在庫一掃内閣

第4次安倍改造内閣

勲章です
脛に傷持つ 国会議員
 


組閣評論
政権キャッチフレーズ教育勅語復活杉田水脈杉田水脈さんは国家財産自民党議員スキャンダル史河野太郎外相・・・
 

 

●第4次安倍改造内閣 ( 2018年10月2日 - )
菅義偉官房長官が2日発表した第4次安倍改造内閣では、麻生太郎副総理兼財務・金融担当相と菅官房長官ら6人が留任する一方、岩屋毅衆院議員を防衛相に起用するなど12人が初入閣した。[ ◎留任 ○初入閣 ]
資質・過去の問題一覧
◎内閣総理大臣    安倍晋三
 発言スタイル キャッチフレーズ、都合の良い数字の羅列 
 円安誘導で 「アベノミクス、デフレ脱却、株価高騰」
   輸入品高騰、日本の食料品の6割が輸入品、国民にとっては増税と同じ
 忖度文化を創る お役人、茶坊主、マスメディア平伏す
 財政健全化先送り 日銀も協力マイナス金利
   海外メディアは日本の金融不安を心配 (日本メディアは知らんぷり)
 森友加計疑惑放置
◎副総理兼財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融・デフレ脱却) 麻生太郎
 森友公文書改ざん問題、セクハラ問題で被害者女性の攻撃発言等、所管責任放棄
○総務大臣       石田真敏
 モリカケ論功、証人喚問で佐川氏に昭恵夫人の森友問題への関与を否定させた
○法務大臣       山下貴司
 貧乏くじを引かされたとも、来年は天皇陛下即位で死刑執行できなくなるので、年内に多数の執行に踏み切るともいわれている、さらに来年検討されている恩赦は、対象の基準を巡って意見が分かれ、不公平との批判は必ず出る。石破派、東京地検特捜部検事出身、当選3回。法務政務官から2階級特進。
◎外務大臣       河野太郎
 持論「原発廃止論」「官僚批判」封印
○文部科学大臣    柴山昌彦
 同性婚攻撃、不適切発言に要注意 「(教育勅語について)アレンジした形で、今の道徳などに使える分野があり、普遍性を持っている部分がある」「(渋谷区に同性愛者が集まったら)問題があるというよりも……社会的な混乱が生じるでしょうね」  
◎厚生労働大臣・働き方改革担当 根本匠
○農林水産大臣    吉川貴盛
 北海道出身、農水行政の力は未知数の部分が多い
◎経済産業大臣    世耕弘成
◎国土交通大臣    石井啓一
○環境大臣       原田義昭
 学歴詐称問題で文部科学副大臣を辞任 「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている時にもかかわらず、申請しようとするのは承服できない」「杉田さんは自民党だけではなく国家の財産ですよ」  
○防衛大臣       岩屋毅 
 カジノ法案スキャンダル 米カジノ企業から脱法献金受取る
◎内閣官房長官・拉致問題担当・沖縄基地負担軽減担当 菅義偉
○復興大臣       渡辺博道
 当選7回だが際立った点なし、復興や防災の専門知識に疑問
○国家公安委員長・防災担当 山本順三
 「圧力・恫喝」体質の持ち主、モリカケ論功、獣医学部誘致の地元対策を巡り、安倍首相と今治市長とのパイプ役を務めた
○1億総活躍・行政改革・沖縄・北方 内閣府特命担当大臣 宮腰光寛
 TPP交渉に出席した「日本養鶏協会」(養鶏協)の栗木鋭三会長(当時)が宮腰光寛等自民党3議員に「協会としてお世話になる」と合計80万円を手渡した。政治資金規正法違反 。
○科学技術・IT  内閣府特命担当大臣 平井卓也
 ネトサポの親玉、党首討論会の福島瑞穂議員発言中に「黙れ、ばばあ!」と書き込む  「EM菌を使っている方がたくさんいるので幹事長を引き受けた。中身はよく知らない」  
◎経済再生  内閣府特命担当大臣 茂木敏充
 2015年広島土砂災害時、首相帰京後も最後までゴルフ
○地方創生  内閣府特命担当大臣 片山さつき
 生活保護バッシングの急先鋒、モリカケ問題に自民党スポークスマンとして、野党に反論展開 「国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です」  
○東京オリンピック 内閣府特命担当大臣 桜田義孝
 スポーツ経験まったくなし、2013年に東京電力の福島原発事故で発生した放射性廃棄物の処理について「福島の東電施設に置けばいい」と発言、2016年に韓国の従軍慰安婦について「職業としての売春婦で犠牲者ではない」旨の発言  「(放射能汚染されたごみの焼却灰は)人の住めなくなった福島に置けばいいのではないか」「(従軍慰安婦は)職業としての売春婦だった。犠牲者だったかのような宣伝工作に惑わされ過ぎだ」  
●自民党役員
幹事長 / 二階俊博
政務調査会長 / 岸田文雄
総務会長 / 加藤勝信
 働き方改革一括法案のデータ捏造、インチキ答弁の繰り返し
選挙対策委員長 / 甘利明
 2013年 政治とカネの問題で経済再生担当大臣辞任
党改憲推進本部長 / 下村博文
 文科相時代に任意団体「博友会」をめぐる政治資金問題で刑事告発される、昨年に加計学園からの闇献金疑惑発覚 憲法の専門家でない   「(教育勅語には)至極まっとうなことが書かれており、当時、英語などに翻訳されて他国が参考にした事例もある」 
党広報本部長 / 松島みどり
 自身の名前やイラストが入り団扇配布問題で2014年に法相を辞任、2016年衆院外務委員会審議中に携帯電話・読書という態度のひどさが問題となり謝罪
党筆頭副幹事長、兼総裁特別補佐 / 稲田朋美
 自衛隊日報隠蔽問題で防衛大臣辞任 「教育勅語に流れている核の部分は取り戻すべきだと考えている」「ミサイル防衛で1発目のミサイルを撃ち落とし、2発目(が撃たれる)までに敵基地を反撃する能力を持っていない状況でいいのか」
 
 
 
 評論

 

●「閉店セール内閣」 野党が改造後の顔ぶれ批判
2日発足した第4次安倍改造内閣の顔ぶれに対し、野党各党は「在庫一掃」「閉店セール内閣」「政治が責任を取っていない」と批判を強めた。
安倍晋三首相は内閣の「骨格」となる主要閣僚を留任させ、自民党総裁選で支援を受けた各派閥から多くの閣僚を登用した。
先の通常国会で決裁文書の改ざん問題が発覚しながら麻生太郎財務相が留任したことについて、立憲民主党の福山哲郎幹事長は「責任を取るべき人が全く責任を取っていない。臨時国会でこれまでの問題点を追及していきたい」。国民民主党の玉木雄一郎代表は「あれだけの大事件になり、役所の幹部の多くは辞任し、自ら命を絶つ職員が出たのに政治が一切責任を取らないという一つの宣言だ」と首相の姿勢を批判した。
麻生派や二階派など総裁選で首相を支援した派閥から広く閣僚を選んだことについて、共産党の小池晃書記局長は「見飽きた顔と見慣れない顔を集めたインパクトのない布陣。閉店セール内閣で(政権の)終わりの始まり(を示している)」と論評。政権に近い日本維新の会の片山虎之助共同代表も「政権の継続性や新鮮さ、色々なことを考えて相当な配慮を加えていると思うが、総裁選の論功行賞や滞貨一掃という感じが拭えない」と述べた。
首相が意欲を示す憲法改正を前に進めようと、党の総務会長や憲法改正推進本部長に側近議員を据えたことについて、社民党の又市征治党首は「憲法改正案の早期提出をにらんだ改憲シフト」と警戒を強めた。 
●在庫一掃内閣、みたいな‥‥
内閣改造、自民党の新役員人事が発表されました。
新内閣の顔ぶれを見て思ったのは、「在庫一掃内閣」みたいだなと。また、党役員人事を見ると何と甘利氏が選対委員長に!
政治とカネの問題で、現職大臣辞任となった甘利氏。それはほんの2年前のこと。それからもう第一線に復帰とは。それも選挙を担当する重職に。安倍総理、自民党の倫理観が問われます。
加えて、あれだけの問題を起こした財務省。そのトップたる麻生財務大臣が留任とは本当に驚きです。官僚だけに責任を押し付け、トカゲの尻尾切りもいいところ。
安倍政権の、極めて内向きな姿勢が前面に出た内閣改造、役員人事だったと思います。  
●「在庫一掃」「閉店セール内閣」安倍改造内閣の顔ぶれ、野党が批判
2日発足した第4次安倍改造内閣の顔ぶれに対し、野党各党は「在庫一掃」「閉店セール内閣」「政治が責任を取っていない」と批判を強めた。
安倍晋三首相は内閣の「骨格」となる主要閣僚を留任させ、自民党総裁選で支援を受けた各派閥から多くの閣僚を登用した。
先の通常国会で決裁文書の改ざん問題が発覚しながら麻生太郎財務相が留任したことについて、立憲民主党の福山哲郎幹事長は「責任を取るべき人が全く責任を取っていない。臨時国会でこれまでの問題点を追及していきたい」。国民民主党の玉木雄一郎代表は「あれだけの大事件になり、役所の幹部の多くは辞任し、自ら命を絶つ職員が出たのに政治が一切責任を取らないという一つの宣言だ」と首相の姿勢を批判した。
麻生派や二階派など総裁選で首相を支援した派閥から広く閣僚を選んだことについて、共産党の小池晃書記局長は「見飽きた顔と見慣れない顔を集めたインパクトのない布陣。閉店セール内閣で(政権の)終わりの始まり(を示している)」と論評。政権に近い日本維新の会の片山虎之助共同代表も「政権の継続性や新鮮さ、色々なことを考えて相当な配慮を加えていると思うが、総裁選の論功行賞や滞貨一掃という感じが拭えない」と述べた。
首相が意欲を示す憲法改正を前に進めようと、党の総務会長や憲法改正推進本部長に側近議員を据えたことについて、社民党の又市征治党首は「憲法改正案の早期提出をにらんだ改憲シフト」と警戒を強めた。
一方で福山氏は「安倍総理のお友達で憲法改正を本気でやるのは、逆に国民の不信感が高まるのではないか」と述べ、合意形成は遠のくと指摘。小池氏は「国民の中で9条改憲を望む声は非常に少数。首相が改憲を主張すればするほど反対が増えるのが現状ではないか」と話した。 
●支持グループ“配慮”「在庫一掃内閣」とも
第4次安倍改造内閣が皇居での認証式を経て正式に発足する。今回の改造の特徴について解説。
先月の総裁選で、自らを支持したグループに対する配慮を強くにじませたという点と、入閣待望組を一斉に入閣させたという点が特徴と言える。女性閣僚としては唯一、片山さつき元総務大臣政務官が地方創生担当相に起用された。
片山さつき氏「(安倍首相からは)地方をくまなく歩いている経験と発信力をいかしどんどん進めて欲しいと」
また防衛相には、党の国防部会長も務めた岩屋毅元政務官、農林水産相には吉川貴盛元農水副大臣を起用するなど実務能力を重視した布陣。しかし、自民党18人の閣僚のうち、先月の総裁選で自らを支持した閣僚が17人にのぼり、支持派閥への配慮が露骨に現れていると言える。
また初入閣12人というのは2012年に第2次安倍政権が発足してから最も多い数。自民党内からは「入閣待望組の在庫一掃内閣だ」と厳しい声も出ている。
一方、自民党の新たな執行部だが、早速、安倍首相が主張する憲法改正が課題となる。党内の議論をまとめるにあたりキーマンとなるのが、新たに起用された加藤総務会長。なぜなら党の最高意思決定機関は総務会であり、安倍首相はそのトップに側近の加藤氏を起用することで、自らの方針を強力に反映させていく思惑があるとみられる。
ただ、党内には安倍首相の憲法改正の進め方に反対する声もある。今後どう調整を進めて行くのかが焦点となる。 
●安倍内閣、在庫一掃 第4次改造で初入閣最多12人 待機組増殖
第4次安倍改造内閣が2日、発足した。初入閣は安倍内閣で最多の12人。主要派閥の入閣待機組を多く入閣させる配慮がにじむ改造となったため、党内外から「在庫一掃内閣」と早くも批判の声が上がった。総裁選で善戦した石破茂元幹事長が率いる石破派からはただ1人、山下貴司法務政務官を法相に抜てき。女性では片山さつき政調会長代理を地方創生担当相兼女性活躍担当相に起用した。
初入閣メンバーを紹介した安倍晋三首相は「それぞれのポジションで腕を磨いてきた、実務型の人材を結集した」と強調。「適材適所」「いぶし銀」と自賛し「明日の時代を切り開く全員野球内閣」とアピールした。
だが実際は、党内の事情に配慮した組閣となった。初入閣12人のうち、各派閥が推薦する入閣待機組(当選衆院5回、参院3回以上)が10人。平均年齢は63・4歳と、第2次内閣以降で最高齢だ。長期政権になり、待機組が約80人と増えた背景もある。党内外からは「在庫一掃内閣」「分かりやすい論功行賞だ」とやゆする声が次々に上がった。
焦点の石破派からは「法務行政に明るくふさわしい」として、当選3回と若手の山下氏を法相に抜てきした。元東京地検特捜部検事で法務政務官を経験し、菅義偉官房長官の側近が主宰する派閥横断のグループにも所属する。当初は石破派の冷遇は必至と思われたが、首相側近が総裁選での石破氏の善戦を踏まえ「石破派を外せば、党内の雰囲気は悪くなる」と進言。沖縄県知事選で推薦候補が敗れたことも、後押ししたとみられる。
女性は片山氏のみと安倍内閣最少の1人。首相は「少ないことは認めざるを得ない」としながら「2、3人分もある持ち前の存在感で、女性活躍の旗を掲げてもらいたい。発信力を持って仕事をしてほしい」とした。片山氏も「“発信力を生かして頑張ってほしい”と首相から指示があった」としている。
だが片山氏の発信力には疑問の声がある。西日本豪雨の際、首相を招いた議員宿舎での飲み会の写真をツイッターに投稿した1人。被災した関西の自治体職員は「特別警報の中、地元は不安を抱えて対応に当たっていたのに、信じられない」と当時の対応を批判し、資質を疑問視した。宮城県の中堅幹部も「首都圏で育ち“地方”というイメージが全くない人。失言も心配」と話す。党内からは「適材適所とはいえない人事だ」のため息も漏れた。  
 

 

●田崎史郎までが「一番出来の悪い内閣」と
 安倍改造内閣で片山さつきら問題議員、不祥事政治家が次々大臣に
本日午後、第4次安倍改造内閣と自民党役員人事が発表された。安倍首相は「全員野球内閣」と称したが(笑)、早くも「在庫一掃内閣」「総裁選の論功行賞人事」「また安倍首相のお友だちばかり」と非難囂々。あの田崎史郎でさえ、「これまでの安倍内閣でいちばん出来の悪い内閣」「この人で大丈夫かなという人が5人くらいいる」と口にしたほどだ。
それも当然だ。何よりもまず、森友公文書改ざん問題にくわえてセクハラ問題で被害者女性を攻撃する発言をおこなった麻生太郎が副総理兼財務相を続投するなんて言語道断。しかも安倍首相は、口利き賄賂事件の疑惑追及・説明責任から逃げつづけている甘利明・元経済再生担当相を党4役の選挙対策委員長に、働き方改革一括法案の国会審議でデータ捏造が発覚した上、インチキ答弁を繰り返した加藤勝信厚労相を総務会長に抜擢したのである。
これだけでも論外の人事なのだが、さらに仰天したのは、下村博文、松島みどり、そして稲田朋美という“不祥事大臣”を党の要職に就けたことだ。
あらためて指摘するまでもないが、下村は文科相時代に任意団体「博友会」をめぐる政治資金問題で刑事告発される騒動を起こし、昨年には加計学園から計200万円を受け取っていたという“闇献金”疑惑まで発覚。「都議選が終わったら丁寧にお答えします」などと言っていたが、いまなお「丁寧にお答え」などしていない。
また、松島は自身の名前やイラストが入ったうちわを選挙区で配布した問題で2014年に法相を辞任。2016年には衆院外務委員会で審議がおこなわれている最中に堂々と携帯電話をいじったり読書したりという態度のひどさが問題となり、謝罪コメントを出したこともあった。
稲田元防衛相にいたっては、昨年、自衛隊の南スーダン日報隠蔽問題で防衛相を辞任したばかり。しかも、森友学園をめぐる虚偽答弁に、都議選での「自衛隊としてお願い」発言など問題を連発していたにもかかわらず安倍首相が庇いつづけ、日報隠蔽に稲田防衛相が直接関与していたことは明白だったのに、辞任したことを盾に閉会中審査への出席を拒否。最後まで説明責任を果たすことはなかった。
このような問題大臣を、安倍首相は何事もなかったかのように党要職で登用。下村は憲法改正推進本部長に引き上げただけでなく、うちわ配布で辞職した松島をよりにもよって広報本部長に、そして稲田には筆頭副幹事長と総裁特別補佐という役職を与えた。安倍首相は稲田を「ともちん」と呼び、“ポスト安倍”として寵愛してきたが、あれだけの問題を起こして党内からも批判が集中した稲田を、今度は自分のアドバイス役につけるというのだから、呆れてものが言えない。
だが、話はこれで終わらない。初入閣・再入閣の新メンバーも、スキャンダルや疑惑・問題を抱えた“大臣不適合者”が山のようにいるからだ。
その筆頭は、無論、地方創生相に選ばれた片山さつきだろう。片山といえば“生活保護バッシング”の急先鋒であり、2016年にも貧困女子高生バッシングに参戦し、Twitterで“貧乏人は贅沢するな!“といった批判を公然と展開。
女性活躍担当相・片山さつきの“デマ拡散”の前科
これだけで大臣の資質はまったくないと断言できるが、さらに片山は“デマ常習犯”としても有名で、2014年に御嶽山が噴火した際には〈民主政権事業仕分けで常時監視の対象から御嶽山ははずれ〉たなどとツイートしたものの、実際は御嶽山が観測強化対象から外れていなかったことが判明し謝罪。また、同年には「NHKの音楽番組『MJ』では韓国人グループ・歌手の占有率が36%。これでは“ミュージックコリア”だ」などと国会で質疑。しかしこれも同番組の韓国人グループ・歌手の出演率は約11%でしかなかったことがすぐさま判明、その上、この「占有率36%」というのは2ちゃんねるに書き込まれた情報で、それを片山が調査もせずに鵜呑みにしたのではないかと見られている。
さらに、今回の内閣改造で目を疑ったのは、今年の通常国会で安倍政権が強行採決したカジノ法案で、大スキャンダルがもちあがった岩屋毅議員を防衛相に抜擢したことだ。
米カジノ企業から脱法献金を受け取っていた岩屋毅が防衛相に
その大スキャンダルとは、「週刊文春」(文藝春秋)7月19日号が報じた「安倍政権中枢へのカジノ『脱法献金』リスト」という記事。同誌によると、超党派のIR議連に所属する自民党を中心とした政治家に対し、米国の大手カジノ企業「シーザーズ・エンターテインメント」が、間接的にパーティ券購入のかたちで資金を提供していたという。
その政治家への資金提供リストには、麻生太郎副総理や西村康稔官房副長官らと並んで、カジノプロジェクトチーム座長(IR議連幹事長)を務めた岩屋議員の名前が記されていたのだ。
政治資金規正法第二十二条では、外国人および外国の法人・組織からの献金が禁じられており、日本でのカジノを進めようとする自民党議員らが外国カジノ企業のロビイストを通じてパーティ券を購入してもらっていたという事実は、明らかに法の目を潜り抜けようとする悪質行為だ。こんな問題がもち上がって3カ月も経っていない岩屋議員を防衛相に据えるとは……。
“疑惑の人物”といえば、国家公安委員長となった山本順三議員も同じだ。というのも、山本議員は愛媛県今治市出身で、加計学園問題でも名前が浮上。2014年に下村元文科相がセッティングをおこない、加計孝太郎理事長と会食をおこなっていたことが下村事務所の日報からあきらかになっているほか、今年発覚した愛媛県新文書でも、〈加計学園の直近の動向・今後の予定〉なる項目で〈3/8 山本順三参議院議員を励ます会に出席した下村文科大臣と面談〉と名前が登場している。
また、山本議員は加計疑惑の登場人物のひとりであるだけではなく、安倍政権の特徴ともいえる“圧力・恫喝”体質の持ち主だ。事実、安倍首相が内閣官房副長官時代に放送前のNHKのドキュメンタリー番組に政治的圧力をかけ、NHK放送総局長に対し「勘ぐれ、お前」と言い放ったとされる「NHK番組改変問題」をめぐり、山本議員は2006年に国会で、裁判で改変の実態を証言した番組制作者2名について「NHKはどのようなけじめをつけるのか」と処分を迫り、結果、この2名には制作現場から外されるという報復人事がおこなわれた。
こうした人物が国家公安委員長に就任するとは、背筋が凍る。
文科相には同性婚攻撃の柴山昌彦、IT担当相にはネトサポの親玉・平井卓也
さらに、文科相となる柴山昌彦・総裁特別補佐は、2015年に『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日)に出演した際、「同性婚を制度化したときに、少子化に拍車がかかるのではないか」と発言。同性婚と少子化にはまったく関係がないにもかかわらず、「経済的な制度と違って家族制だとか文化伝統の問題というのは一挙手一投足には変えられないもの」などと述べた。同性愛者に対する法的な不平等には目も向けず“伝統的家族観”をもち出す人物を文科相に抜擢したことは、安倍政権の本質を表しているといっていいだろう。
このほかにも、ネトウヨの巣窟とされる自民党ネットサポーターズクラブ、通称「ネトサポ」の代表をつとめ、2013年におこなわれたニコニコ生放送の党首討論会で福島瑞穂議員の発言中に「黙れ、ばばあ!」と書き込んだことが発覚したこともある平井卓也議員が、科学技術・IT担当相として初入閣するなど、すでに問題大臣が続出の安倍改造内閣。安倍首相周辺は、徹底して“身体検査”をおこなったというが、ここまで挙げてきた新大臣たちの言動やスキャンダルは問題ないというのだろうか。
いや、この安倍改造内閣は、問題発言やスキャンダルを抱えた大臣が揃っているということだけではない。もうひとつの問題、それは極右議員が集結した「ネトウヨ内閣」だということだ。 
 

 

●安倍改造内閣、新大臣に黒い交際疑惑
 失言王・片山さつきと「犬猿の仲」稲田朋美が火種
第4次安倍改造内閣が2日午後、発足した。安倍晋三首相は「全員野球」と意気込むが、新大臣のなかには“よくない筋”と交際する人物もおり、来年2〜3月には安倍内閣は立ち往生になり、下手をすれば統一地方選を戦えず“安倍降ろし”が始まる可能性もあるとみているのが、政治ジャーナリストの朝霞唯夫氏だ。秋の臨時国会から来年の通常国会までの政局について、朝霞氏に聞いた。
――新内閣の顔ぶれを見た感想は?
朝霞唯夫氏(以下、朝霞) まず印象を言えば、“大臣待機組の在庫一掃セール内閣”。点数をつければ20〜30点といったところです。私は来年の参院選後に安倍内閣は失脚すると当初見ていましたが、今回の組閣名簿を見て、もっと早まるのではないかという気がします。とにかく今回新たに入閣する議員のなかには問題のある人が多いので、失言などで早晩内閣は立ち往生になりかねません。
小野寺五典前防衛相は、今後のキャリアアップを考慮した上でいったん身を引く意向を固めていたと伝えられています。その後任には、今や数少ない防衛族といわれている岩屋毅氏に白羽の矢が立てられました。ところが防衛産業関係者によると、業界は岩屋氏を見限っている。それでも安倍首相としては選択肢がないため、岩屋氏を起用したというのが真相のようです。防衛省は自民党の防衛族議員の弱体化に頭を抱えています。岩屋氏は、安倍内閣のアキレス腱になるかもしれません。
今回の総裁選で安倍首相陣営から農水相を辞任するよう圧力を受けたと発言した齋藤健氏が切られ、吉川貴盛氏が後任に収まりました。
吉川氏は「北海道出身だから農水相」という判断かもしれませんが、安倍内閣の鬼門は農水相です。齋藤氏は極めて有能な農水相でエラーがなかったと永田町では評価されており、実直に務めていました。総裁選のパワーゲームの犠牲者になったのです。吉川氏は農水行政に明るいとの評もありますが、未知数の部分があまりに多く、不安は隠せません。
そして、渡辺博道復興相ですが、竹下派で当選7回という点以外、際立った点が見当たりません。東北出身者でもないのに復興相でうまくいくのかという疑問があります。第2次安倍内閣以降、復興相関係で失脚している人がおり、ここも鬼門です。スピード感のある復興を進めるためには、復興や防災の専門知識が必要ですが、渡辺氏が詳しいという話は聞いたことがありません。
政権内の不協和音
――片山さつき地方創生相はどうです。
朝霞 片山氏は「モリカケ」問題の時に自民党のスポークスマンとして、野党に反論を展開していました。その論功行賞によって初入閣しました。上昇志向で勝ち上がってきた人なので、頭は切れます。特命大臣なので片山氏自身は良かったと思っているでしょう。しかし、安倍内閣では女性大臣が1人だけというのは問題です。安倍首相は「女性活躍が政策の一丁目一番地」と言いつつも、その場その場の考えでしのごうということです。
片山氏の存在は目立ちますが、小池百合子元環境相時代のクールビズのように実績を残せるかはわかりません。…
以前から“失言王”とも呼ばれており、片山氏の失言をメディアは狙っています。党務の問題では、片山氏と犬猿の仲である稲田朋美元防衛相が党筆頭副幹事長として復活したことが、政権内の不協和音を拡大する可能性があります。
――柴山昌彦文科相は?
朝霞 彼は自民党の期待のホープですが、いきなり文科相は意外でした。すごく荷が重いし、本来は教育行政に精通している人物を登用すべきでした。答弁で不適切発言をする可能性もあります。
憲法改正は困難
――党人事はどうですか。
朝霞 党務のほうは、それなりの陣を敷いています。側近の下村博文氏を党憲法改正推進本部長にあてましたが、安倍首相氏が本気で憲法改正を行うという意欲の表れでしょう。とはいえ、文教族の下村氏は憲法の専門家でもないし、公明党との調整にも不安を感じさせます。加えて、秋の臨時国会は、北海道地震や台風21号、西日本豪雨の復旧・復興などを加速するため、補正予算を成立させることが先です。これは与野党ともに異論はないでしょう。
そして動物愛護法は5年に一度の改正年で、臨時国会で審議されます。長くても6週間で臨時国会を閉じますから、憲法改正を議論している時間はありません。公明党は、自民党案を提出することは受け入れても、発議までいけるかといえば別問題という考えです。提案はしても継続審議になります。
また、来年の通常国会では来年度予算の審議はスムーズに進みません。ギリギリに予算案が可決された後、すぐに統一地方選挙があり、現天皇の退位、新天皇の即位があります。…
そして会期末の頃には、参院選突入ムード一色となります。ですから、憲法改正を審議する時間がないのです。
統一地方選挙における知事や市長などの首長選挙も注目点です。今は相乗りですが、もし与党vs.野党の構図となり、野党が勝てば、地方から安倍降ろしが始まります。
――地方には、アベノミクスが行き渡っていないという不満がある。
朝霞 地方の不満は高まっています。経済成長や景気回復をしているとはいっても、それは上場大企業に限った話で、地方に行くと、経済は衰退し倒産・休廃業が増えています。これでは憲法改正どころではありません。
――次の参院選はどうなりますか。
朝霞 自民党の単独過半数は無理です。そこから自民党は崩れていきます。それ以前に、新任大臣が何を言い出すか、わかりません。なかには筋の良くない人との交際がある大臣もおり、本当に身体検査をしたか疑問です。また、“在庫処分セール”で大臣になって舞い上がっている人も多く、こうした新大臣は何を発言するかわかりません。
失言や黒い交際が発覚し、来年の2月か3月で内閣支持率が20%後半〜30%に下がれば安倍降ろしが始まります。理由は、安倍首相では統一地方選挙では戦えないからです。「憲法改正さえできればいい」という安倍首相の考えが如実に現れた新内閣ですが、早々に死に体になる可能性も高いとみています。 
 

 

●片山さつき新大臣、安倍政権の「醜聞」の火種か
 稲田朋美を総裁特別補佐に大抜擢の裏事情
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
沖縄県知事選挙で大敗し、公明党との距離も微妙な安倍政権ですが、10月2日に閣僚・党役員人事が発表され、第4次安倍改造内閣が始動しました。
改造人事については、9月20日の自民党総裁選挙で安倍晋三首相の3選が決まった直後から、さまざまな臆測が報道されていました。特に、麻生太郎財務大臣と菅義偉官房長官の留任についてはいち早くささやかれており、実際にその通りになりました。
しかし、「これだけ不祥事続きの財務省の大臣が留任って、どうなんだろう?」という疑問の声は自民党内からも聞こえてきます。
党内人事では、二階俊博幹事長が留任しましたが、二階幹事長も失言が目立つ印象です。また、甘利明議員については「入閣か党4役(幹事長、総務会長、政務調査会長、選挙対策委員長)に入るのでは」といわれていましたが、選対委員長という重要な役職に就任しました。当初から、「派閥のバランスに配慮して、論功行賞的な人事をするつもりだ」という予想はされていましたが、もう睡眠障害のほうは大丈夫なのでしょうか。
2016年に口利きと金銭授受問題が報じられた甘利議員は内閣府特命担当大臣(経済財政政策)を辞任し、その後は睡眠障害を理由に国会を欠席し続けました。選対委員長は来年の参議院議員選挙や統一地方選挙を取り仕切る立場ですから、体調のほどが気になります。
最初に“やらかし”が期待される、あの大臣
これだけでも微妙な船出の感が否めませんが、今回はさらに微妙な議員が多いです。
特に、桜田義孝議員は当選7回という実績ながら“身体検査”で引っかかって入閣できなかったにもかかわらず、今回は東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣の就任が発表されました。ちなみに、スポーツ経験はまったくないそうです。
地元の有権者の方々も「余ったポストに割り当てられただけだろう」「どうせ短命だと思うが、本当に仕事ができるのか」とあきらめムードのようです。地元ですら、このような言われ方をされてしまうのは、桜田議員は以前から“お騒がせ案件”が多いからです。
たとえば、13年には東京電力の福島第一原子力発電所事故で発生した放射性廃棄物の処理について、「福島の東電施設に置けばいい」と発言して批判され、当時の下村博文文部科学大臣から口頭注意を受けています。また、16年には、韓国の従軍慰安婦について「職業としての売春婦で、犠牲者ではない」という旨の発言をして叩かれ、その日のうちに発言を撤回しています。
こうした経緯もあったため入閣が遠かったのですが、今回は総裁選後に名前が挙がっていました。当の本人は、ふんぞり返って「今度は入閣するだろうから、なかなか地元に戻れなくなります。忙しくなるんでね」と言っていたそうです。
地元の方々は、心の中で「どうせ、またダメだろ……」と思っていたそうですが、なんと初入閣を果たしました。一方で、週刊誌の記者たちは「最初にやらかしてくれるのでは?」と期待しているそうです。
稲田朋美と片山さつきの微妙な関係
今回の初入閣は12人で、12年の第2次安倍内閣発足後では最多となりました。紅一点は、女性活躍担当大臣やまち・ひと・しごと創生担当大臣などを兼務する片山さつき議員です。
片山大臣といえば性格がキツいことで知られていますが、それを裏付けるようなエピソードには事欠かないようです。記者たちは「狙うは片山さつき」とも言っているようで、永田町では「うるさいから、とりあえずポストをあてがっておいた」「実際、まち・ひと・しごと創生なんて、とてもじゃないが無理でしょ」といった声が聞こえてきます。
小泉進次郎議員の後任として自民党の筆頭副幹事長に就いたのは、元防衛大臣の稲田朋美議員です。稲田議員は、総裁特別補佐という役職にも就任しています。実は、官邸サイドは稲田議員を再入閣させたかったようですが、片山大臣と並べられない、つまり仲が悪いから、苦肉の策で党の要職に就けたようです。言い換えれば、相変わらず安倍首相のお気に入りだということですね。
今回の内閣改造では、そのほかにも「論功行賞的な人事がたくさんあるなぁ」という印象です。秘書仲間の間では、「在庫一掃セールだね」「棚卸しって感じ」との意見が圧倒的に多いです。また、「やる気ないない内閣」「ヘイト内閣」などと表現する人もいました。得意分野の政策を持っている議員や、いわゆる族議員は半分くらいの印象で、「ごった煮内閣」ともいわれています。
「とりあえず当選回数などの条件が揃っていて、派閥から推薦のあった議員たちにポストを割り当てた」という印象しかありません。
ある重鎮の秘書は、「自民党は内部固めを重視したのでしょう。安倍さんは改憲などで歴史に名を残したいから、自民党内での求心力を重視してきました。今回も、反対分子の芽をつんでおく、という意味だと思う」と分析しています。その通りでしょう。
ただ、その中でも、一億総活躍担当大臣や内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策など)などを兼務する宮腰光寛議員は適任だと思いました。一般的な知名度こそ低いですが、宮腰議員は農林水産関係の族議員の重鎮として知られており、自身の選挙区では票になりそうにない沖縄や北方領土の問題にも、若い頃から取り組んでいました。北方領土問題に長年かかわってきた政治家として、北海道の議員の中には敬服している人もいます。
安倍首相、来夏にダブル選挙の“奇襲”も?
今回はサプライズ的な人事はなかったように思いますが、ある意味、当たり前の顔ぶればかりで特色を出さなかったことが“逆サプライズ”といえるのかもしれませんね。
さて、内閣総理大臣から任命された大臣のみなさんは、天皇陛下から認証を受ける認証式に臨みました。これは皇居で行われるので、装いの決まり事(ドレスコード)が非常に厳しいです。男性は、ビジネススーツではなくモーニングまたは燕尾服です。シャツは白色のみで、襟の形も決められています。靴も黒の革靴で紐がなければいけない、など細かい規定というか注意事項がたくさんあるのです。
そして、秘書たちはそれらを用意するのに奔走します。なかには、ずいぶん前から、この日を待ちわびてモーニングを新調している大臣もいますが、半分くらいはレンタルだと思います。
その貸衣装も、議員が試着する時間などないので、秘書が業者にサイズを伝えて、議員会館まで持ってきてもらったり取りに行ったりしなければなりません。その間に、お祝いのメッセージや電話、胡蝶蘭なども続々と届くので、まさにてんやわんや。このときばかりは、うれしい悲鳴でしょうけどね。議員会館の廊下に、部屋の中に置ききれない胡蝶蘭の鉢がずらっと並ぶのも“内閣改造の風景”です。
神澤としては、この内閣の顔ぶれからは明るい未来は見えてこないように感じます。また、来年夏のダブル選挙が現実味を帯びてきているようにも思いました。もしかすると、それが安倍首相の狙いなのかもしれません。「俺に逆らうと、総選挙で仕返しするぞ」って……怖いですね。
危うい船出ですが、走り回っている記者の方々がたくさんのスキャンダルを拾ってこないことを祈るばかりです。 
 

 

●右寄りのお友達"で固めた安倍内閣の真意
これは「挙党態勢」ではなく「カツカレー政権」だ
非常に分かりやすい顔触れとなった。安倍晋三首相が2日に行った自民党役員人事と内閣改造によって決まった布陣のことである。内閣と党の枢要なポストは「お友達」で固め、その他の閣僚ポストは、9月20日の党総裁選で自分を応援してくれた議員の中から待望組を並べた。
総裁選で石破茂元幹事長を推したグループからは1人を入閣させたので形のうえでは挙党態勢にみえるが、実際は今までより「お友達」濃度が濃くなった。総裁選前にカツカレーを食べて安倍支持を誓い合ったメンバーによる「カツカレー政権」の様相だ。
麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、河野太郎外相、世耕弘成経済産業相、茂木敏充経済再生担当相……。主要閣僚は大半が留任した。安倍氏の盟友、お友達、側近、懐刀という形容詞がつく顔触れが並ぶ。外交、経済など重要政策は今まで通り気心知れた仲間で安全運転しようという意図が分かる。
党役員は、党規約を変えて総裁3選を可能にする道筋をつけた二階俊博幹事長、総裁選の出馬を見送った岸田文雄政調会長は論功行賞で留任。石破氏の支持に回った竹下亘総務会長は退き、安倍氏側近として頭角を現している加藤勝信氏が厚労相から横滑りした。憲法改正推進本部長には下村博文氏。選対委員長には甘利明氏が就任した。
改憲の要所に「偉大なるイエスマン」を起用
お友達を並べたところは主要閣僚と同じだ。ただ、党役員の顔触れは、安倍氏の野心が感じ取れる。
安倍氏は残る3年の任期で憲法改正の実現に執念を燃やす。そのためには党内の改憲論議を完全にグリップするため、党内の憲法論議の司令塔である憲法改正推進本部と、党議決定する総務会のトップに下村、加藤の両氏を起用した。下村氏は特に憲法に精通しているというわけではないが、安倍氏の「偉大なるイエスマン」として改憲に向けて進んでいくだろう。
改憲を実現するためには来年の参院選で勝ち、衆参両院で3分の2を改憲勢力で維持し続けなければならない。そのために、党内ににらみがきき、調整能力もある甘利氏を選挙対策のトップに充てた。
つまり、同じ「お友達」でも主要閣僚の方は「安全運転で」という守りの姿勢、党役員の方は「何としてでも改憲を」という攻めの姿勢が感じられる。
政治記者も知らない初入閣12人「その他の大臣」
注目すべきは主要閣僚、党役員以外の「その他の大臣」たちの顔触れだ。初入閣の12人が「その他の大臣」と呼んでいいだろう。
石田真敏総務相、吉川貴盛農水相、宮腰光寛沖縄・北方担当相……と聞いて顔が思い浮かぶ人はあまりいないのではないか。実際、政治部の記者たちでさえ、官邸に続々呼び込まれる閣僚候補たちをみて「今のは誰だっけ」とささやき合っていたという。
この12人の人選について安倍氏は、特にこだわりを見せた形跡はない。各派閥の推薦名簿をみながら機械的に割り振った印象だ。その結果、極めて地味な顔触れとなった。
野党や辛口のコメンテーターからは「在庫一掃内閣」「閉店セール内閣」果ては「冥土の土産内閣」といった酷評が聞こえる。
「right(右寄り)」で「light(軽い)」な顔触れ
安倍氏もその批判は意識しているのだろう。2日夕の記者会見では新閣僚の顔触れについて「地味な世界で経験を積み」「高い調整能力を兼ね備え」「いぶし銀の人材」などと、やや苦しい説明に終始した。
「その他の大臣」たちは、過去に問題発言などで批判を受けた議員が少なくない。貧困女子学生を批判するなどして批判を受けた片山さつき地方創生担当相。南京大虐殺はなかったという立場で言動を重ねてきた原田義昭環境相。旧日本軍の従軍慰安婦を「職業としての売春婦だった」と発言したことがある桜田義孝・五輪担当相……。数え上げればきりがない。しかも、多くは、自民党内にあっても「右寄り」の考えを持っている。
安倍氏は今回の内閣を「全員野球内閣だ」と胸をはるが、野党からは「全員野球といいながらライト(右翼手)ばかり」という皮肉も聞こえる。「ライト」とは「right(右)」という意味だけでなく「light(軽い)」という意味も含まれているように思う。
「ライト」な閣僚たちは今後、連日のようにマスコミや野党の追及を受け続ける。うまく立ち回れるかどうか。はなはだ心細い。
石破派の山下貴司氏を法相に抜擢した狙い
当選3回で石破派の山下貴司氏を法相に抜擢した件についても触れておきたい。安倍氏は石破氏を処遇しない判断は揺るがなかったが、石破氏を支援した議員を1人も処遇しないと、さすがに党を分断することになりかねないと判断。
最終的に1人入閣させることにしたようだ。
山下氏は、菅氏とも近く、石破派にあっては安倍氏の覚えもめでたい人物だ。石破派には山下氏より当選回数が上の「適齢期」議員も複数いるが、あえて若手を一本釣りすることで、石破支持勢力の中で足並みの乱れを誘おうという狙いもあるのだろう。
石破派から閣僚に起用したことで「党内融和に腐心した」という評価するマスコミもある。しかし、それは好意的に過ぎる。9月20日の総裁選で石破氏に投票したのは73人。全体の2割弱にあたる。この中で起用されたのは19人の閣僚では山下氏だけ。党役員の中枢部をみても石破氏に投票したとみられる議員は見当たらない。
「全員野球」とは程遠いことは、火を見るより明らか
総裁選が行われる直前の9月20日昼、安倍氏を支援する議員たちは都内のホテルに集まり結団式を行った。そこに集まって必勝祈願のカツカレーを食べたのは330人超。ところが、安倍氏の得票は329票で「誰が食い逃げをしたのか」と犯人捜しが行われたのは記憶に新しい。
今回の人事をみると、山下氏と公明党の石井啓一国土交通相を除けば、全員が「カツカレーを食べた」人たちだ。そんな「カツカレー組」による政権運営が「全員野球」とは程遠いことは、火を見るより明らかだ。 
 

 

●改造内閣:初入閣12人、派閥均衡色濃く
安倍晋三首相は2日、内閣改造を行い、皇居での認証式を経て、第4次安倍改造内閣が発足した。麻生太郎副総理兼財務相(78)、河野太郎外相(55)、世耕弘成経済産業相(55)らを留任させ、経済、外交政策の安定を重視した半面、自民党の派閥均衡に配慮し、石破派の山下貴司法相(53)ら12人を初入閣させた。首相は記者会見で「明日の時代を切り開くための全員野球内閣だ」と述べた。
今回の内閣改造で全19閣僚のうち留任は麻生氏ら6人。初入閣12人は2001年の小泉内閣以降の自民党政権では最も多い。首相は会見で「政策を確実に実行できるいぶし銀の人材が自民党にはたくさんいる。地道に能力の研さんに努めてきたみなさんにできるだけ多くのチャンスを作るべきだと考えた」と説明した。
9月の自民党総裁選は首相と石破茂元幹事長との6年ぶりの選挙戦になったため、党内では石破派を冷遇するのではないかという見方が出ていた。首相は記者会見で「総裁選で誰に投票したかはまったく考える余地はなかった」と強調した。
女性の入閣は片山さつき地方創生担当相(59)だけで、安倍内閣として過去最少になった。首相は会見で「各国と比べて女性の比率が少ないことは認めざるを得ない」としつつ、「2人分、3人分の発信力で仕事をしてもらえると期待している」と述べた。
菅義偉官房長官(69)に拉致問題担当相を兼務させたことに関しては「政府・与党を貫くオールジャパンの体制を強化する」と述べ、拉致問題の解決に意欲をみせた。
自衛隊の存在明記などの憲法改正について、首相は「自民党がリーダーシップを取って、次の国会での改正案提出を目指すべきだ」と改めて表明。公明党に対しても「当然、丁寧に説明していかなければならない。信頼関係の中で真摯(しんし)に議論していくことが大切だ」と協力を呼びかけた。
首相は会見後の初閣議で、西日本豪雨や北海道地震などを受け、被災地の復旧・復興や防災対策などを盛り込んだ2018年度補正予算案の編成を指示した。
一方、自民党は2日の臨時総務会で二階俊博幹事長(79)と岸田文雄政調会長(61)の留任に加え、加藤勝信前厚生労働相(62)を総務会長、甘利明元経済再生担当相(69)を選対委員長に起用する人事を了承した。 
●柴山文科相と桜田五輪相、相次ぎ釈明=国会答弁、早くも不安視
柴山昌彦文部科学相と桜田義孝五輪担当相が5日の記者会見で、それぞれ自身の発言をめぐり釈明に追われた。柴山氏は、教育勅語を一部評価したことについて弁明。桜田氏は原発事故をめぐる過去の不用意な発言を陳謝した。臨時国会が控える中、新閣僚の国会答弁が早くも不安視されている。
柴山氏は2日の就任会見で、教育勅語を現代的にアレンジすることは「検討に値する」と発言。5日の会見では質問が殺到し、「決して教育勅語を復活させようと言ったわけではない」と火消しに努めた。
桜田氏も2013年に、東京電力福島第1原発事故で生じた放射性物質を含む焼却灰の処分をめぐり「人の住めなくなった福島に置けばいいのではないか」との趣旨の発言をしていた。5日の会見では「私の不徳の致すところだ」と語った。 
●米、「TPP以上」に意欲=高まる不安、政府は打ち消し―日米関税交渉
日米両国が年明けにも開始する2国間の「物品貿易協定(TAG)」をめぐる交渉で、米国が環太平洋連携協定(TPP)で合意した水準以上の譲歩を日本に迫る可能性が出てきた。政府は新交渉について、TPPで約束した自由化を最大限にするとの確約を米側から得たと繰り返し説明。「(互いの)立場を尊重する」と明記した首脳会談での共同声明の重みを強調し、農業関係者らに高まる不安の打ち消しに追われている。
パーデュー米農務長官はワシントンで4日、「米国の目標は原則TPPプラス」と発言。日本が欧州連合(EU)との間で合意した経済連携協定(EPA)にも言及し、「EUに与えたものと同等以上」の市場開放を求める構えを示した。また、ペンス米副大統領も同日の演説で、自由貿易協定(FTA)を視野に「歴史的な2国間の交渉を開始する」と表明した。
日本はTPPと日欧EPAで、現在38.5%の牛肉関税を9%まで段階的に引き下げるなど幅広い農産品の自由化で合意。日欧EPAではコメを自由化対象から除外する一方、チーズの低関税輸入枠設定などを約束している。
新交渉で米国は、TPPで合意した以上の関税率引き下げや撤廃に加え、日本がEUに対して関税引き下げなどを約束した品目の市場開放も求める可能性がある。日本の農業団体幹部は米国の出方について「何を求めてくるのか分からず不安だ」と懸念を強めている。
吉川貴盛農林水産相は5日の閣議後記者会見で、「全体としてみればTPPの(合意)水準がこれまでの最大限だ」と語り、TPP合意を上回る譲歩はしない方針を強調。世耕弘成経済産業相も「日米で協議していく協定は包括的FTAではないと理解している」と改めて説明した。 
●海自:観艦式へ不参加 韓国で開催、旭日旗の自粛要請で
岩屋毅防衛相は5日、韓国の済州島で今月11日に開かれる国際観艦式への参加を見送ることを決め、韓国側に伝えたと発表した。韓国側が、海上自衛隊の自衛艦旗である旭日旗の掲揚を自粛するよう求めていたが、応じることはできないと判断した。岩屋氏は「極めて残念だ。今後とも日韓の防衛協力の推進に努めたい」と防衛省で記者団に語った。
韓国には、旭日旗は「日本による植民地支配の象徴」との主張がある。韓国政府はこれらの世論に配慮し、観艦式で自衛艦旗を掲揚しないよう求めていた。日本側は「掲揚は法令義務だ」と主張し、調整が難航していた。艦旗を掲げたまま参加すれば韓国側が反発し、外交関係悪化につながる恐れがあったため、日本政府は参加を見送った。
海自は昨年10月、韓国軍から観艦式への招待を受け、ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」を派遣する準備を進めていた。韓国軍は今年8月31日になり、日本を含む14の参加国に「国旗と韓国旗をマストに掲げる」とのルールを通知。さらに10月3日、「艦首と艦尾に旗を掲げないように」と追加で通知した。
自衛隊法や海自旗章規則は、自衛艦に航行中に自衛艦旗を常時掲げることを義務付けている。また、国連海洋法条約は、民間船舶と区別するため「外部標識」を掲げることを軍艦の定義の一つとして挙げている。自衛艦旗は、この外部標識に該当する。
海軍によっては、国旗をそのまま外部標識として使っている例もある。観艦式参加国のうち、国旗以外の艦旗を使用しているのは日本を除き8カ国。これらの国がどう対応するかは、はっきりしていないという。
自衛隊幹部は「韓国の主張は国際規範に反する。国内世論を気にしているのだろうが残念だ」と話した。 
●安倍改造人事 モリカケ疑惑の戦犯の麻生、加藤、下村氏らに論功行賞
安倍晋三首相は10月2日、内閣改造・党の役員人事を刷新した。
麻生太郎副総理兼財務相や菅義偉官房長官、河野太郎外相など主要閣僚を留任させた。一方で、入閣待望組だった12人が初入閣し、「在庫一掃」内閣とも揶揄(やゆ)された。
また、党人事では、安倍首相の“お友達”の厚生労働相だった加藤勝信衆院議員を総務会長に、甘利明衆院議員を選挙対策委員長に据えた。
「組閣で言えば、根本匠厚労相、柴山昌彦文科相、党人事でも、甘利氏に加藤氏が4役に入った。そこへ安倍首相の秘蔵っこの稲田朋美衆院議員が筆頭副幹事長、憲法改正推進本部長に下村博文衆院議員とお友達優先の人事。そしてもう一つの特徴は加計学園、森友学園のつながりだな」と自民党のベテラン議員はそう話す。
国有地売却の不透明な取引をめぐって、近畿財務局から自殺者まで出した森友学園問題。財務省は交渉記録を改ざんし、大量の処分者を出したが、責任者の麻生氏は留任。
加計学園の獣医学部新設問題に絡んで暴露された「愛媛県文書」に名前が記されていた加藤総務会長、下村・憲法改正推進本部長、山本順三国家公安委員長はいずれも要職についた。
「加藤氏の岡山の地元後援会の幹部は加計学園の加計孝太郎理事長です。獣医学部の新設にあたっても『愛媛県文書』によれば、加藤氏が官房副長官時代の2015年 加計学園と面会して相談を受けていたと記されていた。加計学園関連のイベントなどにも、祝電を送っている。下村氏は加計学園側から提供された200万円を政治資金として届出ていないと政治資金規正法違反で刑事告発された(のちに不起訴処分)。また下村氏の妻は加計学園の教育審議委員に就任していた。そして下村氏が加計学園に紹介したとされるのが、獣医学部が新設された地元・今治市出身の山本国家公安委員長です」(愛媛県の地方議員)
また加計学園の「文科省文書」で<「10/21萩生田副長官ご発言概要」「総理は『平成30(2018)年4月開学』とおしりを切っていた。工期は24ケ月でやる」「官邸は絶対にやる」>と記載されていた萩生田光一自民党幹事長代行も留任が決まった。
「加計学園、森友学園問題をうまく乗り切った連中がみんないいポストをもらっている。ある意味、口封じなのかもしれない。モリカケ疑惑の戦犯の麻生氏、加藤氏、下村氏、山本氏らなんて重要なポストにまともな神経なら就けない。あれだけのスキャンダルですよ。今回の人事は安倍首相のモリカケ疑惑を守り切った論功行賞にみえてしまうよ」(前出・自民党のベテラン議員)
在庫一掃と論功行賞人事で来年の参院選を乗り切れるのだろうか。 
●安倍首相が災害放置をごまかすために“やってる感”演出に必死! 2018/7
 実際はカジノ審議優先、河野外相はフランスで大はしゃぎ
安倍政権の危機管理能力のなさが露呈した西日本豪雨だが、初動対応に向けられている批判をかわすためか、安倍首相は遅すぎる「リーダーシップ」を発揮(してる感をアピール)するのに躍起になっている。たとえば、きょうは非常災害対策本部会議で被災者支援策を打ち出し、「スピードが勝負です」と宣った。
だが、一方で首相動静を確認すると、安倍首相は昨日も同会議に26分間参加したあとは私邸に帰宅。本日も官邸で16分間、小此木八郎・防災担当相や菅義偉官房長官、杉田和博官房副長官らと面談したあとは、同会議に21分間出席すると、やはり私邸へ帰っていった。──安倍首相は14日に「股関節周囲炎」と診断されたため昨日に予定されていた広島訪問を延期にしており、股関節を動かすことが厳しい状態だというが、ならば、何かあっても側近や関係閣僚とすぐに面会できる公邸で過ごせばいいはず。だが、安倍首相は私邸へそそくさと戻ってしまうのである。
安倍首相は以前、政治学者の御厨貴・東京大学名誉教授に対し、「『やってる感』なんだから、成功とか不成功とかは関係ない」と語ったことがあるという(『政治が危ない』御厨貴、芹川洋一・著/日本経済新聞出版社)。数十分の会議で強い言葉だけを残し、公邸ではなくすぐに私邸に帰宅してしまう態度は、まさにこの「やってる感」でしかない。
しかも、いまは豪雨対策に全力投球すべきなのに、安倍自民党は「カジノ法案」こと統合型リゾート(IR)実施法案を今国会会期中に成立させるべく、明日17日には参院内閣委員会で首相入りの質疑をおこなう予定だ。
「赤坂自民亭」問題だけではなく、この期に及んで「豪雨対策よりカジノ審議」を優先させる姿勢を隠さないとは……。もはや戦慄すべき態度であり、野党はこの不誠実内閣に対して不信任決議案を提出して対抗するのではないかという見方も広がっている。
だが、そんななかで自民党の石原伸晃議員が、こんなことを言い出したのだ。
〈政府が豪雨災害に対処しているこの最中に、野党が内閣不信任決議案を提出するという動きがある。粛々と否決するのみだが、さすがにこのタイミングで不信任案を出すその見識は疑わざるをえない。野党が優先したいものとは一体何なのか。〉
いやいや、「野党が優先したいものとは一体何なのか」って、この人は先週の参院内閣委員会の審議を知らないのだろうか。10日、野党6党派からの“被災地最優先で”という申し入れも無視してカジノ法案審議のために内閣委員会の開催を強行、災害対応の先頭に立つべき石井啓一国土交通相をなんと6時間も委員会に張り付かせるという信じがたい暴挙に出たのは、言わずもがな安倍自民党である。見識というよりも、自民党のその神経を疑いたいくらいだ。
しかも、だ。昨日放送された『日曜討論』(NHK)では、自由党の森ゆうこ議員が、台風シーズンを迎えることで二次災害を発生させないための対策をしっかり検討していくことの重要性を説いたあと、このように述べた。
「いまこうやって与野党集まって話しているだけでも、相当いろんなことを検討できるわけですよ。だから、カジノをやっている場合じゃないですよ。国交大臣も『災害の質問に答えていますよ』って(言うけれど)、実際はカジノ法案の審議なんですよ。なんとか目を覚ましていただけませんか、自民党と公明党。カジノやめてください、災害対策に集中してください」
あまりにも当たり前の訴えだが、この森議員の発言に対して、自民党の参院副会長である愛知治郎議員は、こう言い放ったのだ。
「カジノというお話がありましたけれども、これはカジノだけではなくIR法案、総合リゾートの推進法案でありますから、それはしっかり議論していくべきだと考えております。(中略)災害対応は急務であり、最優先で取り組むべきでありますけども、その災害が起こったからといって、ほかの課題をまったく無視していいわけではありません」
「カジノじゃなく、カジノを含むIR法案だ!」などとできの悪いご飯論法みたいなことを言ったかと思えば、「災害が起こってもカジノは無視しない」と断言するとは……。だが、朝日新聞社が14・15日におこなった世論調査では、カジノ法案を今国会で成立させることについて、「その必要はない」と答えた人が76%にも達している。「災害のせいでカジノを疎かにするな」なんて、国民は思ってはいないのだ。実際のところそんなことを思っているのは、カジノ進出を狙う安倍首相のお友だちである里見治・セガサミーホールディングス会長や、カジノを日本で早く解禁させたがっているトランプ大統領と米カジノ企業くらいのものではないのか。
安倍首相の「やってる感」ポーズに、災害発生時に内輪でどんちゃん騒ぎ、「災害対応よりカジノ」という本音……。どこまでも安倍自民党は腐っているとしか言いようがないが、さらにここまできてもなお醜態を晒した閣僚がいる。河野太郎外相だ。
河野外相は14日、フランス・パリでおこなわれた革命記念日の軍事パレードに出席。安倍首相が8日になるまで非常災害対策本部を設置せず、その上、外遊取りやめを9日になるまで決断しなかったのは、自衛隊も参加するこのパレードに是が非でも出席したかったからではないかとも囁かれているが、渡仏した河野外相は安倍首相の分まで楽しもうと思ったのか、フランスから連続ツイート。それは、仏外務省内にあるという豪華絢爛な「王の寝室」のレポートだった。
〈フランス外務省には、王の寝室と呼ばれる部屋があります。イギリスのジョージ六世が訪仏した時の寝室に用意された部屋だそうです〉
〈王の寝室には金のバスタブが。〉
〈女王の寝室と銀のバスタブもありました。フランス外務省、おそるべし。〉
いま、広島や岡山、愛媛県などの被災地がどんなことになっているのか、河野外相が知らないわけがない。避難者は体育館の固い床や段ボール製のベッドでの生活を余儀なくされているというのに、この閣僚は「王様」のベッドに横たわった自身の様子などを大はしゃぎで投稿しまくったのである。
いや、被災者の気持ちを逆撫でしようとするのは、河野外相だけではない。山陽新聞の報道によれば、被災地・岡山の自民党県議たちは13日、〈安倍晋三首相(党総裁)を応援する有志の会〉を立ち上げ、岡山市内で設立総会を開いた、というのだ。こんな最中に、である。
12日付の共同通信の記事によると、11日に岡山県倉敷市の避難所を視察した安倍首相に同行した伊原木隆太・岡山県知事は、〈首相の指示でクーラーが設置されたと強調する場面もあった〉という。クーラーを設置するのは暑さによる二次被害を出さないためにも必須のことだが、なぜそれをことさら「安倍首相の指示だ」と強調する必要があるのか──伊原木知事は自民党の推薦を受けて知事に当選した人物だが、災害そっちのけで安倍首相の3選に向けた選挙戦をはじめた自民党県議たちといい、被災者を使って安倍首相に媚びを売るような伊原木知事には「恥を知れ」と言いたくなる。
だが、こうした数々の下劣な言動が止まないのは、安倍首相の「やってる感」が蔓延しきっている証拠ではないのか。とりあえず「やってる感」を演出さえしておけば、あとは災害中にどんちゃん騒ぎをしても、災害対応よりもカジノの審議を進めても、フランスでハメを外しても、被災地で露骨な動きを見せても、国民から批判されることはない。安倍首相も安倍首相を支える政治家たちも、そう高を括っているのではないだろうか。
ようするに、この国の政治は、安倍首相の舐めた手法によって、もうすでに腐りきっているのである。 
 

 

●麻生財務相の処遇 再任の理由が理解できぬ 2018/9
安倍晋三首相が10月2日に内閣改造を行い、麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官を再任することを表明した。
今回の内閣改造は自民党総裁選で首相が3選されたのに伴うものだ。首相は「しっかりとした土台の上に、できるだけ幅広い人材を登用していきたい」と語っていた。
首相は両氏を「土台」と位置づけたわけだが、麻生氏については財務省不祥事の政治責任をとっていないことを指摘しなければならない。
森友問題で財務省は公文書を改ざんし、1年以上にわたって国会を欺いていた。前代未聞の不祥事だが、麻生氏は職員の処分だけで幕引きを図り、真相究明も棚上げ状態だ。
内閣改造は麻生氏の責任問題にけじめをつける機会となり得る。にもかかわらず再任するのは、不問に付すとわざわざ宣言するのに等しい。
麻生氏は閣僚としての資質を疑わせる失言も繰り返してきた。
財務次官のセクハラ問題では「セクハラ罪という罪はない」と言ってかばった。「G7(主要7カ国)の中で我々は唯一の有色人種」という事実誤認の発言までしている。
「何百万人も殺しちゃったヒトラーは、いくら動機が正しくてもダメなんだ」というナチス・ドイツのユダヤ人迫害を理解するかのような昨年の失言は、政権の国際的な信頼を揺るがしかねないものだった。
それでも首相は麻生氏を続投させるという。「アベノミクスを二人三脚で進めてきた」と語っており、この点を理由として説明したいようだ。だが、アベノミクスの中核は日銀による金融緩和であり、デフレ脱却の物価目標も達成できていない。
本当に余人をもって代え難いのかは疑問である。
麻生氏は森友問題で矢面に立たされても首相を支える姿勢を崩さなかった。首相と麻生氏が個人的な信頼関係で結ばれていることはわかる。
だからといって、納得のいく説明なしの再任は内向きの人事だ。
自民党総裁選の党員票で石破茂元幹事長が45%を得たのは、森友問題を含む首相の政権運営に対する「批判票」と受け止めるべきだ。
だが、麻生氏は「どこが(石破氏の)善戦なんだ」と意に介さない。首相も同じ認識なのだろうか。  
 
 

 



2018/10
 
 
●自民党 安倍総理 キャッチフレーズ一覧

 

第1次安倍内閣 2006/9/26-2007/8/27
衆議院議員・自由民主党総裁・内閣官房長官の安倍晋三が第90代内閣総理大臣に任命され、2006/9/26-2007/8/27 まで続いた日本の内閣である。自由民主党と公明党を与党とする連立内閣である。
「美しい国づくり内閣」
「創りあげたい日本がある。 美しい国、日本。」
「地域に活力。成長で活力。 暮らしに届く改革。」
「成長を実感に! 改革を貫き、美しい国へ。」
「戦後レジームからの脱却」
「改革実行力」
第1次安倍改造内閣 2007/8/27/-9/26
衆議院議員の安倍晋三が第90代内閣総理大臣に任命され、2007/8/27/-9/26 まで続いた日本の内閣である。改造前と同じく自由民主党と公明党との連立内閣(自公連立政権)である。在任期間は30日間。
第2次安倍内閣 2012/12/26-2014/9/3
衆議院議員・自由民主党総裁の安倍晋三が第96代内閣総理大臣に任命され、2012/12/26-2014/9/3 まで続いた日本の内閣である。自由民主党と公明党による自公連立政権を形成する。首相と全閣僚が同じ人員の内閣としては、617日を記録し戦後最長記録を更新した。
「日本を、取り戻す」 
「危機突破内閣」
(論評 / 「ちぐはぐ内閣」「先祖返り内閣」「盟友・重鎮、お友達内閣」「経済最優先内閣」「小泉構造改革再現内閣」「経済再生必勝内閣」「巨頭内閣」「必勝堅実内閣」「極右はしゃぎすぎ内閣」「フェイスブック宰相」)
「戦後レジームからの脱却」 2013/1/26
「アベノミクス」 
安倍晋三が第2次安倍内閣において掲げた一連の経済政策に対して与えられた通称。
「三本の矢」
デフレ経済を克服するためにするためにインフレターゲットを設定、日本銀行法改正も視野に入れた大胆な金融緩和措置を講じ、多年に渡って続くデフレからの脱却に強い意欲を示す。大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略を三本の矢と称した一連の経済対策は、アベノミクスと称される
○大胆な金融政策 、2%のインフレ目標/無制限の量的緩和/円高の是正
○機動的な財政政策、大規模な公共投資(国土強靱化)/日本銀行の買いオペレーションを通じた建設国債の買い入れ・長期保有、ただし国債そのものは流動化
○民間投資を喚起する成長戦略、「健康長寿社会」から創造される成長産業/全員参加の成長戦略/世界に勝てる若者/女性が輝く日本
2014/6/30、安倍首相はフィナンシャル・タイムズ紙に、「私の『第3の矢』は日本経済の悪魔を倒す」と題した論文を寄稿し、経済再建なしに財政健全化はあり得ないと述べ、日本経済の構造改革を断行する考えを表明している。改革の例として、「法人税の引き下げ。2014年に2.4%引き下げ、数年で20%台に引き下げ。規制の撤廃、エネルギー・農業・医療分野の外資への開放。働く母親のために家事を担う外国人労働者の雇用。」を挙げた。また、2014/4の消費税増税については「影響は限定的である」と述べている。 同年8/9、安倍首相は「文芸春秋」9月号に「アベノミクス第二章起動宣言」を寄稿し、「経済成長こそが安倍政権の最優先課題」としてデフレ脱却に向けた決意を表明、地方振興・人口減少対策に全力を挙げる考えを示した。
「積極的平和主義」
自国のみならず国際社会の平和と安全の実現のために、能動的・積極的に行動を起こすことに価値を求める思想。日本において2015/8/14 終戦70周年の談話などに用いられた概念。
第2次安倍改造内閣 2014/9/3-12/24
衆議院議員・自由民主党総裁の安倍晋三が第96代内閣総理大臣に任命され、2014/9/3-12/24 まで続いた日本の内閣である。自由民主党と公明党による自公連立政権を形成する。
「地方創生」「元気で豊かな地方の創生」
「女性の活躍を推進」
第3次安倍内閣 2014/12/24-2015/10/7
衆議院議員・自由民主党総裁の安倍晋三が第97代内閣総理大臣に任命され、2014/12/24-2015/10/7 まで続いた日本の内閣である。自由民主党と公明党による自公連立政権を形成する。経済政策について「アベノミクスの成功を確かなものとしていくことが最大の課題だ。さらに進化させていきたい」と語った。憲法改正は「歴史的なチャレンジと言っていいが、そう簡単なことではない。国民投票で過半数の支持を得なければならず、国民的な理解を深める努力をしていきたい」と述べた。
「一億総活躍社会」 
「新三本の矢」
「新三本の矢」として、1.希望を生み出す強い経済/GDP600兆円、2.夢を紡ぐ子育て支援/出生率1・8、3.安心につながる社会保障/介護離職ゼロ、を掲げる。「アベノミクスの第二ステージに移る」と言いながら、「第一ステージの成果」は総括されていない。
第3次安倍第1次改造内閣 2015/10/7-2016/8/3
衆議院議員・自由民主党総裁の安倍晋三が第97代内閣総理大臣に任命され、2015/10/7-2016/8/3 まで続いた日本の内閣である。自由民主党と公明党による自公連立政権を形成する。「一億総活躍という旗を高く掲げ、内閣が一丸となって、長年の懸案であった少子高齢化といった構造的課題に真正面から立ち向かい、新たな国づくりを力強くスタートさせるべき時が来た」として、東日本の復興の加速化、国内総生産600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロの実現、日米同盟強化による安全保障体制の推進に取り組むとした。1/29 日銀はマイナス金利政策を導入した。
「マイナス金利」
第3次安倍第2次改造内閣 2016/8/3-2017/8/3
衆議院議員・自由民主党総裁の安倍晋三が第97代内閣総理大臣に任命され、2016/8/3-2017/8/3 まで続いた日本の内閣である。自由民主党と公明党による自公連立政権を形成する。また2017年第193回国会以降、日本のこころが参議院で自由民主党との統一会派「自由民主党・こころ」を結成する。
最優先課題を「経済」とした上で、アベノミクスの継続を宣言し、国内総生産の戦後最高600兆円達成、希望出生率1.8の実現、介護離職ゼロを、3つの「的」と位置づけた。また、「一億総活躍」のために、長時間労働是正や、同一労働同一賃金の実現、最低賃金の引き上げなど働き方改革を課題として挙げた。
「働き方改革」
労働力不足解消の3つの対応策 / 働き手を増やす(労働市場に参加していない女性や高齢者)、出生率を上げて将来の働き手を増やす、労働生産性を上げる。働き方改革の具体的な3つの課題 / 長時間労働の改善、非正規と正社員の格差是正、高齢者の就労促進。
第3次安倍第3次改造内閣 2017/8/3-2017/11/1
衆議院議員・自由民主党総裁の安倍晋三が第97代内閣総理大臣に任命され、2017/8/3-2017/11/1 まで続いた日本の内閣である。自由民主党と公明党による自公連立政権を形成する。また、2017年(平成29年)の第193回国会以降、日本のこころが参議院で自民党との統一会派「自由民主党・こころ」を結成している。加計学園問題や南スーダンでの平和維持活動の日報隠蔽問題により「国民から大きな不信を招く結果」となったことを詫び、政策課題に結果を出して、信頼回復を目指すと表明。経済最優先の方針を強調し、自身が掲げた、憲法改正の2020年施行を目指す目標について、「スケジュールありきではない」と述べた。この内閣は、「結果重視、仕事第一、実力本位の布陣を整えられた」とし、「結果本位の仕事人内閣」と述べた。 「身内びいき」「お友達優遇」という批判をいかに払拭させるか。内閣支持率急落に、実力派を適材適所で登用し、手堅い「仕事師内閣」を発足できるかが焦点。
「結果本位の仕事人内閣」「仕事師内閣」
第4次安倍内閣 2017/11/1-2018/10/2
衆議院議員・自由民主党総裁の安倍晋三が第98代内閣総理大臣に任命され、2017/11/1-2018/10/2 まで続いた日本の内閣である。自由民主党と公明党による自公連立政権を形成する。デフレ脱却のための大胆な税制、予算、規制改革、幼児教育無償化、社会保障改革などの新しい政策パッケージを策定することを表明。
「人づくり革命」
人づくり革命とは「人材への投資」です。子どもや若者から社会人まで、生涯切れ目なく質の高い「教育」を受けられるように国が資金を提供、高齢者向けの給付が中心となっている社会保障制度を、誰もが利用できる全世代型の「社会保障」に変えようとしている。今後、少子高齢化社会及び「人生100年時代」に直面します。そんな時代に直面しても、誰もが生きがいを感じながら元気に安心して生きられる社会の実現を目指すために、2017/12 新しい経済政策パッケージとして人づくり革命を打ち出した。
第4次安倍改造内閣 2018/10/2-
衆議院議員・自由民主党総裁の安倍晋三が第98代内閣総理大臣に任命され、2018/10/2- に成立した日本の内閣である。 第4次安倍内閣の改造内閣であり、自由民主党と公明党による自公連立政権を形成する。  
「人づくり革命」は第1次安倍政権の「再チャレンジ政策」の焼き直し 2017/8/6
安倍晋三は2017年8月3日、「内閣総理大臣談話」を閣議決定し、公表している。     
安倍晋三「一億総活躍社会という目標に向かって、デフレからの脱却、地方創生を成し遂げ、日本経済の新たな成長軌道を描く。「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、日本を世界の真ん中で輝かせる。人生100年時代を見据え、「人づくり革命」を進めていく。そして、子どもたちの誰もが、家庭の経済事情に関わらず、それぞれの夢に向かって頑張ることができる。
そうした我が国の未来を拓くため、安倍内閣は新たなスタートを切ります。私たちの次なる挑戦に、国民の皆様の御理解と御協力を改めてお願いいたします」
「一億総活躍社会」、「デフレからの脱却」、「地方創生」、「積極的平和主義」と例の如くのキャッチフレーズが並び、「人づくり革命」と続けている。
「一億総活躍社会」は確かに耳障りが良く、聞こえもいいが、以前ブログに書いたが、アベノミクスは格差ミクスの自己否定、逆説そのものであって、実現不可能は目に見えている。
「一億総活躍」といかない点――いわば格差をそこそこに補うのが給付型奨学金とか教育の無償化といった政策であるはずだ。
だからと言って、こういった政策が「人づくり革命」に資するというわけではない。このことは後で説明する。
先ず「デフレからの脱却」、安倍晋三は2014年12月14日の衆院選圧勝を受けた翌日の12月15日、自民党総裁として自民党本部で記者会見を開いている。   
安倍晋三「15年苦しんだデフレからの脱却を確かなものとするため、消費税の引き上げを延期する。同時に景気判断条項を削除し、平成29年4月から消費税を10%へと引き上げる判断が解散のきっかけでした」
「デフレからの脱却を確かなものとするため」、2015年10月予定の消費税8%から10%への引き上げを2017年4月に延期することにした。
2015年9月20日投開票予定の自民党総裁選で無投票再選を果たした安倍晋三が同じく自民党総裁として2015年9月24日に自民党本部で演説している。      
安倍晋三「アベノミクスによって、雇用は100万人以上増えた。2年連続で給料も上がり、この春は、17年ぶりの高い伸びとなった。中小・小規模事業者の倒産件数も、大きく減少した。
もはや『デフレではない』という状態まで来ました。デフレ脱却は、もう目の前です」――
この演説から2年近く経った今年2017年7月20日に開催の大手企業の経営トップが意見を交わす経団連の夏のフォーラムで榊原会長が次のように発言している。
「日本の最優先課題は、デフレ脱却と経済再生を確実に実現することだ。そのためには成長戦略の推進が不可欠だ」(NHK NEWS WEB)
「日本の最優先課題」と言っている以上、安倍晋三が消費税増税を延期して「もう目の前です」と言っていたデフレ脱却も経済再生も満足な形で成し遂げられていないということであって、だからこそ、今以って「デフレ脱却」を掲げなければならないということであろう。
つまり自ら行ったアベノミクスは機能していないことの宣言に他ならない。自分で掲げたアベノミクスが機能していないなら、他は推して知るべしである。
安倍晋三は『談話』発表と同じ日の2017年8月3日に第3次安倍第3次改造内閣を行い、首相官邸で記者会見を開いて「人づくり革命」に少し触れれいる。  
安倍晋三「茂木大臣には、今回新たに設けることとした『人づくり革命』の担当大臣もお願いしました。
子供たちの誰もが家庭の経済事情にかかわらず夢に向かって頑張ることができる社会。幾つになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会。人生100年時代を見据えた経済社会の在り方を大胆に構想してもらいたいと思います」
「子供たちの誰もが家庭の経済事情にかかわらず夢に向かって頑張ることができる社会」とはチャレンジの平等な機会提供を言い、「幾つになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会」とは再チャレンジの平等な機会提供を言っているはずだ。
2006年9月26日の第1次安倍内閣成立前の2006年9月1日、安倍晋三は自民党総裁選に出馬表明している。
安倍晋三「イノベーションの力とオープンな姿勢で、日本経済に新たな活力を取り入れていきたい。誰でもチャレンジすることが可能な、再チャレンジ可能な社会をつくっていきたいと思う。成長なくして財政再建なし。まずは無駄遣いをなくし、無駄を排除し、歳出の改革を行っていく」
「チャレンジ」も「再チャレンジ」も、2006年9月26日発足から2007年8月27日までの第1次安倍政権、そして2012年12月26日発足から今日までの第2次安倍政権の合計5年8カ月の間に実現させることができずに両チャレンジを掲げ続けている。そして「チャレンジ」、「再チャレンジ」を嘲笑うかのように、その否定要素である格差は拡大している。
安倍晋三は第1次安倍政権時代に「機会の平等を求め、結果の平等は求めない」を自らの政治思想とし、それを口癖としていた。この思想が第1次安倍政権で「チャレンジ&再チャレンジ政策」となって現れたのだろう。
弱肉強食を存在様式としている人間社会に「機会の平等」の提示がどれ程に大変なことか考えなかったようだ。多くの政治形態が先ず上を富ませて、その富を下に順次に配分していくトリクルダウン形式となっていることを十分に考えなかったようだ。
つまり常に上が基準となっていた。下が基準とされることはなかった。第2次安倍政権に於いても変わっていない。その結果の格差拡大であって、安倍晋三の「機会の平等を求め、結果の平等は求めない」は「機会の平等は求めるが、結果の不平等は辞さない」が実体となった。
だとしても、最初に触れたように給付型奨学金や教育の無償化は格差をそこそこに補うことになるだろう。
だからと言って、それが「人づくり革命」に繋がる保証はない。
「産経ニュース」記事が「人づくり革命」の5つのテーマを紹介していた。    
「無償化を含む教育機会の確保」
「社会人のリカレント(学び直し)教育」
「人材採用の多元化、高齢者活用」
「人的投資を核とした生産性向上」
「全世代型の社会保障への改革」
「人的投資を核とした生産性向上」以外は政府提供型の機会となっていて、そうである以上、ある程度は実現させることはできるかもしれないが、「人的投資を核とした生産性向上」は政府がこのような機会を提供して達成できる目標値ではない。
但し「人づくり革命」の中心的な課題は「生産性向上」であるはずだ。4つのテーマを実現させて、「人的投資を核とした生産性向上」へと繋げていく。
その反面、他の4つのテーマの実現が「生産性向上」を実現させる保証はどこにもない。例えば4つのテーマの成果として日本がどこの国にも存在しない新しいコンピューターソフトを使った新しい機械を発明して生産現場に投入し、目覚ましい程の生産性を上げたとしても、そういった機械はすぐに他の国に真似されて、生産性は相対化され、元々の生産性の違いはそのまま残ることになる。
この逆も同じである。アメリカなりが新しい機械で生産性を上げたとしても、日本はその機械を輸入するか、そのうち自国で作ってしまうだろう。
と言うことは、生産性は常に人間自体の働き、その能力が基本となる。だから、「人的投資を核とした」と言う形の「生産性向上」を求めることになっているのだろう。
人間自体の働き、その能力は考える力に負う。と言うことは、「生産性向上」は人それぞれの考える力が決定権を握っていることになる。
考える力は学歴が保証する能力でもなければ、「社会人のリカレント(学び直し)教育」によって必ず手に入れることができるというものでもなく、「人材採用の多元化、高齢者活用」がそのまま生産性向上となって現れるものではない。
現れるなら、普通どおりにやっていても日本の労働生産性が経済協力開発機構(OECD)加盟国先進主要7カ国中最下位という状況は招くことはないはずだ。
学歴が考える力=生産性を保障しないのは東大出の野党国会議員は数多いが、与党を追及する際、相手の言葉を臨機応変に掴まえて逆襲するといった機転もなく、ムダな質問で時間を空費することも多く、質問の生産性が非常に悪い議員がかなりいることが証明している。
「全世代型の社会保障への改革」は、それが成就した場合は生活の安心を与えるが、このことが考える力や生産性向上に直結するとは考えることはできない。
考える力とは総合学習で言っていた「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力」を言う。いわば自主性・自律性を持たせた思考性・行動性を指す。
そのような自分で考える力を子供の頃から学校教育で身に付くように訓練し、社会に出てからは自身の力でその能力を伸ばしていく。
だが、基本の考える力が肝心要の学校教育で身に付いていないと言われている。学校側から言うと、学校教育で身に付かせることができていないことになる。全員が全員というわけではないが、基本がないのだから、社会に出てから、種のないところに作物が実らない状況に立ち入ってしまう。
その結果の日本の労働生産性が経済協力開発機構(OECD)加盟国先進主要7カ国中最下位ということであろう。
大体が総合学習で「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力の育成」を掲げなければならなかったこと自体が自分で考える力の欠如を物語って余りある。
だが、一朝一夕で育つ程簡単な自分で考える力ではない。いくら学校で掲げても、教師が児童・生徒に対して教え学ばせるという姿勢でいる限り、考える力は育たない。児童・生徒に対して自分から学ぶという姿勢へと転換させない限り、考える力は育たないし、育たなければ、当たり前のことだが、自主性・自律性を持たせた思考性・行動性へと次第に発展していくことはない。例え社会に出たからと言って、それが大きく育つことはない。
勿論、このような姿勢を持たせることは親が子供に対して行う家庭教育・家庭での躾についても言える。
第1次安倍政権の「チャレンジ」と「再チャレンジ」の平等な機会提供の意味を込めた、それゆえにその焼き直しでしかない今回の「人づくり革命」がそれぞれのテーマに基づいて「人的投資を核とした生産性向上」へと収束させていくためには一人ひとりの自主性・自律性を持たせた考える力に負い、その育みが主として学校教育にかかっている以上、このようなプロセスに重点を置いてこそ、「人づくり革命」と言えるのであって、置かない「人づくり革命」は今更言う程のことなないし、5つのテーマを並べて麗々しく掲げても、さして意味は出てこないはずだ。 
   
 
●柴山昌彦文科相「教育勅語」復活は安倍政権の総意

 

前川元次官も証言していた「教育勅語を使えるようにしろ」の圧力  
閣僚が“ほぼ全員ネトウヨ”である第4次安倍改造内閣だが、さっそく、その極右思想が露見した。文部科学大臣に起用された柴山昌彦衆院議員だ。柴山文科相は2日の就任記者会見で、戦前・戦中の教育勅語についてこう述べたのである。
「(教育勅語を)アレンジしたかたちでですね、今のたとえば道徳等に使うことができる分野というのは、私は十分にある、という意味では普遍性を持っている部分が見て取れる」
さらに柴山文科相は、教育勅語の使える部分として「同胞を大切にするとか」などを挙げ、「基本的な記載内容について現代的にアレンジして教えていこうと検討する動きがあると聞いており、検討に値する」などと明言した。教育行政のトップとなった人間が、それも就任会見で「同胞を大切に」と排外主義をむき出しにしながら、ここまで具体的に“教育勅語の復活”を唱えるとは、あまりにも露骨すぎるだろう。
もっとも、こうした発言は唐突に飛び出したわけではい。これまでも下村博文元文科相や稲田朋美元防衛相、そして安倍首相自身が教育勅語を肯定する発言をしており、昨年3月31日には教育勅語を学校教育で扱うことに対して「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」との答弁書を閣議決定している。
記憶に新しいところでは、森友学園が経営する幼稚園で幼児たちに暗唱させていたことで、近年、再び脚光を浴びている教育勅語。しかし、同時に安倍自民党の政治家やネトウヨ界隈、あるいは小籔千豊など一部の芸能人までもが「教育勅語の何が悪い!」「いいこともたくさん書いてあるじゃないか!」なる大合唱を展開したこともあって、政権の目論見通りに社会的抵抗感が薄まっていることもまた確かだろう。
であれば本サイトとしては、何度でも、教育勅語の“本質”が危険な軍国主義的イデオロギーそのものであることを確認しておかねばなるまい。
そもそも教育勅語は、明治時代の1890(明治23)年に発布された。その第一の目的は国民を「臣民」と位置付ける教育の根底とし、皇国史観を植えつけることだったが、特筆すべきは、明治天皇の名の下に発布されたこの言葉が、天皇のために命を投げ出すことを子どもたちに教え込むものだったという事実だ。
冒頭を読めば明らかだろう。教育勅語は〈朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ〉と始まるが、これは「皇室の先祖が国を始めたのは遠い昔のことで、徳を積み上げてきた」という意味で、皇室による支配の正当性が謳われている。そして、続く〈我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテヘ育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス〉は、「億兆の国民が心を一つにして、代々その美徳を行ってきたこと、これが国体の精華であり、教育の淵源もここにある」という意味で、日本は天皇を中心とした国であるとの宣言である。
この時点で、天照大御神の神話を基とする皇国史観丸出しだが、教育勅語はそこから「12の徳目」などといわれる“教え”を列挙する。「親孝行せよ」とか「夫婦は違いに仲睦まじくせよ」「憲法と法律に従え」などといった内容で、政権周辺の極右政治家たちや極右文化人らはこうした部分を切り取って、「やっぱり教育勅語はいいことを言ってるじゃないか!」「当たり前のことを言って何が悪い」と主張するのが定番のパターンになっている。
しかし、そんな詐術に騙されてはいけない。そもそも親孝行とか夫婦仲良くとか「当たり前のこと」を言いたいなら、別に教育勅語を持ちだす必要もないだろう。
連中がわざわざ「教育勅語」を持ちだすのは、そこにはっきりとした目的があるからだ。
教育勅語の中核は「臣民は国家・天皇のために命を投げ出せ」という命令
その目的は、徳目の最後に書いてある。12番目の徳目として〈一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ〉と言う言葉が掲げられ、〈以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ〉と続く部分だ。これは「ひとたび皇国に危機が迫ったならば、忠誠心を発揮してその身命を捧げよ」「それによって永遠に続く天皇の勢威を支えよ」という意味。すなわち、明確に「臣民は国家・天皇のために命を投げ出せ」と言っているのである。
しかも、〈以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ〉の「以テ」は、12の徳目すべてにかかっている。つまり、「親孝行」や「夫婦仲良く」ということも、すべては「永遠たる天皇の勢威を支える」という目的のためにあることを、教育勅語じたいが宣言しているのだ。
これは、大日本帝国憲法(明治憲法)下において、元首たる天皇だけが〈統治権ヲ総攬〉する者であり、臣民の諸権利は天皇から与えられるというかたちをとっていることから当然の帰結だ(念のため付記しておくと、帝国憲法をめぐっては天皇主権説と天皇機関説の学説が対立したが、1935(昭和10)年に天皇機関説が排撃され、天皇主権説のもとで軍国主義がますます進行していった)。
しかも、教育勅語はこのあと「このような心構え、行動が天皇の忠実な臣民であることを証明するだけでなく、祖先の伝統をあわらしている」というふうに続く。このことからも明らかなように、「12の徳目」は極右政治家が説明しているような「現代にも通じるよい言葉を並べた」ものでは決してない。徳目を含めた教育勅語全体が、天皇を崇拝させることで市民を無謀な戦争に駆り立てた軍国主義思想の根幹、そのものなのである。
実際、教育勅語が国民に天皇と国家のために身を捧げる教育を目的にしていたことは、その発布までの経緯を見ても明らかだ。
旗振り役は、明治政府の軍事拡大路線を指揮した日本軍閥の祖で、治安警察法などの国民弾圧体制を確立した、時の内閣総理大臣・山縣有朋だった。山縣は、自由民権運動を潰し、天皇と国家神道支配の強化、富国強兵と中央集権体制の確立のため、自分の息のかかった地方長官会議に建議させ、井上毅内閣法制局長官や儒学者の元田永孚らに命じて、この教育勅語をつくらせた。
教育勅語暗唱は子どもに暗唱させて体に叩き込む“洗脳教育”
もちろん、徳目の「親孝行」「夫婦仲良く」なども、あくまで家父長制と男尊女卑の明治憲法下のもの、つまり、女性の人権を認めず、家長である男性に家族全員が従うことを前提としたものだった。そういった家族や日常生活での道徳を説くことで、その延長線上にある「日本全体をひとつの家族とみなしたときの家父長である天皇」に従わせる構造をつくりだしたのが教育勅語だったのだ。
繰り返すが、ここで大事にしろと言われている「道徳」や「家族」は、紛れもなく、個人の国家への奉仕を強制するためのツールに他ならなかったわけだ。
実際にその後、教育勅語は、天皇の神格化と国家主義の基盤となっていった。各学校は天皇の御真影とともに教育勅語の写しを奉納する奉安殿と呼ばれる聖殿のような建物を建て、生徒には最敬礼を義務付けた。そして、森友学園の幼稚園の園児たちと同じように全文暗唱を強制した。
さらに言えば、教育勅語は小さい子どもに暗唱させて体に叩き込むことをあらかじめ意図してつくられていた。実際、草案のひとつは内容の問題だけでなく長すぎて暗唱に向かないとの理由で廃案にされている。教育勅語が簡潔にしてわかりやすい内容にされたのは、丸覚え、暗唱という“洗脳教育”と切り離せるものではない。
先の戦争を引き起こしたのも、教育勅語を神聖なものとして子どもたちに叩き込み続けたことが大きく影響している。満州事変が起き、あの泥沼の戦争に突入していくのは、勅語発布の1890年に小学校1年生だった第一世代が40代となり、彼らを親とする第二世代が成人したくらいの時期。この頃には、教育勅語による洗脳教育が完成され、日露戦争の頃にはまだ存在していた反戦の声をあげるような者もほとんどいなくなっていった。
そして、日本は無謀な戦争に突入。教育勅語の神格化はさらにエスカレートし、軍国主義の支柱となって、国家総動員法や特攻隊を正当化する神聖な教典のような存在になっていった。
そういう意味では、教育勅語はまぎれもなく、日本国民とアジアの人々を不幸におとしいれたあの狂気の戦争を生み出した元凶のひとつだった。だからこそ、敗戦後、教育勅語はGHQから神聖的な取り扱いを禁止されただけでなく、日本の国会も反省に立ってその排除・失効を自ら決議したのである。
安倍政権下で復活をとげた教育勅語、学校教育への使用を解禁
しかし、戦後も教育勅語は、明治憲法の復元や皇室の権復を狙う「右翼」(国家主義者や民族主義者ら狭義の「右翼」のことであって、いわゆる「戦後保守」のことではない)や神道関係者、宗教者らを中心に脈々と引き継がれながら、今日に至った。一方で、戦後日本政治の文脈において、この教育勅語をもっとも国粋主義的な支配構造の再現に利用せんとし、表舞台に引きずり出したのは、やはり、安倍政権をおいてないだろう。
そもそも、戦後の政権は学校教育における教育勅語の使用を否定してきた。それが様変わりしたのが、第二次安倍政権の2014年4月8日、参院文教科学委員会でのことだ。当時、みんなの党所属の参院議員だった和田政宗がこう質問した。
「私は、教育勅語について、学校、教育現場で活用すればとても良い道徳教育になると思いますが、米国占領下の昭和二十三年に国会で排除決議や失効確認決議がなされています。こうした決議は関係なく、副読本や学校現場で活用できると考えますが、その見解でよろしいでしょうか」
これに対し、当時の文科省・初等中等教育局長は「教育勅語を我が国の教育の唯一の根本理念であるとするような指導を行うことは不適切である」と従来の見解を維持しながらも、それとは矛盾するこんな答弁を続けた。
「教育勅語の中には今日でも通用するような内容も含まれておりまして、これらの点に着目して学校で活用するということは考えられるというふうに考えております」
それ以降、国会では教育勅語について「今日でも通用するような普遍的な内容も含まれている」「内容に着目して適切な配慮のもとに活用していくことは差し支えない」との政府側答弁が踏襲されていき、前述のとおり、昨年3月には「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」との答弁書が閣議決定されたわけだが、実は、この2014年4月8日の答弁をした初等中等教育長というのは、あの前川喜平・元文科事務次官だった。
周知の通り、前川氏は現在、さまざまなメディアで、教育勅語を学校教育で使用することに極めて否定的な見解を示している。たとえば、本サイトでの室井佑月との対談のなかでも、教育勅語に関連してこのように述べていた。
「親学は“家族が社会の単位”という考え方です。個人であることよりも家族の一員、一族の一員であることが大事だという。この家族主義的考え方は、じつは、戦前の国体思想でもある。戦前の教育勅語で示されている考え方です。そして、そのベースには家父長制の家制度があった。そこでは親孝行こそ最大の美徳になる。家族なんだからという理屈ですべてを吸収してしまう。そして日本国は、大きな一つの家族だ。その本家の本家の総本家が天皇家で、辿れば天照大御神。すべての国民は天照大御神の子孫であり、天皇家の分家の分家の分家だ、みたいなね。こうして『孝』と『忠』が一本につながる。こういう家族国家観に基づく教育が安倍さんが進めたい道徳教育なんだろうと思います」
そんな前川氏が、どうして、条件付きであったとしても教育勅語の学校教育での活用を認めるような国会答弁をしたのか。
前川元次官が証言!「教育勅語は適切でない」答弁を下村文科相が書き直し命令
背景には、安倍政権の直接的な介入があった。実は、このとき、前川氏の局長答弁は下村文科相によって変更を余儀なくされたというのだ。
前川氏自身が昨年、ある講演会のなかで「加計学園問題よりも私が抵抗できなかったもっと大きな問題は、教育の右傾化といいますか国家主義化の動きを十分に止められていない。こっちのほうがもっと大きい責任を感じているんです」と告白したうえで、一例として“教育勅語答弁”をこう回想している。
「たとえば、こういうことがありました。教育勅語について、明日の委員会で質問がある。どういう質問かというと『教育勅語は学校の教材として使うべきだと思うがいかがか』と。それを局長に訊くというので──私がその局長なんですけど──私の答弁は従来の文部科学省のラインで、教育勅語は戦後、排除・無効確認の決議が行われていて、これを教育の理念として使うことはできません、と。そして、学校の教材として使うことについても適切ではないと(いう答弁を予定していた)。こういう答弁で(文科省は)ずっときているわけです、70年間」
ところが、委員会当日の朝、直前の大臣へのレクの際、前川氏は下村文科相から直接、教材としての使用を認めるよう書き直しを命じられたという。
「委員会がある日は朝、大臣と一緒に、こういう質問がありますからこういう答弁にしましょうという“答弁レク”っていうのをするんですね。その朝の答弁のレクのときに大臣がですね──普通は大臣の答弁だけ説明するんですが──この質問についてだけは局長答弁も見せろと言われて。『こうなってます』と見せたら『これじゃダメだ』と言われたわけです。答弁の最後に『教育勅語のなかにも普遍的に通用することが書いてあるので、この点に着目して学校の教材として使用することは差し支えない』と書き直せと言われたんです」
前川氏は「明らかに違法や違憲でない限りは、組織の上司である大臣の命令に従わないわけにはいかなった」と振り返るが、それでも、答弁に立った際は躊躇して「『差し支えない』ということはどうしても私の口からは出てこなかった」。実際、当時の国会では、前川局長答弁が終わると下村文科相自らがわざわざ手を挙げて答弁。局長答弁にはなかった「教材として使う」ことについて駄目押しを図るために「差し支えない」と明言した。
「その内容そのもの、教育勅語の中身そのものについては今日でも通用する普遍的なものがあるわけでございまして、この点に着目して学校で教材として使う、教育勅語そのものではなくて、その中の中身ですね、それは差し支えないことであるというふうに思います」(下村文科相、国会議事録より)
もうお分かりだろう。今回の柴山文科相による「(教育勅語を)道徳等に使うことができる分野は十分にある」「現代的にアレンジして教えていくことは検討に値する」との発言は、安倍政権が主導する極右国家主義教育の政治的な動きのなかで出てきたものなのである。
だいたい、柴山文科相が言うように「アレンジ」せねばならないシロモノならば、学校教育で使う正当な理由などハナから存在しない。ようは、政権が求めているのは「徳目」の内容ではなく、戦前に教育勅語が果たした国民支配の「機能」のほうにこそある。そのことを、この新文科大臣は言外に暴露しているのだ。
いずれにせよ、近い将来、安倍首相が教育勅語的な極右教育の復活のギアを、さらに一段階あげてゆくのは火を見るより明らかだ。何度でも言う。教育勅語は、天皇を頂点とするイデオロギーの強力な洗脳装置として、無辜の市民を破滅的戦争へと狩り出し、殺し、殺させた。その事実を、ゆめゆめ忘れてはならない。 
   
 
●杉田水脈

 

(すぎたみお 1967- ) 日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(2期目)。新しい歴史教科書をつくる会理事。鳥取大学農学部卒。
兵庫県神戸市垂水区生まれ。親和中学校・親和女子高等学校を経て、1990年、鳥取大学農学部林学科卒業。同年4月積水ハウス木造(1995年に積水ハウスへ吸収される)に入社、1992年4月より西宮市役所勤務。1993年に結婚し、娘がいる。
2010年、退職。同年10月、みんなの党兵庫6区支部長に就任したが、維新政治塾に参加した後、日本維新の会にくら替えした。
2012年12月、第46回衆議院議員総選挙で兵庫6区で日本維新の会より出馬し、自由民主党の当時新人の大串正樹、共産党、日本未来の党の新人候補と争い、自民の大串に小選挙区で敗れたものの、比例近畿ブロックで比例復活し初当選。
2014年の日本維新の会分党に伴い、次世代の党結党に参加、国対副委員長と女性局長に就任。同年12月14日の第47回衆議院議員総選挙に兵庫6区から次世代の党公認で出馬し、前回の選挙でも戦い敗れた自民党の現職大串正樹、民主党と共産党の新人候補と争い、3位の共産党新人候補に次ぐ最下位で落選した。得票率は10.46%で、供託金没収基準である有効得票総数の10%を上回っていた。
議員落選中は、著作活動やネット番組出演、講演活動等の言論活動と並行し、慰安婦問題について民間団体のなでしこアクションやトニー・マラーノ、藤木俊一らと連携して国際連合ジュネーブ事務局で開かれている国連人権委員会の小委員会である女子差別撤廃委員会に出席し、クマラスワミ報告の撤回等を求めるスピーチを行うなどの活動をした。
2017年9月29日、第48回衆議院議員総選挙に自由民主党から出馬することが決定とTwitter上で発表。櫻井よしこによれば、安倍晋三首相が「杉田さんは素晴らしい」と絶賛し萩生田光一議員と「一生懸命になってお誘い」し、自民党からの出馬が決まった。杉田は発表のツイートで「最後に背中を押していただいたのは櫻井よしこ先生です」と記している。
2017年10月9日、第48回衆議院議員総選挙にあたって自民党の比例代表の公認候補として、小選挙区には立候補せず比例のみで出馬、比例中国ブロック17位で出馬し当選。11月2日、細田派に入会。
 政策・主張
教育・育児
○幼稚園や保育所から大学までの教育無償化について「反対」と回答。
○「ゼロ歳児に社会性なんてあり得ません!」と主張。
○「保育所は子供を家庭から引き離し、洗脳教育を施す施設である」とし、学童保育についても「共産党の陰謀である」とし、保育所と学童保育について普及に反対であり、両者ともコミンテルンや共産党が日本を弱体化させるための施設と主張。
○新しい歴史教科書をつくる会で2017年から理事を務めている。
○シングルマザーについて父親による暴力が離婚の原因であっても「そんな男性を選んだのはあなた」などと主張している。
保育所・待機児童問題
○保育所の増設に反対し、「『誰もが利用できるのが当たり前、利用する権利があると考える』のは、大きな間違いである」「『保育園落ちた』ということは『あなたよりも必要度の高い人がいた』というだけのこと。言い換えれば『あなたは必要度が低いので自分で何とかしなさい』ということ」と主張。
○保育所の少なさへの不満の噴出や増設の要望は、「旧ソ連崩壊後、弱体化したと思われていたコミンテルンが息を吹き返しつつあり、そのターゲットが日本になっている」などとし、日本を貶める勢力による陰謀、工作活動、「世論操作」であると主張。
○保育所は「子供を家庭から引き離し、保育所などの施設で洗脳教育をする。旧ソ連が共産主義体制の中で取り組み、失敗したモデルを21世紀の日本で実践しようとしている」と主張。
○2016年3月16日、ニコニコ生放送の番組で「子育て支援制度は、自分が子育てをしていた昔に比べて、今の方がずっと良くなっているはずであり、そろそろ『足るを知れ』というところに来ている。『何ワガママばっか言ってるの』って」「出産育児一時金制度について、立て替えた分を支給するのではなく、初めから無料にすれば出生率が上がるのでは、との声があるが、一時的にも、その程度の金額を用意できない人は子供を産むべきでない。そのような家庭にポンポン子供が産まれても、日本は良くならない」「子育て支援制度は、やり過ぎである」と主張。
学童保育
「学童保育所は鍵っ子が可哀想だということで、共産党が主導してつくったサービス」であるとし、「”学童保育"は共産党用語であり、自治体では用いません」と主張。
LGBT
保育所増設の要望の広がりと共に、LGBT支援の広がりについても「旧ソ連崩壊後、弱体化したと思われていたコミンテルンは息を吹き返しつつあります。その活動の温床になっているのが日本であり、彼らの一番のターゲットが日本」であり「夫婦別姓、ジェンダーフリー、LGBT支援などの考えを広め、日本の一番コアな部分である『家族』を崩壊させようと仕掛けてきました」と主張。
2015年7月2日、ネット番組・チャンネル桜において「同性愛の子どもは、普通に、正常に恋愛できる子どもに比べて自殺率が6倍高い」と笑いながら発言、更に「生産性がない同性愛の人たちに、皆さんの税金を扱って支援をする、どこにそういう大義名分があるんですか」とも発言。後の2018年7月にアルジャジーラによって動画を英語字幕付きで報道され、記事がツイッター上などで拡散、海外から批判コメントが殺到した。
2015年、自身の公式ブログにて、LGBTの人々について「生産性のあるものと無いものを同列に扱うには無理があります。これも差別ではなく区別」と記載。また、「日本では基本的人権が保障されています」とし、その上でLGBTの人たちが権利を主張することは「『LGBTの特権』を認めろ!という主張になります」 とし、「障がい者や病人以外は支援策は不要です」と記載、最後に「この問題を含め、うまくいかないことがあれば国や行政になんとかして貰おうとする。そういう事例が噴出してきています」「自分の問題は自分で解決できる自立した人間を作るための努力を怠ってきた、戦後日本の弊害かもしれません」と締めくくっている。
同性結婚を法律上認めることについて、2017年の朝日新聞・東京大学谷口将紀研究室共同調査(以下、朝日・東大谷口研究室共同調査)では「反対」と回答。
2018年7月、「新潮45」2018年8月号に「LGBTのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がないのです」などと寄稿し、国内外の人々、LGBT当事者団体、難病患者支援団体、障害者支援団体、自民党内外の複数の国会議員、大臣、弁護士、大学教授、芸能人など著名人からも批判が殺到した。国内外の複数のマスメディアからも批判的に報道された。日本国外では米CNNやアルジャジーラ、英インデペンデント紙、仏ル・モンド紙など海外の有力メディアにも報道され、それを見た海外の人々からも批判が集まった。
上記の発言に関し、当初「ネットで叩かれてるけど大丈夫。間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」などと「大臣クラスの先輩方」」や「LGBTの理解促進を担当している先輩議員」らから応援の声をかけられたとし、「自民党の懐の深さを感じます」とツイッターに投稿した。それらに対し杉田や自民党にも批判が集まり、後に投稿を削除した。杉田は削除の理由について「"ゲイを名乗る人物"から脅迫活動を受け、警察と相談して削除しました」とツイッターに投稿。その7月23日の投稿を最後に、それ以前は毎日複数回更新していた杉田によるツイッターの投稿が10月3日現在途絶えている。また朝日新聞などの取材に対し「コメントできない」と回答。
杉田の議員辞職を求める声が野党の複数の国会議員から上がり、更に7月27日には杉田の議員辞職を求めるデモが千代田区の自民党本部の前で開催され、SNSなどを通じ約5,000人が参加、自民党本部の周囲の歩道がデモの参加者で埋め尽くされた。
連立与党では、自民党の石破茂・稲田朋美・小泉進次郎、公明党代表の山口那津男が杉田の寄稿内容を批判した。
2018年8月2日、自民党は、寄稿内容には問題への理解不足と関係者への配慮を欠く表現があったとして、杉田に指導をおこなったことを発表。同日、安倍晋三首相は、「人権が尊重され、多様性が尊重される社会を目指すのは当然」であり「政府・与党の方針でもある」との見解を述べた。
2018年8月7日、杉田の発言や自民党の対応を巡り、難病患者の支援団体、障がいのある当事者団体などにより結成された「生きてく会」が抗議声明を発表。杉田の発言への抗議、また自民党、安倍首相に対して杉田の処分を求めた。また、約1年前に発生した2017年7月に発生した相模原障害者施設殺傷事件のNHKの特設サイト「19のいのち」にも杉田らの主張への批判が相次いだ。
2018年9月18日、新潮社は、「新潮45」2018年10月号を発売。杉田寄稿への批判に対する回答として、「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題する特別企画を掲載、小川栄太郎ら7人が杉田の主張を擁護する趣旨の文章を寄稿した。特に小川の「LGBTは全くの性的嗜好」「「LGBTを認めるなら痴漢の触る権利も保障すべき」といった趣旨の文章が多くの批判を招き、9月21日、新潮社の佐藤隆信 社長は「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた」との談話を発表した。
2018年9月25日、新潮社は、一連の騒動を受け、「新潮45」の休刊と佐藤隆信社長と編集担当役員の2人を3カ月間、10%の減俸処分を発表。「新潮45」は事実上の廃刊となった。休刊決定の理由として「部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていたことは否めない」などとした。
2018年9月28日、杉田は新潮45の休刊について「関知していない」とコメントした。
セクハラ・性犯罪
2018年6月28日、イギリス国営放送BBCは、フリージャーナリスト伊藤詩織が、元TBSワシントン支局長の山口敬之に対して、準強姦被害を訴えた事件に関して、報道番組「Japan's Secret Shame(日本の秘められた恥)」を放映し、性的暴行をめぐる日本の刑事法制・捜査手法・政府の対策などの問題を取り上げる共に、本人や家族を非難するインターネット上の世論も紹介した。
杉田は、同番組放映に際して、BBCから取材を受け、番組の中で「伊藤には、女としての落ち度がある。男性の前でそれだけ(お酒を)飲んで、記憶をなくしている。社会に出てきて女性として働いているのであれば、嫌な人からも声をかけられるし、それをきっちり断るのもスキルの一つである」と、準強姦被害が生じたのは伊藤にも責任がある趣旨の発言をした。更に「(差別やハラスメントの経験について)社会に生きていたら山ほどある。しかし、そういうものかなと思っている」と発言した。
また、番組内では、杉田が出演したインターネット番組『日本の病巣を斬る』の映像が紹介され、イラストレーターのはすみとしこが、本事件について「伊藤が、山口に対して枕営業を行ったが失敗した」と、伊藤を揶揄するイラストを描いたことに対して、杉田が爆笑している様子が放映されている。
この番組の放映を受けて、杉田のtwitterは炎上した。政治学者の三浦瑠麗は「仮に財布がズボンのポケットからはみ出て気をつけてないうちにスられたとしても、窃盗は窃盗である」と例え、不起訴の事実があったとしても「TBSの幹部として職を求めにきた人と性的行為をしようとしただけで職務上の倫理違反に問われる」と杉田を非難した。
杉田は、一連の非難に対して「もし私が、『仕事が欲しいという目的で妻子ある男性と2人で食事にいき、大酒を飲んで意識をなくし、介抱してくれた男性のベッドに半裸で潜り込むような事をする女性』の母親だったなら、『そんな女性に育てた覚えはない。恥ずかしい。情けない。もっと自分を大事にしなさい』と、娘を叱り飛ばす」と述べた。
家族制度
夫婦別姓に反対。
家族の形態について、2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査では「夫婦と複数の子どもが揃っているのが家族の基本」との意見に「近い」、2017年の同調査では「どちらかと言えば近い」と回答。
夫婦別姓・結婚後の職場での旧名使用
選択的夫婦別姓、結婚後の職場などでの旧名使用について、2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査では「どちらかと言えば反対」、2017年の同調査では「反対」と回答。
憲法改正
日本国憲法の改正について、2012年・2014年・2017年に朝日新聞と東京大学谷口研究室が共同で実施した調査、および、2012年・2017年に毎日新聞が実施したアンケートで「賛成」と回答。憲法9条については2014年の毎日新聞アンケートで改正に「賛成」、2017年の同アンケートで「改正し自衛隊を他国同様の『国防軍』にすべき」と回答。
憲法改正または解釈変更による集団的自衛権の行使容認について、2012年の朝日・東大谷口研究室共同調査で「賛成」と回答し、同年の毎日新聞アンケートで集団的自衛権の行使を禁じていた政府の憲法解釈を「見直すべき」とした。2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査では集団的自衛権行使容認の閣議決定について「大いに評価する」と回答。
憲法の改正項目として、2012年の毎日新聞アンケートでは一院制の導入に「賛成」と回答。2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査では改正すべき「緊急事態条項」「憲法改正の手続」「戦争放棄と自衛隊」を挙げた。2017年の毎日新聞アンケートでは緊急事態条項を設けることに「賛成」と回答。
歴史認識
内閣総理大臣の靖国神社参拝について、2014年の毎日新聞アンケートで「問題ない」、2014年と2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査で「賛成」と回答している。
「村山談話」および「河野談話」について、2014年の毎日新聞アンケートで「見直すべき」と回答。かつて日本維新の会が党内に設置した「歴史問題検証プロジェクト・チーム」では事務局長を務めた。
2014年2月3日の衆議院予算委員会で、「河野談話」について「反日の格好の情報発信源になっている」とし、談話を発表した当時の内閣官房長官だった河野洋平の参考人招致を要求した。また、アメリカ合衆国カリフォルニア州のグレンデールに設置された慰安婦像について政府の対応を求め、外務大臣の岸田文雄は「高い政治レベルでこの問題をしっかり話し合うことも大変重要」と応じた。
2014年10月17日、アパ日本再興財団による『第7回「真の近現代史観」懸賞論文』の最優秀藤誠志賞を受賞。
慰安婦問題日韓合意で韓国側の反発が続いていることについて、2017年の毎日新聞アンケートで「政府が対抗手段に出た方がよい」と回答。
経済・財政
消費税率8%および10%への引き上げについて、2012年の毎日新聞アンケートで「引き上げは必要だが時期は先送りすべき」と回答。
2014年に内閣総理大臣の安倍晋三が消費税率10%への引き上げを先送りした判断について、同年の毎日新聞アンケートで「評価する」と回答。同年の神戸新聞のアンケートでは「現時点での増税には反対」とし消費税率引き上げの前提として公会計改革や財政責任法、社会保障改革、道州制を含めた制度改革が必要と回答。一方、同年の朝日・東大谷口研究室共同調査では「長期的には消費税率が10%よりも高くなるのはやむをえない」という意見に「どちらかと言えば賛成」と回答。
また、2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査では、消費税率10%への引き上げを再度先送りした判断について「評価する」、長期的に消費税率を10%よりも高くすることについて「どちらかと言えば賛成」と回答。
日本の財政について、2012年の朝日・東大谷口研究室共同調査で「当面は財政再建のために歳出を抑えるのではなく、景気対策のために財政出動を行うべき」との意見に「どちらかと言えば反対」と回答したが、2017年の同調査では「どちらかと言えば賛成」に転じている。
財政赤字について、2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査では「財政赤字は危機的水準であるので、国債発行を抑制すべきだ」との意見に「どちらかと言えば近い」と回答したが、2017年の同調査では「国債は安定的に消化されており、財政赤字を心配する必要はない」との意見に「どちらかと言えば近い」に回答を変更。2017年の毎日新聞アンケートでは幼児教育などの無償化の財源として適切なのは「国債」と回答。
日本の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉について、2012年の毎日新聞アンケートで参加に「賛成」と回答。
日本のカジノ解禁について、2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査で「どちらかと言えば賛成」、同年の毎日新聞アンケートで「賛成」と回答。
アベノミクスについて、2014年の神戸新聞のアンケートで「第一の矢、第二の矢については評価する。ただし、軌道修正が必要」と回答。また、2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査では「どちらかと言えば評価する」、同年の毎日新聞アンケートでは「評価する」としている。
経済的不平等について、2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査で経済競争力向上と格差是正の優先度について「どちらとも言えない」と回答していたが、2017年の同調査では「社会的格差が多少あっても経済競争力の向上を優先」に「どちらかと言えば近い」と回答。
2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査では、公共事業による雇用確保が必要との意見について「どちらかと言えば賛成」、法人税率の引き下げに「賛成」、国内産業保護か貿易自由化かは「どちらとも言えない」と回答。
2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査では、富裕層への課税強化について「どちらかと言えば賛成」と回答。
安全保障・治安
普天間基地移設問題について、2012年の毎日新聞アンケートでは移転先にふさわしいのは「名護市辺野古」と回答。同問題を巡る日本政府と沖縄県の対立について2017年の毎日新聞アンケートでは「沖縄県が譲歩すべき」と回答。
日本の核武装について、2012年の毎日新聞アンケートで「今後の国際情勢によっては検討すべきだ」、2017年の同アンケートでは「検討を始めるべき」と回答。
非核三原則について、2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査では堅持に「どちらかと言えば反対」、同年の毎日新聞アンケートでは三原則のうち「持ち込ませず」の見直しを「議論すべきだ」と回答。
「治安維持のために個人の権利を制約にすること」について、2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査では「どちらとも言えない」と回答したが、2017年の同調査では「賛成」と回答。
特定秘密保護法について、2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査で成立を「どちらかと言えば評価する」、同年の毎日新聞アンケートで「必要」と回答。
平和安全法制について、2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査では成立を「評価する」、同年の毎日新聞アンケートでは「今の法制でよい」と回答。
日本の防衛について、2014年と2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査で強化に「賛成」、他国からの攻撃が予想される場合の先制攻撃に「賛成」と回答。
組織犯罪処罰法の改正について、2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査で共謀罪の位置づけを「評価する」と回答。
外交
尖閣諸島国有化を巡る日本政府の姿勢について、2012年の毎日新聞アンケートで「評価する」と回答している。
日本の国際関係について、2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査で外交の優先順位は「まずアジア」より「まず米国」に「どちらかと言えば近い」と回答している。
日本の対中国政策について、2012年の毎日新聞アンケートでは「対立を避ける努力をすべきだ」とした一方、2017年の同アンケートでは「より強い態度で臨む」としている。
日本の対北朝鮮政策について、2014年と2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査で対話より圧力を優先することに「賛成」。2017年の毎日新聞アンケートでは「対話ではなく圧力が必要」とする内閣総理大臣安倍晋三の方針について「適切」と回答。
2017年の毎日新聞アンケートで、北方領土での共同経済活動について北方四島返還に「つながるとは思わない」、アメリカ合衆国大統領のドナルド・トランプについて「信頼できる」と回答。
労働・社会福祉
日本の年金について、2014年の第47回衆議院議員総選挙の街頭演説で「積み立て方式に変え、世代間格差をなくす」と主張。年金の将来動向については2017年の毎日新聞アンケートで「給付水準が下がるのはやむをえない」と回答している。
生活保護などのセーフティネットについて、2014年の神戸新聞アンケートで財政負担が拡大しても充実すべきかは「どちらともいえない」と回答。
外国人労働者の受け入れについて、2014年と2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査で「反対」と回答。
働き方改革関連法案における高度プロフェッショナル制度の導入について2017年の毎日新聞アンケートで「賛成」と回答。
選挙制度・政党
2012年の毎日新聞アンケートでは、衆議院の定数削減で望ましいのは「小選挙区、比例代表の両方を削減」、政権の望ましい枠組は「第3極など民主、自民以外の政党中心の政権」、選挙で当選した後に議員が所属政党を変更することについて「問題だ」、政党への企業・団体献金について「禁止すべきだ」と回答している。
2014年の神戸新聞アンケートでは、議員の世襲を規制すべきかは「どちらともいえない」と回答。
日本における外国人参政権について、2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査で永住外国人の地方参政権を認めることに「反対」と回答。
2017年の毎日新聞アンケートでは、衆議院選挙の一票の格差の是正について適切なのは「アダムズ方式など人口の少ない県に一定の配慮をした議席配分」、内閣総理大臣が自由に衆議院解散できることについて「問題ではない」としている。
被選挙権年齢の引き下げに2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査では、「反対」と回答。
原子力政策
日本の原子力発電所について、2012年の毎日新聞アンケートで2030年代に原発稼働を無くす政府の目標を「支持する」とした一方、2014年と2017年の毎日新聞アンケートで原発は「必要」と回答。2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査では「将来も原子力発電は電力源のひとつとして保つべき」との意見に「どちらかと言えば近い」としたが、2017年の同調査では「近い」に回答を変更し原子力発電の維持を明確化している。
福島第一原子力発電所事故後停止した原発の再稼働について、2012年の朝日・東大谷口研究室共同調査で「定期検査で停止中の原子力発電所の運転再開はやむをえない」という意見に「反対」、同年の毎日新聞アンケートで「新基準を満たした原発は再稼働すべき」と回答。原子力規制委員会の審査に合格した原発の再稼働について2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査では「どちらとも言えない」、2017年の同調査では「賛成」と回答。
その他
東日本大震災の復興予算の適用地域について、2012年の毎日新聞アンケートで「被災地に限定すべき」と回答。
森友学園問題・加計学園問題について、2017年の朝日・東大谷口研究室共同調査では内閣の対応を「どちらかと言えば評価する」、同年の毎日新聞アンケートでは内閣総理大臣の安倍晋三や関係機関の説明は「十分」と回答。
女性宮家の創設について、2012年と2017年の毎日新聞アンケートで「反対」と回答。
道徳教育について、2014年の朝日・東大谷口研究室共同調査で充実に「賛成」、同年の毎日新聞アンケートで小中学校での実施に「賛成」と回答。
地方分権について、2014年の神戸新聞のインタビューで「国からの命令に地方が一律で従うという時代はもう終わっている」「地域活性化などは地方の創意工夫に任せるべき」と述べている。
2016年に行われた国連女性差別撤廃委員会では参加していたアイヌ民族衣装、チマチョゴリ、及び糸数慶子参議院議員を無許可で撮影。コスプレおばさんとなどとブログで紹介し恥さらしと糾弾した。  
   
 
●「杉田水脈さんは国家の財産ですよ」

 

“全員野球”安倍内閣の“あの珍言”をもう一度 
10月2日、安倍晋三首相が内閣改造と自民党役員人事を行った。初入閣が12人にも及ぶ第4次安倍改造内閣について、「実務型の人材を結集した」と語った安倍首相は「全員野球内閣」と命名したが、評判は上々とは言えないようだ。さっそく新閣僚からはさまざまな発言が飛び出している。過去の発言もあわせて振り返ってみたい。
○柴山昌彦 文科相
「(教育勅語について)アレンジした形で、今の道徳などに使える分野があり、普遍性を持っている部分がある」
初入閣した柴山昌彦文科相は就任会見で、戦前の教育で使われた教育勅語について「今の道徳などに使える」「普遍性を持っている部分がある」などと語った。「同胞を大事にするなどの基本的な内容について現代的にアレンジして教えていこうという動きがあり、検討に値する」とも述べた。
教育勅語とは明治天皇の名前で1890年に発布されたもので、戦前から戦中にかけて思想面で国家総動員体制を支えた。「君主」である天皇が「臣民」の国民を諭す形をとっており、国民主権、個人の尊重を掲げた現在の日本国憲法とは根本から相容れない。1948年に衆参両院で排除と失効が決議された。衆議院の決議では教育勅語が基本的人権を損ない、憲法に反するものだと明確に位置づけている。
教育勅語には親孝行や友愛などの徳目も含まれるが、ならば親孝行や友愛について教えればいいことであり、教育勅語にこだわる理由は1ミリもない。
近現代史研究者の辻田真佐憲氏は、教育勅語が成立した歴史と内容について論じつつ、「部分的に評価できるところがあるからといって、『教育勅語』全体をそのまま公的に復活させようなどという主張はまったくのナンセンス」と結論づけている(現代ビジネス 2017年1月23日)。
柴山氏は5日の記者会見で「現在に通用する内容もあるが、政府として教育勅語の活用を(学校現場などに)促す考えはない」と語ったが(産経ニュース 10月5日)、そんなの当たり前のことだ。
過去に教育勅語を“推した”政治家たち
○下村博文 自民党・憲法改正推進本部長
「(教育勅語には)至極まっとうなことが書かれており、当時、英語などに翻訳されて他国が参考にした事例もある」
○稲田朋美 自民党・筆頭副幹事長・総裁特別補佐
「教育勅語に流れている核の部分は取り戻すべきだと考えている」
近年、積極的に教育勅語について発言していたのは、下村博文氏と稲田朋美氏だ。
下村氏は文科相だった2014年4月8日の参院文教科学委員会で「(教育勅語を)学校で教材として使う」ことは「差し支えない」と発言。同日の記者会見でも「至極まっとう」と語っていた。稲田氏は防衛相だった2017年3月、参院予算委員会で「勅語の精神は親孝行、友達を大切にする、夫婦仲良くする、高い倫理観で世界中から尊敬される道義国家を目指すことだ」と発言していた。
松野博一氏も文科相時代に「教育勅語を授業に活用することは、適切な配慮の下であれば問題ないと思います」と発言している。
自民党の和田政宗参院議員は下村氏の発言を下敷きに「教育勅語の精神を教育現場で活用することについて、柴山文科大臣の発言を批判している人がいるが、従来答弁を踏襲したもので、何ら問題はない」と柴山氏を擁護した(ブログ 10月4日)。なるほど、柴山氏は「政府として活用を促すことはない」と答えていたけど、自民党としては「教育勅語の精神(?)を教育現場で活用すること」に「何ら問題はない」と考えているわけね。
なお、下村氏と稲田氏は、今回の党役員人事で要職に復帰しているところが共通している。下村氏は、安倍首相にとって悲願である憲法改正について具体案を議論する憲法改正推進本部の本部長に就任。稲田氏は総裁特別補佐に就任した。
○片山さつき 地方創生相
「国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です」
唯一の女性閣僚として初入閣した片山さつき地方創生相のツイッターより。この発言には「国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような前文にしました!」という続きがある。「前文」とは自民党の憲法改正草案の前文を指す。
国家ありき、国民はその後という人権についての考え方なのだろう。
○柴山昌彦 文科相
「(渋谷区に同性愛者が集まったら)問題があるというよりも……社会的な混乱が生じるでしょうね」
これは当時、自民党のヘイトスピーチ対策プロジェクトチームで座長代理を務めていた柴山氏が渋谷区の同性パートナーシップ制度について議論する番組に出演したときの発言。このときは「同性婚を制度化したときに、少子化に拍車がかかる」とも発言し、エッセイストの阿川佐和子氏から「国のために役に立たない人間は認めないって話じゃないですか」と反論された。LGBTカップルのことを「生産性がない」と語った杉田水脈・自民党衆院議員とも通じる考え方だ。なお、柴山氏は2012年に「少し時間ができたので小川榮太郎氏の『約束の日 安倍晋三試論』を読み返す。闘志をかきたてられる一冊だ」ともツイートしている。
○桜田義孝 五輪担当相
「(放射能汚染されたごみの焼却灰は)人の住めなくなった福島に置けばいいのではないか」
政府は東京五輪を「復興五輪」としているが、新たに五輪担当相になった桜田氏は文部科学副大臣だった2013年にこのような発言をしていた。桜田氏は5日の記者会見で過去の発言について「誤解されるような発言があったとすれば私の不徳の致すところだ」と陳謝したが、誰も誤解なんかしていない。
なお、桜田氏は五輪担当相の就任会見の冒頭、「パラリンピック」と上手く言えずに4回言い直していた。臨時国会で審議予定のサイバーセキュリティ基本法改正案について答弁する予定だったが、首相官邸が桜田氏の答弁を不安視しており、別の閣僚への変更を検討しはじめたという(朝日新聞デジタル 10月4日)。
「黙れ、ばばあ!」が話題の平井卓也氏
○平井卓也 科学技術・IT担当相
「EM菌を使っている方がたくさんいるので幹事長を引き受けた。中身はよく知らない」
初入閣の平井卓也科学技術・IT担当相は、科学的裏付けのない有用微生物群(EM菌)の利用を目指す超党派の「有用微生物利活用推進議員連盟」の幹事長を務めている。EM菌は実態の定義も概念の意味も不明瞭な疑似科学で、何の効果もないと批判されている。記者会見でEM菌議連の幹事長を務めていることについて問われた平井氏は「中身はよく知らない」と釈明した。よりによってすさまじい人を科学技術相に選んでしまった。
○平井卓也 科学技術・IT担当相
「黙れ、ばばあ!」
自民党ネットメディア局長時代の2013年には、「ニコニコ動画」上で生中継された党首討論で、社民党の福島瑞穂氏に対して「黙れ、ばばあ!」、日本維新の会の橋下徹氏の欠席が伝えられたときには「橋下、逃亡か?」などと書き込んでいたことが明らかになっている。安倍首相の発言の際は「あべぴょん、がんばれ」などと書き込んでいた。
取材に対して「(国会の)やじみたいなものだ」と釈明している。これがIT担当相……。
○桜田義孝 五輪担当相
「(従軍慰安婦は)職業としての売春婦だった。犠牲者だったかのような宣伝工作に惑わされ過ぎだ」
桜田氏の発言をもう一つ。自民党の外交関係合同会議で、韓国との従軍慰安婦問題についてこう発言した。この前年12月末の日韓合意で政府は慰安婦問題に関し、旧日本軍の関与と責任を認めたばかりだった。
○原田義昭 環境相
「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている時にもかかわらず、申請しようとするのは承服できない」
こちらはユネスコの世界記憶遺産登録をめぐる中国の動きへの対策を検討する自民党の国際情報検討委員会で、委員長だった原田氏の発言。原田氏はラジオ番組のインタビューでも「南京の虐殺というような評価にはまったく当たらない」などと発言していた(TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』2015年10月19日)。
話題の“あの人”の擁護も……
○原田義昭 環境相
「杉田さんは自民党だけではなく国家の財産ですよ」
今年2月10日に発売された雑誌『ジャパニズム』で杉田水脈衆院議員と対談した原田氏は、「国家の財産」と絶賛した。原田氏はほかにも「僕なんか杉田さんが来るの夢みたいに待っていたんでね」「杉田さんの認識はきわめて一般的ですよ」などと語っている。
○稲田朋美 自民党・筆頭副幹事長・総裁特別補佐
「ミサイル防衛で1発目のミサイルを撃ち落とし、2発目(が撃たれる)までに敵基地を反撃する能力を持っていない状況でいいのか」
これはつい先日の発言。北朝鮮問題のシンポジウムにゲストとして登場した稲田氏は、「北朝鮮は実は非核化の意思はないんじゃないか。経済制裁を緩めるべきではない」と圧力路線を主張。自衛隊による敵基地攻撃能力の保有を訴えた。日朝首脳会談の実現は稲田氏にとって眼中にないらしい。
安倍首相は「全員野球内閣」と言うが……
第4次安倍晋三改造内閣について、プレジデントオンライン編集部は「“右寄りのお友達”で固めた安倍内閣」とストレートな見出しを打っている(10月4日)。共産党の小池晃書記局長は「全員野球内閣」というキャッチフレーズに引っかけて「首相と同じ毛色の政治家をそろえた右バッターばかりの『お仲間内閣』」と表現した。
今回の内閣では、公明党所属の石井啓一国土交通相を除き、安倍首相と自民党所属閣僚の19人全員が「靖国」派改憲右翼団体と連携する「神道政治連盟国会議員懇談会」と「日本会議国会議員懇談会」の二つの議連のいずれかに加盟歴があることが明らかになっている。
安倍首相は記者会見で「希望にあふれ、誇りある日本を創り上げ、世代に引き渡すため、内閣一丸となって、政策の実行に邁進する決意です」と語ったが、いったいどのような国になってしまうのか注視していきたい。 
   
 
●自民党議員・スキャンダル史
 

 

支持率が30%を切った安倍内閣は、内閣改造によって挽回を目指している。しかし、多くの自民党所属議員がスキャンダルを出しているのも事実。内閣改造にふさわしい人材はいるのか? 加計学園問題をはじめとするスキャンダルで、都議選で歴史的大敗を喫し、支持率が急落する安倍内閣。安倍総理は、8月3日に内閣改造を行うと明言した。退陣する閣僚の名前は数多いが、入閣する人材はというと、小泉進次郎氏、橋本徹氏の2名以外、特に名前が出てこない。民間人も含めて入閣を考えるので身体検査に時間がかかるとの指摘があるが、自民党内には、再任組も含めて内閣を運営するにふさわしい人材はいるのだろうか?
三原じゅん子 参議院議員(2期)
三原じゅん子(本名:中根 順子、1964 - )は、日本の政治家、元女優・歌手、元介護施設経営者、元カーレーサー。以前は本名で活動。自由民主党所属の参議院議員(2期)、自民党女性局長(2013-2015年)、参議院厚生労働委員長(2016年)。東京都板橋区出身。
3月16日の参議院予算委で、与党議員として内閣に対する質問を行った自民党の三原じゅん子議員は「八紘一宇」という大戦中のスローガンを肯定的な意味で使用したばかりか、「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」という発言までしています。
「八紘一宇とは」〜第二次世界大戦で日本が国家の理念として打ち出し、大東亜共栄圏のための海外進出を正当化するために使われた言葉。
茂木敏充 衆議院議員(8期)
茂木敏充(1955 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(8期)、自民党政務調査会長、自民党栃木県連会長。第2次安倍内閣で、経済産業大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構)、福田康夫改造内閣で内閣府特命担当大臣(金融)、第1次小泉第2次改造内閣・第2次小泉内閣で内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・個人情報保護・科学技術政策)、第1次小泉第1次改造内閣で外務副大臣を務めたほか、衆議院厚生労働委員長、自民党政務調査会長(第53代)、自由民主党選挙対策委員長等を歴任。
2015広島土砂災害〜首相帰京後も最後までゴルフ
「茂木大臣は安倍首相が午前中に官邸に向かった後も最終18番ホールまでプレーし、午後3時ごろにゆっくりとゴルフ場を後にしました。プレー中は終始、笑顔でしたね」
甘利明 衆議院議員(11期)
甘利明(1949 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(11期)、さいこう日本代表、自由民主党総務。自由民主党政務調査会長(第54代)、労働大臣(第67代)、経済産業大臣(第7・8代)、内閣府特命担当大臣(規制改革)、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)等を歴任した。戦国時代の武田氏の重臣で知られる甘利虎泰の子孫である。元衆議院議員の甘利正は父。
現金授受疑惑で辞任
甘利氏は、2013年11月に大臣室で、2014年2月に神奈川県大和市の地元事務所で、千葉県内の建設業者の関係者からそれぞれ50万円を受け取っていたことを認めた。この計100万円については、のちにまとめて同社からの寄付として、地元選挙区支部の政治資金収支報告書に記載されているとしたが、地元事務所の秘書が別途受け取っていた500万円のうち、300万円を適正に処理せず、個人的に使っていたことが分かったと明らかにした。
逢沢一郎 衆議院議員(10期)
逢沢一郎(1954 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(10期)、衆議院政治倫理審査会長。自民党国会対策委員長(第51代)、自民党幹事長代理、衆議院議院運営委員長(第67・76代)、衆議院予算委員長等を歴任。松下政経塾出身者では初の国会議員であり、また初めて政務次官に就任した人物である。祖父の逢沢寛、父の逢沢英雄も衆議院議員を務めた。
加計学園金銭疑惑
施設などの設計を請け負っているのは加計学園グループであるSID創研であり、施行は大本組と岡山市のアイサワ工業が受注している。このアイサワ工業というのが、岡山一区を選挙区とする自民党・逢沢一郎衆院議員の従兄が経営する会社なのである。この疑惑を追いかけている「週刊朝日」(朝日新聞出版)によると、逢沢議員は加計学園の国際交流局の顧問を30年ほど務める関係にあり、一方、アイサワ工業は2015年に逢沢議員の政治団体に750万円を寄付。自民党の政治資金団体にも30万円を寄付しているという。
山口俊一 衆議院議員(9期)
第2次安倍改造内閣・第3次安倍内閣で内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・科学技術政策・宇宙政策)、第3次安倍内閣で内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)を務めたほか、内閣総理大臣補佐官(麻生内閣)、財務副大臣(第2次安倍内閣)、総務副大臣(第1次小泉再改造内閣・第2次小泉内閣)、衆議院決算行政監視委員長・財務金融委員長、徳島県議会議員(4期)等を歴任した。
準大手ゼネコンの西松建設から、同社のOBらが代表を務める政治団体から計200万円の政治献金を受け取っていた
原田義昭 衆議院議員(7期)
原田義昭(1944 - )は、日本の政治家、弁護士。自由民主党所属の衆議院議員(通算7期)。
学歴詐称で副大臣辞任
2004年5月にホームページなどで「1976年9月に米国ボストンのタフツ大学大学院(フレッチャー・スクール)卒業」 などとしていたが、必須の単位が一つ足りていなかったことが判明、同月20日に文部科学副大臣を辞任
宮腰光寛 衆議院議員(7期)
宮腰光寛(1950 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(7期)、自由民主党富山県連会長。農林水産副大臣(第3次小泉内閣・第3次小泉改造内閣)、農林水産大臣政務官(第1次小泉内閣)、内閣府大臣政務官(第1次小泉第2次改造内閣・第2次小泉内閣)、衆議院農林水産委員長、富山県議会議員(4期)等を務めた。
TPP対策委員会委員長代理兼事務総長の宮腰光寛議員による“現金授受”問題だ。記事によれば昨年7月、ハワイで行われたTPP交渉に出席した「日本養鶏協会」(養鶏協)の栗木鋭三会長(当時)が前述自民党3議員に「協会としてお世話になる」と合計で80万円を手渡したというもの。「養鶏協」は農水省から毎年約52億円もの補助金を得ており、「国から補助金等の交付を受けた法人は1年間政治活動への寄付が原則禁止」という政治資金規正法違反に抵触するものだ。
後藤田正純 衆議院議員(6期)
後藤田正純(1969 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(6期)、自由民主党副幹事長。内閣府副大臣、自民党徳島県連会長を歴任した。妻は女優の水野真紀。大叔父は警察庁長官、内閣官房長官、法務大臣を歴任した徳島県全県区の衆議院議員であった後藤田正晴。
「ハレンチすぎる不倫」
相手は東京・銀座の高級クラブのホステス。5月23日夜、女性が働くクラブへ同伴出勤し、5時間ほど過ごした後で、2人で東京・六本木のバーへ向かった。そこでは人目もはばからずキスをし太腿や胸をなで回したという。2人でトイレの個室に入って20分以上出て来ない場面もあったようだ。翌24日未明には女性と東京・赤坂の衆院議員宿舎へ。女性は約4時間後の午前8時ごろ、1人で宿舎を後にした。衆議院広報課によると、議員宿舎の利用は「議員および議員と同居する家族」(衆議院広報課)に限られている。
金子恭之 衆議院議員(6期)
金子恭之(1961 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(6期)。国土交通副大臣(福田康夫改造内閣・麻生内閣)、農林水産大臣政務官(第3次小泉改造内閣)、衆議院国土交通委員長等を務めた。
迂回献金疑惑
熊本県の川辺川ダム周辺の建設業者から山崎拓自民党幹事長の選挙区支部に入った献金が、同氏の資金管理団体を経由して、自民党の金子に寄付されていた。額は2000年に1000万円、2001年に1100万円に上ったと指摘された
福井照 衆議院議員(6期)
福井照(1953 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(6期)、自由民主党高知県連会長。元文部科学副大臣(第2次安倍内閣)。
2008年8月28日に、政治団体「福井照政策フォーラム実行委員会」・「人間都市文化研究会」・「福井照君を育てる会」が、秘書の自宅を事務所として届け、2005-2006年の2年間、合計約1570万円の経常経費を計上していたことが判明した。2009年に、本人が代表を務める政治団体が在日韓国人男性が経営する会社から計750万円の献金を受けていた。2016年9月29日、TPPの承認案と関連法案の審議入りを前にして、「西川公也先生の思いを強行採決という形で実現するよう頑張らせていただく」と発言し、その日のうちに衆議院TPP特別委員会理事を辞任した。
平井卓也 衆議院議員(6期)
平井卓也(1958 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(6期)、自民党香川県連会長。参議院副議長や郵政大臣を務めた元参議院議員の平井太郎は祖父。元労働大臣の平井卓志は父。四国新聞社社主平井温子は母。四国新聞社代表取締役CEO平井龍司は弟。元中京銀行会長富田信夫は叔父。妻と二男・一女。
ネットで偽装書き込み事件
2013年6月28日の「ネット党首討論会」の中継会場に出席していた平井が、社民党の福島瑞穂党首に向けて「黙れ、ばばあ!」、討論会を欠席した日本維新の会の橋下徹共同代表に向けて「橋下、逃亡か?」などといった誹謗中傷コメントをスマートフォンを使って書き込む一方、自党の安倍晋三総裁に対しては自らがネットでの宣伝用に発案した「あべぴょん」という造語を用い「あべぴょん、がんばれ」などの好意的なコメントを書き込んでいたことが発覚した。
西村康稔 衆議院議員(5期)
西村康稔(1962 - )は、日本の元通産官僚、政治家。自由民主党所属の衆議院議員(5期)、自由民主党総裁特別補佐、筆頭副幹事長。過去に、衆議院内閣委員長、内閣府副大臣(第2次安倍内閣・第2次安倍改造内閣・第3次安倍内閣)、外務大臣政務官(福田康夫改造内閣・麻生内閣)等を歴任。自治大臣や国家公安委員会委員長を務めた元衆議院議員の吹田ナは岳父。
ベトナムで買春
西村氏はカラオケ・クラブから7人のホステスを連れ出し、自らが宿泊するホテルのスイートルームへ呼び入れたという。その後、7人のうち3人の女性が残り、西村氏は3人を相手に行為に及び、対価として3人あわせて600ドル弱を支払ったという。3人の女性のうち2人が小誌に西村氏との行為を詳細に証言。他にもホテルでの目撃者など複数の関係者が買春を裏付ける証言をしている。
菅原一秀 衆議院議員(5期)
菅原一秀(1962 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(5期)、自由民主党副幹事長・東京都連会長代行。財務副大臣(第3次安倍内閣)、経済産業副大臣(第2次安倍内閣)、厚生労働大臣政務官(第1次安倍内閣)、東京都議会議員(1期)、練馬区議会議員(2期)等を務めた。
国会開会中に「嘘」の海外視察
菅原氏は経産副大臣だった2013年4月27日から5月1日にかけて、「政治経済事情視察」として衆院議院運営委員会に請暇願を提出し、ハワイに旅行。結婚を前提としない形で男女関係にあった27歳(当時)のA子さんと、ハワイで合流、「連日ゴルフ三昧で、4泊6日で四ラウンドもしていた。副大臣なのに、自由に旅行して大丈夫なのかと心配する女性に、『嘘を申請したから大丈夫』と語っていたそうです」(A子さんの知人)
江藤拓 衆議院議員(5期)
江藤拓(1960 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(5期)。農林水産副大臣(第2次安倍内閣)を歴任した。
TPP裏金疑惑
「あと一人は江藤拓(自民党衆院議員)さん。栗木さんは議員に渡した80万円を自分のポケットマネーで払えばよかったのに、ケチな性格だから、理事会という場で他の理事に負担を求めたからこんな騒動になった。みんなあきれてますよ」 江藤氏は、自民党の実力議員として知られた故・江藤隆美氏の息子で、2012年から14年まで農水副大臣をつとめた。自民党議員で組織された「TPP交渉における国益を守り抜く会」の会長にも就任。現在は、党の農林水産戦略調査会の筆頭副会長だ。自民党農政に強い影響力を持つ農林議員の非公開会合「インナー」のメンバーの一人でもある。
橋本聖子 参議院議員(4期)
橋本聖子(戸籍名:石ア聖子、1964 ‐ )は、日本の政治家。自由民主党所属の参議院議員(4期)。自由民主党参議院議員会長。公益財団法人日本スケート連盟会長、公益財団法人日本自転車競技連盟会長。公益財団法人日本オリンピック委員会常務理事。スピードスケートおよび自転車競技の元選手でオリンピック日本代表として出場。アルベールビル冬季オリンピックスピードスケート女子1500m銅メダル。2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会理事、自民党実施本部本部長。
高橋大輔に無理やりキス〜セクハラ騒動
打ち上げの出席者によると、酒が入った橋本氏は高橋を側に呼び寄せると、突然抱きついてキスをし始めた。最初は嫌がるように身体をよじらせてかわそうとしていた高橋だったが、何度も橋本氏から迫られるうちに、途中からキスを受け入れていたという。 
第3次改造内閣の「菅人事」 2017/8 
故・梶山静六元官房長官を尊敬する菅官房長官が長男・弘志氏を大臣に、国家公安委員長に抜擢された小此木八郎氏も菅官房長官が長らく秘書を務めた彦三郎氏の三男。
梶山弘志 / 内閣府特命担当大臣 (地方創生・規制改革) まち・ひと・しごと創生担当・行政改革担当・国家公務員制度担当
小此木八郎 / 国家公安委員会委員長 国土強靱化担当 内閣府特命担当大臣 (防災) 
   
 
●河野太郎外相

 

●「あの河野洋平氏の息子」中国など海外も注目の河野太郎外相 2017/8
第3次安倍第3次改造内閣が8月3日午後に発足。今回の改造内閣人事の目玉の一つとなったのは河野太郎氏の外務大臣就任だった。河野外相は「河野談話」で知られる河野洋平氏の息子であるため、中国では期待を持ってこのニュースを受け入れたようだ。そして就任4日目、フィリピンで行われたASEAN(東南アジア諸国連合)関連外相会議に出席して外相デビューした河野外相。海外のメディアはどのように日本の新外相を評価しているのだろうか?
中国は期待を裏切られ……
まずは、これからの対日本政策がスムーズになると大きな期待を寄せていた中国だが蓋を開けてみれば期待外れに終わったようで、7日に行われた日中外相会談で王毅外相が失望感を表したと伝えられている。
失望感の理由は、河野外相の南シナ海に関しての発言だ。中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」のウェブサイト版では河野外相誕生のニュースを「河野太郎が日本の新外相に就任 父親は親中派の河野洋平」と、河野新外相の父親を前面に出して報道した。しかし会談後はその日本語版ニュースで、「河野外相も王外交部長と会った際、対中重視を強調し(中略)そのために真摯に努力したいとも表明した。表面上の口ぶりは良いが、本心はどうなのか?」として懸念を示している。そして、「河野太郎外相は父の河野洋平氏がかつて中日友好の推進に重要な貢献をしたとはいえ、自民党の影響と拘束から脱するのは恐らく困難だ」と手厳しい。
他各紙の報道によると、その手厳しさにはそれなりの理由があるようで、王外交部長が河野外相の父親の名前を出して、素晴らしい政治家であった父親の正しい理念を継承するように希望すると述べた際に「中国には大国としての振舞い方を身につけていただく必要がある」と返したという。ニューフェイスであるとことを鑑みると、河野新外相はなかなかの人物だと思える。
中国以外からは高評価
この一連の受け答えについて、香港の英語紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストは「日本の新外相、河野太郎:中国の朋友……それとも敵?」と題した記事を掲載し、海外のメディアを含めてみんなが、河野新外相は父親と同じ姿勢で北京とソウルに対応し、手を組むと思っていたようだがそうではなさそうだ、としている。同紙は「日本の新外相は短い会話の中で中国の言いなりになる気はないという姿勢を見せた」として、評論家たちに評価されていると書く。
そして、テンプル大学日本キャンパスのアジア研究ディレクター、ジェフ・キングストン氏の見解を紹介。同氏は、「河野外相のデビューは、国際的には高い評価を得ました。(デビューは)就任からほんの数日後でしたが、とても上手くいったと思われます……もちろん、中国以外(の国はそう思っている)」と同紙に語っている。この見解はファム・ビン・ミン・ベトナム副首相兼外相と同じであるという。同副首相兼外相は、中国に対して立ち上がったとして河野外相を称えるコメントをしているようだ。
国際派の外相、内閣に新風か?
スキャンダルが続き、もう失敗できない安倍内閣が持ってきた、異例の人事である河野太郎新外相。AP通信は「日本の新外相はよく知られた反逆分子」という一文で記事を始めているように、これまでの外相とは一味違った政治家であることは諸外国も認識しているようだ。慶応大学で学んだ後、英国ジョージタウン大学へ入学。在学中には、現在共和党の上院議員を務める、当時下院議員であったシェルビー議員会議事務所でインターンの経験がある。ティラーソン米国務長官との会談や日米豪外相会議では通訳を介さす直接英語でやり取りしたそうだ。
新外相が台風の目となり内閣に新風を吹き込むか、安倍外交の色に染まってしまうか、諸外国はこれからの動向を見守っているといえるだろう。 
●河野外相「いきなり説教された」 中国の批判振り返る 2017/11
河野太郎外相は18日、神奈川県平塚市内で講演し、中国の経済圏構想「一帯一路」について「オープンに(港湾設備などを)誰でも使えますよという形でやってくれれば世界経済にとって非常にメリットがある」と述べ、条件をつけながらも中国の構想に前向きな評価を示した。
河野氏は「一帯一路」について、「色んな国にもきっとメリットはあるんだろう」としつつ、「問題は、この港は俺が造ったから他の人に使わせないということになるとダメだ」と指摘。そのうえで、日米両国が共通戦略として打ち出した「自由で開かれたインド太平洋戦略」に触れ、「中国もぜひ協力してくださいと呼びかけている」と語った。
さらに、8月の中国の王毅(ワンイー)外相との会談冒頭、記者団を前にして中国の海洋進出を懸念した河野氏を「失望した」と批判した王氏に対し、河野氏が「中国には大国としての振る舞いを身につけていただく必要がある」と反論したやり取りを披露。「いきなりテレビの前で説教されたから、こっちもひと言、言ってやろうと思ってああいうやり取りになった」と振り返った。 
●河野太郎 財務官僚批判を封印 2018/1
いずれ堰を切って飛び出してくると思っているのだが、自民党の国会議員の中で最も官僚の情報隠蔽体質や事勿れ、先送り体質に手厳しいのが、現在安倍内閣で外務大臣を務めている河野太郎氏である。
年金問題や社会保険庁問題を審議していた自民党の厚生労働部会での河野太郎氏の更生労働官僚に対する叱責ぶりは、この人は本当に自民党の国会議員かしら、と思うほどに激しかった。
声が大きく、かつ実証的にデーターに基づいて理詰めで追及してくるから、厚生労働省の担当者はさぞかし肝が縮み上がっただろうと思う。
部会長はじめ自民党のお歴々の皆さんが座っているひな壇の真ん前に陣取り、部会の審議が始まったら早速手を挙げ、滔々とご自分の意見を開陳、いや、部会に説明のために出席している厚生労働省の担当者を面罵する。
河野太郎氏と、現在は愛知県知事を務められている大村秀章氏が当時の自民党の中では厚生労働官僚批判の双璧であった。国会議員に当選して日が浅く、問題の所在やその深刻さ等について十分の知識がない私などは、目を白黒しながら河野太郎氏の官僚批判を聞いていたものだが、ほう、自民党はここまでやっても許されるんだ、と思ったものである。
森友学園問題や加計学園問題を抱えている安倍内閣は、あの当時の河野太郎氏らが示した激しい追及ないし攻撃の直撃を受けたら、多分窮地に追い込まれていただろうと思っている。財務当局などは、ひとたまりもないはずである。
河野太郎氏の破壊力には、想像を超えるものがある。河野太郎氏は、安倍内閣の閣僚になったことでどうやらご自分の破壊力というか攻撃力を封印してしまっているようだが、いつかその封印を解く日が来るだろうと思っている。
その日がいつか。
多分、自民党の総裁選挙に立候補する時だろう。今の野党にはまったく期待出来ないが、河野太郎氏が鎌首をもたげたら、自民党も霞が関も大きく変るはずである。
私は、河野太郎氏の時代が来るのを、密かに楽しみにしている。 
●河野太郎外相が国会の答弁席で爆睡 2018/2
14日の衆院予算委員会で、河野太郎外相が答弁席で爆睡していた
NHKが熟睡する姿をばっちり中継し、ネット上では批判が噴出
国民から「税金泥棒」と怒りの声が上がるのも当然 
●日本の外相は保守政党の改革者なのか? 2018/2
かつて政府の無駄遣いを厳しく批判し、原発の廃止を主張した河野太郎外務大臣。米紙「ニューヨーク・タイムズ」は直接インタビューし、周辺取材も重ねて「『ポスト安倍』を狙うリベラルな異端児」だと報じている。
ユーモアを解する首相候補
2017年12月、河野太郎外務大臣は入院し、尿管結石を除去した。だがその夜には、明仁天皇84歳の祝賀の儀に出席し、翌日、東京から1000km近く離れた九州南部の市長選挙の応援に駆けつけ、その翌日のクリスマスイブにはテルアビブに飛び、5日間の中東歴訪を開始した。
ソーシャルメディアにもちゃんと記されているこの過酷なスケジュールは、河野が外相よりも上に出世する可能性があることを示しているともいえる。だが、その出世競争がいつ始まるのかは、本人も知らない。
2017年秋の選挙で勝利した安倍晋三首相は、現代の日本で最長任期のリーダーになることを目指している。安倍はまだ63歳で、政治家としては引退する歳ではない。少なくとも2020年の東京五輪が終わるまでは首相を続けるつもりのようだ。そしてそれを可能にするよう、自民党の党則はすでに変更されている。
しかし、安倍の後継者争いはすでに始まっている。現在55歳の河野には、その争いに参加する資格がある。
だが河野は、日本の古めかしい政治の世界においては、政治家一家に生まれたことを除いては異端の存在だ。米国の大学を卒業し、自民党内ではリベラル寄りで、体制に迎合しないからである。
現在の河野は、原子力や移民などの問題について党右派と距離をとりながら、自らを首相候補者として位置づけようとしているようだ。
記者は外務省に河野を訪ね、インタビューをおこなった。まず彼に、「あなたはいつ自民党を率いることになるのですか」と尋ねたところ、恥ずかしそうに微笑み、こう答えた。
「誰にもわかりません。2年前にトランプ大統領を予言できた人はいましたか?」
東京の名門校である慶應義塾大学を中退してワシントンのジョージタウン大学を卒業した河野は英語を流暢に話す。
また彼は河野洋平の息子でもある。洋平もかつて外相をつとめたが、有名なのは1993年に内閣官房長官として、第二次世界大戦中に日本軍の慰安所で働かなければならなかった韓国などの女性に対し、問題を打開するための謝罪文を発表したことだ。与党内の国家主義者たちは、このいわゆる「河野談話」に憤慨しており、その一部は怒りを息子にも向けている。
河野太郎自身も、しばしばリベラル寄りの姿勢を見せていたため、2017年8月に閣僚に任命されるまでは、安倍の後継者リストにはあがっていなかった。
だが多くの固苦しい政治エリートとは違い、河野はしばしば遊び心を示している。
彼は日本語と英語のツイッターで、いくつかユーモアのセンスを見せているのだ。たとえば以下のツイートだ。
・ 彼は甘党であると公言しており、定期的に外遊先で食べたマカロンの写真を投稿している。
・ トランプ大統領のサインが印刷されたM&Mの箱の写真に、河野は「味は一緒だけど」とコメントした。
・ 外務大臣として初めて中国を訪問したときも、河野はランチメニューの写真を投稿している。
変節したのか? いまだ反逆者なのか?
現在、河野はこれまでの自説をトーンダウンさせ、内閣の方針に合わせている。首相に就任するために、党内で支持者を増やそうとしているのかもしれない。
河野は閣僚に任命されるとすぐに、父親(16年前に「息子から父」の肝臓移植で話題となった)から離れ、外務省職員に「河野洋平と河野太郎はまったく違う」と語った。
元外交官の宮家邦彦は、「河野太郎バージョン1.0は、現在バージョン2.0になっています」と語った。
インタビューにおいて、河野はこれまで主張していた原子力発電所の廃止についてコメントせず、政府側の論点を語った。 
●河野太郎外相批判について 2018/2
トランプ米政権は2日、今後5〜10年間の米国の核戦略の指針となる「核体制の見直し(NPR)」を発表いたしました。
核攻撃への抑止と反撃に限らず、通常兵器への反撃にも核の使用を排除しない方針を打ち出し、爆発力を抑えた核兵器の開発方針も明記、「核なき世界」をめざして核の役割を減らそうとしたオバマ前政権の方針から転換し、核兵器の役割を広げる方針を明確に打ち出しました。
新しい指針では、新たな核開発を進めることもうたったおり、短期的には潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)で使う爆発力を抑えた新たな核兵器の開発を検討、長期的には、海洋発射型の核巡航ミサイルを新規に開発する方針も盛り込んでいます。
「米、通常兵器に核で反撃 核戦略指針発表 選択肢排除せず 新型開発明記 」 (2018/2/3 日経)
「米国はこの10年間で核の保有数や役割を減らした。他の核保有国は備蓄を増やし、他国を脅かす新兵器を開発した」。トランプ大統領は2日の声明で、中ロや北朝鮮を念頭に批判しています。
対して、ロシア外務省は3日、NPRについて「対決的、反ロシア的な内容に失望した」「自衛のため必要な措置は取らざるを得ない」との声明を発表、強く反発、米ロの核軍縮を進める新戦略兵器削減条約(新START)は21年に失効しますが、その延長の可否はまったく見通せなくなりました。
米国の敵視政策を警戒する北朝鮮も強く反発、3日、国営メディアの「わが民族同士」の論評で「米国の不純な企図と干渉策動が続く限り、朝鮮半島の平和と安全が脅かされている」と米国を批判しました。
「核新戦略 米に危機感 中ロ・北朝鮮を非難、抑止力拡大で軍縮遠のく 」 (2018/2/4 日経)
これに対し、アメリカ同盟国日本では河野太郎外相がトランプ政権の核指針「高く評価」いたします。
3日付け毎日新聞記事から。
「河野外相 トランプ政権の核指針「高く評価」 河野太郎外相は3日、核兵器の役割を拡大させるトランプ米政権の新たな核戦略指針「核態勢見直し(NPR)」に関し「わが国を含む同盟国に対する拡大抑止へのコミットメントを明確にした。高く評価する」との談話を発表した。談話では「北朝鮮の核・ミサイル開発の進展で安全保障環境が急速に悪化している」と指摘。米国と危機意識を共有するとした上で「日米同盟の抑止力を強化していく」と表明した。同時に「安全保障上の脅威に適切に対処しながら、核軍縮の推進に向けて引き続き米国と緊密に協力する」とも言及した。(共同)」
うむ、「わが国を含む同盟国に対する拡大抑止へのコミットメントを明確にした。高く評価する」と全面的に支持している点もさることながら、米声明から時を置かずの積極的支持表明は、国際的に異彩を放ちました。
さて、翌4日に国内リベラル勢力は、一斉にこのトランプ米政権の新たな核政策(NPR)と、あわせてそれを「高く評価」した河野太郎大臣を表明を、それぞれ批判いたします。
4日付けの新聞社説は、保守派の読売、産経、日経などが沈黙する中、リベラル派の朝日、毎日、地方紙では北海道新聞などが、社説に取り上げます。毎日新聞と北海道新聞は、それぞれ名指しで河野太郎外相発言を批判しています。
○朝日新聞社説 米国の核戦略 歴史に逆行する愚行
○毎日新聞社説 トランプ政権の「核態勢見直し」 新たな軍拡競争を恐れる
河野太郎外相は今回のNPRについて、日本など同盟国に対する拡大抑止(核の傘)への関与を明確にしたと評価した。北朝鮮の核武装を許さないとする強い態度表明も日本政府にとって好ましいものだろう。とはいえ、核を除けば軍事弱小国に過ぎない北朝鮮に対し、米国は核戦略を転換せずとも対応できよう。むしろNPRによって中露との対立が強まれば、北朝鮮問題をめぐる国際連携にとって重大な障害となりかねないことを自覚すべきである。
○北海道新聞社説 米の核見直し 廃絶の願いに逆行する
一方、河野太郎外相は、米国の核抑止力が強化されるとしてNPRを「高く評価する」との談話を発表した。政府は、核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任してきたのではなかったか。核兵器の役割を拡大させる方針を後押しすることが日本の果たすべき役割ではあるまい。「戦争被爆国として、米国の方針に追随しないよう求める」(田上富久長崎市長)という被爆地の声に耳を傾ける必要がある。 
●ベネズエラ大統領選「民意反映か疑問」 河野外相が批判 2018/5
河野太郎外相は21日、南米ベネズエラの大統領選で独裁体制を続ける現職のマドゥロ氏の再選が決まったことに関して「国民の意見が反映した選挙になっているか大いに疑問だ」と批判した。滞在先のブエノスアイレスで記者団に話した。
河野外相は「ベネズエラ国民の中から150万人超が国外へ出て行かざるを得ない状態だ」と指摘。マドゥロ政権が有力な野党候補を投獄したことなどを念頭に「選挙に至るプロセスは非常に残念だ」と話した。
欧米からもマドゥロ氏の再選を批判する動きが出ている。河野外相は「すでに多くの国が声を上げ始めている。日本も何らかのメッセージを出していきたい」として今後の対応を検討する考えを示した。 
●「国会に4時間座って答弁1回」異端児・河野太郎が訴える“ムダ撲滅運動” 2018/5
河野太郎外相が口にする業務のムダ
政界の異端児と称され、ポスト安倍の候補にも名を連ねる河野太郎氏が、外務大臣に抜擢されてから9か月が過ぎた。その河野氏が今、外務大臣としての仕事にムダが多いことを嘆く場面が目立っている。若手時代から行政のムダ撲滅に取り組み、行革担当大臣も経験した河野氏の、仕事効率化への訴えとは…。
4時間座って答弁1回だけ!
5月15日の記者会見、河野外相の批判の矛先は、国会運営に向けられた。 「閣僚として国会で説明をするのは当然のことだと思っているが、形式的なところで張り付けになるというのは、少し国会にご配慮を頂けないだろうか」 河野外相はこのように、国会審議に長時間拘束されることへの不満を露わにした。実は前日14日に開かれた衆院予算委員会の集中審議では、4時間近く閣僚席に座り続けたものの河野外相への質問はたったの1問だった。野党が加計問題を中心に質疑を行い、外交でも安倍首相への質問が多かったため、河野外相が答弁する機会は1回しかなかった。その1回のために4時間も身柄を国会に拘束されたことへの愚痴がこぼれた格好だ。
さらに河野氏は、この日はインドネシアでのテロ、イスラエルのアメリカ大使館の移転などの様々な課題があったにも関わらず、国会審議への出席のため「役所の中で情報を聞く、あるいは決断をするということが全てできないまま、日をまたいでしまった」と、外相としての業務に支障が出たことを強調した。国会での河野外相といえば、冬には、毛布を羽織り、寒そうにしながら、質問を待っている姿が印象的で、審議が終わり外務省に戻った際には、「まだまだ仕事が残っているよ」と、ただ座っているだけの時間が多い国会に疲れた様子を見せていた。
河野氏は会見で「形式的なところについては21世紀型の国会運営ということを是非ご検討頂きたい」と、与野党に“外相の国会出席の効率化”を呼びかけた。
しかし、こうした態度に対し、集中審議終了後の予算委理事会では「大臣の国会出席は優先事項」だとする野党からの不満が噴出した。
野党理事:今日の委員会の後、出口で河野大臣が『質問が1問しかなかった』と言っていた。自民党としても改めて指導してもらいたい。
与党理事:以前にも慎むよう伝えたが、悩ましいところだ。改めて伝えたい。
河野氏の訴える国会出席のムダ削減は一筋縄ではいかなそうだ。
相手国「自分の飛行機ないのか?」 河野氏「・・・ありません」
河野外相が効率化を求めているのは、国会への出席だけではない。昨年末から訴えているのが「外務大臣専用機」の導入による外国訪問の効率化だ。河野氏はその理由として、過去5年間に中国の外相が訪問した国の数が、のべ262なのに対し、日本の外相が訪問したのは97と、約3倍もの差がついていることへの危機感を示し、中国に負けないためにも、専用機による効率的な移動で差を埋める必要性を強調した。
河野氏が外相就任してからの9か月間で、訪問した国と地域はのべ44(5月15日時点)。かなりのハイペースで外遊を進めているものの、民間機での移動では、訪問先を効率的に回ることができず、急な日程の変更にも対応できないのが現実だ。
河野氏は、それを象徴する外遊先でのある会話を自民党の会合で紹介している。
相手国:飯食っていけよ。
河野外相:いやいや、飯を食っていると飛行機に乗り遅れます。
相手国:お前、自分の飛行機ねえのか。
河野外相:・・・ありません。
こうした屈辱的なエピソードの中で外相専用機が必要と痛感したという河野氏。
チャーター機を利用した3月の訪米に同行した外務省職員は「批判もあるようだが、チャーター機のおかげでセットできた会談もあったし、機内で色んな打ち合わせもできたので非常に効率が良かった」と利点を述べている。
外相専用機導入のプランとしては購入以外に、レンタルやリースの選択肢もあり、河野氏は「ガルフストリーム650ER」を機種の候補にあげるなど、2019年度予算での導入に向け、検討を進めている。しかし一方で、過去に専用機の導入を検討した際に、『予算をどこが負担するのか』『メンテナンスはどこの省庁で請け負うのか』などの疑問や批判が噴出し、購入を断念した経緯もある。
河野氏の悲願が叶うかの結論は、もう少し先になりそうだ。
外遊ロジブック廃止&全面禁煙化も
さらに河野氏は、外務省の業務効率化に向け、今年のはじめに「今まではこうやっていたけど明らかにこれは合理的ではないよね、というリストを作ってもらって、端から順番におかしいものは直していく」と宣言した。事務作業を削減して、職員には外交に集中してほしいという狙いがある。
さっそく外遊の度に作成されていた「ロジブック」が廃止された。
ロジブックとは、外遊先での行事や大臣の動きなどについて、職員の立ち位置やエレベーターに乗るタイミングに至るまで細かくまとめ、関係者の連絡先なども記載した内部資料のこと。
外遊をスムーズに行うための重要なものとされ、作成にあたっては、多くの職員が細かい調整を積み重ねてきた。しかし河野大臣は「多少外務大臣の出張に不便があってもサブスタンス(外交の本質的業務)に影響がなければ、それでよし」と思い切って廃止に踏み切った。
さらに河野氏は外務省の建物内の全面禁煙化を実施した。以前から受動喫煙対策に取り組んでいる河野氏は「外務省は外国から大勢のお客さまをお招きしている。喫煙ルームでモクモクと煙が充満しているのはよくないし、喫煙ルームから出てきた人はしばらくの間、たばこの影響を周りに及ぼす」と指摘。全面禁煙化は業務効率化にもつながるとして、今月、省内にある喫煙室を閉鎖し、新たに屋外に喫煙スペース(上の写真)を設置した。
こうして業務のムダ撲滅に取り組む河野氏だが、過去にこんなことも。
行革担当大臣を務めていた際に、大使館の定員削減を外務省に求めたものの、自らが外相に就任した後には「現地を見て明らかに私の間違い、失敗だったと実感した」と反省の弁を述べている。
太郎流の効率化改革が職員や各方面からの支持を得られるか、そして日本外交のレベルアップにつながるかどうか、今後の行方が注目される。 
●「委員会の存在意義にも関わる」 河野太郎外相、慰安婦勧告の国連委批判 2018/8
河野太郎外相は31日の記者会見で、国連人種差別撤廃委員会が慰安婦問題について「被害者中心のアプローチによる恒久的な解決」を日本政府に勧告した件に対し「委員会で取り上げるべきものでないとはっきりしている。繰り返し、そういうこと(勧告)が行われるのは、委員会の存在意義にも関わってくる」と述べ、同委員会の対応を強く批判した。
日本政府は、慰安婦問題は人種差別撤廃条約の適用対象外だと主張してきた。河野氏は「委員会としてマンデート(権限)のあるものに集中して議論するという改革が必要ではないか」と強調し、国連改革の中で委員会のあり方を見直す必要性に言及した。 
●安倍晋三首相の代理で渡仏した河野太郎外相、“観光”を楽しむようなツイートで炎上 2018/8
安倍晋三首相が外遊をキャンセルし代理で渡仏した河野太郎外相のツイッターが炎上した
河野氏はフランス外務省に設置された「王の寝室」を“ドヤ顔”をした写真付きで紹介
Twitterに「大雨も被災者も放ったらかしで、公費で物見遊山かいな」と批判が殺到した  
●自民総裁選前に海外逃亡 進次郎、小渕優子、河野太郎の思惑  2018/9
安倍晋三・首相の自民党総裁選勝利が揺るがないのであれば、いまこそ、「次の次」をうかがう若手の総理・総裁候補たちが「安倍後の日本」の舵取りについて大いに議論を戦わせ、気を吐く時だろう。そうでなければ、国民は自民党に安心して将来を任せることができない。ところが、この党のプリンスたちは、「物言えば唇寒し」と黙り込んでいる。
安倍首相の“最終任期”が終わる3年後までには実施される次の次の自民党総裁選では主役の顔ぶれがガラリと変わり、世代交代が進む。
「将来の総裁候補は河野太郎外相と小泉進次郎筆頭副幹事長です」
菅義偉・官房長官はさる7月の講演で2人の名前を挙げた。一方、森喜朗・元首相は6月の小渕優子氏のパーティで発破をかけた。
「お姫様の登場をみんな待っている。父の小渕恵三さんに尽くしたおかげで僕は首相になれた。そのお返しもしていないから、せめて優子さんを応援してあげなければと思っている」
党内の実力者たちの関心はすでに次の次に向けられているのだ。名前が挙がった3人はいずれも総裁経験者を父に持つ自民党のプリンス、プリンセスだ。
ところが、3人とも総裁選で誰を支持するのか旗幟鮮明にせず、告示(9月7日)前の「海外逃亡」を計画している。
首相のライバル、石破茂・元幹事長から「支持してもらえればありがたい」とラブコールを送られた進次郎氏だが、8月前半にはインドを訪問、さらに総裁選が本番を迎える9月はじめには小渕氏とともにニュージーランド訪問の日程を組んでいる。2人には国内にいたくない事情がある。
「進次郎氏は勝敗が明らかな今回の総裁選で自分を安売りしたくない。石破陣営は進次郎氏の応援演説を期待しているが、みすみす負け戦の先陣を切るのはいくら何でも得策ではない。
一方、安倍陣営からもいろんなルートで、『支持を表明すれば必ず将来のためになる』と誘いが来ているが、本人は“一強総理に媚びた子分”と見なされてしまえばそれこそ将来がなくなると考えているようです」(小泉勉強会の若手議員)
インド訪問中も、現地駐在の日本の特派員たちからぶら下がり取材を申し込まれた進次郎氏は、「“今回はインド政府の招聘だから遠慮したい”とわけのわからない理由で口を閉ざしていました」(現地メディア関係者)という。
国会会期中は「森友・加計学園問題は特別委員会を設置して議論をすべきだ」と声を上げていた進次郎氏が、総裁選が近づくと安倍批判を一切封印したのだ。
小渕氏にも悩ましい事情がある。
「最後まで出馬をあきらめない」と言い張っている野田聖子氏の推薦人問題だ。竹下派ベテラン議員が胸の内をこう忖度する。
「優子ちゃんは野田を姉貴分と慕っていて、頼まれれば推薦人になるつもりはある。しかし、スキャンダルを抱える野田の出馬は絶望的で、告示日に涙の出馬断念会見をすることになるだろう。それで野田の“総理すごろく”は事実上終わり、かわって優子ちゃんが女性初の総理・総裁候補の最右翼になる。それがわかっているからこそ姉貴分の泣く姿を見たくないんだろう」
小泉家の若君と小渕家の姫君が手を取り合っての“ニュージーランド逃避行”に見えなくもない。
もう一人の麻生派のプリンス、河野外相も9月にはウラジオストックでの東方経済フォーラム、国連総会など外交日程が立て込んでいる。
かつては「自民党の異端児」と呼ばれた河野氏だが、外相に抜擢されてからは持論の「原発廃止論」を封印して安倍外交の後継者に徹し、岸田文雄氏が総裁選出馬辞退の経緯でミソを付けたことで、次の次の総裁選では主流派の「本命候補」になる可能性が出てきた。河野氏にすれば2人と違って今回の総裁選は票集めで首相にアピールするチャンスだが、そんな時の外遊にはどんな狙いがあるのか。
「所属する麻生派では外様の甘利明氏が選対事務総長に就任し、『安倍総理しかいない』と猛アピールしているだけに、国内で手柄争いをしても反発を買う。権力闘争が苦手な太郎ちゃんにすれば、党内が論功行賞で目の色を変えているときに外交で地道にポイントを稼ごうと考えている」(麻生派議員)
こちらも海外で難を避けたいようだ。
「政権は銃口から生まれる」とは毛沢東の言葉で、どの国でも権力は戦い取ってこそ身につくものだ。
血統書付きの総理・総裁候補3人が、ハイエナのように息を潜めて政権が転がり込んで来るのを待っている様子を見ると、この国の将来に明るさは見えない。