安倍元総理 暗殺される

安倍元総理
大和西大寺駅前  参議院選挙 応援演説中
銃殺 暗殺される ・・・  無念

とは言え 自民党の裏側 
長期政権  票になるなら 何でもありの闇
パンドラの箱 開けてくれました

山上徹也容疑者に感謝します
できるものなら  せっかくですから 
自民党の大掃除になることを期待しましょう

おまけ
やはり日本には 「商業マスメディア」しかありませんでした
忖度メディアばかり
事件が起きて 目を覚ましました

 


山上徹也 / 7/87/97/10・・・世界平和統一家庭連合創価学会・・・
国内報道 / 7/87/97/107/117/127/137/147/157/167/177/187/197/207/217/227/237/247/257/267/277/287/297/307/31・・・
8/18/28/38/48/58/68/78/88/98/10・・・8/118/128/138/148/158/168/178/188/198/20・・・8/228/238/248/258/268/278/28・・・
海外報道 / 7/87/9・・・
関連諸話 / 7/8・・・
 

 

●事件 山上徹也
 
 
●安倍晋三元首相67歳で死去 奈良で街頭演説中に背後から銃撃 7/8
自民党の安倍晋三元首相が8日、奈良県橿原市の病院で死去した。67歳だった。安倍氏は同日午前11時半ごろ、参院選の街頭演説を行っていた奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説中、元海上自衛隊員の職業不詳山上徹也容疑者(41)に背後から撃たれた。
 
 

 

●山上徹也容疑者犯行前の動きに複数証言「うろうろして様子おかしかった」 7/9
近鉄大和西大寺駅北口で街頭演説中に銃撃され、死亡した安倍晋三元首相。殺人容疑で逮捕された山上徹也容疑者(41)の犯行前の動きが複数の証言により浮かび上がってきた。
男は当初、駅北口の向かい側、北西にあるビルの下で様子をうかがうようにしていたという。演説が始まると横断歩道を渡る形で目の前を2〜3度、ゆっくりと歩くのを目撃されている。現場にいた男性は「うろうろしていて、様子がおかしかった。きょろきょろしているようにも見えました」と明かした。
演説が行われていたのは、駅前ロータリーから続く横断歩道の中央付近にある一角。安倍元首相が登壇する頃になると、男は当初いたビルの下とは反対側、駅ロータリーのバス停付近に移動した。同元首相からは死角になる場所だった。
近くにいたという女性によると、安倍元首相が登壇すると男は拍手をしていたという。演説が始まり、1〜2分が経過すると、バス停付近から歩いて安倍元首相の背後に近づいた。
60代女性によれば「道の真ん中に立ち、安倍さんの後ろから至近距離で大きな銃のようなものを構えた」。別の女性は「カバンから大きな双眼鏡のようなものを出したと思ったら、花火が打ち上がるような大きな音がした」。10代男性は「1発目の発砲が聞こえると、安倍さんがよろめくような感じになった。2発目の音が鳴ってすぐに倒れた」と当時の状況を説明した。
発砲された瞬間に白煙が上がり、炎のようなものが見えたとの証言もある。
現場は悲鳴とともに、拡声器で「看護師の資格を持っている人はいませんか」「早く救急車を呼んで」という声が響き、騒然とした雰囲気に包まれた。
●山上容疑者は県内有数の進学校出身…将来は「わからん」 7/9
奈良市内で参院選の街頭演説中に安倍晋三・元首相(67)が銃撃され、死亡した事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された元海上自衛官の無職山上徹也容疑者(41)は、今年4月半ばに当時の仕事を休み、そのまま退職していた。自宅からは手製の銃数丁が見つかり、奈良県警はこの前後には銃を手作りするなど準備を進めていた可能性があるとみている。最近は周囲と交流がなかったといい、県警は動機の全容解明を急いでいる。
山上容疑者は奈良県内有数の進学校である県立高校出身。同級生によると、休み時間に友人と談笑するなど、「どこにでもいる高校生」という印象だったという。卒業アルバムには笑顔の写真が収められ、生まれた時の体重が記されている。自分の将来については「わからん。」と書かれていた。
山上容疑者は1999年に高校を卒業した後、2003〜05年、海上自衛隊に所属。この頃に銃に関する知識を得たとみられる。
20年10月から今年5月までは、京都府内の工場に派遣社員として勤務し、フォークリフトで倉庫の荷物を運ぶ仕事をしていた。工場の関係者によると、仕事ぶりはまじめで、トラブルもなかったが、口数は少なく、同僚との交流もほとんどなかった。4月半ば頃に「体調が悪い」と言って職場に来なくなり、その後、本人の意向で退職した。その際、「次の仕事は決まっていない」と話していたという。
元同僚の50歳代の男性は「昼食時、他のみんなが食堂に行く中、いつも車の中で一人で食べていた。人間関係を築くのが苦手なのかと思っていた」と話した。
山上容疑者の実家は奈良市内にあり、母親と兄、妹と暮らしていた。父親はすでに亡くなっているという。
「自宅から物音」
事件時は現場から約3キロ離れた同市内のマンションで一人暮らしをしていた。
隣室に住む50歳代女性によると、山上容疑者は会った際にあいさつするなど、まじめな印象で、朝は自転車で外出し、夕方や夜に帰宅していたという。
しかし、2週間ほど前から山上容疑者の自宅から「カチャカチャ」と金属で作業をするような音がよく聞こえてきたといい、女性は「何をしているか不審に感じていた」と話していた。
県警による自宅の捜索は8日午後5時過ぎから6時間以上にわたって行われた。自宅はワンルームで、県警は手製の銃数丁やパソコンなど数十点を押収。実家も捜索し、ノートや書籍など数点を押収した。
自宅の捜索では「爆発の可能性がある」として、県警の爆発物処理班が出動。防弾チョッキや盾などを装備して室内に入り、周辺住民に避難を呼びかけ、騒然となった。県警が確認した結果、爆発する可能性があるものはなかったという。
県警は、山上容疑者が自宅で銃を作っていたとみており、火薬などの入手ルートの確認を進めている。
●安倍元首相銃殺の山上徹也の“意外な青春時代”と“事件直前の異変” 7/9
《安倍元首相銃撃》「家を全然出たがらない子だった」「挨拶しても俯いたり、目をそらす」“計画的な犯行”で元首相を銃殺した山上徹也容疑者(41)の“正体”とは から続く
「名前が徹也なので、中学校時代は親しみを込めて『こてつ』と呼ばれていました。バスケットボール部に所属して運動神経も良く、県内随一の進学校に行けるほど頭も良かったようです。そんな子が日本を揺るがすこんな大事件を起こすなんて……」(山上容疑者の知人)
7月8日に近鉄大和西大寺駅前で応援演説のため壇上に登った安倍晋三元首相(67)が背後から狙撃され、死亡した事件から一夜が明けた。犯行直後、殺人未遂容疑で逮捕されたのは、現場からほど近いマンションに1人で暮らす、山上徹也容疑者(41)。
あまりに唐突な悲報に国内外からは悲嘆と驚きの声があがるなか、謎に包まれた山上容疑者の素顔が徐々に明らかになってきた。
山上容疑者が“危険人物”になった時期
すでに報じられているように、山上容疑者は2002〜2005年までの約3年間、海上自衛隊の任期制自衛官を務めていたとされる。8日夜に行われた家宅捜索では、奈良市大宮町の自宅から手製の銃数丁と爆発物が押収され、住民退避が促されるなど、山上容疑者は一見して分かりやすい“危険人物”のように見える。
山上容疑者の印象について、近隣住民からは「挨拶も返さなくて不愛想だった」という声があがる一方、学生時代の山上容疑者の知人たちは、こうした最近の姿とのギャップに驚きを隠せないようだ。
「山上くんは小学校の時、よく遊びましたよ。近所でかくれんぼをしたり、公園でキックベースをしたり、コインランドリーに置いてある少年ジャンプを一緒に読みに行ったこともありましたね。家にもお邪魔したことがあって、一緒にファミコンでマリオをやりました。お母さんも感じの良い優しい方で、遊びに行くと麦茶を出してくれたのを覚えています。おとなしい子でしたが、こんな事件を起こすような人物には見えませんでした」(小学生時代の友人)
別の小中学校時代の同級生も「とにかく頭がよかった」と証言する。
「成績は常にトップ。テストも上位常連組でした。授業中、難しい問題を解説するために先生から指名されることもよくありました。時には勉強しているのか、分厚い本を休み時間に読んでいることもありました。かといって運動音痴でもなく、むしろ休み時間には友達と校庭でドッジボールをしている姿をよく見かけました。
制服をきちっと第一ボタンまでしめるような真面目な生徒で、いつも清潔感がありました。彼女がいるとかは聞いたことなくて、むしろそういったことに興味がないように見えました。でも女子から嫌われるなんてことはなかったと思います」
山上容疑者のあだ名は小学校時代から「こてつ」。中学に進むとバスケットボール部に所属し、活発な学生時代を過ごし、奈良屈指の名門進学高校に進学する。中学時代の成績も良く、文武両道の学生生活を送ってきたようだ。
山上容疑者の高校時代の知人も、学生生活を謳歌する姿を思い、驚きの声を隠せない。
「『団長』と呼ばれる良い子がいる」山上容疑者の学生時代
「私は山上くんよりも1年先輩でしたが、先生が山上くんのことを『「団長」と呼ばれているすごく良い子がいる』と授業中に紹介していたことを覚えています。彼は応援団に所属していたんです。山上くんは背が低く小柄で『デコボコな身長差のなかで他のメンバーに負けずに頑張っているな』という印象が残っています。山上くんはきびきびと動いていたので、さすが伝統校だなと誇りに思いました。自衛隊員だったという過去はしっくりときましたね。
うちの野球部は1998年の春の選抜に出場し、“平成の怪物”松坂大輔さんを擁する横浜高校と対戦しました。公立高校でありながら全国でも勝ち進んだのは快挙で、学内の生徒は皆喜んでいました。結果は完敗でしたが、山上くんもあの場で精いっぱい声を張り上げ応援していたでしょうし、当時の野球部員は全員彼のことを覚えていると思います。青春時代を共に過ごした人間として、記憶に残っています」
順風満帆な学生時代を過ごしてきた山上容疑者が、転落したきっかけは何だったのか。山上容疑者が幼い頃に住んでいた家の近隣住民はこう明かした。
「元々の家庭環境は悪くなかったと思いますよ。山上容疑者の祖父は建設関係の会社を経営していて、ゴルフ好きの上品な育ちの良いおじいさんという印象です。お父さんも知的な雰囲気があり、高級車スカイラインに乗っていました。お母さんもスラっとした気品のあるお嬢さんというイメージがあって、全体的に上品な一家だったと思います。
お父さんは若くして不幸な死を遂げ、その後、頼みにしていたおじいさんも亡くなってしまった。お母さんは結局、山上容疑者と妹の2人を連れて家を出て行ったのですが、その際に『宗教に入りたい』と私に相談してきたことを覚えています。身内の不幸が重なり、深刻な悩みを抱えていたのだと思います」
捜査関係者によると、山上容疑者は「母が宗教団体にのめり込み恨みがあった」「家を破産させられた」と動機を供述しているという。
学生時代から山上容疑者は母親と同居を続けていたようだが、こうした経済的な要因が引き金となり、最近になって現在の奈良市大宮町のマンションで一人暮らしを始めていたようだ。
山上容疑者の知人が語る。
「そしたらオマエがやれや」事件前に起きた“異変”
「3月頃にお母さんとお話した時、寂しそうにされていましたね。『今は一人暮らしになってしまった』とボヤいていました。15年前に引っ越してきてずっと息子さん(山上容疑者)と一緒に住んでいましたが、突然、歳を重ねた後に一人暮らしになったので喪失感を覚えたのだと思います。原因が宗教にあるとは、当時は知りませんでしたが……」
一人になった山上容疑者もまた、孤独を抱えていたのかもしれない。直近の勤務先である京都府の工場責任者が山上容疑者の“異変”について明かす。
「もともとフォークリフトの資格者の求人をしたところ、派遣会社から派遣されてきたのが山上容疑者です。敬語が使えて社会人として良識のある人という印象で、会社で働き始めた当初は遅刻や無断欠席、トラブルなどを起こすタイプではありませんでした。口数は少なく、昼食も自家用車のなかで1人で食べていましたが、仕事には真面目でした。
しかし、約半年後の2021年4月に指示通りの手順で仕事をしなくなり、上司が指導したことがありました。2021年10月にも再び手順を守らなかったため、上司が叱責すると『なんでこんなやり方をしなければいけないのか』と反論。2022年1月には出入り業者のトラックへ荷物を積み込む際、『このやり方でも崩れない』と緩衝材を挟む作業を勝手に省くなどまた指示を無視し、トラック運転手と口論になっています」
山上容疑者は徐々に自己中心的な振る舞いをすることが増えていった。2022年3月には、注意をする同僚に対して「そしたらオマエがやれや」などと反抗的な態度をとったこともあったという。
「2022年4月中旬頃から『体調不良』といって、何日も休むようになりました。その後、ゴールデンウイーク前に『退社したい』という申し入れがあり、有給休暇を消化して5月15日付で退社したのです。
しかし、あんな事件を起こすとは思いませんでした。とにかく今は驚いています」
“普通の学生”だったという山上容疑者は、どのような気持ちで銃を作り、世間を揺るがす日を迎えたのだろうか。真相解明の時が待たれる。
●山上徹也の供述 「母が宗教のめりこみ家庭生活がめちゃくちゃになった」 7/9
安倍元総理大臣銃撃事件で、現行犯逮捕された奈良市内の容疑者の自宅前から最新情報です。
山上容疑者の自宅マンションには、9日午後2時すぎに捜査員が訪れ、事件との関連は分かっていませんが、シルバーバイク1台を押収する様子がみられました。
8日は、家宅捜索の際に「爆発の危険性がある」として、住民が一時避難しましたが、9日は、目立った混乱は起きていません。
奈良県で選挙応援中の安倍元総理大臣が銃で撃たれ、死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者は、警察の調べに対し「宗教団体のメンバーを狙おうとしたが、難しいと思い、安倍元総理を狙った」などと供述していることが、新たに分かりました。
宗教団体については「母親が団体にのめり込み、多額の寄付をするなどして家庭生活が、めちゃくちゃになった」などと話していて「宗教団体のメンバーを狙おうとしたが、難しいと思い、安倍元総理を狙った」という趣旨の供述をしているといいます。
また、奈良県警によりますと、山上容疑者は自宅の最寄り駅、近鉄電車の新大宮駅から事件現場近くの大和西大寺駅まで、電車に乗って移動していたことが、防犯カメラで確認されたということです。
問題となっている警備体制については、今後の警備に支障をきたすとして、奈良県警は詳しい説明を避けていますが「問題があったかについては確認を進める」としています。
一方、山上容疑者が今年5月まで勤務していた工場の責任者が、NNNの取材に応じ、当時の勤務態度などについて語りました。
山上容疑者が勤務していた工場の責任者「働き始めて半年くらいは、非常におとなしくて良好な勤務態度だったという報告を受けていまして、ただ半年くらいたったころから、作業を手順通りに行わないという事例が散見されるようになって、それを注意しても、なかなか聞き入れてくれない。厳しく叱責すると反抗的な態度をしめすようになった。徐々になれてくるに従って、わがままな態度をしめすようになった」
山上容疑者は今年4月、体調不良を理由に退職を申し出たといい、5月に会社を辞めたといいます。
午後6時から、奈良県警の本部長が記者会見を開くということが、先ほど、発表されました。警備体制や事件の概要について話しをするとみられます。
●「母親が宗教団体にのめり込み恨み、安倍元首相がつながっていると」動機 7/9
安倍晋三元首相が奈良市での参院選の街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された元海上自衛隊員の無職山上徹也容疑者(41)が、「母親が宗教団体にのめり込み恨みがあった。団体と元首相がつながっていると思ったから狙った」という趣旨の供述をしていることが9日、捜査関係者への取材で分かった。事件前に元首相の別の遊説先にも行ったという趣旨の供述をしていることも判明。奈良県警は動機の解明を急ぐ。
県警は、司法解剖の結果、首と左上腕部の計2カ所に銃弾が命中した傷があったと明らかにした。現場では2回の銃声が確認されており、県警は発射された銃弾の数や構造、入射角度などを詳しく調べる。
山上容疑者が、当初は宗教団体の幹部を襲撃しようとしていたとの趣旨の供述をしていることも捜査関係者への取材で判明。一方で、山上容疑者は元首相に対する殺意があったと認めており、県警は結果的に元首相を銃撃対象とした経緯について調べている。
県警によると、死因は「左上腕部射創による左右鎖骨下動脈損傷にもとづく失血死」。左上腕部を撃たれて動脈を損傷したことが原因だった。搬送先の病院は8日、首に銃創が2カ所あったと説明していたが、県警は首のもう1カ所の傷については、銃弾によるものかは分からないと説明している。
山上容疑者が背後から近づき、数メートルの至近距離から銃撃したことも分かった。県警は強い殺意があったとみている。
元首相の遺体を乗せた車は9日早朝、司法解剖を実施した奈良県内の病院を出た。東京に向かうもよう。
県警は9日、山上容疑者の自宅で発見された爆発物の可能性がある物について、調査した結果、危険性はないと判断したと明らかにした。
山上容疑者は調べに対し「特定の団体に恨みがあり、元首相と団体がつながっていると思い込んで犯行に及んだ。政治信条に対する恨みではない」と供述している。
県警は8日、山上容疑者を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。容疑を殺人に切り替えて捜査している。逮捕容疑は8日午前11時半ごろ、奈良市西大寺東町の路上で、街頭演説をしていた元首相に、銃のようなもので発砲して殺害しようとした疑い。
●母親が宗教団体の信者「多額の寄付で破産」「絶対に成敗」… 7/9
自民党の安倍晋三・元首相(67)が奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃され、殺害された事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)容疑者が奈良県警の調べに、特定の宗教団体の名前を挙げて「恨みがあった。団体のトップを狙うつもりだった」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。
安倍氏を狙った動機について、「トップとの接触が難しく、(安倍氏が)団体とつながりがあると思った」と述べている。
山上容疑者は「母親が(この宗教団体の)信者で、多額の寄付をして破産したので、絶対に成敗しないといけないと思っていた」とも話しており、県警が確認を進める。
●安倍元首相を撃った山上徹也が供述した、宗教団体「統一教会」の名前 7/9
安倍氏と統一教会の接点
安倍晋三元首相(享年67)を街頭演説中に銃撃し、殺害した山上徹也容疑者(41歳)の供述が、少しずつ明らかになってきている。大手メディアが報じない供述の内容を、以下、明かそう。
山上容疑者は「宗教団体のメンバーを狙おうとしたが、難しいと思い、安倍元総理を狙った」と報じられてきたが、この宗教団体は、旧・統一教会(世界平和統一家庭連合)である。かねてより霊感商法や集団結婚で話題になってきた新興宗教だ。
山上容疑者は「自分の母親が統一教会の信者で、安倍晋三が統一教会と親しいと知って狙った」と供述している。
なぜ山上容疑者は、統一教会と安倍氏と接点があると考えたのか? 統一教会系の政治団体「国際勝共連合」は、1968年に創設された保守系グループであり、自民党の保守系議員とも密接な関係があると言われる。ネット上では、かねてより安倍氏と勝共連合の関係が取り沙汰されてきた。
統一教会と敵対関係にある日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」では、昨年9月12日、旧統一協会系の天宙和連合(UPF)の集会に安倍氏がオンラインで出席し、「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」と発言した模様を報じている。
保守系政治家の雄であった安倍氏と統一教会との接点は、かねてより永田町関係者では公然の秘密だった。たとえば安倍氏と近いある参議院議員の場合は、「統一教会丸抱え」と言われるほどの密接の関係にあり、統一教会幹部も「あの議員はうちの票で当選できている」と認めるほどだった。
山上容疑者の自宅では拳銃2丁以上が押収され、爆破物を複数製造していたことも明らかになった。自宅のワンルームは火薬の匂いが立ち込め、さながら町工場のように、爆発物などの製造に使う薬品、鉄くずなどが散乱していたという。
「もともと爆発物で安倍氏を殺害しようとして製造したが、これでは無理だと銃に変更し、今年の春には完成させたと供述している。
今回使用した銃は、2つの鉄パイプを粘着テープでつないだものだった。二度発砲ができるもので、激しい殺意が見られる。山上容疑者も、殺害するつもりだったと物静かに語っている」(捜査関係者)
20年前の母親の破産
「統一教会と安倍が親しいので狙った。殺してやると銃を持ち出した。ネットで毎日、参院選の予定を調べていて、奈良にきたのでチャンスだと思った」「政治的な意味合いで狙ったのではない」「自宅でこれまで、拳銃、爆発物など複数作っていた。インターネットなどから、調べて作った」
などと山上容疑者は供述しているという。なぜ統一教会に恨みを燃やしたのか、今のところは供述からは明らかになっていない。
ただ山上容疑者の母親がかつて統一教会の信者であり、大量の寄付をしていたこと、おそらくはそれが理由で2002年8月21日に破産宣告を受けていることが明らかになっており、家族が崩壊したことへの何らかの恨みを統一教会と安倍氏にぶつけた可能性がある。
捜査関係者が語る。
「母親は熱心な統一教会の信者で、今も現役のようだ。山上容疑者は母親と統一教会の関係が家庭崩壊につながったと憎悪を募らせ、犯行に及んだと供述している。母親については調べを進めているが、かなり熱心な信者であったとみられる。
犯行前日には、安倍氏が岡山県で演説をすると知り、追いかけて行っている。パソコンやスマホには拳銃、爆発物を検索した履歴がかなりある。計画的な銃撃とみられるが、意味が通じない供述もある」
自民党幹部は語る。
「最大派閥、安倍派を牛耳る安倍氏が亡くなった、次のリーダーがはっきりしない安倍派は迷走するかもしれない。これまで安倍派だった下村博文、西村康稔、世耕弘成、萩生田光一といった有力者は、みな安倍氏がいるから大人しくしていた。だが、その軛が外れると大変だ。
岸田政権の誕生は安倍氏と麻生氏のタッグのおかげだったが、そこにひびが入れば、岸田氏もウカウカしていられない状況になる。参院選は安倍氏の銃撃で同情票がくるので圧勝だろうが、党内抗争になる可能性がある」
不安のおさまらないなか、10日の投開票日はどうなるだろうか。
 
 

 

●親の宗教で悩み相談 山上容疑者、同僚に―安倍元首相銃撃 7/10
安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)は、海上自衛官だった約20年前、親の宗教活動に関する悩みを同僚に打ち明けていた。逮捕後、特定の宗教団体への恨みについて供述しており、長期にわたる苦悩が逆恨みに転じた可能性がある。
山上容疑者は任期制自衛官として2002年に採用され、05年に3年間の任期を満了し除隊した。防衛省関係者は「親の宗教関係で悩んでいたみたいだ」と語る。同容疑者は同僚に悩みを相談し、きょうだいの心配もしていた。ただ印象が薄く、当時の同僚らで覚えている人は少ないという。
幼少期を過ごした家の近隣住民らによると、山上容疑者は子どもの頃に父親を亡くし、その後は母親、きょうだいと暮らした。実家の近所に住む男性(55)は、妹らとボールなどで遊ぶ幼い同容疑者の姿を思い出し、「ごく普通の家庭で育った子。どうしてこんなことになったのか知りたい」と首をひねった。
進学した奈良市の中学校ではバスケットボール部に所属。目立たず、おとなしいタイプで、「こてつ」というあだ名で呼ばれていた。卒業後は奈良県大和郡山市内の県立高校に進み、応援団に入った。卒業アルバムには将来の夢について、「わからん」と記していた。
山上容疑者の現住所は奈良市内の8階建てマンション。住民の60代女性は「すれ違った時にあいさつしたら、あいさつも返ってこないし、会釈もなかった。すごく悩んでいるように見えた」と振り返った。同じ8階に住む会社員の男性(55)は「去年の秋ごろ、電動工具の音がうるさいことがあった」と話す。同階の60代男性もこの1カ月の間に、「ギコギコ」とのこぎりで切るような音を耳にしたという。 
●安倍元首相銃撃の山上容疑者 “統一教会で家庭崩壊“… 7/10
「私は、畳の上で死ぬことはないでしょう」
7月8日に兇弾に倒れた安倍晋三元首相(享年67)は、長年にわたり安倍家を取材してきたジャーナリストの野上忠興氏にこう語っていたという。
その言葉が現実のものとなってしまった。奈良県で安倍元首相を銃撃したのは、県内に住む無職の山上徹也容疑者(41)。2002年8月から3年間、海上自衛隊に所属し、射撃の訓練を受けていた。
抵抗することなく逮捕され、「特定の宗教団体に恨みがあった」と供述している山上容疑者。その実家はかつて、奈良市内の閑静な住宅街にあった。この家は1999年に人手に渡っており、現在では山上容疑者を知る人はほとんどいない。近隣の住民が語る。
「(山上容疑者の母である)A子さんが実家のあったここに戻ってきたのは、徹也くんが4、5歳のころでした。夫が若くして亡くなったからです。実家は建設業を営んでいましたが、その後A子さんの父親も亡くなり、またよそへ引っ越していかれました。
ここに暮らしていたときも、徹也くんの姿は、まったくといっていいほど見かけませんでした。その下の妹さんはよく見かけましたが……」
その後、山上家は奈良市の西大寺に引っ越していったという。今回、山上容疑者が安倍元首相を銃撃した土地だ。
山上容疑者と中学校の同級生で、同じバスケットボール部に所属していた男性が語る。
「中学時代の山上は、“こてつ”や“こてっちゃん”と呼ばれていました。小柄でバスケは未経験でしたが、とにかく努力家でした。正月以外は休みがないような厳しい練習に耐え、70〜80人いた部員のなかで、山上は3年生のときに12人のベンチ入りメンバーの座を勝ち取ったんです」
バスケットコートを離れた山上容疑者は、打って変わって物静かな優等生だった。
「山上は、勉強はできましたね。授業中はボーッとしているけれど、テストでは高得点を取るタイプで、当時流行っていた漫画『スラムダンク』だけは熱心に読んでいました。
女のコにモテていた記憶はありません。いじめに加わったり、逆にいじめられたりするタイプでもなかったです。話し方はゆっくりで、関西人っぽくボケるようなこともありませんでした。ただ、一人称が『ワシ』とか『オイ』だったことが印象に残っています」
そんな山上容疑者が、“豹変”したことを、男性はよく覚えているという。
「ふだんの山上は、めったに自己主張をすることはありませんでした。ところが3年間で一度だけ、部活の運営をめぐって、部内で意見が対立したことがあったんです。
全員が反対意見だったのに、彼は最後まで自分の信念を貫きました。ふだんの山上のキャラとのギャップに、当時は非常に驚きましたね」
山上容疑者はその後、大和郡山市にある県立高校に進む。最新の入試データでは、偏差値68を誇る進学校だ。
「山上くんは応援団に所属していました」(同級生の父親)
高校卒業後に海上自衛隊での勤務を経て、2022年4月には人材派遣会社を退職している。
山上容疑者が暮らしていたのは、家賃3万5000円で間取り1Kのマンションだった。
「銃撃事件の2、3週間前のことです。山上容疑者が所有するSUV車をマンションの駐車場内の別のスペースに停め、荷物の積み下ろし作業をしていました。
そのことを同じマンションの住民が注意すると、山上容疑者は大声で『ちょっとだったらええやろ!』と怒鳴り散らしたんです。近所の店舗からも様子を見にくる人がいたほどの、すごい剣幕でした」(近隣住民)
一方、山上容疑者に誘われて西大寺の飲食店で食事をしたことがあるという男性は、山上容疑者からある悩みを打ち明けられていたという。
「これまでに3回ほど、安い居酒屋でおごってもらったことがあります。ふだん山上さんは、自分のことをほとんど話しません。
しかしその日は、『自分の家族が統一教会に関わっていて、霊感商法トラブルでバラバラになってしまった。統一教会がなければ、今も家族といたと思う』と語りはじめたのです。
山上さんは続けて、『統一教会は、安倍と関わりが深い。だから、警察も捜査ができないんだ』と、あまり感情を出さない山上さんが、怒りにまかせたように話していました」
統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)の広報に問い合わせると、山上容疑者の母であるA子さんが、同教会の信者であることを認めた。
たしかに、同教団の関連団体が開いた大規模集会に安倍元首相が祝電やビデオメッセージを寄せてきたことは、これまでも本誌や「しんぶん赤旗」などが報じている。しかし、それが安倍元首相を銃撃する理由になるのか。公安関係者が語る。
「親が信じる宗教を押しつけられ、生きづらさを抱える『宗教二世問題』の当事者として、矛先が安倍元首相に向いてしまったことが考えられます。
また、安倍元首相を支援する街宣活動や、銃への信奉でも知られる『家庭連合』の派生団体『サンクチュアリ教会』の設立者・文亨進氏が現在来日していることも、このタイミングでテロを仕掛けた理由なのかもしれません。しかし、捜査が進んでいない現時点では、想像の域を超えません」
山上容疑者の中学の同級生は、こう振り返る。
「山上と政治や自衛隊の話なんてしたことがありません。いま思えば、山上は社会に出てから、自分の信念に反することとぶつかってばかりだったのかな。そうでなければ、こんなことは絶対にやらなかったと思うんです」
山上容疑者の“信念”は、最悪の形で表明されてしまった。 
 

 

●世界平和統一家庭連合  
世界平和統一家庭連合(英語: Family Federation for World Peace and Unification、略称: 家庭連合、FFWPU)は、朝鮮半島のキリスト教の土壌から発生し、文鮮明によって1954年に韓国で創設された新興宗教の宗教団体・宗教法人。旧名称は世界基督教統一神霊協会(せかいキリストきょうとういつしんれいきょうかい、英語: Holy Spirit Association for the Unification of World Christianity)、旧略称は統一教会、統一協会(とういつきょうかい、英語: Unification Church)。
統一教会は宗教学ではキリスト教系の新宗教とされ、文化庁が発行している宗教年鑑ではキリスト教系の単立に分類されている。また、欧米ではカルト宗教であるとされている。1994年5月に名称が変更され、日本では遅れて、2015年8月26日に宗教法人名を管轄している文化庁から改称を認証された。  
●概要​
日本は"エバ国家"で「サタン(悪魔)の国」であるとの反日教義が教えられている。また、エバ国家日本のLGBTや同性婚、夫婦別姓は「生活共産主義」とされ、認めさせてはならないと説いている。文鮮明の教え(教義)の一つとして、文教祖の恨(ハン)を晴らすのは「エバ国家日本をアダム国家韓国の植民地にすること」「天皇を自分(文鮮明)にひれ伏させること」としている。
1978年のアメリカ合衆国下院の報告書では、教団は1961年に大韓民国中央情報部(KCIA)部長の金鍾泌が政治的意図をもって組織し、アメリカや日本で政治工作を行っているとされる。
また、文鮮明は自由民主党の安倍晋三元総理大臣の祖父である岸信介と盟友であり、1950年代から日本の政界と協力していた。岸の自宅付近には統一教会の施設が存在し、そこで岸は交流会や講演会などを行っていた。同教団は現在に至るまで、国際勝共連合等の関連団体あるいはダミー団体を通じて、自由民主党等の保守政治家と密接な関係を保ち続けている。政治家との密接な関係は、教団の宣伝・広報に利用されており、統一協会系月刊誌『世界思想』では、「戦後憲法の終焉」「今こそ日本を取り戻そう」等のフレーズが使われ、安倍晋三元総理大臣の写真が過去複数回にわたり表紙に使われていた。これは後述する「霊感商法」の被害拡大につながると懸念されている。
日本統一教会の初代会長は、反共産主義政治団体国際勝共連合の日本における初代会長久保木修己である。安倍晋三元総理大臣が説いていた国家像である「美しい国」と、久保木修己が説いた「美しい国」との共通点が指摘されている。
欧米ではカルト宗教とみなされており、韓国、日本、米国、ウクライナなどに拠点が存在する。フランスやソビエト連邦諸国などでも活動を広めようとしたが、フランスでは反セクト法により、ロシアではプーチン政権が定めたネオナチ勢力(セクト勢力)に対する対テロ法により、統一教会を安全保障上の問題があるとして規制と監視対象とした。また、イスラエルでの反パレスチナなどの右派勢力に資金援助を行うなど、イスラエル政府にも長年関与している。
米国では、日本人信者を利用して水産会社を興し、全米の中・高級寿司屋向けの鮮魚流通の8割を占めて寿司を広めたりするなど多角的にビジネスを広げ、韓国では財閥組織の扱いを受けており、その巨大な資金力を利用して国際的な政治力も獲得しているが、教団の運営資金の7割は日本が担っており、その原資は深刻な社会問題となっている霊感商法と、法外な献金要求等の信者からの経済的搾取より得られた金である。こうして集められた金は教団の勢力拡大のために日本から韓国やアメリカに送られ、1976年から2010年までの間に日本からアメリカに36億ドルが送金された。
1960年代後半から、学生を狙った反社会的な「原理運動」による家庭崩壊、学業放棄が社会問題となり、霊感商法が社会問題になった1980年代以降、朝日新聞社や『週刊文春』によって大々的な批判キャンペーンが展開されたが、教団側は激しく反発し、信者によるデモなどが行われた。1984年には、世界日報編集長の副島嘉和が教団の反日思想等の実態について、内部告発を行った後に、襲撃を受ける事件が発生。その他にも、教団を批判した人物・マスメディアへの嫌がらせや、教団に関連した不可解な事件が多数発生している。
統一教会は、霊感商法とマインドコントロールを利用した高額な物販と献金に関する問題や、教団が結婚相手を決める合同結婚式、麻薬関連のマネーロンダリングと密輸、統一教会信徒の拉致監禁問題、反共産主義や朝鮮半島の統一の支持、歴史修正主義、反同性婚、反夫婦別姓、反ロシア思想、岸信介政権時代からの自由民主党との関係などの政治との関わりなど、様々な問題で物議を醸している。特に統一教会の布教方法と、高額な献金や財物の購入を強いられることが問題とされ、統一教会を相手に元信者らが札幌地裁に提訴した「青春を返せ裁判」は1987年から2001年までの14年間に及んだ。
全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、判明している分だけで、1987年から2021年までの「霊感商法」による「被害件数」は3万4537件で「被害総額」は約1237億円に上り、物販には壺・印鑑・多宝塔・朝鮮人参濃縮液などが用いられ、その「被害」の高額さから社会問題化している。2000年(平成12年)の広島高裁岡山支部での控訴審では一審を破棄し、統一教会/統一協会の伝道の違法性を認定する全国初の判決が出た。これは日本において、宗教団体による勧誘・教化行為の違法性を認めた全国初の判決となった。
教団は複数の関連団体や関連企業、ダミー団体を有しており、これも正体を隠して勧誘活動を行うのに役立っている。これらの団体は霊感商法等の教団の反社会性が明らかになった1980年代以降に、政治家との関係を秘密裏に保つことにも貢献した。
親世代が統一教会の信者である「2世信者」も社会問題となっている。幼少期から信仰を強要されるなど、ドメスティック・バイオレンス(DV)の状態にあった当時の子供達は、信者や教会からの特定を恐れ、息をひそめ生活せざる得ない等の理由により散在状態になっており、弁護団が救済の為に活動している状態である。「統一教会2世被害弁護団」は今も統一教会による被害は発生し続けているとしており、2022年(令和4年)7月8日に発生した安倍晋三銃殺事件の犯人の動機に関する弁明を行った統一教会による、「2009年以降は全く問題はおきていない」「犯人の母親の寄付額は把握できていない」等とした会見内容は虚偽だとしており、「統一教会と安倍晋三元総理は大して関係が無く、犯人は思い込んだだけである。」とするメディアの報道姿勢や内容も糾弾している。
2012年に亡くなった文鮮明と妻・韓鶴子の7男の韓国系アメリカ人である文亨進は、母親の韓鶴子が父親の教え以上に自らの立場を上位の物にしようとしたとして、韓鶴子との違いを明確に表明した事により対立、2013年には韓鶴子により教会の複数の立場から解任され、文亨進は分家組織である世界平和統一聖殿(通称:サンクチュアリ教会)を、アメリカ統一教会とは別にアメリカ国内にて立ち上げた。統一教会は現在、文亨進のサンクチュアリ教会を「脱会組織」とみなしており、文亨進が主導した統一運動の変革のほとんどは、彼の解任後に却下された。文亨進は有力なトランプ支持者であるとされ、AR-15を重要視する“Rod of Iron Ministries”を率いている事で知られ、2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件にも参加した。
統一教会が大きく成長した最大の戦略的要因として、宗教学者で北海道大学教授の櫻井義秀は、統一教会が国別に機能を特化させる戦略をあげており、「宗教的競争力のなさを、政治・経済部門の事業多角化とグローバルな事業展開で乗り切ったこと」であると述べている。  
●歴史​
朝鮮半島の平安北道定州出身の文鮮明(1920年- 2012年)は、1945年に布教活動を始めた。その後1950年に朝鮮戦争が勃発、1952年に経典の「原理原本」の草稿が完成した。
1954年5月に韓国ソウルで、「世界基督教統一神霊協会」を創設した。なお、名称の「神霊」は、主流派キリスト教における三位一体の聖霊とは関係がない。
1955年、文鮮明が「梨花女子大事件」で逮捕される。韓国マスコミからの総批判を浴びる。
1961年頃、「反共主義」を強調して朴正煕政権との関係を深める。フレイザー委員会の調査によれば、大韓民国中央情報部(KCIA)により「韓国政府機関」として再編された。
1965年に文鮮明一家と幹部たちは、アメリカに宗教・政治的情宣活動の拠点を移し、世界宣教・経済活動を拡大し巨大な統一運動傘下の組織を創設した。韓国の多くの少数派宗教団体とは異なり、朝鮮半島を超えて世界中に普及したという特異性を持つ。世界193か国に支部がある。
日本では、1958年6月に崔奉春(チェ・ボンチュン。通称名西川勝。)が密航し、統一教会を伝えた。崔には立正佼成会が協力し、久保木修己ら約50名の青年信者が転向する。1959年から1965年まで宣教が行われ、同年にアメリカ、イギリスでも布教が行われた。近年は東ヨーロッパと南アメリカで拡大している。
1964年7月16日、日本で宗教法人の認可を受けた。初代会長になったのは元立正佼成会信者の久保木修己だった。同年、「原理研究会」が設立され全国の大学で学生伝道を開始した。世界平和統一家庭連合の総裁は、文鮮明の妻である韓鶴子が就任している(2008年時点)。
元公安調査庁幹部の菅沼光弘は、高橋浩祐の取材に対し、統一教会に入会した人の多くは民青出身だったとしている。
1968年4月、文鮮明が岸信介らの協力を得て反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立した。
1971年、文鮮明は大韓民国籍のまま米国に移住した。
1970年代には、1974年にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、1976年にはニューヨークのヤンキースタジアムで2回、そしてワシントンDCのワシントン記念塔の敷地内で30万人を前に「アメリカに対する神の希望」について講演するなど、米国で次々と公の場で演説を行った。
1973年、自由民主党の岸信介は統一教会開祖の文鮮明に朝鮮半島にて出会い、日本に統一教会を広める切っ掛けを生み出した。文鮮明は岸信介と盟友であり、1950年代から日本の政界と協力していた。岸信介が文鮮明握手した写真は統一教会で「世界でいかに統一教会が認知され、我々の理念が間もなく達成されようとしている。」 といった説明に使われている。
1990年代の前半に霊感商法や合同結婚式で話題になったが、この時代でさえもあまり信者を獲得できていなかった。この合同結婚式によって家庭を持った日本人の信者数は10,000組を超え、2004年時点で統一教会による合同結婚式で韓国人男性と結婚して韓国で暮らす日本人女性信者数も7,000人ほどいる。
1975年、統一教会は韓国の汝矣島で120万人を集めて史上最大の平和的集会を開催した。
1970年代、統一教会は他のいくつかの新宗教運動とともに、反カルト運動のターゲットとなった。活動家たちは、この運動が会員を「洗脳」していると非難した。
1978年、イギリスのタブロイド紙デイリー・メールは、「家庭を崩壊させる教会」という見出しの記事を掲載した。その記事は、統一教会が家族を洗脳し、引き離していると非難するものであった。英国統一教会のデニス・オーム所長は、デイリー・メールとその親会社であるAssociated Newspapersを相手に名誉毀損訴訟を起こし、英国法史上最長となる6ヶ月の民事訴訟となった。オーム所長と統一教会は、名誉毀損訴訟、控訴審で敗訴し、貴族院への提訴も拒否された。元の裁判では、アメリカの反カルト精神科医マーガレット・ターラー・シンガーを含む117人の証人の話を聴取した。原審では、統一教会はAssociated Newspapersに75万ポンドの費用を支払うよう命じられたが、これは控訴後も維持された。原審の陪審員は関連新聞社に費用を与えただけでなく、法務長官に統一教会の慈善団体としての地位を再調査するよう要請し、1986年から1988年までの長期の調査の後も解任されなかった。ジョージ・クリシデスによれば、英国にいた統一教会の500人のフルタイム信者の約半数が米国に移った。統一教会は判決の後、12の主要な教会センターのうち7つを売却した。ドイツのような国の他の反カルト主義者は、ロンドン高裁の判決を法律に組み入れようとした。統一教会は、デイリー・テレグラフ紙に対する同様の裁判を含め、英国で他の名誉毀損や誹謗中傷の裁判に勝利している。
1982年、文鮮明は米国で虚偽の連邦所得税申告と陰謀の罪で有罪判決を受けた:United States v. Sun Myung Moonを参照。彼はコネチカット州ダンベリーの連邦刑務所で13ヵ月間服役した。起訴・収監された際には、キリスト教右派団体やバプティスト教会、全米黒人カトリック聖職者会などの牧師が、文鮮明の無罪と釈放を要求するデモを行った。この事件は、モラル・マジョリティー代表のジェリー・ファルエル、南部キリスト教指導者会議代表のジョセフ・ローリー、ハーバード大学神学教授のハーヴィ・コックス、アメリカ合衆国上院議員で元民主党大統領候補のユージン・マッカーシーなどから、選択的起訴であり信仰の自由への脅威であると抗議を受けた。
1980年代から、文鮮明は統一教会のメンバーに「家庭教会」と呼ばれるプログラムに参加するよう指示し、公共サービスを通じて隣人や地域住民に手を差し伸べるようにした。
1982年、文鮮明はアメリカで脱税の罪で懲役判決を受けた。
1984年、日本統一教会元幹部、副島嘉和と元営業局長井上博明が連名で、文藝春秋1984年7月号に「これが『統一教会』の秘部だ―世界日報事件で『追放』された側の告発」という18頁に渡る手記を暴露発表したことで、初めて日本国内の一部に統一教会の暗部が露見した。
1984年6月10日頃には全国の店舗に並んだが、その直前の1984年6月2日夜、副島が帰宅途中に何者かに襲撃され、全身を刺され瀕死の重傷を負った「副島襲撃事件」が発生した。襲撃事件時、世界日報の元記者が副島の自宅に偶然おり、副島が瀕死の状態で自宅にたどりついた時の様子を証言している。副島は全身を刺され、最も深い物で刃渡り15pまで到達していたが、心臓からわずかに2センチメートル外れており、また世界日報の別の記者が事件直後にたまたま副島の自宅を訪ねており、救急車に担ぎ込まれた事により副島は奇跡的に生還した。副島らは、この襲撃事件前後の統一教会との確執に関して原稿を書き『週刊文春』に持ち込んだが採用されなかった。また、マスコミも襲撃事件を言論事件として取り上げようとするところはなかった。副島らは孤立無援の状態で統一教会の告発を続けたが、さまざまな事情によりグループから脱落者が出て、それを続けることは難しくなっていた。偶然ではあるが、1984年秋から『朝日ジャーナル』が統一教会、霊感商法の批判キャンペーン記事を掲載しはじめたため、副島らが始めた統一教会批判は実質的には『朝日ジャーナル』へ引き継がれることになった。この襲撃事件は殺人未遂事件としてではなく、傷害事件として捜査された。
1990年代、ソビエト連邦で活動を開始したが、ロシアを含む多くのポスト・ソビエト諸国の宗教当局は統一教会を安全保障上の問題があるとして規制と監視対象とした。
1991年、文鮮明は、統一教会員が故郷に戻り、そこで使徒的活動を行うべきであると発表した。新宗教運動の研究者であるマッシモ・イントロヴィーニュは、このことは運動のメンバーにとって、もはやフルタイムの信者が重要であるとは考えられないことを確認したと述べている。同年6月2日、「副島襲撃事件」は犯人を特定できないまま公訴時効を迎えた。
世界平和統一家庭連合(1994-)​
1994年5月1日(統一教会創立40周年)、文鮮明は統一教会の時代が終わったことを宣言し、新しい組織を発足させた。統一教会のメンバーと他の宗教団体のメンバーが共通の目標、特に性的道徳や異なる宗教、国家、人種の間の和解の問題に向けて働く「世界平和統一家庭連合」(FFWPU)であった。FFWPUは祝福式を共同主催し、他の教会や宗教の何千ものカップルに、以前は統一教会のメンバーだけに与えられていた結婚の祝福が与えられた。
2000年、FFWPUは、ワシントンD.C.で行われた家族の結束と人種的・宗教的調和を祝う集会「100万家族行進」を、ネーション・オブ・イスラムとともに共催した。2000年10月16日、同じくルイ・ファラカンが主催した100万人行進の5周年記念日に開催され、ファラカンがメインスピーカーとして登壇した。FFWPUの指導者であるダン・フェファーマンは、ファラカンと文の見解は複数の問題で異なっているが、「神を中心とした家族」という見解は共有していることを認める手紙を同僚に送っている。
2003年、韓国のFFWPUのメンバーは、韓国で「神と平和と統一と家庭のための党」という政党を立ち上げた。新党の発足宣言では、神と平和について国民を教育することによって、朝鮮半島の統一を準備することに重点を置くと述べている。FFWPUのある幹部は、日本や米国でも同様の政党を立ち上げると述べた。FFWPU関連の万国平和連合会の中東平和構想は2003年から、ユダヤ人、イスラム教徒、キリスト教徒の間の理解、尊敬、和解を促進するために、イスラエルとパレスチナの団体ツアーを開催している。
2009年、コンプライアス宣言を行う。これは、印鑑販売会社「新世」の社長らが霊感商法で逮捕された事件の裁判のなかで、統一教会との関連性が一部認定されたことを受けたものである。
2012年2月の始め、旧ソビエト国家であるキルギスでは、キルギス国家保安委員会、キルギス検察庁、および州宗教問題局が、統一教会の活動が適切な登録なしに非伝統的な宗教的見解を強制的に広めることにより、キルギスの国家安全保障に脅威を与えたと主張。裁判所に苦情を申し立てた。ビシュケク裁判所は、キルギスの領土での統一教会の活動を実質上不可能とする判決を下した。
2012年には開祖の文鮮明が死去し、妻の韓鶴子が組織全体の責任者となったが、「家庭連合幹部と母親韓鶴子女史が、後継権を奪い、韓鶴子女史が自ら教主となり、相続権を奪われた」と主張する七男の文亨進派と分裂した。
その後、文亨進は、サンクチュアリ教会を設立した。そして、文亨進は家族連合(韓鶴子率いる統一教会)と裁判で争い(『統一マーク使用権訴訟』)、勝訴した。
サンクチュアリ教会の掲げる主張は統一教会とは異なり、「全能の神が与えた権利によって武器を持ち、民が互いと人類の繁栄を守ることのできる平和の警官、平和の兵士の王国」と銃賛美の宗教となっている。同年には札幌地裁により、違法な布教活動、伝道や献金を強いたとして布教活動を違法とする判決が下された。
韓鶴子は、現在のこの運動のリーダーであり、公的なスポークスパーソンとして活動している。2019年、日本での集会で講演し、環太平洋諸国間の理解と協力の拡大を呼びかけた。2020年、家族連合主催の朝鮮半島統一のための対面・仮想集会で講演し、約100万人の参加者を集めた。
2020年、潘基文前国連事務総長が鮮鶴平和賞を受賞し、100万米ドルの賞金を授与される。
2021年、統一教会の関連団体が主催するイベント「希望の結集(Rally of Hope)」でドナルド・トランプと安倍晋三が演説を行った。統一教会は、安倍の祖父で元首相の岸信介や、安倍の父で元外相の安倍晋太郎と関係がある。
2022年2月24日からのウクライナ侵攻後、ウクライナの家庭連合会長アーニャ・カルマツカヤは、「ウクライナは人類の平和、自由、人権の為に戦っている」とメディアやSNS上などを通じてウクライナ愛国心と反ロシア思想を世界へ向けて説いている。
2022年7月8日、安倍晋三元首相が奈良市で暗殺されたが、犯人は、安倍が統一教会と強い関係性があると主張し、統一教会への恨みを晴らすために安倍を銃撃したと動機を説明しているとされる。  
●政治思想・政治活動​
オウム真理教などの宗教問題を専門とするジャーナリスト出身の有田芳生は、統一教会の本質について、「多国籍企業を上回る準軍事的な国際政党」「宗教という仮面をかぶった経済=政治複合組織である」との見解を示し、その活動は日本、韓国、アメリカ合衆国をはじめ、世界を股にかけるものとしている。
1978年に公表された米下院のフレイザー委員会報告書では、「厳格な規律をもった国際政党の特徴を備えている」と評価されており、教団の最終目的を、教祖の文鮮明を頂点とする「世界的な政教一致国家を樹立すること」だと断定している。教祖の文鮮明本人は「現人神である自分を中心とする神国政治を創る」と言っていたとされる。
神田外語大学の民族主義運動の専門家であるジェフリー・J・ホールは、統一教会は冷戦時代に後に安倍派となる岸派と協力していたことを指摘しており、無償のボランティアの提供は、選挙において価値を発揮したと述べている。
2022年7月8日に発生した安倍晋三銃撃事件後の同年7月19日、統一教会元会長郭錠煥は記者会見にて、「(創設者の故)文鮮明総裁は(安倍氏の祖父の)岸信介元首相と近かった。(父の)安倍晋太郎元外相とも近かったと承知している」と指摘した。
全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長代行を務める紀藤正樹によると、統一教会の信者は自民党の応援団として選挙活動などにも駆り出されているが、2012年(平成24年)に発足した第二次安倍政権以降、国会議員が統一教会の行事へ公然と参加するようになった。統一教会との関係を深めると大臣などへの出世が早まる事が認知され、自民党議員らは教会からの寵愛を受けるために統一教会のイベントに参加するなど関わりを深めていった。統一教会との関係を問題視している自民党議員も一部存在はしたが、彼らは党内での発言権は弱く、出世コースからは事実上外されている。信者は自由民主党への投票を求められる事を、統一教会2世の被害者が語っている。
統一教会2世被害者弁護団は「統一教会は自身らに都合のいい関係の議員を求めており、自由民主党の議員以外にも関係を持っているが、やはり大部分は自由民主党議員である」、と語っており、1990年代の時点で日本の国会議員の内、百数十名(多くは自民党)の秘書は統一教会の信者であり、議員たちの活動は統一教会へ報告され、指示を受けていた。2018年、自民党代議士が統一教会青年イベントに連続出席。来賓祝辞で教祖への感銘を鮮明語った。
2022年8月にTBSが教団との関係について、全国会議員に「旧統一教会の関連イベントに出席したり祝電を送ったりしたことがあるか」と調査を行った結果、「ある」と答えたのは、自民党が60人、日本維新の会が9人、立憲民主党が5人、公明党が1人、参政党が1人だった。選挙支援を受けたことが「ある」と答えたのは、自民党が14人だった。政治献金を受けたのは自民党議員4人と国民民主党の玉木雄一郎だった(全国会議員中、回答率は76%)。
また、宗教ジャーナリストの鈴木エイトがまとめた資料によると、2022年7月の時点で、少なくとも112人の国会議員が教団と関与しているとされ、その内訳は自民党は98人、立憲民主党は6人、日本維新の会は5人、国民民主党は2人だった。
元信者のジャーナリストである多田文明は、教団は否定しているものの、組織的な教団による政治家への投票指示があったとしている。
韓国を中心とする世界統一運動​
赤旗は、「事実上の教典である『原理講論』韓国語版には、世界は第三次世界大戦を経て、政治面では韓国を中心として、宗教面では文鮮明と統一教会を中心として統一される旨の記述があるが、この部分は日本語版に訳出されず隠蔽されて来た」と述べている。赤旗は、「この隠蔽の目的は日本の右翼に取り入り日本での策動を有利にするためだったという指摘がある」と述べている。
統一教会が四大名節と呼ぶ記念日には、早朝5時からの「敬礼式」中、日本の昭和天皇、アメリカ合衆国のロナルド・レーガン大統領、韓国の全斗煥大統領、等各国代表の身代わりをそれぞれその国の教団幹部が担当して聖壇に座った文鮮明夫妻に対し拝跪する儀式が行われていた。赤旗は、この際に昭和天皇の身代わりとなり文鮮明夫妻に対し拝跪したのは日本統一教会の長であった久保木修己であったと述べている。
反共主義​
文鮮明は戦闘的な反共産主義者であり、共産主義は神の摂理に基づく民主主義に対抗する悪魔によるものと主張していた。韓国主導の南北統一を望む西側諸国、特に西側諸国の反共派から相互支持を獲得することで統一教会は規模を拡大した。
教団は共産主義革命の防止を主たる目的とし、日本においては岸信介らが中心となり、1968年(昭和42年)に韓国と日本で「国際勝共連合」(通称「勝共連合」)という政治団体を組織した。勝共連合では反共主義が徹底されており、共産主義は神を否定するサタンの思想であると説く「勝共思想(勝共理論)」の啓蒙を運動方針の第一義に掲げ、具体的にはスパイ防止法や青少年健全育成法の制定運動、日本国憲法や教育基本法改正の推進、性教育に関する教科書改訂や子宮頸がんワクチン撲滅キャンペーンなどに取り組む一方、選択的夫婦別姓制度やジェンダーフリー、人権擁護法案、外国人への参政権付与には反対する。また専守防衛・非核三原則・武器輸出三原則の破棄などを提唱し、原子力発電所の必要性も唱えている。
なお、教団では、LGBT、同性婚や夫婦別姓を、教義の中で「生活共産主義」と呼び、エバ国家日本には許されないとして認めさせてはならないと説いている。しかしながら、LGBT、同性婚、夫婦別姓は、いずれも共産主義とは独立のリベラリズムの範囲の事柄であり、これらを「生活共産主義」という言葉で、あたかも共産主義であるかのごとく語る点で、教祖の共産主義に対する甚だしい無知と無理解がわかる。
1976年(昭和51年)の第78回国会外務委員会で、田英夫は、元在米韓国大使館付武官であった朴普煕と非常に親交のあったというロバート・ロランドというユナイテッド航空の人物が、1967年(昭和41年)に文鮮明が「世界反共連合を設立するために日本の山中湖畔で児玉譽士夫、笹川良一と会合をした」「この会合の結果、世界反共連合というものが1968年の1月に韓国に本部を持って発足をし、同年(68年)4月には日本支部が設立され岸信介氏がこれに加わった」と証言している、と述べている。
ことに自民党の「韓国ロビー」といわれる政治家と親密で、古くは岸信介や福田赳夫、安倍晋太郎といった領袖が文鮮明主催のパーティーに参席したり、同僚議員を教義セミナーへ勧誘するなどして尽力。1989年(平成元年)に東京で開かれた「勝共推進議員の集い」には自民党・民社党を中心とする国会議員232名が一堂に会しており、近年でもシンパ議員は250人にのぼると漏れ伝わった。自民党内には嘗て教団が支援する教育関係の議員連盟が設立されたこともあり、地方議員が関連団体の地元支部で役職に就くことも珍しくない。
1977年(昭和52年)の第80回国会文教委員会で、政治家の大塚喬は、「1961年の朴政権発足とともに、その庇護のもとに急速に勢力を伸ばしてまいりました。」と述べている。後に教団ナンバー2となる朴普煕を始めとした韓国軍の高級将校も入教しており、系列企業の「統一産業」が小銃工場を建設する際に、文鮮明の側近となった朴普煕と朴正煕大統領(当時)が事業支援について協議したことや、公務員教育が国際勝共連合で行われたことなどが報じられた。昭和53年の第84回国会予算委員会で、内藤功は「米国議会フレーザー委員会におきまして「米韓関係の調査」と題する報告書が公表された。その中で統一教会はKCIAが政治活動の目的のために組織したものだ、こういう米CIA資料を公開しております。」と述べ、園田直(当時国務大臣)は 「米国下院国際関係委員会の国際機構小委員会、いわゆるフレーザー委員会が米韓関係に関する調査との関連で先月開催した一連の公聴会の冒頭、韓国中央情報部長であった金鍾泌氏が統一教会を設立した旨の米政府部内資料が公開されたということは承知しており、すでにその資料の写しを取り寄せ済みでございます。ただ、同資料がどのような裏づけを持ってやられたものか等を含め、同資料の性格はまだ判明しておりません。なお、この公聴会では、後日、22日だと思いますが、公聴会で統一関係者が右資料の趣旨を否定する証言を行った旨、これまた報道で承知しております。」と述べている。
日本では、日本共産党をターゲットにさまざまな妨害工作を仕掛けていたとされる。有田芳生が右翼の畑時夫から得た証言として、袴田里見副委員長が共産党を除名になった直後の1978年に、統一教会の久保木修己会長と国際勝共連合の梶栗玄太郎理事長が、京都市内のホテルで、袴田と面識があった畑時夫と面会し、「金はいくらかかってもいいから袴田をなんとか手に入れることができないか。共産党を攻撃する材料ができる」と相談したという。
ソ連では、共産主義が失速した後、西側から様々な新興宗教が進出していたが、文鮮明もソ連人を援助し、1990年4月にモスクワで開かれた統一教会の世界メディア会議の後、ゴルバチョフと個人的に面会し、日本の経済界に働きかけて対ソ投資について調査させることを約束した。
北朝鮮融和路線への転換​
教団などは文鮮明が北朝鮮を訪問し、朝鮮半島の非核化宣言の合意形成に成功したお陰でこの時期の半島での戦争を避けられたと主張している。訪朝後は経由地の北京で「私が過去40年の東西冷戦時代に誰よりも徹底した反共指導者であり、国際勝共連合の創始者として一生を勝共闘争に捧げてきたことは、世界がみな知っている」としつつ「しかし、私の勝共思想は共産主義を殺す思想ではなく、彼らを生かす思想、すなわち人類救済の思想」とする声明文を発表した。
統一教会は共産主義国である北朝鮮とは、「宗教の自由を認めず、弾圧している」として長年敵対関係にあった。政治団体である国際勝共連合という「反共組織」を通じて、反共の先頭に立って「共産主義撲滅」「打倒金日成政権」の運動・活動を展開していた。北朝鮮の金日成主席を「共産主義の悪魔」と攻撃し、北朝鮮もまた世界基督教統一神霊協会(統一教会)の創始者・文鮮明教祖を「反共の頭目」と痛烈に批判していたように統一教会と北朝鮮はまさに不俱戴天の間柄だった。
しかし、ベルリンの壁の崩壊と東欧社会主義諸国の瓦解後である1990年11月30日に、文は金日成による招聘を受けて北朝鮮を電撃訪問し、金日成主席と会談している。金日成は「連邦制による祖国統一実現のためには反共主義者とも手を握る必要がある」として、文をVIP待遇で「統一の使者」として受け入れるよう指示していた。これは、北朝鮮の党国際局・対韓担当の祖国平和統一委員会などの反対を押し切った判断であった。
文鮮明は1950年12月以降から韓国へ移住まで北朝鮮部分に住んでいた拷問を受けたこと、3年近くの興南監獄で多くの罪なき囚人たちが死んでいくのを見たことで反共思想になったと述べている。
満40年10か月ぶりの北朝鮮訪問後の1991年12月7日に北京での声明文「北朝鮮から帰って」において、「北朝鮮に恨(ハン・恨み)が多いと言えば誰よりも多い人間です。」「過去40年の東西冷戦時代に誰よりも徹底した反共指導者であり、国際勝共連合の創始者として一生を勝共闘争に捧げてきたことは、世界がみな知っております」「冷戦時代の終焉とともに招来した平和の運勢を世界的に拡散させるために、私は「世界平和連合」を創設し、国際的平和運動を主導しています。」「統一祖国の明るい新世紀を迎える準備を急ぎましょう。」と冷戦崩壊後に対北朝鮮方針を転換した理由を述べている。
2012年9月3日に世界基督教統一神霊協会(統一教会)の創始者の文鮮明が死亡した際には、北朝鮮の金正恩第1書記は遺族に弔電を送り、「文鮮明先生は逝去したが、民族の和解と団結、国の統一と世界平和のために傾けた先生の努力と功績は末永く伝えられるだろう」との哀悼の意を表している。
2013年1月22日には北朝鮮と世界基督教統一神霊協会(統一教会)の合弁会社「平和自動車(Pyeonghwa Motors)」の最高経営責任者(CEO)で、米国市民権を持つ朴相権へ追加投資を引き出すために、北朝鮮から平壌市の名誉市民証を授与されている。
反日思想​
日本は「サタン(悪魔)の国」であるとの反日教義が教えられているほか、教祖の文鮮明は日本民族や天皇への侮辱的・差別的な発言を繰り返していたことでも知られる。
文鮮明は教義の一つとして、「日本の天皇と韓国の王とが交差結婚をしなければならない。」「日本の皇室と(文教祖の)孫たちが結婚する時が来て、すべての国の王権の代表者たちと結婚する時代に入る。」「韓国が支配された立場とは逆に日本を支配するところまでいかなければなりません。」と説いた。
統一教会の教典「原理講論」の韓国版には「日本はサタン(悪魔)の国」であるとしており、文鮮明教祖はイエス・キリストの再来と書かれており、日本支部会長扮する天皇陛下が文教祖一家にひざまずく儀式を行っている。
このほかにも、統一教会内部では「昭和天皇は霊界で、『原理講論』を一生懸命勉強している。そのことが、私たちのこの世での活動を助けてくれている」「天皇家には色情因縁があるから皇太子殿下は婚期が遅れている」と教えられている。文鮮明は、皇太子がまだ独身の時代に、「結婚相手を統一教会信者の中からあてがう」との趣旨の発言をしていたほか、「韓民族に重い原罪を負っている日本人の結婚相手は、動物でももったいないくらいだ」とも説いていた。
文鮮明はイエス・キリストの「再臨論」も説いており、「韓国のキリスト教を過酷に迫害した」「天照大神を崇拝してきた全体主義国家」と教会から批評される日本と、共産化した中国は「サタンの国」であるため、イエスが再臨する『東の国』とは韓国であるとしている。また、「メシアを迎え得る国となるために我々は第三イスラエル選民となければならない」としている。
阪神淡路大震災について、教団内部では、日本での献金が滞ったことや、犯罪歴などを理由に教祖の文鮮明の入国を拒否したことへの「天罰」であるとの趣旨の教えが流布されていた。
統一教会は韓国と日本では史観が違っており、韓国では献金などのノルマなどは厳しくないが、日本国内での統一教会の信仰者はまず始めに全財産の額の把握を教会にされる。その後「地獄に行く、天国にいけない」と教えられ、莫大な献金を促される。全財産を捧げる事を教義としており、破産しても借金する方法を教える事で貢がせ続ける。
日本統一教会は「先祖の罪業を辿って償わないと不幸になる」という論理を教義の一つとしており、人値の先祖辺り70万円以上の定額寄付を促される。最終的に信者の財産を絞りつくす為にも、定額寄付は信者の資産ごとにコミットメントされ、場合によって縄文時代にまで家系図を遡るように作成され恐怖を植え付けさせ続ける。 統一協会の教義の確信は「堕落論」にあり、この教義を利用して霊感商法を行っている。この教義の中の「万物復帰」という教えは、「全ての万物は神に捧げなければならない」という統一教会の集金システムであり、最終的に信者の全財産を捧げさせる為の物である。
統一教会の教義には、日本人女性をマインドコントロール(洗脳)し、韓国人男性と強制的に結婚させて韓国の血の入った子を産ませることで、「日本の穢れた血」を浄化するという教えもあり、「合同結婚式」(信者は「祝福」と呼ぶ)と呼ばれる教団内婚制をとり、教祖のインスピレーションに従って信者同士で結婚する。「合同結婚式」の参加費用でも日本人は差別されており、日本人は1人あたり50万円から150万円なのに対し、韓国人は5万円(25万ウォン)未満ほどだという(1988年当時)。小規模な閉鎖的コミュニティを除き、教団内婚制をとる巨大教団はほかには見られない。
慰安婦問題も罪悪感を植え付け、マインドコントロールするために利用されており、2012年当時、韓国では教団系の「韓日の歴史を克服し、友好を推進する会」が「慰安婦問題について、心よりお詫びします」と土下座するパフォーマンスを韓国各地で繰り返していた。メンバーは教団の合同結婚式で韓国に嫁いでいった日本人妻で、「日本人は植民地時代の罪を韓国人にあがない続けなければならない」と叩き込まれていたという。
世界で活動する教団の運営資金の7割は日本での「霊感商法」から得られたものであり、日本は「金のなる木」、集金の場所として扱われた。
また韓国の系列企業のビジネスには、日本の献身(無給に近い待遇で、教団の指示のもと様々な活動に従事すること)した信者による物販で稼ぎ出された資金が使われていた。
各国政府・政党との関係​
韓国​
フレイザー委員会に関連して公開された、1963年から1965年にかけて作成された統一教会に関する米中央情報局(CIA)による3つの秘密報告書によれば、1954年に文鮮明によって設立された統一教会は、1961年に大韓民国中央情報部(KCIA)部長の金鍾泌の指示で「韓国政府機関」として再組織され、莫大な資金力を背景にアメリカや日本で秘密裏に政治活動を行っている。また教団は、米国で「韓国文化自由財団」というフロント組織を持ち、この組織の名目上のリーダーは梁裕燦だが、本当のリーダーは陸軍将校朴普煕であるという。
1977年5月5日、米ニューヨーク・タイムズ紙は、金炯旭を取材、「コリアゲート」に関与する朴東宣が、1960年からKCIAの工作員であるとの証言を得ている。この他、当時の韓国駐カナダ大使、統一教会教祖・文鮮明と文鮮明の顧問・朴普煕もKCIAの工作員であることも明かしている。
1977年6月、早稲田大学で「在日韓国人政治犯救援会」が教団系の「原理研究会」と公開討論を行い、その中で原理研は、教団の活動が大韓民国中央情報部(KCIA)に好感を持たれていること、原理研が勧誘活動で入手した資料や写真がOBを通じて、KCIAに流出する可能性があることを認めている。
韓国では教団自ら政党を設立して政界進出を企図することもある。2008年4月に行われた総選挙では「平和統一家庭党」から全245地方区(選挙区)と13比例区に候補を立て臨むも全員落選。更に、政党得票率が全有効票の2%に満たなかったため、選挙法の規定により政党登録を抹消されることとなった。こうした教団の動きに対し同選挙では、「統一教会対策協議会」を中心に全キリスト教派が連携し、統一家庭党候補への落選運動も展開された。
米国共和党​
1970年代から文鮮明はアメリカに居を構えて、大規模な講演会を幾たびも開催した。日本から渡米した信者らも活発に伝道と経済活動をした。自ら創刊した保守系新聞『ワシントン・タイムズ』などのマスメディアで政治的に保守政党である共和党を一貫してバックアップしたほか、ニクソンなどの米国共和党政治家を支援し、関係を築いてきた。
その政治的・社会的影響力について、1976年のニューヨーク・タイムズ紙は、その活動を以下のように報じている。
「急成長している文鮮明のグループは、米国内で韓国政府への支持を確立するため多くの努力を払っている。これらは、議会での集中的なロビー活動、著名な政治家や実業家、地域リーダーへの働きかけ、韓国で戦争が起こった場合に参戦することを誓う熱心な信奉者の育成、共産主義を攻撃して、韓国とアメリカの愛国的テーマを結びつける入念なPRキャンペーンなどの形式を取っている。」
元アメリカ合衆国大統領のジョージ・H・W・ブッシュは1995年に日本で開催された教団系の「世界平和女性連合」で講演している。1996年には、アルゼンチンで創刊された教団系の新聞のパーティーでスピーチをしていた。ブッシュはまた、教団系のワシントン・タイムズ紙について、「自分の政権はもちろん、アメリカの国益の推進のために計り知れない役割を果たしてくれた」と評価。同紙はレーガン政権時も旧ソ連への対抗政策「戦略防衛構想(SDI)」を擁護する役割を果たしている。有田芳生は、教団は米国共和党と密接な関係にあり、ブッシュの一連の言動は、その交際の一環とみるべき、としている。
息子のジョージ・W・ブッシュも2002年5月にワシントンで開かれたワシントン・タイムズ紙創刊20周年の集まりにメッセージを寄せている。
さらにブッシュ一族の中には統一教会の信者がいるとの噂もあった。
日本​
日本での選挙の際にも信者を運動員として派遣し主に頑強な右派候補を積極的に支援することが知られ、1986年(昭和61年)の衆・参ダブル選挙では教団が肩入れした候補150人のうち134人を当選させ、後にその全員が教義セミナーを受講したと勝共連合の機関紙が伝えた。1978年(昭和53年)の第84回国会地方行政委員会で、政治家の正森成二は、勝共連合が「「やっぱり杉村氏は極秘党員か」、こういうビラを全戸に一斉に配布いたしました。」と述べている。
赤旗は、信者が自由民主党の事務所に派遣された際には「統一教会ではなく勝共連合から来ましたと言いなさい」と言い含められたと述べている。
1977年7月、警視庁は、統一教会品川大田支部長の男(33)を選挙違反の疑いで逮捕した。男は都議選・永井辰男候補の運動員だった。別の信者に指示して、品川区内の50戸に同候補の推薦文の載せたはがきを配布させ、報酬として6万円を渡した疑い。
教団の日本の政治への影響力を高める方法として主流だったのは、信者を議員秘書に育成して国会議員のもとに派遣することだったとされる。
当時ジャーナリストとして活動していた有田芳生の調査によれば、1991年当時、自民党の新井将敬と東力、民社党の菅原喜重郎の公設秘書が統一教会の信者だったという。私設秘書はさらに多く、自民党の高橋一郎、伊藤公介、平沼赳夫、原健三郎、大塚雄司らの議員秘書が信者だったとされ、ある自民党大物議員も「こんなものじゃない。私設秘書だって数十人の規模でいる」と証言していたというほどだった。1990年2月の大塚の選挙活動には数十人規模の信者が関与していたとされ、カンパ、ポスター貼り、他陣営候補者のポスター破り、推薦はがきの宛名書き、演説会の案内状書き、支持依頼の電話などを熱心に行ったという。教団は京都の嵐山と神戸の須磨の関連施設を、信者を議員秘書とするための養成所とし、話し方、接待の仕方、お茶の出し方、受付や名刺交換、電話の応対の作法などを泊まりがけで叩きこんだとされる。このほかにも、勝共連合では「まず秘書として食い込み議員の秘密を握り、次に自ら議員になれ」との指示が下されているという。
文鮮明本人がアメリカで行った演説の内容として「先生(文鮮明が使う一人称)は、上院議員一人あたり三人の若い夫人を割り当てるだろう。・・・・・上院議員を正道に戻すには、まずその助手たち、とくに秘書たちを友達にしなければならない」(1972年)「先生には、多数の美貌の女性たちが必要である。三百人ほど必要である。先生は上院議員一人あたり三人の若い夫人を割り当てるだろう。一人は選挙、一人は渉外、一人はパーティーを担当する。もし女性会員たちが多くの点で上院議員たちにまさっていれば、その上院議員はまさにわれわれの会員のとりこになるだろう」(1973年)とあり、同様の戦術を米国でも行っていたことを教祖自ら語っていたことになる。
政治家の中村敦夫は、1998年(平成10年)の第143回国会法務委員会で、国会議員に対して統一教会やその政治組織などから秘書が派遣されており、多い人は統一教会から一人の議員に、9人もの秘書がついているというようなこともあったと述べている。在任中の法務大臣であった保岡興治が政策秘書として使う信者(1800双)を秘書官に登用したことが週刊誌で報じられ国会で追及を受けたこともある。1992年(平成4年)3月には国会議員による法務大臣への働きかけが奏功し、本来であれば米国で1984年に受けた実刑判決の影響で日本へ入国できない文鮮明が、14年ぶりの来日を果たし各地で説教した。
また秘書となった信者が自ら選挙に立候補するケースもあり、例えば渡辺美智雄(国会議員)の元秘書(6000双)で、霊感商法でトーカーと呼ばれる霊能師を担当していた者が衆院選候補に転身し、後に自民党が公認している。2010年(平成22年)にも市議選への女性信者の出馬が発覚した。
弁護士の渡辺博は、安倍晋三への銃撃事件を受けて会見し、「二十数年前の調査では、統一教会の信者百数十人が自民党などの国会議員の秘書になっていた」と述べている。
有田芳生によれば、1980年代から始まった「スパイ防止法」の制定運動など、自民党の一部議員が推進する政策にも教団の思惑が反映されているという。また、「日韓トンネル」の建設推進運動の背後にも、教団関係者の暗躍がみられるとしている。
1987年(昭和62年)の第109回国会法務委員会で、政治家の安藤巖は「霊感商法をやっておる「世界のしあわせ」、「世界のしあわせ北海道」、「世界のしあわせ名古屋」あるいは「世界のしあわせ九州」、「(世界のしあわせ)広島」」といった団体から自民党の保岡興治議員、桜井新議員、亀井静香議員に政治献金がなされており、政治資金報告書によると、わかっている範囲で保岡が400万円、桜井が150万円、亀井が300万円、また自民党の中村文教部会長が国際勝共連合から10万円の政治献金を受け取っていると述べている。
1977年(昭和52年)の第80回国会予算委員会で、政治家の石橋政嗣は、総理あてに原理運動被害者父母の会から出された陳情書の中に、「(真っ先に自民党に陳情したが)多くは儀礼的な挨拶だけで、中には『自民党では、この問題はタブーです』とハッキリ断られた人も居ります。」と書かれている、と述べている。
1987年8月には、「霊感商法」の卸元の1つだった「世界のしあわせ名古屋」が自民党の小島善吉・静岡県議とともに静岡県警を訪れ、「今後、誤解を招くような商法は一切しない」との説明をしていたことがわかった。県議は「国際勝共連合に頼まれた」としている。
有田芳生によれば、1992年3月の文鮮明来日時にも、自民党関係者との密接なつながりが見られたという。文鮮明は過去に二度来日したが、出入国管理法に違反して宗教活動を行なったため、1979年・1981年・1982年にわたり、入国を三度拒否されている。この異例の来日が実現した背景には自民党副総裁の金丸信の働きかけがあったとされる。来日した文鮮明は29日に中曽根康弘と会談し、30日夜には「北東アジアの平和を考える国会議員の会」が主催した晩餐会で、三十一人の国会議員の前で講演を行なった。31日には金丸信と密室で会談した。金丸との会談の内容は主に北朝鮮をめぐるものだったとされ、金日成の親書を金丸側に手渡したとの噂まであった。
韓国の統一教会で発行された『統一世界』1990年4月号では、文鮮明本人が日本の政治に対する影響力の大きさを自慢する演説の要旨を紹介している。
「日本の今度の選挙だけでも、私たちが押してあげたのが、百八議席当選しました。今回、私たちが援助しなければ、無所属で出てきた中曽根なんか吹けば飛んだよ。また派閥で見れば、中曽根派は六十二議席にもなって、安倍派は八十三議席です。私がそういうふうに作ってあげたんですよ。この二派閥を合わせるといくつになりますか?それで安倍とか中曽根は、原理の御言を聞け!と言ったら聞きはじめました」
—  文鮮明の演説より抜粋『統一世界』1990年4月号
2003年当時、教団による政界との関係強化が下達され、関係の深い落選議員への支援が指示されている。
宗教ジャーナリストの鈴木エイトは、「政治家が教団に求めるのは『票集め』ではありません。選挙戦での運動員、事務所スタッフなどの『人的貢献』です。それは政治家が何よりほしがるもので、教団は無尽蔵に提供してくれるわけです。政治家と旧統一教会――その関係は、世間一般の人たちが思うよりも、ずっと深いものなのです」と語っている。
2022年1月、教団系の『世界日報』に、改憲派として、自民党の古屋圭司、日本維新の会共同代表の馬場伸幸、国民民主党の榛葉賀津也の三人が共演した。
自民党所属の参議院議員である青山繁晴によると、2022年の参議院選に際して、ある派閥の長に対して党の候補が統一教会から支援を受けているか確認したところ、事実だと返答があったとしている。
弁護士の紀藤正樹は、安倍晋三銃撃事件を受けて、政治と教団の関係について「国会内に特別委員会を設置するなど、本気でやらなければ、何年か後に同じことが起きる。それは、国として大きすぎるダメージとなることでしょう」と語っている。
   自民党幹事長との密接な関係​
2002年4月、当時自民党幹事長であった山崎拓が統一教会信者の女性と不倫関係にあり、教団側に国家機密が漏れる危険性があったとされる。山崎と関係があった女性は東京の九段にあるマンションに住んでいたが、彼女は毎週末に八王子にあるアパートの1室に通っており、そこは信者が共同生活をする統一教会の関連施設そのものだったという。有田芳生はこの女性を、二十四時間教団の施設で生活する「献身者」ではなく、普段は働いて週末には施設に通い教義を学ぶ「勤労青年」と呼ばれる信者であり、この女性は自ら政治家に接近し、情報を引き出すための「特別な使命」が教団から課せられた人物であるとし、教団が北朝鮮に近い立場にあることから北朝鮮などに国家機密が流出する危険性を指摘した。
山崎は一連の不倫報道を名誉毀損とし、週刊文春に対し5000万円の損害賠償を請求する訴訟を提起したが、2003年9月、東京地裁は「記事は真実か真実と信じる相当の理由があった」と判断、山崎側の敗訴が確定した。
   警察捜査への政治圧力​
ジャーナリストで元参議院議員の有田芳生によると、有田は1995年に警察庁関係者に警察庁幹部から依頼を受けて教団についての講義を行った。当時オウム真理教の次に摘発をしようとしていると聞かされていたが、結局摘発はなかった。その10年後、警視庁幹部二人から「政治の力」により摘発を阻まれたと聞かされたとしている。
上越教育大学教授の塚田穂高は、「旧統一教会の場合は、教団を追及や捜査から守ってもらうために政治に近づき続けた面も強い」とし、「政治家が『よくあるつきあい』で済ませてよい相手ではなかった」として、教団による政治家へのアプローチの背景には、捜査を回避する目的があるとの趣旨の発言をしている。
2012年には、元警察官僚の平沢勝栄が、この種のアプローチを受けたのではないかとの話があった。週刊新潮の報道によれば、平沢の発言を収録したテープが流出し、そのテープには平沢の声で「各地で今、5、6ヶ所警察とトラブってんだよ。それで結局、警察けしからんって言ってんだよなあ、統一教会は。それで私にそれをやってくれって…」などの発言が収録されていたという。この発言について、平沢が、統一教会から警察の捜査について相談され、警察との窓口役を務めざるを得なくなり、困惑したのではないかとの関係者の証言があった。なお、平沢は教団との関与を否定している。
「全国霊感商法対策弁護士連絡会」のメンバーで弁護士の川井康雄は、第1次安倍政権終了後の2007年頃から、教団に関連した違法行為の刑事事件化が相次いでいた一方で、2012年の第2次安倍政権発足後に再び刑事事件化することは少なくなったことを指摘した上で、教団と政治家の関係性は明らかであるとした。同じく弁護士の山口広は、教団は政治だけでなく、言論・学術界などにも食い込んでおり、違法な霊感商法の被害について警察や行政が積極的に取り組まないように、圧力をかけてもらうように働きかけていることを証言している。
イスラエル​
2001年、文鮮明はイスラエルの首相選挙でリクード党のシャロンに選挙資金の援助を行ってる。2002年11月30日の放送では、イスラエルのアリエル・シャロンが、リクード党の党首選挙でのベンヤミン・ネタニヤフに勝った資金は、アメリカのシカゴを拠点とする文鮮明の統一協会から流れていると断言した。
イスラエルの首相選挙で、リクードのシャロン候補が勝利し、政権党が労働党からリクードに交代することになった。これは、冷戦後の国際情勢の中でパレスチナ問題を解決しようとして1993年に締結された「オスロ合意」の体制が崩壊したことを意味している。パレスチナ問題が中東情勢の中核をなしていることから考えて、中東地域では「冷戦後」という一つの時代が終わったことになる。イスラエルでは、建国前のシオニズム運動発祥の時代から現在まで、右派と左派の2つの流れがある。右派は、ユダヤ教をイスラエルの建国精神の中心に置き、パレスチナ人が住んでいるヨルダン川西岸地域までを含めた地域を「神から与えられたユダヤ人の故郷」であると考え、パレスチナ人を弾圧し、できれば西岸から出て行ってもらうことを究極の目標としている。
西岸は1967年の第3次中東戦争の大勝利でヨルダンから奪ったものだが、この大勝利こそ、神がユダヤ人に西岸を与えた証拠だと極右の人々は考えている。彼らにとって、パレスチナ人とその背後にいるアラブ諸国は交渉相手ではなく、追い出すべき敵となっている。首相選挙で勝利したシャロン氏が党首をしているリクードが、右派政党の代表的存在である。
一方、イスラエルの左派の考え方は社会主義に基づき、民族や宗教を越え、ユダヤ人とパレスチナ人が共存するイスラエルを作ろうとするものである。イスラエル建国運動はもともと左派の考え方が発祥になっている。左派政党の中核は労働党で、敗北したバラク氏が党首をしていた。
アメリカのクリントン前大統領が音頭をとって続いていた中東和平交渉は、左派的な和解の精神に立脚している。この方向性は、1992年に労働党のラビン氏が政権を取った後、イスラエルとパレスチナがオスロ合意を締結したことで始まった。この合意は、パレスチナ人が住んでいる西岸とガザ地区にパレスチナ人国家を作り、イスラエルとパレスチナを友好関係の兄弟国家にするシナリオである。
リクードはパレスチナ人とアラブ諸国を信頼しない立場にたち、イスラエルの安全保障のためにはパレスチナ人への寛容政策を取るべきではないと主張し、和平交渉に消極的だった(リクードは自由主義を信奉するタカ派の非宗教政党)。また、極右派の宗教勢力は「神から約束の地として与えられた西岸地域にパレスチナ人が国家を建設することを許すのは神への冒涜だ」と考え、オスロ合意に反対した。ラビンは95年に暗殺されたが、極右イスラエル人の中には「神を冒涜したのだから殺されて当然だ」と考える人々が多い。
しかし2001年に文鮮明は中東和平を望まない政党を支持していながら、2003年シャロンの2次内閣が出発後、摂理と称して「エルサレム宣言」「中東和平イニシアチブ(ワシントン宣言)」とあたかも中東和平を推進している団体のように装っていた。
その他政治に関する一覧​
○統一教会と実質一体で、仏教を装い霊感商法を行う霊石愛好会の主催にて各地で開かれた霊感商法を擁護する集会に、当時の国会議員らが祝電を寄せたことが批判を受けた。
○2006年(平成18年)5月に国内12カ所で開催された「天宙平和連合(UPF)‐祖国郷土還元日本大会」へ、現役閣僚をはじめ多数の政治家が祝電を送っていたことが露見し、教団の活動に正当性を与える行為だとして批判された。なお大会の模様は教団公式サイトより動画配信された。
○2007年(平成19年)、千葉県流山市議選にて統一教会関係者が民主党公認で出馬していることが全国霊感商法対策弁護士連絡会の調査で判明した。
○2008年(平成20年)12月、教団関係者の運営するNPO法人「未来構想戦略フォーラム(JFFSI)」 が中心となって開かれたシンポジウムを外務省が後援。他にも同フォーラム主催の会合や講演会では現職の大使や首長、官僚が講演している。
○2009年(平成21年)に霊感商法で初の懲役判決となった「新世」事件では、教団本部への捜索を阻止するために複数の自民党議員が司法当局に圧力をかけている。
2009年9月、衆議院選挙で民主党から出馬した萩原仁を支援した教会(協会)関係者が公職選挙法違反で逮捕された。
○参院選間近の2010年(平成22年)5月、 山谷えり子への支援ならびに有田芳生への落選運動を通達する教団の内部文書が流出し物議を醸した。翌月には信者による有田に対する選挙妨害が行われた。
2010年11月6日に国際勝共連合が新宿で行った「沖縄・尖閣諸島をまもれ!緊急国民集会」では、中国の覇権主義への抗議と尖閣漁船衝突事件での国の対応を批判し打倒民主党も呼びかけられた。
○2011年(平成23年)に統一教会系団体が主催・後援し全国各地で開催した「アジアと日本の平和と安全を守る全国大会」に現職・元職の国会議員や地方議員が多数参加した。
○2021年9月12日(日本時間)に開催された天宙平和連合主催のイベント『THINK TANK 2022 希望前進大会』に安倍晋三がビデオメッセージを寄せた。天宙平和連合の関連組織であるUPFインターナショナルとワシントン・タイムズの依頼に安倍晋三が応じたことで実現した。全国霊感商法対策弁護士連絡会は9月17日、ビデオメッセージを寄せた安倍晋三に対し抗議文を送付、同日開かれた記者会見で抗議文を公開した。
○警察組織を統括する立場にある国家公安委員長の二之湯智は2021年4月に京都市の国立京都国際会館で開催される予定だった教団系のイベント『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い』の『呼びかけ人』に、田中英之、木村弥生、繁本護とともに名を連ねていたことが判明している。  
●名称​
1954年の設立当時の名称である世界基督教統一神霊協会は「全キリスト教会を霊的に統合させる協会」を意味する。英語名の「神霊」の部分には Holy Spirit が充てられ、Holy Spirit Association for the Unification of World Christianityとなっているが、これは命名当時に他に適切な訳語が思いつかなかったためであるという。
統一教会は、社会における家族の重要性を強調しており、それを反映して1994年5月に名称が世界平和統一家庭連合に変更された。日本で、2015年6月2日に所管する文化庁に変更申請書を提出し、同年8月26日付で名称変更が認証された。
教団の名称変更について、政治的な力が働いているとの指摘がある。当時の文化庁宗務課長だった前川喜平は、教団から最初の名称変更申請があった1997年当時、「実態が変わっていないのに、名前だけ変えることはできない」として、認証できないとして、申請しないよう教団に要請したことを明かした上で、2015年に実現した名称変更について、「当時の文科相(下村博文)の意思が働いていたのは100%間違いない」と指摘。さらに名称変更の申請について、日本共産党の宮本徹衆議院議員が文化庁に情報開示を請求したところ、文書は名称の変更理由の部分が黒塗りとなっており、教団が提出した文書はすべてが黒塗りになっていた。
教団は、政治介入の指摘に対し、2015年当時、「主務官庁が拒否するならば訴訟もやむを得ない」として意見書を提出したことを明かした上で、「純粋な法律問題」として、政治的介入や不正の存在を否定した。
韓国では統一教、日本では旧称の略称の統一教会、またキリスト教会側からはキリスト教の教会と混同されないよう統一協会と記載され、英語ではUnification Church(統一教会)、Unificationism(統一主義)、開祖の姓から俗にMoonies(ムーニーズ)の名で知られる。ただし、信者はムーニーズを蔑称と考えており、自らそう名乗ることはない。文鮮明が率いる組織の集合体は統一運動と呼ばれる。今は、「天の父母様聖会」と、呼ばれている。  
●教理​
教典​
統一教会の教典は1966年に初版が刊行された『原理講論』(原理講話)とされる。日本語版は1967年に刊行され、日本の統一教会信者は長らく教典として重視しており、これを基に信仰心を形成してきた。日本の教団幹部や彼らに教化された教団信者の世界観・信仰観を知るための、検討の対象となる文献である。文鮮明の『原理原本』をもとに、劉孝元(ユ・ヒョウォン)が『原理講論』をまとめ、表向きは「聖書の解説書」と称するが、実質的教典として扱われている。
『原理講論』は、文鮮明の高弟である劉孝元(教会長、1970年死去)が、文鮮明の『原理原本』を増補し、彼の説教を整理したものである。
『原理原本』(1952年発行)は、韓国の神秘主義的キリスト教改革運動の流れを汲む「イスラエル修道院」の金百文(朝鮮語版)(キム・ベンムン。キリストの親臨を主張した、柳明花の信奉者のひとり白南柱の弟子)の著作『基督教根本原理』(1946年3月2日起草、1958年3月2日発行)の執筆中に文鮮明が盗作したという証言がある 。
それに対し統一教会側は「金百文の著作が世に出る前に、『原理原本』そして『原理解説』(1957年発行)が作成された」と主張している。
『原理講論』は初版以降数度改版され、新しい部分も追加されている。初版には、メシアが文鮮明であること、メシアが誕生する国が、韓国であることの論証部分はないが、第3版には追加されている。
『原理講論』のはしがきには、本書が完成版ではなく、編者により適時増補、または加筆修正される可能性のあることが説明されている。『原理講論』の言葉を勝手に解釈したり、自分の言葉を付け加えることは、分派発生の原因になるとして信者には禁止されている。
ハンガリー人のカトリック神学者・神父で上智大学神学部教授であったネメシェギ・ペトロ(ハンガリー語版)は、『原理講論』では、神は「ゲルマン民族を新しい選民として立て」たという主張を基に、古代末期以後の歴史はすべてゲルマン民族に集中して語られていて、カトリック教会はキリスト教の堕落したものとして描かれており、ルターが新しい福音の光をもたらした存在とされるなど、韓民族を現在の選民であるとする最後の唐突な飛躍を除き、ゲルマン・アングロサクソン系のプロテスタンティズムの立場で書かれていると述べている。(日本語版では削除されているが、英語版『原理講論』には、「韓国の民が神によって選ばれた第三のイスラエルとなる」と書かれている。)
聖書に預言された再臨のキリストが文鮮明であるとすることから、エホバの証人・モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)と共に全てのキリスト教会から異端と見なされている。
弟子がまとめた教説よりも、生きている文鮮明が直接語った言葉こそが神の教えと考えられるため、初期の説教内容をまとめた『原理講論』だけでなく、教祖の言葉をまとめた『文鮮明先生御言選集』(360巻以上)、『御旨と世界』(1985年)などの説教集、信者の規律についての『御旨の道』なども併せて教義体系を構成しており、近年では説教集『天聖経』(2003年編纂)が『原理講論』以上に重視されるようになっているといわれる。
「原理講論(Divine Princple)」を見るとキリスト教用語や漢字語の初歩的な誤謬が散見され、著者・劉孝元及び翻訳者・崔元福がそれらに無知であったことが判る。
教義・教説​
統一教会で「原理」とは、文鮮明が霊的体験や独学によって与えられた啓示とされる。他方で文鮮明は1945年に妻の崔先吉と共にイスラエル修道院に通い金百文(朝鮮語版)の教えを学んで盗作したという証言がある。 統一教会の信者は「原理」は旧約聖書・新約聖書の解釈であり、究極的、決定的な真実であると信じている。
「原理」は主に「創造」、「堕落」、「復帰」の3つの部分からなる。『原理講論』は文鮮明の啓示の様々な解釈を書いたもので、「原理」とは厳密に区別されている。1954年に統一教会が創立されて以降、一貫して、聖書よりも『原理講論』が重要視されており、現存する聖書によるキリスト教の正典を超越すると考えられている。この節は本書の内容を中心に述べる。
『原理講論』の「堕落論」には、「人間始祖の堕落によって、その子孫が、一人残らず、神の血統を受け継ぐことができず、サタンの血統を受け継いでしまった」と記され、「真の父母として降臨されるイエスのみがこれを知り、清算することができる」とする一説が記されている。
プロテスタントの日本基督教団牧師・宗教研究者の石井智恵美は、教義内に明確な記述はないが、信徒にとって教祖の文が「再臨のイエス」=「人類と霊界を結ぶ比類ない存在」であることが信仰の前提であると述べている。神の愛を中心に結婚し、完全な子供を産み、真実の家族を作ることで、地上の楽園(地上天国)を建設することが目指される。
ネメシェギは、『原理講論』の思想の特徴として、朝鮮半島の陰陽説、文鮮明が受けたキリスト教的教育に由来する一神論と旧・新約聖書の権威の容認、根本主義的な聖書解釈、象徴的聖書解釈、科学性の主張、終末論的歴史神学、神との「霊交」で得られたという「啓示」を挙げ、『原理講論』の教えの根拠は、実際には哲学・自然科学・客観的な聖書解釈・キリスト教会の教えのいずれでもなく、真の根拠は著者が述べているように、文鮮明が受けたという「啓示」であると述べている。
統一教会ではキリスト教における「再臨論」も説いており、韓国を蕩減復帰の民族的な基台を立て、第三イスラエル選民となければならないとしている。
信徒は「ムーニー(Moonie、Moonies)」と称される。
神の世界創造の目的​
神はこの世からの刺激によって、はじめて喜びに満たされるとされている。旧約聖書の創世記第1章28節「生めよ、増えよ、地を従わせよ」から、神の創造の目的は3つあるとされ、統一教会では三大祝福と呼ばれている。
1.「生めよ(פרו)」を、人格完成、個性完成せよと解釈する。但しヘブライ語「פרו(ペルー)」にはそのような意味はない。また神は人が創造される前、全ての生き物に対しても与えている。
2.「増えよ(ורבו)」子供を産み増やせを、家庭完成せよと解釈する。但し神は人が創造される前、全ての生き物に対しても与えている。「神の二性性相が各々個性を完成した実体対象として分立されたアダムとエバが夫婦となり、合体一体化して子女を生み殖やし、神を中心として家庭的な四位基台をつくらなければならないのである」とされる。
3.「地を従わせよ(ומלאו )」を、万物を主管せよと解釈する。これが神が人間にだけ与えたもの。神、人類、その他の生物の調和のとれた理想的な世界を創造することを意味する。「万物世界に対する人間の主管性の完成を意味する」とされる。人間は完全な家庭を築くことで、完全な社会、国家、世界を実現するために「増殖」できるのである。統一教会が説く神の目的には、「人間の個性完成」という、近代主義的な発想が持ち込まれている。また、家庭形成という「アジア的家族主義を織り込んだ人間論」(櫻井)も神の創造目的に取り入れられている。
   楽園追放と原罪​
『旧約聖書』の「創世記」には、神が創造した最初の人類であるアダムとエバが、罪を犯し楽園を追放される逸話がある。エバが蛇にそそのかされて、次にアダムがエバにそそのかされて、食べることを禁じられていた知恵の樹の実を食べた。この蛇はしばしば悪魔であると解釈される。この罪のために、二人は神に罰せられて、人間は死や労働、出産の痛みといったあらゆる生の苦しみを持つようになり、この世に罪と死とのろいが入り込んだとされる。西方教会では、これがアダムとエバから全人類に「原罪」(ラテン語: peccatum originale)として受け継がれていると考えられている。神学者の宮本久雄は、統一教会における原罪とは、狭義には人間の神との関係の破綻、神と人間との生命的な関係の虚無化を意味しており、従って本来は、モラル規範への単なる違反や男女の性的欲求とは直接関係がないと述べている。(詳細は「原罪」を参照)
『原理講論』の著者は、文鮮明の説教からルシファー(『原理講論』では「ルーシェル」。「Lucifer」の北朝鮮式発音。魔王サタンが堕落する前の天使の頭の呼称)の堕落を次のように説明している。ルシファーは元々神に最も近い大天使で、神の愛を独占するような位置にいたが、神が人間を創造した後はその愛が減少したと感じた。ルシファーは嫉妬に駆られてエバを誘惑し、エバは10代の処女であったが、「神のように目が開けることを望み、時ならぬときに、時ならぬものを願」い、両者には授受作用(相互作用)が生じ、「不倫なる霊的性関係」を結んだ。統一教会ではこれを「霊的堕落」と呼ぶ。天使は肉体を持たないため、これは肉体的な交わりではなく、霊的交わりであった。
ことの重大さに気が付いたエバは、罪悪感から神の元に戻りたいと願い、神が定めた配偶者であるアダムと結ばれようと、彼をそそのかし性的関係を結んだ。エバは神の元に戻れたと思ったが、ルシファーとの「授受」は真の配偶者との「授受」だけでは回復されず、さらにエバとアダムが性的関係を持つことは神の意志ではなく、神の祝福を受けていなかった。エバは3重に罪を犯しており、神に従うべきであり、婚約者を裏切るべきではなく、婚約者と共に完全に精神が成長してから性的関係を持つべきだった。アダムとエバは、自らの個性を完成する前に時期尚早な夫婦関係を結び、それは神ではなくルシファーを中心としたものであったため、人間は家庭形成に失敗したのである。これは「肉的堕落」と呼ばれる。
以降すべての人間は、善と悪、神の要素と堕天使の要素を併せ持つ存在になった。アダムはエバと性的関係を結ぶことで、エバがルシファーから受け継いだすべての要素を受けつぎ、子々孫々にもサタン(ルシファー)の血統が継承されているという。これが統一教会における「原罪」である。原罪は遺伝によって伝わるようなものとされている。アダムとエバはその罪によって、人類を偽りの主、サタンに仕えさせることになった。
   イエス・キリストと再臨のメシア​
統一教会では、イエス・キリストは既成神学における三位一体の存在ではなく、霊的な三位一体と解釈する。心情的には神と一体であるが、イエスを神と言えるのは「すべての完成した人間は神と一体である」という意味においてのみであり、「創造理想を体現した男性」としてその価値は認められる。この点が、主流派キリスト教と最も異なる点である。イエスは、司祭ザカリヤとマリアの間に生まれた原罪のない人間であると考えられている。
イエス・キリストは、サタンが不当に奪った神の「主管性」を回復し、堕落した人類を原罪のない善の人類に産み直し、神を中心に据えた新し人間の血統を築き、地上天国を築くために来たとされている。聖霊は女性神であり、真の母でありエバであるとされる。神はユダヤ民族をはじめとする全人類を救うための代償として、イエスの肉体をサタンに引き渡さざるをえず、イエスの肉体はサタンの侵入を受け虐殺されたとしている。そのためイエスの肉体が復活することはなく、今は霊人間として神のもとに生きているという。
イエスは十字架上で死に、それは人類の霊的救済のための蕩減条件(代償)になり、霊的救いが達成されたが、新しい血統を築くことはできなかったため、救いの摂理は完成されていないと考えられている。
イエスの死はイエス自身の失敗によるものではなく、洗礼者ヨハネや弟子たちといったほかの人間がイエスを裏切り、見捨て、ユダヤ人が彼を受け入れなかったためであると考えられている。統一教会の信者たちは、神はイエスの死を「神の国」を築くための手段にしようとはしなかったことを強調する。
宗教史学者の古田富建は、統一教会の教理の核心は、神、イエスの「恨(ハン)」を解くこと、つまり「恨解(ハンプリ)」であると述べている。「恨」とは、朝鮮文化を語るときにクリシェとして用いられる言葉で、その意味合いには幅があるが、韓国近代宗教史の研究者の川瀬貴也は「様々な要因で叶えられなかった思いが、澱のように沈んでいる状態」と表現している。
韓国の民族的な霊魂観においては、夭折者・横死者は成仏できず、怨みを抱いた「怨魂」となって彷徨うとされており、特に無念を抱えた者、子孫を残さずに死んだ者の恨みは強く、生者に災いをもたらすとされる。こうした死者の恨みを鎮める儀礼が「恨解」である。
統一教会では、人間の堕落のために神の創造目的を果たすことができず、神に「恨」を作ったと考えており、神はこの「恨」を解くためにメシアとしてのイエスを遣わしたが、人間が「責任分担」(5%の責任)を果たせずイエスを殺してしまったため、神の「恨」はさらに大きなものになったとされている、と説明している。
1960~70年代の韓国のキリスト教の一部では、「恨」を教義に取り入れている。李龍道はイエスを人間として理解しようとし、三位一体を否定していた。
古田富建は、李龍道らはイエスを悲しみや痛みを抱える人間としてとらえ、その孤独や悲しみを理解し共感しようとする姿勢が、聖主教ではシャーマナイズ化された「恨解」の儀礼となっていき、統一教会では教義の根幹になっていると述べている。1965年ごろに、「恨」という言葉が文鮮明の説教に定着した。
イエス・キリストを救世主として崇める一方、イエスがやり残した多くのことを成就するために、「再臨のイエス」が韓国に生まれると主張している。それは、地上に戻ったイエス・キリストではなく、イエスが霊界から支援する、聖書に示されている普通の人間であるとしている。
文鮮明はメシアが、出生する時期や場所といった条件を示しているが、メシアが生まれる地とは韓国であり、示された条件には文鮮明自身が適合する。神学的には、メシアは一組の男女である。
文鮮明は1960年に、23歳若い17歳の信者韓鶴子と結婚し、メシア的使命の一環として14人の子供をもうけた。
文鮮明は1992年に自身と妻が全人類の真の父母であり、救世主で、再臨の主であり、メシアであることを宣言した。この宣言の前が「新約の時代」、以降が「成約の時代」であるとされる。新宗教やニューエイジなどを研究し、統一運動を肯定的にとらえるウェールズ大学のサラ・ルイスは、この宣言以降、信者自身がメシアになりうるというように強調されるようになり、文鮮明がメシアであるということへの言及は減ってきていると述べている。
メシアを受け入れることができなければ、ユダヤ人やローマ時代のキリスト教徒、江戸時代のキリシタンのような受難を罰として与えられると考えられている。
   人間における神の要素とサタンの要素の戦い​
人間の堕落は、上記の神と人間の関係を損なったという縦の軸(信仰基台)だけでなく、もうひとつ人間を人間性自体から引き離したという横の軸(実体基台)があるとされる。横の軸の堕落は、旧約聖書におけるアダムとエバの息子カインとアベルの、兄カインが弟アベルを殺したという逸話に基づいている。この人類最初の殺人によって、人間における神の要素とサタンの要素が分離し、互いに争うことになり、横の軸の堕落が起こったとされる。
「最初の兄弟」の間の敵意は、歴史を通して民族、国内・国際的レベルで繰り返されており、20世紀における無神論的共産主義(カインの勢力)と神を畏れる民主主義(アベルの勢力)の衝突に明らかに見られるという。
世界中に民主主義が現れたのは神の復帰摂理によるもので、共産主義の専制政治はそれに対抗する悪魔によるものである。従って、第三次宗教改革によって、理念的に共産主義勢力を屈服させ、世界を一つの地上的な「神の国」に統一することが目指される。
文鮮明は、もし理念的戦いに勝利、つまり共産主義のイデオロギーが敗北しなければ、第三次世界大戦が起こり、サタン側の共産主義が敗北するだろうとしている。そして原子力による第三次産業革命がおこり、幸福で理想的な社会環境が世界的に建設される。その時全人類はキリスト教(統一教会)を受け入れ、最後に神を中心とした、神主義が現れなければならない、という。
   二性性相(陰陽二元論)​
初期には、『原理講論』で説かれた統一原理は宗教と科学を統一する原理であると考えられていた。神の存在の弁証も自然科学的な因果論的推測に基づき、結果から原因を探ろうとしている。被造世界を観察することで、神の神性を知ることができると考え、観察によって知れることは、被造物がすべて陽性と陰性の二性による授受作用(相互作用)により存在するということであり、存在というものは性相(内性、性質を示す内性)と形状(外形、内性が現れた外形)の二相を持つとしている。
神は霊とエネルギーという二重の性質からなるとされ、この2つによってあらゆるものが生まれるとされる。神はエデンの園でアダムとエバを作り、神自身の二重性を反映させた。人間には外形である肉体と、内性である精神が備わっているとされる。
神の内性の本質は心とも呼ばれ、神がどのように人間の復活を達成しようとしているかを理解するには、神の心にある愛、喜び、悲しみといった、もっとも奥深い神の感情を理解することが重要であると考えられている。人間は神の似姿として想像されたのだから、神は男性的な面と女性的な面の両方を持つと考えられているが、習慣的に神は男性として「父」と呼ばれている。
被造物がすべて陽性と陰性の二性を持つという考え方は陰陽二元論であり、宗教社会学者の櫻井義秀は、「この発想は統一教会が人間を男性性と女性性において理解し、双方の性質が合体した時に繁栄・繁殖がもたらされるという基本的なモチーフから出てきている」と述べ、極めて民族的、東アジア的な感覚に根差したものであり、イスラエル・アラブの民の神の理解と著しく異なることを指摘している。内と外、男性と女性は対極にあるのではなく、それぞれがもう一方の要素を内在していると考えられている。
   四位基台​
四位基台という概念は、神と、神の二性性相から生まれた男性(主体)、女性(客体)、男女の相互作用(授受作用)で生まれた子(合性体)が、それぞれほかの3つの対象と相互作用を持ち、「主体と合性一体化をなすという菱型モデル」である。
   祝福​
イエス・キリストによる救済は霊的救済のみに留まり、子孫を残さず天に上げられたため、肉的救済はメシヤに託され、文鮮明夫妻が人類の真の父母として信者に「祝福」を与えなければならないとしている。祝福は、鮮明夫妻司式の合同結婚式で教祖に配偶者を決めてもらう信者同士の結婚である。結婚したカップルだけが天の御国に入ることができ、祝福を受けた家庭からは原罪のない子供が生まれるとされており、特に重要な儀式である。祝福は象徴的な堕落の撤回のプロセスであり、これによってサタンの血統から自由になり、メシアの血統に結び付けられる。無原罪の子をなし、神を中心とする家庭を完成させることが目的であるとされる。
祝福では、メシアとの一体化による「血統転換」を象徴する秘儀ともとることができる「聖酒式」が行われていた。初期の合同結婚式では、新婦が「聖酒」を半分飲み、残りを新郎が飲み干す儀式が行われていた。儀式に使われるワインには、文鮮明と韓鶴子の結婚式で使われたワインがわずかに含まれ、受け手の血統を転換する力があるとされる。
1992年時点では聖酒式ではなく、文夫妻が参加者一人一人に水滴をかける「聖水儀式」が行われていた。また祝福を受ける前には、すべての罪を贖い合うことを象徴する、結婚する男女が互いにバットのような棒で互いの臀部を3回たたく「蕩減棒」という儀式も行われた。挙式後は家庭生活に入る前に、最低40日間の「聖別期間」という心身を清める準備期間があり、夫婦の性交はその後に行われる。最初の性交には詳細な手順が決められている。
カップルのマッチングの権威は、文鮮明から各国の祝福委員会に次第に移譲された。祝福を受けた妻たちがスタッフとして入るなどしているこの委員会が、資格を持った候補者たちを、相手の好みのデータを基に組み合わせる。相手が気に入らなければ、断って次の紹介を頼む人もいる。
現在では、40日間の分離期間を除く蕩減条件は削除されている。いずれにしても、過去から現在に至るまで教団で祝福する男女のカップルのマッチングは、女性(妻)の方が1〜4歳程度年長である「姉さん女房」となるように組み合わせられる場合が多い。教祖一家である文一族や既成祝福の場合を除き、男性(夫)が年長者であるカップルは稀である。
宗教学者のダグラス・E・コーワン(英語版)、宗教社会学者のデイヴィッド・G・ブロムリー(英語版) は、初期には祝福を受けるために多くの奉仕が求められたが、現在は候補者は24歳以上で3年以上会員であることが求められ、儀式も簡素化されていると述べている。
1992年には、祝福には非会員も候補に入れられるようになり、90年代半ばには、存命中の信者と亡くなった配偶者との再結合、信者の先祖も祝福の候補に含まれるようになった。2016年の合同結婚式には、主催者によると62カ国から約3000組が参加し、うち日本からは778人、オンラインでも世界から1万2000組が参加したという。会場で結婚した3000組のうち1000組は新規の結婚で、残りの2000組は入信前に結婚しており、改めて祝福を受けるために出席した。
ジャーナリストの鶴野充茂は、統一教会によると、コミュニティ内の出生率は第二次ベビーブーム時並みの2.1人、基本的には結婚率100%で、離婚率は1.7%と非常に低いと述べている。
2016年5月、フジテレビの番組「みんなのニュース」の中で、合同結婚式が取り上げられており、かつては直接会ったことがない信者同士を文鮮明氏が“組み合わせ”ていたが、現在は、教団のマッチングサポーターと呼ばれる仲人が、信者から希望をヒアリングして、信者の相手探しを手伝うことになっている、と報道されている。
   同性愛​
統一教会は祝福による男女の結婚・家族形成による救いを主張しているので、それに反する同性愛は「創造の原理に反する不自然な関係」であるとして否定・批判している。統一教会は「同性愛は倫理道徳の問題であり、人権問題ではない」、「キリスト教はもちろんのこと、同性愛を“罪”とみなすのは、古今東西の主要な宗教で共通している」と述べている。同性婚を認めれば、「不倫はもちろんのこと、一夫多妻や近親相姦などの“権利”を主張することも可能となる。さらには、文字にするのもおぞましいが、『獣婚』(獣姦、動物とセックスすること)も論理的には認めざるを得なくなる」と主張している。
   霊魂観​
統一原理では、アジア的な霊魂観が説かれている。被造世界は神に似た人間を標本に創造されたため、あらゆる存在は心と体からなる人間に似ているとされ、独特な霊界、霊人間の存在が説かれる。霊界は霊的な五官で知覚される実在世界であるという。霊人間は現実の人間の合わせ鏡のようなものであり、霊魂を浄化するには身体の浄化や贖罪が必要であり、それをしなければ地獄行きであるとされる。天国には地上に建設される地上天国と、その建設に伴ってできる霊界の天国があり、死後に霊界天国で安らぐために地上天国の建設が目指される。
   終末観​
現在は、サタンの支配する罪悪世界から、神が支配する創造理想世界に転換される終末(末世)であるとされる。
   復活
復活とは、サタンの支配圏に堕ちた立場から、神の支配圏内に復帰するその過程を意味するとされる。統一教会では、イエスが埋葬された3日後に弟子たちの前に現れた復活など、キリスト教の伝統的な復活論は全く顧みられていない。聖徒、善霊、悪霊といった霊界をさまよう霊は、地上の人間に憑依して思いを遂げるとされ、霊たちの助けで摂理が進むとされる。
蕩減(とうげん)​
   原義(朝鮮起源の漢字語)
借金を全部帳消しにすること。借債を悉く免除してやること。remission(ゆるし)。 「蕩」の字義は「すっかり無くする。『蕩尽/掃蕩』」 
韓国では一般に金融用語として「債務の減免」の意味で使われ、頻繁にマスコミに登場する。また韓国語聖書で負債や罪の「ゆるし」の訳に用いられており、韓国のキリスト教会の説教でも頻繁に用いられる。
   原理用語
統一教会の教義「統一原理」の中核にあたる救済観を「蕩減復帰原理」という。文鮮明教祖が「蕩減」と言う時、99%は統一教会独自の用語である「蕩減条件」「蕩減復帰」「蕩減復帰原理」いずれかの略語で、原義で言うことは1%未満。文鮮明教祖の原義の解釈は「小さな条件で大きな負債を赦すこと」であるのに対し、劉孝元著「原理講論」では「本来の位置と状態を復帰するために必要な条件を立てる(満たす)こと」、崔元福による英訳では「indemnity(賠償)」と異なる定義をしている。これを読んだ金東俊神田外語大名誉教授は「これは間違い」と明言している。この教会自ら陥った誤認によって国内外のキリスト教会からの批判を招いている。教会内部では無原罪で生まれた再臨のキリストとされる文鮮明(今それは否定され再臨のキリストは妻韓鶴子)が生誕した韓国を最も迫害したとする日本が支払うべき「賠償(indemnity)」の意味で使われることが多い。
   信者達の認識
救済、正確には復帰のプロセスは、神と人間の関係という縦の次元と、人間同士の関係という横の次元がある。復帰は、信心や行いではなく、蕩減(とうげん。償いの意)によって得られるとされる。人類はメシアが出現できるだけの「基台」を築くように務めなければならない。救済の摂理において、神の責任分担は95%、人類の自己責任分が5%であるとされる。神が求めるのは、人間の罪を償いうるに足る以下のものだが、その正確な量は神によって決められるとされる。摂理の成就は、信者の信仰と働き次第であり、よって完全な献身を求められる。
日本「エバ」論
日本のセミナー等で、『原理講論』で説かれる堕落の経緯と復帰の歴史を説明される際に、韓国は「アダム国家」、日本は「エバ国家」とされ、先に堕落したエバがアダムに侍ることは当然であると説かれている。
朝鮮を植民地支配し民族の尊厳を踏みにじった日本はエバと同じであり、韓国に贖罪しなければならないとされているのである。合同結婚式では、日本人女性・韓国人男性のカップルが多く生み出されており、結婚した日本人女性は韓国人の夫や家族に尽くすことが求められる。サタンと姦淫したエバである日本とアダムとされる韓国という構図で規定される。
朝鮮半島は男性器、日本は女性の陰部といった比喩も存在する。  
●信徒数​
2008年時点で統一教会は世界の200近い国で活動しており、日本と韓国を中心に300万人といわれるが、研究者たちは、事実上の会員はアメリカの数千人の信者を含め、数万人程度と考えている。
1995年12月31日現在の文化庁宗教団体信者数統計によれば日本の信徒数は477,000人だが、これは各教団からの申告に拠るもので、統計の全信者数を合計すると全人口を超えてしまい、実際の信者数とはズレがあるため、統一教会の477,000人という数字も実際とは異なると考えられる。
マスメディアによる批判報道(特に『朝日新聞』と『文藝春秋』)や度重なる多額の献金要求の影響もあって、信者数は減少したといわれる。ジャーナリストの米本和宏は、1992年以降の激しい批判報道やその後の貨幣復帰疲れ(献金疲れ)で退会した信者は相当に多く、累計の入会数56万人に対し現在(2009年時点)で活動している信者は推定6万人、残り50万人は退会したか退会同然の状態であると述べている。  
●批判​
多額の献金要求​
1988年5月、献金名目で土地や建物を安く売却させたとして、都内の無職女性(67)と千葉県の会社員(37)が教団に対し、約7500万円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こしている。訴状によると、無職女性の土地やアパートを9400万円で売却させ、うち5400万円を献金させた。会社員は、高額な多宝塔や羽毛布団などを買わされたとしている。
1992年4月、男性(58)ら一家4人が、「詐欺的な説得で多額の資金を提供させられた」として、約19億3000万円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。訴状によると、教団関係者が男性の農地を担保に借金をさせ、16億4000万円を教団に貸金名目で提供させたとしている。
1996年6月、関東地方在住の女性(67)ら3人が、教団に13億2800万円の損害賠償請求訴訟を起こした。訴状によれば、1989年5月から12月にかけて、土地を担保にノンバンクに借金をさせ、約13億を献金させた。
1998年頃、統一教会の元信者の男性が教団に対し、19億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起した。男性は栃木県の資産家の家に生まれたが、大学在学中に入信、以後、多額の献金を求められ、1986年から1991年までに総額32億を寄付し、先祖代々の土地の大半を失ってしまった。教団は当初争う構えを見せたが、最終的に19億の支払いを認める形で和解した。弁護団は判決回避のためとみている。
朝日放送の取材に答えた大阪府在住の元信者は、三男の自殺による精神的ショックから入信に至り、1993年から2006年の13年のあいだに、三男の生命保険金など3000万円近い金額を教団に献金したと語った。
2005年から2010年にかけて、警察による霊感商法の摘発が相次いだことから、不特定多数を狙った霊感商法は下火になり、集金方法は「狭く、深く」少数の信者から大金を搾取するようになっているという。
2012年7月3日、元信者の女性(37)が、教団と国に対し、約4300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起した。教団に対しては、不安を煽られ、献金や「献身」と呼ばれる労働行為を強いられたこと、国に対しては是正措置を講じる義務があったのに放置した責任があったとした。
2014年3月24日、元信者ら40人が、違法な布教活動で献金や宝石購入を強いられたとして、教団に合計1億990万円の損害賠償を求めていた裁判で、札幌地裁は、元信者3人の請求を一部認める形で、合計3850万円の支払いを命じた。判決では布教活動を「経済的利益を獲得する目的」とし「信教の自由を侵害する行為」と認定した。
2016年6月28日、東京高裁は、教団の指示で元妻が多額の献金をしていたとして、60代男性に対して3428万円の損害賠償の支払いを教団に命じた裁判の控訴審で、組織的な関与を認めた上で賠償金を3789万円に増額した。教団は献金は信者の自由意志によるものと主張したが、裁判では、献金をしないと不幸になるとして、夫の預金を献金するように指示したと認定された。
2020年2月28日、東京地裁は、教団に対し、違法な勧誘で多額の献金をさせられたとして520万円の損害賠償請求訴訟を提起していた60代の元信者女性に対しての、470万円の損害賠償支払いを命じた。
2022年7月、教団による被害の救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は、毎日新聞の取材に対し、献金の違法性を認定し、返金を命じる民事裁判の判決が近年も相次いでおり、教団は現在でも信者に献金や奉仕を強要している、と強調した。
原理研問題​
統一教会系の学生組織『原理研究会』は、1960年代以降社会問題になり、複数の事件・訴訟が発生。原理研に加入した学生は学業を放棄して活動に熱中し、帰宅せず教団関連施設に泊まり続けるようになった。さらには親に「金を出さなければ親子の縁を切る」「遺産の前渡しだ」などと寄付金を要求し、要求が受け入れられないと断食をしたり、「サタン」と親を罵ったり、「殉教する」と自殺をほのめかしたりと、異常な言動をするようになり、「家庭破壊」の被害が続出した。原理研の活動は、路上での布教や募金活動を不眠不休で行うなどの重労働で、過労で入院する学生も多かったという。原理研の運動が盛んだった早稲田大学では、大学側は学生に対し学業に復帰するように要請するも、布教に専念するために退学に至る学生も現れた。原理研による家庭崩壊の被害に遭った親らは、「原理運動対策全国父母の会」を結成、渋谷にある統一教会本部前で「わが子を家庭、学校に返せ」などのプラカードを掲げてデモ行進を行った。
1967年12月には、教団信者2人が大分県内の滝壺で溺死、原理運動の修練活動中だったと見られる。
1968年9月、「原理運動対策全国父母の会」は教団会長の久保木修己を刑事告訴した。告訴状によると、神奈川県厚木市に総工費7億円で「修練所」を建設すると称し、学生の親から寄付金を募ったが、募金終了後1年以上たっても着工せず、経理報告もしなかったため、寄付金詐欺であるとした。
1970年8月、原理研の修練会に参加していた学生が、全身打撲による衰弱で死亡した。原理研の幹部らが不法に監禁し医師にも診察させなかったことが原因として、関係者7人が書類送検されている。
1976年には、フランスの「原理運動」パリ本部で手製の爆弾が爆発、教団関係者2人が重傷を負った。原理運動はフランス国内でも社会問題化しており、「子供を取り戻す会」が全国で3つもつくられていた。
1976年9月ごろ、米国の移民局は、「原理運動」に関与する統一教会の信者約700人を不法滞在者として国外追放する手続きを指示した。これらの信者の多くは、日本人と韓国人で、連邦判事が「宣教師見習」としての資格を認めないと裁定していた。
1977年2月、原理運動に反対する「原理被害者更生会」の顧問が男女2人に鉄パイプで襲撃される事件が発生。顧問は統一教会に一時入信した経験から、原理運動の被害者を社会復帰させる活動をしており、これまで約100人を更生させたと話していた。教団側は関与を否定。
1977年4月、渋谷署は統一教会保安係の男(31)を傷害、暴行の疑いで逮捕した。男は、教団に入信した長男、長女と面会に来た「原理運動対策全国父母の会」のメンバーに対し、「不法侵入で110番するぞ。帰れ、帰れ」と恫喝し、二人を手をつかんで押し出し、壁に体を押し付けるなどの暴行を加えた。また、別の日に教団責任者に面会を求めてきた「父母の会」のメンバーにも暴行、全治5日のけがをさせた。
1978年6月、青山学院大学で、原理研究会と対立する「反原理共闘」のメンバーら合わせて約20人で乱闘騒ぎが発生。1人が全治5日のけが。
1982年11月、東京大学駒場北寮で、反原理運動サークル「文理研」の寮生3人がいる部屋に、約10人の男が乱入し殴る蹴るの暴行を加えた。駆けつけた警察官に対して、一部学生らがスクラムを組んで立ち入りを拒んだために、機動隊が出動し4人が公務執行妨害で逮捕された。
1983年には、徳島県で原理研に加入した娘を家に連れ帰った親を相手取って、原理研側が人身保護請求訴訟を提起した。徳島地裁は「娘の幸福を願った親の愛情に基づく正当な親権の行使」として請求を棄却している。
1988年12月、「原理研究会」の指示に従って就職した元信者が、理由もなく給料を天引きされ、1日あたり1100円の賃金しか支給されず、毎日15時間から21時間にわたる長時間労働も強いられ「タコ部屋同様の生活を強いられた」として、元勤務先の「セイロジャパン」に対して未払いの賃金や慰謝料を求める訴訟を東京地裁に提起した。
現在でも多くの大学は「原理研究会」への注意喚起を公式に発信している。特に、上智大学、青山学院大学、同志社大学、明治学院大学等のミッション系大学は、教団を名指しで批判しており、上智大学は「キリスト教の名を語って人を惑わす新興宗教」として、「巧妙な手段を使ってキリスト教の学校や諸機関にまぎれこみ、騙された人を引きずりこんで、あちこちに被害が出ています」としており、青山学院大学は「サークルのふりをした危険な宗教団体」として、一般的なキリスト教の教えと大きな隔たりがあると、警告を発している。同志社大学も、教団を「破壊的カルト」として、「不安や恐怖をあおり、日本や世界が滅びるなどと脅かし、お金をたくさん取る団体」と厳しく批判し、明治学院大学も「多くの被害者を出してきた宗教団体」として、教団への注意を呼びかけている。
散弾空気銃問題​
1968年秋頃から、原理運動の関係者の間で、韓国製の散弾空気銃が出回っていることが判明し、問題となった。この銃は全国の原理運動関係者に市販され、1969年2月1日までに793丁の所持申請が警察に出された。63丁は年齢などの問題で受理されなかったが、446丁は猟銃扱いで許可された。この空気銃は通常よりも威力が高く、散弾銃に近い性能をもっていることから、禁止の方向で検討が始められた。
2世信者問題​
両親が教団の信者である「2世信者」も深刻な社会問題になっている。幼少期から信仰を強要される、教義に従う生き方を強制される心理的虐待を受けてきた、献金のために貧困に苦しんだ、との証言が多数報告されている。自分も「元2世信者」であると語る20代の女性は、日本テレビの取材に答え、「2世信者」の苦しみを語った。女性は幼い頃から親に従い信仰をしてきたが、徐々に違和感を感じたという。小学生の時に、教祖・文鮮明の血が入っているとされる赤ワインを飲まされると「まずくて、気持ち悪かった」と感じたといい。中学生くらいから、信仰を拒否するようになった。親は給料の大半を教団への献金に費やしてきたといい。狭いアパートで高価な統一教会の「聖本」や「壺」に囲まれて生活をしていたという。
別の「2世信者」女性は『週刊文春』の取材に答え、「絶対に異性を好きになってはいけない」と恋愛を厳しく制限されていたことを明かした。恋愛に興味を持たないように、本や漫画、テレビ番組も厳しく制限された。20代になって恋人ができ、そのことを親に打ち明けると「お前はサタンだろう!」と相手を脅迫しにいき、破局に至った。女性の弟は「合同結婚式」に頼らず、自分で相手を見つけて結婚したが、弟がそのことを打ち明けると、親が「殺しに行く」と言ったため、警察沙汰になった。弟は親と絶縁したという。
「合同結婚式」で出会った両親の元に生まれた別の30代女性は、毎日新聞の取材に対し、両親は布教活動などに熱心で家を留守にすることが多く、夕食は一人で食べることがほとんどだったと語る。両親は給料の大半を教団への献金に費やしてきたため、生活は貧しく、小石や虫が混じる「くず米」を食べていたという。やはり家には壺や印鑑、多宝塔が置かれ、文鮮明の写真が飾られていた。
小学館『週刊ポスト』の取材に答えた別の20代後半の「2世信者」女性も、幼少期から貧困に悩まされてきたという。小遣いは1円ももらえず、親戚からもらったお年玉も献金のため没収された。服もボロボロで、集団登校では『くさいから来るな』といじめにも遭った。高校生ではじめたコンビニのアルバイトで稼いだお金も、全額両親に渡していたという。
40代の「2世信者」女性は「親孝行になるんだ」と親に従い高校生のころに入信した。21歳の時に「合同結婚式」に参加、結婚前に一度も会ったこともない当時19歳の韓国人と結婚した。夫は無職で気に入らないことがあると度々暴力を振るった。しかし、教団に相談すると「あなたの信仰が足りない」と言われただけだった。男性とは離婚に至り、教団が紹介した別の男性と再婚したが、男性は女性のクレジットカードを使い込み、女性は自己破産に至った。
規制論​
教団が長期にわたって深刻な社会問題を引き起こしてきたことから、教団に対する規制を求める声も根強い。弁護士の紀藤正樹は「旧統一教会は、本人の財産状況を確認して、ギリギリまでお金を出させる手法で、過去30年余りで1230億円以上の被害が確認されている。行政側は、宗教団体による霊感商法には、信教の自由などからタッチできないという認識があり、問題の根深さにつながっている」とした上で、オウム真理教事件を契機に欧米でカルト対策が進んだ一方、日本では手付かずである現状を指摘した。
国民民主党の玉木雄一郎は、「今問われているのは政治とカルトの問題だ。宗教をまといながら、反社会的な行動を行うことはあってならない。場合によっては法整備も必要だ」として、フランスなど他国の法規制を参考にし、法整備も含めた対策を検討するとして、党内に調査会を設ける方針を明らかにした。
社会心理学者の西田公昭は、「海外では特定の団体をカルトと認定し、その思想を子どもに教えること自体を違法とする国もある」として、教団に対する規制を国が実行する必要性を説いているほか、「宗教」と「カルト団体」と一緒にしてはいけないとして、旧統一教会と他宗教団体を同等に扱うことに否定的な見解を示した。
一方で、弁護士・タレントの橋下徹は、日本テレビ系の『ミヤネ屋』で「反カルト法のような法律を導入すべき」と主張した共演者の紀藤正樹に対し、「教義内容や内心に踏み込むのは危険」と否定的な見解を示している。すると、紀藤は「70年から80年代で欧米で議論されていた、40年前の議論を蒸し返している」と反論、さらに「基本的には信教の自由には立ち入らない。諸外国の常識で、カルト規制法もそう。そしてカルト規制法は団体規制なので、宗教団体に限らない」と橋下の見解を否定した。
勧誘活動批判​
統一教会の勧誘の手法は厳しい批判の対象となっている。
教義・教説​
宗教社会学者の櫻井義秀は、ルシファーとエバが「不倫なる霊的性関係」を結んだという聖書における根拠はないと指摘している。アダムとエバが楽園追放前に性的関係を結んだという聖書の根拠はなく、『旧約聖書』「創世記」四章一節では、実際に二人が夫婦になったのは楽園の外であることが明言されている。また、霊的堕落・肉的堕落が不倫の性関係であるという根拠は聖書にはない。
現在の聖書学では、旧約の諸文書には原罪の観念はないと理解されている。櫻井は、統一原理では、「仮説を公理として議論を進めていって、議論に必要な概念(二性性相、四位基台、肉身と霊人など)もまた直感・霊感的に想定可能な準公理として用いながら、すべての議論を展開していく」と述べている。
カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、『原理講論』を対象とした論文において、この書において哲学、自然科学、歴史、聖書解釈学、神学等においての主張は、完全に確信のあるものとして羅列されているが、その裏付けは非常に弱いか全くないと述べている。文鮮明の理性は鋭く、思弁を好んで入るが、思惟方法は全く独特で、教育を受けているが狭い分野に限られており、独学者であることは明白であるという。文鮮明の思考の特徴は、ミシェル・フーコーが前近代的な思考方法の特徴として明らかにした類似に基づく考え方(呪術的思考の一種)であり、『原理講論』の歴史神学の論証の多くはこのタイプであり、この思考方法は近代以後の思想界では通用しないと述べている。
ネメシェギは、人間は皆悪魔の血を引いているとされるが、統一教会の楽園追放の話においても、人類はサタン(ルシファー)とエバの子孫ではなく、アダムとエバの子孫とされており、そうであるなら、統一教会の原罪を遺伝的にとらえる考え方と統一教会の楽園追放の話は合致しないと述べている。
イエスの死が、罪深い人類を正当な理由で虜にしていた悪魔に支払われた身代金のようなものであったという説は、古代に幾人かの教父が唱えていたが、これには聖書的な根拠はなく、キリスト教神学では中世には捨てられている。また、人類の歴史を神とサタンに分け、人々を恣意的(この分別の基準は、良識や常識の判断と必ずしも一致しないとされる)に神の側、悪魔の側に分けることは、狂信的で極めて危険であると指摘している。ある宗教が天の側により近い宗教の邪魔をする場合、それはサタンに属するとされ、『原理講論』の倫理観では、それを滅ぼすためにはあらゆる行動が許され、善とされることになる。
また、ネメシェギは次のことを指摘している。『原理講論』では、旧約聖書に書かれた様々な出来ごとを文字通りに受け取り、その年代も書かれたとおりであるとする根本主義的な聖書解釈(現代聖書学の立場では支持されない)と、聖書の表現を字義通りにではなく象徴的に解釈する象徴的聖書解釈が混在している。
ネメシェギは、歴史学から否定されていることを事実とする一方、他のことを単なる象徴としているが、どちらの解釈を用いるかの判断基準はなく、文鮮明の独断にしか思われない。
科学と宗教とを混合するような考え方は、現代のキリスト教哲学の認識論ではすでに排除されているが、『原理講論』には認識論が全くない。世界の終末を計算するための歴史観は、非神学的、非学問的であり、その歴史観には驚くほど空白が多く、ギリシア・シリア・ロシア等の東方、ラテン系、アジア・アフリカ系諸民族は全く無視されている。
神に二性性相があるとし、それを性的にとらえることは極めて危険であり、このような神理解から、統一教会の思想で性が過度に大きな位置を占め、結婚が絶対視されているのであろうと述べている。独身性・童貞性に対する評価が全くないという点でも、世界三大宗教のどれとも区別される。神の永遠の幸せがこの世なしにはあり得ず、初めてこの世から得られるという考え方は、キリスト教的な神信仰ではなく、神を進化するもののように考える汎神論の系統のものであるという。
諸問題との関連​
宗教学者島薗進は新宗教における「隔離型教団」の代表的な例としてオウム真理教、エホバの証人、幸福会ヤマギシ会と共に統一教会をあげている。
櫻井義秀は、万物復帰の教えが教団の資金調達と密接に関連することを指摘している。
「霊的な子ども」を生み出すことと考えられていた「勧誘活動」と共に、「資金調達」はサタンの領域から神の領域への合法的な金銭の移動と考えられ重視された。勧誘活動と資金調達は、共に非常に儀式的な活動であり、たとえその活動で敵意にさらされようと、愛を与え、多くの人に復帰に関わる機会を与える活動と考えられていた。多くの信者は、寄付した人がその行為の霊的意義を認識しているか否かに関わらず、神の領域へ資金を移動することで利益を得ると信じている。宗教学者のダグラス・E・コーワン(英語版)、宗教社会学者のデイヴィッド・G・ブロムリー(英語版) は、これが一部の資金調達チームの「聖なる詐欺」の実践、寄付の見込みのある人からさらにお金をだまし取ることに結びついたと述べている。
合同結婚式も統一教会がカルト視される一因となっている。教団内婚制で世代が再生産されるため、ピークを越えたとはいえ教団の持続力は強い。教団内婚制も、カルト視されたりマインド・コントロール疑惑が持ち上がる一因になっている。
日本では1992年には、歌手で女優の桜田淳子(当時34歳)、元新体操選手の山崎浩子(やまさきひろこ、当時32歳)、元バドミントンの世界チャンピオンの徳田敦子(当時36歳)ら有名人が韓国ソウルのオリンピック・スタジアムで行われる「3万組国際合同祝福結婚式」(前年までに12回行われ、計2万組の夫婦が誕生していたとされる)に参加することが公になり、マスコミでスクープとして飛びつき、過熱気味な報道が繰り広げられた。次第に霊感商法被害や、見知らぬ異性同士が教祖のマッチングで結婚するのは不気味だと、激しいバッシングに変わった。
1993年には前年の合同結婚式に参加した山崎が突如行方不明になり、統一教会側は拉致監禁であると記者発表してデモ行進を行った。1か月後、週刊文春の独占で山崎の動静が伝えられ、その後山崎はテレビで婚約破棄と脱会宣言した。1990年代以降、元信者が結婚無効を求める裁判も相次いでいる。
「血分け」批判と諸見解​
カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、神に陰陽説を当てはめるという考え方から性が過度に大きく扱われているが、性的乱交のような腐敗は今のところ見られないと述べている。櫻井義秀は、統一教会の布教当初、血分けの疑惑が持ち上がったが、それは未確認のまま終わっていることを紹介している。
1955年の梨花女子大事件の時も、「血分け」と称して淫行が行われているのではないかという疑いがもたれたが、文鮮明の容疑は兵役法違反及び不法監禁であり、無罪となっている。
韓国では、統一教会は数ある異端の一つと認識されているが、単に宗教団体というよりある種の財閥と認識されている。日本ほど反社会的宗教団体とは見なされておらず、韓国ではむしろ、日本で「摂理」と呼ばれるキリスト教福音宣教会が教祖による女性信者への性的暴行などで社会問題となっている。
櫻井義秀は、文鮮明が初期の信者たちと「血統転換」をどのようにやったかは伝聞でしかないと述べており、統一教会の血分け疑惑に関して著書でさらなる論考はしていない。そして文鮮明が、北朝鮮の興南牢獄に収監され国連軍の進攻で解放された経験や「血分け」スキャンダル等の迫害を受けたことを受難として、メシアにふさわしい聖痕として教説化したことを指摘している。
ポリテクニック・サウスウェストの哲学科助教授・バーミンガム市のセリーオーク・カレッジ新宗教運動センター理事のジョージ・D・クリサイディス(英語版)は、統一教会は血分け教、セックス教であるという主張には裏付けがなく、想像の域を出ていないと述べ、次のように解説している。
統一教会の初期には、夜遅くまで講話が行われることがあり、その際は夜間外出禁止令のために信者たちは朝まで帰宅できなかったが、敵対者はこれを不道徳な性的行為、乱交パーティーであると批判し噂が広まった。官憲が1954年に文鮮明と信者四人を逮捕し、罪状には姦通罪も含まれていた。しばらくして徴兵拒否以外のすべての罪状は取り除かれ、徴兵拒否も無罪となり3か月後に釈放された。キリスト教主流派や統一教会の批判者は、統一教会は批判者が血分けと呼ぶ性の入会式を行っており、救世主的教祖が女性の新入団者と性行為を行って女性を浄化し、その上で夫と性行為を行い夫の浄化と子孫の浄化を復帰するということを行っていると主張している。
しかし、クリサイディスは、統一教会がこれらを実践しているという情報は、いずれも間接的なものにとどまっており、統一教会と性の儀式を結びつける証言はごくわずかしかないとのべている。統一教会の信者であるユー・ヒョーウォン夫人は、歴史的に統一教会と関係のある聖主教で裸体儀式(楽園で人間が裸体であったことにちなむもので、性儀式ではない)が行われていたため、統一教会もその槍玉に挙げられると述べている。
ヨン・ポクチョンによる、文鮮明がキリスト教主流派から「血分け教」の開祖とも呼ばれる李龍道に出会い傾倒していたという証言は、年代が史実と合致しない。クリサイディスは、ユー夫人の見解の方がヨンの証言より問題が少ないと述べている。またクリサイディスは、現実問題として、教祖が合同結婚式に参加する8,000人もの花嫁と性交渉を行うことは不可能であると述べている。
クリサイディスは反カルト派や主流キリスト教の論者で、統一教会は血分け教、セックス教であると批判する論者は、「血」は実物なのか象徴なのか、性行為の相手は救世主である教祖なのか配偶者なのか、後者の場合、集会で行われるのか非公開であるのかを論じることもなく、出どころの不確かな引用、さらなる孫引きを行っていると述べている。
クリサイディスは、「血分け」(ピガルム)というハングルが存在するのだから、その言葉が指す何らかの宗教儀式(乱交パーティーではない)は朝鮮半島にあっただろうと推測することはできるが、正確にどの新キリスト教集団が血分けを実践していたかはわからず、統一教会が行っていたことを裏付けるだけの証拠はないと述べている。
統一教会が元々「セックス教団だ」、「入会した女性信者は儀式と称する教祖との性行為を強いられる」、「血分け教である」、というバッシングは、1995年の文鮮明の逮捕に関する噂が元になっていると思われるが、その後の無罪放免になった顛末は無視されているという。
クリサイディスは、統一教会に血分けの疑惑がかかるのは、同会が婚姻外の性交渉を厳しく戒めていること、血統の復帰の過程は婚姻関係の中だけで「原理的」性交渉として行われること点から見ても筋が通っていないと論じている。クリサイディスは、このような主張が行われるのは、糾弾する側が悪意を持っているということか、より寛容に解釈するならば、血分けの実践と「祝福」(合同結婚式)の後の夫婦間の決められた手順の性行為を混同したのだろう、と述べている。
キリスト教主流派によるもの​
異端・カルト110番によると異端・カルトである。また日本カトリック司教団が1985年6月22日に出した世界基督教統一神霊協会に関する声明では、キリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ないことを明確に宣言とある。
キリスト教は世界中に布教されたが、その過程で様々に変質し、伝道する国の文化に順応してきた。世界の新宗教の多くはキリスト教の伝道活動の影響を受けて発生している。キリスト教の他文化への順応は、1世紀におけるヘレニズム化のように容認される場合もあれば、認められない場合もある。
キリスト教が土着の宗教と混合して生まれた宗教が、キリスト教の主流派から認められず、その宗教がキリスト教であると主張した場合、モルモン教のように主流の教会から異議を申し立てられたり、ラスタファリアンのように独立した宗教を形成することもあった。
櫻井義秀は、統一教会は独特の聖書解釈が見られる『原論講論』を教典とし、教祖・文鮮明が再臨主であると主張していることから、キリスト教の主流派からは異端と見なされていると述べている。統一教会側は、キリスト教の主流ではないが、その教えは韓国に伝来したキリスト教の土着化による正当なものだと主張している。
文鮮明はプロテスタント的なキリスト教の影響を受けており、聖書の正典を知るために教会の伝承が必要であるとは考えない。しかし、キリスト教の最大会派であるカトリック教会では、エキュメニズムの対象にもなり得ないため、キリスト教ではない宗教であると宣言している。
ジョージ・D・クリサイディスは、統一教会を研究する際は、キリスト教の主流の信仰・実践と比較して「逸脱したキリスト教徒」とするのは単純に過ぎ、キリスト教だけでなく韓国の宗教と文化的背景を考慮し、韓国の伝統的な宗教とキリスト教宣教師の到来と活動の結果生まれた新キリスト教集団にルーツを探り研究する必要があると指摘している。独自の神学は仏教、儒教、道教、シャーマニズム等の土着の諸宗教の影響も受けている。
宗教社会学者のマーク・マリンズ(Mark R. Mullins)は日本のキリストの幕屋やイエス之御霊教会を「メイド・イン・ジャパンのキリスト教」と名付けて、キリスト教の土着化の例として欧米に紹介した。死者に戒を授け仏弟子とする日本の仏教が「仏教の土着化」であるなら、先祖に洗礼を授けることも「キリスト教の土着化」になるかもしれないが、これはバプテスマや自発的信仰を重視するプロテスタントとの根幹にかかわることであり、異論もある。
櫻井義秀は、こうした日本のキリスト教のマイノリティ教派を土着化の事例として認めるならば、韓国におけるキリスト教系新宗教も土着化の事例に相当するかもしれないと述べてる。宗教社会学的には、どちらも外来宗教の土着化と見なせる。櫻井は、但し、十字架上のイエス・キリストの血による贖罪を最終的な救済として認めるか否かでキリスト教と異端を分けることは、教派の神学としてはあり得るだろうと述べている。
統一教会は、イエス・キリストは霊的救済のみに成功し、肉的救済はメシヤに託されたとしており、十字架上のイエス・キリストの死を最終的な救済とは考えない。
統一教会は、アメリカの保守的な宗教指導者・政治的指導者たちと連携を築き、これによって社会的存在感を確固たるものにしてきた。文鮮明は、アメリカのキリスト教根本主義者ジェリー・ファルエル牧師が設立した私立のクリスチャン大学であるリバティ大学が経済的危機に直面した際に多額の資金援助をするなど、多くの保守派の活動に援助を行った。
発生の背景には、1930年代の韓国のキリスト教における神秘主義的な運動があり、独立後の朝鮮戦争を経た1950年代以降の韓国において生まれた、新宗教運動の潮流の一つである。その神学は、仏教、儒教、道教、シャーマニズム、さらに韓国のキリスト教の影響を受けており、西洋的文脈になじまない信念も見られる。宗教的コミュニオンへの家族的没入が統一教会の実践的規律になっている。
カトリックの聖職者の減少を憂慮していたザンビア出身の大司教エマニュエル・ミリンゴ(英語版)は、2001年に韓国人鍼灸医師マリア・スンと合同結婚式で結婚し破門されかかった。ミリンゴはスンと別れて静かに暮らしてたが、2006年にワシントンでスンと共にカトリック教会における聖職者妻帯の認可を求め、4人の妻帯司祭を司教に任命し、自動的に破門された。
カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、統一教会はキリスト教、特にカトリック的キリスト教とは本質的に異なる宗教であり、キリスト教に属する諸教会・教団の再統合を目指すエキュメニカル運動の対象外であると述べている。また、統一教会はキリスト教との関係という点で、マニ教と非常によく似ているという。(マニ教はサーサーン朝ペルシャのマニ(3世紀)を開祖とする二元論的な宗教で、統一教会と異なり性を忌むべき悪と見なしていたが、イエスを高く評価し、開祖マニこそが最終的な真理をもたらすものであり、自説が宗教・哲学・科学全ての問題を理性的に解決する真理であると主張し、人類の最終的な唯一の宗教にならなければならないと考え、信徒は世界的な布教を行い、強固な宗教組織を作り、社会生活においても互いに連帯していた。)
ネメシェギは、人間と悪魔が性交できるといった神話的な思想は絶対に排除しなければならないものであり、原罪の教えは人間の悪魔化についての教えではなく、この世の一切の悪いことは神の意志に適うものではなく、神との調和を取り戻すことで、神の助けによってそれらの一切を取り除くことができるという希望を抱かせる教えであると述べている。統一教会は、イエスの復活を認めないからこそ、その死の理解が間違っているという。
またネメシェギは、次のように批判している。『原理講論』は文鮮明が受けたという啓示を根拠にしているが、啓示の客観的根拠は本書では述べられておらず、その教説には誤りが多く、実際に神の啓示であるとは思われず、文鮮明が啓示であると思い込んだのは、若い時からかかわっていた神霊主義的現象や、朝鮮半島のシャーマニズムの影響であったかもしれない。また陰陽論を神に当てはめるやり方は、キリスト教神学と哲学が初めから支持してきた神の絶対的超越性、独立、自己充足性、純一性、自由についての教説とは一致しておらず、神の絶対的超越性を十分理解できていないからこそ、被造世界にみられる特徴をそのまま神に当てはめてしまっているという。
日本では、日本カトリック司教団がカトリック信者向けに、「私たちは、一つの人間家族をつくり上げることの意義を否定するものではありませんが、この世界基督教統一神霊協会がキリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ない」ことを宣言し、その教えはカトリックの教えと明確に相反するため、統一教会のいかなる運動や会合などにも関与しないように注意を喚起している。
プロテスタントの日本基督教団牧師・宗教研究者の石井智恵美は、キリスト教を名乗ることについては、正統派キリスト教による根強い批判が見られると述べている。
キリスト教の主流派における公式の教会会議や委員会の中には、統一教会の統一思想に反対し、キリスト教であるという主張に異議を表明したり、危険性を警告するものもある。
1975年には、フランスのカトリック司教協議会が統一教会の危険性について警告書を出している。パナマの司教会議も、同一の立場から統一教会の実態について述べる司牧書簡を発表した。
1976年には、ニューヨーク大司教区が、アメリカのユダヤ系委員会、全米教会会議と共に、統一教会は反キリスト教的・反民主的であるという共同声明を出した。
プロテスタントの日本基督教団は、教団として統一教会対策に取り組んでおり、ジャーナリストの米本和広は、日本基督教団は総会で「統一教会を潰す」という決議を採択したと述べている。
日本福音同盟は統一教会はキリスト教ではないと表明し、様々な姿と紛らわしい組織体を持ち、それらを通じて多くの人々を勧誘し「マインドコントロール」していると断じ、その活動に憂慮を示している。
統一教会に対するこれらの動きは日本基督教団だけでは限界があると考えられたため、キリスト教諸教派に協力が呼びかけられ、2004年「統一教会問題キリスト教連絡会」が発足した。そこに、カトリック中央協議会、在日大韓基督教会、日本聖公会、日本バプテスト連盟、日本福音ルーテル教会が新たに加わり、日本のキリスト教エキュメニカル運動団体・日本キリスト教協議会がオブザーバーとして参加した。そして、定期的に会合を開いて情報交換を行い、統一教会問題の啓発冊子『これが素顔!』を作成、「連絡会」所属の司祭、牧師と「霊感商法対策弁護士連絡会」の弁護士、「全国統一教会被害者家族の会」の有志メンバーが訪韓し、韓国のキリスト教諸派に日本における統一教会の実態を伝えた。
統一教会などのカルト視される新宗教の信者に対する脱会カウンセリング(特定教団に入信した信者はマインドコントロールされているために信者であり続けるとみなし、家族とカウンセラーが積極的に信者当人の信仰問題に介入することでマインドコントロールを解き、教団から脱会させようという特殊なカウンセリング)には、信教の自由などの面から問題視する向きもあり、強制棄教であるというジャーナリストによる批判もある。
この脱会カウンセリングに関わるキリスト教関係者もおり、1998年以降、統一教会信者とエホバの証人の信者が、違法に脱会・棄教を強要されたとして、家族や関係者、脱会カウンセリングに関わった牧師が相次いで提訴されている。このような裁判は2005年時点で5件あり、2件が信者の請求を全て棄却し、3件が一部に違法行為があったとして損害賠償の請求を認めた(うち1件はエホバの証人)。
統一教会が聖酒には「父母の愛の象徴が入っている」と表現したせいか、聖酒には「精液」が混入されていると報道されたこともあったが、統一教会側は事実無根であると述べている。
同性愛者の信者は、当然同性愛を「克服」しなければ教会に残ることはできない(同性を愛するのは倫理道徳に問題があるから、同性愛者が人種のマイノリティのように権利を求めることは間違いとされるため)。
渋谷区で同性パートナーシップ制度の条例案が提出され、これに反対するチラシが組織的にポスティングされた。チラシでは、条例でエイズが蔓延する、言論の自由を侵害する、伝統的な家族制度に混乱をもたらし、学校教育や子供の躾にも悪影響を及ぼすなどと主張されていた。チラシの連絡先は、統一教会の関連組織として知られるpure love allianceである。
2008年に大阪府の堺市立図書館で、男性同士の愛や絆を扱う女性向けのジャンル「ボーイズラブ」小説が収蔵・貸出されていることを非難する「市民の声」によって廃棄が要求され、ボーイズラブとされた5,500冊の本が開架から除去される「堺市立図書館「BL」本排除事件」が起きたが、これに統一教会の関連会社「世界日報社」が関与していたのではないかと指摘されている。
2012年の設立者の文の死後に組織は分裂したため、韓国でも脱会者が相次いでいるが、まだ地方の不動産を保有しているため韓国内では影響力は残している。
日本共産党の政党機関紙「しんぶん赤旗」を刊行する「赤旗」は、文鮮明は若い時「混淫派」とよばれる血分け(ピガルム、「血の浄化」を意味する)教の信者であり、血分け教とはセックス教であると主張した。また、統一教会の教義は「文鮮明との血分け(セックス)によって人間は清められ、無原罪の子を産むことができる」というものであると断じ、激しく批判している(「赤旗」の主張の情報源は、上記批判を掲載した書籍『赤旗―統一教会元会員の証言』には記載されていない)。統一教会に対する通俗的なバッシングには、しばしばこのような主張が見られる。
また、ワシントン市の統一教会所属の「ユニヴァーサル・バレエ団」とレニングラード市のキーロフ・バレエ団は公式に関係を結び、1990年代初頭には統一教会のロック・グループ「オリジナル・マインド・バンド」が、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、チェコスロバキアで演奏するなど、東欧で活発に活動した。  
●関連事件​
赤報隊事件の関与疑惑​
2人の朝日新聞社所属の記者が殺傷され、2人の首相が脅迫された言論弾圧テロ事件である赤報隊事件について、教団の関与が疑われ捜査の対象となった。朝日新聞社の発行する『朝日ジャーナル』などが統一教会を批判していたことや、教団系の国際勝共連合が街宣車を繰り出し朝日新聞批判の街頭演説を繰り返していたこと、霊感商法批判を繰り返していた『朝日ジャーナル』編集部宛てに「社員のガキをひき殺す」などの脅迫状が送付されていたこと、「とういつきょうかいの わるくちをいうやつは みなごろしだ」との統一教会の名前を使った脅迫状が事件後に送付されたことが指摘されている。
副島嘉和襲撃事件​
統一教会系新聞世界日報は1980年代初頭赤字経営だったが、編集長として統一教会幹部の役職が与えられてた副島嘉和が、独立可能なほど興隆させる。それを乗っ取りと見た統一教会は、渋谷のビルを勝共連合信者約百人で占拠・監禁・暴行し、福島を強制解任した。副島嘉和と元営業局長井上博明は、連名で文藝春秋1984年7月号に「これが『統一教会』の秘部だ―世界日報事件で『追放』された側の告発」という18頁に渡る手記を暴露発表した事で、1970年代の10年間で日本から韓国へ約2000億円が送金された事など、初めて日本国内の一部に統一教会の内情が露見した。1984年6月10日頃には全国の店舗に並んだが、その直前の1984年6月2日夜、副島が帰宅途中に何者かに襲撃され、全身を刺され瀕死の重傷を負った「副島襲撃事件」が発生。この襲撃事件時、世界日報の元社会部記者が副島の自宅に偶然おり、副島が瀕死の状態で自宅にたどりついた時の様子を証言している。副島は全身を刺され、最も深い物で刃渡り15pまで到達していたが、心臓からわずかに2センチメートル外れており、また世界日報の別の記者が事件直後にたまたま副島の自宅を訪ねており、救急車に担ぎ込まれた事により副島は奇跡的に生還した。
この事件の後、統一教会は「副島は闇の世界と深い付き合いがあった。闇の世界のプロの刺客に襲われたようだ」との風説を盛んに流している。
副島らは、この襲撃事件前後の統一教会との確執に関して原稿を書き『週刊文春』に持ち込んだが採用されなかった。また、マスコミも襲撃事件を言論事件として取り上げようとするところはなかった。副島らは孤立無援の状態で統一教会の告発を続けたが、さまざまな事情によりグループから脱落者が出て、それを続けることは難しくなっていた。偶然ではあるが、1984年秋から『朝日ジャーナル』が統一教会、霊感商法の批判キャンペーン記事を掲載しはじめたため、副島らが始めた統一教会批判は実質的には『朝日ジャーナル』へ引き継がれることになった。この襲撃事件は殺人未遂事件としてではなく、傷害事件として捜査された。しかし、犯人を特定できないまま、1991年6月2日に公訴時効を迎えた。
カリフォルニア女性信者強姦殺人事件​
1985年4月、アメリカ合衆国カリフォルニア州の住宅街で訪問販売活動中の信者女性(22)が、住人の男に強姦・殺害された事件が発生している。女性は1984年8月に「布教のためアメリカに行く」と告げて、渡米していた。事件後、女性の遺族は教団関係者ら5者を相手取り、総額3900万円の損害賠償請求訴訟を提起。治安の悪い危険地域で、1人で訪問販売をさせていたことで、安全を指導し、危険を防止する義務を怠ったとして責任を追及した。裁判は教団側が2000万円を支払うことで和解に至った。
ウルグアイ女性信者自殺事件​
1996年12月2日、南米ウルグアイで教団の信者女性が宿泊先のホテルから投身自殺している。女性は教団の布教活動のために、3人の子供と夫を残し単身で11月中旬から渡航、首都モンテビデオで研修を受けた後、ブラジルで1年の布教活動に従事する予定だった。夫は現地の警察に対し、妻は文化の違いなどから「精神的にまいっていたようだ」と説明。女性は自殺直前にもコーヒーカップを床に叩きつけるなどの異常行動をとり、「精神的にとっても疲れている」「日本が恋しい、子供たちが恋しい」と語っていた。
東大生男女刺傷事件​
1999年1月19日、東京大学教養学部2年の男子生徒 (19) が、同級生の女子 (20) を刃物で刺し、全治1か月の重傷を負わせる事件が発生した。女子生徒は統一教会信者で、「原理研究会」の勧誘のために男子生徒に信者であることを明かさずに接近したが、これをきっかけに男子生徒がストーカーと化したという。男子生徒はPHSに1日何十回も脅迫電話をかける、待ち伏せする、寮に押し寄せるなどのつきまとい行為を繰り返していた。さらに女子生徒に信仰をやめさせるために、セミナーに通いはじめていたが、女子生徒が合同結婚式に参加していたことを知り、精神的に追い詰められ、凶行に及んだとみられている。男子生徒は逮捕後、何度も『彼女に騙された』と語っていた。
麻薬関連のマネーロンダリングと密輸​
2020年1月20日、統一教会の南米代表(総裁:ハク・ジャハン)が麻薬関連のマネーロンダリングと密輸で米国連邦捜査局(FBI)に逮捕・起訴された事実が遅ればせながら明らかになり、被告人と教会幹部との接点が疑われている。
同年20日、米司法省によると、米司法省は世界平和統一連盟の政治団体である国際平和議員連盟(IAPP)の会長シンシア・エリザベス・タラゴ・ディアスらパラグアイ国籍の3人を起訴した。FFWPU)は、2019年11月21日(現地時間)、FBIの捜査結果に基づき、マネーロンダリングとドラッグ密輸の容疑でニュージャージー州地方裁判所に提訴した。タラゴはパラグアイの元国会議員(MP)で、他に夫のレイモン・ヴァと両替商の幹部ロドリゴ・アルバレンガ・パレデスが共にに起訴された。
タラゴとヴァの夫婦はマネーロンダリングにより空港に到着した直後の同日にニューアーク・リバティ空港近くのホテルで逮捕され、現在はニュージャージー州モンマス郡の連邦刑務所に収監された。共犯者のAlvarengaは未逮捕であるが、国際刑事警察機構(インターポール)に指名手配されていおり、パラグアイに潜伏しているとみられる。
その他​
1976年5月、ニューヨーク・ブルックリンで日本人の青年信者が布教活動中に強盗に襲われ死亡。
1976年6月、教団系のホテル「ニューヨーカー・ホテル」で、手動式エレベーターの20階からアメリカ人青年(21)が転落死。
1976年8月、ニューヨークで日本人の青年信者(23)が教団系のホテル「ニューヨーカー・ホテル」の22階から転落死。ニューヨーク市警の調べによると自殺とみられる。読売新聞は、統一教会の秘密的な活動状況から、すんなりと「自殺」と受け取れないとしている。また、当時ニューヨークでは、観光ビザで米国を訪れ、日本料理店で不法就労し、移民局から摘発される信者が増えていたという。
1980年12月、タンザニアで統一教会の信者が闇ドル売買のおとり捜査に引っ掛かり、逃げようとして射殺される事件が発生。タンザニアでは布教が禁止されていた  
●各国での活動​
1970年代中盤から80年代中盤までに日本での霊感商法で稼いだ資金のうち、8億ドルはアメリカに送金され、統一教会のアメリカでの大規模な布教活動やロビイング活動に利用された。この資金源はアメリカの信者には秘密であった。それらの資金を利用して、韓国、日本、米国で保守系日刊紙を刊行しており、文鮮明が推進した事業には、日本では1975年創刊の保守系新聞世界日報、1982年に文鮮明はアメリカの保守系新聞であるワシントン・タイムズ、国際ニュースメディア企業「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ」、などがあり、特に財閥組織である「トンイル・グループ(世界基督教統一神霊協会維持財団)」はその代表格である。
日本​
1958年、当時まだ国交のなかった日本での伝道のため崔奉春(日本名:西川勝)を密入国させ1959年10月 に日本統一教会を立ち上げ、1964年には東京都知事の認証で宗教法人となった。1960年代初めには立正佼成会の庭野日敬会長(当時)の指示で統一教会の教えを学んでいた立正佼成会の青年部の信者50名ほどが統一教会に転じ、2年後に日本の会長になった久保木修己をはじめ、後に教団幹部となる者が出た。
戦後の外来宗教としては古い部類であり、ミッション(伝道団)であると考えるならば、その中では日本で最も勢力を拡大している。
日本では多くの社会問題を起こしたことから、社会的評価は低いが、政治家との強い関係や経済組織を持ち、数十万の日本人を活動に巻き込み、現在も数万人の熱心な日本人信者を持つなど、社会的影響力は弱いものではない。
日本において最初に問題になったのは「原理研究会」であった。大学生の子どもの様子がおかしい、ホームや教会に寝泊まりしながら販売活動や募金活動や布教活動に奔走しており、家に戻れと言っても言うことを聞かず、原理研究会や統一教会の批判をすると血走った尋常ではない目で反論して来る、果ては大学を中退し、合同結婚式に参加する。これを朝日新聞が1965年7月7日に「親泣かせの原理運動」と報じたのが皮切りである。
1960・70年代には、統一教会の学生組織である「原理研究会」が大学構内で示威的な布教活動を行い、大学を中退して統一教会に献身する学生が問題となった。現在も大学では学生を守るための対策が講じられている。
統一教会は、霊障や祟りを強調し、占いや先祖祭祀の観念を利用するなど、日本の宗教文化を偽装した布教を行い、違法な物品販売活動で資金集めをした。
1980年代には姓名判断や印相鑑定と絡めたいわゆる「霊感商法」が大きな社会問題となり、1989年には霊感商法被害対策弁護師団が結成された。
統一教会がらみの訴訟が1986年以降100件を超え、献金勧誘行為の違法性と賠償責任を認める判決が複数ある。また、金銭トラブルや教義の妥当性だけでなく、「人生の目的」「生そのものをより良くする」「自分らしく生きる」「幸せな家庭、家族」を望む志向性そのものの侵害、すなわちスピリチュアリティを巡るトラブルという点も注目された。
日本では2008年の特定商取引法の改正以来、統一教会の物販の販社にも司法の手が及ぶようになってきたため、集金が困難になってきている。浅見定雄は、日本からの資金を命綱とするとするこれまでの在り方に、大きな転換を迫られていると述べている。
1967年9月には、自分の子供は洗脳を受けたから家出したと考える親たちが「原理運動対策全国父母の会」を結成し、教団本部に対し
原理運動のために家出する者を「すばらしい」とほめて、家庭を破壊するような指導をやめる
学業を続ける者を「罪悪なり」とする大学の原理研内の風潮を改める
子女に無理な献金を強要し、無報酬労働をさせない
などの9項目を申し入れた が効果はまるでなかった。
1977年6月に早稲田大学で反原理運動が始まり、全国に広がった。
統一教会は、他のキリスト教や新宗教の団体には見られない特異な勧誘方法(統一教会所属していた鄭明析による新宗教団体・摂理は同様の手法を使っている)と、教化システムを確立している。
統一教会では、入信、回心を経てしばらくすると教団に献身することが求められるが、青年信者のうち一定の割合が献身してしまうことから、一般にはこのような急激な態度変化は洗脳、マインド・コントロールであるという認識が少なくなかった。しかし、宗教研究や宗教社会学では、統一教会の事例であっても自発的な入信、回心であると理解されており、マインド・コントロールされたという臨床心理や社会心理学の立場と、学問や法廷で20年以上論争が続いてきた。
日本では、当初は自覚的な参画者からなる宗教運動だったが、1980年代に大きな路線転換があり、以降、教団名や活動内容を説明した上での布教活動を30年近く行っていない。
統一教会の「新規の入り口」は文化系サークルや教養講座、鑑定所等に擬態したものであったため、日本の統一教会には、宗教団体とは自ら信じて集まった人の団体であるという「宗教」の前提が通用しない。信仰とは自発的なものであるはずだが、日本の統一教会の信仰には、そうとも言い切れない複雑さがある。韓国では正体を隠した勧誘は行われていない。
1980年代からは印鑑、壷、多宝塔、高麗人参濃縮液等の販売の比重が高まり、「マインドコントロールで一般の人を信者とし、霊感商法などで金をだまし取る」と批判を浴びて社会問題化し有名になった。
統一教会の宣教活動には社会の規範意識や法律と軋轢のある部分が多く、宗教学者の櫻井義秀は、「教説の創唱性、教祖のカリスマ、教団内婚制という点だけを取り上げても、宗教学的には新宗教と定義して構わないし、再臨主を称する教祖を信奉する少数者の集団という意味では宗教社会学的にはカルトと類型化される」述べている。
韓国では異端、偽宗教といわれることもあるが、霊感商法や正体を隠した勧誘といった日本のような社会問題化する教団活動を行っておらず、献身(後述)や布教の強要もなく、祝福献金の金額は日本よりはるかに安いといわれており、日本のような特異な信仰になっていない。このように被害者がおらず、日本での被害の実態もあまり報道されていないことから、韓国ではあまりカルトとは見なされていない。
1992年に芸能人の桜田淳子・元新体操選手の山崎浩子が合同結婚式に参加したことが報道され、翌年、 山崎浩子が脱会し記者会見で「私はマインド・コントロールされていました」と述べて自らの体験を語ったことからマインド・コントロール・洗脳であるという批判が高まり、1980年代末まで盛り上がっていた活動は以降停滞した。
日本統一教会は資金面でも人材面でも世界の統一教会の供給源になっている。
また日本の信者から徹底的に集めた金銭をアメリカでの事業立ち上げに使用されたと報道され、多額の献金によって崩壊した家庭が多いとされている。
赤旗は、経済活動で得た金の大半を文鮮明に送金、その額は一時年間約1億ドル(当時のレートで約240億円)に達してその私腹を肥やした他、その反共右翼政治活動の資金源となっていたと述べている。また赤旗は、信者は言葉も分からないまま外国へ送られ花売りやキャンデー売りをさせられ、場合によっては観光ビザで入国して現地の系列企業で働き国外退去を命じられた例もあり、美人の女性会員を動員して対米議会工作に当たらせたとも言われ、元会員の証言では文鮮明が日本の女性会員を集めて「君たちを各国大使の貢ぎ物にする」と語ったことがあると述べている。
赤旗は、崔奉春は「日本宣教の父」と言われていたが1987年1月に退会し、末端会員を「伝道」「募金」「経済」と称する金集めに駆り立てる教団のやり方を批判、「良心的に生きない人は偽善者ではないのか」「私は、信仰の道を行っても、絶対に自分の良心と理性だけは、殺したくない」と語っている、と述べている。
2016年には、テレビ東京の番組「世界ナゼそこに?日本人 〜知られざる波瀾万丈伝〜」の中で、合同結婚式で海外信者と結婚した統一教会信者が、信者であることを隠し、虚偽の経緯・経歴で複数回にわたり出演しているなどとして、全国霊感商法対策弁護士連絡会が同局に事実関係や出演の経緯などについて回答するよう申し入れた。局側は「きちんと取材した結果に基づいたもの」と回答している。
欧州​
ヨーロッパ各国では 1980年代に世界基督教統一神霊協会(統一協会)に入信した信者と家族の間で問題が頻発したことを受け、当時のフランス首相、ピエール・モーロワから調査を委嘱された下院議員、アラン・ヴィヴィアンが 1985年4月、「フランスにおけるセクト、精神的自由の表現か悪質なかつぎ屋か」と題する報告書を提出した。その後1984年4月と6月にEC議会が統一教会に対する対策を求めるに当たっての調査の中で同様の問題のある宗教団体があることが認識されるようになった。これにより樹立されたフランスの反セクト法は、統一教会、サイエントロジー、エホバの証人、創価学会、崇教真光などの現地法人がフランス国内での犯罪性や人権侵害の度合いなどに基づきセクトとして取り扱われた。
米国​
アメリカ進出当初、統一教会は活発な活動で欧米のメディア及び研究者の注目を集め、宗教社会学の古典的業績のかなりの部分が統一教会の研究で生み出された。そして1980年代の路線転換後をフォローする研究者がいなかったため、これ以前の研究が教団に利用された。
アメリカでは1970年代以降、共同的な組織から権力を分散した家庭的な構造に移行し、「ホームチャーチ(家庭教会)」として知られる一つの家族の家庭で暮らすことが奨励されるようになった。ホームチャーチは地域の家族に仕え、責任を持つよう期待される。
1980年代に祝福を受けた会員のほとんどは、この落ち着いた生活スタイルになり、統一教会の正会員をやめ賛助会員として、個人的な家庭と仕事を持って暮らしている。しかし、文鮮明の子息で末っ子の文亨進が2015年頃にアメリカ合衆国でワールド・ピース・アンド・ユニフィケーション・サンクチュアリー教会(通称:サンクチュアリー教会)を分派的に設立している。クーリエ・ジャポンによると、教会の信念はキリスト教と聖書に根ざしてはいるが、「武器信仰」が特徴であり、経典は独自のものとなっている。
教祖文鮮明と韓鶴子の7男の韓国系アメリカ人であり、アメリカ家庭連合(アメリカ統一教会)会長であった文亨進は、父親の文鮮明が2012年に亡くなった後、母親の韓鶴子が父親の教え以上に自らの立場を上位の物にしようとしたとして、韓鶴子との違いを明確に表明した事により対立、2013年には韓鶴子により教会の複数の立場から解任され、文亨進は分家組織である世界平和統一聖殿(通称:サンクチュアリ教会)を、アメリカ統一教会とは別にアメリカ国内にて立ち上げた。統一教会は現在、文亨進のサンクチュアリ教会を「脱会組織」とみなしており、文亨進が主導した統一運動の変革のほとんどは、彼の解任後に却下された。文亨進は有力なトランプ支持者であるとされ、AR-15を重要視する“Rod of Iron Ministries”を率いている事で知られ、2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件にも参加した。
韓鶴子(文鮮明夫人)は1993年に「真の父母と成約時代」と題する講演を米国議会で行なったが、その日(7月28日)を記念して(教団はその日を記念してと言っているが、実際の関連性は不明である)米政府は「父母の日」という国民の祝日を定めた(1994年9月30日下院本会議可決、10月4日上院本会議可決、10月14日ビル・クリントン大統領の署名により正式法制化、米公法103-362)。
中華人民共和国​
中国では、1997年に「邪教」であると当局によって認定されており、活動は違法ととなる。
中華民国(台湾)​
戒厳令が終わった頃に台湾に伝来した。台湾にも支部があり16の教会、1万人ほどの信者がいる。2000年から20年間続けて内政部に優秀宗教団体として表彰されており日本とは別でカルト、タブーとはなっていない。
また政治活動も行っており天宙和平統一家庭黨という政党を2014年に設立している。
旧ソビエト諸国​
統一教会は1980年代からソビエト連邦にて活動を始めていたが、ソ連でペレストロイカが始まると、堂々と布教活動をするようになった。
1990年4月、文鮮明はソビエト連邦を訪問し、国家元首であったミハイル・ゴルバチョフと会談。クレムリンの敷地内にあるロシア正教会の重要な教会、ウスペンスキー大聖堂で統一教会の儀式を行なった。文鮮明は「統一教会はやがてロシアで国教として受け入れられるだろう」と発言した。
ロシア宗教・宗派研究センター協会会長のアレクサンドル・ドヴォルキンは、「ソ連の国家元首が、現役の一国のトップとして一番最初に文鮮明に会ってしまった。周囲の人々のプロ意識がなかったとしか思えない」と語っている。
統一教会はまず、莫大な資金を注ぎ込んでロシア教育省と太いパイプを築いた。学校の教師らをロシア南部・ビーチリゾートのサナトリウムへ旅行に連れていき、そこでセミナーを行い、ビデオを見せるなどして啓蒙活動を展開した。
「統一教会は、ソビエト人のメンタリティというものをあまり理解できていなかったと思います。無料でビーチに行きたいから行っただけ、戻ってきてからは何もしないという人が多かったのです。しかし強く感化された人もいて、ひとクラス丸ごと生徒を統一教会の儀式に連れていった教師もいた。それをフランスのテレビ局が取材していたので、よく覚えています。」とドヴォルキンは話している。
統一教会はロシア語で「私の世界と私」という教科書を作った。この教科書はロシア全土のおよそ一万の学校で採用され、特にカルムキヤ共和国では、当時の首長と関係を築き、共和国内の全ての学校が採用した。カルムキヤはロシアの中でも数少ない仏教国である。統一教会は一応キリスト教系の新宗教であるはずだが、ドヴォルキンは全く関係ないと否定する。
ドヴォルキンは、「ロシアは多民族の国ですから、統一教会は地域によって、自分たちの主張を変えていました。カルムキヤでは仏教徒に、イスラム教の地域ではムスリムに対し、それぞれ耳ざわりの良いことを吹き込んでいたわけです。また、最初はロシア正教会の聖職者が統一教会のセミナーに参加することもありました。文鮮明は、色々な宗教の代表者を自分たちのイベントに招くことを好んだからです。しかしロシア正教会の方は、これはおかしいと気づき、行くのをやめました。」としている。
日本では安倍晋三銃撃事件での容疑者のように「2世」の悲劇が注目されがちだが、ロシアでは親の意に反して子どもが入信してしまうケースが目立ったという。
ドヴォルキンによると、「霊感商法や寄付などで日本が統一教会の資金源になっていることは有名ですが、ロシアの場合は、90年代から2000年代にかけては市民が寄付できるほどのお金を持っていませんでした。ロシアにおける手口はこうです。若い信者は、縁もゆかりもない他の町に引っ越しさせられ、アパートの一室に押し込められて集団で生活します。朝から晩まで路上に立って、通行人に施しを求めます。大体は、冷たくされるわけですね。でも、信者は、その冷たくされることこそが、試練だと捉えています。狭い部屋に戻ると、一番寄付を集められなかった人が罰を受けます。そんな中でも、他に友達や頼れる人がいないので、信者の信仰の心は強まり、自分たちは正しいことをしているという気持ちがさらに高まるのです。」とされている。
統一教会は、米国と日本のメディアに大きな影響を及ぼしたが、ロシアではその試みはうまくいかなかった。ドヴォルキンは「特に統一教会が盛んに活動した90年代は、私有財産という概念が誕生したばかりで、社会の何もかもが瞬く間に変化し、盗みや殺人も日常茶飯事だった」と振り返る。そこへ乗り込んでいくのはリスクが大きすぎた。注いだ活動資金の額に比べると結果が見合わなかったため、文鮮明は徐々にロシアへの関心を失っていった。
ドヴォルキンは、統一教会が衰退したのは他にもいくつかの要素が重なったためだと指摘する。例えばゴルバチョフ財団は、長きにわたり統一教会の資金で運営されてきた。しかしゴルバチョフは西側では人気があるが、ロシアでの人気はさほどない。ゴルバチョフ財団は、統一教会が望むような影響力を持てなかった。
「オウム真理教がロシアで有名になったことは、統一教会の活動にも影響を与えました。オウムの危険性がクローズアップされたことで、統一教会もそれと同列で、危ない存在ではないかと、社会全体が危機感を抱き始めました。それ以外にも他のカルト宗教がどんどん出てきて、競争も激しくなり、統一教会の衰退は、2012年の文鮮明の死去とそれに伴う家族間の継承権争いによって決定的となりました。90年代というロシアが最も混乱した時期と、統一教会の全盛期が重なったことは、不幸中の幸いでした。ロシアがもっと安定した時期に彼らが入り込んできていたら、より大きい影響を及ぼす存在になっていたことでしょう。」とドヴォルキンは語っている。
ロシアを含む多くのポスト・ソビエト諸国(ロシア寄りの旧ソビエト諸国)の宗教当局は、統一教会を安全保障上の問題があるとして規制と監視対象とした。ロシアを含む多くのポストソ・ビエト国家の宗教当局は、統一教会の運動をセクト(ネオナチ)と呼び厳しく批判し、その結果それらの場所で統一教会の活動が抑制された。
2012年2月の始め、旧ソビエト国家であるキルギスでは、キルギス国家保安委員会、キルギス検察庁、および州宗教問題局が、統一教会の活動が適切な登録なしに非伝統的な宗教的見解を強制的に広めることにより、キルギスの国家安全保障に脅威を与えたと主張。裁判所に苦情を申し立てた。ビシュケク裁判所は、キルギスの領土での統一教会の活動を実質上不可能とする判決を下した。
2016年、ウラジミール・プーチン及びプーチン政権は、ネオナチ勢力(セクト勢力)への新たな対テロ法として、新興宗教勢力に対する布教活動や私的な参拝を禁ずるとし、すべての伝道師や布教者は「登録済み」の組織に所属していなければならない事を取り決めた。これにより、ロシア国内における統一教会の活動は事実上不可能となった
ウクライナでは現在も拠点が存在している。2022年2月24日からのウクライナ侵攻後、ウクライナの家庭連合(ウクライナ統一教会)会長アーニャ・カルマツカヤは、「ウクライナとはロシアと戦っているだけではありません。人類の平和、自由、人権の為に戦っているのです。」とメディアやSNS上などを通じてウクライナ愛国心と反ロシア思想を世界へ向けて説いている。  
●経済活動​
統一教会では、資金調達は罪深いサタンの領域から罪のない神の領域への合法的な金銭の移動と考えられている。それは、勧誘活動と共に非常に儀式的な活動であり、多くの人に(相手がその霊的意義を認識していなくても)復帰に参与する機会を与えるものと考えられていた。
韓国と日本での商業上の関心は、工業分野で多様化し、鉱山、建設、製造、製薬を含んでおり、韓国やブラジルで相当の大きさの不動産保有地を手に入れている。また海域への関心もあり、いくつもの漁業事業が設立されている。
統一教会のこれらの幅広い企業活動は、単に利益を得るためだけではなく、「文鮮明を新しいメシアとする世界復帰という統一教会の使命を果たすための経済基盤」でもある。
日本ではより多くの「献身者」を出すことが目指され、違法な布教、資金調達活動が20年以上行われた。スピリチュアリティ(霊性)を濫用した収奪のシステムは、額においても国際的なネットワークのスケールにおいても非常に大規模で、組織的で高度に計算されたものであった。
統一教会元広報局長で世界日報編集局長 だった副島嘉和によると、1975年 文鮮明から日本統一教会に送金命令が下り、毎月約20億円、1985年までの 10年間に合計約2000億円が文鮮明に送金された。これに伴い被害相談額だけで2001年までの25年間で1100億円を超える大きな傷跡を残した。
赤旗は、「元会員の一人は、幹部が何もせずにぜいたくな暮らしをしていることに裏では不満もあったと証言した」と述べている。
信者による莫大な献金は、アメリカ本部に送られ、そこから世界各国の統一教会に流れるが、ジャーナリストの米本和宏は、韓国に最も多く送られており、使い道は関連施設費(土地購入・建設費)、新規の事業投資と赤字補填に充てられていると述べている。
2009年に日本統一教会の会長徳野英治が、印鑑や風水など霊が絡む物品販売の禁止、「家系図等を用い、先祖の因縁ないし先祖開放等を理由に(した)献金」の禁止、ビデオセンターに勧誘する場合は統一教会の名前を明示すること、「霊能力に長けているといわれる人物をして、その霊能力を用いた献金の奨励・勧誘行為をさせない」という、これまで社会から批判されてきた問題点の一掃を目指す新方針を示した。
この統一教会の動きについては、警察を意識した通達文に過ぎないのではないかという意見もあるが、ジャーナリストの米本和広は、韓国統一教会員の話として、2008年に新潟で統一教会系企業の社員が逮捕され(1983年の青森事件以来の教会員の逮捕である)、それを文鮮明に報告した際に怒りを買ったことを紹介している。
2008年、文鮮明の息子でハーバード大卒の文国進が日本担当になり、各企業の役員に民間人を入れ、横領などを繰り返した腐敗幹部を一掃、教会員役員をリストラするなどの改革を行い、万年赤字であった朝鮮人参販売会社の一和を黒字転換するなど、統一教会系企業を次々再生させている。この改革で日本からの献金を赤字補填に当てる必要はなくなったが、2009年時点では日本の信者への献金要請は続いている。
1996年から韓国を中心にするこれまでの方針を転換し、南米に地上天国のモデルを作るとして、ブラジルのジャルジンとパンタナール に未開発の広大な土地を買っている。
関連企業や関連団体​
世界基督教統一神霊協会の財産を管理するため1963年に世界基督教統一神霊協会維持財団が設立され、その元に多くの企業を擁している。韓国では財閥の一つとみなされ、系列企業は「統一教グループ」と呼ばれ、宗教としてより統一系企業の方が有名 で、文鮮明は事業家としてのイメージが強いという。文鮮明の親族がそれらの企業の幹部になっていることもある。漁業事業の一つトゥルー・ワールド・フーズ社は、アメリカ最大の寿司用魚の卸業者で、アメリカで75%のシェアを持っているという報告(2006年)もある。2021年には8300以上の顧客を持ち、寿司レストランの7割から8割の食材供給を担い、年間で500億円もの年間売上を誇るなど、名実ともにアメリカの寿司産業界を支配している。
赤旗は、日本では霊感商法に関する社会の追及を逸らしごまかすため「霊石愛好会」や「天地正教」といった仏教色の強い団体を作っていたと述べている。また赤旗は、系列企業は普通の企業を装い和服や不動産の売買など多様な経済活動をしていると述べている。
メディア事業​
宗教学者のダグラス・E・コーワン(英語版)、宗教社会学者のデイヴィッド・G・ブロムリー(英語版) は、全企業の中で最も顕著なものはメディア事業であり、その世界観を伝えるためのメディア組織が世界中で設立され続けていると述べている。統一教会のメディア「ワシントン・タイムズ」は、今日アメリカの政治的保守層の間で非常に影響力があり、この新聞を刊行するニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社は、2000年に由緒あるUPI通信社を買収した。
募金​
ジャーナリストの米本和広は、真の目的を明かさず、難民救済などと嘘を言って行なわれていたと述べている。集まったカンパから自分たちの食費を出しており、従事者も当時から全額が難民に届いていないことを知っていた。
訪問販売​
これまで信者たちは様々な経済活動をして来た。「赤旗」は、苦学生を装い、玄関で土下座して売ることから「土下座商法」と呼ばれたこともあると述べている。また「赤旗」は、数名で「マイクロ隊」と呼ばれる隊を組み、マイクロバスやワンボックスタイプのライトバンに寝泊りしながら、全国をインチキ募金 や珍味やハンカチ やマスコット 等の販売で回ったと述べている。極端な睡眠不足で自動車を運転するので交通事故も多く、例えば1988年12月には7人が乗ったワゴン車が尾鷲市でガードレールに激突し2人の女性信者が即死している。
弁護士の郷路征記は、「札幌青春を返せ訴訟・最終準備書面」で、統一教会は組織的、体系的に脱税をしており、関連会社のハッピーワールドでは、委託セールスマン(会員)に落とした70%の利益はハッピーワールド本社に個人の必要生活費を除いて全額献金するシステムで、証言では信者が受け取るのは月四万二千円のお小遣いとお昼代のみであったと述べている。
霊感商法​
先祖の因縁話などをもとにした詐欺・脅迫まがいの物品販売であった。
   手口のマニュアル化とその「成果」​
元信者によれば、効能を謳って販売し薬事法(現医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)違反に問われ販売に行き詰まっていた高麗人参や、美術品としてはあまり売れなかった韓国の統一教会系企業「一信石材」が製造した大理石壺を売るために、教義を使って売って行こうということになったのが霊感商法の始まりだという。
それまでの先祖の因縁に絡めたトークに代え、「壺は霊界を解放するため」、「救いのためには血統を転換しなければならない」という教団の教義を使い、「高麗人参は血を清めるため」というようにトークを体系化して行き、統一教会の基本トークを作り上げた。
1977年から1978年頃には霊能者役のトーカーが全国から400人ほど集められて体験交流会が行われた。
トークの体系化により、それまで5-6時間かかっていた販売時間が2-3時間に短縮され、3日間ぐらいの展示会で1億-2億円(悪いところでも5千万円)の売り上げがあった。この展示会を毎日のように北海道から九州まで行い、1983年から1984年までの間は、韓国の文鮮明のもとに100億円を送金する月まであったとされる。
統一教会系企業「一信石材」から壺や多宝塔を統一教会系の商社「ハッピーワールド」が輸入し、全国に8社あった「世界のしあわせ」(旧社名)に卸し、統一教会の信者が委託販売員という名目で働く100社以上の販社で販売した。
1980年代初めから、占いなどを切っ掛けに、ゲストを「霊場」と呼ばれる会場に連れて行き、家系図などを鑑定しながら、霊能者を装った信者が聞き出した本人や家族の不幸の原因を先祖の因縁話を使って説明し「先祖が救われる」「このままでは不幸になる」などと不安を煽り、法外な値段で壺、多宝塔などを買わせてきた。
   典型的な手口​
姓名判断、印相鑑定、手相占い等でアプローチする。ゲストを連れて行った案内役の信者は、霊能者を装った信者を徳の高い「先生」のように扱い、「霊山でご修業を積まれ、過去、現在、未来を見通す霊力をお持ちです」「大変人気のある方で、相談に乗ってもらえるのはかなりラッキー」など、いかにその霊能者が優れているかを説いて信頼させる。
物品の契約をしたゲストにはクーリングオフ(訪問販売の一種と考えられる場合が多いので)を阻止するために、それにあたる期間は人に言えば御利益がなくなる、あるいは不幸な目に遭う等と説明をしたり、現金一括払いに持ち込もうとするなど、全てにおいて用意周到に考え抜かれている。
   社会問題化​
これらの「霊感商法」はマスメディアで度々その被害や手口が報じられた。1987年(昭和62年)2月には、全国の弁護士により「全国霊感商法被害対策弁護士連絡会」が結成された。国民生活センターや各地の消費生活センター等に多くの苦情が寄せられ、多額の金銭的被害を生んだこの商法は大きな社会問題となった。
「霊感商法」に関係した各地の販社は、設立後2-3年で次々と解散し、遠隔地に住所移転したり社名を変えたりした。「TV100」は“Total Victory”の略と言われ、ハッピーワールド元社長で当時の経済の責任者であった古田元男は「文鮮明からの指示ではなかったが、小柳定夫副社長(当時)と相談し、文鮮明が言ったかのように誇張して話したことがある」と語っている。
昭和62年の第108回国会法務委員会で、警察庁刑事局保安部生活経済課長の上野治男は「最近、私どもの都道府県の警察の相談の窓口等へ、先祖のたたりがあるとか、そういったことでもってそのたたりを解消するためと称して高価なものを売りつけるということで相談のあるケースがかなりございます。昨年は、一年間に二百件ほど相談が来ております。それからそういったものに対しまして、従来から各種の悪質商法について私ども取り締まりをしておるわけでございますが、その取り締まりの中でもこの種の商法というのは人の弱みといいますか、人の不安につけ込むというもので、悪質商法の中でも最も悪質なものの一つということで、全国の警察に繰り返し厳しく取り締まるように指示をしておるところでございます。その結果、この数年間で十三件検挙した事例が出ております。各種の法令を適用して検挙しておる実態でございます。」と答弁した。
赤旗は、「霊石愛好会」は1988年1月北海道帯広市で「天地正教」として法人登記していると述べている。赤旗は、「弥勒菩薩を本尊とする」「南無霊妙大慈尊というお経を作る」等仏教を装っているが、教祖の川瀬カヨは統一教会の古参会員であり、天地正教の道場にある祈祷室には文鮮明の写真が飾られ、この道場で統一教会の献身儀式が行われるなど実体的に統一教会と一体であり、悪事を隠す仮面として仏教の装いを作っているに過ぎないと述べている。
教団側は信者に向けては「昭和57年ごろから文先生が創設した政治団体国際勝共連合が日本を共産主義の間接侵略から守るためにスパイ防止法制定運動を活発に推進しました。これに対して共産党および社会党は制定運動の資金源が統一教会であると誤認し、教会攻撃のために引き起したのがいわゆる”霊感商法問題”です。」という説明をしたが、その一方で世間に向けては「教会一切の収益事業はおこなっておらず、教会員の献金によってのみ運営されています。…個人の職業に対しては一切関与するものではありません。ゆえにいかなる商法とも教会は関連ありません。」と教団の関与を全面否定してきた。
しかし日本弁護士連合会は1988年3月にまとめた『霊感商法被害実態とその対策について』の中で、この悪徳商法が統一教会信者によって組織的に行なわれていることを具体的証拠をもって証明し、結論として「霊感商法に関わる販売業者群の背後には統一教会の存在が推認される」とした。
「霊感商法」が社会的な問題になった1990年頃から、信者達は着物、貴金属、絵画、毛皮、高麗人参等の商品を展示会形式で販売するようになった。
1994年7月12日、日本社会党(当時)の北村哲男が「霊感商法」などの反社会的なことを行う統一教会に対する政府の見解を質す質問主意書を政府に提出したが、政府は村山富市首相名で「宗教法人法第79条は、宗教法人が行う公益事業以外の事業の停止命令について規定しているが、所轄庁である東京都知事は、いわゆる霊感商法については、現在、統一教会の規則には事業として記載されておらず、また、統一教会が行っている事業であるという確証もないことから、現在のところ、同条を適用することは基本的に困難であると判断している。」と回答した。
しかし民事訴訟では霊感のない信者を“徳の高い霊能者の先生”に仕立てて売るための詳細なマニュアルがあったことや、「連絡協議会」の存在を教団が主張し始めたのは、民事訴訟が提起されてから7年も経ってからであり、証人に立った教団側の信者もその存在を知らなかったと証言し、裁判所からも当時の「連絡協議会」の存在を示す実体もないと認定された(2001年6月29日 札幌地裁)。
訴訟においては、1984年1月12日、青森地方裁判所が、大理石の壺を販売した信者2名の販売行為が恐喝罪に当たるとして懲役2年6月(執行猶予5年)の判決を下したが、教団事体の責任は問われなかった。その後、教団は1990年頃までは弁護士からクレームがあれば、お金を払って和解していた。1993年(平成5年)福岡地裁の訴訟において、原告は教団から有利な和解条件を持ちかけられたが、裁判で決着を着けなければという思いから和解を拒否、これ以降、教団の責任を認める判決が相次ぐようになった。
2009年6月11日の印鑑販売をめぐる特定商取引法違反事件では渋谷教会に対する家宅捜索に警視庁公安部が乗り出した。またそれを遡る5月27日の福岡県の事件においては福岡県警公安一課が立件した。以前はこの種の悪質商法事犯には警視庁や各県警の生活安全部が担当していたが、オウム真理教事件以降、カルトに対しては公安部が担当している。
自己啓発セミナー​
統一教会のビデオセンターなどは自己啓発セミナーを装っていた。赤旗は、横浜市の統一教会系自己開発セミナー「グローバル・アイ」のマークは自己開発セミナーの最大手ライフダイナミックスのマークを反転させただけであると述べている。赤旗は、会場はビデオセンターの他大学の原理研究会グループのたまり場だったり、主婦協会員のための託児所だった例もあると述べている。
赤旗は、実際の講義は第一段階が「創造論」「堕落論」「復帰論」など宗教的な布教であり、毎週末に箱根の研修センタ−で2泊3日の合宿を行なったと述べている。赤旗は、アイドル歌手のコンサートや東京ディズニーランドツアーなど若者受けする催しもあったと述べている。赤旗は、1987年の講師は世界日報の論説委員長であった井上茂信 や、国際勝共連合新宿支部長で千葉大学名誉教授であった清水馨八郎 など統一教会系組織の幹部であったと述べている。赤旗は、受講料は入会金や旅費を含めて7万円、受講生の帰宅時には再会を約束する手紙を渡すなどの手法も自己開発セミナーと同じであると述べている。
「還故郷」運動​
1991年9月29日に文鮮明は世界日報講堂で「故郷へ帰れ」という演説を行ない、教会活動に専念する献身者の制度が解消され、各自が故郷に戻って定職につき、親族へ伝道するように方針転換がなされた。これは内部では「還故郷」と呼ばれた。これは日本で霊感商法が問題になって1987年から送金額が減り始め、1991年になってからはほとんど送金されなくなり、従前世界日報や一和が出していた大赤字を埋められなくなって統一教グループ全体の資金繰りが苦しくなり、新たな資金源としての合同結婚式への参加人数を増やすため、経営不振の企業から信者を退職させて合理化すると同時に、故郷に帰して韓国農村で結婚できていない男性を捜し「信者になれば日本人女性と結婚させてやる」と勧誘させるためだったという。
献金​
ジャーナリストの米本和広は、統一教会に関する社会的に非難されてしかるべき問題として、信者に対する「高額でエンドレスな献金」要請を上げている。販売活動や募金活動の目的は、文鮮明への献金である。文鮮明一家が贅沢な暮らしをしていることは長男の嫁の暴露本などで明らかにされているが、最盛期で2000億円に上った献金すべてを文一家が使い切れるわけでもなく、献金は、金銭に限らずすべてを神に返し、地上天国の出現を目指す「万物復帰」と関連している。
ただしこれはあくまで宗教における象徴的な概念であり、世界の統一教会の信者の中で、献金に追われているのは日本の信者だけである。日本だけが献金に追われていることについては、文鮮明によって日本が「エバ国家」(罪深き国)とされたことに関連しているが、なぜ日本がエバ国家であるかは明確には説明されていない。日本が文鮮明が生まれた朝鮮半島を支配していたことへの感情との関連や、1970年代は日本は高度成長期のただ中で、多額の献金が期待できると考えられたのではないかとも指摘されている。
・10分の3献金 - 赤旗は、ある組織では月に2回、収入の10分の1の献金が奨励されて来たと述べている。
・臨時の献金 - 赤旗は、霊感商法が批判を受けてから、韓国大統領選挙やアメリカ大統領選挙を口実にしてよく指示されるようになったと述べている。
・巨大プロジェクトによる資金集め
   ・国際ハイウェイ構想 - 「東洋と西洋の諸国を高速道路で連絡し、地上天国の実現を促進する」という「国際ハイウェイ構想」を提唱、「国際ハイウェイ建設事業団」を結成、第一段階として日本、韓国、中国、南アジア、中近東を経由してソ連に至る高速道路を建設するとし、その一部として日韓トンネルを建設する日韓トンネル研究会を結成、佐賀県鎮西町(現唐津市鎮西町)に調査斜坑掘削を始め、巨大プロジェクトを売り物に技術者、学者、資金集めをしており、1980年代に信者達が多額の献金をしたと言われているが、実際には日韓トンネルの調査斜坑掘削で400m程掘った以外に具体化の動きはない。関係者は100年たっても完成しないだろうと公言しているという。
   ・パンダ・モータース - 1988年から盧泰愚大統領の北方外交に呼応して中華人民共和国に「パンダ・モータース」(パンダ自動車)という自動車会社を作るとして信者に献金が要請された。広東省恵州市に15,000,000坪の土地を借りて10億ドル以上を投資し年間30万台の自動車を作る計画で、家や土地まで担保に入れて借金する信者まで出したが、この計画は成功しなかった。一方で計画を進めていた朴普煕は広東省長の伝手で北朝鮮に進出するきっかけとなる朴敬允と出会う。
・教会にノルマを課し高額な本の販売 - ただし教団は「『聖本』も『天聖経』も商品ではない」とし、「贈呈にあたっては、献金のみが考慮されているものではありません。」と述べている。
   ・2000年、文鮮明の既存の説教集7冊の合本、『文鮮明御言葉集、「成約時代と理想天国」』と題する本(文鮮明のサインと一冊ごとに番号が付いている)を『聖本』と名づけ、30,000,000円 献金した者にその本を贈り与えるとされ、300の教会に一冊のノルマが課せられた という。  
●慈善活動・ボランティア​
2003年から2年ごとにサッカー大会「ピースカップ」を開催している。
2011年に発生した東日本大震災を受け、支援活動を行った。石巻市のボランティアセンターで寝泊まりしながら活動を続け、延べ910人が参加、青年を中心に若い人たちが活動を行った。震災発生時には、月3〜4回のペースで1回につき7〜8人の教会員が被災地へ10日間ほど派遣された。その際に家財道具の運び出しなども実施している。派遣されたのは、教会員の青年で構成されたボランティア隊で主に生活支援物資の配布や医療チームによる訪問問診などが行われていた。物資としては福島県に炭酸水3万本、群馬県片品村に米1300kgなどが支援された。また、震災翌年の2012年2月6日から13日までは、アメリカの統一教会の二世教会員よって組織された「GPA(Generation Peace Academy)」から40人以上のメンバーが来日し、宮城県内の被災地でボランティア活動を行っている。中でも石巻市牡鹿半島は、交通の便が悪く基本的にボランティア活動に訪れる人は休日でも多くなかったため、40人以上の訪問は受け入れ関係者からも歓迎されていたと『仙台経済界』と報じている。「GPA(Generation Peace Academy)」はおもに20代前後のメンバーで構成をされており、海外での社会貢献活動という教育プログラムの一環として来日をした。それまで日本統一教会も継続して被災地に教会員を派遣してきたが、同年3月には被災した青年教会員も三日間、延べ21人が合流し、ボランティア活動を行っている。統一教会は、これまで東日本大震災の被災地に対し約1億6千200万円の義援金を寄付している。  
●勧誘活動​
教団と長らく戦ってきた弁護士によれば、教団はマインド・コントロールのため、社会心理学に裏づけられた緻密なマニュアルやシステムを、過去30年以上にわたる組織の経験に基づいて巧妙に作り上げているという。教団の勧誘の特徴として、「正体を隠して」行うことが知られている。街頭で声をかけるときに「宗教ではない」と嘘をついたり、教団名を隠し、信者は正体を隠した上で、街頭や大学内でアンケートなどを装い声をかけ、「教養講座」「カルチャーセンター」「自己啓発」「無料映画会」「マンガ研究会」などとだましてターゲットを「ビデオセンター」に誘い込む。
やはり「ビデオセンター」が教団関連施設であることは隠され、自己啓発セミナーであるとか、教養講座であるとか偽装される。ビデオセンターには「トーカー」と呼ばれる専門の勧誘スタッフがおり、ターゲットに長時間、執拗にビデオ講義の受講を決断するまで説得を試みる。ビデオセンターでは「エゴグラム」と呼ばれる簡単な心理テストが行われ、この結果により「トーカー」はターゲットが勧誘に適した人物であるかを判断する。ビデオ講座の受講は有料であり、5万円ほどを支払わせるか、金のないターゲットには「トーカー」からその場で借りさせる。これも心理学的に受講を続けさせる効果があるという。ビデオ講座の受講を決心したターゲットには、「口外禁止」の約束をさせる。これは、統一教会の手口を知っている人に正体を見破られたり、他人にビデオの内容を話すことで、他者から疑問を投げかけられたりすることを防ぐためである。
こうしてビデオ講座が始まるが、やはり宗教であることは明かされずに、特定の恐怖の対象を作り上げて不安を煽り、その恐怖からの解放の手段として教団の教義を段階的にすり込んでいく。どのビデオを見せるか、ビデオを見せる順番はターゲットごとにカスタマイズされるが、最初のビデオの内容は戦争、飢餓、不倫、非行、エイズ、環境問題といった社会問題である。次いで、統一教会の教義の一部である「堕落論」のビデオを見せていく、これは「人間の歴史は堕落して落ちたところから元へ戻る歴史の繰り返しである」といったものである。次に、「霊界」についてのビデオで恐怖を刷り込んでいく、すなわち「霊界」には地獄があり、このまま堕落した生き方をすれば地獄に落ちる、といったものである。スピリチュアルや超能力に関心のあるターゲットであれば、この時点で強い恐怖を植え付けられるという。「堕落論プロローグ」というビデオでは、現代の性の乱れを、旧約聖書創世記の失楽園とこじつけた話をすり込み、その後の和動で「トーカー」は、「罪が淫行であるゆえ、男性はエバを誘惑した天使長と同じである」「女性はアダムを誘惑した当時のエバである」とし、若者の恋愛感情や性衝動と結びつけて「あなたは堕落している」と迫るという。これが効かなかったターゲットには、先祖の因縁、すなわち「あなたの先祖には色情狂がいた」などと迫り「地獄に落ちる」と恐怖を煽る。そして、世界を堕落から救う手段として「メシア」の存在が明かされる。
ビデオセンターで12巻のビデオ受講の後、ツーデイズ修練会(2日間)、ライフトレーニング(約2週間)、フォーデイズ修練会(4日間)と続くが、内容は「エバが淫行したことで人間はサタンの子孫であり、これを救える救い主は一人しかいない」という話が繰り返し教えられるだけで、結局「その救い主は誰か」は明らかにされない。ライフトレーニングは長期にわたるため親に不審を抱かせる場合もあるが、説明する手引書も用意されている。聖書の引用はされるが決して「聖書の何ページを開け」とは言わず、前後の文脈を無視した引用部分を読み上げるだけである。「救世主が文鮮明である」旨明かされるのはフォーデイズの最後であるとされる。また組織内での地位や入会歴で少しでも上位の者に対しては絶対服従を強いられ、同等の者同士で話してはいけないことになっており、それで不平不満が出るのを防いで統制を保っているとされる。  
●批判者に対する嫌がらせ・脅迫行為​
マスメディア​
統一教会に対するマスコミ報道は霊感商法が社会問題となった80年代から90年代初頭にかけてブームとなった。その先駆となったのは朝日新聞社が発行する『朝日ジャーナル』で、不安を煽り、高額な壺や高麗人参濃縮液を法外な値段で売りつける悪徳商法の一種として、「霊感商法」批判キャンペーンを展開していた。統一教会側は殺到する批判報道に対し、大々的なマスコミの情報操作に乗り出したとされる。当時、芸能人の桜田淳子や新体操選手の山崎浩子、作家の飯干晃一の娘・飯星景子が入信し、話題をさらっていたが、教会を批判するメディアには、ニュースバリューのある合同結婚式の取材をさせない、協力的なメディアには情報を与えるという手法を使ったとされる。
とりわけ教団に批判的だった週刊文春や朝日新聞社には、信者が直接的な行動に出ることがあったとされ、週刊文春の記事によれば、社屋を「あなた方は宗教を弾圧して信仰の自由を奪う、最悪のサタンである!」「人類のメシアとして再臨された文先生とご家族を悪くいうな」と叫ぶ信者のデモ隊に囲まれたことがあったという。
当時『朝日ジャーナル』を担当していた筑紫哲也は、大量の無言・脅迫電話のほか、編集部員・朝日新聞関係者の自宅周辺でのつきまとい行為や出前の大量無断注文があったと証言している。電話作戦は、朝日新聞社だけでなく、近隣の無関係の施設にも及び、病院、築地市場、日産自動車、新橋演舞場、海上保安庁にも大量の無言電話が押し寄せたという。
1986年6月、『神奈川新聞』が霊感商法を批判する記事を掲載すると、翌日から「壺は悪くない、効くんだ」との趣旨の電話が殺到した。2日目には無言電話が約7000本となり、編集局長も電話で脅迫された。
1987年7月、新聞労連、日放労、出版労連、民放労連などが加盟する日本マスコミ文化情報労組会議は、霊感商法報道に対して「組織的で陰険な妨害行為」が行われていると発表した。霊感商法の実態を伝えるマスコミやミニコミに無言電話が集中したり、「霊石愛好会」を名乗る団体が、放送局や新聞社に押しかけるなどして圧力を加えていたことを指摘した。
1992年7月、TBSの「モーニングEYE」では、統一教会に批判的な東北学院大学教授の浅見定雄や元信者が出演し、統一教会の実態や霊感商法の被害を報じたが、TBSに対し大量の抗議電話や抗議文が殺到した。特に、浅見が出演した7月29日の直後には、浅見を「サタン」として「出演させるな」との趣旨の抗議文170通が送付された。 8月5日に「筑紫哲也ニュース23」で統一教会と合同結婚式の問題を取り上げると、夕方に教団の広報担当者が来社し「TBSの報道は教団を中傷したものである。報道が続くなら、『国際合同結婚式』を含む一切の取材を拒否することもありうる」との趣旨の文章を提出した。日本テレビの「ルックルックこんにちは」でも同様の抗議があったという。
統一教会の活動を批判的に報じた8月20日午前の「モーニングEYE」の放送終了後にも大量の無言電話が殺到した。24日だけでも1万9000件にもおよんだ。個別の番組担当や事務系統などの、電話帳に記載されていない番号を含めてのものだという。
このような嫌がらせの電話について、元信者の女性がTBSの取材に応え、教団からの指示があったことを明かしている。また、女性は当時の心境を明かし、「統一教会に反対する人はみんなサタン」に見えていたと語り、教団を批判していた弁護士についても「もう顔見るだけで気持ちが悪くて」と語っている。
このほかにも、教団系の国際勝共連合が街宣車を繰り出し朝日新聞批判の街頭演説を繰り返していたとされる。このため、#赤報隊事件の関与疑惑がとりざたされた。
2022年7月の安倍晋三銃撃事件を機に再度世界平和統一家庭連合(統一教会)への批判報道が過熱化すると、世界平和統一家庭連合は同月31日に教団が著作権を保有している映像は使用しないよう注意喚起するプレスリリースをマスコミ各社に出した。これに対し、鈴木エイトは「報道目的での映像使用は著作権法で認められている」と反論している。
弁護士や個人​
霊感商法が社会問題化した1980年代から90年代初頭にかけて、統一教会への反対運動が展開されたが、関係者への激しい嫌がらせが多数報告されている。1987年当時、霊感商法を追求する弁護士の山口広に対し、「バカヤロー」「しまいには死ぬぞ」などとの脅迫電話が早朝から深夜まで殺到していた。同弁護士に対しては「スパイ防止法つぶしに狂奔、霊感商法攻撃も」と書かれた中傷ビラがまかれていたこともわかっている。
同じく霊感商法問題を追求する弁護士の河田英正に対し、「天誅が下るぞ」「神を冒涜したな」との脅迫電話が殺到し、何者かによって無断で寿司の出前を注文されるなどの嫌がらせが行われた。この他にも料理店や葬儀社に同弁護士の名前を使っての偽電話がかかったり、無関係の一般家庭に同弁護士の名前を騙って「詐欺で告訴するぞ」との電話が約62件あったという。河田は偽計業務妨害にあたるとして、刑事告発を検討していると語った。
子供が教団に入信した名古屋市在住の女性は、教団系の国際勝共連合主催の名古屋集会に出席したり、祝電を打った政治家に手紙で抗議したところ、「てみゃーは共産党か。勝共の役員を脅しやがって。てみゃーみたいなものはぶっ殺すぞ」「死んだら地獄に行くよ」などと脅迫された。さらに勝共連合婦人部を名乗る4人組が自宅に押し寄せたという。
奈良市で「原理運動に反対する被害者家族の会」が結成されると正体不明のグループによる激しい妨害活動が始まった。代表の男性は妻が統一教会に入信したために抗議運動を行なっていたが、男性の職場には嫌がらせの電話が殺到し、失職を余儀なくされた。同被害者の会の集会には、正体不明の約30人の男女が押しかけ、妨害を行った。
1987年6月には、長崎市で「霊感商法は、統一教会の組織ぐるみの収益活動」などと批判するミニコミ誌を発行した男性が、自宅で空気銃で狙撃され、右足に怪我を負った事件もあった。男性には、これ以前にも正体不明の人物による嫌がらせや数百本の脅迫電話が殺到しており、警察は関連を調べているとした。その後、長崎県弁護士会人権擁護委員会は、統一教会長崎教会に対し、ミニコミ誌を発行した男性への嫌がらせを行わないよう勧告した。報告書によると、霊感商法に批判的な報道をしたマスコミや「霊感商法」による被害救済にあたっている全国の弁護士にも同様の嫌がらせがあったとしている。
1988年10月、霊感商法問題に取り組む14人の弁護士に対し、中傷ビラを撒いたとして、福岡地裁で420万円の損害賠償を請求されていた霊石愛好会福岡支部長の男(44)が、訴えを認め、賠償金の支払いに合意している。
当時、キリスト教の牧師が信者の脱会説得運動に尽力していたが、牧師に対しても無言電話や嫌がらせ電話、脅迫が一日中殺到しており、「牧師による人権侵害を許すな」とのビラも大量に配られていたという。ビラの末尾には連絡先が書かれており、その住所には教団系施設があった。牧師の自宅周辺には2か月間に渡って街宣車が大音量で徘徊し、牧師の妻への傷害事件まで発生した。説得により脱会を決意した山崎浩子の叔父は尾行されるようになり、自宅付近では正体不明の人物が徘徊し、不審人物にカバンを奪われる事件も発生した。さらに自宅の電話には盗聴器が設置され、統一教会幹部を名乗る脅迫状も送付された。脅迫状には教団の本部がある渋谷の消印が押されており、「神の子山崎さんを奪還するのは正当な権利」と書かれていた。山崎の叔父は精神的圧力により、体重が8キロほど落ちたと話した。
1988年8月、統一教会の信者4人が、脱会した元信者の女性を誘拐するために、女性を保護していた秋田県内のキリスト教会に無断侵入したとして、住居侵入罪で刑事告発されている。信者4人は、女性の父親を突き飛ばし重傷を負わせていたという。
1994年当時、ドイツで統一教会の反対運動を展開しているキリスト教牧師の男性に対して、「赤い牧師は出て行け」「左翼過激派はドイツからいなくなれ」などの嫌がらせ電話が殺到していた。また、街頭では牧師を糾弾する署名運動も行われていた。この牧師は身の危険を感じ、窓を耐熱二重ガラスに強化するなどの対策を余儀なくされているという。
1995年頃には、教団が東京の成城に関連施設の設置を計画し、近隣住民とトラブルになる事件が発生した。近隣住民は教団の霊感商法やマインドコントロール、脅迫などの悪評から進出に反対し、「統一協会成城教会を断固阻止する会」を結成し、反対運動を展開した。これに教団は激しく反発し、内容証明を送付し法的措置を予告。さらに住民に対し「子供たちを皆殺しにする」との差出人不明の脅迫状も送付され、無言電話も殺到した。この運動には地元選出の石井紘基衆議院議員も協力、土地の貸主と交渉し、貸主の建設会社は教団宛に「契約解除」の通告を出すに至った。  
●裁判​
統一教会に対して起こされた裁判は2006年6月現在、1986年の初の提訴以来、100件を越えており、このうち83件で和解。11件で統一教会側の責任を認める判決が最高裁で確定している。 2016年5月に放送されたフジテレビの「みんなのニュース」の報道によれば、現在、統一教会が抱えている訴訟は3件である。
教団側敗訴の判例​
   献金勧誘行為の違法性
   1993年(平成5年)5月27日、福岡地方裁判所での判例
統一教会の「霊感商法」に対する損害賠償請求訴訟で、全国で初めて統一教会の関与と賠償責任を認め、3670万円の支払いを命じる判決が出た。信者らは2人の未亡人に対し、亡くなった夫に関して、先祖の因縁話で、不安を煽り、執拗に迫って高額の献金をさせたり、弥勒像等を購入させた。福岡地裁は「献金勧誘行為は、布教活動の一環として行われたものであったとしても、その目的、方法、結果において到底社会的に相当な行為であるということはできず、違法であり、民法709条の不法行為に該当する」、「信者らと教団は実質的な指揮監督関係にあり、信者が献金勧誘行為が教団の教義である万物復帰の実践として理解していたことや献金がいずれも教団に帰属していることなどからみて、原告らに対して不法行為責任を負う」と判断し、教団に使用者責任を認め、献金相当額と慰謝料の支払いを命じた。
   2002年(平成14年)10月28日、新潟地方裁判所での判例
元信者が、教団による違法な入信勧誘・教化行為によって損害を受けたとして、不法行為に基づく損害賠償を教団に求めた事案で、裁判所は「信者らもしくは信徒会の伝道・経済行為は、被告(統一教会)が経済的な利益を追求するという目的のもとになされ」「信者らが、文鮮明の配下というべき教団の幹部らの意を受けてその指揮・命令の下に実行された結果と認められ、(中略)原告らに対する、法人としての教団自身の故意に基づく違法行為であると評価することができる。」として民法709条に基づいて、その違法行為による損害を賠償する責任を負うと判断された。
   1997年(平成9年)4月16日、奈良地方裁判所での判例
信者らの違法な献金勧誘行為により、原告らが損害を被ったとして、教団に対して、民法709条又は715条に基づき損害賠償を請求した事案で、裁判所は教団の献金勧誘のシステムの特徴として、 1.「万物復帰の教えの下、個々の対象者からその保有財産の大部分を供出させ、被告全体としても多額の資金を集めることを目的とするものである」、
2.「対象者がある一定レベルに達成するまで、被告の万物復帰の教えはもちろんのこと、被告や文鮮明のことを秘匿あるいは明確に否定したまま、対象者の悩みに応じた因縁話等をして不安感を生じさせあるいは助長させる方法をとっている」
3.「各種マニュアル等により勧誘方法が全国的に共通していて、組織的に行われている」
教団への入会ないしは献金等については「入会ないしは献金等をしようとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げ、また、被告への入会ないしは献金等をさせるため、対象者を威迫して困惑させるものであり、方法として不公正なもの」と判断し、教団の献金勧誘のシステムは、「不公正な方法を用い、教化の過程を経てその批判力を衰退させて献金させるものといわざるを得ず、違法と評価するのが相当である。」として教団に原告2人に対する損害賠償を命じた(平成9年(1997年)4月16日判決言渡 平成9年4月16日判決原本交付 裁判所書記官 平成6年(1994年)第二〇七号 損害賠償請求事件)。
   1999年(平成11年)3月11日、最高裁判所での判例(一審・東京地裁1997年10月24日)
統一教会信者が先祖の因縁などを述べ立てて、高額の献金をさせた行為を違法認定し、教団の使用者責任を認めた
   1999年(平成11年)12月16日、福岡地方裁判所での判例
   2000年(平成12年)4月24日、東京地方裁判所での判例
信者による壺や多宝塔、朝鮮人参濃縮液を売りつける活動で、統一教会の法的責任を認める。いずれも最高裁で確定。
   2020年(令和2年)2月28日、東京地方裁判所での判例
信者から違法な勧誘を受けて多額の献金をさせられたとして、東京都に住む元信者の60代女性が約520万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は家庭連合と信者に約470万円を支払うよう命じた。判決では「女性は信者から、亡くなった夫や長男が地獄で苦しんでいるとの不安や恐怖心をあおられ続けており、献金の要求は社会的に相当な範囲を逸脱した違法な行為だ」と指摘し、家庭連合には信者の使用者責任があるとした。
   準禁治産者申し立て事件
教団に献金を続ける信者に対し、親族が家庭裁判所に準禁治産者、保佐人選任の申し立てを行い、審判前に保全処分が認められた事例がある。しかし、2000年4月の「禁治産・準禁治産制度」から成年後見制度への制度変更により、準禁治産の事由に含まれていた「浪費者」を制度の対象から除外したため、このような申し立てはできなくなった。
   伝道に関する違法性(青春を返せ裁判)
損害については「過酷な経済活動や伝道活動に従事して労役の提供を余儀なくされ、さらに、献身するために勤務先の会社をやめることを余儀なくされるなど献身期間中、従前の人間関係や社会生活等を破壊された。」「文鮮明の選んだ相対者を断ると、自己や先祖の救いの道が閉ざされ、病気や怪我をしたり又は死んだりすることになるとか、死後地獄に行くことになるなどと思って苦悩し、相当の精神的苦痛を被った。」などとして、教団に対し原告の3人に対する慰謝料の支払いを命じた。被告の高裁への控訴、最高裁への上告はいずれも棄却された(平成14年(2002年)8月21日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成11年(1999年)(ワ)第18400号 平成15年(2003年)5月13日口頭弁論終結)(平成15年(オ)第1770号 平成15年(受)第1880号)。
   婚姻の無効性
1993年10月7日 福岡地裁で、統一教会の合同結婚式に参加し、教会の指示により婚姻届をした日本人女性が婚姻意思の不存在を理由とした日本人男性との婚姻の無効の訴えが認められた。信者の福岡高裁への控訴・最高裁への上告ともに棄却(1995年10月31日、1996年4月25日。
   その他
・強制改宗をめぐる記事の信憑性
・統一教会の現役信者夫婦が、日本人妻の両親と説得に関わった牧師に対し、人格権に基づき、拉致監禁、棄教強要などの差し止めと、牧師に対し約1330万円の損害賠償を求めた訴訟。
教団側勝訴の判例​
   統一教会信徒の拉致監禁問題の違法性
   人身保護請求が認められた事例(実質的勝訴)
・統一教会信者(30歳男性)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で人身保護請求訴訟により解放された事例
・統一教会信者(26歳女性)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で、高村正彦弁護士等による人身保護請求訴訟により解放された事例
・統一教会信者(25歳女性、小学校教員)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で、上野忠義弁護士等による人身保護請求訴訟により解放された事例
   強制改宗の違法性
2002年2月20日 統一教会の信者(31歳女性)に対して、信者の両親が信者を監禁、脱会を強要した事件において、「逮捕・監禁」は不法行為であり、脱会の説得に協力した牧師も連帯して責任を負うとの判決。被告は上告はせず判決が確定した。(広島高裁・宮本定雄裁判長)
   献金の正当性
2003年11月27日 名古屋高裁が統一教会の献金の正当性を認め、原告の献金返還請求を棄却。教団の関連する「天地正教」の導師部長を務めていた元信者が1000万円の献金について、「信者の因縁話によって畏怖して献金したもの」として、「天地正教」への貸付など、約3700万円の損害賠償を求めた事案。
(2001年)2月28日、名古屋地裁は「自主的に献金した」「統一教会の信者等における脅迫等、違法な働きかけは認められない」として原告の訴えを退けた。1000万円という額についても「宗教活動として許された範囲を遥かに逸脱した違法なものとまでは言えない」と判断した。原告が控訴した名古屋高裁も一審判決を支持。2004年10月22日、最高裁への上告も棄却され、統一教会側が全面勝訴した。
和解の事例​
・統一教会の信者である夫婦が自分達を連れ去り、脱会の説得を行った親、次女、親族、牧師らの8名を被告として、自分達の意思に反する違法な拉致、監禁及び教団からの脱会の強要等の共同不法行為に基づく差止請求及び損害賠償請求を求めた事案。
2004年1月23日 横浜地裁は原告の請求を棄却した。横浜地裁は、「両親の行為が原告の意思に反する、違法な、拉致、監禁及び統一教会からの脱会の強要とまで認めることはできない」「両親による暴行の事実があったと認めることはできない」と判断し、両親に協力した牧師の行為についても「牧師らの指示、指導があったとは言えない」「統一教会からの脱会の強要にあたらない」とし、原告の請求を棄却した 。
・請求額以上を返金する事で和解した事案。
“因縁話”により2億1千万を献金、画や宝石など1千万円分を購入させられたとして千葉県の女性が、賠償を求めたことに対し、教団側は1億3千万での和解案を提示。交渉が進展しないため、所管庁たる文部科学省をも共同被告とした訴状を送付したところ、2008年3月に2億3千万円の和解案が提示され、和解が成立した。実損額を超える和解は極めて異例である。
・アメリカにおいて、不当な勧誘(伝道の初期段階に教団の名前を正式に述べなかった「不実表示による詐欺」)、洗脳、虚偽の監禁などを理由として2人の元教会員が訴えた民事訴訟。
1審、2審は「訴訟自体が法廷を宗教問題に踏み込ませるものだ」として原告の訴えを棄却したが、カリフォルニア州最高裁は教団の名前を隠した伝道は「聖なる詐欺」(Heavenly deception )と呼ばれる、教団の教義に基づく宗教行為であるが、市民が騙され、強制的説得による不利な環境に服従することから保護するという州の利益のために、教団の活動に制限を加えることは憲法上認められるとして、1、2審の略式判決を破棄し、陪審員による事実審理をするようにと差し戻した。結果的に教会と原告は和解したが、「信教の自由」があっても、伝道の方法によっては詐欺にもなり得る場合があることを示唆したものとなった(モルコ・リール事件 1998年10月27日 カリフォルニア最高裁)。  
●他の宗教との関係​
オウム真理教​
正体を隠しての勧誘や、ビデオを利用したマインドコントロールなど、オウム真理教と統一教会の手法には多数の類似点が指摘されているほか、この2教団の関係を巡って、複数の疑惑がジャーナリストの江川紹子と有田芳生の調査で明らかになっている。宮崎県資産家拉致事件を巡って、教団系のメディア『宗教新聞』『世界日報』がオウム真理教の擁護キャンペーンを展開していたことがある。『世界日報』は1994年9月25日と10月30日に「文春『オウム真理教攻撃』のウソ」との記事を掲載、オウム関係者の証言を強調し、週刊文春と反オウムの長女を攻撃する内容だった。『宗教新聞』も同様の趣旨の記事を4回に渡って掲載、その内1つは「社説」としてオウムを擁護するものだった。記事を書いた記者は統一教会の熱心な信者で、オウム真理教教祖の麻原彰晃を「ヨガや仏教をまじめに考えている」と絶賛し、一連の擁護記事についても「オウムの人たちは大変喜んでくれましたよ。私も功徳を積んだと思った」と話していた。これと別に、統一教会幹部と麻原との会談があった、との信者の証言も紹介している。
そのほかにも、麻原の住民票が、オウム真理教の政治進出が話題になった1990年当時、教団系の国際勝共連合と密接な関係にあった自民党福田赳夫派の重鎮・山田久就衆議院議員が所有する選挙区である杉並区内のマンションに置かれていたことがあった。
立正佼成会​
1963年、当時の庭野日敬会長が青年部員を統一教会の修錬会に参加させた結果、次期会長候補とされていた久保木修己を初めとする50名ほどの会員が統一教会に転じた。
生長の家​
1970年安保闘争の時代に、互いの集会に参加したりするような関係であり、谷口雅春は「勝共連合は朝鮮の文鮮明と称する予言者を八紘一宇の世界の中心者とする運動だったので私たちは今まで協力できなかったが、(中略)日本中心の運動にすることが出来れば協力してもよいのである」と述べている。  
●ダミー団体​
それぞれ別組織であり、友好団体だと公言しているが、同一の創設者によって作られ、日本支部では同一の建物で同一のスタッフが運営する組織である。
天宙平和連合(UPF)日本事務局 / 平和大使協議会 / 平和外交フォーラム / ピース・メディア・フォーラム(PMF) / 真の家庭運動推進協議会 / PLA−Japan事務局 / 統一思想研究院 / 一般財団法人国際ハイウェイ財団 / 国際ハイウェイ建設事業団 / 世界平和宗教連合 / 国際宗教自由連合 / 世界平和島嶼国家連合
宗教新聞社 / 東京同胞教会(事務局) / 東京同胞教会 / 世界平和教授アカデミー / 一般社団法人平和政策研究所(分室) / アジアと日本の平和と安全を守る全国フォーラム / 世界平和統一家庭連合 / 平和統一聯合 / 天一國歌舞連合 / 在日平和統一祝福家庭婦人会 / 世界圓和道連盟日本本部 / 世界平和青年連合(YFWP) / 日韓トンネル推進全国会議 / 東西南北統一運動国民連合 / セミナールーム
田中富広会長は「私たちの“友好団体”が主催する行事に、安倍元総理がメッセージ等を送られたことはございます。当法人と友好団体の区別がついていなかったのではないか。どちらも創設者が一緒なので、すべてが同じに見えていたのかなと」と無関係を主張した
その他にも、教団系の団体は多数存在し、密接な関係にある企業も多数存在する。
弁護士の山口広は、「世界平和女性連合」について「統一教会のダミー組織」であり、「ロータリークラブの女性版のようなつもりで入会したご婦人がグループ企業の展示会に誘われて高額な買い物をしたり、信者になって献金させられる例を、数多く聞いている」と話している。
ダミー団体を使って政治家に接近することは全世界で共通する手法だという。  
●関係人物​
政治家​・日本​
   安倍晋三との関係​
安倍晋三と教団の関係は、祖父の岸信介、父親の安倍晋太郎の親子三代にわたるものであり、2022年7月8日に発生した安倍晋三銃撃事件後の同年7月19日、統一教会元会長郭錠煥は記者会見にて、「(創設者の故)文鮮明総裁は(安倍氏の祖父の)岸信介元首相と近かった。(父の)安倍晋太郎元外相とも近かったと承知している」と指摘した。また、安倍晋三元総理大臣が説いていた国家像である「美しい国」と、日本統一教会の初代会長であり、反共産主義政治団体国際勝共連合の日本初代会長でもある久保木修己が説いた「美しい国」との共通点が指摘されている。
英「フィナンシャル・タイムズ」紙もその関係を「近すぎる距離」とし、「祖父・岸信介の時代から、日本の支配者層とメディアが見て見ぬふりをしてきた公然の秘密」と指摘している。週刊朝日の報道によれば、統一教会の日本での拡大には、笹川良一や児玉誉士夫らのフィクサーと岸信介の尽力が大きかったとしており、父親の安倍晋太郎も「勝共推進議員連盟」に参加していたとされる。文鮮明が、アメリカのCIAが創設に深く関与した大韓民国中央情報部の支援のもとにアジアの反共団体の結成に動き、笹川が勝共連合の名誉会長に就任すると、協力関係にあった岸も教団に接近。日本本部は岸がかつて所有していた土地に置かれ、教団は様々な訴追を受けずに済んだ。さらに、教団関係者は自民党の内部にも浸透した。カーター政権下の1977年のFBIによるレポートなどによると、上記の3者が文鮮明の強大な支援者となり、また文鮮明は日本政府上層部との繋がりを保っていたとしている。ジェフリー・ジェムズ・ホールはFTなどの取材に対し、反共産主義活動により自民党の有力な支持団体になった統一教会は、のちに安倍晋三の派閥になる岸の派閥を冷戦期に支持していたとしている。
元公安調査庁幹部の菅沼光弘は、高橋浩祐の取材に対し、安倍晋太郎が外務相だった時に訪米したときに、アメリカ政界の有力者と晋太郎をつなげたのは統一教会だったと話した。
週刊文春が紹介する統一教会関係者の証言では、1980年代以降に教団の違法な霊感商法が社会問題化した後も、別名称の「ダミー団体」を次々作ることで、政治家との接点を持っていたとしており、その内の一人が安倍晋三であったとしている。
2006年5月、日本共産党の機関誌である『しんぶん赤旗』などによれば、安倍晋三は、教団関連団体の天宙平和連合が全国各地で開いた大会の複数会場に内閣官房長官の肩書きで祝電を送付。この前年にも同様の大会への祝電が確認されている。
また、文鮮明が設立した米ワシントン・タイムズ紙2011年5月10日付に掲載された意見広告に妻と共に署名。2010年2月と2012年7月には幹部信者(12双)が代表を務めるシンクタンク「世界戦略総合研究所」で講演。さらに、『FLASH』誌などは父親の金脈、人脈を継いだため教団とは切るに切れない事情があると報じており、教団内では「安倍先生なくしてみ旨は成就できない」と伝えられる。
2006年6月、ジャーナリストの有田芳生は、『週刊朝日』において、安倍と教会の"祖父の代から脈々と続く関係"について「私は以前、安倍さんから統一教会と北朝鮮の関係について聞かれたことがある。そのときは『統一教会が接近してきている。会おうと言われているが断っている』と言っていました。安倍さんは北朝鮮に対して強硬な立場で総裁選も近いということから考えると、少なくとも本人の意思では(前述の祝電を)送っていないとは思います」とコメントしていたが、その後長期安定政権樹立を目指していた安倍は、2013年頃から教団の持つ組織票と無尽蔵の人員を目当てに、一時は距離を置いていた教団に一転して再接近したとされる。宗教ジャーナリストの鈴木エイトは、安倍晋三と統一教会の関係について、「癒着」との表現を用いて極めて密接であったとしている。有田は2022年7月の時点では、「岸信介氏、安倍晋太郎氏、安倍晋三氏は三代続けて、統一教会を日本社会に深く浸透させる政治的に重要な役割を果たした」と評価している。
安倍が「じきじきに」後援を依頼して、教団による選挙協力・動員が得られた例として、2013年夏の参議院議員選挙に比例区で出馬した北村経夫があるとされる。鈴木の調査によれば、北村の後援会名簿には教団系の政治団体である国際勝共連合・世界平和連合の幹部の名があり、北村の選挙事務所には世界平和連合の女性スタッフが事務員として派遣されていたという。教団による組織票は約8万票であり、北村の総得票数142613票の大半を占めていたとされる。また、安倍政権下で開催された桜を見る会にも、2013年から2016年にかけて教団関係者が招待されていたとされる。
霊感商法の被害者支援を行う弁護士の集まり「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が一貫して名称変更反対の申し入れを文化庁に行ってきた中でも、2015年に教団の「世界平和統一家庭連合」(家庭連合)への名称変更が許可された背景に、安倍の関与があったとされる。なお、名称変更当時の文部科学大臣であり、安倍とも親しかった下村博文に対し、教団関係者が陳情したり、政治資金パーティのパーティ券を購入したりしていたことが、『文春オンライン』によって報じられている。ほかにも安保法制の改定時期に「安倍政権を支えよう!」と街頭で安倍政権支持デモを繰り返すなど活発に活動した大学生集団「勝共UNITE」のバックには教団系の国際勝共連合があり。この集団は教団の二世信者により結成されたものだったと伝えられる。このほかにも、教団系の雑誌『世界思想』2013年9月号は「安倍政権の救国ロードマップ」を特集し、街頭演説をする安倍晋三の姿を表紙に使った。
2016年11月、安倍が大統領就任前のドナルド・トランプと異例の会談を実現した背景に、教団の仲介があったとされている。「新潮45」の報道によれば、側近から提案を受けた安倍は教団系の国際勝共連合のメンバーに連絡すると、そのメンバーは教祖・文鮮明の妻でUPF総裁の韓鶴子に電話を入れた。韓鶴子はトランプの娘のイヴァンカ・トランプの夫、ジャレッド・クシュナーに連絡し、ペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会談前の17日にトランプとの会談が実現したとされる。
安倍は2021年9月12日(日本時間)に開催された天宙平和連合(UPF)主催のイベント『THINK TANK 2022 希望前進大会』にも、UPFインターナショナルとワシントン・タイムズからの依頼に応じる形でビデオメッセージを寄せている。このビデオメッセージについて、全国霊感商法対策弁護士連絡会は同年9月17日、安倍に対し公開抗議文を送付している。
ほかにも、第一次安倍政権で内閣総理大臣秘書官を務めた参議院議員の井上義行は、2022年7月6日、埼玉県で行われた教団の会合で、幹部から「(井上は)もうすでに信徒になりました」と紹介され、「信念を持って同性婚反対と言っている」とも演説している。
弁護士の山口広は「安倍政権になってから、若手の政治家が統一教会のイベントに平気で出席するようになった。それまでは、政治家が参加しても名前は出さないとか、統一教会側も名前を伏せて『衆議院議員が参加してコメントした』と言っていた。安倍さんには、統一教会と仲良くすることに開き直るというか、顕著なものがあり、憂慮していた」と発言している。また、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の弁護団は、第1次安倍政権終了後の2007年頃から、教団に関連した違法行為の刑事事件化が相次いでいた一方で、2012年の第2次安倍政権発足後に再び刑事事件化することは少なくなったことを指摘した上で、教団に対する警察捜査に政治が圧力をかけていた可能性に言及した
なお、安倍は選挙応援演説中の2022年7月8日に、41歳の海上自衛隊に短期在籍経験のある奈良県在住の男から銃撃を受け死亡したが(安倍晋三銃撃事件)、犯人の男は、母親が統一教会に多額の献金をした挙句に破産し、家庭が崩壊したことで同教団に恨みを募らせたことにより、殺害が困難な同教団幹部に代わって安倍をターゲットに犯行に及んだことを明かしている。なお、犯人の男は、前日の7日、朝4時頃に世界平和統一家庭連合奈良家庭教会を銃撃している。
一連の報道を受けて、日本での会長である田中富広が2022年7月11日に記者会見をおこない、犯人の母親が信者であることを認めると共に、安倍との関連性については「友好団体(UPF)が主催する行事にメッセージが送られてきたことがあり、『世界平和運動』に関しては賛意を示してくれた」としつつ、「会員や顧問になったことはない」との見解を示した。
この会見について、霊感商法などの宗教問題を専門とする弁護士の紀藤正樹は、「UPFと統一教会はいわば一体の組織であって、友好団体という言い方は極めてミスリード」と述べ、「多くの信者は区別がつかない」として、田中の見解を完全に否定した。2009年以降は教団にまつわる献金トラブルがないとの説明も、裁判の判決文を見せた上で「これは平成25年(2013年)とか27年(2015年)とか、その頃の事件の判決です。その頃でもまだ高額献金をやってた」と完全に否定する見解を示した。全国霊感商法対策弁護士連絡会も、2009年から2020年にかけて献金を含む被害を年に61件から1113件を確認しているという。2021年は47件で、被害総額は3億3153万507円という。
2022年7月15日、岩手県の達増拓也知事は記者会見にて安倍晋三元首相の銃撃事件に関連し、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)とその関連団体が自民党と結び付いていたことが明らかになった」と批判。達増は「自民党や所属議員が団体から選挙で支援を受けている」と指摘すると共に、「政策が極端な特定の宗教団体と関連グループが法外な寄付金を集め、選挙結果や政府の政策に影響を与えている」とし、「そういう団体と深く結び付いている自民党を有権者は支持し続けてくれるのか」と自民党の姿勢を疑問視した。
統一教会への潜入調査を行った経験を持つ中川晴久は、事件の背景には統一協会への接近について問題意識のない政治家たちへの被害者たちの憤りがあるとしながらも、統一教会と直接関係を持つのは選挙地盤が弱い小物の政治家にすぎないとしている。しかし、自民党の元参議院議員・伊達忠一は、2016年の参議院選挙で、大物議員・安倍晋三による、直接的な教団組織票の割り振りがあったと証言している。この証言について、北海道大学大学院教授の櫻井義秀は「自民党が組織的に旧統一教会とやはり関わりを持っていたのかということがだんだん明らかになってきた」と述べている。
2022年7月17日、安倍晋三銃撃事件の犯人の男が、事件以前に「憎むのは統一教会だけだ」「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた」「統一教会の本分は、家族から巻き上げさせたアガリを全て上納させることだ」「統一教会は全世界の敵」などと教団への恨みを2019年からツイッターに投稿していたとみられることが判明した。また、事件の直前に中国地方に住む男性宛てに、銃撃を示唆する手紙を送付していたことが判明した。この手紙の中では、「本来の敵ではない」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎない」「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果的に安倍政権に何があってもオレの知ったことではない」「安倍政権の功を認識できないのは致命的な歪み」と安倍を評価している。
2022年8月12日、教団は、文鮮明の死後10年にあわせて、ソウルで国際会議を開催。トランプ前政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオやカナダのスティーヴン・ハーパー前首相など各国の閣僚経験者が出席した。会合の冒頭、檀上のスクリーンに安倍の顔が映し出され、教団幹部が促す形で、参加者は安倍の死を悼んだ。トランプ前米国大統領は10分にわたるビデオメッセージを送り、「安倍元首相は良き友人であり、偉大な人物であった。人々は彼を懐かしむだろう。深い哀悼の意を表する」と述べた。会議の途中、安倍を追悼するセレモニーも行われた。
   北海道
鳩山由紀夫 (共和党、第93代内閣総理大臣、北海道9区):2004年3月に世界平和連合が開いた「救国救世全国総決起大会」に出席した。2022年には、統一教会のイベントへの出席や祝電の事実を認め、ツイッター上で謝罪した。
   岩手県
菅原喜重郎 (民社党、比例東北ブロック、旧岩手2区):2001年6月、教団側の見地から質問主意書を提出。関連組織の「世界平和超宗教超国家連合(IIFWP)」では共同議長として活躍する。
   福島県
佐藤剛男 (自民党、比例東北ブロック(福島1区)):2006年3月21日、幕張メッセで開催された「天宙平和連合日本大会‐アジア太平洋島嶼国家のパートナーシップ」で祝辞を述べている。
   栃木県
船田元 (自民党、栃木1区、茂木派):天宙平和連合統一教会関連イベントに祝電。かつて統一教会系の議連である勝共推進議員連盟に所属していた。
渡辺美智雄 (自民党、旧栃木1区):信者(6000双)を秘書に起用しており、この秘書は後に衆院選へ立候補し自民党が公認。同僚議員にはセミナーの受講を勧めたとされる。
   群馬県
福田赳夫 (自民党、第67代内閣総理大臣、旧群馬3区):政治家の西宮弘は、文芸春秋の記事(答弁では何年のどの号であるかの言及はなく、どの記事か同定不能)によると、1974年5月7日の「希望の日」晩餐会の祝辞で「アジアに偉大な指導者あらわる、その名は文鮮明、私はこのことをうかがいまして久しいのですが、今日は待ちに待ったその文先生と席を同じくし、又ご高邁なるご教示瀬戸山国務大臣(当時)に対し、にあずかりまして、本当に今日はいい晩だなあと、気が晴ればれとしました」に始まって、最後の結びは「文先生、ほんとうにりっぱなお話をうけたまわりありがとうございました」であったと述べている 昭和53年(1978年)の第84回国会法務委員会で、政治家の横山利秋は、瀬戸山国務大臣に対し、文鮮明と福田赳夫は、「ごあいさつが終わった後、文鮮明氏と、これ見えますか、ごらんのようにかたく抱き合っておる、抱擁しておるのであります。当時の大蔵大臣、現在の内閣総理大臣福田赳夫さんが文鮮明氏と、これ以上は抱き合えないくらいに男と男が抱き合った。」と述べ、両者の関係を問い詰めている。
中曽根康弘 (自民党、第71、72、73代内閣総理大臣、旧群馬3区):文鮮明や朴普煕が来日した際に会談した。1992年の3万組合同結婚式へ祝辞を寄せており 、2004年には世界平和連合の大会で講演。2006年の天宙平和連合‐祖国郷土還元日本大会にも祝電を送っている。
   千葉県
猪口邦子 (自民党、元少子化担当相、千葉県選挙区、麻生派):統一教会関連イベント出席、会報誌に対談記事掲載。
   神奈川県
菅義偉 (自民党、第99代内閣総理大臣、神奈川2区、無派閥):元首相 統一教会の金起勲(キムギフン)北米大陸会長を官邸に招待し、面会した。
山本朋広 (自民党、神奈川4区、菅義偉G):2016年2月15日、関連団体の天宙平和連合(UPF)が世界平和国会議員連合(IAPP)を創設。同年11月、日本のIAPP創設大会が参議院議員会館で開催されるが、同大会には当時の閣僚5人を含む63人の国会議員が参加。山本もその中に含まれていた。2017年2月、UPFは韓国のソウルで「第4回ワールドサミット」を開催。同時に開催されたIAPPの総会に山本は武田良太や柳本卓治とともに参席し、韓鶴子総裁から統一教会を国の宗教にするという「国家復帰指令」を受任した。同年5月14日、旧統一教会のイベント『孝情文化フェスティバル in TOKYO』に来賓として出席し、韓総裁にカーネーションの花束をプレゼントした。その際の挨拶で「日頃より世界平和統一家庭連合の徳野会長、また世界平和連合の太田会長を始め本当に皆様には我々自民党に対して大変大きなお力をいただいていますことを改めて感謝を申し上げたいと思います。おかげさまで安倍政権も5年目を迎えまして『長期安定政権』そのように評価をいただいているところでございます」と述べた。同年7月、山本、武田良太、竹本直一、御法川信英、穴見陽一ら国会議員団は教団幹部とともに渡米、外遊を行った。2018年10月25日、「国際勝共連合創立50周年記念大会」がザ・キャピトルホテル 東急で開催。この集会にも出席した。同年12月、統一教会の関連団体の平和大使協議会はUPFの後援を受けて、かながわ労働プラザで「アフリカビジョンセミナー」を開催。山本はこのセミナーで来賓挨拶をした。
田中和徳 (自民党、元復興相、神奈川10区、麻生派):川崎駅構内で統一教会の機関紙「世界日報」を名刺とともに配布、統一教会の金起勲(キムギフン)北米大陸会長と自民党本部で面会。統一教会関連イベントに出席。
山際大志郎 (自民党、元経済再生担当相、神奈川18区、麻生派):統一教会関連イベント来賓、祝電。
小林温 (自民党、神奈川県選挙区):天宙平和連合イベントに祝電。
   東京都
下村博文 (自民党、元文部科学相、東京11区、安倍派):統一教会関連イベント出席、世界日報社から献金。統一教会幹部が2014年6月に文科大臣だった下村へ陳情を行い、同幹部は下村の後援組織が主催した政治資金パーティーのパーティ券も購入していた。統一教会の改称を認めた当時の文部科学省の大臣だったにも関わらず、改称への関与を否定している。
萩生田光一 (自民党、経済産業相、東京24区、安倍派):統一教会関連イベントで来賓祝辞。
井上信治 (自民党、元万博担当相、東京25区、麻生派):関連団体に会費支払い。
松下正寿(民社党、東京都選挙区)
吉田公一(民主党、比例東京ブロック):有田芳生は、吉田が統一教会が後援するデモ隊から請願書を受け取っており統一教会を支援している議員と述べている。
   富山県
野上浩太郎 (自民党、元農林水産相、富山県選挙区、安倍派):統一教会関連イベントに祝電。
長勢甚遠 (自民党、比例北信越ブロック(富山1区)、町村派):天宙平和連合イベントに祝電。
   石川県
馳浩 (石川県知事):天宙平和連合イベントに祝電。
   福井県
稲田朋美 (自民党、福井1区、安倍派):2006年4月、教団の関連団体「世界平和女性連合(WFWP)‐福井県連合会」が開いた春のつどいに出席。2009年11月には同じく教団関連団体である世界平和連合(FWP)の福井県大会で演説。2010年4月にも前記「女性連合」の催しで講演した。
高木毅 (自民党、元国対委員長、福井2区、安倍派):統一教会関連イベントに祝電。
杉本達治 (福井県知事):愛知県国際展示場(常滑市)で開催された「孝情文化祝福フェスティバル」に祝電を送った。
   長野県
小坂憲次 (自民党、元文部科学相、長野1区、石破派):天宙平和連合イベントに祝電。
   愛知県
池田佳隆 (自民党、比例東海(愛知3区)、安倍派):大規模集会に来賓として出席し、祝辞を述べた。
工藤彰三 (自民党、愛知4区、麻生派):中日新聞の取材に対し、教団関連の政治活動団体「世界平和連合」に以前から選挙応援を受けてきたと説明。団体側も工藤を選挙で支援してきた事実を認めた。工藤は「政治家としての付き合い」と前置きした上で、教団側が掲げる「反共主義」と「意識が同じでお付き合いをしている」と説明し、教団関連の別のイベントでもスピーチをしたと述べた。教団側とは国会議員になる前に知人を介して知り合ったとし、選挙では「人を出してもらい電話をかけてもらうなど、とても助かっている」と話した。教団は霊感商法などを巡りトラブルが表面化した過去もあるが、工藤は「破壊的なカルトや反社と認定されている団体なら付き合わないが、決してそういうわけではない」と指摘。今後の付き合いについて「お付き合いしていくつもり」と語った。
江崎鉄磨 (自民党、元沖縄北方相、愛知10区、二階派):統一教会関連イベントに祝電。
大村秀章 (愛知県知事):2022年7月22日、大村が2019年10月6日に愛知県国際展示場(常滑市)で開かれた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連イベント「孝情文化祝福フェスティバル」に対して送った祝電が教団トップの韓鶴子総裁を礼賛する内容に書き換えられたとして、大村の事務所が教団側に抗議していたことが分かった。
禰宜田政信 (碧南市長):愛知県知事大村秀章に統一教会イベントへの祝電を依頼した。祝電の依頼やその改竄について「わからない」「知らない」と答え、自身が信者かどうかは「ノーコメント」と説明している。
天野正基(国民民主党、愛知県議会議員):「孝情文化祝福フェスティバル」に参加。すでに結婚している夫婦が改めて永遠の愛を誓う「既成祝福式」の代表として夫婦で登壇し、韓鶴子に贈り物を捧げた。翌日の会合では韓を「お母さま」と呼び、「私の議員活動が他の議員の祝福につながるようしっかりと活動してまいることを誓いまして私からの祝意とさせていただきます」などと挨拶した。
青山丘 (国民新党、比例東海、(愛知7区)):2006年5月18日の天宙平和連合‐祖国郷土還元名古屋大会に出席。2010年12月3日、“拉致監禁”反対を訴える決起集会「守れ!日本の人権・信教の自由」では来賓として挨拶した。
鈴木政二 (自民党、元官房副長官、愛知県選挙区):天宙平和連合イベントに祝電。
   静岡県
細野豪志 (自民党、元環境相、静岡5区、二階派):統一教会機関紙にインタビュー掲載、統一教会関連団体より献金。
   三重県
鈴木英敬 (自民党、三重4区、安倍派):三重県知事時代に愛知県国際展示場(同県常滑市)で開催された「孝情文化祝福フェスティバル」に祝電を送った。
中川正春 (立憲民主党、元文部科学相、比例東海(三重2区)):統一教会関連イベントに祝電。
   京都府
二之湯智 (自民党、第98・99代国家公安委員会委員長、京都府選挙区元参議院議員、茂木派・谷垣グループ):2018年に関連団体が開催した京都府のイベント「ピースロード」の実行委員長を務め、壇上で挨拶を述べた。
前原誠司 (国民民主党、元外相、京都2区):統一教会傘下のワシントン・タイムズに全面意見広告を掲載。
   大阪府
足立康史 (日本維新の会、大阪9区):統一教会関連団体の世界戦略総合研究所で講演をしていた。
藤田文武 (日本維新の会幹事長、大阪12区):過去に関連団体のイベントに参加。
馬場伸幸 (日本維新の会共同代表、大阪17区):過去に関連団体のイベントに参加。
松井一郎 (日本維新の会、大阪市長):日本維新の会代表:統一教会の集会に出席していた。
   兵庫県
山口壮 (自民党、元環境相、兵庫12区、二階派):統一教会関連イベントに祝電。
末松信介 (自民党、文部科学相、兵庫県選挙区、安倍派):統一教会関係者が2020年、2021年に4万円分の政治資金パーティー券を購入していた。
   奈良県
高市早苗 (自民党、元総務相、奈良2区、無派閥):天宙平和連合イベント「祖国郷土還元日本大会」に祝電。分派のサンクチュアリ教会が自民党総裁選で高市を支持する街宣を行った。
   鳥取県
石破茂 (自民党、元幹事長、鳥取1区):統一教会関連イベントで講演、祝電、機関紙社長から献金。
   島根県
細田博之 (自民党、衆議院議長、島根1区) : 2019年に、韓鶴子が出席した関連団体の会合「国際指導者会議」に出席、内容を安倍晋三に伝えるとしたうえで、韓をほめたたえるスピーチを行った。
竹下亘 (自民党、島根2区、竹下派):2012年4月29日に開かれた「アジアと日本の平和と安全を守る島根県フォーラム設立大会」に来賓として参加し祝辞を述べた。
   岡山県
逢沢一郎 (自民党、岡山1区、谷垣G) : 2018年、岡山県で開かれた関連団体の会合に出席。豪雨被害の寄付を行った韓鶴子をほめたたえた。
山下貴司 (自民党、元法相、岡山2区、無派閥):統一教会関連イベントに祝電。
加藤勝信 (自民党、元内閣官房長官、岡山5区、茂木派) :厚労大臣在職中に秘書が統一教会関連イベント代理出席。
   広島県
中川秀直 (自民党、比例中国ブロック(広島4区)、無派閥):2012年7月30日に古参信者が代表を務める団体「世界戦略総合研究所」が開いたシンポジウムに参加。2006年5月14日に開かれた天主平和連合(UPF)祖国郷土還元広島大会には祝電を送っている。
   山口県
高村正彦 (自民党、山口1区、麻生派):政治家の中村敦夫は、平成10年(2008年)の第143回国会法務委員会で、「高村はかつて統一教会の代理人であり、ハッピーワールドから時価380万円のセドリックを提供されている」と述べている。かつては勝共推進議員であったが、外務大臣に就任した年の週刊ポスト(1998年12月4日号)紙上では統一教会との関係について、冷戦構造下において共産主義反対というところで一致していただけで統一教会の弁護士をやめる際に今後は一切相談は受けないと申し入れたこと、統一教会の教祖文鮮明に対してビザ発給などで便宜を図ったことはないこと、1999年の入国に協力するつもりはないこと、などを語っている。また週刊現代(1999年2月27日号)が1999年に行った国会議員へのアンケートに対しては、「弁護士としての関係がかつてあったが、今は何の関係もない」と回答している。
岸信夫 (自民党、第21 - 23代防衛大臣、山口2区、安倍派):安倍晋三の実弟で岸信介の孫。2022年7月26日の記者会見で、統一教会との関係について「付き合いもあり、選挙の際もお手伝いをいただいている。電話作戦等々、ボランティアでお手伝いをいただいたケースはあると思う」「選挙だから支援者を多く集めることは必要だと思う」「統一教会に手伝ってもらったというよりは、メンバーの方にお力をいただいたということだ」と述べた。
安倍晋三 (自民党、第90、96 - 98代内閣総理大臣、山口4区、安倍派):岸信介の孫。
北村経夫 (自民党、山口県選挙区、安倍派):世界平和連合から支援を受けている。初出馬した2013年の第23回参議院議員通常選挙では、安倍が北村の選挙応援を教団に依頼。教団内部文書には「首相からじきじきこの方(北村)を後援してほしいとの依頼」「まだCランクで当選には遠い状況です」「今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です」などとあった。2019年の第25回参議院議員通常選挙でも統一教会内部で北村を応援するビラが出回っていた。北村の事務所は「旧統一教会から支援を受けたことも、見返りを求められたこともありません」と否定している。しかし、当時、選挙事務所のスタッフだった近藤将勝は北村が団体の支援を受けていたと証言したほか、「世界平和連合」も「弊団体が北村経夫氏を支援したことは事実です」と支援を認めた。同年、UPF主催の会合に出席。
岸信介 (自民党、第56、57代内閣総理大臣、旧山口2区):日本における勝共連合設立の中心人物の一人。文鮮明が米国で投獄されると「宗教の自由」を侵した過ちであるとし、釈放を求める意見書を米大統領に提出 。自宅と教団本部は隣接していた。文鮮明や久保木修己とも会談しており、ときには松濤本部を訪ねて信者を激励するなど日本統一教会(協会)草創期からの熱心な賛同者である。
   徳島県
後藤田正純 (自民党、比例四国(徳島1区)、茂木派):下部団体の天宙平和連合が主催した、文鮮明の三男である文顕進との昼食会に出席。本人もそれを認めている。
   愛媛県
井原巧 (自民党、愛媛3区、安倍派):世界平和連合の支援を受ける。2013年5月には、愛媛県内のホテルで、同連合は「井原巧先生を励ます会」を開催した。
白石徹 (自民党、愛媛3区、麻生派):教団の関連団体である「アジアと日本の平和と安全を守る全国フォーラム」東予地区の世話人を務め、同じく関連団体の平和大使協議会(AAP)では平和大使に任命されている。また、世界平和連合(FWP)は白石の後援会「愛和会」を設立しており、同会は応援歌「ラブ、ラブ、ラブ」の合唱で締めくくられる。他にも、真の家庭運動推推進議会(APTF)が開くクリスマスパーティーや原理復興文化祭などに通う。
磯崎仁彦 (自民党、元内閣官房副長官、香川県選挙区、岸田派):統一教会関連イベント「ピースロード」に参加。
   高知県
中谷元 (自民党、元防衛相、高知1区、谷垣G):統一教会関連媒体にインタビュー掲載。統一教会関連イベントに祝電。
福井照 (自民党、比例四国ブロック(高知1区)、二階派):2002年1月、世界平和連合‐高知県連合会結成大会に数人の自民党議員と出席。2006年5月には天宙平和連合‐祖国郷土還元高松大会へ祝電を送っている。
   福岡県
山崎拓 (自民党、福岡2区):2002年4月に女性信者とのスキャンダルを週刊誌で報じられ訴訟へと発展。2005年の天宙平和連合‐福岡大会には祝電を打っている。
麻生太郎 (第17代自民党副総裁、第92代内閣総理大臣、福岡8区、麻生派):過去に教団機関紙の思想新聞に名刺広告を出している。警視庁の内部資料からは信者を秘書に起用していたことが発覚。2011年5月10日付の米紙ワシントン・タイムズには、妻・千賀子や安倍晋三らと共に全面意見広告を掲載。日韓トンネル研究会では顧問を務める。
三原朝彦 (自民党、福岡9区、竹下派):1999年10月開催の世界平和連合-福岡県連合会に祝電を寄せた。同会には三原の秘書の他、多数の自民党議員及び関係者が出席。自身が支部長を務める自民党福岡9区支部が2003年11月に世界平和連合から献金を受けた。日韓トンネル研究会顧問。
武田良太 (自民党、元総務相、福岡11区、二階派): 統一教会関連イベント参加、統一教会の推進する日韓海底トンネル推進議連結成大会参加。
   長崎県
宮島大典 (無所属、長崎4区):2006年5月13日、天宙平和連合‐祖国郷土還元福岡大会に出席。2010年12月に開かれたシンポジウム「信教の自由と人権問題を語る」では会場となった議員会館の使用申請をした。
   熊本県
木原稔 (自民党、元首相補佐官、熊本1区、茂木派):統一教会関連イベント実行委員。
   大分県
衛藤征士郎 (自民党、大分2区、安倍派):日韓トンネル推進議員連盟代表であり、2008年5月の「清和政策研究会との懇親の集い」にて配布された政策論文集には「日韓トンネル・日韓を鉄路で結び欧州へ直結」を寄稿。かつては信者5人を秘書に起用しており、勝共連合のセミナーや集会にも参加している。
   宮崎県
中山成彬 (次世代の党、比例九州ブロック(宮崎1区)):2003年11月、当時支部長を務めていた自民党宮崎1区支部の世界平和連合からの献金受領が報じられ返還。地元の会合にも同連合のメンバーを出席させている。
   鹿児島県
保岡興治 (自民党、鹿児島1区、石原派):政策秘書だった信者を法務大臣就任時(第2次森内閣)に秘書官に登用。2005・2006年には下部組織の催しに祝電を寄せた。「希望の日」晩餐会にも臨席している。
   沖縄県
下地幹郎 (政党そうぞう、比例九州ブロック(沖縄1区)、無所属):有田芳生は、下地が統一教会が後援するデモ隊から請願書を受け取っており統一教会を支援している議員と述べている。
   参議院議員比例区
井上義行 (自民党、安倍派):「賛同会員」。
衛藤晟一 (自民党、無派閥):2014年1月22日、統一教会の重鎮が会長を務める世界戦略総合研究所で講師をしている。
室井邦彦 (日本維新の会、比例区):2007年の参院選で配布したビラに幹部信者との写真を掲載。教団の会合では「(文鮮明の)入国のため努力する」と発言している。
山谷えり子 (自民党、比例区、安倍派)
山田宏 (自民党、比例区、安倍派):教団関係者が運営するNPO法人「未来構想戦略フォーラム」で講演。2011年1月には世界戦略総合研究所で講義した。
神谷宗幣(参政党、比例区):教団系メディアの『世界日報』で3本の記事を執筆していた。なお、世界日報における神谷の記事は、教団と政治の関係が注目されるきっかけになった安倍晋三銃撃事件の後に削除されている。
米国​
ドナルド・トランプ(前アメリカ合衆国大統領):退任後の2021年に統一教会主催のオンラインイベント、「シンクタンク2022希望前進大会」で基調演説をし、朝鮮半島の安定化の努力と成果をアピールした。
ポーラ・ホワイト(英語版)(トランプ政権のホワイトハウス宗教特別顧問):放送福音伝道者として、統一教会主催の「希望前進大会」に参加したことがある。
韓国​
潘基文(元国連事務総長):2021年に統一教会主催のオンラインイベントに参加した。
丁世均(元韓国国務総理、元韓国国会議長):2021年に統一教会主催のオンラインイベントに参加した。
呉世勲(ソウル特別市長)
朴亨(釜山広域市長)
梁承晁(忠清南道知事)
李始鍾(忠清北道知事)
李庸燮(光州広域市長)
李負J(慶尚北道知事)
張賢国(京畿道議会議長)
郭度栄(江原道議会議長)
支持者​
笹川良一(全国モーターボート競走会連合会、後の日本船舶振興会、現日本財団の会長):密入国で逮捕された西川勝の身元引受人を買って出た。
福田信之(筑波大学元学長、理論物理学者):「文鮮明師と金日成主席」(世界日報社1992)等の著書あり。
室生忠(宗教ジャーナリスト):統一教会関連のシンポジウムの講師等を務めたこともある。月刊誌『創』(2000年4月号)で浅見定雄が「統一教会信者の『強制説得』請負人」で、「信者を脱会させるために精神病院に『強制収容』する事件に加担した」などとする記事を書いたことを当人から名誉毀損で訴えられ敗訴し、『創』誌に謝罪広告を掲載するよう命じられた。
桧田仁(医師・元衆議院議員):2000年4月の衆議院決算行政監視委員会において、脱会支援活動への取り締まり等について教会員の立場で質問。関連団体の集会やシンポジウムには度々参席し講演もする。2010年11月11日付『世界日報』では「拉致監禁は犯罪」と訴えた。
小林正(教育評論家・元参議院議員):教団の関連団体が主催する大会では講演などをしており、世界戦略総合研究所の評議員も務める。憲法改正や教育問題に取り組む関係上、教団との接点が多い。1999年3月13日、世界平和連合・国際勝共連合共催の救国救世全国躍進大会で挨拶。2004年3月22日の世界平和連合‐救国救世全国総決起大会では乾杯の音頭。2004年7月19日には世界平和連合‐神奈川県連合会の役員研修会で講師を務め、2006年開催の天宙平和連合‐祖国郷土還元日本大会にも出席
渡瀬裕哉(参政党創設メンバー、政治活動家)教団系の『ワシントン・タイムズ』で翻訳担当のエグゼクティブ・ディレクターを担当していた。
門脇護(作家)
一色正春
批判者​
浅見定雄(東北学院大学名誉教授):教団の草創期から反対運動に関わっている統一教会反対派の第一人者。数々の著作がある。
川崎経子(元牧師):特定非営利活動法人 「小諸いずみ会 いのちの家」所長。著書『統一教会の素顔―その洗脳の実態と対策』
有田芳生(立憲民主党前参議院議員):『朝日ジャーナル』の霊感商法報道に加わる。カルト問題についてテレビや雑誌で解説し、教団の問題点を批判する著書も多数。
水島総((株)日本文化チャンネル桜代表取締役社長・映画監督など):同社が制作しているテレビ番組「チャンネル桜」において、統一教会およびこれから政治的影響力を受けていた民主党・社民党(旧社会党)・自民党内の党内勢力、加えて同教会やパチンコ業界が北朝鮮を経済的に支援している事について繰り返し批判している。
山口広(弁護士):霊感商法被害対策の組織「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(被害弁連)を事務局長として主導して来た。
紀藤正樹(弁護士):霊感商法「被害弁連」の中心的存在。テレビでも統一教会問題を取り上げた番組によく出演している。
郷路征記(弁護士):統一教会の伝道を「信教の自由」を侵害する違法なものとして訴える違法伝道訴訟(青春を返せ裁判)の先駆者。
山口貴士(弁護士):被害弁連に所属。紀藤正樹の「リンク総合法律事務所」に在籍。日本脱カルト協会理事・事務局長
中村敦夫(俳優・元参議院議員):飯干晃一と共に反対運動に注力した。
飯干晃一(作家):娘の飯星景子を説得して、離教させた。マスコミや批判書を通じ、統一教会に対する反対活動を積極的に行う。反対集会に参加しては参加者を励ましたり、渋谷の教団本部に出かけて行っては、現役の信者に一人ひとりに「君は間違っているぞ」と説得を繰り返したという。
スティーブン・ハッサン(社会心理学者): 著書 『マインド・コントロールの恐怖』
高橋紳吾(「東邦大学助教授、精神科医」):日本脱カルト研究会(現:「日本脱カルト協会」)を設立。マインドコントロール理論から教団をカルトとして解説。
西田公昭(社会心理学者):カルトによるマインドコントロールに関する研究において、統一教会の資料や元信者の体験を採用しており、オウム事件の裁判において心理鑑定人も務めた。日本脱カルト協会代表理事
卓明煥(タクミョンファン):(宗教ジャーナリスト)韓国において著作や講演で統一教会を批判。
櫻井義秀(北海道大学 大学院教授):宗教社会学などの観点からカルト・マインドコントロールに関する研究において統一教会、天地正教などを考察している。
鈴木邦男(民族派団体「一水会」の元代表):1985年に、『朝日ジャーナル』に 「勝共連合は民族主義運動の敵だ――文鮮明王朝建設に利用される日本の若者」と題した批判手記を発表。
世耕弘成(自民党参議院議員): 青山学院大学の中野昌宏教授に対する裁判の中で、教団や統一教会の学生団体の「原理研究会」を、「反社会的な団体であるとの印象を抱く者が少なくない」とした。
石井紘基(元衆議院議員):生前、統一教会とオウム真理教との関係や統一教会と政治家のつながりなどを指摘していた。
黒川敦彦(国政政党NHK党幹事長):安倍晋三を「おじいちゃんの代からCIA」と批判している黒川は、統一教会は反日カルトであり、安倍晋三の祖父の岸信介が日本に教団を持ち込んだと批判した。
瀬戸弘幸(極右系政治運動家・ジャーナリスト):自身のブログや維新政党・新風の演説などで、統一教会はカルト宗教であり、国家権力に関わっているから、税金を課すべきであるなどと批判している。
山野車輪(漫画家):『嫌韓流3』で霊感商法や自民党と教団の関係について批判的に触れている。
ウィリアム・ウッド(宣教師、神学者):キリスト教福音派の立場から統一教会を批判する著書を発表し、講演活動を行っている。
尾形守(牧師、神学者):統一教会を異端カルトとする著書異端見分けハンドブックを発表している。  
 

 

●創価学会
●概要​
1930年(昭和5年)、尋常小学校の校長であった牧口常三郎と、戸田城聖ら当時の教育者などが集い、日蓮の仏法精神に基づく教育者の育成と、雑誌の発行を目的とする「創価教育学会」(初代会長:牧口常三郎、理事長:戸田城聖)を創立した。同年11月18日、『創価教育学体系』第一号が発刊される。
1937年(昭和12年)に、創価教育学会は日蓮正宗の法華講(信徒組織)の1つとして位置付けられた。この組織が創価学会の前身となる。
第二次世界大戦中の1943年(昭和18年)6月に牧口、戸田を含む幹部が治安維持法並びに伊勢神宮に対する不敬罪で逮捕され、牧口は1944年(昭和19年)11月18日に獄死。1945年(昭和20年)7月3日、出獄した戸田は、組織名を「創価学会」に改称し組織を再建、1952年(昭和27年)、宗教法人の認証を得る。
1951年(昭和26年)5月3日に第2代会長に就任した戸田城聖の下で、75万世帯を目標にした「折伏大行進」という名の大規模な布教活動が行われ、日本国内での創価学会の勢力は急拡大した。しかし強引な勧誘手法は批判を呼び、社会問題化した。1958年(昭和33年)4月2日に戸田第2代会長が死去した後、1960年(昭和35年)5月3日に池田大作が第3代会長に就任した(現・名誉会長)。その後、次第に日蓮正宗宗門と軋轢が生じ、1991年(平成3年)11月、「教義の逸脱」などを理由に破門される(後述)。
教義的には日蓮を末法時代の本仏と定め、法華経の肝心・南無妙法蓮華経の御本尊を認定して掲げ、「南無妙法蓮華経」の唱題を実践し、「法華経」思想の布教を宣言(広宣流布)し、平和な世界の実現を目標とするとしている。
1962年(昭和37年)には「公明政治連盟」を創設し、2年後の1964年(昭和39年)には日本の政党の要件を満たしている唯一の宗教政党として「公明党」を結成し、日本政治にも関わっている。
●教勢​
日本における創価学会公称の会員世帯数は約827万世帯。
推定の会員数は、資料によってばらつきがある。
約250万人(1980年・村上重良)
約500万人前後(1988年・沼田健哉)
約1,200万人(1995年・米本和広)
約542万人(1995年・文化庁統計より推定)
約576万人(2000年・文化庁統計より推定)
約2,000万人(2006年・島田裕巳)
約250万世帯(2007年・島田裕巳)
約280万人(2017年・島田裕巳が大阪商業大学調査より推定)
約380万人、日本国民の約3%(2019年・島園進 )。
海外への布教活動​
1970年代(昭和45年)以後より創価学会は、日本国内での布教活動(会員数)が頭打ち傾向になってきたために、1975年(昭和50年)1月26日にアメリカ合衆国グアム島に51か国の代表が集って創価学会インタナショナル(SGI)を結成して海外への布教活動を積極的に行うようになった。
1975年(昭和50年)のSGI設立時には海外全体で150万人のメンバーだったが、2022年(令和4年)現在は、宗教の布教活動が厳しく規制されている中国、北朝鮮や中東諸国のイスラム教圏を除いた、日本を含む世界192カ国・地域に広がり、海外全体で約280万人のSGIメンバーを擁している。
●教義関連​
教義・理念​
日蓮大聖人の仏法を広め、仏法が説く生命尊厳の思想を根本に、人類の幸福と社会の繁栄、世界平和の実現を目指す「広宣流布」という運動を実践する。
万人の生命に等しく内在する、智慧と慈悲と勇気に満ちた仏の生命を最大に発揮する「人間革命」を信仰の指標とする。
経典​
『法華経』
『新編日蓮大聖人御書全集』(創価学会版、1952年 - 2021年)
『日蓮大聖人御書全集 新版』(創価学会版、2021年 - )
法華経を最高の経典とした天台智の五時八教説と、日蓮が説いた寿量文底下種仏法・三大秘法を基礎としている。
勤行​
朝晩、御本尊に向かい、法華経の方便品(ほうべんぼん)と寿量品(じゅりょうほん)を読み、「南無妙法蓮華経」(なんみょうほうれんげきょう)と題目を唱えること。これを、「勤行(ごんぎょう)」という。
唱題​
「南無妙法蓮華経(なんみょうほうれんげきょう)」(「なむみょうほうれんげきょう」ではない)という題目を唱える行為。「勤行」のあと、随時「題目」を唱える。これを、「唱題(しょうだい)」という。
時間が取れない場合などには「勤行」を行わずに、「題目」のみを唱えてもよいとされる。「南無妙法蓮華経」とは「法華経に帰依する」の意であり、「題目」は経典の表題を唱えることに由来する。
本尊・本仏​
信仰の対象である本尊は、日蓮が顕した法華経の肝心である「南無妙法蓮華経」の文字曼荼羅である。
本尊に関する事項は、会長が司る(創価学会会憲第9条第4項 及び 創価学会会則第12条第1項)。
破門に伴って宗門より御形木本尊の下付が停止されたため、1993年(平成5年)以降は日蓮正宗第26世法主・日寛が1720年(享保5年)に書写した本尊(淨圓寺蔵)を複写印刷し、「御形木御本尊」として授与している。
諸事情で自宅に仏壇を安置できない場合は、「お守り御本尊」と呼ばれる小型の御本尊を授与する。日寛書写の本尊を複写印刷したものである。
「本門戒壇の大御本尊」については2002年(平成14年)の会則改正により表記が変更された。さらに2014年(平成26年)の会則改正により、「弘安2年(1279年)の本門戒壇の大御本尊は受持の対象とはしない」と聖教新聞上で公式発表された。なお「弘安2年の本門戒壇の大御本尊」は日蓮正宗総本山大石寺に安置されていて、日寛書写の本尊はこの本尊を書写している。
「謗法払い」については、創価学会は新入会希望者に対して、
1.入会希望者自身が、かつての信仰対象の処分・返却を行うこと。
2.本人が承諾しても、他人が手伝ったり預かって持ち帰ったりしないこと。
3.謗法払いは入会する会員自身が、自ら自分自身で行う。
4.同居家族や所有関係者の事前了解を得ること。
を指導として徹底している。
   本仏​
日蓮を末法の本仏と仰ぐ。これは日蓮正宗系の教義であり、釈迦本仏論を採用する日蓮宗系と異なる点である。
●活動​
年間主要行事​
2017年時点の年間主要行事は以下の通りである。
1月1日、2日 新年勤行会
成人の日 「成人の日」記念勤行会
2月16日 「日蓮大聖人御聖誕の日」記念勤行会
3月    春季彼岸勤行法要
4月2日 第2代会長・戸田城聖追善勤行会
4月28日 「立宗の日」記念勤行会
5月3日 「創価学会の日」記念勤行会
5月19日 「創価学会常住御本尊記念日」記念勤行会
7月15日 諸精霊追善勤行法要(8月15日に行われる地域もある)
8月15日 世界平和祈念戦没者追善勤行法要
9月12日 「竜の口の法難の日」の意義をとどめた勤行会
敬老の日 「敬老の日」の記念勤行会
9月    秋季彼岸勤行法要
10月13日「日蓮大聖人御入滅の日」の意義をとどめた勤行会
11月15日「七五三」の記念勤行会
11月18日 学会創立記念日記念・初代会長・牧口常三郎追善勤行会
組織の地域活動​
座談会は、三代の会長が最も大切にしてきた伝統行事であり、活動である、とされている。寺田喜朗は、1950年代〜1960年代(昭和30年代〜昭和40年代)の高度経済成長期、農村から都市へと多くの労働者が移住し、生活と将来への不安を抱えた人々が、座談会に参加する中で、悩みを分かち合い、「コミュニティー」を築いたと指摘する。そして、学会が、この座談会などの活動を通して会員を教育し、社会のさまざまな分野に人材を輩出する「総体革命」を目指していた、としている。また、央忠邦によると、座談会は班や地区の単位で行われ、1968年時点で、座談会の拠点は日本に二十万か所以上あった、とされる。
アメリカ・モアハウス大学のローレンス・カーター教授は、創価学会・SGIの特徴として、「座談会」を挙げており、そうした集まりが、寺院や教会ではなく、会員宅で開催されているのは、「SGLが在家運動であることが関係している」と指摘する。加えて、寺院などの場で行えば、聖職者の権威に特別な力が宿る一方で、庶民の自宅で集えば、「自然と皆が普段着で来られるような大衆的、民主的な場になる」ため、その点が「SGIの基底部に埋め込まれた平等主義の表れ」であるとしている。
『聖教新聞』の購読者の開拓​
財務​
創価学会では年1回、広布部員を希望した会員にのみ、申込み用紙が会員宅に届けられる。1970年代中頃以前は財務部員と呼ばれ、現在は広布部員。以前は年間3,000円程度であったが、現在は1口1万円からとなっている。生活保護者など一部を除き財務の対象者となっている。
教学の研鑽​
創価学会が編さんし出版している『新編 日蓮大聖人御書全集』(しんぺん にちれんだいしょうにんごしょぜんしゅう)、『日蓮大聖人御書全集 新版』(にちれんだいしょうにんごしょぜんしゅう しんぱん)を基に行われる。その資料として月刊機関誌『大白蓮華』(だいびゃくれんげ)が用いられ、会員には「教学試験」の受験が奨励されている。
葬儀​
地域の儀典長を読経の中心者とする「友人葬(ゆうじんそう)」の形式で執り行われている。原則として友人葬への参列では香典は必要ないとされているが、参列者が香典を持参する事、遺族が参列者が持参した香典を受け取る事は各位の自由である。また「読経料」「戒名料」などが必要な他宗派と違い、友人葬の中心者の儀典長は、謝礼を一切受け取らないものと定められている。
宗教学者の山折哲雄は、「日本の旧来の仏教集団が単なる葬式仏教になっている」と批判されている中にあって、創価学会の友人葬の取り組みは、「在家仏教として正当な姿」であるとしている。
   友人葬の料金​
友人葬を取り扱っている葬儀社や在住している地域によって若干の差は存在するが、東京の場合では友人葬の基本料金は概ね35万円位から50万円位である。 友人葬を取り扱う葬儀社によっては、一式で基本料金に含まれているケースとオプション料金として別料金になる場合がある。
詳細は葬儀社への確認が必要である。
納骨は、地区部長を通じて申し込むと、全国にある創価学会墓地公園が利用出来る。
儀典長を中心に、生前の名前で葬儀を行うため、戒名料・読経料はかからない。
布教活動​
無宗教あるいは他の宗教を信仰する者を改宗させる事を「折伏」(しゃくぶく、しゃくふく)という。
1951年(昭和26年)に戸田が「青年訓」を発表し、青年部を中心に折伏大行進と呼ばれる大々的な布教が行われた。布教活動は多くの会員を増やすことになった反面、その強引な手法から社会問題になった。
現在、創価学会では、仏法の人間主義に基づき、自他共の幸福を目指して、自身の信仰体験や仏法の哲理を友人や知人に語っていくことを「折伏・弘教」と定義している。
また、信仰者としての自身の振る舞い、生き方を通して、地域や職場で友情と信頼を深め、学会の理念や活動への理解を広げていくことも「折伏・弘教」にあたるとされている。
入会・退会の手続き​
●社会貢献活動​
地域貢献活動​
創価学会では、個々の会員および団体レベルの双方で、近隣友好や地域貢献を推奨している。具体的には、地域の祭りなどの行事への協力がある。創価学会総本部および聖教新聞社本社がある新宿区信濃町では、町内会の盆踊り大会や防災イベントに会場を提供するなどしている。
また、音楽隊が地域行事に際し演奏を行うケースもある。地域貢献の体験談集が過去に発刊されている。
「THE STRAIT TIMES」によると、シンガポール創価学会は、長年、シンガポールの国家行事「チンゲイ(粧芸)パレード」に出演している。2022年2月のパレードは、通算38回目の参加となった。このパレードはシンガポールにおいて、旧正月を祝う最も重要な行事の一つと言われている。シンガポール創価学会は、こうした国家行事への出演のほか、医療施設への物資支援や障がい者のサポートなど多様なボランティア活動を進めているとされている。
イタリア創価学会は、1980年代から環境問題の解決や、核兵器廃絶を目指す展示活動、教育・文化運動を通して、地域や社会の繁栄と平和のために尽力してきたとされる。2015年6月には、イタリア憲法第8条に基づく特別合意によりイタリア政府に承認され、イタリアの公式宗教であるとする「インテーサ」の承認を受けた。これにより、学校と教育機関を設立する権利などが保障される。
災害時の救援・復興活動​
大規模災害の発生時には、地域の会館で被災者を受け入れ、救援活動にあたっている。宗教専門紙の中外日報は、「阪神・淡路大震災では、創価学会の迅速な救援活動に対し兵庫県などから感謝状が贈られ、フランス・オーストラリア・香港・シンガポールなど海外の新聞でも活動が報じられた」ことを報道した。東日本大震災に際しては、42の会館で約5千人を一時避難所として受け入れたほか、義捐金を拠出した。避難所はおおむね、地元会員組織の責任者と、他地域から派遣された専従職員を中心に運営され、医師や看護師が健康相談を実施した。発災翌日には山形県・新潟県などから支援物資が到着している。一部の会館は行政の指定避難所となっている。また、創価学会による東北被災地への救援活動は、アメリカのCNNのブログにも取り上げられた。そして、東日本大震災からの復興にあたっては、「心の福光(復興)プロジェクト」を展開。その中で音楽隊(創価グロリア吹奏楽団、しなの合唱団、創価ルネサンスバンガード等)は「希望の絆」コンサートを開催し、仮設住宅の集会場などで合唱や吹奏楽、マーチングなどの演奏会を開催している。なお、のちに「希望の絆」コンサートは、熊本地震や西日本豪雨などの被災地でも開催されるようになった。
2015年(平成27年)3月に宮城県仙台市で開幕された国連防災世界会議と、2016年(平成28年)5月にトルコ・イスタンブールで開催された世界人道サミット(en)では、一連の復興支援活動を報告している。
宗教学者の寺田喜朗は、東日本大震災における、福島県浜通りの創価学会がどのようなサポートを提供してきたのかを検証した。「創価学会の支援活動のもっとも大きな特質は経済的・物質的な支援以上に、被災者へ積極的に生きる意味を提供し続けている点にあると考えている。」とした。また、「不条理な現実を受け止め、苦難・困難を試練と捉え返し、「人生に勝利する」ことを鼓舞するコミュニティとして創価学会は機能している。」とした。
難民支援活動​
大規模災害や紛争の発生時に、各国大使館や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)への寄付を行っている。 また、創価学会平和委員会主催で、難民映画上映会や講演会などの啓発活動も定期的に実施している。 国連UNHCR協会特別顧問の滝澤三郎氏は、こうした長期的な学会の支援を対し、学会員の「世界平和にかける熱意と、国連への関心や支援意欲の高さ」を、印象的だったとしている。
国際連合NGO(非政府組織)としての活動​
創価学会は国連広報局登録NGO(非政府組織)である。SGI(創価学会インタナショナル)は1983年(昭和58年)に、国連経済社会理事会との諮問資格を持つNGOとして登録された。
1992(平成4年)には、創価学会青年部は国連支援活動の一環として、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)に協力し、カンボジア・ラジオ支援キャンペーン「ボイス・エイド」を展開した。内戦後初の総選挙を翌春に控えていたカンボジアでは、文字を読めない国民が多いため、「政見放送を聴くために中古のラジオを贈って欲しい」との、明石康UNTAC事務総長特別代表(当時、元国連事務次長)の訴えに応える形となった。学会は全国から集めた約28万台の中古ラジオを寄贈した。贈られたラジオが投票率の向上につながり、総選挙の投票率は約90%に及んだ。この取り組みに対して、明石は「カンボジアの民主主義の達成に、大きく寄与した」、「国連の歴史の中でも特筆すべきもの」と述べている。
SGIニューヨーク国連連絡所は、2009年(平成21年)に、国連の「軍縮・平和・安全保障NGO委員会」において議長を務めた。SGIジュネーブ国連連絡所は、特に人権教育のテーマで活動を展開。2005年(平成17年)からスタートした国連の「人権教育のための世界プログラム」は、コスタリカ政府とSGIが中核となって実現している。
核兵器廃絶を目指す取り組みは、戸田第2代会長の原水爆禁止宣言以来、学会における平和運動の主軸とされている。 これまで、広島や長崎での意識調査や、被爆者や専門家の講演会などが定期的に行われている。 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員でNGOピースボート共同代表の川崎哲氏は、SGIが、ICANにとって創設時からの「中心的なパートナー」であり、「核兵器廃絶に向けて大きな貢献」をしていると述べている。
創価学会の青年部は、半世紀前から、戦争体験者への聞き取り調査を行い、証言集などを定期的に出版している。 沖縄国際大学の石原昌家名誉教授は、こうした取り組みについて、ひたすら「戦争の悲惨さ」を追求しつつ、着実に「平和運動」を展開している、としている。
特に、被爆地である広島・長崎では、「被爆体験を聞く会」を開催し、「学生平和意識調査」も定期的に実施している。広島平和記念資料館の滝川卓男館長は「確実に核兵器のない世界の実現に向けた大きな推進力」と述べている。
図書贈呈運動​
創価学会の図書贈呈運動は、へき地や離島をはじめ教育環境に恵まれていない地域や、震災や台風などの被害を受けた地域の子どもたちに書籍を贈呈するものである。1974年(昭和49年)にスタートした。2011年(平成23年)発生の東日本大震災以降は特に、被災地の学校への寄贈が重点的に行われている。
法華経の原典資料保全・研究活動​
法華経の原典研究に寄与する「法華経写本シリーズ」の出版活動を、公益財団法人・東洋哲学研究所と協力して推進している。各国に保存されてきた貴重な法華経写本を鮮明なカラー写真で撮影した「写真版」と、写本の“読み”をローマ字化した「ローマ字版」を公刊し、世界の研究者に広く提供して『法華経』を中心とした初期大乗仏教の研究に貢献するためのもの。2016年(平成28年)頭時点で16点が刊行され、「インド国立公文書館所蔵ギルギット法華経写本:写真版」「ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所所蔵梵文法華経写本:写真版」などが含まれる。
教育関連の活動​
創価学会の教育本部(教育関係に従事する創価学会員)では、1984年から、教育技術の向上を目的として、それぞれの教育現場での挑戦を記録する「教育実践記録運動」を実施。また、その共有の場として「人間教育実践報告大会」が開催されている。
展示活動​
創価学会では、諸団体と連携しての展示会が定期的に開催されている。「希望と行動の種子―SDGs(持続可能な開発目標)の実現のために」展 、「核兵器なき世界への連帯――勇気と希望の選択」展、「わたしと宇宙展 ―奇跡の地球に生きる―」 、「勇気の証言―ホロコースト展 アンネ・フランクと杉原千畝の選択」などが挙げられる。日本国内だけでなく、海外各地で開催されるケースもある。2022年には、身近な食をテーマに命のつながりを考える「ごはんといのちのストーリー展」を企画・作成した。3月に鳥取で開催され、国内を巡回している。
SDGsのための活動​
創価学会およびSGIは、SDGsの普及や目標達成に向けて取り組みを行っている。SDGs市民社会ネットワークの参加団体として登録されている。例えば、展示活動においては、2021年のCOP26に合わせ、会議の開催地であるイギリス・グラスゴー市内で、環境展示「希望と行動の種子」展(地球憲章インタナショナルと共同)を開催した。また、ITTO(国際熱帯木材機関)と連携して、アフリカ・トーゴの森林再生にも携わっている。
●最高幹部​
主要役員​(2021年5月3日時点)
名誉会長:池田大作(創価学会インタナショナル(SGI)会長兼任)
会長:原田稔(SGI会長代行兼任)
理事長(宗教法人代表役員):長谷川重夫
主任副会長:池田博正(SGI副会長兼任)、石嶋謙二、大場好孝(SGI理事長兼任)、金沢敏雄、谷川佳樹(壮年部長・創価学園理事長兼任)、萩本直樹(総東京長・聖教新聞社代表理事兼任)、原田光治、山本武(総務会議長兼任)
歴代の会長、主任副会長、副会長、理事長、副理事長の職に女性の学会員は就任した事が無いが、最高指導会議の議員に就任した柏原ヤスの例がある。
各部部長​(2021年11月18日時点)
壮年部長:谷川佳樹(主任副会長・創価学園理事長兼任)
女性部(旧・婦人部)長:永石貴美子
池田華陽会委員長:林玲子
青年部長:志賀昭靖
男子部長:西方光雄
名誉会長と歴代会長​
歴代会長の中でも、初代・牧口常三郎、第2代・戸田城聖、第3代・池田大作のいわゆる「三代会長」は、「広宣流布実現への死身弘法の体現者であり、この会の永遠の指導者である」と2002年(平成14年)の会則改正(同年4月6日、文部科学大臣が認証)の際に定められた。ただし、三代の会長個人を本仏である日蓮と同等またはそれ以上に崇め奉ることは認められていない。
池田は、戸田城聖の二十三回忌にあたる1980年4月2日付聖教新聞の紙上で、昭和52年の一連の指導の中には「たしかに創価学会中心主義的な独善性」があり、広宣流布のためとはいえ、「宗門に対し、主客転倒の風潮を生んだ」などと反省を示した。その上で、会合等で常日頃より自身を「凡夫」と述べていた通り、組織の指導者たる歴代の会長と本仏は別であり、よって神格化してはならず、池田個人に対する絶対視もあってはならないと語っている。
また、会長の任期は創立以来終身制とする慣例だったが、池田の会長辞任に合わせて制定された創価学会会則で「1期5年で再任を妨げず、会長が任期途中で辞任、または死亡によって欠けた場合、後任者は前任者の残存任期を引き継がない」と規定された。
なお、会長任期は2015年(平成27年)の会則改正で「1期4年」に変更された。
歴代会長・名誉会長の一覧​
   名誉会長(1979年 - )
1 池田大作(1928年 – ) 1979年4月24日 (現職) 会長辞任に伴い、昇格。
   会長(1930年 - )
1 牧口常三郎(1871年 – 1944年) 1930年11月18日 1944年11月18日 創立時の団体名称は「創価教育学会」。在任中に死去。
- 空席 1944年11月18日 1951年5月3日 1946年3月に戸田城聖によって現在の「創価学会」に改称。
2 戸田城聖(1900年 – 1958年) 1951年5月3日 1958年4月2日 在任中に死去。
- 空席 1958年4月2日 1960年5月3日 理事長の小泉隆が会長職務を代行 1958年6月30日に「総務」に池田大作が任命され、これ以降は実質的に池田が全権を掌握。
3 池田大作(1928年 – ) 1960年5月3日 1979年4月24日 在任中に辞任、名誉会長に昇格。
4 北条浩(1923年 – 1981年) 1979年4月24日 1981年7月18日 池田会長の辞任に伴い、昇格。在任中に死去。
5 秋谷栄之助(1930年 – ) 1981年7月18日 2006年11月9日 北条会長の死去に伴い、昇格。任期途中で辞任。
6 原田稔(1941年 – ) 2006年11月9日 (現職) 秋谷会長の辞任に伴い、昇格。
歴代会長の中で名誉会長となっているのは池田のみであり、任期は定められていない。
●組織​
組織体制​
創価学会では年齢や居住地、職業分野などで会員管理を行っている。
各世帯ごとに作成された「会員カード」によって会員や家族の移動などを把握する。
年齢別組織(2021年11月18日現在)
多宝会(たほうかい) - 65歳以上の男女が所属。東京では「宝寿会」、関西では「錦宝会」と呼ばれる。
壮年部(そうねんぶ) - 基本は40歳以上の男性が所属。王城会というボランティアで会館警備を行う人材グループがある。
男子部(だんしぶ) - 未来部、学生部以外の18歳以上から40歳未満の男性が所属。人材育成グループとして創価班、金城会、牙城会、文化班、サテライトグループ、設営グループ、鉄人会(関西のみ)、栄光会、創翔会、音楽隊などがある。
女性部(じょせいぶ) - 未来部、学生部以外の18歳以上の女性が所属。2021年5月3日付けで婦人部が名称変更し、同年11月18日の創立記念日に女子部を統合した。人材グループとして香城会、白蓮グループ、白樺会・白樺グループ(看護師のグループ)などがある。
学生部(がくせいぶ) - 男子の大学(院)生・専門学校生で構成。人材グループ21世紀伸一会もこの中のひとつ。
女子学生部(じょしがくせいぶ) - 女子の大学(院)生・短大生・専門学生で構成。ただし学生結婚した場合は女性部員となる(女子高等部も同様)。
未来部(みらいぶ)- 高校生以下を対象とした組織。少年少女部(小学生)、中等部(男子・女子)、高等部(男子・女子)がある。
地域別​
上から、中央(学会本部) - 方面 - (小)総県 - (分)県 - 圏(地域によっては無し) - 本部 - 支部- 地区 - ブロック となる。
「方面」は以下の14に区分されているが、一般的な地方の区分けと一部異なる。このうち、東京、第2総東京、関東、東海道は同会における「首都圏」とされる(法律上の首都圏に静岡県が加わる)。
北海道 / 東北(青森県・岩手県・秋田県・山形県・宮城県・福島県) / 東京(東京都23区、島しょ部・山梨県) / 第2総東京(東京都多摩地域) / 関東(千葉県・埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県) / 東海道(神奈川県・静岡県) / 信越(新潟県・長野県) / 中部(愛知県・岐阜県・三重県) / 北陸(富山県・石川県) / 関西(福井県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県) / 中国(広島県・岡山県・山口県・島根県・鳥取県) / 四国(香川県・高知県・愛媛県・徳島県) / 九州(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県) / 沖縄(沖縄県)
分野別組織​
芸術部・文芸部・ドクター部・白樺グループ・教育部・学校教育部、幼児・家庭教育部、社会教育・教育相談部、国際本部 通訳・翻訳部、国際ボランティア部、国際交流部、在日外国人部、社会本部、社会部専門部、地域本部、農漁光部、勝利島部・桂冠会・華冠会・星辰会・団地部など。
●沿革​
前史​
1928年(昭和3年) 東京市立白金尋常小学校(現・港区立白金小学校)校長だった牧口常三郎が「日蓮正宗」に入信。ほぼ同時期に戸田甚一(後の戸田城聖)も入信。
1930年代​
1930年(昭和5年) 11月18日 - 牧口の『創価教育学体系』第1巻が発行される。戸田は「戸田城外」を名乗る。創価学会ではこの日を創立記念日としている。また、「創価教育学支援会」も結成された。
1937年(昭和12年) 12月 - 「創価教育学会」発会式。
1939年(昭和14年) 12月 - 「創価教育学会」第1回総会。
1940年代​
1940年(昭和15年) 5月 - 金融業「日本商手」を設立、創価教育学会事務所を現在の東京都千代田区神田錦町に置かれた同社内に移転。10月 - 東京・九段下の軍人会館(現・「九段会館」)において「創価教育学会」第2回総会。
1941年(昭和16年) 7月 - 機関紙「価値創造」創刊。11月 - 創価教育学会第3回総会。
1942年(昭和17年) 11月 - 東京・一ツ橋の日本教育会館において「創価教育学会」第5回総会。支部の数が東京に16、地方に12となる。
1943年(昭和18年) 5月 - 創価教育学会第6回総会。直後に神社神道を批判したことで機関誌『新教』が廃刊命令を受ける。7月 - 「治安維持法」違反並びに「不敬罪」の容疑で牧口、戸田の他、21名の幹部が逮捕される。
1945年(昭和20年) 7月 - 戸田、東京都中野区にあった豊多摩刑務所(現・月形刑務所)から出獄。9月 - 東京都千代田区西神田にビルを取得。創価教育学会本部を再建。
1946年(昭和21年) 3月 - 「創価教育学会」を「創価学会」に改称し、布教活動を進める。11月17日 - 牧口の三回忌法要および「創価学会」第1回総会を開催。戸田が理事長に就任。
1947年(昭和22年) 8月14日 – 戸田が出席した座談会に池田大作が参加。8月24日 – 池田が創価学会に入会。
1949年(昭和24年) 7月 - 機関誌『大白蓮華』創刊。
1950年代​
1951年(昭和26年) 4月20日 - 機関紙『聖教新聞』創刊。5月3日 - 戸田が「創価学会」会長に就任。小泉隆が理事長に就任。戸田は就任演説において、自らが生きている間に75万世帯を折伏することを目標に掲げる。7月11日 - 男子部結成。7月19日 - 女子部(現・女性部)結成。11月 4日 - 第6回総会にて戸田は「学会精神と目的」について「弘安2年10月12日図顕の一閻浮提総与御本尊の日本流布、東洋広布、日蓮正宗宗門の顕揚」の3ヶ条遂行を大誓願とする旨発表。18日 - 『折伏教典』を発刊。12月18日 - 戸田が宗務院の命により登山し、「宗教法人創価学会」設立に際して、宗門から要望のあった3ヶ条の遵守を約束。
1952年(昭和27年) 4月 - 「狸祭り事件」。4月28日 - 『新編日蓮大聖人御書全集』(通称・御書全集、御書)を発刊。8月27日 - 東京都知事より宗教法人の認証を取得。11月 - 『御書十大部講義』を発刊。12月 - 教学部の任用試験を開始。12月20日 - 東京都新宿区信濃町25番地に新本部を建設する計画を聖教新聞紙上で発表するも後に建設用地を売却。年末 - 男子部の人材育成グループ「水滸会」を発足。
1953年(昭和28年) 9月20日 - 東京都新宿区信濃町32番地にあった洋館を改築して新本部とする計画を聖教新聞紙上で発表する。10月 - 東京都新宿区信濃町に本部が完成。11月 - 本部を信濃町に移転。
1954年(昭和29年) 3月 - 参謀室設置。10月 - 大石寺に青年部1万人が登山し、出陣式。11月 - 文化部設置。12月 - 渉外部設置。部長には池田が任命。
1955年(昭和30年) 3月 - 北海道小樽市において、日蓮宗と創価学会との法論が行われる。4月 - 政界進出を目指し、第3回統一地方選挙に文化部員を出馬。当時はまだ政党組織がなかったため、無所属で創価学会が推薦するという形を取った。
1956年(昭和31年) 1月 - 戸田が宗門64世法主水谷日昇の隠退表明を拝して「先代牧口先生当時から学会は猊座の事には一切関知せぬ大精神で通して来たし、今後もこの精神で一貫する。これを破る者はたとえ大幹部といえども即座に除名する」との談話を発表。同日の寸鉄では「(創価学会は日蓮正宗の)法主を宗祖大聖人としておつかえ申上げる、どなたが法主様でも一貫不変、これ信者の大精神。」と評した。7月 - 第4回参議院議員通常選挙に6名の候補者を擁立。大阪支部長の白木義一郎ら3名が当選。12月 - 法務省刑事局は「その信条に基づく行動に暴力的な動向が顕著」「多数の青年行動隊を軍隊の組織区分に準じて編成し、この折伏の実践に当たらせている」として創価学会を新興右翼団体と認定した(後に認定解除)。
1957年(昭和32年) 4月 - 参議院大阪府選挙区の補欠選挙で一部の会員が選挙違反を起こす。会員の供述から小泉理事長、池田渉外部長ら合わせて47人が逮捕される。裁判で実行犯とされた末端会員らが有罪判決を受ける中、首謀者とされた池田・小泉は無罪判決を受ける。6月30日 - 学生部結成。9月 - 横浜市・三ツ沢グラウンドで戸田が「原水爆禁止宣言」を発表。12月 - 本部幹部会で75万世帯の折伏達成を発表。また、戸田会長は欠席したものの、「永遠の三指針」を発表。
1958年(昭和33年) 3月 - 日蓮正宗の総本山大石寺の大講堂が完成。学会では「大講堂落慶記念総登山」と呼んだ。延べ20万人余の会員が参加。3月16日 - 「広宣流布の模擬試験」が大石寺大講堂で行われ、青年部員6,000人が参加、戸田が広宣流布の一切の後事を青年部全体に託した。4月 - 1日に戸田が体調を崩し駿河台日本大学病院に緊急入院。2日に死去。5月 - 戸田の四十九日法要を機に開かれた臨時幹部会において戸田の七回忌まで後継者となる新会長を立てないことを決定、戸田幾、細井日達立会いの下、池田、石田、和泉、柏原らが誓約書に署名。6月30日 – 本部幹部会で「総務」ポストの新設が発表され、池田が就任。
1959年(昭和34年) 6月 - 池田が青年部参謀室長を辞任し、総務職に専念。
1960年代​
1960年(昭和35年) 5月3日 - 戸田の没後2年(三回忌)を経て、池田大作が創価学会第3代会長に就任。理事長に原島が就任。7月 - 創価学会海外本部を設置。
1961年(昭和36年) 11月27日 - 「公明政治連盟」(後の公明党)を発足。大石寺大客殿の寄進として32億円を集める。
1962年(昭和37年) 1月25日 - 大阪事件で起訴されていた小泉と池田が無罪判決を受ける。
1963年(昭和38年) 10月 - 「民主音楽協会」を設立。
1964年(昭和39年) 5月3日 - 池田が政党の創設と衆議院への進出を表明。6月30日 - 第7回学生部総会にて、池田が「創価大学設立構想」を発表。11月17日 - 「公明政治連盟」を改組して政党、「公明党」を結成。結党宣言で、日蓮の『立正安国論』を引用し、「『王仏冥合』・『仏法民主主義』を基本理念とする」旨を謳う。
1965年(昭和40年) 7月 - 『聖教新聞』が日刊化。10月9日〜12日 - 正本堂建立のため4日間の供養が行われ355億円が集まる。
1968年(昭和43年) 年間行事として本部総会(5月)、男子部総会(11月)、女子部総会(11月)、学生部総会(7月)、夏期講習会(8月)などが開催。4月1日 -「創価学園」設立。7月 - 参議院選挙で不正投票を行ったとして学会員34人が検挙される。
1969年(昭和44年) 12月2日 - 言論出版妨害事件が表面化。
1970年代​
1970年(昭和45年) 1月 - 総務会の決定で副会長職を設置。秋谷栄之助、北条浩、森田一哉の3人が就任。同時に公明党中央執行委員長、書記長が学会職務を離れることも決定。5月3日 - 池田が「言論出版妨害事件」について公式に謝罪。創価学会と公明党を組織的に分離することなど組織改革を表明し、即日実行。日本共産党委員長宮本顕治の自宅の電話に盗聴器を仕掛ける。
1971年(昭和46年) 4月2日 - 「創価大学」開学。
1972年(昭和47年) 5月5日 - 池田、アーノルド・J・トインビーと最初の対談を行う。10月 - 正本堂完成。
1973年(昭和48年) 5月3日 - 静岡県富士宮市・大石寺境内地に富士美術館が開館。
1974年(昭和49年) 10月 - 妙信講(現在の冨士大石寺顕正会)男子部約70名が創価学会本部(創価文化会館)を襲撃し、創価学会の会館警備をしていた牙城会メンバーと乱闘騒ぎを起こす。12月 - 日本共産党との間で、向こう10年間の「相互不干渉」、「共存」をうたった「創共協定」を締結。
1975年(昭和50年) 1月 - グアム島において、創価学会の海外組織である「創価学会インタナショナル」(SGI)が設立される。池田が会長に就任。
1976年(昭和51年) 月刊誌『月刊ペン』(1976年3月号・4月号)に中傷記事を掲載した同紙編集長隈部大蔵を名誉毀損罪容疑で刑事告訴。
1977年(昭和52年) 1月 - 池田が第9回教学部大会における「仏教史観を語る」と題する講演で「出家も在家も同格」と発言。反学会派僧侶からの批判が強まる。5月 - 民社党中央執行委員長春日一幸から公明党中央執行委員長竹入義勝宛に国会で池田の豪華専用施設等について調査し、質問する旨を知らせる手紙が届く。7月 - 池田が大石寺への参詣を一時的に禁止される。
1978年(昭和53年) 6月 - 『聖教新聞』紙上で「教学上の基本問題について」と題し、教義逸脱を是正することを表明。11月 - 創立48周年記念登山代表幹部会に幹部、全国の教師2,000人らが大石寺に出向く。創価学会が宗門の許可を得ないまま、本部常住御本尊など8体を模刻して会員に礼拝させていたとされる件について、学会側は「不用意に御本尊8体を模刻してしまい、行き過ぎの点があった」として謝罪。本部常住御本尊以外の御本尊7体を大石寺に納めることで事態の解決を図った。
1979年(昭和54年) 4月24日 - 池田が会長職を辞任し、名誉会長に就任。理事長だった北条が第4代会長に就任。理事長には森田が就いた。創価学会会則の制定により会長の任期を終身から5年に変更。4月26日 - 池田が法華講総講頭を辞任。他の法華講と同様に日蓮正宗の監督を受けることを約束する。日達は池田を法華講名誉総講頭に任ずる。5月3日 - 日達が創価学会第40回本部総会において問題の収束を宣言。ここに第一次宗創問題が終結する。7月22日 - 日達が遷化(死去)(77歳没)。8月6日 - 阿部日顕が宗門第67世法主に登座し、御座替りの儀式、および御盃の儀を行う。
1980年代​
1980年(昭和55年) 7月4日 - 反学会急進派の僧侶、当時は学会に融和的とされた日顕を批判し独立、正信会を結成。10月 - 静岡県富士宮市に「富士桜自然墓地公園」が完成。
1981年(昭和56年) 7月18日 - 北条が死去。副会長だった秋谷が第5代会長に就任。以後、2006年(平成18年)に辞任するまで秋谷は6選を果たす。
1983年(昭和58年) 1月 - 『創価新報』創刊。11月 - 東京富士美術館(東京都八王子市)が開館。
1984年(昭和59年) 1月 - 池田が「法華講総講頭」に再任。
1985年(昭和60年) 4月2日 - 「創価女子短期大学」開学。
1989年(昭和64年/平成元年) 7月16日 - 横浜市旭区の産業廃棄物処分場に現金約1億7000万円の入った金庫が捨てられていたが、これが創価学会幹部によるものと判明。批判を受ける。
1990年代​
1990年(平成2年) 7月16日 - 日顕ら日蓮正宗上層部が創価学会破門に向けた「C作戦(創価学会分離作戦)」を計画。11月16日 - 本部幹部会で池田が日蓮正宗宗門並びに日顕を批判する発言を行う。学会側は「名誉会長(池田)は(後述の)「お尋ね」文書にあるような発言を全くしていない」として反論。12月16日 - 日蓮正宗宗門が前月の池田の発言内容について「第三五回本部幹部会における池田名誉会長のスピーチについてのお尋ね」とする文書で質問。「お尋ね」文書の内容は、池田が僧侶を批判した、四箇格言を否定し、親鸞を好意的に評価した、外道(仏教以外)の歌である『歓喜の歌』を評価した、などとして批判する内容。学会側は反論。12月27日 - C作戦発動。日蓮正宗宗門は法華講総講頭に任期制を導入、これにより1990年(平成2年)末の任期終了と共に池田は法華講総講頭の資格を自動的に失い、第二次宗門問題が勃発する。
1991年(平成3年) 5月 - 国税局から一部事業における税金の申告漏れを指摘され、修正申告及び不足分の納税を行う。11月7日 - 日蓮正宗宗門から創価学会に対し『解散勧告』がなされる。学会はこれに対し1624万余の署名とともに「日顕の退座」を要求する文書を郵送して反論。11月28日 - 日蓮正宗宗門が創価学会および創価学会インタナショナル(SGI)を『破門』する。これにより日蓮正宗と創価学会・SGIの関係が消滅。
1992年(平成4年) 7月 - 全国の地区幹部の中から「友人葬」などの冠婚葬祭を執り行う導師を任命。8月 - 池田が日蓮正宗から信徒除名処分にされる。11月 - 青年部機関紙『創価新報』が捏造した宴席写真を掲載し日顕を批判、日蓮正宗との訴訟に発展。地裁判決では学会側が写真の捏造を行ったことを認定し、学会側が敗訴、原告が求めた賠償請求も認められた。その後学会が控訴した高裁において名誉毀損は認定したが損害賠償は認められなかった。日蓮正宗側は損害賠償を求め上告するも棄却された。
1993年(平成5年) 8月6日 - 池田、『新・人間革命』執筆に着手。9月7日 - 栃木県小山市・淨圓寺所蔵の享保5年(1720年)の日寛書写の曼荼羅御本尊を御形木御本尊として、日本全国および世界の会員に授与することを総務会・参議会・教学部最高会議・県長会議および責任役員会の決議で決定し、同日開催の第70回本部幹部会で「御本尊授与に関する制定」を発表。10月12日 - 日寛書写の曼荼羅御本尊の授与を開始。
10月 - 東京都八王子市に東京牧口記念会館が開館。11月 - 第一次池田大作サリン襲撃未遂事件。オウム真理教がサリンによる池田の暗殺を計画。東京都八王子市の東京牧口記念会館周辺でサリンを噴霧。12月18日 - 第二次池田大作サリン襲撃未遂事件。オウム真理教が東京都八王子市の東京牧口記念会館周辺でサリンを噴霧し、牙城会員数人が被害を受け、実行犯の新実智光が自らが撒いたサリンにより重体。この後、信濃町の本部、全国各地の会館、創価大学、創価学園など学会関連施設での警備が厳重になる。
1995年(平成7年) 9月 - 東京都・東村山市議会議員朝木明代の死に関連して市議が自殺前に創価学会を批判していたことから、創価学会が謀殺したとのデマが広まる。
1996年(平成8年) 2月 - 「戸田記念国際平和研究所」を創設。6月 - 元女性会員が池田から過去数回にわたりレイプされたと虚偽の主張をし、裁判を起こす。9月 - 宗教法人法の改正が施行され、所轄省庁が東京都から文部省(現:文部科学省)に変わる。
1997年(平成9年) 1月 - 公式サイト「SOKAnet」を開設。11月30日 - 同日をもって日蓮正宗の信徒資格を喪失。
2000年代​
2002年(平成14年) 3月 - 創価学会会則を改正。初代牧口、第2代戸田、第3代池田の「三代会長」を、「永遠の指導者」とする規定を入れる。
2003年(平成15年) 9月 - 教学部員の任用試験が全国一斉に開始される。11月 - 創価学会現役会員ら数名が池田大作の秘書を騙り、みずほ銀行から巨額の融資詐欺事件を起こす。
2004年(平成16年) 9月10日- 勤行様式を改定。
2006年(平成18年) 11月9日 - 秋谷が会長を辞任し、最高指導会議議長に就任。新会長には副理事長の原田稔が就任。同月、原田の会長就任披露を兼ねた、新時代第1回本部幹部会開催。本部幹部会の回数がリセットされ「学会新時代」の開始が宣言される。
2007年(平成19年) 9月22日 - 「広布第二幕」第1回青年部幹部会。以後、各部幹部会会合の回数がすべてリセットされる。
2008年(平成20年) 5月 - 富士美術館(静岡県富士宮市)閉館。収蔵品は東京富士美術館(東京都八王子市)に移動。
2010年代​
2010年(平成22年) 6月3日 - 「新時代第41回本部幹部会」で名誉会長の池田大作が第一線から退くことが発表された。11月18日 - 創立80周年。老朽化した本部ビルと創価文化会館を建て替え「創価学会総本部」を建設すると発表。
2011年(平成23年) 11月4日 - 会長選出委員会が開催され、任期満了となった原田会長が再任された(2期目)。
2012年(平成24年) 12月19日 - 創価文化センター開館。
2013年(平成25年) 11月5日 - 創価学会総本部会館(仮称)の大礼拝室で名誉会長の池田を導師として落慶入仏式が執り行われた。8日に行われた落成記念勤行会の席上、総本部会館は広宣流布の大願を誓う殿堂であるとして「広宣流布大誓堂(こうせんるふだいせいどう)」と命名すると発表、信濃町に所在する学会関連施設全体の呼称が「創価学会総本部(そうかがっかいそうほんぶ)」となる。
2014年(平成26年) 11月7日 - 総務会で創価学会会則第2条・教義条項の改正を決議。「一閻浮提総与」や「一閻浮提広宣流布」など、日蓮正宗由来の用語を一掃し、「人間革命」や「世界広宣流布」などといった、創価学会色の強い表現に変更。弘安2年の御本尊を受持の対象としないことを表明し、教義条項における「御本尊」の位置付けも変更。「御本尊」は「創価学会が受持の対象として認定した御本尊」とした。同日開催の全国総県長会議で教義条項の改正を発表。
2015年(平成27年) 11月16日 - 勤行要典の祈念内容の一部改正が発表され、名称を「創価学会 勤行要典」に改めて翌2016年(平成28年)に発売すると発表される。
11月17日 - 総務会で会則改正を決議。会長任期を5年から4年(再任は妨げない)に変更した。また、会長選出委員会が開催され、会則改正によって任期満了となった原田会長が再任された(3期目)。幹部人事では会則改正によって新設された主任副会長若干名の任命、正木正明理事長の退任と副理事長の長谷川重夫が理事長に昇格する人事を発表した。
2016年(平成28年) 11月4日 - オンライン動画共有サイト「YouTube」で「SOKAnetチャンネル 創価学会公式」を開設し、動画掲載を開始。11月7日 - 創価学会会則の一部改正を決議。第2代会長・戸田城聖の指導を引用し、前文に「創価学会仏」の文言を追加。「三代会長」の条文(会則第3条)に、「『三代会長』の敬称は、『先生』とする。」という文言を追加。
2017年(平成29年) 7月18日 - オンライン動画共有サイト「YouTube」で機関紙「聖教新聞」の公式チャンネル「seikyoshimbun」を開設し、動画掲載を開始。9月1日 - 総務会およびSGI常任理事会・SGI理事会で「創価学会会憲」の制定を決議。会則の上位に位置づけられ、最高法規と規定される。11月10日 - 創価学会会憲署名式が行われ、会憲制定に合わせて改正された会則とともに11月18日(創立記念日)に施行された。
2018年(平成30年) 3月11日 - 同年3月16日に「広宣流布記念の日」から60周年を迎えることを記念した「世界青年部総会」が創価大学池田記念講堂を主会場に開催され、名誉会長・SGI会長である池田大作からのメッセージを発表した(長男の池田博正主任副会長が代読する形式)。8月6日 - 『新・人間革命』全執筆が完了。9月8日 - 『新・人間革命』最終回が聖教新聞紙上に掲載され、完結。
2019年(平成31年/令和元年) 5月1日 - 皇位継承にあたっての会長謹話を発表。11月5日 - 総本部構成施設として建設された「創価学会総合案内センター」がオープン。11月16日 - 聖教新聞社の新社屋として建設された「創価学会世界聖教会館」が落成。11月17日 - 会長選出委員会が開催され、任期満了となった原田会長が再任された(4期目)。
2020年代​
2020年(令和2年) 1月11日 - 世界広布新時代第45回本部幹部会で御書全集の新版を2021年(令和3年)11月18日に発刊する計画を発表。4月3日 - 総本部構成施設として建設された「創価宝光会館」の竣工引き渡し式を実施。8月26日 - 世界広布新時代第46回本部幹部会を広宣流布大誓堂で開催。9月15日 - 総本部構成施設として建設された「創価宝光会館」がオープン。9月27日 - 同年10月2日に「世界平和の日」から60周年を迎えることを記念した「世界青年部総会」が総本部の創価文化センターを主会場にオンライン形式で開催され、名誉会長・SGI会長である池田大作からのメッセージを発表した(長男の池田博正主任副会長が代読する形式)。11月1日 - 世界広布新時代第47回本部幹部会を広宣流布大誓堂で開催、2021年の年間テーマを「希望・勝利の年」に設定した旨を発表した。
2021年(令和3年) 1月7日 - 本部幹部会の回数をリセットした第1回本部幹部会を広宣流布大誓堂で開催。1月31日 - 回数をリセットした第1回青年部幹部会を東京戸田記念講堂(東京・巣鴨)を主会場にオンライン形式・無観客で開催され、名誉会長・SGI会長である池田大作からのメッセージを発表した(長男の池田博正主任副会長が代読する形式)。3月22日 - 藤田観光から2月に売却された太閤園の所有権移転が完了。4月18日 - 第3回本部幹部会を東京戸田記念講堂(東京・巣鴨)で開催し、婦人部・女子部を統合した「女性部」発足の発表、新版御書全集の概要説明、学会創立100周年記念事業である「関西池田記念大講堂」の建設計画を発表した。4月21日 - 聖教新聞紙上で「関西池田記念大講堂」の建設計画を公表。5月3日 - 婦人部の名称を「女性部」に変更する改正会則を施行。11月17日 - 第80回総務会で女子部を女性部に統合する会則改正と「創価学会社会憲章」制定を承認。11月18日 - 改正会則と「創価学会社会憲章」を施行。『日蓮大聖人御書全集 新版』を発刊。
2022年(令和4年) 1月27日 - 中央社会協議会で第26回参議院議員通常選挙比例区で公明党を支持することを決定。同時に1994年に決定した各種選挙における支援の基本原則について「人物本位」であることを再確認した。
●日蓮系教団との関係​
日蓮正宗との関係​
   日蓮正宗傘下の時代​
かつて創価学会は日蓮正宗の在家の信徒団体であったが、戸田が布教の利便と宗門である日蓮正宗を外護するため、宗門に宗教法人格の取得の許可を願い出た。そこで日蓮正宗は「新規に入会した会員は信徒として末寺に所属させること」、「(日蓮正宗の)教義を守ること」、「仏・法・僧の三宝を守ること」を条件に承諾した。
   昭和52年路線​
1977年(昭和52年)1月の第9回教学部大会において、池田は寺院の意義について、修行者が集い、仏法を研鑽し、布教へ向かうための道場・拠点と位置付け、その本義からして、「創価学会の本部・会館、また研修所もまた「近代における寺院」というべき」と語った。
これに対し、宗門=日蓮正宗側は池田の主張は教義からの逸脱であると批判し、批判を受けて創価学会は謝罪した。さらに山崎正友が独自に宗門若手僧侶を扇動し、批判活動を行わせた。山崎は創価学会への恐喝罪により懲役3年の実刑判決を受けている。
創価学会の立場を支持する佐藤優によれば、学会と日蓮正宗の対立の「背景には、僧侶が『上』、一般信徒は『下』とする宗門の宗教観と、そのようなヒエラルキーを認めない民衆宗教である創価学会の基本的価値観の対立があった。」とする。
学会幹部が日蓮正宗総本山大石寺に登山を行う事で一応は収まったものの、その後も日蓮正宗(宗門)僧侶や檀徒による批判は続いた。
   正信会との対立、日顕との同盟関係​
1979年(昭和54年)7月22日に管長細井日達が遷化(死去)。日達は生前、後継者を指名していなかった。67世法主として阿部日顕が登座すると学会を含めた日蓮正宗内は混乱に陥る。
学会に批判的な僧侶が「正信会」を結成、山崎正友も学会を退会して正信会に参加した。これに対し日顕は学会に友好的に接し、学会も日達から日顕に血脈相承が行われたと指導、池田も宗門を擁護する立場を取った。その結果、宗務院は正信会僧侶の大量処分に踏み切り、ついには批判派僧侶のほとんどが日蓮正宗から追放された。
後述する宗門との対立後は、池田や学会は日顕が受けたのはあくまでも内証(内定)であって、正式な儀式は行われておらず、後継指名は成り立たないと解釈を変更している。
詳細は「正信会#結成とその後」、「日顕 (日蓮正宗)#正信会破門」、および「血脈相承_(日蓮正宗)#位置付け」を参照
   日蓮正宗との対立・決別​
正信会問題では共闘した日顕との関係は悪化に向かう。1990年(平成2年)7月17日、日蓮正宗との連絡会議の席上、学会側が宗門や法主を批判して席を立つ。同年11月16日、第35回本部幹部会における池田のスピーチに対し、日蓮正宗側は法主や僧侶を軽視するものだとして学会に説明を求める「第三五回本部幹部会における池田名誉会長のスピーチについてのお尋ね」文書を送る。
「お尋ね」文章の内容は、池田が僧侶を批判して四箇格言を否定し、親鸞を好意的に評価した外道(仏教以外)の歌である『歓喜の歌』を評価した、などとして批判する内容で、これに対し、学会側は「お尋ね」文書に対する「お伺い」文書を送付し、日蓮正宗側が自分たちを誹謗・中傷しているとして回答を拒否した。
これを受け、日蓮正宗は規約を改正し、1984年1月に再任されていた池田の法華講総講頭の役職を解くことにした。1991年、創価学会は『聖教新聞』紙上等において日蓮正宗へ反論を行う。同年11月、日蓮正宗は、「創価学会」と「創価学会インタナショナル」(SGI)を破門した。
一方で、田原総一郎は、この対立の背景として、日蓮正宗の法主である日顕が先祖の墓を他宗の禅寺に建立していたことが判明したり、異性やカネにまつわる僧侶の醜聞が伝えられたりするなど、多くの学会員が宗門に対して不満を持つようになったのではないか、と言及している。
創価学会と宗門の決別について、佐藤優氏は、世界広宣流布の観点から、創価学会がこれ以上、「宗門のくびきの下に置かれることは非現実的」とし、聖ウルスラ学院の梶田叡一理事長は、日蓮正宗による破門の内実は、「権威的で形骸化した宗門によってそれまで散々蔑まれてきた学会員の魂が、ようやく解放された」としている。
   シアトル事件​
1992年(平成4年)6月、『創価新報』・『聖教新聞』に「日顕が1963年(昭和38年)に法務で米国ワシントン州・シアトルに出張した際に、現地の売春婦と料金トラブルを起こして警察に通報され、身柄を拘束された」、「現地在住の学会員、ヒロエ・クロウが保釈手続きを行った」として、日顕を痛烈に批判する記事が掲載された。日蓮正宗側はそのような事実はまったく存在しないと否定し、日米両国で訴訟が行われた。また、この報道は創価学会や日顕と敵対する正信会・顕正会の機関紙でも報じられた。
   偽造写真事件​
破門後の1992年(平成4年)11月、学会は機関紙『創価新報』に、日顕が芸者と戯れる偽造宴席写真を掲載。日蓮正宗との訴訟に発展。地裁の判決では、学会側の写真偽造を認定し、賠償請求を命じた。しかし、学会側が控訴した高裁では、学会側による写真偽造を改めて認定したものの、原告に日顕の氏名が無い事を理由に原告が求めた損害賠償は認められなかった。日蓮正宗側は上告するも、最高裁で棄却された。
   コーヒーカップ裁判​
1992年(平成4年)、神奈川県川崎市中原区にある日蓮正宗持経寺に息子の遺骨を預けていた創価学会員夫婦が、同伴した数人の学会幹部とともに息子の遺骨を受け取りに訪れた際、本堂で夫が遺骨を受け取り退出。しかし、5分後に再び本堂を訪れ遺骨が骨壷ではなくコーヒーカップに入っていたと主張した。その後の裁判では、数々の証言から創価学会員は敗訴し主張は退けられた。
   日蓮正宗住職交通事故死​
1994年(平成6年)7月、北海道内で日蓮正宗住職の運転する自動車と学会員の運転する自動車が正面衝突する交通事故が起き、住職が死亡、学会員が重傷を負った。現場検証で住職の全面過失と認定されたが、週刊新潮など一部週刊誌が交通事故は創価学会によって仕組まれたものとする内容を掲載。後に事故の当事者である学会員が週刊新潮を提訴、最高裁は週刊新潮の敗訴を言い渡した。
   池田大作に対する狂言訴訟​
1996年(平成8年)、自らの金銭借款が原因で北海道創価学会の幹部を解任された女性が池田大作にレイプされたとの告発手記を『週刊新潮』に掲載。女性とその夫が池田を相手取り損害賠償請求の訴えを起こした。判決は「訴権の濫用による却下」として訴えそのものが退けられた。『週刊新潮』誌上においても、山田直樹は「およそ5年に及んだ裁判は、なんと実質審理に入らないまま終結」と訴訟を振り返り、「裁判を傍聴し続けた」という乙骨正生も「女性の訴えは時効であるとし、女性の夫の損害部分についても実質的な事実審理に入ることなく訴えを退けた」と記述している。
   正本堂解体​
1998年(平成10年)、かつて創価学会が寄進した大石寺正本堂が解体される。日蓮正宗と創価学会の分裂を象徴する出来事であった。
   池田大作本仏論論争​
歴代会長の中でも、初代・牧口、第2代・戸田、第3代・池田の「三代会長」は、「広宣流布実現への死身弘法の体現者であり、この会の永遠の指導者である」と2002年(平成14年)の会則変更の際に定められた。さらに、2016年(平成28年)11月7日に施行された改正会則の第1章第3条2項として、「『三代会長』の敬称は、『先生』とする。」と加筆明記された。ただし、三代の会長個人を本仏である日蓮と同等またはそれ以上に崇め奉ることは認められていない。池田は過去に聖教新聞紙上で「私などを絶対視してはいけない。」と明言している。一方、日蓮正宗側は「池田本仏論」として批判している。
冨士大石寺顕正会との関係​
創価学会と、顕正会の前身である妙信講は共に日蓮正宗内の一法華講という立場であったが、1970年代に学会が主導した大石寺正本堂の建立をめぐり、正本堂が日蓮の遺言(御遺命)にある「本門の戒壇」にあたるか否かの解釈で対立したのを皮切りに関係が悪化した。
妙信講は「非国立」の戒壇を認めない、と言うよりは「国家権力立」ないし「皇室立」でなければならないとする解釈を顕正会に改名した現在も崩していないのに対し、学会と当時の宗門管長細井日達は「戦後民主主義体制の根幹たる主権在民の下では日蓮の指す国の概念は権力ではなく民衆である」という解釈のもと、正本堂落慶をもって御遺命は達成されたと宣言する。
その後日達の仲介で両団体が協議し「正本堂は御遺命の戒壇にはあたらない」とする学会理事長・和泉覚(当時)の談話を聖教新聞に掲載することで一応和解。この談話は落慶法要直前の1972年(昭和47年)10月3日付紙面に掲載され、法要には妙信講関係者も出席した。しかし、和解した後も妙信講は国家権力ないし皇室による「狭義の」国立戒壇建立という思想を放棄せず、学会中央本部に対するデモなどの実力行使に踏み切る。これを受け日達は1974年(昭和49年)8月12日付で妙信講を講中解散処分に付した。
日蓮宗との関係​
創価学会を含む日蓮正宗系教団では日蓮宗を「身延派」と呼び、距離を置いている。
   小樽問答​
1955年(昭和30年)、日蓮正宗妙照寺所属の創価学会小樽班の会員と日蓮宗妙龍寺との間で論争が起こった。日蓮正宗及び創価学会と日蓮宗は幹部を派遣し、小樽市公会堂で公開法論に臨んだ。法論では日蓮宗側がスピーチするたびに激しいヤジが飛び大荒れとなった。
●他の宗教との関係
戸田城聖が存命だった1950年代から、日蓮正宗以外のすべての他宗教・他宗派を一切認めず「邪宗・邪教」として批判してきた。その攻撃の矛先は折伏大行進期には立正佼成会や天理教など日蓮・法華系あるいは神道系の新宗教団体、正本堂建立以降は妙信講(現・冨士大石寺顕正会)や正信会といった日蓮正宗系新宗教団体、そして破門後は日蓮正宗宗門へと向けられた。立正佼成会等が新日本宗教団体連合会や日本宗教連盟などを通じて他教派との交流を取っているのと異なり、2017年(平成29年)現在でも学会本体・公明党共に日本国内の他の新宗教教団とは協調するまでには至っていない。
一方、日蓮正宗からの干渉により進捗に支障があったキリスト教やイスラム教など仏教以外の既存世界宗教との対話は、同宗からの破門と前後して徐々に軟化。その傾向が顕著になったのは「SGI憲章」が制定された1995年(平成7年)11月23日以降で、憲章の7番目の項目として「仏法の寛容の精神を根本に、他の宗教を尊重して、人類の基本的問題について対話し、その解決のために協力していく。」と記述され、方針転換を正式に表明した。現在、創価学会インタナショナルは(日本を含む)世界192の国と地域に組織を持ち、特定の宗教以外が厳しく制限されているイスラム圏、社会主義国など一部地域を除いて全世界に活動の幅を広げるまでに至っている。
戦前の国家、神道との関係​
島田裕巳によると初代会長の牧口常三郎は皇太神宮の神札である神宮大麻を拝むことを拒否し焼却させたが、国家神道の全てを否定していたわけではないという。第5回総会での全員座談会において牧口は靖国神社に参拝する意義を説き、靖国神社への参拝はご利益を得るためのものではなく感謝の心を表すものである点を強調した。さらに牧口は、天照大神や代々の天皇に対して「感謝し奉る」と言い、昭和天皇を現人神と認め、「吾々国民は国法に従って天皇に帰一奉るのが純忠だと信ずる」と述べている。
また、現代ビジネス(Web版週刊現代)によると、当初、創価学会の前身である戦前の創価教育学会は治安当局と左翼運動取締りにおいて協力的な関係にあった。創価教育学会は「赤化青年の完全転向は如何にして可能なるか」とうたったパンフレットを発行し、治安当局との蜜月ぶりを会員獲得に向けた宣伝材料にもしていた。牧口らは警視庁特高課やその元締めである内務省警保局、思想検事ら治安当局と緊密に連絡を取り合っていた。しかし、共産党を壊滅させた後、治安当局が次に取り締まり対象としたのは宗教団体であった。一転して創価教育学会は特高警察の弾圧を受けることになった。ただしそれは創価教育学会が反戦・平和を訴えたからではない。神宮大麻を拝むことを拒否し焼却させるなどしたからである。
当時、大方の宗教団体がそうだったように、日蓮正宗も戦争には協力的な立場だった。それは日蓮正宗の在家信徒団体である創価教育学会も同じであった。例えば、創価教育学会の機関紙「価値創造」の第6号には、日蓮正宗宗務院が1942年1月21日付で出した布告を転載していた。その布告の内容は、日蓮正宗が2月8日午後、大石寺において全国から僧侶や檀信徒を集め「大東亜戦争戦勝祈願大法要」を開催し、日蓮正宗にとって信仰の根本である「戒壇の大御本尊」の御開扉に続き、「戦争完遂宣誓式」を行うというものであった。さらに1941年10月の「価値創造」第3号ではアドルフ・ヒトラーの『我が闘争』について大きく紙面を割いて紹介し、ヒトラーを「現代の転輪聖王」と持ち上げ、理想的な君主とみなしていた。
1942年になると、日本軍が南方で緒戦の勝利を重ねていたためか創価教育学会の幹部達から勇ましい発言が相次ぐようになる。『価値創造』の後継誌として出された小冊子「大善生活実証録」(国立国会図書館に覆刻版が所蔵されている)によると、総会の開会にあたり幹部の一人が「陛下の御稜威の下、我が陸海軍将兵が緒戦以来、赫々たる戦果を挙げている事は、吾等の衷心より感激に堪えない次第である……我国としても、もう寸毫の妥協も許されず、勝つか負けるかの一時のみ、否、断じて勝つの一手あるのみである」と挨拶。閉会では別の幹部が「いまや、皇国日本か北はアリューシャン群島方面より遥かに太平洋の真中を貫き、南はソロモン群島付近にまで及び、更に南洋諸島を経て、西は印度洋からビルマ支那大陸に、将又蒙彊満州に至るの広大なる戦域に亘り、赫々たる戦果を挙げ、真に聖戦の目的を完遂せんとして老若男女を問わず、第一線に立つ者も、銃後に在る者も、いまは恐くが戦場精神によって一丸となり、ひたすらに目的達成に邁進しつつあることは、すでに皆様熟知されるところである」と締めくくった。また、総会はいつも皇居に向かっての遥拝で始まり、会の終わりには軍歌が歌われた。
一方、創価学会は「学会が軍部政府におもねっていたとすれば、牧口会長も戸田会長も、逮捕されることなど全くなかった」とする見解を取っている。その見解によると、1943年6月、牧口は戸田とともに日蓮正宗総本山・大石寺に召喚され、当局による弾圧を懸念した宗門側から「神札を受けるように」と勧められるも、日興の残した遺戒にある「時の貫首為りと雖も仏法に相違して己義を構えば之を用う可からざる事」の精神を貫き通し、「承服いたしかねます。神札は、絶対に受けません」と言って拒否した。それから1か月後、神札の受け入れを拒否した行為が不敬罪と治安維持法違反にあたるとして、牧口や戸田、他の幹部ら21人は逮捕・投獄された。幹部たちは退転していったが、牧口・戸田の2名だけが最後まで信仰を貫き通した。牧口は1944年11月18日、学会の創立記念日にあたるこの日に東京拘置所で「殉教(=獄死)」し、1人生き残った戸田は終戦1か月前の1945年7月3日に豊多摩刑務所から出獄し、弾圧によって壊滅状態だった学会の再建に挑んだというものである。
●政治との関係​
創価大学の中野毅によれば、創価学会の政治参加の動機は、中小企業労働者を中心とする民衆の代弁、政治の監視、信教の自由の確保の三点に集約されるという。会長秋谷の日本外国特派員協会での1995年(平成7年)の会見でもこの3点が強調された。
創価学会インタナショナルの Rie Tsumura によれば、創価学会の政治への関与は第二次世界大戦時に弾圧された経験をもとにした「主に防御的」("largely defensive")なものであった。
政治学者の中北浩爾は、「公明党は、宗教団体の創価学会を支持母体として、一九六四年に結成された。自民党が財界をスポンサーとしつつ農村部に主な支持基盤を築いたのに対し、公明党は高度経済成長に伴って都市部に流入した比較的貧しい人々を組織化した。日本政治の中枢に位置した自民党とは違い、公明党は周辺から生まれ、成長していったのである。」とした。
國學院大學の塚田穂高によれば、第二代会長戸田城聖は「国立戒壇」の建立を訴え、「王法と仏法が冥合すべきである」(「王仏冥合」)として政教一致的な理念を論じた。中野毅によれば、戸田の展開した王仏冥合論・国立戒壇論は政教分離原則に反するとの疑念を受けやすかったが、戸田に日蓮正宗国教化を目指す意図はなかったという。国立戒壇の建立は創価学会の政治進出における宗教的目的であり、世俗的な目的はあくまで「社会の繁栄と個人の幸福」を一致させることにあったと中野は指摘した。中野によれば、「国立戒壇」建立は戸田時代初期の創価学会の政治参加の目標の一つだったが、早い段階でそれは放棄された。島田裕巳は、創価学会の政治への関心について戸田が1956年(昭和31年)に記した中での「本門の戒壇」への言及、池田の1959年(昭和34年)の「国立戒壇の建立と学会員の前途」という講演における「政治上に、本宗の正義を用いる」という発言に注目し、これらの表現は「実質的には日蓮正宗の国教化を意味」していたのではないかと論じた。
戸田の下、創価学会は1956年(昭和31年)の第4回参議院議員通常選挙での白木義一郎・北条雋八擁立などを通して政治に進出した。第三代会長池田大作の時代に「国立戒壇」という言葉は「本門の戒壇」「民衆の戒壇」などに言い換えられ、「仏法民主主義」「世界民族主義」など普遍性のある用語が目立つようになり、「国立戒壇」は1964年(昭和39年)の公明党結党宣言にも盛り込まれなかった。創価学会批判の妨害や政教分離を巡る言論出版問題を受けて1970年(昭和45年)に創価学会は「国立戒壇論」放棄・「政教分離」を宣言し、公明党綱領から「王仏冥合」などの宗教用語を削除して公明党の宗教色を薄めた。
創価学会・公明党は、公明党結成後の1960年代靖国神社国家護持法案反対・日米安保条約改定反対など革新政党の立場にあった。中野毅によれば、このことが理由で創価学会は保守陣営から危険視された。島田裕巳は創価学会は「下層階級を組織化」する点で左翼陣営と競合していたと指摘し、創価学会が政界進出を始めた時点で創価学会は左翼陣営に批判されることはあったが保守陣営に批判されることはなかったと主張する。初期の創価学会は大都市に流入した下層民を中心にしており、学会員の圧倒的多数が社会階層の下層から中間層の下に位置することは2010年(平成22年)に至るまで変わりがない。
寺田喜朗によれば「創価学会の中央―地方組織(中央本部・方面本部・都道府県本部―総合本部・圏ゾーン・本部・支部・地区・ブロック)は、選挙の区割りに対応する形で編成されて」おり、「選挙は、会員間の結合を強化し、組織を引き締め、会員を切磋し、達成感・充実感を与え、創価学会への帰属意識を高める重要なモメント」であるという。島田裕巳は、創価学会では選挙活動が一種のイベントとしての性格を持っており、選挙活動を共にしたことで親密になり、結婚にいたる創価学会員のカップルも少なくないとしている。
政教分離の問題​
宗教団体の政治活動の自由を制限したり禁止したりすることは、憲法に定められた表現の自由や結社の自由を侵害するものであり、宗教を理由にした差別になる。よって、憲法20条に反しないと解釈される。
1970年(昭和45年)4月24日、民社党中央執行委員長春日一幸が「宗教団体が、議会政治機構を利用して政権を獲得することは、憲法の政教分離原則に反するのでは」と質した質問主意書を送付。政府は「宗教団体が推薦や支持をした者が公職に就任し、国政を担当しても、その宗教団体と国政を担当することとなった者とは法律的には別個の存在であり、(憲法20条が禁じている)宗教団体が政治上の権力を行使することには当たらない」旨の答弁書を出した。
政府の見解は
「宗教団体が政治的活動をすることまで排除するという趣旨ではない。」大出峻郎・元最高裁判所判事
「宗教団体と非常に密接な関係にある政党に属する公職の候補者が、その宗教団体の推薦、支持を受けて公職に就任し、国政を担当するに至る場合でも、その宗教団体と国政を担当する者とは法律的には別個の存在であります。(中略)宗教団体が政治上の権力を行使しているということにはならない。」大森政輔・裁判官、元内閣法制局長官
「宗教団体又は宗教団体が事実上支配する団体が政治的活動をすることをも排除する趣旨ではない。」宮崎礼壹・検察官、元内閣法制局長官
「宗教団体又は宗教団体が事実上支配する団体が、政治的活動をすることをも排除している趣旨であるとは考えていない。」佐藤栄作・元総理大臣、衆議院議員
「憲法の定める政教分離の原則は、信教の自由の保障を実質的なものにするため、国及びその機関が国権行使の場面において宗教に介入し、又は関与することを排除する趣旨であります。宗教法人の政治的活動を排除する趣旨でないと考えております。」麻生太郎・元総理、衆議院議員
となっている。 その他、一部議員により「政教一致」であるとの批判はたびたびなされている。
また内閣官房参与の飯島勲は2014年(平成26年)6月、「公明党と創価学会の関係は政教一致と騒がれてきたが,内閣法制局の発言の積み重ねで政教分離ということになっている。」と政府見解を説明したうえで、仮定の話として「法制局の発言,答弁が一気に変われば,『政教一致』が出てきてもおかしくない。」と発言した。しかし、直後に政府・与党は飯島の発言を否定。自民党の石破茂幹事長は「内閣を代表した形ではない。」と語り、菅義偉官房長官は政教分離についての政府見解を維持するかと問われ、「まったくその通りだ。」と回答している。宗教社会学者の弓山達也は、著書のなかで創価学会を例にあげながら「日本においては政教分離の原則があるが、宗教教団の政治への関与を禁じているわけではない。 むしろ、宗教教団が現世での幸福を願う限り、政治への関与は不可欠となり、特定の政治家を応援したり、宗教政党を結成して積極的に政界に進出したりすることは自然なことともいえよう。」と述べている。
日本共産党との関係​
日本共産党と創価学会は支持層ないし支援対象が重なることなどから、1950年代以降、選挙活動において互いを非難しあうなど対立関係にあった。 1969年(昭和44年)12月2日には日本共産党機関紙の『しんぶん赤旗』が藤原弘達の『創価学会を斬る』の出版を創価学会・公明党が妨害したと報じ言論出版妨害事件が表面化。1970年(昭和45年)には日本共産党委員長宮本顕治の自宅の電話回線を創価学会の学生部幹部数名が盗聴し、逮捕者も出た。
その後1974年(昭和49年)12月、向こう10年間の「相互不干渉」と「共存」をうたう「創共協定」を両者で締結したが、自公連立政権の誕生後は対立が再燃し、しんぶん赤旗が「公明党と創価学会 『政教一体』で『悪政戦犯』の役割」と題した記事で、創価学会首脳が選挙戦で陣頭指揮を執り聖教新聞に会員を鼓舞する記事が掲載されるなどと批判したり、入信強要問題を取り上げるなどしている。
自由民主党との関係​
自民党とは自民党結党以降2代会長戸田城聖と自民党で総裁を務めた岸信介が友好関係にあり、岸の娘婿安倍晋太郎が岸の名代として大石寺の大講堂の完成式典に列席し祝辞を述べた。また創価学会が起こした言論出版妨害事件では公明党中央執行委員長・竹入義勝が自民党幹事長・田中角栄に事態の収拾を依頼、その後自民党田中派竹下派と公明党創価学会は親密、親交を深めていき田中の愛弟子小沢一郎が1993年に自民党を離党すると公明党幹部の市川雄一が小沢に接触、後に「ワン・ワン・ライス」となぞらえられた連携を見せ公明党が非自民党政権の細川連立政権に参加、創価学会も全面的に協力した。この動きを見た自民党は、1993年(平成5年)に同党所属の有志議員が憲法20条を考える会を結成(会長は亀井静香)、「公明党と創価学会の政教分離問題を追及する」を旗頭に創価学会・公明党・細川連立政権に攻勢をかけた。
1994年(平成6年)5月には公明党および創価学会に批判的な宗教団体や有識者からなる四月会の結成に同党所属の河野洋平が参加、自民党は長年の宿敵であった社会党と手を組み、政権を奪取すると、同年10月、同党の川崎二郎が衆議院予算委員会で日蓮正宗住職交通事故死事件を取り上げた。
1995年(平成7年)11月の衆議院宗教法人に関する特別委員会では同党所属の衆議院議員熊代昭彦が創価学会について「我々が内々にいろいろ聞いたところでは、不動産資産9兆円、流動資産1兆円というような堂々たるお力を持っておられるようなことでございますが……」と発言したほか、穂積良行が朝木明代市議転落死事件と創価学会の関係について質問した。
1996年(平成8年)には党の運動方針に「いま、わが国の政治にとって最も憂うべきは、宗教団体・創価学会が新進党という政党の皮をかぶって国民を欺き、政治の権力を握ろうと画策していること」というスローガンが存在したがこれは前年に行われた参議院選挙で自民党が新進党に敗北したことから来る衆議院選挙で勝利し政権維持を目的としたものである。同年週刊誌に掲載された「池田大作レイプ事件」の内容を党の機関紙『自由新報』へ引用、内藤国夫、俵孝太郎が「シリーズ新進党=創価学会ウオッチング」と題し「池田大作と金の問題」や「池田大作レイプ問題」を数回掲載した一方、衆議院選挙で勝利し政権維持を目的を達成した後は自由民主党竹下派を中心に公明党との連立を模索する動きも出ていた。1998年(平成10年)4月、自民党総裁で首相の橋本龍太郎が(創価学会の抗議に応じて)『自由新報』の「池田大作レイプ問題」について事実ではなかったと謝罪した。自由新報は現在廃刊されている。これら一連の動きは自民党による反創価学会キャンペーンとして大々的に行われた。
提言​
   原水爆禁止宣言​
1957年(昭和32年)9月8日、第2代会長戸田城聖が創価学会第4回東日本青年部体育大会「若人の祭典」で核兵器の使用禁止を訴える宣言、いわゆる「原水爆禁止宣言」を行った。
戸田はこの宣言を遺訓として会員たちに託し、以後、創価学会が行っている、戦争体験者の証言を集めて出版する「反戦出版」や、反核・平和運動活動の淵源となったとされている。
   日中国交正常化​
1968年(昭和43年)9月8日、池田大作は、東京・両国の日大講堂で行われた学生部幹部会の席上、「日中国交正常化提言」を発表した。
創価学会の出版機関第三文明社は日中が国交正常化にこぎつけることができたのは、日本では、通産大臣や初代経済企画庁長官などを歴任した高碕達之助、厚生、農林、文部の各大臣を歴任した松村謙三、首相を務めた田中角栄と大平正芳、創価学会会長(現名誉会長)の池田大作、中国側では、最高指導者(中国共産党主席)の毛沢東、日本留学の経験をもつ首相の周恩来、早稲田大学で学んだ政治家の廖承志、中日友好協会会長を務めた孫平化ら、日中双方の政治家や各界指導者たち、そしてさまざまな民間人や諸団体の忍耐強い努力があったからにほかならないとまとめている。
   「SGIの日」記念提言
1月26日の「SGI(創価学会インタナショナル)の日」に寄せて、池田大作名誉会長による平和提言が、1983年以来毎年聖教新聞上で発表されており、2022年の提言で40回目となっている。2022年の提言では、2023年に日本で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ「核兵器の役割低減に関する首脳級会合」を広島で催すよう提案した。また、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、感染症対策を巡る国際協力を強化する国際ルールの早期制定を呼びかけた。
●マスメディアとの関係​
機関紙である聖教新聞などは、「無冠の友」と呼ばれる会員の有志による全国的な宅配網が整備されており、一般紙と同じく日刊で全国に配達されている。聖教新聞社は自前の印刷所を持たず、全国紙の系列の印刷会社や複数の地方紙に聖教新聞の印刷を委託している。
地方紙としては印刷所の輪転機を遊ばせておく時間を減らせる上に、印刷代金を確保できる貴重な収入源として、聖教新聞社(=学会)としては自社で全国に高速輪転印刷機の設備を維持せずに全国津々浦々に日刊で新聞を届ける事ができるという風に、両者の利害が一致している。また、全国紙でも毎日新聞社や読売新聞社は聖教新聞の印刷を傘下の印刷会社で受託しており、読売新聞社は2020年(令和2年)5月1日から茨城県での聖教新聞などの配達業務を受託するまでになった。聖教新聞社(=学会)側には「無冠の友」の人手不足や学会員の高齢化が、読売新聞社には部数減に歯止めがかからない中、全国に整備した販売店の存続という課題が背景にあるといわれている。また、毎日新聞では池田の寄稿を掲載したり、系列の出版社からは池田の著作が出版されたりしている。このことについて、週刊誌「デイリー新潮」では、「ある全国紙記者」の発言として、「いまや毎日にとって学会は、ぞんざいに扱うことができない大口顧客であり、学会に関する批判的な記事など書けるはずもありません」と記している。    
創価学会には聖教新聞社(『グラフSGI』)を始め、潮出版社(『潮』、『pumpkin』)・第三文明社(『第三文明』、『灯台』)などの系列出版社がある。
また、全国・地方を問わずラジオ局への番組提供は複数ある(下記参照)。テレビ局では地方局や独立局を中心に池田原作のアニメや広報番組が放映されているほか、在京キー局などで聖教新聞のCMが放送されている。ただ、J-WAVE、関西テレビ、テレビ熊本のように、公明党のCMおよび政見放送と当学会系列の学校教育機関(創価大学、創価学園)のCMを除き、創価学会関連組織(聖教新聞を含む)のCMの出稿(放送)の一切を受け入れない放送事業者もある。
●創価学会が起こした社会問題​
言論出版妨害事件​
1960年代末から1970年代にかけて、創価学会と公明党が会長の池田大作や自らに批判的な書籍の出版、流通を阻止するため、学会員や公明党党員が著者・流通業者・取次店・書店に、脅迫や圧力をかけて出版を妨害したり、出版前の原稿に自らの主張を織り込むよう要求した問題。
公明党が結成され衆議院で議席を獲得しはじめると、創価学会批判の書物が発表されることが増えた。1969年(昭和44年)の藤原弘達の『創価学会を斬る』をはじめとする様々な批判本に対して創価学会から圧力がかけられていることが明らかとなり、池田は1970年(昭和45年)5月に一連の妨害行為に対し謝罪した。この件は日本共産党の不破哲三も1970年国会での質問で取り上げた。
これらの行為が、日本国憲法に保障された、言論の自由および出版の自由を侵害するものだとして、国会で取り上げられたが、当初、公明党はNHKの公開討論で「これらは全て嘘、デタラメである」と主張した。しかし、国会に招致された出版社や取次店などの証言により、創価学会・公明党が事件に関与していたことが明らかになるとマスメディアから激しい社会的批判にさらされると共に、創価学会・公明党の密接な関係や当時、公明党が創価学会の内部局として存在し、国会や地方議員を務めた人間が再び学会幹部として組織に戻るなど公明党が組織として独立していなかったことが、政教分離の観点から問題視された。
1970年(昭和45年)、池田大作が「言論妨害の意図はなかった」としながらも、妨害行為に対し公式に謝罪、公明党を創価学会から切り離し組織として完全に独立させるなど、創価学会・公明党の問題点を改善することを公約した。しかし後年、池田の著書「新・人間革命」では「衆院選前に、藤沢達造(藤原弘達の仮名)の本とともに、学会の批判本が次々と出されたのだ。暗黒の嵐が吹き荒れ、伸一(池田の仮名)を倒さんとする、攻撃の毒矢が放たれたのであった。」と掲載。「週刊新潮」と不破哲三は、年月が経ったことに乗じて、歴史を改竄するものだと批判した。
選挙における不正投票、不正行為、問題行動​
「大阪事件 (創価学会)」、「新宿替え玉事件」、および「練馬区投票所襲撃事件」も参照
1957年(昭和32年)4月に参議院大阪地方区の補欠選挙が施行された際、創価学会員が大阪あいりん地区に住む日雇い労働者達に候補者名の氏名の入ったタバコや現金を渡したとして創価学会員ら47名が公職選挙法違反で逮捕された。裁判では小泉隆、池田大作は無罪、45名に有罪判決が下され、有罪となった会員45名は戸田会長の名で会員除名処分を受けた。
1968年(昭和43年)に行われた第8回参議院議員通常選挙で不正行為(投票所入場券の窃盗、替え玉投票など)を行い、創価学会員34名が検挙された。
1969年(昭和44年)には投票受付時間終了後に投票所を訪れた学会員の対応を巡り暴徒と化した学会員が投票所を襲撃、投票所内にいた選挙立合人数名に暴行を加え逮捕者を出した。この襲撃事件は共産党選出の国会議員が公職選挙法改正に関する特別委員会の場で明らかにし、自治省に対処を求めている。
学会員が起こした犯罪、問題行動​
学会員が起こした犯罪や社会問題で裁判所が創価学会の組織的関与認めた事案として大阪事件 といった選挙違反、コーヒーカップ裁判宮本顕治宅盗聴事件 といった反目する団体への誹謗中傷行動、手帳強奪事件 のように学会と袂を分かった元学会幹部への違法行為が挙げられる。かつて犯罪を起こし逮捕された学会幹部を除名せず、その幹部が数年後再び刑事事件を起こし学会幹部として逮捕されたこともあり組織として学会の体質が批判されたケースも存在した。
セクト問題、諸外国での騒動​
   フランス​
1995年12月にフランスの下院(フランス国民議会)で採択された「通常の宗教か、セクト(カルト)か」を判定する国際的な指針は調査委員会の委員長の名前を取って『アラン・ジュスト報告書』と呼ばれる。 「@精神の不安定化A法外な金銭的要求B住み慣れた生活環境からの断絶C肉体的保全の損傷D子供の囲い込みE反社会的な言説F公秩序の攪乱G裁判沙汰の多さH従来の経済回路からの逸脱I公権力への浸透の試み」を「セクト構成要件の10項目」として列挙し、このうち1項目でも該当するものがあればその団体をフランス政府はセクトとみなしている。 リストアップされたのは創価学会を含む全部で174の宗教、宗教団体であった。
フランス国民議会カルトに関する議会委員会(1995年)
フランス国家警察の情報機関総合情報局が、UNADFI(カルトの被害者と家族を守る協会の全国連合)など、複数のカルト監視グループと編集フランス国民議会カルトの財務、所有物、収益、同様にそれらの経済活動、経済・金融の関わりに関する公聴委員会報告(1999年)
カルトと金銭に関するフランス議会報告、30数団体に注意を集中させ調査した。
詳細は「反セクト法」を参照
現在、創価学会はセクトとして取り扱われていない。
2011年9月、フランスの新聞『ル・モンド』の月刊誌「Le Monde DES RELIGIONS」に『創価学会、自己の内なるブッダ』と題するルポルタージュが掲載され、創価学会の歴史や活動が詳しく報じられた。ここでは、創価学会が日蓮正宗と絶縁した理由について「創価学会のプラグマティズム、およびその在家による現代世界を中心に捉える方向性は、日蓮正宗の聖職者集団による教条主義的宗教観とはもはやできなくなったからである。」と解説した。また、過去にフランス国会に提出された報告書が創価学会をセクト扱いしていた背景についても解説し、首長直属機関であるセクト逸脱行為監視取締り関係省庁委員長ジョルジュ・フネックによる「ここ5年以上に渡りSGIフランスに関して、我々はセクト逸脱行為の通報を一切受けてない。運動体(SGIフランス)は礼拝、文化、商業活動を区別し、フランスにおいてはまったく問題を提起しない。」とのコメントを紹介している。
   ベルギー​
ベルギーでは創価学会(SGI)が複数の未成年者を勧誘したことが発覚し社会問題となる、1997年、ベルギー議会調査委員会は未成年者保護のため創価学会(SGI)をセクト的な活動を行う団体にリストアップし未成年者への勧誘、入会を禁止した。
   ドイツ​
1980年代から90年代にかけて、日本に留学していた複数のドイツ人が創価学会の総会で池田大作が右手(実際は右の拳)を高くつきだし、それに呼応して参加者たちが一斉に右手を突きだした光景を目撃したことから「創価学会はナチス式敬礼を行う危険な団体」 などといった誤った風潮がドイツ国内に伝わる。その後1996年、創価学会インタナショナル(SGI)等を新宗教と精神世界グループの一団体としてリストアップした。
   イギリス​
イギリスの経済紙『エコノミスト』1999年7月3日号で「創価学会は(日蓮正宗[大石寺]が創価学会との結び付きを断ち池田氏を破門したことによって)主な目的を失った現在、世界中で行っているよい仕事の成果を強調するようになった。さらに創価学会は富裕になって以降初期の目標を失ったその他多くの組織と同様に、批判者を脅迫、主流マスコミを脅して黙らせるという容赦なさでその利害を守っている。」と批判した。
   イタリア​
2015年06月27日、イタリア共和国とイタリアSGI(イタリア創価学会仏教協会)との間に、インテーサ(宗教協約)が調印され、調印式がフィレンツェのイタリア文化会館で厳粛に執り行われた。しかし、式典に池田大作が出席せず代理人をたてたことからイタリアの大衆紙「Corriere della Sera」は「Nessuna cerimonia di vincitori(受賞者なき授賞式)」、「Governo ha dato lui la medaglia di fantasmi(幽霊に勲章を授けた)」などの批判記事を掲載した。
   韓国
韓国SGIに関連した批判が下記のようにある。
1997年(平成9年)に行われた韓国大統領選挙で候補者の金大中が日本で秘密裏に公明党幹部と面会し、日本の公明党の影響下にある韓国SGIから支持を得られるように依頼し公明党幹部の藤井富雄が了承したとされる。
韓国SGIが平和をテーマに行なった集会で竹島の領有権主張や歴史教科書問題、日本の軍国主義批判が背景になっていたことを、週刊新潮が「反日集会」と報道する。
2002年(平成14年)8月15日、韓国・SGIが池田大作の指示で韓国の政治家へ総額20億ウォンの裏金をばら撒いた不正疑惑が、SGIの内部告発という形で韓国の有力全国紙である『中央日報』『東亜日報』『朝鮮日報』の3紙に掲載され日本では週刊実話が『韓国 三大紙上で暴露 池田大作SGI会長が韓国の政治家にバラまいた20億ウォン裏金疑惑』として掲載されたこと。
●創価学会に関する疑惑​
P献金​
「創価学会には、P献金と呼ばれる献金が存在している」という疑惑。P献金のPとは「プレジデント(英:President)」の略で公明党の支持母体、創価学会の池田大作名誉会長を指しているというもの。公明党出身の国会議員福本潤一が2007年(平成19年)6月、外国人記者クラブで外国人記者を前にし、「公明党の議員は選挙で当選した際に衆議院議員は300万円、参議院議員は600万円の献金を行うよう要請されている」と記者会見した。福本の記者会見の内容を民主党の石井一が2007年(平成19年)10月16日、参議院予算委員会で「P献金」を追及した。
『憚りながら』で示された疑惑​
後藤組元組長の後藤忠政の著書『憚りながら』では、元公明党最高顧問の藤井富雄が、後藤(元組長)のもとを訪れ、「反学会運動をしている亀井さんら四人の名前を挙げ『この人たちはためにならない』という意味のことを言った」とされている。著書に登場する編集者は、そのやりとりを、「受け取りようでは後藤組長に四人への襲撃を依頼したという意味にもとれる」と表現した。また、共同通信社記者の魚住昭は『月刊・現代』の中で、藤井が後藤に、創価学会に対して批判的な亀井静香(元・衆議院議員)を黙らせて欲しいと依頼する場面が収録されたビデオテープがあることを記している。リストに名前があった亀井は警察関係者、弁護士などと創価学会対策会議を行うこととなる。後藤は著書の中で「池田大作が裏で何をしていたかといったら、山崎や藤井をパイプ役にして俺達ヤクザを散々利用し、仕事が終われば知らんぷりだ。それで俺達がちょっとでももの言おうもんなら、今度は警察権力を使って潰しにかかる。で、それがマスコミにバレそうになったら、頬かむりだ。」と記している。
大鳳会という組織​
「大鳳会(おおとりかい)」という組織の存在について以下で取り上げられた。
1.週刊文春が『皇太子妃雅子が外務省の創価学会シンパ「大鳳会」とディナーをした』という記事を掲載したこと。
2.「創価学会が外務省幹部に『外遊特別待遇』要請書を送った」とされる問題
3.「外務省が、池田大作の海外訪問に特別の便宜を図っている」とされる内容が国会で審議されたこと。
財務私的流用疑惑​
下記のような例がある。
1977年(昭和52年)に 民社党の春日一幸が国会で池田専用の豪華施設等について調査したところ、会員の財務が私的流用されていたのではという疑惑を持ち、当時の公明党委員長委員長竹入義勝宛に質問する旨の手紙を送った。春日は1970年(昭和45年)12月の衆議院予算委員会で池田の証人喚問を求めたが、自民党、公明党の反対で証人喚問は見送られた。また春日は創価学会が起こした言論出版妨害事件でも、国会で池田大作の証人喚問を求めた。
1989年、神奈川県横浜市のゴミ処理施設に廃棄された金庫から1億円もの現金が発見された。当初創価学会は、この問題を第三者の視点から批判したが、 数日後、創価学会総務の中西治雄が持ち主と名乗り出て、「(金庫のお金は)20年以上前に、自分が学会内で不正に蓄財したもので、その存在を忘れているうちに誤って捨てられた」等と述べた。しかし、すべて聖徳太子像が印刷された旧紙幣(C号券)で、半分は真新しい状態であり、「1000万円」と印字された帯封で束ねられたものや、一度も市中に出回っていない新札もあった。さらには中西が自宅を担保に借金をしていたことから矛盾点をマスコミから追及された。当時の学会内部は中西に同情的であり大多数の幹部が「この事件は中西が池田と学会のために泥をかぶった。」との見方をしていた。
●創価学会へのデマ​
茨城新聞による「香典泥棒」報道​
茨城新聞は創価学会信者宅からの取材をもとに1962年(昭和37年)4月1日号において「創価学会は信徒の家に葬式があると、親戚、知己から集まる香典はすべて創価学会支部が持ち去ることになっている」と報道した。創価学会側は記事の内容は事実無根と茨城新聞社へ抗議した。その後、確証が取れないと判断した同社は4月17日、茨城新聞に訂正記事を掲載した。
月刊ペンに掲載された名誉毀損​
雑誌『月刊ペン』が掲載した「四重五重の大罪犯す創価学会」や「極悪の大罪犯す創価学会の実相」という記事が名誉毀損罪にあたるとして、編集長の隈部大蔵が告訴され隈部が有罪となった。
朝木明代市議転落死​
1995年(平成7年)9月、東京都・東村山市議会議員朝木明代がマンションから転落死し、後に警察が自殺と断定。朝木が創価学会と公明党の批判活動をしていたことから、他殺説や学会の陰謀説が浮上した。『週刊現代』・『週刊新潮』・『東村山市民新聞』の記事に対して、創価学会は名誉毀損で提訴し、3つとも学会側が勝訴した。
映画監督伊丹十三の転落死​
1997年(平成9年)に自殺(転落死)した伊丹十三の死が自殺ではなく他殺であるとした説(創価学会が関与したと断定する内容)が2ちゃんねるに掲載された。創価学会は2ちゃんねるの運営者を相手取り、訴訟を起こした。東京地方裁判所は2009年(平成21年)2月、証拠もないのに断定的な内容を掲載し続けたとして、被告に損害賠償金80万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
週刊文春による「池田大作重病説」報道​
『週刊文春』が2011年(平成23年)10月27日号(176ページから179ページ)で池田大作の看護師からの情報をもとに『衝撃スクープ 池田大作「創価学会」名誉会長 担当していた元看護師が語る「厳戒病室」本当の病状』と池田大作名誉会長の重病説を掲載した。週刊文春の記事を受け創価学会は週刊文春や発行元の文藝春秋社に「該当する看護師は存在せず、証言は事実無根である」と抗議。週刊文春は2カ月後の12月29日号で当時の編集長が「小誌は再取材を行いましたが、証言者が看護師であるとの確証を得るに至りませんでした。病状についての記述を取り消し、ご迷惑をおかけした関係者にお詫びいたします。」と謝罪した。
ワールドビジネスサテライトによる報道​
2018年2月27日付けの聖教新聞の報道記事によると、テレビ東京系列で放送されている『ワールドビジネスサテライト』が2017年(平成29年)11月24日の放送で創価学会についての特集を組んだものの、テレビ東京側の不手際で創価学会への取材依頼などがなされないまま取材が行われた上、学会から除名された人物らの主張や言動を一方的に取り上げ、視聴者に学会に対する偏見を植え付けるものとなっていることなどを問題視した創価学会が抗議。テレビ東京は2018年(平成30年)2月22日までに報道内容の誤りを認めて謝罪した。
●創価学会に対する肯定的評価​
日本国内​
   佐藤優​
佐藤優は「池田氏の平和への思いは本物だ。加えて、池田氏は創価学会の理念を体現した存在だ。」「初代、二代、三代会長が投獄された創価学会の国家に対する距離感。SGIという国際組織。そして鎌倉時代、国家に弾圧された日蓮の縁起観。すべて具体性を伴っている。こうした一つひとつの「経験」が流れ込んで、創価学会の平和主義を形成しているのだ。」とした。また「SGIという国際組織によって、ナショナリズムや排外主義を超克しつつある創価学会が、このような局面でどのような役割を果たせるかが問われるだろう。」と述べている。
第二次宗創戦争については、「歓喜の歌」事件に関して創価学会側の立場を擁護し、「ここで宗門が問題としたのは、キリスト教だ。ベートーベンの『歓喜の歌』を歌うことが邪教礼賛になると宗門は考えた。ヨーロッパの文化はキリスト教と深く有機的に結びついている。ヨーロッパ文化から、キリスト教を抜き去って理解することは不可能だ。科学的無神論を国是としたソ連や東ドイツでも、『歓喜の歌』が、無神論の否定する神を礼賛するといった理由で禁止することはなかった。宗門はソ連共産党やドイツ社会主義統一党よりも偏狭なキリスト教観を持っていることが露呈した」と記している。さらに「各国の文化から、宗門以外の宗教的要素を除去しようという発想は、絵に描いたような排外主義だ」「ある文化と根底から結びついた宗教を完全に否定するならば、宗教間対話は成り立たない。宗門の頑なな姿勢が、創価学会の世界宗教化の深刻な障害になっていることがもはや明白になった」と述べている。
2014年7月の集団的自衛権行使容認の与党協議に関して「公明党がブレーキ役として与党にいなければ、憲法に制約されない集団的自衛権の行使を容認することが閣議決定されていたと思う。」「閣議決定に賛成したために、公明党は『平和の党の看板に傷がついた』『平和主義の看板を下ろした』などと批判された。連立政権を離脱して、きれいな平和論を主張するという選択肢もあったはずだ。もし、公明党がその選択を行っていたならば、私は、公明党の平和主義は本物ではないと批判したと思う。平和の党の看板に傷がついても、現実に戦争を阻止し、平和を維持することが重要なのである。少なくとも現時点では公明党はその機能を果たしている。」としている。
「『国立戒壇の問題』と言っても、現在、創価学会は宗門(日蓮正宗)と訣別しているわけだから、宗門の教義である『国立戒壇の問題』が、もはや存在しないことになる。すなわち、公明党と創価学会には日蓮正宗を国教化する狙いがあるという、批判者たちの論理の前提が崩れているのだ」としている。
   田原総一朗​
田原総一朗(ジャーナリスト)は「度重なる試練に直面し、創価学会は間違いなく衰退するであろうという世論の推測を見事に裏切り、その都度、ピンチをチャンスに変えるという驚くべきエネルギーをもって、逆境を乗り越えてきたのである。どうやら、創価学会の強さは我々には想像も及ばないほど堅固なものらしい。」と示唆した。池田大作の人物像について、「おそらく近寄りがたい雰囲気を持っているに違いないというこちらの予想は見事に外れ、偉ぶったところを一切感じさせない人だった。しかも、人の話を聞くのが非常にうまい。これには、びっくりした。」と述べた。また、「私が池田に感じたのは、自分をよく見せようという下心がまったくなく、誠実で相手のことを気遣うことのできる、きめ細やかな神経の持ち主だということだ。」「喜怒哀楽もあり、とても人間臭い面も持ち合わせている。」とした。
創価学会は「創立当初から、従来の日蓮正宗の枠組みを超えた、独自の在家信徒団体」であったと述べている。また第二次宗創戦争については、「第九を歌うことのどこが問題なのか。しかも、当時の聖教新聞に掲載されたスピーチを何度も読んでも、日顕への批判や侮辱はどこにも見当たらない。私からしても、宗門側がどこに激しい怒りを感じているのか、さっぱりわからない」としている。
(宗門との決別以降)創価学会の活動領域が広がったことは間違いないようだ。学会員に話を聞くと、宗門と決別して以降、地域のためのさまざまな活動に参加するようになったという。例えば、地域のお祭りでお神輿も担ぎ、町会役員や学校のPTA役員も引き受ける。さらに、交通安全週間の行事にも参加するなど、ありとあらゆる地域活動に参加しているというのだ。言論・出版問題後、池田が目指した地域との融和が、ここにきてようやく根付いたということだろう」と述べている。
学会の草創期において排他的な態度が見受けられたことについて、「信仰を広めるために他宗教を否定する、これは草創期の新宗教においてやむを得ないことだ。おそらくどこの宗教団体も同様の活動をしていただろう」と述べている。 田原はまた、学会が日蓮正宗(宗門)と決別してからは、地域活動が活発になった点を指摘する。「例えば、地域のお祭りでお神輿も担ぎ、町会役員や学校のPTA役員も引き受ける。さらに、交通安全週間の行事にも参加するなど、ありとあらゆる地域活動に参加している」「宗門と別れたことで、世界広布、地域との融合など、新たな布教の形を見出した」と述べている。
   その他​
鶴見俊輔(哲学者、評論家、政治運動家) - 創価学会の布教活動が、日本の宗教の浄化に役立っているとして、「この意味で創価学会は、日本に本当の宗教心をつくるために、その前ぶれとして働くバプテスマのヨハネであるかもしれない。」と所感を述べている。
玉野和志(社会学者) - 「創価学会は『幸せにするシステム』とでも呼ぶべき組織原理を生み出し、会員たちがあきらめることなく、地道に自らの生活を継続する手助けをしてきたといえる。」と述べている。
森秀人(評論家) - 創価学会について「中世以来、日本人が喪失していた信仰主体が現出した」と位置づけており、「創価学会は、人間による人間の回復という課題に、限定付にせよ応えることができたことの意味のほうがはるかに巨きい。」と評論した。
中江克己(歴史作家) - 多くの創価学会員への取材を通して、「創価学会の10年 ドキュメント」を著した。その中で「生命尊厳の仏教哲学が不動であり、それを社会に生かしていこうという運動が継続されていく限り、やはり創価学会に対する期待は大きいといわなければならない。」と書を結んでいる。
佐木秋夫(宗教学者)と小口偉一(東京大学名誉教授) - 創価学会の教学運動について「教学の学習の盛んなことは、創価学会の重要な特色になっている。学習が行動の欠くことのできない源泉であることが、会員のあいだに広く理解されている。」と論及した上で「組織、動員、学習がいきいきと結びついていることが、創価学会を強大にしている」と評している。
日本以外​
ブライアン・R・ウィルソン(国際宗教社会学会初代会長)、カレール・ドベラーレ(ベルギー・ルーベン大学名誉教授)- 創価学会について社会的考察をし、「創価学会は哲学的には明らかに個人主義と平等主義に立っているにもかかわらず、信仰における古参原理が仲間意識と結びついており、その結合には神秘的な要素がある。」と評している。
ダニエル・A・メトロ(メアリー・ボールドウィン大学教授) - 創価学会の平和運動を分析し、「創価学会が繰り広げている民衆レベルの平和運動は、もちろん、宗教的な使命感にもとづいたものにちがいない。しかし、必ずしも、全人類が創価学会に入会しなくとも仏法を基調にした平和のメッセージ≠送り続けていくことによって、一人一人に精神の変革≠おこさせていくことは可能である。また平和のメッセージ≠全世界の人びとが共有することは、創価学会の使命を果たすことにも通じることだと思う。」と述べている。また、「創価学会は、日本の近代史におけるユニークな現象である。仏法理念を基盤として、これほどまでに広範な社会的運動を成功裏に展開した宗教団体は、かつてなかった」とも述べている。
フィリップ・E・ハモンド(アメリカの宗教社会学者)、デヴィッド・マハチェク(宗教社会学者) - 創価学会を社会学的に研究。学会の歴史と哲学への考察を著書に記し、「創価学会の活動の原動力は、日蓮仏教がそなえている禁欲的な特質であり、あるいは、宗教的信念に照らして社会状況を変革しようとの強い思いである。」と評価した。また同氏は「1991年(平成3年)に行われた日蓮正宗からの分離が、プロテスタントの宗教改革になぞらえられてきたのは当を得たことである」と評している。そして、「今回の一連の動きでもっとも印象的なことは、創価学会が塔婆――死者の代わりに供養される追悼のための銘板――を自分たちの金儲けのために売りつける強欲な僧侶たちを非難したことと、プロテスタントの宗教改革者たちが、贖宥状を販売する聖職者たちに異議を唱えたこととが、酷似している点である。」と述べた。
●中立的な立場​
島田裕巳​
宗教学者の島田裕巳は、「創価学会員が『広布即地域貢献』として団地自治会長や学校PTA、商店街役員などに積極的に就任し、それらの組織を『折伏の足場』にしようとしていると述べている。一般の人は仕事などに追われてそれらの役員には就きたがらないが、創価学会はそうした状況を利用して地域で主導権を握ろうとしている」と、分析している。島田によれば、1950年代〜1960年代(昭和30年代から40年代)の高度経済成長期には、仕事を求めて故郷を離れて都会を目指し多数の青年たちが、大企業中心の総評などにすいあげられることもなく、未組織労働者・中小零細業者として孤立無援の生活を送らざるを得なかった人たちが、組織化されて、「民族」とも形容できる濃い人間関係ができあがっていった。この組織化が画期的であり、そこに創価学会の社会的な意義があったと主張する。
一方、「かつては他の宗教や宗派を一切認めない姿勢を持っており、創価学会員の子弟は、修学旅行などで神社仏閣を訪れた場合には、神社の鳥居や寺院の山門はくぐろうとしない」、財務の一か月程前には決起大会が開かれ、「100万円出したら息子がいい企業に就職できた。」「保険を解約して学会のために捧げたら幸せになりました。」などの発言が相次ぎ、他の会員にプレッシャーをかけると指摘。また創価学会には多額の寄進をした人間たちが少なくなく、島田の知人にも、創価学会に数千万円を寄進した例があるとした。
「謗法払い」といって以前信仰していた時の仏壇や神棚を焼却させていた事例があったことや、モアハウス大学キング国際チャペルの主催により世界各地で「ガンジー・キング・イケダ展」が開かれていることに関し「世界的に高く評価されているガンジー、キング牧師に対してイケダに二人に匹敵するだけの功績があるか疑問に思う人は少なくないであろう」と批判した。
公明党については「公明党は自民党と連立与党を組んでから政策面で必ずしも独自性を打ち出すことができず、結局、自民党の政策を追認しているだけに終わっていることが少なくなく、特に安全保障政策で公明党が党是とする平和主義の貫徹が妨げられていることから、創価学会内部で公明党に対する批判が潜在化している」としている。
「自民党内にも創価学会=公明党の発言力が強まることを警戒する人間はいることから、自民党内部において創価学会=公明党への批判が高まれば創価学会=公明党としては民主党と連立を組む可能性が出てくる。そうなれば創価学会=公明党は動物と鳥の両方に取り入ろうとして結局はどちらからも嫌われ、暗い洞窟に追いやられたイソップ物語のコウモリになる危険がある」とも発言している。
その他​
西山茂(宗教社会学者・東洋大学名誉教授) - 日蓮仏教にとっての創価学会の功罪について、第一の「功」は、相手が権力を持った官憲であれ、伝統的な宗教習俗を信じる庶民に対してであれ、「謗法」厳戒の姿勢を取った「伝統突破」(折伏というブレイク・スルー)の力にあるとする。第二の「功」は、「本門戒壇」の建立を、戦後日本社会の中で具体的に運動化したことだとする。一方で、「罪」は「功」の裏の部分に当たり、第一の「罪」として、他宗教への悪口雑言や暴力的な神棚撤去等の深刻的な人権問題を引き起こしたこと、第二の「罪」として、会則改正等の転進の際に過去を総括せず、過去と現在の教団の自語相違に一向に無頓着であり、信頼できない点を挙げている。
島薗進(宗教学者・東京大学名誉教授) - 創価学会の特徴として「現世中心主義」を挙げており、「世界的に見ても、庶民がその実現に参与できる現世での幸せを焦点とした仏教として創価学会は目立った例」としている。一方、その排他主義的かつ自己完結的な教義体系のゆえに、強力な集団的統合が実現しており、指導者の指示のもと、一元的な意思の一致が前提とされ、自由な問いや討論が封じられる傾向があるとしている。また、上位者の権威への従順が宗教的指導の範囲を超えており、統制された集団生活の枠組みが日常生活のすみずみの領域にまで及んでいるため、個人の自由に任される領域が縮小する傾向があるとしている。とくに池田名誉会長崇拝にはそうした傾向が強く、このような個人の自立の抑制が「師弟不二」「異体同心」などの強調により正当化されている、と分析している。
宮台真司(社会学者) - ウェブマガジンのインタビューで、「東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被災地における、個人で支え合う人間関係・つながりを持っている者と持たない者の格差を見せつけられた」と述べた上で、「創価学会の避難所は物も潤沢だし、配給物資も公平に、順当にシェアできるしくみがある。だから取り合いになったり、殺伐とした対立なども起こりえない。それは教会などのコミュニティと同じで、たとえば欧米などはハリケーンや津波で被災しても行政や自治体は動かない。救援物資のディストリビューション(配給)をやるのは、教会なんです。」と発言。教会的なコミュニティーが果たす役割に言及し、その例として創価学会をあげた。一方で公明党・創価学会を「都市宗教的マッチポンプ」と呼び、新自由主義と貧困を増幅して疎外される人々を増やし、信者を増やしていると批判している。
●創価学会に対する批判​
離反者による批判​
創価学会は、元副会長福島源次郎、元公明党書記長矢野絢也、元公明党委員長竹入義勝、元公明党都議会議員団長龍年光、元都議会公明党幹事長藤原行正、元公明党議員大橋敏雄、同石田次男、元教学部長原島嵩、元顧問弁護士山崎正友などの幹部クラスの離反者や、長井秀和、杉田かおる等の有名人の離反者を出している。離反者は日蓮正宗に移ったり、マスコミを通じて創価批判・暴露を行うケースが多い。
矢野絢也 - 「学会員二世、三世は幼い頃から、家庭において池田大作が著した絵本やアニメを見せられ、いかに池田と創価学会の教義が素晴らしいかを刷り込まれる。しかも、一貫教育システムにより、筋金入りの創価学会員としてエリート教育される。一貫教育システムという醸成装置があればこそ、創価学会は次々と新たな学会員と「池田名誉会長」を信じて疑わない幹部を養成できる。」と指摘している。このほか、現在の学会の幹部は、こうした「池田チルドレン」たちによって固められ、公明党議員にも創価学園・創価大学出身者がいる。このような教育によって、学会は強固な組織となり、池田の独裁体制も確立されたとしている。また、「100万円財務は、戸田第二代会長の表現を借りれば、学会が決して手を染めてはならない「邪宗教」への一歩を踏み出した瞬間だった」としている。
杉田かおる - 自書『杉田』で創価学会を批判、主に池田大作や男性創価学会幹部の堕落ぶりを批判、また杉田自身が創価学会関係者から受けたセクハラについても触れている。
政治団体による批判​
政界進出を始めた時期に創価学会は、日蓮宗系他教団、浄土真宗系教団のほか、革新陣営からの批判を受けることが増えた。島田裕巳によれば、1957年(昭和32年)の北海道での創価学会青年部隊と日本炭鉱労働組合と間の戦いを一つのきっかけとして、また1960年代の公明党結成に応じて、革新陣営からの批判が刊行されるようになった。島田はこれらの教団・陣営は「民衆をターゲットとし」、「下層階級を組織化」する点で創価学会と競合していたと指摘し、一方の保守陣営はこの段階では創価学会批判を展開していなかったとする。1990年代に公明党も合流した新進党が参議院選挙で議席が増加すると、新進党の台頭に危機感を抱いた自民党は反創価学会キャンペーンを展開していた時期があった。
他団体による批判​
NAACP(全米黒人地位向上協会)は創価学会が主催する「ガンジー・キング・池田平和建設の遺産展」について、「ガンジーやキングは多大な功績を挙げたのを全世界の人が知っているが池田はいったい何をやったのか」と批判、主催するなら「ガンジー・キング・ブルース・(スプリングスティーン)展」とするべきだと主張した。その矛先は創価学会だけでなくモアハウス大学のローレンス・エドワード・カーターにまで向けられた。
オウム真理教教祖麻原彰晃は、サンデー毎日から始まったオウムバッシングは聖教新聞を印刷している毎日新聞社グループと創価学会が結託して行っている、池田大作は日本を侵略するフリーメイソンの手先であり「仏法」を曲げている蝮の一族などと批判。池田大作サリン襲撃未遂事件をはじめ化学兵器や生物兵器を利用した学会に対するテロ攻撃を行った。
幸福の科学の総裁大川隆法は自著で「現代社会における二つの悪」として、一つは悪徳マスコミ、もう一つの悪が「邪教・創価学会」であると批判。
著名人による批判​
内藤国夫 - 「政界に進出し、国家権力と結びつく、また結びつこうとする権力志向、権力依存の宗教団体は邪教の中の邪教ということだ。オウムより、はるかに始末が悪い難問である」。
浅見定雄(元東北学院大学教授) - 「メンバーが結果的に一つの政党しか選ばなかったり、その宗教団体の指示による以外は他の政党に投票することもない-創価学会の指示で信者が自民党に投票する場合のように-もしそういう宗教があれば、その宗教は必ず政教分離の原則を破っているのであり、また恥ずかしいことだが、非常に未成熟で前近代的な宗教である」
石原慎太郎 - 池田名誉会長を「悪しき天才、巨大な俗物」と批判。
俵孝太郎 - 学会と対抗していた組織四月会の代表幹事。2005年9月1日の『日刊ゲンダイ』でも創価学会を批判。
徳川義寛(元昭和天皇侍従長) - 皇太子徳仁親王(現在の今上天皇)の親王妃候補について「新宗教(創価学会)を信仰する人間は親王妃、皇太子妃(未来の皇后)としていかがなものか」との考えを示した。一説では「先代の侍従長入江相政や、『2代続けて平民からの入内は慎むべき(上皇后:正田美智子、皇后:小和田雅子)』と発言し旧皇族旧華族が賛同したことを受けての発言」という説もある。しかし昭和天皇は、1988年(昭和63年)4月6日「慎重にすぎて好きな人が居なくなったり、徒に時を過ごしてもよくない。難しいと思うがよろしく頼む」「私は本人同士が良いならそれで良い」、同5月26日「浩宮(この時点では徳仁親王)のこと、その後は?」と当時の宮内庁長官富田朝彦に繰り返し伝えていたことが明らかとなっている。
テリー伊藤、佐高信 - 共同著書『お笑い創価学会』で創価学会を批判。
大槻義彦 - ブログ「大槻義彦のページ」で池田大作・創価学会・公明党を政教分離の原則の観点から批判。
いしいひさいち - 自書『大問題』で創価学会を批判。
フロランス・ラクロワ - パリの国立研究院の博士。十数年にわたり創価学会を取材・研究を重ね、「創価学会、タブーの解剖」というフランス国家博士論文を発表。
筒井康隆 - 『SFマガジン』1965年8月増刊号で発表した短編小説『堕地獄仏法(中公文庫『東海道戦争』収録)』で、創価学会・公明党を連想させる宗教団体・政党が『政教一致体制』で支配する恐怖の日本社会を描いた。また、朝日新聞で連載していた長編『朝のガスパール(朝日新聞社 のち新潮文庫)』では、信者らしき人物から筒井康隆に対する個人攻撃の投書があったため、筒井康隆は作中で実名を挙げて批判している。さらに『現代語裏辞典(文藝春秋のち文庫)』では『創価学会。そうか。がっかり』と揶揄する記述が見られる。
段勲 - 自書『反人間革命』で創価学会を批判。
韮沢忠雄(日本共産党元赤旗編集局長) - 既存マスコミが創価学会批判をタブー視しているとして、赤旗で創価学会批判を展開。
後藤忠政(元山口組系後藤組組長) - 自書『憚りながら』で創価学会と後藤組(山口組)との関係を記載。
蛭子能収 - 公明党支持者から食事中に強引なサインを要求され、公明党への支援も頼まれたことに立腹。「公明党の信者って、なんでそう熱心なのか不思議だが、相手の気持ちを考えない我がままな人ばっかりの集まりなんだろうなーと思う」と批判。
H・N・マックファーランド(アメリカの宗教学者) - 1963年から64年にかけて日本に滞在して日本のPL教、生長の家などの新宗教について調査し、「神々のラッシュアワー」という本にまとめた。その本の中で唯一、創価学会の調査の時だけは不快な思いをしたとして「創価学会の多くの信者の厚かましさや無作法によって何度も何度も気分を害される」と記している。
ナヴィーン・パトナーヤク(インド地方政党ビジュ・ジャナタ・ダル党首、後のインドオリッサ州首相)、「ガンジー・キング・イケダ展」に対し、創価学会はガンジーだけではインド独立をなし得なかったことやインドの歴史認識を学ぶべきだと批判。
猪口邦子 - 2000年(平成12年)に創価学会の「宗教的団結心」("religious solidarity")を核とした「巨大な政治的力」("enormous political power")を警戒する人もいると述べた。
石井一 - 2007年10月16日の第168回国会参議院予算委員会で、公明党と創価学会の関係について質問した
藤倉善郎 (やや日刊カルト新聞を主宰する宗教ジャーナリスト) - 創価学会について、現在でもしつこい「折伏」や、批判者や組織内の造反者に対する常軌を逸した攻撃が常に行われているとしている。また「安保法制」などをめぐる造反者側についても、「公明党はもともと平和の党」「池田大作先生は平和主義者」などの主張は、批判者への攻撃や言論妨害、しつこい折伏等の社会問題が、むしろ池田の会長在任期間中に起きていることから、池田を美化する「かつての創価学会」正当化は、歴史の歪曲だと強く批判している。むしろこれら社会的な批判を浴びた問題を池田信仰に基づき正当化してきたのが、カルト的側面を正当化する「かつての創価学会」であるとする。1960〜70年代の言論出版妨害事件、70年の共産党・宮本顕治宅盗聴事件、強引な折伏(勧誘)や選挙における不正問題など、池田氏指導下の創価学会が批判されたり池田氏自身の関与が疑われたりした問題が多数あり、だからこそ、創価学会は池田大作ともども、これまで天下の嫌われ者だったのではないか、としている。
溝口敦(ノンフィクション作家、ジャーナリスト) - 創価学会は宗教法人であることを徹底活用と悪用していると批判。70年の出版妨害事件により、著作者や出版社に恫喝を加え、鶴タブーを作り上げてきたという。また、選挙に際しては、80年代まで替え玉投票を事としていたとしたという。創価学会が、出版妨害や電話盗聴、替え玉投票、裁判工作などを過去に行っており、社会不正の塊であることは常識である、としている、信者会員からの財務集金法においても、幹部が会員に「出せ、出せ、出せ」と絶叫するほどの激しさで、生活保護世帯からも数口を引っ張るのが学会流であるとしている。
創価学会は「池田教」であるという批判​
内藤国夫や七里和乗(日隈威徳)などの著書に見られるように、かねてより創価学会は実質的には「池田教」ではないかとの批判があった。そのような批判を伴う呼称をめぐっては各方面から以下のようなことが言われている。
日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』は、「池田大作本仏論」の存在および初代・牧口、第2代・戸田、第3代・池田を「三代会長」「創価学会永遠の指導者」とすることを決めた会則の存在などに触れ、日蓮正宗との関係を断った「池田教」設立の宣言であると批判している。その後2016年(平成28年)11月7日に施行された改正会則の第1章総則第3条2項に『「三代会長」の敬称は、「先生」とする。』と加筆明記される。
日蓮正宗宗務院教学部による出版物では、日蓮正宗が池田大作を破門するに至った1991年頃には、経本や過去帳、数珠を創価学会独自のものに変化させる動きが見られたのを「池田教独立路線を露わにした」とする見方を示している。
元公明党委員長の矢野絢也は、著書の中で「池田教」への変容が起きているとし、指導者としての池田大作名誉会長への個人崇拝が顕著であるとの主張をしている。
作家の佐藤優は、松岡幹夫との共著における対談において、あえて「池田教」などと批判する勢力があるのを互いに認めた上で、そういった勢力が注視している教義の中での池田の位置づけに難しい課題があるとした松岡の思いに応じ、その背景に批判する側から個人崇拝と見られているのがあるものの、「気にすることなく、堂々と池田会長(原文ママ)の重要性を打ち出すべきだと思います。」と意見している。 
●会員緒話
●創価学会の法人職員だったぼくの名まえの命名者は「池田先生」 7/17
「ぼく」が勤めていた宗教法人を公表
宗教法人職員だったぼくが、一般企業に転職していくさまを描いたエッセイを先日公開したところ、大変ご好評をいただいた。嬉しい限りである。その時点では勤め先の宗教法人の名まえは伏せていたのだが、ネット検索に引っかかる情報と記事内容から、かつての所属が「あっ」という間にみなさんの知るところとなった。なので、今日から公表する。
ぼくは創価学会の本部職員だった。父は元理事長の正木正明。そして、ぼくの出身校は、創価中学、創価高校、創価大学である。そこから学会の機関紙・聖教新聞の記者に採用され、約13年間を法人職員として過ごした。
もちろん学会活動は熱心にやってきた。また、創価学会はいわゆる「鎌倉仏教」の祖師の一人・日蓮の系列に位置づけられるが、「日蓮」についての研究も独学ながら取り組んできた。
加えて、「信仰がひとりよがりになってはいけない」との思いから、仏教学や宗教学をはじめ、他の宗教の聖典(正典)や哲学なども学んできた。
ぼくはさまざまなところで学会の教えをわかりやすく解説する文章を書いてきたが、それができたのはこういった学びの背景があるゆえだと思う。
さて、そんな「ぼく」の随想をこれから書いていく。さっそく今回の本題に入っていきたい。それは、ぼくの「名まえ」と入会についてである。
生後2ヵ月で入会。「伸城」と名づけられて
筆者=正木伸城の名を見て、「珍しいな」と感じた人も多いのではないだろうか。「伸城」は「のぶしろ」と読む。何を隠そう、この名まえの命名者は創価学会のカリスマリーダー・池田大作氏である。ぼくが生まれた当時、幹部として勢いを見せ始めていた父が、池田氏にお願いをしてつけてもらったそうだ。
確かに「伸城」はそうそう見ない名である。だから、幼いころから筆者自身も「珍しい」と思ってきたし、その異色さゆえ、周囲からも「お父さんにつけていただいたの?」とよく質問された。
そのたびに「ううん、お父さんじゃなくて、池田先生につけていただいたんだ」と答えていたことを鮮明に記憶している。すると、学会員でない人は「池田先生って、どんな人なの?」と問いかけてくるので、その都度「池田先生っていうのはね……」と自慢げに説明していた。
そんな「伸城」の名だが、池田大作氏に命名してもらったのは、ぼくが産声をあげた直後である。
ぼくは1981年11月に生まれた。創価学会に入会したのはその約2ヵ月後、1982年の1月2日のこと。入会時の写真は見たことがないけれど、きっと多くの人に祝福されたことだろう。
ちなみに、入会日の「1月2日」は池田氏の誕生日である。これは一般化して述べていいか迷うところだが、創価学会員は「記念日」を特段大事にする傾向があるように思う。両親が「池田先生のお誕生日に合わせて、伸城を入会させよう」と発想したことは想像にかたくない。
周囲から教わる「池田先生」の偉大さに違和感を抱く
かくしてぼくは創価学会員になった。また、熱心な学会員の多くは池田氏を「人生の師匠」と位置づけていて、両親も同じなので、ぼくの中にもそのカテゴリーが設けられた。「師匠・池田先生」という概念の誕生である。
池田氏の「偉大さ」については、幼少のころからたくさん教わった。池田氏が、民間人でありながら“国交レベル”で世界平和に貢献していること。会員一人ひとりを大切にしていること。そして「伸城=ぼく」のことをいつも考えてくださっているという話……。
実際に会った時の池田氏の印象は「楽しそうなおじいちゃん」という感じだったが、池田氏は直接の声かけだけでなく、さまざまな形で贈り物もしてくれた。こういった経緯もあり、「池田先生」はぼくの中で、まさに「師匠」という存在になっていった。
ただ、幼いながらにちょっとした違和感もあった。
一つは、周囲から教わる「池田先生」がとても人間とは思えなかったことだ。たとえば「池田先生は君(=伸城)のことをよくよくご存じで、どんなことでも知っている」というような話をたくさん聞かされた。「先生は何でもわかってくださっている」と言うのだ。
ぼくは「そんなわけはない」と思っていたのだが、周囲は「先生は、すべてをお見通し」と信じて疑わなかった。だからだろう。「じゃあ池田先生は、幼稚園の先生とぼくが今日話した内容も知っているの?」と聞くと、「もちろん」と当然のように答えが返ってきた。
これには当時5歳くらいだったぼくも面食らった。
「池田大作=超人」というのが、そのころ醸成されたイメージである。ただし、「池田先生は超人なの?」と親にストレートに質問すると、「偉大な人間で、仏さまだよ。先生の偉大さを自分の中の狭い『人間』の尺度で測ってはいけない」とたしなめられたため、この件については自身の中で静かに消化するしかなかった。
ガンジーよりも偉大な「池田先生」?
違和感のもう一つは、池田氏の偉大さを語る、その「語り口」にあった。
かの有名なマハトマ・ガンジーについてのテレビ番組を観た翌日のこと。地域の学会員の子どもが集まる場に参加していたぼくは、番組内容に心揺さぶられ、思わず「ガンジーみたいに『人を助ける』人物になりたい」と周囲に口走った。すると、近くの大人が苦笑いを浮かべながらこう言ってきた。
「君の師匠・池田先生は、ガンジーよりもはるかに偉大なんだ」
これにも、ぼくは正直ピンと来なかった。なぜかというと、当時のぼくの関心は、「どちらが偉大か」という点よりも、「偉大さの中身」や「なぜ偉大と言えるのか」という問いに集中していたからだ。
だから、仮に「ガンジーよりも偉大」「キング牧師よりも偉大」等と言われても得心できなかった。具体的に「池田先生の何がすごいのか」が知りたかった。しかし、それを問うても満足のいく返答はない。
このような“教育”によって、ぼくは育てられた。
生まれてすぐに入会・入信させることの是非
先ほど書いたように、ぼくの入会は生後約2ヵ月である。そのような早い段階から子どもを入会・入信させることや、幼いころから宗教的な教育をほどこすことの是非については、議論の余地があるとぼくは思っている。
進化生物学者のリチャード・ドーキンスが、まさに著書『神は妄想である』の中でこの問題を扱っている。彼が問題視しているのは、まだ判断能力がない子どもに、本人の意思とは関係なく信仰を教え込むという行為だ。彼はこれを「虐待」という単語すら使って批判し、こう語っている。
「子どもは、キリスト教の子、イスラム教の子ではなく、キリスト教徒の親をもつ子、イスラム教徒の親をもつ子なのだ」(趣意)
「善かれ」「正しかれ」と思って子どもを入信させる宗教信者からすれば「何を言っているんだ」と一蹴されるような話かもしれない。
たしかに、同書におけるドーキンスの主張はかなり過激だが、だからと言って、彼の提起した問題意識を素通りしていいかというと、ぼくは「違う」と思う。
ぼく自身、「創価学会員の親を持つ子」というより「創価学会の子」として育てられた。もっと言えば、「正木理事長(=父)の息子さん」としてずっと見られてきた。そのために苦労したことの一端は、以前書いたとおりである。
●創価学会員は選挙についてどう捉え、どんな活動をしているのか? 8/10
みなで集まって祈る。公明党について学ぶ。投票依頼をする
創価学会員以外の人たちが抱く学会に対するイメージのなかに「選挙活動に熱心」というものがある。学会が公明党の支持母体とされ、学会員が電話などを通じて周囲に投票依頼をして回っていることは、一般的にかなり知られている。
創価学会員は選挙活動のことを「法戦(ほうせん)」と呼ぶ。それはほとんど信仰活動と一体で、ぼく自身も法戦に参画してきた。
選挙の時節になると、学会活動の多くが政治色の濃いものになっていく。たとえば地域の学会員が集まる「座談会」では、公明党の実績や同党候補者の情報を学び合う時間がしっかり設けられるようになる。
また、一般的な表現でいえば「政治学習会」と呼べるような集まりも開催され、そこでも公明党のことを学ぶ。加えて、そもそも「なぜ政治に関わるのか?」といった法戦の意義について確認し合う場が設けられることもある。
ぼくが初めて体験した法戦もそうだった。
みなで集まって題目(=南無妙法蓮華経)を唱える場所を「拠点」と呼ぶのだけれど、そこで祈りつつ、各自の都合に合わせて創価学会員でない“外部”の友人にアポイントを取ったり、投票依頼をしたりするのが定石だった。さらに、学会の活動家が、それほど信仰に熱心でない学会員や、公明を支持してくれるかが不透明な学会員などに投票依頼をして回るということもした。 拠点の壁には、国政選挙なら「公明党からの立候補者」がいる選挙区の一覧が貼られる。そして、選挙区ごとに投票依頼ができた友人数などを集計していく。それらは「成果」として逐一、組織に共有されもする。
ぼくが選挙活動に積極的に参画するようになるまで
当初はこれに面食らったぼくだが、先輩から「卒業アルバムを持って来て」と言われたところから状況は変わっていった。前回書いたとおり、ぼくは中学以降を創価の学び舎で過ごした。つまり、小学生時代は一般の学校に通っていたのである。それを知った先輩が「卒アルに名簿が載っているだろう。片っ端から電話をかけて」と言ってきたのだ。
緊張しっぱなしのなか、恐る恐る友人に電話をした。投票依頼もした。これには、最初は勇気が要った。
しかし、さまざまな要素がぼくを選挙に駆り立てるようになった。
みなと共に祈りを捧げ、同じ目的に向かって協力し合う心地よさ。ほとんど政治に無知だった自分が、“公明視点”の政治理解とはいえ、政治に明るくなっていくことが実感できた喜び。“外部”の友人に電話で投票依頼をした時に、少数ながら「いいよ」との返事がもらえた時の充実感。選挙に勝利した時の達成感。そして、法戦によって学会のカリスマリーダー・池田大作氏に貢献できたという手応えが感じられることによる歓喜――。
この時ぼくは、創価学会の思想と選挙活動にさほどの矛盾は感じなかった。だから、気がつけば法戦に楽しさを見いだすようになっていた。
創価学会が公式に公明支持をお願いすることはない!?
ここで断っておきたいことがある。実は、ここ40年ほどの創価学会は、学会員に「公明支持」を呼びかけはするが、そうした活動を宗教上の言葉で意義づけることは、少なくとも公のメディアではしてこなかった。恐らくそれは、投票行為が「強制」によってなされてはならないという発想に基づいているからだと思う(ただ、近年はわずかながら状況が変わったと解釈できる例も出てきている)。これは池田大作氏も明言していることで、学会員がどこの政党、どの候補者を支援しようとも、それは「各人の自由」ということになっている。  ただ、オフィシャルには「自由」が言われているとはいえ、学会組織の“現場”にその自由がどれだけ確保されているかというと、心もとない。
ぼくが思い出すのは、2003年のことである。11月に衆議院議員選挙を控えていたため、その頃の学会は選挙モードに突入していた。ぼくも張り切って法戦に臨みたいと思っていた。だが、あることが壁になって、そうは行かない状況になった。公明党の振る舞いに納得が行かなくなったのだ。
組織の“現場”で「公明に反対するお前は信心がおかしい」と言われる
当時、争点にされたことの一つが、イラク戦争関連で自衛隊をイラクに派遣するという話だった。ぼくは、“イラク派兵”に反対。では、この件について公明党の判断はどうだったかといえば、のちにこれを容認したように、(ぼくから見れば)かなり歯切れの悪い対応をしていた。それをさまざまな幹部に伝えた時に返ってきた言葉を羅列すると、こんな感じになる。  「公明に反対するお前は信心がおかしい」
「お前の退転の命を、俺が斬ってやる」
「お前がしていることは組織批判、同志誹謗だ」
「祈れば公明の正しさがわかる」
ぼくは政策論争を望んだ。でも、どの幹部と討論をしても、彼らがそれほど理論武装をしていないからか、話にならなかった。だから、ぼくはひたすら論破を繰り返すことになった。その先に何があったか。・・・
●公明党支援にまつわる、学会の“公式”と“現場”のホンネ・建て前 8/21
「池田先生」のために公明党を応援するという発想
前編の記事で、ぼくが創価学会の選挙活動にハマっていった経緯を述べた。また、その後、2003年に話題になった「自衛隊のイラク派遣」に関する公明党の振る舞いに納得がいかなくなり、先輩たちと政策論争を展開したことにも触れた。ただし、議論をしても厚みのある返答をくれる先輩はいなかった。そこでぼくは、学会のとある副会長に相談をした。
「政策に納得ができない時、それでも公明党を支援すべきなのでしょうか」
ぼくがそう問うと、副会長は「納得が行かない点は、どこ?」と聞いてくれた。そこから、またもや政策論争が発生するのだが、やはり納得のいく話は出てこない。そのうち、副会長の顔が曇っていった。そして彼はこう言うに至った。
「公明党は池田先生がつくられた政党だ。弟子として応援しないのはあり得ない」
それを聞いたぼくは、即座に、「確かに、宗教的にはそれも大事な視点ですが、純粋に政策で選ぶならまだしも、『池田先生のため』『同志である学会員が候補者だから』という理由で公明候補者を選ぶという政治的な決定の仕方を取るのは、どうなのでしょうか?」と質問した。
しかし、この言葉を言い終わり、さらに発言を続けようとするぼくの声をさえぎった副会長は、「お前は二乗根性にやられている!」と言ってきた。
池田大作氏の思想と公明党の振る舞いが不一致に見えることに悩む
「二乗」というのは説明が難しい言葉なのだけれど、ここでは「頭でっかちな人」「考えてばかりで信仰実践がおろそかになる人」くらいの意味で捉えてほしい。
こう言われたぼくは、ひどく落ち込んだ。
なぜ、この時ぼくは公明党に疑問を抱き始めたのか。それは、創価学会のカリスマリーダー・池田大作氏の文献を相当に読み込んだことに起因する。その思想についてかなり理解を深めた時、公明党の振る舞いや判断が池田氏の考えと「必ずしも一致するとは言えない」ということを知ったのだ。
この一連の流れのなかで不完全燃焼感をぬぐえなかったぼくは、学会幹部の父にも相談した。だが、理解の懸け橋はやはりかからなかった。売り言葉に買い言葉みたいな言い合いになり、父からは「そんなに不満なら、お前が公明党の政策を考えろ!」と言われてしまった。
この“イラク派兵”については、当時ぼくが通っていた創価大学でも、また所属していた東京・八王子市の組織でも、また他の各地でも論争が起こった。派兵反対の学会員に、ぼくに向けられた言葉と似たセリフが投げかけられたことも多く見聞きした。
「選挙活動に功徳があると学会員は信じている」は本当か
公明支持に賛同できない学会員に、宗教的な言葉で非難の言葉があびせられる事態に、ぼくは戸惑った。「公明党を支援すること」と「信心のある・なし」は本来関係がないはずだ。学会公式の発信はそうなっているし、法戦(=創価学会の選挙活動)の意義を語る上でよく引き合いに出される日蓮の文書「立正安国論(りっしょうあんこくろん)」でも、公明支持は教義的に裏づけられない(同書でせいぜい言えるのは「積極的に政治に関わる意義」までである)。 ところが、組織の“現場”の思想は違った。ぼくは、「これには過去の池田先生の発言が影響しているのかも」と思い、大学の先輩の協力も得ながら、池田氏の古い指導をひもといていった。すると、以下のような発言が見つかった。
「学会が選挙をやることについて、なかには信心の弱い人は、疑問を起こす人がいるかもしれません。しかし、このことについては日蓮大聖人様がおおせになっているのです。(中略)やりたくないと思っても、日蓮大聖人様のご命令ですから、どうしようもないのです」
「(選挙活動をしている「われわれ」について)日蓮大聖人様が、そして諸天善神が、また三世十方の仏・菩薩が、われわれの生活を、われわれ自身に功徳を与えないわけもない」〈( )は引用者、仏教関連用語については解説しない〉
創価学会は過去に何度か指導方針を転換しているが、古い時代において池田氏は、選挙活動の宗教的意義を述べ、そこに功徳があることを明言していたのだ。
だが、さまざまな人にこの“指導”について知っているかを確認すると、認識していた人は皆無だった。つまり学会員は、このような池田氏の“指導”に沿うという形ではなく、ある種の「不文律」的なものによって選挙に宗教的意義を感じながら活動をしていたのだ。 ちなみに、現在の学会員に「選挙活動に功徳はあると思うか?」と問うと、「ある」という人と「選挙そのものではなく、選挙を通じて深まる信心に功徳がある」という人などに分かれる。
「宗教的信念ならベストを選べるが、政治はベターしか選べない」
先に、父と言い争いになったという話をした。父はとても寛容で、ぼくの意見に必ず耳を傾けてくれた。無碍(むげ)にされたことは一度もない。もちろん、父は「公明党支持ありき」の姿勢を崩さなかった。しかし、その上で父はしばしばこう語った。
「宗教的信念ならベストを選べるが、政治はベターしか選べない」
公明党支持と信心の有無を結びつける“現場”に戸惑っていたぼくは、この言葉に救われた。「政治はベターしか選べない」という理屈は、公明党の政治にも当てはまると思えたからだ。公明党を選ぶ行為も、あくまで「ベターな選択」なのであって、ベストではない。だから、公明党に対する批判だって「あり得る」のだ、と。
父とは、政治・政局・政策論争をさんざんした。創価学会と選挙の関係性を今後どうしていくかといった議論も、何度もした。政策をよりベターなものに――。そのベターな政策を託す先として公明党がふさわしいなら、ぼくも公明を応援しようと思えた。
「宗教が欠如した政治は、国家の首を吊るロープである」(趣旨)
これは『バープー物語』という著作で紹介されている、かのマハトマ・ガンジーの言葉である。宗教が政治の「良心」となるのなら、ぼくも、宗教による積極的関与が政治にプラスをもたらすと思っている。
ちなみに巷(ちまた)では、「それは政教一致ではないか」という声が聞かれる。しかし、創価学会の現状の活動が政教一致に当たらないということは、たとえば「憲法の番人」ともいわれる歴代の内閣法制局長官も明言している。いわゆる「政教分離」の原則は、国家が特定の宗教を特権化したり、それらに便益や弾圧を与えてはならないという話であって、宗教団体の政治活動を制限するものではない。これについて、あえて明記しておきたい。 ぼくは、公明党と創価学会については、世間と学会員の間でフェアな議論がなされればと願っている。
その気持ちがあるからこそ、ぼくは今も昔も、ただただ、成文化された法律や一次情報・ファクトに基づく判断と、論理・合理を尽くした推論の積み重ねによる議論、そして「知的には悲観主義、意志的には楽観主義」(思想家・アントニオ・グラムシ)という信念で、折々の“最適”を目指す語らいを続けてきた。
みなさんは、どう思うだろうか。 
 
  
 
 
 

 

●事件 国内報道
 
 
●安倍元首相銃撃 7/8
8日午前11時半ごろ、奈良市内の路上で街頭演説をしていた自民党の安倍晋三元首相が背後から銃で撃たれ、亡くなった。安倍氏はどのような状況で演説をしていたのか。襲撃犯はどこから近づいたのか。現場を3D動画で再現し、SNS(交流サイト)などから入手した映像をもとに犯行の状況を分析した。
銃撃現場は奈良県北部の近鉄大和西大寺駅(奈良市)の北側ロータリー。大阪市、京都市、奈良県南部などへつながる各線が合流するターミナル駅で、周辺には市街地が広がる。駅前は商業施設やオフィスビルが立ち並んでいる。
安倍氏はロータリー前の交差点の中央付近に演台を置いた。午前11時半ごろ、ロータリーを背にして、商業施設前の歩道上に集まった聴衆に向かって演説を始めた。周囲にはのぼりが立ち、党関係者のほか複数の身辺警護の警察官(SP)もいた。
日本経済新聞は安倍氏から見て右手側のオフィスビル前にいた目撃者から、発砲の瞬間を捉えた映像を入手した。演説開始から数分後、参院選候補者と並んで弁舌を振るう安倍氏の背後で突然、大きな音とともに白煙があがった。距離は数メートル程度で、発砲の直前まで多くの人は犯人に気づいていない様子だ。
発砲音は2発。安倍氏が倒れ込み、現場は騒然となった。
襲撃犯の山上徹也容疑者はどのように安倍氏に近づいたのか。SNSに投稿された複数の映像を分析すると、演説する安倍氏の後方にあたるバス停の歩道上に同容疑者とみられる人物が立っていた。演説の最中に後方から至近距離まで忍び寄り、警戒をかいくぐって発砲したようだ。発砲から数秒後、山上容疑者は駆け寄った複数のSPに路上で取り押さえられ、そのままバス停付近に連行された。
●安倍晋三元首相、銃で撃たれ死亡 奈良で街頭演説中 7/8
安倍晋三元首相(67)が8日午前11時半ごろ、奈良市で街頭演説中に銃で撃たれた。搬送先の奈良県橿原市の病院は、午後5時過ぎに死亡が確認されたと発表した。警察は事件現場で男性容疑者を逮捕し、殺人事件として捜査を進めている。
岸田文雄首相は同日夜、「民主主義の根幹たる選挙が行われている中、安倍元総理の命を奪った卑劣な蛮行が行われた」、「断じて許せるものではなく、最も強い言葉で改めて非難する」と述べた。
NHKなど国内メディアによると、安倍氏は大和西大寺駅近くで演説の途中、背後から撃たれた。
安倍氏は血を流して倒れ、病院に救急搬送された。消防は、心肺停止の状態だとしていた。総務省消防庁は、右のけい部に銃創や出血があり、左胸に皮下出血があると発表した。
安倍氏が搬送された奈良県立医科大学付属病院は、午後6時過ぎから記者会見を開いた。福島英賢教授は、蘇生処置をしたが、午後5時3分に死亡が確認されたと述べた。
福島教授によると、首の2カ所に銃弾による傷があった。傷は心臓まで達し、心臓に大きな穴が開いていたという。止血手術をしたが、大量の出血があって失血死したと、同教授は説明した。
警察は、奈良市在住の山上徹也容疑者(41)を殺人未遂の疑いで現場で逮捕した。逃げる様子は見せなかったという。
奈良県警は、午後9時半から記者会見を開催。山上容疑者が逮捕直後の取り調べで、「特定の団体に恨みがあり、安倍元首相がこれとつながりがあると思い込んで犯行に及んだ」という趣旨の供述をしたと説明した。
犯行に使われた凶器については、長さ約40センチ、高さ約20センチの「手製の銃」だとした。手製と判断した理由として、容疑者の供述と、凶器の見た目を挙げた。容疑者が狩猟免許を持っているかとの質問には、捜査中だと答えた。
県警はまた、容疑者の自宅を捜索したところ、「手製の銃のようなものを数丁押収した」と述べた。
NHKによると、警察は、奈良市内にある容疑者の自宅マンションを捜索し、爆発物の可能性のあるものを複数見つけた。容疑者は「拳銃や爆発物をこれまでに複数製造していた」と供述したという。
奈良県警は8日夜には、容疑者宅で発見された爆発物のため、近隣住民に避難を呼びかけたと明らかにした。避難要請は約1時間後に解除された。
複数の国内メディアは、山上容疑者が元海上自衛隊員だったと伝えた。NHKによると、山上容疑者は2005年ごろまで3年間、海上自衛隊で勤務していたという。
国内メディアはまた、容疑者が警察の調べに、「安倍元首相に対して不満があり、殺そうと思って狙った」、「安倍元首相の政治信条に対する恨みではない」という趣旨の供述をしたと報じた。
「卑劣な蛮行」=岸田首相
岸田文雄首相は、午後7時ごろ、官邸で記者団の取材に応じた。
岸田氏は、「どうか一命をとりとめていただきたいと祈っていたが、祈りもむなしく、こうした報に接することになってしまったこと、誠に残念で言葉もない。心よりご冥福をお祈りしたい」と述べた。
また、「民主主義の根幹たる選挙が行われている中、安倍元総理の命を奪った卑劣な蛮行が行われた。断じて許せるものではなく、最も強い言葉で改めて非難する」とした。
安倍氏については、「憲政史上最長となる8年8カ月にわたり内閣総理大臣の重責を担い、卓越したリーダーシップ、そして実行力によって厳しい内外情勢に直面する我が国を導いた」と振り返った。
そして、「この国を愛し、常に時代の一歩先を見通し、この国の未来を切り開くために大きな実績をさまざまな分野で残された偉大な政治家を、こうした形で失ってしまったこと、重ね重ね残念でならない」と話した。
事件を受けて首相は、参院選の遊説のため各地に出ていた閣僚に帰京を指示した。
日本では銃器の販売や所持が厳しく制限されており、銃を使った暴力事件は珍しい。
日本での銃による死亡事案は、2014年にはわずか6件だった。アメリカでは同年、3万3599件に上った。
2年前に首相を退任
安倍氏は、日本で最も長く首相を務め、健康上の理由で2020年に退任した。潰瘍性大腸炎を再発したと説明した。
在任中は、防衛・外交のタカ派的な政策で知られた。また、戦後の平和主義的な憲法を改めるよう長く訴えてきた。
さらに、金融緩和、財政出動、構造改革を柱とする「アベノミクス」と呼ばれる経済政策を推進した。
後任には、自由民主党の盟友である菅義偉氏が就任。その後、岸田文雄氏が首相職を引き継いだ。
ツイッターでは、「#私たちが求めているのは民主主義であって暴力ではない」というハッシュタグが広く使われている。多くの利用者は、卑劣な行為への怒りや不安を書き込んでいる。「民主主義の死」、「暴力ではなく投票で意思表示を」などの投稿も多く見られる。
英米の首脳も非難
事件を非難する声は、外国政府の関係者からも相次いでいる。
イギリスのエリザベス女王は、日本の天皇陛下に追悼のメッセージを送った。
「私の家族と私は、安倍晋三元首相の悲劇的な急死を知り、深く悲しんでいます。2016年に安倍夫妻が訪英した際、お会いしたのを懐かしく思い出します。(安倍氏が)日本を愛し、イギリスとの結びつきをいっそう近いものにしたいと願っているのは、明らかでした」と女王は書いた。
「このつらい時に、ご家族と日本の人たちを私は深く思いやり、追悼の意をお伝えします」
イギリスのボリス・ジョンソン首相はツイッターで、「とんでもなく悲しい知らせだ」と書き、安倍元首相が「地図のない時代に示した世界的なリーダーシップは、多くの人の記憶に残る。彼の家族と友人と日本の人たちのことを思っている。この暗く悲しい時に、イギリスは皆さんと共にあります」と追悼した。
アメリカのジョー・バイデン大統領は「衝撃を受けて、激怒して、深く悲しんでいる」とコメント。
安倍氏について、「(日米の)同盟を堅持し、両国の人たちの友情を大切にした」人だったとし、「日本で最も長く務めた総理大臣だった。自由で開かれたインド太平洋への、彼のビジョンは今後も長続きする」としのんだ。
バイデン氏はさらに、「何よりも彼は日本国民を深く大切に思い、その人たちへ仕えるために一生を捧げた」、「襲われたまさにその時も、民主主義の仕事についていた」とも述べた。
「まだ不明な詳細が多いが、暴力的な攻撃は決して容認できない。そして銃による暴力は常に、被害を受けるコミュニティーに深い傷を残すことが分かっている」
「アメリカは、この悲しみの時に日本と共にある。(安倍氏の)家族に限りなく深い追悼の意をお伝えする」
オバマ元米大統領らも
同じ時期の首脳として安倍氏と頻繁にかかわったアメリカのバラク・オバマ元大統領は、「友人で長年のパートナーだった日本の安倍晋三氏が暗殺され、ショックを受けて、悲しんでいる」とコメント。
「安倍元総理は、自分が尽くした国と、アメリカと日本の間の特筆すべき同盟を、非常に大切にしていた」
「同盟強化のために一緒に取り組んだこと、一緒に広島や真珠湾を訪れて心動かされたこと、そして安倍昭恵夫人が私とミシェルに示してくれた思いやりを忘れない」
「ミシェルと私は、つらい思いをしている日本の人たちを思い、深い哀悼の意を送ります」と述べた。
事件発生から間もなく、オーストラリアのケヴィン・ラッド元首相は、「民主主義の支持者に対する攻撃だ」と犯行を批判。
アメリカのラーム・エマニュエル駐日大使も事件発生から間もなく、安倍氏について、「日本の優れたリーダーで、アメリカの揺るぎない仲間」だったとコメント。アメリカは安倍氏の無事を「祈っている」とした。
事件が生んだ疑問と衝撃――ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ東京特派員
多くの人がまず疑問に思うのは、どんな銃が使われ、犯人はそれをどうやって手に入れたのか、ということだろう。
その答えは、自分で銃を作った可能性がある、ということのようだ。容疑者が逮捕された時に撮られた写真には、即席または手製の二連式散弾銃のようなものが写っていた。
日本では銃による暴力は非常にまれで、銃を所有することは極めて難しい。政治的な暴力も、また極めて珍しい。
安倍氏には警備の警察官がついていた。だが犯人は、チェックを受けることも妨げられることもなく、安倍氏から数メートル以内に近づくことができたようだ。
このような著名人の銃撃は、安全を誇りにしている日本にかなりの衝撃を広げている。
 
 

 

●安倍元首相銃撃 容疑者「特定の団体に恨み」計画的犯行か  7/9
安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれ死亡した事件で、逮捕された容疑者が、「特定の団体に恨みがあり、元総理がこの団体と近しい関係にあると思いねらった」という趣旨の供述をしていることが、警察への取材で分かりました。8日昼前、奈良市の大和西大寺駅近くで演説をしていた安倍元総理大臣が背後から銃で撃たれて死亡し、警察は奈良市に住む職業不詳の山上徹也容疑者(41)を逮捕しました。警察当局によりますと、山上容疑者は手製の銃で襲撃したとみられ、これまでの調べに対し「元総理の政治信条への恨みではない」と供述していることが分かっています。その後の調べに対し、「特定の団体に恨みがあり、元総理がこの団体と近しい関係にあると思いねらった」という趣旨の供述をしているということです。また、捜査関係者によりますと、この団体について「母親が団体にのめり込み、多額の寄付をするなどして家庭生活がめちゃくちゃになった」という趣旨の話をしているということです。警察は、団体への恨みをきっかけに、近しい関係にあると思い込んだ安倍元総理大臣が奈良市を訪れることを知って襲撃を計画した可能性もあるとみて、詳しいいきさつを調べています。
自宅からは手製の銃が数丁 計画的犯行か
容疑者の自宅からは事件に使われたものと似た、手製の銃とみられるものが数丁見つかり、警察は計画的に準備した疑いがあるとみています。一方、奈良県警察本部は8日夜開いた会見で、安倍元総理大臣の演説が行われることを警察が把握したのは、前日の7日の夕方だったとしたうえで、「突発的な警護だが、十分に態勢を取れていたと思っていた。警備を用意するだけの時間はあった」と説明しました。現場で警護や警備にあたった警察官の数などは明らかにしていませんが、「警護の責任を有する警察として安倍元総理大臣が遊説中に死亡したことを重大に受け止め、警護・警備態勢に問題があったか確認を進め、問題があれば適切に対応する」として、今回の対応について検証を行う考えを示しました。
容疑者と同じ階に住む女性「印象はあまりない」
奈良市の集合住宅で容疑者と同じ階の部屋に住む20代の女性は「容疑者とはエレベーターなどですれ違い、おじぎしてあいさつする程度でしたが、マスクもしているので、印象はあまりないです。不審なにおいや音が聞こえてくることはありませんでしたが、ニュースを見てとても怖くなりました。昨晩も、警察から急に避難を呼びかけられてすごく不安でした」と話していました。
容疑者の下の階に住む女性「悩み事でもあるのかなと思った」
また、容疑者の下の階の部屋に住む60代の女性は「報道で容疑者の写真を見て、エレベーター前ですれ違った人だと感じた。事件の3日前にあいさつしたら向こうは会釈もなかった。何か悩み事でもあるのかなと思った。元総理大臣が襲撃されるという歴史的な事件で、身近に犯人がいたというのはすごく怖い。部屋に爆発物が残っているおそれがあったと聞き本当に驚いた」と話していました。
5月まで勤務していた会社関係者“周囲と衝突し欠勤増”
山上容疑者がことし5月まで勤務していた会社の関係者によりますと、容疑者は京都府内の工場でフォークリフトを操縦する仕事にあたっていたということです。この会社が大阪の人材派遣会社に対し「フォークリフトの操縦資格を持っている人を派遣してほしい」と依頼したところ、容疑者を紹介され、おととし10月から派遣社員として働き始めました。採用面接では、真摯(しんし)な受け答えをするという印象を持ったということです。容疑者は工場でフォークリフトを使った製品などの積み降ろしの作業にあたり、入社後の半年間は勤務態度に問題はなく、好印象を抱いていたということです。しかし、その後は、作業を手順通りに行わなかったり製品を雑に扱ったりするケースが目立ち、ことし1月ごろにはトラックの運転手と言い争いになったほか、3月末ごろには同僚に強い口調で反論するなど周囲との衝突を繰り返しました。そして、4月初旬から欠勤が増え始め、4月下旬には「体調不良で退職したい」と会社に申告し、有給休暇を消化したあと、5月中旬に退職したということです。会社の関係者は「容疑者は会社の中で親しい間柄だった人はいなかったようです。事件の話を聞いたときはとても驚きました。暴力で物事を解決することはあってはいけないことだと思います」と話していました。
警察庁 警備態勢や当時の対応を検証
事件を受けて、警察庁は警備態勢が十分だったかどうかなど当時の対応について検証することにしています。安倍元総理大臣は8日、奈良市で演説をしていた際に背後から銃撃され、搬送先の病院で死亡しました。警察庁によりますと、当時の安倍元総理の警備については、奈良県警察本部の警備部参事官をトップとする態勢で、奈良県警が警備計画を作成したということです。一方、現場には奈良県警の警察官のほか、警視庁警護課のSPもいました。警察庁は具体的な人数などを明らかにしていませんが、警備関係者によりますと、SPについては1人が専属で配置され、奈良県警の私服の警察官なども含めると合わせて数十人の態勢だったということです。現場では周囲を360度警戒し、元総理の後ろ側にも警察官が配置されていたということです。しかし今回、元総理への銃撃を防ぐことはできませんでした。沿道にいた人が当時撮影した動画では、容疑者が元総理の斜め後ろからゆっくりと歩いて近づく姿が写っていますが、銃声が鳴るまで警察官が制止する様子は確認できません。一方、警備関係者は、選挙の遊説では多くの有権者が集まるうえ、候補者などが有権者となるべく触れ合おうとするため、警備が難しい面があるとしています。今回の事態を受けて、警察庁は警備態勢が十分だったかどうかなど、当時の対応について検証することにしています。また、全国の警察に対し、要人の警備をさらに強化するよう指示しました。
専門家「警備に抜けがあったと言わざるをえない」
今回の事件について、警視庁警備部の特殊部隊に所属した経験があり、要人の警備などに詳しい元警察官の伊藤鋼一さんは「当時の映像を見るかぎり、事件の前に容疑者がバッグを持って周囲をうろついたり、安倍元総理大臣に直線的に向かって行ったりする様子が見て取れる。このような場合、通常は不審な人物を現場から遠ざけたうえで職務質問し、所持品を検査するのが鉄則であることを考えると、今回は警察官どうしの連携ができておらず、警備に抜けがあったと言わざるをえない」と指摘しています。そのうえで、「当時、どのような警備態勢だったかは今後の検証で明らかになると思われるが、要人の警備は100%でなければならず、1%のミスも許されない。わずかでも危険があれば排除することが重要で、残念な結果となってしまった」と話していました。
●「宗教団体の名前を伏せる」「各局揃って喪服」…安倍元首相銃撃事件報道 7/9
元テレビ朝日ニュースデスクが解説
安倍晋三元首相が殺害されるという衝撃的な事件が起きた昨日、テレビは当然のことながらその事件報道一色に染まった。「襲撃されて心肺停止状態」という第一報から、テレビ東京系列を除きほぼ全ての通常編成の番組は予定を変更して特番となり、深夜まで繰り返し安倍元首相殺害関連の事件に関するニュースのみが放送された。
元首相殺害は断じて許されない。非難すべき犯罪だ。しかし、今日という日は選挙の前日でもあり、私たちはこの事件を冷静に捉える必要もある。そういう意味でも、テレビ報道に関しておかしなことはなかったのか、分析しておく必要があると考えた。
長年テレビ報道に関わってきた筆者が、テレビ報道に感じた「違和感」をみなさまに伝えることにわずかなりとも意義があると思い、この文章を書くことにした。感じた「違和感」はいくつかある。
   (1) なぜ「宗教団体」の名前を明かさないのか
安倍元首相を銃撃した元自衛官・山上徹也容疑者は、その犯行動機として「特定の宗教団体に恨みがあり、その宗教団体と関係がある安倍元総理を狙った」と供述していると報じられている。
ひとつ目の疑問点は、この「宗教団体」の名前をなぜ明らかにしていないのか、である。この点についてテレビニュースの制作者として類推すると、考えられる可能性はふたつある。
ひとつは「警察が団体名を発表しておらず、取材でも明らかになっていない」つまり「テレビ局側も知らない」可能性。供述は警察署の中でされているのだから、原則的に警察側からの情報がなければ宗教団体が明らかになることはない。あとは容疑者の周辺を取材して、聞き込みから関連のある宗教団体を割り出していくしかない。
もうひとつの可能性としては、テレビ局は宗教団体の名前をすでに知っているが、なにがしかの配慮で報道していない場合。この場合、どういう配慮が働いている可能性があるのか。
考えうるとすれば、局として「宗教団体側には何も責任がないから」ということに配慮して、もう少し供述内容が明らかとなって宗教団体と犯行動機との関連性が深まるまで様子をうかがっている可能性だろうか。
あるいは、「安倍元首相とその宗教団体との関係がはっきりしない」ということに配慮している可能性だ。変にその宗教団体の名前を出すことによって「安倍元首相はあの宗教と関係があったのか」と思われてしまう可能性を恐れているのかもしれない。
「配慮や忖度」があれば真相解明は遠のく
しかし今回の場合、事件の犯行動機は「宗教団体への恨み」と報道されているから、この団体の名前を明らかにし、またその宗教団体に取材をしなければ事件の真相解決にはつながらない。そこにもし「配慮や忖度」が働いているとすれば、それは少しおかしいのではないかということになる。
やはり本来であれば宗教団体の名前を明らかにし、宗教団体側の取材もきちんと行ってその内容も併せて報道し、もし安倍元首相とその宗教団体との関係が明らかでなければ、その旨もきちんと報道すれば良いだけのことである。
   (2)今回の事件は「言論の自由や民主主義への挑戦」という問題? 
きのう各局の特番を見ていて気になったのが、「この事件は言論の自由を奪おうとするものだ」とか「民主主義への挑戦だ」というフレーズが多用されていたことだ。
たしかに、この事件への受け止めをインタビュー取材された政治家のみなさんがそう答えるのは至極当然だ。一般的に外形的に捉えれば、「選挙期間中に、選挙の応援演説をしていた元首相が殺害された」わけだから、まさに言論の自由の封殺であり、民主主義への挑戦であると言うべきだろう。
しかし、スタジオにいるコメンテーターや解説委員など「伝える側」まで、このフレーズを繰り返し述べていたのは、本当にそれで良いのだろうか。
もしこの事件の犯行動機が「特定の宗教団体に恨みがあり、その宗教団体と関係がある安倍元総理を狙った」ということならば、本当にそれは「言論の自由を奪おうとすること」であり「民主主義への挑戦」なのか? というところがひとつ疑問として浮かぶ。
「宗教団体へ個人的な恨み」が犯行動機であれば、それは個人的な怨恨による犯行だと言ったほうが適切かもしれない。だとすれば、安倍元首相を殺害するのはほぼ「逆恨み」であると言って良いだろう。
ましてや、安倍元首相とその宗教団体にそれほど関係がなかったとすればなおさら、「安倍元首相は何の落ち度もなかったのに逆恨みで殺害された」ということになり、これはこれで断じて許されないが、果たして「言論の自由の封殺」や「民主主義への挑戦」であったのかというと、議論の余地も出てくるのではないか。
とにかく今は「選挙期間真っ只中」であり、そういう意味では報道機関には冷静で公正な政治に関する報道姿勢が望まれる。
そういう意味で、動機がはっきり分からない中で、局サイドまで「言論の自由と民主主義に対する許し難い犯行だ」と断定してしまっているかのような報道姿勢は、それでよいのだろうか。
テレ東以外は横並び
   (3) 事件の報道時間が長すぎる
さらに、気になるのは昨日、事件の放送時間が長すぎはしなかっただろうか? ということだ。テレビ東京を除く各局とも、ほぼ事件発生時から夕方のニュースそして深夜のニュースが終わるくらいまで、すべて特番編成をしてこの事件について放送したが、それは適切だっただろうか。
確かに元首相の殺害事件であるから、ことの重大さから言えば当然特番を編成するのに十分値するのは間違いない。しかし、報道特番を編成するにはその「重大性」とともに「更新される情報量」も考慮されなければならない。
ニュースには「更新される情報量の多いもの」と「少ないもの」がある。
例えば、台風や地震などの自然災害は「更新される情報量の多いニュース」ということができる。刻々と降水量などの情報は変化し、被害状況も変わっていくからだ。
あとは例えば被害者が多い事件・事故なども「情報量の多いニュース」だろう。刻々と死傷者が見つかったり、その容体が変化したり、救助や原因解明などが進む場合には、特番を編成して伝える事項がたくさんある。
しかし、昨日はどうだっただろう。安倍元首相は17時頃にはお亡くなりになっていた。
事件の発生状況も、衆人環視のもと行われた犯行だから謎は少なかった。犯人は既に逮捕されていた。となれば、実は夕方のニュースが終了した19時頃にはすでにニュースとしては「動きは比較的落ち着いていた」ということができる。
「事件本筋」で更新されるとすれば捜査当局の取り調べ状況くらいだが、逮捕直後で夜間でもあるので、さほどの更新頻度は明らかに望めない。夫人も既に病院に駆けつけていたから、それほど親族の動きもなさそうだ。となると、せいぜい放送できるのは、「事件発生状況のまとめ」と「各界および各国の反応」と「これまでの安倍元首相の振り返り」くらいだろう。
撃たれる映像が繰り返し流れる
これで、ゴールデン・プライムタイムの時間を全て埋めなければならない。いくら、警察署や事件現場、そして安倍元首相の自宅前などから生中継をしても更新される情報は乏しい。
となると、繰り返し事件発生当時の視聴者提供映像や写真などを流すしかない。そうすると、繰り返し安倍元首相が銃器で撃たれる前後の映像が流されることになる。これは結果的に、視聴者に恐怖の感情や不安感を植え付ける。中には衝撃的な映像を繰り返し見てショックを受け、トラウマのようになってしまう人も出てくることになりかねない。
さらに、時間を埋めるためには繰り返し色々な人のインタビューを流さざるを得なくなる。そうすると当然のこととして「安倍元首相を賞賛し、死を悼む声」ばかりが集まることとなる。なぜならいくら日頃対立関係にあろうと、安倍元首相のことが本音では嫌いであろうと、凶弾に倒れた直後に否定的なことをカメラに向かってインタビューで答える人はいないからだ。
そうすると意図しなくても、結果的に「安倍元首相を褒め称える」側面ばかりを強調することになってしまう。
参院選投票日の直前なのに、である。通常時ならまだしも、選挙期間中であるわけだから、こうした「偏った意見ばかりを放送する」ことに、放送局は一番気をつけなければならない時期のはずなのに、である。
さらに、「これまでの安倍元首相の足跡をまとめたVTR」にしても、編集に時間はかけられず、慌てて編集したものだからどうしても内容は表面的な浅いものになってしまう。有識者などに分析してもらうようなインタビューをとることも、そんなにはできない。
しかも、こういう特番で振り返りVTRを長時間放送することには「ライブ感がない」ということで、プロデューサーなどにも抵抗感があるから、どうしてもVTRは短めになってしまう。
結果、「安倍元首相を誉めている内容」ばかりが目立つ数時間となってしまう。これであれば、いっそ夕方のニュースや夜のニュースなどで、きちんと更新情報を伝え、その間は通常編成の番組を放送したほうが良かったのではないかと私は思ってしまった。
安倍元首相の死は大ニュースだから、改めてきちんと後日特番を放送すれば良かったのではないかと思えてならないのである。
喪服を着るべきニュース
   (4)各局揃って「喪服」はやり過ぎでは
そして最後に気になったポイントは、細かいことかもしれないが、各局揃ってキャスターたちが「喪服」を着ていたことである。ぶっちゃけ安倍昭恵夫人ですらまだ喪服を着ていない昨日の時点で、「各局横並びでキャスターが喪服」だったのは視聴者の目にはどう映ったのだろうか。私は正直、若干の違和感を感じてしまったのである。
私の経験で言うと、ニュース番組のスタイリストはどの番組でもほぼ必ず「色目が地味なコーディネイト」と「喪服」を必ず用意している。いつどんなニュースが発生するか分からないから、「派手な色味を避けるべきニュース」が発生したら地味な衣装を、そして「喪服を着るべきニュース」が発生したら喪服をいつでも着られるように準備しているわけだ。
どんな判断が下されたのか
では、昨日の場合はどう考えるべきか。果たして安倍元首相が殺害されたというニュースが「派手な色味を避けるべきニュース」だったのか「喪服を着るニュース」だったのかという判断の問題になると思う。
一般論で言うと、通常、有名人が亡くなったからと言って「喪服」を着ることはニュース番組ではまずない。では、多数の人が亡くなった場合などはどうか? 例えば最近で言えば「知床の遊覧船事故」の際にキャスターは喪服を着ていただろうか? 私の記憶では、多分着ていないと思う。
喪服を着るのは、例えば「追悼番組」のような場合に限られるのではないか、と私は思う。あまり通常「ニュース番組でキャスターに喪服を着させる」という判断はしにくいのではないかとニュース番組のプロデューサー経験者として思うのだ。
果たして、昨日の場合、どのような判断があって各局ほぼ「喪服」ということになったのか。なぜ「知床の事故では喪服ではなかったのに、安倍元首相は喪服だったのか」を放送局関係者はどう説明するのだろうか。みなさんの目には「横並びの喪服」はどのように映っただろう。
さて、テレビニュースの関係者として、「安倍元首相殺害事件報道」に関する「気になったポイント」をお伝えしたが、このことをみなさんはどのように受け止められるだろうか? 
多分お考えは人それぞれだろうが、明日は参議院選挙の投票日だから、こうしたことも頭の片隅に置いてぜひ投票に行かれてほしい、と私は願っている。
●安倍元首相を撃った山上徹也が供述した、宗教団体「統一教会」の名前 7/9
安倍氏と統一教会の接点
安倍晋三元首相(享年67)を街頭演説中に銃撃し、殺害した山上徹也容疑者(41歳)の供述が、少しずつ明らかになってきている。大手メディアが報じない供述の内容を、以下、明かそう。
山上容疑者は「宗教団体のメンバーを狙おうとしたが、難しいと思い、安倍元総理を狙った」と報じられてきたが、この宗教団体は、旧・統一教会(世界平和統一家庭連合)である。かねてより霊感商法や集団結婚で話題になってきた新興宗教だ。
山上容疑者は「自分の母親が統一教会の信者で、安倍晋三が統一教会と親しいと知って狙った」と供述している。
なぜ山上容疑者は、統一教会と安倍氏と接点があると考えたのか? 統一教会系の政治団体「国際勝共連合」は、1968年に創設された保守系グループであり、自民党の保守系議員とも密接な関係があると言われる。ネット上では、かねてより安倍氏と勝共連合の関係が取り沙汰されてきた。
統一教会と敵対関係にある日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」では、昨年9月12日、旧統一協会系の天宙和連合(UPF)の集会に安倍氏がオンラインで出席し、「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」と発言した模様を報じている。
保守系政治家の雄であった安倍氏と統一教会との接点は、かねてより永田町関係者では公然の秘密だった。たとえば安倍氏と近いある参議院議員の場合は、「統一教会丸抱え」と言われるほどの密接の関係にあり、統一教会幹部も「あの議員はうちの票で当選できている」と認めるほどだった。
山上容疑者の自宅では拳銃2丁以上が押収され、爆破物を複数製造していたことも明らかになった。自宅のワンルームは火薬の匂いが立ち込め、さながら町工場のように、爆発物などの製造に使う薬品、鉄くずなどが散乱していたという。
「もともと爆発物で安倍氏を殺害しようとして製造したが、これでは無理だと銃に変更し、今年の春には完成させたと供述している。
今回使用した銃は、2つの鉄パイプを粘着テープでつないだものだった。二度発砲ができるもので、激しい殺意が見られる。山上容疑者も、殺害するつもりだったと物静かに語っている」(捜査関係者)
20年前の母親の破産
「統一教会と安倍が親しいので狙った。殺してやると銃を持ち出した。ネットで毎日、参院選の予定を調べていて、奈良にきたのでチャンスだと思った」
「政治的な意味合いで狙ったのではない」
「自宅でこれまで、拳銃、爆発物など複数作っていた。インターネットなどから、調べて作った」
などと山上容疑者は供述しているという。なぜ統一教会に恨みを燃やしたのか、今のところは供述からは明らかになっていない。
ただ山上容疑者の母親がかつて統一教会の信者であり、大量の寄付をしていたこと、おそらくはそれが理由で2002年8月21日に破産宣告を受けていることが明らかになっており、家族が崩壊したことへの何らかの恨みを統一教会と安倍氏にぶつけた可能性がある。
捜査関係者が語る。
「母親は熱心な統一教会の信者で、今も現役のようだ。山上容疑者は母親と統一教会の関係が家庭崩壊につながったと憎悪を募らせ、犯行に及んだと供述している。母親については調べを進めているが、かなり熱心な信者であったとみられる。
犯行前日には、安倍氏が岡山県で演説をすると知り、追いかけて行っている。パソコンやスマホには拳銃、爆発物を検索した履歴がかなりある。計画的な銃撃とみられるが、意味が通じない供述もある」
自民党幹部は語る。
「最大派閥、安倍派を牛耳る安倍氏が亡くなった、次のリーダーがはっきりしない安倍派は迷走するかもしれない。これまで安倍派だった下村博文、西村康稔、世耕弘成、萩生田光一といった有力者は、みな安倍氏がいるから大人しくしていた。だが、その軛が外れると大変だ。岸田政権の誕生は安倍氏と麻生氏のタッグのおかげだったが、そこにひびが入れば、岸田氏もウカウカしていられない状況になる。参院選は安倍氏の銃撃で同情票がくるので圧勝だろうが、党内抗争になる可能性がある」
●「無念」「冷静さ必要」 安倍元首相死去、SNSに各界から悼む声 7/9
安倍晋三元首相が参院選の街頭演説中の8日に銃撃されて死亡した事件を受け、ツイッター上では9日にかけて、各界の著名人から安倍氏を悼むコメントが寄せられた。10日の参院選投開票が迫るタイミングでの痛ましい事件に衝撃が広がる中、冷静さを保つよう呼びかけるツイートもあった。【デジタル報道センター】
音楽プロデューサーのつんく♂さんは8日夕、「残念無念すぎます。こんな事があっていいのか。悔しすぎます。心の奥底よりご冥福をお祈りいたします。安倍元総理、本当にありがとうございました」とツイートした。
放送プロデューサーのデーブ・スペクターさんは8日夕、「たびたびお会いした安倍さんはいつも楽しく話して頂きました。歴史に残る政治家が失われて残念です」と悼んだ。
事件に過度に動揺しないように訴える投稿もあった。人気ロックバンド「氣志團」の綾小路翔さんは8日夕、「痛ましい事件に心がざわついている人も多いと思うけど、そんな人こそまずは外行って大きく深呼吸して、ゆっくりお風呂浸(つ)かるなり、美味(おい)しいご飯食べるなりして、何なら今日はさっさと寝ちまうと良いよ。で、しっかり頭クリアにして、いよいよ明日/明後日はこの国の未来の為(ため)に投票に行こうぜ」と呼び掛けた。
タレントのラサール石井さんは8日夕、「慎んで哀悼の意を表する。悪口も沢山(たくさん)書いたが、けして死ぬべき人ではなかった。もちろん死ぬべき人間など誰もいない。最悪だ。何故防げなかったのか。日本中のネジが緩んでいる」と投稿。政治的主張の違いを超え、安倍元首相を惜しんだ。
スポーツ界では、サッカー元日本代表の本田圭佑さんが9日未明、安倍元首相と握手する写真をアップし、英語で「Sorry but I'm sad(申し訳ないですが、私は悲しいです)」と悲しみのメッセージを添えた。
2016年リオデジャネイロ五輪体操金メダリストで「ひねり王子」の愛称で知られる白井健三さんは8日夜、「お会いした時の『おめでとうございます』『あのひねりは何が見えてるの?』という優しい口調はいつまでも忘れません」とエピソードをつぶやいた。
政界などからも哀悼する投稿が相次いだ。菅義偉前首相は8日夜、「選挙活動という民主主義の根幹を否定する極めて卑劣な行為は決して許されず、強い憤りを覚えています。明日は参院選の最終日ですが、日本の民主主義を守り、発展させるためにも、安倍元総理の想(おも)いを受け継ぎ、最後まで全力で戦い抜く決意です」と怒りをあらわにした。
小泉純一郎政権時代、安倍氏とともに閣僚を務めるなどした竹中平蔵・慶応大名誉教授は9日未明、「卑劣極まりない行為に、怒りと悲しみが交錯します。本当に、話していて楽しく、同時にいつも示唆に富む話をされる、偉大な政治家でした」と功績をたたえた。
安倍氏と生前、論戦を交わした立憲民主党の枝野幸男前代表は8日夕、「政治的立場を異にしましたが、暴力によって命を失われたことは、許しがたく、悔しく、残念でなりません」と悼んだ。
国際政治学者の三浦瑠麗さんは8日夕、「歴史に大きく名を残しましたが、このような形で人生の幕を閉じるとは思いませんでした。いや、その危険を常にご本人は自覚し、引き受けて生きておられたのかもしれません。意味のわからないほどの憎しみを引き受けるというのは勇敢な行為です。政治家として華のある、優しい方でした」と投稿した。
新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は8日夜、「死去の報を受け安倍さんに酷いことを言っている人がいます。その酷いことを言っている人たちに対して酷いことを言っている人がいます。誰に対しても誹謗(ひぼう)中傷はやめましょう。冷静さが必要」と呼びかけた。
神戸女学院大名誉教授で思想家の内田樹さんも8日夜、「テロリズムが目指すのは何よりも『憎悪の増殖』です。この事件を奇貨として『増しみの対象』を増殖させようとすることはテロリストの願いを実現させることです。『だから…を憎むべきだ/…を排除すべきだ』という話型には最大限の警戒が必要です」とツイッターで指摘。平静になることの大切さを伝えた。
●田崎史郎氏、涙こらえ「もう電話しても応答ない」「本当に無念で悔しい」  7/9
政治ジャーナリストの田崎史郎氏が9日放送のTBS「情報7daysニュースキャスター」にVTR出演し、安倍晋三元首相への思いを語った。
通常午後10時放送の同番組は8日に奈良市で安倍元首相が銃撃され、死亡した事件を受け、1時間前倒しで放送。銃撃事件のニュースを特集する中で、これまで安倍元首相に対して精力的に取材を重ねてきた田崎氏がVTR出演した。
「僕にとっては安倍さんが総理に復帰して以降、半年に1回ぐらい食事をずっとしてきて、1カ月に2、3回は電話を差し上げてた。僕はいつも国政選挙の時は投票日の午前中に安倍さんに電話していくことにしていて。ここ10年近く」と安倍元首相との関係性を語った。
また「今度電話しようと、この土日にはと思ってた。でも、もう電話しても応答ないですよね」と涙をこらえ、「本当に無念で悔しいです」と言葉を振り絞った。  

 

●「前日の朝、宗教団体の施設撃った」 襲撃向け試射か 7/10
自民党の安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職の山上徹也容疑者(41)が「7日の早朝に宗教団体の施設を撃った」と供述していることが10日、捜査関係者への取材で分かった。襲撃に備え銃を試射した可能性がある。
捜査関係者によると、撃ったのは山上容疑者が「母親が多額の寄付をして恨みがあった」と供述する宗教団体の奈良市内にある施設。安倍氏を襲ったのと同じ銃を使い、「音が大きくて慌てて逃げた」という趣旨の説明をしている。
山上容疑者は施設を撃った後、7日夜の岡山の演説会場に足を運んだが襲撃を断念。同日夕に安倍氏が8日に奈良に入ることが急遽(きゅうきょ)決定していた。
一方、同団体は10日、母親が信者として在籍していると明らかにした。金銭トラブルはないとしている。
また、安倍氏を撃った銃について、山上容疑者が「一度に6発の弾丸が発射される仕組みだった」と供述していることも判明。金属製の筒2本に各6発の弾丸が込められ、一度の発砲で1本の筒から全ての弾丸が飛び出す構造だった。
奈良県警は10日、容疑を殺人未遂から殺人に切り替え送検した。
●元首相狙撃・山上徹也と「統一教会」の関係を同級生たちが証言! 7/10
奈良市で安倍晋三元首相が銃撃され、命を失ってから2日あまりが経つ。7月10日、参議院選挙の投票がはじまって間もない午前9時過ぎ、山上徹也容疑者が勾留されている奈良西署を出て奈良地検に送検された。
警察官に囲まれて車両に案内される山上容疑者の顔には、犯行時にかけていた眼鏡はなく、終始無表情のものだった。
戦後最長の政権を率いた大物政治家を銃撃し、殺害した事件は、今も日本社会に衝撃を残したままだ。だんだんと明らかになってきた山上容疑者の最新の背景を記そう。キーワードは2つ、「銃」と「統一教会」だ。
山上容疑者は、2020年10月から京都府内の工場でフォークリフトの運転士として仕事をしていた。奈良市の自宅からバイクで通い、まじめに勤務をしていた。ところが今年に入って「異変」がみられるようになったという。
勤務していた工場関係者が証言する。
「仕事を手順通りにしない、同僚と口論になるなど、態度に変化がみられました。
3月に入ると、フォークリフトからトラックに荷物を積む際に、緩衝材を使うかどうかで先輩社員とトラブルになり、『それならお前がやれよ』などと暴言を吐くようになった。仕方なく先輩スタッフが積み込みを代わってやらざるを得なくなったのです。
やがて無断欠勤も増え、『心臓がおかしい』などと言って、週に1〜2回休むようになった。
社内でも契約更新の話が出始めた4月はじめに、山上本人から『5月で退職させてほしい』と派遣会社に申し入れ、期間満了で退職しました」
山上容疑者の住んでいた奈良市内のワンルームマンションからは、安倍元首相の殺害に使用したのと同タイプの手製の銃や手製の爆弾が複数発見されている。また、部屋の木の板には銃痕が残っていた。
取り調べで、山上容疑者は「爆弾で殺害しようと思ったが銃に切り替えた。今年春には銃が完成していた」と供述しているが、これは前述した工場で態度が乱暴になった時期と一致する。
これまで供述で明らかになっている「銃」について、捜査関係者が語る。
「山上容疑者は、今年になってから鉄パイプを使って銃や弾を密造しはじめたと話している。押収物の中には、1度引き金を引けば、1つの筒から6発の弾が発射される殺傷能力が高い銃があった。犯行に使ったものも、1度に複数の弾が発射されていたようだ。2つの筒が見つかっており、最低でも6つ程度の弾が安倍元首相に向けられたとみている。
また自宅では木製の板で銃の試し撃ちをしていた。愛車の軽乗用車で、奈良県内の山間まで出かけては、弾が打てるかどうかの実射実験もしていたようだ。それがうまくいくと、奈良市内の統一教会の関連施設にも行って試し撃ちをしていたという。
銃の部品はインターネットやホームセンターで入手していたと供述している。山上容疑者は『安倍元首相に弾が出てよかった』という趣旨の話もしており、銃の密造に成功したことを満足気に語っていて、銃への執念を感じる。
一方で政治に詳しいような様子はあまりない」
母親は「韓国に行きたい」と
そこまでして、山上容疑者は安倍元首相に恨みを募らせていた。動機は「現代ビジネス」が7月9日に報じたとおり、母親が統一教会(現・世界平和統一家庭連合)にのめりこんで多額の寄付を行った結果、家族崩壊したことである。
母親の知人は「現代ビジネス」にこう証言した。
「山上君の母親と父親(後に死亡)の折り合いは、もともと悪かったんです。お母さんは、いつしか統一教会に入信して熱心に信仰するようになった。奈良の統一教会に頻繁に出かけて、とても熱心でした。どうも何日も家を空けるようなこともあり、霊感商法のようなことにもかかわっていたそうです。『いくらお金があっても足りない』『韓国にも行きたい』と言って、家を顧みない感じでした」
統一教会は、今も母親が信者であることは認めている。そんな母親に対して、山上容疑者は、周囲の知人にはこう口走っている。
「統一教会のせいで、家がおかしくなった」
「家にカネがなくてどうにもならない」
それと同じくして、山上容疑者が20歳のときに母親が破産をした。そこで転居を余儀なくされた。この破産は、統一教会に対する過剰な献金が原因ではないかと、山上容疑者の同級生らは見ている。
山上容疑者の中学時代の同級生がこう語る。
「卒業アルバムの通り、こてつと呼ばれていて、おとなしいけれど親しみやすい奴だったんです。口数は少ないのにニコニコしていてね。ところが年を重ねるにつれ、ふさぎ込むようになった」
山上容疑者は、奈良県内の進学校・郡山高校から、京都の名門・同志社大学工学部に合格したものの、そこで母親の統一教会問題によって人生を変えられたとみられる。高校の同級生はこう語る。
「母親が、金を統一教会に使い込んで、学費が払えず、中退を余儀なくされたと聞きました。それで大学を途中でやめてしまったと思う。山上は飄々ととしていて、口数は多くはないが悪い奴じゃない。それがおかしくなり、「統一教会がなければ」と恨みを口走るようになってからは、人付き合いを一切しなくなったんです。
自宅でも母親と大声で怒鳴りあい、近所の人が何事かと駆けつけたこともあったと聞きます」
統一教会といえば、「合同結婚式」「霊感商法」「政治家とカネ」といった様々な話題が社会を賑わせてきた新興宗教だ。山上容疑者が起こした前代未聞の事件の背景には、統一教会の存在はどの程度影響を及ぼしたのか。統一教会は7月11日午後に都内のホテルで記者会見を開き、反論を展開するとみられている。
「銃」と「統一教会」という事件の闇は、今後どう解き明かされていくのか、その展開は見逃せない。
●山上徹也容疑者、中学時代のあだ名は“こてつ”「成績バツグン」 7/10
奈良市内で参院選の街頭演説中に安倍晋三元首相(67)が銃撃され、死亡した事件で、奈良県警は10日午前、殺人未遂容疑で現行犯逮捕した元海上自衛官の無職山上徹也容疑者(41)を殺人容疑に切り替え、奈良地検に送検した。
山上容疑者は奈良市内で育った。中学の同級生は「頭が良かった」と話し、高校の同級生らは「人見知りの一面も」と評した。
中学時代はバスケットボール部に所属。小柄だったが運動神経がよかったという。あだ名は「徹也」からとった「こてつ」。中学校の卒業アルバムの写真には氏名の下には「こてつ」。このニックネームを本人も気に入っていたようだという。同級生は「成績がバツグンだった」と話した。
高校は奈良県内有数の進学校である県立高校に進学した。同級生の女性(41)によると、応援団に所属していた。「おとなしくまじめ。ちょっと人見知りの一面もあった」と振り返った。卒業アルバムの自身の将来を記載する欄には「わからん。」としていた。
03〜05年、海上自衛隊に所属。山上容疑者は、20年10月から派遣社員として京都府内の工場でフォークリフトで倉庫の荷物を運ぶ仕事をしていた。工場の責任者によると、フォークリフトの免許を持っており、派遣会社へ支払っていた時給は1800円。遅刻や欠勤もなく、まじめな仕事ぶりだったが、半年が過ぎたあたりから仕事の手順を巡り、同僚らとトラブルが発生。今年3月には年上のベテランと激しい口論になり、同月末ごろから週に1〜2回欠勤するように。「心臓の調子が悪い」などと訴え、5月15日付で退職した。責任者は「仕事の会話はあったが、趣味や経歴などプライベートはいっさい話さなかった」と振り返った。
●「母親が宗教に傾倒し、大病を患う兄が自殺」 山上徹也容疑者が自殺未遂 7/10
「入信した母が破産した後も団体に金を納め続けていたため、許せなかった」(山上徹也容疑者の供述)
近鉄大和西大寺駅前で8日、応援演説のため壇上に登った安倍晋三元首相(67)が背後から狙撃され、死亡した事件。犯行直後に殺人未遂容疑で逮捕されたのは、現場からほど近いマンションで一人暮らしをする山上徹也容疑者(41)だった。
事件前の足取りで見えてきた“明確な殺意”
奈良県警は10日、殺人未遂容疑から殺人容疑に切り替え、山上容疑者を奈良地検に送致した。その後の警察の捜査で、新たにインターネットで部品や火薬を調達して周到に自家製銃を作り上げていたほか、押収した山上容疑者の車から、試し撃ちに使ったとされる複数の穴が開いた木板が発見されたことが判明。犯行前日の7日夜にも、岡山市の応援演説会場付近を訪れ狙撃の機会を狙うなど、決して衝動的とは言えない、“明確な殺意”があったことがわかってきた。
「政治信条に対する恨みではない」
それが犯行当初からの一貫した山上容疑者の供述だったが、謎に包まれているのは「ある宗教団体に恨みがあり、元首相と団体がつながっていると思い込み犯行に及んだ」とする動機だ。元首相を殺害するまでに山上容疑者を駆り立てた憎悪とは、一体何だったのか。背景には、幼少期からつきまとう“死の影”があったようだ。
捜査関係者が話す。
父が急死、母親は宗教に傾倒し破産、兄は自殺…
「山上容疑者には厳しい家庭環境で育ったようです。親族によると、もともと父は名門大学の工学部を卒業後、自分で建築会社を経営する裕福な家庭でした。しかし山上容疑者が5歳の頃に急死。そこから一家の暗転が始まります。悲しみを和らげるためか、母はある宗教団体にのめり込み、お金の使い込みが激しくなっていったのです。山上容疑者の祖父の死後、母は祖父が経営していた会社を引き継ぎましたが、その金も宗教団体に使い込んでいきました」
結果として、山上容疑者の母は2002年、自己破産をするまでに追い込まれてしまう。山上容疑者の母が所属していた宗教団体への恨みは相当根深かったようだ。捜査関係者が続ける。
「山上容疑者は歳の近い兄と妹がおり、3人兄弟でした。しかし母が宗教に金を使い込んだ結果、兄妹は食べるにも困る生活を送っていたようです。山上容疑者は県内屈指の名門進学高校に進学しながらも兄同様、大学には通えず専門学校に進学することになりました」
追い打ちをかけた大病を患う兄の自殺
母親の宗教への傾倒による生活苦――。そして山上家に追い討ちをかけたのが、兄の自殺だった。
「兄は大病を患い、長年治療に苦しんでいました。ですが、母親は宗教団体への献金や行事参加にのめり込み、一家は借金苦に喘いでいた。その結果、疲れ果てて、ついに兄は自殺に追い込まれてしまったのです。山上容疑者には相当ショックだったと思います。山上容疑者自身もこうした生活に相当苦しんでいたようで、海上自衛隊時代には自殺未遂の過去があるようです」(前出・捜査関係者)
亡くなった兄の同級生が明かす。
「山上くんの家へ遊びに行ったことがありますが、お母さんはとても優しい人でした。もっと言うと優しすぎるお母さん。お兄ちゃんには特に甘くて、なんでも買い与えていました。彼が大病を患っていたとは知りませんでしたが、頭が陥没していたり話し方がゆっくりだったりして、何かしらの障害はあるんだろうなとは思っていました。勉強もあまりできるほうではなかった印象ですが、日常生活に困るほどではなかったと思います。普通に高校にも進学してましたから……」
高校時代の友人によると、学生時代は応援団と文芸部に所属し、口数が少なかったという山上容疑者。学生時代の知人や職場関係者からは「真面目で静か」といった声が多いものの、昨年からは職場の上司の指示にたびたび反抗するなど、犯行の前触れを思わせる精神の安定を欠いた状態だったという。
事件直前に“☆1の恨み節レビュートラブル”
犯行直前にも、こんな近隣トラブルがあったという。山上容疑者の自宅付近のレストラン従業員が「事件が起きた時に『あの時の奴や』と驚きました」とこう明かす。
「6月19日昼、見知らぬ男が黒の軽自動車をレストランの駐車場に無断で停めていたのを見つけ、オーナーが注意したんです。その場では『すみません』と立ち去っていきましたが、夜になると店のGoogleのレビューに書き込みがあったんです」
レストラン従業員が「見かけてすぐに撮った」というレビューのスクリーンショットには、匿名でこう書き込まれている。
《定休日だったこの店の駐車場を10分ほど初めて拝借すると、そこに自転車で通りがかった店主が「そこウチの駐車場なんですけど?」 知っとるわ》
《これから(店の車が路駐しているのを)見かけたら必ず言うようにするわ》
「☆1の恨み節満載のレビューでした。実際に翌朝、店の裏口で荷物を積んでいたら、黒のポロシャツにスウェットのようなズボンを履いた男性がつかつかと歩み寄ってきて、『車、邪魔や』と小さな声で言い残し、去っていきました。突然のことでしたから、怖かったし驚きました。その後、本人が消したようで、そのレビューは消えていましたが……」
自分が置かれた境遇へのやり場のない怒りをどこに向ければ良いのか、山上容疑者自身もコントロールができなくなっていたのだろうか。
「実はこうした山上容疑者の過去を詳しく知る母は、山上容疑者の犯行後、行方をくらましたままなのです。安倍元首相を殺害するまでの経緯が明らかになるには、もう少し時間がかかりそうです」(前出・捜査関係者)
事件現場で取り押さえられた際には、山上容疑者は抵抗もせず、静かに組伏されたままだったという。世間を揺るがす大事件を起こした山上容疑者は今、何を思うのだろうか。
●安倍晋三氏と統一教会の関係についての誤解  7/10
安倍晋三氏の射殺事件は、いろいろな憶測を呼んでいる。第一報を聞いて私も次のような動画を収録したが、このときは未確認だった事実が明らかになってきた。
この事件は政治的テロではない
まず奈良県警の発表でも明らかなのは、安倍氏を射殺した山上徹也が「安倍氏の政治的信条が理由ではない」とか「宗教団体の幹部をねらったが失敗したので安倍氏をねらった」などと供述していることだ。
ところがマスコミは「暴力で言論を圧殺することは民主主義への挑戦だ」といった話を繰り返している。それ自体は正しいが、犯人が安倍氏の政治的信条を圧殺するつもりではなかったと言っているのだから、本件とは無関係である。
では何が動機なのか。この点では各社の報道がまちまちだが、「宗教団体への恨み」が原因だという点は一致している。この宗教団体は、週刊誌は名前を出し始めたが、統一教会(世界平和統一家庭連合)である。
これについて犯人は「安倍氏が(統一教会の)教えを全国に広めた」と供述しているようだが、これは犯人の妄想である。
統一教会の創立者、文鮮明は、安倍氏の祖父、岸信介と協力して国際勝共連合をつくった関係で、統一教会は今も自民党の支援団体の一つである。安倍氏が統一教会の関連団体でビデオ演説したことも公知の事実だが、首相をやめた議員が支援団体のイベントであいさつするのは当たり前だ。
動機は家庭内の個人的トラブル
読売新聞によると、犯人は昨年「この動画を見て(統一教会と)つながりがあると思った」と供述しているようだが、安倍氏は統一教会を指導する立場にはなく、公的な場でその宣伝をしたこともない。統一教会は、過去には霊感商法などの事件を起こしたが、その後は分裂し、今は信者6万人程度のマイナーな宗教法人にすぎない。
犯人は「母親が(統一教会の)信者で、多額の寄付をして破産したので、絶対に成敗しないといけないと思っていた」と供述しているようだ。母親は今も統一教会の信者であり、過去には教会に多額の寄付を行い、2002年に破産した。犯人がこれを恨んだとすれば、動機は家庭内の個人的トラブルであり、まったく筋違いの犯行である。
当初は統一教会の幹部をねらったが失敗し、選挙の遊説でねらいやすい安倍氏をねらったようだが、ここに大きな飛躍がある。統一教会を指導する立場にない安倍氏を殺害することは、まったく無意味なテロであり、犯人の精神異常を疑う余地がある。
以上の事実からいえることは、本件は「安倍死ね」といったアジテーションが原因ではないということだ。安倍氏への憎悪をあおった人々に責任がないとはいえないが、犯人が海上自衛隊に勤務した経歴からみても、思想的背景は考えられない。
むしろオウムのような宗教的カルトの犯罪に似ている。今のところ組織的な背景はないようだが、統一教会の分派(銃愛好者の団体)がからんでいるという噂もあり、この点の捜査が必要だろう。
●安倍元総理暗殺で「特定の宗教団体」の存在と「NHK党」への影響 7/10
「逆恨み」されて犠牲に
安倍晋三元総理が7月8日、暗殺された。参院選の選挙応援に入った奈良で演説を始めた直後、背後から男に「密造銃」で銃撃され死亡するというショッキングな展開に、日本国内はもちろん世界各国に衝撃が走っている。
奈良県警は会見で、殺人容疑で取り調べを受けている山上徹也容疑者(41)は「特定の宗教団体」に対する強い恨みを持っており、安倍元総理がこの宗教団体と近い関係にあると勝手に思い込んで、殺害したと述べている。
「この『特定の宗教団体』は、旧統一教会のことだという情報が早い段階で永田町界隈では出回っていました。旧統一教会は正式名称を『宗教法人世界平和統一家庭連合」といって、かつては霊感商法が社会問題になりました』(永田町関係者)
その一方で、「安倍元総理の祖父である岸信介元総理の時代から、反共産主義の観点から保守系の勢力との関係が取り沙汰されている宗教団体です。ただ、安倍元総理自身は、これまで旧統一教会の行事に祝賀メッセージを贈ったことがありますが、あくまでも政治家としての付き合いの範疇に過ぎないのではないかという見方もあります。安倍元総理に限らず、政治家ならば票につながりそうな団体などにそれなりのリップサービスをするなんてのは別に珍しいことではないのですから」(同)
NHK「日曜討論」で
つまり、安倍元総理は、山上容疑者に完全に「逆恨み」されて犠牲になったと言える可能性が高いのだ。
この「統一教会説」に信ぴょう性をもたせるのは、6月26日のNHK「日曜討論」での出来事だ。番組内でNHK党の黒川敦彦幹事長が唐突に「安倍晋三氏と統一教会」の関係を指摘し、顰蹙を買ったばかりだったのである。
もっとも、今回の犯人である山上徹也容疑者は、武器となった「密造銃」を1ヶ月前から準備していたというから、この日曜討論に直接的に突き動かされたという訳ではない。
奈良県警はなぜかこの宗教の名前を明かしていない。しかし、これほどの重大事件の動機に関わる情報なのだから、オープンにするのが筋だという意見は少なくないし、それも当然だろう。
いずれにせよ今回の事件はNHK党にとっては思わぬ逆風になる可能性が出てきた。討論番組で怪しげな情報を口走ったのがそもそも悪いのだが。
安倍元総理の死去はそれだけでなく日本の政治に激震を走らせている。
安倍派の今後は?
「参議院選挙は自民党が圧勝する可能性が高くなりました。1980年のわが国初の衆参同時選挙では、当時の大平正芳首相が選挙期間中に心筋梗塞による急性心筋不全で急死。同情票が集まり、当初苦戦すると予想されていた自民党が圧勝しました。今回の参議院選挙はもともと岸田政権の優勢が確実視されていたので、なおさら自民党の圧勝は間違いないと言えます」(前出・永田町関係者)
事件は政界にどのような影響を与えるのか。
岸田総理にしてみれば、当選同期の安倍元総理を失った悲しみは大きいだろうが、一方で今回の選挙の勝利によって「黄金の3年間」が手に入ることになる。よほどの失政やスキャンダルがない限り、政権は安泰だろう。
一方で、強力な存在感を発揮していた安倍元総理を失った清和会(安倍派)の求心力低下は否めない。
「清和会は衆参合わせて94人と、自民党所属両院議員の4割近くが在籍していますが、先の総裁選でも派内から立候補するメンバーはいませんでした。安倍元総理の後継候補が育たなかったということですね。人材がたくさんいるだけでそれをまとめ切るリーダーが不在だから今後は分裂含みだと言う人も少なくないですね」(同)
凶弾は尊い命を奪い、自民党内の力学も変えることになりそうだ。
●日本サンクチュアリ協会「安倍晋三元首相狙撃事件に関する声明文」発表 7/10
安倍晋三元首相が銃撃され死去した事件を受け、世界平和統一聖殿日本本部(略称・日本サンクチュアリ協会)が10日までに、公式ホームページで声明を発表した。
声明は「安倍晋三元首相狙撃事件に関する声明文」と題し、「まず、最初に安倍晋三元首相の御逝去に接し、心からの哀悼を捧げます」と安倍氏に弔意を表した。
安倍氏を襲撃した山上徹也容疑者は、特定の宗教団体の名を挙げ「母親が信者で、恨む気持ちがあった」などと供述しているが、この宗教団体が「世界平和統一家庭連合(家庭連合)」で、その分派に所属していたと一部で報道されている。
同本部は「当協会の教会長たちに多数のマスコミが質問をして参りましたし、甚だ迷惑な報道も拡散されていますので、ここに声明文を送ります」と主張した上で、日本サンクチュアリ協会総会長・江利川安栄氏の名前で、以下のように見解を示した。
1日本サンクチュアリ協会は、山上徹也容疑者と接点も関係も一切ありません。また、同容疑者は過去にも当協会集会等への参加記録等も一切ございません。さらに、山上容疑者の世界平和統一家庭連合の分派への所属を当サンクチュアリ協会と決めつけていますが、一切根拠のある情報ではなく、マスコミやその他の推測記事や悪意ある印象操作によるものと断じ撤回を求めます。
2また、山上容疑者の母親が宗教団体に献金を捧げて来たとの報道ですが、当日本サンクチュアリ協会では、一円たりとも献金をいただいた事実はありません。
3安倍元首相との当協会の関係ですが、そもそも、私どもは自由と正義、平和を愛する日本国民として、安倍晋三元首相を尊敬し、多くの政策を支持し、応援をして参りましたのは事実ですが、2015年3月1日設立の歴史の浅い当協会が、安倍元首相から祝電をいただくとか、集会に来ていただくとか何かをして頂いたという事実は一切ございません。山上容疑者の安倍元首相狙撃事件は、ショックであり、ただただ御冥福を祈るのみです。
4また、当協会の銃に対する考え方に対しても、マスコミは先入観をもって、多くの誤解を招く論議を拡大しておりますが、アメリカに本部を置く当協会においては、そのアメリカ合衆国憲法修正2条に認められた自由と安全を守るために銃を保持することは重大な権利となっていることを知っております。当協会は日本国憲法の下で法を遵守し、違法行為を行っているということは、一切ありません。銃による山上容疑者の犯罪と当サンクチュアリ協会を結びつける悪なる意図をもった一切の行為に関して謝罪を求め、撤回を願います。
世界平和統一聖殿日本本部(略称・日本サンクチュアリ協会)は、世界平和統一家庭連合(旧名称は世界基督教統一神霊協会=統一教会)の分派で本部は米国にある。
●母・洋子さん、悲嘆の肉声「もう晋三はいないんですよ」 7/10
安倍晋三・元首相が7月8日、奈良県内での遊説中に銃撃されて死亡した事件は国内外に衝撃を与え、いまだ動揺は収まる気配がない。何より、遺された家族のショックは計り知れない。
妻の昭恵夫人は、事件を受け都内の自宅から奈良に向けて出発。夕方に安倍元首相の入院先だった奈良県立医科大学附属病院に到着すると、対面から8分後に死亡が確認された。翌9日の朝、病院から遺体を乗せた車が出発すると、昭恵夫人は後部座席で前を見据え、病院を後にする際に頭を下げた。車は午後、自宅に着き、安倍元首相は無言の帰宅を遂げた。
実弟の岸信夫・防衛相は会見で「兄は政治に命を賭けてやってきた。でも、このような形で命を取られるとは思ってもみなかった。悔しくてたまらない」と無念の胸中を明かした。生前、安倍元首相は健康不安説が取りざたされる岸氏のことを気にかけていたという。岸氏の後援会関係者は言う。
「岸さんは車いすや松葉づえを使って移動していますが、足元がおぼつかない状態です。活舌も悪く、地元でも『防衛大臣が続けられるのか』と懸念の声が上がっていました。現在は息子の信千世さん(元フジテレビ記者)が秘書官を務めており、次の衆院選では岸さんの代わりに信千世さんが継ぐともっぱらです。安倍さんは我がことのように心配し、信千世さんともよく連絡を取って、後継への準備を進めていたと聞きます」
安倍元首相と岸防衛相の母である洋子さんも、岸家の後継には重大な関心を寄せていたという。それだけに、まさか、という思いだろう。同関係者が明かす。
「安倍さんが亡くなったとの一報が流れた後、後援会幹部の一人に洋子さんから電話があったそうです。『もう晋三はいなんですよ。明日から信千世の選挙戦が始まると思ってやりなさい』と声をしぼりだし、『もう晋三は……』と、最後は涙声で聞き取れなかったそうです」
洋子夫人にとっては、総理の座を目前にがんで亡くなった夫に続き、その夢を叶えた息子が凶弾に倒れた。奇しくも、ともに享年67。その心痛は察するに余りある。
安倍元首相の通夜は11日、葬儀は12日に執り行なわれるという。喪主は昭恵夫人。

 

●山上徹也容疑者は母親の「統一教会」入信と破産で逆恨みか… 7/11
「母親が宗教団体の信者で多額の寄付をして破産させられた。宗教団体にのめり込み、恨みがあった。幹部を襲撃しようとしたが、接触が難しかった。宗教団体と安倍元首相がつながっていると思ったから狙った。以前から元首相と宗教団体の関係について、調べていた」
安倍元首相が8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説中、銃撃され、死亡した事件。殺人容疑に切り替えて送検された元海上自衛隊員の無職、山上徹也容疑者(41)は調べに対し、特定の宗教団体名を挙げて、こう供述しているという。宗教団体とは「統一教会」を指している。
山上容疑者は1980年、建設会社を営む父と母の次男として生まれ、兄と妹がいた。父親は山上容疑者が幼少期に亡くなり、その後、祖父も死亡。大黒柱を失った一家は大和西大寺駅近くの古びたアパートで、身を寄せ合うようにして暮らしていた。
統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)によると、山上容疑者の母親が同教会に入信したのは、2000年ごろ。
「奈良家庭教会に通っています。新型コロナの感染が拡大してからは、少し足が遠のいていたようです」(家庭連合広報部)
母親が通っていた奈良家庭教会は、安倍元首相が銃撃された事件現場から徒歩5分ほどのところにある。集会のある日には20台ほどの駐車スペースが車でビッシリと埋まり、駅からも大勢の信者がやって来る。大半が女性の信者で年齢は30代から高齢者まで幅広いという。
入信2年で破産宣告
母親の入信をきっかけに、一家の生活は苦しくなっていく。母親の知人が語る。
「彼女たちは『統一教会に入って助けられた』とか『家族もすごい幸せになり、仕事も順調にいっている』と言って仲間を勧誘するそうです。彼女もどっぷりハマり、本部がある韓国まで出掛け、数週間、向こうに滞在することもあった。熱心に教会に通い、多額の寄付をするようになったのです。次男も当初は入信していたようですが、すぐに退会したようです。ご主人と父親を亡くし、病気を抱える長男も亡くなった。宗教にすがるしかなかったのでしょうが、次男と長女も彼女の元から去ってしまった」
ところが金は出ていくばかりで、入信から2年後の02年、母親は奈良地裁から破産宣告を受ける。
この頃、山上容疑者は自衛隊の同僚に「親が統一教会に入り、生活が苦しくなっている」と悩みを打ち明けている。
昨年9月に「しんぶん赤旗」が報道
安倍元首相と統一教会を結びつけるものとは一体、何だったのか。昨年9月、「しんぶん赤旗」は<旧統一協会(世界平和統一家庭連合に改称)に関連する団体が開いた大規模集会に安倍晋三前首相がビデオメッセージを贈り、「総裁はじめ、皆さまに敬意を表します」と演説していた>と報じている。同教会系の月刊誌「世界思想」の表紙には、安倍元首相の写真が何度も使われていた。
また全国の弁護士約300人で構成する「全国霊感商法対策弁護士連合会」は、昨年9月、安倍元首相のこのメッセージについて「公開抗議文」を送付。<統一教会の幹部・関係者に対し、「敬意を表します」と述べたことが、今後、日本社会に深刻な悪影響をもたらすことを是非ご認識いただきたいと存じます><統一教会やそのフロント組織と連携し、このようなイベントに協力、賛助することは決して得策ではありません>という内容だ。
これらの情報に触れた山上容疑者は、安倍元首相と統一教会がつながっていると思い、怨恨を抱いたのだろうか。
●安倍晋三元首相を銃撃事件 山上徹也容疑者を送検 爆弾製造か 7/11
安倍晋三元首相が奈良市の街頭演説中に銃撃され死亡した事件で奈良県警は10日、元海上自衛隊員の無職山上徹也容疑者(41)を、殺人の疑いに切り替えて送検した。
約100人の報道陣が集まり物々しい雰囲気の中、午前9時頃、山上容疑者は署員の誘導に従い白いワンボックスカーに乗車。2台の護衛車両に挟まれて奈良西警察署を出発し、奈良地検に送られた。車の前方座席と後部座席は金網で仕切られ、中の様子はうかがえなかった。
●「安倍元首相殺害犯の母親、過去に統一教会信者だったがいまは違う」 7/11
世界平和統一家庭連合(統一教)が、選挙遊説中の安倍晋三元首相を殺害した山上徹也容疑者の母親が過去に統一教の信者だったが、いまは違うと10日に明らかにした。
統一教関係者はあるメディア報道を通じ「山上容疑者の母親が統一教会信者だったという日本メディアの報道が出てきて日本本部側に確認をしてみたところ、以前に統一教会信者だったが、いまは教会に通っていないようだ」と説明した。
同関係者は「山上容疑者の母親が献金をどれだけしたのか、いつまで教会に通っていたのかは正確に確認されていない」と付け加えた。
続けて「日本メディアで記事が出ているがまだ日本の警察から関連の問い合わせはきていない。日本の警察で公式な発表をするか調査を要請してくれば誠実に協力したい」と明らかにした。
日本メディアによると、山上容疑者は警察の取り調べで特定宗教団体の名前を出し「母親が信者で多くの金額を寄付して破産した。必ず罰を与えなければならないと恨んでいた」と述べたと伝えた。
●安倍元首相襲撃容疑者が恨んだ統一協会 きょう午後記者会見へ 7/11
安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者(41)が、警察の調べに対し「特定の宗教団体」への恨みを挙げていることについて、特定の宗教団体とされるのは、世界平和統一家庭連合(旧称:世界基督教統一神霊協会=統一協会)であることが分かった。NHKなど主要メディアのこれまでの報道によると、山上容疑者は、母親が特定の宗教団体にのめり込み多額の献金をして家庭生活が崩壊したとして恨みを持ち、団体と関係が近いと考えた安倍氏を狙ったと供述しているとされる。
特定の宗教団体が統一協会であることは、現代ビジネスが9日、捜査関係者の話として独自記事として報道。10日の続報では、山上容疑者の母親の知人や、山上容疑者の中学時代の同級生などの証言をもとに、山上容疑者の母親が熱心な統一協会の信者であったこと、また山上容疑者が周囲に対し、統一協会に対する不満を漏らしていたことを報じている。10日には、週刊フラッシュなども統一協会の名称を挙げて報じた。
統一協会の広報は両メディアに対し、山上容疑者の母親が現在も同協会の会員であることを認めているとされるが、本紙の取材にも11日、認めた。広報によると、11日午後には都内のホテルで事件を受けた記者会見を開催する予定。ただし記者会見には、全国5大紙とテレビ局の参加しか認めていないという。また、声明などの発表は現在のところ未定で、詳細については記者会見の内容を確認してほしいとしている。
●誰がどんな理由で「安倍氏と宗教の関係がテロの原因」と言っているのか 7/11
元官僚の評論家・八幡氏は「宗教団体への不満でそれと繋がりの深いと思って安倍元首相を狙ったと容疑者が言っているというので、政治的背景を言うべきでないと必死になっている人たちがいる」と述べる。
「政治的背景を言うべきでないと必死になっている人たち」が誰を指すかは分からないが、私は安倍元首相を銃撃した犯人が「宗教団体への不満から、その団体と繋がりが深い安倍元首相を狙った」と供述している事から、現時点においては、それが動機として濃厚なように感じる。
しかし、だからと言って、「政治的背景を言うべきでない」などとは全く思わない。ただ、犯人が政治関連の怨恨ではないと主張しているのであるから、あえて、別の理由(政治関連の怨恨)と強引に結び付ける必要があるだろうか(もちろん、犯人が政治関連の怨恨を述べ始めたならば別であるが)。
八幡氏は安倍元首相が「さまざまな宗教と怪しげな関係があるというデマの流布もあった。政治家は、自分が信心してなくてもさまざまな宗教と交流があるのが普通である。それらは政治的意図でばら撒かれた謀略であり、その結果、生じたテロを政治とは関係ないというのは牽強付会ではないか」と述べられている。
安倍元首相を銃撃した犯人が恨みに思う宗教団体が「統一教会」である事は、週刊誌等が既に報道している通りである。
犯人は「安倍氏が(統一教会の)教えを全国に広めた」と供述しているようだが、これは犯人の妄想だ。安倍元首相が統一教会の関連団体でビデオ演説したことは事実のようだが、それに関しては、八幡氏が仰るように「政治家は、自分が信心してなくてもさまざまな宗教と交流があるのが普通」である。
また、統一教会は、自民党の支持団体の一つ。安倍氏が支持団体のイベントで挨拶するのも普通のことだ。安倍氏が統一教会の宣伝を公の場でした事はなく、犯人の供述は全くの妄想。
しかし、家庭を新興宗教によって壊されたとされる犯人としては、例えば安倍氏が統一教会の関連団体でビデオ演説しただけでも、許し難いものと、論理が飛躍してしまい犯行に及んだのだろうか(ネットに溢れている極端な情報を見て恨みを募らしたのか)。
「さまざまな宗教と怪しげな関係があるというデマの流布」は「政治的意図でばら撒かれた謀略」と八幡氏は言う。しかし、普通はそうしたデマ情報を見ても、今回のような犯行に及ぶ人は(今回の出来事があったのでゼロとは言えないが)、極めて少ない。
家庭を新興宗教に壊された犯人が一方的に逆恨みにして、論理を飛躍させて犯行に及んだ、特殊で不幸な事件だったと言えるのではないか。 
●徹也容疑者の母親の破綻は「今回把握した」 旧統一教会の質疑応答 7/11
安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された山上容疑者。「母親が団体にのめり込んで破産した。安倍氏が団体を国内で広めたと思い込んで恨んでいた」と供述したと報じられています。
安倍晋三元首相が奈良市内で銃撃されて死亡した事件に関して、宗教法人「世界平和統一家庭連合」の田中富広会長は7月11日午後2時すぎに会見を開いた。同宗教法人は2015年まで世界基督教統一神霊協会の名称で活動。当時の略称である「統一教会」の通称で広く知られている。
田中会長は殺害未遂容疑で現行犯逮捕された山上徹也容疑者の母親が旧統一教会の信者であることを認めた上で、経済的に破綻したことを「今回把握した」と述べた。
報道を受けて「当法人としての公式見解を発表する必要がある」と会見の理由を明かす
安倍元首相を銃撃したとして、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された山上徹也容疑者。その供述内容について、「特定宗教団体への恨みが動機になっている」とマスコミ各社が報じている。また、一部のメディアからこの団体が世界平和統一家庭連合と実名入りで報道したことから、「当法人としての公式見解を発表する必要がある」と感じて記者会見を開いたという。
山上容疑者に関しては、教団の信者ではなく、過去に信者だった記録も存在してないとした。その上で、「山上徹也容疑者の母親は当法人の協会員であり、これまでも1カ月に1回程度の頻度で教会の行事に参加してまいりました」と述べた。
田中会長の冒頭発言
世界平和統一家庭連合会長の田中富広でございます。本日は参院選の直後、お忙しい中、このように記者会見に駆けつけて下さいまして心から感謝いたします。まずは安倍晋三元首相のご逝去の報に接し、心からの哀悼の意を表すると共に御冥福をお祈りいたします。 (しばらく間を空ける)
このたびの蛮行は決してあってはならない行為であり、強い憤りを感じております。日本の国民が尊敬し、愛する偉大な指導者を失い大変胸が痛みます。到底起きてはならないことが、起きてしまいました。宗教指導者の1人として、このような重大な結果が生じてしまいましたことを、大変、重く受け止めております。 (深く頭を下げる)
さて、今回の事件の容疑者である山上徹也氏の供述内容の一部が警察によって発表され「特定宗教団体への恨みが動機になっている」という報道がなされました。この特定宗教団体が当法人ではないかという噂が広く流れるとともに、一部メディアでは当法人の実名入りでの報道がなされました。それを受け、当法人としての公式見解を発表する必要があると感じ、今日このたびの会見を開かせていただきます。
当法人が知りうる限りの事実を述べさせていただきます。
第一に山上徹也容疑者は当法人の信者ではございません。過去においても当法人の信者であったという記録は存在しておりません。第二に山上徹也容疑者の母親は当法人の教会員であり、これまでも1カ月に1回程度の頻度で教会の行事に参加してまいりました。第三に山上徹也容疑者の犯行の動機や一部メディアで報じられている献金問題に関しましては現在、警察が捜査中であると思われますので、この場での言及を避けさせていただきます。
母親の経済的な破綻は「今回、情報を得た」
毎日新聞は9日、山上容疑者は特定の宗教団体名を挙げ、「母親が団体にのめり込んで破産した。安倍氏が団体を国内で広めたと思い込んで恨んでいた」と供述していると捜査関係者の情報を報じていた。田中会長は会見で、山上容疑者の母親が旧統一教会の信者であることを明かしていた。
記者団との質疑応答の中で、田中会長は山上容疑者の母親が経済的に破綻したことについて「今回、現場で、いろんな方に、このお母さんと因縁ある方に尋ねていって『破綻していた』という情報を、私たちは得ました」と述べた。
また、信者の破綻を教団が把握した後に「さらにそこに献金を願う、要求するということはありません。そのような指導はしておりません」と強調した。
「このご家庭に高額献金を要求したかどうかという事実は、記録上、一切残っておりません」
―― 献金に関して破産したことを知った上で、月例などさまざまな献金を促すということはあり得るんでしょうか?
破綻されているということが、こちらが知っていた立場で、さらにそこに献金を願う、要求するということはありません。そのような指導はしておりません。
―― 「破綻・破産されていることを知った上で、さらに献金を要求することはない。そのように指導していない」ということでしたが、破産されたことを知っているけども、「要求をしていない」という報告を受けているということでいいでしょうか?
破綻に関して……。このご家庭が破綻された諸事情は、私どもも把握しておりません。そして、現場に問い合わせてもなお、当時のことをわかっている方もおられなくて、把握しきれてないのが現状です。ただ破綻されていたということは(現在は)知っております。その後、このご家庭に高額献金を要求したかどうかという事実は、記録上、一切残っておりません。
―― お母様の破綻の件なんですけど、それを教会としてまたは法人全体としてどのように把握されたのでしょうか?
破綻をこちらが理解していたというのは、今回、現場で、いろんな方に、このお母さんと因縁ある方に尋ねていって「破綻していた」という情報を、私たちは得ました。したがって、そのことが、改めてこちらも把握できたということだと理解いただきたいと思います。破綻するに至る原因が何だったのか、どんな家庭事情でそこに至ったかということは掌握しきれていません。そのことも含めて、これは警察がいま捜査する一番大きな案件かとも思いますので、私たちも、これから知っていく情報も入れば、全てあわせて警察に全面協力して、事件の動機の解明に協力していきたいと考えております。

これに関しては警察からの要請があれば全面的に捜査に協力させていただきます。
最後にメディアの皆さまにお願いがございます。報道に際しては正確・公正・客観的な取り扱いの上、事実に反する内容、憶測に基づいた記事を出されることがないように、当法人に関することを書く場合には、事前に直接取材をして情報を得て下さるようにお願いします。取材に対しましては誠意をもって対応いたします。以上です。
●旧統一教会「山上徹也容疑者の母は正会員」…2002年頃に破綻は「事実」  7/11
安倍晋三・元首相(67)が奈良市内で街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の田中富広会長らが11日、東京都内で記者会見し、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の母親が1998年頃から正会員だったことを明らかにした。
山上容疑者は奈良県警の調べに、「母親が多額の献金をして破産した。(同連合を)絶対成敗しないといけないと恨んでいた」と供述していた。
田中会長は「山上容疑者の母親が2002年頃に経済的に破綻していたことは事実」とし、「県警の捜査には全面的に協力する」と話した。
●母が多額寄付で破産…山上徹也容疑者「怨念を抱いた宗教トラブル」 7/11
「母親が宗教団体にのめり込んで多額の寄付をし、強い恨みがあった。団体と安倍氏が、つながっていると思ったから狙った」
7月8日に安倍晋三元総理(享年67)に凶弾を向け死に至らしめた山上徹也容疑者(41)は、警察の取り調べに対しこう供述しているという。
山上容疑者が、宗教団体へ抱いていたという恨み――。この「宗教団体」について、山上容疑者は「統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)」と供述しているという。彼の半生を振り返ると、同団体への強い怨念が見えてきた。山上容疑者が小学校時代を過ごした、奈良県奈良市内の近隣住民が語る。
「徹也君のおじいちゃんが、ここに引っ越してきたのは20年以上前だと思います。しばらくすると、徹也君の家族が越してきた。徹也君は小学生ぐらいでしたよ。利発そうだけど、大人しい子という印象です。よちよち歩きの、幼い妹さんもいましたね。おじいちゃんが建設会社を営んでいたため、比較的裕福だったようです」
転機となった父親の死
トラブルもなく幸せな生活を送っていた山上容疑者の家族に、突然悲劇が襲った。住民が続ける。
「(山上容疑者の)お父さんが急死したんですよ」
父親の死は、家族の状況を大きく変化させる。大黒柱の死によって一家の経済状態は悪化した。母は夫の死の悲しみを紛らわせるためか、ある宗教団体に入信した。これが統一教会だっとみられる。祖父も亡くなって実家を出ると、宗教にのめり込んでいった。
「母親は、多額のカネを団体に寄付していたとみられています。実家を出ると山上容疑者の兄も含め4人で暮らしていましたが、食べるものに困るほど生活は貧しかったとか。
山上容疑者は、警察の調べに対し次のように話しています。『母親が信者で多くのカネを寄付して破産した。必ず罰を与えなければならないと恨んでいた』と。経営していた建設会社も、解散してしまったそうです」(全国紙社会部記者)
山上容疑者は奈良県郡山市内の公立高校を卒業すると各地を転々とした後、安倍元総理を銃撃した現場のマンションで一人暮らしを始める。近くの部屋に住む住民が語る。
「会えば挨拶する程度で、近所付き合いはありませんでした。家賃は3万5000円くらい。(山上容疑者の部屋から)時々、ハンマーを打つような奇妙な音が聞こえてきました」
山上容疑者は、安倍元総理を銃撃する前日の7日、「宗教団体の(奈良市内の)施設を撃った」と供述している。実際に現場周辺でも「(7日の)朝4時頃に銃声のような音が聞こえたという話がある」という証言がある。犯行を完遂するために、試射を繰り返していたとみられる。使用した銃は「一度に6発の弾丸が発射される仕組みだった」とも。
家族を破産に追い込んだ宗教団体への恨み……。元総理の命を奪うという前代未聞の犯行の背景には、山上容疑者の強烈な「怨念」があった。 
●安倍氏「会員や顧問ではない」…旧統一教会会長 7/11
安倍晋三・元首相(67)が奈良市内で参院選の街頭演説中に銃撃され、殺害された事件を受け、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の田中富広会長が11日、東京都内で記者会見を開いた。安倍氏とのつながりについて「友好団体が主催する行事に安倍氏がメッセージを送ったことはある」とし、「(安倍氏が)会員や顧問になられたことはない」と直接的な関係を否定した。
田中会長によると、逮捕された山上徹也容疑者の母親が信者で、山上容疑者は信者ではない。山上容疑者が県警の調べに「母親が多額の献金で破産し、恨みがあった」と供述したとされることに対し、田中会長は「私たちへの恨みから安倍氏殺害に至るのは大きな距離があり、困惑している」と述べた。
母親は1998年頃に入信し、2002年頃に経済的に破綻したという。09年頃から17年頃までは同連合の行事に参加していなかったが、2、3年前から再び接点を持ち、2か月前にも行事に参加していた。
関係者によると、山上容疑者は奈良市内の一戸建て住宅で母親や兄、妹らと同居していた。母親が入信した頃、山上容疑者は高校生で、母親はまもなくして自宅を売却し、02年に破産宣告を受けていた。時期的に多額の献金が原因だった可能性がある。
田中会長は、母親から献金を受けていたことを認め、「献金額は調べきれていない」と説明。母親の破産については「事件後に把握した」とした。
統一教会は1980年代以降、高額な印鑑などを売りつける「霊感商法」や、見知らぬ人同士による「合同結婚式」を巡るトラブルが社会問題になった。2009年には霊感商法で逮捕者が出て、当時の会長が辞任している。田中会長は「09年以降はコンプライアンスの徹底を進めている。母親が破綻した後に高額な献金を要求したことはない」と話した。
●旧統一教会「山上徹也容疑者の母は正会員」… 7/11
安倍晋三・元首相(67)が奈良市内で街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の田中富広会長らが11日、東京都内で記者会見し、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の母親が1998年頃から正会員だったことを明らかにした。
山上容疑者は奈良県警の調べに、「母親が多額の献金をして破産した。(同連合を)絶対成敗しないといけないと恨んでいた」と供述していた。
田中会長は「山上容疑者の母親が2002年頃に経済的に破綻していたことは事実」とし、「県警の捜査には全面的に協力する」と話した。
●山上容疑者 勤めた工場から「もう少しいてくれないか」と慰留も意志固く辞職 7/11
安倍晋三・元首相の銃撃事件で、殺人容疑で逮捕された山上徹也容疑者は今年5月、勤務していた京都府内の工場を辞めていた。2020年10月から働き、フォークリフトで倉庫の荷物を運ぶ「リフトマン」と呼ばれる仕事をしていたという。工場の責任者はこう話す。
「製品を移動させたり、運送会社のトラックに積んだりという、荷物の積み替え作業が主な業務です。フォークリフトの免許保有の条件で派遣会社に人材を要請し、そこで紹介され働くことになりました。日勤なので8時〜17時まで、契約期間は3か月ごとでした。
今年に入るまで特に問題もなく……少なくとも現場でコントロールできていましたので、契約は更新していたというのが現状です。ただ今年に入ってからは少し様子が変わって、言葉が荒くなったようです。仕事に慣れてきたというのもあるかもしれません。
今年の1月に、出入りしているトラックのドライバーと積み荷の仕方で口論となり揉めることがありました。荷物を載せた後は、相手方に届けるまでに製品が破損した場合、運送会社の責任になりますので、ドライバーとしてはきちっと運べるように、細かく注文します。そこで彼(山上容疑者)と言い合いになった。結局、ウチの現場の人間が仲裁して落ち着きましたが、ドライバーさんからは『担当を替えてくれ』とクレームが入ったので、替えました。ただ契約の更新をストップするほどの事案ではないというのが担当部署の判断でした」
しかしその直後、彼は再びトラブルを起こした。
「3月末に、こちらの指示に対して言うことを聞かないことがあり、現場の先輩に『お前がやれや!』と暴言を吐くことがありました。注意をしましたが、それを機に休みがちになってしまった。そこで次の契約について課内で話し合っている最中に、派遣会社から、本人が『体調がすぐれないので辞めたい』と言っていると連絡がきました。ただウチとしても急に働き手がいなくなると困るので、『もう少しいてくれないか』と辞める時期について交渉しましたが、意志は固く、本人都合で辞めることになりました。有給(休暇の)消化もあり4月の後半からは出勤していません」(前出の工場の責任者。以下同)
この間、飲み会など同僚との交流はほぼなかったという。
「ほとんどの従業員が車で通勤していますし、帰宅してから出直すというのも大変ですから、彼に限らず帰りに飲食を共にするのは少ないようです。ちなみに彼の場合、当初はバイクで、途中から車で通勤していたようです。コロナ禍もあり、昼食も一人で食べている人間も多いですし、パーソナルスペースということで車の中で食事をしたり休んだりする者もいます。彼が車の中で食べているのを目撃した従業員がいたそうですが、業務以外で会話らしい会話をした人間がいない。せいぜい喫煙所でタバコを吸っている時に挨拶を交わした者がいる程度だそうで、長く話し込むことはなかったようです。過去に自衛隊に所属していたことも報道で知りました」
容疑者の社会的接点は少なく、事件の真相解明は本人の詳しい供述が鍵を握りそうだ。
●「お金お金お金、献金献金で家庭ぐちゃぐちゃ」 統一教会元信者が語る 7/11
安倍元総理が銃撃され死亡した事件で逮捕された男は、「母親が宗教にのめり込み破産して恨んでいた」と供述しています。11日その宗教団体が会見を開き男の母親が信者で献金していたことを認めました。富山県内に住むこの宗教団体の元信者がチューリップテレビの取材に応じ、多額の献金で崩壊した家庭は複数あると証言しました。
元信者「知った当時は、こんな教えがあるんだってうれしくなって、だけどやっていくうちにいつも『お金お金お金』なんです。献金献金。実際、現実を振り返れば家庭はぐちゃぐちゃでしたね。でもこれは『通らなければならない道』だと聞いていたので。反対されるのも摂理って聞いていたので、そういうことなんだなって」
こう話すのは、富山県内に住む女性です。
今月8日、奈良市で安倍元総理が街頭演説中に銃撃され殺害された事件。
殺人の疑いで送検された元海上自衛官の山上徹也(やまがみ・てつや)容疑者(41)は警察の調べに対し、「母親が宗教団体にのめり込んで破産した。宗教団体と安倍元総理につながりがあると思った」などと供述しているということです。
そして11日、母親が入信していた宗教団体、かつての「統一教会」、現在の「世界平和統一家庭連合」が会見を開き、山上容疑者の母親が信者で、献金していたことを認めました。
世界平和統一家庭連合 田中 富広 会長「破綻されたこの家庭の諸事情は私どもも知りません。ただ、破綻されたことは知っています。その後、このご家庭に高額献金要求したかということについて記録上一切残っていません」
母親は1990年代後半に統一教会の信者となり、生活が経済的に破綻したといいます。しかし、詳しい献金の金額は明らかにしませんでした。同じ時期に信者だった県内に住む女性はこう話します。
元信者「いくらお金があるかと聞かれる。そんなに貯金はないって言うと、生命保険を解約したり、カードローンですかね。借りられるところまで借りるっていう。自分がやらないと。まあ強迫観念といわれたら強迫観念になるのかな」
女性は借金を重ね、高価な「つぼ」を購入するなどして、10年間で合わせて1000万円近く献金したといいます。巧妙なマインドコントロールで献金せざるを得ない状況に追い込まれたというのです。
元信者「(団体を)知らない人はどうしてこんなに(怪しいと)騒がれているところに行くんだろうと思うと思うんです。でもやっぱり入り口はそういうところから入らないことが多いので、それがわかったときにはすでに『これしかない』という気持ちになっているので、あとから(宗教と)わかっても、すべてにおいて説明される。『これはこういう意味がある』と言われると納得してしまう」
一方、世界平和統一家庭連合は11日の会見で、現在はコンプライアンスを徹底していて献金のトラブルは過去のことだと話しました。
世界平和統一家庭連合 田中 富広 会長「過去、献金に関してトラブルあったのは周知の事実です。2009年当時の会長が記者会見し、声明文を発表している。それ以降の案件でトラブルはない」
しかし、霊感商法の問題に取り組む弁護士は…
全国霊感商法対策弁護士連絡会 代表世話人 山口 広 弁護士「全く白々しい発言だと思います、(信者は)従わざるを得ないんですよ、信者としてはノルマなんですよ、目標だとはいいつつノルマ、絶対に達成するべきノルマなんです、したがって死ぬ覚悟でやれと、何回もそんな資料を見ました。多い人は10億、20億の被害でもありましたし、そういうお金を裁判で取り戻したこともあります。現実にたくさん見ていますし、今も相談を受けているケースがあります」
県内に住む元信者の女性は、山上容疑者のように、家族が信者となり、多額の献金をして家庭が崩壊したケースはほかにも複数あると話します。
元信者「実際、みなさんお金の工面で苦労している人が多かったですね。家を売ったり、自分の親の財産まで何とかしようとしたりもありました。人を殺すのはよくないことですし、許されることではない。でも犯人のそのときの気持ちを思うと、切ない思いになります。そのときに何か違う方法で手立てはなかったのかなと思いますね」

 

●実家や会社の土地も続々…山上徹也の母親が統一教会に寄付していた 7/12
統一教会会長は「諸事情は把握していない」
「統一教会のおかげで家庭が壊された。インターネットで調べて安倍元首相が統一教会と近いとわかり、狙っていた」
こう動機を語っているのは、安倍晋三元首相を密造した銃で射殺した山上徹也容疑者だ。7月10日、参議院選挙の投開票日に送検された。
「すごい数のマスコミがきて写真を撮っていたが、山上容疑者は終始平然として、特別な反応もなかった。取り調べにも淡々と応じている」(捜査関係者)
山上容疑者は、安倍元首相をターゲットにする前には、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の最高幹部の殺害も計画していたという。「現代ビジネス」が複数回にわたって報じてきたように、山上容疑者の母親は統一教会の信者であり、多額の寄付をして破産に至っていることが、客観的な証拠からも明らかになってきた。
7月11日、統一教会は都内のホテルで田中富広会長、澤田拓也総務局長らが記者会見を行った。山上容疑者の母親が信者であることも認めたものの、多額の献金については「破綻された諸事情は私どもも把握していません。献金問題については捜査中のため言及を避けます」と答えるにとどめた。
なぜ、山上容疑者はそこまで統一教会を恨んだのか? 
山上容疑者は、自作の銃や爆弾の製造、安倍元首相の参議院選挙の遊説予定などをインターネットで調べたと話している。また、安倍元首相と統一教会の関係については、「ネット上の動画を見て安倍晋三と統一教会がつながっていると思い、殺さねばならないと考えた」と供述している。実は、安倍元首相とこの団体が「親密」だったことくらい、ネットで検索すればある程度は把握できる。
安倍元首相は、官房長官時代の2006年、統一教会のダミー組織とされる「天宙平和連合」(UPF)に祝電を送付している。
安倍元首相の「文鮮明の妻に敬意」
また2021年9月12日に「天宙平和連合」が開催したオンライン集会「THINK TANK 2022希望の前進大会」で、安倍元首相はアメリカのトランプ前大統領らと並んで演説している。山上容疑者はこの演説をYouTubeで目にしたことも、銃撃のきっかけだったと供述している模様だ。
実際、ここでの安倍氏の発言内容を見れば、たしかに統一教会との関係は密接だと誤解されても仕方がない部分がある。以下の発言を読んで欲しい。
《日本国・前内閣総理大臣の安倍晋三です。UPF主催のもと、よりよい世界の対話と諸問題の平和的解決のために、およそ150ヵ国の国会首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で世界平和をともにけん引してきた、盟友のトランプ大統領とともに演説する機会を頂いたことを、光栄に思います。》
《今日に至るまでUPFと共に世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁ら、皆様に敬意を表します。》
ここで言及されている韓鶴子総裁とは、言わずと知れた文鮮明の妻で、統一教会の代表者である。
《さて、いまだ収束のみえないコロナ禍でありますが特別な歴史的意味を持つことになった東京オリンピック・パラリンピックを多くの感動ともに無事、閉幕することができました。ご支援いただいた世界中の人々に感謝したいと思います。
イデオロギー、宗教、民族、人種の違いを超えて東京オリンピック・パラリンピックで感動を共有できた。世界中の人々が人間としての絆を再認識できたと信じます。》
《人と人の絆は自由と民主主義の原則によって支えられなければならないと信じます。一部の国が全体主義、覇権主義、国家が力による現状変更を行おうとする活動を阻止しなければならない。私は自由で開かれたインド太平洋の実現を継続的に訴えてきた。いまや米国の戦略となり、欧州を含めた世界の戦略となりました。》
《UPFの平和ビジョンにおいても、家庭の価値を強調する点を高く評価いたします》
安倍氏が統一教会をこのように礼賛する発言は、今もYouTube上に残っている。
銃の製造も安倍氏の発言もYouTube
統一教会に詳しく、霊感商法被害の相談を数多く受けてきた弁護士は、匿名でこう語る。
「安倍元首相がオンライン出席したこの集会の主催者・UPFのトップは、統一教会の創始者、文鮮明氏の妻・韓鶴子氏です。そこから考えても、UPFと統一教会は事実上一体化したものです。
日本では霊感商法や合同結婚式が社会問題となり、かつて国会でも何度も問題になってきました。総理退任間もなかった安倍氏がUPFや韓鶴子氏をスピーチで絶賛するのは、統一教会に日本としてお墨付きを与えたと思われても仕方がない」
また、安倍派の下村博文元文科相が統一教会系企業から政治資金の提供を受けたり、安倍氏の元首相秘書官であった井上義行参議院議員が統一協会関係者から選挙支援を受けたりしている事実は、かつてメディアでも報じられ、今もネット上ではたびたび言及されている。いずれも安倍氏に非常に関係の近い議員であることは見逃せない。
山上容疑者がYouTubeで見ていたのは、安倍氏の発言や、こうした周辺政治家と統一教会の関係ばかりではない。自作の銃や爆発物を密造方法も、ネット動画で学んだという。
「山上容疑者は比較的短期間で銃や爆発物を自らの手で作っていた。YouTubeを参考にしていたので、そう時間がかからなかったそうだ」(捜査関係者)
同様に、安倍元首相の統一教会を褒め称える動画も、犯行の引き金になった可能性が残るのだ。
「自作の銃ができるたびに、奈良県や京都府の山中で試し撃ちをして性能を確認していたとも供述しています。山上容疑者は奈良でも有数の進学校・郡山高校を卒業しており、頭脳明晰な印象を受ける。自宅からノートが押収され、そこには安倍元首相や統一教会への恨みのような言葉も残っていた。事件は1年以上前から計画していたとみられる記述もあるのです」(捜査関係者)
さて、山上容疑者が統一教会を憎むようになった経緯は、母親が信仰にのめりこんだ結果「家族をめちゃくちゃにされた」と山上容疑者自身が供述している。
現代ビジネスは、2002年8月21日に山上容疑者の母親が破産宣告を受けていることをすでに報じている。
ところが今回、さらに新しい事実がわかった。
実家を「相続から半年で売却」のワケ
山上容疑者の母親の実家は、かつて奈良市内で建設会社を経営していた。母親の両親が死亡後、1998年に自宅と会社の不動産を相続している。
この自宅は国宝、唐招提寺から徒歩10分ほどの閑静な住宅街に位置し、70坪あまり。土地の評価額で、2000万円ほどという。
また、建設会社は幹線道路に面し、高速道路の出入り口に近い便利のいい場所に70坪ほど所有。こちらは、土地の評価額で2500万円程度とみられる。
この母親は、両親の死後に建設会社の社長にも就任していた。建物の価値を加えれば、5千万円を下らない資産を有していたことが不動産登記などから明らかだ。
ところが、母親は1998年10月3日の相続後、たった半年で自宅、会社の不動産をともに売却している。 その3年後に母親は家賃7万円ほどの賃貸マンションで破産宣告を受け、建設会社も清算した。山上容疑者も似た時期に大学を中退したと見られる。
これまでの山上容疑者の供述と総合すれば、この売却で得た現金が統一教会に寄付された可能性は極めて高い。それを裏付けるように、母親のことを記憶している統一教会の元信者が語る。
「何が入信の原因かわかりませんが、お母さんはとても熱心に統一教会を信仰され、活動にも加わっていたのを私も横で見ていました。
近所の人にも『心が汚れるといけないので綺麗にしましょう』などと勧誘もしていた。問題になった、数珠や多宝塔などではなくて、訪問販売メンバーに入って食品などを売って寄付に充てていたこともありました。当然、そのぶん家族はほったらかしです。
確かに、ご実家は建設会社でかなり裕福だったはず。不動産を処分して、それまで一戸建ての大きなおうちにいらしたのに、急にマンションに引っ越した。統一教会に寄付を余儀なくされてしまったのかもしれない。とにかくおカネが大好きな教団ですからね」
この証言は、不動産登記の移動と明らかに符帳が一致する。この元信者はこうも続ける。
「山上容疑者が安倍元首相を銃撃したのは、近鉄西大寺駅前です。実は、統一教会の関連施設はそこから徒歩数分で、駅からも見わたせる距離にあります。事件後の土曜日、日曜日は安倍元首相の死を悼み、献花に訪れる人が500m以上の行列をなしていましたが、その行列が統一教会の施設のすぐ近くまできているの見て、すごく驚きました。これも因縁なのでしょうか」
7月11日の統一教会の会見では、田中富広会長が「破綻された方の家庭が破綻された諸事情は、私どもも把握しておりません。現場に問い合わせても、当時のことをわかってる方もおらず、把握しきれてないのが現状です」と答えるに留めた。だが、この一家の破綻に統一教会の存在が関係していることだけは、疑いようのない事実なのである。 
●容疑者実家に“恨み”ノート…安倍氏「ビデオレター」が銃撃の動機か? 7/12
山上徹也容疑者(41)は「安倍元総理が出ている宗教団体のビデオレターなどを見て殺すしかないと思った」という趣旨の供述をしています。さらに実家からは宗教団体への恨みを走り書きしたようなノートが見つかっています。
山上徹也容疑者「爆弾を作って殺すつもりだったが、周りの人に迷惑が掛かると思い自作の銃を使った。爆弾では殺せないと思った」
新たに、このような趣旨の供述をしている山上容疑者。奈良市内にある宗教団体の関連施設に向けて、「自作の銃を試し撃ちした」とも供述していて、12日も警察が現場を検証しています。
弾丸とみられる金属片が見つかっていたことが新たに分かりました。
近隣住民「バーンと全体的に音がした。就寝していた。でも、起きるくらい大きな音だった」
弾痕とみられる穴は少なくとも7つ。そのうち2つは貫通していたとみられ、自作の銃の殺傷能力の高さがうかがえます。
山上徹也容疑者「弾丸の作り方はネットの動画を見て知った。火薬はインターネットで購入した」
山上容疑者は銃撃事件の前日、宗教団体の関連施設周辺で試し撃ちをしたとされます。
その7日未明、周辺の防犯カメラが捉えたのは山上容疑者が運転しているとみられる車です。自宅の方向へ向かう様子が映っていました。
車から押収された複数の板にも、銃で撃たれたような穴があったといいます。
山上容疑者は試し打ちを繰り返し、自作の銃の殺傷能力を確認していた可能性が高まっています。
なぜ、安倍元総理に矛先が向いたのでしょうか。
山上徹也容疑者「安倍元総理がビデオレターに投稿していることなどを見て、殺すしかないと思った」
世界平和統一家庭連合・田中富広会長「私たちの友好団体が主催する行事に安倍元総理がメッセージ等を送られたことはございます」
山上容疑者の母親が入信していた「世界平和統一家庭連合」。その創設者である文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁は、友好団体の「UPF」を2005年に創設しています。
安倍元総理はこのUPFのイベントに去年9月、ビデオメッセージを送っていました。
UPFは番組の取材に対し今月12日午後、文書で回答。
UPF-Japan「UPFの行事に安倍首相がビデオメッセージを送ったことが山上容疑者の殺害動機となったということは、それが事実であれば、常識的には考えられないことですが遺憾であります。いかなる動機であれ、殺害を正当化することはできないと考えます」
山上容疑者の実家からは、宗教団体への長年の恨みを走り書きしたようなノートが見つかりました。
警察は銃撃事件の背景に宗教団体への恨みがあるとみて、いきさつを調べています。
●山上容疑者を精神鑑定へ 奈良地検 7/12
安倍晋三元首相が銃撃された事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)について、奈良地検が刑事責任能力の有無を調べるため、精神鑑定を実施する方針を固めたことが12日、捜査関係者への取材で分かった。
今後起訴されれば裁判員裁判で審理され、当時の精神状態が争点となる可能性もあることから、本格的な精神鑑定の実施が必要と判断したとみられる。
●安倍銃撃犯・山上容疑者のフィギュアも販売… 7/12
安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者は奈良県警の調べに対し、犯行理由について、世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)に入信した母親が破産した後も献金を続けたことから家庭連合に恨みを持ち、関係の深い安倍氏を狙った、と供述している。
これについて家庭連合は7月11日、記者会見を開き、母親が教会員で02年頃に破綻したと、事実関係を概ね認めた。
そんな中、山上容疑者の特殊な銃の製作、現場での冷静な発砲技術から、
「山上容疑者の単独犯とは考えにくい。銃の扱いを指南した集団がいるのではないかと、捜査当局は慎重に捜査を進めています」(全国紙社会部記者)
そこで浮上してくるのが、統一教会の分派、サンクチュアリ教会なのだ。
SNSには、鞄をたすきがけにして改造銃を左手で持つ、犯行現場の山上容疑者のフィギアが中国語で販売されている写真が上がっている。あまりの悪ふざけぶりだが、その姿が傭兵のように見えるのは気のせいか。
山上容疑者は02年〜05年に海上自衛隊にいたが、その後は派遣会社に登録してフォークリフトの操作をしていたなどとされるが、詳細は不明だ。また、昨春から銃の製作を始め、家庭連合への「復讐」の準備を始めたと供述しているが、母親が破綻したのは02年。なぜ約20年の時を経て、犯行を思いついたのか。前出・社会部記者は、
「事件発生直後に捜査関係者から聞いた話では、山上容疑者はサンクチュアリ教会で銃器の訓練を受けていたとの情報もあったのだと…」
宗教関係者の話を総合すると、統一教会は開祖の文鮮明氏が死去すると、文氏の妻・韓鶴子氏が責任者となった家庭連合(天の父母様聖会)と、七男の文亨進氏により設立したサンクチュアリ教会に分裂状態とされる。
サンクチュアリ教会は米国では「ガンチャーチ(銃教会)」と呼ばれ、銃賛美、武器使用を称賛する。21年1月、連邦議会議事堂を襲撃したトランプ前大統領の支持者の中に、文亨進氏の姿もあったという。捜査関係者が言う。
「現場映像では、2発の銃弾が発射されている。連発できる自作の銃は、よほどの能力がないとできない。また山上容疑者がSPの隙を狙った間合いの取り方も、訓練されていないとできない」
山上容疑者の背後に何が隠れているのか。
●「空の薬きょう入手し火薬詰めた」「銃は今春に完成」山上徹也容疑者が供述 7/12
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件で、逮捕された男が手製の銃に関連し「空の薬きょうを入手し、そこに火薬を詰めた」と供述をしていることがわかりました。
捜査関係者によりますと、逮捕された山上徹也容疑者(41)は犯行に使用した手製の銃について「1回で6発発射できる仕組みで、去年の春頃につくり始め、今年春頃に完成した」という趣旨の供述をしているということですが、新たに「空の薬きょうをたくさん入手してそこに火薬を詰めた」との趣旨の供述もしていることがわかりました。
自宅からは手製の銃のほか火薬も押収されていて、警察は銃弾についても山上容疑者が自ら製造していたとみて調べています。
一方、新たに犯行当時の山上容疑者の動きもわかってきました。安倍元総理の演説開始直後は道路を隔てた位置にいた山上容疑者ですが、直接車道へは進入せずに一旦反対方向へ進んでからバスロータリーの柵の隙間を通り抜けて安倍元総理のもとへ接近していたとみられることがわかりました。
山上容疑者が銃撃直前に迂回して警備の目をそらした可能性も出てきました。 
●210万円献金の代わりに印鑑も 夫が猛反対…ついに離婚 富山 7/12
安倍元総理銃撃事件をめぐり11日、旧統一教会が会見を開きましたが、12日は霊感商法の問題に取り組む弁護団が会見を開きました。富山県内に住む元信者の女性が、教会の活動や献金などの果てに家庭が崩壊し、ついに離婚に追い込まれるまでを証言しました。追跡第2弾です。
12日、霊感商法の問題に取り組む弁護士が会見を開きました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広弁護士「私が許せないのは、山上容疑者のお母さんが平成14年、2002年に奈良地裁で自己破産しています。その自己破産は明らかに統一教会に対する過度の献金のためですよ。それ以外考えられませんよ。それを(教団は)昨日の記者会見ではあたかも他人事のように言ったうえで、『その後の献金はありません』と。おそらく献金させています。借金させても献金させます。カードの借金をしたために自己破産した信者はたくさんいます。それを白々しくああいう形で証言することは許されない」
渡辺博弁護士「これは単なる本なのですが、これを統一教会はいくらで信者に買わせるかといったら3000万円です。こんな普通の本が(教団の「聖本」)3000万円です」
会見で弁護士たちは、旧統一教会をめぐって、今も霊感商法の被害は続いていて、去年1年間だけで3億3000万円あまりの被害があったことを明らかにしました。
こちらの印鑑。家族が円満なことを祈る教団のロゴが入っています。富山県内に住む元信者の女性が、当時、教会へ210万円を献金した代わりに受け取ったといいます。
県内に住む元信者「カードは“借金ローン”になってましたし、いつもローンを返している状態ですね」
女性は10年間で献金をしたり、高額のつぼを購入したりして、合わせて1000万円近くを使ったといいます。
今月8日に安倍元総理が銃撃され殺害された事件をめぐって、容疑者の母親が入信していた
旧統一教会、「世界平和統一家庭連合」が11日会見を開きました。
世界平和統一家庭連合 田中富広会長「(山上容疑者の家庭が)破綻したのは知っている。このご家庭が破綻された諸事情は私どもも把握していません。そして現場に問い合わせても当時のことをわかってる方もいない。把握しきれていないのが現状」
この会見を見た元信者は。
元信者の女性「私は、ちょっとそういうわけはないだろうなと思った。当然献金して、破綻しているのは分かっていると思いますし、私が知る中でもそういう人もたくさんいましたし。家もなくなっている人もたくさんいましたし。親の財産をなくした方もたくさんいましたし」
逮捕された元海上自衛官の山上徹也容疑者(41)は、「母親が宗教にのめり込み、恨みがあった」と供述。この元信者の女性も、山上容疑者の母親と同じ頃の1990年代に入信、当時、結婚して子どもがいました。
しかし、統一教会の活動にのめりこみ、家庭は悲惨な状況になっていったといいます。
元信者の女性「大変でした。(家族は)反対で。当時はやっぱり、話しても主人にはわかってもらえない。『これだけ言ってもやめないのか』みたいな感じで」
家族の猛反対に対し、統一教会の内部では…。
元信者の女性「教会の人がどう言うかというと、それは迫害で、お父様(教祖・文鮮明)が通られた苦難の道なんだから、そういう経験を通していろんな事を学んでいくんだと言われる。今ここであなたががんばらなければ地獄に落ちるという。迫害されるのは当然、喜びなさいと」
女性は多額の献金など、統一教会の活動がきっかけでついに、夫と離婚することになりました。
元信者の女性「統一教会が求める家庭円満どころか離婚、離婚ですね本当に。子どもたちは年頃だったのでつらかったと思いますね。勝手に嘘をついて、いろんなとこへ行ってたりしてたので。当時、もう本当にひどかったですね。(信者は)心の自由っていうものを求めて入ったと思うんです。でも実際、真の自由は感じていないと思う」
●容疑者実家に“恨み”ノート…安倍氏「ビデオレター」が銃撃の動機か? 7/12
山上徹也容疑者(41)は「安倍元総理が出ている宗教団体のビデオレターなどを見て殺すしかないと思った」という趣旨の供述をしています。さらに実家からは宗教団体への恨みを走り書きしたようなノートが見つかっています。
山上徹也容疑者:「爆弾を作って殺すつもりだったが、周りの人に迷惑が掛かると思い自作の銃を使った。爆弾では殺せないと思った」
新たに、このような趣旨の供述をしている山上容疑者。奈良市内にある宗教団体の関連施設に向けて、「自作の銃を試し撃ちした」とも供述していて、12日も警察が現場を検証しています。
弾丸とみられる金属片が見つかっていたことが新たに分かりました。
近隣住民「バーンと全体的に音がした。就寝していた。でも、起きるくらい大きな音だった」
弾痕とみられる穴は少なくとも7つ。そのうち2つは貫通していたとみられ、自作の銃の殺傷能力の高さがうかがえます。
山上徹也容疑者「弾丸の作り方はネットの動画を見て知った。火薬はインターネットで購入した」
山上容疑者は銃撃事件の前日、宗教団体の関連施設周辺で試し撃ちをしたとされます。
その7日未明、周辺の防犯カメラが捉えたのは山上容疑者が運転しているとみられる車です。自宅の方向へ向かう様子が映っていました。
車から押収された複数の板にも、銃で撃たれたような穴があったといいます。
山上容疑者は試し打ちを繰り返し、自作の銃の殺傷能力を確認していた可能性が高まっています。
なぜ、安倍元総理に矛先が向いたのでしょうか。
山上徹也容疑者「安倍元総理がビデオレターに投稿していることなどを見て、殺すしかないと思った」
世界平和統一家庭連合・田中富広会長「私たちの友好団体が主催する行事に安倍元総理がメッセージ等を送られたことはございます」
山上容疑者の母親が入信していた「世界平和統一家庭連合」。その創設者である文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁は、友好団体の「UPF」を2005年に創設しています。
安倍元総理はこのUPFのイベントに去年9月、ビデオメッセージを送っていました。
UPFは番組の取材に対し今月12日午後、文書で回答。
UPF-Japan「UPFの行事に安倍首相がビデオメッセージを送ったことが山上容疑者の殺害動機となったということは、それが事実であれば、常識的には考えられないことですが遺憾であります。いかなる動機であれ、殺害を正当化することはできないと考えます」
山上容疑者の実家からは、宗教団体への長年の恨みを走り書きしたようなノートが見つかりました。
警察は銃撃事件の背景に宗教団体への恨みがあるとみて、いきさつを調べています。
●「“統一教会”の問題は今も」弁護士が会見 “3億円以上被害”主張も 7/12
安倍元首相の銃撃事件を受け、12日、「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”のトラブルに対応してきた弁護士たちが会見を開きました。弁護士らは「問題は今も続いている」と指摘し、去年もあわせて3億円以上の被害相談が寄せられたといいます。
12日午後5時半すぎ、「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”のトラブルに対応してきた弁護士たちは次のように述べました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 川井康雄弁護士「山上容疑者が安倍晋三元首相を死に至らしめた今般の卑劣きわまりない行為は、いかなる理由があろうとも決して許されないことです」
安倍元首相襲撃事件で逮捕された山上徹也容疑者は、母親による教団への多額の寄付で「家庭生活がめちゃくちゃになった」と主張しています。
川井弁護士は、「山上容疑者の母親が統一教会に多額の献金をし、家庭を崩壊させられたことへの恨みが、今回の事件の動機であるという報道が事実だとすれば、同被疑者が母親の常軌を逸する統一教会への献金をはじめとした忠実すぎる活動のため、どんなに苦しんできたことか」と教団の献金などの活動を非難しました。
11日の会見の中で、世界平和統一家庭連合の田中富広会長は、「過去、献金に関してトラブルがあったということは、報道関係者のみなさまも周知の事実かと思います。2009年以降の案件で、そのようなトラブルはありません」と述べていました。
しかし、弁護士らは「問題は今も続いている」と指摘しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広弁護士「きのうの記者会見では、あたかも他人事(ひとごと)のように言ったうえで、『その後の献金はありません』(と言ったが)おそらく献金させてます。借金させても献金させます」
弁護士らによると、「去年もあわせて3億円以上の被害相談が寄せられた」といいます。
さらに、この弁護士会は次のように主張しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 渡辺博弁護士「現在でも同じような形、全ての財産は神様。『全てささげなさい』というのが残念ながら統一教会の教えですから、その結果、家庭崩壊になってしまうということです。一つだけもってきたんですが、単なる本なんですが、“統一教会”がいくらで信者に買わせるかと言ったら3000万円。こんな普通の本が3000万円。常識外れです」
また、「安倍元首相がメッセージを送った団体は“統一教会”と実態は同一だ」と主張しました。
●元宗教2世が語る胸中 「信仰は自由だからと放置され」 7/12
特定の宗教団体の名前をあげ、「安倍元総理がその宗教団体と関係があると考え、殺そうと思った」という趣旨の供述をしている、山上徹也容疑者。警察が供述の裏付けと詳しい動機の解明を進める中、今回の事件を受け、特別な思いを抱いた人がいる。
「彼のやったことは最悪なテロ行為ですが、もしかしたらあれは自分だったんじゃないかと考えてしまうことがあって」
母親が信仰する宗教を強制され、絶縁する形で抜け出した経験がある元宗教2世のiidabiiさん。心の拠り所となる宗教も、一部の人にとっては別の側面を持つことを改めて感じたという。
「(山上容疑者とは)全く宗教も違うし、受けてきた経験のハードさが違うんですが、ずっと見過ごされてきたという点では、共通してるのかなというのはあって。もしそれが本当の話で、本当の動機であったとしたら、どうして彼がこういう行動に至るまで、誰も何もしようとしなかったんだろうというのは(思います)」
家族や自分自身が、信仰する宗教と真剣に向き合ったときに生まれる葛藤。悩み、孤立する人々がいる現実に、目を向けなければならないとiidabiiさんは訴える。
「ここ数年で宗教2世の問題が顕在化してきたが、その問題は社会でずっと放置されてきた。それは触れちゃいけないもの、信仰は自由だからと放置されて、こんなに苦しんでいる人たちがいるのに、こんなに俺苦しんでいるのに無視されるんだ、見過ごされるんだ、取り残されるんだ。という感じでこの社会って最悪だなと思って生きて、家族がつらい目にあっているにもかかわらず誰も何も止めない」
宗教が理由で困難が生じても、家族の問題に他人が立ち入ることができない。悩みを抱えても助けを求める場所がない、そんな社会の現状が最悪の形で暴発してしまったのではないかとiidabiiさんは話す。
最後に、今まさに悩みを抱える人にこうメッセージを送った。
「本当にその信仰が自分自身の正直な気持で心から信じているものなら強く持っていてほしいと思います。ただ少しでも自分自身以外の気持ちが混ざっていたり、家族が、友達が仲間がという言葉が入ってくる理由だったら、あなたの人生ではなくなってくるので、自分の本当の気持ちを大切にしてあげてください」 

 

●山上容疑者、裕福だった幼少期 実家の至る所に貼られていた大量の“お札” 7/13
7月8日、奈良県奈良市で遊説中の安倍晋三元首相(享年67)が銃撃された。逮捕された山上徹也容疑者(41才)は、「YouTubeの動画を参考に銃を製造した」と供述。自宅からは仕組みなどが異なる5丁の銃も見つかっている。
安倍氏が銃撃された近鉄・大和西大寺駅から車でおよそ20分の距離にある、閑静な住宅街。戸建て住宅が立ち並ぶ一角に、かつて、100坪はゆうにある広い敷地に情緒ある和風の邸宅が建っていた。幼少の山上容疑者が暮らした家だ。母方の祖父と、母、兄、妹の5人家族で、山上容疑者は中学時代までをその場所で過ごしたという。山上容疑者の兄の友人が明かす。
「子供の頃、何度も遊びに行きました。いつも広いリビングで、テレビゲームをやっていました。お母さんはお菓子やジュースを出してくれて、物静かで優しい印象でした。
それよりも強く記憶に残っているのは、家の中の至るところにお札が貼ってあったこと。玄関にも、リビングの壁にもです。もちろん、どこの家にも初詣なんかでもらってくるお札の1枚や2枚あるのは普通ですが、ちょっと量が比べものにならないほどで……。その頃から、“神頼み”に熱心だったのでしょうか。子供心に、違和感をもったことを覚えています」
それから30年以上を経て、山上容疑者は日本を揺るがす大事件を起こすことになる。
「母親が宗教団体に多額の献金をして破産した。家庭を崩壊させた団体を恨んでいた」
山上容疑者は、凶行の動機をそう供述している。自宅マンションから押収されたノートには、母親が入信する宗教団体「統一教会」(現・「世界平和統一家庭連合」)への恨みが記述されていたという。また「家庭を壊した団体を日本に招いたのが岸氏(岸信介元首相)。その孫の安倍氏が国内に広めたと思い込んで狙った」とも話している。
重なった憎しみ
地元の公立小中学校を卒業した山上容疑者は、県内でも有数の進学校へ進んだ。応援部に所属したが、人づきあいが得意な方ではなく、高校時代の担任教師が「記憶に残っていない」と言うほど、印象が薄く目立たない生徒だったようだ。
「進学校の、しかも成績上位者だったにもかかわらず、家庭の経済状況から大学進学はできず、専門学校に進んだようです」(捜査関係者)
当時は、いわゆる「就職氷河期」だった。専門学校の後、山上容疑者は2002年からの約3年間、任期制自衛官として海上自衛隊に入隊した。
「海自の場合は、3年が任期です。容疑者は護衛艦『まつゆき』に乗り、大砲やミサイルを扱う『砲雷科』に属していたとされています。二等海士は最下級です。艦艇を掃除したり、整備を手伝う程度の単純作業が多く、ピストルとは無縁でしょう。3年任期の後、本人が希望し、認められれば、さらに2年勤務できますが、容疑者が1期で辞めているところを見ると、そうしたこともなかったのでしょう」(軍事ジャーナリストの田岡俊次氏)
2005年に自衛隊を辞めて以降、山上容疑者は宅地建物取引士や、ファイナンシャルプランナーの資格を取得しながら、職を転々とした。
その頃、2006年に第1次安倍内閣が発足。安倍氏は体調不良のためわずか1年で辞任するが、2012年の衆院選で自公が勝利し、第2次安倍内閣が発足すると、それから7年8か月、歴代最長となる政権が続いた。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は結果として、正規雇用と非正規雇用、富裕層と貧困層などの格差を拡大させていく。
犯行直前の今年5月まで、山上容疑者は派遣社員として、2020年秋から京都府内の倉庫で運搬作業に従事していた。暮らしていたのは、家賃3万5000円、6畳の単身者用ワンルームマンション。幼少の頃の裕福な暮らしぶりから見れば、あまりに大きな差だったのだろう。
「真面目で勉強もでき、成績優秀だった容疑者が、大学へ通えず、非正規雇用にあえいだ。苦労する原因となったのが、母親の宗教活動だと認識しているようです。容疑者にとっては、こんなことになった原因は統一教会だと、憎しみが重なっていったのでしょう」(全国紙記者)
裕福だった幼少期から、父の死、祖父を亡くし、母の入信で生活は一変した。貧困と閉塞感の中で、容疑者の目に映ったのは、安倍政権のもとで拡大した格差社会。光明も見えず、鬱屈した気持ちばかりが募っていった。それが安倍氏に向けられた、手製の銃に込められていた“銃弾”だったのか──。
●山上徹也容疑者“旧統一教会トップを恨んでいた”趣旨の供述 7/13
安倍元総理が奈良市で銃撃され死亡した事件。山上容疑者が「旧統一教会の総裁を恨んでいた」という趣旨の供述をしていることが分かりました。
きょう、安倍元総理が銃撃された現場周辺では、奈良県警の捜査員らが早朝から山上徹也容疑者の銃から発射さた弾丸の捜索にあたりました。
記者「発砲された場所から90メートルほど離れた立体駐車場の壁には、弾痕とみられる穴がくっきりと残っています」
流れ弾なのでしょうか。銃撃現場からほど近い立体駐車場では、壁面に弾痕とみられる穴を3か所確認、午後3時すぎからこの場所でも現場検証が行われ、弾丸のような金属片が見つかったということです。手製の銃の威力がうかがえます。
容疑者の事件前の行動も徐々に明らかになっています。山上容疑者は事件前日の今月7日、安倍元総理の遊説先である岡山に行ったとしていますが、捜査関係者によりますとJR新大阪駅などの防犯カメラには山上容疑者とよく似た人物が写っていたということです。
山上容疑者は「岡山に持って行った銃とは別の銃を犯行には使った」という趣旨の供述をしていることも分かりました。
また、動機として指摘されている世界平和統一家庭連合・旧統一教会への恨みについて、山上容疑者が新たに「旧統一教会の韓鶴子総裁を恨んでいた」「3年前に韓総裁が来日した時に愛知の会場に火炎瓶を持って行ったが、中には入れなかった」という趣旨の供述をしていることが新たに分かりました。
安倍元総理殺害へ冷徹に犯行に突き進んだことがうかがえる山上容疑者。奈良地検が刑事責任能力の有無を調べるため鑑定留置を行う方針を固めたことが捜査関係者の取材でわかっています。
●安倍元首相銃撃の山上容疑者の背後に2つの反アベ団体≠ゥ 7/13
安倍晋三元首相(享年67)が今月8日、奈良市で行っていた参院選の街頭演説中に銃撃され、死亡した事件で、元海上自衛隊員の無職山上徹也容疑者(41)は、より殺傷能力の高い銃を選んだという趣旨の供述をしていることが12日、わかった。そうしたなか山上容疑者は複数の過激な“反アベ”の団体に所属していたとの情報が浮上した――。
山上容疑者は奈良県警の調べに対し、「事件前日に安倍氏が演説した岡山市の会場に持って行った銃とは別の銃を当日は使った」と説明しているという。
安倍氏を銃撃した8日には、一度に複数の弾丸が出る、散弾銃のような手製の銃を使った。一般的に散弾銃は、近距離での命中率が高いとされる。7日に岡山に携行したのはこうした銃ではなかったが、8日になってより殺傷能力の高い手製の銃を選んだことになる。県警はその経緯を調べている。強い殺意をうかがわせる山上容疑者だが、安倍氏を狙うようになったきっかけは母の破産とされる。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は11日の会見で、山上容疑者の母が1998年ごろに入信、2002年ごろに経済破綻したことを今回の事件後に把握したと説明している。
「主文 破産者を免責する」
官報によると、奈良地裁が、山上容疑者の母の自己破産が確定したとしたのは、02年12月10日だった。
山上容疑者は当時、海上自衛官だった。母はかねて自宅を売却するなどカネの工面に四苦八苦していたが、苦労して手に入れたカネを旧統一教会に、巨額の献金としてつぎ込んでいたとされる。
山上容疑者にとっては忘れられないことなのだろうが、20年もたってから旧統一教会との関係を理由に安倍氏を銃撃するとは何とも理解に苦しむ。山上容疑者は海上自衛隊に在籍(02〜05年)後、20年秋から大阪府の人材派遣会社に在籍したが、実は05年から20年までの15年間、大阪府内で職を転々としていたことしか分かっておらず、捜査当局はこの期間の動向にも関心を持っている。
そんな中で浮上したのが、山上容疑者は“反アベ”の団体に所属していたとの情報だ。
「山上容疑者はリベラル色が強い“反アベ”団体に所属していたのではないかと言われています。安倍氏の長期政権の“独善的”な姿勢を嫌う団体。会員は数千人規模です」とはテレビ局関係者。この団体は安倍氏だけでなく、父の故安倍晋太郎元外相、祖父の故岸信介元首相の安倍ファミリーをも敵視する。特に団体幹部は、SNS上で安倍氏を攻撃していた。
山上容疑者は奈良県警の調べに、動機について「安倍氏の政治信条に対する恨みではない」と供述。同関係者は「その団体の中で積極的に活動していたというより、団体の活動を“支持”していたのではと言われている」と話す。この件について団体幹部に「山上容疑者は団体会員か」と問い合わせたが、折り返しはなかった。
それだけではない。捜査当局はもう一つの過激な団体にも注目している。事情に詳しい関係者の証言。
「団体の実名は明かせませんが、かなり好戦的な思想で、やはり反安倍。しかもこの団体の背景がかなり不気味で、闇に包まれている。山上容疑者が洗脳された可能性がないか重要調査対象となっています」
実際、山上容疑者は取り調べで「安倍氏が旧統一教会とつながりがあると思い込んで犯行に及んだ」という趣旨の供述をしているという。この「思い込んだ」と発言している点がポイントで、当局は山上容疑者が何者かに知らず知らずのうちに“洗脳”された線も探っている。
ここで思い出されるのは1963年11月22日、遊説先のテキサス州ダラスで起きた第35代米国大統領ケネディ暗殺事件だ。単独実行犯とされたオズワルドも逮捕直後にジャック・ルビーによって射殺された。死の直前にオズワルドが「ハメられた!」と残した言葉から、何者かがオズワルドを“洗脳”したとの見方は根強い。山上容疑者が“洗脳”されていたとするのは現時点では臆測の域を出ないが、もし自分の人生が誰かが描いたシナリオ通りに歩まされていたとしたら…。事件は異様な展開を見せている。
●山上容疑者 事件前日 安倍元総理の遊説先岡山でも銃隠しもっていたか 7/13
安倍元総理が奈良市で銃撃され死亡した事件で、逮捕された男が事件前日、安倍氏の遊説先の岡山を訪れた際にも銃を隠し持っていたとみられることが分かりました。
安倍元総理が銃撃された現場近くです。けさ、こちらでは警察による大規模な現場検証が行われました。
記者「大和西大寺駅前です。奈良県警の捜査員らが現場検証を行っています」
きょう午前5時ごろから、奈良県警の捜査員およそ50人が現場検証を実施。山上容疑者の手製の銃から発射された弾丸の捜索にあたったということです。
記者「現場から100メートルほど離れた駐車場の壁なんですが、壁には弾痕とみられる穴がくっきりと残っています」
銃撃現場から100メートルほど離れた立体駐車場の壁面には、弾痕とみられる穴を複数確認することができます。
また、山上徹也容疑者(41)の事件前の行動も徐々に明らかになってきました。山上容疑者は事件前日の今月7日、安倍元総理の遊説先である「岡山にも行っていた」と供述していることがすでに分かっていますが、捜査関係者によりますと「岡山に持って行った銃とは別の銃を犯行には使った」との趣旨の供述をしていることが新たに分かりました。
JR新大阪駅などの防犯カメラには山上容疑者とよく似た人物が映っていたということです。山上容疑者は犯行時、ショルダーバッグに銃を入れていましたが、それとよく似たバッグも防犯カメラの映像に映っているということです。
警察は、山上容疑者が岡山を訪れた際も銃を隠し持っていたとみて調べています。
●山上容疑者 事件前日にも安倍元総理が訪れていた岡山に 7/13
奈良市で安倍晋三元総理大臣が銃で撃たれ死亡した事件で、容疑者の男が、事件前日、安倍元総理が訪れていた岡山に「銃を持って行った」と供述していることがわかりました。
山上徹也容疑者は、今月8日、奈良市内で街頭演説をしていた安倍元総理を手製の銃で撃ち、殺害した疑いが持たれています。
山上容疑者は、事件前日、安倍元総理が応援演説で訪れていた「岡山県にも行った」と供述していますが、捜査関係者への取材で、その際に「銃を持って行った」と供述していることが新たにわかりました。
一方、事件前日、山上容疑者が試し撃ちをしたと話している旧統一教会施設近くの防犯カメラには銃声のような音が記録されていました。
警察は、山上容疑者が周到に犯行の計画をたてていたとみて捜査しています。
●山上容疑者 旧統一教会への恨みで安倍元総理に強い殺意か 7/13
安倍元総理大臣が銃撃され死亡した事件で、逮捕された男が「母親が祖父の土地を勝手に売り払い宗教団体につぎ込んだ」と供述していることがわかりました。
逮捕された山上徹也容疑者は警察の取り調べに対し、母親がのめり込む宗教団体に恨みを抱くようになった経緯について詳細に話しているとみられます。
捜査関係者によりますと、山上容疑者は、母親が団体に多額の寄付をするなかで、「祖父の土地を勝手に売り払い団体につぎ込んだ」と話していることがわかりました。
事件があった現場では、13日午前5時頃から捜査員およそ50人態勢で検証が行われ、銃弾などの証拠品を捜索しました。
安倍元総理が襲撃された現場から100メートルほど離れた建物の壁から弾痕のようなものが3か所で見つかりました。
また、山上容疑者は事件の前日、 宗教団体の施設に向かって銃の試し撃ちをしていたと供述し、施設の建物からは、弾痕のようなものが見つかっていますが、近くの防犯カメラには発砲音のような音が記録されていました。
また、山上容疑者は、「母親が祖父の持っていた土地を勝手に売り払い宗教団体につぎ込んだ」と供述しているということです。
母親が入信する団体は旧統一教会だとわかっていて、登記簿によりますと、母親は入信したとみられる1998年に相続した奈良市内2か所の宅地を翌年6月までに売却。その後、破産しています。
山上容疑者は、「岸信介元総理が団体に関係があると思い、孫の安倍元総理も関係があると思った」とも話しているということですが、警察は、団体への恨みから安倍元総理に殺意を抱くようになったとみています。
●「統一教会」から5千万円返還させていた…山上容疑者と教団の金銭トラブル 7/13
安倍晋三元首相を銃撃し逮捕された山上徹也容疑者(41)は、母の統一教会への傾倒を犯行の動機として語っている。その凄絶な生い立ちを山上容疑者の伯父が証言する。
山上容疑者には、兄と妹がいる。母は統一教会を信仰する以前に、実践倫理宏正会という団体の活動に入れ込み、その傾倒が理由でノイローゼ状態になった父は自ら命を絶った。
「徹也の兄は小児がんを患っていて、手術もしています。片目も失明しており、普段の生活にも苦労していました」と明かすのは、山上容疑者の父の兄、つまり伯父にあたる人物である。
「(山上容疑者の)父が亡くなり、兄も病気でした。そうしたことがきっかけになり、父が亡くなってずいぶん経ってから、母は統一教会に入信したんですわ」
彼女は熱心な信者となり、度々、子供を置いて長期にわたり渡韓するほどだったという。
「子供たちはその間、食べるもんがなかったんですよ。だって、母親が日本におらんかったからね。自分は韓国に行き、ずっと放っておいた。ネグレクトどころではない、もっとひどい状態です。兄は病気で自分で食事を作ることもできない。その兄が電話をかけてきて、“食べるものがない”と。お金を持って行ってあげたりしていました。すると、冷蔵庫の中には食料がまるでないんですわ……」
さらに、伯父は統一教会と山上容疑者の家族の間で、ある取り決めが交わされたと語る。
「(山上容疑者は)そりゃあ、統一教会憎しになりますよ。(寄付として家から)持って行かれてしまったのが、1億数千万円はある。私はね、(山上容疑者ら)3人の甥と姪の依頼で統一教会から5千万円を2009年に取り返したんですよ。その時の和解書もある。でも、取り返した金を母親がまた寄付してしまうんです」
その当の母親は大阪府内の伯父の自宅に身を寄せているという。
特殊な環境に育った山上容疑者の兄は後に自殺し、また山上容疑者本人も、母の信仰に悩み自殺未遂を起こしている。
●若狭勝氏 安倍氏銃撃犯の動機に疑問「奈良県警は宗教の方に行こうと…」 7/13
13日放送のTBS系「ひるおび!」では弁護士の若狭勝氏が安倍晋三元首相を銃撃し、死亡させた山上徹也容疑者の犯行の動機を疑問視した。
今回、山上容疑者は「特定の宗教団体」へのうらみから、この団体に近い存在と思い込み安倍元首相を狙ったとされる。しかし、若狭氏は「一連の流れから、容疑者は動機をあえて教団がらみにしようとしている可能性がある」と指摘。
今回、山上容疑者は犯行前日の7日未明に「試し撃ち」として教団施設に銃撃をしている。これについて「試し撃ちというなら、なぜ教団施設なのか。試し撃ちというなら、人形などを撃つとか他に方法がある。教団施設を狙うと通報されたりとかリスクがある。犯行と教団を結びつけようと印象付けるための意図があったという可能性がある」と私見を述べた。
さらに「今回の犯行に関しては動機の解明が非常に重要。動機が宗教団体へのうらみなのか、政治的なテロなのかは大きな違いがある」とした上で「警備の問題にしても、動機が宗教団体であれば批判は弱くなるが、政治的なテロだとすれば大きくなる。奈良県警はどうも動機を宗教の方に持って行こうとしているようにも見える。動機についてはしっかり解明してほしい」と訴えた。
●安倍元総理事件 山上容疑者父の自殺の背景にあった“もうひとつの団体名” 7/13
宗教に傾倒し、育児を放棄
7月8日、選挙応援中に凶弾に斃(たお)れた安倍晋三元総理。「母親が統一教会に多額の寄付をし破産した」と動機を供述している山上徹也容疑者(41)には、実父が自殺した過去、そしてその背景に「別の団体」の存在があることがわかった。
山上容疑者の父は、1970年代末に奈良に本社を置く建設会社に入社し、その前後に社長の娘と入籍、容疑者の兄、妹を含む3人の子どもをもうけた。当時、居を構えていたのは東大阪市内の木造の一軒家。当時の近隣住民によると、頻繁に父が母を怒鳴りつける声がする異様な家だったという。
「実はお母さんが『朝起(あさおき)会』という宗教にはまっていたんです。子育てをほっぽらかしにしていて、朝の5時とかに出かけてしまうんです。当時、2歳か3歳かの男の子が冬も裸足で家の外に出てきて、泣きながら母親を探してるんですわ。ご主人もなんもせんとね。おしっこやうんちで重くなったおむつをはいているから、半ケツ状態でかわいそうでした」(一家を知る知人)
朝起会とは、戦後まもなく設立された実践倫理宏正会のことで、朝起会と呼ばれる早朝の活動をメインに会員数は400万人を超えるといわれる。
「生活倫理を実践する社団法人ということになっており、宗教団体であることを否定しています。しかし、事実上の宗教ではないかと指摘する声もある」(宗教事情に詳しい記者)
「最後は近くのマンションから飛び降りて自殺しはってね」
実践倫理宏正会の東京本部の担当者は、「(母親の)会への在籍は過去を含め、一切なく、朝起会に参加したこともございません」と否定するが、先の知人は団体への傾倒が引き起こした悲劇についてこう語る。
「奥さんが相当宗教に入れ込んでしまったみたいで、旦那さんはノイローゼやったようです。最後は近くのマンションから飛び降りて自殺しはってね、それは近隣で話題になりましたわ。それから1年と経たず、一家は引っ越していかれました」
父を亡くした後、一家は奈良市内にあった祖父の家に身を寄せた。母は父に代わり実家の建設会社の取締役に就任し経理を担当するようになるが、しばらくして統一教会に入信したという。
●銃撃「コロナ禍で標的かえた」 7/13
安倍晋三元首相の銃撃事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が「当初は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁を狙ったが、新型コロナウイルス禍で来日しないので安倍元首相に狙いをかえた」との趣旨の供述をしていることが13日、捜査関係者への取材で分かった。
現場の北約90mにある立体駐車場の壁面に確認された弾痕のような穴の中に、弾丸とみられるものが複数あった。奈良県警は山上容疑者の手製銃を鑑定し、殺傷能力の確認を進める。
19年に旧統一教会の集会で総裁が愛知県に来た際に「火炎瓶を持って行ったが会場に入れなかった」とも供述した。 
●山上徹也容疑者「旧統一教会トップが来日時に火炎瓶を持って行った」と供述 7/13
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件。山上容疑者は「母親が祖父の土地を勝手に売り払った」という趣旨の供述をしているということです。また、容疑者の責任能力の有無を調べるために鑑定留置を行う方針という話が新たに出てきています。
警察は7月13日午後3時ごろからの現場検証で、山上徹也容疑者(41)の銃撃現場から90mほど離れた立体駐車場の壁面にできた3か所の弾痕とみられる穴を捜査し、複数の金属片を回収しました。
また山上容疑者は「事件の前日に宗教施設が入る建物の壁に向けて試し撃ちをした」と供述していますが、近くの防犯カメラには発砲音のような音が記録されていました。
山上容疑者は「母親が入信する宗教団体への恨みを募らせ犯行に及んだ」と供述していますが、その後の捜査関係者への取材で「旧統一教会のトップ・韓鶴子総裁を恨んでいた。3年前に来日したときに愛知の会場に火炎瓶を持って行ったが、中には入れなかった」という趣旨の供述をしていることが新たにわかりました。その理由として「母親が祖父の土地を勝手に売り払った」とも供述しているということです。
捜査関係者によりますと、山上容疑者の刑事責任能力の有無を調べるため、鑑定留置を行う方針だということです。
●山上徹也容疑者“旧統一教会トップを恨んでいた”趣旨の供述 7/13
安倍元総理が奈良市で銃撃され死亡した事件。山上容疑者が「旧統一教会の総裁を恨んでいた」という趣旨の供述をしていることが分かりました。
きょう、安倍元総理が銃撃された現場周辺では、奈良県警の捜査員らが早朝から山上徹也容疑者の銃から発射された弾丸の捜索にあたりました。
記者「発砲された場所から90メートルほど離れた立体駐車場の壁には、弾痕とみられる穴がくっきりと残っています」
流れ弾なのでしょうか。銃撃現場からほど近い立体駐車場では、壁面に弾痕とみられる穴を3か所確認、午後3時すぎからこの場所でも現場検証が行われ、弾丸のような金属片が見つかったということです。手製の銃の威力がうかがえます。
容疑者の事件前の行動も徐々に明らかになっています。山上容疑者は事件前日の今月7日、安倍元総理の遊説先である岡山に行ったとしていますが、捜査関係者によりますとJR新大阪駅などの防犯カメラには山上容疑者とよく似た人物が写っていたということです。
山上容疑者は「岡山に持って行った銃とは別の銃を犯行には使った」という趣旨の供述をしていることも分かりました。
また、動機として指摘されている世界平和統一家庭連合・旧統一教会への恨みについて、山上容疑者が新たに「旧統一教会の韓鶴子総裁を恨んでいた」「3年前に韓総裁が来日した時に愛知の会場に火炎瓶を持って行ったが、中には入れなかった」という趣旨の供述をしていることが新たに分かりました。
安倍元総理殺害へ冷徹に犯行に突き進んだことがうかがえる山上容疑者。奈良地検が刑事責任能力の有無を調べるため鑑定留置を行う方針を固めたことが捜査関係者の取材でわかっています。
●「さらに献金しなくちゃ…」政治家の“お墨付き”が影響 7/13
安倍元総理の銃撃事件で逮捕された男の母親のように、旧統一教会への献金などで家庭が崩壊したという人からの情報が相次いで寄せられました。その中で富山県内に住む元信者の家族は、信者が多額の献金をする裏で政治家の存在が教団の活動にお墨付きを与えていたのではと話しています。元信者が語る、第3弾です。
元信者の兄「ここに高麗大理石のつぼって(書いてある)、なんの変哲もないただのつぼが60万円」
当時、信者だった男性の妹が、60万円で購入したつぼの契約書。
元信者の兄「テレビとか週刊誌とか新聞で霊感商法の被害が出てます。見るたびに家族は泣いていました」
富山市に住むこの男性の妹が、40年前、当時の統一教会に入信。つぼを買ったり、貯金を献金したりするなど、教会の活動にのめり込み、その後、行方不明になりました。
元信者の兄「今まで父、母、(妹と)4人で暮らしていたものが、突然1人がいなくなる。家庭崩壊ですよね」
男性は10年間をかけて妹を脱会させましたが、その後も統一教会を調べ続けてきました。資料の中には、統一教会と政治家とのつながりが書かれた本も…。
12日行われた霊感商法の問題に取り組む弁護士の会見では。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広 弁護士「安倍元総理が殺害されたことは許されない。」「私どもとしては、安倍元総理にも、あるいはほかの政治家に対しても、何回も統一教会の社会悪を考えたら反社会的団体である統一教会にエールを送るような、そういう行為をやめていただきたいと、繰り返しお願いしてまいりました」
安倍元総理は去年9月、旧統一教会の関連団体であるUPFのイベントで、ビデオメッセージを送っていました。
ビデオメッセージ「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ、朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆様に敬意を表します」
UPFは、統一教会の創設者である文鮮明氏が2005年に創設。現在はその妻・韓鶴子氏が代表を務めています。
富山県内でも去年9月、自民党の県議が実行委員長を務めるUPFの講演会が開催されました。自民党の関係者は「UPFから申し出があり、知事選や高岡市長選で選挙の応援を受けた。彼らは戸別訪問が得意で統一教会と関係があることもわかっていた」と 話しています。
安倍元総理のメッセージについて元信者の兄は─。
元信者の兄「ビデオメッセージまで送ってる。インパクト強いでしょ。元総理がこういうことをしてる。これを家族に見せたらどうなりますか。それを見た親はどうなりますか。『ああ総理大臣が推薦しているんだ』と。これはもう国から承認された団体なんだと思うでしょ」
また、別の元信者の女性は政治家の存在が信者の心理に影響を与えていたと話します。
元信者の女性「信者に影響を与えるようなことをなぜするのかなという。信者の人たちはみんなモニター越しに(政治家を)見ますよね。やっぱりそれで安心ていうか『自分のやってることが間違いじゃない』っていうことを確信すると言いますかね。『日本はこういうふうに動いてるんだ』っていうのを、(確信)すると、さらに献金しなくちゃって思いになると思いますね」
一方、11日の会見で、旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合は、UPFはあくまで別の組織だと説明しました。
世界平和統一家庭連合 田中富広 会長「安倍元総理は文鮮明総裁が主導され、多くの世界の指導者とともに推薦されている世界平和運動に賛意を表明してくださっていた。ただ、宗教法人世界平和統一家庭連合の会員として安倍元総理が登録されたこともありませんし、また顧問にもなったことはございません」
しかし、霊感商法の問題に取り組む弁護士はUPFに所属している信者も多く旧統一教会のフロント組織としています。
妹が信者となった富山市の男性。妹が霊感商法の販売員となり、加害者になったことが一番つらかったと言います。
元信者の兄「私の家は家庭崩壊しましたけど、今度は妹はほかの家族を不幸にしていく。今は被害者だけど加害者になっていく。それが一番苦しかったです。政治家といっても、誰一人統一教会に入信しないし、自分の子どもも入信させない。(政治家は)単なる広告塔なんです。賛同するような、誤解を招くような行動は慎んだほうが私はいいと思う。(このままだと)第2、第3の山上容疑者が出てくる可能性は否定できないと思う」
旧統一教会への献金などによって 次々と家庭が崩壊する悲劇。結果として、教団の活動を応援した形となった政治家にも責任はあるのでは、と男性は話します。
●旧統一教会で山上容疑者の母と一緒に布教活動 「寄付額は数千万円」 7/13
安倍晋三元首相が銃撃された事件で、逮捕された山上徹也容疑者は警察の調べに対し、特定の宗教団体名をあげて、「母親が入信し、多額の寄付をして家庭が崩壊した。恨みがあった」などと供述しているという。その母親と同じ宗教団体にいて、布教活動なども一緒にしたという女性がAERA dot.の取材に応じ、当時の母親の様子などを語った。
一方、7月11日、宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧・世界基督教統一神霊協会=統一教会)が東京都内で記者会見し、山上容疑者の母親が入信していたことを認めた。
25年以上前から、奈良県で旧統一教会員だった女性のAさん。当時は旧統一教会の霊感商法が問題になっており、Aさんもつぼや数珠、多宝塔の販売にかかわっていたという。現在は脱会している。
――山上容疑者やそのお母さんのことは知っていますか。
「同じ教会で活動していましたから、お母さんは知っています。時々、子どもさんも連れていました。それが山上容疑者かどうかは記憶はありませんが」
――母親はいつごろ、どのように勧誘されたのでしょうか。
「今から25年くらい前でしょうかね、統一教会に入ったのは。同じ地域の信者がお母さんの心配ごと、悩みを聞くようになったようです。山上容疑者の父親や祖母は比較的、早くにお亡くなりになられてました。祖父も病気がち。当時、統一教会の信者は、相談に乗るといいながら、先祖の話を出して商品を買わせる手法でした。例えば『ご先祖様が苦しんでいるので助けなければいけない。そうすれば、あなたも救われる』というようなことを何度も伝えて刷り込ませる。家系図を書かせて全容を把握して財産も聞き出す。私が(山上容疑者の)お母さんを知った時はすっかり“洗脳”されていました」
――山上容疑者は警察の調べに対し、「母親が統一教会に多額の寄付をして生活に困った」「統一教会のせいで家庭がむちゃくちゃになった」などと供述しているようですが、思い当たることはありますか。
「統一教会がとてもお金がかかる教団であることは、これまでマスコミなどで報じられてきた通りです。私も1千万円以上、つぎ込まされました。山上容疑者のお母さんのお宅は、もともとお金持ちという印象でした。大きな家にお住まいでしたから。お母さんの実の父、山上容疑者のおじいちゃんが亡くなって、遺産を相続したようです。家と経営していた会社です。それも20年以上前だと思います。それを、1年もしない間に売却して、小さなアパートに引っ越しました。近くに統一教会の施設があるという理由です」
そこで、山上容疑者の母親の家や祖父の会社について調べると、家は奈良市南部に位置し、近くには大きな古墳がある古都奈良らしい住宅街にあった。もともと山上容疑者の祖父母の住まいだったが、その後、母親やきょうだいと一緒に住んでいた。
不動産登記簿によれば、土地面積が約240平方メートル、建物は2階建て140平方メートル。1998年10月に山上容疑者の母親が祖父から遺産相続し、翌99年6月に売却している。会社は、奈良と大阪を結ぶ幹線道路に面する好条件の場所にあった。登記簿では、土地面積が230平方メートル。98年10月に山上容疑者の母親が祖父から相続し、99年3月に売却している。
山上容疑者の母親は祖父から相続すると、家と会社の土地を約半年〜8カ月という短い期間で売り払っている。路線価や当時の実勢価格と照らし合わせると、土地のみで約6千万円の評価額とみられる。そして、山上容疑者の母親は2002年12月10日、破産免責決定がなされた。
――山上容疑者の母親は資産を手にして、すぐに売って現金化しています。旧統一教会との関連はあると思いますか。
「私は(山上容疑者の)お母さんから、統一教会から現金化を勧められて売却し寄付した、という趣旨の話を聞いた覚えがあります。具体的な金額はわかりませんが、数千万円だったはずです。その前には山上容疑者の祖父が亡くなり、保険金も寄付させられたはず。そんな大きな金額の寄付は、奈良ではそうはありませんでしたから、今も記憶に残っています」
――山上容疑者の母親は具体的にどのような活動をしていたのでしょうか。
「統一教会の信者獲得で、奈良市内をまわっていました。個別で家を回って食品を売るような活動にも参加していました。その頃は毎日、統一教会の活動で一日を費やしていたように思います。私も一緒に活動したことがありますが、『お悩みはございませんか』『私は救われましたので』と一生懸命に布教していました」
――「統一教会に家庭をめちゃくちゃにされた」というくらい献金を求められるのでしょうか。
「山上容疑者のお母さんは熱心でしたから。大きなお金も寄付されていたとなれば、家族は生活にも困ります。私も、いくらお金があっても足りないほど、いろいろな献金を求められました。お金を出さないと『地獄でご先祖様が苦しむ』『信仰が足りない、ますます不幸になる』などと責め続けられ、家に帰してもらえない」
――そんな状態になってもおかしいと思わないのですか。
「教えを信じ込んでいるので、世間の常識は通じません。私も脱会するまでには本当に苦労しました。お母さんのまわりには脱会をアドバイスするような親戚などはいなかったのでしょう。いつしか周りは統一教会の人しかいなくなる。そうやって、子どもや孫まで囲い込んでいくのが手法でした。だけど、山上容疑者自身はそうはならなかったようです」
山上容疑者の親族に旧統一教会との関係について聞くと、「山上容疑者の犯行は絶対に許せません。ただ、母親が統一教会にのめりこんで、家庭がめちゃくちゃになったのは本当です。統一教会がなければこんな悲劇は起こらなかったと思います」。
一方、統一教会の田中富広会長は記者会見で、山上容疑者との関係について、「山上徹也容疑者は、当法人の信者ではございません。過去も、当法人の信者であったという記録は存在しません」と話し、山上容疑者の母親については、「当法人の教会員であり、これまでも1カ月に1回程度の頻度で教会の行事に参加しておりました」
「母親の入会は1998年ごろだと思いますが、二十数年前なので正確な情報はありません。破綻(はたん)されたと聞いていますが2002年ごろだったと思います」「この方がどのくらいの献金をされたのかも含め、二十数年前の記録までたどりきれません」「破綻されていたことは知っています。その後、このご家庭に高額献金を要求したかは記録上一切残っておりません」などと述べ、「献金額はご本人の心情に基づいて献金されているものと受け止めています。ノルマという扱い方はしておりません」と説明した。
また、過去に、高額な物品を購入させる霊感商法や高額な献金が社会問題化し、トラブルなどが起きたことを踏まえ、2009年以降、「末端にいたるまでコンプライアンスの徹底を進めてまいりました。09年以降の案件で、そのようなトラブルはありません」として、献金でのトラブルは起きていないと話した。
今回の事件については、もし旧統一教会への恨みが犯行の動機であれば、「重く受け止める」との見解を示した。
12日には、旧統一教会の問題に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が都内で会見を開いた。
連絡会の弁護士は「(旧統一教会の)霊感商法や献金の問題はいまだに続いている」と指摘し、最近でも、裁判になった事例や被害相談も寄せられているという。
連絡会によると、昨年末までの約35年で、弁護士や消費生活センターが受けた旧統一教会に関する相談は3万4千件以上あり、被害総額は約1237億円。昨年までの5年間に限っても約580件、約54億円だという。
弁護士の説明では、現在でも「『全ての財産は神様。全てささげなさい』というのが統一教会の教え」であり、その結果、家庭崩壊につながっていくのだという。
一方、前日の旧統一教会側の会見で、山上容疑者が、安倍元首相がメッセージを送ったと主張した団体は友好団体で、旧統一教会とは別との説明をしたことに触れ、「“統一教会”と実態は同一だ」と主張した。

 

●「母親はつながりが切れない、縁が切れない」親族が明かす山上容疑者の母 7/14
奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、自民党候補の応援演説中の安倍晋三元首相が背後から狙撃され死亡した事件。元海上自衛隊員の無職・山上徹也容疑者(41)は、動機について世界平和統一家庭連合(旧統一教会が2015年に改称、以下、本稿では統一教会と記述する)への恨みがあったなどと供述している。
「母親がのめりこみ、破産したので恨みがあった」
「岸信介元首相が日本に招き入れたから孫の安倍氏を狙った」
これに関連し、世界平和統一家庭連合は11日、都内で記者会見し山上容疑者の母親が信者であることを認めた。山上容疑者の事件前の様子を振り返ってみても、母親と統一教会との関係が、その不安定さに拍車をかけているようにみえる。
山上容疑者の直近の勤務先である会社の工場責任者はこう語っている。
「口数は少なく、昼食も自家用車のなかで1人で食べていましたが、仕事には真面目でした。派遣会社から派遣されてきた当初は、敬語が使えて社会人として良識のある人という印象で、遅刻や無断欠席、トラブルなどを起こすタイプではありませんでした。しかし約半年後の2021年4月から、上司と言い争うことが増えていきました」
山上容疑者の“不安定さ”に拍車をかけたもの
旧統一教会の会見によると、母親は1998年に教会員になっているというが、「週刊文春」(2022年7月21日号)の伯父へのインタビューによると、母親は1994年頃にはすでに統一教会での活動をしていたようだ。しかしある期間、母親は教会と距離を取りはじめる。そして「2、3年前から改めて教会と連絡を取るようになって、そしてこの半年ぐらいは1カ月に1度の教会の企画に参加しているというふうに聞いております」(旧統一教会会見より)。
山上容疑者が職場でトラブルを起こし始めた時期と、母親が宗教活動を再開し始めたタイミングが重なるのだ。
特定の宗教に傾倒する親を持つ子どもは、どんな日々を生きているのだろうか。統一教会の信者である両親の元に生まれた“2世”であるXさん(20代男性、関東近郊)は、「2世の生きづらさ」についてこう語る。
理解できてしまう動機「統一教会のトップを殺したい」
「私は両親の『合同結婚式』の末に生まれました。統一教会では合同結婚式で生まれた子は『祝福2世』と呼ばれて自動的に教会員になりますが、私に信仰心はありません。ですので、自由に恋愛すらできないこの境遇への恨みは強くあります。高額献金によって家庭を崩壊させられた山上容疑者の『統一教会のトップを殺したい』という動機は、悲しいことに理解できてしまう。それだけこの国で2世が置かれている状況は辛く厳しいものなんです。
いくら統一教会に不満を抱えていても、そう簡単には誰かに相談できません。一般の友人には偏見が怖くて明かせませんし、教会内の人にも告げ口が怖くて話せない。私でさえ、教会内の幼なじみに話せないことがたくさんありますから」
特に山上容疑者のように、生まれた後に親が入信した子どもは『信仰2世』と呼ばれ、Xさんとはまた別の辛さもあるという。
「信仰2世は入信後の親の変貌ぶりも辛かったと思います。入信すればすべてをおいて信仰が優先されますから。それに信仰2世は祝福2世と結婚できないなど、教会内でも区別されます。容疑者には教会の内でも外でも強い疎外感があったのではないでしょうか」
山上容疑者は、宗教にのめり込む母親の元でどのような幼少期を送ったのか。手がかりをつかむため、約40年前に住んでいた東大阪市の住宅街へ向かった。当時、山上一家と交流があったという近隣住民によると、当時「まだ赤ちゃんだった」という山上容疑者は、両親と幼い兄とともに、ここへ引っ越してきたという。
「お兄ちゃんはまだ小学校にも上がっていないくらいじゃなかったかしら。でも頭を包帯でグルグル巻きにしていてね。大きな怪我か病気をされたみたい、と人伝に聞きました。ご主人も心の病気だったのか、仕事で外にでることなく朝からお酒を飲んでいました。お母さんは育児やご主人のことでかなり疲れているようでした」
「度を超えて見えた」母親の“熱心さ”
この時期、母親は“ある団体”に所属し、頻繁に活動に参加する様子が目撃されている。早朝に集会を行う団体として、当時この辺りでは有名だったという。
「お母さんは統一教会の信者だったと報じられていますが、当時所属していたのは別の団体でしたよ。ほかにも何人か所属している人はいましたから、珍しいわけではなかったんだけど、特に熱心に活動してらしてね。毎朝のように朝早くにでかけて、数時間家を空けるなんてことも多かった」(同前)
この時期、山上容疑者もその兄も未就学児。本来であれば一時も目を離せない年ごろだ。それゆえに母親の“熱心さ”は、周囲からは度を超えて感じることもあったようだ。
「ある朝、目を覚ましてお母さんがいないと気が付いたんでしょうね、お兄ちゃんが、寒空の下に裸足で出てきて、必死にお母さんを探していたことがあります。『お母さんどこ』って……。その姿が不憫でね、保護したのを覚えています。その後お兄ちゃんは『お母さんに会いたい』って言ってすぐに家へ帰っていきました。
ご主人は集会への参加を反対してらしたから、口論になることもしょっちゅう。いつだったか、朝出かける奥さんをご主人が車で追いかけようとして、近所で交通事故を起こして騒ぎになったこともあります」(同前)
そして山上一家が引っ越してきて数年後、父親が自ら命を絶つ。
「引っ越してきてまだ2、3年だったと思いますが、近くのマンションから飛び降りたと聞きました。その後すぐに残されたご家族は引っ越していきました」(同前)
父親の死後、母親は娘を出産。山上容疑者ら3兄妹は奈良にある母方の祖父の家に身を寄せた。一家の知人によると、祖父は地元の名士だったようだ。
「おじいちゃんは小さな建設会社を営んでらしたんだけど、有名大学を出た優秀な方で、大阪の土木関係の下請け団体の会長を務めていました。ゼネコンからトンネル工事をいくつも受けていて昔から景気がよくってね。娘さんは2人とも優秀で、どちらもあの時代に有名大学を卒業しています。徹也くん(山上容疑者)のお母さんはお姉ちゃんで、妹さんは医者になっています」
子育てに邁進する母親 でも「宗教に入りたい」
引っ越し後、母親は祖父の経営する会社の役員になっている。親族によると母親は「経理を担当していた」という。当時、会社の経営はうまくいっており、親族らの助けを借りながら、母親は山上容疑者を含む3人の育児に奮闘していたようだ。
「お母さんはおとなしい感じの方。でも子ども会の役員など、頑張って育児をされていましたよ。徹也くんは勉強も凄くできたし落ち着いていたからか、勉強が苦手なお兄ちゃんを特に気にかけていました。この頃は早朝に出かけて家を空ける、なんてことはなかったと思います」(母親の知人)
しかし、別の知人は母親がこう漏らすのを聞いている。
「お母さんは思い詰めた様子でね、『宗教に入りたい』と相談を受けたことがありました。身内の不幸が重なって、深刻な悩みをかかえていたようです」
伯父の証言によると、1994年以前にすでに母親は統一教会にのめり込み、多額の献金を行っていたとみられる。前出の統一教会2世であるXさんは、献金システムについてこう証言している。
「毎年、年収の10分の1を寄付するのが通常の寄附です。ただ、そのほかにも『430代前までの先祖を供養するため』と数百万円かそれ以上の寄付を求められ、有名な『お壺を買いましょう』といったものあります。祈願書と言われるお札も有名で、お札は確か5千円、1万円、1万5千円とあって、自分の願い事とか清算したいことを書きます。そのお札を集めてお焚き上げすると、願いが叶ったり救われたりするといわれています。“免罪符”みたいなものですね。
教会は会見で寄附について『任意』と語っていましたが、信者にとっては『天国に行くために必要だ』といわれると義務も同然。ほとんどの信者は有り金がなくなるまで教会に貢ぎ、残った金でギリギリの生活をしています。かつては手持ちの全資産を教会に報告していた時代もあった、なんて話も聞きます。私の家も、祖父の代は比較的裕福な方だったのですが、両親はそのお金を使い切り、現在の暮らし向きはいいとはいえません」
シングルマザーで統一教会に多額の献金を行っていた母親。祖父や親族の力を借りながら、奈良の地で新生活を送っていた。しかし山上容疑者が県内有数の進学高校の卒業を控えた頃、一家の支えだった祖父が他界。母親が祖父の会社を継いでいるが、その頃にはすでに経営は厳しくなっていたようだ。
会社は4000万円を超える負債を抱え、母親は自己破産
ある信用調査会社によると、1996年度まで黒字が続いていた会社は母親が社長を引き継ぐ前年の1997年度には4000万円を超える負債を抱え、その後銀行からの融資も認められなくなった。2002年には母親が自己破産。2009年から2017年までは、統一教会側も連絡が取りづらい状態が続いたという。
「教会への入信以降、母親は会社の金を使いこみ宗教にのめり込んでいったとみられる。山上容疑者は大学進学を夢見ていたが経済的な事情から専門学校に進学。学費は夫側の親戚が工面している。その後、海上自衛隊員になった山上容疑者は自殺未遂をして病院に運ばれた。さらに追い討ちをかけるように兄が数年前に自殺している」(捜査関係者)
山上容疑者の親族は、兄をなくした山上容疑者の当時の様子を言葉少なにこう振り返る。
「(兄が亡くなったのは)8年くらい前。葬儀のときに泣きながら、『兄ちゃんアホやな何で死んだん。生きていればなんとかなるやろ』と。その言葉が忘れられません。悲しかったと思います」
度重なる身内の死と、そこに向き合えず宗教にのめり込んでいく母親――。そこで山上容疑者が銃口を向けたのが、統一教会との蜜月関係が囁かれる元首相だったのだ。
「母親はつながりが切れない、縁がきれない」
この親族自身、最近は山上容疑者らと会うことがほとんどなかったが、山上容疑者と母親については「2人は会っていると思う」と語っている。なぜ山上容疑者が母親に憎悪を向けなかったと思うかと聞いたところ、「それはやはり子どもと母親はつながりが切れない、縁がきれない」と呟いた。
前出のXさんは「宗教2世の実態」をこう訴えている。
「例えば、交際相手との結婚を考えている2世の知人がいるのですが、相手は教会員ではないため、結婚できずに悩んでいます。統一教会は自由恋愛を厳しく禁じていますから、もし相手と結婚すれば、知人は両親との縁も切ることになってしまいます。ただ、彼の両親は心から信仰が彼の幸せにつながると信じている。だからこそ、なかなか決断できないでいるようです。
2世の自助努力で解決するのはもはや難しく、まずは社会にこのような問題があることを知ってほしい。事件に便乗するような形で不謹慎と言われるかもしれませんが、それだけ追い込まれているんです。教会内部はほぼ“治外法権”。だから規制する法律や、精神的な虐待を取り締まる法整備などにつながってほしい。2世には普通の人が当たり前に享受できる幸福追求権がありませんから……」
元首相の殺人という史上希に見る大事件には、宗教2世が抱える深く重い苦悩が底流していたのかもしれない。
●山上徹也容疑者の恨みの背景『母親が1億円献金』か… 7/14
安倍晋三元総理(67)が奈良市で演説中に銃撃されて死亡した事件で、逮捕された男の母親が宗教団体に献金した金額は1億円に上るとみられることがわかりました。警察はこうした事情が犯行の動機の一つになった可能性もあるとみて調べています。
安倍元総理が銃撃された現場近くでは、7月13日に続き14日も朝から警察による現場検証が行われました。
7月8日、奈良市で参院選の遊説中だった安倍元総理が銃で撃たれ死亡しました。警察は山上徹也容疑者(41)を逮捕して殺人の疑いで捜査しています。捜査関係者によりますと、山上容疑者は調べに対して「火薬はネットで買った。圧力鍋の爆弾などを最初に作った」と話しているということです。
また犯行の動機につながる供述も明らかになり始めています。母親が旧統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)に入会し、多額のお金を振り込み破産したころから「旧統一教会を恨んでいた」としていて、「20代のころはナイフ1本を持って統一教会の会合などをしている周辺をうろうろしていた」という趣旨の供述をしているということです。
また捜査関係者への取材で、母親が旧統一教会に献金した金額は1億円に上るという情報があることがわかりました。これに対して旧統一教会は「2005年からの約10年間で計5000万円が返金された」とコメントしています。
●山上徹也容疑者 旧統一教会トップ韓鶴子氏を火炎瓶で襲撃の計画も… 7/14
「韓鶴子総裁に敬意を表します」去年安倍元総理が旧統一教会の関連団体に送ったビデオメッセージを見たという容疑者。熱烈な信者だった妹を10年かけて脱会させたという男性は「政治家は誰一人入信しない、賛同するような行動慎んだ方がいい」と批判しました。
旧統一教会に恨み 山上容疑者「安倍元総理がメッセージ送っていた」
安倍元総理が銃撃されてから5日が経った7月13日。奈良市の事件現場周辺では、朝5時から50人規模での検証が行われました。探しているのは、「弾丸」です。
記者「現場から90mほど離れた駐車場の壁には、弾痕とみられる穴がくっきりと残っています」
安倍氏に背後から2回発砲した山上徹也容疑者。銃は手製で、1回で複数の弾丸を発射できる物です。13日の検証で、およそ90m先にある壁に弾痕とみられる穴が3か所確認されました。
JNNのカメラは、捜査員が穴から弾丸のようなものを取り出す瞬間を捉えていました。回収されたのは、金属片だったということです。
山上容疑者は、母親が信者である旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合への恨みから犯行に及んだという趣旨の供述をしています。
山上容疑者「(旧)統一教会トップの韓鶴子総裁をずっと狙っていた」
韓鶴子氏は統一教会の創設者の妻で、現在の教団の総裁です。
2019年、韓氏が来日した際、山上容疑者は火炎瓶を持って行き襲撃を試みたものの、会場には入れなかったといいます。安倍元総理を狙った理由については・・・
山上容疑者「安倍元総理が(旧)統一教会に向けてビデオメッセージを送っていた」
安倍元総理は2021年9月、韓氏が代表を務める旧統一教会の関連団体にビデオメッセージを送っていました。
安倍元総理(2021年9月ビデオメッセージ)「世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた、韓鶴子総裁をはじめ皆様に敬意を表します」
山上容疑者の母親は、1998年ごろに信者となり、2002年ごろに自己破産しています。
山上容疑者「母親が、祖父の土地を勝手に売り払った」
山上容疑者のように、教団への多額の献金などによって崩壊した家庭は少なくないと元信者は話します。
元信者“10年間で1000万円を献金” 借金ローンに家族はぐちゃぐちゃ
家族が円満になることを祈った教団のロゴが入った印鑑。元信者の女性が、当時、教会へ210万円を献金した代わりに受け取ったものだといいます。
元信者の女性「カードは借金ローンになっていましたし、いつもローンを返している状態」
女性は、10年間で合わせて1000万円近くを献金したそうです。
元信者の女性「知った当時は、こんな教えがあるんだってうれしくなって、だけどやっていくうちにいつも『お金お金お金』なんです。現実を振り返れば、家庭はぐちゃぐちゃでしたね。でも『反対されるのも摂理』と聞いていた」
結婚し、子どももいましたが、統一教会の活動にのめり込み、夫と離婚。
教団側は、山上容疑者の母親の破産について、11日にこう話していました。
世界平和統一家庭連合 田中富広会長「このご家庭が破綻された諸事情は私どもも把握していません」
しかし、会見を見た元信者は・・・
元信者の女性「当然献金して破綻しているのはわかっていると思うし。私が知る中ではそういう(破綻した)人はたくさんいたので。家もなくなっている人もたくさんいた」
「政治家は賛同する行動慎んで」元信者の兄の訴え
かつて信者だった妹が、60万円で購入した壺の契約書をみせる男性。この男性の妹も、教会にのめりこんだ1人です。男性は、妹を10年間かけて脱会させたといいます。
安倍元総理のビデオメッセージについて、男性は・・・
元信者の兄「インパクト強いでしょ。元総理がこういうことをしてる。家族に見せたらどうなるか。それを見た親はどう思うか『ああ、総理大臣が推薦してるんだ』と、国から承認された団体だと思うでしょう」
男性は、妹が霊感商法の販売員となり、加害者にもなったことが一番つらかったと話します。
元信者の兄「今度は妹は他の家族も不幸にしていく。それが一番苦しかった。政治家といっても誰1人統一教会に入信しないし、子どもも入信させない。(政治家は)単なる広告塔。賛同するような誤解を招くような行動は慎んだほうが私はいいと思う」
教団は、2009年以降、献金などをめぐるトラブルは起きていないとしています。しかし、被害者を救済している弁護士は、2021年の1年間で、合わせて3億3000万円あまりの被害があったことを明らかにしました。
●山上容疑者の母親の献金総額が1億円に上る報道に「もっと増えるかも・・・」 7/14
テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」は14日、安倍晋三・元首相が奈良市内で8日、街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者の母親の宗教団体への献金について報じた。
スタジオでは山上容疑者の母親の献金総額が「1億円以上にのぼるとみられる」と報じた14日の読売新聞の記事を紹介。スタジオに出演した紀藤正樹弁護士は「ご親族から確認した報道がなされているんですけどお母さんが正直に話していればもっと増えるかもしれません。ここはこれからの捜査の中で明らかになっていく事項だと思います」と指摘した上で「1億円を超えるっていうことはびっくりしました」とコメントしていた。
●山上容疑者 単独犯かそれとも…洗脳殺人≠フ可能性を専門家が分析 7/14
安倍晋三元首相の銃撃事件は、無職山上徹也容疑者(41)の宗教団体に絡んだ“恨み”による単独犯とみられる一方、何者かに洗脳されていたという見方も出ている。果たして、“洗脳殺人”は可能なのか。専門家が分析した。
山上容疑者が県警の調べに対し「当初は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁を狙ったが、新型コロナウイルス禍で来日しないので安倍元首相に狙いを変えた」との趣旨の供述をしていることも判明した。
一方で、別の捜査当局が山上容疑者が「好戦的思想の謎の団体」に知らず知らずのうちに“洗脳”された線を探っているという情報もある。洗脳で殺人まで行わせることは可能なのか。
国際社会病理学者で米国凶悪犯罪に詳しい桐蔭横浜大学の阿部憲仁教授はこう語る。「洗脳の真偽は定かではありませんが、母親から社会性を否定されるほど心理的にネグレクトされていた山上容疑者のことを考えると、洗脳すること自体は不可能な話ではないかもしれません」
米国では20世紀、カルト集団の首領チャールズ・マンソンが支持者を洗脳し、殺人を行わせた例などがある。その例などを分析すると、“洗脳殺人”の方程式があるという。
「1心に穴のあいた人間を探し、2その気持ちを理解し愛情をかけ、3他の人間関係を絶たせることで逃げ場をなくし、4指導者そして他のメンバーとの間に抜け出せない親密な人間関係を構築させ、5指示通りに行動しない場合は耐え難い心理的苦痛を感ずるよう条件付け、6殺人というゴールを設定しそのトンネルを進むことだけが自分に残された道だと思い込ませる、という図式になります」と阿部氏。
これを山上容疑者に当てはめるとどうなるか。高校3年生だった1998年ごろに母親が旧統一教会に入信し、2002年に経済破綻。一部報道によると、母はそれ以前にも別の宗教に傾倒し、幼少期の容疑者らが“放置”されたこともあったという。
「愛情が必要だった時期に母親を奪われ、家庭も破壊された山上容疑者の心にあいた穴は、生き続けることを不可能にするほどのものであったことは事実です。そして、そうした“心の空白”には例外なく破壊的な考えが入り込みます。併せて、他者との心の交流を持たない単調で苦痛な人生を歩んで来た者にとっては20年といった歳月は、通常の私たちにとってとは異なり、“つい昨日のこと”のように身近な現実として感じられています」と言う。
阿部氏自身は「洗脳殺人の可能性はそれほど高くないのではないか」と推測している。
それでも「ポッカリあいた山上容疑者の心の穴に、彼が抱いていた感情と一致する思想が刷り込まれたとしたら、条件的には不可能な話ではないかもしれません。また、洗脳まで行かなくとも、誰かと接触して刺激を得たという可能性はあります。彼の中には40年にわたる自分でも説明のできない怒りが、まるで時限爆弾のようにため込まれていたわけですから」と指摘している。
●事件前日の岡山「安倍元総理周りにSPがいて何もできず」 山上容疑者 7/14
山上容疑者が奈良の襲撃前日に岡山での襲撃を断念した理由について、「安倍元総理が裏口からの入退場で、周りにSPがいて何もできなかった」と供述していることがわかりました。
捜査関係者への取材によりますと、山上徹也容疑者(41)は「実際に安倍元総理を殺そうと初めて動いたのが前日の岡山県だった」「3発発射できる銃を持って岡山まで行った。弾は入った状態でバッテリーだけ外して持って行った」という趣旨の供述をしていることが新たにわかりました。
また、岡山で計画を実行に移さなかった理由については、「持ち物検査などがあるので中には入れなかった」「安倍元総理が会場に入る時か出るときを狙っていたが、裏口からの入退場で周りにSPがいるので、結局その日は何もできなかった」と供述しているということです。
警察は犯行の経緯の裏付けを慎重に進めています。 
●母親は警察など聴取に"息子の事件"謝罪...旧統一教会は批判せず 7/14
安倍晋三元総理銃撃事件で逮捕された男の母親は「息子が事件を起こして申し訳ない」と話しているということです。
7月8日、奈良市で参院選の遊説中だった安倍晋三元総理(67)が銃で撃たれ死亡しました。事件があった大和西大寺駅前では、事件から6日が経った7月14日朝も多くの人が献花に訪れていました。さらに安倍元総理が演説していた場所でも多くの人が手を合わせていました。
警察は無職の山上徹也容疑者(41)を逮捕して殺人の疑いで捜査していますが、捜査関係者によりますと、山上容疑者は調べに対して「火薬はネットで買った。圧力鍋の爆弾などを最初に作った」と話しているということです。
また、山上容疑者の母親はかつての統一教会「世界平和統一家庭連合」に1億円に上る献金をしていたとみられ、山上容疑者は「旧統一教会を恨んでいた」などと供述しているということです。
旧統一教会に入会していた母親のことを知る知人はこのように話しました。
山上容疑者の母親と高校・大学の同級生「(山上容疑者の母親と)会ったときは別にやつれた様子もなかったんですけど。私以外の友達に宗教のパンフレットを送ってこられて、それ以来、関係を断ちました。連絡を取らないようにしました」
母親は奈良県警と奈良地検の聴取を受け「息子が事件を起こして申し訳ない」と謝罪。一方で旧統一教会については批判していないということです。
●安倍元首相銃撃容疑者の母、聴取に「申し訳ない」 7/14
自民党の安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)の母親が捜査当局の聴取に対し、「息子が大変な事件を起こし申し訳ない」と謝罪していることが14日、捜査関係者への取材で分かった。自身が入信している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について批判的な発言はしていないという。
山上容疑者は逮捕直後から、母親が平成10年ごろ入信した家庭連合への恨みが動機だと説明。母親は家庭連合に多額の寄付を重ねたとされ、14年に破産している。寄付の総額は1億円前後に上るという情報もあり、奈良県警などは母親と家庭連合の関係を調べるとともに山上容疑者の供述の裏付けを進めている。
●山上容疑者とみられる新映像 安倍元総理演説の1時間半前に会場近くで 7/14
安倍元総理が奈良で襲撃され死亡した事件はあすで1週間です。JNNの取材で山上徹也容疑者(41)が「殺そうと初めて動いたのが前日の岡山県だった」という趣旨の供述をしていることがわかりました。付近の防犯カメラが山上容疑者と見られる男の姿を捉えていました。
7月7日午後、岡山市北区の防犯カメラが捉えた映像です。肩からかけたバッグに、カーゴパンツ姿の男…山上徹也容疑者と見られる人物です。
7月8日、奈良市で遊説中の安倍元総理が銃で撃たれ殺害された事件。JNNによる捜査関係者への取材によりますと、山上容疑者は「実際に安倍元総理を殺そうと初めて動いたのが前日の岡山県だった」。「3発発射できる銃を持って岡山まで行った。弾は入った状態でバッテリーだけ外して持って行った」という趣旨の供述をしていることが新たにわかりました。
事件の前日、岡山市民会館で行われていたのは参議院選挙の候補者の個人演説会です。
安倍元総理「今日は七夕、晴れましたよね」
約2000人の聴衆を前に10分ほど演説した安倍元総理。山上容疑者と見られる男が防犯カメラに映ったのは、演説会が始まる1時間半前の午後5時半ごろです。
RSK後藤記者「歩いていたのはこのあたり、商店街入り口と大通りに面した歩道で、この先に市民会館があります」
この場所から歩いてすぐの岡山市民会館。陣営の関係者によりますと当日は、来場者に新型コロナ対策のために名前と住所を書いてもらっていたものの、山上という名前や奈良県の住所の記載は無かったということです。
後藤記者「山上容疑者は実際、岡山市民会館までやってきたものの、厳しい警護体制などから襲撃を断念したと見られています。」
山上容疑者は岡山で計画を実行に移さなかった理由について、「持ち物検査などがあるので中には入れなかった」と供述していますが、実際には会場で持ち物検査は行われていませんでした。
また「安倍元総理が会場に入る時か出るときを狙っていたが、裏口からの入退場で周りにSPがいるので、結局その日は何もできなかった」と供述しているということです。
まず岡山での襲撃を企てていたとみられる山上容疑者。警察は犯行の経緯の裏付けを慎重に進めています。
●山上徹也容疑者の自作銃、見た目は粗末だが高精度 簡単に作れる 7/14
“決行日”の前日の早朝4時頃。男は奈良市内の4階建ての雑居ビルの前にいた。恨みがあるという宗教団体の施設だ。手に抱えた凶器の引き金をビルの外壁に向けて引くと、大きな音とともに、コンクリートの外壁とアルミ製のドアフレームに勢いよく穴が開いた。
散らばるように6か所。直径1cmほどの小さな穴だが、それは男が“作り出した”凶器が、目的を達成するに足る威力と精度を持っていることを意味していた。この銃口を向ければ、人の体などひとたまりもないだろう──そう男は確信したはずだ。
一般の人には想像もつかないだろうが、犯行に使われた銃は「手作り」だった。安倍晋三元首相(享年67)に銃口を向け、死に至らしめた山上徹也容疑者(41才)は「YouTubeの動画を参考に銃を製造した」と供述している。
犯行当日、山上容疑者が握りしめていたのは、一見すると銃とは思えない、黒いビニールテープでぐるぐる巻きにされた物体だった。テープの隙間からは、銀色に光る筒のようなものが、2本並んで覗いている。筒の下には木の板が添えられ、後方からは、電気コードのようなものが伸びている。サイズは長さ約40cm、高さ約20cmとかなり大きく、重々しさが伝わってくる。軍事ジャーナリストの竹内修氏が分析する。
「銃身は鉄パイプに、木の板をテープで巻きつけて固定しているだけでしょう。報道写真を見ても、特殊な金属や強化プラスチックで作られた銃には見えない。ホームセンターなどで売られている、ごく身近な素材だと考えられます」
山上容疑者は「自分で作り方を調べて部品を買い、ネットで購入したものもある」と供述。鉄パイプや板を購入している人を見かけて、「まさか銃を作るつもりでは」と疑う人などいないだろう。
「銃弾も自作した。一度に6個の弾丸を発射する仕組みだった」
山上容疑者はそうも供述している。自宅からは、インターネットで購入したとみられる空の薬莢や弾を入れるプラスチック容器も見つかった。竹内氏が続ける。
「16世紀頃からある『ラッパ銃』と呼ばれる銃に近い仕組みだと考えられる。弾丸の素材の断定はできないが、鉄粉を熱し固めたものも銃弾になり得る。束ねたネジや釘、石でも代用でき工具店やホームセンターで手に入るものばかり。
また、弾を撃ち出す際の火薬は、発射時に煙が出ていることから、『黒色火薬』だと思われます。正規購入には資格が必要ですが、匿名のネット掲示板などで売買されていますし、身近なところでは手持ち花火で使われており、かき集めるなりして入手できる」
警察が押収した山上容疑者の軽自動車の車内からは、火薬を乾かす際に使われたと思われる、アルミ箔で覆われたトレー数枚が見つかった。パイプ、板、ビニールテープ、ネジ、釘、鉄粉、手持ち花火……誰もが知るありふれた素材で、材料費は全部で高くても1万円程度だ。人の命を一瞬で奪った凶器が、こんなに簡単に作れてしまう。
一方、試行錯誤を要する点もある。
「人に危害を加えられるほどの『威力』と、相手を狙う『精度』を高めるには試し撃ちが必要です。1回や2回じゃなく、何度も試し、改良を重ねなくてはいけない」(竹内氏)
山上容疑者の自宅からは鉄パイプや仕組みが異なる5丁の銃が見つかっており、取り調べでは「昨年春頃から銃を作り始めた。今年2月頃までに完成させた」と供述。「自宅にある木製の板で銃の試し撃ちをした」「車で奈良県内の山間まで出かけ実射実験をしていた」と繰り返し試し撃ちをしていたことがうかがえる。
「山上容疑者の銃は見た目は粗末だが精度は高く、作るのに長い時間がかかっている。計画性を持って緻密に作られています」(竹内氏)
あなたの隣人が、“銃の所持者”かもしれない。
●旧統一教会、山上徹也容疑者の母親に5000万円返金 7/14
安倍晋三元首相の銃撃事件で、無職山上徹也容疑者(41=殺人容疑で送検)の母親が多額の献金をしたとされる世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が14日までに、05〜14年にかけて5000万円を母親に返金していたと説明した。容疑者が「最初は圧力鍋の爆弾をつくった」との趣旨の供述をしていることも判明。事件から15日で1週間となるが、動機の背景や入念な計画の詳細が浮かび上がりつつある。
捜査関係者によると、山上容疑者は、母親が入信する旧統一教会に「亡くなった父親の生命保険金や祖父の土地の売却益を献金した」と供述。その献金額は、少なくとも5000万円以上とみられることが明らかになった。山上容疑者は「母親が旧統一教会に入信して多額の寄付をし、家庭が崩壊した。教団を(韓国から)招き入れたのが岸信介元首相。だから(孫の)安倍元首相を殺した」と供述しており、奈良県警は動機の解明を進める。
旧統一教会の説明によると、山上容疑者の母親は1998年ごろ入信。不動産登記簿には、自分の父親から相続していた奈良市内の2カ所の土地計約475平方メートルを99年に手放した記録が残っている。
旧統一教会は14日までに、山上容疑者の母親が2002年に経済的に破綻した後、05〜14年にかけて5千万円を母親に返金したと明らかにした。09年に母親ら家族と、教会の男性信者との間で取り交わした合意書が残っているとしている。
一方、母親の寄付総額については「記録が残っておらず分からない」などと説明している。
関係者などによると、容疑者が幼い頃に父親が急死。母親は98年ごろに入信。傾倒して多額の寄付を続けたという。容疑者は調べに「母親が同連合にのめり込んで多額の寄付をし、家庭が崩壊した。恨みがあった。同連合と安倍氏がつながっていると思ったから狙った」などと供述。「当初は同連合の韓鶴子総裁を狙った」「ナイフ1本を持って同連合の会合の周辺などをうろついた」「どうしても許せず、韓国に行って殺そうと思ったが出国できないと思いやめた」「(総裁が)コロナ禍で来日しないので、安倍元首相に狙いをかえた」などの趣旨の説明もしている。19年に同連合の集会で総裁が愛知県に来た際に「火炎瓶を持って行ったが会場に入れなかった」とも話したという。
今回の犯行に向けた入念な計画も、次々に明らかになっている。武器については新たに、「最初は圧力鍋の爆弾をつくった」などと供述していることも判明。「関係のない人を巻き込むのでやめた。標的を絞りやすい銃をつくった」と説明しているという。
銃は昨春ごろからつくり始めたと話すなど、1年以上前から計画していた可能性がある。現場で使われた手製銃は長さ約40センチ、高さ約20センチ、金属製の筒2本を粘着テープで束ねた構造で、筒1本につき弾丸6個が一度に発射できる散弾銃のような仕組みだった。
7日夜、安倍氏が演説した岡山市民会館にも出向いていたが、手製銃を持参したと供述。「会場に出入りする時を狙ったが、周りにSP(警護官)がいて近づけなかった」という趣旨の説明もしている。安倍氏の奈良での遊説は7日午後に急きょ決まったが、容疑者はこの日程について「岡山からの帰りの新幹線車内で自民党のホームページを見て把握した」などと説明していることも分かった。入念な計画と準備を積み重ね、確実に実行できる襲撃機会をうかがってきた姿が浮かんできた。
●旧統一教会と自民党、その関係とは? 安倍晋三氏との距離感の変化は  7/14
安倍晋三元首相銃撃事件で、山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=の供述によりクローズアップされた宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」。山上容疑者は、母親が入信後に破産するほどの献金をして家庭が崩壊したため同会への恨みを持ち、同教会とのつながりが深い安倍氏を狙うことにした、などという趣旨の供述をしているという。同会と自民党との関係は、半世紀以上前までさかのぼるとされるが、その経緯や実態はどうなのか。
霊感商法や合同結婚式が社会問題に
旧統一教会とはどんな団体か。フランスの経済紙「レゼコー」は襲撃事件後、欧米では「カルト宗教」と認識されていると報じた。上越教育大の塚田穂高准教授(宗教社会学)は「活動の基軸はあくまで宗教的理念と実践。その活動の中において多くの問題を抱え、人権侵害や違法行為を積み重ねてきた宗教団体だ。他の宗教一般と同列には扱えない」と話す。
旧統一教会は教祖の故・文鮮明氏が1954年、韓国で創設した。間もなく日本でも布教活動が行われ、59年には日本の旧統一教会ができた。ホームページによると、教義は文氏が考案した「統一原理」と呼ぶ思想・理論によって、理想の家庭や世界平和を実現する指針を与えるとする。
宗教学者の島薗進氏は「ある時期までは、『異端のキリスト教』という枠内にあったと思うが、70〜80年代にかけ、非キリスト教化し、同時期に霊感商法に傾いていった」と分析する。島薗氏によると、新興宗教の中では比較的若い人の入信が多く、高学歴の者も少なくなかったという。「現代文明への失望感が背後にあった。また、離婚が増え始め、家族的な道徳基盤を求める人の流れもあっただろう」
多くの信者を獲得したが、80年代には、先祖供養などを名目につぼや宝石といった高価な品を訪問販売する「霊感商法」や巨額の献金が社会問題に。歌手の桜田淳子氏が92年に信者であることを明かし、教団が配偶者を推薦する合同結婚式に参加したことも話題になった。この合同結婚式は信者の「婚姻の自由を侵害する」として違法と判断された判決も出ている。
2000年には、旧統一教会系の企業が米国の通信社UPIを買収したこともニュースになった。この企業は米保守系日刊紙ワシントン・タイムズも所有している。
理念の近さで「右派政治家と互いに利用」
旧統一教会が拡大していく過程で見過ごせないのが、政治との関係だ。特に旧統一教会の実質的な政治部門として機能してきたのが、保守系政治団体「国際勝共連合」(勝共連合)だとされる。
勝共連合は1968年、文氏が韓国と日本で設立した。目的は反共運動。時代は東西冷戦が激しさを増し、米国はベトナム戦争を泥沼化させていた。共産主義の脅威が今より切迫して語られていた。
初代名誉会長には、右翼の大物で戦後政界のフィクサーと言われ、日本船舶振興会(現日本財団)の会長を務めた笹川良一氏を迎えた。岸信介元首相を名誉実行委員長とする集会も開かれたという。
塚田氏は「勝共連合の設立経緯から岸信介や福田赳夫といった理念的に近い保守政治家と結び付いていった」との認識を示す。その上で、「今は改憲や家族観、反ジェンダーフリーなどで考えが合致する政治家との距離が近い。団体にとっては理念の実現や運動が守られることへの期待があるのだろう。一方で、政治家は選挙などで支援が得られる。右派政治家と団体がお互いに利用し合う関係になっている」と解説する。
第2次安倍政権でさらに接近
問題となっている安倍氏との関係はどうなのか。
「各地の紛争の解決に努力してきた韓鶴子総裁をはじめ皆さまに敬意を表します」。昨年9月、旧統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」が開いた大規模集会「シンクタンク2022 希望前進大会」に、安倍元首相がビデオメッセージを寄せた。
UPFは文鮮明氏と妻で現在の教団トップである韓氏が2005年に創設したNGOだ。
安倍氏は「UPFが家庭の価値を強調する点を高く評価します」「偏った価値観を社会革命運動として展開する動きを警戒しましょう」と家族観への共鳴を明示した。
「積み重ねを経て、ついに隠さなくなった印象だった」。安倍氏と旧統一教会の関係についてジャーナリスト鈴木エイト氏は語る。
安倍氏は官房長官時代の06年、旧統一教会の違法な勧誘などが問題化する中、UPFの集会に祝電を寄せた際、「誤解を招きかねず、担当者に注意した」とコメントしていた。
鈴木氏によると、安倍氏と旧統一教会との関係の深まりは、12年に首相に返り咲いて以降になる。憲法改正と長期政権を目指す安倍氏や自民党にとって、「組織票に加え、秘書や選挙の運動員などの人員を提供してくれる旧統一教会は有用な存在だった」。
安倍氏に限らず、教団関連の行事に出席したり、祝電を寄せたりする自民党議員が続出していたという。「単に容疑者の思い込みで片付けるのでなく、安倍氏と旧統一教会の関係を解明しないと、事件の全容はつかめない」
安倍氏ビデオメッセージへの抗議文は受け取り拒否
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の山口広代表世話人は「旧統一教会を宗教団体と一般化してはならない。巧妙、計画的、組織的にカネを集める団体だ」とくぎを刺す。
09年、旧統一教会の霊感商法に対して、警視庁が強制捜査を実施。教団施設や関連会社が捜索され、幹部らが特定商取引法違反(威迫・困惑)で有罪判決を受けた。山口氏によれば、この事件を受け教団は政治家への働き掛けが不十分だったと総括し、関係強化を図ったという。その時代に第2次安倍政権は重なる。
11日に会見した世界平和統一家庭連合の田中富広会長は「09年以降は献金のトラブルはない」としているが、霊感商法被害救済担当弁護士連絡会の渡辺博事務局長は「来年5月までに韓国の教団施設建設のため、1人120万円献金せよという大号令が出ている。今もやっていることは変わらない」と話す。
全国弁連では19年、全国会議員に、旧統一教会関連の行事に参加したり、メッセージを送ったりしないよう要望書を提出した。
昨年の安倍氏のビデオメッセージに対しては、抗議文を内容証明郵便で送ったが、地元事務所からは返答がなく、国会事務所には受け取りを拒まれた。メッセージは事件の動機の一つとも言われる。
山口氏は「霊感商法や違法な勧誘で社会問題化した団体に政治家がエールを送ると、警察が手を出しにくくなり、被害を拡大させる」と強調する。
全国弁連は12日、記者会見を開催。事件の容疑者と同じように、母親が旧統一教会の信者という40代の女性も出席した。女性は一時信者となり、合同結婚式に参加して教団の指示で夫になった男性から暴力を受け続けた。プライバシー保護のため、ついたての中で話した女性は、絞り出すようにこう話した。
「(事件は)間違っているが、人生を旧統一教会に破綻させられたというのは理解でき、苦しい心情だ。放置されてきた問題が少しでも解決に向かえばと願う」
デスクメモ
宗教団体に限らず、政治家との結び付きを誇示し、広告塔扱いしたい組織・団体は多い。だが本来、支援してくれるならどんな団体でも、というわけには行くまい。ましてあれだけ世間から指弾された団体ならば、安倍氏も知らないはずはなかっただろう。なぜ、断ち切れなかったか。 

 

●山上容疑者の母 旧統一教会へ入会のきっかけは「容疑者の父親の自死」  7/15
7月8日に安倍晋三元総理(67)が銃撃されて死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者の母親が旧統一教会に入会したのは、1984年に容疑者の父親が自死したことがきっかけだったことが分かりました。
7月8日、奈良市で参院選の遊説中だった安倍晋三元総理が銃で撃たれ死亡しました。警察は無職の山上徹也容疑者(41)を逮捕し、殺人の疑いで捜査しています。
7月15日、山上容疑者の親族の伯父が取材に応じ、容疑者の母親が旧統一教会に入会したのは容疑者の父親が自死したことがきっかけであったと明らかにしました。
●家中に貼られたお札、「てっちゃん」は友人に母の入信明かせず 7/15
1998年春の選抜高校野球大会。ほぼ満員の甲子園球場アルプススタンドで、りりしい表情で腕を振る応援団員の姿が、奈良県内の県立高校の卒業アルバムに収められている。
山上徹也容疑者(41)。その人生は、この写真の頃を境に大きく変わり、24年後、安倍晋三・元首相(67)に凶弾を放ち、日本中を震撼(しんかん)させることになる。
山上容疑者は80年9月、裕福な家庭で育った母親と、有名国立大を卒業し、建設関係の仕事をしていた父親との間に生まれた。大阪府東大阪市で暮らしていた幼少期、父親が自殺。母親と兄、妹との4人で、奈良市にある母親の実家に移り住んだ。
実家の建設会社で経理の仕事を始めた母親は夫の死を引きずり、近所づきあいはほとんどなかった。山上容疑者は同居する母方の祖父から「てっちゃん」とかわいがられ、よく友達を自宅に呼んでテレビゲームで遊んでいたという。中学校ではバスケットボール部に所属し、県内トップクラスの県立高校に進んだ。
高校の同級生の女性(42)は、教室では口数が少なかった山上容疑者が、甲子園で野太い声を響かせていたことを鮮明に覚えている。「親しみを込めてみんなに『団長』と呼ばれていた当時の彼と、事件のイメージがどうしても結びつかない」
山上容疑者は友人には明かせない悩みを抱えていた。母親の「世界基督教統一神霊協会」(統一教会)への入信だ。
54年に韓国で創設された統一教会は80年代以降、高額なつぼや印鑑を購入させる霊感商法や多額の献金などで、社会問題となっていた。
母親が入信したのは、山上容疑者が高校3年だった98年頃とされる。中学生の頃にはすでに家中にお札が貼られていたと証言する知人もいる。
母親は統一教会に献金を重ね、99年には前年に亡くなった山上容疑者の祖父から相続した土地と家を売却し、家族で借家に引っ越した。借金を重ね、2002年には破産宣告を受ける。
母親の統一教会への信仰心は薄れることがなかった。献金額は総額1億円に膨れあがった。
山上容疑者は、ほとんどの同級生が進学する中、大学に進まず、02年8月に任期制自衛官として海上自衛隊に入隊。しかし、精神的に不安定になり、自殺未遂騒動を起こした。親族の関係者は「母親の宗教が理由だろう」と話す。
05年に海自を退職後、母親の元に戻るが、家賃を滞納するなど生活は苦しいままだった。アルバイトをしながら宅地建物取引士など複数の資格を取得するための勉強を重ねていた15年頃、幼い頃から慕っていた一つ違いの兄が自ら命を絶った。
「なんで死んだんや。あほやんか。生きていれば何とかなるやんか」
親族の関係者は、自宅で営まれた葬儀で、山上容疑者が号泣して兄の遺体に呼びかける姿が印象に残っている。兄は幼い頃から重い病気を抱えていた。
この日を境に、山上容疑者からの音信は途絶えた。
兄の死後、派遣の仕事を転々とし、20年10月以降は京都府内の工場でフォークリフトを運転する仕事をしていた。しかし、同僚と話すことはほとんどなく、先輩の指導に「そんなこと言うならお前がやれや」などと反発し、車の中で一人で食事をするなど職場では孤立していた。
今年4月、「心臓が痛い」などと言って体調不良を理由に翌月での退職を申し出て職場に来なくなった。この時期には、すでに自宅で手製銃を完成させていたとみられる。
そして7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説を始めた安倍元首相の背後からゆっくりと近づき、2度発砲した。
逮捕後、山上容疑者は統一教会から名称変更した「世界平和統一家庭連合」について、「母親が入信し、家庭生活がめちゃくちゃになった」と強い恨みを口にしている。自宅から押収されたノートにも恨みがつづられていた。
だが、なぜその銃口を元首相に向けたのか。山上容疑者は、淡々と事情聴取に応じているが、謝罪や反省の言葉はないという。
●山上容疑者の母親 「安倍さんや昭恵さんに謝罪の言葉が見つからない」 7/15
奈良市で安倍晋三元総理が銃撃されて死亡した事件から1週間です。事件前日に山上容疑者が宗教団体の施設が入る建物を試し撃ちした際、「車の中から撃った」と供述していることがわかりました。
安倍元総理が銃撃された近鉄・大和西大寺駅前では、事件から1週間が経ちますが、7月15日も多くの人が献花に訪れています。15日午前5時ごろには、奈良県警の鬼塚友章本部長も現場を視察して献花台で手を合わせたほか、逮捕された山上徹也容疑者(41)の母親の知人だという男性も訪れて取材に応じました。
この男性によりますと、山上容疑者の母親は事件後に電話で「息子が大変なことをして申し訳ありません」「安倍さんや昭恵さんに謝罪の言葉が見つからない」と涙ながらに話していたということです。
山上容疑者は取り調べに対して「安倍元総理を銃撃した前日の未明に宗教団体の施設に向けて試し撃ちした」などと供述。警察はこれまでに奈良市内にある宗教団体の施設が入る建物のドアと壁に弾痕のような痕を数か所と金属片を確認しています。
そして捜査関係者によりますと、山上容疑者が「車の中から試し撃ちした」と供述していることが新たにわかりました。また県内の山中でも山上容疑者が試し撃ちをしたとみられるドラム缶や木製の板などが見つかったということで、警察が詳しく調べています。
●山上容疑者の伯父「徹也は過去に自殺未遂…困窮する兄妹へ死亡保険金」 7/15
7月8日、安倍晋三元総理が銃撃されて死亡した事件。山上徹也容疑者は、母親が旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合に入会したことで破産したとして、旧統一教会へ恨みを募らせていました。15日午前、山上容疑者の伯父が報道陣の取材に応じ、次のように述べました。
山上容疑者の伯父「(母親が旧統一教会への)入会とほぼ同時に2000万円献金、総計1億円ですよね。保険金と不動産などで。平成17年1月に自衛隊にいた徹也が自殺未遂している。これを実行した理由ですけども、旧統一協会によって兄と妹が生活困窮しているわけです。そこへ自分の死亡保険金を渡すと」
●生活苦で決心固めたか「死ぬ前にやるしかないと決心ついた」山上容疑者 7/15
安倍元総理が銃撃され亡くなってからきょうで1週間。逮捕された男が、「7月中には所持金がなくなってしまうので、そのときには死のうと思った。死ぬ前にやるしかないと決心がついた」という趣旨の供述をしていることが新たにわかりました。
今月8日、奈良市で安倍元総理が銃撃され死亡した事件で、警察は元海上自衛官の山上徹也容疑者(41)を殺人の疑いで捜査しています。
その後の捜査関係者への取材で、山上容疑者が「7月中には所持金がなくなってしまうので、そのときには死のうと思った。死ぬ前にやろうと思っていたことをやるしかないと思い、安倍元総理を襲撃する決心がついた」という趣旨の供述をしていることが新たにわかりました。
元勤務先によりますと、山上容疑者は体調不良を理由に5月に仕事をやめていて、警察は生活の困窮が襲撃の決心を固める要因になった可能性もあるとみて、犯行に至った動機などをさらに調べています。 
●海自所属05年に生活困窮兄妹に自分の死亡保険金を渡すため自殺図る 7/15
安倍晋三元首相の銃撃事件で、無職山上徹也容疑者(41=殺人容疑で送検)の伯父(77)が15日、大阪府内で取材に応じ、容疑者の家族のこれまでのいきさつなどについて詳細に説明した。母親は、容疑者の父親の自殺などをきっかけに、91年ごろに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に入会し、父親の生命保険金や祖父から相続した土地や自宅を売却して、把握しているだけでも計約1億円を献金したと説明。容疑者が05年に、生活困窮した兄と妹に自分の死亡保険金を渡すために自殺未遂を起こしたことも明らかにした。
伯父は、山上容疑者の父親の兄で元弁護士。母親が旧統一教会に入会したのは91年ごろと説明した。家庭連合の田中富広会長は先の会見で入会は98年ごろとしていた。伯父は入会の動機については、容疑者の父親が84年に自殺したこと、容疑者の兄も小児がんを患い、治療で右目を失明したことなどを挙げた。
母親は、入会とほぼ同時に約2000万円、その後すぐに約3000万円とたて続けに献金し、約3年後にも約1000万円を献金。この計約6000万円の原資は、容疑者の父親の死亡保険金だったという。98年には容疑者の母方の祖父が死亡。母親は相続した会社の事務所の土地を処分した約2000万円、自宅を処分した約2000万円も献金し、計約1億円となった。伯父は「現金の相続もあったが、次々に献金していたため、本人も覚えていない」などとも説明した。
母親は02年に自己破産した。旧統一教会側は「破綻したところに献金を願ったり、要求することはない」などとしたが、伯父は「真っ赤なうそ」と反論。自己破産後も数十万〜100万円の献金を繰り返したという。旧統一教会側はまた、母親が経済的に破綻した後、05〜14年にかけ5000万円を返金した、09年に母親ら家族と教会の男性信者との間で取り交わした合意書が残っているなどと主張している。これに対し、伯父は、旧統一教会に母親の献金額の内訳などを開示するよう求めたが応じず、母親に5000万円が返金されたとし、返金後の使い道は分からないとしている。「5000万円で堪忍してくださいと言ってきた」「(トラブルを)全部うやむやにするためだ」などと強く批判した。
母親が宗教にのめり込む中、家庭は経済的に困窮していった。伯父は、子どもから食べ物がないとの連絡を受け、お金と食べ物を届け喜ばれたこともあったとし、長年にわたり生活費など支援もしたという。
山上容疑者は高校卒業後、大学受験を金銭的理由でやめ、消防士を目指し予備校に通ったが、近眼が原因で試験に落ちたという。02年8月に海上自衛隊に入隊。海自に所属していた05年1月には、自殺を図った。「兄と妹の生活が困窮しており、自分の死亡保険金を渡したかったと本人から聞いた」という。海自からは、本人が「旧統一教会によって人生と家族がめちゃくちゃになった」と説明したとの報告も受けたという。その時も母親は修行のため韓国にいて、すぐに帰ってこなかったという。14〜15年ごろには兄が自殺した。
伯父は母親について「マインドコントロールされているような状況」と説明。過去には伯父にも献金をしつこく求めてきたため、お茶をかけて追い返し、出入り禁止にしたこともあったという。しかし、8日の事件の直後からは、母親を自宅に呼び寄せ面倒をみている。母親は「疲労困憊して寝ている」とし「旧統一教会と連絡を取っているかは分からない」としている。また献金トラブルに関する証拠書類を捜査当局に提出、母親の任意聴取に同席しているとも明らかにした。
伯父は、容疑者について「極めて頭脳明晰(めいせき)で、良い思い出しかない。父親が亡くなってからは、釣りやスケートなどに連れて行ったりした。自殺未遂後に引き取る話もあったが、諸般の事情があって無理だった。徹也はがっくりしていた」と悔やんだ。
山上容疑者の父方の伯父の説明要旨
84年 容疑者の父親が自殺。容疑者の兄も小児がんを患い、抗がん剤治療によって右目を失明。
91年ごろ 母親が旧統一教会に入会。ほぼ同時に約2000万円、さらにすぐに約3000万円、3年後くらいに約1000万円を献金。計約6000万円の原資は父親の死亡保険金。
98年 容疑者の母方の祖父が死亡。母親は相続した会社の事務所の土地を処分した約2000万円、自宅を処分した約2000万円も献金し計約1億円に。
02年 容疑者は高校卒業後、大学受験しようとしたが金銭的理由でやめ、8月に海上自衛隊に入隊。母親は自己破産し、その後も数十万〜100万円の献金を繰り返し「今も頑張ってやっている」。
05年1月 海上自衛隊所属中の容疑者が自殺未遂。生活が困窮した兄と妹に自分の死亡保険金を渡そうとした。「旧統一教会によって人生と家族がめちゃくちゃになった」。
22年7月 母親は事件直後から伯父の自宅に身を寄せており「疲労困憊して寝ている」。
●「母親の献金はトップクラス1億円以上」「原資は保険金や自宅売却…」 7/15
安倍元首相が銃撃され死亡してから1週間。山上徹也容疑者(41)の伯父が、報道陣の取材に初めて応じた。
伯父は、山上容疑者の母親が世界平和統一家庭連合、“旧統一教会”の会員になった後の献金の実態について証言した。
山上容疑者の伯父: (山上容疑者の母親は)入会とほぼ同時に2000万円献金。さらにすぐ3000万円。これが総計1億円以上なんでね、保険金と不動産でね、その原資は(山上容疑者の父親の)保険金です。(山上容疑者の母親は)トップクラス、優良信者じゃないか。
伯父によると、山上容疑者の母親は入会後すぐに2000万円を献金。
献金の総額は少なくとも1億円にのぼり、山上容疑者が幼い頃に亡くなった父親の生命保険金や、自宅の土地などを売却した金なども含まれているという。
山上容疑者は調べに対して「母親が宗教団体の信者で、多額の献金をして破産した」と供述している。
母親の破産は、旧統一教会側にも伝えられたという。
山上容疑者の伯父: (旧統一教会側に)破産の内容を全部知らせた。そしたら統一教会の方が「5000万円(の返金)で勘弁してください」と言ってきた。
山上容疑者は「生活困窮で兄と妹に自分の死亡保険金を…」
さらに伯父は、山上徹也容疑者の過去についても明かした。
山上容疑者の伯父: (過去に)徹也が自殺未遂している。実行した理由は、旧統一教会によって兄貴と妹が生活に困窮している。そこへ自分の死亡保険金を渡す。統一教会によって人生がめちゃくちゃに…
長年、旧統一教会に恨みを募らせていたとみられる山上容疑者の新たな供述も明らかになった。
山上容疑者の供述: 遊説前に早めに行って下見していた
銃撃事件前日の岡山市内の防犯カメラ映像には、半そでにバッグ姿で歩いている山上容疑者とみられる男の姿が映っていた。
この日、安倍元首相は岡山市内で演説会を行っており、会場までの距離は約400m。山上容疑者とみられる男が防犯カメラに映ったのは、演説会が始まる1時間半前だった。
銃撃の周到な準備を進めていたとみられる山上容疑者。警察は、安倍元首相を狙った背景などについて、さらに詳しく調べる方針だ。
●山上徹也容疑者「銃を作るたびに山中で試し撃ちした」命中精度を確認 7/15
山上徹也容疑者(41)は「銃を作るたびに奈良県内の山中で試し撃ちした」と供述しているということです。
7月15日、事件が起きたのと同時刻の午前11時半すぎ、献花台が設置されている奈良市内の近鉄大和西大寺駅の近くでは、多くの人が手を合わせて黙とうを捧げていました。
7月8日、参院選の演説中に安倍晋三元総理が銃撃されて死亡し、奈良市の無職・山上徹也容疑者が逮捕されました。捜査関係者によりますと、山上容疑者は取り調べの中で「銃を作るたびに奈良県内の山中で試し撃ちした」と供述し、捜査員が山中を捜索したところ、弾痕とみられる穴の開いた木製の板やドラム缶のほか、コンクリートブロックが見つかっていたことが新たにわかりました。
山上容疑者はこれまでに「犯行の前日に宗教団体の施設に試し撃ちした」などとも供述していて、奈良市内の旧統一教会の施設が入る建物の壁には銃で撃たれたような痕が6か所確認されています。
警察は、山上容疑者が作った銃の試し撃ちを重ねて命中させる精度を確かめていたとみて、捜査を進めています。
●「山上義士を顕彰しよう!」立命館大に「テロ礼賛ビラ」 7/15
「立命館」の名前を冠した団体を名乗るツイッターアカウントが2022年7月14日、安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者(41)を讃えるビラがキャンパス内に貼られていたと投稿し、批判の声が殺到している。立命館大の担当者は7月15日、J-CASTニュースの取材に対して、ビラは掲示板に実際に貼ってあったことを明らかにし、既に撤去したと説明。ビラの画像を発信した団体について、「大学公認の団体ではない」としている。
投稿写真を確認したところ、ビラの背景には安倍元首相が仰向けで倒れている写真が使われている。太字で「安倍晋三射殺決起万才!山上義士を顕彰しよう」と書かれており、安倍元首相銃撃事件を「腐敗政治への革命的テロル」「7・8単独決起」を称した上で、「山上義士の名を民衆で語り継ごう!」と呼びかけていた。
この投稿がSNS上で拡散され、山上容疑者を讃えるビラや立命館大に対して批判が殺到している。なお、投稿は15日12時までに削除されている。
立命館大の担当者は、J-CASTニュースの取材に対して、14日に衣笠キャンパス内を巡回していたスタッフが掲示板に貼ってあったビラを発見し、担当課が撤去したと明らかにした。ビラを貼った人物の特定には至っていないという。
担当者は「立命館の教学理念は『平和と民主主義』で、今回の掲示物が貼られる前から、安倍元首相銃撃事件に対するメッセージを総長の方から発信しています」と立場を示し、「今回の掲示物の内容とは相容れないです」とコメントした。
立命館大は11日、仲谷善雄総長のメッセージを公式サイトで公開している。安倍元首相に哀悼の意を示し、銃撃事件に対し「民主主義の根幹を揺るがす行為であり、許しがたい暴挙です」と非難している。
ビラの内容について、担当者は「公序良俗に反する内容であると認識しています」とし、「警備巡回の強化をし、状況によっては警察への相談などを含めて検討しています」と今後の方針について述べた。

 

●母入信の背景「長男が小児がん、抗がん剤で失明。これが一番大きい」 7/16
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の伯父(77)が15日、大阪府内でスポニチ本紙などの取材に応じた。
――母親が旧統一教会に入ったのはいつ?
「98年という話があるが、実際は91年」
――入信した背景は?
「84年に弟(山上容疑者の父)が自殺した。さらに長男(同兄)が小児がんになり、抗がん剤投与で右目を失明し、脳にも転移した。これが一番大きい。(山上容疑者の母親の)弟も76年に小学5年で交通事故死している。最愛の母(山上容疑者の祖母)も82年に亡くなった。この方が聡明(そうめい)な方で、その血を受け継いでいた。これも伏線だったと思う」
――家族はどう生活していた?
「弟が84年に自殺してから、私が支援していた。コロナの前までだから、2年前の夏くらいまで。総額で2100万円。生活費や予備校の費用、大学の入学金とか。全て一覧にして残してある」 
●山上徹也容疑者宅からミキサーやペンチなど押収…銃の製造に使用か 7/16
安倍晋三元総理が殺害された事件で、警察は逮捕された男の自宅をあらためて家宅捜索し、手製の銃を作る際に使用したとみられる工具などを押収しました。
奈良市の無職・山上徹也容疑者(41)は、7月8日に安倍元総理を手製の銃で銃撃し殺害した疑いが持たれています。事件当日に警察は山上容疑者の自宅を家宅捜索し、手製の拳銃のようなもの数丁と筒数点、パソコンなどを押収していますが、16日午前に2度目の家宅捜索を行いました。
山上容疑者は拳銃や銃弾の製造方法について「はかりや工具などを使った」などと供述。今回の捜索で電子ばかり・ミキサー・ペンチといった工具を自宅から押収したということです。警察は銃の製造方法の裏付け捜査を進めています。
●安倍元首相銃撃は経済的困窮が引き金か 山上徹也容疑者の負債 7/16
安倍晋三元首相の銃撃事件で、無職山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が事件時に少なくとも約60万円の負債を抱えていたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。「襲撃は7月に決意した」と供述していることも判明。母親が多額献金した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みが動機につながったとみられ、奈良県警は経済的困窮が事件の引き金になった可能性があるとみている。
また、山上容疑者が「銃や弾をつくるために、はかりや工具類を使った」と供述していることが県警への取材で分かった。県警は16日、奈良市の山上容疑者宅を家宅捜索。はかりや工具類、ミキサーなど十数点を押収した。
捜査関係者などによると、山上容疑者は2020年10月から京都府の企業で勤務。月給は二十数万円で、今年2月ごろから体調不良を訴え、5月中旬に退職した。事件があった7月8日時点で負債が60万円以上あり、定期的に返済していた。給料が振り込まれていた預金口座の残高は二十数万円だった。
山上容疑者の伯父(77)によると、母親は1991年ごろ旧統一教会に入会し、父親の死亡保険金や、相続した不動産の売却益などを原資に総額約1億円を献金。一家は生活に困窮し、山上容疑者は経済難で大学に進学できなかった。
海上自衛隊に所属中の05年には自殺を図った。伯父には兄と妹に死亡保険金を渡すつもりだったと話し、海自には旧統一教会が原因で家族関係が崩壊したことが理由だと説明したという。
山上容疑者はこれまでの調べで旧統一教会について「20年以上前から恨んでいた」という趣旨の説明をしているほか「(韓国から)招き入れたのが岸信介元首相。だから(孫の)安倍元首相を殺した」と話している。旧統一教会は05〜14年に5000万円を母親に返金したとしている。
●山上容疑者伯父「母親の入信は1991年」旧統一教会側は「1998年」と説明 7/16
安倍晋三元総理(67)が殺害された事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)の母親について、伯父が旧統一教会の説明とは異なる“1991年に入信していた”ことを明らかにしました。
奈良市の無職・山上徹也容疑者は、7月8日に安倍晋三元総理を銃撃し殺害した疑いが持たれています。調べに対して山上容疑者は「母親が旧統一教会にはまり、多額の献金をして破産した」「団体とつながりがある安倍元総理を狙った」と供述しているということです。母親について、山上容疑者の伯父は次のように述べています。
山上容疑者の伯父「(母親が旧統一教会に入会したのは)平成3年(1991年)です。入会とほぼ同時に2000万円を献金」
一方、旧統一教会側は「母親が1998年に入信した」としていて、両者の説明には齟齬があり、献金額に違いがでてくることになります。
また、警察は山上容疑者の「拳銃や実包を作るのに測りや工具類を使った」との供述に基づき、16日午前、容疑者の自宅へ2度目の家宅捜索を行いました。
●山上容疑者伯父「母親は1991年に入信」旧統一教会側の説明と齟齬 7/16
安倍元総理が殺害された事件で、逮捕された山上容疑者の母親について伯父が旧統一教会の説明とは異なる1991年に入信していたことを明らかにしました。
奈良市の無職・山上徹也(やまがみてつや)容疑者(41)は7月8日、安倍晋三元総理(67)を銃撃し殺害した疑いが持たれています。
調べに山上容疑者は「母親が旧統一教会にはまり、多額の献金をして破産した」「団体と繋がりがある安倍元総理を狙った」と供述しているということです。
山上容疑者の伯父は…「母親が旧統一教会に入会したのは平成3年(1991年)です。入会とほぼ同時に、2000万円を献金」
一方、旧統一教会側は、「母親が1998年に入信した」としていて両者の説明には齟齬があり、献金額に違いがでてくることになります。
また、警察は山上容疑者の「拳銃や実包を作るのに測りや工具類を使った」との供述に基づき、16日朝、2度目の家宅捜索を行いました。
●山上容疑者伯父に聞く 「極めて頭脳明晰。家族に問題なければ京大に」 7/16
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の伯父(77)が15日、大阪府内でスポニチ本紙などの取材に応じた。
――山上容疑者は海上自衛隊時代に自殺未遂をしていた。
「統一教会によって、徹也の兄と妹の生活が困窮していた。だから“自分の保険金を渡す”と。徹也から病院で聞いた」
――当時、母は何をしていた?
「韓国(の教会)に行っていた。40日とか120日とか。自殺未遂の時も海自から私に連絡があったが、彼女の居場所はすぐに分からなかった。統一教会に問い合わせたら韓国にいて、“40日間、帰って来ない”と。実際に帰って来なかった」
――兄と妹はどんな生活をしていた?
「本当にギリギリだった。私は生活を補助していたが、94年に母親の入会を知って一度止めた。徹也の兄から“食べるものがない”と連絡があった」
――山上容疑者はどんな人物なのか?
「極めて頭脳明晰。父親そっくり。家族に問題がなければ京大に入れたと思う。性格?私に対しては抜群。いいエピソードばかり。昔はうちの息子と海水浴や釣りに連れて行った。喜んでました」
――それが、なぜ悩むようになったのか?
「自殺未遂の時に、海自に書面で出させて分かった。“統一教会によって人生がめちゃくちゃになった”と書いてあった。兄も妹もめちゃくちゃになってるので、自分の命でそれを払う、と」
――安倍元首相について何か言っていたことは?
「何も聞いていなかった」
――山上容疑者は宗教には入っていた?
「全く話したことはない」
●山上容疑者伯父に聞く 現在の母「何もせず疲労困憊状態」 7/16
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の伯父(77)が15日、大阪府内でスポニチ本紙などの取材に応じた。
――いまの母親の様子は?
「私の自宅で疲労困憊で寝ている。(事件直後に)私が“すぐタクシーに乗れ”と電話した。すぐに荷物をまとめて来た。布団で1日ぐらい寝てたんじゃないか」
――母親は事件後に統一教会と連絡は?
「何もしていない。疲労困憊(こんぱい)で寝てるから。マインドコントロールされているような状態ですよ」
――母親は事件について何か話している?
「口も利かないし、顔も見たくない。義務だからやってるけど、彼女のためにやってるわけじゃない」
――事件の報道も耳に入るのでは?
「何も思わないでしょう。思うなら脱会してるでしょ」
――捜査には応じているのか?
「私が応じさせている。12日と14日に聴取を受けた。本人は嫌でしょうね。私が資料から経過の報告を全部書いて出してるので、検察官は資料を見て聞いている。本人じゃ分からないことが多々ある」
●献金について「教会は“破産以降ない”と言っているが、真っ赤なうそ」 7/16
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の伯父(77)が15日、大阪府内でスポニチ本紙などの取材に応じた。
――母親の旧統一教会への献金額は?
「91年の入会と同時に即2000万円。何日後かに3000万円。それから、3年後くらいに1000万円。合計で6000万円」
――原資は?
「(自殺した)徹也の父の保険金。命の代償です」
――合計1億円との話もあるが?
「それは98年に徹也の祖父が亡くなって、母親が会社の事務所を相続した。それの処分で2000万円。あと、自宅を処分した2000万円。だから、一回家がなくなってるんですよ。これで総額1億円。相続した現金もあったが、いくらあったか本人も覚えていない。何十万円、100万円とか、次から次に献金してるから。推測だが、数千万の単位かな。亡くなった夫との結婚式(教団の「霊肉界祝福」)の費用も100万円でしょ」
――破産後に5000万円は取り戻した。
「統一教会は5000万円を返したと言ってるが、これは私が統一教会に対して“破産の内容を全部知らせろ”“献金の一覧を全部出せ”と申し上げたから。私は破産の事実を知らなかったので。そしたら“5000万円で勘弁してください”と言ってきた。全部うやむやにするため。教会が優先的に返したようなニュアンスで言っているが、私が返せと言ったから」
――その5000万円はどうなった。再度献金していないか。
「分からない。ただ、本人は返金を絶対に嫌がった。私が無理やりやったこと。受け取ったのは私ではない。本人が受け取りに行った」
――破産後の献金は?
「統一教会は“破産以降は献金はない”と言っているが、真っ赤なうそ。本人の話を聞いたら、今でも頑張ってやってますよ。もう稼ぎはあまりないが」
――献金の肩代わりを頼まれたこともあるか?
「ある。それで家に出入り禁止にした。2日連続で家に来たので、お茶をぶっかけた」
●山上徹也容疑者が留置所で不気味な腕立て伏せ 専門家が心理分析 7/16
安倍晋三元首相(享年67)を銃撃して現行犯逮捕され、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者が、留置場で腕立て伏せをしていることに困惑が広がっている。山上容疑者は手製銃の試し撃ちを山中などでして事件に備えていたことが判明。計画性を持って行動できる人物ということだが、いったい何のために腕立て伏せをして体を鍛えているのか――。
15日、事件前に山上容疑者が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連施設のビルに対して手製銃を試し撃ちしていたことが判明。弾痕のような穴が6か所確認されているという。また、山の中でも試し撃ちをしていたとも供述。山中では木製の板やドラム缶が発見され、撃たれた痕があった。
山上容疑者の母親は旧統一教会に多額の寄付をし、自己破産もしている。山上容疑者の伯父によると、母親の献金は総額約1億円で約6000万円が自殺した父親の死亡保険金で、約4000万円が母親が相続した不動産を売却したお金だという。
こうした母親の寄付で生活が困窮し、家庭が崩壊。その恨みを山上容疑者は旧統一教会に向けていた。安倍氏が旧統一教会の関連団体に動画を送っていたことから、安倍氏をターゲットにしたというが、本来のターゲットは旧統一教会だった。
そんな山上容疑者は留置場で腕立て伏せを繰り返しているという。ネットでは「もう次のこと考えているな」「脱走するつもりなんかな」「鍛えても今後は刑務所でしか使えないのでは」と謎の行動に戸惑う声が多い。
何が目的なのか。犯罪心理学者の北芝健氏は「留置場で腕立て伏せをする人は多い。信念を持っている確信犯が特にやる。目的は検察対策でしょう。官憲による厳しい取り調べが続き、裁判など長い戦いが待っているので体力をつけておこうというのです」と指摘した。
奈良地検は山上容疑者の刑事責任能力の有無を確認するため鑑定留置をする方針だという。北芝氏は「腕立て伏せをしていたことから鬱状態ではないだろうと推測できます。鬱ならそんな気になりませんし、体が動かないんですよ。事件を起こした高揚感があり、体を動かしたいというのもあるでしょう」と話した。
刑務所内のいじめに備えている可能性もある。刑務所に有名人≠ェ入ると、受刑者から注目を集める。対応を間違えると、いじめられることになる。言葉によるものだけでなく、刑務官の目の届かないところで、殴る蹴るなどされることもあるという。そんな未来を想定しているのだろうか。
いずれにせよ不気味な腕立て伏せだ。

 

 

●山上徹也容疑者、宗教団体を批判するブログ運営者に手紙送る 7/17
安倍元総理が銃撃され、殺害された事件で、逮捕された山上徹也容疑者が書いたとみられる安倍元総理の殺害をほのめかす手紙が、宗教団体を批判するブログを運営している男性に届いていたことがわかった。
山陰地方に住むフリーライターの男性に届いた手紙には、「私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります」と山上容疑者と見られる生い立ちが綴られていた。
そして安倍元総理については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではないのです」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの1人に過ぎません」とした上で、「安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」と書かれていた。
手紙は、事件前日に安倍元総理が演説を行った岡山市内から送られていた。奈良県警が詳しく調べる方針だ。
●安倍氏は「苦々しいが…本来の敵でない」山上容疑者 7/17
安倍晋三・元首相(67)が奈良市で銃撃されて死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)が事件直前、岡山市内から、安倍氏の殺害を示唆する手紙を中国地方に住む男性に送っていたことがわかった。母親が入信した宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」への強い恨みをつづり、安倍氏について「本来の敵ではない」としている。奈良県警も手紙の存在を把握しており、同連合への恨みが安倍氏に向かった経緯の解明を進める。
岡山市では事件前日の7日夜、安倍氏が参加した演説会が開かれた。山上容疑者は会場を訪れたが、襲撃を断念していた。消印の時刻から、会場に向かう途中に 投函とうかん した可能性がある。
手紙はA4判1枚で、手書きではなく印字したもの。差出人名は記されていないが、山上容疑者と母親らが献金の返金に関して同連合と交わした合意書のコピーが同封され、そこに山上容疑者の氏名と当時の住所も書かれていた。
男性は同連合の活動を批判するブログを運営している。手紙では、ブログの読者だと明かした上で「私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります」と自身の生い立ちがつづられている。
安倍氏については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」と主張し、「安倍(元首相)の死がもたらす政治的意味、結果、 最早もはや それを考える余裕は私にはありません」との記述があった。
山上容疑者は県警の調べに対し、安倍氏を狙った理由について「(同連合と)つながりがあると思った」と供述している。県警は、山上容疑者が、元首相を殺害することで同連合への批判を集めようとした可能性があるとみている。
●「私の一生を歪ませ続けた」 山上容疑者の手紙詳報 7/17
安倍晋三元首相(67)が銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)が送ったとみられる手紙の詳報(原文のまま)は次の通り。

ご無沙汰しております。「まだ足りない」として貴殿のブログに書き込んでどれぐらい経つでしょうか。
私は「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書きましたがあの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました。
私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません。
個人が自分の人格と人生を形作っていくその過程、私にとってそれは、親が子を、家族を、何とも思わない故に吐ける嘘、止める術のない確信に満ちた悪行、故に終わる事のない衝突、その先にある破壊。
世界中の金と女は本来全て自分のものだと疑わず、その現実化に手段も結果も問わない自称現人神。
私はそのような人間、それを現実に神と崇める集団、それが存在する社会、それらを「人類の恥」と書きましたが、今もそれは変わりません。
苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません。
文一族を皆殺しにしたくとも、私にはそれが不可能な事は分かっています。分裂には一挙に叩くのが難しいという側面もあるのです。
現実に可能な範囲として韓鶴子本人、無理なら少なくとも文の血族の一人には死んでもらうつもりでしたが鶴子やその娘が死ねば3男と7男が喜ぶのか或いは統一教会が再び結集するのか、どちらにしても私の目的には沿わないのです。
安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません。
●安倍元首相殺害 山上容疑者手紙で示唆か 事件前に岡山から 7/17
安倍晋三元首相(67)が銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)が事件前、安倍氏の殺害を示唆する手紙を岡山市内から島根県に住む男性に郵送したとみられることが17日、分かった。産経新聞などの取材に男性が明らかにした。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への強い恨みがつづられ、安倍氏については襲撃をほのめかしつつ、「本来の敵ではない」と記していた。
山上容疑者は逮捕後、安倍氏を襲うことで「家庭連合に非難が集まると思った」という趣旨の供述をしていたことが判明している。奈良県警も手紙の存在を把握しており、送られた経緯について確認を進める。
手紙はA4判1枚で、手書きではなく印字されていた。家庭連合への恨みが多くつづられ、安倍氏については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではない」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」と記載。「銃の入手に(時間を)費やして参りました」「安倍(氏)の死がもたらす政治的意味、結果、最早(もはや)それを考える余裕は私にはありません」とも書かれていた。
岡山市内の郵便局が押したとみられる7月の消印があったが、日付の判読は難しい状態だった。山上容疑者は事件前日の7日、安倍氏も参加した岡山市内の演説会場を手製銃を持って訪れたが、襲撃を断念したことが判明しており、途中で投函した可能性がある。
男性はブログで家庭連合への批判を展開しており、自宅ポストに封筒が届いたことには13日に気付いたという。封筒には手紙のほか、山上容疑者と母親らが、家庭連合と献金の返金について交わした際の合意書のようなコピーも同封。山上容疑者の氏名なども書かれていたという。
●「憎むのは統一教会だけ」「安倍政権に何があっても知った事ではない」とも 7/17
安倍晋三元首相の銃撃事件で、山上徹也容疑者がツイッターに「憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」と、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みなどを投稿していたとみられることが17日、分かった。
山上容疑者のものとみられるツイッターには「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族から巻き上げさせたアガリを全て上納させることだ」などとつづられていた。家族については「祖父の目を盗んで金を統一教会に流していた母をとがめる者はもういない」と投稿。山上容疑者が当初狙っていたと供述している同連合の韓鶴子総裁について20年8月には「今年はおそらく鶴子は来ないだろう。それはオレにとって吉か凶か」とも。安倍氏が持病を理由に首相の辞意を表明した20年8月28日には「安倍政権のやり方が常に正しかったとは全く思わないが、結果として正しかった事を評価できなければその正しさは失われる」とある。
11日に記者会見した旧統一教会の田中富広会長は、山上容疑者の犯行に関して「教会に対する恨み、そこから安倍元首相の殺害に至るということは、とても大きな距離があって、私たちもその理解に少し困惑しております」と話していた。
●安倍晋三元首相銃撃、手紙で示唆か 容疑者、事件前に送る 7/17
安倍晋三元首相の銃撃事件で、殺人容疑で送検された無職山上徹也容疑者(41)が事件前、銃撃を示唆する手紙を島根県の男性フリージャーナリストに岡山市内から送っていたとみられることが17日、分かった。男性が取材に明らかにした。20
19年秋以降、ツイッターに「憎むのは統一教会だけだ」などと世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みを投稿していたとみられることも判明した。
男性はブログで旧統一教会への批判を展開していた。男性によると、奈良県警は17日、手紙を押収。手紙には岡山市の郵便局が押した7月の消印があった。差出人名はなかったが容疑者の署名がある文書が同封されていた。旧統一教会への強い恨みがつづられ、安倍氏については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではない」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」と記載されていた。
「銃の入手に(時間を)費やして参りました」「安倍(元首相)の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」とも書かれていた。
手紙はA4判1枚で、手書きではなく印字したもの。消印の日付の判読は難しいが、容疑者が7日に同市を訪れて遊説中の安倍氏を手製銃で襲おうとしたことが分かっており、この日に投函した可能性がある。
ツイッターには「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた」「統一教会の本分は、家族から巻き上げさせたアガリを全て上納させることだ」などと投稿していた。
●旧統一教会批判ジャーナリスト「相談してほしかった」 山上からの手紙 7/17
安倍晋三元首相の銃撃事件で、殺人容疑で送検された無職山上徹也容疑者(41)が事件前、安倍元首相の殺害を示唆する手紙を岡山市内から島根県松江市に住む男性に送っていたとみられることが17日、分かった。
男性は、フリージャーナリストの米本和広氏(71)で日刊スポーツの取材に応じ、手紙はA4判1枚で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への強い恨みがつづられ、安倍元首相については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではない」と記載されていた。
米本氏によると、手紙はA4判1枚で、印字したものだった。事件から5日後の13日、自宅のポストに届いているのに気づいた。
「ご無沙汰しております」から始まる文章には、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への強い恨みがつづられ、生い立ちなどが理路整然と書かれていた。
安倍元首相については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではない」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの1人に過ぎません」と記載されていた。
米本氏は自身のブログで旧統一教会への批判を展開し、住所も記していた。山上容疑者と面識はないが、手紙には、米本氏のブログの読者であり、過去に投稿欄に書き込んだことがあると記されていた。
手製の銃などを今年の春ごろには完成させていたとの趣旨の供述をしているが、手紙には「銃の入手に(時間を)費やして参りました」と告白。生い立ち、旧統一教会との関わりなどが書かれていた。
「母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言っても過言ではありません」
岡山市内の郵便局が押したとみられる7月の消印があったが、日付の判読は難しいという。山上容疑者の自宅は奈良市内にあり、7日に岡山市を訪れ、遊説中の安倍元首相を手製銃で襲おうとしたことが分かっている。7日に手紙を投函(とうかん)した可能性がある。差出人名はなかった。
手紙には「安倍(元首相)の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」と殺害を示唆していた。
米本氏は事件について「許されることではない」とした上で、手紙から受けた印象について「文章がすごくまとまっていて、分かりやすい。頭がいいなと思った」と話した。
米本氏はブログで旧統一教会の信者の子どもの問題を取り上げてきたが「悲惨なんてもんじゃない。悲惨を通り越した悲惨」と話し、「だれも相談する人がいなかったのかもしれない。私に友達的なものを感じてくれていたのなら、岡山からならバスで2時間で来ることができる。犯行の前に連絡して相談してほしかった」と話した。
●安倍元首相銃撃前に容疑者が事件起こすこと示唆する手紙投函か 7/17
安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれて死亡した事件で、逮捕された容疑者が事件を起こすことを示唆する手紙を、直前に投函していた疑いがあることがわかりました。手紙を受け取った男性によりますと、宗教団体に対する恨みが書かれ、安倍元総理大臣については、本来の敵ではないなどと記されていたということです。警察は、容疑者が出したものか確認を進めるなど、詳しく調べています。
今月8日、奈良市で演説をしていた安倍元総理大臣が銃で撃たれて死亡した事件で、警察は、奈良市に住む無職、山上徹也容疑者(41)を逮捕して、殺人の疑いで捜査しています。
山上容疑者は、母親が多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こしたとみられています。
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会を批判するブログを運営している島根県の男性によりますと、今月13日、山上容疑者が書いたとみられる手紙が届いていることに気づいたということです。
消印の日付は不明確ですが、岡山市内で投函されたとみられます。
容疑者は、事件前日に安倍元総理大臣を襲おうと、遊説が行われた岡山を訪れていました。
男性によりますと、手紙には、これまでのいきさつや宗教団体に対する恨みがつづられているということです。
安倍元総理大臣については、本来の敵ではなく、最も影響力のあるシンパの一人に過ぎないとした上で、その死がもたらす結果を考える余裕は自分にはないという趣旨の内容が記されていたということです。
また、母親の献金の返金をめぐって、宗教団体側と交わした資料のコピーも同封され、山上容疑者の名前と奈良市の住所が書かれていたということです。
警察は、この手紙について、容疑者が出したものか確認を進めるなど、詳しく調べています。
●桜田淳子「うちの家族は幸せ」合同結婚式夫の統一協会入信後の生活 7/17
7月8日に発生した安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件から一週間が経った。全容解明に向けて捜査が進められているが、連日大きな注目を集めているのがかつて「統一教会」の名前で知られた「世界平和統一家庭連合」だ。
「安倍元首相を撃った山上徹也容疑者(41)は、取り調べの中で母親がある宗教団体に入信し、多額の献金をした結果、破産したことからその団体に恨みを抱いたと供述。そして、団体と関わりのある安倍元首相に恨みを抱き、銃撃を決断したといいます。
そのことが報じられると、ネット上で“団体とは旧統一教会のことではないか”という意見が拡散し、11日に『世界平和統一家庭連合』は会見を開きました。会見で同連合の日本教会会長は、山上容疑者が会員になったことはない、とした上で、母親が会員であったことは認め、献金があったことも明かしていました」(全国紙記者)
14日、「読売新聞」は山上容疑者の母親が旧統一教会に献金した総額が、1億円にのぼるとみられていることを報じている。その後、「世界平和統一家庭連合」は母親に5000万円を返金したと発表したが、献金の詳細については調査中と説明。少なくとも、それだけの献金があったことが明らかになったのだ。
そんな統一教会は、かつて芸能界を賑わしたことも。’92年6月、「花の中三トリオ」として山口百恵さん(63)らと昭和のアイドル界を盛り上げた歌手・桜田淳子(64)が、韓国で行われる同団体の合同結婚式に参加することを記者会見で発表。一世を風靡した桜田の合同結婚式への参加表明は当時、“桜田の結婚は教団による洗脳では”と大騒動を巻き起こしたが、2カ月後の結婚式で桜田は会社役員の男性と結ばれることに。のちに桜田は芸能界をフェードアウトした。
その20年後となる’12年3月。本誌は桜田を直撃している。
夫と息子とともに買い物を楽しんでいた桜田は「すみません。答えられないんです……。私はマスコミの対応はしていないんです」とコメント。
本誌が「“統一教会に洗脳されていた”と思っていますか?」と尋ねると、夫は「さすがにそう思っていたら、今でもこうして淳子も僕も統一教会を信じてはいませんよ。宗教というのは入ってみなければわからない世界があるんです」と語った。
夫は「自分たちは自分自身で選択して入信、そして結婚に至った。教団に洗脳されたわけではない」と主張した。そこで最後に「今も幸せですか?」と問うと、夫は「もちろん、幸せですよ。うちの家族はね」と笑顔にーー。桜田も、夫の横顔を嬉しそうに眺めていた。

 

●山上容疑者、父の自殺の真相 母がハマった“怪しい団体”と凄絶ネグレクト 7/18
安倍晋三元総理を亡き者にした凶弾。それが、参院選の演説中に放たれるまでには、紆余曲折の不幸の連鎖があった。最初の悲劇は容疑者の母がある団体にハマり、その後ノイローゼとなった父が自殺したことだった――。
参院選投開票を間近に控えた7月8日、午前11時31分。奈良市の大和西大寺駅前で1発目の銃声が鳴った。演説中だった元総理はマイクを止め、轟音が鳴り響き白煙が舞う中、ふっと後ろを振り返った。刹那、続けて放たれたのは2発目の銃弾。標的となった元総理は左腕をかばうように、演説台からくずおれた。
周囲の聴衆は何が起きたかも理解できぬ一方で、銃を構えていた男は大事を成し遂げて立ち尽くしていた。しかし、瞬時に警察官が男の身柄を確保。安倍元総理は奈良県立医大病院に運ばれ、昭恵夫人が到着するまでの間、必死の救命措置が行われるも、還らぬ人となった。
享年67。奇しくも父・晋太郎氏がすい臓がんで逝去したのと同じ年齢だった。
「安倍さんは犯人の手製の銃で左上腕部を撃たれたことにより、鎖骨の下にある左右の動脈が傷つき、これが致命傷になりました。死因は失血死でした」(社会部デスク)
「(妻の)韓鶴子を狙っていた」
現職の政治家、それもいまだ自民党内で権勢を振るう、最大派閥の長でもあった安倍元総理を公衆の面前で射殺したのは、奈良市在住の山上徹也容疑者(41)だった。当人は警察の取り調べに、「母親が統一教会に多額の寄付をして家庭が崩壊した」「(創始者の)文鮮明がアメリカで有罪判決を受けたため、(妻の)韓鶴子を狙っていた」「コロナで韓鶴子が来日できないので、標的を変えた。統一教会と関係の深い岸信介の孫を狙った」と供述しているという。
安倍元総理は祖父の岸信介元総理とともに教会との関係の近さが報じられたことがあり、関連団体の式典に祝電を送ったことも。これらの供述から分かる通り、徹也が歪んだ殺意を抱くようになった背景には「宗教」があった。その履歴をたどると、彼の人生を大きく左右したのは宗教にのめりこんだ実母(69)の存在、さらには家族を次々と襲った「自殺の連鎖」であった。
「よく怒鳴り声が聞こえる家やったんですよ」
徹也の父親は、大阪市内でもトップクラスの進学校、府立天王寺高校の出身である。卒業後、京都大学工学部に進学し、土木を専攻。大学を1970年に卒業すると、大手建設関連会社などに勤め、大阪や千葉などを転々としながら、70年代末に奈良に本社を置く建設会社に入社する。それと前後し、徹也の父は妻となる女性と籍を入れるのだが、彼女は建設会社の社長の娘であった。
実はこの社長、すなわち徹也の母方の祖父も父とは別の大阪府内の大学の土木科を卒業していた。そして、63年に建設会社を設立。徹也の父は入社後、ヒラ社員から工事部長を経て、最終的に取締役にまで出世している。
70年代末から80年代前半にかけて、夫妻は徹也本人とその兄と妹を含む3人の子をもうけた。当時、家族が居を構えていたのが東大阪市内の木造2階建ての一軒家。母方の祖父が所有する25坪ほどの土地に建てられた、小さくしかしどこか不気味な家だった。
近隣住民が言う。「山上さんね、もう40年くらい前ですけど、よう覚えていますわ。よく怒鳴り声が聞こえる家やったんですよ。お父さんがお母さんを怒鳴りつけてね、呂律も回っていなかったから、たぶん、お酒飲んでいたんやろうな。外から見える家の洗い場なんかも散らかっていてね……」
「おしっこやうんちで重くなったおむつをはいて…」
一家を知る知人が当時の家族の異様な光景について語る。
「実はお母さんが『朝起(あさおき)会』という宗教にはまっていたんです。周囲を勧誘することはなかったのですが、子育てをほっぽらかしにしていて、その宗教の集まりがあるからと、朝の5時とかに出かけてまうんです。当時、2歳か3歳かの男の子が冬も裸足で家の外に出てきて、泣きながら母親を探してるんですわ。ご主人もなんもせんとね。おしっこやうんちで重くなったおむつをはいているから、半ケツ状態で可哀そうでした」
彼女が子育てを放棄してまで通っていた朝起会とは、戦後まもなく設立された実践倫理宏正会のことである。創始者は上廣哲彦。現在は3代目が会長を務め、朝起会と呼ばれる早朝の活動をメインに会員数は400万人を超えるといわれる。
宗教事情に詳しい記者によれば、「大阪だけでも支部は70ほどあります。朝起会では、『朝の誓』の言葉を唱えるなど、生活倫理を実践する社団法人ということになっており、宗教団体であることを否定しています。しかし、事実上の宗教ではないかと指摘する声もある」
実践倫理宏正会の東京本部の担当者は、「(母親の)会への在籍は過去を含め、一切なく、朝起会に参加したこともございません」
父の飛び降り自殺
しかし、と先の知人が裏事情を教えてくれる。
「旦那さんの勤め先は奥さんのお父さんが経営している建設会社でしたね。でも、奥さんが相当宗教に入れ込んでしまったみたいで、旦那さんはノイローゼやったようです。最後は近くのマンションから飛び降りて自殺しはってね、それは近隣で話題になりましたわ。それから1年と経たず、一家は引っ越していかれました」
自殺した場所は当時の自宅から歩いて5分ほどの距離にある79年築の12階建てのマンションだった。周囲では一際高い建築物だったため、度々飛び降りがあったという。
父を亡くした一家が身を寄せるのが、奈良市内にあった祖父が住む一軒家だった。
すでに祖母は他界しており、ほどなく、母は父に代わり同社の取締役に就任。経理を担当するように。彼女が以前にもまして宗教にのめり込むようになるのは、これ以降のことだった。 
●山上徹也容疑者とみられるTwitter投稿1363件「憎むのは統一教会だけ・・・」 7/18
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)がSNS上に宗教団体への恨みなどを繰り返し投稿していたとみられることがわかりました。
事件から7月18日で10日。周囲の安全確保などのため献花台が19日に撤去されるのを前に、多くの人が献花に訪れています。
逮捕された山上徹也容疑者は、母親が多額の献金をしていた宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に恨みを持ち「安倍元総理と繋がりがあると思い込み犯行に及んだ」と供述しています。
山上容疑者のものとみられるツイッターのアカウントを見ると、初投稿は2019年10月13日。同じ月に旧統一教会のトップ韓鶴子氏が愛知県で集会を開いていて、襲撃に失敗した直後に始めたとみられます。ツイッターには旧統一教会への恨みが繰り返し投稿されています。
【ツイッターの投稿より】「我が家から全財産を奪い、母に家族を騙してそれを秘匿するよう諭した」「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族からアガリを全て上納させることだ」
また安倍元総理についてもたびたび言及されています。
【ツイッターの投稿より】「安倍政権に言いたいこともあろうが、統一教会と同視するのはさすがに非礼である」
安倍元総理を擁護する投稿がある一方、次のような記述もあります。
【ツイッターの投稿より】「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」「岸が招き入れたのが統一教会。安倍が無法のDNAを受け継いでいても驚きはしない」
母親の多額の献金によって困窮していったとみられる山上容疑者。複雑な心境がつづられています。
【ツイッターの投稿より】「オレは母を信じたかった」「言葉では心配している、涙も見せる、だが現実にはどこまでも無関心。こんな人間に愛情を期待しても惨めになるだけ」
約2年9か月の間、投稿されたツイートは1363件。今年6月30日の投稿が最後となっていました。
山上容疑者はその後、事件前日の7月7日に岡山市内の安倍元総理の演説会場を訪れていましたが、この直前、岡山市内から島根県のフリージャーナリストの男性に手紙を送っていたとみられています。男性は旧統一教会の活動を批判するブログを運営していて、手紙ではブログの読者と明かした上で、旧統一教会への恨みをつづり、安倍元総理の殺害を示唆する内容も記されていました。
【手紙の内容より】「安倍は本来の敵ではないのです。安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」
警察は既に手紙を押収していて、事件の動機の解明を進めています。
●「オレが憎むのは統一教会だけだ」山上徹也容疑者が旧統一教会への恨み 7/18
安倍元総理が銃撃され死亡した事件で、山上徹也容疑者がSNS上に宗教団体への恨みなどを繰り返し投稿していたとみられることが分かりました。
安倍晋三元総理(67)が奈良市で遊説中に銃撃され死亡し、山上徹也容疑者(41)が逮捕された事件では、母親が多額の献金をしていた世界平和統一家庭連合=旧統一教会への恨みを募らせた末の犯行だとみられています。
捜査関係者などによりますと、山上容疑者がツイッターに旧統一教会への恨みなどを繰り返し投稿していたとみられることがわかりました。アカウントは匿名で、2019年10月から利用されていて、「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は家族からアガリを全て上納させることだ」「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」などと投稿がありました。
山上容疑者は事件前日、島根県のフリージャーナリストの男性に安倍元総理の殺害をほのめかす手紙も送っていて、警察が動機の解明を進めています。
●上徹也容疑者 事件直前に島根県松江市の男性に殺害をほのめかす手紙 7/18
安倍元総理が奈良県奈良市で銃撃され死亡した事件で、山上徹也容疑者が事件直前、安倍元総理の殺害をほのめかす手紙を島根県松江市に住む男性に送っていたとみられることが分かりました。男性は、取材に対し「直接話してくれればよかった」などと話しました。
山上容疑者が送ったとみられる手紙「母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産・・・この経過と共に私の10代は過ぎ去りました」
これは17日、手紙を受け取った松江市内に住むフリージャーナリスト・米本和広氏が公開した手紙。
封筒に差出人の名前はありませんが、山上徹也容疑者が送ったものとみられています。
手紙には、旧統一協会への恨みがつづられるとともに、安倍元総理の殺害を示唆する内容が記されています。
山上容疑者が送ったとみられる手紙「安部は本来の敵ではないのです」「最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」「安部の死がもたらす政治的な意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」
米本氏は、旧統一協会の活動を批判するブログを運営していて、山上容疑者は手紙でこのブログの読者であると明かしていますが、米本氏と山上容疑者に面識はなかったということです。
また、捜査関係者などによりますと、山上容疑者がツイッターで、旧統一教会への恨みなどを繰り返し投稿していたとみられることも分かっています。
山上容疑者は事件前日、安倍元総理の遊説先である岡山市も訪れていて、封筒の消印などから、手紙はそのころ岡山市から送ったとみられています。
米本氏は、取材に対し、手紙を読んだのは事件後の7月13日としたうえで、「人を殺したことは間違いだと思う」「岡山から島根に来て直接話してくれればよかった」などと話しました。
奈良県警は、すでに手紙を押収、18日も調書作成のため米本氏の自宅を訪れていて、詳しい経緯を調べています。
●「一度は5千万円取り戻した」 山上容疑者の伯父が明かす 7/18
安倍晋三元総理を射殺した山上徹也容疑者(41)。前編(山上容疑者、父の自殺の真相 母がハマった“怪しい団体”と壮絶ネグレクト)では、母がハマっていた“もう一つの団体”と父の自殺について報じたが、後編では山上容疑者の伯父の証言をもとに、山上家が統一教会と抱えていた金銭トラブルに迫る。
「徹也の兄は小児がんを患っていて、手術もしています。片目も失明しており、普段の生活にも苦労していました」と明かすのは一家の面倒を見てきた弁護士資格を持つ父の兄、すなわち徹也の伯父にあたる人物である。
「(徹也の)父が亡くなり、兄も病気でした。そうしたことがきっかけになり、父が亡くなってずいぶん経ってから、母は統一教会に入信したんですわ」
彼女は熱心な信者となり、度々、子供を置いて、長期にわたり渡韓するほどだったと続ける。
「子供たちはその間、食べるもんがなかったんですよ。だって、母親が日本におらんかったからね。自分は韓国に行き、ずっと放っておいた。ネグレクトどころではない、もっとひどい状態です。兄は病気で自分で食事を作ることもできない。その兄が電話をかけてきて、“食べるものがない”と。お金を持って行ってあげたりしていました。すると、冷蔵庫の中には食料がまるでないんですわ……」
生命保険5千万円を全て寄附
徹也は地元の公立中学校へと進学。あだ名は「こてつ」。持ち前の運動神経を生かして、所属するバスケ部でも活躍していたとは、同じ部にいた同級生。
「うちの部は3年の時に自分たちの学年だけで25人以上いました。1、2年生を含めれば、もっと部員がいたわけなんですけど、山上はユニフォームをもらえる15人の中に入っていました。ポジションは確かフォワードだったと思います。走るのも速く、シュートもディフェンスもうまい。三拍子そろった選手といった感じでした」
さらに徹也が得意だったのが「絵」だ。
「ドラゴンボールとかドラゴンクエストのキャラクターをわら半紙によく鉛筆で描いていました。その絵がうますぎて別のクラスからわざわざ見に来る人がいたほどです」(同)
学業も優秀で高校は県内でも有数の進学校へ。応援団と文芸部に所属し、生活での苦労を周囲に吐露することもなかったようだ。
しかし、98年、徹也が高校3年生の秋に突然、祖父が亡くなると生活は暗転する。奈良市内に祖父が所有していた二つの土地(計約360平方メートル)が徹也の母に相続されるのだが、時を置かずして母により売却されてしまうのである。一つは翌年の3月に、さらに同年6月にもう一つの土地が。そして、一家は同じ市内の賃貸マンションへと引っ越すことになる。
先の伯父が言う。「徹也の父親が亡くなった時に生命保険が5千万円も下りました。加えて、自宅なんかも売却し、それらすべてを統一教会に寄付したんですわ。額は億は超えますわな。しかも、そうした金は1回のお布施だけで数千万円単位で吸い取られていたんです」
自分たちの教義に反するものはサタン
統一教会といえば、1980年代以降に高額な壺などを買わせる霊感商法がクローズアップされた。宗教ジャーナリストの藤倉善郎氏が解説する。
「統一教会は朝鮮半島の、キリスト教を模した新宗教です。教祖である故・文鮮明の祝福を受けて、生まれた子供は原罪を背負っていないとして、神聖視されます。そのために合同結婚式が行われているのです」
霊感商法については、「“先祖の因縁が深い”“供養しないと家族が不幸になる”などと脅し、数百万円もする壺などを関連会社を通じ信者に買わせていた。それが露見し、社会的に大きな問題となりました。近年は勧誘の仕方がだいぶマイルドになったといわれています。しかし、本質は変わっていない。自分たちの教義に反する者はサタン、すなわち悪魔だという考えですから」
徹也の母はそうした教義に忠実だったのだろうが、自宅を売った後はあっという間に転落していく。祖父の死後、建設会社の社長を務めていたにもかかわらず、2002年に破産するのだ。
地元の建設業界関係者は当時を振り返り、驚きを隠さない。
「実は90年代半ばの時点で建設会社の業績は非常に好調でした。ある年には、年商6億円、3千万円近くの利益を出したそうです。中堅建設会社の下請けで、関西圏のトンネル工事などを請け負っていた。それなのに……。結果的に建設会社は休眠状態となり、09年に解散しています」
自衛隊任期中の2005年に自殺未遂
母が破産した年、伯父から経済的支援を受け、専門学校を出た徹也は任期自衛官として海上自衛隊に入隊する。しかし、ここでも“事件”は起きた。
「任期中の05年に自殺未遂を起こしているのです。一命は取り留めたものの、防衛庁が運営する自衛隊病院に入院しました。自殺を図ったきっかけは統一教会だった。母親のことで相当悩んでおり、結局、このことがきっかけで退官してしまうのです」(防衛省関係者)
退官後は、測量会社や派遣社員としてリフト作業に従事するなど職を転々。その間、徹也と親族間の交流は少なからずあったようだが、さらなる家族の断絶を招いたのが兄の死だった。今から7年ほど前、病を苦に自殺してしまうのだ。まさに不幸の連鎖である。
山上家の親族が重い口を開く。「葬儀の時、てっちゃんは“何で兄ちゃん死んだんや”“アホやなあ、生きてたらええことあるのに”と言っていたので、この子は大丈夫やと思ったんです。だけど、寡黙だったのがその後ますます話さなくなり、飲みにでも誘おうと思い電話しても出てくれない。ここ数年、彼は妹とも必要最小限のことしか連絡していなかったようです」
この間、徹也が胸の内でたぎらせていたのは、統一教会、そして安倍元総理への憎しみだった。
お金を取り返しても再度寄付してしまう母
伯父が再び語る。「そりゃあ、統一教会憎しになりますよ。(寄付として家から)持って行かれてしまったのが、1億数千万円はある。私はね、(徹也を含む)3人の甥と姪の依頼でそのうちの5千万円を統一教会と交渉して09年に取り返したんですよ。訴訟みたいなとろい手段ではなくて、直接ね。しかも、教会との間で交わした和解書もあります。でも、取り返した金を母親に戻すと、また、そのまま寄付してしまうんです」
今回、凶行に及んだ徹也の思いをこう代弁する。「(徹也は)生活だけではなくて、命まで奪われかけた。普通に見たら、母が統一教会に納めた金が安倍に流れていると、そうなりますわな。生活が苦しいときに私が母親に送っていた生活資金だって全部、教会に流れている。統一教会の言っていることなんて全部でたらめですからね。全部ね」
「うちの妻を勧誘することも過去にあったみたいで…」
山上家、そして伯父とトラブルを抱えていたことについて、統一教会の広報は、「(徹也の)お母さんは1998年に入信しています。(トラブルについては)私どもがお母さんと接触できていないため、お答えできません」
実は事件発生直後、徹也の実家から一人の人物が警察やメディアの目をかいくぐり、“脱出”していた。徹也の母、その人である。
「射殺事件の起きた日の午後、母親は実家にタクシーを呼び、密かに大阪府内の一軒家に向かっていることが確認されています」(捜査関係者)
彼女が向かった先がこの伯父の自宅だった。
「事件後はすべてが大変やからね、私が呼んだんですよ。いまうちの部屋におりますけどね、元気ですよ」(伯父)
伯父は元総理を射殺した凶悪犯をかばい、その遠因を作った母をかくまう。
先の親族がうつむく。「(徹也の母が)うちの妻を勧誘することも過去にあったみたいで、彼女からの連絡は拒否していました。この状況であってもあの母親とは話したくないんです。でも子どもにとって、母親は絶対なんでしょうね。なんぼ憎くても母親を撃つことはできへん、だから安倍さんを撃った。そうじゃないかと思えてきて……」
呪われた一家の中で鬱積してきた積年の恨みと歪んだ愛憎の念に打ち砕かれた「政治家・安倍晋三」。あまりに突然すぎる人生の幕切れだった。 
●岸田首相の野望が動き出した…あえて「安倍路線」を引き継いだ「理由」 7/18
政治の世界が動き始めた…
永田町のど真ん中にぽっかりと大きな穴が開いている。そこはかつて総理大臣として歴代最長記録を持つ安倍晋三元首相がいた場所だ。安倍元首相は7月8日に奈良で参議院選挙の応援中に狙撃されて死亡。日本は大きな悲しみに包まれた。
しかし悲しんでばかりいられないのが政治の世界だ。安倍元首相がいなくなった空洞を埋めるべく、様々な面々がさっそく蠢き始めている。
その中で「覚醒した」と話題になっているのが、岸田文雄首相だ。かねてから「聞く力」を誇っていた岸田首相だが、実行力に欠けると思われ、「検討使」などと揶揄されていた。ところが7月14日夕方の総理会見では、秋に安倍元首相の国葬開催を発表した他、電気不足となる今冬に備えて最大9基の原発の再稼働、5年以内に防衛力を抜本的に強化することなど、これまでになく力強くかつ明確に方針を打ち出した。
もちろんこの多くは、安倍元首相の影響が見られるものだ。6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」の中でも「大胆な金融政策、起動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを堅持」することが記載されたが、これはアベノミクスの継承に他ならない。
そして安倍元首相も存命中、政府の政策に対する大きな影響力を行使した。選挙演説でも急速な円安が進む中でゼロ金利政策の継続を主張するなど、持論であるアベノミクスの遂行を強く主張。また核共有や防衛費をGDPの2%に増額する提案など、その姿勢は岸田政権を背後から操ろうとしているとさえ思えるものだった。
あえて「安倍カラー」を出している?
もちろん岸田首相も唯々諾々とそれに従ったわけではない。岸田政権は6月17日、第2次安倍政権で首相秘書官を6年半も務めるなど安倍元首相に近しい存在で、防衛費増額を主張する島田和久事務次官を退任させ、その後任に島田氏と同期の鈴木敦夫防衛装備庁長官を充てることを決定。
さらに安倍元首相の弟である岸信夫防衛大臣については、健康上の理由で参議院選後の改造で内閣を去ることになっていた。このように岸田首相は内閣から安倍カラーを消し去ろうとしていた。
そして安倍元首相が亡くなった今では、安倍カラーをあえて消し去る必要はなくなった。むしろ安倍カラーをまとうことで、岸田首相は「覚醒」をアピールする方法を選んだのではないか。
実際に岸田首相には余裕がある。今回の参議院選で自民党が勝利すれば、岸田政権には「黄金の3年間」が待っていると言われたが、実際に自民党は8議席増の63議席を獲得し、改選議席数では単独過半数を占めたのだ。衆議院の任期満了は2025年10月で、次の参議院選挙の予定も2025年7月だが、それまでは政権は安泰ということだ。
だが2024年9月には自民党総裁選が予定されるため、「黄金期」はさほどは長くないだろう。実際に参議院選序盤に、ある重要閣僚が入閣適齢期の議員に対して「次の内閣改造でポストのオファーがあっても、受けない方がいい」とアドバイスしていたという話が伝わっている。2023年5月に岸田首相の地元で行われる広島サミット開催を花道とし、衆議院を解散するということだ。
山口で起こりうる「安倍 vs 林」の激闘
そしてここに来てその現実味が増してきた。岸田首相は7月14日の会見で、今年の秋に安倍元首相の国葬を行うことを表明した。また小選挙区選出の議員を失った衆議院山口4区は補欠選挙を行う必要があるが、昨年の衆議院選での1票の格差をめぐる裁判が9月15日までに確定すれば補選は10月23日に行われ、9月16日以降なら来年4月以降となる。いずれにしろ、政治が大きく「弔い合戦」のムードとなることは間違いない。
と同時に、山口県は次期衆議院選挙から県内の選挙区が4から3に削減されるため、4つの議席を保有する自民党は、候補者調整を急がなくてはならない。昨年の衆議院選では林芳正外務大臣が参議院から衆議院山口3区に転身したため、河村建夫元官房長官の長男・建一氏が追い出され、縁も所縁もない比例北関東ブロックに弾き飛ばされた。
また3区と4区が重なる新3区は、安倍家の本拠地である長門市と林家の本来の地盤である下関市を含むため、もし林氏が母親の出身地である宇部市を含む新1区ではなく新3区を希望すれば、安倍家とのバトルは必至。そうでなくても定数削減された山口県内で、安倍・岸家がこれまで通りに2議席を確保するのは難しく、影響力が削がれることは間違いない。
いずれにしろ自分に有利な展開になっているのを眺めながら、岸田首相は最善の選択肢を探しているだろう。安倍元首相が権力を維持し、長期政権を実現できたのは、2012年の衆議院選と2013年の参議院選での大勝など、国政選挙で負けなかったからだ。
岸田首相も昨年の衆議院選で自民党の議席を15議席減らしたものの、261議席を確保して単独過半数を維持できており、8議席増となった今回の参議院選挙は「躍進」と評価されていいだろう。
岸田首相が狙うのは「黄金の3年間」ではなく、さらなる長期かつ安定政権に違いない。凡庸さゆえに敵がいないとされてきた宰相が、もしその凡庸さを振り払うことができるならどうだろうか。安倍元首相の国葬を仕切ることはその後継であることを内外に示すことに他ならず、それこそ安倍元首相がいなくなった穴を埋める唯一の存在になりえる。これぞ「最強の政権」に他ならない。 

 

●明かしていた『ジョーカー』への感情移入「真摯な絶望を汚すやつは許さない」 7/19
安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者のものと見られるTwitterアカウントが7月19日に閉鎖された。同アカウントは2019年10月に開設されており、〈オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない。〉などの投稿から、犯行の動機の解明につながる記述も見受けられる。
山上容疑者は、NEWSポストセブンが2019年10月に公開した作家・橘玲氏の寄稿〈映画『ジョーカー』が描いた「下級国民の反乱」〉をリツイートしており、この記事について複数の投稿があることがわかった。山上容疑者は映画『ジョーカー』に何を感じていたのか。犯行に至った心理と背景を読み解くべく、橘玲氏にあらためて話を聞いた。
──山上容疑者が橘さんの書いた映画『ジョーカー』に関する記事をリツイートしていました。続けて別のユーザーとのやりとりの中で、〈ええ、親に騙され、学歴と全財産を失い、恋人に捨てられ、彷徨い続け幾星霜、それでも親を殺せば喜ぶ奴らがいるから殺せない、それがオレですよ。〉という書き込みもありました。これは、犯行に至る背景を語っているようにも思えますがいかがでしょうか。
橘:銃撃事件とその直後の報道で、映画『ジョーカー』と似ていると感じていたので、容疑者が私の記事を読んでいたというのは驚きました。『ジョーカー』では、主人公のアーサーには政治的・思想的な背景はなにもありません。たしかに格差拡大への怒りで群衆が反乱を起こす場面が描かれてはいますが、アーサー自身にはエリートや富裕層に対する憎悪もなければ、アンチ・グローバリズムや反資本主義などのイデオロギーもまったくありません。
同様に今回の容疑者も、安倍元首相の政治信条にはなんの関心もなく、カルト宗教団体に人生を破壊されたという個人的な恨みが犯行の動機とされています。しかし、背後からなんのためらいもなく2発の銃弾を浴びせるというのは、自分の行為が絶対的に正しいという確信がなければ不可能です。報道でもそこがよくわからなかったのですが、〈ジョーカーという真摯な絶望を汚す奴は許さない。〉という投稿を見て、自分とジョーカーを重ね合わせていたのではないかと感じました。
──容疑者も「真摯な絶望」を感じていた?
橘:今回の容疑者の特徴は、“絶対的な孤立”ではないでしょうか。すべてのメディアが彼の過去を追っているわけですが、2週間ちかくたっても、高校時代と自衛隊入隊、最後に勤めていた京都府内の倉庫のこと以外はわからない。海上自衛隊を退職したあとは、ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士などの資格を取り、複数の会社で派遣社員やアルバイトとして働いていたとされますが、その間のことを証言する友人などはまったくいない。
秋葉原で起きた無差別殺傷事件(2008年)の犯人も孤立していましたが、それでも親身に相談に乗ってくれる故郷の友人や年上の女性がいた。映画『ジョーカー』では、アーサーは「自分はまるで存在していないかのようだ」と繰り返し訴えるほど孤独で、その“絶望”から狂気と妄想にとらわれ、ジョーカーへと変わっていきます。容疑者がアーサーに感情移入したのは、そこに自分と同じ「とてつもない孤独」を見たからではないでしょうか。
ハロウィンの日にジョーカーの仮装をした24歳の男が、京王線内で男性の右胸を刺し、ライターオイルをまいて車内に火をつけた事件(2021年)がありましたが、日本の社会にはアーサー(ジョーカー)の造形に強く惹きつけられる男が一定数いるのでは、とも思います。
教団を悪魔化するようになった“逆の因果関係”
──元記事では「非モテのテロリズム」にも言及しています。アメリカで「インセル(Incel)」と呼ばれる性愛から排除された若い男性による無差別銃撃事件が立て続けに起こったことを、橘さんは「社会への復讐」と分析しています。
一方、山上容疑者も〈ジョーカーがインセルを助長するかもしれないと米国では言われているが、確かに似ている。だがジョーカーに身勝手だと言っても何も変わる事はない。〉〈インセルが狂気に走って希代の悪党になる映画が大ヒットとなれば女としては困るのは分かるが、ジョーカーはインセルでないのではなく憎む対象が女に止まらず社会全てというだけ。「インセルか否か」を過剰に重視するのは正にアーサーを狂気に追いやったエゴそのもの。〉と投稿しています。これらはおそらく、橘さんの記事を読んだうえでのコメントだと思いますが。
橘:今回、投稿を読んではじめて「恋人に捨てられ」ていることがわかりましたが、フェミニズムへの批判やミソジニーへの言及もあることから、容疑者が自分をそこに加えていたかどうかはともかく、“インセル/非モテ”を意識していたことは間違いないでしょう。若い男の最大の絶望は、社会的・経済的に排除されることではなく、性愛から排除されることだと『無理ゲー社会』などで述べてきました。容疑者は、そうした怒りが社会への憎悪に向かっていくことを自覚していた可能性はあると思います。
ただ投稿を見ると、容疑者はジョーカーをたんなる「非モテ」ではなく、もっと巨大な存在だと考えていたようです。「憎む対象は社会全て」というのは、今回の行動がより大きな物語のなかでの「復讐」であることを示唆しているようでもあります。
──山上容疑者が、サブカルチャーにおける究極のダークヒーローである「ジョーカー」と自分を重ね合わせていたとしたら、今回の事件はどのように考えられますか。
橘:すでに報道されているように、新興宗教団体に家庭や人生を破壊されたという強い怨恨があるのは明らかです。しかし、これを単純な因果関係で考えていいのかは疑問です。この教団に家庭を壊されたひとはたくさんいますが、そのほとんどは犯罪など起こしたりしないわけですから。
だとしたら、逆の因果関係もあったのではないか。自衛隊を退職したあと、頑張って資格を取ったにもかかわらず、40歳を前にして、社会からも性愛からも排除されているという現実を突きつけられた。“とてつもない孤独”のなかで、なぜ自分の人生はこんなことになったのかを考えていくうちに、人生をさかのぼって教団を悪魔化するようになっていった。
すべての困難の原因が教団にあり、自分は純粋な被害者(善)だとするならば、その教団とかかわっていた(とされる)元首相が絶対的な「悪」として立ち上がってくるという構図は理解できます。確信があったわけではありませんが、容疑者の『ジョーカー』への思い入れがわかったことで、今回の事件も、京アニ事件(2019年)や大阪の診療クリニック放火事件(2021年)などと同じく「下級国民のテロリズム」の範疇に入るのだろうといまは考えています。
●母親の勤務先社長「息子さんがいたという家族構成自体も初めて知った」... 7/19
安倍晋三元総理が銃撃された事件。逮捕された山上徹也容疑者(41)の事件前の行動が徐々にわかってきています。そこから明らかになりつつあるのは襲撃を最終的に決断した時期です。
安倍元総理が銃撃され殺害された事件から11日が経った7月19日朝、奈良市の近鉄大和西大寺駅前に設置された献花台が撤去されました。
逮捕された山上徹也容疑者は、母親が多額の献金をしていた宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」への恨みを募らせ、「安倍元総理と繋がりがあると思い犯行に及んだ」などと供述しています。
母親の勤務先の社長によりますと、母親は家族の話はほとんどせず、事件があるまで息子がいるとは知らなかったといいます。
山上容疑者の母親の勤務先社長「息子さんがおられたという家族構成自体も初めて(知りました)。担当に11日月曜日の日中ですけど連絡があって、当面休みますとだけ言って切ったということです」
山上容疑者が事件前日に島根県のフリージャーナリストに送ったとみられる手紙では、次のような内容が書かれていました。
手紙に書かれた内容『安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません』
警察が山上容疑者の自宅から押収したパソコンの中からも、この手紙と同じ文面データが見つかり、データは7月6日深夜に保存されていたということです。
また、事件前日の7月7日に訪れていた安倍元総理の岡山市の演説会については、4日前に把握していたことも新たにわかりました。スマートフォンで演説予定を複数回確認し、その後、岡山行きの新幹線の片道切符を購入していたということです。
警察は、山上容疑者がこの時期に安倍元総理の襲撃を最終決断したとみて捜査しています。
●山上容疑者めぐるネット民の不気味さ SNSに殺到、果てしない拡散…  7/19
安倍晋三元首相を銃撃して殺人容疑で逮捕、送検された山上徹也容疑者のものとして、メディアで投稿内容が報じられてきたツイッターのアカウントが19日、凍結された。今回の異常なまでのネット民の関心の高さが浮き彫りになった。
山上容疑者のSNSとされる投稿の内容がネット上で報じられ始めたのは17日夕方から。同日夜にフォロワーは1万人となり、多くの人が引用リツイートし、内容を拡散する姿が確認できた。山上容疑者のアカウントと断定されたわけでもないのに、山上容疑者のものとして拡散する動きには、ネット社会が持つ危険性が潜んでいる。ネット民の異常なほどの関心の高さもくっきりで、フォロワーは約1日で4倍となり、凍結直前には4万人超となった。
投稿内容に1つ触れるならば、子ジカが柵にひっかかり死んでいた写真を添え「ほんの少しの手助けがあれば死なずに済んだのだろうか」と問い掛けるものがあった。これを山上容疑者の境遇と重ね、彼に呼び掛けるようにメッセージを送るコメントも多く見られた。
もし本当に逮捕送検された山上容疑者のものならば、これ以上の新規投稿は増えない。だが数万人の人が新規にフォローし、ネット上で情報発信し続けた。19日に凍結されると「凍結される前に読んでて良かった」「どんな人生を歩んできて、どんな思いがあったのか知りたかったのに」と残念がる声すら散見された。
この不可解な動きは、山上容疑者の背景や心理をメディアを通すのではなく、直接知りたいという気持ちの表れだろう。真実を知りたくなる気持ちは理解できるが、度を越した心酔やシンパシーが不気味に思える投稿もあった。くしくも山上容疑者が憎きとしていた“宗教”や“信者”といった関係に近いと思える状況なのかもしれない。
山上容疑者の境遇は恵まれたものではなかっただろう。しかしどんな境遇であっても、人をあやめる理由の正当性にはならない。その線引きを間違えず、ネット上の情報に接したいものだ。
●「我、一命を賭して全ての統一教会に関わる者の解放者とならん」… 7/19
安倍元総理が奈良市で銃撃され死亡した事件で、逮捕された​山上徹也​容疑者が手紙を送っていたとみられる松江市の男性のブログにコメントを残していたとみられることが分かりました。
「我、一命を賭して全ての統一教会に関わる者の解放者とならん」
「復讐は己でやってこそ意味がある。不思議な事に私も喉から手が出るほど銃が欲しいのだ。何故だろうな?」
松江市内に住むフリージャーナリスト・​米本和広​氏の旧統一教会を批判するブログに寄せられた山上容疑者のものとみられるコメントです。
この3カ月前にはこんなコメントも。
「私はただただ統一教会が気に入らない、それだけですよ」
また、山上容疑者はツイッターで
「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない。」
「統一教会員なんぞナチと同等かそれ以下のクズだぞ。」などと投稿していたとみられています。
自身の家族についても。
「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族に家族から窃盗・横領・特殊詐欺で巻き上げさせたアガリをすべて上納させることだ。」
「根本的に家族として崩壊したまま、現実は上滑りしていった。」
さらに、ある人物に宛てた投稿も。
「今回連絡してみようと思ったのはあなたも統一教会を憎んでいるだろうと思ったからです。憎んでいるなら、さぞかし深く深く憎んでおられるだろうと。統一教会を、​文​一族を、許せないという思いがあるならどうか連絡してください YよりWへ」。
ツイッターへの投稿は3年前からで旧統一教会への恨みや自身の生い立ちなどについてのコメントがみられました。
●山上容疑者、借金100万円以上・口座残金20万円…生活費尽きる前に銃撃か 7/19
安倍晋三・元首相(67)が奈良市で銃撃され死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)が事件時、100万円以上の借金を抱えていたことが捜査関係者への取材でわかった。同容疑者は昨秋以降、武器の材料費などへの支出を重ねており、奈良県警は容疑者の事件前の経済状況を詳しく調べている。
山上容疑者は2005年に海上自衛隊を退職して以降、アルバイトや派遣の仕事を転々としていた。20年10月からは派遣社員として京都府内の工場でフォークリフトを運転していたが、体調不良を理由に今年5月に退職。その後は無職で、無収入だったとみられる。
捜査関係者によると、県警が金融機関や消費者金融に照会した結果、事件時、山上容疑者の銀行口座の残金は20万円ほどで、借入金が100万円以上あった。調べに対し山上容疑者は「昨年秋以降に武器を作り始めた」と供述。自宅から手製銃数丁のほか、電子秤(はかり)やミキサーなど多数の工具が見つかり、「銃や実包を作るのに使った」とも話している。
一方で、山上容疑者の派遣社員時代の給与は月20万円ほどで、自宅のワンルームマンションの家賃は月額3万円台。県警は、借金の大半は武器の製造費用に充て、生活費などがなくなる前に安倍氏を襲撃しようとしていた可能性があるとみている。

 

●両親が数千万円を献金して人生を壊された「統一教会2世」の告白 7/20
手製の銃を発砲し、安倍晋三元首相を殺害した山上徹也容疑者(41)。母親が入信する「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に「人生をめちゃくちゃにされた」と激しい恨みを募らせ、同団体と安倍氏の関係を知って逆恨みしたことが動機の一端とされている。旧統一教会は過去に多くのトラブルを起こしたが、信者の子どもである「2世」の実状はあまり知られていない。両親が統一教会信者という家庭で育った女性を取材し、問題となっている高額献金システムや、「2世」がいかに精神的に追い詰められているかなどを聞いた。

「私は父親も母親も統一教会の信者です。2人は教団によるマッチングで結婚して、私が生まれました。いわゆる『祝福2世』です。『祝福2世』はサタン(非信者)の血統が混じっていないことから、ずっと『あなたは神様の子だから』と言われて育ちました。そして外の世界については『サタンがはびこる悪い世界だ』と教えられてきました。だから私もずっと、教会の外の世界は怖いものだ、という価値観で生きてきたのです」
外山道子さん(仮名)は、物心つくときから両親が信仰する宗教の価値観の中で育った「宗教2世」である。その宗教こそが、旧統一教会だった。年齢は30代後半で山上容疑者とそれほど変わらない。両親が教団に多額の献金をしていた、という点でも山上容疑者とは共通点がある。
外山さんには忘れられない記憶がある。小学生のころ、人々の不安をあおって壺(つぼ)などを高額で売りつける旧統一教会の「霊感商法」が大バッシングを受けていた。メディアもこぞって追及していたが、外山さんは子どもながらに、マスコミに大きな怒りを覚えたという。
「母親が『マスコミは根も葉もないうわさでお父様のことを非難して、ひどい』と言って、毎日泣いていたんです。あのころ、私は母親のことが大好きだったから、お母さんをこんなに泣かせるなんて、マスコミというのはなんて悪い人たちなんだと思いました。統一教会が正しいかどうかよりも、母親を泣かせたことが許せなかったんですね」
ちなみに「お父様」というのは旧統一教会の創始者、文鮮明(ムン・ソンミョン)のことである。
先祖430代で1千万円超
外山さん自身は中高生の時から教義に疑問を感じ始め、大学生の頃には教団から距離を置いた。だが、幼いころから心の奥底に染み込んだ教義はその後も外山さんを束縛した。世間とかけ離れた教団の「常識」がなかなか抜けず、人間関係で苦労し、両親の献金により学費にも苦慮した。母親は教団を捨てた外山さんを責め、その呪縛にもずっと苦しめられてきた。
それでも外山さんは「両親も教団の被害者だ」と思いながら親子関係を維持してきた。それゆえ、問題となっている高額献金のシステムなども間近で見てきたという。
1980年代後半から90年代にかけて霊感商法が問題視されて以降、教団は壺は販売しなくなったが、グッズを販売する集金システムはいまも変わらないという。
「例えば『天聖経』という教祖の言葉が書かれた本があるのですが、これは1冊140万円です。実家にも天聖経は置いてありますが、人によっては何冊も購入します。他にも亡くなった後に霊界で住む家の模型なども高額で売られていて、グッズ販売が献金の代わりのような役割を果たしています」
外山さんによると、最近の主な高額献金は『先祖解怨(せんぞかいおん)』だという。
「韓国に清平(チョンピョン)という聖地があって、そこで先祖の恨みを解くための儀式『先祖解怨』をしてもらうのです。私の場合、たとえ両親が信仰によって神様の血統に転換されていても、その前の代、さらにその前の代にはサタンの血統が混じっているという理屈で、先祖代々の因縁を解放するという名目で行われます。先祖をどんどんさかのぼって、最終的には430代にも上ります。ウチの両親もこの献金を行っていましたが、最近、父親が『うちは相当つぎ込んだ。ふつうに家一軒買えるくらい』って、ぼそっと言っていましたから、数千万円は献金したみたいです」
清平とは、ソウル近郊にある「HJ天宙天寶修錬苑(旧天宙清平修錬苑)」のことだ。
外山さんは「実家にあった献金の達成表みたいなもの」と言って、あるグラフを見せてくれた。そこには8本の棒グラフが書かれており、それぞれのグラフの下には父方、母方の家系名が記されている。縦軸に先祖の代が記され、一番上には「430」とある。グラフのタイトルは「先祖解怨祝福勝利430代」。外山さんの両親はこの棒グラフを伸ばすために、数千万円になるまで献金を繰り返していったのだろう。
「統一教会にはサタンに打ち勝つ意味で『勝利』という言葉があるのですが、これは献金額を達成する意味でも使われます。『この家庭はこんなに勝利しました』みたいな感じで礼拝の場で発表されて、みんなから『すごいね』と称賛される。教会内での地位も高くなるから、献金額がどんどんエスカレートしていくんです」
全財産を差し出せ
儀式にともなう献金のほか、定期的な“献金ノルマ”もあるようだ。
「収入の10%を献金する『十分の一献金』が基本ですが、『摂理』と呼ばれる教会のミッションがあって、そのたびに献金を要請されます。教会からファクスなどで頻繁に連絡事項が送られてくるのですが、そのなかに『〇〇摂理を達成するために、1家庭、100何十万、お願いします』みたいなことが書いてある。摂理によって献金ノルマは変わるんですが、1990年代の後半には、全財産を差し出せ、みたいな要請もあったようです」
献金ノルマについて、教団広報部はこう答えた。
「『十分の一献金』とは月例献金のことだと思いますが、強制ではありません。摂理というミッションがあるとは、私は聞いたことがないですね」(担当者)
教団によると、建設会社を経営していた山上容疑者の母親は1998年に入信し、その4年後に自己破産したとみられる。この時期は外山さんが証言した超高額献金が要請された時期と重なる。
しかし、なぜ山上容疑者の母親は破産するほど旧統一教会にのめり込んだのか?
「報道で知る限り、夫が亡くなったり、子どもが病気だったり、つらい事情があったと思うんです。統一教会は、そういうところにつけこむのが常套手段です。『亡くなったご主人が霊界で苦しんでいる』『子どもの病気も先祖の因縁のせいだ』などとかこつける。実態のない霊界を持ち出されて恐怖を植え付けられると、もうお金の問題じゃなくなっちゃうんです。それが高額献金に結びつく。なぜそう思うのかというと、うちの親もそうだったからです」
外山さんの父親はネグレクトに近い状況で育ち、兄弟も知的障害や精神疾患を患っていたことから、昔から家庭についてかなり悩んでいたという。そして、母親も家庭の悩みを抱えていた。
「母親のお母さんは若くして脳卒中で要介護状態になってしまった。ずっと自分は何で生きるんだろうと考えていたみたいです。いろいろな宗教に救いを求めて、最終的に行き着いたのが統一教会だった。うちの両親も心の穴につけ込まれて教団にのめり込んで、高額献金してしまったのです」
高額献金は幹部の懐に
銃撃事件後、教会の田中富広会長は信者の献金について「ご本人に対するノルマという扱い方はしておりません」と発言したが、外山さんは「それはまったく違う」と断言する。さらにこう続ける。
「記者の『これ以上献金すると破綻するからやめましょう、と言うことはあるのか』という質問に対して(田中会長は)『むしろそっちの方が多いです』と答えましたけれど、そんな事例は聞いたことがありません。私は他の2世たちともつながっていますが、むしろ、山上容疑者の母親のように自己破産した信者の家庭の話はよく聞きます。他にも、献金に困って子どものクレジットカードを勝手に作ってカードローンを組んだり、奨学金を使い込んだという話もよく耳にします」
教団広報に聞くと「(破産した人が)いるという話は聞いたことがあるが、よくいるという話は聞いたことない」と回答した。
実際、外山さんは両親が教団に高額献金してきたのを間近で見てきたのだから、会長の発言にはより思うところがあるだろう。だが意外なことに、両親は教会の体質に問題があることは知っているという。
「父親は献金の使い道を知ったとき相当ショック受けていました。信者は献金の使い道を追及してはいけないんです。そのお金は天に返した、ささげたものだから。ところが実際は韓国にいる教会の幹部の懐に入っていたということが、2012年に教祖が亡くなった後、教会内部から漏れ出たのです(教団広報は「聞いたことがない」と回答)。でも、父親は文鮮明先生や教義は間違っていないと言う。必死で自分を納得させていたように見えました」
母親はどうだったのか?
「母親はそういうことについて語らないんですよ。父親よりも教会にのめり込んでいるし、自分の非を絶対に認めないタイプなので、間違ったことをやったとは一切思っていない。だから、信仰は絶対にやめないんです」
教団に対する「恨み」はある
外山さんに旧統一教会を恨む気持ちはあるのか? たずねると、「それは、ありますよ」と語気を強めた。そして、「人生をめちゃくちゃにされた恨み」と、山上容疑者が語った事件の動機とまったく同じ言葉を口にした。
「親への恨みというより、教団への恨みですよね。だって、親もカルト教団につけ込まれた被害者だと思っていますから。教祖も憎いけれども死んでしまった。いまは教祖の妻がトップになっていますが特別な感情はありません。だから教団そのものが憎い。教団によって、どれだけ多くの2世の人生が狂わされてきたか。本当に怒りがわいてきます」
ちなみに、外山さんが「祝福2世」と呼ばれるのに対して、山上容疑者は教団内では「信仰2世」となる。それは彼が生まれた後で母親が入信したことを意味する。
山上容疑者と同化する苦しみ
外山さんは「信仰2世の方の気持ちは十分にはわかりませんが」と前置きしたうえでこう語る。
「もともと裕福なご家庭で、不自由のない暮らしをしていたのが、お母さんが統一教会に入信したことでガラッと生活が変わってしまった。人格的にも変わってしまったであろうお母さんを見て、相当ショックだったんだろうと思います。もちろん、山上容疑者の行為は擁護できませんが、彼の気持ちに共感できるという2世は多いんです」
それと同時に、大きなショックも受けているという。
「これほどの重大な事件に自分たちが育った教団が関わっているというのは、やはりショックでした。さらに、事件の容疑者が自分たちと似通った境遇で、2世たちはそれと同化するように苦しみを感じてしまっている。もしかしたら、ちょっとボタンを掛け間違えていれば、自分たちも山上容疑者のようになっていたかもしれない。私たち2世は今、そういう苦しみが大きくのしかかっています」
●“統一教会2世”が明かす「自民党とのずぶずぶの関係」と「選挙動員」 7/20
安倍晋三元首相を銃撃して逮捕された山上徹也容疑者(41)。母親が入信する「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に「人生をめちゃくちゃにされた」と激しい恨みを募らせ、同団体と安倍氏の関係を知って逆恨みしたことが動機の一端とみられる。AERAdot.では両親が統一教会の信者という家庭で育った「2世」に取材。「前編」では教団の高額献金システムや2世がいかに精神的に追い詰められていくのかを聞いた。教団がどのように自民党との関わりを持ち、信者たちがいかに巻き込まれているのかを取材した。

熱心な旧統一教会信者の両親のもとに生まれ、周囲から「祝福2世」「神の子」と呼ばれて育った外山道子さん(30代後半=仮名)。しかし、成長するにつれて、教会への疑問が膨らんでいった。
「小学生のころ、霊感商法で教団がバッシングされたときは、社会が根も葉もないこと言っていると思っていました。でも、中学、高校生になっていろいろな人の話を聞いていくうちに『あれ、やっぱり教会がおかしいのかな』と思うことが増えてきた。信仰を捨てたのは大学生のころです」
それでも、子どものころから植え付けられた教団の価値観は外山さんに大きな影響を与え、「教会の外」で人間関係を築くのには苦労した。両親が教団に高額献金を続けたことで、経済的に困窮した時期もあった。そうした「2世」の苦しみを経験してきただけに、教団に対する山上容疑者の思いには共感できる部分もあるという(詳細は「前編」を参照)。
自民党とはずぶずぶの関係
一方、山上容疑者が安倍晋三元首相を狙ったことについては「よくわからない」と言う。
「本当は教団のトップを狙おうとしたけれど難しいから、もうやけくそだったんじゃないか」と推察したうえで、こう続ける。
「ただ、統一教会と自民党が深くつながっている、というのは教会にいれば公然の事実です。印象としては、ずぶずぶの関係ですよ」
外山さんは子どものころから選挙のたびに「この候補を推しますので、みなさんよろしくお願いします」と、旧統一教会が自民党の候補を後押しするのを間近で見てきた。
「それは今でもまったく変わりません。教会から自民党の候補に投票を促すメールが親に送られてきていますから。教会が街頭演説の動員をかけたりもしています」
教団広報部に自民党を支援している実態があるのかと問うとこう回答した。
「(教会からメールが送られてくるとは)聞いたことはない。宗教法人として組織的にある特定の政党や候補者を応援しているということはありません」
なぜ、旧統一教会は自民党を支援するのか? 外山さんによると、両者は共鳴するところがあるのだという。
「もちろん岸信介さんと文鮮明との関係もありましたけれど、やっぱりイデオロギーが近いからでしょう。反共、憲法改正、あとは同性婚反対、夫婦別姓反対とか。そういうところで昔から共鳴するところが多く、双方にメリットがあるのだと思います。うちの父親は『勝共連合』の活動にも打ち込んでいましたね」
国際勝共連合(通称、勝共連合)は反共産主義を掲げる政治団体で1968年に文鮮明が設立した。日本が共産陣営と激しく対立した冷戦時代、勝共連合と自民党は協力関係を築いた。
「父親は共産党の集会に潜り込んでヤジを飛ばしたり、街頭でよく演説をしていました。もちろん自民党大好きで、安倍晋三さんのことも『あんなにすばらしい総理大臣はいない』と言っていました」
安直なバッシングで終わってほしくない
外山さんに勝共連合と旧統一教会のつながりを尋ねると、「実態として同じ団体だと思っていました」と答える。
安倍元首相がビデオメッセージを送ったNGO「天宙平和連合」についても「実態として旧統一教会と同じ組織です」と断言する。あくまでも「友好団体」という言い方にこだわる教団側とは異なる。
「事件が起きて以降、統一教会と自民党の関係について指摘すると、それを陰謀論のように語る人がいますが、私たちからすると当たり前すぎる事実なのに、それを知らない人が多いことの方が驚きです。ちなみに今回の事件について、教会は『安倍さんはサタン(旧統一教会の信者ではない人たちの総称)に連れて行かれた』と信者に説明しているみたいです(教団広報は「聞いたことはない」と否定)」
霊感商法が社会問題となって以降も、統一教会は名称を変えて活動してきた。だが、実質的には教義も献金のシステムも大きくは変わっていない、と外山さんは話す。
「事件の後は、また統一教会がメディアでよく取り上げられるようになりましたが、安直なバッシングには違う危険も感じています。『やっぱりカルトは怖いよね』『ああいう人たちとは関わらないようにしよう』ということだけで片付けられてしまうと、統一教会の構造的な問題は何も解決しません。単なるバッシングで終わってしまうと、かたくなに教義に閉じこもる熱狂的な信者を増やしてしまうことにもなりかねません」
外山さんはこの問題が「自分とは関係ない」と切り離され、見過ごされてしまっている状況に危機感を抱いている。
「『あんなカルトに入っているやつは頭がおかしい』とか『変な宗教をやっている家に生まれなくてよかった』とか、自分とは関係ない問題だと思っている人は多いと思います。でも、本当の恐ろしさを分かっていません。統一教会だって名前を隠しながら、身近なところで活動しています。誰もがある日、飲み込まれてしまう可能性があることをもっと理解してほしいです」
外山さんは、再び山上容疑者の家族のような被害者が生まれないことを願っている。
●山上容疑者の供述で注目「安倍派」と「旧統一教会」とのつながりは? 7/20
安倍元総理の銃撃事件をめぐって「政治と宗教」の繋がりに注目が集まっています。政界に幅広い人脈がある政治ジャーナリストの後藤謙次さんが、宗教団体と政治家個人がつながる背景などについて解説しました。また、今秋に開催される「国葬」は、岸田総理の「即決だった」といいます。背景にどんな思惑があるのでしょうか?
岸信介元総理から始まった「安倍派」と「旧統一教会」との脈々とした人的繋がり
――山上徹也容疑者は母親が多額の献金をしていた宗教団体「旧統一教会」への恨みを募らせ、「安倍元総理と繋がりがあると思い犯行に及んだ」などと供述しています。ここで出てくるのがこの「宗教」と「政治」についてです。まず、自民党としては、宗教と接触はしないが、個人間では接触があったということですが、その点は具体的にはどんなことでしょうか?
「憲法20条で政教分離の原則がありますね。国家は宗教団体に対して中立で無色であると。その一方で宗教団体は自らの宗教的な目的を達成するために国家権力は使わないと。そこは非常に明確な区切りがあるんですが、いざ選挙となると、宗教団体と政治家・個人は非常にある面で相性が良いといいますか、持ちつ持たれつの関係になるんですね。その点で、旧統一教会の団体とですね、岸信介元総理の関係から始まった安倍派には、その脈々とした人的な繋がり、あるいは親和性みたいのがあったということは以前から永田町では知られた事実でありました」
「切りたいけれども切れない」宗教団体と政治家がつながるメリット「選挙の票」と「人出」
――安倍派の議員と旧統一教会が繋がりがあるというのは以前から知られていたということなのですが、宗教団体と繋がるメリットは「票」と「人手」というところがある?
「大きいですね。特に選挙になりますと、候補者は非常に見えない票をあてにしながら運動を続けるわけですね。そういう中で、いくつか『見える票』というのがあるのですが、業界団体や特に宗教団体ですよね。ここに一定の信者の数がいれば、その数が全部来るとは限りませんけれども、ある程度は票が見えると。それから選挙は人手がたくさん必要ですね。例えば、ポスターを町中に貼るとかですね、集会をやったときには交通整理の人や受付の人も必要になります。人手を宗教団体はかなり快く出してくれると。その関係が議員にとって非常に魅力的になって、切りたいけれども切れないと。頼りたくないけども頼りにならざるを得ないと。そういう関係がずっと続いたんだと思います」
安倍元総理の「国葬」岸田総理の判断理由が薄弱…説得力伴う説明を
――安倍元総理大臣の葬儀は今秋に『国葬』で行うと岸田文雄総理大臣が発言しましたがその点についてはどう感じましたか?
「今、内閣府が設置法というのがあってそれを援用してやろうということであって、まさに基準作りがないまま行われているというところが、今の岸田さんが決めた国葬の最大の問題点ですね。やや例は違いますけども、1989年に1月7日に亡くなった昭和天皇の『大喪の礼』を2月24日にやりましたけども、これは法律的な根拠があるわけですね。天皇が崩御した時には大喪の礼を行うと。しかし詳細にどうやったらいいのかというのは一切決まっていなくて、ただその後は政府の中でかなり検討してですね、国民に非常に周知をしながら、こういう形でやりますよというのを決めたんですが、今回の決断はまさに岸田さんの政治決断というですね。つまり佐藤榮作元総理が亡くなったときに、吉田茂元総理を引き継いで国葬にしなかったのは、『国葬は果たして良かったのか』とそういう疑念が残ったんだと思いますね。そこで「国民葬」という非常に曖昧な中間的なところで国民世論を収めていくと、そういう手法がとられたものです。小渕さんの合同葬も、国葬に近いような例えばアメリカのクリントン大統領が来たりで、そういうことは十分可能なわけですから、やはり基準を明確にすると、それは今後これからでも遅くないんですね。国葬の日までに。岸田さんが明示した3つの非常に政権の期間が長かったとかですね、国際社会で悼む声が強いとか、日本の民主主義の国家だということを国際社会に知らしめるっていう3つが岸田さんの国葬にした理由だったんですが、非常に薄弱でですね、説得力が伴わないと。これから9月末まで時間があるわけですから、その間にきちっと国民に説明できる。安倍さんの国葬の根拠ということについて説明責任が岸田さんにはあると思います」
――実際に反対する発言もありまして、立憲民主党の辻元さんはTwitterで『安倍元総理の国葬に反対します。どんな功績や基準で判断されたか不透明だ』と発信しています。秋までは「服喪期間」であるということは、人事の話は控える雰囲気だと、そうすると岸田総理の求心力が高まるんじゃないかという計算が故人を弔うという裏側にあったんじゃないかと後藤さんそういうことなんですね?
「私はその1つだと思いますね。あともう1つは、安倍元総理自身が言っていた岩盤支持層という保守層をいっぱい抱えているわけですね。そこに対する、離反を招かないという判断があったと思います。それから国葬すれば世界各国から要人が日本を訪れるわけですから、その中心に位置するのが岸田さんになるわけですね。岸田外交を全面展開するという意味では、あらゆる意味で岸田さんが主人公になると、おそらく瞬時に判断した多くの最大の理由だなというふうには考えています。岸田総理と安倍元総理は非常に緊密な関係でもあったんですね。93年に初当選したとき、お2人は自民党から出たんですが、当選したら野党だったと。極めて特殊なスタートしているわけですね。そして岸田さんがよく言っていることとして、安倍さんと自分はずっと自民党だという連帯がすごくあるんですね。この間、野党との離合集散、あるいは自民党自体が分裂したりと、自民党でずっとやってきた人は非常に少なくて、その中の数少ない同士が安倍さんだったと」
――国葬が想定されている今年9月までの間に議論をする何か形が変わるなど再考するということになるのでしょうか?
「一応野党側は閉会中審査というのを求めているんですね。これについてきちっと議論しましょうと。それは岸田さんがきちっと受けて立ってですね、もう一度きちんと整理した形で国葬をやる理由は、国民に説明した方がいいと思います」
●山上徹也の伯父の言葉をめぐる「当事者とメディアの使命と責任」 7/20
7月14日発売の「週刊文春」と「週刊新潮」が、安倍晋三元首相の銃撃犯である山上徹也の生い立ちや境遇を語る、山上の伯父のインタビュー記事を掲載、大きな話題になった。
実は、伯父にいちばん最初に接触できたのは朝日新聞だった。そこから、各メディアが伯父のもとに殺到するのだが、伯父側には「真実を報道してほしい」という意向があったとされ、そうして選定されたのが、文春、新潮の両誌だったという。一方、テレビ局、新聞社など他のメディアは取材に応じてもらうことができず、業界内ではちょっとした騒動になっていた(ただし本稿入稿のタイミングになって、各社の囲み取材には応じるようになった)。こうした伯父の当初の姿勢に対して筆者は、なぜ、自身の言葉を報じてもらうのに媒体を選択する必要があるのかという思いが湧き上がってきてしまうのだが、それについては後述する。
まずは余談になるが、朝日新聞の教育部から「最近、ご活躍中とのご様子で、撮影付きのインタビュー取材をお受けいただけませんでしょうか?」と連絡があったのは、4月下旬だっただろうか。内心では「わざわざ東京にまで行って、取材に応じるのはひどくめんどくせえな……」と思ったのだが、つい「教育部」という言葉にうっとりしてしまい、条件反射的に「良いですよ〜」と応えてしまったのだ。
この件については、私も反省はしている。なぜならば、その後、「まだですか?」的なやんわりとした催促を何度かされながらも、日々の忙殺ぶりを言い訳になかなか取材に応じることができなかったのだ。痺れを切らした朝日新聞サイドが、いよいよ「◯日にこちらから伺います!」となったのだが、ちょうどその日は都内で仕事の予定だったので、「大丈夫ですよ。今度こそ私が行きますから〜」と伝えたまではよかったのだが、実際は大丈夫ではなく、上京する前日に、コロナに見舞われてしまったのだ。
――さんざん待たせやがって、このボケだけは…――
朝日新聞の沸々とした怒りの声は、手に取るように伝わってきていたが、40度の高熱なのではどうしようもない。コロナが完治すれば連絡ください、と告げられるも、しばらくしてすっかり完治した頃にはそのことを失念し、「あっ、そうだ! 朝日新聞に連絡せな!」と思ったときには、時すでに遅し。「もう紙面が埋まりましたので大丈夫です!」とピシャリと断られてしまったのである。
そっちが取材を申し込んできたのに…と思わなくもなかったが、経緯が経緯なだけに、どう考えても悪いのは、私と、しいていえばコロナである。またよろしくです的な連絡をして、肩の荷を下ろしたのだった。
文春と新潮の埋めがたき差
余談ついでにもう一ついえば、山上の伯父のメディア選定についてだが、確かに伯父が選んだ文春の取材力、記事の構成力は半端ではない。伯父のインタビューを取った上に、安倍元首相事件関連の特集で40ページをブチ抜き、他誌を圧倒して見せたのである。
現場に派遣された記者の数も半端なかった。大手新聞社ですら10人前後だったのに、文春は20人も現場に投入させてきたのだ。至るところに文春の記者の影があり、その取材力や人脈に他メディアも圧倒されることになったのだが、果たして新潮はどうだったかというと、少し勘違している側面があっただろう。簡単にいえば、伯父のインタビューが取れたということにあぐらをかいたのか、特集全体としては食い足りない印象だった。
初めに一言いわせてほしい。新潮さん、ごめんなさい……私めはこういう人間なんです……でも、先日依頼された書評原稿は締め切り前に入稿しましたから……。
もう随分と前から、紙の雑誌に原稿を書くことはしていない。格式でいえば、書き手はネット媒体ではなく、紙媒体を選ぶのだろうが、私は、各々の媒体独特の編集方針、例えば、この週刊誌ならばこう書かなければならない、この新聞紙ならこういう日本語を使わなければならない的なスタンスと、きっちり決められた文字数のキメ原(完成に近い原稿)で入稿しなければならないことが、堅苦しくなってしまったのだ。それでいて原稿料は安いし……。
ただ、先日は久しぶりに新潮の知り合いの人から電話で書評を頼まれた際、すぐに断ろうと思ったが、その破格の原稿料を聞かされ、引き受けてしまったのだ。だから余計に、新潮のことを悪くは言いたくないのだが、新潮と文春に同日に掲載された山上の伯父のインタビューを含む特集記事を比較してみると、両誌には埋めがたいほどの歴然とした差が生じてしまっていることを感じてしまったのだ。
昔の人は、文春と新潮といえば、二大巨頭として見ていたが、現在、新潮の売れ行きは週刊誌の中では二番手ですらないのだ。山上の伯父も、世代的に2誌に対するよいイメージが根強かったのだろう。十分な誌面を割き、真実を報道してくれるはずと評価していたからこそ、当初は他のメディアの取材は受けず、この2誌のみに対応したのだと思われる。
ただ、冒頭でも触れたが、山上の伯父が、正しく報じられることを求めて、取材を受けるメディアを選別すべきような立場だったかどうかについては一考に値するはずだ。
確かに文春は、山上徹也について、憐憫に訴える記事を掲載している。安倍元首相銃撃の是非に議論の余地などないが、蛮行に及ぶまでの山上を取り巻く境遇は残酷過ぎたことがわかる。
7月19日に凍結された山上本人のTwitterアカウントと思われる投稿からも、そうした点が伝わってくる。だが、そういった抗いきれない現実があったとしても、どんな境遇であろうとも、山上に同情や情状酌量の余地があるかといえば、それは別次元の話だ。いくら山上の境遇が不幸であったとしても、それと安倍元首相の間に直接的な接点など微塵もないからだ。
山上の伯父は、山上に関して真実を報道してほしいという気持ちが強いようだ。伯父は、弁護士という聖職に就いているだけに、立派な人物なのだと思う。宗教に傾倒してしまった山上の母親に、最後の最後まで何度も手を差し伸べ、山上自身についても今も見捨てようとはしていない。そこからは、筆舌には尽くし難い苦悩と葛藤に苛まれていたことを容易に想像することができる。ただ、不幸なことに、伯父は犯罪者の親族となってしまったのだ。それも安倍元首相を凶弾で倒した殺人事件のだ。
そう考えたとき、山上の生い立ちや環境を正しく、広く報じてもらうためにも、山上の伯父は、自身の言葉を報じる媒体を選択すべきではなかったのではないか。少なくとも、真実を報じるのはメディア側の責任だ。山上の素性や背景を洗い、報じていく。その中には事実と異なる記事や誇張や歪曲された内容も入り混じってくるだろう。だが山上は、そのような扱いを受けてしまいざるをえない罪を犯してしまったのだ。
山上にも守られるべき人権はある。不幸な境遇もあっただろう。だからといって、今は国民の知る権利に応える立場にあるメディアが筆を鈍らせてはいけない。もちろん、不法性を伴う報道などに対しては、山上サイドが法的手段なりをとって白黒はっきりさせればいい。突然、針のむしろにのせられた親族の心中は計り知れないものがあるが、山上の伯父の言葉は、国民の誰もが知るべき対象であり、それをどう評価するかも国民の判断に委ねられるべきなのだ。
安倍元首相銃撃事件をめぐる情報や議論は錯綜している。特にSNSの論調は危険だ。ときに得体の知れない正義を「いいね」や「リツイート」によって生み出してしまう。だが、心配することはない。見ていて不愉快な気分になるものは、そっと閉じれば良いだけだ。人間が生きている世界はネットの中ではなく、現実の社会だ…とか言いながら、私は今日もネット媒体で記事を綴るのであった。
●山上容疑者の母「信仰は続けたい」 妹が事件後に漏らした“本音”とは 7/20
安倍元総理の銃殺事件から10日余りが経過した。背景にあったのは、山上徹也容疑者(41)の母親の統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への傾倒。当の母親は事件後、近しい知人に「信仰は続けたい」と語っているという。
山上容疑者の伯父によると、母親は夫の自殺と、息子(山上容疑者の兄)が6歳の時に小児がんになったことを機に、統一教会に入信。その後、夫の死亡保険金などを含め、1億円以上を献金してきた。結果、「(山上容疑者は)大学は入学金や学費の問題があって、断念せなあかんかった」(山上容疑者の伯父)という。
高校卒業後、任期制自衛官として2002年に海上自衛隊の佐世保教育隊に入隊した山上容疑者は、05年1月、自殺未遂を起こしているが、
「統一教会が原因で兄と妹の生活まで困窮している。そこで、自分が自殺して保険金を渡そうと考えたというわけです。本人からそう聞きました」(同)
山上容疑者を自殺未遂、そして今回の凶行へ追い込んだ母親は、いま何を思うのか。17日朝に電話を受けた、彼女と親しい統一教会の関係者が声を潜めて言う。
「母親は安倍さんのご家族に謝罪したいとは話していましたが、一方で、息子さんがこれだけ重大な事件を起こしたのに、教会の批判は一切、口にしていません。事件後も“私の至らなさで、こんなことになってしまった。でも、信仰は続けたい”と言っています」
なおも信仰を捨てていないあたり、問題の根深さを感じさせる。一方で、山上容疑者の妹に遭遇した知人は、こう打ち明けられたという。
「もう4年くらい会ってないし、一緒に住んでもおらんから、事件起こしたとか言われても、知らん」
●山上容疑者はSNSで安倍元首相を擁護…“銃撃はアベガーのせい”大崩壊 7/20
安倍晋三元首相(享年67)を銃撃し、殺害した山上徹也容疑者(41)。山上容疑者のものとされるTwitterアカウントが発見され、17日ごろからネットやメディアで話題に。
各メディアによると、同アカウントは安倍政権を批判する投稿に対し《安倍政権の功を認識できないのは致命的な歪み》《安倍憎しの最初にありきが見え見えの愚論》と擁護ツイート。中には《ネトウヨとお前らが嘲る中にオレがいることを後悔するといい》という投稿もあったという。
しかしSNSでは、事件当初からいわゆる“アベガー”が事件を起こしたのだとする声が相次いでいた。アベガーとは、安倍元首相に対して否定的な人を揶揄するネットスラングだ。
そして、著名人のなかにも「アベガーが犯行に及んだ」と主張する人たちがいた。例えば安倍元首相が亡くなった8日、実業家の堀江貴文氏(49)はTwitterにこう投稿している。
《反省すべきはネット上に無数にいたアベカー達だよな。そいつらに犯人は洗脳されてたようなもんだ》
さらに9日、フジテレビの上席解説委員である平井文夫氏は『FNNプライムオンライン』に「安倍晋三さんを死なせたのは誰だ」というタイトルのコラムを掲載。
そこで平井氏は「(安倍元首相に対して)特定のマスコミや有識者といわれる人々が、テロ教唆と言われても仕方ないような言動、報道を繰り返し、暗殺されても仕方ないという空気をつくりだしたことが事件を引き起こした」とする文章を読んだといい、《僕の胸につかえていたのはこれだった》とコメントし、こう続けている。
《「闘う政治家」だった安倍氏に対しては攻撃もまた激しかったが、中には「許さない」とか「死ね」とか明らかに常軌を逸したものもあった。そしてそうした言動に対して私たちは「ダメだ」とはっきり言ってこなかったのではないか》
また12日、橋下徹氏(53)は『ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜』(TBS系)で「政治家に対しての批判ってね、政策の批判とか疑惑の批判っていうのは厳しくやればいいと思うんです。ただ度を超えた『死ね』とか『死んでいい』とか。それはね、いくら表現の自由でも政治家に対しては違うと思います」と発言。
そして、「安倍さんに対しての強烈な『死んでもいい』ぐらいの、そういうものがもし、犯人の犯意に影響してたっていうんだったら本当に悔やまれるし、成熟した民主国家では絶対あってはならないことだと思います」と述べていた。
いわゆる“アベガー”の存在や発言が山上容疑者の凶行に影響を与えているかのような発言をしたホリエモンや橋下徹氏ら。しかし、山上容疑者は当初から取り調べに対して「政治信条に対する恨みではない」と供述。そして、今回Twitterで安倍元首相を擁護するような投稿もしていたことが判明した。そのため、ネットではこんな声が上がっている。
《左派やアベガーのせいで銃撃事件が起きた云々は全く見当違いだったと勇み足だった人たちは認めるべきでは》《今回の凶行がアベガーのせいであると主張していたホリエモン他の主張は完全に事実無根の言いがかり。アカウントが当人のものであれば》《「安倍さんが殺されたのは、安倍批判しまくった野党やメディア、ネットにはびこるアベガーのせいだ!」みたいなこと言ってたの、謝罪してくんねえかな。動機全然違ったぞ》《なんのために無根拠な主張をしてたのか》 

 

●山上容疑者、事件の1カ月前から無職 収入途絶え犯行決意か 7/21
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)が事件の約1カ月前から無職だったことが21日、奈良県警への取材で分かった。収入が途絶えたことで経済的困窮への不安を抱いていたとみられ、県警は安倍氏の襲撃を最終的に決意した一因になった可能性があるとみて、経済状況を詳しく調べている。
山上容疑者は令和2年10月から今年5月まで、派遣社員として京都府の工場で勤務。体調不良を理由に5月15日付で退職したが、その直後から、大阪府内の別の会社で派遣社員として勤務していたことが新たに判明した。
県警によると、大阪府の会社では夜勤でフォークリフトの操作を担当していたが、1カ月足らずで自己都合で退職を申し出ており、6月上旬に退職した。山上容疑者はフォークリフトの免許を所持しており、京都府の工場でも、トラックへの荷物の積み込みを行っていた。派遣元はそれぞれ別の派遣会社だったという。
捜査関係者によると、事件を起こした際の預金残高は十数万円。手製の銃の材料費でクレジットカードの支払いなどもあり、経済的な不安を抱えていたとみられる。
●「復讐は己でやってこそ意味がある」安倍元総理銃撃事件 7/21
安倍元総理が銃撃され死亡した事件。逮捕された山上容疑者が「圧力鍋で作る爆弾から銃での犯行に切り替えた」といった趣旨の供述をしていることが分かりました。
今月8日、奈良市内で安倍元総理を銃撃したとして逮捕された山上徹也容疑者(41)が警察の取り調べに対し、「圧力鍋の爆弾などを最初に作ったが、その後、銃を作ることにした」といった趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材で分かりました。
おととし12月には、島根県のフリージャーナリストの男性が運営するブログに、「復讐は己でやってこそ意味がある」「喉から手が出るほど銃が欲しい」などとも書き込んでいて、警察は、山上容疑者が安倍元総理を確実に狙うために爆弾から銃での犯行に切り替えたとみて調べています。
●山上容疑者、数十万円以上の借金 銃づくりの費用で経済的ひっぱくか 7/21
安倍晋三元首相(67)が奈良市で8日、参院選の街頭演説中に銃で撃たれて殺害された事件で、無職の山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=に少なくとも数十万円の借金があったことが捜査関係者への取材でわかった。手製の銃の材料を購入しており、カードの支払いや金融機関からの借り入れが残っていた。
山上容疑者は「金がなくなり、7月中には死ぬことになると思った。その前に安倍氏を襲うと決めた」と供述しているといい、奈良県警は事件の背景の一つに借金があるとみている。
捜査関係者によると、山上容疑者は「昨年春ごろから武器を作り始めた」と供述。奈良市内のマンションの自室の家宅捜索で、手製の銃5丁と作製途中のもの二つのほか、数種類の火薬が見つかった。電子はかりやミキサー、工具類など計十数点が押収された。
こうした道具や、銃の弾が入る空の薬莢などの部品は、ネットなどで購入していたことが判明。銃を自作する前に圧力鍋を使った爆弾の製造を考えていたといい、「爆弾を作るために、圧力鍋を購入した」とも供述しているという。
県警によると、昨年11月から今年2月ごろの間、銃に使う火薬を乾かす場所として、県内のシャッター付きガレージを月約1万5千円で借りていた。
山上容疑者が住むマンションの関係者によると、容疑者の部屋の家賃は月約3万5千円。軽自動車と原付きバイクを所有し、軽自動車は契約駐車場に止めていた。県警は軽自動車とバイクも押収している。
山上容疑者は派遣会社に登録し、京都府内の企業の倉庫で働いていたが、「体調が優れない」などとして今年4月に退職を申し出て、5月15日に退社。県警によると、その後、大阪府内の会社に勤めたが、6月初旬に「自己都合」で退職した。
県警が山上容疑者の経済状況を調べたところ、カードの支払いや消費者金融からの借り入れがあり、借金は計数十万円あった。県警はカード会社などへの照会作業を進め、ほかにも債務がなかったか調べている。
銃の作製過程では、火薬の調合や試射を繰り返したとも話しており、銃を完成させるための費用がふくらみ、経済的に逼迫したことが事件の背景にあるとみて調べている。
山上容疑者は7月3日、安倍氏が岡山市で7日に演説する予定をインターネットで把握。事件2日前の6日には、岡山市までの新幹線の片道切符をJR奈良駅の券売機で購入していた。翌7日に岡山に向かったが、演説会場には受付があったため入らず、襲撃を断念して奈良市内に戻っていたという。
山上容疑者は8日午前11時32分ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で安倍氏を背後から銃で撃ったとして殺人未遂容疑で県警に現行犯逮捕された。
●精神鑑定される山上容疑者を追い詰めた戦後社会の「孤独」と病理を考える 7/21
「安倍は本来の敵ではない」
《安倍は本来の敵ではないのです。あくまで現実世界で最も影響力のある統一教会シンパなのです》《安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません》
山上徹也容疑者は安倍晋三元首相を殺害する直前、宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧世界基督教統一神霊協会・統一教会)に批判的なブログを発信しているフリーライター・米本和広氏に、銃撃を示唆する手紙を送っていた。
そのなかで山上容疑者が、統一教会との約30年にわたる因縁に触れている。
《母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産……。この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は、私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません》
こう恨みを書き綴りながらも、襲撃対象の安倍氏に対しては、冒頭のように冷静だ。「本来の敵」でないのは自覚している。
山上容疑者は、教団トップの韓鶴子氏を標的とし、それが果たせないから安倍氏に置き換えた。その短絡さと想像力の欠如には驚かされるが、報じられている「山上供述」は一貫しており、合理的で揺るぎがない。
従って「心神喪失者の行為は罰しない」という刑法第39条には相当しないのではないかと思われる。しかし検察は、犯罪の重要性の観点からも精神鑑定を行う方針だという。精神鑑定の結果はともかく、動機の解明は不可欠だろう。
安倍氏は憲政史上最長の8年2ヵ月、宰相の座にあった政治家である。6回に及ぶ衆参の国政選挙に勝利し、そういう意味では国民的人気を集めた。また、政治的には憲法改正に道筋をつける保守主義を浸透させ、経済的にはアベノミクスでデフレ脱却を目指し、外交的には米国のトランプ前大統領、プーチン露大統領、習中国国家主席と伍して交渉、日本の存在感を見せつけた。
山上容疑者が安倍殺害によって、統一教会への鬱積した長年の感情を解放できたとは思えない。襲撃後、取り押さえられ無抵抗で空を見上げている姿も、奈良地検に送られる送検時の映像も、表情はなく空虚な目をしており、少なくとも満足感は窺えない。
精神鑑定が明かすのは責任能力があるかないかの病理である。だが、国民にとって重要なのは戦後の代表的政治家の命を奪った男が持っていた社会的病理である。その解明なくして安倍氏は浮かばれず、好悪はともかく長年、日本をリードした政治家を失った国民の喪失感は克服できない。
「通り魔殺人」という拡大自殺
自殺には至っていないが、山上容疑者の行為が「自死を遂げる際に周囲を巻き込む『拡大自殺』の一種」であるのは間違いなかろう。これまでの多くの拡大自殺が確認され、その数は年々、増えている。
大阪教育大学付属池田小学校事件(2001年)、秋葉原無差別殺傷事件(08年)、相模原障害者施設殺傷事件(16年)、京都アニメーション放火殺人事件(19年)、そして昨年12月には26名が犠牲になった大阪・北新地のクリニック放火殺人事件があった。
背景や事情はそれぞれに違うし、山上容疑者の場合は無差別大量ではない。だが、後先を考えず「本来の敵」ではない安倍氏を狙ったという意味では、本人の意識はともかく「通り魔殺人」には違いない。米犯罪学者のJ・レヴィンとJ・A・フォックスが、「大量殺人の心理・社会的分析」のなかで殺人を犯す六つの要因を挙げてる。
1. 長期間にわたる欲求不満
2. 他責的傾向
3. 破滅的な喪失
4. 外部のきっかけ
5. 社会的、心理的な孤立
6. 大量破壊のための武器入手
いずれも山上容疑者の人生に重なり合う。
手紙にある約30年前というのは、母親が統一教会に入信したときだろう。取材に応じている伯父によれば、以降、母親は自殺した夫の死亡保険金、相続した不動産などを売却、1億円以上を教会に注ぎ込んだという。
あげく02年に破産。山上容疑者は海上自衛隊に入り、そこでも家族からの呪縛から逃れられず、自殺を図っている。除隊は05年8月である。
以降は、測量会社など複数の会社でアルバイトをしながら暮らした。宅地建物取引主任者、2級ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得したとして、13年からは派遣会社で働き始めている。
1990年のバブル経済崩壊以降、労働市場の規制緩和が行われ、99年には派遣できる業種が原則、自由になった。2006年からは派遣期間は無期限となり、企業の使い勝手は良くなった。それを映して人材派遣業は急拡大、非正規雇用の割合は増えた。
ロストジェネレーション、就職氷河期世代に重なる山上容疑者が、取得が難しい宅建主任などの資格を取ったということは、正社員のような安定した職を望んだのだろう。しかしそれは果たせず、どこかに帰属することなく派遣会社に登録、20年からは京都府内の工場で、フォークリフト免許を生かして働き始めた。
YouTubeなどの動画サイトで銃の作製方法などを調べ、火薬などを調達し始めたのは昨年春頃からだった。襲撃対象が安倍氏に置き換わるのは、昨年9月の天宙平和連合が開催した大会に安倍氏がビデオメッセージを送ったのを観てからである。
山上容疑者は、母親によって破壊的な喪失を受け、生活環境は改善しないまま欲求不満を抱き続けている。二極化する社会構造のなか、敗者をムチ打つ自己責任論に抗するには、他に責任を転嫁せざるを得なかった。そして家族や地域社会、会社というコミュニティとの縁を持てず、社会的にも心理的にも孤立していた。大量殺人を伴う拡大自殺の要件は満たしていたのだ。
カルト宗教にも新自由主義にも同根の怖さ
山上容疑者のTwitterには、頼り頼られる者のいない孤独と虚無が書き込まれていた。
《だから言っただろう。最後はいつも一人だと。頼りになれるのは自分しかいないと。プライドしかないのだと》(19年12月7日)《何故かこの社会は最も愛される必要のある脱落者は最も愛されないようにできている》(20年1月21日)
呪詛のような言葉を吐き散らしながら、フォロワーはおらず、また想定もしていないようだった。孤独ではあるが、80年生まれの山上容疑者は、物心がついた時には携帯電話があり、IT環境が整いつつあったネット世代である。
皮肉なのは、安倍氏が声をあげ始めたネット世代の保守層に、比較的、支持されていた政治家であることだ。
「草の根保守」といわれる日本会議を中心とする保守勢力は、『月刊Hanada』『月刊WiLL』などの保守系雑誌と連携、櫻井よしこ、百田尚樹といった論客に語らせることで憲法改正、嫌韓・嫌中といった動きをリードした。
そうした勢力に支えられて安定政権を築いたのが安倍氏で、「物言うネット世代」には、「ネトウヨ」と呼ばれる保守勢力が一定数いて、安倍氏の人気は高かった。
第一次安倍政権が発足したのは06年でツイッターが創業した年だった。同時にFacebookも一般に開放され、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が始まった。病気による退陣後、第二次安倍政権が誕生した12年12月以降は、SNSは市民生活に根付き、誰もがどこでもつながることのできる必要不可欠なツールとなった。
だが、SNSが失われた家族関係やコミュニティの“代役”を果たせるわけではなかった。家族、地域社会、企業といった価値観を同じくする集団のなかにいて人と連帯してアイデンティティを深める、といったリアル社会の安心感は得られない。
一方で、同じ価値観の集団に属さないことによる生活の不安定さは収入の不安定さでもあり、精神的な孤独と孤立に追い詰められる。
山上容疑者は「安倍殺害」という目標を定めたことで、職場での人間関係が煩わしくなったのか、派遣先では欠勤がちとなり、同僚などとのトラブルも頻発、今年5月には退職する。収入は途絶え、事件当日の通帳残高は20数万円。負債もあって、金銭面でも「やるしかない」と追い詰められていた。
今回の事件を受けて記者会見した統一教会の元二世信者は、追い詰められ相談する先もない時、「いのちの電話」にすがりついたという。最も辛く、死を意識するのは孤独と孤立であり、必要なのはリアルな会話とぬくもりである。
根こそぎ資産を要求し、完全なる帰依を求める宗教団体は怖いが、優勝劣敗のなか敗者を自己責任原則で追い詰める新自由主義にも同じような怖さがある。求められるのは、インクルージョン(包摂)の観点で、排除せず、孤立させないことだろう。
安倍氏は、第二次大戦後、「テロなき国家」と思われた日本で起きた「テロ」に倒れた。その原因を解明のうえ、要因を除去することが、「国葬」以上の弔いになるはずだ。 
●自民党が旧統一教会との"ズブズブ関係"を断ち切れないワケ  7/21
宗教と政治のズブズブ関係が話題になるのは一瞬
安倍晋三元首相の「悲劇」を受けて、世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)と政治の関係が注目されている。
メディアでは連日のように、「安倍家3代と統一教会」「自民党と宗教との深い関係」なんてニュースが報じられ、中にはこの宗教と関係が深い自民党議員などを羅列したリストまで公開されている。
評論家や著名人も黙っていない。「カルト宗教が日本を食いものにしているのを止めるべき」「今こそ自民党は旧統一協会との関係を断ち切れ」などという意見が多く聞かれる。
ただ、統一教会と政治の関係を30年近く注視してきた立場から言わせていただくと正直、この宗教団体と自民党との関係を断ち切ることはかなり難しい。ましてや、カルト扱いして日本から追い出す、なんてことは不可能だと感じる。
今は安倍元首相を失った悲しみでマスコミも威勢のいいことばかり言っている。もし熱烈な安倍氏支持者や愛国者の皆さんから「報復」のような形で、旧統一協会関連施設や、信者が襲撃されるというようなトラブルが起きれば、さらに世論もヒートアップするだろう。
ただ、それだけだ。喉元過ぎればなんとやらで、別の大事件が起きればマスコミはわっとそっちに飛びついて世間の関心も薄れていく。半年も経過すれば、多くの人は「統一教会? ああ、そんな事件あったね」なんて反応で、自民党とズブズブだなんだという話も忘れ去られていく。
旧統一教会を弾圧できない「オトナの事情」
なぜそんなことが断言できるのかというと、「30年以上前からその繰り返しだった」からである。
実ははるか昔から「自民党と統一教会」「岸信介から続く安倍家との関係」なんて話は週刊誌などでは当たり前のように扱われていた。テレビや新聞はスルーしていたが、それでも1980年代に「霊感商法」が社会問題になった時などは、連日のようにこの宗教を取り上げて大騒ぎをしており、その過程でこのテーマにも言及していた。
しかし、それで「終了」だ。何かの話が飛び出して瞬間風速的に注目を集めるが、その後に自民党が旧統一教会との関係を断ち切ります、なんて方針転換したこともないし、山上徹也容疑者のように家族が信仰にのめり込んで人生が狂う「宗教2世」へのセーフティーネットがつくられたなんてこともない。
「これまではそうだったかもしれないが、今回は元首相が殺されているのだぞ!」と怒りに震えている方も多いだろうが、だからといって政府が、そう簡単にこの宗教を弾圧できない「オトナの事情」がいくつかあるのだ。
山上容疑者が鵜呑みにしたネットの陰謀論によれば、「安倍家が裏で手を回していた」「自民党が警察やマスコミに圧力をかけていた」というストーリーがメジャーだが、そんなチープな話ではなく、実はこの宗教はもっと大きな政治力学の中で守られている。
それは「アメリカ」だ。
アメリカの歴代大統領も旧統一教会シンパだった
日本のメディアは「旧統一教会と安倍家はズブズブだ」で大騒ぎをしているが、実はズブズブ具合では米保守系政治家も負けていない。
古くはリチャード・ニクソンからロナルド・レーガン、ジョージ・ブッシュ父子など歴代の共和党系大統領はみな旧統一教会シンパとして知られている。また、現在もトランプ前大統領、マイク・ペンス前副大統領、マイク・ポンペオ前国防長官、ニュート・ギングリッチ元下院議長など、旧統一教会系政治団体のイベントで挨拶をするなど、親密な関係だと言われている。
なぜこんなにシンパが多いのか。陰謀論者からすれば「岸信介をはじめ安倍三代がアメリカでも布教活動を手伝ったのでは」と考えるかもしれないが、さすがに安倍ファミリーもそこまでヒマではない。
これはシンプルに、アメリカの保守系政治家と「ウマが合う」ということがある。大統領になったら聖書に手をのせて宣誓するアメリカでは、政治家がキリスト教系団体から支持を受けることにまったく抵抗はないし、設立者の文鮮明氏の反共主義という政治イデオロギーも共和党と親和性が高い。
自民党の国会議員が、神道系の新興宗教から支持を受けていても、世間の反応が「でしょうね」となるのと一緒だ。
巨大な集票装置かつ世論誘導もしてくれる「太客」
そこに加えて、米保守系政治家にとって魅力的なのは、旧統一教会と良好な関係を築くと、ここに「シンパメディア」のおまけがつくという「お得感」もあるからだ。
文氏が1982年に設立した保守系新聞「ワシントン・タイムズ」は、レーガン以降の共和党議員を熱烈に応援してきた。レーガン大統領がこの新聞を愛読していたというのは有名な話だし、20年の米大統領選の時も、アメリカ国内メディアの多くがバイデン氏の支持を表明する中で、トランプ氏支持を表明したのも、この「ワシントン・タイムズ」だった。
宗教という巨大な集票装置の支援を得られることに加えて、保守系メディアで世論誘導までしてくれる。米共和党の政治家にとって、旧統一教会ほど非常に心強い「太客」はいないのだ。
となると当然、日本の保守政治家たちも、旧統一教会と良好な関係をキープするしかない。このあたりの事情は、日本という国家の原則ともいうべき「対米従属」をイメージしていただくとわかりやすいだろう。
旧統一教会とのパイプ=米保守系政治家への忖度
沖縄の基地問題、憲法を無視した安全保障関連法制などを見てもわかるように、基本的に日本という国は“アメリカ様”が求めていることは、それがどんなに理不尽なことでも、屈辱的なことでも甘んじて従わなければいけない。
特に日本の保守系政治家は、「対中国・北朝鮮の安全保障」という人質を米保守系政治家に握られているようなものなので、彼らの嫌がることができない。
そんな「対米従属」の現実がある中で、自民党が旧統一教会と「絶縁」できるだろうか。米共和党の政治家たちに対して、「あなたたちが支持している団体だけど、我が国ではカルト認定し政治の世界から排除しましたので、悪しからず」などと伝えることができるだろうか。
できるわけがない。ほとぼりが冷めるまでは表向きは距離をとるかもしれないが、水面下ではちゃんとつながっていて、安倍氏のポジションを清和会の誰かがしれっと引き継ぐはずだ。文鮮明と岸信介の蜜月関係を、福田赳夫がちゃんと受け継いだことからもわかるように、旧統一教会とのパイプはなにも安倍家だけのものではなく、清和会で「維持管理」しているものなのだ。
つまり、「安倍家と旧統一教会が蜜月」というのは、清和会を中心とした日本の保守系政治家が、「良好な日米関係」を維持するという大義のため、米保守系政治家への「忖度」をし続けてきたことの結果でもあるのだ。
だから、安倍元首相一人いなくなっても状況は何も変わらない。「自民党と旧統一教会」というのは日本の「対米従属」が変わらない限り続いていく構造的な問題なのだ。
各種宗教団体が「相乗り」している自民党
もちろん、それだけではなく、自民党自身にも「選挙支援」など旧統一教会との関係を断ち切れない「オトナの事情」がいくつかある。その中でも実は特に大きいのは、「自民党を支える他の宗教団体への配慮」だ。
今回やたらと「自民党と旧統一教会はズブズブだ」という話が盛り上がっているが、自民党がズブズブなのはなにも旧統一教会だけではない。
「保守政党」だけあって、有名なところでは神社本庁があるが、それ以外にもさまざまな宗教団体が選挙になると、自民党候補者を支援している。例えば、日本会議ホームページの「役員名簿」を見ると、新生佛教教団、解脱会、念法眞教、佛所護念会、崇教真光、大和教団などの幹部の名が連なっている。また、霊友会や立正佼成会も自民党の「友好団体」として知られているし、創価学会にいたっては連立政権を組む間柄だ。
さて、そこで想像していただきたい。このようにさまざまな宗教団体が「相乗り」しているような状態の自民党が、今回の事件とその後の信者トラブルの報道などを受けて、旧統一教会との付き合いを完全に断ち切ると宣言したらどうなるか。
宗教団体が恐れる「宗教排除の成功モデル」
われわれ一般庶民の感覚では、「まったく問題ないじゃん、他のちゃんとした宗教団体からすれば、カルトがいなくなったと大喜びするんじゃないの?」と思うだろう。
しかし、宗教団体からすると、これはちっとも喜ばしいことではなく、むしろ強固に反対して自民党に思いとどまらせる可能性が高い。
世間を震撼させる事件やマスコミ報道という「条件」さえ揃えば、政治が恣意的に宗教を「社会悪」とジャッジするという前例ができると、自分たちにもそれが適用される恐れがあるからだ。
どんな宗教でも信者やその家族、あるいは脱会した人の間に「トラブル」は起きる。今回の旧統一教会ほど極端なケースではなくとも、信仰にのめり込むあまり、家族が崩壊するなんて話はそれほど珍しくないので、さまざまな宗教には「被害者」という人たちが存在する。
つまり、宗教の評価というのは見る人によってまちまちなのだ。シンパの人には「ちゃんとした宗教」に見えても、被害者からすれば「カルト宗教」「霊感商法」に見えることもある。
この「あやふやさ」によって、宗教団体は政治に介入することができた。
しかし、山上容疑者の事件によって、政治との関係や、献金トラブルが注目されてその結果、旧統一教会が「排除」されるということになれば、この大原則が崩壊する。つまり、世間を震撼させる大事件を起こして社会に問題提起すれば、「悪い宗教」だと政治に認定させて、社会的制裁を与えられるという「宗教排除の成功モデル」ができてしまうのだ。
「俺も山上容疑者と同じことをやれば…」
例えば、自民党と関係の深い宗教団体に対して、強い恨みを持つ男性がいたとしよう。彼も今回の山上容疑者のように家庭を崩壊させられた過去を持つ。
そんな男性が、もし今回の事件で自民党が旧統一教会と絶縁したと聞いたら、こう思うのではないか。
「なんだよ、じゃあ俺も山上容疑者と同じことをやれば、あの教団にダメージを与えられるってことじゃん」
おそらく、男性はこの宗教団体から支援を受けているような自民党議員を狙う。大きな事件を起こせば起こすほど、マスコミは朝から晩まで報じてくれるので、もっと過激な手口で犯行に及ぶかもしれない。
「そんなバカなことを考える人間はいない」と思うかもしれないが、海外では、無差殺人のような「拡大自殺」をする者たちの多くは、衝撃的な事件を起こすことで自分の主義主張を世に知らしめているというような指摘が多い。
だから、アメリカでは、無差別殺傷事件が起きると、模倣犯を生まないように、犯人がどんな人柄で、どんな思想をもっていたのかを過剰に報じないようにマスコミに求める「No Notoriety(悪名を広めるな)」という団体もあるのだ。
今回の事件への対応が「次の悲劇」を生むリスク
今回、マスコミは朝から晩まで惨劇の瞬間をエンドレスリピートして、山上容疑者の「悪名」を日本全国津々浦々に流し、彼の不幸な境遇やその思想を広めている。同じように宗教に憎悪を燃やす人たちに、「皆さんも山上容疑者のようにやれば、あの憎い宗教に復讐できますよ」と教えているに等しい。
いずれにせよ、政府や自民党が旧統一教会を名指しで攻撃して、排除するということは「宗教排除の成功モデル」がつくられるということなので、自民党支持の宗教団体の多くはこの動きに賛同しないだろう。ということは、自民党としては旧統一教会との関係はこのままの「グレー」にしてズルズルと続けていくしかない。
以上のように、自民党が旧統一教会と手を切るのは外交的にも国内の支持基盤的にも難しい。「できない」ことを「やれやれ」と叫んでも不毛なので、もっと地に足のついた議論をすべきだ。
いま本当に必要なのは「宗教被害者」の救済方法だ
例えば、この問題を長く関わってきた紀藤正樹弁護士がワイドショー出演時に、統一教会の2世信者があまりにかわいそうなので養子にもらおうと思った、という趣旨のことをおっしゃっていたが、そういう不幸な子どもを国や自治体が保護して、しっかりと食事や教育を受けさせられるようにする仕組みがまだ足りていない。
父親にボコボコに殴られて虫の息になった子どもがSOSを発しているにもかかわらず、児童相談所の職員が「やっぱりパパと一緒が幸せだよね」と父親の元に送り戻して、死にいたらしめるなんて悲劇がたびたび起きていることからもわかるように、日本は「親権」が非常に強くて、行政は家庭内のトラブルになかなか介入できない。
実はこれも自民党支持の宗教団体が掲げる「伝統的家族制度の復活」という思想が色濃く影響しているのだが、こちらのほうが児童福祉の観点からまだ変えられる余地がある。
「自民党は旧統一教会と縁を切れ」なんてことを叫んでも、歴史に学べば一時の「エンタメ」となって終了だ。そうならないためにもいま本当に必要なのは、この瞬間に、苦しむ「宗教被害者」をどう救えるのかという議論なのではないか。

 

●山上容疑者の母「旧統一教会に迷惑かけて申し訳ない」発言に衝撃広がる… 7/22
安倍晋三元首相が奈良市で演説中に銃で撃たれて死亡した事件について、警察や検察は山上徹也容疑者の母への聞き取り調査をおこなっている。
山上容疑者は、母親が「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に多額の献金をしたことで、家庭が崩壊したと主張している。報道によると、山上容疑者の母親が旧統一教会に献金した総額は、1億円にも上るという。
母親は1998年ごろ、同教団に入信し、翌年6月には土地や一戸建て住宅を売却。2002年に破産宣告を受けていたとも伝えられている。
7月22日、NHKは、母親が検察に対し「今回の事件で旧統一教会を批判にさらして迷惑をかけてしまい申し訳ないという趣旨の話をしている」と報じた。立ち会った親族への取材でわかったという。
これに先立つ14日、読売新聞は、奈良県警などの聴取に対して「息子が大変な事件を起こし、申し訳ない」と謝罪していることを報じたが、当時も教会への批判は口にしていなかった。
今回、旧統一教会への母親の思いが報じられたわけだが、事件後も教会に変わらぬ姿勢を貫いていることに、ネット上でも衝撃が走っている。
《この供述は宗教を重んじる怖さを浮き彫りにしている。ここまでとは…》《息子が殺人に走った一因とも言えるのに、そうさせてしまう教団には戦慄すら覚える》
本誌は、山上容疑者に誘われて、奈良・西大寺の飲食店で食事したことがある男性に取材をしている。男性は、山上容疑者について、こう語っていた。
「これまでに3回ほど、安い居酒屋でおごってもらったことがあります。ふだん山上さんは、自分のことをほとんど話しません。しかしその日は、『自分の家族が統一教会に関わっていて、霊感商法トラブルでバラバラになってしまった。統一教会がなければ、今も家族といたと思う』と語りはじめたのです。続けて、『統一教会は、安倍と関わりが深い。だから、警察も捜査ができないんだ』と、あまり感情を出さない山上さんが、怒りにまかせたように話していました」(知人男性)
食い違う母子の姿が、さらに浮き彫りになってしまったようだ。
●山上容疑者、消費者金融で借金 生活困窮か 7/22
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)が消費者金融から借金をしていたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。カードローンを利用したことも確認されており、負債の総額は少なくとも数十万円に上るとみられる。奈良県警は山上容疑者が事件当時、経済的に困窮していたとみて、実態を調べている。
山上容疑者は派遣社員として勤務していた会社を6月上旬に退職し、事件の約1カ月前から無職だった。収入は途絶えていたとみられ、県警が金融機関の口座などを調べたところ、消費者金融からの借入があったことが判明した。ほかにカードローンも利用しており、クレジットカードの支払いも残っていたという。
捜査関係者によると、銃の材料や工具はインターネット通販やホームセンターなどで購入したとみられるがいずれも安価で、県警は山上容疑者の供述などから、借金の大半は生活費に充てていたとみている。
山上容疑者を派遣していた大阪府内の派遣会社によると、5月15日付で退職した京都府の工場での月給は20万円程度だった。県警によるとその後、大阪府の会社でも派遣社員として勤務したが、1カ月足らずで退職。自宅マンションの家賃は約3万5千円で、昨年11月から今年2月までは、自宅とは別に奈良県内のシャッター付きガレージを月額約1万5千円で借りていた。山上容疑者はガレージについて「火薬を乾かすために借りた」と供述している。
●立憲・泉代表、旧統一教会は「政権与党に相当浸透している」 7/22
安倍晋三元首相の銃撃事件を機に、政治と「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」との関連が注目される中、立憲民主党の泉健太代表は2022年7月22日の記者会見で、旧統一教会が「政権与党に相当浸透していると聞いている」として、情報収集を進めていく考えを明らかにした。
一方で、立憲所属議員についても、旧統一教会系の団体が開いた集会に祝電を送ったりしたケースが指摘されている。過去には団体の素性を把握しないまま祝電を送ったケースがあったことを明らかにした。
「統一教会、またはその関連団体ということを全く知らされずに」祝電送った事例も
立憲は7月21日、旧統一教会による被害対策本部を立ち上げることを発表。泉氏は対策本部の立ち上げに触れる中で、政治と旧統一教会との関係にも言及した。
「相当韓国にも送金を行っていることが伝わっている宗教団体で、様々な霊感商法についてもトラブルがあるということの中で、政治と宗教の関わり方ということも様々問題が指摘をされている。我が党も、そういったことについて、党内で確認をしながら...やはり今伝わっているのは政権与党に相当、選挙あるいは、様々な付き合いの中で浸透しているというふうに聞いている。そういったことについても、情報収集をしなければいけない」
「党内で確認」とは、所属議員6人について旧統一教会関連団体との関係が指摘されたことを指している。泉氏によると、後藤祐一衆院議員は「まったく関係していないことが明確」で、篠原孝衆院議員と小宮山泰子衆院議員は「統一教会、またはその関連団体ということを全く知らされずに」、それぞれ04年、06年に祝電を出した。篠原、小宮山両議員は「それ以降は一切の関連はない」と説明しているという。下条みつ衆院議員は「落選中でもあったので、まったく記録・記憶にない」。中川正春衆院議員は「統一教会がらみの団体とは全く知らされておらず、会合があるということで、三重県の会合に18年、要請があったので祝電を出したが、特別の関係はない」。松木謙公衆院議員は「その団体の会に参加した際に定められた会費を払ったケースがある。ただ、その団体が統一教会系かどうか、ということがまだよく分からない状況だった」と説明しているという。
被害対策本部は「旧統一教会と政治との関係」扱わない
泉氏によると「それ以外で関係があったとは現時点で聞いていない」といい、6人以外の調査については、何をもって統一教会の関連団体とするかが明らかではないとして、
「何が関連団体かということを確定できるようであれば、調査をするということはひとつのあり方なのかもしれないと想像している」と話した。
西村智奈美幹事長は7月21日、被害対策本部が「旧統一教会と政治との関係」について扱うかを問われ「旧統一教会による被害、これを主眼として調査・検証、こういったことをやっていきたい」と応じ、扱わない考えを示している。
泉氏は「旧統一教会と政治との関係」について「何らかの会議体でヒアリングすることはあり得る」と話し、今回の被害対策本部とは別に枠組みになるとの見方を示した。
●元信者が語る“旧統一教会”の実態…「家系に問題ある」不安あおられ入信… 7/22
安倍元首相が銃撃され殺害された事件から22日で2週間です。
容疑者の供述などから明らかになっている旧統一教会をめぐる問題。それは新潟県内でも例外ではありません。旧統一教会の実態について元信者に話を聞きました。
旧統一教会 元信者の女性「1万円くらいかなと思って、家系図を作ることで教会に通うようになった」
こう話すのは、県内に住む旧統一教会の元信者の女性です。
旧統一教会 元信者の女性「兄弟でも男性が早死にしたりとか、何か理由があるということを家系図から読み取って、そこを解決していく方法がありますよということで」
こちらの女性が入信したきっかけは、信者による自宅への訪問でした。
「手相を見せてくれ」と最初に言われ、その後、家系図を作成。家系に問題があると不安をあおられる中で家族には秘密で入信したと言います。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会) 田中富広 会長「ご本人の意思で献金されていきますが、献金の額それぞれはご本人の心情に基づいて献金されていると受け止めています。いわゆる10分の1の献金ということは意識して教育している」
こう会見で話していた田中富広会長ですが、「実態は違う」と元信者の女性は指摘します。
旧統一教会 元信者の女性「恐怖をあおって、こういうことをしたら先祖の供養になるし、子孫が守られるとか、教会の方は恐怖を煽って献金をさせる」
7年間旧統一教会に入信し、物品の購入や献金などで支払った総額は約400万円。家計にも影響が出始め、家族が女性の異変に気づきます。
元信者の女性の夫「書き物とか夜中にしていた。夜、隠れてこそこそしているので、おかしいことをしているんじゃないかなと。事前に事細かくどういったことをやっている団体というのをある程度調べて、それで妻に『こういった行いをやっている組織ですよ』というのを分からせた」
夫を中心に1週間説得し、脱会することができたと言います。
旧統一教会 元信者の女性「夫が私のことをすごく大事に思ってくれたことがきっかけで私が抜けられた。本当に正しい団体なのか、本当に目の前の人が信じられる人なのかどうかを考えてから行動に移してほしい」
一方の旧統一教会は7月17日に再び声明を発表。
過去に一部の協会員による違法とされる行為があったことは認めたうえで、2009年にコンプライアンス宣言をして以降、民事訴訟の数は着実に減少していると主張しています。
●統一教会の“広告塔”となったが… 家族の説得で脱会した芸能人たち 7/22
容疑者が明かした犯行動機は統一教会への「恨み」、そして安倍晋三元首相と教団の「つながり」だった。銃撃事件を機に政治家と宗教団体の不適切な関係が問題視されているが、芸能界では30年以上前から芸能人が“広告塔”に利用されることが社会問題化していた。
連日のように続報が伝えられる安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41才)の供述が明らかになるにつれ、ある宗教団体との関連に注目が集まった。統一教会(2015年に世界平和統一家庭連合に改称。本稿では統一教会と記述する)である。
統一教会の名が広く一般に知られるようになったのは1992年頃。有名女優やスポーツ選手が相次いで入信を表明し、ワイドショーや週刊誌がこぞって教会の問題を取り上げた。とりわけ日本中を驚かせたのは、女優として一線で活躍していた桜田淳子(64才)の告白だ。韓国で行われる“合同結婚式”への参加を会見で表明し、見ず知らずの男性と結婚することも『価値観が一緒で人生の目的が同じ人が集まるのだから、不安はありません』と言い切った。桜田は現在も脱会しておらず、夫婦仲も変わっていないという。
桜田と同じく1992年の合同結婚式に参加したのが元新体操選手の山崎浩子(62才)。鹿児島県出身の山崎は高校時代に新体操を始め1984年にロス五輪に出場。個人総合8位に入賞し、選手引退後は指導者、タレントとして活動していた。
「1988年のソウル五輪ではリポーターとしても活躍していましたが翌年、友人のすすめで教会のビデオ学習を受けたのを機に入信。交際相手と別れ、たびたび韓国を訪れるようになり、1992年に合同結婚式が行われることを知ると自ら参加を望んだといいます」(前出・芸能関係者)
心配した姉や、キリスト教の牧師による説得は46日間にもおよび、山崎は脱会を決意した。2004年から指導者として現場に復帰して、昨年の東京五輪でも新体操チームを率いた。現在は東京とモスクワを拠点に指導を続ける山崎の心の支えは“推し活”だという。
「アイドルが好きで特にKis-My-Ft2の大ファン。ツイッターでも頻繁に“推し活”について、楽しそうに綴っています」(新体操関係者)
山崎が代表を務める会社を訪ねたが、マネジャーらしき女性が「ここには来ません」、「(統一教会の)取材は受けません」と繰り返すばかりだった。
キャスターとしても活動するタレントの飯星景子(59才)は、脱会を巡って父で作家の故・飯干晃一さんと壮絶なバトルを繰り広げたことで知られる。入信のきっかけは、統一教会のイベントで司会を務めたこと。友人のすすめで統一教会の勉強会に参加した飯星は、教義より信者の人間関係に魅力を感じたといい、後にワイドショーでこう語っている。
「神様を通じてわかり合えるような、普通の友人関係とは違う、強烈で独特なものがあった」
霊感商法に関する悪い噂も耳にしたが、「見たくないと思って目をつぶっていた」という飯星。その目を必死に開かせたのが父だった。もともと統一教会に疑念を抱いていた飯干氏は娘が教会のスタッフと共にニューヨークに渡ったことを知ると「絶対に取り戻す」と宣言。統一教会に“宣戦布告”した。
「教会側から『お父さんをなんとかしてほしい』と言われた飯星さんは、新約・旧約聖書を読んで理論武装した父との対話に臨んだそうです。当初は頑なな姿勢を崩さなかった飯星さんですが、いままで見たことのない父親の『弱々しい姿』に心を動かされ、深入りする前に立ち止まることができたといいます」(ワイドショー関係者)
以来、統一教会とは縁を切り、当時のことを振り返る機会もほとんどなくなった。
「2012年にオセロの中島知子さん(50才)と占い師の深い関係が報じられたときに、マインドコントロールから逃れるように呼びかけていたのが印象的でした。ワイドショーのコメンテーターを務めたこともありますが、いまは教会のことに触れたがらないといいます」(テレビ局関係者)
ドラマや舞台を中心に活躍するベテラン女優の音無美紀子(72才)も1986年に入信した元信者。家族の病気や、夫で俳優の村井國夫(77才)の女性問題に悩み、2800万円の“多宝塔”を購入したと報じられたこともあった。
「村井さんの懸命な説得で1992年頃に脱会にこぎつけています。もともと音無さんは霊感商法に懐疑的で、その点も“洗脳”を解く突破口になったようです。いまも支え合う円満な夫婦関係を築いています」(前出・芸能関係者)
統一教会と決別した人、いまも共にある人。それぞれが第二の人生を歩んでいるが、芸能人が宗教団体の“広告塔”になる危うさは当事者だけの問題ではない。統一教会問題に詳しい紀藤正樹弁護士はこう指摘する。
「宗教団体にとって芸能人の信者が果たす役割は大きい。広告塔として団体の知名度を上げるだけでなく、彼らがいることで“いい団体である”という誤ったイメージを植え付ける可能性もあります。有名人は内部で特別扱いされるため、その団体が生み出す悲劇に気づきにくい。桜田さんは沈黙を続けていますが、大勢の被害者がいる現実に目を向け、できれば問題解決に協力してほしい」
いまも頑なに無言を貫く桜田。彼女の耳に今回の事件や、霊感商法による被害者の声は届いているのだろうか。

 

●政治と旧統一教会…自民とは歴史的つながり、野党も集会出席や寄付  7/23
安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件を受け、政治と「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の関係に注目が集まっている。旧統一教会は反共産主義の「勝共思想」を掲げ、自民党だけではなく野党ともつながりが指摘されてきた。
安倍派に所属する末松文部科学相は22日の記者会見で、同連合の関係者が自身の政治資金パーティー券を購入していたと明らかにした。末松氏の事務所によると、2020年、21年にパーティー券計4万円分が購入されていた。
末松氏側は、同連合に関連する集会に複数回、祝電も送っていた。末松氏は「常識の範囲内で何らやましいものはない。選挙活動に関連する支援は受けていない」と述べた。
政治と同連合の関係に焦点が当たるようになったのは、安倍氏を銃撃した山上徹也容疑者が、同連合への恨みを供述しているためだ。安倍氏は昨年9月、同連合が友好団体とする民間活動団体が開いた集会にビデオメッセージを寄せていた。
旧統一教会は1968年、反共を掲げて政治団体「国際勝共連合」を発足させた。当時から、安倍氏の祖父の岸信介・元首相ら自民党タカ派を中心に、政治との関係を築いていたとされる。一方で、80年代以降、旧統一教会の「霊感商法」などが社会問題化した。
同連合は、2015年に文化庁に旧統一教会からの名称変更を受理された。当時、同庁を所管する文部科学相は、安倍派会長代理の下村博文氏だった。下村氏は13日、自身のツイッターで名称変更の決裁への関与を否定した。
政治家と同連合との関係は、野党でも明らかになっている。
日本維新の会の松井代表(大阪市長)は22日、同連合の関連団体の集会に約20年前に出席したことを明らかにした。維新は、国会議員と地方議員を対象に同連合との関係を調査する方針を決めた。
立憲民主党の泉代表も同日の記者会見で、複数の党所属議員が同団体関連の会合に祝電を出していたと説明した。国民民主党の玉木代表は、同連合の関連が指摘される「世界日報」の元社長から16年に計3万円の寄付を受けたと明らかにしている。
立民は21日、同連合による被害などを調査する対策本部の設置を決めた。共産党も追及チームを発足させ、同連合と政界の関係を調査する方針だ。
●山上徹也容疑者の精神鑑定実施を容認 奈良地裁 7/23
安倍元総理が銃撃された事件で、奈良地裁が山上徹也容疑者の事件当時の刑事責任能力を調べるため、精神鑑定の実施を認めたことが、関係者への取材でわかった。
山上徹也容疑者は今月8日、奈良市で安倍元総理を手製の銃で撃ち殺害したとして、逮捕・送検されている。関係者によると、奈良地検は山上容疑者に刑事責任能力があったのか調べるため、精神鑑定の実施を奈良地裁に求め、認められた。
鑑定留置の期間は11月下旬までで、奈良地検は山上容疑者の精神鑑定の結果を踏まえて起訴するかどうか判断するとみられている。
また、山上容疑者が「火薬を乾かすため」として、去年3月から約半年間、奈良県内でアパートを契約していたことが新たにわかった。警察はこのころから火薬などの製造を始めていたとみて調べている。
●自民・下村博文氏がコロナ感染…統一教会の名称変更疑惑で「また雲隠れ」 7/23
《本当なのか?》《また、いつもの雲隠れの手法じゃあないだろうな》
ネット上ではこんな声が広がっている。衆議院が22日、自民党の下村博文前政調会長が新型コロナウイルスに感染し、自宅待機していると発表したからだ。
下村氏をめぐっては、安倍晋三元首相の銃撃事件のきっかけとなった「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の名称変更をめぐり、文科相だった下村氏の関与が指摘され、下村氏側は11日、「大臣に伺いを立てることはしていない」などと全面否定する文書を公表。ところが、参院議員(任期は7月25日まで)でジャーナリストの有田芳生氏の事務所が当時(2015年)、文科省とやりとりしたという文書によると、「本件について大臣に事前に説明いたしました」「『周辺事情』という意味で大臣にお話はしました」などと、下村氏側の説明と食い違うくだりが出てくるのだ。
有田氏もツイッターで、《下村博文コメントと私が2015年に公表した文書を比較してください。おかしいですねえ。》などと指摘している。
下村氏といえば、2017年7月の都議選直前に政治資金規正法違反の疑いが浮上。13〜14年にかけて、獣医学部新設をめぐる経緯で問題となった「加計学園」から下村氏の後援会「博友会」のパーティー券200万円を購入してもらったにもかかわらず、政治資金収支報告書に記載がない──と指摘された。下村氏は当時、「都議選後に説明する」などと話していたが、5年経った今も説明がない。
このため、ネット上では今回の自宅待機についても、《ほとぼりが冷めるのを待っているのでは》《よっぽど説明したくないんだろうな》と冷ややかな意見が出ている。
●旧統一教会と関係ある「安倍派議員35人」! 自民党内でも圧倒的な人数 7/23
安倍元首相銃撃事件で再燃した「政治と宗教」への関心は高まる一方だ。〈#自民党って統一教会だったんだな〉がツイッターでトレンド入り。まさにその通りで、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の政界への浸透はすさまじい。とりわけ群を抜いているのが安倍派(清和会)だ。
日刊ゲンダイがジャーナリスト・鈴木エイト氏から入手した旧統一教会と関係のある国会議員100人超のリストを基に、安倍派所属の議員をピックアップ。その数は35人に上った。もっとも、あくまで判明分のみだ。
党内最大派閥の安倍派は21日に総会を開催。総力支援を受けて参院選で初当選した生稲晃子議員ら新人・元職らの加入などで4人増え、21日時点の会員数を「97人」と発表した。となると、旧統一教会と関係のある議員はおよそ4割。ア然とするほかない人数だ。
ほかにも慣例により、党や安倍派から離れている細田博之衆院議長(当選11回)も関連イベントに出席、講演を行った過去もある。安倍側近でありながら、出戻りが難航している高市早苗政調会長(当選9回)は、フロント団体「天宙平和連合」の行事に祝電を送っていた。安倍元首相が昨年9月にビデオメッセージを送り、銃撃の要因のひとつとなったのも、この団体のイベントだった。
なぜ、こうも問題教団と親密なのか。清和会の成り立ちもまた大きく影響している。
安倍元首相が敬愛してやまなかった祖父の岸信介元首相は、旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」の創設を支援。脱税で米国で実刑を食らっていた教祖・文鮮明の早期釈放を求め、当時のレーガン大統領に「元首相」の立場で嘆願書を送るほど入れ込んでいた。強い結び付きは娘婿の安倍晋太郎元外相にも引き継がれ、信者を議員秘書として斡旋し、議員を教団セミナーに送り込んでいたという。
一方、清和会のもうひとつの源流である福田赳夫元首相も熱が入っていた。教団が「希望の日」と称し、1974年に帝国ホテルで大々的に開催した晩餐会には岸氏、福田氏、安倍氏(父)など40人の自民党議員が出席。蔵相だった福田氏は登壇し、「偉大なる指導者現る。その名は文鮮明」「文先生の高邁なご教示にあずかりまして、本当に今日はいい日だな、いい晩だな」などとスピーチ。会場は何かと万雷の拍手に包まれ、福田氏は文鮮明と熱い抱擁を交わしていた。
「統一教会とつながりを持つ議員は自民党の中でも清和会が圧倒的です。岸元首相以来の流れが今なお引き継がれ、安倍元首相の再登板で強まったといえます」(鈴木エイト氏)
自民党「文教族」の中核を成してきた清和会は、「カルト族」が実態か。
●「“暗殺”ではなく“殺害”」安倍元総理銃撃と旧統一教会、そして国葬 7/23
なんとも暑い中での参議院選挙が終わったものの、なおも暑さは激しさも増し、政治の世界では早くも政局が始まりました。選挙戦の最終盤、白昼の街角での安倍元総理への銃撃事件、そして容疑者の動機は“旧統一教会への恨み”によるものだと次第に判明。この中で岸田総理は安倍元総理の国葬を決断しました。旧統一教会と政治との関係、そして「国葬」を巡る議論について、石破元自民党幹事長が思いを熱く語りました。さらに、ロシアのウクライナ侵攻を受け、中国の台湾攻撃の可能性が取りざたされる中、石破氏は台湾を訪問する考えを明らかにしました。
“暗殺”ではない“殺害”だ 手薄だった警護体制
――安倍元総理大臣が街頭演説中に銃撃され死亡した事件について
石破:暗殺だという人がいますが、暗殺というのは政治目的で殺害し、世の中を動かそうということであり、この事件は“暗殺”ではなく“殺害”だという感じがしました。安倍さんなりの政治的「志」や「理想」を、みんなが賛成しているわけではない。警護体制がきちんとしていればあんなことにはならなかった。この国の警備体制は大丈夫なのか。我々政治家という意味ではなく、世の中の市民生活全体の安全は大丈夫か、ということがまず問われるべきでしょう。安倍さんを悼むことと、警備体制をきちんとして市民の安全を確保すること、両方並行してやらなければいけません。
宗教法人への介入・難しい線引き
――旧統一教会について
石破:お付き合いしたことがないのでよくわからないけど、高い絵画、美術品、壷とかを買ったり、あるいはキャッシュを出して神仏へ寄進するとあなたは幸せになれるというようなことがどこまでが詐欺で、どこからが宗教行為なのか。今回のように家庭が破壊され、挙句の果てに凶行に及ぶことがあってはいけない。ではどこで線引きをするか。立件するとしたら詐欺しかない。かなり難しいが一度きちんと整理しておかないと、また犠牲者が出ます。
――必要ならば法整備も?
石破: 信教の自由というのは難しい。寄進はいくらならいいか、1億円は駄目だけど、1000万円ならいいのか、金額の多寡の問題ではなく、実際の行為そのものに着目しないと。
――どのような宗教団体かがポイントということですか?
石破:例えばオウム真理教は、あれはもう犯罪集団以外の何物でもない。本当にどのような宗教か、どんな行為をやっているのかということがポイントになると思います。
――旧統一教会が問題になっているということを把握していながら応援をしてもらうのは問題ではないですか?
石破:それが、旧統一教会とわかっていれば問題。
安倍元総理「国葬」に賛否交錯
――安倍元総理の国葬については?
石破:世の中に賛成論も反対論もあるが、国葬令という法律のようなものはないので閣議決定することで国葬は可能になります。それによって補正予算を組まなければいけない、ということではないし、法律的には何ら問題のないものです。ただそれに疑義を感じる方々もいるわけで、政府としては1人でも多くの国民のご理解を得るべく努力をしていくのではないでしょうか。
――石破さんは国葬に賛成?反対?
石破:悲劇的な亡くなり方をされて、何よりもお母様がご存命で奥様もあれだけ嘆き悲しんでおられるなかにあって、そういう賛否を論ずるということ自体、私はいかがなものかと思います。ひたすら哀悼の意を表するっていうことではないですか。
――保守層の中で神格化が進むのではという心配が出ています。
石破:戦後では吉田茂元総理の国葬が行われました。吉田元総理が神格化されましたか?そうではないでしょう。日本の独立を果たし、サンフランシスコ条約あるいは日米安全保障条約、発効まで日本の独立ということを成し遂げました。そうした業績がある人を偲ぶことはあっても、神格化されたか?山本五十六元帥も国葬でしたが、神格化されたかと言われるとそうではないでしょう。国葬にしたから神格化するか、私はそういう実感は今後のことだからわかりませんが、それはないです。
鳥取島根選挙区 東京ー名古屋よりも遠い合区の戦い
――今回の選挙、鳥取島根選挙区の応援に行って感じたことは?
石破:(鳥取島根選挙区は)合区だからと言って選挙区が倍になるわけではないし、候補者に有権者がアクセスする機会がとても少ない。物理的に鳥取から島根(選挙区は東西に300キロ)までは東京ー名古屋よりも遠い。そして隠岐の島もある。物理的に候補者本人が回れないなら、せめて衆議院議員が回らなければというのがあって。私自身の選挙と比べて何倍地元にいたかしら。そこでやっぱり候補者に有権者がアクセスできる機会をできるだけ増やしたいと。合区だから得票率が減りましたっていうのを何とか払拭したいと思いましたね。
うちの選挙区に限らず山形でも福島でも三重でもそうですけど、日本最大の問題は人口減少です。いま1年に60万人ずつ減っています。やがて1年に100万人減る時代が来ます。計算をすると、80年後は日本人が半分になる。それでこの国はもちますか、何でこんなに人口が減るんですか。何で出生率が一番低い東京、一番男性女性が結婚する東京に、何でそこに人が集まるんですか。過疎がどんどん進んで日本の人口が減り、この国大丈夫ですか。これについては日本国中どこでも聞く耳はずいぶん持っていただけたと思います。
ではどうするのかという話になりますが、エネルギーもある、食料もある、そして東京でしかできなかった仕事が町でもできるよ。そういう地方の時代を作っていかないとこの国は持ちません、という話はずいぶん(有権者に)聞いていただけたと思っています。
超党派で訪台へ 台湾有事の可能性は
――超党派議員で台湾に行くという話があるようですが、その目的とは?
石破:この会は急に忽然とできたわけではなく、何年も前からあるんです。「安全保障を考える若手議員の会」なんて言っていましたが、気がつくと若手でもなくなってきた。浜田靖一さんが元防衛大臣、前原誠司さんが元外務大臣、私も元防衛大臣、長島昭久さんと渡辺周さんは元防衛副大臣です。それなりの知識は持っているし、意識も共有している。今、ウクライナ問題と台湾問題が並列で議論されるときに、台湾について心情的にシンパシーを持つなか軍事的にどうなのか。どうすればこの地域で紛争が起こらないかと議論するときに、台湾のことを知らないと議論にならない。そういうことで訪問します。
――中国を刺激することにならないか?
石破:この地域の平和を保つためであり、台湾独立を支援するためではありません。どうしたらこの地域に安定がもたらされるか。中国に対しても戦争に踏み切らせないことは中国人民の利益にもなります。そのような話をするために台湾に行くことを許さないという中国だとは思いません。
――中台衝突の可能性について
石破:それがゼロではないからこそ、どうすれば抑止力が効くかということです。衝突の可能性がゼロだったら行く必要はありません。ウクライナだってまさかみたいなことが起こっているわけです。中台だってまさかみたいなことが起こらないなんて言えない。いや、まさかって思ったことが起こりました。そうなったら政治家失格ですよ。
●蓮舫議員「私は特定の組織団体に選挙応援を依頼していません」 7/23
立憲民主党の蓮舫参院議員が22日付でツイッターに投稿。「私は特定の組織団体に選挙応援を依頼していません」と記した。
そのうえで「が、それはとても不安です」と続けた。
「自民の大臣経験者の選挙は『必勝』の鉢巻を巻く1000人単位の集会、企業の朝礼会、各種組織団体の集いに参加。数十人の会合に呼ばれるだけでも候補者の安心でしょう。が、踏み越えてはいけない線引きがあります」と投稿した。
蓮舫議員は前後の投稿でも、旧統一教会と政界の関係に関する問題について投稿している。
●自民・井上氏「賛同会員」 旧統一教会との関係巡り 7/23
先の参院選の比例代表で当選した自民党の井上義行氏は23日までに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を巡り、信徒ではなく「賛同会員」だと説明した。共同通信の取材に対し、事務所を通じて文書で回答した。
井上氏は賛同会員になった理由に関し、自身の政策への賛同が得られたからだと指摘。会費や寄付の提示は受けておらず、井上氏からも行っていないと説明した。井上氏は第1次安倍政権当時、安倍晋三元首相の政務秘書官を務めている。
●統一教会と”政治の力”のただならぬ関係を自民党議員が続々証言 7/23
安倍晋三元総理が銃撃されて死亡した事件は、背景に「統一教会」(現「世界平和家庭連合」、本稿では「統一教会」と呼ぶ)に対する怨恨があったことは周知の通りだ。逮捕された山上徹也容疑者は、入信した母親が統一教会に総額1億円もの献金を行ったことで家庭が崩壊したと言われている。警察庁キャリアが明かす。
「山上は取り調べに極めて率直に応じています。『安倍元総理に恨みはないが、統一教会にとって、ビデオメッセージを寄せるような深い関係性であることが分かった。それなら(安倍氏を)殺すしかないと決心をした』と。調べに対してはぐらかすようなこともなく、冷静によどみなく応えているそうです」(警察庁キャリア)
統一教会と安倍元総理の関係はなお不明な点はあるが、ここにきて同団体と政治の深い関わりが続々と報じられている。7月18日、朝のワイドショーにコメンテーターとして出演したジャーナリスト・有田芳生氏の発言は話題を呼んだ。
「有田氏は95年に警察庁と警視庁の幹部から、統一教会に関するレクを頼まれたそうです。20〜30人の前で、これまでの統一教会の歴史や活動内容などを話した。このとき警察は、統一教会の摘発を視野に入れていたそうです。しかし、その後10年経っても捜査は無かった。それは”政治の力”があった、つまり何かしらの圧力がかかったと結果だとコメントしたのです」(全国紙記者)
その後しばらく、「政治の力」はネット上で”トレンドワード”となった。
統一教会と政治のつながりとは一体、いつから、どのようなものであったのだろうか。多くの大臣ポストを歴任し、内閣の枢要な職責を担った元自民党議員が証言した。
「覚えているのは、1976年の衆議院議員総選挙だった。『共産主義に日本を奪われることなどあってはならない。あなたの選挙を支援したい』、そう言ってきた人物がいた。『お金はいらない。ボランティアで応援する』と。初出馬の選挙でしたし、人手はいくらあっても足りない。そんななか『手弁当ですべてタダでやる』と。その翌朝、事務所前にきちんとスーツを着た10人くらいの若い運動員が待っていたんだ。女性が多かったと思う。
自民党の選挙運動は、せいぜい町内会の有力者に支持を訴えるだけだが、その若い運動員たちは全員、選挙区内の詳細な地図を持っていた。戸別訪問をしたところは×印をつけていた。一軒一軒、全戸に訪問するんだ。これは凄かった。おかげで初出馬、初当選を果たすことができた」
この「ボランティアで応援したい」と言ってきた人間が統一教会の関係者だったとみられる、とこの元自民党議員は証言する。続けて言う。
「統一教会の勢力拡大は、最初から教団名を名乗ることはない。もちろん、『キリスト教原理研究会』などと名乗ることもないのです。政治へのアプローチは、反共産主義というイデオロギーだけだから、自民党としても受け入れやすかったんだよ。受け入れたからといってその後、教義を強要してくる事も無かった。そういう態度だから、政治家の女房の中には心服し、統一教会系の団体『明社(明るい社会を作る婦人の会)』の専務理事に就任した人もいた。こういう人は『献身者』といって、献金はほとんどなく、いわば広告塔となったんだ」
この元議員によると、同じ頃、新潟選出の議員は、この運動員たちの献身的な働きによって当選したことから、労に報いるために公設秘書として雇ったという。
しかし、タダより高いモノは無かったのだ。もちろん、統一教会の運動員たちが入り込んだ政治家事務所で何か問題を起こしたわけではない。からくりは、全戸訪問なのだという。
「運動員たちは、全戸訪問を行って名簿を作っていたんです。それをもとにセミナーに誘い、その後、入信するよう勧誘する。その時、国会議員事務所の人間だといえばアプローチは容易になるというわけです。彼らが政治家に近寄るのはこれが目的だったのでしょう。
同時に、事務所に入り込めば政治家の弱点を握ることができる。弱みを駆使して、政治的に統一教会の庇護を願うのです。統一教会への警察捜査が”政治の力”で止まったかどうかというのは私は聞いていない。ただ、こうした関係は何十年にもわたって続けられてきて、政界とのつながりは相当深いことは間違いない」
世界平和家庭連合(旧統一教会)問題は、90年代にアイドルタレントとして人気絶頂だった桜田淳子、新体操の山崎浩子が統一教会の合同結婚式に参加を表明したことでメディアはこぞって報じるところとなったが、実は、政治との関わりを調べるとそれよりはるか以前からその距離が近かったことがわかる。あ前出とは別の自民党議員の言葉を紹介する。
「政治家として一人前といわれるには、地盤(後援会)看板(知名度)カバン(金)が必要なのだが、選挙区内に宗教団体があった時はラッキーなんだ。宗教団体トップと話を付け支持を取り付ければ、信者は黙って票を投じてくれる。それからの政治活動は保障されたようなもので、こんな楽な事はないんですよ」
銃撃に及んだ山上容疑者の卑劣は許されることではない。だが、その一方でこのような結果を招いた政治のあり様は検証されなければならないのではないか。

 

●山上徹也容疑者に寄せられた「賛同の声」と「模倣犯」の危険性 7/24
「あんたは英雄だよ」
「徹也君 たった一人でよく頑張った」
7月16〜18日の連休中、安倍晋三元首相を銃撃して逮捕された山上徹也容疑者のTwitterアカウントが発見され、話題を集めた。だが、衝撃的だったのは容疑者自身の投稿より、冒頭のコメントをはじめとした数々のリプライである。
さぞかし、彼の凶行を非難する声が殺到しているのかと思いきや、凶行を肯定するような声が多数派だったからだ。その一部を以下に列挙する。
「あんたは英雄だよ」「君のお陰で沢山の人が救われたよありがとう」「山上徹也は世界を変えた」「山上さん、自分を責めて死なないでくださいね。応援してます」
山上容疑者のアカウントは、2019年10月に書き込まれた「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」という決意表明のような投稿で始まっている。
その後、彼の家族を崩壊に至らしめたとされる統一教会への恨みつらみが綴られていたが、安倍元首相の政策については好意的ともとれる投稿が残されていた。ツイートの内容を見る限り、「政治信条に対する恨みではない」という逮捕直後の山上容疑者の供述とも矛盾はない。
凶行へと至るまでの心理状況をのぞかせた本人による手記が、ネット民たちの関心をひかないはずもなかった。山上容疑者アカウントは、ネット民によって発掘されてから数日で凍結されたが、その間にひとけた台だったフォロワーは4万人以上に急増した。
冒頭で示した通り、その中には山上容疑者の共感する人が少なからずいた。たとえば中国のネット上であれば、安倍氏が首相在職中に靖国神社を参拝したことへの反感などから、山上容疑者を賛美する声が上がったことも理解できる。
しかしなぜ日本で、容疑者に賛同する声が上がったのだろうか。
「模倣犯」の危険性
新興宗教への多額の献金によって家庭が崩壊した山上の境遇や、安倍元首相が毀誉褒貶相半ばする政治家だったことなども要因のひとつだろう。
だが、それにしても現代の日本においてここまで公然と殺人犯が持ち上げられた例は少ないのではなかろうか。
「社会への不満から、革命への期待感を抱く人たちは一定数います。安倍元首相といういわば権力の象徴だった人物の命を奪った山上は、彼らにとって一種のヒーロー像となってしまっているのではないでしょうか」
犯罪学が専門の立正大学教授・小宮信夫氏はこう指摘したうえで、「模倣犯」の出現を危惧していると語った。
「独自性や画期性のある犯罪は、常に学習され模倣されます。今回の山上の事件もまさにそう。成し遂げた後は捕まってもいいと思って犯行に及ぶ『自爆テロ型犯罪』自体は、これまでもたびたび起きています。少し前では2008年の秋葉原通り魔事件、最近では2019年の登戸通り魔事件や同年の京アニ放火事件、2021年の大阪クリニック放火事件などもそうです。
しかし、これまでの自爆テロ型犯罪は、犯人が選んだ特定の場所を舞台にしつつも、襲う相手は不特定でした」
他の「自爆テロ型犯罪」とは違う
「一方、山上容疑者は安倍元首相という特定の人物のみをターゲットにした点が特徴的です。また動機には、社会全体に対する漠然とした不満ではなく、犯人の自分なりの正義に基づいた強烈な目的意識があり、自作の銃による凶行という点でも他の自爆テロ型犯罪と一線を画している。
すでに、この事件に触発された潜在的な模倣犯を生んでいる可能性はあると思います」(小宮氏)
山上容疑者のTwitterに寄せられた、犯罪行為を許容したり賞賛したりするような世論は、そんな潜在的模倣犯の背中を押す要因にもなりかねない。
山上容疑者はいわゆる「政治犯」ではなかったことが明らかになりつつあるが、「気に入らないヤツは殺す」という模倣犯が頻発すれば、それこそ民主主義に対する脅威となる。
そうした事態を避けるためにも、山上容疑者を凶行に走らせた種々の事象や、一部とはいえ凶行を肯定する世論が存在する現状について、究明と分析を徹底的に行うべきだ。 
●統一教会に謝罪、献金を継続…事件後も続く母親の“教会愛”に広がる驚き 7/24
安倍晋三元首相(享年67)を銃撃し、命を奪った山上徹也容疑者。捜査が進むなか、山上容疑者が事件を起こした背景に統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)との関係が指摘されている。
「山上容疑者は取り調べに対し、実母がある宗教団体に多額の献金をした結果、破産し、団体に恨みを抱くようになったと供述。その関連団体に安倍元首相がビデオメッセージを送っていたことを知り、安倍元首相と団体の関連を疑い、犯行に及んだとのことです」(全国紙記者)
このことが報じられると、ネットを中心に団体の名前として統一教会を指摘する声が続出。これを受けて統一教会は会見を開き、山上容疑者の母親が教会員であることや献金を受けていたことを明かした。
「報道によると、山上容疑者の母親が統一教会に献金した総額は1億円にも上るといいます。98年に入信した直後に土地や一戸建て住宅を売却し、02年には破産宣告を受けていたそうです」(前出・全国紙記者)
長年にわたり、霊感商法や多額の献金が問題視されてきた統一教会。今回の事件を機に、全国霊感商法対策弁護士連絡会が会見を開き糾弾するなど、再びその活動内容が注目を集め、波紋を呼んでいる。
そんななか、山上容疑者の母親は事件後に亡くなった夫の兄である伯父がいる大阪府へ。奈良地検による聞き取りにも応じているというが、各メディアによると聴取の中で母親が「今回の事件で統一教会を批判にさらして迷惑をかけてしまい申し訳ない」と統一教会へ謝罪をしていることが報じられたのだ。
前出の全国紙記者は言う。
「現在の山上容疑者の母親は、仕事をしていないため、多額の献金はできない状態だといいます。しかし、伯父は『スポニチ』の取材に対して、山上容疑者の母親が今も統一教会への献金を続けていることを明かしています。その元手として『年金から献金しているニュアンスだった』と語っていました。山上容疑者の母親は息子が事件を起こしたことで、昭恵さんをはじめ安倍元首相の家族には非常に申し訳なく思っているそうです。しかし、山上容疑者が凶行を起こした一因にもなっている統一教会への思いはあまり変わっていないようです」
献金の末に破産し、そのことに起因して息子が銃撃事件を起こした今も統一教会への変わらぬ愛を抱いている山上容疑者の母親。インターネット上には、驚きと戦慄の声が広がっている。
《山上容疑者の母親の「統一教会に申し訳ない」という言動には非常に心をえぐられる。どこにも救いがない。悲惨というほかない。》《こんな事を起こすほど息子を自分が追い詰めていたのか…という後悔や反省に何故ならないのか、全く理解ができません。普通だったら自分の信じたもの、生き様を後悔して息子に申し訳ないと思うと思うのですが》《母親に目を覚まして欲しかったのに、届かなかった。山上容疑者は母親の言葉を聞いてどう思うんだろうか、母親に容疑者と向き合ってほしかったけど、そんなとき来るのかな》

 

●山上容疑者の母親が語った“本音”「信仰は続けたい」 7/25
元宰相を2発の銃声と共に葬り去った男の半生は、虐遇への絶望と呪詛の言葉に満ちていた。家族を奈落に突き落とした新興宗教を憎悪し、ドス黒い怨念の炎を燃えたぎらせてきた暗殺犯の心の軌跡をたどる。
「今は少し落ち着いてきたけど、まだ今後のことは考えられない。まずは、安倍さんのご家族、親族の方々に謝罪したい。私の至らなさで……」
7月17日の朝、山上徹也容疑者(41)の母親は親しい統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関係者に、電話でこう打ち明けていたという。彼女が打ち砕いてしまった息子の人生。彼が行動を起こすにあたり、触発された映画があった。
3年前、愛知県常滑市の国際展示場から自宅に帰る道すがら、山上容疑者の脳裏には時折、前々日に観たその映画のシーンが、断片的に浮かんでは消えていたことだろう。
教会トップの暗殺は失敗
その日、2019年10月6日は、統一教会の信者にとって特別な一日だった。
教祖文鮮明亡き後、信者たちが「真のお母様」と崇める教団のトップ・韓鶴子(79)。彼女が、日本の信者の前に姿を見せる日だったのである。
絶対に殺す――。山上容疑者は固い決意と共に、荷物に火炎瓶を忍ばせて、イベント会場に入ろうとした。だが、
「部外者は会場に入場できず、この時、山上容疑者は計画を断念しています」(捜査関係者)
あの映画の主人公みたいにはなれなかった……。失意は深かったに違いない。
後に彼はTwitterにこう書きつけている。
〈オレがJOKERを観たのは鶴子がやって来る前日、名古屋でだった。〉(20年8月12日)
国際展示場でのイベント前日の5日、韓は名古屋市内のホテルに米下院議員や自民党議員たちを招き「ジャパン・サミット」を開いている。
その前の日、つまり19年10月4日は映画「ジョーカー」が日米同時公開となった初日だったのである。
〈ジョーカーは何故ジョーカーに変貌したのか。何に絶望したのか。何を笑うのか。〉(20年1月26日)
「ジョーカー」は、特殊な疾病を抱えた男が、社会の底辺から這い上がろうとするも、心折れ、社会へ復讐する悪役・ジョーカーになり、世上を騒乱の渦に陥れる物語である。
事件前日に送られた手紙
では、現実ではどのような道筋をたどり、山上容疑者は「ジョーカーに変貌したのか」。読み解く鍵は、彼がしたためた手紙にある。
〈ご無沙汰しております。「まだ足りない」として貴殿のブログに書き込んでどれぐらい経つでしょうか。〉
この書き出しで始まるA4判1枚の書面が入った封書の送り先は、統一教会を批判する活動を行っているルポライターである。消印は「岡山中央」になっていた。
山上容疑者は事件前日の7月7日、遊説中の安倍晋三元首相(享年67)を、岡山でも狙っており、かの地から投函したのである。もっとも、
「安倍さんが今月6日、横浜に応援演説に入る際にも山上容疑者が狙っていたという情報があります。前日、三原じゅん子の事務所に、執拗に翌日の安倍元首相の立ち位置などを確認する問い合わせがあったのです」(前出・捜査関係者)
手紙はこう続く。
〈私は「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書きましたがあの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました。〉
「銃の入手」と記しているが、実際は“自製”。昨年秋からネットで銃の作り方を調べ、部品も通販で仕入れて試作を繰り返していた。
「黒色火薬もお手製。犯行に使った銃は金属製の筒2本を木製の板やテープで固定し、発火用の電気コードを接続したものでした」(社会部記者)
深夜に異音が
家賃3万5千円、19平方メートルで間取り1Kの部屋は武器工場と化し、外に異音が漏れていた。マンション階下の住民が言う。
「月に1、2回、深夜に“ギュイーン、ドドドド”という音が響いていました」
今月5日、山上容疑者を目撃していた別の住人は、
「こちらからあいさつをしたんですが、会釈すらなく、目も伏せたまま。まるで、自分以外は世界に誰も存在しないかのようでした」
手紙の先を読もう。
〈私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産‥,この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません。
個人が自分の人格と人生を形作っていくその過程、私にとってそれは、親が子を、家族を、何とも思わない故に吐ける嘘、止める術のない確信に満ちた悪行、故に終わる事のない衝突、その先にある破壊。〉
夫の死亡保険も寄付
手紙を受け取ったルポライター、米本和広氏が語る。
「山上容疑者の犯罪は許されることではないですけど、家庭環境を考えると、その苦しみは理解できます。実際、統一教会によって家庭が崩壊してしまうケースは多いですから」
事件の背景には母親の統一教会への入信がある。山上容疑者の伯父によると、入信のきっかけは二つ。一つは、父親が1984年12月に自殺したことだ。
「翌年2月に妹が生まれたのですが、彼女は父親の顔を知りません」(伯父)
加えて、山上容疑者の兄が6歳の時に小児がんになったことも、母親を信仰の道へと駆り立てた。
「長男は7歳で抗がん剤を投与され、その翌年には頭蓋骨を開ける手術まで行っています」(同)
信仰は家族を一切顧みないものだった。
「統一教会は母親の入信時期を98年だと発表していますが、あれは間違い。本当は91年です。入会時に、2千万円を献金してますよ」(同)
3年以内に母親は合計で6千万円を教会に寄付。原資は主に夫の死亡保険金だった。
山上容疑者は手紙の続きでこう訴えている。
〈世界中の金と女は本来全て自分のものだと疑わず、その現実化に手段も結果も問わない自称現人神。
私はそのような人間、それを現実に神と崇める集団、それが存在する社会、それらを「人類の恥」と書きましたが、今もそれは変わりません。〉
親族にも献金を求め…
実際、統一教会はあの手この手で金を吸い上げた。その一つが母親も参加したという“霊肉界祝福式”だ。
「寡婦が死別した伴侶と祝福(結婚式)に臨む儀式で、参加するに当たり、教会からは多額の献金を要求されます」(宗教ジャーナリスト)
また母親は、伯父に教会への献金を乞うてもいた。
「“献金してくれ”と母親に言われてな。入信を勧められたわけではなく、お金だけ払うよう勧められたんや。“私の霊や夫の霊を慰めなさい”って。4代前までの霊を治めるために1回40万円払えって理屈です」(前出・伯父)
山上容疑者自身もTwitterで、〈オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族に家族から窃盗・横領・特殊詐欺で巻き上げさせたアガリを全て上納させることだ。70を超えてバブル崩壊に苦しむ祖父は母に怒り狂った、いや絶望したと言う方が正しい。包丁を持ち出したの(ママ)その時だ。〉(20年1月26日)と、統一教会によって、一家が苦境に立たされていった様子をつづっている。
大学は金銭面の問題で断念
山上容疑者は地元の小学校と中学校を卒業後、奈良県下の名門・郡山高校に進学する。
母親の信仰は彼の人生に暗い影を落としていたものの、その時点までは、前途は決して悲観すべきものではなかっただろう。だが、98年に建設会社を営んでいた母方の祖父が死去すると、状況は一変。母親が会社の土地を相続したが、
「それを処分して、2千万円を作り、即座に献金してしまいました」(同)
結局、母親が教会に献金したのは、保険金と自宅を含め複数の不動産の売却代金などを合計し、1億円は下らないという。結果、
「大学は入学金や学費の問題があって、断念せなあかんかった。それで、公務員として働こうと、進路を変えたんです。消防士になりたいという話が徹也からあり、そのための予備校にも通わせました」(同)
だが、努力のかいなく、「消防士の試験、筆記は通ったんやけど、実技で落ちて。かなりの近眼だったからでしょう。結局、私の親族が徹也に海自の働き口を見つけてきました」
任期制自衛官として、02年8月、海上自衛隊の佐世保教育隊に入隊。ようやく人生が上向きになるかと思われたのも束の間、今度は母親がその年の12月に自己破産に追い込まれる。
兄と妹を救おうと自殺未遂を
もはや、宗教が一家の生活基盤を根こそぎ奪ったのは明らかだ。この点、統一教会側は今月14日のコメントで、これまで自発的に一家に5千万円を返金してきたかのように説明したが、
「それは違います。私が、統一教会側に対して母親の破産の情報を全部知らせろ、献金の一覧を全部出せと迫ったんです。そしたら教会側から、5千万円で全部勘弁してくれと言ってきたんです。全部うやむやにするために」(同)
もっとも、伯父の交渉虚しく、母親は返金された分まで再び統一教会に寄付してしまったという。息子の絶望は想像に難くない。そして05年1月、“事件”が起きる。
「徹也が自殺未遂したんです。統一教会が原因で兄と妹の生活まで困窮している。そこで、自分が自殺して保険金を渡そうと考えたというわけです。本人からそう聞きました」(同)
一命を取り留め退院したのち、海自を抜けた彼は測量会社など複数の勤務先でアルバイトをしながら暮らし始める。
「生活を立て直そうとしたのでしょう、山上容疑者は働きながら宅地建物取引主任者(現・宅地建物取引士)、2級ファイナンシャル・プランナーなどの資格を取得しました」(社会部記者)
ところがそんな中、さらなる不幸が。彼が自らの命と引き換えにその生活を守ろうとした兄が、15年に将来を悲観して自殺。親族によれば、山上容疑者は葬儀で、「なんで兄ちゃん死んだんや。アホやな、生きていたらええことあるのに」そう嘆いていたという。
〈安倍は本来の敵ではない〉
兄の死をもって、ジョーカーに変貌する素地は整ったといえよう。ただあくまでも、憎しみの対象は一貫して統一教会であり、米本氏への手紙でもこう記している。
〈苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません。文一族を皆殺しにしたくとも、私にはそれが不可能な事は分かっています。分裂には一挙に叩くのが難しいという側面もあるのです。現実に可能な範囲として韓鶴子本人、無理なら少なくとも文の血族の一人には死んでもらうつもりでしたが鶴子やその娘が死ねば3男と7男が喜ぶのか或いは統一教会が再び結集するのか、どちらにしても私の目的には沿わないのです。〉
なお、ここに登場する三男は教団から追放された存在で、七男もサンクチュアリ教会なる分派を率いている。山上容疑者が韓鶴子を敵視し、“銃器礼賛”思想のサンクチュアリに属しているとの情報が一部であったが、それは誤りのようだ。
米本氏は、「“安倍は本来の敵ではない”という認識は合っていますよね。本人が自覚している通り、一番に韓鶴子を狙いたかったけど、できないから安倍さんを、というのはおかしいよね。もっと違う方法があるはずなのに、それを考えられないくらい追い込まれていたということでしょうか」
「喉から手が出るほど銃が欲しい」
一昨年末には、米本氏のブログへのコメントでも教団に対する激しい憎悪を見せていた。
〈統一教会(中略)を破壊しようと思えば、最低でも自分の人生を捨てる覚悟がなければ不可能ですよ。(中略)我、一命を賭して全ての統一教会に関わる者の解放者とならん〉
〈世界平和家庭連合? ポルポトか? スターリンか? ヒトラーか? どんな地獄だ? 人の生き血はどんな味だ?〉
〈統一教会の所業が彼ら(ヒトラーやスターリン)に比肩し得る人類に対する罪レベルだからだ。(中略)いずれ誰かが殺されるだろう。私と社会にはそれをビールでも飲みながら娯楽として消費する権利がある。行使するかは自由だが。だが言っておく。復讐は己でやってこそ意味がある。不思議な事に私も喉から手が出るほど銃が欲しいのだ。何故だろうな?〉
「信仰は続けたい」
そして今年1月、派遣先の工場で同僚と仕事の仕方などを巡って衝突。その後もトラブルがあり、5月に自己都合で退職している。
増幅する狂気がそのまま犯行直前の手紙に記された決意につながっていることが分かる。“狂弾”の原因を作った母親の現在の心境は冒頭で紹介したが、教団に対してはどう思っているのか。前出の統一教会関係者が声を潜めて言う。
「母親は安倍さんのご家族に謝罪したいとは話していましたが、一方で、息子さんがこれだけ重大な事件を起こしたのに、教会の批判は一切、口にしていません。事件後も“私の至らなさで、こんなことになってしまった。でも、信仰は続けたい”と言っています」
この期に及んで、信心は揺らいでいないというのだ。
一方で、山上容疑者の妹に遭遇した知人は、こう打ち明けられたという。
「あの事件あったやろ。あれの犯人、ちょっと身内っていうか、私のお兄ちゃんやねん。だから今ちょっと面倒くさくて大変なんや。でも、もう4年くらい会ってないし、一緒に住んでもおらんから、事件起こしたとか言われても、知らん」
山上容疑者の手紙は最後、こう結ぶ。
〈安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません。〉
だが邪宗にもたらす意味、結果は明確に見通していた。彼はこう供述している。
「自分が安倍氏を襲えば、家庭連合に非難が集まると思った」
●山上容疑者「精神鑑定」へ…“刑事責任”起訴か判断 7/25
マンションからダンボールに入った押収物を、次々と運び出す捜査員。
安倍晋三元総理大臣が銃撃された事件で、奈良県警は24日、山上徹也容疑者(41)の自宅を再び家宅捜索しました。
山上容疑者を巡っては、関係者によりますと、奈良地検が刑事責任能力があったのか調べるため、専門家による精神鑑定の実施を奈良地裁に求め、認められたということです。
奈良地検は、鑑定結果を踏まえて、起訴するかどうか判断するものとみられます。
●山上徹也容疑者の鑑定留置始まる…「母親を恨んでいる」 7/25
安倍元首相が殺害された銃撃事件をめぐり、殺人の疑いで逮捕された山上徹也容疑者の刑事責任能力を調べる鑑定留置が、7月25日に始まった。
同日午前、山上容疑者はこれまで取り調べを受けていた奈良西警察署から大阪拘置所へと身柄が移された。鑑定留置は、11月29日までおこなう方針だという。
山上容疑者は、母親が「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に多額の献金をしたことで、家庭が崩壊したと主張している。報道によると、山上容疑者の母親が旧統一教会に献金した総額は、1億円にも上るという。さらに24日、山上容疑者は「母親を恨んでいる」との供述をしたとも報じられた。
一方、7月22日、NHKは、母親が検察に対し「今回の事件で旧統一教会を批判にさらして迷惑をかけてしまい申し訳ないという趣旨の話をしている」と報じた。立ち会った親族への取材でわかったというが、旧統一教会をめぐる母子の思いは、決定的なまでに食い違っている。
本誌は、山上容疑者が知人の男性に「統一教会がなければ、今も家族といたと思う」と語っていたことを報じている。
ふだんはあまり感情を出さない山上容疑者が、「統一教会は、安倍と関わりが深い。だから、警察も捜査ができないんだ」と怒りにまかせたように話していたという。
母親は1998年ごろ、同教団に入信し、翌年6月には土地や一戸建て住宅を売却。2002年に破産宣告を受けていたとも伝えられている。ネット上では、母子の “交わることのない思い” を嘆く声が多く寄せられている。
《山上母にとって統一教会は、自分と家族を災厄から守るものであり、家族も入信しさえすればその後に続く不幸は回避された筈と考えまたそう示唆もされたと思います》《母親が息子ではなく、教会に申し訳ないと話した記事を読んで心が痛みました》《信仰の自由があり本人が覚醒しないことには誰も止められない》
家族への思いが、“恨み” に変わってしまった悲劇だーー。
●母親への恨み供述 母親は「亡くなった夫の霊を慰めるため・・・」と多額献金 7/25
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件。逮捕された山上徹也容疑者(41)の事件当時の精神状態を調べる「鑑定留置」が7月25日に始まりました。
7月25日午前10時すぎ、山上徹也容疑者が、勾留されていた奈良西警察署を出発しました。鑑定留置先となる大阪拘置所へと身柄が移送され、7月25日から11月29日まで刑事責任能力の有無を調べる鑑定留置が行われることになっています。
山上容疑者は7月8日に奈良市内で演説中だった安倍晋三元総理を銃撃して殺害したとして送検されています。これまでの警察の調べに「母親が旧統一教会にはまり多額の献金をして破産した」「母親の入信で家庭がめちゃくちゃになり母親を恨んでいる」という趣旨の供述をしていて、犯行動機については「教会を恨んでいて、安倍元総理は教会とつながりがあると思い狙った」などと供述しています。
警察は、母親や教会への恨みが安倍元総理の殺害に繋がったと見ていますが、親族によりますと、その山上容疑者の母親は検察の調べに対して「事件で旧統一教会が批判され迷惑をかけ申し訳ない」と話しているということです。
また山上容疑者の母親は「亡くなった夫の霊を慰めないといけない」などとして、旧統一教会に多額の献金を繰り返し、家族とトラブルになっていたといいます。
警察は、7月24日に山上容疑者の自宅の3度目の捜索を行ったほか、25日朝は事件があった近鉄大和西大寺駅前で検証を行うなど、綿密に犯行の裏付け捜査を進めています。
●夫と長男が自殺、次男が元首相殺害…それでも信者を続ける母親の"頭の中" 7/25
山上徹也容疑者(41)の母親はなぜ、旧統一教会への入信を続けているのか。元信者だったジャーナリストの多田文明さんは「夫や長男の自殺といった家族の悲劇や、次男による凶行事件は、母親が宗教にのめりこみさえしなければ避けられたように思います。母親自身もそれを理解しているはずですが、頭の中は完全に教義につかっており、簡単に抜け出せない状態です」という――。
自分のせいで家族が破綻…なのに信者をやめない理由
安倍晋三元首相を綿密な計画で銃撃した山上徹也容疑者(41)。すでに報じられているように、その動機については旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)に入信した母親が約1億円を献金したことで家庭が破綻したこと、また、元首相のことを教団のシンパであると考えたことがあるとされています。
容疑者ファミリーが歩んだ歴史は壮絶なものです。容疑者の父と兄は自殺、本人も自殺未遂。そんななか、母親は宗教にのめりこみ続け、自宅などを売り払ってまで献金。現在も旧統一教会に在籍し、年金から献金しているといった報道もあります。下記は、現在までに報道されている容疑者ファミリーの主な歴史です。
容疑者のファミリーに起きた出来事
・父親:京都大学卒で、会社を経営していたが、母親(妻)が別の宗教にのめりこんだことを苦に自殺。
・兄:7年前に病を苦に自殺。
・母親:夫の生命保険、実父から相続した事務所や自宅を処分し、さらに献金
・容疑者本人:自衛隊に入隊していた任期中に自殺未遂事件、奈良県で安倍晋三元首相を銃撃。
家族の悲劇は母親が宗教にのめりこみさえしなければ避けられたものも多いように思われます。
なぜ、自分の大切な家族がつらい目に遭い、息子が自死を選択し、さらに元首相の殺害行為に及んでしまったのにもかかわらず、母親は信仰をやめることをしないのか。不可解に思う読者の方も多いのではないでしょうか。
カルト的な思想を宗教にハマる人の心のメカニズムとはいったいどんなものなのでしょうか。
旧統一教会「献金はご自身の意思で行う」は本当なのか
旧統一教会の恐ろしさは、筆者のように中に入って信者となったものにしかわからないものがあります。
凶弾に倒れた安倍晋三元首相がビデオメッセージを寄せた旧統一教会の関連団体・UPF(天宙平和連合)には、米ドナルド・トランプ前大統領からもメッセージが寄せられていました。政治家や有名人などが賛同するような関連団体は多くあり、一見すると問題があるようには見えないかもしれません。しかし、外側からだけではあの教団の本質は見抜けません。
7月11日に都内で実施した会見で、教団は「(旧統一教会の)行事や企画で献金要請されることはありません」「献金はご自身の意思で行う」と発言しました。
これを聞いて、元信者だった人の中にも「私も、自ら献金をした」と思っている人がいるかもしれません。しかし、それは違っています。献金するように誘導されているのです。
約10年間、「中の人」となり、その後、ジャーナリストとして長年、詐欺や悪質商法を見てきたからわかることですが、だます側はお金を払わせる際、本人に選んでいるように思わせて、実際のところ、その選択肢しかない状況に追い込んでいることがよくあります。
例えば、一時期、被害の多かったものに「買え買え詐欺」があります。旧統一教会とは直接関係ありませんが、その手口としてはきわめて似た要素があります。
詐欺グループはある高齢者宅に、「近くに○○老人ホームが完成予定した」とのお知らせと、その施設への入居権利の申込書を郵送しておきます。そしてそれが届いた頃に、老人ホームとは関係のない業者を装い、電話をかけます。
「○○老人ホームの完成予定のお知らせと入居権の申し込み書が、お宅に届いていませんか?」
「ありますよ」
「本当ですか? 実はこのホームに入居したい人がいるのですが、それが届いた人しか申し込めないようになっています。代わりに申し込んでもらえませんか?」と懇願してくるのです。
これを聞いた高齢者は次のように思いつきます。
「自分が申し込めば、困っている誰かの助けになるかもしれない」
そう思い申し込み、自分の名義を貸して、高額な権利金を払い、結果的にお金をだまし取られてしまうわけです。詐欺犯らは、高齢者らに「自分にしかできないことだ」と思い込ませて、申し込むように仕向けているのです。これと同じようなことが、旧統一教会の献金や霊感商法による物品購入でも行われています。
旧統一教会で勧誘する側にいた著者が語る恐怖の“手口”
筆者自身は、大学4年生の頃、旧統一教会を隠した勧誘にひっかかり、教団に入りました。友人からバレーボールに誘われたのがきっかけでした。その後に自己啓発のサークルに誘われて、勉強をすることになります。私が信者だったのは1987年から10年ほどです。
旧統一教会ではその人の持つ悩みや不安に付け入ろうとしてきます。当時の筆者は就職への不安を抱えていました。「ここで学ぶことで視野を広げて、願う企業に就職したい」と思うなかで、自己啓発の勉強に自分で申し込みをしたつもりでいました。その先には、ライフトレーニングなど、信者にさせるためのステップが続きますが、これらもまた自分で選んでいたつもりでした。
しかし、後に組織の内情を知るうちにそうではなく「選ばされていた」ことに気づきます。
筆者は教会内で「講師」と呼ばれる肩書を与えられて、長く務めました。
90年代当時の教会の勧誘手法はシステム化されていて、そのレールに乗せることで、新しい信者を量産していきました。勧誘をする者は、とにかく入口の自己啓発サークルに誘い入れれば良いので、必死になって多くの人に声をかけます。
仮に、会社に勤務しているA子さん(貯金500万円)が勧誘されるケースでお話します。
街頭では「自己啓発の勉強をしてみませんか?」「姓名判断を受けてみませんか?」というだけで、統一教会であることは告げずに、勧誘場所に誘い込みます。自分の人生をよりよくするために、自分は今、何をすべきか。そんな思いや悩みを抱く若者は少なくありません。「自己啓発」というフレーズが刺さるケースもあるに違いありません。
A子さんが声をかけられて自己啓発サークルに入会すると、ビデオでの勉強を口実に、教義を徐々に植え付けていきます。筆者の時にも「聖書の勉強をしている」と思わせながら、実際には、統一教会の教義を教えられました。
数カ月して、教義がある程度、頭にすり込まれたところで、2日間の泊まり込みの「セミナー」に参加させます。ここでは受講生の心に訴えるような講義がなされますが、実はこの「お泊り」が大事で、教団では信者になると、ホームと呼ばれるところで四六時中、共同生活をすることになりますので、その第一歩として2日間のセミナーを経験させます。
セミナーを終えたA子さんには不思議な高揚感があり、教団側はすかさず次のステップである、2週間の泊まり込みが基本の「ライフトレーニング」への誘いをしてきます。A子さんは会社に通いながら、夜には講義をして泊り、会社に行くということになるでしょう。
ライフトレーニングの最終日近くで、ようやく「統一教会」であることを告げられます。そして次のステップである、「4日間セミナー(4Days)」に参加することになり、その後も延々とトレーニングは続き、信者となっていきます。
おそらく多くの人は、A子さんは自ら選んで先に進んでいると思うかもしれません。しかし、そうではないのです。すでに教義が心に刷り込まれている状況では、霊界の実在や神様の存在も信じさせられています。神様の言葉を守った行動を取らなければ「不幸になる」「地獄にいく」とも思わされていますので、先に進まざるをえない状況なのです。
特に筆者は長くライフトレーニングの講師を担当しました。ここでは、最終日近くに「統一教会である」ということを告げることになります。
ある時、こんなことがありました。
統一教会に嫌悪を抱いたのに、自ら飛び込む信者
1992年8月に3万組の合同結婚式がありましたが、それを前にテレビのどのチャンネルも統一教会に関する話題ばかりでした。ライフトレーニングの受講生たち(6〜7人)とテーブルを囲んでお昼を食べていました。テレビから流れる合同結婚式の映像に受講生らは「気持ち悪いね」「誰がこんな宗教に入るんだろう」「信じられない」などと言っています。
午後の講義が始まります。そして最後に「さて、皆さんが学んできた講義内容は誰が解明されたかというと」と言い、黒板に「世界基督教統一神霊協会」と書きます。
「先ほど、皆さんがテレビで見ていた、統一教会の文鮮明先生が解き明かされた内容です」
すると、受講者たちは一瞬、絶句し、その後、「えっ」「うぇ〜」という悲鳴にも似たような声を出します。それはそうでしょうさっきまで、悪口を言っていた団体なのですから。
さて、その後はどうなるか。
このときは全員、次のステップである4Daysに参加しました。そしてその次のトレーニングにもほとんどの人が参加して、信者としての道を歩み始めます。
ここがこの勧誘システムの恐ろしいところです。あんなに合同結婚式を行う統一教会に嫌悪感を抱いていても、次の瞬間、受け入れてしまう状況に追い込まれるのです。
ここにはカラクリがあります。
実は受講生はそれまでに受けたビデオによる勉強会などで感想文を書き、その時に話をした内容はカウンセラーの所見として報告され、本人の悩みを含めてストックされていて、個人情報は組織内ですべて共有されています。
当時、筆者の上には教育部門をつかさどる長がいました。その人を中心に、毎日のように、「どうやって信者にしていくのか」という会議が行われます。「統一原理は受け入れているか」「本人は何を動機にして、統一教会の教えを聞いているのか」「霊界の存在はどのくらい信じているか?」「お金はどのくらいもっているか?」などです。
一人ひとりの受講生の状況が報告され、講師やトレーニングのスタッフがどう接するべきかの指示がなされます。
さらに、「統一教会という名を明かした時にどういう態度をとるか」「拒否した時には、どういう対応をとればよいのか」など事細かに指示されて、対策が打たれています。そして、相手が断るだろう言葉はすべて封じておくのです。
仮にA子さんが「だまして教えたのですか!  統一教会の悪評は知っています!」と、言ってくることが想定される時には「マスコミはすべての真実は話してくれません。今まで接してきた人たちがそんな悪い人たちに思えますか?」と切り返します。
さらに「もう少し先に進んで、真実を確かめても良いのではないですか?  イエス・キリストのように、真実を話すものは言われなき誹謗(ひぼう)中傷を受けるものです」と諭すのも常套手段でした。
統一教会と言われて、相当反発することが予想される人には、個別の部屋を用意して、他の人への悪影響を及ばさないようにさせることもあります。すべての否定的要素は封じておくのです。
受講生らは心が教義に染まっている状況である上に、このような万全の対策を取っています。そこで「4daysはどうする?」とわざと聞きます。しかし、彼らはすでに「先に進みます」というしかない状況に追い込まれています。
自分で選んだように思わせて、先に進ませる。これが手なのです。
つまり、旧統一教会内ではその人の個人情報は丸裸になっており、組織的個人という完全アウエーの状況で、受講生らを信者への道を歩ませます。
しかしこれは信者教育だけに限ったことではありません。献金や物品購入においても同じです。もしA子さんが500万円の貯金があったとします。すると、そのことが会議のなかで取り上げられます。
「霊界、因縁は信じているか?」「救われた実感を持っているか?」などの話がなされています。特に「神の言葉に反したら、神の子になれず、地獄にいく」「不幸な人生になってしまう」「家族、親族が悲惨な状況になる」などの恐怖心を感じているかが、大事なポイントになっていたように思います。
こうした入念な打ち合わせが行われた後に「先祖の悪因縁があるということで、100万円の印鑑を買わせなさい」と指示がなされます。
さらに「4Daysで、統一教会のことを受け入れたら、次のトレーニングで、お父様(文鮮明氏)の神の国をつくるため、残りの400万円を献金させるようにしなさい」という方針が決められて、後日、A子さんに実行されます。
すでにA子さんは、統一教会の教えに染まっているので、手のひらで転がされるように全額を統一教会に払ってしまうわけです。
なんで統一教会に入信してしまい、多額の献金をしてしまうのだろうと思う方は多いと思います。この「自発的に入信した」「自分から、神の国実現のために献金した」と誘導させる手口こそが恐ろしいのです。
夫と長男を失い次男が逮捕でも信者続ける母の「頭の中」
山上容疑者の母親も、自らの旧統一教会への入信が家庭崩壊のきっかけになり、息子が安倍元首相を銃弾で打った動機になったかもしれないことは、頭の中ではよくわかっていると思います。しかし、それでも信者をやめられない。
その理由は、教団をやめたら「事故や病気になり、不幸になる」「サタンの側になってしまい、地獄にいく」という恐怖心が大きいはずです。しかしそれだけではなく、教義を知ることで心が救われた実感を持っていることもあると考えられます。
筆者のいた旧統一教会では、これを「救われた実感」という呼び方をしていました。
これまで述べてきたように、旧統一教会の教えが入った人物に多額の献金をさせるか、させないかは上層部との会議のなかで決められて、そこでたてられたストーリーのなかで、本人に「救われた」という思い(救われた実感)を持たせて、お金を出させています。
入信も同じで「自分が選んで入った」のではなく、実際は「(教団側の言葉に)思いつかされて、その道を選ばされた」のですが、このことに気づくには、旧統一教会の内部事情を知り、信者時代の自分の行動を振り返る必要があり、容易ではありません。
自分の行動を振り返り……例えば、霊感商法の商品を買った際、自分から「買います」と言ったのはなぜか、と心の中を見つめ直し、実は「買います」と言わされていたという現実に気づけるか。自分の心に旧統一教会がくくりつけた偽りの糸を一つひとつ外していかなければなりません。
信者にとってこうした作業はしんどいものです。なぜなら、長年信じていたものを手放すことは、これまでの自分の人生への否定にもなるからです。
容疑者の母親は20年以上の信者といわれています。当時の記憶をたどりながら、だまされていたという現実に気づくには、おそろしく長い時間がかかるでしょう。母親が今も、統一教会を信じ続けたい思いは、元信者としてはよくわかりますが、教え込まれたマインドコントロールを解くためには、絶対に向き合わなければならないことなのです。
●統一教会と政治家 2年前設立の議員連合“顧問”に関連団体「議長」も… 7/25
安倍元首相が銃撃され殺害された事件をきっかけに、いわゆる“統一教会”の「世界平和統一家庭連合」と政治家の関わりが続々と明らかになってきています。こうした中、約2年前に設立された世界平和の実現などを目的とする議員連合の役員名簿を入手しました。
25日午前10時過ぎ、ややうつむきながら車に乗り込んだ山上徹也容疑者。奈良西警察署を出発し、約1時間後、鑑定留置のため大阪拘置所に入りました。今後、約4か月間、刑事責任能力を調べるための鑑定留置が行われます。
山上容疑者が恨みを募らせ、犯行に至ったきっかけとみられている、「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”。かつて霊感商法などが社会問題化した教団を巡って、今、問われているのが、教団と政治家の関係です。
2018年、“統一教会”の友好団体が岡山県で主催したというイベントで、来賓の代表として祝辞を述べたのが、自民党の逢沢一郎議員でした。
自民党 逢沢一郎議員「みなさま、こんにちは。衆議院議員、逢沢一郎です」「(韓鶴子氏)総裁より本当に高額な多額な心のこもったご奉仕を頂きましたこと、ご寄付をいただきましたことを、私からも心から厚く感謝御礼を申し上げます。誠にありがとうございました」
当時、西日本豪雨で被災した岡山に「寄付をいただいた」として、教団の現総裁・韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏に感謝を述べていました。
銃撃事件をきっかけに、“統一教会”と政治家の関係が続々と明らかになる中、約2年前に設立された世界平和の実現などを目的とする議員連合の役員名簿を入手しました。
顧問の1人として記載されているのは、「UPF-Japan」の議長を務めているという人物です。UPFといえば、安倍元首相がメッセージを送っていた“統一教会”の関連団体です。
そして、この議員連合のトップ「名誉会長」として記載されているのが、先月には国会の閉会を宣言していた衆議院議長の細田博之氏です。実は、3年前、韓鶴子氏も参加していた会合に参加していました。その時の映像が主催団体のHPに公開されていました。
司会「衆議院議員の細田博之先生にご登壇いただきます」
拍手を浴びながら登壇し、語ったのは――
現・衆議院議長 細田博之氏「きょうの盛会を、会の内容を安倍総理に早速、ご報告致したいと考えております。韓鶴子総裁の提唱によって実現した、この国際指導者会議の場は、大変意義が深いワケでございます」
当時の安倍首相の名をあげ、韓鶴子氏をたたえていました。細田氏と教団はどのような関係なのか質問すると、細田氏側から「回答はすべて差し控える」との返答がありました。その後、会合を主催した団体のHPからは、この映像が消えていました。
議員連合の名簿に名を連ねる多くの議員は、“統一教会”との関係が疑われます。かつて、安倍内閣で防衛副大臣を務めた自民党の山本朋広議員もその1人です。2015年、自身のFacebookに「大学の先輩である平和連合の会長が来所。いくつか要望を頂きました」などと“統一教会”の幹部と会合した様子を投稿しています。
どのような要望だったのか、事務所に確認すると――
山本議員の事務所「相手方もあることですので、個別の問い合わせには回答しておりません」
一方、古くから“統一教会”を追及してきた共産党は、教団と政治家の関わりについて今後、超党派で調査を行う考えです。 

 

●旧統一教会に「申し訳ない」 山上容疑者母、地検聴取に―安倍氏銃撃 7/26
安倍晋三元首相が奈良市で銃撃され死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=の母親が奈良地検の事情聴取を受け、入会している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に「申し訳ない」と謝罪の気持ちを述べていたことが25日、分かった。山上容疑者の伯父が取材で明らかにした。
母親は事件発生後、伯父宅に身を寄せており、伯父は地検の聴取に立ち会っていた。山上容疑者はこれまでの奈良県警の調べに「母親が多額の献金をして破産し、家庭が崩壊した」などと供述し、旧統一教会への恨みを口にしている。
伯父によると、母親は1991年に旧統一教会へ入会し、その後に総額約1億円を献金した。銃撃事件後、奈良地検は約4時間にわたり母親を聴取したが、伯父は両者のやりとりについて「話が合わない。彼女(山上容疑者の母親)のいる世界は霊の世界だから」と指摘する。母親は聴取に小声で応じ、伯父の目には旧統一教会に迷惑を掛けて落ち込んでいるように映ったという。
旧統一教会側は、母親に5000万円を返金したと説明している。母親が電話で話す声を耳にしたという伯父は、「5000万が何とか言っていた。(旧統一教会関係者と)何らかの連絡を取っているのではないか」と述べた。母親は旧統一教会の本や関連書類を伯父宅に持参したという。
伯父は「彼女にとっては(旧)統一教会が全てで、人生そのものという感じだ。息子のことなんか考えているわけがない」と強調。母親がいまだ強い信仰心を持っているとの見方を示した。
●山上容疑者「昨春から試し撃ち」 1年以上、習練重ねたか 7/26
安倍晋三元首相の銃撃事件で山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検、鑑定留置中=が「昨年春ごろから、つくった銃の試し撃ちを奈良県内の山中で何回もした」と供述していることが26日、捜査関係者への取材で分かった。山中では弾痕のような痕跡がある木製板などが見つかっており、奈良県警は1年以上にわたって習練を重ねたとみて捜査している。
捜査関係者などによると、山上容疑者は21年春ごろから銃をつくり始めたと説明。自宅とは別に21年3〜9月ごろに集合住宅の一室を、同11月〜今年2月ごろにシャッター付きのガレージを契約しており「火薬を乾かすために借りた」と説明している。
●山上徹也容疑者の鑑定留置を開始 「そもそも鑑定留置とは?」 7/26
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)の事件当時の精神状態を調べる「鑑定留置」が7月25日から始まりました。山上容疑者の精神鑑定が行われるということですが、「そもそも鑑定留置とは何か?」「なぜ行われるのか?」「検察の本当の狙い」について刑事弁護に詳しい川崎拓也弁護士に話を聞きました。
「心神喪失」「心神耗弱」とは?
―――鑑定留置は、検察官が精神科医に鑑定を依頼し、その鑑定のために勾留を停止し留置するという措置がとられるということですが、どんなことが具体的に行われるのですか?
「専門の精神科医の先生が鑑定人として選任されて、その方が主に面接・面談という形で被疑者の方に直接お会いしてお話を聞いて、あるいは周囲の関係者の方にお話を聞いて。ときには病院に行ってMRIなどの検査することもあります」
―――検察官が鑑定を依頼した場合は必ず鑑定留置が行われるのですか?
「裁判所が許可をしたときに鑑定留置となります」
―――山上容疑者の鑑定留置は11月29日までということで、4か月間という期間についてはいかがですか?
「4か月という期間自体はそんなに珍しくはなくて、やや長いかどうかぐらいです。面談自体は何度か行って、ドクターと被疑者の方との信頼関係もありますし、複数の面談を行うことで客観性を高めていくということもあるので、時間がかかってくるのかなと考えています」
―――鑑定留置が行われて、刑事責任能力の有無を判断するということになり、もし刑事責任能力がある場合は起訴されるということですが、刑事責任能力がない(心神喪失)場合は不起訴ということがあり得ると。どれぐらいの割合で起訴・不起訴となるのでしょうか?
「これはそれぞれの事件、あるいは被疑者の方の状況にもよります。また数字もはっきりと出ているわけではないのでわからないのですが、やはり重大事件の場合はどちらかというと『あり』の方向になる数の方が相当多いのかなというふうには思います」
―――山上容疑者の場合は起訴された場合、殺人以外に銃刀法違反・武器等製造法違反に問われる可能性もあるということですか?
「おそらく模造、自分で作られた凶器でされたということですので、それが銃刀法上の銃に当たるのかどうか、あるいは武器に当たるのかどうか、これは捜査を尽くした上で判断していくんだろうなというふうに思います」
―――鑑定留置の結果、「心神耗弱」という場合は刑を軽減することもあるようですが、この心神耗弱というのはどういう状態のことを指しているのですか?
「法的には、事理弁識能力、善悪がそもそも判断できないかあるいは全く自分をコントロールできないときには、心神喪失。その能力が著しく減退し、かなり減退するというときには、心神耗弱というふうになっていますので、その程度問題ということになります」
―――そして起訴後、弁護側が精神鑑定を行うこともできるんですね?
「もちろん弁護側あるいは被疑者の側も私的にドクターをお願いして精神鑑定的なことを行うということはできるんですが、なかなかやはり自由に体を動かせるわけでもないですし、自由に面談できるわけでもないので非常に難しい。あるいは起訴後に裁判所に求めていくこともできるんですけども、これが採用されるかどうか、これも事件ごとによってだいぶ変わってくるのかなという状況です」
計画的だからといって責任能力があるとは限らない?
―――今回、山上容疑者は計画的な犯行だったのでしょうか。安倍元総理の岡山市の演説会を4日前に把握していたとされ、銃を作るたびに試し打ちをした、奈良に来ると知り犯行を決意した、というような情報があります。その限られた情報だけを聞いていると、計画的だったのではないかと感じてしまいますが、豊田さんはどう思われますか?
元厚労省官僚・元衆議院議員 豊田真由子さん「鑑定留置に限らず、川崎先生もおっしゃいましたけど、精神科の診察・診断というのはものすごく難しくて、すごく本当に経験も豊富な素晴らしい精神科医の方がお2人いて同じ人物を精神科として診察しても、結果が真逆になることだってあるわけですよ。ですし、やっぱりそれだけの時間と信頼関係を作っての上でのいろんな検査もした上で、本人の小さい頃からのいろんな生育歴ですとか考えていることとか、場合によってその周囲の方の話とかも聞いた上で、総合的に『こうかな』という判断をするということなので、そんなに白黒簡単に付くわけではないし、世の中で必ずこれが1つ正解だというものが出るわけでもないという難しさがすごくあるので、やっぱり予断を持ってこうじゃないかああじゃないかということはなかなか難しいんだと思うんですよ。ただ、ご遺族のお気持ちとか考えたら、どんな事件でもそうですけど、刑法39条の心神喪失だから罪には問えないというふうになってしまうことで、持って行き場がなくなるというその切なさ自体は社会にはあるとは思うんですね。ただ、この法律にのっとってきちんとどうかっていうことをやるということですし、今回裁判員裁判ということになると、一般の方が判断するにあたって、責任能力の有無を専門家の方がどう判断したのかということは1つ大事な指標ではあるので、慎重に行われると思います」
―――どんな精神科のお医者さんが選ばれるのか、川崎さん教えていただけますか?
川崎拓也弁護士「捜査段階のこういう鑑定留置、検察官が請求する場合は検察庁の方で鑑定嘱託という形で選んだ方ということになります。もちろんドクターですので客観的にやられるんだとは思いますが、やはり弁護側からすると、若干どういう人選になっているのかというのを注目するということも十分ありえます」
―――鑑定留置を行う検察の狙いというところが1つポイントだと思います。川崎さんの指摘として、計画的だが妄想に支配された状態で犯行を行っていることもあり、責任能力に疑問を抱く人も少なくないと。計画的だからといって、責任能力があるとは限らないわけですか?
「まず前提として、今出てる事実関係というのは捜査機関から出ている情報ですので、どこまでが真実かということはあるにしても、仮にこれが事実だとしてもですね、計画性があるからイコールすぐに責任能力があるということにはならない。例えば、ある一定の妄想に支配されて犯行に至るというときには、妄想から犯行まではそれなりに合理的だけれども、スタートの妄想が病気の影響を受けているとかそういうこともあり得ますので、計画的イコール責任能力があるというふうには言えないんだろうなというふうに思います」
―――検察側が鑑定を依頼するということは、刑事責任能力があるということを証明させるために鑑定を行わせるというのが検察の筋道ですか?
「基本的にはそういう発想はあると思います。我々よく“片道切符”なんて言いますが、ひとたび起訴すると戻れませんので、起訴する前には全ての争点についてそれなりの立証材料を持っておく必要がある。本件に関してどこまでの見立てを持っているかということは別ですけども、検察官としても立証するために、きちんとこの段階で鑑定をしておく、そして鑑定書という証拠を手に入れておく、これは1つの捜査手法としてよくある形なのかなと思います」
何が量刑に影響を与える?
―――山上容疑者は旧統一教会への恨みから安倍元総理を襲撃したとみられています。責任能力の軽減はあるのか、家庭環境の考慮はあるのかという点について、川崎さんによりますと、弁護側は責任能力軽減を主張する可能性はあるということです。これはどういう理由からでしょうか?
「今、報道で出ている情報を前提にすると、一定の旧統一教会への恨みというものがあったんだと。そこから一足飛びに、すぐにこの殺人事件まで至るかというと、そんなことはないわけで。そこに一定の論理の飛躍というものがあり、そしてそれが何らかの精神疾患が影響しているのであれば、それは一定の責任能力の軽減というものがあったんではないか、限定的なのではないか、こういう主張する可能性というのはあるんだろうなというふうに思います」
―――家庭環境が動機の面や責任能力で考慮される可能性はあるのでしょうか?
「何らかの精神疾患がもし発現したあるいは助長されたということに家庭環境が影響するということもありえますし、あるいは動機形成の中で無差別にしたわけではなくて、もちろんこういうことがあってはならないわけですけれども、その中でどういう経緯があったのかということは、もし将来裁判になって量刑を決める、刑の重さを決めるときには当然要素になってくるのかなと思います」
―――今回の事件の被害者は元総理ということで、量刑に影響を与える可能性はどうなのかということですが、川崎さんによりますと、命の重さはみな同じで、被害者がどんな人物かよりも、大勢の観衆がいる前で拳銃を使ったということや、どんな気持ちで行ったかが量刑を決めると思われるということですね?
「難しい問題なんですけれども、まず刑を決めるときには、どんな危ないことをどういう気持ちでやったのかということが重要になってきます。どんな方が被害者であるのかというのも、もちろんご遺族にとっても社会にとってもすごく重要な要素ではあるんですけれども、それであれば亡くなった人によって重さが違ってしまう。これが本当にいいのかということは当然あり得るわけで、できるだけ客観的にどんな行為をしたのか、そしてどんな気持ちだったのか、これがやはり量刑を決める重要なポイントになってくるだろうなというふうに思います」
元厚労省官僚・元衆議院議員 豊田真由子さん「今のところはすごく大事なところです。私は安倍元総理と仕事をしましたけれども、今、申し上げたいのは、日本は法治国家で民主主義国家なので、被害者の方がどなたであるかによって、全く同じ対応で同じ犯罪を犯したのに刑が変わるってことは絶対ないんです。あってはいけないことで、命の重さはどんな方も同じなので。元総理であろうが誰だろうが命の重さは同じ。川崎先生がおっしゃっているのは、大勢の人がいる中で拳銃を打ったので他の人に当たるかもしれなかったとか、その危険性を考慮するという話で、命の重さは変わらないし、どなたであっても同じように罰して同じように刑をするのが日本国の法治国家としての私は矜持だと思っています」
―――今の段階では限られた情報しかありませんが、どういった刑があるか、川崎さんはお考えになりますか?
川崎拓也弁護士「非常に難しいです。やはり事実関係が明らかになっていない中でのことですので、なかなか一足飛びには申し上げられないんですが、やはり、拳銃を使っているということ、そして、大勢の方がいる中で、しかも選挙活動中にあったということ、その意味ではやはり危険度の高い行為であったことは間違いありません。拳銃を使ってることも含めて相応にやはり重い刑にはならざるを得ないんだろうなというふうには思います」 
●国家公安委員長、旧統一教会との関係「事実」と認める 7/26
7月26日、二之湯智国家公安委員長が、旧統一教会との関係を認めた。2018年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が主催したイベント「ピースロード」において、京都府実行委員会委員長を務めていたのは「事実」だと、閣議後の会見で明らかにした。
二之湯氏は「政治家はいろいろなお付き合いがある。平和の祭典、運動を起こすので、ちょっと名前を貸してほしいというので貸した。それ以上の付き合いはない」とし、イベント当日には集まった人たちの前でスピーチしたことも認めた。
政治家と旧統一教会との関係がクローズアップされるなか、よりによって警察組織を管理する立場にある国家公安委員長までも――。
あまりに不適切な行為と言わざるをえないが、本誌では7月15日に、二之湯氏と旧統一教会との関係を報じている。
2021年4月、国立京都国際会館で開催される予定だった『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い』というイベントがある。実行委員長は旧統一教会の京都教区長で、「天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合」や教団系列組織「京都府平和大使協議会」などが共催しており、実質的に旧統一教会の主導イベントだ。
そして、その『呼びかけ人』に名を連ねているのが二之湯氏だった。本誌は二之湯氏の事務所に、旧統一教会との関係について質問書を送ったが、返答はなかった。
「安倍晋三元首相の銃撃事件で批判を浴びている警察組織ですが、国家公安委員長が旧統一教会と親しい関係にあるとすれば、さらなる批判は避けられません。警察全体への不信にもつながりかねない。二之湯氏が国家公安委員長になったのは2021年10月で、これらのイベントはいずれも就任前です。岸田文雄首相は、任命責任を問われても仕方がないでしょう」(政治部記者)
二之湯氏は、京都市議を経て、2004年の参院選で初当選し、3期務めた。今回の参院選には出馬せず、7月25日の議員任期満了をもって政界を引退した。
だが、国家公安委員長については「やめろと言われない限り一生懸命取り組んでいきたい」と、民間人の立場で職務を続ける意向を示している。
7月26日には、岸信夫防衛大臣も「旧統一教会の方と付き合いもあるし、選挙の際にも手伝ってもらっている」と関係を認めている。こんなことで国を守ることができるのだろうか――。 

 

●安倍氏への謝罪口にせず 山上容疑者、銃撃なお正当化か 7/27
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)が、奈良県警の調べに、安倍氏に対する謝罪や反省の言葉を口にしていないことが27日、捜査関係者への取材で分かった。自らの行為をいまなお正当化しているとみられ、奈良地検は鑑定留置を通じ、山上容疑者の刑事責任能力の有無を調べる。
捜査関係者によると、山上容疑者は母親が信仰する旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への恨みが動機だと供述し、当初は家庭連合トップの韓鶴子(ハンハクチャ)総裁の襲撃を画策。令和元年10月、韓総裁がイベントのため来日した際には火炎瓶を持って会場に出向いたが、警備の厳しさから断念したとされる。
その後、安倍氏が旧統一教会とつながりがあると思い、襲撃したと説明しているが、一方で「(安倍氏の)政治信条に対する恨みではない」とも供述。犯行直前に島根県の男性に送った手紙でも、安倍氏と旧統一教会との関係性を指摘しつつ、《本来の敵ではない》とつづっていた。
安倍氏個人への直接的な恨みはなかったとみられるが、捜査関係者によると、山上容疑者は逮捕後の取り調べに対し、安倍氏を殺害したことへの謝罪や反省を口にすることが一度もなかったという。25日から11月29日まで犯行時の精神状態を調べる鑑定留置が始まっており、県警の聴取は中断している。
一方、山上容疑者の母親は捜査当局の調べに「息子が大変な事件を起こし申し訳ない」と話しているが、旧統一教会への批判的な発言はしていないという。
●山上徹也容疑者の手製銃を『発射実験で殺傷能力を確認』へ… 7/27
安倍晋三元総理が銃撃されて死亡した事件で、警察は逮捕した山上徹也容疑者から押収した銃の発射実験を行う方針であることがわかりました。
奈良市で演説中に安倍元総理が銃撃されて死亡しました。逮捕された山上徹也容疑者(41)は大阪拘置所に身柄を移され、刑事責任能力の有無などを調べる鑑定留置が行われています。
警察は山上容疑者が銃撃に使った銃のほか、山上容疑者の自宅から手製の銃5丁を押収していますが、これらについて科学捜査研究所で鑑定を行い構造などを調べるとともに、発射実験を行い殺傷能力を確認する方針であることが捜査関係者への取材でわかりました。
警察は7月27日、選挙カーを事件当日と同じ位置に停めて現場検証を行い、当時の状況をさらに詳しく調べていました。
●山上容疑者が2年前に読んでいた私の記事、交通事故記事に何を感じたのか 7/27
7月19日、安倍晋三元総理大臣を狙撃した山上徹也容疑者(41)のツイッターアカウントが凍結されました。
『山上容疑者のツイッター凍結 「憎悪や攻撃誘発禁止」の規約に違反?』(朝日新聞デジタル)
『朝日新聞』(上記)によれば、そのツイートは2019年10月の初投稿から、2022年6月30日までの間に1363件にのぼっており、「憎悪や差別、新たな攻撃を引き起こしかねない投稿」を禁じているツイッター社により、規約に違反したと判断されたようです。
その数日後、知人からこんなLINEが届きました。
『山上容疑者のツイッターがアップされているサイトを見ていたら、三佳さんの記事が2つツイートされてました!』
一瞬、驚きました。凍結されるようなツイッターアカウントに私の記事が?  そもそも、山上容疑者がどんな記事に関心を寄せていたのか、まったく想像ができなかったからです。
知人からのLINEには、山上容疑者のツイッターのスクリーンショットも添えられていました。そこにはたしかに、私が2年前に書いた「Yahoo! ニュース個人」の記事のタイトルがあったのです。
山上容疑者がツイートした2つの記事
山上容疑者のアカウントに書き込まれたツイートは、主として統一教会に対する批判や政治的な問題、社会への不満のような書き込みが大半でした。そんな中、2020年10月21日、19時23分、彼は珍しくコメントなしで、私(柳原三佳)が執筆した以下の記事を2本連続でツイートしていました。
まず1本目はこの記事です。
『アクセルの踏み間違い、それとも車の異常?  池袋暴走事故裁判から、筆者が思い返す24年前のある死傷事故』(2020/10/16)Yahoo! ニュース個人)
そして、その17秒後、今度はこの記事が、同じくコメントなしで紹介されていました。
『アメリカで起きたレクサス暴走死亡事故 緊迫の通話記録と「制御不能」の恐怖』(2020/10/21)Yahoo! ニュース個人)
おそらく山上容疑者は、21日に公開された『アメリカで起きたレクサス暴走死亡事故……』の記事を読み、本文中にリンクされていた『アクセルの踏み間違い、それとも車の異常? …』という記事も読み、その上で、先に16日付の記事を、続いて21日付の記事をツイートしたのでしょう。
2つの記事に共通する「家庭崩壊」と「大組織との闘い」
山上容疑者がツイートした1本目の記事は、熊本で起こったタクシー(トヨタ・コンフォート)による死亡事故を取り上げたものでした。
詳細については記事をお読みいただければと思いますが、死亡事故を起こしたタクシー運転手は、事故直後から一貫して「車の不具合が事故の原因だった」と必死で訴えたにもかかわらず聞き入れられることはなく、結果的に「業務上過失致死(当時)」の罪に問われ、有罪判決を受けました。
この事故で自身も半身まひや言語障害などの重度後遺障害を負った男性は、タクシー運転手という仕事を失い、たちまち経済的な困窮に陥りました。そして、まもなく離婚。妻は2人の幼い娘を連れて家を出、家庭は崩壊してしまったのです。
次に彼がツイートしたのは、アメリカ・サンディエゴのハイウェイで起こったレクサスの暴走事故を取り上げた記事でした。
こちらは、現役のハイウェイ・パトロール警官が運転するレクサスが、アクセルが戻らなくなるというトラブルに見舞われたケースで、記事中では、その緊迫のやり取りが記録された実際の音声も紹介しました。
最終的にこの警官は車を制御することができず、高速度のまま道路から飛び出して激突。同乗していた一家全員が死亡するという悲惨な結果となったのでした。
山上容疑者は2つの記事に何を感じたのか? 
実は山上容疑者がツイートしたこの2本の記事は、私が特に強い思い入れを込めて問題提起したものでした。
車の欠陥や整備不良が原因で事故が起こったことが疑われるケースであっても、現実には大手自動車メーカーを相手にそれを立証することは極めて難しく、警察もほとんど真実を追及しようとしません。その結果、ハンドルを握るドライバーの不法行為(=過失)として一方的に処理されてしまう……、その恐ろしさを、実際の事故事例を取材して取り上げたのです。
特に、自動運転のシステムが進歩を続ける自動車業界において、この問題は今こそ真正面から議論されるべきだと考えていただけに、数ある記事の中から山上容疑者がこれらの記事に着目し、ツイートという形ですくい上げてくれていたことは、執筆者としては率直にありがたく感じました。
一方、この2つの記事に共通するのは、理不尽な出来事をきっかけに、家庭が崩壊してしまう、という切ない現実でした。
山上容疑者は、巨大な力に対して声を上げることができないまま悲しい結果を招かざるをえなかった当事者たちの運命に自分の境遇を重ね合わせ、ふと心を寄せたのでは……。
もちろん、それは私の推測に過ぎないのですが。
いずれにせよ、山上容疑者は、2年前なぜ私が書いたこの2つの記事に目を留めたのか。そして、この問題に対してどのような意識を持ち、何を目的にツイートしたのか……。
機会があればぜひ聞いてみたいと思っています。 

 

●安倍元首相の現役時代SPが「暗殺」を検証…山上徹也は警護の隙を窺う 7/28
「なぜ真後ろに誰もいなかった」
「SPは警護対象者の真後ろにぴったりとつかないといけないんだ。なぜ真後ろに誰もいなかった? 演説に配慮したのか、指示があったのか……真後ろにいれば安倍元首相は助かったかもしれない」
こう悔やむのは、安倍晋三氏が現役首相だったときにも警護を行っていた警視庁のSPの一人である。
7月8日午前11時すぎ、奈良市の近鉄西大寺駅前で起こった安倍晋三元首相射殺事件。現場で撮影されていた動画を検証すると、山上徹也容疑者は終始安倍元首相の後方で犯行のチャンスをうかがっていたことがわかる。さらに、安倍元首相を警護する警視庁のSPや奈良県警の警護担当者が、山上容疑者の動きを見過ごしていたことも明確になってきた。
当日、事件現場にいた人物から提供された動画を、「現代ビジネス」は前出の警視庁SPとともに検証した。以下、写真とともにその模様を記そう。
参院選奈良選挙区の自民党候補の応援演説会場に、安倍元首相がSPに囲まれながら到着したのは、午前11時19分から20分にかけてのこと。公明党の奈良県議が応援演説をしている最中だった。
聴衆の拍手に迎えられた安倍元首相の周囲を確認すると、少なくとも前に2人、後方に3人の警護がいることが動画からわかる。そこから安倍元首相は、ガードレールで囲まれた演説場所に入った。すると、すぐさま男性の警護が安倍元首相に立ち位置を示したうえ、真横についた。ここまではセオリー通りだ。
奈良県議の演説に続いて、自民党の奈良県連会長の演説が始まった。ここでは安倍元首相の真横に加えて、後方にも警護がいる様子が映っている。
さてこのとき、安倍元首相に向かって右後方のオレンジののぼり旗付近の警護の間から見える人物がいる。背後にあるバスロータリーの歩道に立っている山上容疑者の姿だ。周囲を見回したり、俯いたりと落ち着きがない。ただし、その2〜3m横には別の警護もいる。
山上容疑者の周辺にも聴衆はいて、彼らが演説を熱心に聞いている様子が動画からうかがえる。だが、山上容疑者は終始左右を見たり、時折安倍元首相の方に視線を投げかけている。また、自分のカバンを左手でしっかりおさえているシーンも映っている。もちろんこのカバンの中には、自作の銃が入っていた。
やがて参院選候補本人が熱のこもった演説を終えると、次は“真打ち”安倍元首相の出番となった。 
上記の写真の青い矢印を見ると、直前まで警護はしっかりと安倍元首相の後方に立っているのがはっきりとわかる。そして、安倍元首相と警護の間には、元首相に視線を向けている山上容疑者が確認できる。
警護の様子を観察する山上容疑者
問題はここからである。
紹介を受けた安倍元首相がマイクを握り、壇上にあがったときだった。後方の警護は、安倍元首相の横を通って、場所を移動したのだ。
警護が移動する瞬間を、安倍元首相に向かって右手後方にいた山上容疑者はしっかりと見ている様子を動画はとらえていた(上記写真。矢印で示した警護が動いている)。
安倍元首相の演説がはじまると、クローズアップされた動画には警護は誰も映っていない。山上容疑者は、安倍元首相が壇上に上がるときに退屈そうに手を叩くが、演説を聞くというより、観察しているような姿が映っている。
演説がはじまって50秒ほどで、山上容疑者はさかんにバスロータリー前の車道に目をやっている。
そして、1分10秒後に山上容疑者は移動を始めた(下写真)。バスロータリーの入口を横切って車道に向かい、安倍元首相の背後に向かって歩き始めるのだ。
そして、演説から1分15秒後、最初のズドーンという銃声が響いているのが動画には残っている。
「キャー」という悲鳴があがる中、3秒後、2発目が発射された。
動画には直後、山上容疑者に殺到し覆いかぶさる警護たちの姿もとらえていた。
1発目の銃声から山上容疑者が取り押さえられるまで、わずか8秒間の犯行だった。安倍元首相は1発目の銃声と白煙で一瞬、後ろを振り返りしゃがんだ。そこに2発目が命中して、命を失った。
真後ろに警護がいれば、山上容疑者の凶行から逃れられていた可能性が十分あるのではないか。なぜ、警護は安倍元首相の演説がはじまると、場所を変えてしまったのか。
警察庁幹部の一人が証言する。
「警護で対象者のすぐ近くにつくというのは、鉄則なのです。しかし、そうできないときがあります。その一つが選挙遊説です。安倍元首相クラスになれば、一般市民と触れ合えるのは選挙くらいしかありません。『過剰な警備はしないでほしい』と本人や自民党から要望が来ることだってある。安倍元首相のすぐ近くにいれば報道写真にも写りこんでしまうと、警護が場所を変えたようです」
歩道から動いた時点でなぜ止めなかった
この幹部は、当日の警備の布陣は、本来十分な体制だったという。
「東京の警視庁からのSPは一人だけで、あとは奈良県警が警護にあたった。東京からたくさんつくよりも、地元の地理や事情に精通していることが大事という観点があったからだ。現場での警護が15人ほどで、あと奈良県警本部などで関わったのが15人ほど、合計で25人と聞いている。安倍元首相のすぐ横からも周辺のビルなどからチェックするなど、2重、3重に張りめぐらされているいるはず。それなのになぜ山上容疑者を見落としたのか」(前出・警察庁幹部)
今回、動画を検証してくれた安倍元首相の現役総理時代の警視庁SPはこう語る。
「選挙の時はSPも遠慮がちになるのです。安倍元首相ではありませんが、選挙のときに政治家が市民と握手したりグータッチする際に、見るからに危なそうな市民がいた。そこで一人のSPが前に出てさえぎったのだが、終わってから『選挙妨害だろう』『前に出るな』とひどく叱られ、上からも注意を受けたことがあった。そうした遠慮が、今回、最悪の結果につながったのではないか」
このSPは、動画全体を見てこう感想を漏らした。
「山上容疑者は演説会の最初の挨拶のときから、後方のバスロータリーの歩道にいる。炎天下のなか本当に演説を聞くつもりならば、支援者なら演説場所の前方にいるはずだ。それをなぜ警護はなぜ気づかなかったのか。周囲を見回すなど挙動も不審だし、そもそもバスロータリーの歩道から車道に出るのはとても危険で、その時点で止められなかったのか。警護に隙があったと言わざるを得ない」
岸田文雄首相は7月14日の記者会見でこう語った。
「選挙遊説中の安倍元首相が銃撃を受け、亡くなられたという重大な結果を大変、重く受け止め、率直に言い、警備体制に問題があったと考えています」
7月17日、二之湯智国家公安委員長は事件現場を視察し、奈良県警察の鬼塚友章本部長から説明を受けてこう述べた。
「今回の事件で、警護と警備の問題点を洗い出す。早急に具体的な対策を講じていく」
今回の警護の最高責任者の一人は、警察庁の中村格長官だ。安倍政権時代には“守護神”とも言われ警察庁長官というトップに上り詰めた。
安倍元首相とも関係の深かった自民党幹部は怒りの表情でこう語った。
「中村長官は安倍元首相から大きな信頼を勝ち得た結果、警察庁長官になったと誰もが思っている。中村長官が週刊誌報道で叩かれても、安倍元首相は何も言わなかった。​だが中村氏の大失態で安倍元首相は命を失った。動画が残っている以上、いくら言い訳しても逃れられない。山上容疑者は車道に出て1分近くしてから、安倍元首相の背後から撃っている。これで警備といえるのか? 中村長官や鬼塚本部長の更迭はもう決まったようなものだ。警護には途方もない額の税金が費やされているのに、いったい警察はどうなっているのか。こんな警備では、安倍元首相の国葬にも世界のVIPは安心してやってくることができないという声もあるよ」
今回の警備体制の問題を検証チするームを警察庁は立ち上げたが、時すでに遅し。安倍元首相が帰ってくることはもうないのだ。
●「山上徹也を参考に自作銃作った、こいつで何発も撃って…」市長に殺害予告 7/28
兵庫県明石市の泉房穂市長は27日、記者会見し、「辞職しなければ殺害する」などの脅迫メッセージが届いたことを明らかにした。相談を受けた明石署が、脅迫容疑などで調べている。
発表では、メッセージは26日早朝、他市のホームページの問い合わせフォームから送信された。8月末までに泉市長に辞職を要求し、応じない場合、「(安倍晋三・元首相に対する銃撃事件の容疑者の)山上徹也を参考にして自作銃を作った。こいつで何発も撃って殺す」などと記されていたという。
泉市長は27日夕、自身のツイッターに「辞職するわけにいかないが、心中穏やかではない。しばし言動には慎重を期す」と投稿した。
●“統一教会”の支援 公明・北側副代表「慎重でなければならない」 7/28
公明党の北側副代表は、いわゆる統一教会から政治家が支援を受けることについては「慎重でなければならない」と述べました。
公明・北側副代表「(政治家が)反社会的な団体と評価される、そういう団体からの例えば支援をうけていく、さらにはそうした行事に参加をしていく、ということはやはり慎重でなければいけない」
教団について、北側氏は「過去に様々な事件があった」「結果として、そういう団体に利用されてしまうことにもなりかねない」と指摘しました。
一方で、公明党は創価学会を支持母体としています。
政治と宗教の関係について問われ、北側氏は「宗教団体の政治活動の自由は憲法上、当然、保障されている。選挙において特定の候補者や政党を応援することは憲法上、保障された権利である」と述べました。
●安倍元首相銃撃事件、容疑者狂わせた「母子の呪縛」 母との関係断てず 7/28
世の中を震撼させた安倍晋三元首相銃撃事件。山上徹也容疑者(41)が凶行に至った動機をひもとくカギとして浮かび上がるのは、新興宗教に翻弄された母親との関係性だ。母子の「呪縛」は彼の人格形成にどんな影響を与えたのか──。
安倍晋三元首相を銃撃後、山上徹也容疑者は抵抗するそぶりもなく警護員に取り押さえられた。母親が入信した旧統一教会(現・宗教法人「世界平和統一家庭連合」)に恨みを抱き、「安倍氏が国内に広めたと思った。本当の敵ではなかったが仕方なく狙った」と供述しているという。母親は1991年に入信。84年に夫が自殺したことや、山上容疑者の兄の病気などがきっかけとなり、信仰へ傾倒していったといわれている。多額の献金をくり返し、山上容疑者ら3人の子どもは家に食べるものがないほど困窮したという。統一教会の本部がある韓国まで修行に出掛けて何日も家を空けることもあり、実質的にネグレクト(育児放棄)の状態にあったようだ。
精神科医の和田秀樹氏はこう語る。
「殴る蹴るなど暴行による児童虐待よりも、ネグレクトのほうが心理的な後遺症が強くなることが、精神医学のさまざまな研究でわかっています」
母親は祖父から相続した自宅や会社の土地を売却。総額1億円以上も教団に注ぎ込み、2002年に自己破産。家庭は崩壊した。山上容疑者は当時通っていた専門学校を中退し、生活費を稼ぐために任期制自衛官として海上自衛隊に勤務した。
カルトの問題に詳しい精神科医の斎藤環氏が、献金をやめられない理由をこう説明する。
「新宗教は基本的に現世利益を売り物として強調しますから、いま自分の人生が不幸だと思っている人ほどカルトにはまって、洗脳されてしまうのです。壺に何千万円も払うなど傍から見れば愚かな行為ですが、当人からすれば犠牲が大きいほど救いも大きいと思い込まされているのです」
山上容疑者は「統一教会によって人生と家族がめちゃくちゃになった」「入信した母親を恨んでいる」とも供述している。ツイッターでは<オレは母を信じたかった><こんな人間に愛情を期待しても惨めになるだけ>などと、愛憎入り交じった感情を綴っていた。取り調べでは、最近も母親と連絡を取っていたと明かしており、母子の関係は続いていたようだ。
「さまざまなトラウマ体験を受けながら、彼は母親を見限ることができなかったのでしょう。トラウマティック・ボンド(外傷性の絆)というのですが、同じストレスを経験していると、かえって絆の意識が強くなる傾向があります。母との関係を断てなかったことが、精神的ダメージを引きずる要因になったのかもしれません」(斎藤氏)
海自を退職後は、宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー(2級)などの資格を取得。だが、15年に兄が突然自殺する。葬儀で「兄ちゃん、何で死んだんや。生きていたら何とかなるやないか」と人目をはばからず嗚咽したという。フォークリフトの免許も取り、20年からは派遣社員として荷物を搬送する業務を担ったが、上司や同僚と口論になるなど職場で孤立し、退職した。精神科医の香山リカ氏がこう話す。
「自分で立ち直りのきっかけを見つけて頑張ろうとしても、そのたびに不幸なことが起きて打ちのめされてきた印象です。おそらく、社会や他者に対する信頼感が根こそぎ奪い取られているような状態にあったのだと思います。山上容疑者のように慢性的なトラウマを受けながら生きてきた人は、対人関係で敵か味方かという単純な視点しか持てなくなります。ですから、職場でもトラブルを起こしやすい。容易なことでは、この負の連鎖から逃れられないと思い、どんどん自分を追い込んでいったように見えます」
虐待終わっても回復しない症状
山上容疑者はなぜ、安倍元首相を狙ったのか。山上容疑者が犯行前日、松江市のフリーライターの男性宛てに出した手紙には、<苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません>と、安倍氏の立場を冷静に分析する記述もある一方で、<安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません>と自ら退路を断ち、なりふり構わず犯行に向かう心情も書いていた。
前出の和田氏は、山上容疑者が複雑性PTSDに陥っていた可能性を指摘する。一度の衝撃的な出来事で生じる単発性のトラウマと異なり、子どもが長期間にわたりネグレクトなど虐待を受けることで、育まれるべき心理的成長が妨げられる。このため、人格や感情のコントロールが利かなくなるパーソナリティー障害などの症状が生じるという。和田氏が解説する。
「複雑性PTSDは虐待が終わっても回復しません。成人になり普通の生活を送るようになっても、さまざまな精神症状に苦しめられます。怨恨の度合いが非常に激しくなってしまうこともそうです。教団の関連団体の広告塔に映った安倍元首相を狙った経緯には飛躍があるのですが、それも複雑性PTSDの病理なのです。恨みの対象を殺して、自分も死刑になってもいいという“拡大自殺”の心理も絡んでいた可能性があります」
山上容疑者は、母親に翻弄された自らの人生を清算しようとしたのだろうか。
●「脱落」したら這い上がれない 銃撃事件と氷河期世代“悲惨な状況” 7/28
山上徹也容疑者は「『最悪の時代』に社会に出た」と格差研究の識者は指摘する。凶行は決して許されるものでも正当化されるものでもない。日本を震撼させた事件の社会背景にあるものは何か。AERA 2022年8月1日号の記事から。
「7月中には所持金がなくなってしまうので、その時には死のうと思った。死ぬ前にやろうと思っていたことをやるしかないと思い、安倍元総理を襲撃する決心がついた」
山上徹也容疑者(41)は、奈良市内で7月8日、参議院選挙の応援演説中の安倍晋三元首相を銃殺した。当初は「政治テロ」が疑われ、凶行に対し「民主主義への挑戦だ」という声もあがった。しかし、その後の供述などから、母親の新興宗教への献金による家庭の経済的困窮が背景にあり、最終的に犯行の背中を押したのも貧困だった可能性が徐々にわかってきている。
「山上容疑者は、日本の資本主義社会における労働者階級のさらに下、『アンダークラス』という階層に入っていると見ていいと思います」
こう話すのは、格差研究が専門の早稲田大学人間科学学術院・橋本健二教授だ。橋本教授が定義する「アンダークラス」とは、生きていくための最低限の賃金すら得られない非正規雇用労働者(パート主婦を除く)を指す。たとえば、フリーターや元フリーターを含め非正規雇用のまま年を重ねた人や、シングルマザー、年金を十分に受け取れず非正規雇用で働く高齢者などだ。1990年頃から増えてきたという。
「バブル期の雇用拡大で正規労働者とあわせて非正規労働者も増え始め、バブルが崩壊すると就職できない若者たちが非正規雇用に一斉に流入しました。98年、金融危機でその流れが一気に加速したんです」
就職状況は最悪だった
80年生まれの山上容疑者は99年に高校を卒業。大学には進学せず同年、公務員を目指すための専門学校へ。専門学校中退後は、2002年に海上自衛隊に任期付きで入隊したとされる。つまり、99年から01年頃にかけてが、社会に出るために職を探していた時期と考えられる。
「最悪の時代に社会に出た、と言えます。93年から07年頃までがいわゆる『就職氷河期世代』。中でも金融危機後の、99年から04年までに学校を出た世代の就職状況は最悪でした。大卒の就職率はバブル期には90%台、崩壊後も70%台を保っていましたが、98年を境に60%台前半まで急降下。高卒に至っては40%台前半まで落ち込みました。平均年収も他の世代と比べて極めて低く、厳しい世代です」。
山上容疑者は、高校の卒業アルバムの「将来の自分」欄にひとこと、「わからん。」と書いた。卒業したのは県内有数の進学校だ。大学を目指さなかった理由は定かではないが、高卒時点で就職をしようにも、「厳しかっただろう」と橋本教授は言う。
「進学校なので就職実績がないんです。高卒で就職した先輩がいる会社もなければ、就職指導のノウハウもない。もし、容疑者が高校を出てすぐ就職をしたかったとしたら、進学校卒であることがマイナスに働いた可能性もある」
悲惨な状況が固定する
山上容疑者は海上自衛隊をやめてからも、アルバイトや派遣社員など複数の非正規職として働き続けた。たまたま「最悪の時代」に社会に出て非正規雇用になると、「這い上がれない」悲愴(ひそう)と鬱屈(うっくつ)。そんな苦境が事件に影響を与えなかったか。
「大いにあると思います。近年起きている凄惨(せいさん)な事件の犯人には、山上容疑者に近い世代が多いんです。秋葉原通り魔事件を起こした元派遣社員の彼(82年生まれ)しかり、京都アニメーション放火事件の彼(78年生まれ)もしかり。事件の背景に、この世代に特に顕著である『這い上がれない悲惨さ』があるのは間違いないと感じます」
もっとも、長期雇用の慣行が比較的最近まで強かった日本では、最初についた職業がその後のキャリアを大きく決定づけてしまう傾向は以前からあった。
「しかし、バブル前の頃までは、正規労働者として働く機会はそれなりに開かれていました。たとえば零細企業の正社員だったとして、最低限生活できる賃金は得られた。けれども、非正規労働者にはそれさえかなえられない。非常に悲惨な状況のまま、階層が固定してしまっていることが問題です」
さらに、山上容疑者の場合、母親の新興宗教への献金による貧困や、自らの自殺未遂、兄の自殺など、苦境が続いている。
「経済的な悲惨さを抱えた人が膨大な数いる。そこに何か偶発的な、個人的な要因が重なれば、当然、不満が暴発し、今回のような事件につながってもおかしくないと思います」
●山上徹也容疑者の減刑署名が1200人を突破「起訴もされてないのに」 7/28
参院選中に起きた、安倍晋三元首相の銃撃事件。7月28日までに、事件を引き起こした山上徹也容疑者の減刑を求める署名が1200人を突破し、物議を醸している。
「報道によれば、山上容疑者は母親が信仰する旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への恨みにより、犯行に及んだと供述。母親が多額の献金をおこなったことで、家庭は崩壊したと主張しています。献金額は、1億円にものぼると伝えられています。また、7月27日付の『産経新聞』によれば、山上容疑者は奈良県警の調べに対し、安倍元首相への謝罪や反省の言葉は口にしていないといいます。今後は鑑定留置が始まり、刑事責任能力の有無を調べる段階に入っていきます」(政治部記者)
そんななか、7月15日には署名サイト「Change.org」にて、検察庁長官宛てに山上容疑者の減刑を求める署名活動が始動。署名活動を立ち上げたとされる人物は、同サイトで山上容疑者について《過酷な生育歴を鑑みての温情》、《本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事》という2点をあげた。
そのうえで、《親の信仰によって、生活も精神も追い詰められる人が非常に多いです。このような状況で物心ついた時から生活していた山上徹也容疑者に、どうか寛大な見解をお願いします》と主張している。
「たしかに、山上容疑者の人生は壮絶です。幼くして父親を亡くし、母親は旧統一教会に入ってからの多額の献金で、自己破産。それでも献金を続けていたといいます。山上容疑者は大学進学も断念し、3年間の海上自衛隊勤務を経て、アルバイトや派遣社員を転々としてきました。ただし、安倍元首相を殺害したという行為は、決して許されることではありません。まだ起訴もされておらず、事件の全容も把握しきれていない状況下で署名を募るのは、あまりに時期尚早と言わざるをえません」(同前)
ネット上では、署名に対する疑問とともに、遺された昭恵夫人を思い、疑問を持つ声が相次いでいる。
《よくまぁ、まだ事件の詳細も明らかにされてない中でこんな署名を考えもなく立ち上げるよね。自分が昭恵さんの立場になっても犯人の境遇に同情して署名活動出来るって事ね。》
《自分の家族が殺されて、殺人犯の刑を軽くしろーって運動起きたら残された遺族がどんな感情抱くか理解できんのか……。》
《まだ判決出てないどころか起訴もされてませんが?まだ捜査途中であまりに軽挙すぎると思う》
山上容疑者の境遇は、事件の一部でしかない。全容が解明されるまでは、慎重な判断が求められる。 
●旧統一教会関連団体も マルチ企業から半グレトップまで 「桜を見る会」 7/28
7月27日、しんぶん赤旗日曜版(7月31日号)は公式Twitterで、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連団体の事務局次長が「桜を見る会」に招待されていたと報じた。
《旧統一協会のダミー団体である「世界戦略総合研究所」の事務局長(当時は事務局次長)が、安倍晋三首相(当時)が主催した「桜を見る会」(2013年〜16年)に招待されていました。時の首相自らが“お墨付き”を与えたことに。岸田政権は調査し、国民に説明する責任があります=赤旗日曜版7月31日号》
7月28日発売の「週刊文春」も、同じ事実を伝えている。
「桜を見る会」をめぐる疑惑は、後を絶たない。
「2020年9月18日、マルチ商法と批判され、詐欺の疑いで逮捕された『ジャパンライフ』の元会長も、2015年の『桜を見る会』の招待状を広告に利用していました。広告に使ったことで『信用できる会社だと思った』と証言する被害者もいました。野党は、招待状が首相推薦枠だったとして追及しましたが、加藤勝信官房長官(当時)は、招待者名簿が廃棄されていることを理由に、再調査に否定的な考えを示しました」(政治部記者)
また本誌は2019年12月、「桜を見る会」が、半グレ集団の“営業” 活動に利用されていた事実を報じている。
「この写真を初めて見たとき、『A氏には大物政治家と繋がっている人脈があるんだ。さすがだな』と、思わず感心してしまいました」(沖縄県石垣市の飲食店経営者)
石垣島では有名な半グレグループのリーダーであるA氏は、菅義偉官房長官(当時)らと撮影した写真を仲間や取引先にばら撒き、政治家との人脈を誇示していた。
A氏を知る会社社長が言う。「もともとは、大阪の格闘技団体の代表だった人物です。2011年の東日本大震災では、被災地で炊き出し支援をして、話題にもなりましたね。彼は『大阪の半グレ集団の初代トップ』といっていい存在でした。凶暴さで有名でしたが、大阪で暴力団関係者と揉めて、沖縄に逃げたと聞いています。『桜を見る会』の招待状は、大阪の自民党関係者からもらったと聞いています。『自分の力を誇示するための、いいチャンスだ』と思ったんでしょう」
A氏が石垣島に来たのは、2015年ころ。飲食店やマリンスポーツの会社を立ち上げ、石垣島でのビジネスを拡大させる一方、傷害容疑や恐喝容疑などで、何度も逮捕された。
「彼らは石垣島の歓楽街で、客引きやぼったくりをするなど、やりたい放題。飲食店から、みかじめ料も取っています。歓楽街から客が減って、まともに経営している店にも影響が出ています」(地元関係者)
永田町では、保守系議員たちが「安倍氏の遺志」を声高に叫び、積極財政や防衛力強化などを主張している。だが、安倍氏が残した「負の遺産」にも目を向けるべきだろう。 
●旧統一教会、20代美人信者の「濃厚すぎる性接待」で自民大物議員大ピンチ 7/28
安倍元首相が銃殺された痛ましい事件を契機に、改めて注目されることとなった旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党議員らとの浅からぬ関係性。
ここ最近では、末松信介文部科学相の政治資金パーティー券を、旧統一教会の関係者が購入していたことが明らかになったほか、二之湯智国家公安委員長も旧統一教会の関連団体が開催したイベントに実行委員長として名前を連ね、挨拶もしていたことが判明。
さらに岸信夫防衛相に至っては、今月26日の記者会見で旧統一教会との関係性について「付き合いもあるし、選挙の際も電話作戦などボランティアでお手伝いいただいたケースはある」「統一教会に手伝ってもらったというよりは、メンバーの方にお力をいただいたということだ」などと発言した。
岸防衛相は、今後の選挙で支援を受ける考えはあるかとの問いには「選挙ごとにお話があること。次の選挙でどうなるか、軽々に答えることはできない」と答えており、旧統一教会との縁が切っても切れないものであることを窺がわせている。
まさに抜き差しならないといったこれらの関係が、どのようにして始まり、どう築かれていったのかということで、そのひとつの手段として、このところ取沙汰されているのが、容姿端麗な20代女性らを議員事務所に近づかせるという、まるでハニートラップの如く作戦だ。
秘書やスタッフ以上に食い込んだケースも
報道によれば、旧統一教会系の政治団体である勝共連合が、永田町で積極的に動き始めていた1970年代半ば頃の話として、議員会館の自民党国会議員の事務所に1〜2人の20代女性が「お手伝いさせてください」と突然現れ、タダでよく働くといったこともあり、ほとんどの事務所で採用していたといったことがあったのだという。
事務所内部にうまく食い込むことで、議員の弱みを握り、その情報を教団に上げる目的もあったのではともされるこれらの行動だが、当時真っ先にそのターゲットとなったのが、旧統一教会の教祖である文鮮明氏との縁が深かった岸信介元首相とその周囲の議員らだったという。そう考えると、岸信介元首相の孫にあたる岸信夫防衛相が、旧統一教会と切っても切れない縁なのも頷けるところである。
いっぽうでハニトラといえば、議員事務所の秘書やスタッフとして紛れ込む以上の関係性となっていたとして、当時大いに話題となったのが、自民党の幹事長まで務めた大物・山崎拓氏とその愛人を巡る騒動だ。
2002年に、同氏と不倫関係にあった女性が統一協会の関係者だったと報じたのは週刊文春。それに対して山崎氏は、文芸春秋社などに損害賠償を求める裁判を起こした。
ところが東京地裁は、女性の住民票上の住所であるアパートの部屋が統一協会の施設であったことや、統一協会広報部長が女性の統一協会施設への出入りを認めたことなどを認定。「山崎幹事長と女性が愛人関係にあることや統一協会の関係者であるとの事実は真実であるか、信じる相当の理由があった」とし、山崎氏の訴えを棄却したのだ。
SNS上で燻る「プチエンジェル事件」への関与
このようにハニトラによって、自民党の内部はもとより、大物議員の懐にまで食い込む動きを見せていたとされる旧統一教会。つい先日、旧統一教会批判の急先鋒としても知られる弁護士の紀藤正樹氏が、旧統一教会会員らによる集金の実態として、信者に売春をさせていたというケースもあったと語り、大きな反響を呼んだが、そこから考えれば、信仰をダシにして信者をハニトラ要員に仕立てることも、さほど困難なことではなかったと想像できそうである。
こういった状況もあってSNS上では、旧統一教会のハニトラによる政界浸食はかなり進んでいるのではといった見方が多く浮上しているところ。最初に挙げた旧統一教会に関わった政治家たちが、教団の擁護に終始し、その縁を切ることができないでいるというのは、すでに何らかの弱みを握られているからだ、というものだ。
「エロ拓の愛人統一教会の人だったし、もろにハニートラップひっかかってんですよね、他にも多数いるでしょうな」
「北朝鮮と同じ手口やん。もうこんなヤバい所と手を切れよ自民党。統一教会を利用し反共産は出来たが今度は利用される側になったのでは。ハニトラや金や票で政界のみならず経済界やマスコミにもかなりの数侵食されているんじゃなかろうか。」
「なぜ統一教会と関係した政治家が教団を擁護するのか、一つの仮定。奴らは女性食口を当てがわれるハニトラにかかったんじゃないか。食口としては政治家に血分け(純血復帰・祝福=性交)できるので真面目に取り組むし、教団としては政治家の秘密も掴めるし最高の手ではないかと。」
いっぽうで“弱みを握る”ということで、旧統一教会との関りを疑う声が一部で燻っているのが、2003年に発生し「日本で最も闇が深い事件」などと現在でも事あることに語られる「プチエンジェル事件」である。
児童誘拐事件の発覚を契機に、非合法である児童買春斡旋を行っていたデートクラブが摘発されたというこの事件。ところがその後の捜査で、政財界の大物や弁護士、医師など2,000名以上が名を連ねていたという顧客リストが発見されるや否や、マスコミは報道を止め、警察も「顧客リストの大半が偽名」という理由で捜査を打ち切るという幕引きに。そこで世間からは「何らかの強大な圧力があったのでは」と訝しむ声が多くあがったのだ。
「プチエンジェル事件と統一教会の関係性ってどうなんかね。」
「日本では毎年1200人程度の子どもが消え、警察に行方不明届が出されてる、このような行方不明者を誘拐、拉致しているのが統一教会、世界平和統一家庭連合、創価学会、政府癒着の闇社会の組織等と言われ、プチエンジェル事件等も有名…、統一教会を公安の監視対象から外したのは安倍晋三元首相の時…」
「警察を通じて、名簿を手に入れた統一教会裏社会は、政治家や財界人の下半身の弱みを握り、以後、政財界は、小泉・安倍売国奴偽政権の言いなり。プチエンジェル事件が、実は、日本でマイノリティー裏社会がやりたい放題をできる環境を作ったのかもしれない。」
SNS上では、この事件と旧統一教会との関りに関して「児童を誘拐・拉致していた」といった直接的関与を疑う声もあがるいっぽう、「顧客リストを手に入れ、多くの政治家や財界人の下半身の弱みを握ったのでは」という、間接的な関与を疑う見方も浮上。いずれも憶測の域を出ない、陰謀論的な話ではあるものの、先述の通り自民党内を長年に渡るハニトラで骨抜きにしてきたという“実績”を考えれば、これらの話もひょっとして……と受け止める向きも少なからず増えているというのが実情のようだ。
ツイッターの反応
「統一教会の大イベントに出席し、教団を褒め称えるような挨拶を行った自民党の工藤彰三議員。
教団との付き合いを指摘されても「反社会的勢力でもないので別段悪いなとも思っていない」とまさかの開き直り。教団による霊感商法や多額献金、マインドコントロール等々は明らかに反社会的です。」
「秘書というのは議員の秘密を知ることもできるし、なんならハメることだってやろうと思えばできる立場。つまり、統一協会が議員の下に秘書を送り込もうとするのはそういうこと。カルト信者をそれと知りつつ秘書に入れるということは、カルト教団に忠誠を誓ったも同然の行為。」
「統一教会のひどさや手口の巧妙さをあまりに喧伝すると「そんなところならば知らないうちに名前を貸したり、講演したりするのも仕方ないよね」と思う人が増えるのが怖い。国の行方を左右する政治家です。それも一党の多く人が…。海外でもハニートラップの危険は常にあり、細心の注意を払っているはず。」
外国カルト宗教に日本国会の中枢まで侵食され、外国宗教の教義に沿った政策が行われている自民党の現状こそ、国防上の最大の危機。ミサイル攻撃するだけが国防ではありません。自民党ら多くの議員が統一教会の秘書をかかえ、ハニートラップで身動きが取れません。」
「世田谷一家殺人事件やプチエンジェル事件など、統一教会との関係が噂される事件を掘り起こしてもらいたい。民主主義を取り戻したい。」 

 

●安倍元首相銃撃・山上容疑者がつぶやいていた小室圭さんへの“シンパシー” 7/29
安倍晋三元首相の命を奪った山上徹也容疑者(41)は逮捕前、自らの心情をツイッターでたびたび吐露していた。
現在は凍結されたアカウントには、2019年から今年6月末までに計1363件のツイートがあった。旧統一教会への憎しみや、母親への愛憎入り交じった思いなどが多いが、意外な(?)人物へのエールを見つけた。
<小室圭を応援したくなるなぁ何か。どっちにしろ稼ぐようになりゃ返すだろ。眞子内親王の気持ちがブレなければ終わり良ければ全て良しに向かう。第一、他の女性皇族の婿なんぞ殆ど見ないだろ。小室圭もそんなもの。何を目くじら立てるのか?>(21年4月9日、原文ママ)
小室圭さん(30)はこの投稿の前日、一家の「金銭トラブル」について説明する文書を公開していた。
小室さんの母、佳代さんは小室さんの父親が自死した後、10年から12年にかけてある男性と婚約関係にあり、その間に400万円以上が生活費として元婚約者から小室家に提供されたとされる。
これが「借金」なのか、返済義務のない「支援」かを巡って両者の言い分が異なり、トラブルに発展したことが小室さんと秋篠宮家の長女、眞子さん(30)の結婚問題を深刻化させた一因だ。
だが山上容疑者にしてみれば、このトラブルは取るに足らない問題だったようだ。
<あのな、400万円ぽっち何とでもなるんだよ。元婚約者だって持参金1億があるから言ってる。(中略)圧力掛けてるのは誰なのか?>(21年4月17日)
山上家では父親が早くに自死。その後、山上容疑者の母親が旧統一教会に1億円を超す献金をしたことが、家庭崩壊につながったとされる。
世代も育った環境もまるで異なる山上容疑者と小室圭さんだが、幼い頃に父親が自死し、母親の金銭トラブルが自身の人生に大きな影響を与えた点では似通っている。
過去の金銭トラブルをものともせず、眞子さんとの結婚に突き進んだ小室さんの姿に、山上容疑者は何を感じ取ったのだろうか。
●山上容疑者は「氷山の一角」 崩壊しても逃げ場がない日本の「家族主義」 7/29
日本を震撼させた安倍元首相銃撃事件。背景には、山上徹也容疑者の母親の新興宗教への献金による家庭の経済的困窮がある。日本社会の課題として、家族頼みの「家族主義」の強さが浮かび上がってきた。AERA 2022年8月1日号の記事から。
生活困窮者を中心に支援活動を行うNPO法人ほっとプラス理事の藤田孝典さんは、「山上徹也容疑者は氷山の一角だ」と話す。
「私たちが受ける相談でも、ある20代の女性は家族が新興宗教に入信したことで家族崩壊して大学にも行けず性風俗店を転々としていたり、ある10代の女性は山上容疑者と同様、父親の死後に母親が新興宗教に入信、寄付で貧困に陥った結果、家出や刑事事件を経るなどして生活保護を受けていたり。新興宗教に限らず、家族がアルコールやギャンブル依存症などで養育の義務を果たせず貧困へ、といった事例は山積しています」
これらについて、藤田さんは日本の社会のある課題を指摘する。「家族以外の、福祉や社会保障などのセーフティーネットが極めて弱い」ことだ。
たとえば、教育。出身家庭の財力や資力と、子どもの学歴とは連動する。家庭が貧しければ、中学卒、高校卒にならざるをえない。伯父が報道陣に語ったところによれば、山上容疑者の母親は1991年に入信して献金を始め、容疑者が高校を卒業した99年には奈良市内の2カ所の土地を売却して寄付に充てた。総計は1億円に上る。
「本来払うべき教育費の方に回せないという点一つをとっても、彼の家族は機能不全だった。ただ、そういう『親がきちんと子どもに向き合えていない』環境であっても、日本の社会は『家族頼み』。これがいちばんの課題なんです」
もはや子どもが家族を頼れない。そんなときに大学の学費無償化や、中高を卒業した後に住宅手当を支給して一人暮らしの負担を軽減するなど、「機能していない家族と“別れられる”福祉や社会保障のシステム整備」が急務だと藤田さんは言う。
「1960年代の高度経済成長期以降、正社員で終身雇用のお父さんが一生懸命に働けば家族全員が何とか暮らせていた。いわば『家族主義』で何とかなった時代、国の社会保障負担は極めて少ない部分で済んでいた。けれども、そんな家族主義は実質、2000年以降機能していません。そこを転換するのが安倍元首相をはじめとする政治家らの仕事だったのに、とは思います」
日本社会の「家族主義」という落とし穴について、社会学者の土井隆義・筑波大学教授もこう話す。
「『自助、共助、公助』が象徴的ですが、自己責任主義が進み、共助の狭い部分である家族にも強さを求める傾向が確かにあると思います。こども庁が反対意見を経て『こども家庭庁』になった背景にも、家族という存在への過剰な依存があるでしょう。家族に責任を押しつけるから、その中でうまくいかなくなったときに逃げ場がない。そんな構図は今回の事件にも見受けられると思います」
●山上容疑者の母が見た「死んだ夫の霊」の正体、旧統一教会の教学システム 7/29
安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者の母は、旧統一教会の熱心な信者であり、1億円を超える献金をしていたといわれる。背景には、同団体のカルト的な教学システムがあったとされるが、それはいったいどのようなものなのか? 宗教問題に詳しいノンフィクションライターの大泉実成氏が、その矛盾点を指摘する。
山上容疑者の母が語っていた「死んだ夫の霊」
「死んだ夫の霊がさまよっていて、献金するとしかるべき所におさまる」(NHK関西NEWS WEB 7月22日)
この言葉は安倍元首相を銃撃して死亡させた山上徹也容疑者の母が述べたものである。周知のように容疑者の母は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合。以後は旧統一教会と表記)の熱心な信者であり、一億円を超える献金をしていたという。
驚くべき金額だが、筆者の知る限り旧統一教会では決して珍しいことではない。むしろ驚くのは、この金額を教団に献金させ、家庭を崩壊させ、山上容疑者を安倍元首相の殺害に追いやったこの言葉である。一体どのような経験をすれば、こんな言葉が生まれてくるのか。
特徴的なのは、抽象的な概念を述べているのではなく、極めて具体的で感覚的、特に視覚的なことだ。まるでそれを見ているかのようである。これは旧統一教会の教学システムと深く関わり合っているものなのである。
筆者は1988年から1994年にかけて、宗教団体に親族や友人が捕らわれてしまったと述べる人たちに、ロジャーズ学派に基づくカウンセリングを行っていた。
ロジャーズ学派は、非指示的療法といって、クライアントに思いのたけを話させながら徐々に視野を広げさせ、クライアント自らが悩みを解消すること、そのための気づきを与える点に特徴がある。
また、家族の鎖の解消という重要概念があり、家族関係に縛られている信者親族の悩みの対処法としてはうってつけだった。こうしたカウンセリングの過程で、いわゆる新宗教と呼ばれる教団の資料を集めていたのだが、その中に旧統一教会も含まれていた。
彼らの拠りどころとなる「原理講論」。これを読んでみると、まずわかりにくい造語が多出する。新宗教によくある権威付けのためのものという印象を受けた。
聖書からの引用が多数あったが、教団の教義のためのこじつけのようなもので、内容的にも矛盾が多く、その聖句の歴史的な文脈が押さえられていなかった
この点では筆者が9歳から14歳まで所属し、その後起こった「エホバの証人輸血拒否事件」の解明のため、一年間潜入取材を行うことになった、エホバの証人の方がはるかにましだった。彼らは聖書原本から英訳された「新世界訳」という聖書を持っており、かなりバイアスがかかってはいるものの、その歴史的な文脈を彼らなりに押さえている。
信者が神や霊と“出会える”カラクリ
その点、旧統一教会の「原理講論」には哲学者たちの記述もあったが、理解が浅薄でステレオタイプ。さらに、様々な解釈が可能な「黙示録」の一方的な断定(これはエホバの証人や、筆者が二年近く体験取材をしたオウム真理教にも見られる)が見受けられた。
また、キリスト教という一神教を表看板にしながら、神の存在証明に関する記述がないのも大きな問題だった。
しかし、紙の資料だけでは伝わらないものがある。カウンセリングを始めた当初は、霊感商法の被害や手口についての雑誌記事などがたくさんあったが、教学システムに関わるものはほとんど出回っていなかった。その中で、関係者の語る世界は実に生々しかった。
ある時、私のもとに旧統一教会から友人を脱会させたいという大学生がやってきた。彼自身も教学システムを途中まで行ったが、講師の人間の目の色が異様だったので、怖くなって教団を離れたという。
彼の話で興味深かったのは、常に信者の睡眠時間を少なくしておくこと(徹夜祈祷などが行われる場合もある)、断食などが行われることである。カルトの二大特徴は、このように生理的剥奪を行うことと、法外な献金を要求することだが、旧統一教会はこの両方が当てはまっている。
睡眠を奪われると意識レベルが低下し、教義のすりこみがやりやすくなるし、容易に幻覚や幻視にとらわれるやすくなる。
あるいは神や霊と出会ったかのような神秘的な体験をする人もいる。元々の霊媒体質でなければ、山上容疑者の母にはこの過程で夫の霊の幻視が起こり、「夫の霊」が“見える”ようになったのではないか。
こうした経験が教会の教義に絡め取られると、容易に「先祖の霊が地獄に堕ちているせいで夫の霊が苦しんでいる。このままではもっと恐ろしいことが起きる。献金しなければならない」と言われるようになる。
そこで「死んだ夫の霊がさまよっていて、献金するとしかるべき所におさまる」という異様な言葉が生まれ、「夫の霊」と「献金」という、本来結びつくはずのないようなものが結びついていき、一億円を超える献金が生まれたのではないだろうか。
オウム真理教と旧統一教会のちがい
結局この高額な献金による家庭崩壊が、山上容疑者を追い詰め、安倍元首相を銃撃するという結果を招いた。もちろん、銃撃によって人を殺すなどというのは許されないことだ。ただ、このとめどない献金が家庭の不和を招き、山上容疑者が旧統一教会への怨恨を深めていくことになったのも事実だと伝えられている。
その結果、亡くなった安倍元首相をはじめとして、多くの政治家と旧統一教会の癒着が徐々に明らかになっていった。政教分離の原則からすれば、自民党が票田として旧統一協会の組織票にすがっていたというのもあってはならないことだ。
金の流れを含め、旧統一教会と自民党との不透明な癒着構造は司直の手によって徹底的に明らかにされなければならない。
しかし現実には、自民党右派とその総裁が、旧統一教会と1960年代から反共産主義という立場で協力し合ってきたという歴史がある。
安倍元首相の祖父に当たる岸信介元首相と文鮮明教祖は直接会談し、1968年には岸をトップにした国際勝共連合という組織が創立されている。
1974年、当時大蔵大臣だった福田赳夫は、文鮮明の開いた晩餐会で「アジアに偉大な指導者現る。その名は文鮮明である」として、文を絶賛するスピーチを行っている。晩餐会に出席した自民党議員は40名。1986年には勝共推進国会議員が120名もいた。
1992年、元女優・歌手の桜田淳子らが出席した合同結婚式には、中曽根康弘元首相から「民族問題や宗教の対立を超えて、人類の理想に向かって進もう」という祝辞が送られたほか、旧統一教会親派の自民党議員の名前を上げたらきりがない。警察が手を出しかねているのもこれが原因である。
そして2021年、山上容疑者が安倍元首相を殺害する動機となった、安倍氏が旧統一教会の関連団体に送ったビデオメッセージ。それを見た信者たちがどれほど感動し、自己の信仰に自信を持ったかは、想像に難くない。
1990年、オウム真理教は自ら権力を手に入れようと国政に打って出たが大敗。その後、方針がテロに変わる。その結果、あっという間に解体された。
一方で旧統一教会は政権を利用し、庇護されることでサバイバルする方針を取ってきた。その結果の差は歴然としている。
被害は現在も続いている。その被害の大きさを考えれば、もはや宗教団体ではなく、矛盾だらけの巨大な詐欺集団ともいえる。被害者の心情を鑑み、調査によって被害の全容が明らかになれば、国はただちに宗教法人格の剥奪などしかるべき手段を取るべきではないか。 
●「ひどいですよ、日本の新聞とテレビは」旧統一教会問題 「特定の宗教団体」 7/29
霊感商法の問題に取り組む紀藤正樹弁護士らが2022年7月29日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題について記者会見し、メディアの報道ぶりについて言及する場面があった。
政治家と旧統一教会との関係について、メディアの間で報じ方に濃淡があることに関する質問に答えた。紀藤氏は「全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」と望みをつなぐ一方で、会見に同席していた山口広弁護士は「日本のテレビと新聞はレベルダウンが著しいと思っています。何ですか!『特定の宗教団体』としか言わないじゃないですか」。この状態が若者のテレビ離れにつながっているとして「本当にこのままだと絶望」だと嘆いた。
「最終的には、統一教会の問題は、全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」
記者の質問は、旧統一教会と政治家、とりわけ安倍晋三元首相の家族との関係について「日本テレビやTBSはかなり積極的に報じている一方で、NHK、朝日新聞、テレ朝は非常に消極的」などと指摘した上で「米メディアから、日本のメディアはちゃんと報じていないと言われている」ことへの見解や、今後起こりうる影響について尋ねる内容。
紀藤氏は「それは正直いって、よく分かりません」。その上で、次のように述べた。
「どんな報道でも、最初に(事件が)起こり出すときは、どこかのテレビ局が先鞭をつけて、最終的に全テレビ局やマスコミが報じだすとか、そういうことは過去にもあったので、私は特に特殊な状況だと思っていません。やはり、事実、真実というのは、状況を押し流していくというふうに、信念を持って思っているので、おそらく最終的には、統一教会の問題は、全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」
そこに「ひとつだけ」と割って入ったのが山口氏で、「私はもう、日本のテレビと新聞はレベルダウンが著しいと思っています」。横に座っていた紀藤氏もうなずいた。山口氏がとりわけ問題視したのが、「旧統一教会」の固有名詞を報じるタイミングが遅かったことだ。
「何ですか!『特定の宗教団体』としか言わないじゃないですか。月曜日(7月11日)に、Unification Church(旧統一教会)が記者会見するまで。もうとっくに外国の新聞では、Unification Churchの問題を言ってますよ。あるいはネットにはたくさん流れてますよ」
その上で、新聞とテレビの読者・視聴者離れを嘆いた。
「ひどいですよ、日本のこの新聞とテレビは。だから若い人たちはもう見てませんよ、テレビを。そんなにひどいです。ですから私は、本当にこのままだと絶望だと...だから紀藤さんとは年が違うから(編注:紀藤氏は1960年、山口氏は1949年生まれ)考えが違うんですが、本当に悲しいですよ」
政治家による旧統一教会系団体への祝電や集会出席に続く論点になりそうなのが、資金提供の問題だ。米国では90年代半ばに政治家に巨額の資金提供があったことが報じられており、紀藤氏は「お金の問題については日本も同じことが起きている」とみている。資金の流れを具体的に立証できるかが焦点だ。
「統一教会というのはできるだけ銀行送金とかクレジット、通帳を使わない、できるだけ現金でもらうというシステムなので、現金が統一教会に溜まっている。それが証明できれば、つまり政治家との関係が証明できれば、それは贈収賄とかそういう問題になると思う。(これまで立件されていないのは)過去それが証明できていないということを意味するのだと思う。今、関係性がいろいろ議論されているが、お金がどう動いたかは今後の焦点になっていくのではないか」
●旧統一教会の名称変更 末松文科相 “手続き問題なかった”  7/29
「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の名称変更について、末松文部科学大臣は変更の手続きに問題はなかったとの認識を示すとともに「現時点では、特定の政治家からの働きかけがあったものではないと聞いている」と述べました。
旧統一教会をめぐっては、文化庁が平成27年8月に今の「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認証しました。
末松文部科学大臣は29日の記者会見で「宗教法人からの申請の内容が法令の要件を備えていることを確認して認証の決定を行った」と述べ、手続きに問題はなかったとの認識を示しました。
また、名称変更にあたって政治的な圧力などはなかったのかと問われ「現時点では、特定の政治家からの働きかけがあったものではないと聞いている」と述べました。
●旧統一教会の名称変更理由を「黒塗り」で疑惑隠し…文化庁の不可解な認証  7/29
なぜ突然、名称変更は認められたのか──。1997年以降、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が求め続けてきた法人名の変更を文化庁が2015年に認証した。
開示された決裁文書
この認証の決裁文書について、宮本徹衆院議員(共産)が開示を求めたところ、26日に文化庁から資料が提出された。
開示資料によると、15年6月2日に旧統一教会から下村文科相(当時)宛てに「認証申請書」が提出され、文化庁は同年8月26日に決裁している。ところが、肝心の変更理由の部分は申請書も決裁書も黒塗り。長年、名称変更を拒絶してきた文化庁がどういう理由により認証に転じたのか、サッパリ分からない。
黒塗りの理由を文化庁に聞くと、情報公開法5条2の「公にすることにより、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するとした上で、こう続けた。
「何も、旧統一教会だけ、変更理由を非開示にしているわけではありません。名称変更を申請してきた宗教法人はすべて、変更理由を非開示にしています」(宗務課)
不可解な認証に「政治圧力」はなかったのか?
他の宗教法人と同じ扱いだと強調した。宮本議員が言う。
「中には宗教法人の正当な利益を害する場合もあり、理由を公開できないこともあるでしょう。しかし、宗教法人すべて非開示はおかしい。宗教法人は税制上の特例を受けています。名称変更の理由を示し、国民への説明責任を果たすのは当然だと思います。ましてや統一教会の場合、長年かなわなかった名称変更が突然、認証されたわけですから、理由はなおさら開示すべきです」
情報公開法7条は〈行政機関の長は、不開示情報であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示することができる〉とあり、文科相判断で開示可能だ。
名称変更により、悪名高い旧統一教会の名称が隠され、被害が拡大した可能性は高い。認証プロセスの開示は十分、公益上の必要性にあたる。宮本議員は引き続き追及するという。
前川喜平元文科次官は日刊ゲンダイの連載で「決裁プロセス」に注目している。旧統一教会の組織の実態が変わっていなければ、名称変更の認証はできない。なのに、文化庁は従来の方針を大きく変えた。決裁前に大臣の指示や了解を得ていたのかが「肝心」だという。
不可解な認証に政治圧力はなかったのか──。臭いものにフタをしてはいけない。
●政治家揺るがす旧統一教会の影、安倍氏殺害事件が関係見直し迫る 7/29
安倍晋三元首相の殺害事件は自民党を中心とする政治家と韓国で誕生した宗教団体の密接な関係をあぶり出した。事件の容疑者が殺害動機について、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への怨恨(えんこん)を示唆したことがきっかけだ。両者は選挙や広報活動を通じてつながってきたが、議員らは急速に関係の見直しを迫られている。
国内主要メディアの報道によると、安倍氏を射殺した山上徹也容疑者は母親が統一家庭連合に多額の献金をし、家族が崩壊したことで恨みを持ち、安倍氏が同連合と関係があると思い込んで襲撃したと供述している。
統一家庭連合は11日の会見で、容疑者の母親が信者だと認めた。また、今回の事件が同連合の活動が原因かのような主張に対し抗議するとともに、事件はまだ捜査中で、動機などが真実かは明らかではないと17日付の声明文で反論した。動機の解明に当たり、警察の捜査に全面的に協力するという。
関連団体の天宙平和連合(UPF)のホームページによると、安倍氏は2021年に9月に行われたUPFの集会で、米国のトランプ前大統領らに続きビデオメッセージを寄せていた。
統一家庭連合は性的少数者(LGBT)や夫婦別姓に反対する保守的思想の宗教法人で、理想の実現に向け政治家に接近するのは必然だ。自民党所属の地方議員はブルームバーグの取材に対し、匿名を条件にこう語った。同議員は関連団体の集会や勉強会に参加したことはあるが、献金などの要求はなかったという。今回の事件を機に距離を置かざるを得ないが、次の選挙も応援してほしいと本音を漏らす。
全国霊感商法対策弁護士連絡会は、信者からの献金を巡り有罪判決を受けるなど統一家庭連合の反社会的な活動を問題視し、関連団体で演説したり、祝電を送ったりした議員らに関係を絶つよう要望してきた。渡辺博弁護士は、自民党議員とのつながりは「信者を鼓舞する大きな役割を持っている」とし、政治家には運動員の派遣や組織的投票など選挙上のメリットがあると指摘した。
宗教文化に詳しい北海道大学大学院の桜井義秀教授は、自民党議員と統一家庭連合の間に政策を左右する親密な関係があったとはみていないが、社会的に問題の多い組織と「関係を持つのは適切ではない」と話す。一橋大学の中北浩爾教授は、今後同連合には「相当なプレッシャーがかかる」とし、自民党側も「距離を置くようになる」と予想する。
ブルームバーグは複数の国会議員に統一家庭連合との関係について事実確認を求めた。多くの議員から回答を得られなかったが、自民党の石破茂元幹事長は15年に関連法人で講演したものの、旧統一教会系との認識はなかったと文書で回答した。安倍元首相の実弟である岸信夫防衛相は26日の会見で、選挙の際に同連合のメンバーに手伝ってもらったと語った。
自民党の茂木敏充幹事長は同日の会見で、同党と統一家庭連合に「組織的な関係はないことは既にしっかりと確認している」とし、個々の議員に同連合との関係は「厳正かつ慎重な対応をするよう注意を促していきたい」と述べた。
立憲民主党は21日、旧統一教会被害対策本部を立ち上げ、調査や対策を検討すると発表。泉健太代表は翌日の会見で、過去の祝電送付などが取り沙汰される党所属の国会議員6人に対し事実関係の確認を行ったと明らかにしている。
統一家庭連合の広報担当者はブルームバーグに対し、立憲民主党の動きは何をしようとしているのか分からず、同連合にとって何が弊害となるのか分からないと回答。また、自民党との直接的な関係については否定したが、関連団体は一部の政治家とつながりがあると認めた。
同連合は1954年に韓国で世界基督教統一神霊協会として誕生し、59年に日本へ進出。68年には創設者の文鮮明氏が提唱した保守系団体「国際勝共連合」が日本で作られ、党是で反共産主義や自主憲法制定をうたう自民党と結び付きを強めてきた。
関連団体での講演歴がある笹川平和財団の渡部恒雄上席研究員は自民党と統一家庭連合の関係について、同党結成期に安倍氏の祖父である岸信介元首相らが北朝鮮や中国など共産圏と闘って韓国を救おうと結び付いたと解説。親の代からつながりがある議員も多く、「つかず離れずやっている」とし、「冷戦の遺物」だと話した。
自民党の青山繁晴参院議員は18日のブログで、7月の参院選の公認作業時期に統一家庭連合の選挙支援を受けるよう派閥のトップから指示されたが、断ったとの話をある議員から聞いたと記述。青山氏は、この宗教団体の支援を少なくとも一般の有権者が知らず、明らかにされていないのは問題だとこのトップに指摘したという。
渡辺弁護士は、30年ほど前から専門家らがさまざまな問題点を指摘してきたが、「手は打たれてこなかった」と振り返る。弁護士連絡会によると、同連合は宗教の勧誘であることを隠して被害者に接近し、高額な印鑑やつぼなどを販売。2012年結審の裁判では入院中の家族の命を救うためと称して聖書10冊の購入を迫るなど、女性に計4億9000万円を献金させた事実が判明した。
現代宗教と政治の関係に詳しい上越教育大学大学院の塚田穂高准教授は、政治家は違法行為やトラブルを積み重ねてきた旧統一教会と付き合うべきではなかったと強調。「宗教と政治家の結び付きがノーチェックで良いわけではない」とし、双方が可視化に向け努力することが必要で、市民が投票行動や言論などで判断を示すことが健全化につながるとみる。
仏教系の創価学会は、1964年に当時の池田大作会長の発意で結成された公明党の支持団体だ。同党は99年から2009年までと12年以降、自民党と連立政権を組む。皇室と日本文化を尊重し、憲法改正の必要性や同性婚への反対を訴える神道政治連盟の国会議員懇談会には衆参260人以上の議員が名を連ねている。
日本国憲法は信教の自由を保障する第20条や宗教上組織への公金支出を禁止する第89条など、国が公権力を使って宗教に介入することを認めない「政教分離の原則」を規定しており、裁判の判例を通じて確認されている。半面、宗教団体の政治活動自体を禁じるものではないことは国会で政府見解として示されている。
NHKの報道によると、公明党の北側一雄副代表は28日の会見で政治と宗教の関係を問われ、「表現の自由の一環として宗教団体がさまざまな政治活動をして、特定の候補者や政党を応援していくことは憲法上保障された権利だ」と述べた。
上越教育大大学院の塚田氏は、宗教団体は「理念を実現するために社会に働き掛けており、その一環として政治活動がある」とし、「そのこと自体は違憲ではなく、批判するのはやや的外れ」だと指摘。北大大学院の桜井氏は、政治家は多くの宗教団体と関わりを持ちながら、あたかもないように振る舞ってきたことが問題だという。
●岸防衛相「旧統一教会から選挙の手伝い 問題なかったか検証」  7/29
「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の関係者に選挙活動の手伝いをしてもらったことについて、岸防衛大臣は問題がなかったかどうか検証する考えを示しました。
安倍元総理大臣の実の弟の岸防衛大臣は「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の関係者にボランティアで選挙活動の手伝いをしてもらったことがあると明らかにしています。
岸大臣は、29日の記者会見で「選挙区にはさまざまな宗教的なバックグラウンドを持っている人もいる。個人のボランティアとしてお手伝いがあったが、正しかったのかどうかも含め、検討していかなければならない」と述べました。
また、今後の選挙でも手伝ってもらうかについては「選挙は戦であり、手の内は明かしたくないが、適切に判断して対処したい」と述べました。
一方、岸大臣は旧統一教会や関係する団体から献金を受けたり、団体の行事に参加したりしたことはないと説明し「一つ一つの教義を知っているわけではないが、社会問題化しており、被害を受けた人がいるのは大変問題だと思っている」と述べました。 
●統一教会と自民の癒着を暴け 〜安倍家三代にわたる「負の遺産」〜 7/29
安倍晋三元首相を銃撃し殺害した山上徹也容疑者。報道や関連方面の記者会見等を総合すると、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の信者である母親が1億円近い献金をして、2002年に自己破産した。犯行動機の詳細は不明だが、少なくとも統一教会への恨みが、統一教会と近しい安倍氏に向けられたと思われる供述が報じられている。
山上容疑者自身、安倍氏の祖父・岸信介から続く自民党あるいは安倍氏と統一教会との関係は把握していたようだ。父・晋太郎も統一教会と親しく、過去、自民党内で議員に統一教会信者を秘書として紹介していたと報じられたこともある。
この歴史がどのように犯行に結びついたのかは、今後の捜査や公判を待たなければ、確たることは言えない。しかし政治家と統一教会との関わりを考える時、50年以上前からの歴史以上に重要なことがあることは確かだ。7年8ヵ月にわたる第2次安倍政権下で、自民党議員と統一教会の現在の関係があらためて強化されてきたことだ。安倍氏自身とその周辺の議員たちの直接的な責任は決して小さくない。
霊感商法で被害者が続出
1992年。統一教会は歌手の桜田淳子などの合同結婚式参加表明によって注目を集め、それ以前から弁護士たちが対策に取り組んできた霊感商法被害の問題も含めて、批判が高まった。
2000年代には、統一教会と国会議員の関係はかつてほど大っぴらにしにくい空気ができあがっていた。06年に統一教会の関連団体「天宙平和連合」(UPF)の大会に祝電を送った安倍氏(当時官房長官)は、「誤解を招きかねない対応」として担当者に注意した旨をコメントしている。実際の関係がどうあれ、表向き、祝電には問題があったとする立場を表明していた。
直後の07〜10年にかけて、全国で統一教会関連の運勢鑑定、健康食品販売、印鑑販売の業者が次々と警察に摘発される。容疑は、薬事法違反や、「先祖の因縁」を払わなければひどい目にあうかのようなうたい文句で相手を畏怖困惑させて商品を売りつけた特定商取引法違反だ。統一教会本部の家宅捜索はまぬがれたが、支部に当たる地区教会にも捜索が入った。東京の業者「新世」の事件では、関係者に執行猶予付きとはいえ懲役刑の判決も出され、統一教会との関連も認定された。
ところがそれ以降、統一教会はあらためて政治家とのつながりを強化する。09〜12年の民主党政権下では、同党議員にも秘書を送り込もうとしていたと言われる。
自民党が政権を奪還した12年から第2次安倍政権が始まると、自民党議員との関わりはどんどん露骨に。関連団体のイベントに議員が参加すると、各団体自身がウェブ上でのイベント報告や動画で堂々とそれらを見せつけ、議員たちの中には、SNSなどでイベント参加などを自ら報告する者もいた。
逆に、報道はなくなった。かつて安倍氏自身が「祝電」を問題視された当時は、国会議員が関連団体から献金を受けたケースも報道されていたのだが。
第2次安倍政権で露骨に
しかし第2次安倍政権下の15年、高木宏寿衆院議員が代表を務める自民党北海道第3選挙区支部に、統一教会関連団体「世界平和連合」からパーティー券代として25万円の支払いが行なわれている。16年には、下村博文衆院議員が代表を務める自民党東京都第11選挙区支部に、統一教会の実質的な機関紙とも言える『世界日報』の発行元、世界日報社から6万円の寄付。17年には、石破茂衆院議員が代表を務める自民党鳥取県第1選挙区支部に世界日報社の元社長から10万円の寄付。13年と16年にはそれぞれ、細野豪志衆院議員(当時民主党、現自民党)と玉木雄一郎衆院議員(当時民進党、現国民民主党)にも、世界日報社の元社長から寄付があった。
統一教会関連団体のイベントなどへの出席や祝電も、枚挙にいとまがない。19年の第4次安倍改造内閣発足時には、統一教会関連のイベントに出席するなど何かしらの関わりを持っている大臣が11人、官房副長官1人、副大臣6人、政務官1人もいた。
第4次改造内閣で閣僚11人関与
安倍氏自身、統一教会関連団体への祝電や会合出席のほか、ジャーナリスト・鈴木エイト氏の取材によれば「桜を見る会」や首相官邸に統一教会や関連団体の幹部を招いたケースもあるという。極めつけが、昨年9月に統一教会が「友好団体」と称して別団体を装うUPFが開催したイベントへのビデオ出演だ。しかも、会場は韓国にある統一教会の施設である。
今後の安倍派を率いる1人として名が挙がる下村博文氏も、統一教会関連団体のイベントへの出席のほか、代表を務める自民党支部から12年、統一教会系の世界平和女性連合に会費を支払っている。また、15年に統一教会が現在の「世界平和統一家庭連合」へと名称を変更した際、当時文科相だった下村氏が関与した疑惑も指摘されている。
統一教会と国会議員の関わりは、安倍氏の死によって消えるわけではない。この「負の遺産」をいかに払拭(ふっしょく)するか。政治家、政党、メディア、有権者の問題意識が問われる。
●道内の国会議員とのつながりも明るみに 旧統一教会の影響力と問題点 7/29
旧統一教会=現在の世界平和統一家庭連合と政治家との関係が明るみになっています。道内選出の議員も、教団の関連団体とつながりがあることがわかってきました。
伊達忠一 前参議院議長(ピースTV)「今後も韓鶴子総裁のご指導の下、『世界平和頂上連合』の活動を通して、世界が抱える様々な問題を解決する道が示され、世界平和に向けて力強い一歩が踏み出されることを心より祈念いたします」
この映像は前参議院議長、伊達忠一(だて・ちゅういち)氏が、旧統一教会の関連団体が主催するイベントに参加した時のものです。どういういきさつで参加したのか?伊達氏本人に取材を申し込みましたが、「会議中」などを理由に、応じてもらえませんでした。
道内では、少なくとも4人の現職の国会議員が、旧統一教会の関連団体とかかわりがあることを認めています。
去年6月、衆院選の直前に、国会で撮影された写真です。旧統一教会系団体の中心人物を、自民党の国会議員が囲みます。その中の1人が自民党道連の伊東良孝(いとう・よしたか)会長です。伊東氏の事務所によりますと、2002年ごろから教団の信者2人に、選挙期間中、スタッフとして働いてもらったといいます。
自民党道連 伊東良孝 会長「統一教会系というイメージは持っていなかった。世界平和を目指す国際的な議員連合だと。金銭的なやり取りもありませんし、宗教的な頼まれごともひとつもない」
信者2人は入信を勧誘するわけでもなく、熱心に働いてくれることから、その後も手伝いをお願いをしてきたといいます。写真に映るもう1人が、自民党の中村裕之(なかむら・ひろゆき)衆議院議員。
自民党 中村裕之 衆院議員「(旧統一教会につながるという認識は?)それはありましたけど、霊感商法的なトラブルをたくさん抱えているという話は知らなかった」
中村氏は初当選した2012年ごろから先輩議員と教団とのつながりを引き継ぐ形で、案内があればイベントへの参加や祝電を送ってきたといいます。ただ、謝礼金の受け取りや、旧統一教会への寄付をしたことはないということです。
自民党の衆議院議員、高木宏寿(たかぎ・ひろひさ)氏の事務所によりますと、2015年、代表を務める支部組織が旧統一教会の関連団体に25万円分のパーティー券を買ってもらっていて、収支報告書にも記載しているということです。
一方、立憲民主党の松木謙公(まつき・けんこう)衆議院議員は、2013年、旧統一教会の関連団体が主催するパーティーに参加し、参加費1万5000円を支払ったということを松木氏の事務所が認めています。事務所によりますと、松木氏は教団の関連団体だとは知らなかったということです。旧統一教会側は、HBCの取材に対し「友好団体と宗教法人は別の組織。宗教法人が特定の候補や政党を支援することはない」と説明しています。
スタジオには、宗教社会学が専門で、カルトや新興宗教にも詳しい北海道大学大学院教授 櫻井義秀さんに来ていただきました。
北海道選出衆議院議員と旧統一教会の関係
自民・伊東良孝氏 信者2人が選挙期間中にスタッフとして働く
自民・中村裕之氏 イベントへの参加や祝電を送る
自民・高木宏寿氏 関連団体にパーティー券(25万円)を購入してもらう
立民・松木謙公氏 関連団体主催のパーティーに参加費支払う(1万5000円) 
櫻井教授「(議員が「知らない」というのは?)それはありえない。素性がわからない人が、選挙協力をするとか、いろんな便宜を提供するというのは怖い。ただより怖いものはないわけだから、秘書がチェックしていると思う。それがあるにもかかわらず、知らないと言っているということだと思う」
旧統一教会の影響力は?
櫻井教授「信者数からいくと数千人もいないのではないかと思う。小規模なので、それほど集票力があるというわけではないが、北海道内の政治家が地域の旧統一教会と友好的な関係を結んでいれば、それが中央に届いて、中央から票の割り当て、あるいは、いろんな便宜が図られるのではないかという、そういうことも考えられる」
有権者に対しては?
櫻井教授「有権者は政治家がどんな信念をいだいて、どういう団体と関係を持っているか、団体の活動を指示するのかしないのか、ということを知った上で、投票する権利がある。今回は、その権利が侵害されていると考えられる」
旧統一教会側にとって、政治家とのつながりは、どんな目的が?
櫻井教授「旧統一教会は、霊感商法で、世間に自分たちの活動をアピールできないところがある。そういうなかで、政治家に来てもらい、激励してもらい、自分たちに対するリスペクトもしてもらえ、非常に元気づけられる。政治家の信用や肩書きを使いながら、地域団体のイベントなどに関わっていき、講座、セミナーなどを開く。講座、セミナーを通して、一般市民を勧誘していくということにもなる。政治家の役割は、旧統一教会の集金活動や、布教活動に、結果として力を貸している。このことを政治家にはしっかりと自覚してもらいたい」
旧統一教会の問題点は?
櫻井教授「正体を隠した勧誘と言われているが、自分たちの団体名と活動内容を明らかにせずに、布教活動を行っている。第1点目は、一般の人の信教の自由、選ぶ権利を侵害している。第2点目は、霊感商法の問題、多額の献金を要請して、中には自己破産する人がいる。注意して欲しいのは、最近、旧統一教会の関連団体が、高齢者に的を絞って、70代、80代に、アプローチしているというのを聞いている。特定団体に相続することができる「遺贈」のしくみを使って、公正証書を作成させて、法的に管理をした形で、団体にお金がくるようなしくみを作り、やっていると弁護士から聞いている。そういう意味で、高齢者に注意してもらいたいし、ひとり暮らしの親がいる人は、親に話をし、確認してほしい」
勧誘活動に変化は?
櫻井教授「だんだんソフトになってきている。宗教を前面に出すと、みなさんひくので、ボランティア活動、SDG’s、女性、人権、平和など、だれもが受け入れられるような冠をつけて、いろんな団体を使いながら、布教、勧誘しているという実態がある」
もし勧誘を受けたら?
櫻井教授「相談先は弁護士会、霊感商法被害対策弁護士会がある。不審な団体や個人からアプローチされたら、即断即決をしない。友人や家族に相談するとか、ワンクッション置くと、冷静になって、なにかおかしいのではないかということに気づく。心がけて欲しい」  
●地方議員、旧統一教会系の行事参加 山口公明代表 7/29
公明党の山口那津男代表は29日、党所属の地方議員が過去に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体の行事に出席したと明らかにした。「(旧)統一教会系の団体と認識しないで会合に参加したことがあったそうだ」と説明。その上で「社会的に非難されたり、トラブルを抱えたりする団体に関わることは避けるべきだ」と強調した。首相官邸で記者団に語った。
●自民・福田氏、旧統一教会と党の関係否定 「何が問題か分からない」 7/29
自民党の福田達夫総務会長は29日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の関係が指摘されていることに関し、「わが党が組織的に強い影響を受けて、政治を動かしているのであれば問題かもしれないが、僕の今の理解だと一切ない」と否定した。「誤解を招くようなこと(報道)はしてほしくない」と注文も付けた。
福田氏は「僕自身、個人的に全く関係がない」とした上で、「正直に言います。何が問題か、僕はよく分からない」と述べた。
福田氏は同日夜にコメントを発表。「被害者を生み出すような、社会的に問題が指摘されている団体との関係が問題であることは言うまでもない」と補足し、「そのような団体との付き合いについて『何が問題かわからない』という趣旨の発言ではない」と釈明した。ただ、会見での発言については撤回しなかった。 

 

●山上容疑者、入信した母親の破産から旧統一教会を強く恨む  7/30
安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件の後、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家の関係に注目が集まっている。
奈良県警の調べや関係者の話によると、安倍氏への銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)は、同連合に入信した母親が1億円の献金をして破産したことなどから、同連合を強く恨んでいた。
安倍氏は昨年9月、同連合の友好団体が開いた集会にビデオメッセージを寄せていた。山上容疑者はこれを見るなどして安倍氏が同連合と関係があると考え、襲撃を計画したとされる。
同連合は取材に「宗教法人として特定の政党や候補者を応援することはない。会員個人や友好団体の政治活動については認識する立場にない」としている。
●選挙のため旧統一教会と関係、集会に祝電も「敵に回わさないため」  7/30
安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件の後、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家の関係に注目が集まっている。多くの政治家が選挙で応援を受けるなどしているが、過去に「霊感商法」などが社会問題化した宗教団体であり、関係を見直す動きも出ている。
保守系に浸透
「選挙で個人のボランティアとして様々なお手伝いをいただいた」
岸防衛相は29日の記者会見で、同連合との関係をそう説明した。衆院選の際、有権者に支持を求める「電話作戦」などを同連合関係者にやってもらっていたという。「当時は問題がないという判断をしていた」とする一方、「それが正しかったのか、しっかり検討していく」と述べた。
同連合の創設者・文鮮明氏が「反共」を掲げる政治団体「国際勝共連合」を発足させたのは1968年。当時から、安倍氏と岸防衛相の祖父にあたる岸信介・元首相ら自民党を中心とする保守系の政治家と関係を築いてきたとされる。
今回、関係が明らかになった政治家も多くは自民党の国会議員たちだ。
末松文部科学相は2020〜21年、家庭連合関係者に政治資金パーティー券計4万円分を購入してもらった。下村博文・元文科相も16年、自身が代表を務める政党支部が関連団体から6万円の献金を受けていた。
野党も、国民民主党の玉木代表が同連合の関連団体の元社長から16年に計3万円の寄付を受けたほか、日本維新の会の松井代表も、約20年前に関連団体の集会に出席していた。
「賛同会員」も
なぜ、政治家たちは同連合と関係を結んできたのか。政界関係者の多くは「選挙のため」と話す。
自民党の井上義行・参院議員は、再選を果たした7月の参院選の公示直前に同連合の「賛同会員」になっていた。自身の公約と同連合の考えが一致していたことが理由といい、秘書は取材に「選挙で支援を受けるため」と明かした。
多くの政治家が同連合の集会に祝電を送っていたことも明らかになっている。元衆院議員は取材に「実態のよくわからない団体も多いが、集会への出席を求められた際に何もしなければ、選挙で相手を敵に回すことになる。だから祝電を打っていた」と振り返った。
地方の首長も、同連合側から支援を受けてきた。富山県の新田八朗知事は、初当選した20年の知事選で同連合から支援を受けたことを明らかにし、「手作りの選挙運動をしており、当時の私にとってはありがたいことだった」と語った。
つながりを誇示
一方、同連合の元信者の男性は取材に「文鮮明氏と政治家が握手する写真を何度も見せられた」と話し、同連合が政治家とのつながりを利用していたとの見方を示す。
同連合は1980年代以降、「先祖のたたり」などと不安をあおって高額なつぼや印鑑を売りつける「霊感商法」や、見知らぬ人同士による「合同結婚式」を巡るトラブルが社会問題となっていた。
北海道大の桜井義秀教授(宗教社会学)は「祝電を送るだけでも、団体にとっては応援のメッセージとなり、宣伝に使われる恐れもある。有権者にとって支援団体は投票先を選ぶ重要な情報であり、政治家は支援を受ける団体を明示すべきだ」と話した。

世界平和統一家庭連合 =1954年に文鮮明氏が韓国で設立。平和や共生を理念に掲げ、結婚と家庭を重視する。日本では64年に宗教法人の認証を受けた。2015年に旧統一教会から現在の名称に変更した。 
●山上容疑者の減刑求める署名活動、松田美由紀も「死刑に反対」 7/30
安倍晋三・元首相(享年67)を銃撃した山上徹也容疑者の減刑を求める署名運動が起きている。オンライン署名サイト「Change.org」で署名を募るページが開設され、発起人は〈過酷な生育歴を鑑みての温情〉と〈本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事〉を減刑を求める理由として挙げている。
山上容疑者の“宗教2世”としての過酷な生育環境などが明らかになる中で、世間では彼に同情する声も上がっている。当該ページには7月29日までに2200人を超える署名が集まり、〈彼は被害者だと思う〉〈彼の行動により政治と統一教会の関係が暴かれた〉といった賛同コメントが寄せられた。一方で、〈まだ起訴もされてないのに〉〈殺人は殺人〉など、この署名運動を批判する声も。
著名人もそれぞれの意見をSNSで表明している。女優の松田美由紀(60)は、〈罪は重いと思うけど。どんなに追い詰められていたかを考えると、胸が痛みます。死刑に反対します〉と山上容疑者に同情を示した。
お笑い芸人の三浦マイルド(44)は、〈ホンマ狂っとるな〉と署名運動に反対の立場を取り、〈此奴は世間はおろか昭恵さんにも謝罪がないんだぞ。何が更生の余地だ。毎日昭恵さんが一人泣いてるのではないかと想うと胸が痛いわ〉と猛批判した。タレントのフィフィ(46)も〈“減刑”って、司法の判断も出ていないのに感情だけ先走って動いてはいけない。あと不幸な境遇なら罪を犯すわけでもない。犯した罪への、それ相当の裁きは必要。何より罪を犯すからには罰を覚悟すべきで同情は不要〉との見方だ。
弁護士は「時期尚早ではないか」
『検察の正義』(ちくま新書)などの著書を持ち、元検事でもある弁護士の郷原信郎氏は取材に応じ、「山上容疑者の悲惨な境遇に、自分たちの境遇を重ね合わせる宗教2世の人たちの気持ちは理解できますが、署名運動は時期尚早ではないかと思います」と語る。
「山上容疑者を宗教2世の象徴のように捉えて、ある種の英雄視をしてしまうのは危険です。取り調べは始まったばかりで、動機も含めた事実関係はこれから明らかになっていくところ。まだ減刑云々を考える段階ではないでしょう」(郷原弁護士、以下同)
今回のような減刑嘆願書は、裁判にどれだけ影響するのか?
「弁護人が、集まった署名をもとに『これだけ寛大な処分を求める人々がいる』と主張することで、裁判に多少は影響することもあるかもしれません。ただ、最終的にどれだけの署名が集まるかも不明ですし、今回の署名運動に関しては何とも言えない状況です」
そもそも山上容疑者にはどれほどの刑が求められそうなのか? 郷原氏は「被害者がひとりである以上、無期懲役が妥当でしょう」と指摘する。
「よほど残虐な方法がとられた場合は、殺人事件の被害者がひとりでも死刑判決が出る可能性がありますが、今回の事件はそのケースにあたらないはずです。『元総理の命は一般人の命よりも重いから、被害者ひとりでも死刑だ』なんていう判断はできません。
もしも加害者が国家転覆など内乱罪に近いような目的を持っていたなら話はまた変わってきますが、現時点で伝わってくる供述内容からすると、山上容疑者の動機の中心にあるのは、あくまで旧統一教会に対する恨みと見られます。『旧統一教会への憎しみにより安倍元総理に殺意を向けた』という点に飛躍は感じられますが、安倍氏が旧統一教会系のイベントにビデオメッセージを送ったことなどを『彼らにお墨付きを与えた』のように捉えたのなら、その主張も理解できない理由ではありません」
今の段階で減刑嘆願への署名活動が起きるというのは、それだけ山上容疑者への判決に注目が集まっている証拠とも言える。前代未聞の事件の捜査はまだ始まったばかりだ。
●安倍元首相は旧統一教会だけでなく「神道も政治化」した─米研究者が指摘 7/30
安倍元首相と旧統一教会とのつながりは国内のみならず、日本を「非宗教的な国」だと認識していた世界を驚かせた。だが、日本の宗教を専門とするアメリカの研究者によれば、安倍派の政治家は神道の思想や価値観も政治利用してきたという。
安倍晋三元首相を狙撃した山上徹也容疑者は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に安倍が関係していたことが犯行の動機だった、と警察で供述している。旧統一教会は、救世主信仰の新興宗教だ。
1954年に同教会を創設した文鮮明(ムン・ソンミョン)は、家族を救済して世界を平和にするため、イエス・キリストが自分をこの世に送り出したと主張した。文は宗教活動の他、国際的なビジネスや保守系の反共産主義の政治活動にも関与しており、その信者は「ムーニーズ」とも呼ばれる。
安倍元首相と旧統一教会との政治的なつながりは、3世代前の祖父・岸信介までさかのぼり、父・安倍晋太郎と晋三に引き継がれた。安倍は2021年、旧統一教会系の団体が開催した集会にビデオメッセージを送っている。
山上容疑者の動機は、日本を「非宗教的な国」だと考えていた多くの人々を驚かせた。だが、日本の宗教を研究する私から言わせれば、安倍と保守系の与党・自民党は複数の宗教政党や、宗教的な伝統と関係がある。だがどういうわけか、安倍と神道の深いつながりは、これまでほとんど報道されていない。
神道は安倍政権の一部だったし、いまでも自民党の一部だ。
政権によって立場を変えた神道
神道は、仏教と並ぶ日本の二大宗教のひとつだ。多くの宗教的な伝統と同様に、神道にはさまざまな意味がある。日本人の主要な信仰だと考える人もいれば、宗教とは思っていない人もいる。
神道は通常「神の道」と訳されるが、端的に言えば「カミ」と呼ばれる神々の崇拝に重点を置いた儀式的な伝統の集合である。強大な力を持つ神道の神々は、農業や健康など、多くの物事に責任を負うと信じられている。
神道の神のひとりである天照大神は、日本の天皇の祖先および、国家の守護者として崇拝される。この太陽の女神は、日本において最も神聖な場所のひとつとされる三重県・伊勢神宮に祀られる。神道の儀式は、日本全国、そして世界の神社で、神々とその管轄下にあるコミュニティを代表する神主によっておこなわれる。日本の天皇も、国家の代表として豊作祈願の儀式に参加する。即位と退位の儀式も、神道の伝統に則る。
こうした儀式への参加を、神聖で精神的な高揚感をともなう経験だと考える人もいれば、神社への参拝は単に伝統、もしくは国家の威信を示すものにすぎないと感じる人もいるが、神道には国家と政治に深くつながってきた長く複雑な歴史がある。現存する日本の最古の書物には、天皇と神々の神話的な行為が書かれており、彼らの統治を正当化している。
米ペンシルベニア大学の宗教研究者であるジョリオン・トーマスはその著書『見せかけの自由』(未邦訳)に、神道は「宗教とは何か」という近現代の日本における論争の中心だったと書いている。この議論は1世紀近くも続いた。19世紀まで日本には、西洋社会の「宗教」にあたる概念が存在しなかった。だが、1889年に明治憲法が制定された際、転機が訪れる。「信教の自由」を取り入れるため、既存のどの集団・伝統を宗教に分類するかを日本政府は判断する必要に迫られたのだ。
このとき、神道は公式に「分割」された。天皇とその神聖な祖先にまつわる儀式は「非宗教的な市民儀式」に分類され、ときに「国家神道」と呼ばれるようになる。一方、個人的な信仰や慣習は私的な宗教に分類された。
ところが第二次世界大戦後に日本を占領した連合国軍は、神道を宗教に分類した。これにより戦後の日本では、国家と神道が切り離された。だが他の宗教と同様、神道は日本の政治に関わり続けた。
神道を政治利用した安倍元首相
日本における神道の主要団体のひとつに「神道政治連盟(SAS)」がある。SASは約8万の会員神社を統括する「神社本庁」の政治団体として1969年に設立された。
ニュージーランドのオークランド大学で日本の宗教を研究するマーク・マリンズによれば、この国家主義団体は、天皇の権限の強化、憲法改正、神道に基づいた道徳教育の実施などを目標に掲げる。また同団体は、日本の過去の軍国主義を象徴する場所として物議を醸す靖国神社への政府関係者の参拝を推奨している。同神社には戦争犯罪人を含む戦没者や被植民者の魂が神道の神々として祀られる。
安倍政権は長期にわたり、SASと緊密に協力した。2016年に発足した第三次安倍再改造内閣の閣僚20人のうち、19人がSASと関係があり、14人が「日本会議」の会員だった。日本会議は「日本を守る会」などの神道団体とつながりのある右翼国家主義の団体で、安倍は特別顧問を務めていた。
安倍と彼の家族は政治活動の外でも、右翼的な宗教活動に関わっていた。2017年には、超国家主義的な神道の小学校を開校しようとしていた学校法人「森友学園」をめぐる汚職事件に安倍夫妻が関与していたことが発覚。同学園が国有地を小学校の建設地として購入した際、行政が巨額の値引きをしたことに疑問の目が向けられると、安倍夫妻は学園との関係を断ち、建設計画は頓挫した。
安倍は環境保護的な思想といった、神道の他の面も政治利用しようとした。2016年、彼は天照大神が祀られる伊勢神宮の内宮にG7の首脳を招待し、植樹式をおこなった。ノルウェーのオスロ大学で日本や沖縄文化を研究するアイケ・ロッツ準教授は、国家の公的な精神性として神道を推進し、その正当性を認めさせるために安倍がこの式典を利用した、と自著に書いている。
首相の在任期間中もその後も、保守派や国家主義者にとって、安倍晋三は神道政治の指導者であり、模範だった。彼の遺産はいまも生き続ける。
●旧統一教会めぐる政治家発言 「安倍元首相の殺害動機に関心ない…」 7/30
全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士が、30日放送のTBS系「報道特集」(土曜後5・30)にVTR出演し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる政治家の発言に対する疑問を口にした。
自民党の福田達夫総務会長は29日の会見で、教団と党所属議員との関係が取り沙汰されていることに「正直、僕自身が個人的に全く関係がないので、何でこんな騒いでいるのか正直よく分からない」「何が問題か、僕はよく分からない」などと発言。野党の猛批判を浴びた。この日夜に「これまでも被害者を生み出すような、社会的に問題が指摘されている団体との関係が問題であるということは、言うまでもありません」と、文書で釈明した。
また、過去に教団の関連団体のイベントで実行委員長を務めた二之湯智国家公安委員長は、「名前を貸して欲しいとのことで貸した。それ以上のお付き合いはない」と、教団との深い関係を否定している。
教団との関係をめぐるこうしたの発言に、紀藤氏は「政治家というのは、そこまで市民の感覚から遠いのかなというのも、ちょっとがく然とした思いです」と失望感を示した。
安倍晋三元首相が8日、奈良市内で応援演説中に銃撃され死亡。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者は、母が多額の献金をしていた教団へ強い恨みを抱いていたことが判明しており、これが犯行動機の一つとなったみられる。紀藤氏は「自民党の元総裁で元首相が殺害されたという事件に関して、自民党の政治家が殺害動機に関心を持たないということ自体も、人間的にどうなのかなというくらいに非常に驚きました」と、厳しく批判した。
●「旧統一教会」と関係が明らかになった政治家 「食い物にされている・・・」 7/30
日本テレビ系「ウェークアップ」(土曜・午前8時)は30日、旧統一教会の世界平和統一家庭連合と政治家との関係が次々と明らかになってきたことを報じた。
その中で2015年8月に教団が行った名称変更の経緯について共産党の宮本徹衆院議員が文化庁に情報開示を請求したが、教団が提出した文書の資料が丸ごと黒塗りだったことを伝えた。
当時の文科相は自民党の安倍派の下村博文衆院議員だったが下村氏は名称変更について記者団に「まったく関わっていません。最終決定者が名称変更については(文化庁の)部長だということですね」と述べた。
番組では黒塗りの理由を文化庁宗務課担当者に取材。「情報公開法に基づきすべての法人で開示せず」とし、また特別な取り扱いは?との問いに「名称変更は要件がそろっていれば良い、2015年に初めて申請されたので受理した。政治的理由はない」と回答したことを伝えた。
これにキャスターで弁護士の野村修也氏は「条文に基づいてといっているんですが確かに法人の中には企業機密みたいなものが書かれる部分については非開示にする、これ正当性があると思うんですけど宗教法人については、そういったものがありませんので黒塗りにしていること自体がおかしいんじゃないかなと思うんです」と指摘した。
続けて「さらに要件がそろっていたので名称を変えたといっていますけど、トラブルが起こっている団体が名前を変えればわからなくなるという、こういう状況の中で名称変更するのはおかしいわけなんです」と指摘していた。
さらに旧統一教会が「韓国では集金していないのに日本だけ集金するっていうこの状況に対して、日本の保守的な政党の人たちはきちっと食い物にされているんだということを、ちゃんと反発していく必要があるんじゃないかなっていう気がします」とコメントしていた。
●維新 “国会議員13人が旧統一教会関連団体イベント出席など”  7/30
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会をめぐり、日本維新の会は党所属国会議員のうち13人が関連団体のイベントに出席するなどしていたと公表しました。ただ、寄付や選挙支援などの事実は確認されず、組織的なつながりはなかったとしています。
日本維新の会は、旧統一教会との関係について党所属の国会議員62人を対象に調査を行い、30日、藤田幹事長が記者会見して結果を公表しました。
それによりますと、13人の議員が旧統一教会の関連団体のイベントに出席するなど何らかの関係があったことがわかったということです。
藤田氏自身も関連団体のクリスマスパーティーなどに複数回参加していたということで「パーティーに宗教色はなく、関連団体とは認識していなかったが軽率だった。今後は参加を控えたい」と述べました。
一方、藤田氏は、13人全員について、関連団体などから寄付や選挙支援などの事実は確認されず組織的なつながりはなかったと説明しました。
今後は、消費者庁などにトラブルが報告されている団体の会合に党所属議員が出席することを禁じるなどとするガイドラインを策定し、対策の徹底を図るということです。
●旧統一教会と岸一族と北朝鮮 この奇妙な三角関係をどう考えるべきか  7/30
連日報道される政治家と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係。教団所属の人物から選挙で支援を受けたと証言したのが、岸信夫防衛相だ。その関係を聞くと、兄の安倍晋三元首相が教団の友好団体にメッセージを寄せたのも「さもありなん」と思える。ただ、話はそこで終わらせられない。教団側は北朝鮮と親密な関係を築いてきたからだ。北を警戒すべき防衛相が、北と縁深い教団側とつながるのは問題ないのか。奇妙な三角関係をどう考えるべきか。(特別報道部・中山岳、中沢佳子)
岸一族と教団、関係の源流は「勝共連合」後押しした岸信介元首相
「選挙というのは、まさに戦。手の内を明かすようなことはしたくない。適切に判断をし、対処したい」
29日の会見でそう述べたのは岸防衛相だ。3日前には、教団に所属する人物から過去の選挙で支援を受けたと明かしたが、今後については曖昧に語った。
兄の安倍氏の銃撃事件以降、同氏と旧統一教会の関係が取り沙汰されてきた。源流をたどると、教団の日本進出のほか、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合」の設立を冷戦下に後押しした祖父の故・岸信介元首相に行き着く。
「反共」を名目に接点を持った岸一族と教団。両者の関係を考える上で気になる存在がある。共産主義を掲げて誕生した北朝鮮だ。教団は冷戦末期から同国とつながりを深めてきたからだ。
教団のサイトによると、教祖の故・文鮮明氏は現在の北朝鮮・平安北道出身。1954年に韓国で教団を創立して信者を増やした一方、91年に北朝鮮側の招きに応じて電撃訪問。文氏は主席の金日成キムイルソン氏と会談し、南北の離散家族を捜す事業の推進などで合意した。
その後、金正日キムジョンイル、金正恩キムジョンウン両氏ら後継指導者とも関係を築いた。2012年9月に文氏が死去した際は、正恩氏が「民族の和解と団結、国の統一と世界平和のために傾けた先生の努力と功績は長く伝えられる」と弔文を遺族に送った。一周忌を前にした13年8月にも追悼メッセージを出すなど、教団への配慮を見せた。
教団と北朝鮮、南北統一や資金面で相互にメリットか
反共を掲げる教団が北朝鮮と接近したのはなぜか。文氏訪朝時に教団系の日刊紙「世界日報」記者だった元信者で、金沢大の仲正昌樹教授(思想史)は「文氏には祖国統一の理念があった。教会としても、訪朝目的は北朝鮮が共産主義を克服するために指導者に働きかけ、悔い改めさせるとの理屈が成り立つ」と語る。
教団とつながりを持つことは北朝鮮にもメリットがあったとみる。「教会信者の経営する会社が北朝鮮に協力するなどし、利益をもたらした面はある」
朝鮮半島問題の専門誌「コリア・レポート」の辺真一編集長は「一九八九年にベルリンの壁が崩壊してから東西陣営の緊張緩和が進み、反共一辺倒だった統一教会の姿勢も変わった」と指摘。「北朝鮮は統一教会の資金力に加え、米共和党へのコネクションを利用する思惑もあった。北に強硬姿勢だった同党との関係を改善しようとしたからだ」
安倍氏ら、教団の北朝鮮とのパイプを重視か
一方で岸一族、特に首相時代の安倍氏は、北朝鮮と教団のつながりをどう捉えていたのだろうか。先の仲正氏は「教会は北朝鮮にいろいろなパイプがある。拉致や安全保障を巡る問題を抱えていた安倍氏らは北の情報を得るため、同国と教会との関係は黙認したのだろう」と推し量る。
教団側は、社会的認知度を上げるために安倍氏らとの関係は重視しつつも、信者になってもらうのはハードルが高いと考えていたと仲正氏は見立てており、「賛同を得られる範囲で接点をつくり、両者は『ウィンウィン』の関係を続けたのだろう」と解説した。
教団を介した北朝鮮との接点、国民に不信・不安招く
「保守」を名乗る面々には、教団側がもたらす北朝鮮絡みの情報に関心を抱く向きもある。
ジャーナリストの桜井よしこ氏は「週刊新潮」今月7日号の連載コラムで、旧統一教会系の日刊紙「世界日報」の掲載記事を「特ダネ」と持ち上げたうえ、日本人拉致被害者の生存情報を引用して伝えた。
防衛相である岸氏は、北の情報を得る上で教団に価値を見いだすことはあるのか。つながるとしても別の理由があるのか。
「教団は植民地支配への恨みを解くとして、日本で献金を募った。保守の政治家と相いれないのに、多くの自民保守系議員に教団側の息がかかっている。人手や票など、目先の利益を求めたのだろう」。英軍事専門誌の元東京特派員で、国際ジャーナリストの高橋浩祐氏はそう語る。
29日の岸氏の会見に出席し、教団との関係を改めてただした高橋氏は「終始歯切れが悪い。岸一族に脈々と続くつながりが深過ぎて、手を切れないんだと感じた」と振り返る。
教団側を介した防衛相と北朝鮮の接点はむしろ、リスクが潜むと懸念を語る。
「実際には情報漏洩などがないとしても『何か起こるのでは』と疑念を抱かせる。国防の根幹は国民の安心感なのに、国民の不信と不安を招く」
教団側が政治家をコントロールしうる立場に
山口大の纐纈こうけつ厚名誉教授(政治学)は「岸氏や兄の安倍氏の選挙区がある山口県は、朝鮮半島に近い。岸一族はさまざまな『半島ルート』を持っている」と語る。その力を思わせる一件として、2002年の拉致被害者5人の一時帰国を挙げる。当時、官房副長官として小泉純一郎首相の訪朝に同行したのは安倍氏だ。
「北朝鮮との公式なパイプが細っている今、外交、国防、拉致問題の解決といった問題には、私的ルートを頼らざるをえない。ただ、それを持つ人物が防衛相だと、安全保障上、大いに問題だ」と纐纈氏は話す。
「教団側はさまざまな政治家とパイプを持ち、政治家をコントロールしうる立場にある。そんな集団と防衛相が近しいと、日本を危機に追い込みかねない」
岸氏はこれまでの会見で、選挙で手伝いをした教団所属の人物が「(投票を呼びかける)電話作戦などはあったと思う」と明かした。お膝元の選挙区は、米軍と海上自衛隊が共同使用する岩国基地のある山口県岩国市が含まれている。「教団関係者が電話作戦をしたのなら、岸氏の事務所から支持者名簿が教団に渡っていないか。それがどこまで流れたのか、検証しなくては」と纐纈氏は訴える。
「関係を切る」と明言しないことが問題 野党は解明を
教団と政治家の関係は複雑に入り組み、闇が深い。
千葉商科大の田中信一郎准教授(政治学)は教団との結び付きを追及された政治家たちが「関係を切る」と明言しないことを問題視する。
「岸氏は防衛相の前に国会議員として不適任。そんな人物が与党にいる。そもそも自民党は税金や権限、政治を私物化する利権集団に支えられて政治の舞台に出てきた人々の集まり。教団との関係も悪いと考えていないのだろう」
一方で野党には、教団と政界の闇を解明する動きが広がっている。立憲民主党は被害対策本部、共産党は追及チームを設置。社民党も教団と自民の関わりを調べようとしている。ただ、歩調はバラバラだ。
田中氏は「本来は合同ヒアリングをするべきだが、野党にも教団側と接点を持つ議員がおり、足並みをそろえるのは難しい。まずは政党ごとでも解明に動くことが大切。どこまで取り組むかは、その党と教団の結び付きの見極めにもなる」と語っている。
デスクメモ
岸田首相は岸防衛相と教団、北朝鮮の関係をどう捉えてきたのか。北につながるパイプがあれば北の情報が入りやすくなるが、逆に漏れ出るリスクもある。危うさをはらむ岸氏を防衛相に任命すべきだったのか。事情を知りながら登用したのか。首相の認識と責任も問わねばならない。
●旧統一教会フロント組織「勝共連合」会長が安倍元首相の“ビデオ出演”交渉 7/30
「朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子(ハン・ハクチヤ)総裁をはじめ、皆様に敬意を表します」
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のフロント組織UPF(天宙平和連合)主催の「神統一韓国のためのTHINK TANK 2022希望前進大会」で、安倍晋三元首相(享年67)がおこなった基調講演(ビデオメッセージ)。安倍氏は冒頭のように発言し、旧統一教会トップの韓鶴子を持ち上げて見せた。
今年4月、この「ビデオメッセージ」を見たのが山上徹也容疑者だ。この安倍氏の姿を見て、「殺すしかない」と暗殺の決意を固めたと供述している。
今回、筆者が入手した映像は、2021年10月17日に統一教会松濤本部・渋谷教会で行われた梶栗(かじくり)正義・UPF-Japan議長・国際勝共連合会長による日曜礼拝の説教「神のかたち」を収めたものだ。この映像の中で梶栗氏は、ひと月前の9月12日に韓国で開かれた「希望前進大会」に安倍氏がビデオ登壇した裏側を明かしていた。
梶栗氏の説教映像「元首相3人へもオファーした」
説教の冒頭、「去る9月12日の希望前進大会においてとんでもないサプライズがあった」と切り出した梶栗氏。彼は統一教会や国際勝共連合の会長を歴任した故梶栗玄太郎氏の長男で、UPF-Japan議長の他、国際勝共連合や世界平和連合の会長を兼任するエリート2世幹部だ。
「実際に9月12日以降、私たちは今後の信頼関係を守るためにいろいろと気を遣うのですが……」としながら、梶栗氏は本題に入った。
昨年夏ころ、各国首脳クラスのブッキングが決まる中、梶栗氏は日本からの登壇者が中々決まらずストレスを感じていたとしてこう明かす。
「私とてアプローチをいくつかしておりまして、その難しさをずっとお伝え申し上げている。ただ、決まらないものだから、どういうトーンになってくるかというと、日本においてそれを成すことがいかに難しいかという言い訳じみた報告になっているわけですよ」
元首相3人へのオファーしたものの、そのうちのひとつの事務所からはこう告げられたという。
「宗教団体のフロント組織でしょ?」
「結局あなたたちはわたくしどもの先生を宣伝材料に使いたいだけでしょ? 利用したいだけでしょ? あなたたちに利することがあって私どもの先生に利することはいったい何があるんですか? UPFと言ったってそんなのは家庭連合・宗教団体のフロント組織でしょ?」
フロント組織を隠れ蓑に政治家を広告塔として布教活動に利用してきた旧統一教会に対する厳しい批判だが、このことを梶栗氏が教団幹部に告げたところ、その幹部から返ってきたのは、「実際その通りだしな」という言葉だったと明かしている。
けっきょく3人の元首相からは断られたものの、世界宣教本部の尹(ユン)ヨンホ本部長から、トランプ前大統領の出演が決まったことを告げられたうえで、「例の取り組み」を始めるよう指示される。その「例の取り組み」こそ、安倍氏のブッキングだった。
梶栗氏は、安倍氏との間に「ずっと温めてきた信頼関係」があると誇ってみせる。実は昨年春、安倍氏との間でこんなやりとりをしていたという。
梶栗「これ先生、もしトランプがやるということになったら、やっていただかなくちゃいけないが、どうか」
安倍「ああ、それなら自分も出なくちゃいけない」
梶栗氏は、韓総裁に手紙でこのやり取りを伝えていたため、尹本部長から指示されたのだ。梶栗氏は再度説得に動き、8月末に安倍事務所から「やりましょう」との承諾を得た。そして撮影は9月7日に決まる。
元首相をブッキングした梶栗氏の自慢話は止まらない。
「あの皆さん、(安倍氏が講演で)語られた内容、覚えてますか? 本当に立派な内容を語られたんですよ。そこでね、言わんとされているのは、本当に私(安倍氏)が信頼し、ともに日本の再建のために信頼して一緒にできる団体はどこか、というね。こういう角度から私たちに対する信頼を深めてきたと」
そして梶栗氏は、安倍氏との信頼関係は「一朝一夕の話ではない」と強調して、自分がビデオ撮影のあと安倍氏を見送る際に見た「霊界の後押し」について語り始めた。
「8年弱の政権下、6度の国政選挙で……」
「(撮影が)終りまして、玄関からお送りするときに、私は深々と頭を下げました。本当にありがとうございましたと。ところがね、私の横に梶栗玄太郎と久保木修己(統一教会・国際勝共連合、初代会長)が一緒に頭を下げているんです。あ、いつの間にいたんだという感じで。
そしたら、先方も深々と頭を下げているんです。その横に岸(信介)先生と安倍晋太郎先生がね、深々と頭を下げているんです。もう私は鳥肌もんだったです。過去、現在、未来という時世が編み上げられた形で、奇跡的な瞬間は実現しました」
その光景を斜め上から故文鮮明氏が見守っていたという。
「お父様(文鮮明氏)が腕を組んでニッコニコニコニコされてんですよ。もう私もね、鳥肌もんだったんです」
「この8年弱の政権下にあって6度の国政選挙において私たちが示した誠意というものも、ちゃんと本人(安倍氏)が記憶していた。こういう背景がございました」
教団のトップは、表向き事件後に会見を開いた田中富広会長とされているが、筆者は最高幹部2世である梶栗氏が実質的なトップとみている。安倍元首相が暗殺されるきっかけとなったビデオメッセージの依頼主だと梶栗氏が認めていたことは少なくない波紋を呼びそうだ。
●「我々は世界を支配できると思った」米・統一教会の"選挙協力"の実態 7/30
アメリカ統一教会の元幹部が報道特集の取材に応じ、教団が政界に近づいた理由、そして政治家に多額の報酬を出していた実態などを証言した。
『私は文(鮮明)氏の犬だ』
日本での献金はアメリカでの信者獲得にも使われたという。
1960年代から70年代にかけてアメリカ統一教会の政治部門の幹部だったアレン・ウッド氏。報道特集の取材に応じ、教団の実態を証言した。
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏
「文鮮明氏らは権力者たちを支配しようとしていました。信者に“組織が世界を牛耳っている”と信じ込ませるためです。そのために権力者たちのビデオを作成し、若者に見せるのです」
ウッド氏自身、脱会するまではこうした講演を通して洗脳されていったという。
1970年に日本武道館でおこなわれた統一教会と関連する政治団体「国際勝共連合」のイベント。ここでウッド氏は司会を務めた。日本からは右翼の大物・笹川良一氏も出席。ウッド氏は笹川氏の発言が忘れられないと話す。
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏
「彼(笹川)は胸をたたきながら『私は文(鮮明)氏の犬だ』と言いました。驚くべき発言でした。日本で最強の人物が自分を文氏の下に位置づけたのです。あの時、『我々は世界を支配できる』と思いました」
岸元総理がレーガン大統領に送った親書には・・・
さらに、文鮮明氏と深い関係にあったのが、安倍晋三氏の祖父・岸信介元総理だという。1982年、韓国で行われた合同結婚式には岸元総理が祝電を送っていた。
岸元総理祝電代読「天を中心にとした理想と信念のもとに指導し、教育しておられる。私が文鮮明先生を心より尊敬する所以であります」
これはその2年後の1984年、岸元総理がレーガン大統領に送った親書だ。
文書(岸信介)「本日、大統領にお願いをしたいと思います。文(鮮明)尊師は現在、不当に収監されています。あなたのご協力のもと、何としてでも、一刻も早く、彼が不当な収監から解放されるよう、お願いいたします」
実は、この親書が出されたとき、文氏はアメリカで脱税の罪で収監されていた。岸元総理がレーガン大統領に文氏の釈放を依頼する内容だったのだ。
文書(岸信介)「文尊師は、自由の思想を掲げ、共産主義の誤りを正すことに人生をかけている、誠実な男だと私は理解しております。彼の存在は、現在も将来も自由と民主主義の維持にとって、貴重で不可欠です」
反共産主義を掲げると…
結果的には、釈放には至らなかったが8年後の1992年。文氏はアメリカでの実刑後、初めて来日した。
このときに政府に働きかけをしたのが、自民党の金丸信副総裁(当時)だったという。さらに来日中に、中曽根元総理と会談を行っていた。
中曽根康弘元総理「あの人(文鮮明氏)は統一教会、あるいは昔の勝共というような関係で、むしろ共産圏の中へくさびを入れていくと。そして自由世界の空気、光を入れていくと。そういうような一貫した方針でやられたんではないかと思いますね」
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏は1970年代、ベトナム戦争の終結後、反共産主義を掲げることで教団の影響力が増したと話す。
中でも共和党との関係は…
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏「レーガン大統領は教団の関連団体が発行するワシントン・タイムズを見せながら『私が読んでいる新聞はこれだけだ』と言いました。文氏がオーナーの新聞です。政治的プロパガンダのための新聞で、政界に入り込もうとしていました。共和党の政治家を取り込むという点では大いに成功しました」
傘下にある新聞で歴代大統領への支持を表明した。さらに選挙運動においては…
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏「レーガン、ブッシュ親子、トランプ、その全員が統一教会の大々的な支援を受けました。信者が資金集めをし、全米各地で戸別訪問をして支持を広げました。父親のブッシュが『統一教会の信者等がいなければ、選挙での勝利はなかった』と発言していました」
1回のスピーチで約1億3千万円
また大物政治家がイベントに出席したり、メッセージを送ったりする際には、多額の報酬が支払われていたことも証言した。
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏「ブッシュが大統領の任期を終えて、韓国に講演に行ったときは1回のスピーチにつき100万ドル(約1億3千万円)を支払いました。レーガンにも1回100万ドル支払いました。これは凄いことです。なぜならこの金は洗脳されて奴隷となった若者たちから巻き上げたものだったからです」
去年9月には、関連団体のイベントにトランプ前大統領もビデオメッセージを送るなど、共和党とのつながりは現在も続いているという。
選挙協力や多額の報酬によって日本やアメリカの政界とつながりを深めた旧統一教会。ウッド氏は…
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏「(文氏は)イデオロギーで心を掴めなければ金で買収するんだと言っていました」
金平茂紀キャスター「普通の教会ではない?」
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏「教会ではありません。(統一教会は)政治団体であり、そのゴールは権力を握ることなのです。文氏は言いました。『今は自分にあらがう人も多いが、将来は自分の言葉がほとんど法律のようになるだろうと』」
●旧統一教会の"献金"内部資料を独自入手 毎年200億円以上が韓国へ… 7/30
独自入手した旧統一教会の内部資料から献金集めの実態に迫る。さらに韓国人現役幹部が取材に応じ、日本からの献金、日本の政治家との関係を赤裸々に語った。
取材に応じた韓国人現役幹部
2021年9月。旧統一教会の関連団体、UPFが開いたイベントにアメリカのトランプ前大統領がビデオメッセージを送っていた。次にスクリーンに映し出されたのが、安倍元総理の姿だった。
安倍元総理「朝鮮半島の平和的統一に向けて、努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ皆様に敬意を表します」
この映像は、韓国の会場からオンラインで世界に配信された。韓国人の現役の信者が報道特集の取材に応じた。男性は40年前に入信し、現在、教団の幹部をしているという。
韓国の教団幹部「正直私は安倍さんに、かなり悪い印象を持っていました。独島(竹島)問題、慰安婦問題、教科書問題、軍国主義の復活などがあったからです」
Q ビデオメッセージによって、安倍氏への考え方が変わった?
韓国の教団幹部「そうです、大変驚きました。あのとき動画が流れることは秘密でしたし、あの映像が流れてみんなが驚きました。安倍さんのことをよく知らなかった人や否定的に見ていた人たちが、“すごくいい方だ”と言ってイメージが大きく変わりました」
この幹部は、1992年の合同結婚式で日本人女性と結婚し、今もその妻と韓国で暮らしているという。
韓国の教団幹部「私が合同結婚式に参加したとき、中曽根元総理がビデオメッセージを送ってこられました。そのことを思い出します。日本では、統一教会のイメージが悪いので、安倍さんは、今回のメッセージを送ることに悩んだと思います。政治家として大きな負担を感じたはずなのに、送ったということに対して、大きな意味があると私は感じています」
トランプ前大統領のビデオ出演で風向きが変わり・・・
安倍元総理へビデオ出演を依頼したのが、UPFの日本支部。中心となって働きかけたのが梶栗正義会長だ。信者に向けた配信映像を入手した。安倍氏のビデオ出演のひと月後に行われた教団の礼拝。梶栗会長がそのいきさつを語っていた。当初は、3人の元総理に話を持ち掛けたというが・・・。
UPF天宙平和連合 梶栗正義会長「(元総理の)事務所から一体何を言われたかと。『結局、あなたたち団体は、私共の〇〇先生を団体の宣伝材料に使いたいだけでしょ。布教のために利用したいだけでしょ』と。3人の元首相からはそっぽ向かれました」
ところが、トランプ前大統領のビデオ出演が決まったことで風向きが変わった。安倍元総理側とは、過去にこんな話をしていたという。
UPF天宙平和連合 梶栗正義会長「先生、もしトランプがやるということになったら、やっていただかなくちゃいけないけどどうかと。“ああ、それなら自分も出なくちゃいけない”という話を実は2021年の春にやりとりをしてたんですよ。先方から『やりましょう』という答えが返ってきて私の耳に入ったのが、8月24日。この8年弱の政権下にあって、6度の国政選挙において私たちが示した誠意というものも、ちゃんと本人が記憶していた」
韓国の教団幹部は、安倍元総理がビデオメッセージを送った理由についてこう話す。
韓国の教団幹部「政治家はたくさんの人々と接する必要があり、選挙の票を意識した行動を取らざるを得ないんです。政治家は“多宗教人”だといわれます。票のためにキリスト教ではキリスト教徒のように、仏教であれば、仏教徒のように振る舞うしかないのです」
“献金”内部資料を独自入手
この幹部に、かつて強引な“献金集め”が社会問題化したことについて尋ねた。
韓国の教団幹部「よく知っています。当時は文総裁が最も世界的な活動を行った時期で、この時期の教団には多額の献金が必要でした。それで多少、無理な方法で献金が行われたことも少しは知っています。それについて、日本統一教会は2009年のコンプライアンス宣言によって、“これ以上、強制的な献金を行わない”と打ち出したはずです」
実際はどうなのか?報道特集は、旧統一教会の関係者から内部資料を入手した。
これは、日本人信者の献金額だという。
1999年度から2008年度まで、献金額は年間おおむね600億円で推移している。2009年のコンプライアンス宣言の後も変わらず600億円近くの献金を集めていたことが分かる。
別の資料に示されたTD。ThanksDonation「感謝献金」の略で、日本から韓国の教会側へ送金した金額だという。
2009年度以降3年間で、200億円以上が毎年、送金されている。さらに別の内部資料には、韓国の関連財団への送金額が日付ごとに記されていているという。2013年度には約132億9996万円が送金されていた。
HK=「返金(HenKin)」は30億〜20億円台
韓国の教団幹部「日本の信者たちは大変な額の献金をしてくれました。とても感謝しています。おかげで今日の統一教会は世界的な宗教に発展し、彼らは世界を救う運動に大きく貢献したと思います」
さらに、資料の「HK」という項目。「返金(HenKin)」を意味する言葉で、裁判によって、教団側が信者側に支払った損害賠償などの金額が示されている。その額は30億円から20億円台で、2009年度以降も信者に返金する事態が続いていた。
献金について旧統一教会は番組の取材に対し、「宗教法人は公表したこともなければ、公表する義務もない」としている。
●岸田首相65歳 “生誕祭” で盛り上がるも…コロナ、旧統一教会問題でダンマリ 7/30
7月29日、岸田文雄首相は65歳の誕生日を迎えた。首相官邸に到着すると記者団から「お誕生日おめでとうございます」と声をかけられ、照れ笑い。
その後の閣議でも、野田聖子地方創生相を皮切りに、閣僚たちが次々と「おめでとうございます」と声をかけるなど、“ほのぼのした光景” が見られたという。SNSでも、《岸田総理、生誕祭おめでとうございます》などのコメントが投稿されていた。
この日は政権発足から300日という節目でもあり、岸田首相は会見で「歴史を画するような課題が次々と目の前に突きつけられる、緊張感、真剣勝負の連続だった」と語ったが、実際のところ、 “ほのぼの” が似つかわしくない状況にあるのは明らかだ。
「安倍晋三元首相の銃撃事件が発生して以降、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と自民党の関わりについて、厳しく追及されています。関わりのあった現職の国会議員は100人以上にのぼるとみられ、そのほとんどが自民党。しかし、岸田首相が『自民党総裁』としてなんらかの対応をとる気配はありません。さらに国会での追悼演説についても2転3転していますし、9月に予定している国葬については、批判の声が高まっています。なにより、新型コロナウイルスの陽性者が過去最大となっているのに、『これまで対策してきた蓄積をフル稼働させつつ、一歩一歩、経済社会活動を動かしていく』とあまりに抽象的なコメントしか発表していません。政府が新たな行動制限をしない代わりに、都道府県に『BA.5対策強化宣言』を出せるようにしましたが、これについても『地方自治体に丸投げ』と批判の声が上がっています。このように、岸田首相には、山積する問題について積極的な姿勢がまったく見られないのです」(政治ジャーナリスト)
一連の岸田首相の対応について、ネット上でも怒りの声が高まっている。
《最近、岸田総理の顔を見ませんねー。非難の嵐が止むまでダンマリですか?当分、嵐は止まないと思う》《何もしないのに全力を出す岸田総理!》《岸田は隠れて沈黙を貫いているがあまりに無責任過ぎやしないか》《素早かったのは安倍元総理の国葬の決定の時だけ》
このまま何もせず、来年も閣僚に囲まれてほのぼのとした “生誕祭” を迎えるつもりなのだろうか――。
●安倍氏追悼で笠岡市長が統一教会系Tシャツ£用「たまたまではない」 7/30
岡山県笠岡市の小林嘉文市長の統一教会系Tシャツ≠ェ物議を醸している。
8日に銃撃された安倍晋三元首相の追悼文とともに、旧統一教会の関連団体のイベント「ピースロード」のTシャツを着た写真を掲載。同市長は「ピースロードと(旧統一教会)の関係は全く知らなかった」と説明し、イベント名がわかるTシャツ部分を削除し、写真を差し替えた。
一部報道によると、ピースロードの参加者は昨年8月に笠岡市へ着き、小林市長たちが出迎えたという。
これに実業家のひろゆき氏は30日に更新したツイッターで「笠岡市長が追悼のメッセージにTシャツ姿を選ぶのは礼を失してるので、統一教会のTシャツを着ていたのは『たまたま』では無いと思うんですよね」と指摘。
安倍元首相と旧統一教会の関係≠ヘ政界では広く知られた話で、笠岡市長のTシャツ着用は確信犯≠ニいうのだ。
ピースロードとは、安倍元首相がメッセージを送ったことで知られるUPF(天宙平和連合)の文鮮明総裁が提唱するプロジェクト。ホームページによると「人類は神のもとの一つの家族であり、文化、貿易、旅行を通じて人々が日常生活の中で出会うことができれば、隣人どうしを隔ててしまう歴史的な恐怖と誤解は消え去ってしまうという文総裁の信念を体現したもの」と書かれている。
●統一教会と政治家 自民総務会長発言「正直、何が問題か分からない」… 7/30
“統一教会”と政治家の接点に、厳しい目が向けられています。名称の変更では当時の文部科学大臣へ異例の事前報告があり、疑問の声が上がっています。自民総務会長は会見で「何でこんな騒ぐのか」「何が問題か分からない」と話し、後に釈明を行う事態も…。
文化庁が承認…“統一教会”名称変更
2015年、いわゆる“統一教会”が文化庁の承認を受け、「世界平和統一家庭連合」へ名称を変更しました。イベントで徳野英治会長(当時)は「本日、この日本におきましても『家庭連合』としての新しい出発ができることとなりましたー!」と声を張り上げました。
多額の献金や霊感商法などが社会問題化していた教団の、「正体隠し」との批判も上がっています。
当時の文部科学相は自民党・安倍派の下村博文議員でした。21日、名称変更に関わったかどうかを記者から問われ、「全く関わっていません」と関与を否定しました。
野党が変更の経緯について文化庁に情報開示請求をしましたが、変更理由の欄は黒塗りされていました。共産党の宮本徹議員は「なぜ名称を変更したのかという理由の所は真っ黒で…」と言います。教団が提出した文書については全体が黒塗り。当時、何が起きていたのでしょうか?
文化庁担当者、下村氏へ「事前報告」
かつて文化庁の文化部長だった寺脇研さんは「(この時の手順は)いわゆる異例なことですよね。普通の場合は(大臣にまで報告を)上げないのが当たり前ですから」と指摘し、自身の経験から、変更プロセスに疑問を呈しました。
下村氏の説明によると、当時“統一教会”からの名称変更の申請を受けた文化庁の担当者が、下村氏に事前に報告。その後、最終決定者である文化部長が変更を了承し、再び下村氏に報告があったといいます。
4年間、部長を務めた寺脇さんによると、異例なのは「事前報告」です。事前に大臣にまで報告するような案件は在任中、一度もなかったといいます。なぜ、このようなことが起こったのでしょうか?
文化庁「大臣に事前に話すことない」
寺脇さん「例えば、大臣と関係の深い団体だということであれば報告するでしょうね。特に申請者の側が『うちは大臣とも深い関係でして』って言われたら、それはやはり報告しますよね」
「(下村氏は)行政の手続きとして関与はしていないんでしょうけど、一般論として関与しているわけですよね」
名称の変更に、下村氏の存在が影響した可能性を指摘します。
名称変更に携わる文化庁の宗務課も、日本テレビの取材に「大臣に事前に話すことは基本的にはない」と答えました。末松文科相は29日の会見で「現時点では特定の政治家からの働きかけがあったものではないと聞いてございます」と述べました。
念願の名称変更…盛大な「記念大会」
創始者の文鮮明(ムン・ソンミョン)氏がかねて願っていたという名称変更を叶え、教団は新たな名称を祝う、盛大な「出帆記念大会」を2015年に催しました。
当時の映像では、音楽に合わせてステージ上で大勢が踊り、「会場総立ちとなって家庭連合時代の出発を決意する場となりました」とナレーションが入っていました。
徳野会長(当時)は「真のお母様が宣言された、この真のお父様への誓いの心情を私たちが相続し、未来への希望あふれる新しい出発をしていこうではありませんかー!」と呼びかけ。教団の友好団体会長は「世界平和統一家庭連合、出帆、大勝利!」と宣言しました。
教団は、名称変更が正体を隠すためではないかとの批判について、「事実無根で的外れな臆測」だと反論しています。
元文科政務官が「マザームーン」連呼
教団の名称が変更された2015年に、当時の下村文科相のもとで政務官を務めていたのが、自民党の山本朋広議員です。
2017年にあった教団のイベントで、山本氏は韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁を「マザームーン」と連呼していました。
山本朋広議員(2017年)「本日は母の日ということで、マザームーン(韓鶴子総裁)にカーネーションの花束をプレゼントさせていただきました」「皆様からマザームーンに対しての感謝の思いがマザームーンへ伝わる」
29日午前、山本氏がカメラの前に姿を現すと…。
スマホを耳に当て、大勢の記者が待つ中へと歩き始めました。呼びかけられても「もしもーし、もしもーし、もしもーし、もしもし? 玄関? もしもーし、もしもーし、もしもし?」とスマホを耳から離さないまま。記者が質問する隙を与えず、そのままその場を去りました。
物議…「組織的な支援」匂わせる発言
山本氏をめぐり、ある発言が物議を醸しています。2017年の教団のイベントで、教団と自民党の双方が否定する、組織的な支援を受けているかのような発言をしていました。
山本朋広議員(2017年)「本当に皆様にはわれわれ自民党に対し、大変大きなお力をいただいていますこと、改めて感謝申し上げたいと思います」。
この意味について29日午前、改めて山本氏に問いかけました。
――“統一教会”のイベントで発言した「自民党に対して大きな力をいただいている」は具体的にどういう意味?
山本氏「きちんと事務所にご連絡いただければ、対応いたしますので」
――“統一教会”とはどういった関係?
「ごめんなさい」
――選挙で協力をもらっているなど、そういう関係は?
「…」
車に乗り込み、「事務所に連絡すればきちんと対応する」として、その場では何も答えませんでした。その後、事務所に教団との関係などについて質問状を送りましたが、29日夜の時点で回答はありませんでした。
「賛同会員」の安倍派議員、今後は?
今月10日に投開票された参院選で当選し、議員となった自民党・安倍派の井上義行氏は、19日にコメントを発表し、自身を教団の「賛同会員」だと明らかにしました。
多くのトラブルを抱える教団と政治家との接点に厳しい目が向けられる中、今後どうつき合っていくのか。改めて話を聞きました。
――賛同会員であったと。
「うん」
――今後も今までと変わらない形でお付き合いを続けていく?
「そうですね、はいはい。あのコメント以外ないものですから。どうもお疲れさまです」
自民幹部、会見で「何が問題なのか」
政治家と教団の関係が連日取りざたされる中、自民党三役の1人、福田達夫総務会長が29日の会見で言及しました。
福田達夫総務会長「正直、僕自身が個人的に全く関係がないので、何でこんな騒いでるのか、正直よく分からない」「何か本当に明確にですね、わが党が組織的にある団体から強い影響を受けて、それで政治を動かしているんであれば問題かもしれませんけど、申し訳ない、僕の今の理解の範疇だと、そういうことが一切ないので」「ただ単に信じている方の母体が“統一教会”に関するところだったというぐらいのことで、問題であるとか、自民党がそこの団体のですね影響を受けて政治を動かすというような誤解を招くようなことだけはして欲しくないなと思いますし」「その上、お相手の方もだいぶご迷惑なのかなと正直思っております」「正直言います。何が問題なのか僕はよく分かんないです」
夜に釈明…周辺にも「分からない」
しかし夜になって、自身の発言について釈明する内容のコメントを発表しました。
「本日(7月29日)の総務会長記者会見における発言につき、御説明申し上げます」「これまでも被害者を生み出すような社会的に問題が指摘されている団体との関係が問題であることは、言うまでもありません」「それゆえに、自分としては、そのような団体との付き合いはしておりません」「個人として何か抜き差しならない関係になっていて、その結果、その方の政治活動に非常に大きい影響を与えているのであれば、それは問題と思います」「一部から御質問をいただいているような、そのような団体との付き合いについて『何が問題か分からない』という趣旨の発言ではございません」
福田氏は周辺に、「自分は“統一教会”と関係ないので、何が問題になっているのか分からない」などと説明しています。 
●「1年も自宅でひそかに」山上容疑者の抱えた“貧困” 人間関係「格差」 7/30
安倍晋三元首相が演説中に銃で撃たれて死亡した事件。山上徹也容疑者が凶行に至った背景には何があるのか。社会学者の土井隆義・筑波大学教授が分析する。AERA 2022年8月1日号の記事から。
山上徹也容疑者はどんな意図で犯行に至ったのか。社会学者の土井隆義・筑波大学教授は二つの見方をしている。
一つは、たとえばベトナム戦争で僧侶が南ベトナム政府に抗議し、焼身自殺をしたような「抗議死」だ。容疑者は自殺こそしていないが、犯行後に逃げようともしていない。政治テロのように未来を見据えた「主張」はなく、「過去についての抗議」だけがそこにある。ただ、犯行前に手紙を投函したのは、そんな自分の予兆に「気づいてほしい」という気持ちもあったから。気づいてくれたら自分の暴走を止められる──そんな思いもあったのでは、と土井教授は見る。
「しかし、その手紙に『安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません。安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません』とあるのを読むと、違う見立ても可能だと思います。『未来を見据えて』統一教会を潰してやろうという思い。その手段としては、影響力の大きい安倍元首相を狙ったほうがいいという冷徹な計算。そんな行動だとしたら、彼なりの合理的判断であり、『テロ的なメンタリティー』だったとも言えます」
いずれにしても、何が彼をそうさせたのか。容疑者はうまく人との関係を紡げない「関係の貧困」を抱えていたのでは、と土井教授は指摘する。
「約1年も自宅で一人ひそかに武器を製造し、教団やその存在を許した社会への敵がい心を募らせていった。人間関係がきちんとあれば、『自分だけの世界』が相対化できるけれども、関係が貧困なためにブレーキもきかず、暴走してしまう。今回の事件は経済的な貧困ももちろん重要な要因ですが、自己責任主義が進むことで社会の分断化が進み、『関係格差』(人間関係が豊かな人とそうでない人の差)が生じているため、いったん躓いたらなかなか這い上がれないという社会状況が広がっていることも背景にあると思います」
土井教授は、容疑者のものとされるツイッターに書かれた「何故かこの社会は最も愛される必要のある脱落者は最も愛されないようにできている」という言葉にも、強い印象を受けたという。
「私は、ある種の諦観(ていかん)ととらえました。現実を『変えていけるかもしれない』という希望が少なからず持てた時代から、いまはその希望がなかなか持てない時代になっている。加えて、政治家を筆頭に異論を封じ、封じられ、互いを認めづらい社会になっている。異論を封じる側も封じられる側も、自分に自信がなく、不安と共に生きざるをえない。そのため、異論の持ち主を認めるだけの心の余裕がないのです。そこに広がる諦観を、よく表した言葉だと思います」 

 

●山上容疑者、安倍氏が首相在任中から殺意か…殺害示唆する投稿 7/31
安倍晋三・元首相に対する銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)が、2019年以前にもツイッターで安倍氏の殺害を示唆する投稿をしていたことが関係者への取材でわかった。これまでに判明しているものとは別のアカウントで、ツイッター社に利用ルール違反で凍結されていた。安倍氏が首相在任中だった3年前にはすでに殺意を抱いていた可能性がある。
ツイッター社は事件後の今月19日、山上容疑者が19年10月に開設した「silent hill 333」という名前のアカウントを凍結し、投稿も閲覧もできないようにした。
同社によると、このアカウントと同一人物が開設したアカウントが19年10月より前に存在し、同社が凍結していた。「特定の標的に対し、殺害の意思を示す」ことなどを禁じる同社の利用ルールに違反していたためだった。
同社は取材に「投稿内容は明らかにできない」としているが、関係者によると、安倍氏の殺害を示唆するものが含まれていたという。
●安倍元首相射殺報道、話が逸れている 7/31
話が妙な方向に逸(そ)れてきた。
安倍晋三元総理を射殺した、山上徹也容疑者の母が統一教会信者だった。多額の寄付で山上容疑者が統一教会に恨みを持った。統一教会は悪。選挙で応援してもらった議員はケシカラン。
テレビのワイドショーが例によって大騒ぎ。『赤旗』が張り切っている。
たかだか現在の信者は10万人(8万人とも)、多額の献金をしているわけでもない。選挙ともなれば、その程度の組織でも、反対に回られるよりは。それだけの関係だろう。
共産党の志位和夫委員長はツイッターで、「何が悪いのか≠ニ開き直りを始めた」と書いているが、実際「何が悪いのか」。
統一教会の名称変更問題もそうだ。じゃ、新聞はその時(平成27年)に反対キャンペーンでも張ったのか。
で、今週の週刊誌。
『週刊文春』(8月4日号)の右柱が「統一教会の闇 自民党工作をスッパ抜く!」、左柱が「安倍元首相暗殺 山上徹也の570日」。
『週刊新潮』(8月4日号)「底なし政界汚染 安倍元総理と『統一教会』ズブズブの深淵(しんえん)」。
両誌ともワイドショーレベル。「闇」とか「深淵」はオーバー。
『サンデー毎日』(8・7)「スクープ 山上容疑者『伯父の激白50分』」。
すでに『文春』『新潮』が先々週号でインタビュー、詳しく報じている。スクープでもなんでもありゃしない。
『週刊朝日』(8・5増大号)で、両親が統一教会の信者だったという女性が、こう語っている。
〈「山上容疑者の行為は擁護できませんが、彼の気持ちに共感できるという2世は多い」〉
山上容疑者は単なる殺人犯だ。
●山上容疑者は「完全にノーマーク」、ローンウルフは黙々と凶器を作り続けた  7/31
安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件は、組織に属さない人物による「ローンウルフ(一匹狼)型」の事件を防ぐ難しさを改めて浮き彫りにした。背景には社会的な孤立もあり、専門家は警察と行政が連携して対応を強化する必要性を指摘している。
「ひそかに武器製造」
「これほどまで周到に準備していたとは」。警察幹部は驚きを隠さなかった。複数の手製銃、自ら作った火薬、工具類……。山上徹也容疑者(41)の自宅から見つかった押収品だ。6畳のワンルームで、誰にも気づかれずに黙々と凶器を作り続けていた。
捜査関係者によると、山上容疑者は母親が入信した宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」を恨み、つながりがあると思った安倍氏の殺害を計画。ネットで買った肥料などを調合して火薬を作り、動画投稿サイト「ユーチューブ」で製造法を調べて手製の銃を作り上げていた。
元海上自衛官で、過激派や右翼団体などへの所属は確認されていない。警察にとって「完全にノーマーク」(警察幹部)の人物だった。
「個人がひそかに武器を製造し、人知れずある日突然犯行に及ぶ。典型的なローンウルフ型だ」。テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功・研究センター長(62)はそう話す。
官邸ドローン
警察は従来、過激派などを監視することで、政治家や重要施設などを狙うテロを阻止してきた。選挙期間中であれば、過激派メンバーらの顔を知る「面割り捜査員」を演説会場に配置し、警戒に当たってきた。
だが近年、組織に属さないローンウルフ型の容疑者が目立ち、兆候をつかむのが難しくなっている。
「ゲリラ戦 とりあえず1人で活動……ローンウルフだ」
2015年4月に放射性物質を積んだドローンを首相官邸の屋上に落下させた男(威力業務妨害罪などで有罪)は、ブログにそうつづっていた。男は「反原発」に傾倒していたが、市民グループなどに所属せず、デモへの参加も確認されていなかった。
男は事件発覚2日後に自ら警察に出頭した。捜査に関わった警視庁幹部は「出頭まで男の存在を全く把握できなかった。ローンウルフ対策を強化する必要性を痛感した」と明かす。
行政と連携必要
警察が近年、力を注ぐ対策は主に二つだ。
一つは爆発物対策で、00年代から、材料となり得る薬品の販売業者に対し、不審な購入について通報するよう求めてきた。15年には火薬を取り出せる花火についても、不審な購入者らの情報を提供するようネット通販大手に要請した。
もう一つは、SNS対策だ。警察庁は16年、テロにつながる書き込みなどを自動的に収集する「インターネット・オシントセンター」を設置し、捜査に生かしている。銃の作り方などを掲載するサイトについても削除要請を行っている。
だが、民間業者への要請などに強制力はなく、対策には限界がある。仕事を辞め、一人きりで襲撃計画を練っていたとされる山上容疑者の行動にも気づくことはできなかった。
治安対策に詳しい東京都立大の星周一郎教授(52)(刑事法)は「警察による対策強化は必要だが、それだけでは不十分だ。例えば、社会への不満や孤立を訴えるSNSの投稿に対して行政が直接支援のアプローチをするなど、背景にある孤立対策に本腰を入れる必要がある」と話している。
移民が疎外感 テロリストに…海外で問題化
ローンウルフは元々、ネットの情報などで人知れず過激派思想に染まり、単独や少人数で事件を起こすテロリストを指す。イスラム過激派組織「イスラム国」がSNSを通じて若者らにテロを呼びかけた影響もあり、2010年代に各国で事件が多発した。
特に問題となったのが、移民先で疎外感を深めた人物が、ローンウルフになるケースだ。13年に米ボストンマラソンが狙われた事件では、移民の兄弟が爆弾を仕掛け、3人が死亡、260人以上が負傷した。
各国の情報機関も予兆をつかめず、治安の脅威になっている。17年に英ロンドンで車を暴走させるなどして警察官らを殺傷した男も、人知れずイスラム過激主義に傾倒していた。
●岸田政権9月内閣改造「入閣待機組22人」が旧統一教会と“濃厚接触”… 7/31
岸田首相は9月前半にも内閣改造を行うそうだが、最大の火種は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との接点だ。安倍元首相の銃撃事件以降、選挙手伝い、パーティー券購入など教団とのズブズブ関係が次々と露呈し、自民党内は“総汚染状態”。判明しているだけで100人近くの自民党議員が関係を持ち、「入閣待機組」も例外ではない。岸田首相が彼らを抜擢すれば“大炎上”は免れない。
岸田政権の現職閣僚にも汚染は及ぶ。安倍の実弟の岸防衛相は29日の会見でも、旧統一教会が霊感商法で社会問題化したことを認識した上で、選挙ボランティアの申し出を受け入れていたと居直り。二之湯国家公安委員長は、教団の関連団体のイベントで実行委員長を務め、末松文科相は宗教法人を所轄する官庁のトップでありながら、教団関係者にパーティー券を購入してもらっていた。先の参院選で引退した二之湯氏の交代は既定路線だったが、岸氏も末松氏も当然、閣内を去るべきだ。
しかし、総汚染状態で代わりになる議員はいるのか。衆院は当選5回以上、参院は当選3回以上で閣僚経験のない議員が「入閣待機組」と呼ばれる。日刊ゲンダイは旧統一教会の取材を続けるジャーナリスト・鈴木エイト氏作成のリストを参考に、教団と接点のある待機組をピックアップした(別表)。
計78人(衆院51人、参院27人)の待機組のうち、衆院は3分の1にあたる17人、参院は5人と計22人が旧統一教会と関係を持っていた。数の上では参院側の方が少ないが、関係性は「特濃」である。
衆参ともに“濃厚接触議員”がゴロゴロ
江島潔議員は2019年10月、旧統一教会の関連団体が名古屋市で開いたイベントに、基調講演を行った細田衆院議長らと参加。壇上で教団の韓鶴子総裁に花束を贈呈したほか、同月に教団関連団体が都内で開いた「平和大使と地方議員の集い」にも出席した。
19年の名古屋のイベントでは北村経夫議員も「日頃よりみなさまには大変お世話になっております」と参加者に頭を下げた。13年に全国比例で初当選した際、旧統一教会の選挙支援を受け、教団の内部文書には、北村氏の当選の可否が「組織の『死活問題』」と記されていた。19年参院選でも教団内部で北村氏を応援するビラが出回っており、そのお礼に頭を下げたのか。
衆院側にも17年5月14日の「母の日」に旧統一教会が都内で開いた「1万人集会」で来賓挨拶を行い、韓総裁を「マザームーン」と称え、カーネーションの花束を贈呈した山本朋広議員など“濃厚接触議員”がゴロゴロいる。
「内閣改造後は安倍元首相の国葬を挟み、すぐ秋の臨時国会が召集されます。野党の追及を避けるため、岸田首相も教団側とつながりの深い議員の初入閣は避けると思いますが……」(自民党関係者)
内閣改造の焦点は、自民党と旧統一教会の関係清算となりそうだ。
●「旧統一教会と政治家のつながりは明らか」紀藤弁護士 海外メディア会見 7/31
安倍元首相の銃撃事件をめぐり、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と国会議員らの関係が取りざたされている。7月29日、霊感商法の被害者支援に取り組む弁護士らが、東京・丸の内にある日本外国特派員協会で海外メディアに向けた記者会見を開いた。会見では、被害者支援に長年携わってきた弁護士らが、安倍元首相をはじめとする政治家と統一教会の関係について言及した。
「旧統一教会と政治家のつながりは明らか」
「親が信者の場合、子どもがどんなに苦しむのか、そのことをぜひ理解してほしい。あの事件は、そのために苦しみ続けた山上徹也が、間違っていますけど、起こした事件だということはご理解いただきたい」(全国霊感商法対策弁護士連絡会 代表世話人・山口広氏)
会見資料によると、山上容疑者の母親が入信したのは1998年、自己破産したとされるのは2002年だ。
この期間は教会が特に苛烈な献金を強いていた時期と重なると、全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、全国弁連)の事務局長で弁護士の川井康雄氏は指摘する。
同資料によると2005年、安倍元首相はUPF(天宙平和連合、旧統一教会のダミー団体とされる)の行事に初めて祝電を送った。その後、2006年にも祝電を送付している。これを受けて全国弁連は安倍氏に公開質問状と抗議文を送ったが、いずれも回答はなかったという。
それ以降も全国弁連は、安倍元首相を含む政治家らに対して、旧統一教会からの支援を受けないよう、また教会や関連団体に対して祝辞を述べたりすることのないよう、繰り返し抗議してきた。
最も最近のものでは、安倍元首相が銃撃される約1年前の9月17日付でも抗議文を送っていた。安倍元首相がUPF主催のイベントに対して、基調講演(ビデオメッセージ)を送ったことに対する抗議だった。
さらに会見では、第1次安倍政権が終わった後の2007年を皮切りに、違法な販売行為を行なっている統一教会関係会社への刑事摘発が相次いだと指摘。一方、2009年に第2次安倍政権が発足して以降に、そうした刑事摘発がなくなったことにも疑問を呈した。
「旧統一教会と政治家のつながりは(年表を見ると)明らかです」(川井氏)
川井氏は、旧統一教会の大きな問題の1つとして「正体を隠しての伝道活動」を挙げる。
これに拍車をかけたのが、2015年8月に文化庁によって承認された「統一教会」から「世界平和統一家庭連合」への名称変更だったとする。
全国弁連は2015年3月に、当時の文部科学大臣(下村博文・現衆議院議員)に対して、変更を受け入れないよう申入書を送っているが、結局、変更は承認された。
川井氏はこの経緯について、2012年の4月頃から下村氏が旧統一教会の関連団体で講演をしたり、関連誌にインタビュー記事が載ったりといった関係性があったことを指摘する。
なお下村氏は、Twitterで旧統一教会の名称変更に関する自身の関与について否定している。
しかし、文化庁文化部宗務課長を務めた際に名称変更を断ったという、元文科次官の前川喜平氏が「何らかの政治的圧力がなければ絶対に起きない」と証言するなど、下村氏の発言について疑問視する向きも強い。
すべての核となる活動で違法行為
1980年代から霊感商法の被害者救済に関わってきた弁護士の山口広氏は、「統一教会は、単なる宗教団体ではない」と語る。
政治や言論、学術界などにも食い込むことで、「イリーガル(違法)なスピリチュアル・セールスなどの被害について、警察や行政が積極的に動かないように、圧力をかけてもらうことが重要なミッションになっている」と、山口氏は言う。
紀藤正樹弁護士は、過去の裁判事例を引きながら「統一教会の核となる、すべての活動について違法行為が最高裁まで確定している」という。
具体的には(霊感商法などによる)違法な献金運動、そして(入信への)勧誘行為、そして合同結婚に対する勧誘行為において被害者らが訴えた裁判だという。
「(これだけ裁判所の判例がありながら)それでもこの団体は不法な行為をやめません。また過去に被害を与えた人たちに対して謝罪やそれを償うということをしていません。(その事実を)今日はぜひ皆さんにご理解いただきたい」(紀藤氏)
山口氏はこう強調した。
「なぜ(被害者救済を)35年もやってきたかというと、被害者の皆さんがあまりにいい人たちだから。家族が不幸にならないように(中略)説得をされて、それを何とかするために献金をしている。そのあまりの悲惨さと、あまりにダーティーであることに、私自身、怒りを常に持ち続けてきた」
●舛添要一さん、旧統一教会に支援を求める嫌韓派政治家の矛盾を指摘 7/31
元東京都都知事、参議院議員で国際政治学者の舛添要一さん(73)が31日にツイッターを更新。連日、多くのメディアで報道されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)とのつながりを持つ政治家について「韓国で発足し、教祖も韓国人である統一教会の選挙応援を平気で受ける『嫌韓派』の右寄りの政治家たち。日本人信者が献金した金は韓国の教団本部に吸い取られている」と、考え方と現実との矛盾を指摘した。
さらに「『嫌韓派』なら、徹底的に韓国を排除すればよいのに、票目当ての付和雷同で、政治理念などどうでもよいということなのだろう」と皮肉を込めた。
●政治と旧統一教会 「ここで止められなかったら、日本は止められない」 7/31
インターネット匿名掲示板「2ちゃんねる」創始者で元管理人の「ひろゆき」こと西村博之氏(45)が31日、TBS系「サンデー・ジャポン」(日曜前9・54)にリモートで生出演。信者の巨額献金や霊感商法による集金が問題視される旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)について私見を語った。
旧統一教会をめぐっては、安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけにクローズアップされ、政治家と旧統一教会の長年にわたる関わりが明るみに出ている。また、旧統一教会の勧誘の中心は大学生ら若年層にシフトしたとされており、最近は「SDGs」をテーマにした講演など一見無縁な会合が、学生信者獲得に利用されているという。
番組ではこの問題を取り上げると、お笑いトリオ、3時のヒロイン・福田麻貴(33)が「反社会的な団体と本当にちゃんとした団体の違いがわからない。どの段階で学生が判断すればいいのか…」と首を傾げた。ひろゆき氏は「まともじゃないところって友達とか親と連絡をさせないようにするんですね。親と連絡をさせないで共同生活をするっていうのが正しいよねって思い込ませる。親と連絡が取れなくなって、どんどんマインドコントロールが止められなくなる」と、親や周りの人と連絡をさせないようにしている団体に気をつけたほうがいいとした。
また、「カルト団体に対しての消費者庁や警察の取り締まり強化」を求める声があると、ひろゆき氏は「もともとそういう動きはあったんですけど。オウム真理教の後は、統一教会だよねって言われていたんですけど。ただ結局、統一教会には捜査は入らなかったんですね」と話し始めた。「なぜ捜査が入らなかったのか」という疑問に対し、ひろゆき氏はジャーナリスト、有田芳生氏(70)から聞いた話として、「政治の力で止められたからできなかったと警察の人が言っていた」と明かした。
連日、自身のツイッターなどで政治と旧統一教会のつながりを批判しているひろゆき氏。「今回は被害が明るみに出ている状態でも止められてない。これだけメディアがやっても、政治家は『縁を切る』とも『潰せ』とも言わない。たぶんもう止まらないと思うんですよね。統一教会のやり口が他のカルト団体にも知れ渡ったし、他のカルト団体も止められない。ここで止められなかったら、日本は止められないんじゃないか」と今が瀬戸際であると訴えかけた。 
●岸防衛大臣「旧統一教会との付き合いもあった」「支援者集めは重要」… 7/31
「統一教会の皆さんは、何人かは存じ上げています。お付き合いもありましたし、選挙の際もお手伝いをしていただいております」(岸信夫防衛大臣)
きのう岸防衛大臣は、選挙の際に旧統一教会のメンバーからボランティアで電話で投票を呼びかける支援を受けたことを明らかにした。「選挙なので支援者を多く集めることは重要」と述べ、「問題はない」との認識を示した。
また、警察庁を所管する二之湯国家公安委員長は2018年、参議院決算委員長当時に旧統一教会の関連団体のイベントで実行委員長を務め、スピーチをしていたと明らかにした。閣僚をはじめとする政治家は、なぜこのように旧統一教会と関係を持つのだろうか。テレビ朝日政治部官邸キャップの山本志門記者は、その理由を次のように語る。
「それは双方にとってウィンウィンの関係だから。自民党関係者によると、旧統一教会側のメリットとしては、例えばさまざまな場でスピーチなどをしてもらうことによって、(信者に)『政治家が来るぐらいの宗教だから大丈夫だ』と(思わせられる)。いわば、“広告塔”のように使う。一方で、自民党議員にとっての最大のメリットは選挙。信者がボランティアで有権者への電話がけ、あるいはチラシ配りなどをしてくれることで『本当に一生懸命やってくれるんだ』と、ありがたがっている関係者は多い」
自民党の茂木幹事長は「組織的な関係がないことをすでに確認している」と述べ、党としての調査に否定的な考えを示した。こうした中、山本記者は「例えば(一般的な)宗教団体から支援を受けて、無償でボランティアとして選挙の手伝いをしてもらうということについては選挙違反ではない。ただ、問題となりそうな宗教団体に支援を受けている政治家が有権者に支持されるのかどうか、国会議員としてそれがあるべき姿なのかは問われてくる」としている。
こうした問題について、ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、臨床心理士・公認心理師で明星大学心理学部准教授の藤井靖氏に話を聞いた。
――自民党の茂木幹事長は「組織的な関係ではない」と話していましたが、藤井先生はどのようにお考えですか?
「僕は会見を見ていて『怖い』と思った。仮に自民党と組織的に関係があって個人のつながりも生まれたのであれば、ある種の『組織の病理』が前提あると考えられる。しかし、それがないと言うものの、これだけ献金を受けている人がいる、イベントに出席した人がいる、コメントを出した人がいるので、繋がりがあることは確か。そうすると、個々のオルグ(勧誘活動)を経て関係ができたということで、関係を持とうとする組織の力は色々な意味で強くて根深いのではないかと感じた」
――政治家は選挙のため、票集めのためという大義名分があると、こうした問題について思考停止に陥ってしまうところがあるのでしょうか?
「政治家の皆さんはとにかく選挙で通ることが目的だから、“自分に対して支持をしてくれる可能性のある人はすべて受け入れる”くらいの気持ちでやっていかないと、なかなか当選に結びつかないという発想があると思う。私たち有権者としては『そこはもう少しちゃんと見てくれよ』という思いはある」「一方で、心理学的に考えると、問題のある宗教や組織、団体に『この人を勧誘しよう』とターゲットにされ狙われた場合、そこから逃れるのは難しいと思う。『自分だけはそんなの引っかからないよ』『ハマる人が悪い』と思ってる人も多いと思うが、環境とコミュニケーションが揃えばほとんどの人が引き込まれてしまうという構造や技があるというのが実際。問題のある組織と関わりがないのは、『たまたま途中で気づけた』あるいは『運がいいだけ』という側面もある」 
●山上容疑者に “お金の差し入れ” 呼びかける人!減刑署名が3000人突破… 7/31
安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者。この山上容疑者の “減刑” を求める署名が、7月31日時点で3000人を突破した。
この活動は、7月15日に署名サイト「Change.org」上で開始されたものだ。検察庁長官宛てに、山上容疑者の減刑を求めるという趣旨。
署名活動を立ち上げたとされる人物は、同サイト上で山上容疑者は《過酷な生育歴》で、《本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事》と主張。
そのうえで、《親の信仰によって、生活も精神も追い詰められる人が非常に多いです。このような状況で物心ついた時から生活していた山上徹也容疑者に、どうか寛大な見解をお願いします》と述べている。
「山上容疑者は幼くして父親を亡くし、母親は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信し、多額の献金で自己破産。山上容疑者は経済的理由で大学進学も断念し、3年間の海上自衛隊勤務を経て、アルバイトや派遣社員を転々としてきました」(社会部記者)
同サイトには署名に賛同する人々のコメントが殺到している。
《彼は犯罪者である以前に犠牲者です。その点、量刑に考慮があって当然です》
《結果は残念だけど親を選べない彼の不遇な生い立ちは本当に気の毒で同時に宗教の恐ろしさを改めて感じました》
《このような犯罪が起こらなくするのが政治であるのに、それをせず自分たちだけ税金を使って贅沢三昧をし、未来ある若者をこのような犯罪に追い詰めた責任が政治家にはあると思う》
《私も母親が信者で、私は別の教団でイジメを受けました。宗教自体なくなってほしいと思います。彼の行動を無駄にしないでください!》
さらには、山上容疑者に現金を差し入れようと呼びかける人物まで登場している。
《山上君が留置場で好きなモノを買えるように、出所した時の生活費の為に、お金の差し入れしませんか? 赤の他人でも現金書留でお金の差し入れは出来ます。千円でも五千円でもいくらでもいい、今までさんざん一人で苦しんで生きてきたんだから、こういう時くらい誰かに優しくされてもいいと思う》
「“擁護派” のなかには、山上容疑者と同じように近しい人が旧統一教会に入信して苦労したという方が多くいるようです。旧統一教会の霊感商法や過剰な献金の問題については、冷静に追及されるべきでしょう。
とはいえ、この署名活動について、ネットでは『山上容疑者より苦労してきた人は山ほどいる』『殺人には変わりないし、減刑したら同じような犯罪が増える』など、冷静な声も多いです。そもそも、求刑すらされていないのに、減刑を求めるのは時期尚早でしょう。
実は、1921年9月に発生した安田善次郎刺殺事件は、犯人が世間で “英雄視” されました。これに刺激を受け、同年11月に原敬首相暗殺事件が起きたと言われています。安易に山上容疑者を持ち上げる風潮は非常に危険です。
なお、山上容疑者宛ての差し入れを警察署に送っても、家族と弁護士以外のものは受け取りを拒否されるそうです。実際に差し入れを送った人が返送されたため、警察署に理由を聞いたところ、『危険物を送ってくる可能性もあるから』と言われたそうです」(同)
山上容疑者の減刑を求める署名活動が、昭恵夫人など遺族を傷つけなければいいが……。 
●岸田首相、旧統一教会との関係「各議員が説明することが大事」 7/31
岸田文雄首相は31日、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と、現職の閣僚や自民党議員との関係が相次いで明らかになっていることについて問われ、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思う」と述べた。
首相公邸で記者団の取材に語った。安倍晋三元首相の銃撃事件後、首相が教団について言及したのは初めて。首相は、「国民の皆さんの関心も高いわけですので、こうした丁寧な説明を行っていくことは大事だ」と述べたものの、今後の対応などについては言及しなかった。
現職閣僚では、萩生田光一経済産業相、末松信介文部科学相、二之湯智・国家公安委員長、岸信夫防衛相が、教団や関連団体と接点があることが明らかになっている。また、朝日新聞の取材に対し、複数の自民党議員が接点を認める一方、明確な説明をしない議員もいる。
野党からは、教団と自民党について「自民は、党で調査すべきだ」(立憲民主党の泉健太代表)と実態解明を求める声が出ているほか、政治・行政への影響を、国会で調査すべきだとの意見も上がっている。 

 

●自民、旧統一教会との関係発覚相次ぐ 世論の批判警戒、野党は追及 8/1
安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件をきっかけに、自民党の現職閣僚や国会議員と「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)との浅からぬ関係が次々と明るみに出てきた。自民党は「党として組織的な関係がないことは確認している」(茂木敏充幹事長)と、世論の批判が同党に向かうことを警戒。立憲民主党など野党は「実態解明が必要だ」として追及する方針だ。
旧統一教会は1968年、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合」を創設。当時から安倍氏の祖父、岸信介元首相ら自民党右派との結び付きが強かったとされる。憲法改正や同性婚反対など保守色の強い主張を掲げており、党幹部は「今もつながりのある人は安倍派に多い」と指摘する。
岸田内閣の閣僚では、安倍氏の実弟の岸信夫防衛相(安倍派)が過去の自身の選挙で旧統一教会のメンバーに手伝ってもらったことがあると公表。同じく安倍派の末松信介文部科学相は、教会の関連団体にパーティー券を購入してもらったと明らかにした。
自民党とのつながりは安倍派に限らない。二之湯智国家公安委員長(茂木派)は2018年に関連団体のイベントで「実行委員長」を務めたと明かし、磯崎仁彦官房副長官(岸田派)も21年に関連団体のイベントに参加していた。
関連団体から選挙で支援を受けた自民党中堅(麻生派)は「真面目に電話かけをやってくれた。選挙の勝利に教会の力は少なからずあった」と振り返る。
野党も全く関係ないとは言えない。立民では中川正春元文科相や篠原孝幹事長代行らが過去に関連団体の会合に祝電を送っていた。日本維新の会は、藤田文武幹事長ら国会議員13人が教会側と接点があったと公表。国民民主党の玉木雄一郎代表も、教会と関係が深いとされる「世界日報」の元社長から16年に計3万円の寄付を受けたことを明かしている。
その一方で、80年代以降、旧統一教会による「霊感商法」や、信者からの多額の献金集めが社会問題化していった。
立民の泉健太代表は7月29日の記者会見で「宗教というよりも霊感商法で数多く問題を起こしている団体で、多くの国民が『おかしいのでは』との声を上げている」と指摘。共産党も「宗教活動の自由という問題ではない」(田村智子政策委員長)との立場だ。
両党は、文化庁が15年に旧統一教会からの名称変更を認めた際、当時の下村博文文科相(安倍派)らの関与がなかったか、臨時国会で追及する構えだ。立民関係者は「今後、統一教会と政治の関係は大きな問題になる」と語った。
●旧統一教会と政治の闇「警察庁出身の政治家の横やりで撃ち方やめ」に 8/1
安倍元首相銃撃事件によって「政治と宗教」が再びクローズアップされている。その中心は、言うまでもなく統一教会(現・世界平和統一家庭連合)だ。全国の約300人の弁護士によって1987年に結成された「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)は、元首相をはじめとする全国会議員に対し、教団と関わりを持たないよう要請してきた。問題のない集団だと「お墨付き」を与えかねないからだ。80〜90年代に霊感商法や合同結婚式などで社会問題化した統一教会は、なぜ野放しにされてきたのか。政治家はなぜいわくつきの教団に肩入れするのか。35年以上にわたり、被害者の救済に奔走してきた弁護士に聞いた。
──霊感商法をめぐっては、教団の組織的関与が認定された民事事件がおよそ30件に上るほか、2007年から10年にかけて警察による摘発も相次ぎました。ジャーナリストの有田芳生前参院議員は「95年秋に警察庁幹部らが〈オウム真理教の次は統一教会を摘発する〉と言っていた」と発言。動きがなかった理由は「政治の力」とも言っています。なぜ教団に大きなメスが入らなかったのでしょうか。
警察の対応が始まったのは05年。09年には刑事裁判で統一教会の組織的犯行が認定された新世事件(特定商取引法違反)に至りました。一連の摘発によって統一教会の動きが少しは収まるかと考え、正直言って喜んでいた。私自身、警察の捜査に協力していたんですが、現場は相当苦労していました。信者の身柄を取っても、彼らは自白しないからです。組織活動の一環であるという実態を隠し、一般的な商売だと供述する。全く口を割らない。現場のフラストレーションがたまる中、新世事件以降の政治の横やりも影響したのか、10年ごろに撃ち方やめとなってしまったんです。警視庁は当初、統一教会の松濤本部までガサ入れする方針だったのに、警察庁出身の自民党有力議員から圧力がかかり、強制捜査は渋谷教会などにとどまった。この話はいろんなところから何回も聞きました。
一連の摘発に「政治家との絆が弱かった」と総括
──教団は正体を隠して霊感商法を続けています。
13件30人余りに上る一連の刑事摘発を受け、統一教会はどう総括したか。「政治家との絆が弱かったから摘発された」「今後は政治家と一生懸命につながっていかなければいけない」だった。表向きは「コンプライアンスの徹底」なんて言っていますが、本音は「もっとうまくやれ」ですよ。
文化庁に繰り返し解散請求を要請
──政治家へのアプローチをさらに強めていくわけですね。全国弁連は宗教法人を所轄する文化庁に対しても、さまざまな要請を行ってきました。
東京地裁の決定によって96年にオウムに解散命令が出されたのを受け、「統一教会にも解散請求をしてください」と何度も申し入れをしました。しかし、文化部宗務課は「組織活動が認められた刑事事件はないから、宗教法人の解散請求まではできない」と。当時、民事訴訟では組織的活動や統一教会の使用者責任が認定されていました。関連する証拠は山ほどある。「いくらでも資料提供しますから、ぜひお願いします」と繰り返し要請しましたが、民事だけではダメだと。ただ、オウムの現状を見れば分かる通り、宗教法人としての統一教会を解散させれば被害がなくなるかと言えば、必ずしもそうではない。宗教団体として活動を続ける余地は残る。霊感商法対策で最も効果を発揮するのは、刑事摘発なんです。統一教会はそれを恐れ、言葉巧みに不特定多数の通行人を呼び止めてビデオセンターに連れて行ったり、高額な商品をいきなり売りつけるようなやり方はできなくなっています。
──それでも、いまだ被害は甚大です。全国弁連のまとめでは、21年だけで相談17件、3.3億円余りの被害が判明。この34年間では相談は約3.4万件、1237億円超の被害が確認されたそうですね。
全国弁連や消費者センターに持ち込まれた相談の集計に過ぎません。氷山の一角です。霊感商法の入り口はいまも3つある。FF伝道、戸別訪問、それに街頭アンケート。FFはファミリー・フレンドの略で、仲間内の誘い込み。戸別訪問は形を変え、無料運勢鑑定なんかをきっかけにしている。かつてのように幅広く網をかけて献金を集める手法はとれなくなっているので、既存の信者を深掘りし、資金源にしています。差し出す財産がなくなれば借金に走らせ、さらには自己破産に追い込み、それでも献金させるのが統一教会のやり口なんです。
──銃撃犯の山上徹也容疑者は動機のひとつとして、教団のフロント団体「天宙平和連合」(UPF)のイベント(21年9月12日開催)に元首相が寄せたビデオメッセージを挙げています。教祖の妻である韓鶴子総裁に元首相が「敬意を表します」などと基調演説する衝撃的な内容でした。
全国弁連は抗議文とともに、メッセージ提供の経緯について説明を求める内容証明郵便を安倍さん宛てに送付しました。しかし、衆院議員会館の安倍事務所は受け取り拒否。地元事務所は受け取ったものの、回答はありません。第2次安倍政権以降、自民党が統一教会との関わりを隠さなくなったことに強い懸念を抱いていました。自民党の変化には2つの理由がある。安倍さん自身が統一教会との親和性に気づき、統一教会とつながりのある議員を積極的に登用するようになったことです。
──教団は関連団体などを通じて憲法改正を求め、同性婚や夫婦別姓に反対すると主張しています。
若手議員は統一教会のイベントに参加したり、祝電を送ったり、それらをホームページなどで発信するようになった。ひと昔前は統一教会の求めには応じるものの、議員たちには問題がある教団だという意識があり、「顔は出すけど、名前は出さないで」と言っていたものです。それがガラッと変わったのは、統一教会と関わりを持てば安倍さんの覚えがめでたくなり、政府の一員になるチャンスになったから。政務官や副大臣、場合によっては大臣に取り立てられることもあった。統一教会が刑事摘発されるケースが少なくなり、マスコミ報道が減り、教団の実態を知らない議員が増えたことも背景にあります。
名称変更に「なぜ!」と抗議、宗務課担当者は「言えません」
──97年以降、教団が求め続けてきた名称変更を文化庁が15年に認証しました。第2次安倍政権下でした。
安倍政権が統一教会に協力的なスタンスであったことは間違いない。私どもは宗務課に「名称変更を認証しないでください」と何度も申し入れましたし、担当者も「そんなことはしませんよ」と応じていた。そうした中での突然の認証でしたから、非常にビックリして「なぜ認証したんですか!」と抗議に行ったんです。すると、担当者は「言えません」と。
──それが精いっぱいの対応?
本当にそうでした。当時の担当大臣は下村文科相。文化庁に具体的な働きかけがあったのか、あるいは忖度したのか。そこは分かりません。一方で、「幸福の科学大学」の新設は14年に不認可とした。そっちができて、こっちはなぜできないのか。そう言いたくはなりますよね。
──文科省の大学設置・学校法人審議会の答申を受ける形ではありましたが、幸福の科学総裁の「霊言」の必修科目教材採用や、認可審査中に下村文科相の「守護霊インタビュー」を出版したことが問題視された。岸田自民党は銃撃事件を「民主主義への挑戦」と強調し、事件の本質から目をそらさせようとしているように見えます。
事件そのものは決して許されるものではありませんが、政治倫理が問われている。そう思います。特定の宗教による長年の苦しみが容疑者を行動に駆り立ててしまったということ。右とか左とか、政治がどうこうというレベルではありません。
──銃撃事件の発生からまもなく1カ月。送検された容疑者への法律面の支援は十分なのでしょうか。
奈良弁護士会の方でいろいろ検討し、動いていると聞いています。私は東京なので勘弁してよ、と言いたいですが、統一教会の実情を理解した弁護人がつく必要はあると思っています。
●統一教会の「名称変更」問題に潜む文科省の「歪んだ行政」 8/1
霊感商法の消費者被害
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と政治の関係が問題視されているが、いわゆる霊感商法に対する規制はどうなっているのか。
政治と宗教の関係は信教の自由(憲法20条)に由来する。政教分離原則とは、信教の自由保障を実質的なものにするために、国及びその機関が宗教に介入し、または関与することを禁止するものである。
一方、宗教団体が政治的活動をすることは憲法上排除されていない。国及びその機関が宗教に介入・関与することがいけないのであって、政治家でも閣僚などの政府の人間であれば注意すべきであるが、一般政治家が宗教と関係を持つことまで禁止していない。というものの、その関係性について懸念を持たれることは、政治家として避けたほうがいいだろう。
かつて、といっても50年以上昔のことだが、旧統一教会は政治団体「国際勝共連合」を設立し、反共産主義団体としても知られていた。その後、1980年代には旧統一教会の霊感商法が社会問題化する。
むしろ問題はこれだ。その点について、立憲民主党は7月22日、消費者部会(部会長・吉田統彦衆院議員)会議を国会内で開催し、紀藤正樹弁護士から、旧統一教会等による霊感商法の消費者被害について話を聞いている。
立憲民主党のホームページには、《日本では規制がなく、誰も咎めないことから放置されてきたことなども問題視しました。》《1999年奈良地裁の判決以後、政治行政がしっかり対応していれば今回の事件をも防ぐことができたのではないか》という記載があったが、本当だろうか。
近年、霊感商法については、様々な前進があった。いわゆる「消費者裁判手続特例法」が2013年に制定され、16年10月から施行された。
消費者が企業(事業者)から何らかの財産的被害を受けた場合、自らその被害回復を図るためには、これまでは自力で事業者を相手に交渉するか、訴訟を提起する必要があった。しかし、消費者契約に関する共通の原因により相当多数の消費者に生じた財産的被害の集団的な回復を図ることを目的として、本法が制定された。いわゆる日本版クラスアクションだ。ここには、霊感商法の被害も含まれる。
あらぬ方向に問題をもっていくマスコミ
さらに、改正消費者契約法が2018年に制定され、19年6月から施行された。その結果、霊感等による知見を用いた告知により締結された消費者契約の取消しをできるようになった。
このような消費者被害の救済について、それまでは公序良俗違反による無効(民法第90条)や不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条)といった一般的な規定に委ねられていたが、これらの規定は要件が抽象的であり、どのような場合に適用されるかが、消費者にとって必ずしも明確ではない部分があった。
消費者契約法改正により、霊感商法は取り消せることになったので、かなりの対応は楽になった。消費者裁判手続特例法も改正消費者契約法もともに第二次安倍政権での各党も賛成、全会一致での成果だ。
実際、被害額も最近ではかなり少なくなってきている。
むしろ問題は今や霊感商法ではなく、宗教団体が受け入れる多額の寄付金ではないだろうか。
もっとも、マスコミはあらぬ方向に問題をもっていっている。
毎日新聞は「旧統一教会の名称変更、異例の大臣事前報告 文化庁、受理の経緯」と報じている。
この記事によれば、手続きを担当した当時の幹部によると、文化庁は最初に名称変更の申し出があった1997年に、霊感商法などへの批判をかわすための申請は認められないと拒否し、その後も同様の対応をとってきたという。
だが2015年に一転して申請を受理し、当時の下村博文・文部科学相にも名称変更を認める前に異例の「報告」をしていたという。元文科事務次官の前川喜平氏を登場させるなど、かつての「加計問題」を彷彿させる。
もっとも、加計問題は本コラムで再三指摘したように、違法行為は何もでなかった。そもそも朝日新聞記事から始まったが、その記事自体が怪しかった。産経新聞の阿比留瑠比記者は、《「国家戦略特区諮問会議決定という形にすれば、総理が議長なので総理からの指示に見えるのではないか」と文書にある部分に影を落とし、見えないようにして総理の意向をでっち上げた記事。この写真は別の日も使った。》という。
不受理をしていた文科省こそ問題
今回の毎日新聞はさすが、突っ込みどころ満載である。まず、名称変更は霊感商法にはさしたる影響はなかった。これは上の被害状況をみればいい。
楊井人文氏は以下のように連続ツイートしている。
《【要検証】この毎日新聞の記事はその多くを前川喜平氏の証言を疑問視することなく依拠しているようですが、法律、事実面から疑問がいくつもあります。
1)前川氏が1997年に名称変更申請を受理しなかったと証言するが、かかる「不受理」は行政手続法7条に抵触しないか》
これに対し、筆者もこうツイートした。
《そのとおり。文科省は平気で不受理を行うがその方が不適切。医学部獣医学部でも学部新設を申請させないとか、憲法違反のようなことを平気で行う役所。前川氏はその権化みたいで法律無視ばかり。そうした人物を使うメディアも問題ですな》
毎日新聞と係争中(高裁では原氏の逆転勝訴)の原英史氏も、
《前川喜平さんの話は、加計問題でもそうだったが、「政治の圧力で行政が歪められた」といいながら、実際は「もともと歪んだ行政をやっていた」だけでないか。
法令を無視して自らの判断で申請を受理しないような裁量行政をやっていたなら、それこそ宗教法人が政治に近づく動機を高めたはず。》とツイートした。
もうおわかりだろう。文科省は届け出を受理しないとか、法令に基づかない措置を平気でやるところだ。これは、前回の本コラムで指摘した、薬学部の新設を認めないという行政スタイルとまったく同じだ。
加計問題のときも、申請を受けつけないという文科省告示がそもそもの問題の発端だった。再三にわたって指摘しているが、これは申請の自由を奪うので、憲法違反とすら言える酷い行政だ。それを元事務次官が平気で話すなど、法治国家としてあるまじきことだ。
原氏が指摘しているように、そのような法令違反をするので、政治の介在を許してしてしまう。文科省が法令に基づかない裁量を持っているから、政治家に頼んでしまうのだ。
「さすが毎日新聞」と書いたのはもちろん皮肉だ。文科省が法律に基づくない措置をやったのに、それを無批判で当たり前のように記事を書いている。とんでもない新聞である。 
●3年前にもツイッター凍結 山上容疑者、教団幹部の殺害示唆 8/1
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)=鑑定留置中=が、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の幹部殺害を示唆する内容をツイッターに投稿し、3年前にアカウントを凍結されていたことが1日、捜査関係者への取材で分かった。銃撃事件の直前まで使用していたアカウントとは別のものという。
山上容疑者は令和元年10月から「silent hill 333」というアカウント名でツイッターに投稿。ツイッター社は、事件後の7月19日にこのアカウントを凍結している。
ツイッター社によると、3年前に凍結したのは、このアカウントと同一人物が開設したとみられる別のアカウント。特定の標的に対し殺害や脅迫の意思を示すことなどを禁じる同社の利用ルールに違反していた。
同社はアカウントの投稿内容は「答えられない」としているが、捜査関係者によると、令和元年以前に旧統一教会幹部らの殺害を示唆する内容があった。一方、当時首相だった安倍氏の殺害を示唆する内容は確認できなかったという。
山上容疑者は事件について、母親が信仰し、多額の献金を繰り返したという旧統一教会への恨みが動機だと供述。当初は家庭連合トップの韓鶴子(ハンハクチャ)総裁の襲撃を画策していたが、安倍氏が昨年9月ごろ、家庭連合の友好団体にビデオメッセージを寄せたことなどをきっかけに、安倍氏に標的を変えたと説明していた。
奈良県警は山上容疑者によるツイッターへの投稿内容をさらに詳しく調べる。
●安倍元首相銃撃事件 山上徹也容疑者の生きづらさ 8/1
安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者のものとみられるツイッターアカウントの投稿を読んだ。約二年九カ月にわたって書かれたツイートからは、生きづらさと鬱屈(うっくつ)を抱えた中年男性が、排外主義的でパターナル(父権的)な思想に傾斜する姿が浮かび上がる。その言葉は、対象に対して常に攻撃的で、冷笑的だ。
山上容疑者は、自らの人生の行き詰まりの根源を、母の「統一教会」への入信に求める。「統一教会」は一九五四年に韓国で創設された新興宗教で、『聖書』を独自に解釈した家族主義的思想を主張する。山上容疑者の「統一教会」批判は、韓国・北朝鮮への悪感情へとつながり、ツイートには両国に対する罵詈(ばり)雑言が並ぶ。この「嫌韓」意識が、彼の右傾化の発端にあったのかもしれない。
しかし、この右派メンタリティーは、重大な矛盾にぶつかる。「統一教会」は「朝鮮民族主義の極右」であり、「日本の不倶戴天(ふぐたいてん)の敵」でありながら、右派的傾向を持つ安倍政権と結びつきを持っている(2019年10月13日ツイート)。「統一教会」では、日本を「エバ国家」と見なし、「アダム国家」である韓国に尽くす義務があるとされる。日本の右派にとって受け入れがたい主張がなされているにもかかわらず、なぜ安倍内閣はつながりを持つのか。
山上容疑者曰(いわ)く、その原因は「金と票、過去の経緯」にある(同)。安倍元首相にとって「統一教会」とのつながりは、思想的な呼応よりも「金と票」が目的であり、背景には冷戦時代の「反共産主義」という利害関係によって結ばれた「過去の経緯」があるというのだ。ここに安倍元首相の政治姿勢に一定の共感を持ちながら、狙撃の対象と定めていく矛盾が生じる。「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」(同)
山上容疑者の右派思想は、リベラルな主張を展開する論客への辛辣(しんらつ)な批判となって表れる。特に顕著なのが、アンチ・フェミニズムというスタンスで、これと女性に対する偏見と優越感が連動する。
山上容疑者がしきりに意識するのが「インセル」という存在である。これは「不本意な禁欲主義者」を意味し、自らの容姿を醜いと感じる男性が、女性からの蔑視によって恋愛関係が生まれないと信じている状態を指す。彼はたびたび「インセル」に言及しつつ、そこから距離をとろうとしながら、ふいに自らを重ね合わせる。
そんな彼が二一年四月二十八日に言及するのが、前日に文春オンラインで公開された杉田俊介の論考「『真の弱者は男性』『女性をあてがえ』…ネットで盛り上がる『弱者男性』論は差別的か?」である。杉田がここで論じるのは、自己の人生に誇りを持つことができず、惨めな思いを抱える男性の救済についてである。
「弱者男性」たちの多くは、異性からの承認から疎外されるが故に、アンチ・フェミニズムへと傾斜し、時に攻撃的になる。実存の「つらさ」が、女性憎悪へと発展し、父権的なイデオロギーと結びつく。そして、「有名人になって一発逆転しなきゃ」と思い、ネット右翼的な過激な言葉に群がる。
杉田は「男の弱さ」を「自分の弱さを認められない弱さ」であると指摘する。そして、「自分の弱さ(無知や無力)を受容し、そんな自分を肯定し、自己尊重していく」道筋を模索する。惨めさを抱えながらも「幸福に正しく――誰かを恨んだり攻撃したりしようとする衝動に打ち克(か)って――生きられるなら、それはそのままに革命的な実践そのものになりうるだろう」。
この杉田の呼びかけに対して、山上容疑者は「だがオレは拒否する」と応答する。誰かを恨まないという姿勢が正しさを帯びるのは、「誰も悪くない場合」であり、自分にとっては「明確な意思(99%悪意と見なしてよい)をもって私を弱者に追いやり、その上前でふんぞり返る奴(やつ)がいる」という。彼の殺意は、杉田の言葉を乗り越えていく。
評者が気になるのは、「だがオレは拒否する」と言ったときの「だが」という一言である。これは逆接の接続詞であり、杉田の主張を受け入れたことを意味する。しかし、彼は強い恨みによってそれを「拒否する」のだ。
山上容疑者の深い部分に届いた言葉があった。批評があった。ここに暴力を超える言葉の力を求めたいが、元首相の狙撃が実行されたのも事実である。論壇がもつ可能性と限界を目前にし、茫然(ぼうぜん)と立ち尽くす自分がいる。
●動機の再検証必要か 古い別アカでも安倍元首相殺害ほのめかしていた 8/1
安倍晋三元首相を自作の銃で殺害した山上徹也容疑者をめぐってとんでもない情報が浮上した。すでに明らかになっている山上容疑者のツイッターアカウントとは別のアカウントが以前に存在し、安倍氏の殺害をほのめかしたことで凍結になっていたというのだ。これが事実なら今まで取り沙汰されてきた動機の再検証が必要になりかねない。
読売新聞電子版で31日に報じられた「山上容疑者、安倍氏が首相在任中から殺意か…殺害示唆する投稿でアカウント凍結」との記事が話題だ。記事によると、山上容疑者は2019年以前にツイッターアカウントを持っており、安倍氏の殺害を示唆する書き込みをしたことで凍結されていたという。
これまで判明している山上容疑者のアカウントは「silent hill 333」で、安倍政権が終わった直後の19年10月から今年6月末まで続いていた。これとは別のアカウントが存在していたことになる。この報道を受けて、問題となっているのが動機だ。事件後に伝えられていた動機は山上容疑者の母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)にのめり込んで、多額の寄付をするなどして家庭が崩壊し、その恨みを旧統一教会と関係のある安倍氏に向けたというものだった。
当初は教団トップの韓鶴子総裁を狙い、19年に来日した際に襲撃を企てたが、実行できなかったとされる。その後は新型コロナ禍で韓総裁の来日も難しくなり、矛先を変えた。とりわけ、安倍氏が昨年秋に旧統一教会の友好団体に送ったビデオメッセージの存在を知ったことが殺害の決め手だったとされている。読売報道の通り、ビデオメッセージ以前にも安倍氏の殺害をほのめかしていたというなら、それは何が理由だったのか。
元刑事で犯罪心理学者の北芝健氏は「事実なら動機は変わってくるかもしれません。山上容疑者は事前に取り調べでこう聞かれたらこう答えるという想定問答を作っていたはずです。調べにペラペラと話しているようですが、想定内のことしか話していないでしょう」と指摘した。もともと伝えられていた動機には旧統一教会への恨みに同情する意見を含め、さまざまな見解があった。ある公安関係者は「動機に政治的な背景があるのか、ないのかというのは事件直後から大きなテーマです。なかなかとっかかりになる話が出てきません」とこぼしていた。
一方で北芝氏は「公安OBたちとも話しましたが、みんな山上容疑者の話していることを信じていない。私もそうです。旧統一教会への恨みは本当でしょうが、そこから安倍氏への殺意にリンクするには別の影響がないと考えにくい」。
以前にもツイッターで安倍氏の殺害をほのめかしていたというのなら、それは何が理由でそう思ったのかを改めて調べてもよさそうだ。少なくともビデオメッセージが決め手という話は修正が求められる。「動機の再検証が必要です」と北芝氏は指摘した。
●自民党が嫌がる旧統一教会との「癒着報道」が終わらないワケ 8/1
連日、ワイドショーを賑わしている政治家と旧統一教会の関係。これでもかというほど、政権与党との関わりがあることが次々に明るみに出ている。
宗教団体の信者というのは熱心に働いてくれるうえに、組織票が欲しい政治家からすると非常にありがたい存在のようだ。
「統一教会側からしても、多くの政治家がバックについているようなもので、これほど心強い味方はいないでしょう。イメージの低下などもあり、団体の名称変更を所轄の文化庁に申請したが、長年認められなかった。ですが、統一教会と関係が深いとされる世界日報から献金を受け、関連団体が発行する月刊誌で表紙に“抜擢”された下村博文氏が文科相だった‘15年に『世界平和統一家庭連合』という名称に変更。下村氏いわく“全く関わっていない”と主張していますが、役人が長年の前例を破って”霊感商法”が取り沙汰されていた宗教団体の名称の変更を許可したという言い分は、にわかには信じ難い」(全国紙記者)
共産党の宮本徹議員が当時の資料を文化庁に開示請求したところ、渡された資料は“規則変更理由”の部分が黒塗りになっていた。“理由”を知りたいのに、それを黒塗りにすることが許されるのであれば、どんなことでも“やりたい放題”になってしまう。
‘21年、衆議院議員会館で開かれた『日本・世界平和議員連合懇談会第一回総会』という会合には梶栗正義氏という旧統一教会関連の政治団体『国際勝共連合』の会長で教団の関連団体のトップも務める人物の姿が。その隣には細田衆院議長らをはじめ20人の議員が笑顔で写真を撮っている。そのほとんどが自民党の議員であるという。
さらに細田氏は‘19年に関連団体のイベントでもスピーチしており「きょうの盛会を、会の内容を安倍総理に早速、ご報告致したいと考えております。韓鶴子総裁の提唱によって実現した、この国際指導者会議の場は、大変意義が深いワケでございます」とはっきりとトップの名前まで口にしている。
これの説明をマスコミに求められると、細田氏は《回答はすべて差し控える》と回答した。
テレビでは連日、統一教会の話題で持ち切りだ。政治家からしたら過去の関連団体のパーティやスピーチなどの映像が掘り起こされることは苦痛でしかないだろう。しかしテレビ局は絶対に統一教会ネタをやめない理由がある。
「とにかく統一教会ネタは視聴率が抜群にいいんです。統一教会ネタが終わるとガクンと数字が下がる。そういう意味でも各局とことんまで統一教会特集をするのでしょうね」(ワイドショー関係者)
見方を変えれば、統一教会と政治家だけでなくテレビ局までが、持ちつ持たれつの“ウィン・ウィン”の関係ということかもしれない…。
●「ザ・ワシントン・タイムズ紙、UPI通信」など旧統一教会の巨大メディア… 8/1
安倍元首相襲撃事件以来、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の活動をめぐる論議が盛んだが、この団体が巨大なメディア組織を世界に展開していることはどう理解すべきなのだろうか。
そのメディア組織の旗艦的な存在なのが、米国ワシントンの日刊紙「ザ・ワシントン・タイムズ」だ。同紙の会社案内のページによれば、同紙は1982年に旧統一教会教祖の文鮮明氏によって創刊された。
ワシントンにはウォーターゲート事件をめぐってニクソン大統領を辞任に追い込んだことで知られるリベラル色の強い「ザ・ワシントン・ポスト」紙があるが、「ザ・ワシントン・タイムズ」紙は逆に保守色を色濃く打ち出している。
その目的について文鮮明教祖は後に「ザ・ワシントン・タイムズは米国人に神を知らしめる責任がある」と述べ、さらに「ザ・ワシントン・ポストは世界に神の真理を広める手段になる」と言っている。(ニューヨーク・タイムズ紙電子版2002年5月23日記事「ワシントン・タイムズ紙創立20年の文鮮明の演説は古い幽霊を呼び起こした」より)
ザ・ワシントン・タイムズ紙が宗教報道をしているとは思わないが、その編集方針の基本に文鮮明教祖の思想が反映されていることは間違いないだろう。
このザ・ワシントン・タイムズ紙から世界に情報を流しているのがUPI通信だ。
同通信はAP通信と世界を二分する有力な通信社だったが1991年倒産。当時の統一教会が出資するニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社に買収された。その活動は縮小されたとは言え、ワシントン・タイムズ紙の情報をはじめ自主取材のニュースを引き続きインターネット配信で世界に流している。
その情報を消費者に伝えているのが同じニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社傘下の世界のメディアだ。
米国のジャーナリズムの動向を伝えるコロンビア大学ジャーナリズム大学院が年2回発行している「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー」は次のように記している。
「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社 3600 ニューヨーク・アベニュー、NEワシントンDC 20002 電話 202-636-4841 ファックス 202-526-6820 ニューズ・ワールド・コミュニケーションズは文鮮明教祖の統一教会のメディア部門である。その傘下の組織として、新聞と雑誌部門ではゴルフスタイル・マガジン、ミドルイースタン・タイムズ(エジプト)、セゲイルボ(韓国)、世界日報 (日本)、ティエンポス・デルムンド(オンラインのスペイン語新聞)、ザ・ワールド・アンドアイ(月刊誌)。通信社、UPI」
つまり、世界平和統一家庭連合ー旧統一教会は米国ワシントンのザ・ワシントン・タイムズ紙を軸に、UPI通信を通じてアジアから中東、南米など世界に情報を発信する仕組みを保有しているのだ。それによって神の真理を世界に広めるという文鮮明教祖の考えを実現しようというのだろう。
宗教団体がその教義を広めるために設立、運営しているマスコミは、カトリック教会が運営するバチカンテレビジョンセンターをはじめ世界に数多い。「信教の自由」や「報道の自由」は民主主義の大原則であり、その二つの大原則に沿ったマスコミを否定することはできない。
しかし、巨大なメディア組織が特定のものの考え方を多くの人に刷り込むようなことになるのだったら対応を考えなければならないだろう。
それは、メディアを規制することではなく、読者や視聴者のメディア・リテラシー(ニュースを主体的に読み解く能力)の向上に他ならない。
そのためにもと考えて、この一文を手がけた次第だ。
●「旧統一教会に毅然とした対応を」 共産党県議団が申し入れ 8/1
日本共産党島根県議団は、1日、島根県の丸山達也知事に対し、世界平和統一家庭連合・旧統一教会と、その関連団体と一切の関係を持たないよう、申し入れを行いました。
申し入れを行ったのは日本共産党島根県議団の4人で、旧統一教会と政治、行政の関係について心配の声が広がるなか、行政として毅然とした対応を求めるとともに、教会や関連団体との関係を調査し、明らかにするよう申し入れました。
これに対し島根県政策企画局の高宮正明次長は、「行政として信頼を損なうことのないよう、毅然とした対応を行う」また、過去の県との関係については「調査手法を検討したい」と、回答しました。
●共産 志位委員長“自民は旧統一教会との関係 調査し明らかに”  8/1
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会と自民党議員との関係をめぐり、共産党の志位委員長は「癒着のままでいいのか明らかにしていく責任がある」と述べ、自民党として事実関係を調査し、何が問題だったのかを国民に明らかにすべきだという考えを示しました。
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会と自民党議員との関係について、岸田総理大臣は7月31日に「政治、社会的に問題になっている団体との関係については、国民の関心も高く、丁寧な説明を行っていくことは大事だ」と述べました。
これについて、共産党の志位委員長は記者団に対し「個々の政治家が明らかにすべきだということで、党や政府としての責任に一切ふたをしようとしている」と批判しました。
そのうえで「反社会的カルト集団との癒着のままでいいのかということを、真剣にみずから明らかにしていく責任がある」と述べ、自民党として事実関係を調査し、何が問題だったのかを国民に明らかにすべきだという考えを示しました。
また、志位委員長は、自民党の福田総務会長が「何が問題なのかわからない」などと述べたことについて「言語道断と言うしかない態度だ。『何が悪いのか』と、もう開き直りだ」と述べました。
●自民党最大派閥「安倍派」総崩れ…旧統一教会との“親密な関係” 8/1
自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会=清和会)が大揺れだ。安倍派と旧統一教会との癒着に国民からの厳しい視線が注がれ、総崩れになりつつある。
安倍氏の死去でパンドラの箱が開いたかのように、自民党議員と旧統一教会との親密な関係が白日の下にさらされ始めた。とりわけ関係が深いのが安倍派のメンメンで、実弟の岸防衛相は、旧統一教会が問題ある団体と知りながら付き合ってきたと白状。末松文科相はパーティー券を買ってもらっていたことを明かした。細田衆院議長や稲田元防衛相は教団の関連イベントで講演していたことが報じられ、下村元文科相は教会の名称変更に関与したことが疑われている。
この状況に安倍派は危機感を募らせ、同時に政権中枢に対する不満の声も上がっている。
「岸信介元首相に連なる清和会が、歴史的に統一教会と縁があるのは確かです。しかし、我が派の議員が次々とやり玉に挙がり、統一教会系のイベントで講演した映像などが連日テレビで流されると、安倍政権と統一教会が一体化していたような印象になりダメージが大きい。岸田首相の宏池会など他派閥にも統一教会系のイベントに参加していた議員はいるのに、まるで清和会が狙い撃ちされているように感じます。官邸や執行部が他人事のように素知らぬ顔をしていることも解せません」(安倍派議員)
茂木幹事長が「自民党としては一切関係ない」と切り捨てたり、安倍派の福田総務会長が「個人として抜き差しならない関係になった結果、政治活動に影響を与えているのであれば問題だ」と断じたのも、旧統一教会と手を切れないのは、安倍氏に近い個別議員の問題だと突き放しているようにも見える。
「岸田総理はじめ政権中枢には統一教会と縁が薄い人が多い。それで“我関せず”と静観を決め込んでいた面もあるのでしょうが、この問題が内閣支持率に響いてきたら、何らかの対応を取らざるを得ない。9月の内閣改造で、統一教会と関係が深い議員は干されるのではないか。それは岸田政権の後ろ盾である麻生副総裁も容認すると思う。麻生さんは敬虔なクリスチャンなので、統一教会のことは邪教だと思っているのです」(自民党関係者)
7月31日に発表された共同通信の世論調査で、岸田内閣の支持率は前回調査から12.2ポイントも急落して51.0%と政権発足以来最低を記録。旧統一教会と政界の関わりについて実態解明の「必要がある」の回答も80.6%に達し、この問題が支持率に影響を与えている可能性がある。
岸田首相初言及
慌てた岸田首相は昨夕、急きょ公邸でぶら下がりに応じ、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことが大事だ」と話した。公の場で岸田氏が旧統一教会の問題に言及したのは初めてだ。
こうなると、自民党内では今後、旧統一教会シンパかどうかで処遇が決まる可能性がある。安倍派内でも教団との関わり方は濃淡があり、無関係をアピールするために派閥を抜ける議員が出てきてもおかしくない。
イメージは悪化の一途で、大所帯をまとめる力のある議員もいない安倍派は草刈り場となり、馬糞の川流れの運命か。
●木原副長官、旧統一教会問題の政府見解問われ「コメントは控える」 8/1
木原誠二官房副長官は1日の記者会見で、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と、現職の閣僚や自民党議員との関係が相次いで明らかになっていることの政府見解を問われ、「各閣僚や国会議員の政治活動に関することであり、政府としてはコメントは差し控える」と述べるにとどめた。
木原氏は「一般論」として「個々の政治家が自らの政治活動において責任をもって行動するということは大切なことだ」と説明。その上で、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明を行っていくことが大事だ」と語った。
現職閣僚ではこれまでに、萩生田光一経済産業相、末松信介文部科学相、二之湯智・国家公安委員長、岸信夫防衛相が、教団や関連団体と接点があることが明らかになっている。また自民党の福田達夫総務会長は教団について「正直言う。何が問題かよく分からない」と記者会見で発言。その後、「党としての問題ではなく、個人として政治活動に非常に大きい影響を与えているのであれば、それは問題だ」と釈明するコメントを出した。
●旧統一教会関連団体のイベントに関係し…村椿魚津市長「不勉強」 8/1
魚津市の村椿晃市長は1日、去年公務として出席したイベントが世界平和統一家庭連合、旧統一教会の関連団体のものだったことについて、「不勉強で知らなかった」と述べました。
村椿市長は、過去に旧統一教会の関連団体による県内を自転車で周り世界平和を訴えるというイベント「ピースロード」で、参加者が魚津市内を訪れた際、参加者を迎え激励したが、運営には一切関わっていないと主張しました。
また、当初は今年も行われる予定だったこのイベントで、村椿市長は依頼を受け実行委員長に就任していましたが、今年のイベントは中止となっています。
一方、射水市の夏野元志市長も1日の定例会見で、旧統一教会の関連団体が開いたイベントの横断幕にメッセージを書いていたことを明らかにしていて、夏野市長は旧統一協会との関連は「知らなかった」と説明しています。
●三浦瑠麗「たいものれい」言い間違いで政治家の漢字力に再注目… 8/1
7月31日、国際政治学者の三浦瑠麗氏が『ワイドナショー』(フジテレビ系)に出演。賛否両論ある安倍晋三元首相の国葬について持論を語った。
「反対意見が出ることは健全というか。反対意見が出ない総理大臣なんかいないですよ。それこそ(戦後の首相で唯一国葬がおこなわれた)吉田茂がどれだけ憎まれていたかを考えたときにね。日本で私が憂慮するのは、天皇陛下の国葬は当然だと、これは大喪の礼だと。権威は認めるけど、民主主義で選んだ総理大臣に対して毀誉褒貶あろう、だけども政治(家)はダメっていうのは、民主的にはおかしいと思っているんです」
さらに、「全然違うんですよ、海外からの評価。暗殺されたのも大きいし。だから岸田政権の説明は理にかなっていると思います。国葬っていうのは政治なんです。私は政治マターだと思うんです。当然、内閣総理大臣が決めるんですよ。閣議で決めるんです」と述べたのだ。
この発言に、SNSでは《天皇の葬儀と一緒にするな》とのツッコミがあったが、なによりも三浦氏が「大喪の礼」を「たいものれい」とハッキリ発言したことが話題となった。正しい読みは「たいそうのれい」だ。
「1980年生まれの三浦氏は、1989年2月24日におこなわれた昭和天皇の大喪の礼を知っているはずです。164カ国、28の国際機関から弔問団が来日し、当時の竹下登首相は39カ国の元首、首脳および国連事務総長と会談しました。
言い間違いは誰にでもあります。ただ、仮に『たいものれい』と間違えて覚えたとしても、その後、勘違いだったと気づく機会はあったと思うのですが……」(政治部記者)
国際政治学者のありえない「言い間違い」に、一時Twitterで「大喪の礼」がトレンド入り。
《「大喪の礼」を「たいものれい」は、さすがにヤバくないか…マジなのか》
《たいものれい。言い間違いは誰にでもあるが、本を読む人ならなかなか間違えないと思うんだが》
さらに、三浦氏の言い間違いから、SNSでは政治家の過去の「言い間違い」にまで話が広がった。
《三浦瑠麗さん「大喪の礼(たいそうのれい)」を「たいものれい」って言っちゃったんだ。さすが「訂正云々(ていせいうんぬん)」を「ていせいでんでん」と公の場で言ってしまった安倍さんのお気に入りだっただけのことはあるな》
《「たいものれい」は、「みぞゆう」に匹敵するね》
安倍晋三元首相の「ていせいでんでん」は、2017年1月24日の参院本会議での発言だ。
当時、民進党の代表だった蓮舫氏が代表質問で、「我々がずっと批判に明け暮れているという言い方は訂正をしてください」と述べたことに対して、当時首相だった安倍氏は、「これはあくまで一般論であって、民進党のみなさんだとは一言も申し上げていないわけであります。 自らに思い当たる節がなければ、これはただ聞いていただければいいのだろう、このように思うわけであります」と反論したうえで、「訂正『でんでん』というご指摘はまったく当たりません」と力を込めたのだ。
答弁書の「云云」(うんぬん)を「伝伝」(でんでん)と読み間違えた可能性が指摘され、このときも「訂正でんでん」がTwitterで一時トレンド入りした。
2009年には、当時首相だった麻生太郎氏が、踏襲(とうしゅう)を「ふしゅう」、未曾有(みぞう)を「みぞうゆう」、頻繁(ひんぱん)を「はんざつ」などと発言し話題に。
また、2010年9月には当時首相だった菅直人氏が、国連の日本語演説で「疾病(しっぺい)」を「しつびょう」と言い間違えたこともある。
さらに、コロナ禍の2021年には、加藤勝信官房長官(当時)が寄席(よせ)を「ヨセキ」と言ったことも。
麻生元首相の言い間違い以降、答弁書には読み仮名のルビが多く書き込まれるようになったという。三浦氏の「たいものれい」から思わず注目を集めたが、大事な場での「言い間違い」には気を付けたいものだ。

 

●山上容疑者 減刑署名が4000人超え、中国ではフィギュア化… 8/2
安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件が発生して、間もなく1カ月が経とうとしている。捜査が進められるなか、山上徹也容疑者(41)の“減刑”を求める署名が7月15日にネット上で始動。8月1日時点で4000人を突破し、その動向に注目が集まっている。
この署名活動は、署名サイト「Change.org」上で検察長官宛に開始されたもの。同サイトでは山上容疑者の減刑を求める理由として、《過酷な生育歴》《本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事》を挙げている。
「山上容疑者は幼少期に父親を亡くしています。母親は’90年代に旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信し、多額の献金をした末に’02年に自己破産。山上容疑者は奈良県有数の進学校に通っていましたが、家庭の経済破綻によって大学進学を断念しました。高校卒業後は海上自衛隊に入隊しましたが、わずか3年で退職。それ以降は、派遣社員やアルバイトとして職を転々としてきたそうです」(全国紙記者)
同サイトには、こうした生い立ちの山上容疑者を同情する声が寄せられている。
《彼には恨みだけの人生を歩んで欲しくない》
《山上徹也の人生は、かわいそうだったと思う。人生やり直して欲しいと思う。もう一度チャンスをあげたい》
山上容疑者を擁護する動きは署名活動だけにとどまらず、他方面でも“持ち上げる”風潮が生まれているという。
「ネット上では一部の人たちの間で、山上容疑者の容姿を“塩顔イケメン”と褒めそやす声も上がっているのです。そして、山上容疑者の生い立ちに思いを馳せ、“家庭環境に問題がなければ今ごろ幸せな生活を送ることができたのかも”と哀れんでしまうそうです」(ITジャーナリスト)
さらに国を越えた中国では、山上容疑者が“フィギュア化”されたというのだ。
「犯行当時の山上容疑者を模したもので、半袖シャツに肩からカバンを斜めにかけ、手製銃を持つ姿が再現されました。事件直後に中国のネット上で販売されたそうですが、中国だけでなく日本からも“不謹慎”と炎上する事態に。制作会社はフィギュアを販売中止し、《国際的な問題になってしまい、悪影響を与えたこと深くお詫びを申し上げます》と謝罪文を発表しました。中国ではフィギュア化だけにとどまらず、犯行当時の山上容疑者のコスプレをする人まで出現したそうです」(前出・ITジャーナリスト)
山上容疑者の刑事責任能力を調べるための鑑定留置は、7月25日に始まったばかり。報道によると鑑定は11月29日まで続き、奈良地検は鑑定結果を踏まえて起訴するかどうかを判断するという。
「山上容疑者を擁護する人たちのなかには、彼と同じように“近親者が宗教に傾倒したことで苦労した”という声が散見されます。他にも、“山上容疑者が事件を起こしたことで政治家と旧統一教会の癒着が露見した”と肯定する意見もあります。
しかし、山上容疑者が安倍元首相を殺害したことは事実ですし、許されることではありません。奈良地検は慎重に刑事手続きを進めています。ましてや求刑すらされていない段階で、“減刑”を求めるのは性急と言えるでしょう。また、政治家と旧統一教会の問題も、冷静に追及されるべきだと思います」(前出・全国紙記者)
山上容疑者を“持ち上げる”風潮に、ネット上では「待った」と制止する声が上がっている。
《事件の背景には同情する面もあります けど、求刑すらされていない段階での減刑の署名って…。確かに容疑者は被害者だった人物かも知れないけど殺人という事実の刑罰は本人がどう受け取るかであって今、擁護するべきではないと思う》
《「テロ」実行犯を英雄視するのは同意できないな。たとえ“宗教二世”で恵まれない境遇だとしても、罪は罪。模倣犯を出さないためにも情緒に流されてはダメ》
●旧統一教会と「関係ない」 茂木自民幹事長 8/2
自民党の茂木敏充幹事長は2日の記者会見で、同党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係について「これまで一切の関係を持っていないと確認できた」と明らかにした。「一部で党として組織的な応援を受けているとの発言があるようだが、そのような事実は全くない」と語った。
党の関係部局に、党として旧統一教会に連絡したことがあるか▽党の会合に招待したことがあるか▽党の友好団体などのリストに記載があるか―などを確認させたところ、「そのようなものはない」との回答だったという。
●旧統一教会との癒着問題でも飛び出した…「丁寧に説明」という自民党 8/2
これまで何回、国民がはぐらかされきた言葉だろうか。
安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を機に、自民党国会議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が取り沙汰されている問題で、岸田文雄首相の口から飛び出した「丁寧な説明を行っていくことは大事」というセリフのことだ。
自民党最大派閥「安倍派」総崩れ…旧統一教会との“親密な関係”次々さらされ集中砲火
モリカケ・桜、日本学術会議会員の任命拒否、統計不正……。安倍元首相や菅義偉前首相などが不祥事を野党議員に追及される度、国会答弁などで多用されてきた「丁寧に説明」という言葉。統計不正をめぐる問題でも、2019年3月の参院予算委で、立憲民主党の蓮舫議員と安倍首相(当時)がこんなやり取りをしていた。
蓮舫議員「総理はよく、丁寧に説明をする、もう何度も聞いているんですが、総理の言う丁寧に説明するとはどういうことですか」
安倍首相「国民の皆様から統計に対するこの不信の目が向けられているわけでございますので、こうした国民の皆様の信頼を取り戻す上において丁寧な説明をしなければならないと、こう考えております」
「丁寧に説明とはどういうことか」と問われたのに対し、「丁寧な説明をしなければならない」と答える……。ヘタな漫才よりタチが悪いだろう。
「丁寧に説明」は議論を断ち切り、相手を思考停止させるため
「丁寧に説明する」とは、本来の意味通りであれば、「相手が理解しやすいよう内容を細かく、その場で質問も受けながら説明する」こと。ところが、第二次安倍政権以降の総理、閣僚は「丁寧に説明する」と丁寧に繰り返すばかり。何も説明する気がないのは明らかで、議論を断ち切り、相手を思考停止させるための“マジックワード”として多用してきた。それがまた、今回の旧統一教会の問題でも出てきたのだから、国民はウンザリだ。
福田赳夫元首相の秘書で、自民党本部情報局国際部主事を務めた経験を持つ中原義正氏がこう言う。
「岸田首相は党総裁として、所属議員と統一教会の癒着の実態をきちんと調査し、公表するのが当たり前。丁寧に説明も何もない。深い関係にある議員は党員資格停止や除名するのが筋だ。適当にお茶を濁し、時間稼ぎしているのだろうが、これでは安倍政権と何ら変わらないではないか」
岸田政権が「アベ政治」の負の遺産を継承してどうするのか。
●宮根誠司「旧統一教会との決別宣言を出すべき」岸田総理への苦言に称賛… 8/2
安倍晋三元首相(享年67)が銃撃により命を落としてから、まもなく1カ月が過ぎようとしている。犯人の山上徹也容疑者は母親が旧統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)へ多額の献金を行い破産したことで教団に恨みを抱くように。そして、教団と繋がりがあると思った安倍元首相への銃撃を計画したと供述していることが明らかになっている。
かねて霊感商法や多額の献金が問題視されてきた旧統一教会。閣僚や自民党議員などと統一教会の繋がりを疑問視する声が高まっている。
「安倍元首相は旧統一教会系の月刊誌『世界思想』の表紙を何度も飾っています。ほかにも自民党の細田博之衆院議長(78)は教団の友好団体のイベントに登壇し、末松信介文部科学大臣(66)は関連団体にパーティ券を購入してもらったと明かしています。
また岸信夫防衛大臣(63)は7月26日の会見で『旧統一教会のメンバーとは付き合いもあり、選挙の際もお手伝いをいただいている』と述べました。いっぽう別の日に記者から『社会的に問題がある宗教団体だという認識は?』と問われると、『そういうことが言われている団体であるということは認識をしておりました』と述べました」(全国紙記者)
岸田文雄首相(65)は7月31日、初めて“政治家と旧統一教会の関係”について会見でコメント。しかし、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思う」と言うに留まるも、SNS上では“他人事”といった批判の声も少なくなかった。
そんななか、舌鋒鋭く統一教会の問題に切り込んでいる人物が。フリーアナウンサーの宮根誠司(59)だ。宮根は連日、自身が司会を務める番組『ミヤネ屋』(日本テレビ系)で厳しく旧統一教会と政治家の問題を追及している。
7月29日放送回では、自民党・福田達夫総務会長(55)は“政治家と旧統一教会の関係”がメディアを通して波紋を呼んでいることに対して「正直、何が問題なのかよくわからない」と会見で述べたことを取り上げた『ミヤネ屋』。すると、宮根は「ちょっとビックリしましたね」と呆れた様子で、「ピントがずれてるとしか思えない」と非難。
また8月1日には前述した岸田首相のコメントを取り上げ、こう苦言を呈したのだ。
「リーダーシップを発揮して、旧統一教会との決別宣言だったり、被害者救済宣言、それくらい強いメッセージ性を出さなきゃいけないと思うんですよ」
さらに岸防衛大臣の「社会的に問題ある宗教団体だと認識していた」という発言に対しても、「芸能人が社会的によくない人と写真を撮ったら、記者会見をさせられるんです。悪い人だって認識がなくても」「政治家の人はよくって、芸能人はダメなのかなって純粋に我々は比べてしまいます」と疑問視していた。
岸田首相を筆頭に、政治家の不誠実な態度に厳しく切り込む宮根。ネットでは、彼の言動を讃える声がこう上がっている。
《統一教会の問題をやるときの宮根さんって何か頼もしい。コメンテーターが違う方向に誘導しようとするとちゃんと戻す。今日だけじゃなくてここのところずっとやってるから今回は本気でやってる》
《統一教会に関して、最近ミヤネ屋の評判がいいなと感じていたけど、見てみて「確かに」と思った》
《ミヤネ屋今日もがんがん攻めている》
《最近の宮根さんかっこよすぎ》
また『ミヤネ屋』は全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹氏(61)やジャーナリストの有田芳生氏(70)といった専門家を番組に呼び、この問題に多大な時間を割いて報道し続けている。そのためTwitterでハッシュタグ「ミヤネ屋頑張れ」を使い、番組へのエールを送る人も多くいるようだ。
●岸防衛相 旧統一教会とのこれまでの関係を見直す考え示す  8/2
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の関係者に選挙活動を手伝ってもらったことを明らかにしている岸防衛大臣は、旧統一教会の社会的問題が指摘されていることを踏まえ、これまでの関係を見直す考えを示しました。
安倍元総理大臣の弟の岸防衛大臣は、旧統一教会の関係者にボランティアで選挙活動を手伝ってもらったことがあると明らかにしています。
岸大臣は記者会見で、旧統一教会から組織として支援を受けたことはないとしたうえで「選挙区で長年のおつきあいをする中で、そういったバックグラウンドを持つ人がいて、応援をいただいているのも事実だ」と述べました。
そのうえで「さまざまな社会的問題が浮上している状況で、これまでの関係をしっかり見直していかなければならない」と述べました。
●旧統一教会 名称変更の経緯解明を  8/2
世界基督教統一神霊協会(旧統一教会)から世界平和統一家庭連合への名称変更を、文化庁がなぜ認めたのか。霊感商法など教団の被害者救済に取り組む弁護士らは名称変更が被害を深刻化させる転機になったと指摘している。
安倍晋三元首相銃撃事件後、自民党を中心に政界と教団との不透明な関係も明るみに出た。岸田文雄首相は指導力を発揮し、真相解明の先頭に立つべきだ。
教団は数多くの関連団体を駆使して、教団の名を隠す形で勢力を伸ばしてきたが、一九八〇年代に表面化した霊感商法による被害などで悪評が広がり、教団は九七年に文部省(現文部科学省)の外局の文化庁に名称変更を相談した。
同庁は、名称変更が隠れみのになって被害が広がることを懸念して変更を拒否し、その後も教団からの申請を拒み続けた。
名称変更が一転認められたのが安倍政権下の二〇一五年。当時、文科相だった下村博文衆院議員は名称変更への関与を否定しているが、担当職員が事前に報告したことが分かっている。大臣への事前報告は異例だという。
下村氏が代表を務める自民党選挙区支部に、教団の関連団体が寄付していたことも判明しており、教団の名称変更に政治家の特別の計らいがなかったのか否か、徹底究明する必要がある。
文化庁は共産党の宮本徹衆院議員の求めで、名称変更の決裁文書を開示したが、教団からの申請書や決裁書の名称変更理由に関する部分は黒く塗られていた。
同庁は不開示理由を、情報公開法五条の「(当該法人などの)権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれ」に該当し、他の宗教法人についても同様の対応をしていると説明する。あまりにもしゃくし定規な判断だ。
名称変更の不透明な経緯や社会的な関心の高さを考えれば、この文書は同法七条に定められた行政機関の長が開示を決定できる「公益上特に必要がある」場合に該当するはずだ。文書の速やかな全面開示を求める。
首相は七月三十一日になって初めて、政治家と旧統一教会との関係について「丁寧に説明することは大事だ」と言及したが、人ごとのような言いぶりだ。旧統一教会が自民党内にどこまで影響力を及ぼしているのか、その解明は党総裁たる首相の義務である。
●野田担当相、旧統一教会関連団体の会議に祝電 「見過ごした」 8/2
野田聖子子ども政策担当相は2日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が共催した会議に祝電を送ったり、野田氏の代理として秘書が出席したりしたことがあると明かした。
野田氏は旧統一教会をめぐり、「考え方が違うので支援ではなく批判をいただく立場だった。距離を置いてきたが、(会議は)共催という形だったので見過ごしてしまった」と説明した。そのうえで「今後そういうことがないよう、気を引き締めて留意していきたい」と語った。
政治と宗教との関係については、「利用したり、何かを取り計ったりしないのが私にとっての一線だ」と述べた。
●統一教会に5億4700万円奪われた女性の人生 8/2
安倍晋三元首相の銃殺事件の影響で、久しぶりにニュース番組の主役に躍り出た統一教会(現:世界平和統一家庭連合)。報道を受けて、教団側は記者会見を開き、声明を発表している。その中で彼らが強調しているのが「2009年のコンプライアンス宣言」の存在だ。
たしかに献金をめぐるトラブルが多発していた時期はあった、しかしコンプライアンス宣言以降、そうしたトラブルは「ごくわずか」だ、というのが彼らの主張である。
その主張自体がどこまで本当なのかはさておき、こうした宣言をせざるを得なくなったのは、霊感商法が社会問題化し、さらに民事訴訟で教団側に賠償が命じられる判決が下されたことが背景にある。
2008年2月には、都内在住の70歳になる女性Bさんが統一教会と信者に計5億4700万円の損害賠償を求めた訴訟において、最高裁がBさんの上告を退けるという決定を下した。このように書くと、統一教会が勝利したように思われるかもしれないが、実は東京高裁において、Bさんの請求額のうち2億7620万円は「違法な献金集めの結果被った損害」だと認められている。最高裁もその判決をそのまま追認したのである。
この決定は当時、「統一教会に2億8000万円の賠償命令確定 個人で過去最高」と新聞等でも報じられた。
被害者からすれば半分しか取り戻せなかったわけだが、それでもその違法性が認められた意義は大きかったといえるだろう。
ここでご紹介するのは、Bさんがどのように教団に誘われ、億単位の金を献金するに至ったかの詳細な記録だ。2007年、宗教学者の櫻井義秀氏はBさんの弁護団の求めに応じて意見書を東京高裁に提出した。これ以上被害者を出さないために、という考えがあったからだ。
それにしても、一体どういう理屈をつければ億単位の金を求めることができるのか。そこには「縄文時代」にまで遡って怨みを解かねばならない、といった無茶苦茶な教えがあったのだ。しかも韓国人の献金額と日本人とには大きな差もつけられていた。
以下、櫻井氏の著書『霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造―』からBさんがどのようにして統一教会と出会い、大金をだまし取られていったかを見てみよう(引用はすべて同書第2章「統一教会と霊感商法」より)。
統一教会との出会い
Bさんは1938年関東地方に生まれ、1961年に東京近郊の農家に嫁ぎ、3人の子供に恵まれた。しゅうとめは1969年、しゅうとは1975年に、それぞれ50代、60代で亡くなる。夫は42歳の時に脳溢血で半身不随となり、1990年に51歳でがんを患い亡くなった。
都市近郊農村では、市街地が拡大するなかで農地が宅地や商業地に造成された。Bさんの家でも先代の時に農地の一部が都に買い上げられ、夫は数億円の遺産を相続したが、Bさんは夫の死後も農業と子育てに多忙な毎日だった。
Bさんが見知らぬ若い女性(統一教会員)の訪問を受けたのは、1991年であった。たまたま家にいた彼女は、「手相や姓名判断に興味はないか」という話を訝(いぶか)しく思いながらも、畑仕事をするにはあいにくの天気だったので、2時間ほどの間運勢をみてもらい、問われるままにふだん気にしていたこの家の人たちがどんどん若くして亡くなっていることなどを話した。そうするとこの女性から手相・姓名判断を勉強するところで先生にみてもらうことを強く勧められ、駅前のマンションの一室に連れて行かれた。
「預金はいくらあるのか」
そこでビデオ(家系や先祖の因縁の話)を視聴した後に、先生と呼ばれる女性から、「B家の家系は衰退しつつある。長男に男の子が生まれたのは奇跡に近い」と言われ、さらにB家が3代の間に寿命をほぼ10年ずつ縮めていることなども指摘された。先生がここに通って勉強するよう勧めるので、Bさんは自分を連れてきた女性に「ここは宗教ではないか」と確認した。しかし、違うということだったので不安ではあったが、家系の因縁も気になるので少しだけ通ってみることにした。
1カ月後、先生は「財には因縁が付いているから聖塩で清めなければならない、預金はいくらあるか」と尋ねた。1千万円くらいはあると答えたところ、別の勉強する場所を紹介された。そこの鑑定士の先生いわく、「家系衰退の原因は、B家の多くの財産に問題がある。人の恨みがあるかもしれない。先祖の徳がある間は守られているが、それがなくなってきたので、あなたが穴埋めのために徳を積まなければならない」
この後、先生はBさんに1千万円の借用を申し込み、応じてもらえるまで何度も財の因縁の話を繰り返した。Bさんは根負けして貸すことにした。3カ月後に、ここが統一教会であることを明かされたが、Bさんは「先祖の因縁という話に取り込まれていたので反発することもできなくなっていた」という。1千万円の借用に関しては、年内に400万円が返されたが、「B家の財の因縁を解くためには600万円を献金にして天に捧げてほしい、そうしないと息子と孫にどんな災難がふりかかるか分からない」と言われ、不安におそわれ献金を承知した。これ以降、Bさんは統一教会に対して、2003年までに40回近くの献金を繰り返すことになる。
家系の不思議
先祖の因縁の説明は、先生が献金の時だけ話したわけではない。Bさんは統一教会信徒が運営するビデオセンターで何種類もの家系の因縁に関するビデオを視聴した。私たちは、目の前で話されることよりも、新聞や雑誌で活字として読んだものや、テレビなど映像で見たものに影響されやすい。家系図や因縁を説明する講師は画面から語りかけることでより専門家らしくなる。統一教会が教育用に用いた「家系の不思議」というビデオでは、次のような内容が語られた。
(1)善因善果悪因悪果の応報的宿命観――不幸には先祖の因縁があるとされ、因縁転換の方法へと話が進む。
(2)縦横の法則――先祖の因縁(縦の原因)は兄弟姉妹(横の結果)にまで及ぶ。
(3)悪因縁の形成原因――五つあるとされ、1・離婚、再婚、2・庶子、3・同棲、4・初婚男性と連れ子のまま再婚、5・別居である。
先祖の色情
(1)に関して、統一教会信徒が強調するのは「先祖の色情因縁」である。Bさんの何代も前の先祖は身持ちが悪く、女性を泣かせたという。その因縁が子孫に出ると言われた。霊能の鑑定だから何でも分かるそうだ。
(2)に関連しては、B家では、夫の弟3人がそれぞれ、4歳、2歳、0歳で亡くなっている。2人の妹も3歳で亡くなっている。確かに、5人も兄弟姉妹が相次いで亡くなるということはまれである。ただし、亡くなった年は、昭和16年が1人、昭和19年が4人である。ついでにいえば、夫の叔母もこの間に相次いで亡くなっている。太平洋戦争の末期、栄養状態が極度に悪く、大空襲にも見舞われた東京であれば、多くの人が難儀な生活をおくっていたであろう。
しかし、亡くなった事実のみ指摘されてBさんは納得してしまった。「私としては子や孫の命のことを言われると、心配だっただけに本気で何とかしないといけないと思い、言われるとおりにするしかなかったのです」とまで思い詰めるに至ったのである。
(3)についても補足しておこう。戦前の家制度が支配的な時代では、子供がないことを理由にした離縁や婚外子を持つことが認められていた。庶民は離婚・再婚も比較的自由に行っていたのである。それが悪因縁になると言われる。現代のように離婚率が上昇し、同棲も目くじら立てるほどのこともない時代となれば、親類縁者をたどればどこかに悪因縁があることになる。誰もが該当する恐ろしい因縁の説明ではないか。ちなみに、再臨主である文鮮明ですら離婚・再婚を経験し、婚外子の話もある。誰がこの悪因縁を清算するかは謎である。
清平の修練会
統一教会信徒になると霊界は、現実世界同様リアルなものとなる。先祖を弔い祭るようにこの世からあの世に働きかけることもあれば、あの世から先祖や諸霊がこの世の私たちに働きかけることも多いという。こうした教えは本で読んだり、説教を聞いたりするだけでは身に付かない。実際に霊界を体験することが大事である。それを説明しよう。
Bさんは、1994年から2003年までの間に計17回渡韓し、統一教会の研修施設である天宙清平修練苑には13回、その他各種修練会にも参加している。
天宙清平修練苑とは風光明媚な山峡である京畿道加平郡の張洛山に位置する統一教(韓国では統一教で通っている)「清平聖地」に立つ修練会施設である。ここには、文鮮明を記念・顕彰する「天正宮」があり、2006年文鮮明が天宙の王に即位する戴冠式と入宮式が行われた。大修練会が開催される天城旺臨宮殿は、地下2階、地上3階、約5700坪の建物であり、一度に8千人を収容する大聖殿と1600人が食事できる大型食堂があるとされる。
ここでは、統一教会信徒向けの40日間修練会や、短期の各種修練会が行われるが、Bさんが参加した「先祖解怨式」と「役事」についてのみ解説しよう。
統一教会の教えによれば、人間は死後「霊人体」となって霊界に行く。原罪をもったままの霊人体となった祖先は地獄で永遠の苦しみを受けているのであるが、地上の子孫の善行により、功徳が祖先に転送され、祖先は安らぐのだという。ところが、このことを知らずに功徳を送らなかった人は死後、霊界で祖先の霊たちに責められる(讒訴される)。
この教えの前半部分は、祖先崇拝と混淆した東アジアの仏教や東南アジアの上座仏教にも見られる先祖供養の観念である。しかし、後半部分は統一教会独自の論理である。
縄文時代の分まで献金せよ
文鮮明は1999年より、「新しい成約時代に天国に入籍するためには必ず自分から7代前までの先祖からはじめ、最終的には120代まで解怨しなければならない」と語っている。
解怨とは怨みを解くという意味であり、韓国文化には恨プリ(プリは解くの意味)といって遺恨を晴らすことを思想や民俗文化、あるいは政治行動の動機付けにも用いることがある。しかし、日帝支配や韓国の独裁政権下で憤死した人々や、それゆえの貧困や不遇の生活を送った人々の怨み(恨み)は当然として、なぜ、日本人を含めて人類全てが恨プリをしなければいけないのか。不平不満を託つことなく静かな人生を送った、多くの先祖がいたのではないか。 
このように考えれば常識人であるが、統一教会の意図は恨プリの擬態による資金稼ぎにある。ただで解怨(恨プリ)はできないのだ。1家族につき、父方・母方のそれぞれのさらに父方・母方、計4家系の先祖解怨が必要とされるが、それには1家系につき日本では70万円、計280万円、韓国では1家系につき5万ウォン程度の献金を要求される。
統一教会において韓国人は霊位が高いので数千円の献金でも許される。遡ること8代目以上の先祖についても7代ごとに解怨するのであるが、献金額は日本の場合、3万円に増額される。理論上、120代目までの解怨を行うと、初回を含めれば計17回が必要になる。その場合、初回に280万円、4家系で12万円を17回で204万円の費用がかかることになる。
文鮮明が言うように120代まで遡るとなると、1世代30年として3600年前まで遡ることになり、日本は縄文末期に相当する時代である。日韓両民族は半島を往来し、血縁をともにしていた可能性すらある。そこまで行き着かなくとも、同じ日本人同士、先祖がどこかで交わり、ダブって献金されることもあろう。しかし、その可能性故に統一教会信徒たちに払い戻しがあったという話は聞かない。
2006年の第761次特別修練会では、大母様(文鮮明の母)が「真の父母様(文鮮明)が先祖解怨式を210代までしなさいと言いました。“家族”たちが210代まで行うと、211代以降は霊界の真の子女様を中心とした絶対神霊たちがアダムとエバまで神様の血統につながれるように準備しておいてくれます」と霊界からメッセージを寄せたらしい。210代は6300年に相当する。なるほど、私たちはこのようにして人類の始祖、アダムとエバにたどりつけるわけだ。
さて、解怨を受けた先祖は、霊界にある興進(フンジン)様の修練所に行き、100日間の修練を受けるという。興進は文鮮明の長男で事故死した。その後、天総官という霊界総司令官になったといわれる。先祖解怨献金を納めない信者の先祖は「興進様の修練所」に行くことを待ちわびている。だから、信徒は清平に行って献金しなければならないのだ。
日本の悪霊は他国の悪霊よりも恐ろしい
Bさんは自分から7代前までの4家系の先祖解怨に280万円を納め、それ以後も清平を来訪するたびに献金を行っていた。そこで幾度となく役事と呼ばれる儀式に参加した。
役事とは統一教会の専門用語であり、天使の助けをかりて体内から悪霊を追い出すという意味で最も一般的に使われている。しかし、より抽象的には、天界(霊界)と地上(現実世界)の間に交流を起こそうという儀礼である。清平においては、金孝南(キムヒョウナム)という霊能者に大母様が再臨し、霊界のメッセージを伝え、先祖の霊を救い出すのは清平の役事しかないことを強調する。
Bさんが記憶している金孝南の典型的な語り口は次のようなものである。
「日本人は、かつて、韓国を侵略し、植民地にした。従軍慰安婦や強制連行で、韓国の人々、特に女性たちにたくさんの苦しみを与えた。その従軍慰安婦や強制連行された女性の霊が日本人女性に乗りうつっている。だから、日本にいる悪霊は、他の国の悪霊よりも恐ろしい」
このようなメッセージの後に、金孝南は講堂に参集した数千の信者に対して、聖歌を歌いながら体中を叩き、体の中に入り込んでいる悪霊を追い出すよう命じる。すし詰め状態で座っている前の人の背中をそれぞれ力いっぱい叩く。Bさんも、「本気で叩かないと悪霊は出ていかない」と言われたために、前の人の背や肩を力いっぱい叩き続け、自身も後の人から叩かれた。壇上には興奮した(霊につかれた)若手の信者が上って踊り出したり、精神的に不安定な人が泣き叫んだりと、まさに悪霊が飛び交ってでもいるような情景が現出する。よく従軍慰安婦の霊が女性信者についたという。その場合は金孝南が除霊した。
およそ3時間続く役事の合間に、信者たちは文鮮明の説教を聞く僥倖(ぎょうこう)を得ることもあった。文鮮明は日本語で語りかける部分もあるのだが、途中休憩を入れながら、夜中の2時3時まで数時間にわたって語り続け、信者のもうろうとした意識の中に霊界話が焼き付けられていく。

Bさんのストーリーは、統一教会が多様なテクニックを駆使して信者をだましていった様をわかりやすく示しているといえるだろう。
それにしても縄文時代まで持ち出して献金を求める姿勢にどこかで疑問を持たなかったのか。そしてなぜ献金額は5億円超にまで膨れ上がったのか。
信仰継続のわけ
Bさんが信仰心を持続させた要因は二つある。一つは、霊界への恐怖と自分が先祖を祭らなければ先祖と子孫もろとも地獄に行くという切迫感であった。このような心境に至ったのは、統一教会信徒の霊能師たちのメッセージを繰り返し受け、家系の因縁などのビデオを視聴し、統一教会の研修施設である天宙清平修練苑の修練会で衝撃的な経験を重ねてきたからである。もう一つは、Bさんを取り巻く統一教会信徒たちによる励ましや人間的ふれあいであった。より正確に言えば、篤志家としてVIP待遇を行うことで、Bさんが献金要請に疑問を持ったり、やめたりしないように何とかつなぎ止める工作が12年も続けられてきた。
数百万円、数千万円の献金要請には心理的プレッシャーがかけられ、数十万円単位のものではソフトなお願いや、Bさん自身の判断に任せる(といっても先祖は常に新たな祭りを求めていると言われた)という形で、総額5億円を超す(最終的に2億7620万円分が違法に献金させられたものと裁判所は認定)献金がなされた。
強烈な心理的圧力をかけずにソフトなお願いだけで、どのようにして献金させることができるのだろうか。統一教会において信徒は統一教会特有の言い回しを駆使して会話する。年季の入った信徒ほど統一教会の用語と論理の枠組みで議論を展開するし、それには誰も反論できない。そのため、古参信者や幹部はもとより、新参の信者もまた同じ言語でコミュニケーションするなかで、一つの言語に一つの感情、一つの言い回しに一つの論理が自動的に連結するようになる。
Bさんは長らく統一教会と関係を持つなかで、このような自動化された感情・論理の伝達手段に慣らされてきた。もちろん、他の統一教会幹部や信者のように人を動かすために統一教会用語を駆使する指導的立場に立ったわけではない。もっぱら受け身で行動を促される立場であった。統一教会は特段の脅迫的言動を用いずとも、Bさんにとって救済のキーになりうるプッシュの言葉を語ることで献金させることができたのである。
そんなことがあるのだろうかと訝(いぶか)る人もいるかもしれない。しかし、私たちはこうしたことを日常生活や職場、専門家集団において経験している。専門家はそれぞれの分野ごとに独特の言語と論理を共有しており、2、3の専門用語を話すだけで関連する事柄や背景的知識、問題の解決法まで頭に浮かんでくる。専門家集団といえば宗教集団も同じである。統一教会のような閉鎖性の強い集団に入るとなかなか抜けられなくなるのは、教団が物理的な障害(見張りやスケジュール管理)を置くからではなく、認識の構図や言語体系までも統一教会独特のものしか使わないよう訓練してしまったために、外部の人たちとコミュニケーションができなくなり、外へ出ることを信者自身がためらうようになるからだ。
私たちの日常生活では、同じ人が職場と家庭、趣味のサークルや所属団体ごとにそれぞれのボキャブラリーや考え方を適宜使い分けるものだ。ところが、統一教会の論理だけで回る生活が長期に及んだ一般信者や、祝福家庭を形成した家族は、統一教会の思考の枠から抜け出すことをおそれ、自縄自縛の状態が継続するのである。
家族の説得がきっかけに
Bさんは2003年に統一教会を脱会した。きっかけは家族の説得であった。
Bさんの子供たちは、多額の献金がなされている事実を知り、統一教会をやめて元の母親に戻ってほしいと真剣な話し合いを持った。次男の「仕事を辞めてもいいのでじっくり話したい」という並々ならぬ決意を感じて、Bさんは子供たちと数日間話し合いを行い、統一教会の実態を知らされたのである。
その間、子供たちは話し合いに専念するために孫3人をよそに預けていた。Bさんと子供たちとの話し合いが終わり、連れてこられた孫たちが親にすがりついて泣いている様を見て、Bさんは孫たちに寂しい思いをさせてしまった自分の姿が客観的に見えたという。つまり、自分は子供たち、孫たちのためによかれと思ってやってきたことだったが、そうではなかったのではないか。これほどまで子供や孫たちを悲しませてしまった自分の愚かさと申し訳なさに涙し、その瞬間に統一教会のおかしさが分かったと語る。
一般的に、統一教会信徒が脱会する道筋は大きくわけて三つある。
第一に自主脱会。教団への疑念が膨らみ継続しがたくなるもので、入信初期に辞めるパターンが多い。
第二に教団からの追放。統一教会の日刊紙「世界日報」の編集局長であった副島嘉和は、本部との路線対立から解任され信者の籍を抹消された後、「文藝春秋」(1984年7月号)に統一教会の暴露記事を掲載した。その直後、暴漢に襲われ重傷を負ったが、このようなケースはまれである。
第三に、Bさんのように家族の話し合いにより認識の枠組みや生活態度が統一教会モードから現実生活のモードに一変するというパターンである。俗にマインド・コントロールが解けるともいい、長期間信者であった人が辞めるケースとしては一番多い。

多額の金をだまし取られたとはいえ、Bさんは家族の必死のはたらきかけによってマインド・コントロールから抜け出すことができた。「これほどまで子供や孫たちを悲しませてしまった自分の愚かさと申し訳なさに涙し、その瞬間に統一教会のおかしさが分かった」――こんなふうに気付いてもらいたいと願う家族は今でも多くいるのではないか。
●山上容疑者の獄中記出版への期待…加害者の手記は過去にも 8/2
安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者の “減刑” を求める署名が止まる気配を見せない。
7月15日に署名サイト「Change.org」上で開始され、検察庁長官宛てに山上容疑者の “減刑” を求める趣旨だが、理由として《過酷な生育歴》《本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事》があげられている。
署名数は、7月31日に3000人を突破したかと思うと、8月1日には4500人を突破した。
「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の被害者の救済に尽力してきた『全国霊感商法対策弁護士連絡会』には、宗教2世たちから『山上容疑者の行為は許されないが、気持ちは痛いほどわかる』という声が殺到しています。
山上徹也容疑者のものと見られるTwitterアカウントは7月19日に閉鎖されましたが、投稿を見ると、狂信的な犯罪者というより、冷静で頭がよい印象を受けます。それで、山上容疑者が育ってきた境遇や犯行の動機に関心が寄せられているのです」(社会部記者)
SNSでは、獄中記の出版に期待する声もあがり始めた。
《普通に大学行けてたら、大企業に就職して、発明品の1つや2つ作りあげて、社会に貢献出来ていたかもしれない 獄中で手記など出版して、お金を稼いで、大学で学ばせてほしい気もしてきた》
《山上徹也のTwitter、そのうち手記として編集して出版されるのかな》
《山上徹也、手記でも書けば印税ガッポガポで一生安泰やろな》
《自伝(獄中記)は争奪戦といったレベルでは収まらぬだろう》
加害者側の手記は、1997年に神戸連続児童殺傷事件を起こした元少年Aによる『絶歌』(2015年、太田出版)、2008年に秋葉原で無差別殺傷事件を起こした加藤智大元死刑囚による『解』(2012年、批評社)など、これまでいくつも出版され、物議をかもしてきた。
「7月26日に死刑が執行された加藤元死刑囚は、2012年7月から2014年8月までに4冊の手記を出版しています。1冊めの『解』と続編の『解+』には、母親に虐待された幼少期から事件にいたるまでが淡々と描かれています。
『絶歌』は2015年6月に出版されましたが、初版10万部はすぐに売り切れ、発行部数は25万部にのぼりました。『絶歌』というタイトルは加害男性が考えたものです。一方で、遺族に無断で出版を進めたことから、遺族側から猛反発を受けるなど、物議をかもしました」(同)
SNSでは、山上容疑者の手記に期待しつつ、慎重な意見も上がっている。
《山上の獄中手記が出版されるとしたら、令和最大のベストセラーになるだろうね? 生い立ち、 #統一教会 の闇が背景となる犯行動機ついての国民的関心事を詳らかに語り文章として残すべきではあるけど、自分は犯人(編集部注:容疑者)なんかに課金したくない気持ちの方が強い》
山上容疑者に関しては、事件当時の精神状態を調べる「鑑定留置」が7月25日から始まり、約4カ月間続くという。山上容疑者への関心が消えることはまだまだなさそうだ。
●山上容疑者が3年以上前“旧統一教会幹部の殺害示唆”をSNSに投稿 8/2
安倍晋三元総理への銃撃事件で逮捕された男が、3年以上前からSNS上で旧統一教会幹部の殺害を示唆する投稿をしていたことがわかりました。
7月8日、安倍晋三元総理が銃撃されて死亡しました。逮捕された山上徹也容疑者は2019年10月〜事件直前までSNS上に、「オレが憎むのは統一教会だけだ」などと旧統一教会への恨みを繰り返し投稿していました。
捜査関係者によりますと、山上容疑者は2019年10月より前にも別のアカウントで旧統一教会幹部の殺害を示唆する内容を投稿し、ツイッター社は当時、このアカウントを利用ルールに違反したとして凍結したということです。
安倍元総理の殺害に関する投稿は確認できなかったということですが、警察は山上容疑者の投稿内容を詳しく調べています。
●旧統一教会の名称変更「お祭り騒ぎ」「新しい人が入りやすく」元信者が証言 8/2
旧統一教会の名称変更に政治家の関与はあったのか?元信者は、名称変更の結果「新しい人が入ってきやすくなった」と証言しました。教団との関係を絶つと断言しない政治家たちの態度に、憤りの声を上げる信者の家族も・・・。
兄が入信し会社の金を…
JNNが入手した旧統一教会の内部資料には、日本人信者の献金額が記されていました。1999年度から2008年度まで、年間の献金額は概ね、600億円で推移。
別の資料に示された「TD」という文字は「ThanksDonetaion」の略で、「感謝献金」の意味。日本から韓国の教会側へ送金した額だといいます。2009年度以降3年間で200億円以上が毎年送金されていることがわかります。
その被害者の1人で、愛知県に住む50代の女性に話を聞くことができました。
兄が統一教会に入信した女性(50代)「兄が旧統一教会の信者でした。”お父様”という言葉(創設者の)文鮮明のことですか。(兄から)聞きました」
女性の兄は、父親が経営する会社に勤務していて、将来は後を継ぐつもりだったといいます。しかし、2008年頃、統一教会信者の事務員が兄を勧誘。気づいたときには入信していたといいます。すると…
兄が旧統一教会に入信した女性(50代)「お金を用立ててくれということで、母が(兄に)500万円を現金で渡して。ちょっと調べてみたら、会社の方で1000万円横領されていて」
信者の事務員と兄が共謀し、合わせて1500万円を持ち出したのだといいます。そのうち500万円は返金されましたが、残りの1000万円のほとんどは返ってこなかったといいます。
兄が旧統一教会に入信した女性(50代)「警察に行って訴えるイコール身内を訴えることになるので、やっぱりそこはできず泣き寝入りという感じですね」
「問題意識なくがっかり」政治家と教団の癒着に信者家族は憤り隠せず
(2017年5月国際指導者会議)
自民党 山本朋広元防衛副大臣「マザームーンに先ほどカーネーションの花束をプレゼントさせていただきました」
自民党 細田博之衆院議員「韓鶴子総裁の提唱によって実現したこの国際指導者会議の場は大変意義が深いわけでございます」
次々と明るみになる旧統一教会と政治家との関係に、兄が信者だったという女性は…
兄が旧統一教会に入信した女性(50代)「ニコニコとトップを讃えたり褒めたり、信者しか分からない言葉を使いながらスピーチしている有名な政治家を見て、目の前が真っ暗というか。これだけ被害に遭っている人がいて、この先もきっと被害に遭う人が出ることがわかっていて、それでも問題意識を持たずに調査もせずに時間が経つのを待っているかのようでなんだか希望が持てない」
この問題について、7月31日初めて言及した岸田総理は…
岸田総理「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思っています」
具体的な対応などについては触れませんでした。
兄が旧統一教会に入信した女性(50代)「7月31日の総理の発言を聞いていると取り組む気がないんだなって気がする。これだけ、自民公明が力を持っている、決める権限があるので、この人たちが問題意識を持っていないということは、やっぱりがっかり。期待が崩れてしまう」
なぜ「統一教会」からの名称変更が認められたのか
政治家の関与があったのではないか、そんな指摘が上がっているのが、教団の名称変更です。2015年、名称がいわゆる「統一教会」から「世界平和統一家庭連合」へと変更することが認められたのです。当時、教団の”再出発”を祝ったイベントでは…
旧統一教会徳野英治会長(当時)「そして本日、この日本におきましても家庭連合としての新しい出発ができることとなりました。未来への希望あふれる新しい出発をしていこうではありませんか」
旧統一教会側は1997年から名称変更を求め、文化庁に相談に訪れていました。当時、担当課長として対応した前川喜平元文科事務次官は…。
前川喜平 元文科事務次官「そのときの我々の対応としては、それは”受理できない”と。名称変更を認証してしまったら文部省が社会的に批判されるだろうと」
教団の問題が解決していない中、名称変更は認められないと門前払い。以後、同じ状況が18年間続きました。ところが2015年、一転して文化庁は名称変更を認めます。下村博文氏が文部科学大臣のときでした。霊感商法や多額の献金による被害を救済してきた弁護士は、名称変更をしないよう文化庁に求めていたといいます。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 川井康雄弁護士「名称変更された8月の5ヶ月前ぐらいに『名称変更を認めないように』という申し入れを文化庁にしてるんですね」
名称変更の前、下村氏は旧統一教会系のメディアに度々登場していました。2014年の世界日報社の月刊誌には当時、「世界日報」の主筆でもあり、社長の木下義昭氏らと大臣室で論じ合ったとあります。大臣室という公の場で3回にわたって旧統一教会系の人物と面会していました。名称変更に下村氏は関わっているのでしょうか?
Q旧統一教会の名称変更に変わったのではないかと報じられていますが、これについての事実関係は?
自民党 下村博文元文科大臣「全く関わってません」
「名前変更した方が新しい人が入って来やすい」
10年間教団で活動した女性は、厳しい献金の要求に耐えきれず、名称変更の半年後に脱退したといいます。
元信者の女性「貯金通帳、生命保険の証書。お金に関するもの全て持ってきてくださいって言われたんです」
自身の母親も信者として引き入れ、総額3000万円を献金しました。手元に残ったのは本や印鑑、壺などの品々です。女性は教団の名称が変更された2015年当時のことを、今でも鮮明に覚えているといいます。
元信者の女性「『勝利だ』って言って、お祭り騒ぎでした。『やったー』みたいに。『自分たちは間違ったことしてなかったんだ、よかった』みたいな感じになってました」
統一教会の名称変更は、教団にとってどんな意味があったのでしょうか?
元信者の女性「もう霊感商法しかないと思います。霊感商法のイメージが昔の人にはついてるから、名前変更した方が新しい人が入って来やすいよねみたいな」
立憲民主党と共産党は「自民党は旧統一教会との関係を明らかにすべきだ」として追及していく考えです。
立憲民主党・馬淵澄夫国対委員長「この名称変更以降、これをもってより一層、その活動が激しくなったのではないかというようなことも言われだしていますから、やはりこれは明らかにしなきゃならないと思います」
共産党・志位和夫委員長「党としての責任。政府としての責任。これ一切、蓋をしようとしてる。こういう反社会的カルト集団との癒着のままでいいのかということを、真剣に自らですね、明らかにしていく責任があるわけです」
●自民党と旧統一教会の癒着を海外でも報道 “カルトとズブズブ” 8/2
安倍元首相の銃撃死事件を機に、あぶり出された旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党との癒着関係が、海外でも注目され始めた。海外メディアの見出しをいくつか並べるだけでも、注目度の高さがうかがえる。
〈安倍晋三の刺客は日本と“カルト”の関係を暴くという歪んだ計画を果たした〉(米デーリー・ビースト=先月29日付)
〈安倍の暗殺によって日本国内で統一教会と政治のつながりが脚光を浴びている〉(米公共ラジオ放送=同28日付)
〈統一教会はいかにして日本政府を乗っ取ったか〉(英オンラインマガジン「アンハード」=同20日付)
祖父・岸信介元首相にさかのぼって丁寧に解説
いずれも、安倍元首相の祖父・岸信介元首相が「反共産主義」を旗印に旧統一教会と協力関係を築いた経緯に言及。旧統一教会の霊感商法や献金問題に触れながら、自民党との癒着の歴史を丁寧に解説している。
岸田首相は旧統一教会と自民党議員の関係について、「政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思う」などと各議員任せだが、これを機に教団との関係を清算できなければ、それこそ安倍元首相の得意文句だった外交上の日本の「国益」を損ないかねない。
「法律でカルトを規制している国からすれば、日本は『カルトすら取り締まれない国』と見なされています。それどころか、『カルトと蜜月の日本と付き合って大丈夫なのか』とすら思われかねない。カルトグループとのつながりが指摘される教団に、外交機密が漏れる恐れさえあるからです。カルトとズブズブの政権というイメージは、日本の外交上、マイナスでしかありません」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
世論の8割は旧統一教会との関わりについて、実態解明を求めている。岸田首相は今こそ「聞く力」を発揮して、旧統一教会との決別を宣言すべきだ。
●泉代表「旧統一教会は自民支援団体」 立民も8人接点 8/2
立憲民主党の泉健太代表は2日の党会合で、自民党が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との組織的関係を否定していることに関し「国会議員、陣営の多くが支援を明確に受けていた。旧統一教会系が自民党の支援団体だったかと言われれば、そうだということが多くの国民の認識、答えだ」と批判した。
泉氏は、立民議員と旧統一教会との関係を調査した結果、金銭の授受や選挙での支援はなかったと報告。「立民にとって支援団体だったかと言えば、明確にノーだ」と強調した。党所属議員が教団の関連団体に祝電を送っていたことに関しては「さらなる精査が必要だろう。改めて報告したい」と述べるにとどめた。
西村智奈美幹事長は2日の記者会見で、調査結果について説明。8人が旧統一教会と接点があり、関連団体の会合に祝電を送るなどしていたという。
●立民 泉代表 旧統一教会めぐり「寄付や政治活動への支援ない」 8/2
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会との関わりについて、立憲民主党の泉代表は、党所属の国会議員などを調査した結果、寄付などの受け取りや政治活動への支援はなかったと明らかにしました。
立憲民主党の泉代表は2日に開かれた党の会合で、党所属の国会議員や地方議員と、旧統一教会との関わりを調査した結果を報告しました。
この中で、泉氏は「寄付や物資の受領はないことが明確になった。旧統一教会への寄付や献金もなかった。政治活動や選挙活動への支援、秘書の派遣といった活動への参加もなかった」と述べました。
一方で、関連団体への祝電の送付などについては、さらに精査するとしています。
また、泉氏は、旧統一教会と自民党との関係について「国会議員や陣営の多くが支援を明確に受けており、いわゆる旧統一教会系が自民党の支援団体だというのが多くの国民の認識だと思う。立憲民主党は明確に『ノー』であり、大きな違いではないか」と述べました。
立憲民主党は、「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会と党所属の国会議員や地方議員との関わりについて調査結果を公表しました。
それによりますと、旧統一教会主催のイベントや、関連団体の会合に祝電を送った国会議員が2人、関連団体の会合に秘書が代理出席した国会議員が1人いたということです。
西村幹事長は記者会見で「いずれも単発のもので、継続的な関係はないと確認したが、今後は厳重に注意するよう要請した。調査は自己申告なので、今後も漏れがないか重ねて呼びかけたい」と述べました。
●立民代表、旧統一教会からの寄付・支援「確認されず」 8/2
立憲民主党の泉健太代表は2日の党会合で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と所属議員の関係に関する党内調査の結果、旧統一教会からの寄付や物資の受領、選挙活動への支援は、いずれも確認されなかったと発表した。
旧統一教会の関連団体と認識しないまま祝電送付などの関わりをもったケースについては「さらなる精査が必要だ」として、引き続き調査する考えを示した。
泉氏は会合で「立憲民主党にとって旧統一教会が支援団体だったかといえば、明確にノーだ」と強調。さらに「自民党の多くの議員にとって(旧統一教会が)支援団体の1つだったことは間違いのない事実だ」と断じ、国会審議などを通じて追及していく考えを示した。
●岸防衛相 旧統一教会とのこれまでの関係を見直す考え示す  8/2
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の関係者に選挙活動を手伝ってもらったことを明らかにしている岸防衛大臣は、旧統一教会の社会的問題が指摘されていることを踏まえ、これまでの関係を見直す考えを示しました。
安倍元総理大臣の弟の岸防衛大臣は、旧統一教会の関係者にボランティアで選挙活動を手伝ってもらったことがあると明らかにしています。
岸大臣は記者会見で、旧統一教会から組織として支援を受けたことはないとしたうえで「選挙区で長年のおつきあいをする中で、そういったバックグラウンドを持つ人がいて、応援をいただいているのも事実だ」と述べました。
そのうえで「さまざまな社会的問題が浮上している状況で、これまでの関係をしっかり見直していかなければならない」と述べました。
●維新 国会議員13人 旧統一教会めぐり“何らかの関係”  8/2
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会をめぐり、日本維新の会は国会議員62人を対象に行った調査の結果、関連団体などと何らかの関係があったことが分かった13人の氏名を公表しました。
それによりますと、馬場共同代表、藤田幹事長、足立国会議員団政務調査会長、室井参議院幹事長らで、旧統一教会の関連団体のイベントへの出席や、会合での講演などが確認されたということです。
一方で13人全員について、関連団体から寄付を受けたことはなく、組織的な支援はなかったとしています。
藤田幹事長は記者会見で「今後は旧統一教会と関わりを持たないことはもちろんだが、何らかのトラブルを抱える団体や悪質な団体のリストなどを作成し、距離を置くよう周知徹底していきたい」と述べました。
大阪維新の会 地方議員など16人“何らかの関係”
大阪維新の会は旧統一教会との関係について、党所属の地方議員と自治体の長、合わせて266人を対象に調査を行い2日、横山幹事長が記者団に結果を公表しました。
それによりますと議員と自治体の長、合わせて16人が旧統一教会の関連団体のイベントに出席するなど、何らかの関係があったことが分かったということです。
このうち7人は月額2000円から3000円程度の会費を関連団体に支払っていましたが、これまでに全員が支払いを取りやめる手続きを行ったということです。
一方、いずれも関連団体などからの寄付や選挙支援などの事実は確認されず、組織的なつながりはなかったとしています。
横山氏は「旧統一教会と何らかの縁がある団体に参加することで『政治家も来ている』と広告塔のように使われることは避けるべきだ」と述べました。
大阪維新の会は国政政党の日本維新の会とともに、消費者庁などにトラブルが報告されている団体の会合に、所属議員らが出席することを禁じるなどとするガイドラインを策定し、対策の徹底を図る方針です。
●大阪維新16人が旧統一教会関連団体と接点 8/2
政治団体・大阪維新の会は2日、所属する大阪府内の地方議員と旧統一教会との関わりを調査した結果、首長や府議ら16人が関連団体の会合に参加するなどの接点があったと公表した。
●自民の調査なし「大問題」 維新・松井代表、旧統一教会で 8/2
日本維新の会の松井一郎代表は2日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と所属議員との関係について内部調査を実施していない自民党の対応を批判した。自民党議員が献金トラブルを抱える教団の広告塔的な役割を果たしていたと指摘し「自民党が何の問題もないというのは大問題だ」と大阪市役所で記者団に述べた。
一方、教団の信者が個人的に政治家の選挙支援をすることについては「問題ない」とした。宗教団体・創価学会を支持母体としている公明党を引き合いに「信仰や思想信条の自由はあるので、信者が政治的活動をするのは一人一人に与えられた権利だ」と強調した。
●自民、個別調査意向示さず 旧統一教会側と議員関与 8/2
自民党は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と同党所属議員の関係に関し、各議員の自発的な説明に委ねる方針を固めた。党として個別に調査する意向は示していない。茂木敏充幹事長は2日の記者会見で「個人の活動については、それぞれの議員が適切に説明すべきだ」と主張。「党として組織的な関係はない。関係部門に改めて指示を出して確認した」と強調した。
霊感商法などが反社会的との批判を浴びる教団側と、閣僚を含む自民議員のつながりが次々と表面化している。立憲民主党や日本維新の会など野党は党内調査を発表。自民は実態解明に後ろ向きだとして、国会で追及する構えだ。
●浜田知事 旧統一教会支部責任者へあいさつも選挙支援は否定 8/2
高知県の浜田知事は2日の会見で「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会との関係について問われ「知事就任以前に県の支部の責任者にあいさつに行ったことはある」と明らかにする一方、支援については否定しました。
2日の定例記者会見で「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会との関わりについて問われた浜田知事は、「知事に就任する前に選挙への立候補を表明して以降、高知県の支部の責任者にあいさつに行ったことはある」と明らかにしました。
浜田知事は、政治関係者に紹介されて行ったいろいろな団体へのあいさつの一環だったとし、選挙をめぐって人的な協力や資金的な支援を依頼しておらず「具体的な形で支援をいただいたことは、私は一切関知していない」と述べ、支援については否定しました。
そして「今回のように社会的な問題が指摘されている団体とのつきあいは、慎重に節度を持って考えるべきではないか」と自身の考えを述べました。
●旧統一教会関連団体イベントで実行委員長 二之湯国家公安委員長 8/2
先週、旧統一教会の関連団体のイベントで実行委員長を務めたことを明らかにした二之湯国家公安委員長は2日の会見で「付き合いの一環だった」などと説明しました。
先週、警察庁を所管する二之湯智国家公安委員長は、2018年に旧統一教会の関連団体が京都で開いたイベント「ピースロード」で実行委員会委員長を務めたと明らかにしました。
二之湯国家公安委員長は2日の閣議後会見で実行委員長を務めた理由について、「政治家なのでお付き合いの一環として名前を貸した」と説明しました。
「選挙活動などでは一切応援してもらってない」ということです。
名義を貸した関連団体については「はっきり覚えていない」「それ位、団体とのつながりが薄い」とも釈明しました。
●関連会合であいさつ、秘書出席 旧統一教会めぐり閣僚 8/2
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係をめぐり、2日の閣議後記者会見で各閣僚から発言が相次いだ。萩生田光一経済産業相は関連イベントであいさつしたことを、野田聖子少子化担当相は関連団体が共催した会合に祝電を送って秘書が代理出席したことを、それぞれ明らかにした。
萩生田氏は「誘われた会合の冒頭であいさつした事実はあった」とした上で、「承知の上でお付き合いしているのではなく、地元の皆さんの中に関係者がいたのかもしれない」と述べた。
野田氏は「(旧統一教会とは)考え方が違い、支援というより批判を頂く立場だった」と説明。「(関連団体とも)距離を置いていたが、共催という形だったので見過ごしてしまった。今後は気を付けたい」と語った。
過去に選挙運動を手伝ってもらった岸信夫防衛相は「さまざまな社会的問題が浮上してきている。関係をしっかり見直していかなければいけない」と表明した。
閣僚では末松信介文部科学相と二之湯智国家公安委員長も接点を認めている。末松氏は「今後はしっかり見極め、慎重に対応していきたい」と強調。次の内閣改造で退任し、政界を引退する見通しの二之湯氏は「議員活動はもうない。関係は自然と消滅していく」と述べた。
一方、鈴木俊一財務相は旧統一教会との関係について「一切ない」と述べた。林芳正外相、西銘恒三郎復興相、牧島かれんデジタル相も関わりを否定した。

 

●旧統一教会と“超濃厚接触”自民議員32人 内閣改造・党役員人事の「踏み絵」 8/3
岸田首相の政権運営に暗雲が漂ってきた。凶弾に倒れた安倍元首相の国葬実施で求心力を高め、独自路線を突き進むはずが、むしろ世論の反発を招き、内閣支持率は急落。「自民党と反社会的教団」の関係に対する不信感を高めている。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連イベントに祝電を送る程度ではなく、とりわけ教団と濃厚に接触しているのが32人の面々だ(別表)。いわば政権の足を引っ張る「A級戦犯」だが、岸田首相はどう処遇する気なのか。
内閣支持率は驚くほどガタ減りした。共同通信の世論調査(7月30、31日実施)では51.0%。自民が圧勝した参院選直後の調査から12.2ポイントも下落し、昨年10月の内閣発足以来最低となった。原因は旧統一教会と国葬だ。教団と政界の関わりについて実態解明の「必要がある」は80.6%に上り、「必要はない」の16.8%を大きく上回った。国葬に「反対」も半数を超えた。
旧統一教会問題に頬かむりを決め込んでいた岸田首相も、ここにきて「丁寧な説明」に言及せざるを得なくなった。良し悪しは別として、分厚い保守層に支えられた安倍元首相が「モリカケ桜」疑惑から逃げ切ったようにはいかないだろう。
「大臣会見で〈選挙を手伝ってもらっている〉と居直った安倍さんの実弟の岸防衛相は体調不安もあり、参院選後の内閣改造での交代は既定路線でした。関連団体のイベントで実行委員長を務めていた二之湯国家公安委員長もしかりです。政界引退表明後の“思い出作り”のために初入閣させたので続投はない。清和会のゴリ押しで畑違いの文科相で初入閣した末松大臣にしても、交代やむなしです」(与党関係者)
教団の反社会的活動の助長にくみした議員はアウト
安倍元首相が銃撃された要因とされるビデオメッセージを寄せた天宙平和連合(UPF)が主催するイベントには、あいさつに立った細田衆院議長のほか3人が出席。岸氏も祝電を送っている。副総理への起用が取り沙汰されている菅前首相は、岸・安倍一族とかかわりの深い北村経夫参院議員を初当選させるため、旧統一教会での講演をセットした。要するに教団票割り振りのための顔見せだったのだろう。
教団丸抱え選挙でバッジを着けた北村氏や、山谷えり子元国家公安委員長は国会議員としてもアウトだ。下村元文科相は旧統一教会の名称変更を認証した当時の担当大臣。昨年はポスト菅を争う総裁選に色気を見せていたものだが、教団の反社会的活動の助長にくみしたような人間はもはや表舞台には立てまい。
支持率急落の元凶である面々が今後、処遇されるなんてあり得ない。9月前半に実施予定の内閣改造・党役員人事は、岸田首相にとっても真価を問われる「踏み絵」になる。
●旧統一教会幹部らが自民党本部を訪問し議員会館でも…桜を見る会にも… 8/3
旧統一教会と政治の問題。自民党は「組織的な関係はない」と断言していますが、私たちが発掘した映像には、旧統一教会関係者らが自民党本部を訪問する様子が…。さらに総理主催の「桜を見る会」には、“教団の関連団体”の幹部が招待されていました。
●自民議員が「問題ない」連発 旧統一教会とのズブズブ癒着をゴマカシ 8/3
だんだん論点がズレていると感じている国民は少なくないだろう。
強引な信者勧誘や霊感商法などが社会問題化し、被害者救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)から「カルト教団」として糾弾されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との癒着関係のことだ。
「組織として何か支援を受けているかというと、そういうわけではない」
過去の選挙で統一教会のメンバーから支援を受けていたことを明かした岸信夫防衛相は2日の会見で、こう釈明。2018年に旧統一教会の関連団体が京都で開いたイベント「ピースロード」で実行委員会委員長を務めていた二之湯智国家公安委員長も、2日の閣議後会見で、「政治家なのでお付き合いの一環として名前を貸した」「選挙活動などでは一切応援してもらってない」と言い放っていた。
自民党の世耕弘成参院幹事長も会見で、「霊感商法や多額の献金といった問題が指摘されている団体の選挙応援やイベント参加は違法行為ではない」などと、そろって「宗教法人のイベントなのだから問題ない」との認識を示していたが、そうではないだろう。
統一教会は一般的な宗教法人とは到底言いがたい。全国弁連が「カルト教団」と位置付けている「反社会的勢力」と指摘されてもやむを得ない団体だ。例えば、広域暴力団のイベントに国会議員や閣僚が出席したり、組員から支援を受けたりしていたら大問題だろう。「お付き合いで名前を貸しただけ」で済む話ではないのだ。
民間企業だって反社に対して厳格なルールを決めているのに、なぜ、国会議員が許されるのか。どう考えてもおかしいではないか。
ちなみに法務省が公表している「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」にはこうある。
<反社会的勢力による被害を防止するためには、反社会的勢力であると完全に判明した段階のみならず、反社会的勢力であるとの疑いを生じた段階においても、関係遮断を図ることが大切である>
<企業の対処方針としては、1直ちに契約等を解消する2契約等の解消に向けた措置を講じる3関心を持って継続的に相手を監視する=将来における契約等の解消に備える)などの対応が必要となると思われる>
つまり、反社とは「関係遮断」が当然で、「問題ない」という釈明は自民党の「論点ずらし」と言っていい。
●旧統一教会 自民は実態調べ決別を 8/3
国民の暮らしを守るべき政治家が、霊感商法や高額な献金が社会問題となっている教団の活動に、お墨付きを与えるようなことはあってはならない。
岸信介元首相以来の付き合いといわれ、歴代の党幹部や派閥のトップが関わりを持ってきた自民党の責任はとりわけ重い。「議員個人の問題」と矮小(わいしょう)化することは許されない。党として実態を調査し、この機会に教団との決別を明確にすべきだ。
関連団体のイベントに出たり、祝辞を寄せたりする。選挙の支援を受ける。関係者からパーティー券を購入してもらう……。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と所属議員の関係が連日、報じられるなか、自民党の茂木敏充幹事長はきのうも「党として組織的な関係はない」と繰り返し、個人の活動なので、それぞれが適切に説明すべきだとの考えを示した。
茂木氏が根拠に挙げたのは、党の組織運動本部が連絡をとっていない、党の関係団体のリストに載っていないなど、いずれも形式的なものばかりだ。
自民党が米ソ冷戦下、反共産主義を共有する教団と協力関係を築き、今に至っていることは明白ではないか。中曽根康弘首相(当時)が国会で、教団の創始者が設立した政治組織・国際勝共連合と縁を切るよう求められ、突っぱねたこともあった。
あきれた発言は、別の党幹部からもあった。福田達夫総務会長の「何が問題か分からない」である。福田氏は「問題」を、教団の影響力で政治が動かされることととらえ、それは「一切ない」と語った。
本当に党の政策に影響がないのかは別途、検証を求めたいが、政治家との親密な関係が教団のPRとなり、被害の拡大につながっているとの批判に思いは至らなかったのか。その日の夜に、「社会的に問題が指摘される団体との関係が問題であることは、言うまでもない」と釈明する文書を出したが、政治家としての資質が問われる。
教団との関係をあけすけに語る閣僚にも驚いた。岸信夫防衛相は、信者に「選挙を手伝ってもらった」と述べ、今後の協力を否定しなかった。きのうになって、関係を見直す考えを示したが、非難を無視できなくなった末の転換に違いない。
岸田首相は先月末、「社会的に問題になっている団体との関係は、それぞれ丁寧に説明することが大事だ」と語った。教団を「問題」と認識しているのなら、必要なのは単なる説明ではなかろう。安倍政権下での教団の名称変更をめぐっては、政治の関与が疑われている。徹底した実態の解明と教団との関係を断ち切る先頭に立つべきだ。 
●旧統一教会”密接交際議員”が「清和会」ばかりの「納得の理由」 8/3
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と国会議員を巡る報道が連日なされている。自民党を中心とした国会議員の名前が取り沙汰されているが、中でも清和会(安倍派)は、安倍晋三元総理を筆頭に細田博之衆院議長(78)や岸信夫防衛相(63)、下村博文元文科相(68)など“ズブズブな仲”が報じられている。
“旧統一教会系議連”には100名近い自民党議員が名を連ねているが、その中で、清和会の議員は35名で、全体の4割と他派閥を圧倒している。
清和会は、2000年以降、森喜朗氏、小泉純一郎氏、福田康夫氏、安倍氏と4人の総理を輩出し、現在でも100名近い最大派閥で存在感は群を抜いている。清和会ベテラン議員がこう説く。
「25年前は経世会(橋本派)が全盛期で、清和会は傍流派閥の一つでした。財務相や外務相など重量閣僚や農林相、経産相、国交相など利権のあるポストは回ってこず、文教族の森会長が文科省の大臣ポストを何とか手に入れた。文科省の外局の文化庁の宗務課が宗教法人を所管しています。安倍元総理は文科省を通じた宗教法人の活用をした数少ない政治家の一人なのです」
宗教法人は税制面で優遇され、例えばお布施に税金がかからない。また法人名義で不動産登記ができ、礼拝用の建物やその敷地の登記をすると差し押さえ禁止が保障される。無論、任意団体にはこのような特例はなく、宗教団体が宗教法人となるために、そしてその法人格の維持のために、文教族の有力議員に近づくのは道理と言えよう。ここに目をつけたのが安倍元総理の慧眼だ、と前述の議員は語りこう説く。
「第二次安倍政権以降の文科相を見れば一目瞭然」
2012年の安倍政権下以後の文科相は、下村氏、馳浩氏、松野博一氏、林芳正氏、柴山昌彦氏、萩生田光一氏、末松信介氏の7人となる。宏池会(岸田派)の林氏を除けば、全員が清和会だ。
「安倍元総理の葬儀が増上寺で開かれたように宗派は別。ただ、安倍元総理は選挙のコツを心得ており、宗教法人を動かすためには文科相ポストを維持することが重要だと知っていました。安倍政権以後の菅・岸田政権でも文科相ポストは清和会で牛耳った。宗教法人が学校を作りたければ、陳情してくる。法人格の維持も必要。その対価として“選挙マシーン”として宗教団体を活用したのです」(前述の議員)
国政選挙では、カネもさることながら、無料で働いてくれるマンパワーこそ必要という。「電話かけ」「ポスター貼り」「戸別訪問」、この3つは一般の運動員から敬遠されがちで、ボランティアでは心が折れてしまうことは想像に難くない。
「信者は布教活動で戸別訪問や電話かけなどを日常的に行っている。布教活動と政治活動は通じるものがあり、信者は極めて優秀な“選挙用運動員”となる。安倍元総理は国政選挙6連勝を果たしているが、この連勝の裏には彼らの下支えがあったわけです」(前述の議員)
旧統一教会は政治家にとって有益な“選挙マシーン”として機能した。一方で、過剰な献金で家庭崩壊が引き起こされたケースがクローズアップされている。立憲民主党や日本維新の会は所属議員と旧統一教会との関わりについて調査を始めた。一方、7月26日、茂木敏充幹事長は会見で、こう述べた。
「自民党として組織的関係がないことをしっかりと確認している。党としては一切関係ない」
関係があるのはあくまで清和会であり、彼らが泥をかぶればいいーー、そう言いたいのだろうか。
●日本維新の会「旧統一教会と関係があった13議員公表」「反省するのは大事」 8/3
8月2日、日本維新の会は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との関わりについての調査結果をまとめた。衆・参の所属議員62人を対象に自己申告による調査をおこない、13人が旧統一教会と関りがあったことを公表した。(接点があった国会議員は文末に掲載)
藤田文武幹事長は、自身もイベントに出席したことを認めたうえでこう述べた。
「意図せずに広告塔のように扱われていたということについては、ちゃんと受け止め、今後悪い影響が国民に出ないように線決めをして、実行していくのが大事。一方で、一律に宗教法人すべてと距離を置くことを禁止することは適切ではないと思います。党としてトラブル団体との距離のとりかたを整理したい」
議員による自己申告とはいえ、関係があった13名の議員名を公表したことに、ネット上では評価する声があがっている。
《まずは統一教会と接点があった議員リストを公表したのはスタートとしては良いと思う。これで自民党や立憲民主党など他党もリストアップはできることが示された》
《まずは党内調査したことは維新は他党とは違うな、と評価する。あとはこの接点があった議員たちは統一教会とどの程度の関係だったのか、どうやって接点を持ったのかを公表し、今後は統一教会との関係をどうしていくのかを表明してほしい》
実業家のひろゆき氏も自身のTwitterでこう評価している。
《党として、公式に統一教会との接点のある議員を公表して反省するのは大事。ここで誉めないと他の党は「隠蔽した方が得」という意見が強くなります》
これに対して、後ろ向きな姿勢が浮き彫りとなっているのが自民党だ。同じく8月2日、自民党の茂木敏充幹事長は、同党議員と旧統一教会との関係について、各議員の自発的な説明に委ねる方針を示した。
「党として組織的な関係がないことを、関係部門に改めて確認するよう指示した結果、これまで一切の関係を持っていないことが確認できた。党の会合に招待したこともなく、『友好団体』など党と関係のある団体のリストに、旧統一教会だけでなく関連団体の記載もなかった。個々人の活動は、それぞれの議員が適切に説明をおこなっていくべきだと考える。党所属議員にはていねいな説明をおこなうよう促していきたい」
同日、日本維新の会の松井一郎代表は、自民党を痛烈に批判した。
「問題がないと言っている自民党こそ大問題だ。旧統一教会が常識から逸脱した寄付を集めていたことははっきりしており、そうしたトラブルを抱えた団体の広告塔的役割を、自民党が果たしてきたのは明らかだ。自民党は党として必要な調査をし、こうした団体とはつきあいを控えるよう方針をしっかり出すべきだ」
本誌が報じた「旧統一教会と関わりがあった現職国会議員101人」リストでも、9割が自民党の議員だった。調査に後ろ向きなままでは、旧統一教会との関係に疑念が深まるだけだろう。
【日本維新の会、旧統一教会との関係者リスト】
○馬場伸幸共同代表 / 世界平和女性連合イベント出席 / 世界日報の取材対応
○藤田文武幹事長 / 世界平和女性連合イベント出席
○足立康史国会議員団政調会長 / 世界戦略総合研究所の定例会講演
○伊東信久衆議院議員 / 世界平和女性連合イベント出席 祝電
○小野泰輔衆議院議員 / 熊本県ピースロード実行委員会主催「PEACE ROAD 2022 in KUMAMOTO」実行委員の名義貸し
○中司宏衆議院議員 / 世界平和女性連合イベント出席
○沢田良衆議院議員 / さいたま南家庭教会挨拶訪問、意見交換
○高橋英明衆議院議員 / 支援者のなかに関係者が1名存在したことが判明
○吉田豊史衆議院議員 / 世界平和連合イベント出席
○室井邦彦参議院幹事長 / 関係団体の集会・イベント出席
○高木佳保里幹事長代理 / 世界平和女性連合イベント出席
○柴田巧参議院議員 / 富山県平和大使協議会主催「富山オープンカレッジ」祝電・講演
○青島健太参議院議員 / 集会に挨拶訪問、意見交換

 

●反カルトのカルト性が判ってる山上徹也がジャーナリストに手紙を託した理由 8/4
「あんな親しげな手紙を送ってくれるのだから、会いに来てくれればよかった」
こう語るのは、島根県在住のジャーナリスト・米本和広氏(71)。犯行直前の山上徹也容疑者(41)が手紙を送っていた人物だ。
犯行直前に山上が投函した“1通の手紙”
〈安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません〉などと記された手紙の存在が明らかになったのは7月17日。読売新聞のスクープだった。山上は安倍晋三元首相を暗殺する前日の7月7日、岡山市内の演説会場に向かう道中で手紙を投函したと見られる。
米本氏が振り返る。「見つけたのは13日。普段ポストは開けないんですが、その日は開けた。宛名は直筆で差出人はなし。献金の返還請求の合意書のコピーが同封されており、山上君だとわかった。元々その翌日に読売の記者が取材に来る予定だったので、手紙について教えたのです」
『洗脳の楽園』(1997年)や『カルトの子』(2000年)などの著書がある米本氏は、長年カルト宗教問題に取り組んできた。
熱心なブログ読者だった「復讐は己でやってこそ意味がある」
山上は米本氏のブログの熱心な読者だった。
〈ご無沙汰しております。「まだ足りない」として貴殿のブログに書き込んでどれぐらい経つでしょうか〉〈かつて「DD」と名乗ってコメントした事もあります〉(山上の手紙)
ブログのコメント欄では、やりとりを重ねていた。
山上〈世界平和家庭連合? ポルポトか? スターリンか? ヒトラーか? どんな地獄だ? 人の生き血はどんな味だ?〉(20年12月15日)
米本〈カッカしなさんな。出発点が狂っている〉(20年12月16日)
山上〈復讐は己でやってこそ意味がある。不思議な事に私も喉から手が出るほど銃が欲しいのだ〉(20年12月16日)
米本氏が語る。「(山上の手紙は)うまいね。行あけもうまい。文章が明快でした」
山上は典型的な「宗教2世」だ。数々の“カルトの子”を取材してきた米本氏にはどう映っているのか。
「多くの宗教2世の感情は内に向いてしまう。外への攻撃に向かったのは、私がこれまで見てきた中でも彼だけ。彼の母親は“子供より統一教会”だった。親は選べない。その問題を一番に考えるべきなんです」
米本氏は統一教会に関しては“反統一教会”批判も展開。『我らの不快な隣人』(08年)では、信者を拉致監禁して脱会させてきた家族と協力者の行動を厳しく追及している。
なぜ山上は米本氏に手紙を託したのか?
統一教会を憎悪し続けてきた山上は、なぜそんな米本氏に手紙を託したのか。
米本氏は「僕が“反カルトのカルト性”を問題にしていることをおそらく彼は知っているから」と語り、山上から届いた手紙の一節を指し示した。
〈私は「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書きましたが あの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました〉
米本氏が言う。「この部分は自身の行動を“反カルト”に重ねて書いたのだろう。僕は以前から反統一教会の人たちに『お前らも(統一教会と)同じだよ』と指摘してきました。彼らは『カルトは悪いからやっつけよう』と断罪するだけ。信者の気持ちへの配慮は一切ない。その問題点を山上君はわかっている。メディアもすべてを『白か黒か』にする。カルト的です。今は統一教会バッシング一色でしょう。『白か黒か』で分けられるものは世の中にはありません。黒の中にも白があるし、白の中にも黒があるんです」
今後、米本氏は山上と“対話”したいと明かす。
「接見はすると思うよ。本を差し入れてあげようと考えています」
唯一気持ちを打ち明けた人物と対峙した時、山上は何を語るのだろうか。
●山上容疑者は「無期懲役」が有力 「元総理が被害者であることは影響しない」 8/4
親が熱心な信者という「宗教2世」の苦悩を手製の薬きょうに込めた山上徹也容疑者(41)。奈良地検は鑑定留置を行うことを決めた。世間ではその境遇に同情論や“神”扱いする声まであるが、果たして、求刑・判決はどうなるのか。
「逮捕されて3週間、これまで再三にわたって山上宅の家宅捜索が行われています。24日にも所有品の押収がありました」と、社会部デスク。
「逮捕当初から捜査は本人の供述頼みの面があり、供述を裏付けるためにその都度捜索が行われているのです。24日には家から衣服とレシートを押収。衣服は自宅で火薬を乾かす際に身に着けていたもので、レシートは銃の材料を購入した際のものだと思われます」
25日午前、山上の身柄は勾留されていた奈良西署から大阪拘置所へ移送された。奈良地裁により、鑑定留置が認められ、11月29日まで、精神鑑定が行われることになる。
「念のため精神鑑定」
「だいぶ調べが進んだ後の精神鑑定なので、検察としても裁判を見据えて、念のため精神鑑定をしておくということでしょう」と、言うのは元東京地検特捜部副部長の若狭勝氏。
「裁判になって被告人の弁護士から責任能力に問題があると主張されたときへの備えだと思います。見るからに責任能力がない場合は供述が固まる前に鑑定を行うはずですから」
そもそも「責任能力」とは何か。若狭氏によれば、二つの能力があるという。
「一つは物事が善いか悪いかを判断する能力。二つ目は、その判断に基づいて犯罪を行わないよう自分を律することができるか、というもの。神からのお告げや幻覚・幻聴のために自分の行動をセーブできないのは、心神喪失、責任能力がないと判断されます」
「独裁国家なら…」
山上の場合はどうか。
「安倍さんが統一教会の関連団体に寄せたビデオメッセージを見て、安倍さんと統一教会に深い関係があると考えた。例えば、Aさんを憎んでいるのに、たまたま会ったBさんに襲い掛かるなど、動機と行為が結びつかない場合、責任能力に問題ありと判断されます。山上の場合は、統一教会への憎悪が安倍さんに向いた。動機と行為が一応結びついていると理解することができます」(同)
実際の判決について、元裁判官で弁護士の井上薫氏は、事件についての情報が少ないと留保しながらも、「殺意が強く、犯行も用意周到ですから、罪はやはり重くなると思います。死刑にはならないにしても、無期懲役になる可能性があるのではないでしょうか」
先の若狭氏も、「無期懲役の求刑・判決がもっとも考えられます」と、こう続ける。
「永山則夫の事件で示された『永山基準』をはじめ、過去の判例の蓄積から、殺害された被害者の数が複数でないと死刑になりにくい。ひとりでも死刑になるのは殺し方が残忍な場合です。例えば、生きている人間を火であぶったり、電動のこぎりで首を切り落とすなど、身震いするような殺害方法なら死刑はあり得ます」
「無期懲役」が有力か
とはいえ、今回は一国の総理を務めた人物。それも憲政史上最長政権を築き、世界の指導者と伍した元総理が被害者という点は考慮されないのだろうか。
「例えば独裁国家で独裁者を殺せば、死刑かもしれませんが、今回は現職の総理でもなく、政府を転覆させようというつもりもない。安倍元総理が被害者であることは判決に影響しないのでは」(井上氏)
若狭氏はむしろ、情状酌量について指摘する。
「殺害の動機が、統一教会によって母親と家族の生活がめちゃくちゃにされた、ということならば、裁判員裁判での情状酌量の余地はあると思います。ただ、一概に無期懲役を有期刑に減刑するまでの情状酌量になるかというと、その点については裁判員と裁判官によって意見が異なるのではないでしょうか」
やはり「無期」が有力とみる。しかし、皮肉にも、山上が放った凶弾は狙い通り、統一教会の「カルト」ぶりと政界との癒着をあぶり出している。いかなる量刑になろうと、かような状況を作り出せたことが彼の本望だったに違いない。

 

●旧統一教会を「法律の範囲を超えて攻撃していくのは山上容疑者の意図・・・」 8/5
5日放送のTBS系情報番組「ゴゴスマ」(月〜金曜・午後1時55分)では、自民党の下村博文前政調会長が4日、自身が文部科学相を務めていた2015年当時、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の名称変更申請を文化庁が認めたことについて「今となれば責任を感じる」と述べたことを前日に続いて特集した。
コメンテーターで出演の元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏はコメンテーターのナジャ・グランディーバが「安倍(晋三)さんの(銃撃)事件がなかったら、この(旧統一教会の)問題は明るみになってなかった?」と聞くと、「残念だし、悔しいところなんですけど、山上(徹也)容疑者の意図した通りになってます」と発言。
「あの事件がなければ、(旧統一教会問題の)対策弁護団は頑張っているけど、ここまで情報番組を席巻するような話題にはなっていなかったでしょう。僕は話題にすることは重要だし、悪いことは悪いと言うべきなんだろうけど、山上容疑者の意図通りに過剰に法律の範囲を超えて攻撃していくのは、山上容疑者の意図した通りになっちゃうんです」と話すと、「僕は(発言が旧統一教会寄りなど)何を言われてもいいんだけど、あくまで法律に照らして、法律がおかしいなら法律を変えていくべきだと」と続けていた。
●旧統一教会と政治家との関係続々と 選挙に協力した宗教2世 8/5
安倍晋三元総理大臣の銃撃事件を機に、「世界平和統一家庭連合」=旧統一教会と政治家との関係が表面化し、問題視されている。「上からの指示は絶対」と教えられ、選挙の支援や、特定の候補者の投票を求められた信者の子供たち。教団の関連イベントに関わったり、選挙運動を手伝ってもらったりした政治家たち。専門家は、政治家側も旧統一教会側もメリットがあったとし、政治家は社会問題となっている宗教団体との関係を絶たなければならないと指摘する。
旧統一教会と政治家の関係続々と
安倍元総理大臣が死亡した銃撃事件を起こした山上容疑者は、「旧統一教会=『世界平和統一家庭連合』の信者である母親が多額の寄付をし、家庭生活がめちゃくちゃになった」と供述している。この事件を機に、政治家と教団との関係が続々と明らかになっている。
安倍元総理大臣の実の弟の岸防衛大臣は、旧統一教会のメンバーが自らの選挙運動を手伝っていたことを明らかにした。
「旧統一教会の皆さんは、何人かは存じ上げている。おつきあいもあり、選挙の際もお手伝いいただいた。電話作戦など、ボランティアでお手伝いいただいたケースはあると思う。旧統一教会に手伝ってもらったというよりは、旧統一教会のメンバーに、ボランティアでお力をいただいたということだ。選挙なので、支援者を多く集めることは必要なことだと思っている」(7月26日記者会見)
岸大臣はその後、関係を見直す考えを明らかにしている。
二之湯国家公安委員長は、旧統一教会の関連団体のイベントで、2018年に京都府実行委員会の委員長を務めたことを明らかにしている。
「平和の祭典という趣旨だったので名前を貸したのであり、旧統一教会の会員ではないし、どういう教義を持って活動しているのか分からない。私は議員活動はもうしていないので、そういう関係は自然と消滅していくのではないか」(8月2日記者会見)
自民党の井上義行参議院議員は、先の参議院選挙で統一教会からの支援を受けたのではないかと指摘されている。教団との関係についてコメントを出した。
「信徒ではなく、私の政策に賛同を得られたことから、一般的に『賛同会員』と呼ばれている。選挙は、推薦団体が増えたこと、安倍元総理大臣の支援、世界平和統一家庭連合の企画などを通じた呼びかけなど、応援していただいたすべての方々の結果だと思っており、感謝している」
末松文部科学大臣は、事務所によると、去年とおととし、それぞれ旧統一教会の関係者がパーティー券4万円分を購入していたという。
また、野田少子化担当大臣は、旧統一教会の関連団体が共催したシンポジウムに、去年、秘書が出席していたと明らかにした。
立憲民主党や日本維新の会の議員の中にも、旧統一教会主催のイベントに祝電を送ったり、関連団体のイベントに出席したりした議員がいた。
政治家と旧統一教会の関係 双方にメリット
宗教と政治の関係を研究している上越教育大学の塚田穂高准教授は、政治家と旧統一教会の関係はそれぞれにメリットがあると指摘する。
「政治家側のメリットとしては、教団の信者らが選挙の運動員として派遣されてきたことが大きい。また限定的だが、票田として特定候補者に最大で数万票を積むという役割も果たしていた。政策面での支持や提言もあった。教団側としては、政治家とつながっていることで、自分たちの活動が認められているという“お墨付き”を得たと感じられるし、対外的には広告塔にもなりうる。さらに、教団への捜査や追及の手から守ってもらうという動機もあっただろう」
“つきあうべきではなかった団体”
そして、関係を絶つべきだとし、こう追及する。
「端的に言えば、政治家がつきあうべきではない団体と関わっていたということに尽きる。旧統一教会は、“霊感商法”をめぐって複数の信者が逮捕された刑事事件を起こしたり、多額の強要的な献金をめぐって民事訴訟を数多く起こされたりして、その活動の違法性が指摘されている。さらに、正体を隠した勧誘活動を広く行ってきたことでも知られ、社会問題性や反社会性がある団体だ。この旧統一教会の特殊性を見逃してはいけない。政治家は、たとえ“うっかり”であっても、教団側に祝辞を述べることや、メッセージを送ることが、被害を受けた人や、苦しんだ人の傷口にどれだけ塩を塗るような行為であったか認識すべきだ」
“関係を絶つ必要がある”
現代日本政治を専門とする立命館大学の上久保誠人教授も旧統一教会が反社会的行動を取ってきたことを問題視している。
「“霊感商法”などで社会的に問題となった団体と関わることで、教団に社会的な信用を与えているというのが問題だ。被害者もたくさんいる中で、結果として教団を助けることになっている。反社会的行動をしていた団体であるということが重要で、政治家は関係をうやむやにするのではなく、断つ必要がある」
当たり前だった選挙協力 “ウグイス嬢”として
旧統一教会と政治との関係について、私たちは信者を親に持つ子供たち、いわゆる“宗教2世”に話を聞くことができた。
両親が旧統一教会の信者だったという女性。今は、脱退しているが、女性自身も、旧統一教会の信者だった。当時は国政選挙の度に様々な協力を教団側から求められ、女性は選挙カーで投票を呼びかける“ウグイス嬢“として動員されたと証言した。当時はそうした協力を疑問に思うことはなかったと言う。
「私自身、約20年前〜10年ほど前までウグイス嬢としてたくさんの国政選挙に行きました。旧統一教会の関連団体からの指示のもと、当たり前のように信者が選挙応援に行っている状態でした。自分の意志で応援しているというよりも、ほとんど義務感で行き始めて、途中からは行くのが当たり前のようになっていました」
さらに、女性は旧統一教会と政治との関係は選挙の協力にとどまらず、国会議員を日常的に支える仕事にも及んでいたと証言した。
「教団側から信者を秘書として国会議員側に送り込むこともありました。国会議員からしてみれば、教団側に頼むだけで真面目に仕事をして、大卒で英語もできるレベルの人が来るからということで、『君も頼みなよ』と議員から議員にと紹介する形だったと聞いています」
度重なる投票の呼びかけも
“選挙への協力は当たり前”という旧統一教会の空気に違和感を持ったという2世の男性もいる。両親が信者で、教会の教えや献金のあり方に疑問を持っているが、脱会せずに教会に残り続けている。
男性は、今年7月の参議院選挙の際、旧統一教会の支部の役職者から送られてきたメッセージを見せてくれた。そこには、特定の候補者に投票するよう求める内容が記されていた。
「一人でも多く〇〇先生に投票してくださいと、あとは周りの知人とかにも投票をお願いしてくださいという旨が書いてあります。これまでの別の選挙でも、教会全体として今回はこの候補を応援しましょうと、特定の人や党を応援するということは、今までもよくありました。信者たちは『とりあえず教会が“この人に入れろ”って言ってるから入れておくか』みたいな感じで。それって本来あるべき選挙の姿とはちょっと違うのかなと感じています。本来なら自分の頭で誰に入れるべきなのかを考える機会があるはずだと思うんですけど。自分で考える機会を奪われているというのはあるのかなと思います」
取材を進めると、旧統一教会の2世たちの多くが、今回の選挙で同じように特定の候補者への投票を呼びかけられていたこともわかった。
SNSのLINEで繰り返し投票をお願いされたケースや、信仰心の強い両親に対して、信仰への拒否を伝えると投票所入場券を隠されてしまい、投票することを諦めたと証言する2世もいた。
選挙の際の対応について、NHKが旧統一教会に取材したところ、次のように回答した。
「特定の政党ならびに特定の候補者を組織的に応援することはありません。(※他の友好団体においてはその限りではございません。)なお、信徒個人が思想信条の自由によって行う、個人的な政治活動については把握することができません」
政治と宗教の関係はどうあるべき
政治と宗教の関係はどのようにあるべきなのか。
上越教育大学の塚田准教授は、宗教団体一般が特定の政党や候補者を支援することが問題なのではなく、政治家が反社会性のある団体と関わることが問題だと言う。それとともに政治と宗教との関係を公表すべきだという認識を示した。
「大事なのは政治と宗教の関係を透明化することだ。政治家はどのような宗教団体からどのような支援を受けているか、また宗教団体もなぜその候補者を支援するのか公表すべきで、有権者はそれも判断材料として投票できる形が望ましい」
立命館大学の上久保教授は、政治家個人が旧統一教会との関係を絶つためには、党がリーダーシップをとる必要があると言う。
「特に関係した議員が多い自民党は、首相や党の幹部がリーダーシップをとって、一人一人の議員に検証や説明をきちんとさせて関係性を正すことが重要だ。また、国会で徹底的に議論に応じるべきだ。地方議会から国会に至るまで追及されなければならない」
●旧統一教会との関り「知らなかった 子どものためと思いやった」複数議員 8/5
「ピースロード」イベントの実行委員会の役員には、鹿児島県関係の国会議員や県議・市議が名を連ねていました。イベントの実行委員長を務めた県議は、旧統一教会と関りがあるとみられる団体との関係については「知らなかった」としています。
MBCが入手したイベントの実行委員会の名簿には、「顧問」として自民党の現職衆議院議員2人と、元衆議院議員1人の名前が記されていました。このほか、自民党の県議2人と自民党の鹿児島市議4人、姶良市の元市議1人も委員などを務めていました。
その一人で実行委員長として名前が記されていた、自民党の長田康秀県議がMBCの取材に応じました。
自民党 長田康秀県議会議員「(Q.旧統一協会の関連団体のイベントだったことは?)全く知らない。存じ上げていない」
長田議員は、知り合いの紹介で関連団体のセミナーに参加したのをきっかけに去年の大会に「委員」としての立場で初めて参加しましたが、宗教色はなかったと話します。
自民党 長田康秀県議会議員「子どもたちが平和を訴えながら自分たちで自転車でタスキをつなぐイベント。青少年の育成、大人としてもいい取り組みだと思った。(Q.イベント自体に宗教色、違和感は?)全くない」
選挙や政治に関する団体との関りはないとしたうえで、今後については関係を見直すとしています。
自民党 長田康秀県議会議員「金銭的な支援は一切ない。ただ、選挙支援の時はいろんな方が来るので、(信者が)個人的に演説会とか、事務所に来ていたことも100%あるともないとも言えない」「(役職を)子どもたちのためを思ってやったが、反省しないといけない」
●臨時国会3日で閉会に批判の声「国会閉じて夏休みかよ」… 8/5
8月3日、岸田文雄首相は、自民党本部で開かれた両院議員総会で、こう危機感をあらわにした。
「私たちはいま、『新型コロナ』『ウクライナ』『世界的な物価高騰』など、歴史を画するような大きな課題に直面している。戦後、最大級のこの難局に直面している」
次々と明らかになる、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党国会議員との関わりや、賛否が割れる安倍晋三元首相の国葬、中国が日本の排他的経済水域(EEZ)内に発射したミサイル5発、さらに新型コロナウイルスの第7波……たしかに、「戦後最大級の難局」といえるだろう。
だが、8月3日に召集された臨時国会の会期はわずか3日。政府・与党は国民の前での議論や説明を、事実上、拒んだ形だ。
「旧統一教会との関係についても、岸田首相は7月31日に『政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明していくことが大事だ』と述べただけです。本格的な法案審議、与野党の論戦は秋の臨時国会に持ち越しとなりました。岸田内閣の支持率が下がるなか、本格的な論戦を受けて立つのは不利と判断したのでしょう」(政治部記者)
ネット上でも、たった3日間で臨時国会が閉じる事態に、「国会を閉じるな」という声が多く上がっている。
《統一教会 円安・物価高 大雨災害 これだけ問題発生時に3日で国会を閉じるな!》《保身と疑惑隠しのために国会を閉じるな》《かつてない危機に直面している時に、このまま国会を閉じて夏休み…でいいはずがないでしょう》《こんなに問題山積なのに、たった3日で国会を閉じて夏休みに入ろうだなんて》
実のところ、岸田首相が「戦後最大級の難局」と認めるなら、会期を長く取ることは可能だという。
「1998年7月30日からの臨時国会は、当時の小渕恵三首相のもと、79日間という異例の長さになった例があります。1998年7月12日の参院選で自民党が大敗し、橋本龍太郎首相が退陣。新たに首相に選出された小渕首相が、金融危機のさなか、秋まで法案審議に精力的に取り組み、金融再生法、金融早期健全化法などを成立させました。野党案を『丸のみ』したと批判されましたが、結果を出したのは事実です」(同)
「冷めたピザ」と揶揄されながら、辛抱強く国会論戦に臨んだ小渕元首相を、岸田首相も見習ってほしい。
●旧統一教会の名称変更 前川喜平氏「当時の下村大臣の意思」  8/5
旧統一教会の名称変更が行われた経緯をめぐり、立憲民主党や共産党などが合同でヒアリングを行いました。旧統一教会から相談が寄せられた時に担当課長を務めていた前川喜平 元文部科学事務次官は、平成27年の名称変更に反対したにも関わらず認証されたと説明した上で「当時の下村文部科学大臣の意思が働いていたことは間違いない」と述べました。
文化庁が平成27年、旧統一教会から「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認証した経緯をめぐり立憲民主党や共産党、れいわ新選組などは、5日午後、国会内で会合を開き、前川喜平・元文部科学事務次官からヒアリングを行いました。
この中で前川氏は、平成9年に旧統一教会側から名称変更の相談が寄せられた際、担当の文化庁宗務課長として、部下の職員から報告を受けていたと説明しました。
その上で「宗務課の中で議論した結果、実態が変わっていないのに名前だけ変えることはできないとして、認証できないと伝え、『申請は出さないでください』という対応をした。相手も納得していたと記憶している」と述べました。
そして前川氏は、18年後の平成27年に文部科学審議官を務めていた際、当時の宗務課長から教会側が申請した名称変更を認めることにしたと説明を受け、認証すべきでないという考えを伝えたと明らかにしました。
この時の経緯について前川氏は「『認証できないから申請を受理しない』という方針を一転し、受理して認証したので、前例を踏襲する役所の仕事からすると、何らか外部からの力が働いたとしか考えられない」と指摘しました。
また前川氏は、当時、文部科学大臣を務めていた自民党の下村前政務調査会長が担当者から報告を受けたものの、判断には関与していないと説明していることについて「下村大臣まで話が上がっていたのは、判断や指示を仰いだことと同義だ。『イエス』か『ノー』か、どちらか言ったはずで、結果を見れば『イエス』と言っているはずだ。下村氏の意思が働いていたことは100%間違いないと思っている」と述べました。
前川喜平氏の説明は
5日のヒアリングで、文部科学省の元事務次官、前川喜平氏は宗教法人を所管する文化庁の宗務課長を務めていた1997年(平成9年)に、旧統一教会から名称変更の相談を受けた際の経緯などについて説明しました。
この中で前川氏は「宗務課の中で議論した結果、実態が変わっていないのに名前だけ変えることはできない。当時、『世界基督教統一神霊教会』という名前で活動し、その名前で信者獲得し、その名前で社会的な存在が認知され、訴訟の当事者にもなっていた。その名前を安易に変えることはできない。実態として世界基督教統一神霊教会で、『認証できないので、申請は出さないで下さい』という対応をした。相手も納得していたと記憶している」と述べました。
その18年後の2015年(平成27年)、文部科学審議官だったとき「当時の宗務課長から突然、『統一教会の名称変更を認証することになった』と報告を受け、『認証すべきではない』と意見を述べた」と説明しました。
前川氏は「そのときの宗務課長の困ったような顔を覚えている。私のノーよりも上回るイエスという判断ができるのは誰かと考えると、私の上には事務次官と大臣しかいなかった。何らかの政治的な力が働いていたとしか考えられない」と述べました。
さらに「当時の下村文部科学大臣まで話が上がっていたのは、『報告』したのではなく、『判断や指示を仰いだこと』と同義だ。当時の下村文科大臣はイエスかノーか意思を表明する機会があった。イエスもノーも言わないとは考えられない。結果としては、イエスとしか言っていない。下村さんの意思が働いていたことは100%間違いないと思っている」と述べました。
一方、宗教法人の名称変更について、文化庁が形式上の要件以外を理由として申請を拒むことはできないなどと説明していることについて、前川氏は「書類がそろっていれば認証というわけではない。申請内容に実態が伴っていない場合は、認証しないという判断をして宗教法人審議会にかける道があったはずだ」と述べました。
旧統一教会 名称変更の経緯は
旧統一教会が「世界平和統一家庭連合」に名称を変更した経緯です。
旧統一教会のように、複数の都道府県で宗教活動用の施設を持つ宗教団体が名称を変更するには、文部科学大臣宛てで文化庁に申請を行い、認証を得る必要があります。
文化庁は、出された申請が法律などに適合しているかを審査し、認証するか、しないかを決定します。
文化庁によりますと、旧統一教会からは1997年以降、「世界平和統一家庭連合」への名称の変更について複数回、相談を受けていたということです。
そうした動きを受けて、全国霊感商法対策弁護士連絡会は、統一教会が関係する霊感商法や献金の強要などのトラブルが相次いでいるとして、名称変更を認めないように繰り返し求めていました。
2015年3月に文化庁などに送った申し入れ書では「宗教団体であることさえ判らない名称で、宗教の勧誘であることに気づかないように仕組んでいる」などと訴えていました。
その3か月後、最初の相談からは18年後の2015年6月、旧統一教会は文化庁に名称変更についての正式な申請を初めて出し、文化庁は2か月後の2015年8月に認証を決定しました。
文化庁によりますと、名称変更の手続きは通常、部長の決裁で済むので大臣に報告しませんが、旧統一教会から申請を受けたときは、当時の担当者が大臣に報告したということです。
末松文部科学大臣は5日の閣議のあとの会見で、申請を受理する前と認証の決定前に担当者から報告が行われたことを明らかにした上で「社会的に注目度の高い法人だったので報告したもので、文部科学大臣が政治的な判断を行ったものではない。当時の文化部長から確認しているが、下村氏から何ら指示などはなかった」と述べました。
当時、文部科学大臣を務めていた自民党の下村前政務調査会長は、3日、記者団の取材に答え「文化庁の担当者からは『旧統一教会から18年間にわたって名称変更の要望があり、今回、初めて申請書類が上がってきた』と報告を受けていた。担当者からは、『申請に対応しないと行政上の不作為になる可能性がある』と説明もあったと思う。私が『申請を受理しろ』などと言ったことはなかった」と述べ、関与を否定しました。
また、申請が認められる前の2013年から2014年にかけて、旧統一教会と関わりがある世界日報社の月刊誌でインタビューなどに応じていたほか、2016年には下村前政務調査会長が代表の政党支部が、世界日報社の社長から6万円の献金を受けていました。
こうした関わりについて問われると「認証問題とは全く関係ない。旧統一教会との関係は、関連団体も含めて、政治家は襟を正しながら距離を置くことが必要だ」と話していました。
一方、名称変更を認めないように申し入れをしていた全国霊感商法対策弁護士連絡会の川井康雄弁護士は先月29日の会見で「統一教会であることや、宗教団体ということを隠して教義を広げ、信者にするという方法を取っていたが、それに拍車をかけたのが、名称変更だった」と話しています。
一連の経緯について「世界平和統一家庭連合」は、これまでの声明の中で、「創始者は統一教会の創立当時から、今の名称を使用することを考えておられた。“世間の批判をかわすため”に名称を変えたかのような批判は、事実無根の的外れな憶測、決めつけにすぎません」とコメントしています。
●兵庫県関係の国会議員32人アンケート 8人が旧統一教会と関わり 8/5
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家の関係が問題視される中、神戸新聞社は、兵庫県関係の国会議員32人に教団との関係を尋ねるアンケートを行った。自民党議員を中心に8人が、教団の関係者らに政治資金パーティー券を購入してもらったり、関連イベントに出たりしたことなどを認めた。選挙活動で支援を受けた議員もいた。
アンケートは、県内に活動拠点がある32人(自民12人、立憲民主党3人、日本維新の会13人、公明党4人)に実施。山口壮環境相(自民、衆院兵庫12区)はアンケートに「相手方のあることなので、個別の問い合わせには回答していない」としたが、5日の会見で、過去に関連イベントに祝電を送ったと明らかにした。
末松信介文部科学相(自民、参院兵庫選挙区)は2020〜21年、教団の関係者にパーティー券を買ってもらったと公表。末松氏の事務所は「(当時)教団の関係者という認識がなかった」としている。
渡海紀三朗衆院議員(自民、兵庫10区)は、2期目を目指した1990年の衆院選で、ボランティアとして電話当番などを手伝ってもらったという。教団側と接点を持った経緯について「先輩議員からの紹介」と回答。関連イベントに参加するなどしていた加田裕之参院議員(自民、兵庫選挙区)は「支援者からの紹介や、さまざまな場で自分やスタッフが名刺交換を行った方から案内をいただいたと思われる」と説明した。
落選中だった2007年以前にイベントに参加したと答えた室井邦彦参院議員(維新、比例代表)の事務所は「声を掛けられた会合には出席するようにしていた時期で、イベントは(教団と)関連があると認識していた」とした。
山田賢司衆院議員(自民、兵庫7区)はアンケートに関わったイベントの名称は示したが、出席したのか、メッセージを送ったのかを明記しなかった。政治と宗教の関係を問う設問では、大半の議員が信教の自由を尊重するとした一方で、「反社会的団体との関係は控えるべきだ」とした。
旧統一教会は信者からの高額献金などを巡るトラブルを今も抱えており、井坂信彦衆院議員(立民、兵庫1区)は「カルト問題は宗教ではなく、反社会的団体による詐欺および不法行為として取り締まるべきだ」と答えた。
宗教と政治の関係に詳しい関西大の小西秀樹教授(政治学)の話
宗教団体や関連団体が政党や議員、候補者を支援すること自体は否定できない。だが旧統一教会は社会的な問題を引き起こしており、政治と宗教のあり方の一般論でごまかし、問題をうやむやにしてはいけない。各政党は徹底した調査を行い、説明責任を果たした上で、同教会からの支援は拒絶すべきだ。反社会的勢力の存在は政治不信を招き、かえって政党の組織基盤を揺るがすことになる。
●国光文乃、石川昭政、加藤明良の3氏が旧統一教会関連団体と関りあり 8/5
安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と政界の関係に注目が集まっている。本紙が茨城県関係国会議員十六人にアンケートを実施したところ、自民党の国光文乃(衆院6区)、石川昭政(衆院比例北関東)、加藤明良(参院茨城)の三氏が、過去に教団や関連団体の集会に出席したりメッセージを送ったりしたことがあると答えた。自民の額賀福志郎(衆院2区)、梶山弘志(衆院4区)両氏からは回答が得られなかった。
アンケートでは、(1)旧統一教会や関連団体の関係者に会う、主催する集会に出席する、祝電を送る、パーティー券を購入してもらうなどの関わりを持ったことがあるか(2)自身の選挙運動の手伝いや票の取りまとめをしてもらったことがあるかーの二点を尋ねた。
国光氏は「地元支援者から依頼があり、祝電を送ったことなどはある」と答えたが、送付先の団体名や祝電の内容、時期などは明かさなかった。今後については「国民の皆さまにご心配をおかけしないよう一層気を引き締め、適切に対応していきたい」とした。
石川氏は(1)の質問に「過去に一度、メッセージの求めに対しては、他の団体と同様に失礼のないような対応をしている」と回答した。それ以外の関与は否定した上で、「いかなる宗教団体も、信教の自由および法で認められている活動については、人々が幸福になるための活動がなされるべきだ」などと付記した。
加藤氏は、県議時代の二〇一九年六月の自身のブログで、「世界平和女性連合茨城第一連合会後援会」であいさつしたことを記している(現在は削除)。世界平和女性連合は旧統一教会の関連団体。
加藤氏はこの集会への出席を認めた上で、「留学生の激励という趣旨だったので依頼を受けて出席したが、関連団体とは把握していなかった」と説明した。
梶山氏の事務所は「回答できない」と返答。額賀氏の事務所は「確認している最中」として、締め切りまでに回答しなかった。
自民の葉梨康弘(衆院3区)、永岡桂子(衆院7区)、田所嘉徳(比例北関東)、上月(こうづき)良祐(参院茨城)、立憲民主党の青山大人(やまと)(比例北関東)、中村喜四郎(同)、小沼巧(参院茨城)、日本維新の会の石井章(参院比例)、国民民主党の浅野哲(さとし)(衆院5区)、無所属の福島伸享(のぶゆき)(衆院1区)、堂込(どうごみ)麻紀子(参院茨城)の十一氏は、いずれも「(関わりは)ない」などと答えた。
アンケートには自由回答欄も設けた。福島氏は「何人かの知人を通じてアプローチがあったが、これまでの行為にかんがみて全て断ってきた」と記した。

自民では、閣僚を含む複数の国会議員について教団との関わりが明らかになっているが、茂木敏充幹事長は二日の記者会見で「党として組織的な関係はない」と説明。「個人の活動についてはそれぞれの議員が適切に説明すべきだ」とし、党主導で調査する考えは示さなかった。
立民は所属国会議員と教団の関係を調査。西村智奈美幹事長が二日、八人について祝電を送るなどの接点があったと明かした。選挙活動への支援は確認されなかったとした。
維新も所属国会議員を対象に調査し、十三人が関連団体のイベントに出席するなど、何らかの関わりがあったと公表。寄付や選挙支援を受けた議員はいなかったとした。
国民は四日現在、党内調査はしていない。玉木雄一郎代表が一六年、教団と関係が深いとされる「世界日報」の元社長から三万円の寄付を受けていたことなどが判明している。

 

●「銃」描写の小説押収、奈良県警 通読し執着深めた可能性 安倍氏銃撃 8/6
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、奈良県警が山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検、鑑定留置中=の自宅マンションから、複数の小説を押収していたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。小説には銃を使う場面もあった。県警は山上容疑者が小説を読むなどし、銃を使った犯行への執着を深めていった可能性もあるとみている。
県警は事件当日以降、奈良市内にある山上容疑者の自宅マンションや実家などを捜索。書籍やノート類を押収した。捜査関係者によると、書籍には小説が複数冊含まれており、一部に銃を使用する描写があった。
山上容疑者は当初爆弾を作ろうとしていたが、昨年春ごろに銃の製作に切り替えたと説明。爆弾から銃に変更した理由については「爆弾だと多くの人を巻き込んでしまうが、銃であればピンポイントで狙える」という趣旨の供述をしていることが判明している。
また、山上容疑者は令和2年12月、島根県のフリージャーナリストのブログに「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書き込み、この時期から銃での襲撃を画策していたとみられる。犯行前日にこのジャーナリストに送った手紙では、ブログへの書き込みに触れた上で「あの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました」と記しており、1年以上にわたって銃の製作に固執してきたことを示唆していた。
県警は、山上容疑者が自作の銃を使った襲撃計画を進めた背景について、押収した小説なども含め詳しく調べている。山上容疑者は銃の製作方法について「インターネットで調べた」と供述。自宅マンションと奈良市内に借りた集合住宅やガレージを拠点に製作していたとみられている。
●「辞職しねーと山上徹也みたいに強硬手段に…」河村名古屋市長にメール 8/6
名古屋市の河村たかし市長に対して、「辞職しないと強硬手段に出る」などと書かれた安倍元総理の銃撃事件を連想させる殺害予告メールが届いていたことが分かりました。
捜査関係者によりますと、7月26日、名古屋市のメールフォームに河村たかし市長宛ての殺害予告とみられるメールが届きました。メールの文面には「さっさと辞職しねーと山上徹也みたいに強硬手段に出るしかねーかもな」「死んでもいいんなら市長やめなくていいよ」などと書かれていたということです。市はメールの文面が安倍元総理の銃撃事件を連想させる内容だったことなどから、8月1日になり警察に被害届を提出していました。愛知県警中警察署は被害届を受理し脅迫事件として捜査するとともに、河村市長への警備を強化することにしています。
●旧統一教会関連イベント、実行委顧問に鹿児島県の自民国会議員3人 8/6
南日本新聞は5日までに、鹿児島県関係国会議員の現職8人と前職4人に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりをアンケートなどで尋ねた。全員が「教団の信者や賛同会員ではない」とし、政治資金の提供や選挙の手伝いを受けたことは「ない」と回答した。関連団体の会合やイベント「ピースロード」については、いずれも自民の3人が出席したり、実行委員会の顧問だったと答えた。
保岡宏武氏(自民、衆院九州比例)の事務所によると、当選前の2019年と20年に「日韓トンネル推進鹿児島県民会議」、21年に「平和大使協議会セミナー」に参加した。事務所は「旧統一教会関連の会合だという認識がなかった。今後、関係の深い団体の催しには参加しない」とした。
金子万寿夫氏(自民、衆院前職)によると、在任中の21年に「日本・世界平和議員連合懇談会総会」に出席した。金子氏は「国会議員による平和のための議員連盟と認識していた。今後は慎重に判断する」と答えた。
ピースロードの21、22年のチラシには、小里泰弘氏(自民、衆院九州比例)、保岡氏、金子氏の名前が顧問として記載されている。取材に対し小里氏事務所は「21年分はチラシで名前の掲載を確認した。頼まれた経緯は分からない」。保岡氏事務所は「引き受けた認識はない」、金子氏事務所は「顧問となった経緯は不明」と回答した。いずれも教団とピースロードの関連は知らなかったとした。
北海道大学大学院の櫻井義秀教授(宗教社会学)は旧統一教会が政治家と関わりを持つ狙いについて、「政治家の名前が教団に信用を与える広告塔となるほか、シンパや代弁者として利用する目的がある」と説明する。教団について「30年以上前から霊感商法や度を超した多額の献金が社会問題となり、違法判決も出ている」と批判。「関わりを持つ政治家は教団に寄与している認識を持ち、今後どうするか、きちんと示す必要がある」と指摘した。
●旧統一教会に祝電、山口環境相「事務所が機械的に出した」  8/6
霊感商法などが社会問題化した「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と国会議員の関わりが相次いで判明している問題で、新たに2閣僚が5日、祝電を送るなどの関係を認めた。
山口環境相は記者会見で、関連イベントに祝電を送っていたと明らかにし、「事務所が機械的に出したようだ。これからは出さない」と述べた。小林経済安保相も記者会見で関連会合に祝電を送り、別の会合では出席してあいさつしたことを明らかにした。小林氏は「この団体と今後関係を持つつもりはない」と語った。
このほか、公明党の石川博崇参院議員は関連イベントに短時間出席したことを記者団に認めた。日本維新の会は、石井苗子参院議員が関連イベントに出席していたと発表した。
●国家公安委員長、旧統一教会に関わる事件「被害届ない」を「検挙がない」訂正 8/6
8月5日、二之湯智国家公安委員長は閣議後の会見で、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の霊感商法に関して、2010年を最後に「被害届はない」と発言した。ところが、会見終了後、警察庁は「被害届」ではなく、2010年を最後に「検挙がない」と訂正した。
二之湯国家公安委員長は、こう語っていた。
「警察としては、違法行為があれば法と証拠に基づいて適切に対処していかなければならないが、私が申し上げた(2010年)以降はそういうことがない。被害届があれば別だが、警察として特別、動きはないということです」
それを警察庁が、あわてて2010年を最後に「検挙がない」と訂正したのだ。
旧統一教会による霊感商法被害の根絶や、被害者の救済を目的に活動している「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)の集計では、2010年から2021年の12年間で、確認できた被害金額は138億円、相談件数は2875件にのぼる。ところが、この期間中、「検挙」はなかったわけだ。
「2005年から2010年にかけて、警察は、霊感商法による販売行為や献金勧誘に絡む物品販売について検挙し、13件で30人以上の旧統一教会信者が摘発され、逮捕・勾留されました。2009年の『新世事件』では、東京の統一教会信者2名が執行猶予つき懲役刑の判決を受けています。それが2010年以降は、一度も検挙されなくなってしまったわけです」(社会部記者)
7月12日に開かれた「全国弁連」の記者会見で、渡辺博弁護士は、こう憤っていた。
「(2009年の『新世事件』のあと)旧統一教会の責任者が、自分たちの機関紙の中で『政治家との繋がりが弱かったから、警察の摘発を受けた。今後は、政治家と一生懸命繋がっていかなきゃいけない』と『私たちの反省』として述べていた。わたしたちが国会議員の方々に、旧統一教会の応援をするのをやめてくださいよ、と呼び掛けている理由も、そこにあります。やっぱり旧統一教会の被害者にとっては、政治家との繋がりがあるから、警察がきちんとした捜査をしてくれないというような思いがずっとあると思います。私どもにもあります」
全国弁連の代表世話人をつとめる山口広弁護士は「日刊ゲンダイ」の取材にこう語っている。
「新世事件以降の政治の横やりも影響したのか、2010年ごろに撃ち方やめとなってしまったんです。(新世事件に関して)警視庁は当初、統一教会の松濤本部までガサ入れする方針だったのに、警察庁出身の自民党有力議員から圧力がかかり、強制捜査は渋谷教会などにとどまった。この話はいろんなところから何回も聞きました」
国家公安委員長による「被害届はない」という発言を、警察庁が「検挙がない」と訂正したことに対し、ネット上でも不安視する声があがっている。
《冷静に考えると、警察庁からの訂正も「被害届はあるが、ここ12年間一件も検挙できていない」という事になる。それまでは検挙できていたのに、2010年から後は検挙できなくなったというのはどういうことか》《意味が180度違う。「被害届がない」のが事実であれば問題がない団体だということ。ところが「被害届が出ているのに、検挙がない」というのことなら、問題のある団体であるにもかかわらず、警察は一件の検挙もしていないということになる》《被害の事実を確かめもせずに、国家公安委員長ともあろう人が公の場で「被害届はない」と断言したことの責任は重いと思われます》
二之湯国家公安委員長は、2018年に旧統一教会の関連団体が開催したイベントで、京都府実行委員長を務めていたことを認めている。旧統一教会と関連がある政治家が、国家公安委員長という要職にあること自体、おかしいと思う人は多いはずだ。
●東大生4人が創設した旧統一教会系の学生団体「UNITE」“安倍応援団”行動 8/6
安倍晋三・元首相を銃撃した山上徹也容疑者は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信した母親が全財産を教団に貢いだため裕福だった家庭が崩壊、貧困の中で育ち、憎しみのはけ口を安倍氏に向けた。しかし、それとは逆に、同教団には安倍氏を熱心に応援する2世信者たちがいた。
安倍氏は政権に返り咲いて3年目に大きな危機を迎えた。安倍政権が推進した安保法制(2015年)に反対するデモが国会を取り囲み、支持率は急落、若者に抗議活動を呼びかける学生組織SEALDs(シールズ)がマスメディアの脚光を浴びた。その頃、そうした流れに対抗して現役東大生4人が結成したのが「国際勝共連合 大学生遊説隊 UNITE(ユナイト)」(2016年1月結成)だ。創設メンバーの4人は全員、旧統一教会の2世信者だ。
UNITEは各地に結成され、〈安保法制 賛成〉〈憲法改正支持! 安倍政権を支えよう!〉などと書かれたプラカードや横断幕を持って全国の主要都市で遊説やデモ行進を展開した。
まさに若者の“安倍応援団”の中核としての行動だった。旧統一教会の活動に詳しいジャーナリスト・鈴木エイト氏はこう見る。
「2015年秋にSEALDsが若者に呼びかけて官邸前で安保法制反対の大掛かりなデモが行なわれたが、政府には対抗する団体がなかった。しかも、2016年には選挙権年齢が18歳に引き下げられて初めての参院選がひかえており、自民党は若者の支持が離れることに危機感を募らせていた。そこで統一教会・勝共連合がSEALDsに対抗する学生の団体を設立したのだと思います。
UNITEが『安保法制賛成』『憲法改正支持』を掲げてデモや遊説を行なうと、当時、自民党広報本部長代理だった平井卓也・元IT担当相はフェイスブックで『このようなデモはあまり報道されませんが、学生はシールズというイメージは間違いです』と書き込み、UNITEが各地で開くセミナーやイベントには自民党の国会議員が多数参加しています」
UNITEは参議院選前にも2度の一斉演説や6大都市でのデモ行進を行なった後、2017年に「勝共UNITE」と名前を変更し、活動はいまも続いている。
昨年の総選挙直後の11月7日には国際勝共連合主催・勝共UNITE共催の憲法改正推進イベント『救国救世勝共大会2021』が開かれた。前出の鈴木氏は、「大会の動画を確認したところ安倍派の中根一幸・元外務副大臣が音声のメッセージを寄せ、『今日は若い方々がたくさん参加をされている』『皆さまと一緒にしっかりとそういった素晴らしい日本を作っていきたい』と2世信者たちを勇気づけた」という。中根事務所では、「個別の問い合わせにはお答えしていません」と回答を拒否した。
本誌が安倍氏や自民党議員との関係についてUNITEに取材を申し込むと、〈勝共UNITEとして「保守政治家を支えてきた」つもりはありません〉とした上で、安倍元首相とはどんな政治家だったと思うかという問いにはこう回答した。
〈一言で言えば、「大変偉大な政治家」だったと思います。外交・安全保障の分野に限っても、平和安全法制の制定や「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進、そして、憲法改正を現実的な政治的課題に押し上げたこと等々、私たちが詳述するまでもありませんが、日本国にとって偉大なリーダーシップを発揮された方だったと思います〉
保守系団体や右派の動向に詳しい『宗教問題』編集長の小川寛大氏は、安倍支持層の中でUNITEの位置をこう読み解く。
「第1次安倍政権が誕生して以降、右派勢力に新しい流れが生まれた。北朝鮮による拉致問題や中国の安全保障上の脅威、日韓関係の悪化がクローズアップされると、街宣活動する従来の右翼団体とは別に、ごく一般の人が右派の運動に参加するようになった。いわゆるネット右翼もそうです。従来の伝統保守に加え、そうした層が“安倍応援団”を形成した。そしてネットでつながった人々はリアルな行動、集会やデモに参加するようになった」
そこに旧統一教会2世など学生信者を中心とするUNITEが結成され、安倍政権支持を熱心に訴えた。小川氏は続ける。
「彼らはネット右翼の人々と違って集会やデモでの働きに長けていて、人員整理からゴミ拾いまで率先して行なうから、活動の中心になっていくわけです。『勝共連合』の横断幕やのぼりを立てているから隠していませんが、旧統一教会系の団体だとは知らずに参加した人もいる」
こうして安倍支持層の中で存在感を示すようになった。
●公明議員が旧統一教会の関連イベント参加「支援はない」 8/6
公明党の石川博崇参院議員は5日、国会内で記者団に対し、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の関連団体「世界平和女性連合(WFWP)」が主催するイベントに参加していたことを明らかにした。10年以上前のチャリティーバザーだったといい、石川氏は「短時間立ち寄った際、WFWPが主催していることがその場でわかった」と説明した。その後も、WFWPから招待された薬物乱用対策のセミナーに複数回、秘書を代理出席させたり、祝電を送ったりしていたという。ただ「旧統一教会から政治的な支援を受けたことはまったくない」とした。今後は「一切、関わりは控えたい」という。
公明党は一部の報道機関が実施したアンケートに所属議員が回答する際、内容を党に報告させる形で、所属議員と教団との関係の有無を確認している。石井啓一幹事長によると、関わりがあったのは石川氏だけだったという。 
●山上容疑者、転職10回超 「人間関係に嫌気」交友希薄 8/6
安倍晋三元首相(67)が銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)=鑑定留置中=は、海上自衛隊を辞めて以降、20年近くの間にアルバイトや派遣社員として10回以上も転職を繰り返していた。退職理由の多くは人間関係。周囲との交友も希薄で、社会から孤立していった実態が浮かび上がる。
《後輩の指導が得意ではなかった》《人間関係》
履歴書には多くの職歴が並び、企業名の横には面接で聞き取った退職理由のメモが書き添えられていた。
山上容疑者は平成28年10月、奈良県内の人材派遣会社の求人に応募。面接した男性社長は「面接で一度会っただけなので覚えていないが、面接のときのメモを見ると、『ボソボソ』と書いている」と話す。
この履歴書に書かれた最終学歴は、奈良県内で有数の進学校として知られる県立高校。山上容疑者の伯父(77)は、経済的な理由で大学進学を諦めて専門学校に進んだと説明しているが、履歴書では高校卒業から海自入隊まで3年余りが空白となっている。
海自で自殺を図った末、17年8月に退官した山上容疑者が次の職に就いたのは18年12月、測量会社でのアルバイトだった。男性社長(75)によると、ハローワークを通じて採用し、沖縄県で潮流を測量する長期出張にも参加したという。「測量の機械を海に落とし、悪びれもせず『そんなに高いものですか?』と聞いてきたのが印象に残っている」と話す。
半年後に退職すると、再び2年半も無職の時間を過ごす。この間、測量や不動産取引に関する資格を取得したと書かれている。
その後も無職状態を挟みつつ職を転々とし、約9年間に5社で勤務。いずれも短期のアルバイトや派遣社員としての勤務で、最長でも約1年半だった。
山上容疑者が説明した退職理由の多くは人間関係によるものだった。27年11月から籍を置いた別の人材派遣会社の男性社長は「声を掛けても『ああ、はい』くらいしか言わない。他人との交流が苦手な感じはあった」と明かす。この会社はわずか半年で退職。理由は《上司とあわない》と記載されていた。
捜査関係者によると、海自退官から事件までの約17年間の勤務先は10社以上で、無職期間は少なくとも通算約7年に及ぶ。捜査幹部は「人間関係で嫌気がさすと、次の仕事が決まっていないのに辞める、ということの繰り返しだったようだ」と話す。
令和2年10月からは派遣社員として京都府内の工場でフォークリフトの操作を担当。今年5月中旬まで最長の2年7カ月勤務した。当初は真面目な働きぶりだったが、3月ごろから無断欠勤が目立ち始め、欠勤時には銃の試射を重ねていたとみられている。
次に派遣先の大阪府内の会社で6月上旬まで働くと、事件1カ月前からは無職だった。捜査関係者によると、事件当時は消費者金融からの借入金など、少なくとも数十万円の負債を抱えていた。
●旧統一教会に祝電出した環境相 「頼まれたら全部出します」発言 8/6
8月5日、山口壯(つよし)環境相は閣議後の記者会見で、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関係イベントに、祝電を送ったことがあると明らかにした。
「こういうのってどこでもそうだと思いますけど、いろんなとこから頼まれたら全部出しますけどね。だからまったく(問題)意識はありません」