安倍元総理 国葬

「ご功績は誠に素晴らしいものだ 外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けている」  
「歴代最長の期間 総理大臣の重責を担い 内政 外交で大きな実績を残した」
「国葬は理解できる」

「国民の中で安倍氏の政治的評価は大きく分かれている」
国民民主党 「国の内外から哀悼の意が寄せられており 理解できる」
立憲民主党 「厳粛に行うものであり 静かに見守りたい」
日本維新の会 「反対ではないが 国葬を行えば経費もかかり その批判が遺族に・・・」
共産党 「政治的評価は大きく分かれており 国葬を行うのは・・・」 反対
れいわ新選組 社民党 反対

国葬関連経費予想 ・・・ 約16億6000万円?

自民党 統一教会との関係を断つ 宣言
自民党 安倍元首相の「国葬」を行う
自民党安倍派 最大派閥 安倍元首相は統一教会の応援者 死後に判明
自民党 安倍氏と“統一教会”の関係 「亡くなられた今、実態把握は限界がある」 調査しません
       矛盾 無節操 無茶苦茶 理念のない政党になりました
       安倍元首相 この自民党体質の基盤を8年8か月かけ作りました

次回の第50回衆議院議員選挙 最長なら2025年10月21日実施
きっと  国民の皆さん この自民党の不始末 忘れてしまっているでしょうね ・・・
  


国葬談義 / 7/157/167/177/187/197/20・・・7/217/227/237/247/257/267/277/287/297/307/31・・・
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600兆音頭嘘(うそ)口説きの伊呂波(いろは)素晴らしい功績国葬の賛否・・・
 
    「外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価 ・・・ 」 
      外交上の礼儀としての発言です
      礼儀として 低い評価はありません
      美辞麗句 羅列
    「内政で大きな実績を残した ・・・ 」
      仕事しない内閣 順番こ大臣 忖度文化
      アベノマジック 公文書の消える国
      お札バラマキ政治 財政再建ほったらかし
      森友・加計学園疑惑 桜を見る会
    「外交で大きな実績を残した ・・・ 」
      北方領土 プーチンへの貢物 全てドブ 
      トランプの腰巾着  
      後進国 多額の支援 仲良しも一時
  
 

 

●安倍元首相の「国葬」 ことし秋に行う方針 岸田首相が表明  7/15
演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍元総理大臣について、岸田総理大臣は、歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政・外交で大きな実績を残したなどとして、ことしの秋に国葬を行う方針を表明しました。
岸田総理大臣は14日夜に記者会見し、冒頭、奈良市で演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍元総理大臣に哀悼の意を示しました。
そのうえで安倍氏について「憲政史上最長の8年8か月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって総理大臣の重責を担い、東日本大震災からの復興や日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開などさまざまな分野で実績を残すなど、その功績はすばらしいものがある」と述べました。
また「外国の首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、民主主義の根幹である選挙が行われている中、突然の蛮行で逝去されたことに対して、国の内外から幅広く哀悼や追悼の意が寄せられている」と述べました。
そして「こうした点を勘案し、この秋に『国葬儀』の形式で、安倍元総理大臣の葬儀を行うこととする」と表明しました。
さらに岸田総理大臣は「安倍元総理大臣を追悼するとともに、わが国は暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示していく。合わせて、活力にあふれた日本を受け継ぎ未来を切りひらいていくという気持ちを世界に示していきたい」と述べました。
「国葬」とは
政府によりますと「国葬」は国の儀式として行われるもので、戦後、総理大臣経験者の「国葬」は昭和42年に亡くなった吉田茂・元総理大臣が唯一となります。
「国葬」について法律の規定はありませんが、吉田氏の国葬は、生前の功績を考慮して閣議決定に基づいてとりおこなわれ、国葬の総額1810万円は全額が国費でまかなわれました。
政府は、今回も全額を国費で支出することを検討していますが具体的な規模や費用の負担方法は閣議で決定するとしています。
近年では総理大臣経験者の葬儀は内閣と所属する政党などによる「合同葬」が主流で、最近ではおととし10月に中曽根康弘・元総理大臣の「合同葬」が東京都内で行われました。
また昭和50年には佐藤栄作・元総理大臣の葬儀が、内閣と自民党、それに国民有志が共同で費用を支出する「国民葬」の形で行われました。
自民 森山前国対委員長「政府はよい決断をした」
自民党の森山 前国会対策委員長は、記者団に「安倍元総理大臣の政治家としての功績や、総理大臣としての国際的な活躍を考えると国葬にふさわしい。政府はよい決断をした」と述べました。
立民 泉代表「静かに見守る」
立憲民主党の泉代表は「改めて安倍元総理大臣に深く哀悼の誠をささげるとともに、この凶行を強く非難し、わが国の民主主義と社会の安全を守ることを約束する。国葬については、その性質から厳粛に行うものであり、元総理のご冥福を祈りつつ、静かに見守りたい」とするコメントを出しました。
維新 松井代表「反対ではないが家族などが望んでいるのか懸念」
日本維新の会の松井代表は、大阪市で記者団に対し「反対ではないが、亡くなった安倍元総理大臣と家族が望んでいることなのかと懸念を持っている。大々的に国葬を行えば経費もかかるので、その批判が遺族に向かわないことを願う。昭恵夫人を大切に守ってきた安倍元総理大臣は、夫人が批判の矢面にさらされるのは望んでいないのではないか。政府には遺族の負担についても考えてほしい」と述べました。
国民 玉木代表「国葬 理解できる」
国民民主党の玉木代表は「国の内外から広く哀悼の意が寄せられており、国葬とすることについては理解できる。改めて、民主主義の最大の発露である選挙の演説中の蛮行を強く非難するとともに、在任中の功績に敬意を表し、心からお悔やみを申し上げる」とするコメントを出しました。
共産 小池書記局長「国葬の実施には反対」
共産党の小池書記局長は記者会見で「安倍元総理大臣の実績を全面的に礼賛する立場で国葬を行うことは、国民の中で評価が大きく分かれている安倍氏の政治的立場や政治姿勢を国家として全面的に公認することになってしまう」と述べました。そのうえで「こうした形で国葬を行うことが個々の国民に対し事実上の弔意の強制につながることも強く懸念しており、国葬の実施には反対だ」と述べました。
れいわ コメント発表「政府の決定に強く反対」
れいわ新選組はコメントを発表し「国葬を行うという政府の決定に強く反対する。政治家の非業の死と生前の政治的評価は分けて論ずるべきだ。政策的失敗を口に出すこともはばかられる空気を作り、神格化するような国葬はおかしい」としています。
社民 服部幹事長「政治的評価を事実上強制は行うべきではない」
社民党は服部幹事長の談話を発表し「『国葬』の基準があいまいであり安倍元総理大臣に対する政治的評価が大きく分かれる中、国家が国葬として国民に政治的評価を事実上強制することは行うべきではない」などとして反対しています。
官房長官「日程 規模などは関係者と調整」
松野官房長官は15日の閣議のあとの記者会見で、安倍元総理大臣の「国葬」の日程などを問われたのに対し「具体的な日程や開催場所、規模も含め今後ご遺族をはじめ関係者と相談のうえ、調整してまいりたい」と述べました。
また記者団が「安倍元総理大臣の国葬には賛否両論があるが、どう理解を求めるか」と質問したのに対し「国民のみなさまには政府の考え方をしっかりと説明させてもらいたい。また元総理大臣に対する葬儀のあり方は諸般の事情を踏まえ、国民の心情やご遺族のお気持ちなども総合的に勘案し、そのつどふさわしい方式が決められてきたと考えている」と述べました。
東京都 小池知事「国葬を受けられるだけ安倍氏には功績ある」
安倍元総理大臣の「国葬」について東京都の小池知事は「国葬を受けられるだけ安倍氏には功績がある」と述べました。
小池知事は記者会見で、安倍元総理大臣が銃撃され死亡してから15日で1週間となることについて「不条理としか言いようがなく、こうした不条理が故人を失った悲しみや今回の蛮行に対する憤りをより大きなものにしている」と述べました。そのうえで「安倍氏は選挙では『戦いの人』で演説でマイクを握りながら最後に散られたのは、まさに戦いの最中の戦死だった。世界がこれだけ混乱し、分断された時期に安倍氏を失うことは国益を失うことにつながりかねない」と述べました。
また安倍氏の「国葬」について小池知事は「世界でこれだけ認識されている方を、どうやって日本で弔うかは世界中も見ている。国葬を受けられるだけ安倍氏には功績がある」と述べました。
●「安倍元首相国葬」・識者談話 7/15
参院選の街頭演説中に銃撃され死去した安倍晋三元首相について、岸田文雄首相は14日、今年秋に「国葬」を行うと決めた。戦後では吉田茂元首相以来2例目となるが、全額を国費支出する国葬は妥当なのか。識者の見方を聞いた。
目くじら立てず、国葬に
政治評論家の有馬晴海さんの話 憲政史上最長の通算8年8カ月首相を務めたことを考えれば、功績をたたえて、国民みんなで喪に服す時間があって良い。森友・加計学園問題や「桜を見る会」をめぐる問題を含め、批判する人もいると思うが、長きにわたり国に貢献したことは間違いない。
特に外交面で功績を残した。小泉政権以降、首相が1年前後で次々と代わり、発言力がないと言われた中、安倍晋三元首相は国際会議でも真ん中で仕切っていた。間接的とはいえ、国民に選ばれた国会議員が選んだ人。立派なことばかりではなかったかもしれないが、目くじらを立てず、長くやったという功績だけでも国葬に値すると思う。
国葬、妥当とは言えない
古川隆久日本大教授(日本近現代史)の話 安倍晋三元首相の国葬は妥当とは言えない。憲政史上最長の首相在任期間だったとはいえ、政権末期には森友・加計学園問題や「桜を見る会」をめぐる問題などスキャンダルも多く、反発する国民も出てくるのではないか。戦後で唯一、国葬となった吉田茂元首相は、日本の主権回復という、昭和史の中でもまれな大きな功績を残しており、国葬を容認する傾向も強かったと思う。
安倍氏の首相在任中に解決できなかった政策課題もあり、内閣と自民党による合同葬の方が国民の理解が得られるのではないか。新たな前例を作り出す国葬の実施には慎重を期す必要がある。
●異例の対応、保守層へ配慮 国民の理解カギ―故安倍元首相の国葬 7/15
岸田文雄首相が自民党の故安倍晋三元首相の国葬を決断したのは、戦後1例しかない異例の対応で安倍氏を支えた保守層への配慮を示す狙いがある。ただ、安倍政権は歴代最長の在任期間を樹立する一方、集団的自衛権の行使容認など国論を二分する政策を推進したり、国民への説明責任という点で批判されたりもした。野党支持者を含む国民の多くから理解を得られるかが成否のカギを握りそうだ。
「ご功績は誠に素晴らしいものだ。外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けている」。首相は14日の記者会見で、国葬とする理由をこう説明した。
戦後の首相経験者の国葬は、1967年に死去した吉田茂氏だけ。80年に死去した大平正芳氏以降はおおむね内閣と党の合同葬が定着していた。
だが、安倍氏の場合は衝撃的な事件で命を落としたこともあり、安倍派を含む保守系議員から国葬を求める声が上がっていた。12日の家族葬には、多くの参列者が駆け付けメディアの報道も集中。献花台が設置された自民党本部には連日、支持者らの長い列ができている。
党内は歓迎している。安倍派の西村康稔事務総長は記者団に「内閣としての判断はうれしい。国を挙げて功績を評価するということだ」と指摘し、保守派の閣僚も「首相が決断してくれて良かった」と語った。一方、「保守層をつなぎ留める狙いもある」(幹部)と打ち明ける声や、「妙な神格化が怖い。これを利用する政治家が出てこないことを願う」と懸念を口にする向きもある。
安倍氏は財務省の決裁文書改ざんなどでも強い批判を浴びた経緯があり、インターネット上では国葬について賛否が交錯している。2020年に行われた中曽根康弘氏の合同葬は、約1億9000万円の経費を国と党で折半。一部世論は「高過ぎる」と反発した。
他党からは疑問の声も上がっている。立憲民主党の関係者は「簡単に決めていいのか。安倍氏を賛美することにならないか」と指摘。同党幹部は「死去直後で表立っていなかった批判が今後、顕在化する可能性がある」と述べた。泉健太代表はコメントを発表したが、「国葬は厳粛に行うものでご冥福を祈りつつ静かに見守りたい」と、賛否には言及しなかった。
公明党関係者は「安倍氏への批判もある中、うちとしてはやりたくない。静かに送れる雰囲気ではなくなるかもしれない」と語った。党内には閣議決定ではなく新法制定を求める意見もある。山口那津男代表ら幹部はコメントを出さなかった。
自民党関係者は「国葬への支持は7割は必要だ。政府が国会でしっかり説明しないといけない」と述べ、国民の理解が重要だとの認識を示した。
●有馬晴海氏 国葬に賛成「長期政権だった、日本のために頑張ったと…」 7/15 
政治評論家の有馬晴海氏(64)が15日、読売テレビの情報番組「かんさい情報ネットten.」(月〜金後4・50)に出演。岸田文雄首相が14日の記者会見で、参院選の街頭演説中に銃撃を受け死去した安倍晋三元首相の葬儀について、秋に「国葬」として実施すると発表したことに言及した。
有馬氏は「国民栄誉賞も総理の一存で、選挙に有利だから出す出さないみたいな議論がある。これ(国葬)も同じように、一説には安倍さんを国葬することによって、岸田さんが“遺志を受け継いで憲法改正を私がやります”っていうセレモニーじゃないかってことまで言う人がいらっしゃるんです」と明かす。その上で「だけど、そこまで言う必要がなくて、基準としては8年8カ月、歴代総理の中で一番長くやった。そして、それは国民が選んだ国会議員が選んだ総理大臣、間接的民主主義として選ばれたトップなんだから、みんなで8年8カ月やったことを讃えてあげようと考えればいいんじゃないかと思うんです」と述べて、国葬に賛成の意向を示した。
有馬氏は国葬に反対する声にも理解を示し、「内政や外交、そして右側のスキャンダル的なものが入ってくると賛否が出てくるんですよね。このあたりを皆さんがどのように納得していくかということだと思います」と口に。その上で「大臣がサインをして“いいんじゃないか”と決めたことですから、それはあまり目くじら立てなくても、長期政権だった、日本のために頑張ったというようなことぐらいでいいんじゃないかと、私は賛成に向いているんです」と繰り返した。 

 

●安倍元首相「国葬」方針 野党各党は賛否両論 7/16
演説中に銃撃されて亡くなった安倍元総理大臣の葬儀を「国葬」で行うとした政府の方針をめぐり、野党各党の反応は「理解できる」とする意見の一方「国民の中で安倍氏の政治的評価は大きく分かれている」などと指摘する意見もあり、賛否両論が出ています。
岸田総理大臣は、安倍元総理大臣の葬儀について、歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政、外交で大きな実績を残したなどとして、ことしの秋に「国葬」で行う方針を表明しています。
この方針をめぐって、国民民主党は「国の内外から哀悼の意が寄せられており、理解できる」としています。
一方、立憲民主党は「厳粛に行うものであり、静かに見守りたい」としているほか、日本維新の会は「反対ではないが、大々的に国葬を行えば経費もかかるので、その批判が遺族に向かわないことを願う」と懸念を示しています。
また、共産党は「国民の中で安倍氏の政治的評価は大きく分かれており、国葬を行うのは弔意の強制につながるおそれがある」と反対し、れいわ新選組と、社民党も反対していて、野党各党からは賛否両論が出ています。 
●安倍元首相の国葬 立民 泉代表 “閉会中審査で説明求めたい”  7/16
演説中に銃撃されて亡くなった安倍元総理大臣の葬儀を「国葬」で行うとした政府の方針をめぐり、立憲民主党の泉代表は予算など不明な点が多いとして、早急に国会で閉会中審査を開き、政府に説明を求めたいという考えを示しました。
岸田総理大臣は、安倍元総理大臣の葬儀について、歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政・外交で大きな実績を残したなどとして、ことし秋に「国葬」で行う方針を表明しています。
これについて立憲民主党の泉代表は、奈良市内で記者団に対し「歴代の総理大臣が亡くなられた際には、国が関与して一定の格式で見送ることはこれまでも行われてきており、すべて否定はしない。ただ、政府の対応にはまだまだ不明な点が多く、予算や『国葬』の考え方について説明を求めるため閉会中審査を求めたい」と述べ、国会で政府に説明を求めたいという考えを示しました。
また、政府が「国葬」を行うと判断した理由について「格差の拡大や国会での虚偽答弁の数々などには触れられていない。『国葬』がふさわしいかどうかは慎重に議論すべきだったし答えを出すには早すぎたと思う」と指摘しました。
●「功績残した」「違和感ある」 安倍晋三元首相を国葬 納得や疑問の声 7/16
参院選の遊説中に銃撃を受け亡くなった安倍晋三元首相を国葬すると岸田文雄首相が発表したことを受け、県内では賛否の声が広がっている。
普天間飛行場の移設受け入れを1997年に市長として初めて表明した比嘉鉄也元名護市長(94)は「さまざまな経済振興に取り組んできた方。生前の功績を踏まえて首相が決めたのだろう。国葬はいいと思う」と肯定的に受け止めた。
沖縄平和運動センター顧問の山城博治さん(69)は、「事件に大きな怒りを感じている。心からお悔やみを申し上げる」とした上で、安倍政権が名護市辺野古の新基地建設計画を進めたほか、森友・加計学園問題や桜を見る会を巡る疑惑が解明されていない点を挙げて「国葬には違和感がある。税金を使うなら基準を設け、議論して判断すべきだ」と指摘した。
県統一連事務局長の瀬長和男さん(59)も、安倍元首相に哀悼の意を示しつつ「(安倍氏の)功罪をしっかり見た上で議論すべきではないか。国民の中には国葬に疑問を持つ人もいると思う」と話した。
●橋下徹氏 安倍元首相国葬≠ノ反対 「法治国家はルール決めろ」 7/16
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏が16日、「NewsBAR橋下」(ABEMA TV)に生出演。銃撃事件で死去した安倍晋三元首相の国葬が行われる方針について反対した。
橋下氏は「僕も国葬にも十分に値する。安倍さんとの付き合いからそう思う」とした上で「ただ、今回のやり方での国葬は反対なんです」と語った。
理由について「安倍さんに対する評価が功罪あるから国費を使うべきじゃないとか、礼賛になるからやるべきじゃないとか、そういう考えじゃない」と主張。「やっぱり法治国家ってルールを決めて、それに適合するからやる。適合しないならやらないというのが大原則。そこを人を見て感覚的に『この人は国葬』『この人は国葬じゃない』とか(やりだしたら)、じゃあ元総理だったら、菅(直人)さんとか、鳩山(由紀夫)さんどうするんだ?って話になったとき、みんな答えられなくなっちゃう」と説明した。
さらに安倍元首相の主催した「桜を見る会」の問題に触れ「あの時に日本政府は反省したんですよ。ああいうやり方ではよくないと。あれは政治イベントと行政イベントを混在しちゃった」と指摘。
続けて「政治イベントというのは、誰呼んでもいい。だけど行政のイベントっていうのは基準を決めて、それが敵対する勢力だろうが、基準にかなってたら呼ぶ。桜を見る会っていうのは、行政のイベントだったのに後援会を呼んでしまった、政治イベントにしてしまったからゴチャゴチャになってしまって。だから『分ける』という話をしたはずなのに。なんの基準もルールもなく、安倍さんを国葬にしたら、どうするんですかね、他の元総理は? それは法治国家としては違うと僕は思うんですけどね」と私見を述べた。
●辻元清美氏 国葬反対「どんな功績や基準で判断されたのか不透明」 7/16
立憲民主党から参院選比例代表に出馬し当選した辻元清美氏が16日、ツイッターを更新し、銃撃され殺害された安倍晋三元首相の国葬実施に反対の意見を表明した。
辻元氏は「安倍元総理の『国葬』に反対します」とし「どんな功績や基準で判断されたのか不透明。私も安倍元総理の死を悼んでいます。しかし安倍政治の功罪はしっかり検証されるべき。それを封印して『国葬』に踏み切ることは、国民の分断につながりかねないと懸念しています。岸田総理、再考を!」と訴えている。
安倍元首相の国葬をめぐっては15日、共産党、れいわ新選組、社民党が反対を表明している。立憲民主党の西村智奈美幹事長も16日、ツイッターで「安倍元総理の死去に改めてお悔やみ申し上げます」とした上で「岸田総理が国葬と発表した件について、私は閉会中審査を求めたい。どなたであれ特定の政治家を国葬で弔うのは慎重であるべきで、私は反対です。経緯と予算について決めた岸田総理には説明責任があります」と反対を表明している。
●安倍氏葬儀「できれば国葬で」 首相指示 自民議員背中押す・急転直下 7/16
参院選の遊説中に銃で撃たれ死亡した安倍晋三元首相の「国葬」が秋に営まれる。
葬儀の形式に悩んでいた岸田文雄首相の背中を押したのは、ある自民党議員から伝えられた「前例にとらわれない方がいい」との言葉だった。これを受け、首相は国葬を執り行う腹を固め、13日に秘書官に伝達。翌14日の記者会見で電撃的に発表した。
「できれば国葬に近い形でやりたい」。首相は13日、国葬採用の決断を秘書官にこう伝え、具体的対応を検討するよう指示した。
周辺によると、首相には当初から安倍氏を丁重に送りたいとの思いがあったようだ。安倍氏が死去した8日、葬儀について記者団に「考える余裕はまだない」と断りつつ、「相当の敬意を表してしっかり対応を考えるべきだ」と語っていた。
もっとも、戦後、首相経験者の国葬は吉田茂氏の1例のみ。「国民葬」も佐藤栄作氏だけで、1980年死去の大平正芳氏以降は「内閣・自民党合同葬」がほぼ定着していた。戦前の国葬令は廃止されており、政府内では「今、国葬を行うなら法整備が筋」(官邸関係者)との声が強かった。
さらにインターネット上では国葬をめぐる賛否が割れ、自民党内にも「論争で安倍氏の功績に泥を塗るべきではない」との声があった。このため、首相は徐々に慎重姿勢に傾いていった。
官邸関係者によれば、首相を再び前向きにさせたのは、安倍氏の家族葬があった12日に党所属議員から受けた1本の電話だった。議員は「国葬を行った方がいい。安倍氏にふさわしい葬儀にすべきだ」と進言。当初は「根拠法がない」と説明していた首相だが、「法整備すればいい」と助言され、国葬は実施可能と意を強くしていった。
首相が決断を秘書官に伝えたのは翌日。これを受け、秘書官が政府内の調整に入ると、内閣法制局から「国葬は閣議決定で行える」との見解が示され、法整備なしで国葬を行う方針が固まった。情報が漏れて横やりが入るのを懸念してか、この間、与党サイドと情報は共有されなかった。
官邸が与党幹部に国葬実施の方針を伝え始めたのは首相会見の約1時間前。首相は午後6時からの会見冒頭、安倍氏の憲政史上最長の在任期間や内政・外交面の功績などを長々と説明した上で、「こうした点を勘案し、この秋に国葬儀の形式で安倍元首相の葬儀を行うこととする」と表明した。
官邸は半旗を掲げるタイミングが米国やブラジルより2日以上遅れ、保守派から不満が出ていた。首相は自民党側から「このままでは突き上げを食らう」と耳打ちされたことも考慮したとみられる。
●早くも始まった “安倍叩き” で心配される昭恵夫人の心痛… 喪に服す 7/16
7月8日、奈良市内での街頭演説中に銃撃され、亡くなった安倍晋三元首相。しかし、早くも “安倍叩き” が始まりつつあり、遺された昭恵夫人に心配の声が集まっている。
12日の葬儀で喪主を務めた昭恵夫人は、挨拶で「まだ夢を見ているようです。主人のおかげでいろいろなことを経験できた。すごく感謝しています。いつも私のことを守ってくれました」と、夫婦の思い出を振り返った。
そして、「主人も政治家としてやり残したことはたくさんあったと思うが、本人なりの春夏秋冬を過ごして、最後、冬を迎えた。種をいっぱいまいているので、それが芽吹くことでしょう」と語ったと報道されている。
「葬儀では、昭恵夫人が安倍首相の遺体に頬ずりする場面もあったといいます。2人は政界きってのおしどり夫婦として知られてきましたから、昭恵夫人の悲しみは察するにあまりある。世間からどれだけ批判を浴びても、お互いに励まし合い、かばい合ってきたんです」(政治部記者)
愛する夫の突然の訃報にも、昭恵夫人には休む間もなかった。現地に向かって安倍元首相を看取り、自宅に戻ってからは党関係者や閣僚らの弔問に対応しなくてはいけない。増上寺での葬儀の段取り調整に加え、今後は国葬に関する相談も始まっていくだろう。
「ゆっくりと悼む時間さえ取れていないと思われる昭恵さんに、追い打ちをかけるかのように、早くも “安倍叩き” が再燃しているんです。
特に、安倍元首相の国葬をめぐり、『全額政府負担はおかしい』『森友学園の問題を解明してから』などと反対する声が多い。なかには、いきすぎた中傷も飛び交っている始末です」(同上)
ネット上では、過酷な状況にある昭恵夫人に、心配の声が多く寄せられている。
《国葬で批判やら中傷が遺族の方 特に愛する夫を失くされたばかりの昭恵さんには向けて欲しくはないな。そっとしておいて欲しい》《昭恵夫人やご家族のことを思うと、もういたたまれない》《ひと組の夫婦としてのあの2人に対しては本当に仲睦まじいベストカップルだと思っていたので、昭恵夫人の心痛を思うと気持ちが重くなるものがある》
昭恵夫人は、葬儀以降、無言を貫いて喪に服している。心痛はいかばかりか。

 

●安倍氏の国葬は「死の政治利用」と専門家 政府関与の“公葬”の危うさ 7/17
参院選の応援演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍晋三元首相の「国葬」が秋に実施されることについて、賛否の声が巻き起こっている。
国葬とは、政府が主催し、国費で行われる葬儀のことだ。戦後、首相経験者の国葬は1967年の吉田茂氏の一例のみで、秋に実施されれば55年ぶりとなる。
近年は内閣と自民党による「合同葬」が主流。一方で過去には、鳩山一郎氏や池田勇人氏、石橋湛山氏らの「自民党葬」など、首相経験者でも政府が関わらない形での葬儀が執り行われたケースも少なくない。
国が主催する公的な葬儀には、どんな問題があるのか。
『国葬の成立』(勉誠出版)の著書があり、政府が関わる葬儀の歴史に詳しい中央大の宮間純一教授(日本近代史)に聞いた。
過去には「戦時体制の強化」に利用も
――そもそも「国葬」は、日本でいつから始まったのでしょうか。
国葬の始まりは、明治11年(1878年)に士族たちによって暗殺された大久保利通の国葬に準ずる葬儀でした。
当時は反政府勢力が国内に多くおり、盤石な政府ではなかった頃。天皇の名の下に、国家を挙げて大久保という人物に対し哀悼の意を示すことで、反対派の動きを封じ込めるという政治的な目的がありました。国として一つのまとまりを作っていくために執り行われたのです。
その後、岩倉具視や島津久光、三条実美などの国葬は天皇の特旨(特別な思し召し)として行われ、国家を挙げて一人の人を悼む葬儀が完成していきます。
岸田首相は記者会見で、安倍氏が選挙中の襲撃事件で死去したことを踏まえ、国葬を執り行うことで「我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」と発言しました。
国葬の実施と民主主義を守ることがどうつながるのか理解できませんが、この発言はまさに大久保を国葬した際の明治政府の意図に通じるものと考えます。
――1926年の「国葬令」は、法令として国葬について初めて定めています。
天皇の勅令で国葬令が定められると、天皇や皇后などの他、「国家に偉勲ある者」(国家に特別な功績があった人たち)もこれに基づき国葬を天皇から賜りました。
戦前の国葬は、『天皇や国家に尽くした人を国を挙げて悼む』という論理のもと、天皇の支配イデオロギーや国家の統制を高めるための方法として利用されました。
わかりやすいのが、1943年に戦死した山本五十六の国葬です。
当時は戦局が著しく悪化している時期であり、戦時体制を強化するという明確な目的があって行われています。
――戦後、「国葬令」は廃止となりました。一方で、その後も吉田茂氏の国葬のほか、内閣と自民党による合同葬など、政府が関与する形での首相経験者らの公的な葬儀は行われ続けています。
国葬の始まりやその後の歴史から分かるように、政府が関わって、「国家に特別な功績があった」とされる人を弔う葬儀は、いずれも政治的な意図を持って行われてきました。
国葬というのは、民主主義社会においては国家が主体となり、国民も政府も納得した上でその人を顕彰するために行うべき儀礼ですが、そのような対象はあり得ないはずです。
安倍氏に限らず、その人の業績を良く思わない人がいる中で、国として「偉大だった」と評価を固めてその死を重要だと認定することには疑問が残ります。
国や政府が主催し、多くの税金を投入する国葬などの公葬はもう時代に合わないのではないでしょうか。有志で執り行うのではなく、必ずしも追悼したくないという国民も公費負担という形である意味、強制的に巻き込むことには問題があります。
さらに、安倍氏を国葬の対象とすることは、ひいては安倍政権を評価し、自民党政権を肯定することになります。そうなると、国葬を亡くなった人のために行うというより、現政権のために行うということになり得る。そこに多額の税金を投入することは「死の政治利用」とも言えます。
――今回の国葬の実施について、岸田首相は閣議決定が根拠だと主張しています。
閣議決定が根拠になるんだという解釈だけで進めることは、非常に問題があります。
国が主体となり、その上全額が公費負担となるからには、国民が選んだ代表者たちが国会の場で審議し、開かれた形で議論を行い、民主的な手続きを経て決定するべきです。
戦後の主な首相経験者の葬儀形式
吉田 茂(1967年10月死去)国葬
鳩山 一郎(1959年3月死去)自民党葬
岸 信介(1987年8月死去)内閣・自民党合同葬
池田 勇人(1965年8月死去)自民党葬
佐藤 栄作(1975年6月死去)国民葬
田中 角栄(1993年12月死去)自民党・田中家合同葬
福田 赳夫(1995年7月死去)内閣・自民党合同葬
大平 正芳(1980年6月死去)内閣・自民党合同葬
中曽根康弘(2019年11月死去)内閣・自民党合同葬
竹下 登(2000年6月死去)島根県掛合町(当時)・自民党島根県連・竹下家合同葬
宮沢 喜一(2007年6月死去)内閣・自民党合同葬
橋本龍太郎(2006年7月死去)内閣・自民党合同葬
小渕 恵三(2000年5月死去)内閣・自民党合同葬 
●安倍元首相の国葬、政府が「法的根拠」示すも議論沸騰… 7/17
参院選の街頭演説中に銃撃され、亡くなった安倍晋三元首相の国葬が、今秋に営まれる。ネット上では、賛否をめぐり、いまだに激しい議論が繰り広げられている。
7月14日の会見で、岸田文雄首相は国葬を決定した理由について、「憲政史上最長の8年8カ月にわたり総理大臣の重責を担い、東日本大震災からの復興や日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開など、さまざまな分野で実績を残した」などと説明。選挙中の蛮行で逝去したことに、国内外から追悼が寄せられていることも考慮したという。
安倍元首相の訃報以降、“国葬論争” はネット上で紛糾してきた。反対意見の一つが、「法的根拠がない」とする声だ。事実、1926年に制定された「国葬令」は、戦後、日本国憲法の施行とともに廃止されている。以来、1967年の吉田茂氏を除き、首相経験者の国葬はおこなわれていない。
そうした声を考慮したのか、14日の会見で岸田首相は、安倍元首相の国葬開催の法的根拠について、「内閣府設置法」をあげている。
「内閣府設置法において、内閣府の所掌事務として、“国の儀式に関する事務に関すること” と明記されています。よって、この国の儀式としておこなう国葬儀については、閣議決定を根拠として、行政が国を代表しておこない得るものであると考えます」と説明。内閣法制局とも調整済みだという。
法的根拠は示されたものの、発表後、世論はあらためて真っ二つに割れた。全額国費でまかなわれる点や、安倍元首相の政策の功罪など、議論のポイントが多すぎる状況だ。
「野党でも、国葬に対する意見は分かれています。国民民主党の玉木雄一郎代表は《国の内外から広く哀悼の意が寄せられており、国葬とすることについては理解できる》とコメント。一方、立憲民主党の泉健太代表は《国葬がふさわしいかどうか慎重に議論すべきだった》とし、国会での閉会中審査を求める方針です。
日本維新の会の松井一郎代表は《反対ではないが、『反安倍』はたくさんいる。批判が遺族に向かないことを祈っている》と懸念を示しました。共産党、れいわ新選組、社民党は反対の意向です」(政治部記者)
ネット上では、いまも議論が沸騰している。
《国葬は不要だし、これ以上何かしたいなら有志のみなさんだけで私費で執り行ってくださいな》《なんか国葬でうやむやにして神格化しようとしてない?戦前に戻ってるみたいで怖い。日本の政治が心底嫌だ。》《安倍さんの国葬云々は対外的にも意味があるって聞いてなるほどってなったので賛成派 今後こんな事件が起きないようにって意味合いでもやるべきじゃないかと》《安倍さんの国葬は大賛成。経済効果や外交に大きくプラスになる。税金使ってもそれ以上のリターンが大きいから絶対やるべき》
国葬賛成派のなかでは、話題が発展し、《安倍氏はいずれ新札にしても良いレベル》《ここまで日本や世界各国に影響があった安倍さんを新札に!!》など、新札の肖像画を安倍元首相にしてほしいとの声も出始めている。はたして議論の行方は――。
●ラサール石井、朝日新聞の川柳で安倍元首相の「国葬」反対 7/17
タレントのラサール石井が17日、自身のツイッターを更新し、安倍晋三元首相の「国葬」に反対する思いをつづった。
16日の朝日新聞に掲載された川柳「疑惑あった人が国葬そんな国」「国葬って国がお仕舞いということか」を引用し「素晴らしい!」と絶賛。「国葬に反対する人を非国民のように言い死を悼まない人間だと攻撃する者は彼らも攻撃するのか。こんな川柳が生まれるのは国が健康だということ。ユーモアも風刺も封殺する国は滅ぶ。」と自身の考えをつづった。
最後は「#安倍晋三氏の国葬に反対します」とハッシュタグ。さらに、朝日新聞に掲載された川柳の画像も投稿した。
石井のツイートには「風刺と侮辱を混同している!」「これ、おもしろいと思うのですか?風刺じゃなくてただの感想ですよね。健康?病的ですよ。」と厳しいコメントが殺到。「赤信号 楽しいあなたは どこへやら」と石井が所属するグループ・コント赤信号を引き合いに出しての批判もあった。石井が引用した2句以外も「国葬」に批判的な内容のものが選ばれており、この日、「朝日川柳」がトレンドワードとなった。 
●安倍元総理“国葬”、野党内でも温度差 立憲・泉代表が「閉会中審査」求める 7/17 
立憲民主党の泉代表は、安倍元総理大臣の“国葬”について「答えを出すには早すぎた」と述べ、国会で閉会中審査を求める考えを示した。
立憲の泉代表は、政府の“国葬”に関する考え方や予算について「説明を求めたい」と強調した。安倍元総理の国葬をめぐっては野党内でも温度差があり、共産党は「政治的立場を異にしていても、亡くなった方に対しては礼儀をつくす」とした上で“国葬”は「弔意を事実上強制することにつながることが強く懸念される」として反対を表明している。また、れいわ新選組も「法的根拠が存在していない」などとして反対する声明を出した。社民党も反対の談話を発表している。
一方、国民民主党は「国の内外から広く哀悼の意が寄せられており、理解できる」とコメントを出した。そして日本維新の会は、松井代表が「反対ではないが、大々的にやる分、経費もかかるわけで、その批判が親族・遺族にいかないことを願っている」と述べた。 

 

●日本の左派やリベラルが、安倍元首相に完全に敗北したワケ 7/18
左派を震撼させたその実績を検証すると
7月14日、岸田首相は、暗殺された安倍元首相について今年秋に国葬を行う方針を明らかにした。これに対し、公明はコメントせず、共産、れいわ、社民は反対した。
安倍元首相の功績については世界的には称賛されているが、国内の左派やリベラルを中心に「アベ政治を許さない」と露骨に嫌う人も目立った。安倍氏に反発するメディアも少なくなかったが、安倍氏はそうした人たちのどこを刺激したのだろうか。
本コラムで何度も紹介したが、安倍元首相は、経済政策で雇用の確保の実績はピカイチだった。安全保障では、西側政治家の中で誰よりも早く専制国家中国の脅威に気づき、民主主義のクワッド(日米豪印)に動き、同盟(集団的自衛権)の重要性から安保法制を作った。
これらの経済政策や外交安全保障政策は、世界標準の政策であり、世界からの評価を得るのも当然だった。経済政策は、複数のノーベル賞受賞者や世界的に著名な経済学者から評価されたし、外交安全保障も各国首脳からも支持を受けている。
だが、それらの実績は左派を震撼させた。雇用の確保は左派の根幹思想であるが、保守の安倍元首相はその「お株」を奪った。雇用確保ができたのは左派政権ではなかったことで、左派を圧倒した。
実際、雇用の確保について、民主党政権と安倍政権をみると、比較にならないほどに安倍政権の方が優れた業績を示している。
外交安全保障でも、安倍元首相は第1次政権の2000年中頃、西側民主主義国のリーダーがまだ気付かない時期に、中国の野望を分かりやすく世界に暴いていた。
その頃から、対中包囲網であるTPP(環太平洋パートナーシップ)や今でのクワッド(日米豪印)の構想に向けて動いていた。中国は左派の「心の拠りどころ」ともいえるから、左派は必死になって安倍元首相を攻撃した。
さらに、安倍元首相は、左派の「お花畑論」も安保法制で崩し、今回のウクライナ危機ではその「お花畑論」の欺瞞が皆に知れてしまった。
要するに、安倍元首相は、左派が信じて築き上げた戦後の虚像を、実績により見事に打ち砕いたのだ。
左派は安倍元首相に、経済でも安全保障でも完膚なきまで打ちのめされた。左派がいくら言い訳しても、安倍政権下での左派の国政選挙6連敗は否定できない。国民は左派より安倍元首相を選んだ。雇用を守るのも国を守るのも左派でなく、安倍元首相だったのだ。
国葬は「弔問外交」の舞台になる
雇用と外交安全保障という政策で完敗した左派は、「モリカケサクラ」というスキャンダルで安倍元首相を攻めるしかなかった。しかし、その結果は左派にとって無残だ。
モリカケでは安倍元首相への嫌疑はまったく出なかった。財務省による公文書改竄があったが、元財務官僚の佐川氏が自らの国会答弁ミスを糊塗する保身によって生じたものであり、安倍元首相には無関係だ。
サクラでは、安倍元首相の秘書に対する政治資金規正法不記載のみで安倍元首相は不起訴に終わった。これらがモリカケサクラの司法による結果のすべてである。
安倍元首相については、国内では、左派メディアの影響でモリカケサクラのマイナスイメージが強かったが、海外では経済・外交安全保障での成果により高い評価を得ている。今回、この好対照が露わになった。
これは、安倍元首相を嫌った人がどういう方々であったのかも、明らかにしてしまった。これまで、ネットを中心としたいわゆる「ネトウヨ」が安倍元首相を支持しているとされてきたが、銃殺事件の後の事件現場や増上寺、自民党への献花の状況を見ると、国内でも安倍元首相を慕う人は多い。一部左派メディアの報道に影響を受けなかった人が少なくなかったことは明白だ。
その上、海外からの弔問も凄い。エリザベス女王、ローマ法王をはじめ、トランプ前大統領、バイデン大統領、そしてプーチン大統領と世界各国の要人から追悼の言葉が寄せられた。さらにブリンケン国務長官や台湾の頼清徳副総統が来日し、弔問に訪れた。弔意の数は、259ヵ国・地域や機関などから計1700以上にのぼっている。オーストラリアでは各都市の建物をライトアップし、インドは全土で喪に服した。米上院では安倍元首相の功績をたたえる決議案が提出された。
これだけ内外から慕われたのだから、安倍元首相の国葬は当然だろう。
国葬では費用を全額国が負担するので、これが問題とも言われる。2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬では約2億円かかったといわれる。今回の国葬ではその倍としても4億円。官房・外務機密費の1割程度なので、大きな支出とは言えない。
国葬となれば、各国要人の出席にもなるだろうから、日本が「弔問外交」の舞台になることもあり得る。葬儀は故人を偲ぶものであるが、安倍元首相なら世界平和のきっかけになると許してくれるだろう。日本が外交舞台になる恰好の機会と考えれば、国葬は決して意味のないことではない。むしろ、国際的に名が知れた安倍元首相の葬儀としてふさわしいものになるだろう。
なお、石平氏が「安倍元首相の国葬に一番困っているのは中国の習近平」という興味深いツイートをしていた。これに対して、筆者は「習氏の困ることを反対するのは当然のことか。わかりやすい」とツイートした。
石平氏の見立ては、国葬に反対している国内勢力の立ち位置をわかりやすく解説している。 
●安倍元首相は今秋「国葬」に…そもそも「国葬」って何ですか?  7/18
演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍晋三元首相について、今年の秋に国葬を行う方針であることが、岸田文雄首相から発表された。「国葬」とはどのような葬儀なのだろうか。また、これまでにどのような人が対象になってきたのだろうか。
戦後に行われた国葬は吉田茂元首相だけ
国葬とは、一言でいうなら「国家が喪主となって執り行う葬儀」のこと。国葬の対象になるのは「国家に貢献した人」「国家に対して功績を残した人」とされるが、何をもって国家に貢献したり功績を残したりしたといえるかは別の議論になるから、ここでは触れない。
参考までに戦前の例を挙げると、侯爵クラスの爵位を有する人、総理大臣経験者、軍隊における最上位の称号である「元帥」の経験者、明治維新の功労者であることなどが条件となっていたようだ。だが、条件を満たしたからといって、必ず国葬が行われたわけではなかった。国葬はあくまで特別な儀式であり、対象になるか否かは慎重に検討されたという。
国葬は国家が行う儀式だから、法的根拠が必要だ。1926年(大正15)以降は「国葬法」という法律があり、それ以前は個別に勅令(天皇が発する命令)が出されていた。
戦後の日本国憲法では、第20条で国の宗教活動を禁止したため、国葬法も廃止された。だが、国葬が行われた人物が1人だけいる。第45代と第48〜51代内閣総理大臣のほか外務大臣や農林大臣を務めた吉田茂は、1967年(昭和42)10月31日に国葬が行われた。
あのマッカーサーも国葬だった
海外ではどうなっているだろうか。国葬の対象になる条件や基準は、もちろん国ごとに異なる。いくつか事例を拾ってみよう。
アメリカにおける国葬は、直近では第40代大統領のロナルド・ウィルソン・レーガン、第41代大統領のジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ(第43代大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュの父)がいる。また、戦後日本を統治した連合国軍総司令部(GHQ)の最高司令官を務めたダグラス・マッカーサーも国葬が行われた。
イギリスでは王室関係者が対象となるようだが、元首相のウィンストン・チャーチルは「特段の功労」があったとされ、例外的に国葬が行われた。また、2013年に死去した元首相マーガレット・サッチャーは「国葬並み」の葬儀が行われている。
一方、戦前の日本での国葬は、1878年の大久保利通(内務卿)から1945年の閑院宮載仁親王(かんいんのみやことひとしんのう/元帥・陸軍参謀総長)まで25人いる。大将以上の階級で陸海軍の要職にあった皇族や政治家、そして軍人が多い印象だ。日本海海戦で連合艦隊を指揮してロシアのバルチック艦隊を破った東郷平八郎、太平洋戦争のさなかブーゲンビル島上空で戦死した連合艦隊司令長官・山本五十六も国葬だった。

報道によると、安倍元首相の「国葬」について、首相官邸は内閣法制局と法的根拠について協議。内閣府設置法を根拠に、内閣府の所掌事務として定められている「国の儀式」として、閣議決定で実施するのは問題ないと判断したという。会場については、吉田茂の国葬と同じ日本武道館で行うことを調整しているという。費用は全額国費を想定しているそうだ。また、海外から訪れる要人が多数見込まれているため、収容人数やセキュリティの観点から一般人は参列できないと思われる。安倍元首相の御冥福を、静かに祈りたい。
●立民泉氏「国葬」容認から一転反対へ 7/18
立憲民主党の泉健太代表が、安倍晋三元首相の葬儀を「国葬」として行うことに一転して慎重姿勢を示した。岸田文雄首相が国葬の実施を発表した14日には、事実上容認する内容の談話を発表したが、16日になって「慎重に議論すべきだった」と態度を一変させた。この間のいきさつは、立民が抱える課題を改めて浮き彫りにしている。
第1の問題はガバナンス(党内統治)の欠如だ。「国葬については、その性質から厳粛に行うものであり、元総理のご冥福を祈りつつ、静かに見守りたい」 ・・・
●美智子さま、安倍首相の国葬に大反対!「あの男は皇室に仇なす国賊」 7/18 
安倍元首相の国葬が決定
政府は、今月8日に演説中に銃撃されて死亡した安倍元首相の葬儀について、今年秋に国葬で行うことを決定しました。
「先週銃撃されて亡くなった安倍元首相の葬儀について、政府は今年秋に「国葬」で行う方針を固めた。複数の政府関係者によると、8日に奈良市で街頭演説中に銃撃されて亡くなった安倍元首相について、今年秋に「国葬」を執り行う方針を固めた。ある政府関係者は「歴代最長の在職期間、特に外交上の功績を世界の首脳から高く評価されている」などと説明している。首相経験者の「国葬」が行われるのは、1967年に亡くなった吉田茂氏以来となる。」
今回の国葬の決定に関しては、全ての費用が国費で賄われること、それから、安倍元首相が様々な疑惑の持たれた人物であったことなどもあり、賛否両論、様々な意見が書き込まれているようです。
「安倍元総理は、外交においてかなり大きな実績を残されたと思います。TPPなど、国際的なルールメイクの場に日本が主導権を握れるようになりました。また、世界的に見て、経済外交や通商について、日本は自由貿易のリーダーとみなされています。これは安倍外交の成果だと思います。国葬となれば、世界中から国家首脳が葬列に参加されます。この場を日本の外交のチャンスにすべきですし、安倍外交の成果を世界に示すべきです。改めてご冥福をお祈りいたします。」
「国葬にすることで自民党は自民のしてきた政治を評価されたとPRに使いたいのだと感じざるを得ません。こういう事から国民は自民を監視していかないと暴走を抑止出来なくなります。自民は一方的に信任を得たと過大解釈し諸外国へ多額の税金を国民の判断も仰がずポンポンと出したり利権者優遇ばかりで一般的な自国庶民を難民状態にしかねないと感じています。賛成多数で当選した与党議員は今後、一度信任を得られれば何をしても良いのではなく、国民投票を都度取れるシステム構築など検討すべきである。」
「長期にわたる安倍政権で、外交では目立ち自公政権を安定化させた功績はあるかもしれないが、国内は諸外国に比べ賃金は上がったの、物価はどうなったの、少子化は食い止められたの、国の財政は健全化されたの、北方領土はもどってきたの、貧富の差は改善されたの、東京オリンピックの収支はどうなったの、報道の自由度は改善されたの、地震による福島の原発被害の前に共産党の質問にどう答えたの、もりともかけさくらの疑惑は封じたままに終わらせるの。国葬を決める前に政府はきちんと説明する必要があると思いますが。」
野党の党首は揃って国葬に反対
また、この国葬に関しては、共産党、れいわ、社民党等の野党が揃って反対の意を表明しています。共産党の志位和夫委員長は、国葬は、安倍元首相の政治的姿勢を支持することに繋がるおそれがあるとして、次のようにコメントしています。
「共産党の志位和夫委員長は15日、岸田文雄首相が故安倍晋三元首相の国葬を行うと表明したことについて、「国民の中で評価が大きく分かれている安倍氏の政治的立場や政治姿勢を国家として全面的に公認し、賛美・礼賛することになる」として反対する談話を発表した。れいわ新選組、社民両党も声明などで国葬に反対した。志位氏の談話は、「政治的立場を異にしていても、亡くなった方に対して礼儀を尽くすのがわが党の立場だ」と強調。ただ、国葬は国民に弔意を強制することにつながると懸念を示し、「弔意は内心の自由にかかわる問題で国家が弔意を求めたり、弔意を事実上強制したりすることはあってはならない」と指摘した。れいわ新選組は声明で「神格化されるような国葬を行うこと自体がおかしい」と主張した。社民党の服部良一幹事長も国葬に反対する談話を発表。「安倍氏の評価が大きく分かれる中で、国家が国葬として国民に政治的評価を事実上強制することは行うべきではない」と批判した。」
美智子さまは国葬に大反対
このように、様々な意見が上がる中、皇室内で、安倍元首相の国葬に最も強く反対されているのが美智子さまであるようです。
「安倍元首相の生前から、安倍元首相と上皇ご夫妻との確執は、繰り返し報じられていましたが、美智子さまなどは、国葬などを行い、あたかも偉人であったかのように、祭り上げられることには、断固反対しておられるようですね。
美智子さまは、安倍元首相の訃報に関して、海外の要人らから、次々と追悼の言葉が届けられている時にも、“政治的な中立を原則としている皇室からは、安倍元首相への追悼の言葉は、発表してはならない”と厳命し、特に、天皇皇后両陛下に対して、“決して、安倍元首相を追悼するメッセージを発表しないように”と釘を刺されておりました。
そうした中で、政府が、あっさりと安倍元首相の国葬を決定してしまったわけですからね。美智子さまは、このニュースを知られた際には、大変興奮されたご様子で、“あの男は皇室に仇なす国賊”“国賊葬がお似合いです”などと絶叫されておりました」(宮内庁関係者)
また、ある皇室ジャーナリストは、美智子さまが、このように安倍元首相の国葬などに過剰に反応される背景には、安倍元首相に対する嫉妬心も関係しているのではないかとして、次のように語ってくれました。
「美智子さまは、平成の時代には、偉大な皇后陛下として、メディアや国民から長らく称賛され続け、まさに、日本の皇室におけるカリスマ的存在でもありました。
おそらく、上皇陛下が生前退位された際には、皇后の座から退いた後にも、そうしたカリスマ性を保持し続けられると考えておられたのでしょう。ですが、実際には、令和の時代となって以降、そうしたメディアや国民からの評価は失墜し、現在では、平成の時代の雅子さまいじめの主犯であり、皇室の伝統を破壊した戦犯であるとして非難の的になっております。
そうした状況で、首相の座から退いた後にも、多くの国民から愛され、死後には、その業績について多くの称賛を受けることとなった安倍元首相のことを嫉妬しているのかもしれないですね。まあ、要は、“自分こそ、もっと称賛されるべきだったのに”といった思いを引きづっておられるのでしょう」(皇室ジャーナリスト) 

 

●安倍元首相の「国葬」 決定の理由、説明足りぬ 7/19
参院選の街頭演説中に銃撃されて死去した安倍晋三元首相の「国葬」を秋に行うと岸田文雄首相が発表した。首相経験者の国葬は1967年の吉田茂氏以来となる。極めて異例だ。
最近の首相経験者の葬儀は、内閣と自民党が費用を分担する合同葬が通例となっていた。今回は、なぜ国葬儀、つまり国葬なのか。ふに落ちない国民も少なくなかろう。国葬を決めた背景や理由は何か。岸田首相は説明を尽くさなければならない。
安倍氏の衝撃的な死を悼む声が多く寄せられているのは確かだ。一方、功績の過大評価には異論も多い。例えばアベノミクス。東京一極集中や格差拡大には歯止めをかけられなかった。厳しい見方も存在している。
国葬となれば、費用は全て国費、つまり税金で賄われる。疑問に思う人もいるだろう。国を挙げて喪に服す雰囲気が強いられて内心や表現の自由が侵害されないか、不安を感じる人もいるはずだ。吉田氏のときは、テレビやラジオは戦前のように歌舞音曲を停止し、国会でも問題となった。杞憂(きゆう)とはいえない。
2年前の中曽根康弘元首相の合同葬では、政府が全国の国立大や自治体などに弔意を表明するよう求める通知を出し、批判された。轍(てつ)を踏まぬよう、政府には慎重な対応が望まれる。
岸田首相は国葬を決めた理由について、安倍氏が憲政史上最長の8年8カ月、首相の重責を担ったことなどを挙げている。
影の面にも目を向けねばならない。加計学園問題をはじめ政権の私物化と、官僚の「忖度(そんたく)」といった「1強」のおごりや長期政権による緩みも目立った。とりわけ森友問題では、財務省による公文書改ざんまで起き、職員が自殺に追い込まれた。
国会での論戦を避けて数で押し切る手法で、国民の分断を招いた。集団的自衛権の限定的行使を容認する憲法解釈の転換や安全保障法制などである。沖縄に関しては、米軍基地新設に何度も「ノー」の民意を示したのに、十分耳を貸さなかった。
首相は国葬にすることで「民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」と述べた。しかし実際は、安倍氏が民主主義の原則を軽んじた面があったことを忘れてはならない。
「桜を見る会」を巡る疑惑では、事実と異なる国会答弁が少なくとも118回に上った。
首相が安倍氏の国葬を決めた背景に、党内最大派閥の安倍派や保守派への配慮を読み取る人もいる。うなずける指摘だが、人の死を政治利用していると疑われても仕方あるまい。
そもそも国葬にする法的根拠が曖昧だ。戦前は、皇族や「国家に偉功ある者」など対象者を定めた「国葬令」があったものの、戦後廃止された。今は、国葬の対象者や実施要領を明文化した法令は存在しない。
岸田首相は、国の儀式を所掌するとした内閣府設置法があり、閣議決定により国葬は可能だと説明する。しかし国葬にする基準もないのに、行政府だけの判断でいいのか、疑問だ。
吉田氏の国葬も閣議決定で決めている。その際も内閣の権限だけで決めたことが国会で批判された。にもかかわらず再び閣議決定だけで済ませるのは国会軽視と言わざるを得ない。国権の最高機関である国会の意見もしっかり聞くべきである。
●安倍元首相、異例の「国葬」へ…「民主主義を守り抜く」岸田首相の“決断” 7/19
先週水曜、産経新聞が一面トップで大きく書いた。銃撃されて亡くなった安倍晋三元首相の国葬を「待望」とあるので主張がアツい内容かと思いきや、読んでみると印象が違った。
小見出しには「法整備や国費投入課題」とある。記事の序盤では《元首相の葬儀に国費を投じることには批判的な意見も根強い。》と早々に書いている。
さらに《過去の例に照らせば、国葬となる可能性は高くない。法的根拠となる国葬令は昭和22年に失効している。》とも。
そして《最近では内閣と自民による「合同葬」が主流で、安倍氏もこの形式となる可能性が有力視される。》という一文すら。
戦後の首相経験者の「追悼」
つまりこの記事の味わい方としては、自民党内や保守層から「国葬」を求める声が上がっているけど「うーん、でも難しいのかなぁ……」という産経師匠の思いを感じたのです。だから期待を込めて待望論と大きく書いたように読める。
この記事では「戦後の主な首相経験者の追悼」をまとめていた。わかりやすいので引用します。
・「国葬」 吉田茂氏(昭和42年) 特徴 国の儀式として全額国費で実施。国葬の根拠となる国葬令は戦後廃止されていたが、生前の功績を鑑みた
・「国民葬」 佐藤栄作氏(昭和50年) 特徴 内閣と自民党、国民有志が共同で実施。費用はそれぞれが支出した
・「合同葬」 大平正芳氏(昭和55年)、岸信介氏(昭和62年)、中曽根康弘氏(令和2年)ら特徴 内閣と自民党が実施。経費の一部を国費から支出する。現職首相のまま死去した大平氏以来の慣例〉
こうしてみると昭和55年(1980年)以降は合同葬という流れがよくわかる。吉田茂氏の国葬もかなり異例であったことがわかる。
産経は最後に《国際社会で日本の存在感を高めた功労者の葬儀をどう執り行うのか、政府の対応を国民や国際社会が注視している。》と締めています。
これを読んで、どんな形式になるにせよ、これから様々な議論が出て、検討されていくと予想したのです。
すると2日後。
『安倍元首相の「国葬」 ことし秋に行う方針 岸田首相が表明』(NHK NEWS WEB7月15日)
岸田首相にしてはとてつもなく早い決断。さらに気になったのは「民主主義を断固として守り抜くという決意を示していく」という岸田首相の言葉でした。
「民主主義への挑戦」という紋切型フレーズの危うさ
ふりかえってみると今回は「民主主義」を含んだ表現があちこちで使われた。たとえば銃撃事件直後に「民主主義の危機」「民主主義への挑戦」という言葉が新聞の社説などで多く言われた。
それに対し、容疑者はどうやら政治テロではなく個人的な恨みで犯行に及んだらしいので、民主主義の危機とは違うのでは? という声も出た。これは新聞による「これさえ言っとけばいいだろ」という紋切型フレーズ、「何か言ってるようで言ってない」という伝統的な所作に対する批判の意味も含まれていたと思う。ちなみに私はいろんな人や意見を見聞きできる街頭演説はフェスだと考えるので、容疑者があの場を狙ったことや、私たちからフェスの楽しみを奪ったことは民主主義の破壊だと感じました。
民主主義に対するいろんな論議がありましたが、むしろヤバいのはこれからではないでしょうか。
民主主義に必要な態度の一つは、意見が割れ、賛否がある議題ほど丁寧に多角的に議論を重ねていくこと。しかし岸田首相は国葬論議でそのようなプロセスをすっ飛ばした。「民主主義を断固として守り抜く」との言葉と相反する。国葬をいち早く表明することで保守コア層に見放されないよう自分を「守り抜いた」だけでは?
国葬の場合は「2億円以上はかかるとみられる」
産経も指摘したように議論があるのは税金投入の件が大きいからです。最近の中曽根氏の合同葬では政府は約9600万円を支出。これをもとにすると国葬の場合「2億円以上はかかるとみられる」(東京新聞7月16日)との試算もある。やはりまだ様々な議論が必要な気がする。しかしタブロイド紙によっては国葬に慎重な官邸内の意見を「抵抗勢力」と見出しに書いていた(夕刊フジ7月15日付)。もっと冷静になったほうが……。
岸田首相の発表の前、毎日新聞のコラムではこんなくだりがあった。
《例えば憲法改正では岸田氏も含めて「改憲が宿願だった安倍さんの遺志を継ごう」という声が強まっていくのではないだろうか。ムードに流されない議論が必要だ。》(7月13日・与良正男専門編集委員)
最近の風潮にも触れている。
《批判なき政治は独裁を生む。ところが最近、批判は「悪口」だと見なされて、いけないことだという風潮がある――と私は再三、書いてきた。事件を機に権力批判を封じる(あるいは控える)空気がさらに広がるのを危惧する。》
今回は批判どころか議論すらあっという間に封鎖された。岸田首相の決断は民主主義を守り抜くどころか「民主主義への挑戦」にみえてしまう。これをきっかけに今後も次々に挑戦がおこなわれるのだろうか。
注目したい追悼方式は…
国葬か国民葬か合同葬か。冒頭にあげた産経新聞の記事にある解説をもとに考えると、私が注目したいのは「国民葬」です。
「国葬」は吉田茂氏のときも異例であったことがわかるし、「合同葬」だと「安倍さんの首相としての任期は過去の合同葬で見送られた誰よりも長い」という声も出るだろう。その点「国民葬」(過去では佐藤栄作)だと安倍氏の首相在任期間はまさに佐藤栄作氏と双璧だし、ポイントは「内閣と自民党、国民有志が共同で実施。費用はそれぞれが支出した」という点です。これだと税金投入は一番少なそうだし(かからない?)、すでにニュースで伝えられるように安倍氏を悼む人々の多さを考えると国民有志からかなり費用が集まりそう。むしろ国葬より盛大な式ができる予感もする。
様々な意見が出れば、各形式に対するメリット・デメリットなどもっと細かい議論も出てくるはずだ。そしてまた考えることができる。
岸田さん、もう少し議論したらどうでしょうか。
●朝日川柳が大炎上…死してなお強まる「VS安倍氏」の抗争 場外戦 7/19
参院選の街頭演説中に銃撃され、非業の死を遂げた安倍晋三元首相(享年67)について、岸田文雄首相が今年の秋に国葬を行う方針を発表したことに賛否が分かれるなか、朝日新聞の名物企画「朝日川柳」で、安倍氏の死を冷やかしたともとれる川柳が立て続けに掲載され、炎上している。長きにわたって続いてきた「朝日VS安倍氏」の抗争は、安倍氏が死してなおピリオドを打つ様子はない――。
物議を醸したのは、16日付の朝日新聞に掲載された「朝日川柳」だ。「疑惑あった人が国葬そんな国」「利用され迷惑してる『民主主義』」「死してなお税金使う野辺送り」「忖度はどこまで続く あの世まで」「国葬って国がお仕舞(しま)いっていうことか」「動機聞きゃテロじゃ無かったらしいです」「ああ怖いこうして歴史は作られる」と、選出された7作品すべてが安倍氏関連だったのだ。
前日の15日付でも、安倍氏に関するものが7作品中4作品あった。「銃声で浮かぶ蜜月政と宗」「銃弾が全て闇へと葬るか」「去る人の濁りは言わず口閉ざす」「これでまたヤジの警備も強化され」と旧統一教会との関連や警察の警備を風刺する内容だった。
川柳は一般から募集し、両日とも選者名は「西木空人」。これは天声人語などを執筆していた元朝日論説委員で、コラムニストの栗田亘氏だ。
ネット上では「川柳にかこつけて安倍氏を冒とくしている」「人の生死をもてあそぶ川柳など悪趣味」「朝日は赤報隊に襲撃され、亡くなった記者が揶揄されたらどう思うのか?」などと朝日への批判が殺到した。
「表現の自由が守られる我が国では、こんな安倍元総理の暗殺をあざ笑うかのような言論でさえ許されている」と三谷英弘衆院議員をはじめとした自民党の議員が相次いで異を唱え、日本維新の会の音喜多駿政調会長もブログで「いかなる表現や言論にも自由はあるものの、個人サイトではなく、伝統ある全国紙が掲載する川柳がこれなのかと…」と絶句した。
脳科学者の茂木健一郎氏はブログで「言論の自由は大切で、このことで批判しようとは思わない」と前置きしたうえで、「文章も結論も、随分硬質で、視点も、庶民とか世間というよりもちょっと上に置いているように思う。そこには川柳はあるのかなと思う」と投稿した。
朝日と安倍氏はバトルを繰り広げてきた長い歴史がある。第2次安倍政権発足後、朝日の安倍氏への批判は過熱し、安倍氏が国会答弁で「安倍政権打倒は朝日新聞の社是」と発言すれば、トランプ大統領との初会談時には「あなたはニューヨーク・タイムズに徹底的にたたかれた。私もNYTと提携している朝日新聞に徹底的にたたかれたが、勝った」とジョークを飛ばしていたほどだ。
今回の川柳も、両者の因縁関係の延長線上ではあるものの、主に保守陣営から朝日への批判が殺到した中、擁護派は「あくまで国葬への批判だ」「表現、言論の自由」を盾に反撃した。
タレントのラサール石井が「こんな川柳が生まれるのは国が健康だということ。ユーモアも風刺も封殺する国は滅ぶ」とツイートすれば、れいわ新選組の大石晃子政審会長は「川柳キレッキレやな」と投稿したが、国会議員や識者関係で、川柳に賛同する声はごく少数にとどまった。
ネット上では「朝日新聞を廃刊に」「表現の自由」がツイッターで、トレンド入り。朝日のスポンサーへの不買運動を求める声も出るなど大きな怒りを買い、この3連休は大炎上となった。
●岸田首相が国葬を即決した理由「世界各国から要人が…」 7/19
政治ジャーナリストの後藤謙次氏(72)が19日、MBSの情報生番組「よんチャンTV」(月〜金曜後3・40)にリモートで生出演。岸田文雄首相が14日の記者会見で、参院選の街頭演説中に銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相の葬儀について、秋に「国葬」として実施すると発表したことに言及した。
後藤氏は岸田首相が国葬を発表したことについて「即決だった」と口に。その背景には秋までは服喪期間で人事の話は控える雰囲気になるため、岸田総理の求心力が高まるという考えがあったのではないかと指摘した。
また、後藤氏は「安倍元総理自身が岩盤支持層という保守層を抱えているわけですよね。そこに対する離反を招かないという判断があったと思います」と予想。さらに国葬を決めた最大の理由について、「国葬をすれば世界各国から要人が日本を訪れるわけですから、その中心に位置するのが岸田さんということになるわけですね。岸田外交を全面展開するという意味では、あらゆる意味で岸田さんが主人公になる。これがおそらく岸田さんが瞬時に判断した最大の理由だなと考えています」と語った。
●安倍派、安倍晋三元首相の国葬まで会長空席 現体制を維持 7/19
自民党安倍派(清和政策研究会)は19日、臨時幹事会を党本部で開き、死去した安倍晋三元首相が務めてきた派閥会長に関し、秋に開催予定の安倍氏国葬まで当面空席とする方針を確認した。派閥名称も変えずに現体制を維持する。国葬後については改めて検討する。
9月までに行われる内閣改造・党役員人事をにらみ、対外的な窓口は会長代理の塩谷立元総務会長が担うことも申し合わせた。21日の総会に報告し、正式決定する運びだ。幹事会後、塩谷氏が記者団に明らかにした。
派閥運営を巡っては、いずれも派閥事務総長の経験者で、現在は会長代理を務める塩谷氏と下村博文前政調会長ら複数の幹部が主導する方向で調整が進んでいる。
幹事会には塩谷、下村両氏のほか、現事務総長の西村康稔前経済再生担当相、安倍派の参院議員を率いる世耕弘成参院幹事長らが出席した。
安倍派では、閣僚の間は派閥の役職に就かないことになっており、松野博一官房長官、萩生田光一経済産業相らは外れている。
●維新松井代表、国葬に反対しない 岸田首相による意義と理由説明が必要 7/19
日本維新の会代表の松井一郎大阪市長は19日、安倍晋三元首相の国葬に関し「世界のリーダーから見ても傑出した首相だったと思うので反対しない」と市役所で記者団に述べた。一方、税金を投じて実施されるため、岸田文雄首相に対して、国葬の意義と理由を国会で丁寧に説明する必要があるとの考えも示した。
松井氏は、共産党やれいわ新選組、社民党の野党3党が反対し、立憲民主党も慎重な議論を求めている現状を踏まえ「さまざまな懸念を持っているのだろう。消極的でも納得してもらわないと安倍元首相も報われない」と語り、首相には説明責任があると指摘した。
国葬実施によって安倍氏の妻昭恵さんら遺族に誹謗(ひぼう)中傷が向かうことを懸念し、首相に対して「(国葬実施は)遺族には関係なく、全て政府の責任だとはっきりしてもらいたい」とも求めた。
●安倍元首相の国葬差し止め仮処分申請へ「桜を見る会」問題など 7/19
政府が秋に実施する安倍晋三元首相の国葬を巡り、市民団体が19日、予算の差し止めなどを求める仮処分を21日に東京地裁に申し立てると明らかにした。
市民団体「権力犯罪を監視する実行委員会」の岩田薫共同代表によると、森友・加計学園問題や「桜を見る会」問題などで安倍氏の評価は国民の間で分かれており、思想・良心の自由を保障した憲法19条に反すると主張する。予算執行の差し止めを求める訴訟も近く東京地裁に起こす予定。
費用は国の儀式として全額国費となる。岸田文雄首相は14日の記者会見で、国葬を営むことを通じて「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示す」と強調した。
立憲民主党の泉健太代表は19日、政府から教育機関などに弔意を求めることに反対だと表明。経費面など政府の説明が不十分としている。共産党やれいわ新選組、社民党は反対している。
●撃たれて死んだことは理由にならない…「安倍元首相の国葬」 7/19
岸田文雄首相は7月14日、演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍晋三元首相について、今年の秋に国葬を行うと発表した。『国葬の成立 明治国家と「功臣」の死』(勉誠出版)の著者で、中央大学文学部の宮間純一教授は「岸田首相は『暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示していく』と述べたが、国葬という制度が本来的にもっている性質を理解しているとは思えない」という――。
「民主主義を断固として守り抜く」への違和感
岸田文雄首相は、2022年7月14日に開かれた記者会見にて、凶弾に倒れた安倍晋三元首相の葬儀を今秋に「国葬儀」の形式で行うと発表した。
その理由として挙げられたのは、1憲政史上で最長期間首相を務めたこと、2さまざまな分野で重要な実績をあげたこと、3国内外から哀悼の意が寄せられていること、の3つである。そして、「安倍元首相を追悼するとともに、わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く」と国葬の意義を語った。
私は、この会見の内容を目にして恐ろしさを覚えた。
3つの理由は、どれも納得できるものではないが、事前の報道で話題になっていたこともあって驚きはしなかった。ただ、岸田首相の言葉にある「民主主義を断固として守り抜く」は意味がわからなかった。不当な暴力で亡くなったからといって、安倍元首相を国葬にすることがどうして民主主義を守ることになるのか。私の理解では、国葬はむしろ民主主義とは相いれない制度である。
歴史家の立場から、過去にさかのぼってこの時感じた恐ろしさを説明してみたい。
暗殺された大久保利通が「国葬」となった理由
国葬とは、国家が主催し、国費をもって実施する葬儀のことをいう。
日本では、天皇・皇太后などのほか、明治以降1945年までの間、天皇の「特旨(とくし)」(特別な思し召し。)によって「国家ニ偉功アル者」の国葬が行われていた。国葬の初例は、1883年に行われた岩倉具視の葬儀だが、制度こそなかったものの1878年の大久保利通の葬儀は国葬に準ずる規模で催された。
大久保は、5月14日に石川県士族島田一郎らに暗殺され、そのわずか3日後には葬儀が盛大に行われた。かつてないほどの大がかりな葬儀を、なぜこれほどまでに急いで実施しなければならなかったのか。暗殺されたのだから事前の準備はない。
葬儀を主導したのは、大久保の後継者として内務卿に就いた伊藤博文と、大久保と同じ薩摩藩出身の西郷従道・大山巌らである。彼らが心配したのは、政府の最高実力者であった大久保が不平士族の手にかかって落命したことで、反政府活動が活発化することであった。前年には、西南戦争があったばかりで、不平士族はもちろん、自由民権派の活動などへも政府は警戒を強めていた。明治政府は、この段階ではまだまだ盤石ではなかった。
安倍政権の評価を固めるためではないのか
そこで、伊藤たちは、天皇が「功臣」の死を哀しんでいる様子を、大規模な葬儀という形で国内外に見せつけようとした。葬儀を通じて、天皇の名の下に島田らの「正義」を完全否定し、政府に逆らう者は天皇の意思に逆らう者であることを明確にした。大久保の「功績」を、天皇の「特旨」をもって行われる国家儀礼で揺るぎないものとし、それによって政権を強化しようと葬儀を政治利用したのである。
そしてこの葬儀は、一般の人びとを巻き込んで執行された。かつてない規模のセレモニーを一目見ようと人びとが集まり、葬列はさながらパレードのような状態となった。
私には、伊藤たちの思惑が岸田首相の発言と重なった。表面上は、民主主義を守ると言っているが、多数残されている安倍元首相の疑惑を覆い隠し、安倍政権の評価を固めて自民党政権を守ろうとしているのではないか、と。
死を悼むため国民の歌舞音曲は停止する
岩倉具視以降、1945年に実施された載仁親王(閑院宮)まで21名の国葬が、天皇の「特旨」によって執り行われた。
厳格な基準があったわけではないが、太政官制で太政大臣・左右大臣を務めた人物、旧薩摩・長州藩主、元老などが選ばれている。1885年に内閣制度が導入されてからは、閣議決定の後、首相から天皇に上奏し、裁可(天皇による決裁)を経て執行する手続きが取られた。内閣によって葬儀掛が組織され、計画・実施の中心的役割を果たした。
国葬は、回数を重ねる中で形式を整えてゆく。「功臣」の死を悼むために天皇は政務に就かない(廃朝)、国民は歌舞音曲を停止して静粛にする、死刑執行は停止するといったことも定型化する。私は、このような国葬の形式がおおよそ整ったのは、1891年の三条実美の国葬だと考えている。
国葬とは天皇から「功臣」に賜るもの
三条の場合には、葬儀の現場東京から離れた町村・神社・学校などでも追悼のための儀式が実施された。また、メディアが発達したことを背景に、新聞などを通じて三条の死が「功臣」たるにふさわしい業績・美談とともに広められてゆく。全国各地の人びとは、三条の追悼行事に参加することで、「功臣」が支えたとされる天皇や国家を鮮明に意識することになる。
近世までの民衆は、自分が日本人であるという自己認識はもっていなかった。そもそも近世に、日本という国家は存在しない。大多数の人びとは、将軍や大名に対する従属意識はあっても、天皇が何者なのかはよく知らない。
明治政府は、そうした人びとを「国民」に変え、国家の構成員としなくてはならなかった。その政策の柱の一つとして、天皇は国家統合の象徴として演出され、万世一系の元首として振る舞った。天皇から「功臣」に賜る国葬は、そうした国民国家の建設のさなかに、国家統合のための文化装置として機能することが期待されて成立した。
なぜ戦死した山本五十六は「国葬」とされたのか
天皇から国葬を賜った「功臣」に対する評価は絶対的なものとなる。個人の意志にかかわらず、国葬を通じて「功臣」を追悼することが強制され、国民は一つの方向を向いて「功臣」に敬礼しなければならない。
もっともわかりやすい例は、山本五十六の国葬であろう。山本は、第2次大戦中の1943年に、戦局が悪化する中、ブーゲンビル上空で米軍機に撃たれて戦死した。山本は、先例に従えば本来対象とならないが、天皇の「特旨」によって国葬を賜ることになった。
国葬に際して、東条英機首相は、「一億国民の進むべき道はただ一つであり」、山本の精神を継承して「米英撃滅」に邁進し、「宸襟(しんきん)」(天皇の心。)を安んじなければならない、と国民にうったえた。国民的人気が高かった山本の戦死を利用して、戦時体制を強化しようという意図があからさまである。
銃後の母親たちには、国葬当日「弔旗を掲げるにしても、神棚へお燈明を上げて礼拝するにしても、お母さんたちは故元帥の遺志は自分たちがお継ぎするという気持を持ち、元帥こそは吾国民の鑑であることをよくお子さんたち達に説明してからにしていただきたい」などと指示が出された(『朝日新聞』1943年6月5日朝刊)。
国葬を通じて、国民はみな山本の遺志なるものを継いで、戦争に協力することを強要されたのである。
極端な例を挙げていると思われるかもしれないが、本質的に国葬は、国民を一つにまとめようとして実施されるものである。国家の危機に際して、山本の国葬ではその性格がむきだしになって表れたのである。
戦後唯一の例外「吉田茂元首相の国葬」
敗戦後、国葬令は1947年12月31日をもって失効した。
1946年には、地方官庁および地方公共団体に対して「公葬その他の宗教的儀式及び行事(慰霊祭、追弔会等)は、その対象の如何を問わず、今後挙行しないこと」と、国から通達が出されている。国葬をはじめとする公葬は、神式で行われてきた。連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)が、神社・神道を政治から切り離して「国家神道」を解体しようとする中で、公葬も必然的に禁止されることになる。以後、現在に至るまで国葬を行うための直接の根拠となる法令は作られていない。
戦後唯一の例外として吉田茂の国葬が知られている。
1967年、吉田が急死すると外遊中だった佐藤栄作首相は急遽帰国し、国葬実施のための調整を進めた。まもなく閣議で国葬が正式決定し、佐藤は「もっとも苦難にみちた時代にあって、七年有余の長きにわたり国政を担当され、強い祖国愛に根ざす民族への献身とすぐれた識見をもって廃墟と飢餓の中にあったわが国を奇跡の復興へと導かれた」との談話を発表した(『朝日新聞』1967年10月23日夕刊)。
日本武道館で行われた葬儀は、国内外から約5000人の参列者を得て、宗教色を排除して実施された。皇太子夫妻(現・上皇、上皇后)も出席している。九段下には約8500人の群衆が詰めかけ、大磯の邸宅から武道館までの道のりには約7万人の人だかりができたという。
だが、吉田の国葬にはだれもがもろ手を挙げて賛成したわけではなかった。
国葬はむしろ「民主主義の精神」と相反する制度
国葬当日の渋谷駅前のハチ公前広場では、共産党や民主団体の宣伝カーが反対演説をしてビラをまいていた。革新系首長の自治体では、平常どおり業務が行われていた。東大駒場キャンパスには、「するな黙祷、許すな国葬」と書かれた立て看板があった。国葬に関心を示さない人も多かった。浅草六区では黙祷の合図のサイレンがなっても誰も足を止めない。東京駅でも、スピーカーで黙祷の合図が知らされたが、足を止めて目を閉じたのはごくわずかであった。銀座の女子高校生は黙祷している人をみて「あれ、なにやってるの」と言う始末だったという(『朝日新聞』1967年10月31日夕刊)。
吉田の国葬では、もはや戦前の国葬のような風景は見られない。
安倍元首相の国葬をめぐっては、安倍政権への疑惑や国費の使用、政教分離、決定までの手続きなどが主な論点となっている。それらも、もちろん重要な問題だと思う。だが、岸田首相の発言にふれて、国葬についていくらかの知識と関心を持ち合わせていた私の頭をよぎったのは、時代を逆行しているかのような恐ろしさであった。
国葬という制度が本来的にもっている性質を理解していれば、国葬を実施することにより、「民主主義を断固として守り抜く」という発想が出てくるはずがない。国葬は、むしろ民主主義の精神と相反する制度である。国家が特定の人間の人生を特別視し、批判意見を抑圧しうる制度など、民主主義のもとで成立しようはずがない。
なぜ歴代首相の葬儀は、国民葬や合同葬だったのか
「功臣」の国葬は日本史上ですでにその役目を終えている。戦後実施された吉田茂の国葬は、政府が期待したほどには盛り上がらなかった。その後、佐藤栄作をはじめ歴代首相の葬儀は、反対意見を無視できずに国民葬や合同葬にスケールダウンせざるを得なかった。まさか復活するとは夢にも思わなかった。
今年の秋に、山本五十六の国葬のような状況が再現されるとはさすがに私も考えていない。吉田の国葬の時のように、無関心な層が多いかもしれない。だが、国葬とすることで国家が安倍元首相の業績を特別視し、批判意見を抑圧してしまう恐れがある。安倍元首相の追悼記事の多くは、「批判に対して寛容な人柄だった」と伝えている。そうだとすれば、国葬は安倍元首相の遺志にも反するのではないだろうか。
何も考えないで沈黙していれば、日本国民がみな彼を称え、自民党政権の業績を認めているという既成事実が創られてしまう。意見はいろいろあって良い。私の発言は、たたき台でよいから、一人でも多くの人にこの問題について考えてほしい。
●アジアで「ウクライナ戦争」のような危機が起きるのを防いだ功績  7/19
奈良市で街頭演説していた自民党の安倍晋三元首相(67)が8日昼前、銃撃され死亡した。奈良県警は殺人未遂容疑で同市在住の元海上自衛隊員の無職(41)を現行犯逮捕、容疑を殺人に切り替え10日に送検する。今のところ政治的背景はないものの、テロという暗い時代を予感させる重大事件だ。
安倍氏は2006年、52歳という戦後最年少の若さで、初の戦後生まれの宰相となったものの、健康上の理由で翌年、辞任した。しかし12年の総選挙で政権に返り咲き、首相に再登板した。通算の在任期間は3188日、歴代1位の長期政権を担った。靖国参拝や、森友学園を巡る公文書改ざん、加計学園、「桜を見る会」問題など「政権私物化」の批判もあった。
しかしロシア軍のウクライナ侵攻のような安全保障上の危機がアジア太平洋で起きなかったのは安倍氏の功績と言っても過言ではない。安倍氏は第1次政権下の07年、インド国会で「二つの海の交わり」と題して演説し、インド太平洋という戦略概念を早くも提唱している。これが日米豪印4カ国による「安全保障ダイヤモンド」に発展していく。
安倍氏はこう演説している。「私たちは今、歴史的、地理的にどんな場所に立っているのでしょうか。それは『二つの海の交わり』が生まれつつある時と、ところに他なりません。太平洋とインド洋は今や自由の海、繁栄の海として、一つのダイナミックな結合をもたらしています。従来の地理的境界を突き破る『拡大アジア』が明瞭な形を現しつつあります」
「インド太平洋とQUADの父」
もともと04年のスマトラ沖大地震をきっかけに発足した日米豪印4カ国は基本的価値を共有し、法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋」を目指すようになった。今では「QUAD(4カ国)」と呼ばれ、今年2月には第4回外相会合、3月に首脳テレビ会議、5月に首脳会合が開催されている。安倍氏の安全保障概念がアメリカを動かしたのだ。
インドの英字紙フィナンシャル・エクスプレスは「インド太平洋とQUADの父」と安倍氏の功績を称えている。「安倍首相の下、日本とインドは初めて防衛・外交の2+2閣僚対話を行い、海洋安全保障、QUAD、インフラ分野での連携が強化された。インド太平洋においてインドは中国の覇権とバランスをとるための重要なプレーヤーとして認識された」と指摘した。
14年7月、安倍氏は一定の条件下で集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を決定した。日本は世界最強の軍事大国・アメリカと同盟を結び、その「核の傘」に守られている。集団的自衛権が行使できないのに、どうして日米同盟が結べたり、イラクへの自衛隊派遣、インド洋での補給活動、ソマリア沖の海賊対処行動に参加したりできるのか。
日本の憲法・安全保障専門家でもない限り、説明するのは難しい。集団的自衛権の限定的行使容認は現行憲法下でノリシロがなくなってしまった解釈を根本的に見直し、日米同盟をさらに深化させる狙いがあった。「他国への武力攻撃でも、わが国の存立を脅かすことも現実に起こり得る」として厳しい要件を課した上で集団的自衛権の行使を限定的に認めた。
集団的自衛権の限定的行使容認の意義とは
防衛相として当時、国会答弁に当たった中谷元首相補佐官(国際人権問題担当)は昨年10月、筆者のインタビューに「集団的自衛権の行使を限定的にでも容認したことで、周辺国とさまざまな同盟や条約を交わすことが可能となるため、今まではなかった大きな外交カードを手に入れた」と評価している。
「防衛の支障となっている憲法解釈をしっかり定めることであらゆる事態に切れ目のない対応を行えるようにする。日本の防衛に資する活動をしている外国軍艦を守れるようにする、海上自衛隊によるインド洋での給油活動を可能にしたテロ対策特別措置法を恒久法にする、国際平和を脅かす事態が起きた時に自衛隊派遣に向け各国との調整を迅速にできるようにしておく必要がある」と中谷氏は強調した。
バラク・オバマ米大統領(当時)が土壇場でシリア軍事介入を断念したのを見て、ソチ五輪直後の14年2月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナ・クリミア併合を強行、東部紛争に火をつけた。安倍氏は北方領土問題や平和条約の締結についてプーチン氏と27回も会談を重ねる一方で、足元では防衛・安全保障を着実に築き上げてきた。
プーチン氏は安倍氏の遺族にあてた弔電で「安倍氏は傑出した政治家で、両国の良き隣人関係の発展に多くの功績を残した。安倍氏の死はかけがえのない損失だ。この重く、取り返しのつかない損失に直面しているご家族の強さを祈ります」と伝えた。プーチン氏にとってはウクライナ侵攻で敵対する西側との数少ない対話チャンネルの一つを失った。
「日本とアメリカはともに相対的に衰退している」
安倍氏は外交に不可欠な対人関係を構築する能力に秀でている。16年11月、問題児のドナルド・トランプ氏が米大統領選に当選するや否や、安倍氏はトランプタワーに駆けつけ、ゴルフクラブを贈呈、いち早く信頼関係を構築した。まだ正式に政権が交代する前に次期大統領と会談した行動は一部から顰蹙を買った。
しかし、これで「シンゾー・ドナルド」の蜜月関係が築かれていなかったらアジア太平洋もロシア軍のウクライナ侵攻のような安全保障上の危機に見舞われていた恐れは十分にある。トランプ氏は安倍氏の訃報に接し「彼は日本を愛し、大切にする人であった。彼のような人は二度と現れないだろう」と語った。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相(当時)は国内総生産(GDP)の2%という北大西洋条約機構(NATO)の防衛費目標を無視し、バルト海の海底を通ってロシアの天然ガスをドイツに送るパイプライン計画「ノルドストリーム2」を進め、トランプ氏を激怒させた。エマニュエル・マクロン仏大統領に至っては「NATOは脳死状態」と呼び、綻びを露呈させた。
ジョー・バイデン米大統領は米欧分断の修復に努めたものの、プーチン氏の領土的冒険主義を止めることはできなかった。ロシア産原油・天然ガスに依存する独仏伊の欧州主要国はロシアがウクライナに侵攻しても、いずれは妥協するとプーチン氏に思わせてしまったからだ。防衛・安全保障の要は安倍氏が実践したようにスキをつくらないことだ。
米紙ニューヨーク・タイムズで知日派のデービッド・サンガー記者は「安倍氏が、アメリカが戦後制定した日本の現行憲法に基づく制約を緩和しようとしたのは、日本がかつてないほど同盟国のアメリカを必要としていることを認識していたからだ。同盟を結ぶということは相互に防衛の義務を負うということだ」と記している。
「安倍氏は、日本政治に詳しい米マサチューセッツ工科大学のリチャード・サミュエルズ教授が言うように『日本とアメリカはともに相対的に衰退している』ため、その才能と資源を組み合わせなければならないことを知っているようだった。そして『この関係はうまくいかなければならない』と安倍氏は結論付けた」と結んでいる。日本も戦力不保持をうたった憲法9条を変える時が来ている。
●自民「野党は国民とずれ」 安倍氏国葬批判をけん制 7/19
自民党の茂木敏充幹事長は19日の記者会見で、故安倍晋三元首相の国葬を行う政府方針を野党が批判していることに対し、「国葬は極めてふさわしい、適切な在り方だ」と反論した。「国民から『いかがなものか』との声が起こっているとは認識していない。(野党は)国民の声、認識とかなりずれているのではないか」とけん制した。
公明党の山口那津男代表は首相官邸で記者団に「岸田文雄首相の決断を評価したい」と表明。これに先立つ首相との会談で、国葬成功に向けて協力していく方針を確認したと明らかにした。
一方、立憲民主党の泉健太代表は党執行役員会で「政府の説明は不十分な点が多く、国民から数多くの懸念の声も上がっている」と述べ、国会での閉会中審査を求め、費用や形式をただしていく考えを示した。
泉氏は、2020年10月に行われた故中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬に際し、文部科学省が全国の国立大学などに弔意表明を求める通知を出したことに触れ、「ある種の同調圧力を求めていくのはいかがなものか。そういったことは(今回も)行うべきではない」と指摘した。
立民の西村智奈美幹事長は会見で、政治家の国葬に「反対だ」と明言。安倍氏の扱いに関し、「決まった経緯が不透明だ。国論を二分する形にならないように丁寧な議論があってしかるべきだ」と主張した。
日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は国葬に賛意を示しながらも、閉会中審査について「賛成、反対、両方の意見のある国民に首相は説明する責任がある」と求めた。同市役所で記者団に語った。
共産党の小池晃書記局長は会見で「茂木氏の認識こそずれている。国民の中に一定の数、国葬でいいのだろうか、反対だという声があることは間違いない」と反発した。安倍氏の国葬について、共産党、れいわ新選組、社民党は「弔意の強制につながる」などとして反対している。
●安倍元首相の国葬是非に「議論をすること自体に危機感」 7/19
お笑いコンビ「ロザン」の宇治原史規(46)が19日、MBSの情報生番組「よんチャンTV」に生出演。岸田文雄首相が14日の記者会見で、参院選の街頭演説中に銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相の葬儀について、秋に「国葬」として実施すると発表したことに言及した。
宇治原は国葬の是非について、「ルール作りをしてほしいというのが一番の気持ちです」と口に。「功罪という言葉がよく使われますけど、今から生まれる総理大臣も必ず功罪の面があると思うんです。そういう方を国葬にするかどうかという議論をすること自体が、分断しか生んでいない。議論をすること自体に危機感がある」と持論を展開した。
さらに宇治原は「僕はこれが正しいと思ってるんですけども、安倍元首相の死を悼んで、心から追悼した上で、功罪の面を客観的に過度に神格化せず、過度に批判せずに、見ていくというのが正しいと思うんです。そういうことをする時に国葬にすべきかどうかという議論は、僕はあまり良くないというか…みんなが思ってる気持ちの中で。正直、ルール作りをしてほしいというのが一番」と語った。
●安倍元総理の”政治利用”では…「国葬」に自民党内からも批判噴出 7/19
街頭演説中の安倍晋三元総理が銃撃されて死亡したのは7月8日のこと。そして14日、岸田文雄首相は記者会見で、安倍元総理の「国葬」を執り行うと表明した。
「卓越したリーダーシップと実行力をもって総理大臣の重責を担った」
「国葬を営むことで、わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示したい」
という「理由」が語られたが、これに反発する声が高まっている。
「まず『暴力に屈しないということと、安倍元総理を称賛することは、まったく別次元』という声が党内にもあります。そもそも今回の事件は、背景が明らかになるにつれ、いわゆる”民主主義の危機”という問題とは遠いのではないかと言われています」(全国紙政治記者)
SNSでは「#国葬反対」がトレンドワードになる一方、小池百合子都知事などは、早々と「賛成」の意を表明している。
「国葬」実施について、松野博一官房長官は会見で、次のように説明している。
「安倍政権は憲政史上最長政権を担い、海外からも多くの弔意が届いている。海外要人の参列や閣議決定の時期など、ご遺族をはじめ、関係者と相談の上、調整していきたい」
日程や開催場所、規模も調整中としたが、首相官邸高官によると「9月に日本武道館」という方向で進んでいるという。
しかし、「国葬」という岸田政権の決定は「”安倍元総理の死”の政治利用ではないか」という疑問が、自民党内部からも呈されている。
自民党幹部が「違和感」を告白
直近の「国葬」は、昭和天皇のとき。これまで、総理経験者の死去にともなう葬儀は、「内閣と自民党の合同葬」という形で執り行われてきた。最近では、20年の中曽根康弘元首相の例がある。ある自民党幹部は、苦々しさを隠さずこう言った。
「戦後唯一、吉田茂元総理の国葬は1967年、宗教色を一切排除して執り行われた。第二次大戦によって焦土と化した日本の独立と復興に寄与した総理大臣として、当時の佐藤栄作内閣が決定しました。
その佐藤総理は、非核三原則を唱え、ノーベル平和賞受賞、沖縄返還を成し遂げ、2798日に及ぶ長期政権を担ったが、死去の際は国葬ではなく国民葬だった。
岸田総理周辺は『安倍さんは死後、大勲位を授与されている』と言うが、同じように大勲位を授与された中曽根元首相の場合、これも国葬ではなく合同葬だった。国民に説明がつかない。つじつまが、合いません」・・・
●「安倍元首相の国葬」に専門家が「やるべきではない」というワケ 7/19
岸田文雄首相は7月14日、演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍晋三元首相について、今年の秋に国葬を行うと発表した。『国葬の成立 明治国家と「功臣」の死』(勉誠出版)の著者で、中央大学文学部の宮間純一教授は「岸田首相は『暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示していく』と述べたが、国葬という制度が本来的にもっている性質を理解しているとは思えない」という――。
「民主主義を断固として守り抜く」への違和感
岸田文雄首相は、2022年7月14日に開かれた記者会見にて、凶弾に倒れた安倍晋三元首相の葬儀を今秋に「国葬儀」の形式で行うと発表した。
その理由として挙げられたのは、1憲政史上で最長期間首相を務めたこと、2さまざまな分野で重要な実績をあげたこと、3国内外から哀悼の意が寄せられていること、の3つである。そして、「安倍元首相を追悼するとともに、わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く」と国葬の意義を語った。
私は、この会見の内容を目にして恐ろしさを覚えた。
3つの理由は、どれも納得できるものではないが、事前の報道で話題になっていたこともあって驚きはしなかった。ただ、岸田首相の言葉にある「民主主義を断固として守り抜く」は意味がわからなかった。不当な暴力で亡くなったからといって、安倍元首相を国葬にすることがどうして民主主義を守ることになるのか。私の理解では、国葬はむしろ民主主義とは相いれない制度である。
歴史家の立場から、過去にさかのぼってこの時感じた恐ろしさを説明してみたい。
暗殺された大久保利通が「国葬」となった理由
国葬とは、国家が主催し、国費をもって実施する葬儀のことをいう。
日本では、天皇・皇太后などのほか、明治以降1945年までの間、天皇の「特旨(とくし)」(特別な思し召し。)によって「国家ニ偉功アル者」の国葬が行われていた。国葬の初例は、1883年に行われた岩倉具視の葬儀だが、制度こそなかったものの1878年の大久保利通の葬儀は国葬に準ずる規模で催された。
大久保は、5月14日に石川県士族島田一郎らに暗殺され、そのわずか3日後には葬儀が盛大に行われた。かつてないほどの大がかりな葬儀を、なぜこれほどまでに急いで実施しなければならなかったのか。暗殺されたのだから事前の準備はない。
葬儀を主導したのは、大久保の後継者として内務卿に就いた伊藤博文と、大久保と同じ薩摩藩出身の西郷従道・大山巌らである。彼らが心配したのは、政府の最高実力者であった大久保が不平士族の手にかかって落命したことで、反政府活動が活発化することであった。前年には、西南戦争があったばかりで、不平士族はもちろん、自由民権派の活動などへも政府は警戒を強めていた。明治政府は、この段階ではまだまだ盤石ではなかった。
安倍政権の評価を固めるためではないのか
そこで、伊藤たちは、天皇が「功臣」の死を哀しんでいる様子を、大規模な葬儀という形で国内外に見せつけようとした。葬儀を通じて、天皇の名の下に島田らの「正義」を完全否定し、政府に逆らう者は天皇の意思に逆らう者であることを明確にした。大久保の「功績」を、天皇の「特旨」をもって行われる国家儀礼で揺るぎないものとし、それによって政権を強化しようと葬儀を政治利用したのである。
そしてこの葬儀は、一般の人びとを巻き込んで執行された。かつてない規模のセレモニーを一目見ようと人びとが集まり、葬列はさながらパレードのような状態となった。
私には、伊藤たちの思惑が岸田首相の発言と重なった。表面上は、民主主義を守ると言っているが、多数残されている安倍元首相の疑惑を覆い隠し、安倍政権の評価を固めて自民党政権を守ろうとしているのではないか、と。
死を悼むため国民の歌舞音曲は停止する
岩倉具視以降、1945年に実施された載仁親王(閑院宮)まで21名の国葬が、天皇の「特旨」によって執り行われた。
厳格な基準があったわけではないが、太政官制で太政大臣・左右大臣を務めた人物、旧薩摩・長州藩主、元老などが選ばれている。1885年に内閣制度が導入されてからは、閣議決定の後、首相から天皇に上奏し、裁可(天皇による決裁)を経て執行する手続きが取られた。内閣によって葬儀掛が組織され、計画・実施の中心的役割を果たした。
国葬は、回数を重ねる中で形式を整えてゆく。「功臣」の死を悼むために天皇は政務に就かない(廃朝)、国民は歌舞音曲を停止して静粛にする、死刑執行は停止するといったことも定型化する。私は、このような国葬の形式がおおよそ整ったのは、1891年の三条実美の国葬だと考えている。
国葬とは天皇から「功臣」に賜るもの
三条の場合には、葬儀の現場東京から離れた町村・神社・学校などでも追悼のための儀式が実施された。また、メディアが発達したことを背景に、新聞などを通じて三条の死が「功臣」たるにふさわしい業績・美談とともに広められてゆく。全国各地の人びとは、三条の追悼行事に参加することで、「功臣」が支えたとされる天皇や国家を鮮明に意識することになる。
近世までの民衆は、自分が日本人であるという自己認識はもっていなかった。そもそも近世に、日本という国家は存在しない。大多数の人びとは、将軍や大名に対する従属意識はあっても、天皇が何者なのかはよく知らない。
明治政府は、そうした人びとを「国民」に変え、国家の構成員としなくてはならなかった。その政策の柱の一つとして、天皇は国家統合の象徴として演出され、万世一系の元首として振る舞った。天皇から「功臣」に賜る国葬は、そうした国民国家の建設のさなかに、国家統合のための文化装置として機能することが期待されて成立した。
なぜ戦死した山本五十六は「国葬」とされたのか
天皇から国葬を賜った「功臣」に対する評価は絶対的なものとなる。個人の意志にかかわらず、国葬を通じて「功臣」を追悼することが強制され、国民は一つの方向を向いて「功臣」に敬礼しなければならない。
もっともわかりやすい例は、山本五十六の国葬であろう。山本は、第2次大戦中の1943年に、戦局が悪化する中、ブーゲンビル上空で米軍機に撃たれて戦死した。山本は、先例に従えば本来対象とならないが、天皇の「特旨」によって国葬を賜ることになった。
国葬に際して、東条英機首相は、「一億国民の進むべき道はただ一つであり」、山本の精神を継承して「米英撃滅」に邁進し、「宸襟(しんきん)」(天皇の心。)を安んじなければならない、と国民にうったえた。国民的人気が高かった山本の戦死を利用して、戦時体制を強化しようという意図があからさまである。
銃後の母親たちには、国葬当日「弔旗を掲げるにしても、神棚へお燈明を上げて礼拝するにしても、お母さんたちは故元帥の遺志は自分たちがお継ぎするという気持を持ち、元帥こそは吾国民の鑑であることをよくお子さんたち達に説明してからにしていただきたい」などと指示が出された(『朝日新聞』1943年6月5日朝刊)。
国葬を通じて、国民はみな山本の遺志なるものを継いで、戦争に協力することを強要されたのである。
極端な例を挙げていると思われるかもしれないが、本質的に国葬は、国民を一つにまとめようとして実施されるものである。国家の危機に際して、山本の国葬ではその性格がむきだしになって表れたのである。
戦後唯一の例外「吉田茂元首相の国葬」
敗戦後、国葬令は1947年12月31日をもって失効した。
1946年には、地方官庁および地方公共団体に対して「公葬その他の宗教的儀式及び行事(慰霊祭、追弔会等)は、その対象の如何を問わず、今後挙行しないこと」と、国から通達が出されている。国葬をはじめとする公葬は、神式で行われてきた。連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)が、神社・神道を政治から切り離して「国家神道」を解体しようとする中で、公葬も必然的に禁止されることになる。以後、現在に至るまで国葬を行うための直接の根拠となる法令は作られていない。
戦後唯一の例外として吉田茂の国葬が知られている。
1967年、吉田が急死すると外遊中だった佐藤栄作首相は急遽帰国し、国葬実施のための調整を進めた。まもなく閣議で国葬が正式決定し、佐藤は「もっとも苦難にみちた時代にあって、七年有余の長きにわたり国政を担当され、強い祖国愛に根ざす民族への献身とすぐれた識見をもって廃墟と飢餓の中にあったわが国を奇跡の復興へと導かれた」との談話を発表した(『朝日新聞』1967年10月23日夕刊)。
日本武道館で行われた葬儀は、国内外から約5000人の参列者を得て、宗教色を排除して実施された。皇太子夫妻(現・上皇、上皇后)も出席している。九段下には約8500人の群衆が詰めかけ、大磯の邸宅から武道館までの道のりには約7万人の人だかりができたという。
だが、吉田の国葬にはだれもがもろ手を挙げて賛成したわけではなかった。
国葬はむしろ「民主主義の精神」と相反する制度
国葬当日の渋谷駅前のハチ公前広場では、共産党や民主団体の宣伝カーが反対演説をしてビラをまいていた。革新系首長の自治体では、平常どおり業務が行われていた。東大駒場キャンパスには、「するな黙祷、許すな国葬」と書かれた立て看板があった。国葬に関心を示さない人も多かった。浅草六区では黙祷の合図のサイレンがなっても誰も足を止めない。東京駅でも、スピーカーで黙祷の合図が知らされたが、足を止めて目を閉じたのはごくわずかであった。銀座の女子高校生は黙祷している人をみて「あれ、なにやってるの」と言う始末だったという(『朝日新聞』1967年10月31日夕刊)。
吉田の国葬では、もはや戦前の国葬のような風景は見られない。
安倍元首相の国葬をめぐっては、安倍政権への疑惑や国費の使用、政教分離、決定までの手続きなどが主な論点となっている。それらも、もちろん重要な問題だと思う。だが、岸田首相の発言にふれて、国葬についていくらかの知識と関心を持ち合わせていた私の頭をよぎったのは、時代を逆行しているかのような恐ろしさであった。
国葬という制度が本来的にもっている性質を理解していれば、国葬を実施することにより、「民主主義を断固として守り抜く」という発想が出てくるはずがない。国葬は、むしろ民主主義の精神と相反する制度である。国家が特定の人間の人生を特別視し、批判意見を抑圧しうる制度など、民主主義のもとで成立しようはずがない。
なぜ歴代首相の葬儀は、国民葬や合同葬だったのか
「功臣」の国葬は日本史上ですでにその役目を終えている。戦後実施された吉田茂の国葬は、政府が期待したほどには盛り上がらなかった。その後、佐藤栄作をはじめ歴代首相の葬儀は、反対意見を無視できずに国民葬や合同葬にスケールダウンせざるを得なかった。まさか復活するとは夢にも思わなかった。
今年の秋に、山本五十六の国葬のような状況が再現されるとはさすがに私も考えていない。吉田の国葬の時のように、無関心な層が多いかもしれない。だが、国葬とすることで国家が安倍元首相の業績を特別視し、批判意見を抑圧してしまう恐れがある。安倍元首相の追悼記事の多くは、「批判に対して寛容な人柄だった」と伝えている。そうだとすれば、国葬は安倍元首相の遺志にも反するのではないだろうか。
何も考えないで沈黙していれば、日本国民がみな彼を称え、自民党政権の業績を認めているという既成事実が創られてしまう。意見はいろいろあって良い。私の発言は、たたき台でよいから、一人でも多くの人にこの問題について考えてほしい。  

 

●安倍元首相の「国葬」9月27日 日本武道館実施で最終調整 政府  7/20
政府は参議院選挙の応援演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍元総理大臣の「国葬」を9月27日に東京の日本武道館で行う方向で最終調整に入りました。
岸田総理大臣は安倍元総理大臣の葬儀について、歴代最長の期間総理大臣の重責を担い内政・外交で大きな実績を残したなどとして、ことし秋に「国葬」で行う方針を表明しています。
安倍氏の「国葬」について政府は遺族の意向や外交日程なども踏まえ、9月27日に東京 千代田区の日本武道館で行う方向で最終調整に入りました。
政府は与党側とも調整を行ったうえで「国葬」の日程を近く閣議決定することにしています。
戦後、総理大臣経験者の「国葬」は昭和42年に亡くなった吉田茂元総理大臣以来2人目となります。
安倍氏の「国葬」をめぐって野党の一部から反対や懸念の声が出ていることも踏まえ、政府は国民に対し「国葬」を行う意義などを丁寧に説明していく方針です。
官房長官「政治的評価を強制するとの指摘は当たらない」
松野官房長官は午前の記者会見で「安倍元総理大臣は憲政史上最長の8年8か月にわたり卓越したリーダーシップと実行力をもって厳しい内外情勢に直面するわが国のために内閣総理大臣の重責を担うなど、その功績は誠に素晴らしいものであり、国の内外から幅広い哀悼・追悼の意が寄せられていることなどを勘案し、国葬儀を執り行うこととした」と述べました。
そのうえで一部の野党が「国民に政治的評価を事実上強制する」などとして「国葬」の実施に反対していることについて「国民一人一人に政治的評価を強制するとの指摘は当たらない」と述べ「国葬」を行う意義などを説明していく考えを示しました。
●鳩山由紀夫さん、安倍元首相の国葬に異論 死を利用する自民党の思惑 7/20
鳩山由紀夫元首相(75)が20日、自身のツイッターを更新。この日、9月27日に開催が調整されていると報じられた安倍晋三元首相の国葬について異論を唱えた。
「安倍元総理が凶弾に倒れて亡くなられたことに多くの国民はショックを受けて死を悼んだ」と書き出しながら「ただそのことと国葬は訳が違う」と断言。
続いて「私にはその死を最大限利用しようとする自民党の思惑が透けて見える」と疑惑の目を向けた。さらに「彼によって自死に追い込まれた赤木さんはどう思うのだろう」と持論を展開し、「奢れるもの久しからず、自民党に謙虚さを求めたい」と投げかけた。
●安倍元首相“国葬適切”の自民・茂木幹事長に批判続出! 7/20
反対の声や意見は一切無視し、いつもの閣議決定でハイ決まり! そう考えているのであれば、まさに民主主義政治に対する“暴力”だろう。
安倍晋三元首相(67)の「国葬」をめぐり、野党の一部から閉会中審査を求める声が上がっていることについて、19日の会見で、「法律上も全く問題ない。国葬は極めてふさわしい、適切なあり方だ」と言い放った自民党の茂木敏充幹事長(66)のことだ。
国民や野党議員から出ている「国葬反対」の声に対し、茂木氏は「国民から『国葬はいかがなものか』との指摘があるとは、私は認識していない」「野党の主張は聞かないとわからないが、国民の認識とはかなりずれているのではないか」などと反論していたが、茂木氏の言う「国民」とは一体誰を指しているのか。少なくとも明確に「国葬」に反対している野党があるのだから、当然、その背景には有権者である「国民」もいるということではないか。
茂木氏が「私は認識していない」と本気で言っているのであれば、単なる情報不足か、よっぽど国民の声を聞きたくない──のいずれかだろう。
ネット上でも、<「国葬令」が廃止されたのは政教分離の観点からじゃないの。法的根拠もなく、理由も曖昧で「国葬」にしてはダメだろう>、<時の政権の勝手な思い付きで、「国葬」となれば、それこそ民主主義国家じゃない>、<旧民主党政権の鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦の3首相はどうなるの?もし、その時の政権が「国葬」って決めても岸田さんや茂木さんは何も言えないけど…><認識がずれているのはあなただよ茂木幹事長>などと、何が何でも「国葬」に違和感を抱く国民は少なくないようだ。
そもそも茂木氏は「国葬」云々を言う前に、政権与党の幹事長としてやるべきことは、自民党と旧統一教会の関係を徹底的に調査し、公表することだろう。
●安倍元首相の国葬について冷静な議論を求めたい その場は国会で 7/20
安倍晋三元首相について政府は国葬を行うことを決めたという。岸田首相は、「憲政史上最長の8年8カ月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって、厳しい内外情勢に直面する我が国のために内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績をさまざまな分野で残されたことなど、そのご功績は誠にすばらしいものであります」と語った。
また、「外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、また、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられています」とも強調している。
小論では、安倍元首相は当初は外交を動かすために長期政権を目指したが、途中から主客転倒し、長期政権の維持のために外交を利用する形になったと指摘してきた。G7などの首脳外交の場では、その場を経験している首脳が新参の首脳に気を配るシーンがよく見られる。古株である安倍元首相がその役割を担い、それが各国の首脳に感謝されたことは想像に難くない。
ところで、この岸田首相の発言は前段と後段を分けて考えることが可能だ。仮に「ご功績」の評価を認めたとしても、安倍元首相が数十年後に天寿を全うして世を去ったとしたら現首脳を含め「国の内外から幅広い哀悼、追悼の意」が寄せられる状況にはならなかったと思うからだ。
つまり、この国葬は、安倍元首相が非業の死を遂げたことによって実施される運びとなったと考えるのが自然だ。これについて岸田首相は、「国葬儀を執り行うことで、安倍元総理を追悼するとともに、我が国は、暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります」と語っている。
これは、かなりミスリードな発言だ。前回も指摘したが、少なくとも容疑者の供述を見る限り、事件は旧統一教会と安倍氏の関係の密なことを信じた逆恨みによる犯行であり、安倍氏の言論を封じようとしたものではない。従って、民主主義うんぬんを持ち出して事件を語るのは、少なくとも現段階では事実に基づいたものとは言えない。
産経新聞の報道によると、日本維新の会の松井一郎代表は、国葬について「反対ではないが、賛成する人ばかりではない」と述べたという。「『反安倍』はたくさんいる。批判が遺族に向かないことを祈っている」とし、「礼節を尽くすべき元首相だと思うが、その結果、遺族の負担にもなるということはよく考えてもらいたい」と語ったという。
松井氏は国葬に反対の立場ではなく、記事も「反安倍」の存在を批判したいニュアンスを感じる。しかし、松井氏の発言そのものは、政治的な立場を離れて多くの人と懸念を共有している気がする。声高に賛否のいずれかを叫ぶよりも、冷静な議論を求めたい。その場は国会であるはずだ。それがなければ、元首相は国会軽視の代名詞になってしまうのではないか。 
●黒岩知事、安倍元首相国葬に「当然」「政争の具、悲しい」  7/20
黒岩祐治知事は20日の定例会見で、参院選の応援演説中に銃撃されて亡くなった安倍晋三元首相の国葬について「憲政史上、最長の期間にわたり首相を務め、国に貢献した。国内外で哀悼の意が寄せられており、国葬は当然と思う」との見解を示した。
国葬を巡っては実施の根拠が不明確として、一部の野党が反対している。知事は「国葬の基準をはっきりさせる議論の必要はあるが、今は政府が決めたのだから安倍元首相を静かに国葬で見送るとき。政争の具になること自体、悲しいこと」と述べた。
県は安倍氏の死去に伴い、11〜18日に県庁に記帳台を設置した。知事は期間中に計2230件の記帳があったことも明らかにした。
知事は安倍氏と同じ1954年9月生まれ。「昭和29年午(うま)年の会」をつくり、親交を深めた間柄だった。
●朝日新聞に質問状で直撃! 安倍元首相銃撃めぐり「川柳」大炎上 7/20
朝日新聞が、参院選の街頭演説中に凶弾に倒れた安倍晋三元首相の事件や国葬を揶揄(やゆ)するような「川柳」を複数掲載して、ネット上で大炎上≠オている。夕刊フジは19日、掲載の経緯などを聞く、質問状を出した。朝日新聞は、川柳の選者は「元社員」で、「様々(さまざま)な考え方や受け止めがあることを踏まえ、今後に生かしていきたい」などと回答した。これで納得できるだろうか。
ネット上などで批判が殺到しているのは朝日新聞の15、16日付朝刊に掲載された「朝日川柳」。特に16日は、《疑惑あった人が国葬そんな国》など、採用された7句すべてが安倍氏暗殺や国葬に関する内容だった。
元NHKアナウンサーで、自民党の和田政宗参院議員はツイッターで、「民主主義の根幹である選挙運動中に受けた銃撃殺害事件を、あざ笑うかのような句を掲載。朝日新聞は殺人や民主主義や言論への暴力を肯定するのか。報道機関としてあり得ない」と怒りをにじませた。
ネット上では、「国葬の是非に議論はあるが言論の自由を逸脱している」「亡くなった安倍氏を貶めている」といった批判の一方で、「こんな川柳が生まれるのは国が健康だということ。ユーモアも風刺も封殺する国は滅ぶ」などと擁護する声がある。
夕刊フジでは19日、川柳の選者「西木空人」氏の名前と肩書・川柳の選考方法と、最終的な掲載可否の職責レベル・選出が国葬や安倍氏死去に偏った理由・今回の件に関する、朝日新聞への意見などの件数・朝日新聞の見解―などについて朝日新聞広報部に質問した。
注目の回答全文は別項の通り。
朝日新聞OBで、『崩壊 朝日新聞』、『偽りの報道 冤罪「モリ・カケ」事件と朝日新聞』などの著書があるジャーナリストの長谷川熙氏は「意見があるなら、堂々と社論として表明すればいい。『川柳』に代弁させたりするのは卑怯だ。朝日新聞の立場を明示せず世論を誘導しようとする意図がみえる。OBとしても、耐えがたい姿勢だ。いわゆる慰安婦問題でも、日本政府の強制連行があったなどとする誤った報道について国内外で幅広く訂正する様子がない。こうした無責任な報道姿勢は大変な悪影響があるが、国民世論はすでに、朝日新聞の『本質』として理解しているのではないか」と厳しく指摘した。
朝日新聞社広報部の回答全文
まとめてお答えいたします。
朝日川柳の選者は、本社の元社員で、2004年から選者をお願いしています。掲載は選者の選句をふまえ、オピニオン編集部で可否を最終的に判断しています。
15、16日付の川柳につきましては、多くのお問い合わせやご意見を頂戴しております。ご批判は重く、真摯に受け止めています。
朝日新聞社はこれまで紙面とデジタルの記事で、凶弾に倒れた安倍元首相の死を悼む気持ちをお伝えしてきました。国葬についても様々な考え方や受け止めがあることを踏まえて、今後に生かしていきたいと考えています。
なお、15日付の「還らない命・幸せ無限大」の句につきましては、東電旧経営陣に賠償命令が出たことについて詠んだ川柳であり、新聞やデジタル記事に掲載した句評でも説明していることを申し添えます。

 

●安倍氏国葬に渦巻く賛否 「森友・加計に疑念残る」「暴力反対を世界に」 7/21
政府が実施を表明した安倍晋三元首相の「国葬」について、全国で賛否の意見が渦巻いている。国葬とする人の基準がない中で、憲政史上最長となる8年8カ月の首相としての実績や、国会でも取り沙汰されてきた疑惑への評価などで意見は割れ、政治的な駆け引きを憂う声もある。
「外交で活躍したと思うが、森友・加計学園や桜を見る会の問題など説明が不十分で疑念が残る。旧統一教会との関係もまだ明らかになっていない」
神戸市東灘区の自営業の男性(61)はそう指摘し、「一部でも反対があればやめた方がよい。新型コロナウイルス禍やウクライナ情勢で困っている人がいる中、税金を使うのはどうか」と国葬に反対する。
一方、「物心ついたときには首相だった」という西宮市の女性会社員(24)は「ご本人もこのような人生の終わり方をするとは思っていなかっただろう。国民で弔う機会があってよい」と国葬に賛成する。
かつて神戸製鋼所に勤めた安倍氏と入社式や新入社員研修で一緒だった兵庫工業会の宮脇新也会長(66)=神戸製鋼所顧問=は「個人的な意見」と前置きした上で賛成。「凶弾に倒れた元首相を国を挙げて弔い、暴力反対の姿勢を世界に発信するべきだ」と訴える。
また、「国葬を要人外交の場とすれば国益にもかなう」とも主張した。国葬を巡る議論に「政治的な駆け引きに使われ、内向きな議論になっていないか」と疑問を投げかける。
神戸学院大の中野雅至教授は「税負担や弔問外交の有無ではなく、政治家としての業績で判断するべきだ」と話す。
「安保法制は進め方に問題があったかもしれないが、その後のウクライナ情勢などを見たときに先見の明があったと言える。アベノミクスは数年後にどのような評価になっているか分からない」と指摘。
「亡くなって1週間で決めるのではなく、時間をかけて議論すればよい」と性急な判断を疑問視し、「そもそも国葬の意味や実施する理由などを、政府はもっと説明するべき」と話す。
尼崎市の津久井進弁護士は「国会で要件や基準を作り、法律にのっとって実施するべき」と求める。1926年制定の「国葬令」は戦後の47年に失効。政府は「閣議決定によって国葬の実施は可能」としているが、津久井弁護士は「今の日本には厳格な意味の『国葬』はない」と指摘する。
安倍氏の通夜・葬儀は11、12日に執り行われた。自治体によっては庁内に記帳所を設けていたが、兵庫県は半旗の掲揚のみだった。県秘書課は「国葬が実施されるなら、記帳所や献花台の設置、黙とうなどの対応も検討する」としている。
●国葬で政治的評価や「服喪」強制せず、休日措置取らず…弔問外交に活用  7/21
政府は、安倍晋三・元首相の「国葬(国葬儀)」について、国民への理解を広げることに注力する。多くの海外の首脳級要人の参列が見込まれるため、安倍氏の外交面でのレガシー(政治的遺産)の継承を内外に打ち出す「弔問外交」の舞台としても活用する考えだ。
松野官房長官は20日の記者会見で、安倍氏の国葬に対して一部の野党が「弔意の強制につながる」などと主張していることについて、「国民一人ひとりに政治的評価を強制するとの指摘は当たらない」と反論した。
政府は「国民に必ず喪に服してくださいと強制するものではない」(木原誠二官房副長官)との立場を丁寧に説明していく構えだ。
戦前の国葬の法的根拠だった「国葬令」(1947年に失効)には、「国民は喪に服す」と明記されていた。安倍氏の国葬は、1967年の吉田茂・元首相の国葬と同様に閣議決定に基づき行われる。国葬令に基づく国葬とは位置づけが異なるのに、「戦前の国葬と同一視するような誤解や批判が一部で生じている」(自民党閣僚経験者)と懸念の声も上がっていた。
89年の昭和天皇の「大喪の礼」では、その年に限り、開催当日(2月24日)を休日とする法律を成立させた。今回は、休日とする措置は取らない方針だ。
政府は、「弔問外交」も国益に資するとみている。外務省幹部は「安倍氏が提唱した『自由で開かれたインド太平洋』の重要性を国際社会に発信する絶好の機会になる」と指摘する。
外務省は、国葬日程の正式決定後、各国政府などに案内を出す。吉田氏の国葬には、本国から派遣された12か国の特使を含め、73か国の外交使節が参列した。2000年の小渕恵三・元首相の内閣・自民党合同葬には、クリントン米大統領や金大中・韓国大統領などが参列し、当時の森喜朗首相が個別に会談した。安倍氏は12年12月の第2次安倍内閣発足から首相退任時まで、80か国・地域を訪れ、各国首脳と信頼関係を築いた。参列を希望する要人が相当な数に上るのは確実で、「規模は想像もつかない」(政府関係者)との声も上がっている。
●安倍元首相を国葬で送るべきか 統一教会と“親密な関係”は周知の事実 7/21
安倍晋三元首相を国葬をもって送るべきかどうかの判断基準は、私に言わせれば簡単で、日本中の親と教師の少なくとも7割以上が自分の息子・娘や教え子に対して、「こういう誇るべき大指導者がいたことを忘れるな。君たちも大きくなったら安倍さんのように立派な人になるんだよ」と教え諭すような世情が生じているのか否かである。そういうことにはなっていないと思うので、私は国葬には反対である。むしろ、戦後政治の中で一種独特の色彩を放った「安倍政治」の功罪を淡々と冷静に議論する中で送り出して差し上げたい。
とはいえ、岸田内閣は早々に9月に日本武道館で国葬を営むことを決め、それを発表する会見で岸田文雄首相は「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示す」と述べて、国葬を断固行うことがその決意を示すことになるという論理を突き出した。こうなると、国葬に反対するなど「非国民」扱いにされかねないが、しかし、ここはよくよく考えるべきところである。
作家の高村薫は10日付の毎日新聞で「この事件を『民主主義への挑戦』や『民主主義の崩壊』ととらえる人もいるが、私は違うと思う」「政治家襲撃の動機が、理念や信条によるものではないとすれば、非常に特殊な事例と言える」と指摘する。またタレントの松尾貴史は17日付同紙コラムで「『恨みを晴らす』ことを『言論封殺』と言い換えて、まるで自民党が理念や政策によって暴力に脅かされているような言い草で、まやかし以外の何ものでもない」と断じた。
確かに、選挙という民主主義の舞台で言論活動中に撃たれたのだから、形式的には「言論封殺」には違いないが、容疑者は安倍のその言論に対して銃弾を放ったのではない。そこをちょっとだけズラすことで、安倍がまるで民主主義の守り手であったかのような印象操作が働くのである。
同様に、マスコミが一様に、容疑者が安倍と旧統一教会とのつながりが深いと「思い込んでいた」と、あたかも事実でないことを勝手に思い込んでいたかのニュアンスを醸そうとしているのも、意図的な言葉遣いだろう。
1959年に日本進出した統一教会が岸信介の導きで彼の渋谷区南平台の邸宅の隣に本部を置いて布教に名を借りた霊感商法を始め、それ以来、安倍晋太郎から晋三まで3代に及ぶ親密な関係を築いてきたことは周知の事実。そのこと一つをとっても、安倍は国葬に値するかどうかが議論になるのではないか。 
●安倍元首相「国葬」 市民グループが中止求める仮処分申し立て  7/21
参議院選挙の応援演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍元総理大臣の「国葬」に反対する市民グループが、実施しないよう予算の執行などの中止を求める仮処分を東京地方裁判所に申し立てました。
仮処分を申し立てたのは、安倍元総理大臣の「国葬」に反対する市民グループのメンバーなど50人です。
市民グループは「安倍氏については森友・加計学園や桜を見る会の問題など数々の疑惑が取り沙汰され、国民の評価が分かれている。『国葬』を行い、国民を強制的に参加させることは憲法で定められた思想・良心の自由に違反する」と主張して「国葬」に関する閣議決定と予算の執行をしないよう求めています。
仮処分を申し立てた「権力犯罪を監視する実行委員会」の田中正道さんは記者会見で「国会で議論もせずに国が『国葬』の実施をどんどん進めていることにちょっと待ったという思いだ。“国民の総意”とはならない」と話していました。
松野官房長官は午後の記者会見で「今後、司法の場で取り扱われることであり、政府としてコメントは差し控えたい。いずれにしても、国葬儀は儀式として実施されるものであり、国民一人ひとりに政治的評価や喪に服することを求めるものではない」と述べました。
●安倍元首相の国葬差し止めを 7/21
安倍晋三元首相の国葬を巡り、市民団体のメンバーら50人が21日、国葬の閣議決定と決定した場合の予算執行の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。政府は国葬について費用を全額、国が拠出し、9月27日に実施する方向で調整しており、今月22日に閣議決定する。
市民団体は「権力犯罪を監視する実行委員会」。田中正道事務局長は都内で記者会見し「国葬に反対する声が国民や野党の中にある。国会で議論されるべきだ」と話した。
申立書では、国葬には法的根拠がなく、閣議決定だけで費用を支出するのは違法と主張。安倍氏への評価が分かれる中での実施は憲法19条に違反するとした。
●維新 松井代表 安倍元首相「国葬」“政府は国会で理由説明を”  7/21
安倍元総理大臣の国葬について、日本維新の会の松井代表は、疑問を持っている人も少なくないとして、政府に対し、国葬を行う理由を国会で十分に説明するよう求めていく考えを示しました。
日本維新の会の松井代表は大阪市で記者団の取材に応じ、安倍元総理大臣の国葬について「国葬を行うべきだと思うが、政府がなし崩し的に決めたことに4割近い人が疑問を持っているという世論調査の結果も出ている」と指摘しました。
そのうえで「政府として、説明責任を果たすべきで、国葬とする理由を国会で説明することを求める。それが、今後、国葬を行う際の基準となる」と述べ、今後開かれる臨時国会で国葬を行う理由を十分に説明するよう求めていく考えを示しました。
一方、野党の一部から反対や懸念の声が出ていることについて、自民党の茂木幹事長が、19日「国民の声や認識とかなりずれているのではないか」と指摘したことについて、松井氏は「安倍氏を嫌って反対しているという捉え方をするのは大間違いで、ピントがずれまくっている。茂木氏のような言い方をすると国葬に賛成の人からも『自民党は傲慢だ』と思われる」と批判しました。
●自民・茂木氏こそ「ピント外れ」 松井維新代表、国葬の是非めぐり 7/21
日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は21日、故安倍晋三元首相の国葬を行う政府方針を問題視した野党幹部の発言について自民党の茂木敏充幹事長が「国民の認識とずれている」と述べたことに対し、「大間違いでピントがずれまくっている」と批判した。市役所で記者団に語った。
松井氏は「なし崩し的に政府が国葬を決めることに疑問を持つ方がいる。少しでも疑念を解消し、理解を深める努力はすべきだ」と強調。「一部野党が『ずれている』と言うだけでは、茂木氏の感覚(の方が)ずれている」と指摘した。維新として国会での議論を求める方針も明らかにした。
●鈴木宗男氏、国葬に反対の一部政党に「反対の為の反対を繰り返している」 7/21
日本維新の会の鈴木宗男参院議員が21日、自身の公式ブログを更新。政府が9月27日に実施する方向で調整している安倍晋三元首相の国葬について、「国葬について反対する政党もあるが、国民大多数は安倍元総理の非業の死を悼み、かつ偉大な政治家として評価されている」とした。
その上で「反対する一部政党は国会でも反対の為の反対を繰り返している。だからこそ今回の選挙でも支持を得られていない」、「口では『民主主義』と言いながら、やっていることは非民主的であることを国民は承知していると理解するものである」とし、「改めて安倍元総理を称え、ご冥福をお祈りする次第である」とつづった。
●東国原英夫氏 国葬に「基準が曖昧だからもめるのでは」とルール作りを求める 7/21
元衆院議員でタレントの東国原英夫(64)が21日、TBS系「ゴゴスマ〜GO GO!smile〜」(月〜金曜後3・55)に生出演。参院選の街頭演説中に銃撃を受け死去した安倍晋三元首相の葬儀について「国葬」として実施することに言及した。
安倍元首相の国葬については、14日に岸田文雄首相が秋に国葬として実施すると発表。9月27日に執り行うことを22日にも閣議決定する見通しとなっている。
東国原氏は「歴史に残る総理であることは間違いないんです」と安倍元首相について前置きした上で「基準が明確か?というと僕もそうですね。そういう立場ですね」と国葬になる基準が不明瞭とした。
「国民栄誉賞もそうだが、基準が曖昧だからもめるのでは。それを明確にされたらどうかなと。そっちの方をまず閣議決定して、そしてそれに見合うものだということで、今後こういう基準でいきますよ、その第一回目にしますよ、ならまだ分かるんですけど」と国葬に関するルール作りを求めた。
●田原氏、銃撃は「政治に責任」国葬は「反対しないが国会で話し合うべき」 7/21
政治評論家の田原総一朗さん(88)が21日、都内で8月から公開されるドキュメント映画の記念公開イベントに出席。イベント終了後に囲み取材にこたえ、参院選の街頭演説中に安倍晋三元首相が銃撃されて亡くなった事件について語った。
田原さんは、宗教などで破産した人たちが相談できるような、国が運営する組織がないことを危惧しており、「月曜(25日)に岸田首相に会うから言っておく」と話した。
田原さんは、現行犯逮捕された山上徹也容疑者について「彼のお母さんは宗教で破産したと。彼が何で安倍さんを撃つまで追い詰められたのか。彼が追い詰められなかったら安倍さんは死ぬことはなかった」と語気を強めた。「政治に責任があるんだぞ、と岸田さんに言ってきますよ」と話した。
さらに今秋に予定されている国葬については「私は安倍さんの国葬には反対するつもりはない」と私見を述べた上で「ただ、ちゃんと国会を開いて、野党とも話し合って決めるべきだった」と話した。
今後3年間国政選挙がないことに触れて「安倍派は分裂していくんだと思うが、選挙が3年ないから派閥間で安倍派議員の引き抜きが自由にやられることを心配している」とも話した。
●野々村友紀子氏 国葬は旧統一教会との関係を「ちゃんと説明してから」 7/21
放送作家でコメンテーターの野々村友紀子氏(47)が21日、TBS系「ゴゴスマ〜GO GO!smile〜」(月〜金曜後3・55)に出演。参院選の街頭演説中に銃撃を受け死去した安倍晋三元首相の葬儀について「国葬」として実施することに言及した。
安倍元首相の国葬については、14日に岸田文雄首相が秋に国葬として実施すると発表。9月27日に執り行うことを22日にも閣議決定する見通しとなっている。
野々村氏は「もちろん安倍さんがやられてきたことはものすごい大きなことですから、そういう意味では賛成の方がいっぱいいらっしゃるのも分かるんですけど、今の時代っぽくないなってなんとなく思いましたね」と違和感を口にした。
「統一教会との関係性とかもそうですけど、そういう情報が今、まだ出てる中でちょっとモヤモヤした中で(国葬を)やるって早々と言っちゃうと、賛成と反対の強い声が出るって言うのは当然。そこらへんをちゃんと説明してからの方がいいのかな」ときちんとモヤモヤが解消された上で執り行うべきではとした。
●「国葬の法的根拠はない」吉田茂元首相の国葬めぐる大蔵大臣答弁… 7/21
参院選の遊説中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相の国葬について、政府が9月27日に日本武道館(東京)で行う方向で最終調整に入った──と報じられたことを受け、市民団体が22日朝、首相官邸前で「安倍元首相『国葬』の閣議決定反対! 7.22官邸前緊急行動」と題した抗議活動を行う。
<法令上の規定すらない「国葬」について、国会も開かずに政府が一方的に決定する「安倍氏」の国葬は、岸田首相らの政治利用であり、いたずらに世論の分断と対立をあおるものであり、民主主義に反するものです>
市民団体がこう呼びかけている通り、今回の安倍氏の国葬には法的根拠がない。
岸田文雄首相は14日の会見で、内閣府設置法において、内閣府の所掌事務として定められている「国の儀式」として閣議決定をすれば実施可能──との見解を示し、「法的根拠あり」かのように説明しているが、果たしてそうなのか。
国葬の法的根拠、基準をめぐっては、1967年の吉田茂元首相の国葬をめぐる国会質疑でも議論となっていた。国葬に予備費を支出したことに対し、翌68年5月の衆院決算委で、社会党の田中武夫議員はこう発言している。
55年前にも同じような議論が…
「国葬を行なう場合、吉田茂さんは長らく総理をしておられたのでいろいろやっておるだろうと思います。しかし、その功罪につきましては見る人、立場によっていろいろ観点が変わると思います。(略)ただ単に国家に偉勲のあった──前の勅令を引用するならばそういう言葉になるのですが、そういうことで内閣が国葬にしようときめれば、いつでも国葬をだれにでも行なう、そういうことであっては私はならないと思うのです」
「その時の内閣の思い付きによってやられるということには賛成しかねるわけなんです。だから、今後はやはり一つの基準を設けるべきである、そのように思います」
つまり、55年前の吉田国葬の時から、「時の内閣の思い付きで国葬するな」と指摘されていたわけなのだが、「キモ」は、田中議員にこう迫られた水田三喜男大蔵大臣の答弁だ。
「国葬儀につきましては、御承知のように法令の根拠はございません。(略)私はやはり何らかの基準というものをつくっておく必要があると考えています。(略)私はやはり将来としてはそういうことは望ましいというふうに考えています」
この時、水田大臣は「国葬儀については法令の根拠はない」と明確に答えていて、その後、国葬に関する法的根拠、基準を作ったという具体的な事実は聞かないから、当然、今も「ない」だろう。岸田首相が見解を聞いたという内閣法制局はどう判断したのか。集団的自衛権の行使容認の時のように「解釈でOK」としたのか。
<閣議決定でゴリ押しするな>などとネット上で怒りの声が出るのも無理はない。
●なぜ“異例の国葬”にこだわる?玉川徹氏、自民党の思惑に言及… 7/21
テレビ朝日の玉川徹氏が21日、同局「羽鳥慎一モーニングショー」(月〜金曜前8・00)に出演。政府が9月27日に実施する方向で調整している安倍晋三元首相の国葬についてコメントした。
今月11日の自民党役員会で国葬を求める意見が上がり、岸田文雄首相が14日の記者会見で実施を表明。場所は東京・北の丸公園の日本武道館で検討しており、22日にも閣議決定する見通しとなっている。野党からは政府の説明が足りないとの批判や、安倍元首相の政治的評価を強制することになるとの懸念が噴出している。
首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来、戦後2例目で極めて異例。玉川氏は「なぜ“異例”にしたいのかっていうことを考えてしまう」と切り出し、「安倍元総理の評価は未だに分かれています、国の中でも」と政治的評価に言及。安倍氏の業績として「大きなことの2つとしては集団的自衛権行使の容認とアベノミクス」を挙げ、「集団的自衛権行使の容認は、今後例えば台湾海峡で有事があった場合に集団的自衛権の行使を認めてなければ日本は戦争に関わらないってできたのが、関わらないで済むのか。結果として国民に犠牲が出ることもあり得るわけで、まだ(評価は)わからないわけですね。アベノミクスは三本の矢と言われていた最後の一番大事な矢が飛ばなかったと。その結果として今円安とかインフレが起きている。これも評価がまだ定まらない。そういう中で国葬に持っていきたい理由は何かっていうことになっちゃうわけです」と持論を述べた。
NHKの世論調査で国葬について「評価しない」という回答が38%あったことを紹介し、「38%は“一部”じゃないですよね」と国民の意見が割れていることに言及した玉川氏。そして政治ジャーナリストの田崎史郎氏が、岸田首相が国葬にこだわる理由を「保守層への配慮」と説明したことに触れ、「国葬を決めるのは自民党政権であるっていうことになると、やっぱり自民党の自民党による自民党のための国葬っていう側面がないかという疑いを持ってしまいます」と話した。
●安倍氏国葬に渦巻く賛否 「森友・加計に疑念残る」「暴力反対を世界に」 7/21
政府が実施を表明した安倍晋三元首相の「国葬」について、全国で賛否の意見が渦巻いている。国葬とする人の基準がない中で、憲政史上最長となる8年8カ月の首相としての実績や、国会でも取り沙汰されてきた疑惑への評価などで意見は割れ、政治的な駆け引きを憂う声もある。
「外交で活躍したと思うが、森友・加計学園や桜を見る会の問題など説明が不十分で疑念が残る。旧統一教会との関係もまだ明らかになっていない」
神戸市東灘区の自営業の男性(61)はそう指摘し、「一部でも反対があればやめた方がよい。新型コロナウイルス禍やウクライナ情勢で困っている人がいる中、税金を使うのはどうか」と国葬に反対する。
一方、「物心ついたときには首相だった」という西宮市の女性会社員(24)は「ご本人もこのような人生の終わり方をするとは思っていなかっただろう。国民で弔う機会があってよい」と国葬に賛成する。
かつて神戸製鋼所に勤めた安倍氏と入社式や新入社員研修で一緒だった兵庫工業会の宮脇新也会長(66)=神戸製鋼所顧問=は「個人的な意見」と前置きした上で賛成。「凶弾に倒れた元首相を国を挙げて弔い、暴力反対の姿勢を世界に発信するべきだ」と訴える。
また、「国葬を要人外交の場とすれば国益にもかなう」とも主張した。国葬を巡る議論に「政治的な駆け引きに使われ、内向きな議論になっていないか」と疑問を投げかける。
神戸学院大の中野雅至教授は「税負担や弔問外交の有無ではなく、政治家としての業績で判断するべきだ」と話す。
「安保法制は進め方に問題があったかもしれないが、その後のウクライナ情勢などを見たときに先見の明があったと言える。アベノミクスは数年後にどのような評価になっているか分からない」と指摘。
「亡くなって1週間で決めるのではなく、時間をかけて議論すればよい」と性急な判断を疑問視し、「そもそも国葬の意味や実施する理由などを、政府はもっと説明するべき」と話す。
尼崎市の津久井進弁護士は「国会で要件や基準を作り、法律にのっとって実施するべき」と求める。1926年制定の「国葬令」は戦後の47年に失効。政府は「閣議決定によって国葬の実施は可能」としているが、津久井弁護士は「今の日本には厳格な意味の『国葬』はない」と指摘する。
安倍氏の通夜・葬儀は11、12日に執り行われた。自治体によっては庁内に記帳所を設けていたが、兵庫県は半旗の掲揚のみだった。県秘書課は「国葬が実施されるなら、記帳所や献花台の設置、黙とうなどの対応も検討する」としている。
●安倍氏「国葬」賛成42% 反対49% 世代で差、40代境に賛否が逆転 7/21
政府が決めた安倍晋三元首相の「国葬」について、熊日は「SNSこちら編集局」(S編)の登録者を対象にアンケートを実施した。「どちらかといえば」を含めて賛成42・9%、反対49・6%となり、反対がやや上回った。30代以下の若い世代では賛成が50%を超える一方、50代以上では反対が半数以上で、年代によって意見が分かれた。
アンケートは多くの国民の意見を集めるのが目的で、無作為抽出する世論調査とは性格が異なる。15〜19日に実施し、回答者は2279人。内訳は男性4割で女性が6割。熊本県内が9割、県外が1割だった。
全体では賛成30・1%、どちらかといえば賛成12・8%に対し、反対は33・5%、どちらかといえば反対は16・1%だった。どちらともいえないは7・5%。
年代別では、20代以下はどちらかといえばを含む賛成が59・4%を占めた。30代も賛成が51・4%。これに対し60代は、どちらかといえばを含む反対が60・4%と多数で、70代以上も反対56・4%、50代も反対52・5%だった。40代では賛否がほぼ拮抗[きっこう]した。
男女別では、女性は反対が50%を超えた。
賛成意見では、理由として歴代最長だった安倍氏の首相在任期間が挙がったほか、安倍氏の政治手腕、特に外交面における存在感への評価が目立った。熊本地震後の支援に対する感謝のほか、「国民に親しみを感じさせるキャラクターだった」(熊本市、40代女性)との声も。ロシアを念頭に「貴重な弔問外交の機会になる」(同、50代男性)との指摘もあった。
反対意見では「説明責任がある案件が多く、関連して官僚1人が亡くなっていることを考えると疑問がある」(同、70代以上男性)など、桜を見る会や森友・加計学園問題を理由に挙げた人が多かった。「国葬の定義が分からない」(合志市、40代男性)との意見も目立ち、現役の首相ではない点や、旧統一教会との関係の検証を求める声もあった。(太路秀紀)
「国際的リーダー」「税金を使ってほしくない」…国葬の基準「わからない」の声も
アンケートでは、安倍晋三元首相の生前の「功績」や「疑惑」を踏まえた国葬への賛否のほか、「国葬の基準」の不明確さを指摘する声が目立った。
賛成の理由は「各国のリーダーからの信頼も厚い人で、国際的リーダーだと思うから」(熊本市、40代女性)、「歴代最長の総理大臣ということにリスペクトするべき」(同、30代男性)などの意見があった。
熊本地震の復興やアベノミクスへの評価から「親しみがあった」(山鹿市、50代女性)といった声とともに、「国葬の場が外交の場も兼ねていると思う」(阿蘇市、20代男性)、「外交、警備の観点から公式な場を設けるのが適切」(あさぎり町、40代男性)など、国葬そのものへの期待や安全面を考慮した意見も。  

 

●国葬は「感情論で動いているのか、今までやられてきた政策に対してなのか」 7/22
俳優の小澤征悦(48)が22日、コメンテーターを務める日本テレビ系「スッキリ」(月〜金曜前8・00)に出演。参院選の街頭演説中に銃撃を受け死去した安倍晋三元首相の葬儀について「国葬」として実施することに言及した。
番組では、9月27日に執り行うことで調整されていることを取り上げた。意見を求められた小澤は「これは僕の個人的な意見」とし「もちろん安倍元首相がああいう形で亡くなられたことに対しては、本当にあってはならないことだと絶対に思いますし、悲しい事件だったとは思います。そして、安倍さんが今までやられたこと、長期政権をやられたこととか、それも日本にとって良かったと思っているし、何らかの形でやるのを大事だと思う」とコメント。
その上で「1つだけ、ちょっと辛らつな言い方になってしまうかもしれないんですけど」と切り出し「もし、安倍さんがああいう形で亡くなられなかったとしたら、もし安倍さんが吉田茂さんのように全うされて亡くなられても国葬なのか、今回こういう形で悲劇的な死を遂げられたから国葬という形になったのか」と疑問を呈した。
続けて「何が言いたいかっていうと、感情論で動いているのか、安倍さんが今までやられてきた政策に対しての国葬なのか」と述べた。これに、読売新聞特別編集委員・橋本五郎氏は「悲劇的な亡くなり方じゃなくとも、それに値すると私は思っています、個人的には。しかしそのような感情が今回の決定の背後にあることは、紛れもない事実でしょうね。それが大きな誘因になったと思います」とコメントしていた。
●安倍元首相の「国葬」 9月27日に実施決定 東京 日本武道館で  7/22
政府は、参議院選挙の応援演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍元総理大臣の「国葬」を9月27日に東京の日本武道館で行うことを決定しました。
参議院選挙の応援演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍元総理大臣の葬儀について、政府は、歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政・外交で大きな実績を残したなどとして、22日の閣議で、9月27日に東京 千代田区の日本武道館で行うことを決めました。
岸田総理大臣が葬儀委員長を務め、経費は全額国費から支出するとしています。
これにあわせて政府は、「国葬」の内容について具体的な検討を進めるため、内閣府に森昌文総理大臣補佐官をトップとする事務局を設置しました。
戦後、総理大臣経験者の「国葬」は、昭和42年に亡くなった吉田茂 元総理大臣以来、2人目となります。
松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「無宗教形式で行うこととし、厳粛かつ心のこもった国葬儀となるよう関係者と密接に連携をとりながら速やかに準備を進めていく。外国の要人についても参列を受け入れることとし、外交関係のある国などに対し、日時や場所などの情報を伝える予定だ」と述べました。
また「国葬」の経費について「今後、葬儀の内容を具体化する中で検討していくが、過去の例も踏まえつつ最近の物価情勢やコロナ対策費なども勘案しながら、真に必要な経費となるよう努めていく」と述べました。
警察庁 警備対策推進室を設置
政府が安倍元総理大臣の「国葬」を9月27日に東京の日本武道館で行うことを決定したことを受けて、警察庁は22日、警備対策推進室を設置して準備を進めることにしています。今回の事件で、警察庁は襲撃を未然に防げなかったことを重く見て、警備の問題点を検証するチームを立ち上げていますが、国葬では各国から多くの要人が訪れることが予想されるとして、検証の結果も踏まえて警備にあたる方針です。二之湯国家公安委員長は22日の閣議後の記者会見で「世界各国から来日する要人の警護を万全なものにしなければならない」と述べました。
鈴木財務相「一般予備費の使用を想定」
鈴木財務大臣は22日の閣議のあとの記者会見で、政府が閣議決定した安倍元総理大臣の「国葬」の費用には、今年度の予備費をあてるという認識を示すとともに、政府として国民に丁寧に説明していく必要があるという認識を強調しました。この中で鈴木大臣は安倍元総理大臣の国葬の費用について「過去の例を踏まえると一般予備費の使用が想定される」と述べ、今年度予算の予備費から支出されるという認識を示したうえで、金額については「葬儀の内容がこれから具体的に検討されるので、それによって変わってくる」と述べるにとどめました。また、国葬を行うこと自体について鈴木大臣は、個人的な考えと前置きしたうえで「これまでの政治的なさまざまな功績や戦後最も長い期間総理大臣を務めたこと、それに海外の評価などを総合的に考えれば、国葬でお送りするということは、とてもふさわしいのではないか」と述べました。一方で、鈴木大臣は「決まったからやるというのではなく、国民の理解をしっかりと得られるような努力をする必要がある」と述べ、政府として国民に丁寧に説明していく必要があるとの認識を強調しました。
外務省に準備事務局を設置
林外務大臣は記者会見で、安倍元総理大臣の「国葬」に参列する各国の要人の受け入れ態勢を整えるため、22日、外務省に準備事務局を設置したと発表しました。参列者の確認や宿泊施設の確保などの準備にあたり、情報の提供は、台湾や香港などの地域や国際機関にも行っていくということです。林大臣は「すでに各国から極めて多数の弔意メッセージが寄せられ、安倍元総理が外交で残された大きな足跡を感じている。海外からの参列者への接遇などに遺漏のないよう対応していく」と述べました。また「『国葬』では、安倍元総理を追悼するとともに、我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示す」と述べました。
岸防衛相「親族としては大変名誉なことだと思う」
安倍元総理大臣の実の弟の岸防衛大臣は記者会見で「『国葬』については、さまざまな意見があることは承知している。親族としては、大変名誉なことだと思っているので、政府の決めたことに従っていきたい」と述べました。
「国葬」に反対する市民団体 総理大臣官邸前で抗議
総理大臣官邸前では22日朝、安倍元総理大臣の「国葬」に反対する市民団体などが、政府の閣議決定に抗議の声を上げました。主催した市民団体によりますと、抗議活動には11の団体や個人など合わせておよそ400人が参加しました。団体の代表らは、総理大臣官邸前の歩道沿いに並んだ参加者たちを前に交代で演説し「国葬は国民に弔意を強要することにつながる」とか「安倍元総理大臣の実績の負の側面を覆い隠すことになる」などと述べ、22日の政府の閣議決定に抗議しました。抗議活動には、社民党の福島党首も参加し「佐藤栄作・元総理大臣の葬儀は 法的根拠を欠くとして国葬にならなかった。今回も同じように法的根拠がないにも関わらず、閣議決定で実施を決めるのはおかしい」と述べました。そして、参加者たちは総理大臣官邸に向かって「国葬に反対する」とか「国葬の政治利用を許さない」などとシュプレヒコールをあげました。
●「国葬」は行うべきではない 国民の意志を軽視する岸田首相の選択 7/22
岸田首相が安倍元首相の葬儀について「本年秋国葬として行う」と述べた。松野官房長官は会見で、国葬とするにあたっての明確な基準を問われると、1安倍氏が憲政史上最長の首相であること2選挙遊説中に銃撃を受けて亡くなったこと3国内外から幅広い哀悼・追悼の意が寄せられたこと--などを指摘した。
政府内では当初、「国葬」の形式にするのは難しいとの見方があったといわれている。
戦前の国葬令は1947年に失効した。67年に吉田茂元首相の国葬を閣議決定で行ったが、80年に死去した大平正芳元首相以降は、政府と自民党が共催する「内閣・自民党合同葬」が主流となった。
任務遂行中に亡くなったことから言えば、大平氏は現役の時の選挙期間中に容体を悪化して亡くなっている。重みは現職の死亡の方が重い。
今回の安倍氏の銃撃事件で、殺人容疑で送検された山上容疑者の殺害理由は、「旧統一教会への恨み」であり、政治的動機ではないとされている。従って選挙中に殺害されたものの、政治目的のテロで殺害されたわけではない。安倍首相の民主主義や自由主義への姿勢が理由だったのではない。
こうしてみてくると、「国葬」にしなければならない理由は、なかなか見つからない。
読売新聞は「国葬、当初は“国民葬”軸に検討…首相が慎重論退ける」の見出しで報じたが、その中に、「国葬の決定には、自民の国会議員の約4分の1にあたる93人が所属する安倍派への配慮もある」との記述があった。時事通信も「異例の対応で、安倍氏を支えた保守層への配慮を示す狙いがある」と報じている。
安倍氏が銃殺されて以降、大手メディアでは、コメントは1哀悼の意を表すること2称賛は惜しまないこと3批判はしないこと--を方針としてきた。従って、安倍氏への批判はほとんどなく、批判は違和感を持って迎えられる。
しかし、少し前に時間をずらしてみよう。安倍氏が退陣表明直前の内閣支持率は、NHKの調査によると、「支持する」が34%で、「支持しない」が47%であった。つまり、仮に銃殺がなかったとすれば、国民は安倍氏を「評価する」より、「評価しない」が多かったのである。
岸田首相が党内運営を最重視し、国民の意思を軽視する時、思わぬ批判増に直面する可能性がある。
●立憲・泉代表 安倍元首相の国葬に「反対」表明 「国民の疑問に答えてない」 7/22
政府が安倍晋三元首相の国葬を9月27日に行うことを閣議決定した7月22日、立憲民主党の泉健太代表は、国葬に「反対だ」と表明した。
泉代表は会見で、「岸田首相が拙速に国葬を発表し、国民から多くの疑問の声が寄せられた。その疑問に岸田首相は答えていない」と述べた上で、「なし崩し的な形で国葬の準備が進められようとしている」として、国葬をめぐる岸田政権の対応を批判した。
そして、「今回の政府の決定は、私は賛同しかねる。反対だと表明したい」と述べた。
また、社民党の福島瑞穂党首は、国会前で行われた「国葬反対」の抗議活動に参加し、「国葬に反対だ。法的根拠がない」と訴えた。
一方、国民民主党の玉木雄一郎代表は会見で、「内外から多数の弔意が示されているので、国の財政的な負担によって葬儀を行うことは理解する」と理解を示した。ただ、「納得していない国民もたくさんいるので、政府は説明責任をしっかり果たすべきだ」と述べた。
野党から反対の声が出ていることに、自民党の高市早苗政調会長は、「諸外国、親交のあった要人の方々に弔問の場を要することは、非常に意義があると思う。国葬の挙行に賛成する」と反論した。
●長崎の被爆者団体 安倍元首相の国葬実施に反対する声明 7/22
参議院選挙の応援演説中に銃撃されて亡くなった安倍元総理大臣の「国葬」について、長崎の被爆者でつくる団体などが実施に反対する声明を出しました。
「国葬」に反対する声明を出したのは、長崎の被爆者でつくる「長崎原爆被災者協議会」や「長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会」など県内19の団体です。
声明では銃撃について「民主主義を根底から破壊する暴挙」としながらも、安倍政権時代に従来の憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を限定的に容認する閣議決定や森友学園をめぐる財務省の決裁文書の改ざん問題、加計学園の問題などを理由に、「安倍氏の葬儀を国の儀式として行い、費用を全額国費で賄うのには全くもって無理がある」として国葬の開催について反対しています。
長崎市役所で開いた記者会見で声明を出した団体のひとつ、長崎原爆被災者協議会の田中重光会長は「安倍元総理はかつて、閣議決定で集団的自衛権を容認して日本が戦争できる国に推し進め、核共有を持ち出したことに怒りでいっぱいだ。私たちはこのような国葬には反対です」と述べました。
団体は22日、首相官邸や各政党の本部に声明を郵送したということです。
●安倍元首相の国葬「休日とすることは検討していない」 官房長官会見 7/22
松野官房長官は、22日午後の会見で、安倍元首相の国葬当日について「休日とすることは検討していない」と述べました。・・・
――安倍元首相の国葬について伺う。国葬の日時については9月27日の午前か、午後かなど時間は決まっているのか。国葬当日を休日扱いにするのかどうかも伺う。
松野官房長官 / 安倍元総理の国葬儀の具体的な時間については現在検討しているところであり、現時点で決まっていることはありません。また国葬儀の当日を休日とすることは検討をしていません。
――関連で国葬儀について。報道機関の世論調査では一定の反対意見もあって、世論の賛否は割れているのが現状だ。国会での議論などを含め国民の納得感を得るために政府として具体的に何か努力する考えはあるのか。
松野官房長官 / 午前中にも申し上げた通り、様々なご意見があることは承知をしていますが、国葬儀は儀式として実施されるものであり、国民一人一人に政治的評価や、喪に服することを求めるものではありません。引き続きこうした点についてしっかりと説明をしてまいりたいと考えております。
――功績があった首相経験者の葬儀について今後も今回のように、内閣府設置法を理由に閣議決定を根拠としてやっていくのか。時の政権の判断次第でやる、やらないの判断になってしまうと思うが、国として葬儀のあり方について新たな根拠法の整備などを検討していく考えはあるか。
松野官房長官 / 元総理の葬儀のあり方については、諸般の事情を踏まえながら、国民の心情やご遺族の気持ち等も総合的に勘案をし、その都度ふさわしい方式で決められてきたものと考えています。またこれも午前中申し上げた通り、内閣府設置法第4条第3項第33号に内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記され、国葬儀を含む国の儀式の執行は、行政権に属することが法律上明確となっており、閣議決定を根拠として行うものであると考えております。
――新型コロナ対策について。岸田総理は先ほど関係閣僚と対応を協議していたがどのような議論を交わしたのか。濃厚接触者に求める待機期間の短縮など今後の対策で確認したことについて。
松野官房長官 / 直近の感染状況を踏まえ、感染拡大への対応を確実に進めていくための追加的な対応をとることとしました。具体的には、発熱外来の受診に変えて抗原定性検査キットを活用することによる迅速、簡易な健康観察の体制の整備、感染症発生届の簡略化等による医療機関、保健所の負担軽減、濃厚接触者の待機期間について7日間から5日間に短縮をし、抗原定性検査キットで2日目と3日目に2回続けて陰性を確認した場合は、3日目に待機終了とするなどの追加的取り組みを行うこととしました。政府としては引き続き感染状況や科学的知見などを収集しつつBA5への置き換えを見据え、社会経済活動をできる限り維持しながら、重症化リスクのある高齢者を守る対策に全力を挙げて取り組んでいく考えであります。
――発熱外来のある医療機関の希望者に抗原検査キットを無料で配布するということだったが、その狙いといつからどのぐらいの数の検査キットを配布するのか。
松野官房長官 / 新規感染者数の急増に伴い、発熱外来へのアクセスがしづらくなっているという声が聞かれます。このため、発熱外来の混雑を緩和しつつ、有症状者が必要な健康観察を受けられるようにするため、有症状者が発熱外来の受診に代えて、検査キットによる検査を受けられる体制を整備するよう自治体に要請することとし、日本医師会にも協力を要請したところであります。配布する検査キットの数については現場の必要に応じて対応するものであるため、お答えすることが困難でありますが、実施可能なところは今週末からでも実施できるよう働き掛けてまいりたいと考えております。
――先程、総理は日本医師会長と会談した。どのような会談が行われたのか、内容について。コロナ対応について会談されたと思うが、日本医師会への期待は
松野官房長官 / 本日、岸田総理と松本日本医師会会長が会談され、総理から、発熱外来など週末に患者対応ができる医療機関を増やすこと。発熱外来の混雑を緩和しつつ、有症状者が必要な健康観察を受けられるようにするため、今週末からでも発熱外来等で検査キットを配布し、有症状者が発熱外来の受診に代えて、健康観察を受けられる体制の整備について協力を要請をしました。また発熱外来の初診時の加算等の9月までの延長についても話されました。松本会長からは、医師会として最大限協力する旨のご発言がありました。
――閣僚人事について。二之湯国家公安委員長と金子農水大臣の2人が参院議員任期満了となる、来週25日で政界引退と言っている。26日以降は民間人の立場となるが、両大臣とも閣僚の任を担うのか
松野官房長官 / 国務大臣の任命については総理の専権事項であり、私からはお答えする立場にありません。なお、国務大臣の過半数は国会議員の中から選ばれなければならないとされています。
――国葬儀について。中曽根さんのときに、内閣と自民党の合同葬だったが、このときに各府省において弔旗を掲揚するとともに、葬儀の間の一定時刻に黙祷をするなど、閣議決定が下されていたが、国葬儀となると、内閣と自民党の合同葬よりも格が上になると思うが、この件については踏襲されるのか。
松野官房長官 / 安倍元総理の国葬儀の内容、運営の詳細については、今後調整をするということでございますが、先ほど申し上げました通り、国葬儀の当日を休日とすること等は検討しておりません。
――防衛白書について伺う。日本の防衛白書で島根県の竹島を我が国固有の領土と記述したことに対して、韓国の外務省が在韓国日本大使館の公使を呼んで抗議した。これに対する受け止めを。
松野官房長官 / ご指摘の件については承知をしています。これに対し、わが方からは竹島は歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかにわが国のを固有の領土であり、韓国側からの申し入れは受け入れられない旨、反論をしました。竹島問題については引き続きわが国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意のもと、毅然として対応していく考えであります。
――冒頭のリエゾンチームの派遣について。今回のリエゾンチームの派遣はいつまでか。派遣の理由は。
松野官房長官 / 派遣の理由でございますが、先ほど申し上げました通り看護師等の応援派遣の調整等を行うため内閣審議官以下3名の職員を来週月曜日から沖縄県に派遣することをいたしました。その後の日程に関しては現状私は承知しておりません。
――KAZU1の行方不明の犠牲者、その方の遺体がサハリンで発見されたが、ご遺体は日本に戻っていない。DNA鑑定で確実にそのご遺体は被害者だというところが判明しているが、国葬儀の件で、多分ロシアからもプーチン大統領が来られるかどうかは別として何らかの決定される方が来られると思うが、そのときにこの問題について何か政府として交渉されるご予定は
松野官房長官 / ご遺体の引き渡しに関しましては日本とロシアとの間で今調整を続けているところでございます。
●異論噴出 それでも強行か 安倍元首相の「国葬」きょうにも閣議決定 7/22
疑問・問題だらけ
政府は安倍晋三元首相の「国葬」を22日にも閣議決定する見通しです。しかし、なぜ国葬なのか、国民の疑問・疑念は深まるばかりです。NHKの世論調査(16〜18日実施)では、安倍氏の国葬実施について「評価しない」が38%に上りました。熊本日日新聞(電子版)の調査(15〜19日、SNS登録者に実施)では、国葬に「賛成」「どちらかといえば賛成」が合わせて42%であるのに対して、「反対」「どちらかといえば反対」が49%と、反対が賛成を上回りました。国民のなかに、これだけの異論、疑問、疑念があるのにそれでも強行しようというのでしょうか―。
安倍氏の国葬をめぐる最大の問題は、実施の理由が“安倍政治の賛美・礼賛”にあることです。
評価は真っ二つ
岸田文雄首相は14日の記者会見で、国葬をする理由について、「卓越したリーダーシップと実行力」「東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績をさまざまな分野で残された」として、安倍氏を絶賛しました。
一方で安倍政権の下では、憲法9条の改定が掲げられ、歴代政府の憲法解釈を覆す集団的自衛権の行使容認や安保法制の強行など「戦争する国」づくりが進められてきました。「アベノミクス」によって格差と貧困が拡大し、異次元の金融緩和による異常円安が現在の物価高騰を引き起こしています。「森友」「加計」「桜を見る会」などの疑惑も噴出し、国政私物化を繰り返してきました。
安倍氏の政治的立場や政治姿勢への評価が国民のなかでも大きく分かれていることは明らかです。一面的な評価のみを強調し、礼賛一色の形で国葬を実施すれば、国家として安倍政治を全面的に公認し、賛美・礼賛することになります。こうした形での実施は到底認められません。
また国葬は、安倍氏に対する弔意を個々の国民に事実上強制することにつながる懸念があります。弔意を示すかどうかは、個人の自由であり、それを強制することは内心の自由に関わる問題です。憲法学者からも憲法19条の内心の自由を侵害するとの批判がだされています。
吉田茂元首相の国葬(1967年)では、政府から官公庁や公立学校に黙とうするよう指示が出され、イベントの自粛も要請されました。中曽根康弘元首相の合同葬(2020年)では、文部科学省が全国の国立大などに弔旗や黙とうで弔意を表明するよう通知を出しました。こうした事態を再び招くようなことがあってはなりません。
法的根拠示さず
戦後、国葬が行われたのは吉田氏の葬儀だけです。戦前は、国葬の対象者を皇族などに規定した国葬令がありましたが、日本国憲法が施行された1947年に廃止。首相経験者などの葬儀は80年以降、内閣と自民党の「合同葬」が慣例となってきました。
国葬に関する基準は法令上規定がありませんが、岸田首相は、内閣府設置法において、「国の儀式」として閣議決定することで実施可能だとして、国会審議もないままに強行しようとしています。明確な法的根拠も示さずに、政府の判断だけで決定することには、恣意(しい)的な政治利用の危険性も指摘されています。国民のなかでも賛否が大きく分かれる問題であり、その費用を全額国費で負担することからも、国会での十分な審議と説明が求められます。
透ける政治意図
安倍政治の内政・外交の問題は過去の問題ではなく、その基本点の継承を公言する岸田政権の問題であり、まさに現在の焦点・課題です。そのため、岸田首相が国葬を決定した背景には、安倍氏の国葬をテコにして、政権評価の浮揚を狙う、政治的意図が感じられます。党内保守派への配慮との指摘もあり、改憲や大軍拡を推進する足場固めの思惑も透けてみえます。
安倍氏が8年8カ月の在任中に果たした役割については、事実と道理に基づいた、冷静な評価が行われるべきです。その上で、国葬を強行するのではなく、「国葬でいいのか」「国葬には反対だ」という国民の声に耳を傾けることが求められます。
岸田首相は、国葬を行う理由の一つに、「民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」ことをあげましたが、その強行は日本の民主主義を破壊することにしかなりません。
●蓮舫氏 安倍元首相の国葬「賛成する理由がない」「全額税金 法律もなく…」 7/22
立憲民主党の蓮舫氏(54)が22日、自身のツイッターで、街頭演説中に銃撃され死去した安倍晋三元首相の国葬についてコメントした。
政府はこの日午前の閣議で、9月27日に東京・日本武道館で国葬を実施すると決定。葬儀委員長は岸田文雄首相が務め、費用は全額、国費から拠出する。
蓮舫氏はこの決定直後にツイッターを更新し、「法律もなく、国葬の定義も選定方法もなく閣議決定。全額税金、総額も見積もりも未定。そして、日本武道館の理由も不明。日本武道館会長の高村正彦前自民党副総裁は弁護士時に旧統一教会の訴訟代理人でした。会場が適正かどうかを誰が決めたのかも不明」と政府の決定に異議。そして「賛成する理由がない」と断じた。
首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来で、戦後2例目。野党からは政府の説明が足りないとの批判や、安倍氏の政治的評価を強制することになると懸念する声も上がっている。 

 

●安倍氏国葬、割れる賛否 国民理解へ説明継続 政府 7/23
参院選の遊説中に銃で撃たれて急逝した安倍晋三元首相を追悼するため、岸田内閣は22日、首相経験者の葬儀としては戦後2例目となる国葬を行うことを正式に決めた。
市民や野党から反対の声が上がるなど賛否が割れる中での決定となり、9月27日の国葬に向け、政府は国民の幅広い理解が得られるよう説明を続ける考えだ。
午前9時すぎに首相官邸で始まった閣議で、岸田文雄首相は「葬儀委員長は首相が務め、副委員長は官房長官にお願いする」と説明。松野博一官房長官は「葬儀は無宗教形式で、簡素、厳粛に行う」などと基本方針を示し、閣議は10分足らずで終わった。
閣議の時間に合わせ、官邸前には市民ら数百人が集まり、「国葬反対」と抗議の声を上げた。参加した女性(33)は「安倍氏を特別扱いし、たくさんの税金を使うのは本当に許せない」と語った。21日には市民50人が閣議決定と予算支出の差し止めを求める訴えを東京地裁に起こしている。
安倍氏の国葬をめぐっては、公明党が首相の判断を支持しているが、立憲民主、共産、社民各党などは反対を表明している。安倍氏は在任中、日本経済の再建に取り組んだ一方、集団的自衛権の限定行使を認める安全保障法制の整備は国論を二分し、森友・加計学園問題では厳しい批判を浴びた。安倍政権への評価は割れており、共産党などは「国葬によって弔意を強制すべきではない」と主張している。
戦前の国葬令は1947年に失効しており、国葬には法的根拠がないとの批判も根強い。2020年に中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬が営まれた際は、9643万円の公費支出が問題視された。党と折半の合同葬と異なり、国が全額負担する国葬への公費支出はさらに高額になることが予想される。
政府は反対論への対応に追われている。松野長官は22日の記者会見で「国葬は国民一人ひとりに政治的評価や喪に服することを求めるものではない」と改めて説明。国葬の法的根拠は「国の儀式」に触れた内閣府設置法だとし、費用に関しても「真に必要な経費となるよう努めていく」と力説した。
鈴木俊一財務相は会見で「もう決まったことだからと(説明を放棄)するのではなく、国民の理解を得る努力をしっかりとしていく必要がある」と説明を尽くす考えを示した。ただ、政府・自民党は、立民や日本維新の会が求める国葬に関する国会での閉会中審査には応じない構えだ。
●安倍元首相の「国葬」が閣議決定 山上容疑者は鑑定留置へ 7/23
安倍元首相が銃撃され死亡した事件から22日で2週間。政府はこの日の閣議で安倍元首相の「国葬」を9月27日に行うことを決めました。ただ、「国葬」には反対の声も上がっていて、幅広い理解を得られるかも課題になっています。
22日朝、雨の中、官邸前の交差点には多くの人々が−。2週間前、選挙の応援演説中に凶弾に倒れた安倍元首相の国葬に対する抗議デモが行われていました。
デモ参加者「安倍元首相の任期の間にどういうことがなされたかっていうことを考えると、国葬という形で悼むなんてことはとんでもないと思うし、税金を国の費用を使ってもらいたくないです」
そうした中、政府は−。松野官房長官「本日の閣議において、故・安倍晋三元総理の国葬儀を9月27日、日本武道館において執り行うことを決定いたしました。葬儀委員長は内閣総理大臣が務めることとなります」
国葬とする理由について憲政史上最長の8年8ヶ月にわたり、首相の重責を担ったことや、内政や外交で実績を残したことなどを挙げています。戦後、国葬が行われるのは首相経験者では吉田茂元首相以来2人目となり、費用は全て国が負担することになります。
国葬について一部の野党からは異論の声があがっています。
共産党・小池晃書記局長「こうした形で国葬を行うことが、弔意を個々の国民に対して事実上、強制することにつながる。国家が弔意を求めるということはあってはならないと思います」
立憲民主党・泉健太代表「政府の説明、まだまだ不十分な点が多い。この国葬とは何か、ということについて閉会中審査を求めたい」
一方、事件現場の近鉄・大和西大寺駅前では2週間が経った22日も手を合わせる人の姿が絶えませんでした。
「献花台も撤去されて、自分の心も落ち着いてきたかなと思い、お祈りしました。定期的にここを通るので、通るたびに思い出すのだろう、これは一生消えないのだろうなって…」
殺人の疑いがもたれている山上徹也容疑者(41)は手製の銃について「昨年春ごろから作り始めた」と供述していて計画的な犯行だったとみられています。
奈良地検は、これまでの供述などを踏まえ、刑事責任を問えるかどうかを調べる鑑定留置を行う方針であることが捜査関係者への取材でわかりました。
今後開かれる裁判では刑事責任能力の有無が争点となる可能性もあり、検察は精神鑑定の結果などを踏まえ、山上容疑者を起訴するかどうか判断するものとみられます。
●金平氏 安倍元首相「国葬」に「違和感」 7/23
ジャーナリストの金平茂紀氏が23日、TBS系「報道特集」に出演し、安倍晋三元首相の国葬について「違和感」を伝えた。
銃撃され、亡くなった安倍氏について、政府が22日、国葬を9月27日に実施することを決定した。これについて金平氏は「戦後では吉田茂元総理以外には例がありません」と前置き。続けて「人の死を悼むことは個人の良心の大切な営みではありますが、衝撃的な事件の余波がまだ消えていない中、政府の性急な事の運び方に違和感を覚えます」とコメントし、早々に「国葬」が決まったことに疑問を投げかけた。
●N党・立花党首 朝日新聞が安倍氏と国葬皮肉る7本川柳「悲しい」・・・ 7/23
NHK党の立花孝志党首が23日、SNSを通じて、22日に行った会見での「朝日新聞の川柳」に対する見解を伝えた。
朝日新聞が16日付朝刊で掲載した「朝日川柳」(選者名は『西木空人』)。選ばれた7本すべてが、8日に殺害された安倍晋三元首相の国葬についての川柳となっており、「疑惑あった人」「忖度」などの言葉が散りばめられ、いずれも安倍氏や国葬にネガティブな内容だった。物議を醸し、ネット上でも、「コラかと思った」「ビックリ」と驚くコメントも相次いでいた。
会見質問で問われると、立花氏は「朝日新聞というのは歴史ある報道機関ですよね。元々朝日新聞があって、そのあとにNHKのラジオができた歴史から考えても、もう少しこう日本人らしい考えが持てないのかなっていうことは、すごく残念に思います」と述べた。
これまでも安倍氏らに対しては、他党の代表にも驚くような発言があったと指摘したうえで「民主主義国家ですから、その人たちがいけないとまでは言えないんですけど。もちろん朝日新聞に対しても我々は検閲に当たる可能性もあるので、新聞社に対して川柳に対してあんまり言っちゃいけない立場ではありますが、非常に悲しいですよね」と語った。
安倍氏と激しく対立した政治家でも、立憲民主党の福山哲郎元幹事長らは、理解できる発言をしていたと述べたうえで、「特に政治活動中に凶弾によって倒れたということからしても、それを面白おかしくするのは僕は避けた方がいいなと思いますけど、一方で喜ぶ方がいらっしゃる」と指摘した。
「今回の川柳を見て、朝日新聞に悪口を書かれることは誇りだなと思ってます」と述べた。 
●安倍元首相の国葬を税金を使ってでもすべき理由 7/23
政府は、先般銃撃によって死亡した安倍晋三元首相の国葬を9月27日に行う方針だと報じられている。この国葬には、今のところ賛否両論がある。
1つは、安倍氏の最長の首相在任期間、経済政策、外交などの功績をたたえ、衝撃的な銃撃死への哀悼を理由に、国葬を「是」とする意見だ。
もう1つは、安倍氏が国葬に値する功績を挙げたのかについて疑問視したり、税金の無駄遣いであるという理由や、生前の安倍氏のネガティブな面までを肯定したくないとするなどで、国葬を「非」とする意見だ。
筆者は、安倍氏の国葬に賛成だ。こう言うと、意外に思われるかもしれない。実際、複数の知り合いから「意外だ」と言われた。
なぜ「国葬」に賛成するのか
安倍氏の国葬に賛成する理由は、国葬が「政治的によいきっかけになりうるから」だ。
筆者は、生前の政治家としての安倍氏には「是」とすべき点、「非」とすべき点の両方があったと思っている。国葬は「是」の側面に光を当てる機会となるだろうが、それで将来「非」の面の検証に支障が生じるわけではない。
前者を有効に利用できる機会があるなら、利用するといいではないか。それは、野党の諸氏にも考えてみてほしいところだ。大人の政治家になってほしい。
安倍氏の痛ましい死を悼む国民の気持ちにウソはあるまい。また、国葬となると海外から弔問者が集まり、有益になりうる外交の場が生じる。
加えて、安倍氏への同情は、同氏の功績の面に注目を集めることになる。安倍氏の政策のポジティブな面について、岸田政権が積極的に継承するきっかけになりうる。国民の心に残るドラマが演出できて、それをきっかけによりよい政策が実現できるなら、国葬を「よい政治」の手段として利用できたことになる。
税金の支出たる費用についてはのちの検証が必要だが、有効に使えるなら決して高くあるまい。政治家の行動はすべてが政治的であり、物事の政治利用だ。
政治は、偶然と意図の両方を用いながら、賛否が割れる問題について調整を図る行為だ。ちなみに、全員が賛成するような問題に政治は不要だ。
安倍氏の死が偶然なのか、何らかの理由によるものなのかはわからないが、利用できる機会は有効に利用するといい。ただし、有効に利用できるか否かは、岸田首相以下の政権の行動次第だ。
岸田首相がアメリカを諫められたら戦後最大級の称号
弔問を契機とした外交について、実現する可能性はほとんどないと思うが、筆者の希望を述べておこう。
葬儀の主旨は死者を悼むことにある。敵・味方や関係の近い・遠いに関係なく、弔問を受け入れるといい。生前の安倍氏は、アメリカのドナルド・トランプ前大統領とも、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とも、時には痛々しいまでに気を遣って、よい関係を持とうとした人だった。来るなら、トランプ氏も、現職のジョー・バイデン大統領も、プーチン氏も呼ぶといい(実際には来ないだろうが)。
外交の場では、ウクライナでの軍事衝突を少しでも早く止めさせることに注力すべきだ。ウクライナの軍事衝突は、実質的にはウクライナを舞台とした、ロシアとアメリカの代理戦争の様相を呈しつつある。
ウクライナ、ロシアにそれぞれ言い分はあろうが、アメリカが戦争をやめさせようとしない限り、事態は長期戦に向かう公算が大きい。ロシアはもちろん悪いが、アメリカにも非があることが見えてきた。政権に影響力が大きい武器産業、エネルギー産業、農業などが大いに儲かっているアメリカに、戦闘を早期に終結させようとする意図は感じられない。
一方、過去20年ほどの間にロシアの国力は大いに改善しているし、エネルギーも食糧も豊富であって、アメリカが主導する経済制裁では大して困っていない。エネルギー関連の収入などもあって、侵攻直後に急落したルーブルの為替レートは回復して、軍事侵攻開始前の水準を上回っている。
岸田首相が、アメリカにも非があることを指摘し、アメリカを諫めることができたら大したものだ。戦後最大級に偉大な首相と呼ぶことに躊躇はいらない。
しかし、現実にそのようなことをしたら(アメリカ上層部と対立したら)、遠からず岸田首相のクビが飛ぶのだろうし、同首相にそこまで大物であることを望むのは可哀想だ。そこまで大物にならなくてもいいので、以下のことを実現してほしい。
首相就任前からの、さらに首相就任後の岸田氏の言動を振り返ると、安倍氏のいわゆるアベノミクスに「距離を置こう、機会があればアベノミクスを修正しよう」とする意欲があったように思う。
国葬は岸田首相にとって「大チャンス」
しかし、アベノミクスには継承すべきよい面が確かにある。岸田首相には、安倍氏の功績をたたえるべき国葬を機に、アベノミクスの「よい面」を元から評価していたような顔をして「しれっと継承する」ことを期待したい。
当初、首相は「資産所得課税の見直し」と言っていたものが、最近では「資産所得倍増計画」と言い出したくらいなのだから、変わり身は可能だろう。
アベノミクスは、金融緩和、積極財政、成長戦略(規制緩和など)を「三本の矢」とする政策パッケージだった。このうち、金融緩和には一定のプラス効果があったが、財政は二度にわたる消費税率の引き上げなどがあって十分拡張的でなかった。加えて、成長戦略となるべき規制緩和はまだまだ不十分だ。
金融政策は「早すぎる引き締めへの転換」を避けるべきだ。現在の物価上昇は資源などの輸入物価の上昇に端を発するもので、日本人の所得を奪っており、需要が強いことによって発生しているものではない。
日本銀行は先般の金融政策決定会合で、インフレの予想値を2%台に引き上げたが、黒田東彦総裁の言うとおり、当面金融緩和を続けることが適切だ。一方で、円安は日本のビジネスにとって「極めて有利な競争条件」をもたらしており、国内の設備や人に投資する絶好の環境条件だ。
したがって、財政も緊縮の度合いを強めることは不適切だ。こうした金融政策、財政政策をしばらく継続するには、「安倍元首相の路線の継承」が政治的に有力な理由になりうる。
なお、日銀の金融政策にあって、ETF(上場投資信託)の買い入れと、イールド・カーブ・コントロール(YCC)による長期金利の固定には、一面の問題があったように思われるので、近い将来これらを修正することがあってもいいが(当連載の小幡積・慶應義塾大学准教授のYCCの脱却法に関する論考「異常な円安をすぐ止めるにはどうすればいいのか」は興味深かった)、「財政の後押しを伴う金融緩和」の基調はまだ崩すべきではない。少なくとも、十分な賃金上昇を待つべきだろう。
政策ラベルとしての「成長戦略」は誰も反対しないが、有効性のある戦略はなかなか実現しない。岸田氏に残された仕事はこの面で大いにある。
また、アベノミクスは、もっぱらデフレ脱却に目的を絞ったせいか、当初から「分配政策」を欠いた経済政策パッケージであった。中低所得層の所得を増やす、公的な再配分政策を早急に実施すべきだろう。岸田氏のもともとの政策的傾向の中にあった「分配政策への目配り」はよい視点だ。
再来年の自民党総裁選の際に、岸田氏には「私はアベノミクスを発展的に継承した」とひとこと言って胸を張ってもらいたい。天国の安倍氏が微笑んでくれるのではないだろうか。  
●安倍元首相国葬 9・27日本武道館、開催決定 学校で黙とう?混乱必至 7/23 
参院選の街頭演説中に安倍晋三元首相が銃撃された事件から22日で丸2週間を迎えた。政府はこの日の閣議で、9月27日に東京・北の丸公園の日本武道館で国葬を行うと決定。葬儀委員長は岸田文雄首相が務め、費用は全額、国費から捻出する。首相は国葬の目的や法的根拠の説明を通じ国民の理解を得たい考えだが、弔意の強制につながるとの懸念は拭えず、野党や市民団体からは反対の声が上がった。
国葬は1967年の吉田茂元首相以来、55年ぶりで戦後2例目となる。
閣議決定を根拠に国会での議論を素通りし、性急に結論を出した政府の姿勢にも疑問の声が出ている。首相はこの日、長野県軽井沢町での講演で「さまざまな意見があることは承知している。丁寧に説明し、できるだけ多くの国民に納得してもらって行いたい」と述べた。簡素な形式にして無宗教で行う見通し。費用は2022年度予算の予備費からの支出を想定している。
松野博一官房長官はこの日の会見で「国民一人一人に喪に服すことを求めるものではない」と改めて強調したが、野党内には国葬が事実上、弔意の強制につながるとの懸念が根強い。立憲民主党の泉健太代表は「同調圧力を求めるのはいかがか、との声が上がっている」と教育機関などへの弔意要求に反対を表明。官邸前では市民団体のメンバーらが集まり抗議の声を上げた。
元首相の葬儀を巡っては、過去にも「弔意の強制」につながりかねないとの懸念が出ていた。官報などによると、吉田元首相の国葬では黙とうの実施や「歌舞音曲を伴う行事」の自粛を各省庁に要請。学校や会社にも協力を求めた。
20年10月に実施された中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬でも、政府の対応が議論を呼んだ。文部科学省は国立大学や都道府県の教育委員会などに弔意の表明を要望する通知を出し、教育基本法が定める政治的中立性が脅かされるとの批判が出た。弔旗や半旗の掲揚は大学によって対応が分かれた。
中曽根氏の合同葬は土曜日だったが、安倍氏の国葬が行われる9月27日は火曜日。政府は学校や官公庁などを休みにしない方針で、小中高も授業がある。末松信介文部科学相は、学校現場に対して黙とうなどで弔意を示すよう求めるかどうかについて「政府全体の方針に沿って対応する」と述べるにとどめた。国葬は合同葬より格が上となるだけに、今後、対応を巡り混乱が広がるのは必至だ。 

 

●茂木健一郎氏 国葬の賛否「こういう議論はほとんどの人の生活に関係ない」 7/24
脳科学者の茂木健一郎氏が24日、ユーチューブチャンネルで安倍晋三元首相の国葬が賛否を呼んでいる現状を嘆いた。
茂木氏は1年経過した東京五輪(2021年7月23日開幕)で当時開催をめぐって反対運動が起こっていたことを振り返り「ちょうど1年経ったけど、あの騒ぎはなんだったのか。意味がなかった」と指摘。
さらに現在、安倍元首相の国葬をめぐって賛否を起こっていることに「空のエネルギーを費やしている。国葬をめぐってあーだこーだやっているけど、こういう議論はほとんどの人の生活に関係ない。関係あることは議論するのは難しい。だから、あんまり頭を使わなくもいいことに集中している。ボクはこうしたことにエネルギーを費やして言い合うことは好きじゃない」と持論を展開し「なんで意味のないことに議論するんだろうと。ボクはそういうことに距離を置いている」と語った。
茂木氏は21日にもユーチューブチャンネルで「これをある種のイデオロギーやこだわりを持って、政治的なプロセスとして議論することは全く意味がない」「国葬は粛々とやればいい」などと話していた。
●寺島実郎氏 国葬に「安倍さん自身がそれを望んでるかなって」 7/24
評論家の寺島実郎氏が24日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・00)に出演。政府が22日、参院選の街頭演説中に銃撃され死去した安倍晋三元首相の国葬を、9月27日に東京・北の丸公園の日本武道館で実施すると閣議決定したことに言及した。
費用は全額国費で負担。無宗教で簡素な形式とし、経費の算定を進める。首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来で、戦後2例目。葬儀委員長は岸田文雄首相が務め、名称は「故安倍晋三国葬儀」とする。当日は休日にせず、国民一人一人に喪に服すことも求めない。首相は22日、国葬に関し「さまざまな意見があることは承知している。丁寧に説明し、できるだけ多くの国民に納得してもらって行いたい」と強調。松野博一官房長官は費用について、記者会見で「物価情勢や新型コロナウイルス対策費も勘案し、厳粛で心のこもった葬儀を執り行うため真に必要な経費となるよう努める」と述べた。財源は2022年度予算の予備費を想定する。
寺島氏は「安倍さん自身がそれを望んでるかなっていう思いで考えるんですけども、民主主義っていうものを生きる政治家の本懐って市民とか国民に敬愛されて送られることだと思う。そのこともわれわれ自身もしっかり考えた上で、これについての将来に向けてのルール形成をしっかり説明すべきだと思います」と考えを述べた。
●なぜ国葬であるべきか 大阪大名誉教授・坂元一哉 7/24
今回このコラムは、安倍晋三元首相をぜひ国葬で送ってほしい、と書き始めるつもりだったが、今月14日には、岸田文雄首相が記者会見で、この秋に国葬を行うと表明した。国葬には否定的な声もあったので、安心した。
実現すれば、首相経験者としては1967(昭和42)年に行われた吉田茂元首相の国葬以来、戦後2度目となる。安倍元首相は、憲政史上最長となる通算8年8カ月にわたって首相の職を務めたが、その間、内政の安定を背景に、卓越した外交的リーダーシップを発揮し、日本の国際的地位を大きく引き上げた。
吉田元首相は1951(昭和26)年のサンフランシスコ平和条約および日米安保条約の締結によって、米国ならびに自由主義諸国との協調という戦後日本外交の礎を築いたが、安倍元首相は、その日本外交をさらに高いステージに引き上げた。世界全体を見渡し、自由民主主義や法の支配などに立脚した「地球儀を俯(ふ)瞰(かん)する外交」「価値観外交」を展開し、「自由で開かれたインド太平洋」という雄大な外交安全保障構想を編み出すことなどによって、日本が自由主義諸国と協調することは単に日本の利益ではなく、自由主義諸国全体にとっても大きな利益となることを説得力をもって示したのである。そして、それは国内外の高い評価を得た。
安倍元首相逝去の後、世界各地から続々と弔意が表されたのも、国外の高い評価の表れだろう。これにより日本外交の礎は、地政学的にも理念的にも格段に強化された。
ロシアのウクライナ侵攻、またロシアに肩入れする中国の覇権主義的な言動によって世界の秩序が揺さぶられ、また今後もさらに揺さぶられることが懸念される中、安倍元首相の外交における実績は、日本外交を支える「耐震補強」の役割を果たしていくことだろう。
政府はこれから、あらゆる脅威から国民の安全と財産を守るための「国家安全保障戦略」の改定を行うが、この改定は、安倍元首相が残した「耐震補強」の設計図を下敷きにしたものになるだろう。
安倍元首相はまさに、平川祐弘・東京大名誉教授が言うように、明治の元勲にして初代首相の伊藤博文以来、日本に登場した「最大の世界的政治家」だったといえるのではないだろうか(産経新聞14日付の正論欄「安倍晋三元首相の葬儀を国葬に」)。
国家に多大な功績を残した安倍元首相は、参院選での応援演説の最中、警備の隙をついて後ろから近づいてきたひとりの男が放った凶弾に倒れ、まだ60代の若さで突然亡くなった。この異常なできごとは、多くの日本国民と日本の民主主義にとって、大きなトラウマとなるだろう。
日本が、これを取り除くにはかなり長い時間がかかるだろうが、まずは国家として最大の礼節をもって安倍元首相の非業の死を弔うことから始めなければなるまい。  

 

●安倍元首相国葬 反対72%「安易な神格化懸念」「国費負担に違和感」 7/25
政府が閣議決定した安倍晋三元首相の国葬について、南日本新聞「こちら373(こちミナ)」はアンケートを実施した。「反対」「どちらかといえば反対」を合わせた反対が計72.2%で、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計23.1%を大きく上回った。安倍政権時に起きた問題への批判や税金投入を疑問視する声が多く寄せられた。
アンケートは22〜23日、無料通信アプリ「LINE(ライン)」のこちミナに友だち登録した人を対象に実施、706人から回答があった。無作為で民意を把握する世論調査とは異なる。
反対の理由では森友・加計学園問題への批判が目立った。「納得のいく説明をしていない」(鹿児島市の60代女性)、「公文書改ざん問題で財務省職員が自ら断った命も同じ重みなのに釈然としない」(日置市の70歳以上男性)。国費負担に違和感を抱くとして、「自民党葬にすればよい」(いちき串木野市の60代男性)、「生活苦の国民のために使ってほしい」(西之表市の50代女性)といった指摘が相次いだ。
矛先は岸田文雄政権にも向き、「国葬の基準がない」(曽於市の50代男性)、「決定が急すぎる」(指宿市の30代男性)などの不満が出た。「国葬は全国民に悼むことを強いる」(鹿児島市の50代男性)、「安倍元首相が神格化されそう」(同市の30代女性)と社会的影響を懸念する意見もあった。
一方、賛成の人からは長期政権を維持した点や外交成果を評価する声が上がった。「歴代最長在職日数を務めた功績は大きい」(霧島市の40代男性)、「世界との関係向上や発展に貢献した」(鹿児島市の30代男性)、「日本を取り戻す精神的支柱だった」(同市の60代男性)などの意見が多かった。
弔問に訪れる海外の要人らの警護面から、国葬が必要とする意見もあった。
年代別では世代が上がるほど反対が増える傾向で、男女別では女性が男性より反対色が濃かった。政治と宗教の関わりを問題視する声も複数見られた。
●安倍元首相の国葬は統一教会の「マインドコントロール」に利用されるだけ 7/25
参議院選挙の応援演説中に銃撃されて殺された安倍晋三元首相の国葬を9月27日に日本武道館で行うことが、22日に閣議決定した。首相経験者の国葬は吉田茂元首相以来、2人目となる。
だが、そんなことをしたら、それこそ「統一教会」(現・世界平和統一家庭連合)のマインドコントロールに利用されるだけだ。
そもそも、この事件を語るテレビ情報番組のコメンテーターなどは、マインドコントロールがどういうものなのか理解もせず、いい加減なことを言い繕った挙げ句に、フェイク情報を垂れ流している。
マインドコントロールは我々の日常にも潜んでいる
安倍氏を殺害した山上徹也容疑者(41)が、「母親がある宗教団体にのめり込み、多額の寄付をして家庭が崩壊したことから団体に恨みを持ち、つながりのある安倍氏を襲った」という趣旨の供述をしていることが伝わると、統一教会が会見を開いて、母親が信者であることを公表。この母親が、家や土地を家族に無断で売って1億円近くを統一協会に寄付していることが報じられると、「母親がマインドコントロールにかかっている」と吹聴するメディアが続出していた。中には「洗脳」という言葉まで使う輩までいる。
まるで、マインドコントロールというものが、催眠術に「かかる」というような言い方で、人間が操り人形のように指示に従う状態になるとでも錯覚しているようだが、そうではない。もっと頻繁に私たちの日常で、ビジネスにも利用されているものだ。
自民党の安倍派で参院幹事長の要職にある世耕弘成参議院議員が、統一教会の学生組織である「原理研究会」の出身であるような書き込みをツイッターにされたことを、名誉毀損として訴えていることは、以前に書いた。訴状には「原理研や統一教会に対して、反社会的な団体であるとの印象を抱く者が少なくない」ことから、社会的評価を低下させるものであるとしている*。
その世耕氏が理事長を務める近畿大学でも学生が統一教会系の団体に勧誘された事例を確認しているという。「反社会的な団体」から学生を守れないというのも糾弾に値するが、ここでもマインドコントロールのテクニックが用いられている。
対象を落とし抜け出せないようにさせるマインドコントールのテクニック
たとえば、大学に入学したばかりで新生活にも慣れていない時期であれば、あれこれ迷うことも少なくない。どの講義を選択したらいいのか、どこに行けばどんな施設があるのか、困っている時にアドバイスをくれる、相談にのってくれる相手が現れる。助かったと思ったり、嬉しかったりする。他人から良くされると人間は、こんどお礼やお返しをしたいと思うようになる。つまり「貸し」を返そうと考える。これを「返報性の原理」という。
これを巧みに利用して、いわゆるカルトと呼ばれる団体は勧誘してくる。優しく話を聞いてくれるだけでも「貸し」ができる。この「貸し」をつくることで、要求を受け入れさせるようにもっていく。それも「ローボールテクニック」といって、まずは小さくて受け入れやすい要求を投げてくる。最初から、団体名を名のるのでもなく、いきなり入会を勧めるのでもなく、「ちょっと30分だけ話をしないか」とか「今夜、空いてないか」などと近寄って連絡先を聞く。これが入口になって関係を築く。
次に「希少性の原理」を利用する。これは日常的に商売でも使われているもので、たとえば、スーパーマーケットでもタイムセールをやる。「いまだけ!」「限定○○個!」「残りわずか」と聞けば、つい手をだしたくなる。
これがカルトであれば「あなただけに伝える」「せっかくいい先生が来ているから」「月にたった1回しか会えない人だ」などと希少性を強調して「1時間だけどう?」などと声をかける。そうすると「まあ、1時間くらいならいいか」と誘いに乗ってしまう。
そこから団体名を言わないうちに、教義が教え込まれていく。統一教会や原理研究会であれば、友人として信頼を得た上で「聖書の勉強をしましょう」と持ちかけてくる。これがより組織的に行われていると指摘されてきたのが、やはり統一教会だった。
それでも怪しいと感じて誘いを断る。そうするとこんどは「あの時、こう言ったよね」「約束したよね」と持ちかけて、話が違うことを責める。人間は自分の発言や行動には一貫性をもちたい、宣言したことはやり遂げるべきだと意識を持つ「一貫性の原理」を利用するのだ。
こうしたことは、スーパーマーケットの例に限らず、一般のビジネスでも広く反映されていて、いわゆる悪徳商法はまさにこのテクニックを悪用して、いつの間にか騙される。
こうして人間の心理を巧みに利用した挙げ句、カルトと呼ばれる組織が最後に大きく異なるのは、「恐怖説得」を仕掛けてくることだ。「せっかくグル(宗教的指導者)に会えたのに」「こんなに大事な教えを知ったのに」という、いかにも慮る言葉から「ここで辞めたら地獄に堕ちる」「○○さんはここで辞めて事故にあった」などと脅して、抜け出せなくする。そうやって脅迫の構造を作り上げ、支配と服従の関係に持ち込む。
強烈な威力を発揮する「権威の原理」
そんな自分でも気付かないうちに絡め取られてしまうマインドコントロールのテクニックだが、そこにもうひとつ、どうしても忘れてはならないものがある。「権威の原理」だ。
原理研究会に関して指摘されてきたのは、大学の側にも問題があったことだ。同じ大学の教職員にもシンパがいて、あの教授がこう言っている、偉い先生が推薦している、と宣伝されると、学生も信じてしまう。つまり、「権威付け」が影響する。
オウム真理教では、教祖の麻原彰晃がダライ・ラマに面会したことから、教団を信じ、入信した信者も少なくなかった。いまも後継団体はそのことを利用しているという。
有名芸能人が悪徳商法の広告塔となったことを責められるのは、品行方正だったり清潔だったりするイメージがある種の「権威」となって、被害者を信用させるからだ。
安倍氏の国葬で最も得をするのは統一教会
山上容疑者が安倍氏を襲う決意をしたというのは、昨年の9月、統一教会の創始者である文鮮明の妻で、現在の教団の主宰者である韓鶴子が、やはり総裁の地位にあるNGO「天宙平和連合(UPF)」に送った安倍氏のビデオメッセージを見たことだった。
「韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」
安倍氏はそう明言している。どうしてそのようなメッセージを送ったのか、いまとなっては本人に聞くことも叶わないが、“元首相”というだけでも、これは明らかに「権威の原理」を発揮している。「安倍さんがそう言うのだから安心だ」という人だっているはずだ。
そしていま、安倍氏の国葬が決まった。私が統一教会の会員であれば、山上容疑者も見たとされる安倍氏のビデオメッセージを見せてから、こう言って勧誘する。
「日本の国葬になった人も教祖様に敬意を表しているのよ」
「だから家や土地を売ってでもお金を寄付しましょうね」
安倍氏の国葬でもっとも得をするのは統一教会のはずだ。なぜ、こんな単純なことに頭がまわらないのか。
今回の事件を発端に、あらためて統一教会の反社会性を指摘し、政治家それも自民党との関係を指弾する世論が溢れた。
統一教会の会員であることを知らずに、選挙活動にボランティアとして協力してくれたことを言い訳する政治家もいる。だが、それも「返報性の原理」からすると「貸し」をつくったことになり、いつか統一教会に政治力で「貸し」を返すとも限らない。だから、現実に被害者を出している「反社会的な団体」とは距離をおく必要がある。
岸田文雄首相が主導したとされる国葬の判断は拙速に過ぎる。むしろ個人的感情が先走ったようにも見える。こんなことでは、台湾有事ともなった場合に、首相として冷静な判断ができるのか、心許ない。
安倍氏の国葬を行うのであれば、まずは政府与党である自民党が統一教会との関係について総括すべきだ。
国費すなわち国民の税金を使って、国を挙げて執り行われる国葬。それがカルトのマインドコントロールに利用されるなど、こんなに愚かで、ふざけたことはない。
●安倍元首相の「国葬」反対! 「43万票復活」辻元清美の雄叫び 7/25
ここへ来て永田町界隈では、立憲民主党(立民)の参院議員、辻元清美氏の存在感がにわかに増しているという。経緯を立民関係者が語る。
「参院選での立民は、改選議席を下回る17議席獲得にとどまる惨敗に終わりました。特にひどかったのは比例代表票で、昨年の衆院選比例代表票1149万票から約470万票減らし677万票に落ち込んだ。維新の785万票に100万票もの大差をつけられ、まさに目も当てられない状況と言えます」
そして、こう続ける。
「泉健太・立民執行部は続投の意思を示していますが、有権者が泉執行部に明らかに『ノー』を突きつけたのは歴然。では、この崖っぷちの立民再建を誰がやるのか。そこで俄然、注目されているのが辻元氏なんです」
辻元氏といえば、かつて旧社民党時代は秘書給与流用疑惑で警視庁に逮捕されながら、その後、不死鳥のごとく国政に復活したタフな政治家だ。しかし昨年の総選挙では大阪10区で日本維新の会の新人議員に敗れ、比例復活もできず「辻元もここまでか」とも囁かれた。
しかし今回、舞台を参院選に移し比例区での出馬を決め、再び国政に返り咲いたのだ。そして、この復活劇に立民関係者は改めて舌を巻いているという。
「今回の参院選で泉執行部は大敗したが、このボロ負け状態の中で異彩を放ったのが辻元氏。何が凄いかといえば、彼女が獲得した票数。全政党の比例候補者の個人名票で上から3番目ですからね」(前出・立民関係者)
確かに今回の全政党の比例候補者個人名獲得票をつぶさに見ていくと、トップは自民党から出馬した赤松健氏で約53万票。赤松氏といえば「週刊少年マガジン」で「ラブひな」などの大ヒット作を連発し、累計5000万部超の人気漫画家だ。第2位は44万票を獲得した公明党現職の竹内真二氏で、創価学会の組織票を考えれば頷ける。そんな中で第3位となったのが約43万票の辻元氏。比例区個人得票ランキングのベスト20で、立民ではただ一人となっている。
「しかも、自民党支援の全国郵便局長会や、医師会などを押しのけての3位。辻元氏には私鉄総連など連合組織票もあるが、やはり強みは無党派の彼女個人に対するファンの多さでしょう。執行部が役立たずの今、立民の創始者、枝野幸男前代表らは次の執行部体制の核として辻元氏を筆頭に模索し始めているとの情報もあります」(政治部記者)
この動きに、自民党関係者も警戒を強めている。
「踏まれても雑草のように這い上がってくる彼女は、健太(泉・立民代表)のようなひ弱さはない。知名度もある。彼女がトップになれば、岸田首相にとっても手ごわい相手になる可能性はある」
辻元氏は7月16日、自身のツイッターを更新し、安倍元首相の葬儀を「国葬」として実施することへの反対を表明。「岸田総理、再考を!」と訴えている。43万票をバックにした声だけに、その影響力は大きそうだ。 
●安倍元首相の国葬を閣議決定 羽鳥慎一「賛否の声があがっています」 7/25
「政府は安倍元総理の国葬を9月27日(2022年)に行うことを決めました。国葬が閣議決定されたことについて、賛否の声があがっています」と25日の「モーニングショー」で司会の羽鳥慎一が伝えた。
国葬を行う理由について、岸田首相は(1)8年8カ月、憲政史上最長期間、総理大臣の重責を担った、(2)在任期間中、内外に赫赫(かくかく)たる業績を残した、(3)国内外から極めて高い評価・幅広く弔意が寄せられている、と挙げている。葬儀委員長は岸田首相、形式は無宗教形式で簡素・厳粛に行う。経費は全額国費負担。当日を休日にすることは検討していないという。
これついて先週金曜日の22日には東京都内の総理官邸前で「国葬反対」「閣議決定 絶対反対」を訴えるデモが行われた。前日の木曜日には市民団体のメンバーらが「国葬の閣議決定と予算執行の差し止めを求める仮処分」を東京地裁に申し立てた。市民団体のメンバーは「国会で議論せず、全部決めている。明らかに国民総意に基づいて、ということにはならない」といっている。与野党の間でも分れている。
羽鳥「追悼したい気持ちは多くの人にあると思いますが、国葬というところに賛否が分かれます」
石原良純(気象予報士、タレント)「弔問外交ではないが、日本の顔づくりをするには、いいきっかけだなと思います。では国葬、賛成ですか、反対ですかといわれると、そこまでやらなくてもいいじゃないの、という声もよくわかる」
玉川徹(テレビ朝日)「かつての国葬というものは、時の政権の利益のための装置でした。そういうことがあって、戦争経験のある人は国葬に乗らないで来たんです。それがここに来て、いろんな意味で抑制が取れて来たんだなと思います。反対とか賛成ということよりも、自民党の自民党による自民党のための装置ということがあからさまだなという感じですね」
●安倍元首相の国葬に永田町でも疑問が出る理由… 7/25
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
7月8日の安倍晋三元首相射殺事件の衝撃から、まだ立ち直れないでいます。永田町の住人は、みんなそうだと思います。安倍元首相は、私たち秘書にもいつも気軽に「ありがとう」と声をかけてくださるなど、本当に育ちの良さがわかるお人柄でした。
永田町は上下関係が厳しく、男尊女卑もハンパないので、秘書を人間扱いしない議員も少なくありませんから、安倍元首相のような方はとても珍しいのです。永田町だけでなく、霞が関の職員たちの間でもとても人気がありました。心よりご冥福をお祈りいたします。
自民党重鎮の事務所も大混乱
「あの日」は参議院議員選挙期間中だったので、議員会館の中は陳情客もなく、とても静かでした。午前11時30分を過ぎた頃だったと思います。廊下から誰かの悲鳴のような「ええー!」という声が聞こえました。
「うそ! 安倍さんが撃たれたって!」
そんな声も聞こえました。
え? 撃たれた?
驚いてテレビをつけると、数分後に速報のテロップが出ました。インターネットのニュースの方が、少し早かったようです。「銃撃」という言葉になじみがなく、何度も瞬きして見直してしまいました。しかも、「心肺停止状態」とありました。
嘘であってほしいと思いましたが、テレビでは現場の映像が繰り返し流されています。あまりにもショックで、秘書たちと顔を見合わせるだけで、言葉も出ませんでした。
すぐに各党が選挙活動停止の指示を出したので、秘書たちは集会中止などの連絡に追われながら、ひたすら奇跡が起こることを祈りました。自民党の重鎮の事務所の秘書に様子を聞くと、「何がなんだか、わかんねーよ」と困惑していました。あちこちから問い合わせが殺到したそうです。「こっちに聞くより報道の方が早いよ」と、悲しみよりも、ただただ驚いているようでした。
細川元首相もホテルで銃撃
それからしばらくは茫然としてしまい、いろいろ手につきませんでしたが、マスコミは警備の不備や犯人のプロフィール、旧統一教会との関係などをどんどん報道していきました。今もそうですね。
少し冷静になってくると、やはり警備の甘さが気になりました。政治家襲撃は過去にもたくさんありましたから、本来なら万全の警護体制が求められます。
たとえば、1994年には東京・新宿のホテルで新党結成のパーティーに出席していた細川護煕元首相が元右翼の男に銃撃されていますが、けが人は出ませんでした。細川元首相が大勢の警備に守られていたため、直接狙えないと思った犯人は天井に向けて発砲しています。瞬時に4人のSPが細川元首相を抱えるようにしてホテルから脱出、車に乗せました。もちろん、犯人はその場で逮捕。あっという間の出来事でした。
この事件現場に居合わせた先輩秘書は、今回の安倍元首相の銃撃について「あり得ない」と言っていました。首相経験者の場合、通常はSPは1人ですが、大勢の前で演説する場合は2人から4人くらいに増やすのが当然、と神澤も思っていました。
安倍元首相の事務所関係者は、「週刊新潮」(新潮社)7月21日号の記事で、以下のように話しています。
「実は以前から、ベタ張りSPを2人に増やしてもらえないか、警備当局の関係者に内々に打診していたのです。安倍元総理はほかの総理経験者とくらべて、狙われる危険性が高いからですが、“いまのご時世、安倍さんだけ警備を手厚くするのは国民の理解が得られない”という回答でした」
現場の映像を改めて見てみると、安倍元首相の背後がまったく守られていません。通常は選挙カーを背後にして立ちます。通行止めにしなかったので選挙カーを停められなかったそうですが、それってどうなんでしょうか。
また、報道によると、なんと他の政党はこの場所を避けていたそうです。たとえば公明党は「選挙カーを置く場がない」と判断し、立憲民主党の泉健太代表も今年の4月に警察から「後方の警備が難しい」と言われて断念しています。また、日本維新の会は150m離れた場所で演説しており、共産党は同じ場所でもガードレールをずらして選挙カーを置いています。
自民党だけが「360度見渡せるから安全」「警察から安全上の問題は指摘されていない」として、駅前を使ったようです。なぜそんなことになったのでしょうか。
安倍元首相が来るとなれば、道路の反対側にまでたくさんの人が集まるのは当然です。また、安倍元首相の背中しか見えない聴衆に対しては、選挙スタッフが代わりに手を振るべきでした。選挙活動の基本対応です。安倍元首相の後ろ側を誰も見ていないなんて、警備だけでなく、選挙活動の現場責任者の配慮にも問題があると思いますよ。
今さら何を言っても安倍元首相は戻られませんが、こうした襲撃はこれからもあり得ることです。しっかり検証して、とりまとめを共有して、再発防止に役立ててほしいです。
国葬に疑問を持つ秘書も
安倍元首相が亡き後も、関連ニュースは毎日続いています。最近の最も大きなテーマは「国葬」ですね。政府は7月22日午前の閣議で、安倍元首相の葬儀を9月27日に国葬形式で実施すると決定しました。経費は全額国費で賄われるそうです。戦後、首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来、2例目だそうです。
国葬とする理由として、政府は「憲政史上最長の8年8カ月にわたり首相の重責を担ったことや、選挙中に突然の蛮行で逝去したこと」などを挙げています。「そんなに功績を残した国会議員だった?」と疑問を持つ秘書たちもいますが、神澤としては、安倍元首相がどのような政治家だったかということよりも、どのような形でお亡くなりになられたかを考えたら、当然のことだと思っています。
一方で、国葬について法的に明確な規定がないことから、実施に反対の意見も出ていますね。7月22日には、官邸前で大規模な抗議行動も行われています。反対の理由は、「国会でしっかり議論してから行うべき」「弔意を事実上強制することになり、憲法違反だ」「岸田文雄首相は政権維持のために元総理の死を政治利用している」などのようです。
このときは社民党の福島瑞穂党首も駆け付け、「何でも閣議決定でやれると思ったら大間違い。法的根拠がない。憲法が保障する思想良心の自由に明確に反する」と声を上げ、大きな拍手が沸き起こっていました。
税金を使うのだから国会で議論すべきというのは理解できますが、国会女子としては「(参院選で)福島先生が当選して、社民党もなんとか存続できてよかったですね」という思いが先に来てしまいました。
外務省によると、国葬に出席する外国の要人への対応に当たる「国葬儀準備事務局」を省内に設置し、195カ国と台湾など4地域に国葬実施の通知を送るそうです。日本政府のメンツにかけて、警備は慎重に準備を進めるでしょうね。
それにしても、最近の新型コロナ感染者の急増も心配です。国葬が行われる頃は状況が落ち着いているといいのですが……。みなさまもご自愛くださいね。 
●安倍元首相国葬、プーチン大統領は「訪日予定なし」… 7/25
タス通信などによると、ロシアの大統領報道官は25日、プーチン大統領が、9月27日に行われる安倍晋三・元首相の「国葬(国葬儀)」のため訪日する予定はないと説明した。報道官は出席者について、「追って決定されるだろう」とも述べた。
●安倍晋三さんの国葬と戦後政治史における統一教会から考えたい 7/25 
選挙期間中に凶弾で斃れた安倍晋三さんの国葬が、9月27日に日本武道館で行われることとなりました。その是非については、いまなお与野党の間で議論になっていますが、国葬は海外からの弔問外交をまとめて引き受ける仕組みとして機能すれば良いわけですから、「安倍晋三さんの功績は国葬に値するかどうか」だけで判断するのもむつかしいのではないかとも思います。
国葬の実施にあたっては、その決断を珍しく岸田文雄さんが早々に下してしまったという点で「やればできるじゃん」という気もしないでもありません。
令和のいまも脈々と鼓動を続けている戦後政治史
正直申し上げて、失ってみて初めて感じる安倍晋三さんの存在の大きさに直面し、私ですらしばらく呆然とし、信じられないなという気持ちで報道を食い入るように観ておりました。また、時間をかけて見れば見るほどに、私たちの戦後政治史というものがいかに令和のいまも脈々と鼓動を続けているかを肌身で感じさせることとなりました。
私の親族も先の大戦に従軍しシベリア抑留を経験しており、また、その後もソビエト連邦との商取引に従事して関わり合いを長く持っていた一方、確かにソ連や中国と取引をしていた私の父親も共産党からの勧誘を一再ならず受けてきた経緯がありました。同様に、私が父親に手を引かれてソ連に渡った子どものころは、雲の上の人であった駐ソビエト日本大使館公使の丹波實さんや駐ソ外交官の皆さんは強烈に印象に残っており、やがて大人になってそれなりに情報を扱うようになってからは、いわば敵陣で専門家として危険と隣り合わせに外交窓口を担い、また情報収集の役割を果たした先人の豪胆さと知的な膂力に想いを馳せざるを得ません。
「カルト教団のやらかし」で連日批判されている統一教会
今回問題となった統一教会(現・家庭連合)も、文脈としてはカルト教団のやらかしの側面が現在大きくクローズアップされて、連日批判の対象になっています。
私が思うに統一教会は民主主義社会の現代においても、また過去においても最悪に近い行為を洗脳した信者に繰り返した犯罪組織の最たるものであり、いまからでもいいからすぐに断罪し、年間550億円とも600億円とも言われる日本から韓国への資金の流れを断ち、霊感商法だけでなくすべての献金・寄付についての資金授受はガラス張りにし、被害者や家族への賠償、救済は即刻道筋をつけるべきものだとも思います。
また、統一教会に限らず、宗教団体と政治の関わりについては、特に自民党の選挙活動と密接になりすぎている部分については特に解消し、適切な形で良い距離感を持たせるためにどのような方策があるのかを真摯に模索するべきであろうとも考えます。
宗教団体と政治の関わり
我が国の憲法20条で認められた政教分離の原則は、あくまで国家が特定の宗教に対して便宜を図ったり、逆に弾圧したりという行為を禁じるものであって、特定の宗教の人が立候補したり、政党を作ったり、選挙を手伝ったり、政党や政治家に適法な範囲内で献金することを禁じているものではありません。
しかしながら、宗教二世問題に代表される事案や、統一教会から家庭連合に宗教団体の名称を変えるときに下村博文さんなど当時の文部科学大臣が改名を認証した件をめぐり「あれは自分の関わりはなかった」と全否定してしまう一件については、やはりきちんと調査するべきであろうと思います。
蛇足ながら、なぜか前川喜平さんが横から出てきて1997年当時文化庁宗務課長だったとカミングアウトして自分の時代は統一教会の名称変更を防いでいたかのようなアピールをしていました。が、統一教会が2015年8月26日、宗教法人を管轄している文化庁から改称を認証されるにあたり、下村博文さんが当時文部科学大臣だったのに対して、他ならぬ前川喜平さんは文化庁も担当している文部科学審議官で、前川さんも前川さんで統一教会の改称認証をスルーしとったんやでというツッコミを入れずにはいられません。どうして毎回こう間が悪いんでしょうね。
元日本船舶振興会の笹川良一さんにさかのぼる、ややこしい問題
さて、その統一教会と自由民主党の戦後政治裏面史については、まさに日本船舶振興会(現・日本財団)の笹川良一さんと朝鮮半島生まれの文鮮明さんとの間での誓約に基づいて、日本での共産主義勢力を排除するための「国際勝共連合」の結成(勝共連合:1968年成立)と、自由民主党・保守傍流であった清和会、とりわけ安倍晋三さんの祖父にあたる岸信介さんの政治的庇護を取り付けたあたりに大きなねじれを生んでいるのが、この問題のややこしさとも言えます。
戦前戦中、朝鮮半島は日本領(実効支配)であり、当時の日本の民族的保守という観点から言えば、朝鮮半島から満州にわたる広い地域が「精神的コアステート」であったことで、当時の日本の保守界隈が朝鮮と日本の間をあまり大きく分け隔てることなく「日本である」と認識していたことは理解をしておかなければなりません。
共産主義に対抗するために手を結んだ先が統一教会
また、この勝共連合の起こりは、アメリカとソビエト連邦による冷戦が、ほんの偶発的な事件一つで全面的な核戦争にいたるのではないかという大変な恐怖をともなう緊張関係にあったことは否定することができません。60年代と言えば、大規模な安保闘争が繰り広げられ、70年代を終えるまで多くの大学や職場が封鎖されたりゼネラルストライキが繰り返され、国民経済に打撃が加わっていたこと、これらの一部は左翼勢力・共産勢力によって煽動された面もあります。
1968年近辺は、文字通り、極左暴力集団によるテロや暴動が相次いでいた時期でもありました。頻発する殺人・テロ・重大事件で、日本社会が大きく動揺していました。
それゆえに、当時は理想主義的な米GHQの平和主義憲法・施政によって解体された警察機構や軍隊組織が脆弱であった日本は、共産主義に対抗するために、まだ当時は日本とアイデンティティがやや近かった朝鮮半島由来の統一教会とあろうことか手を結んでしまったのです。その後援は韓国の情報部門であるKCIAで、共産勢力の排除を行うために、非警察の結社が必要とされた(と当時は議論され、実施に移された)というのが揺るぎない事実ということになります。
「敵の出方論」を採っている共産党
後年、とりわけ00年代以降の自民党支持者や、「ネットで政治の真実を知った」系の人たちからすれば、実に「不都合な事実」なのは、そういう宗教勢力をバックに自民党が世界的な共産化の動きに抗っており、場合によっては朝鮮人系暴力団を動員してでも共産党員や労働組合員、左翼大学生などと文字通り殴り合いをし、脆弱な警察権力が一定の規模に育つまで踏ん張ってきたのだということです。
対する日本共産党などは、GHQを仕切る元帥マッカーサーさんの手によって1950年に公職追放(レッドパージ)を受けました。さらに団体等規正令(当時)に基づいて出頭命令を拒否した団規令事件で逮捕状が出て、野坂参三さんや徳田球一さんなど9人の共産党幹部は地下に潜行し、51年「軍事方針」を策定して武装闘争路線を取っています。
共産党と言えば、公安調査庁はこんにちも共産党を破壊活動防止法に基づく調査対象団体としています。51年時点で「軍事方針」を定め武力蜂起の方針を掲げたものの、これを一度取り下げていますが、共産党は自党が手がける革命の形態が平和的になるか非平和的になるかは敵の出方によるとする「いわゆる敵の出方論」を採用しており、暴力革命の可能性を否定していないことが論拠になっています。
ソビエト共産党からの組織的な資金援助を受けていた日本共産党
その日本共産党は、宮本顕治さんや不破哲三(上田建二郎)さんの著述にも多く出ていますが、少なくとも勝共連合が成立する前後までは、ソビエト共産党からの組織的な資金援助を受けていたと見受けられます。これは、ソビエト連邦が崩壊し、ロシア連邦に国家が継承されるまでの1993年の情報公開(グラスノスチ)でソ連の対日外交録が公開になる中で、左翼労働運動基金ほか複数の他国共産党への資金援助や情報流通の内容が一部明らかになり、この中では当時日本共産党の組織ナンバーツーであった袴田里見さんや野坂参三さん相手に分かっているだけで85万ドル(当時・現在価値で言えば10億円以上)の資金が渡っていたと見られます。
いわば、50年代から70年代にかけて、核戦争に繋がる破滅的な第3次世界大戦への緊張感を強く持つ米ソ冷戦の中で、日本は韓国とともに西側諸国側の砦として、世界的な共産化ドミノを防ぐ役割の一角を果たしていました。統一教会のような当時日本とある程度一体感のあった朝鮮半島の宗教団体と手を組んだ自民党も、ソビエト連邦から内々に資金援助を受け日本の赤化を進めようとした共産勢力も、米ソ対立の最前線にあった日本の政治や社会運動の水面下で大変な戦いを続けてきていたという背景は知っておくべきことだと感じます。
80年代以降の、宗教行為を隠れ蓑にした悪質な経済行為
そして、80年代以降、日本の経済成長が軌道に乗り、日本社会が繁栄を謳歌し始める中で大きな問題となったのはまさに統一教会の存在でした。霊感商法や破滅的な献金・寄付を信者に強要する形で一家を破壊し、強制的に日本人女性を韓国人と結婚させ、年間550億円以上と言われる資産を日本から韓国に移転させるという宗教行為を隠れ蓑にした悪質な経済行為です。これは、統一教会がカルト宗教だとして断罪されるものだけではなく、むしろ集団洗脳の手段を用いた重篤な経済犯罪だとも言えます。
かたや、当時の岸信介さんや日本財団が危惧した日本の共産化は社会問題として咀嚼され一服し、勝共連合の歴史的役割は本来ここで満了することになるのですが、その後も組織は残り、また、統一教会も00年代以降さらに自民党との結びつきを強めながら現在に至っています。
統一教会だけではない…洗脳組織の「安い労働力」
問題なのは、これらの宗教団体を隠れ蓑にした洗脳組織が統一教会以外にも複数並存し、これらが信者を無償のボランティアとして一部の自民党や野党政治家の政治活動を扶助させ、また、当たり前のように担当秘書につけることで、一体化している面が拭えないことです。宗教団体を標榜する団体と政治家の間での相互依存的な持ちつ持たれつの構造は、洗脳によって破壊された信者が「安い労働力」として選挙活動を支え、また、我が国の政党政治を行うにあたっての枢要な思想性、政策方針にまで影響を与えている疑いがとても強いことが背景にあります。
安倍政権中盤で問題となった「日本会議」も新興宗教団体を多数関係先に持ち、これらが「親学」をはじめとした適切でもなければ科学的でもない思想が「自民党的保守」の文脈であるように振る舞い、家庭政策や文教政策に影響を与えています。
「何が正しいか分からない」からこそ、安易に依存することなく
宗教団体であれ、労働組合であれ、共産党であれ、スピリチュアルであれ、推しであれ、オンラインサロンであれ、情報が乱舞し固有の価値観や考え方が相対化されてしまう現代社会において、短いフレーズで言い切ってくれる分かりやすい見せ方に、依存したい個人が流れ着いてしまう現象に拍車がかかっているようにも感じます。
「学校は通うもの」「結婚して子どもを育み家庭を築くことが幸せ」「大企業に入り安定した生活」など、当たり前のように目指していたものの価値の根底が揺らぐと、盲信し、安住できる価値観や考え方に寄り添える組織への所属が安らぎを提供する面は確かにあるのかもしれません。YouTubeを観れば陰謀論が人気を博し、テレビを付ければ曰くつきの面々がそれらしいことを喋っているのは、確かに現代社会の病理なのかもしれません。
しかし、何が正しいか分からない、幸福を与えてくれる物事がはっきりしないからこそ、安易に依存することなく平静に孤独を愛することもまた、戦後政治史が教えてくれる「動乱期の生き方」なのではないか、と思うのですよ。これから本当に米中対立に至るのかどうかはまだよく分かりませんけれども、おそらくは、誰かが誰かに作用しようとする動きはもっともっと強くなっていくのでしょう。
安倍晋三さんの国葬はまさに、そういう日本人の生き方について冷静に考えるきっかけをくれるのではないかと思っています。神の御許に召された安倍晋三さんの魂が限りない平穏のうちにあることを、心よりお祈り申し上げます。 
●安倍元首相の「国葬」野党4党が議論行う場を要請へ  7/25
安倍元総理大臣の「国葬」について、政府は説明責任を果たしていないとして、野党4党の国会対策委員長は、来週開かれる見通しの臨時国会で、議論を行う場を設けるよう与党側に求めていくことを確認しました。
立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党の野党4党の国会対策委員長は、25日午後、国会内で会談し、政府が、安倍元総理大臣の「国葬」を行うことを閣議決定したことをめぐって意見を交わしました。
この中では、世論の賛否が分かれるなかで、政府は「国葬」を行う理由などについて説明責任を果たしていないとして、来週開かれる見通しの臨時国会で、議論を行う場を設けるよう与党側に求めていくことを確認しました。
また、臨時国会では、感染が急拡大する新型コロナへの対応や物価高騰への対策についても議論する必要があり、自民党が提案している3日間の会期では足りないとして、十分な審議時間の確保を求めていくことでも一致しました。
会談後、4党の国会対策委員長はそろって記者団の取材に応じ、立憲民主党の馬淵国会対策委員長は「国会で議論しなければならない課題がある。それに対応するのが与党の務めだ」と述べました。

 

●安倍氏の国葬 7/26
政府は閣議で、参院選の応援演説中に銃撃され死去した安倍晋三元首相の国葬を9月27日に行うと決めた。首相退任後も自民党の最大派閥の長として国政に影響力を発揮した実績の一方で、国内には首相時代の政権運営に批判的な声がある。
そうした中での国葬に釈然としない思いを抱く国民も少なからずいる。岸田文雄首相は「できるだけ多くの国民に納得してもらいたい」と述べている。賛成派と反対派の間で新たな分断、対立を生まぬよう説明を尽くしてほしい。
国葬は全額国費で賄われ、戦後の首相経験者では1967年の吉田茂元首相以来2例目になる。安倍氏が更新するまで首相の連続在職期間が最長だった佐藤栄作元首相は、内閣、自民党、国民有志による「国民葬」で見送られた。大平正芳、中曽根康弘両元首相らは「内閣・自民党合同葬」だった。国民葬、合同葬であれば、国は費用の一部を拠出するにとどまる。
安倍氏が凶弾に倒れたのは、参院選投開票を2日後に控えた今月8日。それから2週間で国葬実施が閣議決定された。
現行憲法下で、国葬の対象者や実施要領を明文化した法令はない。岸田首相は国の儀式を所掌するとした内閣府設置法があり、閣議決定で国葬の実施は可能とするが、恣意的運用の懸念は否定できない。
立憲民主党は8月3日召集予定の臨時国会や閉会中審査で国葬を巡る質疑を求めている。自民党側は応じない構えだが、国会で理解を得る努力が必要であろう。岸田首相は安倍氏を国葬で弔う理由について、憲政史上最長の8年8カ月にわたり「首相の重責」を担ったと強調。さらに「国際社会から極めて高い評価を受けている」などとした上で、「わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示す」と訴えた。
米上院が安倍氏をたたえる決議を全会一致で採択したことを考えれば、首相の主張にはうなずけるところはある。ただ、憲法解釈変更による集団的自衛権行使の一部容認は、米側には好都合だが、国内では異論が根強い。安倍氏の政権運営に対する泉健太立民代表の「格差拡大や国会での虚偽答弁など負の部分がある」という指摘も軽視はできまい。アベノミクスの弊害や森友・加計学園、桜を見る会問題がそれに該当し、政治的評価は分かれているのが実態だ。
一国のリーダーには「光と影」がつきまとう。安倍氏も同様で、国葬への疑念も不祥事などの「影」の部分から派生している。国葬を営むにしても、岸田首相は安倍政治を検証し改善することで、民主主義への信頼度が強まると自覚すべきだ。
●とんだ藪蛇。安倍元首相「国葬」決定で岸田首相が踏んだ“虎の尾” 7/26
9月27日に日本武道館で行われることが決定した安倍元首相の国葬を巡り、賛否両論が噴出しています。このような状況となることは容易に予想できたはずの岸田政権は、なぜ安倍氏を国葬で送る決断を下したのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、岸田首相の「即決即断」を藪蛇とした上でその理由を解説。さらに海外メディアの報道を紹介しつつ、国内外に良からぬ影響を与えかねない国葬決定に対して危惧を示しています。
藪蛇となった岸田首相主導の「国葬」決定/岸・安倍一家3代の統一教会との癒着に向けられる世間の冷ややかな目
安倍晋三元首相を「国葬」に付そうという岸田文雄首相の珍しく独断専行・即断即決的な決定は、どうも拙速だったようで、週刊誌だけでなく一般紙も含めメディアは一斉に、岸信介元首相以来3代に及ぶ統一教会=国際勝共連合との深い癒着関係の探究に焦点を合わせている。それを見て、最初は遠慮がちに様子見していた言論人たちも次第にはっきりと疑念を表明するようになり、野党も立憲民主まで含めて「反対」姿勢に傾いている。国会前では市民の反対デモも起きていて、まさに藪を突いて蛇を出すの有様となった。
放っておけばよかったのに
推測するに岸田は、参院選で大勝を得た高揚感の中で、事件現場に設けられた献花台に長蛇の列が出来たり、ブリンケン米国務長官が早速飛んで来たのをはじめ各国首脳から弔意が寄せられたりした様子を見て、「これは行ける!」と判断したのだろう。官邸を通じて内閣法制局に「国葬」を打てるだけの何らかの法的根拠を見出すよう指示した。
安倍は自民党にとっても極めてアンビバレント(両義的)な存在で、確かに首相としての在任期間最長という記録は一目も二目も置かざるを得ないが、それでいて改憲も拉致も北方領土もアベノミクスも口数ばかり多い割には何の成果もないという虚しさは覆い難く、それどころかモリ・カケ・サクラなど答弁が嫌で国会も出来るだけ開かないようにするという卑劣さも被さって、まあウンザリしながらも腫れ物扱いで付き合ってきたというのが本当のところだろう。本人にもその党内の空気は痛いほど分かるから、わざわざ最大派閥の会長に就いて現役性を誇示し、核共有への踏み込みや防衛費2%目標などをあたかも大長老が現内閣に“指示”を下すがごとき口調で公言したりして、必死で体面を繕ってきた。
その危ういバランスを思えば、こんな不幸な亡くなり方をしたとはいえ大騒ぎせず、せいぜいが大平正芳や岸信介など多くの首相経験者の時と同じ「内閣・自民党合同葬」程度にして粛々と済ませればよかったのだ。ところがこれを政権浮揚の一大行事に仕立ててやろうかという岸田の政局思惑が絡んで「国葬」という無理な設定に突き進んだ。
どこぞの川柳欄に「国葬に閻魔が呆れる嘘の数」という秀句があったが、まさに岸田は閻魔まで起こしてしまったのである。
「国葬」に相応しいのか
内閣・自民党合同葬なら「それに相応しいか」という議論が起こる余地はないが、戦後は法律上の定めがない「国葬」となるとそうはいかない。そこでまず起きなくてもいい余計なざわつきが始まり、その中で世間的にはしばらく忘れられていた「統一教会」とは何なのかに改めて関心が集まり、そうするとこの国際的詐欺集団と岸信介から安倍晋太郎そして晋三に至る政治家一家3代に及ぶ癒着関係が浮き彫りになってくる。
これは岸田にとってもまことに由々しき事態で、恐らく官邸ポリスから奈良県警に対しては、統一教会と安倍の親密な関係が山上徹也の主な殺人動機であるかのような発表の仕方を控えよという指示が下りていることだろう。「日刊ゲンダイ」コラム(本号FLASH欄参照)でも触れているように、マスコミは最初から、山上が安倍を統一教会と関係が深いと「〔勝手に?〕思い込んで」凶行に及んだかのニュアンスを振りまいている。
同様の歪んだ報道の例の1つは7月23日付「毎日新聞」の「入念な計画〔と裏腹の〕不可解な動機〔の解明が〕精神鑑定の焦点」という解説記事。この見出しの言葉づかいそのものが警察発表に沿っていることは見え見えで、山上が「団体の関連組織の行事に安倍氏が寄せた動画メッセージを視聴」して安倍への「殺意を抱いたという山上の説明には論理にかなりの飛躍がある」ので「4カ月鑑定留置して精神鑑定する」と述べている。
「家庭を大切にしろ」だと?
私が思うに、山上は精神的に相当追い詰められていたとはいえ異常を来してはおらず、安倍が統一教会そのものではないことなど百も承知の上で、しかしその動画を見れば安倍を凶行の対象とするのは当然だと考えたのだろう。
よろしいですか。山上は統一教会に母親を奪われ、財産を盗まれ、「家庭」を破壊され、人生まで無茶苦茶にされて絶望のドン底にあった。毎日記事の言う「団体」は統一教会で現在の名称は「世界平和統一家庭連合」、「関連組織」は「天宙平和連合(UPF)」。安倍が動画で語ったのは「UPFの平和ビジョンにおいて、家庭の価値を強調する点を高く評価いたします」という統一教会への賞賛。これを観て山上が「家庭連合?家庭の価値?ふざけるんじゃないよ」と思ったとしてもそこには何の論理の飛躍もない。従って動機は不可解でも何でもない。警察は、精神鑑定にかけて山上の頭がおかしかったことにして、安倍の統一教会との関係には何もおかしいことはなかったことにするつもりなのだろうが、多分この試みは成功しない。
ちなみに、安倍が賞賛した「家庭の価値」とは、選択的夫婦別姓反対、同性婚反対、ジェンダーフリー反対などで、有田芳生=前参議院議員がテレビなどで語っているところによれば、統一教会=国際勝共連合の女性活動家がチームを作って数十年にもわたって定期的に国会議員会館を訪れ、各議員に資料や文鮮明の著書を配るなどしてロビー活動を展開してきたテーマである。また岸田政権が目玉施策として来春発足させようとしている「こども庁」が途中から「こども家庭庁」と名称が変わったのも、統一教会勢力の働きかけによる。統一教会が霊感商法や結婚詐欺ビジネスで「家庭」を破壊した後をこの役所に救済させようというのかという批判まで出たほどである。このように、統一教会とは何かに関心が向けば向くほど、自民党一部の右翼系議員との深い関わりが浮き彫りとならざるを得ない。
海外の反応も甘く見てはいけない。米国の軍産複合体の手先であるジャパン・ハンドラーなどが最大限の安倍讃歌を奏でるのは当たり前として、「ワシントンポスト」は統一教会が60年以上にわたる世界的な活動を日本での霊感商法による収益で支えてきたことを指摘したマーク・フィッシャー論文を掲げ、「NYタイムズ」は「安倍晋三のナショナリズムを賞賛してはならない」と題した中野晃一=上智大学教授の寄稿を1面トップに掲載した。
英「フィナンシャル・タイムズ」の事件後最初の大きな記事も、悪名高いカルト集団と岸信介の関係という公然の秘密を日本の支配層とメディアが見て見ぬふりをしてきたことへの批判である。
安易な「国葬」決定がどんなハレーションを内外に引き起こすか予断を許さない。
●江川紹子 国葬問題 国会で可否を審議し、本当の民主主義を守れ 7/26
今月8日に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相について、政府は「国葬儀」を行うと決めた。この件に関する政府のやり方には、釈然としない。反対論もあるなか、根拠も定義も明確でない国葬を執り行おうというのであれば、せめて国会での説明や議論、さらには決議なども必要なのではないか。
法的根拠も曖昧なまま、政府の独断で決定できるものなのか
そもそも「国葬」とはなんだろうか。国家が主催し、経費は国が全額支払う葬儀を指すことはいうまでもないが、単に金の出所の問題だけではないだろう。明確にそれを定義し、その対象、あるいは手続きや内容などを定めた根拠法はない。
政府は、内閣府設置法が根拠だとしている。しかし同法は、内閣府の所掌事務を列挙するなかで、そのひとつに「国の儀式…に関する事務」を挙げているにすぎない。つまり、国の儀式に関する事務は内閣府の仕事ですよ、と言っているだけ。これでは、いくら総理大臣経験者とはいえ、一個人の葬儀を「国の儀式」として執り行う根拠としては、あまりに薄弱だ。
戦前は、大正末期に出された勅令「国葬令」があった。同令により、対象は天皇・皇太后・皇后のほか皇太子・同妃など皇室メンバーのほか、「國家ニ偉功アル者薨去又ハ死亡シタルトキハ特旨ニ依リ國葬ヲ賜フコトアルヘシ」と定められていた。
『国葬の成立』(宮間純一、勉誠出版)によれば、「特旨」とは天皇の思し召しを指す。「特旨」は天皇の大命を布告する公文書である「勅書」の形で公にされ、内閣総理大臣がこれを公告し、葬儀の式次第は総理が案を作成して、勅裁(天皇の裁断)を経たうえで決定されるなどの手続きも、国葬令で決まっていた。
さらに同令は、国葬当日に国民が喪に服すことも義務づけていた。つまり国葬とは、天皇が「国家に偉功ある」と認めた者を、国を挙げて称え、政府主導で見送る儀式であった。つまり、そこには故人に対する高い評価を伴う。国民からすると、望むと望まざるとにかかわらず、その評価を受け入れざるを得なかったし、その行事に参加せざるを得なかった。
この国葬令は戦後、失効している。では、国葬令なき現代において、そして民主主義を標榜する国家において、「国葬」とはどういう意味や性格を持つ儀式なのか。それがまったく明らかにされないまま、「国葬儀を行う」判断だけがずんずん進んでいく。
岸田首相は記者会見で
・憲政史上最長の8年8カ月にわたり内閣総理大臣の重責を担った
・東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績をさまざまな分野で残した
・外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けている
・民主主義の根幹たる選挙中の蛮行による急逝
などを、国葬実施の理由として挙げていた。
国葬は、やはり行うこと自体が評価を伴う行為なのである。そして、少なくとも税金による費用負担という形で、国民もその評価を分かち合うことになる。
しかし、人の評価は一様ではない。とりわけ安倍氏は毀誉褒貶が激しく、内政、外交ともその実績に関する評価は分かれている。岸田首相の評価を、全国民が共有しているわけではない。にもかかわらず、時の総理大臣が「国家に偉功ある者」と認めれば、莫大な国費を使って国葬を実施することが可能なのか。
吉田茂元首相の国葬、中曽根康弘元首相の合同葬における、自粛“協力”要請
さらに、国民への影響はどうなのかも判然としない。松野博一官房長官は「国民一人一人に政治的評価や喪に服することを求めるものではない」と述べているが、ではなんの「協力」も要請しないのか。
戦後、国葬令が失効してから唯一の非皇族の国葬である吉田茂元首相国葬の時には、ラジオ・テレビ各局が軒並み当局の「協力」要請に応え、番組編成を変更した。歌やバラエティ、クイズなどの通常番組が中止となり、故人の追悼番組、文化映画、クラシック音楽などと差し替えられ、民放はCMも自粛。日がな一日、国葬関連の特別編成となった。
それでも、表向きには「各社の判断」ということになっている。国葬が行われた後の国会で、これについて問われた当時の郵政事務次官は、「あくまでも自主的にやっていただきたいというお願いだけでございます。強制したことはありません」と繰り返した。今回の国葬はどうなるのだろう。
政府は、学校の休校は想定していないと明言した。では、自治体や学校その他に弔意表明の協力を求めることはするのか。内閣と自民党による中曽根康弘元首相の合同葬の際には、文部科学省は国立大に弔意表明を求める通知を出し、都道府県教育委員会にも周知を求める文書は発出されている。この時は「国葬でもないのに……」と戸惑う現場の声が報じられていたが、国葬となった今回はどのような対応がなされるのか気になる。
国葬について、国民の意見は分かれている。NHKの世論調査では、国葬実施について「評価する」と肯定的な意見が49%と多数派だったとはいえ、「評価しない」も38%に上った。無視していい数とは思えない。
自民党の茂木敏充幹事長は「国民から『国葬はいかがなものか』との指摘があるとは、私は認識していない」と述べたが、あまりに傲慢ではないか。異論がまったく耳に入ってこないというのであれば、むしろ耳を塞いでいるからではないか。「聞く力」をウリにしてきた岸田自民党総裁は、こうした態度に何も言わないのだろうか。
野党が国会での審議を求めたのに対しても、政府・自民党は応じようとしてない。報道によれば、自民党は「(国葬について)立法府で議論するのはなじまない」と言っているそうだ。
少なくない国費を使い、国民の間でも意見が分かれているこの問題は、「なじまない」どころか、まさに国会でこそ審議しなければならない事柄だろう。
国葬の可否については、「国権の最高機関」たる国会によって判断されるべき
岸田首相は、安倍氏が殺害されて以降、幾度となく「民主主義」という言葉を繰り返してきた。国葬の目的についても、安倍氏追悼と合わせて「我が国は、暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」ことだと述べた。
国会審議を避けていて、どうして民主主義を守り抜けるのか。政府は国会審議に応じ、さまざまな質問に誠実に答え、議論に応じるべきだ。十分なやりとりがなされ、国葬とはどうあるべきかという、共通認識ができれば、なお望ましい。
私自身は、国葬実施に賛同はできない。そもそも、明確な法的根拠がなく、どのような人を対象に行うかのコンセンサスもない。それに、公文書を巡る問題や国会での虚偽答弁など、安倍氏は民主主義の基本にかかわる負の足跡をいくつも残した。安倍政権の時代、日本の民主主義の土台は相当にぐらついた、といえると思う。
それでもあえて実施するのであれば、国会で議論をしたうえで、国葬の可否について国会の議決を経るべきだろう。そうすれば、少なくとも根拠が明確でないのに一内閣、一首相が勝手に決めた、というのではなく、「国権の最高機関」である国会によって判断した、という民主的な手続きの形は整う。
ロシアのウクライナ侵攻で多くの人命が失われ、国際秩序が壊され、世界がエネルギーや食料不足に陥っている今、弔問外交の舞台として、国葬に一定の意味を持たせることはできるとは思う。
もちろん、今の国際社会が抱えている問題は、首脳らが葬儀に参列したからといって一挙に解決するような単純な問題ではない。しかし、国際会議では席を同じくしようとしない首脳同士がひとつの場に会する機会になれば、運良く立ち話のひとつでもできるかもしれない。そういう機会を提供できるとすれば、(評価は分かれていても)外交に力を入れた安倍氏にふさわしい場となるのではないか。
にもかかわらず、政府はプーチン露大統領を排除しようとしている。まったくナンセンスな話だ。彼はこの戦争の責任者であり、戦争を止められる(止めるべき)唯一の人でもある。まさに今呼ぶべき人のひとりだと私は思う。
それに、日本には「村八分」における「八分」という「慣習」がある。村の掟を破ったり秩序を壊したりした者に対して、絶交を言い渡す厳しい制裁を課していても、葬儀と火事の時だけは例外とする(編注:「村八分」は、「冠・婚・葬・建築・火事・病気・水害・旅行・出産・年忌」の10のうち、「葬」「火事」以外の8つの付き合いを絶つことからきているとされる)。まさに、今持ち出すにふさわしい慣習ではないか。そして、それがなんらかの形で国益や世界の安定につながれば、泉下の客となった安倍氏に、なによりの手向けとなるのではないか、と思う。 
●安倍元首相の香典 国会議員の歳費から2000円差し引き 与野党が合意 7/26
26日の衆議院議院運営委員会の理事会で、安倍元首相が亡くなったことを受けて、国会議員の8月の歳費から、2000円を香典として差し引くことで、与野党が合意した。現役の国会議員が亡くなった場合、全ての国会議員から香典を送ることが通例となっている。
●野党“臨時国会は十分な会期を” 安倍氏「国葬」の是非など議論 7/26
来月3日に召集される予定の臨時国会について、野党側は、安倍元首相の国葬の是非などについて議論するため、十分な長さの会期を確保するよう求めました。
政府・与党は、臨時国会の会期を3日間とする方針ですが、野党側は安倍元首相の国葬の是非などを議論するため、十分な長さの会期を確保するよう求めました。
立憲民主党・馬淵国対委員長「物価高対策、ならびにコロナ対策、そして(安倍元首相の)国葬についての是非、こうした課題を横に置いておいて国会を召集し、短期間で閉じるということはあってはならない」
これに対し自民党は、閉会中審査で議論することを提案し、折り合いませんでした。
一方、自民党は来月5日に安倍元首相の追悼演説を行うことを提案しましたが、立憲は「政府が説明責任を果たしてから行うべきだ」と応じませんでした。

 

●「国葬」に疑問 法学者「閣議決定は明らかに違憲。国葬の私物化」と指摘 7/27
9月27日に行われる予定の安倍晋三元首相の「国葬」をめぐる議論。これまでの実績などを踏まえて決めたという岸田文雄首相の説明に対し、反対する声も多い。野党党首の発言をはじめ、デモなどの動きも出ている。憲法や法律といった観点から「筋が通らない」と指摘する慶応大名誉教授(憲法学)の小林節さんに聞いた。
「今の時代における国葬とは何か、政府は積極的に説明すべきだ。なし崩し的な形で準備が進められようとしている。賛同しかねる」
立憲民主党の泉健太代表は7月22日の記者会見でそう述べ、安倍元首相の国葬に反対の考えを表明した。日本維新の会の松井一郎代表は、「(自身は)国葬に反対ではない」とした上で、「国民の税金を支出するわけだから、岸田首相は国葬を行う意義を国会で国民に丁寧に説明すべきだ。賛成・反対両方の意見がある国民の皆さんに首相は説明する責任がある」との考えを示した。
賛否の議論のなかでもよく出てくる経費の問題。大きな額が税金で支払われる以上、しかるべき手続きが必要という声はよく聞く。
その点について小林さんはこう説明する。「自民党葬ならどうぞご自由に、ですが、国葬を行うには、大きな費用がかかるんです。財政の支出権限は国会にあるんですから、国葬をしたいならまず、国会で議論して決議すべきです。自民党葬に政府が協力するというあいまいな方法はありうるとしても、国葬とするには根拠法令がないから本来できないと思います」
以前あった「国葬令」は、1947年に廃止されている。首相経験者の葬儀に関しては明確な法的根拠がなく、その時々の政権が判断してきた。
首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来。80年に亡くなった大平正芳元首相以降、歴代の首相経験者は「内閣・自民党合同葬」が慣例となっていた。その慣例をくつがえすことになる。
「法律がないなら、1回限りのことであっても、国会の決議を取らないと憲法上、筋が通らないと思います」(小林さん)
岸田首相は会見で、国葬をする理由について、安倍元首相が憲政史上最長の8年8カ月にわたって首相の重責を担った点や、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を機軸とした外交といった点を挙げ、「大きな実績を様々な分野で残されたことなど、その功績はまことに素晴らしいもの」と説明。国際社会からも極めて高い評価を受けているとして、「国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられており、こうした点も勘案した」などと述べた。
国費で行われるならば、国会での審議が必要ではないかとの質問に対し、岸田首相は、「国の儀式を内閣が行うことについては、内閣府設置法に明記されています。よって、国の儀式として行う国葬については閣議決定を根拠とし、行政が国を代表して行いうるものであると考えます。内閣法制局ともしっかり調整をした上で判断しているところです。そうした形で閣議決定を根拠として国葬を行うことができると判断しております」などと答え、松野博一官房長官も7月22日の記者会見で改めて、「内閣府設置法4条3項33号に、内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記され、国葬儀を含む国の儀式の執行は行政権に属することが法律上、明確となっており、閣議決定を根拠としてできる」などと説明した。
しかし、これに対して小林さんは、「内閣府設置法4条3項33号は、皇室典範(法律)25条で決まっている国葬などの儀式を内閣が執行する規定であって、内閣が元首相の国葬という新しい儀式類型を創出して良いという規定ではありません。だから、今回の閣議決定は明らかに違憲です」と反論。内閣府だけで決めるのなら、「内閣葬」がふさわしいとし、
「国葬なら、国権の最高機関である国会の議決が必要です。国会には、そのような大きな権力行使を根拠づける立法権と国費の支出を根拠づける財政処分権がありますが、内閣にはそれらの権限はありません。安倍政権時に、首相が内閣法制局長官人事に介入して以来、事前の違憲審査機関としての法制局は死んでしまいました」との見解を述べた。
ではどのような方法をとるのが望ましいのだろうか。
「岸田首相が心から『安倍元首相は国葬にふさわしい』と考えるなら、憲法72条に明記された、首相の職務として国会に『元首相国葬法案』を提出して堂々と議場で論ずるべきです。その上で、主権者である国民の世論が納得して国会の議決が得られれば、民主的手続きを経たものとして安倍元首相の国葬に価値が出ます。今のままでは、国論が定まらず強引な国葬強行によって、また、国民の『分断』が生じます。単に愚策です」(小林さん)
安倍元首相の通夜や葬儀の献花台には、1キロの行列ができるなど、哀悼の意を示す国民が多くいたことはたしかだが、「国民的総意を確認しないままなら、国葬の私物化です。国葬の価値がなくなります」(以下、同)との考えだ。
また、岸田首相が、国内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられたことも踏まえた、とした点についても、「安倍元首相は、首相在任期間が長かったから国際的に顔を知られており、各国首脳は外交儀礼上、哀悼の意を唱えた。それをもって日本の評価を高めたというのはおかしな話です」と疑問を呈し、こう指摘する。
「安倍元首相は、まだ歴史的評価が定まっていない政治家なんです。『森友・加計学園』や『桜を見る会』の問題は、安倍元首相の権力の私物化とも考えられます。官僚の人事権を官邸が握ることで、官僚を支配してきた安倍元首相の手法により、官僚も堕落した。権力による隠蔽などが明らかにされてから、安倍元首相の歴史的な評価がなされるべきです」
過去30年間で、賃金が上がらず、物価は上昇した。アベノミクスで生活が良くなったと実感できている国民も多くはなさそうだ。
「そのうち10年以上、安倍元首相は幹事長、官房長官、首相として担ってきたわけだから、日本の経済を悪化させた政治家としても大きな責任があるはずです。そういう意味においても、国葬に値する人物なのか。もっと時間をかけて冷静に判断されるべきであると思います」
いま一度、しっかりとした議論が必要ではないだろうか。
●「中村警察庁長官」が国葬後に辞職へ 「官邸の番犬」 スーパー官僚 7/27
警察庁長官の中村格(いたる)氏(59)が、9月27日の安倍晋三元首相の国葬後に辞職するという。実質的には、安倍元首相を銃撃から守ることができなかった件での更迭と見られる。官邸に寄り添うことで出世の階段を駆け上がってきた“スーパー官僚”のこれまでを振り返る。
「昨年9月に警察庁長官に就任した中村氏は、1年半ほど務めた後、次長を務める同期の露木康浩氏(58)にバトンを渡すことが既定路線とされてきました。しかし、今回の銃撃事件を受けて、その任期が短くなりそうです。具体的には9月27日の国葬を見届けた後、しかるべきタイミングで辞任するということです」と、社会部デスク。
「警察庁は銃撃事件に関する検証を進めており、その報告が8月にまとまりますが、中身に関係なく辞めることは決まっているようです。銃撃事件を受けた直後の定例会見でも、自身の責任に言及する厳しい言葉を使っていました。退任について表向きには、“責任を取って”と言わず、“人心一新”みたいな言い方をするかもしれませんが」(同)
任期半ばでの退任は極めて珍しい
これまで中村氏を巡っては、その毀誉褒貶が広く報じられてきた。警察庁長官が任期半ばで退任を余儀なくされるのは極めて稀だ。狙撃されて瀕死の重傷を負った國松孝次長官でさえ、療養を終えて職務に復帰している。中村氏の退任が伝えられるこのタイミングで、その来し方を改めて振り返っておきたい。
中村氏は私立ラ・サール高校から東大法学部を経て1986年4月に警察庁へ入庁。和歌山県警や千葉県警、警視庁捜査二課長などを経験した後、2010年から民主党政権下の内閣官房長官秘書官に就任した。
「1986年入庁組は能力のある人材が豊富で、警察庁長官や警視総監の候補者は何人かいました。中村氏が同期の出世レースでトップを走っていたかというと、そんなことはありません。現在、警察庁ナンバー2の露木次長のほうが、評価は高かったですね」(同)
そんな中村氏の人生に大きな転機が訪れるのが、2012年12月の政権交代だった。
「自民党が政権を奪還し、通常なら大臣の秘書官も総とっかえされるところを、中村氏は新たにやってきた菅義偉官房長官に土下座せんばかりに“続けたい”と懇願したそうです。その意を汲んで菅さんは留任させ、中村氏は持ち前の危機管理能力を発揮して、二人三脚で難局に対処していくことになります」(同)
官房長官秘書官から警視庁刑事部長へ
ある財界関係者によると、「些細なことでも2人は連絡を取り合っているように見えましたね。菅さんは色んな人と会って話を聞き出して政治に生かす手法を採っていましたが、それをフォローしていたのが中村氏でした。菅さんに有用だと思った人をくっつけることもやっており、個人秘書のような存在だったと言えるでしょう」
高い支持率を背景に国論を二分しかねない法案を成立させる一方、国政選挙には連戦連勝で長期政権を築き続ける安倍政権にあって、菅官房長官とその懐刀の中村氏は余人をもって代えがたい存在となる。
「そろそろ秘書官が交代するのではと憶測が流れても実際にはそうならず、結局2015年春まで、民主党政権時代を含めて5年半のあいだ秘書官を務めることになりました。その後、警視庁刑事部のトップである刑事部長に着任します。その頃からすでに、将来の警察庁長官就任はほぼ間違いなしと言われるようになります」(前出の社会部デスク)
刑事部長に就くにあたって懸案だったのは、捜査二課の仕事ぶりだった。
逮捕状握り潰しの決済
「着任直前の2014年、知能犯を担当する捜査二課は、贈収賄案件を1件も摘発することができませんでした。過去30年で初めてゼロだったなどと新聞にも書かれて、二課のみならず警視庁の汚点として記録されることになりました。中村氏はこれに積極的に取り組むよう指示し、4件の贈収賄事件を捜査二課に摘発させます。実際は中村氏自身が情報を持ってきたようなのですが、機を見るに敏と言うか、過去の捜査二課人脈を遺憾なく発揮したというか、出世する人は結果もしっかり出すものなのだなと感心したものです」(同)
仮にそれが刑事部長として光の部分であったとしたら、陰の部分が「逮捕状の握り潰し」案件だったと言えるだろう。
改めておさらいしておくと、2015年6月、警視庁高輪署は元TBS記者の山口敬之氏に対し、フリージャーナリスト・伊藤詩織さんへの準強姦容疑で逮捕状を取り、捜査をさらに進めようとしていた。しかし、当時、警視庁刑事部長だった中村氏が逮捕の中止を命じたことで直前になって取り止めとなった(最高裁は今年7月7日、「山口氏による性的暴行があった」ことを認めた)。
記者たちにとって貴重な情報源
この件については、中村氏が週刊新潮の取材に対して「私が決済した。(捜査の中止については)指揮として当然」とその事実を認めたことも話題となった。
「警察当局の幹部が個別の案件について取材に応じるというのはほぼ皆無で、現役はもちろん警察OBからも遺憾の声が上がりました。中村氏は普段から冷静沈着なタイプですが、少し油断があったのかもしれません。週刊新潮に喋ってからは、“メディアの幹部を逮捕するというのは大変なことなんだ。たとえ君たちであっても逮捕中止を命じたよ”などと記者たちに話していましたね。中村氏は人事情報などをさらっとレクチャーしてくれるので、記者たちにとって貴重な情報源で、名前の読み方をもじって“カクさん”などと呼ばれ、頼りにされていました」と、社会部記者。
インナーの記者たちに「自身の判断は間違いなかった」と改めて口にするあたり、警察内外からのハレーションを気にしていたのだろうか。
首相官邸の番犬
「それは間違いないですね。もちろん中村氏側に立って、証拠隠滅の可能性は低いのだから、取り調べるにしても身柄を取る必要はなく、任意で良いのではないかと言う幹部がいたのも事実です。そういった主張のほうが多かったと思います。この件は、刑事事件としては嫌疑不十分、つまり、疑いは残るけども証拠が不十分だから起訴しないと検察が判断しました。中村氏はそれもあって、自身の判断の正当性を主張していたようにも記憶しています。ただ先日、民事事件では性的暴行があったことが最終的に認められたわけで、国民に説明する機会があったとしたら、少し説明しづらい案件になったことは間違いないでしょう」(同)
山口氏は当時、安倍元首相の写真をカバーに使用した著書を出版し、ワイドショーでコメントするなど、安倍氏に食い込む記者として知られていた。そんな記者の逮捕を取り消したことで、中村氏は「首相官邸の番犬」などと揶揄されることとなる。その一方で同じ刑事部長時代、この逮捕状握り潰しほどは知られていないものの、安倍氏と直接つながる「忖度捜査」に関わっていた。
もう1つの忖度捜査
その捜査とは、ゲームセンターでのケンカに関するものだ。車の運転シミュレーターゲームで未成年だった被害者と、加害者である成人男性が競ってプレーしていた際に、被害者が相手をけしかけるような言動を取り、それに反応した加害者が一発殴ったというものだ。理由が何であれ暴力は看過できないが、この「ゲーセンのケンカ」が単なる揉め事で終わらず大きな事件に発展したのは、被害者が安倍氏の元政策秘書の子息だったからだ。
この案件には泣く子も黙る警視庁捜査一課の精鋭部隊が投入され、「3日以内の解決」を厳命、加害者には暴行容疑で逮捕状が出され、実際に逮捕された。一課を投入して加害者を逮捕することは中村氏の指示で、当の一課の面々は「この程度の案件でまさか逮捕までやるとは……」と茫然自失の体だったという(中村氏は当時、取材に対し、「捜査に関わっていない」と回答)。
もちろんそれぞれの事案には細かな事情や経緯があり一概に言うことはできないが、結果だけを見れば、官邸に極めて近い人物の逮捕状は握り潰す一方で、権力者側と揉めた者には、たとえ軽微な犯罪であっても逮捕を指示するという“忖度スタンス”が見て取れると言えるだろう。
栗生俊一官房副長官の存在
中村氏はその後も出世街道をひた走り、2016年8月から警察庁に移って組織犯罪対策部長に、17年8月には総括審議官、そして18年9月、次長に次ぐ官房長に、20年1月に次長、そして21年9月に長官へと昇り詰めた。
「警視庁の広報課長や警察庁の人事課長、会計課長、総務課長あたりを経験すると、長官や総監の有資格者だと言われてきたのですが、中村氏はそのどれもやっていませんし、そもそも道府県警の本部長にもなっていない。ほぼ垂直に出世していった極めて珍しいタイプです。時代がそうさせたと言われればそれまでですが、官邸との蜜月ぶりに加えて栗生俊一官房副長官(63)に目をかけられたということも大きいと思います」(前出の社会部デスク)
栗生氏は中村氏の2代前の警察庁長官で、現在は岸田政権で官房副長官と内閣人事局長を兼任している。
「栗生氏は長官就任が確実視される前から、退職後の再就職先も含めたキャリアの人事をコントロールする立場にありました。中村氏やその次に長官に就任する予定の露木氏、そしてその後も、栗生氏がレールを敷いたものです。警察の新しい在り方を具体化していこうと、例えば交番の数を減らしたりすることにも積極的でした。好き嫌いが激しいというか、旧来の警察官僚の殻を破るようなタイプが好みで、中村氏は気に入られた一人です」(同)
「警備実施は誰でもできる」
一方でこのデスクは、「懐に入り込めなかった人たちは当然遠ざけられる。“今の時代に交番を減らしてどうするんだ”と憤っていたキャリアもいましたね」と指摘しつつ、「安倍元首相の事件に関連して」と前置きし、こんな話を披露する。
「栗生氏の持論で、“警備実施は誰でもできる”というものがありました。警備実施とはまさに今回のような要人警護や、五輪やサミットなどの国際的かつ大規模なイベントで事件事故を未然に防ぐオペレーションを指します。栗生氏の言葉からはこれらを軽視していた様子が窺える。実際、警備実施のスペシャリストならずともそれを主に担ってきたキャリアは、栗生氏のインナーに入り込めないままか、すでに退職を余儀なくされているという状況があります」(同)
当事者となった奈良県警の本部長は、警備実施の計画書を事件当日の朝に承認したと会見で発言していた。
「本部長が丁寧に中身を吟味し、検討したのかという指摘は少なからずありますね。実際にそうしていたなら、あのようなお粗末な警備体制を取ることはなかったはずで、そう考えると、中身をちゃんと確認していないとは言わないまでも、事件は起こり得ないとたかを括っていたと言われても仕方ないでしょう」(同)
テロをどれくらい見積もっていたか
栗生氏を元とする「警備実施軽視」の空気が中村氏にも伝播し、それが今回の悲劇に繋がったこともあるのだろうか。
「そこまでダイレクトに繋がるほどコトは単純ではないと思います。ただ一つ言えるのは、中村氏もまた警備実施に関しては疎いということ。自らが具体的な事案を指揮・指示するわけではありませんが、長官自身、国政選挙中の要人へのテロの可能性をどれくらい見積もっていたのかという疑念は拭えないですね。税金を使っている以上、警備にも効率という2文字がのしかかるわけですが、今回の件は奈良県警単体の問題ではなく、警察全体の問題として捉えるべきだと感じます」(同)
そんな中村氏の最後の大仕事が安倍元首相の国葬で、世界各国から訪れる要人の警護を担うというのは皮肉な巡り合わせという他ない。 
●“国葬中止”を求め「子ども誘拐」全国各地で相次ぐ脅迫メール… 7/27
「安倍元総理の国葬を中止しなければ、子供を誘拐する」などの犯行予告メールが全国で相次いでいる。一方、安倍元首相の銃撃事件を参考にした殺害予告メールが、兵庫県明石市の市長に届いていたことが分かった。
国葬の中止を求め「子どもを誘拐」の脅迫
銃撃によって命を落とした安倍元首相の国葬を巡り、全国各地の自治体に届いている脅迫メール。その内容は…
「9月27日に開催される安倍晋三元総理の国葬を中止しなければ、小・中学校から濃硫酸等を盗み国葬会場の日本武道館に散布する。市内の子どもを誘拐し、誘拐した子どもに高性能な爆弾を仕掛け、公共交通機関や商業施設をはじめとした人が集まりそうな場所に特攻させる」(埼玉・三郷市ホームページより)
国葬の中止を求めるこうした脅迫メールは、関東のすべての県を含む少なくとも全国の12都府県の自治体に届いている。
脅迫メールの多くは、自治体ホームページ上の問い合わせフォームなどを通じて送信されていた。差出人は不明で、メールの文面には異なる部分もあった。中には、「子どもを海外製スタンガンで気絶させた上で誘拐する」といった内容もあったという。SNS上では、恐怖と反発の声が上がっていた。
千葉県柏市では、子育て世帯にメールで注意が呼びかけられた。
「保護者のみなさまにおかれましても、不審な人物を目撃の際には110番通報にご協力くださいますようお願い申し上げます。」
警察は各自治体からの通報を受け、威力業務妨害などの疑いがあるとみて捜査を始めている。
明石市長に「8月中の辞職」迫った殺害予告
メールを使った卑劣な犯行予告。兵庫県明石市では、市長に対する殺害予告メールが届いていたことが明らかになった。
7月27日午前、緊急会見を行った明石市の泉 房穂市長(58)。自身への殺害を予告するメールは、7月26日の朝5時台に届いたという。
市が公表したメールの文面。
「こいつが市長やってるとか兵庫の恥だぞ、だから大人しく辞職しろ、さっさと辞職しないとこっちも強硬手段にでる、山上徹也を参考にして自作銃を作った、こいつで頭や胸を何発も撃って殺す、死にたくはないよな?だったらさっさと辞職しろ、そうすれば、こっちは何もしない」
「8月末までに考えを決めてくれ、もし9月になっても辞職しなかったらその時は戦争だ、俺はどっちでもいいぞ?いい返事が返ってくることを願う」
明石市長に8月中の辞職を迫った脅迫メール。応じない場合は、安倍元総理銃撃事件を引き合いに、“自作銃で撃って殺す”と殺害を予告したのだ。
兵庫県明石市・泉 房穂市長: 率直には怖い。私の場合は恐らくかなりはっきり物を言うタイプであり、いわゆるマイナスイメージを持っている方がいるので
●安倍元首相「国葬」中止求める脅迫メール、全国の自治体で確認… 7/27
安倍晋三・元首相の「国葬(国葬儀)」を巡り、中止を求める内容の脅迫メールが全国の自治体に送られていることがわかった。自治体は警察と連携し、注意を呼びかけている。
滋賀県栗東市と愛媛県今治市は27日、25日に「国葬を中止しなければ、全国の子供を誘拐する」「国葬会場に濃硫酸をまく」といった文面のメールが届いたと発表した。両市とも地元警察署に通報し、施設の点検や地域の見回りを強化している。
同趣旨の脅迫メールは、大阪市、堺市、京都市、兵庫県姫路市、大津市、奈良県天理市、広島県呉市、鳥取県境港市などで確認されている。メールの差出人が同じ個人名を名乗っているケースがあり、同一人物が送った可能性もある。
●「平和の祭典」となり得る「安倍元総理の国葬」 国際社会に日本アピール 7/27
数量政策学者の高橋洋一が7月27日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。安倍元総理の国葬について解説した。
臨時国会、8月3日召集
参議院選挙を受けて新しい参議院議長などを選出する臨時国会は、8月3日に召集されることとなった。与党側が会期を3日間としたいと提案したのに対し、野党側は安倍元総理の国葬などについて議論する必要があるとして、十分な会期を確保するよう求めた。
安倍元総理の追悼演説は野党が行うべきなのか 〜甘利前幹事長が行う方向で調整を進めている自民党
新行)臨時国会では参議院の正副議長選出の他、暗殺された安倍元総理への追悼演説が行われる予定です。この追悼演説について、自民党はご遺族の意向も踏まえ、甘利前幹事長が行う方向で調整を進めているということです。しかし、立憲民主党の西村幹事長は、国会での追悼演説は他党の議員が行うのが慣例で、通常であれば野党第1党である立憲民主党から演説者が出るはずだと指摘しています。
高橋)どう演説してもらうかというのは、「どう評価するか」という話です。雇用をつくったのは安倍さんです。立憲民主党はつくれなかったのですが、それはどのように言うのでしょうか。「賃金が……」などと言うのでしょうか。個人的に、どういう演説になるのかは興味深いです。
国葬についての説明はするべき 〜国費としては大きな支出にはならない
高橋)逆に野党も、追悼演説で番が回ってきてしまったら大変だろうと思いますが。自民党もそれで引き受けたのかも知れないなと思うくらいですけれどね。そもそも立憲民主党の泉代表も、最初は「国葬でいい」と言っていたのが、途中から「反対」と言い始めたでしょう。
新行)国葬について国費を使うので、きちんと説明するべきなのではないかと言っているという。
高橋)国費を使うのは間違いありませんから、説明はした方がいいです。でも、国費と言っても数億円というレベルで、大きな国費の支出ではありません。数億円というレベルですと、内閣官房報償費(機密費)というものがありますが、あの範囲でできてしまいます。
国葬となれば、外交としてG20などよりもはるかに効果的 〜国際的に日本をアピールするいいチャンス
高橋)弔問外交ということなら、外務省が出しても支障はないというくらいのものです。金額の話ではなく、「こういうことで弔問外交をしたい」と説明した方が、国民としてはわかりやすいでしょう。ここでの弔問外交は、G20やG7よりはるかに効果が高いです。いろいろな人を呼べるので大きな効果があります。それを説明すればいいだけだと思います。
新行)国葬を行うことで各国首脳が日本に来る。
高橋)国葬は正式な主催者が国だから、招待できるでしょう。それでいろいろな人に来てもらう。武道館で行うのでしょうけれども、あそこは警備しやすいし、国際的にアピールするいいチャンスになります。
新行)そうですね。
高橋)安倍さんにそう言えば「それでいいよ」と言うと思いますけれどもね。国際的な観点から考えると、国際会議を行うのは大変ですが、国葬であれば、一石何鳥にもできるでしょう。
新行)国葬であれば。
高橋)平和外交をして習近平さんを呼び、民主主義国のなかにポツンと入れれば、面白いではないですか。ロシアのプーチンさんは呼べないということですけれど、あえて呼んでしまって、米露中で会談してもらい、そこに日本が入ってもいいではないですか。
新行)米露中のなかに。
高橋)大阪で開催されたG20のときに、安倍さんが真ん中にいて、隣にトランプさん、その隣に習近平さんというすごいショットがあったではないですか。たまたま狭い会議室で狭い机になってしまったのだけれど、あのショットはすごいですよね。弔問外交のなかで、日本が国際社会にアピールするいいチャンスだと思います。
各国の要人を招き平和の祭典として「安倍元総理の国葬」を行う
新行)国会の3日間の会期に関して、もっと十分な会期があった方がいいというのが野党側の主張です。
高橋)会期を延ばすのはいいと思います。国葬の説明をしろと言われれば簡単ですから。いろいろな人が「法律の根拠がない」などと言っているのだけれど、根拠はすべてあります。「各国の要人をたくさん呼んで平和の祭典をしよう」ということで、簡単に説明できる話です。なぜか政府はそういう説明をしないのです。
●迫る国葬、警備に総力 「失敗許されない」と幹部―準備着々 7/27
参院選の遊説中に銃撃され、亡くなった故安倍晋三元首相の国葬まで27日であと2カ月となった。銃撃事件は警備体制に問題があったとされ、警察当局による検証・見直しが進む。国葬には内外の大勢の要人参列が見込まれており、総力を挙げて警備に臨む警視庁の幹部は「注目度も高い。失敗は許されない」と気を引き締める。
岸田文雄首相が国葬実施を表明した翌日の15日、警視庁は山本仁副総監をトップとする「警備対策委員会」を設置し準備を本格化。全庁で取り組むため、8月下旬〜9月中旬に予定していた人事異動を国葬後に先送りした。
9月27日に日本武道館(東京都千代田区)で行われる国葬は、戦後の首相経験者として1967年の吉田茂氏以来2例目だ。警視庁は2019年の即位の礼や、これまでの元首相の内閣・自民党合同葬を念頭に準備を進める。
中でも2000年に日本武道館で行われた故小渕恵三氏の合同葬は、現職で病に倒れ、そのまま急逝したこともあり、当時のクリントン米大統領や金大中韓国大統領ら150以上の国・地域から要人が参列。死去から1カ月もたたずに営まれた式典当日、警視庁は1万人を動員して警備に当たった。同庁幹部は「今回はその規模を上回るだろう。他県警などからの応援も検討している」と明かす。
別の幹部は、新型コロナウイルスの流行「第7波」をめぐり、「感染者が出た場合は所属する警備部隊ごと交代させなければならない」と話す。人員確保のため、警察署から人を集める臨時の機動隊も編成される見通しだ。
活発な弔問外交が予想される上、参列者の規模や一般弔問客受け入れの有無など式典の詳細はいまだ見えないが、「仮定に仮定を重ねて準備する。一つ一つやっていくしかない」と幹部。「いつも失敗はできないが、今回は特別だ。日本警察の代表として万全を期す」と意気込んだ。

 

●安倍元首相国葬に専門家が警鐘「黙祷強制でトラブルが起きる可能性がある」 7/28
岸田文雄首相が9月27日に決めた安倍晋三元首相の国葬。吉田茂元首相以来、戦後2度めとなる国葬だが、一体どのようなものになるのだろうか。
『国葬の成立 明治国家と「功臣」の死』(勉誠出版)の著者で、国葬研究の第一人者である中央大学文学部の間宮純一教授が、過去に国葬で起きた“9大史実”をもとに語ってくれた。
1.国葬の定義や目的は明確ではない
「国葬は世界各国で実施されていますが、その意味は国によって異なります。日本では、1945年までに実施された『国家ニ偉功アル者』(国葬令)の国葬は、天皇の名のもとに、国家統合を強固にする役割を果たしてきたと考えられます。1947年に国葬令の失効後、日本国憲法下における国葬のあり方を検討し、ルール化すべきだという意見が出たことはあります。しかし、現在まで国葬の定義や目的は明確にされていません」(間宮教授・以下同)
2.歌舞音曲は差し控えるよう「お願い」が出た
「1967年の吉田茂元首相の国葬の際には、弔旗を掲げること、黙祷を実施することが要請され、官公庁・公立学校はできるだけ半休することとなりました。また、官公庁は公の行事や儀式、その他歌舞音曲をともなう行事は差し控え、民間企業や一般国民にも自粛するように『お願い』が出されています。弔意の表明を『強制』することはできませんから、今回もなんらかの要請があっても『お願い』になると思います」
3.黙祷の合図が流れても足を止めない人が多かった
「吉田元首相の国葬当日、官公庁や地方公共団体は大半が半休になりました。民間企業では、東京・丸の内の銀行や大企業で社内放送を流し、黙祷を実施するところが多かったようです。一方で、地方の民間企業や金融機関などでは平常営業をおこなっていたところも多くありました。また、無関心層も少なくなく、14時10分に黙祷の合図のサイレンやアナウンスが流れても足を止めず、黙祷もしない人が多数いました」
4.沿道では7万2000人が見送った
「吉田元首相の国葬の場合、大磯の吉田邸を出て、交通が規制された道を車列が進んでいきました。東京に入ると沿道には、約7万2000人の一般人が見送り・見物に集まりました。田安門から日本武道館のある北の丸公園に入った葬列は、自衛隊と防衛大学校の学生1000名ほどに迎えられて式場に入っていきました」
5.参列者は約5700人、一般会葬者は約3万5000人だった
「吉田元首相の国葬では開式後、式場と全国で1分間の黙祷。佐藤栄作首相が追悼の辞を述べ、ついで、衆参両院議長、最高裁長官、友人代表による追悼の辞があり、天皇、皇后の使いが拝礼。皇太子夫妻以下、皇族による供花の後、遺族、首相、衆参両院議長、最高裁長官、友人代表、約70カ国の外国使節の献花がおこなわれました。それ以外の一般人は、参列者の献花が終わった後、午後3時半から7時までの間献花をおこなうことができました。当時の新聞報道によれば、参列者は約5700人、一般会葬者は約3万5000人。安倍元首相の国葬でも、吉田元首相の例が参照されるのではないでしょうか」
6.費用は中曽根康弘合同葬が目安に
「直近でおこなわれた中曽根康弘元首相の合同葬は、全体の費用約1億9000万円を自民党と内閣が折半する形で実施されています。今回の費用は全額国費となりますが、総費用は、このケースがひとつの目安になるのではないでしょうか」
7.「するな黙とう、許すな国葬」という立て看板が東京大学に立てられた
「大日本帝国憲法下でも、故人が国葬の対象にふさわしいか否かをめぐって、帝国議会で反対意見が出ることはありました。しかし、当時の国葬は天皇の名のもとに実施されます。一度決まってしまえば、表立った反対・抗議活動は民間では確認できません。しかし戦後の吉田元首相の国葬の際には、渋谷駅前のハチ公前広場で共産党や民主団体が街宣カーで、国葬は「軍国主義と帝国主義の復活につながる」と反対演説をしたり、東京大学で「するな黙とう、許すな国葬」という立て看板が立てられていたりしました」
8.特集番組のCMを中止した局があった
「吉田元首相の国葬当日は、各放送局で特集番組が組まれました。局によっては、番組中のCMを中止したり、哀悼のためのテロップを流したりしています。ラジオも同様に国葬関係の特集を組んでいます。NHKの国葬中継の視聴率は、関東で約29%、関西で約27%でした」
9.「国民葬」でも「黙祷」の要請があった
「佐藤栄作元首相の『国民葬』のときに、佐藤氏の郷里・山口県の教育委員会が、(1)各学校は弔旗を掲げること、(2)教職員、生徒は黙祷すること、という通達を出しました。これを受けて、ある小学校では校長が全校朝会で、佐藤氏の業績と国民葬の意義を説明し、通達に従うことを決めたところ『個人の思想的自由を侵害する』と山口県教組から抗議を受けています。今回も政府は『弔意を示すことは任意だ』と言うでしょうが、受け止める側がそうだとは限りません。黙祷を強制した・しないで、身近な人間関係のなかでトラブルが起きる可能性があります」
安倍元首相の国葬まであと2カ月。無用なトラブルは起きてほしくないが……。 
●安倍元首相国葬 政府、準備会議の初会合開催 7/28
政府は28日、参院選の街頭演説中に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相の「国葬」(国葬儀)に向けた準備会議の初会合を首相官邸で開いた。
会合には、警察庁や外務省をはじめ各省庁の幹部が出席。首席幹事の森昌文首相補佐官は「過去の前例も参考に、遺族の意向なども踏まえ厳粛かつ心のこもった国葬儀となるよう準備を進めたい」と述べた。
●安倍元首相の追悼演説 自民が秋以降に先送りする方針固める 7/28
亡くなった安倍元総理大臣の追悼演説について、自民党は、来月3日に召集される臨時国会で行いたいとしていましたが、野党側が、安倍氏の「国葬」について議論するのが先だなどと主張していることを踏まえ、秋以降に先送りする方針を固めました。
参議院選挙の応援演説中に銃撃を受けて亡くなった安倍元総理大臣について、自民党は、来月3日に召集される臨時国会で追悼演説を行いたいとしていて、遺族の意向も踏まえ、甘利前幹事長が行う方向で調整を進めていました。
しかし、28日に開かれた衆議院議院運営委員会の理事会では、与党側が、来月5日の本会議で追悼演説を行いたいと提案したのに対し、野党側からは、安倍氏の「国葬」について議論をするのが先だという主張や、自民党以外の党の議員が行うべきだといった意見が出され、折り合いがつきませんでした。
こうしたことなどを踏まえ、自民党は、幹部らが対応を検討した結果、演説の性格上、静かな環境で行うことが望ましいとして、来月の国会では追悼演説を行わず、秋に再び召集される臨時国会以降に、先送りする方針を固めました。
●「アベガー」も安倍さんに頼っている あきれる朝日新聞の「川柳」だが… 7/28
安倍晋三元首相の「国葬」は、9月27日に行われるそうです。左派の方々から、さまざまな反対意見…というか「文句」が出てますな。しかし、一部の野党やメディア、市民団体が反対すればするほど、私は「安倍さんは、やっぱりすごい政治家なんだ」と思ってしまいます。
「反アベ」を掲げると、左派勢力にはメリットが生まれる。あと3年ぐらいは、「安倍さんネタ」で押しまくるんじゃないですか?
やりすぎて、逆に大炎上している朝日新聞の「川柳」コーナー。あれはあきれるような内容でしたが、彼らもしかりで、安倍さんを貶めることは大きなメリットなんです。
左派の野党もメディアも「日本的リベラル」の方々も、実はすべて、安倍晋三という人に頼っている。
逆に、冷静に見ている海外の反応はどうなんでしょうか?
米上院は20日、安倍氏の功績をたたえる追悼決議案を「全会一致」で採択しました。トランプ米政権で駐日大使を務めたハガティ上院議員ら69人が共同提出者に名を連ねていたそうです。
安倍さんを「世界の自由と繁栄、安全を促進するとともに、権威主義や専制に対抗する今後数十年の日米協力の礎を築いた偉大な友人」と称賛したうえで、「一流の政治家であり、民主的価値のたゆまぬ擁護者」だったとしてその死を悼んだそうです。
米国以外にも、世界各国から弔意が届いているそうです。世界からすれば「アベシンゾー」を評価することは当たり前なんですよ。だからこそ、日本では「反アベ側」も大きくなる。
好きなタレントランキングの上位に入っているタレントは、必ず「嫌い側」にも入っている…それと似ていますよ。彼らにとって、「アベガー」は生きがいなんだから(笑)。
ただ、「アベガー」で盛り上がっている人々を見ると、私は「左派メディアやSNSの洗脳を受けている、かわいそうな人もいるんだろうな」と思ってしまいます。
例えば、「モリカケ」。左派野党とメディアは疑惑を騒ぎ続けましたが、決定的な証拠は出せませんでした。安倍さんへの憎悪を煽るような言論空間が、今回の悲劇を引き起こした一因にあるとすれば問題です。
奈良の事件現場や、東京の自民党本部に切れ目なく献花に訪れた人々を見てください。奈良では先週初めまでに10万人を超えたそうです。あれこそ、安倍さんを支持する「サイレント・マジョリティー」ではありませんか?
まさに「祈り」の数です。本当の平和を希求する方々の祈り…。それが花びら一枚一枚に託されて、安倍さんを天国へと導くことでしょう。
●「斜陽国家」日本の汚名そそいだ安倍元首相  7/28
凶弾に倒れた安倍晋三元首相に対して、世界各国の指導者がその業績をたたえている。だが、日本の一部マスコミは、安倍氏の「国葬」に猛烈に反対している。
それはなぜか。国葬になったら来日した世界中の指導者たちが、こぞって安倍氏の業績をたたえる場面を報じざるを得なくなるからだ。自分たちの報道が、いかに世界の指導者たちの評価とずれているのかが、バレてしまうのを恐れているのだ。
なぜ、安倍氏はそれほど評価されているのか。
それは、この十数年の歴史を振り返れば分かる。第2次安倍政権の前は民主党政権だった。2009年に発足した鳩山由紀夫「民主党」政権は、在日米軍基地返還交渉で同盟国・米国との関係を悪化させた。
10年9月には、尖閣諸島中国漁船衝突事件が起こったが、当時の菅直人「民主党」政権は、事件を起こした中国人船長をろくに取り調べることもなく中国に送り届けた。
知人の米軍関係者から「中国が尖閣諸島を襲撃しても事なかれで済ますつもりなら、米国も日本を助ける義務はない。日本でも義務教育で英語を学ぶようになったようだが、中国の属国になるのなら中国語を学ぶようにしたらどうか」と厳しく詰問されたことをいまも思い出す。
経済的にもボロボロだった。08年のリーマン・ショックを契機に悪化した景気は、民主党政権になっても改善するどころかさらに悪化し、日経平均株価は8434円の最安値を記録した。
かくして、当時のバラク・オバマ米「民主党」政権も、「経済的に低迷している日本よりも、経済的に台頭する中国と組むべきだ」と考えるようになっていた。
しかし、12年12月に発足した安倍政権は「アベノミクス」を掲げて金融緩和に踏み切り、瞬く間に株価は急上昇した。「日本は斜陽国家ではない」ことをアピールしつつ、特定秘密保護法や集団的自衛権の行使を可能とする平和安保法制(安全保障法制)を制定して、オーストラリアとインドを引き込み、日米豪印の戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」を構築した。
さらに、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想を打ち出し、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国だけでなく、NATO(北大西洋条約機構)までも引き込んで自由主義陣営の国際ネットワーク形成を主導してきた。
わずか8年弱で「斜陽国家・日本」の汚名をそそいだばかりか、ドナルド・トランプ政権時代に「孤立主義」に傾きかけた米国と、インド、オーストラリアとを結束させ、NATOまで引き込んだその外交的手腕は、東西冷戦に終止符を打ったロナルド・レーガン米大統領にも匹敵するとも言われている。
この秋に行われる国葬は、マスコミによって隠されてきた安倍氏に対する世界の指導者たちの評価を知る、絶好の機会となるだろう。
●安倍元首相の国葬「中止しなければ濃硫酸散布」 関東自治体に脅迫メール 7/28
参院選の街頭演説中に銃撃されて亡くなった安倍晋三元首相の国葬中止を求め、応じなければ「小・中学校から濃硫酸などを盗み、会場の日本武道館に散布する」などと脅迫する内容のメールが、埼玉県など関東地方の自治体に相次いで寄せられていることが28日、分かった。国葬中止を求める脅迫メールは西日本の自治体にも寄せられており、警察当局が警戒を強めている。
埼玉県三郷市によると、「9月27日に開催される国葬を中止しなければ、小・中学校から濃硫酸などを盗み、会場の日本武道館に散布する。市内の子供を誘拐し、子供に高性能な爆弾を仕掛け、人が集まりそうな場所に特攻させる」などとするメールを25日に受信。「市のウエブサイトの問い合わせフォームを通じて送信されていた」(市危機管理防災課)といい、市では地元の警察署と連携して学校周辺のパトロールを強化している。
さいたま市には「(国葬を中止にしなければ)全国の子供をスタンガンで気絶させた上で誘拐する」といった内容のメールが届き、市はウエブサイトで公表した。
茨城県竜ケ崎市には「(国葬を中止にしなげれば)市役所および市内の施設へ毒性ガス散布機を設置する」といった内容のメールが届いた。市では市内の小中学校の保護者にメールの内容を通知するとともに、庁舎所有の施設の点検などを行っている。

 

●池上彰、安倍元首相の「国葬」に違和感 「歴史的評価はこれから・・・」 7/29
2022年7月8日。安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。にわかには信じられない。そんな状況のなか、手製の銃、旧統一教会と自民党、国葬など、さまざまな情報が流れていく。私たちはこの事件をどう捉え、同種の事件を二度と起こさないためにどうすればいいのか。AERA 2022年8月1日号は、ジャーナリスト・池上彰氏に聞いた。
今回の事件を戦前の政治テロと重ねようとすると本質を見誤ると思います。安倍晋三元首相が銃撃されたのは参院選の応援演説中で、各局のキャスターやコメンテーターは瞬時に、「政治テロだ」「民主主義への挑戦だ」と発言しました。しかし、これは誤りだったと思います。
奈良県警は事件当日のうちに、「安倍元首相の政治信条に対する恨みではない」と容疑者の動機にかかわる供述を発表しました。「特定の宗教団体」という情報も出しました。警察がこんなに早く供述内容を流すのは極めて異例です。この段階で「これは政治テロではなく、個人的な恨みが背景にあるのでは」と判断すべきでした。私も当日夜のテレビ番組で、「五・一五事件」や「二・二六事件」といった過去の政治テロを解説しましたが、もう少し慎重であるべきだったと反省しています。
事件の背景に、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政治の癒着の問題が浮かんでいます。だからといって、山上徹也容疑者の犯行に酌量の余地はないという前提で話を進めます。驚いたのは、今の若い人たちが統一教会について全く知らないことです。約30年前、週刊誌などが統一教会の霊感商法の問題を盛んに報じました。NHKも報じましたが、代表電話に抗議電話が殺到しました。威嚇です。こうやって言論封殺するのだなと感じました。
被害者弁護団によると、その後も組織名を変えるなどして活動し被害も続いていた。にもかかわらず、メディアも報じなくなった要因の一つに、オウム真理教事件が挙げられます。1995年に地下鉄サリン事件などを起こし一気に注目を集める一方、統一教会が私たちの視界から消えてしまった。結果論になりますが、80年代の時点で警察が統一教会に毅然(きぜん)と対応していれば、オウム真理教事件も今回の事件も阻止できたのでは、と悔やまれます。オウム事件以降、宗教法人であっても反社会的な組織は取り締まらないといけないという社会的コンセンサスは得られています。メディアも含め、オウム事件の摘発後に改めて統一教会の活動に注目すべきでした。
今回の事件は、2001年の大阪教育大学附属池田小学校での無差別殺傷事件や、08年の秋葉原通り魔事件、最近の電車内の傷害事件の系譜に連なると思います。犯人が孤独の中で恨みを募らせる、「ローンウルフ」(一匹おおかみ)型犯罪の暴発を止めるには、「大人の孤独」にどうやって助け舟を出すのかを真剣に考えなければいけません。自助では絶対に助けられない。昨年2月に創設した「孤独・孤立対策担当大臣」が公助だとすれば、共助の取り組みも必要です。例えば米国社会では、孤独な人がいると、キリスト教のボランティア団体が支えます。つまり宗教です。日本でもカルトの毒を消すのは伝統的な宗教や宗教家ではないか。その重要性が増していると思います。
安倍さんの国葬をめぐって賛否が分かれています。1967年の吉田茂元首相の国葬が行われたとき本人は政治家を引退していました。一方、首相を退いたとはいえ、自民党の最大派閥を率い、政権にも大きな影響力を与えていた安倍さんを国葬とすることに私は違和感をぬぐえません。確かに安倍さんにはいろんな功績がある。だけど、アベノミクスの評価や集団的自衛権の行使に道を開いた歴史的評価が定まるのは、これから何年か先になると思います。
●安倍元首相「国葬」に昭恵夫人は複雑心境…意向は確認されず、国論も二分 7/29
安倍元首相銃撃事件の発生から、29日で3週間。岸田政権が電光石火で実施を決定した国葬をめぐり、野党は反発し、国論も二分する中、未亡人となった昭恵夫人もモヤモヤした思いを抱えているという。国葬開催は2カ月後に迫っているが、つつがなく執り行われるのだろうか。
国葬は9月27日に日本武道館で実施予定。費用は全額国費負担で、国交のある世界199カ国・地域に通知済みだ。磯崎官房副長官は25日の会見で「具体的な参列者は今後調整されるもので、現時点では何ら決まっていない」としたが、安倍元首相と計27回会談したロシアのプーチン大統領は欠席を表明している。
岸田首相が国葬実施を発表したのは14日。安倍元首相の死去から、わずか6日後だった。岸田は「ご功績は誠にすばらしいものである」として、閣議決定を根拠に執り行うと胸を張った。
「安倍家は基本的に国葬に賛成。ゴッドマザーの洋子さん、長兄の安倍寛信氏、実弟の岸信夫防衛相も、ドーンとやってくれというスタンスだと聞きます。ただ、昭恵夫人だけはスッキリしないようです。故人に最も近い配偶者であるにもかかわらず、国葬について意向を確認されず、世論の評価も割れていることが気がかりのようです」(与党関係者)
NHKの世論調査(16〜18日実施)では国葬を「評価する」が49%、「評価しない」が38%だった。安倍元首相の岩盤支持層だった保守層の一部からも「違和感」を訴える声がチョロチョロ上がり始めている。
自民党の四方源太郎京都府議が〈今回「国葬」とするのには疑問を感じる。葬儀を国民栄誉賞のように使うべきではない〉とブログに書き込むなど、内輪でも温度差がある。
安倍元首相が2度目の政権ブン投げに至る2、3カ月ほど前、周囲に「このままだと(在任期間が)長いだけの総理で終わってしまうかも」と本音を吐露していたとの情報も漏れ伝わる。
「憲政史上最長政権」の称号を得た当の本人も、何ひとつレガシーがないとの自覚があったのなら、国を挙げて弔う意味はあるのか。
改憲の足掛かりに岸田自民党はイケイケ
一方で自民党はイケイケドンドンだ。
「ヒゲの隊長」こと佐藤正久参院議員は〈 [自衛隊の国葬支援、一般的項目](1)儀仗、弔銃、弔砲(2)と列(3)音楽葬送(4)戦闘機等ミッシング パーソンフォーメーション(5)警備、医療。輸送支援等多々にわたる〉などとツイート。腕まくりしている姿が目に浮かぶようだ。
「岸田政権にとって国葬は外交の大舞台となるだけでなく、憲法改正の足掛かりにもなり得る。当日は自衛隊の存在を国民の目に焼きつけ、『自衛隊明記』を前進させようという意図も見え隠れします」(野党関係者)
昭恵夫人が複雑な心境になるのも、無理からぬ話だ。国葬の政治利用は、残された妻の感情を逆なでするようなものではないか。 
●安倍元首相「国葬」はまさかの“電通案件” 五輪汚職特捜部ガサ入れで注目 7/29
世論の賛否が割れる安倍元首相の国葬を巡って、28日各省庁の幹部らでつくる「葬儀実行幹事会」の初会合が開かれた。国葬は9月27日に日本武道館で実施されることが決まっており、幹事会は準備を急ぐ方針だが、ここへきて国民をザワつかせる事態が浮上。式典を運営するのが、ナント、大手広告代理店の「電通」だというのだ。一部で報じられ、SNSで話題を呼んでいる。
電通といえば、目下、東京五輪のスポンサー契約を巡る汚職疑惑の“震源地”。受託収賄容疑で東京地検特捜部から任意で聴取されている大会組織委員会元理事の古巣だ。東京・港区の本社にも26日、家宅捜索が入った。
そんなタイミングで国論を二分する国葬の担い手として名前が挙がったものだから、SNSでは《ガサ入れ真っ最中のはずだが!》《国葬が電通葬に》《いつから電通は葬儀屋に?》と驚きの声が上がっているのだ。
こんな状況で本当に電通が国葬を取り仕切るのだろうか。電通に問い合わせると「当社は回答する立場にございません」とのことだった。
ある電通OBは、「電通以外の代理店が国葬を受託することは“1万%”ないでしょうね」と言い、こう続ける。
「大物政治家や芸能人の葬儀は、いわゆる普通の『お葬式』ではなく『大規模イベント』です。安倍元総理ほどの大物なら参列者もVIPが多い。誰がどのタイミングで会場入りするのか、どの控室に入ってもらうのかといった“人さばき”から、どんな装飾、写真をしつらえるのか、といった“演出”まで事細かに振り付けしなければならない。そんなノウハウを持っているのは電通くらいでしょう。既に、数百ページの葬儀マニュアルを作り、関係者と打ち合わせしていてもおかしくありません」
“決め手”は自民重鎮か?
“決め手”となりそうなのが、ある自民党重鎮の存在だという。
「国葬会場の日本武道館の会長を務めている高村正彦・自民党前副総裁です。高村さんは過去、電通から献金をもらっていたことがありますし、長男の正大衆院議員は電通出身です。それに、(安倍)昭恵夫人も電通出身ですしね」(同)
電通は高村氏のみならず、安倍氏や二階元幹事長といった“お歴々”に加え、自民党の政治資金団体「国民政治協会」にも巨額の献金を拠出。自民党とは極めて親密な関係にある。
とはいえ、電通は過去、国のコロナ対策の企業支援策「持続化給付金」を巡り、事業費の“中抜き”が問題視されたこともあっただけに、早速、SNSで《大量に中抜きされて、しょぼい葬儀になるのか》という声が上がっている。
ケチがつき始めたのは国葬だけじゃない。
8月3日召集の臨時国会で行われる見込みだった安倍氏の追悼演説も、演説予定者の甘利前幹事長に対し批判が上がり、延期の方向となってしまった。
死してなお、安倍氏の周辺はトラブル続きだ。

 

●「硫酸ぶちまける」メールに住民戦慄!安倍元首相「国葬」中止の現実味 7/30
ここへ来て、にわかに安倍元首相の「国葬」中止が現実味を帯び始めている。
9月27日の実施が決定された国葬だが、7月25日に群馬県の前橋、太田、伊勢崎など8市に「中止しなければ子どもをスタンガンで気絶させて誘拐する」「小中学校から濃硫酸などを盗み、国葬会場にぶちまける」などとする内容のメールが届いていたことが判明。市民を震え上がらせる事態となり、「反対」の声は増すばかりなのだ。政治記者が説明する。
「FNNが7月23・24日に行った電話世論調査によれば、国葬決定について『よかった』と思う人は50.1%、『よくなかった』と思う人が46.9%とほぼ拮抗している。また中日新聞や南日本新聞のアンケート調査では『反対』がそれぞれ76.4%、72.2%と、地方では拒絶反応が圧倒的な状況。安倍氏の銃撃事件により政界と旧統一教会とのズブズブの関係が明らかになる中、今後もこうした声は強まるばかりでしょう」
首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来、戦後2例目と異例中の異例。これには岸田首相の意向が強く反映されているといわれ、安倍氏を支えてきた自民党内の保守派への配慮、さらには海外へ向け「安倍氏の継承者」のイメージ付けの狙いなど、様々な思惑が指摘されている。
「自民党内、とりわけ岸田氏の周辺では、それこそ当初は国葬についてもろ手を挙げて賛成していたものの、国民の反応を見るにつけ徐々に懸念の声が出始めているようです。国民の拒絶感を無視して強硬すれば、せっかく岸田内閣がキープしてきた60%超の支持率を無下にする可能性も出てくる。ただ、岸田氏は国葬の理由を『我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示していく』としているだけに、今回のようなメールバラ撒き事件が起きるにつけ、引くに引けない状況にはなるでしょうが…」(前出・政治記者)
「国葬」実施で、再び最悪の事態が起こらないことを願うばかりだ。
●なぜこれほど拙速に? 安倍元首相「国葬」を決めた自民党の事情 7/30
安倍元首相の殺害事件はテロか私怨か、そしてなぜ岸田政権は直ちに国葬を決めたのか。作家・赤坂真理さんによる緊急特別寄稿。眼からウロコの読み解きです。
容疑者の目的とその手段
私怨ではない。これこそが、テロリズムである。
安倍元首相の殺害事件は、最初は「要人を狙ったテロ」だと思われていた。昭和初期を思わせるような。その後、「いやテロではなく私怨だ」という論調になってきた。容疑者は、自分の生まれ育った家族を破壊した統一教会を恨んで凶行に及んだのだから、と。
いや。わたしは、これはもしかしたら、言葉本来の意味での「テロリズム」なのではないかと、今思っている。
「恐怖や暴力を見せつけることによって」「別のより大きな目的を果たす」。
テロリズムの定義そのものと言っていい。
容疑者の目的は、統一教会の恐ろしさを訴えることだった。
安倍は、その手段に選ばれたアイコンにすぎない。
山上容疑者は、供述を信じるなら、統一教会の恐ろしさを知らしめるのに効果が高い人を選び、ピンポイントで殺傷した。そしてピンポイントに狙ったその人、安倍晋三個人に、恨みを持ってはいない。だから安倍への私恨というのは当たっていない。
恨んでいるのは自分の家を破壊した統一教会で、本当は統一教会の代表を殺したいほど恨んできたが、統一教会の代表を殺すと、代表は殉教者となりそれは物語を美化強化するだけだから(イエスに喩えられるだろう)、避け、統一教会の恐ろしさを世に知らしめるために最も効果的なターゲットは誰かと探し、安倍を選んた。
効果的なターゲットを理知的に選び出して、その人一人を殺害して(巻き添えは出さず)、そのことによって統一教会の恐ろしさを訴えることに、成功した。
容疑者は、殺す対象には恨みを持たず、しかしそれの背景にあるものに照準を定めて引き金を引き、その効果をつくり出した。よく計算された、成功した玉突き。
なぜ自作の銃だったか
警備の不手際が非難されているが、日本のSPに、いや警察にさえ、銃を警戒する発想がまずは薄かったのではないかとおもう。刃物か爆弾がせいぜいだったのではないか。
銃規制が厳しいことが安全のひとつの根拠となっている社会において、銃が自作され、狙ったとおりの殺傷力を持った、ということが、この事件の社会全体への衝撃が大きかったもう一つのポイントだ。銃それ自体に、日本人へのテロリズム(恐怖を与える)効果が大きい。
が、銃の自作も、もしかしたら、目的に対する必要からしたことだったかもしれないとわたしは思う。狙った一人だけを、正確に殺傷する、という。
いくつかの「より手軽な」殺傷デバイスのことを考えてみる。
自動車は、本来武器でもないアクセスしやすさだが、コントロールが効きにくく、ターゲットを選びにくい。巻き添えも多く出しうる。
刃物は、やはりアクセスしやすい手段だが、助走もしくは至近距離にいることを必要とするから、目標に達する前に止められやすい。プロにガードされた「要人」ならなおさらだろう。
爆弾は銃よりは作成が簡単だが、巻き添え被害が出やすい。他の人だけが殺傷されて狙った人は無傷ということもありうる。
ただ一人を狙う選択として自作の銃器はあり、それは機能して、狙った一人だけを殺した。そして、その人が癒着してきた統一教会の在り方について、広く一般に訴えることに成功した。
その上、殺したのが一人であるため、慣例的に、死刑とはならない。払う代償に対しての効果が大きい。恐ろしくコンパクトに、狙った効果を出せた犯罪だった。
手段として選んだ犯罪が、その求める結果をきっちり出すというようなケースはテロリズムとして非常にまれである。911がどれほどの付随的な被害を双方に作り出したか見よ。
その意味で、わたしはこれを、目的をほぼ正確に果たせたテロリズム、と捉える。
実は、このテロリズムの最大のコラテラル(付随的)な被害が、安倍晋三の死ではなかったのか。本当は、殺人などせずに誰かが心の底からの訴えができ、それが聞かれるのなら、最もよいのだから。
日本社会が受けたショック
岸田首相は、直ちに、元首相だった安倍晋三の国葬を決めた。「憲政史上最長」の政権だったからという理由で。
日本社会は当初、二重のショックに打たれていた。銃を警戒しなくてよかったこの日本で、元首相が白昼堂々と銃で撃たれて死んだこと。
政治家としてはさらなる恐怖もあっただろう。政策によっては自分も命を狙われるかもしれないこと。無防備な姿を晒すのが必須である遊説中に狙われたこと。
事件直後には、多くの人は、安倍が打ち出した自由化経済政策と労働力の使い捨て化(入管で外国人労働者を人間扱いしないとは、国内でもしないということである)で苦しんだ人の犯行だと思っていた。
少し時間が経って、容疑者が本当の理由を明かすにつれ、また大きなショックを日本社会は受ける。またも、宗教からの不意打ちを受けたように感じたのだった。オウム真理教に「決着」をつけたのは、ついこの間、平成の終わり(平成30年=平成最後の年)ではないか。今は、天皇も代替わりした令和4年なのだ、と。
犯行動機とされる、親の宗教に何もかも奪われた感のある二世の被害、悲惨。その悲惨に比べたら、容疑者にとって、たとえアベノミクスでどれだけ雇用不安が増大しようが、被害は比較にならないものだったに違いない。
安倍は宗教の被害を訴える手段として殺された。
象徴的な存在だが使い捨てのコマ同然に使われた。
政策を批判されたのでさえなかった。
拙速な国葬決定の理由
容疑者が言うように安倍元首相が統一教会と太いパイプを持っていたのなら、そういう人物を、調査なしに安易に国葬などにしてよいものか? ここで政府には二重の問題が出てくる。
調査をするなら、自民党と特定宗教団体の癒着が白日のもとに晒される。それを避けるための目眩しの国葬。
特定宗教団体の所業を知らしめるために殺されたのであるならば、「憲政史上最長」の政権といえど政治的には空っぽであったことがわかってしまう。それを避けるための目眩しの国葬。
国葬とは、国を守るためにこそあるのだろう。
安倍の殺害が、本人の所業や政治信条や取った政策とは何の関係もないからこそ、なおのこと、その葬儀は国葬にされねばならない。コケにされたからこそ、空っぽであるからこそ、偉大な政治家がテロの凶弾に倒れたように内外に見せかけねばならない。政権としては。自由民主党という、戦後日本の運営フォースとしては。
その存続のために、ありとあらゆることを利用してきた運営フォースとしては、元首相の他殺死も、利用しないわけにはいかない。
だからこそ拙速に国葬は決められる。国民の虚をつくほどに速いスピードで。抜け道のような閣議決定は、安倍晋三がよく行ったことだった。 
●安倍元首相の国葬は“電通”案件!? まさかの疑惑に猛反発「憎悪と怒り」 7/30
参議院選挙の応援演説中、凶弾に倒れた安倍晋三元首相の国葬が、9月27日に実施される。どうやら、その国葬は日本最大手の広告代理店『電通』が執り行うらしく、ネット上で批判の声が殺到している。
安倍元首相の国葬と「電通」の関わりは、以前から指摘されていた。
そして、7月27日にニュースサイト『日刊スポーツ』が公開したコラム『政界地獄耳』で明言されると、再びネット上で注目を集めることに。
記事は『東京オリンピック・パラリンピック』組織委員会の高橋治之元理事が代表を務める会社が、スポンサーだった紳士服大手『AOKIホールディングス』から4500万円を受領していた件について、「日刊スポーツ」が独自に取材したもの。この騒動により、高橋治之元理事が専務をしていた「電通」にも捜査の手が伸びたそうだ。
高橋元理事を巡る騒動の中で、「日刊スポーツ」は《9月27日に予定される元首相・安倍晋三の『国葬』は捜査対象の『電通』が執り行うという。辞退はしないものなのか》と「電通」を糾弾。安倍元首相の国葬は「電通」が執り行うということが周知された。
国葬も金儲けの手段? 真偽はいかに…
まだ真偽は定かではない。しかし、「電通」の悪名ゆえか、ネット上では、
《このまま安倍晋三の国葬を強行すれば、東京五輪と同じように中抜きされ、また国民の税金が食い物にされてしまう》
《嫌悪という感情を通り越して自民党・統一協会・電通に対しては憎悪と怒りの気持ちしかない》
《日本の威信がかかっているんだから、電通なんてやめてくれ》
《電通は高橋まつりさんの葬儀も支援したのかな? 賠償は? どっちにしても国葬までやるとは。自民議員との癒着に絶句》
《国葬に電通が絡むって、なにこれ地上波で特別番組でも放送すんの?》
《これからTV中心のメディアコントロール始まって、日本中が国葬に大賛成してる風潮になる》
《喪服はAOKI、スタッフはパソナで、追悼ショップもやるんか?》
などといった批判の声が続出している。
「東京五輪」の業務委託やコロナ対策の業務委託、その他巨額の税金が動く際には、必ずと言っていいほど「電通」の名前が挙がる。そしてその都度、中抜きが行われ、巨額の税金が「電通」の利益になっていると報道されるが、一向に是正される気配もなく、政府のお友達企業と揶揄される事もしばしばだ。
ちなみに今回の国葬費用は、およそ2億円とのこと。この国は電通や統一教会を儲けさせるために機能しているのかもしれない。
●安倍チルドレンの私見「岸田さんの何とか弔ってあげたいという気持ちが…」 7/30
元衆院議員の宮崎謙介氏(41)が30日、ABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」(土曜前9・30)に生出演。参院選の街頭演説中に銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相の葬儀が秋に「国葬」として実施されることについて語った。
政治評論家の泉宏氏は、国葬について岸田氏の思惑を口に。「参院選を勝ったことによって、政治の構造は岸田1強になったわけです。その1強を踏まえて、岸田首相が“全てはオレが決める”とニュー岸田にチャレンジした」ことが形になったものだと予想した。
一方、安倍チルドレンの宮崎氏は「いろんな思惑はあると思うんですが、一番大きいのは岸田さんの感情論もあったと思うんですね」と述べて、岸田首相の純粋に安倍元首相を弔いたいという気持ちの現れだと予想。その理由について、「(2人は)当選同期で、年も近い、育った環境も近いので、青年局時代も一緒に全国を回ってるんですよ。安倍さんはお酒を飲めなかったんで、岸田さんが代わりに飲んであげる。そういう仲だったんで、突然安倍さんが亡くなられて、岸田さんはめちゃくちゃ落ち込んだと思うんですよ」と説明。そういった点を踏まえ、「何とか弔ってあげたいという気持ちが前に出て…という感情論が強いと思います」と主張した。
●私が安倍元総理の国葬に反対する理由…「嘘が通る社会」をつくったのは誰か 7/30
安倍元総理は、とても人柄がよかったと聞く。明るく朗らかで、腰も低く、誰とでも気兼ねなく接した人だったという。彼をよく知る人たちも、直接は知らない人たちも、誰もがその人柄をしのび、悼んでいる。
安倍さんほど、亡くなってからその死を惜しまれた総理経験者は、まれではないか。見栄えがよく、若々しく、物おじしない態度はサミットなどで外国の指導者たちと並んでも遜色なかった。そんな彼の姿を見て、誇らしいと感じた人も多かっただろう。
彼に人間的魅力があったことは確かだろうし、得難い人ではあったと思う。
だが、人柄だけですべてを語ることはできない。彼は公人であり、この国の政治的責任者だった。
有名人が亡くなり、世の中が“追悼モード”になると、日本人はすぐに人柄と業績をいっしょくたにして、“不都合な真実”はすべて水に流してしまう。人としての評価と、政治家としての評価は分けるべきだ。
安倍政権をよく言うなら、「憲政史上最長の7年8カ月の在任期間を誇り、アベノミクスで経済を牽引し、コロナと闘い、東京にオリンピックを再び呼び込むことに成功した政権」というところか。
だが、結果的に経済は回復せず、給与水準も上がらず、新しい産業も興らず、個人GDPでも韓国に抜かれた。
政治家としての安倍氏には、罪もある。最大の罪は「嘘が通る社会」をつくったことだと私は思っている。「モリカケサクラ問題」は消えたわけではない。その影響下で自ら命を絶った人もいる。それを忘れてはならない。
「桜を見る会」問題では国会で118回もの虚偽答弁をしながら、捜査は終結。水に流された。
総理にならってか役人までもが嘘をつき、彼を喜ばすためにいらぬ忖度をし、文書改ざんや統計の数字をごまかすようになった。最低だ。
この状況を招いたのは格差・能力差を是とする新自由主義思想であり、責任はそれを信奉して国をミスリードした安倍さんにある。
未来を担う子どもたちが総理大臣の嘘のことを知ったら、「総理大臣が許されるなら、自分が嘘をついてもきっと許される」と思うだろう。自分が嘘をつけば、必ずどこかで誰かが傷つく──。そんな当たり前のことがわからずに大人になり、「嘘をついても許される」と考える人間ばかりになったら、この国はいったいどうなるのか? そんな“悪い種”をまき、「嘘が通る社会」をつくったことが、安倍元総理のもっとも大きな罪といえるのではないか。
それゆえに、私は彼の国葬には反対だ。 

 

●安倍元首相国葬に反対53% 内閣支持12ポイント急落51% 7/31
共同通信社が30、31両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍晋三元首相の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計45.1%を上回った。岸田内閣の支持率は51.0%で7月11、12両日の前回調査から12.2ポイント急落し、昨年10月の内閣発足以来最低となった。不支持率は7.1ポイント増の29.5%。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政界の関わりについて実態解明の「必要がある」は80.6%、「必要はない」は16.8%だった。
●安倍元首相の国葬に反対 「国民に弔意強いる」「法的根拠ない」 鹿児島市 7/31
市民団体「憲法守ろう!ピースアクション」は31日、安倍晋三元首相の国葬に反対する街頭活動を鹿児島市の天文館で開いた。
約20人が参加。安倍氏が参院選の街頭演説中に銃撃され死亡したことについて、暴力への抗議と冥福を祈るとした上で「国葬は国民に弔意を強いる」と強調。プラカードを掲げ、「税金を使うのに、国会の議論がなく、法的根拠もない」などと訴えた。街頭アンケートも行った。
呼び掛け人の元県議会議員松崎真琴さんは「街頭では8割の人が反対だった。賛否が割れる問題を政府が一方的に決めないよう、一人一人が考えたい」と話した。
●辛坊治郎氏 「“国葬をすべきかどうか”って言うこと自体、死者に対する冒とく」 7/31
キャスターの辛坊治郎氏(66)が31日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」(日曜後1・30)に出演。参院選の街頭演説中に銃撃されて死去した安倍晋三元首相の国葬を、9月27日に東京の日本武道館で実施すると閣議決定したことに言及した。
国葬への賛否を問われ、辛坊氏は「どちらでもない。国葬は国家権力のあり方として過剰」と意思表示。続けて「私はね、安倍さんとは官邸でも話したことがあります。公邸に呼ばれて飯を食ったこともありますし、外で飯を食ったこともあります。私ね、特定の名前を出して“この人の国葬をすべきかどうか?”って言うこと自体がね、テレビでやるにはね、死者に対する冒とくだと思うんですよ。そんな議論はオレは嫌いだ!」と声を荒げた。
怒りは収まらず、「だけども、それとプラスして、国葬そのものに賛成か反対かと聞かれりゃ、大っ嫌いだ、俺は!」と主張。その理由について、「俺、世の中で一番嫌いなものは、北朝鮮の金日成の銅像っていうのがあるけど、ああいう国家権力の発露の仕方が大っ嫌いで、国葬も同じ匂いがするから俺は基本的に嫌いなんだ」と述べた。
辛坊氏は最後にもう一度、「だから、安倍さんの国葬をどうするかっていう議論はしたくない。国葬自体が嫌いなんだから、嫌いはしょうがねえだろ!」とキッパリと口にした。
  
 
 

 

●岸田内閣の支持率が急落! 国葬は「反対」が多数、決められない首相が裏目 8/1
本人も衝撃を受けているに違いない。岸田内閣の支持率が急落している。
共同通信が30、31日に実施した世論調査によると、内閣支持率は前回調査から12.2ポイントも急落し、51.0%だった。内閣発足以来、最低を記録した。一方、不支持率は7.1ポイント増の29.5%だった。
支持率が急落した理由は、国葬、旧統一教会、コロナの3つだ。
安倍元首相の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が53.3%に達し、「賛成」「どちらかといえば賛成」の45.1%を上回った。しかも、「賛成」17.9%、「どちらかといえば賛成」27.2%、「どちらかといえば反対」23.5%、「反対」29.8%と、4択のうち「反対」が最大だった。
政府のコロナ対応を「評価する」は前回比7.7ポイント減の53.3%、「評価しない」は5.9ポイント増の42.2%だった。「感染防止」と「経済活動」のどちらを優先すべきかは、「どちらかといえば」を含めて、「感染防止」51.9%、「経済活動」46.2%だった。
また、旧統一教会と政界の関わりについて実態解明の「必要がある」が80.6%だった。
「国葬」実施も、コロナ対応について「経済活動」重視に舵を切ったのも、岸田氏本人の「決断」だったが、完全に裏目に出た形だ。
もともと、決断力のない岸田首相は、なにを聞かれても「検討したい」と繰り返し、決める時も世論の風向きを見ながら決めてきたが、参院選の大勝をキッカケに自信を深め、自ら「決断」するニュー岸田に変身しようとしていたという。特に「国葬」は、党内に根回しもせずに決めている。しかし、慣れないことをやって大ヤケドをしている。
「リアクション型の岸田さんは、世間が右なら右、左なら左というスタイルでやってきた政治家です。“なにをやりたいのか分からない”という批判も強かったのでスタイルを変えようとしたのでしょうが、支持率が下落したことで、またリアクション型に戻る可能性がある。しかし、統一教会の問題は長期化する可能性があり、国葬の問題も当日の9月27日までつづくはず。コロナ感染も拡大する恐れがある。決断しないリアクション型では、さらに支持率が下落する危険があります」(自民党関係者)
この先、支持率の下落がつづけば、「黄金の3年」どころか、一気に“死に体”となってもおかしくない。
●五輪汚職で強制捜査中なのに…安倍元首相の国葬も電通案件? 8/1
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事の収賄疑惑について、東京地検特捜部による大規模な捜査が続けられていますね。7月26日には高橋元理事の自宅と以前の勤務先である電通本社が家宅捜索を受け、翌27日には東京都庁内にある組織委員会の清算法人と贈賄側のAOKIホールディングス・青木拡憲前会長の自宅にも家宅捜索が入りました。
26日の朝、電通のビル近くを通りかかると、たくさんのマスコミが囲んでいるのが見えたので、「今日は高橋元理事のことで電通にも何かあるんだな」と思っていたところでした。高橋元理事が自宅から連行される様子も報道されていましたね。自宅前にも報道関係者が押しかけていたのでしょう。
それにしても、なぜ報道関係者は家宅捜索のスケジュールを知っているんですかね。編集者さんは「検察や警察は家宅捜索の場面を撮ってほしいので、記者クラブには教えてくれますよ」と言っていましたが……。
その後、AOKIホールディングスや広告大手のADKホールディングスにも家宅捜索が入り、4日連続の家宅捜索が行われています。
安倍元首相の国葬は強制捜査中の電通が仕切る?
今回の贈収賄疑惑の第一報は7月20日で、そこから1週間で大規模な家宅捜索が行われていますから、検察はかなり前から捜査を進めていたということですよね。
報道によると、青木前会長は高橋元理事に総額およそ4500万円の金銭を提供していたとされ、特捜部の任意聴取に対して金銭の提供を認めているということです。
組織委員会は6月30日に解散していますが、関係者によると「お疲れ様会」で「強制捜査が近い」という話でもちきりだったそうで、検察の本気度を感じますね。お疲れ様会は、第一報が出る少し前に都内のビアガーデンを貸し切って行われたようです。
それにしても、検察が動員した捜査員の人数がすごいです。都庁を訪問した都民のみなさまや都庁職員は「検察軍団」の数に驚かれたと思いますよ。小池百合子都知事は「とても残念なことです。都は組織委員会に対して、捜査に全面的に協力するよう伝えてある。これからの推移を注視していきたい」とコメントしていましたが、組織委員会の橋本聖子元会長もほぼ同じコメントでしたね。
この件については、政界の反応は薄いです。有権者から問い合わせの電話が来ることもありますが、オリンピックはすでに終わっていますからね。国会議員が関わっている事案でもなく、票にもつながらないので、関心が薄いのでしょう。こういうところも、なかなか「国民目線」になっていないですよね。
しかも、強制捜査中なのに、安倍晋三元首相の国葬は電通が仕切ることが報じられていますね。確かにイベントとしての葬儀を行うノウハウとスタッフを揃えているのは電通だけなのでしょうが、国民の感情を考えると微妙です。
「陸山会事件」とまったく変わらない構図?
今回の強制捜査で思い出すのは、小沢一郎衆議院議員の資金管理団体「陸山会」をめぐる陸山会事件です。ざっくり言うと、岩手県内の建設会社から陸山会への闇献金追及のための捜査でしたが、結果的に小沢議員は逮捕されず、秘書らが逮捕されて有罪判決を受けました。この建設会社の社長は、公共事業の談合に期待して5000万円を献金したと証言しています。
報道でしかわかりませんが、青木前会長も、お金で何でも思い通りになると思っている感じがしますね。昭和の頃はそれも通用したかもしれませんが、今はそういう時代ではありません。……と思いたいのですが、今もお金で何でも解決できると思う人と、それを利用したい人の関係は続いているということです。
電通の専務を務めた高橋元理事は一般的な知名度こそ低いですが、オリンピック・パラリンピックのほか、サッカーワールドカップや世界陸上などのイベントではとても有名な方でした。「現代ビジネス」は「スポーツの祭典のドン」と紹介しています。
まあ永田町には今でも「カネならいくらでも払うぞ」という電話はかかってきますし、「お金を払えば解決できます」と持ちかけて、お金だけもらう秘書もいますからね。ほとんど詐欺ですが、騙された方も悪いので黙っているのでしょう。
高橋元理事の件にどこまで捜査のメスが入るのかはわかりませんが、「お金を払えば思い通りにできるわけではない」ことを学習していただきたいです。今は神澤の事務所でも、危機管理の一環として、契約などの作業はすべて責任者を明確にして記録していますよ。 
●安倍元首相「国葬」 反対75% 賛成21% 8/1
政府が閣議決定した安倍晋三元首相の国葬について、長崎新聞社は7月25、26の両日、読者との双方向情報窓口「ナガサキポスト」のLINE(ライン)で賛否を尋ねるアンケートを実施した。1040人から回答があり、「反対」「どちらかというと反対」が計75.6%に上り、「賛成」「どちらかというと賛成」の計21.3%を大きく上回った。森友、加計両学園、桜を見る会といった諸問題への不信感が根強く、国葬の基準が明確でないとして国費(税金)を投入することへの批判が目立った。
アンケートはナガサキポストに「友だち」登録している人を対象に実施。無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なる。スマートフォンを持っていないなどの理由で登録できない読者も一部いたため、記者らが回答を聞き取り集計に加えた。
回答者の内訳は男性54.3%、女性45.2%。年代別では60代が32.2%、50代が25.6%と多く、70代16.3%、40代14.5%、30代7.3%、20代2.2%、80代1.2%、10代0.7%、90代以上0.1%の順。10代を除く各世代で“反対派”が“賛成派”を上回った。
反対の理由は、森友、加計両学園、桜を見る会の問題について「(安倍氏や政府の)虚偽答弁や不誠実な対応は国民に大きな政治不信を招いた」(長崎市・50代会社員男性)といった批判が多かった。
憲法解釈変更による集団的自衛権行使の一部容認などは「国会で議論を尽くしたとは言えない。強引な政権運営は民主主義を軽んじた」(諫早市・60代主婦)との指摘も。安倍氏銃撃事件をきっかけに浮上した宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と政治家の関係への疑念もあった。
岸田文雄首相が「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示す」と訴えていることについても、「安倍氏の政治的信条に対して起きた事件ではない」(長崎市・40代公務員男性)などと疑問視する意見が複数あった。新型コロナウイルス禍で国民生活が苦しい時期に税金で弔うことや、国葬の基準の不明確さなど岸田政権への不満も目立ち、「国費で賄うと弔意の強制につながる」(同市・60代無職男性)、「安倍氏を神格化する動き」(同市・50代会社員男性)との懸念もあった。
一方、賛成の理由は憲政史上最長の首相在任期間(8年8カ月)や外交手腕を評価する声が多かった。「史上最長の在任期間の総理大臣に対し国が敬意を表すのは当然」(佐世保市・40代会社員男性)、「日本の政治、外交、発展に多大な貢献をした」(同市・30代公務員女性)、「国の威信を高めた。国葬にすることで弔問外交が展開され価値がある」(長崎市・60代男性)などの意見が聞かれた。
また「分からない・どちらでもない」と回答した人は3.2%。「なぜ自民党と有志の葬儀にせず国葬にするのかしっかり説明してほしい」(大村市・50代自営業女性)との要望もあった。

 

●基準づくり進まぬまま安倍氏の国葬実施へ  8/2
政府が安倍晋三元首相の国葬を閣議決定したのは根拠が不明確として野党が説明を求めていることに関連し、吉田茂元首相の国葬後の1960年代の国会論戦で、当時の自民党の閣僚たちが国葬について「何らかの基準が必要」「検討が必要」と答弁していたことが国会会議録から分かった。しかし、基準づくりは進まず、今回も根拠が曖昧なまま国葬は行われる。(大野暢子、山口哲人)
会議録によると、吉田氏の国葬(67年10月31日)の翌年の68年5月の衆院決算委員会で、社会党議員が「政府の思い付きで(国葬を)やることは承服できない。国会、国民が納得する(対象者の)基準を発表する必要がある」と質問。水田三喜男蔵相(当時)は「何らかの基準をつくっておく必要がある」と答弁した。
69年7月にも別の社会党議員が参院内閣委で、65年に死去した池田勇人元首相を挙げ「吉田氏と同じ首相をやっても何もなかった。ある程度の基準に基づいて国葬を行うべきだ」と指摘し、関連法の制定を要求。床次徳二総理府総務長官(同)は「いろいろ懸案がある。それでいいというわけではなく、検討しなければならない」と答えた。
だが、その後は議論が停滞。安倍氏の国葬を所管する内閣府の担当者は取材に「内閣府が設置された2001年以降は国葬の基準などを検討していない」と説明。設置以前は確認できないという。
 安倍氏の国葬実施の根拠とされた内閣府設置法4条には所掌事務として「国の儀式(略)に関する事務」とあるが、対象者の基準までは示されていない。
内閣法制局が歴代の憲法解釈をまとめた内部資料には、国葬に関する法整備について「(誰が対象になるか)個々の場合に法律の根拠を必要とするとはいえない」との記述がある。担当者は解釈として有効との認識を示すが「いつから(資料に)盛り込まれたか確認できない」と説明した。
共同通信社が7月30、31両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍氏の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53・3%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計45・1%を上回った。
安倍氏の国葬を巡っては立憲民主党や共産党、れいわ新選組、社民党が反対を表明。8月3日に召集される臨時国会の会期を十分に確保し、国葬に関する説明責任を果たすよう政府・与党に要求している。
近現代の国葬を研究する上智福岡中学高等学校(福岡市)の前田修輔教諭の話
首相経験者の国葬は時の政権がその系譜を肯定し、政権の正統性を主張することにつながる行為だ。政府が国葬に関する法律や基準をつくらなかったのは、国葬が政治家の顕彰と深く結び付いており、議論を始めれば、世論の反発を招きかねないと判断したからだろう。安倍氏の国葬に対しても、吉田氏の時と同様の批判が繰り返されている。
●《また電通》高橋元理事疑惑だけじゃない、安倍元首相「国葬」も…? 8/2
終わったはずの東京五輪がまた盛り上がってまいりました! こちらです。『「五輪マネー」捜査のメス』(日経新聞7月31日)《東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之元理事(78)と大会スポンサーのAOKIホールディングス(HD)の資金授受を巡り、東京地検特捜部の捜査が本格化している。》
高橋元理事は「電通OB」
高橋元理事は電通OBで「スポーツビジネスの第一人者」「電通のプレゼンスを高めた大物」という。「スポーツ分野で高橋さんの意見は絶対。退社後も古巣の電通と強いつながりを保っていた」という電通関係者のコメントも。
高橋氏はすでに判明している約4500万円のコンサルタント料とは別に、AOKI側から約2億3000万円を受領した疑いがあるとの報道も出てきた。
実はこの件は新聞読み比べネタとしても興味深いのです。まず読売新聞が「スクープ」を次々に放った。
〈『五輪組織委元理事 4500万受領か 東京大会スポンサーAOKIから 東京地検捜査』(7月20日)
『「五輪で力借りたい」AOKI社内メール 東京地検入手』(7月21日)
『AOKI商品 審査せかす 元理事、担当者に 販売承認』(7月22日)〉
これらの「スクープ」にギョッとする一方で、私は第一報の日付に感心してしまった。組織委員会は6月末で解散、参院選がおこなわれた10日後の「スクープ」なのである。各方面が一息ついた絶妙なタイミングに思えた。
新聞各紙の報道をチェックしてみた
AOKIは東京五輪のスポンサーであるが、それより上位のスポンサーが「新聞」であることも注視したい。五輪の4種類のスポンサーのうち、3番目にランクされる「オフィシャルパートナー」が朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞。4番目の「オフィシャルサポーター」が産経新聞、北海道新聞だった。←AOKIはここ。
自分も五輪の太いスポンサーだった新聞はちゃんと追及できるのか? すると朝日新聞の社説がこの件を扱っていないことに気づいた。
   読売『巨額マネー巡る不正の解明を』(7月27日)
   産経『五輪取り巻く悪弊を断て』(7月27日)
   日経『五輪巡る疑惑の徹底解明を』(7月28日)
   毎日『「五輪とカネ」徹底解明を』(7月28日)
   東京『東京五輪汚職 利権の構造を解明せよ』(7月29日)
他紙は社説で取り上げたのに朝日社説は今もスルーしている(8月1日時点)。これだけの大ネタを第一報から10日以上経っても触れないのは不思議。ふだん社会正義だとか汚職には厳しいのになぜなのか。まさか自分も東京五輪のスポンサーだからこの件は扱いたくない?
社説どころか、私は新聞社が五輪のスポンサーになって感じたメリット・デメリットを総括した記事が読みたいのです。五輪とカネについてどう思っているのかスポンサー視点で書いてほしいのである。マスコミが振り返らないと「アスリートは商売の盾にされているのでは」という疑念は晴れないままだからだ。それとも、何の総括もなくこのまま札幌冬季五輪も支援するの?
「6404億円が追跡困難」
オフィシャルパートナーの新聞社のなかで東京五輪の運営に比較的ツッコんでいると感じるのは毎日新聞だ。次の記事はAOKIの件が出る前のもの。
『東京五輪 6404億円追跡困難 解散の組織委 情報公開対象外』(7月7日)
ろ、6404億円が追跡困難?
大会経費は総額1兆4238億円。このうち、組織委が最も多い45%(6404億円)を占める。都が42%(5965億円)、国が13%(1869億円)をそれぞれ負担。
《しかし、国や都が作成した文書は情報公開制度の対象であるのに対し、組織委は公益財団法人のため制度の対象外で、経費の全体像について解明できない仕組みとなっていた。》
多額の税金を使ったのにこんなゴキゲンな仕組みとは。逃げ足の早さは金メダル級だ。記事の最後に書かれていた部分が今回のスキャンダルにもつながっている。
《東京大会では招致段階から経費に関する不透明さが問題視されていた。招致に使われた海外コンサルタント費計9億円余の支出を裏付ける会計書類の所在が不明になっていたことが、19年11月の毎日新聞の報道で明らかになっている。》
“あの男”の名前がまた浮上
思い出してきませんか? 東京五輪の招致委員会がシンガポールの会社にコンサルタント料の名目で振り込んだカネが、IOC関係者に流れた贈賄容疑があったことを(今もフランス当局が捜査している)。
そこで出てくる名前が……
《一連の疑惑報道では高橋元理事の名前も取り沙汰された。》(毎日新聞7月27日)
出ました高橋元理事! さらに、
《ロイター通信は20年3月、高橋元理事が「招致委から約820万ドル(同約8億9000万円)を受け取り、IOC委員らにロビー活動をしていた」と報じた。》
毎日の記事のタイトルはずばり『東京地検捜索 「電通五輪」捜査のメス』(7月27日)である。電通五輪かぁ〜。NHKのドキュメント「河瀬直美が見つめた東京五輪」も「河瀬直美が見つめた電通五輪」に訂正しないといけない。
安倍元首相「国葬」も電通が…?
日刊スポーツのコラム「政界地獄耳」は『疑惑の最中にも札幌五輪招致活動続けるJOC 』(7月27日)のなかで、
《多くのほころびが見えてきているが、9月27日に予定される元首相・安倍晋三の「国葬」は捜査対象の「電通」が執り行うという。辞退はしないものなのか。》
え、安倍元首相の国葬も電通が仕切る!? この部分、私もツイートで紹介したらかなり反響があった。すると日刊ゲンダイがご丁寧にも電通に問い合わせたのである。
《電通に問い合わせると「当社は回答する立場にございません」とのことだった。》(『安倍元首相「国葬」はまさかの“電通案件”「五輪汚職」特捜部ガサ入れで注目』7月29日)
ある電通OBは「電通以外の代理店が国葬を受託することは“1万%”ないでしょうね」とも(同記事)。
電通五輪に電通国葬。五輪組織委のスキャンダルを今も扱わない朝日新聞の社説。世論が二分する「大イベント」の近況でした。
●安倍元首相国葬や旧統一教会、コロナの問題…荒れる国会になる 8/2
共同通信が先月の30、31両日に行った世論調査では、元首相・安倍晋三の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53・3%を占めた。岸田内閣の支持率は51・0%で7月11、12日の前回調査から12・2ポイントも急落し、内閣発足以来最低となった。旧統一教会と政界の関係も解明の「必要がある」は80・6%、「必要はない」は16・8%だった。
その首相・岸田文雄は31日、旧統一教会と現職の閣僚や自民党議員との関係が発覚していることに元首相の銃撃事件後、初めて言及し「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思う」と人ごとのように発言。自民党総務会長・福田達夫が「僕の今の理解の範疇(はんちゅう)だと、何が問題か僕はよくわからないです」と発言し大炎上した翌日の発言とは思えぬピントのずれ方だ。岸田内閣の現職の文科相・末松信介、経産相・萩生田光一、防衛相・岸信夫、国家公安委員長・二之湯智が教団や関連団体と接点があることが明らかになっている。文科を除く3大臣は国家安全保障会議のメンバーであることは過誤できない。
首相は銃撃事件後、国葬についてもすぐに言及し保守派を沈静化させたが、今では国民の半数以上から反対と言われている。また3日から5日まで開かれる臨時国会での安倍の追悼演説も延期になった。国家公安委員長は「我が国の威信をかけ、警備を万全にすべく警察庁を指導する」としているが、内実はどんどん自民党・内閣葬に近づいており官房長官・松野博一は「国葬当日を休日にすることは検討していない」など平時の生活を国民は送るようだ。臨時国会後、夏休みに突入し9月末の国葬まで、コロナの「2類」「5類」の議論で済むと思っているのか。その後、様子を見て内閣改造に踏み切るのだろうが、荒れる国会になるのは間違いない。
●地元・山口の安倍晋三事務所の献花 終わった瞬間にゴミ収集車が回収 8/2
7月8日、凶弾に倒れた安倍晋三・元首相。9月27日に日本武道館で国葬が実施されることが決まり、改めてその存在感の大きさがうかがえる。
亡くなった直後から、安倍氏が演説を行なっていた奈良県・西大寺駅前や、地元である山口・下関の安倍事務所に設けられた献花台には、ひっきりなしに人が訪れていた。気になるのは、その献花の行方である。
西大寺駅前の献花台に供えられた花は、ボランティアが定期的に段ボールに移し替えてトラックに積み込んでいた。その後、「回収された花は肥料になる」(ボランティア)という。一方、山口・下関の安倍事務所に供えられた花の行き先は違っていた。
安倍氏が亡くなって1週間が経った7月15日、真夏の日差しの中、安倍事務所に設置された献花台にはまだ人の列が絶えなかった。家族連れなどが続々と詰めかけ、車で遠方から訪れている人もいた。
その日、午後5時を過ぎると青色のゴミ収集車が事務所の裏口にある駐車場に止まった。すると事務所から出てきた礼服姿の後援会関係者とみられる男性が、無言で集まった花を収集車に詰め込んでいたのだった。下関市で廃棄物処理業を営む会社経営者がこう話す。
「安倍事務所にあった献花は、事務所から依頼を受けてうちの会社が回収しました。急な依頼だったので、当日空いていた従業員が回収車を運転して直接引き取りに行きましたね。お引き取りしたものは、一般廃棄物として他のゴミと一緒に処分させていただきました」
ちなみにこの会社経営者は安倍氏を支援していたという。肥料にはならず、ゴミとして処分された安倍事務所の献花。後援会関係者は口惜しそうにこう語った。
「銃撃の話を聞いてすぐ、安倍事務所には後援会の幹部が集まり、安倍さんの死亡が伝わると涙する人もいた。すぐに献花台を準備しなくてはという話になり、設置させてもらいました。当初は、献花は7月12日の19時までと予定していたのですが、人の流れが途切れないため、7月15日の17時まで延長されることになったんです。お花は安倍さんが亡くなられた翌日から続々と届き、一時は『下関中の花屋から花が消えた』と言われていたほど。事務所の中に設けていた献花台に花をずっと置いていたのですが、夜はエアコンを切っていたため、傷みが早い花もあった。そうしたものは事務所の裏のほうに避けていたのですが、それでもスペースが足りなくなってしまい……。仕方なく、ゴミとして回収していただくことにしたんです。事務所の中は本当に花でいっぱいになっていて、それが安倍さんへの市民の気持ちだと思うと胸が一杯になりました」
安倍事務所に献花に来ていた60代の男性はこう話す。
「私は安倍晋太郎さんの代からの安倍家支持。今回のことは本当に信じられない。安倍さんは下関という狭い考えではなく、日本という大きな視野で政治を行なっていた人。とにかく残念で悔しい。もう1回、安倍さんが総理になっても良かったと思っていました」
16歳の高校生は、「安倍さんの事件を知って、とにかく献花をしに行かなければと思って来た」と言う。
「未だにこれが日本で本当に起こった事件なのか信じられない。今まで政治とか考えていなかったのですが、これを機会に考えていきたいと思いました。選挙権がもらえる歳になったらもちろん投票しに行きますが、安倍さんがいないので、自民党に投票するかどうかは分かりません」(同前) 
●安倍晋三元内閣総理大臣の「国葬」に反対し、撤回を求める会長声明 8/2
東京弁護士会 会長 伊井 和彦
1 2022年7月8日、安倍晋三元内閣総理大臣(以下「安倍元首相」という)が、参議院選挙の街頭応援演説の最中に銃撃され死亡した。当会は、このような選挙の応援演説中の政治家に対する銃器等を用いた襲撃は、加害者の動機等に関わらずその行為自体が民主主義に対する重大な脅威であると判断し、これを糾弾し抗議する会長声明を本年7月11日に発した。
しかしながら、岸田内閣が、本年9月27日に安倍元首相の「国葬」を行うと決定したことについては、民主主義の観点からも、また国民の思想・信条の自由の観点からも、重大な懸念があり、これに反対するものである。
1人の政治家の死を葬儀の場で悼むことは、主義主張に関わりなく行われて然るべきであるが、安倍元首相の葬儀は既に親族において執り行われている。それにもかかわらず、政府が敢えてそれとは別に、閣議決定により「国葬」という儀式を執り行う意味が、問われるべきである。
2 そもそも「国葬」は、明治憲法下においては天皇の勅令である「国葬令」に基づき行われていたが、「国葬令」は憲法に不適合なものとして「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」第1条に基づき1947年の終了をもって失効しており、「国葬」を行うことについても、その経費を全額国費から支出することについても、現在は法的根拠がない。
1967年に吉田茂元首相の「国葬」が実施された際には、翌年の国会答弁で当時の大蔵大臣が「法的根拠はない」と答弁しており、1975年に佐藤榮作元首相が死亡した際に「国葬」の実施が検討されたときも、「法的根拠が明確でない」とする当時の内閣法制局の見解等によって見送られた経緯がある。
政府は、今回「国葬」を行う法的根拠について、内閣府設置法(1999年制定)第4条3項33号で内閣府の所掌事務とされている「国の儀式」として閣議決定をすれば実施可能との見解を示しているが、そもそも内閣府設置法は内閣府の行う所掌事務を定めたものにすぎず、その「国の儀式」に「国葬」が含まれるという法的根拠もない。
したがって、政府が経費を国費から支出して「国葬」という形の儀式を行うことは、法的根拠がない以上、認められない。
3 また、政府は、安倍元首相を「国葬」とする理由について、「歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政・外交で大きな実績を残した」などとしているが、政府が特定の政治家についてその業績を一方的に高く評価し、その評価を讃える儀式として「国葬」を国費によって行うことは、その政治家に対する政府の評価を国是として広く一般国民にも同調を求めるに等しい。その政治家への評価は、主権者たる国民の一人ひとりが自らの意思で判断すべきことである。
政府は、今回の安倍元首相の「国葬」においては、国民に対し弔意の表明や黙祷等は求めないとしているようであるが、戦後唯一の「国葬」となった1967年の吉田茂元首相の「国葬」の際には、「歌舞音曲を伴う行事は差し控える」「会社、その他一般でも......哀悼の意を表するよう期待する」との閣議決定がなされ、テレビ・ラジオでは娯楽番組の放送が中止され、全国各地でサイレンが鳴らされ、学校や職場で黙祷が事実上強要された事案も発生した。
今回も「国葬」が近くなれば、安倍元首相の「国葬」に対する忖度から、公的機関のみならず民間機関に対しても同様の有形無形の同調圧力がかかることは容易に予想され、弔意の表明の事実上の強制が行われかねない。現に、兵庫県や北海道の一部自治体の教育委員会が学校現場に「国葬」の際の半旗の掲揚を求めたという報道もあり、忖度と同調を求める動きは今後も拡がることが予想される。
このように「国葬」の実施は、国民に対して特定の個人に対する弔意を事実上強制する契機をはらむものであり、国民の思想・良心の自由(憲法第19条)との関係で好ましくない状況がもたらされかねない。
4 当会は、安倍元首相の在任中に行われた教育基本法改正、イラク特措法の延長、教育三法改正(以上第一次安倍内閣)、特定秘密保護法制定、労働者派遣法改正、集団的自衛権行使を容認する閣議決定、安全保障関連法の制定、共謀罪の制定、検察庁法の改正(以上第二次安倍内閣)等について、立憲主義及び憲法の基本理念に反するという立場から反対する旨の会長声明等を繰り返し発出してきた。特に集団的自衛権の容認と安全保障関連法の制定については、当会を含む全ての弁護士会が一致して明白に違憲として反対し、現在もその廃止を求めている。それにもかかわらず、これらの安倍内閣の各政策を国に対する功績と評価して安倍元首相の「国葬」を行うことは、立憲主義及び憲法の基本理念を揺るがすものであり是認できない。
また、安倍元首相が在任中及び退任後も声高に主張し、今後の国会における争点となり得る「憲法9条への自衛隊の明記」「緊急事態条項の設置」等の改憲や敵基地攻撃能力保持等の議論においても、「国葬」によって安倍元首相の意見を国是のように扱うことが起りかねない危惧もある。
5 当会は、安倍元首相の「国葬」にはこのような憲法理念上の問題点が多々あることから、これに反対し、政府に撤回を求めるものである。
●安倍晋三元首相の国葬 若者は賛成、高齢者は反対が多い 8/2
安倍晋三元首相の国葬について、テレビや新聞、通信社による世論調査が次々と公表されている。際立つのは世代間ギャップだ。年齢層の若い世代では、国葬に「賛成」が多数を占めるが、高齢者では、「反対」が多くなっている。
年齢層で回答が異なる
FNNは2022年7月23、24日、全国の18歳以上の男女を対象に電話で世論調査した。国葬決定について、「よかった」が31.0%、「どちらかと言えばよかった」が19.1%。あわせて50.1%の人が「よかった」。一方、「よくなかった」は32.1%、「どちらかと言えばよくなかった」は14.8%。あわせて46.9%の人が「よくなかった」と答えた。
特徴的だったのは、回答者の年齢層によって、「よかった」「よくなかった」が分かれたこと。「どちらかと言えば」も含めると、18〜19歳を含めた20代は、「よかった」67.3%、「よくなかった」31.4%。30代は、それぞれ62.7%と30.3%。40代は、52.5%、46.7%。50代は、44.4%、51.7%。60代は、44.4%、54.2%。70歳以上は、39.1%、57.0%。
年齢の若い人ほど「よかった」と答える人が多く、年齢の高い人ほど「よくなかった」と答える人が多かった。
日経新聞も7月29〜31日に電話世論調査を行い、国葬の賛否を聞いた。それによると、「賛成」43%、「反対」47%。「賛成」は18〜39歳では57%、40〜50代では45%、60歳以上では38%だった。
だんだん「賛成」が減る
奈良市で7月8日、参院選の応援演説中に銃撃されて亡くなった安倍元首相について、14日には、政府が国葬の方針を固めたと報じられ、22日に閣議決定された。
NHKが7月16日から3日間実施した電話世論調査では、政府の国葬方針について、「評価する」が49%、「評価しない」が38%だった。
共同通信社が30、31両日に実施した全国電話世論調査によると、国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」が計45.1%だった。
FNNや日経の調査も含めて、全体として、調査時期が新しくなるにつれて「賛成」が減って、「反対」が増えている。NHKや共同通信の調査では世代別の詳細は報じられていない。
地方紙はSNSアンケート
同じような調査は地方紙もSNSで実施している。
熊本日日新聞は「SNSこちら編集局」(S編)の登録者を対象にアンケートを7月15〜19日に国葬の是非を聞いている。「どちらかといえば」を含めて賛成42.9%、反対49.6%となり、反対がやや上回った。
年代別では、20代以下は「どちらかといえば」を含む賛成が59.4%を占めた。30代も賛成が51.4%。これに対し60代は、「どちらかといえば」を含む反対が60.4%と多数で、70代以上も反対56.4%、50代も反対52.5%だった。40代では賛否がほぼ並んでいた。
鹿児島の南日本新聞「こちら373(こちミナ)」も、LINEの「こちミナ」に友だち登録した人を対象に22?23日、アンケートを実施した。「反対」「どちらかといえば反対」を合わせた反対が計72.2%。「賛成」「どちらかといえば賛成」の計23.1%を大きく上回った。
両紙よると、反対の理由では森友・加計学園問題などへの批判が目立ったという。
「様々な意見」は承知
森友学園問題をめぐっては裁判が続いている。MBSニュースによると、自殺した財務省近畿財務局の元職員・赤木俊夫さんの妻、雅子さんへの尋問が7月27日に行われた。雅子さんは、安倍晋三元総理の銃撃事件に初めて言及し、「黒い疑惑のまま安倍さんが国葬されてしまうと、まるで良い事しかしていないようなそういうイメージを抱くと思うんですね」と語っている。
産経新聞によると、磯崎仁彦官房副長官は 7月25日の記者会見で、国葬について、「さまざまな意見があることは承知している」と述べた。その上で、安倍氏を国葬とする理由として、憲政史上最長の8年8か月にわたって国政を担ったことや東日本大震災からの復興、国内外から幅広い弔意が寄せられていることなどを挙げ、「こうした考え方を国民に説明していく考えだ」と強調した。
●山口で墓参した昭恵夫人、国葬に後継者問題、今後の生活と問題山積み 8/2
安倍晋三元首相の銃撃事件から3週間以上たった。8月1日には、昭恵夫人が襲撃後初めて地元・山口県に入り、厳重な警備体制のなか、安倍家の墓に手を合わせた。
「報道によれば、昭恵夫人は3日まで滞在する予定で、支援者らと山口4区の後継問題についても話し合いが持たれるようです。『昭恵さんを後継者に』といった声も出ていますが、7月21日の安倍派総会で、すでに立候補しない考えを示しています」(政治部記者)
後継者問題もさることながら、昭恵夫人の前には心配事が山積している。最大の問題は、9月27日に実施予定の国葬についてだ。
「安倍元首相が亡くなって、すぐに自民党内では国葬に関する議論が始まりました。岸田首相は国葬の実施を宣言しましたが、昭恵夫人の意向は確認されていなかったといいます。妻である昭恵夫人に聞く前に国葬を決定してしまったとなれば、胸中穏やかではないはずです」(同)
今後の生活についても、見通しが見えない。
「現在、昭恵夫人が住んでいる渋谷区富ヶ谷のマンションは、安倍元首相の母・洋子さんと長兄・寛信氏が共有している物件です。子宝に恵まれなかった夫婦ですから、昭恵夫人と安倍家のつながりは晋三さんしかいなかった。晋三さん亡きいま、あっさりとあの家を出る可能性も考えられます」(同)
愛する夫を亡くし、ゆっくり悼む間もなく降りかかる数々の問題。ネット上では、昭恵夫人の心労を気にかける声が相次いでいる。
《安倍昭恵さん山口入り、後援会で後継者相談。本当に心労がたまっていると思う。お母様共々、ご無理なさらぬようご自愛下さい》《後継者だなんだとめんどくさいな 昭恵さんはゆっくり思い出に浸り悲しむ暇もないんか》《昭恵未亡人が可哀想だよ。夫の四十九日法要もしてないのに、もう選挙利用させられようとしてるんだもの。政治にまるっきりタッチしてこなかった人だし、何より今は故人との思い出に耽っていたかろうに》

 

●安倍元首相の国葬は必要か? 現役僧侶たちが語る「弔いの本質」 8/3
参院選の遊説中に銃弾に倒れた安倍元総理の国葬が9月27日に行われる。葬儀委員長は岸田総理が務めることが決まったが、市民団体のメンバーらが首相官邸前で「国葬反対」デモを行うなど、波紋が広がっている。
ネットでも《国葬自体に反対なのではなく、ただでなくても物価の値上がりなどで生活が逼迫している中で、国税を使うことに対して反対の声が上がるのは当然》《安倍氏を悼むことは大切だが、天皇陛下と同じ国葬にするのはやりすぎなのでは》《7月12日の増上寺のお見送りで充分、弔いにはなってると思う》など、安倍氏を悼むことは大切としながらも、国葬に拘る政府に対しての不満がの声が噴出。ツイッターでも〈#安倍国葬より国民を助けてください〉〈#安倍晋三の国葬に反対します〉とハッシュタグがつけられた声が拡散した。
国葬は「弔い」として、本当に必要なのか? 現役僧侶たちの率直な意見を聞いた。
国民の一人としての僧侶の思い
「あくまで個人の意見にはなりますが、私は弔い自体は個人によるものという感覚を持っています。それはそれぞれの家の祖霊の祀りは、その家の方々が主体となるという考え方です。一方、国葬というものは、現代の日本において政治の問題であり、個人の弔いとは別の物だと感じています。これは会社の社葬がお別れの会に変質していった経緯などの例を考えると、喪を介しての社交であり、葬儀の社会的側面からは肯定されるものですが、個としての弔いとは、いささか乖離があるように感じます」
こう語るのは、浄土宗の僧侶である吉田龍雄氏。ただ、「僧侶として国葬の必要性を否定することは難しい」としながらも、一国民としては「国葬には反対」という意見のようだ。
また、真言宗の足立信行氏も「弔いや葬儀は何度、実施しても問題はない」としながらも、安倍元総理を国葬として弔うかに関しては「慎重であるべき」とこのように答えた。
「国家のために殉じた方を弔うことは必要ですが、日本は法治国家ですので感情を優先に国葬をするのは良くありません。国民が相当程度認められ得る過程や法整備を踏まえた上でやることが重要です。弔いの儀式として考えた場合、現代でも密葬と本葬で2度葬儀が行われることはあります。故人を何度も弔うことに直接の問題はなく、実際、葬儀のやり直しは今増えています。ただ儀式の観点から言えば、一度の葬儀で弔いは完了しているから国葬は不要だという声も理解できます。大切なことは弔いの観点のみで考えるのではなく、密葬と本葬といった葬式の観点から捉えることも重要ということです。悲嘆の感情や社会的存在との区切りという観点から、国葬は必要だという考え方もできると思います」
国葬に対する違和感の元となっているのは、国民が安倍氏を悼む気持ちを誰かに利用されていると感じるからなのではないだろうか? 「国の葬儀」と言いながら、国民の血税を使うにも関わらず、一方的に国葬を行うという政府の発表自体が、「国民が蚊帳の外」だと感じるゆえんだろう。
政治的な観点で行われる「国葬」が本当に必要なのか? 「本当の弔い」とは何かを今一度、考えるべきなのかもしれない。
●強引すぎる「国葬」裏事情 麻生副総裁の進言で「国民葬」から転換か 8/3
安倍晋三元首相が凶弾に倒れてから3週間余り。岸田文雄首相は安倍氏に「大勲位」という栄典を授け、1967年の吉田茂元首相以来となる戦後2例目の国葬実施を決めた。国論を二分する国葬に踏み切った岸田首相の意図を検証する。
自民党が圧勝した参院選の余韻が漂う7月11日、自民党本部で開かれた臨時役員会の席上、党四役の一人がこう訴えた。
「安倍元首相の葬儀は国葬にすべきだ!」
他の保守系役員からも「国葬」を求める声が相次いだほか、党内の保守系議員グループからも同様の意見が官邸に寄せられていた。
政府関係者はこう話す。「安倍氏は首相在任中、毀誉褒貶が激しかったため、岸田文雄首相の念頭には内閣と自民党、国民有志が共同で実施する『国民葬』があった。佐藤栄作元首相も『国民葬』で送られました。国葬には政府内でも慎重論が根強く、首相はしばらく迷っていた。そんな首相を説得したのが後見役である麻生太郎副総裁。12日の夜に岸田首相の携帯電話を鳴らし、国葬の決断を促した。そこで岸田首相は持ち前の『聞く力』を発揮して国葬転換の決心がついたのです」
いくら麻生氏の意向があったとはいえ、岸田首相はなぜ異例とも言える国葬実施に転じたのか。自民党関係者はこう話す。「安倍氏は自民党の『岩盤保守層』に強い影響力を誇示していた。この層はいかなる逆風が吹こうが、必ず自民党に投票する。それが安倍氏の死去で不安定化すると、岸田政権の基盤が揺らぎかねない」
岸田首相は自民党の中でもリベラル寄りの宏池会(岸田派)に属し、タカ派の安倍氏とは距離があった。このタイミングで、防衛費増額や憲法改正など安倍氏が訴えてきた路線に後ろ向きの姿勢を見せれば、岩盤保守層が離れていく恐れがある。
実際、安倍氏に近かった下村博文元文部科学相は、国葬をめぐる議論が激化した11日夜、BS日テレの番組で「岸田首相はリベラル系。安倍さん、あるいは清和研は自民党のコアな保守の人たちをつかんでいた。それを疎んじるようなことになったら、コアな保守の人たちが自民党から逃げるかもしれない」「安倍さんがお亡くなりになったことが岸田さんにとって都合がいいようになるかどうかは『逆になることもある』と考えて人事を配慮してもらう必要がある」と激しい発言をして、多くのメディアに取り上げられた。
こうした党内対立を生みかねない動きが広がるのを防ぐには「安倍氏を国家として顕彰し、神格化するしかない」(自民党幹部)というわけだ。
あらためて、この発言の真意を下村氏に聞くと、「挑発的な発言をしたわけではなく、安倍さんが亡くなったからといって、最大派閥の安倍派が割れることは絶対ないと思いますし、しっかり岸田総裁も党内的バランスを考えて人事をしてもらいたいということ」と語った。
また、事件を機に多くの自民党議員が旧統一教会の関係団体のイベントに関わったり、選挙の際に協力を受けたりしていたことが報じられており、「岩盤層でない一般党員などから党本部に抗議の電話が相次いでおり、国葬には一般党員の支持をつなぎ留める狙いもある」(前出の幹部)という。
首相周辺によると、首相が国葬に転じた大きな理由はもう一つある。首相は周辺に「国葬になれば弔問外交ができる」と意欲的に語ったという。
安倍氏は憲政史上最長の政権を樹立。第2次政権発足以降、80カ国・地域を訪問し、各国首相と信頼関係を築いた。国葬にはトランプ前米大統領が参列を検討していると報じられるなど、各国要人の集結が予想される。
「約6千人が参列した吉田元首相の倍近い、1万人以上が弔問に来るでしょう。葬儀委員長としてつつがなく国葬を成功させれば、岸田氏の名前は世界により知れわたる」(前出の政府関係者)
外務省は省内に「国葬儀準備事務局」を設置し、受け入れに万全を期している。外務省関係者によれば、「内政で苦境にあるバイデン米大統領は来日しないとみられるが、ハリス副大統領やオバマ元大統領の名前が取り沙汰されている。他にもマクロン仏大統領、メルケル前独首相、アルバニージー豪首相、インドのモディ首相らの訪問が想定されている」という。
ロシアのプーチン大統領には通知は送るが、事実上の入国禁止対象のため訪日はない。中国は、自民党が台湾の蔡英文総統の参列を求めていることへの反発が予想され、「どのレベルを派遣するか慎重に検討するだろう」(前出の外務省関係者)。
過去最大の規模 警備も総動員か
こうなると、極めて重要なのが警備体制だ。警察庁OBの平沢勝栄・元復興相は「サミットなどでは半年〜1年前から警備計画を立てる。今回はそこまでの時間はないが、これまでの経験の蓄積を総動員して万全を期してほしい」と注文をつける。
安倍氏の銃撃事件は警備体制に問題があったとされ、警察当局による検証・見直しが進む。警視庁関係者はこう語る。
「2019年の天皇陛下の即位の礼や、これまでの首相経験者の内閣・自民党合同葬などを念頭に準備を進めています。中でも00年に日本武道館で行われた故小渕恵三元首相の合同葬は、現職で病に倒れて急逝したこともあり、当時のクリントン米大統領や韓国の金大中大統領ら150以上の国・地域から要人が参列。式典当日、警視庁は約1万人を動員して警備に当たった。今回はそれを上回る過去最大の規模になるでしょう。他県警などからの応援も検討しています」
約3億円ともいわれる国葬費用は全額税金。ただでさえ異論がある国葬実施に、ある自民党ベテラン議員は「もう警備の失敗は許されない。日本警察の矜持を示してほしい」と強調した。
ところで、岸田政権は国葬の前の9月上旬に党役員人事と内閣改造を控えている。安倍氏亡き今、岸田首相がフリーハンドに近いかたちで人事を断行するという観測もあるが、前出の政府関係者はこう予測する。
「保守の『岩盤支持層』をにらみ、安倍派から福田達夫総務会長を外し、安倍氏の秘蔵っ子、萩生田光一氏の党四役入りをのむのではないか。麻生派、岸田派、茂木派、安倍派の主流派体制で政権を運営することになる。場合によっては、非主流派ながら党内最高実力者の一人にのし上がった菅義偉前首相を『副総理兼脱炭素相』で起用するウルトラCも検討されており、文字どおり総主流派体制で安倍氏なき難局を乗り切る考えのようだ」
●安倍元首相が遺した「アベノミクス」は日本社会に何をもたらしたのか 8/3
目標は達成できなかった
安倍晋三元首相が凶弾に倒れてからはや3週間が経った。
政府が国葬を執り行うことを決定したこともあり、生前の安倍元首相の「功罪」が盛んに議論されているが、やはり安倍元首相を正しく評価する上で、「アベノミクス」の検証は避けて通れない。そこで、アベノミクスが経済面でどのような効果を上げたのかを、一から振り返って、分析していきたい。
12年12月26日、2度目の政権の座についた安倍元首相は、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」を“3本の矢”とし、経済成長のための政策の柱として、「アベノミクス」を打ち出した。
アベノミクスは安倍首相の「アベ」と「エコノミクス」を合わせた造語だ。
3本の矢の中で、もっとも早く始動したのは「大胆な金融政策」だった。翌13年には財務省財務官を経て、当時、アジア開発銀行総裁だった黒田東彦を日本銀行総裁に起用、3月に就任した黒田総裁は4月から大規模な金融緩和策を開始した。この結果、アベノミクス前の12年12月に0.8%だった長期金利(10年物国債利回り)は、19年8月には一時マイナス0.275%まで低下した。
黒田総裁は就任時に大規模金融緩和の目標をデフレ経済からの脱却による「消費者物価指数2%」を掲げたが、安倍元首相任期中に消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の前年比は12年のマイナス0.1%から19年の0.6%と成果を上げることは出来ず、目標は達成できなかった。
アベノミクスに対する期待がもっとも顕著に現れたのは日経平均株価だ。12年末に1万395円程度だった株価は、18年10月には一時2万4448円まで上昇した。日経平均株価は1万4053円も上昇し、2.35倍になった。
背景には、長期金利の低下とともに、為替円安の進展が関係している。12年末に1ドル=86円だった為替相場は、15年6月には125円まで円安が進んだ。36円も円安が進んだことになる。
これが円高に苦しむ製造業・輸出産業の業績を改善した。企業の経常利益は12年度の48.4兆円から18年度には83.9兆円と35.5兆円(73.3%)も増加した。アベノミクスによる長期金利の低下と円安の進行は、企業業績の増加には大きく貢献した。実質GDP(国民総生産)も12年10-12月期の兆円から515兆円から19年7-9月期には557兆円と、42兆円(8.1%)も増加した。
個人レベルでの生活環境の変化は?
では、アベノミクスは個人の生活改善には、どの程度の効果をあげたのか。
完全失業率(季節調整値)は、12年12月の4.3%から最大で2.1%低下し、18年5月と19年12月には2.2%まで改善した。
それは就業者数、雇用者数の増加にも顕著に表れている。就業者数(季節調整値)は12年12月の6307万人から19年10月には6786万人まで479万人(7.5%)増加した。雇用者数(季節調整値)も12年12月の5495万人から20年3月には6065万人まで570万人(10.3%)増加した。こうして見ると、アベノミクスは少なくとも個人についても、雇用面では大きな成果をあげているように見える。
だが、雇用者数増加の内訳は、非正規雇用者の大幅な増加によるもので、大きな歪みを生み出したと言わざるを得ない。
13年1月に3362万人だった正規雇用者は、20年4月には3579万人に217万人(6.4%)増加したが、その一方で非正規雇用者も13年1月の1824万人から19年9月には2199万人に375万人(20.5%)も増加している。
正規雇用者の増加は6.4%だったのに対して、非正規雇用者は20.5%も増加しており、アベノミクスにより増加した雇用者の60%以上が非正規雇用者だったことになる。必ずしも非正規雇用が良くないとは言わないが、著しく雇用の非正規化が進んだことは確かだ。
非正規の高齢者の大幅な増大
さらに、この非正規雇用者の増加は、女性と高齢者の非正規雇用者の増加、特に高齢者の大幅な増加に偏っている。13年から20年の間に、15〜64歳の男性正規雇用者は49万人(2.2%)増加し、非正規雇用者は33万人(0.6%)減少した。一方で、15〜64歳の女性正規雇用者は175万人(16.5%)増加し、非正規雇用者は35万人(2.9%)増加している。
男性は非正規雇用から正規雇用に振り替わった姿が、女性は雇用が増加するともに、非正規雇用者も増加した姿が見える。ところが65歳以上の高齢者は13年から20年の間に就業者数が266万人(41.7%)増加した。ただ、正規雇用者の38万人(46.9%)増に対して、非正規雇用者は185万人(90.6%)も増加している。増加した非正規雇用者の約75%が65歳以上の高齢者ということになる。
65歳以上の高齢男性の就業率を見ると、日本が57.2%、米国は36.4%、英国は26.6%と日本が突出して高い。高齢者の活用という名の下に、「低賃金の非正規雇用でも働かないと生活できない高齢者」の姿が浮き彫りになっている。
アベノミクスが企業業績の改善に大きく貢献したことは前述した。では、個人の所得は増加したのか。平均年収額は12年の408.0万円から19年には436.4万円と28.4万円(6.9%)増加している。だが、これはアベノミクスによって企業収益が72.8%も増加したことに比べれば、微々たるものでしかない。
第2次安倍政権は20年9月26日まで続いた。連続在職日数は2822日、通算在職日数は3188日と、いずれも歴代最長となった。8年に及ぶ長期政権の中心的な政策「アベノミクス」は果たして十分な成果をあげたのだろうか。
アベノミクスを踏襲する自民党政権
だが、現時点でアベノミクスを総括するのは早計だろう。
安倍政権後の自民党政権は基本的にアベノミクスを踏襲している。日銀は7月20〜21日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めた。財政支出が拡大することを「ワニの口が開く」という。歳出の推移をワニの「上あご」、税収の推移をワニの「下あご」と見立て、ワニが口を開いたように見える姿から来ている。
歳出(上あご)を税収(下あご)で埋めることができない場合、「開いたワニの口」の部分は国債発行で賄う。アベノミクスの「機動的な財政政策」を受け、12年度に705兆円だった国債残高は、安倍政権の終わりの20年度には241兆円(34.2%)増加し、946兆円に膨らんだ。赤字国債残高は12年度の418兆円から20年度には214兆円(51.3%)増加し、632兆円になった。
金融緩和が終わったそのとき
もちろん、新型コロナの感染拡大があり、その対策費が嵩んだというもの確かだ。だが、財政健全化は一向に進まず、ワニの口は開いたままだ。
大規模な金融緩和が終わり、金融政策が正常化するとともに、財政の健全化が進んだ時、その時の経済や国民生活の姿によって、アベノミクスの正当な評価が下されることになるだろう。
●安倍元首相の国葬 抗議行動や反対声明相次ぐ 「法的根拠ない」 8/3
臨時国会が開会した3日、銃撃されて亡くなった安倍晋三元首相の国葬に反対する動きが拡大した。
女性団体などでつくる「国葬させない女たちの会」のメンバーら約100人は同日午前、東京・永田町の衆院第2議員会館前で「国葬反対 税金はコロナ対策へ」「民主主義を守るなら国葬中止」などのプラカードを手に抗議行動を展開した。
国葬には安倍氏への批判や責任追及を封じ、神格化につながる懸念すらあるとして企画。「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の土井登美江さんは、安倍政権時の集団的自衛権の行使容認と同様、国葬も閣議決定で進めていることについて「閣議決定で憲法を踏みにじる安倍政治を体現している。国葬は絶対にやめて」と訴えた。
ジェンダー問題に詳しい米モンタナ州立大准教授の山口智美さんは「旧統一教会と安倍さんの関係が注目されているが、問題はそれだけでない。女性の貧困は改善されず、選択的夫婦別姓制度は進まず、ジェンダー平等の動きは後退しており、検証が必要。国葬をしている場合でない」と強調した。
日本消費者連盟(東京都新宿区)は3日、「(安倍政権で)食の安全や環境などで規制緩和や企業活動優先の施策が続けられ、生活者の権利や安全が奪われてきた」として国葬に反対する声明を発表。日本ペンクラブ(桐野夏生会長)も同日、「まずは当面延期が望ましい」と声明を出した。
2日には東京弁護士会が、政府が国葬を内閣府設置法上の「国の儀式」と位置付けたことに「法的根拠はない」として国葬の撤回を求める伊井和彦会長の声明を発表している。
●安倍元首相の国葬に抗議デモ 8/3
暗殺された安倍晋三元首相の国葬に反対するデモ隊が水曜日、国会議事堂の前に集まった。
彼らは反戦のメッセージを込めた曲「ざわわ」を演奏してデモを始めた。この曲は沖縄での戦争とさとうきび畑の思い出に基づき、「父は戦争で死んでいった 夏の陽ざしの中で さとうきび畑は風に揺れるだけ」と歌っている。
共産党の穀田恵二議員は、「国葬には反対だ。安倍氏が行なってきた政治への賛美を国民に強要する結果になる。憲法19条、20条に規定されている「内心の自由」を侵すことになる」と述べた。
安倍氏は旧統一教会信者の息子に暗殺され、多くの抗議者が日本を統治する自民党といわゆる「ムーニー」カルトとの関連性を非難した。
令和、社民、共産、立憲民主の野党4党は、臨時国会の初日に、元首相の国葬を行う正当性や違憲性を問う質問を提出した。
●安倍元首相の国葬は反対 立憲・杉尾参院議員2期目の初登院 8/3
先月の参議院選挙を受けた臨時国会が召集され、再選を果たした立憲民主党の杉尾秀哉さんが、当選後初めて登院しました。安倍元総理の国葬については反対の立場で、旧統一教会と政治との関係は正すべきとしています。
「開門!」きょうから始まった臨時国会。
先月の参院選で2回目の当選を果たした、立憲民主党の杉尾秀哉さんは、午前9時前に、国会議事堂の正門から登院しました。
安倍元総理の国葬については反対で、内閣と自民党の合同葬にするべきとし、旧統一教会と政治の関係については、正す必要性を指摘しています。
杉尾議員「旧統一教会のいわゆる霊感商法や高額の寄付、お布施というんですかね、いわゆる反社会性ですよね、これをしっかりと暴いて被害実態をもう一度ちゃんと把握すると共にこうした行為を助長するような政治があってはならないと思っていますので」
杉尾さんは、自身と旧統一教会との関係については「全くありません」と話し、次の6年の任期の中では、人口減少や経済対策について「最善の取り組みをしたい」としています。
●安倍元首相の国葬に「ちゃんとルールを決めて、是非もちゃんと国会で語って」 8/3
タレントの大竹まこと(73)が3日、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(月〜金曜後1・00)に生出演。参院選の街頭演説中に銃撃されて死去した安倍晋三元首相(享年67)の国葬を、9月27日に東京の日本武道館で実施すると閣議決定したことに言及した。
大竹は「国葬の話だけど、俺は番組でいつも言ってると思うけど、どういうルールだろうと、ちゃんとルールを決めて、国葬の是非もちゃんと国会で語って、その後にこういうルールなら国葬に準ずるものですよという判断があって、もしやるとしてもそういうふうなのがいいなあと」と私見を語った。
「それをなんかこう岸田さんが言い始めて、それで閣議決定をして、国会にかけるかどうかも分からないまんま、きょうにいたって」と納得がいかない様子だった。 
●臨時国会開会も…国葬、旧統一教会問題、コロナ「第7波」等の議論は持ち越し  8/3
7月の参院選を受けた第209臨時国会が3日、召集された。会期はわずか3日間で、法案などの審議は行われない。賛否が割れている安倍晋三元首相の国葬や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題、物価高、新型コロナウイルスの流行「第7波」など、山積する課題の議論は先送りされた。(佐藤裕介)
国政選後に召集される国会が短期間で終わることは珍しくないが、今回は野党が国葬や物価高などの問題を議論するため、十分な会期を確保するよう主張した。自民党は野党の要求に応じず、自民、立憲民主党の国対委員長は国葬に関して閉会中審査を開くことで折り合った。
自民の茂木敏充幹事長は2日の記者会見で、国葬の問題の審議について「どれくらいの方が内外から参加され、どれくらいの費用が予定されるか、政府が説明できる段階で行うことが必要だ」と述べた。
立民の泉健太代表は3日の党会合で、臨時国会で実質的な審議が行われないことに関して「国民はもっと真剣な議論をやるべきだという声が多い。その期待に自民党が応えているとは思えない」と批判。「この短い会期には到底納得できない」と強調した。
日本維新の会の遠藤敬国対委員長は2日、国葬を巡る閉会中審査について「首相自身の口から説明するのが当たり前だ」と記者団に述べ、早期に岸田文雄首相が行うように注文。新型コロナの特別委員会を設置して議論することも求めた。
衆参両院の事務局によると、閉会中審査に首相が出席した例は戦後、衆院では1947〜2021年の70年余りで23回、参院では1953〜2021年で27回。今後、首相が出席するかどうかや、どういう形式で審議を実施するかが焦点となる。
●安倍元首相の女性活躍政策が海外で絶賛されるおかしさ 8/3
安倍元首相の銃撃事件を受け、海外から哀悼の意が寄せられた。ジャーナリストの中野円佳さんは「アベノミクスをジェンダー平等に貢献したものとして位置づけ、日本国民に哀悼の意を示すコメントを見るが、本当にジェンダー平等に貢献したのか、検証する必要がある」という――。
安倍元首相「国葬」の是非
2022年7月8日、安倍晋三元首相の殺害は、誰にとっても衝撃的だったのではないか。その後、容疑者の供述をきっかけに旧統一教会との関係が取り沙汰される反面、国葬決定が波紋を呼んでいる。
国葬決定に対して疑義が唱えられている理由は2つあり、1つは国葬を決定するプロセスの問題だ。もう1つは安倍元首相の功績に対する評価自体が分かれていることにある。
前者については、自民党政権はコロナ予備費11兆円の使途が不明など、カネの使い道については度々有耶無耶になってきた経緯があり、不透明な基準・プロセスで国費を投入することを決定するのには疑問が湧く。こちらについては野党や市民団体も声を上げており、詳しくはそちらに任せたい。
本当の「民主主義の危機」
では、後者の安倍元首相の功績についてはどうか。官房長官からは「憲政史上最長の首相であることや、選挙遊説中に銃撃を受けて亡くなったこと、国内外から幅広い哀悼・追悼の意が寄せられている」ことから判断したとの説明があった。
しかし、安倍元首相は同時に、森友・加計問題で疑惑を向けられ、その過程で公文書改竄があり、桜の会を巡り「明細書はない」等の“虚偽答弁”を繰り返したことも明らかになっている。
在任期間が長かったからといって、それが評価できることとも限らない。特定の団体の広告塔になり選挙応援を受けることによって選挙に勝ち続けることが可能になっていたのだとしたら、なおさらだ。
旧統一教会との関係について、現役の国会議員、ましてや要職に就く政府関係者がメッセージを寄せることがお墨付きを与えないはずはない。襲撃犯の行動をあってはならないものと断じることとは全く別に、宗教と政治の関係は、とりわけ相手が不適切な方法で拡大をしている組織であれば、厳しく問われる必要があるだろう。
国葬が、事件直後の選挙で快勝した与党の独断で強行されれば、これらの「今」きちんと議論されなくてはならない論点がなかったかのようにされてしまう可能性がある。それこそが「民主主義の危機」であり、野党もメディアもここが踏ん張りどころだ。
一方で、現状では、安倍元首相の政策面での評価に紙面も時間もあまり割かれていない。きちんと振り返られることのないまま評価が確定してしまう前に、自分の専門分野についてだけでも検証しておきたい。
ジェンダー平等に貢献したか
UN Women 日本事務所は、7月9日に次のようにツイートした。
「チャンピオンであった安倍晋三元総理の悲報に接し悲しみに暮れています。日本国内外におけるジェンダー平等のための彼のリーダーシップと献身は大変高く評価されていました。」
これ以外にも、事件直後に、女性活躍やダイバーシティ推進関係のイベントがあるたび、海外からのコメントで、アベノミクスをジェンダー平等に貢献したものとして位置づけ、日本国民に哀悼の意を示すものをいくつか目にした。
本当に安倍氏は、「日本国内外におけるジェンダー平等のための彼のリーダーシップと献身は大変高く」評価されていると言えるだろうか? 
カッコつきの「女性活躍」
2012年末に立ち上がった第2次安倍政権は、成長戦略の中核に女性活躍を位置づけた。このことから、海外からもアベノミクス=ウーマノミクス、という印象は強いようだ。2015年には大企業の管理職比率などを公表させる女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)が施行された。
私自身、2014年に『「育休世代」のジレンマ』という本を出し、総合職女性が直面する問題について発信し課題解決を目指していた。大企業が強制的に女性比率に向き合わないといけなくなったことが、企業内のダイバーシティ推進の追い風になったことは間違いない。
しかし、そもそも、当時からこの施策自体が、女性、特にシングルマザー等が困窮する原因となっている女性の非正規比率の高さ、そして非正規の処遇などの問題よりも「一部のエリート女性にのみ資する」ことを優先させる政策として批判を浴びていた。
私は当時、困窮している女性向け施策も必要なことは間違いないが、正社員女性のガラスの天井問題も確かにあり、両方やるべきものとして女性学会などで主張した。総合職女性が直接的にそうではない女性を踏み台にすることで管理職になるというような性質のものではなく、トレードオフにはならない、むしろ意思決定過程に女性が入ることで女性全体に資することもあると思ったからだ。
女性の非正規雇用率は55%超に
しかし、2020年度まで続くことになった安倍政権の「成果」を評価すれば、このとき大半の研究者などが警鐘を鳴らしていたことは正しかったと言わざるを得ない。たとえば総務省の「労働力調査」によれば、第2次安倍政権が発足した2012年から2019年の間に非正規社員は約350万人増え、働き手の4割近くを占めるようになった。男性は上昇傾向で2割を超え、女性もリーマンショック後の2009年の53%から2013年以降55〜56%に上がっている。 2021年4月、白波瀬佐和子東京大学大学院人文社会系研究科教授を座長とする内閣府の「コロナ下の⼥性への影響と課題に関する研究会」は、この非正規雇用の比率や、コロナ禍においてシングルマザーの失業が2020年第3四半期に大幅に増えていることや女性の自殺者の増加などのデータを踏まえ、次のように結論付けた。
「女性への深刻な影響の根底には、平時においてジェンダー平等・男⼥共同参画が進んでいなかったことがあり、コロナの影響により顕在化した」。
つまり、困窮する女性たちの問題はいつまでも注目されず、コロナ禍でさらに過酷になった。加えて、肝いりだったはずのエリート女性のほうも、政府の目標「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標は達成できなかった。
単に女性の負担が増えただけのケースが多い
子育て支援はどうか。たとえば2016年に「保育園落ちた日本死ね」のブログが話題になり、当初安倍氏は「匿名なので起こっていることを確認しようがない」などと取り合わず、「待機児童ゼロ」は掲げたものの、在任中に達成はできなかった。 全国的には近年、待機児童は減少傾向にあり、2022年現在、定員割れを起こす保育園も出てきている。しかし、量の拡大を急いだあまり、基準が緩和され、実態は「保育の質」を伴わない園を増やしたという負の側面もある。
この間女性の就労率は上昇し、男性育休の義務化も進み、今年4月に法改正された。しかし、安倍政権時代の男性側の変化は大きくなく、単に女性が家庭でも労働市場でも「活躍」を求められ負担が増えているだけのケースも多かった。
そもそも保守的な家族の在り方を主張する安倍元首相が女性活躍を打ち出すこと自体に違和感があったが、それを裏付けるように自民党は同性婚や選択的夫婦別姓に反対し続けてきた。
これらは選択肢を作る施策であり、今までのように異性婚や家族で同じ苗字を名乗りたい人はそうすればいいというだけの話で、誰も新たに傷つかない、しかし当事者にとっては非常に意義のある仕組みであるにもかかわらず、だ。こうした家族観と統一教会の関係性も今後もっと検証されるべきだろう。
つまり、「女性活躍」について安倍氏は、いわば、打ち上げ花火を大きく上げたのは間違いないが、実績を出したとは言えない。花火だけを見てジェンダー平等のチャンピオンと見るのは短絡的だ。
功績を精査することなく神格化してはいけない
あの日、安倍元首相が白昼堂々撃たれたことは、歴史的な事件になったことは間違いない。容疑者の動機がどうであれ、銃によって命が奪われたことは残念だ。しかし、故人を悼むことと功績を精査することなく神格化すること、容疑者にそうさせた社会の問題をきちんと検証することと暴力を正当化することは、それぞれ全く別のことである。
容疑者の家庭もまた、稼ぎ主を失った母子家庭であったことが報じられている。ジェンダー平等を願う人たちは、母子世帯や困窮する個人にセーフティネットを提供することの重要性をずっと訴え続けていた。そういうものを作ってこなかったどころか、安倍氏や多くの政治家たちが、自分たちが重要性を強調する「家族」の崩壊につながる宗教の広告塔になっていたのだとしたら。
だからといって襲撃されていい理由にはならないが、そのような人物がジェンダー平等に貢献した人物のように語られるのであればあまりに皮肉だ。
もちろん、ジェンダー政策以外でも、評価・検証がされるべき論点はあるだろう。それも含め言論やデータを積み重ねることを、あんな事件の後だったからこそ、諦めたくはない。

 

●安倍元首相の「国葬」は正しい判断──日本は首相の国葬を制度化すべきだ 8/4
安倍晋三元首相の衝撃的な暗殺から1週間後、岸田文雄首相は安倍の国葬を発表し、激しい論争を巻き起こした。首相経験者としては55年ぶりの国葬を行う理由について、岸田は「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く」強い決意が根底にあると述べた。この決断は正しい。
アメリカの場合、大統領の国葬は総合的かつ緻密に計画された複雑なイベントだ。通常は1週間かけて行われ、陸軍の一部門であるワシントン軍管区が詳細な計画を担当する。儀式の構成と手順は綿密に決められており、その概要をまとめた手引書は通読すると5時間かかる。
アメリカ大統領の国葬は1841年、最も任期の短い大統領となったウィリアム・ヘンリー・ハリソンが就任後わずか1カ月で死去したときに始まった。これをきっかけに最高指導者の追悼という概念が制度化されたが、真の意味で国全体がその死を弔うようになったのは、アメリカで最も尊敬される大統領エイブラハム・リンカーンの暗殺というショッキングな出来事の後だ。
アメリカ合衆国の統一を守り抜いたリンカーンの名声は絶大であり、また当時は電信や鉄道といった新しいテクノロジーが登場した時代でもあったため、リンカーンのひつぎが首都ワシントンからニューヨークを経て第2の故郷イリノイ州スプリングフィールドに着いて埋葬されるまでの間に、何百万人ものアメリカ人が故人を見送った。
国葬の在り方に大きな影響を与えたJFKの妻
ハリソン以降の大統領は歴史的位置付けや死因に関係なく、ほとんど国葬の対象になっている。例外は第2次大戦中に世を去ったフランクリン・ルーズベルトだ。このときは、無数の米兵が外国で命を落としている中で大仰な国葬の儀式はふさわしくないという判断が生前になされていた。そのためルーズベルトは私的な葬儀を選んだが、遺体はホワイトハウスのイーストルームに安置され、議事堂とホワイトハウスの両方で半旗が掲揚された。
アメリカの国葬の在り方に大きな影響を与えた1人がジョン・F・ケネディの妻ジャクリーンだ。暗殺された夫の歴史的遺産を明確な形で残すため、彼女はリンカーンの国葬そのままの葬儀を行うよう当局や担当者に圧力をかけた。それ以降、大部分の国葬はリンカーンの葬儀を踏襲している。
ここでの例外はリチャード・ニクソンだ。全ての大統領は国葬の権利を与えられるが、ニクソン家は故人の意思を尊重して、正式な国葬は辞退した。任期途中で辞任した最初の大統領だったニクソンは、安置された遺体が人々から侮蔑の目で見られることを恐れたのかもしれない。
大統領の国葬の最も感情を揺さぶられる要素の1つは、大統領は就任後すぐに自分の葬儀の構想を思い描き、その計画に参加しなければならないという点だ。ホワイトハウスの主になると同時に自分の死を想像するというのはつらい話だが、必要な作業でもある。
このような国葬は特定の人物よりも、制度自体に重点が置かれている。大統領はどんな人物であれ全員が国葬の対象になるという事実を認識することで、当事者は自分の職責の重さを思い知る。
安倍の国葬は正しい判断だが、岸田は首相の国葬を制度化するプロセスにも着手すべきだろう。日本は世界の意思決定に欠かせない大国だ。今こそ1人の人間としてではなく、日本の首相にふさわしい制度としての儀礼の在り方を整えるべきだ。
もっとも、日本は議院内閣制なので大統領制のアメリカとの単純比較が難しいのは理解している。一つの仮説だが、全ての首相が国葬の対象になるとしたら、頻繁な首相交代は少なくなるかもしれない。それだけ首相官邸の威厳と重きが増すからだ。 
●国葬で「半旗掲揚、黙とう強制しないで」教職員組合や市民団体 8/4
安倍晋三元首相の国葬に反対する市民団体が3日、公共施設や教育機関に弔意や半旗掲揚を強制する通達をしないことなどを求める要請書を大野元裕知事、高田直芳教育長ら宛てに提出した。
要請書では国葬に合わせて半旗掲揚や黙とうを強制する動きがあるとし、「憲法で定められる良心の自由を侵すもの」と批判。個人としても国葬に参加しないことや、国が公共施設や教育機関に半旗掲揚や弔意を強制する通知を出すことに反対するよう求めた。
埼玉教職員組合も2日に高田教育長宛てに国葬についての要望書を提出。(1)文部科学省から半旗掲揚などの通知があっても県立学校、市町村教育委員会には通知しない(2)教職員や子どもへの弔意の強制をしない―ことを要請した。

 

●これが安倍元首相の国葬が結構もめる原因・・・時期があまりに遅すぎる 8/5
こんな夢を見た
――岸田文雄首相が入居している首相公邸には、幽霊が出るという噂がある。そのせいか、9年ものあいだ、公邸に入居しない首相が続いた。
噂はどうやら本当らしく、最近では、首相の枕元に怪しげなものが現れるらしい。そして、首相を責めるのだ。
「あなたはなんてことをしてくれたんですか」
首相が幽霊にその理由をたずねると、幽霊は、国葬のことについて延々と愚痴を言い出すらしい。
「だからあなたは、宰相の器ではないんだ」「どこがですか」「そりゃ、私なぞが国葬の栄誉にあずかるなどということは、私に足がある頃には思いもしなかったことだ」「功績に鑑みれば、そして、亡くなり方を考えれば、国葬に値するのは当然かと」「しかし、国葬にはこれだけ反対が出ているじゃないですか。それはあなたが、国民に議論の場を与えなかったからじゃないかね」「おことばですが、何でもスピーディーに閣議決定で押しきるというのが、私がそちらから学んだことですが」
この反論で、幽霊は一瞬黙ったものの、次の夜も再び現れ、また愚痴り出した。首相も、幽霊が出たとは言えない。秘密を抱えたまま、夜が訪れるのを毎日怖れているようだ。――
なぜ国葬になったのか
戦前には、「国葬令」があった。これは、1926年に制定された勅令で、戦後の1947年末に失効した。この勅令における国葬の主な対象は天皇をはじめとする皇族だが、「國家ニ偉功アル者」も国葬に賜ることがあると定められていた。勅令である以上、国葬の背景には天皇の権威があった。
ただ、国葬令以前にも事実上の国葬があった。1878年に亡くなった明治維新の元勲、大久保利通の場合が、その最初にあたるとされている。そこには、大久保が不平士族によって暗殺されたということが大きかった。
その点では、銃撃によって安倍晋三元首相が殺されたことは、岸田首相がに国葬を決断させることに結びついたに違いない。
これが、ただ病によって亡くなったということであれば、国葬という運びにはならなかったはずだ。
国葬令が失効して以降、戦後に国葬されたのは吉田茂元首相だけである。吉田は暗殺されたわけではなく、89歳の天寿をまっとうしたが、戦後日本復興の立て役者であり、国葬という運びになった。それでも、政府・自民党は、吉田国葬の是非について事前に野党に打診している。はっきり反対したのは共産党だけだった。
その後、ノーベル平和賞まで受賞した、安倍元首相の叔父、佐藤栄作元首相や、選挙期間中に現役のまま没した大平正芳首相の死に際しては、国葬の計画も浮上したものの、それには至らなかった。よほど条件が整わなければ国葬は実施されない。安倍元首相の国葬は、吉田以来実に55年ぶりのことである。
後継者のお披露目の場として
葬儀というものは、国葬に限らず、亡くなった者を悼むために行われるものだが、一方で、残された者、とくに後継者のためのものでもある。
日本には、他の国にないものとして、「社葬」の伝統がある。特に創業者社長の社葬ともなれば、盛大に営まれることが多く、いかにそれをつつがなく実行できるかどうかで、後継者の手腕が問われる。
それは、後継者だけではない。社葬で活躍するのは、普段は表に立たない総務課や庶務課だが、私の知るある企業では、外から入ってきた総務課長が元社長の社葬で見事にその責務をまっとうし、それで総務部長に出世したという。さらに現在では取締役に就任しているともいう。
やくざの世界でも、前組長の葬儀をいかに巧みに取りしきることができたかで、その後継者は周囲に認められる。葬儀は、「男を上げる絶好の機会」にほかならない。
岸田首相が国葬を即断したのも、それがあるからだ。しかも、国葬ともなれば、各国の要人が訪れ、外交の場としても華々しい機会になり得る。9年近くにわたって外務大臣をつとめた経験を持つだけに、岸田首相は、滅多には訪れない国葬を逃すわけにはいかなかったのだ。
国葬が受け入れられるということ
しかし、戦前において、国葬令がまだない時代には、内閣が国葬を決定しても、予算処置を伴うため、議会での同意を得る必要があった。満場一致が期待されたが、そうならないこともあった。
それは1922年の明治の元勲、山縣有朋の国葬に際してで、衆議院で反対する議員が出た。説得工作は行われたものの、満場一致にはならなかった。この経緯を見ていくと、国葬決定までのプロセスは、戦前の方が今よりはるかに「民主的」であるようにも見える。
しかも、山縣は国民のあいだで人気がなく、国葬は閑散としたありさまだった。その1ヵ月前には、大隈重信の「国民葬」が営まれたが、そちらの方がはるかに盛況で、山縣の国葬はそれに比べられ、メディアに酷評された。
これは、国葬を実施する上で、国民の合意を取りつけることがいかに重要かを示している。実際、戦前の政府も、その点についてはかなり神経をつかっていて、国葬が受け入れられるよう必死に努力している。
それは、重要人物が亡くなったとき、そもそもその人物を国葬の対象にするかどうかが議論になるからで、戦前の政府もかなり慎重だった。すでに述べたように、国葬令がなくなった戦後も、国葬の対象にすべきという主張がなされても、すべての人物がその対象になったわけではない。
「幽霊が首相公邸に毎晩現れて愚痴る」としたら、こうしたことを背景に考えてみるならば、当然のことかもしれない。
葬儀ではなく、国主催の「偲ぶ会」になった
岸田首相も、「幽霊」があまりにうるさいせいかどうか、反論のため過去の国葬についてしだいに研究を積み重ねていった。国葬の決断を下した時点では、閣議決定でよいのかどうかだけに関心を向け、内閣法制局に打診したものの、それ以外のことについてはほとんど無知だった。
どうもそれがいけなかったのではないか。国葬決定以降の経緯を見てみるならば、事前の研究があまりに乏しかったように思えてきたはずだ。
事後の研究のなかで、一つ明らかになった重大な事実がある。それについては、現在の国葬をめぐる議論のなかでもほとんど取り上げられていない。
それは何かと言えば、これまで行われてきた国葬のほとんどは、葬儀そのものだったことである。つまり、国葬はその対象者を埋葬する行為を伴うものだった。葬儀の規模を拡大したのが国葬であったとも言える。
これは国葬に限られないことだが、日本の葬儀においては、遺体を墓地まで運ぶ「葬列」が重要な意味を持った。誰が葬列に加わるのか、その規模をどうするのか、一番重要なのはそのことだった。葬列は衆人環視のもとに行われるもので、一種のエンターテイメントにもなっていくからだ。
従来の国葬でも、葬列はクライマックスをなすもので、そこに多くの国民が殺到した。国葬がうまくいったかどうかも、葬列の人気度で判断された。
山口県(旧長州藩)出身で最初に首相になった伊藤博文の場合、明治維新の功労者であっただけではなく、現役で暗殺されたこともあり、その国葬には30万人も集まった。伊藤の場合、中国領のハルピン駅で暗殺されたのが1909年10月26日のことで、国葬は11月5日だった。死から国葬までわずか10日である。
戦後の吉田茂の場合、国葬に先立って東京カテドラルで密葬が営まれた。子どもたちの多くがカトリックでの葬儀を希望したからで、吉田も死後に洗礼を受けている。
吉田が亡くなったのは10月20日で、密葬は同月23日、そして武道館での国葬は同31日だった。やはり死から国葬まで11日しか要していない。
悼む気持ちは10日後まで
安倍元首相の場合、亡くなってから国葬まで2ヵ月半以上を要することになる。山本五十六元帥は、戦時中ということもあり、1ヵ月以上秘せられたものの、死の公表は1943年5月21日で、国葬は6月5日だった。
安倍元首相が亡くなった直後、1週間以上、献花と記帳の列は途絶えなかった。国葬が行われるべきたタイミングは、やはり10日後までだろう。国葬の対象者を悼む気持ちは、そこでピークに達するからだ。
安倍元首相の国葬は、葬儀としての性格はまるでなくなり、「偲ぶ会」の性格が強くなった。期間があいたことで、死者への哀悼の気持ちは失せ、むしろ生前の業績や統一教会との深い関係についての批判が強まった。
岸田首相が幽霊に謝罪しなければならないとしたら、国葬の時期の選定を誤ったことだろう。端的に言って、遅すぎたのだ。
では、謝罪して、幽霊は許してくれるだろうか。
「なんでこんな重要なことを『忖度』してくれなかったのか」。幽霊はそう言うに違いない。その嘆きはあまりにも深いのだ。
●よみがえる国葬に専門家が警鐘、戦前・戦中は「危険な装置だった」 8/5
政府は、街頭演説中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相の国葬を9月に営むと決めた。野党から疑問や反対の声が上がる中、国会での議論を経ずに決まった「国民的行事」。戦時中に戦意高揚に利用されることもあった国葬は、戦後、根拠法令の失効とともに国民葬や内閣・自民党合同葬へと形を変えてきた。なぜ、今になって国葬をよみがえらせるのか。歴史的経緯に詳しい専門家は「内閣の思いつきで実施できてしまう状態は極めて危険だ」と警鐘を鳴らす。
戦後初だった吉田茂氏の国葬、当時の新聞は…
事件から6日後の7月14日、岸田文雄首相は「民主主義を断固として守り抜く決意を示す」と強調し、安倍氏の国葬を催す考えを表明した。戦前に国葬について定めた国葬令(1926年公布)は戦後、政教分離を定めた現行憲法の制定に伴い失効。現在は対象者などを規定する法令はない。だが、政府は内閣府が「国の儀式」を行うとする内閣府設置法に基づき、全額国費負担での国葬実施を閣議決定した。
戦後に国葬が実施された首相経験者は吉田茂元首相のみで、安倍氏は2例目になる。1967年10月20日に吉田氏が死去した際、当時の佐藤栄作内閣は3日後の23日に国葬を閣議決定。たった11日後の31日に東京千代田区の日本武道館で催された。
当日の様子はどうだったか。当時の新聞をめくってみると、官房長官が「国民が協力してくれるよう願っている」と記者会見で語り、国家公務員や公立学校は半休、一般家庭にも弔旗の掲揚や黙とうが要望された。テレビ局は、国葬を中継するだけでなく、同日の歌謡やクイズなどの通常の番組放送を自粛した。
式には皇太子ご夫妻(現在の上皇ご夫妻)をはじめ、各国の特使らも含めて6千人前後が参列。遺骨を載せた葬列の道を7万人あまりの人が埋めたという。駅のホームのスピーカーや街頭のサイレンが午後2時に黙とうを呼びかけた際には応じる人もいれば、無関心に歩き過ぎる人もいた。
国葬から国民葬、そして合同葬へ
当時の新聞などによると、吉田氏の時も閣議決定のみで国会での議論を経ていないが、反対を表明したのは共産党だけだった。学校での半休措置やテレビの放送変更に一部の団体から抗議があった程度だ。ただ、翌年の衆議院決算委員会で日本社会党の議員が「(吉田氏の)功罪につきましては見る人、立場によっていろいろ観点が変わる」「そのときの内閣の思いつきによってやられるということには賛成しかねる」と指摘している。
吉田氏の国葬を推し進めた佐藤栄作元首相が1975年に死去した際も、国葬とする議論が一部にあった。しかし「わが国には国葬の制度はない」といった野党の大きな反発を受けた結果、内閣と自民党、国民有志で主催し、費用の一部を国費負担とする「国民葬」に落ち着いたという経緯がある。1980年の大平正芳元首相の葬儀は主催者に国民を含まない内閣・自民党合同葬とされ、これ以降は原則としてこの形式が踏襲されている。
山本五十六の国葬、戦意高揚に一役
「国葬は時代の要請とともに不要になり、消えていったもの。まさかこんなことになるとは」。国葬の歴史に詳しい中央大文学部の宮間純一教授(日本近代史)は、今回の流れに驚きを隠さない。
戦前、国葬は「国家に偉勲ある者」に対し「特旨(天皇の特別なおぼしめし)により賜う」と定められていた。宮間氏によると国葬は、明治政府が日本を国家としてまとめる中で、国や天皇に尽くした人物を「ならうべき道徳的規範」として示す役割を果たした。死の政治的利用は戦時中も続き、山本五十六が1943年に戦死した際は盛大な国葬が催され、戦意高揚に一役買うことになった。
宮間氏は、国葬が「戦前・戦中期に(全体主義的な流れを強める)危険な装置として働いたものであるのは間違いない」と指摘し、対象者の基準などを明確に定めないまま制度が復活することを危ぶむ。「今は自由に反対意見が言えるが、これから先、そういう時代じゃなくなっていく可能性もあり得る。その時に国葬がまた悪用されかねない。この制度を曖昧な状態で生かしておくのは非常に危険だ」
容認野党も国会での議論を要求
吉田氏の時と同様に、今回も野党の反応は割れた。7月22日の閣議決定を受けて立憲民主、共産、れいわ新選組、社民各党は反対を表明。一方で、日本維新の会と国民民主党は容認する考えを示した。ただ、維新、国民両党も無条件で賛同しているわけではなく、国会で議論した上で法的根拠や定義を明示するよう与党に求めている。
岸田首相は安倍氏を国葬とする理由について(1)憲政史上最長の8年8カ月にわたり首相の重責を担った(2)国際社会から高い評価を受けている(3)民主主義の根幹である選挙中の蛮行で逝去し、国内外から追悼の意が寄せられている―と記者会見で説明しただけで、是非を国会に諮ることなく実施を決めた。自民党幹部は「外国要人が弔問する場をつくる意義は大きい」と必要性を強調するが、大平氏などの合同葬にも各国首脳が多数参列しており、あえて国葬に「格上げ」する必要性は乏しい。
宮間氏は「国葬は根本的に民主主義と反する。実施するなら歴史的な検証を行った上で、国民の代表である国会で必要性を議論し、現代にふさわしい在り方に改めるべきだ」と訴える。
「国民に喪に服することは求めない」も、広がる混乱
当日の国民の対応も議論が必要だ。国葬令は「廃朝シ国民喪ヲ服ス」と定めていたが、現在は規定がない。吉田氏の国葬の際、政府は官公庁や公立学校で弔旗掲揚、黙とう、可能な範囲で半休措置などを実施し、民間に対しても同様の方法で弔意を表明するよう要望した。一方、佐藤氏の国民葬以降は弔旗掲揚と黙とうの実施(国民に対しては協力を要請)にとどまっている。
今回も政府は「国民一人一人に喪に服することを求めるものではない」との姿勢だが、職場や学校で半強制的に弔旗掲揚や黙とうが行われる可能性もある。現に、北海道帯広市教育委員会が安倍氏の葬儀が行われた7月12日、市内の全小中学校に国旗の半旗掲揚を要請していたことが明らかになり、波紋を呼んでいる。
国葬の中止を求めて複数の自治体に脅迫メールが届くなど、世間では混乱が広がり始めている。55年の時を経てよみがえる国葬は、人々に何をもたらすのだろうか。
●教育者「国葬反対」 全教など 国会前で緊急行動 8/5
教育関係の労働組合や保護者たちが4日、安倍元首相の「国葬」に反対し「思想・信条の自由を守れ!」「子どもと学校に『弔意』を押し付けるな」と訴える教育関係者緊急行動を衆院第2議員会館前で行いました。主催は、全教、教組共闘連絡会、子ども全国センター、民主教育研究所。
主催者あいさつで宮下直樹全教委員長は「国葬は安倍氏の政治を賛美することになる。内面の自由を侵害し、子どもを戦場に送った痛苦の経験を忘れてはならない」と訴えました。
民主教育研究所・子ども全国センターの中村雅子桜美林大学教授は「戦争法を強行した人を国葬にしてはいけない」と強調。新日本婦人の会中央本部の池田亮子さんは「学校に半旗の押し付けが行われている。強制するなと自治体、教育委員会に要請している」と発言しました。
子どもと教科書全国ネット21の鈴木敏夫事務局長は「安倍政権下で、道徳の教科化、植民地支配を教えない、ジェンダー平等との逆行が広がった」と批判。全教常任弁護団の斉藤園生弁護士は「戦前の勅令が廃止され、国葬には法的根拠がない」と指摘しました。
全労連の黒澤幸一事務局長は「弔意押し付けに対して、声を上げられない社会を変え、民主主義を守ろう」と呼びかけました。
日本共産党の田村智子副委員長が駆けつけ、改憲を狙い世論誘導する最悪の政治利用だと批判。「統一協会と自民党の癒着に国民が怒っている。徹底的に明らかにして、このような事件が起こらないようにすることこそ必要だ」と強調しました。  
●安倍元首相の「国葬」 衆院 閉会中審査で議論へ日程など調整  8/5
来月開かれる安倍元総理大臣の「国葬」をめぐって、衆議院は、議院運営委員会で閉会中審査を行うことになり、今後、日程などを与野党で調整することになりました。
来月下旬に開かれる安倍元総理大臣の「国葬」をめぐっては、自民党と立憲民主党の国会対策委員長が国会閉会中に議論を行うことで合意しています。
臨時国会会期末の5日、衆議院は、議論の在り方を協議し、議院運営委員会で閉会中審査を行うことで与野党が合意し、日程や政府側の出席者などを調整することになりました。
また、理事会では、退避勧告が出ている中で、7月中旬、ウクライナに入国し、党から役職停止の措置を受けた立憲民主党の鈴木庸介衆議院議員について、その後も、ウクライナ入国をもとに質問主意書を提出するなど、反省が見られないとして、山口委員長が立憲民主党の理事に口頭で厳重注意しました。
一方、理事会に続いて開かれた委員会では、立憲民主党が提出した吉川赳衆議院議員に対する議員辞職勧告決議案の取り扱いをめぐって採決が行われ、臨時国会の閉会に伴い廃案となることが決まりました。
●安倍元首相の死去から1カ月で心ない批判が蔓延…昭恵夫人の胸中は・・・ 8/5
安倍晋三元首相の死去から、間もなく1カ月。訃報が届いた当初に比べると、世論は驚くほど変わってきたようだ。当初の悲痛な空気から一変し、全体的に安倍元首相への心ない批判が蔓延しつつある。遺された昭恵夫人の胸中はいかばかりか――。
7月8日、参院選の街頭演説中、凶弾に倒れた安倍元首相。あまりに突然の死に、世間は悲しみの声であふれた。
「10日におこなわれた参院選は “弔い選挙” となり、自民党が圧勝。悼む声とともに、自民党内では国葬についての議論が急浮上しました。
葬儀がおこなわれた12日、政府は大規模な葬儀を検討すると報じられ、14日には岸田首相が国葬の実施を発表しています。
この時期は、安倍元首相の生前の政策を讃えたり、長年の政治活動をねぎらうような声が多かったんです。1人遺された昭恵夫人への同情の声も相次いでいました。亡くなった直後は、さすがに批判するには抵抗があったのかもしれません」(政治部記者)
しかし、今や世論は “手のひら返し” の様相を呈している。国葬反対派が増え、抗議活動も活発化。あわせて、「因果応報」など故人への中傷も増えている。
「銃撃して逮捕された山上徹也容疑者については、幼くして父親を亡くし、母親は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信し、多額の献金で自己破産するという壮絶な背景が報じられました。そのため、“減刑” を求める署名が5000件を突破しています。
一方で、SNSを中心に激烈で心ない批判が蔓延する状況に、昭恵さんは心を痛められているのではないでしょうか。
昭恵夫人については、今後の身の振り方についても心配の声があがっています。これまで夫婦で暮らしていた渋谷区富ヶ谷の自宅は、安倍元首相の母・洋子さんと長兄・寛信氏が共有している物件。
自由奔放な昭恵夫人と洋子さんは折り合いがよくなかったとも伝えられており、『追い出されるのではないか』との見方も広まっています。実際、昭恵さんは、先日の山口入りで、将来的に東京から山口へ転居する意向を示したと報じられています」(同)
安倍元首相の葬儀で、「まだ夢を見ているよう」としながら、「本人なりの春夏秋冬を過ごし、種をいっぱいまいた。それが芽吹くことでしょう」とあいさつした昭恵夫人。人生は流転するものだとはいえ、最近の世論の動きには無常さえ感じているかもしれない。
●れいわ山本太郎氏、安倍晋三元首相の国葬に「やる必要ない。ふざけた話」 8/5
臨時国会が閉会した5日、れいわ新選組の山本太郎代表(47)が会見し、安倍晋三元首相の国葬について「国葬自体やる必要がない。儀式として自民党が勝手にやろうとしているだけ、そこに税金を投入するなんてふざけた話です」と語った。
参院議員水道橋博士氏(59)は会期が3日間だったことに「あきれました。3日しかない会期なのに2日目は休み。“異議なし”をいうだけの集まり。意味がない」と語気を荒げた。
●安倍元首相「国葬」“今年度予算の予備費から支出” 官房長官  8/5
安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、松野官房長官は、今年度予算の予備費から費用を支出することを明らかにしました。
来月27日に東京 千代田区の日本武道館で行われる安倍元総理大臣の「国葬」について、政府は、経費を全額国費から支出する方針を示しています。
これについて松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「これまでの葬儀の例と同様、一般予備費の使用を想定している」と述べ、国葬の費用は今年度予算の予備費から支出することを明らかにしました。
そのうえで、予備費の支出にあたっての国会の関与の在り方について「国会でどのように取り扱うかは国会で決めることだが、政府としては、憲法や財政法の規定に沿って適切に対応していく」と述べました。
さらに、記者団が「物価高やコロナ禍で国民が苦しむ中、予備費を国葬に使うことは適切でないと反発する声がある」と指摘したのに対し、「詳細は今後、葬儀の内容が具体化される中で検討していくが、真に必要な経費となるよう努めていく」と述べました。
●安倍氏国葬に反対「法的根拠なく合意もない」…市民 8/5
参議院選挙の応援演説中、銃撃により死亡した安倍晋三元首相の国葬を巡り、「法的根拠がなく、国会や国民の合意が得られていない」などとして、衆議院選挙の埼玉4区(朝霞、新座、和光、志木)の市民らで結成した市民団体「市民が野党をつなぐ埼玉4区の会」は8〜10日にかけて、同区内の駅前3カ所で、国葬反対のキャンペーンを実施する。
キャンペーンは8日午後6時から東武東上線志木駅南口、9日午後5時からJR武蔵野線北朝霞駅前、10日午後6時から東武東上線和光市駅南口で、いずれも約1時間開催する。国葬反対のチラシ配布や関係者らのリレートークが行われる。
同会は2016年、衆議院選挙を巡り、野党共闘で政治を変えようと、4市の市民らで結成した。事務局の大野良夫さんは「国民の合意がない中での強行は問題。思想や良心の自由を保障した憲法19条上も懸念があると参加を呼びかけている。
●安倍氏国葬、今月下旬に閉会中審査 臨時国会が閉幕 8/5
第209臨時国会が5日、閉幕した。これに先立ち、衆院議院運営委員会は理事会で、故安倍晋三元首相の国葬に関する閉会中審査を議運委で実施することを決めた。時期について、山口俊一委員長(自民)は記者団に「8月下旬ぐらい」との見通しを示した。
今国会の会期は3日間。先の参院選を受け、参院の正副議長を選出するなどしたが、実質的な審議は行われなかった。野党は当初、国葬などの議論を今国会で行うよう求めたが、与党は応じなかった。
国葬に関する閉会中審査について、野党側は議運委理事会で、岸田文雄首相の出席を求めた。具体的な開催時期などは与野党で引き続き調整を続ける。
細田博之衆院議長は5日の衆院本会議で、安倍氏への弔詞を読み上げた。「経済成長、行財政と教育の改革、災害からの復興に心魂を傾け、世界の平和と繁栄に力をいたし、国民生活の充実とわが国の国際的地位の向上に貢献された。その功績は誠に偉大だ」と述べた。来日中のペロシ米下院議長が本会議を傍聴した。

 

●国葬と民主主義を守ることは関係ない! 屁が理屈を吐いているだけだ 8/6
明日は広島原爆投下の日だ。なのに、岸田は核禁止条約にサインもしない。何が核不拡散条約は礎石として守り抜く、だ。ニューヨークまでのこのこ出て行って何を演説するかと思えば、「核廃絶に向けた未来のリーダーを日本に招くために国連にカネを出してリーダー基金を設ける」と。意味がまるで分からん。禁止条約を批准するのが先だろが。あきれ返った。
ついでにあきれる。「国葬」で国民も2つに分かれている。もっと紛糾しろ。税金で全額負担はおかしい。理由がないからだ。故人の政治姿勢を全面的に認めさせたい自民党の魂胆だ。最長政権? 国政で何をしたのか? 公文書改ざん問題や国会での虚偽答弁で突き上げられたのは誰でも知ってるぞ。国際社会が追悼してくれたからそれに応えるのは礼節? 本当かよ? 世界のリーダーだった? 伊勢志摩サミットで伊勢神宮に皆で参って料理を食わせただけだろ。昔の吉田首相に劣らない功績?美辞麗句ばかりだ。「暴力に屈せず、民主主義を守り抜くという決意で」と言われても、国葬と民主主義を守ることは関係ない。屁が理屈を吐いているだけだ。
ついでに思い返すと、故吉田茂は1951年9月に講和条約にサインして日本の主権を回復したが、アメリカ様に従いますと安保条約まで結ばされて、沖縄に基地も許してしまった首相だ。後の首魁たちも基地のタダ貸しどころか、子守代まで払って、居座りを許してきたんだ。
それで何が“戦後レジームからの脱却”だ。故人が思っていたのは何より憲法を変え、日米同盟をさらに強化し、「国防軍」とやらを米軍に従わせ、戦地に武器を持って駆けつけて集団で自衛できるようにすることだった。手始めに、戦前の国家のための教育を反省して「個人の尊重」を謳ってきた教育基本法を、公の精神だの、国と郷土を愛する態度だの、人の心の自由など後回しの新しい基本法に改変したのは随分前だ。ついでに「私が目指す『美しい国、日本』のためには次代を背負って立つ子供や若者たちの育成です」と連呼していた。挙げ句にあんな逆恨みの青年まで生んでしまったとはなんと皮肉な話だろう。「美しい国」が旧統一教会の元会長が説いた文句だと聞いて驚いた。
「戦後レジームからの脱却」はグローバル化で農業や漁業は多国籍企業に乗っ取られ、中小企業は買収され、小売店は当然のように片付けられ、社会保障のない非正規労働者ばかり増え、資産家だけが財を肥やし、雇われ人はいつまでも貧乏のまま、保守勢力が一点張りで社会支配していくための念仏だったのか。「国葬」も道具に使いながら、自民帝国が続くのかと思うとゾッとする。保守と同調空気に抗う表現者、負の歴史を暴く学者、ロックを歌うミュージシャン、アウトローを描く映画屋などは、知らぬ間に社会からスポイルされ、牙を抜かれて腑抜けになる予感がする。目を覚ませ! 現実を変えろ! と叫ぶ映画を作りたいもんだ。
●岸田首相、安倍氏国葬「丁寧に説明」 8/6
岸田文雄首相は6日の記者会見で、銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相の国葬に関し「様々な機会を通じて丁寧に説明していきたい」と述べた。各社の世論調査などで反対意見が目立っているとの質問に答えた。
安倍氏が歴代最長の政権を担ったことや、参院選の演説中の襲撃で亡くなったことを国葬の理由に挙げた。海外から多くの弔意が届いていることにも触れ「国の公式行事として開催し、各国の代表を招くことは適切だ」と強調した。
「具体的な規模や内容について検討を進めている」と語った。国会で自身が説明することについては「国会でご判断いただかなければならない」と指摘した。
●安倍元首相の国葬は適切 8/6
岸田文雄首相は6日、広島市で行った記者会見で、安倍晋三元首相の葬儀を国葬とすることについて「適切だと考えている」と述べた。「世界各国が、さまざまな形で敬意と弔意を示している。わが国としても、敬意と弔意を国全体として表す国の公式行事として開催する」と理由を説明した。
世論調査で反対が多いと指摘され「具体的な規模や内容について検討を進めている。だんだん明らかになってくるので、さまざまな機会を通じて丁寧に説明していきたい」と語った。国会の閉会中審査で自身が説明するかどうかについては、国会の判断に委ねる考えを示した。
●安倍元首相葬儀 都教委も都立校に半旗掲揚を依頼 255校に文書送信 8/6
東京都教育委員会が7月12日の安倍晋三元首相の葬儀に合わせ、半旗掲揚を求める文書を都立学校全255校に送り、複数校が掲揚したことが分かった。専門家は「政治的中立を求める教育基本法に反する恐れがある」と指摘。同様の依頼は川崎、福岡市などでも判明している。(中山岳)
都教委などによると、文書は通夜があった11日に都総務局が作った「事務連絡」。半旗掲揚について「特段の配慮をお願いしたい」とし、11、12日の掲揚を依頼した。教育庁を含む各部署にメールで送り、教育庁が都立高校や特別支援学校に転送した。
都の担当者「強制したつもりはない」
「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」などによると、23区内外の複数の都立高校で半旗が掲揚された。都教委の担当者は取材に「事務連絡を転送しただけで、掲揚するかは各校の校長に任せた。弔意を強制したつもりはない」と回答。総務局の担当者は「安倍元首相は東京五輪をはじめ都政にご尽力いただいた。銃撃事件は都民にも大きな影響を与えており、国の機関でも掲揚されたことを踏まえてお願いした」としている。
政治的中立求める教育基本法に反する恐れ
掲揚された学校の教員は取材に「安倍氏の家族葬に合わせて掲揚するのは政権与党への忖度。生徒が当たり前と感じないか心配だ」と話している。
佐貫浩・法政大名誉教授(教育行政学)は「個人の死をどう弔うかは憲法が保障する思想・良心の自由の根幹で、半旗掲揚は教育基本法にも反する恐れがあり、避けるべきだ。安倍元首相への評価は国民の間でも分かれており、弔意を強制することはできない」と話している。
●高まる批判、かわす狙い 旧統一教会、国葬が影響―岸田首相 8/6
岸田文雄首相が内閣改造・自民党役員人事を大幅に前倒しするのは、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)問題や安倍晋三元首相の国葬決定で高まった政権への批判をかわし、局面を打開する狙いがある。ただ、与党内では、旧統一教会との関係をめぐり、新たな問題発覚を懸念する声も出ている。
「盆前に人事を断行して、旧統一教会と事実上の『決別宣言』をするんだろう」。政府関係者は5日、こう指摘した。
自民党は先の参院選で改選過半数を獲得して勝利したものの、一部報道機関の直近の世論調査では内閣支持率が10ポイント以上下落。国葬についても反対が賛成を上回る調査結果が相次ぐ。感染確認が各地で過去最高を更新している新型コロナウイルス「第7波」の影響を指摘する向きもある。
5日には、2015年の旧統一協会の名称変更をめぐり、前川喜平元文部科学事務次官が「文科相だった下村博文氏(自民党安倍派)の意思が働いたのは100%間違いない」と証言。山口壮環境相と小林鷹之経済安全保障担当相が同教会の関連イベントに祝電を送っていたことも新たに判明した。
参院選を機に政界引退し、現在は「民間人」となった二之湯智国家公安委員長も同教会の関連団体のイベントで実行委員長を務めていた。二之湯氏は警察行政のトップ。「警備態勢に問題があった」(首相)安倍氏の銃撃死で、警察関係者は責任を取っておらず、改造でけじめを付ける意味合いもあるとみられる。
麻生派の閣僚経験者は「旧統一教会と国葬で、雑音が大きくならないうちにという判断だろう。だらだら引き延ばすのは良くない」と強調した。
一方、二階派の閣僚経験者は「盆明けの閉会中審査を控え、当事者の閣僚を除外しないといけない」としつつ、「身体検査は十分なのか。結果を見ないと吉か凶か分からない」と漏らした。公明党関係者は「全く聞いていない。首相の意図が分からない」と述べた。 
●安倍氏国葬、参列者6千人で調整 吉田茂元首相と同規模 8/6
政府が、9月27日に東京・北の丸公園の「日本武道館」で営む安倍晋三元首相の「国葬」(国葬儀)の参列者数について、昭和42年の吉田茂元首相の国葬と同規模の約6千人を軸に調整していることが分かった。6日、複数の政府関係者が明らかにした。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大「第7波」が収束しない場合、参列者数を縮小する可能性も見込まれており、感染状況も踏まえた上で8月末には人数を確定する見通しだ。
55年前に行われた吉田氏の国葬では当初、会場となった武道館の収容能力を踏まえ、参列者数は吉田氏の遺族や国会議員、外交団など6220人と想定し、実際に6千人余りが参列した。今回の安倍氏の国葬でも会場は同じ武道館が使用されることから政府は参列者数も同規模の約6千人を目安として警備体制などの準備を進める。
ただ、吉田氏の国葬でも70カ国を超える外交団が参列したが、「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げ、国際的に存在感を示した安倍氏には、すでに米国のバイデン大統領をはじめとする260の国や地域などから1700件以上の弔意が寄せられている。外交団の参列希望も吉田氏を上回ることが予想される。岸田文雄首相も安倍氏がこれまで築き上げた外交面でのレガシー(政治的遺産)を継承する弔問外交に意欲を示す。
一方、国内は新型コロナの「第7波」に直面している状況だ。
令和2年に東京都内のホテルで営まれた中曽根康弘元首相の内閣・自民党の合同葬も当初は数千人の参列を見込んでいたが、コロナ対策の必要性から最終的に政界関係者や近親者ら644人に規模を縮小した。例年、8月15日に同じ武道館で行う全国戦没者追悼式も令和元年以前は約5〜6千人を集めていたが、新型コロナ感染拡大以降は数百人程度に絞っている。
政府関係者は「現状では6千人を目安としてコロナの感染状況などを踏まえたい」と説明する。政府としては国内外の参列希望者数や今後の感染状況を慎重に見極めたい考えだ。

 

●阿川佐和子さん 安倍元首相の国葬の議論に私見「国葬になる人は…」 8/7
作家でエッセイストの阿川佐和子さん(68)が7日放送のテレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」(日曜正午)に出演。9月27日に東京の日本武道館で実施することが閣議決定された、参院選の街頭演説中に銃撃されて死去した安倍晋三元首相(享年67)の国葬に関する議論に見解を示した。
実業家の「ひろゆき」こと西村博之氏が国葬にすることによる弔問外交での“コストパフォーマンス”の良さを主張する中、進行を務める阿川さんは「弔問外交ということだけを重視して、一般国民としては国葬になる人は国を代表して素晴らしい功績を残したっていう、曇りもないような感覚がある。亡くなられ方が本当に悲劇的だったけど、まだ疑問符がいくつか残っているんじゃないの?っていう人を一党だけで決めるのは…」と国会での議論がないまま決まったことへの疑問点を指摘した。
タレントの大竹まことも「ルールブックがないまま、どうしたら国葬になるのか!ってルールができないまま、コスパの問題で語ったけど、それだけで済まないと俺は思う」と主張。「国葬って1回廃止になっている。日本国憲法との整合性がまだちゃんと取れていないからと」と力を込めた。
●ビートたけし 安倍元首相の国葬に疑問「いろいろと物議を醸した問題・・・」 8/7
タレントで映画監督のビートたけし(75)が7日放送のテレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」(日曜正午)に出演。9月27日に東京の日本武道館で実施することが閣議決定された、参院選の街頭演説中に銃撃されて死去した安倍晋三元首相(享年67)の国葬への疑問を投げかけた。
たけしは「国葬なんて我々が天皇陛下ぐらいしかあまり意識しなかったですけど。吉田茂さんは記憶ないし」と見解。国葬への基準がないことを前提として、「安倍さんの場合はだって、いろいろなことで森・加計問題とか花見の問題とかいろいろと物議を醸した問題が結構あって、なんで?って思ったけど」とした。
●東国原英夫 賛否巻き起こる安倍元首相の国葬は「基準を明確化するべき」  8/7
前宮崎県知事で元衆院議員、タレントの東国原英夫(64)が7日放送のテレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」(日曜正午)に出演。9月27日に東京の日本武道館で実施することが閣議決定された、参院選の街頭演説中に銃撃されて死去した安倍晋三元首相(享年67)の国葬について見解を示した。
国葬の理論について、東国原は「基準がないですよね。まずは基準を明確化するべき。まずはそれだと思います」と問題点を指摘。「1960年代に基準を決めましょうって国会で議論をされた。それがなし崩しになって、いつの間にかなくなってしまった。あの時、国家元首を誰にするかってところまで踏み込んだんです。そこになると天皇の話になるので、しょぼしょぼしょぼって…沈んでいきました」と経緯を説明した。
さらに「今回は(国葬への弔問の)申し込みが結構多かったんです、諸外国からの。例えば、トランプが来たら国益っていうのはどうなるのか。それも考えないといけない」と見解を示した。
●安倍元首相の国葬 法的根拠なく、憲法施行75年にして2度目の汚点に  8/7
日本が法治国家であるなら、国家権力によるすべての決定と判断は、国の定めた法律に基づくものでなくてはならない。岸田政権は凶弾に斃れた元首相の「国葬」を9月27日に実施すると「閣議決定」(7月22日)したが、2022年現在、「国葬」に関する法律も基準も日本に存在しない。法に基づかない閣議決定は有効なのか。「国葬に賛成・反対」以前の問題だ。
民主国家以前さえ法に基づく「国葬」
国葬の規定は1926年(大正15年)に公布された「国葬令」で初めて明文化された。天皇が直接発した命令(=勅令)である「国葬令」では、天皇や皇族の葬儀は「国葬」とされ、「国家に偉功のある者」については例外的に「天皇の特旨(特別の思し召し)」で国葬にすることができた。「特別の思し召し」で国葬にされた人の中には、軍人政治家の山縣有朋や日本の支配下にあった大韓帝国第2代皇帝の純宗、元帥海軍大将の山本五十六らがいる。民主国家とは程遠い大日本帝国憲法下の天皇主権国家であっても、彼らの「国葬」は法に基づいて行なわれたのである。
国葬令が敗戦後に失効(廃止)したことで、国葬に関する法律はなくなった。皇室についても「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う」(皇室典範第25条)とあるだけだ。根拠となる法律がないのに「閣議決定」だけで国費(税金)を投じる国家儀式が許される国は世界にどれだけあるのだろう。なんの基準も規定もないのだから、「国民の理解」があろうがなかろうが、時の政権が利用できると思えば「閣議決定」だけで「死の政治利用」が可能となる。これは戦前以下の状況ではないか。法治主義に基づく法治国家の基本を、内閣が率先して破っている。
「吉田茂 国葬」の情景
「いやいや、吉田茂の国葬という前例があるでしょ」という声が聞こえてきそうだ。55年前の1967年10月20日に89歳で死去した元首相・吉田茂の「国葬」を決めたのは佐藤栄作政権だった。
当時の新聞記事を見ると、佐藤がそれを希望し、吉田死去3日後の臨時閣議で決定した。このときも「国葬」には根拠法がなかった。大手紙には「戦後政治にレール 安保 国論二分のタネまく」(1967年10月21日付『朝日新聞』1面)などといった政治的な評価・論評の記事は次々と出てくるが、法的根拠なしの「国葬」についての指摘は(すべての新聞を確認したわけではないにせよ)ほとんど見当たらない。
国葬が決まった1967年10月23日の『朝日新聞』夕刊の1面トップは「31日に武道館で 吉田元首相の国葬 閣議で正式決定」との見出しで、閣議決定の内容をそのままずるずると紹介し、「首相が追悼談話を発表」などの小見出しが並ぶ。「国葬令がないのに、なぜ国葬なのか」などといった指摘は一切ない。「有識者」と称される人のコメントもなし。トップ記事の下に「国葬はやむを得ぬ℃ミ党国対委の大勢」というベタ記事が張り付いていて、社会党の国対委員会が「党としての態度を検討した結果、大勢はやむをえないとの意見だった。しかし、同委員会としてはこれを前例とせず、今後の取り扱いについては議院運営委員会で検討してゆく」などと書かれている。はて、その後どう「検討」されたのか。当時の野党第1党 の腰砕けさ加減≠ェよく分かる。
では、当時の一般の人たちは「吉田茂の国葬」をどう受け止めたのか。「吉田さん さようなら」との大見出しのついた『読売新聞』10月31日付夕刊の社会面に「最敬礼と不審顔と 国葬 バラバラな町の表情」との3段見出しの記事がある。同日の『朝日新聞』夕刊にも「2時10分 さまざまな表情」との大見出し。「国民は黙とうを捧げて下さい」と各所のスピーカーで呼びかけたのが「2時10分」だ。記事本文はこう書き出される。
〈国電渋谷駅前のハチ公前広場では二時前から共産党や民主団体の宣伝カーが「憲法違反の国葬は軍国主義と帝国主義の復活につながる」と反対演説して、ビラをまいていた。二時十分、ハチ公の銅像のそばに人を待つ人、噴水をとり囲むベンチに腰をおろす人。だれ一人黙とうをする人はなかった。〉また、東京・駒場の東京大学には「するな黙とう、許すな国葬」の大看板が立ち、〈黙とうする学生は一人もいない〉。東京駅ではホームのスピーカーが一斉に「黙とうの時間です」を繰り返すが、誰ひとり黙とうをする人はなく、銀座で足を止めた女子高生は〈あれ、なにやってるの〉…。それでも〈都心の沿道に七万人〉の人たちが出て葬列を見送ったらしい。
ここでも、法に基づかず自分たちの税金が使われていることを指摘する記述はない。半ば強制的な「半休」や「1分間の黙とう」など政治的な同調圧力に屈する人と反対の声を上げる一部の人。その他大勢の無関心な人。これが日本国憲法施行20年の日本社会の一断面である。55年の歳月を経て、このようなお寒い光景がまた繰り返されるのか。
「日本国憲法に反する」と法学者が声明
「憲政史上最長の8年8カ月首相を務めたことや国内外から幅広い哀悼・追悼の意が寄せられていること」(岸田文雄首相・7月14日)が安倍晋三元首相の「国葬」を決めた理由だという。言うまでもなく、旧統一教会との癒着や「モリカケ桜」といった数々の疑惑が民主主義や公正さをどれだけ歪めたかも問われなければならない。
ところが、『朝日新聞』デジタル(7月22日配信)によれば、松野博一官房長官は元首相の国葬について「国民に政治的評価や、喪に服することを求めるものではない」と発言した。「国民の評価も理解も要らない」との表明のようだ。少なくとも「吉田茂の国葬」は、賛否はあったとしても戦後政治の「政治的評価」を基調として実施された。
政治家の国葬を「政治的評価」を求めずに行なうなどというのは、たとえば音楽家の音楽葬を「音楽的評価」なしに行なうのに等しい。故人への冒涜ではないか。しかも、各種世論調査では相次いで「国葬に反対」が賛成を上回っている。冒頭で「国葬に賛成・反対」以前の問題と書いたが、「法律なし、基準なし、国民の声を無視し税金だけは使う」などという独裁国家のような政治的セレモニーは、法治主義・民主主義にとって極めて有害だ。今年は日本国憲法施行75年。法的根拠なき「国葬」は法治国家として2度目の汚点になる。8月3日には憲法学者ら84人が「国葬の決定は、日本国憲法に反する」との声明を発表した。もはや「国葬」ではなく酷葬≠ニ言われても仕方がない。
●内閣改造前倒しの背景に国民感情 国葬反対の声、払拭したいマイナスイメージ  8/7
内閣改造が前倒しされた背景には、9月27日に予定される安倍晋三元首相の国葬がある。反対の声も多く、政府への風当たりが強まる時期を避けたとみられる。また、安倍氏銃撃事件における二之湯智国家公安委員長の責任問題もある。警備体制の不備が指摘されており、警察行政トップの二之湯氏のけじめを早期につける意味合いもありそうだ。
内閣支持率の低下も大きな要因とみられる。7月31日発表の共同通信社の調査では前回から12.2ポイント低下の51.0%で、昨年10月の岸田内閣発足以降では最低。政治家と旧統一教会との関係が次々と明らかになり、東京五輪を巡っては組織委員会の元理事に受託収賄疑惑がかけられるなど、国民の政府への不信感が強まっている。政府としては、できるだけ早くマイナスイメージを払拭したいところだ。
《岸田首相が会見、安倍氏の国葬「適切」》岸田首相は記者会見で、安倍晋三元首相の葬儀を国葬とすることについて「適切だと考えている」と述べた。世論調査で反対が多いと指摘されているが「世界各国が敬意と弔意を示している。我が国としても、敬意と弔意を国全体として表す国の公式行事として開催する。具体的な規模や内容について検討を進めている」と語った。国会の閉会中審査で自身が説明するかどうかについては、国会の判断に委ねる考えを示した。
●国葬・統一教会で批判強まる中、10日に組閣 8/7
国会議論することなく安倍晋三元総理を「国葬儀」で礼遇する閣議決定を行ったことから世論が今も2分しているうえ、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と閣僚や自民党の多数議員の関わりが相次ぎ表面化するなど、岸田政権に批判の風が吹き始めるなか、岸田総理は10日にも自民党役員人事と内閣改造に踏み切る方針だとの報道が相次いでいる。
旧統一教会の名称変更を巡っては2015年当時の文部科学大臣・下村博文前自民政調会長が関与した疑惑は解消されないまま。また反社を取り締まるべき国家公安委員長の二之湯智氏が旧統一教会関連団体イベントの実行委員長として名前貸ししイベントであいさつしていたことや「選挙で応援を頂いたことはない」と否定するも、旧統一教会系団体内部文書で応援されていたことが明白になり、こちらも疑惑解消になっていない山谷えり子元国家公安委員長など、幹部を含め関係の深さが浮き彫りになりつつある。
元文部科学行政事務方トップの前川喜平元文部科学事務次官は5日までにツイッターで「反社会的カルト集団統一教会にずっぽりと汚染された自民党。参院選の前にこれがわかっていれば、結果はずいぶん違っていただろう。参院選をやり直すことはできないから、岸田首相は衆議院を解散して国民の信を問い直すべきだ。絶対やらないだろうけど」と皮肉った。
内閣改造を行うのであれば、そのタイミングで「衆議院解散・総選挙」で国民に信を問うのも一案との声もある。国葬儀終了直後に衆院解散、総選挙してはとの声も。いずれにしても、10日の組閣の顔ぶれ、党役員の顔ぶれに注目が集まる。 
●「ヒロシマ原爆の日」平和記念式典での非常識な「安倍元首相批判」 8/7
安倍晋三元首相の死去から、間もなく1カ月。安倍元首相への心ない批判が起きている。
8月6日、米国による広島への原爆投下から77年が経過し、広島市で平和記念式典がおこなわれた。原爆ドーム前では、早朝から反戦・反核を叫ぶ団体が拡声器を使ってシュプレヒコールを上げた。
「安倍(晋三元首相)の国葬反対!」「安倍の美化は許さないぞ!」
人垣のなかでマイクを手にした男性は、「安倍は殺されて当然だ!」とまで叫んだ。
デモを主催するのは、「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」。チラシには、「ウクライナ戦争を今すぐやめろ!」「米日による中国侵略戦争を阻止しよう!」「G7サミット=戦争会議の広島開催反対!」「世界の労働者の団結で世界戦争を止めよう!」の文字が並ぶ。
式典に参列した岸田文雄首相のあいさつ中にも「岸田は帰れ」などと連呼する声が響いた。
「式典開始前の早朝、原爆ドーム前でデモ団体が拡声器を使ってシュプレヒコールを上げるのは、2010年ごろから毎年、おこなわれています。
広島市は厳粛な環境を保つため、デモ時の音量を絞るなどの配慮をするよう、再三にわたってデモ団体に要請してきました。2021年6月には、式典を『市民などの理解と協力の下に厳粛の中で行う』と定めた平和推進基本条例を施行し、式典中の拡声機の音量を85デシベル以下にするよう、団体に要請しています。
今年は、安倍晋三元首相の銃撃事件もあり、厳重な警備体制のなかで式典がおこなわれました。8時15分の黙とう時だけでも静寂に包まれたのはよかったといえますが、式典でのあいさつ中にも、シュプレヒコールが重なり、聞き取りにくい場面が何度もありました。
9月27日に予定される安倍晋三元首相の国葬でも、国論が二分されているだけに、同じような事態が起きることが予想されます」(社会部記者)
ネット上では、平和記念式典の場にそぐわないデモ行進、シュプレヒコールに違和感を覚えるという声が多く上がっている。
《国民の間でも考えが大きく二分される、或いは多くが反対する考えを、一般的に反感を招きかねない場において声高に叫ぶことは逆効果ではないかと疑問を感じずにはいられません》《殺されて当然? 平和を望む人間の言うセリフではないな》《安倍氏の批判は別の所でやってください。広島、長崎の原爆記念日は多くの人達が想像を絶する死に方やその後後遺症で亡くなられた方を純粋な清らかな気持ちで鎮魂してほしい》
式典に参列した国民民主党の玉木雄一郎代表も、自身のTwitterでこう批判した。
《毎年思うのですが、犠牲者を悼む鎮魂の時はシュプレヒコールはやめるべきです。非常識ですし共感は決して得られないでしょう》
9月27日、昭恵夫人が心ない批判を聞いたら、心境はいかばかりだろうか。国論が二分されているとはいえ、亡くなった人への追悼は、厳粛な環境のもと、とりおこなってほしいものだ。
●安倍元総理の国葬 「反対」45%で「賛成」42%を上回る JNN世論調査 8/7
夏の参議院議員選挙の遊説中、銃撃され亡くなった安倍元総理の国葬について、「反対」と答えた人が45%で「賛成」の42%を上回ることが最新のJNNの世論調査で分かりました。
支持政党別で見ると、自民党支持層では「賛成」60%、「反対」30%、立憲民主党支持層では「賛成」13%、「反対」84%などとなっていて、「賛成」が「反対」を上回ったのは、自民党と公明党の支持層のみでした。

 

●安倍元首相銃撃事件から1か月 「国葬」実施への賛否分かれる  8/8
安倍元総理大臣が亡くなってから8日で1か月です。政府が来月行う「国葬」に対する世論の賛否が分かれているほか、旧統一教会と政治家との関係が相次いで明らかになるなど、事件の余波が続いています。
安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃撃され、亡くなってから8日で1か月です。
安倍元総理大臣の「国葬」は来月27日に東京の日本武道館で行われる予定で、政府は先月末に関係省庁による幹事会を立ち上げ、外国の要人も含めた参列者の調整や警備態勢の構築など、準備を本格化させています。
各種の世論調査では「国葬」を実施することへの賛否が分かれていて、野党側からは実施の意義や法的根拠などについて、政府が説明責任を果たしていないという批判が出ています。
岸田総理大臣は先の記者会見で「世界各国が安倍元総理に敬意と弔意を示している状況を踏まえ、国の公式行事として葬儀を行うことは適切だ」と強調しました。
政府としては「国葬」をめぐる衆参両院の閉会中審査の場などを通じて、実施の理由を丁寧に説明し理解を広げていきたい考えです。
一方、自民党安倍派は、安倍氏が亡くなったあとも当面、後任の会長を置かず幹部が協議しながら運営していく方針ですが、派内では主導権争いを懸念する声も出ています。
また、銃撃事件をきっかけに、政治家が旧統一教会から選挙支援を受けたり関連団体のイベントに出席したりするなど教会との関係が相次いで明らかになっていて、事件の余波が続いています。
●安倍元首相の「国葬」に6千人も…「クラスターが起きるのでは」怒りと疑問の声 8/8
《国民の反対の声をねじ伏せる時だけは素早い動きの自民党》
ネット上では怒りの疑問の声が続出している。産経新聞が6日付で「政府が、9月27日に東京・北の丸公園の「日本武道館」で営む安倍晋三元首相の「国葬」(国葬儀)の参列者数について、昭和42年の吉田茂元首相の国葬と同規模の約6千人を軸に調整していることが分かった。」と報じたからだ。
安倍氏の国葬をめぐっては、共同通信社の世論調査で、「反対」、「どちらかといえば反対」が計53.3%を占め、「賛成」、「どちらかといえば賛成」の計45.1%を上回ったほか、日本経済新聞社の調査でも、「反対」(47%)が「賛成」(43%)を上回っている。
共同の調査では、国葬に関する国会審議が「必要」が61.9%にも達しているのだから、何も今、慌てて決める必要はないだろう。今回の安倍氏のケースに限らず、将来、国葬をめぐって賛否の論争が起きないよう、一定の基準作りなども視野に入れた上で国会できちんと議論すればいいではないか。
中曽根元首相の内閣・自民党の合同葬は600人余りに規模縮小
それなのに6日に広島市で会見した岸田文雄首相は「世界各国がさまざまな形で弔意を示している。我が国としても弔意を国全体として示すことが適切だ」などと、国民の声に対してまったく耳を貸さそうとしない。昨秋の党総裁選で岸田氏が盛んに強調していた「聞く力」は一体何だったのか。
しかも、今は新型コロナウイルスの感染拡大中だ。
東京武道館に数千人規模の人が詰めかければ、さらなる感染拡大を招く恐れもある。2020年10月に東京都内のホテルで営まれた故・中曽根康弘元首相の内閣・自民党の合同葬も、コロナの感染拡大を懸念し、当初の計画を見直し、政界関係者や近親者ら600人余りに規模を縮小した。
《国民にはコロナを理由に外出自粛を呼びかけながら、多くの議員が高級クラブで飲み歩いていた自民党。今回も同じ発想だね》《これって、国葬クラスターが起きるのでは》《故人や遺族はこのまま強行することをどう思っているのだろうか》
ネット上の声は、どれもまっとうな意見ばかりだ。 
●安倍元首相の国葬、反対が増えると中止? 「武道館も抑えてる。変えられない」 8/8
MBSの三澤肇解説委員(52)が8日、同局の情報生番組「よんチャンTV」(月〜金曜後3・40)に生出演。7月8日に奈良市内で参院選の応援演説中に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相の国葬が、9月27日に日本武道館で行われることについて語った。
番組ではJNN世論調査の結果を紹介。安倍元首相の国葬について賛成が42%、反対が45%だったことが伝えられた。これを受けて、三澤氏は「国論を二分していることになります」と前置きした上で、「少なくとも政府側からの説明が全く足りていません」と政府を批判した。
さらに三澤氏は「国葬ですから当然、予算措置が必要なんですよね。今、予算措置をやっていて、おそらくお盆明けに予算措置の内容が上がってきます。おそらく、22日からの週に国会の議院運営委員会で説明が行われると思うんですけど、その内容がどういうものなのかを見て、国民は判断するということになるんじゃないでしょうか」と予想した。ここで河田直也アナウンサーが「決断は早かったが、何の議論もなかった」と指摘した上で、「反対がもっと増えたからって、考え直しましょってことにはならないんですか?」と質問。これに対し、三澤氏は「予算措置で武道館も抑えてますので、今からはもう変えられない」と断言。「だから、いかに丁寧に説明するかがポイントです」と付け加えた。
●菊の花だけで2千万円!安倍元首相の国葬に消える血税約37億円 8/8
世論調査では国民の半数が反対している国葬。しかし、準備は着々と進んでいるよう。費用はすべて税金から支払われるというが、どれほどが費やされるのか? 過去の事例から試算した。
「(国葬については)うちにも声がかかっているんですが、まだ内容が決まっていないみたいですね」こう語るのは、大規模な社葬を請け負う老舗葬儀会社の担当者だ。
7月22日、政府は、銃撃事件で死去した安倍晋三元首相(享年67)の国葬を9月27日に日本武道館で行うことを決定した。戦後の首相経験者では’67年の吉田茂元首相以来2例目となる今回の国葬。7月14日の会見で岸田文雄首相(65)は、国葬の費用は全額国の負担になるとしている。
しかし、国民の間では、安倍元首相の国葬が受け入れられたわけではない。報道各社が行った世論調査では「賛成」と「反対」が軒並み拮抗しているのだ。
国民の半数が反対している国葬に、私たちの血税はいくらつぎ込まれるのか。
「’20年10月に行われた中曽根康弘元首相の葬儀は、国と自民党が費用を折半する“内閣・自民党合同葬”。この予算は総額約1億9200万円で、そのうち会場代が約5500万円、会場内の音響、映像、設営費用が約1億3600万円といわれています」(全国紙記者)
厚生労働省の行政事業レビューによると、2021年の全国戦没者追悼式で武道館の会場・付帯設備使用料は1200万円だった。会場費用は中曽根元首相の時よりも抑えられそうだ。
しかし、それ以外の費用はかさみそうだ。中曽根元首相の合同葬はコロナ禍のため、小規模なものとなり参列者も1400人と限られていた。’00年の小渕恵三元首相の合同葬には6000人が参列している。
「一方で、日本武道館で実施される安倍元首相の国葬は、6000人を軸に参列者を調整する見通しであると、6日に産経新聞が報道しました。中曽根元首相の時よりも、会場設営費もかさむことになるのではないでしょうか」(前出・全国紙記者)
吉田元首相の国葬では、遺影の額縁と祭壇に菊の花5万本が飾られた。また、献花に訪れた一般会葬者は3万5000人といわれている。現在の白菊の価格について、都内の生花店に聞いてみると……。
「献花用でも飾りつけ用でも菊の花の時価は1本200円。4万〜5万本を用意するとなると1週間前から仕入れなければ間に合いません。それだけの“買い占め”による相場の急騰が起こるでしょうね」
仮に現在の価格で、献花用の白菊を3万5千本用意するだけで700万円に。祭壇用5万本も加えると、驚くなかれ、菊の花だけで2千万円に届きそうだ。
弔問に訪れる要人の滞在費はだれが負担する?
「80カ国・地域を訪問し、各国首脳と親交を結んだ安倍元首相。今回の国葬には、各国の要人が多数参列する見通しです。’00年に行われた小渕元首相の内閣・自民党合同葬には、当時のクリントン米大統領など153カ国以上の国・地域から要人377人が参列しました。海外からの参列者は、今回も同規模かそれ以上が見込まれます」(前出・全国紙記者)
気がかりなのは、弔問に訪れる要人の旅費や滞在費だが……。
「小渕元首相の内閣・自民党合同葬に際し、外国から参列する関係者の旅費および滞在費の日本側による負担はなく、安倍元総理の国葬儀についても、同様とする予定です」(外務省大臣官房報道課)
実は、このような弔問の際には、訪れる側が旅費や宿泊費を負担するのが慣習だという。とはいえ、警備態勢は強固なものになることが予想される。
元警視庁公安部の所属で、現在はセキュリティコンサルタントの勝丸円覚氏がこう語る。
「1万人以上の警察官を動員した小渕元首相の葬儀以上の規模になることは間違いありません。150カ国以上の海外要人のエスコートや宿泊ホテルの警備など、24億円かかった昭和天皇の『大喪の礼』に近い態勢になるのでは。
安倍元首相は銃撃されて亡くなったこともあり、日本は各国から警備の強化や改善を求められるでしょう。世論の反対も強いため、通常よりも人員を増やさねばならず、警備費用は35億円ほどに増えてもおかしくありません」
昭和天皇の大喪の礼では警察官3万2千人が動員され、当時の警備費用は24億円だった。また、今上天皇の即位礼正殿の儀では警察官約2万6千人が導入され、警備関係費用としては28億5000万円がかかっている。
会場の飾りつけや設営に1億3600万円、武道館の会場費として1200万円、献花に700万円、警備に35億円となると、少なく見積もっても国葬にかかる費用は総額36億5500万円ということになるのだ。
国葬に電通は関与するのか?
“大規模なイベント”となる安倍元首相の国葬。一部の報道では、大手広告代理店の電通が取り仕切る可能性があるとされている。
電通といえば、東京五輪のスポンサー契約をめぐる汚職問題で聴取されている、組織委員会の高橋治之元理事が専務を務めていた会社。コロナ禍の支援策である持続化給付金を巡っても、事業費の“中抜き”が問題視された。
メディアと利権の問題に詳しい元博報堂の社員で作家の本間龍さんがこう語る。
「国葬まで2カ月を切っており、もう準備を始めていないと間に合いません。この短期間に、一括ですべてを仕切れるのは電通ぐらいしかないでしょう。ただ、持続化給付金のときのように、ドカンとマージンをとれるかというと、それは難しい。マージンをとるには、いくつもの子会社に発注する必要がありますが、今回はそれができません。なので、そんなにもうかるわけではないですね」
今回の国葬を取り仕切るという報道の真偽について電通に問い合わせてみると、「本件に関する臆測情報は事実ではなく、当社は関知しておりません」との回答があった。
多くの国民の反対をよそに進められようとしている安倍元首相の国葬。ある議員の秘書が語る。
「国葬の開催自体を考え直そうということはありえない話ではありません。風向きが変わってきたからやっぱりやめます、と閣議決定すればいいだけのこと。政治判断でやめることは可能です」
37億円もかけて行うか、立ち止まって考えてみてはどうだろう。

 

●国葬費用「国会通さず税金使うのは間違い」 予備費支出に批判の声 8/9
安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件は8日で1カ月を迎えた。岸田文雄首相の主導で、政府は早々に国葬の実施を閣議決定したものの、世論は二分している。費用は予備費で賄われる見込みだが、国会の議論を経ることなく支出されることに対し、識者からは予算の使い道を議会がチェックする「財政民主主義」の理念に反するとの批判が出ている。
財政民主主義の理念に反する
安倍氏の国葬は9月27日に行われる。費用は明らかになっていないが、各国から首脳級の参列も予想され、多額を要するのは必至。政府が半額を負担した中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬(2020年)は、首相経験者の葬儀としては過去最高の約1億9000万円だった。
税金などの詳細な使い道は、国民の代表者で構成される国会の議決に基づいて決めなければならないというのが「財政民主主義」の原則だ。一方、政府が国葬の財源に充てる方向の予備費は、憲法87条が「予見し難い予算の不足に充てる」目的で、あらかじめ使途を定めず計上することを認める予算。内閣の判断で支出し、使った場合は国会の事後承諾を得る仕組みになっている。
ただ、制度の主眼は自然災害など急を要する事態に備えることだ。野党からは「災害対策などに予備費執行はあり得るが、国葬はわけが違う。国会が関与すべきだ」(立憲民主党の泉健太代表)などと疑問の声が上がる。中曽根氏の合同葬にも同様に予備費が使われており、野党は批判していた。
臨時国会では政府の説明なし
7月22日にあった国葬実施の閣議決定から当日までは2カ月以上あり、政府が補正予算案を編成することも可能だったとみられるが、参院選を受けた先の臨時国会は新たな参院議長らの選出だけで3日間の会期を終えた。政府による説明は閉会中審査に持ち越されたが、日程は決まっていない。
公文書改ざんなどを含む森友学園問題に関する著書がある大川一夫弁護士は「多くの国民が反対しているのに、国会を通さず税金を使うのは財政民主主義の点でも間違っている」と主張する。
松野博一官房長官は記者会見で、国葬への予備費支出が適正か問われたのに対し、「財政民主主義の観点から憲法や財政法に沿って対応する」と述べるにとどめた。
国葬を巡っては、共同通信社の7月末の世論調査で「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計45.1%を上回った。野党からは実施の基準が不明確で、法的根拠のあいまいさが指摘される。元財務官僚で明治大の田中秀明教授(財政学)は「国葬の基準を事前に策定しなかったのは政府の怠慢であり、直ちに策定すべきだ」と強調する。
●安倍元首相の国葬「行政の権限で可能」は本当? 法的根拠あいまい 8/9
安倍晋三元首相の国葬を巡り、政府が閣議決定だけで実施することに対して、行政法学者から疑問の声が上がっている。法的根拠のあいまいさは、国会の閉会中審査でも焦点になるとみられる。(坂田奈央)
政府は法的根拠に関して、内閣府設置法に内閣府の所掌事務として「国の儀式」が挙げられていると説明。国葬を「国の儀式」に位置づける閣議決定を行ったことを受け、岸田文雄首相は「行政が国を代表し、国葬儀を行うことができる」と主張している。国葬という儀式そのものが法律に明記されていなくても「どんなものを国の儀式としてやるかを決めるのは、行政の権限として予定されている」(内閣府の担当者)という理屈だ。
一方、成蹊大学の武田真一郎教授(行政法)は「内閣府設置法は国の儀式を所掌事務だとしているだけで、国葬の実施を決定する根拠法とは言えない」と反論する。財務省設置法で国税庁の所掌が「国税に関する事務」と定められているからといって、実際に課税するには別に税法が必要になるのと同じだという。
その上で「国葬が国の税金を使い、国民全体で弔う趣旨なら、閣議決定による政府の一存で決めるのではなく、国会が賛否両論を議論して決定すべきだ」と強調した。
●安倍元首相の国葬「評価する」49%、「評価しない」46%…読売世論調査  8/9
読売新聞社は5〜7日に全国世論調査を実施し、岸田内閣の支持率は57%となり、参院選直後に行った前回(7月11〜12日調査)の65%から8ポイント下落した。不支持率は32%(前回24%)。
自民党などの複数の国会議員が、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)から選挙での支援や寄付を受けていたことに関して、政党や議員が説明責任を果たしていると「思わない」は87%に達した。自民支持層でも「思わない」が82%に上った。
新型コロナを巡る政府の対応を、「評価する」は52%(前回64%)に低下し、「評価しない」は41%(同31%)。物価高への対応を「評価しない」は71%(6月22〜23日調査71%)だった。「旧統一教会」「コロナ」「物価高」対応への不満が支持率を押し下げたとみられる。ただ、支持率57%は、与党が大勝した参院選の公示直後の調査(6月22〜23日実施)と同じで、高い水準といえる。
また、政府が安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)の実施を決めたことについては、「評価する」49%、「評価しない」46%と、世論が二分していた。
政党支持率は、自民党38%(前回44%)、立憲民主党6%(同6%)などの順で、無党派層は36%(同25%)だった。
先の参院選で政策と無関係な政見放送が相次いだが、政見放送のあり方を見直すべきだと「思う」は74%に上り、「思わない」は17%にとどまった。 
●安倍元首相の国葬「総額37億円」報道で加速する反対論 8/9
賛否を呼んでいる、安倍晋三元首相の国葬問題。8月8日付の「WEB女性自身」では、9月におこなわれる国葬にかかる費用を「総額37億円」と試算し、話題を呼んでいる。
安倍元首相の国葬は9月27日、日本武道館でとりおこなわれる予定だ。安倍元首相が外交に力を入れていたことから、海外からの参列希望者も多いと見込まれている。政府は、参列者を6000人と想定し、準備を進めている、と8月6日付の「産経新聞」が報じた。
「WEB女性自身」では、過去の中曽根元首相の「内閣・自民党合同葬」や、吉田茂元首相の国葬、昭和天皇の「大喪の礼」などを参考に、費用を算出。会場費や献花などのほか、もっとも費用が割かれるのは、海外要人らの警備体制だという。「大喪の礼」では24億円だったが、安倍元首相が銃弾に倒れた経緯も鑑み、警備費用は35億円ほどかかる可能性もあると報じている。
報道を受け、ネット上では国葬に反対する声が、にわかに勢いを増している。
《こう言っちゃ悪いが亡くなった人にこんだけ使える資金があるんなら、コロナや災害で困窮してる方に使った方がよっぽど有益だと思うんだけどね。》《景気も悪いしコロナも収まらないし、勘弁して欲しい…国葬じゃなくて自民葬にしか思えない。内輪だけが勝手に盛り上がってるだけ。》《やりたい議員の先生方ごポケットマネーでやればいいのに!やってほしくない国民の民意は、どうなる?ちゃんと答えてほしい!納得のいく説明をしていただきたい!》
「ここにきて、徐々に国葬へ反対する声は大きくなってきた印象です。最新のJNN世論調査では、国葬の反対が45%、賛成が42%と、反対派が賛成派を上回りました。7月末の共同通信のアンケートでも、反対派が賛成派を上回っています。
反対派の不満は、金額の大きさや政治信条に加え、国葬について、今に至るまで政府からたいした説明がない、というところも大きいでしょう。岸田首相は『民主主義を守る』『国全体で敬意と弔意を示す』などと語っていますが、『なぜ内閣・自民党合同葬ではなく国葬なのか』という国民からの問いに、答えきれているとは思えません。莫大な税金をかけるなら、それに見合った理由を提示できなければ、今後も反対意見が増えるばかりではないでしょうか」(政治部記者)
国葬の実施まで、あと2カ月を切った。世論はどこへ向かうのか。
●安倍元首相の「国葬」市民グループが実施させないよう求め提訴  8/9
来月27日に行われる安倍元総理大臣の「国葬」に反対する市民グループが、実施させないよう求めて東京地方裁判所に訴えを起こしました。
訴えを起こしたのは、安倍元総理大臣の「国葬」に反対する市民グループおよそ230人で「政府による決定や実施には法的根拠がなく、国会の承認も得ていない。内閣が国会を無視して恣意的(しいてき)に権限を行使したもので憲法に違反する」などと主張して、「国葬」や国費の支出をさせないよう求めています。
学者や弁護士も原告となっていて、弁護団長の大口昭彦弁護士は「岸田総理大臣は『国葬』によって民主主義を守るための決意を示すと言っているが、臨時国会も国葬の必要性や合理性を説明せず閉会してしまった。それで民主主義を守ると言えるのか」と話していました。
安倍氏の「国葬」をめぐっては、別の市民グループも予算を執行させないよう求める仮処分を東京地裁に申し立てています。
政府は、来月27日に「国葬」を行うことを閣議決定していて「内閣府設置法に内閣府の掌握事務として国の儀式の事務に関することが明記され、国葬を含む国の儀式の執行は行政権に属することが法律上明確となっており、閣議決定を根拠として行うことができる」としています。
●“安倍元首相「国葬」根拠や過程を説明すべき” 立民 共産など  8/9
安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、立憲民主党や共産党などは政府へのヒアリングを行い、「国葬」を行う法的な根拠や閣議決定に至るまでの過程を詳しく説明すべきだといった指摘が相次ぎました。
来月27日に行われる安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、立憲民主党や共産党などは9日、国会内で内閣府の担当者からヒアリングを行いました。
この中で担当者は「儀式を行うことは、行政の裁量の範囲内と考えており、閣議決定を根拠にして行う。内閣府設置法にも内閣府の事務として明記されており、その認識のもとで閣議決定を行った」と説明しました。
これに対し、出席した議員からは、法的な根拠が不十分だとか、「国葬」を行うことを誰が発案し、その後、どこで議論したのかなど、閣議決定に至るまでの過程を詳しく説明すべきだといった意見が出されました。
そのうえで、政府の担当者が説明できないのであれば、国会審議で岸田総理大臣に直接ただす必要があるといった指摘も出されました。
一方、会合では、旧統一教会の名称変更などをめぐっても質疑が行われ、出席した議員が、教会側が平成27年に名称変更を申請した際の記録などを明らかにするよう重ねて求めたのに対し、文化庁の担当者は「確認中だ」と述べるにとどめました。
●安倍氏国葬の費用「2億円弱が指標」と内閣府 野党ヒアリング詳報 8/9
安倍晋三元首相の国葬を巡り、立憲民主党などは9日、政府側への初の合同ヒアリングを国会内で行った。国費で賄う費用の規模について、内閣府の担当者は、2020年の中曽根康弘元首相の「内閣・自民党合同葬」でかかった2億円弱(警備費などを除く)が「一つのメルクマール(指標)」と説明。懸念されている国民への弔意の強制については、「国民一人一人に喪に服することを求めるものではない」との松野博一官房長官の発言を繰り返した。一方、弔意の要請については「検討中」とした。主なやり取りは次の通り。
国葬は「行政の作用の範囲内」
大串博志衆院議員(立憲) 今回の国葬を決めた理由、経緯、法的根拠、そして予算はどうなるのか、説明をお願いします。
富永健嗣・内閣府国葬儀事務局参事官 理由に関しては、7月14日に岸田(文雄)総理の記者会見で説明がございまして、(安倍元首相が)憲政史上最長の在任期間であるとか、選挙期間中に非業の死を遂げられたとか、東日本大震災からの復興などの功績、諸外国からも弔意が寄せられてそれに応える必要がある、ということでございます。法的根拠ですけれども、そもそもこの儀式を行うことについては、行政の作用の範囲内と考えております。予算の規模についても検討中でございます。
弔意の要請や連絡「検討中」
大串議員 喪に服すことの強制、または要請ですけれども、(1967年の)吉田茂元総理の(国葬の)例を見てみると、各役所に対して弔旗の掲揚、あるいは一定時間の黙とう、それから音を控えなさいとなっています。また会社、その他一般においても同様の方法により、哀悼の意を表するよう協力を要望している。さらに当時の佐藤栄作総理からの国民各位へのお願いということで、それぞれの場所で1分間の黙とうをしてくれと言っています。これが国葬なのか。
富永参事官 いろんなところに対して弔意についてどう連絡をするのかということは今検討していますが、少なくとも国民の皆様、一人一人に喪に服することを求めるものではないということは、いろんな場で官房長官の発言があります。
米山隆一衆院議員(無所属) あらゆる(国の)儀式は行政の作用だから、(7月22日に安倍氏の国葬を決めたように)閣議決定であらゆる儀式をしていいと考えているということですよね。
富永参事官 そこは当然、国民の権利、義務に関わるようなことが出てきた場合は(法的)根拠がいると思うのですけれども、一つの行事を儀式として行うことについては、行政の行い得る範囲内で行えるということだと思います。
大串議員 確認ですけど、今回の国葬に関しては、法律根拠があるわけではないという理解でいいですね。
富永参事官 はい。閣議決定を根拠に行っていると理解しています。
山岸一生衆院議員(立憲) 今回は(国葬について)国会と協議してみようという議論は(政府内で)あったのでしょうか。
富永参事官 そこは協議をしてということではなくて。繰り返しになりますけれど、行政の作用の中で進めてきているという認識です。
山井和則衆院議員(立憲) 今回の国葬においても、会社や学校で、吉田元総理の国葬と同じように、黙とうを求める可能性があるのか。それに関連して、サイレンと同時にそれぞれの場所で1分間の黙とうを求める可能性は現時点であるのか。もう1点、予算は大体で結構なんですけど、数億、10億円以下で収まる話なのか。
大串議員 (1980年に死去した)大平正芳(元首相の)内閣・自民党合同葬で、執行に伴う警備活動に必要な経費ということで、22億円の予備費を計上されているんです。これと同じようなことがあるのか。
富永参事官 吉田元総理の時のような国民へのお願いをするかどうかについて、現時点で決まっていないんですが、少なくとも今回は国民一人一人に喪に服することを求めることはないと表明されておりますので、それを踏まえてどういう形になるかということを検討していくと思っております。
山井議員 そこが一番重要なところでね。国民一人一人に影響するので。全ての国民に黙とうしろというのは、今回はやらない方向で検討しているという理解でいいんですか。
大串議員 松野官房長官は国民に喪に服することを強制することはしないと言っていると思うんです。要請することまでしないとは言っていない、と私は思いますけど、どうでしょうか。
富永参事官 少なくとも強制することはしないということは、おっしゃる通りだと思います。その上でですね、あのー、まだ現時点で、事務方の立場でこういうふうにやりますという材料はないものですから。検討中ということで、あのー、ご説明させていただきたいと思います。予算については、中曽根合同葬の時は自民党と折半という形でありますけれども、全部で2億円弱の予算を計上しているということで、それが一つのメルクマールとなって検討されているということでございます。2億円弱というのは式典にかかる費用でございますので、警備などですね、警察当局がどのように経費を手当てしたのかということについては、私どもとしてはちょっと現段階では把握していないということです。
内閣・自民党合同葬への変更は?「国葬の準備進める」
杉尾秀哉参院議員(立憲) 世論調査を見ていると(国葬に)反対の数字がですね、どんどん増えて、反対が賛成を上回っている状況になっている。おそらく時間がたつにつれて、統一教会の問題も絡んできますし、もっと増えることが十分予想され、国論を二分するどころか反対の人が多い。こうした状況の中で国民、国会の葬儀として、こういう葬儀を行うことが果たして適切なのかという根本的な議論になってくると思うんですね。内閣・自民党合同葬に変更するということは物理的に可能なのか。外国の要人などへの招待状の発送も含めて、事務的な問題も含めて、その可能性について答えてください。静謐(せいひつ)な環境の中で行えないということが明確になっても、それでも国葬を強行するのか、それも教えてください。
富永参事官 あくまで政府としましては、閣議決定に基づいて事務を進めていますので、今の閣議決定がある限りは、それに基づいて準備をしているという認識でございます。
杉尾議員 じゃあ閣議決定を変更すればいいんですか。
富永参事官 そこまではすいません。可能性の問題としても、我々の立場で申し上げるのは、はばかられると思っております。
皇族の参列は「宮内庁と相談」
長妻昭衆院議員(立憲) (国葬には)皇族の方をお呼びするということでいいわけですね。
富永参事官 お呼びするというよりは、皇族方のご参加の対応についてどうするかというと、宮内庁と相談していくということです。
長妻議員 皇族のどなたかが参列されることは、どなたか分からないけれども、そういうことがあると。
富永参事官 必ずどなたかがご参加されるかどうかということも含めて、現段階で申し上げられない。
長妻議員 出席を前提に、相談してるっていうことですね。
富永参事官 前提とまで申し上げるかどうかというのは、すいません。

 

●安住紳一郎アナ、安倍元首相「国葬」世論調査に「ほぼ世論を二分している」 8/10
TBSの安住紳一郎アナウンサーが10日、総合司会をを務めるへTBS系「THE TIME,」(月〜金曜・午前5時20分)に生出演した。
番組では、市民団体「安倍元首相の国葬を許さない会」のメンバーらが9日に国を相手取り、9月27日に予定されている国葬の差し止めなどを求める訴訟を東京地裁に起こしたことを報じた。
スタジオでは国葬について報道各社の世論調査結果を伝えた。安住アナは「まさに世論調査でも結果が割れますし、ほぼ世論を二分しているということなんです」と指摘した。その上で「9月27日、日本武道館で予定されています。一体どうなるんでしょうか」とコメントしていた。
●安倍氏国葬「説明続ける」 銃撃検証、警備体制立て直し 岸田首相 8/10
岸田文雄首相は10日の記者会見で、銃撃を受け死亡した安倍晋三元首相の「国葬」に対する賛否が割れていることに関し、「今後さまざまな機会を通じて丁寧に説明を続けていきたい」と強調した。
「事件をしっかり検証し、警備体制を立て直す必要がある」との考えも示した。
首相は「国際社会がさまざまな形で弔意や敬意を示している」と実施の妥当性を力説。国民の理解を得るために「規模や内容もしっかり明らかにしたい」と述べた。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自身の関係については「知り得る限り、当該団体と関係がない」と改めて説明。自民党の政策決定への影響も否定した。
改造内閣の最優先課題として、「新型コロナウイルスを乗り越えて持続可能な経済・社会をつくり上げる」ことと、「ポスト冷戦期の次の時代の国際秩序をつくり上げる」ことを挙げた。2022年度第2次補正予算案の編成については「状況を見極めた上で判断したい」と述べるにとどめた。
新型コロナをめぐり、首相は「『第7波』の荒波から感染者数が減少に転じる地域が出てきている」と分析。感染症法上の位置付け見直しなど「新たな段階への移行を時機を逸することなく進める」と強調した。
一方、台湾情勢の緊迫化を受け、中国に対して「しっかり意思疎通を図ることが重要だ。対話は常にオープンだ」と主張した。 
●安倍元首相の国葬をしている場合ではない 政治の膿を出し切るべき 8/10
「あの統一教会系合同結婚式に祝電 安倍晋三とのただならぬ関係 次期首相にふさわしいのか!」週刊朝日2006年6月30日号の記事。この3カ月後に首相になる51歳のまだ若い安倍さんの顔写真が、統一教会の合同結婚式の写真(イメージ)と重なって写っている。記事の本文はこんなふうにはじまる。
「会場には8千人余りが詰めかけ、盛大な拍手が鳴り響いた。司会者らしき男性がステージに立ち、誇らしげに名前を読み上げた。『祝電がいっぱい届いておりますが、その中から数個ご紹介を申し上げます。岸信介元総理大臣のお孫さんでいらっしゃり……』と紹介されたのは、ポスト小泉の最有力候補で、いまをときめく安倍晋三内閣官房長官(51)である」
記事は、旧統一教会を母体とした天宙平和連合(UPF)の会合を取材したもので、自民党のなかには選挙で統一教会の支援を受けたり、秘書を派遣されたりしている議員がいることにも触れている。影響力のある政治家が、被害者の多い宗教団体の広告塔の役割を果たすことを疑問視する記事で、当然、統一教会と岸信介氏との関係についても言及されている。
「統一教会」と、新聞雑誌記事データベースを検索すれば、数千もの記事がヒットする。そのほとんどが信者や信者の家族の被害を訴えるものだが、なかには、この週刊朝日の記事のように、自民党議員とのつながりを指摘する記事もいくつも出てくる。1992年には金丸信氏が、文鮮明教主の入国のために法務省に圧力をかけた疑いが報じられ、元信者が自民党議員の選挙応援にかりだされたことを証言している。1986年には、岸信介氏ら、自民党議員が中心となった「国家秘密法」の制定運動に、統一教会が母体の国際勝共連合が莫大な資金援助をしていたことも、大きく報じられていた。
みんな、うすうす気が付いていた。本当はどこかでわかっていた。それでも決定的に追いつめ、膿(うみ)を出し切ることまでできなかった。今、大変な勢いで、旧統一教会と自民党議員らとの長い蜜月が明らかになりつつあるが、本来ならばもっと早く、強く、深く、メディアが追いつめるべきことだったのではないかと悔やまれる。膿を出し切っていれば日本の民主主義がこれほど危うくなることもなかったかもしれず、そもそも安倍さんも死ぬことなどなかっただろう。
安倍さんの死からちょうど1カ月が経った。2年前に静岡・御殿場の虎屋のカフェに行ったことを思い出す。もともとは1969年に岸信介氏の自邸として建築されたものだ。5700平米の敷地に、当時、岸家が暮らしていた屋敷がそのまま残されている。水面がきらめく池、様々な樹木が完璧に配置された美しい庭園の豊かさに圧倒されたものだ。私は友人たちと、「この庭で安倍さんは遊んでたんだね」と話しながら庭を散策していたのだが、一人がボソリと言ったことが忘れられない。
「なんで、あの人たち、こんなにお金を持ってるの?」
なんででしょうね……、なんてことを私たちは日本史をひもときながら勝手なことを言い合って話し合ったものだ。でも、本当になぜ、と今改めて思わずにはいられない。なぜ、安倍さんの家はあれほどの財産を持っているのだろう。政治家というのは、そこまで「もうかる」仕事なのだろうか。そして財産も、人脈も全て、「家業」のように親から子に継いでいくものなのか。
冒頭の週刊朝日の記事で、安倍さんはUPFの会合で「岸信介元総理大臣のお孫さん」と紹介されている。50代にもなって公の場で「誰かの孫」と紹介される人生があるのか、と庶民の私などは違和感しかないが、それでもそういう世界を、安倍さんは生きてこられたのだろう。岸信介の孫として、岸洋子の息子として、安倍晋太郎の息子として、戦前から脈々と継がれてきた家業を背負うことが宿命であるかのように、生きてこられた。岸信介氏らが切望した「国家秘密法」も、安倍さんが総理の時代に「特定秘密保護法」として成立させたが、これも安倍さんにとっては家業としての仕事だったのかもしれない。
安倍さんの死後、母親の洋子氏が後継者について語っていることが報道されている。私の書棚には1992年に洋子氏が書かれた『わたしの安倍晋太郎』という本がある。夫の名前がタイトルにはなっているが、割かれているのはほぼ父、岸信介氏のことであり、岸家、佐藤家、安倍家という長州派閥のファミリーストーリーである。安倍さんが総理になったときに古本屋で買ったものだが、一読した率直な感想は、「洋子さん、毒母?」であった。戦犯の父を持つ娘として戦前と戦後を体験し、総理大臣を目指す夫に“仕え”、その夫が道半ばで急死した無念さがつづられている本から伝わってくるのは、総理の娘が総理の妻になれなかった悔しさであった。男尊女卑の激しいこの国で女は総理大臣にはなれない。なれるのは総理の娘、総理の妻、総理の母である。安倍さんの幼いころの夢は「プロ野球選手」だったというが、はなから「総理大臣になる」道以外は閉ざされた人生だったということが、洋子氏の手記からは伝わってくるのだった。
安倍さんは国会で不誠実な答弁をくり返す横暴な政治家であったが、どこか“お坊ちゃま感”が抜けない人だった。また、一昔前の愛人がいて当たり前、みたいな黒い政治家のイメージはなく、むしろ性的なものに奥手で、セックススキャンダルからは程遠い人という感じでもあった。私の勝手なイメージだが、強い母親に組み敷かれた人の弱さを感じずにはいられなかった。“奔放で自由な妻”を選んだのは、もしかしたら安倍さんの母親への人生最大の反抗だったのではないかと思うほど、安倍さんの“女性観”がよくわからなかった。  
安倍さんの人生に母親の影響がどれだけあったかは、わからない。それでも、祖父が日本での普及に力を添えた旧統一教会の被害者に殺された事実は、この国をリアルに生きる人々の声よりも、“ご先祖様”を仰ぎ見るようなファミリービジネスとしての政治に邁進した結果でもある。そういう意味で、安倍さんは、山上容疑者と同じように、“家族の被害者”であったのかもしれないと思う。
公衆の面前でマイクを握ったまま背後から撃たれた安倍さんは、最後、山上容疑者のほうを振り返っている。1発目の煙がまだ立ちこめる数秒の時間のなか、最後に見たものは山上容疑者の姿だっただろうか。財産を奪われ、未来を奪われ、家族を壊された40代の男と、使い切れないほどの財産を先祖から引き継ぎ、未来が約束されてきた60代の男はあの瞬間、個として対峙した。それは2人の人生が同時に終わる瞬間だった。個としての安倍さんを考える時、その人生の歪(いびつ)さと不幸を哀れに思わずにはいられない。だからこそ安倍さんの死を悼むというのならば、やはりその不幸の根源を洗い出し、膿を出し切るべきなのだろう。安倍さんの政治家としての人生と、この国の民主主義の歪(ゆが)みを徹底的に洗い出すべきだ。国葬をしている場合じゃない。
●「国葬」反対の市民グループの申し立て 退ける決定 東京地裁  8/10
来月27日に行われる安倍元総理大臣の「国葬」に反対する市民グループが、予算の執行などをさせないよう求めた仮処分の申し立てについて、東京地方裁判所は「『国葬』によって思想や良心の自由が侵害されるとはいえない」として、退ける決定をしました。
安倍元総理大臣の「国葬」に反対する市民グループは先月、「国民を強制的に参加させることは、憲法で定められた思想・良心の自由に違反する」と主張して、「国葬」に関する閣議決定と予算の執行をさせないよう求める仮処分を申し立てました。
これについて東京地方裁判所は、10日までに決定を出し、申し立てを退けました。
この中で、向井敬二裁判長は「『国葬』の方式で行われるとしても、個々の国民に喪に服すことを強制するとは認められず、弔いの儀式に強制的に参加させるわけではない。思想に対し、圧迫や干渉を加えるものではなく、思想や良心の自由が侵害されるとはいえない」などとしています。
記者会見した市民グループは決定を不服として、10日に東京高等裁判所に即時抗告したことを明らかにしました。
また、政府の閣議決定には法的根拠がないとして、国に対し、予算の執行の中止などを求める訴えを東京地裁に起こしたということです。

 

●安倍元首相の国葬差し止め申し立てが却下、市民団体が即時抗告 8/11
安倍晋三元首相の国葬の実施は憲法違反などとして、市民団体「権力犯罪を監視する実行委員会」が予算執行の差し止めなどを申し立てた仮処分で、東京地裁は却下の決定をした。2日付。団体側は決定を不服として10日、東京高裁に抗告した。
決定で向井敬二裁判長は、国葬の実施が個々の国民に安倍氏への弔意や喪に服することを強制するものではなく「思想・良心の自由が侵害されるとは言えない」と判断した。
10日に記者会見した団体メンバーらは、書類の訂正手続きをした日に決定が出たと明かし、「(意見を陳述する)審尋の機会もなく、却下ありきの決定だ」と非難。岩田薫共同代表は「国民の税金で実施するのに権利侵害にあたらないと判断されたのは不服」と訴えた。
団体は今後、国葬が憲法違反にあたることなどの確認を求め、横浜やさいたまなど各地裁で提訴する方針。
反対する団体は集会を複数回開催予定
銃撃されて死亡した安倍晋三元首相の国葬に反対する市民や法律家の団体などでつくる「安倍元首相の『国葬』に反対する実行委員会」は10日、国葬が予定される9月27日まで、東京都内で複数回の反対集会を開く方針を発表した。また、予定通り国葬が開催されれば、同時刻に国会前で大規模集会を開くとした。
実行委は、国会周辺で安全保障関連法廃止を訴えるデモを開いてきた「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が呼び掛け、45団体などで構成。永田町の参院議員会館での記者会見で、総がかり行動実行委共同代表の高田健さんは「国葬を巡り国論は二分しており、明確に反対する人が社会にいることをきちんと示したい」と語った。
今後、8月31日に国会前で5000〜1万人規模の集会を開く。また、9月19日に代々木公園(渋谷区)で予定する改憲発議反対と脱原発を訴える1万人規模の集会で、国葬反対も訴える。
安保法制は憲法違反だとして廃止を求めてきた「改憲問題対策法律家6団体連絡会」の大江京子弁護士は「国葬を行う法的根拠はなく、弔意が強制されれば憲法違反の疑いがある。また、憲法違反の政治をしてきた安倍政権への批判や検証が封じられる雰囲気がつくられることを危惧している」と訴えた。
●旧統一教会「不当な影響ない」 安倍氏国葬に理解求める―岸田首相 8/11
安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治のつながりが大きな関心を集める中、岸田文雄首相が10日、当初の予定を大幅に前倒しして内閣改造に踏み切った。記者会見した岸田首相は「旧統一教会が不当に自民党の政策に影響を与えたとは認識していない」と強調し、9月に予定される安倍氏の国葬にも理解を求めた。
モーニング姿の岸田首相は午後6時すぎから首相官邸で会見に臨んだ。旧統一教会について、自身は「関係がない」と明言。その上で「関係の点検と見直しを了解した者のみを(閣僚に)任命した」と説明した。安倍氏が旧統一教会の関連団体にビデオメッセージを送っていた点について問われると、「当時の安倍元首相の判断」としてコメントを避けた。
安倍氏の国葬について反対意見が増えているとの指摘には、東日本大震災からの復興や経済再生、外交面などでの安倍氏の実績を強調。「国内外から高い評価と幅広い弔意が寄せられている」と各国の対応を列挙し、「国の公式行事として各国代表を招く形式が適切」と語った。
会見は約45分で終了。記者からは「まだ質問がある」「短すぎる」などの声が上がったが、岸田首相はそのまま会見室を後にした。
●新型コロナ対策、見直し急務 賛否割れる安倍氏国葬―政府・内閣改造 8/11
内閣改造後の岸田政権が直面するのは、新型コロナウイルス感染の「第7波」対応や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題だ。9月27日に控える故安倍晋三元首相の国葬にも世論の反対が根強い。岸田文雄首相の説明不足を指摘する声も上がっており、対応を誤れば政権に打撃となる。
第7波では新規感染者数が過去最多を更新。岸田政権はコロナ対策の「平時」移行を掲げたが、各地で発熱外来を中心に医療体制が再び逼迫(ひっぱく)し、十分に用意したはずの検査キットも各地で不足する事態に。「首相は相当いら立っている」と政府関係者。厚生労働相に過去2度務めた加藤勝信前官房長官を起用したのは、体制立て直しを図る狙いもある。
自治体からは、保健所などの負担軽減に向け、コロナ患者の発生届による「全数把握」見直しなど、対策の緩和を求める声が相次ぐ。ただ、政府内には「治療薬の普及を待つべきだ」との慎重意見も強く、議論を第7波収束後に持ち越した。
一方、政府は秋の臨時国会に感染症法改正案を提出する方針。先進国有数の病床数にもかかわらず、コロナ治療の病床不足を招いた反省から、自治体と医療機関が病床確保の協定を結ぶ内容だ。首相肝煎りの「内閣感染症危機管理庁」や「日本版CDC」創設の調整も本格化する。
旧統一教会問題も一筋縄では行きそうもない。自民党議員と教団側との密接な関係に世論が疑惑の目を向ける中、首相は新閣僚や自民党幹部に「自ら点検し、厳正に見直してもらう」と要請。しかし、具体的な見直しの範囲などは曖昧で、留任した閣僚の周辺は「教団の関連団体を含め、どこまでが問題なのか」と戸惑いを隠せない。
与党関係者は「地方議員も含めれば、教団との付き合いはさらに広がり得る」と指摘。「新閣僚らの点検が済んだとしても、旧統一教会と政治をめぐる問題が幕引きできるとは思えない」と話す。
安倍氏の国葬をめぐっては、差し止めを求める訴訟が起こされるなど逆風が収まる気配はない。国会では今月下旬に国葬をめぐり閉会中審査が行われ、野党は国葬実施の判断などについて追及する構えだ。省庁幹部は「『なぜ国葬なのか』に対する首相のメッセージが足りない。世論が分断され、結果的には政権への反発が強まりかねない」と懸念を示した。
●安倍元首相の国葬「メディアは明確に反対を」 日本ジャーナリスト会議が声明  8/11
記者や市民、学識者らでつくる日本ジャーナリスト会議(JCJ)は8日、「戦前の遺物『国葬』にメディアは明確に反対を」と題した声明文を発表した。
声明文は岸田文雄首相が安倍晋三元首相の国葬を閣議決定したことに批判が強まっていると指摘し「国葬は天皇主権の明治憲法体制の遺物であり、国民主権・民主主義とは相いれないとの立場を報道機関は明確にし、伝えるべきだ」と各メディアに要望している。
政府の対応を巡っては「経費を全額国費から支出することに法的根拠はない」「政府は内閣府設置法で内閣府の所掌事務とされる『国の儀式』として閣議決定すれば可能とするが、『国の儀式』に国葬が含まれるという法的根拠はない」と批判している。
その上で「最大の問題は国民に特定の個人に対する弔意を事実上強制することにある」とし「国葬強行は戦前回帰、異論封殺、国民総動員につながりかねないという危機感を持って、報道機関は取材に当たってほしい」と呼びかけている。
●安倍氏国葬で首相「いろいろな意見あることは承知」 実施方針は変わらず 8/11
岸田文雄首相は10日の記者会見で、安倍晋三元首相の国葬に世論調査などで反対が多いことについて「いろいろな意見があることは承知している」としつつ、実施に向けた考えに変わりないとの認識を改めて示した。「今後さまざまな機会を通じて丁寧に説明を続けていきたい」と述べた。京都新聞社の質問に答えた。
首相は、安倍元首相が憲政史上最長の8年8カ月在任し、震災復興や経済再生などで業績を挙げ、国際社会から弔意が寄せられていると強調。「国の公式行事として開催し、各国代表をお招きするのが適切」と政府方針を繰り返した。
●安倍氏国葬「反対」47% 旧統一教会解明「必要」77%―時事世論調査 8/11
時事通信の8月の世論調査で、故安倍晋三元首相の葬儀を全額国費で負担する「国葬」として実施することに対する賛否を尋ねたところ、反対は47.3%で、賛成は30.5%だった。「どちらとも言えない・分からない」は22.2%だった。政府の閣議決定に支持が広がっていない実態が浮き彫りになった。
支持政党別で見ると、自民、公明両党支持層は賛成がそれぞれ52.4%、44.1%と、反対を上回った。一方、野党支持層のほとんどは過半数が反対と答え、割合は立憲民主党支持層が75.9%、日本維新の会支持層が63.0%だった。無党派層は51.0%が反対と答えた。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家の関わりについての実態解明が必要かどうか質問したところ、「必要だ」77.3%、「必要ない」11.0%だった。支持政党別でも全ての政党支持層で「必要だ」が7割を超えた。
岸田内閣の支持率は前月比5.6ポイント減の44.3%。不支持率は同8.5ポイント増の28.5%で、発足後では最も高かった。調査は5〜8日に行われたため、10日の内閣改造に対する評価は反映されていない。
政党支持率は、自民が前月比2.2ポイント減の24.3%、立民は同0.7ポイント増の4.8%、維新は前月と変わらない4.5%。以下、公明2.8%、共産党1.8%、国民民主党1.3%、れいわ新選組1.2%、参政党0.6%、NHK党0.4%、社民党0.2%となった。支持政党なしは56.3%。
調査は全国18歳以上の男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は60.0%。

 

●安倍元首相国葬、差し止め求め提訴 市民団体、横浜地裁に 8/12
9月27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬をめぐり、市民団体のメンバーらが12日、国葬実施の閣議決定取り消しと、予算執行の差し止めを求める訴訟を横浜地裁に起こした。
訴状によると、国葬に法的根拠はなく、安倍氏を一方的にあがめさせることになり、思想・良心の自由を保障する憲法19条に違反すると主張。政府が財源に2022年度予算の予備費の使用を想定していることに「緊急性がない予備費の支出は違法だ」としている。
団体はこれまで、名称を「権力犯罪を監視する実行委員会」としていたが、12日に「安倍『国葬』やめろ実行委員会」に変更したと発表した。関連予算執行などの差し止めを求め、東京地裁に仮処分を申し立てたが、東京地裁は却下していた。
国葬をめぐっては別団体が、差し止めなどを求める訴訟を東京地裁に起こしている。
●安倍元首相の国葬に世論は「NO」 首相説明に「納得できない」56% 8/12
共同通信の調査によると、安倍氏の国葬に関し、敬意と弔意を国全体として表す国の公式行事として開催するのは適切だとする岸田文雄首相の説明に「納得できない」との回答は56.0%で「納得できる」の42.5%を上回った。
物価高に対する首相の対応について尋ねると、「評価しない」が67.4%で、「評価する」の25.4%を大きく上回った。首相が最も優先して取り組むべき課題についても「物価高対策を含む経済政策」が44.9%で最も多かった。政府の新型コロナウイルス対応については「評価する」が54.6%で、「評価しない」が42.7%だった。
●安倍晋三氏の国葬を揶揄して大炎上…「朝日新聞」川柳選者81歳 8/12
朝日新聞の社説と同頁の名物欄「朝日川柳」に7月16日、安倍氏の国葬を揶揄する作品がズラリと並んだ。7本中7本が揃って辛辣な内容で大炎上。その選者「西木空人」ってどんな人?
「あってはならない事態だ!」編集幹部らは右往左往
〈死してなお税金使う野辺送り〉。〈疑惑あった人が国葬そんな国〉。そして☆印がついたのは、〈忖度はどこまで続く あの世まで〉。
「朝日川柳は『声』欄に掲載されており、西木氏と『山丘春朗』氏が交代で選者を務めています。16日付けについては7本すべてが強烈な批判で、『さすがにやりすぎでは』との懸念も『声』欄の編集部にはあったようです。今回の炎上に編集幹部らは『あってはならない事態だ!』と右往左往。西木氏更迭論も囁かれたとか」(朝日新聞社員)
短い文をつなぐ独特の文体が特徴の名文家
西木空人はペンネーム。その正体は御年81歳の朝日新聞元記者だ。都立小石川高校から早稲田大学の新聞学科を出て1965年に朝日に入社した。
「遊軍記者、横浜支局などを経て1980年代半ばに東京社会部に。85年の日航機墜落事故では指揮を執ったデスク陣の一角です。ただ本人は当局に食い込んでネタを獲るスクープ記者ではなく、短い文をつなぐ独特の文体が特徴の名文家として名が轟いていました。会社的には、ラインで出世させるよりライターとして長く書き続けてほしい考えがあったようで、社会部長や海外支局長などにはさせず、86年から論説委員となりました」(朝日OB)
95年から6年弱、「天声人語」を担当。還暦を過ぎた2002年に退職した。
かねてから安倍氏に手厳しい句を選んでいた
「天人(てんじん)の執筆者は、講演会や作文コンクールの審査員で引っ張りダコになる。西木氏も朝日カルチャーセンターの文章教室の講師や朝日の書評委員も務め忙しくしていました」(朝日幹部)
母校の早稲田で客員教授になった他、15年から20年までは毎月、小田原市の寺子屋で子供たちに論語などを教えた。著書を多数上梓し、今も日本エッセイスト・クラブ常務理事だ。多忙な老後を送る中、朝日川柳の選者を04年4月から18年も務めている。
「社会部一筋だけあって、政治家には容赦ない。かねてから安倍氏に手厳しい句を選んでいた」(同前)
4期下の有名女性記者と豪邸暮らし
第一次政権発足前には「美しい国をめくればきな臭い」(06年9月5日)。退陣の際は「全国の川柳子みなガッカリし」(07年9月13日)を選び、西木氏は「ネタの宝庫」と書き添えた。第二次政権退任後には「辞めたとてチャラにできない安倍の罪」(20年9月17日)を掲載。
「西木氏は退職金や企業年金をたっぷりもらえた朝日の古き良き世代の人。今も世田谷の大豪邸で社の後輩と暮らしています」(同前)
登記簿によれば、3階建て220平米の豪邸で、2分の1ずつ保有するパートナーは、朝日に4期下で入社した有名女性記者。女性の苗字は往時のままで結婚はしていないご様子。07年新築でローンは残っていない。西木氏に話を聞こうと訪ねると、インターホンに女性が出た。〇〇氏と西木氏の本名を告げても「知りません」というのみ。
朝日広報部はこう答えた。「朝日川柳の掲載は選者の選句をふまえ、担当部署で最終的に判断しています。選者の任期に定めはございません」。
〈反安倍はいつまで続く任期なし〉。お粗末様でした。 
●韓国での旧統一教会関連イベントで安倍元首相の献花式… 8/12
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、教団本部がある韓国ソウルで関連団体UPFのイベント『Summit 2022 & Leadership Conference』を開催。著名人が参加し、米トランプ前大統領ビデオメッセージを送っている。イベントでは安倍晋三元首相を追悼し、献花する時間が設けられた。
12日放送の日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」でも、紀藤正樹弁護士やジャーナリストの鈴木エイト氏がゲスト出演。ソウルからの生中継をはさみながらイベントの様子を伝えたのだが、SNSでは視聴者から改めて国葬に批判的な声が相次いだ。安倍元首相の写真が巨大スクリーンに映し出され、献花式を執り行う様子は旧統一教会と生前の安倍元首相との密接な関係を、否が応でも漂わせるからだ。
《統一教会で安倍晋三の追悼会実施したんだったら、岸田首相率いる「 自民党統一協会」の提案で血税で「 国葬」しなくてもいいじゃん》《統一教会が韓国・ソウルで安倍元総理の国葬前予行演習。安倍自民党政権と癒着ぶりを公然化する》《安倍晋三氏は統一教会の世界葬をしたんで、日本の国葬はもう不要だよね!!》《安倍さんの国葬も統一教会の献金集めに利用されちゃうね、岸田さん》 
時事通信の8月の世論調査では、安倍元首相の葬儀を「国葬」として実施することに対し、反対は47.33%、賛成は30.5%だった。8日には、学識者や記者、市民らがつくる日本ジャーナリスト会議(JCJ)が「戦前の遺物『国葬』にメディアは明確に反対を」と題した声明文を出した。
旧統一教会のイベントで献花式が行われたことで、「国葬」への注目はますます高まりそうだ。
●安倍国葬反対!あったことをなかったことにするな!  慰安婦メモリアルデー 8/12
安倍元首相の「国葬反対」の声が、あちこちから聞こえてきます。8月10日昼12時半から新宿西口で行われた戦時性暴力問題連絡協議会の「水曜行動 in 新宿」、テーマは「安倍元首相の国葬反対〜あったことをなかったことにするな〜日本軍『 慰安婦』メモリアルデーin Tokyo」でした。
最初に、「女たちの戦争と平和資料館」館長の池田恵理子さんから、この間の経過につ いてお話しがありました。安倍元首相は、教科書から「慰安婦」の記述をなくしていくな ど、日本軍「慰安婦」問題をなかったことにしようとしてきた人です。池田さんは「私た ちに思いを託して旅立たれた『慰安婦』被害者の女性たちへの責任としても、若い人たち にこの問題を引き継ぐ、そのための努力を続けていきたい」と話しました。
ピースボートの野平晋作さんは、「国葬を行うということは、安倍元首相がやってきた ことを正当化し、岸田政権もそれを引き継ぐことが懸念されるので反対する」と話し始め ました。安倍元首相は、日本の過去の植民地支配、侵略戦争を正当化しました。野平さん は「過去の加害の歴史を学び、忘れないということは、被害者の名誉を回復すると共に、 同じ過ちを繰り返さないということにつながっている。加害の事実をこどもや孫たちに伝 え、このような人権侵害が起こらないような社会を築いていきたい」と話しました。そし てまた安倍元首相が、集団的自衛権の行使を容認する安保法制を成立させるなど、民主主 義を破壊してきたことや、安倍政権下でマイノリティへの差別と排外主義が煽られてきた ことなど話し、「国葬反対」を訴えました。
1991年8月14日、韓国の金学順(キムハクスン)さんは、日本軍「慰安婦」であったこ とを名乗り出ました。その勇気に触発され、韓国、中国、フィリピン、台湾などからも次 々と被害女性が名乗り出ました。8月14日のメモリアルデーによせて、梁澄子(ヤンチン ジャ)さんが金学順さんについて語りました。ヤンさんは「なぜ50年もだまっていたのか 、なぜ今名乗り出たのか、みなさんにも考えていただきたい。それは、50年たっても忘れ られない傷として深く刻まれていたからです。でも黙っていたわけではなく、わかってく れそうな人には話していたのです。その声が届くようになったのは、被害者の声に耳を傾 けようとする人たちが生まれたこと、被害を明らかにしようとする女性たちの運動があり 、それを否定する日本政府の動きがあって、被害者の怒りが声になったのです。当事者と して勇気を出した金学順さん。このような女性たちがアジア各国にいたこと、今も生存し ていることを記憶していただきたい」と訴えました。
日本軍「慰安婦」被害女性たちの声を、なかったことにしたい日本政府。戦時性暴力を なくし平和な世の中を望む「平和の少女像」の撤去にこだわる日本政府。なぜ素直に過去 の過ちを認めないのでしょうか。過ちを繰り返さないための謝罪がなぜできないのでしょ うか。韓国の新政権の下で、2015年の「日韓合意」がまた持ち出されていますが、被害者 が納得しない「合意」はありえません。
安倍元首相がやってきたことを正当化する「国葬」に反対します。

 

●安倍元首相国葬は「法治国家原理に抵触」 神奈川県弁護士会が会長声明 8/13
安倍晋三元首相の国葬実施の閣議決定を巡り、神奈川県弁護士会(岡俊之会長)は12日までに、実施反対の会長声明を発表した。法的根拠がなく、実施は「法治主義国家としての基幹的法理たる『法律による行政の原理』に抵触する」と指摘、「憲法上看過できない問題がある」と批判した。
声明では、岸田文雄首相や内閣法制局が、内閣府設置法を根拠に国葬を実施可能としたことについて「内閣府設置法は組織規範であり、実施の根拠法にはならない」と説明した。
●IOCバッハ会長 安倍元首相の国葬参列検討「彼の存在なしに五輪は・・・」  8/13
安倍氏の国葬に、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が参列を検討していることが12日、分かった。安倍氏は東京五輪・パラリンピックの招致で旗振り役を務め、2020年3月には、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大会の1年延期をIOCに提案。同年11月にはIOCから五輪運動の発展に寄与したことを称える「五輪オーダー」(功労章)を授与されている。
バッハ氏は安倍氏が死去した際「安倍氏の決意や信頼が前例のない延期の決断をもたらした。彼の存在なしに五輪はできなかった」とのコメントを発表していた。
●安倍晋三氏は「神輿」に乗った右派のプリンス 青木理が迫る実像 8/13
安倍晋三元首相の銃撃事件は多くの人に衝撃を与えた。晋三氏の父方の系譜をたどった『安倍三代』の著者でジャーナリストの青木理さんとともに、「三代目世襲政治家・安倍晋三」の実像に迫った。
──安倍晋三氏の国葬に反対する意見の一つに、政治家としての評価が定まっていない、との指摘があります。晋三氏をどう評価していますか。
私は政治記者ではありませんから、晋三氏が政界をどう遊泳し、自らの政治姿勢をどう固めたかは知りません。ただ、政界入りするまでを知る何十人もの同級生、友人、恩師、上司、同僚らに会って話を聞くとひどく凡庸で飛び抜けたところのない「いい子」。たまたま名門世襲政治一家に生まれたお坊ちゃまにすぎず、そうでなければ政治家になることもなかったでしょう。実際、小学校から大学、そして“政略入社”した会社員時代を含め、彼が政治家を志すに至ったと捉え得るようなエピソードは皆無でした。『安倍三代』で描いた通り、祖父寛氏や父晋太郎氏にはエピソードが詰まっていましたが、取材を尽くしても晋三氏には一切ない。それどころか政界入りするまでの段階で、右とか左とかの以前の話として、彼の口から政治的な話を聞いた人自体が一人もいないのです。ある意味、ゾッとするほど空っぽでした。
右傾化する時代の気配、風をとらえ巧みに乗った
──晋三氏は小中高、大学まで東京の成蹊学園でエスカレーター式に進学。就職も「政略入社」。政治家になった後も、右派政治家や宗教右派の神輿に乗ってきた人という印象があります。
彼自身がどう考えていたかはともかく、右派にとっては恰好(かっこう)の神輿(みこし)だったでしょう。私の取材に応じた妻昭恵氏は、夫が首相に上り詰めたことを「天のはかり」「天命」といった独特の表現で評してましたが、戦後日本の右派政治に大きな足跡を残した岸信介の孫という圧倒的ブランドをまとって名門政治一家に生を受けた彼を、政界内外の右派はプリンスとして育てた。ひょっとすれば彼自身、右傾化する時代の気配を読んでそれをあおり、巧みに乗った面もあったのかもしれません。
──晋三氏が日本を右傾化させたのか、右傾化した日本社会の神輿に晋三氏が乗ったのか。
双方でしょう。僕の取材体験を重ねあわせれば、2002年に史上初めて行われた日朝首脳会談は、政治家としての彼と戦後日本の大きな転機になりました。故金正日(キムジョンイル)総書記が日本人拉致の事実を認め、謝罪した。このときソウルで取材していた私に先輩記者が漏らした台詞(せりふ)は印象的でした。「中国や朝鮮半島との関係の中で、日本が戦後初めて“被害者”になったな」と。つまり、戦後一貫して加害者として謝罪や反省を求められた日本の立ち位置が変わった。もちろん拉致は断じて許されざる国家犯罪とはいえ、それに手を染めた北朝鮮はいくら罵(ののし)っても構わない対象となり、同時に戦後も一貫して燻(くすぶ)っていた朝鮮半島への差別心なども噴き出した。「いつまで謝罪を求められるんだ」という鬱屈(うっくつ)に歴史修正主義的な風潮までが一挙に噴出するバックラッシュ現象が起きたのです。
その対象は直ちに韓国や在日コリアンにも広がり、マンガ『嫌韓流』の発刊が05年、在特会(在日特権を許さない市民の会)の出現が06年。その契機になった会談と以後のムードに乗って晋三氏が政界の階段を一気に駆け上ったのは象徴的でした。彼が右傾化をあおった面は間違いなくあるけれど、彼自身が時代の風を捉え、それに巧みに乗ったともいえるというゆえんです。
戦後の歴代内閣の約束事、片っ端から破壊した
──『安倍三代』を取材、執筆されたのは安保法制の議論がピークのときでしたが、その後、晋三氏に対する評価で変わった部分はありますか。
変わりません。今回のような形で亡くなったのは痛ましくても、それと政治家としての評価は別です。特に僕が問題視しているのは、戦後の歴代政権がかろうじて堅持してきた大切な約束事を片っ端から破壊した点です。
いわゆる安保法制でいえば、公権力の行使者を縛る憲法の解釈を一内閣の閣議決定でひっくり返した。その過程では、内閣法制局長官を自らに都合のいい人物にすげ替えた。政府からの独立性が求められる日銀総裁やNHK会長などもそう。そして国権の最高機関たる国会では百何十回も嘘(うそ)をつき、少数派でも一定の有権者の支持を得て議席を占める野党を「悪夢」などと罵り、権力監視が役割のメディアを露骨に選別し、敵とみなしたメディアには陰に陽に圧力をかける。挙げればキリはありませんが、歴代の政権がかろうじて堅持してきた民主主義の矜持(きょうじ)を次々なぎ倒して平然としていた。その罪はあまりに重い。
──『安倍三代』でインタビューに応じた、成蹊大学の宇野重昭・元学長が同様の指摘をしていますね。教え子の一人だった晋三氏について「はっきり言って彼は、首相として、ここ2、3年ほどの間に大変なことをしてしまった」と語り、安保法制に関しては「憲法解釈の変更などによって平和国家としての日本のありようを変え、危険な道に引っ張り込んでしまった。国民も、いつかそう感じる時がくるでしょう」と述べています。台湾有事が話題になっていますが、安保法制に基づく「存立危機事態」が適用されるようなことがあれば、そのとき国民は晋三氏の負の遺産を思い知ることになるのでしょうか。
ええ、アベノミクスなる経済政策なども同様でしょう。これは安倍政権だけの責任ではないものの、長期の経済低迷から抜け出せず、産業構造改革もイノベーションも起きないまま、ひたすら金融緩和に突き進んで日銀は国債を膨大に抱え込んだ。各国の中央銀行が利上げに舵(かじ)を切り、円安が急進展しても日銀が動かないのは、もはや手足を縛られて動けないのが実態でしょう。やってる感だけは振りまいて何の成果もなかった対ロ、対北外交などを含め、安倍政権には誰もが認める政治的遺産などないというのが実情です。
●鳩山由紀夫元首相 “国葬断行”の自民党をバッサリ  8/13
鳩山由紀夫元首相(75)が13日、自身のツイッターを更新。安倍晋三元首相の国葬を行う政府、及び自民党の方針を批判した。
鳩山氏は自民党の村上誠一郎衆院議員から連絡があったと明かし、「同期の村上誠一郎議員から電話があった。安倍元総理の国葬はおかしいと思うが永田町では面と向かっておかしいと言う議員がいないと。それでキャンペーンを張ろうと思うが名前を貸してくれと。もちろん喜んでと答えた」と綴った。
さらに「国民の大半が反対している国葬になぜ自民党は沈黙するのか。それでも国民の議員か」と厳しく批判した。
共同通信社が7月30、31日に実施した全国電話世論調査によると、安倍元首相の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計45.1%を上回っている。
●安倍元首相の国葬アンケート結果 「反対」が79.7%で「賛成」の4倍以上 8/13
7月8日に銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相(享年67)の国葬が、今年9月27日、東京・日本武道館で開催されることが閣議決定されました。首相経験者として国葬が行われるのは、1967年の吉田茂以来、戦後2例目として注目を浴びています。
岸田文雄首相は、異例ともいえる国葬を決断した理由として、憲政史上最長となる8年8カ月の長期政権であったことや、東日本大震災からの復興、アベノミクスをはじめとする経済再生、外交の展開など、さまざまな分野で実績を残したことを挙げています。
しかし、国葬に至った法的根拠がないことや葬儀のために国費が使われることを問題視する意見も出ています。また、安倍元首相が関与したとされる森友・加計学園問題、「桜を見る会」問題の責任追及や、旧統一教会との関係性の解明などが終わらない段階で国葬を決めるのは時期尚早との意見も上がっています。
さまざまな議論を呼んだこの国葬について「文春オンライン」編集部ではメールマガジン登録者を対象に「安倍晋三元首相の国葬緊急アンケート」を実施。
7月30日から8月7日まで9日間にわたって「あなたは安倍元首相の国葬についてどう思いますか?」という質問に対して「賛成」「反対」「どちらともいえない」の3つの選択肢の中から1つを回答いただきました。その結果、15歳から93歳までの幅広い年齢の方々から2981人の回答が集まりました。内訳は男性が2046人、女性が933人、無回答が2人でした。
結果は、「賛成」が499人(16.7%)、「反対」が2375人(79.7%)、「どちらともいえない」が107人(3.6%)と「反対」が多数を占める結果に。
性別ごとの結果を見ると、男性は「賛成」364人(17.8%)に対して、「反対」が1617人(79.0%)。
女性は「賛成」135人(14.5%)に対して「反対」が756人(81.0%)と、女性の方が国葬に反対の割合が多い結果となりました。
「賛成」という回答の中では、長期政権を率いた安倍元首相の国への貢献や、外交上のメリットを重視する意見が目立った一方で、「反対」という回答の中には国葬の法的根拠や定義を求める声や、コロナ禍などを起因して経済が悪化を辿るなか葬儀に税金を使う必要があるのかとの指摘もありました。
アンケートの結果をもとに、安倍元首相の国葬について、「賛成」「反対」「どちらともいえない」に寄せられた声の一部をご紹介していきます。
賛成は16.7% 「優しい親戚の叔父さんのようなシンパシー」
「長年首相を務めたという実績自体が、党派を超えて彼の日本への貢献への証として示せるから。また多くの国民が献花に訪れていた実績に鑑みれば国葬とすることは適切」(44・男性)
「海外からの弔問客に対応するためには、国葬でないと無理。諸外国からそれだけの評価がされているということでもある。ここで弔問外交をすることは、国益になる。そういう貴重な機会を、最後に安倍さんが残してくださったということだと思う」(70・女性)
「ローマ教皇とエリザベス女王が公式にお悔やみを出しています。国連でも黙祷。世界各国がお悔やみを出しています。一国の元総理に対して、これらの追悼表明は異例。世界の声に答えなければなりません」(52・男性)
「政治的信条の好き嫌いは別として、各国からの弔問に一度に対応できるのは何にも代えがたい。プーチン大統領が来るのなら奈良県警に警備させればいい」(54・女性)
「日本国内でも世界規模でも偉大な政治的業績を成し遂げた人だから。また自分の世代観で言うと、民主党時代のリーマンショックで苦しい就職活動を送り大手企業には入れなかったが、数年経ち、就職先のベンチャー企業がアベノミクスのもと景気の恩恵を受けて生活が改善されたという感覚がある。その感覚もあり、個人的には安倍首相に非常に感謝しています」(36・男性)
「統一教会との繋がりは衝撃的だったが、小学生の時から『国際社会のリーダー』としての姿が強烈に染み付いている。生まれてから総理大臣、政治家に対しては辟易としたイメージがあったが、日本のため責務を投げ出さず外交などに奮闘していたイメージもあるし、なんなら優しい親戚の叔父さんのようなシンパシーもあるため。脱統一教会は進めていくべきだと感じているが、改めて日本国民が一つになるためにも、好感度の高かった安倍さんの国葬はするべきだと感じる」(26・男性)
「安倍さんは生前、色々な政策、外交をしてくださった。桜を見る会や、森友学園問題など、問題点はあったものの、アベノマスクなど印象深いことも行って、広く国民に親しまれていた方だと思います。国葬には多額な税がかかるが、日本が今後さらに発展していくために色々と尽力してくださった人だから、私は賛成派です」(15・女性)
「お亡くなりになったと知った時、想像以上に不安になり、心が痛んだから。彼の功績や経歴はそれほど詳しくないけれど、亡くなったことに対しこんなにつらく悲しく思う自分に驚きました。気づかないうちにたくさん影響を受けていたのだと感じました。彼の発する優しい言葉は他の政治家に例をみないものです。願わくば国葬でどうか安らかにとご冥福をお祈りします」(49・女性)
「多額の税金を使うから反対」という意見も分からなくないけど、安倍元首相がながく政権を維持し、復興、あらゆる国の改善、危機、困難を打破してきた功績は揺るがない真実です。この為国民は平和に暮らせた事も感謝するべき。志半ばに惜しくも亡くなられどれだけ無念か計り知れません。国を挙げて感謝を伝える日にテロなど起きぬよう願います」(55・女性)
「日本の総理大臣であり、国益に貢献し、外交面で世界をリードするイニシアティブを発揮し、日本の存在を押し上げた点は唯一無二の人だから。一方、モリカケ問題や桜の会で政治を私物化している点は許されないことで忘れてはいけない」(63・男性)
「テロには屈しないという、民主主義を世界に発信するため」(41・男性)
「莫大な費用をかけないなら賛成です」(62・男性)
「私は安倍氏が山口県で初めて立候補した時から山口県に住んでいましたので応援演説を聞きに行ったりし人柄を気に入っていました。その後の活躍は御存知のとおりです。国葬には大賛成です、ご冥福をお祈りいたします」(79・男性)
反対79.7% 「本来は裁判で裁かれなければならない人物」
「まず法律の根拠が無い。国葬令は戦後に廃止されている。ましてや現職の総理大臣でもなく、数々の疑惑(森友・加計・桜など)を曖昧にしたまま終わってしまった人物。統一教会との関係性も政教分離違反である。国会を通す事無く、国民の声も無視して閣議決定で決めてしまったプロセスにも問題がある。いつから閣議決定は憲法より上になったのか。正直、統一教会との関係をうやむやにしたいという政権側の目眩し作戦にしか見えない」(47・女性)
「憲法で日本国の象徴と定められている天皇崩御の際の国葬は仕方ないとして、香淳皇后の国葬さえ行わないのに、現役の総理大臣でもない単なる一国会議員を国会の議決もなく特別扱いする理由がわからない。織田信長の葬儀を取り仕切った羽柴秀吉のように、自民党岸田政権が国葬を利用して自らを権威付けしようとしているのは明白」(60・男性)
「国葬は天皇のみとし、首相経験者や議員は政府と所属政党等の有志による合同葬とするのが妥当。政府主導とすることで国葬並みの威厳は保てるはず」(61・男性)
「長く総理大臣の座にあったというだけで、国家に対する功労がない。吉田茂と同等でなければならないとまでは言わないが、社会・経済の安定と発展をもたらすような政治ではなかったことは、現状を見ても明らかである。選挙応援中に凶弾に倒れたことはセンセーショナルな事件であり、ご本人にとってもさぞかし意外で無念であったろうと同情はするが、死因とは切り離して判断すべきである」(57・女性)
「沖縄返還とノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作元総理が国民葬だった点で、実績のない安倍元総理を、党則を変更して総裁を3期務めて最長の首相在任期間であったことを理由に国葬にするのは根拠が乏しすぎると思われる」(65・男性)
「桜を見る会、モリカケ問題、財務省赤木さんの自死などの問題が全く解決していない。疑惑が多すぎて、本来は裁判で裁かれなければならない人物だと思うため。コロナの病床ひっ迫や、貧困問題などに税金を遣うべき」(42・女性)
「国民から吸い上げた血税を費やすことに反対です。お金があるなら、生活に苦しんでいる人達のために回すべきです。自民党葬にして、自民党議員が葬式代を負担するべきです。困窮する国民への思い遣りが全くないと思います」(64・女性)
「税金で行うという点にのみ反対です。反対意見もあるのでクラウドファンディングなどでお金を出したい人だけ出せばいいと思う」(24・男性)
「増上寺や献花の場を見ると、支持者の熱狂的な姿が異様で、この先の日本人の在り方に、不安と恐怖に感じた。押しつけないと言っても、実際に半旗の掲揚を教育委員会が現場に指示。時代の逆戻りかと。安倍さんの人柄は嫌いでないが、議員という言葉の使い手として頭を抱えることもしばしば。中曽根さんの時のように、党のお別れ会でいい。イチ国会議員で国のために働くのは当たり前、天皇ではない。国民は静かに哀悼を示せばいい」(49・女性)
「総理の在任期間が最長とはいえ、長いだけ。生前いろんな疑惑もあったし、法律の整備も強行したりやりたい放題だったいわくつきの政治家に対して税金使っての国葬はありえない。安倍さんが2012年に総理になってから、日本が戦前みたいに戻りそうで怖かった。国葬もそう。山本五十六? と思ってゾッとしました。2022年の今は戦中の日本ですか……」(36・女性)
「国葬を取り仕切るのが電通という噂があるのが一つ。安倍氏と統一教会の関係が全く無いわけでないのが一つ。コロナ流行の時期に大勢の人間が葬儀に集まるのも、いかがなものかと思う。コロナで亡くなった人は家族にも会うことができず、寂しい亡くなり方をした人が大勢いるのに、税金で一人の人間のために多額の金銭を使用するのも賛成できない。暑い中、行列を作って献花台に花を持って行った人々の気持ちだけで良いのではないかと思う」(54・女性)
「30年前と比べて国民が負担する税金(消費税・年金・健康保険)は大きく増えています。ですが、税金は働く現役世代に還元されておらず、政府は軍事費や国外へのばら撒き、そして高齢者だけに税金を使っています。上がらない給与と税負担のせいで、困窮している家庭の子どもたちが国内にたくさんいるのに…。これ以上税金の無駄遣いをしないでください。一個人の葬儀に国民の血税を使わないでください」(34・女性)
「秋葉原の選挙演説で『あんな人たちに負けるわけにはいかない』と言ったように、国民を味方と敵に分けて、前者には優しく、後者には厳しくしています。そして、自分の考えと異なるヒトには残酷な仕打ちをしているように思います。このような気質が森友学園や加計学園問題、桜を見る会などの問題を引き起こしたものと思います。安倍元総理の『味方』の方は国葬が良いと判断するでしょうが、『敵』の方は国葬が良いと判断するでしょうか。味方か敵かで判断されていた『元総理』の葬儀を、国全体で行うことには疑問を感じます」(66・男性)
「国会で嘘をつき続け、自らの支持者に対して首相の地位を利用した利益供与をした人が、国葬に値するとは思えない。閣僚からは、外国からの弔意が多く寄せられているから、評価が高いという意見もあるようだが、外交における単なる儀礼ではないか。当たり前のことを諸外国はしているだけ」(59・男性)
「国葬には海外要人が多数出席する事が予想され、その接待、警護などに膨大な費用が掛かることは目に見えている。更に現在、自民党と統一教会の関係についていろいろな問題が指摘されている中、それを明白にせず国民の税金を使う事には反対です。葬儀は自民党が、自民党の予算の中で執り行うのが妥当だと思います」(60・女性)
「個人的に嫌いだから。どうしても国葬にするなら、各国のお偉いさんが来るだろうから、プーチン大統領とゼレンスキー大統領を招待して停戦交渉の場を葬儀後に設けるべし」(50・男性)
「人を弔う心は、誰かに強制するものではない。そして葬儀は外国からの弔問客のために行うものでもない。弔いは個々の気持ちがあればそれで十分ではないかと思う。総理はコロナ対策より党内での自分の保身を優先するのか。国費を使うのであれば、論議を尽くして国民の賛意を得るべきである」(60・女性)
「国をあげてはやりすぎではないでしょうか。自民党葬にすれば、嫌いな人はいないでしょうから、良いんじゃないでしょうか。あと、会場は武道館よりホテルオークラでどうでしょう」(34・男性)
「『国葬に閻魔が呆れる嘘の数』という川柳が今、話題になっている。記憶力のある人々は安倍晋三にこの思いを持ち続けている。国費を、そのようなふざけた使い方をすべきではない。コロナや貧困で、困窮している国民に回すべきだ」(71・女性)
「ああいった形で亡くなった事は気の毒な事だが政治家としてやって来た事が『安倍さん、可哀想』等と流されている事に正直驚く。不意に家族を奪われた悲しみややり場のなさと言えば近畿財務局の赤木さんの遺族はどうなるのか? 国会で100回以上も嘘をついた人間を国葬扱いなんて冗談でないと思う。見送りたいと思う方達は見送れば良いが国葬には値しないと思う。国会でまで堂々と嘘をついて良い、と言う人間を国が礼賛するのを見て子供はどう思うのか。『安倍さんは良いヒトだった』なんて言う個人的な付き合いから来る感情をそう思っていない国民に押し付けないで欲しい」(51・女性)
どちらともいえない3.6% 「国会での議決も経た方が良い」
「殺害事件直後は賛成でしたが、最近次々と自民党と統一教会の関係が明らかになり、嫌悪感が増してきました。現時点では、『どちらでもない』意見です」(69・男性)
「基本的には賛成だが、実施の決定には閣議決定だけではなく国会での議決も経た方が良いと思う」(40・男性)
「反対はしない。吉田茂の時は、その前にあった西ドイツのアデナウアーの国葬に、総理の佐藤栄作が元総理の岸信介を派遣して冷戦下でのアメリカとフランスの雰囲気を把握した。同じように、海外の人を招く葬祭はありだろうから」(41・男性)
「あるテレビ番組を見たのですが、『国葬』形式でなくても税金が使われるとわかったので。それほど議論をするほどの論点ではないと考えを改めた」(48・男性)
「熊本地震の時も来訪し、支援を頂きました。ただ残念なのが森友、加計、桜、アベノマスク、統一協会など、真相が分からないまま、負の遺産も残しました。期待と裏腹に、残念な部分もあります。国葬も税金です。もっと違う形で出来ないかと、正直思います」(50・男性)
「安倍元総理を個人的にはとても支持、評価しているので、国葬でもよいと思っているが、一方で衝撃的な最期を受け止められず、悔しい、悲しいと感傷的になっている勢いのまま、国葬! という方向になだれ込んでいった感も否めないと想います」(62・女性)
「かかるお金が国費では反対派が黙っていないから。寄付を集めれば良いと思う」(48・男性)
「あまりにも突然なことであったし、もう少し考える時間を持って判断してもいいのではと思っています。もちろん、すべての人が納得いくものにはならないのはわかっているけれど、国をあげてやるかどうかは、自国の理解と他国からの視点を俯瞰していく知力が必要かと感じています。世の中が、パンデミックとウクライナ戦時下で判断力の低下の懸念があり、非常にざわざわした気持ちを消しきれずにいます」(63・女性)
「全く自民党支持ではないんですが、安倍さんは嫌いではない。国葬は市民の税金が使われる。父親の年金も毎年減らされてて悩んでいるのは事実です。でも一般市民が何を言っても自民党は右から左ですよね。だから諦めています」(55・女性)
「亡くなった人を見送る儀式は、故人との関係によって異なると思う。依って、故人から多くのものを受けたと思う人は賛成だろうし、あまり関係がないと思う人は反対だろうから」(86・男性)

 

●ハリス副大統領、安倍元首相の国葬出席で初来日へ…日米政府が調整 8/14
9月27日に予定される安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)に、米国のハリス副大統領が出席する方向で日米両政府が調整に入ったことがわかった。実現すれば、ハリス氏にとって就任後初の来日となる。複数の日本政府関係者が明らかにした。
バイデン政権としては、日程の調整がつかないバイデン大統領の代わりに副大統領が出席することで、安全保障関連法制定など日米同盟の強化に尽力した安倍氏の外交上の功績をたたえ、日米関係の重要性を改めて示す狙いがある。
岸田首相も、来日時にハリス氏と会談する方向で、インド太平洋地域の国際秩序作りを巡り、日米が果たす役割などについて意見交換する見通しだ。
インド出身の母を持ち、アジア系初の副大統領となったハリス氏は、安倍氏が死去した7月、「安倍氏は米国の親友だった」とのメッセージを出していた。
●安倍元首相の国葬賛否に欠ける「英霊崇拝」の憂慮  8/14
安倍晋三元首相の国葬への賛否が割れている。国会での議論をしないまま閣議決定で国葬実施を決めた政府の手法が専門家や野党から批判され、世論調査でも反対が増えた。日本では1926年に勅令である国葬令が定められたが、敗戦後に廃止されており、戦後は「特例」として実施された吉田茂元首相の例があるのみだ。そもそも国家が個人の死を弔うことの意味は何か――。著書『犠牲者意識ナショナリズム』で、「悲劇の主人公」の死を近代国民国家が利用してきた様相を分析した韓国・西江大の林志弦(イム・ジヒョン)教授に聞いた。
故人の遺志は強靭な生命力を持つ
澤田克己(以下、澤田):選挙遊説中に銃撃された安倍氏の死は、衝撃的なニュースとして世界に伝えられました。韓国での報道について、どのような印象を持ちましたか? 
林志弦(以下、林):まずは、まったく予想できなかった事件に驚いたという反応だった。その次に出たのが憂慮だ。政治的な暗殺の場合、犠牲となった政治家の死は「気高いもの」と受け取られる。それが、安倍氏の政治的遺産の美化につながるのではないかと考えられた。アジア太平洋戦争や植民地主義の過去に肯定的な意味を与えたり、平和憲法を改正したりするような政治的動きへの感情的な支持が高まるのではないかという憂慮だった。
韓国では1974年に演説中の朴正熙大統領を狙った銃撃事件があり、流れ弾に当たった陸英修夫人が死亡した。朴正熙も1979年に側近によって射殺された。朴は国葬、夫人は国民葬とされたが、その時に韓国社会で起きたことがトラウマとして残っている。国葬という宗教的なものを感じさせる祭祀の放つオーラの中で軍事独裁という影は隠され、彼の功績だけが強調されたのだ。
澤田:積極財政や防衛力強化などという安倍氏の推進してきた政策の継続を求める自民党保守派の議員が、口々に「安倍氏の遺志」を継がなければいけないと主張しています。時に保守派の主張を抑える役割を果たしてきた安倍氏がいなくなり、「遺志」という言葉が独り歩きするのではないかと懸念されてもいます。「故人の遺志」という言葉は、なぜ強い力を持つのでしょうか。
林:本人に真意を確かめることのできない「故人の遺志」は、生前の主張より強靭な生命力を持つ。死んだ人に真意を確認することなどできないと皆がわかっているから、「故人の遺志」はいかようにも解釈される。
2018年にリトアニアを訪問した時の安倍氏の言葉にも、それは表れていた。安倍氏は、第2次大戦中に日本の査証(ビザ)を発給して多くのユダヤ人難民を救った杉原千畝の記念館を訪れた際、唐突に「法の支配と国際秩序」を強調した。本国政府の訓令を無視して査証を発給した杉原の「遺志」を、自分の流儀で解釈したわけだ。
「安倍氏の遺志」もまた、無限に開かれたテクストだ。何が「遺志」なのかは、安倍氏が本当に考えていたことは何かで決まるのではなく、今後のパワーゲームの中で定まっていくのだろう。
澤田:19世紀フランスの歴史家、ジュール・ミシュレが「歴史」について名言を残しているそうですね。
林:歴史家とは、死者たちに彼らの死の意味を説明してあげる解説者だと語った。私も歴史家の一人ではあるが、歴史家というのは卑怯なものだと思う。生きている歴史家の解釈に死者は反論できないのだから。
脱走兵よりも無名戦士を記念する碑が多い理由
澤田:前々回のインタビュー記事「『自分たちは犠牲者』の声が忘れている危険な思想」で、犠牲者意識ナショナリズムについて「先祖が犠牲となった歴史的記憶を世襲して自分たちを悲劇の犠牲者だとみなし、現在のナショナリズムを道徳的、政治的に正当化するものだ」と説明していますね。そして著書では、近代国民国家が戦死者の死を民族主義のために利用した「政治宗教」について分析しています。戦死者崇拝は、なぜ必要だったのでしょうか。
林:脱走兵よりも無名戦士を記念する碑のほうが圧倒的に多いという、私たちの記憶文化の現実が物語っているのではないか。脱走兵は「敵」というレッテルを張られた他人に銃を向けることを拒否した末に銃殺されたヒューマニストたちである一方、無名戦士は祖国のために壮烈な戦死を遂げた人たちだ。国家の命令に従って、国家のために死んだ者を英雄に仕立て上げる儀礼が必要なのだ。
興味深いのは、ジョージ・モッセの著書『大衆の国民化』の日本での売り上げが事件後に伸びたことだ。フランス革命以降の国民主義の展開を大衆的儀礼やシンボルから考察したファシズム研究の書だ。国葬こそ大衆を国民化する装置だという批判意識が、モッセの本を求める理由ではないだろうか。アマゾン・ジャパンの「ナチス関連」図書の販売ランキングでこの本が上位に上がってきたことを知り、日本社会の知的な力はたいしたものだと思った。
澤田:靖国神社の戦死者崇拝は、第1次大戦後の欧州諸国と共通性があると著書で指摘されています。どういう点が共通し、違っている点は何でしょうか。
林:戦死者崇拝を通じて国民国家への忠誠心を呼び起こす点は共通している。日露戦争(1904〜1905年)を経て戦死者崇拝を強めた日本は、第1次大戦(1914〜1918年)を契機に同じ道を歩んだ欧州諸国にとっての先駆者だったと表現できるかもしれない。イタリア・ファシズムの代表的理論家だったエンリコ・コラディーニが、日本から政治宗教を学ばなければならないと力説したことも興味深い。コラディーニによれば、日露戦争を経て国家と民族に神性を与え、国民にその世俗的政体を崇拝させるように仕向けた日本の政治宗教は、国民統合の模範答案だった。
日本と欧州の違いは宗教的なバックグラウンドだろう。崇拝対象を新たに加えるのが容易な神道は、一神教のキリスト教と大きく違う。欧州諸国は、キリスト教という伝統宗教と国民国家という世俗宗教の間で国民の忠誠心を争わねばならなかった。
武道館と靖国神社の位置関係
澤田:安倍氏の国葬が開かれる武道館と、靖国神社の位置関係にも着目されていますね。
林:実証史学の父と呼ばれ、戦前に東京大学教授を務めた黒板勝美は、靖国神社を政治宗教の場とすることに取り組んだ。欧州視察で見た諸民族の記念碑や愛国の祝祭に感銘を受けた黒板は、靖国神社の周囲に古代ギリシャのオリンポス競技場のようなものを建て、国民的な祝祭を執り行う聖なる空間とするよう提案した。競技場は実現しなかったが、千鳥ケ淵戦没者墓苑と武道館、昭和館、科学技術館、近代美術館などが周囲に配されたことで、政治宗教的な複合空間としての靖国神社に対する黒板の提案はある程度実現したと言えるだろう。
澤田:英霊という言葉は、戦後の韓国でも使われたそうですね。
林:帝国日本の戦死者崇拝と政治宗教の儀礼は、戦後も東アジア各国に残った。アメリカ軍に占領されて戦前を全否定せざるをえなかった日本と違い、国家建設が切実な問題だった新生独立国の韓国は典型例だった。韓国では、さまざまな国家儀礼で「護国英霊」や「祖国の守護神」といった呼称が使われた。戦死者の神格化は、植民地朝鮮より解放後の韓国で強まったと言える。
敗戦前の靖国神社の招魂祭と同じように、ソウルの国立墓地で開かれる戦没将兵の合同追慕式に参列する遺族は特別な配慮と礼遇を受けた。国家神道ではなく仏教やキリスト教の儀礼となったし、いくつか追加されたこともあったが、新生独立国・大韓民国の戦死者儀礼は基本的に帝国日本の政治宗教から出たものだ。
ただ韓国の新世代にとっては、「英霊」はもはや耳慣れない古い言葉になっている。モッセの著書『‘Fallen Soldiers’』が翻訳された時に付けられた書名が象徴的だ。日本語版タイトルは『英霊』とされたが、私が解題を付けた韓国語版は『戦死者崇拝』だった。
日本らしくない過剰な哀悼
澤田:安倍氏の「国葬」を巡る日本国内の動きから何を感じていますか。
林:ダイアナ妃が自動車事故で亡くなった時、冷淡だった王室を除く全国民が哀悼ムードに包まれた英国は、まるで「服喪中の国」という様相を見せた。
それは、帝国としてのかつての栄光を失った社会の底辺に押し込められてきた「ポスト・コロニアルな憂鬱」が、ダイアナの死によって噴き出したかのようだった。彼らが哀悼していたものが、ダイアナの死だったのか、あるいは失墜した大英帝国の威光だったのか、今でもどちらなのだろうという思いにとらわれる。
帝国だった時代の日本を懐かしむ声を堂々と上げていた安倍氏の死を悼み、「国葬」を語る日本らしくない過剰な哀悼という大きなうねりを見て、衰退した帝国のかつての栄光に対する「ポスト・コロニアルな憂鬱」を感じるとしたら、それは行き過ぎた解釈なのだろうか。 

 

●安倍元首相の国葬にハリス氏も参列へ 岸田首相と会談も検討 8/15
日米両政府が9月27日に東京・日本武道館で営まれる安倍晋三元首相の国葬に、米国のカマラ・ハリス副大統領と、バラク・オバマ元米大統領が参列する方向で調整していることが分かった。ハリス氏来日が実現すれば昨年1月の就任後初めてで、岸田文雄首相との会談も検討する。
両政府はジョー・バイデン大統領の参列を検討したが、11月8日の中間選挙を控えて来日できる見通しがたっていないことから、副大統領の参列により安倍氏への最大限の弔意を示す。
また、日米同盟を強化し、「自由で開かれたインド太平洋」を推進した安倍氏をたたえ、強固な日米関係を国際社会に示す機会としたい考えだ。首相との会談では台湾周辺で軍事演習を実施するなど高まる中国の脅威に関し、意見交換する可能性もある。
オバマ氏は在任中、安倍氏と首脳会談を重ねて日米関係の改善に努めるとともに、2016年5月、安倍氏とともに、現職大統領として初めて被爆地の広島市を訪問した。
●橋下徹氏 岸田首相の安倍氏国葬に「一時の感情で決めた失敗・・・」 8/15
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏が15日、「めざまし8」(フジテレビ)に出演し、安倍晋三元首相の国葬について言及した。
番組では旧統一教会と自民党との関係を取り上げた。共同通信が国会議員712人に対して行った「旧統一教会と接点があるのか」というアンケートに583人が回答。認めた議員が106人でそのうち自民党議員は8割に近くとなる82人だった。その影響も受けてか岸田内閣の支持率は低下し、安倍元首相の国葬についても反対の声も多くなっていると紹介。
橋下氏は「国葬に関して岸田さんの判断はやっぱり間違ったと思います」とキッパリ。続けて「賛否あることは間違いなです。国葬をやる時に政治家の評価って絶対賛否あるんですけども。そうであれば僕は首相経験者全員を国葬にするって基準を決めてね」と話した。
「ぼくは安倍さん国葬に値すると思いますけど」としたうえで「違う首相経験者だったら『いや、この人は国葬どうなんだ』という思いもありますよ。でも、そういうことを抜きにしてこれはもう全員首相経験者は国葬にするっていう基準を決めてからやればこういう賛否は関係なかったと思うんですが。個人個人の業績を見て政府が判断するといことになれば大モメになりますよ。首相経験者でご存命な方たくさんいらっしゃいますけど亡くなられた時にどうするんだって話になるんで」と指摘した。
「岸田さん、一時の感情で国葬にするって決めたの僕は失敗だと思うんで。もう1回これ、まだ間に合うんで、どうせだったら全首相経験者を国葬するってそう決めて欲しいですね」と話した。 
●国葬巡り歌舞音曲行事自粛求めず 政府答弁書、現時点で 8/15
政府は15日の閣議で、9月27日に実施する安倍晋三元首相の国葬に際し「歌舞音曲を伴う行事」の自粛を国民に要請する対応は現時点で考えていないとの答弁書を決定した。1967年に行われた吉田茂元首相の国葬の際は弔意を示すため、学校や企業などにこうした行事の自粛に協力を求めると閣議了解していた。
別の答弁書では、弔意を表明する形式として企業や学校への早退、一部休業の指示・要請も考えていないとした。政府は安倍氏の国葬について「国民一人一人に喪に服すことを求めるものではない」と説明している。
国葬の法的根拠に関し首相は7月14日の会見で内閣法制局と調整したと語った。
●安倍晋三元首相追悼のクラファン、4000万円集まる 「産経新聞」主催 8/15
「産経新聞」の発行元である産業経済新聞社(産経新聞社)が募集していた、安倍晋三元首相を追悼するクラウドファンディング(クラファン)が8月15日までに締め切られ、最終的に4000万円が集まった。当初の目標額は500万円だったため、8倍の金額が集まったことになる。政府は暗殺された安倍元首相の国葬を9月27日に実施する方針を示しており、同社も国葬に合わせて発行する特別紙面で弔意を示す。
同社は安倍元首相追悼のため、特別紙面の発行と、その費用をクラウドファンディングで募集していた。1口5000円で、購入者の氏名を紙面に掲載するというリターンだった。当初は1000人の募集枠だったが、Twitterなどで話題となり、すぐに目標額に到達。その後も募集を続けた結果、6000人が購入した。反響が大きく、購入枠の拡充を決め、最終的に8000人が購入した。購入者の氏名を掲載した特別紙面は、9月27日に発行する予定。
安倍元首相は7月8日、奈良県内で参院選の応援演説中に、山上徹也容疑者(41)に銃撃され、死亡した。山上容疑者は暗殺要因に、宗教団体「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と安倍元首相の関係性を指摘したことから、国会議員と同団体の関係性が問題になった。元信者や有識者の指摘で「霊感商法」とされる手法を用いた集金方法も問題となり、消費者担当の大臣も兼務する、河野太郎デジタル相は消費者庁に、霊感商法に関する検討会を設置する方針を示している。
●安倍元首相の「国葬」を「お葬式」と混同する人に言いたい“重要な論点” 8/15
2022年7月8日、奈良市西大寺駅北口バスターミナル付近で起こった銃撃事件は、参議院選挙期間中の演説中の安倍晋三元総理大臣を狙ったものだった。総理大臣経験者が襲撃によって死亡したのは第二次世界大戦後初めてのことであり、世間に大きな衝撃を与えた。
岸田文雄総理大臣から国葬を実施する方針が発表されたのは、事件から1週間も経たない7月14日のこと。政府の決断に対し、さまざまな賛否の声があがっているが、私たちはこの一件とどのように関わることができるのだろうか。
民主主義的な国葬の決め方とは
安倍元総理大臣の銃撃事件は、現時点では、背景に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みがあったことが判明しています。ですが、それが明らかになる前は、選挙、つまり「代表民主制における主権者である民の代理人を選ぶ手続き」の最中の妨害行為ではないかという論旨で、“民主主義への挑戦”という言葉がかなり多くの政治家から語られました。
“民主主義への挑戦”という表現は、日本が民主主義を体現してるという前提がなければ、成立しません。もちろん、日本は看板としては民主主義国家を掲げていますし、制度としてはかなり高度なものを設計していると僕は思っています。選挙をするとかなり正確に、1票レベルまで票差が出ますし、その結果、選ばれた人たちが国会に登院して、その中から内閣を選ぶ代理人院内閣制もちゃんとあります。
ですが、日本は果たして民主主義国家と言えるのでしょうか。今回の国葬問題は、そこが非常に明確に見えてくる案件でもあると思います。国葬に対して賛成も反対もある状況で、誰がどのように物事を決定するのかという点で、日本が民主主義国家なのか問われるわけです。
国葬とはそもそも何なのか?
銃撃事件からの流れをおさらいすると、当初はメディアも“特定の宗教団体”という言い方をするなど、報道内容はわりと留保していました。ある程度の裏が取れるまで留保するという姿勢自体は別にいいと思います。一方で、岸田さんは早々に「国葬儀(国葬)」という言葉を使って安倍さんの急逝へのセレモニーを提案しました。
ここがまず議論がいろいろとよじれるポイントなので、整理していく必要があるでしょう。まず、国葬儀とは何なのか? 日本でお葬式といえば火葬を伴うお通夜と告別式のことというのが、僕の認識です。
僕個人の話をすると、父が他界したときには、僕が長男なので喪主を務めました。父の場合は、通夜・告別式を無宗教方式でやったのですが、その後、父が所属していた会社の方や同級生や友人たちが、弔意をもって偲ぶ会やお別れ会を開催してくれました。本当にありがたいことです。
それらの会には僕も呼ばれて出席しましたが、父のお葬式は、僕が喪主を務めたお通夜・告別式であって、その後のお別れ会のことを「お葬式をもう1回開いてもらった」とは認識していません。
国葬は「お葬式」ではない
今回の国葬に関しては、まず、国葬の定義においてねじれが出てきています。僕はお葬式とは告別式とお通夜のことだと考えます。安倍さんのお葬式はすでに増上寺で行われていて、たくさんの方が弔慰を表すために訪れたり、路上に集まったりして見送っていました。喪主は安倍昭恵さんでした。霊柩車が自民党の本部などを回ってTV中継もされていましたね。
対して、国葬儀とは何かというと、名前に“葬儀”って入っていますが、お葬式ではないです。僕の定義からいうと、偲ぶ会・お別れ会にあたる儀式です。
あるテレビ番組で学者がコメンテーターとして出演して「これはお葬式なんだから」と話していたのですが、お葬式という言葉を使うことによって、通夜や告別式のイメージを与えると思うんです。これには、僕は非常に気になってツイートもしました。
国葬は発表された段階からSNSではハッシュタグ「国葬に反対します」が登場しましたが、これはお別れ会に反対しているという意味です。しかし、国葬をお葬式という言葉で表現することによって、通夜・告別式を反対しているように見えてしまう。これでは非常に多くの人の倫理観に引っかかると思います。
お葬式とお別れ会を混同するロジックも
偲ぶ会やお別れ会をするならば、どうやってお金を集めるか、会場をどこにするか、という話になります。そのやり方に関して声が上がるのはあり得ることです。これは、お葬式に反対しているわけではないです。お葬式とお別れ会をごっちゃにするロジックが存在するということ。これを意図して行っている場合は悪質です。
僕は以前、「国葬はお葬式じゃないですよね? お葬式は増上寺でやりましたよ」という旨のツイートをしたんです。そこでは国葬の是非にはまったく触れずに、お葬式とお別れ会という別物の話をしているのだと整理しようとしたのですが、これが非常に拡散された結果、いろんなリプが飛んで来ました。
なかには「お葬式は何度やったっていいんだ」というような内容もあり、僕にはお葬式を何回もやるという考え方はないのですが、革新的な葬式観を持っているの方もいるんだなと思いました。
あえて言えば、現在はお葬式という言葉にすら共通の理解が成立しづらい状況とも言えるでしょう。その上でじゃあ儀式としてならどう行うべきか? まずは「国葬とは何か」を整理する。そして、この時点でもさまざまな意見があるとして「じゃあ民主主義ならどう対応するのか」を確認する必要があります。
要人が亡くなった際の対応。過去の事例は
そもそも、要人が亡くなった際にはどのように対応して来たのか? まず前例を確認し、続いて、憲法や法律で決められてるかどうかを確認してみましょう。
前例を確認してみると、国葬という言葉自体は新しく出てきた言葉ではありません。国葬はかつて行われていましたが、国葬を行うための法令は1947年に廃止されています。戦後は1967年に吉田茂元首相が特例的に国葬でセレモニーを行いましたが、当時も世論が分かれ、執行内容がバタバタと決められていたようです。つまり、根拠となる法令が存在せず、意見が二分されたまま行われていたという前例になります。
その他の例としては、例えば、安倍さんの大叔父に当たる佐藤栄作元首相。ノーベル平和賞も受賞していて、在任期間も非常に長かった人です。毀誉褒貶は誰にでもありますが、国に貢献したということが広く認められる方です。この人は「国民葬」という形でお葬式を行いました(国と自民党、国民有志が費用を負担)。
中曽根康弘さんの場合は、政府と自民党の合同葬として執り行われました。ここにも税金が投入されています。中曽根さんは80年代に日本の西側諸国としての地位を確立するため、日米関係の交渉を重ねた元総理大臣です。僕が10代でロンドンにいた頃の日本の総理大臣だったので、海外から見る“日本の顔”的な人でした。
この2例を見る限り、国葬に関する根拠法はありませんが、戦後の前例として国民葬・合同葬はあります。ここからも、国葬でなければならないという根拠は薄いわけです。
「国葬でなければ警護できない」との謎論理も
では、なぜ根拠のない国葬を行うのか? そもそも国葬とはなんなのか? 国民葬・合同葬ではダメな理由は何か?という議題が出てくるでしょう。何度も繰り返し指摘しますが、こうした議題が出てきた時に民主主義ではどうするのか?を確認する必要があります。そして根拠となる法が存在しない場合は?
僕は、適切な手続きを経て決定されるなら、国民葬でも合同葬でも、どの形をとってもいいと思います。そして、どの場合にも税金を投入する割合や、主催者、開催場所や海外の要人への対応も問題になります。国葬なら200人、国民葬なら150人みたいな枠はありません。おそらく、希望者がいた場合、各国政府で調整して来日することになります。
「国葬でなければ警護ができない」という謎の論理も出てきているようなんですけど、これはG20だろうがオリンピックだろうが、海外要人が日本を訪れる機会はこれまでもいくらでもあり、その都度警備体制が敷かれています。国際的に認知度の高い日本のトップが亡くなった場合、当然これまでも偲ぶ会的な儀式では警護が行われています。例えば中曽根さんのときも「今回、国葬じゃないので警護が薄いんで、気を付けて来てください」なんてことはないでしょう。ちょっと考えれば当然のことです。
逆に根拠法すらない国葬でなら警護できる、という理由も見当たりません。要人警護に関しては安倍元総理銃撃事件そのものが日本の警護体制の重大な失敗だと言えます。あの事件を経ても警護に責任をもつ国家公安委員長も警察庁長官も引責辞任すらしていない。要人警護を話題にするなら、日本の行政組織に資格があるのかも議論する必要があると思います。
国葬の是非については“民主主義的手続き”を
国葬とは何か? の前提を整理するだけでもこれだけ論点が出てきます。国葬に賛成の方の中にも弔意を表明する方法、海外要人に対応する選択肢が他にもあることに気づいた方はいるでしょう。岸田首相は8月6日にも民主主義の根幹となる選挙期間での非業の死を悼むためと国葬の理由を改めて述べました。それならば、なおさら国葬の是非については民主的手続きを経ることが、「民主主義の根幹」に関わると思います。
岸田さんは弔意を国全体として示す必要があるとも言っています。これは岸田さんの意見として受け止めますが、国全体で何かを行うならば、主権者である国民がその内容を決めるのが民主主義国家です。岸田さんが個人で決められると思っているなら権威主義の独裁国家です。この点もわかりやすいですね。
選挙で選ばれた国民の代表で議論する。今、国会は空いてるはずなので、ぜひ国会を招集して議論して欲しいと思います。もちろん、その際、民主主義に対するもう1つの挑戦、特定の宗教組織による政治への接近という課題にも政治家たちは当事者として向き合うべきでしょう。

 

●安倍元首相の国葬の“議論なき決定”は、なぜおかしいのか 8/16
安倍晋三元総理大臣の国葬をめぐり、世論が分かれている。時事通信の8月の世論調査によると、全額国費で負担する「国葬」として実施することについて、反対は47.3%、賛成は30.5%、どちらとも言えない・分からないは22.2%という結果となっている。
総理大臣にすべての権限があるわけではない
国葬に関して「岸田首相に決める権利がある」と話す人をしばしば見かけます。しかし、民主主義における主権者は、僕ら国民です。岸田さんには総理大臣としての権限はありますが、それはあくまでも僕らの代理人であり、内閣の中でポジションを勤めてよいという意味です。代理人に全権委任するわけでもありません。
身近な例え話をするなら、友達にパンを買って来てくれと頼んだのに、車を買って来られたら「なんでだよ」となりますよね。それで友達から「俺が代理を任されたから何買ってもいいだろ」と言われたら、そんな訳ないです。これは非常に簡単な考え方です。
つまり、僕らは国会議員に国を運営する代理を任せている訳です。国会議員の人たちの中から行政を担当する内閣を選ぶという決まりも国民が憲法で定めていて、そこからさらに総理大臣が選ばれています。法律に従って行政を行なうべき総理大臣が突然、根拠法がない国葬をやると言い出した場合、民主主義国家はどう対応すべきか?
「代理人を立てて話し合う」民主主義の構造
そもそもの前提条件の整理すると、意見が紛糾して法律もない場合は、国民の代理人が集まって、国会で話し合うんです。なかでも、国の一大事で有権者全員が参加する必要がある場合は、選挙を行う。自分の代理人を選んで投票し、選ばれた候補者は、国会議員、つまり「自身に投票しなかった人も含めた国民の代理人」として仕事をする。これが民主主義の構造です。
僕が「国葬に関してもさまざまな意見がありますね」という旨のツイートすると、いろいろとリプライしてくる人もいます。僕はそういう方には以下のような対応をします。
「なるほど、あなたの意見は僕とは違いますね。お互い忙しいですから、それでは代理人を立てて話し合ってもらいましょう。そういう場所、どこかあったかなぁ……。そうだ! 国会っていうところがあります。国会とはそういう場所なんです」と。前編の記事で安倍元総理の国葬を「お別れ会」に例えましたが、通夜・告別式はご遺体がありますから、早急に執り行う必要がありますが、お別れ会は期間を置いて設定できるわけですから、どうやってやるかって話し合いができるはずです。
議論なしの決定は民主主義に反する
岸田さんは安倍さんの死からかなり早い段階で国葬を発表しましたが、どういったロジックで決めたのか? ここにまた民主主義が出てきます。民主主義の根幹である選挙中の銃撃を“民主主義への挑戦”として国葬とするならば、国葬によって日本が民主主義国家であると示す必要があるはずです。
民主主義的とはどういうことかと言うと、今、一番行われていないことです。岸田さんが勝手に決めて、こういうふうになったからよろしくと言う。ただし議論は一切行なわれていないわけです。これが明日開催しなきゃいけないとかならまだわかりますが、9月27日に行う予定のものを議論も何もなしで“代理人風情”が勝手に決めてしまった。
そして、その主催にかかるお金には、主権者が払った税金を使うと。そもそも税金とは、日本を運営するために預けているお金です。税金の使いみちは予算委員会で細く論議され、その審議が国会で行われます。国会ではお金をどう使うかを決めることが非常に大事なんですね。
日本が本当に民主主義国家であるならば、国葬に賛成の立場であろうと反対の立場であろうと民主的な手続きを経て決めること、主権者が自分たちで決めるという意思を持つことが重要です。
国葬が国の儀式であるか?を決めるのが国会
国葬に賛成の立場ならば、根拠法を作り、それに基づいて国会審議を経て、堂々と行うという選択肢を取れるのか。反対の立場ならば、少なくとも自分たちはこういう理由で国葬を反対します、と提示できるのか。
現状、閣議決定をしたからOKだという意見も出ていますが、僕は閣議決定は法律に基づかない何かを決める根拠を預けていませんから、個人的には異を唱えます。
松野博一官房長官は内閣設置法を根拠法とする説明を行いました。内閣設置法4条3項は内閣府がつかさどる業務として「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関すること」と定めています。
この法律は現状根拠法がない国葬が国の儀式に当たるかどうかを説明するものではない。国葬が国の儀式であるかどうか? これを民主的に決める場所が国会です。
山積みの問題の中、民主的な議論がなされるのか
閣議決定が法律などを超える決定権を持った場合、それは民主的な体制ではなくなってしまいます。内閣は国会議員とは別の組織です。主権者である僕らの代理人である国会議員のチェックが入らない決定は民主的な決定と言えるのでしょうか? こういった議論が、この国葬に関してたくさん出てきます。
“民主主義への挑戦”という理由を挙げているので、国葬に賛成の人こそ民主的なプロセスを経て決定することをぜひ遵守してほしいと思います。一方で、今まで行なったことのある国民葬や合同葬のほうが警護だったりもスムーズなのではないかという意見もあるでしょう。もちろん、やらないという選択肢もあります。諸々の議論を経た上で、一番いい方法をとってほしいです。
問題は他にもありますね。まず、3週連続で世界でもっともコロナ感染者数が多い状況(8月12日時点)において、政府の対策の不作為への議論が当然あるはずです。そんな無責任な状況で、政府に外国要人を招くようなセレモニーを開く資格があるのでしょうか。
さらに、選挙期間中の政治家が銃撃される事態を招いてしまった警護の責任者であるはずの警察もまだ一切の責任を取っていません。そんなゆるゆるの無責任体制の警備体制で外国要人をたくさん招くような儀式を開催する資格があるのでしょうか。
別の意味で“民主主義への挑戦”が浮き彫りに
そして現在、各メディアが報道しているように、そもそもこの事件を契機に別の意味で“民主主義への挑戦”が浮き彫りになっています。旧統一教会が政治家との距離をかなり詰めてきていて、当落線上の候補者の選挙結果に影響を及ぼしている疑惑、また、政治家たちが主張している法案の骨子の考え方が宗教団体の影響を受けている疑惑が出ています。
安倍さんを銃撃した山上容疑者は動機として、旧統一教会の信者である母親の多額の献金が家庭の崩壊を招いたことをあげています。そこで旧統一教会の関連団体に対してビデオメッセージを送った安倍元首相を狙ったのです。
国葬の当事者である安倍さんは、事件の引き金となったメッセージ以外にも祖父の岸信介元総理時代からの教団との関わりや、自身の元政務秘書官である井上義行参議院議員、宮島喜文元参議院議員らへの票の差配も指摘されています。
安倍派の下村博文元文部科学相のもとでの教団の名称変更問題、派閥の前の領袖・細田博之衆議院議長の教団との関係も適切だったのかが問われています。
早急に国会を開くべきである
国葬を取り仕切る立場の岸田首相はこのタイミングで内閣改造を試みましたが閣僚と統一教会の関係を精算したとはとても言えません。自民党としても、茂木敏充幹事長のように「組織的な関わりはない」という発言(8月2日の会見)だけで終わらせようとしていては、国民の疑惑が払拭されることはないでしょう(※編集部注:茂木幹事長は8月8日の会見で「これからは関係を持たないということが基本だ」と、2日の発言とは異なる見解を示し、批判が相次いでいる)。
安倍さんに関しては森友学園、加計学園、桜を見る会に関する疑惑でも政治家としての説明責任を果たしていません。主権者の代理人である議員による説明責任もまた民主主義の根幹に関わる問題です。
その意味での“民主主義への挑戦”が現在進行中であるという前提の下、この国葬をどのように行うべきなのでしょう? そもそも、本来議論すべき議題があるにもかかわらず国会を開かないという状況に対しても、主権者である民の一人である僕としては異を唱えます。早急に国会を開き、そして民主的な手続きで国葬の是非を議論していただきたいです。
●《国葬で民意は二分》滑稽を通り越して哀れな「反体制的知識人」のメンツ問題 8/16
2020年春に新型コロナウイルスの流行が始まって以来、3度目の「同調圧力とともに迎える夏」である。
ウイルス自体は「強めの風邪」に近いところまで弱毒化し、政府を支える専門家からも「指定を5類相当に変更し、インフルエンザと同様に扱おう」との提言が出てきた。しかしかつて彼ら自身が誇大に煽った不安のために、炎天下の屋外でも多くの人がマスクを外さない光景が続いている。
国葬は「弔意を国民に強制する」?
加えて7月に起きた安倍晋三元首相の暗殺事件が、もうひとつの暗い影を落としている。政府は早々に9月の国葬実施を決めたものの、「弔意を国民に強制する同調圧力を招かないか」との批判もあり、いまのところ民意は二分された状態だ。
意外に思われるかもしれないが、人によっては「過剰」なものに見えるコロナ対策と国葬の決定過程には、共通の力学が働いていたと私は考えている。
当時から何度も批判してきたが、安倍氏が首相だった2020年2月のコロナ禍初期、多くの識者は当初「政府が強権的に対策を進めるのは危険だ」と主張していた。しかし同年3月半ばにコロナに対しても緊急事態を宣言可能にする法改正がなされるや、同じ面々は「なぜ政府は宣言を出さない!」と叫び始める。
むろん同じ月に、欧州諸国がロックダウンに踏み切ったことの影響はあったろう。しかし冷静に感染者数を比較すれば、日本は本来焦る状況にはないとの指摘は当時、すでになされていた。
つまり防疫上の意味は皆無だったにもかかわらず、なぜあのとき日本人は、自らの自由や権利が制約される対策(緊急事態宣言)を望んだのだろう?
一言でいえば、それが取れるかぎりで「最大限の選択肢」だったという以外に、理由はないと思う。
緊急事態宣言を発令するオプションが法的に可能となったにもかかわらず、それが「使われていない」という状況が、多くの人を不安にした。とにかくそのカードを切り、「やれるかぎり最大限のことはやりました」という体裁をとってくれないと、気持ちが納得できない。
“国葬”実施の理由は“特攻隊”と同じ
目下争点となっている安倍元首相の葬儀形式をめぐる論争にも、同じ構図がある。亡くなった政治家の弔い方としては、最上位のものとしての「国葬」の先例が、現憲法下でも一例のみだが存在する(吉田茂元首相、1967年)。
戦前も含めて憲政史上最長の政権を担い、しかも首相経験者として戦後初の暗殺という非業の死を遂げた安倍氏の葬儀に際して、国葬以外の選択肢を提示した場合、「なぜ最上位のオプションがあるのに、使わない!」と反発する層は確実にいる。
それを防ぐには最初から「国葬で」とオファーするしかなかったというのが、おそらくは政権の内情だと思う。まさに現職時代に安倍氏が「なぜ宣言を出すというオプションがあるのに、使わない!」として、民意に煽られたのと同じだ。
周知のとおり日本人にとっての8月は、いまや稀少な「戦争を振り返るシーズン」でもある。
その際メディアで繰り返される「特攻隊神話」もまた、同一の構造の上にあることにお気づきだろうか。特攻作戦に戦局を反転させる意義がまるでなかったことは、視聴者の誰もが知っている。
しかし、それでも自らの命を棄てての攻撃という「最大限の選択肢」を選ぶ姿が、今日もなお多くの日本人の琴線に触れる。ほとんどは別に好戦的な歴史観の持ち主ではなく、「あそこまでやっても敗けたのだから、もうしかたなかった」と敗戦を受け入れるためにこそ、実戦上は意味のなかった非道な作戦に共感しているのだ。
戦時中から今日に至るまで続く、そうした感受性の罠から外に出るような歴史の振り返り方は、ないだろうか。
手がかりになる人物の姿を、作家の中野重治が「吉野さん」という回想(1949年)に描いている。厳密には私小説であり脚色が入っているが、モデルとなった人物の英詩をそのまま引用していることからも、戦時下の実体験を踏まえた随想と位置づけてよい。
「多数決は挙国一致でありますまい」
「吉野さん」のモデルとなったのは、戦前に青山学院や陸軍大学校で教えた岡田哲蔵(1869-1945)。キリスト教思想を研究すると同時に、海外では『万葉集』の英訳などの詩作で知られていた。生前最後の2年間、世田谷で戦時下の町会長を務める姿が、中野の脚色を経て記録されている。
中野が住む地区の町会長として描かれる「吉野さん」は、リベラリスト(自由主義者)を自任する老紳士だが、反軍的な人ではない。日清・日露戦争では通訳として軍に協力し、少佐相当だったと噂されることから、防空演習でも軍人に一目置かれている。
しかし吉野さんは時局に関わる政治判断でも、「最大限の選択肢」には釣られない。あくまで法的な根拠があるか否かで、国の要請に応じるかを決める。戦費に回すための貯蓄が同調圧力で強制されそうになった際の、吉野さんの冷めた対応を、中野はこう描写している。
『吉野さんは、町会長のうちでもいちばんの年寄りだったから、役人たちも弱った。とうとう都の代表者が、「重々ごもっともです。〔法的な根拠がないのは〕おっしゃるとおりで……ただこれは、挙国一致の案件でございまして、吉野先生以外の方にはおおむねご賛成願っておるのでございますから。多数決ということもございますし……」というようなことを言ったところ、吉野さんが開き直って、「多数決は挙国一致でありますまい。」とやったため座が白けたという話だった。』
戦争中の日本でも吉野さんが孤高を貫けた理由は、なんだろう。中野はこの随想で二つ、手がかりを示唆しているように思う。
まず、吉野さんには詩作という趣味があった。元共産党員として官憲から監視される半面、戦前に発表した小説で知られていた中野に、自作の英詩を渡して交流を持とうとする。
空気に従わない姿勢が右翼から睨まれ始めていた吉野さんに、最後の子供まで徴兵するとの通知が届き、町内は緊迫する。しかし出征式の日、吉野さんはわざと難解な自作の詩(日本語)に自分の真情を託すことで、衝突を回避する。
今春刊行した拙著『過剰可視化社会』でも論じたように、「見た人は誰もが必ず一様に、同じ感情を抱くべきだ」とする発想でなされるコミュニケーションは、容易に同調圧力に転ずる(プロパガンダが典型である)。そうではない私秘的な会話の作法を知っていたことが、戦時下でも内面の自由を守った。
次に、吉野さんとは正反対の個性の持ち主も、相まって彼とともに地域を支えたことだ。典型は前任の町会長だった、竹内という人物である。
竹内は生活物資の調達に辣腕を振るうやり手だが、常に自分が一番多くせしめるエゴイストだった。そのため副町会長に降格されたものの、清廉さの裏面で融通が利かない吉野町会長の下では「副町会長が悪人で助かっている点もある」との住民の声を、中野は拾っている。
戦後の著名人で喩えるなら、さしずめ吉野さんは丸山眞男で、竹内は田中角栄だろうか。欠点も含めてさまざまな種類の人間が、互いに不満や摩擦を抱えながらも「排除」だけは最後までしなかったことが、中野が属する共同体の強さにつながっていた。
これに対して80年近く経ち、新型コロナ禍なる「擬似戦時下」にある私たちの現状は、どうだろう。
誰もがマスクをしているといった「見ればわかる」対策からしか安心感を得られず、人それぞれの体質や感受性には配慮しない。SNSでも「自分への賛同以外あり得ない」という態度で発信し、異なる反応を示すアカウントを見つけたら、集団で潰そうとする。
コロナでの過剰自粛に対する違和感を、人文的な教養に基づき発信した識者はごくわずかだ。国民生活への影響が甚大な緊急事態宣言にはもろ手を挙げて同調しながら、「反体制的知識人」のメンツの問題に過ぎない国葬にのみ強がって異を唱える姿は、滑稽を通り越して哀れですらある。
なんとも情けない、終戦から77回目の夏。そんな時こそ、ほんとうの困難に立ち向かい、あるいは潜り抜けた人たちの姿が、静かに胸をよぎる。 
●安倍元首相国葬 都内で反対デモ 鎌田慧さんら呼び掛け 新宿駅周辺で  8/16
9月27日に実施予定の安倍晋三元首相の国葬中止を求める集会とデモが16日、東京・新宿駅周辺であった。「国葬反対」「やめろ国葬」などと書かれたプラカードを持った約1000人(主催者発表)が「国葬は民主主義と相いれない」などと声を上げた。
ルポライターの鎌田慧さんや作家の沢地久枝さんら、これまで憲法の解釈変更により集団的自衛権の行使を容認し、改憲や原発再稼働を進めようとする安倍政権を批判してきた有識者が呼び掛けた。
呼び掛け人の一人で評論家の佐高信さんは「人間は一人で生まれ、一人で死ぬ。(国葬実施で)死ぬことに格差を設けるな。国葬は民主主義の破壊だ」。呼び掛け人の作家落合恵子さんが「森友・加計学園、桜を見る会などの疑惑を解明しないまま国葬するわけにいかない。反対の声を後ずさりさせない」と訴えると、参加者は「そうだ」と声を上げた。
「民主主義は国葬を拒む」というプラカードを持って参加した東京都台東区の女性(77)は「アベノミクスで格差は拡大し、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を認めさせ、とんでもないと思ってきた。国葬は絶対反対です」と話した。
●国の威信をかけた安倍元首相「国葬」 万全の警備・警護 8/16
この記事の寄稿に際し、安倍晋三元首相に哀悼の意を表明する。
安倍氏は7月8日、参院選の街頭演説中に凶弾に倒れた。まさに悪夢であり、日本だけでなく世界を震撼(しんかん)させた。
ロシアによるウクライナ侵攻や、中国による軍事的覇権拡大などを受けて、自由主義諸国による新たな集団的安全保障の枠組み構築が必要な時期に、世界はかけがえのない指導者を失った。
岸田文雄政権は、安倍氏の「国葬(国葬儀)」を9月27日、東京・北の丸公園の日本武道館で実施すると決めた。安倍氏を悼むために、世界各国から要人が集まる。国葬は前代未聞の規模になるだろう。国の威信をかけた国葬は、万全の警備・警護体制でなければならない。
これまでの、銃犯罪のない「安全な国=日本」というイメージは崩れ落ちた。警察庁も、警備・警護の不備を認めて、安倍氏の事件の検証を始めているが、要人警護を強化するにも時間がかかる。
米国では、国家要人の特別護衛機関「シークレットサービス」の警護エージェントだけで3000人を超えている。さらに、危険地域の外遊などリスクの高い警備・警護には陸軍特殊部隊なども加わる。あらゆる状況に対応できる態勢と規模を有しているのだ。
日本でも今回、警察と自衛隊が連携した、大規模な警備・警護体制を検討すべきだ。事件に使用された銃の製造方法も報道された。「国葬中止」を求める許しがたい犯罪予告が、地方自治体などに寄せられている。模倣犯が出ないともかぎらないうえ、テロリストの標的になりかねない。
安倍氏の事件では、医療・救命体制も疑問視されている。世界的VIPである安倍氏が街頭演説をするのに、近くに緊急時の医療スタッフが待機していなかったことが悔やまれる。
自衛隊には医官や看護官など医療スタッフがいるうえ、緊急手術ができる救急車も保持している。今後の要人警護を考えるうえで、救命救急チームや搬送チームも必要不可欠となるはずである。自衛隊は、化学・生物・放射性物質・核などを用いた「シーバーン攻撃」の訓練も行っている。この知識と能力は要人警護の力となるはずだ。
残念ながら、現行憲法下では、軍と認められない自衛隊にできることは限られている。自衛隊は捜査権や私有地への立ち入り権を持たず、平時の武器使用にも大きな制限がある。自衛隊の対処能力を要人警護に使うためには、法制度改革が必要だ。
この国を守るのは警察だけではない。高い自己完結能力を持ち、治安維持機能を担うべき自衛隊がいる。今回の国葬をきっかけに 警察と自衛隊が平時から連携しておけば、非常事態にも力を発揮できるはずだ。

 

●「一方的に美化しないで」安倍元総理“国葬”反対デモ 8/17
来月予定されている安倍晋三元総理大臣の「国葬」に反対するデモに集まったのは、およそ1200人。憲法学者やジャーナリストらの呼び掛けで行われました。
憲法学者・飯島滋明氏:「安倍首相は偉い。だから、皆、黙とうせよ、喪に服せ。これが民主主義でしょうか?これは全体主義です。そんなことは決して、認めることはできません」
作家・落合恵子氏:「国葬をもってして、旧統一教会と政治家の癒着にもフタをするつもりなのか?誰かの死を利用することは、最悪です。醜悪です」
参加者からは、安倍元総理への銃撃は許されないが、「森友学園」や「さくらを見る会」などを巡る疑惑を棚上げしたまま、一方的に美化するべきではないとの声が多く上がりました。
反対デモ参加者:「国民の半分以上が反対していることに、多額のお金を使ってやろうとしてる。その意味も分からないので、居ても立っても居られなくて」
国会では、今月下旬にも閉会中審査が開かれ、議論が行われる見通しです。
●民主主義壊してきた安倍元首相 「国葬」やめよ 市民が集会 8/17
学者や作家、ジャーナリストらが16日、東京・新宿駅西口前で安倍晋三元首相の「国葬」に反対する集会とデモを行いました。集会には850人(主催者発表)が参加し、「アベ国葬を許さない」「弔いの強制を止める」と書かれたプラカードを掲げて訴えました。主催は「安倍『国葬』やめろ!緊急市民集会実行委員会」です。
呼びかけ人の一人で作家の落合恵子さんは、第2次安倍政権下で、特定秘密保護法や安保法制(戦争法)、共謀罪法などを成立させたことにふれ、「民主主義を壊してきたのは安倍さんではないか」と批判。「誰であっても暴力で命が奪われてはいけない。安倍さんの死を利用した弔意の強制に対し、良心をかけて反対の声を上げ続けよう」と声をあげました。
元文部科学事務次官の前川喜平さん(現代教育行政研究会代表)は、安倍元首相の家族葬が行われた間に、各地の教育委員会が各学校に半旗を掲げるよう通知を出していたと指摘。「子どもたちの思想・良心の自由を脅かすことにつながる」と指摘。「教育勅語を復活させるかのような教育行政を担ってきた安倍さんの国葬には反対だ」と訴えました。
評論家の佐高信さんは、自民党など改憲派の議員の多くが統一協会との関係があるとして、「国葬は民主主義の破壊だ。岸田文雄首相は国民に対して、統一協会との関係を申告すべきだ」と批判。ルポライターの鎌田慧さんは「日本を軍備強化の方向に持っていこうとしていた安倍さんをなぜ国葬とするのか。正当化されるはずがない」とのべました。
このほかにジャーナリストの斎藤貴男さんや作家の澤地久枝さんらが呼びかけ人として名を連ねています。
練馬区から参加した女性(73)は「コロナ禍や自然災害で苦しむ人たちがいる中で税金を使って国葬を行うことには反対です」と語りました。
参加者は集会後、新宿駅周辺をデモ行進しました。 
●「旧統一教会」問題、安倍元首相の国葬…「岸田内閣」支持率急落 8/17
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。8月11日(木・祝)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「第2次岸田改造内閣、発足」。学習院大学 非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。
「第2次岸田改造内閣」が、8月10日(水)に皇居での認証式を経て発足しました。岸田文雄首相は記者会見で、今回、内閣改造に踏み切った理由について、「政策断行により、数十年に一度とも言われる難局を突破するため」と説明。新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ情勢、米中関係の緊張、国際的な物価高などへの対応を挙げて、有事に対応する「政策断行内閣だ」と述べました。
今回の「内閣改造」の焦点は?
塚越:首相を除いて閣僚は19人いるのですが、そのうち9人が新入閣ということです。ただ、フタを開けてみると、あまり目立った変化はないのかなと思います。国民の関心としては、やはり「世界平和統一家庭連合(=旧統一教会)」の問題を払拭できるかどうかということですよね。
そして、もう1つは、安倍(晋三)さんが亡くなったことを受け、「自民党内の派閥関係」をどう調整するかという点でした。実際におこなわれた内閣改造では、あまり目立った動きはないのですが、1つあるのは、去年の総裁選で敗れた河野太郎さんと高市早苗さんが入閣したところです。
ユージ:塚越さん的には、サプライズ人事だったということですか?
塚越:そうですね。デジタル担当大臣となる河野さんは、特にサプライズです。菅義偉内閣で、ワクチン接種推進担当大臣として非常に名を揚げたのですが、総裁選では敗れたので、(その後は)自民党広報部長という、一言で言ってしまえば降格人事だったんですよね。
河野さんは麻生派で、(今回の内閣改造で)麻生派が推していたわけではないのですが、どうやら岸田首相が河野さんを求めたという声もあるんですよね。河野さんは、問題もあっていろいろ批判もされるのですが、“豪腕”ということに関しては確かにそうなので、デジタル分野での活躍が期待されている感じですよね。
ユージ:実際、河野さんはTwitterなどSNSを駆使されていて、若い人とのコミュニケーションなども積極的に取っている印象もあるので、(デジタル担当大臣就任後の)何らかのイメージを持っているのかなと思いますね。
「旧統一教会」問題
吉田:そして、やはり気になるのが、「世界平和統一家庭連合(=旧統一教会)」の問題ですが、今回の内閣改造から見えてくることはありますか?
塚越:まず、岸田内閣の支持率は急落しています。NHKの調査によりますと、参院選後の7月半ばの調査では59%あった内閣支持率が、今月はじめの調査では46%となり、去年10月の内閣発足以降、最も低くなっています。不支持も28%と、前回より7ポイントも増えています。
これは、旧統一教会の問題や(安倍元首相の)国葬問題の影響があるのかなと考えられます。「旧統一教会の問題」に関しては、教会と何らかの関係を認めた内閣の閣僚7人は、今回の改造で交代したのですが、留任した経済再生担当大臣の山際大志郎さんは、旧統一教会の関連団体に会費を払い、イベントに出席していたと。8月10日(水)におこなった会見では、「通常の政治活動の一環だった」と述べているのみです。
同じく留任の林芳正外務大臣も、旧統一教会に関連する新聞「世界日報」のインタビューを受けていたこともわかっています。また、旧統一教会との関係を認めた萩生田光一経済産業大臣は、今回は自民党の執行部である政調会長に異動することになっています。
また、初入閣組の寺田稔新総務大臣は、2018年に旧統一教会の関連団体「国際勝共連合」の会合に参加費2万円を払っていたことがわかっています。さらに、西村明宏環境相、岡田直樹地方創生担当相など、旧統一教会との関係性の濃淡はあるのですが、旧統一教会との関係があることがわかっている、という感じです。
あと、再入閣の加藤勝信新厚生労働大臣も、旧統一教会といろいろ関係があることも明るみになっているので、旧統一教会との関係はこれからまだまだ出てくるかな? というのが正直なところです。これは今の時点で、というだけの話なので、まだまだ出てくると思います。
吉田:党はどういう対応をとっているのですか?
塚越:自民党は、党としての調査はおこなわない方針で、個別に点検・見直しをしてください、と求めている状態です。(旧統一教会関連のイベントなどに)会費を払ったのか、あるいは、団体からお金をもらったのか、選挙応援をされたのかとか、いろんな関わり方があって、扱いは変わってくると思うんですよね。
どの程度のレベルで付き合っていたのか? という濃淡はあると思うのですが、何かしらの基準を公表して処分するなど、やろうと思ったらできるはずなのですが、今回は“意気込みが感じられない”という感じです。
なので、「内閣改造をして、世論が落ち着くまで待っていれば、逃げ切れるんじゃないかな?」と思っている印象を受けるんです。だから(旧統一教会との関係を)“点検”してくれないかな? ということですよね。新閣僚や留任組にも関係があった人がいるということなので、まだまだ、私たちメディアもどんどん伝えていくことが大事ですよね。
ユージ:そうですよね。あと、「旧統一教会と関係があった者は外す」と言ってしまうと、それを掘り下げていった場合、大なり小なりみんな関わっていたんじゃないか? となって、誰も入閣できなくなってしまう可能性がある。じゃあ、それをどの程度まで許すのか、というその線引きが、ちょっと難しいところなんじゃないかなって思います。
●安倍元首相の国葬差し止め却下した裁判官3人を「罷免させよ」 市民団体請求 8/17
安倍晋三元首相の国葬取りやめをもとめる市民団体が、国葬差し止めの仮処分を却下されたことを受けて、その決定を下した東京地裁の裁判官3人の罷免をもとめ、裁判官訴追委員会に訴追請求した。訴追請求状の提出と受理は8月16日付。
罷免の訴追をもとめたのは「権力犯罪を監視する実行委員会」。
国葬について、この市民団体が閣議決定や予算執行の差し止めをもとめる仮処分を申し立てたが、東京地裁は申し立てには理由がないなどとして、8月2日に却下していた。団体は8月10日、東京高裁に即時抗告を申し立てた。
訴追請求状によれば、口頭弁論および審尋がおこなわれないまま、当事者らの言い分を聞かずに決定を下したことが、民事訴訟法などに違反すると主張している。
「憲法第22条が保障した国民の裁判を受ける権利を3名の裁判官は阻害した」(訴追請求状から)
罷免の対象とされたのは、東京地裁の向井敬二裁判官、渡邉充昭裁判官、廣瀬智彦裁判官の3人。市民団体の岩田薫共同代表は即時抗告の際の会見で「結論ありきで門前払いの決定」だと批判していた。
訴追委員会が訴追の決定をした場合、弾劾裁判所が罷免をするかどうか裁判をすることになる。弾劾裁判所が罷免の判決を宣告すると、裁判官は直ちに罷免される。

 

●国葬で「国民の黙祷」を検討中の政府に「強制するな」と拒否反応続出 8/18
9月27日に開催が予定されている安倍晋三元首相(享年67)の国葬。この件について、政府は野党議員の質問主意書に対する18本の答弁書を8月15日に閣議決定した。その中の黙祷に関する項目がネットで波紋を呼んでいる。
さかのぼること7月8日、銃撃を受けて亡くなった安倍元首相。多くの人があまりにも突然の死を悼んだが、同月14日、岸田文雄首相(65)が「秋に国葬を執り行う」と宣言したことで波乱を起こすことに。
「岸田首相は『憲政史上最長の8年8ヵ月にわたってリーダーシップを発揮した』などと安倍元首相の政治を讃えた上で、国葬を宣言しました。しかし、安倍元首相には熱狂的な支持者がいるいっぽうで、モリカケ問題や桜を見る会、さらに国会での118回にもわたる“虚偽答弁”などから支持しない人も多数います。
また支持者のなかにも、国葬に多額の税金が使われることに疑問を感じる人たちも。国葬に対する反発の声は今なお後を絶ちません」(全国紙記者)
国葬が反対される理由は、もう一つある。それは“安倍元首相と統一教会との癒着”が次々と明らかになっているためだ。
「安倍元首相を銃撃した山上容疑者は、家庭崩壊を招いた実母の統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)への多額な献金により、教団に恨みを抱くように。安倍元首相が教団の関連団体のイベントにビデオメッセージを送っていたのを見たことから、深い関係があると思い犯行に至ったと供述しています。事件後、安倍首相が関連団体の発行する雑誌で表紙を飾ったり、教団信者の票を選挙の際に自民党の議員に割り振っていたことも判明しています。
統一教会は昭和の末期から霊感商法などが社会問題となった団体ですから、『反社会的組織と深い関わりがある人物に国葬はふさわしくない』という声も上がっています」(前出・全国紙記者)
そんななか『時事通信』によると野党の質問主意書への答弁書で、政府は安倍元首相の国葬について「企業や学校などに対し弔旗掲揚や葬儀時間中の黙とうを要請するかどうか、葬儀の在り方は現在検討しているところであり、現時点でお答えすることは困難」と記述。つまり“国民に黙とうを要請するかどうか検討中”だというのだ。
7月20日、松野博一官房長官(59)は「国葬儀は国民一人一人に喪に服することを求めるものではない」と会見でコメント。そして8月10日、市民団体が起こした裁判に対して東京地裁は「国葬が国葬儀の方式で執り行われるとしても、これにより、個々の国民に対して、安倍元首相に弔意を表すことや喪に服することを強制することになるとは認められず、弔いの儀式に国民を強制的に参加させることになるとはいえない」としている。
しかし“国民に黙とうを要請するかどうか検討中”という閣議決定がなされた今、Twitterでは「喪に服すことを強制するのでは」と、拒否反応が相次いでいる。
《弔意を強制するものではない、とか最初言ってなかった?》《普通に弔意を強制しとるやないか》《まず国葬反対だし、弔旗掲揚や黙とうを要請するかどうかについてなど諸個人の弔意の在り方を政府が国民に強制したり指図するな》《国葬か否かはほぼ形式的問題と思うのでこれまでノーコメントでしたが、国民に弔意を強制するようなことがあれば全力で反対します》
●安倍元首相の国葬大丈夫?電通関与で反対論に拍車  8/18
有力OBの逮捕に発展した“電通五輪汚職”。家宅捜索まで受けた同社が運営に関わると指摘されているのが安倍晋三元首相の国葬だ。安倍派をはじめ、多くの自民党議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が次々と判明、世論の批判が高まる中、岸田内閣は国葬への逆風が強まる電通リスクを抱えることになったとも言える。
国葬は9月27日に日本武道館で実施。「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げてきた安倍氏に対し、260の国、地域、機関から1700件以上の弔意が寄せられており、多くの国の外交団の国葬参列が見込まれる。調整事項は極めて多岐に及び、各国VIPが集う大規模行事の仕切り経験のある職員に加え、電通も運営に関わると指摘されている。
岸田内閣は政府が全額負担する国葬の実施を閣議決定。しかし、当初から「弔意の強制につながる」「法的根拠が乏しい」などとして国論を二分。さらに、教団問題が広がりを見せ、内閣支持率は急落。岸田文雄首相は内閣改造で、教団との接点が明らかになった閣僚を交代させリセットを図ったが、政務三役に教団色の付いた議員が多数入る結果に。政権浮揚効果は得られず、国葬を取り巻く環境も好転していない。
政府関係者が「さらなる支持率低下の要因になりうる」と気をもんできた国葬。捜査対象となっている電通が関与したまま準備が進めば、国葬反対論に拍車が掛かりそうだ。 
●安倍氏国葬まで1カ月半 国民にどこまで弔意表明を求めるか、方針決まらず 8/18
政府が9月27日に開催する安倍晋三元首相の国葬まで1カ月半を切り、政府内の準備が徐々に進んできた。ただ、弔旗の掲揚や黙とうといった弔意の表明を国民にどこまで求めるか明確な方針を打ち出せていない。個々の企業や地方自治体、学校などで対応に戸惑うケースも出てきそうだ。
国葬に関し、政府は野党議員の質問主意書に対する18本の答弁書を15日に閣議決定した。
企業や学校などに対し、追悼のため弔旗掲揚や葬儀時間中の黙とうを要請するかどうかについて「葬儀の在り方は現在検討しているところであり、現時点でお答えすることは困難」と記すにとどめた。
また、国葬当日に競馬、競輪といった公営ギャンブルの中止を求めるかどうかについて「現時点では決定していない」と回答した。
一方、官公庁や企業、学校などを当日休日扱いとすることや、テレビ局などに歌や踊りを伴う番組の自粛を要請することについては、「現時点で考えていない」と否定した。
唯一の先例である1967年10月31日の吉田茂元首相の国葬では、「お願い」などの形で、国民に弔意表明への協力を求めた。
国葬6日前の「当日における弔意表明について」と題する閣議了解文書によると、各省庁には(1)弔旗を掲揚する(2)葬儀中の一定時刻に黙とうする(3)当日午後は職員が勤務しないことを認める(4)歌舞音曲を伴う行事は差し控える―ことを指示。「各公署、学校、会社、その他一般」に対しては、「同様の方法で哀悼の意を表するよう(各省庁から)協力方を要望する」として同調を促した。
さらに、葬儀前日に国葬儀委員会が決定した「国民各位へのお願い」と題する文書では、葬儀中の1分間の黙とうや弔旗掲揚、歌舞音曲の自粛について「期待する」とした。
当時の政府内の検討文書には「戦前の『国葬令』に基づく国葬のように国民を一律に喪に服せしめることはできない」とあり、国民への強制は難しいという判断があったようだ。
安倍氏の国葬に当たっても、政府は「国民一人一人に喪に服することを求めるものではない」(松野博一官房長官)と説明。国葬自体への反対論も根強いことから、国民への過度の要請は難しいとの見方が強い。
ただ、安倍氏の7月の通夜と葬儀では一部の教育委員会が半旗掲揚を学校に要請し、「政治的価値観の押し付け」との反発を招いた。国葬ではさらに混乱が生じる恐れもある。
●「安倍元首相の国葬決定理由を検証しても、今日に残る成果は見当たらない」  8/18
ケネディ大統領と安倍首相の類似点
安倍晋三元首相の「国葬儀」(国葬)が、2022年9月27日に日本武道館で営まれることが閣議決定された。費用は全額国費でまかない、無宗教形式の葬儀となるそうだ。戦後になってからの国葬は、皇族を除くと吉田茂元首相だけだった。
「安倍氏は国葬か、国民葬か」と議論されていた7月19日、自民党の茂木もてぎ敏充幹事長がおかしなことを発言した。立憲民主党などが国葬に反対することについて、「野党の主張は国民の声や認識とかなりズレている」と言ったのだ。自民党が「国葬」にすると独断で決定したのに、国葬か国民葬かは「国民の声」が決めると説明しているのは、頭が良いはずの茂木氏にしてはロジックがおかしい。自民党は国葬に決定した理由について、「史上最長政権だった」「外交が国際的に評価された」などと言っているが、基準が曖昧であり、結局は感情的に判断したのだろう。
安倍元首相が国葬に決まったのは、基本的には死に方の問題だ。あの残酷な銃撃で殺害されたことは、国民のシンパシーを買った。「モリカケ桜」問題など、安倍氏の批判をしてきた私でさえも哀悼したいと思うし、国民の気持ちは理解できる。
ただ、安倍氏の政治家としての評価に関する今の報道を見ていて思うのは、殺害のショックと政治家としての功績は区別して考えるべきだ、ということだ。安倍政治の評価はもう少し時間が経ってからのほうが良いだろうとは思うが、少し参考になる他国の事例などを交えて私の考えを述べたい。
今回のケースは、米国のジョン・F・ケネディ大統領が1963年に暗殺されたときと似た状況だ。ケネディ大統領は若くて格好が良く、ボストンなまりの英語がちょっと可愛くて、ものすごく人気があった。
しかし、大統領としての功績を挙げるとしたら、2つぐらいしか思い浮かばない。1つは、62年のキューバ危機だ。ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設中とわかり、一触即発の事態となったが、最終的に建設を中止させた。もう1つはアポロ計画だ。ソ連に人工衛星(スプートニク)の打ち上げや有人飛行(ガガーリン)の宇宙競争で負けていたから、人類初の月面着陸を成功させようと計画を進めて成し遂げた。
どちらも記憶には残るが、その後に米国経済が強くなったなどの長期的な功績につながった事例は見当たらない。アポロ計画後のNASAは低迷し、今はイーロン・マスクのスペースXにロケットの打ち上げを頼んでいるぐらい弱っている。宇宙船もロシアが開発したソユーズに長年依存していた。
日本一の首相、米国一の大統領はダレ?
私から見て、第2次世界大戦後、最大の功績を残した米国大統領はドナルド・レーガン氏だ(在任期間は81〜89年)。米国が老大国になる瀬戸際の80年代、彼は金融、運輸、通信の3分野の規制撤廃を進め、世界を席巻する強い企業群をつくった。90年代以降のサイバー時代に米国経済が花開いた大きな要因は「レーガノミクス」のおかげだ。
確かに、レーガノミクスは痛みを伴う改革だった。規制を撤廃すれば、規制に守られていた既存産業が真っ先につぶれ、大量の失業者が出る。規制撤廃の怖さだ。政治家は次の選挙で負けるのが嫌だから、頭では必要だとわかっても痛みを伴う改革に踏み切れない。日本で今日に至るまで規制撤廃がほとんど進まない理由だ。
レーガン大統領も、在任期間の後半は「双子の赤字」問題などで評判を落とし、石もて追われるがごとく退任した。
レーガノミクスの恩恵を受けたのは、2代後のビル・クリントン元大統領(在任期間は93〜2001年)だ。長年の財政赤字が黒字に転換し、盆と正月が一緒にきたみたいな騒ぎだった。レーガノミクスから20年ほど経って、ようやく「米国産業が強くなったのはレーガンさんのおかげだ」とレーガン氏は再評価されるようになった。
「鉄の女」と呼ばれた英国のマーガレット・サッチャー元首相、ドイツのゲアハルト・シュレーダー元首相も同様に失業の山を築いて産業を強くした。どちらもやはり退任する頃の評判は悪かった。改革の恩恵を受けたのは後の首相たちだ。英国ではジョン・メージャー元首相やトニー・ブレア元首相であり、ドイツではアンゲラ・メルケル前首相の頃だ。
私が安倍氏を政治家としてまったく評価していないのは、日本に最も必要な「痛みを伴う抜本的な規制改革」を何一つ進めなかったからだ。一時的に失業の山を築いてでも、規制を撤廃して、衰退著しい日本の産業を立て直そうとしなかった。むしろ、規制を固める方向に進んだ。19、20世紀の古い経済学に基づいたアベノミクスも、高齢化し低欲望化した日本では成果は出なかった。史上最長の安定した政権だったはずなのに、労働生産性が上がることはなく、1人あたりGDPの世界ランキングは低迷し、日本人の給料も上がらなかった。
戦後の首相の中で国家への貢献が最も大きかったのは、安倍氏ではなく中曽根康弘氏だと思う。
私が中曽根康弘氏を高く買うのは、中曽根内閣(82〜87年)で三公社五現業(日本国有鉄道・日本電信電話公社・日本専売公社・郵便・国有林野・紙幣等印刷・造幣・アルコール専売)を民営化したからだ。痛みを伴う改革だから、すさまじい抵抗や妨害があったが見事に成し遂げた(日本郵政は、その後の小泉政権が実現)。
外交の功績も大きかった。特に日米関係を「イコールパートナー」にすることへの思いが強かった。中曽根氏が東京・日の出町の別荘(日の出山荘)にレーガン大統領を招いたときは「ロン・ヤス会談」といわれ、日本の地位向上など実績を多く残した。
国際的評価が高いというカラクリ
安倍元首相も、事件後の報道を見ると外交が高く評価されたといわれるが、冷静に振り返ると今日に残る成果はあまり見当たらない。
例えば、トランプ前大統領とは先進国の中では唯一、趣味のゴルフで仲よくなったようだが、日米関係は「イコールパートナー」というよりはむしろ、過剰にへりくだっていた。
安倍氏は首相就任当初は、「戦後レジームからの脱却」を唱え、憲法改正やGHQ占領時代の“評価”などを訴えていた。ところが、アメリカ政府から警戒されて距離を置かれ始めると、一転アメリカ政府のご機嫌を最優先するようになった。米国議会や真珠湾で「民主主義を教えてくれたのはアメリカだった」などと、アメリカ人がうっとりするような演説をする始末だった。首相引退後も、(軍需産業がバックにいる)アメリカ政府から「日本はもっと軍事費の負担をしろ」と言われれば、安倍氏は「対GDP比2%」の防衛費増額を声高に訴えていた。
また、ロシアのプーチン大統領と27回も首脳会談を重ねたことはよく語られる。しかし実態は、安倍氏は首相当時に「北方四島」を返してもらおうとしていたが、プーチン大統領とは会うたびに距離が開いていった。
ロシアからすれば、北方四島は第2次世界大戦の戦利品として、戦勝国が集まったカイロ会談、ヤルタ会談を経てもらったものだ。「この四島をください、と言われたら考えてもいいが、返せとは心外だ。北方“領土”という言葉はおかしい」というのが安倍政権のときに固まったロシアの主張だ。
だから、会談を重ねるうちに「北方領土返還」から「北方四島を一緒に開発しましょう」になり、やがて「日ロ平和条約を結んで実績が出てから話そう」と弱気になっていった。安倍氏が重用した外交官・谷内やち正太郎氏がラブロフ外相に「(返還されたら)日米安保の対象になりうる」と失言したことも相まって、会えば会うほど北方四島の返還は後退していったのだ。
日本の外交にプラスになった成果はない
現在のウクライナ情勢でも、「(プーチンと親しいんだから)出番だよ!」と外野に呼びかけられても、これまでのプーチン氏との関係を役に立てようと動くことはなかった。
前述の中曽根氏でいえば、90年の湾岸危機のとき、外国人を人質に「人間の盾」を築いたイラクのフセイン大統領(当時)に対して、自らイラクを訪問して直談判し、日本人の人質74人の解放を実現させている。
安倍氏は、隣国である中国、韓国、北朝鮮との近隣関係でもまったく成果はなかった。就任時に「優先順位が高い」と自ら宣言した北朝鮮による拉致被害者の返還問題も、成果は何もなかった。金正恩総書記に会うトランプ大統領に依頼したことはあっても、自ら動くことはなかった。
以上、冷静に振り返れば、日本の外交にプラスになった成果など私は1つも思い出すことができない。
冒頭の国葬の話に戻るが、そもそも私は、首相経験者は一律で「国民葬」にしたらいいと思っている。また、国費を使うのではなく、今ならクラウドファンディングで国民から寄付を募ればいい。葬儀の規模は亡くなった人次第だ。
寂しい葬儀もあるだろうが、裏返せば、与党は国のために成果を残せる政治家を首相に選ぶ責任があるのだ。そのことを再確認してほしい。

 

●安倍元首相の国葬「法の下の平等に反する」 客観評価で説明を  8/19
政府が閣議決定した安倍晋三元首相の国葬に対する反対の声がやまず、識者や市民団体が声明や抗議行動を通じて撤回を求めている。なぜ、これほど国民は違和感を覚え、反発するのか。憲法学者の東京都立大・木村草太教授(42)の話を基に国葬の問題点を考察した。
「憲法の平等原則に違反」
「安倍元首相だけ特別扱いする理由があるのか。安倍氏にのみ当てはまる『国葬を行うべき理由』を説明できないなら、憲法の平等原則に違反する」。木村氏は問題の根幹を指摘する。
憲法の平等原則は14条で、すべての国民は「法の下に平等」と宣言していることを指す。
岸田文雄首相は安倍氏の国葬実施の理由に関し、憲政史上最長の8年8カ月間の首相在任、経済再生や外交での大きな実績、選挙中の蛮行による死去で国内外から哀悼の意が寄せられていることなどを挙げる。
木村氏は「『大きな実績』というのは、岸田内閣の主観的な評価にすぎない。国が行う儀式の対象とする以上、首相の功績の大きさは客観的評価が必要だ」と疑問を投げかける。
憲法14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
実績評価は第三者機関が政治から独立して行うべき
国葬は半世紀以上前の吉田茂元首相以来で、現憲法下で2例目。当時も異論があり、以降の首相経験者の葬儀は「国民葬」「内閣・自民党合同葬」などの形をとってきた。
安倍氏と比べ、吉田氏以降の歴代首相の実績はどうだったのか。
例えば池田勇人氏は「所得倍増計画」を掲げ、日本を経済大国に押し上げた。佐藤栄作氏は沖縄返還を実現し、ノーベル平和賞を受賞。中曽根康弘氏は国鉄改革などを行い、外交ではレーガン米大統領と親密な関係で日米関係を基軸とした外交を展開した。
それぞれの実績には光と影がある。同様に安倍氏の大胆な金融緩和策をはじめとする「アベノミクス」や、集団的自衛権の行使容認などは評価が分かれる。森友・加計学園や桜を見る会などの問題も噴出した。在任期間は最長だが、安倍氏も「何日間在職したかではなく、何を成し遂げたかが問われる」と語っていた。
木村氏は「実績の評価は第三者機関が政治から独立して行うべきだが、政治学者でも国葬にする客観的理由を示すのは難しいだろう」との考えを示す。
共感の要求は「思想信条の自由の侵害」にも相当
「公金使用を正当化する公共目的があるか」との点も木村氏は問題視する。
2020年の中曽根氏の葬儀は内閣・自民党合同葬で約1億9000万円を国と自民党が折半。今回の国葬は全額国費で、国の支出は大幅に上回る可能性がある。
木村氏は「現状、岸田首相や閣僚の安倍氏の功績をたたえたいという感情に共感を求めることが国葬の目的と見ざるを得ない」と批判。「主観的な感情を広めるのは公共目的とは言い難く(内閣府設置法に基づく)内閣府の所掌事務の範囲外で違法ではないか。思想信条の自由の侵害にもなり得る」と警鐘を鳴らす。
今後の首相経験者の葬儀も、国葬か否かは内閣の一存で決まることにもなる。木村氏は「公金支出には基準が必要だが、国葬の基準を決めるのは現実的には容易ではない」と指摘した。
●法的根拠がない安倍元首相の国葬 8/19
政府は7月22日、参院選の街頭演説中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相の国葬を9月27日に日本武道館で行なうことを閣議決定した。岸田文雄首相は、7月14日の記者会見で国葬とする理由として、首相在職日数が憲政史上最長であること、日本経済の再生や外交に大きな実績を残したこと、国内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられていることなどを挙げている。
しかしながら、国葬に関しては、明確な法的根拠がない。戦前は1926年公布の国葬令に基づいて国葬が行なわれていたが、政教分離を定めた現行憲法の制定にともない1947年に国葬令は失効している。政府は国葬の法的根拠について、内閣設置法で国の儀式が内閣府の所掌事務とされており、国葬は国の儀式として実施するので閣議決定を根拠として行なうことができると説明している。しかしながら内閣設置法が国葬の法的根拠になるとは思われない。国葬に法的根拠がない以上、国会で議論を尽くすべきである。
NHKの世論調査(7月16〜18日実施)では、安倍元首相の国葬実施について「評価する」が49%であったが、「評価しない」も38%以上に上っている。『熊本日日新聞』(電子版)の調査(7月15〜19日、SNS登録者に実施)では、国葬に「賛成」「どちらかといえば賛成」が合わせて42%であるのに対して、「反対」「どちらかといえば反対」が49%と、反対が賛成を上回っている。
安倍政権は長期政権ではあったが、プーチン大統領と27回も首脳会談を行なったにもかかわらず、北方領土問題は解決できず、最重要課題の一つに挙げていた北朝鮮による日本人拉致問題も解決できなかったなど、外交的実績・成果に乏しい政権であった。また、安倍政権は歴代内閣が堅持した憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する安保法制を強行した。森友・加計学園や桜を見る会をめぐる問題では権力の私物化が問題となった。
さらに、銃撃犯・山上徹也容疑者の犯行動機が明らかになるにつれ、安倍元首相と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係も問題になってきている。
国葬が安倍政権に対する自由な論評を封ずるものになってはならないし、また国民に弔慰を強制することがあってはならないのは当然のことである。そのようなことがあれば正に民主主義の危機となる。
●キャバ嬢に「脱げ!脱げ!脱げ!」 安倍氏国葬責任者、森昌文・首相補佐官 8/19
全国で乱交パーティの摘発が相次ぐなか、内閣の中枢である「首相補佐官」が過去、乱倫パーティに参加していたことが分かった。参加女性の証言で、当夜の様子が明らかになった。
「このご時世にあの人を登用して大丈夫なのか」──国交省のあるキャリア官僚がこう声を潜める。
俎上に載るのは、8月10日に発表された岸田政権の内閣改造で、首相補佐官の続投が決まった森昌文氏(63)のことである。
森氏は東大工学部出身のキャリア官僚で、1981年に建設省(現・国交省)に入省以来、道路畑を歩んできた。2018年に事務方のトップである事務次官に昇格。今年1月に岸田政 権下で首相補佐官に任命され、9月27日に行なわれる安倍晋三元首相の国葬の実行幹事会首席幹事も務める。
だが永田町では森氏の任命を巡り、身体検査に疑問の声が上がる。
2007年6月、本誌・週刊ポストはプロレスラーで当時参議院議員だった大仁田厚氏主催の「性の乱痴気パーティ」を報じた。大仁田氏が住む都内高級マンションに集まったのは、複数のAV女優と19歳のキャバクラ嬢、20代のコンパニオンなど美女7人。男性は大仁田氏を含む3人で、そのうちひとりが森氏だったのだ(当時は匿名の国交省役人として報道)。
パーティに参加した女性が証言する。
「当時の大仁田さんのマンションは4LDKで、リビングは30畳くらい。広々としたテラスと庭もありました。リゾート気分に浸って、まず全員ビールで乾杯。大仁田さんは2人の男性を『どちらも東大卒の国交省キャリア』と紹介しました。森さんは小柄で人の良さそうな印象。『携帯番号教えて』って言われたので、連絡先も交換しました」
当初は合コンに近い雰囲気だったが、女性3人が先に帰宅すると「雰囲気が怪しくなってきた」と参加女性が続ける。
「大仁田さんがAV女優に『俺の部屋使ってもいいから2人を遊ばせてやってよ』と囁いたんです。するとそのAV女優は森さんともうひとりの男性にそれぞれ女性をあてがって、『さあ、さあ行ってらっしゃい』って。各々が個室に消えていき、20分くらいでリビングに戻ってきました」
その後、森氏はソファで女性の腰に手を回すなど距離が縮まった。
「ここからタガが外れた感じになりました。まずAV女優のひとりが全裸になって、ベリーダンスを踊り出したんです。で、次に男性陣がキャバ嬢の裸が見たいと言い出して。男性3人で『脱げ! 脱げ! 脱げ!』と手拍子であおり立てた。『上だけだったら』と恥ずかしそうにキャミソールを下げて乳首を見せると、『キレイだ!』『若い子の体っていいね』と歓声を上げていました」(同前)
深夜1時にお開きになると、森氏ともうひとりのキャリア官僚は部屋を共にした2人の女性と連れ立って夜の街に消えた。
この一件を報じた本誌の発売2日前に大仁田氏は会見し、「次の参院選には出ない」と突如政界引退を発表。
「第一次安倍政権の運営方針への不満を理由としましたが、パーティ報道に対して事前に手を打ったと見る向きもあった」(全国紙記者)
「暑い時は脱ぐじゃない」
みだらなパーティといえば、昨今、警察による摘発が相次いでいる。
今年5月には東京・渋谷の巨大ハプニングバー『眠れる森の美女』が摘発され、6月には静岡県の浜名湖で120人が参加した乱交パーティで主催者が公然わいせつ幇助の容疑で逮捕。8月には、17歳の女子高生が参加した乱交パーティをめぐり、男性医師が児童福祉法違反と児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕された。
風紀の乱れへの取り締まりが厳しくなるなか、このタイミングで首相補佐官続投の任を受けた森氏に話を聞いた。
──2007年のパーティに参加した経緯は?
「いや、参加はしましたけど、乱痴気な会合ではないですよ。記事はウソ」
──参加女性が全裸になっていますが。
「例えばですよ、暑い時にカーディガンを脱ぐじゃないですか。なぜ女性が脱いだのか、私が解釈することじゃない」
──この一件は岸田首相も知っている?
「伝えてないよ。なんで私が伝えなきゃいけないの。参加女性の証言はウソばかりですから」
──当時、大仁田氏が政界引退宣言をしたことについては?
「あの記事で彼は有名になったんだから、何がマイナスなの。結局は芸能人。私は大迷惑でしたがね。とにかく、もうこの件について話すことはない」
そうまくし立てた。
パーティを主催した大仁田氏にも話を聞くと、「パーティの件は記憶が曖昧なうえ森氏とは面識が浅く人物像も分かりかねます」との回答だった。
官僚に詳しいジャーナリストの小泉深氏が語る。
「首相補佐官の仕事は、内閣の政策の企画や立案について首相を補佐すること。国家運営に携わる重要な立場にあります。給与は年間約2400万円で、その出所は税金です。自分の言動について人一倍高いモラルが求められる。過去のこととはいえ、森氏は改めて襟を正す必要はあるでしょう」
こんな首席幹事が催す「国葬」に税金がつぎ込まれていいのだろうか。
●安倍氏国葬責任者、森昌文・首相補佐官が過去に乱倫パーティ  8/19
第2次岸田改造内閣で、「内閣総理大臣補佐官」(首相補佐官)に続投が決まった森昌文氏(63)が、国交省官僚時代に乱倫パーティに参加していたことがわかった。8月19日発売の『週刊ポスト』が報じる。パーティは当時参議院議員だった大仁田厚氏の主催で、大仁田氏の自宅だった高級マンションで行われた。
森氏は東京大学工学部出身。1981年に建設省(現・国交省)に入省した。道路局高速道路課長、大臣官房技術審議官、道路局長などを歴任し、2018年に事務次官に昇格。今年1月に岸田政権下で首相補佐官に任命された。9月27日に行なわれる安倍晋三元首相の国葬の実行幹事会首席幹事も務める。
問題のパーティが開催されたのは2007年。当時、週刊ポストは大仁田氏が住むマンションでの乱倫の様子を報じていた。複数のAV女優と19歳のキャバクラ嬢、20代のコンパニオンなど女性7人が集まり、男性は大仁田氏を含む3人が参加。当時は匿名の国交省官僚として報じたが、その1人が森氏だった。
参加した女性によると、最初は合コンに近い雰囲気だったが、女性3人が先に帰宅すると雰囲気が怪しくなってきたという。
「大仁田さんがAV女優に『俺の部屋使ってもいいから2人を遊ばせてやってよ』と囁いたんです。するとそのAV女優は森さんともうひとりの男性にそれぞれ女性をあてがって、『さあ、さあ行ってらっしゃい』って。各々が個室に消えていき、20分くらいでリビングに戻ってきました」(参加した女性)
この女性の証言では、その後AV女優のひとりが服を全部脱いでベリーダンスを踊り出したり、男性陣がキャバ嬢の裸が見たいと言い出し男性3人で「脱げ! 脱げ! 脱げ!」と手拍子であおり立てたりするなど「タガが外れた感じ」になったという。
「(そのキャバ嬢が)恥ずかしそうにキャミソールを下げると男性陣は『キレイだ!』『若い子の体っていいね』と大はしゃぎしていた」(同前)
森氏は週刊ポストの取材に対し、こう答えた。
──2007年のパーティに参加した経緯は?
「いや、参加はしましたけど、乱痴気な会合ではないですよ。記事はウソ」
──参加女性が全裸になっていますが。
「例えばですよ、暑い時にカーディガンを脱ぐじゃないですか。なぜ女性が脱いだのか、私が解釈することじゃない」
8月19日発売の週刊ポストでは、乱倫パーティの詳細や森氏の詳しい主張、主催した大仁田氏の回答なども含めて詳報している。
今回の内閣改造では政治家と旧統一教会との関係が注目されたが、永田町では森氏の続投をめぐっても身体検査に疑問の声があがっている。 
●安倍元首相「国葬」で住民監査請求 知事らが参列の「公費支出」は“違法” 8/19
安倍元首相の「国葬」に知事らが参列する際の公費の支出の差し止めを求めて、大阪府内の弁護士らが住民監査請求を行いました。
大阪府の弁護士や議員たちは、大阪府に対し、来月27日の安倍元首相の国葬に知事らが参列する場合は地方公共団体の事務に当たらないとして、公費の支出を差し止める監査請求書を提出しました。
また、国葬自体も追悼の意を強いるもので、実施する法的な根拠もなく違法だとしています。
請求人代表 谷次郎弁護士「今回の国葬に参列することが、住民の福祉を図る目的で行われるものではなく違法性がある」
兵庫県や京都府、北海道でも同様の住民監査請求が行われ、あす20日から60日以内に、受理についての要件審査と監査が行われます。
●「国葬に反対します」議員会館前で集会 野党議員3人も登壇、8/19
安倍晋三元首相の国葬に反対する市民団体などが8月19日、衆議院第二議員会館前で国葬に反対する集会を開いた。立憲民主党の阿部知子衆院議員、共産党の山添拓参院議員、社民党党首の福島瑞穂参院議員の順に登壇し、スピーチした。主催者発表で1200人が集まったという。
山添氏「臨時国会を開いて審議をすべきだ」
集会が行われた現場には午後6時半の開始前から、のぼりやプラカードを持った市民が続々と集まっていた。
野党議員が壇上に立ち、聴衆に向かってスピーチすると、集まった市民は時折「そうだー!」と声を上げた。
山添氏は「戦争する国づくりをしてきた政治を美化し礼賛するような国葬はやっぱり許しちゃいけない」と訴え、臨時国会を招集するよう求めたことを紹介した。「(岸田首相の)聞く力はどこにいったのでしょうか。みんなで声を上げて国会を開かせましょう」と強調した。
また、阿部氏は「死者にむちを打つなという日本特有の理念があるが、国葬反対論すら押し込めてしまうのか。主権者として声を上げる」などと話した。
福島氏「統一教会の広告塔になっていた自民党を許してはならない」
最後にかりゆし姿の福島氏が登壇すると、拍手が起きる。吉田茂元首相の国葬を先例としないとする申し入れがあることや、佐藤栄作元首相の国葬は野党の反発などで根拠法がないとして政府が断念したことを説明。「なんでも閣議決定でやれると思ったら大間違い。なんの根拠も道理もない」などと語気を強めた。
旧統一教会と自民党議員の関係が明らかになっていることにも言及し「自民党は汚染されている。霊感商法による多くの被害者がいる団体の広告塔としてやってきたことを許してはならない」などと訴えた。
主催者によると、8月31日には国会正門前で大規模な国葬反対行動をするほか、9月27日の国葬の日にも抗議行動を予定しているという。
●安倍元首相「国葬」反対集会 “弔意の強制 許してはいけない”  8/19
安倍元総理大臣の「国葬」に反対する集会が行われ、野党の党首らは「弔いの意思を事実上強制するような国葬を許してはいけない」などと訴えました。
19日夜に国会前で行われた集会には、立憲民主党、共産党、社民党の議員らが参加しました。
社民党の福島党首は「根拠となる法律がない中で、なんでもかんでも閣議決定でできると思ったら大間違いだ。閣議決定を撤回させよう」と呼びかけました。
また、立憲民主党の阿部知子衆議院議員は「安倍元総理大臣を国葬で送ることは、生きづらい社会が作られてきたことを是としてこれからも続けていくことにほかならない」と述べました。
さらに共産党の山添拓参議院議員は「国会を開いて国民への説明もせずに国葬を強行し、弔いの意思を事実上強制するようなことを許してはいけない」と訴えました。
集会を主催した市民団体によりますと、およそ1200人が参加したということです。
●安倍元首相の国葬に「反対」 横浜で市民団体が抗議活動 8/19
安倍晋三元首相の国葬に反対する市民団体が19日、横浜市中区の桜木町駅前で抗議活動を行った。「国葬反対!」「賛美は改憲・戦争への道」などと書かれた横断幕を掲げ、抗議の声を上げた。
メンバーはマイクを手に、国葬が法的根拠を持たないことや税金で賄われることなどを批判。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題にも言及した。
●安倍元首相の国葬差し止め求め提訴、大阪地裁… 8/19
安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)を巡り、市民団体のメンバーらが19日、法的な根拠がなく違憲だとして、国に差し止めなどを求める訴訟を大阪地裁に起こした。
政府は9月27日に国葬を行うことを閣議決定した。内閣府設置法に基づき、国会の承認がなくても実施できるとしている。
原告側は、同法は国葬を行う根拠にならず、予算の執行は違法と主張。思想・良心の自由や法の下の平等を定めた憲法にも違反するとしている。差し止めを求める仮処分も同時に地裁に申し立てた。
また、大阪の弁護士らは19日、国葬に吉村洋文・大阪府知事らが公費で出席するなら地方自治法違反だとして、公費の支出差し止めを求める住民監査請求を行った。
一方、吉村知事は同日、記者団に対し、国葬が行われる場合には、公費で出席する意向を明らかにした。
同様の住民監査請求は、京都府や兵庫県などでも同日、行われた。
●安倍元首相の国葬「公費支出は違法」 弁護士らが兵庫県に住民監査請求 8/19
安倍晋三元首相の国葬を巡り、兵庫県知事らが参列する際に必要な交通費などに公費を支出するのは違法として、県内の市議や弁護士らが19日、県監査委員に住民監査請求を行った。大阪府と京都府、北海道でも同日、弁護士有志らが同様の請求をし、支出の差し止めを求めた。
兵庫の請求人は51人。そのうち県民40人が名を連ねた。県監査委員事務局に提出された監査請求書によると、政府が閣議決定した国葬は「安倍氏への弔意を国中の人々に強いる」と訴え、思想良心の自由を侵害して違憲と主張。国葬には法的根拠がなく、県知事や県議会議長らが参列する場合、「地方自治法に違反する」として公費の支出差し止めを求めている。
監査結果は60日以内に示されるが、請求書では監査手続きが終了するまで、知事らの国葬参列に関する事務などを停止させるよう監査委員に求めた。
会見した弘川欣絵弁護士は「税金が思想良心の自由を侵害するために使われるのは許されない」と話した。県は安倍氏の国葬について、現時点で明確な方針を示していない。
●「安倍氏の国葬出席で公金支出は違法」 4道府県で差し止め監査請求 8/19
安倍晋三元首相の国葬に知事や都道府県議会議長が出席する場合、その費用を公金から支出するのは違憲・違法だとして、弁護士や地方議員らが19日、北海道・京都・大阪・兵庫の4道府県に公金支出差し止めを求める住民監査請求をした。
監査請求書によると、知事や議長が公費で参列することは国葬が国家儀式として行われることから「相当確実に予測される」と指摘。そうした行為を根拠付ける法律や政令は存在せず、もし実施されれば地方自治法に違反すると主張する。国葬そのものも、安倍氏に対する敬意や弔意を持ち合わせていない人に追悼を強いるとして、「思想・良心の自由を保障した憲法19条に反する」などとしている。
大阪府に監査請求した谷次郎弁護士は記者会見で「国葬への賛否が割れている。批判の声を上げる方法として、監査請求制度があることも知ってほしい」と話した。吉村洋文府知事は「国葬をやる限りは公務として参加し、公費を使った出席になる」と述べた。
国葬は9月27日に日本武道館(東京都千代田区)で開かれ、費用は国が全額負担する。首相経験者の国葬は戦後2例目で、1967年の吉田茂元首相以来となる。

 

●国葬は憲法違反 戦争する国ノー 8/20
総がかり行動実行委員会らは19日、「19日国会前行動」に取り組みました。1200人(主催者発表)が衆院第2議員会館前に集まり、「国葬反対! 勝手に決めるな!」などのプラカードや横断幕などが並びました。
藤本泰成共同代表は「自民党の杉田政務官の就任は、岸田内閣は多様性を尊重する気がないことを示している」と強調。「安倍元首相以来の内閣は、何度挑戦しても蹴落とされる生きづらい社会を生み、湯水のように軍拡に税金を使う政治にしてきた。その政治にNOを突き付けよう」と呼びかけました。
在日ビルマ市民労働組合のミンスイ会長は2100人以上を殺害しているミャンマー国軍政府を日本政府はODA支援しようとしていると批判しました。
ネットで知り初めて参加したという千葉県の40代の男性は「国会を通さず閣議決定だけで国葬を決めたことに対し、憤りの声を上げようと思った。安倍元首相の政治が国民のための政治だとは思っていない」と語りました。
日本共産党の山添拓参院議員は「国葬強行は、立憲主義、民主主義を壊し、戦争する国づくりを進めてきた政治を礼賛することになる」と述べました。立憲民主党、社民党の国会議員が参加しました。
●根拠に乏しい国葬反対論 首相に求められる「静かな環境」づくり 8/20
安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)をめぐり、賛否が割れている。だが、一部野党などが持ち出す反対論は根拠に乏しい。岸田文雄首相は国葬の意義を粘り強く説明し、追悼にふさわしい静かな環境づくりに尽力する姿勢が求められる。
反対論の中核は「法的根拠がない」との批判だ。立憲民主党の泉健太代表は7月22日の記者会見で「国葬の法的根拠や基準を明確にすべきだ」と指摘した。東京弁護士会や神奈川県弁護士会なども反対の声明を出している。
戦前には「国葬令」があったが、昭和22年に失効した。以降、「国葬」と明記された法律は存在しない。しかし、政府は安倍氏の国葬を行う法的根拠は明確に示している。政府は今回の国葬を「国の儀式」として行うことを閣議で決めた。内閣府設置法4条3項に基づく措置で、首相は7月14日の記者会見で「内閣法制局とも調整した上で判断している」と説明した。
堀内恭彦弁護士は「行政行為の一環として行うという判断で、『国葬』とつく法律がなくても問題はない」と指摘する。「国の儀式」に国葬が含まれる根拠や基準はないとの批判もあるが、堀内氏は「行政権には一定の裁量がある。明らかに逸脱していると認められない限り行政権の乱用には当たらない」と語る。
前例もある。令和元年の天皇陛下即位に伴う一連の儀式は「国の儀式」として行われた。政府が毎年8月15日に主催する「全国戦没者追悼式」も昭和57年の閣議決定が根拠で、特定の法律があるわけではないが、目立った反対論はない。安倍氏の国葬に法的根拠がないという批判に関し、堀内氏は「反対ありきの議論だ」と述べる。
一部野党からは、国会での議論を経ずに決めたのは拙速だとの声も出ている。ただ、国葬のために特別措置法などを立法するなら国会審議が必要となるが、行政行為を事前に報告する決まりはない。仮に諮ったとしても、安倍氏の追悼演説さえ延期する現在の国会が速やかに結論を出せた可能性は低い。
それでも、賛否が割れる問題だけに説明を尽くす姿勢は重要だ。政府・自民は国会の閉会中審査に応じることを決めた。松野博一官房長官は歴代首相の葬儀について「国民の心情や遺族の気持ちも総合的に勘案し、その都度、ふさわしい方式が決められてきた」と説明する。閉会中審査も活用して丁寧かつ明確に国葬の意義を示し、国民の共感を広げられるかが焦点となる。
●「国葬うちらは求めてない!」 選挙ギャルズ約110人が東京都心でパレード  8/20
政治に関心のある若者でつくる「選挙ギャルズ」が20日、安倍晋三元首相の国葬や改憲に反対するパレードを東京都内で行った。インスタグラムなどの交流サイト(SNS)で呼びかけ、約110人が参加。「国葬うちらは求めていない」などと訴えながら、日比谷公園から日本橋まで約2キロを行進した。
選挙ギャルズは5月末、地方選挙のボランティア活動を通じて知り合った大学生や会社員ら平均年齢21歳の10人が結成。この日は「ラブ&ピース・パレード」と称し、軽快な音楽に合わせて「うちらは求めてない国葬」「返せようちらの民主主義」と声を上げた。「国葬に反対」「憲法改悪マジ反対」など自作のプラカードを掲げて歩いた。
メンバーの1人は取材に「国民の意見に耳を傾けず、国会の議論も経ずに国葬を決定した。民主的でないやり方は信頼できない」と話した。パレードに参加した都内の女性会社員(24)は「コロナ禍で格差が拡大したのに、手を打たなかった安倍元首相が神格化されてしまう」と懸念を示した。パレードには野党の国会議員4人も加わった。
●故安倍晋三元首相を「国葬」とする霞が関の「総理の序列」 8/20
なぜ国葬なのか
9月27日に執り行われる予定の故安倍晋三元首相(享年67)の「国葬」に反対する声が高まっている。東京弁護士会が「国葬に反対し、撤回を求める」とする会長声明を出したほか、有識者からも反対意見が出ている。東京新宿では反対デモも行われた。
「法の下の平等に反する」と言った大上段に振りかぶった反対意見から、「弔意を強制するのは問題だ」と言ったものまで反対論は様々だ。
「戦前にはあった国葬令という法令が戦後は無くなっていることから、国葬を行う法的根拠がない」という指摘もある。岸田文雄首相は、内閣府設置法の所掌事務を定めた第4条第3項第33号に「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」との規定があり、閣議決定で国葬を行うことは法的に問題はない、という答弁を行なっている。
そもそも、なぜ、安倍元首相は「国葬」なのか。
戦後、国葬が行われたのは、貞明皇后、吉田茂・元首相、昭和天皇の3例のみ。安倍元首相が4人目ということになる。岸田首相は、国葬を決断した理由として、憲政史上最長となる8年8カ月の長期政権であったことや、東日本大震災からの復興、アベノミクスをはじめとする経済再生、外交の展開など、さまざまな分野で実績を残したことを挙げている。
安倍元首相の事績を評価したから国葬なのだ、と言ってしまったわけだ。
筆者は、安倍元首相は外交で大きな成果を残し、経済政策も途中で腰が砕けたとはいえ、目指した方向は一定の評価ができると考えている。働き方改革として労働法制に手をつけようとしたことや、筆者と立場は違うが教育改革に着手したことなど、成果を上げたことは間違いない。
だが、それが吉田茂元首相以来絶えてなかった首相経験者の「国葬」に値すると言われると、やはり釈然としない。
霞が関の序列感覚
国葬にすることに関して、岸田首相の強い意志があったとは思えない。少なくとも霞が関が「国葬」に反対したのを首相が押し切った、という話も聞かない。つまり、霞が関は国葬に異論を唱えなかったわけだが、それはなぜか。
実は、霞が関には歴代首相の評価軸がある。それは首相経験者たちがどんな勲章をもらったかを見れば一目瞭然だ。
日本の勲章の最高位に「大勲位菊花大綬章」という勲章がある。この勲章を生前に授与された首相経験者は、吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘の3元首相だけだ。
他の首相の多くはその一格下の勲一等旭日桐花大綬章(現在は桐花大綬章)を生前もしくは死亡時にもらう。生前にこの勲章をもらった首相経験者が亡くなった場合、多くは大勲位菊花大綬章が追贈される。
生前、菊花大綬章を授与された吉田、佐藤、中曽根の3元首相には、死去に際して、さらにその上の「大勲位菊花大綬章頸飾」が追贈された。この頸飾は天皇陛下が即位した際に佩用する究極の最高位だ。
今回、安倍首相にはこの「大勲位菊花大綬章」と「頸飾」が同時に追贈された。その理由は吉田、佐藤、中曽根を超える8年8カ月の首相在任期間ゆえである。霞が関が最も重んじる「前例」に従って、安倍元首相に最高位の勲章が授与されたのだ。
余談だが、安倍元首相が凶弾に倒れていなければ、70歳になったあたりで、「大勲位菊花大綬章」が授与されたはずだ。中曽根元首相が「大勲位」と呼ばれてご満悦だったのと同様、政界の大重鎮になり、隠然たる影響力を持っていただろう。
ちなみに、こうした勲章が授与される「基準」は在任期間の長短であって、行なった政治の中味ではない。ごく短期間でも国家にとって影響の大きい事績を残した首相も、霞が関の評価基準では関係ない。というよりも首相の事績は歴史の中で評価が固まるもので、死去直後、あるいは生前に定まるものではないから、在任期間で測るというのも一つの見識だろう。
もちろん、他の勲章と同様、有罪判決を受けるなど不祥事に関与すると叙勲対象から外れる。しかし、醜聞によって総理の座を短期間で追われた宇野宗佑元首相も旭日桐花大綬章を受賞している。ただし、宮澤喜一元首相のように、叙勲を辞退している元総理もいる。
在任期間というシンプルな基準
ということで、葬儀に話を戻すと、生前に大勲位菊花大綬章を受けていた吉田、佐藤、中曽根の3元首相のうち、吉田元首相は国葬、佐藤元首相は「自民党、国民有志による国民葬」、中曽根元首相は、「内閣・自由民主党合同葬」だった。今回、突然、安倍首相が若くして亡くなったことで、どういう葬儀を行うべきか、霞が関は頭を悩ませたに違いない。
吉田元首相を「別格」とすれば、佐藤元首相と同格の「国民葬」にする選択肢もあっただろう。しかし、そうなると「憲政史上最長」の任期を務めた首相を吉田元首相より「格下」と「評価」することになる。それはそれで異論が出てきたことだろう。
官僚機構としては、在任期間という誰も異を唱えられない「基準」を用いておいたほうが、将来にわたって禍根を残さない。大きな勲章をもらうために人気取りの政策を行うといった衆愚政治家を生むリスクが幾分かでも小さくなるからだ。
だが、在任期間を基準にするデメリットもある。都道府県知事は4期務めて引退すると大臣と同じ旭日大綬章を受ける。知事では多選批判の議論が以前から繰り返されているが、3期務めた知事が4期目に出馬する動機のかなりの部分がこの勲章だと見られている。通常の知事より1格上がって旭日大綬章になると、天皇陛下から「親授」される栄誉に浴することができるからだ。
岸田首相も故人へと配慮から「成果」を並べたが、「在任期間が憲政史上最長だった」ことだけが基準だと言っていれば、ここまで反対論が盛り上がらなかったかもしれない。
●安倍元首相の「国葬」を決めた岸田政権が見落としている「重要な論点」 8/20
反対多数にもかかわらず…
岸田文雄政権が閣議決定した安倍晋三元首相の「国葬」について、報道各社が行った世論調査は「反対」「評価しない」との意見が多数を占める事態になっている。実施しても国民の多くから支持されず、残念な結果となる可能性が高いのではないか。
弔意を表すことに異論はないだろう。だが、8年8カ月に及んだ長期政権を振り返れば、一方的な憲法解釈の変更による安全保障関連法の制定、まったく成果を上げなかった北方領土交渉、北朝鮮による拉致問題などに加え、モリカケサクラといった政治の私物化への批判は止むことがない。
予定される「国葬」は9月27日、日本武道館で実施される。内閣法制局の「憲法関係答弁例集(天皇・基本的人権・統治機構等関係)」(2017年10月)によれば、「国葬とは『国の意思』により、『国費』をもって、『国の事務』として行う葬儀をいう」(『』は筆者)とされ、3つの要件を定義している。
閣議決定によると、安倍氏の国葬は「国において」「国費を支弁」して行うとあり、「国の意思」を除く2要件は説明している。これは戦前の国葬令が無効化された後、唯一国葬となった吉田茂元首相の場合の閣議決定と変わりない。
「国の意思」については、後述するとして、必要とされる国費について、政府は9日の野党合同ヒアリングで「警備費を除いて2億円弱」と説明した。時代が違うとはといえ、吉田氏の国葬約1804万円と比べ約10倍だ。
ただ、その後、内閣・自民党合同葬儀となった橋本龍太郎、宮澤喜一、中曽根康弘各氏らの国費負担分が約5割で約7500〜8300万円だったのと比べて、飛び抜けて高額とはいえない。ただし、今回は10割負担だ。
インターネット版「女性自身」は、昭和天皇の大喪の礼では警察官3万2000人が動員され、当時の警備費用は24億円だったこと、また、今上天皇の即位礼正殿の儀では警察官約2万6000人が導入され、警備関係費用としては28億5000万円がかかったことから、武道館の借料、献花などを合計すると、少なく見積もって総額36億5500万円になるという試算を示している。
明治憲法下の国葬は、神道形式で実施された。吉田氏の場合、本人はクリスチャンだったが、無宗教形式が採用され、安倍氏も無宗教形式で行われることになっている(緒方林太郎衆院議員の質問主意書に対する8月15日の答弁書)。
弔意が強制されるのか?
国葬の当日、何か強制されるのだろうか。
吉田氏の国葬に際し、政府は、弔旗掲揚、黙祷、半休、行事の自粛を各役所、学校、会社に対して求めたのに対し、安倍氏の国葬の場合、弔旗掲揚、黙祷は「検討中」、半休、行事などの自粛は「考えていない」と回答(中谷一馬衆院議員の質問主意書に対する8月15日の答弁書)しているが、何ともあいまいだ。
安倍氏国葬の当日、国民が喪に服すよう求められるとすれば、憲法19条が保障する「内心の自由」を侵すことになりかねず、それゆえに「検討中」なのだろうか。
国や地方の公務員も日本国民である以上、「内心の自由」を制限されることはないはずである。しかし、最高裁は「君が代」を起立斉唱しなかった学校教師(地方公務員)に対する判決で、「職務命令」による「思想良心の自由」に対する間接的制約について、制約の必要性・合理性が認められるとして憲法19条違反にはあたらないとの判断を示している。
「検討中」とされる弔旗掲揚、黙祷について、最終的に政府が「実施」に踏み切るとすれば、政府機関はもとより、都道府県庁、市町村役場、公私立学校、会社が一斉に半旗を掲げ、一斉に黙祷することになり、教師が黙祷すれば、学生・生徒・児童も自己の意思とは無関係に弔意を表すよう求められるのは確実だろう。
結局、政府による弔意の強制はすべての国民に向けられ、安倍氏の死去を悲しみ、哀悼の誠を捧げるよう迫られるのではないだろうか。
あいまいな法的根拠
そもそも法的根拠もなく、閣議決定だけで国葬を決めてよいはずがない。
岸田首相は内閣府設置法4条3項33号に内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが記されており、国葬は行政権に含まれると主張する。
18日に行われた立憲民主、共産、れいわ新選組、社民などの野党合同ヒアリングで衆院法制局が示した資料によると、法学の世界では「法律の根拠がなくても行政権は発動できるのか」との問いに対し、国民の権利を制限し、義務を課すような場合は必ず法律の根拠が必要だが、それ以外の事項については必ずしも法律は必要ではないという考え方の「侵害留保説」がある。岸田政権はこの説を根拠にしているようだ。
必ずしも国民の権利義務に関係しないような事項でも、国家にとって重要な意思決定、あるいは国民にとって重大な関心のある事項については法律の根拠が必要とする「重要事項留保説」や全ての行政の活動には、その根拠となる法律の規定が必要とする「全部留保説」は見向きもされなかったことになる。
透明性がないままの決定
岸田首相は安倍氏の国葬を発表した7月14日の記者会見で次の通り述べた。
「安倍元総理におかれては、憲政史上最長の8年8か月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって、厳しい内外情勢に直面する我が国のために内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績を様々な分野で残されたことなど、その御功績は誠にすばらしいものであります。外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、また、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられています。こうした点を勘案し、この秋に国葬儀の形式で安倍元総理の葬儀を行うことといたします。国葬儀を執り行うことで、安倍元総理を追悼するとともに、我が国は、暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります。あわせて、活力にあふれた日本を受け継ぎ、未来を切り拓いていくという気持ちを世界に示していきたいと考えています」
ここから読み取れる国葬3要件のうちの「国の意思」は以下の通りだろう。
(1)憲政史上最長の8年8カ月、首相を務めたこと、(2)各分野で大きな実績を残したこと、(3)国際社会で高い評価を得たこと、(4)選挙中の蛮行により死去したこと―。
(1)は定量的な基準であり、(2)〜(4)は定性的な基準といえる。国葬はこれらを組み合わせた「総合的な判断」であり、抽象的といわざるを得ない。
そのような判断を1人の公明党出身閣僚を除けば、安倍氏と同じ自民党出身の閣僚20人程度が集まる閣議で決めて公平性・透明性が担保されたとは到底、思えない。
「国の意思」が恣意的にならないようにするには、より客観的な評価が必要である。
例えば、文化功労者の選定は「文化の向上発達に関し特に功績顕著な者」(文化功労者年金法1条)について、30人以内で構成される文化審議会が選考した候補者の中から文科相が決定する。文化勲章は文化勲章令にもとづき、文科相が文化審議会に設置された文化功労者選考分科会に属する委員全員の意見を聴いた上で候補者を首相に推薦し、閣議で決定する。
上記のような第三者による判断が不可欠なのではないだろうか。
野党は18日、国葬や元統一教会の問題、物価高、新型コロナウイルス「第7波」などについて、質疑が必要だとして憲法53条に基づく、臨時国会の招集要求書を衆参両院議長に提出した。当然である。
日本国憲法に基づけば、内閣が行政権を執行する(65条)のは当たり前としても、内閣は国会に対して連帯責任(66条3項)を負う。一方、国会は国権の最高機関(41条)であり、全国民を代表する組織(43条)であって、衆参両院には行政監視機能(62条)がある。
これらの条文に照らせば、内閣の意思決定課程に国会が関与することが求められている。国葬をめぐる国会審議は不可欠だろう。 

 

●安倍氏国葬に「賛成」30%、「反対」53% 毎日新聞世論調査 8/21
毎日新聞と社会調査研究センターが20、21両日に実施した全国世論調査では、銃撃されて死亡した安倍晋三元首相の国葬についても聞いた。国葬に「賛成」は30%で、「反対」の53%を下回った。「どちらとも言えない」は17%だった。支持政党別で見ると、自民党支持層では「賛成」が66%で、「反対」の17%を上回ったが、公明党や立憲民主党、共産党の支持層や「支持政党はない」と答えた無党派層ではいずれも「賛成」が「反対」を下回った。
国葬は9月27日に日本武道館で予定されており、経費は全額国費で賄われる。岸田文雄首相は国葬の必要性を強調しているが、立憲、共産両党などは反対しており、市民団体が国葬の差し止めを求めて提訴している。
安倍氏は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と関係していることが明らかになったが、旧統一教会の問題で安倍氏に対する評価が「変わった」との回答は39%で、「変わらない」は60%だった。安倍氏は旧統一教会の友好団体の集会にビデオメッセージを寄せていたことが明らかになっている。
●内閣支持率16ポイント急落36% 発足以降で最低 毎日新聞世論調査 8/21
毎日新聞と社会調査研究センターは20、21の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は36%で、7月16、17日の前回調査の52%から16ポイント下落した。昨年10月の内閣発足以降で最低となった。不支持率は54%で前回(37%)より17ポイント増加した。
岸田文雄首相は8月10日に内閣改造と自民党役員人事を実施した。内閣改造後の調査で、支持率が改造前より低下するのは異例。今回の内閣改造と自民党役員人事については「評価しない」との回答が68%に上り、「評価する」は19%にとどまった。「関心がない」は13%だった。
自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係に問題があったと思うかとの問いでは、「極めて問題があったと思う」が64%、「ある程度問題があったと思う」が23%で、合わせて9割弱が問題があったと答えた。「それほど問題があったとは思わない」は7%、「全く問題があったとは思わない」は4%で、問題がなかったとの回答は合わせて1割強だった。自民党支持層でも、7割超が問題があったと回答した。内閣支持率の急落は、閣僚ら政務三役や党役員と旧統一教会との関係が相次いで表面化したことが影響したとみられる。
政治家は旧統一教会との関係を絶つべきだと思うかと尋ねたところ、「関係を絶つべきだ」は86%に上り、「関係を絶つ必要はない」は7%だった。自民党支持層でも「絶つべきだ」は77%で、「絶つ必要はない」の12%を大きく上回った。
政党支持率は、自民党は29%で前回の34%から5ポイント減。その他の政党は、日本維新の会13%(前回15%)、立憲民主党10%(同8%)、共産党5%(同3%)、参政党4%(同4%)、国民民主党4%(同3%)、れいわ新選組4%(同5%)、公明党2%(同4%)――などで、「支持政党はない」と答えた無党派層は25%(同20%)だった。 

 

●「法的根拠ないのに税金使うのは…」国葬中止求めて憲法学者ら署名へ  8/22
安倍元首相の「国葬」中止を求めるアピール賛同署名開始の記者会見をする(左から)永山茂樹東海大教授、清水雅彦日体大教授、五野井郁夫高千穂大教授、石村修専修大名誉教授=東京・永田町の衆院第1議員会館で
安倍元首相の「国葬」中止を求めるアピール賛同署名開始の記者会見をする(左から)永山茂樹東海大教授、清水雅彦日体大教授、五野井郁夫高千穂大教授、石村修専修大名誉教授=東京・永田町の衆院第1議員会館で
安倍晋三元首相の国葬の中止を求める憲法学者らが22日、東京・永田町の衆院第1議員会館で記者会見し、「国葬を行う根拠法がない」などと法的な問題点を指摘、23日から開始予定のオンライン署名への賛同を訴えた。署名の呼びかけ人は、この日会見に出席した4人を含む有識者ら17人で、約1カ月間をめどに募るという。
会見で、石村修・専修大名誉教授(憲法学)は国葬について「根拠法もない上、憲法を軽視する態度を取ってきた安倍氏を国葬とするのはおかしい」と強調。五野井ごのい郁夫・高千穂大教授(政治学)は「法的根拠がない国葬に税金を使うのはいかがなものか」と話した。
田中優子・法政大前総長は「国葬は明治時代から敗戦までの、大日本帝国の遺物。国葬にも、大日本帝国への回帰にも、反対します」とのメッセージを寄せた。呼びかけ人には他に、上野千鶴子・東京大名誉教授、作家の落合恵子さん、ルポライターの鎌田慧さん、文芸評論家の斎藤美奈子さん、中島岳志・東京工業大教授らが名を連ねた。
事務局の市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」によると、署名は23日から専用サイト「Change.org」で行う。
●安倍元首相「国葬」中止求め 上野千鶴子氏らが署名呼びかけ 8/22
参議院選挙の応援演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍元総理大臣の国葬まで1か月余りとなる中、大学教授や作家などが、国葬の実施が憲法で保障する思想の自由に反するとして、中止を求める署名活動を始めると発表しました。
署名活動を始めるのは、東京大学の上野千鶴子名誉教授や、作家の落合恵子氏、東海大学の永山茂樹教授、高千穂大学の五野井郁夫教授など17人です。
17人は、9月27日に行われる安倍元総理大臣の国葬が法の下の平等や思想、良心の自由などを保障する憲法に反するなどとして、8月23日からおよそ1か月間、インターネット上で中止を求める署名活動を行うことにしています。
22日の会見で、永山教授は「誰かを弔う気持ちと同じように弔わない気持ちも重要だ。安倍元総理大臣を弔うように強要することは思想の自由に国家が土足で踏み込むようなものだ」と指摘しました。
また、五野井教授は「国葬を行う法的根拠がない。われわれの税金を使うことには疑問を感じる」と話していました。
一方、政府は国葬の実施について「儀式として実施されるものであり、国民一人一人に政治的評価や喪に服することを求めるものではない」としているほか、法的な根拠について「内閣府設置法に内閣府の所掌事務として国の儀式の事務に関することが明記され、閣議決定を根拠として行うことができる」としています。
松野官房長官「しっかりと説明」
松野官房長官は、記者会見で「安倍元総理の国葬儀についてさまざまな意見があることは承知している。海外からは各国で国全体を巻き込んで敬意と弔意が寄せられている状況などを踏まえ、わが国としても敬意と弔意を国全体として表す儀式を国の儀式として開催し、各国代表の出席を得る形で葬儀を執り行うことが適切だと判断した。国民一人一人に喪に服することや政治的評価を求めるものではないことを、しっかりと説明していきたい」と述べました。
「国葬」中止求める裁判や反対声明も
安倍元総理大臣の国葬をめぐっては、実施に反対する市民や学者などのグループが中止を求めて裁判を起こしているほか、一部の弁護士会が反対の声明を出しています。
8月9日、安倍元総理大臣の国葬に反対する市民や法学者、弁護士などおよそ230人でつくるグループが国葬の中止などを求めて東京地方裁判所に訴えを起こしました。
グループは「政府による決定や実施には法的根拠がなく、国会の承認も得ていない。内閣が国会を無視して恣意的(しいてき)に権限を行使したもので憲法に違反する」と主張しています。
同様の裁判は横浜とさいたま、大阪でも起こされているほか、東京を加えたこの4つの裁判所には国葬中止を求める仮処分の申し立ても出されています。
このうちの1つの仮処分について、東京地方裁判所は今月2日「『国葬』によって思想や良心の自由が侵害されるとはいえない」などとして退ける決定を出し、市民グループは即時抗告をしています。
一方、東京弁護士会は8月2日に安倍元総理大臣の国葬に反対し、撤回を求める会長声明を出しました。
声明では国葬の法的根拠がないことや、学校の現場で半旗の掲揚など事実上の弔意の強制が行われるおそれがあり、憲法で保障された思想・良心の自由の観点からも重大な懸念があるなどとしています。
このほか神奈川県弁護士会も8月10日に国葬に反対する会長声明を出しています。
●安倍元首相の国葬、世論調査で「反対」が圧倒的… 8/22
毎日新聞と社会調査研究センターが実施した全国世論調査(8月20・21日)で、銃撃されて死亡した安倍晋三元首相の国葬について、「反対」は53%で「賛成」の30%を上回った。「どちらとも言えない」は17%だった。
「7月19日に発表されたNHKの世論調査では、国葬を『評価する』49%に対して、『評価しない』が38%。1カ月で反対意見が大幅に増加した背景には、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と安倍元首相、自民党との関係性が露呈したことがあるのは間違いないでしょう。
FNN調査(8月20・21日、フジテレビ系)でも、『賛成』の40.8%に対して『反対』が51.1%。ANN調査(8月20・21日、テレビ朝日系)でも、『賛成』34%に対し、『反対』が51%。各社の調査で『反対』が過半数を超える数字になってきています」(政治部記者)
国葬は9月27日、日本武道館で開催される予定だ。経費は全額国費で賄われるため、市民団体が国葬の差し止めを求めて提訴している。
毎日新聞の世論調査結果に対して、ネット上では反対の声が多く上がった。
《国民の過半数が反対している国葬って何?こんな状態で国葬で弔われる亡き安倍氏本人も気の毒ですよ やめた方がいいんじゃないですかね》
《国費を投じるならそれが生きるところに使って欲しいです。故人を偲ぶのも大事だが今は他に投入すべきところがあるでしょ?》
《当初賛成派だったけど、今は反対派です。当時はあまりの衝撃とこれまでの功績を考えたら国葬でもいいと思いましたが、その際に反対派は基準がないことを挙げて反対してました。冷静に考えると確かに国葬に対しての基準がないのに、時の総理の一存で決まることは果たしていいのか》
一方で、あくまで国葬に「賛成」という声も上がっている。
《イベントの格として国葬というレベルが望ましい。感情論もわかるが日本として利用出来る機会のある外交的利益も考えるべき》
《岸田さんには一度決めたことは貫き通して欲しい》
ただ、岸田文雄首相の説明が足りないという意見も多く上がった。
《私は個人的には賛成・反対どちらでもなく、国費を使うのであれば丁寧な説明を国会で行った上で、閣議決定すべきであったと思う》
《さっさと結論出してもっと重要なことを議論して貰いたい》
《すでに政権が決めてしまったから今から軌道修正は難しいのだろうけど、なぜ国会で話し合わなかったのかが疑問だ》
「1967年の吉田茂元首相の国葬の際も、国葬の根拠がなかったのは今回と同じです。ただ、国葬を決めた当時の佐藤栄作首相は、野党第一党の社会党を説得し、当時の副委員長を参列させることができた。
今回、『反対』の声が高まっているのは、臨時国会を召集して野党を説得することもなく、国民に対して丁寧な説明もしない岸田首相への不満も大きな理由でしょう」(同前)
このまま国葬を実施するにしても、岸田首相は国民に丁寧に説明する必要があるだろう。

 

●安倍元首相「国葬」中止求める 8/23
著名人17氏呼びかけ 賛同署名開始へ
学者や作家、文芸評論家などの著名人らが22日、安倍晋三元首相の「国葬」中止の一点を求めるアピールを出し、賛同署名をオンラインでスタートすると発表しました。呼びかけ人らが衆院第1議員会館で会見し、全国で「国葬反対」と声をあげ行動する市民と連帯しながら、「みなさんの声を見える形にしたい」と訴えました。
アピール賛同署名は、東京大学名誉教授の上野千鶴子さん、神戸女学院大学名誉教授の内田樹さん、作家の落合恵子さん、室蘭工業大学大学院教授の清末愛砂さん、文芸評論家の斎藤美奈子さん、法政大学名誉教授・前総長の田中優子さんなど著名な17人が呼びかけ人に名を連ねています。署名に取り組む期間は、23日から約1カ月。政府が9月27日に行うと決定した「国葬」中止の一点を求めて、オンライン署名サイトのチェンジ・ドット・オーグで集める予定です。
会見には、呼びかけ人から日本体育大学教授の清水雅彦さん(憲法学)、東海大学教授の永山茂樹さん(憲法学)ら4氏が参加しました。
専修大学名誉教授の石村修さん(憲法学)は、明治憲法下では23回の「国葬」が行われてきたが、「天皇が国民に与える最高の栄誉としてなされてきた」と発言。こうした儀式が、法の下での平等をうたう日本国憲法下で成り立つのかが問われると述べ、憲法をないがしろにしてきた安倍元首相に対し「日本国憲法の名の下に『国葬』が行われるのはおかしい」と話しました。
高千穂大学教授の五野井郁夫さん(政治学)は、安倍元首相は他の歴代総理大臣と比較しても客観的な業績はないと指摘。「国葬」を行う根拠法すら存在しないなか、岸田政権は閣議決定で実施を決めているとして、「特例で国葬を行うこと自体、内閣として法的根拠がないと自白しているようなものです」と語りました。
呼びかけ人17氏
飯島滋明(名古屋学院大学教授)、石村修(専修大学名誉教授)、稲正樹(元・国際基督教大学教授)、上野千鶴子(東京大学名誉教授)、内田樹(神戸女学院大学名誉教授)、落合恵子(作家)、鎌田慧(ルポライター)、清末愛砂(室蘭工業大学大学院教授)、五野井郁夫(高千穂大学教授)、斎藤美奈子(文芸評論家)、佐高信(評論家)、澤地久枝(作家)、島薗進(東京大学名誉教授)、清水雅彦(日本体育大学教授)、田中優子(法政大学名誉教授・前総長)、中島岳志(東京工業大学教授)、永山茂樹(東海大学教授)
●秋篠宮ご夫妻 反対多数の「安倍元首相国葬」参列が有力視…憂慮 8/23
終戦から77年を迎えた8月15日正午。今年も、全国戦没者追悼式に出席された天皇陛下と雅子さまは、「全国戦没者之霊」と書かれた標柱の前で、黙祷を捧げられた。
天皇陛下が、「私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による様々な困難に直面していますが、私たち皆が心を一つにし、力を合わせてこの難しい状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います」
そう述べられたお隣で、雅子さまは真剣なご表情で、陛下のおことばに耳を傾けられていた――。
「今夏も“第7波”が感染拡大するなか、日々の生活に制約や不安を余儀なくされている国民を案じられる両陛下の、強いお気持ちが表れたおことばだったと思います」(皇室ジャーナリスト)
天皇ご一家は行動でもそのお気持ちを示されている。8月18日、宮内庁はご一家がこの夏のご静養を見送られることを発表した。例年、天皇ご一家は、栃木県の那須御用邸や静岡県の須崎御用邸などにお出かけになり、“夏休み”を過ごされている。しかしコロナ禍のため、一昨年から控えられてきた。
「両陛下は一貫して、“全国の新規感染者数が高止まりしている状況では静養を控えるべき”というお考えをお持ちになっています。
また昨今は、相次ぐ異常気象による各地の水害も発生し、大きな被害が出ています。苦境に立たされている国民がいる以上、陛下と雅子さまは“バカンス”とも取れる御用邸の滞在はできないと決断されたと聞いています」(宮内庁関係者)
陛下とともに、国民の苦しみに寄り添われ続ける雅子さま。だが、全国戦没者追悼式が行われた日本武道館で、9月27日に開催されることが決まった安倍晋三元首相の国葬を巡り、悩ましいお気持ちを抱かれているという――。
「前例もあるため国葬への皇族の参列も政府から求められると思われます。要請に従ってどなたかが参列しなくてはなりません。
しかし、国民の間に反発が広がっている行事に皇室が関わることについて、雅子さまも懸念されているようなのです」(前出・宮内庁関係者)
安倍元首相の国葬に対しては、メディア各社の世論調査でも半数以上が反対という声が占め、なかには8割が反対という集計結果も報じられているのだ。
「自民党内からも、『岸田総理は決断が早すぎたのでは』と囁く声が聞こえ始めました。ここまで世論が国葬反対に傾いていることは、総理も想定外だったようです」(官邸関係者)
国民との“絆”が揺らぐ可能性
天皇と皇后以外に戦後行われた国葬は、唯一1967年に死去した吉田茂元首相の例がある。皇室からは、当時皇太子だった上皇さまと美智子さまらが参列された。
「天皇皇后両陛下は、大喪の礼などの例外を除き、葬儀には参列されない慣例となっており、昭和天皇は侍従長を勅使として遣わされていました。前例にならえば、皇嗣と皇嗣妃である秋篠宮ご夫妻が参列されることになるでしょう」(前出・宮内庁関係者)
だが皇族の参列に対して、静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは、こう危惧している。
「国民が抱く皇室への信頼や崇敬の念に、将来的に悪影響を及ぼしてしまう可能性をはらんでいると考えています。昨年の東京五輪招致の例が代表的ですが、安倍政権以降は政治家が皇室を利用するような動きが増えてきています。
世論を無視する形で強引に開催を決めた国葬に皇族が参列すれば、“皇室も国葬を支持している”と受け止める国民もいるでしょう。皇室が築かれてきた国民との信頼関係が揺らいでしまうことにつながりかねないのです」
名古屋大学大学院准教授の河西秀哉さんも警鐘を鳴らす。
「吉田元首相の国葬にも当時は反対論もありましたが、参列された皇太子ご夫妻にまでは批判が及ぶことはなかったように思います。しかし、安倍元首相の国葬に対しては、当時とは比較にならないほどの反発が広がっています。秋篠宮ご夫妻の参列が考えられますが、眞子さんの結婚や悠仁さまの進学を巡って、秋篠宮ご夫妻への批判はいまだに収束しているとは言えません。それゆえに、批判の矛先が秋篠宮家に向かってしまう可能性を心配しております」
安倍元首相の国葬には、現在200近い国・地域からの出席の意向が示されているという。
「世界中から各国首脳が弔問に訪れることにより日本外交に大きなメリットをもたらす意義も、外交官のご経験がある雅子さまは理解されていると思います。しかし一方で、ご静養を取りやめられたご配慮によく表れていますが、両陛下は国民の苦難に心を寄せ続けられています。岸田政権が国民の分断をいとわずに国葬を強行することに対して、両陛下も危惧されているでしょう」(前出・皇室ジャーナリスト)
国葬への参列の影響で、国民が皇室を見放す日が来るかもしれない――。こうした危機感に、雅子さまも憂悶を募らせている。
●安倍元首相の国葬参列は6400人 吉田茂氏を上回る規模 8/23
岸田文雄首相は9月27日に東京・北の丸公園の「日本武道館」で営む安倍晋三元首相の「国葬」(国葬儀)の参列者数について、6400人とする方向で最終調整に入った。複数の政府高官が23日、明らかにした。憲政史上最長の8年8カ月にわたって政権運営を担った安倍氏の功績や各国の首脳級が多数訪日することを踏まえ、昭和42年の吉田茂元首相の国葬を上回る参列者を受け入れる。
政府は6000人余りが参列した、55年前の吉田氏の国葬を参考に、参列者数の調整を進めていた。吉田氏の国葬では、国内からは遺族や国会議員、地方自治体の関係者らが参列しており、安倍氏の国葬でも踏襲する見通しだ。
吉田氏の国葬では70カ国を超える外交団が参列した。安倍氏は「自由で開かれたインド太平洋」の提唱や日米豪印の協力枠組み「クアッド」の創設に尽力し、国際社会で日本の地位を高めるなど存在感を発揮しており、米国のハリス副大統領やオバマ元大統領をはじめ各国要人が参列する方向で調整が進んでいる。今後も首脳級の参列希望者が増えることも予想され、最終的に吉田氏を上回る6400人の参列を受け入れる方向だ。
ただ、国葬を開催する9月になっても新型コロナウイルスの感染「第7波」が収束していないことも予想される。このため、会場では、マスクの着用や参列者同士の距離をとるなど、感染対策の徹底も呼びかける。
●黙とう要請 否定せず 国葬事務局 8/23
日本共産党、立憲民主党、社民党、れいわ新選組、沖縄の風、碧水会の6野党・会派は23日、国会内で、統一協会問題と安倍晋三元首相の国葬問題についてのヒアリングを行いました。
国葬問題について、内閣府は「『国の儀式』は、天皇の即位の礼や大喪の礼、また、吉田元総理や安倍元総理の国葬を総称する用語」とする文書を提出。野党議員は「国の儀式として吉田茂元首相と、安倍元首相の葬儀の二つしかあげていない。吉田元首相の国葬の際に、何が問題になってどう検討したのかを示すべきだ」とただしました。
さらに、吉田元首相の国葬の際と同じように会社や学校に黙とうを要請する可能性はないかと追及。国葬準備のために内閣府に設置された事務局の富永健嗣参事官は「現時点で(可能性)ゼロかは申し上げられる段階ではない」と否定しませんでした。
統一協会問題では、文化庁が統一協会に対して1998年から11年間で少なくとも9回実施していた聴取を2009年に民事訴訟が起こされたことを理由に中止したと報道されている問題で、野党議員は、1995年の宗教法人法の改定の趣旨から言えば、「問題のある団体に対して、訴訟があるという理由で事情聴取を止めると言うのは理解できない」と指摘しました。
文化庁の石崎宏明宗務課長は「一定の協議を続けるということが、誤解を生むことを避けたと考えた」と述べたのに対して、野党議員は「逆ではないか。事情聴取をやってきたものをやめてしまっては、逆になれあいに見えるのではないか」と厳しく批判しました。

 

●安倍氏国葬と学校 弔意を強要すべきでない 8/24
学校は子どもの学びと人格形成の場である。政治的な価値観を押し付けるようなことがあってはならない。
7月に行われた安倍晋三元首相の葬儀に合わせ、東京都や川崎市、福岡市など、各地の教育委員会が弔意を表す半旗の掲揚を学校に求めていた。実際に掲げたところもある。
管理・指導する立場の教委は「強制はしていない」と説明するが、「指示」と受け止めた学校は少なくないだろう。
懸念されるのは、9月に予定される国葬に向けて、こうした動きが一層強まることだ。
教育基本法は、学校における政治的中立性を確保するため「特定政党の支持や政治的活動」を禁じている。
学校として特定の政治家への弔意を示すことは、これに抵触する可能性がある。
弔意は本来、個人が自分の意思で示すものであり、憲法で保障されている子どもや教職員らの内心の自由が侵される恐れもある。
1967年の吉田茂元首相の国葬では、自治体、企業、学校が黙とうや弔旗掲揚を行い、午後を休みとした。政府の要請に応えたものだった。
2年前には、中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬に合わせ、文部科学省が全国の国立大学に弔意表明を求める通知を出した。実際に弔旗を掲げた大学は少なくなかった。
安倍氏の国葬について、学校や企業などに同様の要請をするかどうかをただした野党議員に対し、政府はこれまで「検討中」とだけ答えている。
今回の国葬実施を巡っては、世論が二分されている。
毎日新聞の世論調査では、反対する人が53%と、賛成の30%を大きく上回った。
安倍氏への銃撃事件後、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の根深い関係が明らかになったことが影響しているとみられる。閣僚や党役員との接点が相次いで判明し、国民は不信感を募らせている。
そうした中で、政府や自治体が弔意の表明を強要することになれば、社会の分断に学校を巻き込むことにもなりかねない。
●安倍晋三元首相の国葬、参列6400人で調整 吉田茂元首相を上回る規模 8/24
政府が9月27日に実施する安倍晋三元首相の国葬に関し、参列者数を6400人程度とする方向で調整に入ったことが分かった。複数の政府関係者が23日、明らかにした。
海外の首脳級ら多数の要人が参加の意向を示している状況を考慮したとみられる。1967年に約6000人が参列して営まれた吉田茂元首相の国葬を上回る規模となる見通しだ。
参列者数をはじめとする国葬の詳細については、週内にも政府としての方針を決める構えだ。全額国費で負担する国葬費用も閣議決定する調整を進めている。
東京・北の丸公園の日本武道館で執り行う安倍元首相の国葬には、米国のオバマ元大統領やハリス副大統領、フランスのマクロン大統領らが出席を検討。政府関係者は招待状の送付対象が「最大で6400人になる」と明らかにした。
政府は参列者数の規模に関し、武道館の最大収容人数に加え、新型コロナウイルスの感染状況も踏まえて検討しており、流行「第7波」の推移も注視する構えだ。
●安倍元首相の「国葬差し止め」却下、判断した裁判官を罷免できるのか? 8/24
安倍晋三元首相の国葬をめぐり、市民団体が裁判官をやめさせることをもとめて訴追請求の手続きをおこなった。
市民団体は、安倍元首相の国葬差し止めの仮処分をもとめていた。ところが、東京地裁が却下の決定をしたため、これに不服があるとして、その決定を下した裁判官3人の罷免をもとめ、8月16日付けで訴追委員会に訴追請求したのだ。
なお、市民団体は、東京高裁に即時抗告もしている。
もし、訴追委員会が「罷免の訴追」をすれば、弾劾裁判が開かれ、裁判官をやめさせるかどうか判断されることになる。
ただ、簡単に裁判官をやめさせられるかというと、罷免には法律で定められた「罷免事由」が必要となる。「裁判所の判断に不服があるから、裁判官としてふさわしくない」という理由での罷免は可能なのだろうか。
過去の弾劾裁判において罷免された裁判官らの罷免事由を振り返ると、「接待」や「盗撮」など裁判外での振る舞いが問題視されている。元裁判官の弁護士は「罷免の訴追はなされないだろう」と話す。
そもそも弾劾裁判とは
国民が裁判官をやめさせたいと考えた場合、まず、裁判官訴追委員会に罷免の訴追の請求をする。訴追委員会(衆参両議員から10人ずつの訴追委員)において審議され、罷免の事由があって、必要があると判断すれば、訴追状を弾劾裁判所に出すことになる(罷免の訴追)。
訴追委員会は、刑事裁判における被疑者の起訴・不起訴を判断する検察のような機関だととらえるとわかりやすい。
続いて、弾劾裁判で、裁判官をやめさせるかどうか決定するのは、衆参から7人ずつ選ばれた国会議員(「裁判員」)だ。
裁判官弾劾法に定められた「罷免の事由」は2つ。
(1)職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠ったとき (2)その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき
1948年から2021までの間で、訴追委員会に受理された件数は、2万2801件で、そのうち、訴追された件数は58件(1人の裁判官に複数の訴追請求があった場合もあり、人数としては10人)だ。
こうして弾劾裁判を受けた10人の裁判官のうち、7人がやめさせられた。
「事件記録を放置」「児童買春」「ゴルフクラブの供与」
弾劾裁判所から初めて罷免の判決を宣告されたのは、元帯広簡裁の判事だった。事件記録の不整頓を放置し、なんと395件もの略式命令請求事件を失効させ、そのうち3分の2について再起訴も断念させたことなどが、職務上の義務に著しく違反するなどが理由だ(1956年判決宣告)。
ほかには、担当する破産事件の破産管財人からゴルフクラブやスーツの供与を受けたもの(東京地裁判事補・1981年判決宣告)や、検事総長の名をかたり、内閣総理大臣に電話をかけ、前内閣総理大臣の関係する汚職事件(ロッキード事件)に関して虚偽の捜査状況を報告するなど、政治的策動にかかわったもの(京都地裁判事補・1977年判決宣告)などがある。
平成に入ると、性的な不祥事での罷免が続いた。3人の少女に対する児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で有罪判決を受けた東京高裁判事(職務代行)が罷免された(2001年判決宣告)ほか、裁判所職員の女性にストーカー行為をした宇都宮地裁判事(2008年判決宣告)や、電車内で女性の下着を盗撮した大阪地裁判事補(2013年、もっとも最新の罷免)も罷免となっている。
弾劾裁判では、審理に出席した裁判員の3分の2以上が辞めさせると判断すれば、罷免される。三審制の司法裁判所と異なり、判決は宣告と同時に確定する。不服を申し立てる制度はない(ただし、判決から5年が経過し、相当な理由があるときなどの場合、弾劾裁判所に失った法曹資格の回復をもとめられる。これまで、4人の資格回復が認められている)。
裁判官の身分を失うだけではなく、弁護士、検察官になる資格まで失う重い処分が下される。
こうして見ていくと、裁判における判断が不当だとして罷免させられたケースはないことがわかる。
元裁判官の視点「罷免の訴追はなされないだろう」
裁判官の罷免の仕組みと歴史を踏まえたうえで、本題に入りたい。
今回の市民団体による裁判官の訴追請求は、口頭弁論や審尋(当事者の言い分を聞くこと)をしないで決定を下したことが、弾劾裁判法における「職務上の義務違反」にあたるとしている。
過去のケースを踏まえて、訴追委員会はどのような判断をすると考えられるだろうか。元裁判官の森中剛弁護士に見通しを聞いた。
――本件は弾劾裁判所での審理に至るのでしょうか
結論から言えば、おそらく、罷免の訴追はなされず、弾劾裁判所での審理にはならないと思われます。
訴追請求というのは、ざっくり説明すると、「裁判官としての資質を欠いているので辞めさせてくれ」と訴追委員会に申し立てることです。
今回の件は、裁判所の判断や手続きが、法律や憲法に違反していることから、この裁判官が、職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠ったときに該当するとして、訴追請求がなされたようです。
本来、裁判所の判断に不服がある場合には、控訴や上告(今回は仮処分申立てが却下されたとのことですので、即時抗告という種類の不服申立てになります)等で、是正を求めるのが通常で、法律もそれを予定しております。
また、裁判官は、憲法で身分が保障され、その保障のもとに良心に従って独立して職権を行使するものとされています。
判決を出す場合、主張が対立している当事者がいる以上、どちらか一方は、ときには双方が、判決内容に不満をもつことがほとんどでしょう。判決に不満だから罷免の訴追請求をしていいとなってしまうと、憲法で保障された身分が簡単に剥奪されてしまうおそれが出てしまいます。そうすると、良心に従い、独立して職権を行使するという裁判官の独立が侵される可能性が高くなってしまいます。
このような観点からすると、判断が間違っていたということを理由に罷免の訴追をおこなうことは、基本的にはないであろうと思われるわけです。
不満があれば訴訟手続きで対処すべき
――判決が間違っていても、罷免の事由にならないということですね
裁判官訴追委員会のHPでも「判決が間違っている、自分の証拠を採用してくれない等の不満は、上訴や再審等の訴訟手続の中で対処すべきものであり、原則として罷免の事由になりません」と説明されております。
なお、先述の裁判官の独立についても、国民主権の下で存在するものである以上、国民の意思が反映されることも重要であり、そのために裁判官弾劾制度があり、最高裁判所裁判官の国民審査があります。
こうした国民主権の考え方からすれば、裁判官の判断が間違っていたときに、罷免の訴追のような選択肢がまったくないとまでするのは、行きすぎのような気がします。
ただ、訴追委員会も弾劾裁判所も、国会議員で構成されますので、運用次第では、三権分立を崩しかねないことになりますので、非常に慎重な運用が求められる制度であると考えられます。
――森中弁護士は裁判官時代に訴追請求された経験はありますか
私は訴追請求された経験はありません。
統計資料によりますと、罷免事由として主張された事実についても、誤判、不当裁判等が50%以上、その他の裁判手続きに対する不満等で、約95%を占めているようです。
これをみると、判決等に不満があるとして、訴追請求がなされることはそこまで珍しいものでもないようですね。 
●「国葬したら次は岸田」ツイッターに投稿か 会社員を書類送検 8/24
ツイッターに「国葬を実施したら、次は岸田だ」などと脅迫めいた投稿をしたとして、警視庁捜査1課は24日、千葉県習志野市に住む会社員の男性(48)を偽計業務妨害容疑で書類送検した。男性は容疑を認め、「国葬を実施したら(安倍晋三元首相を銃撃した)山上(徹也)容疑者のような人から狙われるぞという警告の意味と、手製拳銃を作れる人をあおる意味で投稿した」と供述しているという。
書類送検容疑は7月14日、自分のツイッターに「もし国葬を実施したら、次は岸田だ。手作り銃をそろそろ作り始めてください。練習する時は国会議員でいいと思います」と投稿し、警備に当たる警視庁の業務を妨害したとしている。男性は「税金を使って葬儀を実施するなら、そのお金を新型コロナウイルス対策や貧しい人々に使うべきだと思った」とも話しているという。
捜査1課によると、翌15日に投稿を見た人から情報提供があり、調べていた。同課は検察に起訴を求める「厳重処分」の意見をつけた。
●黙とう要請 否定せず 国葬事務局 8/24
日本共産党、立憲民主党、社民党、れいわ新選組、沖縄の風、碧水会の6野党・会派は23日、国会内で、統一協会問題と安倍晋三元首相の国葬問題についてのヒアリングを行いました。
国葬問題について、内閣府は「『国の儀式』は、天皇の即位の礼や大喪の礼、また、吉田元総理や安倍元総理の国葬を総称する用語」とする文書を提出。野党議員は「国の儀式として吉田茂元首相と、安倍元首相の葬儀の二つしかあげていない。吉田元首相の国葬の際に、何が問題になってどう検討したのかを示すべきだ」とただしました。
さらに、吉田元首相の国葬の際と同じように会社や学校に黙とうを要請する可能性はないかと追及。国葬準備のために内閣府に設置された事務局の富永健嗣参事官は「現時点で(可能性)ゼロかは申し上げられる段階ではない」と否定しませんでした。
統一協会問題では、文化庁が統一協会に対して1998年から11年間で少なくとも9回実施していた聴取を2009年に民事訴訟が起こされたことを理由に中止したと報道されている問題で、野党議員は、1995年の宗教法人法の改定の趣旨から言えば、「問題のある団体に対して、訴訟があるという理由で事情聴取を止めると言うのは理解できない」と指摘しました。
文化庁の石崎宏明宗務課長は「一定の協議を続けるということが、誤解を生むことを避けたと考えた」と述べたのに対して、野党議員は「逆ではないか。事情聴取をやってきたものをやめてしまっては、逆になれあいに見えるのではないか」と厳しく批判しました。
●安倍元総理の国葬 政府、参列者数を最大で6400人程度にする方向で調整 8/24
政府は来月実施する安倍元総理の国葬について、参列者数を最大で6400人程度にする方向で調整に入りました。
安倍元総理の国葬は、来月27日に東京・千代田区にある日本武道館で行われます。政府関係者によると、葬儀の参列者について最大で6400人程度に招待状を送付しているということです。
ただ、最終的な参列者については、新型コロナの感染状況などを考慮して、現在のところ未定だということです。
政府は国葬にかかる経費などについて全額国費で賄う方針ですが、野党からの批判も予想されることから極力、経費を押さえたい考えで、早ければ今週中にも閣議決定する方針です。
●安倍元総理国葬めぐり協力依頼応じないよう新潟市に要請 新潟市議有志 8/24
安倍晋三元総理の国葬をめぐり、新潟市議の有志が23日、政府から協力依頼があっても応じないよう新潟市に申し入れしました。
申し入れを行ったのは、立憲民主党や共産党、社民党などの会派に所属する議員と、無所属の議員ら合わせて12人です。2020年、中曽根元総理の合同葬が行われた際に、新潟市役所は政府からの協力依頼を受け半旗を掲げた経緯があるとして、安倍元総理の国葬では、政府から弔意を表すよう求められても応じないでほしいと訴えました。
『市民ネットにいがた』の青木学代表は、「安倍元総理への評価は様々あるなかでこれを強行すれば民主主義社会が危ぶまれる。仮に新潟市が半旗を掲げたとすれば、市民や職員に弔意を求めないと言ったとしても、市としては弔意を表していることになりそれは間接的に同調を求めることに繋がると思う」と話しました。
申し入れを受けた新潟市の野島晶子副市長は、「国葬についての国からの通知を受けたあと、慎重に判断したい」と回答しました。
一方、他の自治体では安倍元総理の葬儀にあわせて教育委員会が市立学校に半旗の掲揚を要請していたことも分かっていて、市議の有志は、新潟市教育委員会に対し「この問題を教育の現場に持ち込むことがないように中立の立場を守って欲しい」と要望しました。
●法政大前総長ら学者・作家ら国葬反対署名活動へ 8/24
 法政大学前総長の田中優子さんや憲法学者で専修大学名誉教授の石村修さんら学者や作家ら17人が呼びかけ人となり、23日から『安倍晋三元総理の国葬反対』署名活動を始めた。
国葬を巡っては法的根拠がないほか、国会審議や3権(立法・行政・司法)の長による協議もなく、事実上の「内閣葬」になっている。岸田内閣は国の行事だとして内閣府設置法の「国の儀式の事務に関する規定」を根拠に、いきなり閣議決定した経緯があり、憲法が保障する『思想・信条の自由』を侵害するほか、「国・国民の象徴」として憲法で規定される「天皇」と違い、「法の下の平等」規定にも相反する。
また国費を使うことを巡っても各地で差し止めを求める裁判や自治体の長らが公費で国葬に参加しないよう求める監査請求も相次いでいる。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題と共に、国葬問題は岸田政権支持率急落の大きな原因になっている。
政府は「国の儀式として実施するもので、国民1人1人に政治的評価や喪に服することを求めるものでない」としているが、学校や自治体に半旗を要請したりすれば事実上の「強制」効果があり、子どもたちや教諭への弔意強制につながりかねない。政府が喪に服することを求めないことを担保し、国民に理解を求めるなら、少なくともこうした要請は行わないことが求められよう。

 

●会場費、花代…安倍晋三元首相の国葬にかかる費用って? 8/25
国論を二分している安倍晋三元首相の「国葬」問題。岸田政権は全額国費で予備費から支出する方針だが、いまだに国会審議もなく、国民の理解を得たとはとても言えない。予定通り実施された場合、約2億円とも言われる出費は何に使われるのか。戦後唯一の先例である吉田茂元首相の国葬を振り返り、考えた。
会場は「菊の香りでむせかえるよう」
吉田氏の国葬は1967年10月31日午後2時、東京・北の丸公園の日本武道館で始まった。内閣総理大臣官房が翌年発行した「故吉田茂国葬儀記録」によると、参列者は皇太子ご夫妻をはじめ、与野党の国会議員、72カ国の大使ら6500人。
会場には12畳敷きの巨大な遺影がつり下げられ、祭壇は白と黄の菊で飾られた。正面には、赤いカーネーションと白菊で描かれた縦2.5メートル、横4.2メートルの日の丸。吉田氏が好んでいた300本のバラが納骨台の周囲に供えられた。献花用の菊も大量に準備された。
使用された生花は、菊だけで何と8万本。当時の東京新聞は「菊の香りでむせかえるようだ」と伝えている。国葬儀記録は「請負業者は関東近県および関西方面まで集花に飛び、国葬儀前には一時菊の値段があがるという事態もあった」と記している。会場の駐車場が限られているため、参列者の送迎に民間のバスもあてがった。
午後2時10分、1分間の黙とうが終わり、吉田学校の優等生である佐藤栄作首相が弔辞を述べた。「平和条約の締結とわが国の独立回復は、民主主義国家に生まれ変わった新しい日本の門出。戦後史上最大の治績であり、不滅の功績であります」。その後、参列者が続々と献花。一般の参加者は約4万5000人だった。
都心で交通規制、官公庁は午後から休み
この日は正午過ぎに、遺骨を乗せた柩きゅう車と遺族車計6台が神奈川県大磯町の吉田邸を出発。吉田氏の孫で、後に首相となる麻生太郎氏も乗っていた。早朝から200人超の警察官が吉田邸を警備し、パトカーや自衛隊のジープが前後に。車列は計26台、240メートルに達し、約12万人が沿道で見送った。武道館で出迎えたのは、吉田政権下で創設された警察予備隊をルーツとする自衛隊。儀仗ぎじょう隊が整列する中、30秒間隔で計19発の弔砲がとどろいた。
重々しいセレモニーを国民はどう感じたのか。当日、市街地には弔意を示す半旗が掲げられ、国葬が始まると多くの人々が黙とうをささげた。ただ、都心に大規模な交通規制が敷かれ、官公庁が午後から休みになったことには「月末の忙しいときに困る」と批判の声も。労働組合や大学自治会が「政府による弔意強制だ」と訴えた。
この国葬が行われたのは、吉田氏の死去からわずか11日後。当時を知る政治評論家の森田実氏は「安倍元首相の国葬とは異なり、反対運動のうねりが大きくなる間もなく実施された。首相退任から十数年を経て、軽武装・経済重視を採った吉田氏の評価が高まっていたことも大きかった」と証言する。
「当時は戦前の国葬から二十数年しかたっておらず、国民に『法的根拠のない財政支出を認めてはいけない』という意識が薄かった。今では考えられないが」
吉田氏の場合は約7000万円…安倍氏はなぜ2億円?
吉田氏の国葬の式典経費は1810万円。55年後の現在の貨幣価値にすると、おおよそ7000万円だ。
政府は安倍氏の国葬も武道館で行うとし、参列者は6000人規模で式典費用は約2億円と想定する。実際に執り行われた場合、吉田国葬より高くなるが、内訳はどんなものになるのか。
まず会場費。2020年8月15日に日本武道館で行われた全国戦没者追悼式では、会場の使用料に1200万円。式壇などの設営費には5300万円がかかっている。
新型コロナウイルスの感染対策費がかさむ可能性もある。21年度の追悼式の予算は、主に感染対策費として前年度より約3000万円多くなった。
花代もばかにならない。吉田氏の場合と同じ8万本の菊を使う場合、1本100円で計算しても花代だけで800万円になる。
これだけ大規模な葬儀をどうやって運営するのか。東海地方の葬儀業者の社員は「ホテルなどに参列者がたくさん訪れる『お別れの会』といった式典は葬儀業者だけではできない。広告代理店やホテルが仕切ることが多い」と明かす。葬儀業者はその下請けとして入ることが多いという。
この社員が経験した例では、ホテルで開かれた一部上場企業の創業者のお別れの会に参列者1000人が訪れ、経費は2000万円ほどだったという。国葬の規模は、それよりはるかに大きい。「規模が違い過ぎる。どうやるのか想像がつかない」
産経調査でも反対多数、強行すれば支持率急落?
そもそも一国の総理経験者の葬儀ともなれば、国葬でなくとも多額の費用がかかっている。20年に行われた中曽根康弘氏の内閣と自民党の合同葬では、総額が約1億9000万円で、うち国費は約9600万円だった。政府は、この中曽根合同葬を一つの指標としている。
ただ、かかる費用はこれだけではない。多くの警察官を投入する警備費も必要だ。大串博志衆院議員(立民)は9日の野党合同ヒアリングで、1980年の大平正芳氏の合同葬でも警備に多額の費用が使われたと指摘した。今回も多くの外国要人を招くうえ、安倍氏は銃撃されて死亡しただけに、警備はより厳重になることが予想される。
そもそも安倍氏の国葬には、マスコミ各社の世論調査で、反対が賛成を上回る結果が相次いでいる。毎日新聞などの調査では、賛成の30%に対し、反対は53%。産経新聞などの調査でも、賛成40.8%を反対の51.1%が上回った。共同通信の調査では、反対が53.3%で賛成は45.1%だった。
世論の反応について、政治評論家の小林吉弥氏は「吉田氏の国葬の時と違い、国が国民に弔意を呼びかける時代ではない。安倍さんの事件直後はショックを受けた国民も、冷静に考えるようになったのでは。内閣と自民党の合同葬が落としどころだったのではないか」と分析する。
9月27日に予定されている国葬が終われば、間もなく秋の臨時国会が始まる。当日の前後も国民を二分した議論が予想される。小林氏は、この国葬が岸田政権の分水嶺ぶんすいれいとなる可能性があると予測する。
「旧統一教会の問題、コロナ、物価高など、ただでさえ厳しい課題がたくさんある臨時国会に、反対も多い国葬の直後に突入することになる。うまく乗り切れなければ、支持率は急落するだろう。そうなると政局だ。来年の通常国会で予算が成立した後、統一地方選に合わせた解散総選挙という流れもあり得る。後で振り返った時、国葬の日が岸田政権の分かれ目だったということになってもおかしくない」

グループ・サウンズやゴーゴーが流行。東京都知事選で革新系の美濃部亮吉氏当選。中国が初の水爆実験。羽田闘争—。吉田氏の国葬があった1967年の出来事だ。今につながるものもあるが、半世紀余の時の流れは否定できない。異なる時代に、あえて行う意味は何なのか。
●安倍元首相の国葬費用、2億5000万円で調整 26日にも閣議決定 8/25
政府が9月27日に実施する安倍晋三元首相の国葬の費用として、今年度予算の一般予備費から約2億5000万円を支出する調整を進めていることが分かった。26日にも閣議決定する。政府関係者が明らかにした。
安倍元首相の国葬は日本武道館(東京都千代田区)で開催され、約6400人の参列を想定している。費用は全額国費で賄うことが決まっており、会場の設営や消毒などの新型コロナウイルス対策、献花用の花代などに充てる。
2020年10月に開催された中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬では、2億円弱の経費を政府と同党で折半した。政府は安倍元首相の国葬経費について、「(中曽根氏の合同葬の2億円弱を)一つのメルクマール(指標)として検討している」と野党に説明していたが、足元の物価上昇の影響や、1500人程度を想定した中曽根氏の合同葬に比べて参列者が大幅に増えることなどから、費用も増加する見通しとなった。
●安倍元首相の国葬に2億円も警備費は含まれず…血税37億円投入の公算 8/25
9月27日に東京・日本武道館で執り行われる安倍晋三元首相(享年67)の国葬。7月14日に岸田文雄首相(65)が表明し、同月22日に閣議決定されて以降、国民の間では大きく賛否が分かれている。だが、国葬の詳細が明らかになるにつれて、いっそう波紋が広がりそうだ。
複数の報道によると、招待する参列者を6400人で調整し、国葬に反対する世論を考慮して1時間半程度の簡素な式典にする見通しだという。そして、予備費として計上される国葬費用は約2億円が見込まれるとのこと。だが、この2億円には警備費は含まれないといい、今後さらに費用が増えることが予想される。
全額国費で賄われる国葬は、戦後の首相経験者では’67年に行われた吉田茂元首相(享年89)以来。安倍元首相の国葬の参列者は吉田元首相時を上回るというが、費用もはるかに超えそうだ。社会部記者が話す。
「政府は最近の答弁書で、吉田元首相の国葬費用は1804万円だったと明かしています。現在の価値に換算するとおよそ7000万円となり、安倍元首相の国葬費用の約3分の1程度ということになります。’20年10月に行われた中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬では、約1億9200万円もの経費がかかったとされています。そのうち会場代が約5500万円、会場内の音響、映像、設営費用が約1億3600万円といわれています。ただ、中曽根元首相の合同葬はコロナ禍だったため、参列者も1400人と小規模でした」
現段階で6400人が参列するという安倍元首相の国葬。参列者にはアメリカのハリス副大統領やオバマ元大統領、インドのモディ首相などの名前も挙がっている。各国要人が参列するとなると、強固な警備体制が予想されるという。前出の社会部記者が続ける。
「昭和天皇の大喪の礼では警察官3万2千人が動員され、当時の警備費用は24億円でした。’19年10月に行われた今上天皇の即位礼正殿の儀では、警察官約2万6千人が動員され、警備関係費用としては28億5000万円がかかりました。安倍元首相は演説中の銃撃によって亡くなったこともあり、これまで以上に警備が強化されることが予想されます。通常よりも人員を増やすとなれば、警備費用は35億円ほどに増えてもおかしくないでしょう」
国葬経費に予想される警備費を加算すれば、37億円にものぼるという安倍元首相の国葬。残りわずか1カ月あまりと迫っているが、政府は国民が納得できるよう丁寧な説明をすべきではないだろうか。
●“国葬”どう考える? 旧統一教会問題の影響も 8/25
安倍元総理大臣が凶弾に倒れた日、記者団の前で涙をにじませた岸田総理大臣。安倍氏の死を、55年ぶりとなる「国葬」という形で悼むことを決断した。しかし、国が費用を全額負担することに加え、旧統一教会をめぐる問題が注目されるにつれて、「国葬」への国民の賛否は大きく割れ始める。政府の方針決定までの水面下の動きを探り、与野党の攻防、そして専門家の見解を通じて「国葬」を考えていきたい。
「国葬」決定 水面下の動き
参議院選挙の投票日直前に起きた、安倍元総理大臣の銃撃事件から4日後の7月12日。うだるような暑さの中、自民党本部は、安倍氏の死を悼むため、花束を抱えた老若男女であふれ、最寄りの永田町駅まで伸びる長い列ができていた。
海外では、アメリカのホワイトハウスで半旗が掲げられ、オーストラリアでは、公共施設が日本の国旗を模した白と赤でライトアップされるなど、追悼の動きが続いた。
世界中が衝撃を受ける中、注目は、憲政史上最長の8年8か月にわたって総理大臣を務めた安倍氏をどのように弔うかに集まっていった。
「政府と自民党の合同葬という形をとった中曽根元総理の葬儀と同じでは不十分だ」自民党内などからは、国内外で途切れることのない追悼の動きを見て、こうした声があがり始めていた。
7月12日の夜。政府の対応を探る記者らに対し、首相官邸の幹部は、こう漏らした。「保守層からの突き上げと海外の反応もあって、官邸内では、早めに政府としての葬送のあり方を発信した方が良いという話になっている」
別の政府高官に、記者が「中曽根元総理の葬儀の時よりも“格上”のような形を考えているのか」と問うと、「そうなるだろう。政治的な声もいろいろ配慮しないといけない」と話した。
“格上”のような形の葬儀のあり方とは何なのか。合同葬では不十分となると、選択肢はおのずと絞られる。
「国葬に近い形でできないか」
取材を進めると、岸田総理大臣が周辺に、「国葬」を念頭に対応を検討するよう指示していたことがわかった。政府のごく限られたメンバーが水面下で検討を始めていたのだ。
政府のメンバーが検討を急ぐ過程で、1つの壁が生じた。「国葬」を行う上で何を法的根拠とするかという点だった。
「国葬」を直接定めた法律は存在しない。戦前は1926年に公布された「国葬令」という勅令が根拠となっていたが、現行憲法の施行に伴い失効した。
戦後、総理大臣経験者を対象とした「国葬」は1967年の吉田茂氏の1例だけ。このときはいわば特例的に、法的根拠がないまま、「国葬」を行うことが決まった。近年の総理大臣経験者の追悼は、内閣と自民党が主催する合同葬という形が定着している。法律がない中、どうやって「国葬」を実施するのか。内閣法制局が示したのは、2001年に施行された内閣府設置法を法的根拠に、国が行う儀式として閣議決定で行うという見解だった。
この内閣府設置法というのは、内閣府が所掌する事務を定めた法律だ。その4条3項には次のように記されている。「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」
内閣法制局はこの条文を根拠に、「国葬」を「国葬儀=国の儀式」として閣議決定で実施できると説明した。
事件から6日後の表明
「批判を浴びるかもしれないが、やろうと決めた」(政府関係者)
岸田総理大臣の決断は早かった。戦後2例目となる「国葬」をことし秋に開催することを、安倍氏の死からわずか6日後、7月14日の記者会見で表明した。
このとき、「国葬」とした理由について、岸田総理大臣は4点を挙げた。
・憲政史上最長の8年8か月にわたり重責を担ったこと。
・震災復興、日本経済の再生や日米関係を基軸とした外交など大きな実績をあげたこと。
・外国首脳を含む国際社会からの高い評価を得ていること。
・民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行で逝去したこと。
そして「安倍元総理を追悼するとともに、わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」と述べ、国民に理解を求めた。
「総理がスパっと決めてくれて良かった」(自民党幹部)
「会見で『検討』を使わなかった。珍しく決断が早かった」(政府関係者)
「岸田総理が決めたことを尊重したい」(公明党幹部)
政府内や、自民・公明の与党内からは決断をたたえる声が挙がった。
官邸の幹部は、「『国葬』ありきだったわけではないが、4つの理由の中でも、国際社会からの高い評価という点が大きい」と話した。
ただ、「国葬」の開催時期は、2か月後の秋。国内外の日程や準備期間などを勘案したためだったが、この間に、「国葬」への評価の様相が変わっていく。
割れ始める世論
「最初はみんな、『国葬すべき』って感じだったのに、最近は、国葬に否定的な雰囲気に一気に変わったよね…」
8月上旬のある夜、記者たちを前に、こう戸惑いを口にした官邸の関係者。
これに先立ち、政府は、「国葬」を9月27日に東京・千代田区の日本武道館で開き、費用は全額、国費負担とすることを閣議決定した。無宗教形式となる。外交関係のある195か国などに伝え、各国の首脳級や元首脳らの参列に向けて、着々と受け入れ準備が始まった。
政府は当初、国民の理解を得ることはそれほど難しくないとみていた。しかし、安倍氏の死から時間がたつにつれ、「国葬」への国民の反対が増え始める。
NHKの7月の世論調査では、政府が「国葬」を行う方針について、「評価する」が49%、「評価しない」が38%だったが、8月の調査では「評価する」が36%、「評価しない」が50%と、「評価しない」が逆転。
10ポイント以上も上回る結果となった。
「国葬」までおよそ1か月となるなか、国会や都内のターミナル駅周辺では、「弔意を強制するな」「なぜ税金で」などと書かれたプラカードを手にした人たちによる、反対デモが相次いで行われている。市民や法学者などのグループは「国葬」への公金支出の差し止めなどを求め各地で訴えを起こした。また、大学教授や作家などが、インターネット上で中止を求める署名活動を始めるなど、反発する動きが広がっている。
野党のスタンスは
野党側は「国葬」についてどういったスタンスなのか。
○立憲民主党は、泉代表が「今回の『国葬』に関する政府の決定には、反対だという表明をしたい」と述べ、総理大臣を選出する国会が、葬儀のあり方や予算に関与することが欠かせないと主張している。
○日本維新の会は、松井代表が「国葬」の実施に反対していないが、報道各社の世論調査で、反対する人の割合が高いことを指摘し、政府が国会で早期に説明を尽くすよう求めている。
○共産党は、志位委員長が「国民のなかで評価が分かれる安倍氏の政治的立場を、国家として賛美・礼賛することになる。国民に弔意を事実上強制することにつながる」として反対する考えだ。
○国民民主党は、玉木代表が「外国からの弔問客も多数来日する。一定の公費を投じることは理解する」とした上で、政府には、意義や予算のあり方などを国会で十分に説明するよう求めている。
○れいわ新選組は「政策的失敗を口に出すこともはばかられる空気を作り、神格化するような『国葬』はおかしい。このまま、強行することはあり得ない」としている。
閣議決定で行うことへの疑問や、全額国費で営まれることなどへの抵抗感に加え、国会への説明が不十分だという点に批判や疑問の声が集まっている。
さらに、銃撃事件をきっかけに旧統一教会と自民党などの国会議員の接点が相次いで表面化。安倍氏自身にも、祖父の代から旧統一教会とつながりがあったのではないかと指摘された。
8月上旬、自民党内で、岸田政権と一定の距離を置いていた派閥の幹部は、記者に「『国葬』への反対が伸びているのは、旧統一教会をめぐる問題への反発が大きいんだろう」との見方とともに懸念を示した。
立憲民主党など野党側は、「国葬」をテーマにした国会の閉会中審査を求め、旧統一教会をめぐる問題も絡め、攻勢を強める構えだ。
“粘り強く意義を”
一方、政府・与党は、引き続き、粘り強く国民に理解を求めていく考えだ。
岸田総理大臣は、8月6日と10日の記者会見で、「国の公式行事として各国の代表を招く形式で葬儀を行うことは適切だ」などと繰り返し強調。
松野官房長官も、8月22日の記者会見でこう述べている。「安倍氏の『国葬』について、さまざまな意見があることは承知しているが、国民一人一人に喪に服することや政治的評価を求めるものではないことを、しっかりと説明していきたい」
『特別扱い』に疑問の声
では、専門家は今回の「国葬」をどう考えるのか。
憲法学者で、東京都立大学の木村草太教授は「なぜ安倍氏だけを特別扱いし、何を目的に実施するのか。平等の原則や公共性の観点から非常に疑問だ」と批判する。
政府が挙げた「国葬」の理由についても、「主観的に政治的業績が大きいと考えた人を『国葬』にしたい気持ちはわかるが、公費を使う以上、佐藤栄作ら過去の首相と比較し、特別に『国葬』にする理由があるかどうかを、第三者機関が客観的に評価する必要がある。国民には憲法で『内心の自由』が保障される。主観的な評価への共感を求める目的で儀式をやるのは、個人の自由との観点でも問題だ」と主張する。
その上で「衝撃的な事件で政府は物事を丁寧に考えられない環境で、十分に検討せず決めてしまった」と指摘。
「将来、『国葬』にすべきか論争になる人が現れたときに混乱が予想される。『5年以上三権の長を務めた』など、形式的な基準があれば混乱は防げるが、そもそも現代で『国葬』を実施しないと達成できない公共の目的があるのか疑問だ。外交の機会になるという人もいるが、それなら葬儀ではなく、国際会議をした方が適切だろう」と述べる。
弔問外交を遺産に
一方、国際政治学者の三浦瑠麗氏は、国葬をめぐる世論調査で「反対」が上回る現状について「旧統一教会の件が響いている。銃撃事件から一両日は『国葬』と言い出しても受け入れられる雰囲気だったが、一気に政治マターとなり、それが安倍政権に対する『モリカケ』問題など、負の記憶を連鎖的に呼び起こしてこのような結果になっている」と分析する。
ただ、安倍氏については、「アメリカのオバマ元大統領と真珠湾を訪問して積極的な和解を成し遂げたほか、トランプ前大統領とは世界各国が苦労する中で関係を構築するなど、国際的に日本の存在感を示した。長期政権ということもあり、素晴らしい外交関係を構築した」とその業績を評価する。
「国葬」の費用を税金でまかなう以上、誰が対象でも批判はつきものだとしたうえで、「国民栄誉賞も明確な基準はないが、時の政権が世論などを見て総合的に判断する。『国葬』も同じで、実施するかは政治判断だ。その上に立って、今回、『国葬』を営むメリットとデメリットを比べると、弔問外交などで得られるメリットが大きい。岸田政権はさまざまな理由を説明しているが、理にかなっている」と指摘する。
納得できる説明を
専門家の間でも意見が分かれる今回の「国葬」。
国費という、国民からの税金を投入して行う以上は、国民が納得感を持てるかどうかが重要だ。政府には、「国民一人一人に喪に服することや、政治的評価を求めるものではない」などとする説明に加え、なぜ「国葬」でなければならないのかや、「国葬」で安倍氏を追悼する意義についても、今まで以上に具体的な説明が求められるのではないだろうか。
●安倍元首相国葬で飛行制限区域 武道館周辺46キロ  8/25
政府が9月27日に開く安倍晋三元首相の国葬に伴い、国土交通省航空局(JCAB)は8月25日、会場となる東京・千代田区の日本武道館周辺に飛行制限区域を設定したと発表した。テロ防止対策の一環で、警察や消防、定期便、報道などの航空機は対象外となる。
期間は9月26日午前0時から28日午後11時59分まで。日本武道館を中心とする半径25海里(約46キロ)の円内を飛行制限区域とした。すべての高度が対象となる。
自衛隊や海上保安庁、警察など警備や警戒にあたる航空機や、災害などの捜索や救助にあたる消防・防災ヘリ、管制機関から飛行を認められた定期便などの航空機、航空法に基づく許可を得た報道ヘリなどは飛行制限の対象外になる。
政府は海外から数百人規模の出席者を招き、参列者は最大で6000人規模になる見込みで、来日する要人は入国者制限の枠外とする方針。一方、報道各社の世論調査では、国葬に対して否定的な意見も多く見られ、まもなく1カ月を切る中で二分している。
●二階元幹事長「やらなかったらバカ」 安倍元首相の国葬巡り持論展開 8/25
自民党の二階俊博元幹事長は24日、政府が安倍晋三元首相の国葬を実施することについて「当たり前のことですよ。やらなかったらバカ」と述べた。政治解説者の篠原文也氏が主催する会合で語った。
篠原氏は会合で、安倍氏と「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の関係が取りざたされていることで「国葬にけちがついたのでは」と指摘した。これに対し、二階氏は「安倍さんが長きにわたり首相として、自民党総裁として政権を担い、それに対しての国葬。けちがつくわけがない」と反論。「もう安倍さんは帰って来ないのだから、みんなで気持ちよく送ってあげたらいいんじゃないんですか」と語った。
二階氏は、直近の報道各社の世論調査で国葬への反対が増えていることについては、「それはそれでご意見として聞いたらいい。それがあったから国葬をやめるわけじゃないんですから」と述べた。さらに「海外からも多くの首脳が来る。これは安倍さんに対する敬意と共に日本国に対しての気持ちがあるからおいでになる。日本は国葬とするのは当然。文句をつける必要はない」と持論を展開した。 
●国葬にカナダのトルドー首相 安倍元首相 四十九日で法要 8/25
9月に行われる安倍元首相の国葬に、カナダのトルドー首相が参列する意向を示していることがわかった。
9月27日に行われる予定の安倍元首相の国葬に、カナダのトルドー首相や、ニュージーランドの国家元首の代理を務める、シンディ・キロ総督が参列することがわかった。
国葬の経費については、日本武道館の会場費やセキュリティー強化にかかる費用など含め、およそ2億5,000万円にのぼり、26日にも閣議決定される見通し。
また、参列者は6,400人程度を想定していて、一般献花も行う方向で調整が進んでいる。
国葬と合わせて、岸田首相は、迎賓館に来日中の各国首脳を迎え、会談する予定。
一方、安倍元首相の四十九日を迎えた25日、安倍氏の自宅では、弟の岸首相補佐官ら親族による法要が営まれている。
●安倍元首相の四十九日「どうか安らかにお眠りください」 8/25
8月25日、安倍晋三元首相の四十九日法要が、東京都内の自宅で営まれた。実弟の岸信夫首相補佐官ら、親族や事務所関係者が参列した。
安倍元首相は7月8日、参院選の応援のために訪れた奈良市で街頭演説中、凶弾に倒れた。自宅には、朝から喪服姿の参列者が相次いで訪れ、昭恵夫人らが供養をおこなった。自民党・安倍派の総会でも、安倍元首相の追悼がおこなわれる予定という。
SNSでは、8月25日から「デジタル献花」が始まった。20〜30代のベンチャー企業経営者らで構成される「安倍元総理(首相)デジタル献花プロジェクト実行委員会」が企画したもので、オンライン上で献花し、安倍元首相へのメッセージを書き込める。いずれも無料だ。
HPにアクセスすると、安倍元首相が2022年3月19日、近畿大学卒業式で語った言葉が現れる。
《私は皆さんたち、若い世代の皆さんと話をすると世の中のために地域や日本や世界のために何か役に立ちたいと、こう思う、こう考える人が本当に多いので驚かされています。ですから私は皆さんに期待しています。どうかチャレンジして、そして失敗しても立ち上がってください。そして、皆さんの溢れる若い力でよりよい世界を創ってください》
次に現れるのが、2022年7月12日、増上寺でおこなわれた安倍元首相の告別式での昭恵夫人の言葉だ。
《政治家としてやり残したことはたくさんあったと思うが、本人なりの春夏秋冬を過ごして最後、冬を迎えた。種をいっぱいまいているので、それが芽吹くことでしょう》
そしてこのサイトには、「デジタル献花」とともにさまざまな追悼のメッセージが書き込まれている。
《長い間この国を引っ張ってくださりありがとうございました。どうか安らかにお眠りください》
《余りにも早いご逝去、とても悲しいです。でも、日本が進む道を明確に示して頂いたのですから、これからは私たちがバトンを引き継いでしっかりとした日本を築いて行かねばなりません。是非、見守ってください》
《色々ひどいこと言う人も多いですが自分の中では国のために尽力して下さった人という印象です。この度はお悔やみ申し上げます。どうか安らかに》
8月25日、午後2時の時点で、すでに9500超のメッセージが寄せられている。「デジタル献花」は、安倍氏の国葬がおこなわれる9月27日までの予定。集まったメッセージは昭恵夫人に届けることを検討しているという。
政府は安倍元首相の国葬で、一般献花をおこなう方向で調整している。会場となる日本武道館の外に献花台を設けることが検討されている。
安倍元首相の国葬に関しては、各種世論調査で「反対」が過半数を超え、圧倒的だ。ただ、追悼の気持ちだけは持っていてもいいだろう。

 

●安倍元首相国葬で政府 弔意表明 府省へ求める閣議了解見送りへ  8/26
安倍元総理大臣の「国葬」で、政府は、弔旗の掲揚や黙とうによる弔意の表明を各府省に求めるための閣議了解を見送る方向で調整しています。「国葬」を行うに当たって国民に安倍氏への政治的な評価を強制するものではないと明確にするねらいがあるものとみられます。
来月27日に東京の日本武道館で行われる安倍元総理大臣の「国葬」について、政府は必要な経費として2億5000万円を今年度予算の予備費から支出することを26日、閣議決定することにしています。
これに伴い、政府は当初「国葬」当日に、弔旗の掲揚や黙とうによる弔意の表明を各府省に求めるための閣議了解を行うことを検討していましたが、「国葬」をめぐって世論の賛否が分かれていることも踏まえ、見送る方向で調整しています。
政府関係者によりますと、内閣と自民党による「合同葬」など、戦後、国が関わった総理大臣経験者の公式な葬儀の大半で、官庁に弔意の表明を求めるための閣議了解が行われてきていて、今回、見送られれば、異例の対応となります。
政府としては、今回の「国葬」を行うに当たって国民に安倍氏への政治的な評価を強制するものではないことを明確にするねらいがあるものとみられます。
●安倍元首相の国葬経費は2億4940万円、予備費から支出  8/26
政府は26日午前の閣議で、9月27日に東京・日本武道館で行う安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)の経費として、2億4940万円を予備費から支出することを決定した。 
●国葬に史上最高2.5億円の公金投入も…警備費用は“別腹”の見せかけ予算 8/26
凶弾に倒れた安倍元首相の「四十九日」が過ぎ、国葬(9月27日実施)に向けた準備が本格化している。岸田政権は26日、費用を閣議決定。その額は全額国費負担で約2億5000万円に上る。首相経験者の葬儀に対する史上最高額の公金投入で、今年度予算の一般予備費から支出。もっとも、警備費は含まれておらず、“過少申告”の疑いもある。国民の異論は無視、財政民主主義はないがしろ。一般の弔意はしぼむ一方だ。
戦後、首相経験者の国葬は1967年の吉田茂氏以来となる2例目。日本武道館で行われた吉田国葬には皇太子夫妻をはじめ、与野党の国会議員や72カ国の大使ら6500人が参列したという。当時の式典経費は1810万円。現在の貨幣価値にすると、7500万円あまりだ。安倍国葬の会場は同じ武道館で、参列者数の想定は同規模の6400人。新型コロナウイルス対策費がかかるにしても、3倍超は盛りすぎじゃないか。
米国のオバマ元大統領やハリス副大統領、フランスのマクロン大統領などの海外要人の参列が見込まれているとはいえ、警備費は別勘定。実際のコストはさらに膨らむこと必至だ。そもそも、米国は自前警護が基本だし、元首相の銃殺を許すような治安機関の警備はハナから期待していないだろう。
世論の大半が安倍国葬に反対。衝撃の死去から日が経つにつれ、反発の声は強まっているだけに、2.5億円の公金投入すら、予算を低く抑えようとした「見せかけ予算」と勘繰りたくなる。
世論の大半を占める「反対」意見を無視
オンラインサイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で展開中の署名活動「安倍元首相の『国葬』中止を求めます」への賛同は5万人を突破。呼びかけ人のひとりの高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「法的根拠がない国葬に税金を使うのはいかがなものか。岸田政権は内閣府設置法を根拠としていますが、この法律によって実施できるのは内閣府葬まで。前提に問題がある上、国民の声にも野党の要求にも耳を傾けず、国会審議から逃げている。岸田政権は憲法の要諦である財政民主主義をもないがしろにしています」
第2次安倍政権下で権勢を振るった二階元幹事長は「当たり前のことですよ。やらなかったらバカ」「もう安倍さんは帰ってこないのだから、みんなで気持ちよく送ってあげたらいいんじゃないんですか」とか言っていたが、すでに葬儀は営まれている。何が何でも華々しく、かつ気持ちよく送りたいなら、前例踏襲で内閣・自民党合同葬に切り替えればいい。
20年10月にグランドプリンスホテル新高輪で実施された中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬には、葬儀委員長の菅前首相ら644人が参列。費用は感染対策などで約2800万円増額され、総額約1億9200万円だった。政府は半額にあたる約9600万円の経費を負担した。
記録がある首相経験者の内閣・自民党合同葬の政府負担分は、80年の大平正芳氏=約3640万円▽87年の岸信介氏=約4500万円▽95年の福田赳夫氏=約7330万円▽00年の小渕恵三氏=約7550万円▽04年の鈴木善幸氏=約5440万円▽06年の橋本龍太郎氏=約7700万円▽07年の宮沢喜一氏=約7690万円──。安倍国葬の破格ぶりは歴然だ。
今からでも遅くない。岸田首相は真の「決断と実行」をすれば、世間の見る目も変わるはずだ。
●安倍元首相「国葬」 小池知事“安全に行われることは重要” 8/26
安倍元総理大臣の「国葬」について、東京都の小池知事は26日の記者会見で「国葬については当初から賛成している。むしろ国葬にしない場合、世界のリーダーの人たちは『あれっ』と思うのではないかと思う。世界の枢要ないろいろな国のリーダーが、国葬に参加したいと思っているのは、まさに、地球儀をふかんした外交を務めてこられた証左だと思う」と述べました。
そのうえで、政府が、26日の閣議で「国葬」におよそ2億5000万円を支出することを決めたことについては「これまでの自民党葬などともさほど変わらない金額だというふうに聞いている。オリンピック・パラリンピックの時もいかに警備をきちんとするかというのは、世界のVIPをお迎えする際の大きな課題だった。国葬が安全に行われることはとても重要なことだし、国として責任を持って進めていただきたい」と述べました。
●安倍元首相国葬警備で警視総監「警察の存在意義が問われる」  8/26
安倍元首相の国葬の警備について、警視総監が総力を挙げて臨む姿勢を示した。
9月27日に日本武道館で開かれる安倍元首相の国葬をめぐっては、海外から多くの要人が来日する見通しで、政府は、招待する参列者が6,000人程度とみて調整を進めている。
26日の国葬警備会議では、大石吉彦警視総監が「警察の存在意義が問われるもの。全身全霊で取り組んでほしい」と述べ、攻撃の兆しをつかむための情報収集の徹底や攻撃者の視点に立って警備を行うよう命じた。
警視庁は今後、国葬のスケジュールや要人などの情報をもとに、警備に携わる人数や態勢を調整する方針。
●安倍元首相の国葬「思想・良心の自由を侵害」 反対市民 鹿児島県 8/26
安倍晋三元首相の国葬に反対する市民団体「平和・民主・革新の日本をめざす鹿児島県の会」(県革新懇)は25日、9月27日に予定されている国葬で県民に弔意を強制しないことを求める要望書を、塩田康一知事宛てに提出した。国葬に対する知事の見解もただした。
宮里孝内事務局長ら5人が県議会庁舎を訪問。「国葬には法的根拠がない。国費を使い、政府の評価を国是として国民に同調を求めるに等しく、憲法上の思想・良心の自由を侵害する」と訴え、要望書を県行政管理室の職員に手渡した。
同室は「最終的には知事が判断すると思うが、どう対応するかは現時点で申し上げられない」とした。
●四十九日にもSNS更新なし やまぬ「国葬の是非」論争に沈黙貫く昭恵夫人 8/16
7月8日、参院選の応援のために訪れた奈良市で街頭演説中、凶弾に倒れた安倍晋三元首相。8月25日、四十九日法要が、東京都内の自宅で営まれた。
実弟の岸信夫首相補佐官ら、親族や事務所関係者が参列。自宅には、朝から喪服姿の参列者が相次いで訪れ、昭恵夫人らが供養をおこなった。
安倍元首相が亡くなった翌9日には、自宅を訪れた弔問客にも休みなしで対応するなど、昭恵夫人の甲斐甲斐しい様子は、たびたび報じられていた。
「報道陣に向けて、『熱中症にならないように、気をつけて』と、ペットボトルのお茶やスポーツドリンクを配る気遣いも見せていました」(全国紙記者)
11日におこなわれた通夜には、「お仏壇のはせがわ」で知られるはせがわの長谷川裕一社長はじめ、多くの関係者が訪問。長谷川社長は、当日の昭恵夫人の様子を「毅然とされていましたね。神々しいくらいですよ」と本誌取材に語っていたが――。
「“事件”以降、昭恵夫人の発信源であったFacebookは一度も更新されていません。国葬をめぐっても、昭恵さん含め“安倍家”は難色を示していたといわれていますが、岸田首相が開催を決定。
それについて、国葬の是非論争が、安倍元首相への個人的な批判にすり替えられるような事態がネット上で起きており、昭恵夫人の心身が心配されています。
葬儀では、昭恵夫人が安倍首相の遺体に頬ずりする場面もあったといいます。2人は政界きってのおしどり夫婦として知られてきましたから、昭恵夫人の悲しみは察するにあまりある。世間からどれだけ批判を浴びても、お互いに励まし合い、かばい合ってきました。
たしかに、安倍政権の功罪は議論に上がってしかるべき。しかし、ネットで飛び交ういき過ぎた発言を、昭恵夫人が見たらどう思うか……」(前出・全国紙記者)
無言を貫き、喪に服し続ける昭恵夫人。“思い”を語る日は来るのだろうか。
●安倍元首相「国葬」費用決定に立憲・泉健太代表「大いに乱暴なやり方」 8/26
岸田内閣は26日、来月下旬に執り行われる安倍晋三元首相の国葬の費用2億5000万円を閣議で決定した。
その内訳は今年度の予備費から支出されることになり、会場となる日本武道館の設営費やバスの借り上げ料金に充てられる。
これを受けて立憲民主党の泉健太代表は国会内で開いた会見で「われわれは法的な根拠がない独断の決定で国葬に反対、この費用も反対ということになります。岸田内閣は閣議決定を撤回して、安倍元総理の儀式のあり方を検討すべきだと思います」と主張した。
続けて「私自身は内閣葬、自民党合同葬、これまでの前例のほうが現時点では正しい。国葬については、法的には大喪の礼のみです。それを閣議決定だけで乗り越えるというのは、大いに乱暴なやり方です」
岡田克也幹事長も「総理はまず説明責任を果たしてもらいたい。2億5000万円と言いますが、警備費用、海外来る人たちの費用だとか結構かかります。私はもっと費用がかかると思います。正確に正直に(費用の)数字を示してもらいたいです」と語った。
2億5000万円の費用は、過去の首相経験者の葬儀での負担額を上回った。
「国葬をやる理由が明確に示されていないし、法的な根拠もない、謎だらけなんですね。国民からも国葬に反対する人が増えてきています。岸田総理はこれに危機感を持つべきだ。国葬に突っ走るんじゃなく、国会を開いて国民にわかるようにすることが求められています」
永田町では岸田内閣が閣議決定したことが内閣支持率の急落の一因と見られている。
●安倍元首相国葬で「弔意表明求めない」 松野官房長官が明言 8/26
松野博一官房長官は26日の閣議で約2億4900万円の支出を決めた安倍晋三元首相の国葬に関し「国民一人一人に弔意を求めるものであるとの誤解を招くことがないよう、閣議了解は行わない」と明言し、歴代首相経験者の葬儀の際に行ってきた地方公共団体や教育委員会などに弔旗掲揚などを求める閣議了解は見送る方針を明らかにした。
松野氏は2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬の際には、各自治体や教育委員会などに弔意表明に協力するよう求めたと説明したうえで「関係機関に対する弔意表明の協力等の要望を行う予定はない」と語った。
松野氏は経費の内訳について、日本武道館で執り行うための会場借り上げ料が約3000万円で、会場設営費用に約2億1000万円かかると説明した。中曽根氏の合同葬より「約5700万円の増加が必要となった」と指摘。理由については「合同葬の参列者数は約600人だったが、今般の国葬は約10倍の最大で6000人程度の規模を見込んでいる」とし、バスの手配、警備員や金属探知機の配置、海外からの要人に対応する同時通釈の手配などで合同葬より積み上がったと述べた。
●弔意表明、閣議了解見送り 国葬への賛否交錯踏まえ 政府 8/26
松野博一官房長官は26日の記者会見で、安倍晋三元首相の国葬が行われる9月27日に、過去の首相経験者の葬儀で行われてきた「弔意表明」を各府省に求める閣議了解を見送る方針を明らかにした。
国葬をめぐる世論の賛否が割れていることを踏まえた。地方自治体や教育委員会にも協力を求めない。
松野氏は「国民一人一人に弔意を求めるとの誤解を招くことがないよう、閣議了解は行わず、関係機関への協力要望も予定はない」と明言。ただ、閣議了解を見送っても、各府省で個別に黙とうなどを実施するかどうかは、「詳細を検討中だ」と述べるにとどめた。 
●蓮舫氏 安倍元首相の国葬に2.5億円支出「今後さらに経費はかかります」 8/26
立憲民主党の蓮舫氏(54)が26日、自身のツイッターを更新。この日、政府が9月27日に実施する安倍晋三元首相の国葬の費用として全額国費で約2億5000万円を支出することを閣議決定したことに言及。厳しく批判した。
蓮舫氏は「国民に反対の声が大きくても、閣議決定は絶対。政府の意思として安倍元総理の国葬経費2億5000万円が今朝、決定。警備費用等は含まれていません。今後さらに経費はかかります」と説明。岸田首相に対し、「聞く力とは何だったんでしょう、丁寧な説明はどこでされたのでしょう」と問い詰めた。
そして最後に「臨時国会開会を引き続き強く要請」と綴った。
●安倍元首相の国葬、政府が国会で早期に説明=茂木・自民党幹事長 8/26
自民党の茂木敏充幹事長は26日、安倍晋三元首相の国葬について、政府が国会で早いタイミングで説明する予定だと聞いていると記者団に述べた。野党が求めている国葬前の臨時国会召集についての質問に答えた。
政府は26日、安倍元首相の国葬費用を閣議決定した。茂木幹事長は「政府が国民に丁寧に説明してほしい」と要望した。「逝去に対して、内外から多くの弔意が寄せられている。海外の代表の方々に参列をしていただいて安倍元首相への敬意や弔意を表す儀式が行われるのは適切だ」とする半面で、国葬に当たって「喪に服することを地方公共団体、民間企業、国民に要請するものではない」と述べた。
●誤算だった国葬への「逆風」 政府、世論恐れ弔意表明要請できず 8/26
政府が26日に閣議決定した安倍晋三元首相の国葬の費用は2億4940万円となり、過去の首相経験者の葬儀での負担額を上回った。海外の要人も含め多くの参列者が見込まれることなどを挙げて国民の理解を得たい考えだが、国葬そのものへの反対論は根強く、内閣支持率の急落の一因ともなった。政府は弔旗掲揚などを求める閣議了解は見送るなど世論の動向に神経をとがらせている。
保守支持層へのアピールにも暗雲
「国民に対して喪に服することや政治的評価を求めるものではないことをしっかり説明していく」。松野博一官房長官は26日の記者会見でこう強調した。
1967年の吉田茂元首相の国葬では省庁の弔旗掲揚や黙とうなどの弔意表明のあり方について、閣議了解したが、安倍氏の国葬について松野氏は「国として閣議了解は行わない」と明言。自治体や教育委員会など地方機関に対する弔意表明の協力要請も「行う予定はない」と説明した。国民の間にある反対論に配慮し「抑制的」な対応に終始した。
国葬に対する「逆風」は政府にとって誤算だった。
国葬の実施は、岸田文雄首相の強い意向が反映された。7月8日に安倍氏が亡くなってからわずか6日後、首相自ら記者会見で発表した。同22日には国葬の日取りと会場を閣議決定。当時、官邸内にも異論はなく「(世論の)反響が質的に違う。だからこそ賛同が多い」と自信に満ちていた。
実際、当時は銃撃事件の衝撃は大きく、国民の間でも安倍氏を悼む姿が目立った。自民党本部の献花台には多くの人が足を運び、7月16、17日に毎日新聞と社会調査研究センターが実施した世論調査で、安倍氏の功績を「評価する」と答えた人は7割に上った。首相の早期決断はこうした当時の空気感を捉えたもので、政府内では国葬賛同者からの寄付を受け取るための「安倍基金」の創設案まで浮上した。
ところがその後、事件の背景として、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家との「関係」がクローズアップされると、状況は一変した。
首相は8月10日に内閣改造・自民党役員人事に踏み切ったが、新閣僚や党役員との「関係」が次々と判明した。毎日新聞と社会調査研究センターが20、21日に行った世論調査では、内閣支持率は16ポイント減の36%まで下落。国葬についても「反対」が53%と「賛成」の30%を上回った。自民党の閣僚経験者は「旧統一教会問題に対する世論は厳しく、国葬も裏目に出た」と嘆いた。
首相が国葬実施を主導したのは、もともと自身の指導力をアピールするとともに、安倍氏を支える保守支持層を引き寄せる狙いがあった。首相は国葬について「故人(安倍氏)に対する敬意と弔意を国全体として表す儀式」と強調してきたが、今回、弔意表明を求める閣議了解を見送るなど反対論に配慮する姿勢が際立ったことで、逆に安倍氏支持層の反発を招くリスクを抱えた。松野氏は26日、国葬当日に中央省庁で弔意表明を行うかどうかを問われ「検討中」と述べるにとどめた。保守層と反対論のはざまで対応は揺れている。
政府は15日に閣議決定した答弁書で、首相経験者の葬儀のあり方に関し「基準策定を含む法整備を行うことは考えていない」と明言した。だが、国葬開催の基準作りを求める声が今後、強まる可能性がある。
●安倍氏国葬に白菊7500本・記録映像5分・大型バス 政府が入札中 8/26
政府は、安倍晋三元首相の国葬のために一般競争入札を実施している。政府が公開している入札情報によると、国葬は27日午後2時から所用2時間程度を想定。参列者は最大6千人とし、外交団の参列者は1千人程度として同時通訳システムを使うという。
警備では、前々日の25日夜から会場周辺に警備員を配置する。会場となる日本武道館には複数の出入り口があるため、当日はセキュリティー対策としてゲート型とハンディー型の計24台の金属探知機を導入し、参列者らをチェックする。
会場設備については幅約30メートル、奥行き15メートル相当のステージを設け、遺影の写真パネルを置く。式壇の花の装飾は、過去事例として約6万5千本と記した。
会場での献花用の白菊は7500本。会場とは別に一般の人も献花できるようにして大型テントも用意する。国葬の様子は5分程度の記録映像作品として残すという。
参列者の送迎は、席数が45以上の大型バス105台と想定。過去の内閣・自民党合同葬の実績を勘案した。主に千代田区内の関係機関から日本武道館へのピストン運行を予定している。

 

●安倍元首相「国葬」費用総額見えず…警備費が別計上で《中抜き?》と疑う声 8/27
安倍首相が他国の国葬で“居眠り”疑惑…画像拡散で世界中の笑いものに 国葬は国民の半分以上が反対なのに…二階元幹事長は「やらなければバカだ」だって 支持率急落、コロナ罹患で暗転 岸田内閣は国葬がトドメになる予感
政府は26日の閣議で、9月27日に予定される安倍晋三元首相の「国葬」の費用について、今年度予算の予備費から約2億5000万円を支出することを閣議決定した。
内訳は、新型コロナ対策なども含めた会場の設営費などでおよそ2億1000万円、会場やバスの借り上げ費などでおよそ3000万円とされる。
一方、海外の要人対応などでかかる周辺警備の費用は含まれない。会場には日本武道館の外に、献花台を設け一般からの献花を受けることも発表されている。表向きは2億5000万円だが警備費用は“別腹”なのだ。これにはSNSで疑いの声があがる。
何しろ政府には、"前科"があるからだ。昨年開催された東京五輪・パラリンピックも、「コンパクト五輪」と謳われ、当初予算は7000億円とされていたが、結果的に3兆円超に。さらには、大会組織委員会元理事の汚職事件にまで発展した。
それだけにツイッターでは、《五輪の時だってコンパクトとか言ってどんどん経費増やしただろ》《安倍晋三の国葬ずいぶん値切ったと思ったら警備費別とか詐欺師みたいなことしてるな これオリンピックと同じでコンパクト五輪とか言いながら何倍にも予算膨れ上がって中抜き連中がわくやつやろ》《正確には2億5000万円に諸経費がプラスされるからこの額では済まない。正確な費用を隠そうとするとか相変わらず自民は姑息。五輪のようになりかねない。で、中抜きはいくらなんだよ?》といった懐疑的な声があがっている。
多くの人は、政府にまた裏切られると感じているようだ。
●安倍元首相の国葬費は過去最大2.5億円 しかも警備費や要人接遇費は別  8/27
政府は26日の閣議で、9月27日に予定する安倍晋三元首相の国葬の費用として一般予備費から約2億4900万円を支出することを決定した。国葬への国民の賛否が割れる中で、戦後の歴代首相の葬儀に対する国費支出額として過去最大となる。費用には警察による警備費や海外要人の接遇に使う経費は含まれておらず、さらに膨らむ。参列者は最大で約6000人を見込む。
費用の内訳は、会場となる日本武道館の借り上げ料に約3000万円、会場の設営費などに約2億1000万円。設営費には、会場の装飾や新型コロナウイルス対策のほか、金属探知機など警備強化、海外要人向けの同時通訳の費用などを充てる。参列者の会場への送迎バス代も盛り込む。会場の外に一般向けに献花台を設置する。
これ以外の警備や警護、外国要人の接遇などは「通常発生する業務の延長」(鈴木俊一財務相)とみなし、今回の予備費支出に盛り込まれていない。
全体の予算規模について鈴木氏は「現時点で確たる額を言う段階にはない」と明らかにしなかった。野党は国葬実施について法的根拠がないとして国会審議を求めていたが、政府は国会審議を経ずに支出できる予備費の活用を決めた。
国費投入額として過去最大だったのは、1988年に行われた三木武夫元首相の衆院・内閣合同葬。この時は約1億1871万円だったが、今回はその2倍超となる。
松野博一官房長官は閣議後の記者会見で、中曽根康弘元首相の合同葬の参列者は約600人だったが、安倍氏の国葬参列者がその10倍の6000人を見込むため、費用が増えると説明した。参列者は吉田茂元首相の国葬と同規模となる。
松野氏は「国民一人一人に喪に服することや、政治的評価を求めるものではない」と強調。誤解を招かないため、各府省庁に弔意表明を求める閣議了解は行わないとし、「地方公共団体や教育委員会などの関係機関に弔意表明の協力を要望する予定はない」と明言した。各府省庁での弔旗掲揚は「検討中」とした。ただ、国葬は国を挙げて営む国家的行事であり、国葬実施が自治体などへの圧力になるとの懸念は残る。
新型コロナの感染対策も課題となる。国葬会場と同じ日本武道館で8月15日に行われた全国戦没者追悼式では、参列者を最大1400人に抑えた。
各世論調査「反対」が大勢
安倍晋三元首相の国葬に対する国民の目は厳しい。報道各社が国葬実施決定後の7月末以降に行った世論調査を見ると、「反対」が「賛成」をほとんど上回っている。
政府は7月22日の閣議で国葬実施を決定した。時事通信が今月5日から8日にかけて、安倍氏の葬儀を全額国費で負担する「国葬」として実施することへの賛否を聞いたところ、反対47・3%、賛成30・5%で、反対が17㌽近く上回った。
NHK、毎日新聞と社会調査研究センター、産経新聞とFNNもそれぞれ世論調査を行ったが、国葬実施についていずれも反対が5割以上で、賛成を上回った。
共同通信の7月末の調査でも「どちらかといえば」を含めた反対は約53%で、「どちらかといえば」を含めた賛成の約45%を上回った。
一方、読売新聞が今月実施した調査では、政府が国葬の実施を決めたことに対し「評価する」は49%、「評価しない」は46%だった。
●与党、国葬への理解に腐心 「法的根拠なし」野党追及 8/27
故安倍晋三元首相の国葬に約2.5億円の国費支出が閣議決定されたことを受け、与野党は9月初めにも開かれる国会の閉会中審査で政府に詳しい説明を求める方針だ。世論の賛否が二分する中、与党は国葬の意義を丁寧に説明させることで国民の理解を得たい考え。野党は岸田文雄首相の出席を求め、法的根拠や警備費も含めた全体費用をただし、国葬の問題点をあぶり出す構えだ。
自民党の茂木敏充幹事長は26日、閣議決定について「安倍元首相に対する敬意や弔意を表す儀式が行われることは適切だ」と評価し、「政府が国民に丁寧に説明してほしい」と求めた。政府が「弔意表明」を求める閣議了解を見送ることを踏まえ、「喪に服することを地方公共団体、民間企業、国民に要請するものではない」とも強調した。党本部で記者団の質問に答えた。
公明党の石井啓一幹事長も記者会見で、国費を支出する根拠などに関し「理解を得られるよう説明していただきたい」と注文を付けた。
これに対し、立憲民主党の泉健太代表は会見で「国葬に法的根拠がない。基準がない。認めるわけにはいかない」と重ねて批判。閉会中審査に首相が出席するよう求めた。国費支出が決まった2.5億円には会場周辺の警備費は含まれておらず、泉氏は「警備費も含めたら20億円を超えると言われている」と言及した。
閉会中審査について、与野党は衆院議院運営委員会で行うことで合意している。自民党国対関係者によると、具体的な日程や段取りを決める理事会は早くても31日になるため、閉会中審査は9月1日以降になる方向。自民党は首相ではなく、松野博一官房長官を出席させる考えだ。
●根拠・基準、明確さ欠いたまま 政府、安倍氏国葬に国費 8/27
岸田内閣は26日、安倍晋三元首相の国葬への全額国費支出を閣議決定した。戦前の「国葬令」が廃止されて以降、首相経験者の国葬は吉田茂氏の1例しかない。政府は「行政権」の範囲内で開催可能と主張するが、法的根拠や判断基準についての説明は明確さを欠き、論争の火種となっている。
松野博一官房長官は閣議後の記者会見で、憲政史上最長の在任期間などを理由として列挙。閣議決定に基づく国葬開催は「行政権の作用に含まれる」と正当性を強調した。
閣議決定に基づき国葬を実施した1967年の吉田氏の例では、その法的根拠が国会審議などでたびたび問題になった。水田三喜男蔵相(当時)は翌68年、国葬に法令上の根拠はないと認め、「やはり何らかの基準をつくっておく必要がある」と発言した。
69年には床次徳二総理府総務長官(同)が「法の制定を含めて検討したい」と踏み込んだが、藤田正明総務長官(同)は77年の答弁で「閣議決定によって行われるべきだ」と軌道修正。政府は現在もこの見解を引き継いでいる。
首相経験者の国葬に関する基準の曖昧さは、その時々の政治情勢が政権の判断に入り込む余地を残した。
75年の佐藤栄作氏の葬儀では、長期政権や沖縄返還実現、ノーベル平和賞受賞などを理由に、国葬を推す声もあった。しかし、当時の三木内閣は、内閣・自民党・国民有志による「国民葬」とすることを決定。国葬の法的根拠が不明確なことに加え、野党の抵抗が予想され、押し切れないとの判断があったとされる。
松野氏は、首相経験者の葬儀の在り方について「これまでもその時々の内閣でふさわしい形を判断してきた」と強調。一方、国葬をめぐる国会審議にはいまだ応じておらず、その妥当性は客観的に判断しがたい。
立憲民主党の泉健太代表は26日の記者会見で「法的根拠や基準がないものを認めるわけにいかない」と政府の姿勢を批判した。 
●安倍元首相の「国葬に反対」 市民ら400人、神戸でデモ  8/27
9月27日に行われる安倍晋三元首相の国葬に反対するデモが27日、神戸・三宮であった。東遊園地を起点に約400人(主催者発表)が行進し、「安倍政治をたたえる国葬に反対」と声を上げた。
兵庫県内の市民団体でつくる「市民デモHYOGO」などが主催した。
参加者らは東遊園地で集会を開き、「国葬には法的根拠がない」「国民に事実上弔意を求めている」などと主張。その後、三宮センター街で「国葬は税金の無駄遣い」と訴えながら、JR元町駅までの約1・2キロを歩いた。
「市民デモHYOGO」世話人の西信夫さん(74)は「国葬に反対する人も多い中、岸田政権は民意を無視して実施しようとしている。もっと国民の声に耳を傾けてほしい」と話していた。9月17日午後にも三宮でデモを予定しているという。
●橋下徹氏 安倍元首相の国葬実施で抜け落ちている議論指摘 8/27
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(53)が、27日配信のABEMA「News Bar橋下」(土曜後9・00)に生出演し、銃撃を受け死亡した安倍晋三元首相(享年67)の国葬について私見を語った。
政府は26日、9月27日に実施する安倍元首相の国葬の費用として、22年度予算の一般予備費から2億4940万円を支出することを閣議決定した。
橋下氏は国葬実施の是非について「僕は安倍さんは国葬に値すると思う」と、賛成の意向を示した。一方で、そもそも国葬の性質を問う議論がないことを懸念。「“これが国葬”と言った時に、内閣主導なのか、それとも憲法に基づいた国事行為に当たるのかどうかというところの議論をすっ飛ばしている気がするのは(どうなのか)」とし、「いきなり内閣が閣議決定というのはどうなの?って」と、政府の決定方法にも苦言を呈した。
橋下氏によると、日本はこれまで「国葬なので、国に貢献した人がどうまつられるべきか考えてこなかった」という。「だから、国葬はどういうものなのかという議論をすっ飛ばしている状況は、僕は反対なんですよ。国葬に値すると思うけど、国事行為なのか、内閣の行為なのか。国葬というんだから、国事行為ということもありうる」と、自身の中でも見解が出ていない様子だった。
●金平茂紀氏 国葬「全国民反対でも閣議決定なら実施」政府見解を批判 8/27
キャスターの金平茂紀氏が27日、TBS系「報道特集」(土曜後5・30)に生出演し、7月に銃撃され死亡した安倍晋三元首相(享年67)の国葬実施をめぐる論議で、政府を厳しく批判した。
立憲民主党の国対ヒアリングが23日、開催され、政府側からは文科省、内閣府、内閣法制局から官僚が出席。「全国民が国葬に反対しても、閣議決定さえすれば、税金を使って国葬は可能か」といった質問に対し、政府側は「内閣が意思決定すれば、行政はその通りに動く」と答えた。
金平氏は「安倍元首相の国葬をめぐり、国民の賛否が大きく分かれる中、内閣法制局の担当者が野党ヒアリングでこんな主旨の答弁をしていました。“全国民が国葬に反対しても閣議決定をすれば国葬は実施できる”」と指摘。「かつては法の番人と言われた内閣法制局の現在の、実に情けない姿です」と厳しい言葉で批判した。
政府は安倍元首相の国葬を9月27日に実施することを閣議で決定したが、全額国費で行われることなどから国民の間で賛否が分かれている。
●「なんでもかんでも閣議決定でやったら大間違い」野党議員や作家が反対デモ 8/27
27日夕方、東京・新宿で野党の国会議員や市民らが安倍元総理の国葬に反対するデモを行いました。
「国葬やめよう!国葬やめよう!」
午後5時から新宿駅西口広場で行われたデモには、野党の国会議員や市民ら数百人が参加し、政府が来月27日に行う安倍元総理の国葬に反対の声を上げました。
社民党 福島みずほ参議院議員「何でもかんでも閣議決定でやれると思ったら大間違いだ。(国葬を)やれないですよ、やれないですよ。なんで勝手に内閣だけでやれるんですか」
作家 落合恵子氏「首相に聞きましょう。聞く力を大事にするとおっしゃるならば、ご自分たちに都合のいい声だけを聞かず、反対の声を聞くのが民主主義です」
デモに参加した女性「モリカケ、桜、赤木さんのことについても、ちゃんと明らかにしてもらいたいなと思う。そちらの方にお金を使ってもらいたいと思います」
JNNや各報道機関が実施した国葬に関する世論調査では、「反対」が「賛成」を上回っていて、今後も都内では複数のデモが予定されています。
●誰のためかわからない「国葬」費用はかさみ、昭恵夫人の “難色” も無視 8/27
8月26日、政府は安倍晋三元首相の国葬費用を閣議決定。警備費を除き、2億4940万円だという。
「2020年、中曽根康弘元首相の『内閣・自民党合同葬』が、全体の費用約1億9000万円を、内閣と自民党で折半する形で実施されています。
数千人の参列を見込んでいましたが、コロナ対策の必要性から最終的に政界関係者や近親者ら644人に規模を縮小、都内のホテルで営まれました。
今回もこれくらいの規模感か、という声は多かったのですが、10倍近い参列者で、武道館で営まれるとなると、必要経費が膨らむ可能性が懸念されていました」(政治部記者)
7月に銃撃事件で亡くなって以降、安倍晋三元首相の国葬については、さまざまな議論を呼んでいる。
「安倍元首相が亡くなって6日後、岸田首相が会見で国葬の実施を発表。安倍氏の死後も、保守層が離れていかないようにという目論見もあったと思います。
当初から、安倍政権の功罪に焦点が置かれ、国葬について賛否の声があがっていましたが、自民党と旧統一教会との関係が連日報じられるようになると、事態は深刻化。毎日新聞と社会調査研究センターがおこなった世論調査では、内閣支持率は36%まで下落。国葬についても『反対』が20%も上回っているのです。
26日の会見で、松野博一官房長官は『国民に対して喪に服することや政治的評価を求めるものではないことをしっかり説明していく』と語りましたが、やはり世論は気になるよう。実際、弔旗掲揚などの要請は見送っています」(同)
そもそもこの「国葬」、旧統一教会問題が取りざたされるようになる前から、昭恵夫人は “難色” を示していたという。7月、永田町関係者は本誌記者にこう教えてくれている。
「死去の直後から、内閣や自民党幹部がすぐさま『安倍元首相を国葬に』と口にし始めましたが、その際に昭恵夫人の意志を確認していなかったようです。『妻である私に聞く前に勝手に国葬と言いだすなんて』という思いがあるのでしょう。実際に安倍家側からは国葬辞退の意向も出ているそうです」
安倍家に詳しい政治ジャーナリスト・野上忠興氏も、こう語っていた。
「昭恵夫人一人が主導して辞退しようとしているわけではなく、国葬には “安倍家” 自体が難色を示しているのです。このままの形で実施されたとしても、式典で脚光を浴びるのが、安倍元首相と敵対していた岸田首相や、地元・山口でのライバルである林芳正外相になるのでは……という危惧があるんです。『そんな形で “非業の死” を利用されるくらいなら』ということですよ」
費用はかさみ、昭恵夫人の意思は無視。強硬に開催の姿勢を見せるわりには、弔意表明の要請にも二の足を踏んでいる……そんなに “迷走” するなら、いったい誰のための国葬なのだろうかーー。
●「絶対やって良かったとなる」安倍氏国葬の世論二分…弔問外交に託す政権 8/27
安倍晋三元首相の国葬は、費用約2億5千万円の全額を国費で支出することが閣議決定された。ただ、幅広く支持を得られると踏んでいた政府の思惑は外れ、反対がじわじわと高まり世論は二分。焦りを募らす政府は、国民に弔意を無理強いしない方針を強調するなど反発回避に腐心するが、法的根拠の曖昧さなど見切り発車のつけが政権への逆風を強めている。
弔意表明の協力見送り
「国民一人一人に喪に服することや政治的評価を求めるものではない」。松野博一官房長官が26日の記者会見で国葬の意義と合わせて強調したのが、反対世論への配慮だった。過去の首相経験者の葬儀で要請してきた弔意表明への協力を見送る方針も示し、「国際社会から寄せられた多くの弔意に礼節を持って丁寧に応えることも重要だ」と理解を求めた。
岸田文雄首相が国葬を決断したのは安倍氏の死からわずか6日後だった。安倍氏を支えた岩盤保守層のつなぎ留めを念頭に、日程や会場も矢継ぎ早に決定。当初は好意的な受け止めも多く、首相周辺は「野党は反対しても自分たちの支持率が下がるだけだ」と余裕を見せるほどだった。
相次ぐ訴訟、監査請求
ところが、時間がたつにつれて否定的な雰囲気が強まっていく。首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来、戦後2例目。政府は内閣府設置法を根拠に実施の正当性を主張するが、「なぜ安倍氏だけ特別なのか」「弔意を押し付けるのか」と徐々に反発が広がり、違憲訴訟や監査請求も相次ぐ。
国葬に関する国会審議に及び腰な政権への批判も高まり、報道各社の調査では反対が賛成を上回る状況に陥っている。
弔問外交の意義前面に
批判の矛先をそらしたい政府、与党は各国の要人が集う「弔問外交」の舞台となる意義を前面に出し、内容も「弔問客を受け入れる最低限の様式で派手にしない」(政府高官)。費用は2020年に行われた中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬の約1億9千万円を引き合いに「参列者が大幅に増えることや警備強化を考えれば簡素で妥当だ」(自民党幹部)と訴える。
国葬まで1カ月。反発がさらに強まるのか、弔いムードの高まりで容認論が広がるのか−。首相周辺は安倍氏が力を注いだ外交実績に期待を込めてこう望みを託す。「海外の評価を見て世論は絶対に国葬をやって良かったとなるはずだ」

 

●安倍氏国葬、マクロン氏は見送り 仏、元大統領ら派遣検討 8/28
9月27日に行われる安倍晋三元首相の国葬に関し、複数のフランス政府関係者は27日、「できるだけ高位」の人物を派遣することを検討していると明らかにした。サルコジ元大統領やオランド前大統領らが念頭にあるとみられる。マクロン大統領は内政の予定で訪日しない方針。
関係者は、マクロン氏が安倍氏と非常に良好な関係にあったと指摘。死去後にマクロン氏はパリの日本大使公邸を弔問に訪れ「安倍氏の家族、日本の全国民にお悔やみとフランスの友情を伝えたかった」と語った。
19年に行われた天皇陛下の「即位礼正殿の儀」にはサルコジ氏がマクロン氏に代わり参列した。
●岸田首相隠しか 国葬問題“お茶濁し” 閉会中審査は松野官房長官出席 8/28
安倍晋三元首相の国葬費用について、政府が26日の閣議で予備費から約2億5000万円を支出すると決定したことを受け、永田町の関心は国会の閉会中審査に移りつつある。国論を二分する国葬について審議する場で、最大の焦点の一つが岸田文雄首相の出席問題。与野党協議の行方が注目される。
政府は国葬について、内閣府設置法が定める「国の儀式」として閣議で決定できると主張。曖昧さが残り、「法的根拠がない」(立憲民主党・泉健太代表)と批判を強める野党は、今月上旬の臨時国会での審議を要求したが、自民党は応じず、国会はわずか3日で閉会。こうした経緯があり、与野党で合意したのが衆院議院運営委員会での閉会中審査だ。9月上旬に開催されるとみられている。
日程などを決める今後の理事会でもめそうなのが、野党が求める首相の出席扱い。新型コロナウイルスに感染した首相は、31日から通常の執務に復帰する見通し。共産党の小池晃書記局長は「首相が自分の口で説明するべきだ」と訴えている。
しかし、自民党は松野博一官房長官でお茶を濁す方針。自民党関係者は「通常の委員会審議でも、まずは担当大臣。いきなり首相という話にはならない」と指摘した。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政務三役、自民党議員との接点が次々と明らかになり、批判の炎が燃えさかる中で、傷口を広げたくないとの思惑もにじむ。
そもそも国葬実施は首相自身の判断によるところが大きい。銃撃事件からわずか6日後の7月14日の会見で表明。同22日に早々と閣議決定された。国民有志も主催者に入れた「国民葬」も検討されたが、政権基盤のぜい弱な首相が、最大派閥の安倍派に配慮するなどして決断したとされ、野党が“岸田隠し”と反発を強めるのは必至だ。
執行部を刷新し「提案型」から「対決型」へ回帰した立民。再登板となった安住淳国対委員長は「戦う国対」と鼻息を荒くしており、首相出席問題は格好の見せ場。約2億5000万円は、会場周辺の警備費は含まない見せかけのものだとして、審査では実質的費用についてもただす方針。
共同通信社の8月の全国緊急電話世論調査では、国葬を巡る首相の説明に「納得できない」との回答は56・0%。政府関係者は審査が1回で終わるか不透明とした上で「国民の関心も高い。一度も首相を出さないのは逆効果で、内閣支持率がさらに低下しかねない」と懸念を示した。
●安倍晋三の国葬に異議あり 「反日邪教」を持ち上げた偽りの「保守」 8/28
「反共」だが「反日」統一教会の奇々怪々
浅田 母親が統一教会(世界平和統一家庭連合)に入れあげて破産、人生設計が狂ったことを恨んだ男性が、統一教会幹部を殺すのは難しいから、代わりに祖父の岸信介元首相の代から統一教会と関係の深い安倍晋三元首相を殺害。それをきっかけに統一教会が自由民主党、とくに「右翼」の安倍派と、いまもって選挙応援などで広く深く結びついてることが明るみに出た。
神道系右翼の日本会議の方が目立ってたけど、統一教会もまだ根を張ってたんだなあ。確かに、北朝鮮で投獄され朝鮮戦争で韓国に逃れた文鮮明が興した宗教だから、反共意識が強く、岸が笹川良一のような右翼を通じて結びつき勝共連合をつくらせたのも不思議はない。
だけど、底流には反日意識もあって、日本人信者は植民地支配の罪を償うため韓国人信者の十倍も二十倍も貢げっていうわけでしょ? 現に霊感商法でカネを巻き上げることが問題化したのは日本で、韓国やアメリカではその種の問題は注目されてない。他方、反共だった文鮮明も晩年には北朝鮮との和解を目指してた。日本ナショナリズムを前面に押し出す自民党右派がそんな団体に選挙応援をしてもらってたとは! 
僕が大学に入った1975年当時はまだ大学に統一教会系の原理研究会があって、僕も含めたいわゆるノンセクト・ラディカルにとっては新左翼の革マル派や中核派と並ぶ警戒対象だったから、ちょっと調べてみて、「淫祠邪教(いんしじゃきょう)」って古語を思い出したな。
イエスは霊の救済を行なったものの独身者として子孫を残さずに死んだ失敗したメシアだ。文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクジャ)夫妻こそ霊と肉の救済を行なう真のメシアで、夫妻のもと信者同士が集団結婚して無原罪の(アダムとイヴが知恵の果実を食べて裸であることを恥じるようになりエデンの園から追放される、その原罪から解き放たれた)種族が増えていくことで人類は救われる、と! 
キリスト教から見れば異端っていうより異教に近いでしょう。で、朝鮮がアダムなら日本はイヴ、端的に言って朝鮮半島が男性器なら日本列島は女性器、そのくせ女だてらに朝鮮を植民地支配した罪を償うために日本はどんどん貢げ、と。逆「慰安婦問題」って言っちゃうと不謹慎に過ぎるだろうけど、日本人女性信者は、経済力や学力がないから、あるいは病気や障碍があるから結婚できないでいる韓国人男性信者と、集団結婚で結ばれて、身をもって奉仕せよ、と。
田中 その1点だけでも、「統一教会」と関わりを持った政治家は「公職追放」だ、と朝鮮半島や中国大陸を見下してきたエセ「保守」ネット右翼の面々は狼煙(のろし)を上げるべきなのにね。日出ずる国を「ド壺」に陥れた輩は反共「レッド・パージ」ならぬ統一壺「ポット・パージ」だと! 
ベニート・ムッソリーニを信奉する「大衆右翼」を自負し、右翼団体の「国粋大衆党」を戦前の1931年(昭和6年)に結党した笹川は、敗戦後は競艇事業を担う全国モーターボート競走会連合会(現在の日本モーターボート競走会)の収益金を元手に日本船舶振興会(現在の日本財団の前身)を創設。「私は日本で一番金持ちのファシストだ」と1972年に米誌『タイム』で答えている。出生地の大阪府箕面市の名誉市民でもある彼は、言われなき迫害を受けたハンセン病患者の救済にも力を注ぎ、良くも悪くも端倪(たんげい)すべからざる毀誉褒貶(きよほうへん)喧(かまびす)しき人物ではある。
その彼が「私は文鮮明の犬である」と述べていたんだから、我が家のトイ・プードルのロッタの執事を自任する僕もビックリだよ(苦笑)。そうして1982年の合同結婚式では「天を中心とした理想と信念のもとに指導し教育しておられる文鮮明先生を私が心より尊敬する所以であります」と岸が礼賛するメッセージが読み上げられた。
党派性の強すぎる国葬
田中 ところが「反共」で日本の「保守」と連帯していた筈の統一教会は1991年に文鮮明が平壌を訪れ、金日成(キム・イルソン)と朝鮮民族としての“兄弟の契り”を交わしてしまう。朝鮮民主主義人民共和国は1972年以降、マルクス・レーニン主義を脱却して「自主・自立・自衛」を掲げる主体思想(チュチェササン)を確立したから問題なしという屁理屈だろうけど、その北朝鮮に平和自動車という合弁企業の自動車製造会社を統一教会は設立した。
資本関係を現在は解消と主張しているけど、霊感商法で社会問題化した資金源の少なくとも7割以上は日本からの献金だと「ワシントン・ポスト」も報じているから、謂わば日本から北朝鮮への「迂回献金」だ(文が1982年にワシントンD.C.で創刊した紛らわしい名称の日刊紙『ワシントン・タイムズ』を三浦瑠麗が「宗教色はほぼなく、保守系新聞としてふつうの実務家にも読まれている」と香ばしく持ち上げて失笑を買っているし、同じく文が1975年に東京で創刊の日刊紙『世界日報』に関するWikipediaに登場する数々の著名人も香ばしい)。
平壌に支局を日本メディアとして初めて2006年に開設した共同通信社は、「統一教会創設者の遺族に弔電 北朝鮮、90年代から関係」と見出しを打って、死去から10年を迎える文の遺族に北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会が弔電を8月13日に送ったと報じた。
「嫌韓・憎韓」を掲げて商売してきた『Hanada』『WiLL』『正論』の月刊3誌は「反日邪教」に騙されたと悲憤慷慨すべきなのに、黙して語らずのヘタレ振りだ。というか、結果的に片棒担いだ我々は愚かでした、と素直に懺悔すべきだよ。
浅田 いずれにせよ、岸信介から安倍晋三に至る自民党右派は、現在の日本会議につながる神道系右翼のみならず統一教会のような反共反日集団まで選挙に動員する極端な存在だったのが、今世紀になると、吉田茂から池田勇人や宮沢喜一をへて岸田文雄にいたる「保守本流」を押しのけて主流になった。それが異常だってことは改めて意識しといた方がいい。
その意味でも安倍元首相の国葬は大問題だね。たしかに選挙運動中に凶弾に倒れた政治家を特別に追悼するのはおかしくないけど、それなら棺を乗せた霊柩車が国会や首相官邸を巡り衆参両院議長や首相を初めとする多くの政治家が見送った、あれで十分でしょう。
そもそも戦後の日本では国葬は法的根拠を持たないんで、吉田茂元首相の国葬(1967年)さえ問題ではあった。しかし、敗戦後、占領軍のダグラス・マッカーサー司令官と渡り合い、サンフランシスコ平和条約調印に漕ぎ着けた吉田、アメリカから再軍備を求められ警察予備隊あらため自衛隊をつくったものの平和憲法改正はしなかった吉田を、多くの国民が戦後日本の礎を築いた人物と見てたのは確かだろうし、そもそも1954年に首相を辞してからずいぶん時間が経っていた。
他方、安倍は強引な手法で日本を右の方へ引っ張っていったdivisiveな(融和ではなく分断を引き起こす)人物で、右翼には支持されてもそれ以外からは警戒されてたし、死ぬまで現役だったから、自民党葬ならともかく国葬には党派性が強すぎる。海外の首脳から弔電が殺到したとか言うけれど、ナショナリストを気取りながら実はアメリカべったり、ドナルト・トランプ前米大統領のような最低の人物にまで平気ですり寄ったんで「うい奴じゃ」と思われただけでしょう。
そういえば、国会でも議員が亡くなると反対党の議員が追悼演説をするのが普通だった。前に河野洋平元衆議院議長が言ってたよ、国会での演説で感動するのは追悼演説くらいのものだ、と。それが、安倍の場合は「お友達」の甘利明自民党衆議院議員がやることになりかけ、さすがにもめて先送りされる始末。このこと自体、国葬にふさわしくない人物だったことを物語ってる。
『月刊Hanada』の「緊急アンケート」
田中 先月も触れたように、家庭連合=統一教会会長の田中富広が7月11日午後に一方的な弁明会見を開くまで、「暗殺」から丸3日間も固有名詞を出さずに「とある宗教団体」の表現で忖度する一方で、250以上の国・地域・機関が1700件を超える弔電を送ってきたと政府広報係を務めていた新聞やTVも、最近では「国葬」反対が賛成を上回ると世論調査の結果を伝えている。産経新聞が8月20日、21日に実施した世論調査でも反対51%、賛成40%。政権維持の為に法的根拠のない「国葬」をぶち上げたと国民の多くに見透かされてしまったんだね。
ところが往生際の悪い面々は、「『反対』が79・7%で『賛成』の4倍以上」と『文春オンライン』が報ずるや、メールマガジン登録者を対象に実施した「公正さ」を欠く数値だと脊髄反射ツイート。
対抗して『月刊Hanada』が「嘘偽りなき愛国者の国葬緊急アンケート」を8月17日早朝からツイッター上で始めると、スタート当初は僅か2%だった「国葬」反対派が過半数を占めてしまう勢いに。しかも7日間で投票総数が60万票を突破。花田紀凱(かずよし)編集長の古巣の文藝春秋の回答者2981人よりも母数は遙かに多い。
でもね、SNSという単語が使われる遙か前に筑紫哲也が述べたように「インターネットは便所の落書き」(苦笑)なんだから、柳に風で泰然自若とやり過ごしてこそ太っ腹な「真の保守」だぜ。
なのに、「香山リカ、東ちづる、松尾貴史、ラサール石井も参戦! 皆さま、是非ご投票下さい!」と連続ツイートで賛成派に蜂起を促し、「動員がかかって(賛成派が)再逆転しているようです」と松尾が呟くと「松尾貴史さま 再逆転されて悔しいのはわかりますが、デマはおやめください。 まだ投票されていない皆様、ぜひ、ご投票ください!」「51万票を超えました。Twitter史上最大規模ともいわれておりますこのアンケートは、どなたでもご投票頂けます。是非ご参加下さい。」1人一票とは限らぬツイッターの「アンケート」なのに全力投球。
結果は「賛成51%・反対47%・どちらともいえない6%」。他の世論調査と異なり辛うじて賛成が過半数。そこにぶら下がるツイッタラーの膨大な「賛成」「反対」押し問答を眺めると、両陣営共にエネルギーを投下する場所が他に見付からない日本の哀しさを体現しているね。
三浦瑠麗が「大喪の礼」を「たいそう」でなく「たいも」と、したり顔で誤読したのを、事前収録にも拘らず撮り直しせずに「ワイドナショー」で流した天下のフジテレビにも話題が集中した。
“ポスト田ア史郎”を目指している古市憲寿に至っては、「政治家って票集めの為なら何でもする人達で、当然宗教団体とも付き合うし、他の組織とも付き合う」と擁護。「あまりに統一教会批判がヒートアップすると容疑者の思う壺だ」とアクロバティックな妄言まで吐いて、さしもの「ワイドナショー」で泉谷しげるに「なに言ってんだ、こいつ」と一刀両断される始末。
「フランスはある種、戦前の日本に似ているが国家が宗教を付き従えている。一方でアメリカは宗教的自由を重んじる。日本はどっちを目指すのか。統一教会だけをバッシングしても生産性がない」という支離滅裂な発言に至っては、ただでさえ地盤沈下中の「社会学者」のイメージを更に自ら貶(おとし)めてくれた。天晴れだ。
地域を浸食していった統一教会
浅田 もちろん信教の自由は守らなきゃいけない。だけど、統一教会やオウム真理教のように強引な布教と洗脳のあげく多くの被害者を出し社会を脅かすようなケース、あるいはタリバンや「イスラム国(IS)」のように過激な神政政治を目指すようなケースは、当然、法的・社会的に規制すべきでしょう。
田中 「FRIDAY」は、「合同結婚式」経験者で大阪市議会議長を務めた大阪維新の会の市議会議員について報じている。
大阪府知事から大阪市長へと転職した松井一郎の地元として知られる八尾市と大和川を隔てて隣接する松原市で、国から移管を受けて大阪府が維持管理を担当する国道309号線の歩道や中央分離帯の植樹帯を清掃する活動に「世界平和統一家庭連合」が参加していると、「国道沿いの看板に『旧統一教会』 役所が清掃活動にお墨付き?」の見出しで『毎日新聞』がスクープした。
「自助・共助・公助」の時代に“相応しく”、地域住民が行政の下働きを担う「アドプト・プログラム」と称する取り組みだ。「この歩道は、大阪府アドプト・ロード・プログラムにもとづき、『世界平和統一家庭連合』が清掃活動をしています。令和3年9月認定 大阪府富田林土木事務所 松原市役所」と記された看板には「アドプト・ロード 河内の国 福地化・松原地区」と大書きされている。この「福地化」というのは統一教会独自の用語で「反共」の砦としての活動拠点を意味するらしい。
同じく南河内の富田林市での「福地化」協定は2016年。大阪の高校を退学後に笹川良一が理事長を務めていた福岡工業大学附属高校に編入した松井一郎が、奇しくも府知事だった時代の協定だ。これも「偶然」とは言え、住之江競艇場の電飾関係を牛耳る(株)大通の創設者が松井の父親で、現在は彼の弟が経営者。
笹川の出身地の箕面市では全国大学連合原理研究会CARP(原理研)が子ども向けの科学実験の講座を毎月2回、17年前から市内各地の小学校で開いていたのも遅まきながら明るみに出た。
こうして統一教会が全国各地の地域コミュニティを侵食していく中で、数千億円規模の献金が数多くの家族の悲劇を生み、今回の「暗殺」へと至った。
なのに、文部科学大臣の永岡桂子は8月10日の就任会見で「憲法でも保障される信教の自由がある」「宗教法人の規制や取り締まりを目的としていない宗教法人法には手を付けずに被害の救済をするのが良い」と答えている。駄目だねぇ。最早、宗教法人でなくカルト集団なのだから、オウム真理教同様に解散命令を出すべきだよ。
爆笑問題の太田光が「悪いカルトと認定できていないから注意深く議論しろ」と相も変わらず明後日な発言をすると、杉村大蔵が「一般信者への差別の助長に繋がってはいけない」とニワカ人権派を気取ってるけど、アホちゃうか。解散させることが苦悩する信者二世の救済にも繋がるんだよ。
とまれ、負のイメージを払拭すべく前倒しで内閣改造を行った筈が「ど壺Ⓒ松尾貴史」に嵌まって次から次へと関係が明らかに。遂には〈改造しても「統一教会」ベッタリ内閣 「萩生田政調会長」がつないだ「カルト」と「生稲晃子」〉と『週刊新潮』が特集。「一緒に日本を神様の国にしましょう」発言まで発覚した。更には岸田文雄が広島の統一教会幹部と笑みを浮かべて2人で収まった写真も『FRIDAY』が掲載。 ぬかるみの世界。底なし沼だ。
「黄金の三年間」ならぬ「呻吟の三年間」となるのでは、と前回の前編の最後で述べたけど、 早くも「苦渋の三年間」どころか「泥沼の三年間」だね。 
●安倍 元首相の国葬に反対する集会 長崎市で実施  8/27
安倍 元総理の国葬に反対する集会が、27日 長崎市で開かれました。
長崎市の鉄橋には市民団体のメンバーなど約60人が集まり、安倍 元総理の国葬は「法的根拠を持たず憲法にも違反している」「国民に弔意を押し付けている」などとして反対の声を上げました。
国葬は、9月27日に東京の日本武道館で営まれ、政府は26日の閣議で約2億5000万円の支出を決めました。
国葬をめぐり、松野 官房長官は弔意の表明について、地方公共団体や関係機関に協力を求めない方針を明らかにしています。
●安倍元首相「デジタル献花」が6万人超え大盛況!深まる国葬賛否の溝 8/27
9月27日に東京・日本武道館で行われる安倍晋三元首相(享年67)の国葬。政府は8月26日、今年度予算の予備費からおよそ2億5000万円を支出すると閣議決定した。
松野博一官房長官(59)は同日の記者会見で、内訳について会場の借り上げに約3000万円、会場の設営費などに2億1000万円を充てることを明かした。しかし、この2.5億円には警備費用は含まれていないという。
松野官房長官はその理由について、「予備費以外にかかる経費として国内外の要人が参列する式典であることから、その警戒警備に要する経費、海外要人の接遇に要する経費が見込まれる」と説明。いっぽうで、2.5億円以外の経費については「状況に応じて既定予算で対応していくこととなると考えております」と、具体的な金額の明言は避けた。
「国葬費用をめぐっては、24日に『2億円あまり』と報じられたばかり。その“あまり”がまさか、5000万円にものぼるとは国民も予想していなかったでしょう。松野官房長官は会見で、『会場外で一般献花を実施するなど参列者の増加に伴い約5700万円の増加が必要となった』と説明しました。安倍元首相は銃撃によって亡くなったこともあり、要人警護や会場警備などセキュリティ強化に膨大な費用が投じられることが予想されます。ですが国葬にかかる費用の総額は不透明かつ、国会での説明や審議もなされていません。あまりにも強引なやり方に、国民の間では不満が募るばかりです」(全国紙記者)
国葬費用が2.5億円と閣議決定されるやいなや、ネット上では《到底国民の理解を得られるとは思わない》《大切な税金の使い方をしっかり決めてほしい》などと非難の声が噴出している。
また、25日には安倍元首相の四十九日を迎えたばかり。全額税金が投じられる国葬が物議を醸すなか、ネット上ではとあるサイトが注目を集めているのだ。それは、「安倍元総理デジタル献花プロジェクト」として、ネット上で安倍元首相に弔意や感謝の気持ちを表すことができるというもの。
同サイトでは、《私たち有志は、安倍元総理の国葬に賛成するとともに、弔意を示したいと願う国民のために何かできることはないかと考えてきました。そしてこの度、20代と30代が中心となり、安倍元総理への感謝の気持ちと弔意を示すためのプラットフォームを立ち上げました》と記されている。「デジタル献花」ができる期間は、安倍元首相の四十九日である25日から国葬当日の9月27日までとのこと。集まったメッセージは、安倍昭恵夫人(60)に届けられるという。
国葬をめぐっては、毎日新聞と社会調査研究センターが実施した全国世論調査(8月20、21日)では、「反対」が53%と「賛成」の30%を上回っていた。だが、この「デジタル献花」は開始からわずか2日で、すでに6万名以上もの献花が集まっているのだ(27日13時現在)。
寄せられたメッセージには、次のように安倍元首相を偲ぶ声で溢れている。
《とてもとても残念で仕方ありません。これからのこの国をどうか見守っていてください》
《日本を底の底からすくい上げていただいたこと、本当にありがとございます。大変な日々だったと存じます。まだ、甘えていたかったのが本音ですが、心からお礼いたします》
《歴代で1番素晴らしい総理大臣でした。 本当にありがとうございました。 どうか安らかに》
《安倍さんが逝かれてしまったことをまだ受け入れられない私です。何故、安倍さんが。しかし、最後一言。笑顔が素敵で優しい安倍さん、本当にありがとうございました》
「『デジタル献花』には10代〜60代と、幅広い年齢層からメッセージが寄せられています。開始初日には2万人を越えるなど、サイトにアクセスが集中してつながりにくい状況だったといいます。つまり、凶弾によって命を奪われた安倍元首相を偲ぶ人がこれだけいるということです。政府は国葬に使われる費用について丁寧に説明をしなければ、国民の間で賛成派と反対派の対立が深まってしまうのではないでしょうか」(前出・全国紙記者)
●国葬の法整備、60年代に検討 政府、吉田茂元首相の死去で一転 8/28
政府が1960年代前半に国葬の法整備を検討していたことが、28日までに国立公文書館所蔵文書を分析して分かった。当時の公文書は国葬を巡り「あらかじめ法律で根拠が定められることが望ましい」と明記。だが具体化できないまま67年に吉田茂元首相が死去すると、急きょ閣議決定し、戦後初の実施に踏み切った。その後、法的裏付けがないからといって国葬を認めないのは「相当でない」との見解に転じた。閣議決定を根拠とする運用が基本的に安倍晋三元首相の国葬にも受け継がれた。
吉田元首相の前例に至る経過からは、法制化の議論が煮詰まっていない段階で国家的行事の実施を決めた様子が浮かぶ。
●安倍元首相国葬に「反対」 横浜駅前で元教員らが街宣活動 8/28
安倍晋三元首相の国葬などに反対する市民らによる「改憲・戦争阻止!国葬反対!神奈川キャラバン」が27日、横浜市西区の横浜駅前で街宣活動を行った。元教員や労組関係者ら12人が参加、国葬への反対の声を上げ、署名を募った。
キャラバンは、9月27日に予定される国葬反対の世論を盛り上げようと今月24日に横須賀を出発。1カ月かけて県内全域を回る予定で、相模原、平塚市など各地で街宣活動やデモなどを予定している。
この日、横須賀市から駆け付けた元教員の船木明貴さんは「安倍政権の8年間で賃金がOECD(経済協力開発機構)加盟国で最低水準に下がり、アベノミクスで格差も広がった」とし、「国葬は憲法改悪に向けたプロパガンダ。国民をごまかして改憲、戦争に突き進む仕掛けとしての国葬に反対する」と訴えた。

 

●「2.5億円」は大ウソ! 安倍元首相の国葬に血税33億円がつぎ込まれる 8/29
各種世論調査で反対が多数を占める国葬だが、政府はすでに世界から参列者を招待して強行しようとしている。その予算は「2.5億円」とされているが、これは式典費用だけの数字。本誌は政権内部への取材や専門家の分析により、警備や賓客の接遇などにかかる費用を試算した。その総額は少なくとも33億円、最大130億円にも達することがわかった。
●国葬「2億5000万円」真っ赤な嘘 要人のG20並みの警備なら100億円超も 8/29
8月26日、政府は9月27日に予定している安倍晋三元首相の国葬について、約2億5000万円を予備費から支出することを閣議決定した。
参列者の数は、吉田茂元首相の6000人を上回る6400人程度としており、すでに米国のオバマ元大統領やハリス副大統領、フランスのマクロン大統領らが出席を検討するなど、大規模なものになる予定だ。
近年おこなわれた元首相の葬儀は、内閣・自民党合同葬が通例となっており、2020年の中曽根康弘氏では1億9300万円、 2007年の宮沢喜一で氏は1億5400万円の費用がかかった。
吉田茂氏以来、“特別”におこなわれる国葬に対して反対の声は根強く、この2億5000万円を社会福祉にあてるべきだ、という意見も多い。
「しかし実際には、2億5000万円どころじゃ済まないですよ。下手をすれば、100億円を超えるのではないでしょうか」と語るのは、政治部記者だ。
「2億5000万円というのは、会場を借りるお金や、遺影や献花台の設置などにかかる費用です。しかし、安倍元首相は警備の不備のせいで2発も銃撃され、亡くなったわけです。これまで以上に厳重な警備体制を敷くことになり、費用はかさむはずです。さらに、世界中の要人が訪れるとなると、宿泊する場所も手配する必要があります」
では、それらを合算するといくらになるのか、
「東京新聞は、世界各国の要人が集った皇位継承式典関係費として、警察庁は警備費として28億5000万円、防衛省も要人輸送ヘリなどで2億5000万円、外務省も滞在費などで43億1000万円の支出があった、と報じています。これらを合計すると、じつに74億1000万円もの支出となりました。
ほかに、2019年6月28日におこなわれたG20大阪サミットも参考になります。これには、概算要求で外務省が開催費用として247億円、警察庁は警備費として124億円を要求していました。また、政府は75億円を開催準備費として、実際に拠出しています。岸田首相は『国の公式行事として各国の代表を招く形式で葬儀をおこなうことは適切だ』などと、国葬を弔問外交の場としてアピールしていますし、賛成派もこの“利点”を強調する人が多い。しかし、国葬が弔問外交の場であるならば、なおさらG20などと同じような支出が必要になってきます。
いずれにせよ2億5000万という数字は、国葬という“高額イベント”の氷山の一角に過ぎないのです」(同前)
いっそのこと、どこかの宗教団体に巨額の寄付でもしてもらってはどうか。
●安倍元首相の国葬から増大する予備費を考える 国会経ず支出される税金 8/29
来月予定される安倍晋三元首相の国葬の費用は、国会の審議を経ずに政府が使い道を決められる「予備費」で賄われる。賛否が割れる儀式にかかる多額の費用が、国会での議論を素通りして決まった。
税金の使い道は、国民から選ばれた代表者である国会議員が議論し、国会の議決に基づいて決める―。現行憲法に盛り込まれている「財政民主主義」という原則だ。
この原則の背景には、戦前の反省がある。政府が緊急時に国会のチェックを受けずに国債を発行できる制度を利用し、戦費を調達するために国債を乱発し、国の財政が破綻した。
しかし今、財政民主主義の理念が揺らいでいる。財政民主主義の例外と位置付けられる予備費が肥大化しているためだ。使い道が適切かどうか疑問視されるケースも増えている。
予備費には、毎年度計上される一般予備費と、別枠の予備費がある。一般予備費は最近、5000億円程度で推移してきたが、2020年度以降、新型コロナウイルスや物価高対策を名目にした別枠の予備費が積み増され、総額は20兆円を超えた。識者は、制度の健全な利用を訴える。
使途不明 若者ら反発「なにそれ、ムリポン」
税金の使い道は、国会の議決に基づいて決めなければならないとする「財政民主主義」が揺らいでいることに危機感を募らせ、声を上げる動きが広がっている。若者グループは安倍晋三元首相の国葬を巡り、政府の一存で実施を決定し、国会のチェックを経ないで税金が投入されることを問題視。学者らは政府予算の予備費に関し、巨額の積み増しが常態化しかねない状況を戦前の失敗に重ね合わせ、歴史を踏まえて乱用を戒めるよう訴える。
東京都内で20日、政治に関心のある若者でつくる「選挙ギャルズ」が国葬や改憲に反対するパレードを行った。インスタグラムなどの交流サイト(SNS)で「国葬なにそれ、ムリポン。そもそも戦争とか全然推せない」などと呼びかけ、約110人が参加。国葬の費用に予備費が充てられる方向になっていたことから「お葬式に税金使うのやめて」などと書かれたプラカードを掲げ行進した。
選挙ギャルズは、今年2月の長崎県知事選のボランティア活動を通じて知り合った大学生、会社員ら10人が5月末に結成。差別反対、気候変動対策重視、改憲反対を掲げ、活動を発信するSNSのフォロワーは若い女性を中心に7000人を超えた。
共同代表のさきギャルさん(24)は「国民の声を聞かず、国会の議論を経ずに国葬を決定したことは民主的ではない。反対」と訴える。同じく共同代表のひなさん(26)も「税金の使い方として問題がある。国民の意見を聞かない自民党政権は、民主主義を体現していないのでは」と話す。
財政民主主義は憲法で裏付けられている。83条は予算や課税など「国の財政を処理する権限」は、国会の議決に基づいて行使すると明記。国民の代表である国会の議決という民主的なチェックを経て決める「原則」だ。
一方、憲法87条は「予見し難い予算の不足に充てる」ため、あらかじめ使い道を決めない予備費の計上を認めている。財政民主主義の「例外」だが、最近は新型コロナウイルス対策などの名目で例外が拡大しているのが実情だ。
緩む戦前の反省、防衛費増額も問題視
憲法学者や政治学者でつくる「立憲デモクラシーの会」は6月、記者会見し、コロナ対策などの予備費の積み増しは財政民主主義に反すると批判。「好きに使える巨額の財布をあらかじめ政府に手渡すことは国会の任務の放棄に等しい。予備費の乱用をやめ、財政規律回復の道筋を示すべきだ」との声明を発表した。
現行憲法の財政民主主義の考え方は、戦前の反省を踏まえたものだ。当時の政府が国会を通さず国債を発行できる仕組みを利用し、乱発して戦費を調達した結果、財政が破綻した。
立憲デモクラシーの会は、予備費が膨張傾向にある中、政府が防衛費増額を目指していることも問題視する。石川健治東京大教授(憲法学)は会見で「戦前の財政規律の緩みが復活しようとしている。この状況で軍拡路線が進めば、予備費制度の乱用という問題にとどまらない」と警鐘を鳴らした。山口二郎法政大教授(政治学)も「財政民主主義と平和主義は密接に結びついている」と強調した。
安倍氏の国葬費用も、国会のチェックを経ないという点では同じ。同会メンバーの中野晃一上智大教授(政治学)は本紙の取材に「予備費は打ち出の小づちではない。財政民主主義は、国会での議論や議決のない税金の使い方を防ごうと憲法からタガをはめているものだ。国葬への支出はこれに反する」と指摘した。
コロナ禍で兆円単位が常態化 首相は「機動的対応に必要」
予備費の大幅な積み増しは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年度に始まった。使い道は医療体制やワクチンの確保、自治体への臨時交付金などで、政府は国会審議を経ずに支出してきた。「未知のウイルス」に柔軟に対応できる利点はあるが、使途や金額の精査が甘くなっているとの指摘も根強い。(大野暢子)
政府は従来、当初予算に5000億円程度の一般予備費を計上し、災害対応や補欠選挙の経費など突発的な支出に充ててきた。使い道は閣議で決めることができる。憲法は国会の事後承諾を求めているが、認められなくても変更や弁済の必要はない。
このため、予備費には「便利な財布」との批判が付きまとい、政府も大幅増には慎重な立場だった。リーマン・ショックや東日本大震災への対応で、一般予備費と別枠の予備費を確保した例もあるが、多い年でも1兆円程度だった。
コロナ禍で計上し続けている別枠の予備費は桁違いだ。20年度は補正予算で積み増し、合計9兆6500億円。21年度は5兆円、22年度は現時点で6兆1200億円で、使途を物価高対策などにも拡大した。
無駄遣いと批判された事例も少なくない。中小企業などを支援する20年度の持続化給付金では、国が事業を委託した社団法人が民間企業に再委託するなど、事業費から一定額を差し引いた上での再委託や外注が繰り返されていた。自治体が自由に使える地方創生臨時交付金を巡っては、公用車の購入や施設のライトアップなど、コロナとの関連が分かりにくい支出が判明。20年11月の政府の財政制度等審議会で、委員から「国として何らかの規律が働く仕組みを検討してほしい」と注文が付いた。
今年5月の参院予算委員会で、共産党の小池晃書記局長は「『予備費で何でもやります』と言ったら、財政民主主義は成り立たない」と批判。岸田文雄首相は「物価やウクライナ情勢、コロナ禍の先行きが不透明だからこそ、予備費を拡充することが大事で、機動的な対応につながる」と反論し、問題はないと強調した。
使途や政策効果 厳しく検証を
元財務官僚の田中秀明・明治大教授(財政学)の話 『コロナ禍も3年目になり、「予見できない支出」とひとくくりにして、巨額の予備費を積み続けるのは、財政法の趣旨に反するし、財政規律の緩みにつながっている。例えば、業績が悪化した中小企業を支援する「持続化給付金」だ。事業の再委託や外注が繰り返され、国費がずさんに使われた。国会で事前にチェックされなかった弊害だ。政府は今春、予備費を物価高対策などにも使えるようにしたが、これでは何でもありとなってしまう。これを原資に行われたガソリン価格の引き下げは、富裕層にも恩恵があり、費用対効果にも問題があったと思う。そもそも予備費は使途が追跡しづらく、政府による国会での説明も不十分なものになりがちだ。例外的に国会審議が省かれ、政府に白紙委任しているわけなので、通常の予算以上に使い道を透明化し、政策効果を厳しく検証するべきだ。』
●山崎拓・元自民党副総裁 「安倍元首相国葬決定はあまりに拙速すぎた」 8/29
安倍晋三・元首相の国葬について国民からの反対意見が高まっても、自民党内からは疑問の声が上がらない。そんななか、最重鎮のひとり、山崎拓・元自民党副総裁が、政権に警鐘を鳴らす。
今回の国葬決定をめぐっては、岸田文雄・総理の判断が先走りしすぎたという印象を持っています。かつて佐藤栄作・総理が吉田茂・元総理の国葬を決めた時は、全国民からの支持が得られるようなさまざまな努力、根回しがなされました。
国家の政治構造は三権分立であり、国権の最高機関は国会です。やはり、国葬については国会に諮るべきだったと思います。衆参の両議長を通じて議運(議院運営委員会)にかけ、野党の反対意見にも耳を傾けたうえで決定すればよかったと思う。
しかし、今回は残念ながらそうした段階を踏まず、総理がパッと決めてしまった。記者会見で発表し、事後的に閣議決定をしたわけです。
なぜそんなに急がなければならなかったのか。盟友の安倍さんが亡くなったことへの想い、自らが葬儀委員長を務めるという意志が強かったのでしょう。亡くなった直後は国民から悼む声が多く、国葬についても理解を得られると思ったのかもしれません。
しかし、現実には統一教会問題への批判、新型コロナの感染拡大もあり、国葬への反対意見は日増しに増えています。
戦後の総理経験者では唯一の例である吉田さんには特別な、国葬に値する功績がありました。それは独立の回復です。昭和27年の4月28日、私が高等学校に入った年ですよ。小学校3年から中学校3年までは占領下にあった。独立を回復したという、日本人にとってそれ以上の功績はありません。
吉田さんの愛弟子であり国葬を取り仕切った佐藤栄作さんは、独立後も20年間、残されていた沖縄返還を成し遂げましたが、その佐藤さんですら国葬ではなく国民葬でした。
それ以来、我が師である中曽根(康弘)さんは内閣・自民党合同葬ですし、国葬の例はありません。果たして安倍さんに国葬に値する政治的功績があるのか。まずは国葬についての基準を議論すべきでした。
だが、いったん決めてしまった以上は、もうどうにもならない。国際社会に向けて案内状も出してしまっており、万障繰り合わせて、世界中からVIPが来るのですから。
やれば大きな批判を受けますが、やらなければより大きな政治問題になり、引責辞任しかない。岸田さんは後戻りのしようがありません。その判断はあまりに拙速でした。
岸田さんは非常に温厚な人柄で、ソツがなくて、失言もしない。そして国政を丁寧に進め、記者会見も頻繁にやることで、安定感を得てきました。ところが、国葬の決定は拙速さが問題となり、岸田さんのイメージを明らかに損なっています。
それから、内閣改造も拙速でした。理由はわからないが前倒しで改造をした後、統一教会の問題が次々と出てくる。国民からすれば、なぜしっかり調べてからにしないのかと、疑問に思うのは当然です。
統一教会については、私自身、彼らの力について見くびっていた部分がある。しかし、先の参院選で、自民党公認候補が“賛同会員”として統一教会票を得て当選した。これにはびっくりしました。統一教会が応援したとされる他の議員も、かなりいい戦いをした。小選挙区で数%の得票差が勝敗を決するなか、統一教会に頼りたくなる議員はいるでしょう。
しかし、ここまでくれば教会の活動を規制するところまで踏み込まないと、問題は収束しません。もはや自民党の各議員が関係を見直すという段階ではない。
河野太郎さんが霊感商法に関する検討会の設置を表明しましたが、なんらかの規制をしなければ、また名称を変更して同じことが繰り返されるだけです。活動の規制に関しては公明党や自民党内からも大きな反発が上がるでしょうが、そこは河野さんの真価が問われる。
ただし、そこで成果を挙げたとしても、岸田政権としてはしばらくは厳しい政権運営を強いられるでしょう。 
●「国民の思想信条の侵害だ」国葬“弔意強制”反対を弁護士Gが仙台市に請願 8/29
9月27日の安倍元総理の国葬について、仙台の弁護士グループは仙台市に対し市立学校に半旗掲揚などを要請するなどの弔意を強制しないよう求めました。
仙台の弁護士グループ「自由法曹団宮城県支部」のメンバーは29日、仙台市役所の総務局を訪れ、郡市長宛ての声明文を手渡しました。
声明文では、政府が主催する9月27日の安倍元総理の国葬について、市教委を通じて市立学校に半旗掲揚や黙とうを要請し、弔意を事実上強制する通知をしないよう求めました。
仙台市は7月、安倍元総理の葬儀の際、市立学校に半旗を掲げるよう要請したため、市民団体らから批判が出ていました。
自由法曹団宮城県支部 小野寺義象支部長「国民の思想信条の問題が、事実上国葬という形で侵害されるのは問題ということで請願させてもらいました」
また、自由法曹団宮城県支部は、法的根拠がなく違法だとして国葬そのものに反対しています。
一方、村井知事は29日の定例会見で、安倍元総理の国葬に県として弔意を表明するかどうかはまだ決めていないと話しました。国からの正式な連絡の後に方針を固めるということです。
●安倍元首相国葬に皇族参列へ 8/29
宮内庁の池田憲治次長は29日の記者会見で、安倍晋三元首相の国葬について、政府から皇族に参列の依頼があることを明らかにした。宮内庁関係者によると、秋篠宮ご夫妻や各宮家のうち、都合がつく皇族が参列される方向で調整している。
●安倍元首相国葬に政府から皇族参列の依頼 8/29
宮内庁の池田憲治次長は29日の定例記者会見で、9月27日の安倍晋三元首相の国葬について、政府から皇族に参列の依頼があることを明らかにした。「歴代首相経験者の葬儀などを勘案しながら検討する」としている。
宮内庁関係者によると、秋篠宮ご夫妻や各宮家のうち、都合がつく皇族が参列される方向で調整している。
池田次長によると、国葬実施が閣議決定された7月22日、葬儀委員長を務める岸田文雄首相から宮内庁の西村泰彦長官宛てに、依頼の文書が届いた。
1967年の吉田茂元首相の国葬では、皇族は当時皇太子夫妻だった上皇ご夫妻らが参列している。直近では2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬に秋篠宮ご夫妻らが参列し、天皇、皇后両陛下と上皇ご夫妻が使者を派遣した。

 

●安倍晋三・元首相の国葬「費用2.5億円」の嘘 警備だけで約26億円の試算 8/30
安倍晋三・元首相の「国葬」に対して、批判の声が日に日に高まっている。全額国費負担となるだけに政府は「費用を抑える方向」と必死だが、たった「2.5億円」では済みそうにない。一体、血税はいくらつぎ込まれるのか。専門家の協力のもと、検証した。【前後編の前編】
吉田茂の時より大規模
安倍晋三・元首相の「国葬」が9月27日、日本武道館で営まれる。
国葬は政府が葬儀の全費用を負担する国家行事で、戦後は貞明皇后(大正天皇の皇后)、吉田茂・元首相、昭和天皇の3例しか行なわれていない。
1967年の吉田元首相の国葬には、70か国を超える外交団をはじめ、国会議員や政府・自治体関係者など約6000人が参列した。岸田首相は弔問外交を展開したい意向で、世界約200か国・地域と80の国際機関に案内状を出し、参列者6400人を想定するなど葬儀の規模は吉田氏を超えるものになりそうだ。
だが、国民の視線は厳しい。報道機関の世論調査では「国葬反対」が毎日新聞53%、テレビ朝日51%、購読者に安倍氏の支持層が多いとされる産経・FNNの合同調査でも51.1%と過半数を占めている。テレビ朝日の調査では、反対の理由で最も多かったのは「国の予算を使って行なうから」(37%)という意見だ。
国葬の研究で知られる宮間純一・中央大学教授が語る。
「日本で戦前戦中期に行なわれた国葬は、国家や天皇のために尽くした『偉大な人物』を賛美する場でした。こうした異論を封じる性格を持つ国葬は、戦後民主主義になじみません。歴史の検証なしに国葬を再現するのは問題です。手続きの面から見ても国会で議論を尽くすべきだったが、閣議決定だけで押し切った。これも民主主義に反している。安倍元総理の政治的功績の評価とは関係なく、私は今の日本に国葬自体が不要だと思います」
では、一体、安倍氏の国葬に国民の税金がいくら使われるのか。
内閣府の国葬儀事務局の担当者は、2年前に営まれた中曽根康弘・元首相の「内閣・自民党合同葬」の費用が約2億円(国と自民党が折半負担)だったことを引き合いに、「それが一つのメルクマールとなって検討されている」と説明。その後、今年度予算の予備費から「2.5億円」が支出されることとなった。
たったの2.5億円。世界中からVIPが参列する国葬がそんな金額で収まるはずがない。
『週刊ポスト』は過去のデータや専門家の検証をもとに、「本当の費用」を試算した。
菊の花だけで1600万円
まず中曽根氏の合同葬の費用「2億円」の内訳を検証したい。
合同葬は東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪で営まれた。ホールには中曽根氏に追贈された「従一位に叙す」という天皇の玉璽が押された位記や数々の勲章が飾られた。会場代が約5500万円、式典の際の音響、映像、設営費用が約1億3600万円と報じられている。
これらが参考になるが、中曽根氏の合同葬はコロナ下で行なわれたため、参列者は約1400人と縮小された経緯がある。
吉田氏の国葬は今回と同じ日本武道館で行なわれた。『故吉田茂国葬儀記録』によると、場内には縦約6メートル、横約4メートルの巨大な遺影が搬入され、赤いカーネーション1800本と白菊3000本で日の丸の国旗が造られた。それとは別に式壇周りに5万本、献花に3万本という大量の大輪菊が使われた。
前例を踏襲して8万本の菊の花を用意すれば、花代だけで少なくとも1600万円にのぼる。
武道館の使用料は、「全国戦没者追悼式」のケース(2021年)で約1200万円と中曽根氏のケースより安価なので、葬儀自体は2億円付近が妥当に思える。だが、これには重要な費用が含まれていない。「警備費」である。
各国のVIPが参列するため、会場周辺だけでなく、空港や滞在先まで厳重な警備体制が敷かれる。ましてや安倍氏銃撃事件で警備の不備が指摘されているだけに、アクシデントが起これば日本の警察の沽券に関わる。
内閣府の担当者も野党合同ヒアリングで、「2億円弱というのは式典にかかる費用で、警備などで警察当局がどのように経費を手当てしたのかは現段階では把握していない」と認めている。この費用が莫大なのだ。
警官には“おやつ代”を支給
警視庁出身の作家・濱嘉之氏が指摘する。
「国葬の際は警視庁の警察官約4万5000人の大部分が警備関連の業務に当たると考えていい。さらに関東管区、東北管区、近畿管区、中部管区から機動隊が集められる。応援の規模は警視庁の半分の2万2500人くらいになると思います」
合計7万人近い動員になる。公務員であっても臨時の動員をかければ当然、予算がかかる。濱氏に試算してもらった。
「警察官の超過勤務費が1人1日5000円として、3日なら1万5000円。食事代も必要です。1食1000円くらいで、1日3食。それに加えて『補食費』も出る。お茶とかジュース代のことで、みんな栄養ドリンクなどを買って飲みます。これが1日数百円。これらを全部合わせたものが食費です。国葬の前後1日ずつと考えると、食費は3日間で1万円くらいです。
他県から応援に来る機動隊員には超過勤務費や食費のほかに出張費が1万円上乗せされる。機動隊員はトラックなどの車両でも寝泊まりできるが、応援の機動隊員のうち1万人分程度はホテルが用意されると思います。この宿泊費が1泊5000円。警察だけでは足りない部分は民間の警備会社にも発注することになるはず。2000人をかき集めたとして、日当が1万5000円、3日間拘束なら3倍です。これらを積み上げると最低でも23億円くらいになる」
昭和天皇の「大喪の礼」も当時の警備費用は約24億円だった。動員されるのは警察官だけではない。前述の『故吉田茂国葬儀記録』には、〈遺骨が正面玄関に到着と同時に、自衛隊員により十九発の弔砲が発砲され、玄関で待機の儀仗隊は、「捧げ銃」の敬礼を行うとともに音楽隊は、奏楽を行うこと〉とある。
「吉田茂氏の国葬には儀仗隊など1400人を超える自衛隊員が参加した。今回も同様で、他に消防からも200人程度の応援があるでしょう」(濱氏)
その費用も加算すると警備だけで約26億円はかかるとみられる。・・・
●松野官房長官 安倍元首相の「国葬」 警備費用など終了後に公表  8/30
安倍元総理大臣の「国葬」をめぐって、松野官房長官は、会場周辺の警備費用など、支出を決めたおよそ2億5000万円に含まれないものは、「国葬」が終わったあとに公表する考えを示しました。
安倍元総理大臣の「国葬」を前に政府は、先週、会場の設営費などとして、今年度予算の予備費からおよそ2億5000万円を支出することを決めた一方、会場周辺の警備や海外の要人の接遇にかかる費用などは含まれていません。
松野官房長官は記者会見で、会場周辺の警備などに見込まれる費用の規模について「要人の数や各国首脳との会談の有無などが不確定であり、現時点で確たることを言える段階にない」と述べました。
そして、こうした費用は既定の予算で対応する方針を重ねて説明し「国葬」が終わった後に精査したうえで、公表する考えを示しました。
●安倍氏国葬「弔問外交」は“絵に描いた餅”…現役首脳が出席見送り 8/30
国費2.5億円の支出が決まった安倍元首相の国葬。実施当日の警備費を含めれば、経費はまだまだ膨らむ見込みだ。岸田政権は国民の半数に上る反対の声を無視して「弔問外交」に期待を寄せるが、しょせんは“絵に描いた餅”である。
政府は各国首脳が顔をそろえる国葬の場を「弔問外交」に活用する狙いだが、今のところ、G7の中で現役首脳クラスが参列を検討しているのはカナダのみ。アメリカのバイデン大統領に続き、参列を検討中だったフランスのマクロン大統領も結局、内政を理由に参列を見送る。
フランスは代わりに「できるだけ高位の人」の派遣を検討しているというが、現役首脳が一堂に会するサミットのような光景を描いていた日本政府にとっては、期待を裏切られた格好だ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)がこう言う。
「マクロン大統領の出席見送りは、『弔問外交に応じるつもりはない』との表明に等しいと思います。現在の国際情勢で最も重要なテーマのひとつは、ロシアによるウクライナ侵攻です。ヨーロッパ諸国の中でロシアのプーチン大統領と交渉チャンネルを持つマクロン大統領が不在では、『外交の場』としての国葬は、ほぼ意味をなしません」
そもそも、日本政府に「弔問外交」の重要性を主張できるほどの実績はない。
海外の葬儀には格下クラスを派遣
2005年のローマ法王葬儀では、欧米の現役大統領が列席する中、日本は格下の首相補佐官を派遣。19年のフランスのシラク元大統領の国葬は、駐仏大使の参列で済ませた。今年5月にアラブ首長国連邦のハリファ元大統領が亡くなった際は、弔問式に首相特使として自民党の甘利明前幹事長を遣わした。
「過去の事例を見ても、日本政府は『弔問外交』をきちんとやってこなかったことが分かります。外交は国家間のギブ・アンド・テイク、つまり互酬によって成り立つ。『日本から偉い人は来ていないけど、こっちからは元首級を派遣しよう』とはならないのです。そもそも弔問外交は、国葬実施のために取ってつけた理由でしょう」(五野井郁夫氏)
外交の場にすらならない国葬に、億単位の国費をムダにしてはダメだ。
●国葬にこだわる政府の矛盾 「国全体で弔意」でも「国民には求めない」… 8/30
政府は26日の閣議で、安倍晋三元首相の国葬に、国費約2億5000万円を支出することを決定した。ただ、省庁に弔旗掲揚や黙禱もくとうを求める閣議了解は見送り、国民に対しても弔意の表明を要望しないという。それならなぜ、多額の税金をつぎ込む国葬とするのか。位置付けにいっそう疑問が湧く。国民の批判を回避しようとする弥縫策びほうさくが、矛盾を拡大していないか。(特別報道部・岸本拓也、中沢佳子)
異例の「弔意は求めない」
「国民に弔意を求めるものであるとの誤解を招くことがないよう閣議了解は行わない」。国葬への国費支出を閣議決定した26日の記者会見で、松野博一官房長官は、国民に弔意表明は求めないと明言した。併せて、地方自治体や教育委員会に協力を呼びかける予定はないとも説明した。
ただ、戦後唯一の国葬だった吉田茂氏のケースのほか、2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬などでも、広く故人への弔意を示すよう求める閣議了解が行われてきただけに、見送りは異例だ。
一方で、岸田文雄首相はこれまで安倍氏の国葬について「敬意と弔意を国全体として表す国の公式行事」と発言してきた。国全体では弔意を示すのに、国民には求めないというのは、どこかちぐはぐだが、街の人たちはどう思っているのか。JR新橋駅前で聞いてみた。
友人と待ち合わせをしていた東京都荒川区の無職田中優二さん(67)は「国葬という言葉自体が、国民に弔意を求めることを含んでいると思う。それなのに国民には弔意を求めないというのはよく分からない。最初から自民党主体で葬儀を行えば良かったのでは」と政府の対応に首をかしげる。国葬の開催に賛成という大田区の女性会社員(43)も「国として行う行事なのに、哀悼の意を求めないのはどうかと思う」とこちらも納得いかない様子だ。
世論は反対多数で「弔問外交」強調
国葬の意義について、松野官房長官は「国内、海外から(安倍氏に対する)高い評価と幅広い弔意が寄せられており、国際儀礼の観点からも国として応える必要がある。海外からの参列者の出席を得る形で葬儀を行うことが適切と判断した」と説明した。要は「外交に役立つ」という主張だ。政府は各国の要人を含め、国内外から6000人の参列者を想定する。
しかし、額面通りには受け止められない。政治アナリストの伊藤惇夫氏は「国葬への世論の反発が予想以上に強く、強制的に国民に弔意を求めれば、一層反発を招きかねない。批判逃れで、弔問外交を前面に押し出したのだろう」とみる。
実際に国葬を巡る最近の各種メディアの世論調査の結果をみると、ほとんどで反対が賛成を上回る。共同通信やNHK、毎日新聞、産経新聞・FNNなどが先月末から今月下旬に、それぞれ世論調査を行ったが、国葬実施についてはいずれも反対が5割以上で、賛成を大きく上回った。
世論の逆風を受けて、政府・与党は、国葬の意義づけを「国全体の弔意」から弔問外交にすり替え、押し切ろうとしているように見える。ただ、法的根拠が曖昧な国葬に対して、違憲訴訟や住民監査請求が相次ぐ。中止を求めるデモや署名活動も活発だ。
国葬反対の声明を出した弁護士グループの沢藤統一郎氏は「国民全体の名前で行う国葬は、それ自体が直接的でなくても国民全体に弔意を強制する性質のもの。そうした原則論を無視して弔問外交のために国葬を行う、というのは倒錯した議論だ」と語気を強める。
内閣・自民党合同葬よりも「扱いが軽くなる」不思議
7月の安倍氏の家族葬の際、東京都は都立高校などに半旗掲揚を求めた。都総務局の依頼文書を都教育委員会が転送する形式だった。同様の依頼は仙台市や川崎市、山口県、福岡市などもしていた。
国葬でも半旗掲揚を依頼したら、政府が弔意を求めない方針と矛盾する。都教委の担当者は「対応は決まっていない。7月の家族葬の際も、弔意の強制ではない。事務連絡の内容を『情報提供』として伝えただけ」との言い分だ。
中曽根氏の内閣・自民党合同葬で、文部科学省は国立大学などに、弔旗や黙禱で弔意を示すよう通知。都道府県教委にも「参考」として文書を送った。安倍氏の国葬について同省は「弔意表明の協力は呼びかけないという官房長官の方針に則し、通知は出さない方向」(総務課)という。国葬なのに、ある意味、扱いが軽くなる。
外務省は7月、日本と国交がある195カ国と4地域などに、国葬開催を連絡した。同省総務課は「要人が一堂に会する貴重な機会」と弔問外交の意義をアピールするが、ウクライナに侵攻したロシアや、クーデター後、市民を弾圧するミャンマーなど、岸田首相が当初強調した「民主主義を守り抜く決意」という開催意義と齟齬そごを生むような国も通知対象に含まれる。
岸田内閣による安倍氏の「表彰式」
国民に弔意を求めないとしても、数々の疑問が解消されるわけではない。
「誰の敬意、弔意を示す儀式なのか」とは、東京都立大の木村草太教授(憲法学)。「政府は、国葬を『敬意と弔意を国全体として表す国の公式行事』と定義したが、『国全体』とは何を指すのか」と指摘する。「国全体」をどう解釈しても、憲法上の問題が生じるからだ。「国全体が『国民全員』を表すなら、国民各自の敬意と弔意を国が勝手に表す行事になり、思想良心の自由、表現の自由を侵す。『敬意と弔意を持つ一部国民』なら私的行事であり、国の公式行事にならない。『内閣』ならば、内閣葬としか名乗れない」
国葬は個人の特別扱いで、憲法の平等原則との関係が問題になるという木村氏は、内実は岸田内閣による安倍氏の「表彰式」だと言い表す。「国葬に客観的な基準がないため、岸田内閣による主観的な評価で実施が決まった。政治の功績は、政治から独立した第三者機関が客観的に判断しなくてはならない」
あれもこれも閣議決定
政府は安倍氏の国葬が、内閣府設置法にある「国の儀式」に当たり、内閣府が所掌し、国民の権利の制限や義務が生じる行事ではないため、開催は内閣の会議(閣議)で決められるとの見解だ。ただ、同法で内閣府の所掌事務は、経済に関する重要政策や都市の再生、科学技術、青少年の健全育成など多岐にわたる。
慶応大の小熊英二教授(歴史社会学)は「列挙された所掌事務は、相当に広範だ。これが根拠なら、国葬に限らず『あれもこれも閣議決定でできる』ことの先例になりかねない。内閣府の所掌事務にあることを根拠に閣議決定で決めていいのか。その広さから考えると、法治国家の安定性を損なうのでは」と危ぶむ。
成蹊大学の武田真一郎教授(行政法)も「内閣府設置法は内閣府の所掌事務を示したにすぎず、その仕事を具体的に行う権限を与えてはいない。権限を行使するには別に法律を定める必要がある」と指摘する。
そもそも、国葬は民主主義社会にそぐわない、と武田氏は説く。「国葬は戦前、一定の皇族と天皇の考えで行い、天皇制を補強するための制度だった。多様な価値観を認める民主主義下では、時代錯誤」。しかし、費用2億5000万円を国費から投じると、閣議で決まった。武田氏は「税金を使うなら、国会での議論は不可欠だ。閣議決定で決めるのは民主主義のプロセスとして疑問だ」と訴えた。

閣僚の話し合いで開催を決めていいんです。国民に義務を課さない国の行事だから。ほら弔意表明をお願いしないでしょ。政府の理屈は、こじつけの域に達している。国の行事とすべきかの根拠と議論は欠如したまま。取り繕っても無理があり、日本の民主主義に傷を残すだけだ。 
●安倍元首相の家族葬に「自衛隊の儀仗隊」派遣…戦後初めての事例 8/30
7月におこなわれた安倍晋三元首相の家族葬に、陸上自衛隊の特別儀仗隊が参列していたという。8月29日の東京新聞が報じた。
防衛省は同紙の取材に、「防衛省・自衛隊の弔意表明の一環として、安倍氏の遺族の意向を確認し、防衛相の指示で行った」と説明。当時の防衛相は安倍氏の実弟の岸信夫氏だった。
「7月12日、安倍元首相の家族葬は、昭恵夫人が喪主をつとめ、東京都港区の増上寺で営まれました。そのときから儀仗隊の参列を疑問視する声は上がっていました。東京新聞は、読者からの『私的な葬儀なのに、どのような根拠で自衛隊の派遣を指示したのか、明らかにするべきだ』という内容の投稿を7月28日朝刊に掲載したうえで、同日、磯崎仁彦官房副長官に法的根拠を質問しています。磯崎官房副長官は、『自衛隊の礼式は、防衛省令の定めるところによる』とした自衛隊法6条をあげたうえで、『過去にも首相や防衛相経験者らの葬儀で、遺族の意向も踏まえ、儀仗を実施している』と回答しています」(政治部記者)
たしかに、1967年の吉田茂氏の国葬以降、2020年の中曽根康弘氏の「内閣・自民党合同葬」まで、政府がかかわった首相経験者の公的な葬儀11回すべてに儀仗隊が参列している。また、防衛省の前身である防衛庁長官経験者を対象にした家族葬に、儀仗隊が参列したことは3回あるという。
ただ、安倍氏の家族葬のように、政府が関与しない私的な葬儀に儀仗隊が参列したのは戦後、初めてのことだった。このことが報じられると、SNS上では憤激する声が巻き起こった。
《ある意味これ国葬よりやばくないか?弟が安倍元首相ために(ひと1人のために)勝手に自衛官を使ったのだ》
《元首相の葬儀に陸上自衛隊の儀仗隊が参列て、公私混同も甚だしいな 私用で国の軍隊を動かすな 国民はここまでやりたい放題で舐められていいのか》
《これは酷いね。公権力の私物化、自衛隊の私兵化だ》
《これ、完全な私物化じゃないか。私物化の権化の兄に倣い、弟が実行したということか。そして今、根拠皆無の閣議決定だけで国葬が強行されようとしている》
8月31日、岸田文雄首相は記者会見を開き、9月27日に予定される安倍元首相の国葬などについて説明するという。国葬に関わる費用を含め丁寧な説明が求められる。
●安倍元首相の国葬 学校に黙とうなど弔意表明求めず 永岡文科相  8/30
永岡文部科学大臣は、9月27日に予定されている安倍元総理大臣の「国葬」にあたって、教育委員会や学校に対し、半旗の掲揚や黙とうによる弔意表明の協力は求めないという考えを示しました。
安倍元総理大臣が先月銃撃されて亡くなったことを受けて、仙台市や大阪 吹田市などの教育委員会は、市内の小中学校に弔意を示す半旗を掲げるよう通知し、専門家などからは「教育の政治的中立」に反する対応だという指摘も出ています。
こうした中、永岡文部科学大臣は記者会見で、9月行われる安倍元総理大臣の「国葬」での対応について「国葬儀の実施にあたって、国民一人一人に弔意を求めるものであるとの誤解を招くことがないよう、地方公共団体や教育委員会などに対する弔意表明の協力の要望は行うことはない」と述べ、教育委員会や学校に対し、半旗の掲揚や黙とうによる弔意表明の協力は求めないという考えを示しました。
また、新学期を迎える学校での感染対策について、永岡大臣は、手洗いなどの基本的な対策を徹底したうえで、熱中症のリスクを考慮し、体育の授業や部活動、それに登下校の際はマスクを着用する必要はないという認識を示しました。
●安倍氏「国葬」費用総額は“事後報告”に…《国が「ぼったくりバー」に》 8/30
来月27日に予定される安倍晋三元首相の「国葬」の費用をめぐって、国民の怒りが頂点に達しそうだ。松野博一官房長官は30日の記者会見で、経費の全体像は「国葬後に精査して示す」と発言。
政府は先週26日、会場の設営費などとして、国費から2億5000万円の支出を閣議決定していた。一方、海外要人の警備費や接遇などについては含まれていなかったことに批判が相次いでいた。
そして今回、こうした予算を含めた費用の総額は「国葬」後に公表すると、開き直りともとれる態度。
松野官房長官は理由として、「海外要人など参列者の数、各国首脳との会談の有無などが不確定」と説明しているが、SNSでは
《完全にぼったくりバーと同じシステム》《看板に〇〇円ポッキリと書いてあったのに会計時にふざけた金額を請求されるやつだ。平気でぼったくりバーみたいな事をする自民党バカ政府すごいな。》《国が「ぼったくりバー」になった。》《お会計はいくらになるかわかりませんが、事後。うわっ。ぼったくりバーもびっくりですわ! ぼったくり国葬》と、悪質な営業を行うぼったくりバーになぞらえて、批判が集まっている。
●岸田首相、31日に新型コロナから療養明け会見 国葬、旧統一教会問題 8/30
新型コロナ感染でリモートワーク中の岸田文雄首相は31日に療養明けの記者会見を行う。
松野博一官房長官が30日、明らかにした。銃撃されて死去した安倍晋三元首相の国葬や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題について説明を行うとみられている。
国葬費用は2022年度予算の一般予備費から2億4940万円を支出すると閣議決定したが、会場となる日本武道館(東京)の設営費や借り上げ料のみで、会場周辺の警備や要人接遇の経費などは含まれておらず、人件費など大幅な支出増が懸念されている。松野氏は約2億5000万円以外の経費について「国葬後に精査した上でお示ししたい」とした。
立憲民主党など野党は国葬の意義や支出について首相が国会で説明することを求め、この日、日本維新の会も自民党の盛山正仁国対筆頭副委員長と会談し、閉会中審査で首相の出席を要請した。
●自民で相次ぐ「安倍元首相 永久顧問」報道のトンデモ 8/30
ネット上では驚きと嘲笑の声が広がっている。自民党内の議員グループや勉強会で、安倍晋三元首相を「永久顧問」とする動きが相次いでいる──などと報じられたことに対してだ。
安倍氏が顧問を務めた保守系議員グループ「保守団結の会」(代表世話人・高鳥修一衆院議員ら)は29日の会合で、安倍氏を永久顧問にすることを決定。高鳥氏は記者団に「わが会に引き続き名前を残す。しっかりと安倍イズムを継承していく」と説明。安倍氏が最高顧問だった「産業や伝統文化等への麻の活用に関する勉強会」(会長・森山裕選対委員長)も同日の会合で、安倍氏の肩書を永久顧問に変更した。
だが、こうした動きに対し、「いったい何を考えているのか」と憤るのは福田赳夫元首相の秘書で、自民党本部情報局国際部主事を務めた中原義正氏だ。
「亡くなった人を顧問に据えて何をやりたいのか。そもそも、銃撃事件がなぜ起きたのかといえば、安倍元首相が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のお先棒を担ぐような真似をしていたからだろう。何が名誉なのか。今、政府・与党の国会議員がやるべきことは、安倍イズムの継承などではなく、銃撃事件が起きた背景をしっかりと調査し、2度とこうした悲劇を繰り返さないために何をするべきなのかということだろう」(中原氏)
ネット上でも、《これはさすがにどうなのか。旧統一教会も今後、永久顧問の安倍元首相も我々の活動を応援していました、などと永久にアピールするのでは》、《東京五輪組織委が女性蔑視発言で会長を辞任した森喜朗元首相を「名誉最高顧問」に就けようとしていたが、それよりひどいな》といった声が出ている。
●社民・福島党首 国葬経費の説明後回しに「税金を使うのに事後報告・・・」 8/30
社民党の福島瑞穂党首が30日、自身のツイッターを更新。安倍晋三元首相の国葬に関する政府の方針を批判した。
松野博一官房長官は30日の記者会見において、国葬費用のうち、国費支出を閣議決定した約2億5000万円に含まれない警備や外国要人の接遇にかかる経費について「国葬後に精査した上でお示ししたい」と述べた。
これに対し、福島氏は「税金を使うのに事後報告とはおかしい」と指摘。さらに「国葬の費用を全て事前に出さず事後報告で済ますことは財政民主主義に明確に反する。国会に予算案を提出し、審議をし、承認をされなければ予算は支出をしてはならない。事前に総額も積算も出さずにしかも予備費で出し、終了した後に事後報告では、国会無視で、財政民主主義に反する」と訴えた。
●維新 遠藤国対委員長 安倍元首相の国葬“総理みずから説明を”  8/30
安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、衆議院議院運営委員会の与党側の筆頭理事を務める自民党の盛山正仁氏と会談しました。
遠藤氏は「『国葬』に対する世論が分かれており、国民の理解を得るためには、岸田総理大臣みずからが丁寧に説明する必要がある」として、岸田総理大臣が閉会中審査に出席して、開催の理由などを説明するよう要請しました。
これに対し、盛山氏は「政府・与党に伝え、対応を考えたい」と応じました。
このあと、遠藤氏は記者団に「与野党の政局の中での『国葬』にはしたくない。一人でも多くの国民の理解をいただけるよう、国会としても努力すべきだ」と述べました。
日本維新の会の遠藤国会対策委員長は記者会見で「政府が事前に確定的な金額を出すことは不可能だと思うが、あとで『ひとけた違いました』では、国民の理解は得られない。税金なので、見積もりを示すのは当たり前のことではないか」と述べました。

 

●安倍元首相の「国葬」 参列者は最大6000人程度 会場外に献花台  8/31
来月の安倍元総理大臣の「国葬」について、政府は実施概要の案をまとめました。
参列者は三権の長や国会議員、海外の要人、それに地方自治体の代表など最大6000人程度とし、当日は午前10時から午後4時まで会場の外に一般の献花台を設けるなどとしています。
来月27日に東京の日本武道館で行う安倍元総理大臣の「国葬」について、政府は具体的な参列者の規模や段取りなどの検討を進めていて、実施概要の案をまとめました。
それによりますと、「国葬」は午後2時に開式し、参列者は衆参両院の議長ら三権の長や国会議員のほか、海外の要人、それに地方自治体や各界の代表など最大で6000人程度とし、来月はじめから案内状を順次、発送するとしています。
また、「国葬」当日は、午前10時から午後4時までの間、会場の日本武道館の外に一般の献花台を設け、献花用の花は各自で持参してもらうとしています。
政府は関係府省庁の幹部でつくる「葬儀実行幹事会」での協議を経て、正式に決定し公表する方針です。
●安倍元首相国葬の実施理由に「弔問外交」挙げる岸田政権 その効果は…  8/31
世論の逆風の中で準備が進む安倍晋三元首相の国葬。旧統一教会問題で揺れる岸田政権が、実施理由に挙げるのが「弔問外交」だ。来日する要人の格や参列国数が注目されてきたが、今回は仮に国葬が行われたとしても、盛り上がりに欠けるという予想もある。そもそも「弔問外交」はいつから始まり、どんな効果があるのか。歴史をひもといてみた。
元外交官「下準備なし。意義深いものにならない」
政府の過去の国会答弁によると、弔問外交は「元首等の葬儀に参列した各国の要人の間で行われる外交」を指す。
ただ、国連やサミットのような交渉があるわけではない。元外交官の天木直人氏は「葬儀とは別に参列者が一堂に会する場はあるが、私の記憶では、特定の外交課題を話し合うことはなかった。副次的にもたらされるものがあるとしても、成果を期待しにくい」と証言。元外交官で平和外交研究所の美根慶樹代表も「どういうクラスの代表が来るかは、そのときどきの状況による。外交で結果を出すには準備が必要。下準備を経ずに元首級の人物と会っても、意義深いものにはならない」と強調する。
安倍氏の国葬が行われた場合、誰が訪れるのか。今のところ米国のハリス副大統領やカナダのトルドー首相、インドのモディ首相らが参列を表明している。
だが、当初は出席の意向だったマクロン仏大統領が「内政の予定」を理由に撤回。ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻で日本政府の制裁対象となり、不参加が決定的だ。
「シンゾー・ドナルド」のトランプ氏は参列せず
同盟国の絆をアピールしてきた米国は、現・前大統領が不参加に。日米関係に詳しい明治大の海野素央教授は「バイデン大統領は11月の中間選挙での勝利に躍起。現職大統領には不利な選挙にもかかわらず、上下両院で善戦の兆しが出ており、国内を離れないためにハリス氏の訪日を決めた」と説明する。
安倍氏と蜜月関係を築いたトランプ前大統領についても「機密情報持ち出しが、米国民の一番の関心事だ。家宅捜索されたトランプ氏はリークした人物を捜し出すことに必死。大統領選再出馬のためにも国葬どころではない」という。
安倍氏は「地球儀を俯瞰する外交」を掲げていたが、元首級の参列者は限定的。さらに海野氏はこう指摘する。「日本の国論が二分されていることも米国は分かっている。儀礼以上の外交成果が期待できる場にはならないのでは」
吉田茂氏国葬も元首級出席の記録なし
安倍政権で関係が冷え込んだ中国の動向はどうなるか。明治大の羽根次郎准教授(現代中国論)は「エネルギー危機に伴う物価急騰は今後も深刻化する。親中派の二階俊博元幹事長が国葬擁護にかじを切ったのは、対中関係の再構築で国民生活の改善を図るため、国葬を利用したい思惑がありそうだ」とみる。
「日中国交正常化50年でもあり、習近平国家主席とはいかなくても、李克強首相や王毅外相といった対日政策に影響力を持つ人物が訪れるのでは。逆にそれなりの人物が来なければ、日本のメンツはつぶれる」
ちなみに戦後唯一の国葬だった1967年の吉田茂元首相の葬儀には、西ドイツ下院議長、中華民国(台湾)国民政府秘書長、元連合国軍最高司令官のリッジウェー氏らが来訪。72カ国の駐日大使やその妻らも含め136人が参列したが、元首級の名前は記録にない。国葬終了後の夜、外国代表へのレセプションが首相官邸で開かれたことだけが短く記されている。
成果出すには国際社会動かす人物の出席が必要
「弔問外交」にスポットが当たった例としては、1980年の旧ユーゴスラビア・チトー大統領の葬儀が知られている。第2次世界大戦でファシズムに抵抗した指導者で、戦後は第3世界諸国との非同盟運動の創始者。東西冷戦下、115カ国・地域の代表119人が参列した。
移動手段の発達もあり、弔問外交はさらに定着していった。2013年に死去した南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領は、人種融和、反差別の象徴として尊敬を集めており、各国の首脳が駆けつけて「世界最大の弔問外交」とされた。
日本では、1989年の昭和天皇の「大喪の礼」に、163カ国、国連など28国際機関からの弔問使節団を迎えた。活発な外交が行われ、インドネシアと中国の国交回復の契機になったとされる。元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「各国の要人が一堂に会するのはどういうときも貴重。国際的な問題があっても、弔問を理由に集まることができる」と解説する。
しかし、このまま安倍氏の国葬が行われても、国連安保理常任理事国の首脳が来日する可能性は低い。「国際社会を動かす重要な人物が来ないとなると、実質的に意義ある外交とは言えない」と話す。
内閣・自民党の合同葬でもよいのでは
日本の首相の葬儀はどうだったのか。在職中の1980年に亡くなった大平正芳氏の葬儀では103カ国の254人が弔問。カーター米大統領、華国鋒中国首相が来日し、米中首脳会談が実現した。2000年に死去した小渕恵三氏の際も153カ国・3地域の377人が参列。クリントン米大統領や金大中韓国大統領ら多くの首脳が参列した。
退任後は少し変わってくる。1995年に死去した福田赳夫氏の場合、120数カ国から約180人の各国弔問使節団が参列したが、訪れたのはシュミット元西ドイツ首相らだった。国際政治学者の舛添要一氏は「安倍氏が現職中に亡くなったのなら話は変わるが、『元首相』なら他国も経験者を送ることが多い。それは日本も同じだ」。
大勢の海外要人が訪れた三氏の葬儀は、いずれも内閣・自民党の合同葬だった。こうしてみると、国葬でなくても弔問外交はできるのでは、という疑問も浮かんでくる。
世界の緊張緩和期待、見通し立たず
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「岸田氏が国葬を決めたのは、安倍氏と親しい保守系議員に気を使った面がある。弔問外交というのは、国葬への批判が高まるにつれて出てきた後付けの理由だ」と指摘する。岸田首相は31日に国葬について記者会見する予定。「見ものですね。納得できる説明ができるのか、かなり苦しいと思う」
舛添氏も「各国は安倍氏が銃撃された背景に旧統一教会の問題があったことを冷静に見ている。それに政府は弔意や半旗を掲げることも求めない。それでは、もはや国葬とは言えない。そうなると、他国は『行っても仕方がない』となる。外交としての効果は期待できない」とにべもない。
弔問外交に期待されるロシアのウクライナ侵攻終結や台湾問題の緊張緩和も、見通しは立たない。一方で、プーチン氏は11月にインドネシアで開かれるG20首脳会議には参加する意向を示している。孫崎氏は指摘する。
「インドネシアはウクライナ問題で外交的な努力をしているが、日本の動きは全く見えない。小渕氏のころは、経済的にも日本が重要な地位を占め、少しは独自の外交もしていた。今は基本的に米国の政策に従うと見透かされている。そんな国を相手にしても仕方がないと世界は考えている」

〈反対が多くても押し通す〉〈外交を理由に正当化する〉。既視感の正体は「五輪外交」を掲げた東京五輪だ。「復興五輪」が「コロナに打ち勝った証し」に変質。外交の印象は薄かった。「暴力に屈せず、民主主義を守り抜く」に代わる国葬の理由が、「弔問外交」と言われても…。
●安倍元首相の国葬、際立つ特別扱い 天皇の国事行為以外で初  8/31
安倍晋三元首相の国葬が、天皇の国事行為以外で「国の儀式」として実施される初めてのケースになることが分かった。今回と同様、内閣府設置法に基づく式典には東日本大震災の追悼式などもあるが、いずれも「内閣の儀式・行事」という扱いになっており、極めて異例の対応だ。ただ、国事行為が憲法で裏付けられているのに対し、国葬は法的根拠そのものにも疑義を唱える声があり、有識者は事前に十分な国会審議が不可欠だと指摘する。
2001年施行の同法は、内閣府の所掌事務として「国の儀式」と「内閣の行う儀式・行事」を並べて明記。国葬に関する直接の規定はないものの、岸田文雄首相は「国の儀式として行う国葬儀は、閣議決定を根拠に行政が国を代表して行い得る」と説明している。
過去の首相経験者の国葬は「内閣の儀式」
内閣府によると、これまで行われた「国の儀式」は、19年4月の天皇退位に伴う一連の儀式や、毎年元日に皇族がそろう「新年祝賀の儀」など、いずれも憲法7条で天皇が行うと定められている国事行為だけ。今回の国葬は憲法のみならず、法律にも明確に定められていないが、同じ扱いにする。過去にあった首相経験者の合同葬は「内閣の儀式」、東日本大震災追悼式などは「内閣の行事」だった。
松野博一官房長官は、国葬を「内閣の儀式」ではなく「国の儀式」とした理由について「元首相の葬儀は諸般の事情を踏まえながら、総合的に勘案し、ふさわしい方式を決めている」と述べるにとどめている。
国会できちんと議論重ねて
国葬の歴史に詳しい宮間純一中央大教授(日本近代史)は「『国の儀式』が現時点で天皇の国事行為の儀式と国葬しかないのなら、強い違和感を覚える」と指摘。国事行為としての儀式は、国民に定着した憲法に位置付けられ、広く同意があるとみなせる一方、「国葬は直接、位置づける法令がない。国を挙げてやるというなら、国会できちんと議論を重ねるという手続きが重要ではないか」と強調する。
戦後の国葬は1967年の吉田茂元首相以来、2例目。政府は現在、前回も「国の儀式」として実施したという見解だが、当時は内閣府設置法の制定前で、法的根拠はあいまいだ。内閣府の担当者は「(閣議決定の文書などで)同じ文言は使っていないが、『国の儀式』であるということを念頭に置いていた」とする。

天皇の国事行為 / 憲法は、内閣の助言と承認に基づき天皇が行う国事に関する行為を規定。7条で国民のために行う行為として10項目を列挙し、国会召集、栄典の授与などとともに「儀式を行ふこと」と定めている。
●揺れる安倍晋三の国葬問題 首相・岸田文雄は毅然とできるか 8/31
元首相・安倍晋三の国葬問題は首相・岸田文雄の鶴の一声で決まったが時間がたつにつれ、国民の反発を買っている。国会の議論は国葬決定のプロセスがあいまいなこと。岸田の感情的、政治的決定でしかなく、合理的な理由も合法的な法律的根拠もないというあいまいさが冷静になった国民から批判されている。また国葬決定の理由に在任期間の長さを岸田は挙げているが、1980年に現職の首相として急死した大平正芳、同じく2000年に現職で死亡した小渕恵三の2人はいずれも内閣・自民党合同葬だったことも、議論の余地があるのではないかと思われている。
ここにきて安倍家や昭恵夫人も国葬に難色を示しているという報道や官房長官・松野博一が「参列者は最大6000人程度を見込む」と発言すると「誰が参列するのか名簿を示せ」との声が上がるなど手厳しい。ただ国民から見れば、たった1時間の国葬になぜ警備費が30億とも40億ともいわれる金額になるのかという点だろう。これについて松野は「(警備などの経費は)現時点で確たることを申し上げられる段階になく、要した経費については国葬儀後に精査したうえでお示しする」と逃げの一手に出た。
来月6日には国葬に関する国会の閉会中審査が行われる予定だが、野党が要求する岸田の出席となると「病み上がりの岸田を出すとなると各党の持ち時間はかなり少なくなる」(自民党国対筋)と激しい攻防が続く。自民党ベテラン議員が言う。「官邸もある程度の説明をしないと国民が納得しないのは理解している。31日に、首相が会見でどの程度説明するか。その反応を見て国葬の合理性はともかく、警備費用などの説明はせざるを得ないだろう。現段階では全国県警の警備部への号令はかかっているようだが機動隊までの指示はない。世論動向次第だが首相が毅然(きぜん)とできるかだ」。
●岸田首相きょう対面公務に復帰 会見で国葬の考え方など説明へ  8/31
新型コロナの療養期間を終えた岸田総理大臣は、31日から対面での公務に復帰し、記者会見を行います。
水際対策のさらなる緩和など今後の新型コロナ対応の方針を明らかにするとともに、旧統一教会と自民党の関係や安倍元総理大臣の「国葬」をめぐる考え方を説明することにしています。
岸田総理大臣は、8月21日に新型コロナの感染が確認され、総理大臣官邸に隣り合う公邸で療養しながらオンラインで公務にあたってきましたが、療養期間を終えてきょうから対面での公務に復帰し、午前11時から記者会見を行います。
この中では、今後の新型コロナ対応について、オミクロン株に対応したワクチン接種の開始時期を前倒しすることや、水際対策のさらなる緩和などを明らかにすることにしています。
また、旧統一教会をめぐり、自民党の所属議員に関係を断つよう徹底するなど、国民の信頼回復に向けて厳正な対応をとるとともに、いわゆる霊感商法の被害者救済などに政府をあげて取り組む方針を説明することにしています。
さらに、9月の安倍元総理大臣の「国葬」について、批判の声があることも真摯(しんし)に受け止め、実施の意義などをみずからが丁寧に説明していく考えを示し、理解を求める方針です。
●安倍元首相「国葬」 海外賓客の滞在経費は一体どこがどれだけ負担するのか 8/31
安倍晋三・元首相の「国葬」に、対して、批判の声が日に日に高まっている。内閣府の国葬儀事務局の担当者は、2年前に営まれた中曽根康弘・元首相の「内閣・自民党合同葬」の費用が約2億円(国と自民党が折半負担)だったことを引き合いに、「それが一つのメルクマールとなって検討されている」と説明。その後、今年度予算の予備費から「2.5億円」が支出されることとなった。だが、たった2.5億円では済みそうにない。一体、血税はいくらつぎ込まれるのか。専門家の協力のもと、検証した。【前後編の後編。前編から読む】
前編記事で検証したように、国葬の警備だけで約26億円はかかるとみられるが、さらに費用がかさむのが海外からの賓客にかかる滞在費、接遇費などだ。
外務省は海外からの弔問客について1か国3人、国際機関は1機関2人までと枠を決めて案内しているが、「小渕恵三・元総理の際にならって外国からの参列者についてわが国の費用負担はない」と説明している。
それは各国政府を代表して来日する現職の元首と夫人などの正式な弔問団を指すとみられる。相手国にとっても外交の一環だから当然だろう。
だが、「地球儀を俯瞰する外交」を掲げた安倍氏は首相在任中に81か国を訪問し、8回のG7サミットに出席して各国首脳と親交を結んだ。その中には英国のブレア元首相などいまは現役ではない元首脳がG7諸国だけで20人ほどいる。
すでに米国のオバマ元大統領、ドイツのメルケル元首相をはじめ、そうした元首経験者クラスの列席が調整されている。その費用はどうなるのか。
仮に米国の次期大統領候補ともされるトランプ前大統領が参列を望んだ場合、バイデン政権が費用を負担するとは考えにくい。警視庁出身の作家・濱嘉之氏が指摘する。
「現職であれば費用は相手国が持つにしても、個人的に国葬に参列する元首脳の滞在費用などは、表ではなんと言おうと儀礼上、日本政府が出すことになるはずです。仮にトランプ氏クラスが来日するとなれば、億単位のカネがかかるでしょう。
『即位の礼』で外務省はVIPの外国賓客等滞在関係経費に50億円を支出している。これは『饗宴の儀』の費用(4億6000万円)とは別です。金額がかさんだのは1台10万円程度とされる送迎車(推定3000万円)の手配など様々な費用が重なったからではないか」
外国のVIPは当然、飛行機はファーストクラス、宿泊先はホテルオークラ、帝国ホテル、ザ・リッツ・カールトンなどのスイートルームが用意されるという。オークラの最高級スイートの料金は1泊約300万円だ。
海外の要人約400人が列席した即位の礼の滞在関係費が50億円とすれば、単純計算で日本側は1人あたり約1250万円負担したことになる。
「皇居正殿で行なわれた即位の礼は出席者の人数も制限されたが、今回はそれ以上の賓客が参列するでしょう。もし日本側の負担が必要になる参列者が増えれば、滞在関係経費が即位の礼の2倍、100億円近くかかっても不思議ではない」(濱氏)
ほかに、吉田茂・元首相の際には記録映画を制作している。メディア文化評論家の碓井広義氏が語る。
「国葬の記録と生前の功績をまとめた二部制です。昨年の東京五輪の記録映画が約3.5億円程度の予算と言われており、もし制作すれば2億円程度はかかるのではないか」
吉田元首相の国葬では葬儀後に各国要人を集めたレセプションが行なわれており、今回も行なわれれば「億単位の費用となる可能性もある」(濱氏)。
ほかにも参列する国内の各首長の出張費(約1000万円)は税金負担となる。
そうした費用の累計は最低でも33億円超。仮に海外の賓客の滞在関係費が100億円近くに膨れあがった場合、総額130億円もの税金が使われる可能性も否定できない。
改めて費用負担について外務省にぶつけると、「海外からの参列者に対する渡航費及び滞在費の日本側による負担はない予定です。また、これら参列者に対するわが国内での接遇のあり方については、現在検討中です」(大臣官房報道課)と負担を否定した。今後も注視することが必要だ。 
●「国葬」どんな問題点がある? 国民の間で割れる賛否、国会前では抗議集会  8/31
安倍晋三元首相の国葬に反対する集会が31日、国会前で開かれ、平日にも関わらず多くの人が足を運んで抗議の意志を示した。国葬を実施する上での問題点や疑問点とは、そしてそもそも国葬とは何なのか。あらためて整理した。
国会での議論を経ずに国が費用負担
疑問点の一つは、費用の全額を国の予算で負担するにもかかわらず、実施について国会での議論を経ていない点だ。
政府は26日の閣議で、安倍元首相の国葬に国費約2億5000万円を支出することを決定した。災害や補欠選挙など突発的な対応に使われてきた「予備費」を充てる。
岸田文雄首相は31日の記者会見で、国会の閉会中審査で質疑に答える意向を示した。ただ、国葬を実施する方針そのものは変わっていない。
予備費の使い道は内閣が決めることができる。ただ、憲法83条は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない」と定めている。
憲法学者や政治学者でつくる「立憲デモクラシーの会」は、税金の使い道は国会の議決に基づいて決めなければならないとする「財政民主主義」の原則に反すると批判している。
6月には「好きに使える巨額の財布をあらかじめ政府に手渡すことは国会の任務の放棄に等しい。予備費の乱用をやめ、財政規律回復の道筋を示すべきだ」との声明を発表した。
安倍元首相の「業績」を理由に挙げるが
国葬を実施する理由について岸田首相は会見で、安倍元首相の在任が最長の8年8カ月にわたったことや、東日本大震災からの復興、戦略的外交の主導などの「さまざまな分野で歴史に残る業績を残した」ことを挙げている。
実際にはどうだったか。安倍元首相の在任期間を振り返ってみる。まず政府は憲法の解釈変更により集団的自衛権の行使を容認し、日本の安全保障体制の大きな転換点となった。
東日本大震災による東京電力福島第一原発事故後に停止していた各地の原発については、2014年に取りまとめた国のエネルギー基本計画で「重要なベースロード電源」と位置づけ、再稼働への道筋をつけた。
一方、「桜を見る会」を巡る問題では、安倍元首相自身は不起訴となったものの、後援会代表で公設第1秘書の男性が政治資金規正法違反の罪で罰金100万円の略式命令を受けた。
安倍元首相の名前を冠した経済政策「アベノミクス」についても、「格差が拡大した」との批判が上がっている。
憲法学者の木村草太・東京都立大教授は、「『大きな実績』というのは、岸田内閣の主観的な評価にすぎない。国が行う儀式の対象とする以上、首相の功績の大きさは客観的評価が必要だ」と指摘し、「安倍元首相だけ特別扱いする理由があるのか。安倍氏にのみ当てはまる『国葬を行うべき理由』を説明できないなら、憲法の平等原則に違反する」と話している。
そもそも、国葬って?
日本近代史を研究している中央大の宮間純一教授によると、「国が国費で営む葬儀のこと」を指す。
最初の例は1883年に死去した岩倉具視にさかのぼり、85年に内閣制が始まってからは閣議決定で対象者が決められた。1926年に公布された国葬令という勅令で法律上に位置付けられた。
47年に国葬令が失効した後は、67年の吉田茂元首相が最後の例で、戦後では唯一だった。現状では、国葬を直接規定した法律は存在しない。
賛否が分かれている中での国葬について、宮間教授は「根本的に反対派も巻き込む儀式。反対派との分断を生むだけでなく、内心の自由を侵害する恐れも否定できない」と指摘している。
吉田茂氏以外の過去の例は?費用負担は?
過去に国が関わった首相経験者の葬儀は、吉田元首相を除くとすべて自民党や衆議院などとの合同葬で行われてきた。
直近は2020年の中曽根康弘元首相の合同葬で、総額約1億9000万円の費用は政府と自民党が折半した。
今回の安倍元首相の例で政府が閣議決定した費用は約2億5000万円。ただ、会場の警備や海外要人に対する接遇などの費用は含んでおらず、総額はさらにふくらむ可能性がある。
岸田首相は31日の会見で、安倍元首相の国葬に要する警備などの経費について、来日する外国要人の数により変動するとの見解を示した上で「できるだけ早く示すよう努力はしていく」と述べた。
●国会前で安倍元首相の“国葬”中止求めるデモ 8/31
来月、行われる安倍元首相の国葬をめぐり、国会前では中止を求めるデモが行われました。
「国葬反対 安倍元首相の国葬反対」
安倍元首相の国葬について、政府は9月27日午後2時から行うことを決定しました。これに対し、国会の正門前では午後6時から抗議デモが行われ、多くの参加者が国葬に反対の声をあげました。
デモの参加者「私たちの誇りある憲法第9条を踏みにじって、日本を戦争に向かわせる道を作ってしまった」「黙ってられなくて、個人ですけど、一人でも反対の意見を述べたいなと思って」
国葬について岸田首相は、「東日本大震災からの復興や日本経済の再生など、歴史に残る業績を残した」などと説明する一方、「国民に弔意を強制するものではない」としています。
●国会前で安倍元首相国葬に抗議 参加者4千人と主催の市民団体 8/31
安倍晋三元首相の国葬に反対する市民団体が31日、国会正門前で抗議集会を開いた。新型コロナウイルス禍でも正門周辺の歩道に多くの人が集まり「哀悼を強制するな」「国葬で税金使うな」とシュプレヒコールを上げた。
マイクを握った主催者側の男性は「岸田文雄首相は安倍派に忖度し、求心力を高めようとしている。権力の私物化に反対」と訴えた。
「黙っていられなかった」との思いで来たという東京都世田谷区の主婦(75)は「安倍政権の検証をしないままに国葬を決め、国会の論議も尽くしていない。延期すべきだ」と憤った。
主催者は参加者を4千人と発表。周辺には大勢の警察官が配置された。
●国会前集会だけではない 安倍元首相国葬に反対のうねり広がる 8/31
安倍晋三元首相の国葬に反対する声は、31日夜の国会前の集会にとどまらない。都内の駅前でプラカードを掲げたり、9月27日の国葬当日に抗議活動を計画したり。さまざまな形で、異議を唱えるうねりが広がっている。
「国葬は安倍政治そのもの」 杉並区で賛否アンケートに取り組んだ樋口さん
法的な根拠が曖昧で、国会で議論もせずに決まった国葬。「どさくさに紛れて決める、説明をしない、話をごまかす。安倍政治そのもの」。東京都杉並区の無職樋口千鶴子さん(71)は岸田首相にそう憤った。
8月14日には、地元の住民団体とともにJR高円寺駅で反対運動を行った。手法は一方的に主張するデモではなく、通行人へのアンケートで、賛成16票、反対は101票。他の駅で住民団体が実施した際も反対が圧倒した。「賛成派は積極的に回答してくれていない可能性もあり、この数字が全てではないが、多くが反対している状況は知ってほしい」と政府に求める。
アンケートでは「安倍さんは外交的な評価が高い」という意見があれば、「なぜ税金を使うんだ」と意見もあった。分断するのではなく、多様な意見を戦わせるからこそ、課題や解決策が見えてくる。政府の意思決定もそうあってほしい。
一方で、アンケートに回答してくれたのは高齢者ばかりだった。東日本大震災後、原発稼働に反対してきた樋口さん。「安倍さんは安全、安心より経済を最優先にしてきた。国葬はそうした価値観を助長することにもつながる。将来を生きる若者に興味を持ってほしい」と願う。
「今はコロナにお金使って」 葛飾区で反対の声を上げた山口さん
最初は、素朴な疑問だった。政府は安倍元首相の国葬に億単位の費用を見込んでいる。都内在住の公務員の山口良雄さん(48)は「そんなにお金がかかるの?」「コロナ禍なのに海外から要人を呼んで大丈夫?」と思った。
「おかしいと声を上げないと、現状の肯定になってしまう。優先順位を考えたら、今は国葬の実施ではなく、コロナ対策にお金を使うべきでは」と語る。
JR亀有駅前(葛飾区)で8月21日夕、市民団体「戦争協力にNO!葛飾ネットワーク」が主催するスタンディングデモに参加し、「国葬反対」と大書したプラカードを掲げた。「地元でも反対している人がいると知らせたい」との思いからだ。日曜の夕方だけあって、買い物帰りの家族連れなどが横目でチラッと見てくれた。
続々と明らかになる「政治と宗教」の問題も気にかかる。「国葬の実施は安倍元首相をたたえることにつながる。宗教で苦しんだ人をさらに苦しめるのでは」
8月半ばに新宿でのデモに参加し、31日も国会前に駆けつけた。9月に入り、再び地元でデモをしようと計画している。「いろいろな場所で『国葬反対』の声を可視化させたい」という。
国葬を巡る経過と今後のデモの予定まとめ
国葬を巡っては、反対を訴える集会やデモのほか、予算執行の差し止めや閣議決定の取り消しを求めて司法判断を求める申し立てなどが続いている。
31日に国会正門前で国葬中止を求めた「安倍元首相の『国葬』に反対する実行委員会」は9月1日以降も東京都内各地で活動を継続。27日は国葬が始まる午後2時から、国会正門前で大規模な集会を計画している。
ルポライターの鎌田慧さんや作家の落合恵子さんらが呼び掛け人の「安倍『国葬』やめろ!市民集会実行委員会」は8日に東京・永田町の参議院議員会館の講堂で集会を開いた後、首相官邸前で抗議行動を展開する。17、27日はそれぞれ日比谷公園で集会を開き、銀座などをデモ行進する。
●国葬、世論調査“賛成多数”は1社のみに「旧統一教会とのかかわりで…」 8/31
フリーキャスターの伊藤聡子氏が31日、TBS「ひるおび!」に出演。安倍晋三元首相の国葬の是非について言及した。
番組では、国葬の是非について報道各社が行った世論調査の結果をまとめ、日本経済新聞(7月29〜31日)賛成43%、反対47%、読売新聞(8月5〜7日)評価する49%、評価しない46%、共同通信(8月10〜11日)納得できる42・5%、納得できない56%、産経新聞(8月20〜21日)賛成40・8%、反対51・1%、毎日新聞(8月20〜21日)賛成30%、反対53%と伝えた。
伊藤氏は「最初は凶弾に倒れたということ、それから国際関係の中で凄く活躍してくださったというイメージもあって国葬に対しては賛成意見も多かったと思うんですよね。ただ本当にその後に出てくること、出てくること、旧統一教会とのかかわりで、やっぱり安倍派なんですよね」と指摘。そのうえで「安倍派、安倍さんという方が中心になって自民党との関係をつくり上げて来て、そして信頼を与え、献金をする人にとってはそれを正当化させる理由にさせてしまっていた。それでこんなに被害が大きくなっているってなると、それで税金を使って本当にこれだけ被害を出している方がたくさんいるのに、はたしていいのかっていう、やっぱり気持ちにどんどんなってきてしまうってところがあると思う」と自身の考えを述べた。
●安倍氏国葬に賛否 「実績もっと評価」「法的根拠ない」 8/31
政府が9月27日に予定する安倍晋三元首相の「国葬」について、和歌山県紀南地方でも賛否が分かれている。安倍氏の実績を評価する声がある一方、国会で取り沙汰された疑惑や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係、約2億5千万円の国費を投入する点にも疑問の声が上がっている。
田辺市文里2丁目の自営業男性(68)は「外交や経済政策など政治家としての実績をもっと評価すべきだ。海外では評判がいいのに、日本ではマスコミの偏向報道でイメージが悪化している。凶弾に倒れた元首相を国民で弔うのは自然なこと」と主張する。
安倍氏を悼む声は世代を問わずある。田辺市湊の会社員女性(23)は「銃撃現場に多くの人が献花していた。どれだけすごい人物だったかが伝わる。国葬は問題ないと思う」と話した。
上富田町の公務員男性(36)は「国葬を海外からの要人との外交の場にすればいい」と「弔問外交」に期待する。「ただ、税金でやる限り経費はできるだけ抑える工夫をするべきだ」と注文も付けた。
時間の経過とともに揺らぐ人もいる。田辺市本宮町の自営業男性(63)は「外交面の功績が光っており、国葬に違和感はなかったが、旧統一教会との深い関係が明らかになってきた。『国葬にふさわしいだろうか』という思いが浮かんできている」と明かす。
全く評価できないという意見もある。田辺市上秋津の主婦(45)は「安倍氏は解釈改憲や森友・加計問題など、権力を自分に近い人のためほしいままにしていた印象」と言い、「国葬には反対。法的根拠もあいまいで、国会審議も通していない」と疑問を突き付ける。
田辺市龍神村の無職男性(66)も「費用は全て税金なのに閣議決定だけで進めるやり方は、国民をないがしろにしている。政界と旧統一教会との関係も明らかになってきた中、根本的なところを見直した方がよい」と反対する。
田辺市天神崎の団体役員男性(70)は「『国葬した』というだけで『それだけすごい人だったんだ』と評価されてしまう。憲法をないがしろにし、うそがまかり通る国会にしたという、首相としてやったこともきっちりと踏まえて考えるべきだ」と憤る。
田辺市中辺路町の自営業男性(67)は「人物の評価はどうしても分かれる。国葬の明確な基準を設けるのは難しく、誰であれ必要ない。どうしても行いたいなら、内閣と自民党の合同葬にすればいい」と話した。
国葬当日、弔意を表明する半旗掲揚などの対応について、県や紀南の自治体は「現時点では国から通知が届いておらず決まっていない」などとしている。国葬への出席についても現時点で通知は来ていないが、仁坂吉伸知事は31日の会見で「案内が来れば行きたい」との考えを示した。
政府は地方自治体や教育委員会などに弔意表明の協力を求めない方針を示している。
●吉村洋文知事 「費用がどの位かかるのか、国民に正面から説明すべき」 8/31
大阪府の吉村洋文知事は31日、自身のツイッターを更新。安倍元首相の国葬について語った。
岸田首相は国葬について、「説明が不十分との叱責を受けている。実施を判断した首相として真摯に受け止め、正面から答える責任がある」と述べ、閉会中審査について「国会などで丁寧な説明に全力を尽くし、国民の理解を得ながら国葬を行いたい」と語った。また、国葬の費用総額を巡っては、海外要人の参列者数によって接遇や警備費用が変わるとした上で「できるだけ早く示すよう努力する」と語ったが、国葬実施の基準策定に否定的な見解を示した。
これに対し、吉村知事は「僕は国葬に賛成の立場」と改めて明言した上で、「ただ、国葬である以上、費用がどの位かかるのか、また、どのような場合に国葬になり、ならないのかの基準、考え方を国民に正面から説明すべきだと思う」と綴った。
●安倍晋三さんのどこが国葬に値しない政治家なのか誰か教えてくれ  8/31
安倍さんの国葬に反対の人が増えている
最近、「世論調査をやるたびに安倍さんの国葬反対が増えている」と話す人が多いのだが、確かにFNNの世論調査でも質問が少し違うので単純比較はできないものの、先月は賛成が50%で反対47%を上回っていたが、今月は反対51%、賛成41%と逆転した。安倍さんは国葬に値しない人なのだろうか。
岸田首相は8/31の会見で、国葬に閣議決定した理由について以下の4点を改めて示した。
18年8ヶ月間首相を務めた
2民主主義の根幹である選挙演説中に銃撃された
3外交、経済など歴史に残る業績を残した
4世界各国から敬意と弔意が示され多数の弔問の希望が来ている
なぜ安倍氏に対して世界は敬意と弔意を示すのか。それは業績をいくつか見て他国のリーダーと比べてみるとよくわかる。
例えば、安倍氏は本音では憲法9条を改正したかったが、日本を取り巻く安全保障の厳しさを見て、先に集団的自衛権の見直しをして、日米同盟を再構築した。「自由で開かれたインド太平洋」構想を提唱して、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」という対中包囲網をつくり上げた。
また、自身は積極財政派だったが、「世界一の社会保障大国」である日本の消費税率が5%という異常な低さだったため、第2次政権以降、2度増税して10%にした。
世界はなぜ安倍氏に弔意を示すのか
いずれも自分の夢や主義より前に、世界を相手に日本がどういう国になるべきなのかを考えるリアリスト的な行動だった。集団的自衛権も消費増税も支持率を下げ政治的ダメージを負ったが、それをやり遂げる力があった。強いリーダーだったのだ。
2018年に、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が発効したが、米国のトランプ前大統領は国内の反対に屈して離脱し、バイデン現大統領も反発が怖くて戻れないでいる。彼らと安倍氏の力の差は明らかだ。
海外の政治家たちはそれを知っているから各国の議会で追悼演説をし、弔問を希望している。だから岸田氏は国葬にしたのだ。ちなみに日本の国会の追悼演説は延期になったままいつ行われるのかもわからない。議員の皆さんは恥ずかしくないのか。
世論調査で国葬への反対が増えている理由は安倍氏の旧統一教会への関与らしいのだが、これを追及する立憲の幹部も関与していた。霊感商法や高額のお布施は問題だが、多額の寄付を要求する宗教団体も他にもたくさんある。政治と宗教の問題を国会でじっくり話し合うのはいいと思うが、今回の国葬と結びつけるのはおかしいのではないか。
また「モリカケサクラ」の問題が未解明だとして、「安倍氏の評価はまだ定まっていないから国葬はダメだ」と言う人もいるが、安倍氏の業績とモリカケサクラを同列に扱うのはさすがに無理があると思う。
もう静かに送りませんか
「国葬の客観的基準を作るべきではないか」との質問に首相は「その時の政府が責任を持って判断する」と答えた。それでいいんじゃないか。首相にはそれくらいの権限はある。また警備、接遇費を事前に示せと言う人がいるが、高すぎると思ったらカットしろということか。警備と接遇に恥ずかしくない必要な費用をかけるのは当たり前だ。
首相は国会の閉会中審査に自ら出席して国葬についての説明を行うという。これ以上の話が出るとは思えないが、これで野党も納得して国葬に出て来るのではないか。首相が国会で説明すると言う前に国葬欠席を発表した共産党は勇み足だったかもしれない。
維新の松井前代表は「(国葬が)おかしいという意見は自由に発信されたらいいけど、決まって、弔意を持って見送りたいという人たちが参加するんだから、それを邪魔する必要はない」と述べている。立憲も共産も国葬に来てもいいし来なくてもいい。でも邪魔するのはやめてくれ。一部メディアも含めみなさん、どうかもう少し静かに安倍さんを送りませんか。
●井上貴博アナ 国葬めぐる岸田首相の主張に皮肉 8/31
TBS井上貴博アナウンサー(38)が31日、キャスターを務める同局系「Nスタ」(月〜金曜後3・49)に生出演し、安倍晋三元首相の国葬をめぐる岸田文雄首相の見解についてコメントした。
岸田首相はこの日の会見で、国民の間で開催の是非が割れている国葬について、安倍元首相の在任期間や日本経済や外交での業績などを列挙。「閉会中審査の形で私自身が出席し、テレビ入りで国葬儀に関する私の決断について質疑にお答えするという機会をいただきたい」とも述べた。
国葬にかかる総費用の概算を政府が一向に示さない点も、国民の不信感を高めている要因の一つになっている。井上アナは「総理がここまで胸を張って国葬じゃなきゃダメなんだというのであれば、費用も全体でこのくらいかかりますというのを同じニュアンスでドーン!としっかり出していただきたいと思いますね」と、皮肉まじりにコメントした。
さらに井上アナは、オンライン直売所「食べチョク」の秋元里奈代表に「“民間で、ある事業を行います。概算をまったく出さずにやってみましょう。やってから予算、費用を後で考えます”ということはあり得るんですか?」と質問した。秋元氏は「あり得ないですよね」と笑いつつ、「ぼったくりバーとも言われましたけど、批判が出ることはしょうがないにしても、この金額でやりますというのは少なくとも見えているはずで、中ではそれが進んでいるのに、最後まで隠し通すのは姿勢としてどうなのかなというふうに思います」と、政府の姿勢に疑問を呈した。
●蓮舫氏 岸田首相の「国会で説明」にクギ!!「明言したからには予算委員会で」 8/31
立憲民主党の蓮舫参院議員(54)が31日、自身のツイッターを更新。安倍元首相の国葬に言及した。
岸田文雄首相は31日、安倍晋三元首相の国葬に対する批判について「実施を判断した総理大臣としてご意見、ご批判を真摯に受け止め、正面からお答えする責任があります」とコメント。また、国会の閉会中審査について「私自身が出席し、テレビ入りで、決断について質疑にお答えする機会を頂きたいと考えております」「国会などで丁寧な説明に全力を尽くし、国民の理解を得ながら国葬を行いたい」と話した。
この発言に対し、蓮舫氏は「岸田総理がここまで明言したからには予算委員会が適当です」と投稿。その上で「全体で1時間、各会派それぞれ数分の質疑時間であるコロナ感染対策を審議する議員運営委員会となった場合には完全に『逃げ』です」と釘を刺した。
  
 

 

●「国会できちんと議論を」 安倍氏国葬、識者ら注文 9/1
安倍晋三元首相の国葬をめぐり、岸田文雄首相は31日の記者会見で「丁寧に説明する」と強調した。
ただ、国葬の歴史や法律に詳しい専門家からは「開催ありきではなく、国会できちんと議論すべきだ」との声が上がっている。
「国葬の成立」の著書がある中央大の宮間純一教授(日本近代史)によると、国葬とは国が主催して国費で営む葬儀を指す。日本で最初の国葬は、1883年に死去した右大臣の岩倉具視の葬儀までさかのぼるという。宮間氏は「戦前・戦中期は国民統合のために行われ、自由な思想を抑圧する意味合いがあった」と述べ、「現代の民主主義とは相反するのではないか」と疑問を呈す。
政府は「国民一人ひとりに弔意を求めるものではない」と説明しているが、宮間氏は「国民が弔意を示して行われるのが国葬。それでは国葬とは言わない」と話す。
その上で「そもそも戦後、国葬とは何か定義されたことがない。国民が納得する形で検討し、再定義されるべきだ」と指摘。「なぜ国葬でなければいけないのか。開催ありきで準備を進めるのではなく、国会で議論を重ねるべきだ」と訴えた。
成蹊大の武田真一郎教授(行政法)は、岸田首相が国葬を早期に閣議決定したことについて「国民の税金を使うのだから、国会で賛否をしっかり議論すべきだった。(閉会中審査での審議は)後出しじゃんけんだ」と問題視する。
政府は内閣府設置法を国葬の法的根拠として挙げるが、武田氏は「(同法のような)行政組織法は、各役所の配分業務を例示しているだけで、具体的な権限を与えているわけではない。財務省設置法に基づいて国税庁が税率を変更できないのと同じだ」と指摘する。
武田氏は「多様な価値観を前提とした戦後の民主主義社会では、誰をどのような場合に国葬の対象にするのか、多くの人が納得する形で基準を作るのはほぼ不可能だろう」と話した。 
●安倍晋三元首相は本当に「国葬」に値しない人なのか  9/1
安倍晋三元首相の「国葬(国葬儀)」に反対する人が世論調査のたびに増えている。一部の野党やメディアは大喜びしているようにも見える。安倍氏は国葬に値しない人なのか。
反対が増えている理由は、安倍氏の旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への関与らしいのだが、追及する立憲民主党の幹部も関与していた。霊感商法や高額のお布施は問題だ。ただ、多額の寄付を要求する宗教団体は他にもたくさんある。
岸田文雄首相が国葬を閣議決定したのは、民主主義の原点である選挙演説中に撃たれて亡くなったことと、安倍氏の業績が国際的に評価され、世界中から弔問の希望が来ているからだ。
なぜ、海外で高く評価されているのか。
例えば、安倍氏は本音では憲法9条を改正したかったが、日本を取り巻く安全保障の厳しさを見て、先に集団的自衛権の見直しをして、日米同盟を再構築した。「自由で開かれたインド太平洋」構想を提唱して、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」という対中包囲網をつくり上げた。
また、積極財政派だったが、「世界一の社会保障大国」である日本の消費税率が5%という異常な低さだったため、第2次政権以降、2度増税して10%にした。
いずれも自分の夢や主義より前に国益を考え、世界を相手に日本がどういう国になるべきかを考えるリアリスト的な行動だった。集団的自衛権も、消費税増税も、内閣支持率を下げて政治的ダメージを負ったが、やり遂げる力があった。「強いリーダー」だった。
2018年に、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が発効したが、米国のドナルド・トランプ前大統領は国内の反対に屈して離脱し、ジョー・バイデン大統領も反発が怖くて戻れないでいる。彼らと安倍氏の力の差は明らかだ。
海外の政治家たちはそれを知っているから、各国の議会で追悼演説をし、弔問を希望している。だから、岸田首相は国葬にしたのだ。ちなみに、日本の国会の追悼演説は延期になったまま、いつ行われるかも分からない。議員の皆さんは恥ずかしくないのか。
モリカケサクラの問題が未解明だとして、「安倍氏の評価は定まっていないから国葬はダメだ」という人もいるが、安倍氏の世界的業績と同列に扱うのは無理がある。この方々は集団的自衛権にも、消費税増税にも反対だろうから、何を言っても無駄かもしれない。
立憲民主党の泉健太代表が「国葬開催は法的根拠や基準がなく、認めるわけにいかない」と言ったのに対し、日本維新の会の松井一郎代表(当時)は「国の儀式なんだから閣議決定すればそれが根拠」「反対の人は来なくていいじゃない」とバッサリ斬り捨てた。これはいいことを言った。
共産党は国葬に出席しないようだが、他にも反対の人は来なくていいんじゃないかと思う。私たちは「安倍さん」を静かに見送りたいのだ。 
●岸田首相「テレビの前で国葬について答えます」 国会の閉会中審査に出席 9/1
8月31日、岸田文雄首相は記者会見で、9月27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬について、「国民の間にさまざまな意見があることは承知している。正面から答える責任がある」などと説明。
「閉会中審査はテレビ中継が入るので、そうした場での見える形での説明の機会をいただきたい」として、9月上旬に開催される国会の閉会中審査に出席する方針を示した。
「自民党は、野党が要求してきた閉会中審査への首相の出席について、『松野博一官房長官の出席で十分』と突っぱねてきました。記者会見で、岸田首相が自ら出席する方針を示したのは1つのサプライズ。真摯に対応する姿勢を示したかったのでしょうが、それでも臨時国会を召集しない以上、批判がなくなることはありません。
1967年の吉田茂元首相の国葬も閣議決定で決まった点は今回と同じです。ただ、吉田元首相は同年10月20日に自宅で死去。10月23日に国葬が閣議決定され、10月31日に日本武道館でおこなわれました。つまり、閣議決定から国葬までの期間が短かったんです。
今回、安倍元首相の国葬は7月22日に閣議決定され、8月18日には、野党5党が臨時国会の召集を要求しています。これまでは、憲法53条に召集までの日数の定めがないことを理由に、自民党は召集を先延ばしにしてきました。しかし、このまま閣議決定のみで臨時国会を召集しなければ、批判は強まるばかりでしょう」(政治部記者)
実際、岸田首相が閉会中審査に出席する方針を示すと、ネット上では「臨時国会を召集せよ」という声が巻き起こった。
《臨時国会を普通に開いてよ。逃げんな、卑怯もの》《臨時国会も開かず逃げていた人が国民の批判に耐えかねて国会(閉会中審査)で説明するという。今更しゃしゃり出て何を言う。順序が逆でしょう》《批判が集まったから国民が納得してもらうように説明しますってことだろうけど、批判が出る前からやるのが当たり前な話で、それをしっかりやっておけばここまで批判が集まることもなかったと思ってしまう》《既に最高法規たる憲法53条に基づく臨時国会召集要求が出ているのだから、国会を開けば良いだけの話。それを「閉会中審査」で済ませようとする時点で論外》
閉会中審査の日程は、現在、与野党で調整中だ。しかし、たとえ岸田首相がテレビの前で説明しても、怒りはそう簡単に収まりそうもない。
●共産 安倍元首相の「国葬」中止を求める声明を発表  9/1
安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、共産党は、実施の合理的な理由が示されず、特定の個人を特別扱いすることは「法の下の平等」を定めた憲法に違反するなどとして、中止を求める声明を発表しました。
声明では岸田総理大臣が、安倍氏の「国葬」を実施する合理的な理由を示しておらず、時の政権の思惑によって特定の個人を特別扱いすることにほかならないとして、「法の下の平等」を定めた憲法14条などに違反すると指摘しています。
また、岸田総理大臣が葬儀委員長を務める、みずからの決定に基づいて「国葬」当日に各府省で弔旗の掲揚や黙とうを行うとしていることについて、国の関係機関や地方自治体にも広がることが予想され、事実上の弔意の強制につながるとしています。
そして「国葬」の強行は民主主義を破壊するものだとして、計画を直ちに中止するよう求めています。
志位委員長は記者会見で「憲法違反のものをやっていいのかという根本が問われており、これを許せば、日本の法治主義や立憲主義の一大汚点になる」と述べました。

 

●安倍元首相の国葬反対署名が計40万件突破!説明不足で国民の嫌悪感 9/2
9月に入り、実施が近づいてきた安倍元首相の国葬。しかし、このままスムーズに開催できそうな雰囲気ではない。
「岸田文雄首相(65)は安倍元首相が亡くなったわずか6日後の7月14日に記者会見で、国葬を行うと表明。その後、7月22日の閣議で正式に実施が決定されました。しかし、安倍元首相と統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)との関係性が疑問視されており、生前報じられていたモリカケ問題や桜を見る会についての疑惑から反対する声も少なくありませんでした。さらに国葬に税金が投じられることからも“政治家のポケットマネーでやって!”という声も相次いでいたのです」(全国紙記者)
毎日新聞と社会調査研究センターが実施した全国世論調査(8月20日、21日)では、「賛成」30%に対して、「反対」が53%と上回る結果に。
しかし、“言い出しっぺ”である岸田首相がきちんと国民の声に耳を傾けてきたとは言い難いようだ。
「閣議決定と同日に行われた講演では『さまざまな意見があることも十分承知をしているが、引き続き丁寧に説明し、できるだけ多くの国民の皆さんに納得していただきたい』と語りましたが、8月3日から開かれた臨時国会はわずか3日間で閉会。野党が要求していた国葬に関する閉会中の審査の開催についても、これまで自民党は消極的な姿勢を示しており、岸田首相も出席させない方針でした」(前出・全国紙記者)
“丁寧な説明”を明言しておきながら、その機会を設けることはしなかった岸田首相だが、8月31日、ついに口を開いた。会見で岸田首相はこう語った。
「国葬儀については様々なご意見、あるいはご批判を真摯に受け止め、政権の初心に返り丁寧な説明を尽くしたい。そのため、早急に国会の場で私自身が出席し、テレビ入りで、国民に見える形で国葬儀に関する質疑にお答えする場を設けるよう、幹事長以下に指示した。野党の皆様にもご協力をいただきたい」
さらに、いまだ全体像を示していない警備費などの国葬経費にも言及。「既定予算の範囲内で対応するが、できるだけ早く示すよう努力する」と語った。
開催を宣言してから1カ月半後にようやく説明の場を設けることを約束した岸田首相。しかし、その説明は遅すぎたようだ。
署名サイト「Change.org」では、安倍元首相の国葬について中止や反対を求める署名活動が複数件実施されている。9月1日時点で、それらに寄せられた署名の合計数は40万件を突破しているのだ。
前出の全国紙記者は首をかしげる。
「国葬実施を急いで発表したものの、岸田首相は大切な説明を後回しにしてきました。国葬の費用として2.5億円支出することを閣議決定したのは8月26日。この金額に加えて、海外要人の警護に35億円ほどかかるとも報じられています。もっと前から丁寧に説明していればここまでの反感を招くこともなかったのではないでしょうか」(全国紙記者)
ネット上では遅きに失した岸田首相に対して嫌悪感を示す声が相次いでいる。
《今更遅いよね。もう国民の国葬に対する憎悪は高まりきってるよ。》《当たり前、遅過ぎる。》《今更しゃしゃり出て何を言う。順序が逆でしょう》
●立憲・維新 国会説明受け判断 安倍元首相「国葬」めぐり  9/2
安倍元首相の「国葬」をめぐり、立憲民主党の泉代表と日本維新の会の馬場代表が1日、BSフジの「プライムニュース」に出演し、参列するかどうかについては岸田首相の国会での説明を受けたうえで、判断するとの考えを示した。
立憲民主党・泉代表「今、出席を完全否定しないのは、やっぱりどこかでちゃんと(国葬に)出たいと思っているんです。やっぱりこれまでの前例を踏襲しますということであれば、そんなに国論は二分されなかったと思う」
日本維新の会・馬場代表「まだ政党としてどうするかは決めていない。国会での議論の推移等を見守りながら、最終的には判断していくということになる。国葬自体に反対しているわけではない」
泉代表は、国葬を岸田首相が独断で決定したとして問題視したほか、馬場代表も警備費を含めた国葬の予算総額が示されていないと指摘し岸田首相に国民への丁寧な説明をあらためて求めた。
●安倍元首相の国葬の意味とは──世界各国の国葬事情から 9/2
9月27日に日本武道館で安倍晋三元首相の国葬が行われる。国葬は世界各国から国賓が参加することを通じ、国葬開催国の国力を全世界に示す一大イベントだ。そして、その国のお国柄を反映するイベントでもある。
米国の場合、原則として大統領経験者が亡くなった場合、国葬が執り行われることになる。例外としては、ウォーターゲート事件で退任したニクソン大統領が国葬を辞退したケースがある。また、マッカーサーなどの軍人も国葬の対象となった。米国には国民の代表かつ戦時の指導者を奉る文化があると言えるだろう。
世界各国で国葬の対象となる人物とは
では、その他の国ではどのような人々が国葬の対象となるのだろうか。イギリスでは、英国王室関係者が国葬の対象となるのは当然であるが、政治家、軍人、哲学者、科学者、詩人など、その対象は意外に広いものとなっている。
フランスも元首級の国葬は定番であるが、さらに文化面に寄った形で、作曲家、劇作家、慈善活動家などが含まれることになる。
ロシア、中国、北朝鮮などでは序列上位の人々が国葬対象となる慣例があることは容易に想定され得ることだが、ロシアの場合は科学者や宇宙飛行士などもその対象となるなっている。更に、ブラジルがF1レーサーのアイルトン・セナを国葬対象にしたことも実に興味深い事例だ。
そのように考えると、国葬の対象となる人物は元首級の人物が亡くなった場合だけでなく、その国のカラーを代表とする人々も含まれると考えたほうが良いだろう。つまり、葬儀という形態ではあるものの、自国の世界的なブランドイメージを形成する式典と言い換えても良いかもしれない。
吉田茂が国葬の対象となった事例から
日本の場合、第二次世界大戦後、天皇・皇后の大喪の礼以外で国葬が行われた事例として、吉田茂が挙げられる。吉田茂は言わずと知れた大宰相であり、戦後日本の歴史を西側の自由民主主義国側で行くことを決定づけた人物だ。
吉田茂の国葬にも反対の声はあったものの、概ね日本国民は受け入れて粛々と国葬は執り行われたという。また、国家の儀礼ということもあり、特定の宗教色もなく淡々と弔辞が読み上げられる形で行われたようだ。
首相在任期間を基準とした場合、安倍晋三元首相を除ければ、連続在任期間、通算在任期間のいずれも必ずしもトップではない。したがって、首相として長期間在任したことを持って国葬の対象とする慣例があるとは言えない。
したがって、吉田茂が国葬の対象となった事例に鑑み、仮に安倍晋三元首相を国葬とするならば、その意義はソ連崩壊後の地政学的な世界環境の中で、西側の自由民主主義国としての日本の新たな道筋をつけた、ということになるだろう。
「自由で開かれたインド太平洋」という日本の新たな生命線を示し、世界中の国々と自由貿易協定を結んだ安倍政権の功績は、まさに戦後日本の歩んできた道の集大成と言えるものだった。吉田茂を除く歴代首相を差し置いて、安倍元首相を国葬の対象とする理由は他にはない。
日本が自由民主主義国陣営であるという価値観を伝える場
戦後の日本の国葬は吉田茂・安倍晋三の両名を対象とすることで、日本が明確に西側の自由民主主義国陣営であるという価値観を伝える場となったとみなすべきだ。
ただし、その反面として、安倍元首相は死後も上述の価値観に反対する人々からは批判の対象となり続ける。当然、日本国内には様々なイデオロギーや外国との友好関係を模索する人々がおり、実質的に政治的価値観の称揚を背景とする国葬は物議を醸すことは致し方ない。
今回の国葬は日本の立ち位置を国内外に示す外交的なイベントとなるだろう。私たちもその意味を踏まえて、この国葬に関する理解を深めることが望ましいものと思う。
●国葬めぐり“墓穴”掘った!岸田首相が国会出席「自ら表明」までの舞台裏 9/2
9月27日に予定される安倍元首相の国葬まで1カ月を切り、反対世論が多数を占める中、岸田首相が31日、ようやく国会で説明する意向を表明した。
コロナ療養から復帰した岸田首相は、31日午前11時から記者会見。国会の閉会中審査に出席し、テレビカメラも入れて自ら国葬について説明する機会を設けるよう自民党の高木国対委員長に指示したことを明かした。
まるで岸田首相が率先して国会出席を決めたような口ぶりだったが、実は違う。直前まで、自民党側は岸田首相の出席に難色を示し、官房長官の出席でお茶を濁そうとしていた。
しかし、岸田首相の会見に先立って、衆院で野党国対委員長会談が開かれ、すべての野党が岸田首相の国会説明を求めることで一致。珍しく、“ゆ党”の日本維新の会や国民民主党まで足並みをそろえた。
野党6党1会派がまとまって岸田首相の国会出席を求めた上に、世論の強い後押しもあり、追い込まれた岸田首相が自ら国会出席を言い出さざるを得なくなったのが実情だ。
野党ペースで追い込まれ墓穴
「しかも、野党からの突き上げを抑えきれなくなった自民の高木国対委員長は『時間がない』などと言って与野党協議から逃げ回るだけでまったく機能しなかった。それで、業を煮やした立憲の安住国対委員長が、野党全体の代表として官邸と直接交渉するという異常事態に至ってしまった。自民国対は大失態ですよ。午前10時半に安住さんが松野官房長官に電話し、総理の国会出席を約束して、直後の会見で総理の口から言わせたのです。こんな野党ペースで大丈夫なのか、先が思いやられます」(自民国対関係者)
安住氏は岸田首相の出席については「評価したい」と言う一方、「ただ出席すればいいとか、5分だけみたいな話はのめない」「ちゃんと答弁できる環境を整えて来て欲しい」と注文をつけている。
「国会出席は当然のことです。国葬は岸田首相が決めたことですから、他の人は説明できない。しかし、31日の会見でも岸田首相は『正面からしっかり説明する』と言いながら、国葬費用などについて記者の質問に正面から答えることができなかった。野党が一致団結すれば、国会説明は岸田首相にとって試練の場になるでしょう。そもそも説明のつかないことをしているのだから、自業自得です」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
自ら決めたように見せるために「国対に指示した」と言ってしまったおかげで、今後は国会審議から逃げる際の「国会のことは国会でお決めになる」という常套句も使えなくなる。岸田首相の国会出席は、墓穴を掘ることになりそうだ。
●ドイツ、国葬にウルフ元大統領 メルケル氏見送りへ 9/2
安倍晋三元首相の国葬にドイツのウルフ元大統領が出席することが1日、分かった。「ドイツの代表として参加する」とウルフ氏の事務所が日本経済新聞の取材に明らかにした。調整を進めてきたメルケル前首相は出席を見送る方向だ。
ウルフ氏は北西部ニーダーザクセン州の州首相などを経て、メルケル政権時の2010〜12年に連邦大統領だった。現在は外交特使などの役割を務める。
●国葬にひそむ危険性とは 宮間中央大教授に聞く 9/2
参院選の遊説中に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相の国葬が9月27日に行われる。岸田文雄首相は8月31日に記者会見し、安倍氏について「国民の信任を得て憲政史上最長の8年8カ月にわたり重責を務めた」などと強調。国葬がふさわしいとの考えを改めて示した。
ただ、世論の賛否は割れ、国民の理解が得られているとは言い難い状況だ。そこで、国葬の成り立ちや果たした役割を正面から取り上げた、ほぼ唯一と言っていい書籍の著者である中央大学の宮間純一教授に安倍氏国葬の問題点を聞いてみた。宮間教授は「政治利用」されることに警鐘を鳴らす。
原型は大久保葬儀
―そもそも国葬とはどういうものか。
国葬は世界各国で行われており、その在り方や成立時期は一様ではない。普遍的に定義するなら「国の予算で国が主催して行う国家の儀式」だ。王や大統領、政治家、軍人のほか、民間人が対象となる国もある。
―明治期に国葬が取り入れられた理由は。
大久保利通が1878年に暗殺された。葬儀の音頭を取った伊藤博文らは、明治政府が盤石ではなかった中で、大久保が政府に反対する反乱分子によって暗殺されたことに危機感を覚えた。伊藤は国葬に準ずる形で葬儀を催し、天皇が大久保の死を哀しんでいることを皆で共有する場を用意した。反乱分子のしたことは間違いで、天皇に歯向かうことだと示した。
―大久保の葬儀は国葬に近い形で行われた。
原型と言った方がいいかもしれない。完成されたものではないが、政府が深く関与して大々的に営まれた。1883年の岩倉具視の葬儀は国が主催して、国費で行うことがはっきりした儀式だ。最初の正式な国葬と位置付けられる。
―著書では1891年の三条実美の葬儀で国葬が完成したとしている。
天皇が(国葬を)下賜する手続きが明確になった。新聞が普及して情報が広まり、地方でも国葬に合わせて学校や神社で追悼式などを開くという形が広く見られるようになった。
韓国併合に利用
―国葬がその後も続けられた理由は。
国葬は、それぞれに個性があり、盛り上がり方にも差が見られるが、原則は国民統合のための装置として機能した。天皇の名の下に、「国家に尽くした偉大な人物」を哀悼し、いかに功績があったのかを共有する。国民はこのようにならなければいけない、という規範にされる。思想、言論を一つに統一していく機能を持っていた。
盛り上がった具体的な例を挙げると、1909年に伊藤博文が中国東北部のハルビンで(朝鮮独立運動家の)安重根に暗殺された。伊藤は少し前まで韓国統監府のトップをしていて、韓国併合を進める立場にいた。当時の首相は桂太郎だが、伊藤が殺された翌日には国葬を行うことを閣議決定した。日比谷公園で行われ、周辺はぎゅうぎゅう詰めという熱狂ぶりだった。
当日は韓国でも追悼会が行われた。日本によって立てられた当時の大韓帝国皇帝・純宗は伊藤に弔辞を贈った。皇帝の名前で「反乱分子」のことを否定しているわけだ。翌年に日韓併合条約が結ばれるが、韓国経営を進めるための一つの政策として(国葬が)行われた面があった。
吉田国葬と類似性
―昭和の戦争期でも山本五十六の国葬(1943年)が利用された。
山本の国葬は目的が分かりやすい例だ。戦局が本格的に悪化していく時期に、山本の遺志を国民皆で継承して戦争を完遂するのだと訴えられた。兵士だけでなく、銃後の社会にいる女性や子どもたちにも戦争協力を促していく役割を持った。
―1967年の吉田茂の国葬の経緯は。
戦後、国葬が問題になるきっかけは1951年に大正天皇の皇后、貞明皇后が亡くなった時だ。結局、事実上の国葬という形で貞明皇后の大喪儀は実施されたが、皇族ではない人の国葬をどうするかという議論も付随して出てきた。
その後に「公式制度連絡調査会議」という会議で国葬も制度化すべきではないかという審議がされている。ただ、基準の設定が難しく政治問題化する恐れがあるなどの意見もあって、法制化に至らないまま吉田の国葬が実施された。吉田の国葬は(当時の首相である)佐藤栄作と自民党の強い意向があって決まった。今の形とかなり近い。
論理破綻の安倍氏国葬
―安倍氏の国葬をどう見るか。
最初に聞いた時、そんなものをまた持ち出すのかと思って驚いた。かなりあっという間に決めたので、本当に大丈夫なのかと思って恐ろしさを覚えた。過去の例を参照すれば、国葬は常に政治利用されてきた。自民党ないし岸田首相の立場を固めるために国葬を利用しようとしているのではないかと感じた。
―首相は「民主主義を守り抜く決意を示す」と強調している。
民主主義を象徴する場面である選挙活動の最中に不当な暴力で(安倍氏が)亡くなった、それに対抗するために国葬なんだ、というロジックだ。確かに、暴力は否定されなければならない。だが、首相の説明は、民主主義を破壊しようとしているテロ行為で安倍氏が亡くなったなら成り立ち得るが、今回は明らかにそうではない。
ましてや、戦前・戦中のような国葬は少なくとも戦後日本の民主主義とは相いれないものだ。自由な意思を抑圧し、一つの思想にまとめ上げるという役割を日本の歴史上、国葬が持ってきたことは確かだ。
―与党からは「外国要人の弔問の場をつくる意義は大きい」との声が出ている。
国葬は過去、弔問外交の場として利用されてきた。しかし、国葬は外国からの要望で行うものではない。
あくまでも国民が納得し、国民が望んではじめて行うものだ。外国から求められているから行うという論理はおかしい。今まで行ってきた「内閣・自民党合同葬」でも外交儀礼の場としては成立していたから、国葬とする必要性も分からない。
国民的合意が不可欠
―政府は国民一人ひとりに対しては弔意の表明を強制しない方針だが。
であれば、国葬という看板を取り下げるべきだ。これは吉田の国葬でも曖昧にされた点だが、戦前は天皇が決定する形式だった。戦後は国民(が決定権者になるはず)だ。「国葬」を名乗って行うのであれば、「国民」が了解し、追悼しようとならないと国葬ではない。国会での審議を経て、国民の同意を取り付けないといけない。
―後世から見て安倍氏の国葬が歴史の転換点となる可能性はあるか。
危惧するのは、これが前例として残ってしまうということだ。何もルールがない状態で、60年、70年、80年たった時にどういう使い方をされるか分からない。今はまだ批判することができている。でも、80年後の日本がどうなっているのかは誰にも分からない。山本五十六の国葬があったのは、たった80年ほど前のことだ。
●安倍元首相の国葬 県庁舎に半旗掲揚で弔意 青森知事 9/2
青森県の三村申吾知事は2日の定例記者会見で、27日に行われる安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)に言及した。「心静かに安らかなご冥福を祈りたい」などと述べ、当日は県庁舎に半旗を掲揚し、哀悼の意を表す考えを明らかにした。
国葬に関して三村知事は「8年8カ月にわたり内閣総理大臣の重責を担われ、特に国際社会から高い評価を得たことを踏まえたものと受け止めている」との見解を示した。
政府は参列者として国会議員や海外要人のほか、地方自治体などの代表ら最大6千人程度を見込み、今月から順次、案内状を送付する。出席の可否に関して三村知事は「自治体のトップとして参列する意向はある」と述べた。 
●安倍元首相国葬の受注企業に「桜を見る会」設営業者 演出業務落札 9/2
政府が27日に予定する安倍晋三元首相の国葬について、東京都江東区のイベント会社「ムラヤマ」が演出業務を1億7600万円で落札した。内閣府などへの取材で2日判明した。入札したのは同社のみだったとみられる。同社は安倍氏が首相在任中の2015〜19年に5年連続で首相主催の「桜を見る会」の会場設営業務を担当した。
安倍氏が首相在任中の「桜を見る会」は支出が予算を大幅に上回る状態が続き、19年は予算の3倍にまで膨れ上がった。公費で行われるにもかかわらず、安倍氏が地元支持者を多数招待し、「権力の私物化だ」などと批判を浴びた。
19年の「桜を見る会」では、内閣府が入札公告前にムラヤマなどと打ち合わせをし、開催スケジュールを伝えたことが発覚し、野党などから批判を浴びた経緯がある。
政府は8月26日の閣議で、国葬の式典にかかる経費として22年度予算の一般予備費から2億4940万円を支出すると決定。警備や海外要人への接遇などを含めた経費の全体像を国葬終了後に公表する考えを示しているが、野党は警護や外交に関連する経費も公表するよう求めている。
●国葬落札した「ムラヤマ」は日本テレビHD100%子会社と判明 9/2 
9月27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬。この企画・演出の業務について、東京都江東区のイベント会社「ムラヤマ」が1億7600万円で落札したことがわかった。
入札したのはこの1社だけで、ムラヤマは2014年から5回にわたり、「桜を見る会」の会場設営業務を落札している。さらに、2017年から2019年の「桜を見る会」では、同社が入札前に内閣府と打ち合わせしていたことが発覚し、批判を浴びるなどの “いわくつき” だ。
共同通信の取材に対し、ムラヤマの広報担当者は国葬について「通常の業務の一環として入札した」と話している。
「もうひとつ、“いわく” がありますよ。この会社は2022年3月22日に日本テレビホールディングスに買収されているんです」(経済記者)
買収した当時、日テレが発表したリリースを確認すると、日テレはムラヤマについて、《創業120周年を迎える強固な顧客ネットワークを保有する特殊内装・造形業界のリーディングカンパニーです。スポーツ関連や官公庁関連、博覧会及びアミューズメント(テーマパーク、遊園地他)で豊富な実績を有しております》と評価したうえで、《ムラヤマを当社グループに迎え入れることが、当社グループ全体の企業価値向上に資するとの判断に至りました》と説明している。さらに買収される側であるムラヤマにとっての利点として、《当社グループのクリエイティブによる企画プロデュース・マーケティング・演出力が加わることで、高付加価値化及びワンストップ営業が可能となり売上・収益向上が見込めます》としている。子会社だと判明したことで、ネット上ではさまざまな波紋を呼んでいる。
《日テレらしく、夫人をワイプで抜いたり、泣き声がながれたりするんかな》《日テレは国葬儀は賛成なんやな!》《読売グループは電通とも深いつながりだし、ある意味自民党御用達かな?》
「ムラヤマは、中曽根康弘元首相の『内閣・自民党合同葬』や、東日本大震災の追悼式などの会場設営や運営もおこなっています。まさに自民党の御用達ですよね。
日テレは『演出力が加わる』と明言しているわけですから、昭恵夫人を『ワイプで抜く』などの “24時間テレビ風” な、“お涙ちょうだい演出” もありえるかもしれません。
ただ、いちばん痛いのは、日テレが『情報ライブ ミヤネ屋』を始め、これまでさまざまな番組で国葬について取り上げてきたことです。
今後、番組で国葬に対して賛成すれば『子会社のためだ』と言われるし、反対すれば『受注しといてなんだ』と言われかねません」(前出・経済記者)
ここは『24時間テレビ』らしく、開催費用もチャリティーで募ってはどうだろう。 
●安倍元首相の国葬 立憲・泉代表、出席の可能性「ある」 9/2
立憲民主党の泉健太代表は1日のBSフジの番組で、27日に予定される安倍晋三元首相の国葬への出席の可能性について「あると思う」と述べ、「国会論戦を行う中で、最終的に判断していきたい」と語った。日本維新の会の馬場伸幸代表も「国会での議論の推移を見守りながら、最終的には判断していく」との考えを示した。
●8日にも国葬巡る閉会中審査 首相、反転攻勢なるか 9/2
与党は2日、安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)をめぐる閉会中審査を8日にも衆院議院運営委員会で開く方向で調整に入った。岸田文雄首相が出席し、国葬を決断した理由などを説明する。ただ、野党は審議前に国葬にかかる費用の全体像を示すことを求めるなど対決姿勢を強めている。首相は自ら説明責任を果たすことで批判を鎮めたい考えだが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題もくすぶるだけに、反転攻勢の転機にできるかは不透明だ。
「国葬儀や自民党と旧統一教会との関係でご心配をおかけしている。国会で丁寧に真摯に説明したい」
首相は2日、官邸で公明党の山口那津男代表と面会。2つの問題が世論の批判を浴びていることを陳謝したうえでこう語った。
首相は8月31日の記者会見で、一連の問題について「説明が不十分との批判をいただいている。首相として批判を受け止め、答える責任がある」と強調した。与党は当初、首相の国会出席は秋の臨時国会まで見送る方針だったが、官邸関係者は「首相自らが閉会中審査への出席を強く求めた」と打ち明ける。
首相は同日の会見で、安倍氏の国葬を行う理由について1首相在任期間が憲政史上最長だった2経済再生や外交など様々な分野で歴史に残る業績を残した3世界各国で弔意や敬意が示されている4暴力に屈しない毅然とした態度を示す−と改めて挙げた。各国首脳レベルの参列希望があるとして「日本国として礼節をもって応える必要がある」とも述べている。
首相は閉会中審査でこうしたことを繰り返すとみられるが、野党は開催の意義や費用などについて攻勢を強めている。
政府は8月26日、国葬の費用として約2億5千万円の支出を閣議決定した。しかし、海外要人らの警備や接遇にかかる費用は、「国外から参加する要人数や各国首脳との会談の有無などが(現時点で)不確定だ」(松野博一官房長官)として、国葬が終わった後に明らかにする方針だ。
今月1日の衆院議運委理事会では、立憲民主党の笠浩史野党筆頭理事が「警備、要人接遇にどのくらいかかるか示すことが開催の条件だ」と強調。首相の意向を受け、早期開催を求める自民と対峙する姿勢を際立たせた。
これまで首相の国会答弁は、原則論をベースにした安全運転が目立つ。首相は直接国会で説明することで国民の理解を得たい考えだが、自民の閣僚経験者は「安全運転は『ゼロ回答』の裏返しだ。これまで通りの答弁姿勢で納得を得るのは難しいのではないか」とも指摘した。
●安倍元総理国葬で野党「教育現場で黙祷強制される」 9/2
安倍元総理の国葬をめぐって野党は合同ヒアリングを開催し、黙祷などの弔意表明の強制が教育現場で起こるのではないかと政府側を問い質しました。
立憲民主党 山井和則衆院議員「自治体が判断したら、小学生、中学生、黙祷を授業中にすることはあり得るわけなんですよね。『私はちょっと黙祷は勘弁してください』という小学生、中学生、高校生がいた場合、不利益を受ける可能性があるんじゃないんですか」
2日に行われた安倍元総理の国葬をめぐる合同ヒアリングでは、野党側が「地方自治体が独自に弔意表明の要請をした場合、教育現場などで黙祷が強制される」と指摘しました。一方、政府側は「国民一人一人に喪に服すことを求めるものではないという趣旨を引き続きご説明してまいりたい」と述べるにとどめました。
弔意表明をめぐっては、永岡文科大臣が先月30日、「弔意表明の協力の要望は行うことはない」と表明していますが、7月に執り行われた安倍元総理の家族葬の際には、複数の自治体が半旗を掲揚するよう教育現場に対して要請しています。
ヒアリングの中で政府側は、国葬について地方自治体が独自に弔意表明の要請をした場合、「こちらからアクションをするということはないのではないか」として、対応しない考えを示しました。
●国葬「国民に丁寧な説明を」自公党首会談で山口代表が要望 9/2
公明党の山口代表は岸田総理と会談し、安倍元総理の国葬について「丁寧に説明を尽くしていただきたい」と要望しました。
公明党 山口代表「国葬儀や自民党と統一教会の関係でご心配をおかけしておりますというお話がありました」
山口代表によりますと、岸田総理は旧統一教会や安倍元総理の国葬をめぐり批判が高まっていることを陳謝した上で、国葬について「国会で丁寧に真摯に説明したい」と話したということです。
山口代表は「国民にわかりやすく丁寧に説明を尽くしていただきたい」と要望しました。
また、今月末で終了するガソリン価格などの高騰対策について岸田総理は、来月以降、「予備費を活用して対応を考えたい」と語りました。
さらに両者は、日中、日韓関係について、「今よりも良好なものになるよう努力していこう」と話し合ったということです。
●安倍氏国葬に仏独の2氏参列せず 接遇費用どうなる 野党が追及 9/2
安倍元総理の国葬の警備費用を巡って、野党は「23億円ほどかかるのでないか」と政府に総額を出すよう求めています。こうしたなか、ドイツのメルケル前首相が参列を見送る方向であることが分かりました。
ドイツのメルケル前首相。「世界で最も影響力がある女性」の一人とされ安倍晋三元総理の国葬への出席が検討されてきましたが、複数の関係者への取材で「参列を見送る」方向で調整している事が分かりました。
また、フランスのマクロン大統領も「参列しない」方針です。
林芳正外務大臣「多くの海外要人が訪日する機会が見込まれていて、国葬儀の前日から翌日にかけて、首脳レベルや外相レベルで可能な限り集中的にバイ会談(2国間)を行う事を予定しています」
外務省関係者によりますと、アメリカからはバイデン大統領に代わりハリス副大統領が出席する方向で調整中とされ、G7=主要7カ国の現職首脳で国葬に参列するのはカナダのトルドー首相のみとなる見込みです。
戦後初の国葬となった吉田茂元総理の時には、西ドイツやバチカン市国などから外国使節も参列し、献花などが行われました。
記録映画「故・吉田茂国葬儀」から「こうして特使を派遣してきた12カ国、在日外交使節団73カ国合わせて各国参列者は137人に及び、国際的な政治家としての個人の偉大さを忍ばせている」
また、2000年に行われた小渕恵三元総理の内閣・自民党合同葬ではアメリカや韓国の大統領をはじめ、在日大使などを含めた海外の参列者は153カ国、3地域、22国際機関の合わせて377人に上りました。
岸田文雄総理大臣「各国からの敬意と弔意に対し、日本国としての礼節をもってお答えすることが必要だとの思いを強くしております」
警察庁も国葬に向けて「警備対策推進室」を設置し、会場の武道館周辺警備などの準備を進めています。
その警備費などを巡り、野党からは総額を明らかにするよう求める声が高まっています。
立憲民主党・山井和則議員「警視庁OBの意見では、例えば警備費だけでも23億円くらいかかるのではないか、海外からの要人の接遇など含めると130億円くらいになるのではないかと。ぜひとも総額を早く出して頂きたい」
外務省の担当者「外務省が負担する経費は外国から来る要人の接遇の経費になる。現時点でどれだけの方が来るかは外務省として確たることを申し上げる状況になくてまだ多くの国から返事を頂いてない。そういう国に対して今、返事の刈り取りを進めている」
立憲民主党・大西健介議員「いつまでに返事をもらうことになっているのか教えて下さい。それから、外務省はそうは言っても、海外の要人が泊まる部屋と言えばそれなりのグレードの部屋ですよね。ということになると(部屋を)押さえているはずですよね?」
外務省の担当者「当初、各国、地域、機関に通報した際には8月の中旬をメドに可能であれば回答して頂きたいとお伝えしています。とにかく早く教えてほしいということで働きかけを続けています。渡航費、宿泊費これは先方参列者の所属する国、ないしは機関がお支払い頂くということになっていますので、外務省として部屋を押さえてるということはございません」
●国葬の総額費用を問われ、外務省担当者「いくらか…控えさせていただきたい」 9/2
立憲民主党など野党は2日、国会内で安倍晋三元首相の国葬に関する国対ヒアリングを行った。
先月のヒアリングでも議題にあがっていた、国葬費用約2億4900万円に加え、警備費、外国からの要人対応の外務省関連の費用は総額いくらかという質問に対して、外務省の担当者は「まだ多くの国からお返事をいただけていない。今日この場で国葬費用がいくらかということは控えさせていただきたい」と回答した。
共産党・塩川鉄也氏は、「およその見込みは、国葬前に示せるということか」と問うと、担当者は「具体的な数字については出来るだけ早くお示しする努力をしていきます」と述べたが、国葬前に総額を明らかにするかについては明言を避けた。
また、議員からは自治体や教育委員会に独自の判断で、学校への黙とう依頼をしないように通知すべきではないかという意見も出た。内閣府の担当者は「全てのケースを想定するというのは難しい」とし「前回も申し上げたように誤解を招かないようにという説明は、これからも続けていきたい」と話すにとどめた。
来週以降もヒアリングは行われ、次回は文科省にも出席を依頼する予定だ。

 

●安倍元首相の国葬「言われへんぐらい金が入ってる」 9/3
神戸学院大の中野雅至教授が3日、読売テレビ「あさパラS」に出演。安倍晋三元首相の国葬について、政府の対応のまずさを指摘した。
中野氏は国葬をすべきかどうかについて、「政治家の実績で判断すべき」と持論を口に。「実績論なら多分、こんなふうな議論にはなっていない。政権の世論コントロールがまずくて、税金論になってきたら不利やと思いますよ」と予想し、「実績論であれば、実績の是非って賛否が分かれるんで議論が成り立つんですけど、税金だったら(費用が)メチャクチャかかって、今の時点では警備費が算出できないと思うんですよ」と解説した。
また、国葬の経費について、「(外国の要人が)いっぱい来て、安倍元総理があんなことになったので、各国からも“警備、大丈夫か?”と相当言われてて、警察はもう一回不祥事があったら物凄いことやから、むちゃくちゃ資源を入れてるはずなんで、言われへんぐらい金が入ってるはず」と説明。「そうなると世論がささくれ立って、しかも物価も上がって、不祥事もいっぱい出てるから、ますます税金論になったら追い詰められるから、議論の形としては政権は完全に失敗したと思います」と断言した。
●安倍元首相の家族葬で「半旗」掲げた自治体 国葬ではどうする? 9/3
安倍晋三元首相の家族葬の際、各地の教育委員会が半旗掲揚を依頼した問題。ここへ来て、手続きのミスを謝罪したり国葬での対応に迷ったりする自治体が出ている。当初は掲揚の判断を自治体に丸投げしていた岸田政権が、一転して閣議了解しないことを決めたため、はしごを外された格好なのか。教育の政治的中立に反するとの批判は続いており、大本の国葬の中止を求める声が高まっている。
掲揚依頼 首長部局が教委に対し機械的に…
「私から教育現場に指示した事実はないが、市民に混乱を招いたことをおわびしたい」
滋賀県甲賀市の岩永裕貴市長は1日、記者会見でこう陳謝した。
同市は7月12日の安倍氏の家族葬に合わせ、市教委を通じて公立小中学校全27校に半旗掲揚を求める文書を送った。市によると、岩永市長が市庁舎での掲揚を市長公室長に指示したところ、総務課が「国旗や市旗がある施設への要請」と取り違え、市教委を含む各部局に知らせた。
岩永市長は「職員が市長に確認するなど止めるタイミングもあったが、確認不足と思い込みを繰り返した。防ぐ仕組みを検討したい」と述べた。
同様の掲揚依頼は、東京都や仙台、川崎市などでも発覚。甲賀市と同様に、首長部局が教委に機械的に回したパターンだ。岡山県倉敷市では家族葬当日に総務課が「市役所の本庁舎と各支所で半旗を掲揚する」との「お知らせ」を各部局にメールし、市教委が市内の全132の市立学校・園に転送した。
国葬批判が急拡大 政府、弔意表明求める閣議了解を断念
背景には政府の姿勢が透けて見える。例えば2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬では、自治体に半旗掲揚などの協力を要請。今回の安倍氏の家族葬でも、東京都は「国の機関が半旗を掲げたこと」を理由に、掲揚を求める文書を配布している。「教育の政治的中立性に反する」といった批判が相次ぐが、磯崎仁彦官房副長官らは7月の記者会見で「各自治体が適切に判断すること」と述べ、問題なしとの姿勢を示した。
だがその後、国葬や旧統一教会への批判が高まった。報道各社の世論調査では、国葬への「反対」が「賛成」を軒並み上回り、内閣支持率も急落。政府は先月26日、関係機関などに閣議了解で弔意の表明を求める前例を踏襲しないことを決定した。松野博一官房長官は「教育委員会に協力を要望する予定はない」と明言した。
事態の急転に、家族葬で半旗掲揚を求めた自治体は、動くに動けなくなっているようだ。大阪府富田林市教委の担当者は「(公立学校への通達が)『教育基本法からすれば問題がある』という指摘を市民からいくつか頂いた」と話す。国葬が行われた場合、半旗掲揚を求めるか尋ねると、「すでに弔意を示したので、もう一度というのは…。公式には政府の動きを見て判断するとしか言えない」と言葉を濁した。
政府が教育現場に半旗掲揚を求めない姿勢を明らかにしたにもかかわらず、国葬については他の自治体も歯切れが悪い。東京都総務局の担当者は取材に「閉会中審査での岸田首相の説明、国会の議論を見守った上で決定したい」と回答。仙台市は郡和子市長が「(国葬の際は)政府の要請に従う」と述べていたが、市教委の担当者は「現時点では何も決まっていない」と繰り返した。
弔意表明 自治体トップから「強制しない」の発言相次ぐ
国葬を巡っては全国各地で、反対表明や取り消しを求める訴訟が相次ぐ。自治体に対しても、北海道や京都、大阪、兵庫、長野の5道府県の弁護士らが、参列が見込まれる首長らへの公金支出差し止めを求める住民監査請求をしている。
弁護士らは、国葬には法的根拠がなく、国民に弔意を強制して憲法で保障された思想・信条の自由を侵害するなどと指摘。大阪で監査請求した谷次郎弁護士は「問題のある国葬に関わる公金の支出は、地方自治法が求める住民福祉の増進につながらない」と訴える。
兵庫で請求した弘川欣絵よしえ弁護士は「直接国葬を止めるものではないが、国葬への税金の使い方に、納税者が当事者として直接関われる意義は大きい」と話す。東京や神奈川、群馬など複数の弁護士会も、撤回を求める会長声明を出した。
こうした動向も察知したのか、各自治体のトップなどから、弔意の表明を強制しないとの発言が相次ぐ。大阪府の吉村洋文知事は記者会見で、国葬の際に府庁舎などで弔旗は掲揚するものの、「業務命令として、職員に黙とうをお願いするようなことは考えていない」と話し、府教委や学校にも半旗掲揚を求めない考えを示した。
水戸市の高橋靖市長も「弔意を市民や職員に強制したり要請したりすることは全く考えていない」と強調。茨城県教委の森作宜民よしたみ教育長も「特別な対応は考えていない」と述べた。
首相の葬儀委員長決定で「省庁で弔旗」決定…追随も?
風向きが変わってきたようにも見えるが、問題は残っている。
岸田内閣は「国民一人一人に弔意を強制するとの誤解を招く」として、各省庁や国民に弔意表明を求める閣議了解はしないことを決めた。その一方で岸田首相は、9月27日の国葬当日は各府省庁で弔旗を掲揚し、葬儀中の一定時刻に黙とうすることを、葬儀委員長決定としたのだ。
閣議了解より一段劣る葬儀委員長決定にしたことで配慮を見せたつもりかもしれないが、葬儀委員長は岸田首相自身だ。首相決定の事実は重い。国の建物だけでなく、右ならえで追随する自治体や教育現場が出てこないとも限らない。
それに各府省庁で働く国家公務員も国民だ。弔旗や黙とうの強制となれば、憲法19条が保障する「思想及び良心の自由」に反することになる。梓沢和幸弁護士は「公務員は憲法を順守し、憲法の精神に基づいて行政目的を推進する立場。合理的な行政目的とは違う弔旗掲揚や黙とうを強制することはあってはならない」と批判する。
そもそも国葬は法的根拠がなく、入り口でアウト
安倍氏の家族葬では政府に対応を丸投げされ、「忖度」して半旗を掲げたら、はしご外しで迷走する羽目になった各自治体。国葬を巡る政府のちぐはぐな対応は、自治体や教育現場にまた新たな混乱と忖度を招かないか。
名古屋大の中嶋哲彦名誉教授(教育行政学)は「教育行政は学校の自主性を尊重し、指導助言するのが基本だが、実際には忖度の連鎖。いくら弔意を求めないといったところで、するなと言われない限り、する人たちは出てくる」と懸念を示す。
その上で、「国葬を行うことで、賛否真っ二つで歴史的評価が定まっていない安倍氏について、重要な人物であるという判断を教育現場に押しつけることになる。そもそも国葬は法的根拠がなく、入り口の時点でアウト」と国葬自体を問題視する。梓沢氏もこう呼びかける。
「政治家の基本は、人々の幸せに尽くせるかどうか。やはり基本に立ち戻って、岸田さんが政治のトップとして問題だらけの国葬を中止する大決断を下す。それが今求められている」

「故吉田茂国葬儀記録」は、約290ページのかなりの部分が準備段階の記述だ。総理府の講堂に臨時電話を引いて事務所とし、短期間で多数の文書も作っている。今回、岸田首相は「費用は外国要人数などが確定しないと示せない」とするが、もう全体の規模は固まっている時期では。
●岸田首相 公明に陳謝 旧統一教会との関係、安倍元首相国葬巡り  9/3
岸田文雄首相は2日、公明党の山口那津男代表と官邸で会い、自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係や、安倍晋三元首相の国葬を巡り「ご心配をおかけしている」と陳謝した。
この日は、自民が所属国会議員に教団や関連団体との接点の点検を求めていた調査の回答期限。党幹事長室で集約しているが、自民党幹部は結果発表を調整していた6日には間に合わないと記者団に述べた。記述が不十分で再提出を求めたケースが続出したためで、来週中の公表を目指すとした。首相や茂木敏充幹事長は調査結果公表で幕引きを図りたい考えだが、思惑通りに沈静化する見通しは立っておらず、厳しい政権運営が続きそうだ。
●共産・志位委員長 批判「弔意を強制することは『思想・良心の自由』に反する」 9/3
共産党の志位和夫委員長が3日、自身のツイッターを更新。安倍晋三元首相の国葬に改めて反対した。
志位氏は「首相は、安倍氏のみを『国葬』にする理由を一切説明しておらず、憲法14条の『法の下の平等』に反する」と指摘。「首相は、『国葬は故人への敬意と弔意を国全体として表す儀式』と定義しており、『国全体』=『国民全体』に弔意を強制することは、憲法19条の『思想・良心の自由』に反する」と訴えた。
さらに「『国葬』は憲法違反であることにくわえて、法的根拠がありません。法的根拠がないことを、一片の『閣議決定』で強行しようとしている。これを法治主義の破壊と言わずして何というのか」と怒りをつづった。 
●安倍元首相の国葬が「24時間テレビ」的 “お涙ちょうだい” 演出の可能性… 9/3
9月27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬。この企画・演出の業務について、東京都江東区のイベント会社「ムラヤマ」が1億7600万円で落札したことがわかった。
入札したのはこの1社だけで、ムラヤマは2014年から5回にわたり、「桜を見る会」の会場設営業務を落札している。さらに、2017年から2019年の「桜を見る会」では、同社が入札前に内閣府と打ち合わせしていたことが発覚し、批判を浴びるなどの “いわくつき” だ。
共同通信の取材に対し、ムラヤマの広報担当者は国葬について「通常の業務の一環として入札した」と話している。
「もうひとつ、“いわく” がありますよ。この会社は2022年3月22日に日本テレビホールディングスに買収されているんです」(経済記者)
買収した当時、日テレが発表したリリースを確認すると、日テレはムラヤマについて、
《創業120周年を迎える強固な顧客ネットワークを保有する特殊内装・造形業界のリーディングカンパニーです。スポーツ関連や官公庁関連、博覧会及びアミューズメント(テーマパーク、遊園地他)で豊富な実績を有しております》と評価したうえで、《ムラヤマを当社グループに迎え入れることが、当社グループ全体の企業価値向上に資するとの判断に至りました》と説明している。さらに買収される側であるムラヤマにとっての利点として、《当社グループのクリエイティブによる企画プロデュース・マーケティング・演出力が加わることで、高付加価値化及びワンストップ営業が可能となり売上・収益向上が見込めます》としている。子会社だと判明したことで、ネット上ではさまざまな波紋を呼んでいる。
《日テレらしく、夫人をワイプで抜いたり、泣き声がながれたりするんかな》《日テレは国葬儀は賛成なんやな!》《読売グループは電通とも深いつながりだし、ある意味自民党御用達かな?》
「ムラヤマは、中曽根康弘元首相の『内閣・自民党合同葬』や、東日本大震災の追悼式などの会場設営や運営もおこなっています。まさに自民党の御用達ですよね。日テレは『演出力が加わる』と明言しているわけですから、昭恵夫人を『ワイプで抜く』などの “24時間テレビ風” な、“お涙ちょうだい演出” もありえるかもしれません。ただ、いちばん痛いのは、日テレが『情報ライブ ミヤネ屋』を始め、これまでさまざまな番組で国葬について取り上げてきたことです。今後、番組で国葬に対して賛成すれば『子会社のためだ』と言われるし、反対すれば『受注しといてなんだ』と言われかねません」(前出・経済記者)
ここは『24時間テレビ』らしく、開催費用もチャリティーで募ってはどうだろう。
●法的根拠なし、国民に弔意強制 「国葬」反対署名呼びかけ 教育府民会議 9/3
「子どもと教育・文化を守る京都府民会議」は8月27日、京都市左京区の教育文化センターで「どうみる国葬 緊急学習会〜子ども・国民への弔意強制は許されるの?」と題して学習・交流会を開催し、オンラインを含め、教職員や保護者ら75人が参加。国葬反対の署名運動が呼びかけられました。
福山和人弁護士は「国葬」について、現憲法下では皇室典範に基づくものを除いて、吉田茂元首相(1967年)だけで、戦前の国葬令が失効(1947年)しているもとで「法的根拠はない」と指摘。
国が根拠としている「内閣府設置法4条3項33号」は内閣府の所掌事務の範囲としての「国の儀式」であり、国葬を含む根拠はないと述べました。また、「不測の支出」として予備費からの財政支出について、国葬自体は岸田内閣が閣議決定したもので「不測」にあたらず、予備費として支出したとしても事後的に国会の承認が必要だと指摘。国費の支出は国会の議決が必要であり、憲法83、85条の「財政民主主義」に反するとして「費用は会場費だけで2億5000万円。警備などを含めれば40〜50億円ともいわれる。国会議決なしで執行することはあり得ない」と批判しました。
各府省に求める閣議了解が見送られた弔意表明は「思想信条の自由」の侵害にあたると指摘。このほか、なぜ安倍氏なのかという基準がなく「平等原則」違反、国民の過半数が反対を示すもとで「国民主権」にも反するなど、憲法に抵触するおそれがあるとして、国葬の反対と撤回を強調しました。
交流では、小学校長あてに子どもたちに弔意表明の強要をしないよう求める要望書を提出した保護者や区内の小中学校へ申し入れを準備しているという新婦人伏見支部などのほか、「国葬よりもコロナ対策に回すべき」「どうしたら国葬を止められるのか」などの意見が出されました。福山氏は「臨時国会を開かせることが大きなポイント。国葬反対のネット署名だけでなく、街頭での署名活動も含めて意見を発信し、政治を動かしていくことが大事」と話しました。
京都教職員組合の中野宏之委員長があいさつ。教組として「国葬」中止と学校への弔意強要を実施しないよう求める要望書を8月9日に提出したと述べ、弔意の押し付けに反対する要請行動とともに「国葬」中止を求める宣伝、署名を呼びかけました。
●「国葬に反対する方々」「もう黙ってろ」自民北海道議ツイート話題に 9/3
自民党の道見泰憲北海道議が8月28日にツイッターに投稿した書き込みが話題になっている。
「国葬に反対する方々にお伝えしたい…わかったから…賛成して欲しいとか野暮なことは言わないから…だからもう黙ってろ」
投稿から6日たった3日、急上昇した検索ワードのランキング「リアルタイム検索」では、道見議員のツイッターアカウント名「道見やすのり」がランク入りした。
ツイッター上では、このツイートをリツイートして、「国葬の費用はあなたのお金ですか?」「国民の税金を使い強行する国葬でこの言いぐさ」「また逸材がでてきた」「地元の方はどう思うんでしょうか」「知名度急上昇」などと注目する声が上がった。
●佐藤栄作首相、野党説得を指示 吉田茂氏国葬で衆院副議長に  9/3
佐藤栄作首相(当時)が1967年に吉田茂元首相の国葬を閣議決定する際、法的根拠がないとして野党第1党の社会党を説得するよう自民党の園田直衆院副議長に指示していたことが分かった。園田氏は秘密裏に社会党幹部と交渉し内諾を得た。衆院職員として園田氏の秘書を務めた平野貞夫元参院議員(86)が3日までの共同通信社の取材に対し、当時の経緯を明らかにした。
岸田文雄首相は安倍晋三元首相の銃撃事件から6日後の7月14日、国葬実施を表明した。野党からは、国会への説明がないまま国葬実施の判断に踏み切ったことに反発が出ており、実施決定の手続きが妥当だったかも焦点となりそうだ。
●立憲は国葬反対なのに泉代表「出席あると思う」… 優柔不断と支離滅裂 9/3
一体、何を悩んでいるのか。立憲民主党の泉健太代表が2日の記者会見で、安倍元首相の国葬への出欠について「国が関与する儀式は一つ一つ重たい。本来であれば基本的に出席する前提に立っている。それが本当に悩ましい」と語った。
耳を疑う発言だ。立憲は法的根拠が乏しいなどとして国葬には反対の立場だ。同じく国葬に反対する共産党は「今、言われているような形で国葬が強行されることになれば、出席はできない」(小池晃書記局長)と、キッパリと表明した。
それなのに、国葬に反対する野党第1党のトップは腰が定まらず、“共闘”の足を引っ張る自己矛盾。泉代表は1日のBSフジの番組でも、国葬出席の可能性について「あると思う」と語っていた。国葬を否定しながら、「出席するかも」とは支離滅裂だ。優柔不断にも程がある。
泉代表の迷走ぶりに、SNS上は《いったい、何がしたいのか、全く理解できません》《提案型野党より、忖度型野党へか》《マジで、泉を代表に据える限り、立憲は支持率が落ち込み続けるよ》などと非難ゴウゴウ。
しかも、今は統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着で政府・与党が揺らぎ、野党は絶好の攻め時だ。一枚岩となって政権を追及すべきなのに、泉代表が教団の最大の庇護者であり、広告塔だった安倍の国葬への出席をにおわすのは、野党の勢いを失わせるようなものだ。安倍国葬を教団のPRやマインドコントロールに利用したがる統一教会を喜ばせるだけだろう。
「泉代表が出席すべきは国葬ではなく、まず国葬反対のデモです。岸田政権は議会を開かず、与野党で話し合いもせず、勝手に国葬に突っ走っている。しかも、安倍元首相は自民党と統一教会をつなぐ中心人物です。政権と戦う姿勢を示すべきなのに、泉代表の煮え切らない態度は野党第1党の党首として不適格。明確に国葬に反対できなければ、代表を辞任すべきです」(政治評論家・森田実氏)
立憲の所属議員も泉代表の発言を「是」とすれば、党勢は衰えるばかりだ。
●国葬にひそむ危険性 9/3
参院選の遊説中に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相の国葬が9月27日に行われる。岸田文雄首相は8月31日に記者会見し、安倍氏について「国民の信任を得て憲政史上最長の8年8カ月にわたり重責を務めた」などと強調。国葬がふさわしいとの考えを改めて示した。
ただ、世論の賛否は割れ、国民の理解が得られているとは言い難い状況だ。そこで、国葬の成り立ちや果たした役割を正面から取り上げた、ほぼ唯一と言っていい書籍の著者である中央大学の宮間純一教授に安倍氏国葬の問題点を聞いてみた。宮間教授は「政治利用」されることに警鐘を鳴らす。
――そもそも国葬とはどういうものか。
国葬は世界各国で行われており、その在り方や成立時期は一様ではない。普遍的に定義するなら「国の予算で国が主催して行う国家の儀式」だ。王や大統領、政治家、軍人のほか、民間人が対象となる国もある。
――明治期に国葬が取り入れられた理由は。
大久保利通が1878年に暗殺された。葬儀の音頭を取った伊藤博文らは、明治政府が盤石ではなかった中で、大久保が政府に反対する反乱分子によって暗殺されたことに危機感を覚えた。伊藤は国葬に準ずる形で葬儀を催し、天皇が大久保の死を哀しんでいることを皆で共有する場を用意した。反乱分子のしたことは間違いで、天皇に歯向かうことだと示した。
――大久保の葬儀は国葬に近い形で行われた。
原型と言った方がいいかもしれない。完成されたものではないが、政府が深く関与して大々的に営まれた。1883年の岩倉具視の葬儀は国が主催して、国費で行うことがはっきりした儀式だ。最初の正式な国葬と位置付けられる。
――著書では1891年の三条実美の葬儀で国葬が完成したとしている。
天皇が(国葬を)下賜する手続きが明確になった。新聞が普及して情報が広まり、地方でも国葬に合わせて学校や神社で追悼式などを開くという形が広く見られるようになった。
韓国併合に利用
――国葬がその後も続けられた理由は。
国葬は、それぞれに個性があり、盛り上がり方にも差が見られるが、原則は国民統合のための装置として機能した。天皇の名の下に、「国家に尽くした偉大な人物」を哀悼し、いかに功績があったのかを共有する。国民はこのようにならなければいけない、という規範にされる。思想、言論を一つに統一していく機能を持っていた。
盛り上がった具体的な例を挙げると、1909年に伊藤博文が中国東北部のハルビンで(朝鮮独立運動家の)安重根に暗殺された。伊藤は少し前まで韓国統監府のトップをしていて、韓国併合を進める立場にいた。当時の首相は桂太郎だが、伊藤が殺された翌日には国葬を行うことを閣議決定した。日比谷公園で行われ、周辺はぎゅうぎゅう詰めという熱狂ぶりだった。
当日は韓国でも追悼会が行われた。日本によって立てられた当時の大韓帝国皇帝・純宗は伊藤に弔辞を贈った。皇帝の名前で「反乱分子」のことを否定しているわけだ。翌年に日韓併合条約が結ばれるが、韓国経営を進めるための一つの政策として(国葬が)行われた面があった。
吉田国葬と類似性
――昭和の戦争期でも山本五十六の国葬(1943年)が利用された。
山本の国葬は目的が分かりやすい例だ。戦局が本格的に悪化していく時期に、山本の遺志を国民皆で継承して戦争を完遂するのだと訴えられた。兵士だけでなく、銃後の社会にいる女性や子どもたちにも戦争協力を促していく役割を持った。
――1967年の吉田茂の国葬の経緯は。
戦後、国葬が問題になるきっかけは1951年に大正天皇の皇后、貞明皇后が亡くなった時だ。結局、事実上の国葬という形で貞明皇后の大喪儀は実施されたが、皇族ではない人の国葬をどうするかという議論も付随して出てきた。
その後に「公式制度連絡調査会議」という会議で国葬も制度化すべきではないかという審議がされている。ただ、基準の設定が難しく政治問題化する恐れがあるなどの意見もあって、法制化に至らないまま吉田の国葬が実施された。吉田の国葬は(当時の首相である)佐藤栄作と自民党の強い意向があって決まった。今の形とかなり近い。
論理破綻の安倍氏国葬
――安倍氏の国葬をどう見るか。
最初に聞いた時、そんなものをまた持ち出すのかと思って驚いた。かなりあっという間に決めたので、本当に大丈夫なのかと思って恐ろしさを覚えた。過去の例を参照すれば、国葬は常に政治利用されてきた。自民党ないし岸田首相の立場を固めるために国葬を利用しようとしているのではないかと感じた。
――首相は「民主主義を守り抜く決意を示す」と強調している。
民主主義を象徴する場面である選挙活動の最中に不当な暴力で(安倍氏が)亡くなった、それに対抗するために国葬なんだ、というロジックだ。確かに、暴力は否定されなければならない。だが、首相の説明は、民主主義を破壊しようとしているテロ行為で安倍氏が亡くなったなら成り立ち得るが、今回は明らかにそうではない。
ましてや、戦前・戦中のような国葬は少なくとも戦後日本の民主主義とは相いれないものだ。自由な意思を抑圧し、一つの思想にまとめ上げるという役割を日本の歴史上、国葬が持ってきたことは確かだ。
――与党からは「外国要人の弔問の場をつくる意義は大きい」との声が出ている。
国葬は過去、弔問外交の場として利用されてきた。しかし、国葬は外国からの要望で行うものではない。
あくまでも国民が納得し、国民が望んではじめて行うものだ。外国から求められているから行うという論理はおかしい。今まで行ってきた「内閣・自民党合同葬」でも外交儀礼の場としては成立していたから、国葬とする必要性も分からない。
国民的合意が不可欠
――政府は国民一人ひとりに対しては弔意の表明を強制しない方針だが。
であれば、国葬という看板を取り下げるべきだ。これは吉田の国葬でも曖昧にされた点だが、戦前は天皇が決定する形式だった。戦後は国民(が決定権者になるはず)だ。「国葬」を名乗って行うのであれば、「国民」が了解し、追悼しようとならないと国葬ではない。国会での審議を経て、国民の同意を取り付けないといけない。
――後世から見て安倍氏の国葬が歴史の転換点となる可能性はあるか。
危惧するのは、これが前例として残ってしまうということだ。何もルールがない状態で、60年、70年、80年たった時にどういう使い方をされるか分からない。今はまだ批判することができている。でも、80年後の日本がどうなっているのかは誰にも分からない。山本五十六の国葬があったのは、たった80年ほど前のことだ。

 

●「矛盾だらけ ふさわしい人か国葬でなければいけないか」安倍氏の国葬問題 9/4
毎日新聞の元村有希子論説委員が4日放送のTBS「サンデーモーニング」に出演。9月27日に東京・日本武道館で営まれる予定の安倍晋三元首相の国葬について、「国葬でなければいけないのかと、国葬にふさわしい人であるのか。この2つの疑問がある」と指摘した。
元村氏は「弔問外交なら政府と自民党の合同葬でもできる。国葬にふさわしい人であるかは、安倍さんと旧統一教会の関係がどんどん広がるにつれて、安倍さんはどうだったんだろうという疑問が膨らんでいる。この二つを説得力ある形で示すのは、『基準』なんですよ。この人はこういう場合は国葬にすべきという基準があれば、それを材料に説得できる」と語った。
続けて「総理は会見で『基準についてはつくるつもりは今後もない。総合的に判断して決めるべきもの。国内外の状況や死去までの経緯を総合的に判断して、その都度決めるべき』と話している。それならなおさら、安倍さんの死去の経緯をきちんと検証しなければならない」と言及。「安倍さんの教団の関係をきちんとふまえた上で可否を判断すべきだけど、矛盾だらけ。矛盾を抱えたままなだれこめば、未来に禍根を残す」と疑問を投げかけた。
●国葬やアフリカへの4兆円支援、本当に税金の無駄遣いなのか 的外ればかり 9/4
安倍晋三元首相の国葬やアフリカへの官民合わせて4兆円投資の方針などについて、ネットの一部では「税金の無駄遣い」との声がある。
税金の無駄遣いかどうかは、どのように判断すべきものなのか。一般論で言えば、財政支出に対して国民の主観的な評価があり、それに見合うかで無駄遣いかどうかとなる。もちろん、主観的な評価は人それぞれであるが、法令に基づく適切な支出でない場合、それが税金の無駄遣いとされるのは、ほとんどの人が納得できるだろう。
会計検査院の検査では、法令などに違反したら不当事項を含む指摘事項がある。指摘事項のうち不当事項はまさに法令違反なので、指摘事項を税金の無駄遣いと報道されても不思議ではない。
だが、安倍元首相の国葬やアフリカへの4兆円支援は、それぞれ内閣府設置法や外務省設置法に法的根拠がある。
国葬に反対する人は、法的根拠がないとして裁判所に対し差し止め請求しているが、裁判所がそのような理由で差し止め請求を認めることはないだろう。
差し止め請求では、費用の支出を予備費としていることや、国民への弔意の強要になるとの理由も掲げている。しかし、予備費は、予見しがたい支出について、国会の議決で設け、内閣の責任で支出することができる(憲法87条)ものなので、その規定通りである。
国民への弔意の強要という主張は理解できない。内面の自由があるので、弔う気持ちのない人まで強要しない。一方、国葬の反対は、弔う気持ちのある人を妨害するだけで、むしろ他人の内面の自由の侵害にもなりかねない。
国葬に反対する人は、しばしば費用が大きいとも指摘する。国葬にかかる費用は2・5億円とされたが、警備費が含まれていないことを問題視し、40億円程度の費用がかかるはずという主張もある。国葬で特別な警備体制になるのは事実であるが、各地から警官の応援があり、それらの警備費は既存の警察予算の範囲内である。要するに、国葬について追加的な警備費用はあまりかからない。費用の二重計上はミスリーディングだ。
アフリカへの4兆円支援についても誤解がある。現時点で詳細は分からないが、追加的な支出であれば、補正予算などでの対応になり、そのときにはっきり分かる。これまでの例でいえば、4兆円のほとんどは融資であり、税金は原資ではないだろう。
具体的な仕組みの概略は、国債を発行しそれを原資としてアフリカ諸国へ貸し付ける。国債の償還は国民の税金ではなくアフリカ諸国からの貸し付け返済で行われる。であれば、アフリカへの4兆円支援を税の無駄遣いというのは的外れだ。
国葬費用の2・5億円は、日本で20カ国・地域(G20)級の国際会議を開催できると考えれば問題ないどころか、日本の立場を世界にアピールできるので、またとないチャンスでもある。これを税金の無駄遣いというのは、結局国葬を阻止したい人たちの単なる口実だろう。
●「国葬」総額 100億円超? 「即位の礼」では警備・接遇費90億円 9/4
岸田政権は、安倍晋三元首相の「国葬」をめぐり、儀式に直接かかる経費2・5億円を閣議決定する一方で、警備費や外国来賓の接遇費など「国葬」にかかる費用の全体像を明らかにしていません。9月2日の野党国対ヒアリングで野党が「国葬」の経費総額の提示を求めると、政府は「国葬」実施後に明らかにすると述べるだけでした。しかし、憲法14条の「法の下の平等」や19条の「思想及び良心の自由」に反するうえ、「国葬」の実施には法的根拠もありません。国民の多数も「国葬」に反対しています。国会での説明も議決もなしで、国民の多額の税金を使って行うことは許されません。
過去の例を見ると、天皇の退位と即位にかかわる「国の儀式」では、警備費と接遇費合計で約90億円の予算が計上されていました。
現天皇の「即位の礼」は、国内外から約2600人を招待し、2019年10月22日に行われました。式典委員会の会長は当時の安倍首相でした。首相官邸ホームページの「天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う国の儀式等」に掲載されている19年度の「皇位継承式典関係(一般会計)予算額(案)」では、「警備関係実施経費」を約38億円、「外国賓客滞在等実施等関係経費」を約50億円計上していました。「退位の礼」は4月30日から5月1日に皇居内で行われ、海外からの参加者はありませんでした。
岸田文雄首相は安倍元首相の「国葬」に、「即位の礼」の2倍以上となる参列者約6000人を見込んでいると表明(8月31日の記者会見)しています。「国葬」の警備費と接遇費が「即位の礼」での約90億円を大きく上回り100億円超となる可能性があります。
●安倍氏国葬「出席できない」 れいわ幹事長 9/4
れいわ新選組の高井崇志幹事長は4日のNHK番組で、故安倍晋三元首相の国葬について「今のままの国葬では出席はできない」と述べた。
高井氏は「国葬を行うのであれば国会を開いて法律をつくるべきだ。閉会中審査ではだめだ」と指摘し、法的根拠を明確にするよう求めた。 
●安倍元首相の国葬に反対 社民党福島県連などが街頭で訴え 9/4
9月4日、社民党福島県連などはJRいわき駅前で街頭活動を行い、「国葬は法律で定められていない」「費用が明らかにされていない」などの問題があるとして、安倍元首相の国葬に反対する意見を訴えた。
社民党福島県連 狩野光昭代表「接遇費だとか警備費が明らかになっていないということ、財政民主主義上、私は問題であるんじゃないかとおもいますので、きちんと国会の中で、閉会中審査ではなくて、臨時国会を開いて審議をしてもらいたいと考えています。」
社民党県連では、今後も県内各地で安倍元首相の国葬に対して反対を訴えていくとしている。
●安倍元首相「国葬」 実施の是非や政府の説明めぐり与野党議論  9/4
安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、NHKの「日曜討論」で、実施の是非や政府の説明のあり方などをめぐって与野党の幹部が意見を交わしました。
この中で、自民党の茂木幹事長は「国内外から多くの弔意が寄せられており、海外からの参列者も招いて、敬意や弔意を表す機会を国の儀式として行うのは国際的に見ても非常に適切なことだ。今回の国葬は、現行の内閣府設置法で閣議決定しているので、法的には問題ないが、趣旨や内容、そして具体的にいくらお金がかかるのかも含め、丁寧に国民に説明していくことは大切だ」と述べました。
立憲民主党の岡田幹事長は「閣議決定したからやると岸田総理大臣は言っているがとんでもないことで、民主主義の根幹に関わる問題だ。今後、『国葬』について法律を定めるなり、やり方は考えた方がいいと思うが、今なら『内閣葬』に戻せるので『内閣葬でやる』と政治決断すべきだ」と述べました。
日本維新の会の藤田幹事長は「国葬に反対ではなく賛成の立場だが、政府の問題は説明が遅く、真摯な対応が足りていないことだ。理由や内容、費用についてもつまびらかにして説明責任を果たすことがいちばん必要だ」と述べました。
公明党の石井幹事長は「安倍元総理大臣が行ってきた外交、内政は非常に功績が大きく、国葬にふさわしいのではないか。岸田総理大臣には、国会の閉会中審査で、多くの国民の理解が得られるように丁寧な説明を期待したい」と述べました。
共産党の小池書記局長は「安倍元総理大臣のみの特別扱いは憲法14条の『法のもとの平等』に反するし、敬意と弔意を国民全体として表す儀式は弔意の強制にほかならない。中止を強く求める」と述べました。
国民民主党の大塚代表代行は「今『国葬』というものは法的に存在しない。今後、正式な『国葬』を行うのであれば、改めてそういう法律を作る必要がある」と述べました。
れいわ新選組の高井幹事長は「『国葬』を行うのであれば、国会を開いて法律を作るべきだ。法的根拠が明確にならなければ出席できない」と述べました。
●安倍元首相の国葬に自民茂木幹事長「国際的に見ても適切」 9/4
自民党の茂木敏充幹事長は4日のNHK番組で、安倍晋三元首相の国葬に関し、閣議決定を根拠とする実施は問題ないとの認識を重ねて示した。立憲民主党の岡田克也幹事長は同番組で、多くの首相経験者の葬儀は内閣・自民党合同葬だったとして「岸田文雄首相は内閣葬に戻す政治決断をするべきだ」と訴えた。
茂木氏は国内外から弔意が寄せられているとして「国の儀式として行うのは国際的に見ても適切で、当たり前だ」と主張。岡田氏は「各党や国会に何の相談もなかった。閣議決定で勝手に進めていくところに根本的な問題がある」と強調した。
●国葬「問題ない」―自民 内閣葬に戻すべき―立民 9/4
自民党の茂木敏充幹事長は4日のNHK番組で、安倍晋三元首相の国葬に関し、閣議決定を根拠とする実施は問題ないとの認識を重ねて示した。立憲民主党の岡田克也幹事長は、多くの首相経験者の葬儀は内閣・自民党合同葬だったとして「岸田文雄首相は内閣葬に戻す政治決断をするべきだ」と訴えた。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題について茂木氏は、党所属国会議員に教団側との接点確認を求める調査の結果を今週中に発表すると表明。当初調整していた6日には間に合わず、週後半の公表を目指す。
岡田氏と共産党の小池晃書記局長は自民の調査を巡り、安倍氏と教団の関係も調べるよう要求した。
●安倍氏国葬の警備費「最低44億円」 ゆうちゃみ「最初言ったこととちゃうやん」 9/4
TBS系「サンデージャポン」が4日放送され、安倍晋三元首相の国葬費問題を取り上げた。
政府は8月26日の閣議で、国葬費について約2億5000万円と決定。松野博一官房長官は国葬の警備費について「国葬後に精査した上でお示ししたい」としたが、莫大な国税が突っ込まれる懸念があり、国民の反対は根強い。
元警視庁警備部所属で、昭和天皇の葬儀で警備担当をしたことがある作家の濱嘉之氏は、安倍氏の国葬警備費について「44億円が最低」と驚愕の数字を指摘する。警察官の超過勤務費や出張手当、食事代などを合算した上での数字とした。
これに「ゆうちゃみ」ことギャルモデルの古川優奈は「最初と言っていることとちゃうやんとなるから、余計に反対されている部分もあるんじゃないかと思う」と指摘した。MCの「爆笑問題」太田光は、自身の葬儀について「普通の葬式でいい。国葬じゃなくても」とボケて、笑わせた。
●安倍元首相の国葬中止を 長野駅前で抗議活動 「政府・自民党葬に」  9/4
今月27日に予定される安倍晋三元首相の国葬中止を求め、JR長野駅前で4日、抗議活動が行われました。
「安倍元首相の国葬反対!」抗議活動には野党3党の国会議員らと市民団体など6団体のメンバー約50人が参加しました。
今回の「国葬」には法的根拠がなく、安倍元首相の政治的評価も二分しているなどとし、税金を使った国葬の中止を訴えました。
立憲民主党 杉尾秀哉参院議員「今からでも遅くないと思います。『政府・自民党葬』という形で『国葬』という形はやめていただきたい。国葬でなくても各国要人は来られる人は来られると思います」
FNNが8月下旬に行った世論調査では、賛成が40.8パーセント、反対が51.1パーセントで、反対が過半数となっています。

 

●国葬反対にネット署名15万人超、被爆地からも「異議あり!」 広がる抗議 9/5
安倍晋三元首相の国葬を巡り、報道各社の世論調査で賛否が割れる中、市民らの間には開催に反対する動きが広がっている。国民への丁寧な説明がないまま、国会審議を経ずに閣議決定で実施を決め、必要となる費用の総額を明かさないなど、岸田政権の対応の問題点は少なくない。作家や学者などさまざまな立場の人々が声明や署名、デモで意思を表明している。
研究者「法治主義に違反」
憲法研究者84人は8月3日、「政府による安倍元首相の国葬の決定は、日本国憲法に反する」と主張する声明を発表した。国葬の明確な要件がない中で国会の関与なしに、内閣府設置法を根拠に国葬を実施しようとする政府の手続きを「法治主義に違反する」と批判。国葬による社会への影響は大きいとした上で「憲法が保障する思想・良心の自由に抵触することになりかねない」と訴えた。
署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ」では8月23日から「安倍元首相の『国葬』中止を求めます」と題し、上野千鶴子東京大名誉教授や中島岳志東工大教授ら17人が賛同を呼びかけている。9月4日時点の賛同者は15万人を超えた。事務局を務める市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」などは8月31日、国会前で国葬反対のデモを行い、約4000人(主催者発表)が参加した。
差し止め訴訟、住民監査請求なども相次ぐ
被爆地でも抗議の声が上がる。長崎原爆被災者協議会など長崎県内19団体は7月下旬に「国葬に異議あり」とする声明を発表。安倍氏がロシアのウクライナ侵攻に際し、日米が核兵器を共同運用する「核共有」を主張した点を挙げて「少なからぬ国民が国葬に強い違和感を持つだろう」と指摘した。広島県の被爆者らが参加する「8・6ヒロシマ大行動」も、国葬反対の声明文を岸田文雄首相の地元事務所に提出した。
司法への働き掛けも活発化。複数の市民団体は、東京地裁など各地裁に対し、国葬にかかる予算執行の差し止めなどを求める訴訟や仮処分の申し立てを行っている。都道府県知事ら参列が想定される関係者への公費支出の差し止めを求める住民監査請求も、各地で相次いでいる。
逆に弔意を積極的に示そうとする動きもある。安倍氏の四十九日に当たる8月25日、若手経営者の有志が、オンラインで「献花」できるとしたホームページを開設。メッセージを記入し、好きな花のイラストを選ぶと、花がサイト上に表示される仕組みで、9月4日時点で9万人超が利用した。
●安倍元首相の国葬を前に欧州の報道を振り返る  9/5
銃撃事件発生への衝撃と日本の政治構造に対する問いかけ
安倍元首相の国葬が9月27日に迫る中、銃撃事件発生後の欧州メディアの報道ぶりを振り返ってみたい。
7月8日、安倍元首相の銃撃死は欧州内でも大きなニュースとして報じられた。筆者が住む英国、フランス、ドイツではどのような論点があったのか。
元首相が選挙戦の応援演説中に銃撃されたのは、先月8日午前11時半頃である。英国では午前3時半頃に当たる。
この日、筆者はたまたま早朝に目覚め、英BBCのニュースサイトを閲覧していた。午前5時過ぎに第一報に気づいたように記憶している。午前6時直前、BBCはサイト上に重要なニュースを刻一刻と伝える「ライブ・リポーティング」というコーナーを設置し、ここで銃撃事件を随時伝えた。まもなく、トップ記事が銃撃事件となった。
銃撃の前日、英国ではジョンソン首相(与党・保守党党首、当時)が党首辞任の意向を表明し、英政界は次の党首候補は誰かで大騒動となっていたが、翌8日、英新聞の複数のウェブサイトでは安倍氏銃撃のニュースがトップあるいは準トップの扱いを数時間維持した。
経済紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」のウェブサイトもトップ記事として扱った。当初、記事に付けられた写真には撃たれた元首相が路上に横たわっている姿が映っていた。同氏の頭部が見える、生々しい画像だ。事件の概要を伝える記事を読むと、下のコメント欄に「不愉快だ。この画像を載せる意味はない。変えるべき」という一読者の意見が載っていた。まもなくして、容疑者が警備員らに取り押さえられる写真に変更された。
事件当日、自宅のテレビでフランスの国際放送局「フランス24」、欧州のニュースを伝える「ユーロニュース」、カタールの衛星放送「アルジャジーラ」(それぞれの英語版)を見てみると、英メディア同様大きな扱いだった。安倍元首相の国際社会での存在感を示すものと言えよう。
日本で銃犯罪が発生したことへの衝撃
どのメディアも衝撃として伝えたのが、安全なはずの日本で銃犯罪が発生した点だった。
英リベラル系ガーディアン紙はなぜ銃を使った犯罪が日本で珍しいのかを解説した(7月8日付)。その理由は法律で銃の所持が禁じられ、所持が許される場合でも煩雑な手続きが障害になるからだ。
BBCや英テレビ局「チャンネル4」は日本での銃による犯罪件数は「年に10件ほどしかない」と報道した。だからこそ安倍氏の銃撃死が日本国民にとって大きな衝撃になる、と。
BBCの東京特派員ルパート・ウィングフィールド=ヘイズ氏は、警備の緩さを指摘しながら、安倍氏の銃撃死が「日本を変えるのは確かだ」とレポートした(BBCニュース、8日付)。
平日夕方放送の報道番組「チャンネル4ニュース」には安倍元首相のスピーチライターだった谷口智彦氏が遠隔出演した。暗い室内でカメラの前に座った同氏は黒っぽい背広、黒いネクタイ姿である。安倍氏の死によって「私の人生の目的がほぼ終わったも同然だと感じている」と開口一番に語った。
司会者は、安倍氏が「政治の伝統がある家系の出身、最長の政権を維持した」、「オバマ及びトランプ米大統領など、世界中の政治家から尊敬を得た」と功績をまとめた。
谷口氏は安倍氏が今後最も人々の記憶に残るのは、「日本を再形成しようとしたこと、世界に向かって日本の位置を再構築しようとしたことなるだろう」と述べた。
谷口氏へのインタビューの前にはインドのモディ首相やカナダのトルドー首相の安倍氏への追悼を表明する動画が流れた。両者ともに安倍氏を称賛する言葉を並べた。
チャンネル4ニュースは辛口の報道で知られる番組だが、今回は安倍氏およびその政権を批判らしい批判がないままに伝えるという非常に珍しい報道だった。批判がなかったのは、単に日本及び安倍氏についての知識が十分ではないという要素もあったのかもしれない。少なくとも、この日のキャスターは準備されたテキストに沿って質問しているだけ、という印象を筆者に与えた。
英国のほかの媒体でも高く評価する論考が複数出ていた。
例えば英ニュース週刊誌「エコノミスト」はアジア事象について書く「バンヤン・コラム」で、日米、オーストラリア、インドの4カ国の枠組み「クアッド」が元々は安倍氏の提唱によるものだったと指摘し、「自由で開かれたインド太平洋」という概念は「安倍氏の大きな地政学上のレガシーの一つ」と書いている。
かつて英メディアの一部は、安倍元首相を「超タカ派」、「日本の平和憲法を書き換え、再軍備をもくろむ危険な政治家」という文脈で言及していたが、欧州では中国やロシアなど「敵」の存在感が増し、受け止め方が変わったようだ。
長期政権と民主主義への疑問
一方、フランスの中道左派「ル・モンド」紙のフィリップ・メスメル東京特派員は安倍氏の訃報記事(7月10日付)の中で、経済政策アベノミクスの功罪、憲法の再解釈によって自衛隊の集団自衛権行使を可能にし、特定秘密保護法による国家機密の保護やテロ法を厳格化したことなどに言及した。
また、「国連が批判するほどのメディア支配によって、森友学園問題、加計学園の獣医学部新設問題の衝撃を最小化させることができた」と分析した。
元首相は東京五輪の成功を弾みとして「憲法改正に持ち込もうとした」が、新型コロナの感染が広がり、五輪は延期となったため、「野心を断念せざるを得なくなった」。
同記者は安倍氏を「優柔不断で、無反応、コミュニケーション能力が低い」と評し、「危機においては不利な指導者に見えた」と手厳しい。
ドイツの週刊誌「シュピーゲル」はヴィーランド・ヴァグナー記者が「安倍氏の死が日本の将来にとって何を意味するか」と題された記事(7月11日付)を書き、この中で日本の民主主義の実態に注目した。日本は「1955年以来自民党がほぼ継続して政権を担当してきた」、「語るに足るほどの野党はいない」、7月の参院選の投票率は52.05%で「約半数の有権者が投票に行かなかった」。
そこで記者は問う。「日本の民主主義は機能しているのか」。
事件発生直後、殺害の動機は捜査中ではあったが、容疑者は特定の宗教団体への恨みがあったことが報道されていた。記者は、ここに特定の党の長期政権が続く日本流民主主義の構造を嗅ぎ取る。
日本の「政治家は専門家集団や宗教集団などの強力な組織に大きく依存している。こうした団体がしばしば組織票を動員できるからだ。一方、個々の有権者やその悩み事はまともに扱われない」。
安倍政権の評価はどの面に注目するかで分かれるとしても、有権者個人の懸念を吸い上げ、これを政治の場に生かす構造になっていないのではないかという記者の問いかけは一聴に値する。その後、政治家と統一教会との関係が大きく問題視されていくが、それを予測するような論考だった。
●なぜ国葬か 国民の疑問点は尽きない 9/5
なぜ国葬なのか。国民の疑問は膨らむばかりだ。決断した岸田文雄首相は責任を持って答えなくてはならない。
銃撃事件で亡くなった安倍晋三元首相の国葬について、首相が近く国会の閉会中審査に臨むことになった。
まずは国葬実施を表明してから1カ月半以上、国会に何ら説明することなく、政府の一存で準備を進めてきたことを反省してもらいたい。
国葬に明確な法的根拠はない。故人を弔う性質上、慎重な合意形成が求められるのに首相は怠った。
この間、安倍氏と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係が明らかになった。世論調査で国葬反対の割合が高くなっているのは、その影響が大きいと言っていい。
現憲法下での国葬は55年前の吉田茂元首相だけで、首相経験者の葬儀は内閣と自民党の合同葬にすることが慣例となっていた。国葬に関する法整備は一時議論されたものの実現せず、対象者の基準がないまま今日に至る。
安倍氏を国葬とするのに首相が挙げた理由は(1)憲政史上最も長く首相を務めた(2)震災復興、日本経済の再生、外交などで歴史に残る業績(3)諸外国からの弔意(4)選挙中の非業の死であり、暴力に屈しない姿勢を示す−である。
佐藤栄作氏や中曽根康弘氏をはじめ、長期政権を担い、一定の評価を得た元首相も国葬ではなかった。現職議員のまま死去した安倍氏の評価は定まっているとは言えず、説得力を欠く。
海外からの弔意は合同葬でも受け入れることができる。暴力に屈しない姿勢も、国葬でなくとも示せるはずだ。
自民党が旧統一教会と所属議員の関係を一切断つ方針を示す一方で、関係がより深いとされる安倍氏を国葬にする違和感もある。
国民の疑問は国が全額を賄う費用にも向けられている。政府が説明する約2億5千万円には、警察による警備や外国の要人を接遇する経費が含まれていない。要人数が確定していないとして、総額は国葬後に公表する考えだ。
細かい数字は難しいとしても概算や規模くらいは示すべきだ。事前の説明を避ける姿勢は理解に苦しむ。
内心の自由の観点から、弔意を強要することは当然あってはならない。
過去の合同葬では、国の府省庁などに弔意表明を求めることを閣議了解したが、今回は批判を考慮して見送った。地方自治体などにも弔意表明の協力を求めないという。これをどう徹底させるのか、首相の考えを聞きたい。
国民の賛否が割れているのは、政府の説明が不十分であるからに他ならない。世論が分断されたまま当日を迎えるようでは、静かに安倍氏を送りたい人も不本意だろう。
閉会中審査だけでは時間が足りないかもしれない。首相には何度でも国会と向き合ってもらいたい。  
●安倍元首相の国葬 ネットの反対署名、28万人に 「今からでも中止を」 9/5
安倍晋三元首相の国葬に反対するため署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ」で募集していた計4件の署名に、約28万人が賛同したことがサイトの調べで分かった。署名活動を主催した3団体、1個人が5日、それぞれに寄せられた重複を含む計40万4258筆(3日正午現在)を内閣府に共同提出した。
上野千鶴子東大名誉教授や中島岳志東工大教授ら17人が8月23日に始めた署名活動には、15万4456筆が集まった。呼び掛け人の一人でルポライターの鎌田慧さんは「短期間でこれだけ署名が集まったのは、国民にいかに不満がうずまいているかの証明だ」と話した。
岸田文雄首相が国葬実施を記者会見で表明した7月14日にキャンペーンを立ち上げたプロデューサーの小澤俊夫さん=川崎市麻生区=は9万1340筆を集めた。「安倍元首相は平和憲法を破棄して戦争できる国にしようとした。国葬を行う理由はまったくない」と強調した。
8月上旬にスタートし、11万8395筆を集めた自由法曹団の幹事長を務める小賀坂徹弁護士は「日に日に反対が増えている。今からでも遅くない。国葬実施を取りやめてほしい」と訴えた。
署名活動はそれぞれ今月下旬まで続けるという。

 

●安倍元首相の国葬、総額16億円超 政府が一転、概算を公表 9/6
政府は6日、安倍晋三元首相の国葬に関する費用のうち、警備費は8億円程度、外国要人の接遇費は6億円程度との概算をまとめた。会場設営費などの約2億5千万円と合わせ、総額は16億円余りとなる。政府はこれまで警備費などに関し「国葬後に精査して示す」としてきたが、国葬に関する世論や野党の批判に配慮し、一転して事前公表に踏み切った。
立憲民主党など野党は国葬を巡る国会の閉会中審査の前に、警備費などを含む費用総額を示すよう求めていた。政府、与党は大枠の公表により、岸田文雄首相が出席する意向の閉会中審査を早期に実施し、国葬への反発を和らげたい考えだ。
政府は8月下旬、会場となる日本武道館(東京)の借り上げや設営の費用として、2022年度予備費から2億4940万円を支出すると閣議決定。会場周辺の警備費や接遇にかかる費用に関しては、外国要人の参列者数や警備の規模が確定していないとして、事後に公表するとしていた。
●安倍元首相の国葬費用、政府が「16.6億円」と試算公表。その内訳は? 9/6
松野博一官房長官は9月6日の記者会見で、安倍晋三元首相の国葬に関わる費用について総額で約16億6000万円程度になるとの概算を明らかにした。
これまで政府は国葬の会場設営費などで2億4900万円を予備費から充てると示していたが、全体の概算額については明らかにしていなかった。
政府は「接遇が必要な海外要人の数が不確定であるため、確たることを申し上げることは困難」「これまで国が関与した葬儀で、規定経費で支出する警備・接遇費を切り出して示したことはない」(松野官房長官)として、国葬後に精査して公表するとしていた。
一方、国会の閉会中審査を前に野党側は概算を提示するよう求めていた。
松野官房長官は6日の会見で、「190以上の代表団が参列のうち、特に接遇が必要な首脳級の代表団が50程度と見込まれる」として警備・接遇の規模を仮定。「丁寧な説明な尽くすという観点」から「あえて現時点での経費の見込みを示す」とした。警備・接遇費はすでに成立している今年度予算(限定予算)から対応する。
国葬では友人代表として菅義偉前首相が追悼の辞を述べる。
松野官房長官が明らかにした、安倍元首相の国葬費用の概算内訳は以下の通り。
「安倍晋三元首相の国葬儀に関する費用の見込みについて」
会場設営費やバス借り上げ料など:約2億4900億円(予備費より)
警備費用:約8億円
・道府県警察からの派遣旅費など部隊活動費、超過勤務手当:約5億円
・車両など装備、資機材、待機所の借り上げなどの装備費:約3億円
海外要人の接遇費用:約6億円
・海外要人の滞在中の車両手配、空港での受け入れ体制の構築など:約5億円
・接遇要員として一時帰国させる在外公館の職員の出張旅費:約1億円
自衛隊の儀仗隊などの車両借り上げ費:約1000万円
●安倍元首相「国葬」費用 総額16億6000万円程度の概算公表 政府  9/6
安倍元総理大臣の「国葬」にかかる全体の費用の概算について、政府は、今年度予算の予備費から支出を決めているおよそ2億5000万円に、警備費や外国要人の接遇費など14億円あまりを加え、総額で16億6000万円程度となる見通しを示しました。
これは、松野官房長官が、6日の記者会見で明らかにしました。
それによりますと「国葬」の実施には、政府が、会場設営費などとして、今年度予算の予備費からすでに支出を決めているおよそ2億5000万円に、警備や外国要人の接遇費などとして、14億円あまりが追加される見込みだとしています。
追加となる費用の内訳は、
・警備費が、各地からの警察官の派遣旅費や超過勤務手当などにあわせて8億円程度、
・外国要人の接遇費が、車両の手配や空港の受け入れ体制の構築などにあわせて6億円程度、
・自衛隊の儀じょう隊が使用する車両の借り上げなどに1000万円程度としています。
これにより「国葬」にかかる費用の総額は、16億6000万円程度となる見通しです。
一方、これまでのまとめでは、参列に訪れる海外の代表団は190以上で、特に接遇を要する首脳級などの代表団は50程度と見込まれるとしています。
安倍元総理大臣の「国葬」の費用について、政府は、全体の詳細は実施後に示すとしてきましたが、野党側が、国会の閉会中審査を前に、大枠を示すよう求めていました。
概算を公表した理由について、松野官房長官は、記者会見で「岸田総理大臣から丁寧に説明するよう指示を受けたうえでの判断だ。引き続き国民に理解してもらえるよう努めていく考えだ」と述べました。
「国葬」流れ決定 菅前首相が追悼の辞
安倍元総理大臣の「国葬」の式次第にあたる流れが決まり、友人代表として、第2次安倍政権で一貫して官房長官を務めた菅前総理大臣が追悼の辞を述べることになりました。
9月27日に東京の日本武道館で行う安倍元総理大臣の「国葬」について、葬儀委員長を務める岸田総理大臣は、6日、式次第にあたる流れを決め、松野官房長官が記者会見で発表しました。
それによりますと「国葬」は、葬儀副委員長を務める松野官房長官による開式の辞に続いて、国歌の演奏や黙とうが行われたあと、安倍元総理大臣の生前の活動をまとめた映像を上映するとしています。
そして、岸田総理大臣のほか、衆・参両院の議長、最高裁判所長官の三権の長に加え、友人代表として、第2次安倍政権で一貫して官房長官を務めた菅前総理大臣が追悼の辞を述べることになっています。
さらに、天皇皇后両陛下と上皇ご夫妻の使いによる拝礼が行われたあと、参列者による献花などが行われることになっています。
菅前総理大臣が追悼の辞を述べる理由について、松野官房長官は、記者会見で「遺族の意向を聞き、長きにわたり総理大臣の職にある間、密接に仕事をともにした方が、友人を代表して追悼の辞を読むのにふさわしいと考えた」と述べました。
葉梨法相「法務省は弔旗 黙とう」
葉梨法務大臣は閣議のあとの記者会見で「法務省としては、葬儀委員長の決定に基づき、国葬の当日は弔旗を掲げること、一定の時刻に黙とうをささげることを考えている」と述べました。
そのうえで「もちろん職員全員に強制することではないが、ここの施設で職員にアナウンスをして弔意を捧げるということだ」と述べました。
自民 茂木幹事長「丁寧に説明続けていくこと重要」
自民党の茂木幹事長は、記者会見で「一定の前提を置いたうえでの概算の見通しとして、政府からすでに概要の報告を受けた。国民に対して『国葬』の意義や内容、かかる費用について、丁寧に説明を続けていくことが重要だと考えている」と述べました。
自民 世耕参院幹事長「その金額に尽きる 警備には万全を」
自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「必要なものを精査したわけだから、その金額であるということに尽きるのではないか。各国から国のトップクラスが多数訪れるので、警備には万全を期してもらいたい」と述べました。
公明 山口代表「外国要人参列や警備でより費用かかる面も」
公明党の山口代表は、記者会見で「外国からの要人が多数、参列されると見込まれ、きちんと接遇するには。それなりの費用がかかる。また、安倍元総理大臣が銃撃で命を落としたこともあり、警備に対する手厚い対応が求められ、より費用がかかる面もある。国会での審議の機会があれば、岸田総理大臣から丁寧にわかりやすく説明を尽くしてもらいたい」と述べました。
また、友人代表として、菅前総理大臣が追悼の辞を述べることについて「長い間、官房長官として、安倍元総理大臣とともに活動し、政権を支える大事な役割を担ったことや、遺族の意向も踏まえてお願いすることになったと岸田総理大臣から連絡をいただいていた。判断を尊重したい」と述べました。
衆院議運 与党側筆頭理事 盛山氏「費用の概算 野党に示す」
安倍元総理大臣の「国葬」にかかる全体の費用の概算について、政府が見通しをまとめたことを受け、「国葬」をめぐる閉会中審査の日程協議を続けている衆議院議院運営委員会の与野党の筆頭理事が会談しました。
このなかで、与党側は政府がまとめた資料を説明したうえで、閉会中審査を速やかに開催したい考えを伝えたのに対し、野党側は、費用の概算の積算根拠を示すよう求めました。
そして、閉会中審査の日程や質疑時間については、引き続き協議することになりました。
このあと、与党側の筆頭理事を務める自民党の盛山正仁氏は記者団に対し「野党側から、国葬の費用の概算を明らかにしないと閉会中審査に応じられないと言われていたので、政府がまとめた資料を示した。閉会中審査の協議については、お互い党に持ち帰って今後の方針を検討することになった」と述べました。
野党 さらに精査求めること確認
衆議院議院運営委員会の与野党の筆頭理事による会談のあと、立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党の理事らが、今後の対応を協議しました。
この中では、政府が示した費用の概算は、警備にかかる費用の積算根拠などが不十分だとして、政府に対し、さらに精査するよう求めていくことを確認しました。
立民 安住国対委員長「国民に対し不誠実な対応で残念」
立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「最初からよく調べた上で出してくればよいのに小出しにしていて『国葬』に反対が強いからできるだけ税金はかからないように小さく見せかけようという、姑息なやり方に見えてしかたない。国民に対して不誠実な対応で残念だ。政府はもっと堂々とやってほしい」と述べました。
その上で「野党が連携した結果、政府が当初支出を決めた費用の6.6倍に跳ね上がったが、これで『ファイナルアンサー』だとは思っていないので、国会の閉会中審査までにもう少し踏み込んだ額を出すよう野党全体で要求していく」と述べました。
維新 吉村共同代表「小出しにする理由が全くわからない」
日本維新の会の吉村共同代表は、大阪市内で記者団に対し、「国葬の費用がどのくらいかかるかは、きちんとオープンにすべきで、もっと早く示すべきだったし、小出しにする理由が全くわからない。海外からも要人をお呼びするので、警備費が一定程度かかるのは当然で、金額やその中身が妥当かどうかについては、国会で議論されると思う」と述べました。
国民 玉木代表「政府の説明 後手後手」
国民民主党の玉木代表は記者会見で「経費の全体像が示されたことは評価するが、なぜもっと早く出せなかったのか。不信感を招いているし、世論調査で『国葬』に反対の人が増えている原因の1つなっている。政府の説明が後手後手になっていることは遺憾だ」と批判しました。
そのうえで、岸田総理大臣に対し、国民が納得できる丁寧な説明を求めていく考えを示しました。
また、みずからの「国葬」への対応について「国内外から弔意が多数示されており、『国葬』を行うことは理解する」と述べ、招待があった場合は出席する意向を示しました。
社民 福島党首「法的根拠がない」国葬出席せず
安倍元総理大臣の「国葬」について、社民党の福島党首は「法的根拠がない」などとして、出席しない考えを示しました。
安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、社民党の福島党首は記者会見で「『国葬』に反対で、最大の理由は法的根拠がないことだ。『法の下の平等』や思想・良心の自由を侵害する可能性がある」と指摘しました。
その上で「国民の半数以上が反対し、法的根拠がないなかで、出席することはできない」と述べ「国葬」に出席しない考えを示しました。
また「国葬」にかかる全体の費用の概算を政府が示したことについて、福島氏は「本当にこれで済むのか。初めは低く見積もり、終わったら実は多額だったとか、多額だったことを隠すということも起こりうるのではないか」と述べました。
●安倍元首相の国葬、会場演出は「桜を見る会」受注業者が落札 9/6
安倍晋三元首相の国葬の企画・演出を、「桜を見る会」の会場設営を担った企業が受注した。岸田文雄首相は「適正な手続き」としているが、入札したのはこの1社だけ。ほかに送迎バスなどの業務も落札されたが、発注者である政府は、全額国費の業務内容をほとんど説明していない。警備や海外要人の接遇を含む総額は数十億円に上るとされ、強行する岸田政権への批判は高まるばかりだ。
5年連続「桜を見る会」会場設営の信頼と実績
「政府の東日本大震災の慰霊祭、戦没者慰霊祭、全て今回落札した会社が担当している。ノウハウをしっかりとこれからも生かすということで、今回正式な手続きの下に落札されたものだと認識している」。岸田首相は4日、国葬の企画・演出業務の落札先が適正か問われ、こう答えた。
受注したのはイベント会社「ムラヤマ」(東京都江東区)。首相主催の「桜を見る会」を巡り、2017年〜19年に入札前に内閣府と打ち合わせていたことが分かり、野党から批判された。15年以降、5年連続で会場設営業務を一般競争入札で落札していた。
ホームページ(HP)によると、1902(明治35)年創業の老舗で、資本金4億2700万円、従業員408人(2月1日時点)。今年3月には、持ち株会社が日本テレビホールディングス(HD)の100%子会社となった。日テレHDは「グループ全体の企業価値向上に資する」としていた。サッカーワールドカップなどのスポーツイベントの会場装飾や、企業のPRイベントの設営なども手がけている。HPには「日本を代表する大型会場に精通し(中略)国家的イベントも数多くお手伝いしております」とある。
政府の予定通り今月27日に日本武道館で国葬が行われた場合、どんな企画・演出になるのか。入札資料によると、参列者6000人で外国からは1000人程度を想定。幅約30メートル、奥行き約15メートルの式壇ステージを約6万5000本の花で飾る。献花用の白菊は7500本を予定。入り口はゲート型とハンディー型の計24台の金属探知機で警備する。
ちなみに、1967年に同じ日本武道館で行われた吉田茂元首相の国葬を受注したのもムラヤマだ。「故吉田茂国葬儀記録」には、「武道館よりの推せんもあり、請負契約を締結した」とある。岸田首相も「武道館でこうした事業を担うことができる業者というのは、4社ほどに限られていると聞いている」と実績を強調している。
中曽根氏の合同葬も「ムラヤマ」1社だけが入札
ただ、結果的に入札したのは同社だけだった。日本武道館の担当者は「内閣府で調整して選ばれたので結果にコメントできない」。内閣府の担当者は「日本武道館が定める指定事業者がある。数十社が入札の仕様書をダウンロードし、複数の業者が説明会に来た。ただ『(当日まで)時間が短い』といった理由で難しいと聞いた」と明かす。
同社は、2020年に東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪であった中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬も1社のみの入札で落札した。内閣府の担当者は「一般競争入札の結果だ」。あるイベント会社の社員は「大きなイベントの旗振りができる会社は限られていて、暗黙の了解というものはある。とはいえ、他に受けてもおかしくない会社は複数ある」と話す。
ムラヤマの広報担当者は取材に「国葬には、通常の入札に参加して落札した」と説明。桜を見る会で入札前に打ち合わせたことに関しては「お答えするものではない」と話した。
別途かかる巨額の警備費と接遇費の見通しは…
安倍氏の国葬では、参列者らが乗る送迎バス運行業務の一般競争入札も行われた。4社が入札し、旅行会社「旅屋」(東京都新宿区)が最低価格の526万1400円で落札。どんな業務か同社に尋ねようとしたが、「守秘義務もあり答えられない。(取材には)内閣府が対応すると言われている」とのことだった。
入札資料によると、大型バス105台を用意して、千代田区内の関係機関などから日本武道館へのピストン運行を想定。内閣府の担当者は「参列者を最大6000人と考え、そのうちバス利用がどのくらいあるかを検討した。利用人数やバス台数は確定していない」とする。
これとは別に、巨額の出費が見込まれるのが警備費だ。ムラヤマが受注した業務には、会場入り口での金属探知機によるチェックや周辺警備も含まれるが、警察の警備は別になる。
「故吉田茂国葬儀記録」によると、吉田氏の国葬の際には警視庁、神奈川県警合わせて約8000人が警備や交通整理を担当。会場の日本武道館、同県大磯町の吉田邸、周辺の沿道などを警備した。
元警視庁公安部捜査官でセキュリティコンサルタントの勝丸かつまる円覚氏は「元首相の葬儀や国主催の式典などの場合、警備に当たる警察官には超過勤務手当や弁当代が支給される。ほかにも、地方の県警からバスで応援に来ればガソリン代などもかかる」と話す。
安倍氏の国葬については「銃撃されたことを踏まえれば、警察にとって警備での失敗は絶対に許されない。警備を厳重にするだろう」とみる。会場周辺に配置する警察官の間隔を短くしたり、SP(警護官)を付ける要人の人数を増やしたりすることも考えられるという。「警察官は全国から応援を受けると3万〜4万人ほどが見込まれる。民間警備も含めると、警備費は最大で35億円ほどになるのでは」
さらに、参列した海外の要人との「弔問外交」に伴う「接遇費」も発生する。政府は外交団の参列者を1000人程度と見込んでおり、勝丸氏は「例えば閣僚が海外の要人とホテルで食事をしながら会談する場合、ホテル代や食事代などの接遇費がかかる」と話す。
費用総額 「国葬後に示したい」と官房長官
政府が安倍氏の国葬の根拠とした内閣府設置法上の「国の儀式」には、2019年の天皇の代替わりに伴う一連の儀式がある。同年度の予算案では、退位や即位に伴う式典の警備費に約38億円、国内外から約2600人が招待された「即位の礼」の接遇などに約50億円を計上していた。合わせて約90億円ということになるが、安倍氏の国葬ではより多くの参列者が見込まれ、費用が一段とかさむ可能性もある。
こうした費用を含めれば国葬に関する出費は膨大になるが、政府は全体像を示さず「国葬後に精査した上で示したい」(松野博一官房長官)としている。多額の税金が使われるのに、情報公開に後ろ向きなのはなぜか。
元財務官僚で明治大の田中秀明教授(財政学)は「現状で見積もりを示して膨大な費用がかかると分かれば、さらに反対の声が強くなる。そうした事態を避けたいのでは」と指摘。政府が閣議決定した予備費約2億5000万円だけでは到底足りないことは明らかだとし、こう続ける。
「国葬は是非を含めて大きな問題になっており、国民の関心も高い。実施するのであれば、現段階の見積もりを速やかに説明すべきだ。透明性を高めようとしなければ、国民は後ろめたいことがあるのではないかとの不信を深めることになる」
●岸田首相「国葬をやるなんて、誰が言いだしたんだ」と嘆く! 国民の批判 9/6
「反射的に頷いてしまうのが、岸田(文雄)さんの悪い癖。国葬をめぐる混乱は、ひとえに岸田さんにあると思う」
無派閥の自民党議員が、呆れ顔でそう話す。
9月27日におこなわれる安倍晋三元首相(享年67)の国葬。世論調査では、9月まで唯一賛成との回答が上回っていた「読売新聞」を含め、全紙で反対が多数を占める異常事態となっている。
「岸田さんは最初から、盟友だった安倍さんを丁重に見送りたいという気持ちだった。しかし安倍さんと旧統一教会、さらに自民党議員との関係が明らかになるにつれて、日に日に国葬反対の声が大きくなってしまった」(同前)
続けて、国葬決定までの官邸内をこう明かした。
「安倍さんが亡くなった直後は、内閣と自民党の合同葬を開く方向で話が進んでいました。それを巻き戻したのが麻生太郎副総裁で、“保守派が騒ぎだすから”と、岸田さんに3回も電話をしたそうです。最後は『これは理屈じゃねんだよ』と、強い口調だったといいます。国葬実施の方針が決まったのは、7月14日の会見の1時間前でした」
当初から開催のための法的な根拠が弱く、成り行きで進められた国葬だけに、ほころびは広がるばかり。しかも、「どういう形式の国葬にするかは、官邸がすべて決定権を握っており、閣僚たちは岸田首相の判断を見守るばかりです」(全国紙政治部デスク)。
そうするうち、国葬の開催に強い意欲を示していたはずの岸田首相にも、ある変化が見られるようになった。
「じつは岸田首相は、国葬当日に中央省庁で、弔旗の掲揚と黙祷をすることを“閣議了解”しようと調整していました。しかし、最終的に日和ってこれを断念し、“葬儀委員長決定”でお茶を濁したのです」(内閣府関係者)
前出のデスクが語る。「土壇場での断念には、首相側近の木原誠二官房副長官の助言があったといいます。『閣議了解せずとも、葬儀委員長である岸田首相の決定という形を取れば、省庁に半旗を掲げさせることは可能だ』というのです」
国葬の歴史に詳しい中央大学文学部の宮間純一教授が、問題点を指摘する。「政府は『国民には弔意を強制しない』という判断をしていますが、8月31日の会見で、首相は『府省庁は弔意を表明する』と述べました。しかし、公務員の内心の自由は“職務の公共性”などを理由に制約されていいのか、検討が必要だと思います」
本誌は、国葬儀事務局が作成した、国葬の弔意表明についての文書を入手した。本文はまったく同じだが、左側の文書は日付が空白になっており、実際に配布されることはなかったものだ。
「当初の“閣議了解”から“葬儀委員長決定”に変わったのは、明らかな『格下げ』です。閣議は全閣僚の一致という原則がある、内閣の最高意思決定の場です。
一方、葬儀委員会はあくまで一機関の決定ですから、まったく重みが違います。岸田首相は、政府主導で決まったという形を取らないことで、国民の批判を避けようという魂胆なのです」(同前)
政府は、国葬に皇族の参列を要請し、宮内庁が調整中だ。皇室ジャーナリストが語る。
「吉田茂元首相の国葬では、今の上皇ご夫妻が、皇太子ご夫妻として出席されています。
今回は、皇太子ご夫妻と同格のお立場にある秋篠宮ご夫妻が参列されるということです。天皇皇后両陛下と上皇ご夫妻は、侍従を立てられるのではないかと思います。
ただ、国民の過半数が国葬に反対している状況や、皇位継承問題で、女性宮家について進んでいた話を白紙に戻した首相時代の安倍氏に、上皇ご夫妻や秋篠宮家は、あまりいい感情はないと思います」
さらに、ここに至って官邸を悩ます事態が起きている。
8月26日、上皇后美智子さまは、右ふくらはぎに血栓ができる深部静脈血栓症の検査を受け、経過観察に入っている。前出の議員が語る。
「7月の右心不全に続く循環器系疾患だけに、担当医師らも気が抜けない状態であるといいます。夕方から決まって微熱を発症するとも聞いており、相次ぐ不調が急速に体力を奪っていないか心配です」
今回の血栓症について、宮内庁は膝から上の中枢型ではないので、リスクは少ないと発表している。しかし、上皇后はご高齢ということもあり、細々とした疾患が大事に至る可能性は否定できない。
「今年10月に88歳になられるということで、周囲も楽観できない状況です。そんななか、国葬を挙行している場合なのか、疑問の声が上がってもおかしくありません。
特に上皇ご夫妻は、2013年に大規模な葬儀を望んでおられないという意向を公表されていますから、なおのことです」(同前)
銃撃事件直後は、自民党本部に設置された献花台には、長蛇の列ができた。日本全体に弔いのムードが広がるなか、国葬をおこなうことへの反対の声は、今ほど大きなものではなかった。
「国葬をやるなんて、誰が言いだしたんだ」
岸田首相が自身の“決断”を後悔し、そう嘆いたというのは、複数の内閣府関係者が目撃した周知の事実だ。
そんな国葬を、止められる人物が一人だけいる。安倍家に詳しい関係者が、こう明かした。
「喪主の昭恵さんです。官邸関係者の話として、昭恵さんが『(国葬を)進めてください』と話したと報じられていますが、これは昭恵さんの口癖で、森友学園の小学校用地を取得するという理事長に対しても、同じ言葉を発しています。
昭恵さんとしては、“反対はしない”という程度の気持ちなのでしょう。実際は、現状のように賛否が分かれていることは、安倍家にとって不名誉なことだと考えており、岸田首相に中止を申し出る可能性も残されているのです」
曖昧に決まった国葬が、誰も望まない形で強行されようとしている。 
●政府、国葬の法整備否定 「その時々の内閣が判断」 9/6
首相官邸は6日、首相経験者の国葬(国葬儀)に関する法整備を検討する可能性について「今後も首相経験者が逝去された際は、その時々の内閣によってふさわしい形が判断される」との見解を示した。8月31日の岸田文雄首相の記者会見で回答できなかった報道機関の質問に書面で答えた。
国葬の基準となっていた戦前の国葬令は、昭和22年に失効した。今月27日の安倍晋三元首相の国葬は、内閣府設置法に基づく閣議決定を根拠に「国の儀式」として実施することが決まっているが、立憲民主党などの野党は「法的根拠がない」との追及を強めている。
また、安倍氏の国葬への参列者に関し、政府が旅費や宿泊費などを支出しない方針も明らかにした。
●麻生太郎氏「理屈じゃねえんだよ」と国葬で岸田首相に圧… 9/6
いよいよ3週間後に迫った安倍晋三元首相(享年67)の国葬。しかし、このまま穏やかに開催される雰囲気はない。
生前、モリカケ問題や桜を見る会にまつわる疑惑が報じられた安倍元首相だけに、そもそも賛否がわかれた国葬。開催費用には全額税金が充てられることもあって、議論は激化の一途をたどっていた。
そして9月6日、驚きの新情報が。すでに発表されている会場設営費などの約2.5億円に加えて、警備費や外国要人の接遇費が合わせて約14億円かかることが明らかになったのだ。
賛否がわかれるなか、約16.5億円もの“血税”が使われる安倍元首相の国葬。さらに、6日に「SmartFLASH」が報じた、国葬に大きな影響を与えた人物が波紋を呼んでいる。
安倍元首相が亡くなってから一週間も経たずして国葬の実施意向を表明した“言い出しっぺ”の岸田文雄首相(65)。しかし、記事によると、当初は内閣と自民党の合同葬という形で進む方向で進んでいたが、麻生太郎副総裁(81)がこれに反対。そして、麻生氏が岸田首相に対して、3回も電話し、最後には「これは理屈じゃねえんだよ」と強い口調で説得したという。
近く行われる国会の閉会中審査で国葬について説明を行うとしている岸田首相。開催直前での説明に対しては“後手後手”“いきあたりばったり”という批判が相次いでいるが、岸田首相に圧をかけたとされる麻生氏がこれまで“丁寧な説明”をした形跡はない。
大きな影響を与えていながら、ダンマリを決め込む麻生氏にたいしてネット上では批判の声が相次いでいる。
《安倍晋三を国葬にせよ、と言いだしっぺの麻生太郎、揉めると見るや、だんまりを決めこむ。 本当に卑怯で浅ましい男だ》《麻生さんに説明させなきゃ意味がないかも》《これ本当なら国葬強行の黒幕は麻生太郎って事か で、岸田さんはいつも通りNOと言えずにうんうん頷いてただけと》
●出席、保留、欠席 「悩ましい…」 安倍氏国葬、割れる野党 9/6
安倍晋三元首相の国葬への出席を巡り、野党各党の対応が割れている。国民民主党が出席の意向を示す一方、開催に反対する共産党やれいわ新選組などは欠席を明言。立憲民主党と日本維新の会は、8日にも実施される岸田文雄首相の国会での説明などを見極め判断する方針だが、「世論も賛否が二分している中で簡単には決められない」(立憲幹部)と戸惑いの声も上がる。
「(政府の)国民に対する説明、国会に対する説明というものを見極めながら、最終的に判断する」。立憲の泉健太代表は2日の記者会見で、国葬に出席するかを問われ、判断を保留する考えを改めて示した。泉氏は、国の公式行事は「一つ一つが重たい」と指摘した上で、「国政に議席を持つ政党は、本来であれば基本的には出席をする前提に立っている。本当に悩ましい」と苦しい胸の内を明かした。
泉氏はこれまで国葬について「法的根拠に乏しい」などと繰り返し指摘し、実施に強く反対してきた。そのため、1日のテレビ番組で出席の可能性について「あると思う」と答えた際には、ネット上で「理解できない」などと批判も相次いだ。党内からも「ここまで反対しておいて、出席することなんてできるのか」(同党幹部)との声が漏れる。
ただ、1967年の吉田茂元首相の国葬では、実施に反対していた当時の野党第1党の社会党が最終的に出席した。立憲の中堅議員は「外国からの賓客などが来るなかで、野党第1党が欠席すれば影響は内外に広がる」と指摘する。そのため泉氏は、首相の国会での説明などを踏まえて態度を表明したい考えだ。
維新は、今回の国葬に賛成の立場を取るものの、出席の可否については立憲と同様に保留している。藤田文武幹事長は2日の記者会見で「(政府が)説明責任を果たすべきだという立場だ。はなから行きたくありませんというスタンスではない」と強調した。
一方、出席を明言しているのは国民民主の玉木雄一郎代表だ。玉木氏は6日の記者会見で「今回行われる儀式の形態はかつての国葬令に基づく国葬ではない」と指摘した上で、「招待があれば参列して弔意を示したい」との考えを示した。
これに対し、「憲法違反」などとして国葬に反対する共産は「誰も出ないという対応になる」(小池晃書記局長)との方針。同党は吉田氏の国葬の際も出席しなかった。れいわ、社民の両党も欠席の意向を表明している。

 

●反感招いた岸田政権の「小出し」戦略 読売調査でも反対多数 9/7
政府は6日、安倍晋三元首相の国葬に関する警備費や接遇費を含む総費用の概算額を公表した。報道各社の世論調査の多くで「反対」が5割を突破するなど、高まる国葬への批判を受けて方針を転換したが、後手に回った印象は否めない。警備費などの公表は「国葬後」と繰り返してきた岸田政権の姿勢は、説明責任を果たし、国民の理解を得ようという意識の乏しさも鮮明にした。(坂田奈央)
松野博一官房長官は6日の記者会見で、概算額を示した理由に関し「丁寧な説明を尽くすという観点に加え、各国からの(国葬出席の)連絡状況も踏まえ、一定の推計が可能になった」と説明した。
これに対し、立憲民主党の安住淳国対委員長は政府の方針転換を受け「率直に言って、これでファイナルアンサーとは思えない」「最初から、よく調べた上で出せばいいのに小出しだ」と指摘した。
野党が「小出し」と批判するのは、積極的に説明しようという姿勢が政府側に見えないためだ。
政府が会場の設営費などに充てる約2億5000万円の支出を閣議決定したのは8月26日だが、会場周辺の警備費や海外要人への接遇費が含まれないことが判明した。野党などから「ブラックボックスになりかねない」などと全体像を示すよう求める声が噴出したが、政府側は「国葬後に精査して示す」(松野氏)の一点張り。なぜ安倍氏は国葬なのかといった疑問にも「さまざまな分野の歴史に残る業績」などと当初の見解を繰り返しただけだった。
この間、国葬に関する報道各社の世論調査で反対多数の傾向が顕著になり、8月上旬は国葬実施の判断を「評価する」との答えが多かった読売新聞でも今月2〜4日の調査では「評価しない」が56%と逆転した。
こうした世論を踏まえ、岸田文雄首相は8月31日の記者会見で「説明が不十分との批判をいただいている」と言及し、警備費と接遇費の概算公表につながった。自ら国会の閉会中審査に出席し、説明する考えも表明。審査は週内にも実施されるが、立民は警備に当たる警察官の人数など、概算の詳しい根拠が不十分だと指摘しており、首相の答弁が焦点になる。
●葉山町議会、安倍氏国葬反対の意見書可決 政府・国会に提出へ 9/7
神奈川県の葉山町議会は6日の本会議で、近藤昇一氏(共産)から提出された「安倍元首相の国葬に反対する意見書」案を賛成多数で可決した。後日、政府や国会に提出する。
意見書は、政府が安倍晋三元首相の国葬を閣議決定したことについて、「国葬の要件を定めた法規がないもとで、国会審議も経ず、約2億5千万円の国費を投じて実施しようとしている」と指摘し、「法治主義にも財政民主主義の原則にも違反する」と批判。
さらに、国葬を行うことで「元首相の政治的立場・姿勢を国家として全面的に公認・賛美し、弔意を個々の国民に事実上強制することにつながる」と懸念を示している。
意見書案の審議では賛成、反対の立場から計7人が討論を行い、それぞれ持論を展開した。採決の結果、議長を除く13人のうち8人が賛成して可決した。
●竹中平蔵氏 国葬を推進「日本の歴史の中で最も長く国民から支持された」 9/7
経済学者の竹中平蔵氏が6日、ユーチューブチャンネル「竹中平蔵の平ちゃんねる」を更新し、安倍晋三元総理の国葬をやるべきと主張した。
国葬に反対する理由として「内閣に対する評価が固まっていない」という意見に対して竹中氏は「評価なんて10年たっても、20年たっても評価は固まりません。当然のことながら支持する人もいれば支持しない人もいるわけです」と一蹴。
諸外国を例に挙げ「アメリカでは大統領は1人の例外を除いてすべて国葬です」と説明。また総理大臣は国家元首ではないという指摘に対しても「イギリスでもチャーチルやサッチャーは国葬されていますから。国家元首ではないということは理屈にはならないと思います」と持論を展開した。
竹中氏は長期政権だったことを評価する。「日本の歴史の中で最も長い内閣を築いた。最も長く国民から支持された。日本は民主主義の国ですから。最も長い内閣を築いたということは最も長く国民から支持されていたことを意味しますから。そこはやはり国葬に値するのだと思います」と結論付けた。
最後に「私は以前、テレビで発言して批判されたことがありますけど。世論は短期的には間違う。そういうことを踏まえてですね、長期的には世論も『国葬してよかった』と必ずなって行くと思います」と話した。
●安倍元首相「国葬」費用が16億6000万円に…さらに増額は? 9/7
政府は6日、安倍元首相の国葬の費用について、約16億6000万円にのぼる見通しを示しました。その内訳は、警備が8億円、海外要人の“おもてなし”が6億円。当初、式典費用は2億5000万円とされてきましたが、なぜ違いが生じたのでしょうか。
式典費用…当初は“2億5000万円”
佐藤梨那アナウンサー「政府は、3週間後の9月27日に行われる安倍元首相の国葬費用が、6日時点で16億6000万円にのぼる見通しだと発表しました。先月、国葬を行うと決めた時には、式典の費用として2億5000万円とされていましたが、この違いは、どういうことなのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク「私たちが当初聞かされていた2億5000万円というは、会場を借りて設営する費用と、バスの借り上げ費用でした。国が新たに予算を組む必要があるというので、当初発表したものでした」「それに対し、政府は、当初の発表以外にも、既に組んである予算で、『こういうことに、これだけお金がかかる』ということを示しました。それが総額16億6000万円ということです」
小野「その内訳はと言うと、警備に8億円が見込まれています。これは、全国の警察から応援を呼ぶ必要があるので、その人々の旅費とか手当が必要ということです。会場の入り口や周辺でのチェックや、道路の交通整理にと、総動員ですから」「もう1つは、海外からの要人の接遇、“おもてなし”に6億円を見込んでいます。海外から190以上の代表団、首脳クラスも50人ほどが参列します。アメリカのハリス副大統領なども参列する方向で調整しています。こうした要人を空港で受け入れ、滞在中の車の手配も必要になります」
佐藤「こうしたものも含めて、総額が現時点で16億6000万円の見通しだということですね」
首相周辺「隠すつもりはないので」
小野「最近、国葬には『ものすごくお金がかかるのではないか』という見方も出ていました。例えば、警備費です。元警視庁公安部の捜査官で、セキュリティーコンサルタントの勝丸円覚氏によると『3万人から4万人の警察官が必要ではないでしょうか。すると、警備費が最大35億円になるのではないか』と話しています」「接遇費も、2019年の即位の礼など一連の儀式に2600人を招待して、予算は50億円でした。今回、最大6000人に案内状を出すというので、『数十億円かかるのではないか』との見方も出ていました」「こうした中、首相周辺は『“国葬の費用を隠している”、“本当は70億円”と言われてしまっている。しかし、隠すつもりはないので、“そんなにかからない。おおむねこのくらいです”というのは示したい』と明かしました。それで、政府は6日、今のところの見通しは16億円だと示しました」「一方、 野党はこの16億円について、『ファイナルアンサーとは思えない』と批判しています。政府は引き続き、かかる費用については説明をしてほしいものです」
佐藤「落合さんは国葬にかかるお金のこと、どう考えますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)「僕は、安全のための費用というのはかけるべきだという立場です。でも、例えば、クラウドファンディングをすれば、16億円くらいすぐ集まると思いますけどね。例えば、安倍さんのために100万円払いたいという人、いっぱいいると思います。僕の周りも含めて、1600人以上いれば、16億円くらい集まってしまいますから。そういう出したい人の気持ちを集めるということは、国葬の税金を使うとは別にやってもいいような気がします」
佐藤「政府・与党は今週中にも、岸田首相がなぜ国葬を行うのかなどについて、国会で説明する方向で調整しています」 
●安倍元首相の国葬費16億円 “特級国民”扱いに置いてけぼりの国民感情 9/7
9月27日に日本武道館で執り行われる予定の安倍晋三元首相の「国葬」費用について、岸田文雄首相は「仮定の上で試算を行った」として総額16億6000万円を要することを明らかにした。8月下旬に閣議決定した際の支出額である約2億5000万円から、大幅に増額される格好に。
「当初に発表されたのは会場の設営費などの式典にかかる経費で、その他の警備費、海外要人の接待費、また自衛隊の車両借り上げ費用などが含まれていない額でした。これが大きくニュースで取り上げられると、世論は国葬反対に傾き始めた。焦った岸田首相は国民の理解を得るために、今更ながら“透明化”を測ったのでしょう」(全国紙政治部記者)
しかし、これは首相も「仮定の上」としたように、約16億円はあくまでも“仮の数字”。もちろん、実際には減額される可能性もあるのだが、2021年に開催されたビッグイベントを見てしまっては、そうは思えない節もある。
2021年8月〜9月に開催された『東京オリピック・パラリンピック』。「都市型のコンパクトオリンピック」をアピールした同大会は、当初は開催費用として約7000億円を計上していたものの、あれよと膨らみ続けて気付けば3兆円超え。
さらなる国葬費の追加もありうる
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は最終的に、無観客による警備費削減などを理由として最終的に1兆4238億円に下方修正するも、それでも見込み額のいい加減さを露呈した。前出の政治部記者は「わざと少なく見積もったとは思いませんが」と苦笑しつつ、
「組織委員会や東京都、そして政府は多額の公的資金を費やしたにも関わらず、“なぜそうなったのか”を厳密に検証、反省する姿勢を見せているとは言い難い。組織委員会に至っては最終報告をもって、6月にさっさと解散する始末。
これでは約16億円の国葬もまた終わってみれば倍額、“やっぱり32億円の血税が必要でした”と修正される場合もあるわけで。それでも政府は責任を問われず、政治家も何ら痛みを伴わないんですから」
そもそも在任期間が歴代最長の元首相とはいえ、1人の葬儀に約16億円が注ぎ込まれることに違和感を覚える国民も少なくはない。特にコロナ禍という国難にあって、歴史的円安が拍車をかけて物価の上昇も招くなど、多くの国民が我慢を強いられている現状だ。
長らく自民党政権を注視してきた政治ジャーナリストは「さながら“特級国民”の葬儀ということでしょうか」と、ほとほと呆れ果てている様子。
葬儀費用の平均総額は161.9万円
『一般財団法人日本消費者協会』が実施した葬儀に関するアンケート調査によると、2020年の葬儀費用の平均総額は161.9万円。葬儀一式の費用や通夜の接待費、また寺院等へのお布施や謝礼が主な支出となり、対して収入となる香典の平均額は74.1万円とされている。 ただ、人との接触を避けることを声高に叫ばれた昨今。身内の最期を近くで見届けられない、故人を満足に送り出せない状況もあっただけに、実際には葬儀にかける費用はさらなる減額が考えられる。
「そんな最中で、一般国民が捻出する葬儀費用のおよそ1000倍。約16億円を、大切な家族を弔えなかったかもしれない国民が負担して、テレビの前で“リモート”で安倍元首相の遺影を目の当たりにするわけです。
岸田首相は懸命になって“丁寧な説明”を繰り返していますが、明らかな外交目的や、自民・公明党の政治屋ら“身内”の顔色ばかり伺うのではなく、第一に国民感情に耳を傾けるべきだと思いますね」(前出・政治ジャーナリスト)
死してなお政治家の“職務”を全うする安倍元首相ではあるが、一番の“身内”である昭恵夫人はどんな感情で国葬に臨むのだろうか。
●国葬「友人代表は菅前首相」の発表で露呈した「『お友達内閣』の証明」の声 9/7
警備費や外国要人の接遇費を含めると、約16億6000万円の費用が生じると発表されている、安倍晋三元首相の国葬。9月27日の開催に向け、「国葬儀の流れ」が発表された。
開始時刻は、1967年におこなわれた吉田茂元首相の国葬と同じ、午後2時。安倍元首相の遺骨が式場に到着した後、葬儀副委員長である松野博一内閣官房長官の開会の辞、国歌演奏、黙祷と続く。
安倍元首相の生前の姿の映写がおこなわれた後は、岸田文雄首相が「多くの人が納得できる人選」だと周囲に語ったという、関係者による追悼の辞だ。
葬儀委員長である岸田文雄首相、細田博之衆議院議長、尾辻秀久参議院議長、戸倉三郎最高裁判所長官と続き、「友人代表」として菅義偉(よしひで)前首相が、最後に追悼の辞を述べる。
注目を集めたのが、その「友人代表」の人選だ。ネットではこんな声が挙がっている。
《友人というより舎弟じゃない?》《そこは「腹心の友」の加計孝太郎さんでしょう》《国葬なのに前総理が“友人代表”っておかしくないか?》
ちなみに、21世紀以降におこなわれた内閣・自民党合同葬で、「友人代表」として追悼の辞を述べたのは以下のとおりだ(肩書は当時のもの)。
・鈴木善幸元首相(2004年死去):宮沢喜一元首相
・橋本龍太郎元首相(2006年死去):豊田章一郎トヨタ自動車名誉会長
・宮沢喜一元首相(2007年死去):塩川正十郎元財務相
・中曽根康弘元首相(2020年死去):渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆
故人と関係の深かった政財界の人物が「友人代表」として追悼の辞を述べることは、これまでの路線を踏襲しているといえる。だが、先に紹介したようなツイートが目立つのは、背景にこんな国民感情が渦巻いているからのようだ。
《長らく友人を官房長官に据え、友人に権力の座を禅譲した、と。他ならぬ「お友達政治」の証明じゃねえか!》《まあ「お友達内閣」と言われた安倍氏にふさわしい人選かもしれないが…》
具体的な内容が明らかになるにつれ、批判がますます膨らむばかりの国葬。岸田首相は、8日にも実施される国会の閉会中審査に出席し、自らの言葉で理解を求めるつもりだという。
●安倍氏国葬に “首脳ら不在” のしっぺ返し… 9/7
9月27日におこなわれる安倍元首相の国葬。海外からの来賓も予定されているが、アメリカのバイデン大統領、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル前首相らは参列しない見通しだと報じられている。
「岸田文雄首相は、8月31日の会見で『諸外国から多数の参列希望が寄せられている』と発言していましたが、ふたを開けてみれば、ビッグネームは不在。9月になっても、多くの国から返事がない状態だと報じられています。
多くの反対の声が寄せられるなか、各国の『弔意と敬意』を受け取ることを開催理由にしている岸田首相ですが、これでは何のための国葬なのか……。
政府の概算によれば、『外国要人の接遇費』が、車両の手配や空港の受け入れ体制の構築などで6億円程度かかるそうですが、これだけかけてビッグネーム不在とあっては、よけいに国民の反感を買うでしょう」(政治部記者)
産経新聞によれば、複数のフランス政府関係者が「できるだけ高位の人物」の派遣を検討しているというが、なぜマクロン大統領は訪日しないのか。「内政の予定」を理由にしているが、この点について「3年前の “しっぺ返し” だ」と語るのはある政治ジャーナリストだ。
「2019年9月30日、シラク元大統領の国葬がおこなわれたときのこと。パリの教会には、ロシアのプーチン大統領、クリントン元米大統領、イタリアのマッタレッラ大統領らが出席しました。
シラク氏は40回以上も来日するなど、大の親日家として知られていましたが、当時の首相であった安倍氏は出席せず、日本政府が参列させたのは駐仏大使でした。これについては当時、“あまりにお粗末な弔問外交” と、批判の声が上がったのです」
大金をかけてしっぺ返しを食らうようでは、かえって恥をかくことになりそうだが……。
●国葬だから外国要人弔問するか? 「国葬だから来るわけでは・・・」 9/7
政治ジャーナリストの田崎史郎氏が7日、TBS系「ひるおび!」に出演。安倍晋三元首相の国葬へ外国からの要人が来ることについて、「国葬だから来るというものでもない」と語った。
番組では、今月27日に行われる安倍元首相の国葬について特集。政府は当初、国葬の費用として会場の設営費に2億5000万円かかると説明したが、6日になって警備費や外国からの要人の接遇費を合わせて総額約16億6000万円になると発表したことなどを伝え、国葬の是非について議論した。
青山学院大陸上部の原晋監督が「国葬にすることによって、外国の要人の方がいらっしゃるじゃないですか。そこのメリットはあるんでしょうか?。それとも、そんなのは大したことないよって?」と、国葬が外交の場としての役割を果たすのかと質問した。
田崎氏は、政府が2億5000万円のみを公表していた時の話として、「ある政府の方が言われたんですけども、『2億5000万円で、これだけの外国首脳が来て、話ができるとなれば安いもんだ』と。つまり外交の舞台となるわけですね。日本の(元)総理大臣のために各国の人が集まってくれるわけです。一般の人たちとちょっと感覚ずれるかもしれないですけど、政府にとっては大きいことなんですね」と、政府の考えを解説した。
さらに、原氏が「国葬じゃなくて、自民党葬だったら、果たして外国の方いらっしゃるのか、どうか?」と国葬にすることの意味を尋ねた。全額国費の国葬とは違い、内閣・自民党葬の場合、内閣と自民党が費用を半分ずつ出し合うことになるが、田崎氏は「そこがねえ、政府にとってキツイことですよ」と、政府にとっては痛いところを突かれることになると指摘した。
中曽根元首相、小渕元首相ら歴代の首相経験者の葬儀が内閣・自民党葬で行われたことを例に挙げ、「小渕さんの時もそうでしたけど、クリントンさん、当時アメリカの大統領、韓国の金大中大統領、来られているわけですよ。今回はアメリカの大統領も韓国の大統領も来られる予定はないんですね。だから、国葬にしたから来るっていうものでもないんですよ、きっと」と、必ずしも国葬が、要人の弔問の理由にはならないと語った。
これにMCの恵俊彰が「だから弔問外交は、自民党葬でもできるっていうことになるわけですよね。そうなると多くの方が納得できるのかどうなのか?」と疑問を投げかけた。

 

●首相、閉会中審査で「国葬は適切」…歴代最長政権・多くの業績など評価  9/8
衆院議院運営委員会は8日午後、安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)を巡る閉会中審査を行った。岸田首相は、安倍氏が歴代最長の8年8か月にわたって首相を務めたことなどを理由に国葬実施を決めたと説明し、理解を求めた。国葬について首相が国会で説明したのは初めて。衆院に続いて、参院議運委でも審査が行われる。
首相は委員会の冒頭、国葬実施の理由として〈1〉歴代最長の政権を担った〈2〉多くの業績を残した〈3〉諸外国が弔意を示している〈4〉安倍氏が選挙運動中に銃撃されたことから、国として民主主義を守る姿勢を示す必要がある――の4点を挙げ、「各国で国全体を巻き込んでの敬意と弔意が表明されていることなどを踏まえ、国葬を執り行うことが適切であると判断した」と述べた。
来日する要人との会談を通じ、「安倍氏が培われた外交的遺産を我が国として受け継ぎ、発展させるという意志を内外に示していく」とも語った。
松野官房長官は「厳粛かつ心のこもった葬儀となるよう準備する」と語り、各党にも協力を求めた。
委員会に先立ち、松野氏は8日午前の記者会見で、来日する外国要人について、現時点で米国のハリス副大統領、豪州のアンソニー・アルバニージー首相、欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)が参列の予定だと明らかにした。
野党は立憲民主党の泉代表らが質問に立った。法的根拠や費用見積もりの妥当性などを追及する。立民は国葬を「内閣葬」に変更するよう求めているほか、安倍氏と「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の関係も追及している。
政府は国葬実施を7月22日に閣議決定した。国の儀式として、今月27日に東京・日本武道館で行われる。首相など三権の長のほか、「友人代表」として菅前首相が追悼の辞を述べる。参列者は皇族や国会議員、海外の要人ら約6000人を想定している。概算費用の総額は警備費や接遇費などを含めて計約16億6000万円と見込んでいる。
●安倍元首相「国葬」 オーストラリア 首相と元首相3人参列へ  9/8
オーストラリアのアルバニージー首相は、今月27日に東京で行われる安倍元総理大臣の国葬に参列すると発表しました。
発表によりますと、安倍元総理大臣の在任中に首相を務めたハワード元首相、アボット元首相、それにターンブル元首相も同行するということです。
アルバニージー首相がことし5月の就任以降、日本を訪問するのは、就任直後に東京で行われた日本、アメリカ、それにインドとの4か国の枠組み「クアッド」の首脳会合に出席して以来、2回目です。
声明でアルバニージー首相は「安倍氏のリーダーシップのもと、オーストラリアと日本は経済・防衛面での連携や人的交流を深めた。私たちは自由で開かれた強じんな地域を発展させていくため、協力関係の強化を続ける」としています。
●安倍元首相「国葬」米 ハリス副大統領が参列へ  9/8
アメリカのバイデン政権は今月27日に東京で行われる安倍元総理大臣の「国葬」にハリス副大統領が参列すると発表しました。
アメリカのホワイトハウスは7日、声明を発表しハリス副大統領が今月25日から29日までの日程で、日本と韓国を訪問し、このうち東京では27日に行われる安倍元総理大臣の「国葬」にバイデン政権を代表して参列すると明らかにしました。
ホワイトハウスはハリス副大統領の参列について「安倍氏の功績をたたえるとともに、安倍氏が両国の同盟関係や自由で開かれたインド太平洋の推進に向けてリーダーシップを発揮したことの重要性を強調する」としています。
ハリス副大統領が日本を訪問するのは去年1月に就任して以来、初めてです。
また、ホワイトハウスは、ハリス副大統領が日本と韓国でそれぞれ政府高官などと会談し、両国との関係強化や、自由で開かれたインド太平洋の推進、経済面や安全保障での協力について確認するとしています。
松野官房長官「安倍元首相の貢献を高く評価するもの」
松野官房長官は、記者会見で「アメリカのハリス副大統領の訪日は、日米同盟を新たな高みへと導いた安倍元総理大臣の貢献を高く評価するものだ。ハリス氏の副大統領としての訪日は今回が初めてで、心から歓迎する」と述べました。
そのうえで「おととい、EU=ヨーロッパ連合からミシェル大統領が、きのうはオーストラリアからアルバニージー首相が参列する旨が、それぞれ発表されている。これ以上は相手国との関係などに鑑み、現時点では明らかにできる状況にはないが、適切なタイミングにしかるべき形で公表したい」と述べました。
●ハリス米副大統領、国葬に出席へ「安倍元首相の遺産に敬意」  9/8
米ホワイトハウスは7日、東京・日本武道館で27日に行われる安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)に、ハリス副大統領が米代表団を率いて出席すると発表した。昨年1月の就任後、ハリス氏の来日は初めてとなる。
「生前は仲良くさせていただいた」、安倍元首相国葬に河村たかし名古屋市長「出席する」
米国のハリス副大統領=AP米国のハリス副大統領=AP
ホワイトハウスは声明で「安倍元首相の遺産に敬意を表し、日米同盟を擁護して『自由で開かれたインド太平洋』を推進した安倍氏のリーダーシップの重要さを強調する」とした。
日米両政府は、ハリス氏が滞在中、岸田首相と会談する方向で調整している。ハリス氏は東京の後、29日までの日程でソウルも訪問する。韓国の 尹錫悦ユンソンニョル 大統領とも会談する見通しだ。 
●安倍元首相の国葬 反対の市民グループが首相官邸前で集会  9/8
安倍元総理大臣の国葬をめぐって、国会の閉会中審査が行われた8日、国葬に反対する市民グループが総理大臣官邸前で集会を開き、「内心の自由に踏み込む行為だ」などと訴えて中止を求めました。
安倍元総理大臣の国葬は、政府の閣議決定に基づき今月27日に東京の日本武道館で行われる予定で、全体の費用の概算は総額で16億6000万円程度になるという見通しが示されています。
国会で国葬をめぐって閉会中審査が行われた8日、反対する市民グループは総理大臣官邸前で集会を開き、主催者の発表で500人が参加したということです。
集会では、ルポライターの鎌田慧さんが「岸田総理大臣は国会にもはからず勝手に国葬を決め、憲法に違反している。好きでもない総理大臣の葬式を、なぜ僕たちみんなでやらなければならないのか理解できない。内心の自由に踏み込む行為だ」と述べ、中止を訴えました。
参加した29歳の女性は「コロナ禍で多くの人が大変なときに巨額の税金を使い、国論が二分している国葬を行うことは非常に疑問だ」と話していました。
政府は、国葬について「内閣府設置法に内閣府の所掌事務として国の儀式の事務に関することが明記され、閣議決定を根拠として行うことができる。国民一人一人に政治的評価や喪に服することを求めるものではない」としています。
●首相、閉会中審査で「国葬は適切」…歴代最長政権・多くの業績など評価  9/8
衆院議院運営委員会は8日午後、安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)を巡る閉会中審査を行った。岸田首相は、安倍氏が歴代最長の8年8か月にわたって首相を務めたことなどを理由に国葬実施を決めたと説明し、理解を求めた。国葬について首相が国会で説明したのは初めて。衆院に続いて、参院議運委でも審査が行われる。
首相は委員会の冒頭、国葬実施の理由として〈1〉歴代最長の政権を担った〈2〉多くの業績を残した〈3〉諸外国が弔意を示している〈4〉安倍氏が選挙運動中に銃撃されたことから、国として民主主義を守る姿勢を示す必要がある――の4点を挙げ、「各国で国全体を巻き込んでの敬意と弔意が表明されていることなどを踏まえ、国葬を執り行うことが適切であると判断した」と述べた。
来日する要人との会談を通じ、「安倍氏が培われた外交的遺産を我が国として受け継ぎ、発展させるという意志を内外に示していく」とも語った。
松野官房長官は「厳粛かつ心のこもった葬儀となるよう準備する」と語り、各党にも協力を求めた。
委員会に先立ち、松野氏は8日午前の記者会見で、来日する外国要人について、現時点で米国のハリス副大統領、豪州のアンソニー・アルバニージー首相、欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)が参列の予定だと明らかにした。
野党は立憲民主党の泉代表らが質問に立った。法的根拠や費用見積もりの妥当性などを追及する。立民は国葬を「内閣葬」に変更するよう求めているほか、安倍氏と「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の関係も追及している。
政府は国葬実施を7月22日に閣議決定した。国の儀式として、今月27日に東京・日本武道館で行われる。首相など三権の長のほか、「友人代表」として菅前首相が追悼の辞を述べる。参列者は皇族や国会議員、海外の要人ら約6000人を想定している。概算費用の総額は警備費や接遇費などを含めて計約16億6000万円と見込んでいる。
●岸田首相、安倍元首相の国葬を行う理由など説明 9/8
岸田総理大臣は、国会で、安倍元総理の国葬を行う理由などについて説明しました。
立憲民主党・泉代表「今回国葬を強行しようとしている。これが総理、あなたじゃないですか」
岸田首相「行政権の範囲内で内閣府設置法と閣議決定を根拠に決定したわけですが、こうした国の行為について国民にさらなる義務を課するとか、何か行為を強要するということではない限り、具体的な法律が必要がないという学説に基づいて、政府としても今回の件についてしっかり考えています」
岸田総理は国葬を決めた理由について、安倍元総理の在任期間が憲政史上最長であることや国際的な評価が高いことをあげるなど従来の説明を繰り返しました。
一方で、野党議員から説明が不十分と指摘されたことに対しては「謙虚に受け止める」と述べました。
野党側が国葬の基準を設けるべきではないかとただしたのに対しては「その時々、政府が総合的に判断することになる」と述べ、基準を設ける必要はないとの考えを示しました。
国葬の費用が全体で、およそ16億6000万円にのぼる見通しであることについては「過去の様々な行事との比較においても妥当な水準だ」と述べました。
●岸田首相「旧統一教会との関係把握には限界」 国葬を巡る国会閉会中審査  9/8
衆参両院の議院運営委員会は8日午後、安倍晋三元首相の国葬に関する閉会中審査をそれぞれ開いた。出席した岸田文雄首相は冒頭説明で「国として葬儀を行うことで、我が国は暴力に屈せず、民主主義を守り抜く決意を示す」などと述べ、あらためて開催への理解を求めた。安倍氏と旧統一教会との関係については「本人が亡くなられた今の時点において、実態を十分に把握することは限界がある」と述べた。
岸田首相の冒頭説明
民主主義の根幹たる選挙が行われている中、安倍元首相が卑劣な暴力により命を落とす事件がありました。安倍元総理に対し衷心より哀悼の誠をささげます。
安倍元首相は、民主主義の根幹たる国政選挙において、6回にわたり国民の信任を得ながら憲政史上最長の8年8カ月にわたり、内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした戦略的外交を主導し、平和秩序に貢献するなど実績を様々な分野で残したこと。諸外国における議会の追悼決議や、公共施設のライトアップをはじめ、各国で様々な形で国全体を巻き込んで敬意と弔意が表明されていること、民主主義の根幹である選挙運動中での非業の死であることなどを踏まえ、安倍元首相の国葬を行うことが適切であると判断し、7月22日、国葬の執行を閣議決定しました。
国として葬儀を執り行うことで、安倍元首相を追悼するとともに、我が国は、暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります。
あわせて、各国からの弔意に対し、日本国として礼節を持ってお応えするとともに、国葬の機会に来日される各国要人と集中的に会談を行い、安倍元総理が培われた外交的遺産を、我が国として受け継ぎ発展させる意思を内外に示して参ります。
【衆院】
自民 盛山正仁氏
Q 今回の国葬の費用は、過去の内閣と自民党の合同葬などと比べて適切なのか。
岸田首相 参列者数が増加すること、多数の外国要人が参列すること、一般の方が行う献花の準備が必要であることなど、過去と事情も異なる。そういった経費等を加えた上で、中曽根(康弘)元首相の葬儀と比べて5700万円増になっている。それ以外にも、警備費と接遇費はこれまで政府が関わった葬儀でも支出が行われている。準備を進める中で、仮に190の代表団、そのうち接遇が必要な首脳級50の代表団と仮定するとどのくらいになるか示した。(警備費で)8億、(接遇費で)6億という数字だ。過去の様々な行事と比較においても妥当な水準であると考えている。
Q どの程度の警備が必要か、当初から説明があった方が良かったのではないか。
岸田首相 丁寧な説明が必要だったという指摘については謙虚に受け止め、引き続き説明努力に努めていきたい。海外からの弔問の状況は、状況が徐々にわかりつつある中で、できるだけ早く数字を示そうということで仮定の数字を置いた。これから直前に向けてより明らかになっていくので、状況は丁寧に、国民の皆さんに説明をし続けていきたい。
立民 泉健太氏
Q そもそも国葬は総理と内閣だけで決められるのか。こうした強引な決定方法に反発が起きている。閣議決定までに三権の長に諮はかったか。各党に相談したか。
岸田首相 国葬は内閣府設置法および閣議決定を根拠として実施することを決定した。これは間違いなく、行政権に属すると認識をしている。説明が不十分だった、ということについては謙虚に受け止めながら、国民の皆さんの理解を得るために、引き続き丁寧な説明を続けていきたいと考えている。
Q 国権の最高機関の国会に相談なく決めたのは、戦後初めて。法的にも瑕疵がある。選考基準を記した法律はあるか。
岸田首相 指摘のような法律はない。しかし、行政権の範囲内ということで政府として決定した。
Q 佐藤栄作元首相は、当時戦後最長の在任期間で、ノーベル平和賞も受賞しているが国葬ではなかった。これは吉田(茂・元首相)国葬の反省も踏まえて、法律も選考基準もなく、三権の長の了承が必要な国葬はやっぱり難しい。どんな業績があったとしても自民党・内閣は、内閣自民党合同葬を行ってきた。その知恵や深慮遠謀を壊して、今回、国葬を強行しようとしている。
岸田首相 明確な基準がないのではないかというご指摘がありましたが、一つの行為についてどう評価するかは、そのときの情勢によって変わる。同じことを行ったとしても、50年、60年前の国際社会でどう評価されるか。一つの基準を作ったとしても、そうした国際情勢や国内情勢に基づいて判断をしなければならない。よって、その時々、その都度都度、政府が総合的に判断をし、どういった形式をとるのか判断する、これがあるべき姿だと考えている。
Q 旧統一教会問題では、自民党との密接な関係も言われている。自民党と旧統一協会との関係を考えた場合に、安倍元首相が最もキーパーソンだったのではないか。
岸田首相 内閣総理大臣として答弁に立たせていただいている。自民党のありようについて国会の場で自民党総裁として答えることを控えるべきものだと思うが、昨今の諸般の事情を考え、あえて国会の場でお答えする。
安倍元首相の旧統一教会との関係については、ご本人の当時のさまざまな情勢における判断に基づくものだ。本人が亡くなられた、今の時点において、実態を十分に把握することは限界がある。自民党のありようについて丁寧に国民の皆さんに説明をしなければいけないということで、それぞれの点検結果について、取りまとめを行い、説明責任をしっかり果たしていこうという作業を進めているところだ。社会的に問題が指摘されている団体との関係を持たない、これが党の基本方針であり、国民の皆さんの信頼回復に努めていきたいと考えている。
Q 安倍元総理がどういうスケジュールで動いていたか、事務所は分かっているはずだ。党の調査ではなぜ安倍事務所を外しているのか。自民党の自治体議員が行政に何かを要請して、旧統一教会系の団体の会合に出ている。この2つ(の調査)を約束してもらえないか。
岸田首相 1点目については、先ほど申し上げたが、具体的な行動の判断、これは当時の本人の判断なので、お亡くなりになった今、確認するには限界があるという認識に立っている。2点目は、まずは党所属の国会議員を対象として取りまとめを行っているが、地方議員についても、今後社会的に問題が指摘される団体との関係を持たないという党の基本方針を徹底していただくということになる。
Q カルト被害防止救済のための法整備が必要だと思わないか。
岸田首相 既に関係省庁に対し、法令から逸脱する行為があれば厳正に対処すること、悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済に連携して万全を尽くすこと、この2点の指示を出している。まずは指示に基づいた取り組みを進めていきたい。その上で、今の法令の中で何ができるのか、これを最大限追求した上で議論を進めるべき課題だ。
Q 歴代の内閣葬では、自民党が半額負担した。
岸田首相 世界各国の国挙げての弔意を国としてしっかりと受け止めさせていただく際に、国の行事として葬儀を行うことが適切であると判断した。合同葬についても、もちろん国の税金は支出することになる。しかし、何よりも大事なのは国としてどういった形で国際的な弔意を受け止めるのか。日本国民全体に対する弔意に対してどう答えるのか。そのために国葬という形が適切であると判断した。
維新 遠藤敬氏
Q 今回の場合、基準がないまま閣議決定し、実施を決めた。難しいことは理解しているが、今後国民の理解を得るために、一定の基準を設ける必要があるのではないか。
岸田首相 その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形を判断してきた。今後も首相経験者が亡くなった際には、その時々の内閣において、その都度、ふさわしい形が何なのか、判断することになると考えている。今回の国葬実施後に行う検証の結果、予算と数字とも確たるものをしっかり報告しなければいけないし、そうした報告、検証の結果、今後の国葬のあり方について、検討結果を役立てていく姿勢は重要だ。
公明 浜地雅一氏
Q 具体的に、外国から日本や日本国民にどのような弔意が寄せられているのか。
岸田首相 バイデン米大統領やエリザベス女王陛下など、各国王族、国家元首、首脳レベルを含め約260の国地域、機関から1700件以上のメッセージが寄せられた。内容は安倍元首相の在任中の功績を評価し、安倍元首相、ご遺族、そして日本国民全体への哀悼を示すものとなっている。哀悼のメッセージ以外にも多くの国で議会の追悼決議が行われている。国際社会から寄せられた数多くの敬意や弔意に対し、日本国として礼節を持って丁寧にお応えするためにも、国の儀式である国葬を行い、海外の要人をお迎えすることが適切だと判断した。
国民 浅野哲氏
Q 海外要人が日本を訪れる。高速道路の利用制限、当日予定のスポーツやコンサートなどのイベントは制約するのか。
松野博一官房長官 当日、外国要人の宿泊場所から日本武道館の移動に伴い、首都高や一般道で必要な交通規制が行われる見込みだ。要人の来日の際に、空港から宿泊場所への移動の際に、必要な交通規制が行われる可能性がある。国民の皆さんへの自粛は考えていない。
共産 塩川鉄也氏
Q 国民が疑問に思っているのは、統一教会と深い関わりがあった安倍元首相を国葬にすることだ。岸田首相は統一教会との関係を絶つと言っているのに、国葬を行うのは矛盾している。
岸田首相 自民党は政治に対する信頼回復のために関係を絶つべきだと言っている。安倍元首相と当該団体との関係は、本人が亡くなられたので、十分に把握するのは難しい。国葬を考える際には、在任期間、功績、国際的評価、亡くなられた経緯を総合的に判断して、政府として判断した。
Q 安倍元首相を国葬とすることは、旧統一教会の活動を是認することにならないか。
岸田首相 国葬の議論をしている。安倍元首相が憲政史上最長の在任期間を務め、選挙において非業の死を遂げた。こうしたことは前例がない。さまざまな功績を内外が評価しており、特に海外の評価に応えなければならない。国民全体に対する弔意に、日本国としてどう応えるか考え、国葬を行うべきだという判断に至った。
【参院】
自民 舞立昇治氏
Q 海外から寄せられた弔意の具体的な内容は。国葬には海外から多数の要人の参列が予想される。
岸田首相 バイデン米大統領、(英国の)エリザベス女王陛下など各国王族、国家元首、首脳レベルを含め約260の国・地域・機関から1700以上のメッセージが寄せられた。内容は、安倍元首相の在任中の功績を評価し、多くが日本国民全体への弔意を示す内容となっている。 参列者は公にできるだけでも、インドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相、シンガポールのリー・シェンロン首相、ベトナムのフック国家主席、EUのミシェル欧州理事会議長、カナダのトルドー首相、米国のハリス副大統領、また豪州ハワード元首相、アボット元首相、ターンブル元首相、そろって参列の意向が示されている。
立民 吉川沙織氏
Q 7月14日の(首相が国葬の実施を表明した)記者会見の時点で、国会や国民に対して説明する必要があると考えていたか。
岸田首相 表明した時点で十分説明していたのか、という指摘については、謙虚に受け止めなければならない。その後7月22日に閣議決定するなど、その後の取り組みの中で説明を続けたが、説明の重要性をしっかり認識して、今後とも努力を続けていきたい。
Q (予備費を除いた費用を)既定予算でまかなうと予算を圧迫することにもなりかねず、充てようとした施策の経費が低下する懸念も生まれる。
岸田首相 様々な政治課題に直面しているが、コロナ対策物価対策をはじめ必要な予算を確保し、国民生活を守るために万全を期していきたい。今回の財政支出が、他の政策課題に悪影響を生じるものではない。
公明 高橋光男氏
Q 当日の弔意表明について、官公庁、自治体、学校などに明確に通知してほしい。決定のプロセスも記録として残すことが重要だ。
岸田首相 今回の国葬は国民一人一人に弔意を強制するものではない。結果は検証を行い、今後国の行事を考える際に役立てられるよう扱い、検証をしっかり行っていくように政府として進めていきたい。
維新 清水貴之氏
Q 過半数が国葬実施を評価していない。
岸田首相 厳しい意見、批判があることは認識している。理由は法的根拠、予算、評価であったりだが、共通するのは説明が不十分なこと。政府として謙虚に受け止めなければならない。さまざまな論点があるが、丁寧に説明努力をして国葬を行わなければいけない。
Q 当初賛成が多かったのに変わっているのは、感情の変化があった。説明が十分ではないのが大きな理由だ。もっと早くしっかりと説明して、理解を得る努力をするべきではなかったか。
岸田首相 国葬実施に当たって、政府としての法的根拠、理由を説明しなければいけない。判断に対して、国民の理解や協力がなければいけない。判断と説明の両方が大事だ。説明部分については、十分だったのかという指摘は謙虚に受け止める。努力を続けていきたい。
Q 今回の国葬は内閣設置法上の国の儀式として実施する。事務として国葬を行うなら、さらに別の法律が必要なのではないか。国葬ではなく、内閣葬であるべきではないか。
岸田首相 内閣府設置法は、国の儀式には天皇の国事行為として行われる儀式があり、その他に閣議決定に基づき国が行う儀式があるとされており、今回の国葬は後者に含まれる。行政権の範囲に含まれることを明らかにするものだ。国の儀式である国葬を実施することは、行政上の行為であり、国民の権利を制限したり、義務を課したりするものではない。内閣府設置法と別の根拠法は必ずしも必要ないという考えに至っている。内閣法制局等もしっかり確認した上で政府として法的な整理を行っている。
Q どういったときに国葬を行うのか基準を明確にするべきだ。
岸田首相 一つの功績、行為を取ってみても、国際社会、国内の政治情勢によって評価は変わる。事前に具体的に決めることは難しい。首相経験者の葬儀のあり方は、これまでもそのときの内閣においてさまざまな事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形で判断した。今回もそうした事情で判断した。
国民 浜野喜史氏
Q 7月22日の閣議決定までに閣僚懇談会などを開いたか。
岸田首相 このテーマで閣僚懇談会を開いたことはないが、議論を積み重ねてきた。
Q 国葬を行うなら、国民にともに追悼しようと呼びかけることが自然ではないか。
岸田首相 国民一人一人に弔意の表明を強制的に求めるものだと誤解を招くことがないように、吉田元首相の国葬に際して実施した弔意表明を行う閣議了解や、地方自治体や教育委員会等の関係機関に対する弔意表明の協力の要望は行わないこととした。
共産 仁比聡平氏
Q 旧統一教会とのこれまでの関係のどこが問題で、なぜ関係を断たなければならないと考えているか。
岸田首相 社会的に旧統一教会を巡る様々な問題が多く指摘され、広く社会全般で解決に向けた取り組みを望む声も大きくなっている。政治家は社会的に問題が指摘されている団体との関係には慎重であるべきであり、旧統一教会を巡る現下の状況を踏まえ、自民党においては政治に対する国民の皆様の信頼を回復するために、関係を断つ必要がある。
Q 旧統一教会と深い関わりを持ってきた安倍元首相を国葬にすることに、国民は怒っている。安倍元首相関係者への調査を行い、結果を公表するべきだ。
岸田首相 安倍元首相にはそれぞれの判断があったと想像するが、本人が亡くなられた今それを十分に把握することは難しい。
Q 安倍元首相の旧統一教会との関与を不問に付して国民の信頼回復はありえない。国葬は国民全体に事実上弔意を求め、内心の自由を侵す。憲法19条に違反する。
岸田首相 国民の皆さんとともに安倍元首相に弔意を示すことは重要だ。国民一人一人に弔意の表明を強制的に求めるものではないことは強調している。国葬によって内心の自由が侵害されることはない。
●安倍昭恵夫人に「国葬辞退」を求めるツイートが急増  9/8
9月27日に執りおこなわれる、安倍晋三元首相の国葬。
本誌が取材した無派閥の自民党議員によれば、国葬実施の方針が決まったのは、7月14日の会見の1時間前だったという。
それほど成り行きで決まった国葬だけに、ほころびは広がるばかり。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と自民党の関係が報じられるたび、国葬に対する批判の声も大きくなっていった。
さらには、当初「2億5000万円」とされていた全体費用も、結果、6.6倍の約16億6000万円に跳ね上がったことも発表。
反対の声が強まるなか、Twitterでは「昭恵さん」というワードがトレンド入りしている。安倍昭恵夫人に、国葬辞退を求める声が相次いでいるのだ。
そもそも、この国葬に対し、昭恵夫人は“難色”を示していた。7月、永田町関係者は本誌にこう語っている。
「死去の直後から、内閣や自民党幹部がすぐさま『安倍元首相を国葬に』と口にし始めましたが、その際に、昭恵夫人の意志を確認していなかったようです。『妻である私に聞く前に、勝手に国葬と言いだすなんて』という思いがあるのでしょう。実際に、安倍家側からは国葬辞退の意向も出ているそうです」
だが、結果的にその声は無視されることに。Twitterでは、それでも昭恵さんに、辞退の意向を示してほしいという意見が多く見られる。
《もうこれは遺族から辞退してほしい。 昭恵さん、なんとか…》《昭恵さん、あなたが辞退すれば済む事ではないですか?》
いっぽう、そうした投稿を批判する声も。
《昭恵さんに「国葬辞退して!」ってツイートしてる人たち、人の心はないのか》《お願いだから国葬辞退してくださいって言われる昭恵さんつらすぎん??》
なかば政府側の“強行”とまでいわれている国葬。そこに、遺族である昭恵夫人の気持ちを慮る心はない。
●安倍元首相の国葬に米副大統領や豪首相、EU大統領ら参列予定… 9/8
衆院議院運営委員会の閉会中審査で安倍元首相の国葬を巡り答弁に臨む岸田首相。左は松野官房長官(8日午後、国会で)=源幸正倫撮影衆院議院運営委員会の閉会中審査で安倍元首相の国葬を巡り答弁に臨む岸田首相。左は松野官房長官(8日午後、国会で)=源幸正倫撮影
岸田首相は8日の衆院議院運営委員会で、安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)に米国のハリス副大統領や豪州のアンソニー・アルバニージー首相らが参列を予定していることを明らかにした。
首相は、ほかに参列予定の首脳として、インドのナレンドラ・モディ首相やシンガポールのリー・シェンロン首相、ベトナムのグエン・スアン・フック国家主席、欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)、カナダのトルドー首相も挙げた。
●参列する外国首脳を首相が「フライング」発表 国葬の是非問われ転換 9/8
安倍晋三元首相の国葬をめぐり8日に開かれた国会の閉会中審査で、岸田文雄首相は参列する外国首脳の一部を公表した。当初はセキュリティーの観点から国葬の3日前に公表する考えだったが、急きょ方針転換した。
首相は8日の衆院議院運営委員会で、米国のハリス副大統領、カナダのトルドー首相、インドのモディ首相、豪州のアルバニージー首相、シンガポールのリー・シェンロン首相、ベトナムのフック国家主席、欧州連合(EU)のミシェル首脳会議常任議長らの名前を列挙した。
政権は、外国要人の参列を、国葬をめぐる「正当性の支え」としていた。この日の答弁でも、首相は「来日する各国要人と集中的に会談を行い、安倍元総理が培った外交的遺産をわが国としてしっかり受け継ぎ、発展させるという意志を内外に示していく」と訴えた。
これまで具体的な要人の名前について明らかにしていなかった。外務省関係者は「外国要人の日程は急に変わることもある。さらに警護の観点からも事前公表はあり得ない」と指摘。同省は返事がない国に対して問い合わせている最中でもあり、「要人リスト」は国葬3日前に公表する方針だったという。
しかし、国葬の是非が問われる事態になり、首相官邸は急きょ方針を変更。参列する要人をすでに連絡した国に対し、同省は公表への同意を得る作業に追われた。
こうして「フライング」発表されたのが今回の国々の首脳だった。同省幹部は言う。「主要国を含まないと格好がつかなかった。とにかく形にはなった」

 

●国葬「なぜ安倍氏だけ?」首相答えず 「各国への礼節」「総合的に勘案」  9/9
安倍晋三元首相の国葬に関し、岸田文雄首相が初めて国会で説明した8日の衆参両院の議院運営委員会。なぜ国葬なのか、基準は何かとの問いに、首相は従来の説明を繰り返した上で「各国への礼節」と強調した。だが、実施理由を並べ立てたのとは裏腹に、吉田茂氏を最後に元首相の国葬を行ってこなかった歴代政権の判断を変えたことの根拠は「総合的に勘案」などと曖昧なままだった。
国葬の基準設定拒否
「国葬は首相と内閣だけで決められるのか」。立憲民主党の泉健太代表は衆院の審議で、国会での議論を経ず、安倍氏の国葬を閣議決定した手法が強引だからこそ、世論が反発を強めていると指摘した。
首相は、内閣府が国の儀式の事務を行うことを定めた内閣府設置法に基づき、閣議決定したことの正当性を主張。国会の立法権、裁判所の司法権、内閣の行政権を持ち出し「国葬儀は間違いなく行政権に属する」と強調し、何ら問題はないとの論理を押し通した。
なぜ国葬なのかの理由は、憲政史上最長の首相在職日数など従来の4項目を列挙。泉氏は、国葬の基準がないから国民が納得できないとも追及したが、首相は「その都度、政府が総合的に判断するのがあるべき姿だ」と反論し、基準を設けることを拒否した。
国葬でなければ礼節欠く?
ただ、これだけでは説得力を欠くと考えたのか、首相は海外から届いた安倍氏への追悼メッセージに言及。多くが日本国民全体に哀悼の意を表する趣旨だと紹介し「日本国として、海外からの敬意や弔意に礼節をもって応える必要もある」と指摘した。
首相の発言は、国葬でなければ礼節を欠くとも受け取れるが、過去にはどうだったのか。大平正芳元首相、小渕恵三元首相はともに内閣・自民党合同葬だったが、それぞれ当時のカーター、クリントン両米大統領が参列し、多くの国から弔意が寄せられた。岸田政権も「礼節を欠いていた」との見解は示していない。
国葬に対する国民の厳しい目を前に、首相は防戦を強いられる場面が目立った。象徴的だったのは安倍氏と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を巡る議論だ。「深い関わりがあった安倍氏を国葬にするのか」といった質問が相次いだが、首相は「本人が亡くなった今、関係を十分に把握することは難しい」などと言葉を濁し続けた。
閣議決定から2カ月、審議わずか3時間
岸田文雄首相が安倍晋三元首相の国葬を実施すると表明してから2カ月近く。ようやく国会で説明したが、衆参両院の審議は1日のみの計3時間で終わった。野党が憲法に基づいて求めた臨時国会の召集にも応じず、言葉では「丁寧に説明する」と繰り返しながら、行動は伴っていない。
国会が開会していれば、各委員会の定例日に質疑の機会があり、不定期ながら予算委員会の集中審議という注目度の高い論戦の場も設けやすい。これに対し、今回のような閉会中審査は原則として単発のため、議論の深まりや広がりにつながりにくい。
自民党は8日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点に関する所属議員の調査結果を公表した。国葬とともに、世論や野党から批判を受けるテーマ。立憲民主党の安住淳国対委員長は記者団に「(同じ日に)まとめて、マスコミの扱う量を小さくしようという魂胆が見え見えだ。せこい」と批判した。
●安倍元首相の「国葬」めぐる閉会中審査 野党は“説明不十分”  9/9
安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、岸田総理大臣は8日に行われた国会の閉会中審査で実施の理由などを説明して理解を求めました。これに対し野党側は従来の見解が繰り返されただけで不十分だなどと批判していて、与野党の議論が続くことになりそうです。
8日、衆参両院の議院運営委員会で行われた安倍元総理大臣の「国葬」をめぐる閉会中審査で岸田総理大臣は、安倍氏が憲政史上最長の期間、総理大臣を務めたことなど実施の理由を重ねて示すとともに、16億6000万円程度と見込まれる費用は過去の行事と比較しても妥当な水準だと説明しました。
一方でこれまでの説明が不十分だったという指摘を謙虚に受け止めるとしたうえで、「国葬」を実施したあとに検証する考えを示し、理解を求めました。
これに対し野党側は立憲民主党の泉代表が、「岸田総理大臣の答弁はこれまでの政府見解を述べたもので、国民は納得できていないと思う」と述べるなど、なお説明は不十分だと批判しています。
そしてこのままでは実施は認められないとして、過去の多くの総理大臣経験者の例にならって、「内閣葬」などにするよう求める意見も出ています。
ただ政府としては「国葬」の実施まで3週間を切る中、葬儀の在り方を見直すことは困難だとして、予定どおり準備を進める方針で、与野党の議論が続くことになりそうです。
●岸田首相「国葬説明」で火だるまの“元凶”は…麻生副総裁と菅前首相 9/9
安倍元首相の国葬をめぐり、ようやく岸田首相が8日に国会で説明したが、これで一件落着とはなりそうにない。
説明を聞いて国葬反対派が賛成に転じることは考えにくいし、今さら葬儀を取りやめることもできず、強行すれば批判の声が高まるのは確実。ニッチもサッチも行かない状況に岸田首相を追い込んだ“元凶”は2人の大物だという。
「理屈じゃねえんだ」
写真週刊誌「FLASH」最新号が、国葬決定までの経緯をこう報じている。
<安倍さんが亡くなった直後は、内閣と自民党の合同葬を開く方向で話が進んでいました。それを巻き戻したのが麻生太郎副総裁で、“保守派が騒ぎだすから”と、岸田さんに3回も電話をしたそうです。最後は『これは理屈じゃねんだよ』と、強い口調だったといいます。国葬実施の方針が決まったのは、7月14日の会見の1時間前でした>
安倍氏が7月8日に銃撃されて死亡し、6日後の14日に岸田首相が記者会見を開いて国葬を行うと表明。その間に麻生氏の猛プッシュがあったというのだが、「理屈じゃねえ」で決めてしまったのなら、国民が納得する説明などできるはずがない。
「祖父の吉田茂元首相の国葬が行われた1967年は麻生さんが27歳の時で、当時の印象が鮮烈に残っているはずです。盟友の安倍さんを手厚く送ってやりたいという気持ちの表れでしょう。国葬と決まった時には、菅前首相も『それがいい』と周囲に話していました。しかし、旧統一教会と安倍さんとの親密な関係が明らかになり、日増しに国葬反対の声は増える一方で、岸田さんは頭を抱えている。国葬をゴリ押しした麻生さんもダンマリを決め込んでいます」(自民党関係者)
一方、「国葬後に明らかにする」としていた経費の概算を「総額16.6億円」と急に公表したのは、菅氏のアドバイスを受けてのことだという。
岸田首相は5日に菅氏の国会内事務所を訪れて面会し、国葬で友人代表としての弔辞を依頼。菅氏は快諾したとされる。
概算費用「16.6億円」公表も裏目
6日の神奈川新聞によると、この面会の際に菅氏は、国葬費用について「分かる範囲で数字をまとめて早めに明らかにしてはどうか」と促した。「動いても動かずとも批判されるのなら動くべきだ」と励ましたという。
だが、事前に示した見積もり「16.6億円」より費用が大幅に増えれば、ますます世論の反発を招く。
岸田首相本人が国会で説明することにも「火だるまになるだけ」との懸念が党内にある。
「麻生氏も菅氏も悪気はなくて、安倍元首相や岸田首相のためを思って助言したのでしょうが、ことごとく裏目に出ている。それを周りは遠巻きに見ていて、全力で首相を支えるという雰囲気ではない。特にポスト岸田首相を狙うような人々は様子見ムードです」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
麻生氏と菅氏に対して自慢の「聞く力」を発揮したとしても、最終的に国葬を決めて発表したのは岸田首相自身。火だるまになっても自業自得だ。
●首相 “国葬は適切”強調も「麻生の圧に負けた」「判断するのは国民」と失笑の声 9/9
岸田文雄首相(65)は9月8日、衆院議院運営委員会の閉会中審査で安倍晋三元首相(享年67)の国葬について“丁寧な説明”を行ったが、ネットでは疑問視する声が相次いでいる。
開催まで3週間を切り、いよいよ近づいてきた安倍元首相の国葬。しかし、閣議決定で早急に開催が決定したことや総額16.5億円にのぼる開催費用は全額税金から充てられることから、大きな反発を招いた。大手新聞社などが実施した世論調査では軒並み「反対」が「賛成」を上回る事態となり、“言い出しっぺ”である岸田首相に説明を求める声が渦巻いていた。
そんななか8日、ついに国会で岸田首相は国葬について説明。経済面や外交面などでの安倍元首相の功績や、国内外から弔意が寄せられていること、そして選挙運動中に亡くなったということを考えた結果、「国の公式行事として開催し、海外からの参列者の出席を得る形で葬儀を行うことが適切であると考え、閣議決定した」とコメント。曖昧と指摘されている実施基準についても「その時々、政府が総合的に判断することになる」と今後も具体的な基準を設けない意向を示していた。
あらゆる理由を挙げては、「国葬は適切」とした岸田首相。ところが9月6日、「Smart FLASH」によって、“意外な裏側”を報じられたばかりだ。
記事によると、当初は内閣と自民党の合同葬を開く方向で話が進んでいたものの、保守派の反応を気にする麻生太郎副総裁(81)から「これは理屈じゃねんだよ」と強い言葉で説得を受け、岸田首相は方針転換。そして世論の反発が日に日に大きくなるにつれ、「国葬をやるなんて、誰が言いだしたんだ」と嘆く姿を複数の内閣府関係者が目撃したという。
曖昧な説明に終始し、日和見主義な姿勢も報じられている岸田首相。そのためネットでは、呆れるような声がこう上がっている。
《適切もなにも麻生太郎の圧にまけて国葬にしたんだろ》《岸田が(麻生も)適切だと判断したって、国民は不適切だと判断してるんだよ お前らの国じゃないだろ》《国葬が適切かどうか判断するのは、お前じゃなくて税金負担してる国民の皆なンだわ》 
●鈴木直道北海道知事 安倍元首相国葬参列を表明  9/9
2022年9月27日に行われる安倍元首相の国葬について、鈴木直道北海道知事は「公務で出席する」ことを明らかにしました。
鈴木知事らの参列に備え、北海道議会は9月27日、休会とすることを決めています。
鈴木知事は9月9日の会見で、葬儀委員長を務める岸田首相から、案内状が届いたことを明らかにしたうえで、「ほかの予定をみても出席が可能だ」と判断し、公務として参列するとしました。
道では当日、道庁と各振興局で半旗を掲揚しますが、鈴木知事は各自治体などに弔意の表明は求めないとしました。
9月13日に第三回定例道議会が開会する北海道議会では、鈴木知事らの国葬参列に備え、当日を休会とすることを決めていて、小畑保則議長も国葬に出席するということです。
北海道内では、弁護士の有志らが「知事や議長が公費で国葬に参列するのは、違法だ」などとして、道監査委員会に支出差し止めの住民監査を請求していましたが、鈴木知事は「国の儀式として正式に案内があったので、知事として公務で参加する。当然公費で対応する」として、参列にかかる交通費などの費用は公費で負担するとしました。
また、国葬をめぐり賛否が分かれていることについては、「決定したのは岸田首相なので、国葬で行うという考え方や、費用・経費についても丁寧に国が国民に説明するべき」としました。
●安倍元首相国葬「香美町役場で半旗掲揚を」町長、町議会で答弁 9/9
安倍晋三元首相の国葬を巡り、兵庫県香美町の浜上勇人町長は9日の町議会一般質問で「町民に黙とうを要請するような予定はないが、役場本庁舎では半旗の掲揚を検討したい」と述べた。
国葬が行われる27日は町議会本会議があり、参列の予定はないとした。前田毅教育長は「各学校園に対し、何らかの指示をすることは検討していない」と述べた。
●エリザベス女王の国葬報道に 「本物の国葬」がトレンド入り 9/9
英国のエリザベス女王が8日、滞在先の英北部スコットランド・バルモラル城で死去した。96歳だった。英BBCによると、ロンドン中心部にある英王室ゆかりのウェストミンスター寺院で2週間以内に国葬が営まれる見通し。
この訃報に、世界中で追悼や悲しみの声が上がる一方、日本国内では安倍晋三元首相の国葬についての議論が熱を帯びている。
タレントの林家ペーは、自身のツイッターを更新し「ピンク大好きパー子が一目おく何とそれ以上カラフルな 世界の国から愛された 世界的大スター エリザベス女王 逝く 皇室在位歴代最長70年 改めて尊敬を含めて真にご苦労さまでした」と追悼。続けて「10日後にウエストミンスター寺院で葬儀が行われます勿論 国葬に異論はございません」とつづった。
女優の夏木マリは、自身のツイッターで「エリザベス女王がお亡くなりになりましたね……こちらこそ、国葬ね。よい日に!」とコメントした。
その他、エリザベス女王の国葬の報道を受けてツイッターで「本物の国葬」がトレンド入りするなど、ネット上では安倍晋三元首相の国葬に対する賛否の声が巻き起こっている。
●日南町議会が安倍元首相の国葬中止求める決議 鳥取 9/9
日南町議会では、安倍元総理大臣の国葬の中止を求める決議案が8日に議員提案され、全会一致で可決しました。決議では、国葬について「明確な法的根拠がなく、国民の賛否も二分されており、歴代首相の葬儀の実情を鑑みれば、国葬を中止すべきである」などとしています。
●国葬に「天皇陛下の国事行為なのかどうなのかしっかり議論した形跡がない」 9/9
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(53)が9日、フジテレビの情報番組「めざまし8(エイト)」に出演。衆参両院の議院運営委員会が8日、安倍晋三元首相の国葬に関する閉会中審査を行ったことに言及した。
岸田文雄首相は、国葬は内閣府設置法などを根拠に実施できるとして「行政権の範囲内だ」と述べ、法的正当性を主張。安倍氏と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係調査を求められたが、否定的な考えを示し、今後の国葬実施に関しては「その都度、政府が総合的に判断するのがあるべき姿だ」と語った。総額16億6000万円程度とした概算費用に関しても「過去のさまざまな行事との比較においても妥当な水準」とした。
橋下氏は「多くの国民はこの説明では納得できないでしょうね。もう一つ、僕、今回の閉会中審査の国会の議論、非常にピンぼけ。浅い議論だと思います。僕は安倍さんのこの葬儀は国葬に値するとは思いますけれども、でも国葬っていうものは今回、反対なんです」と言い、その理由を「国葬の位置づけということを国会できちっと議論していないんですよ。基準が明確でないとか税金が多く入るとかそういうことではなくて、そもそも国葬はどういう位置づけなのか。儀式なわけですから格、レベルというものが重要。以前は内閣と自民党の合同葬というものがいろいろ行われていましたけれども、それでは不十分だということで国葬になったわけですよ。この国葬、まさに国の儀式をやる時には天皇陛下の国事行為というものと、内閣が行う儀式という2つがある。天皇陛下の国事行為なのかどうなのかっていうところをしっかり議論した形跡がないんですよね」と説明。
そのうえで「天皇陛下の国事行為といっても、これは内閣の助言指導に基づくんですけれども、やっぱり陛下が行うと格が全然違います。日本は戦後、国のために貢献した人をまつることを考えなくなりました」と言い、「それが今のこの混乱につながっていると思う」と持論を展開。「陛下が関与しない国葬なんてことが、今の日本の象徴天皇制のもとでもあり得るのかどうなのか。陛下が関与しないということであれば、僕はこれねえ、日本政府葬、内閣葬と変わらなくて、なんちゃって国葬、国葬って言いたいがために国葬って言ってるとしか思えない」と自身の考えを述べた。
●安倍元首相の「国葬」めぐる閉会中審査 野党は“説明不十分”  9/9
安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、岸田総理大臣は8日に行われた国会の閉会中審査で実施の理由などを説明して理解を求めました。これに対し野党側は従来の見解が繰り返されただけで不十分だなどと批判していて、与野党の議論が続くことになりそうです。
8日、衆参両院の議院運営委員会で行われた安倍元総理大臣の「国葬」をめぐる閉会中審査で岸田総理大臣は、安倍氏が憲政史上最長の期間、総理大臣を務めたことなど実施の理由を重ねて示すとともに、16億6000万円程度と見込まれる費用は過去の行事と比較しても妥当な水準だと説明しました。
一方でこれまでの説明が不十分だったという指摘を謙虚に受け止めるとしたうえで、「国葬」を実施したあとに検証する考えを示し、理解を求めました。
これに対し野党側は立憲民主党の泉代表が、「岸田総理大臣の答弁はこれまでの政府見解を述べたもので、国民は納得できていないと思う」と述べるなど、なお説明は不十分だと批判しています。
そしてこのままでは実施は認められないとして、過去の多くの総理大臣経験者の例にならって、「内閣葬」などにするよう求める意見も出ています。
ただ政府としては「国葬」の実施まで3週間を切る中、葬儀の在り方を見直すことは困難だとして、予定どおり準備を進める方針で、与野党の議論が続くことになりそうです。

 

●安倍元首相の国葬、弔旗掲揚や黙とう「強制しないで」滋賀市民団体が請願 9/10
教員や保護者でつくる市民団体「子どもと教科書 市民・保護者の会」(事務局・滋賀県草津市)は9日、安倍晋三元首相の国葬に際して、滋賀県内の各学校に対して弔旗掲揚や黙とうを強制することがないように県教育委員会に請願書を提出した。
請願書では、国葬に関して国民の賛否が二分されているとしたほか、政治的中立性を堅持するため、教育現場への弔意の強制は避けなければならないと強調。国からの弔意要請があっても、県教委として市町教委に通知をしないことや、通知する場合も弔意の表明は任意であることを明記するよう求めた。
この日、県教委事務局に文書を提出した会のメンバーは取材に、「教育委員会から任意と言われても、強制のように受け取る校長はいる。通知はしないでほしい」と訴えた。
●安倍晋三元首相の国葬、首都圏自治体の対応は 小池知事「参加したい」 9/10
27日に予定される安倍晋三元首相の国葬を巡り、関東地方の自治体や議会も対応を迫られている。賛否で世論が割れる中、東京都など複数の知事が国葬に出席する意向を示す一方、国葬に反対する意見書を可決する地方議会も出てきた。
埼玉、千葉、神奈川の知事も前向き
東京都の小池百合子知事は9日の定例会見で、安倍元首相を「功績を多としたい」と評価した上で「(国葬に)ご案内いただければ参加したい」と述べた。神奈川県の黒岩祐治知事や千葉県の熊谷俊人知事、埼玉県の大野元裕知事も参加に前向きだ。
政府は自治体に弔意の表明を求めない方針だが、千葉県は県庁に半旗を掲げると決めた。「各国首脳が来日する中、弔意を表明していない状況がふさわしいのか疑問」と熊谷知事。埼玉県も半旗掲揚を予定。東京都、神奈川県は未定だ。
半旗掲げる横須賀市、足立区 世田谷、杉並区は黙とうも行わず
市区町村レベルでは温度差がある。 
神奈川県横須賀市は5日、「省庁が半旗にするなら市庁舎や行政センターで半旗を掲げる」と早々に発表。東京都足立区の近藤弥生区長は9日の会見で「区の公共施設で半旗を掲揚する」と表明した。
一方、世田谷区や杉並区は半旗掲揚や黙とうは行わない。世田谷区の保坂展人区長は7日の会見で「(岸田文雄)首相がなぜ国葬という選択をしたのか。世論の賛否が分かれる中で、分断が新たに起こることは望まない。区の庁舎や学校などでの半旗掲揚など特段の対応をしない」と明言。杉並区の岸本聡子区長は5日の会見で「多くの疑問が国民の中で共有されている。その状態を1人の国民として危惧している」と指摘。岸本区長自身は先月、区内の国葬反対デモに参加している。
「国葬には疑義がある」と本紙の取材に答えたのは東京都多摩市の阿部裕行市長。安倍元首相が旧統一教会の関連団体集会にビデオメッセージを寄せていたことなどを踏まえて「社会的問題があるような団体と関係が深かったとされる。国民が疑問に思うのは当然。子どもにも説明がつかない」。
国葬会場の日本武道館を抱える千代田区は対応を検討中だ。区役所は、厚生労働省や国土交通省など中央省庁の出先機関と同じ合同庁舎内にある。担当者は「国機関が半旗掲揚する隣でやらないのもどうかと…」と悩ましげだ。
葉山町議会は「反対」 小金井市議会は「行わないこと求める」
一部議会の動きも急だ。
神奈川県葉山町議会は6日の本会議で、「安倍元首相の国葬に反対する意見書案」を可決し、7日に岸田首相や衆参両院の議長宛てに送付した。
意見書は近藤昇一町議(共産)が提出。議長を除く13人中、共産、立憲民主などの8人が賛成した。意見書では「法治主義にも財政民主主義の原則にも違反する」と指弾。近藤町議は取材に「閣議決定のみで実施を決め、国会で予算審議もしないのはおかしい。葉山町で同じようなことをやったら許さない、という気持ちだった」と語った。
葉山町に続くように東京都小金井市議会も9日の本会議で、「『国葬』を行わないことを求める意見書」を賛成多数で可決し、同日、岸田首相らに郵送した。今後、他の地方議会に波及する可能性もある。
●安倍元首相国葬は反対55、賛成33 市民団体が街頭投票 岡山 9/10
安倍晋三元首相の国葬を巡り世論が割れていることを受けて、市民団体「国葬全国投票の会」が8日、岡山市北区で国葬実施の賛否を問う街頭シール投票を実施した。同会による全国行動の一環で、道行く人にシールを手渡し、「賛成」「どちらでもない」「反対」と書かれたボードに貼ってもらった。約1時間の投票結果は、反対55▽賛成33▽どちらでもない14――だった。
「賛成」にシールを貼った20代の男子専門学校生は「長きに渡って日本の舵取りをした人物で、いなければ国民は今ごろ困っていたと思う。正直言って、反対する意味が分からない」と全面的に支持。一方、反対した60代の男性会社員は「モリカケ(森友学園・加計学園)の問題など不透明な部分も多い。内閣が決めるのではなく、国民的議論を経るべきだし、岸田文雄首相が国民に弔意表明を強制しないと言うならば、国葬にする必要は全くないはずだ」と語った。
同会代表の岡山大名誉教授、野田隆三郎さん(85)は投票結果を受け、「想像以上に賛成が多かった印象だが、やはり過半数が反対する現状では国葬をやるべきではないのではないか」と話した。結果は後日、東京、神奈川、愛知など13都道県分と合わせて首相官邸に届けるという。
●安倍元首相の国葬、外国首脳の動向に「天皇陛下はどう関わるんですか…」 9/9
フジテレビ報道局解説委員の風間晋氏が9日、同局の情報番組「めざまし8(エイト)」(月〜金曜前8・00)に出演。衆参両院の議院運営委員会が8日、安倍晋三元首相の国葬に関する閉会中審査を行ったことに言及した。
岸田文雄首相は、国葬は内閣府設置法などを根拠に実施できるとして「行政権の範囲内だ」と述べ、法的正当性を主張。安倍氏と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係調査を求められたが、否定的な考えを示し、今後の国葬実施に関しては「その都度、政府が総合的に判断するのがあるべき姿だ」と語った。総額16億6000万円程度とした概算費用に関しても「過去のさまざまな行事との比較においても妥当な水準」とした。
番組のアンケートで、岸田首相の説明に「納得できた」が17%、「納得できなかった」が83%だったことに、風間氏は「納得できなかったという方が多いという、これ自体が外国の参加にも影響を及ぼしていると思う。例えばマクロン仏大統領とか、ドイツのメルケルさんなんかが当初、参加するって言われていたのが、そうじゃなくなったのは、この日本の世論の動向を、東京にある各国の大使館が逐一本国に報告しているわけですよ。なかなかまとまりませんとかね」と指摘。
そして「わざわざ自分から足を運ぶかどうするかっていうのは、やはり皆さん考えられると思う。外国の首脳が弔意を表しに日本に来る、その国葬に日本の天皇陛下はどう関わるんですかってところが全く見えてこないのが、ここがまた難しくしている理由の1つじゃないかなと思います」と自身の見解を述べた。
●安倍元首相の国葬の運営会社「ムラヤマ」は日本テレビHDが買収していた 9/10
安倍晋三元総理の国葬が27日に東京・千代田区の日本武道館で行われる。この企画・演出の業務を「桜を見る会」の会場設営を担当した会社が落札したことで国葬の反対派は勢いを増したようだ。
国の入札情報によると、国葬の企画・演出などの業務は東京・江東区のイベント会社「ムラヤマ」が2日、1億7600万円で落札した。
最終的に入札したのはこの1社だけ。2015年から5年連続で安倍元首相が主催した「桜を見る会」の会場設営を担当した。加えて2020年の「桜を見る会」をめぐる野党ヒアリングで、入札前に「ムラヤマ」と内閣府が打ち合わせしていたことが発覚し、批判された。
「ムラヤマ」は2020年に行われた中曽根康弘元総理大臣の内閣・自民党合同葬も4790万円で落札している。
〈「桜」のオトモダチとのデキレースか〉と、ネットで盛り上がった。
岸田文雄総理は4日、「(会場の)武道館でこうした事業を担うことができる業者は4社ほどに限られていると聞いている。ノウハウを生かすということで、正式な手続きのもとに落札されたものだ」と述べた。
実は、「ムラヤマ」は日本テレビが買収し、100%子会社にしていた。
日テレの持ち株会社「日本テレビホールディングス」(大久保好男会長)は3月31日付で、「ムラヤマ」の親会社「ムラヤマホールディングス」(矢倉俊彦社長)の全株式を取得したと発表していた。
プレスリリースによると、日テレグループは投資枠1000億円を設定し、「テレビを超えろ」をテーマに、「総合コンテンツ企業」への進化を打ち出していた。〈本年創業120周年を迎える強固な顧客ネットワークを保有する特殊内装・造形業界のリーディングカンパニーである株式会社ムラヤマホールホールディングスを当社グループに迎え入れることで、当社グループ全体の企業価値向上に資すると判断し、同社の株式取得を決定致しました〉としている。
「ムラヤマ」は1902年(明治35年)創業、1958年(昭和33年)設立のディスプレイ・イベントの企画・設計・監理・制作・施工会社で、資本金は4億2700万円、従業員は408人である。
2022年1月期の決算公告によると、純利益3億2300万円、利益剰余金51億2600万円、株主資本比率62.4%という優良会社だ。但し、売上高など損益決算書は非開示にしている。
持ち株会社のムラヤマHDは2017年の設立で資本金は1億円。2022年1月期の決算公告によると、純損益は508万円の赤字だが、株主資本比率は74.5%と高い。
日テレグループの傘下に入る前のムラヤマHDは「ライジング・ジャパン・エクイティ」(東京・千代田区、丸山哲夫社長)が100%出資していた。ライジングは三井住友銀行、住友商事、住友信託銀行によって設立されたバイアウト投資のためのファンドだ。バイアウトとは経営不振企業を買収し、(再建後)事業や資産を売却する投資会社だ。その後、三井住友銀の保有分をアコード・パートナーズ(役員・社員)、SMBC日興証券が買い取り、住友商事、三井住友信託銀行と共に株主となった。
ムラヤマグループは三井住友グループから日本テレビグループに売却されたことになる。日テレ傘下にはいった「ムラヤマ」の初の大仕事が安倍元総理の国葬の企画・演出ということになる。日テレが番組で「国葬に賛成」と積極的に報じれば「子会社の事業を側面から支援」と言われかねない。
“自民党御用達”の「ムラヤマ」を買収した日テレは報道姿勢に関して踏み絵を踏まされることになった。なお、日本テレビHD(東証プライム上場)の筆頭株主は読売新聞グループ本社。読売テレビ放送、読売新聞東京本社、よみうりランドと続く。
「会社四季報」(東洋経済新報社刊)の日本テレビHDの紹介のページには〈読売グループでテレビ放送の草分け〉と書かれている。読売は8日付の夕刊1面で〈首相「国葬は適切」 最長政権業績評価〉。翌9日付の朝刊1面は〈首相「国葬は適切」強調 閉会中審査 費用16.6億円「妥当」〉と報じた。
●国葬実施で教団へのメリット懸念「国葬されるような政治家が教団に賛辞」 9/10
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を20年以上、取材し続けているジャーナリスト鈴木エイト氏が10日、TBS系「報道特集」(土曜後5・30)にVTR出演し、安倍晋三元首相の国葬による教団側への影響を懸念した。
安倍元首相は生前、教団にビデオメッセージを送るなど、教団や関連団体との関係性が指摘されている。自民党は安倍元首相の銃撃事件に教団との問題が絡んでいることを受け、党所属の国会議員らには一切の関係を断つよう指導するとしている。
一方で鈴木氏は、今回の国葬が実施されれば、教団側にメリットが生じると指摘。「国葬されるような偉大な政治家が自分たちの教団、その関連団体にビデオメッセージを寄せてくれた、最大級の賛辞を寄せてくれたと(宣伝される)。自分たちはそれほど素晴らしい団体なんだということの裏付けになりますよね」。さらに「勧誘活動にも利用されるし、結局それは新たな被害者の生産につながるということで、そのためにも利用される危険性はありますね」と危惧した。
●安倍元首相「国葬」一般向け献花台は「九段坂公園」設置で調整  9/10
安倍元総理大臣の「国葬」当日に一般向けの献花台を設ける場所について、政府は日本武道館近くの「九段坂公園」とする方向で詰めの調整を進めています。
今月27日に東京の日本武道館で実施される安倍元総理大臣の「国葬」では、当日の午前10時から午後4時まで、会場の外に一般向けの献花台が設けられることが決まっています。
その設置場所について政府は、会場からの距離や交通の便などを考慮して、武道館に程近い「九段坂公園」とする方向で詰めの調整を進めています。
一方、武道館などがあって堀に囲まれている「北の丸公園」の一帯は、新型コロナの感染対策や警備を徹底するため、「国葬」の前後の一定期間は、招待された参列者など関係者を除いて立ち入りを禁止する方針です。
政府は「国葬」当日、多くの一般の参列者が見込まれるとして、警備や誘導のための人員の配置など準備を急ぐことにしています。
●駐日ジョージア大使 安倍元首相の国葬を巡る報道に「国民が一丸と…」9/10
駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバ氏が9日、ツイッターを更新。安倍晋三元首相の国葬について、私見をつづった。
レジャバ氏は国葬を巡る一連の報道に言及。「国葬をめぐってメディアや日本の一部のオフィシャルからあれこれと発言が出ていることを残念に思います。それどころか、故人に対する目に余る言動に心を締め付けられております」と投稿。「たったひとりでも国外からの来賓があるならば、国民が一丸となって対応することが日本の懐ではないのでしょうか」と記した。
さらに「また、問題があるとすれば機会を改めて吟味すれば良いのではないでしょうか」と指摘。「今は政治ではなく日本全体の姿が試される局面です。私は、まったく必要なく悲惨な死を迎えてしまった安倍元総理の英霊を敬い、歴史に残る国葬となる覚悟で出席を表明致しました」と結んだ。
●立憲の泉健太代表、所属議員の国葬への出欠席は「それぞれの判断」 9/10
安倍晋三元首相の国葬をめぐり、立憲民主党の泉健太代表は10日、党幹部以外の所属議員の出欠席は各自の判断に委ねる考えを示した。党幹部については、政府の対応を踏まえて判断するとしている。那覇市内で記者団に語った。
泉氏は、国葬に反対する立場を改めて示す一方、出欠席は「現職の国会議員であり、元首相だった人物の葬儀。国会議員のそれぞれの判断」と述べた。ただ、泉氏や岡田克也幹事長ら党幹部については「組織としての姿勢を明確にするため、一致して行動する」と強調した。立憲は近く、政府に改めて国葬の法的根拠や経費について文書でただす方針で、その回答を踏まえて判断するとしている。
また、自民党が行った「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と所属議員の接点に関する「点検」について、安倍氏を対象外としたことに「どのような役割を果たしたかによって、(教団が)政権与党にどう影響度を高めてきたかがわかるのではないか」と指摘。教団と政治の関係の実態解明が必要として、国会に超党派による調査委員会を作るべきだと改めて主張した。
●舛添氏、田崎氏の「国葬はお金に換えられない価値がある」に反論!!  9/10
前東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏(73)が10日、自身のツイッターを更新。政治ジャーナリストの田崎史郎氏を批判した。
田崎氏は10日の読売テレビ「ウエークアップ!」に出演。安倍元首相の国葬の外交上のメリットを問われ、「お金に換えられない価値があるんだと思うんです」と即答。「岸田さんが来られる方とお会いになるだけじゃなく、各国の来られる方、それぞれが会談されるってことも起こるんですね。そういうことが東京を母体にして行われるというのは貴重なことだと思います」と語った。
この発言に対し、舛添氏は真っ向から反論。「政治評論家の田崎氏が今朝のTV番組で、安倍元首相の国葬が外交的に意味があると発言したが、それは外交を知らない人の発言だ」とキッパリ。「海外要人は葬儀が終わるとすぐに帰国するし、事務方が会議内容の準備をするのも不可能だ。弔問に来る海外要人同士が東京で会談して外交問題を解決することなどはあり得ない」とつづった。
●「安倍元首相国葬」反対多数 高額費用、疑惑に批判 実績評価の声も 9/10
安倍晋三元首相の国葬について下野新聞社は、賛否を尋ねるウェブアンケートを実施した。国葬に「反対・どちらかと言えば反対」と答えた人は8割近くに上った。「賛成・どちらかと言えば賛成」と回答したのは2割だった。反対派からは、総額16億6千万円程度とされる国葬の概算費用や首相時代の疑惑への批判が相次いだ。賛成派からは安倍政権の実績を評価する意見があった。
ウェブアンケートは7〜9日、「あなた発 とちぎ特命取材班」の無料通信アプリ「LINE」のほか、ツイッターなどで実施。2853人から回答が集まった。年代別では50代が最も多く、40代、60代と続いた。
「反対」は最多の7割で、「どちらかと言えば反対」が約7%。一方、「賛成」は2割弱で、「どちらかと言えば賛成」は5%だった。「どちらとも言えない」との回答も2%弱あった。年代が高いほど「反対」とする比率が高くなった。
安倍政権への評価については「評価・どちらかと言えば評価」が3割だったのに対し、「評価しない・どちらかと言えば評価しない」は6割に上った。「どちらとも言えない・分からない」は1割だった。回答者の中には安倍政権を評価しつつも、国葬に反対した人も一定数いた。
●国葬の中止を求める抗議活動 市民団体など「税金使わないで」 福島市 9/10
安倍元首相の国葬の中止を訴える集会が9日、福島県福島市で開かれた。
集会には労働組合や市民団体など23の団体のメンバーが集まり、「国葬よりいのちとくらし」「私の税金使わないで」などと書かれたプラカードを掲げ税金を使った国葬の中止を訴えた。
日本共産党・岩渕友参議院議員「安倍さんの評価自体も大きく分かれるわけですよね、国民が納得していないものを一方的にやるというのは反対が広がって当然だと思いますよね」
国葬の実施についてFNNが8月下旬に行った世論調査では、賛成が40.8%、反対が51.1%となっている。

 

●安倍氏国葬と大喪の礼「同列でない」 官房副長官が認識 9/11
木原誠二官房副長官は11日のフジテレビ番組で、安倍晋三元首相の国葬は天皇の葬儀「大喪の礼」と同列でとらえられないとの認識を示した。「同列で位置付けることが適切なのかどうか、私は慎重に考えるべきだという立場だ」と述べた。
「大喪の礼とまではいかない国葬があるのだと思う。根拠が全く違う」と話した。
皇室典範は「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う」と規定する。昭和天皇の大喪の礼は憲法が定める天皇の国事行為として営んだ。一方で政府は安倍氏の国葬の法的根拠に「国の儀式」を執り行うと定める内閣府設置法を挙げる。
木原氏は「憲法7条の国事行為としての国葬と安倍氏の国葬は違う。憲法7条でやるべきではない」と語った。
●安倍元首相の国葬反対 市民グループが街頭で訴え 愛知・豊橋 9/11
愛知県豊橋市で10日、27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬に反対する抗議活動があった。「国葬反対」などと書かれたプラカードを手にした約40人が豊橋駅東口に立った。
市民グループ「豊橋スタンディング」代表の杉浦俊一さん(70)が呼び掛け、趣旨に賛同した市民が参加した。杉浦さんは「国民の半数以上が反対しているのに、黙っているわけにはいかない。自分たちの意思を伝えたかった。思ったより多くの方が集まってくれた」。17日も24日も抗議活動をする予定だという。
●安倍元首相国葬「弔砲」は計19発 儀仗隊など自衛隊員1000人超参加へ  9/11
政府は、安倍晋三元首相の国葬で、弔意を表すため自衛隊が実施する「弔砲」を計19発とする方針を固めた。吉田茂元首相の国葬や、宮沢喜一元首相の内閣・自民党合同葬など首相経験者の式典での前例を踏まえた。国葬に参加する自衛隊員の総数は、儀仗(ぎじょう)隊や音楽隊など計1000人超の態勢となる見通し。防衛省は実施に必要な省令を近く定める。政府関係者が10日、明らかにした。
弔砲は、安倍氏の遺骨を乗せた柩車(きゅうしゃ)が会場の日本武道館(東京)に到着した際、自衛隊員が発射する。105ミリりゅう弾砲を用い、数十秒間隔で空包を撃つ。自衛隊の栄誉礼や礼砲について定めた実施要綱では、首相経験者への弔砲は19発とされる。
●辻元清美氏 国葬「欠席」返信状SNS公開 マナー違反と指摘続々 9/11
立憲民主党の辻元清美参院議員が9日付ツイッターで、9月27日に実施される安倍晋三元首相の国葬に関して、国葬儀委員長を務める岸田文雄首相名義で届いた案内状と返信状の写真をアップし、「納得いかない。欠席します」とツイートしたが、ネット上から返信状のマナーについて突っ込みが入っている。
辻元氏が写真をアップした返信状では「御欠席」の「御」を斜め二重線で消して「欠席」に丸をつけ、「御芳名」も「御」を斜め二重線で消し、「辻元清美」と特徴のある字で書き込んでいる。
これに対し、ネット上からは「御芳名」部分に関して「御“芳”まで、消さなきゃダメですよ」「御芳名の御しか消してないけど?」「あ、ご芳名の芳を消してないw」「ネトウヨさんたちから叩かれています」「相手に対して失礼になります」「よくやらかすミス」との指摘が相次いだ。
マナーには諸説あるケースもあるが、斜め二重線も「縦二重線で消して」「縦の二重線で消すんだよ」「御出席の方も斜め線でなく、縦二重線で消すとなお良かったと思います」などの指摘が入っている。
辻元氏は欠席理由として「内閣府設置法の『国の儀式』は今まで憲法7条による天皇の国事行為のみ。そこに安倍元総理の葬儀を加えるのか。人の『死』は平等です。コロナで亡くなりご葬儀もできない方もいる。また安倍元総理は統一教会と深い関係があったのでは?でも調査もせず全額国費『国葬儀』?納得いかない。欠席します」としている。
●岸田首相、世論支持焦り迷走 国葬・旧統一教会、対応後手に 9/11
岸田文雄首相が、安倍晋三元首相の国葬や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題をめぐり、相次いで方針転換を迫られている。いずれも世論を見誤り、対応が後手に回った。首相は8日の国葬に関する閉会中審査と旧統一教会の点検結果公表で、論争に区切りを付けたい考えだが、信頼を回復できるかは見通せない。
「さまざまな批判はしっかり受け止めなければならない。共通する思いとして、(私の)説明が不十分という部分があると認識している」。首相は閉会中審査で神妙に語り、国葬をめぐる対応の非を認めた。
政府は当初、警備費用などを含む国葬の全体費用を事後に明らかにするつもりだったが、世論などの反発を受けて方針転換し、6日に約16億6000万円との見通しを公表した。しかし、「ファイナルアンサーとは思えない」(立憲民主党の安住淳国対委員長)など疑問の声が続出。国民民主党の玉木雄一郎代表は「後手後手の説明が不信感を招いている」と指摘した。
首相は「丁寧な説明」を尽くすことで、世論の幅広い理解を得たい考え。ただ、自民党のあるベテラン議員は、首相の国葬決断が保守派の支持をつなぎ留めるためだったと分析。「国民はそこ(動機)がおかしいと思っており、なぜ国葬なのかは説明がつかない」と突き放す。
旧統一教会の問題でも、当初は自民党による調査には慎重で、党所属議員が個別に点検して関係を見直す考えだったが、前言を翻し党として点検結果を公表した。ただ、自己申告ベースで、議員名が公表されたのはつながりが深いと判断された121人のみだったため、野党は「まだまだ不透明」(立民の泉健太代表)などと実態解明には程遠いとみている。公表が国葬の閉会中審査と同じ日になったことも、問題を小さく扱わせる「せこいやり方」(安住氏)と批判する。
さらに、安倍氏が調査対象外となったことも不信を増幅させた。ある自民党中堅議員は、教団との関わりがもっとも深かったのは安倍氏だったと国民は受け止めているとして、「そこに踏み込まず、子分たちを『公開処刑』にするのはあり得ない」と不満をあらわにする。
国葬の全体費用公表も党による点検も、報道各社の世論調査で支持率が急落した8月下旬以降、決まった。参院選に勝利し、政権基盤を整えたはずだった首相の迷走に、自民党の閣僚経験者は「このままでは、首相は優柔不断という見方が一気に広がる」と懸念を示した。
●弔問外交に不慣れな日本政府、国葬で本当に心配なのはこっちだ 9/11
9月27日に行われる安倍晋三元首相の国葬については、ぎりぎりまで賛否の声が飛び交いそうだが、本稿では国葬に賛成する根拠として挙げられている「弔問外交」について、いささかの考えを述べてみたい。
大人物の葬儀では、「弔問外交」の名の通り、首脳たちが接触するのは常の事だ。故人をしのぶ、故人の思い出を語り合うという名目のもと、その実、国益を懸けた生臭いやり取りが行われたりする。今回も米国のハリス副大統領らが参列する予定となっている。
しかし、当の日本が弔問外交に不慣れで、その機会を生かせずにきたことは教訓として押さえておく必要があるだろう。
シラク氏国葬の出席者
近年では、2019年9月26日に86歳で死去したフランスのシラク元大統領の例がある。
シラク氏の国葬は同30日、パリの教会で行われ、ロシアのプーチン大統領、米国のクリントン元大統領、イタリアのマッタレッラ大統領、ベルギーのミシェル首相ら約30カ国の首脳を含む約2000人が参列した。
しかし、日本からは木寺昌人駐仏大使の顔しかなかった。
シラク氏は引退後を含めて40回以上も来日したほどの親日家。大相撲が大好きで、優勝力士へのフランス共和国大統領杯(シラク杯)を創設し、愛犬に「スモウ」の名をつけていたことも、事細かに報じられた。
ロシアの言語や文化に精通し、プーチン氏と親交が深く、03年の米国主導のイラク戦争に共に反対したことでも知られる。
スケジュール的に可能であれば、安倍氏は国葬の場でプーチン氏にシラク氏の思い出などを聞きたいと持ちかけ、食事くらいを共にしてさらに打ち解ける機会を持つことができたかもしれない。
フットワークが軽快な当時の河野太郎防衛相にゼロ泊3日の弾丸出張をしてもらうとか、小泉純一郎元首相に参列してもらえば、国を挙げての弔意を示したことになったと思う。
これほどの親日家だったシラク氏の国葬に、日本は国家元首級の人物を送らず、駐仏大使で済ませてしまった。いくら日本が「国際国家」や「世界のリーダーの一員」を標榜しようと、国際感覚が疑われたのは間違いないだろう。
重ねた失敗
それ以前も日本は、ロシアのエリツィン元大統領(07年4月25日)、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世(05年4月8日)の葬儀の時、弔問外交で失敗している。
ローマ法王の時は、ブッシュ米大統領、チャールズ英皇太子とブレア英首相、シラク仏大統領、ケーラー独大統領とシュレーダー独首相、カナダのマーティン首相、ロシアのフラトコフ首相が参列し、首脳会談も行われた。
しかし、日本が派遣したのは川口順子首相補佐官だけ。首相級ではない川口氏は大国の首脳と会談することはできなかった。
エリツィン氏の時は、「葬儀に間に合うエアラインの便がなかった」というのが理由として説明された。
日本政府は時間に関係なく長距離を飛べるビジネスジェットを13機(海上保安庁、国土交通省、航空自衛隊)も保有していたのに、活用する発想がなかった。
これでは、いかに日本が国葬の機会を生かそうとしても、経験不足は覆うべくもない現実だ。各国に弔問外交の場を提供するだけに終わったなどと言われぬよう、気を引き締めて臨んで欲しい。
●岸田首相がエリザベス英女王の国葬参列検討…ネットでは批判的な意見続出 9/11
《統一教会問題はどうなったの》《まさか、これで終わりじゃないよね》
国民からは疑問の声が少なくないようだ。19日にも行われる予定の英国エリザベス女王の国葬について、岸田文雄首相が参列する方向で検討している──と報じられたためだ。
エリザベス女王の国葬はウエストミンスター寺院で行われる予定。バイデン米大統領も出席する意向を示し、日本からは、天皇陛下が参列する方向で調整しているという。
岸田首相はもともと、今月に米ニューヨークで開かれる国連総会に参加する予定だった。このため、その前に英国を訪問し、国葬に参列するというのだが、ネット上では批判的な意見が目立つ。
《天皇陛下が参列されるのであれば、岸田首相は行く必要ないでしょう》《天皇皇后両陛下が葬儀に出席されるのですから、それで日本の総代として十分です》《岸田政権が強行しようとしている国葬とは何なのか。エリザベス女王の国葬を見て、自分の行動を反省するのであれば参列に意味があるが、そうでなければ行く必要なし》《エリザベス女王の国葬に参列している場合じゃないだろう。そんな暇があったら、早く臨時国会を開いて統一教会や円安の問題を協議して!》
「聞く力」が売りだった岸田首相。そろそろ「力」を発揮してほしいものだ。 
●安倍元首相、国葬の次は「山口県民葬」6300万円で2500人参列報道 9/11
9月27日の開催を前に、安倍晋三元首相の国葬案内状が続々と国会議員に届いている。だが、立憲民主党の辻元清美議員や蓮舫議員が欠席を表明するなど、騒動はいまもおさまる気配がない。
安倍元首相の「家族葬」は7月12日、東京都港区の増上寺でおこなわれており、国葬が2度めの葬儀となる。だが、10月15日にはお膝元の山口県で「県民葬」が予定されている。
9月9日の朝日新聞によると、山口県は約2500人を招待する準備を進めており、予算は約6300万円と想定しているという。自民党県連などが費用の一部を負担することから、県の負担は半分ほどになるが、現時点で16億6000万円の試算が出ている国葬に加え、この県民葬で改めて税金が投入されることになる。
この報道を受け、SNSでは、《山口県民葬? いつまでこの話題を引っ張るのでしょうか?》《県民葬?意味わからん。こんなの山口県民は受け入れるのか?しかも半分は税金だ。全く理解に苦しむ。》《国葬やるのに税金使って県民葬までやる必要ある?》《ホント国葬を含めすべて白紙に戻さない?? もう親族の葬儀は終わってるし、そこにも自衛隊が何故か参列してたし…コレも税金ですよね??もういいでしょ!それだけお金に余裕があるならもっと他に有効に使うところがあると思いますが…》 と数多くの批判が見られた。
「山口県の県民葬は、これまで佐藤栄作元首相、橋本正之元県知事、岸信介元首相、安倍晋太郎元外相、田中龍太元文相と5回おこなわれていますが、朝日新聞によれば、最も費用がかかった安倍元外相のときでさえ約3100万円だったそう。
2020年におこなわれた中曽根康弘元首相の『県民・高崎市民合同葬』は約4000万円でしたから、安倍元首相の6300万円はかなり大きい額と言えそうです」(政治部記者)
ちなみに、中曽根元首相のときも「内閣・自民党合同葬」が別におこなわれているが、このときの費用はおよそ1億9000万円(政府と自民党で折半)。そう考えると、安倍元首相の国葬は、まさにケタ違いの規模になっているのだ。
●安倍元首相の国葬「反対派が増えるように故意に遠い日程」岸田首相の思惑 9/11
インターネット掲示板2ちゃんねるの開設者で実業家の「ひろゆき」こと西村博之さん(45)が11日、自身のツイッターを更新。8日に96歳で逝去した英国のエリザベス女王の国葬が19日に行われることを伝えた記事を添付し、安倍晋三元首相の国葬が急逝から2カ月以上経過した9月27日に開催されることについて、「反対派が増えるように岸田首相が故意に遠い日程にしたのではないかと考えるおいらです」などと推測、私見を述べた。
10日には招待された野党議員がツイッターなどで欠席を相次いで表明したことについて「人の葬式に行かない人は、黙って行かなければいいだけです。『行きません』とわざわざ言う必要はないと思います。遺族と参列者に失礼です」などと意見をつづったひろゆきさん。「故人を偲ぶのは時間が経つにつれて感情が薄くなるので早い方が良いです。安倍元首相の国葬は先延ばしにしたので、だんだん反対する人も増えました」と推測の理由をつづった。
●「税金を使うことに対して非常に憤りがある」国葬に反対する集会 岡山北区 9/11
安倍元総理の国葬を巡り岡山市北区で11日、反対する団体による集会とデモ行進が行われました。
参加者「法的根拠もありゃしない。国葬なんていらない、いらない」
安倍元総理の国葬に反対する政党や市民団体などが作った実行委員会が開いたものです。集会で参加者は国会の議論を経ずに国葬を行なうことは立憲主義を揺るがすもので、国民全体に称賛を迫ることは許されるものではないと訴えました。
「国葬」に反対する岡山県民集会実行委員会・近藤昭事務局長「税金を使うということに対して非常に憤りがある。岡山から声を上げて全国のみんなに訴えようと」
このあと、約350人の参加者はデモ行進を行い、国葬の中止をアピールしました。

 

●玉城知事、安倍元首相の国葬に出席せず 「半強制的な形だと世論は厳しい」 9/12
沖縄県の玉城デニー知事は12日、政府が実施する安倍晋三元首相の国葬には出席しないとの考えを示した。「国葬には出席しないと、あらかじめ伝えている」と述べた。那覇市の知事公舎で記者団の取材に応じた。
知事は「閣議決定だけで物事が進められ、しかも当初の予算案よりもさらに膨らんでしまった」と指摘。安倍氏の評価に関し「多くの国民の中にも、信任できること、承服できないこと、まったく許されることではないことなど、いろんな思いがあると思う」とした。
「そういう思いの中で、反強制的な形で(国葬が)行われるのではないかということに対して、世論が非常に厳しいものがあるのではないか。政府においてはなお、熟慮していただきたい」と話した。
●国民の分断を招く「国葬」なんてあり得ない、その陰に統一教会あり 9/12
国民を分断する「国葬」なんて、聞いたことがない。安倍晋三元首相の「国葬」のことだ。国民の多くが弔意を表し、国をひとつに追悼するからこその「国葬」のはずだ。
それは世論調査の数字にも現れている。読売新聞が今月2日から4日にかけて行った全国世論調査では、安倍元首相の「国葬」の実施を決めたことについて、「評価しない」が56%、「評価する」38%だった。前回8月5日から7日にかけて実施した調査では、それぞれ46%と49%だったから、わずか1カ月で逆転したどころか、「評価しない」が半数を上回って6割近い。
また、岸田内閣の支持率は前回(8月10から11日の調査)の51%から50%と、ほぼ横ばいだったのに対して、不支持率は前回の34%から41%に上昇している。まさに5:4の比率は分断の象徴で、その背景に「国葬」が影響しているはずだ。これから出てくる報道各社の世論調査の結果も同じようなものだろう。
こうした中で、8日には衆参両院の議院運営委員会で、岸田文雄首相も出席して「国葬」に関する閉会中審査が行われている。
「国葬決定」の理由、結局は自民党に都合のいい理屈
岸田首相は冒頭で、「国葬」の実施を決めた理由について、(1)安倍元首相は憲政史上最長の8年8カ月にわたり首相の重責を担ったこと、(2)東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした戦略的外交の展開を主導し平和秩序に貢献するなど、大きな実績を残したこと、(3)各国からの敬意、弔意に対し、日本国として礼節をもってこたえること、(4)民主主義の根幹たる選挙中での非業の死であること、以上の4点をあげて、「国葬が適切だと判断した」とし、「安倍氏を追悼するとともに日本は暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」と述べている。
だが、そもそもこの期に及んで国会で説明するまで、世論の支持も得られないまま、閣議決定だけですべてを決めてきたことが、民主主義にふさわしいことか、首を傾げたくなる。どこか中国共産党を連想させる。
実施の理由についても、ある野党議員によれば、8年8カ月の長期にわたって政権の座にあったことは、むしろ野党にとっては汚点であって、喜んで受け入れられることではないという。自民党にとってこそ都合のいい理屈だ。
安倍氏と統一教会の関係をスルーしておきながら、どこが「丁寧な説明」なのか
閉会中審査の質疑に立った立憲民主党の泉健太代表も、「内閣葬にすべきだ」と主張している。その質疑の冒頭で、泉代表は「この国葬決定は誤りだ」と断言すると、閣議決定までに三権の長にはかったのか、総理大臣と内閣だけで決められるのか、佐藤栄作元首相は当時、戦後最長の在任期間でノーベル平和賞も受賞したが国葬ではなかった、といった質問をたたみかけた。
これに岸田首相は、このように答えた。
「説明が不十分だったことは謙虚に受け止め丁寧な説明を続けていきたい。一つの基準を作ったとしても、国際情勢や国内情勢に基づいて判断しなければならない。その時々、そのつどつど、政府が総合的にどういった形式をとるのかを判断する。これがあるべき姿だ」
泉代表は、岸田首相の説明にはなかった、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)について触れた。安倍氏は自民党の中で最も統一教会との関係を取り仕切ってきた人物だ、なぜ党の調査対象から安倍氏の事務所を外しているのか、と。
岸田首相はこう述べている。
「本人が亡くなった時点で、実態を十分に把握することは限界がある。社会的に問題が指摘されている団体と関係を持たないのが党の基本方針で、徹底することで国民の信頼回復に努めたい」
179/379
奇しくも、この同じ日に、自民党は党所属の国会議員に統一教会との関係を報告させた調査結果を取りまとめて公表している。それによると、379人中179人について接点があったと認められ、中でもつながりの深い一定以上の関係のあった国会議員121人の名前を明らかにした。
これを受けて岸田首相は、記者団に「調査結果を重く受け止めている。社会的に問題が指摘されている団体と関係を持たないことを、党の基本方針として担保し、チェック体制を強化する」と語っている。さらに統一教会については、「被害防止や被害者の救済にしっかり取り組む」とも述べ、党の消費者問題調査会に小委員会を発足させる考えまで示した。それだけ、統一教会の政界汚染は深刻な問題だとようやく気付いた結果だ。
だが、安倍氏については、いわば「死人に口なし」で調査すらしないで「国葬」にする。このダブルスタンダードが、国民を混乱させ、分断に導く元凶のはずだ。
以前にも書いてきたことをあえて繰り返すが、安倍元首相は昨年の9月、統一教会の創始者である文鮮明の妻で、現在の教団の総裁である韓鶴子が主宰する関連団体「天宙平和連合」にビデオメッセージを送って、こう明言している。
「韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」
これを見た山上徹也容疑者(41)が、安倍氏を襲う決意をしたとされる。山上容疑者の母親が統一教会にのめり込み、家や土地を売ってまで多額の献金をして家庭が崩壊。教団への恨みが、安倍氏への殺意に置き換わっていく。
このビデオメッセージはもはや、多くの国民が目にしているはずだ。それだけでも安倍氏と統一教会の関係の深さは一目瞭然だ。
どうして加害者団体の首領を称賛する首相経験者を「国葬」にしなければならないのか、理解に苦しむ。いうなれば、日本国民を食い物にする日本の敵に味方して、宣伝にも使われたはずの人物に、国費を注ぎ込んで葬式を出す意味がわからない。むしろ「国賊」「売国奴」と安倍氏のような保守系政治家から罵られてもおかしくはない。
閉会中審査、山口議運委員長が野党の統一教会関係の質問を徹底的に排除
統一教会をめぐる問題に対応する政府の「旧統一教会問題関係省庁連絡会議」は、今月5日から30日までを「相談集中強化期間」として、フリーダイヤルの合同電話相談窓口を設けている。国を挙げて、統一教会のいわゆる霊感商法などの不法行為の相談や被害者救済にあたる。
にもかかわらず、この電話相談窓口を設けた「相談集中強化期間」も大詰めを迎える27日には、日本武道館で「国の儀式」として、安倍氏の「国葬」が行われる。この相反する国策も、まったく理解できない。
岸田首相は、やたらに「丁寧な説明」を口にするが、安倍氏と統一教会と「国葬」の関連については、説明すらしていない。「死人に口なし」で済ます。
衆議院の議院運営委員会の閉会中審査で、統一教会について触れたのは、立憲民主党の泉代表と共産党の塩川鉄也議員だけだった。その度に、山口俊一議院運営委員長は「本日の議題は国葬儀だ」と注意したり、答弁に立つ岸田首相に、関係のないことは答えなくてもいい、などと言及したりした。
だが、「国葬」の手続き論もさることながら、それ以前の安倍氏が「国葬」に値する人物なのかという“そもそも論”の疑問が大きく膨らみ、国民の関心を呼んでいるはずだ。そこを議論する場すらない。
世論調査を見ても明らかなように、事件直後は安倍氏の「国葬」に「賛成」が多かったものが、その後「反対」の声が大きくなっていったのは、安倍氏と統一教会の関係が表沙汰になっていった状況に重なる。冒頭の読売新聞の世論調査で「評価しない」が増加した要因も、自民党が統一教会との関係を調査しなければならなくなったように、やはり統一教会の影響が大きいと見るべきだ。
安倍氏と統一教会の関係が首相在任中に知れ渡れば、「国葬」の理由にあげる8年8カ月もの長期政権とならなかった可能性もあるし、残したという大きな実蹟も、実は統一教会との癒着が政治を歪め、被害を膨らませた可能性だって否定できない。
岸田首相が「国葬」の基準について「国際情勢や国内情勢に基づいて判断しなければならない」「そのつどつど、政府が総合的にどういった形式をとるのかを判断する」というのであれば、安倍氏と統一教会との深いつながりが露見したところで、変更することだってできるはずだ。
安倍氏「国葬」で得をする統一教会
「国葬」で国内が分断するとは、もはや異常事態だ。その元凶に統一教会がある。その統一教会が「国葬」でもっとも得をする。
政府の「旧統一教会問題関係省庁連絡会議」が、フリーダイヤルの合同電話相談窓口を設けたり、河野太郎消費者担当大臣が霊感商法の被害対策をめぐる有識者検討会を立ち上げて威勢のいいことを言ったりしているが、本質をわかっていないようなので、ここで言及しておく。
国民の分断を招いてまで安倍氏の「国葬」が実施されたあとのことだ。これまでの狡猾なやり方からして統一教会なら、安倍氏が韓鶴子総裁を表敬したビデオメッセージを、無垢な信者やこれから入信が期待できそうな人たちに見せて、こう言う。
「日本の国葬になった人も教祖様に敬意を表しているのよ」「だから安心してください」「安心して、家や土地を売ってでも沢山のお金を寄付しましょうね」
被害者救済が聞いて呆れる。こんなに国民をバカにした話もない。
●仲良しトランプも不参加…国葬で露呈する「外交の安倍」の“本当の評価” 9/12
「安倍元首相が培った外交的遺産をしっかりと受け継ぎ、発展させるという意思を内外に示すとともに相手国からわが国に示された敬意にしっかり答えていきたい」
こう語ったのは岸田文雄首相(65)。8月31日に行われた記者会見で、岸田首相は9月27日に実施される予定の安倍元首相の国葬における「弔問外交」の意味を強調した。
岸田政権が、国葬を執り行う意義の一つとして挙げられる弔問外交。しかし、本当に理由になっているのだろうか?
「弔問外交というのもひとつの外交の形態としては評価できます。国際舞台のいろんな場所で対話の場所をつくるというのは重要ですから。ただし、国葬にしなければならないかという問題と、弔問外交は別問題。小渕恵三元首相が亡くなったときは、自民党・内閣合同葬ですが各国から要人がきています」
そう語るのは、元外務省情報局長で駐日イラン大使などを務めた孫崎享さん。弔問外交自体は、自民党・内閣合同葬でも行われており国葬とする理由にはならないという。
実際に、‘00年に行われた小渕元首相の合同葬にはアメリカからはクリントン大統領、韓国からは金大中大統領が来訪。東南アジアからは、フィリピン、インドネシアの大統領、タイ、カンボジア、マレーシア、ラオスの首相が弔問に訪れた。
9月8日に行われた国会の閉会中審査では、岸田文雄首相(65)は参列する外国首脳の一部を公表。米国のハリス副大統領、カナダ、インド、オーストラリア、シンガポールの首相、ベトナムの国家主席らが訪れるという。小渕元首相の合同葬よりも上級の要人が訪れるのは、カナダ、シンガポール、インドの3国のみだ。
“外交的遺産”がある割に、ランクダウンしたように感じられるが、なぜだろうか。
「第一に時期があまりにも悪いことがあります。9月後半には、ニューヨークで国連総会が行われ、そこで各国の首脳が演説をするんです。そうすると国連のほうがいろんな人たちが来ているわけですから、わざわざ日本に来る必要がありません。
本来、外務官僚は、すくなくとも国連の首脳レベルが集まるときとは外すべきと進言するべきです。しかし、安倍・菅時代には“政府の方針と違うことをいったらとばされる”という因習がありました。岸田政権になってなくなりつつあるとは思うのですが、やはり官僚もまだ様子見をしているのでしょう」(以下、「」内は孫崎さん)
メルケル元独首相が忘れられない、安倍元首相の振る舞い
さらに、外交は“話し合いで解決する可能性”があってこそ。しかし、日本を訪れてもそのような機会は得られないのだという。
「たとえば、今ウクライナ問題が非常に重要になっています。日本に来たときに和平が行われる可能性があればいいですが、日本の姿勢はどっぷりアメリカと一緒。そういう意味では日本に来て、外交的に話し合いが進展するとは思えないわけですね。
一方、ロシアのプーチン大統領は11月のインドネシアでのG8に出るといっています。このときにインドネシアは、ウクライナのゼレンスキー大統領も招待しているんです。そういう形で、ロシアとウクライナの仲介を図るなど、具体的に和平にむかって努力をしているということであれば、そこへ行くことのインセンティブがありますが、今回の国葬にそんなものはありません」
“安倍元首相は海外から評価が高かった”ということを、政府は国葬の意味のひとつとして打ち出している。では、実際の安倍元首相の評価はどうなのか。
「まず非常に典型的なのはアメリカの対応です。アメリカ外交を基軸としてきた安倍元首相は、トランプ元大統領やオバマ元大統領と個人的な関係があることを全面的にアピールしてきました。ならば、安倍元首相の死に前大統領ふたりが駆けつけるわけですよね。それだけトランプ、トランプといっていたわけですから……。でも、今回トランプ元大統領は来日しません。つまり結局は言葉だけであって、実際にそれほど深い関係を作っていたわけではないということです」
さらに、ドイツのメルケル元首相がとる対応も安倍元首相への評価の表れだ。
「メルケル元首相は、安倍さんと長い期間一緒にやってきました。首脳会議でもいちばんよく顔を合わせていたわけですから、本来は彼女が来てもおかしくないわけです。しかし、メルケル元首相は出席を見送りました。それはやはり、安倍元首相に対する評価が高いわけではないということでしょう。
当時メルケル元首相は、首脳会議等々においても、アメリカに言うべきことは言うという姿勢を貫いてきました。2018年にカナダで開催されたG7サミットでは、メルケル元首相がトランプ元大統領に詰め寄っているときに、安倍元首相はその様子をトランプのとなりで腕組みして眺めていた。“日本というのは独自に動く国ではなく、日本と本当の意味での対話というのはない”そうメルケル元首相は思っているのではないでしょうか。外交の安倍とか、個人的な関係を作ったとか言われていたけれど、それは結局たんなる言葉遊びみたいなものであったということが、今露呈しているんです」
●国葬を強行「閣議決定」今さら聞けない基本の基本  9/12
9月27日に予定されている安倍晋三・元首相の国葬への批判の一つに、「閣議決定だけで早々に決めた」ことがあります。
政府の意思決定の会議のことを閣議といいます。首相、すべての閣僚の意思決定手段のなかで、最上位に位置づけられるのが「閣議決定」となります。
もう少し厳密にいえば以下の通りとなります。
「内閣総理大臣及びその他の国務大臣をもって組織する合議体たる内閣の会議(閣議)で内閣の権限事項を決定することであり、憲法又は法律が内閣の意思決定を当然必要としている事項、例えば、法律案及び政令の決定は例外なく閣議決定の方式によること。また、特に法令上の根拠がなくても、重要な政策に関する事項は閣議決定で決められることが多くなっています」(参議院法制局ホームページより)。
実は安倍政権以降、閣議決定が連発されているのをご存じでしょうか。
閣議決定は全会一致が原則
安倍政権は「危機管理に強い」と言われていました。有事に即応できる危機管理能力を重視してきたと思われていました。しかし、新型コロナ対策の初動に遅れが出ていたことは周知の事実です。この時、速やかな意思決定を行うため閣議決定が連発されました。
マスクやティッシュ、消毒液がスーパーの売り場から消えた時、政府は新型コロナウイルス感染症を新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象とする同法改正案を閣議決定したことがあります。翌日の内閣委員会で審議入りし、参院本会議にて成立しました。参院成立後の翌日には改正案が施行されています。
改正案成立後、政府がマスクの高額転売を禁じる政令を閣議決定します。その流れを受けて、メルカリはマスクの出品を一律禁止すると発表しました。罰則は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金を課す厳しいものでした。
呼応するように、フェイスブックやインスタグラムもマスクの広告や販売を禁止します。非常事態を利用して利益を上げようとする、いわゆる転売ヤーは一斉に排除されました。非常にスピーディーな対応だったことを記憶しています。
「閣議決定」は全閣僚の意思統一が原則です。さらに、政府としての統一見解になります。反対をする閣僚がいたら閣議決定はできません。ニュース番組で閣僚が一堂に集まっている光景が映ることがあります。それはおもに「閣議」の光景です。そこで閣議決定された閣議書には花押(署名)が求められ、皇居・御座所に送られるのです。
閣議決定に反対する閣僚がいたら、首相は罷免をしたうえで閣議決定を行います。戦後、閣僚の罷免は5例しかありません。有名なものとしては、2010年5月28日、鳩山由紀夫首相が沖縄のアメリカ軍普天間基地移設問題に関する政府方針の署名を拒否する意向を示した社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相を罷免しています。
2005年8月8日、小泉純一郎首相が郵政民営化法案を巡る衆院解散に同意しなかった島村宜伸農相を罷免、自ら農相を兼任して衆議院を解散します。これは会社の取締役会に例えるとわかりやすいと思います。
会社法上、取締役会は業務執行にかかわる意思決定機関として位置づけられます。取締役会の議決には取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行いますが、最終的な決議は全会一致で決められることが多いと思います(日本では社長に反対意見を述べることは考えにくいので全会一致です)。
閣議決定のスピード感
最近のわかりやすい事例を紹介します。政府は、新型コロナウイルス感染症を新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象とする同法改正案を閣議決定し国会に提出しました。2020年3月11日に衆院内閣委員会で審議入りし、13日の参院本会議で成立しました。
国会審議では緊急事態宣言の発令要件や、発令後に可能とされる自粛要請などの私権についてどのように扱うか議論されましたが、スピード感のある決定でした。
これにより、首相が緊急事態宣言を発令すれば、対象とされる地域の都道府県知事は、学校、保育所、床面積1000平方メートル超の映画館、百貨店、博物館などの使用、イベント開催の制限や停止の要請が可能になりました。食料品、日用雑貨品の買い出し、必要な場合を除く外出の自粛要請もできます。
首相の権限が強まり、企業活動や個人の活動(私権)が大きく制限されます。野党の立憲民主党などは改正案に国会の事前承認を必要とする規定を盛り込むよう要求しましたが、与党は応じませんでした。
閣議決定は内閣の意思を示す重要な意思決定です。「内閣が○○について閣議決定をした」と報道があった場合、それは「法律を制定するための内閣が強い意思を表明する」と伝えていることです。
実際には内閣の意思を閣僚間でコンセンサスをとっただけですから、法律として制定するには国会の承認が必要になります。内閣の意思決定のみでは法律として制定されません。国会で否決されれば「法律は制定されない」ということです。
国会で議員から内閣に質問主意書が提出されると、内閣は原則的に7日以内に文書で答弁しなければなりません。そして内閣は、その答弁を閣議決定しなければならない義務を負うことになります。
「桜を見る会」に関する質問では「反社会勢力の定義は困難」との答弁書を閣議決定します。さらに、「『内閣総理大臣夫人』は、公人ではなく私人であると認識」という答弁書も閣議決定します。
小泉進次郎環境相(当時)の「セクシー」発言に関する質問では「(セクシーという言葉には)正確な訳出は困難だが、ロングマン英和辞典(初版)によれば『(考え方が)魅力的な』といった意味がある」との答弁書を閣議決定しています。
問題視された言動であっても、閣議決定されているわけですから、それが内閣の方針であるという強い印象を与えられます。閣議決定は、国会審議を経ずに発せられる政令を決めたりできるので、非常時に迅速な対応ができる利点がありますが、逆に言えば国会のチェックが利かず、内閣の暴走を許すリスクもあります。
今回の国葬の法的根拠は?
国葬とは国が行う葬儀であり財源が国であること。歴代天皇の、明治天皇、大正天皇、昭和天皇のほか、軍人の東郷平八郎、山本五十六に国葬がおこなわれました。例外は、吉田茂元首相で、このときには、佐藤栄作首相が閣議決定をおこなっています。
法的根拠になる国葬令は日本には存在しません。日本国憲法が1947年に施行されたため失効しているのです。岸田文雄首相の法的根拠は、内閣府設置法の第4条「国の儀式」として閣議決定すれば可能だという点です。
9月6日、「国葬」費用について、岸田首相は総額16億6000万円を要することを明らかにしました。8月下旬に閣議決定した際の支出額である約2億5000万円から、大幅増額となりました。その結果、主要メディアによる世論調査においては「国葬を支持しない」が「国葬を支持する」を上回る結果となっています。あわせて岸田内閣の支持率も下落傾向にあります。
政府は最初から費用総額を包み隠さず国民に提示すべきだったのではないかと筆者は思います。筆者は国葬に反対ではありませんが、強行という手段は禍根を残します。曖昧に決まった国葬。多くの人が望まない形で強行されようとしています。
●安倍氏国葬巡り閣議決定取り消し求めた仮処分申請を却下…大阪地裁  9/12
27日に営まれる安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)を巡り、市民団体のメンバーが、国葬実施の閣議決定の取り消しや予算執行の差し止めを求めた仮処分申請について、大阪地裁は却下する決定を出した。9日付。団体側は不服として、大阪高裁に抗告する方針。
政府は国葬の実施を閣議決定。内閣府設置法に基づき、国会の承認がなくても行えるとしている。
団体側は「法的な根拠がなく、思想・良心の自由や法の下の平等を定めた憲法に違反する」と主張したが、徳地淳裁判長は閣議決定について「国民の権利義務に直接影響を与えるものではない」と退けた。 
●安倍元首相の国葬実施の撤回求める意見書を可決 鎌倉市議会 9/12
安倍晋三元首相の国葬を巡り、神奈川県鎌倉市議会は12日、「『国葬』実施の撤回を求める意見書案」を賛成多数で可決した。今後、岸田文雄首相と衆参両院議長に提出する。
意見書では「国葬に明確な法的根拠がない以上、国葬を行うのであれば国会で議論が尽くされるべきだ」と指摘。岸田首相が国葬とする理由を「内政・外交で大きな実績を残した」などとしたことには「国家が一方的な評価、価値観を国民に強いることになる」とした。
神奈川県葉山町議会も6日、「国葬に反対する意見書」を可決。東京都小金井市議会も9日、「『国葬』を行わないことを求める意見書」を可決している。
●札幌市 秋元市長 安倍元首相の「国葬」 参列の意向固める 9/12
今月27日に行われる安倍元総理大臣の「国葬」について、札幌市の秋元市長は国から正式な案内が届いたことを踏まえ、参列する意向を固めました。
札幌市の関係者によりますと、安倍元総理大臣の「国葬」について、秋元市長のもとに12日、国から正式な案内が届いたということです。
これを受けて、秋元市長は対応を検討した結果、日程として参列することは可能だとして、「国葬」に参列する意向を固めました。
「国葬」をめぐってはこれまでに鈴木知事が公費で参列することを決めています。
●山口が「県民葬」、衆院議員会館には居座り…「疑問の声」相次ぐ 9/12
<県民じゃないのに、なぜ、県民葬するのか?>、<国葬をめぐってすったもんだしているのに、その上、県民葬とは…>
ネット上では国葬以上に賛否両論が飛び交っている。9月27日の安倍晋三元首相の国葬に続き、山口県が10月15日に「県民葬」を行うと報じられたためだ。
9日付の朝日新聞の報道によると、山口県は20日に開会する県議会9月定例会に「県民葬」の費用として、約6300万円を盛り込んだ補正予算案を提出するという。安倍氏の地元、下関市の県国際総合センター「海峡メッセ下関」で開催し、県のほかに県議会、自民党県連、市長会などが主催する予定で、費用の一部を県連が負担するという。
このニュースが報じられると、ネット上では、<家族葬が終わり、国葬、県民葬って。何回やるの?もしかして下関市葬もあるかも>、<安倍さんは山口県民じゃないじゃない。なんで県民の予算を都民の葬儀に支出するの>などと批判の声が相次いだ。
山口県に県民葬に対する税金の支出ついて適切かどうかを問うと、「(安倍氏の)選挙区があるので、予算支出については適切と考えております」(人事課)と回答したものの、県民から反対の意見が出ていることも認めた。
議員会館事務所の退去時期は…
一方、安倍氏をめぐっては衆議院議員会館の事務所についても、「なぜ退去しないのか。いつまで使うのか」(野党議員)といった声が出ている。安倍氏が亡くなって以降、2カ月過ぎた今も、「第一議員会館1212号室」を使用しているからだ。
「落選した議員は数日内の退去を求められる。主が不在なのに国の税金で運営している議員会館をいつまでも使うのはおかしいでしょう。電気代、電話代だってかかるのですから」(野党議員秘書)
衆院事務局に聞くと、議員会館事務所の使用については、「先例集で、解散した場合は公示日の前日まで使用できる」とあるだけで、それ以外は決まっていないという。ただ、常識的に考えれば、もはや使用する国会議員がいないのだから、関係者らがいつまでも居座り続けていいわけがない。
安倍事務所に議員会館の退去時期を問うと、「ああ、国葬終わったら出ますよ」と回答したが、果たして国民はどう思うのだろうか。

 

●アメリカ大統領なら「国葬」は当然だが…安倍元首相の「国葬」に次々と異論 9/13
9月27日に安倍晋三元首相の国葬が行われる。各社の世論調査では「反対」「評価しない」という意見が多く、岸田政権の支持率低下の要因となってしまった。一体どこに問題があったのか。ジャーナリストの池上彰さんに増田ユリヤさんが聞いた――。
旧統一教会の問題で、反対の声が多数に
【池上】岸田政権は、安倍元首相の死去をきっかけに噴出した統一教会の問題、さらには国葬の問題で支持率を大きく減らしています。8月21日に発表された毎日新聞の世論調査では、岸田政権の支持率が36%と、発足以降で最低の支持率になったと報じられています。
新型コロナの感染対策や物価高対策の不十分さに加え、内閣改造後も旧統一教会とのつながりが相次いで判明したことのほか、安倍元首相の国葬を決定したことも支持率低下の要因となっています。
8月8日に発表されたJNNの世論調査では「賛成」が42%、「反対」45%と「反対」が「賛成」を上回ったほか、同日発表のNHKの世論調査でも、「政府が国葬を行うことへの評価」について、「評価する」が36%、「評価しない」が50%となっています。
多くの調査で、安倍さんの死去直後は「国葬賛成」が「反対」を上回っていましたが、これは「選挙演説中に襲われた」「銃撃されたのちに死亡」というショッキングな事態に「安倍さんがかわいそう」と多くの方が思ったこと、そして「演説中を狙うのは民主主義への攻撃だ」という岸田首相の言葉に共鳴したためでしょう。
だからこそ、当初は岸田首相の「国葬に値する」という主張に何となく共感していた人も多かったのです。しかし時間が経つにつれ、ふと冷静になって考えたときに「そもそも国葬とはどういうものなのか」「安倍さんを本当に国葬で送るべきなのか」と思うようになってきたことに加え、事件で一気に注目が集まっている安倍さんをはじめとする自民党と、統一教会の関係が明らかになってきたことで、反対の声が高まってきたのでしょう。
政権交代でもないかぎり「国葬」は覆らない
【池上】銃撃を加えた山上容疑者が悪いことは言うまでもありませんが、それでもこれだけ自民党と統一教会の関係を裏付ける情報が出てくると、これは安倍さん自身の評価にも影響せざるを得ない。先の毎日新聞の世論調査でも、「自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係に問題があったと思うか」の問いに9割弱が「問題があった」と回答しています。
国葬は9月27日を予定していますが、おそらく国葬への賛成が反対を上回ることはないでしょう。
【増田】国民からこれだけ反対が出てきている中で、岸田首相は「様々な機会を通じて丁寧に説明していきたい」と述べています。政府は実施理由を具体的にどう説明していくのでしょうか。
【池上】「理解を求める」とか「国葬に値する」と言い続けることに終始するのではないでしょうか。「国葬には税金を使うのだから、国会で議論すべきだ」という声もあり、岸田首相は国会での閉会中審査で説明することになりましたが、岸田政権はすでに7月22日に、国葬を行うことを閣議決定しています。閣議決定というのは大変重いものですから、政権交代でも起きない限り、覆りません。いまから思えば、いささか拙速な決定でした。
国民が素直に悼むことのできる状況をつくるべきだった
【池上】いち早く国葬を決めたことで党内の結束を固めることはできました。国葬としたことで、安倍派を納得させることはできましたし、9月27日までは喪に服すわけですから、党内抗争はしばらくは止まるでしょう。
しかし、世論はそうはいきませんでした。アベノミクスや集団的自衛権行使の容認にしても、まだ歴史的評価が定まっているとは言い難い状況です。また、安倍さんにはまだ現在進行形の問題もあります。
2016年に学校法人「森友学園」に国有地が破格の安さで払い下げられたり、2017年には52年間もどこの大学も認められてこなかった獣医学部の新設を学校法人「加計学園」に認めたりと、当時首相だった安倍さんと関係の深い人に対して特別の便宜が図られたのではないかという疑惑は残ったままです。また、首相が主催する「桜を見る会」では招待者名簿が短期間で破棄されるなど今も真相は解明されていません。
本当に安倍さんのためを思うのなら、国民が素直に悼むことのできる状況をつくることも政府の仕事でしたが、拙速な国葬の決定によって、賛否が割れてしまった面もあります。
上皇陛下は自身の「国葬」を憂慮
【池上】葬儀費用の全額を国費つまり税金で賄う「国葬」ではなく、政府と自民党と国民有志が費用を分担する「国民葬」、あるいは1980年以降に主流となっている、内閣と自民党が費用を分担する「合同葬」という方法であれば、ここまで批判が高まることはなかったでしょう。
そもそも国葬とは、国家の儀式として、国費で行われる葬儀のことです。日本では明治以降、天皇や皇后、皇太子などのほか、「国家に大きな功労があった者」の国葬が行われるようになり、1926年には「国葬令」が制定。国葬が行われる日は学校や公的機関はお休みとなり、全国民が喪に服す必要がありました。
戦後は民主的な社会になったため、1947年にこの法律は失効しましたが、例外的に、「国民統合の象徴」であり、事実上の国家元首である天皇陛下に関しては「大喪の礼」が国事行為として行われることになっています。上皇陛下は、自分が天皇の立場で亡くなったら大層な「大喪の礼」を実施しなければならないことを憂慮され、簡素化を望む方針もあって生前退位を決断されたと見られています。
吉田茂の国葬との大きな違い
【増田】戦後、国葬が行われた政治家は吉田茂元首相のみですね。国葬が行われたのは1967年10月31日で、当時、池上さんは高校2年生。当時のことを覚えていますか。
【池上】よく覚えていますよ。吉田茂の国葬時には、学校に弔旗を掲げ、1日休校になったんです。国民に対して黙祷の時間も設けられました。仲の良かった同級生は「けしからん」「喪を強制して休校にするのは許せない。登校しよう」と怒っていたのを今でも覚えています。
当時もかなり大きな反対運動がありましたが、結局、政府は押し切って国葬を実施しました。それでも吉田茂の場合には、安倍さんの場合とは違い、亡くなった時にはもう政治家を引退してしばらく経っていましたから、「戦後の日本の基礎を築いた」など、政治家としての歴史的な評価はある程度固まっていました。
【増田】今回、政府は「弔意を強制しない」ことを強調し、学校や公的機関での弔旗掲揚や黙祷についてもそれぞれの自治体に任せる方針を示しており、各府省に弔意の表明を求めるための閣議了解も見送る方向で調整しています。
【池上】岸田首相は国葬の実施に当たり、「国民に弔意を強制することはない」としていますが、一方で8月6日には「世界各国がさまざまな形で弔意を示している。我が国としても弔意を国全体として示すことが適切だ」とも述べています。「国全体」に「国民」は入らないのでしょうか。
学校に関しては各都道府県の教育委員会が方針なり通達を出すことになりますが、例えば安倍さんの選挙区だった山口県なら、実施する可能性は高いでしょう。また、全国一律にしないことでかえって忖度(そんたく)が働いたり、また議論が巻き起こって賛否が割れたりすることになってしまいます。
「弔問外交」どころか、一触即発の可能性も
【増田】岸田首相は、いち早く国葬実施を決定したことについて、世界から「葬儀に参加したい」という問い合わせが多数届いたからだ、とも説明しています。
【池上】各国の首脳が集まるから「弔問外交ができて有意義だ」という点から国葬に賛成している人もいますが、安倍さん自身もあくまで「元首相」ですから、各国が派遣する要人のランクは常識的に考えると中国なら副首相、アメリカなら最高で副大統領となるでしょう。アメリカはオバマ元大統領が参列する方向で調整、ドイツはウルフ元大統領が参列を決めたと報じられていますが、いずれも現役の政治家、首脳ではありません。
中国は秋に共産党大会が、アメリカは11月に中間選挙が控えているので、バイデン大統領や習近平国家主席が来日するということはまずないでしょう。
そうなると「弔問外交」の効果も限定的なものにならざるを得ません。トランプ前大統領も来たがるかもしれませんが、8月9日に家宅捜索を受けるなど身辺が騒がしいので、それどころではない状況になっています。
むしろ台湾から誰が派遣されるかによっては難しい舵取りを迫られる可能性もあります。台湾の頼清徳副総統が安倍さんの葬儀に参列するために来日した際に、中国外務省が「台湾は中国の一部であり、いわゆる『副総統』は存在しない」と反発すると、林芳正外相は記者会見で副総統を「ご指摘の人物」と表現して、中国へあからさまな配慮をしました。もし蔡英文総統が来日することになれば、日本側がどういう受け入れ方をするかが注視されるでしょう。
アメリカ大統領経験者が国葬をするのは当然のワケ
【増田】アメリカは、大統領経験者に対しては国葬を行うのが通例ですね。
【池上】アメリカ大統領は国家元首ですから、日本で言えば天皇に当たります。政治的評価に限らず、国葬の対象になるのは当然でしょう。
【増田】大統領ではありませんが、2020年9月に亡くなった連邦最高裁判事(陪席判事)のルース・ギンズバーグさんの場合は、27年間にわたって判事を務めた功績もあって、棺が米連邦議会議事堂内に安置される異例の措置が取られました。公職にある女性では初めてのことで、追悼式典も行われています。これに対して、米国世論が割れたという話は聞きません。
もちろん、判決や価値観に対する賛否はあったでしょうが、ご本人が対立する意見の持ち主との交流を重んじていたことなどもあり、ギンズバーグさんに対しては「議会を挙げての追悼式典という取り計らいを受けて当然だ」という認識を多くの人が持ったのでしょう。
【池上】安倍さんの場合は、国会での追悼演説も9月に先送りされてしまいました。当初は甘利明議員が「遺族の意向」を理由に演説を行う予定でしたが、与野党から異論が出たため取りやめとなり、まだ誰が追悼演悦を行うか、決まっていません。
与野党問わずみんなが涙した追悼演説
【増田】本来は、野党議員が行うのが慣例と言われていますよね。身内が自画自賛的に称えるよりも、政治的には対立関係にあった立場の人がよきライバルとして客観的に評価する方が、議会での追悼演説の意味合いも増します。
【池上】中選挙区制の時代には、同じ選挙区から出た他党の候補が追悼するのが慣例になっていたそうですが、小選挙区制になってしまったのでできなくなり、「党内から」ということになったようです。
1960年に浅沼稲次郎が現役の社会党委員長の立場にあって山口二矢に刺殺された際には、当時の池田勇人首相が追悼演説を行いました。これはものすごくよくできた演説でした。演説の一部を紹介します。
   
君は、また、大衆のために奉仕することをその政治的信条としておられました。文字通り東奔西走、比類なき雄弁と情熱をもって直接国民大衆に訴え続けられたのであります。
「沼は演説百姓よ よごれた服にボロカバン きょうは本所の公会堂 あすは京都の辻の寺」
これは、大正末年、日労党結成当時、浅沼君の友人がうたったものであります。委員長となってからも、この演説百姓の精神はいささかも衰えを見せませんでした。全国各地で演説を行う君の姿は、今なお、われわれの眼底に、ほうふつたるものがあります。
   
街頭演説を頻繁に行っていた浅沼を称える内容に、与野党問わずみんな涙した、と言われています。
安倍さんの追悼演説は誰がやるのか。野党党首で言えば、共産党の志位和夫委員長は安倍さん死去の一報を受けた直後に、かなりショックを受けた様子を見せていました。志位さんは安倍さんと当選同期ですから、追悼演説をやるという「ウルトラC」もあるか、と思いたいのですが、共産党が受けるかどうか。自民党が納得するか。岸田首相の手腕が問われています。
●安倍元首相国葬に自衛隊から1千人超参加 儀仗・弔砲実施へ 9/13
政府は13日午前の閣議で、日本武道館(東京都千代田区)で27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬に自衛隊が参加し、儀仗(ぎじょう)や弔砲などを実施することを了解した。
国葬当日は儀仗のほか、安倍元首相の遺骨が日本武道館に到着する際、敬礼して迎える「と列」、空砲を19発放って弔意を表す「弔砲」、音楽隊による「奏楽」を実施する。参加人数について、浜田靖一防衛相は閣議後の記者会見で、「合計で千数百人程度が参加する方向」と述べた。
7月に行われた安倍元首相の「家族葬」にも自衛隊の儀仗隊が参列した。防衛省によると、この際は遺族の意向を踏まえた上で、「自衛隊としての弔意」として実施。閣議了解は不要だったとしている。
一方で、今回は政府の行事に自衛隊が協力する形となるため、閣議了解を取った。吉田茂元首相の国葬や内閣・自民党合同葬でも同様の手続きを踏まえてきたという。
●生煮えのフライング行事、安倍元首相「国葬」の踏み絵を踏む人・踏まない人 9/13
突如として沸き起こった「民主主義は屈しない」
ドーン! ドーン! 7月8日、奈良市の近鉄・大和西大寺駅前で轟いた2発の銃声によって、突然、日本のミンシュシュギが危機に晒された。
参院選の2日前。自民党の参院選立候補者の応援演説のために、壇上でマイクを握っていた安倍晋三元首相は、衆人環視の中で地面に崩折(くずお)れた。現場に立ち込める白煙の中でSPに取り押さえられたのは、大きな双眼鏡みたいに見える黒い手製銃に研ぎ澄ました殺意を込めて銃弾を撃ち放った山上徹也容疑者だった。
日本の憲政史上最長政権を担った首相経験者の「暗殺」。しかも良くも悪くも話題性のある立候補者が多く、混迷が予想されていた参院選のわずか2日前で、世間の政治的気分は最高潮だった。「安倍元首相暗殺」の速報に、誰もがまずそれを政治テロとして受け止めたのは自然なことではあったのだろう。
直後、追うようにして41歳の山上容疑者に海上自衛官としての経歴があるとも報じられ、それは容易に二・二六事件や五・一五事件など、戦前の軍将校による政治家暗殺事件を連想させた。
すわ、「民主主義への挑戦」である。遊説先から急遽ヘリで官邸へ戻り、記者たちの前に姿を現した岸田首相は「卑劣な蛮行であり決して許すことはできない」「民主主義の根幹である選挙において卑劣な行為が行われた」と泣き腫らした目で語った。古賀誠・元自民党幹事長も、民放テレビ局の報道番組で「言論の封殺という最もあってはならないことが起きた」「ショックを通り越して、こういう国は恥ずかしい」とコメントした。翌朝の日本の大手新聞も、一斉に「日本の民主主義を守れ」「暴力に屈してはいけない」と社説で熱弁した。
早すぎた「国葬」決定
衝撃冷めやらぬ中で、予定通り行われた参院選。突然の「民主主義を守れ」大合唱の中で、事件が選挙にどう影響を及ぼすのかが注目されたが、さながら「弔い」選挙の様相を呈したことと、不安ストレスの中ではもともと保守化する日本人ということもあり、自民党は大勝した。
そして参院選の高揚をそのまま持ち込むかのように、事件から1週間も経たない7月14日、岸田内閣は安倍元首相の国葬を執り行うとの閣議決定を発表する。
「コクソー」という言葉は、令和の民にはそんなすぐに「国葬」へと脳内変換できるほど馴染み深くはなかった。「国葬って何?」「皇族じゃなくても国葬なんてあるんだ?」「決定が早すぎない?」「国民不在でそれを決めるのか?」と疑問の湧いた人は少なくなかっただろう。
一方で、国民的関心は襲撃事件の動機や詳細解明の方にあった。山上容疑者の取り調べやマスコミ各社の取材が徐々に進み、「事件の核心は政治テロとか民主主義とかじゃなかったっぽい」とわかり始める。動機は政治的主張じゃない、宗教であり家族だ。
次々と明らかになるのは、安倍元首相が、国家を挙げてその死を悼まれるに「すごく値する」とは胸を張って言いづらくなるような、ゴリゴリの保守政治家たちと新興宗教の癒着だった。
盛大なフライングの後始末は「後手後手」
ああ、岸田内閣ってば、選挙の緊張と高揚感の中で「政治家暗殺とは何たる蛮行!」「民主主義の危機!」といきり立ってしまい、いつもなら内部でガタガタする派閥を乗り越えて妙に党内一致して、盛大にフライングだ。
「最長政権記録を持つ我らが安倍晋三を殺めるとは何たること」「国葬だ」「そうだ、国葬だ!」「うるさい野党にも、そしてうるさい諸外国にも、日本国の威信と盤石な保守政権をアピールするのだ!」
ところがこのフライングの後始末が、もう後手後手なのである。国葬なんていう、「前例は吉田茂元首相です」と聞けば聞くほど戦争の残り香しかしない儀式を、どう考えても今の自民党じゃ説得力に欠ける状況でゴリ押しするわけだから、本人たちもそりゃ歯切れも悪くなる。説明したくないなぁ、だって説明できないんだもん、と逃げ腰になっているところに、「岸田内閣には説明責任がある!」なんて言われたら、もうこのままどうにか当日までなし崩しで行けないだろうか・・・と息を潜めて夏が終わるのを待つ心境だろう。
エリザベス英女王の死去に備えた行動作戦を王室や首相官邸が綿密に準備してきたという英国の切れ味のいい「本物の国葬」ニュースに比べ、あまりにグダグダな日本のなんちゃって国葬ニュースに、国民もなぜか既に飽き始めているのが印象的である。
「なぜ、ジャパン・アズ・ナンバーワン時代の功労者である中曽根康弘元首相同様、内閣と党による合同葬ではなく、国葬でなければいけないのか?」 シンプルに「いちばん長い」から? 納得のいく説明はされず、国葬でなければならない理由がいまだわからないまま、国葬不支持が支持を相変わらず上回ったまま、9月に突入だ。
亡くなったのが安倍元首相だから、おそらくたくさん訪日する外国人VIPの警護を考えると国葬レベルじゃないと・・・と弔問外交を持ち出してくるのは、「手段」の話であって「目的」の話じゃない。国葬にこだわればこだわるほど、安倍元首相個人の死を悼むという葬儀の本来の意味合いより、国葬という形式を利用している感が強くなる。その形式であること、その国儀を自分たちがこの(たとえば東京五輪が思い描いていたような経済効果も外交効果も生まず、中途半端な開催形態で終わらざるを得なかった)タイミングで執り行うことに意味があるのだろう、という匂いがする。
さて、あなたは国葬当日、どう振る舞う?
野党の政治家も、国葬出席に関しては迷っているところだという。共産党の志位和夫書記長が欠席の理由として挙げる「(国葬は)国家として公認し、安倍政治への敬意を国民に強要することになる」は、旧統一教会との関係が問題視され安倍氏の政治的評価が死後なおグラグラ揺らいでいる現在、なるほど筋が通っているように感じられる。7月の家族葬に陸上自衛隊の儀仗隊が「遺族のご意向」で参列したことにも、「自衛隊の私物化」だとしてその正当性が議論の俎上にのぼった。
「国家」のイベントになった途端、もう素直に安倍氏個人の死を悼むことが困難になっている。「国葬どう思う?」は、いまやひそかに相手の政治的信条を推しはかり、何かの(例えば敵/味方とかの)レッテルを貼る踏み絵である。
吉田茂元首相の国葬時とは異なり、今回は各府省では弔旗の掲揚や葬儀中の黙祷などで哀悼の意を表するが、一般の学校や会社に弔意表明を求めることはないとされてはいる。だが、私たち民間の個人はともかく、学校や企業をはじめどこの「組織」も、その時間をどう過ごしたものか、頭を悩ませるだろう。
なぜって、テレビが一斉に特別番組を放映するからだ(おそらくネット的に「空気を読まない」と定評のあるテレ東以外、いや、そのテレ東すらも?)。
どんなにオールドメディアだなんて言われたって、テレビは国の空気を作る。国葬の現場中継を見ていながら、葬儀の中で黙祷が始まったとき、その空気の中にいたら、「国葬じゃなくていいじゃん。岸田内閣がフライングして引っ込みつかなくなってるだけじゃん」と思っている私だって、死者の安らかな眠りを祈って黙祷くらいするだろう。
国葬に国民的な合意はない。だが国葬の日、黙祷してるかどうか、神妙そうにしているかどうかで「あいつは」と批判されたりなんだりするのだろうか。
形式でしかない弔意ってなんなんだろう。それは、コロナ禍のマスクと同じなのだ。「お願い」はされるが義務化されたことは一度もない。だけど、「みんなしているのに、自分がしないわけにはいかない」。2022年も日本の同調圧力はますます健在、ということか。
●安倍晋三元首相とエリザベス女王、国葬をあえて比べると...見えること  9/13
8日に死去した英国のエリザベス女王の国葬が19日に執り行われる。27日に予定される安倍晋三元首相の国葬と違い、国民から特段の反発はない。死亡の経緯が異なるとはいえ、安倍氏の国葬は実施まで2カ月以上と準備期間が長い。各国に働き掛け、弔問外交の体裁を整えようとしたのか。だが、先行する女王の国葬にはさらに大物たちが…。岸田文雄政権が決めた安倍氏の国葬の意義づけに、あらためて疑問が浮かぶ。
「英国民は誰も異を唱えていないよ」
12日正午、皇居周辺。秋晴れの空の下、多くの人がウオーキングや日光浴など、思い思いの時間を過ごしていた。
ジョギング中の三宅侑子さん(62)に国葬について意見を聞くと、さわやかな表情を一瞬で曇らせた。「結局、これって誰得(誰の得なのか分からない)の葬儀なんでしょうね」。安倍氏の国葬への苦言だ。「子どもや孫の世代のためにもっと使うべきところがあるはず。岸田さんのやり方は見ていられませんよ」と言い残し、走り去った。
この話題に顔をしかめた英国出身男性も。「エリザベス女王は国民のために働いてきた。女王の国葬について英国民は誰も異を唱えていないよ」とベンチで昼食をとっていたネイサンさん(30)。北海道ニセコ町のスキーインストラクターで、現在は観光中という。
英国の国王は、国会召集から宣戦布告まで幅広い権限を持つが、内閣の助言なしに行使できないという難しい立場。ネイサンさんは「女王の影響力は政治面でも大きかったはずだが、彼女は偏らず、政治的分断を生まないやり方を貫いてきた。だから国葬でも批判は起きない。それは安倍さんと決定的に違うところでは」と思いを巡らせる。「日本国民にとって安倍さんの亡くなり方はかなり特異で、衝撃はあるだろうが、それを差し引いても女王と安倍さんが同じ国葬というのは、英国出身者からすると大いに違和感がある」
「本物の国葬」トレンドに...反論も
短文投稿サイトのツイッターでは「本物の国葬は国民の悲しみとともにある」「英国がするのが本物の国葬」といった書き込みが相次ぎ、「本物の国葬」が一時、トレンドワードにもなった。これに対し「そもそも比べるものではない」などの反論も見られた。
「政権末期の雰囲気」などとツイートした元東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏は「岸田さんは世論を見誤ったのではないか」と推測。「女王と元首相では比較の対象が違うかもしれないが、タイミング的にどうしても比べてしまう。各国のトップクラスが集まる英国の国葬に比べ、安倍氏の国葬は寂しい感じがぬぐえない」と語る。
「議会の承認必須」と「内閣で決められる」
関心が高まる英国の国葬だが、どう位置付けられているのだろう。
英国法思想史が専門の同志社大の戒能通弘教授は「英国は税に対して大変厳しい国柄。国葬は王室や特別な功労者を対象とし、議会での予算審議と承認が必須とされる」と説明する。
これまで歴代の国王や女王のほか、科学者のニュートン、チャーチル元首相などの国葬を実施してきた。
ひるがえって日本では、天皇陛下の葬儀は皇室典範で「大喪の礼」を行う定めだが、国葬については明確な定義はない。岸田首相は国会を開かず、安倍氏の国葬の実施を閣議で決定。内閣府設置法が国の儀式を所掌しているので、内閣の会議(閣議)で決められると主張し続けている。
戒能氏は「英国は国民が主権者という思想が浸透し、国民のコンセンサスが重視される。国民の代表である議会の承認を得ることは当然だと考えている」とし「国会の議論を経ず、閣議決定で決める日本と英国の国葬のあり方は決定的に違う」と指摘する。
準備期間、11日と2か月の差は
エリザベス女王の国葬は死去から11日後に実施される。女王は高齢で体調に不安を抱えていた。別れを告げ、遅滞なく次期国王を即位させる必要もあった。それと突然の凶弾に倒れた安倍氏の国葬を単純に比較できないが、なぜ準備期間に約2カ月の差があるのか。
内閣府は「閣議決定された日程に合わせて準備している。警備や会場設営、会計、契約といった事務手続きがある。どういう方々を招待するかの選定もしている」と説明する。ただ、1967年の吉田茂元首相の国葬では、死去から11日後の実施だった。国葬なら一律に時間がかかるとは言えない。
高千穂大の五野井郁夫教授(国際政治学)は、岸田政権の政治的判断があったとの見方を示す。「岸田首相はもともと、8月半ば以降に内閣改造して支持率を上げ、国葬も世論の支持を得て実施するつもりだったのだろう。それが旧統一協会の問題が表面化して内閣改造を前倒ししたものの、国葬に対する世論の反対も高まって今に至っている」
参列者の顔ぶれ「日本の地位」
政府は国葬の理由に、弔問外交も挙げている。岸田首相は8日の閉会中審査で「安倍元総理が培った外交的遺産を受け継ぎ、発展させる」と述べ、参列予定の米国のハリス副大統領、カナダのトルドー首相、インドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相らの名を挙げた。
これに対し、五野井氏は「現職の首脳級の参列者は一部にとどまり、特に欧州諸国からは少ない。顔触れを見ても、日米豪印でつくる『クアッド』諸国とは弔問外交をせずとも会談を設けられる。国葬の理由として弔問外交は後付け感が否めず、大半の国とは形式的なものになりかねない」と指摘。「これは安倍氏個人への評価と言うわけでなく、国際社会での日本の地位が低下していることを物語っている」と述べる。
一方、エリザベス女王の国葬では、米国のバイデン大統領が参列の意向を示しているほか、各国首脳や王室関係者が集まると見込まれる。日本からは天皇、皇后両陛下、岸田首相の参列が検討されている。元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「二つの国葬の時期が近くなったことで、参列者の顔触れの違いが際立つことになった」と話す。
女王の国葬が先になることで、安倍氏の国葬での弔問外交の意義も揺らぎかねない。孫崎氏は「岸田政権はハリス氏が国葬に参列することで日米関係の緊密さをアピールしようとしても、エリザベス女王の国葬にバイデン氏が参列するなら、難しくなる」とみる。
そもそも、9月下旬は弔問外交のタイミングとしては悪いと孫崎氏は言う。「各国の元首クラスが演説する国連総会があり、接触したければそこで会えば良いはずだ。安倍氏の国葬日程は国連総会と重なり、弔問外交を第一の目的として決めたとは思えない」
目立つ反対意見、安倍氏の国葬なぜ実施
各種世論調査で反対意見が目立ち、実施の意義も不明瞭なのに、政府が国葬をごり押しするのはなぜか。
政治評論家の小林吉弥氏は「岸田首相が国葬を決めた第一の理由は、自民党の最大派閥である安倍派に配慮して政権の安定維持につなげたかったからだ。安倍氏が死去した直後の党内の空気を読み、世論の反発も抑えられると思ったのだろう。だが、時間がたつにつれて批判する人も増えている。熟慮が足りなかったと言わざるをえない」と述べ、こう続けた。
「岸田首相は実施しさえすれば国葬への批判は収まると考えているかもしれないが、旧統一協会の問題とともに秋の臨時国会で再燃しかねない。物価高対策や経済政策も誤れば、内閣支持率が下落して危険水域に落ち込む可能性もある」

5年前、在位70年に及んだタイのプミポン前国王の国葬を取材した。黒い服の着用を求められ、息苦しかった。一方で王宮周辺を市民が埋め尽くす光景は壮観でもあった。国葬は弔意の強制に陥る危険を宿す。それでも実施するなら、幅広い社会的合意は最低条件ではないか。
●猪瀬直樹氏 英国葬参列「検討」の岸田首相を批判 「皇室に対して失礼」  9/13
元東京都知事で参議院議員の猪瀬直樹氏(75)が11日、自身のツイッターを更新。8日に死去した英国のエリザベス女王の国葬について、岸田首相が参列を検討していることについて語った。
猪瀬氏は「『検討』する必要はありません」と書き出し、その理由について、「行政の長ではなく元首としての天皇・皇后両陛下の役割であり皇室に対して失礼です」とつづった。
さらに「何でも検討はいい加減にしてもらいたい。のこのこ出て行かないで本気で安倍国葬に専念したらどうですか」と訴えた。
●宮本亞門氏 安倍元首相国葬案内状届く 国葬反対の立場表明 9/13
演出家の宮本亞門氏(64)が13日、自身のツイッターを更新。9月27日に実施される安倍晋三元首相の国葬の案内状が届いたことを明らかにした。
「どうしてこれが僕に? 何かの間違いでしょう。政治家でもなく桜を見る会すら呼ばれたことがないのに。もちろん私は行きませんが。宮本亞門 国葬反対」とつづり、案内状の画像を投稿した。
フォロワーからは「住所もどこでわかるの?」「こんな風に呼ばれるんだ、しかもいきなり」「住所の知れてる著名人に手当り次第送ってるんだろうなぁ」などと投稿が寄せられた。 
●杉本知事 安倍元首相の国葬参列の考え 9/13
9月27日に行われる安倍元総理大臣の「国葬」について杉本知事は、参列したいという考えを示すとともに、弔意を示す半旗を県庁に掲げる意向を示しました。
13日行われた県議会の一般質問で、杉本知事は「憲政史上最長の在任期間であることや、本県の関係でも北陸新幹線の小浜・京都ルートの決定や拉致問題への対応などご尽力をいただいた」と述べ、参列したいという考えを示しました。
そして国葬に合わせて弔意を表す半旗を県庁に掲げるとした一方、県職員や県庁を訪れた人たちに対して黙祷などを求めることはしないと述べました。
また旧統一教会と県の関係について関連団体が主催することし7月のイベントに県が後援を出していたことを明らかにし、「イベント内容が宗教活動ではなく、観光振興に寄与して公益性が認められたため後援した」と説明しました。
イベントはその後中止になったということです。
杉本知事は「宗教の自由は尊重されるべきだが、旧統一教会が行ってきたことを踏まえれば、当該団体とは一線を画し、今後関係を持つことはありません」と強調しました。
このほか県は旧統一教会のいわゆる霊感商法に関連する質問で、先月末に教会の関係者が県消費生活センターを訪れ、教会に関連してどのような相談が寄せられているか問い合わせてきたことを明らかにしました。
センターは「個々の相談内容については回答していない」と応じたということです。
●安倍元首相の国葬まで2週間…富山県内8市町村 “半旗掲揚”実施せず 9/13
東京の日本武道館で行われる安倍晋三元総理の国葬まで2週間に迫る中、富山県内では8つの自治体が弔意を表す半旗掲揚を行わない方針を示しています。
今月27日に行われる安倍元総理の国葬。政府は、先月31日、葬儀中に各省庁で黙とうを行う方針を固めた一方、地方公共団体や教育委員会などには弔意の表明の協力を求めないとしています。
安倍元総理の国葬まで、2週間となる中、県内自治体の対応は…。
富山市藤井市長の議会答弁「これまで本市では、国から弔意表明の協力依頼があった場合に、本庁庁舎において半旗掲揚などの対応を行ってきた。この度の安倍元首相の国葬についても、これまでの市の対応と同様、今後国から何らかの協力依頼があった場合は、県や近隣自治体の方針なども参考にしたうえで、適切に対応する必要があると考えている」
富山市の藤井市長は12日の市議会本会議で、半旗掲揚などの対応については国からの協力依頼があった場合検討するとし、現時点では実施しないとしました。
その他の市町村では、高岡市や砺波市、魚津市など7つの市と町が未定としているほか、富山市や射水市、黒部市どあわせて8つの市町村が国からの弔意表明の協力依頼がないとして、すでに半旗掲揚をしない方針を示しています。
なお、国葬を巡っては、岸田総理が今月8日、国会で初めて説明を行い、安倍元総理が憲政史上最長の8年8カ月にわたって総理を務めたことや、多くの業績を残したこと、各国で敬意と弔意が表明されていることなどを踏まえ、国葬の実施を決めたとして理解を求めました。
しかし、国葬を行うにあたっては、税金で賄われる国葬費用がおよそ16億6000万円かかる見通しであることや、国葬にする、しないの明確な判断基準がないことなどから反対の声も多く、意見は二分化しています。
国葬について、県民は…。
「反対ではない。かなり税金はかかるが、元総理が亡くなったことに関して、国葬について手放しではないが、反対ではない」「賛成です。外国の人が、そういう気持ちを表したいと言って、場を用意しないのは日本人としてどうなのかなと」「偉大な方だと思っているので、お金がかかってもいいのではないかと思う」「お金の使い方と言うか、もっと他に使った方がいいのではないか」「国葬に総額何億というのを見た瞬間に、ちょっと使い過ぎではないかと。コロナもそうだし、物価も上がっているので国民のために使って欲しい」
なお、全国の都道府県知事のなかに国葬参列を表明する動きが見られる中、県は弔意表明や新田知事の参列について、BBTの取材に対し未定と回答しています。
●高知市長 安倍元首相の国葬への参列を表明 9/13
国民の間で議論が分かれる安倍元首相の国葬について、高知県高知市の岡ア市長が参列することを明らかにした。
高知市の岡ア市長は、13日の9月議会・一般質問で、9月27日におこなわれる安倍元首相の国葬について、「閣議決定に対して反対するものではない」とした上で、12日に内閣府から案内状が届き、参列する準備を進めていることを明らかにした。
岡ア誠也・高知市長「国会の議論は様々あるが、国の儀式として故・安倍元首相をお見送りするという閣議決定に対しては、私自身も地方六団体の役員の1人でもあるので、反対するものではない』『国葬儀への参列については、全国市長会を通じて、きのう内閣府から正式に案内状が届いたので、全国市長会の理事として、立谷全国市長会会長とともに、公務として参列するように準備を進めている」
また、当日については、本庁舎で半旗を掲げるものの、職員には黙とうを求めず、庁内アナウンスなどは行わないとした。
●TBS・井上貴博アナ、安倍元首相の国葬へ自民党内からも苦言に・・・ 9/13
TBS系報道番組「Nスタ」では13日、今月27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬について、この日行われた自民党の総務会で「国会での議論無しに閣議決定のみで国葬と決めたのはおかしい」、「さらに費用がかかる」などの苦言が相次いだことを報じた。
この一件を伝えた井上貴博アナウンサーは「これだけ世論が大きく(賛否で)二つに割れているわけですけど、何か安倍元総理の親族の皆さんが一番、不憫に感じてしまうというか、別に求めて国葬をやってほしいと言っていたわけでもないのに、国葬やるって勝手に決まって、そうしたら、今度はやるべきじゃない、ふざけるなって、こんな踏み絵のようになっている…」と発言。
その上で「故人を傷つけているようにさえ感じてしまうんですよね」と話していた。
●安倍氏国葬の差し止め請求、4地裁で却下…「選挙で反映させるしかない」 9/13
安倍晋三元首相の国葬をめぐり、市民団体が閣議決定の取り消しや予算執行の差し止めを求めた仮処分申請について、大阪地裁は却下する決定を出した。決定は9月9日付。東京、さいたま、横浜の各地裁も同様の判断を示している。
裁判長は「閣議決定や国費支出は個々の国民に何らかの受忍を強いるものではない。納税者は税金の使途について具体的な権利を有していない」と指摘し、仮処分の申し立ては法律上の要件を欠いているとした。
国葬の差し止め請求が却下されたことが報じられた9月12日、実業家のひろゆき氏は自身のTwitterでこうつぶやいた。
《安倍元首相の国葬差し止めの却下は4件目。裁判長「納税者は税金の使途について具体的な権利を有していない」まぁ、そういう事です。選挙で反映させるしかないのです》
予算を決めるには国会の承認が必要で、政府が予算を自由に使えるわけではない、という指摘についても、見解を投稿。
《国会議員の半数以上を抑えてるのが自民党・公明党です。野党は国会で文句を言う事はできますが、自民党の提案通りに国会は予算案を通します。そして、自公政権が予算を自由に使います》
さらに、どうしたらいいか提案してほしい、という訴えにはこう答えた。
《4つの裁判所で国葬の差し止めが却下です。裁判官達は安倍元首相の国葬は差し止めるほどの違法性はないと判断しました。国会の過半数を自公政権が抑えているので、国葬を止めるにはテロなどの違法行為しか残ってません。沖縄知事選のように自民党の大敗を積み重ねるのが政府を変える道かと》
「9月5日には、インターネット上で署名活動をおこなっている4つの団体が、安倍元首相の国葬中止を求める約28万人分の署名を内閣府に提出しました。
また、9月12日には、神奈川県の鎌倉市議会が『「国葬」実施の撤回を求める意見書案』を賛成多数で可決。今後、岸田文雄首相と衆参両院議長に提出する予定です。
朝日新聞社が9月10・11日に実施した世論調査では、国葬に『賛成』38%、『反対』56%となるなど、国葬に向けて反対の声は強まるばかり。
国葬を中止にする方法は現状ありませんが、これだけの反対を押し切って強行すれば、岸田内閣の支持率に影響を与えることは免れないでしょう」(政治部記者)
岸田政権は2025年夏の参院選まで大型の国政選挙がなく、「黄金の3年間」を迎えているといわれる。だが、ひろゆき氏が言うように、地方選挙で大敗が続けば、足元から揺らいでいくことは間違いない。
●蓮舫氏「私は、はしたないとは思わない」 安倍元首相の国葬欠席 9/13
立憲民主党の蓮舫参院議員(54)が13日、自身のツイッターを更新した。
「父の親友がまたお1人、旅立たれました。小さい時から可愛がってくれた方です。父がお世話になりました。心から哀悼の意と感謝を」とした蓮舫氏。「一人一人の祈り、弔意は尊いです」とした上で、既に欠席を表明している安倍晋三元首相の国葬を念頭に、次のようにつづった。
「が、国会審議なき国の意思決定は通常のご葬儀とは違います。私は、はしたないとは思わない。感情論などではなく法的根拠の問題です」
蓮舫氏らは招待状の写真をアップした上で欠席を表明。国際政治学者の三浦瑠麗氏(41)は9日、自身のツイッターで「個々の議員が自分宛の招待状の写真をアップして欠席を表明するのは、はしたなく見えるのでやめた方がいいと思いますよ。余計なお世話ですが。ほんとにそんなことしても票は増えませんよ」と個人名こそ明記しなかったが、批判していた。