一思想が神学教義に基づいていることを人々に理解させる必要がある。でなければ、勝共運動を教会運動につなげられない」(339ページ)
「何事も政治的な表現で語ってはならない。『政治には関心がない。われわれは政治のためでなく、人道的動機でやっているのです』と説明しなければならない」(1974年当時、アメリカ政界工作として行った在韓米軍撤退反対デモの準備過程での信者向け発言)
その上で報告書はこう指摘する。
「免税団体が政治活動を制限されていることを十分に認識してか、文鮮明の機関(注・報告書では一連の統一教会関連組織をMoon Organizationと呼んでいる)のスポークスマンは政治活動を宗教的用語で説明することが多い」
旧統一教会関係者がしばしば政治性の強い、生々しい内容を宗教的メタファー(暗喩)として語ることが多いのは、政治的表現を使うことのリスクを教祖自身が把握していたからだと報告書は見る。
こうした分析に教団側は「われわれの共産主義思想や教義に対する感情は政治的感情ではなく、精神的・宗教的感情である。(中略)神に選ばれた国、韓国は共産主義の純粋な具現化としての北朝鮮に勝利しなければならない」(70年代に米国統一教会を主導したニール・サローネン氏・報告書339ページ)と反論したとされるが、これに対しても元信者の証言をもとにこうダメ押ししている。
「(統一教会は)教会などではなく、明確な党派性を持った明らかな政治組織だ。Moon Organizationの目標は政治だ」(元信者で宗教コンサルタントも務めるアラン・ウッド北テキサス州立大学教員)
工作チームには日本人女性信者も
70年代初頭から中頃にかけて、旧統一教会は米中間選挙でさまざまな活動を行っていたが、もっとも力を入れたのは、ニクソン大統領の弾劾阻止だった。ウォータ―ゲート事件(1972年)をきっかけにニクソン弾劾へと動いた議会と世論を何とか止めようと動いたのだ。
劇的な米中和解を実現し、「反共闘士」の看板を外してしまったニクソンをなぜ、教団が支援したのかと疑問に思うが、「フレイザー報告書」によれば、その狙いはアメリカ政治の流れを変えることで、教団に対する韓国政府の評価を高めることだったという。
報告書は旧統一教会のハニートラップまがいの工作についても赤裸々に明かしている。それによると1971年、文鮮明の肝入りで少人数の若い女性信者が集められ、特別PRチームが編成されたという。
その任務は、1議員やスタッフと親しくなり、2統一教会を理解させて否定的イメージを改善し、3議員やスタッフを韓国の支持者にする、の3つだ。それで、ある程度親しくなったらワシントン・ヒルトンのスィートルームで夕食を共にし、教団のPRビデオを見せるなど、詳細な手順が決められていたとされる。
当初、女性信者チームは複数の日本人信者を筆頭に8人態勢だったが、のちに20名(うち男性信者3名)に増員され、約3年間に連邦議員5名とそのスタッフ5〜6名がスィートルームに招待された(342ページ)。
報告書には前出の米統一教会トップのニール・サローネンが「各々が文鮮明師がお作りになった別々の団体の所属であることを肝に銘じること」と発言し、アメリカのMoon Organizationが多様な個別団体の外見をとっていることの利点を強調したとの記述も見える。
これこそが旧統一教会の原型といえるだろう。日本でも旧統一教会は多くのタコ足団体を持つコングロマリットの体裁をとり、教団本体を巧妙に覆い隠している。
しかも、「フレイザー委員会」の徹底した調査でも、教団と接点を持つ議員がわずか数人どまりだったアメリカに比べ、日本は2年法定車検のような小手先の「点検」でさえ、数百人単位の政治家が旧統一教会と依存関係にあることがわかってしまった。その「汚染度」の差には呆然とするしかない。・・・
●旧統一教会など宗教2世は訴える “宗教虐待”を知ってほしい 10/26
旧統一教会の信者の両親のもとに生まれた小川さゆりさん(仮名・26歳)。10月7日に日本外国特派員協会で会見を開き、宗教2世が受けている精神的な被害などを訴えました。会見に先立ち、旧統一教会から会見中止を求める文書が、小川さんの両親の署名入りで届いたこともSNSなどで大きな注目を集めました。
「宗教虐待を知ってほしい」とNHKにその実態を語ってくれた小川さん。
宗教2世たちの声から、苦しむ子どもをなくすにはどうすればいいのか考えます。
旧統一教会から会見中止要請が… 涙の訴え
小川さんは会見で、両親の献金により困窮に陥ったことや、見た目の貧しさからいじめを受けたことなどを落ち着いた様子で語っていましたが、会見の後半、涙を流す場面がありました。
会見中、特派員協会のスタッフが、旧統一教会から文書が届いていたことに気付き、その文書の内容が小川さんに伝えられたときのことでした。文書には、小川さんが精神疾患により虚偽の内容を話すようになったという趣旨や、小川さんへの法的手続きを検討していることが書かれていました。
それでも会見を続けた小川さんは、涙ながらに訴えます。
小川さん「両親は私から200万円近くの給料をとっていきました。お金を渡さないと職場まで来て、渡すまで職場から帰りませんでした。そういったことが積み重なって私は精神を病みました。夫の支えで、心の症状については治っています。お金を返しもしないで、自分たちが正しいと主張を続けている人たちと、私のどちらが悪なのか。多くの人は分かってくれると信じています」
“誰も助けてくれなかった”今も抱えるトラウマ
小川さんは、旧統一教会の合同結婚式で結婚した両親のもと、6人兄弟の長女として生まれました。「神の子」として育てられ、テレビや漫画などは「サタン」「地獄に落ちる」と言われて禁止されたといいます。
母親は専業主婦でしたが、布教活動や選挙の手伝いなどで家を留守にすることが多く、小川さんは小学1年生の頃から、たびたび家族の食事を作らされていました。
父親は、地区の教会の責任者でした。毎週日曜日になると教会に連れて行かれ、拒むことは決して許されなかったといいます。
小川さゆりさん「肩を引っ張られて、日曜礼拝に無理やり連れていかれて、肩を脱臼したこともありました。朝5時からの祈祷会も参加させられたのですが、体が弱かったので気絶したことも何回かあったんですね。それでも無理やりやらされました」
両親の希望に沿おうと、小川さんは次第に教会の活動に自ら参加するようになります。高校生のころには、創始者の教えを伝えるスピーチの大会で入賞するまでになっていました。
そんな小川さんが、両親に対し疑問を抱くことになった出来事があったといいます。教会のイベントに参加した高校3年生の時、男性スタッフから受けたというセクハラです。悩んだ末に教会幹部にメールで相談したところ、次のような返信がありました。
ショックを受けた小川さんが母親に相談すると、思わぬ言葉が返ってきました。セクハラを受けるのは小川さんに悪いところがあり、悪霊がついているから、韓国にある施設でおはらいを受けるよう言われたといいます。
さらに母親の行動が、失意にある小川さんを追い詰めることになります。母親は献金によって足りなくなった生活費を補うため、小川さんの貯金を無断で引き出したり、バイト代を求めたりするようになったというのです。
小川さゆりさん「親の間違っているところやおかしいところは、うすうす気付いていました。でも最終的には、自分の味方でいてくれると思っていた。裏切られたのはあまりにもつらかったです」
当時19才だった小川さん。すがる思いで役所の相談窓口を訪ねましたが、ここでも取り合ってもらえなかったといいます。
小川さゆりさん「いろいろ相談したんですけど、『家族間の問題は家族間で解決してほしい。宗教のことはよく分からない』と相手にしてもらえませんでした。警察にも行って『お金をとられました』と話したのですが、やっぱり家族間のこと、宗教のことだからと取り合ってもらえなくて。『あなたが自立するしかない。親元から離れるしかない』と言われました」
小川さんは絶望を深め、部屋に引きこもるようになりました。20才になり家出をして、両親と距離を置くことができましたが、その後も当時の記憶が蘇り、突然過呼吸に襲われるなど、体の不調に苦しんでいます。
現在は結婚し、生後半年になる長男を育てている小川さん。母親になって初めて気付いたことがあります。
「自分が受けてきたのは虐待だったのではないか」
小川さゆりさん「毎晩、勝手に体が不安になって泣きだしちゃったりとか、震えが止まらなくなったりということはありました。小1の時の自分が大人になりきれてなくて、心の中でずっと泣いてて。その声をずっと自分は無視してきたんですよね。当時、誰にも話せず、抱え込んでしまうタイプだったので。まずはその声に向き合っています」
旧統一教会の他にも 声を上げる宗教2世たち
いま、旧統一教会だけでなく、他の宗教団体の2世たちも次々と声を上げ始めています。
宗教2世の当事者が呼びかけた自助会には、30人近い当事者が集まり、自らの体験を話しました。
参加者の男性「教祖の名前を叫びながら殴られたり、風呂の浴槽に頭からつけられて、無理やり溺れさせられたりしたことがありました。親は『暴力は神に導かれている。暴力は良い方向に進むため』と思っているんだと思います」
参加者の女性「教会を否定したら、親や先祖まで地獄の底に落ちるという恐怖を植え付けられてきました。自分の存在を否定することになると言われて、すごく絶望した覚えがある」
参加者の男性「信仰の強制が一番つらかったです。学校に入った時に『自分が宗教を信じているので、体育と剣道はやりません』って言わなきゃいけない。その練習を家とか集会でさせられました。自分で語ることによって教えは正しいと信じ込ませる。それはマインドコントロールだと思うんですよね」
“宗教虐待” 被害を見過ごさないために出来ること
10月6日、厚生労働省は全国の自治体に、“宗教虐待”に関する通知を出しました。
そこには、保護者の宗教の信仰が理由だとしても、身体的暴行を加えたり、言葉による脅迫、子どもの心・自尊心を傷つけるような言動を繰り返し行ったりすることは、虐待に該当すると書かれています。
また虐待の相談に対して、「宗教に関することのみを理由として消極的な対応をしない」よう求めました。
これまでの行政の消極的な姿勢が、“宗教虐待”の被害が見過ごされる要因になってきたのではないか。そう語るのは、マインドコントロールを研究し、宗教2世の問題に詳しい立正大学心理学部の西田公昭教授です。
西田公昭さん「行政側は、信教の自由とか親権が立ちはだかって、深く調査するということができないだろうと考えてきたと思うんですね。そのため、『信仰に基づく虐待』という構図を想像することができなかった。
親には信仰の自由がある一方で、子どもにも『信仰しない自由』があり、その人権は当然守られるべきです」
親の信仰によって苦しんでいる子どもを見つけ出すには、“宗教虐待”の認知度を上げていくことが重要だと、西田さんは話します。
西田公昭さん「社会全体で、確かな救済の制度を作っていく必要があります。そのために、『虐待の背景に宗教の教え込みがあるのではないか』『宗教活動を子どもたちが強制されているのではないか』という想像力を、みんなが持つことが重要です。さらに現状では専門家が足りないため、専門知識を持つ相談員・支援員を配置して、相談体制を整えることや、一般社会と断絶した環境で暮らしてきた子どもが社会復帰できるようケアすることも大切です」
信仰続ける宗教2世は 子どもにどう向き合う
一方で、今も信仰を続ける宗教2世もいます。
自宅の祭壇に置かれた、旧統一教会の創始者・文鮮明夫妻の写真。その前でお祈りの言葉を唱えるのは、ともに20代の旧統一教会2世の夫婦です。
今の教会には反省すべき点はあるものの、これからも信仰は続けると語りました。
現在も信者の宗教2世の女性「今も苦しんでる方に対する謝罪や、いけなかった部分はちゃんと変えていくことは大事だと思います。(旧統一教会の教義によって)夫婦がお互い1人だけを愛するというのを2人とも思ってるので、信じ切れる」
ことし2月、女の子が生まれました。子どもに信仰を強制するのか問いました。
現在も信者の宗教2世の女性「子どもに信仰を強制したり、苦しい思いをさせたりしないよう、そこは気をつけたいなと思っています。(もしも子どもから、違う宗教を信仰したいと言われたら)なんでそう思ったのか、よく聞くと思いますね。子どもも、親みたいに幸せになりたいなと思ったら、自然と良さを感じて自分からやりたいって言うと思うので」
“子ども自身が生き方を選ぶ自由がある”
子どもが自由な生き方を選択するためには、どうすればいいのでしょうか。再び西田公昭教授に聞きました。
西田公昭さん「虐待というのは宗教に限ったことではなく、熱狂的な思想活動をしている場合にはありえます。大切なのは、親の価値観とは別に、子どもの人生は子ども自身が選ぶ権利があるということを、私たちが認識することです。親や家の思想と自分の考えが違っていても、親以外の価値観に触れて、子ども自身が生き方を選ぶ自由がある。そういう社会であるべきです。“宗教虐待”は、子どもが自分自身で声を上げにくい問題です。だからこそ私たちが想像力を働かせて、子どもたちを常に見守っていくことが大事だと思います」
●旧統一教会関連団体からモザンビーク派遣の女性に外務大臣表彰  10/26
外務省は旧統一教会の関連団体からアフリカのモザンビークに派遣され、現地に中学校と高校を開校した日本人の女性に対し、3年前、外務大臣表彰を授与していたことを明らかにしました。
これは26日、衆議院外務委員会で外務省の齋田伸一アフリカ部長が明らかにしました。
それによりますと、旧統一教会の関連団体「世界平和女性連合」からアフリカのモザンビークに派遣され、現地で中学校と高校を開校した日本人の女性に対し、3年前、当時の河野外務大臣が外務大臣表彰を授与したということです。
表彰の理由については、モザンビークで25年以上にわたって教育や医療関係の活動を行い、2国間の相互理解の促進に貢献したことや、モザンビーク政府から高い評価を受けていることなどを勘案したと説明しました。
一方、この団体が旧統一教会の関連団体だという認識はあったか問われたのに対し「外務省の本省としては認識していなかった。モザンビークの日本大使館に確認したところ、おそらく当時の担当者は認識していただろうとのことだった」と述べました。
林外務大臣は「事実関係や経緯をしっかり把握し、どう対処すべきか検討したい」と述べました。
小野外務報道官「ほかの事例は確認されず」
外務省の小野外務報道官は記者会見で「現時点では、モザンビーク以外の事例は確認されていない。国会で林外務大臣が事実関係をしっかり把握させると説明しており、今後の外務省の対応について予断を持って答えることは差し控えたい」と述べました。
●税逃れ、メディア戦略、ビジネス展開…旧統一教会の米での巧妙な政治工作 10/26
米「フレイザー報告書」(1978)が見抜いていた宗教カルトの本質
今から約40年前、アメリカでも政治と旧統一教会の関係が問題となり、これに強い危機意識を持った「フレイザー委員会」によって綿密な調査が行われた。委員会はこの宗教カルトの本質をどう結論づけ、米議会はその後、教会とどう向き合ってきたのか?
タコ足のような触手を持つ宗教・金融的グローバル帝国
前編では、米議会のフレイザー委員会(1977~78年)をもとに、旧統一教会が韓国朴正熙政権下でKCIAの庇護を受け、米国政治工作を展開してきたことを述べた。
ここからは委員会の「報告書」の結論と提言部分を中心に、報告書が教会の本質をどう見抜いたか、またその後の米国政治は旧統一教会とどういう付き合い方をしたのかを見ていきたい。
まず報告書はその「要約と提言」で、旧統一教会の「組織的特性」を端的にこう指摘している。
「文鮮明率いる統一教会や関連世俗団体は、基本的に単一の国際組織である。この組織は各部所の相互流動性、すなわち、人事・資産アセットを国際間で動かしたり、営利組織と非営利組織の間で動かすことで成り立っている」(387)ページ
この分析ほど、旧統一教会の本質を射抜くものはない。今、自民党の多くの国会議員が統一教会の名称変更で、同一団体だという認識がなかったと言い訳している。政治家としてその弁明が通用するとはとても思えないが、多くの日本人にとって上記のような旧統一教会組織の特徴が、その実像をつかみきれずにいる理由のひとつになっていることはまちがいないだろう。
ワシントン・ポスト紙が「無数のタコ足のような触手をもつ宗教的・金融的グローバル帝国」と表現したように、旧統一教会は世界平和統一家庭連合、天宙平和連合といった関連団体、友好団体と称するダミー団体を無数に持っている。
この特性を包括的に把握するため、フレイザー委員会報告では、統一教会を含むすべての関連団体を包摂する概念として文鮮明機関(Moon Organization)という言葉を使用している。
その上で、フレイザー報告書はこの機関の活動ぶりをこう記す。
「文鮮明機関は営利事業や世俗組織を設立したり、(法人の)株主支配権を得る試みも行ってきた。また米国では政治活動も行ってきた。これらの活動の中には韓国政府に資するものや米国外交政策に影響を与えるものもあった。(中略)ディプロマット・ナショナル銀行の株主支配権を得るため、信者の名義を使い買収資金源を隠匿した。(中略)協会などの非課税団体を使って政治的・経済的活動を維持している。(中略)その目的や活動の多くが合法的とはいえ、同機関は組織的に、連邦政府の税法、移民法、銀行法、外為法、外国政府代理人登録法や、慈善事業関連の州法等に違反してきた」
「課税対象の文鮮明機関が、免税団体への資金移動により、免税特権を得ていると信じるに足る理由がある。課税対象組織と免税組織を使い分けることで、文鮮明機関は連鎖反応的に財力を増やし、競合する組織に比べて大きな強みを持っている」
タコ足のように無数の関連団体(彼らの用語でいう「摂理機関」)を使い分け、資金、マンパワー、情報を自由に動かして全体としてのMoon Organizationを維持・拡大させる。こうした旧統一教会の実態が、70年代のアメリカですでに分析されていたことはもっと注目されるべきだろう。
官庁横断的タスクフォースによる調査を進言
ただ、フレイザー委員会は教会の組織的特性については的確に見抜いたものの、教団資金の流れは充分に解明できずにいた。
そこで、報告書は今後の課題として、文鮮明機関全体の財務申告をIRS(合衆国内国歳入庁:日本の国税庁のあたる)が強制捜査をすること、議会の歳入委員会や財務委員会が免税措置乱用禁止の立法が必要かどうかを検討すべきと提唱した。
文鮮明機関が引き起こすさまざまな社会問題は、60年代半ばからアメリカの各政府機関で憂慮されてきたが、連邦行政府、議会、州政府、地方当局などの対応がバラバラで、中途半端だったことは否めない。
国務省、移民帰化局(INS)や司法省などが別々に文鮮明機関の調査をしたが連携がなく、結果として徒労に終わったと報告書は述べているほどだ。そうした反省の上に立ち、報告書は今後の課題として証券取引委員会(SEC)や歳入庁(IRS)なども入れて、官庁横断的タスクフォースを作ってさらに調査を行うべきことを進言したのだ。
日本ではようやく岸田首相が宗教法人法にある「質問権」行使による教団調査を文科省に指示したが、苦情や被害などの実態把握のために消費庁や法務省も動くなど、政府部内の役割分担はどうも釈然としない。
これではまるで60年前のアメリカ政治のレベルと同等と言われても仕方ない。官庁横断的なタスクフォースが必要というフレイザー委員会の指摘は今後の日本にとって参考になるはずだ。
旧統一教会の巻き返し
多くの有益な提言を出したフレイザー委員会だが、78年に終了するとアメリカ政府内でのタスクフォースを作る動きはピタッと止まった。
1980年にロナルド・レーガンがホワイトハウス入りすると、米政界は「レーガン革命」とも言うべき保守の時代に突入する。この変化は旧統一教会にとっては保守政界に食い込む絶好機となった。
フレイザー委員会が警鐘を鳴らした「金の流れを追うべき」という“遺言”は、84年に文鮮明を脱税容疑で摘発し、有罪・収監という成果を生むが、その後の旧統一教会関連団体の世論工作はむしろ一段とヒートアップし、巧妙さを増していった。
旧統一教会は福音派の有名テレビ伝道師やハーバード大の宗教学者、大物共和上院議員らなどを動員し、文鮮明の大統領特別恩赦アピールを大々的に展開していったのである。
その結果、文鮮明は恩赦こそ獲得できなかったものの、1年半の刑期を5カ月減じて出所することができた。
これ以降、アメリカにおいては政治を動かす重要なファクターが世論であることを痛感した文鮮明機関は、保守系新聞「ワシントン・タイムズ」創刊など、メディア戦略を一段と強化・巧妙化させた。
財務面でも日本人コネクションを利用して独自の漁業・卸流通網を開拓し、80年代の米国寿司ブームを支えるレストラン事業や不動産事業を展開し、メディア業での赤字を埋め合わせることに成功した。
謎の放火事件と転落死
報告書が日の目を見る前後、旧統一教会の抵抗によってフレイザー委員会はさまざまな障害や困難に直面した。
教会古参幹部で文鮮明の特別補佐兼通訳をつとめた朴普煕は召喚され、証言席でフレイザー委員長を共産主義ソビエトの代理人と面罵し、同委員長とスタッフに対して3千万ドルの名誉毀損訴訟を起こした(後に取り下げ)。
また、78年の中間選挙時には信者らによるフレイザー議員の選挙活動の妨害工作もあった。その影響もあってか、フレイザー議員は落選し、さらに自宅が犯人不明の謎の放火にあっている。
さらに84年には、委員会の主席調査スタッフだったR.ボッチャー氏(当時44歳)がニューヨークのアパート屋上から謎の転落死を遂げるということもあった。
日本での聞き取り調査も順調ではなかった。報告書によれば、フレイザー委員会には複数の国会議員をはじめ、多くの日本人から「調査は日米関係も視野に入れて広範に調査すべき」との要望が寄せられていたという。
そこで委員会としては権限を越えることになるとしながらも、スタッフが韓国での調査を終えた後に日本に立ち寄り、証言したいとする5人〜10人ほどの日本人、韓国人に聞き取りをする準備を進めた。
しかし、この調査は実現しなかった。日本政府当局がフレイザー委員会に非協力的で、委員会スタッフのビザ発給条件として「面接対象は米国人にかぎる」という制約を課したためだった。
委員会に協力しなかった日本政府
その非協力ぶりは「日本当局は当初、アメリカ大使館内での米国人ビジネスマンに対する聞き取りすら、ビザ条件外として却下したほどだった」と、報告書は特記している。
日米両国の親密さを考えると、この日本政府の対応は不可解だ。フレイザー委員会の活動を制約したいという政治的思惑が日本政府側にあったのではないか。
もっとも可能性が高いのは1972年8月、朴正熙(パク・チョンヒ)の政敵で韓国民主化を訴えていた金大中(キム・デジュン)が東京で拉致・誘拐され、5日後にソウルの自宅前で発見された事件との関連だ。
当時から、KCIAや在日系組織暴力団・右翼の大物などの関与が取り沙汰されてきたが、日本の保守政権が拉致を黙認していたのではないかという説も根強い。
事件の事後処理が日韓双方の微妙な曖昧決着で終わったこと、KCIAと旧統一教会が密接な関係を構築していたことなどを考えると、日本政府当局がフレイザー委員会による事件の「掘り起こし」を牽制した可能性は充分考えられる。
フレイザー委員会の仕事はけっして完全ではなかったし、その提言も多くは実現することはなかった。文鮮明機関全体としての金の流れは解明できなかったし、税務当局を含む省庁横断的タスクフォースも実現しなかった。それほど統一教会の実態解明は一筋縄ではいかないということだろう。
ひるがえって現在、岸田政権は「宗教法人取り消しに繋がる質問権行使」という初手の段階で右往左往している。宗教法人以外の関連団体(フレイザー委員会の言うMoon Organization)総体の人・モノ・金の調査にはまだまだ及び腰だというのが実情だ。
1970年代、アメリカ民主党は上下両院・大統領府を握り「トリプル・ブルー」の政権与党だった。その政治基盤を生かし、与党のフレイザー委員長は文字通り、身を挺して旧統一教会に対峙し、できるかぎりの調査を行った。今、与党自民党内に「日本のフレイザー委員長」がいないことがこの国の悲劇なのだろう。
●TBS「内容に問題ない」 旧統一教会提訴に反論 10/26
TBSの佐々木卓社長は26日の定例記者会見で、情報番組「ひるおび」の出演者の発言を巡り世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から提訴された問題で「放送内容に問題があったとは考えていない」と反論した。
佐々木社長は、今後は法廷の場で争うとし「旧統一教会を巡るさまざまな問題については、今後もこれまでと変わらず、事実を踏まえて適切に放送したい」と述べた。
旧統一教会は9月29日、違法な布教活動や資金集めをしているとの趣旨を情報番組で出演者が発言したのは事実に反し名誉毀損だとして、TBSと読売テレビの2社と、出演した弁護士3人に対し損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。
●大串デジタル副大臣 旧統一教会・関連団体の「推薦確認書」に署名 発覚 10/26
自民党の大串正樹デジタル副大臣が旧統一教会の関連団体の「推薦確認書」に署名したことを明らかにしました。政務三役の署名が発覚したのは初めてです。
旧統一教会との関係が次々と判明し辞任した、山際前大臣の後任となった後藤・新経済再生担当大臣。さっそく、きょう所信表明を行いました。
後藤茂之経済再生担当大臣「経済再生担当大臣、新しい資本主義担当大臣、スタートアップ担当大臣、新型コロナ対策健康危機管理担当大臣、全世代型社会保障改革担当大臣、経済財政政策を担当する内閣府特命担当大臣として…」
心機一転を図りたい考えですが、ここにきてまた新たな事実が発覚しました。
立憲民主党 早稲田夕季衆院議員「過去の選挙におきまして、旧統一教会、友好団体との推薦確認書、いわゆる政策協定。これを交わしたことがあるか、署名したかお答え下さい」
伊佐進一厚労副大臣「交わしたことはありません」
羽生田俊厚労副大臣「全くありません」
畦元将吾厚労政務官「全くありません」
本田顕子厚労政務官「交わしたことはございません」
政務三役が次々と否定する中…
大串正樹デジタル副大臣「取り交わしたことを確認しております」
「ん?」「確認してる?」
立憲民主党 早稲田夕季衆院議員「署名をしたということでしょうか」
大串正樹デジタル副大臣「解散の前だと思いますけれども、10月3日に署名を致しております。憲法改正に対して取り組むこととか、自民党に近いような内容であったと記憶している」
デジタル庁の大串副大臣は去年の衆議院選挙で旧統一教会の関連団体から推薦状をもらった際に、団体の政策に賛同する旨が記された推薦確認書に署名したことを明らかにしました。
岸田内閣の政務三役で署名したことが発覚したのは初めてです。
大串副大臣は「選挙協力を受けたことはなく自民党の調査でも報告していて、事実を隠していることはない」と説明しました。
大串副大臣はデジタル庁だけではなく、旧統一教会の被害者救済に関わる消費者庁も担当していますが、松野官房長官は…
松野博一官房長官「大串氏の方からしっかりと説明がされるものと考えております。説明をし、政府の一員として適切に…されると考えております」
旧統一教会の問題が収束する気配はありません。

 

●別の立候補予定者かたり「旧統一教会と関係」ビラ配布の市議、謝罪・辞職へ 10/27
来春の福岡市議選に立候補する予定の元衆院議員の男性をかたり、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と関係があると記したビラを作成したなどとして、日本維新の会所属の堀本和歌子市議(41)(博多区選出)=写真=が福岡県警から私文書偽造の疑いで、任意の事情聴取を受けていたことが分かった。堀本市議は取材に対し、配布を認め、議員辞職する意向を示した。
関係者によると、ビラは男性の名前で書かれ、2019年に韓国で行われた旧統一教会の式典であいさつしたとする文が写真とともに掲載されていた。8月に博多区内の複数の住宅に 投函とうかん された。周辺の防犯カメラの映像から堀本市議の関与が疑われ、男性が9月に県警博多署に告発状を提出していた。
男性は元自民党の衆院議員で、現在は参政党の福岡支部長。来春の同市議選で、同区からの立候補を検討している。男性は式典であいさつしたことは認めた上で、「今は旧統一教会と関係ないのに、関係があるかのように印象操作しており、心外だ」としている。
堀本市議は「このようなビラを配ったのは間違っていた。男性にも謝罪し、責任を取りたい」と述べた。所属する市議会会派にも辞職の意向を伝えたという。
●統一教会と自民議員が交わした悪魔の契約。「推薦確認書」日本の大問題 10/27
旧統一教会が署名を求め、大串正樹デジタル副大臣をはじめ複数の自民党所属議員が応じたことが明らかになった「推薦確認書」なる文書。次々と明らかになる政権与党と教団との不適切な関係に批判が収まらない状況となっていますが、事実上の政策協定となる推薦確認書については、これまでより踏み込んだ検証が必要なようです。毎日新聞で政治部副部長などを務めた経験を持つジャーナリストの尾中 香尚里さんは今回、「改めて着目すべきは推薦確認書に記された内容」として、書かれていたとされる政策を精査。そこから明確になった「推薦確認書問題の本質」を解説しています。
旧統一教会が自民党議員たちに署名を求めた「推薦確認書」の大問題
自民党と「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」との関係をめぐる報道が止まらない。20日には朝日新聞が、旧統一教会の友好団体が今夏の参院選や昨秋の衆院選で、憲法改正や家庭教育支援法の制定への賛同を明記した「推薦確認書」を自民党国会議員に示し、署名を求めていたことを特報した。事実上の政策協定。実際に署名した議員もいるという。
両者の関係性は、これまでの「うっかり関係団体の会合に出席した」から、さらに一段上がったと言えるだろう。「選挙での支援」と「政策実現」がバーターだったことになるからだ。自民党は、選挙で党の応援をしてもらう見返りに、反社会的とも言える活動をしてきた宗教団体側の政策の実現を図っている、ということになるからだ。
そのことに対する批判は、筆者などよりはるかに専門性の高い方々からすでに多数出ているので、あえてここで繰り返すことはしない。しかし、この問題を考える時、単に「自民党と旧統一教会の関係の深さ」という点に目を向けるだけでは、少々足りないと思う。「今さらながら」と言われるかもしれないが、ここで改めて着目すべきなのは、推薦確認書に記された内容なのではないだろうか。それはつまり「自民党と旧統一教会が歩調をそろえて、どんな社会を目指そうとしてきたのか」ということにほかならないのだから。
各種報道によれば、推薦確認書にはこんな政策が並んでいたという。
・憲法を改正し、安全保障体制を強化する
・家庭教育支援法及び青少年健全育成基本法の国会での制定に取り組む
・『LGBT』問題、同性婚合法化に関しては慎重に扱う
・アジアと日本の平和と繁栄を目指す「日韓トンネル」の実現を推進する
・国内外の共産主義勢力、文化共産主義勢力の攻勢を阻止する
まず憲法改正だ。ひとくちに憲法改正といってもいろいろな方向性があるが、ここでは当然「自民党が2012年に策定した憲法改正草案の実現」ということになるだろう。なるほど、改めて読み直してみれば、それは「安全保障体制の強化」に過度に偏り、現行憲法の平和主義を、こっそりとではなく、明確に捨て去った改正案になっている。
例えば前文。現行憲法にある「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」という文言が、まるまる消えている。代わりに挿入されたのが「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」という言葉だ。軍事的な「守り」だとは明示されていないが、どんな言葉が抜け落ちたのかを考えれば、意味するところは明確だろう。
改憲の最大の焦点・9条が含まれる第二章は、章の名前が現行憲法の「戦争の放棄」から「安全保障」に変更されている。条文に「戦争を放棄し」という言葉は残っているが、その直後に「自衛権の発動を妨げるものではない」と、わざわざ追加されている。この後に挿入された「国防軍の設置」については、これまでも散々指摘されている通りだ。
しかも安倍政権は「憲法を改正し、新憲法に基づき安全保障体制を強化する」という当たり前の手順すら踏もうとしなかった。2014年、現行憲法で認められていない「集団的自衛権の行使容認」を、憲法改正どころか国会での議論もなく、閣議決定で解釈を変更。翌年「後付け」の形で安全保障基本法を制定したことは、記憶に新しい。
そして岸田文雄首相は今「防衛力を抜本的に強化する」と繰り返し、政府の国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画(中期防)のいわゆる「安保3文書」の改訂に前のめりになっている。
憲法改正といえば、もう一つ「緊急事態条項の創設」(自民党改憲草案第98、99条)に大きな焦点が当たっている。緊急事態が生じた時に、首相が緊急事態宣言を発すれば「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」ようにする、という内容だ。
緊急事態条項ができれば、政府は緊急時に国会の監視を受けることなく、法律を制定するのと同等の権力を手にする。政府に多大な権力が集中し、国会を無力化できる。国権の最高機関たる国会を無力化するということは、つまり憲法の「国民主権」を骨抜きにするのと同義である。
推薦確認書の2項目め「家庭教育支援法の制定」も、自民党の改憲草案と深くかかわっている。
改憲草案の第24条には「家族は、互いに助け合わなければならない」との文言が挿入されている。ここには、大きく分けて二つの問題がある。
一つは、家庭への公権力の介入だ。家族の助け合い自体を全否定するものではないが、それを国家が憲法に書き込み、まるで国民の行動規範のように示すことには、強い違和感を抱く。行政が積極的に家庭教育に介入し、国家が考える「あるべき家族像」を押しつけようとしている、との懸念が後を絶たない。
名前こそ家庭への「支援」だが、子育てに悩む親世代を、個別の事情に合わせてサポートするという方向性ではない。家庭教育支援法に先行するかのように地方自治体で次々と制定されている家庭教育支援条例を見れば、方向性はむしろ逆で、国家にとって好ましい子供を家庭において育て上げるよう、親世代に責任を負わせる狙いが垣間見える。
もう一つはセーフティーネットの家族への押しつけだ。分かりやすいのが菅義偉前政権だが、少子高齢化で社会保障費が膨れ上がるなか、菅氏は「自助、共助、公助、そして絆」なるスローガンで、国民に自己責任を強いる考えを示した。
介護保険制度の創設や民主党政権の子ども手当など、古くから家庭内の問題とされていた介護や子育ての「社会化」を目指してきた従来の流れを否定し、それどころかむしろ積極的に逆行させ、公助をやせ細らせるというわけだ。その責任を家庭(特に女性)に押しつけることになりかねない。
こうした問題を抱える「家庭教育支援法の制定」と、推薦確認書の3項目めに挙がった「『LGBT』問題、同性婚合法化に関しては慎重に」という項目を並べてみれば、現行憲法の第13条「すべて国民は、個人として尊重される」という「基本的人権の保障」をないがしろにしようとしているのは明らかだ。
つまり自民党の憲法改正草案は、緊急事態条項の創設で「国民主権」を、9条改正で「平和主義」を、そして家庭教育支援法の制定などで「基本的人権の尊重」を、それぞれ破壊しようとしている。現行憲法の根幹に手を突っ込み、戦前の大日本帝国憲法下での政治体制への回帰を図るもくろみがあるとしか見えない。
そして旧統一教会は、自民党が目指す国家改革の方向性と強い親和性を持っていた。「旧統一教会の働きかけによって、自民党の政策がゆがめられた」という声が聞かれるが、おそらくもともとの考え方が近い、とみる方が正しいのではないか。
その両者が二人三脚で「現行憲法によって規定された戦後社会の破壊」を目指していることが明確になったのが、今回の推薦確認書問題だ。旧統一教会は、推薦確認書によって自民党議員の選挙に深く関わることで、自らが目指す「政府に権力が集中し、批判勢力が無力化した社会」「国民にばかり責任を負わせる社会」の実現を急かした、というわけだ。
推薦確認書の問題は、単に「自民党と旧統一教会の関係の深さ」だけで語るべきことではない。自民党と旧統一教会が、選挙で連携することで一体どんな社会を作ろうとしてきたのか、それが国民の利益に合致しているのか、という観点も、忘れてはならないと思う。
●河野消費者担当相 寄付金上限額「法制化にはならないと思う」 救済法案 10/27
河野太郎消費者担当相は26日のBSフジ番組で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)など高額献金の被害者救済法案に関し、寄付金の上限金額を決めることについて「消費者庁としては法制化ということにはならないと思う」と述べた。救済法案で難しい点を問われると、寄付金の上限規制に加え、家族など本人以外の第三者による取り消し権をあげた。
一方、今国会では自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党による協議会が発足し、被害者救済のための法整備に向けた議論が始まっているが、河野氏は「消費者庁として議論をきちんとやって、まとまったものを示すということに尽きる」と強調。今国会への関連法案の提出に関し「スピード的にもエベレストみたいなもんだ」と語った。
また、河野氏が8月に設置を指示した有識者検討会の人選をめぐり、弁護士の紀藤正樹氏の起用は岸田文雄首相も了承していたことを明らかにした。首相からは「スピード感をもってやってくれ」と求められたという。
●河野大臣、マインドコントロールは「定義が必要。しっかり議論を」  10/27
8月の第2次岸田改造内閣で消費者担当大臣に就任、そのわずか2日後には消費者庁に霊感商法対策検討会の立ち上げを明言し、電光石火の対応が注目を浴びた河野太郎氏。10月17日には、検討会が旧統一教会の「解散命令請求」を視野に入れた調査を求める報告書をまとめている。
その河野大臣が25日の『ABEMA Prime』に生出演。旧統一教会との関係が次々と指摘され辞任した山際前経済再生担当大臣について、「政治家の進退は自分で決めるものだから、周りがとやかく言うことではないのではないか」と述べる。
霊感商法対策検討会の立ち上げについては、「消費者をいかに守るか、権利をどう守っていくかということで消費者庁は立ち上がったわけだから、問題には先手先手で動かないといけないだろうと。私が消費者担当大臣をやるのは2回目で、前回はどうしても後手に回っていると感じていた。今回は任命された瞬間から“やらなければいけないものはさっさとやらなきゃ”ということで、行くぞ!という号令をかけた」とコメント。
いわゆる“マインドコントロール”についてはどのように対応するのか。「本人がいいと思っている時に、横から『それは違う』と言っても難しい。結果、例えば子どもがネグレクトにあっていたり、家族が食べられずに栄養失調になっていたりしたら、それは明らかにおかしいことが起きている。いろいろな視点から、家族も被害にあわないように救済をしなくてはいけない」と難しさに触れる。
その上で、「消費者庁に法案の作成チームを作って、いろいろな議論をしている。やはり定義が必要で、曖昧なのにいってしまうのも危ないし、定義ができないから引いてしまうというのでは何のためにやっているのかよくわからない。まずは専門家に議論していただくことになると思う。少なくとも取消権の行使期間をどう長くするか、あるいは範囲を少し拡大しようというのが提言なので、そこはきちんと議論をしてもらって、できれば臨時国会中に出せるようにやっていきたい」とした。
宗教と政治の関係をどう捉えているのか。メスを入れていくようなことも考えているのか。
「統一教会の問題でいうと、自民党だけでなく野党も関わりが出てきている。そもそも宗教が政治と関わるかどうかは、そんなに問題ではない。要するに、社会的に様々な被害者を生んでいるような行為をしている団体と政治が近しい関係にあることが問題なわけだ。これははっきりしておかないと議論がおかしくなってしまう。
どうメスを入れるかだが、一番いいのは第三者に見てもらったり、検討会を作って議論していただくことではないか。関わり方にも濃淡があり、例えば選挙で落選して、次の選挙で頑張ろうと思っている時に『支援する』と言われれば、みんなありがたいと思うわけだ。暴力団が支援すると来た時には『けっこうだ』と言うだろうが、統一教会が本体として来たのか、あるいは傘下の1つの団体として来たのかなどもある。いろいろな方向から議論する必要があるかもしれない」 
●旧統一教会問題 質問権と解散命令請求の焦点 10/27
旧統一教会の問題で、宗教法人法に基づく「質問権」を行使するため、専門家会議の検討が始まりました。今後、解散命令の請求にもつながるものですが、質問権はこれまで一度も使われたことがない上、手続きも複雑です。質問権や解散命令請求で何が焦点となるのかを主に司法の側面から解説します。
解説のポイント
解説のポイントは、「質問権をどう速やかに行使」するか。「解散命令請求の焦点」そして「信教の自由との関係」です。
質問権とその役割
文部科学省は25日、初めてとなる専門家会議を開きました。「質問権」は宗教法人の活動で解散命令に該当する疑いがある場合などに、報告を求めたり質問したりできるものですが、実際に行使された例はありません。この「報告徴収・質問権」は、オウム真理教の一連の事件を受けて95年に宗教法人法に追加で設けられました。旧統一教会は会見の中で「質問が来た際には誠実に対応します」などとしています。ただ、質問権は犯罪捜査とは異なり強制力はありません。宗教法人の代表などの同意がなければ、施設に立ち入ることもできません。このため、質問権によって新たに驚くような事実が、いくつも出てくるとは、考えにくいとみられます。また専門家会議の後、今度は宗教法人審議会を開き、そこで意見を聞いて初めて行使されます。ところが一度まとめて質問したとしても、その後再び質問権を行使したい場合は、また審議会を開催することになる上、宗教法人側から報告や回答を得る際も一定の時間がかかるとみられます。政府は年内の開始を目指していますが、手続きを終えるまでには、時間がかかる可能性があります。
速やかな行使のために
では、できるだけ速やかに手続きを進めるため、何が必要でしょうか。「全国霊感商法対策弁護士連絡会」によると、これまで30件近い教団の責任を認めた民事判決があります。連絡会の弁護士は「裁判記録も提供する準備がある」と話しています。また、全国の法テラスや弁護士会、民間の支援団体などに寄せられた相談も数多くあります。宗教法人に対して事実関係を一から聞くのでは時間がかかります。国の資料だけに固執するのではなく、民間を含めていまある情報を最大限収集・分析して活用することが大事ではないでしょうか。
解散命令と被害者救済を並行で
ただ専門家会議と宗教法人審議会を経て質問権が行使され、検討の末、仮に宗教法人法に違反する疑いが強まったとして解散命令の請求に踏み切ったとしても、今度は裁判所の審理に時間がかかります。しかも地裁、高裁、最高裁まで争うこともできます。解散命令は過去2回、オウム真理教と和歌山の明覚寺に出されましたが、いずれも最高裁まで争われ、確定までオウムが7か月、和歌山の寺は3年かかりました。仮に解散命令が出された場合も、法人格は失われ税制上の優遇措置はなくなりますが、「宗教団体」として活動を続けることは可能です。信者の信仰も禁止されません。つまり時間がかかる上、解散命令ですべて終わるわけではない。そう考えると、今の手続きと並行して、多額の献金による被害を受けた信者の家族や、いわゆる宗教2世の人たちの社会復帰を支えることなど、救済の仕組み作りも急ぐことが求められます。
『民法の不法行為』めぐる解釈は
ところで、この解散命令を請求する要件について、政府はこれまで「刑事罰などが必要」という認識を示し、岸田総理大臣も先週、「民法の不法行為は要件に入らない」と答弁していました。しかし、翌日になって「民法の不法行為も入りうると整理した」と述べ、見解を修正しました。宗教法人法は解散命令の事由の1つを「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」などとしています。ここには「法令」とあるだけで「民法」とも「刑法」とも書かれていません。70年代に発行された、文化庁宗務課などが編集した解説書「宗教法人法の解説と運用」(文化庁文化部宗務課・宗教法人法令研究会編)にも、解散命令について条文の詳しい解説や説明はありますが、民法にも刑法にも触れていません。つまり、当の文化庁もかつてそのような解釈はなかったことがうかがえます。ところがその後、95年のオウムの解散命令で東京高裁が「刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反するもの」などとする決定を出します。この「刑法等」という文章などを元に政府は基準を狭める解釈をとります。この解釈はどうなのか。今回、複数の元裁判官に取材したところ、私が話を聞いた全員が「当時の決定に民法を排除する意図があったとは思えない」と答えました。ある元裁判官は、「当時オウムの事件が相次ぎ社会が騒然としていた。東京高裁はそうした社会事情を背景に『刑法等』と例示したのではないか」と推測します。だとすれば、答弁の修正は「新たな解釈」ではなく「本来の解釈に戻った」ということでしょう。
元裁判官に聞く今後の焦点
では、今後仮に解散命令を請求することになった場合、どういう点がポイントになるのか。政府は「悪質性」「組織性」「継続性」の3つを挙げています。取材した元裁判官の多くが、この3つのうち、特に「悪質性」を重視すると答えました。
・まず民法の法令違反というだけではなく、その違反が「著しく」公共の福祉に害することが「明らか」であることなどが求められます。
・さらに正体を隠しだまして金を出させる、あるいは、刑事事件になっていなくても詐欺など犯罪性を帯びた事例などを重視するという意見もありました。
・被害の重大さを挙げる意見もありました。被害額だけでなく、家族が受ける精神的な打撃の大きさ、一家崩壊など結果の重大さ。さらに類似の事例がどの程度広がっているかを見たい、という意見もありました。
今示したのは、いくつかの例にすぎません。このほかにもさまざまな意見がありました。ただ、いずれも今後、組織性や継続性を含めて、質問権の過程で集めた情報も合わせて、複数のポイントで総合的に事実を積み上げ証明することが、重要になってくるとみられます。
信教の自由とのバランスは
手続きには、憲法が保障する「信教の自由」に対する配慮も必要です。特に今後、一連の手続きが国による不当な宗教への介入とならないようにするため歯止めや枠組みも必要でしょう。被害者からすれば一連の手続きにもどかしさを感じるかもしれません。ただ、宗教法人にとっては不利益をもたらす可能性があるだけに、一定の厳格な手続きもやむを得ないと思います。ただし、国が「信教の自由」を理由に、腰が引けた対応をとってしまうと、問題の放置が長引き、苦しむ人を増やし続けることにもなりかねません。慎重さと適正さ。その両立が望まれます。
坂本堤弁護士の思い
初の解散命令となった、オウム真理教による一連の事件。そのオウムを早くから追及し、教団によって家族とともに命を奪われた坂本堤弁護士。殺害4日前の89年10月31日、事務所で教団幹部と対峙した際、幹部が言い放った「こちらには信教の自由がありますから」という言葉に、坂本弁護士はこう答えたといいます。「人を不幸にする自由は許されない」。坂本弁護士の言う通り、信教の自由には、他人の権利を奪い不幸にする自由などありません。今後の手続きがどのように進むか。特に質問権は前例がないだけに、明確な見通しはありません。それでも政府はあくまでも法に基づき、適正に手続きを進めていってほしいと思います。
●遅すぎた対応。統一教会への「解散命令」しか取る道がなくなった岸田内閣 10/27
世論の声に押される形で、ようやく旧統一教会に対する「質問権」の行使を指示した岸田首相。しかしそのタイミングはあまりに遅く、自らを窮地に追い込んでしまったと言っても過言ではないようです。そんな政権の現状を「進むも地獄、引くも地獄」と表現するのは、立命館大学政策科学部教授で政治学者の上久保誠人さん。上久保さんは今回、なぜ彼らがそのような状況に陥ってしまったかを詳細に解説しています。
進むも地獄、引くも地獄。統一教会「解散命令」の是非で窮地に陥る岸田首相が失った“タイミング”
山際経済再生担当大臣が辞任した。旧統一教会との関係が相次いで明らかになっており、政権運営に迷惑をかけたくないとして、岸田文雄首相に辞表を提出した。しかし、事実上の「更迭」との見方もある。
臨時国会が始まり、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と政治の関係が焦点となり、岸田政権への批判が高まり、内閣支持率が急落している。そのため、岸田首相は、この問題について、より踏み込んだ対応を迫られている。
岸田首相は、旧統一教会に対して、宗教法人法に基づく「質問権」の行使、調査をするように、永岡桂子文科相に指示した。「質問権」の行使は、宗教法人の解散につながる可能性があるものだ。
ところが、10月18日の衆院予算委員会で、岸田首相は宗教法人の解散命令を裁判所に請求する要件は、「刑事罰」などが必要で、「民法の不法行為は入らない」との見解を示した。だが、これまで教団の組織的な不法行為を認める民事判決は複数あるものの、刑事判決を受けたものはない。野党が、「民法の不法行為」が要件に入らなければ、刑事訴追して判決がでるまで何年もかかると指摘し、岸田首相は問題解決に消極的だと厳しく批判すると、首相の発言は一転した。
岸田首相は、翌19日の参院予算委員会で、「民法の不法行為」の不法行為も含まれると法解釈の変更を行った。支持率の急落に悩む首相が、ようやく旧統一教会と政治の関係の問題解決になりふり構わず動いている。しかし、状況は一向に改善せず、ついに山際経済再生相が辞任する事態となった。
私は常々、問題解決にあたる際の自民党の問題点を「Too Little(少なすぎる)」「Too Late(遅すぎる)」「Too Old(古すぎる)」と批判してきたが、旧統一教会を巡る自民党の対応は、まさに自民党らしいもので、それが問題の傷口を広げて、手の施しようがないほど事態を悪化させてしまったといえる。
自民党は約2か月前、安倍晋三元首相暗殺犯が、旧統一教会の信者の息子であったことから、旧統一教会と自民党の関係が次第に発覚していった時期、今とは真逆の対応をしていた。岸田首相は教団と党の間に「組織的な関係はない」と強調していた。自民党の政策決定に関しても、教団が不当に影響を与えたことはないという認識を示していた。
茂木敏充党幹事長も、党所属議員が旧統一教会とのかかわりをそれぞれ点検して、適正に見直していくと強調していた。幹事長は、「旧統一教会と関係が絶てない議員は離党してもらう」とまで発言した。要するに、首相も幹事長も、旧統一教会との関係は、個々の議員の政治活動だと突き放し、党には責任はないと主張していたのだ。
だが、岸田首相や茂木幹事長の「教団とは組織的関係はない」「個別議員の政治活動」だという主張は、完全に誤りだったと言わざるを得ない。
私は、最初から彼らの主張に異議を唱えていた。なぜなら、教団と自民党の関係は「組織的な関係」そのものであり、その責任は党にあるのが明らかだったからだ。
そもそも、自民党の個々の議員は、党や派閥の幹部、地元の主導で旧統一教会と関係を持つことになるからだ。
新人候補者が初めて選挙区に入る時、学校の同級生くらいしか知り合いがいない例も少なくない。世襲の新人候補者でさえ、東京の学校を出た人が多く地元に知り合いはいない。その時、党や派閥の幹部、地元のベテランのスタッフから、支持団体など票を入れてくれる組織や人に挨拶をするように指示される。候補者は、わけがわからないまま、言われるままに、いろいろな組織や人に頭を下げる。こういう支持団体の1つに、旧統一教会がある。そこから、候補者と教団の付き合いが始まるのだ。
もちろん、新人候補者でも、旧統一教会が霊感商法など「反社会的」な活動をしてきたことは、当然知っていたはずだ。だが、知名度もない新人候補に、支持団体との付き合いを拒否することなどできるはずがない。初当選後も、関係を切ることなど簡単にはできない。教団の関連団体のイベントに祝電を送ったり、出席して挨拶したりする。逆に教団関係者に政治資金パーティーの券を購入してもらう、等の付き合いがずっと続くことになる「政治家は選挙に落ちればタダの人」なのだから。
要するに、自民党は旧統一教会を「集票マシーン」として利用していたということだが、それは「党主導」であり、個々の議員に主体性がないということだ。さらにいえば、自民党では各業界団体の票だけでは足りない議員について、旧統一教会が認めてくれれば、その票を割り振ることをしていたという指摘もあるのだ。自民党と旧統一教会の間は「組織的な関係」そのものなのである。
そもそも、旧統一教会と国会議員が関係を絶てば、万事解決するというような単純な問題ではない。旧統一教会と政治・行政の関係は地方にも広がっているからだ。日本の国政選挙は、候補者の下で、首長、都道府県会議員、市議会議員、地方の政党、後援会、支持団体のスタッフがピラミッド型の組織に選挙運動を展開する。旧統一教会と国会議員が選挙を通じてつながっているならば、地方は選挙の実働部隊としてより深く結びついているのは当然のことだ。
実際に、多くの信者が国会議員の公設秘書、私設秘書として雇用されているという。また地方議員やスタッフとして活動してきたという。選挙の応援をボランティアで行い、「掲示板でのポスター貼り」「街頭演説でのビラ配り」「動員され聴衆として参加」「電話かけ」という選挙スタッフがやりたがらないような仕事も、「信仰のため」と熱心にやるという。要するに、国と地方のさまざまな政治活動に教団と信者が参加しているのだ。
旧統一教会は、自民党の「集票マシーン」となることで、「霊感商法」「合同結婚式」などで失ってしまった「社会的信用」を取り戻そうとしている。政党の有力な支持団体という「お墨付き」を得れば、信者を集めやすくなる。信者を集められれば「献金」「お布施」「寄付」などの資金集めもやりやすくなるということだ。
旧統一教会の活動は、選挙活動にとどまらず、さまざまに広がっている。例えば、教団は地方自治体だけではなく、全国に約1,800か所の市町村に設置されている。地域福祉の普及推進と、民間福祉事業やボランティア活動の推進支援を行う社会福祉協議会(社協)にも多額の寄付を行ってきた。
また、旧統一教会は、「平和ボランティア隊」を組織し、2011年の東日本大震災、2014年の「広島土砂災害」、2016年の「熊本地震」、2017年の「九州北部豪雨」、2018年の「西日本豪雨災害」、2019年の「台風15号」、など、さまざまな大規模災害の現場にボランティア隊を派遣し、復興支援を行ってきた。
さらに、「ピースロード」という旧統一教会の関連団体が共催に名を連ねて、全国各地で実施しているイベントがある。その実行委員会には、地元選出の国会議員や地方議員が参加し、さまざまな都道府県、市町村が後援してきた。
要するに、旧統一教会はさまざまな形で国政や地方政治・行政に深くかかわっている。国会・地方議員、首長、自治体は旧統一教会から票や寄付金、ボランティアを得て、旧統一教会は「社会的信用」を勝ち取るというギブ・アンド・テイクの関係ができあがっているのだ。
現在、メディアは連日、政治・行政と旧統一教会の関係を報道し、厳しく批判している。私も、信教の自由は守られるべきだが、旧統一教会という「反社会的行動」を行ってきたことが明らかな団体から支援を得て、その団体の活動を事実上助けてきた政党・政治家には「道義的責任」がある。関係を断ち切れるならば、それがいいと思う。
だが、これだけ広く深く政治・行政に食い込んだ団体との関係を切ることは現実的に不可能だろう。もちろん、多数の被害者が出ており、その救済は最優先されるべきだ。だが、旧統一教会の教義を純粋に信じて、政治・行政やボランティアの活動に一生懸命取り組み、社会的な信用を得てきた人たちも多数いるのだ。彼らを、旧統一教会の信者だからといって、一律に排除できるのかといえば、無理である。
プライバシーや人権の侵害になるし、宗教弾圧につながる危険がある。なによりも、自由民主主義社会は政治の側が教団との関係を絶とうとしても、信者が勝手にある政治家を応援し、選挙で一票を投じることを止めることはできないのだ。
それでは、どうすれば旧統一教会の「反社会的な行動」を改めさせることができるか。この連載では、岸田首相が主導して旧統一教会の「反社会的な活動」の是正を直接求めることと主張してきた。そして、岸田首相の指示で、旧統一教会の宗教法人格の認可を再審査する。場合によっては「宗教法人」としての認可を取り消すことも辞さない姿勢で旧統一教会に変化を求めることしか現実的な解決はない。
言い換えれば、旧統一教会に「まともな宗教団体」になってもらうということだ。まともな宗教団体であれば、政治・行政とかかわることやボランティア活動で社会に参加することは問題ない。例えば、創価学会など旧統一教会よりはるかに規模の大きな宗教団体が政治・行政にかかわっている。それは、政教分離という観点からみても、特に問題視されていない。
ちなみに、朝日新聞がスクープしたように、旧統一教会の友好団体が、今年の参院選や昨年の衆院選の際、自民党の国会議員に対し、憲法改正や家庭教育支援法の制定などに賛同するよう明記した「推薦確認書」を提示し、署名を求めていたことが分かっている。選挙で支援する見返りに教団側が掲げる政策への取り組みを求めた「政策協定」ともいえる内容で、文書に署名した議員もいたという。
しかし、一部そういう議員もいたかもしれないが、旧統一教会が自民党の政策決定に影響を与えたという証拠はない。統一教会の関連団体である「勝共連合」は、「ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止」「選択的夫婦別姓反対」「男女共同参画社会基本法の撤廃」を政治目標に掲げている。だが、安倍政権以降の自公政権は、これらの政策をまったく採用していない。むしろ、旧統一教会が忌み嫌っているはずの社会民主主義的な政策が次々と実現されてきた。
一部の自民党議員が、旧統一教会の主張する政策を強く訴えたとしても、それはリップサービスの域を出ない。自民党は、旧統一教会を「集票マシーン」としてきただけである。ゆえに、フェアに言って、旧統一教会が「まともな宗教団体」となるならば、政治活動を行うこと自体に問題があるわけではない。
現在、岸田首相が国会で示している宗教法人法に基づく「質問権」の行使という方針は、私が主張してきたことに沿うものだ。だが、残念ながらそれを評価することはできない。
なぜなら、それは「先送りによって国民が問題を忘れるのを待とうとする」いかにも自民党的な古いやり方が失敗した結果、行きついたことであり(つまり、Too Old)、個別の議員に責任を押し付けて、党として責任回避を図ろうとして結果である(つまり、Too Little)。
そして、なにより問題なのは、岸田首相が問題解決に本気で乗り出したことが遅すぎたことだ(つまり、Too Late)。その2か月間の間に、メディアが連日この問題を取り上げて、世論が怒りに沸騰し、内閣支持率が大きく下落した。
この状況では、おそらく旧統一教会に対する「質問権」を行使した時、「霊感商法」等の問題に改善がみられ、まともな宗教団体となったと認め、宗教法人格を継続するという判断をしても、国民は絶対に納得しないだろう。要は、今後岸田内閣が取り得る道は、旧統一教会に対する「解散命令」しかなくなってしまっているのだ。
しかし、繰り返すが、旧統一教会を解散させるというのは、現実的ではない。むしろ、問題をより深刻化させる懸念すらあるのだ。元オウム真理教幹部で、現「ひかりの輪」代表の上祐史浩氏はTV番組にインタビュー出演し、宗教法人に対する解散命令請求についての見解を述べている。
上祐氏は、「宗教法人の解散命令に関しては実際の解散ではないので信者の活動には影響を与えない」とした上で、「信者たちは自分たちが弾圧されていて、悪の社会が悪を深めているみたいな感じになると逆に信仰が悪い意味で深まる」と指摘した。教団の活動がむしろ先鋭化し、「こんなはずじゃなかったという状況になる可能性がある」と警鐘を鳴らした。
私も、上祐氏の見解に概ね同意する。繰り返すが、あくまで「質問権」の行使は、旧統一教会に「まともな宗教団体」になってもらうためであるべきだ。
おそらく、まだ世論が沸騰する前に、岸田首相が党として責任を取る姿勢を示し、「質問権」の行使を決断していれば、解散命令をちらつかせるだけで、旧統一教会の活動を正常化させて、次第に問題を鎮静化させていくことも可能だったかもしれない。
だが、今ではその幕引きでは、誰も納得しないところまで話がこじれてしまった。旧統一教会に対して解散命令を出さなければ、内閣支持率がさらに下落し、内閣が持たなくなる。一方、解散命令を出せば、路頭の迷った教団が先鋭化する。岸田首相は、「進むも地獄、退くも地獄」の状況に陥ってしまったといえる。
●旧統一教会「推薦確認書」の言い訳は「昨日見つかった」… 10/27
10月26日、自民党の大串正樹デジタル副大臣が、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関連団体による「推薦確認書」に署名していたことが明らかになった。
「『推薦確認書』とは一種の政策協定で、署名したことを認めている自民党の斎藤洋明議員によると、憲法改正や安全保障の強化を積極的に検討すること、同性婚やLGBTQなどの制度化に慎重であることなどが盛り込まれていたとされます」(政治記者)
この日、立憲民主党の早稲田夕季議員が、大臣・副大臣・政務官の政務三役に「推薦確認書」への署名の有無をただしたところ、大串副大臣が署名したことを認めた。これまで明らかにしなかった理由について、「(推薦確認書が)なかなか見つからず、昨日見つかった」と答えた――。
次々に明らかになる自民党議員と旧統一教会の深い関係。発覚するたび、議員たちはその場しのぎの言い訳に終始している。
「10月24日に辞表を提出した山際大志郎・前経済再生大臣は、韓鶴子総裁と撮影した写真など旧統一教会との関わりが明らかになるたび、『記憶にない』『覚えていない』を連発しました。
また、木原誠二官房副長官は、2016年に関連団体が主催するイベントに参加していたことを、自民党の調査が公表された後に明かしましたが、その理由について『記憶が呼び覚まされた』と説明しています」(同)
今回の大串副大臣の言い訳に対し、SNSではさまざまな意見が寄せられている。
《新しい弁明パターン》《記憶にないでびっくりしたが、「昨日見つかった」という新答弁まで出てきたか。この国完全に終わってる》《こんな嘘に決まってる言い訳でも、言っときゃなんとかなるって思わせるの、もうやめよ》《今さら驚きはないが、何でこんなに簡単に物忘れするんだ?》
そして、こんなツッコミも。
《昨日見つかった…これは汎用性の高い新しい言い回しパターンの登場ではある。円安の原因は「昨日見つかった」。第8波の始まりは「昨日見つかった」》
議員たちの “後出しじゃんけん” は、これで最後にしてほしいものだ。
●元2世信者 旧統一教会から会見中のファクスに本音「教会が私をつぶしに」 10/27
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元2世信者で、教団による被害を訴えている小川さゆりさん(仮名)が、27日放送の日本テレビ系「情報ライブミヤネ屋」(月〜金曜後1・55)のインタビューに答え、今月7日の会見中に送られたファクスについて本心を語った。
外国特派員協会で行われた会見中、教団から協会宛に届いたファクスは、精神疾患を理由に小川さんが虚偽の説明をする可能性があるとの理由で、会見を即座に中止するよう求める内容だった。小川さんは精神疾患について、4年前に治っていることを明かしている。
ファクスが届いた後も小川さんは会見を続けた。「あの瞬間、教会が私をつぶしに来たなと思いまして」と率直な思いを吐露。「これって会見を中止することが目的かもしれないけど、私を精神的にダメにして、発言させなくするような意図ももしかしてあるんじゃないか?」と、教団側の意図を推測した。
ファクスには、今も熱心な信者である両親の署名も入っていた。「子供のためなら世界を敵に回してもいいって思える。それが本来の親の姿なんじゃないかと思って。自分は子供のためならそこまでできるなって正直思うんですよね。なのに両親って、それどころか、言ってみれば世界中の前で私を批判したわけで」と、両親からの仕打ちに対するやるせなさを口にした。
●旧統一教会 悪質な高額献金の対応策 与野党協議も意見に隔たり  10/27
旧統一教会をめぐり、被害者救済の法整備を図る、与野党4党の協議会が開かれ、いわゆるマインドコントロールなどによる高額献金の問題で、本人に代わって家族などが被害を取り戻せるようにする方法などについて意見の隔たりが大きく、議論は平行線をたどりました。
自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会の4党は、今の国会で旧統一教会による被害者救済を図る法律を整備するため、3回目となる実務者による協議会を開きました。
この中では、いわゆるマインドコントロールなどによる悪質な高額献金への対応策について議論が行われ、野党側は、まず、マインドコントロールを明確に定義する必要があると主張したのに対し、与党側は、法律で定義することは難しい面があると慎重な姿勢を示し、折り合いませんでした。
また、マインドコントロールなどを受けた本人に代わって家族などが被害を取り戻せるようにする方法をめぐっても、家族らにも「取消権」を認めるようにすべきだとする野党側に対し、自民党は、本人の同意がなければ難しいと反対して、家族らが損害賠償を請求できる制度などを検討すべきだと主張し、議論は平行線をたどりました。
与野党4党は、来週、改めて協議会を開き、議論を続けることにしています。
自民 宮崎衆院議員「本人に損害が前提」
自民党の宮崎衆議院議員は、協議のあと、記者団に対し「被害者家族の救済の必要性が高いことは野党とも共有しているが、法律上の救済は、本人に損害が生じていることが前提になる。家族の精神的なケアや手当てなど、行政としてできることもたくさんあり、法律でどこまでのことが必要かは考えるべきではないか」と述べました。
立民 長妻政調会長「やる気があるのか疑問」
立憲民主党の長妻政務調査会長は、協議のあと、記者団に対し「議論が後退したという印象だ。いわゆるマインドコントロールをどうするのかが最大の焦点なのに、論点から除外することには驚くし、本当にやる気があるのか疑問だ。被害者やその家族のために粘り強くやりたい」と述べました。
立民 泉代表「先送りや骨抜きは許さない」
立憲民主党の泉代表は、党の会合で「協議だけで満足されるものではなく、しっかりと答えを出していく。先送りや中身の骨抜きは絶対に許してはならない」と述べました。
●旧統一教会「2世」救済、結論持ち越し 教団被害の与野党協議 10/27
自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党は27日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害救済に関する3回目の与野党協議を行った。
対象に被害者の配偶者や「2世信者」を含めるための法整備の在り方を巡って意見を交わしたが、次回以降に結論を持ち越した。
立民、維新両党が国会提出した法案には、マインドコントロール下での高額寄付などを被害者の家族でも取り戻せるようにすることが盛り込まれている。27日の協議では与党側が「マインドコントロール」を条文上定義付けるのは難しいと主張し、折り合わなかった。 
●中川貴元・総務政務官、衆院選で旧統一教会関係者から支援…「反省」 10/27
中川貴元・総務政務官は27日の衆院総務委員会で、昨年の衆院選の際、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)関係者から支援を受けたことを明らかにした。中川氏は「当時は認識していなかったが、社会的に問題を指摘される団体と接点を持ったことは反省すべきだと深く認識している」と陳謝した。「今後はこうした団体とは一切おつきあいをしない」とも述べた。
関係者はボランティアとして、選挙事務所に出入りし、電話かけをしたという。
●自民・江島議員、旧統一教会関連団体の政策に賛同の署名  10/27
自民党の江島潔参院議員が「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の関連団体の政策や理念に賛同する趣旨の文書に署名していたことがわかった。江島氏の事務所が明らかにした。
事務所によると、数年前に関連団体の担当者が事務所を訪れ、政策や政治理念が書かれた文書を示して署名を求め、江島氏が応じた。事務所は「正確な時期や文書の内容は確認できない」としている。
●井野防衛副大臣、旧統一教会支持者との一部接点を認める 10/27
自民党の井野俊郎防衛副大臣は27日、衆院安全保障委員会で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や関係団体から事実上の政策協定となる「推薦確認書」を提示、署名、選挙応援を受けたかについて、「政策協定を求められたことも私自身が署名したことはない」と否定した。
立憲民主党の渡辺周氏の質疑に対して井野氏は「私の支持者の中には統一教会の方々という方も、いらっしゃったんだろうとは思う」と教団側との接点を認める一方で「選挙事務所でお手伝いしていただいたり、ということはない」と選挙支援はなかったとした。
井野氏を巡っては20日の参院予算委員会で、教団の関係者が2014年に井野氏の所属する平成研究会(現茂木派)の政治資金パーティー券計8万円を購入していたことを明らかにしている。井野氏は「現時点で資料がなく、確認できない」と答弁したが、購入した関係者は「私の認識では支持者だ」と教団側との接点を認めている。自民党に所属する国会議員に対して旧統一教会との接点について行った調査報告では井野氏からの申告はなかった。
●“統一教会”のイベントに「出席した」 文科委員長が認めるコメント  10/17
旧統一教会をめぐる問題を議論する衆議院の文部科学委員会で、委員長を務めている宮内秀樹議員が、教団本体のイベントに出席していたことがわかった。
2019年4月に、旧統一教会が福岡・宗像市内で開催したイベントに出席していて、FNNの取材に対し、「関連団体の会合であると認識していたものが、旧統一教会主催の会合であったことが確認された。自民党には修正の追加報告をしている」としている。
●立民 旧統一教会 高額献金被害回復 家族にも「取消権」議論を  10/27
旧統一教会の問題で立憲民主党の階猛氏は、高額献金などの被害を回復するための「取消権」を家族にも認めることが、憲法が保障する財産権を侵害するかどうか、早急に結論を出すべきだとして、衆議院憲法審査会で優先的に議論するよう求めました。
旧統一教会による被害者救済を図る与野党4党の協議会では、高額献金などの被害を回復するための「取消権」について、立憲民主党と日本維新の会が被害者以外の家族にも認めるべきだと主張しているのに対し、自民・公明両党は家族にも認めると憲法で保障されている「財産権」の侵害にあたるおそれがあるとして慎重な姿勢で、論点になっています。
これについて立憲民主党の階猛氏は、衆議院憲法審査会で「旧統一教会の被害救済のための与野党協議を進展させ、国民の期待に応えることになるので、早急に一定の結論を出すことは極めて重要だ」と述べ、憲法審査会で優先的に議論するよう要請しました。

 

●統一教会系団体に政務活動費支払い、自民党鹿児島市議団 10/28
鹿児島市議会の自民党市議団(20人)が2020年と21年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の政治団体「国際勝共連合」の機関誌を会派として購読し、費用を政務活動費(政活費)で支払ったことが27日、分かった。同市議団は「問題ない」とするが、霊感商法などが社会問題化した教団の関連団体に税金が支出された形で、識者は「うかつだ」と指摘している。
同市議団の政活費収支報告書によると、20年10月と21年4月に計1万6200円を支出し、政活費を「資料購入費」名目で充てた。
同市議団の仮屋秀一団長によると、所属市議が購読を提案。「議会活動につながる」と許可した。「旧統一教会と関係があるとの意識はなかった。今は購読をやめている」と話した。
佐賀大の畑山敏夫名誉教授(政治学)は「旧統一教会の被害はずっと前から知られており、注意する必要があった。税金を原資とする政活費で、特定の政治団体の機関誌を購読することにも慎重であるべきだ」と語った。
●旧統一教会、衆院憲法審で問われる「政治と宗教」「法の下の平等」  10/28
衆院憲法審査会は27日、今国会初の実質審議を行った。夏の参院選を経て、衆参両院は改憲に前向きな勢力が発議に必要な3分の2以上を維持。自民党などは議論を加速化させる構えだったが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関係や安倍晋三元首相の国葬を巡る問題が浮上し、風向きは変化した。いずれも憲法上の疑義をはらみ、先の通常国会で与党ペースに引き込まれつつあった立憲民主党などリベラル寄りの野党は照準を絞った。
旧統一教会の本部は韓国…自民改憲案との関係は?
「政治と宗教の関係をどのように整理するか。今、しっかり議論することは特に時宜を得たものだ」
審議の冒頭、自民の委員に続いて発言した立民の中川正春氏はそう切り出し、旧統一教会問題を踏まえた「政治と宗教」の集中討議を実施するよう求めた。
立民の階猛氏はその後の自由討議で、自民の複数の議員が自身の選挙で、旧統一教会の友好団体と政策協定を交わしていたことに言及。外国の勢力による日本の政治や選挙への介入を防ぐ狙いで、政治資金規正法が外国人からの献金受け取りを禁じていることを引き合いに、本部が韓国にある教団側の求めに応じて政策実現を図るのは「憲法の大原則である国民主権に反しないか」と主張した。
共産党の赤嶺政賢氏は、自民党の改憲4項目に含まれる憲法への自衛隊明記や緊急事態条項創設に関し、教団関連の政治団体「国際勝共連合」幹部が提唱した内容と同じだと指摘。「一緒になって改憲を進めるなど到底許されない。憲法を議論する前提そのものが問われている」と批判した。
「特別扱い」の国葬
賛否が交錯する中で先月に行われた安倍氏の国葬も論点になった。「国の儀式」として全額を国費で賄ったことについて、立民の米山隆一氏は「首相経験者とはいえ一個人を特別扱いすることは、憲法14条の『法の下の平等』という国民の権利を害する」と強調。事実上の弔意の強制になって19条の「思想良心の自由」に抵触しかねないことや、41条に「国権の最高機関」と明記されている国会へ諮らず、内閣の一存で実施や予算支出を決定したことを問題視した。
ただ、本会議や委員会で閣僚に課されるような答弁義務は憲法審になく、発言は一方通行で終わりがちだ。この日も立民や共産の訴えに対し、自民が反応する場面はなかった。
「急所」を突く戦略
衆院憲法審は先の通常国会で、過去最多の16回開かれ、今国会でも週1回の定例日ごとに開催する見通しだ。改憲勢力は審議が積み重なってきたとして、国会発議のための原案提出をにらんだ協議に軸足を移すとみられる。自民の新藤義孝氏は緊急事態条項の新設に関して「喫緊の課題であり、速やかに取り組むべきだという意見が大勢を占めた」と強調した。
リベラル系の野党側は議論の土俵に乗りつつ、自民の「急所」を突く戦略だ。憲法審の立民議員は言う。
「自民が緊急事態条項を議論するのを排除するつもりはない。われわれは旧統一教会や国葬の問題を指摘していくことになる」
●旧統一教会メディア訴訟で呼び捨て、名前間違い…有田芳生氏 10/28
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は焦っているのか。27日に旧統一教会は日本テレビと出演者の有田芳生氏、TBSラジオと出演者の紀藤正樹弁護士をそれぞれ名誉棄損で訴えると発表。合計3300万円の損害賠償を求めた。攻められっぱなしの教団による反撃となったが、会見では不手際も目立った。有田氏は「内部は大混乱に陥っているのではないか」と言う。
今回、旧統一教会が問題にしたのは、有田氏が8月19日放送の「スッキリ」(日本テレビ系)でした「やはりあのもう霊感商法をやってきた反社会的集団だっていうのは警察庁も認めているわけですから」との発言だった。また、紀藤氏については9月9日にTBSラジオの番組で話した、旧統一教会と暴力団の関係について述べた部分が名誉棄損だとしている。
旧統一教会はこれらの発言に対して事実ではないと主張。一方、訴訟を受けて、有田氏は「断固として闘っていく」、紀藤氏は「言論を萎縮させることを狙った訴訟で許しがたい」とコメントを出した。
こうしたメディアや識者への訴訟は先月に続き2度目となるが、この日の会見はドタバタだった。有田氏のことを「有田」、紀藤氏のことを「紀藤」と呼び捨てにして言い直す場面があったり、「スッキリ」を放送する日本テレビに通知書を送るはずが、系列の読売テレビに送っていたことがわかるなど、不手際が目立った。
それだけではない。有田氏の元には事前に質問書が送られていたが、同氏によると「封書のあて名が『有田芳夫』で届いたのです。名前が違うから返事していません。無視ですよ」というのだ。封書の中に入っていた文書は正しい名前になっていたというから嫌がらせではなく、単純に間違ったのだろう。
これだけミスを重ねるのはなぜなのか。有田氏は「教団内部は今、大混乱なのでしょう。韓国本部からは『日本にはちゃんとやってくれる弁護士はいないのか!』と言われているそうです」と韓国本部からの意向もあり、訴訟で結果を出さないといけないという焦りがあるのではないかという。
訴訟については「いくらでも証拠は出せるので負けるわけない」と自信を持つ有田氏だが、「萎縮効果はあります。私や紀藤氏を出演させると訴えられるとなると、テレビは萎縮します」と指摘した。
そういう効果を狙っているのだろう。旧統一教会の顧問弁護士・福本修也氏は「第3弾、第4弾も検討中だ」と意気込んでいる。
実際に教団内部ではテレビ番組のチェックを行っている。法務案件を担当する旧統一教会関係者は「広報部でいつも見ており、何かあると連絡があり、精査して弁護士に相談している。影響力はテレビが一番大きい。(旧統一教会を)扱っている番組すべてを対象にしています」と明かした。
信者からはテレビ以外の媒体についてのクレームも寄せられているという。「新聞や雑誌も視野に入っているし、特にツイッターやユーチューブには信徒さんからの苦情が多く、今後、訴訟の可能性はある」(同)
旧統一教会をめぐる騒動はまだまだ続きそうだ。
●旧統一教会問題で高額寄付規制へ新法、政府与党検討…被害を救済・防止  10/28
「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の問題を巡り、政府・与党は、高額寄付などの被害を救済・防止するため、新法を制定する検討に入った。寄付の不当な勧誘や要求を規制することが柱で、早ければ今国会に提出する方針だ。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。寄付の規制を巡っては、消費者庁の有識者会議が17日に公表した提言で、公益法人認定法を参考にするよう求めた。同法17条では、〈1〉寄付しない意思を示した人に勧誘や要求を継続する〈2〉寄付者の利益を不当に害する――ことなどを禁じている。新法でも、同様の規制を設ける案が出ている。
政府は新法とは別に、消費者契約法を改正し、霊感商法への規制が適用される要件の緩和や、契約を取り消せる期間を延長することも検討している。
宗教法人への寄付は法律上の「契約」に当たるかどうか曖昧なケースが多く、宗教法人法に寄付を制限する規定はない。「宗教法人だけを規制するのは公平性に問題がある」(政府高官)ことから、宗教法人法の改正ではなく、新法が必要だと判断したとみられる。
新法を政府提出法案にするか、議員立法にするかは、自民、公明、立憲民主、日本維新の会4党による与野党協議の進展状況を見て今後調整する。
4党の実務者は27日の第3回協議で、不当な寄付の勧誘などを規制する必要性を確認した。ただ、具体的な制度設計では与野党の主張に隔たりは大きい。
●“統一教会”「土下座120回」、“エホバの証人”「ムチで子どもを」― 10/28
“統一教会”などの宗教2世が27日、会見を開きました。断食や土下座など、アンケートで寄せられた事例が示されたほか、“エホバの証人”2世は子どもへのムチ打ちが推奨されていたと明らかに。信仰強制は「虐待」だと訴え、今国会での法整備を求めました。
親からの行動制限や暴力は「虐待」
信仰する親のもとで育った宗教2世の当事者が27日、会見を開きました。
「土下座する行為を120回させられたり、最大で3日間の断食をさせられたりということがありました」
両親がいわゆる“統一教会”の信者で、自身も元信者の小川さゆりさん(仮名・20代)は会見で、教団の宗教2世に行ったアンケートから、被害の実例を読み上げました。
小川さんはこうした、信仰を理由に親から受けた行動制限や暴力を「虐待」だと訴えました。
法律に「虐待」明記を…整備求める
そんな訴えは、“統一教会”以外の宗教2世からも上がりました。
“エホバの証人”2世(20代)は「ムチを子どもに打つことが(教団では)推奨されていました。私は小学生のころから、電気コードなどで体をめった打ちにされるという苛烈な身体的虐待を日常的に受けて育ちました」と語りました。
27日の会見では、こうした行動を虐待として法律に明記すべきだとした上で、今後訴えをまとめた要望書を国に提出する考えを示しました。
小川さん 「一刻も早く今期の国会で、二度と同じ宗教被害者が生まれないような法整備をしていただきたいです」
“統一教会”2世同席映像は「残酷」
また“統一教会”が20日の会見に2世信者17人を同席させたことについて問われると、小川さんは顔をゆがめました。
「自分ももしかしたら、教団から抜けることがなければ、あのような場に立っている可能性もあったのかな。たくさんの深い傷を負っている方がいる中で、現在信仰している2世をさらし出すという行為が、すごく残酷な映像だったなと思っています」「事実と向き合って謝罪して、しっかりとけじめをつけることが求めていることで、自分はとても残念だなと思いました」
●旧統一教会関連団体を広報誌で紹介 つくば市市民活動センター 10/28
旧統一教会の関連団体、世界平和女性連合の地域組織「WFWP世界平和女性連合つくば支部」の団体情報が、つくば市市民活動センター(同市吾妻)が9月に発行した「広報71号(2022年9・10月号)」に国際協力団体として掲載されていることが分かった。
紙面では、今年7月までに使用団体情報提供書を同センターに提出した、市内で活動する158の市民団体の一つとして紹介されている。
同センターの担当者は「紙面を編集した7月の時点で(同連合が)旧統一教会の関連団体であることは認知していなかった」と説明する。使用団体情報提供書は、センターの運営が指定管理者から市に移った2021年4月、施設を利用する市民団体に対してセンターが提出を勧めていた。世界平和女性連合つくば支部は、団体冊子をセンターに置いていたことから、団体活動を国際協力団体として提出し、今回の掲載につながった。
茨城県内には世界平和女性連合の地域組織が二つあり、つくば支部は土浦市に拠点を置く茨城第2連合会に属し、同連合主催の女子留学生日本語弁論大会(10月20日付)や、エチオピアの里親支援などをボランティアで会員が行ってきたと、支部担当者は説明する。同連合の公式サイトによると、全国47の各都道府県に156の連合会を置いている。
被害者救済と実態解明求める意見書可決
つくば市議会は9月議会最終日の10月6日、旧統一教会と関連団体による被害者救済と実態解明を国に求める意見書を賛成多数で可決した=メモ=。国に提出された意見書では、霊感商法など教団によるこれまでの違法行為や政治家への働き掛けなどの問題点を指摘した上で、国民の信頼回復のために被害実態の解明、被害者やその家族の救済に向け関係機関が連携して取り組むこと、教団と政治家の関係を究明・公表し決別することを求めている。
意見書を議員提案したつくば・市民ネットワーク代表の永井悦子さんは、関連団体が市民活動センターの広報誌で市民団体として紹介されたことについて「旧統一教会自体は、反社会的なことを行っていることが民事訴訟等で明らか」との認識を示し、「関連団体は市民への入り口となっていると理解している。(団体の動きを)注意しなければならない」と見解を述べた。
市民活動センターは今後の対応について「センターの施設規約では、政治・宗教活動を目的とするものについては、施設使用を許可できないことになっている」としつつ、「国の指針等が出ていない現段階では、市民団体と宗教団体との関連は、それが虚偽かどうかを含めて明確な対応基準はなく、公平性の観点からも判断はしかねる」との見解を示した。
●自民・木原官房副長官、旧統一教会の関連団体からの推薦状受領明かす 10/28
自民党の木原誠二官房副長官は28日、衆院内閣委員会で昨年10月の衆院選の際に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体から推薦状を受け取っていたことを明らかにした。教団の関連団体が求めた事実上の政策協定にあたる「推薦確認書」については「交わした事実は確認されなかった」と署名を否定した。
木原氏は「当時の認識が、やはり不足をしていた。正しくなかったということであろうと思う。深く反省し、おわびをしたい」などと陳謝した。木原氏は、2016年12月に教団の関連団体が主催した会合に出席したことが判明している。 
●「透明性と公正さを」 旧統一教会への対応めぐり宗教研究者が会見 10/28
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる解散命令請求を視野に入れた政府の対応について、宗教研究者の島薗進・東京大学名誉教授と桜井義秀・北海道大大学院教授は28日、東京都内で記者会見を開き、「宗教法人法にのっとり、透明性と公正さを求めたい」と訴えた。
2人は会見で、教団がこれまで40年にわたって霊感商法や高額献金による被害を招き、多くの裁判を抱えてきたと指摘。「宗教法人として妥当なものではない」「逸脱例だ」と教団に批判的な見解を示した。
そのうえで、岸田文雄首相が解散命令を裁判所に請求する際の要件をめぐり、国会答弁を1日で変更するなどしている現状について、桜井氏は「政治的な決断が、特定の団体や個人に対して向けられたときに十分な審議が尽くされずに(解散命令の請求を)やるというのは問題ではないかと思う」。島薗氏も質問権行使などについて「(他の宗教団体に)乱用されないよう、注意深く取り組むべきだ」と求めた。
島薗、桜井両氏を含む宗教研究者の有志25人は今月24日、教団への解散命令請求を含む「宗務行政の適切な対応」を文化庁などに求める声明を発表している。
●「旧統一教会」対応強化 文化庁宗務課を8人から38人に増員 10/28
岸田首相は、28日、首相官邸で記者会見し、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する質問権の行使などに向けた対応を拡充するため、「担当部局である文化庁の宗務課の体制についても、思い切って拡充し、従来8名だったのを、来月には38名に拡充する」と表明した。
さらに、「法律や会計の専門家の協力を得つつ、他省庁が把握している情報の提供を受けるとともに、被害者や旧統一教会問題をよく知る弁護士の団体などからも情報提供を得て、必要な協力を得ていく」と述べた。
そして、「所管官庁の文部科学省において、宗教法人法に基づいて、具体的な証拠や資料など、客観的な事実が得られるよう報告・聴取・質問権の行使を適切に行使していく」と強調した。
●「脱会したら、パスポートを隠された」旧統一教会の2世信者 10/28
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)などの信者の子として生まれた「宗教2世」の当事者らが28日、東京・永田町の衆院第一議員会館で記者会見し「宗教の名の下に子どもの人権を侵害している」などと、国に実情を踏まえた支援をするよう訴えた。(加藤益丈)
韓国に渡った旧統一教会の元2世信者の女性は、脱会して日本へ帰国しようとした際、何者かにパスポートを隠されたとし「代わりに渡航書を発行してもらい帰国できた」と振り返った。
当時は、両親の離婚などで国境を越えて連れ去られた子どもの取り扱いを定めた「ハーグ条約」に日本が加盟する前で、女性は子どもを連れて帰国できたが、現在は同条約が子どもを連れて帰国する際の「壁」になり、帰国を断念する女性が少なくないという。
会見を主催した「日本脱カルト教会」の川上靖恵理事によると、旧統一教会の合同結婚式で1万3000人の日本人女性が韓国に渡り、今も7000人が暮らしているとされる。貧困に苦しみながら帰国できない人の相談が続いているとし、「国は旅券の発行や帰国費用の貸し付けは可能だと示してくれた。帰国支援につなげたい」と話した。
別の宗教団体の元信者の男性は「親から『信者でない子どもは悪魔の支配下にあるから深く付き合ってはいけない』と交流を制限された。大学進学は勧められず、伝道に時間をささげなさいと言われた。宗教の名の下に子どもの人権を侵害しているのは統一教会だけでないと知ってほしい」と訴えた。
今後のために「慎重さ、透明性ある手続きを」
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への宗教法人法に基づく調査などを巡り、宗教研究者の島薗進・東京大名誉教授と桜井義秀・北海道大教授が28日、東京都内で記者会見し、「慎重さ、透明性を十分考慮して進めてほしい」と求めた。
教団の研究をしてきた桜井教授は、正体を隠した勧誘活動は信教の自由の侵害に当たり、解散命令請求に相当すると指摘。その上で、同法に基づく「質問権」行使が急がれている状況について「政治的決断が特定の団体、個人に向けられた時、十分な審議が尽くされないのは問題」と強調。「旧統一教会だから素早くやるのではなく、同様の事例のモデルケースになることも踏まえて慎重になるべきだ」と訴えた。
島薗名誉教授は「長年にわたり人権侵害を行ってきた教団が続いてきたのは、制度に問題があったと言わざるをえない。将来的に宗務行政のあり方が問われうる」と述べた。
両氏は他の宗教研究者23人と共に、文部科学省などに対し、適切な宗務行政や「宗教2世」らへの支援を求める声明を発表している。
●宗教学者25人が異例の声明 「旧統一教会は信教の自由を侵害」 10/28
国内の宗教研究者有志の25人が、国に対して世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する適切な対応を要望する声明を出した(10月24日付)。
東京大の島薗進名誉教授と北海道大の櫻井義秀教授が10月28日、都内で会見。統一教会問題は長期にわたって被害が続き、違法性を認めた裁判が既に多数ある特異な団体だとし、研究の蓄積や判例に基づいて、実態を整理すべきだと訴えた。
声明には迅速な動きを求める文言があるものの、会見では政治の性急な動きにたいして慎重な意見が目立った。質問権の基準を決める専門家会議が非公開であることなどを挙げ、宗教法人法に基づく法的手続きは「適切に、公正に、透明性を持って」と注文した。
研究者として見解示す責任ある
櫻井氏によると、25人は国内の宗教研究関連の大学はほぼ網羅しているという。宗教学者が連名でこうした声明を出すことは異例で、島薗氏は「日本宗教学会が2018年のゲノム編集の子どもの誕生について」の共同声明を出して以来だとする。
島薗氏は、安倍元首相の銃撃事件以降、宗教に注目が集まり、国民もメディアもどう捉えればいいか戸惑いが広がっていると説明。このタイミングで発出したのは「解散請求が視野に入ってきており、どういう対処が好ましいのか検討するには、社会に対して研究者として見解を表明する責任がある」と判断したからだという。
解散命令請求は「視野に」
声明では、正体を隠した勧誘は「信教の自由」を侵害し、家計を逼迫させ破産に追いこむほどの献金要請は公共の福祉に反すると指摘。「人権侵害に対して教団としての責任を認めてこなかったことは許容できない」とし、行政に「迅速かつ適切な遂行」を求めている。
具体的には、以下の4点を盛り込んだ。
・宗教法人法の報告・質問権を速やかに行使して事態を把握すること
・確定した裁判の判決、宗教家や法律家への専門的な調査などをもとに、宗教法人審議会における公正な検討
・法令遵守に違反し公共の福祉を害するものがあれば、裁判所への解散命令請求も視野に入れること
・霊感商法や高額献金被害者の救済と2世信者への支援
●山田副外相が推薦確認書に署名 旧統一教会関連団体、衆院選前に 10/28
自民党の山田賢司副外相(衆院兵庫7区)は28日、2021年9月に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体「世界平和連合」の求めに応じ、同団体が示した「推薦確認書」に署名していたことを文書で明らかにした。団体が主催した集会で国政報告を行った後、文書にサインを求められたという。「内容をよく確認せず署名したことは軽率であったと反省している」としている。
推薦確認書は同年10月の衆院選に向けて、憲法改正や伝統的な家庭教育など教団側が掲げる政策の推進を求めたもの。山田氏は「当該文書に署名したことによる、私の政治活動への影響は一切ない」と説明している。
●井野防衛副大臣 旧統一教会関係者を政務官室招き入れ 否定せず  10/28
井野防衛副大臣は法務政務官を務めていた当時、旧統一教会の関係者を法務省内の政務官室に招き入れていたとの指摘を「否定しない」としたうえで、今後は一切関係を持たないと強調しました。
衆議院法務委員会で、共産党の本村伸子氏は「井野防衛副大臣は、後援会のメンバーとして、旧統一教会関係者を法務省や政務官室に招き入れていたと一部で報道されている。極めて重大だ」と述べ、事実関係をただしました。
これについて井野副大臣は「記録はなかったが、一般的に地元の支持者から要請があった場合には、法務省見学や懇談の場を持つことはあった。後援会のメンバーの方が法務省に来たことは否定しない」と述べました。
そのうえで、今後は一切関係を持たないと強調しました。
また、この後援会を解散したのかを問われたのに対し「後援会の会長には、今後関係を持てないので解散してほしいと申し上げているが、その後どうなったかの確認はまだ来てない」と述べました。
●自民・宮内文科委員長が旧統一教会の会合に出席 10/28
衆議院の文部科学委員長を務める自民党の宮内秀樹衆議院議員が旧統一教会が主催する会合に出席していたことが分かりました。
宮内議員は26日の文部科学委員会の理事会で、旧統一教会との接点について改めて調査したところ「関連団体の会合だと認識していたものが旧統一教会が主催する会合だったことが確認された」と説明していました。
自民党本部には修正の追加報告をしたということです。
宮内議員はこれまで、自民党の調査に対して「旧統一教会の関連団体の会合」に出席し、あいさつしたと報告していました。
●自民議員と旧統一教会の接点判明連鎖止まらず 木原官房副長官 10/28
自民党の木原誠二官房副長官が28日、昨年10月の衆院選の際に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体から推薦状を受け取っていたことが明らかになった。木原氏は関連団体が求めた「推薦確認書」については「交わした事実は確認されなかった」と署名したことを否定したが、木原氏は岸田文雄首相が率いる岸田派の最側近の1人で、身内閣僚による逆風が吹き荒れている。
岸田文雄首相は、この日の参院本会議で、自民党の一部議員が旧統一教会の関連団体と交わした事実上の政策協定となる「推薦確認書」について、党として調査しない考えを明らかにした。岸田氏は「選挙にあたり各候補者が政策分野を含め、さまざまな団体と書面のやりとりを行っている。その上で推薦確認書に署名したことが選挙への支援につながっているかどうかがポイント」と強調した。その上で「党として所属国会議員による点検結果を取りまとめ、すでに公表をしている。推薦確認書に署名したと認めている議員が説明しているように党の点検結果との関係については議員本人が説明すべきもの」と党としての介入を避けた。
だが、自民党議員と教団側の新たな接点判明が止まる気配はない。24日に教団側と複数の接点が相次いで判明した山際大志郎前経済再生相が事実上の更迭となった以降も、自民党の大串正樹デジタル副大臣が昨年10月に「推薦確認書」に署名したことを認めた。大串氏は霊感商法、高額献金などの被害を扱う消費者行政も兼務している。さらに、28日夜には山田賢司外務副大臣が旧統一教会の関連団体「世界平和連合」の「推薦確認書」に昨年9月に署名していたと発表。岸田氏を悩ませる内閣支持率低迷の回復は険しくなるばかりだ。
●大竹まこと 旧統一教会めぐる自民・世耕氏猫の手#ュ言に怒り 10/28
お笑いタレントの大竹まことが28日、パーソナリティーを務める文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」に出演。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題をめぐる自民党・世耕弘成参院幹事長の「猫の手も借りたい」発言に憤慨した。
世耕氏は26日、BS放送の番組で旧統一教会の友好団体が国政選挙で自民党国会議員に事実上の政策協定≠ニなる推薦確認書に署名を求めていた問題について「党の政策と反していなければ、選挙で猫の手も借りたいような議員は、こういう普通のことならサインするというレベルだ」と述べた。また、「現実には断った方もいるという話だ。日韓トンネルには賛成できないから断ったという人も、私はちらほら聞いている」とも語った。
これに大竹は「『ちらほら聞いている』ってどんな聞き方だよ!」と怒り心頭。さらに「推薦確認書? 政策協定? これを交わして、その中にLGBTの問題とか入ってるわけでしょ。それに署名してるわけでしょ。しかもこれが全部出てきてるわけじゃないよね。まだ誰が署名してるかわからない状態。(政策協定を交わしたと)言ったの1人だけだよね」と問題のさらなる追求を求めた。
またアシスタントの室井佑月氏は「世耕さんって、この問題話すとき最初苦しい感じ、言い訳みたいだったんだけど、だんだん報道が少なくなると大胆なこと言い出してるよね」と苦笑いしていた。
●「旧統一教会」施設の立ち入りも検討…永岡文科相 10/28
永岡文部科学相は28日の記者会見で、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に対する調査について、「幅広く情報を得ることが重要だ」と述べ、施設への立ち入りを含めて検討する考えを示した。
宗教法人法は、宗教法人に法令違反などの疑いがある場合、文化庁職員などが法人側の同意を得た上で、施設に入って質問することを認めている。永岡氏は「効果的に権限を行使できるよう、宗教法人審議会の意見も伺いながら検討していきたい」とも語った。
●公明、旧統一教会被害救済「実効的方策講じる」 10/28
公明党の消費者問題対策本部(本部長・古屋範子副代表)は28日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による金銭トラブルなどをめぐる被害者救済策の提言をまとめ、首相官邸で岸田文雄首相に提出した。
悪質な寄付・献金の勧誘による被害防止や救済のために「新たな立法措置を含めて実効的な方策を講ずる」ことが提言の柱で、首相は「(救済法案作成に向けた)与野党協議の状況を見ながら対応していく」と語ったという。面会後、古屋氏が官邸で記者団に明らかにした。
提言は、消費者契約法の見直しに関し、不当契約に関する取り消し権の対象拡大や取り消し可能となる期間の延長を求めた。相談体制の強化も提唱した。
一方で、宗教に対する偏見や差別の助長を防ぐため、「信仰告白の強要は信教の自由の侵害にもつながると周知する」ことを求めた。公明が宗教団体の創価学会を支持母体としていることも関係しているとみられる。
●公明、旧統一教会被害救済「実効的方策講じる」 10/28
公明党の消費者問題対策本部(本部長・古屋範子副代表)は28日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による金銭トラブルなどをめぐる被害者救済策の提言をまとめ、首相官邸で岸田文雄首相に提出した。
悪質な寄付・献金の勧誘による被害防止や救済のために「新たな立法措置を含めて実効的な方策を講ずる」ことが提言の柱で、首相は「(救済法案作成に向けた)与野党協議の状況を見ながら対応していく」と語ったという。面会後、古屋氏が官邸で記者団に明らかにした。
提言は、消費者契約法の見直しに関し、不当契約に関する取り消し権の対象拡大や取り消し可能となる期間の延長を求めた。相談体制の強化も提唱した。
一方で、宗教に対する偏見や差別の助長を防ぐため、「信仰告白の強要は信教の自由の侵害にもつながると周知する」ことを求めた。公明が宗教団体の創価学会を支持母体としていることも関係しているとみられる。 
●旧統一協会問題と創価学会問題の違いとは?  10/28
予算委員会が始まり、野党は政府内の閣僚と旧統一協会との関わりを追求し、岸田総理の任命責任を論拠に政局に持ち込もうと考えているようだ。
拙稿でも触れたように、現在の円安、インフレ基調に対して財務省と日銀に申し入れを行った階猛ネクストキャビネット財務・金融担当をはじめ、立憲民主党内で経済に明るいグループが文章を作成したようだが、その中身は全く意味をなさない文章だった。
それに加えて、これも既定路線と言えば言えるが、野党は旧統一協会問題を中心に政府への追及を始めた。
その中でも、後藤祐一議員は、閣僚が旧統一協会に関わりがあったとか、地方の事務所費問題について、あのモリカケ問題同様、政治資金規正法の範囲内で特段法的な問題があるとは思えない点を、ネチネチと追求している。
過去、モリカケ問題を追求してきた議員、中でもテレビ中継の時に活躍してきた野党議員は、軒並み議席を失った。後藤議員がそうならないことを祈るばかりだ。
立憲民主党は、細田議長、辞任した山際前経済再生担当相、他自民党議員の旧統一協会との関わりを追求する構えのようだが、これもモリカケの時と同様、週刊誌報道の後追いを国会が行っている印象は拭えず、貴重な国会審議の時間を浪費しているとしか思えない。
立憲民主党は創価学会が組織する公明党について、同様な追及を行わないのは何故か?それも疑問がある。かつて、麻生政権時代、旧民主党の石井一議員が、公明党と創価学会との関係性を執拗に追及してきた。日本国民の誰もが、創価学会が日本の国教を目指して政治団体を組織し、日本の公党である公明党に直接的な影響を与えていることを知っている。当時、創価学会が選挙の時に宗教施設を中心に信者が集票マシーンとして機能していることもよく知られている。
公明党の竹入義勝元委員長や矢野絢也元委員長が、公明党と創価学会の内幕を暴露した際、公明党と創価学会は両者を執拗に糾弾してきた歴史もある。
つまり、創価学会と公明党は、日本国憲法に抵触するほど政教一致してきたのだ。
当時の石井一議員は、長年にわたって創価学会と公明党の関係と公明党と連立与党を組む自民党を追求してきた。私は、デフレ不況脱却が出来なかったことでその閉塞感を打ち破ることを国民が願ったからこそ、政権交代が起きたと思っているが、麻生政権が解散に追い込まれた一つの要因が、石井一議員が長年追求してきた創価学会問題を国会の場で白日の下に晒したことも大きいと考えている。
仮に経済的に国民から反発されるような失政を行っていなければ、なし崩し的に野党が他に追求することが無かったから、公明党問題を取り上げているだろう、くらいに思っていただろう。しかし、庶民の経済に閉塞感があり、そこから抜け出せないとなれば、当然だが、言いがかりのようなものが、有権者の心を動かす要因にはなるのは必然だ。
さて、現在立憲民主党が追求している旧統一協会問題についてだが、確かに旧統一協会が霊感商法や強引な集金を行ってきたことは問題があるだろう。それ以上に、過去数十年にわたって創価学会と公明党の間で行われてきた政教一致問題を傍に置いて、旧統一協会問題だけを槍玉に上げることの正当性を感じられない。
仮に社会的に問題がある団体だとしても、違法性を問えない宗教活動を理由に解散請求を行うことは、それ自体が日本国憲法の主旨に反する。
憲法で保障されているのは、個人の信教の自由と共に、宗教活動の自由も認められている。
つまり、個人もまた宗教団体側も、日本においてはその活動と信仰においては自由を保障されている。この両方が憲法で守られている事実を考えた時、仮に旧統一協会にその活動において問題があったとしても、違法性が裁判所で認められた霊感商法以外は、純粋な宗教活動であり、仮に集金の手法が第三者から見て強引であったり、詐欺まがいの結果を保証しない教えの履行であったとしても、それは宗教活動の範囲内であれば自由が保障されているおり、また信者側も個人の信教の自由として信じる信じないの内心の問題に他人は関与することは出来ない。
仮に立憲民主党が旧統一協会に対して解散を視野に入れた質問権行使に関して文化庁が検討会議をスタートさせたが、これは野党議員の申し入れに押された形となった。
私は以前の拙稿でも触れたが、オウム真理教と旧統一教会では批判されている中身に大きな違いがある。
オウム真理教の場合は広く社会の不特定多数に対してのテロ行為であったが、旧統一協会の場合、信仰心のある信者に対しての献金の推奨であり、それは個人の信教の自由の範囲に該当する。仮に親族から返金要求が行われたとして、信仰心の発露である個人の献金行為に対して、親族であっても他人がその行為に影響を与えることが可能なのか?或いはそれを裁判所が判断していいいのか?という問題がある。
その意味で、国会質疑の場で閣僚個人か信者か否かを質問した立憲民主党議員が問題なのではなく、旧統一協会のケースの場合、政府が解散命令も含め立法の場でその是非を問えるのか?という問題がある。そちらの方が重要で、憲法や民法の解釈も含め、議論が大きく分かれる点だろう。
私は、国会でそれらの問題を質疑すること自体がナンセンスだと考えるし、そもそも違憲だと思う。
それならむしろ憲法審査会に議論を上げた方が良い。
信者以外の視点で見れば、確かに旧統一協会の布教活動や集金行為は、社会にとって害毒であると言えるだろう。ではそこに違法性があるのか?と問われれば、個人の内心の問題に踏み込むことになるし、旧統一協会の布教のあり方そのものに違法性を問うなら、それは憲法のレベルまで議論を高めなければならなくなる。
これは、戦後、日本国憲法が制定されて以後、長くこの日本に横たわる問題の一つでもあり、また、先述の創価学会と公明党の関係性の問題にも通じる。少し政治や宗教のことを知った人なら、公明党の政教一致が憲法違反であることは明白だが、公明党議員やその支持者は、あくまでも政治と宗教は別であり、公人ではなく個人の信教の自由を盾に、ここ50年くらい、ずっと逃げ回ってきたのだ。
議論の俎上に乗せることさえ難しい。
もっと言えば、旧統一協会批判を行う立憲民主党は、その前に公明党と創価学会との関係を追求するのが先だろう。
私はそこに矛盾を感じてならない。 

 

●自民横浜市連が旧統一教会系「国際勝共連合」県本部代表を永年継続表彰 10/29
自民党横浜市支部連合会(市連)が6月、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連の政治団体「国際勝共連合」の神奈川県本部代表の男性に、自民党員を10年間続けているとして「永年継続表彰」をしていたことが分かった。自民党は教団と組織的な関係はないとしているが、深いつながりの一端が浮かんだ。
表彰は6月6日の市連大会の際に行われ、男性の名前は配布された冊子の表彰者一覧に掲載された。市連によると、一般党員は入党から10年ごとに全員が表彰され、山下正人幹事長(横浜市議)は「一人一人の背景を調べておらず、男性を特別扱いしているわけではない」と説明する。
男性が入党した経緯は不明。男性を巡っては今月19日の参院予算委員会で、教団との接点が相次いで発覚し24日に辞任した山際大志郎・前経済再生相が、自身の支援者であると答弁した。県内の自民地方議員は「市連と勝共連合をつなぐ窓口的役割を担っている」と証言する。
また、男性は2018年、自民党が法制化を目指す「家庭教育支援法」を巡り、県内の自民地方議員に制定を求める意見書案の提出を働きかけていたことが判明している。
霊感商法被害救済担当弁護士連絡会事務局長の渡辺博弁護士は表彰について、「旧統一教会と自民党は一体だと言っているようなもので、教団にお墨付きを与える」と批判する。
市連は「一般党員に思想信条を聞くのはプライバシーの侵害になる。離党勧告や除名の対象は議員を想定しており、一般党員に辞めろとは言えない」(山下幹事長)とするが、渡辺弁護士は「党本部として、反社会的な活動をしている団体の関係者だと判明したら、党籍を剥奪するという方針を示すべきだ」と述べた。
●「旧統一教会と関係」ライバルかたりビラ配布で辞職、女性市議 10/29
来春の福岡市議選に立候補を検討している元衆院議員の男性をかたって、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と関係があると記したビラを配布した同市議の堀本和歌子氏(41)(博多区選出)が28日、同市市議会議長に辞職願を提出し、議員辞職した。堀本氏は記者会見を開き、「男性や支援者の皆様に多大なご迷惑をおかけし、大変申し訳ありません」と謝罪した。
日本維新の会所属だった堀本氏は今年8月、男性の名で2019年に韓国で開かれた旧統一教会の式典に出席し、あいさつしたとする文や写真を載せたビラを約200枚作成。同市博多区の複数の住宅に 投函とうかん した。防犯カメラの映像を見た男性は9月、堀本氏の関与を疑い私文書偽造容疑で刑事告発。堀本氏は今月、福岡県警から任意の事情聴取を受けた。堀本氏は問題発覚後の26日付で維新を離党している。
堀本氏は記者会見で、動機について「男性があいさつする動画を見て事実を知ってもらおうと思った」と説明。「なりすましや男性を陥れる意図はなかったが、間違ったやり方だったと猛省している」と話した。
男性は、堀本氏の会見について「潔く辞職し、私や支援者に謝罪したことは受け止めたい」と話した。
●旧統一教会問題で内閣支持率ジリ貧…岸田降ろしが始まらない自民党 10/29
自民党と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の癒着問題、歯止めがかからない円安物価高、迫りくる新型コロナウイルス第8波──。
三重苦に見舞われる岸田首相は右往左往するばかり。往生際の悪い瀬戸際大臣をようやくクビにしたものの、内閣支持率に反転の兆しは見えず、ジリ貧だ。岸田首相の政権運営に自民党内では不満噴出だが、かといって「岸田降ろし」が始まる気配もない。力がある派閥もなけりゃ、力業を使える議員もいないからだ。気づいたら要職を占めているのは外様の連中ばかり。「人材払底極まれり」である。
要職は外様ばっかり
「来年4月の統一地方選を控え、支持率は危険水域に入り、党内では失望感が広がっている。総理は党内第4派閥(宏池会)の領袖に過ぎないわけで、求心力を失い始めればアッという間。岸田降ろしのノロシが上がり、党内政局に突入してもおかしくない。しかし、そうはならないのは、生え抜きのマトモな勢力がいないからです。党三役を占める茂木幹事長と遠藤総務会長は、ともに日本新党出身。萩生田政調会長は旧統一教会問題に手足を縛られている上、安倍派(清和会)の跡目争いでそれどころじゃない」(与党ベテラン議員)
事実上、岸田首相から権力の座を追われ、恨み骨髄の菅前首相も動くに動けないという。
「菅前総理は神宮外苑再開発事業をめぐって便宜をはかった疑惑を抱え、派手に動き回れない。三男が勤める大成建設は、東京五輪開催に伴う新国立競技場の建設を受注している。そうでなくても、統一教会をめぐる問題は収束のメドが立たない。誰が総理になっても苦労する。火中の栗を拾う物好きはいないですよ」(永田町関係者)
瀬戸際大臣の後任は前厚労相の後藤経済再生相。起用理由について岸田首相は「政治経験の豊富さ説明能力の高さなどを重視した」と言っていたが、後藤氏のルーツは新進党。初当選時は民主党公認だった。政権最大のピンチに生え抜きを据えられないのも人材難ゆえだ。
ちなみに、ポスト岸田を狙う安倍元首相子飼いの高市経済安保相も外様。初当選は無所属で、自由党や新進党を経て自民に入り込んだ。何かとしぶとい二階元幹事長は出戻り組だ。
岸田首相は安倍氏の決めゼリフも拝借したのか、「自民党は人材の宝庫」と言っていたものだが、安倍1強にあぐらをかいて生え抜きは小粒ばかり。母屋を取られるのも時間の問題か。
●文化庁宗務課を拡充、首相が方針 旧統一教会の対応多忙で 10/29
岸田文雄首相は28日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の対応に追われている文化庁宗務課について、来月1日から38人に拡充する方針を示した。
文化庁によると、宗務課の定員は庁内で最も少ない8人だが、今夏の旧統一教会問題以降は応援職員をもらい、24人で対応している。応援は文部科学省や文化庁の他部署からだが、来月からは他省庁の職員も加わるという。
岸田首相は宗務課の拡充に加え、他省庁や被害者救済に取り組む弁護士から情報提供を得る考えを示した。被害相談窓口の充実や関係法令の改正にも取り組むとし、「実態把握と現状の救済、将来に向けての再発防止、この三つを並行して行っていかなければならない」と述べた。
宗務課は来年3月の文化庁の京都移転の対象部署だが、旧統一教会に対する宗教法人法に基づく初の「報告徴収・質問権」行使に向けた業務などに追われている。永岡桂子文部科学相は21日の閣議後記者会見で、来春時点の同課の京都全面移転は困難との認識を示していた。
●旧統一教会問題、沈黙≠フ保守に矜持はないのか! 10/29
驚きと憤りと幻滅に襲われる
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との深い関係を野党やメディアに指摘されながら、「記憶にない」という言葉でかわし続けてきた忘却の達人℃R際大志郎経済再生担当相が24日、ついに辞任した(実態は更迭らしい)。
第一の標的が早々に倒れてしまえば、野党は勢いづいて、第二、第三の標的を倒しにかかる。そうさせないためにも、自民党としては、山際氏にはできる限り粘ってもらう必要があったはずだ。その意味において山際氏は、大臣としての仕事はともかく、第一の標的として、それなりの仕事をしたといえる。自民党は、打たれても打たれても倒れることなく立ち続けた山際氏に、殊勲賞を与えてしかるべきだ。もちろん皮肉である。
安倍晋三元首相の暗殺を機にあらわになった、旧統一教会と保守を名乗る政治家との癒着。保守主義者の多くは、驚きと憤りと幻滅に襲われていると思う。私もそうだ。
保守を自任する以上、どんな理由があろうとも、その教義に「反日」が明記されている宗教団体と関係を持つべきではないだろう。矜持(きょうじ)の問題だ。矜持を持たぬ国会議員に何ができるのか。関係の深い団体の御用聞きぐらいだろう。
確かに旧統一教会と保守政党には、「反共」と「伝統的価値観の重視」という点で共通するところがある。朴正熙政権時代、文鮮明教祖が大韓民国中央情報部(KCIA)の指示で、反共政治団体である国際勝共連合を創設したのが1968年のこと。同じ年に日本にも創設された。その中心人物が岸信介元首相だ。その後、窓口の役割は娘婿の安倍晋太郎元外相、孫の安倍晋三元首相へと受け継がれていった。
安倍元首相暗殺後の7月25日、民族派団体「一水会」は、ツイッターでこうつぶやいている。
《本来、旧統一教会と保守政治家との癒着を最も強く糾弾すべきは、土着宗教系の組織や日本の保守運動を標榜(ひょうぼう)する勢力であったはずだ。だが彼らは、原理の教義を棚上げ、反共という一致点で同教会を頼もしく思い、助っ人になると踏んだのだ。日本の保守派と旧統一教会の蜜月が、今回の事件の導火線にある》
岸元首相は「反日」を棚上げにし、「反共」という一致点で、日本の保守派と統一教会、国際勝共連合との蜜月関係のきっかけをつくったのだ。
「敵の敵は味方」という言葉もあるように、政治家には大きな視野で状況を把握し、清濁併せのむ胆力が不可欠だ。岸元首相にはそれがあった。旧統一教会の教義にある「反日」を、完全に封印する自信もあったのだろう。
問題は、選挙に強い政治家もいれば、常に当落線上ぎりぎりの政治家もいるという現実だ。一票でも上積みしたい政治家にとって、旧統一教会の選挙協力は、本当にありがたいものだったはずだ。こうして旧統一教会との関係は深まっていったのだろう。
私はこう考えている。選挙に強い政治家に旧統一教会はほとんど影響力を与えることはなく、選挙に弱い政治家と、彼が属する派閥のボスに、一定の恩を売ることが可能だった、と。自民党の政策に旧統一教会の意見がどの程度反映されたかは、私にはわからないが、けっして皆無だったとはいえないはずだ。
ここで想起されるのが、第3巻第10章「自分の意志を節約すること」にあるモンテーニュの言葉だ。
《他人に自分を貸すことはしなければならないが自分以外の者に自分を与えてはいけない》
多くの接点を持った山際氏はどうだったのだろう。
同じ章にこんな言葉もある。
《この世には足をとられるような深みがたくさんあるから、最も安全であるためにはいささか軽めに・浅く・世を渡るべきである》
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の対極ともいえる思想だが、どちらを選択するかは、当人の人生観にかかっているだろう。いずれにしても、深みにはまった保守政治家はいない、と信じたい。
強烈な選民思想 日本はサタンの国
ところで、旧統一教会の「反日」とはいかなる内容なのか。インターネット上には、旧統一教会の教会員ポータルサイトがある。そこにアップされている「原理講論」に目を通した。「反日」については、「後編第6章」の「再臨論」に詳しい。
まず「原理講論」の基底には、韓国民族は選民であるとの思想が貫かれている。自らを「第3イスラエル選民」と規定しているのだ。ちなみに第1はエジプトで400年もの苦難に耐えたイスラエルの民、第2はローマ帝国で400年の圧政に耐えたイスラエルの民である。第3イスラエル選民たる韓国民族は大日本帝国の40年にわたる圧政に苦しんだとされる。そしてこんなおぞましい記述が掲載されている。
《西暦一九一〇年、日本が強制的に韓国を合併した後には、韓国民族の自由を完全に剝奪し、数多くの愛国者を投獄、虐殺し、甚だしくは、皇宮に侵入して王妃を虐殺するなど、残虐無道な行為をほしいままにし、一九一九年三月一日韓国独立運動のときには、全国至る所で多数の良民を殺戮(さつりく)した》
《数多くの韓国人たちは日本の圧政に耐えることができず、肥沃(ひよく)な故国の山河を日本人に明け渡し、自由を求めて荒漠たる満州の広野に移民し、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の試練を経て、祖国の解放に尽力したのであった。日本軍は、このような韓国民族の多くの村落を探索しては、老人から幼児に至るまで全住民を一つの建物の中に監禁して放火し、皆殺しにした》
自虐史観に貫かれた歴史教科書で学んだ日本人ならば、日本をサタン側の国であると決めつけるこの教義に拒否反応を示さず、「だから韓国に対して謝罪を続けなければならない」と考えても不思議はない。日本人の入信者は、自虐史観を刷り込まれた心優しい犠牲者なのかもしれない。
最後に改めて問いたい。保守を自任しながら旧統一教会に選挙を手伝ってもらった保守政治家のみなさんは、こうした歴史認識を持った団体であることを承知のうえで関係を深めたのでしょうか、と。知らなかったというのなら、それは不勉強すぎる。国政に関わる資格などない。国会から身をお引きください。知っていたというのなら、こう自問していただきたい。「自分に矜持はあるのか」、さらに「旧統一教会に自分を与えてはいないか」と。
その先は自分でお考えください。いかんせん、「信教の自由」に関わることですから。
●旧統一教会“癒着”で岸田政権またも大揺れ…最側近の木原官房副長官 10/29
副大臣ら6人に旧統一教会との接点が浮上
一難去ってまた一難、いやいや身から出たサビだ。
自民党と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着の解明がちっとも進まない中、瀬戸際大臣(山際大志郎前経済再生相)の更迭で局面打開を図った岸田政権が早くも大揺れしている。教団の関連団体「世界平和連合」や「平和大使協議会」から事実上の「政策協定」である推薦確認書を提示され、署名していた副大臣が次々に判明。首相最側近の木原誠二官房副長官も推薦状を受け取ったことが明るみに出たからだ。言うまでもなく、すべて自民党の議員だ。
旧統一教会サイドと推薦確認書を交わしていたのは、消費者担当副大臣を兼務する大串正樹デジタル副大臣と、山田賢司外務副大臣。いずれも、昨年10月の衆院解散前に署名していた。憲法改正実現や安全保障体制の強化、同性婚合法化への慎重な対応など、教団が関連団体と一体化して掲げる政策の推進を約束したということだ。井出庸生文科副大臣は提示されたものの、署名は断ったという。
政権にとって、瀬戸際大臣を上回るインパクトなのが木原氏だ。28日の衆院内閣委員会で共産党の塩川鉄也議員から追及され、推薦状の受け取りについて「私、スタッフ、事務所を含めて当時の認識が不足していた。正しくなかった。深く反省し、おわびしたい」と認めた。直近4回の衆院選で受け取った約1000枚の推薦状のリストをチェックし、確認したという。推薦確認書への署名は否定し、「具体的に政策要望などを受けたことはない」などと釈明したが、推薦状をもらったのは、すでに官邸の要である官房副長官の任に就いていた昨秋の衆院選のタイミング。脇が甘かった、じゃ済まされない。
安倍・菅政権以降も旧統一教会は官邸に入り込んでいた
2016年12月に関連団体主催の会合に参加していたことも、報道を受けて「記憶が呼び覚まされた」とか言って渋々認めたくらいだから、濃厚な接点が後から後から出てくる可能性がある。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「官房副長官は首相の外遊にも同行する官邸の要職。安倍・菅政権以降も統一教会が官邸にまで入り込んでいた衝撃は大きい。霊感商法などの被害防止策を練っている消費者庁担当の副大臣が利害関係者と近しかったのもヒドい話です。岸田首相は〈国民の声を受け止め、一つ一つ結果を出す〉なんて言っていますが、世間から見れば言っていることとやっていることは真逆。茂木幹事長に押し返され、党内の膿を出し切らなかったツケが回っている」
中川貴元総務政務官は昨秋の衆院選で教団関係者に電話かけを手伝ってもらい、井野俊郎防衛副大臣は16年11月に後援会メンバーだった教団関係者を法務省内を見学させた可能性を認めている。
木原氏は今や懐かしい小泉チルドレンの1人。野党から寝返った井出氏と当選1回の中川氏を除く3人は安倍チルドレンだ。地盤が弱い連中が教団票にすがった構図が浮かび上がる。 
●旧統一教会関係者を入党10年で表彰 自民党横浜市連 10/29
自民党横浜市連が6月、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の政治団体「国際勝共連合」県本部に関係する男性に対し、自民党員を10年間続けているとして「永年継続表彰」をしていたことが分かった。
表彰は6月6日に横浜市内で開かれた市連大会で行われ、男性は一般党員が入党から10年ごとに表彰される永年継続表彰者の一人として当日配布された冊子に氏名が記載されていた。
男性は、教団との接点が相次いで発覚し辞任した山際大志郎前経済再生担当相(衆院神奈川18区)が19日の参院予算委員会で自身の支援者と答弁した人物。県選挙管理委員会の政治団体名簿(2021年12月31日現在)によると、同本部の代表に名を連ねている。
市連の山下正人幹事長は取材に対し「党員を続けてきた人を表彰するもので、男性を特別扱いしているわけではない。ただ、男性が団体の影響を強く受けるのであれば、関係を断つという党本部の方針を踏まえて対応を検討していく」と話した。
●旧統一教会での演説は4回に修正 2年前の富山県知事選 10/29
新田八朗富山県知事は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から2020年10月の知事選で支援を受けたことについて、新たに同年7月5日にも富山市内の催しで演説していたことを明らかにした。8月9日の会見では演説の機会を提供されたのは3回としており、4回に修正した。知事は「大変申し訳ない。私の手帳にも記録はないが、修正させていただく」と陳謝した。
記者団から2年後の知事選で旧統一教会から選挙応援を受けることはないのかと問われ、「出馬するかどうかも決まっていないので今は答えられない」と述べるにとどめた。
●山際前大臣と統一教会の黒幕は?  10/29
統一教会とのズブズブの関係が次々と明らかになり、ついに大臣辞任となった山際太志郎・前経済再生担当相。今回の辞任は事実上の更迭だと言われているが、すでに統一教会との関係が指摘されていたにもかかわらず内閣改造で留任させた岸田文雄首相の任命責任は厳しく問われるべきだ。
そして、山際氏の辞任を機にさらなる追及が必要なのが、あの大物政治家の問題だ。それは、菅義偉・前首相と統一教会との関係について、である。
じつは、山際氏の辞任が決まった24日、立憲民主党の江田憲司・衆院議員が、自民党の神奈川での選挙戦において、いかに統一教会が入り込んでいるかを物語るエピソードをFacebook上に投稿したのだ。
江田氏といえば、岡山県出身で通産省の官僚から橋本龍太郎内閣で首相秘書官に起用され、2000年の衆院選で神奈川を地元とする衆院議員の菅義偉氏に口説かれ、落下傘候補として神奈川8区で自民党から初出馬し、落選。その後、2002年の補欠選挙に、自民党でなく無所属で出馬し、初当選を果たしている。
じつはこの2002年の補欠選挙、同じ神奈川8区で、自民党から江田氏の代わりに初出馬したのが、山際氏だった。
そして今回、江田氏は当時の出来事をこのように投稿したのだ。
〈その山際大臣。いや、前大臣。前にも触れましたが、最初の選挙の相手は実は私だったんですね。2002年秋のことです。彼の発言によれば、この選挙で旧統一教会との接点ができた由。(中略)私の選挙区、青葉区しらとり台に旧統一教会の大きな教会がありますし、神奈川県勝共連合の本部も同地にあるのです。私が、菅義偉さんの要請で自民党から選挙に出たのが2000年6月のこと。ですから、その内情は私がよく知っています。今でも鮮明に覚えているのが、私の衆院選対本部に当たり前のように統一教会の信者が入ってきたんですね。選挙のことはズブの素人、生まれたことも育ったこともなかった「落下傘候補」の私は、何か地元の県議、市議等にモノが言える立場ではなかったのですが、「それだけはだめだ!」と、当該信者を私の選対から排除したことがありました。だから、よく覚えているのです。〉
菅が江田憲司に「金も選挙スタッフも用意」と約束、そして統一教会信者が選対本部に
選対本部に当たり前のように統一教会の信者が入ってきた──。江田氏は排除したというが、その後、同じ選挙区から自民党候補として出馬した山際氏は、そうした統一教会関係者を排除できず、受け入れたのではないか。そう江田氏は指摘したのである。
しかし、問題なのは、誰が選対本部に統一教会の関係者を招き入れ、選挙支援を求めたのか、という点だろう。
今回の投稿では具体的に語っていないが、じつは、「経済界」2015年5月26日号に掲載された徳永家広氏との対談で、江田氏は自民党から出馬した際のエピソードをこのように語っていた。
「橋本総理が辞任した後、すぐに辞表を出してハワイに行ったんですが、1年後に帰国した時にパクっと捕まったのが、菅義偉さんです。僕は首相秘書官としては嫌われ者だったと思いますが、意外にいろいろな政治家さんに壮行会をやっていただきましたから、議員会館に行ってお礼をして回ったんです。それで菅さんの所に行ったら「実は神奈川八区に中田宏という強い奴がいて、自民党の県議も市議も尻込みして出ないから、江田さん出てください。地元の合意は責任をもって私が取り付けます。金は自分で出します。選挙スタッフも全部派遣します」と」
菅氏は“地元の合意や金の問題は自分に任せろ、選挙スタッフも全部派遣する”と約束して江田氏を口説き落としたが、その選対本部には「当たり前のように統一教会の信者が入ってきた」というわけだ。つまり、菅氏の人脈として統一教会が選挙支援に入っており、つづく補欠選挙で同じ選挙区から出馬した山際氏も統一教会と深い関係を結ぶこととなった。そう疑いを持たざるを得ない話だろう。
実際、9月8日に公表された自民党の「点検」結果でも、菅氏が牛耳る神奈川の自民党議員9人が統一教会と関係があったことが判明しているが、注目すべきは、神奈川選出の自民党議員と統一教会の関係が濃厚であることだ。
菅が官房長官時代に“統一教会幹部を首相官邸に招待”疑惑
前述の山際氏や、菅氏の子飼い議員として有名な山本“マザームーン” 朋広・衆院議員(神奈川4区)は言わずもがな、菅グループの「ガネーシャの会」で会長を務め、菅内閣では官房副長官を務めた神奈川5区選出の坂井学・衆院議員も、選挙で統一教会関係者からボランティア支援を受けていたことや関連団体の会合に出席していたことを認めている。また、菅氏と同じ法政大学出身であり親しい関係にある神奈川10区選出の田中和徳・元復興相も、2017年5月に自民党本部で教団幹部と会談していたことや、2016年10月に川崎駅の駅頭でおこなった街頭活動で自身の名刺とともに「世界日報」を配布していたことをジャーナリストの鈴木エイト氏が指摘している。
疑惑は、地元・神奈川選出の側近議員に統一教会と深い関係を持つ議員が多いというだけではない。新聞やテレビなどではほとんど追及されていないが、自民党議員と統一教会の関係に菅前首相自身がかかわったという疑惑も浮上している。
2013年の参院選において統一教会の全面支援を受けていたと指摘されている自民党の北村経夫・参院議員の問題では、北村議員の元選挙スタッフが「当時の菅官房長官が、北村候補に(統一教会の関連団体である世界平和連合を)選挙支援として差配した、支援団体としてつけた」と証言している(菅事務所は事実を否定)。
また、鈴木エイト氏は著書『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)において、「菅氏の最側近」と呼ばれ、公選法違反で昨年衆院議員を辞職した菅原一秀・元経産相と統一教会の深い関係についても追及をおこなっているのだが、そのなかで、SEALDsに対抗してつくられたと見られている統一教会の学生組織「勝共 UNITE」が2017年に開催した「改憲2020年実現大会」に菅原氏が出席していたと指摘。鈴木氏の取材に対し、自民党関係者は「菅原さんは無派閥なので、党本部か菅官房長官の指示ではないか」と語ったという。
選挙支援の差配にイベントへの派遣──。だが、菅氏の疑惑はこれだけではない。菅氏は官房長官時代、統一教会の要人を首相官邸に招待したとも言われているからだ。
前述の鈴木氏の著書によると、2017年に統一教会の金起勲・北米大陸会長兼世界副会長らが来日した際、〈菅義偉官房長官から招待を受けて首相官邸を訪問〉したと指摘。実際、直後に韓国で開かれた「天地人真の父母様主管 韓・日・米希望前進大会勝利特別報告会」において、金会長は韓鶴子総裁に「ヨシヒデ・スガ官房長官が首相官邸に私どもを招待し、会いました」と報告しているというのだ。
圧力? マスコミが報じない菅前首相と統一教会の疑惑
鈴木氏は菅氏を統一教会と安倍政権の「共存共栄関係におけるバイプレーヤー」であるとし、さらに菅氏が小此木彦三郎氏の秘書時代から統一教会と関係があった可能性についても示唆している。たしかに、安倍晋三・元首相が統一教会と本格的に関係を深めたのは第二次安倍政権誕生前の下野時代ではないかと見られているが、江田憲司氏の投稿にもあるように、神奈川8区の自民党の選対本部には2000年初頭から統一教会が入り込んでいた。そのことを考えると、安倍元首相とは違うかたちで菅前首相には統一教会とのルートがあったのではないかと疑うことができるだろう。
第二次安倍政権では「影の首相」と呼ばれ、その後、総理大臣にまで上り詰めた人物に持ち上がる、統一教会と自民党によるズブズブ関係の“黒幕”疑惑──。ところが、自民党による「点検」でその名は登場せず、メディアも圧力を恐れてか、菅前首相の疑惑についてはほとんど取り上げられていない。だが、統一教会と自民党の蜜月関係を清算するには、安倍元首相はもちろん、菅前首相への追及は避けて通れない。山際氏の辞任をきっかけに、山際氏や山本“マザームーン” 朋広氏と統一教会を結んだ背後に誰がいたのか、徹底追及がなされるべきだろう。

 

●「存在否定されている気がする」 旧統一教会2世信者インタビュー 10/30
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の合同結婚式で結ばれた両親の間に生まれた熊本県内在住の2世信者3人が、熊本日日新聞のインタビューに応じた。教団内では「祝福2世」と呼ばれる30歳男性と26歳女性、23歳女性。安倍晋三元首相が銃撃された後の報道を目にすると、「自分の存在が否定されている気がする」という。
――銃撃後、教団は厳しい批判を受けています。
23歳女性「心配する連絡が友人からあった。報道される教会の姿は、自分の知っている教会とかけ離れていて悲しい」
26歳女性「全然そんなことないのに、ひどく言われているなという印象だ。私はカルトだとは思っていない。ただ、元信者の方々がそう感じたのならそうなのかな、とも思う」
30歳男性「報道を見ると、自分は教会に利用されてきた被害者なのか、という気になってしまう。自分が世間から反社会的な存在と見られているかのようだ。社会を良くしたいと心の底から思っているのに、それが悪く見られるのは残念だ」
――同級生らは皆さんが信者だと知っていますか。
26歳女性「友人たちとは教会の話題は全くしないし、私が信者だとは伝えていない。友人と自分との違いは特に感じていない」
23歳女性「親しい友人5人ほどに話したが、偏見を持たれたことはない。友人が困っている時は教えを伝えて励ますこともある」
――信者同士の合同結婚式が知られています。
30歳男性「(私も)1年間くらい交流した女性と祝福式(合同結婚式)に出た。信者同士の出会いは、信仰心の強弱や家族観などを教会スタッフに伝えて紹介されることが多い。強制されることはなく、本人たちが相性などで決める。お見合いみたいなものだ」
26歳女性「現在連絡を取り合っている男性がいる。LINE(ライン)や電話でやりとりをしていて会うこともできる。この人といつか祝福を受けたい」
――高額献金が強く批判されています。
26歳女性「社会人になってから月収の10分の1を献金するようになった。ノルマだと感じたことはない。信者の親が子のお金を献金したとの報道があるが、ひどいなと思う」
30歳男性「教会に献金箱があり、自分専用の封筒でお金を入れている。世界は神様に所有権があり、全て与えてもらっているという教えがあるからだ。決して強制ではないし、献金しない月もあった」
――日本国憲法は信教の自由を保障しています。
30歳男性「信じなくて良い自由があると考える。あくまで本人の意思が大事。弟は教会と距離を取っているし、だからといって家族の関係は悪くない」
26歳女性「兄は教会に来ていないし、私がそれをとがめることはない」
23歳女性「将来自分の子どもが信仰しないとか、別の宗教に行くと言ったとしても、信仰は強制しないと思う。なぜそう思うのかを相談してもらえるような親になりたい」
――これまで脱会したいと思ったことは。
30歳男性「純潔を守らないといけないので、多感な時期は恋愛している友人たちと自分を比べて辞めたいと思ったことがあった。でも親から『愛は永遠で、1人のために責任を持つことが大事』と教えられている。1世の親は普通に恋愛を経験しているのに、と思うこともあるが、親からの教えで純潔を守った」
23歳女性「なんで自分が2世として生まれたのだろうと考えたことはある。でも教会は楽しいし、脱会したいとは思わない」
――世間に伝えたいことはありますか。
26歳女性「ほかの宗教も2世の問題を抱えている。苦しんでいる2世の話を聞いてみたい」
30歳男性「霊感商法や高額献金のことは、2世からすると昔の話に感じる。世界平和を心から願う私たちの活動を実際に見て、善悪を判断してほしい」
自由意思あるのか疑問 京都府立大・横道誠准教授に聞く
熊日のインタビューに答えた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の2世信者3人は、自身の信仰について「強制されたものではない」と話した。京都府立大の横道誠准教授(当事者研究)は、こうした2世の認識について「2世に信仰を選ぶ自由意思があるのかどうかは疑問」とし、「信仰心はマインドコントロールされたものだと考えられる」と指摘する。
横道准教授は、自身もキリスト教系新興宗教の元2世信者で、母親から教義に基づく家庭内暴力を受けながら育った。現在は自らの経験を踏まえて、苦しみを抱えている2世に寄り添う活動を継続。「さまざまな社会経験を経て自ら信仰を決める1世とは違って、2世は教義などの問題点に気付くことができないことが多い」と話す。
旧統一教会を巡っては、高額献金による家庭崩壊が2世の問題となって表出。横道准教授は「2世問題を見る時、親の信仰の度合いや性格が重要なファクター(要因)だ」として、「安倍晋三元首相銃撃事件の山上徹也容疑者のように狂信的な親のもとで、壮絶な人生を歩んだ2世は多い。カルトでも、たまたま良い親に育てられたら信仰に対する疑問は持たないのかもしれない。(教団の考えを代弁するような)2世の話に耳を傾けても、問題を解決することにつながるとは思えない」と強調した。
伝統的な宗教でも2世問題は起こり得るとして、「現代人の価値観も100年後はカルト的と言われるかもしれない。何がカルトなのかは時代的、相対的なもの」と分析。「当事者が社会に迷惑をかけずに幸せだと思うのなら『信教の自由』の範囲内だ。しかし、苦しんでいる2世がいる現状では、相談できる公助の仕組みが必要だ」と訴え、2世らが要望し、岸田文雄首相が具体化を明言した被害者救済法案の動向に注目している。
●旧統一教会と自民党議員との関係調査に否定的な岸田首相 10/30
TBS系「サンデーモーニング」は30日、自民党の山田賢司外務副大臣が28日に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体「世界平和連合」から昨年9月に「推薦確認書」を提示され、署名していたことを確認したと発表したことを報じた。
他に署名を公表した議員は大串正樹デジタル副大臣、斎藤洋明衆院議員がいるが、岸田文雄首相は自民党内での調査について28日の参院本会議で「党の点検結果との関係については議員本人から説明すべき」と述べ、一貫して党内での調査に否定的な見解を示したことを番組は報じた。
司会の関口宏は、調査に否定的な岸田氏の見解に「広がり続けてますからね」とした上で「広がり続けているから調査したくないということなんでしょうか」とコメントしていた。
●旧統一教会がはぐらかし続けた「信者が勝手にやったこと」は通用しない 10/30
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の活動実態を調査するため、「質問権」の行使に向けた専門家会議が10月25日、文化庁で始まった。宗教法人の所轄庁は、解散命令の請求などの事由に該当する疑いがある場合、宗教法人審議会の意見を聞いたうえで宗教法人に対して質問ができる――これが「質問権」である。質問権の行使は旧統一教会への解散命令請求に向けた第一歩であるが、長年この問題に取り組んできた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の弁護士たちからは楽観するような声はまったく聞こえてこない。むしろ「時間的な余裕はない」と、焦りさえ感じる。全国弁連事務局長の川井康雄弁護士に聞いた。
全国弁連の旧統一教会問題に対する訴えは、明快だ。
「長年にわたりこれほど経済的、精神的に被害を生じさせてきた団体に対して『解散できない』というのは明らかにおかしい」(9月16日、東京都内で開催した全国弁連集会で)
当然のことながら、全国弁連は解散命令の請求や質問権の行使を文化庁宗務課に再三にわたり求めてきた。
「しかし、解散命令請求はもちろん、質問権の行使も難しい、という反応でした」と、全国弁連事務局長の川井康雄弁護士は語る。
解散命令の要件について記した宗教法人法第81条1項には「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」とある。
それを根拠に全国弁連は、10月11日、文部科学相、法相などに対し、速やかに解散命令を裁判所に請求するよう、申入書を郵送した。
「これまで旧統一教会は正体を隠した伝道活動や、先祖の因縁などを用いて不安をあおった献金勧誘活動を行い、その違法性が認められた判決が各地の裁判所で積み重ねられてきました。その手口は全国的に共通していて、組織的に旧統一教会の指揮命令下で行われていることは明らかです。なので、われわれはすでに解散命令請求の要件を満たしていると考えています」
宗教界の大きな反発
また、川井弁護士は、「解散命令請求は、基本的には宗務課が中心となって動くべきだと思っています。宗務課とわれわれが敵対することに意味はなく、むしろ協力関係でありたいという思いは今もあります」と、口にする。
これまで極めて消極的だった宗務行政のあり方からすると、文化庁が質問権行使に向けた基準づくりを行う専門家会議を設けたのは前進だろう。
質問権は1995年、多くの被害者を出したオウム真理教事件を契機として宗教法人法に盛り込まれた。一方で宗教界からは、質問権は所轄庁の調査権限を強化する「宗教法人管理法」ではないかと、大きな反発を招いた。そのような背景もあってか、これまで質問権が行使されたことは一度もない。
全国弁連による旧統一教会への質問権行使の求めに対して、川井弁護士によれば、当初、宗務課は「刑事事件がないと難しい」という言い方の対応をずっとしてきた。
ところが、2007年から10年にかけて、全国的な刑事摘発が相次いだ(特定商取引法違反11件、薬事法違反2件)。とりわけ09年の「新世事件」では「先祖の因縁がある。このままでは家族が不幸になる」などと不安をあおって印鑑を売りつけたとして印鑑販売会社「新世」社長ら7人が逮捕された。旧統一教会の渋谷教会も家宅捜索された。その後の裁判では、「事件の組織性も含めて、非常に緻密な認定がされました」。
東京地裁判決は「役員も販売員も全員が統一教会信者」「統一教会の信者を増やすことをも目的として違法な手段を伴う印鑑販売を行っていた」「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」などと認定している。
「これで質問権を行使していただけるだろうと、宗務課に申し入れをさせていただきました。すると、今度は『あれは販売会社、別法人に対する刑事事件なので、できません』と言うのです。認定内容からして、それで質問権の行使ができないというのは、ちょっと違うんじゃないか、と思いました。宗務課とはそのようなやりとりがずっとありました」
かぎは「使用者責任」
しかし、今年7月、旧統一教会への恨みを募らせた山上徹也容疑者が安倍晋三元首相を銃撃した事件をきっかけに事態は動き出した。10月17日、岸田文雄首相は質問権を行使して旧統一教会の調査を行うよう、永岡桂子文科相に指示した。
「これまで(文科省の外局である文化庁の)宗務課は、宗教法人に対して干渉的なことは一切しない、という立場でしたから、今回な動きは解散命令請求に向けての大きな一歩であると考えています」
文化庁は専門家会議を開催し、11月上旬にも質問権行使の基準案が示される見込みだ。その後、宗教法人審議会に具体的な質問内容を諮問し、政府は年内の質問権行使を目指している。
川井弁護士は「極力迅速に、効果的に質問権を行使していただいて、できるだけ早く解散命令請求につなげてほしい」と訴える。
「これが、半年とか1年かかると、その間にまた被害者が増えてしまう。あるいは被害が大きくなることが懸念されます」
これまで旧統一教会は問題が起こるたびに「信者が勝手にやったことで、教会とはまったく関係ない」と主張してきた。質問権が行使されても同様の返答ではぐらかされてしまう恐れはないのか?
かぎとなるのは、指揮監督関係がある人物や法人の責任を問う「使用者責任」という。
「民事裁判で認められた『使用者責任』、つまり旧統一教会は信者に対して指揮監督権限を持ち、組織的に伝道活動や献金勧誘活動を行い、それが違法であると、20年以上前から非常に詳細に認定されています。にもかかわらず、現在まで同様な行為が繰り返されてきた。そこで旧統一教会は、信者に対してどのような指導を行ってきたかが問われるわけです。『きちんと指導を行ってきた』と回答しても、それがまったく果たされてこなかった実態がありますから、それが最終的な評価になる。質問権の行使はこのあたりがポイントになると思います」
世論を動かした2世の声
一方、旧統一教会への質問権の行使とは別に、教団による霊感商法や高額献金などの被害防止と救済を図るための法案づくりが与野党で活発化している。その議論の柱の一つが消費者契約法の取り消し権の対象範囲の拡大である。
「さまざまな議論をしていただいて、『これなら』という具体的なアイデアも出ているようなので期待したい」と、川井弁護士は語る一方、これまで霊感商法被害に取り組んできた経験から「非常に難しい」とも漏らす。
「旧統一教会は信者の頭の中に教義を植えつけたうえで、こうすれば恐怖から逃れられる、ということを言ってお金を出させる。つまり、献金の勧誘にある程度長い時間をかけるわけですが、そのようなことを基本的に消費者契約法は想定していません。なので、旧統一教会問題への対応という点ではかなり困難だと思います」
ただ、統一教会問題以外の、占いなど開運商法による被害の救済には取り消し権の対象範囲の拡大は有用で、かなり期待しているという。
取り消し権の行使期間の延長も検討されている。現在、期間は5年間で、それを過ぎると消滅するが、延長されれば霊感商法被害の救済の可能性が少しでも増すという。
「霊感商法の場合、教義によって困惑してお金を出すわけですが、その後の脱会によって困惑がなくなった、というとらえ方でいけるのならば、取り消し権の行使期間を延長することで、問題の一つが解消されます」
最近の政府や政界の動きについては、「ありがたいですし、それだけ被害が深刻だということ」と、川井弁護士は語る。
なかでも感謝の言葉を口にしたのは、信者の親を持つ「2世」が声を上げたことに対してだった。
「2世の方たちが本当に勇気を出して声を上げてくださったことで、悲惨な実態が報道され、多くの人に届きました」
解散への困難な道のり
1992年、芸能人らが参加した「合同結婚式」をマスコミが大きく取り上げて以来、旧統一教会問題が報道されることはほとんどなくなり、「失われた30年」といわれてきた。しかし、その間も旧統一教会による被害は繰り返されてきた。
今、長年にわたり大きな被害をもたらしてきた旧統一教会を解散できないのは明らかにおかしい、という全国弁連の主張は多くの国民の間に浸透し、政府に対して厳しい視線が向けられている。
一方、川井弁護士は法律のプロとして冷徹に今後の流れを予測する。
「仮に年内に質問権が行使されて、旧統一教会から回答があったとしても、それですぐに解散命令請求とはならないでしょう。今年度中にそこまでもっていくのは相当難しい。われわれも協力を求められたら、どんどん必要な資料を出していきたいという思いがあります。できるだけ短いやりとりで解散命令請求につなげられるような質問権を行使することがとても重要です」
●「教団断交」通知に地方苦慮 自民、統一選の公認基準曖昧 10/30
自民党の地方組織が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との「関係遮断」に関する党本部の通知に苦慮している。来年4月の統一地方選に向け、候補者の公認・推薦での「適切な対応」を求める内容だが、具体的な判断基準を示さなかったためだ。「丸投げは無責任」と反発も出ている。
「自民党は旧統一教会・関係団体と一切関係を持たない方針を踏まえ、ガバナンスコード(統治指針)を改訂し、26日に全国都道府県連に通知した。地方議員にも徹底したい」。岸田文雄首相(党総裁)は28日の参院本会議でこう強調した。
新指針は、社会的に問題が指摘される組織・団体と関係を持つことを「厳に慎む」と明記した。都道府県連向けの通知では、祝電や会合出席を慎むべき行動の具体例として列挙。「地方議員や地域支部に周知徹底するようお願いする」と求めた。
岸田政権は、旧統一教会問題への対応が後手に回り、強烈な逆風にさらされている。自民党関係者は「全党で関係を断つ姿勢を見せなければ、世論の反発が一層強まりかねない」と通知の狙いを解説した。
とはいえ、関係遮断のカギを握る統一地方選の公認・推薦基準は曖昧だ。通知には「党の方針を順守し、適切に対応するようお願いする」との記述のみ。関係団体のリストなども示されなかった。自民党の地方議員には旧統一教会の信者もおり、「踏み込みすぎれば『信教の自由』侵害との批判を受けかねない」(党幹部)ためだ。
遠藤利明総務会長は28日の記者会見で「判断しにくいときは、党本部に相談窓口を作るので、連携を取って進めてほしい」と呼び掛けた。
都道府県連には戸惑いが広がる。一部は新指針順守の誓約を候補者に求めることを決めたが、山口県連関係者は「党本部はあまりに無責任だ。対応に濃淡が出てしまう」と批判。三重県連幹部は「関係団体がどこか分からない。100%徹底は難しい」と困惑する。
青森県連幹部は「選挙に向けて得点になると思えば、会合出席を断れないのが政治家だ。その程度のことで公認・推薦を判断することはあり得ない」と党本部の通知に真っ向から異を唱えた。
鳥取県連関係者は「地方選は1、2票の戦いだ」と関係遮断で競り負けるケースが出ることを懸念。美馬秀夫徳島市議は旧統一教会の信者だと明かし、「(関係)遮断なんてとんでもない」と猛反発した。 
●寺田総務相「説明責任果たす」 旧統一教会や政治団体巡る問題で強調 10/30
自民党広島県連は30日、広島市中区のホテルで政治資金パーティーを3年ぶりに開いた。会長の寺田稔総務相(広島5区)は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や自らに関係する政治団体を巡る問題について「説明責任を果たす」と強調した。
寺田氏はあいさつで、物価高騰や円安などの諸課題への対応を「政策断行内閣として、しっかり遂行していく」とし、旧統一教会問題への説明も尽くす考えを示した。来春の統一地方選にも触れ「何としても勝利したい」と決意表明した。
報道陣の取材に応じた寺田氏は、政治団体「寺田稔竹原後援会」の会計責任者が故人だった問題について「私自身が指導、監督していない団体だが、調べて国会に報告する」と改めて説明した。
旧統一教会との関係を断つよう求める党本部の通知が各都道府県連にあったことを踏まえ「地方議員にも方針を徹底したい」と述べた。統一選で党公認や推薦の候補者にも順守させるとした。

 

●旧統一教会の被害者救済 与野党協議で折り合えるか不透明  10/31
旧統一教会の被害者救済に向けた与野党協議で、自民党はいわゆるマインドコントロールによる高額献金を規制することを盛り込んだ与党案を早ければ今週にも示したい考えですが、主要な論点で野党側との意見の隔たりが大きく、折り合えるかは不透明な情勢です。
自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会の4党による協議会は、今の国会の会期中に旧統一教会の被害者救済を図る法律の整備を目指していて、いわゆるマインドコントロールによる高額献金の規制が議論の焦点となっています。
この中では、マインドコントロールをどのように法律で定義づけるかをめぐり見解が分かれていて、与党側が「法律で定義づけるのは難しい」としているのに対し、野党側は「法整備に向けたやる気が感じられない」と批判を強めています。
こうした状況を受けて、自民党は公明党や政府側ともどのような対応が可能か検討を進めていて、マインドコントロールによる高額献金を規制することを盛り込んだ内容を与党案として早ければ今週にも示したい考えです。
ただ、このほかにもマインドコントロールを受けた本人に代わって家族などが献金を取り戻せるようにする方法や、献金額の規制の目安を設定するかどうかなど、主要な論点で与野党間の意見の隔たりが大きく、折り合えるかは不透明な情勢です。
●東野幸治が旧統一教会に祝辞の元自民議員を「悪いことじゃない」と発言… 10/31
10月30日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)で旧統一教会のイベントに祝辞を送った元自民党衆議院議員に対して、MCの東野幸治(55)が、「別に悪いことじゃないわけでしょ」と擁護する場面があった。
この日の番組では「福岡市議 堀本和歌子氏が辞職 対立候補になりすまし偽ビラ配布」というニュースを取り上げた。これは元モデルで3年前に初当選を果たした福岡市議の堀本氏が、次の市議選で対立候補になりそうな元自民党議員の新開裕司氏(現在は参政党福岡県支部長)が旧統一教会と関係を持っていたというビラを、変装して近所に配りまわったというものだ。
堀本氏は事実を知って欲しかったとして、新開氏と統一教会の関係を暴露するビラを配ったという。そのビラには「新開ゆうじです! 旧統一教会の式典で偉大なる韓鶴子さまに祝辞を述べさせていただきました!」などと書かれていた。
堀本氏は10月28日に会見を開き謝罪し、「リツイート感覚だった」とコメント。ビラには新開氏が祝辞を述べる動画のQRコードまでもが記載されていた。
ワイドナショーでは堀本氏に対して、石原良純など各コメンテーターがそれぞれコメントしていたが、最後に松本人志(59)が、新開氏について「やられた方のこの人も事実無根ちゃうんかい? っていうのはありますけどね。100%被害者みたいになっているのも違和感がある」とコメント。すると、MCの東野の口から、冒頭のように「でも別に悪いことじゃないワケでしょ」と擁護するような発言が飛び出した。
自民党も野党も、旧統一教会の祝辞を述べること自体を“悪いこと”と認識しており、各議員にアンケートを行ったり、関係断絶を勧めたりしている。
「韓日・日韓トンネルに接し…」と新開氏
改めて新開氏が2019年に旧統一教会のイベントでどのような発言をしたのかを見てみよう。12年から14年にかけて自民党の衆院議員を務めた新開氏は、当時落選中の身だった。
《文鮮明、韓鶴子総裁がご提案された韓日・日韓トンネルに接し、その雄大な非常に多くの構想に感動し、そうなれば大陸文化と海洋文化が合流しているここ慶尚道地域と九州地域が21世紀の環太平洋時代の中心地として一緒に発展していくものと確信しております》
新開氏は年間数百億円もの金が日本人信者から流れている旧統一教会に対し、その教祖である2人に対し尊敬の念を示した。さらに「韓日・日韓トンネル」という言い回しを使い、韓国と九州を結ぶトンネルを推奨していた。日韓トンネルが日本人信者から献金を募るための口実だったことはもはや周知の事実になりつつある。
「確かに堀本氏のなりすましのビラ配りは許されることではない。しかし新開氏も旧統一教会を称えて広告塔になっていた側面はある。元自民党の国会議員がお墨付きを与えることによって信用して入信する人がいるわけで、そこが一番の問題になっている。さらに祝辞の見返りはゼロかと聞かれると、何かしら選挙などで“お手伝い”などがあったのではないかと疑いたくもなる。新開氏が祝辞を送ることに対し、東野さんが『別に悪いことじゃない』とテレビで発信することは旧統一教会の被害者を無視しているとも捉えかねられません」(ワイドショー関係者)
生放送でもないワイドナショーがこういう発信をカットせずに被害者の感情を逆撫でする意図はどこにあるのだろうか。
●旧統一教会元2世信者・小川さゆりさん、鈴木氏に明かした「涙の真相」 10/31
10月7日、東京・丸の内にある日本外国特派員協会で、合同結婚式の末に生まれた宗教2世・小川さゆりさん(仮名)はその過酷な生い立ちを訴えていた。そのさなか旧統一教会(世界平和統一家庭連合)から届いた「会見中止」を要求するFAX用紙には、小川さんが20歳の時に決別した、現役信者である両親の署名が入っていた──。この会見によって大きな注目を浴びた小川さんと、教団を追及し続けてきたジャーナリスト・鈴木エイト氏の対談が実現。2人が考える「2世信者の苦しみ」、そして問題解決への道とは。【前後編の前編】
鈴木: 小川さんが日本外国特派員協会で行なった記者会見の最中、隣でサポートしていた旦那さんが「旧統一教会の方からメッセージが届きました」と、小川さんの両親の署名が入った1枚のFAX用紙を手に会見を中断しました。「彼女は精神に異常をきたしており、安倍(晋三)元首相の銃撃事件以降、その症状がひどくなって、多くの嘘を言ってしまうようになっています。そのため、この会見をすぐ中止するように」という統一教会からのメッセージが読み上げられ、会場に緊張が走った。後に教団は「彼女を心配した親心です」としたわけですが、あの時はどんな心境でしたか。
小川: 私自身は両親も教会に利用されている被害者だと思っています。その両親を使って心ない文章を送ってきたことには動揺もありましたが、教会が私のことを明確に攻撃してきていることも理解しました。ショックと同時に、怒りが湧いた。
鈴木: そんなことがあったにもかかわらず、会見では、統一教会の何が問題で、彼らがどれほど悪質な人権侵害を繰り返してきたかを、英文や図解を用いて非常に高いクオリティで説明されました。会見中に教団から脅し同然のメッセージが届いていたことを知らされても、小川さんは毅然として「自分と(教団の)どちらが悪なのか、これを見てくださっている多くの方は分かってくれると信じている」と言い切った。教団には相当なダメージになったはずです。
小川: 自分はもともと信者で教会を信じていた時代もありましたが、私が苦しみ続けた病気のことまで言われて、かえって闘わないといけないという決意が湧きました。
鈴木: ただ、小川さんが両親からのFAXの内容を知って涙したかのような切り取り方は間違いではないですか? あの涙は、出会ってからずっと守ってくれている旦那さんへの感謝の思いからのように見えました。
小川: 自分が泣いた部分はおっしゃる通りですね。会見の準備も一人では絶対に無理で、夫が冗談抜きに100時間以上も勉強して助けてくれました。
鈴木: こういった問題はシンボル的な存在が物事を押し進めることが多いですが、小川さんはまさにそんな存在になりつつある。2世問題をサポートしてきた立場からは小川さんのような象徴的な存在がいてくれるのは大変ありがたいですが、負担が大きくないですか。
小川: 顔を出すことにはリスクもありますが、自分はそれができる立場にあります。一番の原動力は4月に子供が生まれたこと。幼い頃の自分と重ねてしまい、子供に宗教被害を残したくないという一心で行動しています。
旧統一教会を脱会したきっかけは
鈴木: 改めて、小川さんの半生を振り返ってもらえますか。
小川: うちは両親が合同結婚式で結婚し、私を含めて6人のきょうだいがいました。毎朝教祖さまの写真に「よろしくお願いします」とお祈りして、毎週日曜は家族で教会に行く。そこでは「神の子である祝福2世は生まれながらに罪がない」と言われました。両親はすごく優しくてかわいがってもらいましたが、つらかったのはお金がないこと。親からお小遣いをもらったことは一度もなく、服はほとんどがおさがりで、学校ではいじめられました。それでも親の期待に応えたいという思いが強く、教会のイベントや修練会にも積極的に参加していました。きょうだいと比べても、私は熱心な優等生だったんです。
鈴木: 脱会するきっかけはあったのですか。
小川: 18歳で教会本部がある韓国の清平のお祓い修練会に参加した時、精神科病院で朝昼晩と除霊をさせられて精神が崩壊しました。自分が6歳ぐらいの人格になって地べたを這い回るようになり、救急車で運ばれたんです。考えてみたら私は6歳くらいで服装が周りと違うことで最初のいじめを受けて、先生にも親にも言えず泣かずに我慢する子でした。その頃の人格がズルズルと自分の中に残っていて表に出てきた。
鈴木: 胸が詰まる話です。そうした精神崩壊は小さい頃に虐待や性的被害を受けた人がなりやすいと聞きます。人格を解離させないと精神を保てないということですね。
小川: 清平野修練会では私の他にも精神が崩壊して急におかしくなる人がいました。すると周囲の信者は「あの人、霊的になっている」「悪霊がうつった」と言い、「除霊すれば治る」とする。病気だという解釈がないんです。
鈴木: 清平の病院やそれ以外の施設でも2世が自ら命を絶つことがあるそうです。多くの信者が精神崩壊を起こす教団って、やっぱりおかしいですよ。
小川: 帰国後はうつで家にこもるようになりました。20歳の時に両親と決別し、連帯保証人の要らないアパートに移り住んだ。それから現在の夫と知り合い、今に至ります。安倍さんの銃撃事件が起き、2世問題を伝えようとやむにやまれぬ気持ちでSNSを始めたら、家庭の貧困や家族との関係を切実に発信する、自分以上に悲惨な元信者とたくさん繋がったんです。誰かが変えないといけないと思って発信するようになりました。
鈴木: 長年、見過ごされてきた問題で、顔を出してきっちりと自分の経験を語る意味は非常に大きいですよ。
「旧統一教会の解散がゴールではない」
小川: 声をあげる上で色々なことを勉強しましたが、問題の本質は子供の人権侵害が平然と行なわれていて、それを助長する団体に国が宗教法人格を与えていることです。
鈴木: 統一教会では、合同結婚式で両親が教団の選んだ相手と結婚して原罪をなくし「神の子」と呼ばれる祝福2世が生まれます。その2世が親や教団に反抗しようにも、「教団がなければ私は生まれてこなかった」とアイデンティティを否定される。そうして2世は大きな葛藤を抱え、何らかのかたちで自分自身を納得させて、教団の教えに従う面があると思います。
小川: 教会があるから私の命もあるという葛藤は本当に大きかった。大きなコンプレックスで、自分の生きている意味は何だろうと感じていました。
鈴木: 2世が生まれたきっかけにまで遡り、行動を制限するのは非常に卑怯なやり方だと思います。
小川: 私は真面目に教義を勉強したからこそ、自分で考えて間違いに気づくことができたと思う。教会の中では教えに疑問を持つこと自体が「サタン的」だから、(教祖の)文鮮明が明言してないことも「きっとこうだよね」と教会の都合の良いように考えるようになる。礼拝で「この教えは矛盾してませんか」と純粋に質問する信者がいると、「あの人はサタン的だね」と批判されていました。
鈴木: 自分の頭で考えないことはすごく楽で、それに慣れると教団の教えに染まってしまう。小川さんは自力で人生を取り戻したのだと思います。
小川: 私は20歳で脱会しましたが、ゼロからではなく完全にマイナスからのスタートでした。20年間、「教会以外の社会はサタンの社会だ」と植え付けられ、社会復帰のハードルがすごく高かった。
鈴木: 統一教会に限らず、2世信者は対人関係を築くことが苦手な人が多い。中途半端が許せず、相手の言い分を聞き入れられず人を断罪したり、一般社会によくある“なあなあの関係”が難しい。2世同士のコミュニティでも人間関係がうまくいかないケースが多くある。
小川: 信者だった頃は外の人は堕落していると教えられ、教会から出ていく人は将来天国に行けないと思っていました。実際に両親を含む教会の人は私が教会を離れた瞬間に、「サタン側に行った人」と全否定した。今も礼拝で私のことを「あの人は嘘つきだから話を聞いてはいけない」と話しているみたいです。私は教会から出た時、本当に世間知らずだったし、社会性もまったくなかった。そんな私に一から向き合ってくれた夫には感謝しかありません。
鈴木: 最近よく統一教会の会見に出てくる勅使河原秀行氏(教会改革推進本部長)は、「被害者」ではなく「被害を訴えている方」と言いますよね。教団が被害を与えてきた、教団は加害者であるという意識がまったくない。ただし、2世を脱会させることが正しいのかは、一概には言えない。生まれた時から信仰を持たされた2世は脱会しても戻る場所がありません。小川さんのように支えになる人と出会えたのは幸運ですが、頼れる存在もなく経済的に自立できない2世も少なくない。単に脱会させるのではなく、今の状況を乗り切るための支援が必要です。そうしたことを理解するために、支援する側を教育することも求められます。
解散しても抜け道がある
鈴木: 小川さんの会見で潮目が変わったことは確かです。岸田文雄・首相は統一教会の解散命令請求が認められる要件について「民法の不法行為も入り得る」と踏み込んだ発言をしました。勅使河原氏が、元妻が信者の橋田達夫さん宅をアポなし訪問して“口止め”を迫った(注:元妻が旧統一教会の信者で、2年前に長男が自死したとメディアを通じて訴えている橋田達夫さんのもとに、10月16日、勅使河原氏が事前の許可なく自宅訪問。その場で勅使河原氏から「メディアに出ないでほしい」と要請されたと橋田さんが明らかにした)のも、焦っているからでしょう。教団と数々の接点があった山際大志郎・経済再生相も辞任し、衆議院の予算委員会では岸田首相が「元信者から直接話を聞く」と明言しました。当然、小川さんが筆頭になります。
小川: 私たちが具体的に求めているのは統一教会の宗教法人解散と、被害に遭った人を救済するための法律立案です。7月から活動を続けてようやく岸田さんと面会できそうなことは、純粋に感慨深い。ただ、形だけにならないように、被害者を救う具体的な方策を提案したい。この機会を無駄にするわけにはいかないと思います。
鈴木: 2世問題の救済とともに、統一教会を利用してきた政治家の検証も進めてほしい。山際氏の辞任も遅いくらいです。解散についても、国が解散請求を出せば裁判所が認める可能性は高いが、解散しても直接韓国に送金したり金を持参するなどの抜け道があり、解散がゴールではありません。
小川: 統一教会の悪質とされる行為自体を取り締まらないと、今後も同様の宗教が出てきてしまいます。私が一番願うのは日本における反セクト法を作り、政治との癒着や多額の献金を規制することです。その上でカルト的な宗教や人権侵害を禁じることを子供たちに教育してほしい。
鈴木: 小川さんに負担を押しつけるのは心苦しいですが、ようやく大きな山が動き始めたのは事実です。このタイミングで小川さんの真摯な気持ちが伝われば岸田さんの心も動くと思うので、どうか頑張ってください。
小川: 活動の上で精神的な負担はあるけれど、教会の元幹部や脱会した2世からの激励の連絡が励みになります。ここからが本番だと思って、被害者の声を伝え続けたいです。
●「反省のかけらも感じない」旧統一教会会見 紀藤正樹弁護士の解説 10/31
国会で解散命令の議論が進む中、20日、旧統一教会が6度目の会見を開いた。旧統一教会の主張はどういったものだったのか、紀藤正樹弁護士と読み解く。
会見の内容と元2世信者のインタビュー
会見は「被害者と訴えられる皆様とそして政府関係者に対して心からおわびしたいと思う。大変申し訳ありませんでした」という謝罪の言葉から始まり、旧統一教会の実態を調査する「質問権」の行使については誠実に対応すると述べた。
「質問権」の行使に伴う実態調査後の解散命令を請求する要件について、岸田首相の国会での説明は二転三転。10月18日の国会では「民法の不法行為は入らない」と答弁しながら、19日にはその説明を180度翻し「民法の不法行為も入り得る」とした。
こうした政府の動きについて、元2世信者の小川さゆりさん(仮名)が関西テレビの取材に応じ、「とにかくスピード感を持って対応してほしい」と話す。
小川さゆりさん: 今までと違って、前向きに進んできた部分もあるので、(質問権の行使を)いつから開始していつまでかかるのか全然分かっていない状況で、何も安心できないなというのが正直な思い。この間にも“統一教会”はどんどん対策をしていって、自分たちがしてきたことを隠したりしてしまう。そういう猶予を十分与えてしまう可能性がある
また10月7日、小川さんが記者会見を開いていた最中に、教団が小川さんの両親の署名が入ったファックスを送り会見中止を求めたことについては…
小川さゆりさん: そういう脅し方をされると、どんな人間であっても動揺してしまいますよね、怒りを感じました。こんなに卑怯な、卑劣なやり方をするんだなと
被害を訴える2世がいる中、会見で教団側は2世信者20人を教団の各地区のトップに昇格させ、2世信者の悩みに寄り添う、などと説明した。
また、元妻が教団に多額の献金をして長男を自殺で失ったことをメディアで訴えた橋田達夫さんの自宅を、改革推進本部の勅使河原秀行本部長がアポなしで訪問し「マスコミに出ないでほしい」などと求めたことについては「とにかく話を聞こうとして家に行った」と釈明。訪問では橋田さん本人との話し合いは成立せず、橋田さんの元妻の証言も聞くべきだとして、「息子の死は教団とは関係がなかった」などと主張するビデオを会場で上映した。
旧統一教会 改革推進本部 勅使河原秀行 本部長:この橋田さんの問題に関しては、あまりにも家庭連合の名誉を傷つけている
質問権には誠実に対応するとしながら、被害者には厳しい一面を見せる旧統一教会。長年にわたって旧統一教会の被害者救済などに取り組んでいる紀藤弁護士とともに、今回の会見を読み解く。
霊感商法の被害救済に取り組む紀藤弁護士の見解は…
(Q.今回の会見について率直な感想は?)
紀藤正樹弁護士: ひどい会見でした、反省のかけらも感じない。少しでも被害者に対して悪いと思っていたり寄り添う発想があれば、とてもできない会見だったと思います
旧統一教会は宗教2世の苦しみの救済措置として、“宗教2世”を教区長に昇格させたとし、会見にも登壇させた。68人の教区長のうち、20人を宗教2世にしたということだ。勅使河原本部長は、「彼らは“宗教2世”の“悩みを通過してきた人”。彼らであれば2世の悩みを理解してあげられる」と話している。
(Q.宗教2世の悩みは宗教2世にしか分からないだろうと、20人の教区長たちがケアをしていくということですが、どのように受け止めますか?)
紀藤正樹弁護士: 宗教2世が会見場に現れたことについては、“成功した2世信者”に“成功していない2世信者”が悩みを打ち明けるということで、上下関係ができ過ぎてしまって良くないんじゃないかと私は思います。また、男性ばかりですよね。女性の2世信者に対してはどう接するんでしょう。見てくれで判断してはいけませんが、高齢者もいれば若い人もいる。どういう基準で選んだのかも明らかにされていないし、“祝福2世”か“一般の2世信者”かということも分からない
会見では、元妻が旧統一教会の信者で、長男が自ら命を絶った橋田さんがメディアで被害を訴えることについても質問が集中した。勅使河原本部長は「問題だと思っていないし、言論の封殺もない。ただ、奥さまの話とは話がずいぶん違うと思った」と話し、元妻のインタビューを会見場で流した。
(Q.会見の場でこういったインタビューを流すという行為についてはどう思われますか?)
紀藤正樹弁護士: 宗教者としてあってはならないことのように思います。宗教者というのは人の上に立って、家族を調和して話し合いに応じさせるのであれば分かるんですが。対立をあおるような形で、言い分が違うというのを宗教者の側から出していくのは、宗教者の在り方として疑問に思います
(Q.インタビューは、亡くなられた息子さんの死について、宗教は関係なかったというものでした。橋田さんの主張とは異なりますが、これについてはどうですか?)
紀藤正樹弁護士: 一方的なインタビューじゃなく、中立的な第三者がいる席で、2人がお互いに話し合うべきだと思います。一方的なインタビューだと単なる対立ですよね。統一教会が何をしたかではなく家族の問題ということで、全体の紛争を矮小化しているように見えます
旧統一教会に対する「解散命令請求」について
現在国会で取りざたされている「解散命令請求」とは、宗教法人が「法令に違反して公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした場合」、国などが裁判所に解散命令を請求するものだ。裁判所が請求を認めて解散命令を出すと、宗教法人格が剥奪され、税制上の優遇が受けられなくなる。
この「法令に違反して」という条件について、岸田首相は10月18日の国会で「民法の不法行為は入らない」と答弁していましたが、19日にはその説明を180度翻し、「民法の不法行為も入りうる」とした。
民法の不法行為も入ることになると、霊感商法や過度の献金が、解散命令請求を行う条件の対象となる可能性がある。
(Q.旧統一教会への解散命令請求の可能性が高まったと言えるのでしょうか?)
紀藤正樹弁護士: 前々日の発言が間違いだったので、修正されたわけですね。われわれは文化庁宗務課とずっと交渉してきて、「刑法しか対象ではありません」とずっと言われ続けてきました。そのメモを岸田首相が見て、勘違いされたんだと思います。一方、民法の不法行為が対象になれば、2世信者の児童虐待の問題なども入ってきます。そういう意味では、とても重要な解釈変更です。文化庁宗務課がやってきた行政解釈を政府が外圧で変えたということですから、われわれからみたら大きな一歩だし、解散命令は請求しやすくなると思います
(Q.救済に向けた法整備に関して、与野党協議会の設置が決まりました。与党案は出ていないのに与野党協議会ができるということについて、有識者検討会としてはどうですか?)
紀藤正樹弁護士: 安倍元首相の銃撃事件というのは非常に重篤な事件で、この結果をもたらしたのは統一教会問題の放置なんです。もし放置しなければ、安倍元首相の殺害はなかった。この問題を政局問題にしてほしくないという思いがあります。私は自民党にも野党にも「とにかく超党派で」とお願いしてきました。今回与党と野党で一致してやることになりましたが、与党には自民党だけでなく公明党も参加しています。「解散命令」と同じ柱として「被害者救済」というものがあり、今回の臨時国会では、まず第一弾の消費者契約法の改正を。さらなる改正は次の通常国会でもいいんですけど、まず第一弾が行われないと始まらないと思います
(Q.法整備は検討会の報告書をたたき台にして行われるべきでしょうか?)
紀藤正樹弁護士: そうですね。ただ、すぐに改正できるものと、新法のように検討しなければいけないものが混じっているんです。一足飛びに今回の臨時国会で全部というのは高望みで、そこは地道に、まずは今、消費者契約法の改正などはできると思います。特定商取引法の規制だとか財産管理権、家族取消権の問題は検討を要しますので、次の通常国会までにまとめてほしいと思います
(Q.消費者契約法の改正というのは、不当な契約を取り消すだけでなく、高額献金を規制するといったものですか?)
紀藤正樹弁護士: あとはマインドコントロールですね。いったんマインドコントロール下に入った人が、取り消しできる制度。今は一回的な取引の取り消しなんですね。ところが一回的な取引において、すでに影響を受けている人に対し、その影響下を利用する行為も取り消し権の対象にしてほしいと
●村上誠一郎氏 旧統一教会 日本の政治に影響を及ぼしていたのか 10/31
自民党の村上誠一郎衆院議員は毎日新聞政治プレミアの取材に応じた。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政界の関わりについて、「日本の国会議員にどういう働きかけをしてきたかは、まだ全く見えてきていない。もし、旧統一教会が日本の政治に影響を及ぼしていたとすれば大変なことだ」と語った。
村上氏は、「岸田文雄首相は旧統一教会と関係を絶つと言っているが、肝心なことはまだ何も解明されていない。解明されない限り旧統一教会との関係を絶つことは難しいのではないか」と言う。
「実態を明らかにし、けじめをつけるためには、この問題について調査する第三者委員会を設置すべきだ。自民党の自己申告ベースの調査で、かつ、安倍晋三元首相や細田博之衆院議長も調査の対象外ということでは、果たして国民に十分納得してもらえるのだろうか」と指摘した。
●自民「関係遮断」難航も/地方組織くすぶる不満/旧統一教会  10/31
自民党は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側との「関係遮断」を求める通知を都道府県連に発出した。ガバナンス・コード(統治原則)と呼ばれる党行動指針の改定内容を周知するためだ。ただ、政治活動や選挙には多くの人が関わるため、方針の徹底は難航も予想される。来年4月の統一地方選をにらみ、現場には早くも困惑や不満の声がくすぶっている。
「来年4月施行予定の統一地方選における公認・推薦において、党の方針を順守し、適切に対応していただきます」−。26日付の地方組織への通知文は、茂木敏充幹事長、森山裕選対委員長、小渕優子組織運動本部長の連名で出された。
通知では、旧統一教会や関係団体との関係遮断を徹底し、活動を助長する行為や不当な政治的影響力を受け得る行為は厳に控えるよう所属国会議員に求めたと説明。都道府県連にも同様の理解と周知徹底を要請した。
教団側の「活動を助長する行為」として自重を求めたのは(1)祝電、メッセージの送付(2)会合、行事への参加−。「不当な政治的影響力を受け得る行為」として(1)選挙、政治活動への組織的な支援を受ける(2)資金援助を受ける−などを挙げた。
自民は、所属国会議員には教団側との接点調査を実施したものの、地方議員は対象にしていない。国会議員よりも教団側と密接な関係にある地方議員が少なくないとの指摘もあり「過去を厳しく問うのではなく、今後の選挙での公認や推薦でふるいにかける」(党関係者)との姿勢が透ける。
これに対し、地方組織は組織的な支援と個人的な関係との線引きが難しいと困惑する。
県連幹部は「近所の五人組が選挙ボランティアに来て、実は信者だった場合はどうなるのか。全員に信者かどうか聞けない」というのが本音だ。「組織ではなく、信者との個人的な関係も問題視されるのか」と憤る東日本の地方議員もいる。
世耕弘成参院幹事長は28日の記者会見で、通知内容の実施について「それぞれの都道府県連で判断してほしい」と自主性を尊重する考えを示した。一方、石破茂元幹事長は、地方の問い合わせに答える窓口を党本部が早期に設置すべきだと主張。「県連に押し付けるのではなく、党本部の責任の持ち方が大事だ」と記者団に語った。 
●自民、旧統一教会対応が泥沼化 救済法案も野党ペース 10/31
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題をめぐる政府・自民党の対応が、泥沼にはまりつつある。焦点の被害者救済法案は、内容を詰める与野党協議が野党ペースになりつつあるほか、先週には党側から所属議員らに「関係遮断」を求める通達を出した直後に官邸幹部らの新たな接点が発覚した。野党側は新たな追及材料に事欠かない状況で、岸田文雄政権の体力を奪う構図が長引いている。
「(教団への)質問権行使による事実把握と実態解明、被害者の救済、立法による再発防止−。この3点に全力で取り組む。与野党協議会への対応を含め政府・与党でよく連携したい」
岸田文雄首相は31日の自民役員会で、旧統一教会問題への対応に力を注ぐ考えを示した。首相がここまで強い意欲をみせるのは、一連の問題が一向に収束する気配をみせず、野党に今国会の主導権を握られている焦りの裏返しでもある。
首相が言及した救済法案をめぐる与野党協議会は、その典型例だ。1日には自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党が4回目の協議会を開く予定で、一見議論はハイペースで進んでいるようにみえる。
協議では、不当な寄付取り消しの条件となる「マインドコントロール下」の定義などが焦点となっている。野党は一定の条件下で被害者家族が返金請求できることを明記するよう求めるが、与党には憲法が保障する財産権を侵害しかねないとして慎重意見が強い。
通常なら一定の時間をかけ、適用条件を検討すべき案件だが、首相は10月18日の衆院予算委員会で、年内に会期末を迎える見込みの今国会中の成立を念頭に「準備を進めていく」と言及した。与党側は時間的余裕がなくなり、協議は野党の顔色をうかがうような展開が続く。
自民所属議員と教団との関係に関わる党執行部の動きにも誤算が続いている。10月26日には茂木敏充幹事長名で、所属国会議員と都道府県連に、教団の関連団体も含め「関係を遮断」するよう通達を出した。
しかし、同月28日には、木原誠二官房副長官が昨秋の衆院選で関連団体から推薦状を受け取ったことが発覚。自民内には「関係遮断」とアピールした直後の新事実の露呈に、タイミングの悪さを指摘する声も多い。
 
 

 

●大物議員狙う旧統一教会の“暴露”に自民党ビクビク… 11/1
国会で各常任委員会が動き出した途端、現政権の副大臣や政務官クラスと旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の「接点」が次々と明らかになっている。委員会で政務三役に旧統一教会との関係について質問する機会があるからだ。
消費者担当副大臣を兼務する大串正樹デジタル副大臣と山田賢司外務副大臣は、昨年の衆院解散前に関連団体と「推薦確認書」を交わしていたことを認めた。憲法改正や安全保障体制の強化など、教団側が重視する政策推進を約束する事実上の政策協定だ。
井出庸生文科副大臣は文書を提示されたものの、署名は断ったという。井野俊郎防衛副大臣は、法務政務官に就任した2016年に教団関係者を法務省内に招いた可能性を示唆。豊田俊郎国交副大臣は17年に千葉県・幕張で開かれた旧統一教会の大規模イベントに出席し、祝辞を述べていた。
自民党の「自主点検」では明らかにされなかった教団との接点が、ここへきて相次いで発覚しているのは、岸田首相にとっては頭の痛い問題だ。
岸田首相側近の木原誠二内閣官房副長官も、28日の衆院内閣委員会で、昨年の衆院選の際に旧統一教会の関連団体から推薦状を受け取っていたと初めて明かした。
宗教を所管する文科委員会の宮内秀樹委員長も、教団主催のイベントに参加し演壇で挨拶していたことが分かったが、党の自主点検では申告していなかった。教団側がネットニュースに掲載していた写真から、参加がバレた格好だ。
「国会で聞かれたら答えないわけにいかないし、下手に嘘をついてゴマカせば、後で証拠が出てきた時に大問題になる。山際前経済再生相の二の舞いです。山際の辞任も、韓鶴子総裁との記念写真が出てきたことが決定打だった。あの写真が突然、ツイッター上に出回った経緯もよく分からない。教団側は推薦確認書を数十人に提示したと言っているが、そのうち何人が署名したのか。すべてを教団側は把握しているわけで、いつ何が暴露されるのか、懸念は尽きません。解散命令請求などで統一教会を刺激したらマズいと、萎縮する雰囲気が党内にあるのは間違いありません」(自民党関係者)
今のところ副大臣、副長官クラスだが、岸田首相が質問権の行使や解散命令請求に踏み込めばさらに大きな爆弾が投下される可能性がある。現職大臣や議長、党幹部との親密な関係を示す“証拠”が出てくれば、自民党は持たないかもしれない。
「教団側は過去のイベント参加写真や文書など、いくらでも“ブツ”を持っている。小出しにして揺さぶりをかけてくる可能性はありますが、うかつに接点を持ってしまった副大臣クラスの批判を続けても、被害者救済や問題解決には至りません。もっと教団と関係の深い大物議員は、首根っこをつかまれてコントロールされている。そこをあぶり出してきっちり清算するしかない。リークに腰が引けて、解散命令請求にブレーキがかかれば教団側の思うつぼです」(ジャーナリスト・鈴木エイト氏)
岸田首相にそこまでの覚悟と度胸があるのか。
●岸田政権の危機は旧統一教会問題にとどまらない「経済再生」「防衛費財源」 11/1
旧統一教会問題への対応の遅れから、政権への不信が広がっている岸田文雄内閣。10月24日に山際大志郎経済再生相が辞任したが、他にも問題は山積みだ。
岸田文雄政権が危機に瀕(ひん)している。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との癒着問題は、関連団体の会合にたびたび出席していた山際大志郎経済再生相の辞任に発展。野党は攻勢を強め、他の閣僚らの問題にも波及しそうだ。円安や物価高にも効果的な対応ができず、外交・安全保障の難問も立ちはだかる。岸田首相は「政策を積み上げて国民の理解を得る」というが、簡単ではない。局面転換のため衆院の解散・総選挙や大連立などに打って出るか、それともじり貧のまま退陣に追い込まれるのか。決断の時が迫る。
問題への対応が遅すぎ
旧統一教会の問題は収束が見えない。自民党が所属国会議員の関与について調査結果をまとめた後も、接点が次々と明らかになっている。朝日新聞によると、最近の国政選挙で、旧統一教会側が自民党の候補者に対して憲法改正などに賛成することを明記した「推薦確認書」に署名することを求め、一部の候補者が署名していたことが判明。事実上の「政策協定」といえる。
そして、山際氏の辞任。山際氏は、旧統一教会の関連団体がナイジェリアやネパールで開催した会合に出席していたのに明確な説明を避け、メディアに報じられるたびに追認することが繰り返された。野党から辞任要求が強まり、岸田首相は「更迭やむなし」と判断したが、対応が遅すぎた。後任に後藤茂之前厚生労働相を起用、政権の立て直しを図るが、見通しは暗い。
自民党出身の細田博之衆院議長は、旧統一教会関連の集会にたびたび出席し、挨拶(あいさつ)している。安倍晋三政権当時の会合では「盛会の様子を安倍総理に伝える」などと語っていた。だが、自身のかかわりについて、文書を配布しただけで、記者会見などでの説明はしていない。野党はさらに追及する構えだ。
岸田首相は宗教法人法の質問権を行使し、旧統一教会による多額献金などの問題を調査したうえで宗教法人の解散命令を裁判所に請求するという展開を想定している。旧統一教会の問題は(1)自民党との関係の実態調査(2)解散命令に向けた手続き・被害者救済──と多岐にわたる。岸田首相には真相を徹底解明し、対策を打ち出すことが求められているのだが、対応は後手に回り国民の不信感が募っている。
経済無策が政権不信に
岸田政権の危機は旧統一教会の問題にとどまらない。経済の再生は待ったなしだ。ロシアのウクライナ侵攻で資源高が加速。さらに日米の金利差が拡大して円安が進み、物価高が進行している。それでも黒田東彦日銀総裁は金利引き上げを全面否定。さらなる円安につながっている。黒田総裁が進めてきた金融緩和はアベノミクスの大きな柱であり、日銀が大量に買い込んだ国債価格に影響があるため、簡単には金利を上げられない事情がある。岸田政権の経済運営にアベノミクスが暗い影を落とす。
岸田首相は、物価高に対応するためにも「大幅な賃上げ」を経済界に求めているが、賃上げは進まず、国民生活を苦しめている。経済無策が政権不信につながっていることは明らかだ。
さらに、外交・安全保障である。中国共産党大会で総書記の3選を果たした習近平氏は、台湾統合をめざして日米両国に揺さぶりをかけてくるだろう。経済のデカップリング(分断)も辞さない米国と、経済成長には中国との貿易や投資が欠かせない日本との立場の違いを中国が巧みについてくるのは確実だ。中国は、延期となったままの習近平氏の国賓としての訪日を実現するよう求めてくるだろう。自民党内では反対論が強まっており、党内の意見対立につながる可能性がある。
中国の軍備拡張や北朝鮮の核・ミサイル開発に対抗するための防衛費増額も、岸田首相にとって大きな懸案だ。5兆円余の防衛費を5年間で倍増させる計画で、来年度予算案では数千億円の増額が予定されている。財源はどうするのか。当面は「つなぎ国債」を発行して、来年度以降に法人税や所得税の増税で賄う案が検討されているが、増税には強い反発が必至だ。
公明党は反撃力に慎重
岸田政権は年末にかけて、国家安全保障戦略や防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の3文書を改定する。敵基地攻撃能力を「反撃力」と言い換えて、どういう表現で盛り込むか、台頭する中国にどう向き合うか、「専守防衛」の枠内でミサイルの配備計画をどう位置付けるか、など多くの論点がある。自民党内だけでなく与党の公明党にも「反撃力」などに慎重論があり、調整作業は難航しそうだ。逆風にさらされる岸田首相が与党内合意に向けて指導力を発揮できないようだと、政権はさらに失速するだろう。
●山田外務副大臣 旧統一教会関連団体「推薦確認書」署名で陳謝  11/1
旧統一教会の関連団体の「推薦確認書」に署名していた山田外務副大臣は、国会で「大変軽率だったと深く反省している」と陳謝しました。一方で団体側から組織的な選挙支援は受けていないと説明しました。
山田外務副大臣は、去年の衆議院選挙の際に旧統一教会の関連団体の「推薦確認書」に署名していたことを書面で公表しています。
山田副大臣は、1日の参議院外交防衛委員会で「中身をよく読まずにサインしてしまい、大変軽率だったと深く反省している」と陳謝しました。
そして、署名した「推薦確認書」は破棄する考えを示す一方、団体側から組織的な選挙支援は受けていないと説明しました。
また、地元の兵庫県西宮市にある旧統一教会の関連施設に2回訪れたことがあると明らかにし、「旧統一教会とは別物だと考えていた」と釈明しました。
一方、井野防衛副大臣は「しんぶん赤旗日曜版」で、8年前に旧統一教会と関連するとみられる団体にパーティー券を買ってもらっていたと報じられたことについて「4枚購入してもらったことが確認できた。また、国政報告会や国会見学といった懇談を持ったことは事実だ」と述べました。
また、木村防衛政務官は去年の衆議院選挙の際に第三者を介して旧統一教会から名簿の提供を受けていたことを明らかにしました。
●三浦瑠麗氏、高額献金を「競馬でスッたのと同じ」発言に賛否…旧統一教会 11/1
10月29日、国際政治学者の三浦瑠麗氏が、YouTubeチャンネル『日経テレ東大学』に出演。政治と宗教をテーマにした番組内での三浦氏の発言がSNSで物議を醸している。
安倍晋三元首相を襲撃した山上徹也容疑者については、母親が旧・統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に多額の献金をしていたことが問題視されている。
三浦氏は、山上容疑者について、「ある意味、虐待家庭に育った青年がテロリストになっちゃったケース」としたうえで、こう語ったのだ。
「遺棄されて、どうしようもない母親の行動によって傷ついた青年を、誰かが救ってあげるべきだったんじゃないの? って話なんです。
たくさんあった財産がなくなったっていうのは、これはそんなに同情すべきかっていうのがあって。みんな1億円の資産ある人なんていないですからね、そんなに。
あるいはそれを競馬でスったって同じじゃないですか。統一教会のいろいろな手法は批判されるべきだけど、統一教会なら救ってあげて、競馬なら救わないって法はないでしょ。そういう議論ができないってことは、やっぱり結局、本質には関心ないんですよ」
この発言が報じられると、SNSでは賛否が渦巻いた。
《競馬で散財するのと、親がカルト宗教にのめり込んで一家が破滅するのを同列に考えてるのか?》
《JRAは金賭けろと強要はしません。競馬でスるのと強制献金は別次元の話》
《ギャンブルは自業自得。統一教会は霊感商法に違法勧誘。不安を煽って高額献金。同列に語るな》
と、高額献金と競馬で散財することを同列視する論理に批判的な声があがる一方で、三浦氏の意見に賛同する声もあった。
《本質をついていると思う。結局は誘惑に負けて財産をスったかどうかの範疇。そこに、山上容疑者の身の上とか、余計な要素を絡ませるから、話がおかしくなる》
《投資詐欺で騙された人も救済されない。自分で取り戻せという話。この事件で統一教会だけ、宗教だけ救済しろというなら他はどうする?全部救うのか?という話になって当然》
《ある意味で真理。精神的な苦しみから、風俗やホスキャバ、或いはギャンブルなど対価が高額になり得る何かに逃げる事と新興宗教に逃げる事は本質的には大差無いと思う。だから規制するのが難しいんだよ》
三浦氏は、9月2日に放送された『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)でも同じ趣旨の発言をしている。旧統一教会と日本の政治を論じるなかでの発言だ。
司会の田原総一朗氏が「旧統一教会が信者からやたらに金を巻き上げたり、高いものを売りつけたり、やったわけでしょ。そういうものをなくすためにはどうすればいいのか?」と質問すると、三浦氏はこう応じたのだ。
「なくせないと思うんですね。宗教法人に限ったらなくせるかもしれない。もしかしたら、(献金の)上限を入れるみたいな案を入れるんだと。私はそんなに賛成ではないですけど。
ただ、世の中には、山上みたいな虐待家庭を作りだす理由っていっぱいあるんです。お父さんがパチンコとか競馬でお金をスッたり、家庭内暴力で殴ったり、飲酒におぼれたり、どれも合法なんです。
合法な活動で家庭が崩壊するケースはいっぱいあるのに、なぜ宗教法人(だと問題に)になるか、これは政局だからです。政局に引きずられて、あまり極端な改革案は入れないほうがいい」(三浦氏)
旧統一教会の被害者救済をめぐっては、自民・公明・立憲民主・日本維新の会の4党が話し合いを進めている。焦点となっているのは、いわゆるマインドコントロールによる高額献金の規制の問題だ。今国会中の法案整備を目指しているが、はたして4党協議はまとまるだろうか。
●井野俊郎防衛副大臣 旧統一教会との関係巡り後援会に解散指示 11/1
旧統一教会との関係を巡り参議院の外交防衛委員会で井野俊郎防衛副大臣は自らの後援会に教会の関係者がいたことを認め、解散するよう指示したことを明かしました。
井野防衛副大臣の後援会である「俊世会」を巡り、共産党の山添参議院議員は井野氏の名前の頭文字である「俊」と「世界平和統一家庭連合」いわゆる旧統一教会の頭文字を取ったもので、旧統一教会の関係者が中心となり設立されたと指摘しました。
井野副大臣は、「名簿を持っておらず、信者が何人いたのか分からない」と述べたうえで数年前から旧統一教会の関係者がいたことを認識していたと明らかにしました。
その後、井野副大臣は「接点が疑われるのは良くない」として1週間程前に後援会を解散するように指示したということです。
●紀藤弁護士 「会見、訴訟…旧統一教会の迷走はカルトそのもの」 11/1
安倍元首相の銃撃事件以降、紀藤正樹弁護士の姿をメディアで見ない日はない。ツイッターのトレンド入りは十数回以上。第一線で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害に向き合ってきた法律家として、発信を続けている。
教会側は、紀藤氏らの発言に名誉を傷つけられたとして提訴したり、記者会見を開いたりして自身の正当性を強調している。時にヒートアップして怒り出す幹部もいる。メディア戦略にたけた紀藤氏は冷静に受け止め、こう解説する。
「彼らの表情が同じこと、怒るトーンが一緒であること、世間の常識から遊離してしまっている事実を、面白がるのではなくて正面から受け止めてください。不安や恐怖によって人間本来の感情を押し殺した人たちの共通した姿です。カルト被害の実態そのものなのです」
30年以上闘ってきた彼らの解散請求も視野に入ってきたが、紀藤氏は「欧米に比べて周回遅れだった日本が、やっとカルト対策に向き合う時にきた。先進国並みに到達できるか今が正念場です」と気を引き締める。
分かりやすさは依頼者のため
論旨は明快、短い時間で的確に解説する紀藤氏がテレビ向きなのは、30年前から証明されている。「社会を変えるには、一般の国民の理解が不可欠」。忙しい合間をぬって、数多くのメディアに対応する。
もともと分かりやすさを追求しているのは、依頼者のためだ。法曹3者しか読まないような準備書面もある。それでも、依頼者が読んで分かるように、平易な言葉で書くことを心がけている。
「真摯(しんし)に」は「誠実に」、「債務不履行」は「契約の不履行」といった具合に、法律用語もできる限り置き換える。漢字ばかりにならないよう平仮名を使い、段落を入れて読みやすいようにする。
こうした反復が、テレビなどで一般の人に問題の本質を伝える原点となっている。
教会側の会見が炎上してしまう理由
旧統一教会はこれまで6度行われた会見で、従来の持論を展開している。福本修也弁護士は、記者の質問にヒートアップして声を荒らげ、かつて広報担当として「テッシー」と言われた勅使河原秀行氏は、被害者宅にアポなし訪問をして、記者らに集中砲火を浴びた。
「同じ発想の人たちで一定の議論しかできないんです。韓国からの指示で決めているから会見を開くタイミングも最悪。内閣改造の日だったり、予算委員会の最終日だったり。国会の議事を妨害しているようなものです」
紀藤氏によると、東大出身の福本弁護士や京大出身の勅使河原氏は「特別扱い」されてきたため、現場の信者の実態を理解できていないという。だから「違法な勧誘は信者が勝手にやっている」という論が展開できてしまう。
紀藤氏はオウム真理教の追っかけ「オウマー」が出現したのとは違い、安倍元首相の事件とその背景は「あまりにも悲惨だったため、今は深刻にとらえられている」としながらも、彼らの会見を「面白おかしくする」ことには警鐘を鳴らす。
「『常識的に考えれば受け入れられないようなことを、真面目にやっている』というのが統一教会信者の属性そのものです。30年以上同じ。その結果、家族の被害や2世問題が起きています」
「対策は周回遅れ、先進国並みまでまだ3合目くらい」
日本ではオウム真理教、旧統一教会とカルトに関連した大事件が2度も起きた極めて特殊な国にもかかわらず、一度も総括的な調査・報告はなされたことがない。
紀藤氏の所属する全国霊感商法対策弁護士連絡会は、国にこれまでも、さんざん働きかけてきた。関係省庁を回るだけでなく、旧統一教会は国際的組織のため米国やEU、本国の韓国にも何度も行った。でも、動かなかった。
米国では1978年に下院議会委員会が旧統一教会などの調査をしており(議員名にちなんでフレイザー委員会報告書と呼ばれる)、フランスも1995年にカルトに関する報告書がつくられている。
「カルト現象は世界共通。既に一定の成果がある。日本も担当大臣を立てて特別委員会で議論し、総括的な報告書をつくるべきです。解決のための処方箋をつくるには調査が必要です。先進国並みまでは、まだ3合目くらいでしょう」
臨時国会の会期は12月10日まで。紀藤氏は、今国会でも特別委員会を作ることは可能だとの認識を示す。
「マインドコントロール」という言葉が法律に入るか
現在、解散請求の前段階として、文科省が質問権の行使に向けて動いているが、10月25日の専門家会議は非公開。次回は11月8日で質問の基準を決めるという。週1回YouTubeで公開されていた消費者庁の有識者会議と比べると、スピード感に歴然とした差がある。
「大臣の緊張感に差があるのでしょう。文科省は所管だから今の事態は想定できたのに準備不足です。できる限り議事は公開していかないと、無責任になります。委員には、自分たちが所属する宗教団体の立場の個人的な意見ではなく、カルト対策でどんな未来をつくっていくべきなのかを考えてほしい」
政治が動き始めたこの状況は、まだマインドコントロールという言葉が定着していなかった30年前と比べれば隔世の感がある。
「マインドコントロールの違法性を問う裁判を起こしたころは、まるでSFのようだって言われたんですよ。提訴の会見をした時、記者たちは白々しく、質問も出なかった。よく覚えています」
契約を取り消せる範囲を拡大する高額献金対策など救済に向けた法整備についても、与野党協議が始まっている。紀藤氏は自民党の会合に出席し、消費者契約法の改正など早期に進めるよう要望した。
「マインドコントロール」という文言を条文に入れるか否かは「フランスの反セクト法にも入っていないし、大きな問題ではない。法律用語にいかに落とし込めるかです」としながらも、「2018年の改正で『霊感』が入ったのは画期的で、言葉を入れると動き出すという面もあります。もしも『いわゆる〜』という形でも『マインドコントロール』」という言葉が法律に入ったら、将来の国民から評価されるかもしれませんね」と話した。
●旧統一教会「推薦確認書」の実態を調査せず 首相への本紙質問に書面回答  11/1
政務三役や自民党議員らが世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体と「政策協定」(推薦確認書)を結んだり、推薦状を受領していたことが次々と明るみに出ている問題を巡り、政府は1日、再調査を実施しない考えを改めて示した。本紙の質問に答えた。
10月28日に行われた岸田文雄首相の記者会見で指名されなかった記者が会見後、首相官邸に質問を書面で提出した。
本紙は「政務三役らと教団との関係がここ数カ月、『後追い』で明らかになる状態が続き、多くの国民が政治と教団の結び付きに不信感を増幅させている」と指摘した上で、「首相はなぜ『聞く力』を発揮して再調査しないのか」とただした。
政府は「自民党は所属国会議員による点検結果を取りまとめ、既に公表している」と指摘し、「議員本人が説明すべきものと考える」と再調査を否定した。また、「候補者は選挙にあたって政策分野を含めてさまざまな団体と書面のやりとりを行っている」とした。
●旧統一教会提訴、萎縮せず報道を 11/1
批判的な内容が番組で放送され名誉を傷つけられたとして、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が民放などを相手に相次いで起こした訴訟に関し、弁護士らの有志は1日、「萎縮せず市民の知る権利に応える報道姿勢を堅持してほしい」との内容の声明文を発表した。賛同者は弁護士や研究者、ジャーナリストなど271人。
声明文は教団側の訴訟を「言論封じを目的とした典型的なスラップ訴訟」と批判。呼びかけ人の1人の沢藤統一郎弁護士は東京都内で記者会見し「ジャーナリストへのエールとしたい」と話した。
教団側は9〜10月、ジャーナリストや弁護士らに損害賠償を求める訴訟を起こした。
●参政党がTBSに猛抗議 「統一教会が支援に入っている」鈴木エイト氏発言 11/1
TBS系情報番組「サンデージャポン」の10月30日放送で、コメンテーターが「参政党にも統一教会が支援に入っている」などと発言したことを受けて、参政党は翌31日、公式ホームページ内で発言の撤回と謝罪を求める抗議声明を発表した。TBS側は、夕刊フジの取材に対し、「事実関係等確認中です」とコメントしている。
問題となっているのは「旧統一教会」(世界平和統一家庭連合)に関する、ジャーナリストの鈴木エイト氏の発言だ。
鈴木氏は、旧統一教会と政治家の関わりについて、「議員との個人的な関係なども構築していく。参政党も統一教会、結構支援に入っているというケースも報告されている。そういうところは慎重に見ていくべきだ」などと発言した。
参政党は2020年に結党し、今夏の参院選(7月10日投開票)に、比例代表5人、選挙区45人の計50人を擁立した。ユーチューブなどのネットを通じて支持を広げて台風の目≠ニなり、比例代表で1議席を獲得した。
鈴木氏の発言を受けて、参政党副代表の神谷宗幣参院議員は30日と31日、ツイッターで次のように抗議した。
「ちゃんと調べてから話をしてください」「ジャーナリストを名乗る人が公共の電波を使い、不確かな情報で印象操作をしています」「組織で応援に入るということは、党本部や候補者となんらかの取り決めをしていると言うことです。私が知らないところで組織的応援はあり得ない」「弁護士に連絡しています」
参政党も31日、HPに「事実無根であり発言の撤回と謝罪を強く求めます。参政党及びその候補者が旧統一協会と組織的に繋がり、選挙応援や金銭的支援を受けたという事実は一切ありません」という抗議声明を掲載した。
一体、どうなっているのか。
夕刊フジは、鈴木氏の発言の事実関係や根拠、TBS側の立場について質問した。TBSは「事実関係等確認中です」と回答した。
参政党は「しかるべき対応をとってまいりたい」とコメントした。
●首相が推薦確認書の調査否定 旧統一教会関連団体 11/1
岸田文雄首相は28日の参院本会議で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が自民党議員に求めた推薦確認書への署名について、党として調査する考えがないことを示した。野党からの調査要求に対し「議員本人から説明すべきものだと考える」と述べた。山際大志郎前経済再生担当相の辞任に関しては重ねて陳謝。任命責任を重く受け止めていると語った。細田博之衆院議長や、安倍晋三元首相と教団との関係についても調査を否定した。
参院本会議は首相が閣僚辞任について説明する異例の質疑を行った。
首相は山際氏辞任に関し「国会開会中に閣僚が辞任する事態となり深くおわびする」と語った。
●旧統一教会 被害者救済 “時間かけるべき論点も” 自民 茂木氏  11/1
旧統一教会の被害者救済に向けた与野党協議をめぐり、自民党の茂木幹事長は、与野党で法整備に向けた見解が分かれている論点については、時間をかけて議論を深めるべきだという認識を示しました。
自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会の4党による協議会は、今の国会の会期中に旧統一教会の被害者救済を図る法整備を目指していますが、いわゆるマインドコントロールによる高額献金の被害の回復方法などをめぐって見解が分かれています。
これについて自民党の茂木幹事長は記者会見で「急ピッチで、精力的に議論を重ねてもらっているが、すぐに法案に落とせる部分と、財産権や罪刑法定主義をめぐる問題など、さらに議論が必要な部分がある」と指摘しました。
そのうえで「具体的な課題にどう対応するか議論を深めることが重要であり、順序立てて議論を進めてほしい」と述べ、与野党で見解が分かれている論点については、時間をかけて議論を深めるべきだという認識を示しました。 
●旧統一教会関連団体「推薦確認書」 岸田首相 “議員が説明を”  11/1
複数の自民党議員が国政選挙の際に旧統一教会の関連団体と「推薦確認書」を取り交わしていたことなどについて、岸田総理大臣は、議員本人が説明責任を果たすべきだという考えを重ねて示しました。
旧統一教会との関係をめぐり、複数の自民党所属の国会議員が選挙の際に教会の関連団体と「推薦確認書」を取り交わしたり、推薦状を受け取ったりしていたことが明らかになっています。
これに関連して岸田総理大臣は、先月28日に行った記者会見のあと、記者団から文書で自民党として、調査を行う考えはないのか質問されたのに対し1日、書面で回答しました。
回答では「『推薦確認書』への署名や推薦状の受領が、選挙での支援につながっているかどうかがポイントと考える。この点については、自民党として所属国会議員による点検結果を取りまとめ、すでに公表している」としています。
そのうえで「党の点検結果との関係については、議員本人から説明すべきものと考えている」としています。
●旧統一教会「推薦確認書」の実態を調査せず 首相への本紙質問に書面回答  11/1
政務三役や自民党議員らが世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体と「政策協定」(推薦確認書)を結んだり、推薦状を受領していたことが次々と明るみに出ている問題を巡り、政府は1日、再調査を実施しない考えを改めて示した。本紙の質問に答えた。
10月28日に行われた岸田文雄首相の記者会見で指名されなかった記者が会見後、首相官邸に質問を書面で提出した。
本紙は「政務三役らと教団との関係がここ数カ月、『後追い』で明らかになる状態が続き、多くの国民が政治と教団の結び付きに不信感を増幅させている」と指摘した上で、「首相はなぜ『聞く力』を発揮して再調査しないのか」とただした。
政府は「自民党は所属国会議員による点検結果を取りまとめ、既に公表している」と指摘し、「議員本人が説明すべきものと考える」と再調査を否定した。また、「候補者は選挙にあたって政策分野を含めてさまざまな団体と書面のやりとりを行っている」とした。
●自公、被害者救済新法先送り提案 立民・維新反発、旧統一教会問題 11/1
自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党は1日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡り、被害者救済の法整備を議論する第4回協議会を国会内で開いた。自公両党は不当寄付への規制などを柱とする新法について、被害者家族の損害賠償請求やマインドコントロールの扱いで課題が残るとして、今国会での成立先送りを提案した。立民、維新は反発し、溝は埋まらなかった。
協議会で自公は、被害者救済に向けて「検討すべき方向性」と題した文書を提示。新法の内容を「今後さらなる検討を進めるべき事項」とし、悪質な勧誘行為の禁止や、家族が損害賠償請求しやすくする方策の検討を盛り込んだ。
●“統一教会”がテレビ局など相手取り複数訴訟 「言論封じを目的・・・」 11/1
宗教団体「世界平和統一家庭連合」、いわゆる「統一教会」が、テレビ局などを相手取り、複数の訴訟を起こしていることについて、弁護士など270人あまりが教団側の姿勢を批判する声明を発表しました。
いわゆる「統一教会」は番組出演者の発言で名誉を傷つけられたとして、テレビ局や出演者を相手取り、損害賠償などを求めて複数の訴えを起こしています。
一連の提訴について、1日、弁護士や研究者など270人あまりが声明を発表し、「報道機関などを威嚇する言論封じを目的とした訴訟と考えざるを得ない」と、教団の姿勢を批判しました。
また、声明では、報道機関に対し、提訴によって報道が萎縮することがないよう求めています。
一方、今回の声明に対し、教団側は「提訴は、事実に基づかない報道やコメントに対する抗議であり、妥当なものと考えている」としています。
●消費者契約法改正、与党に先行論 「霊感商法」取り消し権拡大 11/1
  悪質寄付規制法は野党と溝 
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受けた被害者救済の法整備を巡り、与党内で「霊感商法」への対応を強化する消費者契約法(消契法)改正を先行させる案が浮上した。
一方、悪質な寄付要求の規制では新法制定を検討するが、立憲民主党や日本維新の会との協議が難航。来年の通常国会への先送りも視野に入れる。
消契法では、不安をあおり高額なつぼや印鑑などを買わせる霊感商法の契約を取り消せる。ただ、要件が厳しく、消費者庁によれば、これまで取り消し権が使われた裁判例は見当たらない。
政府・与党は(1)要件の緩和(2)行使期間の延長(現在は契約締結から5年)(3)消費者が合理的に判断できない事情を不当に利用した「つけ込み型」勧誘の対象追加―を柱とした法改正を目指す。野党の理解もおおむね得ており、今国会への法案提出、成立は可能とみる。
一方、悪質な寄付の要求を巡っては、「マインドコントロール」の定義付け、献金上限の設定、刑事罰導入に関して与野党の溝が埋まらない。
立民と維新が共同提出済みの救済法案は、マインドコントロールを「心理学に関する知識・技術の乱用や、人の知慮浅薄・心神耗弱に乗じて心身に重大な影響を及ぼす行為」などと定義。立民の長妻昭政調会長は10月30日の民放番組で「問題の核心はマインドコントロールをかけられた方々の被害をどうするかだ」と述べ、譲らない考えを示した。
これに対し、与野党協議で自民党の責任者を務める若宮健嗣氏は「どう定義付けるかは非常に難しい」と慎重姿勢を崩さない。与党は「社会的に許容しがたい悪質な勧誘行為」による寄付を禁じる法整備を検討中。11月1日の次回協議会で、これに「いわゆるマインドコントロール下」の勧誘も含まれることを明確にすることで野党の理解を得たい考えだが、合意に達するか不透明だ。
寄付上限について、立民・維新案は「年間の可処分所得の4分の1超」を目安とした。しかし、与党には「教団側に所得を把握される」「寄付文化の萎縮につながる」との声もあり、規制に否定的だ。
刑事罰に関しても、規定するのに後ろ向きな与党と積極的な野党が対立する。公明党は創価学会を支持母体とする事情から、規制全般に慎重とみられている。
寄付規制新法を政府提出とする場合、内閣法制局の事前チェックなどに時間を要する。こうしたこともあり、自民党側からは「先に消契法を改正する方が早い」(閣僚経験者)との声が漏れる。公明党の高木陽介政調会長も「スピード感を持ってやっていく」との考えを示している。 
●旧統一教会・被害者救済法 与党側が「今国会での新法断念の可能性」言及 11/1
旧統一教会の被害者救済法案をめぐる与野党協議で、与党側は今の国会では既存の法律の改正に留め、新法の成立を断念する可能性に触れました。
さきほど終了した自民、公明、立憲、維新の4党による協議で、与党側は消費者契約法を今の国会で改正し、献金に対する取り消し権の行使期間の延長などを提案する一方、新たな法律の制定については今後の検討事項とすべきだとしました。
立憲民主党 長妻昭 政調会長「(与党側は)新法について『今国会、難しい、難しい』と。今国会、本当にやる気あるのかなと」
与党側は、悪質な献金被害を家族が返金請求できる規定なども今後の検討課題に留めていて、野党側は「与党側の本気度が疑われる」と反発しています。
●他宗教・他宗派を「邪教・邪宗」と呼んだ創価学会の攻撃性は変わったのか 11/1
創価学会というと他宗教に排他的で不寛容な教団だと世間では認識されている。創価学会の家に生まれ、誕生後すぐに入会した私は大人になるまでの過程で、この教団が他宗を激しく攻撃する姿を幾度となく見てきた。だから、世間の認識は必ずしも外れてはいない。
幼少期の話をしよう。私は、他の学会の子どもたちと同じく、親から「神社の鳥居をくぐってはいけません」「お賽銭を投げてはいけません」「他宗の神社で手を合わせてはいけません」などと教わってきた。その頃、学会では他宗教や他宗派のことを「邪教・邪宗」と呼んでいた。当時は邪教・邪宗に対して嫌悪感を抱くのが正しい学会員のあり方なのだという空気さえあった。
そんな私には、1993年、小学校6年生の時の修学旅行での忘れられない思い出がある。旅行先は日光だった。私は両親の教えを忠実に守り、その地の神社や寺で手を合わせるといった宗教的行為はしなかった。母親からは「社寺にいる間はずっと南無妙法蓮華経(=学会員が日常的な宗教儀式などで唱えるフレーズ)と心の中で唱え続けなさい」と言われていたので、それも実践した。
だが、旅行の最後の最後で私は大失態を犯してしまう。
土産の「ダルマ人形」で母親は頭痛に
私は親を喜ばせようと土産を買った。購入したのはダルマを模した人形だった。「お母さん、喜んでくれるかなあ」と、小学生らしい心持ちで。
ところが家に帰ると母の様子がおかしい。「どうしたの?」と聞くと、朝から頭痛がするのだという。心配しつつ、私は母に贈り物でもするかのように「じゃーん!」とダルマ人形を披露した。母の形相が変わった。
「朝から頭が痛かったのは、この人形のせいだったのね!  こんな邪宗のダルマをあなたが買ったから私がこんな目に遭っているのよ!」
そう激高しながら母はダルマの人形をごみ箱に捨ててしまった。当時、私の中には「ダルマ=邪宗の祖」という認識はなかった。だから土産に選んだのだが、子どもながらにショックだった。部屋に駆け込み、ひとり泣いた記憶が今でも残っている。
こうした経験をした「創価学会2世」は我が家に限ったものではない。私と同じ2世の友人は「邪宗」の寺で購入した財布を土産に持ち帰ったところ、やはり母親が激高し、財布を奪い取るやいなや庭で燃やしてしまったという。彼のショックはいかばかりだったか・・・・・・。
創価学会はもともと日蓮正宗という日蓮系宗派の信徒団体の1つで、基本的に日蓮正宗の教えに基づいていた。そんな日蓮正宗は、たとえば「四箇の格言」と呼ばれる、他宗批判を象徴する言葉を重んじる。四箇の格言とは「念仏無間・禅天魔・真言亡国・律国賊」という4つのフレーズのことで、日蓮が生きていた時代の代表的な他宗教の悪性を突いた言葉である。
この格言に込められた他宗批判の思想は創価学会の布教におけるバイブル的な著作『折伏教典』にも余すところなく反映されており、そこでは「これでもか」というくらい苛烈な他宗批判が詳述されている。創価学会が右肩上がりで成長していた昭和の時代、学会員たちは『折伏教典』を片手に布教活動に出かけては「邪宗」を破折(=くじき破ること)して歩いた。この頃、日蓮正宗(と創価学会)以外の宗教はすべて邪宗・邪教だと位置づけられていたのである。
しかし時代が平成に変わる頃、こうした傾向に変化が訪れる。
学会員に変化をもたらした2つもの
学会員たちに変化をもたらしたものは大きく2つある。
1つは、教団のカリスマリーダー池田大作氏である。池田氏は昭和の時代から他宗教、他宗派の著名人たちと対話を重ねてきていた。そこには相手を破折しようなどという姿勢は見られない。この池田氏の姿勢は、学会員たちに「他宗教、他宗派の人たちを一概に邪教の徒として斬って捨てるのではなく、それらの人たちとの間に理解の架け橋をかけることもアリなのか」という揺らぎをもたらした。
もう1つが、1991年に創価学会が日蓮正宗とたもとを分かったことだ。ここから「すべての他宗教、他宗派は邪教・邪宗」という創価学会内の常識は変わりはじめた。先に述べた通り、学会の攻撃性は日蓮正宗と歩調を合わせていたがために生まれた部分が大きいからだ。日蓮正宗と別れたことで学会は他宗教、他宗派に対するスタンスを自らの裁量で決められるようになった。
学会はこの後、地域貢献などにも打って出るようになる。社会との接点が増えるに連れて学会内の常識、学会員たちの態度も変わっていったのだ。
こうして他宗教、他宗派への態度は軟化していった。学会員たちの間で「邪教・邪宗」は次第に「他宗」へと言い換えられるようになった。
先の「ダルマ事件」が起きた1993年という年は、創価学会が日蓮正宗とたもとを分かってまだ間もない時期。学会員たちの意識、常識はまだ大きくは変わっていなかったのだろうと思われる。
平成の約30年間で創価学会は間違いなく変化を遂げた。では、この教団が持っていた排他性や攻撃性は完全に消え去ったのだろうか。
令和の時代の創価学会の他宗教・他宗派へのスタンスをかいつまんで例示すれば、個人の信仰として「鳥居をくぐらない」といった判断をする人は少数ながらいる。しかし、みなが「鳥居をくぐるな」と指導したり、されたりといった情景はなくなった。かつては非難の対象だった「お祭りの神輿をかつぐ」「神社仏閣めぐりをする」といったことも今では問題視されなくなっている。
背景には、やはり、先に触れた地域貢献重視の姿勢に転じたことがある。地元の自治会や消防団などに積極的にかかわるようになったことも影響している。「神輿をかつぐ」のは地域貢献の一環だからだ。今では地域の祭りのために教団の会館を貸し出すといった事例まである。
創価学会の「他宗教・他宗派に排他的で攻撃的」という側面は相当程度、薄れてきたといえる。少なくとも、かつてのように「東の立正佼成会、西の天理教」と「敵」を排撃するような態度を見せることはなくなった。
「仮想敵」を必要としてきた歴史
一方、学会が「敵」だと認定した相手については現在も苛烈に攻撃する。わかりやすい例が「共産党攻撃」だ。たもとを分かった日蓮正宗に対してもそうである。
創価学会の重要な行事に「本部幹部会」がある。幹部会では青年部のリーダーたちが「敵」を責めたてるスピーチを行い、多くの学会員が衛星中継を通じた放映でそれを何度も視聴する。そこで幹部たちが語る「敵」は、会内ではしばしば「仏敵(ぶってき)」と表現される。
長年、創価学会で信仰活動をし、学会の歴史について詳細に学んできた私からすれば、創価学会はいつの時代においても「仮想敵」を必要としてきたように見える。「敵」を作ることは教団の結束に繋がるからだ。その意味で創価学会の排他性、攻撃性は令和のこの時代にも組織文化として残っている。
私が気になっているのは今後だ。学会は、根強く残る排他性や攻撃性を克服しようと努力できるだろうか(そもそもそんな努力は必要ないという理論を堅持する可能性はある)。個人的には、敵を作り、そこに攻撃を行うことで団結を促そうとするやり方は、長期的には組織のためにならないと思っている。
いま、旧統一教会の問題が話題だ。同教団が自分たちを特別視し、選民思想的に振る舞うがゆえに排他的・攻撃的になっている姿は多くの人の知るところとなった。詳述はしないが、創価学会の攻撃性の源は旧統一教会のそれとは異なる。
だが、排他性・攻撃性が「独善」を生み、「自分たちこそが正しい」という強い信念が、たとえば外部からの貴重な意見に耳を傾ける姿勢を失わせるということがある。国であれ、企業であれ、宗教団体であれ、外部の意見を受け付けない組織が誤った方向へ向かってしまうのは歴史の常である。
旧統一教会問題がフォーカスされている今こそ、創価学会には自らの内に宿る排他性や攻撃性を直視し、再考してほしいと思う。そのうえで「歴史の常」にからめ取られない宗教組織の模範を示してほしいと願っている。 

 

●韓鶴子総裁と統一教会幹部がラスベガスのカジノで64億円“豪遊” 11/2
統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の韓鶴子総裁(79)と教団幹部らが2008年から2011年にかけて米国ラスベガスのカジノを訪れ、日本円に換算して約64億円をギャンブルに注ぎ込み、約9億円の損失を出していた疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。教団の機密文書を入手した。
統一教会を巡っては、過度な献金などが問題となり、日本では解散命令請求へのカウントダウンが始まっている。そんな中、教団のトップである韓鶴子氏がギャンブルに興じていた疑いが明らかになった。
小誌の手元にあるのは60枚にわたる文書。ラスベガスを拠点とする統合型リゾート運営会社「MGM」グループが統一教会側に発行した、教団幹部たちの“カジノ豪遊記録”といえる資料だ。
韓国にある教団世界本部の元幹部が補足する。
「それは、税金を支払うにあたってカジノに発行してもらういわば“収支報告書”です」
リストが発行されたのは2012年8月。最初に登場するのは、当時ラスベガスに居住していた「Mrs. Hak J Han」。統一教会の教祖・文鮮明氏(故人)の妻、韓鶴子氏その人である。
リストでは、米12カ所のカジノごとに勝敗が記載されているが、直近の2011年、韓氏が興じていたのは、全てラスベガスの施設。驚愕すべきはその投入金額だ。賭け金の合計額を指す「Coin-In」は、約69万7000ドル。現在のレートで換算(以下同)すると約1億円に上る。対して、手元に戻ってきた「Coin-Out」は約56万ドル(約8300万円)で、諸々を総計した年間の最終収支は約4万5000ドル(約660万円)の損失となっている。
教団幹部ら12人で「約64億円」注ぎ込んだ
リストに登場するのは韓氏のほか、直属の側近女性の鄭元周総裁秘書室長、当時の北米大陸長や秘書など、国外の教団幹部ら12人。彼らの勝敗が克明に記録され、各々がギャンブルに注ぎ込んだ合計金額は実に約64億円、損失額は約9億円にも上る。
この文書について、韓国の世界本部に尋ねたが、締切までに回答はなかった。
教祖一族のカジノ好きは筋金入りだ。文氏の長男・孝進氏の元妻・洪蘭淑氏が1998年に上梓した「わが父 文鮮明の正体」(小社刊)では、当時からカジノに入り浸る教祖夫妻の実像が描かれている。その原資が、信者による献金や霊感商法によって収奪された他者の財産であることは言うまでもない。今回、小誌が入手した資料によって明らかになった統一教会幹部らの豪遊の実態は、大きな波紋を呼びそうだ。
●口封じが目的「スラップ訴訟」 旧統一教会が放送局などに賠償求め提訴  11/2
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、有田芳生元参院議員と紀藤正樹弁護士、民放2局に対して名誉毀損訴訟を起こしたことなどに、「教団批判を萎縮させる効果を狙ったスラップ(口封じ)訴訟だ」との批判が上がっている。近年、批判封じを目的に威嚇目的で提訴するケースは多発しているが、スラップ規制の州法もある米国とは違い、日本では、まだ定義や法的な判断すら定まっていない。どうすれば言論封殺的な提訴は防げるか。
「知る権利にふた」弁護士らが批判声明
「各提訴とも報道機関を標的とした表現の自由への挑戦であり、市民の知る権利にふたをしようという企てだ」
1日、沢藤統一郎弁護士らのグループが東京都内で記者会見した。報道機関や出演者に対し、名誉毀損きそんだとして損害賠償訴訟を起こした旧統一教会の対応を批判する声明を発表。声明は、弁護士グループ26人が呼び掛け人となって、弁護士や研究者、ジャーナリストなど271人が賛同した。
声明によると、旧統一教会による提訴が「報道機関を威嚇することで旧統一教会批判の言論封じを目的とした、典型的なスラップ訴訟と考えざるを得ない」と批判。「民事訴訟本来の役割は、法的正義の実現であり、また社会的弱者の救済にある。本件のごとき民事訴訟の乱用を看過し得ない」と指摘した。
声明への賛同を呼び掛けた沢藤氏は会見で「弱者の言論を威嚇して萎縮せしめるのがスラップ訴訟の本質。今までもたくさんの事例があった。経済力、政治力のある者に、スラップ訴訟の成功体験をさせてはならない。スラップ訴訟は非常に汚いこと、という世論を作りたい」と力を込めた。
同席した梓沢和幸弁護士は「旧統一教会のすさまじい言動はもっと人々に明らかにされる必要がある。それを明らかにすることが報道機関と前線の記者、ジャーナリストの使命だ。トップを含め、スラップ訴訟に萎縮することなく、真摯しんしな報道姿勢を堅持していただきたい」と報道機関に奮起を促した。
弁護士に6600万円、放送局などに3300万円
旧統一教会は、報道機関や番組に出演した弁護士やジャーナリストの発言で名誉を傷つけられたとして、損害賠償や番組内での謝罪を求める訴訟を相次いで起こしている。
9月には、TBSテレビと読売テレビの2社と、出演者の紀藤正樹氏や本村健太郎氏、八代英輝氏の3弁護士に計6600万円の支払いを求めて東京地裁に提訴。10月にも日本テレビとTBSラジオの2社と、番組に出演した有田氏と紀藤氏に計3300万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
たとえば、有田氏の場合は、訴状によると、8月19日放送の日本テレビの情報番組「スッキリ」で教団について、「霊感商法をやってきた反社会的集団だっていうのは警察庁ももう認めている」と発言したが、教団側は事実ではないと主張している。
これに対して有田氏は、長い取材の中で、警察庁や警視庁幹部からも取材し、旧統一教会が反社会的であることを証拠と証言によって確信している、とした上で「教団によるスラップ訴訟には、世論の包囲もふくめて、断固として闘っていく」とツイッター上でコメントした。
一連の提訴はスラップ訴訟に当たるのではないか。「こちら特報部」が旧統一教会にこうした指摘への見解を聞くと、広報担当者は「今回の提訴に関しては、あくまで事実とは異なる発言をされた弁護士らへの提訴なので妥当ではないか」と答えた。
米国では半数近い州で反スラップ法制定
では、スラップ訴訟とは何か。
専修大の内藤光博教授(憲法学)によると、1980年代に米国で問題視されるようになったといい、特徴は、財政・組織・人材などで優位に立つ側が、表現の自由で保障されている意見表明行為(集会、デモ、記事)に対し、名誉毀損などを主張して多額の賠償金を請求する点だ。内藤氏はこう指摘する。「本当の目的は言論活動を萎縮させるいわばどう喝。さらに、潜在的な発言もためらわせる。訴訟の勝敗にこだわっていない点も悪質だ」
内藤氏によると、米国では、半数近い州で反スラップ法が整備されているという。例えば、被告がスラップ訴訟であると申し立てれば、裁判所が原告に勝訴の見込みを立証させる。スラップと判断されれば裁判は打ち切られる。「裁判を受ける権利は憲法で保障されているが、スラップ訴訟はそれを悪用したもの。日本では、スラップ訴訟への認識が薄く、被告側が『違法な訴訟である』と改めて提訴しなければならない」と内藤氏が現状を説明する。
スラップ乱発「武富士」の代理人は吉村洋文氏だった
国内でスラップ訴訟として注目されたのは、消費者金融大手だった「武富士」による訴訟だ。2000年代、批判的な記事を書いたジャーナリストや出版社、新聞社を次々と名誉毀損で提訴。請求額が1億円を超える訴訟もあった。
ジャーナリストの山岡俊介氏も提訴された一人。「名誉毀損訴訟で被告は勝っても賠償金を得られるわけではない。原告側もそれを分かって報道をつぶしに来ている」と話す。04年に和解し、武富士側に「高額訴訟を提起することにより、当社に批判的な記事に対して言論弾圧をしようとしたものにほかなりません」との謝罪文を月刊誌に掲載させた。
「賠償請求額が巨額で企業としても巨大。弁護士を雇って反論をするのは金銭的にも精神的にも大変だった」と山岡氏。この訴訟で武富士側の代理人弁護士を務めたのが日本維新の会共同代表で大阪府知事の吉村洋文氏だ。山岡氏は「明らかにスラップだと分かっていたはずだ」と批判する。
沢藤氏もブログの内容を巡って化粧品会社ディーエイチシー(DHC)と吉田嘉明会長から、約6000万円の賠償請求訴訟を起こされた。沢藤氏は、勝訴の見込みがないことを知りながら提訴した「スラップ訴訟」で違法だと反訴。16年に沢藤氏の勝訴が確定した。
スラップ訴訟規制を訴えて当選した国会議員もいる。参院議員の水道橋博士氏は、今年6月にれいわ新選組から比例代表で出馬。きっかけとなったのは、ツイッターで紹介した動画を巡り、日本維新の会前代表の松井一郎大阪市長から提訴されたこと。松井氏は「リツイートされた方も同様に対応致します」とも書き込んだ。水道橋氏は今年2月、「こちら特報部」の取材に「訴訟をちらつかせれば黙るとでも思っているのか。権力者がこんな手法を使うことに、本当に怒りが込み上げる」と訴えた。
識者「原告側に立証責任を転換する防止法が必要」
SNSへの投稿によって、一般人が訴訟に巻き込まれる可能性もある。スラップ訴訟に対抗するにはどうすればよいのか。弁護士で岡山大教授(憲法学)の吉野夏己氏は「日本では名誉の保護と言論の自由が対立した際、名誉が重んじられる傾向にある。スラップ訴訟を防ぐには、公的な人物・団体が原告となる場合に限って名誉毀損のハードルを高めるため、原告側に立証責任を転換するようなスラップ被害防止法の整備が求められる」と強調する。
内藤氏は訴訟にかかわる弁護士の意識変革の必要性を説く。「弁護士会などが率先して違法な訴訟を防ぐための対策を取る必要がある」
デスクメモ 口封じは容認しない
批判封じのためのメディア提訴などもちろんあり得ないが、元信者の女性が会見中に「精神疾患」だからと中止を求めたり、息子が自殺に追い込まれた男性を突然、教団幹部が訪ねて「メディアに出ないで」と言ったり、は直接の口封じでもっとあり得ない。世間は決して容認しない。
●“統一教会”…教団の“反撃”への怒り、それでも捨てきれない家族への想い 11/2
“統一教会”の被害を訴え続ける小川さゆりさん(仮名)と橋田達夫さんが、二人揃って「情報ライブ ミヤネ屋」のインタビュー取材に答えました。その模様を、3回に渡ってお届けします。第2弾となる今回は、二人が被害を訴えてからの、教団側の“反撃”に対する激しい怒りと、いまだに続く「家族が信者」であることの苦悩を語ります。
会見中に届いた中止要求「両親が世界中の前で私を批判した」
(小川さゆりさん)「私が正しいと思ってくださるなら、どうかこの団体を解散させてください」
10月7日、小川さんは「日本外国特派員協会」で記者会見を開きました。開始から50分後、会場の空気が一変する出来事がありました。“統一教会”からメッセージが届いたのです。彼女の両親の署名が入った通知書で、「小川さんは病気である」として、会見中止を要求するものでした。ショッキングな内容に涙を流す小川さん。それでも「夫の支えなどにより、病は4年前に治っている」と説明し、会見を続けました。
(小川さん)「あの瞬間、『本当に教会が私を潰しに来たな』と思いました。会見を中止することが目的かもしれないけど、一方で私を精神的にダメにして、発言させなくするような意図も、もしかしてあるんじゃないかと。結構、正直きつかったです。すごく見限られたというか…本来の親の姿って、子どものためなら世界を敵に回してもいいって思える、そういうものなんじゃないかなと思って。自分は、子どものためならそこまでできるなって正直思います。それなのに、両親はそれどころか…言ってみれば世界中の前で私を批判したわけで」
元妻の動画を公開「異常さを感じた」
一方の橋田さんは、10月16日、教団幹部の勅使河原秀行氏が、事前に断っていたにも関わらず“アポなし”で自宅に訪れる、という行動に、怒りをあらわにしました。
(橋田達夫さん)「やっぱりきちんとお話を聞くという気持ちで来てもらわないと。突然来られたら怒りますよね」
また、10月20日に行われた“統一教会”の6度目の会見で、勅使河原氏によって流されたのは、橋田さんの元妻のインタビュー映像でした。その内容は、橋田さんが訴え続ける教団被害について、元妻の言葉を用いて反論するものでした。
(橋田達夫さん)「完全に上から潰しているんです。『私たちはこれくらいまでしますよ』というのを、全国の信者に見せる。“統一教会”は、もう考えられないことをするんです。だから、今回元妻がビデオに出ましたけど、元妻に対して責めるということは、もうしちゃダメだと思います。異常な世界です。“餌”に使っているというか“ダシ”に使っているんです。今まで一生懸命教団に行って勉強して、献金までして、時間とお金を使って、本当に人生そのものです。そういう人間をああいう風に出すということに、彼(勅使河原氏)には異常さを感じました。」
この教団の対応について、元2世信者の立場である小川さんは…
(小川さん)「元奥様の発言は確かに、“統一教会”にとっては有利というか、都合のいい発言をしてくれるということで、利用されているとしか思えなくて。こうやって信者さんを盾に出してくるということ、そして顔を出してプライバシーをさらしてというやり方も、本当に汚いなと思いました」
(橋田さん)「彼女にああいうことを、“統一教会”はさせましたよね。けど、絶対に彼女の面倒はみないと思います。僕は彼女をそっとしておこうと思っているんです。今までは彼女と戦ってきましたけど、もう“統一教会”と僕は戦っているんです。そういう心に変えました。彼女はたぶん、生活はできないんじゃないかと思ったんです。だからご近所に回って、『もう見ないふりをしてあげてください』って言って。二男に聞いたら、『もうお母さんは憔悴している』と。それ以上、僕は言葉もでないです」
のめり込む家族、それでも捨てきれない想い
小川さんと橋田さんの家族は、なぜ入信するに至ったのか?二人から語られたのは、“統一教会”による勧誘の実態でした。
(小川さん)「自分の親もそうなんですけど、二人とも友達がいなかったり、すごく人間関係に悩んでいて、人生がどん底で、それで入ったという人がすごく多くて。勉強を重ねると、『全ての問題を解決してくださる方は、文鮮明(ムン・ソンミョン)先生なんです』と、みんな文鮮明に感動するんです。別にお金を払おうと思って入っているわけではなくて、自分を救ってくれた、こんな真理を与えてくれた、文鮮明がお金を要求するならば捧げないといけない、という気持ちになり、さらに教義の中に、『こうしないと大変なことが起こる』とか、『事故が起こる』『地獄に堕ちる』とか脅迫めいたこともあるので、どんどんお金を出してしまうという感じです」
(橋田さん)「“統一教会”の人は、相手の心に入り込むのが上手なんです。小川さん、そう思いませんか?」
(小川さん)「そうですね。別に宗教としてそういうのはあってもいいと思っていて、信じることって自由ですし。ただ、人の不安定な心とかを用いて、そこから献金に繋げていくという悪質さ、それがやっぱり許せない部分だなって思います」
巧妙な手口によって、教団の活動にのめり込んでいく親の姿。信者の両親をもつ小川さんや橋田さんの子どもは、どう受け止めていたのでしょうか?
(小川さん)「私の場合は、親が元から信者だったので、すごく違和感を持ちづらくて、気付いた頃にはもう精神崩壊とか、病気を負ったりという状況でした。お子さんが“普通のお母さん”を知っていて、あとから入信して“狂っていく母親”を目の前で見なきゃいけないっていう状況は、すごくつらいんじゃないかと思いました。自分自身も、実際に今子育てをしていてすごく分かるのが、子どもは親を信じるしかなくて、どれだけ親がおかしいと思っても捨てきれない部分というのは、正直あると思います」
(橋田さん)「僕がどうして9年前に家を出たかというと、妻に話が全く通じないんです。子どもは苦しかったと思うんですよね。本当は聞いてあげないといけないけど、自分自身が話を聞くだけでもおかしくなるんです。これは自分自身がダメになると思って、自分が家を出て…最後はこういう結果になりましたので、やっぱり自分が犠牲になるべきやったと、僕は思ったんです」
教団のホームページに、掲げられているのは、「愛」「幸せ」そして家族を重んじる言葉。しかし、小川さんや橋田さんが語るのは、教団が抱く理想とはほど遠い“被害の実態”です。
(小川さん)「全く愛がないなって。“愛を語っている団体”なのに。でも、なぜそれに気付けないんだろうってすごく思います」
(橋田さん)「僕は、前に妻にも『“統一教会”に入って幸せな家庭を見せてください』と言ったんですけど、誰も見せてくれないんです。結局僕は、不幸しか見ることが出来なかったんです。本当に“統一教会”に入ってみんな幸せにしているんだったら、こういうことはないと思うんですよね」 ・・・
●旧統一教会関連団体 複数副大臣が「推薦確認書」署名 11/2
山田外務副大臣 旧統一教会関連団体「推薦確認書」署名
旧統一教会の関連団体の「推薦確認書」に署名していた山田賢司外務副大臣は、国会で「大変軽率だったと深く反省している」と陳謝しました。一方で団体側から組織的な選挙支援は受けていないと説明しました。
山田外務副大臣は、去年の衆議院選挙の際に旧統一教会の関連団体の「推薦確認書」に署名していたことを書面で公表しています。
山田副大臣は、11月1日の参議院外交防衛委員会で「中身をよく読まずにサインしてしまい、大変軽率だったと深く反省している」と陳謝しました。
そして、署名した「推薦確認書」は破棄する考えを示す一方、団体側から組織的な選挙支援は受けていないと説明しました。
また、地元の兵庫県西宮市にある旧統一教会の関連施設に2回訪れたことがあると明らかにし、「旧統一教会とは別物だと考えていた」と釈明しました。
井野防衛副大臣 パーティー券や国会見学
井野俊郎防衛副大臣は「しんぶん赤旗日曜版」で、8年前に旧統一教会と関連するとみられる団体にパーティー券を買ってもらっていたと報じられたことについて「4枚購入してもらったことが確認できた。また、国政報告会や国会見学といった懇談を持ったことは事実だ」と述べました。
また、木村次郎防衛政務官は去年の衆議院選挙の際に第三者を介して旧統一教会から名簿の提供を受けていたことを明らかにしました。
大串内閣府副大臣も「推薦確認書」署名
消費者庁を担当する大串正樹内閣府副大臣は、10月26日の国会審議で、去年の衆議院選挙の際に、旧統一教会の関連団体の「推薦確認書」に署名していたことを明らかにしました。
そのうえで「内容は、憲法改正に取り組むことなど、自民党の政策に近いものだったと記憶している。選挙協力を受けたことはなく、推薦状をもらったことにとどまっている。二度とつきあいがないことを誓う」と述べました。
また、26日まで公表しなかった理由を問われたのに対し「当初からサインした記憶は非常に明確にあったが、地元にお願いして現物を探してもらっていた。きのう見つかり、きょうの答弁で話すことになった」と述べました。
木原官房副長官 旧統一教会の関連団体から推薦状
旧統一教会との関係をめぐり、木原副長官は、10月28日の衆議院内閣委員会で、「過去4回の選挙で受領したおよそ1000におよぶ推薦状のリストを確認したところ、去年の衆議院選挙の際に、教会の関連団体である『世界平和連合』から推薦状を受領していることが1件確認された」と明らかにしました。
そのうえで、推薦状は、みずから依頼して受け取る場合と、相手側から自主的に持ち込まれる場合の2つのケースがあり、今回確認された推薦状は、団体側から自主的に持ち込まれたものだと説明しました。
そして、「事務所も含め、当時の認識が不足していた。深く反省し、おわびしたい」と陳謝しました。
岸田首相「推薦確認書」 “議員が説明を”
複数の自民党議員が国政選挙の際に旧統一教会の関連団体と「推薦確認書」を取り交わしていたことなどについて、岸田総理大臣は、議員本人が説明責任を果たすべきだという考えを重ねて示しました。
旧統一教会との関係をめぐり、複数の自民党所属の国会議員が選挙の際に教会の関連団体と「推薦確認書」を取り交わしたり、推薦状を受け取ったりしていたことが明らかになっています。
これに関連して岸田総理大臣は、10月28日に行った記者会見のあと、記者団から文書で自民党として、調査を行う考えはないのか質問されたのに対し11月1日、書面で回答しました。
回答では「『推薦確認書』への署名や推薦状の受領が、選挙での支援につながっているかどうかがポイントと考える。この点については、自民党として所属国会議員による点検結果を取りまとめ、すでに公表している」としています。
そのうえで「党の点検結果との関係については、議員本人から説明すべきものと考えている」としています。
立民 旧統一教会関連団体「推薦確認書」国会議員は確認されず
立憲民主党は、国政選挙の際に旧統一教会の関連団体と「推薦確認書」を取り交わした党所属の国会議員は確認されなかったとする調査結果を発表しました。
複数の自民党議員が国政選挙の際に旧統一教会の関連団体と「推薦確認書」を取り交わしていたことが明らかになったことを受けて、立憲民主党は、去年1月以降の国政選挙について党所属の国会議員や公認予定者を対象に調査を行いました。
その結果、「推薦確認書」や同様の書面を取り交わした事例は確認されなかったと発表しました。
岡田幹事長は、11月1日の記者会見で「『推薦確認書』を交わしていれば、選挙の応援をしてもらったのだろうという推測が成り立つ。交わした人が、どれだけいて、誰だったのか、自民党も当然調査すべきだ」と述べました。
●自民党・細田博之衆議院議長 旧統一教会との「ズブズブ写真」 11/2
写真の中央に、満面の笑みで収まる自民党・細田博之衆議院議長(78)。これは、’18年3月23日、都内で開かれた旧統一教会の関連団体「世界平和女性連合」主催の会合で撮られた一枚だ。
かねてから旧統一教会との関係が取り沙汰されてきた細田議員だが、対応は9月29日と10月7日に公表した文書のみ。’18年3月の「世界平和女性連合」の会合への出席は、その文書のなかで触れてはいるものの、経緯や会合の内容については一切説明されていなかった。
だがやはり、その関係は「会合出席」だけにとどまらない深いものだった。本誌が入手した記念写真には、教団とのズブズブぶりがはっきりと示されている。
「『世界平和女性連合』は、文鮮明(ムンソンミョン)教祖とその妻の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁が創設した組織です。その会合で細田議員が写真を撮ったのは、教団のトップ層とも言える大物たち。細田議員の右に写っているのは、旧統一教会の徳野英治会長(当時)で、左が世界平和女性連合の文妍娥(ムンヨナ)・世界会長(当時)。右端は世界平和女性連合の堀守子・日本会長、左端は『国際勝共連合』『世界平和連合』の会長、『UPFジャパン』の議長を務める梶栗(かじくり)正義氏です。関係が深くなければ、このメンバーと写真を撮る機会などありえないでしょう」(旧統一教会関係者)
当該の写真は、「世界平和女性連合」の韓国版ウェブサイトに掲載されていたが、すでに削除されている。
なぜ、ここまで細田議員は旧統一教会と深い関係を築いたのか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が語る。
「清和会、ひいては安倍晋三元首相を守るために、細田議員は旧統一教会との窓口になっていたんでしょう。当選がおぼつかない若手議員たちのために、どの団体の票をどれだけ割り振るか。安倍元首相とともに、細田議員はそれを決める立場にあった。票を持っている団体の一つである旧統一教会とは関係を繋いでおく必要があったが、安倍元首相を前面に出すわけにはいかない。そこで、細田議員が頻繁に会合に出席していたということだと推察しています」
所属議員と旧統一教会との関係が次々と発覚していることが、支持率低下に繋がっているのは明らかだ。しかし岸田文雄首相(65)は、自民党として新たに所属議員を調査することには否定的で、イマイチ真剣度が伝わってこない。この姿勢の背景には、自民党の党内政局が関係しているとみられる。
「向こう3年は国政選挙がないため、支持率低下にそこまで神経を尖らせなくていいこと。旧統一教会との関係があったのは清和会議員が大半で、自身の派閥はさほど影響がないことなど、岸田首相の本気度が見えない理由はいろいろ考えられます。しかし何より大きいのは、公明党の存在でしょう。公明党に飛び火させないためにも、岸田首相は旧統一教会問題をウヤムヤに終わらせたいと考えているのかもしれません」(角谷氏)
当然、野党は追及を続ける構えだ。細田議員について、立憲民主党の西村智奈美代表代行が語る。
「旧統一教会との関係について、細田議長は十分な説明責任を果たしていません。『紙対応』ではなく、言論の府の長として、自らの言葉で話すべきです」
10月24日には、細田議員と同じく関係が次々明らかになっていた山際大志郎経済再生担当相が辞任した。はたして細田議員は、このまま逃げ切れると思っているのだろうか。 
●辛坊氏 救済の法整備先送りに 「特定の宗教の信仰に網をかけるのは無理」 11/2
キャスター辛坊治郎氏(66)が2日、ニッポン放送「辛坊治郎ズーム そこまで言うか!」(月〜木曜後3・30)に生出演し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る被害者救済の法整備ついてコメントした。
旧統一教会の被害者救済の法整備を巡り、自民、公明両党が被害者家族の損害賠償請求やマインドコントロールの扱いで課題が残るとして、今国会での成立先送りを提案した。立憲民主党や日本維新の会は反発している。
辛坊氏は「法治国家である以上、個々の事例で処罰することは可能かもしれないが、大きな意味で特定の宗教の信仰に網をかけるのは無理だと思う」と見解を示した。
辛坊氏はさらに「旧統一教会がやっていたようなことに網を被せるとなると、似たようなことをやっている他の教団も全部網を被せることになってしまう」と指摘。「解散請求は政府のパフォーマンスとしてやるかもしれないが、裁判所が法律的に判断して解散命令を出すのはハードルが高い」と私見を述べた。
●旧統一教会被害者救済 公明 石井幹事長“新法は丁寧に議論を”  11/2
旧統一教会の被害者救済を図る法整備をめぐり、公明党の石井幹事長は、いわゆるマインドコントロールによる高額献金を規制する新法については、家族が被害額を取り戻せるようにする方法などが論点だと指摘し、丁寧に議論すべきだという認識を示しました。
旧統一教会の被害者救済に向けた与野党協議では、与党側が、いわゆるマインドコントロールによる高額献金を規制する新法は、検討すべき課題が多いとして、今の国会では、消費者契約法の改正などを優先すべきとしているのに対し、野党側は新法も実現すべきだとして検討の加速を求めています。
これについて、公明党の石井幹事長は、党の中央幹事会で、霊感商法などを規制している消費者契約法などの改正は、与野党で合意できる見通しだとして、今の国会で実現したいという考えを示しました。
一方、新法については、献金を行った本人に代わって、家族が被害額を取り戻せるようにする方法などが論点だと指摘したうえで「拙速に決めるのではなく、専門家の意見も踏まえながら、あとあと問題にならないように少し時間をかけて議論していくのがよいのではないか」と述べました。
●井野防衛副大臣と旧統一教会 「安倍さんの事件が起こるまでは通常…」 11/2
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について20年以上、取材を続けているジャーナリスト・鈴木エイト氏が2日、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月〜金曜前8・00)に出演。旧統一教会との関係が指摘されている自民党の井野俊郎防衛副大臣について言及した。
井野氏は、参議院の外交防衛委員会で自らの後援会に旧統一教会の関係者がいたことを認め、解散するよう指示したことを明かし「名簿を持っておらず、信者が何人いたのか分からない」と述べたうえで、数年前から旧統一教会の関係者がいたことを認識していたことを認めた。
鈴木氏は「国会議員をはじめ、議員に対する後援会での組織支援というのは、統一教会の関連団体である世界平和連合が主にやっているんですけれども、この世界平和連合の構成員は全員、信者であって、井野副大臣の後援会のメンバーも全員、信者だと捉えていいと思う」とし、「関連団体に後援会をつくってもらっていると、こういう接点というのは今回の安倍さんの事件が起こるまでは通常モード、普通にこういう後援会をつくってもらって支援をしてもらっていたというのが通常の形だったのではないかという感じがうかがえる」と話した。
●“統一教会”めぐり…“被害者救済”新法案の協議難航 元2世信者「早くして」 11/2
世界平和統一家庭連合、いわゆる“統一教会”の信者を親に持つ小川さゆりさん(仮名)が2日、自民党の会合に出席しました。小川さんは、「子どもたちの人生に関わることなので、しっかり対応してほしい」と訴えました。
2日、自民党の会合に参加したのは、いわゆる“統一教会”からの被害を訴え続ける元2世信者の小川さゆりさん(仮名)です。小川さんは、午後3時半ごろ会場を後にし、次のように述べました。
小川さゆりさん「子どもたちの人生に関わることなので、そこをしっかりと考えてほしい、対応していただきたいと話しました」
しかし今、与野党4党による、被害者救済のための新たな法案の制定についての協議は、難航しています。
野党側は、消費者契約法など現行法を改正するだけでなく、献金を取り戻せるよう、家族らによる取消権を認めることなどを盛り込んだ新しい法律を成立させるべきだと主張していますが、自民党と公明党は、新しい法律を今の国会で成立させるのは、スケジュール的に難しいとの認識を示しているというのです。
日本維新の会 藤田幹事長「時間切れを狙ってるんじゃないかというようなね、論点まとまらずと言って先送りするということが、常とう手段なわけですよ」
立憲民主党の安住国対委員長は創価学会を支持母体とする公明党を念頭に、与党側の対応を批判しました。
立憲民主党 安住国対委員長「後ろにいる支援団体を気にするんじゃなくて、国民や被害を受けてる人たちのために、政治が前に進んだってことを示さないといけない」
一方の与党側は次のような見解を示しています。
――意見の隔たりが出ているが
公明党 北側副代表「取消権や損害賠償請求だとか認めていこうということですが、ここは要件をどうしていくかが非常に大事。そこは少し時間をかけて議論をすればいいという話」
自民党 被害救済小委員会 若宮健嗣委員長「与党側の方が新法については、もう困難だからやらないという報道がありますが、全く違いますので、ここではっきり申し上げたい」
与野党は歩み寄れるのでしょうか。
小川さゆりさん「未成年の子どもたちが、まき込まれている大きな問題なので、そういう意味でも早く対応してほしい」
また、国会でも2世信者の問題が焦点になっています。
立憲民主党 山井和則議員「小川さゆりさんという方がおられます。5年間、アルバイトで200万円ためたけど(親に)没収された。児童虐待にあたるのではないか。いかが思われますでしょうか」
野党がただしたのは、いわゆる“宗教2世”らが訴えている問題です。信仰を理由とした親による行動制限などは児童虐待にあたるとして法整備を求めているのです。
加藤厚労相「個々のもの1個1個ってことまでは難しいにしても、一定のこういったものには、こうって所をお示しできるようなものを作っていきたいと考えております」
加藤厚労相は、宗教に関わる児童相談所などへの相談や対応についての指針を、年内をメドに作成するとしています。
●旧統一教会関係者を政務官室に、井野副大臣「真摯に反省している」 11/2
井野俊郎防衛副大臣は2日の衆院法務委員会で、法務政務官だった2016年に「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)関係者を政務官室に招き入れたと指摘されていたことについて、事実関係が確認できたと明らかにした。井野氏は「本当に真摯に反省をしている」と陳謝した。
●山際氏、自民党コロナ本部長に 旧統一教会巡り事実上更迭 11/2
山際大志郎前経済再生担当相は2日までに、自民党の新型コロナウイルス等感染症対策本部長に就いた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側との接点が次々発覚し、10月24日に事実上更迭されたばかり。就任は28日付。党本部で開かれた同対策本部などの合同会議で、新型コロナと共存する「ウィズコロナ」維持に向け「まだやらなければならないことがたくさんある」と強調した。
山際氏は経済再生担当相を務めていた際、新型コロナ対策も担っていた。
山際氏は旧統一教会トップの韓鶴子総裁との対面など、外部から指摘を受けて接点を認める対応を繰り返して批判を浴び、辞任に追い込まれた。
●自民・若宮氏「報道全く違う」 旧統一教会新法の困難視に 11/2
自民党消費者問題調査会小委員会の若宮健嗣委員長は2日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題をめぐり不当な寄付への規制を柱とする新法の制定に向け、全力で取り組む姿勢を強調した。「与党側が新法は困難だからやらないという報道があったが、全く違う。12月10日の会期末まで限られた期間だが、最後まで全力を尽くそうと相当なエネルギーを投入している」と述べた。党本部で開いた同委の会合で語った。
法整備に関する自民、公明、立憲民主、日本維新の会による1日の協議で、与党側は新法の今国会での成立は難しいとの見通しを示し、野党側が反発している。
●国民 旧統一教会 新法制定や家族の賠償請求など被害者救済案  11/2
旧統一教会の被害者救済に向けて、国民民主党は、相手の不安をあおるなどして心理的に支配したうえで寄付を募ることを禁止する新たな法律を制定することや、家族も損害賠償を請求できるようにすることを盛り込んだ救済案をまとめました。
旧統一教会の被害者救済を図る与野党4党の協議では、いわゆるマインドコントロールによる高額献金の規制の在り方をめぐって、意見の隔たりが浮き彫りになっています。
こうした中、4党協議に加わっていない、国民民主党は独自の救済案をまとめ、マインドコントロールという文言を使わず、相手の不安をあおったり不安につけこんだりして心理的に支配したうえで寄付を募ることを禁止する新たな法律を制定するとしています。
また、家族に不利益を与えた場合は、家族も被害の当事者として損害賠償を請求できるようにするとしています。
国民民主党は、こうした救済案を来週、正式に決定し、政府や与党に働きかけていく方針です。
古川国会対策委員長は、記者会見で「4党による協議が停滞している状況を、わが党の考え方で打開し、この国会で何らかの救済措置をとれるような状況にもっていきたい」と述べました。
●立民・長妻氏、被害救済「やったふりは困る」 旧統一教会 11/2
立憲民主党の長妻昭政調会長は2日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を巡り、悪質な寄付要求を規制する新法の今国会提出は困難とする与党を批判した。
「(被害者救済について)やったふりでは困る。与党の調整が遅れ、どこかでブレーキがかかっているのかと疑う」と指摘。あくまで会期内の提出・成立を期すよう訴えた。
安住淳国対委員長も党会合で「大山鳴動してネズミ一匹という国会は絶対あってはならない」と強調。その上で「岸田文雄首相がどう決断するかにかかっている」と述べた。
●鈴木エイトさんが指摘〜統一教会と自民党のもたれ合いの深淵  11/2
統一教会問題を追っているジャーナリストとして、注目される鈴木エイトさんが10月24日、参院議員会館で講演した。主催は、「安倍『国葬』やめろ! 実行委員会」。鈴木さんは、統一教会による被害を政治家が拡大させたことを強調した。
鈴木さんは「警察は2009年に、統一教会の東京本部に強制捜査を行なうと直前まで言っていた」と語り、それが政治の介入で止められた経緯を解説する。
「07年から10年にかけて、全国の霊感商法が摘発を受けていた。統一教会も南東京教区事務所や、渋谷、豪徳寺の教会が強制捜査を受けていた。次は東京本部だというところで捜査が打ち切られた。(警察官僚OBで閣僚経験者の)K氏に統一教会が泣きつき、捜査を止めさせたという情報がある。東京本部の人間が刑事事件で摘発されていれば、もっと早く解散請求が行なわれたはずだ」
その後も年間数百億円というお金が日本から韓国へ流れたが、「09年以降、統一教会に対し警察の捜査は一切行なわれていない」「コンプライアンス改革を実施したとする09年以降の方が、献金額が増えている」と鈴木さんは言う。その原因として、鈴木さんは「統一教会の内部資料を見ると、第2次安倍政権の発足と統一教会との関係が、かなり影響があるのではないか」と指摘する。
安倍氏が組織票を依頼
「13年の参院選では、北村経夫さんという当時の産経新聞の政治部長だった人が参院選に比例で出馬することになった。彼は安倍元首相にとって肝いりの候補だったが、当選が危ぶまれていた。この時、全国の統一教会の事務所に送信されたファックスを入手したが、そこには『次の国会に当法人を追及する動きがあるとの情報があり、北村候補が当選するか否かは、当法人の死活問題。首相直々に北村候補を当選させてほしいとの依頼があった』と書いてあった。この首相とは安倍さんを指している。首相が組織票を統一教会に依頼したという文書だ」
第4次安倍内閣は「カルト内閣」
その後も安倍政権と統一教会の関係は深まっていったと鈴木さんは語る。
「17年の第4次安倍内閣はひどくて、全閣僚が統一教会との関係がある人、明らかに統一教会との関係で貢献した人が抜擢(ばってき)された、カルト内閣だった。その傾向が菅内閣に引き継がれて、警察組織をつかさどるトップである国家公安委員長に統一教会との関係を持つ人がずっと続いた。小此木八郎さんとか、山谷えり子さんだとか、武田良太さんだとか。最近だと、二之湯智さん。去年の9月には安倍元首相が統一教会のフロント団体であるUPFが韓国で行なった国際イベントにビデオメッセージを送った。これは衝撃的だった。それまでは、統一教会側もイベントに参加した政治家の個人名は公表してこなかった。基本的にはお互い関係性は隠していたのだけど、ついに隠そうともしなくなった。それを問題視するメディアも少なかった。大手新聞や大手テレビは一切無視した。安倍元首相は統一教会との関係が世界中に拡散されても、自分の政治生命に影響がないと踏んだのだろうし、実際そうだった。最近、信者2世に話を聞くと、山上容疑者がしたようなことが起きると、以前から危惧していたのだという。金銭被害に加え、合同結婚式で韓国に嫁がされてしまった女性たち、家庭が崩壊した人々の苦しみはなぜ続いたか。この10年間で、安倍元首相の存在はかなり大きかったのではないか」
「安倍国葬」悪用を監視
鈴木さんは「安倍元首相は国葬に値しない」と断言し、「逆に統一教会側は国葬されるような偉大な人物が自分たちを応援してきたということにも利用されてしまう可能性もある」と懸念し、「今後、国葬をどのように統一教会が利用するか監視していく必要がある。統一教会と政治家の関係はきっちり検証していくべきだ」と述べた。
集会では、鈴木さんの友人であるジャーナリストの浅野健一さんも発言。「真実を伝えるジャーナリストを応援すべきだ」と訴えた。評論家の佐高信さんも「統一教会問題の背景には、創価学会の政党である公明党が政権入りしたことが大きいのでは」と指摘。政治が私物化されるなかで、「公を取り返すことが必要だ」と述べた。主催者からは、柳田真さんが「細田衆院議長を追及しよう」と、自民党と統一教会の関係のさらなる追及を訴えた。 

 

●岸田官邸に欠ける「危機対応力」 11/3
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題などを巡り、首相官邸の危機対応力の弱さがあらわになっている。政権基盤の揺らぎは政策にも影響を及ぼしており、立て直しが急務だ。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が相次いで判明していた山際大志郎前経済財政・再生相が10月24日、事実上更迭された。曖昧な説明を繰り返した山際氏については与野党から「早く交代させるべきだ」との声が相次いでいた。
それでも岸田文雄首相の決断が遅れたのは過去に教団と接点があっても「十分に説明すれば閣僚にとどまることができる」との基準を自ら設定したことが背景にある。ほかの政権幹部などへの波及を警戒したためだが、対応が後手に回った。
岸田首相は物価高などに対応する経済対策や、教団への「質問権」行使による調査などを実行していくことで政権運営を安定させたい考えだ。
だが、経済対策取りまとめの直前に担当閣僚が辞めたことには与党内からも批判が相次ぎ、野党はほかの閣僚や党幹部への追及を強める構えだ。自民党の閣僚経験者は「追い込まれる形で更迭し、野党の攻勢に歯止めをかけられない。閣僚のクビの切り方として最悪だ」と漏らす。
教団に関する問題を巡っては、首相官邸の場当たり的な対応も目立つ。首相は当初、質問権の行使に慎重な姿勢だったが、教団問題への批判が収まらず、内閣支持率の低下も続くことから10月17日の衆院予算委員会の直前に質問権行使による調査実施を決断した。
宗教法人の解散命令を裁判所に請求する要件について同月18日の衆院予算委で「民法の不法行為は対象外だ」と答弁したが、翌19日の参院予算委では「民法の不法行為も入りうる」と述べ、1日で修正した。野党の指摘や世論の反応を踏まえて関係省庁で協議し直したと説明する。
「首相の言葉が軽すぎる」
しかし、準備不足に加え、政府見解として重みを持つ首相答弁がすぐに修正される事態に対し、自民党内にも「首相の言葉が軽すぎる」(閣僚経験者)といった不満が渦巻く。
ほかにも世論を見誤る事例が相次いでいる。典型例が10月4日に首相の政務秘書官に長男を起用した人事だ。野党や世論から「公私混同だ」などと批判を浴びた。支持率が低下する中、わざわざ批判材料を増やすことに首相自身が気づかず、官邸のスタッフも助言しなかったのは問題だ。
一連の状況から鮮明になるのが、官邸の危機対応力の弱さだ。第2次安倍晋三政権では、安倍氏自らメディア関係者も含む幅広い人脈を維持・更新し、情報収集や世論の空気を把握する努力を重ねていた。
また、当時の菅義偉官房長官や側近の首相秘書官らは閣僚の不祥事や疑惑が浮上すれば、自民党内からの批判も恐れず安倍氏に先手を打って更迭するよう進言し、炎上を防ぐことが度々あった。「官邸の守護神」とも呼ばれた菅氏はこう語っていた。
「国民からの理解が得られないと判断したら、守るべきラインを見定めて、迅速に動く。危機管理にはそうした姿勢が重要だ」
一方、今の官邸は岸田派所属で首相最側近の木原誠二官房副長官にあらゆる案件が集中する構図だ。各府省の次官経験者やエース級の官僚からなる首相秘書官の布陣は政策対応や安定感に定評はあるものの、政治的判断も必要な危機管理に力を発揮できているとは言い難い。
岸田派は自民党内の第4派閥で基盤が弱いうえ、「派閥内で首相を真剣に支えようと汗をかいてくれる頼りになる議員は少ない」(首相周辺)。後ろ盾だった安倍氏の死去で党との調整が難しくなっている影響もある。
政権基盤の弱体化は、国民負担増につながる重要政策論議の一部先送りなどの形で政策にも影響を及ぼしつつある。危機管理は政権運営の要諦だけに、立て直しが急務だ。
●自公の間に今までにない“すきま風”が 山口代表は岸田総理に「不信感」 11/3
下落が続く内閣支持率に危機感を強めた岸田文雄総理が、山際大志郎経済再生担当相を更迭した。宗教法人法で定められた質問権による世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への調査を指示した直後のことで、にわかに強硬姿勢へと転じた総理に、同じく宗教団体の創価学会を支持母体に持つ公明党は神経を尖らせている。
政治部デスクが解説する。
「山際氏の更迭については、事前に官邸から公明党サイドに連絡がありましたが、質問権の行使については何の相談も説明もなし。政府内で議論を尽くした形跡すらなく、山口那津男代表は会見で“官邸側から事前に説明がなかった”と不信感をあらわにしたほか、別の公明党幹部も“安倍晋三元総理の国葬を決めた時で懲りたはずなのに、官邸の根回しの拙さは相変わらずだ”とおかんむりです」
その後、山口代表は岸田総理に「手続きは厳格に行ってほしい」とクギを刺したという。
「総理が指導力を発揮しようと躍起なのは、野党の追及をかわすだけでなく、さらなる支持率低下に歯止めをかけたいからです」(政治部デスク)
交代が既定路線だった山口代表が続投
10月23日に毎日新聞が明らかにした世論調査では〈政府が旧統一教会への解散命令を裁判所に請求すべきか〉との問いに対し、実に82%が〈請求すべきだ〉と回答した。今や旧統一教会への解散請求を、総理が“世論の大勢”と判断してもおかしくない状況だ。が、
「7月の参院選で議席を減らした公明党は、来春の統一地方選挙での必勝を期しています。創価学会は旧統一教会の問題が“政治と宗教”の問題として自分たちに飛び火することを恐れている。自分たちにも、過去に学会員との金銭トラブルで世間を騒がせたという負い目があるからでしょう」(同)
その公明党は、今年9月に交代が既定路線だった山口代表を続投させた。
「異例の8期目入りですが、それだけ組織の守りを固める必要があるということ。危機感が募る今こそ、統一地方選でアピールできる実績作りに躍起なんです」(同)
選挙対策にはならない
一例がガス料金の負担軽減だ。岸田総理は先の所信表明演説で電力料金の値上がりに言及し、「前例のない、思い切った対策を講じます」と強調した。一方で同じく値上げされたガス料金には無関心だった。
「そのため、先ごろ山口代表は総理と2度にわたって直談判し、ガス料金の補助も総合経済対策に盛り込むことを認めさせた。ただ、電気もガスも料金体系が複雑で、与党内には“労が多い割に選挙対策にはならない”との懐疑的な声が燻っています」(自民党幹部)
もう一つは10月18日に発足した「外交安全保障に関する与党協議会」だ。国家安全保障戦略など政府の安保関連3文書の改定や防衛費の増額に向けて、自民党は国防族議員を中心とする布陣で臨む方針だった。
「ところが公明党はタカ派色を嫌がり、さらにハイレベルの協議設置を主張。結局、自民党の麻生太郎副総裁と公明党の北側一雄副代表の二人をトップに、両党の幹事長や政調会長らがメンバーとなった。実務はその下にワーキングチームを置くことで決着しました」(同)
あうんの呼吸で寄り添ってきた通算20年の自公連立に、かつてないすき間風が吹き始めている。 
●岸田派・馬場成志参院議員に統一教会系団体が後援会設立 11/3
自民党の馬場成志参院議員(57)が、統一教会系団体に後援会を設立してもらっていたことが「 週刊文春 」の取材で分かった。
馬場氏は、熊本県選出の参院2回生。岸田派に所属し、現在は自民党参院副幹事長を務めている。
今回、関係者から入手した写真は、2013年5月に撮影されたもので、あいさつに立つ馬場氏の背後に「馬場成志後援会 成和会発会式」との看板が掲げられている。
統一教会問題の取材を続けるジャーナリストの鈴木エイト氏が「成和会」という名称について解説する。
「後援会名は、議員側から1文字、統一教会側から1文字、互いに1文字ずつ出し合うのが慣習のようです。木原誠二官房副長官の『誠世会』も、誠二から『誠』、世界平和連合から『世』を出しています」
この写真は一時、SNSに投稿されていたもので、統一教会を巡る問題が大きく報じられるようになってから閲覧できなくなった。投稿者は、熊本県の統一教会系団体、一般社団法人「熊本ピュアフォーラム」の責任者の1人。同法人の事務局長は、統一教会の政治団体「国際勝共連合熊本県本部」代表でもある。
地元記者が語る。「2010年代から統一教会が重視する『家庭教育支援法』の制定を求める意見書が全国の地方議会で可決されました。中でも、熊本は全国で一番早く家庭教育支援条例が制定されました。この意見書を請願したのが熊本ピュアフォーラムでした」
自民党の「点検結果」の中に馬場氏の名前はない
写真が投稿された2013年5月といえば、参院選の投開票の2カ月前。熊本市議、県議を経て、馬場氏が国政に初挑戦して当選したのが、まさにこの年の参院選だった。
「馬場氏は父親も県議会議長を務めた政治一家。家族は妻と2男2女の子沢山です。熊本市議を2期、県議を5期経験した叩き上げで、国政進出を果たしました。初出馬の参院選で、宏池会元会長の古賀誠さんに派閥入りを誘われ、岸田氏も応援に駆けつけた。岸田氏が、菅義偉氏に敗れた2020年の総裁選前には、『岸田会長を何としても総裁に』と熊本岸田会設立に奔走していました」(同前)
馬場氏に、成和会に関する事実関係を書面で尋ねたが、締め切りまでに回答はなかった。統一協会と国会議員との関係について、今年9月に自民党が公表した「点検結果」の中に、馬場氏の名前はない。“政策協定”など自民党と統一教会系団体との親密が関係が浮かび上がる中、国会議員と統一教会系団体の選挙の結びつきがいかなるものだったのか、有権者に対して説明が求められることになりそうだ。
「週刊文春」では、他に安倍晋三元首相の側近議員だった高鳥修一衆院議員も同様の後援会を設立した事実など自民党議員と統一教会系団体の関係について、さらに詳しく報じている。
●共産 志位委員長「旧統一教会と自民の癒着 首相に反省がない」  11/3
共産党の志位委員長は党の会合でオンラインで演説し、旧統一教会と自民党との関係をめぐり「岸田総理大臣は深刻な癒着への反省がなく、責任を持って実態を調査することを拒否し続けている」と批判しました。
この中で志位委員長は「岸田政権は行き詰まりと危機があらゆる問題で噴き出している。旧統一教会と自民党との癒着の底なしの広がりや、物価高騰に対する無為無策などに対して国民の怒りと不信が広がり、内閣支持率が急落している」と述べました。
そのうえで旧統一教会と自民党との関係をめぐり「岸田総理大臣は深刻な癒着への反省がなく、責任を持って実態を調査することを拒否し続けている。無反省と隠蔽に終始する対応を許すわけにはいかない」と批判しました。
また、政府が決定した総合経済対策をめぐり「電気やガス料金の抑制など、個別的な対応では焼け石に水だ。物価高騰に対して、岸田政権は無為無策だ」と述べ、賃上げを軸とした実体経済の立て直しに本腰を入れるべきだと訴えました。
●元国有施設が旧統一教会施設に  信者が落札、教団へ転売 11/3
鹿児島県姶良市にある世界平和統一家庭連合(旧統一教会)「霧島家庭教会」の土地と建物が、旧食糧庁の国有施設だったことを巡り2日、衆院農林水産委員会で質疑があった。共産党の田村貴昭氏(比例九州)が「国有財産が結果として、統一教会の信者獲得の拠点になっているのは問題ではないか」と疑問視した。
建物は旧食糧事務所分室として使われていた2階建て。2014年に九州財務局の一般競争入札で県内の男性信者が落札、17年に教団へ転売した。
野村哲郎農相は「直接的に統一教会に所有権が移転したわけではない」と経緯を説明。平形雄策農産局長は、入札への参加を制限する対象に教団関係者は含まれていないのを踏まえ「落札者から教会への所有権移転は、財務局が示した入札条件に反するものではなかった」と見解を示した。
田村氏は「国有施設が反社会的集団に渡ったり、行政が不当な干渉を受けたりしないよう対策が必要だ」と強調した。
●公明、立憲、維新が自民を取り合う摩訶不思議な統一教会政局 11/3
統一教会の被害者救済法案をつくる自民、公明、立憲、維新の4党協議が始まった。10月25日にあった第一回の実務者協議の場で見えてきたのは「公明vs立憲・維新」という対決構図だ。
立憲と維新は、被害者の家族ら第三者が悪質な寄付を取り消せる仕組みの導入を主張したが、公明は本人の自己決定権を侵害するおそれがあるとして難色を示したという。
公明党は支持母体・創価学会の意向に逆らえない。統一教会問題が宗教法人全般に波及するのは断固阻止したいところだ。霊感商法はさておき、高額寄附をめぐる家族とのトラブルは創価学会を含む宗教法人には珍しくはない話である。宗教法人への寄付を大きく制約する法的規制は受け入れがたい。
立憲・維新はそれを見越して「悪質寄付の取り消し」を提起している。もちろん被害者救済の視点もあるのだが、自民党と連立を組む公明党を揺さぶる政局的な思惑からもこの問題には力を入れていくに違いない。
立憲の安住淳国対委員長は「公明党は、宗教団体の支援を受けている政党だから色々あるとは思うが、悪質な霊感商法、信者で大きな被害を受けている人たちの救済には不可欠な法案だ。我々としては粘って、日本維新の会と我が党が出した法案の成立に向けて合意づくりをしたい」と公言し、公明党を牽制する狙いを隠していない。
公明党も連立与党にくさびを打ち込む立憲・維新の政局的思惑を感じているからこそ、激しく反発することは間違いない。この問題は被害者救済法案をめぐる政策論議の中心的な対立テーマとなっていくだろう。
ここで注目すべきは、野党第一党の立憲・野党第二党の維新の連合チームと、連立与党の公明党の対立が深まるという政局的意味である。つまり、今後の「4党協議」では、立憲・維新と公明が自民の支持獲得をめぐってしのぎをけずる構図になっていくのだ。
自民党にすれば「棚からぼたもち」のような状況が出現したのである。統一教会問題は自民党を根底から揺るがす危機的な政治状況を作り出した。ところが、立憲・維新が歩み寄って「4党協議」の場ができたことで、立憲・維新と公明が激しく主張をぶつけあい、どちらに軍配を上げるかというイニシアチブを自民党が握るという構図になったのである。
しかも内閣支持率の続落で窮地に立った岸田文雄首相にとって「4党協議」は救いの手だ。
統一教会問題自体はライバルである最大派閥・清和会を直撃するもので、宏池会の岸田首相にとっては政敵を蹴落とす材料にもなりうる。しかも立憲・維新と政策協議の場ができたことで、国会での厳しい追及は弱まるだろうし、立憲・維新との連携をちらつかせ、ときに立憲・維新に軍配を上げて、そもそも岸田首相とはパイプの薄い公明党を牽制することもできる。
岸田首相が政権浮揚策の中心にこの「4党協議」を位置付けるのは当然の流れだ。
11月2日には、立憲民主党が次の感染症危機に備える政府提出の感染症法改正案に賛成する方針を決めたという報道が流れた。日本維新の会とともに岸田政権に求めた修正項目の一部が反映される見込みとなったためだという。「4党協議」政治は統一教会問題を超えて政策全般に広がり始めている。
立憲は「4党協議」を機に岸田政権と接近して影響力を拡大し、あわよくば公明を外して大連立につなげるーーそんな展望も見えてくる。当面は国政選挙がなく、政党支持率も伸び悩むなかで、与党との政策協議を通じて党勢回復を目指すというわけだ。その結果、岸田政権の延命に手を貸すことになるが、清和会が復権するよりはマシという判断もあろう。
問題は維新である。維新はそもそも安倍・菅政権の補完勢力だった。岸田政権誕生までは立憲よりも政権寄りで、その立場から立憲を徹底的に批判していた。ところが岸田政権誕生で、自民党との距離が開いた。むしろ立憲や連合のほうが岸田政権に近づいたのである。
このまま立憲が自民に接近すれば、維新は蚊帳の外に置かれるーーそんな危機感から、敵視してきた立憲との国会共闘に舵を切り、その枠組みのまま岸田政権との距離を縮めようという戦略なのだが、これでは立憲の後塵を拝することは避けられない。維新がこのまま「野党第二党」の座に甘んじて立憲との共闘関係を維持するのか、何かのタイミングで立憲と決裂して独自路線を進むのかは、今後のひとつの焦点であろう。
公明は党勢衰退が進み、世代交代も進まず、今週に退任を予定していた山口那津男代表が一転して続投するという状況である。落ち目のなかで自民党と連立解消するわけにもいかず、立憲に連立の座を奪われることも避けなければならず、ますます自民党への譲歩を迫られていくのではないか。
自民党は統一教会問題で大きなダメージを受け、かなり弱っている。しかし、自民党に挑む野党の立憲や維新、そして連立政権内の牽制役であるはずの公明党も、極めて脆弱な状況にあり、その結果として4党が国会で手を握り合う政局構造が生まれ、内閣支持率が続落する岸田政権が持ち堪えていくという展開が予想される。

 

●旧統一教会「『解散命令を請求すべき』が国民の8割」 11/4
この1―2週のメディアの世論調査では、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への解散命令は8割の人が「請求すべき」と答えている。国民が本当にそう考えているなら、岸田文雄首相は請求しないと許してもらえないかもしれない。
橋下徹・元大阪市長はツイッターで「世論によって法的不利益を与えることを決めるのは法治国家として絶対にやってはいけないこと」と指摘し、「岸田政権が世論を気にして動いているなら大変危険」と警告した。
確かに、岸田氏は「世論を気にして動いている」ようにも見える。
当初、解散命令の請求に慎重な姿勢を見せていたが、支持率の低下とともに国会の予算委員会が始まる前日には、請求に道を開く教団への「質問権」の行使を表明した。請求の要件を「刑法違反のみ」といったん答弁したのに、翌日には「民法の不法行為も入り得る」と法解釈を修正した。
過去に宗教法人に解散命令が出たのは、14人が死亡した地下鉄サリン事件を起こした「オウム真理教」と、詐欺罪で幹部が摘発された「明覚寺」の2件だけだ。
今回、政府は「民法も含まれる」と法解釈の変更をしたため、判例が一気に増えた。旧統一教会側に民事上責任が認められた22件のうち、20件が「使用者責任」を認めた判決だという。
筆者は橋下氏に賛成で、「岸田政権が世論を気にして動いているなら大変危険」だと思う。ただ、そういう声は今や「統一教会をつぶせ」という罵声にかき消されてしまっているようだ。
と思っていたら、10月24日の国会質疑で、岸田首相は「現在政府が把握している情報では、過去の解散事由に照らして該当するとは認められない」と答弁した。裁判で出た結果以上の新事実が「質問権の行使」で明らかになるとは考えにくい。であれば、政府は解散命令請求を「しない」と考えるのが普通だ。
では、なぜ岸田首相は「前のめり」なのか。
最新の内閣支持率は、日経新聞が1ポイント減の42%(同31日朝刊)、共同通信が2・6ポイント増の37・6%(同30日配信)だった。山際大志郎経済再生担当相の辞任と、解散請求への岸田首相の「前のめり」で、ようやく支持率が下げ止まりつつあるのかもしれない。
政治の宗教に対する過剰な関与はいけない。一方で、物価対策、円高対策、エネルギー、防衛力強化など、岸田政権がやらねばならないことは山積している。国会で旧統一教会の話ばかりされていては困る、というのが正直なところでもある。
岸田首相は解散命令の請求をすべきではないと思うし、岸田首相もそう思っているのではないか。だが、国民がそのことに気づいて支持率が再び下がって危険水域に突っ込んだら、逆ギレした岸田首相が「だったら、裁判所に判断してもらいます」と解散請求をしてしまうのではないだろうか。
●2か月前に脱会 新田氏を選挙応援した元信者が証言… 11/4
検証シリーズ旧統一教会と富山政界です。おととしの富山県知事選で、新田氏の選挙応援をさせられたと証言する元信者がいます。元信者は2か月前に教団を脱会、それまでの8年間につぼなどを繰り返し購入したといいます。
元信者の女性「天運石いうてこっち女性用です。240万円。こっちが男性用の天運石240万円…善霊堂はご先祖様たちが入るおうちなんです。安心して暮らせるように、ご先祖様のために安心して入ってもらえるように求めたらいいですよって言われて」
6年前、女性は240万円のつぼ2つを相次いで購入。4年前には「先祖の家」と呼ぶ善霊堂を80万円で購入しました。いずれも旧統一教会がコンプライアンス宣言をした2009年以降のことです。
富山県内に住む70代の女性。わずか2か月前に旧統一教会を脱会したばかりです。
元信者の女性「体には無数の悪霊がついていて、それをこのつぼに入れて天の父母様にお願いして霊を救っていただくがです」
つぼを勧めた教団の信者と、当時こんなやりとりも…。
元信者の女性「私、霊感商法みたいっていったら、あははって、ちょっと笑っておられたけどね。自分の家にもあるがで、あなたも求められたらって言われて」
女性が買った物品や献金のメモ。ネックレス28万円、先祖解怨48万円、祝福14.8万円。「全部なくなった」の記述もあります。
ことしに入ってからも献金を続け、入信してから8年間であわせて1500万円以上を使ったといいます。教団内ではお金を特殊な呼び方で呼んでいたそうです。
元信者の女性「数。数で。40数とか。100数とかやったら100万とか。いろいろ名目つけてね…そういう献金しましょうっていう感じで」
1万円を「数(すう)」と呼び100万円は100数(すう)と呼んでいたといいます。同年代の女性信者同士で献金について話をすることもあったそうです。
元信者の女性「献金、多いねという感じで。また言われたねという感じでね、はぁ…。また追加とか言われるし…」
中にはこんな人たちも。
元信者の女性「お金がなくなったから献金はできないって、そしたら生命保険とかないがけとかね。解約して献金しなさいって言われたり」「借金してでも(献金)したほうがいいとかね。息子の貯金、みんな出している人もおいでるから」
ことし1月に配られた教団の内部資料です。表紙には文鮮明夫妻が。
資料には「できるだけ自らの財産をはたいてしなければなりません」「土地を全て売って」などと書かれています。さらに「悪霊」の文字も。繰り返し恐怖を植えつけられたといいます。
元信者の女性「人間の体にはいっぱい。悪霊がいっぱいついてるがやって。無数についているから。救われるようにお祈りして…。疑いとかもったらね。地獄とかにどんと落ちるという感じで」
記者「地獄?」
これが地獄だとして映像を見せられたことも。
元信者の女性「水の中に顔だけいっぱい浮かんでいるのとかね。くさくて汚くて、なんとかって言われるし、やっぱこんなところは嫌やなという感じで、先祖の人もみんなね、そこにおるから救ってあげんなんとか言ってね。先祖解怨とかいわれるんです」
地獄にいる先祖を救うために献金を迫られたといいます。
元信者の女性「ご先祖様が喜ばれるからという感じでね。献金されたらいいよ、という感じで言われるもんで、なんか本当に上手に言われるから」
女性に対し教団が常に強調していたこと。
元信者の女性「真のお母様を、ビデオでいつもみて、これだけ頑張っておられますよという感じでね。聞かされて、みんなも一生懸命やりましょうって」
献金や物品購入のほかに女性は入信していた8年の間、選挙への支援も求められたといいます。
元信者の女性「教会長さんがみんなに言って。もちろん強制」「県知事の…」
選挙の応援にかり出されたひとつが、おととしの富山県知事選でした。
立候補表明の会見 新田八朗氏(2019年12月)「私は富山県をもっともっと良い県にできると考えています」
これは元信者の女性が、別の選挙の際に作った名簿です。新田氏の応援では25人分の名簿を提出するよう求められたといいます。
元信者の女性「新田さん応援するから協力してくださいと。知り合いの方の名前と住所も電話番号も書いてくださいって言われて。年賀状を見てね、親戚とか友人とかの名前を書いて提出しました」
次に指示されたのが、いわゆる告示後の電話作戦。集められた場所は教会だったといいます。
元信者の女性「2階に部屋あるんですけど、そこで2回ほど行きましたかね。携帯とかも借りてきてやったり、固定の電話でなかった。この携帯で電話してくださいと、50人、60人に電話をかける。2時間ほど、名簿がいっぱいあるからね」
電話口でこう名乗るよう言われたそうです。
元信者の女性「『新田八朗の選挙事務所ですけど、今度の県知事選挙には、ぜひとも新田八朗を当選させてください』と。統一教会とか、家庭連合とかは言わなくて新田八朗の選挙事務所から電話しています」
記者「言うなといわれたんですか?」
元信者の女性「そうですね。言ったらダメだって」
信者たちは3、4人が2時間交代で電話をかけ続けたといいます。
新田知事はこれまでの会見で、旧統一教会側による選挙応援を認め謝罪する一方、多くの団体や大勢のボランティアから支援を受けていて教団側の支援は「ごく一部」としています。
元信者の女性の夫も新田氏に投票していました。
元信者の夫「(妻が)献金させられ、そして選挙にも駆り出され、信者から知人とかリストを集め、それ利用してるのは議員さんじゃないですか。新田県知事の場合ですね。私の意思で投票したものではありません。教団側の指示なんですよ。票を返してくださいよ」
元信者の女性は、新田知事の一連の発言をどう感じているのでしょうか。
元信者の女性「新田さんはなんか教会にあんまり悪いこといってはらん。それこそ信者の人がみんな献金でつらい目にあっている人が多いがに全然そのことを考えてくださっていないっていうのがちょっと気になりますね。関係を切ると言ってもらいたい」
●統一教会“分派”の女性信徒を逮捕 気になる罪状は? 11/4
巷で名前を聞かぬ日はない「統一教会」だが、あろうことか分派組織の信徒に逮捕者が出たという。お縄となったのは界隈で名の知れた女ブローカーだそうだが、気になるその罪状とは。
今年8月、警視庁がとある経済事件にかかわる犯罪集団を逮捕した。未だメディアでは報じられていないが、逮捕者に「サンクチュアリ教会」の女性信徒がいたことから、当局は関心を寄せているというのだ。
そもそも「サンクチュアリ教会」は、統一教会の創始者・文鮮明の跡目争いで“マザームーン”こと韓鶴子と対立した四男と七男が2015年に設立した、アメリカに本部を置く団体である。
捜査関係者によれば、「対立関係にある統一教会本部前で過激な妨害活動を続け、警察沙汰が起きています。一連の抗争で、サンクチュアリ側に立ち活動していた一人が、実は今回、警視庁が逮捕した女性信徒だったそうです」
“警察が来た”
2010年に彼女は弟とグッドウィル・グループの企業買収・脱税事件に絡んで逮捕され、捜査の過程で当時二人が“統一教会信者”であることが発覚している。
「8月21日に姉から“警察が来た”と連絡があり、何事かと思いました」
そう話すのは、今回逮捕された女性信徒の弟だ。
「弁護士いわく、不正に会社を乗っ取り転売しようとした事件で、姉は公正証書原本不実記載に絡む四つの容疑がかけられているそうです。ひとつの容疑で20日間の勾留となり取り調べを受けているようですが、本人は、容疑を否認しています」
先代と血縁関係があるかのように装った人物を社長に据え、会社登記簿を改ざんして企業を乗っ取る犯罪に加担したという容疑。単純計算で最初の逮捕から約80日間は警察に留め置かれ、容疑が固まれば11月上旬にも起訴される見込みだ。
買収資金として億単位のカネが
自身もサンクチュアリ教会の信徒で、現在は日本で独自の支部を構える弟氏はこうも言う。
「今回の事件と教会は全く関係ありませんよ。姉がブローカーの仕事を行う中で起こったことですから」
だが、この事件には韓国人の容疑者もおり、捜査当局は教会とのつながりを慎重に調べているようだ。
先の関係者によれば、「乗っ取られそうになった会社の子会社が韓国にあり、買収資金として億単位のカネが動いていたことから、背後に何らかの組織が絡んでいる可能性があります」
事件の全容解明はこれからだが、何かとカネの匂いがするところに名前の出てくる“宗教団体”である。
●旧統一教会推薦確認書 国会議員1人“署名求められるも断る” 11/4
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の関連団体が複数の国会議員と「推薦確認書」を取り交わしていたことが明らかになるなか、NHKが長野県で立候補した現職の国会議員10人にアンケート調査を行ったところ、このうちの1人が「推薦確認書」に署名を求められたものの断ったと回答しました。
旧統一教会の関連団体、「世界平和連合」が、複数の国会議員と憲法改正のほか、家庭教育支援法や青少年健全育成基本法の制定に取り組むことなどが書かれた「推薦確認書」を取り交わしていたことが明らかになっています。
NHKは長野県で立候補した現職の国会議員10人全員に確認書についてアンケート調査を行い、すべてから回答を得たところ、「推薦確認書」を取り交わした議員はいませんでした。
その一方で、提示されたと答えたのは、衆議院長野3区選出で自民党の井出庸生・文部科学副大臣で、おととし、知人から旧統一教会の関連団体の関係者を紹介されたときに、「推薦確認書」を提示されたということです。
確認書への署名を求められた井出氏は、教会側とは距離を置くべきとの考えから断ったとしています。
また、衆議院比例北陸信越ブロックの自民党の務台俊介議員は、確認書を提示されたことがあるか調査中としています。
このほか8人の議員は、提示されたことはないとしています。
●旧統一教会問題・河合事件、晴れぬ自民広島県連 統一選は「審判」 11/4
来春の統一地方選まで半年を切る中、広島県内でも選挙に向けた準備が進んでいる。自民党県連では10月30日に3年ぶりとなる政治資金パーティーも開かれた。「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)側と党との関わりが表面化する中、広島政界では河井克行元法相夫妻による買収事件といった「政治とカネ」の問題が依然として残る。
「統一地方選に勝利したい。党でも旧統一教会の問題などお騒がせしているがしっかりと説明責任を果たしていく」
広島市中区のホテルで開かれた自民党県連の政治資金パーティーで会長の寺田稔総務相はあいさつしこう訴えた。
寺田氏をめぐっては、教団の友好団体「国際勝共連合」が2018年に開いた行事に資金管理団体から会費2万円の支出が判明。また朝日新聞が全国の国会議員と都道府県議、知事を対象に実施した教団や関連団体との関係を尋ねるアンケートでは、広島県議8人が接点があったと認めた。県連幹部は「統一選に向けた大事な時期に新たな火種が出てきた」と警戒する。
こうした中、自民党は10月、党運営の指針「ガバナンスコード」に社会的な問題が指摘される組織の活動を助長する行為は厳に控えるとの規定を盛り込んだ。
寺田氏は報道陣に統一選に向け「地方でも旧統一教会や関連団体については関係を絶つということでやっていかないと。地方議員にも(党の)方針を徹底したい」と強調した。
寺田氏には別の問題も浮上している。関係する政治団体「寺田稔竹原後援会」の19年と20年の政治資金収支報告書に会計責任者として記載され、宣誓書に押印もある男性が19年10月に死亡していたと先月の国会で明らかにした。一方、「私が代表の政治団体でなく、事務処理の詳細も承知していない」と説明。政治資金パーティー後も報道陣に「直接指導監督していない団体の問題で収支報告をチェックすべき立場になかった」などと答えた。
県連トップが国会で追及を受けるなか、地元では統一選に向けた候補者選びの動きも出始めている。
河井夫妻から現金を受け取り辞職した奥原信也元県議が10月下旬に県議会を訪問。この日は、自身の後継候補を自民議連に伝えたという。奥原氏は最高額200万円を受け取ったとされる。ある自民党県議からは「河井事件で一番カネをもらい、最たる火種をつくった」と受け入れに慎重な声も漏れる。
事件で起訴された県議や広島市議には統一選に出馬する意向を示す議員が複数いる。ある県連幹部は旧統一教会をめぐる問題より河井事件の影響を懸念。「政治とカネの審判という意味合いが強い選挙になるだろう」(戸田和敬)
●木原官房副長官、旧統一教会関連団体が関与の後援会「参加しない」 11/4
木原官房副長官は、衆議院・内閣委員会で旧統一教会の関連団体が設立に関与したと指摘されている自身の後援団体について、「今後疑念を持たれることがないよう、私自身は参加をしない」と明言しました。
ただ、野党側から「後援会の解散を求めないのか」と問われると、「私が解散しろとか、解散すると申し上げる立場にない」と述べました。 
●「高額献金」規制新法に自公“急ブレーキ”…被害者そっちのけご都合主義 11/4
被害者救済は進まないのか──。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)問題を巡り、今国会の焦点となっているのが、高額献金を規制する被害者救済新法。今月1日の第4回与野党協議会で自公両党は今国会の成立は困難として先送りを立憲民主党と維新の会に提案した。
協議会後の会見で立憲の長妻昭政調会長は「今国会は難しい、難しいという発言が異口同音とあった。(協議会の)1、2回目と比べると後退したという印象だ」と頭を抱えた。なぜ、自公両党はトーンダウンしたのか。
“ブレーキ役”となっているのが公明党だ。宗教団体への献金にメスを入れられると、支持母体である創価学会の活動に支障を来しかねない。
山口那津男代表は1日、「(一般の)宗教団体や公益性のある団体は寄付などによって運営している」として、過度な寄付規制がないよう牽制。石井啓一幹事長も2日、「拙速に決めるのではなく、後々、問題にならないようにしなければいけない」と慎重姿勢を示した。
野党は被害者より支持母体を優先する公明党を批判。安住淳国対委員長は2日、「支援団体を気にするのではなく、国民や被害を受けている人たちのために政治が前に進んだことを示さなければならない」と言い、維新の藤田文武幹事長も同日、「公明が相当、後ろ向きだと聞いている。支持母体を気にしているのではないか」と語った。
自分たちの事情を優先させて、被害者救済の視点が欠落
公明党が矢面に立っている格好だが、自民党も高額献金の規制は先送りしたいのが本音だ。
「岸田政権は年内にも質問権に基づく調査に着手し、どこかのタイミングで解散命令請求に踏み切らざるを得ないかもしれない。もし、今国会で高額献金を規制する新法まで成立させてしまったら、教団側には、自民党は何も守ってくれないと映り、これまで外に出してこなかった情報を暴露し始めるかも知れない。自民党としては今国会は消費者契約法の改正にとどめ、教団を刺激したくないのでしょう」(永田町関係者)
「関係を断つ」としながらも、自民党は教団への「配慮」は続けているようだ。新法先送りもその一環なのだろう。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「自公両党は自分たちの事情を優先させて、被害者救済の視点が完全に欠落しています。解散命令請求と並んで高額献金の規制新法は多くの国民が注目している。時間切れ、先送りでは世論が黙っていないでしょう。実効性ある規制が整備できるよう、野党は下手な妥協はせず、被害者優先の立場を最後まで貫くべきです」
元2世信者の小川さゆりさん(仮名)は2日に自民党の会合に出席し、新法の今国会成立を改めて訴えた。会期末は12月10日。時間がない。
●世耕氏が証言、旧統一教会は「自分の価値観と合致しない」名誉毀損訴訟 11/4
Twitterへの投稿内容が名誉毀損だとして、自民党の世耕弘成幹事長が青山学院大学の中野昌宏教授を相手に、投稿記事の削除や謝罪文の投稿などを求めた損害賠償訴訟の口頭弁論が11月4日、東京地裁であった。
この訴訟は2019年に提訴された。
中野氏側の答弁書や公開資料によると、中野氏は2018年2月と2019年7月、世耕氏について「原理研究会(統一教会)出身だそうですね」などと投稿した。
千葉日報に掲載された記事によると、世耕氏は、団体に「所属したことはなく、投稿内容は虚偽だ」と訴えているという。中野氏は請求棄却を求めている。
中野氏はまた、世耕氏の提訴自体が違法だとして、損害賠償を求めて反訴。「批判者を黙らせることを目的としたものであり、表現の自由に対する重大な人権侵害だ」と反訴状で訴えている。
世耕氏は反訴に対して、請求棄却を求めている。
世耕氏の尋問
11月4日、原告の世耕氏に対する尋問が開かれた。
世耕氏は法廷には現れず、オンラインで審理に参加。理由について「代理人弁護士に任せているので、裁判所と代理人が話して決めたことに従った」とだけ述べた。
世耕氏は尋問で、旧統一教会系の学生組織「原理研究会」や旧統一教会との関わりについて「学生、社会人、議員になってからも接触や会合に出たということも全くない」と否定。
訴訟を起こした理由について「大学教授という肩書きの人が、実名で、私が元原理研究会のメンバーという趣旨のツイートをした。これは信じてしまう人が多いのではないか。ニックネームなどの(匿名)ツイートとはレベルが違う」と述べた。
世耕氏が原理研究会に所属していたとする言説は、2000年代からネット上にあがっていたという。本人も以前から把握していたが、公の場で否定や反論をしてこなかったと世耕氏は尋問で認めている。
問題視した中野氏のツイートに対しても、提訴にあたって、反論や事前対応はしていなかった。
反対尋問でその点を問われると、世耕氏は次のように答えた。
「28万の(Twitter)フォロワーがいるので、反応や反論することでこのような言説を広めてしまう。炎上してしまうかもしれないというのがネット対策のセオリーだ」
被告側の尋問
同じ日、被告の中野氏側の尋問も開かれた。
中野氏はツイートの趣旨や経緯について「世耕氏の政治思想が原理研究会(旧統一教会)と類似している」「その思想が反人権的である」「その事実が知られていない」といった点を「問題視した結果だ」と主張。世耕氏が過去に原理研究会に所属していたと指摘する目的ではないと訴えた。
反対尋問で「ツイートを投稿した時点で、世耕氏が過去に原理研究会に所属していると思っていたか」と問われると、「思った上で発信していた」と述べた。
旧統一教会と自民党
世耕氏の尋問は、自民党と旧統一教会との関わりにも及んだ。
旧統一教会への見解を問われると「霊感商法など再三問題を起こした。合同結婚式など、自分の価値観と合致しない団体」と批判した。
自民党内では、故・安倍晋三前首相が2021年、関連団体とされる天宙平和連合(UPF)にビデオメッセージを送っていた。また世耕氏は2019年の参院選で、旧統一教会の「賛同会員」だった井上義行議員の応援演説に駆けつけた。
同じ安倍派に所属する自身と近い議員が、旧統一教会と関係があったことについて質問されたが、世耕氏は「知らなかった」「事件後の報道で知った」などと繰り返した。
安倍前首相銃撃事件の以前に「私の知る限り、自分が出席する会議などで、旧統一教会のことが議論されたことがなかった」と訴えた。
●協議決裂は「内閣不信任に値」 “旧統一教会”の被害者救済めぐり 11/4
立憲民主党の泉代表は、旧統一教会の被害者救済をめぐる与野党の協議が決裂した場合、「内閣不信任に値する」と述べ、与党側をけん制した。
立憲民主党・泉代表「この協議がまとまらないということであれば、これは岸田首相、そして自民党、重大な国民に対する背信行為だと。そういった意味では、内閣不信任に値するほどの事案だと認識する」
被害者救済の法整備に向けた自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党の協議は、マインドコントロールによる高額献金の規制や、家族などの取り消し権などをめぐって、与野党で意見が隔たっている。
泉代表は、会見で与党側の対応について、「先送り、骨抜きの動きが出てきた」としたうえで、協議が決裂した場合は「内閣不信任に値する」と述べた。
●法律ではなく社会が裁いてもいいのか 11/4
国会は野党ペース?
いくつかのメディアで「今国会は野党ペース」という記事を読んだ。確かに旧統一教会に関する政府与党の対応で内閣支持率が下がり、山際経済再生相は辞任、さらに政府与党は立憲や維新などが提出した「被害者救済法案」に乗る形で与野党協議を始めた。
また岸田首相は教団の解散命令の請求に道を開くと言われる「質問権」の行使を表明、請求の要件を「刑法違反のみ」といったん答弁したのに、翌日には「民法の不法行為も入り得る」と法解釈を修正した。
これらの動きを見ていると、確かに岸田政権は野党に押されているように見える。ただここに来て少し状況が変わった。まず救済法案については11/1の与野党協議の後に与党側が今国会での新法の成立を断念する可能性に触れた。
野党の出した法案で与党が受け入れられないのは「マインドコントロールによる寄付には国が是正命令を出すことができ、家族には取消権がある」という部分だ。マインドコントロールはオウム裁判でも認められなかったし、家族による取消権は財産権の侵害という指摘がある。
与党側の新法断念に対し野党側は「やる気あるのか」と怒っているが、実は野党側も最初からこの部分については「ハードルが高い」と認めていた。
国民の8割が「請求すべき」の意味
もう一つ、解散命令の請求については岸田首相が「質問権の行使」「刑事だけ→民事も」と請求のハードルを下げたので「まさか請求するのか?」と心配していたのだが、10/24の衆院予算委では「現在政府が把握している情報では過去の解散事由に照らして該当するとは認められない」と答弁した。
これまで旧統一教会側に民事上の責任が認められた22件のうち、20件が「使用者責任」を認めた判決だが、裁判で出た結果以上の新事実が「質問権」の行使で明らかになるとは考えにくい。首相の答弁を素直に解釈すれば政府は解散命令を請求しないということになる。
つまり法的には家族による取り消しも、解散命令の請求も困難だ。しかし複数の世論調査で解散命令については国民の8割が「請求すべき」と答えている。このギャップをどう考えればいいのだろうか。僕は「社会」ではなく、「法」が裁くべきだと思うのだが。
●旧統一教会の被害者救済新法の今国会での成立求め弁護士団体が声明 11/4
旧統一教会の被害救済に取り組む弁護士団体が都内で記者会見を開き、被害者を救済する新法について与野党の協議が難航していることを受け、「一刻も早く被害者救済策を示すことが強く求められている」として、今の臨時国会で法整備を行うよう求める声明を発表しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会はきょう、記者会見で「旧統一教会以外にも存在する、市民の思想・良心・信教の自由等の人権を侵害する団体による被害の防止及び救済、現在大きく問題になっている家族の被害も、新法が成立しなければ正面からの対処が困難である」とする声明を発表。
消費者契約法の改正などでは不十分だとして、今の国会で速やかに被害者を救済する新法を成立させるよう訴えました。
連絡会はこれまで、教団が、正体を隠した勧誘活動を行っているとして、この活動をやめることや文科省に対し、教団への解散命令を出すための手続きをとること、フランスなどを参考にカルト対策の法整備を進めることなどを求める声明を出しています。
●「新法の成立が不可欠」 “統一教会”被害者救済法案で弁護士連絡会が声明 11/4
全国霊感商法対策弁護士連絡会は、4日に会見を行い、いわゆる統一教会をめぐり被害者を救済するための法案について、今の国会での成立を求め、声明を発表しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会・川井弁護士「この機会を逃してしまったら、やはりこういう新しい法律の整備というのは非常に難しくなる。皆さんの関心が高まっていて、皆さんの理解が深まっている。このときにやはりこの法整備を強く進めていただきたい」
全国霊感商法対策弁護士連絡会は4日、都内で会見を行い、「今国会での被害者救済に向けた法整備を求める声明」を発表しました。
声明では「統一教会による被害の中核である信教の自由の侵害及び財産権の侵害を規制する新法の成立が不可欠」とし、「被害抑止・被害者救済という観点から、与野党一致して、今臨時国会内で速やかに被害者救済の法整備を行うべき」としています。
また、これまでの国の姿勢についても言及し、「統一教会の被害は、国が30年以上放置してきた問題であり、そもそもこれ以上時間をかけるべきではない」と指摘しています。
全国霊感商法対策弁護士連絡会はこれまでにも、文部科学大臣と法務大臣らに対し、教団について解散命令請求を行うよう申し入れ書を提出。申し入れ書では、教団が長期間にわたり、献金などで多くの人の財産権を侵害してきたなどとして、解散命令を裁判所に請求すべきだとしていました。

 

●「礼拝に行かなくなりました」 統一教会の30代女性信者が語った「分断」現場 11/5
礼拝に行かなくなった
2世信者の苦しみや高額献金、果てには政治家との癒着が問題となっている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、政府は年内に宗教法人法に基づく初の「質問権」を行使する。そのための専門家会議が10月25日から文化庁で始まった。
自民党の選挙にかなり食い込んでいた教会だが、支持率降下が著しい岸田文雄政権にとっては、世論が求める方向に舵を傾けるしかなかったわけだが、質問権が解散命令にもつながるとあって、教会周辺はかなりの動揺を見せている。
信者たちの間では、組織を運営する役員たちに不信感を持つ者もいるため、その動きを一部幹部らが監視し始めたようなのである。これは信者の脱会を食い止める動きと見ることもできるだろう。
「最近、礼拝に行かなくなったんです。仲の良い信者さんとはZOOMで集まるようになりました。ほかでも、そういう動きがいろいろあるみたいですが、そこに幹部の人が強引に入ってきたり、何を話しているのかと聞かれたりするようになっていて、今までの連合とは違ってきています」
こう話したのは10月9日を最後に礼拝に行かなくなったという30代女性だ。彼女は2世信者だが、父親はすでに他界。母親はいまも熱心な信者だという。首都圏のある支部では主に日曜日に教会で礼拝をする定期的な集まりがあったが、最近は参加者が「3割以上も減っている感じ」と女性。その代わりに増えているのがZOOMなどを使った動画での会合だという。
「ちょうどコロナの問題でZOOMでやりとりする機会もあったので、礼拝に行かなくなった代わりにZOOM会合になっている感じです。私の母はやっていませんが、私のグループは6人で集まりました。
まだ3回しかやっていませんが、最近の連合はおかしいね、とか、これからどうなるんだろうとか、信者であることで困ったこととか、雑談みたいな感じで連絡を取り合ってます。新たに参加者が増えるなら、歓迎はしようって言い合ってます」
このZOOM会合はあくまで非公式、組織的なものではないため「うちの支部で分かっているだけでも7か8ぐらいのグループがそれぞれ集まっている」。小さなグループが細かく分かれているという。
「前は礼拝で顔を合わせて、その後に気の合う仲間とファミレスに行って話したりしていました。でも、礼拝に行く人が減ったのと、連合の会見とか見ておかしいなっていう意見とか、幹部に聞かれたくないような話もあるのでZOOMがいいねってなりました」
幹部への不信感
最近、連合の田中富広会長、勅使河原秀行協会改革推進本部長が開いた記者会見は、まるで逆ギレみたいな対応がむしろ世間の批判を強めたが、一部信者たちの間でもこの会見によって組織への不信感が強まったのである。
さらに10月7日、元2世信者の女性が堂々と顔を見せて記者会見を行なったこともまた反響が大きかった。精神を病んだ経験を持つというこの女性が涙を浮かべて教会の解散を訴え、それを教会側が中止するように働きかけていたことが判明した。
また、10月16日には信者の元夫の自宅に、教会の勅使河原本部長が事前約束なしで訪れたという不気味な行動も伝えられた。やはり宗教組織というよりカルト団体のようなこうしたエピソードは、これまた教団のイメージダウンにつながった。
「別に私たちは連合から洗脳されてるとかじゃないので、会員の私たちでも異様な対応だって思いますよ」と女性。結果として、信者ではあっても教会の礼拝やイベントと距離を置く人が出てきているわけだ。
「母から聞く限り、ウチはまとまったお金を献金したことはなかったそうですが、この10年ぐらいは母と私の世帯収入から2割ぐらいを定期的に寄付してきました。ただ、安倍(晋三)さんが亡くなってからは信者間で目立った動きはしない方がいいという話があって、一度も献金はしていません。
支部にはマスコミの取材がたくさん来たり、一般の人々からの嫌がらせみたいな電話があったり、状況が変わってきて、連合を辞める人も出ています。私たちはそうした嫌がらせの被害者みたいな感じではないので、信者であることに変わりはないんですが、勅使河原さんの行動とかはおかしいと感じますし、信仰心はあっても連合はおかしいなって印象が強くなりました。なにしろ私よりずっと熱心な信者の母も礼拝に行かなくなったのですから」
「引き止め」に必死な人も
ただ、ZOOMなどで集まるオンライン会合でも、グループによっては「引き止め系」のものもあるという。
「知り合いの信者に、そっちの会合はどんな感じですか、って聞いたら、支部の幹部の奥さんが出入りしていて、世間に負けたらダメとか、抜けるのは地獄に落ちることだとか、引き止めに必死な感じだったそうです。
その奥さんは他の信者の家にまで行って、自分が参加してないグループのZOOMにも強引に顔を出して、連合を辞めたら悪魔と見なされるし、恩知らずになって一生恨まれるとか、脅しみたいなことをしゃべっていたと聞きました。正直、怖いですね、そういうのは」
つまりは信者の分断が起きているわけだ。
連合では過去、こうした分断から「分派」と呼ばれる派閥が組織から分かれたこともあり、こうした分裂危機に対しては熱心な信者がヒステリックな態度を見せる傾向があるという。
ZOOMなどで組織本体と距離を置くグループが増えるほど、当然その分裂リスクが増えるわけだが、連合はテレビ番組のコメンテーターを裁判で訴えたり反撃姿勢を緩めていない。
そこに引き止め工作みたいなことまで起こってくると、むしろ逆効果な気もするのだが、いずれにしても信者にとっては、一連の社会的な問題と直接関係がなくても、動揺する日々が続きそうだ。
●旧統一教会相談 日弁連窓口に6件 10月県内、1千万円以上献金も 11/5
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)などが関わる霊感商法についての日弁連の被害相談窓口に10月、旧統一教会の関係で岡山県内から少なくとも6件の相談が寄せられていたことが4日、分かった。1千万円以上の高額献金の相談や数百万円の水晶購入を勧められたといった内容もあった。
旧統一教会を巡っては、政府が9月5日に専用窓口を設け、10月末までに全国から3650件の相談が寄せられたが、都道府県別は集計していない。岡山県の消費生活センターでも同教会に関係した霊感商法の相談はまとめておらず、県内での相談状況はあまり分かっていなかった。
日弁連の窓口は政府と同じ9月5日に開設され、10月末までに県内から15件の相談があった。うち6件は10月1日以降に岡山弁護士会が受け、いずれも同教会に関する相談だったが、日弁連によると、県外の弁護士が担当した残り9件の具体的な内容は把握できていないという。
岡山弁護士会によると、6件の相談は、ここ数年で計数百万円を献金し返金を求めているケースのほか、「親族が10年以上前に1千万円以上の献金をした」と訴える内容があった。
他にも「『霊が取りついている』などと脅され、家に置いておく『塔』を数百万円で買わされた」「数百万円の水晶を薦められ、断ると数万円の品物を提示され、購入した」との相談もあった。
6件のうち十分聞き取りができていない1人を除き相談者は30〜80代で相談時点では信者ではなかった。岡山弁護士会消費者被害救済センター運営委員会の加藤航平委員長は「おかしいと思いながら解決を諦めている人がもっといてもおかしくない。相談はおそらく氷山の一角」と指摘し、積極的な相談を呼びかけている。
●旧統一教会脱会日記 母に変化の兆し 2世小川さゆりさんの会見に戸惑う 11/5
(60代のヨウコさんは30年以上、旧統一教会に入信しています。サークル活動程度と目をつぶってきた子どもたちは、7月の安倍元首相銃撃事件を機に、母の脱会に向けて立ち上がります)
8月末、私たちは焦っていました。
相談してから1カ月、否定してはいけないとの話を受けて、一生懸命、母ヨウコの統一教会に入ったきっかけとなった悩みを聞きました。強権的な父が怖かったこと、娘が不登校になって心配だったこと…子を育てる親となった私たちも悩みは理解できると共感しました。でもお母さんが心配だと伝えました。
「考えてみるわね」と言った翌日には、また教会に行ってしまうということが続いたのです。教会員の仲間には、子どもから説得されていると逐一報告をしていたようです。
経験者の話を聞いて目標が見えた
「全国統一協会被害者家族の会(略称:家族の会)」の相談会が開かれると聞き、わらにもすがる思いで、また家族みんなで出かけました。聞きたいことをノートにびっしりメモして行くと、会場は想像以上に多くの人たちであふれかえっていました。
2003年に発足したこの会には、脱会経験者やその家族、支援者の方たちがいらっしゃいます。この日は事件後初ということもあり、テレビカメラがずらっと並んでいて、ジャーナリストの鈴木エイトさんもいました。
圧倒されながらも、私たちの目的は明確でした。今どうするべきか、これからどうするべきか。先の見えない道のりが苦しく、経験者はどういうプロセスを踏んでいったのか、それは何カ月、何年というスパンなのかを知りたかったのです。
体験談を聞くことは重要でした。いまは気づかせる段階、考える段階なのだといいます。信仰8割で十分で、「なんか変だな」と思っているのが2割だとすれば、少しずつ4割を目指せばいいと。どうしても先を急ぎ、自分たちだけで悩んでしまう私たちに、脱会した方やそのご家族の話は、ためになりました。
テレビ報道で揺らぎ始めた信仰
9月、母と大きなけんかをしました。これまで「お母さんが心配だ」「友達もお母さんも責めてないよ」と根気よく話を聞いていましたが、「お金は神にささげたから返せない」「原理講論を学んでないから分からない」などと信者であることを辞める気配が一切ないように思えて「もう知らないよ!」と言ってしまいました。
マインドコントロールを解くのは、牧師さんとの対話で教義の矛盾をつく必要があります。まだその段階にいけず、思ったよりも簡単じゃないと分かって悔しかったんです。母は純粋で素直です。寄り添う姿勢を見せるため、妹が母と一緒に日曜礼拝に行くと言ってくれました。母もノリノリだったのですが、直前になって教会側から断られました。
「誰でも来ていいと言っていたのに、おかしくないか?」と言うと、母も戸惑っていました。このころ、母は「脱会させようと、家族が拉致監禁する」などと教育されていたようです。母が少し疑問を持つと、向こうも対処してくるという「いたちごっこ」でした。
それでも10月になると、徐々に変化が見え始めました。
テレビで統一教会の信者になった娘のことを気に病み、自殺してしまった女性の話を報じていました。また、元2世信者の小川さゆりさん(仮名)の会見も見ました。教会側から両親の署名入りで会見を止めようとしたことについて「家族を思う気持ちがあったら、こんなことしないだろう?」と言うと、母からは「もし本当だったらびっくりだね」と返ってきました。
数日後、私たちきょうだいとその配偶者や子供、伯母で家族会議を開きました。教会との連絡を断つための「Xデー」です。午後9時から夜が明けるまで話し合いました。
「お母さんにとって、家族と教会、どっちが大事なの?」
●自民 旧統一教会の被害者救済 今国会で新法成立目指し調整急ぐ  11/5
旧統一教会の被害者救済をめぐり、自民党は、今の国会で悪質な献金を防ぐための新法の成立を目指す考えで、野党側が求める、マインドコントロールによる高額献金の規制のあり方を含め、法案の内容について政府側や公明党と調整を急ぐことにしています。
旧統一教会の被害者救済に向けた与野党協議はマインドコントロールによる高額献金を規制する新法の内容をめぐって与野党の見解の隔たりが埋まっておらず、独自の法案を提出している野党側は、与党側も速やかに具体的な条文案を示すよう求めています。
こうした中、岸田総理大臣は4日、教会による被害の実態を把握するため、来週までに被害を訴える人たちと面会する方向で調整していることを明らかにしました。
自民党は、マインドコントロールによる献金の規制は定義が難しいとしながらも、悪質な献金を防ぐための新法は、今の国会での成立を目指す考えで、岸田総理大臣による面会の結果も踏まえ、具体的な規制のあり方など、法案の内容について政府側や公明党と調整を急ぐことにしています。
一方、与野党協議をめぐっては、立憲民主党の泉代表が「協議がまとまらなければ、内閣不信任に値する」と述べたことに、自民党の茂木幹事長が「極めて不誠実だ」と反論するなど、主導権争いも絡んで、駆け引きが激しくなっています。
●自民統治指針 首相は政権の足元を固め直せ  11/5
政府と自民党の連携がうまく取れず、政権運営に綻びが生じている。岸田首相は、足元を固め直す必要がある。
自民党が、党の統治指針(ガバナンスコード)を改定した。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を念頭に、社会的な問題が指摘される団体との関係を断つ方針を示した。
旧統一教会と自民党議員の接点が次々に明らかになり、首相は国会で厳しい追及を受けている。関係断絶を強調するのは、苦境を打開する狙いがあるのだろう。
党執行部は、来春の統一地方選を意識し、都道府県連にも指針を順守するよう通知した。全国に1万人以上いる地方議員に徹底できるかどうかが問われる。
地方への通知では、旧統一教会関連の会合に参加したり、組織的な選挙支援や資金援助を受けたりしないよう求めた。
だが、地方組織からは「どういう関係が問題なのか、わかりにくい」といった不満が出ている。候補者や支持者に信者かどうかを尋ねれば、信教の自由の侵害だ、といった批判を招きかねない。
教団の反社会的な活動については、政府と与野党が協力して厳しく対処すべきだが、心の問題は切り分けて考えるべきだ。
統一地方選では、自民党と、衆参の各選挙で地力をつけた日本維新の会が保守票を奪い合う展開もありうる。その動向次第では、国政に与える影響も少なくない。
国会では、政府・与党の不手際が目立っている。
序盤国会では、衆院予算委員会での質疑が、財務相の外遊で1週間遅れた。経済再生相の後任と、国会の裁判官訴追委員の人事が重複したことも、お粗末と言うほかない。政府と自民党で情報を共有できていなかったためだ。
首相が、宗教法人の解散命令を請求する要件について、一夜で答弁を変更したことも異例だった。内閣法制局や関係省庁と十分に擦り合わせていたのか。
場当たり的な対応とならないよう、首相は心がけてほしい。
近年は、迅速な政策決定が可能な官邸主導の体制が確立したとされている。だが、適切な人材配置と、党や官僚との十分な意思疎通がなければ、機能しない。
党との連絡にあたる官邸の担当者には汗をかいてもらいたい。
首相は、政策で結果を示すことが不可欠だ。物価高対策に着実に取り組むとともに、深刻な安全保障環境を踏まえ、防衛力を強化していかねばならない。 
●山際氏「きっぱり縁切った」 旧統一教会問題で支援者に初めて説明 11/5
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が相次いで判明し事実上更迭された自民党の山際大志郎前経済再生担当相(衆院神奈川18区)が5日夕、地元の川崎市内で支援者を集めて、教団との関係を巡る一連の経緯について説明した。山際氏が教団との関係について支援者に説明するのは初めて。出席者によると、山際氏は「社会にも党にも迷惑をかけた。初心に帰って一生懸命やる」と陳謝した。
出席した持田文男県議によると、会合には40人以上が出席し、2時間ほど続いた。冒頭であいさつした山際氏は教団との関係について「当時は教団の人とは分からなかったが、名簿を精査したらいた。(今は)きっぱり縁を切らせてもらった」などと説明した。
参加者からの質疑では、「応援してきたのに残念だ」や「国会での答弁がひとごとのようだ」などといった厳しい声もあった。さらに来春の統一地方選を念頭に、「説明を尽くさないと、このままでは地方選挙で自民党は苦しくなる」という意見も出た。山際氏は「支援していただいた人に説明をしていきたい」と述べ、「おわび行脚」する意向も示したという。
山際氏を巡っては、教団側との接点が外部からの指摘で次々と発覚。その度に追認を繰り返すなど後手の対応が続き、10月24日に経済再生担当相を事実上更迭された。その4日後の28日には党川崎市連の会長も辞任した。だが市連会長の辞任と同じ日、党の新型コロナウイルス感染症対策本部の本部長に就任。早い要職復帰に対しては党内からも疑問の声が上がっている。
●検討ばかりの岸田首相、最近は「検討の加速」がお気に入り… 11/5
《自民党に殺される》というハッシュタグがトレンド入りするほど、批判がやまない岸田文雄政権。消費増税の可能性や、年金支給額の引き下げ、退職金の控除減、道路利用税の新設などが取りざたされ、国民の悲鳴はピークに達している。
「10月4日に就任1年を迎えた岸田首相。2022年の前半は、今夏の参院選で勝利するため “安全運転” に徹してきた結果、なにか効果的な政策を打ち出した印象はありません。
岸田首相は多くの諸問題について『検討する』や『ていねいに説明を尽くす』と答弁してばかりで、具体的なアクションが見えず、ネット上でも《検討しかしない検討使》と揶揄されていました。
それでも支持率は高かったのですが、7月に安倍晋三元首相が銃撃されてからは厳しい批判が増え、支持率も大きく下落。旧統一教会問題をはじめ、あらゆる問題に対し明言を避けていると感じる人も多いようです」(政治記者)
もちろん、安倍氏の国葬や外国への支援など、岸田首相が決断してきたことは数多い。たとえば8月には、次世代型原発の新設について、年末までに具体的な結論を出すよう求めている。
「しかし、このときの “言い方” がSNSで話題になっているんです。岸田首相は『新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設などを、年末に具体的な結論を出せるよう、検討を加速してください』と発言しました。
11月4日になって、この発言をインフルエンサーがツイッターで《岸田総理、最終奥義「検討の加速」をついに解禁へ》として取り上げると、『検討の加速』があっという間にトレンド入りする事態になりました」
実際、SNSでは、《ずっと「検討する」と言ってるイメージだったけど、まさか「検討を加速していきたい」なんて言っていたとは……もうなんでもありすぎる》《検討を加速したところで検討に変わりはないの草》《検討は加速せんでいい。結論だけ出してくれ!》など、呆れはてたようなコメントが大量に投稿されている。
ある政治記者によると、実は、最近の岸田首相は「検討の加速」がお気に入りで、頻繁に使用しているという。具体的に見てみよう。
経済対策について/10月4日
「年末に向け、経済・社会・産業の大変革である、GX推進のためのロードマップの『検討を加速』します」(所信表明演説)※所信表明演説では「反撃能力」の所有についても「検討を加速」とした
旧統一教会への「解散命令請求」について/10月5日
「霊感商法などに関して不当な勧誘があった場合の取り消し事由の拡大、取り消し権の行使期間の延長など消費者契約に関する法令の見直しの『検討を加速』し、早急に結論を得るよう、河野太郎消費者担当相に指示した」(立憲民主党・西村智奈美氏への答弁)
敵基地攻撃能力の保有について/10月17日
「反撃能力を含め国民の命、暮らしを守るために何が必要かあらゆる選択肢を排除せず、現実的に『検討を加速』している。与党間協議の議論も踏まえ、年末までに結論を出す」(自民党・萩生田光一氏への答弁)
防衛力の強化について/10月24日
「わが国自身の抑止力や対処力を強化していくことが重要だという認識に立ち、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な『検討を加速』し、年末までに結論を出したい」(自民党・薗浦健太郎氏への答弁)
次はどんな “検討語録” が岸田首相の口から飛び出すのか――。

 

●ついに統一教会と連絡を断った母、アベルから再三の反論…脱会日記 11/6
(ある60代女性は30年以上、旧統一教会に入信しています。サークル活動程度と目をつぶってきた子どもたちは、7月の安倍元首相銃撃事件を機に、母の脱会に向けて立ち上がります。3カ月後、教会について疑問を持ち始めた母に、いよいよ究極の質問を向けました)
「家族と教会、どっちが大事なの?」
母は家族だと言ってくれました。教会といったん連絡を断って、家族だけの時間を過ごさないかとの提案に、意外とすんなり承諾してくれました。
家の電話を切り、インターホンはカメラ付きに変えました。そして母の了承を得て、携帯からアベル(いわゆる教会の上司)に「お世話になっています。ヨウコの息子です。これから家族の話し合いが始まります。心配だと思いますが、しばらくそっとしておいてください」とLINEしました。
するとアベルは時候のあいさつもまったくなく「ヨウコさんと連絡が取れないということですか? 手元に携帯がないってことですか?」と不躾に送ってきました。私が「母の承諾を得て携帯を預かっています」と返信すると、既読スルーでした。
決意した母、しかし悪夢や幻聴も…
母はアベルからの連絡を気にしていました。「あれから連絡ない?」「どうだった?」と聞いてきます。「既読スルーだった、失礼だよな」と伝えると、少し悲しそうでした。
その後は伯母とコンサートに出かけたり、カウンセラーと雑談をしたりして過ごしました。脱会した方の本や、文鮮明一族の話が書かれた本を読むと「信じられない、なんで今までこの事実が出てなかったの」といい、心を開き始めていると感じました。
このころの母は「どちらの意見もわかる」という狭間で苦しんでいるようでした。マインドコントロールされていたという自覚も出始めましたが、やはり心がついていかなくて、落ち込む日もありました。教会の人が家に押しかけてくる悪夢を見たり、スーパーへ買い物に出かけた際、「ヨウコさん!」と声をかけられた気がすると言ったりしていました。
とうとう母は脱会を決意しました。アベルに自分で直接電話をして「もう行かない」とはっきり言っていて、びっくりしました。アベルはしつこく反論していましたが、母の意思が固いとみるや、信者のグループLINEから即脱退させました。
「ばーばがこんなに早く気付いてくれるなんてびっくりしたよ!」と言った小学生の孫に対し、母はこう言ったそうです。
「子供を産んでよかった。みんな心配してくれて、本当にごめんね。もう大丈夫だからね」
いまも悩む誰かの助けに
しばらくは私たちの家に泊まったり、誰かが実家に行くなどして母を一人にさせないようにしています。母は通帳を見て「なんでこんなに献金しちゃったんだろう」と悔やんでいます。
もともと脱会が目標ではなかったものの、家族がしっかり寄り添うことの大切さを感じました。教会に戻る「揺り戻し」や精神面も心配です。今後も引き続き、家族みんなでケアしていきます。
今、この瞬間も身近な人の脱会について悩んでいる人が全国にいらっしゃると思います。私たち家族の一例が、少しでも助けになれば幸いです。
●鈴木エイト氏 統一教会と参政党の関係巡る発言を謝罪 11/6
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について20年以上、取材を続けているジャーナリスト・鈴木エイト氏が6日、TBS「サンデージャポン」(日曜前9・54)に生出演。先月30日放送の同番組での統一教会と参政党との関係についての発言を謝罪した。
番組途中、良原安美アナウンサーが「先週の放送内容について」として先月30日放送の鈴木氏の「統一教会の議員との個人的な関係なども構築していくので、関係があるかは微妙なところなんですけれども、参政党も統一教会、結構支援に入っているというケースも報告されているので、そういうところは慎重に見ていくべきだと思う」という発言について紹介した。
これに、同31日に参政党は党公式サイトに「【抗議】10月30日(日)のTBS系列「サンデージャポン」の番組内において」として抗議文を掲載。「10月30日(日)のTBS系列『サンデージャポン』の番組内において鈴木エイト氏が『参政党にも統一教会が支援に入っている』という印象を与える発言をしていましたが、事実無根であり発言の撤回と謝罪を強く求めます。すでに公式に発表している通り、参政党及びその候補者が旧統一協会と組織的に繋がり、選挙応援や金銭的支援を受けたという事実は一切ありません。にも関わらず、情報ソースも示さず『ケースの報告が入っている』という抽象的な言い回しで印象操作をすることは、不当に参政党を貶めるものです。一方的な公共の電波で事実とは異なる発言をし、参政党について中傷にあたる発言をしたことに対して、強く抗議します。来週のサンデージャポンにおいて、この発言について本人または然るべき立場の方から発言を撤回し謝罪することを求めます」としていた。
これを受け、鈴木氏は「私の発言はあくまでも教団関係者、個人の支援について述べたものであって、教団との組織的な関係を述べたものではありません。教団関係者が議員や政党を応援するってことは自由なんですけれども、その関係性が深いものになる、深い関係にならないように注意して、慎重に見ていくべきだということを伝えたつもりでした」と発言の意図を改めて説明。そのうえで「誤解を招きかねない表現でご迷惑をおかけしました」と訂正し、謝罪した。
●旧統一教会 被害者救済 悪質な献金を規制する法律について議論  11/6
旧統一教会の被害者救済に向け、悪質な献金を規制する新たな法律について、NHKの日曜討論で、自民党は、野党側と見解が異なる課題を解消する必要性を指摘したのに対し、立憲民主党は、今週中に与野党の党首会談を行って今の国会での成立を確認するよう求めました。
この中で、自民党の若宮幹事長代理は「おおむねの方向性は与野党で違うわけではなく、議論は徐々に深まっている。野党側と意見の隔たりがある部分は合意が難しいが、クリアしていかなければ、なかなか前には進めない。全党で取り組んでいくことも非常に重要なポイントで、その観点も含めて、いかに被害者を救えるか、また、今後出さないようにできるか、全力を尽くしていく」と述べました。
公明党の石井幹事長は「新法によって、悪質な寄付に対応することは明確に言っている。ただ、旧統一教会に特化した法律ではなく、寄付を受けるあらゆる団体に、関わってくる問題で、新たな義務を課し、規制をかけるものなので、有識者や関係者へのヒアリングなど、丁寧に検討する必要がある」と述べました。
これに対し、立憲民主党の岡田幹事長は「この国会で解決しないといけない。岸田総理大臣が海外出張に行く前に与野党の党首会談を開いて大枠を合意しなければ間に合わない。乗り越えられない話ではないと思うし、信教の自由に対する権力の介入は認めてはならない。時間は限られているので、本気でやるなら今週が非常に大事だ」と述べました。
日本維新の会の藤田幹事長は「今国会中に何らかの結論を出すことを目指すべきだ。消費者契約法などの微修正では悪質な献金被害の抑止をカバーしきれない。与野党の隔たりは完全な確執まではいかず、すり合わせしだいだ。政治闘争にする気はなく、与野党で協議して、被害者のために一歩前に進めたい」と述べました。
共産党の小池書記局長は「被害を根絶することが党派を超えた課題であり、この国会で解決すべきだ。オープンな国会の場で、被害者や、この問題に取り組んできた弁護士も入れて4党だけでなく全党が参加して解決策をつくり上げるべきだ」と述べました。
国民民主党の舟山両院議員総会長は「われわれも参加する場をいただきたい。寄付者のみならず、家族もいろいろ犠牲となっており、不利益を与えてはならず、当事者として家族なども入れながら、損害賠償を請求できるような規定を設けるべきだ」と述べました。
れいわ新選組の櫛渕副幹事長は「重要なのは、法律の運用を担う現場だ。人を救う立場の人に予算をさかず、不安定な状況に置いている状態の解消が被害者救済の大前提だ」と述べました。
●統一教会の関係が「自民党」だけでなく「野党」にも及んでいた 11/6
「空白の30年」
安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件からまもなく4ヵ月になる。この間、「政治と宗教」という古くて新しい難題をはらむ「統一教会(現世界平和統一家庭連合)問題」は、「国家と個人」に関わる「安倍国葬」問題と複雑に交錯しながら、韓国の宗教法人による政治介入を甘受してきた事実を私たち日本人に可視化させてきた。政治機能の不全を前に、日本社会全体が今立ちすくんでいる。
しかもメディアは、1980年代に社会問題化した統一教会の霊感商法や合同結婚式等への追及をその後放置したという「空白の30年」批判への反動からか、教会からはワンクッション置いた、政府・国会議員バッシング報道に熱心になるあまり、問題の焦点を拡散させてしまった。
ひるがえって、今回明るみに出た統一教会問題を、この「空白以前」と「空白後」の視点から整理してみると、(1)教会感染が野党にも拡大していたこと、(2)「教会改名」に不明朗な経緯があった、という2点が、問題の所在として集約される。
(1)から確認していこう。
まず、統一教会による政界汚染では、与党・自民党が、「空白」以前から再三指摘されていたように、今回公表されただけでも、衆参合わせて180人が教会から選挙支援、会合出席や寄付等を受けていた。また、野党第一党の立憲民主党をはじめとする野党勢力にも感染が可視化され、さながら日本の政界が統一教会に「ハイジャック」された様相を呈しており、事態は深刻である。
1954年、韓国の文鮮明が創立した統一教会は、1958年から日本での布教活動を始めた。折しも米ソ冷戦の本格化とこれに連動した日本の「再軍備化」を背景に、岸信介元首相ら戦前の「反共世代」を仲介にして、1968年に統一教会の政治団体「勝共連合」が設立されたのを機に、統一教会は自民党とのつながりを深めていく。
そして、日本の保守陣営が、反共イデオロギーから経済ヘゲモニーへとシフトした1980年前後からは、統一教会側も、文鮮明側近の韓国人ロビイスト・朴東宣が、安倍晋太郎元外相の「四天王」と評されていた加藤六月氏と新たに関係を築き、カネとヒトの両面で、自民党、ことに清和会への浸透を一気に深めた。
1992年に米国で脱税事件を起こし、入国を拒否されていた文鮮明の突然の「来日」に一役買った一人が、六月氏の兄・加藤武徳参院議員といわれる。なお、六月氏の女婿・加藤勝信厚労相は、清和会とは対立派閥の旧経世会に所属しているものの、教会人脈継承者のひとりでもある。
この「清和会ルート」を本流として、統一教会人脈は脈々と受け継がれ、現在に至り、それゆえ、清和会が今も政界バッシングの矢面に立たされている。
「選挙至上主義」と統一教会
もっとも、清和会を継承した安倍首相と統一教会の、それぞれの思惑が噛み合うのには、さらに時間を要したようだ。
というのも、2006年に成立した第1次安倍内閣を含む福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦の、過去6代にわたる短命政権の後、2012年に登場した第2安倍内閣までの間、2度の政権交代による「『不連続』の連続」という事態が発生した。こうしたいびつな政治構造が、政治団体とはおよそ無縁な「宗教法人」の出番を用意することになったのである。
戦後の自民党長期政権を生んだ1955年体制を崩壊させた小選挙区制度導入によって、政治イデオロギーの対立に続き、政策論争を後景に追いやり、近視眼的な「選挙至上主義」が日常化したといわれる。当選のために、自民党は連立を組む公明党の支持団体である創価学会票で下駄を履かしてもらっているのは周知の通り。
さらに、野党もまた先の総選挙で対立した「野党共闘」の内実は、最終的に候補者一本化で、共産党票か連合票か、どちらが当選の確率が高いかという「算盤勘定」に過ぎなかった。
選挙基盤が弱かった政権交代当時の民主党も、政権交代を果たしたものの、逆に政権運営安定のために、党勢拡大に奔走し、「来る者は拒まず」と統一教会の接近を容易にし、次第に取り込まれていったようである。今回、立憲民主党は岡田克也元民主党代表ら15人、国民民主党も前原誠司元民主党代表ら2人に、教会との関係が確認されたのは、こうした民主党時代の残滓ともいえるかもしれない。
また与野党を問わず、統一教会と関係があった議員には、逢沢一郎、原口一博ら保守的思考の松下政経塾出身者が目立った。さらに、もともと自民党大阪府連を出自とする日本維新の会からも14人が教会との選挙などを通しての関わりがあったことも、当然予想されるところであった。
その意味では、今回あたかも「被告」のようにテレビの前に立たされた現職の国会議員だけではなく、民主党政権誕生から党解散に至る過程に輩出された元職や、「地方自治体の首長への転身組」も含めれば、統一教会による政界汚染は別の顔を見せるかもしれない。
そしてこの「政界ドミノ」の歴史的文脈に、「新文教族」という補助線を入れるとどうなるか。自民党と民主党の政権交代による「不連続」に見えていた状況も、じつは自民党の政権奪還のなかで、統一教会問題についてはしっかりと「連続」していたことがわかるはずだ。そして、今回最大の疑念である「教会改名問題」へと転回していくことになる。 ・・・
●太田光 「すべての宗教に教義内容はある、それはそれで別問題」 11/6
「爆笑問題」の太田光(57)が6日、MCを務めるTBS「サンデージャポン」(日曜前9・54)に生出演。統一教会の教義への批判の声について私見を述べた。
太田は「これをいうと、また俺、炎上するかもしれないけど」と前置きしつつ、一部で教義の内容についての指摘があることに「宗教ってもので考えると、統一教会に限らずね。科学的な進化論とは別に教義の中身に関する話になると、それは全然別の話になる」と指摘した。
そのうえで「いわゆる、統一教会が違法だ!と責めるのであれば、教義の中身をへんとこりんじゃないかって言い出すと、すべての宗教にそういうものはある。それはそれで別問題だと思う」とした。
●文鮮明氏発言録ネット流出 天皇や首相に言及「日本向けより過激」 11/6
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)創始者、文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の発言録全615巻がインターネット上に流出していることが、日本の教団広報部への取材で判明した。文氏が韓国内で信者に向けて説教した内容が韓国語で記され、日本の天皇や首相などに具体的に言及している箇所もある。識者は「日本語の発言集より過激」と指摘している。
発言録は、韓国の教団系出版社「成和出版社(現・天苑社)」が信者向けに発行した「文鮮明先生マルスム(御言=みこと)選集」。
文氏が1956年から2009年に説教した言葉が韓国語で収録され、各巻は約300〜400ページに及ぶ。文氏が死去した12年までに615巻が発行されたが、既に絶版となっており入手は困難。日本語版はない。
毎日新聞は、全615巻と同内容とみられる文書を掲載し、全巻のPDFを公開しているウェブサイトの存在を把握。日本の教団広報部に対し、「文鮮明先生マルスム(御言)選集」と同一のものか確認を求めた。
同広報部は取材に対し「サイトに上がっている内容は成和出版社が発行した文鮮明教祖の御言選集であることは確か」とメールで認めた。ただ、このサイトは教団と関係がなく、不法転載によって著作権を侵害しているとして、韓国の教団がサイト側に対し、法にのっとった措置を促しているという。
そのうえで、この発言録の性質について「文氏が韓国で語った説教をまとめた書物で、信者の拝読用に使用される」と説明。「信者の行動指針として特別に使われることはない」とした。だが、歴代首相の氏名や日本の地名など発言は詳細で、日韓関係や天皇など敏感な話題にも具体的に触れている。
元信者で教団関連の「世界日報」記者だった金沢大の仲正昌樹教授(政治思想史)は「文氏が韓国で語っていた内容をまとめて目にしたのは初めて。日本人の信者向けの発言集に比べると過激な印象だ」と話す。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の山口広弁護士は「信者にとって、メシア(救世主)である文氏の発言は神の言葉に等しい重要な意味がある。文氏の発言に従って信者が考え、行動するのは当然だ」と指摘する。 
●旧統一教会「解散請求すべき」69% JNN世論調査 11/6
世界平和統一家庭連合=旧統一教会について、岸田総理は宗教法人法に基づき調査する考えを示していますが、「政府は旧統一教会への解散命令を裁判所に請求すべき」と考える人が69%にのぼることが最新のJNNの世論調査で分かりました。
<内訳・旧統一教会の解散命令について>
   請求すべき69%
   請求する必要はない20%
また、自民、公明、立憲、維新の4党は旧統一教会問題を受け、霊感商法などの被害者救済のための新法について協議していますが、いつまでに新法を成立させる必要があるか聞いたところ、今国会中55%、来年の通常国会以降32%、新法は必要ない7%でした。
新法をめぐっては、野党側が“悪質な寄付要求行為の規制”や“刑事罰の導入”などを主張していますが、与党側は「野党案には課題も多い」として、慎重な姿勢を見せています。
このほか、旧統一教会との関係をめぐり、山際経済再生担当大臣が辞任しましたが、教団との関係について十分に説明していない大臣や政党幹部は辞任すべきか聞いたところ、辞任すべき65%、辞任する必要はない25%でした。
●山際前経済再生相「旧統一教会と縁切った」発言を受け入れられない人続出… 11/6
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係を批判され、経済再生担当大臣を辞任した自民党の山際大志郎議員。11月5日、地元の川崎市内で支援者を集めて、教団との関係をめぐる一連の経緯について説明した。
毎日新聞の報道によると、山際氏は「社会にも党にも迷惑をかけた。初心に帰って一生懸命やる」と陳謝し、教団とは「きっぱり縁を切らせてもらった」と発言したという。
「山際氏は、旧統一教会のトップ・韓鶴子総裁と写真撮影していたことが明らかになるなど、これまで教団との接点が数多く取り沙汰されてきました。さらに問題となったのは、そうした事実が指摘されるたび、答弁で『記憶にない』『記録に残っていない』を連発した点です。説明責任を果たしたとはいえず、今回の『縁を切った』発言についても、疑問視する声が上がっています」(政治記者)
実際、ネット上でも、山際氏の訣別宣言を真に受けていない人が多い。
《縁を切ったということをどのように統一家庭連合(旧統一教会)に伝え、どのようなが回答はあったのか》《地元の支援者に統一教会との関係などを説明するなんてローカル的なことはせず、その前に国会の場で国民が納得できるように全てを素直に説明すべきであった》《旧統一教会との関係云々よりも、説明責任を果たさない無責な政治姿勢が問われていることに、本人も岸田も気が付いていない》
経済再生担当相を辞任した4日後には、党川崎市連の会長も辞任した山際氏。だが同日、党の新型コロナウイルス感染症対策本部の本部長に就任している。SNSでは要職への就任に批判が殺到しているが、これからどのように信頼を回復していくのか……。
●鑑別所のノウハウ、旧統一教会被害相談に活用…臨床心理士の職員ら支援  11/6
法務省は「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)による被害相談に対応するため、少年鑑別所のノウハウを活用する方針を固めた。臨床心理士などの資格を持つ鑑別所職員らが信者の家族らの相談に乗り、親の信仰で苦しむ「宗教2世」のサポートなどを強化したい考えだ。
霊感商法や高額献金といった旧統一教会による被害に対応するため、政府が9月に設置した合同電話相談窓口に寄せられた相談は11月1日時点で3670件に上った。相談業務は今月中に法務省が所管する日本司法支援センター(法テラス)内の専門部署に引き継がれるが、今後も様々な相談が寄せられる可能性がある。
全国52か所の鑑別所は「法務少年支援センター」の名称で、非行や犯罪を未然に防ぐため、問題行動をとる子どもだけでなく、その親や学校、職場を含む周囲から幅広く悩みやトラブルなどの相談を受け付けてきた。主に臨床心理士や公認心理師の資格を持つ職員が専門的な知見を生かして対処方法を助言している。
旧統一教会を巡っては宗教2世の問題が顕在化し、入信した家族が高額献金を続けて家庭崩壊につながったケースも確認されている。
政府の相談業務を引き継ぐ法テラスでは、弁護士や心理専門職らによる被害者支援が行われる見通しだが、法務省は悩みなどの相談を通じて蓄積した鑑別所のノウハウを活用し、子どもたちの心のケアや崩壊した家庭が抱える悩みなどへの支援を強化する必要があると判断。鑑別所が法テラスと連携し、相談の一部を引き受けることにしたという。法務少年支援センターへの相談件数は年々増えている。相談の受け付けを開始した2015年は4631件だったが、昨年は1万3613件に達した。
[ 少年鑑別所 = 主に家裁の決定を受け、事件を起こした疑いのある少年らを収容する施設。医学や心理学などの専門知識に基づく調査や診断で、非行に至った要因を分析する。結果は家裁に報告され、少年審判や少年院での指導などに活用される。 ]

 

●旧統一教会問題「質問権」行使の基準素案固まる  11/7
旧統一教会の問題をめぐって文部科学省は、宗教法人法に基づく「質問権」を行使するにあたっての基準の素案を固め、宗教法人に所属する人が法令違反を繰り返しているケースや被害が重大なケースを対象とする方向で調整に入りました。8日に開かれる専門家会議で示すことにしています。
旧統一教会をめぐる高額な献金などについて、文部科学省は「質問権」の行使による調査を行う方針で、前例がないことなどから、専門家会議を設けるなどして行使するにあたっての基準づくりを進めています。
8日、2度目の専門家会議が開かれるのを前に、文部科学省は焦点だった「著しく公共の福祉を害する」の疑いについて、具体的な基準の素案を固め、宗教法人に所属する人が法令違反を繰り返しているケースや、被害が重大なケースを対象とする方向で調整に入りました。
一方、偶発的な法令違反や、一度だけの違反は直ちに「質問権」を行使する対象にはならないとする方針です。
このほか、「質問権」の行使に当たっては客観的な根拠に基づくこととし、公的機関の判断や、公的機関に具体的な資料とともに寄せられた情報も、根拠にできるとする方針です。
文部科学省は政府内で調整をしたうえで、8日の専門家会議で宗教団体の幹部や大学教授などおよそ20人の委員から意見を聴き、その後正式に基準を決める方針です。
基準が決まったあと質問案を作成し、年内にも旧統一教会に対して「質問権」を行使することにしています。
そして解散命令に該当しうる事実関係を把握した場合には、裁判所への請求を検討する方針です。
●公明「旧統一教会と一緒くた」に危機感、寄付規制に葛藤…野党は批判 11/7
宗教界へ波及 懸念
「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)問題を巡る与野党協議で、宗教法人の創価学会を支持母体に持つ公明党が難しい立場に立たされている。高額寄付などの被害の救済・防止への意欲を強調しつつ、過度な規制が宗教界全体の活動制限につながることを懸念しているためだ。
バランス
「政府・与党で歩調を合わせ、すり合わせながら取り組んでいきたい」
公明の大口善徳政調会長代理は4日の与野党協議終了後、不当な寄付要求などを規制する新法制定への考えを問われ、そう語った。与野党協議について、公明幹部は「しっかり対応しなければ旧統一教会と一緒くたにされてしまう」として、積極的な取り組みが必要と説明する。
ただ、新法の制度設計には、党内に慎重意見も根強い。宗教団体の主な収入源の一つである適切な寄付行為にまで萎縮(いしゅく)効果が働く恐れを懸念しているためだ。山口代表は1日の記者会見で、「宗教団体の運営は寄付によって支えられている。その基盤の確保と、行き過ぎた寄付(の防止)のバランスを取ることが大事だ」と述べた。
宗教全体への世論の視線にも神経をとがらせる。10月28日に岸田首相に提出した党の被害救済・防止に関する提言では、「宗教一般に対する偏見や差別が助長されることはあってはならない」と注文。宗教法人法に基づく質問権行使についても、「基準を明確に整理した上で適正に行使すること」を求めた。
野党は批判
与野党協議での公明の姿勢は、野党からやり玉に挙げられている。4日の与野党協議後、立憲民主党の長妻政調会長は「大口氏がすごく消極的だった」、日本維新の会の音喜多政調会長も「率直に(言って)後ろ向きだ」と公明を批判した。立民幹部は、「結果的に協議で旧統一教会問題に公明が消極的な印象をあぶり出せている」と語る。
公明内では、最重視する来春の統一地方選に向けて、「このままでは厳しい戦いになる」との危機感も出ている。今後、政府・自民党と連携しながら、新法制定については丁寧に内容を詰めていく構えだ。
●旧統一教会創設の文鮮明氏 日本に精通、学生時代を東京で過ごす 11/7
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の創始者、文鮮明(ムン・ソンミョン)氏はどんな経歴の持ち主なのか。文氏の発言録からは、日本に精通していた様子がうかがえる。学生時代を東京都内で過ごした過去も影響しているとみられる。
文氏は1920年に日本統治下だった現在の北朝鮮・平安北道(ピョンアンプクド)に生まれた。
41年に来日。早稲田大付属早稲田高等工学校(東京都内、51年廃校)に入学した。
イエス・キリストの霊に啓示を受けたとして、54年に韓国で統一教会(現世界平和統一家庭連合)を創設した。日本では59年に教団を設立した。
世界を共産主義から守るとして68年に「国際勝共連合」を結成。一方で、91年に訪朝し故金日成(キム・イルソン)主席と会談するなど、北朝鮮ともパイプがあった。
2012年9月に肺炎などの合併症で死去。その後、教団は妻の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が継いだが、息子との後継争いにより分裂した。現在の日本の教団は韓氏の影響下にある。
●旧統一教会関連の相談 県内の消費生活センターにも18件 11/7
旧統一教会をめぐる高額な献金などが社会問題とされる中、香川県内の消費生活センターにも、物品の購入や寄付などに関する相談がこれまでに20件近く寄せられていることがわかりました。
中には「100万円以上を支払った」というケースもあったということです。
旧統一教会をめぐっては、高額な献金やいわゆる「霊感商法」が社会問題とされる中、全国で相談が寄せられていて、消費者庁によりますと、平成24年度からことし9月28日までに、全国のシステムに登録された旧統一協会関連の相談件数は1165件に上っています。
このうち、香川県消費生活センターと高松市消費生活センターに寄せられた旧統一教会関連の相談は、平成24年度からことし9月末までにあわせて18件だったということです。
相談内容としては、物品の購入や寄付に関する相談も含まれているということで、中には「100万円以上を支払った」とするケースもあったということです。
また、旧統一教会関連に限らず、手相を見たり、「商品を購入しなければ不幸になる」と言ったりして金銭を要求する「開運商法」に関する相談も、あわせて161件寄せられているということです。
香川県消費生活センターは「宗教に関することも含め、消費についてのお困りごとについてはできるだけ関係機関につなげて、適切に対応できるようにするので、ひとりで悩まずに相談してほしい」としています。
●旧統一教会の友好団体、自民議員の後援会を各地に 11/7
自民党の国会議員のため、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の友好団体のメンバーらが議員ごとに「後援会」をつくり、選挙で支援するなどしていた。複数の自民党議員や事務所が取材に認めた。友好団体幹部は「全国に少なくとも数十の後援会が存在する」と証言するが、自民党の調査では教団側からの組織的な選挙支援を受けたと答えたのは2議員にとどまっている。
西日本の自民党参院議員の地元には4年ほど前、教団の友好団体「世界平和連合」に含まれる1文字と、自身の名前の1文字を合わせた名称の後援会が設立された。この議員によると、支援者から「人を集めるので国政報告会をして欲しい」と言われ、訪ねると平和連合の会員ら20〜30人が集まっていた。国政報告をすると「巨人の星」の替え歌で激励してもらうといった会合がこれまでに3回開かれたという。
ただ、議員は後援会の存在は認めつつも、取材に「後援会というほど何かをやってもらったことはない」と話した。
自民の中堅衆院議員にも、平和連合メンバーらによる後援会がある。規模は30人程度。事務所関係者は「実質的な選挙の実動部隊だった。後援会という組織があることで動いてもらいやすかった」と組織的な選挙支援があったことを認める。さらに別の自民党衆院議員の事務所関係者は「2014年の衆院選前に平和連合の男性が地元に後援会を立ち上げた」と明かす。教団側との関係は、後に知ったという。男性は後援会名を付けたSNSアカウントで議員の活動の紹介もしているという。
教団側の政治活動に詳しい平和連合幹部は取材に、こうした自民党国会議員のための後援会は「全国に少なくとも数十はある」と話す。
●旧統一教会問題を与野党協議することの愚策 11/7
自民党与党は、立憲民主党の申し入れに対して、正面から突っぱねればいいのだ。
実際、立憲民主党が提案しようとしている旧統一教会の被害者救済法案に関しては、憲法上も民法上も宗教法人法上も無理があるだろう。与党案が示す通り、消費者契約法の更なる改正は、旧統一教会問題のみならず半ば無法地帯と化している18成人年齢を利用した詐欺犯罪の抑制のためにも必要だと考える。
ただ、宗教法人法の改正を含む法人に対しての個人献金を焦点にした、法改正は非常にハードルが高い。
この点にメスを入れることは、そもそも憲法違反となるだろう。
これらの点から見ても、立憲民主党は相変わらず、4%の支持層のための愚策を繰り返している。
本当に旧統一教会問題を取り上げるなら、創価学会と公明党の関係性にもメスを入れなければならず、それは献金問題や強引な勧誘手法ではなく、政教分離問題としてだ。そもそも、創価学会に限らず急速に信者数を伸ばしてきた新宗教全体に言えることは、自分達が正しいと信じる教えを政治の世界に盛り込もうと言うものだ。
確かに、宗教である以上、世のため人のためにその信仰は如何にあるべきか?を問うのが本来の姿であるに関わらず、創価学会や幸福の科学のように、正面から政治の世界に教祖や団体代表の教えを盛り込もうとする団体が多い。
彼らの言い分の大半は、民主的国家形成において不必要であり、国家の有り様に特定の考え方を持った団体がその行く末を左右するようなことがあってはならない。それは民主主義の根幹を揺るがす事態だ。創価学会も幸福の科学も、他の宗教団体も、帰するところは自分達の教えの国教化に他ならない。
これら宗教団体は、莫大な資金力を獲得すればするほど、自分達の学校を作りたがる。つまり宗教のエリートの育成だ。そうやって原理主義化させることで、民衆を動かす力を得て、終局的には国教化そうとする。彼らの目標は他ならないキリスト教だ。
そして、それはやはり健全な国家運営のあり方とは言えないだろう。
日本の天皇家の祭祀のあり方も特定の宗教に根ざしているではないか?と言うが、そもそも天皇家の歴史は2500年もの長きにわたり、しかも古い神道形式に則った祭祀に、政治、教育、日常生活までもその形式を押し付けたり、あるいはその教えを教理としてエリートを育成したり民衆を洗脳する意図は無い。あくまで、古式に則った祭式を執り行っているに過ぎない。
では、国家が天皇家の行事の折に行われる祭祀、祭式を国民に強制しているだろうか?答えはNOだ。
つまり野党の主張は、これら日本における宗教のあり方についての認識が弱いのではないか?と思えてならない。
今回、宗教法人法の改正も視野に入れた宗教団体信者の高額献金に関する新法など、個人の思想信条の自由を侵害する法律であり、断じて容認してはならない。
立憲民主党をはじめ各野党は、憲法改正して緊急事態条項を盛り込むことは、自民党一強支配の構図が国民を自民党の思惑通りの日本に扇動するかのような物言いをするが、むしろ、立憲民主党の言う高額献金に対する新法を制定することの方が、はるかに国民の内心に踏み込んでいることになる。
これは大いなる矛盾だ。
なんでも反対の野党とその支持者は、自分達の矛盾に気づいていない。
その最たるものがあいちトリエンナーレの『表現の不自由展』だろう。国内の在日外国人や他国の日本批判を繰り返す国向けのポピュリズムに彩られたこの美術展は、国内に大きな論争を生んだが、そもそも、反日であることに拘泥した活動家の行う美術展でさえ、平穏無事ではないが行われた。愛知県知事を筆頭に愛知県もそれを容認するどころか、むしろ結構なものとして鑑賞を推奨したほどだ。
その根本は、「表現の自由」という憲法の根幹、個人の思想信条の自由を最大限に尊重したものであり、実は「表現の不自由」さを題材にすることで、憲法に定められた個人の人権に対するアイロニーになっている。つまり、『表現の不自由展』を企画、開催した連中はその意図が既に憲法の精神に根ざしていて、自分達の大嫌いな日本国でしかこれらの展示が認められないと言う矛盾を自己表現している。
『表現の不自由展』に関わった連中は、残念だが、こんな簡単な理屈を理解してないように思う。
同じことを、今回の立憲民主党が言う高額献金に関しての新法について与野党協議が決裂したら、内閣の不信任案を出すという言い分に感じるのだ。立憲民主党の泉代表が言うように、個人の高額献金を規制するような新法は、それ自体が個人の内心に踏み込むことになり、立派な憲法違反だ。では泉代表は改憲論者だと言うことになる。
つまり立憲民主党が政権をとると、国民の内心を国家が規制する社会を作ろうとしていることになる。これは立派な憲法違反であり、共産主義的思考でしかない。
これは非常に危険な思考なのだ。
彼らは自分達をリベラル政党だと主張しているが、言ってることは真逆で、統制された社会の実現を目指している。それのどこに民主主義が存在していると言えるのだろう?
私は、たとえ内閣不信任案提出を振りかざされても、断じて、個人の人権を否定する立憲民主党とそれに与する野党の主張に乗るべきではないと考える。
●河野太郎大臣 統一教会問題の対応に言及「ここから先関係を絶つが大事」 11/7
自民党の河野太郎デジタル・消費者担当相(59)が7日、日本テレビ「スッキリ」(月〜金曜前8・00)に生出演。政府・自民党の旧統一教会問題への対応にコメントした。
旧統一教会の問題への対応について聞かれた河野大臣は「消費者庁として、消費者契約法の中で霊感商法と位置づけられています。そこが十分でない部分はあるので、そこは今回の臨時国会に法案提出ができるように準備を進めていますので、そう遠くないうちに国会に消費者庁の法案を出させていただこうと思っています」と説明。「消費者庁は粛々とやっていく」とした。
これまでの政府・自民党の旧統一教会問題への対応についても言及。「私が高校、大学にいた時には統一教会ってものに対する感覚があったので、統一教会にはあまり関わらないって私はしていましたけど、だんだん薄くなって、与党、野党にも一部いろいろと関係を持って、選挙の応援をしてもらったりということで、関係ができてきたんだと思う。ここでちゃんと線を引いて。ここからは付き合いは絶つっていうのは大事だと思う」と見解を示す。さらに「政府の対応が遅かったと思うか?」との質問には「線を引くなら、きちっと線と引いて、ここから先、関係を断ちます!って申し上げて、それを徹底しているところをお見せするのが大事だと思う」と話した。
●このまま財務省の言いなりで終わるのか?岸田首相、最後の手は「埋蔵金」 11/7
旧統一教会の野党法案は評価できるが…
10月3日に臨時国会が召集されて1ヵ月が経った。既に69日間の会期の半分近くが過ぎたことになる。
この国会は旧統一教会への対策法案が一つの山場だ。政府・与党は、消費者契約法改正を打ち出し、野党の立民・維新からは救済法案が出されている。
不安を煽って高額な壺などを買わせる霊感商法の契約を取り消せる現行の消費者契約法について、政府・与党の改正法ではその要件緩和が柱となっている。
一方、立民・維新の救済法案は、寄付金の上限だけでなく被害者の家族による返金要求や罰則の導入などが盛り込まれている。
元役人の感覚から言えば、野党案はなかなか野心的なもので、興味深い。被害者の家族による返金要求では、家庭裁判所が認定すれば返金が可能になるなど、行政だけでコトを進めないのもいい。
野党案はやや乱暴なところもあるが、国会で修正すればいいものとなる可能性もある。ただし、与党の公明党は大変だろう。なにしろバックにいる創価学会への飛び火の可能性もあるからだ。その意味で与党が今ひとつ乗り気でないので、成立の可能性は少ないだろう。
次は物価対策の補正予算だ。一般会計では29兆円程度の規模であるが、その財源は、23兆円程度の国債発行によることになった。
岸田政権はこれまでも経済対策を打ってきたが、本コラムに書いたように補助金系ばかりで、その執行は必ずしもうまくいっていない。正確な数字は決算まで分からないが、筆者の直感などでは20兆円程度の使い残しがあるように見える。
「埋蔵金」と「消費増税」
今回、一般会計で29兆円の補正予算となり、その財源は23兆円程度が国債発行になると報道されている。この補正はこれまでの未消化分でかなりの程度予算を組めると思っていたら、さすがに未消化を前面に打ち出すのは不味いので、国債発行で対応するようだ。
ということは、未消化分はまた「埋蔵金」になる可能性があるということだ。
このように埋蔵金は、その時々の財政運営や経済環境によって変わりうる。財務省によるフローの一般会計における各種の会計操作は、結局特別会計のストックによって調整せざるを得ない。この点が筆者が特別会計の「埋蔵金」に着目する所以だ。
本コラムで指摘した外為特会(外国為替資金特別会計)の埋蔵金の存在については、相当な反響があった。11月1日のテレビ朝日「ワイドスクランブル」に出演してくれと言う依頼があり、VTR取材があった。そのためか、与野党の議員からも様々な連絡があった。彼らには、国会で議論してほしいと答えている。
いわゆる「霞が関埋蔵金」について、民主党は政策の財源として掲げていたが、政権交代後は十分に出すことができなかった。
筆者は、埋蔵金について「民主党政権関係者は埋蔵金が出せず、あると騙されたという人もいるが、民主党はZによる事業仕分けやZによる消費税増税したくらいだからZの言いなりだっただけ。ちなみにオレは事業仕分けに参加せず消費税増税反対だったけど」とツイートした。ここでのZとは財務省の意味だ。
すると意外なことに、立憲民主党の原口一博氏が「確かに、反省している。あるはずの埋蔵金を出せずに、見当違いのところを掘り続けたからだ。後の方は、Zの言いなりの政治家が自爆装置のスイッチを押した。」と返した。
やはりだ。それにしても、民主党内で消費増税で内部分裂していたのは知っていたが、原口氏の言うとおりの「自爆」で、民主党は政権を失った。筆者は「今国会での論議を期待しています」と返事した。
安倍元首相に失礼だと思わないのか
埋蔵金というのは、筆者は特別会計における資産負債差額で、使っても特別会計運営に支障の出ないものとしている。筆者が小泉政権時代に着目したのは、財政融資資金特別会計、外国為替資金特別会計などだった。もちろんすべての特別会計をみていたので、少額なものを含めれば他にもたくさんあった。
民主党政権時代にも埋蔵金はなかったわけではない。国債整理基金特別会計にも10兆円程度弱あったので、当時の野党議員が質問したが民主党政権はやらなかったので、第二次安倍政権になったとき、最初の景気対策で使った。安倍・菅政権の時には、労働保険特別会計にもメスを入れて、景気対策に活用した。
それにしても、財務省の補正予算のやり方は酷い。標準的な手法なら、使い残しを集めてきて、できるだけ国債発行を抑えるのだが、そうなっていない。
そのことは、政府税調の消費税増税論議が報道されていたから、筆者にとっては想定内だった。政府税調では「未来永劫10%では日本の財政もたない」などの声が委員から出たと報じられている。国債発行は増税への地ならしなのだ。
何しろ故安倍元総理は、民主政権の負の遺産である二度の消費増税をやらざるを得なかった。不本意ながらそれを果たした後、「後10年は増税不要」と言ったわけだ。故人に失礼なことを言ってるのが分からないのが、「ザイム真理教」こと財務省だ。
岸田首相は1年前の自民党総裁選において、安倍首相と同じフレーズを使っていた。それなのに、財務省から増税主張が出てくるというのは、財務省はもはや岸田政権を見限っているのでは、と邪推してしまうほどだ。
財務省の言いなりのままでは、岸田首相の支持率も低下し、そのうちポイ捨てされてしまうだろう。ここは、外為特会などの埋蔵金50兆円を活用し、新規国債発行なしで補正予算を組み、来年度予算の防衛費なども賄う必要がある。 
●統一教会を解散にまで追い込めるのか? 「質問権」 11/7
11月7日、旧統一教会に行使する質問権の運用基準案を固めた文部科学省。その解散を求める声も数多く上がっている旧統一協会ですが、質問権はどこまで教団の真実に迫ることが可能なのでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター』ではジャーナリストの伊東森さんが、質問権とはいかなるものなのかを解説。さらに指摘される課題や限界についても紹介しています。
旧統一教会へ初の「質問権」行使か? 質問権とは? 一方、教団側、自民議員と「政策協定」を締結
旧統一教会などの問題が尾を引き、内閣支持率の下落が止まらないなか、岸田首相は、「前例のない対応」を決めた。宗教法人法に基づく「質問権」を初めて行使し、教団を調査する方針。「解散命令」につながる可能性もあり、教団をめぐる問題では、大きな転換点を迎える。
そもそも政府は当初、「信教の自由」との兼ね合いもあり、解散命令については消極的だった。9月に国会内で開かれた野党の会合では、文化庁は、「旧統一教会の役職員が刑罰を受けた事案を承知しておらず、『解散命令』の請求の要件を満たしていないと考えている」とする。しかし、10月に入り、教団と山際経済再生担当大臣との関係が判明したあたりから変化が。10月6日の代表質問で岸田首相の答弁に変化が。
「『解散命令』の請求は『信教の自由』を保障する観点から『慎重』に判断する必要があると考えているが、宗教団体に法令から逸脱する行為があれば『厳正に対処』する必要がある」と、「慎重に」とは言いつつも、しかし「厳正に対処する」という微妙な変化がみられた。
質問権とは
質問権は宗教法人法により、規定。1990年代のオウム真理教が絡んだ一連の事件を受け、1996年に法制化。しかし、実際に行使された例はない。
宗教法人に法令違反など疑われる場合、運営実態などの報告をもとめたり、質問できる。
宗教法人 質問に応じない・虚偽の報告→代表の役員 10万円以下の過料
宗教法人法では、宗教法人に法令違反などが疑われる場合、文部科学省などが運営実態などについて報告を求めたり、質問したりすることができる。
その後の手続きで、裁判所の決定次第では、宗教法人の「解散命令」につながる可能性も。
質問権における手続きでは、「信教の自由」を妨ないための一定のルールが。政府が質問権を行使する場合、有識者などの審議会の意見を聞かないとならない。
質問の結果、法令違反などを確認し、「著しく公共の福祉を害する」などと判断された場合、裁判所に解散命令を請求することができ、裁判所は実際に命令を出すか判断する。
つまり、政府は“一気に”解散命令を裁判所に請求するのではなく、「信教の自由」との関係を踏まえ、手続きに時間はかかっても調査を行い、具体的な事実関係を把握したうえで、請求を検討する方針だ。
「質問権」をめぐる課題
質問権の行使にあたり、政府は基本的な考えや基準が必要だとし、25日、初めての専門家会議を開いた。
一方、旧統一教会の勅使河原秀行教会改革推進本部長は20日、会見で、「仮に質問が、実際に私どものところに来た時には誠実に対応します。質問権の行使にかかわらず、すでに宣言している、“教会改革”を進めることを粛々と続けて参りたい」と話す。
一方、宗教法人法に詳しい近畿大学の田近肇教授は、NHKの取材に対し、「質問権」の行使については、原則として法人の管理や資金に関することが対象になるとし、「あまり踏み込みすぎると、憲法で保障される『信教の自由』との関係で問題が生じるおそれがある。
違法な活動が問題になった際に宗教上の問題にまで踏み込んで質問することができるのか、あるいは、どういう形であれば質問できるのか、考え方を整理しておく必要がある」とした。
ただ、質問権は警察の捜査のような強い権限はなく、教団の帳簿などを強制的に提出させることもできない。田近教授は、「組織的、あるいは継続的に悪質な行為をしていることを証明するのは、決して簡単なことではない」とする。
教団側、自民議員と「政策協定」 教団関係者「ここ最近のこと」
一方、教団の友好団体である「世界平和連合」と「平和大使協議会」が、今年に夏の参院選や昨年の衆院選の際、自民党の国会議員数十人に対し、憲法改正や家庭教育支援法の制定などに賛同するよう明記した「推薦確認書」を提示し、署名を求めていたことが、朝日新聞の取材で明らかに。
教団の関係者は、「選挙で推薦確認書への署名を求め始めたのはここ数年のこと」とする。
選挙を実際に支援しても主張が取り入れられないのは問題との声が教団内で強まったからであるという。また昨年夏の菅政権下でも、新型コロナ対応をめぐり、逆風にさらされ、「衆院選は厳しい戦いになると考えていた。教団側に頼らざるを得ない状況だった」とある国会議員の秘書は話した。
政策協定とは、選挙の際に政党や候補者と業界団体や労働組合などが結ぶ。候補者は支援を受ける代わりに選挙当選後、団体などが掲げる政策に取り組む。
自民党は、衆院選や参院選における政策集に家庭教育支援法や青少年健全育成基本法の制定を盛り込んでおり、推薦確認書の内容も一致する。あるいは、憲法改正や安全保障の点についても重なる部分は多い。
●旧統一教会の創始者、1989年に政界工作を信者に説く 「国会内に教会」 11/7
世界平和統一家庭連合(=旧統一教会)の創始者・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が1989年に、日本の政界工作をめぐり自民党の当時の安倍派を中心に関係を強化するよう信者に説いていたことが明らかになった。
文鮮明氏が韓国で信者を前に説教した発言の記録によりと、文氏は1989年に「国会議員との関係強化です。そうして国会内に教会をつくるんです」と発言した。さらに、「二番目は秘書です。国会議員の秘書を輩出するんです。三つ目は国会内に組織体制を形成することです。それで、自民党の安倍派などを中心にして、数を徐々に増やしていかなければなりません。わかりましたか」と語った。
現在、日本の政界と教団の関係が相次いで明らかになっているが、当時のこの発言がどう影響していたのかわかっていない。また、文氏は「日本の中央の国会議員だけでなく、地方もそうです。地方にも、みなさんがいますよね」と、地方政界への働きかけにも言及した。
文氏は2007年の説教では「私は岸総理大臣の時から関与を始めました」と振り返っている。
●旧統一教会 救済法に “与野党党首会談 不要”公明 山口代表  11/7
旧統一教会の被害者救済を図る新たな法律をめぐり、立憲民主党が求めている与野党の党首会談について、公明党の山口代表は、実務者による協議が続いているとして、現時点では必要ないという認識を示しました。
旧統一教会の被害者救済に向け、悪質な献金を規制する新たな法律について、立憲民主党の岡田幹事長は6日、今の国会で成立させるには、今週中に与野党の党首間で大枠で合意しないと間に合わないとして、党首会談の開催を求めました。
これについて公明党の山口代表は、記者団に対し「与野党4党の実務者による協議で真摯(しんし)な議論が続いており、合意できたところから法案を順次出すという姿勢は確立されている。あえて党首会談をやらなければならないという状況ではない」と指摘し、現時点では必要ないという認識を示しました。
また、新たな法律について「原則として、憲法の人権に関わる立法は、法案作成の慎重さと精緻さの観点から、政府が責任を持って提出する方向で検討することが望ましい。与野党協議のやり取りを生かしながら、政府と与党で野党案とは違った形で法案が作れればいい」と述べました。
共産党の小池書記局長は、記者会見で「被害者の救済は待ったなしで、今の国会で必ずまとめ上げるべきだ。オープンな国会の場で、全党が参加し、各党の法案や考え方を示して議論することが必要で、党首会談を全党が参加する形でやることも一つの方法だ。後ろ向きの対応は許されない」と述べました。

 

●旧統一教会元幹部、内情を激白 「韓国本部にこそ調査のメスを入れるべき」 11/8
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題が急展開を見せている。岸田文雄首相が「質問権」の行使を決め、教団への解散命令請求の是非も議論されている。追い詰められた教団は、今後どこへ向かうのか。元幹部に話を聞いた。
10月20日に教団が開いた記者会見では、異様な展開に報道陣がザワつく一幕があった。勅使河原秀行・教会改革推進本部長が宗教2世に寄り添うとして、教区長の3分の1を2世信者にすると表明。会見場に黒いスーツ姿の2世信者17人が居並んだのだ。旧統一教会で20年近く本部職員を務め、2017年に教団を離れた櫻井正上(まさうえ)元家庭教育局副局長(48)は、この会見についてこう語る。
「報道を見ながら、心痛く思いました。教区長となった彼らは皆、私の知る後輩たち。教団のあり方、特に献金の集金方法と使われ方については課題を感じていた面々だと思います。本人たちにとっては出世でも栄転でもなく、悲壮な思いで立っていたに違いありません。彼らにも生活があり、家族がいる。前面に押し立てて、メディアの目にさらすようなことはしてほしくなかった」
会見の意図については、このように読み解く。
「純粋に受け取れば、組織改革への意気込みを示したものとも思えますが、一方で、教団を批判する2世たちに対し、教団側の2世を立てて対抗するメディア対策の構図ともとれました。組織防衛よりも前に、まず教団によって被害を受けた方々や、悩みを抱える2世たちに対する配慮を心掛けていただきたかった」
櫻井氏自身も、教団草創期からの中心メンバーだった両親のもとに生まれた2世信者。現在も信仰は捨てていないが、教団の運営方針に疑問の声を上げたことがきっかけで、17年に教団を離れた。信者に過度な献金を強いる教団のあり方にも、批判的な考えを持っている。
「私が小学生時代に体験した初期の教団は、愛国や世界平和などの夢やビジョンに共感した熱い人たちの集まりで、現在のような献金圧迫はありませんでした。中・高・大と韓国で勉強して、帰国して1998年から本部の二世局に入ると、あまりに違う組織になっていて呆然としました。経済の結果が出せる(献金を集められる)人が評価されて幅を利かせるようになり、教団の方針もどう経済をつくるかが中心になっていました」
教団が重視しているはずの家庭をも時に壊すことになる過度な献金には、教団内部でも疑問を感じる人々はいたという。
「私が戻った98年ごろが最悪な状況だったと言われていて、『家財を売ってでも献金しろ』という話まで飛び交い、これでも教会なのかと。01年にそうした横暴な幹部陣が一掃される人事があるのですが、献金ノルマなどの構造自体は残り、献金を求める側の教会長のメンタルが壊れるケースも見られました」
メディア対応の前面に立っている勅使河原氏らについては、報道されているイメージとは違った面もあると証言する。
「勅使河原さんとは同じ本部職員として親しく交流がありました。もともと、献金の実績をベースとした教会の人事評価制度に大きな問題を感じて、改革に取り組んだ方。献金を重視する韓国本部のあり方も快く思っていなかった立場ですから、本気で改革したい思いはあると思います。ただ、現在の対応を見ると、教団内の問題に蓋をしたまま、被害者に寄り添うこと以上に組織防衛を優先させてしまっているため、会見での発表がすべて裏目に出てしまっているのだと思います」
「田中富広会長や梶栗正義さん(国際勝共連合会長)もこの献金体制を推し進めた側と思われがちですが、それは逆なんです。皮肉にも本当に献金体制を進めた人は見えなくなっていて、それを何とかしようとしてきた人たちが矢面に立っている。00年代に大きな改革運動があったとき、田中さんや梶栗さんもその中にいたのです。しかし改革は途中で挫折。その後、日本国内での改革の努力は続きましたが、献金体制は日本教会を超えた部分で、韓国の本部が決める『聖域』。この体制に異議を唱えるのは、信仰に反することと同じとされてしまうので、結局、韓国指導部に追従する状況が続きました」
もちろん、仮にそうした事情があったとしても、さまざまな問題についての責任を免れられるものではないだろう。現に、問題を放置し続けた結果、教団には宗教法人法に基づく「質問権」による調査が迫り、解散命令という事態も現実味を帯びてきた。教団が本当に変わる日は来るのだろうか。
「一朝一夕に変わることは難しいでしょう。ただ、今回はメディアや公的機関などの『外圧』によってもたらされたとはいえ、過度な献金の規制や海外送金額の減額など、教団が発表した内容だけでも以前から見れば大きな変化があった。こうした外部の圧力があって初めて、日本教会としても、韓国本部による高額献金や海外送金の要請を押しのける口実が生まれるのではないか。現役信者の中にも、むしろ宗教法人格が失われ、社会の監視や規制が入ることで、初めて教団の正常化が進むのではないか、という声もあります」
「質問権」の行使など今後の教団への調査で、明らかにすべき点は何か。
「内部にいた立場からすると、問題の根本は、日本からの資金頼みの韓国指導部の教団運営と、韓鶴子総裁の権威を高めるための巨大な施設の建造などの過剰な消費文化にあったと感じています。09年以降は『霊感商法』もなくなり運営は正常化されたと教団は主張していますが、その後も韓国の教団施設建設に多額の資金が投入されていますし、その過程で、韓国指導部周辺での不透明な資金の流れの噂も聞こえてきていた。韓国本部にこそ調査のメスを入れるべきであろうと思います」
櫻井氏は、信者たち自身も考え方を変える必要があると訴える。
「私が信徒の方々に伝えたいのは、今の教団は本来の信仰のあり方からずれているということ。教祖を神格化し、組織的指示を絶対視するような姿勢は、統一運動の本来の信仰から完全に逸脱しています。信徒自身が信仰のあり方の問題に気付かない限り、宗教法人格がなくなっても、新たな被害が生み出されてしまうのではないか。世論やマスコミが問題だ、ではなく、自分たちの中の根本問題と本気で向き合ってほしいと思います」
●旧統一教会への質問権、「重大な影響」「客観的証拠」に限定…行使基準素案  11/8
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する宗教法人法に基づく調査を巡り、文化庁がまとめた質問権行使基準の素案が判明した。対象法人に所属する人物による法令違反が繰り返され、広範な被害や重大な影響が生じている客観的な根拠がある場合に限定するとした。同庁が8日の有識者会議に提示する。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)(東京都渋谷区で)世界平和統一家庭連合(旧統一教会)(東京都渋谷区で)
同法は、宗教法人に〈1〉法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為〈2〉宗教団体の目的を著しく逸脱した行為――などの要件のいずれかが確認されれば、政府などの請求で裁判所が解散を命令できると規定している。解散命令の対象となる疑いがある法人に対しては、政府などが報告を求め、質問することができる。
政府は今回、法令違反の疑いを理由とした質問権の行使を検討している。
基準素案では、法令違反が「著しく公共の福祉を害する」とはどのような場合かについて、〈1〉法人に属する者の同様の行為が相当数繰り返されている〈2〉行為による被害が重大である――ことなどで「法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている疑いがある」場合だと位置づけた。
さらに、「疑い」があると判断する根拠としては、「風評や一方当事者の言い分」だけで判断するのではなく、〈1〉公的機関が法令違反や法的責任を認めた〈2〉公的機関に具体的な資料や根拠に基づく情報が寄せられている〈3〉これらと同様に客観的な資料、根拠がある――のいずれかに該当する必要があるとした。
「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」に関する質問権行使は、行為の結果や影響の内容、動機などを客観的根拠に基づき、総合的に判断するとした。
文化庁は法律の専門家ら19人で作る有識者会議の意見を聞いて基準を決定。同じ19人が委員を務める宗教法人審議会への諮問を経て、年内の早い時期に旧統一教会への調査に入り、質問を提示する方針だ。回答内容を踏まえ、解散命令請求の適否を判断する。
文化庁が8日に有識者会議へ示す基準案は、憲法が保障する信教の自由に配慮し、質問権への歯止めを明確化しようとするものだ。
質問権は、オウム真理教が地下鉄サリン事件などを起こした経緯を踏まえ、1996年施行の改正宗教法人法で導入された。社会に多大な悪影響を及ぼす行為を早期に把握し、解散命令につなげるためだ。
旧統一教会を巡り、高額寄付や霊感商法の被害を訴える声が相次いでいる。だが、政府が今回定める基準は、今後、すべての宗教法人が対象となる。解散命令の請求という結論ありきで策定し、拡大解釈が可能なものとなれば、将来の乱用の危険性が残る。法の趣旨にのっとり、国民が納得する基準でなければならない。
●公明党に「消極的」「後ろ向き」批判も…被害救済の与党内に“すきま風” 11/8
とうとう岸田内閣の支持率が40%を切りました。”最大要因”の旧統一教会問題で被害者救済の法整備を進めたい岸田総理ですが、ここにきて与党公明党に「消極的」「後ろ向きだ」との批判が上がっています。
旧統一教会の被害者救済 自民・公明で足並みそろわず
旧統一教会の被害者を救済する法整備をめぐり、きょう岸田総理は・・・
「被害者救済のための与野党協議の議論が進むことを期待しており、準備ができた法案から臨時国会に提出をしてまいります」
マインドコントロールによる高額献金を規制する新たな法律が提出されるかが焦点ですが、与野党の協議は難航しています。
与党の中でも特に慎重なのが、公明党です。
公明党 山口那津男代表「与野党協議の場でいろいろやり残されたことを生かしながら、また野党案とは違った形で法案が作れればいいと」
今国会での法案成立を求めている立憲民主党の岡田幹事長は、きのう・・・
立憲民主党 岡田克也幹事長「総理も海外に行く前に与野党党首会談を開いて大枠について合意する。そうしないとこの国会に間に合いませんから」
岸田総理が今週11日からの外遊に出る前に、党首会談開くよう求めましたが、これにも…
公明党 山口那津男代表「あえて党首会談をやらなければならないという状況ではない。それをやらなければ何かが進まないという状況ではない」
公明党の姿勢に、野党側は批判を強めています。
立憲民主党 長妻昭政調会長「(公明党の)大口議員もすごく消極的で、条文なんかそれはなかなかできないというような話に終始されているんです」
日本維新の会 藤田文武幹事長「公明党さんがかなり後ろ向きだと聞いていますので、支持母体(創価学会)のことを気にされているのかと」
与野党協議で、公明党は、過度な規制によって、適切な寄付行為にまで悪影響が及ぶことに懸念を示しているといいます。
公明党 山口那津男代表「宗教団体あるいはその他の公益性のある活動をしている団体が、寄付等によって運営が支えられている。その社会的な基盤を確保することも一つの要請。バランスを取りながら冷静にかつ確実な議論をしていくことが大事」
被害者救済の協議 与党内に“すきま風”ナゼ?
国山ハセンキャスター: 被害者救済のための協議がなぜ進まないのか?星さんによれば、与党内にすきま風が吹いているからだと言います。
岸田総理としては、被害者救済を進めたいと考えていますが、公明党と、自民党の茂木幹事長が協議を進めることに慎重だということです。
星さん、これはなぜでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星 浩さん: この新しい法律っていうのは、宗教団体だけじゃなくてNPOなども対象になるんですね。公明党からすると、信教の自由という点から見ても慎重にやりましょうというようなことなんでしょう。茂木さんからすると、自民党の中にも慎重論がありますので、それを代弁したという形ですが、ここは岸田さんの踏ん張りどころですね。
国山ハセンキャスター: そんな中で、岸田総理の支持率を見てみます。下がり続けているということが言えます。JNNの世論調査では39.6%ということで、先月より3.1ポイント下落し過去最低です。最大の要因と見られるのが旧統一教会の問題を巡る対応といえそうです。教団との関係をめぐり説明のない大臣や党幹部については辞任すべきと考える人が65%でした。そんな中、山際前経済再生担当大臣は辞任後すぐに自民党の新型コロナ対策本部長に就任したんですが、7日茂木幹事長はこう話しています。
記者「Q.(山際氏は)大臣辞任から4日後の人事となりましたが、就任までの経緯や狙いを教えてください」
自民党 茂木敏充幹事長「……は?あの…人事については常に適材適所で行われていると考えておりますが、ご指摘の本部、これ政務調査会の人事でありますので、そちらにお聞きください」
小川彩佳キャスター: 適材適所なのでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星 浩さん: まあ誰が見ても適材適所とは思えないですよね。岸田さんも事後報告は受けていたようですけど、どうもこれを見ても自民党に危機感がないと。それから民意とずれてるということがはっきりしたと思いますね。そこで今週、これからの予定なんですが、非常に大きな山場を迎えるんですね。岸田さん11日から外遊になりますので、その前に被害者と面会をしたり、与野党の党首会談をして、この新法に向けて合意ができるかどうかということなります。仮に合意できず駄目ということになると、もう2023年の通常国会ですから、春以降ということになりまして、政権にとって非常に大きなダメージになるわけです。そういう意味では今週政権の行方を非常に大きく左右する山場になると思いますね。 
●統一教会被害者救済にブレーキをかける公明党 11/8
全国各地で、自治体と旧統一教会関連団体のつながりが問題となっているが、福岡市では、市が公設民営で運営する福岡市NPO・ボランティア交流センター「あすみん」に、関連団体の世界平和女性連合が登録団体となっていたことが判明した。市民から不安の声が寄せられた福岡市は、弁護士や大学教授などからなる第三者委員会を設置し、登録の取り消しを含めて審議が行われており、議会は意見書を通じて明確な姿勢を示すべきだった。
福岡市だけでなく、北九州市議会や大牟田市議会、熊本市議会、大分県議会でも意見書案は否決されている。一方で、中間市議会は、「世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)と政界との関係断ち切りを求める意見書」が提案され、保守系も含めた賛成多数で可決された。
中間市の意見書は、本質を突いた内容であるので紹介したい。
「世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)は、宗教に名を借りた社会的にも問題のある組織であり、その活動は信者の家庭を壊し、日本の主権を侵し、数多くの政治家との利権構造を生み出してきました。日本では、隠されていた韓国での教義では、韓国中心主義とそれに従属する日本の属国的対応が記載されています。我が国の政治家がこのような目的をもつ組織と関係をもつこと自体が、反国民的であり、また、反社会的ですので、公共の福祉の向上を求める我が国の憲法の理念にも反します。」
非の打ち所がない内容ではないだろうか。韓国に対して歴史認識などで批判をしてきた人たちが、なぜか統一教会の話になると口が重くなるのは不思議な話だ。
旧統一教会に関して信教の自由に与える影響を指摘する声が少なからずある。
「宗教と政治」の問題ではなく、社会的な問題を多く抱える団体と政治家との問題と捉えるべきだ。「信教の自由」や「政教分離」という憲法上の問題として捉えるべきではない。」
今年9月の公明党大会において、山口那津男公明党代表がこのように発言している。
自民党もさまざまな宗教団体の支援を受けている。旧統一教会と今後一切関係をもたないとしたものの、宗教団体に対する規制は選挙を考えるとできるだけ避けたい本音がのぞかせる。ただ、宗教界においても、旧統一教会の霊感商法や献金、合同結婚式など大きな問題を抱える団体であることは認識されており、どの教団も旧統一教会と同一視されたくない。
やはり問題は、公明党である。同党の支持団体は、創価学会であり、公称会員世帯数800万を誇る。自公連立はすでに20年におよぶ緊密な関係にある。政治的社会的影響力は、他の宗教団体を優に上回る。そういう公明党にとって過去の入信や献金をめぐるトラブルなどを蒸し返されたくない。
現在の創価学会はどうか。結論からいえば、かつての激しい運動は影を潜め、ソフト路線に転換している。
読者の皆さんもご経験があるかと思うが、筆者の元にも、選挙前となると学会員の親族や友人から必ず投票依頼の連絡がくる。
「最近、どうしていますか? 今度、〇〇選挙区は誰々さんが出るので、よろしくお願いしますね」。
「F取り」といわれるものがこれを指す。Fとはフレンド、友人への投票依頼を意味する。全国でつてをたどるのだろう。居住地でもない場所の選挙でも、知り合いがいないかということを尋ねられることもある。その活動熱心さには脱帽する。
しかし、選挙運動もかつての勢いはなく、コロナ禍による日常活動の制約もあって国政選挙での公明党の得票率は減少の一途だ。創価学会も、財務と呼ばれる献金が行われているが、強制的なものではなく、むしろ以前に比べて活動も緩やかなため、寄付も集まらなくなっているという。以前は、他宗教を「邪宗」と呼び、神社仏閣の門すら潜ってはならないというしきたりが、厳守されていたが、自公連立を組んで20年の間に、穏健となり、緩和された。創価学会の信徒は、老若男女問わず、自治会やお祭りなど地域のお世話に熱心であることも、社会に定着した理由の1つだろう。
とはいえ、一時期の折伏と呼ばれる勧誘活動の激しさや、選挙前になると急に連絡が来るといった選挙活動、他宗教や批判勢力に対する先鋭的な主張の記憶が根強くあり、今回の旧統一教会をめぐる問題でも「創価学会も同じ」とみる人も少なくない。
公明党が、旧統一教会の被害者救済法案に消極的姿勢を感じるのは、そういったお家の事情があることは想像に難くない。
旧統一教会の悪質さは、他の宗教団体とは比較にならない。街頭や大学キャンパスなどでの勧誘活動において、組織の正体を明示せずに、勧誘することがまず挙げられる。そこから、セミナーに参加させ信者にして、異常な額の献金や霊感商法を行わせて吸い上げた利益はほとんど韓国に送金してきた。組織上層部は、あくまで一部の信徒が行った経済活動だといまだに無関係と主張している。
今、公明党が問われているのは、旧統一教会の問題に対して、政府与党の一員として、根本的な問題提起を行うことだ。率先して被害者救済法の整備に取り組むことが求められている。
●旧統一教会問題、救済新法提出で政権への不信払拭狙う 11/8
岸田文雄首相は8日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題をめぐる被害者救済の新法を提出する方針を打ち出し、首相主導で被害者救済に乗り出す姿勢をアピールした。旧統一教会問題に消極的だという世論の不信感を払拭し、低迷する内閣支持率を上向かせたい考えだ。
首相は同日、自ら申し出る形で記者団の前に立ち、「被害者救済と再発防止のためにさらにペースを速め、さらに範囲を広げ、新たな法制度実現に取り組む決意をした」と強調した。
首相はこれまで、宗教法人法に基づく質問権行使による事実把握と実態解明▽被害者救済▽立法による再発防止−の3点を問題解決策として掲げてきた。質問権行使は解散命令請求も視野に入れた旧統一教会への調査で、同日、文化庁の専門家会議が行使基準をまとめ、前進を印象付ける一日になった。
一方、救済法案の立法をめぐっては、与野党4党による協議が行われているが、停滞している。野党は被害者の家族らによる寄付の取り消しを可能にすべきだと主張する。これに対し、政権幹部は「野党案は憲法上の問題もあり、そこにこだわっている限り救済が進まない」と語る。
それでも、法案を提出できなければ政府・与党が消極的だとの印象につながりかねず、与野党協議とは別に、首相が政府としての新法を打ち出すに至った。ただ、今国会の会期末は約1カ月後に迫る。提出は「時間的に無理だ」(首相周辺)との声も根強く、「今国会を視野に」と曖昧さを残す表現になった。
首相は10月17日の衆院予算委員会で質問権行使を表明。その後、調査を担当する文化庁宗務課の人員を8人から38人に拡充する方針を示すなど前のめりだ。ただ、解散に値しないと裁判所に判断されれば「旧統一教会に問題なしとのお墨付きを与え、政権へのダメージとなる」(政府高官)との懸念も出ている。
●「質問権」行使基準 前例無き調査の実効性は不明 「信教の自由」で制約も 11/8
宗教法人法の「質問権」行使基準が8日、まとまり、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への調査着手に前進した。ただ、前例なき調査の実効性は不明で、文化庁宗務課は手探りの準備を進める。
旧統一教会の組織的不法行為が認められるなど、質問権行使や解散命令請求の証拠になり得ると政府がみる民事裁判例は22件。宗務課は全国霊感商法対策弁護士連絡会と情報交換していて、この22件や政府の合同電話相談窓口に寄せられた情報などを要件の「公的機関が法令違反などを認めた」「公的機関に具体的な資料や根拠がある情報が寄せられている」に当てはめ、調査の根拠とする。
宗教法人法では、行使前に質問内容が「信教の自由」に照らして妥当か、宗教法人審議会に諮問する必要がある。法律上、不適当な質問は明示されていないものの、宗教法人審議会の判断次第では、質問が限定される可能性もある。
諮問終了後に始まる調査で宗務課は、文書と口頭でのやり取りを想定するが、事件捜査のような資料押収はできない。制約が多い中で核心に迫ることができるかは「手探り状態」(文科省幹部)。調査と分析にどの程度の時間を要するかも判然としないが、政治主導の中でスピード感を求められており、宗務課には長期化を避けたい思惑がある。
宗務課は通常の8人体制を38人に拡大。38人には法務、警察、金融、国税の4省庁から派遣された計8人が含まれる。8人は法律や事件、カネのプロ。法令違反の存在を確認するほか、資金の流れから組織的関与を分析するとみられる。
調査結果次第で、旧統一教会への解散命令請求の可能性が浮上する。請求は文科相などが地裁に申し立てるが、地裁決定に不服がある場合、当事者は高裁、最高裁と争える。オウム真理教の場合は、平成7年3月の地下鉄サリン事件から間もない同6月に東京地裁に請求があり、同10月に解散命令決定が出されている。東京高裁が同12月に教団側の抗告を棄却、最高裁も翌年1月に教団側の主張を退け、解散が決まった。
●「質問権」行使の運用基準まとまる 年内に旧統一教会を調査へ 11/8
宗教法人法に基づく「質問権」の行使による世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への調査を巡り、文化庁の専門家会議は8日、行使の運用基準をまとめた。調査対象にできる宗教法人について、公的機関が法人や信者らの法令違反を認めたケースがあるなど客観的な根拠や資料を伴う必要があるとした。文化庁はこの基準を元に質問項目を決めた上で、年内に旧統一教会の調査に着手する方針だ。
同法は、宗教法人の解散要件について1法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為2宗教団体の目的を著しく逸脱した行為――などに該当する場合と規定している。所轄庁や検察官などの解散命令請求に基づいて、裁判所が法人を解散させるかどうかを判断する。
質問権は、法人や信者らが解散要件に該当する行為をした「疑い」がある場合、所轄庁が法人に対し運営実態について報告を求めたり、質問したりできる。1996年に導入されて以来、行使されたことはない。
今回、専門家会議がまとめた基準では、「疑い」の有無を判断するにあたり、裁判所などの公的機関が信者や法人の法令違反を認定したり、具体的な資料を伴って公的機関に情報が寄せられていたりと、客観的な根拠が必要だとした。風評や一方の当事者の言い分のみでは判断しない。
さらに基準は1の「公共の福祉を害する行為」について、信者らによる法令違反が相当数繰り返されるなど、広範な被害や重大な影響が生じている場合とし、2の「著しく逸脱した行為」は影響や反復性などを考慮する必要があるとした。
所轄庁が行使を検討する場合、憲法が保障する「信教の自由」を尊重する宗教法人法の趣旨を踏まえて対応することも求めている。
冒頭を除いて非公開だった8日の専門家会議(第2回会合)では、文化庁が運用基準案を提示。同庁宗務課によると、委員から異論は出ず、「公共の福祉と信教の自由とのバランスが大切だ」「基準を設けることは所轄庁による権限乱用の防止にもなる」といった意見が上がったという。
旧統一教会に対する政府の対応を巡っては、岸田文雄首相が10月中旬、質問権の行使による調査をするよう永岡桂子文部科学相に指示。文化庁が大学教授や宗教家ら19人でつくる専門家会議を設置し、質問権の運用基準について協議してきた。
今後、文化庁は質問事項を検討し、専門家会議と同じメンバーで構成される文科相の諮問機関「宗教法人審議会」に意見を求めた上で、年内にも質問権による調査を始める。要件が確認できれば、裁判所に解散命令を請求する方針だ。
●自民細野氏「テロリストを成功者にしてはならない」 被害者救済法作成に 11/8
今国会の焦点である世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向けた法整備をめぐり、自民党の細野豪志元環境相は新法制定に懐疑的な見方を示してきた。8日、細野氏にその真意について聞いた。
──新法制定を疑問視する理由は
「安倍晋三元首相の銃撃事件はまぎれもないテロだ。参院選の街頭演説で政治家が撃たれ、選挙という民主主義のプロセスが破壊された。にもかかわらず、加害者の恨みを社会や政治が晴らしているような風潮には懸念を持つ。私は旧統一教会と関係はないが、テロリストの思惑を端緒に立法を行うことは、正しいのか。加害者を『成功したテロリスト』にしてはならない」
──被害者救済にどう対応すべきか
「気の毒な状況にある元信者らの救済のため政府や多くの国会議員が努力していることは理解する。だが、まずは現行法で対応すべきだろう。宗教を隠れみのに子供に絶食を強い、暴力を用いるのは明確な児童虐待。現行法で対応できることがやれなかったことは反省すべきだ」
──安倍氏を殺害した容疑者をモデルにした映画が公開された
「ある新聞社は映画を紙面で告知したが、強い違和感を覚えた。メディアはもっと危機感を持ち、暴力的な手段は許さないと主張すべき局面だと思う。SNS(交流サイト)でキーワード検索すると加害者について『英雄』『救世主』という言葉が出てくる。凶弾に倒れた安倍氏が旧統一教会と関係があったという情報をもとに半ば加害者のように言われ、加害者が半ば被害者のように言われる状況は倒錯だ」
──テロは連鎖しかねない
「不幸な状況の解決手段としてテロを利用することは二度とあってはならない。いかなる理由でも暴力による問題解決は認めないとの社会的コンセンサスをもう一度作る必要がある」
●木村防衛政務官、旧統一教会の施設で有権者名簿受け取る… 11/8
木村次郎防衛政務官は8日の参院外交防衛委員会で、昨年の衆院選に絡み、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の施設を自ら訪れ、有権者名簿を受け取っていたことを明らかにした。名簿については、「電話がけを行った可能性も否定できない」と説明した。選挙後に廃棄された可能性が極めて高いとの認識も示した。
一方、山田賢司外務副大臣は同委員会で、地元の旧統一教会の関連団体施設を2回訪問したとする自身の過去の答弁に関して、「記憶違い」だったとして撤回した。
●山田外務副大臣“旧統一教会関連団体施設 2回訪問”の答弁訂正  11/8
山田外務副大臣は、旧統一教会の関連団体の施設を2回訪れたことがあるとした国会答弁について、訪れたのは地元の集会所などだったと訂正したうえで、関連団体の関係者から依頼を受けて国政報告を行ったと説明しました。
山田外務副大臣は先に国会で、地元の兵庫県西宮市にある旧統一教会の関連施設を2回訪れたことがあると答弁していました。
これについて山田副大臣は8日の参議院外交防衛委員会で、訪れたのは教会の関連施設ではなく、市民会館の会議室と地元の集会所だったと答弁を訂正し、「あいまいな記憶で答弁したことをおわびしたい」と陳謝しました。
そのうえで、「私を支援する『世界平和連合』の人の依頼に基づき、2017年10月と2021年9月に話をさせていただいた。単に国政報告をしたという認識でいた」と説明しました。
●こども“家庭”庁は旧統一教会の影響? 松野官房長官は会見で問われ 11/8
松野博一官房長官は8日の記者会見で、来春設置される「こども家庭庁」の名称が当初の「こども庁」から変更された経緯について、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や関連団体の影響を否定した。松野氏は「特定の団体からの影響はない」と強調した。
松野氏は「子供の健やかな成長にとって家庭における子育てをしっかりと支えることが子供の幸せにつながるという趣旨で、新しい組織の名称として適切だと考えている」と述べた。
「こども家庭庁」の名称は昨年12月に閣議決定した子ども政策の基本方針で定められた。閣議決定直前に自民党の保守系議員から「子どもは家庭でお母さんが育てるもの」といった意見が出たことを受けて、当初案の「こども庁」から変更された経緯がある。
教団側は「家庭教育」を重視しており、教団の関連団体が今夏の参院選や昨年の衆院選で、自民党の国会議員に、家庭教育支援法の制定などに賛同するよう明記した「推薦確認書」を提示し、署名を求めていたことが明らかになっている。
 

 

●旧統一教会の調査に温度差 解散命令請求「年内行使」に懸念も 11/9
金銭トラブルなどが相次ぐ世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の調査を巡って、宗教法人法に基づく「質問権」行使の運用基準が8日にまとまった。教団への解散命令請求を視野に入れた質問権の行使は被害者の支援にあたる弁護士だけではなく、宗教関係者もおおむね前向きに捉えている。ただ、政府がスケジュールありきで手続きを進めることへの警戒感も根強い。
質問権は1996年施行の改正宗教法人法に盛り込まれて以来、一度も行使されたことはない。このため宗教家や有識者で作る文化庁の専門家会議が運用基準の検討を始めたが、初会合から2週間のスピードで決着をみた。背景には、政府が示していた「年内のできるだけ早いうちに権限を行使する」との方針がある。
「解散命令の要件は満たしているのに、政府はこれまで動かなかった。被害防止の観点からも早く動いたほうがいい」。教団による被害者の救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)事務局長の川井康雄弁護士は強調する。質問権による調査を経なくても、政府が請求に踏み切るだけの材料はすでにそろっているとも指摘する。
全国弁連が早期対応を求める背景には、80年代に高額献金や霊感商法の被害が始まり、調査や請求にかける期間が長引けば、信者の被害が深刻化したり、新たな被害者が生まれたりしかねないとの危機感がある。親の信仰で苦悩する「宗教2世」の支援も急務で、川井弁護士は「2世には『自分たちと同じ被害者を生み出してほしくない』との思いが強い。請求によって、教団による被害を減らせる」と強調した。
宗教学者や宗教界にも解散命令請求への期待感はある。ただ、初の行使に伴い8日に専門家会議が了承した運用基準は、旧統一教会に限らず、将来、他の宗教法人でも問題が起きた際にモデルケースになるだけに慎重な手続きを求める。
「政治的な判断で事態を改善していこうとするのは適切ではない」。専門家会議の初会合から3日後の10月28日。「宗教研究者有志」の名のもと、大学教授ら25人の連名による声明文を公表した北海道大の桜井義秀教授は、東京都内での記者会見でこう強調した。
声明文は、旧統一教会に対する解散命令請求を視野に、宗教法人法に基づく迅速な対応を政府に求める内容だ。桜井教授は半世紀近く見過ごされてきた教団による被害について、世論や政府が向き合い始めたことを「隔世の感がある」と評価し、期待感を示した。
一方、懸念も表明した。政府が「年内行使」の期限を設けて運用基準を決めるなど「十分な審議が尽くされない」まま、調査の手続きが進む恐れがあるとしたのだ。専門家会議が示す運用基準や文化庁が検討する教団への質問項目などは将来のモデルケースになるため、桜井教授は「公的手続きの適格性を考慮しながら進めてほしい。必要なことは、透明なプロセスに沿った対応だ」と求める。
旧統一教会に対しては、宗教法人法を「隠れみの」に悪質な活動を続けてきたとして、宗教界からも批判が上がる。国内のプロテスタント教会など約30団体でつくる日本キリスト教協議会は10月中旬、「(統一教会の)マインドコントロールによって信教の自由が侵害されている」とする声明を公表した。信者を高額献金へと誘導する教団の教育システムや勧誘手法などが「信教の自由を奪う行為」に当たると考えたためだ。
ただ、戦前は国家の恣意(しい)的な宗教観によって宗教団体への弾圧が生まれた歴史があり、憲法が「信教の自由」を保障するに至った経緯に留意する必要があるとする。協議会の金性済(キムソンジェ)総幹事は「質問権行使のあり方や、調査でどこまで踏み込むかを検討するにあたっては、将来にわたって国家が悪用できないような方法を考えるべきだ」と話した。
●マインドコントロールの線引きはどうする?旧統一教会の被害者救済法 11/9
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者を救済するための新法は、議員立法でなく政府案として国会提出される方向になった。自民党議員と教団側の接点を背景に、及び腰に見える取り組みが世論の離反を招いたため、岸田文雄首相が厳しく対処する姿勢を押し出した。ただ、宗教団体への寄付の規制に対しては、憲法に基づく財産権や信教の自由を侵す懸念も指摘される。(佐藤裕介、柚木まり、曽田晋太郎)
献金返還請求の仕組みが焦点
法整備の焦点は、マインドコントロール下に置かれた人による高額献金について、本人に代わって家族らが返金を請求できる仕組みづくりだ。立憲民主党と日本維新の会は、配偶者や「宗教2世」と呼ばれる子どもへの被害拡大防止を重視し、先に共同提出した議員立法の柱の一つに据えた。
旧統一教会の信者だった母親が総額1億円以上を献金したという60代の女性は8日、野党の会合に出席した後、記者団に「マインドコントロール下で受けた被害は、不当な働きかけによると認定される法律であってほしい」と要望。全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士は取材に「現行法の下、家族では解決できなかったから今がある。野党案(の内容)を前向きに考えてもらいたい」と話した。
財産権に抵触する懸念
だが、与党は法整備に関する野党との協議で一貫して慎重だった。理由に挙げるのが、憲法が保障する財産権に抵触する可能性。個人の資産の使い道は家族でも介入できず、現行法で例外が認められるのも、民法の成年後見制度の対象となっている精神疾患など極めて限定的だとする。マインドコントロール下という要件も、病気などとは異なって判定する手法が確立されておらず、自由な意思に基づく信仰との区別が付きづらいと難色を示す。
首相は8日、新法の内容に関して官邸で記者団に「悪質な勧誘行為を禁止する。それに基づく寄付の取り消しや損害賠償、子や配偶者の救済を可能にする」と強調したが、具体的な制度設計は説明しなかった。
与野党協議の内容も取り込み
先行する与野党協議の内容を政府案に取り込むのは、創価学会を支持母体とする公明党の意向も大きいとみられる。山口那津男代表は「宗教団体や公益性のある団体は寄付などによって運営が支えられている。その社会的な基盤を確保することも一つの要請だ」と、新法の影響が広く及ぶことを警戒。7日には「法案作成の慎重さと精緻さという意味で、閣法(政府提出法案)が原則だ」とも主張した。
旧統一教会の解散命令請求を含め、先月24日に迅速で適切な対応を求める声明を出した宗教研究者有志の代表で、北海道大大学院の桜井義秀教授(宗教社会学)は取材に、被害者救済を急ぐ必要性を指摘。同時に「旧統一教会の統制目的で、他の宗教団体に影響が及んでは意味がない。宗教団体の組織存続の要は寄付や献金、布施であり、さまざまな団体が納得する形にするべきだ」と語った。
●旧統一教会“親密議員の筆頭格”萩生田氏が被害者救済法で党内調整… 11/9
政府は8日、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の被害救済・防止のための新法を今国会で提出する方針を固めた。さらに岸田文雄首相は、自民党の萩生田光一政調会長に党内調整を急ぐよう指示したという。
しかし、萩生田氏といえば、旧統一教会と"親密"議員の筆頭格だ。参議院選挙期間には、初当選した元おニャン子クラブのメンバー・生稲晃子氏(54)を伴って、教団関連施設を訪ねていたことなどが問題視された。萩生田氏本人は旧統一教会との親密な関係を否定しているが、納得できる説明もないまま、ウヤムヤになっている。
その萩生田氏が、旧統一教会元信者や被害者の救済法策定に関与するとなれば、国民に不信感を持たれて当然だろう。
《岸田首相 萩生田氏に旧統一協会の元信者や被害者"救済法"策定の検討指示って、虚構新聞の見出しかと思った 例えば、反社会的団体と繋がりのある警察官に「君が取締りして、やり方は任せる」っていってるもんじゃないか 例えばだけど》《八王子教会との関係が話題に上がっている萩生田氏に検討させるのってオカシクないですかね》《萩生田さんに「救済法」の検討指示、って、あの萩生田さんがマザームーンに反する法律の制定の仕事が出来るんかい?》
救済法に加え、自民党の新型コロナ対策本部の本部長に就任した山際大志郎氏の任命権者が、萩生田氏と報じられたことにも批判が殺到したばかり。
《山際コロナ対策本部長を任命したのは萩生田政調会長 やっぱりこの人達は統一教会で強い絆があるんだね しかし誰が考えてもこんな人事納得しないだろう 萩生田は岸田首相の支持率を下げて引きずり落とすつもりだなw》《山際新型コロナ対策本部長の一般には考えられない任命は萩生田政務調査会長の権限だそうだ。旧統一教会のラインでしょうか。》
旧統一教会絡みで大臣をクビになった山際氏を"かばう"ような人事に関与したとなれば、萩生田氏が教団の被害者を救うことはできないだろうと疑問の声があふれているのだ。
●旧統一教会被害者救済 公明 山口代表 新法案の今国会成立強調  11/9
旧統一教会の被害者救済に向けて、悪質な献金を規制する新たな法案について、公明党の山口代表は今の国会で成立させることを目指す考えを強調しました。
公明党の山口代表は党の参議院議員総会で「きのう党首会談を行い、岸田総理大臣と政府提出の形で新たな法案をつくることで合意した。会期が十分ではない中だが、政府に対し精力的に今の国会での提出を求めていきたい」と述べました。
そのうえで「野党の意見も取り入れられるものは取り入れながら、幅広い合意を生かした政府提出法案にしていくのが基本的な姿勢だ。この新法だけでなく、補正予算案やそのほかの重要法案もあるので、会期内にしっかり仕上げられるよう全力をあげていきたい」と述べ、今の国会での成立を目指す考えを強調しました。
●「現役信者コメント」が示す統一教会にとって安倍元首相の“偉大さ”  11/9
宗教学会の元会長、日本の宗教学の第一人者である島薗先生の話は、統一教会問題について、改めて深く考えさせられるお話だった。
「宗教団体」としての統一教会が、これまで行ってきたことは、凡そ「宗教団体」ではあるまじき存在であるが、そういう活動が継続されていたことの原因の一つに自民党との関係があることなど、歴史的な経緯も含めて、しっかり理解できる大変勉強になる話だった。
この対談YouTubeをアップした日の夜、統一教会の内部者(信者)と思える人からの、以下のような興味深いコメントが寄せられた。島薗先生の話を受け止め、信者としての率直な思いをつづったもののように思えた。
現時点(11月7日)で公開されているコメントは、以下のとおりだ。
「ヨイン 安倍元首相をプーチンや習近平と同じように語らないでほしいです。格が全然違うし、独裁者でもありません。もしご存命なら、世界を平和的にまとめ上げる力があった方です。統一教会は反日の思想もないですし、韓国に対する原罪というものもないです。世界平和家庭連合は神様の願う世界平和と地上天国実現のために活動しています。神様の願いを知って、生きて働いて下さる神を実感しているのです。」
このコメントは何回も編集されており、以前は、
「生きて働い下さる神を実感しながらやっているので、犯罪行為にはならないのです。(神がわからない人には理解出来ないのです)統一教会は悪であると言う決めつけで話が進んでいますが、神様という存在を抜きにして考えるとこいうふうに見えるのかと、これはこれで大変参考になりました。ありがとうございました。」
という記述もあった。
コメントの主のヨイン氏が、「神様の願う世界平和と天国実現に向かって現実的に活動している」というのは、敬虔な信者として、統一教会の教理である「統一原理」を信じて活動しているという意味だと考えられる。
編集によって削除された部分の「生きて働い下さる神を実感しながらやっているので、犯罪行為にはならないのです。(神がわからない人には理解出来ないのです)」
というのは、信者の立場からは、神を信じ、神を実感しながらやっているので、正体隠しの勧誘、霊感商法、「高額献金」なども、詐欺などの犯罪や不法行為にはならないという理解を述べたものだろう。
このような旧統一教会の信者だと思えるヨイン氏のコメントには、興味深い記述がある。
一つは、ヨイン氏が、「安倍元首相をプーチンや習近平と同じように語らないでほしいです。格が全然違うし、独裁者でもありません。もしご存命なら、世界を平和的にまとめ上げる力があった方です。」と述べている点だ。
これは、YouTube対談の中で、島薗先生が、「プーチンや習近平のような力強い政治指導者になびくような世界の流れがある。これは、グローバル化が進み、世界が多極化する中で、秩序の崩壊感が強いので、あまり楽観はできない。」と言われたのに対して、私が、「プーチンや習近平は自分のところに権限を集中させるために、他の人間には権力を与えないようにして独裁体制を固めている。どうしてもそういう独裁的政権では、その後を継ぐ人間がなかなかできないのではないか。日本は、安倍晋三氏が、そういう役割を担って、第1次政権の後、また復活して、第2次安倍政権が8年近くも続いていたし、もしあの銃撃事件でああいう形で亡くなるということがなければ、また政権の座に復帰して、それこそプーチンとか習近平のような権力者になっていた可能性もあると思う。」と言ったことに関して書かれたものと考えられる。
私が言いたかったのは、亡くなってみて、改めて、日本の政界における安倍元首相の存在の大きさを感じており、岸田内閣の支持率が大きく下落し、政権基盤が危なくなっていても、その後継の話が全く出てこないのは、結局のところ、自民党の権力は、安倍元首相が存命である限り、安倍氏に集中していたと考えられることを踏まえて、安倍氏の再登板、権力のさらなる集中の可能性もあった、ということを「プーチンや習近平のような権力者」になぞらえて言っているのである。
これについて、ヨイン氏は、安倍元首相を「プーチンや習近平」とは「格が全然違う」と高く評価し、「存命なら、世界を平和的にまとめ上げる力があった方」とまで言って、「平和を実現できる世界的な政治家」と称賛しているのである。
旧統一教会の現役信者と思えるヨイン氏が、島薗先生と私との統一教会問題についての対談に、率直な思いを書いてきたと思えるこれらの言葉は、安倍氏が旧統一教会の信者にとって、安倍氏が、「精神的な支柱」にまでなっていた「大きな存在」であることを窺わせるものであり、安倍氏と統一教会との関係の深さを示すものと考えることができる。
もう一つは、「反日の思想もないですし、韓国に対する原罪というものもないです。」と言い切っていることである。
これも、信者としての認識をありのままに述べたものなのであろう。
確かに、「統一原理」そのものには、反日的なものや日本が韓国に対して負う原罪という話は出てこないことについて、島薗先生も、以下のように話している。
「我々が若いころに勉強したのは「原理講論」というこれは基本的な教典になるんですが、なかなかこれはがっちりとした論理的な言葉で書かれているんですね。ソウル大学を出た人がまとめた。韓国では、梨花女子大事件というのもあってね。韓国でも早い時期に高学歴層に浸透したんですね。その原理講論の中には、日本語訳には、日本と韓国の関係に関するようなところは訳してなかった、というふうな記述があります。84年の世界日報編集局長の事件のときの文藝春秋の記事には、韓国中心ということは強く書いてあるけれども、日本から特に収奪するというふうにはなっていないです。」
つまり、原理講論の「日本語訳」には、「反日の思想」や「韓国に対する原罪」などということは書かれておらず、日本の信者の人達は、教理上は、そのような考え方はないと認識しているということなのだ。
「韓国に対する原罪」は、過去の高額献金や合同結婚式などのカルト的手法に関連して、必要に応じて使ってきたもの、ということであろう。
現在の信者には、「反日の思想」「韓国に対する原罪」の認識がないということも十分に考えられる。
旧統一教会の現役信者と思えるヨイン氏は、島薗先生と私のYouTube対談を視聴し、敬虔な信仰心による真剣な言葉をコメントとしてきたものと思える。統一教会問題を考えるに当たっても、それが、現役の信者の率直な思いであることを、しっかり受け止めなければならない。
旧統一教会の実態は、現役信者の立場からすれば、ヨイン氏が認識しているとおりかもしれない。
しかし、世の中の一般的な認識のとおり、旧統一教会の実態が、過去と大きく変わるところはなく、正体隠し勧誘やマインドコントロール下で高額献金を行わせたりする「反社会的団体」なのであれば、そのような教団の実態を認識することなく、信仰の世界に没入しているヨイン氏のような信者は、まさにマインドコントロールの被害者そのものだということになる。
そして、安倍元首相は、そのような信者に「平和を実現できる世界的な政治家」とまで慕われていたということになる。日本の政治権力の中枢にあった安倍元首相が、統一教会と関わってきたことの深刻さを、改めて認識すべきであろう。
自民党にとっても、その最大派閥の安倍派にとっても、それは目を背けることができない現実である。
●旧統一教会めぐり永岡大臣「今週中に質問権行使の可否の判断したい」 11/9
旧統一教会について永岡文部科学大臣は「今週中に質問権行使の可否を判断したい」と表明しました。
永岡桂子文科大臣「昨日の協力者会議(専門家会議)におきまして、とりまとめいただきました一般的な基準に則りまして、今週中に旧統一教会に対する報告徴収・質問権行使の可否を判断したい」
きのう、文科省の専門家会議は宗教法人への質問権の行使について行為の組織性、悪質性、継続性などで判断するとの基準をとりまとめました。永岡大臣はきょう国会で、この基準に則り、今週中に旧統一教会に対する質問権の行使の可否を判断する考えを示しました。
また、質問権を行使すると判断した場合は、「宗教法人審議会に諮問したうえで、直ちに質問権の行使に向けた手続きを進める」とし、「最大限速やかに対応する」との考えを示しました。
きょうの審議には、旧統一教会の問題に取り組んできた弁護士も出席し、旧統一教会について「公的な責任を認める裁判所の判断は積み重なっている」と述べ、教団が質問権行使の基準に該当することは「明らか」との認識を示しました。
●旧統一教会問題は与野党互角のお粗末合戦 11/9
これだけ敵失が多い国会で、結局野党は岸田内閣にいいようにあしらわれた。野党の面々は一定の役割を果たしたつもりだろうが、それならば少しは野党各党の支持率は上がってもよさそうなものだが、岸田内閣の内閣支持率はじり貧でも自民党の支持率は調査によっては上がっているものもあり、野党が自慢するほどの成果は上がっていない。それどころか立憲民主党と日本維新の会は共闘して与党への攻勢を強めるとしながら旧統一教会問題解決のための救済新法協議会を与党とまとめようとして決裂した。
政府は8日、悪質な寄付要求行為などを禁止する新法を政府提出法案として今国会に提出する方針を固めた。4日、立憲代表・泉健太は野党外しに「まとまらないのであれば不信任に値する」と挑発。自民党幹事長・茂木敏充から「まとまっていないのは立憲の方だ」と逆襲に遭い、提案型野党は稚拙な駆け引きで足をすくわれたといえる。
ただ、自民党も褒められたものではない。7日の会見で茂木は辞任した前経済再生相・山際大志郎が自民党の新型コロナ対策本部長に大臣辞任から4日後就任した人事について「適材適所」と答えた。これは失笑ものだが、茂木は旧統一教会問題でも「これまで一切の関係を持っていないと確認できた」と繰り返していたが、直後に旧統一教会と「これからは関係を持たないということが基本だ」とトーンダウン。その後、党の調査を「点検」と言い張るものの、7日の毎日新聞によれば旧統一教会創始者の文鮮明が1989年に元外相・安倍晋太郎が会長だった「安倍派」(清和会)を中心に国会議員との関係強化を図るよう信者に語っていたことが分かったという。「幹事長の言うことは何ひとつ的を射ていない」(自民党若手議員)というありさまだ。極めつきは教会と近いといわれる党政調会長・萩生田光一が被害者救済新法の責任者となったことだ。与野党のお粗末合戦は互角の不出来といえる。 
●「何考えているのか?」岸田首相、「被害者救済法案」調整役に萩生田氏 11/9
11月8日、政府は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済のため、新しい法律を今の国会に提出する方向で調整していると報じられた。だが、岸田文雄首相が法律案提出に向け、党内調整を進めるよう指示した相手が、まさかの萩生田光一政調会長だったことから、SNSでは非難の声が集中している。
萩生田氏といえば、旧統一教会との関係の深さを指摘されてきた人物のひとりだ。当初は、信者とわかってつき合っていたことは否定し、「地元の皆さんのなかに、そういう関係者がいたかもしれない」と語っていたが、後に、7月に投開票された参院選の公示直前、立候補予定だった生稲晃子参院議員とともに、旧統一教会関連施設を訪れていたことが明らかになった。
8月に放送された『報道特集』(TBS系)では、自民党が野党だった2009年から2012年、落選中だった萩生田氏が、頻繁に旧統一教会の教会を訪れ、講演をおこなっていたという元信者の証言が報じられている。萩生田氏は、信者たちに「一緒に日本を神様の国にしましょう」と呼びかけていたとも伝えられた。萩生田氏はこの時期の講演について否定しているが、番組では、講演を案内するメールなども提示されている。
「旧統一教会との関係が取りざたされていた萩生田氏ですが、8日には、同団体との接点が明らかになり、事実上の更迭となった山際大志郎前経済再生担当相を、新型コロナ対策本部の本部長に就任させたことが報じられました。萩生田氏は記者団に対し『私の判断で指名した』『本来のコロナ対策で失政があったわけではない』などと語りましたが、SNSでは『旧統一教会仲間の助け合いか』などと批判が寄せられています」(政治担当記者)
まさかの人選続きに、SNSはあきれる人たちの声が続出している。
《呆れる!岸田首相が萩生田に救済法の策定を検討指示って、何を考えてるの?一番近づけてはいけない統一教会とズブズブの萩生田だよ。》《岸田総理は萩生田政調会長に救済法案を出すように指示したとのことだが、旧統一協会ズブズブな人が作ったら抜け穴だらけの法案になるのは当たり前、やってる感では国民はもう騙されない。ちゃんと国民を守る政治をしてください、お願いだから》《旧統一教会とずぶずぶの人間が救済法責任者か?岸田は何を考えているのか?》
萩生田氏の采配で、被害者救済につながるまともな法律はできあがるのだろうか。有権者の厳しい視線が注がれている。
●「急転直下だった」旧統一教会めぐる被害者救済法案の提出に渦巻く“不満” 11/9
きのう、旧統一教会の被害者救済に向けた新たな法案の提出に強い意欲を示した岸田総理。しかし、官邸主導の方針転換には不満も渦巻いています。
30%台にまで内閣支持率が落ち込むなか、きのう、岸田総理は総理主導の決断をアピールしました。
岸田総理「今国会を視野に、できる限り早く法案を国会に提出すべく、最大限の努力を行うこととする」
ただ、総理の決断は「見切り発車」とも言えるものだったことが分かってきました。
官邸幹部「急転直下だった。法案のたたき台も何もできていない」
官邸関係者「本当に間に合うかわからない。総理は指示するだけだが、消費者庁はこの2、3週間、夜通し作業しなくてはいけない」
被害者救済のための新法を担当する消費者庁。担当の河野大臣は、きのうの総理の表明の直前、官邸に入り対応を協議しました。
関係者「岸田総理は『この内容でできるか』と、ニュアンスとしては『やれ』という感じだった」
一方、消費者庁の側では不満が渦巻いています。
消費者庁関係者「法理論的に厳しいのに、『総理指示だからやれ』なんて乱暴だ。消費者庁は河野大臣以下、『できるとお約束できません』という感じだ」
今の国会の会期は残り1か月ほど。政府が被害者を実際に救済できるような法案を作り、国会に提出できるのかは不透明です。総理の周辺は総理の思いをこう代弁します。
総理周辺「総理はリスクを背負って言っている。政権としても勝負をかけている」
ただ、早速、暗雲が立ちこめています。総理の決断を受け、きょう、自民党の茂木幹事長は各党の幹事長と相次ぎ会談。立憲民主党は来週月曜日(14日)までに、法案の骨子に当たる「要綱」を示すよう求めたのですが…。
立憲民主党 岡田克也 幹事長「(茂木幹事長は)概要を来週中にというお話でした。いやそれはとても承服できないと。(今国会に)間に合わないと」
一方で、茂木幹事長は維新との会談で、野党が求めている被害者の家族が返金を求める仕組みや、行政罰・刑事罰の導入については一部、前向きな姿勢も示しました。与野党での協議は今後も続ける方向となりました。
●旧統一教会は「基準に合致」、文科省が質問権行使へ 月内にも諮問 11/9
文部科学省は、文化庁の有識者会議がまとめた宗教法人への「報告徴収・質問権」行使の基準に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が合致するとの判断を固めた。永岡桂子文科相が週内に行使の方針を表明し、月内にも教団への質問内容などを宗教法人審議会に諮問する見通しだ。オウム真理教による事件をきっかけに、1995年の宗教法人法改正で盛り込まれたこの権限が、初めて行使される方向となった。
有識者会議が8日にまとめた基準によると、宗教法人や所属する人物の行為について民事・刑事を問わず公的機関が法的責任や法令違反を認めた判断があり、法令違反の行為が繰り返されるなどの場合、この権限に基づく調査の対象になる。
文科省は、旧統一教会をめぐり、組織的な不法行為を認めた民事判決が2件、使用者責任が認められた民事判決が少なくとも20件あることなどから、基準に合致すると判断した。
教団をめぐっては岸田文雄首相が10月17日の衆院予算委員会で、報告徴収・質問権を行使して実態解明を目指す考えを表明。文科省は教団への調査で集まった材料を踏まえて、宗教法人法に基づく解散命令を裁判所に請求するか判断する。
●“統一教会”被害者救済に向け…消費者契約法の改正案の概要判明 11/9
いわゆる統一教会の被害者救済に向け、政府が成立を目指している消費者契約法の改正案の概要が判明しました。
政府関係者によりますと、改正案では、霊感商法被害に対応するため、契約の取り消しが可能な期間を今の5年から10年に延長します。
また、被害に気付いてから契約の取り消しができる期間についても、今の1年から3年へと延長します。
政府はこれらの内容を盛り込んだ改正案を今の国会に提出し、成立させる考えです。
政府はさらに、被害者救済のための新たな法案の提出も目指しています。
●公明党が教団被害者救済法案に保身の横やり…いまや大衆の敵に 11/9
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の被害者救済法案が今国会成立に向け、前進の兆しだ。与野党協議が膠着し、立憲民主党と日本維新の会が攻勢をかける中、岸田首相が動いた。
8日、「政府としての考え方を法律としてまとめ、国会に提出したい」と表明。不当契約の取り消し権の要件を緩和する消費者契約法改正案の成立を期す一方、野党が共同提出した救済法案はうっちゃり、「閣法」を出すという。
野党案は(1)マインドコントロール下で高額献金などを求めることを「特定財産損害誘導行為」と定義づけ、罰則付きで禁止(2)家族らが返金を申し出られる「特別補助制度」の創設──が目玉。ただ、家族が献金返還を請求できる仕組みは、憲法が保障する財産権に抵触するとの指摘がある。自民党も懸念を示していたものの、野党案潰しに奔走したのは公明党だ。
救済法案の成立を確実にするため、立憲の岡田幹事長が6日に与野党党首会談を提案すると、すぐさま山口代表が反応した。「与野党4党の実務者協議で真摯な議論が続いており、合意できたところから法案を順次出すという姿勢は確立されている。あえて党首会談をやらなければならないという状況ではない」と猛反発。
「憲法の人権に関わる立法は法案作成の慎重さと精緻さの観点から、政府が責任を持って提出する方向で検討することが望ましい」と注文をつけていた。
迫る「財務」の書き入れ時
公明が神経をとがらせるのは、支持母体である創価学会への影響にほかならない。学会の収入は「財務」と呼ぶ寄付、聖教新聞などのメディア事業、全国展開する墓苑事業が3本柱。暮れの財務は恒例で、書き入れ時が迫っている。
「政権浮揚ありきの岸田総理は野党案の丸のみも選択肢に入れていましたが、公明の激しい巻き返しにあって断念。そもそも、公明は寄付規制そのものに反対ですが、一連の救済法の早期成立を求める世論を敵に回す度胸はない。政府提出法案であれば公明の要望も多少は盛り込めるし、学会に対しても顔が立つ」(与党関係者)
官邸と自民執行部が公明サイドに根回し。山口代表が岸田首相との党首会談で「配慮」を念押しし、岸田首相の閣法提出表明に至ったわけだ。
献金トラブルはなにも旧統一教会のお家芸ではない。学会でも珍しくないし、訴訟沙汰にもなっている。公明が自民の下駄の雪と化して20年あまり。立党精神「大衆とともに」は虚飾と化している。

 

●「美しい国」「日本を取り戻す」…旧統一教会と自民党スローガンに批判 11/10
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)創始者の文鮮明氏が、1956年から2009年に信者に向けて説教した発言録が、毎日新聞の報道で明らかになった。
「自民党の安倍派などを中心にして、超党派的にそうした議員たちを結成して、数を徐々に増やしていかないといけない」(1989年)、「岸首相の時から日本の政界に手を出した」(2004年)などと、岸元首相時代から安倍元首相時代まで3代に渡る旧統一教会との関係の証拠とも取れる内容が含まれている、衝撃の内容だ。
同時にネットでは、改めて安倍元首相の過去の書籍やスローガンが再注目されている。たとえば、「美しい国 日本の使命ー久保木修己遺稿集」(世界日報社=2004年)の発売から2年後に安倍氏の著書「美しい国へ」 (文春新書=2006年)が刊行されている。久保木氏とは、旧統一教会の日本の初代会長である。
また、世界平和連合の機関誌「世界思想」の12年5月号で、特集「戦後憲法の終焉 今こそ日本を取り戻そう」が組まれているが、同年12月の衆議院議員総選挙時に当時の安倍総裁が自民党のスローガンに「日本を、取り戻す。」を掲げた。その結果、自民党は政権を取り戻している。
こうした安倍氏と旧統一教会の繋がりを感じさせる"答え合わせ"が広がるにつれて、《「美しい国、日本」「日本を取り戻す」安倍自民党の選挙スローガンでした。このスローガンから、今の日本想像できましたか? 統一教会向へのスローガンだったのではと思ってしまいます。》《ほんと、なにが美しい国だよ。今思うとすごく気持ち悪い。日本を取り戻す、って自分たちの都合のいい「ニッポン」だわな。》などと批判が相次いでいる。
●創価学会へ統一教会批判が飛び火!それでも被害者救済法が「骨抜き」に 11/10
創価学会に突き刺さる厳しい視線
「学会員」の皆さんにとって、もっとも恐れていた事態が起きている。旧統一教会に対する国民の激しい怒りが、ついに創価学会にまで飛び火してきそうな勢いなのだ。
まず、最も延焼リスクが高まっているのが、「政治」だ。今国会で提出すると岸田文雄首相が宣言した、いわゆる「被害者救済新法」をめぐって、自民、公明、立憲、維新の4党協議が進められているのだが、そこで公明党が「後ろ向き」だと叩かれ始めている。
例えば、TBS NEWS DIG(11月8日)ではこんな野党の公明批判を紹介している。
「(公明党の)大口議員もすごく消極的で、条文なんかそれはなかなかできないというような話に終始されているんです」(立憲民主党 長妻昭政調会長)
「公明党さんがかなり後ろ向きだと聞いていますので、支持母体(創価学会)のことを気にされているのかと」(日本維新の会 藤田文武幹事長)
もちろん、公明側にもこういう姿勢はよくないという自覚がある。読売新聞オンライン(11月7日)に登場した公明幹部は、「しっかり対応しなければ旧統一教会と一緒くたにされてしまう」として、被害者救済新法に前向きでないと、「カルト」と同一視されてしまう恐れがあることを認めている。
さらに、「宗教2世」問題にも嫌なムードが漂っている。
11月1日、評論家の荻上チキ氏が主宰する「社会調査支援機構チキラボ」が宗教2世1131人を対象にアンケートをした<『宗教二世』当事者1,131人への実態調査>が公表された。そこでは旧統一教会、エホバの証人と並んで、対象者が428人と多いということで「創価学会」の名前が登場しているのだ。
そこに加えて、アンケート踏まえた「創価2世」に関する分析もかなり微妙だ。世間でささやかれているイメージにかなり近い結果だからだ。
政治活動への関与要求頻度は、創価学会がかなり高かった
「信心のおかげで成功できたんだね」との頻繁な声がけ経験が最も多かったのは、創価学会2世回答者
「不満は抱くも、辞めない創価2世」という傾向は、特徴的だ
この調査で名前の出ている旧統一教会2世では、既に小川さゆりさん(仮名)が会見を開いて、「(教団を)解散させてください」と訴え、多くのメディアにも出演している。また11月7日には、エホバの証人の3世として育った夏野ななさん(仮名)が野党のヒアリングに参加して、教団の活動に不真面目だとして親からベルトで叩かれるなどの体罰を受けていたことを明かした。
「となると、次は創価2世も…」という憶測も飛び交っている。
高額献金は「宗教あるある」、論点ずらしは許されない
Twitterでは、「創価学会2世」というプロフィールのアカウントが「高額献金」に関して次のように発信し、話題になっている。
──私の母親(故人)の創価学会への寄付の領収書を確認しましたらおおよそ通算で1000万円以上、創価学会に寄付してました。仕事を持たない主婦がですよ。晩年、母はお金がありませんでした。#創価学会さん 母に返してあげてほしかったです。──
この手の話については、実は山上徹也容疑者が事件を起こしてすぐ、7月17日にABEMATVに出演した宗教学者の島田裕巳氏も次のように述べていた。
「統一教会に限らず、色々な団体で高額なお金を出す例はある。私の知り合いで創価学会に一家で8000万円献金したという方もいるので、そういう例はあると思う」
爆笑問題・太田光さんのように「旧統一教会擁護」と叩かれて、自宅に卵を投げつけられたりもしてしまうので専門家もこういう話はあまりしないが、実はほとんどの宗教で「高額献金」というものは存在している。しかも、その多くは信仰にのめり込んで、家族や周囲の人に黙って献金しているケースも多い。
つまり、「被害者救済」の名のもとで、献金の総量規制などをするとなると、宗教法人としての運営そのものを根幹から見直さないといけない団体が山ほどあるのだ。なので、一部の宗教団体は高額献金問題を「旧統一教会が悪質なのは、日本人の金を韓国へ流出させていたことだ」という方向へと論点をずらして、献金ではなく、「海外送金」に対する規制にとどめようとしている。
ただ、このように旧統一教会への国民の怒りが、創価学会にまで飛び火している状況を見れば、さすがにそんな「骨抜き」は許されない。
もし「信教の自由」を理由に、寄付の取り消しや高額献金の問題をカバーしない「骨抜き法案」を通したり、今国会での提出を先送りするようなことがあれば、岸田政権の支持率が危険水域になるだけではなく、公明党批判も強まるだろう。ひいては、深刻な創価学会バッシングを引き起こしてしまう恐れもある。
政府与党として、このような展開は避けたい。となると、野党に歩み寄って、被害者や霊感商法に取り組む弁護士らが要求している、「家族ら第三者による寄付の取り消し権」「マインドコントロール下での高額献金禁止」をしっかりと盛り込んだ新法ができるのではないか。そのような期待を抱いている人も多いことだろう。
ただ、筆者はそれでも今回の被害者救済法は「骨抜き」にされるか、「先送り」にして世間の関心がなくなるのを見計らって廃案へ持ち込むのではないかと思っている。
仮に公明党が世論を警戒して、最大限の譲歩をしてきたところで、自民党内の意見が分裂して、「高額献金」などの問題が棚上げされるだろう。なぜかというと、自民党というのは組織構造的に、宗教団体を怒らせる政策ができない政党だからだ。
地下鉄サリン事件後の「宗教問題」の対応と重なる現在
それを象徴するのが、1996年に「宗教法人基本法案」と仮称で呼ばれた、自民党の“幻の法案”だ。
当時、95年のオウム真理教による地下鉄サリン事件を受けて、「カルト宗教問題」が大きな社会テーマになっていた。そこで自民党としては、宗教法人をもっとしっかりと管理すべきということで宗教法改正を推進したのだが、それだけではまだ十分ではない、という世論があった。それに応える形で、自民党は「宗教問題ワーキングチーム」を立ち上げて、新法の骨子をつくった。「歴史は繰り返す」ではないが、今のムードとまったく同じなのだ。
ただ、この法案の中身を聞くと、今の自民党支持の保守系の人たちはひっくり返ってしまうだろう。
『自民党が検討している「宗教法人基本法案」(仮称)の骨格が四日までに固まった。宗教団体の政治活動の「政教分離」に関する憲法二〇条の政府解釈を見直し、宗教団体の政党創設を禁じたほか、靖国神社への首相、閣僚の公式参拝も事実上、禁止している。また、「信者の脱会の自由」や「霊感商法の禁止」などの規定を盛り込んでいるのが特徴だ』(読売新聞1996年1月5日)
「靖国参拝」とともに引っ掛かるのは、「宗教団体の政党創設禁止」だろう。実はこの時、自民党は社会党、新党さきがけと連立を組んでいた。公明党は分裂して、その一部は小沢一郎氏率いる新進党と手を組んでいた。
そういう経緯もあって、この時期の国会では亀井静香氏や島村宜伸氏らが厳しい公明・創価学会批判を繰り返していた。亀井氏にいたっては、池田大作名誉会長から公明党に指示があるのかなどを確認するため、池田氏の国会招致を請求して、学会員の皆さんから「仏敵」などと憎まれていたのだ。
そんな公明党との「敵対関係」を考えれば、この自民党主導の「新法」は、たとえ靖国参拝などの箇所は削られても、何かしらの形で検討が続きそうだ。オウムの事件で社会問題化した「宗教被害者」の問題もそれなりにカバーされている印象だ。だが、そんな画期的な法案はあっさりと闇に葬り去られた。
これに先駆けて推進をした宗教法改正が、大事なお客さまたちの「逆鱗」に触れてしまったからだ。わかりやすいのが、この法案の報道があった2カ月半後、岐阜であった参院補欠選挙だ。ここでは与党統一候補の大野つや子氏が当選したが、実はこの時に立正佼成会は推薦を見送っている。
推薦見送りの理由は、補欠選挙の前、党内でも立正佼成会と関係が深いと言われる田沢智治元法相がとった行動を見ればわかる。「朝日新聞」(名古屋版 1996年3月20日)によれば、田沢氏は大垣教会へ出向いて、「南無妙法蓮華経」と書かれた白い襷をかけて、仏像を背にしてこう頭を下げたという。
「昨年、ご迷惑をかけた」「宗教法人法改正を慎重にするように主張してきた」(同紙)
立正佼成会は当時、自民党を支持する新日本宗教団体連合会(新宗連)の主要団体を務めていた。新宗連の中には、宗教法改正に反対している宗教団体も多かった。完全に顔に泥を塗られた形だ。立正佼成会の幹部は、こう恨み言を述べている。
「自民党には裏切られた思いだ。これまで通りの支持はできない」(同紙)
ここまで言えば、筆者が何を言わんとしているかお分かりだろう。役員名簿や財産目録の提出などが含まれた宗教法改正でも、これだけのハレーションが起きていた。立正佼成会に限らず、自民党議員は選挙支援を受けている全国の宗教団体に「謝罪行脚」だったのだ。
「法規制は避けたい」というのが自民党の本音か
今、野党側が求めている「家族ら第三者による寄付の取り消し権」「マインドコントロール下での高額献金禁止」など法規制を自民党が認めてしまったら、自民を支える宗教団体からすれば、「裏切り」どころの騒ぎではない。自民党から「宗教票」がごっそりと消えてしまうだろう。
ましてや、自民党の保守系議員には心強い味方である「日本会議」の中には、ネット上で元信者の方が霊感商法だったと告発しているような団体もある。法制化されたらこのような告発の動きが活性化することも考えられる。もしそれが注目を集めたら、旧統一教会問題の「再現」で、祝電を送った、式典で挨拶をした、と支援を受けた議員はボコボコに叩かれる。自民党としてもこのあたりの法規制はできることならば避けたいところもある。
つまり、オウム真理教の問題が落ち着いてきたら、宗教法人基本法案をサクッと葬ったように、旧統一教会問題がトーンダウンしてきたら今回の「高額献金禁止」「被害者救済」の新法もお蔵入りにしてほしい、と願う人が自民党内にはかなりいらっしゃるというわけだ。
これが旧統一教会と同一視されることを恐れた公明党が譲歩をしても、最終的には「被害者救済法」が骨抜き・塩漬けにされてしまうと筆者が心配している理由だ。
ただ、この状況は見方を変えれば、宗教法人にとってはチャンスでもある。ここで積極的に「高額献金禁止」や「被害者救済」を後押しすれば、「おお、カルト規制に賛成しているということはきっと“良い宗教”に違いない」と世間の評価が上がる可能性もある。
もちろん、長い目で見れば、自分の首を絞める可能性もあるが、新しい信者の獲得にプラスなるかもしれない。自民党支持の宗教団体の皆さんも、ぜひとも柔軟な姿勢でこの問題を考えていただきたい。
●旧統一教会の被害者救済 新法案成立へ国会会期延長の見方  11/10
旧統一教会の被害者救済に向けて悪質な献金を規制する新たな法案をめぐり、政府・与党内では、いまの国会で法案を成立させるには会期の延長が避けられないのではないかという見方が出ています。
政府が今の国会への提出を目指している新たな法案をめぐって、与党側は9日、自民党の茂木幹事長が野党4党の幹事長らと個別に会談して、法案の提出前に野党側からも要望を聞く意向を示すなど、速やかな成立に向けて異例の対応をとっています。
ただ、法案の内容をめぐっては与野党間で意見の隔たりがあり、策定に時間を要することから、自民党幹部のひとりは、国会への法案提出は来月初旬以降になるという見通しを示しています。
そして、国会でも一定の審議時間が必要になると見込まれるため、政府・与党内ではいまの国会で法案を成立させるには来月10日までとなっている会期の延長が避けられないのではないかという見方が出ています。
●救済新法と質問権行使で一歩前進も…自民党を脅かす旧統一教会の反撃 11/10
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)問題を巡り、焦点となっている「被害者救済新法」と「質問権行使」が8日、実現に向けて一歩前進した。多くの自民党議員の首根っこをつかんでいる教団が黙っているとは思えない。一体、どんな反撃に打って出るのか。
岸田首相は8日夕、悪質な寄付要求禁止などを盛り込んだ被害者救済新法を今国会に提出すると表明。政府・与党は今国会では「霊感商法」への対応を強化する消費者契約法の改正にとどめる方針だったが、世論に押され、カジを切った格好だ。
また、8日は文化庁の有識者会議が開かれ、文化庁が提示した宗教法人法に基づく「質問権」の行使の基準案が了承された。
基準は、宗教法人に所属する人が繰り返し法令違反、法人の法的責任が認められている、被害が広範囲や重大な場合──などで「客観的な資料、根拠により判断する」としている。旧統一教会が該当するのは明らかだろう。
永岡桂子文科相は「年内のできるだけ早いうちに権限を行使できるよう手続きを進めたい」と強調。質問権の行使を経て、政府が解散命令請求に踏み切る可能性は十分ある。
旧統一教会としては、新法成立により“財源”にメスを入れられ、解散命令請求に向けて手続きが着々と進むのはおもしろくないはずだ。
「まだ教団は自民党議員の政治生命を脅かすような“決定打”は出していません。解散命令請求などを阻止するために小出しに“秘密”をリークし、牽制する可能性がある。関連団体との事実上の政策協定、推薦確認書では、副大臣の署名が判明しましたが、今後は閣僚、党三役など“大物”が浮上することも考えられる。選挙支援、秘書派遣、議員の旅費を教団側が持つなどの資金提供と、教団はさまざまな情報を持っているはずです。関係の深かった議員は戦々恐々としているのではないか」(ジャーナリスト・鈴木エイト氏)
来春の統一地方選挙に向けて、教団が揺さぶりをかけてくる可能性もある。
「地方選は僅差で当落が決まることもあり、教団票がキャスチングボートを握るケースも少なくありません。教団に依存し、密接な関係を築いてきた自民党などの地方議員は、表向きは教団との関係を断つとしながら、実際には難しい場合もあるでしょう」(鈴木エイト氏)
全国各地で教団が地方議員との関係を次々と暴露したら、統一地方選で自民党には大逆風となるかもしれない。解散命令請求と寄付の規制が現実味を帯びる中、教団はあの手この手で“爆弾”を投下し、あらがうのだろうか。
●献金強要「神のため」「ノルマあった」元信者ら口々に 11/10
統一協会(世界平和統一家庭連合)が信者家庭に献金を強要することで、信者の子どもまで経済的に困窮しています。協会側は献金ノルマの存在を否定しますが、元信者らは口をそろえて断言します。「ノルマはあった」と。
統一協会が信者2世の青年にむけて限定配信している「SEISYUN TV」というネット番組があります。8月7日には、中堅どころで2世の教会長らが、若い2世の質問に答える「特番」が配信されました。そこで出た質問は「生活が苦しい場合、それでも献金をささげるべきものなのですか」。
教会長たちからは「(スタジオ中に)緊張感がある」「ナイーブな問題」「家にお金がなくて部活できないことがあった」という言葉がもれました。2世たちが献金を重く感じている―そんな場面でした。
統一協会が実施した2世たちへのアンケートでも「一般家庭と比べて自分の家庭が貧しいと感じたことはあるか」という質問に、「感じたことがある」が33・4%、「やや感じる」が26・3%に達しました。
複数の元信者によると、2009年前後に霊感商法が刑事摘発されて以降、より過重な献金を信者に求めるようになってきたといいます。
目標割り振り
関係者によると統一協会の組織はおおまかに、日本本部―地区―教区―教会―区域―信者家庭という構成です。協会の勅使河原秀行・改革推進本部長は「ノルマはない」としつつも、本部が献金を含む全体の予算をつくって、教区の段階まで割り振っていたことを認めています。
統一協会関係者は本紙の取材に「ノルマがあるのは事実。教区が教会に目標を割り振る。本部は教会まで目標を把握している。当然、教会から区域、信者家庭におりていく」と証言します。
都内に住んでいた元信者は、統一協会の教会から献金を求めるファクスが頻繁に届いていたといいます。
「何月までに、摂理(神の計画のこと)を完成させないといけないから、神様のためにいくら献金しなさいという感じの内容でした。信者だったときは毎晩、祈祷(きとう)会をしていましたので、ファクスを『訓読』していました」
日本をエバ国
関係者によると、日本の統一協会が韓国本部をはじめ世界の活動を金銭的に支えています。統一協会は日本を「エバ国」、韓国を「アダム国」とします。植民地支配の贖罪(しょくざい)などとして、エバ国日本がアダム国韓国に貢げ、という教えです。
日本が朝鮮半島を植民地支配し、多くの被害を与えたのは事実です。しかし日本が贖罪すべき相手は朝鮮半島出身の人たちです。統一協会=開祖文鮮明、韓鶴子夫妻に献金することではありません。
ある信者2世は憤ります。「統一協会の活動は時代の流れとともに形を変えてきた。しかし、いつの時代も活動目的は変わらず『金集め』だ。お金を出さないと不幸になると恐怖を植え付けたり、お金を出すと御利益があると根拠のない効果をうたったりして、お金を集めている」 
●「信教の自由」に逃げ込む宗教界…統一教会問題「解散命令」「救済新法」 11/10
他の宗教法人も手足を縛られる
世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会=統一教会)問題の早期解決を図ろうと、岸田文雄首相は「解散命令」と「救済新法」の2つの課題に取り組んでいる。
「解散命令」は過去に刑事事件化したオウム真理教など2つの事例しかなく、岸田首相は当初、「刑事罰が必要」と言っていたのに、「民法の不法行為も入りうる」と答弁を変えた。これで刑事責任を問われていない統一教会にも迫れるわけで、年内の早い時期に質問権を行使して裁判所に解散命令請求を提出する方針だ。文化庁は8日、質問権行使基準の素案をまとめ、有識者会議に提示した。
「救済新法」は自民・公明の与党が、野党の立憲民主・日本維新の会と共同歩調を取って早期成立を目指してきた。当初、野党側が「悪質な寄付勧誘行為の禁止」や「本人以外の第三者による取消権」などを法案に盛り込んでいる点に関し、与党側は「難しい点が多過ぎる」と反論していた。しかし、内閣支持率の低下に直面している岸田首相は、8日、方針を一転させ、「悪質寄付の禁止」や「取消権」を採り入れた法案の「今国会提出を目指す」と表明した。
統一教会信者の過剰献金やそれに伴う二世問題に端を発しているだけに、統一教会を対象とした解散命令や法整備のように思われがちだが、今後、宗教法人全体に及ぶ改正であることを忘れてはならない。
「解散命令」の要件に「民法の不法行為」も入ると、統一教会並みに献金を強要、家庭崩壊や二世問題を生じさせている他の宗教法人も、不法行為が見つかり社会問題化すれば「解散命令」の対象となる。
「救済新法」も、成立すれば影響は宗教法人全体に及ぶ。宗教法人において、「寄付勧誘行為」は高額献金を高い功徳と置き換えるのが一般的なだけに、献金徴収は見方によっては「悪質」と捉えることもできよう。また信者ではない同居する家族や子供にとっては、過剰献金は許されざるもので、「取消権」を使った訴えが多発することになる。
霊感商法を駆使して宗教ビジネスを展開する統一教会の“悪質”さに合わせて、解散命令が既成事実化されることや高額献金規制など手足を縛る法案が通過することを宗教界は恐れている。なかでも創価学会という日本最大の宗教法人を支援団体に持つ公明党は、「厳しい規制は免れたいが、統一教会バッシングのなかで公言はできない」というジレンマに陥っていることだろう。
警察も裁判所も手出しできない
しかし人は、喉元を過ぎれば熱さを忘れる。95年の14人の犠牲者を出した地下鉄サリン事件で宗教法人法は改正され、解散命令を視野に入れた質問権が付与され、財産や収支をオープンにする書類作成と所轄庁への提出が義務づけられた。しかし質問権が行使されたことはなく、文化庁が各種書類の開示請求に応じたことはない。
阻んでいるのは憲法に保証された「信教の自由」である。世の中を震撼させたオウム事件で改正された法律が形骸化したのは、「信者が納得して行っている献金を含む行為」に、政治も行政もメディアも異を唱えなかったからだ。95年当時、質問権や書類提出に多くの宗教法人が猛反発して声明を出したのに、今回、沈黙を守っているのは「時間が解決する」という“教訓”である。
だが「信教の自由にとらわれる必要はない」と、新宗教問題に詳しいジャーナリストの段勲氏(75歳)は断言する。
「統一教会は宗教ビジネスであって営利企業と一緒です。根こそぎの収奪によって信者の家庭が崩壊する事例も多く、解散命令もやむを得ないでしょう。だからといって信教の自由を侵すことにはなりません。解散命令が出ても教えや信者はそのまま残る。優遇税制など宗教法人としての特権は失いますが、信仰を禁じたわけではない。オウム真理教の場合と一緒です」
確かにオウム真理教は、事件化の翌96年に破産したが、後継団体が設立され、「アレフ」「ひかりの輪」「山田らの集団」の3団体が活動を継続している。オウムの場合は公安調査庁の監視が続いているが、統一教会が「民法の不法行為」によって解散しても、任意団体となって生き残れるし、オウムのような公安の監視下に置かれることはあるまい。
段氏は70年代半ばから新宗教の取材を始め、『新興宗教その狂気と腐敗』など著作は40冊以上に及び、改定を重ねる『新宗教ガイドブック』も制作した。12月には創価学会信者の挫折と苦悩を描いた『「人間革命」の黄昏 創価学会に踊った男の人生』(花伝社)を上梓する。その半世紀に及ぶ取材活動のなかで感じているのが「信教の自由」によってトラブルの解決が阻まれることだ。
「(安倍晋三元首相殺害犯の)山上(徹也)容疑者のような宗教による家庭崩壊は山のようにあり、統一教会だけでなくいろんな宗教法人が抱えています。ただ宗教問題は警察も裁判所も手が出せない。
夫婦の全財産を持って某教団の教会に逃げ込んだ信者夫人がいました。仰天した夫が警察に行っても『民事不介入』で相手にされなかった。裁判しようにも裁く法律がないから結局、離婚訴訟を起こすしかなかった。訴えを受けて訴訟に付き合いましたが、単なる夫婦の離婚問題でないのは明らかでした。
救済新法ができれば宗教法人の違法献金問題として解決に踏み出すことができます。救済新法で論議されている『マインドコントロール下の高額献金の禁止』が適用される事例となったでしょう。反対もあるでしょうが、それは宗教法人サイドの『戻したくない』という事情に過ぎず、信教の自由とは何の関係もありません」
あれほどの税制優遇を受けているのだから
また、宗教法人の財務がオープンにされず、ブラックボックス化していることが、統一教会への底知れない怖さにつながっているとして、段氏は「宗教行為の無税措置を受けている宗教法人は、正当な請求理由がある場合は改正宗教法人法の厳格な適用で財務を開示すべきです」と続ける。
「戦後に宗教法人法が制定されたとき、社会は荒廃し、宗教法人への献金といっても献金箱に5円、10円と入れる時代でした。戦前と違って信教の自由が認められ、戦後の混乱期にはそれなりの役割があり、公益性も高いし掃除など境内の維持もたいへんだということで非課税としたのです。
しかし今、創価学会のように『財務』と称した献金を年間1000億円以上集める法人もあります。税制優遇を受けている公益法人、学校法人、社会福祉法人、認定NPO法人は情報開示が義務化されています。宗教法人だけが例外でいいはずがない」
宗教法人に対する底知れなさは、公称と実際が違う信者数を始め、内実が明らかでないことだ。財務のオープン化は、非課税措置の国民的合意に繋がるだろう。同時に可視化は宗教をより親しみやすくする。
統一教会は霊感商法・合同結婚式など特殊性をもつが、高額献金・二世問題などには他の宗教法人も持つ一般性がある。
宗教法人は、これまで「信教の自由」に逃げ込んできた。そうさせたのは政治である。創価学会、幸福の科学、立正佼成会、神社本庁など宗教法人がそれぞれに政治活動を展開し、その票を当てにした政治家が宗教法人の支援を受け、その見返りに宗教法人側の意向を汲んできた。また信教の自由を額面通りに受け取って、宗教法人に忖度した行政の責任でもある。さらに組織力を駆使して抗議活動を行う宗教法人と敵対することを避けたメディアの責任も重い。
今、「宗教の聖域」は、安倍晋三銃撃事件を生んだ統一教会を端緒に壊されようとしている。我々は宗教法人改革をオウム真理教の時のように一過性のものにするか、これを機に宗教法人の在り方を変え、過剰献金や二世問題を発生させない環境を築くことができるかどうかの瀬戸際に立たされている。
●統一教会被害者救済法策定に萩生田氏が関与で批判殺到 11/10
呆れてものも言えないとはこのことだろう。統一教会とのズブズブの関係が次々と明らかになり事実上更迭された山際大志郎・前経済再生担当相が、更迭からわずか4日後に自民党の新型コロナウイルス対策本部長に就任したという問題。これだけでも信じられない話だが、そのトンデモ人事をおこなったのは、あの萩生田光一政調会長だったのだ。
萩生田政調会長は8日、「辞任した大臣が党に戻ってきて党の仕事をするというのは、そんなに特別なことではない」などと開き直っていたが、ようするにこの男はいまも何の反省もしておらず、心のなかでは「統一教会との関係を持ってどこが悪いのか」と考えているのである。
しかし、これも当然だろう。萩生田氏をめぐっては、今年夏の参院選公示前に生稲晃子氏とともに教会施設を訪問していたことをはじめ、「萩生田さんは教祖のことを“ご父母様”と言っていた」「“一緒に日本を神様の国にしましょう”と話していた」といった証言が続出。自民党のなかでも、もっとも統一教会との関係が深い議員のひとりだ。
ところが、萩生田氏は「反省している」と口にしただけで、いまや何事もなかったかのような顔で政調会長の座に居座りつづけている。その結果、統一教会との関係について反省の色をまったく見せなかった山際氏を党の役職に就けるという信じられない人事がおこなわれてしまったのだ。
しかも、さらに信じられないのは、岸田文雄首相が統一教会の被害救済・防止のための新法について、党内調整を担っているのが萩生田氏である、という事実だ。統一教会とズブズブの関係にあった人物が、被害者救済法策定の中心人物になったという事実に、「泥棒に法律をつくらせるようなもの」「犯罪者に警察官をやらせるような話」との批判が殺到している。
自ら統一教会との関係についてなんらきちんと説明することのないまま、すべてを片付け、いつの間にか人事や政策を我が物顔で差配し始めた萩生田氏──。それもこれも、岸田首相が萩生田氏を守るどころか重用し、メディアが途中で萩生田氏の圧力に怯えて追及を止めてしまったからだ。
いや、追及しなくなったのは、萩生田氏に対してだけではない。萩生田氏の親分であり、統一教会と自民党のズブズブ関係をつくりだした元凶である安倍晋三・元首相についても、完全に追及がやんでしまった。
安倍派の前会長である細田博之・衆院議長も結局、放置されたままだ。細田氏は2019年に韓鶴子総裁が出席したイベントに参加した際、「韓鶴子総裁の提唱によって実現したこの場は大変意義深い」「安倍総理に早速報告したいと考えております」などと発言していたほか、ジャーナリストの鈴木エイト氏は2016年参院選の票の差配についても「細田氏がある候補者に統一教会票を回すと打診したが、その候補が断わったために、別の議員に票が差配されたと言われている」と指摘するなど(NEWSポストセブン10月8日付)、新たな疑惑も浮上しているが、新聞・テレビなどの動きは鈍い。下村博文・元文科相の名称変更への関与疑惑もそのままになっている。
統一教会による安倍派取り込みは教祖・文鮮明の指示だったことが判明
ようするに、被害者の救済法案や質問権行使の動きがあるため、統一教会じたいの問題や、山際・前経済再生担当相のような小物の政治家のことはかろうじて報道されているものの、最近は癒着の本丸である安倍派の政治家たちの問題については、いつのまにかどこかにいってしまっているのだ。
あらためて言っておくが、“統一教会の政界汚染”は、安倍派と同教団の構造的癒着を抜きにしては、解明することができない。
実際、ここにきて、統一教会の安倍派取り込みが、教祖・文鮮明の意向だったという新たな事実が判明した。
毎日新聞が6日・7日と立てつづけにスクープしたのだが、まず、6日付記事では、統一教会の創始者である文鮮明氏の発言録を精査。その結果、1989年に文氏は信者に向けた説教のなかで、当時、晋太郎氏が会長を務めていた安倍派に言及し、“安倍派を中心にした国会議員との関係強化”を訴えていたことが判明した。
このとき、文氏は「国会議員の秘書を輩出する」「体制の形成を国会内を中心としてやる。そのような組織体制を整えなければならないだろう」「自民党の安倍派などを中心にして、クボキを中心に超党派的にそうした議員たちを結成し、その数を徐々に増やしていかないといけない。分かるよな?」などと語っていたことが記されていたという。この「クボキ」とは、日本の統一教会と国際勝共連合の初代会長を務めた久保木修己氏を指すと見られている。
だが、さらに重要なのは7日付記事だ。同じく文鮮明氏の発言録によると、安倍元首相がはじめて首相に就任した1週間後にあたる2006年10月3日、文氏は有力信者に対して「(安倍氏の)秘書室長の名前は何だ」と尋ね、信者が「ナカガワです」と応答。すると、文氏は「お前が2度会ったのか」と質問し、信者が「2回です」と答えると、文氏は「3回、もう一度会わなければいけない」と命じたというのだ。
なんと、教祖自らが晋太郎氏の時代から安倍派への接近を言い付け、さらには第一次安倍政権の発足時には側近への度重なる接触を命じていた──。この「ナカガワ」という人物について、毎日新聞記事では、当時自民党幹事長を務めていた安倍派所属の元衆院議員・中川秀直氏ではないかと推測。中川氏に面会の有無を取材したところ、「記憶にもないし、会ったこともない」という回答だったというが、少なくとも、安倍元首相に近い関係者に対し、第一次政権の時点で統一教会が接触していたことは間違いないだろう。
岸田自民党はなぜ安倍元首相と統一教会の関係を追及しないのか!
安倍元首相が統一教会との関係を深めたのは下野時代だと見られ、実際に安倍氏の地元事務所の内情を知る人物が「(統一教会が)事務所との協力関係にあった」と証言した際、当初は統一教会と一定の距離を置いていたとし、「特に親密になったのが、第二次政権の前くらいから」「第二次安倍政権を誕生させるために統一教会の力が必要だった」と述べている(FNNプライムオンライン10月8日付)。
一方で、統一教会と政界の関係は、安倍元首相の祖父・岸信介氏が大元であり、父の晋太郎氏も、教会員を他の議員に秘書として紹介したり、議員を教団のセミナーに勧誘したことが報じられてきた。
そして、今回の文教祖の発言録。ようするに、教祖である文鮮明の意思によって、取り込みがおこなわれ、安倍元首相を筆頭にした安倍派と統一教会の協力関係が深まっていったのだ。さらに第二次政権になって、安倍元首相らの差配によって、その癒着が自民党全体へと波及し、自民の候補者と「政策協定」を結ぶ関係にまで至った……。この歴史的な経緯を考えれば、統一教会と安倍派の構造的な問題の解明なくして関係の清算は絶対にありえないということは、明々白々だ。
ところが、岸田自民党が安倍元首相の問題について調査を拒否しつづけていることをはじめ、細田氏はいまだに衆院議長の座のまま、萩生田氏も政調会長として前述したように山際“ズブズブ”前大臣を役職に就かせる始末。なにより、こうした安倍派絡みの問題に対し、メディアは深堀りしようとも徹底追及しようともしない。そのせいで、細田氏や萩生田氏が要職にのさばるという異常事態に陥っているのだ。
このメディアの姿勢の背景には、萩生田氏をはじめとする自民党幹部のメディアに対する圧力体質に忖度が働いている。そして、マスコミがそんな体たらくだからこそ、萩生田氏がいつのまにか、我が物顔で人事や政策に口を出し始めているのだ。
国民を舐めきったこの政治家の暴走を抑えるためにも、マスコミはあらためて萩生田氏をはじめとする安倍派連中の統一教会汚染を徹底的に追及する必要がある。
●旧統一教会 献金への「念書」「動画撮影」 「宗教団体の体をなしてない」 11/10
日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」が10日に放送され、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して、信者が献金する際に念書を書かせたり、証言を動画撮影していたことなどが報じられた。
母親が1億円を超える献金しているとし、損害賠償を求めている中野容子さん(仮名)は、体調が衰え始めていた母が献金について念書や陳述書にサインし、その際の動画も撮影されていたと明かした。念書では「献金は自由意思によって行ったもの」などとされていた。動画では旧統一教会の婦人部長が、念書、陳述書の内容について「ご自身の認識に一致するということですね」と質問。母親は「はい」と認めていた。
司会の宮根誠司は「念書だとか陳述書、動画を撮影するということが宗教団体としての体(てい)をなしていない。裁判になった時の資料にしようっていうことですよね」とあきれていた。コメンテーターとして出演していたアンミカは「自覚があるんですよね、裁判になるようなことをしているって。宗教法人がこういうことをしているっていうのがにわかに信じられなくって」と驚くばかりだった。
●旧統一教会、被害の電話相談2367件 金銭トラブル7割 11/10
政府は10日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の関係省庁連絡会議を開いた。9月5日に開設した合同電話窓口への相談は10月31日までで3650件に上った。政府の対応などへの意見を除いた被害の相談は2367件だった。
関係省庁で対応した合同窓口は11日に終了し、14日からは日本司法支援センター(法テラス)が機能を引き継ぐ。霊感商法をはじめとする宗教トラブル全般に関する専門窓口を設ける。
政府は消費者契約法の改正案、悪質な寄付行為を制限する新たな法案を今国会に提出する方針だ。こうした法整備は将来の被害を防ぐのが主な目的で、連絡会議は足元の被害者を見つけ救済する点に軸足を置いた。
被害の電話相談2367件の内訳をみると金銭トラブルが1615件と全体の68%を占めた。直近の支出が1年以内の相談が17%、10年以内が35%だった。
親の信仰により虐待などの被害を受ける「宗教2世」を含む「親族間の問題」が311件で続いた。「心の悩み」は195件だった。
相談体制の刷新にあわせた対応策もまとめた。法テラスは窓口の担当者に加え弁護士や心理専門職を置く。文書には「単なる法律支援にとどまらず他の必要な支援も総合的・一体的におこなう」と記した。
消費生活センターや日本弁護士連合会など外部機関との連携も強める。
合同窓口からの対応を引き継いだ機関は警察が6%を占めており、教団側からの退会申し出への脅迫など犯罪の疑いがある行為を対象にした。対応策は「刑罰法令に抵触する行為が認められる場合は、法と証拠に基づき迅速かつ適正に対処する」と明記した。
子どもや若者の救済に向けては児童相談所やスクールカウンセラー、大学生協などの活用を盛り込んだ。

 

●文科相、旧統一教会に質問権行使へ…「不法行為」認定判決を根拠に  11/11
永岡文部科学相は11日午前の記者会見で、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に対して宗教法人法に基づく質問権を行使する考えを表明した。質問権の行使は1996年施行の改正法で創設されて以来、初めてとなる。
永岡氏は、旧統一教会を巡って、組織的な不法行為を行ったと認定した民事判決が2件、民法上の使用者責任を認めた判決が20件あり、損害賠償額も少なくとも約14億円に上るとして、文化庁で定めた質問権行使の基準を満たすと判断した。永岡氏は「宗教法人法の手続きにのっとり、収集した事実関係に基づいて厳正に対処したい」と述べた。
月内にも宗教法人審議会に諮問し、意見を聞いた上で、年内の早い時期に質問を提示する方針だ。旧統一教会側の回答内容次第では、質問が複数回にわたる可能性がある。
調査の結果を踏まえ、永岡氏は、旧統一教会の解散命令を裁判所に請求するかどうか判断する考えだ。
文化庁は8日、有識者会議の議論を踏まえて、法令違反による広範な被害や、重大な影響が生じている疑いがある場合などを対象とする質問権行使の基準を策定していた。「疑い」については、公的機関の判断などを根拠にすると規定している。
実務を担う文化庁宗務課は、法務省や国税庁などからの応援を受けて計38人に増員し、具体的な質問項目の作成を急いでいる。旧統一教会の被害救済に取り組んできた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」との情報共有も進めている。
●旧統一教会に「質問権」行使 年内にも、解散命令該当か調査 永岡文科相 11/11
永岡桂子文部科学相は11日の閣議後記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、宗教法人法に基づく「質問権」を行使すると表明した。
文化庁の専門家会議でまとまった行使基準に沿って検討した結果、旧統一教会などの不法行為責任を認めた判決が多数あり、昨年までに命じられた損害賠償額が累計で少なくとも約14億円に上ることなどから判断した。
永岡氏は質問内容について「できるだけ速やかに宗教法人審議会に具体的事項や理由を諮問したい」と述べ、年内にも初の権限行使に踏み切り、業務や管理運営の実態を調べる。
宗教法人法では、解散命令を出す事由として、「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」などと規定している。
8日の専門家会議でまとまった基準では、刑事・民事裁判の判決といった公的機関の判断などの客観的な資料や根拠に基づいて事由に該当する疑いがあるか判断。宗教法人に所属する者による法令違反が相当数繰り返されるなど、「広範な被害や重大な影響が生じている疑いがある」と認められる場合は、当該宗教法人に報告を求め、質問できるとした。
●“旧統一教会の問題で「質問権」行使”と表明 永岡文部科学相  11/11
旧統一教会の問題をめぐって、永岡文部科学大臣は宗教法人法に基づく「質問権」を行使すると表明しました。「質問権」の行使による調査で、解散命令に該当しうる事実関係を把握した場合、裁判所への解散命令の請求を検討する方針です。
旧統一教会に対する宗教法人法に基づく「質問権」の行使をめぐり、永岡文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で「旧統一教会の事案については、教会や信者などの行為に関する不法行為責任を認めた判決が多数あることなどから、専門家会議が先にまとめた基準の『公的機関において当該法人に属する者による法令違反や当該法人の法的責任を認める判断がある』という点に該当する」と述べました。
また「文部科学省で把握しているかぎり、令和3年までの民事裁判の判決で認められた損害賠償額も多数の原告につき、累計で少なくとも14億円に及ぶことなどから、基準でいう『法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている疑いがある』と認められることにも該当する」と述べました。
そのうえで永岡大臣は「以上のことから文部科学大臣として、旧統一教会に対して報告徴収・質問権を行使することとし、できるだけ速やかに、宗教法人審議会に具体的な事項とその理由を諮問したい」と述べ、旧統一教会に対する「質問権」を行使すると表明しました。
これを受け、文部科学省は、速やかに教会への質問案とその理由をまとめ、今月中にも宗教法人審議会に諮問したうえで、「質問権」を行使する方針です。
そして「質問権」の行使による調査で、解散命令に該当しうる事実関係を把握した場合、地方裁判所への解散命令の請求を検討する方針です。
「質問権」の行使は、平成8年の法律改正でこの規定ができて以来、初めてです。
旧統一教会の担当者「質問内容に即して回答準備」
永岡文部科学大臣が宗教法人法に基づく「質問権」を行使すると表明したことについて、「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の担当者は「政府の意向に従って誠実に対応してまいります。ご質問いただく内容に即して回答を準備します」と話しています。
不法行為認めた民事裁判の判決
文部科学省によりますと、違法な勧誘による献金など、旧統一教会や信者の不法行為を認めた民事裁判の判決が22件あり、損害賠償額は累計で少なくとも14億円になるということです。
判決は1994年以降、東京や大阪、福岡、札幌などの裁判所で出されていて、▽旧統一教会による組織的な不法行為を認めた判決が2件、▽信者による不法行為を受け、旧統一教会の「使用者責任」を認めた判決が20件あります。
直近では東京地方裁判所がおととし、旧統一教会などに470万円余りの賠償を命じた判決があり、元信者の原告が2015年ごろまでに行った献金について、裁判所は「家族の病気などに関して不安や恐怖心をあおられ続ける中で献金をした」として、勧誘などをした別の信者の不法行為だと認め、旧統一教会にも一部で「使用者責任」があるとしました。裁判はその後、最高裁まで争われましたが、1審の判断が維持され、確定しています。
「質問権」今後の想定される動き
「質問権」の行使をめぐり、今後、想定される動きについてまとめました。
Q 質問権の行使の一般的な基準はどのように使われるのか?
A 文部科学省は、基準をもとに旧統一教会への質問案とその理由をまとめ、宗教法人審議会に諮ります。宗教法人審議会の委員は宗教団体の幹部や大学教授など専門家会議と同じ19人で構成されています。委員の意見を踏まえて文部科学省は質問権を行使し、旧統一教会の許可が得られれば立ち入り調査なども行うことができます。
Q どんな質問がされるのか?
A 文部科学省は、「基準が決まったのでこれから質問案を検討する」としています。内容については、旧統一教会の組織的な不法行為を認めた民事裁判の判決や、政府に3700件以上寄せられた金銭トラブルなどの電話相談に関することなどが想定されます。
Q 質問した後はどうなる?
A 文部科学省は、解散命令に該当しうる事実関係を把握した場合、調査の途中でも地方裁判所への解散命令の請求を検討するとしています。請求があった場合、地方裁判所は、文部科学省や旧統一教会から意見を聞いたうえで、解散命令を出すかどうか判断します。文部科学省や旧統一教会は、裁判所の判断に不服がある場合、高等裁判所や最高裁判所に申し立てることができます。
Q 解散命令が出されたらどうなるのか?
A 宗教上の行為が禁止されるわけではありません。ただ、宗教法人は解散となり、固定資産税の非課税などの優遇措置が受けられなくなったり、財産を処分しなければならなくなったりします。
Q 質問権が行使されれば初めて。どこに注目すべきか?。
A 信教の自由を守りながら、宗教法人の活動にどこまで介入できるのか、そして解散命令請求につながるものが見つかるのかが重要な焦点になりそうです。今後開かれる宗教法人審議会では、質問案一つ一つについて、冷静な議論が求められます。
立民 泉代表「年内の解散命令請求へ」
立憲民主党の泉代表は、記者会見で「年内の解散命令の請求にたどりつくかどうかが問われている。これまでに寄せられている被害を認識・把握したうえで、『質問権』を行使すべきで、しっかりやってもらいたい」と述べました。
公明 石井幹事長「適切なプロセス 行使も厳正に対処を」
公明党の石井幹事長は、記者会見で「恣意的(しいてき)な運用にならないよう一般的な基準を作るべきだと主張してきたが、非常に適切なプロセスを踏んでいると思う。行使についても、適切に厳正に対処していただきたい」と述べました。
●旧統一教会関連団体の職業訓練校建設にODAで955万円余 外務省  11/11
外務省は、旧統一教会の関連団体のNGOがアフリカのセネガルに職業訓練校を建設した際、ODA=政府開発援助として955万円余りの無償資金協力を行っていたことを明らかにしました。
これは、11日の衆議院外務委員会で、外務省の担当者が明らかにしました。
それによりますと、外務省は、旧統一教会の関連団体のNGOがアフリカのセネガルに職業訓練校を建設した際、2015年2月にODA=政府開発援助として、955万余りの無償資金協力を決定し支援したとしています。
これについて、林外務大臣は「セネガルの女性が質の高い職業訓練などを受け、社会進出に貢献するものと考えて供与を決定した」と説明しました。
一方で、「当時、NGOが旧統一協会の関連団体とは認識していなかった」と述べ、ほかにも同様の事例がないか確認するよう指示したことを明らかにしました。
また、外務省は、2018年に、旧統一教会の関連団体が運営するルワンダの技術専門学校の創立20周年記念式典が開かれた際、当時のルワンダ大使が出席し祝辞を述べていたことも明らかにしました。
●教団の“代弁者”状態 統一教会「被害者救済法」を邪魔したい自民議員 11/11
11月8日、これまでの方針を一変させ、政府として旧統一教会の被害者救済法案を提出する意向を示した岸田首相。同法案を巡っては、これまでの与野党協議で自公サイドが慎重姿勢を取り続けてきましたが、そもそもなぜ与党はここまで後ろ向きなのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんが、その「本当の理由」を推測。さらに未だ旧統一教会との癒着を断ち切れぬ自民党を強く批判しています。
統一教会の被害者救済法に自公が後ろ向きな本当の理由
「政府としては今国会への提出を視野に最大限の努力をする」。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)をめぐる被害者救済法案が、与野党協議における自民、公明両党の慎重姿勢でまとまらないのに業を煮やした岸田首相は、政府の手で法案を提出する方針を表明した。
被害者救済法案は、立憲民主党と日本維新の会が議員立法として共同提出し、それを基調に、自民、公明、立憲、維新の4党による協議が行われてきた。今国会での成立をめざしたが、11月1日の協議で、与党側が流れを押しとどめた。「新たな法律の制定については今後の検討事項とすべきだ」と、今国会は見送る方針を示していた。
この状況に、岸田首相は危機感を抱いた。内閣支持率の下落に歯止めをかける切り札とみているからだ。先般、宗教法人法に基づく質問権を行使して統一教会の実態調査をすると言明したが、解散命令を裁判所に請求できるかどうかは不透明だ。まずは、被害者救済のための新法をつくり、成果を早く示したいという思惑があるに違いない。
与野党協議の不調を打開するため政府が法案を提出するというのなら、それなりに正当な理由があり、岸田首相のリーダーシップもアピールできる。これまで議論を主導してきた立憲、維新両党は、岸田首相に油揚をさらわれる形になるが、成立に一歩進むのであれば、文句はいえまい。
むしろ、岸田首相の決断に複雑な思いなのは自民、公明両党ではないだろうか。岸田首相もそこに配慮し、公明党の山口代表、自民党の萩生田政調会長の了解をとりつけたうえで、政府案提出の方針を発表した。
ただし、岸田首相が乗り出したからといって、新法制定が確実になったわけではない。与野党協議は今後も行われ、対立点の解消のために政府との間で駆け引きが続くだろう。
メディアの報じる対立点はこうだ。野党はマインドコントロール下における献金や物品購入について、被害者家族が返金請求できることを明記するよう求め、それに対し与党は、「マインドコントロール」の定義は難しく、そもそも憲法が保障する財産権を侵害しかねないとして慎重だ。
たしかに、マインドコントロールという概念を法律に盛り込むのは、難しい。オウム真理教事件で罪を犯した信者がマインドコントロールされていたという理由で減刑を求め裁判所に却下された例もある。
そこで、野党の法案を見てみると、実はそこに「マインドコントロール」という言葉は出ていない。ただ「特定財産損害誘導行為」を説明する以下の部分は、明らかにマインドコントロールについての記述だ。
――精神・身体の拘束や、霊感に基づく不利益告知により不安・恐怖を与えたり、心理学に関する知識・技術の濫用で心身に重大な影響を及ぼすなどして、自由な意思決定を困難にする不当行為。――
このような条件下で、信者に高額献金や物品の購入を繰り返させる行為を「特定財産損害誘導行為」と位置づけ、罰則付きで禁止。本人だけでなく家族にも「取消権」を認め、国が宗教団体に中止を勧告したり、是正を命令したりできるとしている。
この与野党協議。立憲、維新にすれば、政権側に接近し「提案型野党」をアピールできる。岸田首相にしても、野党との連携強化で党内基盤の弱さを補強してゆく思惑があった。
これに対し、与党側が渋る要因の一つは、創価学会という宗教団体を母体とする公明党の意向があるからだろう。
公明党の石井幹事長は、「拙速に決めるのではなく、専門家の意見も踏まえながら、あとあと問題にならないように少し時間をかけて議論していくのがよいのではないか」と慎重な姿勢を示していた。
周知の通り、創価学会にも献金システムがある。「マインドコントロール」の定義によっては、献金被害と認定されるケースも起こり得るだろう。
もう一つ。あくまで推測だが、岸田首相に対する萩生田自民党政調会長の反発もあるのではないか。
岸田首相は10月17日の衆院予算委員会で、「旧統一教会と関係を持たずに政治活動を行ってきた私が責任を持って未来に向けて、この問題を解決したい」と大見得を切った。10月31日の自民役員会では「与野党協議会への対応を含め政府・与党でよく連携したい」と、協議の進展にむけてハッパをかけた。
岸田首相のそんな発言は、さぞかし統一教会と親密で野党嫌いな萩生田氏の気に障ったことだろう。萩生田氏は統一教会のみならず、多くの宗教法人を傘下にする日本会議との関係も深い。宗教団体への規制強化そのものに対して抵抗感が強いはずだ。
安倍・菅時代と違い、立憲民主党は岸田政権との距離を縮めている。宏池会出身の岸田首相とは肌が合うのだろう。それもまた、安倍シンパだった萩生田氏ら右派勢力には気に入らない材料だ。
ともあれ、岸田首相は自らの発言によって、統一教会問題の解決に期待値を高めた分、重い責任を負うことになった。被害者救済法が誕生するなら、政権浮揚につながるかもしれないが、不首尾に終われば、指導力不足を問われるだろう。
萩生田氏をはじめとした自民党右派と公明党は明らかに、岸田首相の思惑とは逆の方向に進んでいるように見えた。
与野党協議に任せておくと、被害者救済法案はまとまらない。そう思った岸田首相は萩生田政調会長と山口公明党代表を説き伏せて、法案制定を政府主導とするところまでこぎつけた。
しかし、政府の法案が、野党の求める内容と同じレベルになるかどうかはわからない。しかも、岸田首相は「今国会への提出を視野に最大限の努力をする」と、曖昧さをのぞかせている。「条文が出てこないと判断できない。これで安心とは言えない」(立憲幹部)という声も出ており、新法の実現に向けてはまだ曲折がありそうだ。
岸田首相は安倍元首相の国葬でつまずいて以来、やることなすこと裏目に出て、政権内のガバナンスが揺らいでいる。とりわけ目立つのは、与党との連携がうまくいっていないことだ。
電気・ガス代など諸物価高騰に対処するための29.1兆円にのぼる総合経済対策でさえ、党の要求に岸田首相が折れ、一夜にして4兆円が上積みされたと、そのバラマキぶりが批判される始末だが、それも積極財政を唱える萩生田政調会長が、財務省幹部に「怒号」を発したのがきっかけだったようだ。
人事もちぐはぐだ。統一教会との接点が次々と発覚した山際大志郎氏が経済再生担当大臣を更迭されたと思ったら、わずか4日後には自民党の新型コロナウイルス対策本部長に就任した。萩生田氏の差し金ではないかと憶測を呼んでいる。
当然、強い批判が予想される人事であり、岸田首相が指示するはずはない。茂木幹事長も「これ政務調査会の人事でありますので、そちらにお聞きください」と記者の質問に答え、萩生田氏の介在をにおわせた。
自民党はいまだ統一教会の呪縛から解き放たれていない。暴露攻勢を恐れ、教団を刺激しないよう関係をあっさり認めてしまう副大臣や政務官、政府高官らが国会審議の中で続出したのには驚いた。大串正樹デジタル副大臣と山田賢司外務副大臣は、昨年の衆院解散前に教団関連団体との間で「推薦確認書」を交わし、木原誠二内閣官房副長官は推薦状をもらっていた。井野俊郎防衛副大臣は法務政務官だった2016年、教団関係者を政務官室に招き入れたと認めた。
とどまるところのない底なしの汚染。これでは、いくら岸田首相が焦りを募らせようとも、統一教会に本気で立ち向かい癒着を断つ機運が自民党から生まれてこないだろう。そのような政党に国政を委ねたままにしておいていいのだろうか。
●公明・石井氏「厳正に対処を」 旧統一教会質問権行使 11/11
公明党の石井啓一幹事長は11日の記者会見で、永岡桂子文部科学相が宗教法人法に基づく「質問権」を世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して行使すると正式表明したことに関し「適切、厳正に対処してほしい」と語った。
石井氏は「公明党は(質問権の行使が)初めてのケースなので、恣意(しい)的な運用にならないよう一般的な基準をきちんと作るべきだと申し上げてきた」と述べた上で、「非常に適切な質問権行使のプロセスを踏んでいる」と評価した。
●旧統一教会に1億円超の献金、被害の宗教2世が糾弾 11/11
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向けた政府の動きが進む中、当事者から切実な声が上がっている。30代の奥野まきさん=仮名=は家族が教団の信者になり、献金は1億円を超えた。生活は困窮して祖母は介護施設に入れず、ヤングケアラーになった。がんになった父は教団幹部の言葉を信じ、治療をせず亡くなった。「高額献金を規制しなければ、わが家のようになる」と訴える。
家族は所有する不動産を運用し、生計を立てていた。奥野さんが生まれた当時、親族の急逝や病気が重なった。父や祖母は旧統一教会と知らされずに布教を受け、入信。母と奥野さんも信者となった。父や祖母は献金のため、不動産を次々と売却した。「資産や収入の8割は献金に充てたと思う」と奥野さんは振り返る。家計は苦しく、食卓におかずがいくつも並ぶことはなかった。
奥野さんが小学生のころ、父はがんと診断された。教団関係者の勧めで教団本部がある韓国に行き、幹部に「悪霊がつくから病院に行くな」と言われた。指示に従って治療はせず、祈禱を受け続けた。病状が良くならないと、信者らは「信仰が足りない」「献金が足りない」と詰め寄った。
父は亡くなり、やがて祖母も倒れた。介護施設の入所費を払えず、自宅で世話をした。友人と遊ぶ余裕もなく、生きる意味を見いだせなかった。高校は入学直後に中退。祖母はその後、亡くなった。
一家は献金をするだけでなく、家系図も教団に渡していた。親族が亡くなると保険金を当てにしたのか、信者から「献金するからお金を貸して」との訪問や電話が相次いだ。警察に相談したが「宗教のことは介入できない」と言われた。
母とともに教団から離れたが、複雑性心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。恋愛など教義に反する行為をすれば「地獄に落ちる」と言われ続けたことも原因だと思っている。
教団は過度な献金による被害を防ぐため、収入の3割を超えた場合は経済状況を確認するなどの基準を示した。高額献金に散々苦しめられてきただけに「あつかましい」と思った。
母に怒りをぶつけ、泣きながら謝られたことがある。でも心は晴れない。「教団の幹部に謝ってほしい。そして被害者救済を本気で考えてほしい」 
●新法相の斎藤健氏「秘書が旧統一教会関係団体の会合に参加」 11/11
法相に就任した斎藤健氏は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点について、「秘書が認識をせずに一度だけ関係団体の会合に顔を出したことがある」と自身のホームページで説明している。ビラ配りや集会のボランティアに1人、「ご関係の方がいた」とも記載。教団や関連団体の会合に自身が参加した事実はないとしている。
●自民党の長野県議会議員5人が関連団体集会に参加…政務活動費 長野 11/11
自民党の長野県議会議員5人が旧統一教会に関連する団体の集会などに政務活動費を使って参加していたことがわかりました。
共産党県委員会は会見を開き、過去5年間にわたり県議会議員およそ40人について行ったとする独自の調査結果を公表しました。
これをもとにSBCが取材したところ自民党県議団に所属する議員5人が旧統一教会の関連団体が開いた集会などに政務活動費を使って参加していました。
このうち本郷一彦(ほんごうかずひこ)議員は2017年から2022年の間にあわせて6回マイカーで集会などに参加し、交通費として政務活動費およそ5300円を支出していました。
本郷議員は「声をかけられた会合はなるべく出席するようにしている、関連団体という認識はなかった」としています。
このほかの4人の議員もそれぞれ1回ずつ集会などに参加し、交通費として政務活動費を支出していました。
共産党県委員会は自民党県連に対し、旧統一教会との関係について県民への説明責任を果たすことなどを求める要望書を提出しました。

 

●質問権を行使 実態解明を迅速・適正に  11/12
永岡桂子文部科学相が、高額献金などの被害が相次ぐ旧統一教会に対し、宗教法人法に基づく質問権を行使すると表明した。質問項目を宗教法人審議会に諮問し、年内の調査着手を目指す。
教団による被害者の早期救済を図るため、裁判所への解散命令請求も視野に、教団の実態解明を迅速、適正に進めるべきだ。
同法は解散命令要件を「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」などとし、その疑いがある場合は質問権を行使できると定める。
政府は、献金や勧誘を巡る旧統一教会の組織的な不法行為を認定した民事判決を二件、民法上の使用者責任を認めた判決を二十件把握しており、全国霊感商法対策弁護士連絡会は解散命令を直ちに請求すべきだと求めてきた。
ただ、政府は「現在、解散事由に該当すると明確には認められない」(岸田文雄首相)とし、解散命令を請求するには、質問に対する教団の回答も踏まえ、不法行為の悪質性、組織性、継続性を確認する必要があるとしている。
教団は二〇〇九年以降、信者に法令順守を徹底してきたと主張しているが、弁護士連絡会は〇九年以降も献金強要などの例は多数あると報告している。政府は質問項目の作成に当たり、弁護士連絡会にも協力を求めてはどうか。
質問権は今後、別の宗教法人に行使する可能性も否定できない。恣意(しい)的な権限行使を疑われないよう留意する必要がある。
裁判所が解散命令請求を認めたとしても、教団を巡る問題の区切りにはならない。解散命令に向けた手続きが遅れた背景に、教団と政治家との密接な関係が影響していなかったのか否かも徹底的に解明しなければならない。
献金や勧誘を巡る教団の不法行為で被害を受けた人や家族の救済も急務である。
政府と与野党は悪質な寄付要求の禁止など被害防止に向けた新法制定に向けて協議を進めている。与野党間には意見の隔たりもあるようだが、被害者の救済を第一に今の臨時国会での成立を目指して議論を尽くしてほしい。
●混迷する旧統一教会 被害者救済法案 11/12
いわゆる旧統一教会の被害者救済法案を巡って今週、永田町は大きく揺れ動きました。
臨時国会が招集されてから1カ月以上。第2次補正予算案の成立など課題が山積するなか、今、政府・与野党ともに奔走しているのが、旧統一教会の被害者救済のための法案です。
岸田総理大臣:「私自身、旧統一教会の被害者の方々とお会いし、凄惨(せいさん)なご経験、直接おうかがいしました。政治家として胸が引き裂かれる思いがしました。政府として被害者救済と再発防止のためにペースを早めて、範囲を広げて新たな法制度実現に取り組む決意をしました」
8日、記者団を前に決意を語った岸田総理。ですが、政府が動き出すまでに与野党間では紆余曲折がありました。
立憲民主党・安住国対委員長:「ここからは与野党の枠を取り払って、国会として成案を得て早急な結論を得たい」
高額献金や霊感商法による被害者の救済に向けて、党の垣根を越えて始まった与野党の協議会。ところが。
立憲民主党・長妻政調会長:「(与党は)やるやると言っていながら、条文はできないと。非常にまたその後退をしてしまったなというふうに思います」
野党側がマインドコントロールのもとでの寄付を家族などが取り消せるよう新たな法整備を目指すのに対し、与党側は憲法が保障する財産権や自己決定権を侵害する恐れがあるため、慎重な姿勢を取っていることなどから、隔たりが生まれてしまったのです。
与野党の動きのペースが鈍化し、国会の会期も半分以上過ぎるなか、タイムリミットが迫ってきたところで今回、政府が動き出しました。
松野官房長官:「消費者庁に法制検討室を設置し、警察庁・法務省・文部科学省といった関係省庁からも職員を派遣して検討を行っており、現在、検討室職員の増員も進めているところであります」
さらに、自民党の茂木幹事長も野党各党の幹事長らと会談し、新法成立のためにお願い行脚を行いました。
自民党・茂木幹事長:「早期の成立に向けてご協力をお願いしたい、こういう要請をさせて頂きました」
一方で、これまで与党は立憲民主党、日本維新の会と協議を進めてきましたが、国民民主党との実務者協議が行われるなど新たな動きもあります。
12月10日の会期まで残り1カ月とタイムリミットが迫るなか、今後の焦点は各党がどこまで足並みをそろえ、憲法が保障する財産権などの部分をクリアできるかというところです。
●旧統一教会も、入管行政も…人権感覚が問われる法相の「死刑はんこ」発言 11/12
葉梨康弘法相の発言に対しては、更迭が明らかになった11日も、批判や憤りの声はやまなかった。
人の命の重みを全く考えていない
1994年に超党派の国会議員で「死刑廃止を推進する議員連盟」を発足させた二見伸明・元運輸相(87)は「更迭は妥当。発言から、人の命の重みを全く考えていないことは明らか」とばっさり。かつて細川護熙内閣で法相を務めた三ケ月章氏(2010年死去)に「就任を打診され『職務で人の命を奪うことになる』と三日三晩考え抜いた」と明かされたといい、「それだけ重い職責だ」と考えている。
死刑囚の再審弁護人などを務めた岩井信弁護士は、葉梨氏の発言を「死刑の執行手続きを単純な書類手続きと考えていることの表れ」とみる。刑執行は原則、検察官の指揮だが、死刑のみ「法務大臣の命令による」と法で定める。岩井氏は「大臣が悩み、考えて判断することを法律が求めているのに」。
文芸や絵画作品を募る「死刑囚表現展」選考委員の評論家、太田昌国さんは「特に第2次安倍政権以降、人権を尊重しない人間が登用され、おかしな発言ばかり。有権者は『これだけ政治的見識がない人を選んでいる』と、我が身の恥ずかしさも振り返るべきだろう」と指摘した。
被害者に寄り添っているのか
葉梨氏は、旧統一教会問題の関係省庁連絡会議の議長も務め、10日に省庁横断的な相談体制強化の方策をまとめた。関係省庁の合同電話相談窓口で高額献金被害を訴えたという元信者の30代女性は「葉梨さんは被害当事者に寄り添ってくれていると思っていた。発言から、教団の問題や被害者に目を向けていなかったと分かった」と憤る。
法相は入管行政も携わる。NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の山岸素子事務局長は「『法相は注目されない』という趣旨の発言があったが、最近も国連の自由権規約委員会から入管収容や難民認定などの改善勧告が出された。国際社会から注目され、批判されている」と話す。
名古屋出入国在留管理局で収容中に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=遺族代理人の駒井知会弁護士は「入管制度で人命軽視や人権侵害が問われている時に、こんな発言をするとは」と嘆いた。(小嶋麻友美、太田理英子、望月衣塑子、梅野光春)
「がっかり」「残念」地元茨城でも
葉梨康弘法相更迭の報道を受け、地元・茨城県の自民党県議から驚きや失望の声が上がった。12月11日投開票の県議選への影響を心配する人もいた。
県議選牛久市選挙区で立候補を予定する自民現職の山岡恒夫県議は「がっかりです」。牛久市は葉梨氏が当選した衆院茨城3区に含まれる。山岡県議は自分と葉梨氏の顔写真が入ったポスター100枚ほどを掲示しており、「貼り替えることになると思う」。葉梨氏の辞任には「大臣だから自分の発言に責任は持たないといけない」と語った。
この日、自民党県連は役員会を開き、終了直後に辞任の知らせが入った。県連幹事長の西條昌良県議は「大変びっくりした。地元選出の大臣として期待していただけに残念だ」と報道陣に語った。
役員会の議題は、県議選に向けた選挙対策本部の設置だった。西條県議は「候補者には発言に注意して臨むよう伝えたい」と身を引き締めた。
●齋藤健新法務大臣 旧統一教会の被害者救済「早急に準備進めたい」 11/12
「死刑のはんこを押す地味な役職」などと発言した葉梨前法務大臣が事実上、更迭されたことを受け、新たに法務大臣に就任した齋藤健新大臣が先ほど就任会見を開き、旧統一教会の被害者の救済に迅速に取り組む考えを示しました。
齋藤健新法務大臣「一番大事なことは、国民から信頼される法務行政。この実現だと考えています」
法務大臣に就任した齋藤新大臣はこのように抱負を述べた上で、新たな法案の検討が進められている旧統一教会の被害者救済について、「早急に準備を進め、被害者の皆さんの救済に全力を尽くしていきたい」と述べました。
自身と旧統一教会との関係については、「16年にわたる政治活動において言及したことや、寄付を受けたり、会費を払ったりしたことは一切ない」と話し、「秘書が認識をせずに一度だけ関係団体の会合に顔を出したことがあるが、名刺を置きに行っただけだ」と説明しました。
葉梨前大臣の発言については、「葉梨前大臣自身が説明責任を果たすべきだ」としつつ、「自分自身が果たさなくてはいけない職責に影響が出るような発言は厳に慎まなくてはいけないと思う」と話しました。
死刑制度については、「人の生命を絶つ極めて重大な刑罰であり、その執行は慎重な態度で臨む必要がある」とした上で、「著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対してはやむを得ない」と述べました。
●新・新興宗教時代の到来  11/12
旧統一教会の霊感商法や強引な集金体質が問題視され、立憲民主党は旧統一教会の被害者救済のための特別法制定に向け、与野党協議を重ねている。自民党は野党案を取り入れつつも、自民党独自の法案を提出する動きもあるようだ。
その背景には、立憲民主党案があまりに粗雑なため、立憲民主党とのすり合わせに時間を使うくらいなら、自民党が独自の法案提出をした方がマシだと考えたのかもしれない。今のマスコミの煽り方で自民党は劣勢の雰囲気を作り出してるが、むしろ国論は二分されてるように感じる。
つまり旧統一教会問題を真剣に問題視してる人と、新興宗教自体に無縁な層とだ。
そもそも、普通に生活してれば、新興宗教に縁を持つことなどなく、新興宗教に触れる機会など無いのだ。日本国内においては、戦後、新興宗教の過度な布教活動が何度も問題視されてきた。戦後は創価学会の折伏が隆盛を極め、1980年代に入り、旧統一教会の霊感商法が話題となり、その後、忌まわしきオウム真理教事件が起きる。他にも種々雑多な新興宗教が時代の変遷と共に話題に昇ってきた。
前にも触れたように、確かに野党が言うように問題がある宗教団体のマインドコントロールはあるだろうし、洗脳もあるだろう。だがしかし、それは宗教に限ったことではない。政治結社だろうと、何らかのセールスだろうと、鼠講商売だろうと、たくさんあるのだ。その最たるものが、報道する自由と報道しない自由を使い分けている大手マスコミだろう。彼らは自分たちが正義の味方であるかのように振る舞い、世の悪を糾弾すると言うが、では何が善なのか?の問いに答えはない。
・・・いや、ある。
それは自分達が問題視する記事に登場する人物の反対側にいる人々だ。もしかしたら、その代表格がイーロン・マスクが買収し、即座に一斉解雇に踏み切ったTwitterかもしれない。
ビジネスインサイダーの記者である竹下郁子氏は、自分達の記事がTwitter内部の人間の審査を経てニュースフィードに出てくることをバラしてしまった。
「確かにTwitterのニュースフィードは更新されてない気がする。私たちメディアは自社記事のモーメントを作成→Twitterキュレーションチームに連絡→審査の上ピックされたりされなかったり、という手順を踏んできたのだけど、この作業はしばらくは意味を成さないのかな?」
Twitterは私企業なので、何を表示するかしないかの裁量を持つのは当然で、それを他者は批判することはできない。ただ、こうやって内幕をバラされると、朝日新聞や毎日新聞、沖縄タイムス、琉球新報同様、Twitterは自由な言論空間ではなく、何らかの恣意的な操作が働き、Twitter全体の情報が偏向していたと解釈されても仕方ないだろう。つまり、大手メディアと同じく、キュレーションされた情報の提供がなされていたと思われても仕方ない。
大手メディアの報道の中身について、日本ファクトチェックセンターのような茶番劇は傍に置いておいて、情報を受け取る側のリテラシーと情報を読み込む能力が求められる時代だ。イーロン・マスクは、Twitter買収後、即座に人員整理とアカウントの有料化を始めると発表した。イーロン・マスクにしてみれば膨大なユーザー数を持つTwitterの収益能力の低さの是正と、放漫でルール化されていないTwitterの現状の即時打開と、適正な収益化による黒字化を目指すと発表した。
余談だが、私はTwitterアカウントの有料化は大賛成。特に大手メディアや著名人は必ず行うべきだと思う。恐らくだが情報の正確性とTwitterという言論空間の健全化に向かう、大きな転換点だと思う。
認証バッジが有料化されるとしても、既にに主要メディアと著名人には認証バッジが付与されている。あとはお金を払ってそれを維持するか否か?は本人の自由だ。加えて、新たに偽物が乱立することを危惧する声も聞かれるが、私はその心配も無くなると考えている。
認証バッジを付けた偽物が出てくるのが嫌なら、さっさとサブスク契約して自分のアカウントを守ればいいだけの話だ。イーロン・マスク氏自身は、私企業が運営するプラットフォームなのだがら、収益化を目指すのは当然であり、これまでの放漫経営の方が問題だと考えているのだろう。
さて、話を元に戻す。
旧統一教会問題で2世信者が顔出し(名前は仮名)して発言することで、一気にこの問題がクローズアップされたが、私に言わせれば、何故、2世信者が被害者になるのか? 明確な理由が説明されていないと考えている。
その理由がはっきりしない限り、やはり憲法に抵触するような法整備はすべきではないというのが、私の考えで、仮に献金をした母親なり父親が本来残すべきであった財産を、子供達に相続させることなく無一文になったとしたら、それは家族の問題であり、法律で救済すべきものだとは言えないのではないだろうか?
国際政治学者の三浦瑠麗氏が、博打でスったのと何が違うのか?的発言をしていたが、私もそう思う。宗教という見えない得体の知れないものを盲信した結果、これで幸せになれると信じたが故に、献金を届けたのだから、それは博打で一攫千金を狙うことと大差はないだろう。
むしろ、問題にすべきは、そのような短絡的発想に陥ったことを家族会議で話し合うべきで、教団を相手に裁判を起こしたとしても、教団側は本人の自由意志に従ったと言えば、それで責任を逃れることができる。
言葉を変えれば、マスコミが問題にすべきは、そのような手法で金集めをしている団体であることを、広く喧伝することが大事だ。つまり社会に対しての注意喚起で、それこそがマスコミの使命だろう。
今回の旧統一教会の問題をきっかけに新たにエホバの証人の3世が、親に信仰を強制されたことを告発している。これは一つのきっかけに過ぎない。親と子は他人同士で、親と言えど子供に自分の信仰を強制することは出来ない。そもそも憲法と民法で個人の思想信条の自由と人権は法的に守られている。
同様な事例は、いかなる宗教にも存在するだろう。宗教法人法にメスを入れるなら、まさにこの点ではないかと考える。家族、親族と言えどその信仰を身内に強制してはならない。現在の宗教法人法は、少なくとも個人の信教の自由を保障しているのだから、その一文にそれは家族と言えど、身内と言えど尊重されなければならないと明記すればいい。
また、前述の旧統一教会被害者救済の新法を制定しようという動きについてだが、献金額の上限を法律で定めるとか、馬鹿馬鹿しいことで、その点だけ見ればこれは違憲立法となる。ようは個人の内心に規制を加えることで、野党はその根拠の合理的説明が出来るのだろうか?少なくとも、現在まで、野党議員から納得できる説明を聞いた覚えが無い。
新たな法整備の検討が始まる中で、エホバの証人の3世と言われる人の証言が出てきたことは、新興宗教に対する風当たりというか、今まで放置されてきた日本における新興宗教の問題点が浮き彫りになったという点で、意味がある。
また、タレントの長井秀和氏が地方議員に立候補するためだろうか、創価学会批判を中心に街頭での活動を始めた。彼は創価学会信者であることは公言してきたが、ある時から、創価学会批判を行うようになった。方針転換の意味は分からないが、創価学会にいた体験をネタにすることの危険性はあるとしても、タレントとして生き残る一つの道ではある。
戦後に勃興してきた新興宗教は、押し並べて同じ悩みを抱えている。それは後進の育成だ。上手に世代交代が出来ていない団体はたくさんある。言い換えれば、今の時代の若い世代にウケる宗教は既に存在しない。それにとって変わるように、若者の夢や希望を食い物にする連中が跋扈するようになった。それはいくら大人が説得したり世の中のワルを教え込んだとて理解できるものではない。
そういうものなのだ。
ただ、昨今の世の中の動きを見て、新興宗教が隆盛を極めた時代の終焉を感じているのは私だけではないと思う。今は、新興宗教によって「自分だけが真理を知ってる」という自己満足させることより、例えば堀江貴文氏やひろゆき氏のYouTubeのように、誰もが悩みや苦しみを誰でもが見れる形で解決する手段が増えている。特定の誰かしか知らない世界の秘密は存在しない時代になった。
だからこそ、それぞれの真理を布教するチャンネルが増えたとも言える。言い換えれば、それぞれが真理だと思うそれぞれの正義が存在する時代になった。悪戯にゲーデル、ラマヌジャン、ノイマンだけが希代の天才とも言い切れないのかも知れない。
新興宗教はそれら名もなき真理の具現者に対抗しなければならない時代ではないだろうか?
大切なことは、今の時代、隠された真理は既に存在しなくなってしまったということだ。繰り返すが特定の誰かしか知らない世界の秘密は、最早、存在しないのだ。つまり、そうやって近づく人は、全て、怪しいと考えた方がいい。
今、マスコミが取り上げている新興宗教の被害者こそが、その世界の秘密を囁かれた被害者ではないだろうか?  
●葉梨法相バタバタ更迭で被害者救済法案“黄信号”…政治日程グチャグチャ 11/12
やはり岸田首相の政局観のなさは折り紙付きだ。ウケ狙いで「死刑のはんこ」を連発していたことがバレ、大炎上中の葉梨法相を11日、スッタモンダの挙げ句に更迭。山際前経済再生相に続く辞任ドミノで、政治日程はグチャグチャだ。自民党国対の機能不全により、ただでさえ窮屈な国会日程もさらにタイトになる。政権浮揚をかけた旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の被害者救済法案の成立はますます危うくなっている。
山際氏と葉梨氏の辞任劇はコピペのような展開だった。教団との関わりを申告せずに内閣改造で留任した山際氏と同じ手口で、葉梨氏は複数回にわたる放言を官邸に報告せずに延命。岸田首相は11日午前の参院本会議で罷免を否定してから間をおかず、更迭に追い込まれた。東南アジア外遊に向けた出国は10時間もズレ込み、12日未明に政府専用機で飛び立った。19日まで戻ってこない。
臨時国会の会期末は来月10日に迫る。元農相の斎藤健法相に交代したことで、新大臣の衆参両院での所信表明演説や、与野党議員による質疑などもこなす必要がある。
「開会直後に鈴木財務相がG20財務相・中央銀行総裁会議出席で渡米し、予算委員会が1週間も開けなかった上、今度は総理が帰国するまで今年度第2次補正予算案の審議に入れない。物価高に対応する総合経済対策を盛り込んだものとはいえ、野党が攻勢を強めるのは避けられません。寺田総務相と秋葉復興相をめぐる『政治とカネ』の問題は全くケリがついていない」(与党関係者)
質問権行使は正式表明
岸田首相が与野党協議を蹴っ飛ばし、政府提出法案にカジを切った救済新法の審議入りは、どんなに早くても補正予算案成立後だ。
「自民党は月内の法案提出を目指していますが、寄付規制、マインドコントロールの定義、家族らの返金請求などで野党とどこまで歩み寄れるか」(霞が関関係者)
宗教法人法に基づく「報告徴収・質問権」については、永岡文科相が11日、旧統一教会に対する行使を正式表明。年内に調査が開始されたとしても、解散命令の請求に至るのはその先。反社会的カルト集団の追及と被害者救済は両輪だ。救済新法審議に会期延長は必須だが、1週間程度延長したところで間に合うのか。

 

●旧統一教会問題「放送大幅減」のウラに訴訟より深刻な視聴率低下 11/13
結局、喉元過ぎれば熱さを忘れるのだろうか…。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に関する報道が著しく減っている。
7月に安倍晋三元首相が銃撃され、山上徹也容疑者が統一教会によって家庭が崩壊したと恨みを口にしたことで明るみに出た統一教会問題。いまだに高額献金で苦しんでいる2世信者などが全国に存在することなどが次々と報じられた。
「統一教会と政治家との蜜月関係も浮き彫りとなり、ここ数か月は会合の祝辞や電報だけでなく、選挙応援や政策協定を結び推薦確認書に署名をする議員などがつるし上げられるように報じられました。たびたび会合などに出席していた山際大志郎前経済再生担当大臣は、ついに辞任に追い込まれましたね」(全国紙記者)
世間の気運は高まり、解散命令請求の動きや質問権の行使、そして被害者救済法案の今国会提出へ向けて政府が動き出している。
その裏で統一教会は、日本テレビ、TBS、読売テレビの報道内容に関して次々と提訴している。有田芳生氏はツイッターで
《教団が裁判に訴えたことで、メディアの萎縮が進行しています》
と話している。やはり、教団から提訴されたことは少なからず影響しているようだ。
「確かに訴えられた専門家の中には、番組に出演してくれなくなった人も。安いギャラに対して、裁判費用が割に合わないと感じているのかもしれません。電話してもメールしても完全に無視する人もいます。SNSなどは更新しているのですが、番組からのオファーに関しては一切返事がありません。それでは統一教会の思う壺、と言えるかもしれませんね」(ワイドショー関係者)
今でもテレビ局や番組としては、全く“引く気ゼロ”のところはあるという。ただ、専門性の高い出演者が集まらないとなると、なかなか踏み込んだ報道が出来なくなる。
だが、統一教会の報道が減ったのには、もっと深刻な理由があるという。
「世間の関心が薄れてきたのか、視聴率が昔ほど伸びなくなってきているのが最大の要因でしょうね。大臣が辞めたり、解散命令請求を出す流れになったり、被害者救済法案が前向きに話し合われるようになると、“問題が収束”しかけているように思われて、危機感がなくなった。
解決方向に進むと視聴率が伸びないというジレンマに陥るんです。視聴率が伸びなければ番組が終わってしまう。世間が興味を持つことを報道するのが鉄則ですから、統一教会の優先順位が低くなってしまいました」(報道番組ディレクター)
民放であれば確かに視聴率は生命線だ。だが、被害者を救済するという意味ではまだまだ風化させてはいけない問題のはず。
“見て応援”ということも視聴者には必要なのかもしれない…。
●「日韓トンネル」も容認?外務副大臣さえ統一教会ベッタリの危機的状況 11/13
問題発覚の発端となった安倍元首相銃撃事件から4ヶ月あまりを経た現在も、次々と明るみに出る自民党所属議員と旧統一教会の不適切な関係。先月末には新たに副大臣や政務官らと教団との癒着が露見、当人らは苦しい言い訳に終止しています。この中で、井野俊郎防衛副大臣と山田賢司外務副大臣の二人を問題視するのは、ジャーナリストの内田誠さん。内田さんは今回のメルマガ『uttiiジャーナル』で、彼らが旧統一教会に「籠絡」されていた事実を、安全保障上の問題として強く批判しています。
「モーニングショー」が取り上げた、統一教会と深い関係を持つ3人の副大臣
今日、この冒頭でお話申し上げたいと思いますのは、先週の確か水曜日だったと思うんですが、テレビ朝日の「モーニングショー」、玉川徹さんがコメンテーターを外されたあの番組ですけれども、そこで毎週毎回というわけではないですが、その日は旧統一教会に関する問題をかなり長く特集としてやっていました。
鈴木エイトさんというジャーナリストがもう20年以上も統一教会の取材をされている、専門家と言ってよい方ですけれど、その方をゲストに迎えてパネルを開けながら色々なことを紹介していました。その日の主な内容は、副大臣3人の統一教会との関わりが発覚したこと。各社の報道のまとめのような内容でした。
その内容を見ていて、これはちょっと、ちゃんとこの場所でも紹介しようと思ったのが一つ。で、まあ、玉川さんがいたらどう言ったかなんてことを私、偉そうに言えないですが、私だったらこういうことを付け加えるだろうなということを含めて、ちょっとお届けしたいというふうに思っています。
その番組で扱われていた3人の副大臣。一人は井野俊郎さん。この方はなんと防衛副大臣ですね。で、二人目が山田賢治さん。この方は外務ですよ。外務副大臣。防衛副大臣と外務副大臣。で、3人目は大串正樹さんという方。この方はデジタル大臣のところの担当副大臣ですね。大臣がいて副大臣がいて政務官がいる。この役はいずれも認証官、今、認証官というのかな?要するに、天皇が任命する。
この3人の副大臣、特に前の2人ですね。この2人に関してこんなことがありました。井野俊郎さんのトシは俊敏の「俊」という字なんですね。で、旧統一教会、世界平和統一家庭連合でしたっけ?「世界」の「世」という字が入っているので、この二文字をとって「俊世会」という、まあ、つまり大臣と旧統一教会の絆(きづな)のような名前をその後援会組織に付けていたと。解散したということですけれども、まあ、鈴木エイトさんに言わせれば(会員は)全員が信者だろうというふうなことでもありました。
井野さんはですね、いわゆるパーティー券を何枚も買ってもらっていることであるとか、それから「俊世会」、まさしく統一教会系の井野俊郎後援会ですね。ここの十数名の人たちに、法務副大臣の時代、法務省を見学させたと。おそらく大臣室に招き入れて、「これが大臣の椅子です」、ああ、副大臣ですけどね、いや政務官でしたかな、この時は。で、要するにそういう、なんと言うのでしょう、一種のサービスみたいなこと、これ、よくやるんですよね。私も今はもう厚生労働省となってしまいましたが、厚生省と労働省が分かれていた時代に、ある労働大臣が就任したときにその人の地元の人が大臣室に招かれる、そのときに一緒に伺って取材させてもらったことがありました。よくやるんですよね。で、統一教会の信者の団体に、後援会ですか、見学をさせたと。
この井野さんという方、若いんですよね。42歳。群馬県の伊勢崎の弁護士さんだった人。確か自民党の議員候補の公募に応募して選ばれ、当選した、かなり選挙に強い方ですね。選挙区は群馬2区。ここが大事なんだろうと思いますけれど、非世襲議員ですね。世襲議員のメリットというのは、いわゆる「ジバン・カンバン・カバン」といわれるもの、これを税制で捕捉せずにですね、そのまま次の世代に相続できるようになっているんですよね。これについての批判は一時期よく行われましたけれど、未だに改まっていないのだと思います。世襲議員にはそういう強さがある。選挙に打って出ようとするときに既に自分の父親か母親、要は先代の議員の“持ち物”を受け継ぐことができるようになっている。この人は、そうでない議員なんですね。
井野さんが相当、統一教会のお世話になっているのではないかと思うのは、これは、共産党の新聞「しんぶん赤旗」の日曜版だったかな、スクープした件ですけれど、2014年、統一教会の関係者5人が自民党に入党して、その際の党費を井野さんの事務所が肩代わりしていると。この件について国会で共産党の議員が確か追及したかと思うのですが、井野さんは否定をしなかったので、おそらくその通りなのだろうということのようですね。因みに、共同通信が全議員に対して、統一教会との関係についてアンケートを採ろうとしたのですが、井野さんは回答を拒否しているようです。現在この人が防衛副大臣だということをちょっと覚えておいていただきたいと思います。
二人目、山田賢司さん。この方は群馬じゃなくて兵庫の方、兵庫7区だったかな。この方は外務副大臣で井野さんより大分年嵩で、56歳。統一教会の関連団体から、特に問題とされている「推薦確認書」という奴ですね。これにサインをしている。去年の9月にサインをしているのだそうです。ここで政策としてこれをちゃんとやってくださいね、ということでいくつも項目が上がっているなかに、憲法改正があり、家庭教育支援法の実現があり、LGBTQに関わる問題について慎重に扱うということであり、それから日韓トンネルの実現という話が入ってきているんですよ。これはねえ、ちょっと大きいんですよ。これについてはほとんどそこから先の話になっていないのではないかと思うのですが、テレビ、ちゃんと各局見ているわけではないので、これをちゃんと取り上げたところがあったかもしれません。けれど、日韓トンネルという構想があるんです。今現在はそれを統一教会が事実上やっているというか、そのために5万円の寄付を今も募っているはずです。紀藤弁護士が一番お詳しいのだと思いますけれど。こういう、その日韓トンネルの話は後で申しますが…。
で、こういう書類にサインしたことについて山田さんは謝罪をしていて、「取り消す」みたいな話になっているのですね。山田さんはなんと言っているかというと、「中身を深く考えずにサインをしてしまった」「大変軽率だった」と。言っているんですよね。うーん。まあ、とにかくね。中身をよく見ずにと言うけれど、もうちょっと言いたそうなのは、その組織がどういう組織かについて、ちゃんと調べずに、サインをしてしまったというニュアンスで言いたいんだと思うんですよ。
でもね、この方、関連団体の会合に複数回出ていて、それからなんと、地元兵庫の関連施設を訪問している、施設を訪問というと、萩生田さんを思い出してしまいますが、萩生田さんは八王子のそういうところに、誰でしたっけ、女性の元タレント(生稲晃子さん!)の候補と選挙応援で施設を訪問していますけれど、この人もそうなんですよ。ちゃんと施設を訪問しているんですよ。で、2016年には「アジアと日本の安全を守る兵庫県大会」とかいうのを世界平和連合でしたか、そこが主催して開いたところに参加している。同様の会ですかね、文鮮明さんの奥さんが色々なところのトップですが、その方が日本に来たとき、代理で秘書を送っている。それだけ密接な深い関係にあるのに、「中身を深く考えずにサインした」「大変軽率でした」。彼らが何をしようとしているのか、私は全然知らないんですよ、と言いたげですが、これはにわかには信じられないですよね。
この件に関する言い訳はほとんど、むしろ地方議員の人の方が正直に、ほとんど私は信者ですと言っているような人も含めてありますし、より正直に仰っているように思うのですが、何もね、隠すことはない、隠したって隠せるものでもないんだけど。とにかく、そういうことです。参考ですけれど、この方、日本の核武装の検討を始めるべきだとも仰っているのですが、そういう方が外務副大臣で良いのですかね。凄い話です。
今の2人、井野さんと山田さんは2人とも非世襲の議員で、公募に応じて自民党の議員になっていった人たちです。ということは世襲議員のような「ジバン・カンバン・カバン」のない状態からスタートした。統一教会からしたら、一番入り込みやすいタイプの議員ではなかったかと思うんですね。
もうひとかたは、大串正樹さんという方。デジタル担当の副大臣で、以前は消費者担当の副大臣だか政務官をしていたことがあります。この方も「推薦確認書」に署名している。この方、所属している派閥の力はどちらかというと弱いところというか、谷垣グループあるいは菅さんのグループに所属している。
こういうデジタルなんとかはおいておくとして、防衛副大臣と外務副大臣、この2人が例えば最近流行の「2プラス2」というのがあるじゃないですか。両国から外務と防衛の担当者が出てきて安全保障問題を話し合う。安全保障問題を海外との間で調整する最もハイレベルの会議、首脳を別にすれば、ですが、実質的に議論したり調整したりするところ。実際にいっぱいやるじゃないですか。「副」がつくから、直接行くわけではないけれど、そういう役回りのところの副大臣がこういう人たちで、べったりとくっついている団体が韓国のカルトだという。これは安全保障上の問題だと言っていいのだと思います。
例のトンネルの話がまだでしたよね。日韓トンネルと言っているものは、佐賀県の唐津から韓国の釜山まで海底トンネルを作る構想です。今現在は統一教会がらみになっていますが、元々は戦前から続く話で、昭和10年代くらいだと思うのですが、弾丸列車構想というものがありました。日本の国内も横断するような高速の列車網を作り、その西の端から海を渡ってさらに朝鮮半島を渡り、かつての奉天まで行き、そこからさらに中国大陸を西進するという、まあ、日本から朝鮮半島、そして中国大陸、これを横断する線路を引こうという気宇壮大な話。
この構想、結構ずっと低空飛行で続いている話ですが、私が最初に知ったのは1985年。今から37年前になりますかね。テレビの仕事を始めてすぐに調べようとしたのですが、色々な事情から続かなかった。これ、いわゆる日本ではその一部分が東海道新幹線になり、さらに旧満州地域では満鉄ともつながっているのですね。つなげようとしたんですね。新幹線に乗るたびに「弾丸列車構想」を頭に浮かべてしまうのです。そんな必要はないのですが(笑)。そういう代物です。技術的な可能性はあるのでしょうが、嘘みたいに金の掛かる話ですので、海底トンネルを通すということで。日本のゼネコンが本気でこれを取り上げる可能性があるかというと、ない、ないのですが、実は誕生したばかりのユン政権。ユンさんはこの日韓トンネル構想を進めようとしているらしい。どこまで本気か分かりませんが、そういうことも関係してくる。で、日本の外務副大臣が署名した政策協定書の中に日韓トンネルもあり、それは現在の韓国の政権が進めようとしている政策の一つでもある、重なる、ということになると、ちょっと具合が悪いのではないですかね。あ、そうですか、では済まない話であるような気がしています。
先週の「本会議」冒頭の方ではちょっとややこしい話で、信教の自由との関係の話もありますし、解散命令の解散は別に法人格を失わせるだけであって、信仰を抑圧することではない、その団体に法人格を与えるのは、公的な利益につながるということでやるわけですが、現実には宗教法人に対する税制優遇につながるわけですね。これ税制優遇そのものに対する批判も山のようにありますので、それもちゃんと言わないと不公平だと思いますかが。
昔、よくありましたよね、お寺が敷地の中に風俗営業の店を開業したりして、あるいは駐車場にする、これも税制優遇されていながらそれでいいのかという話もありましたよね。当然。あの、風俗営業の店が悪いと言っているのではなくて、業種によっては、開業に関する制限が色々あるということです。となると、何が悪いのかと言われる向きもあると思いますが、今般の政権の状況を見るに付け、これは毎度品のない表現で申し訳ないですが、「骨がらみ」の状態。
ですから、この前も言いましたが、自民党は統一教会系の組織と言っても良いくらいに相互浸透している。鈴木エイトさんの話の中にあってなるほどなと思ったのは、合意した中に、泊まりがけのセミナーに代議士自身が出席するということが含まれているとありました。これって、場合によっては洗脳を受けるということになりかねない。それから統一教会系の会員さんが自民党に入党する。お互いの組織に相互浸透する現実があったということで、これはやはり、少なくとも何がどのくらい浸透し合っているのか、可能な限り明確にしてから、次の選挙に臨んでいただきたいと思います。 
●旧統一教会の被害者救済法の議論に「政治と教団の蜜月の実体は・・・」 11/13
ジャーナリストの青木理氏が13日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・00)に出演。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受け、政府が被害者救済に向けた新法の今国会提出を視野に入れ、急ピッチで作業を進めていることについてコメントした。
青木氏は「宗教法人法に基づく質問権の行使もそうなんですけど、岸田政権を見ていると、かなり世論の激しい批判を受けて、あるいは支持率の低下を受けて、もうしようがない、これやんなくちゃいけないという形で次々にこういうことを言い出している気配がある」と指摘した。
そのうえで「これは高額献金の被害者、あるいは宗教2世と言われている方々の救済のためにやらなくちゃいけないことなので、ぜひやってもらいたいのと同時に、一方で気になるのは、要するに政治と教団の蜜月の実体はどうだったのか」と言い、「政治がそういう関係だったから教団が放置されたんじゃないですかと。だから被害が広がったんじゃないですかというところには、ほとんどメスが入らない。これは国会で超党派で議員たちが調べようとか、第3者が調べようという、政治自らの責任についても僕はきちんとメスを入れるような方向を取ってほしいなと思いますよね」と自身の考えを述べた。

 

●「解散命令請求はできる」「必要な資料は教団の外に十分にある」 11/14
銃撃事件発生から4カ月。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対する包囲網は狭まっているように見える。霊感商法や高額献金などへの対策を議論した消費者庁の有識者検討会が先月まとめた報告書は、かなり踏み込んだ内容だったが、提言が実現するかは岸田政権のさじ加減ひとつだ。宗教法人法に基づく調査がなされ、解散命令の請求へと進んでいくのか。与野党が協議する被害者救済法案は、今度こそ弱きを助けるものとなるのか。尻すぼみの展開もあり得るのか。検討会メンバーを務めた検事出身の前衆院議員、菅野志桜里氏に聞いた。

──消費者庁の検討会では、教団について「解散命令請求に値する事案」としながらも、「その前段として、これまで怠ってきた報告徴収・質問権を行使すべき」と主張されていました。
適法手続き保障、それに社会的な合意形成の観点から、先へ進むプロセスとして文科省が質問権を行使する方がよいと考えています。もちろん、法律上は質問権を行使せず、解散命令を請求することは可能です。実際、裁判所が解散命令を出したオウム真理教と明覚寺に対しては質問権は行使されていない。ただ、この2事案をめぐっては、刑事事件化する過程で警察や検察がしっかり捜査している。反論の機会も保障されていた。
一方、旧統一教会については、組織的な不法行為責任が認定された20件超の民事裁判などが主なベースとなります。捜査は入っておらず、必ずしも十分な反論の機会が保障されているとは言い切れない。そう考えると、手続き保障を尽くした結果の公正な判断として請求に向かった方がより適切ではないか、というのが、法律家としての感覚です。
──元政治家としての感覚ではどうですか。
調査もしないまま、解散命令の請求はできないと判断するのはおかしい。こうした声は世論からも政治家からも上がっています。キチッと調査した上で請求すべきであれば請求しましょう、というロジックの方が広く社会の合意形成がなされるのではないか。そう感じています。この間、旧統一教会をめぐる問題が一気に可視化された。メディアも政治も社会もこれまで放置してきた分、しっかりと向き合わなければいけないよね、という空気が醸成されています。
だからこそ、合意形成を積み重ねながら問題解決に向かって進んだ方がいい。それでこそ、岸田政権を動かすことができると思います。私は野党議員時代が長かったのもあって、バランス感覚ある世論の後押しこそが政治を動かすことを体感しました。「解散命令を請求せよ」の大合唱では、かえって政権がかたくなになってしまうのではないかという懸念もあります。
最後までブレなかった消費者庁検討会
──消費者庁の検討会ではかなり盛んな議論が交わされ、提言もアグレッシブな内容です。
第1回会合で目的が定まり、最後までブレることはなかったですね。河野大臣が最初のあいさつで「消費者庁の担当の枠を超え、境界を定めずに自由な議論を」と発言したのは大きかった。その意味するところは、霊感商法を規制する消費者契約法改正に限らない法整備の必要性、そして根っこの問題である旧統一教会への対応策を示すこと。(教団の主たる集金方法が)壺のような物品販売から献金へ移行していると指摘される中で、契約でとらえきれない献金はどうするか。
分水嶺を明確にする方向で動きかけたのですが、契約であれ献金であれ、どちらも救済できるように法整備をした方が本来の目標を達成できるのではないか。そういうふうに手段については軌道修正を恐れないのも良かった。原則ライブ中継で、発言はほぼ議事録に残る。お手盛り発言、日和見発言をすれば厳しい目にさらされる。オープンな議論をとことん追求した検討会だったからこそ、できたことがありました。
──提言実現の見通しは?
質問権については、一国の総理大臣が国会で答弁しましたからね。これだけの深刻な事案において、行使しないという選択肢はないでしょう。解散命令の該当事由のひとつ「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」にピタリと当てはまっています。(編集部注=永岡文科相が11月11日、質問権行使を表明)
──請求はどうですか。
できると思います。そもそも、質問権行使は疑いを強めるような新事実の収集を前提とした権限行使ではありません。宗教法人法は「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」としている。施設立ち入りには同意が必要ですし、資料を強制的に押収することもできない。つまるところ、質問権行使は相手方から新事実を引き出すというよりは、反論の機会を与えるもの。疑いが晴れる可能性はゼロではありませんから。質問権行使にあたって、万全の準備で臨めるかどうかが結果を左右すると思います。
必要な資料は教団の外に十分にある。事案の収集、事実の分析、法的な当てはめといった作業は全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)がかなりやっています。被害者のヒアリングという厳しい作業もやってくれている。文化庁宗務課はこれまでの積み上げをドーンといただいて、プラスアルファの作業をしてほしい。
──定員8人の宗務課に文科省内から22人が応援に入り、法務省、警察庁、金融庁、国税庁から8人が派遣されました。
宗務課しか閲覧できない会計書類の突き合わせだとか、請求の可否の判断につながる作業をどんどん進めてほしいですね。検討会が報告書をまとめた先月半ば時点で、効率良くやれば年内に質問権行使。請求まで数カ月、長くても半年とみていました。質問権行使に至れば教団は反論するでしょう。ですが、会見などでの主張を見る限り、新たに合理的な反論がなされるとは考えにくい。
──自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会の4党による救済法案の協議をどう見ていますか。野党側が共同提出したマインドコントロールによる高額献金を規制する法案の一部に与党は難色を示しています。霊感商法による契約の取り消し要件緩和を柱とする消費者契約法改正を優先する構えです。
できたものから仕上げた方がいいと言いたいところだけれども、消費者契約法改正と新法の救済要件は重ならなければいけない。どちらの法律でも同じように救えるようにしなければいけない。マインドコントロール下で結んだ契約だけでなく、献金についても取り消せるようにしなければいけない。本来は平仄を合わさなければダメ。政府の動きには2つ問題があると思います。
提言を政治に埋め込むスタイルでやる
──というと?
まずひとつは、今国会で例えば消費者契約法だけを仕上げるなど、何かしらの「やった感」を出し、根本の献金規制はウヤムヤにしようというような思惑です。期限を切らない先送りは「やらない宣言」と同じ。「今国会」という「スピード感」「やった感」では被害者は救われません。それこそ、ギリギリまで作業を詰めても課題が残るのであれば、来年の通常国会で最優先すべき2法案としてしっかり審議し、成立させるべきではないでしょうか。
もうひとつは、献金をめぐる新法の関連です。検討会でも繰り返し訴えたのですが、宗教法人は公益法人でもあるのに、献金ルールに縛られていない。宗教法人法を改正し、公益法人法の規定を参考にした献金に関する規制を盛り込むのが筋。
ですが、宗教法人法改正を嫌がる政治的エネルギーがものすごく働いて、新法という話になっている。対象を宗教法人に限定せず、献金そのものを規制しようという議論に歪められている。いま問題なのは宗教法人です。他の団体への安易な波及はトバッチリにもなりかねない。公明党がネックになっているように見える。無用に急ぎ、無用に範囲を広げようとする政治的な問題も指摘しておきたいですね。
──永田町を離れて歯がゆくはないのですか?
むしろ離れたからこそ消費者庁の検討会に入り、しがらみなく発言ができました。政府の審議会や検討会はともすれば下請けになりがちですが、今回は健全な外注といった感じで取り組めた。私ひとりでは難しいですが、政治家の外側で政治的な提言をまとめ、政治に埋め込んでいくスタイルをつくっていきたいと思っています。
検討会の提言
(1) 統一教会に対して、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法に基づく報告徴収・質問を行使する必要がある
(2) 消費者契約法で契約の取り消し権の対象範囲を拡大。行使期間の延長を検討する
(3) 不当な寄付の要求などを禁じるため、現行法改正や新法制定を検討する
(4) 相談対応では関連分野の専門家とも連携し、特に宗教2世に対する支援を行う
(5) 霊感 商法などの消費者被害に関する情報を迅速に公表し、幅広い世代への消費者教育を推進する
●「サタンを追い出すために、外に出て勧誘活動をしろ!」…地獄の布教活動 11/14
旧統一教会の青年支部で1990年から1994年まで「献身(出家)信者」として活動していたジャーナリストの多田文明氏。当時20代の彼がそこで体験したのは、39度の高熱であっても布教活動を命じられる過酷な生活だった。当時の信者たちは、どんな気持ちで布教に励んでいたのか?
アイスクリームひとつ自由に買えない「出家生活」
教団に身も心も捧げた行動は、本当に厳しいものです。私も東京の青年支部に1990年から1994年まで献身していました。睡眠時間は3、4時間です。食・住は面倒を見てくれるものの、月に渡されるお金(お小遣い)1万5000円ほどで、青年支部の金銭的事情が厳しいときには無報酬ということもありました。
個人の思いからの行動は厳禁です。すべての行動は上(アべル)の許可を受けなくてはなりません。
アイスクリームを買いに行くにも、「行っていいですか?」と聞かなければなりません。しかし、たいがい「行ってはダメ」と言われます。それは、「自分が食べたい」という動機がもとになっているからです。これが、もし「みんなにも食べさせたいから、買いに行く」であればOKは出ると思いますが、そうしたお金は手元にほとんどありません。
何をするにも報連相が基本であり、上の許可を得て行動しなければならない。これが旧統一教会における信仰生活です。こんなこともありました。ほぼ毎日、終電近くまで繁華街での声がけを行うのですが、
ある朝、39度以上の熱が出てしまいました。起き上がるのもやっとで、「体調が悪い」と上の人間に告げると、「サタンが心に入ったから風邪を引いた」と言われます。「サタンを追い出すために、外に出て勧誘活動をしろ!」と言われました。意識が朦朧とするなかで活動したこともあります。
このように、病気や事故、ケガもサタンが侵入したためであり、本人の不信仰のせいであるとされます。こうした日が続いていくのです。このすべての行動は、合同結婚式への参加を目指すためのことです。
「合同結婚式」への参加に必要な過酷なノルマ
1992年8月25日に韓国のオリンピック・スタジアムで行われた、3万組にもおよぶ合同結婚式は、テレビなどでも大きく取り上げられました。
ここでは、文鮮明教祖によって相手を決められた男女が結婚式を挙げますが、私もその場にいました。それまで一度も会ったことがない日本人女性と韓国で初めて会いました。そうしたカップルが約3万組いるのですが、誰ひとりとして、結びつけられた相手を拒否することなく、合同結婚式に参加します。その異質な光景に、目を奪われた方もいると思います。
合同結婚式には、何もせずに参加できるわけではありません。すでに述べたように、参加するためには、信者としての活動条件が必要です。
伝道における3人の信者獲得と、経済活動(月ごとに与えられたノルマの達成)は必須事項です。しかし、それだけではありません。7日間の断食も必要になります。これは成約断食といって、祝福(合同結婚式)を受けるための条件となっています。
私自身も、前年の1991年9月に、複数の信者とともに成約断食を行いました。しかし、ただ一日中、寝ていていいわけではありません。「普段と変わりなく、伝道、経済の活動をしなければならない」とされていました。だから、水だけを飲み、何も食べずにフラフラな状況でも街頭に立って、人々に声をかけ続けました。あまりのつらさに、「このまま路上で倒れて死んでしまうかもしれない」とさえ思うこともありました。
私は体力的に強かったので大丈夫でしたが、女性のなかには肉体的な限界が来て、終盤に寝込む人もいました。上の人からは、「過去に7日間の断食中に亡くなった人がいる」と聞かされており、命がけの行為でした。私の周囲では亡くなった方はおらず、本当に不幸中の幸いであったと思います。
さらに、参加するにあたっては、140万円の感謝献金も必要です。そのお金を工面するために、みんな奔走します。当時は、こうして合同結婚式の参加資格を得ることができたのです。
合同結婚式に参加しても、すぐに「家庭」は持てない
合同結婚式を前に、講座が行われました。その際、自分の写真を撮影します。この写真が教祖のもとに送られ、相手の女性とカップリングされると聞いていました。
合同結婚式の前月、私が所属する教会で相手の女性の写真が渡されました。日本人女性でした。式の数日前に、教団が用意したチケットを手に韓国に向かいます。そして、8月24日の聖酒式があり、初めてその女性と会いました。
そして、25日に合同結婚式を迎えます。炎天下で、立っているだけでもつらい式だったですが、当時は、ようやくこれまでの活動が報われ、神の子としての道を歩めるという、希望にあふれる思いを持たせられていました。
ただし、結婚式を挙げたからといって、すぐに結婚する(家庭を持つ)わけではありません。結婚式のあとは「聖別期間」なるものもあり、それぞれが所属する部署に戻ります。
そして、一定期間を経て、それぞれの部署からの許可をもらったうえで、家庭を持つ(結婚生活を始める)ことになります。それまでは、これまでどおり、純潔を保たなければなりません。私がいた東京では、献金と信者育成のノルマが忙しく、祝福を受けた人たちが「家庭を持つ」許可は、ほとんど下りることはありませんでした。しばらくして、私は所属する教会の許可を得て、東京から実家がある仙台に戻ります。
というのも、当時、文鮮明教祖から「生まれ故郷に戻って、氏族を伝道しなさい」という指示が出ていたからです。そして、仙台の旧統一教会に通いながら、その活動に従事することになります。一方で、結婚相手となった女性は、教祖の指示で中東地域への海外宣教に赴きました。 
●旧統一教会の合同結婚式で在韓の日本人妻7000人の中には帰国困難も 11/14
立憲民主党、共産党などの野党は14日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題で合同結婚式で韓国人と結婚したが帰国して脱会した2人の元信者からヒアリングを行った。
30代の元女性信者は「韓国で暮らす日本人妻には子どもがいるので帰国が困難。パスポートを韓国人の夫に取り上げられているケースもある。帰国したくてもできない日本人妻は約7000人(推定)の中に多数いるはず」などと説明。帰国時の政府の支援を訴えた。
合同結婚式で韓国に渡った日本人妻の人数について外務省領事局担当者は「その数は把握していないが、一般の婚姻の方と、どう区別して把握できるかどうか検討している」とした。
自民 深澤陽一衆院議員 旧統一教会関連団体の推薦確認書に署名  11/14
自民党の深澤陽一衆議院議員は、去年の衆議院選挙の際に、旧統一教会の関連団体の「推薦確認書」に署名していたことを明らかにしました。
複数の自民党議員が国政選挙の際に、旧統一教会の関連団体と「推薦確認書」を取り交わしていたことをめぐり、衆議院静岡4区選出の深澤陽一衆議院議員は、NHKの取材に対し、去年の衆議院選挙の際に「推薦確認書」に署名していたことを明らかにしました。
そのうえで「内容を確認せずに署名してしまい反省している。今後は、教会側とは関係を持たず活動していく」と述べました。
深澤氏は、ことし9月に公表された自民党の調査に、選挙でのボランティア支援を受けていたことや、関連団体の会合に本人が出席して、あいさつしていたと回答していました。
「推薦確認書」をめぐっては、これまでに、いずれも自民党の、大串デジタル副大臣、山田外務副大臣、斎藤洋明衆議院議員の3人が署名したことを認めています。
●推薦確認書提示、新たに4人 旧統一教会、1人署名も 11/14
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が自民党の一部議員と交わした「推薦確認書」について、稲田朋美元防衛相ら自民党議員4人が文書を提示され、うち1人が署名していたことを新たに実名で認めた。14日、事務所への取材で分かった。
書類を提示されたことを認めたのは稲田氏のほか、大岡敏孝衆院議員、宮沢博行衆院議員、深沢陽一衆院議員で、深沢氏は署名も認めた。時期はいずれも昨年の衆院選前と回答した。
深沢氏の事務所は選挙で受けた支援について「団体信者の方から後援会の入会申込書を受け取った」とし、政治活動には「影響していない」と答えた。
●統一教会と35年も闘う山口広弁護士が明かした教祖・文鮮明の本性 11/14
メディアや国民の声により、ようやく質問権行使の道筋がついた旧統一教会の問題。その成り行きが注目されますが、改めて統一教会とはどんな宗教団体なのか、35年も闘ってきた山口広弁護士との対談で聞いた驚きの事実を伝えるのは、メルマガ『佐高信の筆刀両断』著者で評論家の佐高信さんです。佐高さんはさらに、2019年の統一教会系のイベントに国会議員や地方議員が200人も参加し、地方議員の夫婦36組が教団の儀式「既婚祝福」受けたことや、関連団体「勝共連合」の成り立ちなど、政界に深く侵入する実態を伝えています。
統一教会との35年の闘い
自宅に1日200件もの嫌がらせ電話を受けながら、めげずに35年も統一教会と闘ってきた弁護士の山口広と私の対談を含む『統一教会との闘い』(旬報社)が刊行された。執筆したのは全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士たちだが、山口は次のように文鮮明の正体を暴く。
1920年に現在の北朝鮮で生まれた文は1953年に釜山で避難生活をしている時、17歳の高校生をレイプし、男の子が生まれたが、その子を部下の朴普煕の子として朴に育てさせた。アメリカで育ったサミュエル・パクというこの子は、文に人生を台無しにされたとして、文や統一教会を訴えたりしているという。
文は1960年に23歳下の17歳の韓鶴子と結婚し、7男7女、計14人の子が生まれたが、自殺した子も多い。
統一教会関連の『ワシントン・タイムズ』はアメリカで共和党のブッシュ親子やトランプの愛読紙で、彼らは統一教会に協力している。
1997年11月29日にワシントンで行われた合同結婚式でホイットニー・ヒューストンが歌うという情報をキャッチした全国弁連は「あなたの歌が被害者を苦しませることのないよう願っています」と申し入れた。すると彼女は出演をドタキャンしてくれたという。
高野孟が『マスコミ市民』の11月号で、今年の8月15日付『毎日新聞』の記事に触れている。
2019年に常滑市の愛知県国際展示場で「考情文化祝福フェスティバル 名古屋4万名大会」という統一教会系のイベントが行われたが、安倍晋三を撃った山上徹也はそこで韓鶴子をねらうつもりだった。しかし、検問が厳しくて入れず、標的を安倍晋三に替えた。
それはともかく、高野はそのイベントに東海地方と信越地方の一部の国会議員や地方議員が200人も参加したことに驚く。そして、その地方議員の中から36組の夫婦が選ばれて「既婚祝福」(すでに結婚している夫婦が改めて愛を誓う行為)という教団の儀式を受けたことに危機感を抱く。
小林よしのりが「反日カルト」と呼ぶ統一教会について1970年代末にフレイザー委員会(米下院国際関係委員会国際機構小委員会)がアメリカにおける統一教会の動きを調査した。
韓国に朴正熙の軍事政権ができてまもなく、KCIAが創設され、初代長官として金鐘泌が任命された。そして金は勝共連合をKCIAの指揮下においてアメリカと日本の政界工作を行う機関として位置づける。霊感商法というのは、その工作資金を得るための手段だった。だから、親日か反日かはそれほど重要ではなかったのである。
●旧統一教会の合同結婚式*竭閨u日本人妻の帰国支援を!」 11/14
立憲民主党は14日、国会内で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の合同結婚式で韓国人と結婚した後、日本に帰国した同教団被害者の女性2人からヒアリングを行った。
1人目のふゆきさん(仮名、30代女性)は、母親が今でも熱心な旧統一教会の信者。ふゆきさんは2000年代に韓国で行われた合同結婚式で韓国人男性と結婚し、子どもを出産した。
韓国では郊外で夫と住んでいたが、旧統一教会の存在が近くになかったことで信仰心がなくなり、数年前、子どもと一緒に帰国したという。ふゆきさんは6つの要請の中で「韓国に残された7000人(推定)の日本人妻の帰国支援」を強く訴えた。
「合同結婚式をして、韓国で暮らす日本人妻には、子どもがいるので、日本への帰国が困難です。パスポートを夫に取り上げられているケースもあります。自分は何とか子どもを連れて帰国できたが、帰国したくてもできない日本人妻≠ヘ、約7000人の中に多数いるはず」と話し、同ヒアリングに出席した外務省領事局の担当者に帰国支援の内容をこう説明した。
「帰国後の滞在施設を整備してほしい。帰国する日本人妻は、統一教会を脱会している場合が多いが、帰国(離婚)は、実家の親との絶縁を意味します。脱会して子どもを連れて帰しても、帰る実家や家がない。日本政府に韓国にいる統一教会の日本人妻を帰国させる気があるなら『子どもと一緒に、着のみ着のままで、日本に戻ってきても大丈夫ですよ』と言ってほしい」
2人目は冠木結心さん(仮名、信仰2世)。略歴は高校2年の時から旧統一教会のビデオセンターに通い、合同結婚式で2回の結婚(1995年、2002年)を経て、離婚し、2013年に脱会している。ふゆきさんと冠木さんは、外務省担当者に対し「何人くらい、統一教会で合同結婚式をした日本人が、今も韓国にいるのか」と質問した。
同省領事局担当者は「人数につきましては実際問題に、私ども正確な数は把握していません。7000人という数は、私ども、網羅的に把握することが難しい状況です」とコメントした。
旧統一教会問題をめぐり、合同結婚式を挙げた後に韓国にいる日本人妻の人数を把握する考えはあるのか。「把握できるかどうかを踏まえて検討中です」(同省領事局担当者)
立憲の山井和則衆院議員は「(外務省に)人数を把握してもらわないと始まりません。来週の予算委員会で(政府と)議論になると思います」と語った。

 

●永岡文科相、年内の早い時期に旧統一教会の質問権行使「手続きを進める」 11/15
永岡桂子文科相は15日、参院文教科学委員会で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する宗教法人法に基づく「質問権」の行使について「できるだけ速やかに宗教法人審議会に諮問し、年内の早い時期に権限を行使できるよう手続きを進めていく」と述べた。
立憲民主党の熊谷裕人氏から「どこまで質問権の範囲なのか」などとの質疑に対して永岡氏は具体的な内容について「行使に支障を及ぼす恐れがあるので答えは差し控える」とした。
永岡氏は11日に1995年の法改正による創設以来初めてとなる質問権の行使を正式表明した。文科省は宗教法人審議会の了承を経て、旧統一教会側に質問項目を送付、調査を開始。その結果に基づいて解散命令請求の可否を判断する。
●河野検討会の不公正 11/15
世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の解散命令請求に向けた質問権の行使や、被害救済法案に対する与野党の議論が進んでいる。日本で政教分離は正しく理解されていないと指摘する杉原誠四郎氏に宗教と政治の観点から現在の政界の動向について語ってもらった。
家庭連合に対する解散命令請求に向けた質問権の行使、また被害救済法案の中身が政界の一つの焦点になっている。
その先鞭(せんべん)をつけたのは河野太郎消費者担当相だ。8月10日の就任直後から精力的に消費者庁の「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」(以下、検討会)を立ち上げた。衆院予算委で本格的議論が始まる10月17日に合わせるように報告書を出して、旧統一教会に対し「解散請求も視野に入れ、宗教法人法第78条の2に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある」などと提言した。
いわゆる河野検討会の何が問題か。
委員会の人選から、審議の進め方、報告書の内容に至るまで問題だらけだ。
旧統一教会の霊感商法の被害が指摘されているので、消費者庁として調べて被害があれば救済しましょうというのならば理解できるが、そのためには客観的な人を選ばなければならない。
しかし河野担当相は、トロイの木馬のように、旧統一教会の解散を目指す全国霊感商法被害対策弁連(全国弁連)の紀藤正樹弁護士や日本脱カルト協会の代表理事を務める西田公昭立正大学教授、野党議員時代に旧統一教会に批判的な立場から霊感商法問題に取り組んできた菅野志桜里弁護士を行政府の対策検討会に引き入れ委員に就任させた。これは明らかに公正でない人事だ。
実際に紀藤氏や菅野氏が検討会の議論を主導し、全国弁連からは旧統一教会に対する損害賠償請求訴訟を35年間も続けてきた郷路征記弁護士を招き、教理内容にまで立ち入った資料に基づいた説明を受けた。
その半面、旧統一教会の反論や弁明は一切聞いておらず、宗教法人の基本権剥奪に当たる解散命令の請求に言及するのに、公平な立場の憲法学者や刑法学者、宗教学者に意見を求めてすらいない。行政庁の審議としては不当であり、法の支配、法の公正性において大いに問題だ。
報告書の内容はどうか。
明らかに消費者庁の所管外の提言であり越権行為だ。当時、旧統一教会が解散命令を出すに値すると主張していたのは全国弁連であって、その主張をそのまま報道する一部マスコミだった。公的に断定されておらず、いってみれば容疑の段階でしかなかった。
それにもかかわらず、河野検討会はその報告書を通じて、全国弁連の主張に政府のお墨付きを与えた。大衆迎合的なポピュリズム政治の典型といえる。自民党と旧統一教会との「接点」探しに油を注ぐ結果となり、自民党までも大混乱に陥れた。河野担当相の政治的犯罪とも言うべき重大な過失だ。
岸田文雄首相も、河野担当相肝いりの政府検討会の提案なので無視はできない。予算委で「閣内不一致」と追及されかねない。結局、報告書提出の当日(10月17日)に旧統一教会への調査(質問権の行使)を文科大臣に指示し、当初は解散請求の「要件に当たらない」としていた民法の不法行為も一夜にして「(要件に)入り得る」と、報告書の提言に沿った解釈に変えた。
報告書は、霊感商法等の被害救済のため、マインドコントロール論に基づいて取消権の範囲拡大なども提言している。
マインドコントロールというのは、宗教を信仰している信者の心の状態に対して信仰していない人が外から言っている言葉だ。信仰に基づく献金や寄付まで、マインドコントロール下にあって「合理的な判断ができない状況」のためだというのは、あまりにも僭越(せんえつ)だ。どうして旧統一教会の信仰状態だけをマインドコントロールと定義できるのか。他の宗教にも拡大適用すれば、全ての信仰がマインドコントロールだということになる。これは信仰の自由を脅かす大変な暴論だ。
●旧統一教会 事件から100日目に田中会長が行った「驚愕説教」 11/15
「今日は安倍晋三元首相が逝去されて、また銃弾に倒れてから100日目です」
10月16日、東京近郊の教会に現れた田中富広・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)会長(66)は信徒たちを前に静かに語り始めた。8月の会見以降、公の場から遠ざかっていた田中会長だったが相変わらずその語り口は流暢だ。
「この日、田中会長は日曜礼拝に合わせてある地区教会を訪れていました。会長が直々に『説教』をするということで約50人の信徒が駆けつけたと聞いています。オンラインでの配信はなく、その場にいた信徒のみ聞くことができました」(教会関係者)
日曜礼拝は、聖歌や創始者である文鮮明(ムンソンミョン)の言葉を読み解く「説教」を通し、信徒が信仰を深める場である。本誌は当日の音声データを入手。安倍元首相銃撃事件から100日という節目に行われた田中会長の「説教」は、およそ世間の感覚とはかけ離れた驚愕の内容だった。
初めに昨今のメディア報道について、「多くの先輩方から私に手紙が来ます。『戦え! どうしてテレビ局に乗り込まないんだ』と」と話し、信徒の笑いを誘った後、田中会長の話は核心部分に入っていった。
「(事件)当日、安倍元首相が銃弾に倒れたと聞いてショックを受けました。そして容疑者のお母さんが教会に所属しているということを知ってショックを受け、本当のターゲットはお母様(韓鶴子総裁)だったということを知り、さらに衝撃を受けました。人類の真(まこと)の父母を銃弾のターゲットに定めてしまった。このような歴史的汚点を、(日本が)持ってしまった。私たちは深く反省しなければなりません」
そして田中会長は、山上徹也容疑者(42)の家庭について言及する。
「山上容疑者は事件を起こす半年前に、韓国にいる私たちの教会員にメールを送っています。かつて奈良にいた青年部長です。(山上容疑者は、その教会員が)教会に通っていないことを願いながら、そして自分がやろうとすることに少しでも共鳴してくれることを願いながらメールを送りました。ところが (その教会員が)まだ教会にいるということを知った。『だったら、もういいです』と、それ以降連絡はありません。でも、メールをしたということは、それぐらい心が通じていたということです。
この(山上)家庭はその教会員にだけ心を開くんです。その教会員が韓国にわたって、直後に(山上家の)長男が自殺をしました。もし、彼が韓国に行った後に、誰かが代わって(山上家に)向き合っていたら、今回の事件は起きなかったと私は確信しています。そういうことを思えば、捜査本部の結論はまだですが、(事件には)私たちの教団の姿勢が大きく絡んでいたことを否定できないと思っています」
つまり田中会長は、山上家の理解者だった人物がいなくなったことが今回の事件につながったと言いたいわけだ。しかし、山上容疑者の母親が教団に対して1億円以上の献金を行い、それが家庭崩壊の根本的な原因だったことは誰の目にも明らかである。
献金を促す発言
「説教」全体を通して高額献金そのものに対する反省は一切口にしなかった田中会長。それどころか「説教」の後半には、こんな呼びかけまで行われた。
「いつまでに自分の家庭が”テンポウ”を生じるか、しっかり設計図を書いて、その設計図に向かって一歩一歩前進して下さい。家庭に命がけで向き合い、命がけで愛の伝統を立てる家庭であればこそ、テンポウ勝利に向かっていける。心して挑戦していただきたい」
一体どういう意味なのか。長年旧統一教会問題を追及しているジャーナリストの鈴木エイト氏が解説する。
「”テンポウ”は”天寶(てんぽう)”と書いて、『430家庭の祝福(勧誘)』と『430代の先祖解怨(かいおん)』の両方を達成すると与えられる称号です。先祖解怨は要するに先祖供養のことで、最初の7代で280万円かかるので430代は数千万円かかるはず。天寶の達成を呼びかけるというのは、実質的には勧誘・献金を促していると捉えられます」
田中会長の発言の背景には、事件後の日本における教団の財政状況が関係している、とエイト氏は指摘する。
「高額献金について教会内部で反省するような動きは聞いたことがない。被害を訴えている人たちのことも、被害者とは思わずに『神の道を外れた脱落者』と捉えているのではないか。事件直後の日曜礼拝でも田中会長は、泣きながら『私たちにとって献金はとても大切な行為です』と話していました。事件後、財政が厳しくなり、現在、日本の教団がプールしている金は数百億円と言われています。多く聞こえるかもしれませんが、韓国への莫大な送金などを考えるとあと数ヵ月で財政破綻を起こすとされています。それもあって献金を呼びかけざるを得ないのではないでしょうか」
本誌は、田中会長の発言について教団に取材を申し込んだが「10月16日に行われた日曜礼拝は報道関係者および部外者の方の参加はお断りしていました。当法人としましては不当な手段で入手された情報源に対する質問にはお応えし兼ねます」との回答だった。
8月に政府が立ち上げた「『旧統一教会』問題関係省庁連絡会議」には9月だけで2000件を超える被害相談が寄せられ、その内の7割が金銭トラブルだと報告されている。改革を声高に訴える教団だが、その裏で、いまでも会長自らが高額な献金を呼びかける姿に信徒たちは何を思うのか。
●トランプ氏ら米共和党と旧統一教会の半世紀にわたる関係 11/15
2大政党の拮抗が伝えられる米中間選挙。現地では次期大統領選への関心も高まっている。出馬が取り沙汰されるのが共和党のトランプ前大統領だが、気になることもある。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係だ。同氏は教団側にメッセージを寄せたほか、共和党のお歴々も教団側と接点を持ったとされる。そんな状況に岸田文雄首相はどう向き合うのか。世界情勢を左右しうるトランプ氏や共和党にも物申すのか。
中間選挙では伸び悩んだが
「痛い思いをするかもしれない」「あまり良いとは言えないようなことを暴露するかもしれない」
多くの共和党候補が苦戦する中、トランプ氏は挑発的な言葉をぶつけた。
矛先を向けたのは、フロリダ州知事のデサンティス氏。トランプ氏と距離を取りながら、中間選挙で実施された知事選で民主党候補に圧勝した。前大統領は自らの足元を揺るがしかねない政敵と見立て、警戒を強めたのだろうか。
トランプ氏はツイッターが永久凍結され、国家安全保障に関わる最高機密が不法に持ち出されたとしてFBIによる家宅捜索も受けた。にもかかわらず、強い物言いは変わっていない。
その同氏が強い関心を寄せてきたのが中間選挙だ。当初は民主党が劣勢との見方が大半だったが、ふたを開けてみれば善戦。一方の共和党は伸び悩んだ。
国際ジャーナリストの春名幹男さんは「トランプ氏が前面に出すぎたことで、無党派層や若者層が民主党に流れた」とみる。象徴的なのはフロリダ州とペンシルベニア州。冒頭のデサンティス氏は民主党候補に約20ポイントもの差をつけて勝利したが、トランプ氏がてこ入れしたペンシルベニア州で共和党の上院議員候補も知事候補も敗れた。「トランプ氏が頑張るほど共和党は一体性を欠いた。自打球で傷を負った状態に近い」
そんな中でも、トランプ氏は次期大統領選への立候補が取り沙汰されており、15日にも出馬を表明すると報じられてきた。
明治大の海野素央教授(異文化間コミュニケーション論)は「党内ではトランプ氏主導のMAGAマガ共和党(『Make America Great Again』、米国を再び強くする)と、反MAGAの対立がますます激化する」と見通す。「民主党はトランプ氏に出馬してほしいのでは。勝利の公算が大きいからだ」
関連団体集会にメッセージ、出席、講演も
影響力に陰りが見えるとの評だが、いまだ話題に上るのがトランプ氏だ。そこで気になってくるのが旧統一教会との接点になる。
旧統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」のサイトによると、昨年9月の集会では安倍晋三元首相と共にトランプ氏もビデオメッセージを寄せた。教団を率いた故・文鮮明氏の夫人について「素晴らしい人物である韓鶴子博士に感謝したい」と切り出し、9分にわたり熱弁。「文氏と安倍氏はどちらも多大な功績に値する。素晴らしい仕事をした」と持ち上げた。
今年8月の集会では、トランプ氏が改めてメッセージを送ったほか、ポンペオ前国務長官やギングリッチ元下院議長も出席。他の集会では、ペンス前副大統領やチェイニー元副大統領も講演している。いずれも共和党内の保守重鎮だ。
上智大の前嶋和弘教授(米国現代政治)は「共和党にとって旧統一教会は敬虔けいけんなキリスト教の一派で、福音派とも親和性があり重なる。イメージとして悪くないのだろう」と話す。「UPFにとって共和党は日本信者向けの広告塔で、共和党の元政権関係者にとってはお小遣いが手に入る団体なのでは」とみる。
歴代米大統領と教団創設者が面会か
教団系の政治団体、国際勝共連合の機関紙「思想新聞」をたどると、半世紀前から共和党の面々が接点を持ったことがうかがえる。
1992年1月1日付の同紙は、見開きの紙面で教団創設者、文鮮明氏の年表を紹介。アイゼンハワー元大統領と会見(65年)、ニクソン大統領と会見(74年)が目を引く。いずれも共和党に籍を置いた。
84年5月20日付の紙面では、教団系の米保守系日刊紙「ワシントン・タイムズ」をレーガン大統領が「朝一番に読む」と誇らしげに紹介。ほかにも、「(教団関連団体の創設大会で)へイグ元国務長官が講演」(91年9月8日付)など、共和党重鎮の名前がたびたび登場する。
元信者で金沢大の仲正昌樹教授(思想史)は「レーガン氏のワシントン・タイムズ愛読は真偽はともかく、教団内部で宣伝されていた。共和党の要人たちには教団の息がかかっていると誇示していた」と述べる。ベトナム戦争の米軍撤退(73年)後、文氏や勝共連合は米国での「共産主義化の克服」を名目に多くの集会を開いたという。
米下院は教団や韓国の政界工作を調査した過去
一方、70年代後半の米国では、教団側の活動を調査する動きもあった。米下院議会に設けられた「フレーザー委員会」だ。
民主党議員のフレーザー氏をトップにした組織で、韓国中央情報部(KCIA)による米政界の工作を扱った。当時の東京新聞によると、調査対象に教団側も含まれ、文氏の側近も証言を求められた。78年公表の調査報告書は、教団や関連団体が米政界への影響を強めたと指摘。教団側は先立って猛反発し、フレーザー氏らに3000万ドルの損害賠償請求訴訟を起こした。
調査が進んだのは、カーター政権時。ウォーターゲート事件で共和党のニクソン大統領が失脚した後、民主党に政権が移っていた。「教団側には『カーターはソ連・共産主義に甘い』といった認識があり、フレーザーはソ連に操られているとの見方もあった。米国で共産主義を防ぐ砦とりでとして、教団の役割をより強調するようになった」(仲正氏)
岸田政権に問われる対策の「本気度」
フレーザー委員会は日本でも調査した。ただ報告書では、日本人らとの面談を日本政府が拒んだとも指摘している。
当時の首相は福田赳夫氏。政府が及び腰だったのはなぜか。政治評論家の森田実氏は、文氏と関係の深かったとされる岸信介元首相の政治的後継者が福田氏だったことに着目する。
「福田氏は政治的な後見人である岸氏と一体の関係だった。頼まれたことを全くノーと言えないほど。岸氏は米国の共和党系の政治家、統一教会といずれも関わりが深い。これらも影響したのではないか」
ちなみに91年5月26日付の思想新聞は、岸氏と福田氏、安倍元首相の父に当たる晋太郎氏の3人が勝共連合に対して「陰に陽に支援、助言を行ってきた」と記している。
米国で教団と政治家の関係が調査されてから40年余が過ぎ、今は日本で自民党議員らとの関係が取り沙汰される。岸田首相は「関係を断つ」と繰り返し、教団の実態調査や被害者救済の法制化に向かう。
だが、長らく日本政界に目を光らせてきた森田氏は本気度を疑う。「内閣の人気が落ちているからやっているにすぎない」
トランプ氏が米大統領に再選されれば、同氏を含めた共和党の面々と渡り合うことも求められる。教団との関係について直言できるかといえば、森田氏は懐疑的だ。「岸田氏は誰が大統領になっても尻尾を振り、米国べったりの政治しかできないのではないか。今の自民党は、かつて民主党に政権を奪取されて下野したころに近い」

教団を巡る国会の議論を追うと、閣僚らの残念ぶりばかりが目に付く。それはそれで問題だが、そこで話を終わらせてはならない。教団の活動は長く、幅広い。人の動き、カネの流れ。問題の本質は何か。求められるのは根気強い真相解明。支持率目当ての「やってる感」ではない。
●旧統一教会の救済新法「会期内成立に努力」 公明党代表 11/15
公明党の山口那津男代表は15日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に関する新法の早期成立に意欲を示した。「早期に国会に提出し、会期内で成立をはかる最大限の努力をしたい」と強調した。
12月10日までの今国会会期を延長する可能性では「政府、与党で調整しているという認識は少なくとも公明党にはない」と話した。
●関係した地方議員2人 立民神奈川県連 旧統一教会 会合など出席  11/15
立憲民主党神奈川県連は十四日、大沢洋子相模原市議と名切文梨厚木市議が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体の会合などに過去に出席していたと明らかにした。県連は十月、県内全地方議員(九十三人)に対し、旧統一教会との関わりを問うアンケートを実施しており、この二人以外は教会とは無関係と回答したという。
大沢氏は二十年〜五年ほど前まで、世界平和女性連合の慈善コンサートに複数回出席。名切氏は二〇二一年前後に二回、同連合のオンライン講座に参加したという。「旧統一教会と分かった上での関係性ではなかった。今後は付き合いを持たない」(青柳陽一郎県連代表)との理由から、県連は処分はしないとしている。
●自民 茂木幹事長 旧統一教会被害者救済“各党の提案を法案に”  11/15
旧統一教会の被害者救済を図る新たな法案について、自民党の茂木幹事長は記者会見で、今週、政府から与野党各党の幹事長らに「概要」が示されるという見通しを示したうえで、各党からの提案を可能なかぎり法案に反映できるようにしたいという考えを強調しました。
この中で自民党の茂木幹事長は、政府が今の国会に提出を目指す、悪質な献金を規制する新たな法案について「今週中に『概要』の取りまとめができるよう、政府に作業の加速を要請している。『概要』がまとまりしだい、与野党の幹事長に集まっていただき、政府から説明を受けたい」と述べました。
そして、自民・公明両党が、立憲民主党、日本維新の会と行っている4党協議や、国民民主党と行っている3党協議などでも、議論を進めたいという考えを示しました。
そのうえで「新たな法案は、与野党の枠を超えて取り組むべき重要課題であり、できるかぎり協力して早期の成立を目指したい。各党から意見や提案があれば、可能なかぎり、政府の法案に反映する方策も検討していきたい」と述べました。
●旧統一教会被害者救済の新法案をめぐり与野党攻防激化 11/15
旧統一教会への高額献金を規制する被害者救済新法の今国会成立をめぐって与野党の攻防が激しさを増す中、与野党(四党)協議の立民実務者・長妻昭政調会長の見立てが的中した。
11日からの外遊前に新規立法への決意表明をするのか否かがポイントと11月4日の国政報告会で発言していたが、その4日後の8日(外遊出発3日前)に岸田首相は公明党の山口那津男代表と会談した後、新法の今国会提出を目指す考えを明らかにしたのだ。長妻氏は国政報告会で「世論が重要」と強調しつつ、来週が山場になると次のように予告していたのだ。
「今日(4日)、1つ良かったのはうちの早稲田夕季衆院議員が岸田首相に質問をしたら『(旧・統一教会の被害者と)来週会います』と答えたこと。期待をもっているのは、来週会った後の会で『いろいろ党内にも公明党にも意見はあるが、やはり被害者救済法案、(高額献金)防止法案、本丸の新法を今国会中にやる。それを党内に厳しく言いました』と。こういうことをいうために来週被害者と会うと明言したのではないかと思っている。これが空ぶったらもう、『やはり岸田さんダメだよね』と言わざるを得なくなってしまうと思う。ぜひ来週、被害者の方と会った後の岸田首相の発言を注目、ここがもうモゴモゴとなったら期待薄と思うが、私はあきらめずに食らいついて行って臨時国会で成立させるように頑張っていきます。本当に世論が重要だと思うのでよろしくお願いします」。
リモート国政報告会(報道関係者も視聴可能)で長妻氏が被害者面会後の岸田首相発言への注目を呼びかけた4日後の11月10日、事態は動いた。岸田首相は山口代表との会談後の記者会見で、被害者と面会して凄惨な経験を聞いたことを明らかにしたうえで、被害者救済新法について次のように述べた。「政府としては今国会を視野にできる限り早く法案を国会に提出すべく、最大限の努力をすることにします」。
一方、長妻氏は同日の同じ時間帯に国対ヒアリング(旧・野党合同ヒアリング)に出席。旧統一教会の被害者・中野容子さん(仮名)から話を聞いていた。「1億円献金、86歳『念書』 旧統一教会『自由意思』 半年後、認知症の診断」と銘打った11月3日の『毎日新聞』の記事で紹介された中野さんは、母親が約1億5,000万円の献金をしたことを知って提訴、今も裁判中である体験を述べたのだが、それに先立って長妻氏は新規立法の必要性についてこう訴えた。
「いわゆるマインドコントロールと呼んでいるが、継続的行為によって一定の状況に置かれた場合を認定して、お金を取り戻しやすくすることをしなければ、解決に結びつかないのではないか。自公の方も『許容しがたい悪質な勧誘(いわゆるマインドコントロール下に置けるものも含む)などを定義づけたうえで禁止すること』と明言した。これは共通認識でありまして、だからこそ、『新法の条文を出してほしい』と自公に求めた」「『新法を自公、政府が出すことで被害者が救われるのだ』となかなか私も思えない。自公が自ら出してきた論点をクリアする、本当に実効性のあるものなのか否か。条文がないとどうしようもない」。
司会役の山井和則衆院議員がこう補足した。「そういう意味で今日のヒアリングは非常に重要です。自公の党首会談で『新法を出す』と表明されるようだが、その出てくる新法が中野さんのように念書を書かれる(旧・統一教会の)手法に対して取消しに有効なのかどうか。新法を出したが、『今の被害者は対象外』では意味がないので、中野さんのケースが救済できるような法律をつくれるのかどうかが問われている」
この念書は「献金は私が自由意思によって行ったものであり、違法・不当な働きかけによって行ったものではありません」という内容で、半年後に認知症と診断された母親(当時86歳)が署名。しかし中野さんは「正常な判断ができないところにつけこまれた」と反論、返金を求める損害賠償請求訴訟を今でも続けている経過を野党議員に説明していったのだ。
「私は60代です。私自身は信者であったことはありません。2015年に突然、当時86歳の母が旧統一教会の被害を受けていることが発覚して、そのときに年金以外には何も預金などはなく、しかもすでに認知症を発症していると思われたことから「何とか母を助けないといけない」と思って訴訟をしてきました。全弁連の木村壮弁護士と山口広弁護士にお願いをして7年以上が経過しましたが、まだ救済が得られていないという状況です」。
そして配布されたレジメを基に説明した中野さんはこう締め括った。
「母を助けるために裁判提起やむなしになったときにも、裁判費用の捻出に困るほど母はお金をもっていませんでした。両親は不正なやり方で金融財産を収奪され、大切な果樹園を売却させられました。その上、老いの衰えが見え始めた母から不起訴合意の念書を取り付け、それを教会に提出する様子を動画に撮影する。母は三重に人権侵害を受けました。あたかも高齢者詐欺のようで、これが宗教団体のすることとは思えません」「統一教会にはいわゆる自浄作用など絶対にないことがわかります。悪質な高額献金を規制する被害者救済の法整備が一日も早くなされ、両親のような被害者がなくなることを、同時に統一教会が解散されることを心から望みます」。
これを受けて山井議員は「酷悪非道なやり方ではないか」と切り出しながら、同じ時間帯に開かれた岸田首相会見の発言をこう紹介した。
「悪質な献金・被害者救済の新規立法について総力をあげて検討してまいりました。与野党協議の内容を踏まえて、政府としては今国会を視野にできる限り早く法案を国会に提出すべく最大限の努力を行うことといたします。その際に消費者契約法の対象にならない寄付一般について社会的に許容しがたい悪質な勧誘行為を禁止すること。そして悪質な勧誘行為に基づく寄付について損害賠償請求を可能とすること。また子や配偶者に生じた被害の救済を可能とすることなどを主な内容として検討してまいります」「与野党の協力を受けてできる限り、早期の法案成立に至るよう努力をしてまいります」。
この首相発言を読み上げたうえで山井議員は、訴訟担当として中野さんの隣に座っていた木村壮弁護士に「中野さんの母親の献金は、社会的に許容しがたい悪質な勧誘行為に基づく寄付に当たるのでしょうか」と尋ねると、こんな回答が返ってきた。
「中野さんの被害が、社会的に許容しがたい悪質な勧誘に当たるのかと言われば、私は当たると思います。当たると思いますが、『社会的に許容しがたい悪質な勧誘』の意味がはっきりしないので、一般論としては『当たる』と思いますが、『当たらない』と判断される可能性も十分にある」「いわゆるマインドコントロール下にある献金を救済できるようなものになるのか。本当に条文に入るようなものになるのかどうかはまだ分からない」(木村弁護士)。
結局、政府案の条文が出て来ない限りは判断がしようがないということだ。長妻氏が条文を早く出すように求めているのはこのためだ。新規立法への意気込みを長妻氏は最後に語った。
「『こういう日本人を食いものにするような行為が放置されていることこそ、法治国家としていかがなものか』と思う。与党政府も条文を出して我々(野党)とすりあわせる。我々も『条文を一字一句変えない』という頑なな態度ではないので、より良い新法をつくって二度と日本人が食いものにならない社会をつくりたいと思う」
高額献金規制・被害者救済の新規立法をめぐる今後の与野党協議や国会審議が注目される。
●バイデン大統領が岸田総理との「違い」を見せる…揺れる日本 11/15
3時間の滞在
紅海に突き出たエジプト領シナイ半島にある高級リゾート地「シャルムエルシェイク」--。この地で開催中の第27回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP27)で先週金曜日(11月11日)、バイデン米大統領が演説し、アフリカの気候変動対策に1.5億ドル(約200億円)、気候変動の影響を受ける途上国の「適応基金」に1億ドル(約140億円)を拠出すると誇らしげに表明した。
米国では依然として連邦議会の中間選挙の大勢が判明せず、来週からアジアでいくつもの国際会議が開かれることから日程が超タイトにもかかわらず、あえてエジプトに駆け付けて、わずか3時間という滞在を実現。気候変動対策の重要性と米国のコミットメントを謳い上げてみせたのである。
欧州各国首脳も、COP27を重要視している。フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相、英国のスナク首相らが11月7、8日に開かれた首脳級会合に競うように出席、口々に自国の取り組みや国際貢献策を説明した。この首脳級会合には、約100カ国が参加したという。
ところが、我らが岸田総理は、所管の西村環境大臣の希望もむなしく、COP27に参加しない方針だ。影を落すのは、安倍元総理が凶弾に倒れたことから露見した旧統一教会と与党・自民党との癒着の問題や、閣僚の相次ぐ辞任問題だ。同総理は昨年、英国のグラスゴーで開催されたCOP26には参加したものの、今年は噴出する内政の問題への対応に追われ、すっかり気候変動対策への関心が薄れてしまったと言われているのである。
しかし、世界各地で異常気象の多発が続いており、国際社会や市民の気候変動対策に対する関心は高まる一方だ。内閣支持率の落ち込みに歯止めをかけたければ、こうした問題にこそ、しっかりと対応できる指導力があることを証明する必要があったのではないだろうか。
世界各地での異常気象
異常気象は世界各地で猛威を振るっている。今年9月、パキスタンを襲った洪水は国土の3分の1を水没させた。アフリカの干ばつは北アフリカのモロッコなどで深刻な水不足を引き起こした。農耕や生活に必要な水が確保できず、集落の全住民が他へ移住したところが数十カ所に及ぶという。また、欧州連合(EU)の研究機関によると、欧州の干ばつも「過去500年間で最悪」だとされている。中でもスペインでは、この秋の平均気温が観測史上で過去最高を記録。降雨量が落ち込み、世界一の生産量を誇るオリーブに打撃を与えた。
こうした事態を抑えようと、国際社会は2015年のCOP21で「パリ協定」を採択、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度以内に抑えるという目標に合意した。
さらに、昨年のCOP26では、気温が上昇するほど異常気象の頻発など悪影響が増すことから、1.5度目標を重視することを確認した。この1.5度実現には、今世紀半ばには地球の排出量を実質ゼロにする必要がある。
ところが、今年のCOP27の直前に、国連気候変動枠組条約の事務局と国連環境計画(UNEP)が報告書を公表、各国の現在の削減目標を合わせても、2030年の世界の気温が今世紀中に産業革命前に比べ2.5度前後上がってしまうことが明らかになった。
バイデン大統領の演説の中身
こうした中で、COP27の開幕後に、議長国エジプトが打ち出したのが、開催地にちなんだ名前を冠した行動計画案「シャルムエルシェイク適応アジェンダ」だ。この計画案は、フードロスの半減や、海岸線の浸食を防ぐマングローブ林の1500万ヘクタールの保全などの数値目標を盛り込んで気候変動対策を加速するだけでなく、実現のため、年間で最大3000億ドル、日本円にして43兆6000億円の資金が必要だとして、先進国・新興国に円滑かつより多くの資金拠出を求めている。
排出削減の加速では、世界一の温暖化ガスの排出国である中国などの新興国だけでなく、先進国や途上国からも一段の削減努力の表明を取り付けられるかがポイントだ。
資金の面では、途上国の不満を解消して気候変動対策への協力を取り付けるため、すでに表明されていながら履行が遅れている資金協力の早期実現だけでなく、さらなる積み増しも必要と指摘していた。
COP27の会期は11月18日まで。残された交渉期間は1週間を切っている。11月15日からの閣僚級会合で、実効性のある合意ができるのか。ロシアのウクライナ侵攻で天然ガスの供給不足と価格高騰が起きている中、気候変動対策の難しさばかりが目立つ状況になっていた。
そうした中で、議論を推進する起爆剤になるかもしれないと注目されたのが、冒頭のバイデン米大統領の演説だ。もともと気候変動対策は、バイデン政権にとって看板政策の一つで、トランプ前政権が離脱した気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」に、同政権が鳴り物入りで復帰した経緯がある。今回、バイデン氏は、「最近8年は観測史上最も暑かった。ハリケーンが猛威を振るっている」と米国も気候変動で大きな影響を受けていることを強調。
毎回「化石賞」の日本
そのうえで、ロシアによるウクライナ侵攻が「食糧不足、エネルギー危機、世界的インフレを招いた」と指摘し、「化石燃料からの転換の必要性を一段と強めた。どの国もエネルギーを武器に使って世界経済を人質にしてはいけない」と批判。今後を睨んで、途上国支援のほか、二酸化炭素以上の温暖化をもたらすとされているメタンの排出削減でも、各国が協力する必要性を訴えた。
報道によると、こうした演説に対し、先進国の中には「大変なのは実行すること。表明したことをすばやく実行するよう願っている」と冷ややかな声もあったという。とはいえ、途上国からは「パワフルで素晴らしい新たな約束だ。適応のための資金倍増を歓迎する」「バイデン大統領は気候変動との戦いをリードしようとしている。他の首脳にはこれほどの情熱がない」といった好意的な評価が聞かれたという。
一方、日本は11月9日、環境保護を訴える国際的な非政府組織(NGO)である「気候行動ネットワーク」から、気候変動対策に消極的な国として「化石賞」を送られた。石炭などの化石燃料向けの投資を削減するという世界的な潮流に逆らって、公的資金の拠出や輸出を行い、「石炭発電の延命」をしているなどと糾弾されたのだ。
これまでも日本は、COPのたびに、ほぼ毎回、化石賞に選ばれている。こうした批判が繰り返されている以上、日本政府は、岸田総理が先頭に立って、日本の試みが現実的に気候変動対策を推進しようという試みであることを、NGOを含む国際社会に対してもっとしっかりと説明して理解深める必要があることは明らかだろう。
日本が推進している石炭火力発電はCO2を垂れ流す古いタイプのものではなく、アンモニアや水素と混焼し、CO2の排出を減らしたり、発生したCO2を回収・埋設したりすることによって、気候変動対策に寄与しようとするものだからである。もちろん、バイデン米大統領が演説で打ち出したように、一定の国際貢献を示し、気候変動対策で国際的な指導力を発揮する努力も欠かせない。その格好の場であるCOP27を欠席することは、みすみす外交で大きな失点を犯す行為と言わざるを得ないだろう。
それにもかかわらず、内政面の不祥事などの対応に追われ、COP27の対応で他の先進国に大きく後れを取っているようでは、政権運営能力に疑問符を付けられても仕方ない。そのことを、岸田総理はしっかりと自覚する必要があるのではないだろうか。
●「宗教2世」1131人が「チキラボ」の当事者調査に回答 11/15
統一教会(世界平和統一家庭連合)問題では同教会も含めたさまざまな宗教の信者を親に持つ「宗教2世」の存在に関心が集まっている。メディアで報じられるその姿は実態を捉えているのか。そうした世間の関心への、一つの回答ともいうべき調査結果が11月1日に公表された。一般社団法人「社会調査支援機構チキラボ」による「『宗教2世』当事者の実態調査」((だ。
同団体代表理事の荻上チキさんが同日、東京・霞が関で開かれた記者会見でその概要を説明した。調査は9月9日から19日まで、ウェブ上のアンケートフォームを通じて行なわれ、回答者は総計1158人に。そのうち有効回答とされた1131件を対象に分析した結果が、今回発表された内容だ。
ちなみに「宗教2世」といっても今回の有効回答者の範囲は「4世以上」まで及ぶ。また、当事者にリーチしてもらう「スノーボールサンプリング」による調査であり、この結果がそのまま偏りのない「一般的な宗教2世の代表的なサンプル」となるわけではない。会見の冒頭、荻上さんはこうした調査の難しさを挙げ、これがあくまで「政府が大規模な調査を行なうまでの暫定的な、民間による調査」だと報道関係者らに強調した。
そのうえで、まず現在の「2世回答者(3世以降も含む)」が社会に求める対策を複数回答(以下同じ)で聞いた結果としては、親や教団から安全に離れられる制度の整備(73%)、社会問題を起こした団体への解散命令(71・90%)、カルト規制法整備(67・30%)が上位に挙がったことを報告。さらに、脱会者では家族との関係が悪化した(58・30%)、宗教的価値観が自身の中に残っていることに伴う生きづらさ(45・90%)、教団や家族からの再入団要求(35%)も目立ったという。「家族から求められたこと」に関する質問では、儀式等への出席(89・9%)、教団関連団体への所属等(39・5%)、教団への献金(34・2%)などの結果も得られた。
“宗教の残響”による困惑
なお、調査では2世回答者の選択肢への自己申告を基にした分布状況として「仏教系611 神道系100 キリスト教系345」、団体別では「創価学会428 エホバの証人168 統一教会47」が上位を占めたとの数字も報告され、この3団体の2世信者についての比較も行なわれた。たとえばキリスト教系(統一教会やエホバの証人)では総じて性に対するタブー意識が強く、大人になっても恋愛・交友関係を制限された傾向が強く表れており、脱会時・脱会後の困難や価値観での困惑(宗教の残響)の度合いも高く見られた。エホバの証人では8割以上が家族からの体罰を経験しているほか、6割以上が学業・就業面での制限を経験。統一教会では「暮らしむき自己評価」が他に比べて両極化(高所得者が対象になりがち、あるいは献金で低所得となりがち?)していた。政治活動への関与要求度合いは創価学会で高く(なおかつ家族からよりも教団からの要求が高い)、男女別では全体的に女性のほうが男性よりも宗教儀式や献金・活動への参加要求度合いが高い(教団、家族双方からの要求にさらされやすい)といった知見も得られたという。
これらの結果から荻上さんは、メディア等で報じられている「宗教2世」たちの声は「決して特殊なケースではなく、多くの2世が共有するもの」だと捉えるに至ったそうだ。ただ前述の通り統計的な妥当性のある結果ではないため「これが不十分であるなら、ぜひ国が実態調査をしてほしい」とも。この調査結果をもとに国会での議論が進んだり、メディアがこの問題をさらに深く報じてくれたりすることを期待しているという。
他方で独自の提言として、問題のある宗教団体による虐待から子どもたちを守るための方策としての「子供コミッショナー」「子供シェルター」の設置、教育ネグレクトへの介入、宗教トラウマへの広範な保険適応、社会適応プログラムなどの支援パートの拡充が必須だと訴えた。 
●旧統一教会実施の養子縁組 法的問題か 専門家「行政調査を」  11/15
旧統一教会の信者の2世から「教義に基づいて養子縁組をされ、悩んでいる」という相談が支援活動を行っている弁護士に複数寄せられていることがわかりました。
専門家は教団が行った養子縁組に法的な問題がある疑いもあるとして、行政が調査を進めるべきだと指摘しています。
旧統一教会をめぐっては、元信者やその家族から高額の献金や、望まない信仰の強制などの被害を訴える声が上がっています。
これを受けて、国会では被害者救済に向けて悪質な献金を規制する新たな法案などについて議論が進められているほか、政府は宗教法人法に基づく「質問権」を行使することを決めました。
こうした中、旧統一教会の信者の2世から支援活動を行っている弁護士に「教義に基づいて信者の家庭どうしで養子縁組をされ、悩んでいる」という相談が複数寄せられ、弁護士が調査を始めたということです。
「教義のために利用された」養子に出された元信者の訴え
旧統一教会の信者の家庭間で養子として引き取られた元信者の20代の女性、「ようじよ」さん(仮名)がNHKの取材に応じました。
合同結婚式で結ばれた両親のもと「ようじよ」さんは、4人きょうだいの2人目として生まれましたが、生後まもなく別の信者家庭に養子に出されました。
そのことを4歳のときに知ったという「ようじよ」さんは、いきさつについて養母などから聞いたことがあるといい「なぜか私だけ本当の家族から離れて養子に出されました。育ての親に子どもができなかったので、養子がほしいと相談したときに生みの親がたまたま私を妊娠していて『じゃあこの子を』という流れだったと聞きました」と話しました。
そのうえで「教義のために利用されたというか私はいったい誰なんだろう。何のために生きているのかと考えてしまう」と述べ、自分の存在に苦悩した末に、3年前に命を絶とうとしたことを明かしました。
「ようじよ」さんは「養子縁組の制度そのものは子どものできないご夫婦もいるのですばらしい制度だと思う。ただ宗教の教義のために子どもの1人の命をやり取りするのであれば、間違っていると思う。別の人生があったという思いがあります」と話していました。
「妹2人が別の信者の家庭の養子に出された」2世の元信者の告白
「小川さゆり」の名前で被害を訴えている2世の元信者の女性は、妹2人が別の信者の家庭に養子に出されたことをNHKの取材に初めて明かしました。
小川さんは6人きょうだいのうち3番目の長女ですが、妹2人は生後まもなく別の信者の家庭に養子に出され、4人きょうだいとして育ったといいます。
妹が養子に出された経緯については、「産む前に養子に出すことは決まっていて、母が妊娠した時点で教会の上の立場の人から『子どもに恵まれない信者の家庭があるから、子どもをあげられませんか』と相談があったと聞きました」と証言しました。
小川さんによりますと、出産する前から受け入れ先の養母が一緒に生活し、準備をしていたということです。一方、養子として別の家庭に引き取られた妹とは数年前に会ったことがあり、そのときは温かい家庭で育っていると感じたといいます。
教団のスピーチ大会で準優勝するなど、かつて信仰に熱心だった小川さんは養子縁組そのものは必要な制度だとしたうえで、「統一教会の思想では信者の人生の目的に『三大祝福』があり、その中の2番目が『子女繁殖』なので、神様の思想を成し遂げなきゃいけないのに(子どものいない信者は)自分たちがその責任を果たせないことにすごく悩んでいます。養子に出た先で幸せに暮らしている人はいると思いますが、教義を守ったうえで子どもの幸せがあるという形に感じられます」と話していました。
旧統一教会の教義に基づく養子縁組とは
旧統一教会の教義では、子を産み増やすことは神の創造目的だとされていて、信者向けの動画や出版物の中では「養子縁組」について説明しています。
このうち「ほぼ5分でわかる祝福結婚Q&A」という動画では「祝福結婚後なかなか子どもができません。養子縁組はできますか?」という問いに答える形で紹介されています。
中では「さまざまな理由により、子どもができない場合がある。真の父母様はこの課題を解決するために養子縁組を許可してくださいました」などとしています。
さらに「天からの子宝の恵を受けた祝福家庭は、その恩恵を子女の授からない祝福家庭にも分かち合う使命と責任があります」などとしています。
また、信仰生活の指針を示したハンドブックには、「養子の約束を交わすのは、捧げる側の妊娠前が最も望ましい」と養子に出すことを前提にした妊娠を推奨する記載もありました。
また「両家で合意がなされたら、必ず家庭教育局に報告が必要」などと、養子縁組に教団が関わっていることをうかがわせる内容も記されています。
さらに旧統一教会のSNSには、養子を3人以上出した信者の家庭が表彰されたという内容も書かれていました。
調査で寄せられた証言は
旧統一教会の元信者などの支援活動をしている「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の阿部克臣弁護士は、2世から養子縁組に関する相談が複数寄せられたことを受けて、調査に乗り出しました。
これまでの聞き取り調査では「養子に出すために子作りをした」とか「10人きょうだいのうち4人を養子に出した信者の家庭がある」「子どもが3人以上いる家庭に対して、教団側から『養子に出してほしい』と呼びかけられた」といった証言が寄せられたということです。
さらに深刻なケースでは、思い悩んだ末に自殺未遂にまで至った2世もいたということです。
阿部弁護士は子どもの利益を重んじる未成年の養子縁組制度の趣旨に反する場合があるのではないかと指摘したうえで「養子縁組は、もともと子どもの福祉のための制度だと思います。統一教会でやっていることは信仰上の目的を達するためではないかと思われ、子どもの福祉のことが考えられていない。そこにいちばん大きな問題があると思います」と話しました。
民法や養子縁組制度に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は「妊娠のときから、あるいは出生する前から、養子縁組の約束をしたほうがいいと勧めること自体が子どもの福祉にも反するようなやり方で、子どもの幸せや利益を重く考えていない」と話しました。
そのうえで「子どもがいない家庭に養子に出す目的や宗教的な意味合い、さらに法律に沿った手続きの方法を細かく示しているのであっせんにあたるのではないか。今回の問題は児童福祉法や民法、民間の養子縁組あっせん法に触れる可能性がある。行政としては子どもの利益を守らなければならないし、法令がきちんと順守され、適正な活動が行われているかチェックする立場にあり、行政による実態調査が必要だ」と話していました。
養子縁組制度の意義
児童福祉における養子縁組制度の意義は、家庭に恵まれない子どもなどに温かい家庭で健全に育ってもらうこととされ、このうち「特別養子縁組」については2021年、680件余りが成立しています。
厚生労働省によりますと、養子縁組のあっせんとは、親や子どもの間をとりもって、養子縁組の成立が円滑に行われるように第三者として世話をすることで、報酬を伴うかどうかにかかわらず、一定の目的をもって反復継続的に行う場合は、都道府県の許可を受ける必要があると法律で定められています。
許可を受けたあとも、都道府県は必要に応じて立ち入り検査ができ、許可を受けずにあっせん事業を行った場合の刑事罰も設けられています。
厚生労働省は「許可を受けずに、第三者として養子縁組の世話を反復継続的に行っていれば、あっせん法に違反する。その疑いがある場合、事実確認と行政指導を行っていくべきと考えらえる」とコメントしています。
「世界平和統一家庭連合」旧統一教会は
「世界平和統一家庭連合」旧統一教会は、これまでに745人の養子縁組が行われたと明らかにしたうえで「養子縁組は、養子を捧げる家庭と養子を受け入れる家庭同士が密接に交流しながら、養子となる二世の幸せを願って進められるものであり『親の信仰のための養子』といったご指摘は事実に反します」としています。
またあっせんについては「当法人で行われている養子縁組制度は、民間あっせん機関による養子縁組とは性質を異にするものであり、養子縁組を取り持つ教会が金銭的報酬を受け取ることは一切ありません。以上の理由から民間あっせん機関等の認可は受けておりません」とコメントしています。
●旧統一教会…セミナーの実態 強引な勧誘 関連団体から勧誘された男性 11/15
旧統一教会、世界平和統一家庭連合に関して、被害者救済に向けた法整備が与野党で協議される中、教団から勧誘を受けた女性がセミナーの実態を語りました。一方、およそ40年前、教団の関連団体のセミナーに参加し、いまなお精神的に苦しむ男性がいます。
旧統一教会幹部「三日行事をして初めて婚前の夫婦の立場に立って…」
これは、旧統一教会が最近行った、教義を教える「修練会」というセミナーの様子です。
旧統一教会のセミナーに参加した女子学生(20代)「当日到着するまで、(セミナーの内容は)わからない状態でした」
セミナーに参加した北海道の女子学生です。女性は幼少期、信者から勧誘を受けた母親と旧統一教会の行事に参加しましたが、その後、関わりはありませんでした。今年の春、進学のため親元を離れ札幌に。すると、教会幹部から連絡が入ります。
協会幹部の男性「同年代もいて、悩みなど相談できるから、セミナーに参加してみないか」
女性は断り切れず参加。しかし、そこで明らかになったのは…。
旧統一教会のセミナーに参加した女子学生(20代)「『合同結婚式を目標に修練会や2デイズセミナーをやってるんだよ』ということを言われて、『セミナーに参加して(合同結婚式の)権利を得ようね』『(韓国に)行けるように自分でお金をためて頑張ってね』と言われた」
合同結婚式に参加する権利を得るために必要な費用などが説明されたのです。ほかにも、教団の教義や自身の罪を取り払う儀式などが行われたといいます。さらに、教団幹部が繰り返し強調したのが、報道への批判でした。
旧統一教会のセミナーに参加した女子学生(20代)「(マスコミは)統一教会と言っているけど、今は名称が変わってるから、そんな報道は気にしなくていいとずっと言われた」
セミナーの後、女性は「入会しない」と伝えましたが、現在も入信を勧誘する連絡が続いています。
旧統一教会のセミナーに参加した女子学生(20代)「押しが強いというか、すぐ日程を決めて、やめさせない雰囲気がしました」
教団による若い世代への勧誘活動。40年以上もの間、苦しんでいる男性がいます。
「原理研究会と統一教会は許せない」
北海道苫小牧市の高倉信之さん。40年前、旧統一教会の関連団体によって受けた精神的被害に今も苦しんでいます。高倉さんは22歳の時、北海道大学医学部に進学。1年の夏、友人からボランティアサークルに誘われます。
高倉信之さん(63)「食事もできるよ、友達もできるよ、たまにギター弾いて歌ったりするんだよって」
サークルの幹部から東京でのボランティア研修会へ参加するよう勧められ参加。全国からおよそ60人の大学生が集められ、その場で明かされたのは…。
高倉信之さん(63)「『原理講論』という教科書を渡された。万物主管という言葉が出てきて、人間は物によって支配されていて、神様に戻さなければならない。すべての金・金品は神様のもとに戻すという話になってきて。何の団体なの?って」
旧統一教会の学生組織「原理研究会」でした。原理研究会は、教団の信者にするため学生に勧誘を行い、当時、伝道活動や親への寄付の強要などが社会問題化していました。高倉さんが研修会で見せられたビデオの中には、教団とある政治家との繋がりがあったといいます。
高倉信之さん(63)「祝電で元内閣総理大臣・岸信介と名前が出てきた。『文(鮮明)先生には多大なる愛情注いでいただき、ありがとうございます』と」
昼夜にわたり、教義を教え込まれる日々。高倉さんが「札幌に帰りたい」と幹部に伝えると、態度が一変します。
高倉信之さん(63)「首をつかまれて河原まで連れて行かれた。『お前を社会に復帰させるわけにはいかないんだ」、このまま帰すわけにはいかないと。けい部、太もも、アキレスけんに蹴りを入れられた。死ななければならないのかと、自分の中で恐怖心が自分をがんじがらめにした」
高倉さんは、暴行を受け、水行や断食をさせられ、軟禁状態に。研修と称して、教団の関連会社が作った物品の訪問販売活動に駆り出されたと言います。
高倉信之さん(63)「(販売活動中に)熱が出ても休ませてくれなかった。このままだと倒れてしまうときに、『すいません。休ませてください』と懇願したが、『だめだ。そこにサタンが入るんだ。外に出れば体は戻る』と言われた」
3週間の研修が終え、札幌に戻り、退会を伝えると、大学や下宿先に原理研究会の幹部が毎日訪れ、執ように引き留められ、友人とのつながりが絶たれていきました。高倉さんは、うつ病や強迫性障害と診断され、大学を中退。仕事も長続きせず、現在は生活保護を受け、精神科に通っています。
高倉信之さん(63)「『罪の子』『サタンの子』という気持ちが完全に植え付けられて、何も悪いことしてないのに、『怒った?』『何か気を悪くした?』と異常に反応してしまう。何か苦しいものがあれば、『死ねば逃げられる』という感覚が今も続いている」
「原理研究会」は、現在は「CARP(カープ)」と名称を変えて、全国の大学でボランティアサークルと名乗って、旧統一教会の教義を教えるための勧誘活動をしていると指摘されています。全国のCARPをまとめているワールドカープ・ジャパンに原理研究会について、質問状を送りましたが、現在までに回答はありません。
●「6万円くらい?」 旧統一教会“合同結婚式”に旅費付きで招待された議員 11/15
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と関連団体が2020年に開いた“合同結婚式”に、地方議員が多数招待され、旅費などを教団側が支払っていたケースがあることを、招かれた議員が明らかにした。専門家は「違法な寄付の可能性がある」と指摘している。
20年2月、旧統一教会は関連団体とともに「天地人真の父母聖誕100周年及び天宙聖婚60周年記念行事」「ワールドサミット2020」を韓国で開いた。
旧統一教会の「本山」がある清平の「清心平和ワールドセンター」で2日間にわたって開催されたイベントのプログラムを見ると、
<聖水儀式><聖婚問答>といった内容が書かれている。
かつて合同結婚式で“祝福”を受けたという元信者がこう話す。
「イベントは、表向きは旧統一教会の創始者の文鮮明と韓鶴子を祝福するという内容になっていますが、実質的には合同結婚式です」
AERAdot.が確認した資料によれば、合同結婚式など、この時のイベントに50〜60人の地方議員の参加が確認できた。
参加したある地方議員が話す。
「国会が開会中で、国会議員が参加できないということで、地方議員に声がかかった」
兵庫県からは少なくとも7人の地方議員が参加していた。その一人、西宮市の坂上明市議会議長はAERdot.の取材に、
「うそも隠しもしません。旧統一教会の誘いで韓国に行ったのは事実です」と認め、そのときの詳細を語った。
――参加のきっかけは何だったのでしょうか。
「昔から知っている旧統一教会の方のお誘いを受けたので」
――20年2月は安倍晋三元首相の銃撃事件前ですが、合同結婚式は社会的に問題があると言われていました。
「最初に聞いた時は、ワールドサミットという世界の指導者が集まるイベントへの参加でした。それが国際展示場で開かれ、その翌日だったかに旧統一教会関連の記念行事に出席しました。それもワールドサミットの一つかと思っていたら、ウェディングドレスを着た女性がたくさんおられて、聞けば合同結婚式も兼ねているというような話でした」
――合同結婚式に参加、もしくは祝福を受けたのですか。
「大きなアリーナで観客として見ていただけです。そもそも合同結婚式があることも知りませんでした。ただの観客として見ていました」
――韓国への航空券など旅費はどうしました。
「当初、旧統一教会のお誘いいただいた方から『6万円くらいでは』と言われてお金を用意しました。しかし、『今回は結構です』と言われて、先方が払ってくれた」
――旧統一教会から旅費の負担というのは問題では?
「確かに甘かった。今、交渉を弁護士に委任して、かかった費用を問い合わせてもらっています。私からは弁護士に10万円ほどを預けています。旅費が確定すれば、支払ってもらいます」
――過去に旧統一教会から選挙の支援を受けたことはありますか。
「18年かその前の統一地方選で、推薦はがきを10枚か20枚、『お願いできますか』とお渡ししたことがありました。選挙はそれだけです」
――イベント出席や祝電は?
「秘書時代から懇意の方に誘われ、年2回くらいイベントに出席しております。私の政治家としての出発点は、自民党の派閥の領袖(りょうしゅう)を務めた先生の秘書からで30年近く前です。その後、3人の国会議員に秘書として仕えました。4人の先生のいずれも旧統一教会とは何らかの関係がありました。私も先生方に命じられ、旧統一教会関連のイベントには何度も出席しています。そういう関係から、韓国にもと誘われたのです」
――直近では何のイベントに出席されましたか。
「今年6月に旧統一教会の関連団体が神戸市教育会館でイベントを開きました。それを最後に、距離を置いています。その時は場所も公共性が高いということでうかがいました」
――兵庫県ではそうしたイベントは多いのですか。
「旧統一教会はコロナ禍までは年に1度、神戸市内で大きな会合を開いていました。多くの国会議員や秘書が当たり前のように来賓として出席し、祝電も送られていました。そのような背景が兵庫県の自民党ではありました。私も自民党の人間です。反省し、今後はかかわらないようにします」
そこで坂上議長にAERAdot.が入手した、20年2月の韓国でのイベントに招かれた兵庫県の7人の地方議員のリストをみせると、「私の記憶とだいたい一致しています」と話した。
リストにあった地方議員のうち、連絡がとれた神戸市議は、「確かに韓国には行っております。ワールドサミットという会議に参加しました。世界の首脳が一堂に集うイベントでした。旧統一教会からのお誘いで『ご招待』とのことで、費用は支払っていません。今、指摘されると軽率というしかないです」と打ち明けた。同じように参加した姫路市議は、「お誘いを受けて、ワールドサミットに参加しました。環境問題がテーマで勉強にはなりましたが、市政からみればあまり関係がないかもしれないです。費用は自腹です。10万円くらいだったと記憶しています。初当選後、旧統一教会というより国連NGOの世界平和女性連合であったという認識でお付き合いしておりました。今後、関係は持ちません」と話した。
韓国で坂上議長と行動を共にしていたという西宮市議は、「私の事務所から100メートルくらいの場所に旧統一教会の教会があり、関係者と顔見知りだったので年に1、2回、イベントに出ておりました。韓国でのイベント参加はどちらも観客という形です。費用は請求がなかったので支払っていません。坂上議長と一緒に弁護士へ依頼し、費用を問い合わせしてもらっています。今後は、(自民)党から付き合いはするなと言われれば、関係は持ちません」。
坂上議長によると、今年6月に旧統一教会関連団体の会合が開かれたのが、神戸市教育会館の4階会議室。不動産登記簿によれば、所有者は神戸市教職員組合になっており、事務所もある。
「旧統一教会の関連団体には、今年3月27日と6月18日の2度、会議室を貸し出しています。旧統一教会と関連とのことですが、壺を売っていたようなわけでもなく、ご指摘があるまでわかりませんでした。一般財団法人神戸市教育会館として運営しています。明らかにマルチ商法などという場合は断りますが、それ以外はなかなかそうもいかないのが現状です」
神戸教育会館の担当者はそう話す。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の加納雄二弁護士は、「地方議員が、旧統一教会にカネを出してもらって韓国のイベントに参加するなんてことは、PRに使われるだけで許され難いです。旧統一教会が社会的に問題があると指摘されている団体で、今も深刻な被害に悩んでいる国民が多数いることくらい、インターネットでも見ればわかるはず。また、公共性が高い施設がいとも簡単に旧統一教会に貸し出され、それが信用の一端になっていることも大きな問題です」と話している。
政治資金に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は、「合同結婚式が行われているのを見れば、明らかに旧統一教会のイベントとわかる。この時点で、社会的に問題になった団体のイベントだと理解して、その場で招待を辞退するべきです。合同結婚式の参加については、政治倫理的に問題であり、政治家として失格です」と批判する。
また、旅費などを教団側が支払った件については、「教団側はその人物が政治家であるから招待するわけで、議員は政治活動としてイベントに参加していると認識すべきです。政治活動で旅費などを教団側に出してもらうとなると、イベント主催者から寄付を受けたということになる。政治家個人で寄付を受けることは、政治資金規正法で禁止しています。政党の支部などに寄付することはできますが、その場合は収支報告書に記載する必要があります。記載がなければ、政治家個人が違法な寄付を受けた可能性が出てきます」と違法性も含め、指摘している。
イベントに参加した50〜60人の地方議員のなかには、他にも「アゴアシ(食事代、交通費)付き」だった議員がいるはずだ。息をひそめて「逃げ切る」つもりなのだろうか?

 

●政府、旧統一教会を調査へ 11/16
厚生労働省は16日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が行った養子縁組を巡り、あっせんの有無など事実関係を調査するため、週内にも教団側に実態を尋ねる方向で調整に入った。関係者が明らかにした。
松野博一官房長官は同日の記者会見で、養子縁組あっせん法を所管する厚労省が対応を検討していると明らかにした。
教団の養子縁組に関連し、知事らの許可を受けずに養子縁組あっせんを一定の目的を持って反復継続的に行った場合は、養子縁組あっせん法に違反するとの認識も示した。
厚労省関係者によると、加藤厚労相が教団への調査を指示した。週内にも東京都の教団本部に質問書を送付する。
●「安倍派を中心に」統一教会教祖・文鮮明が信者に指示した政界工作の手段 11/16
先日ネット上に流出していたことが明らかになった、旧統一教会教祖・文鮮明氏の全615巻にも及ぶ発言録。その過激な内容が話題となっていますが、教団内部を知る人物はどのように受け止めたのでしょうか。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』ではかつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さんが、文氏の発言内容を自身の教団内での体験と照らし合わせつつ検証。現在も継続中と思われる旧統一教会の政界工作の実態も詳しく綴っています。
1.文鮮明教祖の語録からみえてくる教団の野望と思惑。信者経験と重ね合わせると、見えてくる…
文鮮明教祖の発言集である『文鮮明先生マルスム選集』(成和出版社)615巻がネットにあがり、各社からその内容が報道されています。そのなかで、教団の政治活動への指示が明らかになりました。その指示の流れが今日まで続き、教団の関連団体を使っての自民党をはじめとする、国会議員・地方議員らとの関係は深まっていったことがよくわかります。
私が信者として中にいた頃に聞いた話とつき合わせながら、報道された文鮮明教祖の発言内容をみてみます。
これは当時、私が教団内で、幹部や責任者から聞いている話がそのまま載っている感じです。
「安倍元首相の父親である、安倍晋太郎元外相が当時率いていた安倍派を中心に、国会議員との関係強化を図るよう、信者に語った」という内容が報じられています。
本来、信者として文鮮明教祖の指示は神様の言葉として絶対に守るべきもので、果たさなければならない使命です。それにもかかわらず、教団側の「日本では使われておらず、信者の行動指針というわけではない」というコメントはありえません。再臨主である教祖の言葉をどう捉えているのか、まったく理解できません。
公式ヤフーコメントでも、「中曽根裁定」の話を書きました。これは、当時総理大臣だった中曽根康弘氏が、87年10月20日に次の首相として、竹下登氏指名したという話です。ここでは文字数制限もあり、89年までの流れまではすべて書けませんでしたので、続きを話します。
教団としては、関係の深い安倍晋太郎氏が総理になることを願っていました。
「安倍総理が誕生すれば、親しくしていた当時の久保木修己会長(統一教会初代会長)が副総理になる道もある」と会長の政界入りを果たせるとまで言われてきました。それにより、教団の思想が一気に政治に反映されて、ローマ帝国時代にキリスト教が国教となったように、統一教会が国教になる日がやってくる。そう教えられ信じていました。しかしながら、その思惑は中曽根裁定により、いったんはついえることになります。当時の教団の信者らの落胆ぶりを、今でも覚えています。
ですので、中では中曽根元首相は、神様の摂理に失敗した人物となっていました。しかし後に92年に教祖が入国し彼と会談することで、その汚名はそそがれます。今になってみれば、教団の野望を中曽根氏が打ち砕いたことになります。しかし、教団は政界工作を諦めていませんでした。それが教祖の89年の発言につながります。
2.捲土重来をなすための89年の文鮮明教祖のみ言葉か!?
これまでの教団の手口を見てもわかるように、選挙に落ちた人に教団信者らが組織的に近づき、選挙などの応援をして、恩を売り、その議員を統一思想の教えに染めていく。そこで、議員らをしっかりとからめとるために、信者である秘書を入れ込むなどは常套手段を取ります。
それが、今回の御言選集にも出てきています。
「旧統一教会の創始者、1989年に政界工作を信者に説く発言」(ABEMA TIMES 2022/11/07)の報道によると、「国会議員との関係強化です。そうして国会内に教会をつくるんです」「二番目は秘書です。国会議員の秘書を輩出する」「三つ目は国会内に組織体制を形成することです。それで、自民党の安倍派などを中心にして、(議員たちを結成して)数を徐々に増やしていかなければなりません」といっています。
これは1989年7月に語られた文鮮明教祖の言葉といわれています。ちょうど、安倍晋太郎氏が癌治療のため、入院して退院したのが7月といわれています。安倍氏も体調の不安などもあったことでしょう。しかし政界に復帰してきたことをいち早く知った文鮮明教祖のエールだったと思います。
そして中曽根裁定で首相になれなかった安倍晋太郎氏を再び応援して「総理大臣にさせるために、教団が一丸となって、政界への働きかけを強めていきなさい」とする指示だと捉えています。
3.90年の衆議院総選挙はカルト選挙元年だった!?話題のあの人も初当選!
翌90年に行われた第39回衆議院総選挙では、すでに過去のメルマガにも書きましたが、東京の支部にいた私は教団から自民党の「新井将敬議員」に投票するように指示をうけました。彼は文鮮明教祖のためなら、何でもする男と内部ではいわれていました。
実は、この年に島根県で初当選した議員の一人に、その後に、教団との関係が深いとされる、細田博之氏もいます。
安倍晋太郎氏の応援もあっての当選であることが推察できます。ここからは想像ですが、かなりの恩義を感じて、長年、清和会(安倍派)を支えてきたのだと思います。それだけに、旧統一教会と関係が深いのは頷けます。
余談ですが、この選挙には、オウム真理教の教祖・麻原彰晃(松本智津夫)が党首となった「真理党」から24人が立候補しました。当時、私は街頭で伝道活動などをしながら、「彼らに負けてはいけない」と、その選挙活動を見ていました。
この年の総選挙では、旧統一教会は正体を隠して、安倍派などの自民党議員を全信者らが応援しており、カルト宗教にとって大きな意味のある年だと思っています。
まさに89年の文教祖の言葉は、この総選挙を睨んでのことではなかったかと思っています。ここまで教団から「自民党の〇〇氏に投票しろ!」いわれたことは、87年に入信してからありませんでした。ある意味、カルト選挙元年だと思っています。
しかし再び、衝撃がおきます。91年に病により、晋太郎氏は67歳の命に亡くなりました。この時、私自身も献身(出家)信者として活動していましたので、その訃報は今でも覚えています。教団の信者らは愕然としました。安倍氏を通じた、教団の政界進出の思惑は再び、ついえることになりました。
しかしこの当時、「多くの議員のもとに秘書が入り込んでいいて、神様の摂理は進んでいる」ともいわれました。安倍氏は亡くなりましたが、この当時から入り込んだ教団関連の秘書たちからの流れは、30年たった今でも、続いています。
●「両親は創価学会に数千万円寄付した」 宗教2世が告発 11/16
仏壇だけで約2千万円
宗教団体への高額献金を規制する必要性が叫ばれる中、“ブレーキ”となっている存在と伝えられるのが公明党だ。献金額の多さが規制されるとなれば、支持母体の創価学会にも降りかかってくる問題となるのは想像に難くない。“エリート学会員”として育ち、10年前に創価学会を脱会した、芸人の長井秀和が高額献金の実態、池田大作名誉会長の素顔について告発する。
両親が熱心な学会員だった長井は、東京創価小学校、創価中、創価高、創価大と進学するなど、まさにエリート学会員だった。さらに芸人としてブレークした後は、「芸術部」に所属して広告塔としての役割も果たしてきた。その後、長井は学会に絶望し、2012年に脱会を表明。そんな長井に高額献金の実態を聞くと、「集まる金額は毎年1千億円以上ともいわれる」としながら、
「学会側が明言することはありませんが、財務(注・一般的には寄付、お布施のこと)の額はおおむね収入の1割が目安といわれています。10日で1割の高利貸し“十一(トイチ)”にちなんで、私は学会の財務を“宗教十一”と呼んでいますが、収入が低ければ低いほど、当然、負担は大きくなる。うちの両親でもすでに総額で数千万円の寄付をしていると思いますよ。それだけでなく、例えば高額な学会専用の仏壇を3基も購入していて、仏壇関連だけで約2千万円。統一教会の“100万円の壺”なんて安すぎて、多くの学会員はピンとこないんじゃないでしょうか」
統一教会の被害者救済を巡り、現在、国会では高額献金を規制する新法の是非が論議されているが、これに対する公明党の歯切れの悪さも長井氏の話を聞けばうなずける。あからさまな詐欺的行為はないとはいえ、献金や物販の規模は、統一教会のそれとは、まさに桁違いなのである。
幹部が終始池田大作名誉会長の悪口を
そもそも、学会一家に育った長井はなぜ脱会するに至ったのか。創価小・創価中に通っていた子供の頃に通算60回ほど池田大作氏と会ったことがあり、当時は「しょっちゅうアイスクリームとかお小遣いをくれるオッチャンくらいの印象だった」という。
成長するにつれて、聖教新聞などで読む池田氏の言葉と、この印象とのギャップに違和感を覚えるようになっていったそうだ。
「彼が執筆した小説『人間革命』を読んでも“そんなわけないでしょ”と思いはじめ、池田氏の作られすぎたカリスマ性を異様だと感じるようになったのです」
それでも信仰心は残っていたというが、2007年夏に決定的な“事件”が起きた。
「参院選の応援のために埼玉県を訪れていたときに、車に同乗していたさる最高幹部が終始、池田氏の悪口を言っていたんです。もう、言うことがコロコロ変わるだの無茶を押し付けられるだのと言いたい放題」
そこから自分で創価学会の実態について調べるうちに「外の世界から見た学会がいかにうそにまみれているか」に気付いたという。結果、彼は脱会することを決意したのだが、待っていたのはかつての仲間たちからの「これでもかというほどの呪詛(じゅそ)の言葉」だった。 
●旧統一教会 信者の養子縁組745人 「あっせん」性は否定 11/16
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は16日、昭和56年以降、745人の養子縁組があったと明らかにした。信者同士のつながりや地域の付き合いで決まっているといい「あっせんなどは一切行っていない」とした。都道府県知事の許可を得る必要はないとの考えも示した。
被害対応に当たる全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士によると、7月以降、養子縁組を巡り相談が数件寄せられているという。また、教団の元2世信者は16日の野党のヒアリングで、自身の家庭での縁組について証言。年下のきょうだい3人が別の信者家庭の養子となったと述べていた。
●養子縁組は「人権無視」 旧統一教会、元2世が訴え  11/16
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元2世信者小川さゆりさん=仮名=が16日、野党のヒアリングに出席し、きょうだい3人が信者の家庭の養子となったと明らかにした。「教会、信者、親たちの事情だけがまかり通っている。人権が無視されている重大な問題だ」と証言した。
厚生労働省は教団の組織的な養子縁組あっせんの有無などについて調査する方針を表明。週内にも東京都内の教団本部に質問書を送付し、実態の説明を求める。無許可でのあっせんなど、教団の法令違反がないかどうかが焦点となる。
加藤勝信厚労相は16日の衆院厚労委員会で、調査実施を15日に担当職員に指示したと言及した。
●旧統一教会の養子縁組 野党 速やかな実態把握求める意見相次ぐ  11/16
旧統一教会で行われている信者どうしの養子縁組をめぐり、立憲民主党や共産党などは、16日午後、国会内でヒアリングを行いました。
信者の2世という30代の女性は「子どもにめぐまれない信者の家庭に養子に出すことが推奨されることがある。子ども本人の人生がかかっていることを軽くとらえ多くの人が養子に出すのをよいことだと認識している教団の風土に疑問を感じる」と訴えました。
また、出席した議員などからは、旧統一教会による養子縁組は、法律に違反する疑いがあるといった指摘や、政府に速やかな実態把握を求める意見が相次ぎました。
これに対し、厚生労働省の担当者は、加藤厚生労働大臣の指示を受け事実関係を確認するため、近く教会側に対し東京都と連名で質問書を出す方針だと説明しました。
●旧統一教会“信者どうしの養子縁組”国が自治体と連携し調査へ  11/16
旧統一教会で行われている信者どうしの養子縁組に、法的な問題がある可能性があるという指摘が出ていることを受けて、厚生労働省は今週中にも自治体と連携して旧統一教会への調査を始めることになりました。
旧統一教会、「世界平和統一家庭連合」では子どもが複数いる信者から子どもがいない信者への養子縁組が推奨され、教団によりますと1981年以降、745人の養子縁組が行われたということです。
これについて信者の2世から「教義に基づいて養子縁組をされ、悩んでいる」という相談が弁護士に複数寄せられているほか、専門家からは、無許可のあっせん事業として養子縁組あっせん法などに触れる可能性があるという指摘が出ています。
これを受けて厚生労働省は、今週中にも自治体と連携して旧統一教会への調査を始めることになりました。
厚生労働省は、まずは旧統一教会の本部がある東京都と連携して調査を進めることにしていますが、旧統一教会は各地に拠点があることから、他の道府県との連携も検討しているということです。
これについて、旧統一教会は「厚生労働省の調査があった場合、誠実に対応させていただきます。当法人で行われている養子縁組制度は、民間あっせん機関による養子縁組とは性質を異にするものであり、養子縁組を取り持つ教会が金銭的報酬を受け取ることは一切ありません。以上の理由から民間あっせん機関等の認可は受けておりません」とコメントしています。
専門家「法に触れる可能性 実態調査必要」
旧統一教会の教義では子どもを多く産み育てることが重要だとされ、教団の動画や出版物で「天からの子宝の恵を受けた祝福家庭は、その恩恵を子女の授からない祝福家庭にも分かち合う使命と責任がある」などと説明されています。
元信者などの支援活動をしている「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の阿部克臣弁護士によりますと、これまでの調査では「養子に出すために子作りをした」とか「子どもが3人以上いる家庭に対して、教団側から『養子に出してほしい』と呼びかけられた」といった証言が寄せられたということです。
阿部弁護士は「養子縁組は、もともと子どもの福祉のための制度だ。旧統一教会での養子縁組は信仰上の目的を達するためではないかと思われ、子どもの福祉のことが考えられていないことが大きな問題だ」と話しています。
厚生労働省によりますと、養子縁組のあっせんは、報酬を伴うかどうかにかかわらず、一定の目的をもって反復継続的に行う場合は都道府県の許可を受ける必要があります。
民法や養子縁組制度に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は「児童福祉法や民法、養子縁組あっせん法に触れる可能性がある。行政は法令がきちんと順守され、適正な活動が行われているかチェックする立場にあり、実態調査が必要だ」と話しています。
弁護士などの指摘に対して旧統一教会「世界平和統一家庭連合」は「養子縁組は、養子をささげる家庭と養子を受け入れる家庭どうしが密接に交流しながら、養子となる二世の幸せを願って進められるものであり『親の信仰のための養子』といったご指摘は事実に反します」としています。
●立民 “旧統一教会めぐる消費者契約法改正案は救済にならず” 11/16
旧統一教会の被害者救済のうち、悪質商法の対策となる消費者契約法などの改正案について、16日に開かれた立憲民主党の会合では、契約を取り消せる「取消権」の対象が狭まることが懸念されるなど、救済につながらないという指摘が相次ぎました。
旧統一教会の被害者救済をめぐり政府は、悪質商法の対策となる消費者契約法などの改正案を今の国会に提出する方針で、契約を取り消せる「取消権」を行使できる期間を延長することや対象となる悪質商法の手法を拡大することなどが盛り込まれています。
これについて、立憲民主党は16日、消費者庁の担当者からヒアリングを行い、出席した議員からは、消費者が取消権を行使する際、あらかじめ契約の締結が必要不可欠だと伝えられていることが新たな要件となっているため、結果的には対象が狭まることが懸念されるなど、救済につながらないという指摘が相次ぎました。
また、いわゆるマインドコントロールを受けている人が契約を取り消せるようにするため、改正案や被害者救済を図る新たな法案にマインドコントロールの定義を規定すべきだという意見も出されました。
会合のあと、西村代表代行は「消費者契約法の改正では被害者を救済できないので、われわれは新たな法案を提出しており、これをベースに議論したほうがよりよいものができる。中身のある法律をつくるために最大限努力していく」と述べました。
●旧統一教会2世≠フ女性が顔出しで被害体験を告白 11/16
立憲民主党は16日、国会内で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の宗教2世#害者からヒアリングを行った。
武田ショウコさん(仮名=20代、既婚女性)は「私は特定政党はございません。私自身の経験を伝えて、与野党関係なく、権利救済と被害防止に取り組んでいただきたいと考えております」と話し、自身の生い立ちをこう明かした。
「両親が統一教会の国際祝福を受けた祝福2世になります。いつも『サタンが入る』と言われて、服装からテレビや漫画まで、こと細かに統一教会によって制限をされて育ちました。小学校に上がると、ハーフである私は、同級生の両親が日本語を話せることに驚きました。なぜなら、私の所属していた教区では国際祝福家庭が多く、片親が日本語を話せない家庭が多かったからです」
ショウコさんの両親は教団に多額な献金を行うために朝から晩まで働き続け、働かない日は教会にいるため、家を空けることが多かったという。
「自分が親になった今思えば、私たちきょうだいはネグレクトを受けていたと思います。両親は忙しく留守にしているのに、家にはいつもお金がなく、ご飯と梅干しだけという質素な食事をとり、唯一のごちそうは学校給食でした。しかし、いつも給食費未納の請求袋が学校の私の机の上に置かれており、それを同級生に見られることがすごく恥ずかしかったですし、給食を食べることにも後ろめたさを感じる日々を過ごしました」
電気・ガス・水道は料金の未納で何度も止められ、家賃未納で家を追い出され「文字通り路頭に迷った≠アともあります」と明かす。
最後にショウコさんは国への要望について「周囲が子供を保護する仕組みを作ってください。恋愛禁止をはじめ、統一教会の教義は子供の心の発達に大きな影響を与えると思います。ごく普通の心の成長に悪影響を与える異常な組織は早急に解散させてください」と訴えた。
山井和則衆院議員は「正直、顔を出して話すメリットは当事者に取ってはまったくありません。でも、子供たちが統一教会でこれ以上、ひどい目に遭わないために顔出しで発言してくれました。顔出しをしたからと言って、誹謗中傷とか嫌がらせをすること私たちは、断じて許されません」と語った。

 

●旧統一教会調査、21日に諮問 11/17
宗教法人法に基づく世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への質問権行使に向け、永岡桂子文部科学相が21日に宗教法人審議会へ質問項目を諮問する方針を固めたことが17日、関係者への取材で分かった。質問内容について審議会の意見を聞いた上で、文化庁が今月中にも調査に着手。結果に応じて解散命令請求の可否を見極める。
1995年の宗教法人法改正で質問権が盛り込まれてから初の権限行使となる。文化庁は、調査開始前にどのような項目を質問するのか教団側に伝わるのは望ましくないとして、具体的な諮問内容について当面は非公表とする方針だ。
●旧統一教会への質問権行使めぐり 宗教法人審議会に諮問へ 11/17
旧統一教会に対する「質問権」行使に向けた「宗教法人審議会」について、松野官房長官は、来週21日に開く方向で調整していると明らかにしました。
松野官房長官:「旧統一教会に対する報告徴収・質問権の行使については、文部科学省においてできるだけ速やかに宗教法人審議会が開催されるよう取り組んでおり、具体的には21日とする方向で調整しているところと聞いています」
「宗教法人審議会」は、宗教家や大学教授で作る文部科学大臣の諮問機関です。
旧統一教会に対する調査を行う文化庁は、質問内容などについて審議会に諮り、了承が得られれば、質問権の行使が可能となります。
●旧統一教会の「養子縁組」被害訴え…国が実態調査へ 11/17
国会内で行われた旧統一教会の元2世信者へのヒアリング。
教団からの被害を訴え続けてきた小川さゆりさん(仮名)が明かしたのは、自身のきょうだい3人が養子に出された経験でした。
小川さん(仮名)「養子縁組の制度を、教会が推奨していることがすごく問題で。すべて教会と信者である親たちの事情だけがまかり通っていて、子どもの人権がすごく無視されている」
養子縁組のあっせんには、法律で定められた許可が必要ですが、旧統一教会はそれを得ていません。
16日、旧統一教会はこれまでに、745人の養子縁組があったことを明らかにしたうえで、次のようにコメントしました。
旧統一教会「民間あっせん機関による養子縁組とは性質を異にするものであり、金銭的報酬を受け取ることは一切ありません。以上の理由から、民間あっせん機関等の認可は受けておりません」
政府の見解は…。
松野博一官房長官「養子縁組みあっせんを一定の目的を持って反復継続的に行うのであれば、養子縁組あっせん法に違反するものと認識をしています」
厚労省は実態について、今週中にも調査に乗り出す方針です。
●旧統一教会の被害者救済図る新法案 政府 与野党に考え方提示へ  11/17
旧統一教会の被害者救済を図る新たな法案について、政府は、17日にも与野党に基本的な考え方を示すことにしています。
いわゆるマインドコントロールによる悪質な献金をどう規制するかをめぐって与野党が折り合えるかが今後の焦点となります。
旧統一教会の被害者救済を図るため政府は、いまの国会に、悪質な献金を規制する新たな法案を提出する方針で、17日にも与野党6党に基本的な考え方を示すことにしています。
岸田総理大臣は16日、「寄付適正化の仕組みのイメージを取りまとめ、与野党で議論するよう茂木幹事長に指示した」と述べていて、いわゆるマインドコントロールによって献金させる行為の規制のあり方などが示される見通しです。
これまでの与野党協議では、マインドコントロールなどによる悪質な献金を規制するという方向性では一致しているものの、与党側は「マインドコントロールそのものを法律で定義するのは困難だ」という立場です。
一方、立憲民主党と日本維新の会は、マインドコントロールを受けた人の献金を取り消せるようにすべきだと主張しています。
立憲民主党の安住国会対策委員長は「被害者に救いの手を差し伸べる手段になるかどうかだ。骨抜きの法案にくみしたら、政治全体への批判は免れない」と政府・与党をけん制しました。
いまの国会の会期末まで20日余りとなる中、マインドコントロールによる悪質な献金をどう規制するかをめぐって与野党が折り合えるかが今後の焦点となります。
●50人も無回答。自民議員が統一教会との関係問うアンケートから逃げる 11/17
収まるどころかその全貌の把握すら一向に進まない、政界の統一教会汚染。先日朝日新聞が行った旧統一教会の推薦確認書を巡るアンケートにも、自民党議員50名が「無回答」という逃げを打っています。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、彼らの全氏名を誌上に掲載。その上で岸田首相に対して、党としての正式な調査を強く要求しています。
アンケートから逃げ続ける自民党議員たち
朝日新聞社が衆参の全国会議員711人を対象に、10月下旬〜11月、旧統一教会の友好団体との間で、選挙の際に事実上の「政策協定」にあたる推薦確認書をやりとりしたかを質問したアンケート結果が、11月13日、発表されました。朝日新聞によると、回答者のうち8人の議員が「推薦確認書を提示された」と回答し、そのうち4人が「署名した」と回答したそうです。
「署名した」と回答した4人とは、デジタル兼内閣府副大臣の大串正樹衆院議員、外務副大臣の山田賢司衆院議員、元総務政務官の斎藤洋明衆院議員、元厚生労働政務官の深沢陽一衆院議員、全員が自民党議員であり、このうち2人は現職の副大臣です。また、署名はしなかったが「推薦確認書を提示された」と回答した4人とは、文科副大臣の井出庸生衆院議員、元防衛相の稲田朋美衆院議員、元環境副大臣の大岡敏孝衆院議員、元防衛兼内閣府政務官の宮沢博行衆院議員、こちらも全員が自民党議員です。
旧統一教会と関係していた8人全員が自民党議員というのは予想通りですが、それにしても「8人」って、ちょっと少なすぎると思いませんか?でも、そのカラクリは単純です。朝日新聞によると、今回のアンケートに回答したのは、連絡が取れなかった1人を除き計656人で、54人が回答しなかったのです。そして、この54人の内わけは、自民党議員がダントツの50人で、残りは日本維新の会が3人、参政党が1人です。
それでは、あまりにも人数が多いので敬称略で紹介させていただきますが、以下がアンケートに回答しなかった54人の国会議員です。
【自民党】池田佳隆、大野敬太郎、梶山弘志、上川陽子、木原稔、工藤彰三、小寺裕雄、小林茂樹、小林史明、小森卓郎、坂井学、笹川博義、塩谷立、新藤義孝、鈴木隼人、高木毅、武田良太、田中良生、田畑裕明、中川郁子、中根一幸、中山展宏、額賀福志郎、鳩山二郎、平口洋、藤原崇、穂坂泰、細田博之、牧島かれん、牧原秀樹、松本洋平、三谷英弘、御法川信英、宗清皇一、村井英樹、森英介、八木哲也、柳本顕、山口壮、山下貴司、山田美樹、山本朋広、越智俊之、小鑓隆史、島村大、関口昌一、松下新平、三宅伸吾、山下雄平、若林洋平
【日本維新の会】池下卓、小野泰輔、清水貴之
【参政党】神谷宗幣
こうして敬称略で氏名だけを羅列すると、ついうっかり見落としてしまいそうになりますが、当時の安倍晋三首相の代理として旧統一教会のイベントに出席し、教団と安倍首相との連絡係をつとめていた細田博之もいますし、教団の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁のことを「マザームーン」と称賛した山本朋広もいます。関連団体「世界平和連合」による後援会「隆和会」の信者たちに「巨人の星」の替え歌で選挙応援してもらった小鑓隆史(こやり たかし)もいますし、関連団体「天宙平和連合」が主催する自転車イベント「ピースロード」の実行委員を何年もつとめた木原稔もいます。
その上、今年9月に「新たに旧統一教会との関係が分かった所属議員は、そのつど適宜報告してもらう」と、自民党の幹事長代行として述べた梶山弘志までもが、自分はアンケートに回答しないというウルトラC。これじゃあまるで「皆さん、絶対に宿題を忘れないでくださいね」と言った学級委員長が、宿題をやって来なかったような話です。
他にも、旧統一教会との関係が報じられた議員が何人もいますし、これは旧統一教会とは関係ありませんが、好きな女性のアパートの合鍵を使って留守中に忍び込み、その女性の下着を盗んだ高木毅までいます。あまりのカルト臭に吐き気がして来る顔ぶれですが、あたしは不思議な既視感にとらわれました。それは、今回と同じことが、ちょうど3カ月前の8月15日にも起こっていたからです。
3カ月前、共同通信社が全国会議員を対象に、旧統一教会との関係を質問するアンケートを実施しました。その結果、旧統一教会と「関係がある」と答えた議員は106人で、そのうち約8割に当たる82人が自民党議員だったと報じられました。しかし、この時点で、すでに旧統一教会と関係がある自民党議員は百数十人も名前が挙がっていたのです。どうして「82人」しかいなかったのでしょうか?でも、このカラクリも単純です。このアンケートに回答したのは、全国会議員712人のうち583人で、なんと129人もの議員が回答しなかったのです。
カルト教団と関係があるなんて、噂を流されるだけでも国会議員としては致命傷ですから、もしも本当に無関係なら、こうしたアンケートは自身の潔白をアピールする最大のチャンスです。教団と無関係なら、自分から率先して回答するのが普通です。それなのに、129人もの議員が回答しなかったのです。そして、このうち120人近くが自民党議員だったのです。さらには、この「回答しなかった自民党議員」の中に、アンケート後に旧統一教会との関係を報じられた議員が数多く含まれていたのです。
今回の朝日新聞社のアンケートにしても、3カ月前の共同通信社のアンケートにしても、マスコミによる調査には限界がありますし、何よりも「回答しない」という逃げ道があります。今回の朝日新聞社のアンケート結果を受けて、日本共産党の小池晃書記局長は14日、「回答していない議員が多くいる。マスコミによる調査ではなく、自民党が組織的に所属議員全員について調査する責任がある」と述べましたが、あたしも「その通リ!」と思いました。
朝日新聞社が12〜13日に実施した全国世論調査でも、「自民党は旧統一教会との政策協定について党として調査すべき」が77%に上りました。そして、自民党の支持者でも75%が「党として調査すべき」と回答しています。岸田文雄首相のトレードマークだった「車座」も「岸田ノート」もいつの間にか消えてしまいましたし、看板政策の「新しい資本主義」は未だに中身がボンヤリしたままなのですから、せめて一番の「売り」の「聞く力」くらい、そろそろ発動させてみたらどうでしょうか?
●「公明党が向き合わなければ、旧統一教会の問題は解決できない」 11/17
オウム真理教の事件を受け、1995年の宗教法人法改正で追加された「質問権」。それを初めて旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対して行使することを、11月11日、永岡桂子文科相が表明した。調査によって違法性のある事実が確認されれば、裁判所に解散命令を請求する方針だ。
教団の霊感商法への対策を議論する消費者庁の検討会で、委員を務めた菅野志桜里氏は、8月29日に開かれた第1回の検討会で、真っ先にこの「質問権」にふれた。菅野氏は「山尾」姓で衆院議員を計3期務め、現在は弁護士として、国内外の人権問題の解決に取り組んでいる。
「検討会のスタート前から、宗務課への野党ヒアリングなどで漏れ聞こえてくる答弁を追っていると、『これ、1回も質問権を使ったことないんじゃないの?』と、すごく思って。だから、私としては解散命令については、まずこれまで、教団に質問権を使ったことがない、という点を押さえたかった。
安倍晋三元首相の銃撃事件以降、信者さんや、脱会者、あるいは2世の方が勇気を振り絞って声を上げ、自分の体験を一生懸命、言葉にし、ようやく問題が世間に浸透してきています。そうやって当事者の方々が努力して引きつけた関心を、いかに政策に結びつけ、法律でどう解決していくか。それが私たちの課題だと考えています。
やっぱり法律言葉というのは分かりにくい。『契約って何?』『献金とは何が違うの?』『取り消し、無効、損害賠償っていったい何なの?』といった、素朴な疑問が出て当然です。とにかく、できるだけわかりやすい言葉に通訳し、論点を整理して伝えるという役割を果たさなければいけないと思いました。
初会合で河野太郎大臣(消費者相)が『消費者庁の枠を超える場合は政府に提言する』と言ったように、検討会の第1回が山場になると思い、議論の最初で『質問権』という言葉を出したんです。ただ、弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)の皆さんは、それこそずっと前から質問権を使えと言ってきたことだから、私が突然、発見したとか、そういうことではありません」
菅野氏とともに検討会の委員を務める、紀藤正樹弁護士が所属する「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は、1987年の設立以降、信者の被害の問題を訴えてきたが、30年以上、なんの施策も取られなかった。その背景には、政府与党と教団の癒着関係があった。
「教団と一部自民党議員が政策協定を結んでいたことや、『家庭教育支援法』の制定に取り組むよう教団の働きかけがあったことは明らかになっていますし、2023年4月にできる『こども家庭庁』の名称に急きょ『家庭』という言葉が入れられたのは、教団の意向を反映した可能性も否定できません。父母と子からなる家族を重視し、同性婚やLGBTの権利を認めたがらない、という教団の価値観は、自民党の保守派と合致します。
ただそれは、旧統一教会に限りません。いわゆる家父長的な制度の維持を求める団体はほかにも複数あり、自民党を中心に、与党議員は間違いなくそれらの影響を受け、そのために実現、あるいは阻止された政策もあるはずです。
そこまで“アナクロ保守”ではない議員も、賛否を問われると『LGBT法案に消極的』『夫婦別姓反対』と答えることを、これまですごく不思議に感じていたんです。でも、やっぱり旧統一教会の一連の問題が明るみになるなかで、そういった団体からのプレッシャーは大きいんだなと思いました。
私自身、2009年の衆院選の候補者時代、先輩議員に『この女性たちが集う勉強会に行っておいで』と言われて、本当に恥ずかしながら、どういう目的の会合なのかをあまり把握しないまま、参加したことがあります。円卓に座り、イベントが始まってしばらくしたら、当時の秘書が私のところに来て『これ、統一教会の関連かもしれないです』と耳打ちしてくれて、その瞬間、『私、絶対ここにいちゃいけない』と、席を立ったことがありました」
旧統一教会と自民党議員の接点が次々と明らかになり、政教分離の議論が再燃するなか、連立政権を担う公明党と創価学会の関係にも注目が集まる。
「現在、創価学会という宗教団体の強い支援を受けている公明党と、その選挙協力なしに議席が保てない自民党が与党であり、政権を担っています。この状態で国の政策が歪まないのか、宗教と政治の関係を考えなおすべきじゃないか、そう感じている人は多い。
公明党のホームページには、創価学会との関係についてこう書かれています。学会の名誉会長である、池田大作さんの発意によって作られ、学会の支持を受けています、連絡協議会もやっています、でも国民全体に奉仕する政党です、と。まさにいま『公明党って、本当に国民政党なんですか?』ということが鋭く問われている局面です。その問いにしっかり向き合わなければ、旧統一教会の問題は解決できません。
永田町の人たちは、『公明党がいるから宗教法人法には手をつけられないよね』とか、まるで当然の前提のようによく言うんですよ。でもそれが本当だとしたら、自公政権そのものが政教分離違反のそしりを免れない。むしろ、公明党にとって今こそ、政権を担う資格を証明するチャンスじゃないでしょうか。『カルト的な違法行為をおこなう宗教団体と創価学会は違います』『宗教的利益のために政策をねじ曲げるような政党ではありません』といったことを示せるか否かの、岐路に立たされていると思います」
検討会の議論は、「解散ありき」だったのではないかという声もある。たとえば、元信者で金沢大学教授の仲正昌樹氏は「被害者救済のために早期解散を求めるというのは一般信者への配慮がない」「教団幹部と一般信者は立場が違う」と問題提起している。
「当然、教団自体と信者の方々は切り分けて考えないといけません。内心における信教の自由は絶対であって、信者さんの信仰そのものを否定するようなことがあってはならない。
一方で、自民党議員を中心に、政治家は教団に対して、宗教法人としての法人格や連帯のメッセージなど、いわば公的なお墨つきを与えてきました。そのことが、違法な人集めや金集めに利用され、宗教2世の方々の人生の選択肢を奪い、高額献金被害の拡大につながってきたわけです。だとすれば、そこは断つ必要があるし、法人格や税優遇を取り消さなければなりません。
信仰や教義そのものを悪とせず、しかし正体を隠した伝道や、不安を煽って高額献金をさせるという行為に着目して、ダメなものはダメだということを、政治家は示さなければなりません。
解散命令を出すと、公のお墨付きがなくなったということで、一般信者の皆さんが動揺することが考えられます。脱会を目指す人も出てくるでしょう。一部の専門家の手弁当にサポートを委ねるのではなく、精神科医や宗教社会学者など、さまざまな分野の専門家からなるチームをつくり、予算をつけてサポート体制を構築しなければなりません。もちろん、信仰を継続する方々を、社会がどう包摂していくかということも大切な課題です。
救済法については、教団への献金規制と、信教の自由や個人の財産権のバランスを丁寧に議論すべきです。政治家が得点稼ぎのために『今国会』と乱暴に期限を切って、献金全般の制限に向けて突っ走っていくと、社会への過度な制約になりかねない。そういう意味では、仲正先生の問題意識は十分、共有できます。私としては、今国会ギリギリまで努力をしてもらって、それでも無理だったら、来国会の最優先事項として、契約法改正や献金規制を仕上げてもらいたいです」
菅野氏自身は、宗教をどのように捉えているのだろうか。
「生きていくうえで何かに頼りたい、何かの一部でありたい、と思うのは自然な気持ちだし、誰しもよりどころは必要です。そのひとつとして、宗教はすごく大事なものだと感じています。政治家の仕事を通じて、私は初めてさまざまな宗教団体や、地域コミュニティとふれたんです。日常的に人とつながり、災害時に助けあい、平和を願って集える場所というのは、本当に大切な社会のインフラだと思いました。旧統一教会の問題により、宗教そのものが社会の片隅に追いやられるようなことにはなってほしくないし、まともな宗教団体が委縮せずに活動を続けられるようにしてほしいですね」 
●旧統一教会の信者の子745人、別の信者に養子縁組… 11/17
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)で、信者の子どもの養子縁組が繰り返されていたことが判明し、厚生労働省が実態を確認する方針を決めた。旧統一教会によると、1981年から今年5月までの41年間に745人の養子縁組が行われたという。
「教会と親の事情だけがまかり通っており、子どもの人権が無視されている」。16日に国会内で行われたヒアリングで、信者の親を持つ「宗教2世」の20歳代女性がそう訴えた。
女性は6人きょうだいで、すぐ下の妹ら3人が別の信者の家庭に養子に出された。うち1人はその後、再び両親のもとに戻された。
別の宗教2世の30歳代女性も、兄が生後1週間で養子に出された。女性によると、母が妊娠中、地元の教会で教団幹部から「子を渡せば幸せになれる」などと説得されたという。
旧統一教会によると、81年頃から、子どもがほしい信者の家庭に、子を養子に出してもいいという信者を紹介してきた。約20年前まで教団本部が関与していたが、その後は地域の教会や信者同士のつながりで続いてきたとしている。
悪質な仲介業者を排除するため2018年に施行された養子縁組あっせん法は、無許可のあっせんを禁止している。旧統一教会は取材に「困っている信者を助けるための活動で、制度的なあっせんは行っていない」と答えた。
●旧統一教会「養子縁組あっせん」疑いで法人解散へまっしぐら 11/17
まさか教団も教義に基づいた独自の「養子縁組」のあっせん行為が墓穴を掘ることになるとは思いもよらなかっただろう。
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の信者同士で行われている養子縁組について、厚労省と東京都が共同で週内にも実態を調べることになった。民間の養子縁組のあっせんを反復継続して行うには都道府県への届け出が必要となり、教団が許可を得ずに一定の目的をもってあっせんを続けていた場合、「養子縁組あっせん法」に違反する可能性がある。
教団は信者向けの動画で〈天から子宝の恵みを受けた祝福家庭は、子女の授からない祝福家庭とその恩恵を分かち合う使命と責任があります〉と養子縁組を推奨している。
教団側は日刊ゲンダイの取材にあくまでも「あっせん行為は一切なく、金銭的報酬も受け取っておらず、許可も受けてない」と説明。
さらに1981年以降、教団内で745件の養子縁組があったことを認めた上で「ここ20年は信者さん同士で養子縁組を行っていて、決まったら報告だけしてもらっています。教団側にあっせんをしていた自覚がなかったので、法律にそういう条項があることを認識できないままここまできました。これまで行ってきた教団の養子縁組についてはつまびらかにして、厚労省の指示に従うつもりです」(家庭連合広報部)。
「言われてみれば…」と教団内で広がる戸惑いの声
教団の養子縁組の実態はどうなっているのか。
自身も元信者で37年間、脱会支援活動を続けている日本基督教団白河教会牧師の竹迫之氏が「成人してから初めて役所に請求した書類を見て養子に出されたことを知り、ショックを受けるケースもあります」とこう続ける。
「宗教2世は、生まれた時から罪のない神の子とされます。アダムとイブが最初に犯した原罪のない、つまり無原罪の血統の子どもを増やすことが、世界平和につながるというのが統一教会の考えです。教祖が先祖代々まで霊視して祝福結婚式の相手をマッチングしているわけですから、結婚すれば神の子ができて当然です。そこで子どもを授からない家庭が存在すると、教祖の威厳を損ねる事態になりかねない。養子を子どもに恵まれない家庭に捧げることで、家系を絶やすことなく、後世に信仰を受け継がせようという意図があると思います」
女性信者が妊娠した時点ですでに受け入れ先が決まっていたり、あらかじめ養子に出すことを前提にして子づくりするケースもあるというから、明らかな人権無視だ。
「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の川井康雄事務局長は「今回の一件が切り口になるかもしれません」と、こう指摘する。
「あっせん行為があれば明らかな法令違反ですから強力な援護射撃になると期待しています。法に触れることを意識していなかったのか、教団内で『あー、言われてみれば……』という声が上がったという話も聞きました。問題意識が欠けていたというか、今まで教団側が指摘されることを準備してこなかった部分だと思います。この件をきっかけに、いろいろなことが明らかになるはずです」
教団側は今回も高額献金同様、「養子縁組はあくまでも信者の自由意思」と強調し、言い逃れするのだろうか。
●政府と党の連携「もう少し良くやらないと」 伊吹元衆院議長が苦言 11/17
伊吹文明元衆議院議長は17日、自民党二階派の会合での挨拶で、政府と党の連携について、「もう少し良くやらないといけない」と苦言を呈した。
伊吹元議長は、下落傾向にある岸田内閣の支持率を回復させるためには「将来に向けてのしっかりしたビジョンや政治構想」が必要性だと指摘、その上で「党と官邸の連絡を、もう少し良くやらないといけない」と苦言を呈した。
また旧統一教会の問題を巡って、岸田首相が宗教法人の解散命令を請求する要件に「民法の不法行為は入りうる」と述べたことについて、伊吹元議長は「統一教会は確かにけしからんが、許せないという感情を受けて、民法まで要件に入れると、将来、政権の意向によって、調査をする道がものすごく広がる」と危機感を示した。
さらに来月行われる地方選挙に触れて「議席を減らしたら、必ず不満の声が出る。一緒に選挙をしてくれる地方議員の数が減っていったら、解散をそう簡単に打てない状況になる」と述べた。
●石原さとみ 創価学会への高額寄付で「離婚→シンママ」危機?  11/17
「政治と宗教」の問題で国会が揺れる中、お笑い芸人の長井秀和(52)が17日発売の『週刊新潮』で創価学会の裏側を告発し話題となっている。長井は両親ともに創価学会員で「宗教2世」として育った。そんな長井が“元信者”として暴露した「カネ集め」の実態は、統一教会もビックリのえげつないもの。今後、公明党と創価学会の関係性があらためて問われることは必至だが、この問題は芸能界にも波及するとの見方が浮上してきた。熱心な創価学会員として知られる女優・石原さとみ(35)の「離婚リスク」だ。一体どういうことか?
仏壇に2千万?「宗教トイチ」の献金で搾取された長井秀和
長井の告発によると、両親は熱心な学会員で、実家は「信仰道場」となり常に学会員が出入りしていたという。小学3年生のときに「東京創価小学校」へ編入して以来、創価中学、創価高校、創価大学と、「創価学園」の中で純粋培養された“池田大作チルドレン”としてブレイクした芸能人だった。
また、長井は創価学会員が主に支持母体となっている与党・公明党の選挙活動にも駆り出され、父の出身地である北海道、聖教新聞の記者だった弟の勤務先である岩手など、全国の選挙区へ応援にまわっていたという。
学会員の献金の目安は、「収入の10分の1」で、収入が低ければ低いほど負担が大きくなるという構図だ。長井は、これを消費者金融の金利にちなんで「宗教トイチ」と名づけていた。
そんな長井家では仏壇を3基も購入し、仏壇関連だけで約2千万円も使ったとしている。そして「統一教会の壺100万は安すぎて、学会員はピンとこないのでは」とまで語っているのだ。
小・中学生時代に、創価学園で創設者・池田大作名誉会長(94)と頻繁に会っていたと語る長井だが、目の前にいる人物の実像と、聖教新聞誌面での発言や小説『人間革命』で描かれるイメージとのギャップに違和感を持ち始めたという。
長井が完全に信仰心を失ったのは2007年夏のこと。参院選の応援演説に行った埼玉で、ある幹部から池田大作氏の悪口を散々聞かされたとし、それを機に創価学会について批判的に書かれた本を読むようになり、学会の実態を知った長井は2012年に脱会した。現在、熱心な学会員である家族とは絶縁状態が続いているという。
石原さとみとエリート旦那、長井家とは対照的な優雅さ?
長井の告白通り、学会からの厳しい搾取が事実なのであれば、なぜ学会員たちは脱会しないのだろうか?
実は学会側としては、教義を実践することで実際に成功し幸せになるのは「50人に1人でいい」という。それだけで充分、信仰に「功徳」があることは演出できるというのだ。
その意味で、女優・石原さとみとその家族は、創価学会にとって絶好の「成功モデル」と言えるかもしれない。
長井同様、石原さとみの両親もまた熱心な学会員で、父は創価大学の教授、母は聖教新聞の職員だという。石原の本名は池田会長が名付け親で、彼女も小中高と「創価学園」出身だ。
芸能界でブレイクした後、山下智久や株式会社SHOWROOMの前田裕二社長と噂になった石原だが、いずれも石原の「宗教問題」が理由で破局したと言われている。
そんな事情から、2020年10月に婚約・入籍が報道された際も、当初「お相手は熱心な学会員ではないか」と言われていた。ところが旦那は非学会員であり、職業は外資系金融業(噂によればゴールドマンサックス社)の社員であることが判明。年収は5千万円超とも言われている。
石原の結婚には「宗教問題」が立ちはだかると思われていたが、旦那は高校生までドイツのインターナショナルスクールに通っていたらしく、日本の宗教に関する知識に乏しかった可能性もある。
バカ高い仏壇も年収5千万なら苦もなく買えるし、「宗教トイチ」の500万円など安いものなのだろうか?
2020年に結婚、2022年4月には第1子の出産を発表した石原。子供を育てながら活動を継続し、最近では「あしたが変わるトリセツショー」(NHK)のMCやCM出演を再開している。
暴露報道で、石原さとみ旦那の“洗脳”が解ける?
石原は、芸能デビューしてから一度も低迷することなくトントン拍子にブレイクし、今も第一線で活躍している。長井のように、一度ブレイクしてからどん底を味わった一発屋タイプと違い、「私が成功したのは学会のおかげだ」と心底感謝しているのかもしれない。現在、社会問題となっている「宗教2世」の苦しみとは無縁なのだ。となると今後も、石原が学会を脱会することはないだろう。
だが、もし今回の長井の暴露が各方面に波及し、石原のエリート夫の耳に入ればどうなるか?「妻の信仰している宗教は何かがおかしい」と気づいてしまえば最悪は「離婚」、石原はそのままシングルマザーになってしまう可能性も否定できない。
長年タブー視され、マスコミで報道されることが少なかった創価学会や公明党の問題。 展開次第では石原のキャリアに大きな影響を与えることもありそうで、今後の動向に注目したい。
Twitterの反応
実際、宗教繋がりで成功する人いるわけ(石原さとみ、まちゃみ等)だし、寄付は税金対策にもなるから、したい人はしていいと思ってたけど、やっぱそういうの良くないよな… 寄付したくない人に強要することになって問題化してるし
胡散臭い教団はここにも!ましてや政権与党として長い間「国土交通相!」のポストを担っている!教団バックの政党!この教団も同類だな! 「両親は創価学会に数千万円寄付した」 宗教2世・長井秀和が告発「100万円の壺なんて安すぎて学会員にはピンとこない」
ミヤネ屋 創価学会まで突っ込んだら本物だよね。ここをタブーとしたらやっぱり長いものには巻かれるんだと言うことで結局か。という感じ
メディアでは、「旧統一教会」の事は躍起になって報道するのに「創価学会」はサッパリ!此方も長い間悪事を働いているのにねぇ…
フランスの反セクト法は長い時間を掛け信教の自由を侵さないか等、慎重に議論を重ねられた経緯から公平性がある為、世界各国の基準として採用されている。創価学会をセクト指定しているのは6か国(10か国とも)
偏りなく信用出来るこの法を日本で即採用するべき。
●「立憲は日本を植民地化」「在日は力ずくで排除」「創価学会は未来を」… 11/17
辻元清美・参議院議員(立憲)の事務所と、インターナショナルスクール「コリア国際学園」、創価学会の施設にそれぞれ侵入し、建物に損壊を与えたり、火をつけたりしようとしたとして建造物損壊などの罪で起訴されている無職・太刀川誠被告(30)の第4回公判が11月17日、大阪地裁(梶川匡志裁判官)であった。
検察側は論告で「不合理な差別も許されない」「歪んだ憎悪心は容易に矯正できない」などとして、懲役3年を求刑。弁護側は被告による謝罪文を読み上げたほか、最終弁論では執行猶予付きの判決を求め、結審した。
被告は最終意見陳述で「恐怖を感じさせ、誠に申し訳ございません」などと語った。一方、被害者であるコリア国際学園の理事長も法廷に立ち、「ヘイトクライムという恐ろしい犯罪は、差別や偏見に根差すもの」などと厳罰を求めた。(注:事件の実相を伝えるため、この記事には差別・暴力表現が含まれます)
起訴状などによると、被告は3月1日に大阪府高槻市の辻元氏の事務所の窓ガラスをハンマーで割って侵入し、キャビネットを物色。しかし警備会社の警報が鳴り、何も取らずに逃走した。
また、4月5日には同府茨木市のコリア国際学園に侵入し、広場に置いてあった段ボール箱にライターオイルを染み込ませ、ガスバーナーで火をつけて床を焼損させた。
さらに5月4日には、大阪市淀川区の創価学会・淀川文化会館の敷地に侵入。窓ガラスをコンクリートブロックで割った。犯行は3事件とも夜間で、いずれもけが人はいなかった。
いずれの事件でも起訴事実を認めている被告は、前回の公判で3つの事件の動機について言及。
「立憲民主党は日本を滅亡に追い込む組織」「在日韓国・朝鮮人を野放しにすると日本が危険に晒される」「創価学会も日本を貶める組織」だと思っていたことから、犯行に及んだとした。いずれも、1年ほど前に自分のアカウントを開設したTwitter上で読んだ、根拠のない情報などを信じ込んだとみられる。
また、辻元氏の事務所とコリア学園を狙った犯行では、関係者や生徒らの個人情報を入手しようとしたとし、「嫌がらせをして、日本から追い出す」目的があったとも明かした。
在日コリアンに対する「嫌悪感」もあったと述べており、憎悪感情を根底にした「ヘイトクライム」であることが明らかになったといえる。
「謝罪文」に記したこと
この日の裁判では、まず弁護側が、被告が3者に送った謝罪文を朗読した。
被告は前回の裁判までに、謝罪・反省文を書いていなかった。検察側からは「反省を示していない」と指摘され、「(辻元事務所には)考え方には賛同できませんと嫌味を含んだ表現になってしまうと思い書けなかった」「(ほかの2者には)どう書けばいいかよくわからなかった」「求められれば書こうと思います」などと述べていた。
その被告が、改めて3者に対してしたためたという文章の要旨は、それぞれ以下の通りだ。
「立憲民主党は中国と北朝鮮による日本の植民地化を進める組織で、日本人を滅亡させると極端に思い込んでいました。暴力や犯罪行為はもっとも愚かなもので、誰からも賛同されず、逃げきれません。自分の意見を伝えるときは違法行為や人を攻撃しないようにしたい。辻元さんにはぜひ立憲民主党の代表になっていただきたい」(辻元氏に対し)
「北朝鮮の拉致、ミサイルなどの情報から、在日朝鮮人は日本人に敵意をもち、財産・命を奪う存在であると思い込んでいました。会う機会もなく、独断と偏見から、力づずくで排除しないといけないと思っていました。このようなことをした自分が日本から出ていけと言われても仕方がない。人間としての心を失っていました」(コリア国際学園に対し)
「創価学会は日本の未来を脅かす組織と断定し、卑劣な宗教団体は暴力で排除するしかないと思い込んでいました。不確定な情報をもとに悪であると決めつけ、暴力を過信していました」(創価学会に対し)
そのうえで、「迷惑をかけ、恐ろしい思いをさせ申し訳ありません」「暴力・犯罪行為は多くの人を傷つけ、自分は多くを失う。賛同もなく、反感を持たれます。もう二度としません」などともしている。
「射殺」に言及したツイートも
その後、コリア国際学園の金淳次・理事長が被害者意見陳述に立ち、「在日コリアンとしては、今回の犯罪をとても許せるものではなく、できる限り厳しく処罰してほしい」などと述べた。
「在日コリアンを日本から排除しようという目的で当学園の名称を狙ったとも聞き、私は恐布と不安と怒りを感じました」
「学園に対するヘイトクライムという恐ろしい犯罪は、在日コリアンに対する差別や偏見に根差すものです」
また、被告が自らの情報源としていたTwitterで「韓国人の射殺が合法化されないかなぁ」「もう日本人に朝鮮人の射殺許可出してくれよ」とツイートしていたことについても言及。
「ヘイトクライムにとどまらず、在日コリアンを抹殺しようとするジェノサイドまで扇動していることに、底知れない恐怖と不安に襲われています」
そう語った金理事長は、あえて被告を「君」づけで呼び、ときに諭す場面もあった。
「太刀川君にも、国籍や民族に関係なく、お互いが名前で呼び合うような在日コリアンの友人や知人がいれば、果たして、太刀川君が今回のような恐ろしい事件を起こせたのだろうかとも想像します」
そのうえで「在日コリアンだというだけで、いつどこで誰に狙われるかわからないという漢然とした不安を感じるのです」と思いを吐露。司法、そして社会に対し、以下のように求めた。
「インターネットやSNSで得られる情報だけで直情的な犯罪に流されていくモンスターを生まないような対策をとることが、急務であると思います」
「そのためには、大刀川君を厳しく罰するだけで終わるのではなく、ヘイトスピーチに対しても罰則を科し、ヘイトクライム事件に対しても厳しく処罰できるようにして,次の太刀川君が現れないようにしてほしいのです」
「歪んだ憎悪心は…」
検察側は論告で犯行について、「計画的で、強固な範囲に基づくもの」と指摘。
「特定の政治思想、国籍、宗教を狙った犯行。憲法で思想信条の自由は認められている。不合理な差別も許されない。酌量の余地はない」と厳しく非難した。
さらに「社会的影響力」の大きさにも言及。特定の属性にあるというだけで落ち度のない被害者が狙われていることからも、「強い不安」をもたらしたとした。
反省しているといいつつも再犯の可能性が高いとも指摘。「歪んだ憎悪心は容易に矯正できない」とし、創価学会には示談金が支払われていることや、父親が管理監督を約束していることを踏まえても、一定期間の矯正が必要として、懲役3年を求刑した。
一方、弁護側は、被告が事件を認めていることや、謝罪もし、「二度と繰り返さない」と反省していると主張。
「SNS情報で敵意持ち暴力に走った被告は、いまでは自らの情報の取得が偏っていると認識している。これからは人とも話し、根拠も求めることで、短絡的に判断しないようにする」などとして情状酌量を求め、執行猶予付き判決を求め、結審した。
被告は最終意見陳述で「被害者の皆様に恐怖を感じさせ、誠に申し訳ございません」などと語り、「暴力・犯罪の卑しさ、己の浅はかさに気づきました」「今後は悪意を持って他者を攻撃しないことを誓います」などとも述べた。
判決公判は12月8日午前10時に予定されている。

 

●お布施の刑事罰化を恐れる公明党、独断で動く河野大臣 統一教会問題 11/18
「野党との協議会が政局に利用されるのは明白。岸田総理の“お花畑的場当たり対応”ここに極まれりです」
自民党中堅議員は憤りを隠さない。野党をなだめるために設置された、旧統一教会の被害者救済法案を検討する自民・公明・立憲・維新の4党による協議会が行き詰まっているからだ。
最大の焦点は悪質な高額献金を規制する新法(以下、新法)の内容。岸田文雄総理は急転直下、新法を今国会に提出することを決めたが、マインドコントロールの定義や、法令違反に刑事罰を設けるかなどを巡って、議論はまったく進んでいない。
刑事罰化を恐れる公明党
協議会の行方に神経を尖らせているのが公明党。山口那津男代表は周囲に「デリケートな問題を拙速に決めるものじゃない」「岸田政権には思いが届かない」と不満を口にしている。
協議会関係者が解説する。
「公明党の支持母体・創価学会にとり、彼らが“財務”と呼ぶお布施や仏壇・仏具の購入が刑事罰の対象になることがあれば影響は計り知れない。一方、自民党は抑止力として刑事罰導入もやむなしとの考え。明らかに温度差があります」
温度差が生まれる理由――。それは岸田総理が“前門の虎、後門の狼”の状態にあるからだ。
総理周辺が語る。
「岸田総理が教会の問題に本腰を入れ始めたのは、河野太郎消費者担当相の影響です。河野大臣は独断で消費者庁に検討会を設置し、法案整備と質問権の行使を求める報告書を出してきた。支持率低下にあえぐ中、岸田総理は負けじと“私が責任をもって旧統一教会の問題を解決していきたい”と国会でたんかを切ったんです」
さしずめ河野氏は後門の狼。では、前門の虎とは。
「もちろん公明党。旧統一教会問題に弱腰だとは見られたくない半面、厳しい法律ができれば死活問題。取りあえず新法は年明けに先送りして、今国会は消費者契約法の改正でお茶を濁したいと考えていました」
カギを握るクセ者・音喜多駿政調会長
岸田総理としては与党内の亀裂は避けたいところだ。
「くれぐれも足並みをそろえて」と協議会メンバーに厳命している。が、厄介なことに前門には虎がもう一頭いる。かつての文教族のドン・森喜朗元総理だ。
清和会幹部が明かす。
「森さんは一貫して献金の制限に反対の立場。最大派閥の実質的オーナーとして、陰に陽に総理にプレッシャーをかけているようです」
無論、野党は黙っていない。新法の内容によっては協議会の席を蹴る構えを見せる。焦点は自民党議員が「最終的にどう判断するか分からない」と話す維新の動き。カギを握るのが、時に立憲より強硬な姿勢を見せ、与党から「クセ者」と呼ばれる音喜多駿政調会長だ。
本人は語気を強める。
「いわゆるマインドコントロール被害に一定の歯止めがかかる内容でなければ、野党案の成立を求め、(協議会でなく)国会審議で与党の姿勢を厳しく批判することになるでしょう」
内容次第では「総理はやる気がない」と責め、マインドコントロールや刑事罰が盛り込まれれば野党の成果と訴える。どちらでも自公にくさびを打ち込み、世論の支持も得られるとの算段だ。
被害者を救う実効性のある法整備は、果たしてできるのか。その場しのぎの「聞く力」の代償が、岸田総理に重くのしかかる――。
●厚労相、旧統一教会への質問書「責任ある回答を」 養子縁組巡り 11/18
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)内での養子縁組について、加藤勝信厚生労働相は18日の閣議後記者会見で、一般論と前置きした上で「許可を受けず、養子縁組あっせん事業を行っていた事実関係が確認された場合には、行政指導を行う」と話した。
厚労省と教団本部のある東京都は、早ければ今日中にも、教団側に事実関係を確認する質問書を送付する。養子縁組あっせん法が施行された2018年以降、法違反がなかったかを中心に調べる。加藤氏は質問書を早期に送付する考えを示した上で、回答期限については「速やかに事実関係の確認を進める必要性があるが、旧統一教会に責任ある回答を求めるため、適切に設定したい」と述べた。
同法では、あっせん事業を許可制としており、事前に都道府県知事らの審査、許可を受ける必要がある。事業者は省令で定める手数料以外の金銭の受け取りが禁じられている。無報酬でも、あっせんを反復継続的に行っていた場合、法に違反する可能性がある。
教団の信者家庭同士の養子縁組は、1981〜21年に745件あったことが判明している。
●“マインドコントロール”盛り込まない方針 “統一教会”被害者救済法案 11/18
いわゆる統一教会の被害者救済に向けた新たな法案をめぐり、焦点となっていたマインドコントロールについて、政府が法案に盛り込まない方針を固めたことが分かりました。
与党幹部によりますと、政府は野党側が求めていたマインドコントロールの定義を新たな法案に盛り込まない方針を固めたということです。
新たな法案では、霊感により不安をあおる行為などを禁止し、違反した場合には寄付を取り消せるようにする方針です。そのため、マインドコントロールに関する規定を盛り込まなくても被害者を救済できると判断したものです。
一方、新たな法案では悪質な勧誘行為をした場合は懲役刑を含む刑事罰を設ける方針です。
●救済新法、寄付に「上限規制」 土地担保・借金での要求禁止―政府 11/18
政府は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた被害者救済新法について、宗教団体が信者に土地、建物を担保に借金させるなどしてまで寄付を求める行為を禁止する方向で調整に入った。事実上の上限規制となる。生活に困窮した家族が被害者本人に代わって寄付の取り消しができる規定も盛り込む。複数の関係者が17日、明らかにした。
政府は新法の概要を18日午後に与野党6党幹事長らに提示する。政府は今国会に新法を提出し、成立を目指す。
新法は消費者契約法の対象とならない寄付一般について、寄付を拒んだ人への勧誘・要求の継続、乱暴な言動による勧誘・要求などを禁止する。悪質な要求による寄付には、取り消し権の行使や損害賠償請求を可能とする。
ただ、政府は被害の自覚を持たない信者本人が取り消し権を行使するケースはほぼないとみている。このため、民法423条の「債権者代位権」の考え方を用い、例えば親が多額の寄付をして子どもが扶養を受けられない場合、家族が生活費などを受け取る権利があるとして、取り消し権を行使できるようにする。悪質な行為への刑事罰導入も検討する。
一方、マインドコントロールの法律上の定義は盛り込まない方向だ。新法で定義付けるよう求めている立憲民主党などが反発する可能性がある。自民党の茂木敏充幹事長は17日の派閥会合で「与野党でできる限り協力し、早期の法案成立を目指したい」と述べた。
木原誠二官房副長官は17日の衆院議院運営委員会理事会で、被害救済の法整備の一環として、消費者契約法と国民生活センター法の両改正案を18日に閣議決定し、国会提出すると説明した。 
●“人身売買”疑惑の旧統一教会 解散求める署名が遂に20万筆突破 11/18
連日のように新たな事実が発覚している旧統一教会問題。今度は、新たに信者間における「養子縁組」の大スキャンダルが発覚した。これには「人身売買ではないか?」との批判が相次いでおり、ついに刑事事件に発展する可能性も出てきた。そんな中、10月17日から始まった統一教会の解散を求めるオンライン署名が続々と集まっており、現在も署名の数は増加の一途。今回発覚した統一教会の「養子縁組」問題とは、どこまで深刻なのだろうか?
「宗教2世」を襲う、統一教会「養子縁組」問題とは?
15日放送のNHK「クローズアップ現代」では、統一教会の養子縁組の非人道的な実態が報じられた。番組によると、教団は子供がない信者の家庭に、別の信者の子供との「養子縁組」を推奨しており、教団のハンドブックにも養子縁組の必要性が説かれているという。これによれば、「養子縁組は、神さまの愛を中心とした家庭理想を共に実現するという意味で教団の美しい伝統となっている」と、長年にわたって養子縁組が信者間でおこなわれてきたことを示唆していた。
中には、「養子の約束を交わすのは、ささげる側が妊娠前が最も望ましい」などと、養子に出す前提での妊娠を推奨する記載まであったという。
番組に登場した元2世信者の「ようじよ」さん(仮名)は、4歳のときに自分が養子であることに気づいた。ようじよさんは、4人の兄弟の中で自分1人だけが養子に出され、疎外感を持ちながら生きてきたという。そして「自分は教義の道具ではないか?」と感じ、自分の存在が分からなくなり苦しんできたとしている。
3年前に自殺を図ったとき、養母から「自殺したら地獄に落ちるんだよ!」と叫ばれたと明かし、「どこまでも教義を信じ込む中身のない家族こそが生き地獄だ」と語っていた。
小川さゆりさんの兄弟2人も「人身売買」の犠牲に
統一教会の元2世信者で、教団の解散を訴えている「小川さゆり」さん(仮名)も、下の兄弟2人が養子に出されていることを公表している。小川さんは、「教会では人身売買のように子供をまるでモノみたいに扱っている」と憤る。
また、教団の元職員は、全国の教会の家庭部が養子縁組の窓口となり、家庭のマッチングをおこなっていたと発言。早稲田大学の棚村政行教授も「まぎれもなく養子縁組のあっせんで、児童福祉法や民間の養子縁組あっせん法に触れる可能性がある」と指摘する。
教団側は、1981年以降「745人の養子縁組があった」と認めたが、「この養子縁組は2世の幸せを願って進められるものであり、“親の信仰のための養子”といった指摘は事実に反する。養子縁組による金銭の報酬はないため、養子縁組あっせん法に抵触しない」と釈明した。
しかし、厚生労働省は「養子縁組あっせん法は報酬をともなうかどうかにかかわらず、一定の目的で継続的に業として行う場合、都道府県の許可を受ける必要がある」としている。被害の全容はまだ明らかになっておらず、今後、行政による実態調査が待たれる。
教団側の屁理屈に世論反発。有田芳生氏の見方は?
先の「クローズアップ現代」内では養子縁組を認めていた教団だが、放送後の共同通信によると「旧統一教会は養子縁組について、“制度化されておらず、信者同士のつながりや地域の付き合いで養子縁組が決まっている”としている」と一転、教団側は組織的な関与を否定したのだ。
この報道を受けて、元2世信者の小川さんは激怒。
「統一教会は養子縁組問題も信者が勝手にやったことにするようです。人の命を巻き込んでおいて?正直今までで一番腹が立っています」「人の命がカルト団体の都合で生み出されること自体許せないのに、生んだ子供を養子に出す、また養子に出す前提で子供を作ることが推奨されていることについて、最低な人権侵害だと思います。「お母さん、何で私は養子に出されたの?」と泣いていた妹の顔が忘れられません」と怒りをあらわにした。
これに関して、30年以上という長年にわたって統一教会問題を追及しているジャーナリストの有田芳生氏はTwitterで、「教団本部に報告せず縁組している者もいます。3万双(1992年)以前に家庭を持つ条件は、女性が30歳を超えていることでした。6000双は33才。激しい活動と不妊から養子を必要とする夫婦が多かったのです」
「統一教会は養子縁組について「あっせんや制度化している事実はない」とする。事実は違う。6000双の合同結婚式(1982年)、6500双(1988年)では、「三位基体」の教えで、家庭巡回師が3組のカップルを指名、子供が生まれない家庭に養子を出すようにしていた。小学生以上でも養子に出されたのだ」とツイートし、さらに、「祝福のためにお互いを支え合う3家族を家庭巡回師が指定(「三位基台」)し、子供を産むことで家族は完成するという「四位基台」の教えが基本にあります。小川さんの証言では妊娠中に養子の約束をしているのですから、1980年代より非人道的な行為が行われているのです」と、統一教会の「養子縁組」は長年にわたり組織的に行われてきたことを指摘している。
解散命令を請求するよう政府に求めるオンライン署名は20万人突破
10月17日に始まった、裁判所へ統一教会の解散命令を請求するよう政府に求めるオンライン署名の呼びかけ人には、「全国統一協会被害者家族の会」「オウム真理教家族の会(旧称、オウム真理教被害者の会)」代表の永岡弘行氏や、統一教会の元2世信者の小川さゆりさん、統一教会問題を追及するジャーナリストの鈴木エイト氏、「やや日刊カルト新聞社」総裁でジャーナリストの藤倉善郎氏らが名を連ね、18日18時の時点で、すでに20万人を突破している。
統一教会は、いよいよ土俵際に追い詰められたようだ。
「養子縁組」だけではない、財産を根こそぎ奪う統一教会の手口
先のNHK「クローズアップ現代」では、さらに高額献金のため老後を「無年金」で暮らす高齢信者を脱会した子供たちが面倒をみている実態や、高齢信者に「遺言書」を書かせて遺産を全額教団に寄付させる被害なども報じていた。いずれの問題も、教団側は「あくまでも信者の意志」だとして組織的な関与を認めていない。
「家庭を大事にする」といいながら、「家庭や個人を破壊」しているカルト教団をこのまま野放しにしていいのだろうか?
いま政府・与党の姿勢と、日本という国のあり方が問われている。
●旧統一教会めぐる被害者救済新法 「マインドコントロール」 定義づけせず 11/18
政府は、旧統一教会などの被害者を救済する新たな法案の概要をきょう午後、与野党に提示します。法案では、「マインドコントロール」の定義づけは行わない見通しであることが分かりました。
被害者救済のための新たな法案をめぐり野党側は「『マインドコントロール』による悪質な寄付の規制」を求めていましたが、関係者によりますと、「『マインドコントロール』の法的な定義が困難である」として、定義づけは行わない見通しです。
政府と調整を続けてきた与党幹部は、「マインドコントロールにつながる『悪質な勧誘行為』を具体的に定めることで対応できる」としています。
また、新たな法案では寄付に事実上の上限規制を設ける方向で検討されていますが、野党側が求めてきた「年間の可処分所得の4分の1」などの具体的な数値は定めない見通しです。
政府は、きょう午後に与野党の幹事長・書記局長に新たな法案の概要を示して説明する予定です。
●旧統一教会の被害者救済 政府が新法案の概要を与野党に提示  11/18
旧統一教会の被害者救済に向けて政府は、悪質な献金を規制する新たな法案の概要を、与野党に示しました。被害者に扶養されている子どもなどにも、一定の範囲内で、献金の「取消権」を認めるとしています。
旧統一教会の被害者救済に向け、政府は、現在の法律では十分に対応できていない悪質な献金を規制するため、今の国会に新たな法案を提出する方針で、策定作業を進めています。
政府は18日午後、新井消費者庁長官らが、与野党6党の幹事長と書記局長らの会談に出席し、新たな法案の概要を示しました。
この中では、規制の対象は個人から法人への献金としています。
そして、悪質な勧誘を禁止し、その具体的な例として。個人がその場から退去をしたいのにさせないとか、威迫する言動で他者への相談を妨害することなどをあげています。
また、与野党協議で焦点となっていた、いわゆるマインドコントロールによって献金をさせる行為については、法律で定義づけるのは困難だとして、霊感などの知識により、個人の不安をあおったり、現在の不安に乗じたりして献金が不可欠だと告げることを禁じるとしています。
さらに、法人が献金を勧誘する際、借金させたり、家を売らせたりまでして資金の調達を要求することを禁止するとしています。
そして、この法律で禁止する勧誘行為によって行われた献金には「取消権」を認めて、被害を取り戻せるようにすると明記しています。
また、献金した本人が、取り消しを求めない場合には、扶養されている子どもなどにも本来受け取れるはずだった養育費など、一定の範囲内で「取消権」を認めるとしています。
養育費などの算定は、未成年の子どもが18歳になるまでの期間など、将来分まで含める特例措置を設けるとしています。
このほか、国は、特別に必要があるときは法人に対し、献金の勧誘に関する業務内容について報告を求めることができるとしています。
また、この法律で禁止する勧誘行為を行い、勧告や命令に従わない場合、刑事罰を設けるとしています。
説明を受けたあと、6党の幹事長と書記局長は政府側に対し、来月10日の今の国会の会期末まで時間が限られるとして、法案の策定作業を急ぎ、早期に国会に提出するよう求めました。
弁護士「適用範囲が狭い 救済範囲は限定的になるのでは」
一方、悪質な献金を規制する新たな法案の概要について、立憲民主党や共産党などが国会内で開いた会合で意見が交わされました。
概要では、いわゆるマインドコントロールによって献金をさせる行為を法律で定義づけるのは困難だとして、霊感などの知識により、個人の不安をあおったり、現在の不安に乗じたりして献金が不可欠だと告げることを禁じるとしています。
これについて、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の阿部克臣弁護士は「『献金が不可欠だと告げる』ことは要件としてかなり厳しく、ここまで告げて献金をさせるケースがどれだけあるのか、かなり疑問だ。適用範囲が狭い」と指摘しました。
また、概要で、被害者に扶養されている子どもなどにも一定の範囲内で献金の「取消権」を認めるとしていることについては「請求できるのは、そんなに大きな金額にはならず、救済の範囲はかなり限られたものになるのではないか」と述べました。
元信者 “ちゃんと返金される制度作ってほしい”
数年前に旧統一教会を脱会した元信者の60代の女性。献金や物品の購入など、教団側に支払った金額はおよそ3000万円に上るといいます。
入信したきっかけは、夫が病気になった悩みを友人に相談したことでした。
その友人から家系図を見てくれる場所があると紹介を受けて訪ねると、息子も病気になるおそれがあると言われ、12万円の念珠を勧められたといいます。
女性は「私が話すことを家系図に書き取ってくれる先生がいて、家族関係とか家族の病気について聞き取られました。『病気が長男にも関わってくるかもしれないので、念珠を息子さんに用意したらいい』と言われ、私にできることがあるなら何かしてあげたいという気持ちでした」と話しました。
その後、教団の施設に通うようになると、預金通帳を見せるよう言われ、先祖の罪を償うためとしておよそ1000万円を支払いました。
さらに悪霊が入るというつぼや教祖のことばが書かれた書籍などの購入を次々に求められたといいます。
女性は当時について、「不思議なことに大金なのに、ちゅうちょすることもなく出してしまいました。当時は言われるがままで、教団の言うことは正しいと信じ込んでいたので断ることはなかったです」と話しました。
脱会する直前に夫とともに返金を求めると、教団側は「500万円は返金するが、今後、異議申し立てを一切行わない」という趣旨の合意書を提示してきたということです。
女性はそれに同意せず、現在も代理人の弁護士を通じて協議を続けています。
旧統一教会の被害者救済に向けて悪質な献金を規制する新たな法案について、女性は「夫が一生懸命働いてためたお金を黙って使ってしまった。真面目にずっと働いてためてきたのに本当に申し訳ないと思っています。家族でも本人でも高額なお金を出してしまった人たちに、ちゃんと返ってくるような制度を作ってほしいと思います」と話していました。
松野官房長官「できるかぎり早く法案を提出」
松野官房長官は午後の記者会見で「法案の内容やスケジュールは現在調整中だが、各党の意見も参考にしながら、今国会を視野にできるかぎり早く法案を提出すべく検討を進めていきたい」と述べました。
自民 茂木幹事長「法案の策定作業を急いでほしい」
自民党の茂木幹事長は会談のあと記者会見し、新たな法案の概要について「実効的に被害者の救済、再発防止につながるものだ。異例ではあるが、野党各党にも示し、意見もいただいた。政府には、これも参考にして、法案の策定作業を急いでほしい」と述べました。
一方、茂木氏は法案の概要で、法人が献金を勧誘する際、借金させたり、家を売らせたりまでして、資金の調達を要求することを禁止するとしていることについて、過度な寄付の要求を禁止するもので、献金の上限規制にあたるという考えを示しました。
また、法案に設ける刑事罰の具体的な内容については、消費者行政に関係するほかの法律とのバランスも踏まえ、懲役刑や罰金刑が含まれることになるという認識を示しました。
立民 岡田幹事長「極めて不十分」
立憲民主党の岡田幹事長は、記者団に対し「被害者が救われる、意味のある法律を目指さなければならず、極めて不十分だ。マインドコントロール下に置かれた人がみずからすすんで献金する場合をどうやって対象にするかという議論だが、概要の規定では非常に限定されており、柔軟に考え直さないとだめだということを与野党4党の実務者協議の場で申し上げていく」と述べました。
立民 安住国対委員長「損害受けている家族が救われる法律に」
立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者会見で「政府・与党は硬直した考えを全く変えておらず、きょう示された法案の概要では、いちばん問題になっている『マインドコントロール』に全くアプローチしてない。旧統一教会の被害者やサポートしてきた弁護団にとって使い物にならなければ、法律をつくる意味がない」と批判しました。
そのうえで「国民は見ているので、このままでは、政府・与党にとっても決していいことにはならないと思う。マインドコントロールによって大変な損害を受けている家族が救われる法律になるよう岸田総理大臣には、リーダーシップを発揮して譲歩してもらいたい」と述べました。
維新 藤田幹事長「少し物足りなさを感じる」
日本維新の会の藤田幹事長は記者団に対し「社会問題を救うために最大限踏み込んでやるのがわれわれのスタンスであり、少し物足りなさを感じる。マインドコントロールの定義を明確にするのは難易度が高いという判断だと思うが、どこまで文言に盛り込めるか、最終の詰めでやるべきだ。実効性のある法律ができるように、政治の意思決定を進めていきたい」と述べました。
公明 石井幹事長「新法の成立を期していきたい」
公明党の石井幹事長は記者団に対し「内容を評価し、消費者庁長官からの説明に私自身、納得している。過度な寄付をしないことが大きな目的であり、借り入れや住んでいる住居を売るような過度な要求を禁止したことは、非常に大きな意義がある」と述べました。
そのうえで「被害者の救済や、再発防止を進めることは与野党を超えたコンセンサスだと思うので、今の国会で新法の成立を期していきたい」と述べました。
また、新たな法案の概要で、マインドコントロールそのものを法律で定義づけなかったことについて「マインドコントロールはいわば一種の精神状態なので、定義したり、認定したりすることは極めて難しい。行為に着目して、明確に禁止行為を定めることは、非常に重要なことだ」と指摘しました。
共産 小池書記局長「解決に役立つ法案に」
共産党の小池書記局長は記者団に対し「概要を初めて見たので持ち帰ってよく検討する。旧統一教会による被害の救済は党派を超えた国会の責務で、実効性のあるものにして、被害者などから『解決に役立つ法案だ』と見てもらえるような中身にする必要がある。全党が参加する形での協議の場を設けるべきだ」と述べました。
国民 榛葉幹事長「党の主張が入り評価」
国民民主党の榛葉幹事長は記者会見で「わが党が主張してきたエッセンスがおおむね入っているので評価する。大切なのは、困っている国民を救済することと、早く実効性のある法律をつくることだ。協議体の主導権争いみたいなことをするのではなく、6党ですべて話し合ったらどうかと提案した」と述べました。
4党実務者協議 野党側 内容不十分と指摘
政府が、悪質な献金を規制する新たな法案の概要を与野党に示したことを受けて、自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会の4党の実務者による協議が行われました。
焦点となっていた、いわゆるマインドコントロールについて、法律で定義づけるのは困難だとして、法案の概要では、霊感などの知識により個人の不安をあおるなどして献金が不可欠だと告げることを禁じるとしています。
これについて野党側は、「献金が不可欠と告げる」という要件は厳しすぎ、マインドコントロールを受けて進んで行う献金が救済の対象にならないと指摘しました。
また、野党側は、被害者に扶養されている子どもなどにも一定の範囲内で取消権を認めることについて、取り戻せる金額が養育費などの一部に限定され、不十分だという考えを伝えました。
このほか、借金させたり、家を売らせたりまでしての資金調達の要求を禁止することについても、要求の行為がなく自発的に借金などをして献金した場合は規制の対象にならないと指摘しました。
これに対し、与党側は、次回の協議の在り方も含め、持ち帰って検討する考えを示しました。
●「借金させ寄付」禁止 政府、旧統一教会の救済新法概要 11/18
政府は18日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の被害者救済に向けた新たな法案の概要を与野党6党に提示した。個人に借り入れや不動産の処分をさせて寄付を求める行為を禁止する。政府による措置命令に違反した場合は刑事罰を科すと盛り込んだ。
個人から寄付を集める法人を規制対象にした。法人による寄付の勧誘は「個人を困惑させてはならない」と定めた。禁止する行為として勧誘を告げずに退去困難な場所へ同行することや退去の妨害などを例示した。
これらの勧誘に該当する際は寄付を取り消せる。取り消しができる期間は寄付した人が被害を認識した時から1年間とする。禁止行為にもとづき寄付の約束をしたり実際に寄付したりした時は5年間認める。
首相は必要に応じて悪質な寄付の要求をする法人に報告を求める。借金をさせるなどして寄付金を集める法人には禁止行為の停止勧告や措置命令を出す。命令にも違反した場合には刑事罰を適用する。刑事罰は懲役刑や罰金刑などを想定する。
家族による寄付の取り消し権も認めた。民法の「債権者代位権」の考え方を取り入れる。親の多額の寄付を想定し、生活費や養育費など子どもや配偶者が受けるべき扶養を守るために行使できるとした。
岸田文雄首相は8日に新法について「今国会を視野にできる限り早く提出すべく最大限努力する」と表明した。
野党が求めるマインドコントロールの定義は明記しなかった。「年間の可処分所得の4分の1」までとする寄付の上限規制を巡っても具体的な数値は設けなかった。
●旧統一教会 被害者救済「消費者契約法」など改正案を閣議決定  11/18
旧統一教会の被害者救済をめぐり、政府は、霊感商法などの悪質商法の契約を取り消せる「取消権」を行使できる期間の延長などを盛り込んだ「消費者契約法」などの改正案を18日の閣議で決定しました。
旧統一教会の問題を受けた霊感商法などによる被害者の救済対策については、先月、消費者庁の有識者検討会が報告書をまとめ、その中で消費者契約法で定められている消費者契約を取り消すことができる「取消権」について、対象範囲の拡大や行使できる期間の延長などを求めていました。
政府は、こうした報告を踏まえ、霊感商法の契約を取り消せる「取消権」を行使できる期間について、現在、契約締結から5年としているのを10年に、被害を受けていたと気付いた時から1年としているのを3年に、それぞれ延長することを盛り込んだ、消費者契約法の改正案を18日の閣議で決定しました。
また、「取消権」が認められる行為の対象範囲について、消費者本人の将来の不安をあおる行為に加え、消費者の親族の生命や身体、財産などに関わる不安をあおる行為を対象にするほか、将来の不安だけでなく、現在、不安を抱いていることを利用して結ばせた契約についても対象とするとしています。
また、国民生活センター法の改正案も閣議決定され、消費者保護のために特に必要があると認める時は、事業者名などを公表できるようにすることなどが盛り込まれています。
閣議のあとの記者会見で、河野消費者担当大臣は「霊感商法などの悪質商法の被害者の救済、再発防止のために非常に重要な法案だ。早期の成立に万全を期して参りたい」と述べました。
政府は、これらの改正案について今国会での成立を目指す方針で、成立すれば、公布の日から20日後に施行される見通しです。
有識者検討会の座長「提言と比べて十分な形とは言えない」
旧統一教会の被害者救済に向けて政府が示した悪質な献金を規制する新たな法案の概要について、専門家からは厳しい指摘があがっています。
消費者庁の有識者検討会で座長を務め、悪質な献金規制の法制化に向けた検討を求める提言をまとめた、東京大学の河上正二名誉教授は、「きょう示された概要では、家族が献金した額の100%ではなく、かなり小さい金額しか取り戻せないおそれがある。取消権ではなく、禁止行為を規定して、そうした行為に基づく献金は無効にして、すべて取り戻せる仕組みが必要だ。刑事罰を設けたことは評価できるが、少なくともこの概要では、検討会の報告書の提言と比べて十分な形とは言えない」と指摘しました。
そのうえで、「骨抜きになった法律をとりあえず作ってよしとせず、政府が本気になって対応するというのであれば、内容を詰めて議論し、できることを早急にやってもらいたい」と話しました。
一方、18日に閣議決定された霊感商法の契約を取り消せる「取消権」の対象の拡大や期間の延長を盛り込んだ、消費者契約法と国民生活センター法の改正案については、「短い期間で霊感商法に関する取消権の対象範囲が整理され、行使期間も延長した点は評価したい。悪質な事業者名の公表なども意味のあることだ。消費者契約法などで対応できないことは新しい法律などでカバーしつつ、今後は、相談員の研修など相談体制の充実も必要だ」と話していました。
●日韓カップル「統一教会の信者か」 政治家の癒着にも日本は遅すぎる反応 11/18
日本では、連日のように報じられている「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」にかかわるニュース。しかし、旧統一教会の発祥地ともいえる韓国ではそれほどの騒ぎはない。むしろ「日本ではなぜ、今ごろ騒いでいるのか」という反応だ。現地の様子を報告する。
韓国人男性と結婚した日本人女性(34)は、5年前、ソウルで新婚生活を始めた。するとアパートの管理人から、「統一教会の信者か」と尋ねられた。最初は旧統一教会がなんなのかよくわからず、夫に尋ねると、韓国で有名なカルト宗教だと聞かされた。
韓国内の日韓カップルコミュニティーで知り合った日本人女性たちも、同じような経験があるという。筆者も日本人女性と交際していたことがある。そのころは、会社の同僚や取引先の人、飲食店の従業員から、旧統一教会なのかとよく聞かれたものだ。
韓国の統計(ナムウィキ)によると、旧統一教会の韓国での信者は約30万人。日本の半分ほどだ。「合同結婚式」で結婚して移住した人が多い。数千人ともいわれる日本人信者が韓国で暮らしていることを韓国人は知っているのだ。知人の韓国人男性(40)はこう話す。
「日本のイメージを悪くしていると思う。経済的にも恵まれている日本でなぜカルト宗教にハマるのか韓国人は理解できない」
旧統一教会と政治家との癒着は、韓国ではよく知られていることだ。旧統一教会が政治家に近づいたきっかけは、創始者である文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が米国で刑務所に入ったときから始まったようだ。
1981年10月、ニューヨーク検察庁と米国税庁は、米国の旧統一教会の献金などを調べ、検察は所得16万2千ドルを故意に申告しなかった脱税の理由で文氏を起訴。82年7月、ニューヨーク連邦地方裁判所は懲役1年6カ月と罰金2万5千ドルを言い渡した。文氏は、連邦最高裁判所まで上告したが却下され、84年7月、コネティカット州ダンバリー連邦刑務所に収監された。
当時、米国の複数の宗教団体と市民団体は、文氏の無罪と釈放を要求するデモを行った。そのなかには多数の米国政治家も入っていた。元米上院議員であり68年に民主党の大統領候補に名も出たユージン・マッカーシーもそのひとりだ。
文氏は5カ月減刑されて85年8月に釈放。当時、文氏が「旧統一教会を維持するには政治家の力が必要だ」と悟った決定的な契機だったという話は韓国では周知の事実。
その後、文氏は「執着」と思えるほど、世界の有力政治家との関係を築いていく。90年には旧ソ連のゴルバチョフ大統領と会談。91年には韓国政府の許可なく北朝鮮に渡り、当時の最高指導者だった金日成(キム・イルソン)氏と会談した。
このとき文氏は、旧統一教会からの資金として北朝鮮に5兆ウォン(約5千億円)を支援したともいわれている。その後も旧統一教会と北朝鮮との関係は続く。2010年、文氏の90歳の誕生日に、北朝鮮の最高指導者になっていた金正日(キム・ジョンイル)氏は特別なプレゼントを贈ったという。
金大中(キム・デジュン)、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)ら韓国の元大統領も、文氏や旧統一教会と親密だった疑惑が、かつて多数のメディアで取り上げられもした。
安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者が、安倍元首相と旧統一教会の関係を確信したのは、21年9月に開かれた、旧統一教会の友好団体のイベントに送ったビデオメッセージだったとされている。このイベントには、ソウル市の呉世勲(オ・セフン)市長や、釜山市の朴亨(パク・ヒョンジュン)市長ら、約10人の韓国の元・現職政治家もビデオメッセージを送っている。当時のイベントの委員長は、前国連事務総長であり大統領候補にも挙げられた潘基文(パン・ギムン)氏だった。
日本が旧統一教会と政治家との癒着に揺れている状況は、韓国から見ると遅すぎる反応に映る。
旧統一教会は、韓国ではカルト宗教という認識だが、すでに、メディア、教育、リゾート、医療財団、建設など、韓国と日本国内のさまざまな分野で資本力と影響力を行使している。有力政治家も旧統一教会を決して無視できない。
●“救済新法”の概要明らかになるも…弁護士「統一教会には適用できず」 11/18
旧統一教会などの被害者を救済する新たな法案の概要が明らかになりました。しかし、長年、問題に取り組んできた弁護士は、「統一教会には適用できない」と訴えています。
午後2時、国会内に集まった与野党6党の幹事長たち。政府が救済新法の概要を示し、与野党の協議はひとつの山場を迎えました。
法案作りに深く携わってきた自民党の茂木敏充幹事長は、その内容をこうアピールします。
「各党の主張についても、法案化が可能なものは取り入れられている」
野党側が寄付の上限規制を求めていたことを受け、18日に示された法案の概要には、借金をしたり家を処分したりしてまで寄付の要求を禁止することが盛り込まれました。また、野党が求めていた家族による取消権も一部認めています。
自民党 茂木敏充幹事長「間違いなくですね、取り消しの対象となる寄付の範囲が広がっている。実効的にですね、被害者の救済、再発防止に繋がるものだと」
一方、立憲や維新は「マインドコントロール」による寄付の規制を強く求めていますが、今回示された法案の概要で政府与党はそこには踏み込んでいません。
公明党 石井啓一幹事長 「マインドコントロールっていうのはいわば一種の精神状態ですから、その状態をきちんと定義をしたり、あるいはそれを認定するということは極めて難しい」
与党の幹部は「マインドコントロールにつながる『悪質な勧誘行為』を具体的に定めることで対応できる」などとしていますが、野党側は…。
立憲民主党 岡田克也幹事長「進んで寄付するというようなことがカバーされないとすると、ほとんど意味がないと。中身のないもの、十分でないものを成立させても、それは意味がないことなので」
さらに、長年、旧統一教会の被害者救済に取り組んできた弁護士も法案の要件が厳しすぎると指摘します。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 阿部克臣弁護士「これはもう一読して、統一教会には適用されないということがはっきり言えると思います」
立憲民主党の岡田幹事長は、与野党4党の実務者で協議を続けるべきだとしました。
●「祝福のマッチング」旧統一教会が745人を養子縁組…教団あっせんは? 11/18
旧統一教会が信者の間で養子縁組をあっせんしていた可能性があるとして厚労省が調査する方針を示しました。
加藤勝信 厚労大臣「許可を受けずに養子縁組あっせん事業を行っていた具体的な事実関係が確認された場合には行政指導を行う」
教団側は…。旧統一教会(取材に対し)「複数の子供がいて養子縁組をしても、いいという家庭があった場合は養子縁組を行ってきた」
教団側によると1981年からこれまでに、信者の間で745人の養子縁組が行われたといいます。信者向けの動画には…。「養子縁組という美しい伝統を祝福家庭(信者家庭)の中で受け継いでいきましょう」
さらに“信者として生活するうえでの指針”が示された本には「養子縁組の必要性」がこう説かれています。
信仰指針を示した書籍「真の父母様(教祖夫妻)は子孫のことを深く思慮してマッチングしてくださり、全ての祝福家庭に子女を授けたいと願っておられる」「養子縁組には祝福のマッチングと同じような出会いがある」
教祖夫妻が「養子縁組を許可した」との記載も…。教団は養子縁組を“あっせん”していなかったのでしょうか。
旧統一教会(取材に対し)「あっせんはしていない。信者が普通養子縁組として都道府県や家裁の許可を得ている」
一方、きょう国会内で行われた野党ヒアリングでは、2世信者で養子だという女性の悲痛な思いが伝えられました。
養子の2世信者女性(20代)「どうして私だったのか、どうして私じゃないと、だめだったのか。成長とともに、自分が養子であることについての葛藤が増えていった」
国は「調査に対する教団側の回答を踏まえて、速やかな対応を検討したい」としています。
●旧統一教会被害者救済法に「公明党に配慮しなきゃいけない自民党の弱さ」 11/18
実業家のひろゆき氏が18日、ニュース番組「ABEMA Prime」にリモート出演。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向けた新法案についてコメントした。
政府は旧統一教会を巡る被害者救済新法に関し、与野党6党の幹事長・書記局長に概要を提示した。野党が求めていた「マインドコントロール下の高額献金は被害者の家族も取り消し請求できる」「寄付や物品購入は年収の4分の1を上限とする」の文言は盛り込まれなかった。
ひろゆき氏はマインドコントロールについては「法律上規定するのはかなり難しいので、基本的にはやらないほうがいいと思う」と理解を示す。
マインドコントロール下にあるかどうかはカウンセラーか精神科医が鑑定すると見られるため「マインドコントロールされてるって鑑定書と、されてないっていう鑑定書が多分両方出ちゃうんです。精神科医っていっぱいいるし、いろんな考えもあるので。そうすると裁判官が『どうすればいいかわからん!』みたいになっちゃう」と推測した。
その上で「心の中の問題を法律化して、それによって大きな見解が動くというのはちょっと法律としては難しい」と結論付けた。
かたや寄付の収入上限については「それはきちんと決めるべきだと思う。4分の1が出しすぎでしょっていうのは明らか。それすら入れられないというのは、やっぱり公明党にちょっと配慮しなきゃいけない自民党の弱さが出てるのかなと思う」とズバリ。
続けて「ただここで配慮しちゃうと『じゃあ公明党って4分の1以上寄付させてんの? おかしくね?』ってなっちゃうので、僕は公明党としても『4分の1はやりすぎですよ』っていうのを言った方が、公明党、創価学会はまともですよっていうイメージになると思う。なのでそこは、与党から言い出した方がまだマシなんじゃないか」と訴えた。
●安倍元首相銃撃から4カ月、遠のく公判…山上容疑者の「鑑定留置」延長 11/18
安倍元首相銃撃事件発生から4カ月。山上徹也容疑者(42)が法廷に立つのは年明け以降に持ち越された。事件の全容が解明される日が来るのか。
奈良地検は17日、殺人容疑で送検された山上容疑者の刑事責任能力の有無を調べる鑑定留置を約2カ月延長すると発表。期間は来年2月6日までとした。刑事責任能力の有無や、事件当時の精神状態を調べる鑑定留置は事件発生から17日後の7月25日から実施され、今月29日までの予定だった。
地検は理由を「捜査上の必要」としており、詳しくは明らかにしていないが、なぜ延長が必要なのか。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士はこう言う。
「鑑定留置は3カ月程度のケースが多い。当初の4カ月の時点でも長い印象でした。この事件は裁判員裁判となることが想定されますから、一般市民の裁判員が被告の刑事責任能力に疑問を抱くことがないように鑑定留置を慎重に実施する必要性は高いと思います。鑑定留置は腫瘍を見つけ出す診断とは性質が異なり、内心を探る作業。精神科医によって鑑定結果に違いが出ることも珍しくありません。結論に至らなかった、あるいは複数の医師による鑑定が必要だと判断した可能性もある。もっとも、山上容疑者は明確な目的を持ち、用意周到に準備をして、現場で犯行に及んだ。一連の行動は非常に合理的で、刑事責任能力は100%認められるとみています」
山上容疑者は犯行理由のひとつに旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の存在を挙げている。事件によって半世紀を超える教団と自民党、とりわけ清和会(安倍派)との癒着が明るみに出て、いまなお世論は批判の嵐だ。政治的な影響はあるのか、ないのか。
一方、山上容疑者周辺は当初から鑑定留置に疑問を抱いていたという。
「山上容疑者は検事や精神科医に対しても普通に受け答えしているようです。そもそも、鑑定留置を決めたのは刑事責任能力うんぬんよりも、世間の沈静化を待つためではないのか。延長は検察の筋書き通りの展開にならなかったためではないか。そんな気がしてなりません」(山上容疑者の関係者)
世間は一刻も早い真相究明を待っている。

 

●「昭和天皇を暗殺する」「日本の女は男の寝床に這いつくばる」… 11/19
韓国には旧統一教会の教祖・文鮮明氏の発言録が存在している。615巻に及ぶこの「御言選集」から垣間見ることができるのは、日本への憎しみや蔑視が入り混じった文氏の複雑な心境だった。
「二重橋を破壊し、裕仁天皇を暗殺する」
今年7月の安倍晋三元総理銃撃事件以降、自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との深い関係が問題となっている。
10月24日には、山際大志郎経済再生担当大臣が旧統一教会との関係を理由に辞任し、11月8日には岸田文雄総理が悪質な献金などの被害者救済の新法案を今国会で提出することに「最大限の努力を行う」と発表した。
そんな中、統一教会の創始者である文鮮明氏の発言録『文鮮明先生マルスム(御言)選集』が、インターネット上に無断転載されていることが明らかになった。
これは韓国の教団系出版社である「成和出版社(現・天苑社)」が信者たちに向けて発行したものだ。文氏が'56年〜'09年に韓国内で行った説教の内容が全編韓国語で記録されており、その量は各巻300〜400ページ、全615巻にも及ぶ。
「この『御言選集』を持っている日本人はほとんどいません。私が知る中で持っている日本人信者は一人だけ。その人も、大切に飾るだけで読んでおらず、内容は知らないようです」(元信者)
『御言選集』の一部を日本語訳したものは製作されているが、原本に掲載されている特定の発言が抜け落ちている。それは、日本に対して向けられた凄まじい憎悪の言葉だ。
文氏は1920年、日本統治時代の朝鮮半島に生まれ、1941年、21歳の時に早稲田高等工学校に通うため、日本へやってきた。工学校卒業後、1943年に帰郷するが、翌年10月、日本での抗日運動に関わっていたとして逮捕されている。
文氏にとって、"内地"での体験は、彼を抗日運動へと走らせるようなものだったのだろう。こうした心情を垣間見ることのできる発言が、ネットに流出した『御言選集』の中に含まれている。
〈日本は一番の怨讐の国でした。二重橋を私の手で破壊してしまおうと思いました。裕仁天皇を私が暗殺すると決心したのです〉(第381巻より。原文を日本語訳したもの・大意。以下同)
〈裕仁天皇を二重橋を越えて殺してしまおうとした地下運動のリーダーだったんです。こうした学生時代には、日本の婦人たちに無視されたこともたくさんありました〉(第305巻より)
昭和天皇暗殺を考えていたことや、皇居の正門に架かっている二重橋を破壊しようとしていたという旨の発言は、第306巻、352巻、402巻にも記録されている。
文氏が実際に地下運動のリーダーだったかについては明らかになっていないが、韓国人信者に対して自身が「昭和天皇暗殺を計画した抗日運動の闘士であった」と話していた可能性は高い。
「日本の女性は嘘が上手い」
日本に住みながら日本人に対して反感を募らせていた文氏は、日本人女性に対して抱いた印象について、蔑むようにこう振り返っている。
〈日本にいた頃は苦労した。日本の女性はあからさまです。韓国の女は男がついてくると逃げ出すが、日本の女は男の寝床に這いつくばる〉(第239巻より)
〈日本の女性は必ず嘘をつきます。エバの国である日本の女性は、エバの特徴をそのまま残している。だから嘘が上手なんですね〉(同巻より)
この発言について、旧統一教会問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏はこう語る。
「この発言からは、文氏の日本に対する恨みや蔑みが感じ取れます。旧統一教会には、日本が罪を背負った『エバ国家』だとする文氏の教えがある。エバ国家は夫である『アダム国家』の韓国に尽くすべきだとされています。合同結婚式で韓国人と結婚した日本人女性は、夫から暴力を振るわれたとしても、それは過去に犯した罪のせいであると教え込まれているのです」
文氏の発言の中からは、日本人に対する独特な価値観もうかがえる。
〈韓国人たちは「日本人たち」とは言いません。日本人を倭奴(왜놈)と言いながら「奴」という字をつけます〉(第336巻より)
〈日本人のことを倭奴と言います。日本人が倭奴なら韓国人は「主人奴」。そんな思想を持っています〉(第419巻より)
「倭奴」(왜놈)は、直訳すると「日本人野郎」という意味で、「チョッパリ」(쪽발이)と同様に日本人への蔑称として知られている。この蔑称を文氏は他の説教でも多用しており、本誌が確認しただけでも30回以上発せられている。
「日本人と結婚すると、半分死んだ子が生まれる」
日本人男性の「弱さ」についての発言も見受けられる。
〈日本人男性と結婚すると、半分死んだような子が生まれると言われている。なぜなら、日本人男性が弱いからです〉(第333巻より)
〈私が祝福を与えた日本人女性で子がいない家庭は、相手男性が日本人であることが多い〉(同巻より)
〈日本人男性との子供を授かる確率を100%にしたいなら、高麗人参茶を飲むしかないんです(笑)〉(同巻より)
〈もし、日本人と子供を作ったら、精子はどんどん減っていきます〉(同巻より)
日本人女性と韓国人男性の結婚を推奨しているように取れるが、別の巻ではこんな発言も飛び出している。
〈皆さん自身が、怨讐の中の怨讐と結婚しなければなりません。日本と韓国の怨讐の中の怨讐は、最高の頂上である王です。日本の天皇と韓国の王とが交差結婚をしなければなりません。その次に、上下院が交差結婚しなければなりません。日本で言えば、首相と大臣たちが怨讐である韓国の人と結婚しなければなりません〉(第346巻より)
この発言について、教団の元幹部が解説する。
「『韓国の王』とは、教祖である文氏一族を意味していると考えられます。文氏は自身の孫と日本の皇族が結婚することを望んでいたのです」
●旧統一教会、法整備を全国的に働きかけ 熊本法人の請願、意見書に酷似  11/19
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関連が指摘される一般社団法人「熊本ピュアフォーラム(PF)」は、「家庭教育支援法」の制定を求める意見書を国に提出するよう、熊本県内の市町村議会に請願を重ねていた。この請願と文言が酷似した国への意見書が、県内外の少なくとも21地方議会で可決されていたことが、熊本日日新聞の取材で明らかになった。教団側が全国的に法整備を働きかけていた可能性もある。
家庭教育支援法は国が家庭教育の基本方針を定めることなどが目的とされ、衆参両院によると、国に同法の制定を求める意見書は全国34の地方議会が提出している。このうち7件は熊本PFやその関係者らの請願に基づき、県内の市町村議会が出したものだ。
これらとは別に県外分を熊日が調べたところ、愛知県一宮市や愛媛県今治市など少なくとも14地方議会の意見書で、熊本PFの請願と多くの一致点があった。
例えば、いずれも書き出しは「核家族化の進行、地域社会の希薄化など、家庭を巡る社会的な変化は著しい」との表現で始まる。
また、「若い父親・母親の出産や育児などが、関係の希薄化した社会に置かれ、孤立してしまう状況が増えており、行政からのより積極的な家庭教育への応援態勢が必要」「未来社会の担い手である子ども達を育成する家庭は社会と国の基本単位であり、家庭倫理が社会倫理の基盤である」といった文中の表現もほぼ一致していた。
神奈川県では「家庭教育を推進する神奈川県民の会」が藤沢、厚木、綾瀬、葉山の4市町議会に陳情していたのを確認。葉山町を除く3議会は陳情を基に意見書を国に提出していた。旧統一教会に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏によると、同会の事務局長は教団の政治団体「国際勝共連合」の県本部代表が務めている。
鈴木氏は「国際勝共連合は家庭教育支援法の成立に力を入れており、神奈川県民の会は教団や勝共連合のダミー団体と言える」と強調。熊本の場合も、熊本PFの事務局長は国際勝共連合県本部の代表者と同一人物とみられ、「各地の教団関連組織が議会への請願や陳情といった草の根運動を全国で展開している」と指摘する。
熊本大法学部の伊藤洋典教授(政治学)は「法律制定を働きかける主体が別ならば、根拠や背景はそれぞれ異なるはずだ。酷似する文章はコピペ(切り貼り)によるものではないか」とみる。意見書の提出は法律の制定に大きな影響を及ぼすとして「組織の実態や活動の狙いが明確にされる必要がある」と話す。
熊本PFは旧統一教会との関わりを否定しているが、全国霊感商法対策弁護士連絡会(東京)は「教団の教義に基づき活動している」との見解だ。教団の広報担当者は熊日の取材に「教会として請願書などの提出には関与していない」と答えた。
●霊感商法と悪徳商法に共通する手口 元統一教会信者が明かす 11/19
人の不安につけこみ、高額な壺や印鑑を言葉巧みに売りつける「霊感商法」が社会問題となった。その後、形を変えて多額の献金をさせる手口にもなっている。旧統一教会による被害者救済をめぐり、悪徳商法の対策となる消費者契約法などの改正案が国会に提出が予定されている。霊感商法や巷にあふれている悪質商法に人はなぜ騙されてしまうのか。元統一教会信者で、詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏が、自身の体験も交えて解説する。
旧統一教会の仕掛けるマインドコントロールにまんまとはまり、教団の信者として約10年近い時を送りました。そこではどんな心理的誘導が現場で行われているのかを私の体験をもとにお伝えします。今回は「恐怖心」の植え付けかたについてです。
正体を隠して近づき、自らの話の方向に引き入れようとするのは、旧統一教会に限らず、あらゆる詐欺や悪質商法にもみられるものです。昨年、いわゆるマルチ商法で問題視されてきたアムウェイの勧誘者が、恋人を探すはずのマッチングアプリを使って、目的を隠しながら近づくという法令違反の勧誘行為をしていたとして逮捕されました。さらに今年に入って、アムウェイは行政処分を受けています。
マインドコントロールする上での重要なファクターは何といっても「恐怖心」です。世の中にある悪質商法の手口では、恐怖心を感じさせながらその場で高額商品を買わせるという短期的な教化方法を行います。突然に訪問業者がやってきて「契約しなければ、帰らない」という怖さを覚えさせながら、契約をさせるのは常套手段です。
先にあげたマッチングアプリを使って出会い、異性を勧誘する場合も同じです。相手は心には恋愛感情を抱かされているために「別れる」ことへの恐怖があります。それゆえに相手の意のままに行動をしてしまいがちになります。近年のマルチ商法の勧誘では、参加するにあたっての費用である数十万円を借金して出させるケースも多く、お金を出した人は借金の返済に追われる恐怖心から、必死になって誰かを勧誘しなければならなくなります。しかし短い期間で、矢継ぎ早で行うマインドコントロール的手法は、即効性はあるけれども、解けやすい側面もあります。
次に振り込め詐欺ではどうでしょうか。最近は、相手を騙すために虚を突く手口がよく使われますが、詐欺犯は警察を装い「あなたのキャッシュカードで不正なお金の引き出しがあった」と高齢者宅に電話をかけて、不安にさせたうえで「警察署にきて被害届を出してください」といいます。
「(不正なお金の引き出しの件で)警察に来てほしい」と電話で言われて話しているうちに、その途中で、急に「巡回している警察官が家に行きます」と話を切り替えて、不意打ちを食らわせる形でカードを詐取するという事例もあります。ただでさえ、「警察」「カードによる不正引き出し」と言われて、パニックになっているところに、いきなり話の流れを変えるのです。こうなると冷静になれずに誘導されやすくなります。
この手口にあるのも、犯罪に巻き込まれているという「恐怖心」です。しかしこれは一過性のものなので、時間をおけば詐欺に遭ったと気づく方が多くいます。
「サタン」の存在を恐怖心でもって教え込む
それに対して、今、問題になっている旧統一教会が行うマインドコントロールは、長きにわたってじっくりと「恐怖心」を植え付けるもので、騙されていることに気づくこと自体が大変です。
私も最初に教団名を隠されたまま教団の関連施設に連れていかれて「聖書はこの世で一番読まれているベストセラー」などといわれて、神様のことを教えられました。そして入信したわけですが、その後、マインドコントロール下にあることに気づくまで、約10年もの月日がかかりました。
それだけの時間がかかった理由はやはり「恐怖心」です。教団の関連施設ではよく「エクソシスト」「オーメン」などの悪魔(サタン)が登場する映画を見せられます。なぜなら、教団が一番心に植え付けたいのは「サタン」による恐怖だからです。
もちろん、すんなりと神様を信じてもらえればよいですが、なかなか無宗教である日本人にそれは難しいのです。こうなると、“現人神”である文鮮明教祖の存在を信じさせることができなくなります。そこで、その反対の立場であるサタン(悪魔)の存在を信じるように仕向けます。裏の存在であるサタンへの恐怖を持たせることで、表にいる神様を信じさせようとします。
今となっては、大変申し訳ないのですが、私が教団内で講師をしていた時には、連れてこられた人がなかなか「神様」の存在を信じない時には、サタン(悪魔)の存在を恐怖心でもって、まずは教え込むようにしていました。
恐怖心を植え付ける。これがマインドコントロールの重要な要素であると考えています。振り込め詐欺では「犯罪に巻き込まれている」などの言葉で、相手に怖さを覚えさせて、金銭を出すように仕向けます。また旧統一教会の信者らが行った霊感商法も「このままだと悪因縁によって病気になる。事故に遭う」などという、霊界の恐怖を覚えさせてお金を出させるのです。教団を出てから詐欺や悪質商法を取材するたびに、手口の共通性に驚かされます。

 

●旧統一教会の被害救済法 与野党で実効性高めよ 11/20
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題で政府は、高額献金に苦しむ被害者の救済新法の概要を与野党6党に示した。寄付を勧誘する際の悪質な行為を禁止し、違反した場合は刑事罰を科す内容だ。
これで十分なのか。何より被害者に寄り添える法案なのかを吟味すべきである。
家庭の崩壊や困窮に至る被害を長年、放置してきた。救済を急がねばならない。と同時に、財産権や自己決定権など基本的人権の過剰な制限には慎重でなければならない。両立させつつ、実効性を持たせるのは容易ではない。党派を超えて知恵を絞る局面だろう。
与野党4党による法整備の議論が滞り、岸田文雄首相が11日前に政府法案の提出を表明した経緯がある。首相はきのう「与野党の意見も参考にしつつ、できるだけ早期に今国会に提出したい」と述べた。臨時国会での成立を実現させる確かなリーダーシップを求めたい。
焦点は、悪質な手口で寄付を誘う行為をどの程度規制するかだ。政府案は禁止行為に、勧誘すると告げずに退去が困難な場所へ同行すること、「霊感」を使って現在や将来の不安をあおることなど6点を挙げた。
これら禁止行為は霊感商法などを規制する消費者契約法に盛り込まれており、寄付の勧誘に転用した。具体的に記すことで内心の自由に踏み込む規制とならないよう、バランスを取った結果だろう。
先行して法案を出した野党の主張を取り入れ、より踏み込んだ規制も示した。特に違反行為があった寄付について、配偶者や子が本人に代わって取り消せるとした点は、新法の柱でもある。民法の「債権者代位権」の特例に位置付け、実現させる考えだ。実効性をある程度持たせつつ、私権の制限を合理的な範囲にとどめている。一定に評価できよう。
ただ、立憲民主党と日本維新の会は「不十分」と批判する。両党は被害者や弁護士らと問題点を洗い出してきた。政府は受け止め、詰めた議論が必要だ。
中でもマインドコントロール(洗脳)下での寄付への規制が弱い―との指摘は重要である。信者自らが進んで行う寄付が、対象外になる恐れはないか。家族による取り消し権は、要件に「本人が困惑して」とあるが、実際に適用できるのか。
政府の合同電話相談に寄せられた被害は、2カ月余りで2367件に上る。金銭トラブルの相談者は、親族が半数以上。信者を親に持つ「宗教2世」も多い。宗教2世たちが、悪質な寄付を取り消すことができないのならば、被害の実態に合わず、新法の意味が薄れよう。
そもそも新法は、過去の被害にさかのぼって適用することができない。これまで生じた被害をどう回復するかの指針が必要でないか。政府は訴訟支援なども拡充すべきだろう。
先の与野党4党協議のように政治的な思惑を優先させている場合ではない。与野党は着地点を見いだす必要がある。
首相が旧統一教会への対応で重い腰を上げたのは、内閣支持率低下という形で国民が厳しい評価を突きつけたため。国会日程は相次ぐ閣僚更迭などで窮屈な状態だ。法を成立できなければ、政権のダメージは大きい。
●太田光 旧統一教会の養子縁組問題に「どこまで社会が踏み込めるか」 11/20
20日放送の「サンデージャポン」(TBS系)で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の養子縁組あっせん問題が取り上げられた。
旧統一教会で信者の子どもの養子縁組が数多く行われていたことが問題視されている。旧統一教会はこれまでに745人の養子縁組があったとしているが、あっせんは否定している。
タレントの岡田結実は「生まれる前から親や親じゃない人に人生を決められるのは悲しいこと。心がざわざわしました」と語った。ジャーナリストの鈴木エイト氏は「合同結婚式で生まれた子が必要というのが教義なので、子宝に恵まれないところに融通する形が教義上正しいとされている。教団内の常識が(世間の)非常識になっている」と解説した。
司会を務める爆笑問題の太田光は「現代から考えると岡田結実ちゃんが言ったようにモヤモヤするけど、同時に考えないといけないのは、かつての日本で家制度を守るために親同士が次男をお宅にとかってことは(していた)。徐々に価値観が変わってきて教団のやっていることが時代遅れになった。それに社会がどこまで否定できるかという問題がある」と訴えた。
鈴木氏が「養子に出される子の人権が守られているのか」という問題点も指摘。太田は「社会がどこまで踏み込めるか、統一教会問題に限らず全体で考えないといけない」とまとめた。
●旧統一教会に4900万円、広島の元信者証言 11/20
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元信者で広島県内に住む70代女性が中国新聞の取材に書面などで応じた。献金や物品購入を30年余り繰り返し、教団側に総額約4900万円を渡したという。教団が2009年に法令順守の徹底を宣言した後も、求められるまま高額な献金をしていたと証言した。女性は自らの経験を踏まえ、被害者の救済や教団の解散を求めている。
「献金しないのは罪深い」と言われ…
女性は09年夏、マンション購入のために父親から預かっていた1千万円を教団に献金した。教団関係者から「万物は全て神のもの。(お金を)持っているのに献金しないのは、持っていないよりも罪深い」と諭され、差し出したという。当時、女性の心は「サタン(悪魔)が付いた万物を神に回帰するべきだ」という教義に染まっていた。
先輩信者を「アベル」、女性を教団に誘った人を「霊の親」と呼び、所持金の出入りの連絡を徹底させられる日常。それ以前にも数万〜数百万円の献金を重ね、にんじん茶やつぼ、指輪、ネックレスを次々購入していた。
親やきょうだいには長年にわたり「体調が悪い」とうそをつき借金した。先輩信者からカードローンの方法を教わり、限度額まで借りたカードは十数枚になっていた。
教団は09年3月、信者たちが法令を守り、公序良俗に反することがないようにする姿勢を打ち出した。しかし、教団による被害者の救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会(東京)はその後も、高額な献金や物品購入の勧誘が繰り返されたと指摘する。
入信拒んだ夫と離婚、韓国人の男と合同結婚式
女性が教団に入るきっかけは1983年春。関東地方の自宅に「姓名判断の勉強をしている」という1人の女が訪ねてきた。女は女性がいとこを亡くしたばかりだったことを言い当て「今後、不幸が続く。あなたを守るものを持たないといけない」と40万円の印鑑を勧めてきた。何度も迫られ、最後は押し切られた。
人生に悩むこともあった女性は「人生とは何かを勉強しよう」とセミナーに誘われ、次第にのめり込んだ。旧統一教会と明かされたのは約1年後だった。
入信を拒んだ夫とは離婚し、2000年に初対面の韓国人の男と合同結婚式を挙げた。その男から暴力を受ける日々に信心が次第に冷めていくのを感じ、16年に脱会を決意。弁護士を通じて教団に返金を求め、今春までに約3千万円を取り戻した。ただ、お金を借りた家族には今も、本当の理由を伝えられずにいる。
安倍晋三元首相の銃撃事件を知り「大変なことが起きた」と衝撃を受けた。一方で、教団の行事で何度も政治家のあいさつを聞いたことも思い出した。選挙では毎回、投票先を教会に指示されていたという。
政府は11日、教団に対し宗教法人法に基づく初の「質問権」行使を正式表明した。女性は、30年余りに及んだ信者としての経験を振り返り「教団は人の心や魂を蹂躙(じゅうりん)し、大変な被害を強いている」と訴えている。
●「日本の天照大神のルーツは韓国」…!統一教会教祖の過激すぎる発言録 11/20
統一教会教祖・文鮮明氏の歪な歴史観や領土に対する意欲を垣間見る。
「西郷隆盛は韓国人」
『御言選集』からは、文氏の持つ偏った歴史観も垣間見える。
〈日本の天照大神のルーツは韓国にある。百済の2番目の女王が日本に逃げてきて、天照大神になったんです〉(第239巻より)
〈西郷隆盛のような人も九州人だったので韓国人だったんです。吉田松陰という日本の啓蒙家も韓国人でした。それを知っていますか? 彼らの先祖が韓国と大陸につながっていたからです〉(第377巻より)
〈明治維新以前の日本人は野蛮人でした。苗字もありませんでした。(略)それを吉田松陰を中心として訓練、教育したのは韓国人なんです。西郷隆盛も韓国人です〉(第444巻より)
朝鮮半島と地理的に近い地域出身の人々のルーツは朝鮮半島にある、だから薩摩や長州の人々も韓国人であると文氏は主張しているのだ。
信者との間で様々なトラブルを引き起こし問題となっている献金について語った記録もある。
〈自分の財産は必要ではありません。全部売って投入しなさいということです。一文無しになっても、神様の力で生きることができます〉(第318巻より)
〈日本責任者はここに4億ドルを補充しなさい。(略)献金を出すのを急き立てたのか? 2000人ずつ連れてきたら、一人あたり100万ドルだといくらになる? 20億ドルになるんだ。20億ドルがいま私に必要だ〉(第375巻より)
「朝鮮総連と民団は対馬に移住せよ」
第375巻では、同席している教会の日本法人幹部が詰め寄られる場面も記録されている。
〈小山田! お前も倭奴だろう? あいつも調子よく『はい、はい』と答えるが、日本人の性質にはひどいところがあるな〉
文氏は'81年に「日韓トンネル」の建設を提唱し、翌年には「国際ハイウェイ建設事業団」(現・財団)を設立した。これは韓国の釜山と日本の佐賀県唐津市を結ぶ全長200km超の海底トンネルを建設するプロジェクトで、実現のために3億円以上の多額の献金をした信者もいるという。
また、日韓トンネルプロジェクトを実現するため、'08年には鳩山由紀夫元首相をはじめとして民主(当時)・自民・公明・社民の議員ら9人が「日韓海底トンネル推進議員連盟」を結成していた。
文氏は、この日韓トンネルの経由地点の候補となっている対馬について、こんな発言をしている。
〈釜山から対馬が見えるでしょう。対馬は韓国の領土なんです〉(第487巻より)
〈小さな島から進んでいけばいいでしょう。対馬に朝鮮総連と民団(在日本大韓民国民団)が移住すれば、自動的に韓国と連結されるのです〉(第434巻より)
日本人を蔑視するような発言をしながらも、日本とのつながりを求める文氏の複雑な心情が表れているといえるだろう。
教義は日本と韓国で変えられている
ここまで紹介した一連の「御言」の内容を、日本人信者は認識しているのだろうか。
前出の鈴木氏が話す。
「教義は、日本と韓国である程度変えられています。『天皇暗殺』など、日本人が読むと都合の悪い部分については、日本語訳版があったとしても削除されている可能性が高い。ほとんどの日本人信者はこうした文氏の発言があったことを認識していないでしょう」
世界平和統一家庭連合は、こうした『御言選集』について、どのように考えているのか。本誌の質問に対し同団体は、以下のように回答した。
「成和出版社発行の文鮮明氏『御言選集』の実物は韓国人信者に対して韓国語で語られた内容ですので、他言語翻訳はされていません。出版の目的は教祖の御言葉を歴史的に保存するためだと聞いております」
「ネット上の不法転載に関して、著作権侵害の申し立てを準備しております。また、不法転載サイトの内容に関しては認識する必要はないと考えております」
『御言選集』で記録されているような思想を根底に持った人物が創設した宗教団体が、自民党と深い関係を築き、政治に食い込んでいたことを、日本国民は改めて認識する必要があるだろう。 
●旧統一教会の解散は可能なのか オウム真理教との違い 11/20
安倍晋三元首相銃撃事件に端を発し、大きな社会問題として改めてクローズアップされた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題。当初は対応が鈍かった政府・自民党だが、世論の強い反発や内閣支持率の低落に重い腰を上げざるを得なくなった。岸田文雄首相は、被害者救済のための新法について、消極的だった姿勢を転換して今国会に提出したい考えを表明。一方、解散命令についても、「信教の自由」を理由にした慎重姿勢を変え、請求を視野に入れ始めた。しかし、事態は簡単迅速には進展しそうもない。それはなぜなのか。前例と比較しながら、整理してみたい。(作家・ジャーナリスト 青沼陽一郎)
宗教法人の解散命令は、宗教法人法の第81条で次のように規定されている。
「裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる」
その第1号には、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」とあり、さらに第2号には「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」とある。いわゆる霊感商法や高額の献金をさせられたとする被害の相次ぐ旧統一教会にも、政府が所轄庁を通じて解散命令を請求すべきとする議論が高まった。
これを根拠に、最初の解散命令が出されたのがオウム真理教だった。地下鉄・松本両サリン事件などを引き起こしたばかりでなく、化学兵器サリンと密造した自動小銃で武装蜂起まで企んでいた、もはや宗教法人というよりテロ組織あるいは殺人集団と呼ぶべき団体だ。1995年3月の地下鉄サリン事件後、警視庁による一斉家宅捜索で、さまざまな事件が白日の下にさらされると、同年6月に所轄庁の東京都と東京地検が解散命令を請求した。それもサリン製造を企てた殺人予備行為が、第81条に該当するとした。同年10月には東京地裁が請求を認めて解散命令を出し、翌96年1月には最高裁で最終的に決定している。
オウム真理教のほかに、もうひとつ解散命令が出された宗教法人がある。「明覚寺」だ。もともとは「本覚寺」という宗教法人を1987年に茨城県で設立したのが始まり。無料相談などで人を集めては「霊視」を行い、「水子の霊がついている」「先祖の霊のたたりだ」など脅し、供養の見返りに高額を請求していた。これが首都圏の消費者センターに多数の苦情が寄せられ、損害賠償請求訴訟が相次ぐと、同じグループが和歌山県に「明覚寺」という宗教法人を設立して、こちらでも同様の活動を繰り広げていく。1995年10月に愛知県警が名古屋市にあった明覚寺のグループ「満願寺」の住職を逮捕。教団トップや幹部も詐欺の疑いで摘発され、実刑判決を受けた。そこから1999年に文化庁によって和歌山地裁に明覚寺の解散請求が行われ、2002年に解散命令が出ている。
ただ、解散命令といっても、宗教法人法によって認証された宗教法人としての解散であって、いうなれば法人格を剥奪され、法人は清算され、税制上の優遇もなくなるが、認証以前の任意の宗教団体としては存続が認められる。集会結社の自由まで奪うものではなく、そこで信教の自由は保障される。それは、オウム真理教の後継団体が「Aleph(アレフ)」「ひかりの輪」「山田らの集団」の三つに分裂、名前を変えて今でも活動を続けていることからも分かる。
ただし、オウム真理教はテロ組織だった側面も持つことから、1999年に国会で成立した「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(団体規制法)による観察処分の対象となっていて、公安調査庁による立ち入り検査や活動実態の報告が義務付けられている。
腰が重いワケ
オウム真理教や明覚寺の事例に比べ、旧統一教会への解散命令請求に政府の腰が重いのは、過去の2件が刑事処罰の対象となったことに対し、旧統一教会には刑事事件での有罪事例がないためだ。2009年には不安をあおって印鑑を売りつけたとして、統一教会信者が刑事訴追され、有罪判決を受けているが、高額献金の返金などの民事訴訟はいくつもあっても、教団や幹部が刑事訴追されたことはない。
この点を巡って、10月3日に召集された臨時国会で岸田首相の答弁も右往左往する。
10月18日の衆院予算委員会。宗教法人法の第81条にある解散命令請求要件の「法令違反」について、岸田首相は刑法違反のみに限られると答弁。その上で、「民法の不法行為は入らない」と断言していた。
ところが、翌19日の参院予算委員会では、「行為の組織性や悪質性、継続性などが明らかとなり、法令に反して著しく公共の福祉を害すると認められる場合には、民法の不法行為も入り得る」と、一夜にして前言を撤回。「個別事案、それぞれに応じて検討するべきであり、結果としてご指摘のように民法の不法行為も該当する、このように政府としては考え方、整理をさせていただきました」と説明したのだ。しかも、民法の不法行為には、指揮・監督する立場の人物の責任を問う「使用者責任」も対象に含まれるとの考えも合わせて示している。
そもそも、臨時国会冒頭の衆参両院の代表質問では、「信教の自由を保障する観点から宗教法人の法人格を剥奪するという極めて重い対応である解散命令の請求については、判例も踏まえて慎重に判断する必要がある」との答弁を繰り返して、解散命令請求には慎重だった岸田首相だが、17日の衆院予算委員会では、宗教法人法に基づく「報告徴収」「質問権」を行使して、旧統一教会の調査実施に乗り出すことを表明している。これは同法78条の2に規定されているもので、解散命令請求の前段階として、法令違反などの要件に該当するかどうか、教団に報告を求め、所轄庁の職員に質問をさせて調べるものだ。背景に内閣支持率の低下があっての方針転換と見られ、これを受けて前述の国会論議になった。
実効性は?
ところが、この「報告徴収」「質問権」を所轄庁が行使するにあたっては、事前に文部科学大臣が宗教法人審議会に諮問して意見を聞かなければならず、しかもその内容も、宗教法人審議会に諮らなければならない規定がある。
その上しかもだ。「報告徴収」「質問権」の行使が過去になく、初めてのことだからという理由で、宗教法人審議会に諮る前に質問の内容や基準を事前に検討する専門家会議を永岡桂子文部科学相が立ち上げている。この報告を受けてようやく法的手続きに入ることになる。
さらにこの手続きで慎重な意見が出る可能性もあれば、その過程を経て職員が質問をしようと教団の施設に立ち入ろうにも、教団側の同意がなければならないことが、前出の第78条の2に定められている。教団が虚偽の報告をすることもあれば、回答を得たとしても解散の事由が見当たらなければ、教団の存立にお墨付きを与えることになる。
解散命令の事由に「民法の不法行為も該当する」と断言した岸田首相だったが、24日の衆院予算委員会では、政府が確認した民法の法令違反は22件で、そのうち教団の組織的な不法行為責任が認められた事案が2件、使用者責任が認められた事案が20件であることを明らかにした上で、「過去に解散を命令した事例と比較して十分に解散事由として認められるものではない。報告徴収・質問権を行使することでより事実を積み上げることが必要だ」と述べ、オウム真理教など過去の2件はいずれも刑法違反だったことを強調している。
勧誘活動は止められない
一方で政府は「旧統一教会問題関係省庁連絡会議」を立ち上げ、9月には合同相談窓口を設置。ここでようやく政府が初めて被害実態を把握できたことになる。そこで寄せられた旧統一教会に関する相談が1700件余りあり、このうち警察につないだ案件が70件程度あったとしている。これで刑事事件として立件され、教団の罪が問われることになれば、前例にならって解散命令請求もしやすくなる。ただ、それも有罪が確定するまでには相当の時間がかかる。
その前に「報告徴収」「質問権」の行使をしたいのが政府の方針。永岡文部科学相は11月11日、専門家会議でまとまった基準に沿って検討した結果、質問権を行使すると表明。文化庁は年内にも初の権限行使に踏み切りたい構えだが、それも前述の通り、行使したところで実効性があるとは言い難い。
いずれにせよ、解散命令までこぎ着けたとしても、あくまで法人格を失うだけで、オウム真理教がそうであるように、任意団体としては存続が認められ、宗教活動も続けられる。そのオウム真理教の後継団体は、今でも名前を隠した勧誘活動を行い、2019年10月時点で現金などの資産が12億9000万円あったことが、公安調査庁に報告されている。
集金能力に長けた旧統一教会が仮に法人格を失ったとしても、今のような勧誘、献金活動は続けられることを、あえて言及しておく。

 

●日本宗教界の危機 公明党は国のため役割果たせ 11/21
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる政界の動きについて、日本で政教分離は正しく理解されていないと指摘する元武蔵野女子大学教授の杉原誠四郎氏に宗教と政治の観点から語ってもらった。
信教の自由を定める憲法の下で、宗教団体が自分たちの掲げる理想を実現するため、政治家と接触するのは当然のことであり全く問題ない。それは宗教団体にとって、基本的人権ならぬ“基本的集団権”だと言える。また、政治家も政策作成のために宗教団体に接触しても何ら問題はない。それが問題なら創価学会と公明党は憲法違反を犯していることになる。
もちろん教団と接触した議員が霊感商法等の問題を助長するような行動を取っていたり、旧統一教会が本当に解散命令を出さざるを得ないほど不法行為を重ねていたりすれば話は別だ。そのような疑惑や主張は、旧統一教会に敵対的な弁護士団体や共産党など一部野党から出されてはいるが、厳密にはいまだ公的に断定されているわけではない。
日本のような民主主義国家では、個人であれ団体であれ、その基本権に重大な制限が加えられるのは、慎重かつ公正な手続きを経て刑罰が確定された時に限られる。それが大原則だ。
世論が一方的に傾く状況であればあるほど、信教の自由はどういうものかを国会の中できちんと主張するべきだ。宗教の弾圧になるような、解散ありきの審議はおかしいと。今のところ公明党は自分のところに火の粉がかからないようにするのが中心課題となっているが、審議がこのままで先に進めば大変な状況になる危険性がある。
旧統一教会の被害者救済法案の協議では、野党側が定義も不確かなマインドコントロールを盛り込むことや献金の上限規制、本人以外の献金取り消しを要求しており、政府・与党の対応次第では、他の宗教法人にも重大な影響が及びかねない状況だ。
創価学会も高額献金(財務)や宗教二世の深刻な問題を抱えている。新興宗教だけでなく、伝統的な仏教や神道も含め他の宗教団体も大同小異だろう。より大きな目で見れば、政府が政治的な思惑で宗教団体への統制を強めているわけで、憲法が保障する信教の自由との関係でより慎重な論議が必要だ。
日本の宗教界の危機であり、国家の在り方に関わる問題だ。公明党の支援団体である創価学会は日蓮宗を起源としている。日蓮宗というのは国家護持の精神を抜いたら日蓮宗でなくなる。
私は平成の天皇即位の際に大嘗祭に関し、公明党の衆議院議員鍛冶清氏(故人)の仲介で内閣法制局に意見具申したことがある。当時の内閣官房副長官、石原信雄氏もじっと聞いておられた。大嘗祭は宗教行事ではあるが、天皇家の伝統の祭祀(さいし)の行事であるので伝統通りに行うべきだと述べたが、公明党の議員がそんな意見を政府につないでくれたのは、国を思ってのことだと感謝している。
公明党は押しも押されもせぬ日本を代表する宗教政党だ。今こそ日本の信教の自由を守るために役割を果たすべきだ。
●総務相辞任 政権運営の正念場だ 11/21
社会の分断を深めた安倍元首相の「国葬」の独断。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との関係解明への及び腰と、後手に回る被害者救済策。そして、わずか1カ月で3人目となる今回の閣僚辞任。
岸田首相の政権運営能力に、かつてない厳しい視線が注がれている。山積する重要課題への結論を迫られる年末に向け、失われた国民の信頼を取り戻せるのか、まさに正念場である。
寺田稔総務相が辞任した。政治資金や選挙活動を所管する大臣でありながら、次から次に「政治とカネ」の問題を指摘され、苦しい弁明に終始してきた。身から出たサビといえる。
地元後援会が提出した19、20年の政治資金収支報告書の会計責任者が、実は故人だった。添付された領収書の筆跡が酷似しており、空欄でもらって寺田氏側が宛名を記入した疑いがある。別の報告書では、貸付金600万円の未記載も判明した。
政治活動の公明・公正を確保するため、資金の流れを透明化し、国民の不断の監視の下に置く。政治資金規正法の目的に背くずさんさには驚くばかりだ。
先週は、昨年の衆院選での公職選挙法違反の疑いも浮上した。寺田氏側が地元市議6人に、ポスター貼りの報酬として2400〜9900円を支払ったことが、運動員買収にあたるというものだ。朝日新聞の取材では、受領を拒んだ市議に、寺田氏側が「違法ではない」と言い含めて受け取らせていたことも明らかになっている。
寺田氏は「地元からは『正直に説明して感心した』との声しか聞いていない」などと開き直り、辞任を否定してきたが、ゆうべになって、首相に辞表を提出した。きょうから始まる補正予算案の審議や、教団の被害救済をめぐる与野党協議への悪影響を避けるためだろう。真摯(しんし)な反省によるのではなく、国会対策が主眼では、国民の不信解消にはつながるまい。
旧統一教会との接点が次々と明るみにでた山際大志郎経済再生相と、死刑執行を軽口に使った葉梨康弘法相を、首相は当初かばった。交代の判断が遅きに失したと、党内からも批判を浴びた。今回は後れをとるまいとしたつもりかもしれないが、3人もの不適格閣僚を任命した首相の責任は重い。
宗教法人の解散命令を請求できる要件の答弁が一夜で変わったり、来年の通常国会を想定していた被害者救済新法の提出を今国会に前倒ししたり、内閣支持率の低下に浮足だったともみえる方針転換が相次いでいる。直面する内外の諸課題に、的確な処方箋(せん)を示せるか。その対応を国民は注視している。
●旧統一教会への「質問権」行使、ガバナンスの確認から 週内にも調査 11/21
宗教法人法に基づく「質問権」行使による世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への調査を巡り、文化庁が教団のガバナンス(組織統治)体制を中心に初回の質問をすることが20日、政府関係者への取材で判明した。今後、解散命令請求の要件に該当し得る事実関係を調べるが、その際に必要になる教団の指示系統や財務状況などについて明らかにするよう求める方針だ。
21日に開かれる文部科学相の諮問機関「宗教法人審議会」に質問内容について意見を求め、了承が得られれば、週内にも教団側に書面を送る形で調査を始める。同日の審議会などで求めがあれば、他の質問項目も追加する可能性がある。
質問権は、所轄庁(文科省や都道府県)が、同法が解散命令の要件とする「法令違反」などの疑いがある宗教法人に対し、事業運営などについて報告を求めたり、質問したりできるもの。1996年施行の改正宗教法人法に質問権が盛り込まれて以来、一度も行使されたことはなかった。
文科相は、旧統一教会や信者らの不法行為責任を認めた民事訴訟の判決が計22件あり、損害賠償額が少なくとも約14億円に上ることなどから、行使の対象になると判断している。教団への質問は複数回に及び、文科省の外局・文化庁は、こうした判決などを基に調査するとみられる。
オウム真理教による地下鉄サリン事件をきっかけに96年に施行された改正同法では、宗教法人の活動を透明化するために原則として、1役員名簿2財産目録3収支計算書――などを毎年度、文化庁に提出することを義務付けている。
ただ、政府関係者によると、これらの資料だけでは旧統一教会の意思決定や管理運営の体制などが判然としない。組織的な不法行為などを調べるためにも、初回質問は、基礎的な情報を改めて集め、財務やガバナンス体制を確認する。
質問権を巡っては、同法に基づき、事前に宗教法人審議会に質問内容など調査について諮る必要がある。
文科相は、行使による教団への調査で解散の要件が確認できれば、裁判所に解散命令を請求する方針だ。
●旧統一教会への「質問権」行使 審議会で項目案諮問 文部科学省  11/21
旧統一教会に対する宗教法人法に基づく「質問権」の行使をめぐり、文部科学省は学識者などでつくる審議会を開き、質問項目の案について諮問しました。
審議会の了承が得られれば、速やかに「質問権」を行使するとしています。
旧統一教会への宗教法人法に基づく「質問権」の行使をめぐり、文部科学省は21日、学識者や宗教団体の幹部など19人で構成する宗教法人審議会を開きました。
審議会の冒頭、文部科学省の伯井美徳文部科学審議官は「旧統一教会の問題については強い問題意識を持ち、年内のできるだけ早い時期に質問権を行使するため、情報収集や分析の作業を強化している。報告を求める内容とその理由について慎重な審議をお願いします」などと述べました。
その後の会議は非公開で進められ、文部科学省によりますと、質問項目の案について諮問したということです。
関係者によりますと、質問項目の案は、今月8日に専門家会議が決めた「宗教法人に所属する人が法令違反を繰り返しているケースなどを対象にする」という基準などをもとに検討され、旧統一教会や信者の不法行為を認めた民事裁判の判決22件や、教団の財務状況などに関連して作成したということです。
審議会の了承が得られれば、文部科学省は速やかに旧統一教会に対して「質問権」を行使するとしています。
文部科学省は、会議後の夕方に議論の結果などについて説明することにしています。
●旧統一教会・被害者救済新法「政府案は役に立たないもの」修正求める 11/21
旧統一教会の被害救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会が都内で記者会見を開き、被害者を救済する新法の政府案について「加害行為の実態に即していないため、被害救済のためにはほとんど役に立たないものとなっている」として修正を求める声明を発表しました。
声明では、宗教法人などによる正体を隠した上での勧誘方法を正面から規制するべきとしています。あわせて、立憲民主党や日本維新の会が提出した野党案を修正して検討するべきとしています。
会見で紀藤正樹弁護士は、「抜本的な改正をすると考えていた。ところが、でてきた案は接ぎ木のようになっている」「霊感商法のかなりの部分が救えない。一度も使われない法律になりかねないという懸念を持っている」と述べました。
●創価学会や旧統一教会など各宗教の本当の信者数は?  11/21
馬鹿げたことに、文化庁の統計による各宗教の国内信者数を合計すると、日本の人口より多くなる。文化庁宗務課が毎年行っている「宗教統計調査」によると、各宗教の信者数は1億8114万6092人だ(令和2年12月31日現在)。
しかし、各宗教の本当の信者数はどのくらいなのか?また、旧統一教会は本当にそんなに力があるのだろうか?そのあたりについて、「日本の政治「解体新書」:世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱」で分析してみた。
古いデータで恐縮だが、『週刊ダイヤモンド』の2009年9月12日号の「新宗教巨大ビジネスの全貌」という記事によると、宗教団体の自称信者数のベスト5は、1神社本庁(約6805万人)2幸福の科学(1100万人)3創価学会(827万人)4浄土真宗本願寺派(約694万人)5浄土宗(約606万人)だという。
1はいわゆる氏子の総数で、らしい。私も町内会から回ってくる奉加帳に少額のお付き合いをしているので、その神社にほとんど行かないが、氏子に数えられているのだろう。45は檀家の数であろう。
2については、『文藝春秋』09年8月号に掲載された大川隆法インタビューによれば「ウチは創価学会より集票力がある」で「会費をとっていないので信者数を確定できないが、信者だけに渡される根本経典『正心法語』の発行部数が累計で1100万部くらい」ということだ。答えているが、実際の信者数はいくら多くみつもっても100万人程度と推計されている。
3は、創価学会公式サイトにも掲載されていた数字だが、現在は「827万人」ではなく、「827万世帯」と書かれている。公明党は2022年の参議院選挙比例区で618万票を獲得しているので、ほかの宗教ほどには、実数から乖離していないものと思われる。
45は檀家の人数という意味だろう。
それでは、実数はどのくらいかだが、島田裕巳氏の「新宗教の政治と金」をみていろんな分析がされていたので、それをもとに私の解釈を加えて紹介する。
島田氏によると、大阪商業大学JGSS調査というのが、いちばん堅いところを抑えた数字なので、それをもとに島田教授は、創価学会217万人、天理教38万人、顕正会33万人、立正佼成会20万人、真如苑17万人崇光真光&世界真光文明教団13万人エホバの証人12万人、幸福の科学3.8万人旧統一教会1.2万人と推定している。
一方、NHKの宗教意識についての調査から推計すると、創価学会378万人、立正佼成会63万人だという。なので上記の大阪商業大学の数字の二倍ということになる。感覚的には、このあたりが幽霊会員を除いた場合の妥当なところであろう。
公明党は、創価学会の信者に加え、それなりの政治団体としての公明党を評価する浮動票も獲得しているということになろう。
旧統一教会は、アクティブな信者は、せいぜい2〜3万だろう。そういう意味では、参議院比例区で自民党の議席数に与える影響はほぼ皆無なのだが、現在の参議院議員選挙比例区の仕組みである「非拘束式名簿」ではそれくらいの票数でも確実に集中投票させれば自民党の誰を当選させるかには、少し力を発揮できる。
参議院選挙の比例代表では、有権者は候補者名または政党名を記載して投票し、各政党候補のうち個人名での得票が多かった者から順に当選人が決まっていく。政党名で投票する人が多いので、同じ党内の他候補を押しのけて当選できる可能性が少し高まる程度だ。
先の参議院議員選挙では、安倍派の井上義行議員が165042票を獲得して当選したが、選挙通の人々の推計によれば、3万票ほどが旧統一教会の支援を受けたことでの上乗せではないかと言われている。
その意味では、もし支持を受けなければ当落ギリギリだったと見る人が多い。いずれにせよ、旧統一教会の信者はほとんど保守系だから、自民党の議席数には影響はなかったのは間違いないし、その意味で、なにか巨大な政治力をもっているというのが事実とは思えない。
あとは、選挙運動員として有能な人材を送り込むことで、どこまで役に立ったかといった程度だろう。選挙運動員として頼りになるということでいえば、野党でも北朝鮮がらみでいつも話題になる人たちがいるのも忘れてはならない。
●旧統一教会への解散命令 別枠の請求模索 「首相案件」に焦り 11/21
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求に関し、政府が過去2件の請求とは別スキームを模索していたことが21日、関係者への取材で分かった。過去の請求時は所轄庁と検察官が請求当事者だったが、政府はより効果的な請求を目指し、別の請求者を立てられないか検討。しかし従来スキーム以上の効果が得られないと判断し、断念したとみられる。旧統一教会問題が首相案件化≠オ、速やかな結果が求められる中での別スキーム模索は、政府の焦りの表れといえる。
宗教法人法は、所轄庁、利害関係人、検察官が裁判所に解散命令を請求できると規定している。過去2件の請求のうち、地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は事件発生直後に所轄庁の東京都知事と捜査を担当する東京地検検事正が申立人となった。霊視商法詐欺事件で幹部らが摘発された明覚寺(和歌山県)については、幹部の実刑判決後に、所轄庁の文化庁が申し立てた。
一方、旧統一教会の場合は刑事事件や有罪判決が見当たらないため、解散命令請求で検察当局の関与や刑事裁判資料による立証は期待できない。
関係者によると、政府は今回の請求にあたり、過去2件では請求に関与しなかった利害関係人による請求が可能か模索した。
学説では、利害関係人として、対象の宗教法人の債務者、債権者、信者が例示されている。関係者によると、政府内では利害関係人の対象を広げ、債務者、債権者、信者以外に、旧統一教会の違法性が立証可能な請求者が存在するかの検討が行われたという。
ただ、スピード感が求められる中、利害関係人の対象を広げる作業は早々に諦め、所轄庁の文科相による請求という従来スキームに傾いていったとみられる。政府関係者は「解散命令請求という明確なゴールが設定される中、綱渡りのスキーム作りを強いられている」と現場の苦悩を代弁する。
今後、質問権行使で材料がそろえば、従来スキームに沿って永岡桂子文科相が解散命令請求を行うことになる。
●解散命令ありき?に与党から懸念の声 旧統一教会問題の対応急ぐ首相 11/21
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡り、岸田文雄首相は支持率下落を受けて質問権行使を指示するなど、政治主導で対応に乗り出している。教団と自民党議員との根深い接点が次々と発覚し、厳しく対処しなければ政権を揺るがしかねないとの危機感がにじむが、性急な動きは解散命令の請求ありきに映り、与党内からも懸念の声が漏れる。
松野博一官房長官は21日の記者会見で、解散命令請求に関連して「速やかに報告徴収、質問権を行使できるよう手続きを進めていく」と強調した。
首相は当初、解散命令の請求やその前提と位置付ける質問権行使に慎重だった。憲法20条の政教分離や信教の自由を踏まえ、宗教団体への調査を抑制的にとどめていた文部科学省の方針を容認していたからだ。宗教団体の創価学会を支持母体とする公明党への配慮もあったとみられる。
だが、真相究明に及び腰の政権に世論の批判が高まると、首相は対応を一転。10月の国会審議では、解散命令請求が認められる法令違反の要件に、民法の不法行為は入らないと明言していたが「入り得る」と答弁を翻した。その後、教団側が寄付などを巡って民事上の責任を認められた事例を22件把握していると説明し、追及姿勢をみせる。
官邸幹部は「われわれができるのは請求まで。判断するのは裁判所だ」と手続きを急ぐ。与党からは表立った異論こそ少ないものの、政権が拙速に解散請求へ突き進むことに不安感がくすぶる。公明党関係者は「民法の不法行為も対象にすると言ったのは大問題だ」と不満を募らせる。
●政府救済案「正常な判断失った信者の実態見えていない」弁護団がバッサリ 11/21
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題をめぐり、政府の救済案がまとまりつつある。閣議決定した消費者契約法と国民生活センター法改正案、新法の概要について、全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、全国弁連)が11月21日、「不十分で実態に即しておらず、救済の役に立たない」として会見を開いた。
救済新法案では、寄付の勧誘への禁止事項を「個人を困惑させてはならない」と定めている。これに対し全国弁連は「良いと思い込まされている場合は、困惑しているとは言えない。『正常な判断ができない状態にあることに乗じた』も規制すべきだ」とし、いわゆるマインドコントロールに代表される状態での勧誘も対象とするよう強調した。
また、2018年の改正消費者契約法に盛り込まれた「健康不安商法」も抜け落ちていると指摘。紀藤正樹弁護士は、消費者庁の検討会でも訴えたにもかかわらず脱落したのは「官僚は分かっているはず。他に異論を持つ人がいるのではないか」と疑問を呈した。
山口広弁護士は「せっかく法をつくるのに、実態を踏まえないのは放置できない。ぜひ実現してほしい」と訴えた。
家族による取り消し権の不完全さ
新法案では特例として盛り込まれた子や配偶者の被害を家族が取り消す権利についても、射程が狭すぎると批判した。信者本人の無資力が要件となることや、扶養義務等にかかる債権に限ることは特に2世信者の救済にならないという。
高齢の信者が、本来は公的年金や社会保険などに支払うべき金銭を献金に使ってしまうことの歯止めにならず、困窮した結果、2世が親の面倒を見ることになったり、生活保護受給世帯として国の税金を費消することにつながりかねないと指摘した。
紀藤弁護士は「政府は、こうしたライフサイクルになってしまうという被害実態をもっと聞くべきだったのではないか。今からでも遅くない。国会に特別委員会をつくって被害者の声を聞いて、よりいい法案をつくってほしい」と訴えた。

 

●旧統一教会へ きょうにも「質問権」行使 文部科学省  11/22
旧統一教会をめぐる問題で、関係者によりますと、文部科学省は、学識者などでつくる審議会の了承を得たとして、22日にも宗教法人法に基づき「質問権」を行使することにしています。
旧統一教会への宗教法人法に基づく「質問権」の行使をめぐり、文部科学省は21日、学識者や宗教団体の幹部などで構成する宗教法人審議会を開き、質問項目の案について諮問しました。
文部科学省は、教団が持つ財産や収支、組織の運営などについての報告を求めるなどと説明し、審議会からは「質問権」の行使は「相当」だとする答申が出されたということです。
関係者によりますと、文部科学省は、審議会の了承を得たとして22日にも「質問権」を行使することにしていて、22日開かれる大臣会見で正式に公表することにしています。
「質問権」は、宗教法人に法令違反などが疑われる場合、運営実態などについて報告を求めたり、質問したりできるもので、行使されれば、平成8年にこの規定ができて以来、初めてです。
文部科学省は、「質問権」の行使による調査で、解散命令に該当しうる事実関係を把握した場合、裁判所への請求を検討することにしています。
●永岡文科相、初の質問権行使を表明…旧統一教会にきょう午後書面郵送  11/22
永岡文部科学相は22日午前の記者会見で、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に対し、宗教法人法に基づく質問権を行使した調査に同日中に着手すると表明した。午後に質問を書面で郵送し、12月9日までに回答を求める。回答内容を踏まえ、裁判所に解散命令を請求するかどうかを判断する方針だ。
1996年施行の改正法で創設された質問権が行使されるのは初めて。永岡氏は「組織運営に関する規定文書、収支や財産に関する書類、帳簿について報告を求める。客観的事実を明らかにしたい」と述べた。
政府は、質問を通じ、まずは旧統一教会に関する問題行為の組織性を把握したい考えだ。提出書類や回答内容を精査し、法令違反が疑われる具体的な事例などについては再質問を行い、悪質性や継続性も調べる方向で検討している。
宗教法人側が回答しなかったり、虚偽の回答をしたりした場合は、法人の代表役員らに10万円以下の過料を科される。政府側は調査のために教団側の同意を得て施設に立ち入ることもできる。教団が協力姿勢を示し、十分な回答を得られるかが焦点となる。
永岡氏は、10月17日に岸田首相の指示を受け、質問権の行使に向けた検討を始めた。文化庁が宗教団体幹部ら有識者の意見を踏まえ、今月8日、裁判所の判断などに基づいて「法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている疑い」がある場合などを、質問権行使の対象とする基準を決めた。
旧統一教会を巡っては、組織的な不法行為を認定した民事判決が2件、民法上の使用者責任を認めた判決が20件ある。政府が設置した相談窓口には、11日現在で約3800件の相談が寄せられている。
永岡氏はこうした判決などを理由に旧統一教会が基準を満たすと判断し、質問権の行使を決めた。文化庁が法務省や国税庁などの応援を得て質問事項を作成し、21日の宗教法人審議会で了承された。
政府は今後、教団による問題行為の「組織性、悪質性、継続性」が認められれば、裁判所に解散命令を請求する構えだ。
旧統一教会は質問権が行使されることについて、読売新聞の取材に「政府や文化庁の意向に対し、誠意をもって対応する」と話した。
●きょう 旧統一教会に「質問権」行使 報告期限は来月9日 永岡文科相表明 11/22
永岡文部科学相は、さきほど行われた閣議後の記者会見で、旧統一教会に対して、きょう質問権を行使することを明らかにした。午後に教団側に質問書を送り、組織運営や財務状況などを明らかにするよう求める。報告期限は12月9日。
会見で、永岡文部科学相は「質問権の行使の他、関係者からの情報収集分析を進めて、客観的な事実を明らかにしたい」と述べた。一方で、解散命令権の請求については「適正に判断したい」とした。質問権の行使は、1995年の法改正で調査権限が盛り込まれてから初めて。
旧統一教会に対する質問権の行使をめぐっては、宗教法人審議会が、きのう、「報告を求めることは相当」との判断を示していた。
また、加藤厚労相も、閣議後の記者会見で、旧統一教会が行っているとされる独自の養子縁組について、内容を確認するため、教団側に質問書を送付することを明らかにした。 
●旧統一教会の実態解明入念に 11/22
政府は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、宗教法人法に基づく「質問権」を行使した。この制度の適用は初めてだ。今後、重大な法令違反が確認されれば、裁判所に解散命令を請求する方針だ。
質問調査の焦点は教団のガバナンスだ。信者らに違法な寄付などを組織的、継続的に働きかけていたのか。法の手続きに基づき、入念に実態を解明してほしい。
すでに教団の組織的な不法行為を認定した民事訴訟の判決が2件、使用者責任を認めた判決が20件ある。こうした裁判例を教団側はどう認識しているのか、勧誘マニュアルや幹部の指示があったのかなどを確認したとみられる。
調査に強制力はない。教団側が弁明に終始した場合、明白な組織的関与を把握できるかどうかは不透明だ。仮に解散請求をしても司法審査には相当な時間を要する。
質問権の行使と並行して、多額の献金などの被害を受けた信者の家族の救済や、被害の未然防止の仕組みを整えることが重要だ。
霊感商法による契約の取り消し期間を延長する消費者契約法の改正案が閣議決定された。悪質な寄付勧誘を規制する被害者救済新法をめぐる与野党の議論も続く。
新法の政府案は、個人に借り入れや不動産の処分をさせて寄付を求める行為を禁止し、信者の家族が寄付を取り消すことができるようにする。刑事罰も盛り込んだ。
現在も民法などで悪質勧誘による寄付の返還請求は可能だが、裁判で立証するハードルは高かった。法改正や新法制定で救済対象が一定の範囲で広がることは評価できる。
しかし、被害者支援に尽力してきた弁護士などからは、取り消し権の要件が狭く、寄付の上限規制も不十分だとして「ほとんど役に立たない」との指摘もある。一方で、憲法が保障する財産権や信教の自由もからむ。法体系全体を見据えた丁寧な議論が必要だ。
与野党が知恵を出しあい、速やかに救済の道筋をつけるべきだ。
●旧統一教会の被害者救済新法案 NPOが寄付活動の萎縮を懸念  11/22
旧統一教会の被害者救済に向け、政府が概要を示した悪質な献金を規制する新たな法案について、寄付などをもとに社会貢献活動を行っているNPOなどの団体からは「寄付の一律な規制は必要な寄付を集める活動を萎縮させてしまう」などと懸念する声があがっています。
旧統一教会の被害者救済に向け、政府は現在の法律では十分に対応できていない悪質な献金を規制するため、今の国会に新たな法案を提出する方針で、今月18日にその概要を与野党に示しました。
この新たな法案について、寄付などをもとに国内外で社会貢献活動を行っている全国のNPOの代表など、およそ160人が、22日夜、オンラインで意見を交わしました。
この中で出席者からは「旧統一教会の問題をめぐる被害者の救済に異論はない」としたうえで、新たな法案の概要では、規制の対象を宗教法人に限定せずに「個人から法人への寄付」と一律に定めていることや規制の対象となる寄付の定義があいまいなことなどから、健全で必要な寄付を集める活動が萎縮してしまうのではないかと懸念する声が相次ぎました。
そして勧告の対象とする行為を悪質なものに限定することや法案の内容を市民に分かりやすく周知すること、それにNPOなどの意見を聞いて法案に反映させることなどを、政府に要望していく方針を確認しました。
●旧統一教会「被害者救済新法」条文案25日にも与党に提示へ 11/22
旧統一教会などの被害者を救済するための新たな法案について、政府が今月25日にも与党に条文案を示す方針であることがわかりました。
複数の関係者によりますと、政府は悪質な献金などの被害者救済法案の条文案を今月25日にも与党に示す方向で調整しています。
一方、自民党の高木国会対策委員長は法案の国会への提出時期のめどについて、「まだ確たるものではない」としながらも、「来月5日というようなことは、なんとなく聞いている」と述べています。
ただ、先週、与野党に示された法案の“概要”をめぐっては、被害者や被害者救済に取り組んできた弁護団から「これでは救済されない」という声が相次いでおり、与野党の協議が続いています。
●郷路弁護士が救済法試案、献金前の「信者教育」に着目 11/22
旧統一教会問題をめぐる献金被害について、政府による救済法案の概要が発表された。しかし、被害回復に努めてきた全国霊感商法対策弁護士連絡会は不十分だとしている。11月22日には、伝道・教化手法の違法性を裁判で訴えてきた代表世話人の郷路征記弁護士による試案をホームページ上で発表した。
郷路氏は「献金の意思表示をするその時には、脅さなくても困惑させなくても献金をするように事前に『教育』によって認識を変えてしまうというところを捉えようとした、初めての試み」とコメントしている。
不安だけでなく「困難状況」に陥る
郷路氏はポイントとして、献金する心理状態は「不安」や「拒否ができない」だけではないと強調する。むしろ無視できないのは「(献金が)真の利益になる、自分の使命や責任である」と思わされる場合だという。
旧統一教会の伝道・教化活動のように違法な方法で確信を持たされてしまい、その結果、その確信に基づいて献金をしてしまう場合には「もはや自由な意思決定とはいえない」とする。
これらは郷路氏が「青春を返せ訴訟」や「信仰の自由侵害回復訴訟」で勝ち取ってきた、巧妙なプロセスを踏んで信者に信仰を植え付ける手法が違法だとされた司法判断をもとにしている。
司法判断を入れてこそ救済できる
政府案では条文が示されていないため、立憲民主・維新の野党案を参考に、用語例を付け加える形で提案している。
郷路氏は「政府案、野党案ともに真摯に検討されているものであり、熱意を感じる」と感謝した上で「司法の場で認められてきた問題意識、違法行為の内容を加味できれば、被害の救済と防止は図れる」としている。
●閣僚辞任ドミノ誘発の大連立構想、「広島サミット花道論」も浮上 11/22
山際大志郎経済再生担当相、葉梨康弘法相、寺田稔総務相がわずか1カ月の間に立て続けに辞任に追い込まれた。永田町は大揺れだ。
岸田内閣は旧統一教会問題や物価高で支持率が続落しているものの、自公与党は昨秋の衆院選と今夏の参院選に圧勝し、衆参両院で安定多数を得ている。しばらくは国政選挙もなく、本来ならそこまで慌てふためく必要はない。にもかかわらず、野党の辞任要求にいとも簡単に屈するのはなぜか。
岸田文雄首相が率いる宏池会(岸田派)は自民党の第4派閥に過ぎない。最大派閥・清和会(安倍派)や菅義偉前首相、二階俊博元幹事長ら非主流派を抑え込むため、同じく支持率低迷にあえぐ野党第一党の立憲民主党との連携を探ったのが転落の始まりだった。
旧統一教会と密接な関係を続けてきた清和会や、創価学会批判への波及を恐れる公明党は、旧統一教会の被害者救済法案に及び腰だ。そこで野党の立憲民主党と日本維新の会と協調して自公立維4党で協議するテーブルをつくり、清和会や公明党を牽制して法案策定を進めようとした。
この動きに便乗したのは財務省だった。宏池会は池田勇人、大平正芳、宮澤喜一ら大蔵省(現・財務省)OBの首相を輩出し、伝統的に財務省と親密である。財務省は安倍政権下で冷遇されたが、岸田政権の誕生で復権。さらには安倍氏が急逝して清和会が後継争いで混迷し、財務相を9年近く務めた麻生太郎氏が自民党副総裁としてキングメーカーの座についたことで「我が世の春」を迎えた。この千載一遇の好機を逃す手はない。財務省は悲願の消費税増税を画策し始めた。
与党だけで消費税増税を強行すれば、次の選挙でしっぺ返しを受ける。与野党合意が不可欠だ。お手本になるのは2012年、民主党政権末期の自公民3党合意である。財務省は当時の野田佳彦首相(現・立憲最高顧問)と自民党の谷垣禎一総裁(宏池会)を橋渡しし、消費税増税の3党合意にこぎつけた。今回は旧統一教会の被害者救済法案を皮切りに岸田首相と立憲の関係を発展させ、消費税増税の「3党合意」を再現させる―。
満身創痍の岸田首相に代わって野田元首相を首班に担ぐ大連立構想も浮上している。宏池会関係者は「内閣支持率は上向く気配がなく、岸田首相のもとで解散総選挙を戦うのは無理。岸田首相には来年5月に地元・広島で開くG7サミットを花道に勇退してもらい、麻生氏か野田氏を首班に担ぐ大連立救国内閣を発足させ、来年末の税制改正大綱で消費税増税を決定するのが最速シナリオだ」と構想する。
岸田首相や麻生氏が清和会との抗争に動き出したとみるや、立憲はここぞとばかり交渉のハードルを引き上げた。3大臣の辞任を次々に要求して岸田首相に受け入れさせ、久しぶりに国会での存在感を増している。立憲は岸田内閣を弱体化させて大連立を視野に入れた今後の政局の主導権を握る狙いだ。
一方、清和会を含む自民党の非主流派や公明党は岸田首相と立憲の急接近に危機感を強めた。宏池会所属の葉梨法相と寺田総務相の更迭を求める声が与党からも噴出したのは危機感の裏返しだ。
とくに清和会は安倍氏が急逝した後、萩生田光一政調会長、西村康稔経済産業相、世耕弘成参院幹事長、松野博一官房長官、高木毅国会対策委員長らによる後継争いが激化し、遠心力が強まるばかり。ここで宏池会と立憲に大連立を仕掛けられれば、清和会は賛否両論で大揺れになり分裂しかねない。そうなる前に岸田内閣を弱体化させ、主導権を奪い返す必要がある。清和会の松野官房長官や高木国対委員長も自公立維4党の協議をサボタージュしている感がある。閣内や自民党執行部にも岸田離れは着実に広がっている。
かくして岸田内閣は立憲と清和会から挟み撃ちにあって孤立し、3閣僚を次々に切る羽目になった。
清和会は安倍氏がこだわった憲法改正、安全保障、積極財政の3つのプロジェクトチームを設置。萩生田氏は岸田首相や財務省が予定していた総額25兆円規模の補正予算に反発し、29兆円へ増額させた。立憲の泉健太代表はこの増額を激しく批判。財政規律を重視して消費税増税を目論む宏池会・財務省・立憲の緊縮派連合と、大胆な財政出動を求める清和会中心の積極財政派の対立は激化している。
岸田首相はそのなかでオロオロするばかりだ。今後の政権運営の軸足をどこに置くのか。立憲と連携強化を進めて清和会と激突するのか、立憲と決別して自民党内の融和に転じるのか、それともどっちつかずのまま挟み撃ちのなかで瓦解していくのか。
岸田首相は経済財政政策を財務省に丸投げする一方、首脳外交には並々ならぬ意欲を示している。葉梨法相を更迭した後に妻同伴で飛び立った東南アジア訪問の様子もSNSで次々に発信。この広報活動を担うのは就任1年を機に首相秘書官に抜擢した長男だ。自民党内は「家族で外遊を満喫している様子が岸田離れに拍車をかけている」(閣僚経験者)と冷ややかである。地元・広島で来年5月に開催されるG7サミットを機に勇退を迫る「サミット花道論」もささやかれ始めた。

 

●解散命令、過去にも 請求要件広げ、質問権行使 11/23
文化庁は、宗教法人法に基づく解散命令の請求を視野に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し「質問権」を行使した。
過去に同法に基づく解散命令が出た主な例は「オウム真理教」「明覚寺」「大日山法華経寺」の3件。いずれも刑事事件で幹部らが摘発された。旧統一教会は該当しないため、解散命令の要件を民法上の不法行為まで広げて対応した。
要件として宗教法人法81条は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」と規定している。
オウム真理教の請求は1995年6月、東京地検と東京都が行った。東京地裁は、サリン工場とされる「第7サティアン」で検証を実施。サリン製造の企てが要件に該当するとして解散命令を下した。最高裁も「信教の自由を保障した憲法に違反しない」と判断した。
霊視商法詐欺事件を起こした明覚寺では初めて文化庁が請求。99年7月に最高幹部が実刑判決を受けており、同庁は判決文などを取り寄せ、解散請求を検討。同12月に「組織ぐるみの犯罪で、宗教に対する国民の不信感を強めた」として請求した。2002年1月、和歌山地裁は組織的な詐欺行為と認定し、解散を命じた。
大日山法華経寺は、整理回収機構が債権回収を目的に請求した。京都地裁は06年2月、実質支配者が宗教法人を利用した詐欺事件で実刑判決を受けたことや、宗教法人の実態がないこと、競売妨害をしていることが要件に当たると判断した。
旧統一教会は民事で不法行為責任を認定されたことはあるが、幹部が刑事罰を受けた例はない。文化庁はこれまで刑事事件で法人本体の幹部らの責任が認められた場合に解散命令を請求できると解釈してきたが、岸田文雄首相は「民法の不法行為も入り得る」と解釈を変更した。
●統一教会問題解決のための「救済新法」に創価学会がビビっている… 11/23
「救済新法」成立へ
統一教会問題を鎮静化しようと、岸田文雄総理は前のめりになっている。年内に「質問権」を行使して裁判所に「解散命令」を請求し、悪質寄付の禁止や取り消し権を盛り込んだ「救済新法」を今国会に提出する予定だ。
宗教法人の業務についての報告を要求できる「質問権」は、オウム真理教事件後の法改正で設けられたものだった。しかし、質問権はこれまで一度も使われておらず、ブラックボックスとなっている宗教法人のカネにメスが入るのは初めてのことだ。
創価学会のジレンマ
この状況に戦々恐々としているのが、他の宗教団体である。彼らが恐れているのは、原則無税で公開義務のない献金・寄付・お布施に国のチェックが入ること。
仮に献金・勧誘の悪質さが問われて第三者の取り消し権が認められれば、財務がオープンになってしまう。それは避けたいが、統一教会バッシングのなかで異議を唱えることは難しい。
最もジレンマを抱えているのは創価学会だ。創価学会では、年末のこの時期に「財務」と称して毎年1000億円以上もの献金を集めている。
「集金方法に問題はないのか」「公明党と密接な創価学会が、献金額や使途を公開しなくていいのか」など、厳しい問いを投げかけられる可能性もある。岸田総理の覚悟と調整能力が問われる。
●旧統一教会、トラブル多く 法令順守宣言後も相次ぐ 11/23
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は信者からの高額献金を巡り、これまで多くのトラブルを抱えてきた。過去の民事訴訟では2件の判決で教団の組織的な不法行為が認定されている。教団側は2009年に「コンプライアンス(法令順守)宣言」を出したと変化を強調するが、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)のメンバーは「現在も被害が確認されている」と反論する。
全国弁連によると、宣言後の10〜21年に全国弁連や消費生活センターに寄せられた被害相談は2875件。総額は計約138億円に上る。
運勢鑑定をきっかけに10年に入信した女性は、総額約1600万円の献金をしていた。川井康雄弁護士によると、家系についての勉強や運勢鑑定と称して旧統一教会の名前を出さない勧誘が宣言後も続いているという。
賠償を命じる判決も相次いでいる。元妻の献金により経済的損害を受けたとして、東京都内の男性が教団を訴えた訴訟では、東京地裁が16年、「信者の財産状態を把握した上で(男性に)無断で献金させている」として組織的な不法行為を認定し、約3400万円の支払いを命じた。元信者の女性が起こした別の訴訟でも、東京高裁が17年に同様の判断を示し、約1100万円の賠償を命じた。
ただ、この2件の判決で認定された不法行為は、いずれも09年の宣言以前の行為が対象となっている。
●旧統一教会への「質問権」“初の行使”…加藤厚労大臣「真摯な回答を・・・」 11/23
回答期限は、来月9日となっています。
永岡桂子文部科学大臣:「解散命令請求の適否については、適正に判断するためにも、旧統一教会の業務等に関して具体的な証拠、資料などを伴う客観的な事実を明らかにすることが必要」
文部科学省は22日午後5時すぎ、旧統一教会に対して来月9日を回答期限とする質問書を送り、「報告徴収・質問権」を行使したと明らかにしました。
一方、厚生労働省は22日、養子縁組に関する質問書を教団に送ったということです。
旧統一教会は1981年からの41年間で、745人の養子縁組を信者同士で行ったと明らかにしています。
法律で無許可での養子縁組のあっせんは禁止されていることから、教団の関与や、金銭の授受などを確認するということです。
期限は来月5日、回答は任意ですが、加藤勝信厚生労働大臣は「真摯に事実を回答頂きたい」と話しています。 
●旧統一教会への質問書、A4数枚で届く…回答期限は12月9日 11/23
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は23日、文化庁が宗教法人法の質問権に基づいて22日に送付した質問書が教団本部(東京都渋谷区)に届いたと明らかにした。
教団によると、質問書はA4用紙で数枚。財産に関する書類など、提出を求める資料が列記されている。回答期限は12月9日。
信者の子の養子縁組について厚生労働省と東京都が連名で送った質問書も23日に届いたという。
教団の担当者は「内容を踏まえ、それぞれ回答の作成を進める」と話した。
●「被害者は救済されない」 旧統一教会元2世信者が救済法案の再検討求める 11/23
きょう急遽、会見を行ったのは旧統一教会の元2世信者です。政府がすすめている被害者救済新法について「私たち被害者は救済されない」と、内容の再検討を求めました。
旧統一教会 元2世信者 山本サエコさん(仮名)「このままでは、私たち被害者は救済されませんということです」
旧統一教会 元2世信者 Vtuberデビルさん「どうか統一教会の逃げ道をふさぐような未来へ向けた対策と対応ができる法案を、もう一度お願いいたします」
この会見の中で、元2世信者たちは政府がすすめる被害者救済新法について「政府の考えている被害者像が全く見えてこない」「かえって統一教会の救済法になってしまっている」と指摘しました。
そのうえで「もっと被害者の声を聞いて欲しい」と話し、献金被害の対象や取り消し期間の拡大を盛り込むなど、被害者の実態に即した内容にしてほしいと法案の再検討を訴えました。
●「このままでは統一教会が救済されるだけ」「被害者の声聞いて」元2世信者ら 11/23
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元2世信者らが23日、東京都内で記者会見し、政府が成立を目指す高額献金などの被害者救済法案について「被害実態と乖離かいりしており、このままでは被害者ではなく統一教会が救済されるだけだ」として見直しを求めた。
会見したのは実名や性別を伏せ、交流サイト(SNS)で被害実態を発信してきた2世の元信者ら5人。政府案では献金の規制対象が「個人から法人」に限定され、マインドコントロール(洗脳)下での献金は規制していない。
「Vtuberデビル」の名で活動する2世は、「信仰が深い人ほど自分で思考することを放棄し、使命感によって献金してしまう。集金方法も証拠が残らない形に年々変化しており、今の法案は救済の間口を狭めている」と指摘した。
家族らが献金を取り消す権利を巡っては、法案では本来受け取れるはずだった養育費などの範囲に限られており、高橋みゆきさん(仮名)らは「われわれの親の被害額は数千万や億単位なのに、月数万円程度しか請求できない。誰が権利を行使するのかイメージできていない」と嘆いた。
現状では多くの被害者が取りこぼされるとし、山本サエコさん(仮名)は「被害者の声を聞いていないことが理由の一つ。政府には幅広く被害者の意見を聞いてほしい」と訴えた。
●創価学会・元理事長の息子、懸念される「会員からの搾取」回避訴え 11/23
「布教に熱心な信者は青年世代で1割を切っていた」
宗教団体への高額献金を規制する必要性が叫ばれる中、“ブレーキ”となっている存在と伝えられるのが公明党だ。祖父の代からの創価学会員家系で、2015年までナンバー2の要職・学会理事長を務めていた正木正明氏を父に持つ正木伸城氏が、信者の「公明党離れ」の実態などについて語った。
創価学会は公称827万世帯という会員数を誇るが、その勢力は衰え続けているといわれており、選挙などで実際に動いている学会員はかなり少ないのが現実だという。
〈例えば私がリーダーだったある地域では、布教に熱心な信者は青年世代で1割を切っていた。若い世代に限らず学会全体で見たとしても、実は、熱心に活動する学会員の方がマイノリティーなのである。学会に所属していても、無関心だったり、ネガティブな考えを持っていたりという理由から、つかず離れずの関係を維持している層の方がはるかに多い。その傾向は、特に学会2世、3世、4世になるにつれて、顕著にみられるのだ。
これにより、会員数の減少が臨界点に達した時に、学会はどう対応するだろうか。機関紙・聖教新聞の部数が減り、財務(お布施のようなもの)の金額も激減した時に、かつての水準を維持するために学会員に過度な負担を強いるようになったとしたら――そういう危うさについて、学会自身は自戒の意味でも「ゼロではない」と考えておいたほうがいいと思う〉
発行部数は補えたが…
〈たとえば創価学会は「マイ聖教運動」という活動を大きく展開していた。これは、機関紙である聖教新聞を一家で1部取るのではなく、1人あたり1部取ることを推奨する運動で、仮に5人世帯の家なら5部購読することになる。この運動は、当時すでに減少傾向にあった聖教新聞の発行部数を補うことに貢献した取り組みだったが、学会員の金銭的負担は増大した。もちろん学会員の中には宗教的使命感をもとにマイ聖教運動に参画する人も多いので、それを「負担」だと感じる人がすべてではない。が、こういった会員の使命感にあぐらをかいて同じような構図の運動を追加していけば、会員の使命感がいつ「負担感」に変わるかわからない。もし現実にそうなるとしたら、それは「会員からの搾取」という危険な入り口に立つことを意味するし、創価学会にはそうなってほしくない〉
●創価学会・元理事長の息子 「会員からの搾取」回避訴え 会員減少も語る 11/23
宗教団体への高額献金を規制する必要性が叫ばれる中、“ブレーキ”となっている存在と伝えられるのが公明党だ。祖父の代からの創価学会員家系で、2015年までナンバー2の要職・学会理事長を務めていた正木正明氏を父に持つ正木伸城氏が、信者の「公明党離れ」の実態などについて語った。
創価学会は公称827万世帯という会員数を誇るが、その勢力は衰え続けているといわれており、選挙などで実際に動いている学会員はかなり少ないのが現実だという。
〈例えば私がリーダーだったある地域では、布教に熱心な信者は青年世代で1割を切っていた。若い世代に限らず学会全体で見たとしても、実は、熱心に活動する学会員の方がマイノリティーなのである。学会に所属していても、無関心だったり、ネガティブな考えを持っていたりという理由から、つかず離れずの関係を維持している層の方がはるかに多い。その傾向は、特に学会2世、3世、4世になるにつれて、顕著にみられるのだ。これにより、会員数の減少が臨界点に達した時に、学会はどう対応するだろうか。機関紙・聖教新聞の部数が減り、財務(お布施のようなもの)の金額も激減した時に、かつての水準を維持するために学会員に過度な負担を強いるようになったとしたら――そういう危うさについて、学会自身は自戒の意味でも「ゼロではない」と考えておいたほうがいいと思う〉
発行部数は補えたが…
〈たとえば創価学会は「マイ聖教運動」という活動を大きく展開していた。これは、機関紙である聖教新聞を一家で1部取るのではなく、1人あたり1部取ることを推奨する運動で、仮に5人世帯の家なら5部購読することになる。この運動は、当時すでに減少傾向にあった聖教新聞の発行部数を補うことに貢献した取り組みだったが、学会員の金銭的負担は増大した。もちろん学会員の中には宗教的使命感をもとにマイ聖教運動に参画する人も多いので、それを「負担」だと感じる人がすべてではない。が、こういった会員の使命感にあぐらをかいて同じような構図の運動を追加していけば、会員の使命感がいつ「負担感」に変わるかわからない。もし現実にそうなるとしたら、それは「会員からの搾取」という危険な入り口に立つことを意味するし、創価学会にはそうなってほしくない〉
●創価学会、高額献金の実態 「脱会すると信者から“呪詛の言葉”」 11/23
宗教団体への高額献金を規制する必要性が叫ばれる中、創価学会が今年も“財務の季節”を迎えた。「池田大作」というカリスマのもと、社会の隅々にまで根を張り巡らせた巨大なる新興宗教教団。元エリート学会員のお笑い芸人・長井秀和が、組織の抱える問題を語り尽くした。
あの人もガッカイらしいよ――。
旧統一教会の問題が騒がれるようになるまで、一般の方が創価学会に対して抱く興味といえば、この程度のものだったのではないでしょうか。タレントのあの人は、アイドルのあの子も、プロ野球のあの選手だって……みんなみんな学会員らしいよ! そんなゴシップを耳にしたことのある人も多いと思います。何よりかくいう私も学会の「芸術部」に所属する“学会員の有名人”の一人でした。
〈そう話すのは「間違いないっ!」のフレーズで一世を風靡したお笑い芸人の長井秀和氏(52)だ。熱心な学会員家庭に生まれた長井氏は、かつて学会の広告塔として公明党の選挙応援にも駆り出されていた自称“創価エリート”である。
統一教会騒動でクローズアップされた宗教2世や高額献金、政治と宗教の問題は、創価学会にとっても人ごとではない。10年前に脱会し、現在は12月に投開票を控えた西東京市議選を見据えて政治活動を行う長井氏が、身をもって経験した学会の内実を告白する。〉
純粋培養された池田チルドレン
一般の人にとって“学会員の有名人”は単なるゴシップネタに過ぎないかもしれませんが、学会にとっては非常に重要な存在です。それは学会への勧誘や公明党の選挙活動において、彼らがとてつもなく大きな力を発揮するからです。
学会では勧誘のことを「折伏(しゃくぶく)」と言いますが、そもそも信仰のない人に教義や池田大作名誉会長(94)の素晴らしさを話したところで誰もピンとこない。
だから結局“芸能人の誰々も創価学会”とか“私はあの芸能人とも会ったことがある”とか、キャバクラ嬢を口説くオッサンのような売り込み方で勧誘するのが一番の近道なんです。
自分で言うのもナンですが、私はそんな学会の芸術部の中でもある種、特別な存在だった。芸術部には、それこそ久本雅美さんや柴田理恵さん、岸本加世子さんなどそうそうたる芸能人が名を連ねていましたが、彼らはみんな大人になってから勧誘されて入会したクチ。
一方、私は両親が熱心な学会員で、小学3年生のときに開校した東京創価小学校に編入して以来、創価中、創価高、創価大と進学。池田氏肝いりの創価学園で純粋培養された池田チルドレンの中で初めて売れた芸能人だったのです。
“池田名誉会長も大変喜んでいる”
実際、私が芸人としてテレビによく出るようになった2003年ごろには“池田名誉会長も大変喜んでいる”という話をよく聞きました。さらに、今から7〜8年前には、池田氏の側近集団である第一庶務の一人から「池田先生は時々思い出したように『長井君はどうしているんだろう』とおっしゃる」と聞かされたこともあります。
私は営業先などで池田氏をイジるネタもやっていたのですが、もちろん、そういう都合の悪い話は池田氏の耳には入れなかったのでしょう。
〈長井氏の突然のブレークは、池田氏だけでなく周囲の反応も変えることになった。もちろん、その裏で期待されていたのは広告塔としての役割だ。〉
実は学会の芸術部には半年間の研修期間が設けられているのですが、私の場合はそれも免除だった。「長井さんはいいんですよ!」「みんなあなたのことは知っているんですから!」と言われ、すぐに大きな会合に連れて行かれました。今思えば本当にいい加減ですよね。
「久本さんを会長にすれば」
当然、選挙にも何度も駆り出されましたよ。私の父親は地区の幹部で、弟は聖教新聞の記者。だから、住んでいた東京・武蔵村山市だけでなく父親の出身地・北海道や、弟が働いていた岩手県の選挙に駆け付けることもありました。それに、国政選挙や統一地方選挙だけでなく、年中、日本のどこかで行われている地方議員選や首長選に「来てくれないか」と呼ばれたりする。客寄せパンダとして利用されていることは重々承知の上でしたが、大抵、両親を通じて申し込みがあるので、親孝行になるなら、くらいの感じでしたね。
選挙応援で驚いたのは、久本雅美さんの出没率の高さ。久本さんは芸能界でもトップレベルの忙しさなのに、いつもどこかの選挙区で応援に入っているんです。
いっそのこと久本さんを会長にすれば、もう少し組織の求心力も増すんじゃないかと思うくらい、彼女は学会や公明党に貢献していると思いますよ。
〈学会の花形「芸術部」の一員として、折伏に選挙にと引っ張りだこだった長井氏。彼の学会員としての人生は、他の学会2世同様、その出生とともに歩み始めることになる。〉
自宅は異様な“信仰道場”
私は両親の代からの学会員でしたが、その育ちは巷間言われている宗教2世よりも強烈だと思います。何せ自宅が“信仰道場”と化していて、日々、学会員が集まっていたんですから。
自宅があった武蔵村山市には当時、学会の会館がなかった。だから、何かあると“じゃあ長井邸で”となるんです。実際は、何もなくても毎日誰かが来て、南無妙法蓮華経の題目を大声で唱える「勤行(ごんぎょう)」が行われていましたけれどね。
当時、3階建ての家に住んでいたのですが、20畳くらいある3階部分は壁がぶち抜かれ、2階部分も半分くらいは学会のために使われていた。携帯電話どころかポケベルもない時代ですから、それぞれの私用連絡や、選挙・折伏の電話作戦のために、3階にはピンク電話まで設置されていました。
楽屋代わりに使われていた宗教ハウス
当時は学会が埼玉・所沢の西武球場なんかを借り切って文化祭を開催していたこともありましたが、その時もすごかったですよ。文化祭では、北朝鮮が将軍様をマンセーするときのようなマスゲームなどが行われるのですが、西武球場から近かった私の家が楽屋代わりに使われるんです。その日はもう、全身タイツの女性やヒラヒラ衣装を身にまとった若者が次から次へと自宅に出入りして。子供心には楽しかったですが、夜遅くまで大音量の題目とともに得体のしれない連中が出入りする宗教ハウスですから、近所の人からするとかなり不気味だったでしょうね。
うちがそんなふうに使われていたのは、父が聖教新聞の販売店の店主をしていたことも関係しています。聖教新聞は折り込みチラシも夕刊もありませんから、朝刊の配達が終われば基本的に仕事はない。ただ、販売店には学会および公明党の活動に殉じるという裏テーマがあった。うちの父も後年、公明党の市議を務めていたくらいで、学会のために生涯を捧げることを厭わないタイプの人間でした。
昔からあった学会へのネガティブな思い
〈ところが、学会のエリート一家に生まれた長井氏自身の信仰生活は決して“真面目”といえるものではなかった。〉
創価大を卒業してからブレークするまで10年ほど下積み期間がありましたが、正直、私はそこまで熱心な会員ではなかった。1年に1回、地区の集会に参加するくらいでしたね。
もちろん、芸人としての活動が忙しかったというのもありますが、ブレークし、芸術部でチヤホヤされていた頃も創価学会へのネガティブな思いはありました。今が100%だとすると、当時でも55%くらいはあったように思います。
その理由は……やっぱり、目で見た生身の「池田大作」と組織の中で言い伝えられる「池田大作」との間にギャップを感じるようになったことが大きいですね。
作られすぎたカリスマ性
私が創価小に転校した1970年代、池田氏は日蓮正宗で固く禁じられていた本尊のコピーを作るという本尊模刻事件や、宿敵・共産党と手を組もうとした創共協定事件を起こし学会本部に居づらくなっていた。そんな中、彼が頻繁に出入りしていたのが、自分が創った創価学園だったのです。学園なら理屈抜きで“偉大な創立者”扱いをしてもらえますから。
だから私は小・中学生の頃だけで通算60回くらいは池田氏と会った記憶があるんです。当時は、しょっちゅうアイスクリームとかお小遣いをくれるオッチャンくらいの印象でした。今や“現れない人神”となってしまった池田氏ですが、昔はもっと気さくに姿を現していたんです。
ところが、大きくなり聖教新聞などで池田氏の言葉を読むと、どうも違和感を覚えてしまう。生身の池田氏からは、彼が書いたとされる提言や論文に見合う知性を感じなかったんですね。また、彼が執筆した小説『人間革命』を読んでも“そんなわけないでしょ”と思いはじめ、池田氏の作られすぎたカリスマ性を異様だと感じるようになったのです。
最高幹部が終始、池田氏の悪口を
それでも45%は残っていた信仰心が0%になってしまったのは、忘れもしない2007年夏のこと。参院選の応援のために埼玉県を訪れていたときに、車に同乗していたさる最高幹部が終始、池田氏の悪口を言っていたんです。もう、言うことがコロコロ変わるだの無茶を押し付けられるだのと言いたい放題。
それをきっかけに、自分で学会のこと、池田氏のことを調べてみようと、創価学会について書かれたさまざまな書籍を読んでみた。すると、出るわ出るわ、デタラメのオンパレード。それまで純粋培養されてきた私は、外の世界から見た学会がいかにうそにまみれているかを知ってしまったのです。
学会で献金を表す「財務」もそうです。今年もその季節となりましたが、毎年11月下旬から全国一斉に振り込みが行われ、集まる金額は1千億円以上とも。ただ、かつて池田氏は“他の新興宗教と違って寄付や献金はやらない”と明言していたはずなんです。それが、1972年に大石寺に正本堂を建立するための寄付を募ったことをきっかけに、毎年の恒例行事となってしまった。正本堂建立の際は、数日で300億円以上が集まったといいますから、献金のうまみに味をしめてしまったのでしょう。
仏壇に2千万円
学会側が明言することはありませんが、財務の額はおおむね収入の1割が目安といわれています。10日で1割の高利貸し“十一(トイチ)”にちなんで、私は学会の財務を“宗教十一”と呼んでいますが、収入が低ければ低いほど、当然、負担は大きくなる。うちの両親でもすでに総額で数千万円の寄付をしていると思いますよ。それだけでなく、例えば高額な学会専用の仏壇を3基も購入していて、仏壇関連だけで約2千万円。統一教会の“100万円の壺”なんて安すぎて、多くの学会員はピンとこないんじゃないでしょうか。
霊峰・富士は近くで見ればゴミだらけといいますが、池田氏の悪口を言っていた幹部も同じ気持ちだったのかもしれません。間近で見続けた池田氏の姿を、うそで糊塗し続けることに疲れていたのでしょうね。
長井氏が語る学会の最大の強みとは
〈統一教会の被害者救済を巡り、現在、国会では高額献金を規制する新法の是非が議論されているが、これに対する公明党の歯切れの悪さも長井氏の話を聞けばうなずける。あからさまな欺罔(ぎもう)行為はないとはいえ、献金や物販の規模は、統一教会のそれとは、まさに桁違いなのである。
しかし一方で、学会には未だ池田氏を崇敬する信徒が数百万人いるのも事実。一体、彼らが学会や池田氏に引き付けられる理由はどこにあるのか。〉
学会という組織はどこか大学の総合学科のような雰囲気があるんです。理知的でお勉強家タイプの人間には教義の研究機関や学術系の出版社が用意されていますし、実利主義的な人間には“いっぱい儲けて、そのお金を広宣流布のために使えばいい”と組織に貢献する道がある。つまりどんな会員にも宗教的な役割を与えられる受け皿の広さがあった。この裾野の広さこそ学会の最大の強みでしょう。
脱会に伴う途方もない精神的負担
それに、ビジネスの世界でもそうですが、成功者は50人に1人くらいで十分なんです。ダイエットだって育毛だって50人に1人成果が出れば“効く薬だ”となる。宗教も同じで、信者の50人に1人くらいが成功したり救われたりした経験をすれば、功徳があるという話になるわけです。学会も本部や関連企業のポスト、全国に持つ地方議会の議席などを駆使すればいくらでも“功徳”を演出できるのです。
〈長井氏は学会に絶望し、12年に脱会を表明するが、彼のように表立って脱会宣言をする例はまれなのだという。もちろん、脱会宣言をした長井氏にとっても、その道のりは険しかった。〉
学会といえど信仰を強制することはできませんから、脱会するのは自由です。ただ、私のように家族も学会員の場合、脱会には途方もない精神的負担が伴うことになる。例えば私の場合も、脱会に当たって両親から“信心が浅いからだ”と責められ断絶状態になりましたし、18年に父が他界した後も家族とはぎこちない関係が続いています。
それに学会歴が長ければ長いほど、人間関係は学会中心になっていく。そういう人が脱会することは村八分どころか“村全部”状態、つまり人間関係を全て失ってしまうことにもなりかねないのです。
だから多くの人は無理に抜けようとせず「非活」、すなわち籍は置いたまま表立って活動するのを控えるという道を選ぶことになる。選挙のときにだけ「公明党の候補に必ず入れる」と約束しておけばいいのです。
仲間から呪詛の言葉を投げつけられる
一方、わざわざ“辞める”などと言わでものことを言えば、それまでの仲間からこれでもかというほど呪詛の言葉を投げつけられる。「仏敵」と呼ばれるくらいならまだましで、“第六天の魔王に食い破られた愚かで無様な姿”とか“自分だけでなく子どもも孫も末代に至るまで不幸が起きる”とか“頭破作七分(ずはさしちぶん)の仏罰が下る”とか……。頭破作七分の仏罰とは、脳みそが散り散りになって精神的におかしくなってしまう、くらいの意味です。もちろん、私も言われたことがあります。
こんな非科学的で迷信じみた言葉を気にするなと思われるかもしれませんが、なまじ信心が残っていたりするとこれが耐えられない。私のような不真面目な信徒でも、やはり家族のことを持ち出されると、気が滅入りそうになったものです。
このように学会は、組織が自ら手を下さずとも信者同士の間でアメとムチが見事に機能するようにプログラミングされている。熱心に信仰する信者がいる一方で、辞めたくても辞められない人たちがいるのもまた事実なのです。

 

●なぜ岸田首相は強気を維持? 旧統一教会問題で揺らぐ「自公の蜜月」 1/24
23年間にわたり「蜜月」を保ってきた自民党と公明党。旧統一教会の問題に端を発した新法の議論で、その関係がグラついている。相次ぐ閣僚スキャンダルで満身創痍の岸田文雄政権に、さらに頭の痛い難題が襲いかかろうとしている──。
「内閣支持率が続落している現状の中、これからの統一地方選や統一外の選挙に全く影響がないとは言わない。内閣支持率を政府・内閣でしっかり回復していく。公明党は選挙で地域の課題、住民、市民の課題に向き合って政策を作ってきた実績をしっかり訴え、乗り越えたい」
11月15日の記者会見で、公明党の山口那津男代表は危機感をあらわにこう語った。
公明党にとって来春に控える統一地方選は都議選と並ぶ最も重要な選挙戦だ。源流である創価学会文化部が1955年の統一地方選に初挑戦して53人が当選し、翌年の参院選での国政進出の契機となった。
支持母体である創価学会の結束力を背景に選挙では無類の強さを発揮してきた公明党だが、近年はその力に陰りが見える。支持者の高齢化が進み、比例代表の得票は過去最多だった2005年衆院選の約898万票から、今年7月の参院選では約618万票と、大幅に下落した。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう語る。
「内閣支持率の低迷が続き、公明党や創価学会の危機感は相当強い。今回で代表を降りる予定だった山口氏が急遽(きゅうきょ)、異例の8期目を務めることになったのは、この難局を乗り切るにはそれしかないという不安が党内にあったからです」
そんな公明党が神経をとがらせる問題がある。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題を受け岸田政権が今国会に提出しようとしている、悪質な寄付要求行為の禁止などを盛り込んだ新法だ。寄付の上限規制なども議論されているが、公明党は慎重な姿勢をとっている。
「岸田首相が、宗教団体への『報告徴収・質問権』行使の要件に、刑事罰だけでなく民事裁判の判決も含むという新たな見解を示したことでも、公明はピリピリしています。創価学会に限らず、多くの宗教団体が勧誘やお布施の問題などで民事の係争リスクを抱えている。こうした方針や新法により、国民から旧統一教会と同一視されることにつながりかねないですから」(角谷氏)
そもそも、自民党と公明党との関係は、今年7月の参院選前後からギクシャクしていた。一部の選挙区で、自・公両党の本部がそれぞれの選挙区候補を自動的に推薦してきた「相互推薦」方式が取りやめられるなど、溝が露呈したのだ。与党関係者によると、衆院選挙区の「10増10減」の議論でも、公明党幹部は自民党の茂木敏充幹事長に対し、選挙区の数が増える東京、千葉、埼玉、愛知の4都県で公明党候補を立てる場所を新たに一つずつ確保し、当該選挙区では自民党候補の擁立を見送ってほしいと“強気”の要請をしたとされる。
山口代表は11月8日に岸田首相と会談し、新法の臨時国会提出へ努力することで合意した。それでも、公明党内には「新法が宗教界全体の活動を及び腰にさせるのではないか」(党幹部)という疑念が根深いという。ある与党関係者はこう語る。
「この問題以外でも、今後の『自民党的』な政策への警戒感が公明党の中で高まっている。ウクライナ情勢などを背景に日本周辺の安保環境が激変しており、年末に予定する『安保3文書』の改定も、敵基地攻撃能力の保有など踏み込んだものになるはず。公明党との折衝は難しくなるだろう。自民党悲願の憲法改正も維新の躍進により現実的になりつつあるが、憲法改正に一貫して消極的な公明党とどう折り合いをつけていくかも頭が痛い」
ポスト岸田不在 低空飛行続く?
自民党にとって苦しいのは、今や政権が「自走不能」なほどボロボロなことだ。岸田首相は山際大志郎前経済再生担当相に続き、死刑を軽んじるような発言をした葉梨康弘前法相を更迭。閣僚の「ドミノ辞任」を狙う野党の追及がやまない。16日の参院倫理選挙特別委員会では、寺田稔総務相が自身の政治資金を巡る疑惑を再び追及され、20日には辞任した。このうえ公明党との関係も揺らげば、岸田政権はさらに土俵際に追い込まれる。前出の角谷氏がこう語る。
「旧統一教会問題では、公明党・創価学会に配慮すると結果として旧統一教会を守っていると見られ、国民の怒りを買ってしまう。公明党にも厳しくせざるを得ないが、上手にさじ加減をコントロールしないと自公の信頼関係が崩れかねない。茂木幹事長が調整に乗り出してきましたが、ソフトランディングは非常に難しいでしょう」
八方塞がりな状況だが、岸田首相は強気を維持しているとの観測もある。岸田首相は10月29日夜、自民党の麻生太郎副総裁と都内のホテルで会食。麻生氏周辺によると、この際、麻生氏は周囲に「来年5月の広島サミットを成功させれば、いつでも衆院解散を打てる。政権にこれだけ逆風が吹いていても『岸田降ろし』の動きは見られない。首相にはまだチャンスがある」と話したという。
「ポスト岸田」候補を見渡しても、河野太郎デジタル相は所属する麻生派内に支持が広がらない。茂木氏は後継首相に意欲を見せるが、相変わらず人望がないのがネックだ。ライバル不在の状況に、与野党を問わず「当面はずるずると岸田政権が続く」(日本維新の会幹部)との見方は強い。
だが、低支持率に公明党との摩擦も響いて統一地方選で大敗すれば、岸田首相の責任問題からポスト岸田政局となる展開も十分あり得る。政府関係者はこう話す。
「自民党議員の半数近くは学会票に依存している。一方の公明党はたとえ自民党の『下駄の雪』と揶揄(やゆ)されても、与党としてのうまみを手離したくない。両党は依存し合っているので、完全に割れることは考えづらい。新法を何とか年内に可決させたい思いは強いが、玉虫色の内容で強行採決すれば、有権者の信頼を裏切ることになる。結局、野党案を8割ぐらい丸のみする内容になるのではないか」
●“新法案”では救済できない? 元2世信者が語る実効性への懸念 11/24
旧統一教会の被害者救済に向けて今月18日、政府が新法案の概要を与野党の幹事長に提示した。
政府が提示した新法案では、個人から法人への寄付が対象で不安をあおるような勧誘、家を売却しての寄付などが禁止される。信者本人ではなく、扶養している子や配偶者から寄付の取り消しも可能になり、違反した場合、刑事罰の適用もある。しかし、野党側が強く求めていたマインドコントロールのもとで行われた寄付の取り消し、寄付金額の上限設定といった内容は盛り込まれなかった。
はたして、新法案によってどれだけの被害者が救済できるのだろうか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、旧統一教会の元2世信者と新法案の与野党協議メンバーと共に考えた。
旧統一教会の元2世信者・小川さゆり氏(仮名)は「救済法案の概要をまとめてくださったことにはすごく感謝している」という。
「自分自身も与野党のヒアリングに参加して、被害者の救済法案をすごく訴えてきた。今国会内でぜひ成立してほしいが、被害救済に対する内容がすごく限定的だと思った。教会長や一個人が献金を要求した場合は法人ではないので、新法案の内容では適用されないと思う。旧統一教会側にとって、うまくすり抜けやすいようになっている」
さらに一番の問題は「やっている当事者に加害者意識や被害者意識がないことだ」という。
「私は親とずっと仲が良かったが、自分が働けるような年代になった時、お金を要求されたり、職場までお金を取りに来たりした。私自身は経済的虐待だと思った。そんなに大きな額ではなかったが、精神病棟に入院し一番つらかった時に、隠していた貯金を全額引き落とされた。本人に加害者意識は全くなく、親はもう記憶自体なかったことにしたいみたいだ。『教会のためなら嘘も言っていい』となっていて、そういう人たちにマインドコントロールの定義は難しい。自分の子供にお金を要求して、借金を返さない状況がありながら、今回の事件後も『先祖解怨』と言われる高額な先祖供養をしている」
寄付金の上限について、野党側は「可処分所得の4分の1」と具体的な数字を入れて提案した。しかし、政府案では「借金をしてはいけない」「住んでいる建物などを売るようなことは禁止」といった表現になっている。野党側は今回の政府案をどのように受け止めているのだろうか。
「日本維新の会」政調会長で、被害者救済法案を検討する与野党協議会のメンバーの音喜多駿氏は「新法案では、被害者救済ができない可能性が極めて高いのでは」と懸念を示す。
「悪質な行為は一定程度分かっている。しかし、恐怖や不安を感じなくても、一度マインドコントロールにかかってしまって自発的に寄付をしているような方々の被害防止・救済に対して、今回の法案は極めて弱い。『可処分所得の4分の1』は比較的分かりやすい目安だが、一方で『借金してはいけない』はかなり漠然だ。『建物を売ってはいけない』も住んでいる建物に限定されている。旧統一教会は、あからさまな勧誘や要求をやらない。教義を教えて『さあどうしますか?』と聞く。禁止事項には入っていないので結局、上限規制もすり抜けて寄付を受けることが可能になるのではないか」
ネット掲示板『2ちゃんねる』の創設者のひろゆき氏は「お金のない信者もいっぱいいる。宗教にはまっている人はお金のない人が多いのではないか。そういう人は元々借金が不可能だし、家なんか持っているわけない」と指摘。「マインドコントロールの部分は折れるから『可処分所得の条件は入れて』みたいな交渉を与党とするのは難しいのか」と音喜多氏に質問した。
音喜多氏は「可能性は十分ある」とした上で「自発的に寄付をしている人をマインドコントロールと呼ぶかどうかは別だが、寄付しないといけない状態に誘導していく手口みたいなものは判明している。これを禁止したり、取り消せたりすることが重要だと思う。私たちは両方しっかり主張して戦っていきたい」と語った。
さらに実効性への疑念として「寄付をすることが必要不可欠ですと告げることという1文が条文に入った。不幸になりますよだから寄付が必要不可欠ですという契約は取り消せると。熱心にやっている人はそんなことをやらなくても寄付している。『必要不可欠』が入ることで法律が一気に使えなくなる」と指摘した。
ひろゆき氏が「時間切れというパターンはあり得るのか」と聞くと、音喜多氏は「国会は12月9日までだから、1カ月を切っている。ただ、国会延長も言われているし、岸田総理があそこまで踏み込んでいる以上、なにかしら成立はすると思う。それが骨抜きの法案になるのか、本当に小川さんのような被害者を救済できるのか、この1カ月以内が勝負だ」と話す。
ジャーナリストの堀潤氏は「宗教団体本体にメスを入れるべきだ」とコメント。
「寄付した一人ひとりに対してマインドコントロールされているかどうか、立証を求めるのは、負担が大きすぎる。例えば宗教法人であればペナルティを科すなど、大元の団体に対して、当局がしっかり指導力を発揮して、問題があれば直ちに指導する。そういうことで規制を強化していくべきだ。国として、しっかり団体にメスを入れてほしい」
音喜多氏は「宗教法人法という法律自体、特殊な作りになっていると思う」と発言。「信教の自由は当然ある。例えば、学校宗教法人法などは、是正命令がない。『ここを改善しなさい』みたいなことが国から言えなくて、一足飛びに『解散権』しかない。結局、信教の中身は触れられない。政治が介入して『こういうことはダメ』と、宗教法人に対して言えないような作りだ。これは今の与党の座組みや、統一教会が組織的に自民党を応援してきた背景と無関係ではないと思う」と考えを述べた。
さらに、旧統一教会の新たな問題として、指摘されているのが「養子縁組」の問題だ。
旧統一教会は1981年以降、745人の養子縁組が行われたことを認めている。「養子縁組あっせん法」が施行されたのは2018年。旧統一教会のコメントでは「ここ20年はあっせんをしていない」としているが、小川氏は「きょうだい6人中2人が養子に出された。無許可で養子縁組のあっせんを行っていたのではないか」と話す。
小川氏は「私は3番目の子だが、下の3人が養子に出された」といい「5番目と6番目の子は今も養子に出されていて、戸籍を確認したところ普通養子縁組になっていた。4番目の子も養子に出されたが、うちのケースはちょっと特殊なのか、帰ってきた。養子に出して半年後ぐらいに、向こうの親が統一教会だけど分家だったことが分かった。統一教会的には完全に邪教になるので『返してください』となった。これが本当に私は異常だと思った。親、信者、教会の都合で子供がやり取りされていたことが許せない」という。
ひろゆき氏は「人間が完全に道具として扱われている。生まれる前にもう養子に出すことが決まっているのか」と小川氏に質問。小川氏は「そのパターンもあると聞いた。私の場合、母が断言したことはないが、ただ年子で3人を産んでいた。養子に出す前提としか私は正直思えない。養子に出す前提でそもそも子作りしているのではないか。そもそも、母は創始者の文鮮明に言われたから30歳まで避妊をしていて、その後、私が生まれた。文鮮明が生むなと言ったら、生まなかっただろう」と答える。
宗教界はなぜもっと発言しないのか。音喜多氏は「私たちも宗教団体にヒアリングを行おうとしたが、大きいところほど『政治家と話すなんてめっそうもない』と消極的だった」という。
被害救済を訴え続けてきた小川氏は「私自身も『死のうかな』と思ったことがある人間だ。捨てるものがない」と話す。
「ただ、子供がいる。私は未来の子供たちに、この宗教被害を残したくない。それが一番の原動力になっている」 
●旧統一教会 救済新法 自民 政府案修正し今国会への提出目指す  11/24
旧統一教会の被害者救済を図る新たな法案について、与野党の幹事長らが会談し、自民党は、当初の政府案を修正し、献金の勧誘を行う法人側に対し、個人が適切な判断を行うことを困難な状況にしないよう配慮を求める規定を盛り込み、今の国会への提出を目指す方針を示しました。
旧統一教会の被害者救済に向けて悪質な献金を規制する新たな法案をめぐっては、政府が先週、与野党に法案の概要を示しましたが、野党側は、不十分だとして修正を求めています。
24日夕方、国会内で、与野党6党の幹事長と書記局長が会談し、自民党の茂木幹事長は「マインドコントロールの話が議論になってきたが、個人の心がどういう状況に置かれているか認定するのは困難で、禁止行為とするのは難しい。法人側の配慮規定を盛り込みたい」と述べ、政府案を修正したうえで、今の国会への提出を目指す方針を示しました。
具体的には、悪質な献金の規制を強化するため、献金の勧誘を行う法人側に対し、個人が適切な判断を行うことを困難な状況にしないこと、献金によって個人や家族の生活が困難になるようにしないことへの配慮を求める規定を新たに盛り込むとしています。
そのうえで「霊感などの知識により、個人の不安をあおったり、現在の不安に乗じたりして献金が必要不可欠だと告げることを禁じる」としている政府案の規定については、「必要不可欠」ということばを使わなくても、その趣旨にあたる勧誘であれば、禁止の要件に該当するという解釈を示しました。
このほか、法人が行う献金の勧誘行為として、借金や家の売却に加え、田畑や町工場など「生活の維持に欠くことのできない事業用資産」の売却などによる資金調達の要求も禁じるとしています。
また、規制の対象としている「法人」には、法人の役職員なども含まれるという解釈を示したほか、3年後に法律を見直す規定を盛り込むとしています。
自民党の茂木幹事長は記者会見で「きょうの議論も踏まえ、政府には早期に法案の閣議決定と、国会への提出を求めたい。各党には、まだ残っている疑問点やさらに明確にしたい点を国会で質問してもらい、政府にもしっかりと答えてほしい」と述べ、今後の野党側との議論は、国会の場で行う意向を示しました。
立民 岡田幹事長「説明を聞くかぎりでは40点」
立憲民主党の岡田幹事長は、記者団に対し「マインドコントロールに陥って進んで寄付をするようなケースが救済の対象に含まれなければ新しい法律をつくる意味がほとんどないと、繰り返し申し上げた。マインドコントロール下におかれた契約の部分を中心に、与党にも野党にもさらなる努力が求められる。説明を聞くかぎりでは40点で、100点が難しいのは分かるが、60点を取れる法案でないと意味がなく、努力を続けていきたい」と述べました。
維新 藤田幹事長「最後まで100点に近づける努力を」
日本維新の会の藤田幹事長は、記者会見で「マインドコントロールという特殊な環境下に置かれた被害が出ないようにするため、いかに実効性を担保できるところまで踏み込めるかがポイントだ。実際に法案を見てみないと判断できないが、新法ができあがったあとに多くの人を救えないというのはあってはならず、最後まで100点に近づける努力をしていきたい」と述べました。
公明 石井幹事長「今できる最大限の取り組みでは」
公明党の石井幹事長は、記者団に対し「政府が頑張っていろんなアイデアを出して法案をつくっていて、点数をつけるのは難しいが単位は取れるのではないか。マインドコントロールという心の状態を定義し、認定することは極めて難しいが、『配慮規定』を盛り込むことで、献金を取り戻すことが可能な道を開いたのは今できる最大限の取り組みではないか。早期成立を目指していきたい」と述べました。
共産 小池書記局長「説明は納得のいくものではなかった」
共産党の小池書記局長は、記者団に対し「旧統一教会による献金は、いわゆるマインドコントロールのもとで献金が必要不可欠だと告げずに困惑もさせていないというのが実態であり、そこを解決しなければ全く機能しないのではないか。きょうの説明は納得のいくものではなかったので、どういう形で条文化されるのか見極めたい」と述べました。
国民 榛葉幹事長「十分合格点に値するのでは」
国民民主党の榛葉幹事長は、記者団に対し「野党のさまざまな疑念や被害者弁護団の意見も参考にしてもらい、だいぶ現実的な法案に近づいており、十分、合格点に値するのではないか。野党の中でも理解が深まっている感じがした。しっかり議論して決めていきたい」と述べました。
●旧統一教会被害救済へ全国弁護団を結成 40県以上の218人が賛同 11/24
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の消費者被害や人権侵害に対応する全国弁護団が11月24日に結成された。団長に就いた村越進・日弁連元会長らが都内で会見を開いた。
同日現在、全国の弁護士218人が名を連ねる。52の単位会中まだ10程度は未対応だが、村越団長は「まもなく全都道府県に行き届くはず」と自信を見せた。全国を7エリアに分けて各地に副団長を置き、交渉に取り組んでいくという。
各地に司法相談の受け皿をつくる
霊感商法等に関する相談は、法務省が9月から窓口を設置、11月14日以降は法テラスに引き継がれている。このうち司法関連については、これまでも日弁連や全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の弁護士が対応してきた。
会見には全国弁連の山口広弁護士や紀藤正樹弁護士、日弁連消費者委員長の大迫恵美子弁護士が参加した。
紀藤弁護士は「47都道府県に被害者はいます。多くの法律的な相談が寄せられ、全国弁連だけで救済に当たるのは不可能。日弁連や各地の消費者問題対策委員会の協力で『受け皿』となる」などと強調した。
全国の弁護士でバックアップ
日弁連としてバックアップにあたる大迫弁護士によると、統一教会問題は特殊なため、研修を重ねるなどして体制を整えてきたという。「実際の解決には激しい対立が発生するかもしれない。被害者に寄り添う、実働する弁護士が多いほど力になる」と訴え、さらに全国の弁護士に協力を呼びかけたいとした。
また大迫氏は「この30年間、教会側は『一部の左翼弁護士が対応しているだけだ』と被害を矮小化してきた。全国の弁護士が活動することは、偏見の払拭にもなり、被害者にとって身近な弁護士に相談することで被害に目覚めるチャンスになる」と意義を述べた。
●「全国統一教会被害対策弁護団」を設立 12月から電話相談受付 11/24
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害救済に取り組む「全国統一教会被害対策弁護団」が24日、200人を超える全国の弁護士で設立された。高額献金や宗教2世の人権侵害などの被害について、日弁連や日本司法支援センター(法テラス)と連携し、旧統一協会側との集団交渉や賠償請求訴訟などを組織的に進めていく。
弁護団には24日時点で218人が参加。元日弁連会長の村越進弁護士が団長を務め、これまで被害救済を一手に引き受けてきた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の弁護士らが事務局を担う。
政府の相談窓口を引き継いだ法テラスには、旧統一教会に関して二千数百件の相談が寄せられ、法的対応が必要な事案も多いという。弁護団には全都道府県の弁護士が参加する見通しで、村越団長は「全国で弁護団の組織力を発揮して被害者を支援していく」と強調。事務局長の山口広弁護士は「旧統一教会は今も全国で『弁護士には相談するな』と働きかけ、(返金を)低額に抑え込んだりしている。地元で相談窓口ができれば、より迅速な対応ができる」と期待した。
●被害対策弁護団、200人以上で結成…霊感商法対策弁護士連絡会と連携  11/24
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による被害の救済に取り組む弁護士らが24日、被害者からの相談に対応する被害対策弁護団を結成した。
全国の200人以上が参加し、団長は元日本弁護士連合会会長の村越進弁護士が務める。長年にわたり活動してきた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」とも連携し、日本司法支援センター(法テラス)や日弁連などの窓口に寄せられる相談のうち、法的な対処が必要な案件について、旧統一教会との交渉や訴訟などに取り組むという。
この日、東京都内で記者会見した村越団長は「被害の回復のために組織力を発揮して最大限努力する」と話した。
●統一教会問題で注目される「オウム解散命令」の裁判記録が廃棄 11/24
神戸連続児童殺傷事件など重要少年事件の記録が廃棄されていたことが問題となる中、オウム真理教の解散命令にまつわる記録も廃棄されていたと学生が11月22日にツイートし、話題となっている。弁護士ドットコムニュース編集部が24日に東京地裁に問い合わせたところ、「廃棄は事実で、2006年3月8日だった」と回答した。
ツイートしたのは、大学2年生の「学生傍聴人」さん。小学生の時に父親と見たオウム真理教のドキュメンタリー番組をきっかけに、裁判に興味を持ち法学部に進んだ。ジャーナリストの江川紹子さんの授業を受けるために、別の大学に単位交換で受講するほどだ。
実は、この記録は2019年に朝日新聞などの報道で民事訴訟記録廃棄が問題になった際、憲法判例百選に掲載された民事の事例で廃棄された118件のリストに入っていた。国会でも言及されたが、著名事件ばかりのため、当時はオウムの件について特別、注目が集まったわけではなかった。
旧統一教会問題が浮上した今、一人の学生が、自分が生まれる前の事件について知ろうとしたところ、その道を閉ざされた格好だ。
裁判記録の保存などを求める「司法情報公開研究会」の共同代表も務める江川さんは「後世の人が、ただ純粋に当時の記録を検証しようとしても、不可能だということが実証された。国民が共有する知的資源が失われることの弊害が、はっきり見えた」と指摘する。
学生傍聴人さんに、今回の事態についての思いを聞いた。
重要判例にもかかわらず驚きしかない
学生傍聴人さんは高校時代から授業の合間や夏休みの時間を使って傍聴して5年。数は650件を超えている。彼にとってオウム事件は「原点」だ。関連する記録は、どんなささいなものでも読んでみたいもの。期待していたにもかかわらず、もうないということは衝撃だった。
「ここ3、4年はオウム事件の研究を一人で進めていました。その一つの目標が解散命令事件の記録閲覧です。教団を反社会的組織として国家が認定し法人格を解散させるという、前代未聞の事態だったからです」
「11月17日に、当時の担当部署だった東京地裁民事8部に電話しました。『特別保存されているか調査する』と言われ、この日は電話を切ったのですが、内心で『特別保存しているのだろう』と期待していました」
民事の裁判記録(証拠書類や証言類などの事件記録)は5年を経過すると廃棄される決まりとなっているが、その例外として「特別保存」とされると国立公文書館へ移され、誰でも閲覧できる。
「しかし、今週の22日に『全記録を既に廃棄した』と回答され、はじめは驚きの余り、言葉が出ずにただ頭が真っ白でした。一度は電話を切りましたが、やはり信じられなくて、再度電話で確認したほどです。回答は同じで、廃棄日は答えられないとのことでした」
この回答を受けた直後に「是非、この事実を拡散して頂けますと幸いです」とツイートした。このツイートを江川さんが翌朝にリツイートし、3500以上の拡散が続いている。
江川さん「重要な史料を残せず申し訳ない」
学生傍聴人さんが閲覧請求するのは、これが初めてではない。刑事事件記録の閲覧では、存否ではなく、公開にハードルがあるという。
「これまで検察庁にも、オウム事件をはじめとして重大事件の記録の閲覧請求をしています。本来、刑事確定訴訟記録法には、第三者であっても正当な理由があれば閲覧ができると定められているにもかかわらず、いくら説明しても強い口調で『第三者は閲覧できません』と断られてしまいます」
「時には『書籍や記事などを書いたことがないのであれば、難しいと思います』と学生だからといって軽視されることや、地方検察庁によっては閲覧請求の受理すらされない場合もあります。憲法で裁判公開原則を定めた法治国家である我が国で、裁判記録は非常に重要な歴史的資料です。同じことを繰り返さないようにしてほしいです」
江川さんは、いつも一番前で授業を受けていた学生傍聴人さんを熱心だと感じており、裁判の公開について意見を交わすこともあった。今回、独自で調べたいと望んだ彼の知的好奇心が阻まれたことについて、江川さんは「司法文書は、こういう人たちのために残しておくべき資料なんだと実感しました。傍聴するなどして当時の時代の空気を知っている私たちのためじゃない。後世の人たちのためなんだと」と説明する。
「統一教会の解散命令について考える時、(刑法違反でなければ不可能との見解で)当初の政府見解を縛っていたのは、この判例です。裁判記録には、所管する東京都、また地検がどんなことを主張したかがあったはずで、判断に至る経緯を知る重要な歴史的資料でした」
オウム関連では、破産事件記録については被害者支援機構の弁護士らが2017年に要望し、特別保存の対象に指定されている。
江川さんは「加害者の刑事記録や破産など被害者関連の事件について働きかけを続けていたが、解散の記録は残せなかった。次の世代に送れなかった、申し訳ないという気持ちです。裁判所は記録を実務の資料と思っていて、史料だという感覚が希薄です。基本を『捨てる』から『残す』にして、捨てる場合にチェックが入るような仕組みを求めます」と強調した。
なお、東京地裁は2020年からは特別保存の基準を見直したとしている。
●全記録を廃棄…オウム真理教の解散命令請求関連 東京地裁が2006年 11/24
1995年の地下鉄サリン事件などを受け、東京地裁に申し立てられたオウム真理教の解散命令請求に関する全ての記録が廃棄されていたことが、地裁への取材で分かった。旧統一教会への解散命令請求が焦点となる中、宗教法人法に基づく数少ない解散命令の手続きの記録が廃棄されていたことは議論を呼びそうだ。
解散命令請求は東京都知事と東京地検検事正が申し立て、地裁は95年10月に解散を決定。96年1月、最高裁がオウム側の特別抗告を退け、確定した。地裁によると、記録は2006年3月8日に廃棄されたという。
最高裁の規定や通達によると、民事事件の記録は一審の裁判所が原則5年保存した後、廃棄するが、社会的に注目を集めた事件などは「特別保存」として事実上、永久保存する。
東京地裁では19年2月、重要な憲法判断がされた事件記録が多数廃棄されていたことが明らかになり、最高裁の指示を受け、著名な憲法判例集に掲載されている事件の保存状況を調査したところ、オウム真理教解散命令に関する記録の廃棄を把握したという。
検察庁が保管するオウム真理教の麻原彰晃しょうこう元死刑囚=執行時(63)、本名・松本智津夫ちづお=らの刑事裁判記録については、18年8月、当時の上川陽子法相が「刑事参考記録」に指定し、原則永久に保存するよう指示。13人の死刑執行に関する行政文書も期限を決めずに保存する方針とされた。
裁判所の記録保存を巡っては今年10月、神戸地裁が連続児童殺傷事件の少年に関する全記録を廃棄していたことが判明。最高裁は外部の有識者委員会を設置し、少年事件以外も含めた記録全ての保存の在り方について改めて検討することになっている。25日に第1回会合を開く。
地裁の担当者は「特別保存に付されなかった理由や廃棄の状況は明らかではない。廃棄の判断が適切だったかどうかについては、最高裁による有識者委員会の調査検討の進捗しんちょくも踏まえて検討していきたい」としている。
●「オウム真理教」など過去2件の解散命令請求 記録すべて廃棄  11/24
宗教法人法に基づき裁判所に「オウム真理教」と「明覚寺」の解散命令請求が行われた際の証拠などの記録がすべて廃棄されていたことがわかりました。
行政機関の請求を受けて裁判所が「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する」として宗教法人に解散命令を出したのは過去にこの2件しかなく、廃棄の判断が適切だったか問われることにそうです。
宗教法人の「解散命令」は行政機関などの請求を受けて裁判所が判断することになっています。
過去に行政機関からの請求に基づき「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為をした」という理由で解散命令を受けたのは、地下鉄サリン事件などを起こした「オウム真理教」と、和歌山県に本部があり教団幹部などが詐欺事件で有罪判決を受けた「明覚寺」の2件に限られています。
この2件について、裁判所の手続きで双方が提出した証拠や主張に関する書類などの記録はそれぞれ東京地方裁判所と和歌山地方裁判所で保存されていましたが、これまでにすべて廃棄されていたことがわかりました。
最高裁判所の規程では、解散命令請求を含む民事手続きの記録の保存期間は終了してから5年間ですが、社会の耳目を集めた事件などは「特別保存」に指定し、永久的に保存することになっています。
それぞれの裁判所によりますと、いずれも「特別保存」には指定されておらず、オウム真理教の記録は確定から10年後の2006年3月8日に廃棄され、明覚寺の記録も時期は不明ですがすでに廃棄されたということです。
宗教法人の解散命令をめぐっては、文部科学省が旧統一教会に対して宗教法人法に基づく「質問権」を行使していて、解散命令に該当しうる事実関係を把握した場合、裁判所への請求を検討するとしています。
過去にほとんど例がない手続きの記録がいずれも廃棄されていたことについて、判断が適切だったか問われることにそうです。
裁判所では少年事件の記録も各地で廃棄されていたことが相次いで明らかになっています。
東京地裁「適切な運用がされていたとは言いがたい状況にあった」
東京地方裁判所によりますと、3年前(2019年)、重要な憲法判断が示された裁判などの記録が多数廃棄されていたことが明らかになり、この問題をきっかけに保存状況を調査する過程で、オウム真理教の解散命令請求に関する記録が2006年3月に廃棄されたことを把握したということです。
東京地裁は「当時は『特別保存』を適切に行うための仕組みが整備されておらず、適切な運用がされていたとは言いがたい状況にあった」として、2020年に『特別保存』に関する新たな基準をまとめたと説明しています。
東京地裁の平木正洋所長は「記録などの廃棄の事案に関する今後の方針については、最高裁判所における有識者の意見を踏まえた検討の帰すうを踏まえて対応したい」とコメントしています。
裁判記録の保存に詳しい江川紹子氏「影響はかりしれない」
裁判記録の保存に詳しいジャーナリストの江川紹子さんは例が少ない解散命令請求に関する記録が廃棄されていたことについて、「過去のケースでどのような証拠や書面が出されて、解散命令の決定につながったか調べたり検証したりすることができなくなり、影響ははかりしれない。旧統一教会の関連で質問権の行使が始まっているが、過去の積み上げがない中でまっさらな状態で検討を進めていくしかないのではないか」と話しています。
そのうえで「裁判所は『歴史的な資料を取っておかないといけない』という感覚が無い。『一定期間が過ぎたら廃棄する』ではなく、捨てるときにチェックするように考え方を変える必要がある」と指摘しています。
●明覚寺の解散命令記録も廃棄 霊視商法詐欺事件で02年解散命じる決定 11/24
霊視商法詐欺事件を起こしたとされる宗教法人明覚寺(和歌山県)に対する解散命令の関連記録を、和歌山地裁が廃棄していたことが24日、地裁への取材で分かった。
地裁の担当者は、廃棄した時期や経緯を「不明」と説明し、廃棄が適切だったかどうかは「確認中」としている。
明覚寺の系列寺院は僧侶らに霊能があるかのように装い、供養料の名目で金銭を詐取した事件を起こした。文化庁は1999年、明覚寺の解散を和歌山地裁に請求し、地裁は2002年、法人ぐるみの詐欺行為と認定し「宗教団体の目的を著しく逸脱した」として解散を命じる決定をしたとされる。犯罪行為を理由とした解散決定は当時、オウム真理教に次いで2例目だった。
●安倍元首相の政治姿勢に疑問 自民・村上誠一郎氏「保守とは何だった」 11/24
自民党の村上誠一郎元行政改革担当相は24日、東京都内で開いた国政報告会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側との関係が指摘される安倍晋三元首相の政治姿勢に疑問を呈した。日本は韓国に奉仕する務めを負うと説く教団の教えを念頭に「裏でこういう皆さんと手を結んでいたとしたら、安倍氏の保守とは何だったのか」と述べた。
同時に、自民党と教団の関係を究明するため、第三者委員会による客観的な調査を行うべきだとの考えも示した。
村上氏は安倍氏を「国賊」と呼んだと報じられ、10月に党から役職停止処分を受けた。国政報告会では、自身は覚えていないとしている「国賊」発言について各種報道を引用しながら釈明した。
●旧統一教会2世≠ェ養子縁組の実態告白 政府被害者救済法案の不備 11/24
立憲民主党は24日、国会内で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の宗教2世#害者から養子縁組などの問題についてヒアリングを行った。
旧統一教会で行われてきた信者同士の養子縁組に法的な問題がある可能性が指摘されている。この日、天野ゆとりさん(仮名=統一教会祝福2世)は、養子縁組の問題や1世信者両親の老後破綻問題、与野党で協議中の被害者救済案などに言及した。
天野さんは、兄が養子に出されたことについて「声を聞いたこともない兄に会いたいけれど、会えない環境になってしまいました。教会内の養子縁組は、生みの親・育ての親、きょうだい、養子に出されたきょうだい全員が信仰を持っていないと成り立ちません。結局、振り回されるのは私たちきょうだい2世で、信仰をなくすと、まさに地獄のようになってしまいます」と訴えた。
次に1世信者両親の老後破綻問題≠ヘ「両親がカードでめいっぱい借金をすると、献金どころか生活費も危うくなり、子供にお金の無心をします。統一教会では『為(ため)に生きなさい』という教えがあり、お金に対し、嫌な顔をすると『自己中心的な最低最悪』と父に怒鳴られ、泣きながら銀行に借りに行ったことが何度もあります」と告白した。
政府の被害者救済法案について「政府案の債権者代位権は扶養家族だけが対象です。私は両親の扶養を外れているどころか、きょうだいのサポートを受けながら両親を扶養する立場におり、救済対象に入りません。これは決して特殊な状況ではなく、同じく声を上げている被害者2世≠フ多くが扶養から外れています」と問題点を指摘する。
最後に天野さんは被害者救済法案に動く立憲議員たちに「今一度、声を上げている被害者2世の実態に目を向けていただき、もう一歩二歩、踏み込んだ救済案をお願いします」と要請した。
全国霊感商法対策弁護士会の木村荘弁護士は「(被害者救済法案は)使える法案にしてもらいたい。(与野党に)こういう事例があると協力できることはしたいです」と語った。

 

●オウム解散命令の記録廃棄 「永久保存」対象外、06年に―東京地裁 11/25
宗教法人法に基づき、1995年に初めてオウム真理教に対する解散命令を決定した裁判記録について、東京地裁が特別保存(永久保存)の対象に指定せず、2006年に廃棄していたことが24日、同地裁への取材で分かった。最高裁の内規で、社会の耳目を集めるなどした裁判は事実上、永久保存の対象としている。
東京地裁によると、19年2月、多くの裁判記録が廃棄されていたことが発覚。これを受けた調査の過程で、オウムの解散命令に関する記録が06年3月8日に廃棄されていたことが判明したという。
同地裁は「廃棄当時は特別保存を適切に行うための仕組みが整備されておらず、規定・通達の趣旨に沿った適切な運用がされていたとは言い難い状況にあった」としている。同地裁は20年2月、最高裁の判例集に掲載された訴訟などを永久保存するよう運用を見直した。
宗教法人法は解散命令を出す根拠として、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」などと規定。「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)を巡り、文化庁が解散命令請求を視野に、同法に基づく「報告徴収・質問権」を初めて行使するなど調査を進めている。
●30年間営々と続けられてきた統一教会の「詐欺商法」を暴く 11/25
「改訂新版 統一教会とは何か」有田芳生・著
統一教会については、30年前、桜田淳子がソウルでの「国際合同結婚式」に参加したことで、その異常さを知ることになる。教祖の文鮮明が決めた見ず知らずの相手と、式場ではじめて顔を合わせ、互いの意思の確認もなく結婚する。奴隷のような扱いに、ただただ驚愕したものだった。
この儀式のハイライトは、「文鮮明の血」を受け継ぐために「文鮮明の精液が入っている」ワイン色の「聖酒」を飲むことであり、「第1回の結婚式」に至っては「3人の新婦と文鮮明はセックスを行なった」という。そんな淫教ぶりを、当時、著者の有田さんは熱心に報じていた。
すでに社会問題化していた「霊感商法」についても、そのインチキぶりを痛烈に批判。悩みを抱える人を教団は、「先祖から来る因縁を清算することが必要」と説き、「信じて滅びよ」と洗脳し、高額の壷や印鑑などを「年に40億円」売りつけていたという。そんな「詐欺商法」を休むことなく営々と続けていたことが、本書に収録された元信者たちの手記で生々しく語られている。
統一教会の原理の秘密は、戦争中、韓国を「植民地統治」した日本には、何をやってもいいという教祖の考えであるという。
まさにカルトゆえの教義だ。合同結婚式にしても、その目的のひとつは、結婚できない韓国の「農村に暮らす男性」に「統一教に入れば、教養のある日本人女性と結婚できる」と宣伝し、韓国での勢力拡大にあった。しかも花嫁となる日本人女性たちは、韓国に行く前に「祝福献金」をひとり200万円から240万円用意させられ、それを寄付金として持って行く。税務当局に把握されない一種の運び屋としても使われていたわけである。
与野党の議員たちはそんな教団の実態を知りながら、この30年間目をつぶり、選挙の手足として信者を使ってきた。教団との関係を深めるなか、逆に取り込まれていく過程は、日本の政治が機能不全に陥る姿そのものでもある。
●合宿にはサクラが…元信者の牧師が明かす、マインドコントロール手口 11/25
マインドコントロールの恐怖
今夏の参議院議員選挙の応援演説中、安倍晋三元首相が山上徹也容疑者に背後から銃撃され死去した。これを契機に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題点が一挙に噴出し、さまざまな波紋を呼んでいる。
彼の母親は旧統一教会の信者。その母親が行なっていた旧統一教会に対する多額の献金が原因で父親は自殺し、生活は破綻。それが犯行動機となった。
このような重大事件が引き起こされたにもかかわらず、母親はいまも旧統一教会に在籍し、なんら疑念も抱かず、むしろ擁護している。母親の精神は旧統一教会にからめとられ、完全にマインドコントロールにおちいっているのだ。
マインドコントロールとは、いったいどのようなものか。白河キリスト教教会(福島県白河市)の竹迫之牧師このように説明する。
「一般的にいえば、権威者に対して過度の依存、服従、従属し、自律性をうしなって他律的な行動に自分が支配された状態をいうんです。これを宗教に即していえば、教祖ないし開祖などに依存しているため教義や言動について正常な判断能力、精神状態が失われ、彼らの意のまま、自在に操作される状態に陥るわけです」
じつは竹迫牧師も旧統一教会の元信者であり、マインドコントロールに陥った被害者のひとりであった。
‘90年代、都内の街頭で若い男性から、「映画を見ながら人生を語り合いませんか」との勧誘を受け、ビデオセンターに連れて行かれたのが旧統一教会に入信するきっかけだった。その後3ヵ月間ビデオセンターに通いつめた。さらに4日間、埼玉県内の施設に若い男女40人ほどが集められて合宿が行われた。
信者合宿の奇妙な中身
この間、竹迫さんは勧誘した男性や団体の素性について質問しても、「いまは知らなくていい。そのうち分かるようになる」などとはぐらかし、答えなかったという。
「それがこの合宿で分かったんです。レクチャーを受けるなかで講師が文鮮明や統一教会のことを説明したからです。けれど、この段階になると抜け出せるものではないんです。
40人のなかには明らかにサクラと思われる信者がまじっており、彼らがさかんに『やるぞー』『頑張るぞー』と煽り立て、有無をいわせぬ雰囲気にさせるからです。私が完全にマインドコントロールされ、相手に指示されるがまま盲目的に行動するようになったのは、このときからでした」 
竹迫牧師は大学にはほとんど行かず休学状態になったという。そのうえ両親には北海道まで自転車旅行に出かけるとうそを言い、統一教会系列のダミー会社がおこなっていた訪問販売でワンボックスカーに乗ってハンカチなどを通常の3倍、4倍もの法外な価格で売りさばいていた。
呪縛が解けたきっかけ
その彼が旧統一教会から脱会したのはなぜか。
「足を骨折したので統一教会の活動から遠ざかり、その間にもう一度じっくり聖書を読みなおしたんです。これによって統一教会の欺瞞にようやく気付いたんです。
宗教とは本来、人々の心を癒し、幸福を導くためにある。ところが統一教会はまったく逆なんです。『これをしなければあなたは不幸になる、地獄に落ちる』などと不安や恐怖心をあおり、多額の献金を要求して家庭を破壊する。この矛盾に私は気づいたんです」
旧統一教会によるマインドコントロールの呪縛から完全に解放された竹迫さんは、その後、大学の神学部に進んで学びなおし、現在は牧師として布教に携わる一方で、旧統一教会などカルト宗教からの脱会や被害者救済活動に従事している。
竹迫牧師の例から分かるのは、マインドコントロールとはけっして相手に圧迫や強制を加えるものではなく、むしろ相手の自発的行動をみちびき出すがごとく装う点に特徴がある。
「この点で洗脳とは異なります。洗脳はある種の強制性や圧迫をともない、ときには拷問など暴力を用いて相手の思考、思想信条を根本的に改造させることを言います。けれど、マインドコントロールはいかにも相手の立場に立ちながら、実際は自分の欲する方向に相手の意思や思考を操作することなんです。
したがって、本人は自分がマインドコントロールされたことに気づかず、むしろ自分で考え、納得して選択したと思い込む。マインドコントロールのもっとも恐ろしいところはここなんです。錯覚であるということを知らないのです」
マインドコントロールとはつまり本人が自覚しないうち徐々にアイデンティティーを相手に奪われ、意識操作、あるいは思想改造をゆだねた状態を指す。マインドコントロールにはさまざまなテクニックが用いられるが、とりわけ以下のテクニックが特徴的だ。
まず権威の力が用いられること。たとえばある主婦が「近いうちに大地震が起こる」「噴火が発生するから気をつけよ」と言っても信用せず、かえって「なにを馬鹿なことを言ってるのか」と嘲笑する。これが大学教授や博士と称する人物の言葉だと疑いも持たず信用してしまう。これが権威だ。
次は詐術である。権威者は、人々がなにを求め、なにを望んでいるかを知っており、それを実現することも知っていると信じ込ませ、依存、従属させる。さらに、このような依存によって生じた人々の心理を自分に頼る、頼らせる関係へ導く。
この場合、用いられるのは他の方向から入ってくる情報や人的交流、環境、あるいは社会生活を遮断し、自分の支配下に置く特定の集団、グループ、コミュニティに帰属させるという手法だ。
権威、依存、詐術。そして恐怖心がこれらに続く。依存度の高さや強さはマインドコントロールの度合いを測定するバロメーターとも言える。
恐怖で支配する
しかし、これだけではまだ足りないものがある。相手の人格を完璧にコントロールし、服従、従属させ、支配下に置くためには恐怖心を抱かせる必要が、欠かせない。
つまり権威者や集団、コミュニティからの離脱は精神的支柱を失い、不幸に陥るだけでなく大切な家族にも災いをもたらし、それがひいては地獄に落ちる、サタンに襲われる――などさまざまな脅しをかけ、強迫観念を植えつけて恐怖心をあおることだ。
恐怖心を抱けば抱くほど相手の依存心は強くなり、権威者や集団にすがろうとする。依存とは言い換えれば信頼、信用とも表裏の関係にある。そのため権威者や集団にとって依存心の深まりは都合がいい。自分たちに向けられる懐疑心や不信感を取り上げることに繋がるからだ。
文鮮明を教祖とまつりあげ、絶対的権威者であるかのように仕立て上げるためその一挙手一投足、どれもがすべて神の御業であるがごとく描き、語り、神話化し、批判や懐疑を許さず、マインドコントロールにかけ、服従と隷属で支配する。
不幸の連鎖はこうして起こる
完全にマインドコントロールされ、盲従化した信者たちはあらたな信者を勧誘することになんら疑問、罪悪感を抱くことなく、むしろ社会貢献しているとすら錯覚する。その行為こそじつは逆に災禍の連鎖と拡大をもたらす元凶であるとも知らずに、だ。
もともとマインドコントロールとは自己に内在する潜在的能力を意識的に引き出すためのトレーニング法と理解され、ポジティブなものであった。
にもかかわらず、それを魔術にかけ、他者を支配し、隷属させ、あげくは献金などひとびとを集金マシーンに仕立てる道具とする――マインドコントロールの本来あるべき姿を歪曲し、悪用したのがカルト宗教であり旧統一教会なのだ。
●岸田の次は自分。総理の椅子狙う茂木幹事長の隠せぬパワハラ体質 11/25
旧統一教会と党所属議員との不適切な関係や相次ぐ閣僚の辞任が祟り、支持率の下落が止まらない岸田政権。党内では「ポスト岸田」の動きが活発化しているとも伝えられますが、その候補として茂木敏充幹事長の名がたびたび取り沙汰されています。本人も野心を隠さないように見受けられますが、果たして総理の椅子に座ることはできるのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんが、直近の茂木氏の言動からその思惑を推測するとともに、そもそも彼が宰相としての器を備えているか否かを考察。さらに肝心なところでボロを出してしまうという茂木氏の欠点を指摘しています。
ポスト岸田を狙うもボロを隠せない茂木幹事長
統一教会癒着、大失言、政治資金疑惑…宏池会から送り込んだ2人を含む3人の閣僚が立て続けに辞任し、岸田首相はますます孤立無援の様相を深めている。
こうなってくると、目を離せないのが茂木幹事長の動きだ。頭はキレても人望に欠けるといわれてきたが、凡庸がウリの岸田首相に対しては、自分のほうがウエという思いを燻らせてきたはずである。首相を支えるべき幹事長でありながら、「ポスト岸田」のイクサに名乗りをあげたいと意気込んでも不思議はない。
統一教会の被害者救済法案をめぐる与野党の協議に、茂木幹事長が割り込み、にわかに主役級の振る舞いをし始めたのは、その顕著な例といえるかもしれない。
「政府としては今国会への提出を視野に最大限の努力をする」と、岸田首相が宣言した時は、てっきり、被害者救済法案の主導権が与野党協議の場から岸田首相に移るのかと思った。
立憲民主党と日本維新の会が共同提出した法案をもとに、自民、公明、立憲、維新の4党による協議が行われてきたが、消極姿勢の与党側が今国会は見送る方針を示していたのを、岸田首相が政府案提出を約束することで押し戻した形だった。
この新法制定で、内閣支持率の下落に歯止めをかけようというのが、岸田首相の狙いだ。首相主導とするため、官邸と内閣府にチームをつくり、与野党との調整、交渉も、岸田首相の意を受けた官房長官なり副長官があたるというイメージを筆者は思い描いた。
だが、まったくその予測は外れた。岸田首相の掛け声に応える人材が官邸にはいなかった。この法案の難しさは、創価学会という宗教団体を母体とする公明党と、宗教団体から支援を受けている自民党議員の抵抗をかいくぐってまとめなければならない点にある。松野官房長官、木原副長官、嶋田総理秘書官にそれだけの政治力を求めるのはしょせん無理なことだった。
そこにつけ込んだのが茂木幹事長だ。法案をめぐる与野党協議は、各党の国会対策委員長の間で進められてきたが、茂木氏はその頭越しに幹事長どうしの協議を呼びかけた。それも、これまでの自民、公明、立憲、維新の4党とは別に、自公と国民民主党との協議も並行してはじめたのである。もちろん、自民の高木国会対策委員長が、野党側に押され気味だった局面を転換する意図もあっただろう。
11月18日、作成中の政府案の概要が、与野党6党の幹事長・書記局長会談で示された。
個人から寄付金を集める法人が、借金や、居住中の建物の売却で寄付金を調達するよう要求してはならないとし、寄付しなければ重大な不利益があると不安をあおる行為も禁止、違反した場合は刑事罰を適用するというような内容だ。
一見よさそうに思えるが、これでは、マインドコントロール下で自ら進んで多額の寄付をしたり、自宅売却や借金によらずに高額献金したケースは対象とならない。子や配偶者の取消権もきわめて限定的だ。被害者側弁護士からは、教団の実態を知らないで作成しているのではないかとの声が上がっている。
急いで作成したとはいえ、政府案がザル法のような中身になったのは、茂木幹事長が口出ししているからだと想像するが、どうだろうか。茂木幹事長の調整の眼目は、政府案を公明党の納得を得られる内容に仕向けることだ。それによって、公明党はもちろん、宗教団体の支援を受けている議員の多い党内もまとめられ、今国会で新法を成立させるめどが立つ。茂木幹事長が辣腕をふるって法案をまとめた形に持ち込みたいという算段だろう。
夏の参院選前に、選挙協力をめぐって公明党との間が気まずくなった茂木氏としては、被害者救済法案の規制内容を緩めることで、公明党にいい顔をし、党内右派の歓心を買いたいという思惑があるのではないか。
このところ、茂木氏は次の総理候補として、しばしばメディアに取り上げられている。本人も、岸田首相の相次ぐ失策を見て、しだいにその気になってきているようだ。
もとより茂木氏に、岸田首相の忠臣というイメージはない。岸田政権発足直後、衆議院選挙の小選挙区で敗れた当時の甘利明幹事長が辞任し、党内の混乱を避けるため、安倍晋三氏、麻生太郎氏の了解のもと、急遽、幹事長に起用されたのが党内第二の派閥(平成研)の会長、茂木氏だ。
安倍氏亡きあと、キングメーカーとして茂木氏が最もたよりとするのは麻生氏であろう。
10月23日のBSテレ東「NIKKEI 日曜サロン」に出演した茂木氏は、こう語った。
「岸田さん、麻生さん、そして私。総裁、副総裁、幹事長という立場にあり、またそれぞれ政策グループの長でもあるわけです。古代ローマのですね、政治体制になぞらえて『三頭政治』と言う人もいるようですけれども…」
この自信過剰ぶりには辟易するが、茂木氏の頭の中では、はやくも天下をとったような気になっているのだろうか。
メディアは茂木氏が麻生氏と立ち話をしただけでも、権力闘争がらみの相談と結びつける。
現代ビジネスによると、11月8日の衆議院本会議直前に、議場近くのエレベーターの前で麻生氏と茂木氏が数分間、記者を遠ざけて話し込んだ。その夜も、茂木氏は麻生氏の側近とされる参院議員の政治資金パーティに出席し、麻生氏と長時間にわたって話をした。最近、麻生氏は「岸田が辞めることになれば次は茂木だ」と言っているとか。
下には厳しく、上しか見ない茂木