「トランプ帝王」 顔見せ興行

本当に 一国の主になれるのか
世界動乱の始まり

日本も これから4年間
朝貢 参勤交代 土下座 強いられるのでしょう
外交 バラマキも水泡 
良い機会  国内経済の強化 真剣に向き合いましょう
 


 
記者会見
敵の敵は味方

 

 
トランプ次期大統領の記者会見[要旨]
アメリカのトランプ次期大統領は、来週の大統領就任を前に、日本時間の12日午前1時すぎからニューヨークのトランプタワーで、300人以上の報道陣が集まる中、去年7月以来、およそ半年ぶりとなる記者会見を開きました。
「いくつかの報道機関は私をきちんと扱わなかった」
記者会見の冒頭でトランプ次期大統領は、大統領選挙後、記者会見を開いてこなかったことについて、「あまり正確でないニュースが出ていたので会見をやめていた。いくつかの報道機関は私をきちんと扱わなかった」と述べました。
また、主要メディアがロシアの情報機関がトランプ次期大統領の弱みを握るため不名誉な個人情報をつかんでいる疑いがあると伝えたことについて、「それは偽のニュース、フェイクニュースだ。そんなことはなかった。私たちの敵対勢力からの情報だ」と述べました。
この疑惑を報じたCNNテレビの記者が質問しようとすると、トランプ次期大統領は「あなたの会社はひどい。質問させない。あなたのところは偽のニュースだ」と述べ、記者と激しい応酬になる一幕もありました。
「史上最多の雇用生み出す大統領になる」
トランプ氏は記者会見で、「史上、最も多くの雇用を生み出す大統領になる。きちんと結果を出す仕事をしていく」と話しました。
そして、「中国のネット通販最大手、アリババグループのジャック・マー会長など、多くのすばらしい人たちがアメリカにやってきている。彼らはこれからすごいことをするだろう。選挙結果が違っていたら、こうした人たちは別の国に行っていただろう」と自身の成果を強調しました。
また、これまでアメリカ国内の雇用が奪われているとしてメキシコに生産拠点を置く自動車メーカーへの批判を繰り返してきましたが、「ここ数週間で経済にとってすばらしいニュースがあった。大手自動車メーカー、フォードがメキシコへの工場の移転計画を撤回した。フォードに感謝したい。大手自動車メーカー、GM=ゼネラル・モーターズもフォードなどの動きに続くことに期待している」と述べました。
批判の矛先は製薬会社にも向けられ、トランプ氏は「製薬産業はさんざんたる状況だ。製薬メーカーは、たくさんの薬を供給しているがかなりの部分をアメリカで作っていない。適切な価格で購入し何十億ドルという費用を支払わずにすむようにする」と話し、薬の価格の引き下げを求める考えを示唆しました。
そのうえで、「ミシガンやオハイオなど私が選挙で勝利した場所でメキシコなどの外国に工場を移転するために従業員をすべて解雇するようなことはさせない。おとがめなしで海外移転しようとする企業には高い関税をかける」と述べました。
さらに、海外移転しようとする企業に対しては「国内にも競争力があり移転可能な場所はたくさんある。ミシガンからテネシーなどに移転すればいい。私は何も競争力を奪おうとしているわけではない」と生産拠点の移転はアメリカ国内ですべきだという考えを強調しました。
「ハッキングはロシアがやったと思う」
オバマ政権下で悪化しているロシアとの関係についてトランプ氏は、「ロシアとはひどい関係なので、プーチン大統領が私のことを気に入ってくれるのなら、それは財産だ。ロシアは過激派組織IS=イスラミックステートとの戦いで助けになる。ただ、うまくやっていけるのかどうかはわからない。うまくいくことを望む」と述べました。
そのうえで、自分自身とロシアとの関係を問われたトランプ氏は「ロシアとは一切取り引きがない。借りもない。取り引きしようと思えばできるが、利益相反になりかねないのでやらない」と述べました。
また、大統領選挙でロシアがプーチン大統領の指示のもと民主党のクリントン氏を妨害しトランプ氏を助けるため妨害活動を行っていたとする情報機関の分析結果に関し、「ハッキングはロシアがやったと思うが、われわれはほかの国にもハッキングされている。最近、2200万件の情報がハッキングされたが、やったのは中国だと思う。守りをしっかりしなければならない。民主党はハッキングされることに無防備だった。とてもひどかった」と述べました。
そのうえで、「プーチン大統領はハッキングすべきでなかったし、これからはやらないだろう。ロシアは私が大統領を務めている間は、ほかの人が大統領の時よりも、わが国により敬意を払うだろう」と述べました。
「大統領職に専念したい」
トランプ氏は、大統領としての職務と不動産業などみずからの事業との間で利害が生じる利益相反の問題が起きる可能性があると批判が出ていることを踏まえ、「私は大統領の職務とみずからの事業をうまく両立することができる。だが、大統領職に専念したい。今後は息子2人が会社を経営する。彼らはプロとして業務にあたり、私に相談することはない」と述べました。
さらに、みずからの政権への起用を明らかにしている人材についても利益相反の懸念が出ていることに対して、「最高の政権メンバーだ。例えば、国務長官に指名した大手エネルギー会社エクソンモービルの前のCEOティラーソン氏は企業経営の手腕がすばらしい。アメリカは外国に遅れをとっているため政権に最高の人材を起用したい」と説明しました。
日本を名指し「貿易の不均衡是正が必要」
貿易政策についてトランプ氏は、「悪い取り引きばかりして貿易で多額の損失が出ている。中国や日本、メキシコなど、どの国とも良い取り引きができておらず、貿易の不均衡となっている」と述べ、中国などとともに日本を名指しして貿易の不均衡を是正する必要があると訴えました。
さらに、「ロシアをはじめ、中国などほかの国々はアメリカを最大限、経済的に利用してきた。中国にいたっては南シナ海に巨大な要塞も作っている。だが、ロシアや中国、日本、メキシコなどすべての国が、今後は、これまでのアメリカのどの政権に対してよりもはるかに大きな敬意を払うことになるだろう」と述べました。
オバマケア「できるだけ早く廃止し別の制度に」
事実上の国民皆保険を目指す医療保険制度改革、いわゆるオバマケアについてトランプ氏は、「最悪の制度だ。間違った方向にあなたを導いている。自己負担の保険料が高く、人々は保険料を払うために破産寸前となり、高額なためにその制度を利用することさえできない」と批判しました。
そのうえで、「厚生長官が承認されしだいできるだけ早く廃止し、ほぼ同時に別の医療保険制度に替える。新しい制度では、ずっと安く、はるかによいものになる」と述べました。
「メキシコ国境沿いの壁建設 すぐに交渉始める」
メキシコとの国境沿いに築くとしてきた壁についてトランプ氏は、「就任後すぐにメキシコ政府との交渉を始める。交渉を終えるまでに1年半ぐらいはかかるだろう。ペンス次期副大統領が壁建設を始めるため、議会などを通じて最終的な承認を得る努力を主導してくれている。メキシコ政府との合意に至る前に、すぐに壁の建設を始める」と述べました。
そのうえで、「メキシコ政府が私たちに壁の費用を払い戻す。それは税金をとる形か、代金の形なのか、たくさんの形があるが、確実にメキシコ政府が支払うことになる」と述べました。
また、メキシコとの関係について、「メキシコ政府を尊敬し、メキシコ人を愛している。私のために働いてくれている多くのメキシコ人がいる。驚くべき人々だ。しかし、メキシコ政府はひどい。メキシコはアメリカを利用してきた。それを許すべきではなかったし、今後、それが起こることはない」と述べました。
連邦最高裁判事の欠員「指名は2週間以内に」
トランプ氏は連邦最高裁判所の判事の欠員について、「20人ほどの候補者リストがあり、この中から選ぶ。非常に多くの候補者に会ったが、すべてにおいて傑出している」と述べました。
最高裁判事をめぐっては、去年2月、保守派のスカリア判事が死去したため、判事1人が欠員となり、保守派とリベラル派が4人ずつできっ抗する異例の事態となりました。
民主党のオバマ大統領は、スカリア判事の後任を指名したものの、野党・共和党が反対したため承認されていません。
トランプ氏は「すばらしかったスカリア判事の後任に誰を指名するかは私が決断する。それは私が大統領として選ばれた1つの大きな理由だと思うからだ。人々は、今、最高裁判所で起こっていることを見たくないと思っているからこそ私が選ばれた。判事の人事はとても重要な決断だと思っている」と述べました。
そして、指名の時期について「1月20日から2週間以内になるだろう」と述べました。 
 
トランプ次期大統領 大統領選後初の記者会見 米利益最優先を強調
アメリカのトランプ次期大統領は、大統領選挙後、初めてとなる記者会見を開き、「日本などとの貿易でアメリカは多額の損失を被っている」などと述べ、日本についても挙げながら、貿易の不均衡を是正してアメリカの利益を最優先に確保していく姿勢を強調しました。
トランプ次期大統領は、来週の大統領就任を前に、日本時間の12日午前1時すぎからニューヨークのトランプタワーで、300人以上の報道陣が集まる中、去年7月以来、およそ半年ぶりとなる記者会見を開きました。
この中で、トランプ氏は、新しい国務長官に大手エネルギー企業エクソンモービルの前CEOのティラーソン氏を指名したことに言及し、「次期政権には優秀な人物を起用したい。アメリカの貿易交渉は悲惨な状況で、中国、日本、メキシコなどとの貿易で多額の損失を被っている」と述べました。
そのうえで、大手自動車メーカーのフォードがメキシコに工場を移転する計画を撤回したことなどを評価し、「自分は史上、最も雇用を生み出す大統領になる」と述べ、貿易不均衡の是正や国内の雇用確保に全力を挙げ、アメリカの利益を最優先に確保していく姿勢を強調しました。
また、トランプ氏は、これまで、シリア政策などでロシアと協力を目指す姿勢を示していましたが、会見の中で「プーチン氏が私を気に入っていることは財産だ。ただ、うまくやっていけるのかどうかはわからない。うまくいくことを望む」と述べ、これまでの発言に比べ慎重な見方を示しながらも関係改善への意欲を改めて示しました。
一方、大統領選挙でトランプ氏を後押しするためにロシア政府が民主党のクリントン氏の陣営にサイバー攻撃を仕掛けたとするアメリカの情報機関の見方について、「ロシアは選挙に干渉した」と初めてロシアの関与を認める一方で、「民主党はハッキングされることにとてもオープンだった」と述べ、批判の矛先は民主党に向けました。
また、ロシア政府がトランプ氏の弱みとなる情報をつかんでいる疑いがアメリカのメディアで報じられたことについては、「事実ではないフェイクニュースだ」として、報じたメディアを名指しして厳しく批判するとともに、そのメディアの記者に対して「あなたの質問は受けない」と質問を拒むなど、メディアとの対決姿勢を示しました。
メキシコ国境にすぐに壁建設
トランプ氏は、メキシコとの国境沿いに築くとしてきた壁について、「メキシコに費用を負担するよう交渉するが、その結果を待たずに、すぐに壁の建設を始める」と述べて、あくまでも建設を進める考えを強調しました。
また、オバマ大統領が推進した医療保険制度改革、いわゆるオバマケアについて「オバマケアは最悪の制度だ」と批判したうえで、「就任後できるだけ早く廃止し、ほぼ同時に別の制度に入れ替える」と述べて、早期に撤廃する考えを示しました。
一方、社会を2分するような重要な問題をめぐって司法判断を行う連邦最高裁判所の判事のうちの1人が去年死去し、全米の関心が集まっている後任の人選について「大統領に就任後、2週間以内に指名する」と述べ、速やかに対応していく考えを強調しました。
最も多く雇用生み出す大統領に
これまでアメリカ国内の雇用が奪われているとしてメキシコに生産拠点を置く自動車メーカーへの批判を繰り返してきたトランプ氏は、会見で、「経済にとってすばらしいニュースがあった」と述べ、大手自動車メーカーのフォードがメキシコに工場を移転する計画を撤回したことなどを評価しました。
そして、「史上、最も多くの雇用を生み出す大統領になる」と述べて、雇用の創出に力を入れる姿勢を強調しました。
また、「製薬メーカーは、たくさんの薬を供給しているが、かなりの部分をアメリカで作っていない。国内に戻さなければならない」と述べ、批判の矛先を製薬メーカーにも向けました。
そのうえで、トランプ氏は「企業が生産拠点をメキシコに移した場合、雇用を生み出すことができなくなる。国境を越えてアメリカで売ろうとすれば高い関税を支払うことになる。海外に移転しておとがめなしは許さない」と述べ、海外に拠点を移した企業に高い関税をかけるという従来の主張を改めて訴えました。
一方、トランプ氏は「アメリカは悪い取り引きばかりして貿易で多額の損失が出ている。中国、日本、メキシコと良い取り引きができていない」と述べて、日本も名指しして貿易の不均衡を是正する必要があると訴えました。
「メディアに対する敵対的で否定的な姿勢は変わらず」
記者会見のあと、アメリカの公共ラジオNPRで長年、ホワイトハウスや議会担当の記者を務めてきたマーラ・ライアソン氏は、NHKのインタビューに対し、「トランプ氏のメディアに対する敵対的で否定的な姿勢は、選挙期間中と何ら変わるものではなかった。私もロシアに関する質問をしたが、彼は答えなかった。トランプ氏は、大統領に就任してからも同じ姿勢を示すのだろう。一部メディアの質問を受け付けなかったが、私はこれが新政権の今後の特徴になると思う」と述べました。
そのうえで、「大統領と記者は常に緊張関係にある。トランプ次期大統領との間はいつもより厳しい関係になりそうだが、私は懸念していない。記者としての仕事を全うするだけだ」と話していました。 
 
トランプ氏初会見 6つの重要ポイント
ドナルド・トランプ次期米大統領が11日、当選後初の記者会見を行った。質疑応答のテーマはロシアとの関係や自身のビジネスの利益相反、そしてメキシコとの国境に建設する新たな壁などについて多岐にわたった。以下に主な要点をまとめる。
米民主党へのサイバー攻撃について「ロシアだったと思う」
トランプ氏は会見の中で、ロシアが米大統領選に影響を及ぼそうとしてサイバー攻撃を仕掛けたと初めて発言した。同氏はハッキングをしたのは「ロシアだったと思うが、われわれは他の国や他の人たちからもハッキングをされる」ことがあると説明。また、政権発足後90日以内に他国政府によるハッキングについての報告書をまとめるとした。トランプ氏はロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「このようなことをするべきでなかった」とも話し、今後行われる米国の選挙に干渉することがないよう警告をした。
トランプ氏を脅迫できる情報をロシアが把握との報道は「いんちき」
トランプ氏を脅迫するのに利用可能な情報をロシア政府が握っているとする、真偽の確認されていない主張に関しての報道について、同氏は強く否定。「すべては偽りのニュースだ。いんちきな情報だ。そのようなことはまったくない」とした。同氏の関係者や選挙陣営に関わった人物が選挙期間中にロシア政府と連絡を取り合っていたかという質問に対しては、返答をしなかった。またサイバー攻撃への対抗措置としてオバマ政権が導入した対ロ制裁などを維持するのか、あるいは緩和するのかについての複数の質問にも答えなかった。
ファミリー企業の経営権は息子たちに
会見では利益相反を避けるためにトランプ氏がどのようなかたちで事業から身を引くかの説明も行われた。同氏の弁護士を務めるシェリ・ディロン氏によれば、まず大きな変更としてトランプ一族のファミリー企業である「トランプ・オーガニゼーション」の経営権はトランプ氏の息子たちに引き継がれる。トランプ氏は経営には参加せず、経営に関する情報も得ることなく、また企業側には倫理担当役員も設置されてビジネス活動や売買契約を監視するという。一部にはトランプ氏が事業を完全に売却すべきだとする声もあるが、ディロン氏によればそれでは利益相反の恐れが残るという。
製薬価格決定の仕組みを批判
トランプ氏は会見の中で製薬会社の批判を展開し、「殺人を犯しながら罰を逃れている」と発言した。また政府が製薬を購入する方法を変更し、「数十億ドルの支出を削減する」とも主張。「製薬会社はロビー活動も活発で、ロビイストも多く、多大な力を持っている」とする一方で、「製薬については入札も少ない。われわれは世界で最も多くの製薬を購入しているが、正しい入札は行われていない。これからは入札手続きを行い、一定期間の間に数十億ドルの支出を削減する」とした。製薬会社の株価は11日に下げに転じた。
最高裁判事の決定は就任後速やかに
トランプ氏は1月20日の就任式から2週間以内に最高裁判事の指名を決定するとした。去年2月にアントニン・スカリア判事が亡くなったため最高裁では欠員が生じているが、トランプ氏はその席を埋めるためにすでに何人かの候補者と面談を実施していると話した。
メキシコとの国境の壁について
メキシコとの国境沿いに建設する壁の建設費用については、まず米納税者に負担を求め、その後メキシコ政府に払い戻しをさせる考えを示した。トランプ氏は壁の建設を速やかに実現させるために、まずは米議会が資金を拠出することが望ましいと話した。会見では「私は待ちたくない」とし、「1年や1年半も待つ気はない。すぐに建設を始めることを望んでいる」と続けた。 
 
会見評価

 

 
トランプ次期米大統領が当選後初会見:識者はこうみる
トランプ次期米大統領は、当選後初となる記者会見を開き、海外移転企業に対しては重い国境税を課す方針や薬価改革などを表明した。
しかし、具体的な経済成長促進策を示さなかったため、11日のニューヨーク市場ではドル強気筋の失望売りが広がり、対円で一時114円台までドル安/円高が進む場面があった。市場関係者のコメントは以下の通り。
JPモルガン
トランプ氏の会見で財政出動や減税などマーケットが期待する政策内容についての発言がなかったことで、ドル/円が一時114円台前半まで円高に進行した。だが、その後は115円台前半まで持ち直していることから、市場の反応は失望までは至っていないのだろう。
会見はロシアに関連した質疑応答も多く、内容の全てを消化しきれていないといった印象だ。貿易不均衡について日本が批判されたことは不安材料で、今後も次期大統領のツイッターなどでの発言について注意が必要だ。市場の関心は1月20日の同氏の大統領就任式での演説に移っている。経済政策に関する踏み込んだ発言を待つ様子見の相場展開となろう。
みずほ銀行
トランプ氏はトランプ氏のままだった。昨年11月以降、次期米政権の財政刺激策のもとでインフレと利上げが期待されたトレードが続いていたが、これは現職大統領ともなれば過激な保護主義政策を改めて「大人の対応」を心掛けるのではないかという見方がベースにあったからだ。
ただ、今回の会見は、今後の通商摩擦を予感させる部分が多かった。対米貿易黒字の大きな国として中国、メキシコに並んで日本も名指しされており、おそらく今後はドイツも槍玉に挙がってくるはずだ。今後、対米貿易黒字の大きな国から順に糾弾するような政策運営が行われる可能性がある。日本とは経済を重視した現実的な関係が築けるかと思われていたが、昨日の会見を見る限り、やや不安に思う部分もあった。
会見前は、ドルへの言及がなければドル高容認と受け止められてドル高になるとの解説が多かったが、実際は保護主義が前面に押し出された会見であり、ドル売り/円買いで反応したのは当然だろう。会見中からうかがえたトランプ次期大統領の政策スタンスを踏まえる限り、やはり今後の円安を予想するのは勇気がいる。
SMBC日興証券
トランプ氏は、ここ数週間の自らの対企業バイラテラル交渉の成果を挙げ、国境税の導入を強く示唆するなど、自らを支持した中間層のための政策を重要視するスタンスを強調した。これまで一貫している富裕層優遇政策のみではないということを明らかにした。
ただし、企業のマージンを犠牲にしかねない点や、輸入企業のデメリットなどを考えれば、先に上げた「国境税」の法制化のハードルは高く、他方、恫喝とも捉えられかねないバイラテラル交渉にも限界がある。
結果的にいずれ、通貨政策、つまりドル安政策の重要性が議論される可能性が高いとみている。
トランプ氏は会見で、対米貿易黒字を抱える中国、日本、メキシコを名指しにしたが、中国ほどではないものの、巨額の経常黒字を抱える日本の円が増価すべきとの考えは理にかなうものであり、今回の発言で日本が取り上げられたことを軽視すべきではないだろう。
さすがに20日の就任早々に日本が槍玉にあがることはなさそうだが、今後、米企業業績の悪化、貿易赤字の拡大、その他の経済指標の伸び悩みなど、トランプ新大統領に逆風が吹き始める局面では、対日批判が強まる可能性があるだろう。
当面はドル/円の急落を心配する必要はないと思われるが、ダブルトップとなった日足チャートは引き続き調整を示唆しており、110円近辺が短期的な下値メドになるとみている。
大和証券
トランプ次期米大統領の会見内容に意外感がなかった。市場には、経済・財政政策への具体的な言及を期待する声もあったが、米大統領就任前のタイミングで戦略を練り切れていないのだろう。新政権の閣僚人事が取り沙汰される中で、安全運転に徹した印象だ。
トランプ次期米大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げて、景気重視の姿勢を打ち出している。会見では「メキシコとの壁」や「中国・日本・メキシコとの巨額の貿易赤字」に触れた。シンボリックな内容に言及することで、政策を強調したかったのだろう。
大統領就任式後に一般教書演説がある。市場は政策の実現性を見極める展開が続くだろう。朝方は円債市場は、外部環境からの追い風を受けていったん買われているが、上値は限定的だろう。 
 
トランプ初会見は大荒れ、不安だらけの新政権
<大統領就任を目前に控えて当選後初の記者会見を開いたトランプ。CNNの記者と非難の応酬になったり、自分のビジネスの「利益相反」問題への対策は不十分だったりと、見えたのは不安な要素ばかり>
現地時間の今週11日、ドナルド・トランプ次期大統領は当選後初めての記者会見を開きました。場所は例によって、ニューヨーク五番街の「トランプ・タワー」で、ここにワシントンの「ホワイトハウス番」記者たちがゾロゾロ移ってきて、このイベントは開催されました。
注目された会見ですが、中身は大荒れでした。まず、冒頭にホワイトハウスの報道官に内定しているショーン・スペシア氏が登壇したのですが、大統領選挙におけるロシアのハッキング疑惑に関わるCNNなどの報道姿勢をいきなり非難、さらにトランプ氏を「紹介」するために出てきたペンス次期副大統領も同じような批判をしていました。
トランプ氏本人は「この場所で大統領選の出馬宣言をしたことを思うと感慨深い」などと最初は落ち着いた語り口でした。ですが、やがて話題が進むにつれて「いつもの」放言スタイルに逆戻りして、CNNのジム・アコスタ記者との間では、激しい非難の応酬まで飛び出す始末でした。
内容としては、大きく3つに分けられると思います。まずロシアのハッキング疑惑をめぐってですが、CNNに代表されるアメリカのメディアは、とにかくこの問題を中心に「次期政権を追及」という構えで来ていただけに、トランプ氏側も「受けて立つ」と言わんばかりの「ケンカ腰」という感じで終始していました。
要するに、「ロシアがハッキング行為を行ったようだ」(これはトランプ氏も否定していません)という話がまずあり、「従って大統領選が歪められた」とか「ロシアとトランプ陣営は癒着している」というような話に発展しているのです。
この問題では、トランプ氏とその周辺は、CIAなどの諜報機関(インテリジェンス・コミュニティ)と激しく敵対し、同時にCNNなどの報道姿勢を「虚偽報道」だとして非難しています。これに対して民主党関係者やメディアは、「安全保障の根幹をなす諜報機関との確執を抱える政権では、アメリカの安全は確保できない」として、とにかくこの問題でトランプ氏を追及する構えでしたが、今回の会見では「対立の激しさ」だけが浮き彫りになった格好です。
2番目は、フォードにメキシコ工場新設を断念させて、ミシガンで工場を拡張させたというような、自動車産業などの「空洞化」への「介入」についてです。これは、次期大統領としては「ここ数週間、力を入れてきた」問題と胸を張っていました。ちなみに、トランプ氏の要求を拒否しているGMには「フォードに追随してもらいたい」と「やんわりと圧力」をかけていましたが、トヨタに関する言及はありませんでした。
3番目は大統領職と、企業の経営者という「二足のわらじ」を履くことでの「利害相反問題」です。この問題が実は今回の会見の注目点でした。というのは、本来はこの会見は昨年末の12月15日に予定されていたのですが、この「利害相反問題」の解決ができていないために、年明けまで延期された経緯があるからです。
この問題に関しては、トランプ氏は自身で語るのではなく、顧問弁護士として長年の付き合いがあるという、「モルガン・ルイス・バッキウス法律事務所」のシェリ・ディロン弁護士を登壇させて、彼女の口から「決定した対策」が紹介されました。
内容はまったく中途半端なものでした。トランプ氏は自身のビジネス「トランプ・オーガニゼーション」を第三者に売却するのではなく、息子2人、つまりドン・ジュニア・トランプ氏とエリック・トランプ氏に託すというのです。また、自身の持ち株については、信託に入れるものの、利害関係のない第三者を管理人にする「ブラインド・トラスト」にはしないとしています。
その他の「対策」としては、「トランプ・オーガニゼーション」内部に倫理担当者を設置するとか、トランプ氏が大統領職に在職中、同社は「外国との間には新しいビジネス上の契約は結ばない」し、「国外における企業活動が生んだ利益は国庫に寄付する」としています。一方で、国内では相変わらず新しい契約はどんどん進めてシッカリ稼ぐというのです。
ディロン弁護士とトランプ氏は、政府の公務員には利益相反になるビジネスに関して「すべて売却」する義務があるという法律は、「大統領と副大統領には適用されない」ので、自分たちは「本来は必要のない措置」をしていると、再三強調していました。
ですが、これではまったく不十分です。法的な形式要件は満たしているかもしれませんが、大統領職との整合性は取れません。この日の会見の席では、メディア各社からの鋭い「ツッコミ」はありませんが、1月20日に就任した後は、民主党やリベラル系の新聞などは「トランプファミリーの公私混同」について、とにかく様々な材料を収集し続けるに違いありません。
ディロン弁護士は、トランプ氏と一族が「全株を売却すれば、負債を抱えることになる」とか、「対策として会社を一旦上場させて持ち株を処分することも考えたが、テクニカルに不可能ということが判明した」などと、12月に私が推測したように、「売るに売れない」事情があると説明していましたが、やはりこの半端な措置は問題だと思います。
仮に経済が行き詰まったり支持率が低下した際には、それこそ70年代の日本の「田中金脈問題」のように、「トランプの公私混同疑惑」が一斉に噴出する――そんな可能性を残してしまったからです。
ロシアのハッキング問題における諜報機関や報道機関との確執、北米自由貿易協定(NAFTA)の存在を無視して「高関税をかける」という私的な圧力で進めた「産業空洞化対策」、そしてまったく不完全な「利害相反問題」への対処と、この11日の会見で浮き彫りになったのは、新政権の船出は「不安だらけ」という現実にほかなりません。 
 
ロシアのサイバー攻撃をようやく認めたトランプ
<大統領選に介入したロシアのサイバー攻撃について、これまで頑なに否定してきたトランプがようやく認めた。そもそもロシアはこれ以前から大規模なサイバー攻撃を繰り返してきた>(写真:今月トランプタワーで記者からの質問に答えるトランプ)
米民主党全国委員会のコンピューターに何者かが侵入したのは、2015年。
犯行グループはその後1年にわたってサーバーに潜伏、2万通におよぶ内部メールなどを盗み出した。そして2016年7月、大統領選の民主党指名候補にヒラリー・クリントンが指名される民主党全国大会の前日に、内部告発サイトのウィキリークスでメールが暴露された。米政府は、このサイバー攻撃が、共和党のドナルド・トランプ候補を勝たせたかったロシア政府の仕業だと主張してきた。
ロシアのこのサイバー攻撃について、年末年始からアメリカで大きな騒動になった。米報道番組などは、かなりの時間を割いてこのニュースを報じているが、何が起きているのか。
まず12月29日、バラク・オバマ米大統領は、ロシア政府が2016年の米大統領選にサイバー攻撃で介入したとして、駐米ロシア外交官35人の国外退去処分にするなどの制裁措置を発表した。2014年に北朝鮮がソニー・ピクチャーズにハッキングした事件から、米政府はアメリカにサイバー攻撃を実施した国などに制裁を科すようになっている。この動きはその流れに沿ったものだ。
これに対してロシアでは、プーチン大統領がロシア外務省からオバマに対抗するために35人の在ロシア米外交官を国外退去処分にすべきだとのアドバイスを受けたが、それを拒否。サイバー攻撃についてロシアの関与を否定しているプーチンは、オバマの動きは挑発行為であり餌には食いつかないと述べた、と報じられている。
年が明けると、問題はさらに展開する。先週5日には、国家情報長官のジェームズ・クラッパーや、NSA(米国家安全保障局)の長官で米サイバー軍の司令官でもあるマイケル・ロジャーズなどそうそうたる面々が、米上院軍事委員会の公聴会に姿を見せ、ロシアのハッキング騒動について証言した。
そして翌6日には、クラッパーやロジャーズらがニューヨークのトランプ・タワーを訪れ、これまでロシアの関与を否定する発言を繰り広げてきたトランプに、2時間に渡ってロシアのサイバー攻撃についてブリーフィングを行った。情報機関のトップが就任間際の次期大統領を諭しに行くなど前代未聞のことだ。
この会談後、国家情報長官室はロシアの攻撃について、25ページにわたる報告書を一般に公表した。ただこの報告書は機密情報が含まれないもので、オバマ大統領やトランプに提出された報告書と比べると、半分以上の情報は削除されているという。
公表された報告書には、「われわれはプーチン大統領が米大統領選に影響を与えるべくキャンペーン(作戦)を命じたと判断している」と書かれ、プーチンの関与を断言している。「さらにプーチンとロシア政府がトランプ次期大統領への明確に支持していると判断する。われわれはこの判断に相当な自信をもっている」
するとそれまでロシアの関与を頑なに否定してきたトランプはトーンダウンし、「ロシアや中国、ほかの国々、国外の集団などが政府系機関やビジネス、民主党全国委員会を含めた組織のサイバーインフラを絶えず打ち破ろうとしている」と、ロシアのサイバー攻撃を認める声明を発表した。
公表された報告書では、ロシアがサイバー攻撃を行ったという根拠が多少示されている。例えば、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)は「グーシファー2.0」と名乗るハッカーなどを使って、内部告発サイトのウィキリークスなどで情報を暴露したと書かれている。米情報機関はこの「グーシファー2.0」はロシア人の可能性が高いと見ている。
ただ報告書以外にも、ロシア犯行説の根拠となる情報はある。米ワシントン・ポスト紙は、ロシア政府高官らがトランプ勝利を讃え合うデジタル通信を傍受し、その中で高官らが関与をほのめかしていたと報じている。また「グーシファー2.0」が暴露したファイルのメタデータ(ファイルなどについている通信記録)にロシアの関与を示すものがあったり、民主党全国委員会に送りつけられた不正メールのデータにロシア政府との繋がりが見られたことが、指摘されている。
ただ今回の大統領選に限らず、ロシアはこれまでにほかにもサイバー作戦を繰り広げてきたことは専門家らの間ではよく知られている。周辺国のエストニアやジョージア、ウクライナなどへも大規模なサイバー攻撃を仕掛けてきており、米大統領選に介入しようとしても何ら不思議ではない。ロシアは、知的財産や軍備情報などを盗もうとする中国とは違い、サイバー攻撃の裏に政治的な動機が見える。国内外で摩擦が生じた際にサイバー攻撃を駆使する手口はいつものことだ。最近でも、トルコのシリア国境付近でロシア戦闘機がトルコ軍に撃墜される事件があったが、その後トルコが大規模なサイバー攻撃に見舞われている。
最近では、「トロール(荒らし、または釣りの意)」作戦も話題になっている。これは、偽の情報をばらまくキャンペーンで、実際に、米化学工場の爆破事件や、感染症の拡大といった偽ニュースを、手の込んだビデオやSNS、ツイッターなどを駆使して拡散し、さも本当であるかのように見せ、混乱を起こそうというものだ。またネットに親ロシアのコメントやポストをアップするキャンペーンも組織的に行っている。
とにかく、今回の大統領選を見るまでもなく、ロシアは十分にサイバー空間で暗躍している。今後もそれが止むことはないだろう。
トランプ大統領の正式な誕生まで2週間ほどだが、トランプがこうしたサイバー問題にどう取り組むのか、世界のサイバーセキュリティ関係者が注視している。 
 
オバマ大統領が最後の演説、米国の価値の低下阻止訴える
オバマ米大統領は10日、シカゴで任期最後の演説を行った。2期8年を振り返り、大統領としての役割を担えたことは自身の人生において光栄だったと言明。国民に対し、米国の価値を守り、差別を受け入れないよう訴えた。
トランプ次期大統領の政策については一部を否定する姿勢をうかがわせた。
オバマ大統領は1万8000人の群衆を前に「米市民としてわれわれは引き続き外部からの攻撃に警戒の目を向けなければならない。われわれの価値が低下するのを防がなければならない」と呼びかけた。
オバマ氏は米大統領選で民主党のクリントン候補の応援演説を行った際、イスラム教徒の入国停止やメキシコとの国境に壁を築くといったトランプ氏の政策への反対姿勢を鮮明にしていたが、この日も自身の立場に変わりがないことを示した。
オバマ氏が黒人として初めて米国の大統領に選ばれたことで、米国が抱える人種差別問題の解決への期待が高まったが、これについては実現が困難だったと認めた。
その上で、若い世代に望みを託し「私たちにはできる(Yes We Can)」と呼びかけた。
オバマ米大統領の退任演説は「異例」だった
<1月10日のオバマの退任演説は大きな注目を集めたが、実はきわめて「異例」のスピーチだった。歴史上、あのような形で最後の演説を行った大統領はいない>
第44代アメリカ大統領のバラク・オバマが10日夜、大統領として最後の演説を地元シカゴのコンベンションセンターで行った。さながらロックコンサートのような熱気の中、約1時間にわたった演説は大いに注目された。ワシントン・ポストは演説の最中から原稿を書き起こし、注釈をつけて続々とサイトに掲載していった。
オバマは医療保険制度改革(オバマケア)や雇用創出など、2期8年の任期中の成果を訴える一方、民主主義などアメリカの価値観を守っていく必要性に多くの時間を割いた。妻ミシェルと2人の娘らへの感謝を述べた終盤には涙も見せた。途中、割れんばかりの拍手が何度も沸き起こり、「もう4年!」といった声が聴衆から相次いだほどだ(オバマはそれに対し「それはできない」と答えた)。
一方、米ニューズウィークは「不完全ながら卓越したオバマの退任演説」、CNNは「オバマ、退任演説で楽観主義と警告を示す」、USAトゥデーは「分析:希望を持ち続ける? オバマが自身の大統領職務を擁護」、ニューヨーク・タイムズは「オバマ、別れを告げながら、国の結束に対する脅威を警告」などと論評。米メディアは現場の熱狂に比べ、おおむねバランスの取れた取り上げ方をしていたようだ。
ただ、オバマの退任演説は、実はきわめて「異例」のスピーチだった。その内容ではなく、こうした形で演説を行ったことが、である。
退任する大統領が最後の演説を行うこと自体は珍しくないが、通常はホワイトハウスで行われる。グランドバレー州立大学(ミシガン州)のグリーブス・ホイットニー教授によれば、過去にそれ以外の形式で退任演説を行った大統領は9人だけだとUSAトゥデーは報じる。それも、書簡やテレビ演説だ。
一方、フォーブスによれば、オバマ以前に国民向けの退任演説を行った大統領は12人。そのうち首都ワシントン以外では1人、米陸軍士官学校で行ったジョージ・ブッシュだけだ。いずれにせよ、地元で聴衆を集めて、選挙集会のような形式で退任演説を行った大統領はいない。
退任演説が行われる前には、ウォールストリート・ジャーナルが演説について「退任する大統領としては異例」と形容したことに対し、オンラインマガジンのサロン・ドットコムが「ドナルド・トランプのすでに異常な大統領職務を正常に見せようとする驚くべき曲解」と批判するなど、この演説をめぐってちょっとした論争も起きていた。
では、なぜオバマはこうした演説を行ったのか。退任演説で直接的な批判こそしなかったものの、移民排斥など、オバマとは正反対ともいえるトランプの主張に対する危機感が念頭にあったのは間違いないだろう。
実際、トランプの側近の1人、ケリーアン・コンウェイは演説前、USAトゥデーにこう語っていた。「(オバマが)やったことの大半は次期大統領の任期中、もしかしたら最初の1カ月間で消え去ってしまうことをわかっているだろうから、(退任演説を)やるのは彼にとって素晴らしい考えだと思う」
11日、トランプは大統領選に勝利してから初となる記者会見を開く。20日には第45代米大統領就任だ。確かにオバマの「レガシー」は消し去られてしまうのかもしれないが、だからといって「最後の抵抗」と片付けるのは早計だろう。
オバマはまだ55歳。大統領としては最後の演説だったが、いまだ明かされていない今後の活動への最初の1歩なのかもしれない。 
 
メディア批判

 

  
トランプ次期大統領 選挙後初の会見後にメディア批判
アメリカのトランプ次期大統領は選挙後初めて記者会見を開き、日本も含めた貿易の不均衡是正やロシアとの関係改善などに意欲を示し、オバマ政権から政策転換する姿勢を打ち出しました。一方、トランプ氏は会見後にツイッターで「偽のニュースを流すメディアもいた」などと批判しました。
トランプ次期大統領は、去年11月の選挙のあと初めてという異例の記者会見を、11日にニューヨークで開きました。
この中でトランプ氏は「アメリカは、中国、日本、メキシコなどとの貿易で多額の損失を被っている」と述べ、日本も含めた貿易の不均衡を是正し、アメリカの利益を最優先に確保していく姿勢を強調しました。
またトランプ氏は、オバマ政権が対立を深めているロシアとの関係改善に意欲を示したほか、オバマ大統領の政治的な遺産=レガシーである医療保険制度改革を早期に撤廃すると明言するなど、来週、20日に就任後、オバマ政権から大きく政策転換する姿勢を前面に打ち出しました。ただ、説明に具体性が欠けていたとも指摘され、今後、どのように実行に移していくのかが注目されています。
一方、トランプ氏は、会見後にツイッターで、「きょうはすばらしい記者会見だった。『フェイクニュース』、偽のニュースを流すメディアも数社いたが、人々は何が起きているか、よくわかっただろう」とコメントしました。
トランプ氏は記者会見でも一部のメディアを「偽のニュースだ」と批判し、トランプ氏とメディアの緊張関係は当面、続きそうです。
アメリカの政治思想に詳しく、これまでのトランプ氏の言動を分析している青山学院大学の会田弘継教授は、12日の会見を振り返り、「政権発足に向けて、これまで認めなかった大統領選挙の時のサイバー攻撃についてロシアの関与に言及するなど、現実的な対応を取ろうとしているのは感じられた」と述べました。
その一方で、政策については、「労働者に向けて雇用対策をやると言ったが閣僚に指名したのが億万長者や大企業の元幹部だったりするので、労働者重視の政策をどこまでやれるか疑問視せざるをえない。また、オバマケアについても廃止して別の制度に置き換えるとしたが、実現可能性が不透明だ」と指摘しました。
さらに、メディアとの関係については、「CNNの記者の質問を口汚くののしるように封じ込めたのは大統領としてふさわしくない行動であり、気になるところだ。メディアとの対立が露骨すぎると感じる」と懸念を示しました。
トランプ氏は、今月20日に大統領に就任しますが、会田教授は「トランプ氏は安全保障政策について日本などの同盟国と、中国・ロシアとどのような関係を築いていくのかはっきりとした形を示していくべきだ。経済については貿易のルールや国際的な力を気にせず、アメリカの思うようにやりたいことを強引に進めると思うが、日本はそれにどう対応するかが課題となる」と話していました。 
 
トランプの会見を有力紙「ありえない」と批判
 CNNテレビからの質問を最後まで拒否
アメリカのトランプ次期大統領は大統領選挙で勝利して以降、初めてとなる記者会見を行った。この記者会見の中で、トランプ氏は一部メディアからの質問を最後まで拒否し、対決姿勢をあらわにした。
CNN記者「われわれを攻撃するなら質問を!」
トランプ氏「次!君じゃない」
CNN記者「質問させてくださいよ!」
トランプ氏「別の人が質問しようとしている。失礼だろ」「君に質問の機会は与えない。君らは偽のニュースだ」
トランプ氏が質問を拒否したCNNテレビは、前の日、ロシアによるサイバー攻撃に関連し、「トランプ氏はロシアに弱みを握られている」と報じ、トランプ氏は激しく反発していた。
有力紙ニューヨークタイムズは、トランプ氏のこの記者への態度について、「これまでの大統領の会見ではありえなかった」と批判した上で「メディアとの新たな戦争が始まった」と伝えている。
トランプ氏がメディアとの対決姿勢を鮮明にしたことで、大統領就任後の情報公開のあり方にも懸念を抱かせる会見となった。 
 
米CNN記者の質問拒否=メディア選別あらわ−トランプ氏初会見
「(質問するのは)おまえじゃない。おまえの組織はひどい。偽のニュースだ」。11日にニューヨークで開かれた当選後初の記者会見で、トランプ次期米大統領は米CNNテレビのリポーターからの質問をかたくなに拒否した。自身に不都合な情報を伝えたメディアを忌避する一方で、報道を控えた他社には謝意を示すなど、メディアを選別する姿勢をあらわにした。
CNNは10日、米大統領選を標的としたロシアのサイバー攻撃に関連し、ロシア工作員がトランプ氏の評判をおとしめるような個人・金融情報を取得したと主張していると報道。トランプ氏はこれに反発し、ツイッターに「偽ニュース。完全に政治的な魔女狩りだ!」と書き込んだ。
トランプ氏は選挙期間中からCNNの報道姿勢に不満を持っており、同社を傘下に抱える米メディア大手タイム・ワーナーと米通信大手AT&Tの合併案について「少数の人々に権力が集中する」として反対を表明していた。
トランプ氏は冒頭、会見に出席した報道陣に感謝を伝えつつも、「かつてはほぼ毎日会見を開いていたが、不正確なニュースがかなり増えたのでやめた」とけん制。前日に自身のロシア絡みのニュースを報じたCNNの記者の質問を受け付けなかったほか、同様の理由で米ニュースサイトのバズフィードもやり玉に挙げた。 
 
トランプ次期大統領、初の公式記者会見でCNN記者を丸焼けにする
10日に開催されたトランプ次期大統領による初の公式記者会見の席上で、ロシアによる大統領選介入問題を巡ってCNNとBuzzFeedの報道姿勢を批判。その後、その場に居たCNNのJim Acosta記者が執拗に反論の質問をしようとしてのに対して、「フェイクニュースの会社からの質問は受け付けない」と答えて、CNNからの一切の反論も質問も受け付けなかったことが話題を集めている。
この問題は、米情報当局がリークした情報を元にマスコミ各社が報道を行ったことを批判したもので、出所も不確かな情報を元に、それがあたかも真実であるかのように報道を行う大手マスコミ各社こそが、本当の意味でのフェイクニュースだと批判を行ったものとなる。
一方、この発言に真っ向から反発をしたのが、トランプ次期大統領から公式記者会見でフェイクニュースの会社と名指しされたCNNで、CNNは、情報の信頼性は高いとした上で、改めてトランプ次期大統領とロシアとのつながりを追求する姿勢を弱めてはいない。
しかし、次期大統領から情報をマスコミにリークしていると指摘された情報機関を統括しているジェームズ・クラッパー国家情報長官は、情報をリークしているのは我々ではない、と述べて、大統領の批判の矛先をかわそうと躍起となっている(この発言を鵜呑みにすることはできないが、クラッパー長官の発言が真実だとした場合、CNNの情報はウソということとなり、どちらかがウソを付いていることとなる)。
NSAに代表される米情報機関はこれまで、情報の外部流出が度々、発生し、その都度、トップの首が飛んできた。
しかし、これまでの情報漏洩事件と異なり、現在生じている状況は情報機関が意図的に情報をマスコミ各社に漏らすという状況ともなっており、今後、トランプ大統領の正式就任と共に、情報機関内では、内部の敵を探す、一種のスパイ狩りが始まる可能性もでてきたこととなる。
トランプ次期大統領は会見終了後に行ったTweetの中でも「会見の中に複数のフェイクニュースの会社が紛れ込んでいたが、見ていた人は何が起きていたかその真実を知り得たと思う」とまで述べるなど一部マスコミへの攻撃は弱めてはいない。 
 
トランプ氏会見、CNNにも矛先 意に沿わぬ報道切り捨てか 
米国のドナルド・トランプ次期大統領は11日に開いた選挙後初の記者会見で、英情報機関の工作員がまとめたとされるメモをネットメディアの米バズフィードが未確認のまま公開したことを引き合いに、マスコミの報道は信用できないとする主張を展開した。
CNNは問題のメモについて確認を取った上で10日、2ページに要約した内容がトランプ氏とオバマ大統領に提示された極秘資料に添えられたと伝えていた。
トランプ氏はバズフィードが公表した内容を「偽ニュース」「いんちき」と決めつけ、「あの偽ニュースは主に1つのグループと1つのテレビ局によって書かれた」と主張してバズフィードとCNNを批判。バズフィードを「ごみの山」と形容し、CNNは「道を外れて」バズフィードをもとに報道したとかみついた。
CNNのジム・アコスタ記者からの質問は、「あなたのネットワークはひどい」「偽ニュースだ」と言って受け付けなかった。ただ数分後、別のCNN記者ジェレミー・ダイアモンド氏の質問には応じた。
大統領報道官に就任予定のショーン・スパイサー氏も記者会見の冒頭でバズフィードに触れ、「次期大統領に敵対していた左翼ブログが極めてみだらな偽情報を、大統領が就任する数日前にインターネットに掲載するのは言語道断であり非常に無責任」と酷評した。
スパイサー氏はCNNについても事実無根の内容を報じたと主張したが、CNNによれば、それは事実と異なる。ロシアがトランプ氏に対する不正侵入を試みていたとされる情報が同氏に提示されていたとCNNが報じた内容に誤りはなく、問題のメモの詳細について確認できなかった部分についてはCNNは報道を差し控えていた。
マイク・ペンス次期副大統領も、ニュースメディアが「偽ニュース」を流していると批判し、米国民はそうした報道に「むかつき、うんざりしている」と発言した。
CNNは記者会見後に発表した声明でバズフィードとの違いを強調し、「念入りな取材に基づいて我が国の政府の動向についての情報を公にしたCNNの判断は、裏付けのないメモの公表に踏み切ったバズフィードの判断とはまったく異なる」と主張。「トランプ陣営はそのことを知りながら、バズフィードの判断を利用してCNNの報道から注意をそらそうとしている」と分析している。
トランプ氏、ペンス氏、スパイサー氏が繰り返し「偽ニュース」をやり玉に挙げた背景には、そうした読者をだます意図をもって作成されたコンテンツを引き合いに、トランプ政権が自分たちの意に沿わない一切の報道を切り捨てようとする姿勢を強めていることがうかがえる。
バズフィードがメモの全文を公開したことに対しては、大手メディアやジャーナリストからも批判の声が相次いでいた。 
 
トランプ次期大統領、記者会見でCNNを虚偽ニュース呼ばわり
ドナルド・トランプ次期米大統領は11日(現地時間)、ニューヨークのトランプタワーで、大統領選後初となる記者会見を開いた。
その質疑応答中、同氏は質問する米CNNの政治担当記者、ジム・アコスタ氏をさえぎり、「あなたはだめだ。あなたの組織はひどい。だまりなさい。あちらの人が質問しているんだ。礼儀をわきまえなさい」と言い、それでも質問を続けるアコスタ氏に「あなたには質問させない。あなたは虚偽ニュースだ。(他の質問者に対して)どうぞ」と言った。
トランプ氏はこれまで、CNNが偏向報道していると繰り返し批判してきた。CNNは同日も、ロシアが米大統領選に介入したとされる問題で、ロシアがトランプ氏の個人情報も把握しているとする独占記事を掲載した。
トランプ氏の発言は、同氏の当選にはFacebookやGoogleで拡散した虚偽ニュースの影響が大きいという批判を踏まえたものだろう。
ロシアによる個人情報把握については米BuzzFeedも詳しく報じ、入手したという文書を公開した。
トランプ氏はこの件について、記者会見前から「私はロシアとは何の関係もない」「私は選挙に簡単に勝利したんだ。悪質な反対者が虚偽ニュースで私の勝利をけなしている」などとツイートしている。
同氏はBuzzFeedについては「破綻したゴミの山」と形容した。
虚偽ニュース問題をどう改革すべきかという質問には「改革するのではなく、(関係者に)倫理基準を持つよう勧める」と応じ、虚偽ニュースについて騒ぐ人々がいるが、そういうメディアの幾つか自身が虚偽ニュースだと批判した。「(記者席を指差しながら)この場にもいるが、非常に、非常に不正直な人々だ。だが、共存していかなければならないのだと思う。私が有利なのは、私は言い返せることだ。多くの人々が(メディアに)破壊されてきたが、私はメガフォンを持っている」と語り、批判的なメディアには今後も反撃する姿勢を見せた。 
 
記者会見は「お笑い劇場」 俗語連発、メディアを罵倒“サクラ”も用意
昨年11月の米大統領選後では初となったドナルド・トランプ次期大統領の記者会見は、突っ込みどころが満載だ。ニューヨーク・マンハッタンのトランプタワー正面玄関ホールで繰り広げられた記者会見は、まるで「お笑い劇場」のようだった。
9日後には大統領に就任するというのに、当のトランプ氏の行動様式は選挙期間中と同じだ。会見では、「クラップ(がらくた)」といった俗語を連発した。
足元、インターネットの世界では、ロシアが保持しているというトランプ氏の「不名誉な情報」が評判だ。詳細メモを公開したウェブメディア、バズフィードを「できそこないのごみの山」と罵倒した。
最初に報じたCNNには「お前の会社はろくでもない。質問には答えない」とけんか腰で、プロレスのように質疑応答を「興行化」する姿勢も変わらない。
「私は神が創造した最高の雇用創出者になる」と自画自賛する一方で、自身の納税申告書を開示していないことを聞かれると「私は選挙に勝った。誰が気にしているのか」と豪語した。
実は、トランプ氏の政権移行チームに関わる「サクラ」が会場にいた。トランプ氏が立っていた演壇に向かって左前方に陣取っていたスーツ姿の若者らだ。
数えたところ、「サクラ」は15人ほど。トランプ氏が政策を説明すると大声でエールを送り、自身をけなすメディアを同氏が非難すると拍手を繰り返した。
会見を盛り上げ、テレビやネット画面で見ていた視聴者に好印象を与えるための演出だ。会見が終わると、「サクラ」はエレベーターに乗り込んで、トランプタワーの上層階に消えていった。
「トランプ氏はメディアそのものだ」。米コロンビア大ジャーナリズム・スクールでデジタル・ジャーナリズムを教えるエミリー・ベル氏は、「トランプ報道機関説」を唱える。
戦前日本の「天皇機関説」ではないが、「トランプ氏個人が一つの機関として国民にメッセージを直接伝える機能」を果たし、「権力者の社会的印象を形成する」という既存の報道機関が担ってきた役割を肩代わりする−という内容だ。
前日まで正式な案内状が届かないように記者団をじらし、狭い会場には会見2時間前から定員オーバーの数百人が押しかけた。
「お笑い」満載の中身だったが、マスコミ批判や「サクラ」効果で、気がついたら、トランプ氏の立場を正当化する雰囲気が醸成されていた。
ちなみに、トランプ氏は、日本が相変わらず「苦手」のようだ。会見では対日貿易の不均衡を批判し、「米国にもっと敬意を払わせるようにする」と中国を非難する文脈に、なぜか米国の同盟国である日本の名前が登場していた。
「トランプ報道機関」は強力だ。こうした対日観がこれからも米国内で宣伝されるようになると、日本にとっては「お笑い」で済まなくなる。 
 
トランプ氏、記者会見の締めくくりは、あのお馴染みのセリフだった
アメリカのトランプ次期大統領は1月11日、ニューヨークのトランプタワーで大統領選後初めての記者会見に臨み、大統領選でロシアのサイバー攻撃があったことを認めたほか、「最も多くの雇用を生み出す大統領になる」と強調する一方で、「利益相反」の指摘については自身のビジネスからすべて手を引くことで解消されると語った。
また、会見前日にCNNやBuzzFeedが報じた、性的なスキャンダルを抱えているという「不名誉な情報」についてトランプ氏は「すべて偽ニュースだ。インチキだ」と強く否定した。
トランプ氏は会見を終えるにあたり、「お前はクビだ」の一言で締めくくった。これはある意味驚きでもあるし、そうでもない。
このセリフは、人気テレビ番組「セレブリティ・アプレンティス」の司会者をしていた時の彼の決めゼリフだ。会見でトランプ氏が大統領任期中に上の2人の息子に事業経営を託す計画について語っていた時にこのセリフが飛び出した。
「8年後に戻ってきて、『ああ、よくやった』と言いたい。もし失敗させたら、こう言う。『お前はクビだ』」
ちょうどその時、次期大統領は、指を銃の形にしていた。
こうして、6カ月ぶりに行われた波乱の記者会見が終わった。 
 
トランプ氏の初の記者会見、世界中でSNSが炎上
トランプ次期米大統領が11日、当選後初めてとなる記者会見で、メディアを厳しく批判し、ロシアとの関係改善を目指すなどとコメントしたことを受けて、ソーシャルメディアには様々なコメントが殺到した。
マンハッタンのトランプタワーで開かれた会見で、トランプ氏がCNNを「うそのニュース」と批判し、CNN記者の質問を拒否した時、ツイッターでは瞬時にそのコメントが広まった。
CNNは10日、米情報機関幹部がトランプ氏に説明した報告書に、ロシアの諜報員が同氏に関する不名誉な個人的、財務的情報を得たと主張しているとの情報が含まれていたと報じていた。
また、トランプ氏が納税申告書を公開するかどうかに「関心があるのは記者だけ」とのコメントに対しては、ツイッターのユーザーらが「記者ではないが、トランプ氏の税金申告書に関心があるならリツイートを」と呼び掛けるなど、会見中に16万5000回ツイートされた。
ロシアでは、「ウラジーミル・プーチン(露大統領)と上手くやっていけるかどうかわからないが、そう望む」などと語ったトランプ氏のコメントが数多くツイートされるなど、会見中やその数時間後まで、ハッシュタグ「#TrumpPressConference」がトレンドのトップとなった。
デジタルマーケティング会社アモビーによると、記者会見中のツイッターの反応は14%が肯定的、63%が中立、23%が否定的だった。 
 
メリル・ストリープ

 

 
ゴールデングローブ賞・受賞スピーチ
ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとう。どうぞお掛けください。どうぞお掛けください。みなさんを心より愛しています。お許しいただきたいのですが、今週末、叫んだり嘆いたりして声が枯れちゃったんです。それから、この1年の初めからいろいろ気が動転してしまったので、あらかじめ書いたものを読ませてもらいます。
ハリウッド外国人映画記者協会のみなさん、ありがとう。ヒュー・ローリーが言ったことでちょっと気づいたことがあります。みなさん、そしてここにいる私たち全員が、まさに今、アメリカ社会で最も悪口を言われているんです。考えてみてください。ハリウッド、外国人、それに記者なんですから。しかしまあ、私たちって何者なんでしょう。そして、ハリウッドって一体なんでしょう。さまざまな場所から来た人たちが集まっただけなんですけどね。
私はニュージャージーで生まれ育ち、公立学校で学びました。ヴィオラ・デイヴィスはサウスカロライナの農家の小屋で生まれ、ロード・アイランドのセントラルフォールズで育ちました。サラ・ポールソンはブルックリンでシングルマザーに育てられました。サラ・ジェシカ・パーカーはオハイオで7人か8人兄弟の1人です。エイミー・アダムスはイタリアで生まれました。ナタリー・ポートマンはエルサレムで生まれました。彼らの出生証明書はどこにありますか? 美しいルース・ネッガはエチオピアで生まれ、育ったのは……アイルランドではありません。たしかそうだったはずです。彼女はこのゴールデングラブ賞で、ヴァージニア出身のの小さな町で女の子役でノミネートされています。ライアン・ゴズリングは、すべて素敵な人たちのカナダ人ですし、デヴ・パテルはケニアで生まれ、ロンドンで育ち、今回はタスマニア育ちのインド人役です。
ハリウッドには部外者と外国人が大勢います。その人たちを全員追い出したら、フットボールとマーシャルアーツ(総合格闘技)以外に見るものがなくなります。しかしそれはアーツ(芸術)ではありません。このことを言うために彼らは私に3秒くれたのです。役者の仕事はただ1つ、私たちとは異なる人たちの人生に入り込み、どのように感じるのかを見る人に感じてもらうことです。そしてこの年もパワフルなパフォーマンスがたくさん、たくさん、たくさんあり、そのどれもが驚くべき情熱的な作品でした。
しかし、私はこの年、あるパフォーマンスで衝撃を受けました。私の心にはそれが突き刺さったままです。良かったからではありません。いいことなんてまったくありません。しかしそのパフォーマンスは影響力があり、功を奏しました。意図的に作られた聴衆を笑わせ、敵意をむき出しにさせたのです。そのパフォーマンスがあった瞬間とは、我が国で最も尊敬される地位に就こうとする人物が、障害を抱える記者の真似をした時のことです。その人物は、特権を持ち、権力を持ち、反撃する力もその記者よりはるかに上です。それを見た時、胸が張り裂けるような思いでした。今でも頭から離れません。映画じゃないんです。現実の世界の話なんです。
このような衝動的に人を侮辱するパフォーマンスを、公の舞台に立つ人間、権力のある人間が演じれば、あらゆる人たちの生活に影響が及び、他の人たちも同じことをしてもいいという、ある種の許可証を与えることになるのです。軽蔑は軽蔑を招きます。暴力は暴力を駆り立てます。権力者が弱い者いじめをするために自分の立場を利用すると、私たちは全員負けてしまいます。これは記者にもつながる話です。報道する力を持ち、いかなる攻撃があっても権力者たちを批判する、信念のある記者を必要としています。だから建国の父たちは報道の自由を憲法に記したのです。
なので私は、とても裕福なことで知られているハリウッド外国人映画記者協会のみなさん、そしてわたしたちハリウッドコミュニティのみなさんにこれだけはお願いしたい。私に加わって、ジャーナリスト保護委員会を支援してください。なぜなら、前進するためには彼らが必要になるからです。そして彼らは、真実を保護するために私たちが必要になるからです。
もう一つわかったことがあります。かつて私はセットの近くで泣き言を言っていました。私たちって、食事もとらずに仕事したり、長時間仕事したりするじゃないですか。そんなようなことです。そのとき、トミー・リー・ジョーンズが私に言いました。「これって特権じゃないか、メリル。役者ってそういうもんだろう」って。そう、その通り。私たちはお互いに思い出さないといけないですね。感情移入するような演技をする特権と責任が私たちにはあるんです。私たち全員が、ハリウッドがこの場所で今夜栄誉を与える仕事をしているんだということに誇りを感じるべきです。
私の友人で、親愛なる故レイア姫は、かつて私にこう言いました。ブロークン・ハート(傷ついた心)をもってアートに変えていこう。ありがとう。  
 
ストリープさん、トランプ氏非難=受賞スピーチで「軽蔑と暴力生む」
米ハリウッドの大物女優メリル・ストリープさん(67)は8日、ゴールデン・グローブ賞の特別功労賞に当たるセシル・B・デミル賞を贈られた。ストリープさんは受賞スピーチで、人種や宗教間の対立をあおる発言を繰り返すトランプ次期米大統領を非難した。
ストリープさんは観客が総立ちとなる中、「ハリウッド関係者、外国人、報道関係者の皆さん、この部屋にいる全員が今、米社会で最も中傷されている人たちだ」と呼び掛け、「ハリウッドにはよそ者や外国人が大勢いる。全員を追い出せば、アメリカンフットボールと総合格闘技のほかに見るものがなくなる」と涙をこらえながら訴えた。
また、トランプ氏が障害のある記者のまねをしたとされることに触れ、「映画の中ではなく、現実の出来事であり、忘れられない。軽蔑は軽蔑を生み、暴力は暴力を生む」と批判した。
 
 
「ヒラリーの腰ぎんちゃく」=ストリープさんに反撃−次期米大統領
「大負けしたヒラリーの腰ぎんちゃく」。ツイッターでメディアや民主党への批判を続けるトランプ次期米大統領は9日、女優メリル・ストリープさんをこき下ろした。
ストリープさんは8日夜のゴールデン・グローブ賞の授賞式の演説で、選挙戦でトランプ氏が障害のある記者のしぐさをまねるなどしたことを「軽蔑は軽蔑を生み、暴力は暴力を生む」などと批判。米メディアで大きく取り上げられた。
トランプ氏は翌朝、「私を知りもしないのに攻撃した。この説明は100回目だが、私は障害のある記者の物まねなどしていない」とツイッターで反論。ストリープさんを「ハリウッドで最も買いかぶられている女優の一人」と切り捨てた。 
 
メリル・ストリープのトランプ批判スピーチにハリウッド喝采も、「過大評価されている女優」と揶揄(やゆ)されびっくり
1月8日(現地時間)、ゴールデングローブ賞で米女優のメリル・ストリープが生涯功労賞にあたるCecil B. DeMille 賞を受章し、そのスピーチで次期大統領ドナルド・トランプを堂々批判したことに対しハリウッドでは称賛の声が相次ぎました。
映画監督のリュック・ベッソンはInstagramに「親愛なるメリル、あなたはわれわれの代弁者だ。ありがとう」とストリープのナチュラルな笑顔の写真とともに投稿。コメント欄も「すばらしいスピーチだった。何て偉大な女性なんだ」「あなたには彼女と一緒に映画を撮ってほしい」「彼女は本当に特別な人」とストリープをたたえています。
米国で活動するメキシコ出身の女優、サルマ・ハエックもスピーチするストリープの写真を投稿。「ストリープさん、あなたは数々の道を示してくれる女神です」とコメントを添えています。
ストリープはスピーチの中ではっきりとトランプの名前は出さなかったものの、まずハリウッドはさまざまなルーツを持つ「外国人」があふれ、多様性に満ちていることを強調。そしてこの1年で彼女が驚愕(きょうがく)したある演技が「釣り針」のように心に刺さっていると明かし、それは「私たちの国で最も尊敬されるべき座に就く人」が障がいのある記者のものまねをしたときのことだと述べました。
トランプは2015年の支援者集会で、硬直したような表情で腕を不自然に動かすなどして障がいのある記者を侮蔑(ぶべつ)するようなしぐさをしたことがありました。「それを見たとき私の心は打ち砕かれ、今でも頭から離れていきません。それは映画ではなかったからです。それは現実のことだったのです」とストリープはそのときの心境を語っています。
9日の朝にトランプは米The New York Timesの電話インタビューに対し、ストリープはヒラリー・クリントンの熱烈な支持者であったからあのようなスピーチをしたのだ、などと回答。さらにTwitter上で「メリル・ストリープはハリウッドで最も過大評価されている女優の1人である」と批判し、障がいのある記者をばかにしたのではなく、彼のへりくだっておどおどした様子をマネただけだと弁明しています。 
 
 

 


 
2017/1