コロナ感染爆発 それでも夏休み 議員の先生  

収束の見られない コロナ感染爆発

国会議員の先生 しっかりと夏休み
迫る 総選挙
ただただ わが身の再選 第一

政府 連発
効果のない 緊急事態宣言
ただただ やってますポーズ

菅内閣の支持率 低下の一途
 


 
 
菅内閣の支持率 29%
NHK調査 「最低」更新
 
 
 
 2021/5
●「菅内閣の支持率急落」 読み解く 5/18
菅内閣の支持率が「急落」したとするニュースが相次いでいる。朝日新聞は「内閣支持33%に急落」、時事通信は「内閣支持32.2%、発足後最低」と伝えている。FNN・産経新聞の最新調査では支持率は43.0%あるが、前回(4月)と比べると9.3ポイントも減少しており、不支持率は10.9ポイント増加して52.8%となっている。
果たして菅政権の「潮目」が変わったのだろうか。
各社共通して言えるのは、「不支持率が支持率を逆転」していることであり、個別の調査結果からは「新型コロナ対策への不満」が背景にあることが分かる。4月23日に発令された3度目の緊急事態宣言は、5月11日までとされていた終了時期が5月末までに延長され、愛知、福岡に続いて、16日からは北海道、岡山、広島も対象地域に追加された。
五月雨式に行動規制が全国規模で拡大されている状況だ。感染力が強い変異株を水際で阻止するために4月段階で必要性が指摘されていた「インド等からの入国拒否」も14日にようやく始まったばかり。ワクチン接種体制も含めて、あらゆるコロナ対策が後手後手にまわっている印象が否めない。
これを、危機管理における政権の失策と見るのか、厚労省をはじめとする政府全体の機能劣化または機能不全と見るのか、あるいは誰がやっても同じであり、むしろその中で菅政権はベストを尽くしていると見るのかは、人によって評価が異なるであろう。
しかし、内閣府が18日に発表した2021年1〜3月期の実質GDP速報値は前期比1.3%減、年率換算で5.1%減だ。3四半期ぶりのマイナス成長で、2度目の緊急事態宣言(1月8日から3月21日)の影響が深刻であることが伺われる。同時に発表された2020年度の実質成長率は4.6%減で、リーマン危機時を上回る。
つまり、コロナ禍にあって、感染拡大を抑え込むために「緊急事態宣言やまん延等防止措置を導入」せざるを得ないとして、そうすると「経済が冷え込む」ことは明らかであり、そのようなジレンマに直面するがゆえに、政権としては人々の行動規制や営業自粛要請という措置を「小出し」にせざるを得ない。ところがそうすることによって、かえって国民の間で不安や疲労が蓄積され、政権に対する厳しい目が増大し、支持率が低下する----。このような矛盾の波に菅政権はいま揉まれている。
政権の不支持率を低減させる方法
ここで注目されるのは、共同通信の世論調査(5月15日〜16日実施)だ。不支持率は47.3%で、前回(4月)に比べて11.2ポイントも増加しているが、同時に、内閣支持率は41.1%を維持している。これは前回と比べて2.9ポイント減少したに過ぎない。
この調査結果は、菅政権の支持率「急落」というより、不支持率の「増大」を示していると言えそうだ。これは他社には出てない数値傾向であり、これを「気まぐれの数値」と見るか、あるいは何らかの示唆があると見るべきか。
菅政権が昨年9月に発足してから、政権の不支持率が10ポイント超えて増加する事態が発生したことが一度ある。それは昨年12月の調査だ。共同通信の場合、11月の不支持率19.2%に対して12月は32.8%であり、13.6ポイントの増加だった(支持率は、63.0%から50.3%へと12.7ポイントの減少)。各社同様の傾向で、毎日新聞は13ポイント、朝日新聞は15ポイント、NHKに至っては17ポイントの不支持率激増を見せていた。
当時は、コロナ感染確認者数が増大していく一方で、ワクチン供給の見通しがたっていない状況であり、政権肝いりのGo Toトラベル事業に対する批判も大きくなっていた。結果として年明け1月7日に菅政権は2回目の緊急事態宣言発令に追い込まれるが、12月の世論調査は、そうした状況で実施されたものだった。
もちろん当時の世論調査結果は、コロナ感染拡大だけではなく、例えば鶏卵業者汚職事件等に起因する政治不信など、様々な要因が複合的に絡むものだったといえよう。しかし、菅政権を襲った10ポイント以上の不支持率増大という最初の荒波も、現在から振り返るとコロナ対策の不満が主要因だったことは間違いない。政権発足時には7割近くに達していた菅政権支持率はその後、同水準に回復せず、4割から5割前後で推移することになった。その意味で、相当の痛手を政権として負ったことになる。
世論調査における政権支持率の回答は、「支持する」か「支持しない」か「分からない(その他無回答)」の三者択一が基本だが、共同通信の場合、前回「分からない」と回答した者は19.9%いた。それが今回は11.6%に減少している。その差8.3ポイント分が今回、コロナ対策という身近でかつ喫緊の課題に対して、限度を超える不満を感じたために「支持しない」という回答に転じた――そう見ると、支持率がそれほど減少していないにもかかわらず、不支持率が激増していることの説明になるかもしれない。
つまり、政権を支持する訳でも支持しない訳でもない層(無党派層と重なるとは限らないが、それに近い層)が、限界を超える不満を感じるかどうかの「一線」というものがあり、それを超えないことが、不支持率を増やさないために必要だということだろう。もともとの政権支持層にとっては、そのような「一線」は耐えることができるラインということになる。仮にそうだとした場合、菅政権としては対処療法としてなりふり構わずコロナ対策を進め、具体的な成果を示すことでコロナ対策への不信と不安を一定レベル以下まで押し下げることさえできれば、政権の不支持率を低減させることが可能になるであろう。
「いざ開催」となれば賛成に転じる?
5月17日には、東京と大阪におけるワクチン大規模接種の予約受付が始まった。自衛隊の医師と看護師を動員し、民間看護師の協力を得ながら一日最大1万5000人程度の大量接種態勢を構築するというオペレーションだ。7月末までという設定期限に間に合うかは分からないが、高齢者向けワクチン接種完了という目標へ向けて大きく事態が進展している「絵面」が報じられることの影響は小さくない。
他方で、波乱要因として残っているのが、コロナ禍での東京五輪開催の是非だ。今回の世論調査では各社ともに「開催」を是とする者がおおむね4割、「中止」すべきとする者が5-6割という結果になっている。
安倍前政権でも、安保法案や共謀罪導入など国論を二分する法案の審議で政権運営が緊迫する局面があった。しかし菅政権がいま直面しているのは、コロナという百年に一度の災難のさなか、世界的イベントである夏季五輪・パラリンピックを開催できるかという超大型の難問だ。世論調査のデータで開催・中止に二分されているとしても、いざ開催となれば、賛成に転じる声が増える可能性はある。
巨大イベントの中止といえば、東京・臨海副都心エリアで開催される予定だった「世界都市博覧会」の中止を公約に掲げ東京都知事選で当選した青島幸男氏が1995年、公約通りに中止を決めた四半世紀前の出来事が思い出される。当時は、中止発表がデッドライン最終日までもつれたこともあって、多くの人が「まさか」と天を仰いだものだ。あの時の中止という決断がその後の東京、そして日本の経済と文化にいかなる影響を与えたかは、未だに人によって評価が異なる。果たして今回はどうなるであろうか。
 
 
 
 2021/6
●国会大幅会期延長求める 6/11
日本共産党の志位和夫委員長、立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、社民党の福島瑞穂党首は10日、国会内で会談し、16日に会期末を迎える通常国会の大幅会期延長を求めることで一致しました。会談には、各党の書記局長・幹事長、国対委員長も同席しました。
4野党党首は、9日の党首討論では新型コロナウイルスへの対応、オリンピック・パラリンピック開催の意義や補正予算の必要性、会期延長などについて議論を交わしたが、菅義偉首相から前向きで明確な答えが一切なく、ほぼゼロ回答だったとの認識で一致。新型コロナ対策やオリンピック・パラリンピックへの対応、大型補正予算の編成などをめぐって必要な措置を講ずることなく国会を閉会することは許されないとして、国会会期の大幅延長を求めることを確認しました。延長幅は、オリンピック・パラリンピックが強行された場合、パラリンピックの最終日が9月5日であることを考慮して、6月17日から3カ月としました。
4野党党首は、菅首相が7カ国首脳会議(G7サミット)から帰国する14日に直ちに回答するよう求め、菅政権が会期延長を拒めば、新たな対抗措置を考えることも確認しました。
志位氏は会談後に記者会見し、「コロナ・五輪対応を考えても、国会が『夏休み』に入るなど到底許されない。政府・与党としてしっかり受け止めて対応することを求めたい」と述べました。

●通常国会 150日間の会期を終え きょう閉会へ  6/16
通常国会は16日、会期末を迎えました。安全保障上、重要な施設周辺などの土地利用を規制する法律は、与野党の攻防の末、16日未明に成立し、衆参両院では閉会に向けた手続きが行われています。
ことし1月に召集された第204通常国会は、16日、会期末を迎えました。
国会では15日、衆議院本会議で、立憲民主党など野党4党が提出した菅内閣に対する不信任決議案が、与党などの反対多数で否決されました。
一方、参議院で審議が行われていた、自衛隊の基地や原子力発電所といった、安全保障上、重要な施設周辺などの土地利用を規制する法律は、与野党の攻防の末、16日午前2時半ごろ、参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。
これにより政府が提出した法案は、おおむね成立したことになり、午前中には参議院本会議で、閉会に向けた手続きが行われたほか、午後には衆議院本会議でも手続きがとられる予定で、通常国会は150日間の会期を終えて閉会します。
自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し「思い出したくないこともたくさんあるが、野党の理解も得ながら、政府が提出した法案の成立率は過去5年間の中でいちばん高く、一定の役割が果たせた」と述べました。また、憲法改正の手続きを定めた改正国民投票法の成立については「長い間、結論を出していなかったが、強行に採決することなく結論を出せたことは何よりだった。憲法問題は極めて大事な課題で、多くの国民の理解をいただくためにも国会審議は慎重にあるべきだ」と述べました。
立憲民主党の枝野代表は会派の参議院議員総会であいさつし、「残念ながら会期は延長されなかったが、国会が閉じても新型コロナ対応は全力を挙げてやっていかなければいけない。次の臨時国会は、おそらく『冒頭解散』となるだろうが、その次に迎える国会の本会議の壇上で演説をさせていただくのは私のつもりだ。そうした状況を皆さんとともに作らせていただきたい」と述べました。
共産党の志位委員長は、党の議員団総会で「新型コロナウイルスや東京オリンピック・パラリンピックへの対応を考えても、ここで国会が夏休みに入ることは決して許されず、政治の責任放棄と言うほかない。閉会中審査などで、国会の行政監視機能を果たすためにあらゆる努力をしていきたい」と述べました。また「今国会を通じて、市民と野党の共闘は、着実な『一歩前進』を勝ち取った。この流れを加速させて衆議院選挙で政権交代し、『野党連合政権』を実現させる」と述べました。
 
 
 
 2021/7
●緊急事態発令・延長 臨時国会を召集すべきだ 7/8
政府は東京都に4度目の新型コロナウイルス緊急事態宣言を発令し、沖縄県の緊急事態宣言を来月22日まで延長する方針を固めた。
野党がコロナ対応ができるよう国会の会期延長を求めたが与党は受け入れず閉会した。政治の責任は重い。早急に臨時国会を召集して、コロナの抜本的対策や補正予算編成など徹底的に議論すべきだ。
東京都は7日、新型コロナウイルスの感染者が新たに920人報告されたと発表した。京都大のチームは7〜9月の東京の感染状況を予測。7月半ばに1日当たりの感染者数が千人を超え、緊急事態宣言などの強い対策を取らなければ月末に2千人に達する恐れがあるとした。
これまで政府は緊急事態宣言の発令と解除を繰り返した。1月の発令が遅れたのは、政府が「GoToキャンペーン」にこだわったからとも言われる。3月の全面解除は「早過ぎる」との声を聞き入れようとせず第4波を招いた。3度目の緊急事態宣言もデルタ株の影響が懸念される中で解除し、今回の再宣言となった。専門家の意見を重く受け止めない政権の姿勢が、事態の鎮静化を遅らせている。
果たして23日に開会式を迎える東京五輪は感染拡大に影響しないのか。政府は国民に説明する責任がある。
一方、なぜ沖縄県は宣言が延長されるのか。厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織によると、沖縄の新規感染者数は減少が続いているが、高い水準で推移していると分析している。
来月22日までの延長となると、観光シーズンの真っただ中と重なる。観光業はじめ関連産業への経済的打撃は計り知れない。飲食や社交業関係者を中心に「自粛要請が続けば経営が持たない店が増える」などの声が上がっている。休業や時短営業などで厳しい経営を強いられる県内事業者が再起できるよう、政府はこれまで以上に手厚い支援をしなければならない。
宣言期間中は夏休みを迎える。昨年5月までの緊急事態宣言下の影響について、沖縄大学などが実施した調査によると、学習意欲の低下など学習面に関わることが最も多く、精神的に不安定な生徒が出たケースも多数に上った。外出自粛が長期化し、外部との交流の機会が減って孤立する子どもがいることを忘れてはならない。
仕事を休めない保護者が多いため、学童や子どもの居場所などでは、子どもを受け入れざるを得ない。職員の受け入れ態勢や感染対策に悩む団体は少なくない。食料の提供や学習支援などの取り組みが大切になる。
感染の抑え込みにつなげるには、政府や県、関係団体が一体となった抜本策が不可欠だ。中でも空港や港湾での水際対策は待ったなしだ。航空便搭乗前のPCR検査の徹底や陰性証明の導入など対策を強化すべきだ。

●野党、新型コロナ対応のため臨時国会召集を要請 7/8
立憲民主党の安住淳国対委員長は8日、自民党の森山裕国対委員長と国会内で会談し、23日開幕の東京五輪・パラリンピック開催期間中に新型コロナウイルスの感染が急拡大した場合に備えるため、臨時国会の召集を求めた。会談後、森山氏が記者団に明らかにした。
森山氏は必要な国会審議は衆参内閣委員会や厚生労働委員会の閉会中審査などで対応しているとして「国会として対応しなければならないことはスピーディーに対応できる。臨時国会召集は極めて慎重だ」と語った。

●自民・総裁選へ出馬は…石破派、岸田派がパーティー 7/9
東京に4度目となる「緊急事態宣言」を出すことが決まった8日、自民党の石破派と岸田派が都内でそれぞれパーティーを開催しました。石破顧問と岸田会長はともに次の総裁選への意欲を示しませんでした。
自民党・石破茂元幹事長「緊急事態(宣言)がまた発令されます。国民に負担を求めるだけでいいのかということです。かつての反省をきちんとやる。忖度や遠慮やそんなことやっていて、議論のない国には進歩はない」
石破氏はこのように訴えましたが、9月にも予定される総裁選の出馬については言及しませんでした。
また、岸田氏もパーティーでは総裁選について意欲を示さず、終了後の記者団の取材に対して「チャンスがあれば再び挑戦したい」と述べるにとどめました。
自民党・岸田文雄前政調会長「重要な局面を迎えておりますので、まずはコロナ対策等、国民の命、暮らし、仕事をしっかり守る。今はそれに専念すべき時であると」
新型コロナ対応などを巡り、菅政権の支持率は低迷したままで、都議選での事実上の大敗を受け、求心力も低下しています。党内では菅総理への不満がくすぶるものの、現状、総裁選に手を挙げる動きは見られません。菅氏に近い党幹部は「長く続けた方がいい」と述べるなど幹部からは続投を支持する声が相次いでいます。  

●菅内閣“不振”の理由は 7/12
NNNと読売新聞が7月9日から11日まで行った世論調査で、菅内閣を「支持しない」と答えた人は53パーセントで、政権発足以来、最も高くなりました。この世論調査の結果について、政治部の竹内真デスクと詳しく見ていきます。
――不支持が53パーセントと、政権発足以来、最も高くなりました。そして、「支持する」も37パーセントで、先月と同じく「最低タイ」でした。どう分析しますか?
支持しない理由は、菅首相に「指導力がない」が最も多く41パーセント、次いで「政策に期待できない」が22パーセント、そして、「首相が信頼できない」が17パーセントなどとなっています。
――具体的な原因は何にあると分析されますか?
ふだん支持する政党別にみてみると、わかったことがあります。自民党支持層では、「支持」は68パーセントと底堅いです。これはある意味、当たり前です。ところが、支持する政党はない、いわゆる「無党派層」では「支持」は18パーセント、「不支持」は71パーセントに達しています。回答者の支持政党の割合を見ると、自民党支持層は36パーセント、無党派層は43パーセントです。大きなかたまりである、無党派層での支持の低迷が、全体の結果に大きく影響したと言えそうです。
――では、なぜ無党派層では不支持が多いのでしょうか。
無党派層で、新型コロナウイルスをめぐる政府の対応について、「評価しない」人は75パーセントに達します。全体でも、「評価しない」人は66パーセントと高いですが、それより10ポイント近く高くなっています。菅内閣の支持率がなかなか振るわないのは、無党派層の支持が得られていないこと、そして、その背景には、コロナ対応で評価されていないことが原因と言えそうです。

●菅首相、支持率低下は「いろんな理由」  7/17
菅義偉首相は17日午前、読売テレビの報道番組「ウェークアップ」に生出演した。各社世論調査で内閣支持率が下落していることについて問われ「理由はいろんなものがあると思うが、謙虚に受け止め、国民と約束したことを実行に移していきたい」と述べた。
菅内閣の支持率をめぐっては、16日に時事通信社が発表した世論調査で、支持率が29・3%と、昨年秋の政権発足後最低になった。加えて初めて3割を切ったことが、政府与党内で衝撃をもって受け止められた。
というのも、永田町では、内閣支持率の3割割れは「危険水域」と呼ばれるためだ。「過去の内閣をみても、支持率が3割を割り込むと退陣へのカウントダウンが始まる。菅内閣はその領域に足を踏み入れたことになる」(自民党関係者)。時事通信の調査では自民党への支持も減少している。
新型コロナウイルス対応や東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開催の是非をめぐり、国民感情に寄り沿おうとしない首相や政権の姿勢には、有権者の厳しい視線が注がれている。西村康稔経済再生担当による「酒類提供停止発言」のドタバタ撤回も、国民の猛烈な批判があったからだ。
今秋には自民党総裁選や衆院選が行われるが、昨年9月の菅政権発足後、今月4日に投開票された東京都議選をはじめ、重要な選挙で自民系の連戦連敗が続く。衆院選で首相が自民党を率いる「選挙の顔」になり得るのか、党内からも厳しい声が出始めている。

●低支持率定着の菅政権、なぜかくも世論に鈍感なのか 7/31
連日五輪競技が展開され、日本選手の活躍に列島が沸いている。しかし、無観客での強行開催であり、国民に自粛を求めるという緊急事態宣言下である。政府は、一方で世界的なイベントを開催しながら、他方で国民には行動制限を課すという矛盾した対応をとっている。そのせいか、緊急事態宣言の効果も無く、人出は期待したほどは減っていない。
日本選手の活躍に沸いても菅政権への不満解消されず
それも原因であろう。このところ新型コロナウイルスの感染が急拡大している。7月29日にはコロナ感染者は、東京都が3865人、神奈川県が1164人、埼玉県が864人、千葉県が576人、首都圏を合計すると6469人という驚くべき数字になった。大阪府も932人、沖縄県も392人、石川県でも94人と多く、全国で10699人である。30日も東京都のコロナ感染者は3300人と、先週の金曜日(1359人)よりも1941人も増えている。また、重症者も88人である。極めて厳しい状況が続いている。収束の展望が全く見えない。夏休みで人出も増え、デルタ株感染が急速に拡大しているようである。そこで、政府は埼玉、神奈川、千葉、大阪に緊急事態宣言を発令し、北海道、石川、京都、兵庫、福岡を対象にまん延防止等重点措置を講じることにした。国民は様々な規制に馴れてしまって、緊張感がなくなっている。国民に自粛を求める一方で、五輪の熱狂があり、心理的にはバランスがとれない。夏休みやお盆の帰省もあり、人の流れを止めるのは容易ではない。頼みの綱はワクチン接種であるが、ここに来て供給不足からか、接種のペースが落ちている。特に、コロナの流行が顕著な大都市圏での接種の遅れが目立っており、菅政権に対する不満が高まっている。
下がり続ける支持率
メディアの世論調査を見ると、菅義偉内閣の支持率は下げ続けている。7月23〜25日に行われた日経新聞の世論調査では、内閣支持率は34(-9)%と、政権発足以来最低を記録した。また不支持率は57(+7)%で、この数字は単に菅内閣発足後のみならず、2012年12月以降で最も高い。政府のコロナ対応については、「評価する」は36(−3)%、「評価しない」は横ばいで58%であった。また、ワクチン接種計画に関しては、「順調だと思う」が29(−9)%、「順調だとは思わない」が65(+6)%である。4度目の緊急事態宣言については、効果が「ある」が25%、「ない」が70%であり、残念ながら現実はその通りになっている。全国で感染の爆発が起こり、歯止めがかからなくなっている。東京では、デルタ株が全体の77%まで増え、感染力が強いため、ワクチンの接種スピードが追いついていないのである。「1日に100万回」のワクチン接種という菅首相の号令で、接種は一気に進んだが、現在は全国の自治体や職域接種を行う企業や団体に必要な数の配分が行われず、接種予約をキャンセルせざるをえない状況になっている。接種予約ができずに不満を持つ都市住民が増えている。そのような実態を菅首相は理解していないようである。官僚が報告する数字のみを鵜呑みにして、実態を見ない弊害が内閣支持率の低下に繋がっている。
党の機能低下で民意掴み損ねるようになった官邸
自民党が長い期間政権に就いてきた理由は、民意をきちんと掴んでいたからである。町村議会から国会まで議員を務める自民党の政治家たちが、選挙区の有権者の声を謙虚に聞き、政策に反映させてきた。そして、自民党の政務調査会の各部会で徹底した議論を行い、その結果を政府の政策とするという政策形成プロセスが機能していた。しかし、最近は党の存在が薄れ、首相官邸が全てを仕切るようになっている。そうなったのは、安倍長期政権下であり、「政高党低」と言われる状況が生まれた。私が厚労大臣であった2007〜2009年の頃は、事情は逆で、「党高政低」であった。たとえば、党の厚労部会でまとまった方針に厚労大臣が反対するのは困難であった。同時に、党の政務活動には積極的に評価すべき点もあり、官僚機構にがんじがらめにされる大臣に援護射撃を行い、補完・支援をする役割を果たすこともあった。たとえば、薬害肝炎訴訟問題の解決には、厚労族の重鎮議員たちにずいぶんと助けてもらったものである。ところが、今は、部会での議論がニュースになることもなくなり、官邸の意向の追認機関に成り下がってしまっている。マスコミが部会の活動を報じないのは当然で、ニュースにする価値がないからである。個々の議員にしてみれば、官邸の考え方と異なる政策を部会で提示すれば、反主流派と見なされ、出世の道が閉ざされてしまう。官邸の意向を忖度するのは、高級官僚に限ったことではなく、自民党の国会議員もそうなのである。選挙に立候補する際には党の公認が必要だが、公認権を持つのは官邸であり、金とポストの配分もそうである。河井克行・案里事件を見ると、そのことがよく分かる。その傾向は小選挙区制度の下ではより顕著になる。かつての中選挙区制では、自民党の派閥間で激しい競争が繰り広げられ、その過程で政策についての議論も深められ、多様な意見を包含する包括政党(catch-all-party)となったのである。それが、自民党が政権を維持できた理由でもあった。田中角栄が不祥事で失脚すれば、「クリーン三木」が登場する。野球に喩えれば、多様な球種を持つ投手が何人もいて、ピンチのときには投手を交代することが容易だったのである。それが、擬似政権交代のイメージをもたらし、自民党政権への支持が揺るがなかったのである。
右傾化に同調しない議員が党に居場所を失うようになった安倍政権
ところが小選挙区制になり、安倍一強体制が確立すると、国会議員やその候補者は一斉に安倍晋三の下に馳せ参じる。安倍に対抗する勢力はカネとポストにありつけず、勢力を削がれ、孤立してしまう。こうして、反主流派の主張は黙殺され、切磋琢磨して政策を作り上げるという機能が低下してしまったのである。そのような体たらくになっても、野党が非力で分裂し、カリスマ的リーダーも存在しないために、自民党が政権を維持できている。それがまた、改革への意欲を失わせるという悪循環に陥っているのである。政権交代の可能性がほとんどない状況は、政権党を堕落させる。しかし、公明党支持層の支援がなければ小選挙区で勝ち上がれないほど、自民党の足腰が弱っている。政策については、安倍の右傾化路線が主流となり、新人もそれに同調しないと候補として公認されないような状況になってしまった。しかも、安倍の極右政策は日本会議のような保守系団体が強力に応援している。こうした保守系団体は選挙に積極的に動員をかけるのみならず、SNSで反対派を炎上させるような動きもする。いわゆるネトウヨである。
SNSでの支持求めますます右傾化強める政治家たち
いまやSNSが選挙運動の一形態をして認められるようになり、世論形成に大きな影響を及ぼすようになっている。SNSで誹謗中傷された女子プロレスラーの木村花さんが自殺に追い込まれるような悲劇も生まれている。右翼路線は、匿名性を利用して実態以上にその影響力を強めている。世襲議員で盤石な地盤でも持たないかぎり、政治家もSNSでの反応に敏感になる。幻影を現実と誤解して、SNS上で喝采を得るために、極右路線へと走っていくのである。広島への原爆投下直後の降った「黒い雨」を巡る訴訟で、7月14日、広島高裁は原告全員に被爆者健康手帳を交付することを認めた。これに対して、菅首相は26日、上告を断念するという決断をした。私は、厚労大臣として、原爆症認定訴訟に取り組み、2009年8月に、認定すべき対象を大幅に拡大する決定を下している。それだけに、この問題には大きな関心を抱いているが、今回の判決は内部被曝の問題を含め、科学的、専門的観点からは問題も多い。厚労省の立場からすれば、上告するのは当然である。しかし、原告が高齢化していることや、広島県、広島市の意向も踏まえて、菅首相が政治的な判断を下したのである。最大の背景は、全メディアの世論調査で、菅内閣発足以来最低という内閣支持率の低下である。ここで、高齢の原告たちに冷たいというイメージが拡散すれば、さらなる支持率低下を覚悟せねばならない。しかも、広島は河井克行・案里事件の現場である。河井案里議員の当選無効に伴って4月に行われた参議院再選挙では、自民党の西田英範候補が立憲民主党の宮口治子候補に敗れている。秋までには解散総選挙がある。菅首相としては、その広島で自民党への反感を買う上告という政治的判断はできなかったのである。
保守反動路線はネトウヨの支持を集めても広範な世論の支持は得られない
もう一つ訴訟がらみの話をすると、夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定が憲法違反であるかどうかが争われた家事審判の特別抗告審で、6月23日、最高裁大法廷は合憲という判断を下した。「社会情勢の変化を考慮しても判断を変更する理由はない」として、2015年の判決を踏襲している。そして、「選択的夫婦別姓の可否は国会が判断すべきだ」としたのである。選択的夫婦別姓は国際的潮流であり、法律で同姓を強制している国は日本のみである。しかも、婚姻により姓を変更することから生じる不利益は個人のみならず、企業をはじめ社会全体が被っている。経済界もまた、制度変更に積極的である。また、世論も選択的夫婦別姓が過半数を占めている。たとえば、今年4月の朝日新聞の世論調査によれば、賛成が67%、反対が26%である。世論の動向に敏感であれば、自民党は積極的に制度変更へと舵を切らねばならない。しかし、安倍右傾化路線が貫徹する中では、「日本の家制度を崩壊させる」などという戦前のような主張がまかり通っている。私は、自民党の第一次憲法草案(2005年10月28日)を書いたが、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」という憲法24条には手を触れず、戦前の家制度回帰を拒否した。しかし、2012年4月27日に公表された第二次草案では、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される」と家族を前面に出す復古調となっている。これは時代の流れに逆行するものである。この保守反動路線はネトウヨには拍手されるかもしれないが、広範な国民の支持を受けることはできない。選択的夫婦別姓の導入に国会で主導的役割を果たすことが、国際社会の中で日本が孤立しない道であるし、また若い世代の支持を調達することにも繋がる。この問題もまた、自民党の感度低下を示す象徴的な例である。
 
 
 
 2021/8
●菅内閣の支持率「最低」 8/10
NNNと読売新聞が今月7日から9日まで行った世論調査で、菅内閣を支持すると答えた人は35%で、政権発足以来、最も低くなりました。世論調査について政治部の竹内真デスクが分析します。
支持低迷の原因の1つは、新型コロナウイルスの感染が東京はじめ、各地で広がっていることとみられます。また、新型コロナウイルスをめぐる政府の対応への評価も、今年5月以降、一貫して「評価しない」が6割を超え、「評価する」を上回っています。感染拡大を防げず、4度にわたって、緊急事態宣言を出すことになった政府の対応に、不満があることがみてとれます。それが内閣への支持の低迷につながっているといえそうです。
菅首相にどのくらい首相を続けてほしいか、尋ねた結果をみてみると、「すぐ交代してほしい」と「今年9月の自民党総裁任期まで」が合わせて66%となりました。これを自民党支持層に限ってみても「すぐ交代してほしい」と「今年9月の自民党総裁任期まで」が合わせて51%と半数を超えているんです。コロナへの不満が、菅首相に直結してしまっているといえます。
そこで、自民党の政治家の中で次の首相に誰がふさわしいか、11人をあげて尋ねた結果では、石破元幹事長 19% / 河野ワクチン担当相 18% / 小泉環境相 17% / 安倍前首相 10% / 岸田前政調会長 4% / 菅首相 3% ……の順で、菅首相は6番目と、ここでも苦しい状況です。
さらに、9月いっぱいで終わる「自民党総裁の任期」と、10月21日までの「衆議院議員の任期」。この2つの任期が迫る中、感染の拡大と、支持低迷に苦しむ菅首相。打てる手は限られてきているといえそうです。

●コロナ禍で首相の夏休みは? 「疲れている」の指摘も 8/11
菅義偉首相が「夏休み」をとるのかどうかが、政権内の話題になっている。昨年9月の就任から11カ月間で、首相が終日、自宅から出なかった「休み」は計3日。周辺は「さすがに疲れている」と休みをとるよう進言。首相も近くとる意向だというが、新型コロナ対応もあって先は見通しづらい状況だ。
首相は11日は午前8時前に首相官邸に入り、敷地内を散歩。その後、国会議員と面会するなどして過ごした。対外的に公表された会議などはなかった。首相周辺は「不急の面会ぐらいしかないなら休んでもらいたいが、活動している姿を見せた方が良いと思っているのだろう」と話す。
歴代の首相は、夏休みを軽井沢などの避暑地で過ごすこともあった。
安倍晋三前首相は約7年8カ月に及んだ第2次政権で、7〜8月は2週間程度の夏休みを取ることが慣例だった。コロナ対応や病院での検診などが重なった昨年は長期休暇はなかったが、例年は地元の山口県で墓参りをし、山梨県の別荘で財界人らとゴルフをするなどしていた。小泉純一郎元首相も5年5カ月の在任期間中、最長約2週間の夏休みを取った。最初の夏休みは箱根で過ごし、当時、大学生だった次男の進次郎環境相とキャッチボールする姿を報道陣に公開するなどして話題になった。
一方、麻生太郎財務相は首相在任時、夏休み返上で衆院選を戦ったが大敗し、政権を去った。民主党政権では、菅直人元首相の6日間が最長だった。
菅首相は、広島市での平和記念式典であいさつの一部を読み飛ばすなどのミスも続いている。閣僚の一人は「相当疲れていると思う。休んでほしい」と話す。
ただ、8月末には東京都など6都府県に出している緊急事態宣言が期限を迎え、今後、対応が迫られる。自民党総裁選や衆院解散・総選挙をにらんだ動きが党内で活発化することも予想される。首相周辺は「菅首相はそもそも仕事好きだから」。別の首相周辺も「安倍首相はゴルフでリフレッシュしていたけど、外出自粛をお願いしている中で、首相が出かけるわけにもいかないし。コロナ対応もあって、長く休むのは難しいだろう」と言う。 

●支持率低下 政府与党に危機感 野党は国会の早期召集要求へ  8/11
菅内閣の支持率の低下を受け、政府・与党内では、政権に対する国民の見方は依然厳しいとして危機感が広がっています。
野党側は政府の新型コロナ対応は不十分で早急に議論すべきだとして、臨時国会の早期召集を求めることにしています。
今月のNHKの世論調査で菅内閣を「支持する」と答えた人は29%で、去年9月の内閣発足以降最低を更新するなど、各種の世論調査で内閣支持率が低下しています。
政府・与党内では、新型コロナウイルスの感染急拡大が影響したという見方が大勢で、政権に対する国民の見方は依然厳しいとして衆議院選挙を前に危機感が広がっています。
また、「東京オリンピックの開催がプラスになったとは言えない」「記者会見などでの菅総理大臣のことばが国民に届いていないのではないか」といった声も出ています。
政府・与党としては、自治体とも連携して感染拡大を食い止めるとともに、優先してワクチン接種を進めた65歳以上の高齢者で、新規感染者や重症者が減少しているとして、若い世代への接種を加速させるなどして、国民の理解を得たい考えです。
一方、野党側は政府の新型コロナ対応は不十分だと国民が受け止めた結果で早急に議論すべきだとして、引き続き菅総理大臣の出席も含め、臨時国会の早期召集を求めることにしています。
ただ、内閣支持率の低下が野党の支持につながっているとは言えないという見方も出ていて、候補者調整など衆議院選挙に向けた準備を加速させる方針です。

●「総裁選に出馬します!」の背後に安倍氏? 首相、気になる「菅降ろし」 8/13
菅義偉首相の自民党総裁の任期満了(9月30日)に伴う総裁選を巡る心理戦が熱を帯びている。首相ら党執行部は無投票再選による続投を最優先する構えで党内の「菅降ろし」に神経をとがらせるが、ここにきて安倍晋三前首相に近い高市早苗前総務相が立候補に意欲を表明。10月21日の衆院議員の任期満了が迫る党内には、支持率低迷にあえぐ首相をこのまま「選挙の顔」とすることに不安を寄せる向きもあり、実力者たちのさや当ても激しくなっている。
「総裁選に出馬します!」。5日、高市氏のインタビュー記事を掲載した月刊誌「文芸春秋」の早刷りが、永田町を駆け巡った。
3日には、首相の後見役である二階俊博幹事長が「総裁を代える意義が見つからない」と持論を展開し、党内ににらみを利かせたばかり。唐突な“出馬表明”に、党内ではこのような臆測が飛び交った。首相と二階氏を引きずり降ろすため、高市氏のバックに安倍氏が控えているのではないか−。
高市氏は無派閥ながら、安倍氏とは1993年の初当選同期。第2次安倍政権以降、党政調会長、総務相の要職を歴任。保守派としても互いの思想信条に共鳴し合い、複数の議員連盟で共に席を並べる間柄だ。
その高市氏は月刊誌で、安倍氏の経済政策「アベノミクス」を持ち上げる一方、首相については「自信も力強さも伝わらない」「(前回総裁選で党員投票が省略され)党員や国民の十分な信任を受ける機会がなかった」。首相の“泣きどころ”を痛烈に当てこすった。
ただ、実際に安倍氏が「高市氏擁立」に動いた形跡は見えない。高市氏が立候補に必要な国会議員20人の推薦を確保できるかどうかが焦点で、高市氏は周囲に「まさかあんな記事になるなんてねー」と漏らしているという。党関係者は「(推薦人が)集まらないとみれば、すぐに発言を修正する含みがある」と解説してみせる。
とはいえ、高市氏がまいた火種は、着実に党内で火力を増している。
安倍氏の出身派閥、細田派の衆院議員、高鳥修一・新潟県連会長は11日、衆院選前の総裁選実施を党本部に申し入れ、「談合による(無投票再選は)わが党の在り方としてマイナスだ」。下村博文政調会長も同日のBS−TBS番組で「われこそはという人が手を挙げて議論する総裁選は、党にとっては大切」と若手・中堅の動きに間髪入れず呼応してみせた。
迎え撃つ側の首相サイドは穏やかではない。政府関係者は「総裁選になれば何が起こるか分からない」と首相の懸念を代弁する。「菅降ろし」を回避し、自らの手で衆院を解散し総選挙を実施、そして総裁の無投票再選に持ち込む−。この基本シナリオが狂うことに警戒を募らせる。
こうした状況に、昨年の総裁選で首相に惨敗した岸田文雄前政調会長は、「チャンスがあれば挑戦したい」と様子見を決め込む。
雪辱を果たすには他派閥からの協力が不可欠だが、最大の援軍と期待する麻生太郎副総理兼財務相は政権ナンバー2として首相を支える立場だ。8月初旬、助言を求めた岸田氏に麻生氏は「全国に支持を広げる努力をしろ。先のことを考えておくんだ」。二階氏との暗闘のさなかにある麻生氏としては、「岸田カード」を温存したい思惑も透ける。 

●内閣支持「危険水域」に低迷、自民危機感=複数候補で総裁選求める声 8/14
時事通信の世論調査で、菅内閣の支持率が2カ月連続で30%を下回る「危険水域」に低迷した。
新型コロナウイルスの感染急拡大が続く中、菅義偉首相が期待した東京五輪の政権浮揚効果は乏しく、自民党内は秋の衆院選へ危機感が募る。局面打開へ複数候補による総裁選実施を求める声が強まっている。
内閣支持率は8月が29.0%で、7月は29.3%。危険水域に突入すると首相の求心力低下に拍車が掛かり、政権維持が困難になるとされる。各報道機関の調査も同じ傾向で、7、8両日に実施した朝日新聞は28%。7〜9日のNHKは29%といずれも昨年9月の政権発足後最低を記録した。
自民党の閣僚経験者は13日、取材に「引き続き厳しい」と嘆き、二階俊博幹事長の周辺も「五輪の浮揚効果はなかった」と認めた。党内には「総裁が交代しないと衆院選を戦えない」(ベテラン)、「もうこの政権は終わりだ」(中堅)と首相交代を求める声すら漏れ始めている。
こうした状況に、衆院選前の総裁選実施に期待が広がる。首相や二階氏の念頭にあるのは衆院選先行で、総裁選が先になった場合でも無投票再選を狙っているとされる。だが、別の中堅は「そんなことをしたら大変だ。党内で論戦を交わす必要がある」と主張。
コロナ対策などで複数候補が議論を戦わせれば、「世間の注目を集められる」との狙いがあるようだ。
ただ、衆目の一致する「ポスト菅」候補は見当たらない。昨年の総裁選に出馬した岸田文雄前政調会長は態度を明らかにしておらず、石破茂元幹事長は慎重姿勢。意欲を示す高市早苗前総務相と、独自候補擁立を模索する中堅・若手は、20人の推薦人集めが課題となる。
これに対し、麻生派ベテランは「コロナ禍で指揮官を代えていいのか」との懸念を示す。感染を抑え込めない中での党内政局は世論の反発を招きかねないためだ。細田派の閣僚経験者は「経済、雇用対策などやるべきことをやっていくしかない」と語った上でこう強調した。「局面打開にウルトラCはない」 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


2021/8