FRB 利上げ判断継続
ちょっと頭を冷やしてください
ストップ ザ ミニバブル
FRB利上げ判断への反応・日米株価のピーク・連邦準備制度(FRS)・FRB・アメリカ金融政策の決定・・・ ■マイナス金利政策・マイナス金利導入史・アベノミクスに望まれる経済政策・・・ |
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FRB 独立性堅持 トランプ大統領に対峙 独自の金融政策表明 利上げ判断継続 |
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日本銀行 独立性放棄 安倍総理の方針 忖度追随 マイナス金利導入 袋小路 |
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●FRB利上げ判断への反応 | |
●ドルは112円半ば、FOMC議事録や株高支え−米利上げ継続観測 2018/1
➞ ドルは朝方の112円48銭から112円78銭まで上昇後は上値重く伸び悩む ➞ パウエル新議長就任でも3月米利上げ期待変わらない−JPモルガン 東京外国為替市場のドル・円相場は小じっかり。前日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録や良好な米経済指標を受けて、米利上げ継続観測が強まったほか、日米株高を背景にリスク選好の動きも支えとなり、ドル買い・円売りが先行した。 ドル・円相場は4日午後3時56分現在、前日比ほぼ変わらずの1ドル=112円55銭。朝方の112円48銭を安値に水準を切り上げ、一時112円78銭まで上昇した。その後伸び悩み、午後には朝方の上げ幅を解消した。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.1%上げたが、その後下落に転じている。 JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、「米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを継続し、リスクオンで株高。パウエル新議長が就任しても3月の米利上げ期待は変わらない」と説明。「米雇用統計はそれほど強気な見方ではないが、米利上げは既定路線なので、ドル・円も大きく動かないのではないか」と言い、今週は112円台で推移する可能性が高いとの見方を示した。 大発会4日の東京株式市場は3営業日ぶりに大幅反発。日経平均株価は前営業日12月29日比741円39銭(3.3%)高の2万3506円33銭と約26年ぶりの高値で取引を終えた。時間外取引で米10年債利回りは一時2ベーシスポイント(bp)高の2.47%程度まで上昇した。 米連邦準備制度理事会(FRB)が3日公表したFOMC議事録(12月12、13日開催)によると、大部分の参加者はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジ引き上げで漸進的なアプローチの継続を支持した。同日発表の12月米供給管理協会(ISM)製造業景況指数は前月から上昇し3カ月ぶりの高水準だった。米国株は続伸し、主要指数は過去最高値を更新した。 オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)取引に基づき推計される3月の米利上げ予想確率は4日時点で68.9%程度。2日時点では65.1%だった。この日はセントルイス連銀のブラード総裁が講演する。 三井住友信託銀行ニューヨークマーケットビジネスユニットの矢萩一樹調査役(ニューヨーク在勤)は、「議事録はタカ派的に捉えられたと考えていいと思う。議事録のような内容をFRB高官が今後も発言していくなら、ドル・円はもっと上昇してもおかしくない」と指摘。「ISM製造業指数が良かったこともあり、雇用統計もあまり悪い数字は出ないのではないか」と述べた。 5日発表の12月米雇用統計の市場予想によると、非農業部門雇用者数は前月比19万人増加、失業率は4.1%が見込まれている。11月は22万8000人増加、4.1%だった。 ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.1%高の1ユーロ=1.2028ドル。ユーロ・円相場は0.2%高の1ユーロ=135円38銭。 |
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●ドル・円、3週間ぶり高値−米追加利上げ観測でドル高の流れ継続 2018/6/13
➞ ドル・円は一時110円69銭と5月23日以来の高値 ➞ FOMCを受けた年内利上げ回数の織り込みが焦点に−野村証 東京外国為替市場のドル・円相場は続伸し、5月23日以来の高値を更新した。米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げを見込んだドル高の流れが継続したほか、株高などのリスク選好の動きも支えとなった。 ドル・円相場は13日午後3時25分現在、前日比0.2%高の1ドル=110円57銭。FOMCの政策決定を控える中で、日本株の上昇も後押しとなり、一時110円69銭まで上昇した。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.2%高で推移している。 野村証券外国為替部の高松弘一エグゼクティブ・ディレクターは、ドル・円について「今回のFOMC会合で利上げをして、そのあと年内に金利水準がどこまで上がるのかを織り込むのかが焦点になっているが、ドル買いで利上げを織り込みに行っている」と説明。その上で、「米朝首脳会談をこなして米株がしっかり、日本株もしっかりで推移しており、リスクオンの流れになっている」と述べた。 FOMCは日本時間の14日午前3時に政策決定を公表し、最新の経済予測とFOMC参加者の金利予測を分布したドット・プロットも示す。パウエルFRB議長は同午前3時半に記者会見を開く予定だ。 オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)マーケッツ本部の吉利重毅外国為替・コモディティー営業部長は、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の引き上げが確実視される中で、「その先の利上げペースに対するコミュニケーション、パウエルFRB議長の記者会見やドットプロットの変化が注目」と指摘。今回のFOMCでの利上げに加え、年内あと2回の利上げが確実視される場合には、「ドル・円は5月21日高値111円40銭も十分に届く動きになっていきそう」と述べた。 FOMC後の為替相場の展開について、野村証券の高松氏は「米長期金利が年初最高水準の3.12%を超える動きは微妙とみられているが、3%や3.1%を超えていく過程で株や資源国通貨などのリスクセンチメントがどこまで耐えられるか。そして、それを受けてドル・円もどこまで耐えらえるかが気になる」と述べた。 |
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●ドル/円欧米市場動向 FRBの利上げ継続観測からドル買い!2018/6/21
欧州市場朝方の取引では、ドルは主要通貨に対して概ね前日比小幅高で推移し、欧州株はやや反発気味だった。欧州時間に予定されているドラギECB総裁やパウエル米FRB議長、黒田日銀総裁などのパネル討議を控えて様子見ムードが強まり110.20円を挟んだもみ合いとなった。オーストリア中銀のノボトニー総裁がユーロの値動きについて、対ドルで弱含むとの見方を示すと、ユーロはドルや円に対して売りが強まった。ドル/円はユーロ・円につれ安となった。欧州株は全面高、NYダウ先物も堅調地合いとなり、前日のリスク回避的な円買いは後退した。ただ、株高にも米長期金利が2.90%台付近から伸び悩んだことからややドル売りが優勢となった。『中国は米関税に強い対抗措置を講じると表明した』との一部報道が伝わると109.95円まで下押ししたが、反応は一時的だった。その後、パウエル米FRB議長がパネル討議で『段階的な利上げを継続する根拠が強い』『雇用市場は一段と強く、賃金成長を後押ししている』と述べると、米長期金利の上昇とともに110.20円台まで切り返した。一旦下落したものの、NYダウが上げに転じたことで円売り・ドル買いがじわりと強まった。パウエルFRB議長がECBフォーラムで、米国経済が非常に良好で、インフレもFRBの目標である2%に近づいたとし、『緩やかな利上げ継続の根拠が強い』とさらなる利上げを示唆したことから、米長期金利の上昇などを手掛かりに円売り・ドル買いが強まった。 パウエル米FRB議長の発言から、米国は引き続き利上げ継続されるとの観測から米長期金利が上昇したことを受け、ドル高・円安が継続した。昨晩の欧米市場でのレンジは109.95円〜110.45円となった。上下限を抜けると、短期筋などのストップロスが入りやすくなり、加速的な動きとなりやすいので注意。米長期金利が再び上昇してきたことから、ドルは底堅い展開となりやすい。 |
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●FRB議長の『議会証言』、緩やかな利上げを継続へ 2018/7/17
米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、年に2回、金融政策に関する報告書を議会に提出し、併せて上院と下院で議長が証言を行います。これによって、最大雇用と物価安定の実現というFRBの2つの責務達成への見通し、方策を確認することができます。7月17日に上院銀行委員会で行われた今回の『議会証言』で、パウエルFRB議長は、良好な米国の景気、物価情勢を踏まえ、「緩やかな利上げの継続が妥当」と述べました。 ●経済は堅調に拡大、物価は低い水準で安定 パウエル議長は『議会証言』で、米国経済の見通しについて、(1)良好な金融環境、(2)家計、企業の資金需要に十分、対応しうる、より堅固な金融システム、(3)拡張的な財政政策および減税、(4)引き続き堅調な海外経済、等に支えられて拡大を続け、物価上昇率は今後数年にわたってFRBの目標である+2%近傍で推移する、と述べました。 ●失業率のさらなる低下を見込む 米国の失業率は、今年上期の平均で4.0%と、およそ18年ぶりの水準近傍まで低下しましたが、パウエル議長にインフレ高騰を懸念する様子は見られません。失業率が下がったにもかかわらず賃金上昇が緩慢なものにとどまっていること、アフリカ系やヒスパニック系の失業率になお改善の余地があること等が理由であり、さらなる失業率の低下を見込んでいます。 一方、経済見通しに対する不透明要因として、トランプ政権による保護主義的な通商政策の影響や、財政支出増加の景気押し上げ効果の規模および、効果が発現する時期等が挙げられました。 ●今後の展開 景気が拡大を続け、物価上昇率も+2%近傍で安定した動きとなっていること等から、パウエル議長は「当面は、緩やかなペースで利上げを継続するのが最善の道」と述べました。問題は、利上げの最終的な着地点ですが、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる政策金利の長期予測の中央値が+2.9%であること等を踏まえると、+3.0%前後がひとつの目安になると考えられます。 パウエル議長の『議会証言』が行われた7月17日の米国市場では、米ドルが日本円、ユーロ等の主要通貨に対して買われ、株価が上昇しました。なかでもナスダック総合指数は、終値ベースで史上最高値を更新しました。パウエル議長の米経済に対する楽観的な見通しと、漸進的な利上げ継続の方針を好感したこと等によるものです。一方、10年国債利回りは小動きにとどまりました。 |
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●トルコ以外の新興国も資本流出が本格化する 2018/8/15
FRBの利上げ継続が原因、先行きを甘く見るな 金融市場にはトルコショックの余波が続いており、ドル円相場は1ドル=110.50〜111円の直近安値圏で推移している。 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は利上げも国際金融支援も退け、米国による追加関税拡大の原因となっている米国人牧師解放にも応じず、ひたすら流動性供給と資本規制だけで対応している。そんなスタンスが市場から評価されるはずもなく、混乱がはっきりと収束する見通しは今のところ立っていない。13日にはこの流れを受けて通貨安に歯止めがかからなくなったアルゼンチン中銀が主要政策金利を従来の40%から45%に引き上げている。後述するように、こうした連鎖は相応に続く可能性がある。 筆者はアメリカが利上げに耐えられるとしても新興国がそうとは限らないという論点を繰り返し強調してきた。そうした懸念の背景にはFRB(連邦準備制度理事会)の緩和環境を前提として新興国に流入していた巨額の資本の存在がある。 ここで少しだけ過去を振り返ってみたい。2010年以降の新興国投資ファンドへの累積資本流入額を見ると、欧州債務危機を横目に見ながらFRBが金融緩和の強化に励んだ結果、一方的な流入が続いた。しかし、2013年5月の議会証言でバーナンキFRB議長(当時)が段階的な量的緩和(QE)の縮小(いわゆるテーパリング)を示唆すると一気に逆流へ転じ、2016年初頭までの約2年半にわたって資本流出が続いた。 いわゆるテーパータントラム(Taper Tantrum、Temper Tantrum「かんしゃく」をもじったもの)が取り沙汰された時期であり、これがFRBの正常化プロセスのペースにブレーキをかけたこともあった。ちなみに、同期間は新興国経済の景気減速局面と合致している。たとえば途上国全体のPMI(購買担当者景気指数)などを見ると、2015〜16年初頭にかけては好不況の分かれ目とされる50を割り込む状態が定着した。先進国および世界全体では50を超えていたが、新興国だけは50割れとなっていた。 2016年入り後に原油価格が1バレル=30ドルを割り込んだのはFRBの緩和縮小に伴い投機資金が縮小したこともあろうが、そもそも新興国経済の停滞により実需が縮小したという側面もあっただろう。FRBの緩和縮小で資本流入が細ったために(資源国でもある)新興国の成長が減速したのか、それとももともと新興国の景気循環縮小局面だったのか、もしくはその両方だったのかは定かではないが、この局面ではNYダウ平均もほぼ横ばいとなり、ドル円相場の一方的な上昇も反転するなど、市場全体で元気のない局面であった。さしずめ、FRBの正常化プロセスに伴う第1次資本流出とでもいうべき局面だろうか。 その後、2016年後半に入ると新興国経済も持ち直し、世界経済は再度拡大局面に入る。テーパータントラムにより及び腰になったFRBの正常化プロセスが遅れたため、完全雇用状態にある米国経済の資産価格が騰勢を強め、これが他国にも波及したというのが筆者の基本認識である。たとえばFRBスタッフ見通しにおける長期失業率(≒自然失業率)見通しは2013年3月時点で5.6%であったが、そこから3年後の2016年6月の失業率は4.9%まで下がっていた。 それでもその時点で利上げは1回しかできておらず、バランスシート縮小に至っては当分先の話だと考えられていた。2015年8月にチャイナショック、2016年6月に英国のEU離脱方針決定、同年11月にドナルド・トランプ大統領誕生という巨大なリスクオフイベントが続いたため、緩和解除に慎重にならざるをえなかったという不可抗力があるが、世界最大の経済である米国において「完全雇用下での緩和継続」という状況が許容された結果、米国内外に資産市場の騰勢がもたらされたという疑いは強い。 ちなみに米国の直近のデータで失業率は2018年7月に3.9%まで下がっており、これに着目すればFRBが正常化プロセスに邁進することはうなずける。だが、繰り返しになるが、FRBの金融緩和を前提に資本流入を当て込んできた新興国の動揺は不可避である。7月の筆者記事「FRBは新興国通貨を本当に追い詰める段階に」でもIMF(国際通貨基金)の分析を引用して議論したように、2014年以降、新興国に流入した資金の9割弱が米国の金融緩和要因によるものであり、新興国のファンダメンタルズに起因する部分は1割程度である。 秋からバランスシートの縮小に着手し、四半期ごとの迷いなき利上げが続けられている以上、新興国からの資本流出は当然の帰結であり驚くべきものではない。市場参加者として関心があるのは「何がきっかけでそれが加速するか」だろう。この点、前掲の資本流出入の動きを見ると、2018年4月に流入がピークアウトし、5月から第2次流出局面が始まったように見受けられる。要するに、5月初旬に見られたアルゼンチンペソ急落がきっかけとなった疑いがある。今、直面しているトルコショックが第2次資本流出局面の到来を決定づけたのかどうかという目線で現状を評価したい。 今、トルコで起きているパニックの大部分はエルドアン大統領に特有の政策運営(利上げの妨害・米国人牧師の解放拒否・IMF融資要請拒否など)に起因しており、他の新興国とリンクさせるべきではないという考え方もあろう。しかし、欧州債務危機時も本当に公的部門に問題を抱えているのはギリシャとイタリアくらいであったが、「経常赤字国である」という一点だけを理由に、本来は財政黒字であったスペインやアイルランドなどもPIIGSと一括りにされ危機が連鎖した。 今回もエルドアン大統領ほどの政治的リスクを抱える国が少ないとはいえ、そもそも対外経済部門に脆弱性を抱える新興国は多く、トルコショックを契機として過剰に流入していた資本が新興国から継続的に流出する恐れはある。実際、足元を見ても下落幅の大きな通貨は往々にして経常赤字国である。 トルコリラやアルゼンチンペソは世界有数の経常赤字国通貨であり、この2通貨がとりわけ騒がれているのは偶然ではない。また、その2通貨の変化率が巨大すぎるために相対的に目立たなくなっているが、南アランドやブラジルレアルも約10%とかなり大きな下落幅となっている。この局面に至っては、「トルコリラだけは特別だから」という言い分は通用しづらくなっている。 第2次資本流出局面が始まった疑いのある中、果たしてFRBが現行の正常化プロセスをこれまで通り敢行できるのか。9月会合までまだ時間はあるが、この状況が続けば少なくとも声明文では国際金融市場のリスクとして言及しなければならないような事態と見受けられる。これは、利上げ見通しにどの程度影響し、米金利およびドル相場はどの程度動くのか。筆者は引き続き年内にFRBの正常化プロセスが終着点に到達し、米金利、ドル共に下方向に振れる展開を予想している。 |
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●トランプ氏はパウエルFRB議長に不満、低金利期待が外れ 2018/8/21
トランプ米大統領は自身が指名したパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長について、低金利政策を推進すると見込んでいたが逆に金利を引き上げていると、ニューヨーク州サウサンプトンで17日に開かれた資金集めのイベントで共和党支持者に不満を漏らした。イベントの出席者3人が明らかにした。トランプ氏の大統領就任以降に米金融当局は5回利上げしており、うち2回はパウエル氏が議長になってから実施した。FRBの議長と理事は大統領が指名するが、連邦準備制度自体は独立しており、過去の大統領も、政治を考慮せずに利上げを実施する金融当局に不満を抱くことがあった。 トランプ大統領はこれまでも、最近の利上げに公然と不満を表明してきたが、今回の非公開のイベントでの発言は、パウエル議長に対する最も直接的な批判に当たる。G10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は、この発言が報じられた直後に下落した。トランプ大統領はロイター通信が20日に伝えたインタビューでも、他の国・地域は米国と貿易摩擦を繰り広げる中、中央銀行の行動に助けられていると発言。「この期間中、金融当局は私を多少でも助けるべきだ。他の国・地域では中銀が便宜を図っている」とした上で、米金融当局が利上げを継続するなら批判を続けるつもりだと述べた。トランプ大統領はまた、米国の主要貿易パートナーである中国と欧州連合(EU)について、為替を操作していると非難した。大統領は貿易問題で中国とEUから譲歩を引き出そうとしている。トランプ大統領はロイター通信とのインタビューで、「私は中国が為替を操作しているのは間違いないと思う。ユーロも操作されているとみている」と述べた。G10通貨の対ドル上昇をユーロがけん引した。ファンドがアジア取引でユーロなどの売りポジションの買い戻しを余儀なくされたとトレーダーは説明した。ロイターが説明抜きに引用したトランプ大統領の為替発言は米政府の調査結果と異なっている。米財務省は4月に公表した半期に一度の為替報告書で、中国やEUを含めいかなる国・地域についても為替操作の認定を見送った。トランプ大統領は先月19日、経済専門局CNBCとのインタビューで、金融当局が借り入れコストを引き上げ、経済を減速させている可能性があるとして、「うれしくない」と述べた。これは、金融当局の独立性を尊重して大統領は金融政策にコメントしないという20数年間続いていた規範を破る発言だった。 米金融当局は、過去の景気拡大局面より緩やかなペースで利上げを進めている。失業率が4%を割り込み、このところ経済成長が加速していることを考慮すれば、金利は過去の水準から見て低い。パウエル議長ら当局者は、目標の2%を大幅に超過する兆候を見せないインフレ率を根拠に、利上げに慎重なアプローチで臨んでいる。直近の6月の利上げによりフェデラルファンド(FF)金利誘導目標は1.75−2%のレンジとなった。ほとんどのエコノミストはこの水準を中立金利より1ポイント前後下回っており、現在でも米経済成長の減速ではなく、加速を促しているとみている。ホワイトハウスのギドリー報道官とFRBのデービッド・スキッドモア報道官はいずれもコメントを控えた。 |
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●トランプ大統領の利上げ牽制発言に大きなリスク 2018/8/21
トランプ大統領が金融政策に再び言及 トランプ大統領が、利上げを進める米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長への不満を示したとの報道を受けて、本日の為替市場はほぼ2か月ぶりの水準まで円高ドル安が進んだ。 トランプ大統領は先週末の会合で、利上げを進めるパウエル議長について、「低金利継続を期待して議長に指名したのに、利上げを続けている」などと不満を表明したとブルームバーグ社が報じた。また、ロイター通信社のインタビューに応じたトランプ大統領は、パウエル議長が利上げを継続する方針であることについて、「気に入らない」と述べたという。 今年7月にもトランプ大統領はFRBの利上げに不満を表明し、その直後にムニューシン財務長官は、トランプ大統領と自分は今もFRBを完全に支持していると語るなど、火消しに回った経緯がある。この際には、トランプ発言は政府が中央銀行の政策に介入するものとして多くの批判を受けたが、そこからわずか1か月で、トランプ大統領は同じ問題発言を行ったことになる。 折しも、トランプ政権は現在トルコ政府と対立を強めている。トルコ・リラの下落に歯止めが掛からない大きな理由の一つは、エルドアン大統領が中央銀行の政策に露骨に介入し、通貨防衛を狙った利上げ策の実施を妨げていることにある。トランプ大統領は、こうした点に全く学んでいないことになる。 市場では2つの見方が拮抗か トランプ大統領の発言が為替市場で円高ドル安を生じさせたことは、市場がFRBの利上げペースが緩やかになる可能性を意識し、織り込んだことを反映している。他方、米国の債券市場、株式市場はともに上昇しており、トランプ発言の影響は明確には見られない。しかしこれは、トランプ大統領の発言についての金融市場の評価が分かれていることを反映している面があるのではないか。 市場の評価の第1は、トランプ大統領の牽制によってFRBは、先行き、利上げペースを落とさざるを得なくなり、その結果、中長期的にインフレリスクが高まってしまう。いわゆるビハインド・ザ・カーブのリスクが高まる可能性だ。この場合には、長期金利が上昇、イールドカーブがスティープ化する。これは株式市場にも打撃となろう。第2は、FRBが政治介入をはねつけ、その独立性を誇示する観点から、むしろ以前よりも金融引き締めに前向きになることだ。この場合、先行きのインフレ期待が低下するとともに景気悪化懸念(いわゆるオーバーキル観測)が浮上し、長期金利が低下、イールドカーブがフラット化する。金融引き締め強化による景気悪化懸念から、株式市場には大きな打撃となろう。 現状はこうした2つの見方が拮抗し、互いに打ち消し合う中で、金融市場の反応が結果として限られて見えている可能性があるだろう。しかしひとたび両者のバランスが崩れれば、金融市場は俄かに不安定化し、株価の下方リスクが高まる可能性がある。 金融市場の反応が大きくないことに慢心し、トランプ大統領が金融政策を牽制する発言を今後も繰り返せば、いずれはこのような大きな市場の反応を招いてしまう可能性があるのではないか。 |
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●米、段階的利上げ継続 FRB議長、9月決定へ 2018/8/25
米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は24日、西部ワイオミング州ジャクソンホールでの経済シンポジウムで講演し「米経済は力強い」との認識を示し、段階的に利上げを続ける方針を改めて強調。9月下旬に開かれる次の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ決定を示唆した。. パウエル氏は「所得と雇用の力強い拡大が続けば、さらなる段階的な利上げが適切になるだろう」と語った。11月の中間選挙を控えて高成長を保ちたいトランプ米大統領は利上げを批判しているが、当面は利上げ路線を堅持する考えを示した形だ。. パウエル氏は今年2月に就任しており、議長として同シンポジウムでの初の講演となった。良好な家計支出や雇用創出に加え、大型減税など財政による景気刺激策に触れて「米経済は力強い状態が続くと見込める理由がある」と先行きを楽観視した。. |
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●FRB利上げ継続観測でドル上昇、対円で9カ月ぶり高値=NY市場 2018/9/28
ニューヨーク外為市場では、米連邦準備理事会(FRB)が2020年まで利上げを継続するとの見方からドルが買われ、対円で9カ月ぶりの高値を付けた。イタリア予算案を巡る懸念がユーロの重しとなったことことも作用し、ドル指数は2週間ぶりの水準に上昇した。 主要6通貨に対するドル指数.DXYは7─9月は0.5%上昇し、四半期ベースで2四半期連続での上昇となる見通し。ドルは過去6カ月で約6%上昇している。 タイラー・グローバル・ビジョン(ニューヨーク)のプレジデント、ジョン・タイラー氏は、「ドル相場を押し上げている要因には変わりがない」とし、「世界経済に減速の兆しが見られる中、通商戦争も継続している。こうした状況下で米国の金利が上昇していることは、先進国通貨であれ、新興国通貨であれ、循環に敏感な通貨に対する主要なバリアとなる」と述べた。 終盤の取引でドル指数は0.3%高の95.144。3日続伸となった。 ドル/円JPY=は113.66円と、9カ月ぶりの高値を更新。終盤の取引では0.2%高の113.59円となっている。 この日発表の米経済指標は、8月の個人消費支出が前月比0.3%増となったほか、9月の米ミシガン大消費者信頼感指数(確報値)が100.1と今年3月以来の高水準となり、米経済が安定的な成長軌道に乗っていることが示された。 ユーロ/ドルEUR=は一時、2週間ぶりに1.16ドルを下回った。終盤の取引で0.2%安の1.1613ドルとなっている。 イタリア連立政権は前日、来年度の予算案を巡り財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を2.4%とすることで合意。同予算案を巡る懸念が重しとなり、ユーロは前日の取引で約2カ月ぶりの大幅な下落となっていた。 |
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●トランプ大統領「FRB狂った」 株価急落受け非難 10/11
トランプ米大統領は10日、米利上げ継続観測を背景に株式相場が急落したことを受けて「連邦準備制度理事会(FRB)は狂ってしまった。引き締め過ぎだ」と連日のFRB批判を展開した。選挙遊説先のペンシルベニア州で記者団に語った。大統領が独立機関のFRBを名指しで非難するのは、極めて異例だ。 FRBは米経済の過熱を防ぐため、政策金利を3カ月に1回のペースで引き上げている。11月の中間選挙を控えて好景気を保ちたいトランプ氏は、9日にも「早く動く必要はない」と利上げを急ぐ必要はないとの見方を示していた。 |
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●「FRBは気が変」とトランプ氏、株価急落で不満 10/11
トランプ米大統領は10日、遊説先の東部ペンシルベニア州で記者団に対し、この日の株価急落について「実際は長らく待っていた調整だ」と語った。 また、政策金利の引き上げを続ける連邦準備制度理事会(FRB)に「賛同しない」と指摘したうえで、「(FRBは)気が変になっていると思う」と述べ、金融引き締めに対する不満をにじませた。大統領が独立機関のFRBを名指しで非難するのは、極めて異例。 FRBは米経済の過熱を防ぐため、政策金利を3カ月に1回のペースで引き上げている。11月の中間選挙を控えて好景気を保ちたいトランプ氏は、9日にも「早く動く必要はない」と利上げを急ぐ必要はないとの見方を示していた。 |
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●米利上げ回数の予想が後退、「来年末までに3回」に疑問符ー株安で 2018/10/11
➞ 来年末までに3回目の利上げの確率は80%前後に ➞ 今年12月の利上げ確率は81%から74%に低下 世界的な株安の中で、トレーダーらは連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ回数予想を後退させた。 短期金融市場が完全に織り込む来年末までの利上げ回数は2回となり、3回目の確率は80%前後と見なされている。9日には3回以上の利上げが完全に織り込まれていた。今年12月の利上げ確率は81%から74%に低下した。 米当局は2015年12月以降、8回の利上げをしている。ナスダック100種株価指数は10日に4%余り下落し、過去7年間で最悪の下げとなった。11日のアジア株も下落した。 |
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●ダウ平均が連日下落、トランプ大統領「FRBは制御不能」 10/12
アメリカのトランプ大統領は11日、金利の引き上げが続くという観測を背景にダウ平均株価の下落が続いていることについて、「FRB=連邦準備制度理事会は制御不能だ」と前日に続いて非難しました。 「FRBは制御不能だ。彼らがやっていることは間違っている」(トランプ大統領) トランプ大統領は、金利の引き上げが続くという観測を背景に11日もダウ平均株価が連日下落したことについてこのように述べ、10日に続いてFRBを名指しで非難しました。FRBのパウエル議長については、「彼を解任するつもりはない。ただ、利上げに失望しているだけだ」と述べました。 トランプ氏は、外国為替市場についても「ドルが非常に強く、企業にとって若干の困難を引き起こしている」と語り、ドル高をけん制しました。 |
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●株式相場は20%急落が必要か、「Fedプット」期待なら 2018/10/12
➞ 米当局の大規模な政策見直しには15−20%調整必要−エバコア ➞ 株安を米金融当局は恐らく重大視していない−ウエストパック銀 米金融当局が市場を救ってくれると期待している人は、失望するかもしれない。事態が今よりずっと悪くならない限り、そうした状況が生まれる公算は小さい。 こう指摘するのは、エバコアISIで中央銀行の戦略分析責任者を務めるクリシュナ・グハ氏だ。S&P500種株価指数は10日に前日比3.3%安と、2月以来の大幅下落となったが、米金融当局の注意を引くには少なくとも10%の調整が必要だと同氏はみる。また、仮にそうした事態になったとしても、想定される利上げ路線の変更には恐らく至らないだろうと言う。 グハ氏は「Fed(米金融当局)が政策を大きく見直す必要に迫られるとすれば、15−20%という、もっとずっと大きな調整が必要になろう」とリポートで指摘。信用スプレッドと為替レートのボラティリティーを当局が考慮する公算も大きいと論じた。相場急落時に米当局が金融政策を緩和するとの考えは、「Fedプット」という言葉で知られる。 S&P500種が9月に付けた終値ベースの最高値2930.75から10%下げた水準は約2638となり、10日の終値(2785.68)を大きく下回る。20%急落となれば2345。2017年半ば以来の水準だ。 ウエストパック銀行のシニアストラテジスト、ショーン・キャロー氏もグハ氏と同様の見方だ。キャロー氏は米金融当局が自国経済の堅調さに自信を示していることを挙げ、当局は恐らく株式相場下落を「成長とインフレの見通しに実質的な影響はない」とみているとリポートで言及。少なくとも当面は「Fedプットという考えは葬り去ろう」と記した。 |
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●FRB、ハト派急旋回のドタバタ劇 2019/6/24
「鏡に映った自分」に怒るトランプ大統領 注目された6月18〜19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、アメリカの政策金利である「フェデラルファンド(FF)金利」の誘導目標を2.25〜2.50%に据え置くことを決定した。 FOMCの会合後に公表された声明文の修正ポイントは2点。 (1)利上げに「忍耐強く(patient)」あるとの文言を削除したこと、その代わりに(2)「適切に行動する(act as appropriate)」との文言を加えたことである。 さらに「見通しに対する不透明感が高まった(uncertainties about this outlook have increased)」との記載も加わったことを踏まえれば、利下げの"露払い"という整理で良さそうだ。 ●焦点は利下げの「有無」から「幅」へ 今回はセントルイス連銀のブラード総裁が0.25%の利下げを主張して却下されているが、FOMCメンバーの金利見通し(ドットチャート)では2019年末までに0.25%か0.5%の利下げを見込むメンバーが17人中8人と半数近くに達している。年内の焦点は利下げの「有無」ではなく「幅」(0.25%なのか、0.5%なのか)に移ったと考えて良いだろう。 ドットチャートを詳しく見ていくと、前回公表された3月時点では17人中11人が現状維持、4人が1回利上げ、2人が2回利上げを想定していた。つまり、利下げを視野に入れていたメンバーはいなかった。 だが、今回は17人中1人が1回利上げ、8人が現状維持、1人が1回利下げ、7人が2回利下げとかなり大きく変わっている。 2回利下げの7人は「0.25%×2回」か「0.5%×1回」を意味しているため、「7月に0.5%」という腹積もりのメンバーも含むかもしれない。 【図表】は、年4回目の利上げを決断した直後となる2018年12月と今回について、ドットチャートを比較したものである。もはや想定している政策金利の軌道は半年前と別物であり、2020年末などは1%も齟齬が出ている。 2019年末は中央値・最頻値ともに2.375%なので2018年末から0.5%程度の下方修正にとどまっているように見えるが、上述したようにこれは8人が現状維持を予想した結果である。半数近いメンバーは利下げを予想している実情があるため、図が示すイメージ以上にドットチャートは下方修正されていると考えて良い。 ●FRBの「のりしろ論」が招いた混乱 それにしてもここまで性急な修正が許されてしまうと、ドットチャートはかえって混乱を招くだけにも思える。 確かに、この半年間で米中貿易戦争の激化やイギリスのEU離脱(ブレグジット)を巡る混乱が不透明感を強めたという事実はある。とはいえ、「年4回利上げからの年2回利下げ」という急旋回を要するほど経済・金融環境が激変したかと言われると疑問だ。 例えば、米連邦準備制度理事会(FRB)スタッフ見通し(SEP、予想中央値)に目をやれば、実質国内総生産(GDP)成長率見通しはやや上方修正され、失業率も低下している。 失業率については「自然失業率」と同一視される長期見通しも下がっているため、今回の失業率低下は需給ギャップの縮小をもたらすものではない(つまり物価も押し上げない)という整理なのだろう。 しかし、それでも成長率見通しが引き上げられていることは事実である。そのようなタイミングで金融政策運営が顕著にハト派(金融緩和に積極的)色を強めることの正当性は分かりにくいものがあると言わざるを得ない。 トランプ政権の保護主義は確かに不透明感を強めているが、それ自体は2018年からリスク視されていたことであり、その不規則な言動も常態と言えば常態であった。インフレ基調も元々さほど強くはなかった。 結局、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)よりも「将来の利下げ余地」を作るための「のりしろ論」を主軸としてきた政策運営が、このドタバタ感につながっているということではないのか。 ●トランプ大統領の二枚舌 金融市場では6月18日、トランプ米大統領が追加緩和の可能性を示唆した欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁に「口撃」を放ったことが注目された。 ドラギ総裁がECB年次総会でインフレ率の鈍化が続く状況に対し「追加の景気刺激が必要」と述べ、利下げや資産購入の再開について言及した。これを受けてユーロ相場が対ドルで一時下落するという場面があった。 トランプ大統領はこれに噛み付き、自身のツイッターで「対ドルでのユーロ下落を引き起こしており、アメリカと競争しやすくしている」と反撃し、市場で「ドラギ vs. トランプ」の構図がはやし立てられるようになった。 利下げや量的緩和(QE)の再開などの潜在的な実施可能性は6月6日のECB政策理事会でも言われていたことであり、ドラギ総裁としてはその確認をしただけだったと思われる。トランプ大統領の攻撃的な反応でかえって事が大きくなった感じがある。 しかし、である。FRBがこれだけハト派色を強め、そうした方向転換を大統領自身が扇動してきた経緯を思えば、二枚舌も甚だしいと言わざるを得ない。 わざわざトランプ大統領が騒いだことでECBはもちろん、日本銀行も今後の言動に気をつけなければならない雰囲気が出てしまっている。 6月19日、浅川雅嗣財務官が「緩和的金融政策を取ることは、自国通貨安への誘導ではないのであれば、お互いに許容しようというのがG7、G20での合意」とメッセージを発しているのは正しい動きであり、国際的な紳士協定をツイッター1つで反故にするような動きには看過できないものがある。 これまで国内の金融政策運営や海外との通商関係など、ことごとく口を出してきたトランプ大統領だが、他国政府ですら介入をちゅうちょする他国中央銀行の政策領域に踏み込むことは異常であり、ますます孤立を招く契機になるかもしれない。 ●打つ手限られる日銀、ドル全面安・円高へ そもそも変動為替相場制の世界において通貨の方向感を思い通りに設定でき、しかもその動きに継続性をもたせる能力がある中央銀行はFRBくらいであり、本来ならば最も政治的介入を排除しなければならない存在と考えられる。 ドラギ総裁の発言は確かにユーロ安を誘う内容ではあったが、結局、FOMC後の動きを見ると対ドルで上昇している。FRBや米金利、ドルこそが為替市場の潮流を作るということが良く現れた地合いになっている。 いずれにせよ6月のFOMCを境にFRBは利下げ局面に入ることになる。だが、FRBがハト派色を強めるほどに円やユーロに上昇圧力がかかり、日銀やECBが「次の一手」を検討せざるを得ない状況になる。 上述したように、基本的に為替市場の潮流はアメリカの通貨・金融政策によって規定される部分が大きく、「次の一手」は無為に終わる可能性が高い。しかし、だからと言って「何もしない」わけにはいかないのが中央銀行の辛いところである。日銀もECBもなけなしの金融政策の「カード」から、何らかの妙手を検討せざるを得ない。 そうして通貨高に対応しようとする海外中銀にいきり立つトランプ大統領は、まるで「鏡に映った自分に怒る」という不毛な行為にいそしんでいるようにも見える。 円やユーロが騰勢を強め、日銀やECBが動きを強いられているのはFRBのハト派傾斜によるところが大きく、そうしたFRBの動きを政治的に要求してきたのがトランプ大統領自身である。 筆者は過去2年ほど、FRBの金融政策の正常化プロセスは物価・賃金情勢に照らせば過剰と考え、FRBがハト派に急旋回する結果、「ドル全面安の下でユーロ高、円高が進む」という展開を警戒してきた。ここにきてそのシナリオの確度は急速に高まっているように思える。 |
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●NYダウの上値のメドはどれくらいなのか? 7/3
2019年の株式市場も折り返しを迎えた。日経平均株価は年初来高値2万2362円をピークに、終値ベースで約8%調整する場面もあったが、上半期は総じて右肩上がりの上昇トレンドを描いている。それだけに安値2万289円を底とする戻りを継続できるかが、当面の焦点となりそうだ。 一方で、長期のローソク足である月足を見ると、12カ月移動平均線と24カ月移動平均線はデッドクロスしている。エリオット波動での短期間の5波動構成では順調な戻りをみせている日経平均株価だが、このデッドクロス示現で重要な正念場を迎えている。 ただし、デッドクロスではあるものの、現在も長期の24カ月移動平均線が上昇基調を維持している点は心強い。実際、この12カ月・24カ月線のデッドクロスは2016年にもみられたが、のちに解消された。今回も、一気に奪回するための期待材料が少なくとも2つはあると考える。 まず期待材料のひとつ目は、為替市場の円高一服があげられる。ドル円相場は一時1ドル=106円台まで円高が進行したものの、いったん転換点を迎えた可能性が大きい。需給面で見ても、6月末は四半期とも重なり、実需の円買いドル売りが増えていた可能性が高い。実際、こうした動きは為替市場のサイクルにも反映されており、四半期末を境にトレンドが変わるパターンは少なくない。1ドル=109円近辺まではチャート上の節目も少なく、ドル高に向かうリバウンドのパワーだけでも十分に戻せる水準だと考える。 二つめ目は、アメリカ株の市場の堅調さが維持されそうなことだ。NYダウは取引時間中の最高値を更新したとはいえ、2018年1月高値以降の高値保ち合いを上放れるには至っていない。 しかし、比較的浅い押しを経て高値更新を実現した今回は「三度目の正直」となる期待が大きいとみる。株式市場が上値抵抗ラインからの上放れを認識する段階では、4月高値形成後の約1500ドル幅の下げを「倍返し」とする2万8000ドルを目指す展開も意識されそうだ。今の株価水準には割安感こそないものの、アメリカの米利下げ期待が持続している間は金融相場の色彩が強まり、結局は割高ゾーンを堂々と突き進む展開も想定できる。 今挙げた2つの期待材料とも米長期金利の動向が深く関わっていることから、やはり今後の最大の注目材料は7月30・31日の米FOMC(連邦公開市場委員会)となりそうだ。FOMC開催前のマーケットは、5日発表の雇用統計など重要な米経済指標で景気動向を、さらに中旬から始まる米主要企業によって、一喜一憂する展開が予想される。ただ、いずれにしても当面は円高一服とアメリカの株高が両立しやすいとみている。すでに年内2〜3回分の利下げが織り込まれつつある状況では、実際に利下げが行われた場合でもインパクトは乏しく、それだけで一段の円高を誘発するとは考えづらいからだ。 では逆に利下げが見送られた場合はどうか。その場合は短期的にはネガティブな影響がありそうだが、「好景気と株高の状況下で予防的利下げカードが温存された」との理解も得られやすい。その場合は円高が進まず、利下げ期待だけを残す相場展開も想定される。 筆者としては、なによりドナルド・トランプ大統領が2020年の米大統領選での勝利を意識し始めた重要性を踏まえておきたい。米中首脳会談での中国の情報通信機器最大手ファーウェイに対する禁輸措置の一部解除への言及や、電撃的な板門店での米朝首脳会談に臨んだ背景には、大統領選挙に向けた支持拡大があると推察される。 特に米中貿易摩擦については、ここまでアメリカ側が一方的に押しているように見えても、トランプ大統領の任期を考えれば、長期戦では中国側に有利だ。短期決戦で一気に決着したい中での敢えての譲歩は、まずは次の任期をがっちり確保するための政権運営に舵を切ったと思われる。それなら株価に配慮した施策が実現する可能性も高い。 さて、当面の日経平均株価だが、米中貿易摩擦への懸念を深める前の年初来高値水準である2万2362円を試す場面があるとみている。7月1日の日銀短観は先行きに不安を残す内容だったが、少なくとも当面は商品投資顧問(CTA)の買い戻しが優勢になりそうだ。 もっとも2万2000円へ接近する場面では戻り売りから上値が重くなる公算も大きい。ここからは待機資金を誘発する支援材料も欲しいところだ。7月中旬には米企業決算、7月下旬から国内企業決算が本格化する。待機資金が本格的に動き出すタイミングは、下期のガイダンスを見極めてからとなりそうだが、上昇トレンドの維持を確認するためには、年初来高値である2万2362円の更新は「マスト」である。 物色テーマからは、半導体関連銘柄の上昇トレンドへの転換の可能性に注目したい。牽引役のパワー半導体関連だけでなく、ここに来て製造装置も含めた広義の半導体関連株のトレンドが良化しつつある。この業界の重要指標であるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も、13週移動平均線近辺まで戻っており、日経平均を押し上げる効果の大きいテーマだけに注目したいところだ。また、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)関連銘柄ではフィードフォース(7068)のIPO(新規株式公開)を5日に控えている。同社株の値動き次第では、テーマとしての人気が再燃する可能性がある。同テーマは値動きの活発な銘柄が多く引き続き注目だ。 |
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●日米株価のピークは過ぎた? 2018/10/8 | |
投資家の皆さんはしばらく様子見が吉かもしれません。今回の「押し目」はそこそこ深く、もしかしたら「そこそこ大きな調整局面入り」の可能性があります。
年内のピークは10月第1週だった?聡明な投資家は「様子見」が吉 ●好調すぎる雇用統計 10月5日に発表されたアメリカ雇用統計では、失業率が3.7%と、1969年12月以来の驚異的な低い数字となりました。なんとなんと49年ぶりの低さです、市場予想を「良い意味」で裏切りました。平均の賃金上昇率のほうは、市場予測通りに2.8%増しと安定。平均の賃金上昇率は鈍化はしませんでした。この日の雇用統計は、かねてからパウエルFRB議長が指摘するように「アメリカ経済は、低インフレと低失業率が共存する、類いまれな景気拡大期にある、この景気拡大期は長く継続するだろう」ことを、しっかりと裏付ける形になりました。 ●利上げ路線は継続か この日の市場関係者は、「今後kのFRBの利上げ路線(今年残り1回、来年3回から4回)は、FRBの見通しどおりになるだろう」と、予測を改めるようになりました。大方の市場関係者や当メルマガの予測は、一部修正を迫られる結果となりました。マーケットは「パウエルFRBの見通し」のほうを信頼し始めたわけです。その結果、アメリカの長期金利は「上昇」しました。 ●長期金利上昇が株価を下げる アメリカ経済は「低インフレ・低失業のたぐいまれな景気拡張」を続けるでしょう。ところが、長期金利の上昇は株価にはマイナスです。長期金利の上昇は企業業績を食います。具体的には、住宅ローンの金利の上昇や自動車ローンの金利の上昇、社債の金利の上昇を伴って、企業業績を圧迫します。この日のアメリカ株式市場は、FAANGなどのモメンタム株を中心に、「下落」で反応しました。 ●米国株「今年のピーク」は10月第1週か アメリカ株式市場は今年に限ってみれば、10月第1週あたりが「頂点」だったかもしれません。ただし、アメリカの株式ブームがこれで去るというわけではなく、当面、アメリカ株式市場は行ったり来たりの横ばいになる可能性があります。ここまでは、「アメリカの景気が良いので長期金利が上昇する。けれども、長期金利の上昇は株価にはマイナス」というお話でした。ここから、もっと深刻な話をお伝えします。 ●中国がApple・Amazonに「ハードウェア攻撃」の真相は… 10月4日の夕刻、ブルームバーグは「中国がAppleやAmazonなど30社以上の米企業のサーバーにアクセスできるチップを取り付け、機密情報を取得している」という、とてもショッキングなニュースを大きく報道しました(編注:米国国土安全保障省、被害者とされるApple・Amazonおよびチップを埋め込んだとされる中国企業のSupermicroはこの報道を否定しています)。これはかなりショッキングなニュースです。米中の「経済覇権をめぐる戦い」は、今後さらに本格化・長期化するかもしれません。アメリカは、中国製のパソコンや半導体などの部品に25%の関税をかけるどころか、「輸入しない」方向へ向かうかもしれません。 ●各国経済に広がる波紋 週明け、上海株式市場は大幅下落で始まることでしょう(執筆時点2018/10/7)。今後の中国の出方がとても気になるところです。新興国株式市場もまだまだ下落を続けるかもしれません。 ●日本株は当面「横ばい」か 今後の日本株式市場は、アメリカ株式市場と上海株式市場の中間的な動きをする可能性があります。アメリカの長期金利の上昇による「ドル高・円安」が日本株を下支えするかもしれませんが、日本株式市場も今にして思えば、10月第1週が「頂点」だった可能性も否定できません。と言っても、これで「アベノミクス」が終わったわけではありません。黒田日銀の金融緩和は継続されています。また10月24日に召集される予定の臨時国会での「補正予算」も期待されています。今後は日本株式市場も当面は行ったり来たりの横ばいかもしれません。 |
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●連邦準備制度 (Federal Reserve System, FRS) | |
アメリカ合衆国の中央銀行制度である。ワシントンD.C.にある連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board, FRB)が全国の主要都市に散在する連邦準備銀行(Federal Reserve Bank, FRB)を統括する。連邦準備制度理事会は連邦議会の下にある政府機関であるが、予算の割当や人事の干渉を受けない。各連邦準備銀行は株式を発行する法人である。 | |
●前史
●ウォール街とスイス 1776年の建国以来、アメリカ合衆国では第一合衆国銀行や第二合衆国銀行のような試みはあったものの、アンドリュー・ジャクソンら分権主義者の反対で取り潰される等して(Bank War)、中央銀行は成立せず、個々の銀行等が米国債や金準備を使って紙幣を発行していた。もっとも、インディアナ州においては連邦準備制度の原型とみられる金融制度が採用されていた。 分権主義を逆手にとって、欧州資本が進出してきた。1834年ロスチャイルドが大規模に合衆国公債を引受け、翌1835年までにボストン・ニューヨーク・フィラデルフィア・ボルチモアにロスチャイルドの利益を代表する支店または代理商がおかれ、さらにロスチャイルドは500万ドルのアメリカ公債を保有した。1837年恐慌で州立銀行がデフォルトすると、代わりにウォール街の金融が栄え出した。州債発行額は1835年から著しく増加して1842年をピークに漸減したが、それは恐慌にかまわず公債が欧州へ輸出されたことを意味する。この現象は綿花の売上げ低下と関係する。恐慌をすぎて合衆国銀行はニコラス・ビドル(Nicholas Biddle)の主導により、綿花受入・販売のためリヴァプールに、州債売却のためロンドンに、各代理店を同時に置いた。そして買いつけた綿花を代理店に蓄え相場の上がるまで卸さず、またその間の信用は手形を代理店に送って州債を担保に調達した。1839年10月の州債デフォルトによりビドル体制は行き詰まりだした。ベルギー・プロイセン・ザクセンの綿産業が(メリノ種羊毛と競い)不況となったからである。デニソン商会(Denison & Co.)とロスチャイルド、そしてホープ商会は合衆国銀行に1220万ドルの州債を担保に追加するよう求めた。1840年3月に州債を連邦で保証する法案が否決され、ペンシルベニア州債が利子の支払いを遅滞するとベアリングス銀行が連邦保証を求めた。6月からベアリングはニューヨーク(市と州)とオハイオ州の公債を売りまくった。1841年2月に合衆国銀行が営業停止となってフリーバンキング時代が到来した。しかしホープ商会とベアリング家が買収を支援したルイジアナ州では地金型金貨を銀行に準備させる制度が採られた(The Forstall System)。 1839年にベルギーが永世中立を保障されてから、欧州綿産業は大雑把に表現すれば次のように展開した。1843年にプロイセンのケルンとベルギーのアントウェルペンが鉄道で結ばれた。1848年スイス連邦が分離同盟戦争を経て成立した。その北部ではカルヴァン派をふくむ宗教改革派が産業革命を達成した。それはチューリッヒを核とする勢力であったが、ミュルーズと高ライン地域に綿工業ベルトをつくっていた。製品を南へ出荷することは戦争のほとぼりが冷めるまで難しかったから、西・北・東でベルト地帯に接するフランス・バーデン王国・ヴュルテンベルク王国・バイエルン王国・オーストリアのいずれかを取引先とした。これらの輸出先もカトリックをルーツにもっていたが、当時は啓蒙思想による改革が進み、割り切った輸入がなされていた。 ●貿易金融の掌握 1861年にアメリカで南北戦争が起こり、綿製品需要が生じた。スヘルデ川の航行権を回復したベルギーから、ベルト地帯の製品が取引先を経由して戦地へ輸出された。綿ブローカーが戦地アメリカで利権を築こうとし、ドイツの証券市場が盛況となった。するとアメリカでも販路開拓の動きが起こった。1864年、New York Guaranty and Indemnity Company という信託会社が生まれた。1870年の普仏戦争でミュルーズをふくむアルザスがドイツ帝国のものとなり、輸出経路の国境が取り払われてベルトは回転速度を増した。 世界的な大不況が進行するにつれて欧州各国で金本位制が採用されていった。その前半に三国同盟が成りスイスの商圏が広がった。合衆国への拡大は時間の問題であった。1891年、相互生命(Mutual Life Insurance Company of New York、現アクサ)が先に英名で書いた信託会社の経営権を取得し、5年後にその信託会社をギャランティ・トラスト・カンパニー(1959年からモルガン・ギャランティ・トラスト)へ改名した。ギャランティは1897年にロンドン支店を開設し、巨大な外国部もニューヨークへ置いた。 1901年、ハートリー(Marcellus Hartley)が地元コネチカットの認可を受けて貿易金融会社(International Banking Corporation)をつくった。エドワード・ヘンリー・ハリマンやアイザック・グッゲンハイムを重役としてアジア開発を仲介した。競争相手のギャランティから1904年にアジアの三支店を譲り受けたが、1907年恐慌は主力のロンドン支店を窮地へ追いやった。 ギャランティは恐慌をすぎてから急速に総資産額を伸ばした。1909年時点で、ギャランティは次の銀行とコルレス契約を結び、証券の発行・引受・償還を代行していた。ナショナル・シティ、チェイス・ナショナル、そしてメロン・ナショナルである。このころのギャランティが擁した主要な重役を並べてみる。リーヴァイ・モートン、ジェームズ・デューク(James Buchanan Duke)、ジェイ・グールドの息子(George Jay Gould I)、ダニエル・グッゲンハイム(Daniel Guggenheim)、トーマス・ラモント(Thomas W. Lamont)、C.A.ピーボディ(C.A.Peabody)J.D.ライアン(J.D. Ryan)、ウィリアム・ダグラス・スローン(エミリー・ソーン・ヴァンダービルトと結婚)、アルバート・ウィギン(Albert H. Wiggin)、A.W.フェリン(Augustine William Ferrin, 米外交官)。 ●フランスに学ぶ理由 中央銀行を欠いた時代の金融技術とはコルレス制度のことであった。地方銀行は手形の取立支払のためニューヨーク市銀行に預金を蓄積した。この蓄積をバンカーズ・バランス(bankers' balance, 以下ババ)と呼ぶ。この手法は1830年代に相当発展していたが、1864年国法銀行法(National Bank Act 1864)により追認された。1887年まではニューヨークが唯一の中央準備市であったが、同年シカゴとセントルイスも加えられた。1890年から1910年の間には、ニューヨークの地位をそのままに、新しい中央準備市へも個人預金とババが動いた。1902年から1914年まで個人預金総額に対するババの割合は、中央準備市銀行の場合1910年を除いて7割をくだることがなかったし、特に1908年は9割に近かった。準備市銀行、地方銀行、非国法銀行は順に割合が低くなっていくが、どれも横ばいで、順に書いて二割強、二割弱、一割未満であった。ニューヨーク市国法銀行に限っていえば、1870年で69%もあったのが1900年で100%を超えて、その後も割合が増えていった。その内訳に着目すると、ニューヨーク市国法・州法銀行は70-100行に及ぶが、そのうち上位6-9行がババの半分以上を保有していた。この意味で、ニューヨーク市のメガバンクは金融界の頂点であった。ニューヨーク市国法銀行は巨額のババを財源に、貸付総額の1/3から1/2を占めるコールマネーを証券ブローカーに与えた。コールマネーは銀行間取引でも下位の銀行に貸し出されたが、その額は恐慌のときだけでなく連邦準備制度設立の直前にも跳ね上がった。 メガバンクにも焦る局面は存在した。1864年国法銀行法は国法銀行券を発行するときに米国債を担保とするよう定めた。1866年7月、州法銀行券に10%課税されるようになり、州法銀行券は駆逐されていった。これをもって発券が国法銀行に独占されたのは事実であったが、州法銀行は預金通貨の普及により1880年代に金融界での地位を回復しつつあった。それに、独占したはずの発券業務は手形を担保にすることができなかった。1880年代は国債の償還が進み、国債を担保とする国法銀行券が減り、国債と銀行券の流通量減少が国債価格を騰貴させた。すると発券用に調達する国債の利回りが減り、また銀行券の流通減少で市場金利が上昇、機会費用を差し引いた通貨発行益が目減りすることになった。国法銀行券発行益の減り具合は、農業地帯の西部・南部で深刻なものとなった。なぜなら券の発行総額は上限を法定された上で、人口等の経済規模にしたがって各州に配分されたからである。 通貨の不足した農業地帯はミシシッピ川流域を指す。ここはジョン・ローのときモーゲージを貸しこまれ、19世紀末の時代人にフランスをモーゲージ大国と呼ばせたエリアである。そこでフランスの金融制度を研究することになった。 |
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●歴史
●FRB設立 ジョージ・コーテルユー財務長官は、金融業界を保護するために、経済の安定を維持する国家主導の十分な能力が必要であると考えた。その対策として、まずオルドリッチ・ヴリーランド法(1908年)でアメリカ通貨委員会を設立。1910年11月22日、ジョージア州沿岸のジキル島にJ・P・.モルガンが所有するジキル島クラブで秘密会議が開かれ、FRBを設立する計画が討議された。計画は、彼らが掌握した貿易金融を促進すべく、アメリカの国際的な手形交換制度を建設した。 ギャランティなどが担う綿・穀物の貿易金融とは一見独立して、国内の工業系大企業は自己金融による輸出を拡大していた。デュポン・コダック・ゼネラルモーターズ・ゼネラルエレクトリック・NCR・レミントンランド・ウェスタンエレクトリック・ウェスティングハウスなど約30社は、1910年にアメリカ製造業者輸出協会(American Manufacturers Export Association)を結成した。 1913年中に、この段すべての出来事がおきた。まずアメリカ合衆国憲法修正第16条とアメリカ合衆国憲法修正第17条が批准された。ジキル島での会合時すでに修正が議論されていた2つの変革は、各州の財政力と政治力をそぎ落とした。基礎工事が済むと、J.P.モルガンやポール・ウォーバーグ(ドイツ語版、英語版)、ジョン・ロックフェラーの後ろ盾の下に、ウッドロウ・ウィルソン大統領がロバート・オーウェンとカーター・グラスの提出したオーウェン・グラス法に署名した。こうして、多くの上院議員が休暇で不在の隙を突いて12月23日にワシントンD.C.に駐在する連邦準備制度理事会と12地区に分割された連邦準備銀行により構成される連邦準備制度が成立した。「準備」とは預金準備のことを意味する。 1914年、USスチール社長でAMEA理事でもあったジェームズ・ファレル(James A. Farrell)が、連邦準備法に外国手形の割引特権と外国支店の設立(次節)が認められていることを指摘し、これらにより米系銀行による貿易金融が現実的となったことを喜び、また積極的な資本輸出を主張した。このAMEAは1917年、フランスの復興需要について報告書をまとめている。 外国手形の日本語訳はまちまちで、銀行引受手形(Bankers Acceptance)と書くことが比較的多い。それまで銀行引受手形の割引は(ニューヨーク銀行やギャランティ・トラストが)ロンドン市場で行っていたが、資金調達コストが割高であった。そこで、国内の銀行引受手形市場を整備・拡充することで資金調達コストを引き下げる努力がなされた。連邦準備制度が全面的にサポート、国債ディーラーも積極的に参加した。しかし肝心の清算銀行が資金を積極的には供給しなかった。1918年、連邦準備制度が手形を売戻条件付で買い入れた。こうして銀行引受手形がレポ市場の端緒となった。 1921年4月、ポール・ウォーバーグが国際引受銀行(International Acceptance Bank)をニューヨークで開業した。主要株主はクーン・ローブ、M・M・ヴァールブルク&CO、N・M・ロスチャイルド&サンズおよびその他であった。業務は銀行引受手形であり、合衆国では連邦準備局(連邦準備制度の旧名)とIAB が事実上独占した。ヨーロッパでは馴染みの貿易金融であった。 ロスチャイルド家だけでなくユニオン・バンクもIAB の経営を支えた。ロックフェラーのEquitable Trust Company(現・JPモルガン)やディロン・リードも協力し、IAB の短期信用網をティッセンなどが利用した。 ●エッジ法 FRBができるときにウォルター・エッジが、FRBの会員銀行は国際銀行業務とその他の国際金融業務に参入するため、連邦企業を組織できるようにするべきだと提唱した。この提案は、オーウェン・グラス法に附属する形で法律エッジ法となった。当時、欧州諸国は債務を抱え、合衆国からの輸入物をUSドルで買う余裕がなかった。そこでウォルター・エッジは、連邦企業がヨーロッパの輸入を金融し、短期貸しを長期貸しへロールオーバーしつつ、欧州経済の回復に応じて償還させるという提案をした。グラス・スティーガル法が通過した1933年、議会は連邦企業の商業銀行業務を制限するのを忘れた。 エッジ法は、大銀行がオフショア・ファンドや合同運用信託を使って1940年投資会社法を脱法するとき、連邦企業を通じて資金を供給した。1956年銀行持株会社法(Bank Holding Company Act)は銀行持株会社とその子会社による非銀行業務を原則禁止としていたが、オフショア・ファンド、つまりユーロ市場で活躍中の連邦企業は例外だった。 第二次世界大戦中はレポ取引が停止され、一方では大銀行だけでなく生保・年金までもが大量の米国債を消化していた。1951年に財務省との「アコード」が法制化して、連邦準備制度の金融政策の独立性を保障するとともに、米国債にかぎってレポ取引を再開した。こうしてアメリカの機関投資家へ資金が流れた。それは住宅ローンだけでなく、地方債と連邦債でも運用された。1962年、OECDが資本移動自由化コードを設定し、多国籍企業にも資金を供給できるようになった。 1975年、会員銀行とその系列企業が20をこえ、それらは30以上の連邦企業(Edge Act corporation)を経営している。この連邦企業は普通、会員銀行の子会社である。FRBは国内の連邦企業について、会員銀行が行う海外事業に付随する業務しか行わないと約束してはいるが、しかしウォール・ストリート・ジャーナルをはじめとする経済各紙掲載の公告は、オフショア市場開発、穀物取引、ロンドンのよく分からない市場混乱、国際的な中期融資、国際的な不動産貸借、そして合衆国輸出入銀行の事業に対し、連邦企業が連邦政府を通して融資を行っている実態を示す。 エッジ法は国際銀行法(International Banking Act of 1978)によって修正され、国際銀行業務へ参入する要件を緩和した。シティバンクは代表的な連邦企業であるが、ユーロ債市場を牽引したことでも有名である。 2002年9月、エッジ法によりニューヨーク連邦準備銀行の監督で即時決済銀行(CLS)がサービスを開始した。CLSは国際銀行間通信協会のネットワークを利用した、世界で唯一の多通貨決済システムである。為替差損を回避するため、参加通貨を発行する各中央銀行の重なった営業時間帯に、CLSが中央銀行にもつノストロ口座を利用してPVP決済する。国内決済のように、流動性供給銀行という通貨不足を互助する仕組みがある。CLSは通貨取引開発税をめぐる議論でも言及されている。 ●世界準備制度 1928年12月14日の国際連盟理事会で、金融委員会からの勧告が採択された。勧告の内容は、金購買力変動を調査する委員会を設置するものであった。アルベルト・ヤンセン(Albert-Édouard Janssen)を議長とする委員会に、ジョージ・ロバーツ親子(父がGeorge E. Roberts、子はミドルネームだけが父と異なりBassett)が委員として参加した。1930年6月に最初の中間報告書が提出された。報告書は金本位制の準備金が世界的に不足している計算結果を示した。さらに各国の準備金保有割合も弾き出した。1928年時点で、主要15カ国が世界の準備金100億3500万ドルの91.2%をもっており、そのうちアメリカだけで37.3%を占めるというのである。FRB が報告書の公表に強く反対したので、公表は1930年9月となった。報告書は準備金節約の手段として、郵便諸制度の活用を推奨したり、金為替制度の拡大を追認したりした。前者はライヒスバンクに、後者はフランス銀行に有利な主張であった。準備金の偏在と世界恐慌との関係は、後にも委員会の権限外として調べられることがなかった。 1934年、金準備法(Gold Reserve Act)が成立して、アメリカの金輸出は固定価格で金売買を行っている外国中央銀行に対してだけなされることになり、1974年12月まで民間の金兌換はできなくなった。財務省は通貨安定基金を使いドル相場を統制できるようになった。また物価の安定を名目とした外国為替介入や公開市場操作も可能となった。こうした手段は準備金の輸出を直接規制しうるものであった。固定化するドル安に、欧州各国はデフレ政策と通貨切り下げで応戦した。1936年9月25日、英仏が白旗をあげてアメリカと三国通貨協定(Tripartite Agreement)を結んだ。この策定にパウル・ファン・ゼーラントらベルギー勢が尽力した。 第二次世界大戦中の1938年、FRB はフランス銀行から準備金600トンの移送を受け入れた。戦後経済ではキューバが米州機構を脱退するまでにファンド・オブ・ファンズや知的所有権保護合同国際事務局でジュネーヴ金融が台頭した。 ブレトンウッズ体制下の1962年7月21日、FRB はスイス国立銀行と結んだスワップ協定を公表した。ニクソン・ショックより9年も早いドル防衛である。二者の他にスイス銀行と国際決済銀行が連携して、ニューヨーク連邦準備銀行に4.32億スイスフランを集め、その反対債権を利用して米国債に1億US ドルをもっていき兌換を阻止した。技術的に同様のスワップ協定は少し前に英仏オランダベルギーカナダと結んでいた。イングランド銀行は年始に金プールの代理人として参加国中央銀行から承認され、プール引き出しを連銀に報告しなくてよいことになっており、協力的な立場にあった。それにしても7月21日協定は直ちにプロセスの半分を履行するという電撃的なものであった。公表から2週間ほどの間に国際決済銀行はさらに1千万ドルのスワップを追加した。そして少し後に連銀と西ドイツブンデスバンクの間に5千万ドルのスワップ協定が結ばれた。 ●銀証分離の緩和 1968年から銀行引受手形市場は、ギャランティのユーロクリアが支配するユーロダラーに奪われていた。1971年、NY手形交換所(New York Clearing House)加盟銀行9行がCHIPSを稼動。これは、ユーロダラーやマネー・マーケット・ファンド、コマーシャル・ペーパーと並んで、連邦準備制度が要求する預金準備率をメガバンクが無視する常套手段としてもてはやされた。 1970年代、エージェンシー(政府=ジニー・メイ)と政府支援機関(GSEs)がモーゲージを証券化するようになった。 1975年、連邦準備制度による通貨供給量の増加に歯止めをかけようと議会が挑み、金融政策の目標値を公表・達成させるために民主的統制を制度保障する合意を得た。しかし同年3月の両院共同決議を最初として、連邦準備制度は二方向から攪乱してきた。通貨の定義を複数設けて(M1A, M1B, M2, M3, L)、それぞれに目標値を出すようにした。しかも供給量伸び率目標値の変動幅を算定する式を年内に五回も変更した。 1976年、怒った議会は連邦準備制度の重役を連銀レベルまで調べあげて、民間銀行や大企業との具体的な人的関係を暴露した。連邦準備制度は同年からフェデラル・ファンド金利の変動許容幅を狭めて現金の不足を演出し、なおかつ供給量伸び率の変動許容幅を広げて存分に現金を注入、インフレを煽動した。 1978年アメリカで外国銀行の支店設置を一つの州に限るという法律ができたが、バークレイズは適用除外された。 1979年10月、オイルショックがボルカー・ショックに発展した。そこで1982年後半から金融と規制を順に緩和した。 規制緩和について。グラス・スティーガル法第20条と1956年銀行持株会社法は、それぞれ異なる角度から銀証分離を定めている。これらに基づいて、銀行持株会社が所有できる非銀行子会社は、常識的な態様で銀行業務に付随し、かつ証券業務を主体としないものに制限されていたのである。ここで子会社の認可を出していたのはFRB であり、司法当局ではない。そして銀証分離はグラム・リーチ・ブライリー法ができる前からFRB が大幅に緩和していた。 1987年4月にFRB は、コマーシャル・ペーパー、モーゲージ担保証券、特定地方財源債の引受を業務に含む子会社に対する認可を求めてきた銀行持株会社に対し、これら業務を銀証分離の対象とした上で、それら業務からの収入がその子会社の総収入において5%以内であれば先の主体性を否定して認可するという態度を示した。この5%以内という収入制限は、1989年に10%、1997年には25%になった。子会社の営める証券業務範囲も1989年には社債、1990年には株式にまで拡大した。 このような緩和に伴い、地方債・モーゲージ証券・および国債をあつかうミューチュアル・ファンドへ資金が流入した。ファンドは以前から株式も積極的に購入しており、銀行は流れ出た預金を独自の投資信託で吸収していた。1863年国法銀行法(National Bank Act 1863)は銀行が事業会社株式を取得することを禁じていたが、投信は良い抜け穴であった。 このようなシャドー・バンキング・システムはグローバル化してゆき、世界金融危機までシステミック・リスクを高めた。 ●世界金融危機以降 FRBは世界金融危機に際し、TARPに紛れて16兆ドルもベイルアウトした。融資先は以下の15行。 シティグループ 2.5兆ドル / モルガン・スタンレー 2.04兆ドル / メリルリンチ 1.949兆ドル / バンカメ 1.344兆ドル / バークレイズ 8,680億ドル / ベア・スターンズ 8,530億ドル / ゴールドマン・サックス 8,140億ドル / JPモルガン・チェース 3,910億ドル / ドイツ銀行 3,540億ドル / UBS 2,870億ドル / クレディ・スイス 2,620億ドル / リーマン・ブラザーズ 1,830億ドル / スコットランド銀行 1,810億ドル / パリバ 1.750億ドル / ロイヤルバンク・オブ・スコットランド 5,410億ドル 2008年11月7日、ブルームバーグがベイルアウトなどの情報開示を求めてニューヨーク南部地区地方裁判所で連邦準備制度理事会を提訴した。翌年8月24日、FRB に対し開示命令が出た。27日、裁判所はFRB の打診を受けて9月30日までの履行延期を認めた。その間に手形交換所協会の加盟銀行が連絡をとり、訴訟に介入しFRB を弁護しはじめた。2010年5月4日に協会とFRB は控訴したが、いずれも8月20日に却下された。26日、合衆国最高裁判所は上告の準備として10月19日までの履行延期を認めた。訴訟は最終的に棄却され、2011年3月21日に再び開示命令が出た。FRB は5日以内にブルームバーグへ情報を提供することとなった。なお、ブルームバーグへはメリルリンチが30%資本参加している。 名前の列挙された銀行は手形交換所協会の加盟銀行として上のような防戦を展開する一方で、サブプライム住宅ローン危機の引き金となった住宅ローン担保証券をめぐり次々と訴訟を提起されている。またベイルアウトを受けた銀行の多くは、手形交換所協会の加盟銀行であるHSBCの不祥事とロングターム・キャピタル・マネジメントの救済融資に登場する。 不祥事の一部が周知され、2015年5月13日に米上院銀行委員会の長が、FRBに対する議会の監査強化や大手金融機関の資産基準引き下げなどを盛り込んだ、多岐にわたる法案を提出する運びとなった。同年3月、FRB とその他主要中央銀行はブロックチェーンによる通貨のデジタル化と決済ネットワークの構築に関してIBM と非公式に協議していた。 2018年5月22日、下院がドッド・フランク法の規制を一部緩める改正案を通過させた。賛成258票、反対159票の賛成多数。法案審議は超党派で進められた。オバマ前政権による規制強化を転換させた。上院は同法案を3月中旬に既に可決しており、ドナルド・トランプ大統領が近く署名して成立する見通し。骨子は3点。第1に、ストレステスト(健全性検査)を受けなければならないなど、厳しい規制の対象となる銀行の基準が、現行の資産規模500億ドルから2,500億ドルに引き上げられ、その対象が狭められる。第2は、小規模銀行に対して、住宅担保貸出関連業務や証券トレーディングへの規制が緩和される。第3に、ボルカー・ルールは総資産100億ドル以下などの条件を満たせば適用しない。改正の見送られた項目もあるが、実質的な修正は連邦準備制度などが裁量をもっている。5月30日にボルカー・ルールを改定する「ボルカー・ルール2.0」が採決される。ドラフト作成を主導したのは、昨年トランプ政権が金融監督担当のFRB副議長に指名したクォールズ(Randal Quarles)である。 「ボルカー・ルール2.0」には2017年6月の段階で5つの要点を指摘されている。そのうち二つは先に掲げたドッド・フランク法改正の骨子(第2および第3)と共通している。残りの3点はシャドー・バンキング・システムの再拡大へ直結する(以下に箇条書き)。 マーケットメイカーをスケープゴートにして発展した私設取引システムに対する銀行参加の規制を緩和 専門的なコンプライアンス担当者を雇用することを条件としたボルカー・ルールの適用免除 ヘッジファンド子会社を100%支配できる期間の上限を1年から3年に延長 |
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●連邦準備銀行の株主
連邦準備制度理事会は政府機関であるが、各連邦準備銀行は株式を発行する法人である。ただし、合衆国政府は連邦準備銀行の株式を所有しておらず、各連邦準備銀行によって管轄される個別金融機関が出資(=株式の所有)義務を負っている。また、個人や非金融機関の法人は連邦準備銀行の株式を所有できない。 個別金融機関による出資額は金融機関の資本規模に比例するが、連邦準備銀行理事を選出する際の投票権は出資規模に関わらず一票ずつであるため、大手銀行が主導権を握るといったことはできない。 連邦準備法により、連邦準備銀行の株主が連邦準備制度に及ぼす影響力はきわめて小さいものに限定されている。連邦準備法における連邦準備銀行の株主の位置づけは、9人の連邦準備銀行理事のうち6人を選定するにすぎない(他の3人は連邦準備制度理事会が指名)。また、連邦準備銀行理事の権限は理事長の選出のみであり、その理事長の権限も以下のものに限られている。 連邦公開市場委員会(FOMC)委員12人中5人の選出 連邦準備制度理事会への提言 連邦準備制度は大統領の指名と議会の承認による連邦準備制度理事会の主導により運営されている。但し、連邦準備制度理事会が政府機関であるのに対し、連邦準備銀行が民間企業の形式を採っているのは事実である。とはいえ完全な民間企業とも言えず、両者を折衷した性格を持っている。 |
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●主要業務
中央銀行としての一般的な業務は次のようなもの。 市中銀行の監督と規制(ユーロダラーの台頭から形骸化) 金融政策の実施(レーガン時代の高金利が連邦貯蓄貸付保険公社にダメージ) 財務省証券などの売買による公開市場操作(オイルショック手前のインフレを煽動) 以下は新しい知見となりうるもの。 支払制度の維持とFedwireの運営。 en:Automated Clearing Houseの規制。設立者のen:NACHAと共に行っている。 実際、支払制度が十分に維持されているとは言いがたい。2016年2月にバングラデシュ銀行が不正送金で損害を受けた事件をめぐり、バングラデシュ警察が捜査したところ、FRBはファイアウォールを有効にせずに10ドルの中古ルーターで国際銀行間通信協会に接続していたことが分かった。他にもずさんな実態の中央銀行があるものと世銀関係者が見ている。 金融政策の独立性については発足当時政府の影響を強く受けたとされる。この点、ミルトン・フリードマンなどが、「世界恐慌にまで発展した1920年代のアメリカの金融バブル崩壊に際して、連邦準備制度が明白な不作為によって事態を深刻化させた」と指摘する。この考え方は今ではベン・バーナンキ(第14代議長)をはじめとする経済学者に広く受け入れられている。戦後、ブレトンウッズ体制がスタートし、FRBと財務省が協定を締結し、金融政策の独自性を持つようになったとされる。 |
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●FRB | |
FRBは、"Federal Reserve Board"の略で、日本語では「連邦準備制度理事会」と呼ばれ、アメリカ合衆国の中央銀行制度である「FRS(連邦準備制度)」の最高意思決定機関(中核機関)をいいます。これは、米国の中央銀行に相当する機関であり、1913年の連邦準備法に基づいて設置された連邦準備局が前身で、1935年の銀行法により現名称に改称され、現在、首都のワシントンD.C.に本拠が置かれ、7名の理事(うち議長1名、副議長1名)から構成されています。また、FRBの下に位置するのが12の地区連邦準備銀行(Federal Reserve Banks)で、実際の中央銀行業務を行っています。
一般にFRBの主な業務は、公開市場操作を含む金融政策の決定のほか、連邦準備銀行の統括・監督、市中銀行に対する支払準備率の設定、連邦準備銀行が設定する割引率(公定歩合)の審査・決定などとなっています。また、金融政策の手段である公開市場操作を決定するのは「FOMC(連邦公開市場委員会)」で、これはFRBの7名の理事の他、5名の地区連銀総裁(ニューヨーク連銀総裁の他は11地区連銀からの輪番制)で構成されています。 ※FRBの理事は、大統領が指名し、上院の承認を得て任命され、任期は14年間(再任なし)で、また理事の中から正副議長が選ばれ、正副議長の任期は4年で再任も可能。(2年毎に理事の1人が任期満了) ※米国では、FRB議長は大統領に次ぐ影響力や権威を持つと言われる。 |
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●アメリカの金融政策を決定する「FRB」と「FOMC」とはなにか | |
2015年12月末にアメリカの量的緩和政策(QE)のうち、フェデラルファンド金利(FF金利)を事実上ゼロとする「ゼロ金利政策」の解除が発表されました。これは、アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で決定されました。今回は世界経済に大きな影響を与えるアメリカ中央銀行制度である「連邦準備制度(FRS)」と、FRSを構成する連邦準備制度理事会(FRB)と連邦準備銀行(FRB)、連邦公開市場委員会(FOMC)の3つの機関の役割を見てみましょう。 | |
●アメリカの「連邦準備制度(FRS)」を構成する3つの機関
●アメリカの中央銀行にあたる「連邦準備制度理事会(FRB)」 連邦準備制度理事会(FRB)は、アメリカの中央銀行制度である連邦準備制度(FRS)の最高意思決定機関(中核機関)です。FRBの本部はアメリカの首都であるワシントンD.C.に置かれ、7名の理事(うち議長1名、副議長1名)によって構成されています。 FRBの主な業務は、公開市場操作を含む金融政策の決定をはじめ、地区連邦準備銀行の統括・監督、市中銀行に対する支払準備率の設定、地区連邦準備銀行が設定する割引率(公定歩合)の審査・決定などあります。 FRBの決定に基づいて実際の金融業務を担当するのが全米に12行ある地区連邦準備銀行(FRB)であり、FRBの金融政策を決定するのが連邦公開市場委員会(FOMC)です。 ●連邦準備制度(FRS)の業務を担当する「連邦準備銀行(FRB)」 連邦準備銀行 (FRB) は、公開市場操作以外のFRSの業務や連邦準備券(ドル紙幣)の発行を実施する、連邦準備制度の要となる銀行です。連邦準備銀行は全米で12行あり、第2地区を担当するニューヨーク連邦準備銀行が中心的な役割を果たしています。 第1地区:ボストン連邦準備銀行 / 第2地区:ニューヨーク連邦準備銀行 / 第3地区:フィラデルフィア連邦準備銀行 / 第4地区:クリーブランド連邦準備銀行 / 第5地区:リッチモンド連邦準備銀行 / 第6地区:アトランタ連邦準備銀行 / 第7地区:シカゴ連邦準備銀行 / 第8地区:セントルイス連邦準備銀行 / 第9地区:ミネアポリス連邦準備銀行 / 第10地区:カンザスシティ連邦準備銀行 / 第11地区:ダラス連邦準備銀行 / 第12地区:サンフランシスコ連邦準備銀行 ●金融政策を決定する「連邦公開市場委員会(FOMC)」 連邦公開市場委員会(FOMC)とは、FRBが定期的に開催する金融政策の最高意思決定会合(機関)であり、アメリカの金融政策を決定するため、アメリカだけではなく各国の金利や政策方針などにも大きな影響を与える重要な会合として注目を集めます。 FOMC委員長はFRB議長、副委員長はニューヨーク連邦準備銀行総裁が務めます。委員長・副委員長以外の委員は、FRBの理事全員とニューヨーク連邦準備銀行を除く、11の連邦準備銀行総裁から選ばれた4名が1年ごとの持ち回りで正規委員として参加します。この他に委員ではない連邦準備銀行総裁7名も会議に参加できますが、この7名は議決権を持ちません。 |
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●景況報告・経済報告に基づいて金融政策を決定するFOMC
●「ベージュブック」を参考に金融政策を決定するFOMC FOMCは約6週間ごと年8回の定例開催を基本に、必要に応じて随時開催され、景況報告(ベージュブック)や経済報告(グリーンブック)に基づいて金融政策を議論します。メンバーの多数決(投票)により、フェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標や景況判断、今後の政策方針などを決定します。FF金利の変更は金利のみならず、マーケットにも大きな影響を与えるため、FF金利の誘導目標は特に高い注目を集めます。 政策の内容を発表する声明文はFOMC開催最終日(アメリカ東部標準時間午後2時15分頃)、議論の推移をまとめた議事要旨は政策決定日(FOMC開催最終日)の3週間後に公表され、これらも重要な材料として注目を集めます。 ●外国為替市場に大きく影響する会合の決定 アメリカ経済の方向性を左右するFOMCですが、その決定は外国為替市場にどのような影響を与えるのでしょうか。 金利引き上げは一般的に景気引き締めと通貨価値の引き上げを狙う金融政策であり、金利引き下げやゼロ金利は景気拡大と通貨価値引き下げを狙う金融政策です。金利引き上げではドル安、金利引き上げではドル高が大まかな方向性となります。 |
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●世界金融危機とFRBの採用した「量的緩和政策(QE)」
●アメリカ経済の景気後退とFRBの量的緩和政策 2007年のサブプライム危機から2008年のリーマンショックと世界金融危機により、それまで好調だったアメリカは急激な景気後退に見舞われます。これに対してFRBは、中央銀行として大規模な資産買い入れを進めて市中に流通するお金の量を増やす「量的緩和政策(QE)」の採用に踏み切りました。 ●緊急対応として導入されたQE1とQE2 結果として3回に分けて導入されるQEは、導入時期によってQE1とQE2、QE3と呼び分けられ、その目的や内容はそれぞれ異なります。 QE1はサブプライム危機とその後の世界金融危機への緊急対応として導入され、総額約1兆7,250億ドルが投入され、2010年に導入されたQE2では約6,000億ドルが費やされました。 ●アメリカの景気回復を確固としたものにするQE3 QE1とQE2に続いて2012年に導入されたQE3は、緊急対応としての側面が強かった従来のQEとは違い、アメリカの景気回復を確実なものにするために導入されました。 QE3では市場から住宅ローン担保証券(MBS)の月額400億ドル規模での買い取りと事実上のゼロ金利政策の延長による2本柱ではじまり、のちに長期国債の買い入れも含めた3本柱となります。FRBはQE3をインフレ率が抑制されている限り無制限に継続し、さらなる追加緩和の可能性を明言するなど、「雇用の最大化」と「物価の安定」という目標達成のため、積極的な姿勢を打ち出しました。 ●QEの終了と緩和逓減(テーパリング)・利上げ アメリカの景気回復を目的として導入されたQE3ですが、導入から1年が経った2013年末から緩和逓減(テーパリング)に踏み切ります。テーパリングではFOMC会合ごとに毎月の資産購入金額をそれぞれ50億ドルずつ減額することで進められ、2014年10月にはQE3が終了しました。 しかし、これまでのQEでFRBが買い入れた資産は再投資などにより維持されていることから、膨らんだバランスシートをどう管理するかや、事実上のゼロ金利政策が導入された政策金利(FFレート)をどのように引き上げるかが注目されています。 |
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● 世界の国内総生産(GDP)の半分を占めるアメリカの中央銀行制度である連邦準備制度(FRS)と、FRSを構成する連邦準備制度理事会(FRB)と連邦公開市場委員会(FOMC)は、アメリカ経済の先行きを左右することから、その動向に大きな注目が集まります。 特にFOMCで決定されるFF金利はアメリカの景気のバロメーターとなるため、その内容は外国為替市場にも影響することは珍しくありません。FOMC会合の前後には、その内容には要注目と言えそうです。 |
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