もがく アナログ企業

写真フィルムメーカー 市場消滅
新聞社 ネット社会  新聞紙縮小 
印刷会社 ネット社会  印刷物縮小
民放 テレビ局 CMが飯のタネ

何で稼ぐ 出直し宣言
 


 
 
●バリュー イノベーション
  
 
写真フィルムメーカー
富士フィルム
デジカメ スマホ ユーチューブ
写真フィルム市場消える
コーポレートスローガン VALUE FROM INNOVATION
ブランドステートメント
富士フイルムは、生み出しつづけます。人々の心が躍る革新的な「技術」「製品」「サービス」を。明日のビジネスや生活の可能性を拡げるチカラになるために。
わたしたちは、世界中のお客様の真のニーズを徹底的に追求します。独自の技術、世界中から集まる人・知恵・技術をオープンかつスピーディーに融合し、柔軟な発想でイノベーションを起こしていきます。
Our Value お客様への提供価値
富士フイルムは、生み出しつづけます。人々の心が躍る革新的な「技術」「製品」「サービス」を。明日のビジネスや生活の可能性を拡げるチカラになるために。
CREATE WOW 世の中に、“ワクワク”を創りだす。
製品・サービスの先にある暮らしや受け取るお客様の、驚きと喜びを想像しながら、期待を超える「感動体験」を、お客様にお届けします。
EMPOWER & EXPAND TOMORROW 明日の可能性を、拡げていく。
未来のあるべき姿を想像しながら、製品・サービスを通じ、お客様や社会の明日の可能性を拡げていくパートナーになります。
Our Innovation 私のあるべき姿
わたしたちは、世界中のお客様の真のニーズを徹底的に追求します。独自の技術、世界中から集まる人・知恵・技術をオープンかつスピーディーに融合し、柔軟な発想でイノベーションを起こしていきます。
SURPASS NEEDS 真に求められているものを、見つけだす。
価値観もニーズもめまぐるしく変化していく中、お客様の心の声に耳を傾け、世の中に、真に求められているものを見つけだしていきます。
BE OPEN & COLLABORATE 多様な価値をつなぎ、新たな価値を生み出す。
社内外のあらゆるパートナーと協業し、知恵や技術をオープンにつなぎ合わせて、新たな価値を生みだし続けます。
ACT WITH SPEED 素早く決断し、スピーディーに目的を実現していく。
製品・サービスのそれぞれの目的を見定め世の中のニーズに合わせて素早く決断し、実行していきます。
THINK DIFFERENTLY & CHALLENGE 常識にとらわれず、新しい方法に挑戦する。
街の声に耳をすませ、これまでなかった視点を見つけ、柔軟な発想でアイデアを生み出し、新しい方法に挑戦していきます。
グローバルブランディングキャンペーン NEVER STOP
社会課題解決に向けて
イノベーションで、サステナブルな社会を実現するために。富士フイルムグループは、挑み続けます。
富士フイルムグループの挑戦
富士フイルムグループは、ヘルスケア、マテリアルズ、ビジネスイノベーション、イメージングの4つの事業領域で、社会課題の解決に貢献していきます。
   ヘルスケア
トータルヘルスケアカンパニーとして「予防」「診断」「治療」の3領域で幅広い事業を展開し、より健康的な世界を目指します。
   マテリアルズ
高機能材料や記録メディアなどの事業活動を通じ、資源循環の促進や気候変動への対応といった環境課題に取り組んでいます。
   ビジネスイノベーション
オフィスの複合機にAI技術を活用し、お客様のビジネスに革新的な価値の提供を目指します。
   イメージング
さまざまな思い出や出来事を写真というカタチにすることで、心の豊かさや人々のつながりを強めることに貢献しています。
挑戦だけが、未来をつくる。
富士フイルムは、挑みつづける。私たちが持つあらゆる技術と経験を、次々と新しい分野で活かしていく。サステナブルな社会を実現するために。  
 
 
●富士フイルム、レガシーを乗り超えて 2019/4
写真フィルムで世界的な名声を築いた富士フイルム。初となる海外向けキャンペーンの舞台裏には、それゆえのジレンマがあった。
昨年後半にスタートした富士フイルムのグローバルブランディングキャンペーンは、創立85年にして初の試みとなる。B2Bを重視、同社が優れた写真フィルムメーカー以上の存在であることを世界にアピールするものだ。コンテンツでは社史を駆け足で紹介しつつ、ビールの醸造から化粧品に至るまで、写真フィルム技術を多彩な事業に応用している様を描く。
他の国内大手企業同様、同社も将来に向けた事業改革の最中にある。その取り組みをコミュニケーションで明確に表現することは、改革同様の難題だ。シリーズでお届けする日本ブランドのリポジショニング戦略と考察、第1回は富士フイルム執行役員兼コーポレートコミュニケーション責任者の吉澤ちさと氏に、展開中のグローバル戦略の意図について尋ねた。
大学卒業後に富士フイルムに入社した吉澤氏は、勤続33年。そのうち約20年間をコーポレートコミュニケーション担当として過ごす。現在は広告を含めたコミュニケーションを統括している。
富士フイルムがグローバルブランディングキャンペーンを始めた理由は何ですか?
一般的に、今も富士フイルムは写真関連の企業と考えられています。創業時にはそうでしたが、今日では写真関連の事業は売上の15%に過ぎません。2000年当時は売上の半分以上が写真フィルム関連でしたが、過去15年でその需要が激減し、我が社のコアビジネスは消滅しました。生き残りを賭けて製品ラインを多様化することが我々の使命でした。この数年はヘルスケアや高機能材料といった分野に進出し、成長を続けてきました。それゆえ、海外市場でも我々が写真フィルムを製造するだけの会社ではないことを理解してもらう必要があったのです。
海外でも写真フィルムのメーカーという印象がまだ強いのですか?
基本的にはそうだと思います。消費者向け事業は非常に大切にしていますが、我が社が進歩していることも知ってもらいたい。日本国内ではさまざまな広告キャンペーンでこうした側面を伝えてきましたが、海外ではまだ伝わっていません。海外市場へのリーチと言ってもあまりにも広範なので、(キャンペーンでは)ヘルスケアのように事業分野に的を絞ったのです。
「富士フイルム」という社名を変えようと思ったことはありますか?
以前は「富士写真フイルム」でしたが、2006年に「富士フイルム」に改名しました。この名は世界でも広く浸透していますし、今でも我々は写真フィルムの技術をさまざまな分野に応用しています。それゆえ、この名を使い続けているのです。
富士フイルムはなぜ世界的に著名なブランドになったと思いますか?
写真フィルムという誰にでも親しみやすい製品を作ってきたこと、そしてそれが世界各国の観光地でも売られてきたことが主たる要因でしょう。もちろん宣伝の効果もあります。これらの要素が結びついて、さまざまな人々にとって身近なブランドになったのだと思います。
今、我々は化粧品や再生医療の分野に進出しています。我々をご存知の方も、「なぜ富士フイルムが?」と不思議に思われるでしょう。最初は消費者に理解されにくいのですが、同時にインパクトを与えることもできる。ですから、コミュニケーションの要素として活用できるのです。我々が最初に化粧品を発表したときには、多くの人々が驚きました。しかしコラーゲンがフィルムの主要成分にも使われていることを説けば、消費者は決して忘れない。製品を試してみたいと思っていただけるように、コミュニケーションでは論理性を重視しました。
海外市場でもこうした分野を成長させていくのですか?
今のところ、化粧品ビジネスは日本とアジアにおいてのみ展開しています。他市場でどれだけのポテンシャルがあるか現在調査中ですが、まだ展開していくかどうかは未定です。
事業多様化への取り組みを、これまでどのように消費者に伝えてきましたか?
海外市場では全体的な企業イメージではなく、製品を通じたコミュニケーションに注力してきましたので、そうした側面はこれまであまり積極的に伝えてきませんでした。
富士フイルムのコーポレートスローガン「Value from innovation(イノベーションから新たな価値を創出)」は、どのように考え出したのですか?
2014年の創業80周年の際にこのスローガンを導入しました。より多様なビジネスが軌道に乗り始めた時期です。スローガンを決める際には世界中の社員にアンケートを行い、富士フイルムを象徴する言葉は何かと尋ねました。その調査をもとに、若手のチームリーダーや経営幹部なども交えたブレインストーミングで考案したのです。
他社のスローガンとあまり差異がない、という危惧はありませんか?
確かに「イノベーション」という言葉は世界の多くの企業で使われ、特別なものではありません。しかしこの言葉が我々のストーリーと結びつけば、特別な意味を持つと考えます。グローバルブランディングキャンペーン「Never Stop」のコンセプトを構成する考え方でもあります。
富士フイルムに限らず、多くの日本企業は子会社をたくさん有しています。こうした側面は、ブランドコミュニケーションにおいてどのような課題を生むでしょう?
各子会社がその専門分野において消費者とコミュニケーションを取ることは容易です。特定の製品に関してメッセージを伝えればいいわけですから。しかしグループレベルになると、我々がどのような企業かイメージを伝えるのは難しい。現在のキャンペーンはそうした課題を克服するための一歩です。
コーポレートコミュニケーション部はどのような仕組みになっていますか?
本社は日本ですが、各地域の本社が中国、ドイツ、米国、シンガポールにあります。グローバルコミュニケーションに関するミーティングは日本で行われ、その場で我々のメッセージが決まり、各地のグループ会社に伝達されます。
グローバルブランドとはどういうブランドを意味すると思いますか?
単に世界で名が通用するだけでなく、その名から特定のイメージを連想させるブランドです。そして常に、新しく興味深い製品を生み出すイメージも併せ持つ。つまり未来を予感させ、期待を抱かせるブランドですね。
これまでの富士フイルムにおけるキャリアで、最も重要な学びは何でしたか?
私は2000年頃からコーポレートコミュニケーションに関わっています。つまり、我が社の事業が変革を始めたときです。ゆえに、経営陣が何を考えているかを汲み取り、環境の変化の中でそれをどう伝えていくかが最も重要なテーマであり、学びでした。
ブランド構築において、広告とPRはどちらがより効果的でしょう?
両方です。それゆえ、この数年は私が両方を管轄しています。それにより、ブランドの一貫性を打ち出していくことが非常に容易になりました。 
   
  
●イノベーション力で未来を変える
映画用フィルム国産化を使命に 1934 年に創業して以来、独自のフィルム技術を基盤に成長を続けてきた富士フイルム・グループ。現在は「イメージング・ソリューション」「ヘルスケア&マテリアルズ・ソリューション」「ドキュメント・ソリューション」の3つを柱に、「世界のFUJIFIM」として存在感を高めている。
新たなる事業領域での展開
2000 年をピークに写真フィルムの需要が激減し、構造改革の必要性に迫られたが、時代の流れを敏感に読み取った同社では、世界初のデジタル・スチルカメラを 1988 年に開発。その後も、数々の「世界初」となる技術を世に送り出してきた。その他ビジネス領域への多角化にも積極的に取り組み、オフィス向け複合機器をはじめ、光学フィルム、交換膜などの産業用機材電子材料、印刷用システムや材料、データストレージ用記録メディア、そして医療用画像診断機械やシステム、医薬、再生医療といったヘルスケア領域の事業にも参入していった。
中でも、X線フィルムやX線画像診断、内視鏡、超音波やIVD(体外診断用医療機器)などの『メディカルシステム』分野、そして医薬品やバイオCDMO製剤、再生医療といった『ライフサイエンス』分野での事業拡大が、今後の富士フイルム飛躍の大きなカギとなると杉山さんは睨む。2018 年末には、マサチューセッツ工科大学(MIT)と連携し、同社が開発した『リポソーム』を用いた核酸医薬品に関する研究開発をさらに強化していくと発表した。「これまでの抗がん剤は、がん細胞を叩くのと同時に健康な細胞も攻撃してしまい、効果の割に副作用が大きいという一面がありました。そこで弊社のリポソーム技術を使い、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質をカプセル状にして薬剤を内包することで、抗がん剤治療の新しい幕開けとなることを期待しています」。
今の時代に伝えたいプリントの魅力
20年の時を経て再び脚光を浴びる商品もある。インスタントカメラの『instax』だ。特にミニナイン・シリーズが絶好調で、全世界で 1000 万台という販売目標を掲げる中、その半分 500 万台を北米で販売していくことを目論む。デジタルカメラ時代の幕開けで一時は下火になった市場だが、2007 年に韓国や中国の人気テレビドラマで使われたことで一気にアジア市場に火が付き、現在では欧米を含む世界 100 以上の国と地域で販売されている。昨年5月には、人気シンガーソングライターのテイラー・スウィフトをグローバル・アンバサダーに迎え、さらなる人気拡大を狙っている。
「デジタルで撮影して保存するティーン世代にとっては、撮影したものがその場で飛び出し、画像イメージが浮き出てくることが新鮮だったのだと思います。そもそも、フィルムを見たことのない世代です。余白部分にペンでメッセージを書き入れて交換しあったり、部屋を飾るアートであったり、撮影したフィルムをスマートフォンで撮影してインスタグラムにアップするなど、記録手段としてだけではなく、友人や家族、そして仲間とのコミュニケーション・ツールの一つとして、若い世代を中心に受け入れて頂いているようです」と杉山さんは分析する。
良質でバリューあるコミュニケーションを
アメリカの最大の良さは、「そのオープンさ」だと言う。交換留学生として高校生の時に初めてアメリカを訪れた時から、ここには新しいものを受け入れる懐の大きさがあると感じてきた。富士フイルムに入社当時、医療画像診断システムの海外マーケティングに配属となり、MITへのMBA留学やアメリカのロビイストと組んだ海外広報活動、ドイツやフランス現地法人への駐在経験と、グローバルな視点を持つ杉山さんの言葉にはしっかりとした重みを感じる。
もう一つ、杉山さんが海外で学んできたのが『すべての基本は、コミュニケーションにある』ということ。「ビジネスでも日常生活でも同じなのですが、単に、外国語で意思疎通ができるだけでは意味がありません。目の前にいる人たち、お客様やチームメンバー、友人や家族と、どれだけ良質で、価値のあるコミュニケーションが取れるか。ここが非常に重要だと痛感する毎日です」。
ネバーストップの想いで、未来を変える
このような想いを胸に抱きながら、リージョナル・ヘッドクォーターであり、傘下である米国現地法人 21 社のファイナンス、HR、ITやリーガルといった間接部門サービスを管理する「富士フイルム・ホールディングス・アメリカ・コーポレーション」、ドキュメント・ソリューション以外の商品を扱う販売会社「富士フイルム・ノースアメリカ・コーポレーション」2社のトップとして、2017 年7月に現職に着任し指揮を執ってきた。
「ホールディングスとして一番重要なのは、間違いなくPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)です。いかに被買収企業に富士フイルムの価値観を伝えていくか。グループ全体の価値観『オープン・フェア・クリア』を理解してもらいながら、より良い製品を一緒に作りあげていく。そして海外最大市場である北米地域本社の役割としては、ヘルスケア領域の事業をいかに拡大させていくか。これが私に課せられた大きな使命の一つだと感じています。『Never Stop:我々は歩みを止めません』─── これが、現在ヘルスケア事業で展開しているスローガンですが、イノベーションの力で未来を変えていきたい。そんな富士フイルムの想いを込めました」。
社名に付く「フイルム」という枠に捉われることなく、活躍の場を大きく広げていく富士フイルム。この柔軟な姿勢や未来志向の考え方が、これからの世の中をさらに面白く、そして便利なものへと変えていくに違いない。  
  
  
●6つの事業領域でイノベーションを起こし、新しい価値の創出を
創立80周年を迎え、「Value from Innovation」という新たなスローガンを掲げて革新的な製品やサービスを提供している富士フイルムホールディングス。代表取締役会長兼CEOの古森重隆さんは、デジタル化の波によって写真フィルム事業が縮む中、大胆な事業構造の変革を推進し、V字回復に成功。昨年末にはその軌跡をつづった『魂の経営』を出版した。リーダー哲学や今後の取り組みについて聞いた。
──リーダーには何が必要だと考えますか。
まず、イノベーターであることです。従来の延長線上でものを考えていたのでは、新しい価値を生むことはできません。さらに、読む力、構想する力、伝える力、実行する力が求められます。
読む力とはつまり、いま何が起きているのかという現状把握力、今後どうなるのかという将来予測力です。そのために役立っているのは、新聞、雑誌、書籍、社内の報告書です。学生時代は哲学書や歴史書をむさぼるように読みました。今は新聞がいちばんの情報源です。新聞を通じて世の中の大きな動きを読み取り、また、様々な業種の動きが分かるので、「この会社は、なぜ今こういう発表をしたのか」「多分こういう理由からではないか」ということを、他の記事にある社会の動きに照らし合わせて感じ取ることもできます。すべての物事は連携しているので、自社が置かれている状況や目標がおのずと浮き彫りになるのです。
「読む」だけではダメで、その中で自分の会社、あるいはユニットがやるべきことの優先順位を決め、実現するためのプランを構想する力が必要です。私が社長に就任した2000年は写真フィルム事業の最後のピークで、以後、デジタル化の波が押し寄せる中で「本業消失」の危機に直面しました。このときの優先順位の最上位は、「写真事業の売り上げ減少を補う新しい収益の柱を作る」ことでした。そして、実現に向けたプランを作成しました。
現状と将来を読み、やるべきことを決めたら、それを社員に伝えるために社内報で発信したり、ブリーフィングの場を積極的に設けて富士フイルムの現状や改革の方向性について話すなどしました。
読み、構想し、伝えたのちは、実行するのみです。大きな改革ほど既得権やリスクなどの観点から種々の反対意見が伴いますが、それを断ち切る腕力がなければリーダーは務まりません。解決を先送りするほど問題は深刻化してしまいます。ただ、「もうけるためには何をしてもいい」では、社会から支持されません。「企業活動を通して世の中に貢献する」という使命感、責任感がなければいけません。「世の中に貢献する」ということは、メーカーの場合、高品質あるいは独特の製品やサービス、即ち「価値」を社会に提供することです。何より重要なのは、断固たる決断を下し、そして確実に成功させることだと思います。成功させ得ないリーダーはリーダーではありません。
──「本業消失」の危機を乗り越えたポイントは。
写真事業の縮小を受けて事業構造の変革を進めるにあたり、既存の成長事業の強化と新事業の創出を目指しました。リストラも断行しました。その一方で、研究開発の投資だけは減らしませんでした。ケミストリー、エレクトロニクス、メカトロニクス、オプティクス、ソフトウエアなど、あらゆる分野の研究者が集まり、全社横断的な先端研究が可能で、新規事業や新製品の基盤となるコア技術を開発できる「先進研究所」も設立しました。また、設備投資もより積極的に行いました。こうした取り組みにより、様々な新しい事業が育っています。
──創立80年周年を機に、新しいコーポレートスローガン「Value from Innovation」を制定されました。その狙いは。
当社の事業は多岐にわたりますが、ひとつだけ確かなのは、当社は技術志向の会社であることです。これからも技術への投資を続け、創意工夫によって社会に価値ある革新的な製品やサービスを提供していく。その思いを80周年の節目に再確認し、このように宣言しました。
──これからの成長軸は。
デジタルカメラやスマホからのプリントなどの「デジタルイメージング」、化粧品、医薬品、医療機器などの「ヘルスケア」、液晶パネル用光学フィルムなどの「高機能材料」、印刷用機材やデジタル印刷機などの「グラフィックシステム」、テレビ用レンズやスマホ用レンズなどの「光学デバイス」、富士ゼロックスの複合機などの「ドキュメント」、主に6つの事業領域です。
例えば、医療分野。当社独自のナノテクノロジーや物質制御の力を応用すれば、体内への薬の吸収を促進させたり、患部に集中して届く薬を創出したりといった可能性があります。がん治療薬やアルツハイマー病向けの新薬の研究も着々と進んでいます。また、バイオ医薬品の開発にも力を入れています。この分野の開発・生産においては、品質とコストがキーとなりますが、カラーフイルムの高度な品質管理技術を生かすことができます。タッチパネルや液晶ディスプレー用のフィルム材料や電子材料など、高機能材料の分野も成長が期待できます。
──断固たる決断を下し、確実に成功させる。その責務の重さははかり知れません。
判断を間違えるわけにはいきませんから、心身ともにストレスは相当なものです。ただ、ストレスや疲れをためてしまうと、物事の判断に支障をきたします。私は若い頃から水泳、陸上、野球、テニス、柔道と、常に体を動かし、大学時代はアメリカンフットボール部に在籍しました。若いときに鍛えた体力が、いまの自分を大いに支えてくれています。また、リフレッシュの時間を持つようにしています。休みの日にはゴルフを楽しみ、また、お酒もたしなみます。くつろげる温かい家庭があるというのも大事なことです。
──日本の進路について、どのように考えますか。
日本の産業のポテンシャルは高く、技術力、人材力は、今も世界最強だと思います。ただ、イノベーションを起こして世界市場に打って出てやろうというチャレンジがもっとあってもいい。米国のようにベンチャー企業に投資する社会システムがなかなか育たない日本では、企業自身が未来へ投資し、チャレンジするしかない。その先駆けでありたいと思います。
──愛読書は。
大学時代に読んで「我が意を得たり」とひざを打ったのは、『ツァラトストラかく語りき』『善悪の彼岸』など、ニーチェの著作です。ニーチェ哲学の実践編といえる『自分の時代』や、日本人のアイデンティティーを思い起こさせてくれる『日本の知恵 ヨーロッパの知恵』『ライフ人間世界史』シリーズ、『坂の上の雲』も心に残っています。また、最近は寝る前にミステリー小説を読むのが楽しみで、ジェイムズ・エルロイのLA4部作(『ブラック・ダリア』『ビッグ・ノーウェア』『LAコンフィデンシャル』『ホワイト・ジャズ』)などが面白かったです。 
 
 
  
 
 
 
 
 

 
 
●新聞
 
 
新聞社
朝日新聞 毎日新聞 日本経済新聞
ネット社会
紙の新聞 縮小 
ネットニュース 拡大
有料記事 ネット配信に参入
ネット新聞の危うさ
・新聞の保存版、不都合な記事、真っ白けに削除した新聞社、今も生きています。
・ネット新聞、不都合な記事は突然書き換えられます。
・ネット新聞、不都合な記事は突然削除されます。
・ネット新聞、グーグル検索の範囲では、時系列の保存期間不明。
・新聞社の体質、政治関連記事は期待できません。忖度メディアになりました。
・新聞も 明日に旧聞 古新聞
[ 朝日新聞 ネットニュース / 有料記事 ]
低位安定政権、支持率微増に首相「どんどんやればいい」 余裕の背景
岸田文雄首相は1日、参院予算委員会に出席し、新年度予算案の審議に臨んだ。前日の衆院通過で予算案の年度内成立を確実にした首相は、不祥事対応に追われた昨年の臨時国会に比べ、今国会では政策中心の論戦ができていることに手応えを感じている。政策で「成果」を上げ、春の選挙戦に臨む考えだが、「低位安定」の政権運営は盤石とは言いがたい。
「予算委員会の最中でも支持率は上がっている。そういう意味でうまくやれている」。首相は最近、周囲にこう自信をのぞかせた。実際、報道各社の世論調査では横ばいか、微増傾向をたどっている。
予算委も昨年の臨時国会から一変した。臨時国会では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題や、閣僚4人が相次いで辞任する異例の事態に批判が集中。支持率も続落した。
補選乗り切れば… 首相が描くシナリオ
しかし、閉会後は敵基地攻撃・・・
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[ 毎日新聞 ネットニュース ]
“見るのも嫌だ”発言で見えた「岸田政権の人権感覚」
「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」。荒井勝喜首相秘書官(当時)のLGBTQなど性的少数者や同性婚に対する差別発言には、この人大丈夫か?と仰天した。杉田水脈衆院議員は、性的少数者へのヘイト意識を「生産性がない」という言葉にまぶした。これに対して荒井氏は感情をむき出しにした。開いた口がふさがらないうちに即刻更迭となった。
発言をいち早く報じた毎日新聞2月5日朝刊の社説。同性婚の法制化について岸田文雄首相が「社会が変わってしまう」と述べたこと、LGBTQなどに対する国民の理解を深める法案がたなざらしであることを指摘。「露呈した政権の人権感覚」と断じた。同日の朝日新聞社説は、杉田氏を総務政務官に起用したことにも言及。「多様性のある包摂社会」を掲げる「首相自身の人権感覚が疑われる」とただした。
兆候が…
荒井発言の前から、政権の人権感覚を疑う兆候を感じていた。まず、「リスキリング(学び直し)」。
1月27日の参院本会議の代表質問。自民党の大家敏志議員が、産休・育休中のリスキリングは、キャリアの停滞を最小限にし、キャリアアップが可能になると質問した。岸田首相は「育児中などさまざまな状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々をしっかりと後押ししてまいります」と答弁した。
「『育児してない人の発想』『オッサン政権』などの痛烈な批判が広がった」という(毎日新聞ウェブサイト同28日配信)。
女性のキャリアに寄り添っているようにみえる。が、産休・育休は会社や組織にとってお荷物。だから、産んで育てている間にも学び、復帰したら即、稼げるようになってほしい。こんな思惑がにじみ出たように思える。安倍晋三政権以降の「産めよ・増やせよ、育てよ、働けよ」の路線。女性が働き続ける「権利」への意識は希薄なままなのではないか。
元自衛官への性暴力でも
1月30日、元自衛官の五ノ井里奈さんが複数の男性隊員から性暴力を受けたとして、国と元隊員に損害賠償を求める訴えを起こした。同日、日本記者クラブの記者会見で「もっと一人一人が大切にされて、正しい正義感を持った組織になってほしい」と訴えた。
岸田首相の国会答弁がよみがえった。昨年11月の衆院予算委員会。自民党の赤沢亮正氏が五ノ井さんの行動に関連し・・・
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[ 日本経済新聞 ネットニュース / 有料会員限定 ]
岸田政権「低位安定」試す補欠選挙、政権基盤に影響
2023年度予算案が28日、衆院を通過した。22年度内の成立が確定し、岸田文雄首相は一つのヤマを越えた。日本経済新聞社の2月の世論調査で内閣支持率は43%と前月を4ポイント上回ったが「低位安定」が続く。次は4月の補欠選挙が政権の試金石になり、衆院解散の判断にもかかわる。
首相は28日、予算案の衆院通過を受け「成立に向け引き続き緊張感を持って政府一丸で審議に臨み、丁寧な説明を心がけたい」と述べた。・・・
[ 今月の閲覧:残り_本 / 残り1197文字 ]  
 
 
●Yahoo!ニュースが有料配信スタート、第一弾は朝日新聞 2013/1
ヤフー株式会社は23日、「Yahoo!ニュース」において有料記事の配信を開始した。まずは朝日新聞と提携し、無料では読めなかった記事を充実させる。新規ユーザーの獲得と、既存ユーザーへの付加価値の提供が狙いという。今後も新聞社や出版社などと連携し、ラインナップを随時増やしていく。
有料記事の第一弾としては、「朝日新聞デジタルSELECT on Yahoo!ニュース」を開始。「朝日新聞デジタル」の主要ニュースを毎朝配信するほか、「天声人語」や「社説」、解説記事などを毎月300本程度配信する。料金は月額380円、Yahoo!プレミアム会員は月額315円。どちらも申込み月は無料。
朝日新聞社によれば、今回の有料記事配信は「朝日新聞デジタルに収録されたコンテンツから選り抜いた、いわば『セレクトショップ』の位置付け」といい、朝日新聞が独自に展開する朝日新聞デジタルの有料会員版とは異なると説明。なお、朝日新聞は2012年10月にYahoo!ニュース向けの無料記事配信を開始したが、今後も継続する。
ヤフーは有料記事配信の狙いについて、「良質な記事が広く提供され、評価される仕組みを通じて、インターネットニュースにおける新たなビジネスモデルの構築を目指します」とコメントしている。
●新聞電子版はメリットがたくさん! 2021/3
新聞の電子版を利用するメリットは、ネットが利用できる場所であれば、スマートフォンやパソコンを使って読みたいときにいつでも新聞の記事が読めることです。
また、スマートフォンで新聞の電子版を読めば、新聞を読むときのように広いスペースを必要としないので、混み合っている電車内でも十分に読むことができます。
そのほか、新聞の電子版を利用すると、新聞紙がたまることがないため、新聞紙を束ねて捨てる作業も発生しません。
新聞の電子版は手軽さがメリットであるため、新聞各社は電子版にも力を入れています。
新聞電子版の紹介 主要5紙
新聞電子版について、全国的に販売されている主要5紙(日本経済新聞・朝日新聞・産経新聞・毎日新聞・読売新聞)と、地域限定で販売されている主要な3紙(東京新聞・中日新聞・西日本新聞)について紹介します。
   日経電子版
日本経済新聞が発行している電子版です。有料会員になると朝刊と夕刊の全ての記事を読めます。Webサイト向けの横書きスタイルで読めるほか、新聞紙面のレイアウトをスマートフォンやパソコンなどで読める「紙面ビューアー」の機能も利用できます。
日本経済新聞は、経済記事を中心として膨大な量の記事を掲載しています。日経電子版は、数多くの記事の中から読みたい記事を探すための検索機能が充実しており、読みたい記事に素早くたどり着けます。
さらにメールサービスも充実しており、速報ニュースを通知する「速報メール」、主要なニュースをまとめて配信する「日経ニュースメール」、ユーザーの興味に合った記事を配信する「Myメール」も利用できます。
料金は月額4,277円(税込)で、最初の2か月は無料です。
   朝日新聞デジタル
朝日新聞が発行している電子版です。国内と海外の記事を毎日約500本配信しているほか、看板のコラム「天声人語」などの連載も読めます。
そのほか、朝日新聞デジタルの有料会員だけが読める特集記事も掲載されており、内容が充実しています。
朝日新聞デジタルの有料会員には「シンプルコース」と「デジタルコース」の2種類があります。
シンプルコースは、有料会員向けの「有料会員記事」と無料会員が月5本まで読める「無料会員記事」を合わせて1か月あたり300本の記事が読めます。そのほか、速報メールとニュースレター、専用アプリが利用可能です。
デジタルコースに登録すると、シンプルコースで利用できるサービスのほか、紙面ビューアーや記事を保存できる機能の「スクラップ」など、さまざまなサービスを利用できます。
料金はシンプルコースが月額980円、デジタルコースは月額3,800円(いずれも税込)です。デジタルコース、シンプルコースともに初回限定で1か月間無料となっています。
   産経電子版
産経新聞が発行している電子版です。新聞紙面を拡大して読むことができるので、スマートフォンやパソコンを使いながらも、手元に新聞を置いて読んでいるように感じられます。
また、産経電子版では日本各地の地域ページも読むことができるほか、産経電子版だけの特別ページも読めます。
そのほか、バックナンバーは過去90日分を読むことができます。さらに、アプリを利用するとスクラップ機能を使って記事を保存できます。
料金は月額1,980円(税込)で、初回限定で初月無料となっています。
   デジタル毎日
毎日新聞が発行している電子版です。ニュース記事はもちろんのこと、看板コラムの「余録」から小説までさまざまな記事が読めます。そのほか、Web限定のコンテンツとして、政治、経済、医療に特化したコンテンツも読むことができます。
さらに、ウォール・ストリート・ジャーナルの日本版も読めるので、海外の最新情報を得るのにも最適です。ニュースメールは朝・昼・夕方の3回届きます。
デジタル毎日の有料会員は「スタンダードプラン」と「プレミアムプラン」から選べます。
スタンダードプランは有料記事、ウェブ限定記事が読み放題であるほか、ウォール・ストリート・ジャーナルも読めます。
プレミアムプランはスタンダードプランのサービスを利用できるほか、毎日新聞の朝刊・夕刊、サンデー毎日、週刊エコノミストを閲覧することができます。さらに、紙面に掲載された記事は過去5年にさかのぼって検索することが可能です。
料金は以下の通りとなっており、スタンダードプランは長期間利用するほどお得な価格設定となっています。
スタンダードプラン / 1か月更新:1,078円 / 6か月コース:4,950円 / 12か月コース:9,240円(いずれも税込) / いずれのコースも申込日を基準として、一定の期間が経過したら自動更新
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   読売新聞オンライン
読売新聞が発行している電子版です。他の電子版と異なる点は、紙の新聞を購読しているユーザーのみが「読者会員」として読売新聞オンラインを利用できる点です。読者会員の登録は無料となっています。
なお、読売新聞の読者でない場合は、無料で登録できる一般会員として利用する形となり、記事の一部を読むことができます。
読者会員は紙面記事の全てが読めるほか、各地の地域版が紙面ビューアーで読めます。記事の検索は1年分まで検索でき、スクラップ機能で記事の保存も可能です。
そのほか、「Webコラム」や「巨人プレミアム」「ちょい読み英語」などの読み物も充実しています。
新聞電子版の紹介 主要な地方紙
新聞電子版は地方紙でも利用できます。この項目では主要な地方紙の新聞電子版について紹介します。
   東京新聞電子版
東京を含め関東地方で販売されている「東京新聞」が発行している電子版です。関東地方に限らず全国で読めるほか、海外からも利用が可能となっています。
過去5年にさかのぼって記事を検索できるほか、新聞紙面がそのまま読める紙面ビューアーは1か月さかのぼることができます。
電子版だけのオリジナルコンテンツも読めるほか、毎週日曜日の別刷り「サンデー版」も電子版で読めます。
東京新聞電子版の料金は月額3,450円(税込)です。また、学生向けの学割プランは1944円(税込)となっており、いずれも初月無料です。就活に向けて新聞を読みたいと考えている学生としては、東京新聞電子版がお得でおすすめです。
   中日新聞Web
愛知県など東海地方で販売されている「中日新聞」が発行している電子版です。
中日新聞Webの記事を読むためには、中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井のいずれかの定期購読者、または定期購読者の家族が中日新聞Webのプラス会員に登録する必要があります。プラス会員の種類は一般会員とプレミアム会員の2種類です。
一般会員の登録は無料で、中日新聞Webの記事が全て読めるほか、過去記事は1か月分さかのぼることができます。
また、プレミアム会員は過去記事を1年間さかのぼって検索できるほか、東京新聞電子版も読めます。そのほか、プレミアム会員限定のメルマガも配信され、デスクが注目しているニュースや取材の裏話などが読めます。
プレミアム会員の料金は月額330円(税込)で初月は無料です。
   西日本新聞電子版
福岡県のほか、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県で販売されている「西日本新聞」が発行している電子版です。
朝刊と夕刊を紙面そのままのレイアウトで読むことができるほか、福岡都市圏版など各地域の地域版も読むことができます。過去記事は30日間さかのぼって閲覧することが可能です。
また、アプリでは記事のスクラップ機能が利用できるほかにも、九州で重大な事件が発生した場合は、号外やメールよりも速くPUSH通知で知らせます。九州のニュースをいち早く入手するなら西日本新聞電子版がおすすめです。
料金は月額3,056円(税込)です。なお、西日本新聞の購読者は無料で利用登録ができます。
まとめ
新聞電子版は紙媒体と同じ記事が読めるのはもちろんのこと、過去の記事を読むことができたり、速報メールを受信できたり、さらには電子版のオリジナル記事を読めたりします。
新聞電子版はさまざまな機能が充実していてユーザーとしては使いやすく感じられます。また、スマートフォンで利用できるので手軽に新聞を読める点もメリットです。
リモート化が進んでいる今の時代こそ、新聞電子版をスマートに使いこなして最新の情報を入手しましょう。
  
●「朝日新聞」電子版、全記事有料に 課金路線に舵 2022/8
朝日新聞の電子版「朝日新聞デジタル」の無料会員制度が廃止され、8月22日から一部を除き、全記事が原則有料となる。発行部数の減少で業績が低迷する中、開始から10年を迎えたサービスを改善するとともに、課金路線への転換を本格化させる。
運営元の朝日新聞社の発表によると、朝日新聞デジタルの会員制度と、同社のオンライン共通ID「朝日ID」を統合。朝日IDに集約した上で、無料会員制度を廃止する。これまで、朝日新聞デジタルの無料会員は毎月5本まで有料記事を閲覧できたが、8月22日からは同サービスを契約しなければ、記事が原則閲覧できないようになるという。
競合媒体の読売新聞や日本経済新聞などでも、全ての記事が有料ではなく、短信記事などは無料で閲覧できるため、朝日のような有料化は現時点では珍しい。ただ、完全に全記事が有料化の対象というわけではないという。同社は「一部の速報などはジャーナリズムの責務として無料で配信を続ける」と説明している。
朝日新聞社は1995年8月、ニュースサイト「asahi.com」(アサヒ・コム)を開設。速報記事を中心に記事を配信し続けてきた。2011年5月には有料の電子新聞「朝日新聞デジタル」のサービスを開始し、翌12年1月にアサヒ・コムと統合。電子版コンテンツは朝日新聞デジタルでブランド名を統一した。同社は朝日新聞デジタル以外にも、ハフポストやバズフィードなど複数の媒体を手掛けている。
「朝日新聞 総合メディアガイド」によると、朝日新聞デジタルの会員数は406万人で、このうち有料会員は25万人(4月末時点)。月間PV数は2億3300万PV(2020年実績)と「国内最大級」としている。サイトを訪れたユーザー数を示す「ユニークブラウザ」(UB)は6863万(同)を記録した。
同社が作成した「DATA FILE2022」では、ユーザーは30〜40代がボリューム層で、約8割がスマートフォンで記事を閲覧。また、ビデオリサーチが実施した「2021年度 全国新聞総合調査」では、競合の読売新聞や日経新聞と比較して「大学・大学院卒」「世帯年収1000万円以上」「金融資産3000万円以上」と回答した読者の割合が最多だったことが判明している。
10年で売上高1800億円減、発行部数も300万部減
朝日新聞社は有料化の狙いを「サービスの見直しの一環」「ユーザーにとって分かりやすく使いやすいサービスの提供」(広報)と回答している。しかし、背景として同社の経営状況も見逃せない。
同社は21年3月期連結決算で、売上高2937億7100万円(前年比16.9%減)、営業損益が70億3100万円の赤字、純損益も441億9400万円となり、11年ぶりの赤字に転落した。
同社が赤字転落の要因と指摘するコロナ禍に加え、メイン事業である新聞発行部数も年々右肩下がりで減少している。2012年に約762万部だった部数が、2022年には約457万部(ともに朝刊)となり、10年間で約300万部、割合にすると4割減少した。売上高も同様に、12年3月期の約4760億円から約2937億円に、10年で約1823億円、約4割減少している計算になる。
読者からの購読料を主な収入源としている新聞社にとって、部数低下は“死活問題”だ。金融庁が運営する電子開示システム「EDINET」で公開されている同社の有価証券報告書を見ると、新聞などのメイン事業「メディア・コンテンツ事業」の22年3月期の売上高は2392億3700万円(前年比234億7600万円減、8.9%減)、セグメント利益は44億6600万円(前年は120億2500万円の赤字)だった。
これに対し、自社ビルのテナント料収入などの「不動産事業」の売上高は307億5900万円(同17億7300万円増、6.1%増)、セグメント利益は50億7500万円(同1億7800万円減、3.4%減)だった。メイン事業よりも不動産収入の利益額が高いため、Twitterでは「不動産が本業」などと指摘する声もある。
早期退職者募集、2年ぶりの黒字も達成
こうした背景から同社は21年1月、45歳以上の社員を対象に早期退職者を100人募集。大幅リストラなど支出を圧縮した結果、22年3月期決算では売上高2724億7300万円(前年比7.2%減)、営業損益が95億100万円の黒字、純損益も129億4300万円となり、2年ぶりに黒字に回復した。
海外では、米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」などが“死に体”だった新聞事業を立て直すため、DXなどを本格化させたことで業績が回復したケースがある。朝日新聞の課金強化の姿勢が、吉と出るか凶と出るか注目を集めそうだ。同社は「引き続き、読者の皆さまに充実したコンテンツやサービスをお届けできるよう努めていく」としている。  
 
 
 
 

 
  
 
●TOPPA
 
 
印刷会社
凸版印刷
ネット社会
印刷物 縮小
すべてを突破する。TOPPA!!!TOPPAN
TOPPANのブランドメッセージをビジュアライズしたムービーです。世界にひろがる無数の課題、そのすべてを突破し、未来へ向かって社会的価値を創造していくという思いを表現しています。
「TOPPA!!!TOPPAN」1
突然現れて、懸命にTOPPANのことを伝えようとする大泉さんと、その熱意を優しくも冷静に受け止める成田さんのコミカルな演技に、ぜひご注目ください。
「TOPPA!!!TOPPAN」2
パンフレットを見ている来場者役の成田凌さんに同じく来場者役の大泉洋さんが、まだTOPPANが〇〇と思っているのか尋ねるが・・・
「TOPPA!!!TOPPAN」3
食品のパッケージを手に取った会社員役の成田凌さんに、店員役の大泉洋さんが突然話しかけて・・・
「TOPPA!!!TOPPAN」4
店主役の大泉洋さんに促され、手にとった本を読みはじめるお客役の成田凌さん。そこに書かれていたものとは・・・  
  
 
●凸版印刷、企業広告「突破(TOPPA)する会社」を宣言 2021/4
凸版印刷は4月1日から、新たな企業広告「すべてを突破する。TOPPA!!! TOPPAN」を開始した。大泉洋と成田凌を起用し、テレビCMや交通広告、Web広告などを展開している。CMの演出は、公開中の大泉さん主演映画『騙し絵の牙』も手がけた吉田大八監督が務めた。
大々的なテレビCMの出稿は同社史上初の試みとなる。社名にある“印刷”の仕事にとどまらない会社の事業領域を伝え、社内外に向けて「すべてをTOPPA(突破)する会社」というブランディングを進めることが狙い。
第一弾のテレビCMでは、「あのー、凸版のこと印刷の会社だと思ってません?」と投げかける大泉さん。成田さんが「名前が凸版印刷…」と返すと、大泉さんは「名前で判断するんですか?」「突破する会社ですよ。凸版だけに」とたたみかけるという会話劇が展開される。4月中旬からは第二弾も放映予定だ。
凸版印刷 広報本部 宣伝部長の佐藤圭一氏によると、同社は印刷の会社というイメージが非常に強く「さまざまな領域で事業を展開している本当の姿を伝えきれていないのではないか」という課題があった。「そこで、世界中のあらゆる課題解決に取り組んでいる凸版印刷の真の姿を知っていただきたく、大泉さん・成田さんの軽妙な掛け合いとコミカルな演技で、“印刷だけじゃない、すべてを突破する会社”であることをわかりやすく伝えるクリエイティブを目指しました」(佐藤氏)。
スポットCMは全国で展開し、番組枠は『報道ステーション』(テレビ朝日系列)、『I LOVE みんなのどうぶつ園』(日本テレビ系列ほか)などで放送される。このほか、シネアド、YouTubeやTVerなど動画広告、各種SNS、ラジオの提供番組でも展開。凸版印刷のオフィスがある飯田橋駅などを中心に交通広告も展開する。 
●すべてを突破する。TOPPA!!!TOPPAN
TOPPANのブランドメッセージをビジュアライズしたムービーです。世界にひろがる無数の課題、そのすべてを突破し、未来へ向かって社会的価値を創造していくという思いを表現しています。
大泉洋さん成田凌さんが登場するTVCM第一弾です。突然現れて、懸命にTOPPANのことを伝えようとする大泉さんと、その熱意を優しくも冷静に受け止める成田さんのコミカルな演技に、ぜひご注目ください。
大泉洋さん成田凌さんが登場する「TOPPA!!!TOPPAN」TVCMシリーズ第二弾。今回の舞台は、音楽ホール。パンフレットを見ている来場者役の成田凌さんに同じく来場者役の大泉洋さんが、まだTOPPANが〇〇と思っているのか尋ねるが・・・
大泉洋さん成田凌さんが登場する「TOPPA!!!TOPPAN」TVCMシリーズ第三弾。今回の舞台は、コンビニエンスストア。 食品のパッケージを手に取った会社員役の成田凌さんに、店員役の大泉洋さんが突然話しかけて・・・
大泉洋さん成田凌さんが登場する「TOPPA!!!TOPPAN」TVCMシリーズ第四弾。今回の舞台は、本屋。店主役の大泉洋さんに促され、手にとった本を読みはじめるお客役の成田凌さん。そこに書かれていたものとは・・・
大泉洋さん成田凌さんが登場するTVCM第5弾。今回の舞台は診察室。健康診断を受けた大泉さんが、医師に扮した成田さんに思い詰めた表情で語るのは……。ますます息の合った二人の掛け合いを通して、待ったなしの超高齢社会も突破する凸版印刷の姿を紹介します。
大泉洋さん成田凌さんが登場するTVCM第6弾。舞台は占いの館。仕事に悩む青年役・成田さんの相談を聞く、占い師に扮した大泉さん。水晶玉で見えてくるものとは…。「TOPPANが突破する世界の課題」を紹介し、幅広い領域で課題解決に取り組む凸版印刷の姿をお伝えします。
大泉洋さん成田凌さんが登場するTVCM第7弾。今回の舞台はメタバースの世界。スーツ姿の大泉さんと成田さんが、アバターで登場し、凸版印刷が提供するメタバースサービス基盤「MiraVerse®(ミラバース)」を紹介します。アバターで掛け合う二人に、是非ご注目ください。
大泉洋さんと成田凌さんが登場するTVCM第8弾。今回の舞台は、鳥取県米子市の米子城跡。XRとGPSを組み合わせた体験型XR観光アプリ「ストリートミュージアム®」を利用し、その場所ならではの現存しない城郭などの史跡を観光する成田さん、お殿様に扮した大泉さんとの絶妙な掛け合いに、是非ご注目ください。 
 
 
●TOPPAN STORIES
「健康・ライフサイエンス」「教育・文化交流」「都市空間・モビリティ」「エネルギー・食料資源」の重点的に取り組む成長領域をはじめ、多様化する時代の課題解決を目指すトッパンのストーリーをご紹介します。  
●デジタルと現実空間をシームレスにつなぐコミュニケーションのミライ。TOPPANが手掛けるメタバースとは。
世界中が注目する「メタバース」の現在地
現在、世界中で脚光を浴びるメタバース。「メタ」は「超越」を、「バース」は「世界」を指すユニバースを組み合わせた造語で、時間や空間の制約を超える新たなコミュニケーションフィールドとして注目を集めています。現在のインターネットやソーシャルネットワーキングサービスのように、次世代のサービスの基盤になると予想され、世界的な大企業だけでなく国内でも参入が相次いでいます。その市場はメタバース推進議会によると、2024年には90兆円規模にまで上ると予測されています。急速に広がりを見せる一方で、ビジネスや産業用途での活用には、情報の品質管理やセキュリティの面での課題が多く、発展途上にあると言えます。
印刷業界を牽引してきたTOPPANが実現するデジタル空間コミュニケーション
印刷業界のリーディングカンパニーとしての歴史は、コミュニケーションにおける技術革新の歩みと言っても過言ではありません。TOPPANの創業者たちは、当時最先端の技術を基礎に、証券印刷やパッケージ印刷などの分野に可能性を見出し、日本の近代化を推し進めました。常に未来を見据えながら、新しい技術と安全性への熱心な姿勢は、創業当時より変わることなく受け継がれています。デジタル空間においても、先見性を持ち、多くの技術者たちが研究開発に取り組んでいます。時代がメタバースと呼ぶ以前から、多様なコミュニケーションを実現するテクノロジーの研究、プロダクト開発をしています。例えば、1990年代から前身となる「World Chat/J」や「トッパンVR」などのサービスをリリース。近年は先端表現技術を核に、正確な空間再現をはじめ、デジタルと現実世界をつなぐ、上位のデジタルコミュニケーションを実現しています。すでに企業向けにメタバース導入プロジェクトを進めるなかで、精緻な空間表現や、顧客情報の管理といったセキュリティのニーズが高まっています。ここから、デジタル空間と現実社会とのシームレスな次世代コミュニケーションを加速させる、TOPPANのソリューションをご紹介しましょう。
ビジネス向けメタバースサービス基盤「MiraVerse®」を開発
TOPPANでは2022年4月よりメタバースサービス基盤「MiraVerse®(ミラバース)」の提供を開始しました。「MiraVerse®」は現実空間を仮想空間へ正確に取り込み、その中で商談や協調作業などのビジネスコミュニケーションを可能にします。例えば、ショールームにおいては、様々な商品を自分の目線で確認しながらお客さまの購買意思決定を対話型でサポートするほか、製造分野ではリアルタイムシミュレーションを使った設計やデザインなどの協調作業を実現します。新たなビジネスモデルの創出だけでなく、観光や教育、ミュージアム、防災訓練など、TOPPANの総合力で企業のメタバース導入や社会実装を推進しています。「MiraVerse®」の強みは、なんと言っても高精細な画像データ処理や、形状を正確にデジタル化する3D計測を始めとした先端表現技術。TOPPANが従来培ってきた技術で、現実の色や質感を忠実に再現する真正性を追求しています。さらに、今まで培ってきたデータマネジメントなどの機能面のノウハウを組み合わせることで、ビジネスのお客様のニーズにお応えします。
アバター管理基盤「AVATECT®」
メタバース市場への関心が高まる一方で、アバターのなりすましや不正利用といったリスクが課題となっています。TOPPANでは自分の分身として生成されたアバターに対し、真正性を証明する「AVATECT®(アバテクト)」を開発、2022年2月より試験提供を始めています。「AVATECT®」は、アバター本体の管理や本人認証に加え、アバターにNFT(非代替性トークン、Non-fungible token)や電子透かしを付与。これによりアバターの不正利用やなりすましを抑止し、メタバース上でのプライバシーや著作権を保護する管理基盤です。メタバースの活用において欠かせない、アバター生成管理基盤「AVATECT®」は「MiraVerse®」と合わせて、安全・安心なデジタル空間を構築し、参加する個人や企業に新たな体験をワンストップでの提供を可能にします。機密性を有する高度な共同作業から、多数のユーザーに向けたプロモーション、さらには大型イベントまで、ワールドごとの用途に合わせた最適なセキュリティ環境を叶えるでしょう。
TOPPANが目指すメタバースの姿。距離や身体的な制約を超えた、新しい世界。
「MiraVerse®」と「AVATECT®」の両輪で加速する、距離や身体的な制約を超えた「新しい世界」。それはメタバース内にとどまらず、現実社会とのシームレスなつながりをもつ世界だと捉えています。日本の科学技術政策の中で生み出されたコンセプト・未来社会(Society 5.0)はご存じでしょうか。世界の未来の社会像として世界中に広まりつつあるコンセプトであり、政府のみならず産業界や学術界が連携を深めながら推進しています。未来社会(Society 5.0)とは、狩猟社会をSociety 1.0とすると、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、デジタル空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムによって開かれる社会と定義されています。「MiraVerse®」と「AVATECT®」による精緻なメタバース空間は、現実社会のデジタルツインと言えます。豊かな表現やコミュニケーション機能を生かして、現実の社会問題に対してシミュレーションの実施も視野に入れています。長期的なビジョンで目指すのは、メタバース空間での活動が現実に還元される社会。TOPPANがデジタル空間とフィジカル空間、メタバースと現実社会のシームレスなつながりを加速させます。 
●ビッグデータと遠隔医薬サービスでTOPPANが目指す健康長寿社会のミライ
世界的な健康寿命延伸と求められる医療・医薬サービスの変化
人類の寿命が年々延びるにつれ、「健康に生きられる」寿命である「健康寿命」に注目が集まっています。厚生労働省によれば、国内の2019年における男性の寿命81歳に対し健康寿命は73年、女性は87歳に対し75歳。逆に言えば、男性は8年、女性は12年間も「不健康に」生きなくてはならないのです。この期間をどれだけ短くできるか。超高齢化社会を迎える日本だけでなく、世界中が今、このヘルスケアの難題に注目しています。
TOPPANのパッケージ製造や専門機関とのアライアンスの知見を活かしたヘルスケア事業
TOPPANはこれまで、製造業や金融業、サービス業など様々な業種の仕事をしてきました。企業や専門機関とのアライアンス、パッケージの製造から物流等の経験とノウハウを生かし、ヘルスケア事業へ取り組み、消費者の皆さまの健康増進、そして健康寿命延伸に貢献しています。まずはヘルスケア×テクノロジーの事例をご紹介しましょう。
医療ビックデータを活用した健康長寿社会の実現
2018年に「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(通称:次世代医療基盤法)」が施行されました。TOPPANは、医療情報の匿名加工を行う次世代医療基盤法の「認定医療情報等取扱受託事業者」であるICI株式会社(以下ICI)と資本業務提携を行い、治療結果を含む電子カルテデータの利活用事業に取り組んでいます。本提携では、ICIが幅広い医療ビッグデータを収集・統合した社会インフラ基盤を構築し、TOPPANが事業会社として医療ビッグデータの利活用促進に向けた事業開発を推進しています。TOPPANとICIは、病院、診療所、自治体、介護施設などから収集した医療ビッグデータの流通を通じて、保健・医療・福祉に関する研究開発及び新事業創出による健康長寿社会/地域共生社会の実現を目指します。
遠隔での服薬指導や処方せん薬の宅配が可能な「とどくすり」
TOPPANのヘルスケア事業は、これに留まりません。2020年には処⽅せん薬宅配サービス 「とどくすり」をスタート。⾃宅にいながら、オンライン上で処⽅せん薬の申し込み、服薬指導から薬代の決済、薬の受け取りまでを完結できるサービスです。感染症予防につながるほか、薬局に出向く必要がないため足腰が悪く外出が困難な高齢者や近所に薬局がない方の医療アクセスを向上させることができます。また、オンラインの活用により薬局・薬剤師へのアクセスが容易になることで、高血圧や糖尿病といった慢性疾患を抱える患者や、人前ではなかなか相談しづらい疾患を抱える患者の治療継続や重症化予防にも貢献しています。将来的には、医療ビッグデータと連携し、一人ひとりに寄り添った最適な医療を提供するサービスへ進化させていく予定です。
体外診断用医薬品の開発から製造、医療機関に届くまでをワンストップで提供可能に
臨床検査はこれまで、検査センターや病院内の検査室等で⾏われる中央集権型が中⼼でした。これが今、変化の兆しを⾒せています。これからは、病院や薬局にて患者さんの側で、又は在宅にて本人が、⼩型の装置で迅速・簡便に検査を⾏う体外診断⽤医薬品の「POCT検査(Point of Care Testing)」が拡⼤すると⾔われているのです。体外診断⽤医薬品の中でも、患者のすぐそばで迅速に検査結果を判定可能なPOCT検査キットは、結果判定までの時間が⼤幅に短縮することから、世界中でニーズが⾼まっています。TOPPANはこの体外診断⽤医薬品にも、活躍の場を広げました。合弁会社「トッパンメディカルファクトリー」を2020年に設⽴し、「POCT検査」を中心とする体外診断⽤医薬品の製造を開始しています。なぜTOPPANが体外診断薬に取り組むのか。それはTOPPANがこれまでの歴史の中で培ってきた、「成型加工」「表面加工」「微細加工」などの「印刷テクノロジー」の展開が可能だからです。また今後拡大する「POCT検査」においても、この「印刷テクノロジー」の展開範囲は、更に拡大していくことでしょう。また、TOPPANは2021年に「医薬品卸売販売業」許可を取得。これにより、体外診断⽤医薬品(医療⽤)の卸売ができるようになりました。そう、TOPPANは、体外診断⽤医薬品を、開発から製造、物流まで、ワンストップで提供できるようになったのです。
これまでの医療・医薬サービスの在り方を変えるTOPPANのヘルスケア事業
TOPPANのヘルスケア事業は、デジタルテクノロジーを用いた単に新しい事業というだけでなく、TOPPANが過去に築いてきた信頼と実績を掛け合わせて構築するものです。これまで培ってきたノウハウに、デジタルを組み合わせ、DXを推進する。TOPPANはモノ×サービスへもこのヘルスケア事業で挑み、国民の健康寿命延伸に貢献していきます。 
●TOPPANグループで実現する空間体験のミライ
With コロナで求められるニューノーマルへの急速な変化
世界的な新型コロナウイルスの流行により、生活者の行動様式は着実に変わり始めています。日常の暮らし方だけでなく、働き方や教育のあり方も変革期を迎えています。さらに、スマートフォンやインターネットの普及は、コミュニケーションの接点をオンラインへと切り替えていきました。「モノ」から「コト」へと消費者ニーズがシフトすることにより、リアルな場を起点とした体験価値=コトの重要性が問われていています。ニューノーマルな世界へとかじを切った私たちの暮らし。今後さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)が私たちの生活の進化を後押しすることでしょう。これまでの常識に縛られず、急速に変化する「空間体験」を再定義する必要があるのかもしれません。
TOPPANグループだからこそ出来る総合的な空間提案
TOPPANの歴史は1900年の創業より、技術・開発の進化とともにありました。長年培われた開発力は印刷や紙にとどまらず、あらゆる領域でお客様の想いをカタチにしています。プロモーションの一環として行われる展示会・見本市、企業を知っていただくためのショールームや工場見学など空間を介したコミュニケーションの活性化を目指すスペースコミュニケーション。展示という概念づくりから、日本全国の文化施設のコミュニケーション環境をデザインしてきたトータルメディア開発研究所。1956年の創設以来、約70年にわたって進化を続け、デザイン性と機能性を兼ねそなえた空間創りに欠かせない建装材事業。これまで培った印刷技術と開発力を基盤に、企画から運営まで総合的な空間提案を可能にするのが、TOPPANグループの総合力です。国内外のグループ企業とのネットワークにより、ナレッジを蓄積。TOPPANグループ全体でシナジーを創出し、最適な空間を提供します。それではTOPPANが実践するこれからの「新しい空間体験」をご紹介しましょう。
価値ある感動体験を創造するTOPPAN SPACE COMMUNICATION
空間の役割にパラダイムシフトが起こり、従来のコミュニケーションの概念にも変化が求められている現在。「TOPPAN SPACE COMMUNICATION」では、展示会・見本市、ショールームや工場などの企業施設、店舗などの販売接点でお客様が求めるコミュニケーションを空間によって解決し、価値ある感動体験を生み出しています。2018年6月にオープンした「NIPPON GALLERY TABIDO MARUNOUCHI」は、VRなど先端テクノロジーのショールームとして、日本全土の魅力を発信・体験し新たな観光のカタチを共創する空間として作り上げています。例えば施設内にあるスーパープレゼンテーションルーム、日本の伝統技術に囲まれた空間で迫力ある最先端映像を体験することが可能です。今年のコロナ禍おいて、施設内にライブ配信スタジオ「TOPPAN ONLINE STUDIO CONNECT」を設置、ショールームでの新たなコミュニケーションをご提案しています。長年培われたマーケティングやプロモーション、イベント運営などのノウハウに加え、VRやAR、デジタルサイネージなど先端技術の表現力や技術力を持って、空間体験の未来を導きます。
格別な体験が得られる新・空間演出ブランド 「expace」
社会環境の変化にともない住宅やオフィス、ホテルや商業施設では、衛生対策だけでなく、空間の役割・価値の見直しが広がっています。TOPPANは2020年9月より空間演出ブランド「expace(エクスペース)」を立ち上げ、デザイン性と機能性を兼ね備えた「新しい心地よさ」の創出を推し進めています。expaceが考えるこれからのオフィススペースは、柔軟なワークスタイルに対応した、安心感のある心地良い空間。高まる衛生面のニーズに、自社で抗ウイルス・抗菌の素材を開発し、第3者認証機関であるSIAAの抗ウイルス・抗菌認証を得て販売をスタートするなど対応を進めています。さらに、IoTやセンシング技術を組み合わせて一人ひとりがパフォーマンスを発揮できる格別な空間を演出。企画から設計・施工、運営までをワンストップで提案しています。建装材事業で長年培われた技術とノウハウを活かし、モノとコト、機能と感性の両面から心地よい空間創りに貢献します。
文化施設の新たなコミュニケーション環境を創造するトータルメディア開発研究所
70年代以降、学びの空間として急速な普及を見せた博物館等の文化施設は、今日に至るまで時代の要請を受けながら、単なる学びの領域を超え、絶えずコミュニケーション環境の進化が求められてきました。1970年の日本万国博覧会を発端に創設された「トータルメディア開発研究所」。現在、TOPPANグループの一員として、500件以上の公共文化施設や企業文化施設の企画・設計・制作から運営に携わっています。2017年にオープンした「福岡市科学館」では、九州大学との共同研究を通した最先端のインタラクティブな展示体験の場を創出。都市の未来を創造する場として、子供たちや研究者、企業間の新たな交流や共創、人材育成を促すコミュニケーションを生み出しています。グループの総合力を活かし、コミュニケーション環境のコンサル&デザインを通して、文化空間開発事業を通した未来への新たな価値づくりに日々貢献しています。
グループ共創で新たな空間体験を実現する
TOPPANは空間デザインの企画、設計・施工だけに留まらず、調査分析、コンテンツ制作、運営、CI・VI開発を含むブランディング、集客プロモーション、そして体験価値を生むデータ活用に至るまで、ワンストップで提案しています。空間事業を通じて多様な業種・現場にソリューションを提供し、新たな空間体験を実現していきます。 
●子ども主役の学びを、TOPPANが描く教育のミライ
子どもたち一人ひとりにあった学習環境の必要性
VUCA(※)の時代と呼ばれる現代。日本は情報社会と言われるSociety 4.0から、アナログとデジタルが融合するSociety 5.0を迎えようとしています。最新技術を用いた設備・サービス、蓄積される膨大な分析データ、それをもとに最適化される便利な生活。人々の生活スタイルは多様化し、100人いれば100通りの人生の楽しみ方が生まれる。そんな新しい時代は変化し続ける世界であり、子どもから大人まで生涯にわたって学び続けることが求められるでしょう。それに伴い、教育にも変化が起きています。これまで主流だった一斉授業のやり方が見直され始め、個々のレベルに合わせた習熟度別学習、グループで議論したり学び合う協働学習、設定した課題に向き合い自分なりの答えを導く探究学習など、様々な授業スタイルが出てきています。
また、国際的なウイルス感染の流行を受けて、オンライン授業の需要が拡大。学校現場のICT整備が急速に進み、子どもたちの状況や様々な場所に合わせて学びが進められる学習教材・ツールのニーズが高まってきているのです。 (※)Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字。現在の社会経済環境の予測困難性が高いことを指します。
来たる教育現場の大きな変革にTOPPANグループとして出来ること
「質の高い教育」はSDGsでも掲げられている世界的な課題です。日本においても家計の格差が子どもの学力格差を生み、学年が上がるとその差が開いていくいわゆる”学力の二極化”が問題視されています。TOPPANの教育事業は国内の学校で多く使用されている教科書会社「東京書籍」や幼児教育に関する教材・遊具を展開する「フレーベル館」などをグループ会社に持っているのが強みです。また、TOPPANの教育サービス開発にご協力をいただいている慶應義塾⼤学の中室牧子教授によれば、将来の賃金にはどの高校・大学に行くかではなく、幼少期に育まれる意欲・忍耐力・社会性などの「非認知能力」が重要であることが明らかになっています。これらの教育課題と中室教授から示唆いただいたことを背景に、我々は「教育を通じてすべての人に人生のチャンスを提供する」ことを目指し、2014年に教育事業の部門を立ち上げました。豊富な知見を有するグループ会社の支援を受け、子どもたちや先生にとって本当に良いものを追求した結果、最初に生まれたのがドリル学習サービス「やるKey」です。
子ども一人ひとりに寄り添うドリル学習サービス「やるKey」とその課題
「やるKey」は「レコメンド機能」「教科書準拠の問題」「非認知能力の育成」「学習履歴確認機能」等の特徴をもつ、個別学習の最適化により基礎学力の向上をサポートする小学校向けドリル学習サービスです。児童がタブレット端末を活用して学校の単元に沿った学習を行いながら、先生が児童の学習状況データをすぐに把握することで、効果的かつ効率的な学力の向上に繋げています。「やるKey」は子ども1人1人に寄り添う工夫が高評価を得て、学校の授業や家庭学習など様々なシーンで活用いただきました。しかし、結果としては高学力層には安定した効果が現れたものの、低学力層には期待通りの効果を出すことができませんでした。リリースから既に4年が経つ「やるKey」ですが、問題のレコメンデーションレベルでは未だに最高水準にあります。しかし、問題のレコメンドだけでは、間違えた子どもに対してまた問題を提示することになり、つまずいている子どもに対し必ずしも「そういうことか!分かった!」という前向きな体験を提供できるとは限りませんでした。「ドリルを解く」というアプローチだけでは、学習に対して既に苦手意識を持っている子どもを十分に支援してあげることは厳しいと我々は気づきました。そこでさらにサービスを進化すべく、やるKeyの高品質なドリルに加え、子どもたちの様々な学びの場面を支える多様な機能を複合させた全く新しいサービスを創ることを決断しました。学びは誰かに「やらされる」ものではありません。自分から取り組み、「できた!」という成功体験と「もっとやりたい!」という能動的な姿勢から、学びの中心に入っていくことが大切です。その想いをのせた新しいサービス名も検討しました。
それが、子どもが「主役」のまなびを実現するデジタル教材プラットフォーム「navima」です。
子どもたちの「学びたい!」が溢れ出す、新サービス「navima」の誕生
自分にあった学びのスタイルを見つけ、自分のペースで意欲をもって自ら育つ、子どもが「主役」のまなびを実現するデジタル教材プラットフォームが「navima」です。子どもたちは自分のペースで学びに向かいながら、先生から教わったり、自分で決めた目標に向けて思い思いに学習したり、時には友だち同士で勉強を教え合います。先生はそんな子どもたちの様子を自分の目と耳とデータで確認し、一人ひとりを理解、子どもたち主体の学びを一番近くで見守る大人としてサポート。「navima」は子どもが自分だけの学びを自分で描き、先生はその子どもたちを見守りながら支える、教室全体をオープンで積極的な学びの空気で満ちたものにしていきます。「navima」は2021年4月にリリースし、様々な機能・コンテンツを搭載しています。その一部を紹介すると、1授業で学んだ内容をきちんと習得するためのドリルや動画コンテンツ、2子どもが課題に対して自分の考え方を自由に表現し回答できる機能、3子どもたちの学びの状況を先生側に見える化する画面など。子どもがなにか分からないことにぶつかった時、やるKeyではおすすめの問題を届けることしかできませんでしたが、navimaではそれに加えてドリル以外の様々な選択肢を用意することで自分に合った方法を取り入れてもらえるようにしています。子どもは学ぶことへ前向きに取り組み、自分に合った方法で学びを進めていく力を高めることを、先生は子ども1人1人を理解しその学びをサポートできることを「navima」が支援します。
更に前進 「探究的学びの支援」「非認知能力醸成」へ
TOPPANの教育事業の使命は「子どもたちが社会で活躍するために必要な力を身につけ、将来自分らしく羽ばたけるように背中を押す」ことです。そのためにTOPPANは、子どもたちが学びに向かうために必要な意欲・能力の育成と、それを支える先生たちの指導力向上を支援していきます。navimaが完成することはありません、これから先もずっと進化を続けます。例えば、読解力などの学びの基礎力を育むコンテンツや、視点や考え方を養う探究学習コンテンツなどを現在開発中です。また、中室教授から示唆を頂いて以降、研究し続けている「非認知能力の醸成」に関しても近い将来有効なコンテンツを提供してゆく予定です。これらのコンテンツの中の何かが子どもたちの心と頭を動かし、子どもが自分の学び方を見つける。そして、その経験の中で得られた気づきや成功体験が、次の「学びたい」を増やしていく。そのような内面から湧き上がる「学ぶ意欲」が子どもたち1人1人の行動に繋がり、教室にいる子どもたち全員が「主役」の授業が実現されると考えています。子どもたちや先生方の笑顔が溢れ、社会課題が解決された明るい未来へと繋がっていくことを信じています。TOPPANが創る「教育のミライ」に、ぜひご期待ください。 
●SDGsの先にあるトッパンが目指すミライ「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」
ステークホルダーとともに持続可能な開発に取り組む
SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)とは、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた、2030年までに世界が達成すべき17の目標のこと。日本企業においても、SDGsを事業や経営に取り込み、SDGsを達成しようという動きが広がっています。TOPPANの創業は1900年。時代とともに変化する世の中の要望に応えながら、事業を通じて課題解決に取り組み、社会に求められる価値を提供し続けています。これからもTOPPANは、SDGsの取り組みを通じて「社会的価値創造企業」の実現を目指します。
社会課題への取り組みはTOPPANのDNA
ものづくり企業であるTOPPANにとって「環境配慮・持続可能な生産」は重要な責務です。TOPPANは、SDGsが謳われる20年以上も前に、後の「トッパングループ地球環境宣言」を定め、環境保全に配慮した企業活動に積極的に取り組んできました。また、地球温暖化防止のためにCO2排出量や廃棄物最終埋め立て量削減などに、数値目標を掲げて取り組んでいます。具体的な取り組みのひとつが環境に優しいパッケージの開発。今日、海洋プラスチックごみやフードロスは国際的な課題に挙げられています。その点TOPPANのパッケージ事業は、透明バリアフィルムや紙製飲料容器など、多種多様な環境配慮型パッケージなどを開発。環境に優しいモノづくりに励んでいます。SDGs達成のためには地球環境だけでなく、施策を実行する「従業員の健康・働きがい」も重要です。TOPPANでは従業員を会社の貴重な財産すなわち「人財」と捉え、全員が働きやすい環境づくりに努めてきました。現在は従業員の重病化予防、ダイバーシティの実現、ジェンダー格差を解消しようと、2030年目標をたて取り組んでいます。
TOPPANだからこそ達成できる「環境・まち・ひと」がつながり合うSDGs
SDGsはTOPPANにとっての成長エンジンです。TOPPANが注力する4つの成長領域とSDGsが交わることで、目指す姿はより明確になるからです。100年を超える歴史をもつTOPPANは、これまでさまざまなステークホルダーと広範なネットワークを築いてきました。またTOPPANは「印刷テクノロジー」を基盤として多角的な事業を推進。これらの強みをもつTOPPANだからこそ達成できる「環境・まち・ひと」が相互につながり合う「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」。それがTOPPANの目指すミライです。TOPPANは事業活動を通じた新しいチャレンジを仕掛けていきます。
食品ロスを削減するためのスマート流通サプライチェーン
近年、先進国を中心に食品の廃棄が重要な社会問題となっています。この問題の解決に貢献するのが、TOPPANの考える「スマート流通サプライチェーン」。受発注データや物流データなどサプライチェーン上に発生するさまざまなデータと地域のイベント情報や気象情報などを組み合わせて、ダイナミックプライシングシステムや正確な需要予測を実現し、食品ロスの削減を可能にします。本当に必要な量だけを生産・流通させることができれば、温暖化ガスや包装資材を削減することにもつながります。また、生産者、加工業者、物流業者、小売業者、廃棄物処理業者の無駄な作業を減らすことで労働環境の改善にも貢献します。
地域無形文化の保存・復元が、「まち」を元気に、「ひと」を豊かに
都市への人口集中と地方の過疎化が進む日本では、「地方創生」は大きな課題。これまでもTOPPANは、歴史的建造物や文化財を、徹底した学術考証とVR技術で保存・復元し観光に活かすなど、地域活性化に貢献してきました。文化財の保存・復元は有形だけでなく、方言、郷土料理、祭、地域の風習といった無形文化も対象です。TOPPANは、未来に残したい無形文化を体験型コンテンツとすることで、地域の人だけでなく地域外の人達と交流できるようになります。TOPPANのコミュニケーション技術や教育事業での経験を活かし、これらのコンテンツを効果的に発信することで、地域の人々や子供たちが、地域を知り、自然と親しみ、心豊かにくらす力を醸成していきます。
「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」の実現に向けて
2030年に向けてTOPPANが取り組む「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」。これまで培ってきた信頼、歴史、ネットワーク、ノウハウ、事業をもとに、2030年のSDGs達成にむけて邁進していくTOPPANに、ご期待ください。 
●工場のデジタルトランスフォーメーション 次世代モノつくりが実現するミライ
自社で製造拠点を持つTOPPANが率いる、日本のDX
今、国内の製造業は変革の時代を迎えています。原材料の調達先や流通などを記録するトレーサビリティ、環境へ配慮した設備投資やペーパーレス、製造にパーソナライゼーションを組み合わせたマス・カスタマイゼーションなど、実に多くが要求されています。一方で、少子高齢化に伴う人手不足による技術伝承の断絶という、深刻な課題にも向き合わねばなりません。こんな時代に求められるのがDX(Digital Transformation・デジタルトランスフォーメーション)。業務プロセスの効率化、工場の自動化・省人化といった課題を、テクノロジーを用いて解決していくのです。DXはモノつくりで成長してきた日本にとって、改革と言っていいほどの意識改革。TOPPANはもともと製造業に端を発している企業ですが、近年パッケージやエレクトロニクス、印刷など幅広い事業を通じて自社の製造現場をデジタルトランスフォームしてきました。この実績とノウハウを武器にお客さま、特に、自社だけでは人手や仕組みが不足しがちな中小製造現場に入り込み、製造分野のDXを実現し、人手不足に端を発する働き方改革を支えます。
課題発見から設計、運用まで製造DXをトータルコーディネート
TOPPANは業種・業界を限定せず、多品種少量生産の複雑な製造工程のデジタル化にも対応した製造DX支援ソリューション「NAVINECT(ナビネクト)」を提供。お客様の課題に応じて、必要な技術だけを組み合わせた独自のDXが可能になります。製造業と一口に言っても、業種や業界によって課題はさまざま。工場のデジタル化に際して、製造現場はそれぞれ複合的で異なる課題を抱えているのです。そんな中TOPPANはコミュニケーション系、パッケージ系、エレクトロニクス系など、幅広い業種・業界で自社のDXを構築・運用してきました。その集大成が「NAVINECT」。デジタル帳票や在庫管理、トレース、業務の見える化など、製造現場に必要な技術をただ提供するだけではありません。NAVINECTお客様ごとの個別のニーズを捉え、製造現場の課題発見や設計・運用すべての課題を解決するDXソリューションです。さらに、このNAVINECTが実現するのが、次世代モノつくりです。
製造×DXでつくる次世代のモノつくり
ミライの工場とも言える次世代モノつくりでは、工場内の人や設備の情報をIoTで収集・分析。工場は24時間稼働し、材料の自動検知や検査が自動で実施されます。将来的に、AIを活用したロボットだけのフルオートメーションになる可能性も。人は人にしかできない作業に集中。サービス全体の付加価値を上げ、新たな製品を生み出す活動に注力します。海外製品との競争は激しくなるものの、世界における日本製品への信頼度はかなり高い。TOPPANは日本の高品質をつくりあげる工場を支えることで、「豊かなデジタル社会化」に貢献しています。
次世代モノつくりを支えるテクノロジー
従来のモノつくりを変えるには、テクノロジーが不可欠。次世代のモノつくりを支えるTOPPANのテクノロジーの一例を紹介します。LPWA(Low Power Wide Area)は、工場やビルのような建物内の一定の領域の情報を集めるために適した通信インフラ。低電力で広域な通信ネットワークを低価格・低電力で構築できます。また、TOPPANは物流支援ロボットも展開。TOPPANと連携するスタートアップが開発した、自律移動機能を有した自動追従走行台車型ロボットにICタグとRFIDを組み合わせ、無人棚卸ソリューションを開発しました。これにより一括ピッキング、無人在庫棚卸、現場の見える化など、工場作業の効率化、省人化が期待できます。
ノウハウと信頼を武器に、豊かなデジタル社会を創る
近い将来、お客さまの製造現場のDXが進めば大量に蓄積するビッグデータとTOPPANの保持する膨大なビッグデータを掛け合わせることでさらなる付加価値を生みだす可能性も。TOPPANは自社をデジタルトランスフォーメーションしてきた実績があります。多種多様な業種のお客さまと一緒に作り上げてきた信頼こそがTOPPANの強み。TOPPANが創りあげる「豊かなデジタル社会」に、ぜひご期待ください。 
●ベンチャー企業と創る、新しいミライ
オープン・イノベーションの時代、始まる
市場ニーズの多様化、製品サイクルの短期化。市場環境が猛烈なスピードで変わる現代において、自前主義での顧客ニーズへの迅速な対応が難しい時代に突入しました。この現状に鑑みて多くの大企業は、外部の会社と連携し、新しい事業を立ち上げる「オープン・イノベーション」へ舵を切っています。オープン・イノベーションにおける連携相手は大企業だけではありません。近年注目を集めるベンチャー企業もその対象。新しい価値を生み出すベンチャー企業と、歴史と信頼をもつ大企業が連携することで、新たな市場・ビジネスモデル・技術を創造していくのです。
ベンチャー出資を通じて、新しい社会を創る
TOPPANはオープン・イノベーションに取り組むべく、2016年からすでに30社以上のベンチャー企業への投資を実施。ベンチャー企業との連携を深め、幅広い分野で共創しています。TOPPANがベンチャー企業への出資を通じてオープン・イノベーションに取り組む目的は2つ。「ベンチャー企業の叡智を活用し、既存事業に新たな価値を生み出すこと」。そして、「既存事業の延長ではなしえない、新しい分野へ挑戦すること」です。ここではスマートシティや保育分野で、ベンチャー企業に出資した事例を紹介しましょう。
スマート社会実現に向けたIoT通信インフラの構築
TOPPANは印刷テクノロジーで培ったノウハウを活かし、Society5.0で掲げられているスマート社会の実現に向け、IoTを活用した社会課題解決型の事業に取り組んでいます。IoTの普及に不可欠な「通信技術」ですが、これもベンチャー企業との協業によって、IoTに適した革新的な通信技術を用い、新たなソリューションを提供できるようになりました。TOPPANは低電力広域ネットワーク(LPWA)規格である「ZETA」の通信モジュールを日本で初めて開発。この開発に先立って、ZETAを活用したIoT事業を展開しているベンチャー企業、株式会社テクサーに出資しています。この出資により、TOPPANが保有するモジュール設計技術を活かし、ZETA通信モジュールの小型化及び高性能化を実現。また、情報セキュリティ技術やメディア開発技術を活かしたデータの一元管理やアプリ開発まで、「モノづくり」と「コトづくり」の両面からサービスを提供しています。テクサーが展開する、マルチホップにより通信エリアを拡大できるZETAの特徴を活かして、山間部や屋内施設など、これまでLPWAの導入が難しかった箇所でも、お客さまの課題に対するソリューションを提供することができるようになりました。テクサーとTOPPANは連携してスマート社会の実現に向けた情報インフラの普及に貢献しています。
保育士や家族を支える、新しいプラットフォーム
絵本や図鑑などの児童書や、保育園・幼稚園に向けた遊具などの情報を発信しているTOPPANの完全子会社「フレーベル館」。IoTやAIの力を活用することで、保育業務の負担軽減や保育の品質を向上する「スマート保育園」の実現を目指すユニファ株式会社と、TOPPANによる出資を通じて協業しています。フレーベル館は、自身がもつ保育園関連のネットワークを活かして、ユニファを営業面から支援。またユニファのインターネットを活用した園児の写真・動画販売サービスや園児の午睡チェック等のヘルスケアサービスと自社サービスの協業により、ICTを活用した総合的な子育てプラットフォーム事業を生み出しました。現代の日本において、子育てや保育の課題は深刻な社会問題の一つです。ユニファとTOPPANが協業し新たなソリューションを生み出すことで、保育士の業務負担の軽減や、保育の品質の向上が期待できます。TOPPANはベンチャー企業への出資を通して、保育園を中心とした子育てに関わる皆さんの暮らしに貢献しています。
ベンチャー企業とTOPPANで創る、まだ見ぬ世界
TOPPANは1900年の創業以来、自らが培った印刷技術やICT技術を用いて、消費者のために「情報流通の仲介者」の役割を果たしてきました。今後は自分たち独自のノウハウを培っていくことはもちろん、次世代を創るベンチャー企業と協業しながら、ますます加速するデジタル化に対応すべく、新しい世界を創っていきます。TOPPANがベンチャー企業と創るミライにご期待ください。  
●スマホが財布になる、キャッシュレスなミライ
生活の中でも存在感が増すFinTech
「金融×テクノロジー」を意味するFinTech(フィンテック)。その市場規模はすでに1兆円を超えると言われており、われわれの生活にも大きく影響を及ぼしはじめています。FinTechのわかりやすい例が「キャッシュレス決済」。諸外国では現金が使われることが次第に減っており、電子決済の比率が急激に高まっています。少子高齢化を迎えている日本では、これから労働人口が次第に減少。特に小売店や飲食店では効率的な営業が求められ、人の負担を減らす可能性があるキャッシュレスの分野には大きな期待が寄せられています。実はTOPPAN、多くの会社とこのキャッシュレス決済に取り組んでいるのです。
なぜTOPPANがキャッシュレスに取り組むのか
TOPPANのセキュアビジネス。TOPPANは従来から、銀行カード、クレジットカードなどの分野でシステムとともにお客さまにセキュアソリューションを提供しています。この背景には創業者が旧大蔵省印刷局出身の技師たちであり、戦後は紙幣の印刷をしていた歴史と高度な偽造防止の技術があります。TOPPANはこれらのセキュアソリューションを通じて金融機関をサポートし続けてきました。金融分野で実績と信頼を積み重ねてきたのです。そんなTOPPANですからキャッシュレスを含むFinTechを手がけ、金融機関、そしてその先にいる人々の暮らしを支えることは、当然の選択肢だったのです。その歴史と信頼を活かして、今では多様なキャッシュレスサービスを手がけるに至りました。ここからはその一例をご紹介しましょう。
国内有数の導入実績をもつギフトカード
汎用性のある贈り物として、昔から人気の商品券。近年はプラスチックカードの「ギフトカード」を使ったことがある方も多いのはないでしょうか。ギフトカードが紙からデジタルになることで、デザインの自由度や携帯性は飛躍的に向上。若年層の使用も期待できますし、紙の商品券において課題となっていた管理や回収処理などの業務負荷が大幅に軽減できるようになりました。TOPPANはこのギフトカードを、さまざまな会社に提供しており、ギフトカードに必要なリアルタイム残高管理システムでは国内随一の実績を誇ります。豊富な実績があるからこそ開発できた充実の管理機能もありますし、なにより導入に伴い発生する業務を、TOPPANならワンストップで対応できることも人気の秘密です。
一人ひとりのお客さまに沿ったマーケティングをするための電子マネー
クレジットカードはもちろん、交通系ICカードにQR決済、スマホでの支払いなど、近年ではさまざまな電子マネーが普及しています。電子マネーの利点は決済が簡単になることだけではありません。電子マネーを使いこなすことで、マーケティングに役立つお客さまの情報を入手でき、サービスの差別化につなげることができるのです。例えば、お客さまは電子マネーで買い物をするだけで、簡単にポイントを貯められます。ポイントが貯まれば、同じお店をまた利用してくださるでしょう。こうしたことを繰り返していくと企業は、お客さまの購入データを入手できるようになります。お客さまの趣味や買い物の傾向を知ることができれば、きめ細やかにマーケティングをすることが可能に。そのための情報が、電子マネーの事業にはたっぷり詰まっているのです。
お客さまと事業者をつなぐ決済ゲートウェイ
TOPPANのキャッシュレスは消費者だけでなく、店舗などの事業者さまにも便利に利用いただけます。その代表例が「決済ゲートウェイ」。各店舗とキャッシュレス決済サービスをつなぐ、いわば自社サービスと外部決済の中継センターです。日に日に増えるキャッシュレスサービスを、自社で一つずつ使えるようにしていたら、莫大な費用と時間がかかってしまいます。しかしTOPPANの決済ゲートウェイなら、TOPPANと提携しているキャッシュレスサービスを一気に導入可能なのです。とくにTOPPANは、十数年に渡るプリペイド決済の経験を通じ、キャッシュレスシステムを導入する際に、どんな機能が必要で、どこに導入の難しさがあるのかのノウハウが豊富に溜まっています。つまり、決済系システムの堅実さと、FinTechの柔軟さを擦り合わせる事ができるのです。そのため各店舗や事業者さまは、TOPPANの決済ゲートウェイを導入していただくことで、安心・安全、低コストでキャッシュレス決済を利用いただくことができるのです。
QRコードとマルチスタンプで便利な購買体験を創出
TOPPANの「ExOrder」は、QRコードをスマートフォンで読み取るだけですぐに商品が購入できるというシステム。近年さまざまな場面でQRコードが登場する場面が増えてきました。みなさんもいちどは読み込んだ経験があるのではないでしょうか? このQRコードをカタログ通販、イベント物販、電子チケットなどに掲載いただき、お客さまがこのQRコードをスマートフォンで読み込めば、ExOrder経由ですぐに購入していただくことができるようになります。ExOrderを使うことで、お客さまは瞬時にお買い物ができるようになります。一方、事業者は販売機会のロスがなくなるほか、QRコードというデジタルツールを使用することで、どの販促媒体からどれだけ商品が購入されたかを把握することも可能となります。つまりマーケティング効果が計測可能になるのです。次にご紹介するのは、TOPPANが開発したマルチスタンプ「PAS+(パスタス)」。そもそもマルチスタンプとは、スマートフォンに直接触れることで機能するスタンプのこと。静電気を利用することで、スマートフォンにスタンプの情報を読み込ませることができるのです。そのマルチスタンプをもとに、TOPPANが開発したのが「PAS+(パスタス)」。新しいかたちのデジタルスタンプカードです。企業や店舗は開発不要でお店のスタンプカードをかんたんにデジタル化でき、お客さまはいろいろなスタンプカードをまとめて管理できることが特徴です。もちろん誰がどこでどんな風にスタンプを押したか、という情報を一元管理することができます。PAS+には紙のスタンプカードにはないメリットがたくさんあるのです。
TOPPANが提供する安心・安全のキャッシュレス決済とFinTechのこれから
電子決済が普及することにより、店舗は現金管理から解放されます。とはいえ、キャッシュレス決済に不安を感じるお客さまがまだまだいるのも事実。そこは120年の月日を積み重ねてきたTOPPANだからこそ、みなさまに安心して使っていただけるキャッスレス決済を提供しなければなりませんし、その責任があります。TOPPANは現在、ブロックチェーンやAPIエコノミーというキャッスレス、ひいてはFinTechの未来を担う最新テクノロジーの開発にも取り組んでいます。TOPPANがつくる日本のキャッシュレス社会に、ぜひご期待ください。 
●「伝える」を多言語化して、誰とでもコミュニケーションがとれるミライ
日本における外国人の存在感の高まり
日本における外国人の存在感が日々増しています。2015年に1,900万人だった訪日外国人は、2017年には2,800万人に。2020年に開催されるオリンピック・パラリンピックの影響もあり、2020年には4,000万人になることが期待され、その際の旅行消費額は8兆円にも達する見込みです。旅行者だけではありません。日本に在住・就労する外国人も着実に増加しています。こうした外国人の増加に伴って重要性を増してきた課題が言葉の壁、すなわち「多言語化」による受入環境の整備です。ただ闇雲になんでも翻訳すればいいわけではありません。多言語化の使命は「日本の魅力を伝えること」そして「外国人の心配・不安を解消すること」の2つ。そしてTOPPANは、この2つの多言語化に取り組んでいるのです。
TOPPANが多言語化に取り組む理由
印刷会社として100年以上の歴史をもつTOPPANが、なぜ多言語化に取り組むのか、疑問に思われるでしょう。そもそも、印刷の目的は「情報を伝えること」。TOPPANが設立された100年前。当時は情報を記録し、伝達するためには印刷が必要で、情報を伝えたい人も伝わる人も日本人であることが前提でした。しかし、グローバル化が進展した現代においては、「外国語を理解する」「外国人に伝える」ことの重要性が高まっています。日本の情報を世界に伝えていくため、そして世界の情報を日本に伝えるためTOPPANは多言語化事業に取り組んでいるのです。「伝えること」の伝統と誇りをもったTOPPANだからこそ、多言語化に取り組む意義があるのです。
日本の魅力を伝える多言語翻訳サービス
TOPPANが取り組む多言語化に関するサービスをいくつか紹介しましょう。日本の魅力を伝えるため「何度も旅したくなる日本」をコンセプトにしたサービスが、『旅道(たびどう)』。訪日外国人を「知る」「学ぶ」「話す」「買う」の面からサポートし、日本の旅を楽しむための所作や作法を知ることで、日本の魅力をさらに感じていただくためのサービスです。また、日本中の観光コンテンツを格納する「旅道®プラットフォーム」をハブに、インバウンド・地方創生に向けた観光地域づくりを一貫して支援しています。
外国人の心配・不安を解消する多言語化サービス
多言語化に必要なのは、日本の魅力を伝えることだけではありません。日本に住む外国人にとっては、言語の問題や日本特有の手続きなど、心配や不安がたくさんあり、これを解消することも多言語化に取り組むTOPPANの責務です。日本で就労する外国人の増加に伴い、その子供が日本の学校に通うケースが増加しています。しかし、子供はもちろん、保護者とも日本語でコミュニケーションがとれるとは限らず、学校が複数の言語に対応できる人材を準備するのは現実的ではありません。そんなときに登場するのがTOPPANの『VoiceBiz(ボイスビズ)』。スマートフォンやタブレット用の専用アプリに音声やテキストを入力すると、内容を自動翻訳し音声やテキストを出力します。国産の高精度翻訳技術を採用し、学校向けの固有名詞や定型文を標準搭載。学校以外にも様々な業界向けにカスタマイズした音声翻訳を提供することで、現場に寄り添った使いやすいサービスとなっています。さらに、TOPPANは自治体窓口業務に対応した国内で初めての音声翻訳システムの研究開発にも着手しています。外国人が日本に居住する際に困るのが行政手続き。行政の外国語対応も進んではいるものの、必ずしもタイムリーに対応できるわけではありません。そこで外国人が行政窓口でも安心して手続きできるように、音声翻訳の研究をしているのです。この研究開発の成果を活かして自治体に限らず、商業施設や金融機関専用の音声翻訳システムの開発、医療や災害対策などさまざまなシチュエーションへの対応ができるようになります。そんなミライもすぐ近くまで来ています。
外国人に優しい。トッパンが実現する多言語化のセカイ
このようにTOPPANは、日本人と外国人の間の言葉の壁を取り除くためのさまざまな事業に取り組んでいます。しかし、言葉の壁にはコミュニケーション、ポスター、飲食店のメニュー、行政手続き、書類など、まだまだ多言語化の手が届いていないところが数多く残っています。オリンピック・パラリンピックを筆頭とした外国人とのコミュニケーション機会の増大や、就労・就学・実習などすでに日本で生活している在留外国人の増加にともない、彼らに優しい多言語化の仕組みづくりは急務であり必須の課題です。「伝える」ことを仕事にしてきたTOPPANだからこそ、利用シーンに合わせて多言語化サービスを展開していきます。これからのTOPPANの「伝える」に、ぜひご期待ください。 
 
●印刷テクノロジーがつくり出す、住まいとまちのミライ
住まいづくり、まちづくり、印刷テクノロジーを結ぶもの
高度経済成長期以降、工業化住宅の発展により、多くの人が、高性能な住宅で、快適で豊かな暮らしを実現できるようになりました。それから数十年が経ち、時代も大きく変化。住宅着工戸数が減少する一方で、人々のライフスタイルは多様化。自由度が高くデザイン性に優れた住宅や、バリアフリーなど誰にとっても使いやすい規格や機能、環境に配慮した省エネ住宅など、価値観や暮らし方、高齢化などの社会課題に応える住まいが求められるようになりました。こうした変わりゆく住まいづくり、まちづくりに寄り添うように、TOPPANの印刷テクノロジーが重要な役割を果たしていたことをご存知でしょうか。それは、建材や家具に使用される化粧シートなどをつくる建装材事業の技術です。美しい木目や、機能的な壁紙、床材などをつくることは、印刷会社であるTOPPANの得意分野だったのです。さらに近年ではこうした建装材技術にコミュニケーション技術を加え、TOPPANのトータルソリューションとして暮らしやまちに新しい価値の提供を始めています。今回は、この建装材事業からスタートしたTOPPANの生活空間への挑戦を紐解きたいと思います。
「デザイン力」と「技術力」で、住まいづくりとまちづくりを支えていく
60年の歴史を持つTOPPANの建装材事業。当初は家具の表面材から始まり、工業化住宅の発展とともに進化を続けてきました。TOPPANの強みは、国内外でのマーケティングにより、独自に磨かれてきた「デザイン力」。美しい木目を中心に、時代のニーズにマッチした色柄、質感、触感などを、繊細な印刷技術で実現した建装材の化粧シートは、豊かな空間の演出に欠かせない存在になっています。そして、もうひとつの強みは「技術力」。長期使用される建装材には、高い耐久性や安全性が求められます。1995年には、業界で初めて非塩ビ素材を使用したトッパンエコシートを開発。トッパンエコシートは、機能付加や性能向上を重ね、今でも建装材のスタンダードとして業界をリードしています。近年では住宅のみならず、公共施設や商業店舗、外装用途にも使用されるようになり、不燃性能など、国が求める法規制への対応や、多様化・高度化するニーズに対しても、性能向上を追求し、優れた建装材をつくり続けています。例えば、ある河川の護岸工事で使用されたTOPPANの建装材は、25年の時を経ても著しい変退色がなく、その高い性能を象徴しています。絶え間ない取り組みの中で生まれた新たなテクノロジーのひとつが、『Smart NANO』。この『Smart NANO』技術を搭載した化粧シートは、従来品よりも約2倍の表面強度や耐傷性、耐汚染性を実現。次世代の建装材として、世界最高水準の表面性能を実現しました。TOPPANは、このようなライフスタイルやトレンドを反映した「デザイン力」と、これまでの実績が示す高い「技術力」に裏打ちされた品質保証体制の確立により、国内外の住まいづくり、まちづくりを支えてまいりました。
印刷テクノロジーで広がる未来の生活空間の姿
TOPPANの生活空間への取り組みは建装材のみにとどまらず、印刷テクノロジーを活かして次の未来を描きはじめています。例えば、エレクトロニクス事業分野の技術で実現した『LC MAGIC』。電気のON/OFFで「透明/不透明」を瞬時に切り替えることができる調光フィルムで、プライバシー保護や空間演出だけではなく、自動車や航空機への活用も期待されています。さらにTOPPANは、建装材にセキュア技術、ビジュアライゼーション技術を組み合わせ、暮らしそのものを大きく変えていく新しいコミュニケーションシステムやサービスの実用化にも進出しています。マンションに使われる電子キーの仕組みづくりはその代表例と言えるでしょう。鍵の中に埋め込まれるICチップに、生活者一人ひとりの個人認証機能を実装。高いセキュリティ性能を実現しつつ、アプリを通じた電子決済や、共用施設利用の手続き、居住者同士のコミュニケーションなど、マンションと地域を結び、その人ごとに最適なサービスを提供することができます。また、介護・福祉業界向けに、身体に装着することなく利用できるシート型生体センサー『SensingWave 介護見守りシステム』を開発。ベッドのマットレスの下などに設置するだけで利用者の心拍や呼吸などの生体信号をもとに、睡眠状態をリアルタイムに把握。リハビリ効果の最大化、遠隔地からの見守りサービスの提供、スタッフの業務負荷軽減などが期待できます。
TOPPANのトータルソリューションが、人と生活空間の環境をデザインしていく
これからの社会では、より快適に、安全に、そして一人ひとりが自分らしく暮らすことのできる生活空間が求められています。TOPPANの取り組みは、建物をつくって完結するのではありません。印刷テクノロジーを駆使したトータルソリューションでその先の暮らしを支えながら、住まいやまちの価値を向上させ、保ち続けることが使命です。あしたを心地よい空間(セカイ)へ。TOPPANは、「住」を核とした、暮らし・モビリティ・環境・エネルギー・ヘルスケア・セキュリティ・教育・まちづくりに至るまでの幅広い、環境をデザインするソリューションの提供を目指し、これからも独自の印刷テクノロジーを武器に、心地よい空間・まちづくりに挑み続けていきます。 
●健康寿命を伸ばして、誰もが健やかな人生を楽しめるミライ
世界一の長寿国・日本が抱える「健康寿命」の問題とは
日本は平均寿命84歳を誇る世界一の長寿国。しかも1980年代以降、この位置をキープし続けています。しかし、そんな日本も約200年前には平均寿命30歳代の短命国だったことをご存じでしょうか。日本の長寿化の背景には、抗生物質の開発をはじめとする医学の進歩や、食生活の変化、医療保険制度の充実といった、人々の努力や国の働きかけがありました。しかし、医学の進歩によって飛躍的に寿命が伸びる一方で、生活習慣病の急増や精神疾患、介護を必要とする高齢者の増加など、新たな問題が表面化しています。つまり、寿命は延びても、健やかに過ごせる時間=「健康寿命」との間には大きな隔たりがある。それが世界一の長寿国・日本の実情なのです。1990年代をピークに減少し続ける生産年齢人口の減少、4人のうち1人が65歳以上となり、2025年には高齢化率は30%を突破、超高齢化社会を迎える日本。社会保障費・医療費・介護負担の増大……その行く末を見据えたとき、印刷テクノロジーの担い手であるTOPPANには何ができるのか。この国の健康と向き合い、「健康寿命」を伸ばすために、新たな道を切り開いたTOPPANの取り組みをご覧ください。
健康はコミュニケーションで支えられる。印刷会社だからこそできるヘルスケアへの挑戦
そもそも、印刷会社であるTOPPANが、なぜ健康の問題に取り組むのか?そんな疑問を持つ方もいるでしょう。でも、その答えはとてもシンプル。人々の健康を支えるためには、健康状態や病歴といった情報の管理と、その情報を適切にやりとりするコミュニケーション分野のノウハウが不可欠だからです。創業以来、TOPPANはさまざまな分野で、企画立案・制作・運用などありとあらゆるコミュニケーションに関わる課題解決に貢献してきました。例えば情報をわかりやすく伝えるクリエィティブ、個人情報管理などのセキュリティ、事業を円滑に推進するプロデュース業務などもそのひとつ。TOPPANが培ってきた印刷テクノロジー、すなわちコミュニケーションの力があれば、超高齢社会を迎える日本の未来は、きっと、もっと、明るいものに変えることができるはず。そんな信念のもとに、TOPPANの健康な社会づくりへの挑戦がはじまりました。
「今日はどのくらい歩けたかな?」という達成感を可視化し、楽しみながら継続する健康増進
TOPPANが健康増進の実現のために取り組んだアプローチ。そのひとつが、地域を巻き込んだ官民協働のさまざまなヘルスケア事業。その代表的なもののひとつが『健康ポイント事業』です。『健康ポイント事業』とは、事前に配布した歩数計を持った参加者が歩数計を持って歩き、歩数計やアプリで計測した歩数をポイントに換算して、抽選でプレゼントが当たるというプログラム。日々の頑張りが目に見えることが励みになり、日常生活で気軽に楽しみながら継続して健康づくりができるこの仕組みは、現在、商店街など地域社会を巻き込んだ「街の活性化」にもつながっています。
健康×観光。『ヘルスツーリズム』という新たなアプローチ
『健康ポイント事業』が「地域」と「健康」を結びつけるものであるのに対し、「観光」と「健康」を結びつけたものが『ヘルスツーリズム事業』です。TOPPANと自治体がタッグを組み、地元の観光資源を活かしながら、地域住民や事業者を巻き込んだ新しい健康✕観光プログラムを開発。例えば、群馬県のみなかみ町では、忙しい毎日を過ごす都市生活者をターゲットに「健康」をキーワードとした、滞在しながら楽しめるプログラムの開発などを進めています。地域というスケールの大きなコミュニケーションを軸に、その地域に適した健康増進のかたちを考え、具体的なアクションへと変えていく。TOPPANだからこそ実現できるこの取り組みは、今、全国各地で多くの人を巻き込みながら、健康の在り方の未来を変える大きな流れになりつつあります。
多角的に健康を支え、未来を変える。TOPPANのヘルスケア事業のかたち
TOPPANは、こうした地域と連携した取り組みだけでなく、多角的な観点に立って、健康増進・予防・未病に取り組んでいます。印刷テクノロジーをベースとしたコミュニケーションを磨き続けてきたTOPPANならではの視点と強みとは、いったいどんなものなのでしょうか。まずTOPPANが重要だと考えているのは、個人が持つ健康への意識を変えること。どんなに医療技術が発展しても、一人ひとりの気持ちや行動を変えなければ、社会全体の健康増進には繋がりません。そのカギを握るのが、通販事業などで長年にわたり培ってきた、商品の購買や店舗への送客促進、顧客管理のノウハウ。生活者一人ひとりに届くコミュニケーションのかたちを導き出し、健康増進に繋がる行動変容や生活習慣の浸透を促すことができるのです。また、健康や医療に関わる個人情報を適切に守ることも大切な課題となります。この点でも、金融機関や企業に提供してきた国内最高レベルのセキュリティ技術と運営体制を持つTOPPANだからこそ提供できるソリューションが数多くあります。さらに、薬や医療器具を守る医療用の包装材や、誤飲などの事故を未然に防ぐ医薬品ラベルの製造、ガンなどの早期発見に役立つ遺伝子解析システムの開発など、印刷技術をもとに発展させてきた医療の世界を支える先進的なテクノロジーを数多く手がけていることも、TOPPANが持つ強みと言えます。もはや避けられなくなった日本の超高齢社会の到来に向けて、印刷会社であるTOPPANが、印刷会社であるからこそ取り組むヘルスケアの領域…… 誰もが自分自身の健康について考え、行動し、その行動を地域や社会が積極的に支え、健やかな人生を謳歌できる未来に向けて、TOPPANはこれからも、この国の健康と向き合い続けます。 
●パッケージ技術の革新を通じて、「フードロス」の低減に貢献するミライ
世界では年間約13億トンの食料が廃棄されているという現実
今、世界は深刻な人口問題に直面していることをご存じでしょうか。途上国における人口増加に伴い、世界全体の人口は2025年には80億人を越えると予測するデータもあります。こうした状況を背景に、今、解決が急がれているのが「フードロス」と呼ばれる食料を巡る問題です。世界的な人口増加と食料需要の高まりの中で、未だ、全世界の人口のおよそ9人に1人に相当する8億1,500万人が栄養不足の状態にあると言われているにも関わらず、今、この瞬間も、賞味期限切れや食べ残しによって、まだ食べることができる食料が廃棄されています。現在、世界中で発生している食料廃棄は年間約13億トン。これは食料生産量全体の3分の1に当たる量です。この「フードロス」という人類全体が向き合うべき課題に対して、長年にわたって印刷テクノロジーに携わってきた企業として何ができるのか。TOPPANが担ってきた役割の一部をご紹介いたします。
「フードロス」解決の一翼を担うパッケージ技術
食料問題と印刷会社であるTOPPAN……一見するとあまり結びつきを感じられないかも知れませんが、元々「ある技術」を通じて密接な関係を持っていました。それはTOPPANが長年にわたって開発を続けてきた「パッケージ技術」。例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、あるいはあなたの家のキッチンをイメージしてみてください。袋詰のスナック菓子、カップラーメン、缶詰、瓶詰、レトルト食品、トレイで包装された肉や魚……今や、あらゆる食料品の品質や安全性が、さまざまなパッケージによって守られていることがわかるはずです。「フードロス」の要因のひとつは、食べられる前に賞味期限切れを迎え、廃棄されてしまう食料が多いということ。この課題に対して、TOPPANが培ってきたパッケージ技術はどのように貢献してきたのでしょうか。
水分と酸素が食品にもたらす影響に注目
もしも食料品の品質をより長く保ち、賞味期限をもっと伸ばすことができれば、「フードロス」の原因のひとつを解決に導くことができるはず。食料品の品質を損なう根本的な要因とはいったい何なのか? そう考えたTOPPANが注目したのが「水分」と「酸素」。パッケージの中に余分な水分が侵入すれば、しけたりカビが発生したりしてしまい、水分を逃がすと乾燥してしまう。また、酸素が侵入すれば変色や腐敗、風味の変化を引き起こしてしまい、酸素が逃げれば香りがとんでしまう。つまり、水分と酸素の出入りをシャットアウトできれば、品質をより長く保ち、廃棄される食料を減らすことができるということが見えてきました。
「捨てずに無駄なく使い切る」を実現する技術、『GL BARRIER』が世界を変えていく
こうした観点から、TOPPANが「フードロス」低減に貢献できると考えているのが『GL BARRIER』。アルミ箔に匹敵する世界最高水準のバリア性を実現し、食品を酸化・乾燥・吸湿などから守る透明蒸着バリアフィルムです。TOPPANは、長年にわたり印刷テクノロジーの応用分野として、パッケージ製造の工程から派生した「表面加工技術」の研究開発に取り組んでいます。その流れの中で1980年代に誕生したのが『GL BARRIER』でした。しかし、ただ「性能が優れている」というだけでは、「フードロス」の解決には貢献できません。使いやすさを追求し、市場と生活に広く浸透するパッケージ技術でなければ意味がないのです。だから、TOPPANは『GL BARRIER』を使って、さまざまなニーズ、用途、ライフスタイルに寄り添う多様なパッケージを開発してきました。実は、みなさんがレトルト食品を安心安全に電子レンジでそのまま温められるようになったのは『GL BARRIER』が使われているから。『GL BARRIER』は、現在までに実に15,000点もの製品に採用される世界トップシェアの透明蒸着バリアフィルムとなり、今日も人々の暮らしの中で、さまざまな食料品を包み、守りながら、「捨てずに無駄なく使い切る」を実現し、「フードロス」低減の一翼を担っています。
未来のために、TOPPANのパッケージ技術ができること
印刷テクノロジーの担い手として「フードロス」の問題と向き合い、TOPPANが出した答え……大切な食品を包み、守ることで品質や味をより長く保つ透明蒸着バリアフィルム『GL BARRIER』は、「フードロス」低減に着実な貢献を果たしてきました。しかし、『GL BARRIER』が秘めた可能性は「フードロス」の低減だけではありません。従来のパッケージに比べて非常に軽量であるため、輸送の省エネルギー化にも貢献できます。また、一部では、再生可能な素材の実用化も進め、使い終わったあともゴミにならないサスティナブルな仕組みづくりにも取り組んでいます。さらに、その活用の場は食品分野だけでなく医療医薬分野、産業資材分野に至る幅広い分野に広がります。未来のために、パッケージ技術ができることはまだまだたくさんある。TOPPANと『GL BARRIER』の挑戦は、これからも続きます。 
●デジタル変革で「買う側」の生活も「売る側」のビジネスも豊かにするミライ
「買う側」と「売る側」。2つの視点から見た流通の世界の課題
「ものを売る」ということ。今、このビジネスの根本的な活動である流通の世界は、大きな変革期を迎えています。その変化の中心にあるのは消費行動の急速なECシフト。経済産業省の調査によれば、日本国内における一般消費者向けのEC(E-Commerce)の市場規模はおよそ15兆円以上にまで拡大しています。こうした状況は、一見すると「買う側」である顧客に便利で豊かな生活をもたらしたかのようにも見えますが、多様化する購買チャネルの中で選択肢は大幅に増え、自分が本当に欲しいものと出会い、的確に商品を購入することが難しくなる……そんな問題も生み出しています。また、その一方で、「売る側」である小売の現場は、店舗数が「買う側」の需要を上回るオーバーストア状態による、顧客獲得競争の激化や、少子高齢化による働き手不足、長期的な内需縮小への不安など多くの経営課題を抱えています。そんな、顧客と働き手を奪い合う厳しい状況の中で、長く流通の事業課題に携わってきたTOPPANが、新たに取り組んでいること。「買う側も」の生活も、「売る側」のビジネスも、同時に豊かなものへと変えていく、TOPPANの「デジタルトランスフォーメーション支援」の最前線をご紹介します。
TOPPANが考える「デジタルトランスフォーメーション」
まずは、印刷会社であるTOPPANが、これまで、流通の世界とどのように関わってきたかを紐解いていきましょう。やはり多くの方が、チラシをはじめとする印刷物による販売促進活動を思い起こすのではないでしょうか。しかし、チラシづくりという仕事は、単なる印刷という業務にとどまるものではありません。TOPPANでは、チラシを配布する店舗、地域、商品、顧客の特性などをとらえるマーケティング活動はもちろん、会員システムの運営、顧客情報の管理、ダイレクトメールの発送など、多岐にわたる仕事を手がける中で、さまざまなテクノロジーとソリューションを生み出し、ご提案してきました。中でも今、TOPPANが特に力を入れているのが、ITの活用によって流通に関する膨大な情報を統合・管理・活用し、流通の課題を解決していく「デジタルトランスフォーメーション」の分野。流通の現場を深く知る印刷会社だからこそできる、革新的なデジタル変革の取り組み……その一部を見ていきましょう。
「マーケティングオートメーション」がもたらす新しい顧客体験
実際にTOPPANが「デジタルトランスフォーメーション支援」の一環として取り組んでいる「マーケティングオートメーション」の一部をご紹介しましょう。従来、ITを活用した販売促進活動では、大まかなセグメントに基づいたメールマガジン配信等のアプローチが主流でした。しかし、顧客一人ひとりに「自分ごと」だと感じてもらえる情報の配信は難しかったのが実情です。こうした課題に対してTOPPANが目指したのは、顧客一人ひとりの姿をデータで高精細にとらえ、最適な情報を、最適なタイミングで提供する顧客中心のマーケティング手法。例えば、スポーツショップでサッカー用のスパイクシューズを購入した顧客に対し、購入後の期間、天候、商品の利用状況などをデジタルデータで把握。最適なタイミングでシューズケア関連のコンテンツを配信し、興味関心をつなぎながら自然な再来店を促す……といった、「シナリオ型マーケティング」。また、店内ビーコンやWi-FiとLINEなどのアプリケーションを連動させ、商品コーナーごとにレシピ情報やお得なクーポンなどをプッシュ通知で伝える仕組み。さらには、ICタグを活用し、その商品の産地や生産者、カロリーや成分といった食品表示などの情報を瞬時に提供し、顧客それぞれのこだわりにスムーズに応えるサービスなど、快適で無駄のない買い物ができる……そんな革新的なサービスが実用化されつつあります。もちろん、これらの「マーケティングオートメーション」の裏側には、膨大な顧客情報・商品情報の管理と活用、配信すべきコンテンツの制作や、天候情報などのオープンデータとの関連づけ、万全の情報セキュリティなど、TOPPANならではの高度なテクノロジーが存在することも忘れてはいけません。デジタルデータを最大限に活用しながら、カスタマージャーニーを理解し、魅力的な顧客体験としてデザインしていく。それがTOPPANが目指す「マーケティングオートメーション」のかたちです。
販売の現場を劇的に変える「デジタルトランスフォーメーション」のかたち
在庫管理や、競合店の動き、季節・天候の変化、顧客の動向などを読み取りながら、毎週のように販売施策を打ち出し、成果を検証して次の施策を考える……スーパーマーケットやアパレルショップをはじめとする小売店の店長職が担う仕事は多岐にわたります。そんな多忙な販売現場に対してTOPPANが目指したのは、ITによる業務の効率化。そのひとつに、電子決済プラットフォームがあります。このサービスは、電子マネーの導入を容易にし、釣銭のやりとりなど、オペレーションの手間を解消します。また、ポイントサービスとの連携やECサイトでの決済、最近急増しているスマートフォン決済にも対応。オムニチャネル時代の決済サービス基盤として、150社・30万店舗で採用されています。また、流通・小売業界の省力化を実現する自動認識技術として注目されている「RFID(ICタグ)」を使ったソリューションも積極的に提案。電子決済やPIM(商品情報管理システム)などを統合し、次世代の店舗形態として注目されている無人店舗の実用化に向けて対応を進めています。「RFID」は店舗什器のIT化による新しいマーケティングの可能性も広げています。販売棚にRFIDリーダーを備えた「スマートシェルフ」を使えば、POSレジで把握した購入データだけでなく、購入を迷って棚に戻す「買わない行動」も記録し、新商品への関心度や陳列の効果測定などが実現できるのです。さらに、TOPPANは小売業・サービス業で顕在化しはじめた働き手不足の解決のために、さまざまな店舗オペレーションを支援する「販売支援アプリ」を開発。在庫、陳列、迷子や落とし物の情報共有、シフト管理、レジ操作の動画マニュアルなど、店舗運営と接客に関わるさまざまな機能を一元化し、販売の現場の負荷を軽減する取り組みをはじめています。
TOPPANが実現する「デジタルトランスフォーメーション」の未来
今回は「買う側」と「売る側」を巡る世界……流通の現場にスポットを当ててさまざまな取り組みをご紹介してきましたが、これはTOPPANの「デジタルトランスフォーメーション支援」のごく一部に過ぎません。TOPPANでは、消費財メーカー、金融、サービス業など、業界ごとに異なる課題と向き合いながら、それぞれに最適化した提案を進めています。そこで共有して目指すのは、「顧客を中心に新しい価値体験を創造すること」「業務の生産性を飛躍的に高めること」。そのために長年にわたってさまざまな事業課題を解決してきたノウハウを結集し、実効性の高いソリューションを提供することが私たちの使命です。ビッグデータとAIによる情報処理の高度化、IoTやロボティクスによる業務の効率化……進化し続けるテクノロジーをひとつにつなげ、ビジネスに変革をもたらすこと。「買う側も」の生活も、「売る側」のビジネスも、より豊かなものへと変えていく。TOPPANの未来への挑戦はこれからも続きます。 
●現代に蘇る江戸城。デジタルアーカイブとVR・ARが文化財の保存と体験を変えるミライ
世界が注目するVRとデジタルアーカイブの技術
「VRってよく聞くようになったけど、よくわからない……」「実用化っていっても、ゲームやアトラクションの世界の話じゃないの?」まだ、そんな風に思っていませんか? 実際には存在しない3次元の空間と新たな体験をつくり出すVR(仮想現実)。この技術に関わる市場規模は、大きな成長が見込まれる分野として注目を集めています。また、ゲームなどのエンターテイメントのみならず、ファッション、不動産、教育、自動車、医療、はたまた宇宙産業まで、その活用の場はあらゆる領域へと広がり、近い将来、私たちの暮らしを大きく変えていく可能性を秘めています。こうした状況を背景に、TOPPANではデジタルアーカイブ……つまりは、文化財のデジタル保存の技術と組み合わせながら、VRの技術開発を進めてきました。文化財保存とは、先人たちがつくり上げてきた文化を記録し、次世代へと伝える重要な仕事。長年にわたって印刷メディアの進化に心血を注いできたTOPPANだからこそできることがあるはず。今回は、そんな想いのもとにはじまった、TOPPANのデジタルアーカイブとVR技術の活用が、私たちの暮らしをどのように変えていくのか。その先に広がる未来の一部をご覧いただきたいと思います。
有史以来、人類が挑んできた「守り、伝える」というメディア事業
先人たちがつくり上げてきた文化を守り、次世代へと伝えること。
それは、一見すれば、とても伝統的で、テクノロジーとは少し遠い場所で行われてきたことのように思われがちですが、人類の歩みを振り返ると、常に、メディアの最先端が関わる大きな事業分野だったとも言えます。そう。今日、私たちが数千年前の出来事を知る手かがりとしているものの多くは、世界中の人々が記した記録であり、その記録の多くは、当時、最先端のメディアでした。壁画、木簡、パピルス…そして8世紀頃、中国で登場したと言われる活版印刷から、15世紀にグーテンベルクが発明した活字、18世紀に発明された写真、19世紀には映像が誕生し…と、有史以来、記録媒体の進化は常に、歴史を記録すること。つまりは、過去に起こったこと、存在したものの守り方、伝え方とも密接な繋がりがあったのです。
経年劣化や災害による消失という壁を越える、新しい文化財保存の方法
そもそも、「文化を守り、伝える」という事業に取り組もうとするとき、必ず行き当たるのは、遺された建築物や工芸品・美術品の「保存」という課題です。どんなに荘厳な神社仏閣や、技巧を凝らした仏像、彫刻、絵画も、長い時間の中で、少しずつ劣化して行ってしまう。時には自然災害や火災によって永遠に失われてしまうことも珍しくはありません。これはどんな技術を使っても、完全に防ぐことは不可能です。TOPPANでは、メディアの担い手として培ってきたテクノロジーを駆使し、この課題をクリアしようと考えました。それが物体の正確な形状をデジタル化する立体計測技術や、印刷の分野で培われた「カラーマネージメント技術」や高精細な画像処理技術を核とした、「デジタルアーカイブ」という手法。「アーカイブ」とは元来、「公記録保管所」、または「公文書の保存所」などを意味する言葉ですが、これがデジタル技術と組み合わさることで新しい概念へと進化を遂げました。
ただ、保存するだけではなく、リアルな体験として伝えていくVR化の試み
デジタルアーカイブに取り組むと言うことは、単純に精密に保存すればいいと言うことではありません。保存するだけでは、いつか忘れ去られ、記録ではなく、記憶が失われて行ってしまうからです。
そこで、TOPPANが目をつけたのが、デジタルデータをリアルな体験に変換し、より多くの人に伝えていくVR(仮想現実)というテクノロジーでした。中でも、『唐招提寺〜金堂の技と鑑真和上に捧ぐ御影堂の美〜』は、東山魁夷が鑑真和上の高い志に感銘を受けて描いたという御影堂の障壁画や、唐招提寺の伽藍を忠実に再現。その場にいるような臨場感が味わえるVR作品として話題を集めました。その他にも、故宮、洛中洛外図屏風、熊本城、日光東照宮など、名だたる建築や美術工芸作品のデジタル化とVRコンテンツ化に取り組み、現在では国内外50以上にのぼる文化財を保存し、魅力的なコンテンツへと昇華させています。
100万を超える部材を精緻に再現した、VR作品『江戸城の天守』
その中でも、今回は2017年1月に公開されたVR作品『江戸城の天守』についてご紹介していきましょう。このプロジェクトは、現存しない江戸城天守を、史料や歴史考証を元にデジタルで再現する試みでした。石垣や瓦はもちろん、葵紋の金具に刻まれた葉脈や、鯱の鱗を留めるための鋲など、100万個を超える部材を細部にいたるまで精緻にデジタル化。大きなスクリーンに実寸大で表示することで、歴史的文化財をリアルな体験として伝えることを可能にしました。TOPPANのVR作品の大きな特徴のひとつは、必ずその文化財の所蔵者や専門家や有識者の学術的監修を受けて、可能な限り忠実なデータ構築と再現を進めていること。だからこそ、かつてそこにあったものを再現し、体験するだけでなく、歴史を多角的に考え、次世代へと語り継がれる魅力的なコンテンツへと昇華させることができるのです。
目指すは時間を越えるタイムマシーン!?AR体験×観光のミライとは
日本のみならず、世界には、天災・人災、あるいは予期せぬ事態などで、失われてしまった史跡や歴史的文物が数多く存在します。例え、運良く現存していても、誰もが気軽に手に取ったりすることは難しい場合がほとんどです。こうした状況を変え、地域の歴史文化を、もっとオープンな資産へと変えていくことも、TOPPANの印刷テクノロジーの使命です。デジタルアーカイブが「遺す技術」であり、VRは「伝える技術」である。というお話はすでにしてきましたが、もう一つ忘れてはならない技術にAR(拡張現実)があります。例えばVRが専用の空間やデバイスを使用して、利用者に別の世界にいるような感覚を与えるのに対し、 ARは、目の前の風景に、別の映像や画像などを重ねて、「新しい現実」をつくり出すことが大きな特徴。デジタルアーカイブの技術と、これらVR/ARの技術を掛け合わせれば、すでに消失してしまったお寺を復元して、実際にあった場所に蘇らせ、数百年前の景色を観光客に案内する。新たな視点から歴史を考えるきっかけをつくる……そんな多様なコンテンツの展開も可能になります。目指すは時代を越えた体験を提供する「タイムマシーン」。世界中の観光地や歴史的な史跡で、誰もが気軽にタイムスリップして、より深く、より楽しく、その地域と文化と歴史に触れられる。そんな未来をつくるために、TOPPANはさらに前進を続けていきます。 
●トッパンの「印刷テクノロジー」
長い歴史のなかで、原点である「印刷術」が「印刷技術」に進化し、そこにさまざまな知識・ノウハウと加工技術が融合し、進化することで、トッパンは独自のリソースとして「印刷テクノロジー」を体系化しました。「印刷テクノロジー」 の「情報加工」 「微細加工」 「表面加工」 「成型加工」 および 「マーケティング・ソリューション」これら5つのコアテクノロジーは、それぞれが独自性を持つ技術であると同時に、複合的に組み合わせることで、新たなソリューションを創出する能力を持っています。
トッパンでは、この「印刷テクノロジー」をベースに、お客さま視点(市場ニーズ)や社会的視点(社会的課題)を掛け合わせることで、 さまざまな課題解決につながるトータルソリューションの提供を行っています。また、技術革新や事業領域の拡大を背景に、コアテクノロジーの強化・拡大に努めるとともに、大学や協業先、ベンチャー企業など、国内外の各機関との共創を通じた新たなソリューション提供にも積極的に取り組み、社会的価値を創造し続ける企業体をめざします。
●「印刷テクノロジー」を構成する5つのコアテクノロジー
マーケティング・ソリューション
調査・分析力 / 戦略策定・プロデュース力 / 商品・サービス開発力 / 表現力(グラフィック、映像、空間、CG) / IT活用力(設計、開発、運用支援) / 事務局プロデュース力 / トータルソリューション力
創業5年目の1904年には、社内デザイナーによるタバコの包装図案の提案を実施。その後、消費者意識調査などを行う「消費行動研究室」の設立など、マーケティングやクリエイティブの領域でのトータルソリューション力を強化してきました。近年では、ユニバーサル・デザインの追求や「芸術造形研究所」、「ショップサイエンス・ラボ」など、心理・認知領域への科学的アプローチまで、その領域を拡大しています。
情報加工
コンピュータ組版 / カラーマネジメント技術 / デジタルコンテンツ技術 / 高精細画像デジタル化技術 / 表現技術 / 情報セキュリティ技術 / システム構築・運用技術 / データ管理技術 / 通信ネットワーク技術
株券や紙幣の印刷で培ったセキュリティ技術。そして、コンピュータ組版や文字情報の電子化を積極的に進めたほか、画像複製や画像処理からカラーマネジメント技術の確立にも注力。これらの技術はICビジネス、電子出版のコンテンツ制作・流通に活かされ、「Shufoo!」やAR(拡張現実)を用いた販促など新たなビジネスモデルの創出につながっています。
微細加工
エッチング技術 / フォトリソグラフィ技術 / めっき技術 / フォトポリマー技術 / 光学設計技術 / 検査・修正技術 / クリーン化技術
製版に欠かせないエッチング(腐食)やめっきなど金属加工のノウハウを発展させ、メサ型トランジスタ製造用マスクの国産化にも初めて成功。近年では半導体用フォトマスク、BGA基板、液晶ディスプレイ用のカラーフィルタ、ホログラムなどの製造に、微細加工技術は応用されています。
表面加工
精密塗工技術 / ラミネート技術 / 乾燥技術 / 材料設計・評価技術 / コーティング技術 / 複合材料・多層化技術 / 真空成膜技術
商品を包んで保護するパッケージの製造工程から生まれた表面加工技術は、現在では、食品をはじめ、医薬品やエレクトロニクス包装材などにも利用範囲が拡大しています。また、包装材に限らず、反射防止フィルム、太陽電池を守るバックシート、建装材「エコシート」や有機ELディスプレイなどにも表面加工技術は応用されています。
成型加工
表面加飾技術 / 真空成膜技術 / 樹脂成型技術 / 薄膜形成技術 / 構造設計技術 / 充填・包装技術 / 環境対応技術
トッパンは包装材の企画・開発・製造に携わる中で、平面に印刷するだけでなく、シート状の樹脂からの成型(真空成型や圧空成型)や成型品への印刷など、多種多様な加工技術へ進化させていきました。ここで培われた数々の技術は、壁紙や化粧板など建装材、製品サンプルのモックアップ、そして、プラスチック製電子機器部材にまで応用されています。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  

 
 
 
●CM合間のニュース
  
 
民放 テレビ局
朝日テレビ
経営第一
CMで食べています
CMの放送時間 ニュースの放送時間
時間帯によっては  CM放送時間が長くなる
伝えたいニュースの選択
ウクライナ ロシア
岸田政権 政治問題
人殺し 三面記事風
芸能 結婚 離婚 浮気
スポーツ 大谷翔平 WBC
毎日の楽しみ 気分転換
「相棒」
4時半ごろ  CM 10-15本ほど連続して流れる
他は5-10本ほどだったのでは
ある土曜日 am7:50-8:02 ?
1セット10本のCM 5セット50本のCM
合間にコメンテーターの顔 チラッと映る
他の民放のCMの記憶
短時間に 何セットものCM 見たことがない
モーニングショー
ニュース開始7分後 7本のCM
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●「報ステ」「モーニングショー」などテレ朝報道4番組、視聴率横並びトップに  
2021年度(21年4月〜22年3月)の視聴率が4日に発表され、テレビ朝日の報道4番組が視聴率横並びトップを飾った。
「羽鳥慎一モーニングショー」(毎週月〜金曜8:00〜)の平均視聴率は個人全体5.7%(歴代最高)、世帯10.6%で2年連続の横並びトップを獲得し、6年連続民放トップとなった。8月の月間視聴率が自己2位となる個人全体6.3%、世帯11.7%を獲得。人気コーナーの羽鳥パネルでは、衆議院総選挙について争点別に8回にわたって放送、大谷翔平のメジャーリーグオールスター戦を生中継するなど、政治、国際、経済からスポーツ、身近な生活情報まで幅広く取り上げた。また、新たなコメンテーターに菊間千乃弁護士、シェアエコノミーに詳しい石山アンジュ氏、ハーバード大学を首席で卒業したバイオリニスト・廣津留すみれ氏、起業家・安部敏樹氏らを迎え、20代から50代まで幅広い世代のコメンテーターがさらにスタジオの議論を活性化させた。4月からは入社2年目の森山みなみアナウンサーが3代目アシスタントとして加入した。
「大下容子ワイド! スクランブル」(毎週月〜金 第1部10:25〜、第2部12:00〜※一部地域を除く)は、第1部の平均視聴率が個人全体2.9%、世帯5.9%を獲得し、8年連続年度横並びトップを達成。第2部は個人全体2.9%、世帯5.8%で初の民放横並びトップの座につけた。3月21日2部では、池上彰・増田ユリヤの解説による「歴史から学ぶ ウクライナ情勢の未来」の特集コーナーを放送し、個人全体4.7%、世帯8.6%と年度最高視聴率を獲得した。
「ニュースステーション」の後継番組として2004年4月から放送を開始したテレビ朝日の看板番組「報道ステーション」は、平均視聴率で個人全体6.6%、世帯12.0%を獲得し、3年連続で同時間帯横並びトップに。2021年10月からは、NHK出身の経験豊富なジャーナリスト・大越健介を月〜木曜の新メインキャスターに迎え、新生「報ステ」がスタート。その結果個人全体の平均視聴率も上昇した。刻一刻と事態が深刻化するウクライナ侵攻について重点的に報道した2022年3月には大越キャスター自らウクライナ避難民が押し寄せるポーランド国境地帯へ赴き、緊急取材。大きな注目を集め、同月の月間平均視聴率は個人全体7.1%、世帯12.7%をマークした。
この春6年目に突入した「サタデーステーション」(毎週土曜20:54〜)の平均視聴率は、個人全体5.9%、世帯10.4%を記録し、初の横並びトップを獲得。高島彩キャスターが視聴者とともに考えていくという構成で視聴習慣を広げてきた。また、これまで週替わりで現役世代のコメンテーターを迎えてきたが、4月以降もさまざまなバックグラウンドを持つコメンテーターをスタジオに招き、ニュースの多様な見方を提示していくという。 
 
  
●テレビCM量
ふだんテレビで見るCMには、いろいろな長さのモノがあります。よく見かける15秒や30秒CM以外にも、60秒や90秒、時には120秒という長尺CMに出会うことさえあります。面白いCMや、自分が興味のある商品やサービスのCMだといいのですが、そうでない場合はチャンネルを変えたくなります。購読料として我々も一部の費用を負担している新聞や雑誌などと違い、テレビはCM(企業からの広告費)がないと放送自体が成り立たないとわかってはいても、そこは人の性(さが)、やはりCMを避けたい気持ちになることも少なくありません。
特に最近は、NetflixやHuluなどのサブスク型(サブスクリプション)や、都度課金型でコンテンツ(映画やライブなど)を購入して、テレビ画面を通して観ることにも慣れて来ているので、より煩わしさを感じるのかも知れません。TVerやYoutubeはほぼ広告付きですが、まだまだテレビほどCM量が多くない気もしています。スキップできる場合もありますから。
ここまではひとつひとつの番組やコンテンツの中でのCM量、あるいはCM自体の長さの話。では、テレビ放送全体でテレビCMってどれくらいの量があるのか?気になります。今回はその辺りを少しまとめてみます。
実はテレビCMの放送時間(量)には上限があります。日本民間放送連盟*(民放連)では、テレビCMの放送時間は週間の総放送時間の18%以内と放送基準を定めているのです。ここから試算してみると、テレビCMの総量は、1週間168時間(24時間×7日間)のうち「30.2時間以内」ということになります。これが多いのか少ないのかは、正直、判断が分かれるところですが、米国でのテレビCM状況と比較すると日本の場合は概ね、その半分程度のCM量となっているようです。
   日本民間放送連盟(民放連)
基幹放送を行う全国の民間放送事業者を会員とする一般社団法人。正会員204社で構成されている(2020年12月現在)。基幹放送とは、無線放送用に割り当てられた周波数を使う放送のことで、地上基幹放送(AM、FM、短波、テレビ)、衛星基幹放送(BS、東経110度CS)など  〜民放連サイトより抜粋〜
意外と多い海外のテレビCM量
少し古い話になりますが、ジャック・バウアーでおなじみの「24-TWENTY FOUR-」(米国FOXが放送した本国版)では、毎話が1時間のリアルタイムでストーリーが展開します。CMに入る前のデジタル時計(24時間表示)の表示時間と、CM明けの表示時間を見比べると3〜4分程も間隔が空いていて、当時ビックリした記憶があります。すべてを合わせると15分間(比率で25%)くらいのCM量があった計算となるでしょうか。
米国のテレビCMは、番組(コンテンツ)と共にネットワークで流れてくるテレビ局側が持つCM枠以外にも、各家庭が個別に契約しているケーブルテレビ会社側が持つCM枠、近年伸長しているアドレサブルなCM枠(視聴者毎に異なるCMが流れる仕組み)などもありますから、全体に占めるCM量が徐々に増えてきた背景があったようです。
近年どうやら米国では、CMのひとつひとつの付加価値をもっと高めて、番組内でのCM量を減らしていこうとする動きもあるようですが、現在の日本国内のテレビ放送ではそこまでのCM量はありません。特に視聴者が多い時間帯(プライムタイム)では、先の18%という上限の他にさらに基準があるからです。下記が民放連サイトからの抜粋引用です。
•週間のコマーシャルの総量は、総放送時間の18%以内とする。
•プライムタイムにおけるコマーシャルの時間量は、以下を標準とする(SB枠*を除く)。ただし、スポーツ番組および特別行事番組については各放送局の定めるところによる。(注)プライムタイムとは、局の定める午後6時から午後11時までの間の連続した3時間半を言う。
   番組の長さ CM時間の上限
   5分以内の番組 1分00秒
   10分  〃 2:00
   20分  〃 2:30
   30分  〃 3:00
   40分  〃 4:00
   50分  〃 5:00
   60分  〃 6:00
   60分以上の番組は上記の時間量を準用する。
(1)タイムCMには、音声(言葉、音楽、効果)、画像(技術的特殊効果)などの表現方法を含む。
(2)演出上必要な場合を除き、広告効果を持つ背景・小道具・衣装・音声(言葉、音楽)などを用いる場合はコマーシャル時間の一部とする。
   SB枠
ステーション・ブレイク(略してステブレ) テレビ番組とテレビ番組の間に流れるテレビCM枠のこと
実際に放映されているCM量は?
なるほど、基準はわかりました。しかし、これらの基準をすべて合わせみて、一般的なプライムタイムの1時間のCM量を計算してみると、「54分番組」(CM6分)+「5分番組」(CM1分)+SB枠(CM1分)で8分間にしかなりません。1時間に対する比率で13.3%ということになります。他の時間帯のCMが多いのでしょうか?
そこで、実際に放送されたCM量がどれくらいであったかを独自に調べてみました。下図の参考例では、2020年上期(関東地区A局)のとある1週間のCM総量は29.5時間でした。(もちろん民放連の基準値の中には収まっています)そのうち、番組提供枠*(タイム)は7.7時間(26.2%)、スポットCM枠は17.7時間(59.7%)、残り14.1%は番宣枠(番組宣伝枠)。すべてを15秒CMで本数換算した場合は、タイムが約1,850本、スポットが約4,200本という集計結果になりました。(ただし、タイムは通常30秒CM素材が多い)
もちろん、これらはテレビ局毎に異なりますし、時期などによっても差が出ます。特に2020年はコロナ禍の影響で、テレビCM出稿を控えなくてはならない企業も多くあったため、タイムとスポットの比率変動も大きかったようです。同年12月期で再度集計をしてみるとスポットCM枠が7割近くあるテレビ局さえありました。そのため単純比較はできませんが、いずれにせよ、テレビCMは常に一定割合で流れているということではなく、時期、曜日、時間、テレビ局(エリア)、CM種別(タイムやスポット)などで、その量が違うということがわかります。 
  
 
  
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
  
  
    
  
  
  
   
 
 


2023/3