今年も引きこもり コロナ 第8波

今年も引きこもりか
新型コロナ 第8波 急拡大

ウイズコロナで良いのでしょうか
コロナ お付き合い 三年
このままでは 四年目に ・・・
 
老人の心配 拡がる

やはり真面目 日本人
いまだに どこに行っても 
人の接するところ 皆さんマスク着用 
 


 
 
社会
●ウイズコロナ 経済との両立
会社 学校 商店 ご近所
人のつながり 対面
  
 
●会社出勤 人の移動 
普段に戻る
業務 営業 対面
 
 
●テレワーク
一部の業務のみ 継続
ほとんどの業務 普段に戻る
  
  
●Go To トラベル
再開
地方経済の活性化
 
 
新年
●帰省 人の移動
故郷 例年に戻る
 
 
●冬休み 人の移動
観光旅行 例年に戻る
 
 
●初詣 人の移動
お参りの行列 
今年は1列
 
 
●新年会 
再開
人の集まり
 
 
生活
●日常 
交差点 道路の人の流れ 
真面目 マスク着用 
いつもの  人の動き戻る
 
 
●バス 電車 飛行機 交通機関
マスク着用
普段に戻る
バス 電車 窓の上端を開ける
 
 
●事務所 工場 企業活動
マスク着用
普段に戻る
   
 
●コンビニ スーパー 百貨店
入り口に消毒アルコール
マスク着用
入店制限なし
  
 
●飲食店
入り口に消毒アルコール
マスク着用
席の間隔 ちょっと広げる
 
 
●介護 福祉施設
クラスターが恐い
ちょっと心配
 
 
●病院 医療機関
入り口に検温器 消毒アルコール
マスク着用
待合室の椅子 1席づつ間隔を開ける
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1月 第8波 急拡大
●日本、中国など海外の新型コロナウイルス変異株の状況は? 1/8
2023年1月現在、日本は第8波の真っ只中にあり、感染者も増え続けています。新しい変異株が流入することで、さらに感染者の増加につながる可能性があります。現在の日本や海外での変異株の状況についてご紹介します。
日本では現在もBA.5が主流
オミクロン株が世界に現れたのは2021年11月ですが、約1年経過した現在もオミクロン株の亜系統が99.9%を占めており、オミクロン株以外の系統の変異株はほとんど見つかっていません。日本では、第6波が起こった2022年1月頃からオミクロン株BA.1が主流となり、その後BA.2に置き換わり、第7波の初期からBA.5に置き換わっています。今も日本ではBA.5が半分以上を占めているという状況です。現在、日本でもBQ.1、BF.7、BN.1などオミクロン株の別の亜系統が増えてきていますが、これまでのBA.1、BA.2、BA.5の急激な広がり方と比べると非常に緩徐な増え方になっています。このことは、現在少しずつ広がっているこれらの変異株が、BA.5と比べて極端に感染力や免疫逃避が強いわけではないことを示唆しています。
中国では現時点では新たな変異株の報告はない
爆発的な感染者の増加が報告されている中国ですが、1月5日時点で中国で検出されたウイルス遺伝子の情報がGISAIDという新型コロナウイルスのデータベースに登録されました。123株(上海69、北京22、四川省14、福建省12、広東省6)のウイルスの遺伝子情報の内訳を見ると、BF.7やBA5.2などすでに中国以外でも報告されている変異株ばかりであり、現時点で中国で未知の変異株が広がっているということはなさそうです。しかし、1日に100万人を超える感染者が出ているとも言われる中国で、今後新たな変異株が出現する可能性は十分にあり、日本の検疫でも1日100名近くの中国からの入国者が陽性になっていることを考えると、中国における変異株の状況については引き続き注視が必要と考えられます。
アメリカではXBB.1.5が増加
一方、アメリカではBA.5から徐々にBQ.1系統(BQ.1/BQ.1.1)が主流になってきていましたが、2022年12月からXBB.1.5という組換え体が急激に増加してきています。特にアメリカの東側の地域では、すでにXBB.1.5が半分以上を占めている地域も出てきています。Xで始まる変異株は組換え体を表しており、XBBはBJ.1とBM.1.1.1の組換え体です。組換え体は、2種類以上の変異株に同時に感染することで、感染者の体内でそれらの遺伝子が混ざり合って発生するものです。新型コロナウイルスはヒトだけでなく動物にも感染することがあるため、動物の体内で組み換えが起こることもあります。複数の変異株が同時に流行している状況下における新型コロナウイルスの組換えは珍しいことではなく、新型コロナウイルス感染症の流行が始まってから、いくつかの組換え体が確認されており、これまでもデルタ株とオミクロン株との組換え体であるXD、XF(通称デルタクロン)やBA.1とBA.2との組換え体であるXEなどがありました。しかし、これまではこれらの組換え体が他の変異株よりも感染力が強く拡大したという事例はありませんでした。しかし、このXBBはシンガポールで主流となり、そのXBBから派生したXBB.1.5がアメリカで拡大しようとしています。
XBB.1.5は免疫逃避が強く、ACE2受容体への親和性が高い
このXBB.1.5という組換え体は、過去の感染やワクチン接種によって得られる免疫から逃がれる性質(免疫逃避)が強いという特徴があります。そもそも免疫逃避はオミクロン株全体に共通する特徴ですが、XBB系統は特にその傾向が顕著であることが分かっています。つまり、これまでのオミクロン株と比べても、過去に感染した人やワクチンを接種した人も感染しうるということになり、従来のオミクロン株よりも感染者が増えることが懸念されます。また、XBB.1.5は免疫逃避だけでなく、ACE2受容体への結合力が強いことが示されています。ACE2受容体とは、新型コロナウイルスの侵入門戸であるヒトの細胞表面に発現しているものであり、新型コロナウイルスのスパイク蛋白と呼ばれる構造物が結合することで、細胞内にウイルスが感染します。XBB.1.5がACE2受容体への結合力が強いという実験室での研究結果は、それだけ感染力が強くなっていることを示唆しています。
XBB.1.5の重症度は?
では実際に、このXBB.1.5が広がると感染者や重症者は増えるのでしょうか。
例えば、アメリカでXBB.1.5が最も広がっている州の一つであるニューヨーク州では、現時点では感染者数は緩やかな上昇にとどまっていますが、その一方、入院患者数が上昇してきており不気味な印象を受けます。同じくXBB.1.5が広がっているアメリカの東海岸側のマサチューセッツ州、コネチカット州などでも同様の傾向を示しています。これは、XBB.1.5の重症度が高いことを示している可能性もありますが、世界的に新型コロナの感染者数は正確ではなくなってきていますので、単に実際の感染者数を正確に反映していない可能性も十分考えられます。XBB.1.5の重症度については、今後のデータの集積を待つ必要があります。
私たちにできることは?
日本では、1月4日時点での公開情報ではXBB.1.5は検出されていません。現在日本の検疫体制は以前よりも緩和しており、海外から日本国内に新たな変異株が持ち込まれるリスクはこれまで以上に高くなっています。今後国内で新たな変異株が増加していかないか、ゲノムサーベイランスで監視する必要があります。とはいえ、私達一人ひとりができることに大きな変わりはありません。この3年間で身についた基本的な感染対策をしっかりと続けていきましょう。また、XBB.1.5も含め世界中で広がっている変異株は全てオミクロン株の亜系統であることから、効果の程度に差はあると思われるものの、オミクロン株対応ワクチンによる感染予防効果は従来のmRNAワクチンよりも高いと考えられます(XBBに対してはオミクロン株対応ワクチンの接種によって中和抗体の上昇が得られたと報告されています)。ぜひワクチン接種をご検討ください。 
●尾身会長インタビュー 新型コロナ第8波 状況は? 今後は? 1/13
国内で新型コロナウイルスに感染した人が確認されてから、丸3年になります。日本ではこの3年間であわせて8回の感染拡大の波を経験し、現在の第8波では連日、報告される死者数が過去最多となり、厳しい感染状況となっています。
その一方で、新型コロナの感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザなどと同じ「5類」にすべきだという意見も出てきています。
現在の第8波をどう見ればよいのか。この先、このウイルスとどう向き合っていくべきなのか。政府分科会の尾身茂会長に、ニュースウオッチ9の田中正良キャスターが聞きました。尾身会長は90分にわたって語りました。
第8波の状況は? なぜ死者最多?
Q.この3年間で初めて行動制限のない年末年始があり、感染は拡大しています。亡くなる人も過去最多の状況が続いていますが、現状をどう見ていますか。
A.感染者の数は、去年夏の第7波を超えていませんが、亡くなる人の数は第7波を超えてきています。感染者の届け出の方法が変わったことが背景にあると見られます。報告されている感染者数は、実際の感染者の一部にとどまっていて、ここに来て、こうした傾向がさらに強まっています。亡くなる人たちでどういう人が多いのかというと、60代以上の高齢者で基礎疾患を持っている人たちだということがデータではっきりしています。肺炎になったことがきっかけになり、嚥下(食べ物などを飲みくだすこと)機能が低下するなどして亡くなる人たちも多い状態です。日本は世界に最たる高齢社会で、こうしたことも死者が増える要因になっています。また、例えばイギリスでは献血のデータを見ると国民の8割くらいが、すでに感染しています。日本では正確には分からないが、感染を経験したのはイギリスの3分の1くらいです。自然感染した人が他の国に比べて少ないことで感染が広がっています。オミクロン株になって感染力がかなり強まり、感染拡大のスピードが速まっています。高齢者が多くいる高齢者施設や医療機関での感染が増えている。こうした要因が重なり、高齢で体の弱い方が亡くなっているというのが現状だと思います。
Q.これからも死者は増えるのでしょうか?
A.ピークがいつごろ来るか予想は難しいですが、しばらく亡くなる人が増える傾向は続くのではないかと思っています。医療への負荷はしばらく続くことを考えておいた方が良いと思います。日本ではこれまで、ある程度感染を抑えて、亡くなる人をなるべく抑えるということを目標にしてきました。高齢者の医療やケアを守るしくみがいままで以上に求められています。一般の人はいままでの3年間の対策で学んだことがあり、自主的になるべく感染しないような対策をしばらく続けてもらえればと思います。
必要な医療提供と社会経済のバランスを
Q.「ウィズコロナ」に向けて緩和していってもいいのかという疑問も出てきます。方向性は変えるべきなのでしょうか?
A.いま求められるのは、必要な医療をしっかりと提供しつつ、社会経済を回していくことだと思います。このバランスが大事なのではないでしょうか。「感染対策を集中してやる」ということをいま行えば、社会経済や教育にダメージを与える。こういう状況だから人流を8割削減するというのは、とても社会の理解と共感を得られません。この病気の特徴がなにかということを十分みんなで理解した上で、それに見合った対策がなにか考えていく必要があります。亡くなる人は高齢者が多く、高齢者施設で亡くなっている人がいます。ところが、そこには医師など医療の専門家が必ずしもいるわけではない。自治体や周辺の医療機関が高齢者施設をサポートして、地域で高齢者を守ることが重要です。自治体の保健医療担当と福祉担当とが連携することも重要で、こうした対応が今まで以上に求められていると思います。自治体によっては、この高齢者施設はどこの医療機関が担当するということを決めているところもある。こうした動きが全国の自治体でも広がっていけばいいと思います。
Q.高齢者への対策、どう考えればいいでしょうか?
A.感染のリスクは一定程度あるという状態が続き、エアロゾル感染など、どこで感染がおきてもおかしくない。ワクチンは感染の可能性をゼロにすることはできないものの、重症化を予防する効果が高いということは分かっています。まだ打っていない人がいると思いますが、ぜひ接種をしてもらいたい。また施設の職員など、高齢者と接触するような人たちは、自分を守るという意味もこめて、ワクチン接種や検査などを活用してもらいたいと思います。
いまの変異ウイルスの特徴は
Q.いま拡大している新型コロナウイルスには、どのような特徴があるのでしょうか。
A.いまの時点での特徴はいくつかあります。
<致死率は減少> 確かに致死率や重症化率は間違いなく下がってきています。これは専門家のあいだで異論がない、共通の認識で、裏付けるデータも出てきています。
<感染力は極めて強い> それなら普通のかぜということでいいのかというと、現時点では、かぜとは違う部分がはっきり見えています。それは感染力の強さです。もともと感染力が強いウイルスで、インフルエンザよりも強い。そしてここにきてさらに強くなっています。致死率は低いかもしれませんが、感染する人数の規模がとても大きくなっています。
<死者数が多い> 3番目の特徴は死亡に至る人の数が多いことです。例えば、去年2022年に新型コロナに感染して亡くなった人の数は、季節性のインフルエンザがかつて一番流行していた年に年間を通じて亡くなった人の10倍ほどになっています。さらに、※超過死亡で見ても、季節性インフルエンザが流行していた時より、コロナが流行していた年の方が多くなっています。(※超過死亡:実際の死亡者数が統計学的に推計される死亡者数を上回ること)
<予測が難しい> もう一点重要なのは、季節性インフルエンザは文字通り「季節性」があり、冬になると多くなる特徴があります。でも新型コロナはこの3年間、感染拡大の波を繰り返していて、季節性はありません。
<変化し続ける新型コロナウイルス> しかもウイルス自体の性状が変化し続けている。インフルエンザも変化はしますが、それは緩やかな変化であまり驚くようなものではない。ワクチンも前年で流行った株をもとに作るなど、予測がある程度できます。新型コロナは、流行がどうなるのか予測がしづらいというのが現実です。治療薬もいつでもどこでもアクセスできる状態にはなっておらず、こうした要素を考えると、いますぐ普通のかぜや季節性インフルエンザと同じだと言うことは言えず、そうした状況になるには、しばらく時間がかかるというのが私たちの考えです。
収束難しい 循環器系の影響、後遺症も
Q.脅威レベルは下がったとは言えないということでしょうか?
A.新型コロナの流行が始まって3年になり、私自身も含めて、元の生活や社会経済の状況に戻りたいという気持ちがあると思います。ただ一方で、この病気は100年に一度の感染症です。2003年に、重症急性呼吸器症侯群「SARS(サーズ)」という病気が広がりましたが、当時、「21世紀最初の公衆衛生の危機」と言われました。中国などで確認され、あっという間に広がって非常に脅威だった。そうした病気であっても、わずか半年でゼロになり、制圧に成功しました。でもコロナは3年たってもまだ流行が続いています。しかもイギリスのように80%の人がすでに感染していると推定される国でも、感染がまだ収束していない。このウイルスのしたたかな特徴ですが、自然感染やワクチンで獲得した免疫の効果が時間によって下がってきてしまいます。そして、免疫をくぐり抜ける特徴を持つ変異株も出てきています。若い人は極めて重症化しにくいというのは良い特徴ですが、感染して後遺症に悩まされる人も出てきています。直接、重症の肺炎を起こすことは最近少なくなってきていますが、循環器系に影響が出ているという知見も集まっています。残念だけれど、この事実を正しく認識してもらう必要があります。この現実は直視しないといけません。
数か月では“普通のかぜ”にはならない
Q.この先どれくらい流行が続くとみていますか。
A.私も「1〜2か月で安心できる」と言いたいですが、この病気の特徴を考えると、本当の意味で、あと数か月で普通のかぜのようになるとは思えません。
懸念される変異株は
Q.変異株も心配ですが、いま専門家の中でもっとも懸念されているのはどの変異株でしょうか。
A.いま世界をみると、どの変異株が一番主流なのかというのは国によって違う状況です。日本でも、少し前は「BA.5」が主流でしたが、いま「BQ.1」に少しずつ置き換わりつつあります。そのなかでアメリカで流行している「XBB.1.5」が日本でも検出され始めています。この変異株は、免疫を回避するという「BQ.1」などと同じ性質に加えて、ヒトの細胞に付着しやすくなる、感染しやすくなるという特徴があるのではないかと言われています。これがどう広がっていくのか、日本でもウイルスの遺伝子解析が進められています。
Q.中国で感染爆発が起きる中で、1月下旬には旧正月を迎えて多くの人が移動します。専門家が注視しているポイントは。
A.まず、中国の人が日本国内に入ってくることで、日本もいまの中国のような感染状況になると言うことでは無いと思います。自然感染している人の割合も中国よりも多く、たくさんの人がワクチンを接種しています。ただ、感染拡大に影響するという可能性はあると思います。それも大事なのですが、新たな変異株が生まれる可能性は感染の頻度に比例して高くなります。中国でこれだけの規模の感染が続くと、新たな変異株が出てくる可能性が高まるため、注視する必要があります。
国際社会 一定の約束事のもとで対策が必要
Q.尾身会長は、WHO=世界保健機関でSARSの対応にも携わり、中国政府とも関わったと思います。世界のパンデミックの状況を見てきた立場から、いまの中国に言えることはありますか。
A.中国政府も認めていますが、2003年のSARSの対応の際、中国は国際社会との情報の共有が遅れました。流行が始まってから2〜3か月たってそのことを認め、その後急激に感染は下がった。地震や津波と同じように、新たな感染症はまたやってきます。SARSの反省にたって、国際社会はその後も数年にわたって、国際社会やWHOが同じようなことが起きたときにどのように情報共有を行うべきか、ルールを定めました。何年もかけて、関係者はずいぶん努力して国際的な約束をきめたのです。それにも関わらず、今回の事態になっても情報の共有が遅れ、いままで国際社会がみんなで約束したこととちょっと違う事態になってしまいました。ウイルスはパスポートがなくても世界中どこにでも行ける。ここは国際社会が一定の約束事のもとに対策を行っていくことが重要だと思います。
日本の3年間の対策どう見る
Q.これまでの日本の対策についてどう受け止めていますか。
A.無症状の感染者から感染が広がるという特徴が早期に見えたことで、日本では「ゼロコロナ」を目指すことはできないし、目指すべきではないと考え、なるべく亡くなる人を減らすことが目的ということでコロナ対策が行われてきました。日本ではいまのところ、人口あたりの累積の死者数は諸外国に比べて低く抑えることができています。その理由は3つあると思います。1つは多くの市民が国や自治体の対策の要請に応えてくれて、感染対策に協力してくれたこと。2点目はさまざまな制約があるなかで、保健所や医療関係者の人が、いまも続くストレスの多い状況で頑張ってくれたこと。そして3つめは、いちど決めた方針をがむしゃらに続けるのではなく、対策の微調整を随時行ってきた。そうした対応が功を奏した部分もあるのではないか。一方で、社会や経済へのダメージが続き、若い人の青春のかけがえのない時期に対面で授業ができなかったり、クラブ活動が制限されたり、修学旅行ができなかったり、社会・経済・教育といったところに大きな負担が同時にかかったことも事実です。実は2009年に起きた新型インフルエンザの対応でいろんな教訓が生まれ、保健所の強化や検査体制の拡充、リスクコミュニケーションのあり方など、いま問題になっているような課題がすべて議論され、提言書にまとめられていました。せっかくの総括が、今回のコロナ対応に生かされてきませんでした。今回、これだけの大変な思いを日本社会全体がしています。仮に感染が下火になっても「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ということではなく、今回の教訓を生かして、次に必ずくるパンデミックに備えることが必要なのではないかと思います。
今後 どうコロナと向きあうか
Q.新型コロナの感染拡大は4年目に入ります。日本社会が目指す方向についてどう考えますか。
A.イギリスでは8割の人が感染しても流行が止まっておらず、何割の人が感染すれば集団免疫がついて流行は終わり、と言うことはありません。ワクチンを打つ、自然感染するというプロセスを繰り返していくうちに、季節性インフルエンザのような、普通のウイルスに変化していくと言うことがいちばん考えられるのではないでしょうか。ただ、ウイルスの性質が急に変化する可能性もあります。
Q.私たちが心がけるべきことは。
A.どういう人が重症化しやすいのか、どういう場面で感染が起こりやすいのか、これまで多くの人たちが学んできました。いままで学んできたことをそれぞれが工夫して、「新しい健康習慣」をみんなが工夫しながら行っていくということが重要です。しかし、それを市民だけの自己責任でやってしまうというのでは、国の役割がなくなってしまいます。市民が経験を踏まえて、対策を自主的に行ってもらえるような環境作りをすることが必要で、ここが国が汗をかくべき領域です。例えば抗原検査キットを安い値段で提供することはできないか、あとは感染している可能性が高い場合には、会社にあまり負い目を感じずに仕事を休める環境作りなど、こういう動きを後押ししていくことも必要です。社会経済を動かしながら、医療がひっ迫しないようにするために、市民の自主的な努力を国が支えることが重要だと思います。例えば食堂で人が入れ替わる度に毎回アルコールで机を拭くなど、必ずしも必要ではない対策も行われています。いままでやっていたけれど必ずしもやる必要がない対策があり、その一方で続ける必要がある対策もあります。社会をもとに戻していく中で、いろんな人の知恵を借りながら議論していくべきだと思います。ただ、判断基準が難しく、科学的な根拠がはっきりしていない部分も多くあります。いろんな知見を集めて、議論してまとめなければならないと思っています。
今後も場面によってはマスク必要 ワクチンは
Q.マスクは今後もつけていかないといけないでしょうか。
A.マスクは外にいるとき、いつでもつけている必要はないということは、すでに言われています。ただこのウイルスは、マイクロ飛まつ、エアロゾルが空気中に漂い感染することが多く、マスクが対策上かなり重要だと言うことが分かっています。換気の悪いところで人が集まっていれば、間違いなくリスクが高まる。「3密」で換気の悪い状況では、マスクは当分の間は必要だと思います。人のいないところで1日中マスクをする必要はありません。
Q.今後もワクチンを打ち続けていくことになるのでしょうか。
A.感染の状況や、ウイルスの状況によると思います。6回目、7回目と打っていく必要があるのか、厚労省と専門家が、議論を続けていくと思います。
Q.ワクチンの効果や安全性について、疑問視する声も続いています。
A.ワクチンを接種する判断は、リスクとベネフィット(利益)の比較です。100%安全と言うことはないし、100%効果があるわけでもない。トータルで見て判断すると言うことです。いまのワクチンは、重症化する人を減らすという目標に対しては有効だと思います。いろんな考えがあることは承知していますが、重症化を予防できること、亡くなることを予防できることが目的です。重症化予防、死亡に至るのを防ぐ効果を支持するデータはかなり出てきています。SNSなどでいろいろな意見があります。日本のような自由な社会では、そういういろいろな意見があると思いますが、高齢者がワクチンを打った方が良いという考えは正しいと思う。基礎疾患のある人たちはなるべく打ってもらいたいと思います。
「2類か5類」かの前に 納得感・共感ある議論を
Q.感染症法上の位置づけを5類に、という見直し議論が進んでいます。どう見ておられますか。
A.先日、厚生労働省の専門家会合で、専門家の有志が感染症法上の位置づけについての見解を出しました。私たちが申し上げたことは、これから一番重要なことは「経済や社会を動かす」一方で、「医療提供体制を維持すること」、その2つの目的を同時に実現することが必要だということです。「2類か5類か」の議論をする前に、この2つの目的を実現するためにどれが一番良い方法か、いまのコロナの特徴を踏まえた対策が必要だと思います。具体的にどういったことが必要なのか、見解の中でまとめています。仮に「5類」にした場合にどういうインパクトがあるのか。やることの意義と予期せぬ影響が出てくる可能性など、こうしたことを詳しく考察する必要があります。例えば、いま5類に変えると、個人の医療費の負担が増える可能性があり、これにどう対処するか考えないといけない。こうしたことをどう判断するのか。最終的には政治家が判断することになりますが、5類になるとどういう良いこととネガティブなことがあるのか考慮した上で、準備をしながら段階的に進めていくべきだと思います。いま、この感染症への見方が、一般の人々と医療関係者との間で異なってきています。医療者は毎日感染者を見ていて、亡くなる人を見ている。しかし一般社会では、特に働き盛りの人たちにとって、近いところでコロナに感染した人が亡くなったという事態に触れる機会は少ない。一般の人と、医療関係者とで状況の見え方が違っているのです。両方とも真実です。どこからものを見るかで、見える状況が違ってくる。市民がどう考えるか、医療者がどう考えるか、簡単に結論を出すと言うより、深い議論が必要です。「いつどうするか」というよりプロセスが大事なのではないでしょうか。それぞれの当事者にとって「これなら分かる」という納得感と共感がある議論が求められるのではないかと思います。
●新型コロナ「第8波」 どこで亡くなっているのか 1/24
新型コロナウイルスの「第8波」では、亡くなる人の数が過去最多の水準が続いています。しかし、コロナ患者に対応する重症病床のひっ迫の度合いは、以前に亡くなる人が相次いだ時期のようにはなっていないようです。多くの人はどこでどんな形で亡くなっているのか。病院や高齢者施設の現場を取材しました。
「第8波」死亡者数 専門家からの警句
「第7波と比べて死亡者数の増加が速い。要注意だ」
第8波で感染が拡大してきた12月初め、私は専門家からこう聞かされました。その時点では、1週間平均の1日あたりの新規感染者数は10万人ほどでした。私はこの3年、新型コロナで重症化する患者や対応する医療現場の取材をしてきました。亡くなる人が増え始めるのは、感染者数が大きく増えた数週間後ということが続いてきたので、どういうことなのか、すぐには理解ができませんでした。第8波でみられ始めた異変について指摘した、新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会メンバーで東邦大学の舘田一博教授です。
東邦大学 舘田一博 教授 「1日の新規感染者数は10万人弱(12月上旬時点)と『第7波』のピーク時のおよそ26万人と比べると少ないですが、死亡者数はすでに1日に200人に達している(第7波での最多は2022年9月2日の347人)。死亡者数が増加するのが『第8波』はずいぶん速い。死亡者は1日に400人くらいまでに増え、過去最悪のレベルになるのではないか」
これまで、感染者が増加してから死亡者が増加するまでにはタイムラグがありました。感染拡大は若い世代から始まることが多く、重症化リスクが高い高齢者に感染が広がるのには時間がかかること、それに、感染から死亡に至るまでには一定の時間がかかるためです。それが、第8波では、感染者数と死亡者数の増加の波がほぼ重なっていたのです。
東邦大学 舘田一博 教授 「持病のある高齢者が相次いで亡くなっています。早期治療が必要な施設の患者が入院できず、必要な治療を受けられていない事態も起きているかもしれない」。
その後、死亡者数は12月28日には415人と過去最多になり、その後も増え続け、年明けの1月14日には503人となりました。なぜ、このようなことになっているのか。
重症病床、救急医療は
まず、話を聞いたのは、これまでの感染拡大で対応に追われることが多かった、重症患者を診る救急医療現場です。12月中旬から下旬にかけて、取材を続けていた救急医療に対応する複数の病院から「コロナ病床が埋まってきている」という声が聞かれ始めました。年明けの2023年の1月5日、東京・文京区の日本医科大学付属病院に向かいました。病院では、重症患者用のコロナ病床6床を確保し、治療に当たっています。高度救命救急センターの横堀將司部長によりますと、コロナの重症患者の搬送依頼は年末にかけて相次ぎ、重症病床が一気に埋まったといいます。近隣の病院でクラスターの発生が相次ぎ、大学病院内もスタッフの感染などで稼働できる病床が減っていることで、患者が回復しても転院先がなかなか見つからず、コロナもコロナ以外の患者も受け入れが難しい状態となっていました。ただ、以前のピーク時と比べると重症患者の数は少なく、2021年夏の「第5波」のときのように、患者で溢れかえるようになって、病床の数を2倍や3倍に増やして対応せざるを得ない状況にはなっていませんでした。
日本医科大学付属病院 高度救命救急センター 横堀將司 部長 「『第5波』の時のように、コロナ単独で肺炎が悪化し呼吸の状態がどんどん悪くなって死亡するケースは、ワクチンを接種している人では少なくなっていますが、肺などの持病がある高齢者が入院し人工呼吸器を装着すれば、回復までにかなり時間がかかっています。ただ、そうした患者は感染者の数の割に、多くはない印象です。コロナ以外の患者も含めて救急や集中治療室では受け入れが厳しい状態が続いていますが、救急受け入れ要請の電話が鳴り止まず、都内の救命センターへの連絡を2巡しても受け入れ先が見つからなかった以前のような状況ではありません」
重症のコロナ患者で医療がひっ迫している状況ではない。日本医科大学付属病院と同様の話は、重症者の治療に当たっている都内の別の大学病院でも聞かれました。厚生労働省のデータでも、人工呼吸器や人工心肺装置=ECMOを使用している重症患者の数は2021年夏の第5波には2200人あまりでしたが、2023年1月23日時点で644人とおよそ7割少なくなっています。
では中等症の病院は
重症患者が以前ほど多くないとすれば、人工呼吸器などを使わない中等症の状態から亡くなっているのか。続いて、中等症の患者を受け入れている東京・八王子市の南多摩病院を取材しました。病院では、3年前の新型コロナの感染拡大当初から、およそ1000人の患者を受け入れてきました。病院によりますと、2021年夏の「第5波」までは肺炎の症状が急激に悪化し、重症病床がある病院に転院させる間もなく亡くなった患者もいました。オミクロン株が広がった2022年初めからの「第6波」以降は、肺炎が急激に悪化するようなケースはほとんどなくなったといいます。持病のある高齢者を受け入れることが中心になり、感染によって持病が悪化しても、本人や家族が人工呼吸器を装着するなどの特別な治療は望まないことが多いということです。この病院でこれまでに亡くなった人は35人で、およそ4割は「第6波」以降だということです。
南多摩病院 木下力 事務部長 「『第5波』まではもともと元気な若い人が入院し突然を命を落としてしまうことがありましたが、それ以降は感染者が桁違いに増えたことで、重い持病がある患者の受け入れが中心となりました。最近では高齢者施設でクラスターが発生しても施設内で療養を続けるケースが増えていますが、入院してくる患者はその中でも重い持病がある患者ばかりなので、命を落としてしまうケースが少なくありません」
コロナ感染による症状自体は中等症でも、もともとある持病が悪化して亡くなるケースが多くなっていることが見えてきました。
高齢者施設での感染で死亡増か
では、持病のある人が多く入所する、高齢者施設ではどのようなことが起きているのか。以前は高齢者施設で感染者が出ると、病院に入院して治療を受けるのがほとんどでしたが、オミクロン株の広がりで感染者数が桁違いになった2022年以降は医療体制がひっ迫し、入院できずに施設内で療養する人が急増しました。そして「第8波」では、年末年始にかけて高齢者施設でのクラスターの発生が相次ぎ、厚生労働省によりますと、全国で確認された「高齢者福祉施設」でのクラスターなどは2022年12月25日までの週では954件と過去最多となっていました。特別養護老人ホームなどを運営する事業所で作る「全国老人福祉施設協議会」の田中雅英副会長に、いま何が起きているのか聞きました。田中さん自身も東京・目黒区などで特別養護老人ホームを経営しています。田中さんが経営する施設では2022年夏の「第7波」以降、クラスターがたびたび発生。「第8波」では2022年11月下旬からのおよそ1か月間に、入居者43人と職員17人のあわせて60人が感染しました。
田中雅英さん 「職員は週に1度検査し、ショートステイの利用者を受け入れる時は抗原検査して、しばらくは相部屋を避けるなど感染対策を徹底し、2022年初めからの『第6波』まではクラスターを出さずに乗り切ってきました。しかし、2022年夏の『第7波』以降はウイルスがどこからか持ち込まれ、あっという間に感染が広がる状況が続きました。まるっきり感染力が違うと感じました」
施設の入所者の平均年齢は87.8歳で、ほとんどの人に心臓や脳の血管などの持病があります。「第8波」でクラスターが発生したときも、重症化が懸念されるため、感染が確認された入所者43人全員について、入院してもらえるようにしたいと考えていました。しかし、病院のベッドに空きがなく、比較的症状が軽かった20人は施設内で療養せざるを得なかったということです。嘱託の医師が抗ウイルス薬など早期の治療を行った結果、20人は回復しました。一方で、入院したあと、施設に帰ってくると歩けなくなっていたり、食事が取れなくなっていたりしたほか、認知症の症状が悪化した人も数多くいたということです。また、コロナの感染との関連はよく分からないものの、退院後に体が弱ってしまい、再び入院して亡くなった人もいたということです。
田中雅英さん 「多くの高齢者はコロナでいったん入院してしまうと、心身の機能が著しく落ちてしまいます。感染から2か月近くたっても発熱を繰り返して呼吸の状態がよくない利用者もいます。インフルエンザでも感染者が出れば隔離が必要となり対応がとても大変でしたが、コロナは感染力が別格です。しかも、インフルエンザと違って冬だけではなく、年がら年中警戒しなければならない。本当にやっかいな病気です」
入院しないまま亡くなる高齢者も
さらに取材を続けると、高齢者施設で重い持病のある人が感染して体力が落ち、入院しないまま亡くなるケースがあることもみえてきました。日本認知症グループホーム協会の下田肇 副会長は、青森県で介護老人保健施設やグループホームなどを運営しています。「第8波」では、下田さんの経営する介護老人保健施設とグループホームで初めてクラスターが起きました。グループホームは認知症の人が多いものの、もともと健康状態がよかったこともあり、コロナの感染で体調が悪化した人はいませんでした。一方で、介護老人保健施設ではおよそ10人が感染し、多くの人は感染後に体力や食欲が落ち、体調が元に戻らなかったといいます。進行したがんや糖尿病を患っている人では状態が大幅に悪化し、入院治療を受けずにそのまま施設で亡くなった人も複数いたということです。精神科の医師でもある下田さんは、もともと重い症状の病気がある人にとって、コロナの感染は死に直結してしまうと指摘します。
下田肇さん 「介護老人保健施設では、最期の時間を穏やかに過ごす段階を迎えている入居者も少なくありませんが、そうした方が感染すると延命は非常に困難となります。感染が分かったときに軽症と判断され、薬を飲んで酸素吸入しながら施設内療養してもらっても、しばしば急変して救急車を呼ばざるを得ない状況になってしまいます。クラスターは本当に起こしたくないです。施設内での感染防止には引き続き、全力を尽くします」
このほかにも、施設の関係者からは、
   クラスターが発生すれば、ほぼ確実に施設内療養を余儀なくされる
   血中の酸素飽和度の値が80%台とかなり低い状態にならないと入院できない
   施設の嘱託医がコロナ治療に対応できず、抗ウイルス薬の早期投与ができない
   入院先が見つからず、搬送中に患者が死亡してしまうケースがある
などという声も聞かれました。
ワクチン接種が進んで治療薬が徐々に普及してきていて、若い人にとってはただの「かぜ」だとしても、高齢者が感染すれば文字通り致命的な状況に陥ってしまうのです。
コロナを「5類」 高齢者たちどう守る?
2023年1月20日、岸田総理大臣は新型コロナの感染法上の位置づけを季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行する方向で検討を進めるよう指示しました。高齢者施設の現場からは感染対策は変わらず継続しなければならない一方、行政が主導して確保してきた病床がなくなり、さらに負担が大きくなるのではないかという不安の声が聞かれます。2022年12月から1月23日までの2か月足らずで、新型コロナに感染して亡くなった人はおよそ1万6000人。これまでの3年余りで亡くなった人のおよそ4人に1人となります。施設の負担を減らし、亡くなる人を減らすためにどうすべきか。政府の分科会メンバーで東邦大学の舘田一博教授は、医療機関と施設との連携をさらに強めることなどが求められるとしています。
舘田教授 「一部の高齢者施設では、医師が常駐しておらず治療が遅れるケースもあります。入居者が感染した場合にできるだけ早く診断して、治療する体制をさらに強めていく必要があります。また、高齢者施設でインフルエンザが広がれば治療薬のタミフルが発症予防のために投与されていますが、コロナでもクラスターの兆候が見られた際に予防投与できる薬があれば、死亡者数を減らし、施設関係者の負担も軽くすることができるかもしれない。これまでに承認されている飲み薬や注射薬を予防投与に使えないか、一部では企業による治験も進んでいますが、根拠となるデータを集めるなど、検討していく必要があります」
また、高齢者などと接する場合には、感染から守るため、引き続きマスクを着用してほしいと話しています。
舘田教授 「重症化リスクのある高齢者や基礎疾患のある人と一緒にいる場合や長時間、換気の悪い場所で大勢でいる場面、大きな流行が起きている時期はマスクを着用すべきです。ただ、若い人だけで集まって感染が広がり、かぜで終わる程度くらいなら気にしなくてもいいかもしれません。状況に応じたメリハリをつけた対応が求められます。1人1人が周りの人に感染させた場合のリスクを想像しながらリスクを下げる行動をとっていく“マスクエチケット”のような意識をこれまで以上に持ってもらう必要があります」 
 
 
ロックダウン解除後の中国
●中国各種統計は消費回復示唆、経済再起動も残る慎重論 1/13
中国は先月、新型コロナウイルスの感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策が突然解除され、経済が次第に活気を取り戻しつつある。感染者数は急増しているが、各種統計は年内に消費と経済活動が徐々に回復すると示唆している。
3大都市の地下鉄乗客数から航空便の数、映画の興行成績に至るまで、移動と消費に関する各種データは先月末のゼロコロナ策終了後に上向いた。
ただ、幾つかの指標は活動がほんの数カ月前の水準に完全には回復していないことを示しており、エコノミストの多くは、予想よりも早く行われた経済再開後の復活ペースに慎重な姿勢を崩していない。
オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミスト、ルイーズ・ルー氏は「小売支出の落ち込みはどんどん範囲が広がっており、3年間にわたって行われた度重なるロックダウン(都市封鎖)が中国の消費者にもたらした心理的な負の影響を覆すには時間がかかる」と指摘した。
情報プロバイダーや業界団体のデータからは、コロナ関連のロックダウンや制約によって昨年の春と初冬に旅行や映画鑑賞、自動車販売が再び影響を受けた様子が読み取れる。
さらにルー氏は、パンデミックの過程で家計の流動性ポジションが変化したことも景気の迅速な回復を妨げていると分析。「香港やシンガポールでは家計支出を支援するための現金給付制度が導入されたが、中国本土のコロナ救済計画はロックダウンの影響を受けた企業の支援に主に焦点が当てられている」という。
政策当局者は今年の需要、特に消費を押し上げると約束している。
しかし他の主要国経済はインフレ抑制のための急激な利上げで消費が勢いを失い、中国の輸出に打撃を与えている。輸出は中国経済にとってコロナ禍でも明るさを保った数少ない分野だった。
中国国家統計局が発表した12月の製造業購買担当者景気指数は、新規輸出受注の副指数が前月から低下し、20カ月連続で節目の50を割り込んだ。
アナリストによると大規模製造業の雇用も圧力を受けており、これはおそらく生産の低迷や、コロナ感染拡大で労働者の確保が困難になっていることが原因だという。
エコノミストは中国経済が第2・四半期以降、消費のてこ入れや政府によるインフラ投資拡大を支えに回復に向かうと予想している。しかし低迷が続く不動産市場の回復にはもっと時間がかかりそうだ。 
●中国「ゼロコロナ」政策を大幅緩和したいま 感染者と死者はどれくらいなのか 1/18
中国では、昨年12月に全土で厳格な「ゼロコロナ」政策が大幅緩和されて以降、新型コロナウイルスの感染者と死者が急増している。しかし、パンデミックの規模を示す公式データは非常に限定的だ。
中国の発表
中国は14日、「ゼロコロナ」政策を大幅緩和した先月8日から今月12日までの1カ月余りの間に新型ウイルスに関連して死亡した人は5万9938人だったと発表した。感染対策のロックダウン解除後に死者数が公表されたのは初めてだった。新型ウイルスに直接起因する呼吸不全による死亡だけでなく、基礎疾患と感染が複合的に作用したことによる死亡も新型ウイルス関連死に含めるようになったため、死者数は前の月の13人から大きく跳ね上がった。中国はまた、病院や発熱クリニックで症状が確認された患者のみを新型ウイルス感染者として記録してきた。無症状者や家庭用検査キットで陽性となった人はデータに反映されない。
データの信頼性は
世界保健機関(WHO)は中国に対し、入院者数と死者数についてより「迅速で定期的かつ信頼できる」データを提示するよう求めている。中国政府は新型ウイルス感染症のデータを「法律に従い、タイムリーでオープンかつ透明性のある方法で」共有しているとしている。イギリス拠点の保健データ企業「エアフィニティー」のルイーズ・ブレア博士は、最新の発表の死者数は以前より増えているものの、中国のデータと他国のデータとを比較すると、中国の最新データは本当の人数を表していないのかもしれないと指摘する。「ワクチン接種で中国よりも高い防御効果を獲得し、多くの場合において自然の免疫力も高い国々よりも、中国の方が人口当たりの死亡率は高いと我々は予想している」「これらの数字は、中国の人口当たりの死亡者数が、全ての主要国が経験してきたよりもずっと少ないことを示唆している」と、ブレア博士は付け加えた。
ひっ迫する医療サービス
北京大学の研究によると今月11日現在、国内の人口の64%が新型ウイルスに感染していると報告されている。昨年12月下旬には、中国国内で感染者が増加する中、診療待ちの長い列ができたり、混雑した病院の待合室の真ん中に設置されたベッドに患者が収容されたりするなど、病院の負担が増していることを複数の報道が示唆していた。混雑した病院や、葬儀場に行列ができている様子を捉えた複数の動画も、昨年12月にソーシャルメディアに浮上した。北京で取材するBBCのチームも、複数の診療所の前に長蛇の列ができ、薬局で解熱剤の需要が高まっていると報告している。全国各地には、集中治療施設に加えて臨時の保健センターが設置されている。
中国のコロナ政策はどのように変化したのか
昨年11月に起きた、全国規模の厳しいロックダウン措置に対する抗議行動を受け、中国のコロナ規制の多くが突如解除された。中国はそれまで、「ゼロコロナ」政策として知られる世界で最も厳しいコロナ規制の1つを導入していた。同政策では、たとえ一握りでも感染者が出れば、厳格なロックダウンを敷き、感染が報告された場所で大規模検査を実施。感染者を自宅あるいは政府施設で隔離することになっていた。しかし現在はロックダウンも、隔離措置も廃止されている。公共交通機関やレストラン、スポーツジム、そのほかの公共施設(孤児院や介護施設を除く)を利用する際の陰性証明の提示も求められなくなった。今月8日には国境を完全に再開し、渡航制限や入国時の隔離措置は実施されなくなった。アメリカやイギリスなど複数の国は中国での感染急増を理由に、中国からの渡航者を対象としたウイルス検査を義務づけた。中国はこうした動きを強く批判している。
中国のワクチン接種政策
中国は人口の90%以上がワクチン接種を完了したとしている。しかし、「ゼロコロナ」政策が解除されたころ、80歳以上で3回のワクチン接種を終えた人は半数に達していなかった。当局は現在、地域の医療サービスに対し、「全人口、特に高齢者への予防接種を強化」するよう求めているとしている。中国で使用されている主なワクチンはシノヴァク・バイオテック(科興控股生物技術)製とシノファーム(中国医薬集団)製だが、最も拡散しているオミクロン株に対する有効性については疑問が浮上している。中国は欧米のワクチンを広く使用することを拒否している。中国政府はその理由を公式に説明していない。英ロンドンの王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)の中国担当上級研究員は、国家の威信が1つの要因かもしれないとしている。「(国家主席の)習近平氏は経済的自立という観点から、ワクチンをどこかから輸入するのではなく、自国で製造・使用する必要性を真剣に考えているのだと思う」 
●今年の石油需要、過去最高更新へ 中国経済再開で=IEA 1/18
国際エネルギー機関(IEA)は18日発表した月報で、中国の新型コロナウイルス規制解除を受けて、今年の世界の石油需要が過去最高を更新するとの見通しを示した。
ロシア産石油に対する価格上限の設定で供給が減る可能性があるとも指摘した。
IEAは月報で「ロシアの供給は制裁の全面的な影響で鈍化する。中国は、経済再開の形とスピードが依然不透明なものの、世界の需要の伸びの半分近くをけん引する」と指摘した。
経済協力開発機構(OECD)諸国では、産業活動の低迷と温暖な気候で石油需要が昨年第4・四半期に日量100万バレル近く減少した。
欧米は景気後退リスクがあるが、緩やかな景気後退になる可能性が高い。予想される中国経済の再開は、近隣アジア諸国の回復を促すとみられ、中国はインドに代わって石油需要の伸びが世界で最も高くなる見通しだ。
月報では「中国のロックダウン後の回復のタイミングとペースが2023年のGDPと石油需要の伸びの最大の原動力になる」と指摘。
一方、石油供給への主たる寄与は米国とし、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの産油国で構成するOPECプラスの生産量がロシアを筆頭に日量87万バレル減少するためと説明した。
IEAによると、昨年12月のロシアの原油生産は、欧州連合(EU)の船舶輸送による輸入禁止や、西側諸国の上限価格設定にもかかわらず、減少幅は日量20万バレルにとどまった。
昨年のロシアの原油輸出は5%足らずの増加で、価格はかなり低くなったという。
●悲観論広がる中国Z世代、「コロナ後」の習近平政権に難題 1/18
中国で新型コロナウイルスの感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策が解除されてから迎えた最初の週末。上海のある小さなライブハウスで開催されたヘビーメタルバンドのコンサートでは、薄暗い中で数十人に上る観客の若者がひしめき合い、汗や強い酒のにおいが漂っていた。
これこそが、昨年11月終盤に中国全土へと波及したゼロコロナに対する抗議行動で若者たちが求めていた自由の一端だ。抗議行動はまたたく間に拡大し、習近平国家主席が権力を掌握して以降、10年間で国民の怒りが最も大規模に表面化する事態になった。
中国で1995年から2010年までに生まれた2億8000万人の「Z世代」は、3年にわたるロックダウン(都市封鎖)や検査、経済的苦境、孤立といった試練を経て、新しい政治的な意見の表明方法を発見し、共産党のお先棒をかついでネットに愛国主義的な書き込みするか、そうでなければ政治的には無関心、という従来のレッテルを貼られることを否定しつつある。
一方、指導者として異例の3期目に入ったばかりの習氏は、過去最悪に近い失業率と約50年ぶりの低成長に直面するZ世代を安心させる必要があるものの、それは難しい課題となっている。
なぜなら、若者の生活水準を改善することと、これまで中国を発展させてきた輸出主導型の経済モデルを維持することは、社会の安定を最優先とする共産党と政府に対し、本来的な矛盾を突き付けるからだ。
各種調査によると、Z世代は中国におけるどの年齢層よりも将来に対して悲観的になっている。そして、何人かの専門家は、抗議行動を通じてゼロコロナの解除早期化に成功したとはいえ、若者が自分たちの生活水準改善を実現する上でのハードルは今後高くなっていく、と警告する。
精華大学元講師で今は独立系の評論家として活動しているウー・キアン氏は「若者がこれから進める道はどんどん狭く、険しくなっているので、彼らの将来への希望は消えてしまっている」と指摘。若者はもはや、中国の指導者に対する「盲目的な信頼と称賛の気持ち」を持ち合わせていないと付け加えた。
実際、ロイターの取材に応じた若者の間からは、不満の声が聞こえてくる。先の上海のコンサートにやってきたアレックスと名乗った26歳の女性は「もし指導部が(ゼロコロナ)政策を変更しなければ、より多くの人民が抗議に動いただろう。だから、結局は軌道修正するしかなかった。若者が中国で悪いことなど絶対に起きないという考えに戻ることはないと思う」と述べた。
寝そべり族
特に都市部の若者が抗議活動の先頭に立つのは、世界的な傾向と言える。中国でも1989年の天安門事件につながった最大の民主化運動を指導したのは学生たちだ。
ただ、複数の専門家は、中国のZ世代が習氏にジレンマを与えるような特徴を備えていると分析する。
近年では、中国のソーシャルメディアを利用している若者が、ゼロコロナを含めた同国の政策に批判的な意見に激しくかみつく様子が国際社会の注目を集めてきた。
彼らは、愛国主義的なウェブサイトの背景色にちなんで「小粉紅(little pinks)」と呼ばれるようになり、中国政府が展開する「戦狼外交」や、毛沢東時代に文化大革命の推進役となった紅衛兵に比すべき存在とみなされている。
ところが、パンデミック発生以降、各種規制の下で経済が減速するとともに、そうした猛烈な姿勢のアンチテーゼ的な動きが出現した。ただし、それは西側諸国のようにナショナリズムの台頭に反対するリベラル派とは異なる。多くの中国の若者が選択しているのは「躺平(何もしないで寝そべること)」で、「社畜」としてあくせく働くことを否定し、手に入る物で満足するという生き方だ。
本当のところ、こうした生き方に傾いている若者が、どれくらい存在するのかを示すデータは見当たらない。しかし、ゼロコロナへの抗議の前に水面下で醸成されていた要素はただ1つ。つまり彼らが予想する経済的な将来に対する納得いかない気持ちだ。
コンサルティング会社のオリバー・ワイマンが昨年10月に実施し、12月に公表した中国の4000人を対象に行った調査に基づくと、Z世代はどの年齢層にも増して中国経済の先行きを悲観している。彼らの62%は雇用に不安を抱え、56%は生活が良くならないのではないかと考えている。
これに対して10月に公表されたマッキンゼーの調査を見ると、米国のZ世代は25歳―34歳を除く他のどの世代よりも、将来の経済的機会に明るい展望を持っていることが分かる。
中国でも習政権の始まりのころは、若者の見通しはもっと楽観的だった。
2015年のピュー・リサーチ・センターによる調査では、1980年代終盤に生まれた人の7割は経済環境に肯定的な見方をしており、96%が親世代よりも生活水準が上がったと回答していた。
中国の若者のトレンドを調査している企業の創設者、ザク・ディヒトワルド氏はZ世代について「学習による悲観論だ。これは彼らが目にしてきた事実や現実を根拠にしている」と解説。ゼロコロナに対する抗議は10年前なら起こらなかっただろうが、今の若者たちは上の世代が行使しなかった手法で、自らの声を届ける必要があると信じていると述べた。
ディヒトワルド氏は、近いうちにさらなる社会的騒乱が発生する公算は乏しいとしつつも、共産党は今年3月の全国人民代表大会(全人代)で若者に「何らかの希望と方向」を提示することを迫られていると主張。そうした解決策を打ち出せないと、長期的には抗議の動きが再び活発化する可能性があるとみている。
難しい政策対応
習氏は年頭の演説で、若者の将来を改善することが不可欠だと認め「若者が豊かにならない限り、国家は繁栄しない」と言い切ったが、具体的な政策対応には言及していない。
何よりも社会の安定を専一に思っている共産党が、Z世代により大きな政治活動の余地を提供するとは考えられない。
その代わりに当局は、若者のために高給の仕事を創出し、彼らが親世代と同じように経済的に繁栄する道筋を確保しなければならない、と専門家は話す。
とはいえ、経済成長が鈍化する状況でその実現は難しくなる一方だ。しかも、政治アナリストやエコノミストによると、若者の生活水準を引き上げるための幾つかの政策は、過去20年間にわたって中国経済を15倍に拡大させる原動力となったエンジンを維持する、という別の優先項目とは相いれない。
例えば、Z世代に賃金が上がると期待させると、中国の輸出競争力は低下する。住宅価格をより手ごろな水準に下げれば、近年は経済活動全体の25%を占めてきた住宅セクターが崩壊しかねない。
習氏が2期目にハイテクや他の民間セクターに対する締め付けを強化したことも、若者の失業や就職機会の減少を招いた。
カリフォルニア大学バークレー校の都市社会学者、ファン・シュー氏は、中国政府がいくら「共同富裕」を唱えてもZ世代のために格差を解消するのは、事実上不可能だと言い切る。
シュー氏によると、彼らの親は住宅市場や起業を通じてばく大な富を築くことができたが、そうした面での資産形成は再現されそうにないと強調。格差をなくすとは不動産価格を押し下げて若者が住宅を購入できるようにするという意味で、これは上の世代に大打撃を与えると述べた。
国外に希望
こうした中で一部の若者は、中国国外に夢や希望を追い求めつつある。
大学生のデンさん(19)はロイターに、もう国内で豊かさを手に入れる余地はほとんどないと語り「中国で暮らし続ければ選択肢は2つ。上海で平均的な事務仕事に就くか、親の言うことを聞いて故郷に戻って公務員試験を受け、向上心もなく無為に過ごすかだ」と明かした。彼女はどちらの道も嫌って移住する計画だ。
バイドゥ(百度)のデータによると、上海で2500万人の市民が2カ月間ロックダウンを強いられた昨年の海外留学の検索数は2021年平均の5倍に達した。11月のゼロコロナ抗議騒動の期間も、同じように検索数が跳ね上がった。
アレックスさんは「中国の体制を受け入れるか、いやなら出ていくしかない。当局の力はあまりにも強く、体制を変えることはできない」と達観している。
●中国政府は「高齢者守れず」、コロナ犠牲者の遺族が怒り 1/22
元高校教師のアイリアさんは打ちひしがれていた。85歳の父親が、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)と思われる症状を示した後に亡くなってしまったからだ。家族が暮らす中国南東部の江西省では、同ウイルスの感染が拡大している。
父親は一度も検査されなかったが、アイリアさんと母親は2人とも同じ時期に陽性判定を受けており、アイリアさんは父親の死因も新型コロナだと考えている。
1月21日に始まる旧正月の連休に合わせて、何億人もの中国国民が移動を開始する。その中には、世界最大の人口を抱える中国全土で猛威を振るう新型コロナウイルスにより死亡した親族を弔った後で郷里に向かう人も多い。
多くの人は、悲しみとともに怒りを抱えている。昨年12月、中国は突然、3年にわたって続けてきた検査と移動制限、ロックダウン(都市封鎖)を軸とする「ゼロコロナ」政策を放棄した。遺族らは、その一方で、高齢者を守るための準備は不足していたと言う。
多くの中国国民と同じく、56歳のアイリアさんも経済の再開には賛成だったという。だが12月末、中国が厳格なコロナ対策を放棄した数週間後に、彼女の父親は亡くなった。
「制約からは解放されたかった。でも、こういう形は違う。あまりにも多くの高齢者が犠牲になっている。どの家族にも大きな打撃を与えている」とアイリアさんは電話取材で語った。
中国当局は14日、「ゼロコロナ」政策の終了以降に病院で死亡したコロナ関連の死者が6万人近くに達すると発表した。以前の数字に比べ10倍以上の増加だ。だが国際的な専門家の多くは、これでも過少報告だと見ている。アイリアさんの父親のように自宅で亡くなった人がカウントされていないからだ。
当局者が14日に語ったところでは、犠牲者の90%は65歳以上で、平均年齢は80.3歳だという。
多くの専門家は、中国はせっかく3年にわたって新型コロナをほぼ抑え込んでいたにもかかわらず、その隙に行動制限解除に向けて億単位の高齢者を中心とする国民を守る準備を整えなかった、と指摘する。中国側はこうした批判に反発している。
準備不足として指摘されるのは、高齢者へのワクチン接種が不十分であること、治療薬の供給が不足していることなどだ。
中国当局者は1月6日、60歳以上のワクチン接種率は90%以上だと述べたが、80歳以上でブースター接種を受けた比率は、入手可能な最新データである昨年11月28日の時点で40%にとどまっている。
アイリアさんは、「ウイルスを抑え込むために使ったリソースを高齢者を守るために使ってさえいれば」と言う。中国では政府に対する批判が難しいことから、アイリアさんも取材に応じた多くの人々と同様、フルネームを伏せることを希望している。
中国当局者は高齢者を守ることの重要性を繰り返し口にしており、ワクチン接種の加速や、中国最大の都市である上海におけるハイリスク集団特定のための特別対策チームの設立など、さまざまな対策も発表している。
中国では11月末、「ゼロコロナ」政策に反発して、同国では珍しい広範囲の街頭抗議デモが発生。この後に政府は「ゼロコロナ」政策の終了を決定した。だが、新型コロナ封じ込めを終らせる手法を巡る市民らの不満は、主として、厳しい検閲を受けているソーシャルメディア上で展開されている。
複数のアナリストは、特に都市の中上流層では、新型コロナ対策を巡って政府への信頼が損なわれたと指摘するが、習近平主席や中国共産党による支配に対する脅威にまでなるとは考えていない。
慌ただしく、混乱した弔い
自動車メーカーのマーケティング部門で働くリラ・ホンさん(33)は、3年前に感染拡大が始まった頃、武漢にいた。ホンさんの家族は、新型コロナウイルスについてまだほとんど何も分かっていなかった最初の時期を無事に乗り切ったものの、先月になって、新型コロナに感染した祖父母2人と大叔父を亡くしてしまった。
ホンさんは、父親と連れ立って、混雑する武漢の火葬場に祖父母の遺灰を拾いに行ったと話してくれた。悲痛ではあるが、新型コロナ感染が急増している中国では当たり前の情景になっている。
「(故人への)敬意に満ちた厳かな場面になるはずだ。そう思われるだろうが、実際には、病院で順番待ちをするのと大差なかった」
「行動制限の解除がダメだとは言わない」とホンさんは言う。「もっと準備に時間をかけるべきだったと思う、それだけの話だ」
北京で暮らすジャンさん(66)は、12月上旬以降、新型コロナにより身近な人を4人失っている。その1人、88歳の伯母は入院中にコロナに感染した。
ジャンさんも他の人と同じように、伯母の死から葬儀までの経緯は混乱して慌ただしく、しきたり通りにはできなかったと感じているという。
「親しい人に別れを告げる機会もなかった。(コロナ対策で)人間らしい生活を送れないのであれば、少なくとも人間らしい死に方を許されるべきだ」とジャンさん。「それさえできないのは、とても悲しい」
裏切られた信頼
この記事の取材では、悲しみに沈む遺族7人が思いを語ってくれた。1人を除いて全員が、故人の死亡診断書には死因として新型コロナが記載されていなかったという。だが、愛する人の死を招いたのは新型コロナだと彼らは考えている。
また遺族らは、公式の死亡統計は信用できないと声を揃える。「ゼロコロナ」政策が続いた3年間で、政府への信頼を失ったと口にする人も複数いた。
北京を取り囲む形の河北省出身の学生フィリップさん(22)は、11月のロックダウンに対する抗議デモを支持しているが、行動制限の解除を巡る状況には失望しており、政府に責任があると話す。
「ありとあらゆる権力を握っているように見えるのに、こんなことも上手くやれない。企業のトップだったら辞職ものだ」とフィリップさんは言う。12月30日に78歳の祖父を失った。
「病院には効果のある薬などなかった」とフィリップさん。「ひどく混雑していて、ベッドも足りていなかった」
祖父が亡くなった後、別の患者のために空けるべく、遺体はすぐにベッドから下ろされたという。
「看護師も医師もひどく忙しそうだった。ひっきりなしに死亡診断書を書いて、遺族にコピーを渡していた。あまりにも多くの人が亡くなった。大きな悲劇だ」
●スウォッチ、22年売上高は2.5%増 今年の中国市場回復を楽観 1/24
スイスの大手腕時計メーカー、スウォッチ・グループは24日、2022年の売上高が74億9000万スイスフラン(約81億3000万ドル)と2.5%増加したと発表した。23年については、新型コロナウイルスの影響からの中国市場の回復と、中国人の海外旅行再開に楽観的な見方を示した。
為替変動の影響を除外したベースで見ると売上高は4.6%増で、目標の2桁増には届かなかった。中国で新型コロナの感染拡大を防止するためのロックダウン(都市封鎖)が頻発、販売が大きく落ち込んだ。
純利益は前年の7億7400万フランから8億2300万フランに増加した。
スウォッチは「グループの経営陣は、23年には全ての地域とセグメントにおいて売上高が大きく伸びると予想している」と説明。
「コロナ規制の撤廃後、中国だけでなく、周辺市場の香港やマカオでも消費が急速に回復した。また、中国での旅行規制の解除により、観光地での販売も活性化する」とした。 
 
 
春節後の中国
春節とは、中国・中華圏における旧暦の正月(旧正月)です。全世界の華人にとって最も大切で伝統的な祝日です。2023年の春節は1月22日(日曜日)となり、休み期間は1月21日から1月27日まで7連休になります。 
●中国「ゼロコロナ」終了後 初めての春節 寺院や公園に大勢の人 1/22
中国では22日、厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策が終了してから初めてとなる旧正月の春節を迎え、各地の寺院や公園などは大勢の人でにぎわっています。旧暦で正月を祝う中国では22日が元日に当たり、各地で新年を祝う行事が開かれています。
このうち、首都 北京にあるチベット仏教の寺院「雍和宮」には朝から家族連れや地方から旅行で来た人たちなどが大勢詰めかけ、入り口には長い行列ができていました。
訪れた人たちは混雑する境内で、長さ30センチほどの線香を顔の前に掲げて熱心に祈りをささげていました。
北京市内から娘と一緒に訪れた母親は「新型コロナウイルスの感染拡大でさまざまな方面に影響が出ていますが、毎年春節に参拝するのは中国の伝統ですから、来てよかったです」と話していました。
ことしは、中国政府が「ゼロコロナ」政策を終了させてから初めての春節で、これまでの厳しい行動制限が無くなったことから、前後の40日間に延べ21億人近くが移動するとみられ、農村部での感染拡大が懸念されています。
こうした中、習近平国家主席は今月18日に「最も心配なのは農村と多くの農民だ」と述べ、オンライン形式で地方の幹部などに、ぜい弱な医療体制の強化を指示しています。
「13日〜19日 1万2658人が医療機関で死亡」中国が発表
中国で感染症対策を担う中国疾病予防センターは、新型コロナウイルスに感染して医療機関で死亡した人が、今月13日から19日までに1万2658人になったと発表しました。
中国政府が死者数の発表を行うのは今月14日以来です。
発表では呼吸不全で死亡した人が681人で、合併症で死亡した人が1万1977人だとしています。
中国では21日から旧正月の春節の大型連休が始まり春節前後の40日間で延べ21億人近くが移動すると見込まれる中、農村部などへの感染拡大も懸念されています。 
 
 
  
新しいコロナ拡散の米国 
●米国で急拡大、オミクロン株の派生型「XBB.1.5」とは? 1/6
中国を含む世界のほとんどの国がウィズコロナ戦略に舵を切った2022年12月。米国では極めて高い免疫回避力をもつオミクロン株の派生型「XBB.1.5」への感染が急拡大している。これらの最新情報と共に、この1カ月の新型コロナウイルスに関する動きを振り返る。
中国が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延に喘いでいる。2022年11月まで「ゼロコロナ」政策を掲げ、厳しい規制と都市封鎖で感染者数を制御してきた中国は、各地で発生したゼロコロナ戦略への抗議運動を受け、12月7日に規制を大幅に緩和した。これにより北朝鮮を除く世界のほぼすべての国々が、「SARS-CoV-2」と共に生きる「ウィズコロナ」戦略に舵を切ったことになる。
しかし、これまで感染者数が少なかった中国では規制緩和と共に感染爆発が起きた。英国の調査機関エアフィニティーの試算によると、22年12月29日時点で1日あたりの感染者数は約180万人、死者は約9,000人にのぼるという。同社の推定では、中国の感染者数のピークは23年1月13日で1日あたり370万人、死亡者数のピークは1月23日で1日あたり最大25,000人になる試算だ。こうした中国の状況に伴い、世界では中国からの渡航者に検査を実施する国も出てきている。
さらに、米国では「XBB.1.5」と呼ばれるオミクロン株の変異株が確認され、21年末に南アフリカで報告されたオミクロン株の従来株を思わせるスピードで感染を急拡大している。また、インフルエンザの流行に伴ってSARS-CoV-2との同時感染も多数報告されている。新型コロナウイルスと世界のいま、22年12月の動向を振り返ろう。
免疫回避力が高い新たな変異株「XBB.1.5」
米疾病管理予防センター(CDC)の報告によると、22年12月30日時点で米国のCOVID-19の40%以上が「XBB.1.5」によるものだという。この変異株は12月半ばから感染者数を倍増させており、入院患者も急増している。
このXBB.1.5は、オミクロン株(BA.2.75とBA.2.10.1)の組み換え体である「XBB」と呼ばれる変異株の子孫だ。組み換えとは、ふたつの異なるゲノムまたはウイルスの遺伝物質が組み合わさってハイブリッド化するもので、ふたつの異なる系統のウイルスが宿主に同時感染して結合することで生じると考えられている。
厄介な点は、組み換えウイルスはランダムな突然変異とは異なり、ワクチンや感染からつくり出された抗体やその他の遺伝的障害に適応したもの同士が結合することで、ウイルスが免疫を逃避しやすくなることだ。
医学分野のプレプリントサービス「medRxiv」に公開された東京大学の査読前論文によると、XBB型は免疫逃避に関連する置換と感染性を高める置換のペアを、たった1回の組み換えで2セットも獲得したという。この2組の置換基をもつことが、XBBがオミクロン系統の変異株より高い実行再生産数[編註:ひとりの感染者が平均で何人に病原体を伝播するかを推定する数値。生物学的特徴と個人の行動を考慮している]を示す原因のひとつと考えられている。同じ論文では、先行するほかのオミクロン変異株のブレイクスルー感染でできた抗体に対する回避力をより強化させており、これまで確認されたなかで最も免疫回避力が高い株である可能性が示唆されている。
さらに別の査読前論文によると、XBBの子孫であるXBB.1.5には「S486P」と呼ばれるタンパク質の突然変異がある。これは細胞の侵入口として使われるACE2受容体に結合しやすくなる作用があるとみられ、感染力がより高まることを示唆している。
医学学術誌『CELL』で報告された論文は、ワクチン接種者(BA.5対応の2価ワクチンのブースターを含む)と感染者の血清による「BQ.1」「BQ.1.1」「XBB」「XBB.1」の中和が著しく阻害されたことを公表している。それによると、BQ型に対する血清の中和力は3〜81分の1になっていたほか、XBB型にいたっては66分の1〜155分の1に低下しており、これまでにないほど低値だった。
また、最初のオミクロン株(BA.1)を中和できていたモノクローナル抗体は、BQ型とXBB型の変異株にはほとんど効果がないこともわかっている。これらの変異株は認可されているすべての抗体を不活性化し、免疫の回避に有利になったことで集団内で優勢になった可能性がある。このため現行のワクチンにとって重大な脅威になる可能性がある。
また、この変異株はCOVID-19の最も致命的なデルタ株ほどではないが、ケンタウロス株(BA.2.75)と同等の致死率であると推定されている。
小児インフルエンザと新型コロナウイルスの同時感染は重症化しやすい?
米疾病管理予防センター(CDC)の22年12月16日号に掲載された報告によると、18歳未満の小児患者におけるインフルエンザとSARS-CoV-2への同時感染に関するデータが発表されている。
研究者らは、小児インフルエンザによる入院の6%(575例中32例)と、小児インフルエンザによる死亡の16%(44例中7例)において、SARS-CoV-2の同時感染が起きていたことを明らかにした。2種のウイルスの同時感染はより重症化しやすい傾向があることがうかがえる。
また、SARS-CoV-2に感染している患者のほうが、感染していない患者よりも人工呼吸器を装着した割合が高く(13%対4%)、二相性気道陽圧呼吸器または持続気道陽圧呼吸療法の使用率も同時感染の患者では高い傾向があった(16%対6%)。死亡した7例は、いずれもインフルエンザワクチンの接種を受けておらず、インフルエンザ抗ウイルス薬の投与を受けていたのは1例だけだったという。
経口抗ウイルス剤「モルヌピラビル」の効果は限定的?
SARS-CoV-2の経口抗ウイルス剤「モルヌピラビル」は、当初はCOVID-19による入院や死亡を約30%減少させられるとの報告があった。ところが、このほど医学学術誌『The Lancet』に掲載された論文によると、ワクチン接種を受けた高リスクの成人におけるCOVID-19関連の入院または死亡を減少させることはできなかったという結果が発表されている。
ただし、モルヌピラビルを処方された患者はウイルス量が減少し、通常のケアを受けた患者よりも約4日早く回復できており、陽性期間を短縮できていた。なお、対照群の患者の平均罹病期間は15日で、モルヌピラビル群は9日である。
注視すべきは、モルヌピラビルが引き起こすSARS-CoV-2の変異だ。この薬はウイルスの複製時に多くの複製エラーを引き起こすことで増殖を止める。効果が期待できない患者への抗ウイルス剤の使用はウイルスの耐性を高めると、今回の論文は警告していた。また、動物実験では先天性異常を誘発しうることが示唆されており、妊婦への処方は禁忌とされている。
今回の研究では、大規模なモルヌピラビルの使用は新たな変異株を生み出す理論的なリスクがあると示唆されるにとどまっている。一方で、ある査読前論文によると、症状が快癒しない免疫不全患者において、治療開始から数日以内に患者において多数の低頻度の突然変異が検出された。これらの新しい突然変異は持続し、場合によってはウイルス集団に固定化されることもわかっている。
なお、その査読前論文では、モルヌピラビルで治療したすべての患者は、ウイルスのスパイクタンパク質にアミノ酸配列が変化する新しい変異を獲得していたという。この研究は、免疫不全患者においてモルヌピラビルはウイルスの変異を促進し、新しい変異株を生み出してパンデミックを長引かせる可能性を示唆している。
新型コロナウイルスのパンデミックから3年が経過し、未感染だった中国の巨大な人口プールが新たな変異株を生む温床になった。わたしたちはいま、ワクチンでつくられた抗体や自然感染による抗体と、オミクロン系統の変異株との複雑な相互作用によって生じる多様様化したSARS-CoV-2を、どう制御するかの問題解決を迫られている。
このほど現れたXBB.1.5はさらに、組み換えによって獲得される“有利な変異”が、SARS-CoV-2に抗体をもつ集団内でも容易に感染できる事例となった。ワクチンや自然感染でできた抗体は、もはや感染予防にはほぼ意味がなく、これまで使用されていたモノクローナル抗体もほとんど効果がないことがわかった。
そしてこの変異株は、オリジナルのオミクロン株(BA.1)よりさらに多くの人々に入院を迫る可能性もある。SARS-CoV-2が今後どうなるのか予測が難しくなっているいま、わたしたちには新たな“武器”と戦略が必要とされているのだ。
●オミクロン株新系統「XBB・1・5」、アメリカの新規感染の5割…米CDC推計  1/21
米疾病対策センター(CDC)は20日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の新系統「XBB・1・5」が米国の新規感染の約5割を占めるとする推計を公表した。XBB・1・5は免疫から逃れる能力が高く、これまでの系統の中で最も感染が広がりやすいとみられていることから、米国内で警戒が強まっている。
CDCは1週間ごとに、新規感染に占める各系統の割合を推計値として公表している。XBB・1・5は、昨年12月3日までの1週間で2・4%だったが、今月21日までの1週間では、49・1%にまで増えた。北東部の地域では8割以上を占めている。18日時点で米国内の1週間の新規感染者数は約33万人となっている。
世界保健機関(WHO)は11日、「全体的な信頼性は低い」とした上で、XBB・1・5が「感染者数増加の一因になっている可能性がある」との初期のリスク評価を公表した。
XBB・1・5は日本国内でも確認されている。  
 
 
三つの「密」を避けて行動しましょう
1. 換気の悪い 「密」閉空間
2. 多数が集まる「 密」集場所
3. 間近で会話や発声をする「密」接場面 
  
 
感染対策 6つのポイント
1. マスク着用・手洗い・寒くても換気の徹底
2. 屋外でも、人と人との距離を十分にとる
3. 体調が悪ければ無理な登校・出勤はやめましょう
4. 会食時は大皿・箸の共用は避け、会話時はマスク
5. マスクをしていても大声を出して騒がない
6. 帰省時など県外との往来の際は特に注意
 
 
 
 


2023/1