女性・・・時間がかかる

五輪組織委・森会長

女性蔑視発言
「女性がたくさんい入る理事会は時間がかかる」

口は禍の元 とは言いながら
反響の大きさに 僅か一日で 撤回 謝罪
辞任せず 続投宣言

根性が見えません

引導 渡せる人がいない
 


2/3 森会長問題発言2/4 女性をめぐる発言の謝罪会見・・・
五輪関係の話題 / 1/121/141/161/23・・・
森会長発言 / 2/22/32/42/52/62/72/82/92/102/112/122/132/142/152/162/172/182/192/20・・・
森喜朗失言​録 / 首相就任前​首相時代​首相退任後​略歴五輪の中止・・・
「根性なし」 / 根性性格行動発言根性なしの原因根性なしの治し方・・・
橋本聖子 / 組織委会長受諾・・・醜聞セクハラ報道蒸し返された疑惑・・・
 
 
 

 

●森会長発言
東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、女性蔑視と取られる発言をした。
「NHKは動かないと」
この建物(ジャパン・スポーツ・オリピック・スクエア=JSOS)に、いろんな会議場があるんでしょうが、会議というものに参加したのが今日は初めて。実に立派な会議室だなと。
私どもの組織委員会の会議室とまったく違う。私どもの会議にはじゅうたんは入ってないです。つまり、我々のは瞬間的な時間が決まった団体で、JOCは長い歴史がある。これからもスポーツの中心的役割を担うということだと思う。
ああいう、全部すぐ(映像が)映るような部屋はわたくしどもののところにはない。毎日のようにIOC(国際オリンピック委員会)と会議としてますが、会議場があっちこっち変わって、その都度職員が大きなテレビを持ち歩いて、そこから放映したり視聴したりしている。言い方よくありませんが、お粗末な会議場でありまして。(JOC会長の)山下(泰裕)さんはうらやましいなと。
しかし、建物、これで公式的には3度目かな、いや4度目。最初は竣工(しゅんこう)式のパーティーの時。その時、長々と歴史の話はしましたので省きます。2番目は山下さんが決められて、なんかあったな、それで参りました。3回目はバッハ会長が安倍前総理3にですね、功労賞をお渡しになるのでそれをどこにしようかと官邸から相談がありました。すぐに新しいスポーツ会館(JSOS)がいいだろうと。バッハさんも、安倍さんもこれるし、みんなこれるんじゃないかと。ここでやったのはつい最近であります。その次は参りました4回目が今日です。
いずれも立派なお仕事ができる環境。新国立競技場の真ん前にあり、その横に、競技場のエリアにあった青年館を横に、というよりスポーツ会館の後ろにもってきた。競技場のエリアにあった青年館を横にもってきたと。
そういう構図で、JOCを中心に競技場もあり、これからラグビー協会というより国策に基づき、秩父宮競技場を移転させると。これは国が決めたことで、近所に移る予定だそうです。いずれにしても、この場所は日本のスポーツ界の中心地だと。こんなところはない。結果として、私は当時、(渋谷にあった)岸記念(体育館)におりました(日本)体育協会の会長をしてまして。なった経緯を申し上げますと、河野洋平先生だったんです。河野洋平先生がきて、「一生に1度の頼みだから」と。「体協の会長に推薦されたんだ」と。「実は息子の太郎から肝臓をもらった」と。移植をやった直後で。「医者から飛行機に乗ってはいけないと言われているので、だめなんです。やる気持ちがない」と。従い、「よく分かってくれているのは森さん、あんただから、私は君を推薦したいんだよ、頼むよ」と言われまして。まあ、選考委員長はラグビーの大学の先輩である日比野先生だったものですから、「お願いだから断るな」と、「オレに恥をかかせるなよ」とこう言われまして、それでスポーツ協会、当時の体協の会長をいたしました。
今日は見えているかな、体協の方?さぼってんですか、それとも。(「オンラインです」の声に)オンラインでいるなら、あまり悪口は言えないな。
当時体協の専務、岡崎さんです。「一切口は挟まないからただひとつ」と。「岸記念館を建て直すことがあなたの仕事です」。えらいことになったなと。土地は国のものなんですけど、その下に水道局の施設が入り、そう簡単に動かせない。石原知事にも「森さん無理だよ、動かしたらダメだよ」と。
その時おもしろい話をしてくれた。次の五輪は晴海のほう、新しいフロントシティーでやりたい。従って国立競技場はそっちに持って行く。その時、NHKから相談があったので、NHKは国立競技場がもし晴海に行くなら、NHKの建物もかなり年期がたっているので大きくしたいと、そこ(跡地)に移ると。いまのNHKのビルはそのまま使える。それを協会のビルにすればと。そりゃいい話だと。
岸記念体育館のほうが渋谷の商業地に隣接しているのに、緑地公園なんちゃらで上に伸ばしちゃいけない。NHKの横は閑静な住宅街でしょ。どういう政治的判断があったのか。岸記念体育館は5階建てですか。結局、国立競技場の移設は反対になりました。日本陸連が、あそこは海から風が来るので、陸上競技の種目、風具合にでは公式記録では扱えなくなると。基本的な問題を考えないで、よく考えないで石原さんらしいけど、海側にいくのを断念した。結果として、いまのNHKのところにいくことができなかった。あれだけ大きいのでNF(国内競技団体)の方には広々とした部屋を提供できると思っていたのに、残念でありまして。NHKは動かないと。
さて、岸記念体育館をどうするかと、随分苦労しましたが、見事にスポーツ協会、JOCは、この建設地になったんですね。東京都のみなさんが考えてくれたことだろうと思いますが、もう1つ、あとは日本青年館ですね。青年館の郷里には農業関係の青年が多いですが、青年館は地位が高いですね。東京では日本青年館というのはあまり評価されていないですが、古い団体であることは間違いないですね。当時(新国立競技場建設にあたり)怒られました、なんで国立競技場から出すんだと。避けて建てればいいと。死んでも動かないとなりましてね、たまたまその当時の理事長が、鹿児島県選出の先生でした。私は平身低頭して日本のスポーツ界のためにお願いした。それだけ日本青年会は素晴らしい建物になるはずだと。国立競技場もラグビー場も神宮の野球場もみんな見える、酒を飲みながら見れるいい部屋が理事長室になるはずだと申し上げたら「それはいいな」と。していいかどうか、本人の名誉のために言っちゃいかんかったですが、もう亡くなられましたので。亡くなられる前にお見えになり、感激をしておられました。
青年館が移ったものですから、こちらにもってきたのは妙案だった。それがこの建物です。
オリンピックのマークもつけてもらい。これは竹田さんがやられたのか山下さんがやられたのかわかりませんが、我々も五輪マークをどこかにつけようと、虎ノ門、晴海の時もつけられないか言ったが、絶対に駄目だと。それがいとも簡単にこの建物に。国立競技場を見に来るお客さんは、あれは五輪会館だとこういうんです。ちょっと寂しい感じがしました。本当は体協なのになと。スポーツ協会とJOCが協力して建てたのになと。ところが国民は誰もそうは思ってない。これは五輪会館だなと。どこにあるんだと聞かれると、国立競技場の前に建物がありますと。スポーツ会館というと、「オリンピック会館じゃないんですか」と。これはもう定着した感じがあります。
サッカー協会が自前でお金を作って文京区にビルを作られた。しかし、知らないですよ。これはあっという間にオリンピック会館と言われるようになった。サッカー会館というと、「どこですか」とよく聞かれたんですが。順天堂大の前を…とか言っているんですが、その点、オリンピックのネーミングはそれだけ強いものだなと思います。日本のスポーツ界のまさに牙城、本城だと理解してもらい大いに活用してもらえばなと思ってます。
私も84歳になりますので、この建物を建てるまでだなと。新国立競技場ができるまではどうせ命は持たないだろうと。もうだめだろうと思ってたら、2015年のワールドカップのラグビーがイギリスでありまして、その時に医者に頼んだら、ダメだよあなたは年内までだと。海外とんでもない。海外で死ねば本望と言ったら、賢明な女房がつえついて行きなと。歩くのもやっとだった。ロンドンに行ったときは抗がん剤をして、一歩一歩歩くのがやっとでした。帰ってきて、医者に行ったら、年内の命だなと思ってたら、その時に厚労省から薬が認可おろしてくれて。今のワクチンと同じで、もっと早く準備すればいいんですよ、今ごろになって準備とか。その頃からワクチンの準備しないといけないんですけど、厚生省に聞くとどの薬を使うか決まってないからダメだと。結局この薬いいだろうとなってからやるのが、何が必要かと話すのが日本政府のやり方ですね。この建物ももっと早く使えるようになればと。
「私が悪口を言ったと書かれる」
余計なこと申し上げましたが、今日、本当はお願いに来たわけです。いよいよ、JOCのお力を借りて、スポーツ協会の方のお力を借りて、五輪目前であります。あと半年です。ぜひ実現をしたい。今日もですが、見出しをみていると「森が謝った」とか「早く辞めろ」とか、そういう記事がたくさんばかり出ています。こないだまで悪口は山下さんばかりだったんだけど、最近は私か菅さんとどっちが多いかというぐらい悪者になってますね。うちの家内にこの年になって「総理の時は我慢していたけれど、総理の時よりも悪口を言われるということはよっぽど悪いことをしているんですか」と言われるんですが、切り取るところが、悪いんだろうといって女房を説得しているわけです。
端的に言うと、いま出ているニュースは山下さんや私に対するものというのは、結局オリンピックをさせたくないんですよ。オリンピックを失敗したら菅さんに責任を取らせるし、森にも責任を持たせるし、山下さんも。ということを考えている方がスポーツ関係の中にはかなりおられると。スポーツ界、NF、役員構成、理事構成、年齢構成などで必ずトラブルがあるわけですね。長く務めていると、JOCの理事、スポーツ協会の理事、副会長というのは肩書は世間的にはいいですが、そういう意味で長くやられた方は辞めるのが苦痛なんだと思います。ですから私は体協もラグビー協会も本当は、前代未聞のラグビーワールドカップをやったんですから、皆さんがもうちょっと残ってやったらどうかと言ってくれるかなと思っていたが、誰もそうは言ってくれなかった。それでしゃくに障ったんで、九州にいる森(重隆)さんを会長にしたんです。いずれにしてもラグビー協会の会長も早く辞めて、私に名誉顧問や名誉理事くらいと思ってそれもない。いかにラグビー協会は冷厳であるか。
そのラグビー協会もW杯前の19年6月に人事。新聞記者に聞いたら、W杯を目の前に辞めることないんじゃないかと。W杯が終わったら辞めればいいと。当時の会長もそうだとなり、みんなが黙って言えないことになっていたんだと。私はそれで憤慨したんです。自分たちがやりたいがために役員人事を半年延ばすのはもってのほか。私は強く抗議した。ただし、今まで一生懸命に苦労した役員のみなさんにはW杯の試合を全部見られるように手配しなさいと。見事に直前に岡村さんから今の森さんに変わられたと。山下さんからガバナンスコードについて、かなり難しい状況なんじゃないかなと。これもいろいろ聞いていました。同じように理事として頑張った方をどうやってオリンピックの時にと。これは山下さん、理事としてきちんとやってさしあげないとだめだと。
特にこの山下会長は竹田さんから20年ぶりくらいに会長が変わった。これは珍しい。それは竹田さんという大変な崇高なお立場の方でいました。立派な方なので自分で何か意思をおっしゃることはなかった。しかし、周辺が相当気を付けないと、評価されない面がたくさんあったと思う。いろんな不祥事もありました。お金の面で解決したことは1つもなかった。立ちはだかる競技は、橋本聖子さんがやってましたから、追及しにくい雰囲気があった。ですから、橋本さんが常に前面立つべきだという。国会の議員仲間に物が言いにくいということがあったと聞いています。そういう中で山下さんが皆さんの手によってお選びになられた。山下さんを全員で支える。
実を言うと昨日、組織委、JOC、東京都みなさん、国、関係者集まり、自民党本部で関係各位の会議がございました。その最後に山下さんがあいさつした。びっくりした。これが山下さんなんだなと。柔道以上にけれんみがあった。本来、山下さんがあれだけ立派な演説をするとは。みんなそう言っていた。しゃべり方だけではなく、理路整然と1つ1つしっかりした話をされてました。この原稿は籾井さんが作ったのかなと。いろいろ考えましたが、いずれにしてもみんな力を合わせて山下会長を守っているのだと安心しました。しかし、演説をしたのは山下さん。私もいろんな話の間、すばらしい山下さんのリーダーシップ、あらためて、大いに評価をし、これからもオリンピックに向けてしっかり頑張っていただきたいと。ご協力を賜ります。
これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは、女性がたくさん入っている理事会、理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言います。ラグビー協会は倍の時間がかかる。女性がいま5人か。女性は競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分もやらなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局、女性はそういう、あまり私が言うと、これはまた悪口を言ったと書かれるが、必ずしも数で増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらないと困る。そんなこともあります。
私どもの組織委にも、女性は何人いますか。7人くらいおられるが、みんなわきまえておられる。みんな競技団体のご出身で、国際的に大きな場所を踏んでおられる方ばかり、ですからお話もきちんとした的を射た、そういうご発言されていたばかりです。
長くなって恐縮です。山下さんが、私に最初にあいさつしろと。こう言うもんですから。私は長くなるよ、と。議事進行にご迷惑になるからと。というよりは私の立場を考えて、何か先にしないと失礼になると事務局は考えたと思う。そういう考えは無用です。ここに来れば、みんな同じなんです。ですから、そういう意味で、誰か偉い人が来たら、すぐさせるとか。特にそういうのは会議の途中でありますから「ただいま、何とか大臣が見えましたので、ごあいさつを」というのがあります。あれ1番、良くないですね。そんなつもりで来てるんじゃない。
今日、私は実際、しゃべりはないと。そう思って。言われなかったから原稿も用意してなかった。急な話ですから昨日一昨日使った、当時使った、この原稿を使ってくださいと。一昨日しゃべったことを何でなんだと。まあ、こういう風にみんなが気をつかってくれることは、ありがたいことでありますが、どうぞ、あんまり気をつかわないで。あんまり気をつかわれたら私もう来ないようにしますから。さっきから事務局の皆さんにも、そう申し上げた。山下さんも出てこられたんで、あなたが私を出迎えにエレベーターへ来られると、全理事にしなきゃいけませんよ、と。それができるんだったらいいが、できないんだったらやめなさいと、さっそく注意した。そういう意味で皆さん、円満にスポーツのことをしっかり考えて。 
 
 

 

●森会長 女性めぐる発言を撤回・謝罪会見  2/4 
森会長「きのうJOCの理事会の後で私がご挨拶をしました。それをお聞きの方々もいらっしゃると思いますので、これ以上詳細のことは申し上げません。今わざわざお集まりいただいいてご心配いただいていることに恐縮しております。きのうのJOC評議員会の発言につきましては、オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であったとこのように認識しています。そのためにまず深く反省をしております。そして発言致しました件につきましては撤回したい、それから不愉快な思いをされた方についてはおわびを申し上げたい。以上であります」
森会長「オリンピックパラリンピックにおきましては、男女平等が明確にうたわれております。アスリートも運営スタッフも多くの女性が活躍しておりまして大変感謝しています。私は組織委員会のことを申し上げたことでないことは皆さんご承知いただいていると思いますので、私も組織委員会については非常に円満にうまくいってると注釈で申し上げたことも聞いておられたと思います。次の大会まであと半年になりまして関係者一同頑張っております。その中で責任者である私が皆さんのお仕事に支障があるようなことがあってはいけない、そう考えておわびをして訂正撤回をすると申し上げたわけです。世界のアスリートを受け入れる都民国民、IOCをはじめ国際的な関係者にとってもオリンピック・パラリンピック精神に基づいた大会が開催できますように、引き続き献身して努力していきたいと思っています」 
質疑応答 
(質問)今回の発言で国内外から大きな批判。会長の中で辞任をしなければいけない考えはあったか。
(森会長)辞任するという考えはありません。私は一生懸命献身的にお手伝いして7年間やってきたわけで、自分からどうしようという気持ちはありません。皆さんが邪魔だと言われれば、おっしゃるとおり老害が粗大ゴミになったのかもしれませんから、そしたらはいてもらえばいいんじゃないですか。
(質問)IOCはオリンピックにおける男女平等をかかげている。日本もジェンダーバランスを同じようにしていこうと努力している中での発言だったが、大会のトップとして世界にどのように説明していきたいか。
(森会長)私は組織委員会の理事会に出たわけじゃないんですよ、JOCの理事会に僕は名誉委員という立場だったからそこであいさつをした。私は自分なりに整理をしていたつもりです。組織委員会の理事会と一緒にしておられる方もいるが、それは皆さんの報道のしかただと思いますが。あくまでもJOCの評議会に出て私はあいさつをしたということだ。それは1つは山下さん(JOCの山下会長)が、今度の改革は大変大きな改革で、JOCが人事の改革をするのに大変な苦労をしている、最初から理事会で相当な突き上げをくらったりして難航しておられると相談があったものですから。山下さんの最初の大きな仕事としては、最も成功してもらわないといけない仕事、そこが人事のことですから、そのことはよくできたということを私はよく評価して山下さんにお礼を申し上げることを、そこで発言をしたんです。ですが政府から来ているガバメントに対してはあまり数字にこだわるとなかなか運営が難しくなりますよと、そういう中で私の知ってる理事会の話をしてああいう発言になったということです。
(質門)女性の話が長いという発言については、ラグビー協会の特定の女性理事を念頭においたものではないか。
(森会長)一切頭にありませんし、今回の理事会でどういう人が理事で誰がどう話したかというのは、私は一切知りません。
(質問)発言についてIOCから問い合わせはあったか。
(森会長)私は分かりませんが、職員は毎日毎日きょうもこれから、いつも会議が始まりますから、そういう話はあるかもしれません。
(質問)森会長からご説明される意思はあるのか。
(森会長)それは必要はないでしょ。今こうしているんだから。
(質問)五輪の理念に反する発言。辞任しないことが大会への批判になるのでは。
(森会長)ご心配いただいたのはありがとうございます。誤解を生むといけないので撤回します。そう申し上げています。
(質問)会長は国民から理解を得られる大会をと言っていた。オリンピックの理念に反する発言だったと思うが、ご自身が何らかの形で責任を取らないというのは大会の開催の批判を強めてしまうものではないかと思うが、どうお考えか。
(森会長)ご心配いただいたのであればありがとうございます。誤解を生むといけないので撤回しますと申し上げている。オリンピック精神に反すると思うからとそう申し上げた。
(質問)女性登用についての基本的な考え方を伺いたい。会長はそもそも多様性のある社会を求めているわけではなく、ただ文科省がうるさいから登用の規定が定められてるという認識でいらっしゃるのか。
(森会長)そういう認識ではありません。僕は数字にこだわって何名までにしないといけないというのは、あんまりそれにこだわって無理なことはしないほうがいいな、ということを言いたかったわけです。
(質問)きのうの文科省のうるさいからというのは、数字がという意味か。
(森会長)うるさいからというのは、ガバナンスを守るためにみんな大変苦労されているようです。私はいま、どこの連盟にも関係をしておりませんからね。いろいろな話が入ってくるので、総括して会議の運営は難しいですよというのを申し上げた。
(質問)聖火リレーで愛知で走る予定だったタレントの田村淳さんが森会長の直近の発言で何があってもオリンピックをやるということを田村さんは解釈されて、理解不能だと聖火ランナー辞退した。どう受け止めているか。
(森会長)きのうのことに合わせて報道されたんでしょうが、これはきのうの会合じゃないと思いますよ。おとといの自民党のことで、そのときにリレーについてはどうなってますか、という質問があったから、われわれ直接やるものではないが、各県がやっておられる実行委員会にお願いして基本的には密を避けてやっているんだと。その中で、例えば人気のあるタレントさんは、できるだけ人がたくさん集まるところはご遠慮していただくほうがいいかなと思ってると。誰が走るかとか、何キロ走るかは僕らが決めることではないので、実行委員会が考えること。僕らが県に言えるのは、できるだけ密は避けてくださいと、タレントさんがくるとみんな集まってくる、そうすると密になるからどう避けられるだろうという話の例で、密じゃないところといえば、それじゃあ田んぼで走るしかないね、空気がこもらないし、それしかないですねという意見もありますということを紹介しただけで、組織委員会がするということを言ったわけではない。それもこれも実行委員会でお考えをいただき、決めていただきたいとその例で申し上げただけで。
(質問)著名人のランナーに継続して走っていただきたいという思いは。
(森会長)私は走ってくださいとか走って下さるな、とかを言う立場じゃありません。お決めいただいた人たちは、所定の手続きをされてこちらに持ってこられるんだろうと思います。私は誰が走るか一切知りません。
(質問)基本的な認識だが女性は話が長いと思っているのか。
(森会長)最近女性の話を聞かないから、あんまりわかりません。
(質問)東京都の小池知事が会見で「話が長いのは人によります」と発言されていた。
(森会長)私も長いほうなんです。
(質問)国会議員でも、女性の割合をあらかじめ決めておこうという話も盛り上がっている。
(森会長)それは民意が決めることじゃないですか。
(質問)会長ご自身は賛成か反対か。
(森会長)賛成も反対もありません。国民が決めることだと思います。
(質問)冒頭誤解を招く発言とか不適切という発言があったが、どこがどう不適切だと会長はお考えなのか。
(森会長)男女を区別するような発言をしたということです。
(質問)オリンピック精神に反するという話もされてましたが、そういった方が組織委員会の会長をされるのは適任なのか。
(森会長)さあ、あなたはどう思いますか?
(質問)私は適任じゃないと思うんですが。
(森会長)じゃあそのように承ります。
(質問)会長としての発言ではないので責任が問われないという趣旨の発言も…。
(森会長)責任が問われないとは言ってませんよ。場所をわきまえてちゃんと話したつもりです。
(質問)組織委員会としての場じゃないから、あの発言はよかったということなのか。
(森会長)そうじゃありませんよ。ちゃんと全部見てから質問してください。
(質問)わきまえるという表現を使われていたが、女性は立場を控える立場だという認識か。
(森会長)そういうことじゃありません。
(質問)じゃあなぜああいう発言になったのか。
(森会長)場所だとか時間だとかテーマだとかにそういうものに合わせて話すことが大事じゃないんですか。そうしないと会議は前に進まないんじゃないですか。
(質問)それは女性と限る必要はあったのか。
(森会長)だから私も含めてと言ったじゃないですか。
(質問)先ほど女性がいると会議が長くなるという発言を誤解と表現したと思うが、これは誤った認識だということではないのか。
(森会長)去年から各協会や連盟は、人事に苦労しておられたようです。私は昔は全体を統括する体協、今のスポーツ協会の会長をしておりましたから団体の皆さんとも親しくしております。そういう皆さんたちはいろいろ相談にも来られます。その時になかなか大変ですということでした。特に山下さんのときは、JOCの理事をかなり削って女性の枠を増やさないといけないということで大変苦労したという話をしておられて、理事の中で反対もあって大変だったけどなんとかここまでたどりついた苦労話を聞いたからです。
(質問)競技団体から女性が多いと会議が長いという話が上がってるということか。
(森会長)そういう話はよく聞きます。
(質問)それはどういう競技団体から。
(森会長)それは言えません。
(質問)実際データがあるとか根拠に基づいた発言ではなかったと受け止めたが、どうか。根拠のある発言とは思えないが。
(森会長)僕はそういうこと言う人はどういう根拠があっておっしゃったかわかりませんけども、自分たちが女性の理事をたくさん選んだけども、結果としていろんなことがあったということを聞いたことを思い出して言っているんで、そういうことで苦労されますよということを申し上げたんです。
(質問)今回の発言で皆さん怒っている。オリンピックを運営するトップの方が女性を軽視する発言をされたことについて、皆さん怒っています。森会長の率いる大会を見たくないという声もネットなどで上がっています。それについてどう受け止めているのか。
(森会長)謙虚に受け止めております。だから撤回をさせていただきますと言っておるんです。    以上
オリンピック・パラリンピックの精神
オリンピック・パラリンピックの精神は、IOCの「オリンピック憲章」などで定められ、人種、肌の色、性別、性的指向などを理由にしたいなかる差別も否定しています。憲章はIOCや競技団体だけでなく、森会長がトップを務める大会組織委員会も守る義務があります。また、憲章では「男女平等の原則を実践するため、あらゆるレベルと組織において、スポーツにおける女性の地位向上を促進し支援する」とIOCの役割について記していて、IOCは女性の参加比率を高める取り組みとして、東京大会から男女の混合種目を柔道やトライアスロンなどで増やしていました。
競技団体 女性理事の割合 目標40%以上
スポーツ庁は2019年6月に競技団体が守るべき規範、「スポーツ団体ガバナンスコード」をまとめ、役員の体制については、女性理事の割合の目標を40%以上とすることが明記されています。そして、競技の普及・発展などのために女性の視点や考え方を積極的に取り入れることが求められるとしていますが、スポーツ庁が調査した国内の107の競技団体の女性理事の割合は、2019年3月の時点で15.6%と、低い水準にあるということです。スポーツ庁によりますと、この規範は競技団体を統括する立場のJOCにも適用されるとしています。スポーツ庁は「競技団体からは人材が不足しているという声もあり、女性役員育成のための研修を開くなどの支援をしている。すぐに達成が難しい場合でも、段階的に割合を増やしていくなどの方法はある。今後も目標達成へ向けてサポートしていきたい」としています。
 
 

 

 

 

●東京五輪は2024年まで延期すべき…世界のメダリストから悲痛な叫び 1/12
五輪のボート競技で金メダル4個を獲得したマシュー・ピンセントさん(50)=英国=が、東京五輪・パラリンピックの開催を今夏ではなく2024年に延期すべきだとの持論を展開した。共同通信が10日までに行った世論調査で、約80%の人々が今夏の五輪開催に反対しているとの記事を添付し、ツイートした。
「個人的な意見だが、夏季五輪の順番変更を要請すべきだ。東京は2024年まで延期する選択肢を与え、パリは28年に、ロサンゼルスは32年に開催を(それぞれ4年間)遅らせる。アスリートたちは1つの大会を失うが、日に日にその可能性は増している」
さらに、「参加アスリートや関係者らへの優先的なワクチン接種には反対だ。全ての人間を平等に扱うという五輪憲章の精神に反する。そして、何千人もの人間がワクチン接種を受けずに世界中から集まってくるリスクを伴うのはバカげている。現在必要なのは(状況推移のための)時間で、2021年大会にはそれがない」と訴えた。
体操競技でリオ五輪などに出場した英国のレベッカ・ダウニーも、ツイッターで「いつもの私は楽天的すぎるくらいで、どんな状況でもポジティブな要素を見つけられる。こんな時代はいつか過ぎ去ると明確に分かっている。それでも真剣な話、われわれはいつアスリートたちに『もう(トレーニングを)止めていいのよ』と言うことになるのか?」と憤った。
また、パラリンピック6大会の競泳と自転車競技で金メダル11個などを獲得した世界で最も著名なパラリンピアン、英国のデイム・サラ・ストーリーも、同日の英放送局SKY(電子版)によれば、「大会開催には何カ国の選手の参加が必要か。これは本当に重要だ。全ての国にとってスポーツの祝祭だからこその世界大会だ。発展途上国の人々がワクチン接種を受けられないとしたら、不公平極まりない。誰かが(五輪の開催か否かを)決めなければならない」と訴えた。
●「悪口ばかり。森内閣のときもこんなにひどくなかった」 森喜朗会長が嘆き節 1/12
東京五輪・パラリンピック組織委の森喜朗会長(83)が12日、職員に対する年頭のあいさつで、「与えられた仕事を天命と思ってやり遂げる」と述べ、五輪開催への揺るがぬ決意を表した。
年明けから新型コロナウイルスの感染状況が悪化し、五輪への懐疑的な見方は広がっている。森会長は「正月から悪口ばかり。森内閣のときもこんなにひどくなかった。世界がコロナに立ち向かっているのに『時代を見ていない』という批判だ」と嘆く。
そのうえで「私に迷いがあれば全てに影響する。あくまで淡々と予定通り進める」とぶれない姿勢を強調。職員にも、「大雪の後に春がこないことはない。一丸となって最大の難関を突破しましょう」と奮起を求めた。
続けて武藤敏郎事務総長(77)もあいさつ。一部で2月に国際オリンピック委員会(IOC)と組織委が開催の可否を議論すると報じられたことにふれ、「全くのフェイクニュースだ。国民の不安は自然なことだが、開催への機運が大きな流れになると信じている」と語った。  
 

 

 

 

●組織委員会の森喜朗会長は「沈みゆく船の船長なのだろう」 1/14 
沈みゆく船なのか―。米セーリング専門ニュースサイトのスカットルバットは12日、東京五輪・パラリンピックの森喜朗会長(83)について「沈みゆく船の船長なのだろう。われわれが昨年から学んだことがあるとすれば、それは『コロナを過小評価するな』ということだ。タイタニック号も沈没すると思っていた人はいなかった」と報じた。
同サイトは、森会長が12日の年頭あいさつで「もし心の中に多少でも迷いがあれば、全てに影響してくる」「長い夜も必ず朝が来る。一丸となって、この最大の難関を突破するよう頑張りましょう」と職員に述べた言葉を紹介し、「タイタニック号のスミス船長の言葉を想起させる。船を氷海へと導く前、彼は『たとえ神でさえも、この船を沈めることはかなわない』と語った」と1912年、大西洋で氷山衝突により沈没した当時世界最大の客船になぞらえた。
同日のAP通信も「組織委員会の楽観主義も、先週、菅義偉首相が東京都と近隣3県に非常事態宣言を発令したことで、疑問視されている」と報じた。
共同通信社とNHKによる今月の世論調査では、ともに約80%の人々が今夏の開催に反対。これを受け、森会長は「世論調査を無視しろとは言わないが、世論調査にはタイミングと条件がある」と語り、「世論の動向を見るのは大事なことだが、これをこうして発表しなければならんのかなと。私には疑問がある」と、新型コロナウイルス禍の状況での世論調査実施を疑問視した。  

 

 

 

●東京五輪開催の最終決定は3月末か 川淵三郎氏が私見 1/16 
初代Jリーグチェアマンで現日本トップリーグ連携機構の川淵三郎会長(84)が16日、自身のツイッターを更新。今夏のオリンピック開催の最終決定に関して私見ながら3月末になる見通しを明かした。
川淵会長は現在の新型コロナ感染拡大に関して「感染拡大時にオリパラなんて以っての外と世論の8割の意見」と前置きしながら「オリパラの最終決定は私見だが3月末頃か。IOCの判断に日本は従う事になる。それまで選手は勿論オリパラ関係者は必死で準備しなければならない」とつづった。
川淵会長は「中止は8割の人が納得し決行は2割の人が喜ぶ。その割合が増えない限り国を挙げての成功は難しい」と東京五輪開催に向けての課題を指摘。さらに続けざまにツイートし「STAY HOMEでじっと我慢しながらコロナの収束を待つ中での箱根駅伝は圧倒的な視聴率だった。こんな時に駅伝なんかやっている場合か?とは誰も言わなかった。チームの危機管理は適切に行われていた。オリパラの最大の懸念は海外の観客からの感染危機に尽きる。徹底的な感染危機管理が可能かが問われる」と提言した。 

 

 

 

●バッハ会長と日本政府の五輪開催強調に世界のメディアが反発 1/23 
「日本政府は東京五輪を中止しなければならないと内密に結論づけた」との英紙ロンドン・タイムズの報道を受け、日本政府と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、今年7月の開催をあらためて強調。これに、世界のメディアが反発した。
22日のカナダ放送局CBCは、2016年リオ五輪開会式の動画を紹介し、「全てが本当に奇妙な光景だ。満員の観客席の下、マスクをしない面々が笑顔で入場する。もはや別世界だ。今年の五輪開催は不可能だと思われる。だが、IOCはそうは思わないという」と報道。バッハ会長の「全員がトンネルの終わりの光明として半年後の五輪開催を実現すべく、断固として決意している」との言葉を伝えた。
英紙ザ・ガーディアンによれば、のべ30カ国の五輪組織委員会で活躍したスポーツマーケッターのロバート・マース氏は「バッハ会長は現実を無視している」と非難し、「現状で五輪を開催できる方法は見いだせない。日本は検査数が足りず、間違いなく感染者数も実際より少なくカウントされている。国民の大部分も五輪は嫌だと言っている。中止すべきだ」と強調。
また、同氏は「見てみるがいい。五輪のスポンサー企業は、みんな完全に無言を貫いている。もし『五輪開催を支持する』と言えば、猛批判にさらされるからだ」と語った。 

 

 
 
 
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●森喜朗会長「有名人は田んぼを走ればいい」五輪聖火リレー“密”対策で持論 2/2 
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が2日、自民党本部で開催された東京大会実施本部合同会議の役員幹部会に出席。冒頭のあいさつで3月25日スタートの聖火リレーに言及し、新型コロナウイルス対策で一般客の観覧が懸念される中、「有名人は田んぼ(の沿道)を走ったらいいんじゃないか」と持論を展開した。
聖火リレーには知名度の高いタレントやアスリートの参加も見込まれているが、森会長は「一番の課題は、できるだけ国民感情を考えて派手にやらないという点が強い。要は密を避けたい」と、沿道に人が集まることへの懸念に言及した。
ただ、地方自治体にとっては大会の目玉イベントでもあるだけに「出る方も見る方も楽しみにしていた。それに水を掛けたらダメなんじゃないか」と話し、「人気のあるタレントはあまり人が集まらないところを走ったらいいじゃないか。田んぼ(の沿道)で走ったらいいんじゃないか」と、人の少ない場所であれば“密”を避けられる可能性を挙げた。
聖火リレーに関しては会議でも報告があったといい、自民党スポーツ立国調査会の馳浩会長は「有名人、タレントをそのまま聖火リレーで走らせたらどう考えてもたくさんの人が集まる。そうならないように、あまり人が集まらない所で走らせたらいいんじゃないかと。コロナ対策を十分に行える状況で行う必要があるという報告があった」と説明した。
今夏の五輪開催に向けて、大会の中止や延期を求める国民世論が8割に及ぶ中、この日は橋本聖子五輪相、日本オリンピック委員会(JOC)山下泰裕会長らが出席する中、現状報告や今後の課題について話し合った。森会長は冒頭、「一番大きな問題は世論。そしてコロナ収束の2つ」と、今夏の大会開催に懐疑的な国民の声を最大の課題に挙げた上で、関係各所に協力を呼びかけた。 
●森喜朗会長が「有名人は田んぼを走ればいい」と、五輪聖火リレー“密”対策 
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が、二日、自民党本部で開催された東京大会実施本部合同会議の役員幹部会に出席し、冒頭のあいさつで、三月二十五日スタートの聖火リレーに言及し、新型コロナウイルス対策で、一般客の観覧が懸念される中、「有名人は田んぼ(の沿道)を走ったらいいんじゃないか」と持論を展開したのである。
聖火リレーには、知名度の高いタレントやアスリートの参加も見込まれているが、森会長は「一番の課題は、できるだけ国民感情を考えて派手にやらないという点が強い。要は密を避けたい」と、沿道に人が集まることへの懸念に言及したのである。
見物人のいない聖火リレーなど、意味がない気がするのであるが。
ただ、地方自治体にとっては大会の目玉イベントでもあるだけに「出る方も見る方も楽しみにしていた。それに水を掛けたらダメなんじゃないか」と話し、「人気のあるタレントはあまり人が集まらないところを走ったらいいじゃないか。田んぼ(の沿道)で走ったらいいんじゃないか」と、人の少ない場所であれば“密”を避けられる可能性を挙げたのである。
聖火リレーの意味を履き違えているのではあるまいか。
森会長ご自身が。
聖火リレーに関しては会議でも報告があったといい、自民党スポーツ立国調査会の馳浩会長は「有名人、タレントをそのまま聖火リレーで走らせたらどう考えてもたくさんの人が集まる。そうならないように、あまり人が集まらない所で走らせたらいいんじゃないかと。コロナ対策を十分に行える状況で行う必要があるという報告があった」と説明したのである。
聖火リレーをやる必要性が、本当にあるのであろうか。
今夏の五輪開催に向けて、大会の中止や延期を求める国民世論が8割に及ぶ中、この日は橋本聖子五輪相、日本オリンピック委員会(JOC)山下泰裕会長らが出席する中、現状報告や今後の課題について話し合った。森会長は冒頭、「一番大きな問題は世論。そしてコロナ収束の2つ」と、今夏の大会開催に懐疑的な国民の声を最大の課題に挙げた上で、関係各所に協力を呼びかけたのである。
組織委員会が動く以上、金も動くのである。
その金をコロナ対策に使うために、五輪中止を決めるべきと考える必要があろう。 

 

 
 
 
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●森会長「女性入ると時間かかる」 2/3
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会に出席し、JOCが女性理事を増やしていく方針を掲げていることに関連して「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言した。
森氏は自身がかつて会長を務めた日本ラグビー協会で議事進行に時間がかかったと指摘。「(女性理事は)誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。みんな発言される」と語った。JOCは女性理事の割合を40%にすることを目標にしているが、約20%にとどまっている。
●組織委・森喜朗会長「女性がたくさんいる理事会は時間かかる」 2/3
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長は3日、オンライン形式で行われた日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会で、「女性がたくさん入っている理事会は、時間がかかる。女性は競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言うと、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。それでみんなが発言される」と述べた。
JOCが、今年6月の役員改選に向け、女性理事の割合を全体の40%以上とする目標を掲げており、評議員会の議題に上がっていたことから、私見として言及した。
●「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」森喜朗氏 2/3
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)は3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と発言した。女性理事を増やすJOCの方針に対する私見として述べた。
この日の評議員会はオンライン会議で、記者にも公開されていた。森会長は「テレビがあるからやりにくいんだが」と前置きしたうえで、「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」とも発言。「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困ると言っておられた。だれが言ったとは言わないが」などと語った。その場にいたJOCの評議員会のメンバーからは笑い声もあがった。
また、「私どもの組織委員会に女性は7人くらいか。7人くらいおりますが、みなさん、わきまえておられて」とも話した。
JOCの理事は25人で、うち女性は5人。JOCはスポーツ庁がまとめた競技団体の運営指針「ガバナンスコード」に沿い、全理事のうち女性の割合を40%以上にすることを目標としている。
森会長の女性理事についての発言は以下の通り。
・・・これはテレビがあるからやりにくいんだが。女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさくいうんですよね。だけど、女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。これは、ラグビー協会、今までの倍時間がかかる。女性がなんと10人くらいいるのか? 5人いるのか? 女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです。結局、あんまりいうと、新聞に書かれますけど、悪口言った、とかなりますけど、女性を必ずしも数を増やしていく場合は、発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらないで困るといっておられた。だれが言ったとは言わないが。そんなこともあります。私どもの組織委員会にも女性は何人いたっけ? 7人くらいか。7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて。みんな競技団体からのご出身であり、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですから、お話もシュッとして、的を射た、そういう我々は非常に役立っておりますが。次は女性を選ぼうと、そういうわけであります。・・・
●「女性が多い理事会は時間がかかる」五輪・パラ組織委 森会長 2/3
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長がJOC=日本オリンピック委員会の評議員会で女性の理事を増やす目標に対して「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言しました。
JOCは、3日午後、臨時の評議員会を開きオンラインも含めて51人が参加するなかで、ことし6月の役員改選に向けた規定の改正が報告され、女性の理事の割合を40%以上にする目標も示されました。
評議員会に出席した東京大会組織委員会の森会長は、会合の最後にあいさつし、女性の理事を増やす目標に対して「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言しました。
その上で、自身が会長や名誉会長を歴任した日本ラグビー協会で女性の理事が増えていることを例にあげ「今までの倍、時間がかかる。女性というのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげて言うと自分も言わなきゃいけないと思うのだろう。それでみんな発言する」などと述べました。
JOCの評議員会はふだん報道各社に公開されていますが緊急事態宣言が出されている中で、きょうの会合は各社に映像が配信され、森会長の発言に対しては出席者から指摘などは出ませんでした。
バルセロナオリンピック、柔道女子52キロ級で銀メダルを獲得し、現在は全日本柔道連盟で評議員を務める溝口紀子さんは森会長の発言についてインターネット上にコメントを書き込みました。
この中で溝口さんは「女性理事の『発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらない』のは、女性理事の問題ではなく、会議進行役の手腕によるものだと思います」とコメントしました。
そのうえでみずから所属する柔道の連盟を例にあげ「かつての全柔連は、これまで男性中心のトップのイエスマンで構成され、閉塞(へいそく)的な『内輪のルール』のみによって運営されていました。法令遵守よりも組織内の慣習や人間関係への配慮が優先され、選手選考や公金不正などガバナンスに問題があると指摘されました」と紹介しました。
そして「現在、再発防止策として、スポーツ界ではスポーツ団体ガバナンスコードの実務的な運用がされています。とりわけ『女性理事の目標割合を40%以上』を設定することで、会議を活性化することが求められています。森氏には五輪組織委員会のトップとしてジェンダーバイアスを解消し、オリンピズムの実現、スポーツガバナンスの模範となるべく、発信力を発揮してほしいと思います」と締めくくりました。
●ロンブー田村淳さん、聖火ランナー辞退 「有名人は田んぼを」発言批判 2/3
お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さん(47)は3日、動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開した動画で、東京オリンピック・パラリンピックの聖火ランナーを辞退すると発表した。田村さんは愛知県犬山市を走る予定だったが、既に事務所を通じて辞退の意向を伝えたという。
田村さんは大会組織委員会の森喜朗会長が2日、自民党のスポーツ政策を推進する会合で「私たちはコロナがどうであろうと必ずやり抜く。やるかやらないか議論するのではなく、どうやるかだ」などと発言したことを疑問視。「(森会長の)インタビューや記事などを見て、オリンピックはコロナがどんな形であっても開催するんだという理解不能な発言をされていて、同意しかねる」などと発言した。
さらに森会長が同じ会合で「有名人は田んぼを走ったらいいんじゃないか」と発言したことについて、田村さんは「こういう発言を、冗談なのか何なのか分からないが、ぽろっとしてしまうところが、昔から森さん変わっていないなと思いますし、こういうところが、人の気持ちをそぐ」「田んぼをやっている農家の方にも僕は失礼だと思う」などと批判した。 

 

 
 
 
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●東京五輪・パラ組織委 森会長 女性めぐる発言を撤回し謝罪  2/4 
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長が、JOC=日本オリンピック委員会の評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、国内外から批判の声が上がったことを受け「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現だった」として発言を撤回し謝罪しました。
東京大会の組織委員会の森会長は3日、JOCの評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、国内外から批判の声が上がっていました。
これを受けて森会長は4日午後、都内の組織委員会のオフィスで報道陣の取材に応じ「きのうの発言については、オリンピックパラリンピックの精神に反する不適切な表現だった」として発言を撤回し謝罪しました。
JOCは、規定で女性の理事の割合を40%以上とすることを目標としていて、森会長は「ガバナンスに対しては数字にこだわると運営が難しくなることもある。私が知っている理事会の話を引用してああいう発言になった」と釈明しました。
また、森会長は、みずからの進退についての質問に対し「辞任する考えはありません」と述べ、辞任する考えのないことを明らかにしました。
さらに報道陣から国内外から森会長が組織委員会のトップをしているオリンピックは見たくないと声が上がっていることについてどう受け止めているかを問われると「謙虚に受け止めている。だから発言を撤回するといっている」と話しました。
以下、午後2時から報道陣の取材に応じた森会長の発言です。

森会長はまず「きのう、JOCの評議員会のなかでの発言については、オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な発言だ」として発言を撤回し謝罪しました。
また、森会長は、みずからの進退についての質問に対し「辞任する考えはありません」と述べ、辞任する考えのないことを明らかにしました。
そのうえで「オリンピックにおいて男女平等が明確に記されている。女性が活躍していて大変感謝している。組織委員会のことを申し上げたことでないことは皆さんもご承知いただいていると思う。オリンピックにおいて関係者一同が頑張っている中で支障があるようになってはいけない」と述べました。
今回の発言について、IOC=国際オリンピック委員会に説明する考えはあるか問われた森会長は、「それは必要ない」と述べました。
森会長は、「ガバナンスに対しては数字にこだわると運営が難しくなることもある。私が知っている理事会の話を引用してああいう発言になった」と釈明しました。
森会長は、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんが森会長の発言を理由に聖火ランナーの辞退を表明したことについて「人気のあるタレントは人の集まるところはご遠慮してほしいと思い、どう避けられるかという例で言った。何もないところだと田んぼしかない、という話を紹介しただけだ」と釈明しました。
女性の話は長いと考えているのかと問われた森会長は「最近女性の話は、聞かないからわからない。私も話が長いほうなので」と答えました。
国内外から森会長が組織委員会のトップをしているオリンピックは見たくないと声が上がっていることについてどう受け止めているかを問われ「謙虚に受け止めています。だから発言を撤回するといっています」と話しました。 
●森会長謝罪「深く反省し、発言を撤回する」 2/4 
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、女性蔑視と批判を受けた自らの発言について、「深く反省し、発言を撤回する」と謝罪しました。
森会長「発言をいたしました件につきましては、撤回をしたい。不愉快な思いをされた皆様には、おわびを申し上げたい」
森会長は3日、JOC(=日本オリンピック委員会)の評議員会で、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、国内外から批判の声があがりました。
森会長は4日午後、「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現だった。深く反省しております」と発言を撤回し、謝罪しました。また、会長職の辞任は否定しました。
さらに、森会長が「コロナがどういう形であろうと、大会を必ず開催する」と発言したことに対し、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが聖火ランナーを辞退したことについては、「私は走ってくださいとも走ってくださるなとも言う立場ではない」と述べるにとどまりました。 
●森会長、発言撤回し謝罪「説明不足」の声も 2/4 
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の発言が女性蔑視と批判されていることを受け、森会長が記者会見を開きました。
森会長は、発言について撤回と謝罪をしましたが、会見では説明不足だとの声もあがり、記者とのかみあわないやりとりも見られました。
森喜朗会長「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であったと、このように認識いたしております。まず深く反省をしております。そして発言を致しました件につきましては撤回をしたい」
この問題は森会長が3日、日本オリンピック委員会の評議員会で、女性理事の割合を引き上げる目標について、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと述べたものです。
会見で、森会長は「大会まで半年となり、責任者である私がみなさんの仕事の支障になってはいけない。訂正撤回する」と謝罪しましたが、会長職の辞任は否定しました。
しかし、会見を見たあるオリンピック関係者からは「森さん個人の話がオリンピックの話ととらえられてしまう。違う方向に迷走してしまっている」「アスリートが居心地が悪くなってしまうのが心配」という声も聞かれています。
森会長には、国の内外の人々に納得してもらえるような説明が求められます。 
●森会長「女性は…」五輪に厳しい世論の中さらに逆風 2/4
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、女性蔑視と取られる発言をした。JOCが女性理事を増やしていく方針を掲げていることを受け、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と述べた。
かつて会長を務めた日本ラグビー協会で進行に時間がかかったと指摘。「女性は競争意識が強い。誰か手を挙げると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね」と語った。約40分に及んだ「演説」では、その後も「女性を増やす場合は発言の時間もある程度は規制しておかないと、なかなか終わらないので困る」「組織委にも女性はいるが、みんなわきまえている」と配慮を欠く言葉が並んだ。一方で、「国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりですから、お話も的を射たご発信をされて非常に我々も役立っている」とも話した。
日本のスポーツ界は女性進出が遅れ、国が各競技団体へ女性役員の増加を求める指針を出したばかり。「多様性と調和」をコンセプトにする組織委員会のトップとしても、問題視されることになりそうだ。国際オリンピック委員会(IOC)も、14年に承認した中長期改革の指針「五輪アジェンダ2020」で、五輪参加者の男女比率を同等にする目標を設定している。
森氏は開幕まで半年を切った五輪・パラについては「どんなことがあってもやる」と改めて強調した。「無観客ということも当然想定しながら、いくつかのシミュレーションをしている」とし、海外からの観客受け入れの水際対策を課題に挙げた。
首相時代も含め、その発言は物議を醸す機会は多かった。国内世論が五輪開催に厳しい中での、スポーツ界の流れに逆行する発言。さらなる逆風を生むことになりそうだ。
●五輪憲章に抵触も 「女性たくさん」森氏発言の深刻さ 2/4
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が3日、日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと女性を蔑視する発言をした。「いかなる差別をも受けることなく」と定めた五輪憲章にも反する内容で、組織トップのあからさまな差別発言に批判が相次いだ。
森氏の発言は、報道陣に公開されたオンラインの会議で、競技団体の女性理事の登用に関して飛び出した。「テレビがあるからやりにくいが、女性理事4割は、これは文科省がうるさく言うんでね」と、スポーツ庁が示した指針に沿った、女性理事を40%以上とする目標に言及。その後、「女性がたくさん入っている理事会が時間がかかります。(日本)ラグビー協会は(会議が)今までの倍、時間がかかる。女性が10人くらいいるのか、今は5人か。女性は優れており、競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。それでみんな発言される」と語った。
さらに、「あまり言うと新聞に漏れると大変だな。また悪口を言ったと言われる。女性を増やしていく場合は、『発言の時間をある程度、規制を促しておかないと、なかなか終わらないので困る』と言っておられた。誰が言ったかは言わないけど」と発言。「私どもの組織委にも女性は何人いる? 7人くらいかな。みんなわきまえておられる。みんな競技団体からのご出身、また国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。お話もきちっと的を射ており、欠員があればすぐ女性を選ぼうとなる」と続けた。
性暴力に抗議する「フラワーデモ」の呼びかけ人で作家の北原みのりさんは、毎日新聞の取材に対し、「女性の会議での態度を揶揄(やゆ)することで、女性が意見を述べること自体を萎縮させる差別発言で、許されない」と批判。「昼間の会議では発言せず、女性のいない夜の会食で重要な決定をしてしまうような男性中心の文化が、コロナ禍での政治家の銀座通いなどで浮き彫りになっている。今回の森氏の発言はそうした文化を象徴している」と指摘する。北原さんは「森氏は、これまでも『神の国』発言などで批判されてきたが、『何か言ったらたたかれる』ぐらいにしか考えていない。今回の発言も、『本音を少しくらい言っても許される』と考えているのではないか。この発言を看過した組織委のもとでオリンピック・パラリンピックを開催すべきではない」と語った。
志田陽子・武蔵野美術大教授(憲法学)も取材に対し、「飲み屋での雑談とは異なり、公人による公的な場での発言であり、見識を問われる。しかもオリ・パラは国際社会の関心事であり、日本の民度がこうした発言で見積もられてしまう」とコメントした。 ・・・
●あからさまな女性蔑視発言・森喜朗氏は大会組織委会長を辞任すべき 2/4
明らかな女性蔑視発言です。報道によれば
「東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)は3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と発言した。女性理事を増やすJOCの方針に対する私見として述べた。」というのです。
男女共同参画に逆行
上記報道によれば、JOCはスポーツ庁がまとめた競技団体の運営指針「ガバナンスコード」に沿い、全理事のうち女性の割合を40%以上にすることを目標としているとされ、森氏はこれに率先して承認すべきところ、偏見に満ちた発言をしたのです。日本でも、男女共同参画基本法、女性活躍推進法が制定され、あらゆる分野男女共同参画が求められています。日本政府は「202030」すなわち、社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標を掲げ、2020年までに達成できなかったけれども、できるだけ早急に達成することが求められているのです。それに対し元首相で、大会組織委員会会長の森氏が消極的な意見を述べるとは、時代に明らかに逆行しています。報道によれば、JOCでは25人の理事のうち女性は5人、40%どころか30%も達成していません。しかもその理由として森氏の口から出た「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」とはなにごとでしょうか。
あからさまな偏見
「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです。」
まず「女性っていうのは」とは明らかに女性をひとくくりにして決めつけるのは、女性に対するあからさまな偏見です。役員として会議に参加している以上、意見を言うのは当然です。真面目に職務を果たす責任感の強い人あれば、性別を問わず発言することは尊重されるべきであり、委員の職責上当然のことです。ところがなぜ女性が発言すると「競争意識が強い」と受け取られるのでしょうか。事実に反する極めて歪んだ見方であり、競技団体で活動する女性役員に対し失礼極まりないものです。まるで、発言すること自体が迷惑、トラブルメーカーとでもいうような物言いです。そのような視点で偏見をもって「発言する女性」を眺める森氏は、発言の内容などまともにきいていないのではないでしょか。
「結局、あんまりいうと、新聞に書かれますけど、悪口言った、とかなりますけど、女性を必ずしも数を増やしていく場合は、発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらないで困るといっておられた。だれが言ったとは言わないが。そんなこともあります。」
このような偏見に満ちた発言を、「だれが言ったとは言わないが」などと逃げ道を作りつつ公的な場でいうことは極めて問題であり、公人としてあるまじきものです。「発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらない」と発言規制に言及していますが、女性の発言だけ時間規制をするというならまさに暴論であるし、女性が参加するなら理事全員の発言時間を規制するというのであれば、委員に対する脅しに近い不利益告知と言えます。まるで、望月衣塑子記者を排除しようと質問制限を導入した菅首相の官房長官会見のようです。さらに、
「私どもの組織委員会にも女性は何人いたっけ? 7人くらいか。7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて。みんな競技団体からのご出身であり、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですから、お話もシュッとして、的を射た、そういう我々は非常に役立っておりますが。次は女性を選ぼうと、そういうわけであります。」
女性の理事の人数を正確に把握していないことは森氏が男女共同参画に問題意識を露ほども持っていないことの表れではないでしょうか。「みんなわきまえておられて」「お話もシュッとして、的を射た」「非常に役立っております」というのも女性理事全員を馬鹿にした話です。すなわち、組織委員会の女性理事は口数が少なく、発言時間も短いので、議事進行に役立っているというのでしょうか。そもそも、女性をひとくくりにしてその個性や一人一人の意見や知見を尊重せずに「女性」として評価すること自体に問題があり、差別的です。そして、女性理事に対する評価として、発言時間が短いことが評価されるとすれば、それはいったいどういうことでしょうか。仮に男性が十羽一からげにそのように扱われたらどう思うでしょうか。女性の役員には、おとなしく波風を立てない存在を求めているとしか、お飾りのような存在が議事進行に役立つという趣旨にしか受け取れません。これは女性全体を馬鹿にするものです。男女共同参画の意義は、政策決定過程に人口の半数を占める女性の声を適正に反映させることであり、単に委員のポストを与えて椅子に座っておとなしくしてもらっていればいいというものではありません。女性が対等かつ平等に発言機会を与えられ、その発言の内容が相当な重みをもって意思決定に反映することが必要なのです。女性の意見表明は奨励されるべきであって、抑制するようなメッセージを冗談めかしてでも口走ることは、組織の長にあるまじきものです。
高齢だから許されるのか?
このように批判されると、きっと、森氏の本意は違うとか、言葉が足りなかったなどという言い訳がされ、高齢なのに頑張っているのに責めてはかわいそうなどという同情論が出されるでしょう。しかし、高齢だから仕方がないと言ってみんながこのような問題発言をかばって済ませ、女性差別主義者が日本のトップであり続けるから、日本のジェンダーギャップ指数が121位というところにいるのです。明らかに国際感覚からずれた人を会長の座につけたまま、言いたい放題の差別と偏見を垂れ流して、将来ある女性の活躍を妨げ、女性の夢を奪っていることの方が罪深いのです。差別発言をしても許される、責任を取れない国であり続けることは、若い人や女性を日々絶望させ、この国から活力を奪い、未来への成長を阻害しています。
森氏は辞任すべき
森氏の発言は朝日新聞だけでなく、各紙が一様に報道しています。すでに海外でも報道され、世界に恥をさらしています。オリンピック憲章は、
「スポーツをすることは人権の 1 つである。 すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。 オリンピック精神においては友情、 連帯、 フェアプレーの精神とともに相互理解が求められる。」
「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、 国あるいは社会的な出身、 財産、 出自やその他の身分などの理由による、 いかなる種類の差別も受けることなく、 確実に享受されなければならない。」
と定め、女性差別や女性蔑視を容認していません。コロナで開催される可能性は低いものの、東京オリパラのホスト国である日本の組織委員会会長がこのような差別的な見解であることを露呈したのが事実である以上は、辞任せずに続けるということが国際的に見て許されるでしょうか? このようなことが許されず、正しい対応がなされなければ、日本は自浄能力のない差別主義の国とみなされるでしょう。スポーツ界に、そして官民問わず日本各地で、様々な公私の団体で役員になって奮闘している女性たちがたくさんいます。口には出さないとしても同じような旧態依然とした女性蔑視の視線にさらされながら日々戦っている女性たちがいます。このような発言がどれだけ悔しいことでしょうか。これが当たり前のように流されたらどうなるのでしょうか? このような発言がおとがめなしで終わるようなことがあってはならないと考えます。
●女性蔑視発言 NYT報道「誰も止めなかったことが最大のニュース」 2/4
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が3日、日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会で「女性がたくさん入っている理事会っていうのは時間がかかります」など、女性蔑視とも取れる発言をしたことが、海外でも波紋を呼んでいる。
米ニューヨーク・タイムズ紙は「東京五輪組織委員会の会長が会議で女性の制限を示唆」という見出しで報道。
「日本の元首相の森喜朗会長は、『会議で女性の発言時間を調整しなければならない。さもなければ終わらない』と発言した」と伝えた。
SNS上では森会長の辞任を求める声が上がっていることも報道。また「問題は誰も彼を止めなかったこと。これがJOCの会議という公の場での発言で、誰もこの差別を止めなかったことが最大のニュース」としている。
●森喜朗氏の発言 海外メディア「女性蔑視」と問題視 2/4
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会の場で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言したことについて、複数の海外メディアが女性を蔑視する発言だとして批判的に取り上げた。
米ニューヨーク・タイムズ紙は3日、「東京五輪トップ、会議への女性の参加制限を示唆」の見出しで記事を掲載した。「夏の開催計画が既に世論の大反対とコスト高騰の問題に直面する東京オリンピックの実行委員会は、女性が会議でしゃべりすぎるとトップが示唆したことで、新たな憤激に直面することになった」と問題の発言を取り上げた。
同紙は森氏の発言が「女性差別以外の何ものでもない」とするツイッター上の声を紹介。日本でも同氏の辞任を求める声が強まっていると報じた。
米ワシントン・ポスト紙も同日、「東京五輪トップの森氏、会議で女性が話しすぎると発言」と題した記事を配信した。首相経験のある森氏が「過去に何度もスキャンダルや問題発言を繰り返してきた」と紹介。質疑応答での森氏の発言を受けて「他の複数の委員が笑ったとも伝えられた」と女性蔑視的な見方が委員会で受け入れられていると暗に示した。
仏AFP通信も3日、森氏の発言を報じた。「日本は男女平等の点では遅れている」などと指摘し、世界経済フォーラムが発表する男女平等の指数で、日本は153カ国中121位に位置すると論じた。
JOCは国が定めた組織運営指針「ガバナンスコード」に従い、女性理事の割合を40%まで増やす目標を掲げて規定を改定した。森氏は東京五輪への協力などを語る中で女性登用の話題に触れた。
●森会長、女性蔑視発言「女性がたくさん入る理事会は時間がかかる」 2/4
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長から3日、問題発言が飛び出した。都内で行われた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会に出席し、JOCが女性理事を増やしていく方針を掲げていることに関連し「女性がたくさん入る理事会は時間がかかる」と述べた。JOCは女性理事の割合を40%にすることを目標にしている。
森氏は自身がかつて会長を務めた日本ラグビー協会で議事進行に時間がかかったと指摘。「(女性理事は)誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。みんな発言される」と語った。
「あまり言うと、新聞に書かれますが」と前置きした上で「発言の時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困る」と時間制限も示唆するなど、無神経な言葉を並べた。
一方、組織委の女性理事については「競技団体のご出身で、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかり。的を射たご発信をされて非常に我々は役立っている」とフォローした。
男性中心の閉鎖的なスポーツ界が、女性の存在感を高めることで活性化されると長年働き掛けてきたJOCの山口香理事は、取材に厳しい表情で応じた。「男女平等や障がい者への配慮は東京大会開催の前提だったはず。組織委の代表のそうした発言は残念」と森氏を批判した。
首相時代から数々の失言が物議を醸してきた森氏が、新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪の開催が正念場にある中での「失言」をした格好。それだけに、ある関係者は「女性への失言だけではなく、コロナ禍でさまざまな議論が必要な中、議論自体を最初から排除しているように聞こえる。これでは開催への反感につながるのでは」と不安を漏らした。
【森氏、過去の失言】森氏の東京五輪組織委会長としての失言としては、14年ソチ五輪のフィギュアスケートの浅田真央の演技について「大事な時には必ず転ぶ」と発言。この時は懸命な演技に対する心ない発言として国民の怒りを買った。この時、浅田が「人間なので失敗もある。自分も失敗したいと思って失敗していない。森さんもそうじゃないかな」と話したことで「真央ちゃんの方が大人」と浅田へ向けて喝采が送られた。森氏はコロナ禍の昨年2月には「選手諸君はウイルスをもらわないよう気を付けて」と注意した後で「私はマスクをしないで最後まで頑張る」と語り、国内外の人々をあ然とさせた。
【森会長発言要旨】森喜朗会長の女性理事に関する主な発言は次の通り。
女性理事を選ぶっていうのは文科省がうるさく言うんです。だけど、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。ラグビー協会、今までの倍の時間がかかる。女性は今、5人か。女性っていうのは競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。それで、みんな発言される。女性の数を増やしていく場合は、この発言の時間もある程度は規制をしておかないとなかなか終わらないので困る、と誰かが言っていた。私どもの組織委員会にも女性は7人くらいおられる。みんなわきまえておられて、みんな競技団体のご出身で国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりですから、お話も的を射たご発信をされて非常に我々も役立っている。
●「東京五輪に新たな”憤激”」「日本人に平手打ち」 世界のメディア反発 2/4
東京五輪組織委員会の森喜朗会長(83)は3日、日本オリンピック委員会(JOC)が女性理事を増やす方針を受け、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性を増やす場合は発言の時間もある程度は規制しておかないと、なかなか終わらないので困る」と発言。世界メディアはこの発言を伝え、批判した。
米紙ニューヨーク・ポストは「東京五輪の会長が性差別的な不満をぶちまけ、物議」の見出しで「身内の行いにより、東京五輪はさらなる問題を抱えている。元首相の女性に関するコメントに、その場(JOC臨時評議員会)で笑いさえ起きたという」と不快感を報じた。
米紙ニューヨーク・タイムズは「東京五輪の長が会議で女性を制限するよう提言し、激怒に油を注いだ。既にコスト増と世論の猛反対にあえぐ東京五輪の組織委員会は、新たな“憤激”にも直面している。ツイッターは炎上し、ユーザーは辞職を求め、森氏の年齢と時代遅れを糾弾。ソーシャルメディアは、この会議の場で森氏のコメントへ反論が出なかったことにも失望した」と報じた。
インドのニュースサイトWIONは「性差別だとの大合唱が勃発。森氏が公の発言でしくじり続きなのは広く知られている」と報じた。
森会長は2日、今夏の五輪開催について「私たちはコロナがどういう形であろうと必ずやる」と断言。これに対し、豪州の大手ニュースサイト、ニュースドットコムauは「東京に巨大な中指をおっ立ててみせた。公然と“とんちんかん”な主張」とやゆし、仏AFP通信は「日本の人々に対する顔面への平手打ちだ」と批判していた。
●森会長「女性が」発言で波紋、毎日新聞に辞任の可能性言及 2/4
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと語った東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言が波紋を広げている。国内外のメディアが発言を報じ、ソーシャルメディア(SNS)上でも女性蔑視との批判が相次いでいる。森会長は4日、毎日新聞の取材に対し、辞任の可能性に言及した。
森会長は3日、日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会に出席。共同通信によると、「女性理事を選ぶっていうのは文科省がうるさく言うんです。だけど、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言。「女性っていうのは競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。それで、みんな発言される」とも語った。
ロイターは3日夜、日本のメディアを引用する形で森会長の発言を報道。米ニューヨークタイムズ紙は発言を紹介した上で、SNS上で批判が起きているなどと報じた。
共産党の志位和夫委員長は短文投稿サイトのツイッターに「愚かで恥ずかしい女性蔑視発言だ」、「ただちに辞任すべきだ」と投稿した。
森会長は4日、毎日新聞の取材に応じ、女性を蔑視する意図はなかったと釈明した上で、「責任を果たさなければならないと思っているが、辞任を求める声が強くなれば、辞めざるを得ないかもしれない」と語った。
森会長を巡っては、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんが3日、別の発言に言及。その上で、東京五輪の聖火ランナーを辞退する考えを明らかにした。
田村さんは動画投稿サイトのユーチューブで、「どんな形であっても開催するんだという、ちょっと理解不能な発言をされていらっしゃった」と述べ、メディアなどで流れる森会長の発言に言及。「聖火ランナーを辞退させていただこうと思っている」と語った。
田村さんは、五輪は中止より延期すべきと考えているとした上で、「国民全体の行動に制限がかかっていることをいち早く解決するのが優先と思う」と述べた。「インフルエンサーとしての力を持って仕事をしている。沿道に人を集める必要がないのであれば、タレントは身を引くべきだと感じた」とも語った。
田村さんは3月25日に始まる聖火リレーで、愛知県犬山市を走る予定だった。
●「森失言」で五輪ボランティア消滅危機 2/4
失言が止まらない。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が3日に開かれた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会っていうのは時間がかかります」などと言い放ち、またしても世間を唖然とさせた。この森会長の発言はJOCが女性理事の割合を全体の40%以上にする方針を掲げていることを受け、私見として口にしたものである。
失言に次ぐ失言
会議の模様はオンライン形式となっており、多くのメディアにも公開されていた。森会長は「これはテレビ(オンライン)があるからやりにくいんだが」と前置きしながらもすぐさま“リミッター”が外れてしまい、冒頭の失言へとエスカレート。「女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさく言うんですよね。だけど、女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と断言した。
さらに自身が2005年から2015年の長きにわたって会長の座に就いていた日本ラグビーフットボール協会を例に挙げつつ「(自分がいた頃と比べて)今までの倍時間がかかる。女性(理事)がなんと10人くらいいるのか? (実際には)今、5人? 10人に見えるな」と小ばかにするかのような舌鋒を向け、女性蔑視ととらえられかねない問題発言を繰り返した。
その後も「女性っていうのは競争意識が強いんです。誰か1人が手をあげて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです。前の発言に関連したものではなく、思いのままに」と一方的な持論を展開。
どういうわけか出席していたJOC評議員のメンバーからも笑いが飛び出す中、これに勢いづいた森会長は「女性の数を増やす場合には発言時間をある程度規制しないと、なかなか終わらないで困る。組織委員会にも(女性が)7人ぐらいおりますが、皆さんわきまえておられて、競技団体からのご出身であり、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりですから、お話もシュッとして、的を射た(女性たち)。そういう(女性を選んでいる)我々は非常に役立っておりますが。次は女性を選ぼうと、そういうわけであります」などと話し、最後は組織委の“正当性”までアピールしながらかなり強引な形で締めていた。
「問題は世論がどう五輪を考えているか」
前日2日に森会長は自民党のスポーツ立国調査会と2020年オリンピック・パラリンピック東京大会実施本部の合同役員幹部会にも出席している。この場においても冒頭のあいさつで、新型コロナウイルスの感染拡大によって今夏に延期となった東京五輪の開催にあらためて強い意欲を示し「我々は必ずやる。やるかやらないかではなく、どうやってやるのか、新しい五輪を考えよう」と訴えた。複数の主要メディアによる最近の世論調査では大会の中止や再延期を求める声が約8割を占める現状となっているにもかかわらず「一番大きな問題は世論がどういうふうに五輪を考えているか」とけん制し、コロナ禍に苦しむ国民の窮状には目もくれず強硬開催へ突っ走る姿勢をみせた。
この翌日に序盤でも詳しく触れた女性を蔑むような暴言を吐いたことで、森会長には自らの意のままにならない人たちをこれでもかとばかりに糾弾して罵るというスタンスがまたしても露になった格好だ。こんな危なっかしいトップが「どうやってやるのか、新しい五輪を考えよう」と声を大にしても私利私欲のために扇動しようとしているとしか思えず、大半の“身内”ですらも付いていけなくなるのは当たり前である。
ボランティア辞退者、急増の懸念
3日の深夜、大手企業から出向扱いで現在も組織委の要職に就く旧知の人物・K氏から携帯に連絡が入った。聞けば、森会長の連日に渡る失言のオンパレードによって、組織委内部は「お通夜のように静まり返り、いよいよ“終わり”のムードが漂い始めている」という。そして同氏はこうも続けた。
「我々運営側にとって最悪の流れとなりそうなのは、ロンブーの田村さんが森会長を批判し、聖火ランナーを辞退してしまったことです。仰っていることはごもっともな話で、こちらも何ひとつ反論しようがないのが非常に歯がゆいところなのですが・・・」
奇しくも3日、お笑いコンビのロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが公式YouTubeチャンネルを公開し、愛知県・犬山市から任命されていた東京五輪の聖火ランナーを辞退すると表明した。その動画の中で田村さんは森会長について「コロナがどんな形であっても(東京五輪を)開催するという、ちょっと理解不能な発言をされていらっしゃいました」と強い不快感を覚えたことで、辞退を決意したと述べている。
同じ組織委に属しながらも森会長ら幹部クラスの強硬姿勢に愛想を尽かしている前出のK氏も、田村さんの聖火ランナー辞退を「起こるべくして起こってしまったこと」とし、次のように打ち明けている。
「非常に影響力の大きい芸能人、著名人の方々が直接行動を起こして“反森会長”“反東京五輪”を訴えればネットやSNSを通じて、これまで以上のムーブメントが世の中に広がっていく可能性が非常に高くなります。実は組織委内部で恐れられているのは田村さんの辞退に押されるように“反森会長”“反東京五輪”の波が巨大化し、ただでさえ人数不足になりつつある東京五輪・パラリンピックボランティアの登録メンバーの方々から辞退者が今後止まらなくなっていくのではないかということ。本当に心配です」
進軍ラッパ吹く当人が、開催論に水差すような失言ばかり
組織委は2018年の時点で東京五輪のボランティア募集を終え、約20万人の応募者の中から約8万人を採用している。
しかしコロナ禍で大会開催が1年延期となり、感染症への不安や都合がつかなくなるなどボランティアの登録メンバーからは辞退者が水面下で続出。これに加えて有識者の間から「医療崩壊を防ぐ意味でも大会期間中は1万人規模の医療スタッフの確保が必要不可欠」と指摘されているが、ボランティアの再募集案も含めて組織委内部では「全くメドが立たず具体的な方策すら浮かばない状況」という意見がもっぱらだ。
10都府県で緊急事態宣言が3月7日まで延長されたこともあり、各自治体ごとに再開される予定だったボランティアの研修も事実上の“無期限休止”に追い込まれているという。
前出のK氏は、このようにも言った。
「ボランティア方々の協力が得られなければ、東京五輪・パラリンピックは開催できません。組織委員会はボランティアの登録メンバーから辞退者が出ていることは認めていますが『運営に支障はない』と強弁を繰り返すばかりで、正確な辞退者の人数を発表していない。要は開催不可能な現実を直視しなければならなくなるため『数えたくない』のです。
森会長による失言連発、さらに田村さんの聖火ランナー辞退によって、ボランティアの方々にも登録を取り消す動きに拍車がかかっていくことはまず避けられそうもありません。気づいたら、ほとんど誰もいなくなってしまっていたという悪夢だって現実化するかもしれない。もうそろそろ我々組織委も“正しい判断”をしなければいけない時期が近付きつつあると言えます」
かつて、これほど歓迎されない五輪があっただろうか。一部の権力者だけが旨味を得るため、開催ありきで進軍ラッパを鳴らしていると邪推されても仕方がない。アスリートファーストの精神からかけ離れてしまった東京五輪は、残念ながらスポーツジャーナリズムの世界に身を置く自分としても今や何の興味も魅力もない大会へと成り下がってしまった。
●森喜朗会長の“自爆”、「ヤバすぎる発言」連発に国内外から批判殺到…! 2/4
「女性が多い理事会は時間がかかる」――東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長の発言に国内外から批判が集まっている。
2月3日に開催された日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会での発言が女性蔑視ではないかと、国内メディアのみならず、ニューヨーク・タイムズなど海外メディアも報じる事態となっている。
JOCでは女性理事の割合を40%以上にすることを目標に掲げているが、森会長は「時間がかかる」発言に加え、「女性というのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげて言うと自分も言わなきゃいけないと思うのだろう。それでみんな発言する」とも述べたという。
ニューヨーク・タイムズは森会長の発言騒動を受け、Twitter上で辞任を求める声が出ていること、高齢や時代遅れの考え方・姿勢が深刻な問題だと指摘する声があることを紹介している。
この発言の前日(2月2日)、自民党本部の会合に出席した森会長。「一番大きな問題は世論がどういうふうに五輪を考えているか」「コロナがどういう形だろうと必ずやる」という発言も波紋を呼んでいた。
かねてから東京五輪については、安倍前首相による福島第一原発「アンダーコントロール」発言、1.6兆円もの総経費、「復興五輪」「レガシー」……さまざまな形で批判されてきた。
世界中が注目する大会の行方――。「必ずやる」と意気込む会長自身の発言によって、東京オリンピック・パラリンピックは新たな危機を迎えたのかもしれない。 
●森会長が会見 辞任は否定も 「老害、粗大ごみなら掃いてもらえれば」 2/4
「女性の多い会議は時間が長い」など女性蔑視とも取れる発言をしたことについて、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は4日、記者会見を開き、「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現だったと認識しており、深く反省している。発言を撤回したい。不愉快な思いをされた皆さまにはお詫びを申し上げたい」と謝罪した。
一方で会長職を辞任するかどうかについては「辞任する考えはない」と強調。「私は一生懸命、献身的にお手伝いして7年間やってきた。自分からどうしようという気持ちはありません。皆さんが、邪魔だと言われれば、老害、粗大ごみになったのかもしれないから、そうしたら掃いてもらえればいいんじゃないですか」と語った。
森氏は3日、JOCの臨時評議員会で、日本オリンピック委員会(JOC)が女性理事を増やしていく方針を掲げていることに関連して、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言。米ニューヨーク・タイムズやロイター通信など海外メディアも報じるなど議論を呼んでいた。
●辞任否定の森会長 「老害が粗大ゴミになったのなら掃いて」 2/4
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長は4日、女性に対する自身の発言について東京都内で記者会見を開き、謝罪した上で撤回した。進退については「辞任する考えはない」と話し、組織委会長職にとどまる意向を示した。
森会長は3日、日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会にJOC名誉委員として出席し、主なスポーツ団体で女性理事の比率を40%以上とするスポーツ庁の目標に言及。「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性は競争意識が強い。1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うのだろう」などと語った。こうした発言について4日、「(男女平等をうたう)五輪・パラリンピックの精神に反する不適切な表現だった。深く反省している」と述べた。
また、「数字にこだわって無理はしない方がいいと言いたかった」と意図を説明した。
国内外で批判が噴出し、会長続投は五輪・パラの開催準備に支障を及ぼしかねないとの指摘には、「一生懸命、献身的にお手伝いしてきた。自分からどうしようという気持ちはない。老害が粗大ゴミになったのかもしれないから、そうしたら掃いてもらえばいい」とした。国際オリンピック委員会(IOC)のマーク・アダムス広報担当は読売新聞の取材に「森会長は、発言を謝罪した。問題は終結したと考えている」と回答した。
●森喜朗会長の「女性蔑視発言」なぜ出たか…透ける暗闘の思惑 2/4
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が3日の日本オリンピック委員会(JOC)評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言した問題は、「女性蔑視ではないか」と、国内にとどまらず、海外メディアにも取り上げられた。森会長の進退までに発展するのでは、とみられたが、当初から辞任する気など森氏の頭の片隅にもない。大問題発言の背景を探ると、スポーツ界の勢力争いを巡る森氏の焦りと策謀がみえてくる。
ターゲットになった人物とは……
森会長といえば、2000年5月の「日本の国は、まさに天皇を中心としている神の国であるということを国民のみなさんはしっかり承知していただきたい」をはじめ、失言を重ねてきた。
コロナ禍によって1年延期された東京五輪が今年7月に開催できるかどうかを決める期限が迫っているときに飛び出した女性軽視発言に「いや、参った。内容も内容だけどタイミングが悪過ぎる」と競技団体関係者は突き放す。
前日の2日には自民党本部で開かれた会議で「新型コロナウイルスがどうであろうと、必ずやり抜く」と語り、聖火リレーの際の三密を避けるために「有名人は田んぼを走ったらいいんじゃないか」と意味不明のコメントまで口にした。
多くの人は何も考えず、唐突に言いたいことばかり、と思うかもしれない。しかし、それは表面的な見方である。森会長の真意を見抜かなければならない。そこにこそ本当の問題があるからだ。手練手管を使い総理大臣まで上り詰めた政治家だけに、どこで何を喋るかは、それなりに計算している。
JOC評議員会の場にて、なぜあんな発言をしたのか。長年、五輪の現場を取材してきたベテラン記者は「JOC理事に森会長のターゲットになる人物がいますからね。森さんにすれば、積もり積もった思いがあり、ここで一発食らわしておくという浅はかな考えがあったのでしょう」と指摘する。
では、標的にされたのは、一体、誰なのか。前出の記者が続ける。
「1988年ソウル五輪女子柔道銅メダリストの山口香理事です。彼女は昨年、いち早く東京五輪開催延期を唱え、今年1月には『中止を議論したほうがいい』『開催は難しいのでは』と新聞のインタビューに答えています。森会長のなかには『なりふり構わずみんなで突き進もうとしているのに、冷や水を浴びせるのか』という恨みがあったのではないでしょうか」
2011年にJOC理事となった山口理事といえば、2012年ロンドン五輪後に柔道女子選手が監督、コーチらから暴力を受けていたと訴え出た際、後輩たちのために奔走。スポーツ界のガラスの天井を突き破ろうと、女子選手の地位向上のために先頭に立ち続けている。
ここに現れたのが1984年のロサンゼルス五輪金メダリストの山下泰裕氏だった。実は山下氏と森氏の間には太いパイプが存在する。それはあらためて後述するが、山下氏が2019年6月、JOC会長に就任すると、最初に手をつけたのが理事会の「非公開化」だった。
それまで理事会の場では報道陣用の席が設けられ傍聴が許されていたが、「記者がいると言いたいことが言えない」などという理由で扉を固く閉じる案を提案。この際、反対したうちの一人が山口理事だった。たとえ相手が同じ競技の先輩で、国民栄誉賞受賞者だろうが、言うことは言う、ダメなものはダメと、自らの考えを貫いた(ちなみにこの時、山口理事に賛同して反対した人が4人いたが、全員が女性だった)。
結局、賛成多数で非公開が決まったものの、山下会長は出ばなをくじかれたうえに、何より身内の柔道界からの突き上げが面白くなかったはずだ。山下会長は、昨年3月、山口理事が五輪開催延期論を口にしたときは「内部で発言せず、外に発言するのは極めて残念」と強く批判した。
「女性蔑視発言」は単なる自爆ではない
前述した「森ー山下ライン」は鉄壁といわれる。女性蔑視発言が飛び出した評議員会でも、森会長は「オリンピックを失敗したら、菅(首相)さんに責任を取らせるし、森にも責任を持たせるし、山下さんも。ということを考えている方がスポーツ関係者の中にはかなりおられる」と牽制球を投げたあと「山下さんのリーダーシップ、あらためて、大いに評価をし、これからもオリンピックにむけてしっかり頑張っていただきたい」と語り、「女性がたくさん入っている理事会は…」という女性蔑視発言につながっていく。
「あの2人はロシアのプーチン大統領と関係が深いことで知られています。森会長は総理の時から政治家として今日に至るまで関係を築き、山下会長も、柔道家としても知られるプーチン大統領から『尊敬する日本人』として名前をあげられたことがある。東京大会が開催されてもロシアはドーピング違反で個人資格の参加となりますが、プーチン大統領に頼まれたら、IOC(国際オリンピック委員会)に救済策をねじ込むかもしれません。山下会長はJOC会長に就任直後、スポーツや社会活動で顕著な功績があったとして、プーチン大統領から『ロシア名誉勲章』をもらっているから、そのお返しをしないといけない気持ちもあるのでは」(前出のベテラン記者)
山口理事は4日、スポーツ報知の取材に対し、「東京大会は男女平等や障害者への配慮を前提にした大会だったはず。組織委の代表のそうした発言は残念」と語る。
こうした背景から出た、女性蔑視とも受け取られかねない発言。国内外からの批判は覚悟のうえで、決して思いつきのものではないだろう。だから批判をされても、森会長は平気な顔をしていられるのだ。しかし、非難の声は想定以上のものになるはずだ。
実は、森会長を追い詰めているのは、この発言への批判だけではない。
森会長が代表理事を務める一般財団法人「嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」が、昨年末をもってひっそりと活動を停止した。この財団については、ロイター通信が「東京招致委員会から約1億4500万円が支払われているのが銀行口座記録にある」と報じている。
この組織はスポーツの発展を図ることを目的に設立されたといわれているものの、その内情は明らかになっていない。活動停止も突然で関係者には知らされていなかった。なにかしらの不都合を感じて、活動を停止した可能性がある。
日本人はマスコミを含めて忘れっぽいが、海外は違う。フランスの検察当局は2019年1月に発覚した五輪招致における贈賄容疑の捜査を続け、現地メディアも取材を続けている。今回の森発言、本人は「時間が過ぎれば忘れられる」と高をくくっているかもしれないが、海外からも二の矢三の矢が放たれ、スポーツ界に激震が走る日は遠くないかもしれない。
●発言炎上の森会長 報道陣に不満爆発 「いい加減」「無責任な連中」 恨み節 2/4
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が4日、BSフジ「BSフジLIVE プライムニュース」に生出演。前日の「女性は話が長い」などとした女性蔑視とも取れる発言について、この日の会見で謝罪し撤回したが、「(当該発言は)深い意味を持って言ったわけではない。だんだん話が大きく(なって)取り上げられるのは本意ではない」と報道に不快感を示した。
この日の謝罪会見でも、発言の真意を問いただす質問者に対し、「そういう話はしたくない」「(報道を)面白おかしくしたいから聞いてるんだろ?」と気色ばむ場面があり、ネット上では“逆ギレ会見”と話題になっている。
番組内では、森会長の発言を理由に聖火リレーで走る予定だったタレントの田村淳が辞退したことにも言及。2日に出席した自民党内での会合で「コロナがどんな形になっても必ず(大会を)やり抜く」と発言したことや、聖火リレーで一般観覧者の密集を避けるために「有名人は田んぼで走ればいいんじゃないか」などと発言したことが発端となったが、「日本のマスコミの皆さんはいい加減」と報道への不満を爆発させた。
「田んぼ−」発言は自発的なものではなく、コロナ禍で聖火リレー実施を不安視する地方議員から質問を受けた際に答えたものだったと主張。「コースや誰が走るかは各地方が決めている。密を避けられないから、できるだけ控えて(各地方の)実行委員会で工夫してくださいねと。そしたら田んぼかどこかしかないと、僕が言った。人を避けるにはそれしかないと。市街地がダメと言ったわけではないし、田んぼで走れと言ったわけではない。こういう議論になってますと報告しただけ」と説明し、「記者たちは修正もせず、そういうことだと言わないで、全く無責任な連中が多い」と恨み節を唱えた。
●さらに強まる反感 森会長、響かない釈明 2/4
女性を蔑視したと受け取れる発言を「五輪・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であり撤回する」と釈明した森喜朗会長の会見は、響かなかった。約19分で打ち切られ、居直ったような場面も。「辞任する考えはない」と言い切った。
これまで約7年にわたる献身を主張した。五輪開催国の組織委トップとして適任かと問われると逆に聞き返し、適任ではないとの答えには「じゃあ、そういうふうに承っておく」とあしらった。
会見の最後に「謙虚に受け止めている」と口にしたが、そう感じた人はどれほどか。中継を見た大会関係者は「ひどかった。これで(五輪開催への)世論の支持もますます下がる」と頭を抱えた。コロナ禍に収束気配はなく、反感は強まる。
組織委の関係者は「即座に辞めるべきだ」と厳しい口調で話していたが、辞任否定を受けて「辞めると(五輪が)失敗したとなり、自分の顔がつぶれるからだろう」と言った。内部に突き上げる動きも見えないという。国や自治体などからの寄り合い所帯を評し、「(会長に)意見する人が周りに誰もいない」と嘆いた。
森会長は自身の不適切な表現について「男女を区別するような発言をしたことだ」との認識は示した。女子選手の比率を増やし、混合種目を導入するなど、男女均衡へ向かう五輪の潮流に逆行している。五輪憲章は根本原則として、いかなる差別も認めていない。
ある国際競技団体(IF)の幹部は、内部から懸念を示すメールを受け取ったと言う。「海外からの圧力がどうなるか」と語った。性差別への意識は日本の比ではなく、火だねはくすぶっている。
●森会長、波紋呼ぶ発言連発 五輪開催の懐疑論高まりで 2/4
国内外で東京五輪開催に対する懐疑の声が高まる中、森会長は今回以外にも波紋を呼ぶ発言を繰り返してきた。2日に自民党本部で開かれた会合では「新型コロナウイルスがどういう形だろうと必ず(大会を)やる」と述べ、一部で医療状況などを顧みない発言と受け止められた。
聖火リレーのウイルス感染対策をめぐっては「(ランナーに起用される)人気のあるタレントは、あまり人が集まらないところで走っていただいたらいいんじゃないか。田んぼで走ったら一番いい(という意見が出ている)」。お笑いコンビ、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが「同意しかねる」として、辞退を発表する結果を招いた。
女性への問題発言が出た3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会では、「五輪は日本のアスリートのため。お客さんがいなくてもやりたいと(選手が)言ったら、やらせてあげるしかない」。競泳やフェンシングの選手からツイッターで「選手のわがままで五輪を開催すると言わんばかり」と批判的な声が上がった。
1月12日に東京都内で行った講演では、最近の世論調査で大会開催に対する国民の支持が低いことに触れ、「世論調査はタイミングと条件がある。発表しなくてはならないのか。いま聞かれれば、おおよそこういう数字が出てくる」と主張。報道機関に注文を付けるような発言も目立つ。 

 

 
 
 
 2/5

 

●バッハ会長「森氏謝罪を理解」 政府は進退求めず―女性蔑視発言 2/5
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視とも受け取れる発言をして撤回、謝罪したことについて、橋本聖子五輪担当相は5日の閣議後の記者会見で、4日夜に国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長から「よく理解した」と電話で伝えられたことを明らかにした。橋本氏は森会長辞任を求めない考えも示した。ただ、他の閣僚からは大会への悪影響を懸念する声が相次いだ。
橋本氏によると、バッハ氏は「東京大会の成功に向けて努力してほしい」と協力を求め、橋本氏は「しっかりと準備していく」と応じた。
森会長が辞任を否定したことに関し、橋本氏は会見で「組織委員会が決めることだ。それを政府としてサポートしていく」と述べ、政府から進退を問わないと強調。4日に森会長に直接「あってはならない」と伝えたことをもって、政府としてこれ以上対応しない考えも示した。
加藤勝信官房長官も森会長の進退について「組織委員会において決めることだ」と述べるにとどめた。
一方、小此木八郎国家公安委員長は会見で「本人も反省していると思うが、それと世間、世界からの声は別。厳しいものがある」と指摘。坂本哲志地方創生担当相は「国民全体のモチベーションが下がることがあってはいけないと思い、心配している」と語った。
井上信治科学技術担当相は男女共同参画の重要性を強調し、「日本学術会議の会員も女性を増やしている。そういう取り組みは社会のあらゆる分野で必要だ」と述べた。
公明党の石井啓一幹事長は会見で「猛省してほしい」と述べ、森会長の続投に関しては「首相まで務めた方だから出処進退は自分で判断すると思う」と語った。
●女性蔑視発言 「日本の男女不平等を世界に発信」 JOC山口香理事も批判  2/5
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、女性蔑視とも受け取れる発言をした日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会は、女性理事の積極的な任用についても議論していた。各競技団体などで女性役員を増やすことが求められる中、逆行するような発言に、女性理事の山口香筑波大大学院教授は「日本はまだ男女平等が進んでいないと世界に発信してしまった」と残念がる。(原田遼、飯田孝幸)
五輪精神
「発言を撤回したい。五輪・パラリンピック精神に基づいた大会が開催できるよう努力していきたい」 森氏の謝罪会見では、質問する側、答える側双方から「オリンピック精神」という言葉が繰り返された。国際オリンピック委員会(IOC)は五輪憲章で「男女平等の原則の完全実施」を掲げる。森氏の発言は、憲章に反するとの批判が相次いでいる。6月の理事改選に向けて役員選考の見直し作業を進めてきたJOC。その目的の1つが女性理事の任用で「幅広い視点から議論を行うため、女性理事を積極的に任用できる選考方法を構築する」としている。
女性4割
JOC理事は現在25人いるが女性は5人。JOCはスポーツ庁がまとめた競技団体の運営指針に沿って、女性理事を40%に引き上げる目標を大きく下回っている。森氏が臨時評議員会で「女性理事を選ぶっていうのは文科省がうるさくいうんです」と発言したのは、この動きを指す。評議員会は競技団体の代表や国会議員、大学関係者など63人で構成する。3日の臨時会はこの役員選考方法の見直しが主なテーマで、会場に評議員18人を含む約40人がいたほか、評議員33人がオンラインで参加していた。森氏はJOCの名誉委員の立場で参加。議事終了後に38分間、スピーチした。女性理事任用に関する場面で「女性が入った理事会は時間がかかる」発言があったが、参加者から異論は出なかった。「私が言うと、また悪口を書かれる」と続けると笑いが起こった。
発言「理解できない」
「国内では現状、大会の延期や中止を求める意見が多い。イメージダウンしかねない」。柔道の元世界女王の山口香さんは4日、本紙などの取材に対し、森氏の発言を批判した。山口氏は3日のJOC評議員会にオンラインで参加。森氏の発言を聞き、「すぐに理解できなかった」と困惑。「五輪のホスト国である日本、東京、そこの組織委員会の発言。大会の信用に関わる」と嘆く。山口氏はIOC委員で2017年に死去した岡野俊一郎さんに生前、「五輪やワールドカップ(W杯)の開催は世界に窓を開くこと。日本の文化、風習でいいことも、世界に合わないことも見られてしまう。変わらないといけない」と聞かされたという。「欧米に比べて、ジェンダーバイアス(性別の固定観念)が強く残っている」と感じていた山口氏。招致をきっかけに政府とともに女性活躍を推進し、「一歩一歩努力して改善に向かってきた」と感じていただけに「理解できない」と失望は大きい。スポーツ界をつかさどるJOCの立場として「開催に向けてオープンな議論をして、機運を高めるしかない」と話した。
●森喜朗会長の女性蔑視発言/一夜明けの釈明、逆効果  2/5
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言に対し、国内外で厳しい批判の声が上がっている。大会への影響を最小限に抑えたい組織委は発言翌日の4日に森氏本人による釈明の場を設けたが、開き直りとも取れる説明にイメージダウンは必至。東京大会の「顔」にふさわしくないとの世論が高まり、辞任圧力が強まる可能性がある。
「ご心配いただいたということであれば、ありがとうございます」。4日午後、東京都中央区の組織委会議室。記者から「責任を取らないことが開催への批判を強めるのでは」と問われた森氏は、いらだちをあらわにした。冒頭で反省の言葉を口にしたのとは裏腹に、厳しい質問には「承っておきます」などと不機嫌な表情で応じた。新型コロナウイルスの感染収束が見通せず、開催に懐疑的な見方が強まっている東京大会。女性蔑視発言への対応を誤れば国民の機運にも影響しかねない−。危機感を抱いた組織委幹部は4日朝に協議し、森氏自身ができるだけ速やかに説明する必要があるとの結論で一致した。これまでも「日本は神の国」「態度を決めていない有権者が寝ていてくれれば」といった失言を繰り返してきた森氏。2日の自民党会合でも「新型コロナがどういう形であろうと必ず開催する。やるかやらないかとの議論ではなく、どうやってやるのかだ」と発言した。開催への強い意欲を示す意図だったとみられるが、いまだに感染が収束せず、多くの重症者や死者が出ている状況の中で国民感情との隔たりを印象付けた。トップの軽率な発言が正念場を迎えている大会に冷や水を浴びせる展開に、組織委の女性理事は「発言は不適切。国民の思いに寄り添って、大会をやろうという方向に持っていかないといけないのに」と苦言を呈した。
五輪憲章はあらゆる差別を禁じており、中でも男女平等の理念は近年、大きな柱の一つになっている。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が主導した改革指針「五輪アジェンダ2020」は参加者の男女比率を同等にする目標を掲げ、男女混合の団体種目採用も奨励。24年パリ五輪では史上初めて男女同数が見込まれている。五輪の理念を真っ向から否定する発言は多言語で転電され、瞬く間に世界に広がった。森氏の“失言癖”は海外ではあまり知られておらず、米紙ワシントン・ポストは「数々の侮辱的発言をしてきた経歴の持ち主」と紹介。オーストラリアの女性権利団体幹部は「性差別的で時代遅れ」と指摘し、米団体の代表はツイッターに「今すぐ辞任すべきだ」と投稿した。批判は日本そのものにも飛び火。米ブルームバーグ通信は「政治機構が世界で最も男性優位な国」と背景を解説。AP通信は五輪に「要らぬ問題がもう一つ」増えたと報じた。
スポーツ文化評論家の玉木正之(たまき・まさゆき)さんは「森氏の説明は口先だけで最悪の内容。発言のどの部分を謝っているのか分からない。スポーツ団体などで女性登用を進めているのに、ジェンダー(社会的性差)問題の認識も全くない」と批判する。「記者から痛いところを突かれると横柄な態度を取り、火消しの会見だったはずが逆に火に油を注いだ。森会長のままでは東京五輪はできないと考えた国民は多かっただろう。早急に辞任し、若い人に譲るべきだ」 
●森喜朗会長の謝罪会見は逆効果?その余波は 2/5
IOCからの電話 
この問題をめぐって5日、新たな動きがありました。橋本五輪担当大臣は、IOCのバッハ会長から4日夜、直接電話があり、森会長の謝罪を「IOCとしてよく理解した」「引き続き東京大会の成功にむけて努力してほしい」と言われたことを明らかにしました。つまりIOCとしては、森会長の謝罪で問題が終わったと考えているとして、これ以上問題視しない考えを伝えました。しかし、森氏の発言とその後の会見は、色々なところで波紋が広がっています。 
小池都知事は先ほど、森会長から「本当に申し訳ない発言を心底撤回する」と言われたといいますが、5日朝には「オリパラを安全安心に進めるのが私のミッションであり、組織委員会としてのミッションであるとすれば、大きな事態に直面している。ボランティア辞退の話やそもそも抗議の電話であったり、たくさん来ていると聞いているので」とも明かしています。
森会長辞任を求める声 
東京都によりますと、4日から数百件の電話があり、ほとんどが森会長の辞任を求める内容だということです。また、組織委員会にも苦情の電話や「ボランティアの辞退の仕方を教えて欲しい」といった問い合わせがきているそうです。約8万人のボランティアが参加する予定で、大会の運営には欠かせない存在です。 
批判の矛先は、4日の謝罪会見での森氏と記者とのやりとりや、態度にも向けられています。森氏が女性理事について「みんなわきまえておられる」と発言しました。「わきまえる」とはその場の状況に応じた言動をする意味ですが、この発言について記者から問われる場面がありました。 
――わきまえるという表現を使われていたが、女性は発言を控える立場だという認識か 
森会長「いや、そういうことでもありません」 
――なぜああいう発言に? 
森会長「場所だとか時間だとかテーマだとかに合わせて話していくことが大事なんじゃないですか。そうしないと会議は前に進まない」 
――それは女性と限る必要ある? 
森会長「だから私も含めてって言ってるじゃないですか」 
――前段の段階で… 
森会長「そういう話はもう聞きたくない」 
このように苛立ちを見せる場面もありました。 
この会見を見た都庁幹部は 「謝罪と撤回だけで済ませれば良かったけれど逆ギレしてたね、会見は逆効果だったんじゃないか」 と述べています。
海外やSNSでも批判相次ぐ
実際に海外メディアからも批判の声が相次いでいます。イギリスでは「謝罪会見の場でも女性差別問題について軽視し続けた」。イスラエルのメディアも「深い後悔は見えず、不本意ながら謝罪しているのは明らかだ。普通なら辞任に値するものだ」としています。スイスの新聞は「その地位を頑なに守りたいようだ」としています。 
さらに、ネット上でも波紋が広がっています。Twitterでは「#Moriresign」(森氏は辞任しろ)というハッシュタグや、「#oldboysclub」(古い男性のグループ)というハッシュタグ。森氏の「わきまえておられる」という発言を皮肉った「#わきまえない女」などの投稿がトレンド入りしています。
オリンピック金メダリストでカナダのIOCの委員でもあるヘイリー・ウィッケンハイザー氏は、自身のTwitterに「朝食ビュッフェのときにこの男を絶対に問い詰めてやる。東京で会いましょう!」と投稿しています。
日本は男女格差後進国?
海外の論調をみますと、世界的にみても日本の女性の社会進出が遅れていることが今回の森会長の発言の背景にあると指摘されています。世界経済フォーラムの最新の報告書によりますと、日本の男女の格差の度合いを示す指数は、153か国中121位です。アメリカよりも低く、アジアでも中国や韓国よりも低いです。
今回の発言は、JOCの評議員会で女性理事の積極的な任用について議論する中で出たものです。JOCは女性理事の比率を40%に引き上げる目標を掲げていますが、現状は25人中女性は5人で、20%と大きく下回っています。40%という数字を目標にしている理由は、組織における女性の割合を議論する際に重要な概念として、クリティカル・マスという考え方があるからです。
クリティカル・マスとは「ものごとが大きく変化する分岐点」という意味です。組織の多様性を確保するためには、女性リーダーの割合が最低でも30%は必要とされています。例えば10人のグループのうち女性が1〜2人ですと、過度なプレッシャーがかかったり、発言しにくかったりして、男性に埋もれてしまいます。3人を超えて少数派が一定の数に達すると、少数派であるための居心地の悪さを感じなくなることで、自由に意見が言えて、互いに協力し合って、組織に影響を与えることができてくるといいます。
IOCは五輪憲章で「男女平等の原則の完全実施」を掲げています。性別に限らず、人種や国籍などあらゆる面での多様性を尊重しようという世界的な潮流の中で、発言の撤回と謝罪だけで幕引きとできるのか、信頼回復に向けた組織委員会の今後の対応が注目されます。 

 

 
 
 
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●「女性蔑視発言」に、各国大使館が「抗議の男女平等ツイート」始める 2/6 
2月5日の午後以降、各国の駐日大使館やそれに類する機関の公式ツイッターアカウントが、こんなハッシュタグをつけたツイートを始めた。
最初のツイートは、駐日ドイツ大使館によるものと見られる。午後1時、冒頭のハッシュタグとともに、2枚の写真を投稿した。一枚は、同大使館の女性職員と見られる人たちが集まり、手を挙げている写真、もう一枚は男性の職員も一緒になって同じポーズをとっている写真だ。同日の深夜には1万を超える「いいね」がついている。
駐日フィンランド大使館も続いた。午後5時1分に行われた投稿には、上記のハッシュタグとともに、ドイツ大使館と同じように、職員が片手を挙げる写真が添付されている。
明言こそされていないものの、これらのツイートは、森喜朗・東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の「女性蔑視発言」に対する抗議と考えるのが妥当だ。
東京五輪組織委員会の委員長という極めて公共性の高い立場にいる人物による差別的な発言は、世界に波紋を広げ、海外メディアからも批判の声が上がっていたが、駐日大使館からも抗議の声が上がったかたちだ。
ツイートをしたのはフィンランド大使館だけではない。
駐日欧州連合代表部も午後5時12分にハッシュタグと写真をツイート。駐日アイルランド大使館も午後6時20分、欧州連合代表部のツイートを引用リツイートするかたちで、〈アイルランド大使館は、駐日欧州連合代表部およびEU加盟各国の駐日大使館とともに、#DontBeSilent イニシアティブに賛同します〉とした。
ほかにも、スウェーデン大使館、ポルトガル大使館がツイート、さらには、国連広報センターのアカウントも、同様の投稿をしている。
2月4日に自身の発言について「謝罪」会見を行った森会長だが、その場で質問をした記者に対して「あんんたの話は聞きたくない」などと逆ギレして、さらなる批判を浴びていた。
橋本聖子五輪担当大臣はこの会見の翌日、IOCのバッハ会長が2月4日の夜に、森会長の発言と謝罪について「よく理解した」と電話をしてきたことを明かしている。バッハ会長の「鶴の一声」によって問題を収束させたいのだろうが、逆ギレ会見によって国際的な批判の声はさらに大きくなっているのである。
日本政府の対応が国際的な批判に火をつけた部分もあるだろう。加藤勝信官房長官は、2月4日の会見で、「森会長の発言内容の詳細について承知していない」「政府として具体的なコメントは避けたい」と述べており、注意をするどころか、現状を認めることすらできなかった。
菅義偉首相はどうか。菅首相もやはり、同日の衆議院予算委員会で、枝野幸男・立憲民主党代表の質問に答えるかたちで、「森会長が発言した内容の詳細については承知しておりません」としている。
場内がどよめくと「詳細については承知していないということです」と続け、「スポーツ分野においても、女性の社会参画は極めて大事だというふうに思っております」と述べた。
政府のトップが自民党のボスに「忖度」をして、批判をできないでいるために、日本は国際的な信頼を失っている。 
●森喜朗さん、男の本音に非難続々で「男的世界」は変えられるか 2/6 
東京五輪パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(元総理)の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議会(2月3日)での発言が、国内外のメディアで取り上げられて、「日本はやっぱり女性後進国のように思われて残念」、「オリンピックの精神に反している」など、さまざまな批判の声が上がっています。“老害”だから辞任しろ、という運動も……。
また、やっちゃった
「女性がたくさん入っている理事会の会議は、時間がかかります」「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」などと発言したというニュースを聞いた時、思わず、森さん、また、やっちゃったな、と笑っちゃいました。
なにしろ、総理在任中の2000年、総選挙の際して無党派は「寝てしまってくれればいいい」と言った人です。総理や政治家は、投票を勧める立場でなければなりません。本心では、野党に投票しそうな無党派には投票に行って欲しくないと思っていても、口に出してはいけないでしょう。なんて、正直な人でしょう。
そのほかにも、森さんの失言というか、本音の問題発言は何度もメディアを賑わしてきたので、「女性の多い理事会の会議は時間がかかる」発言も、またか、と思ったわけです。
男の本音を体現した森発言
スポーツ界は、根性論が幅をきかし、選手は男性で女性はマネージャーなどのケアワークが多い部活もあり、どちらかと言えば、男社会の風潮が色濃く残っている世界にみえます。ジェンダーバイアスに日々接していて、それをなんとか取り除こうと声を上げている女性たちにとって、今回の発言には怒りと残念な思いが吹き出たのも当然でしょう。
ただ私は、森さん、よくぞ言ってくれた、とも思ったのです。
会議の席で発言すると、「だから、女は困る」「いちいち、説明しなくても、議長がそういったんだから、いいじやないか」という形で議論を遮られる。女は黙っていろと言わんばかりの言動を投げられた女性は多いはずです。森さんだけでなく、女性が意見を言う場にいることを好まない男性は少なくない。
本音は、みな森さんと似たりよったり。だから、森さん、また、やった、というより、よく言ってくれた、という思い。逆説的ですが、女は困るよなという本音が、女性たちの怒りを呼ぶだけでなく、スポーツ界の「昭和の男的世界」を変えなくちゃという動きを加速させることができるからです。
実際、「森発言」はさっそく世界から揶揄(やゆ)され、非難されています。日本は外圧に弱いですから、スポーツ界がこれで少しは、多様性を重んじる方向に変わるかもしれない。男たちの本音を体現した森発言が、良いきっかけになればと思います。
森さんと私との縁
こんな森さんですが、私とは縁もあります。
国会議員だった時、母子家庭の母親と子どもたちが困窮しているのをなんとかしたい、母親の就労支援ができないかと、議員立法に奔走したことがありました。まだ、子どもの貧困は話題になっておらず、子ども食堂もなかった頃です。
国会議員の中には、勝手に離婚しておいて、そんな母子家庭に支援などいらないと思っている人がいて、思っているだけでなく、言葉に出す人もいました。そういう人が、議員立法の成否を握る地位にいて、あと何日かで国会の会期が終わり、廃案になってしまうという時、私は森さんに会いに行ったんです。
森さんは、離婚せざるを得ない女性たちの状況、女性が自立して食べていくのが厳しいこの日本の状況に耳を傾け、就労支援の必要性に理解を示してくれました。なにより、母親が大変だと子どもたちに影響を及ぼすことを案じていました。反対している議員とかけあい、数日後、法案は無事、国会を通過しました。
森さんを庇(かば)うつもりはありません。ただ、ジェンダーバイアスをなくしたいと言い続け、こういう連載もしている身ではありますが、ジェンダー平等に反するような発言といえども、それを封じ込める風潮に、私は抵抗を覚えます。「モノ言えば唇寒し」の状況になることのほうが怖い。
権力者のジェンダー意識の希薄さが見えて……
さて、森さんはJOCの臨時評議会で、組織委員会の女性について「みんなわきまえておられて」とも発言したそうで、これまた問題になっています。
「わきまえる」というのは、まわりに忖度して、あまり自己主張しないという意味にもなる。公平性を重視して、ルールを守り、周りの人と協調するのが、「わきまえた人」の取る行動だとは思いますが、大事なことを決める会議で議論しなきゃいけない時、おとなしく何も発言しないのはいいとは思えません。しかし、ものを決めている人からすれば、なんであれ反論する人は「わきまえない人」と思われてしまうのでしょうか。
私もまた、わきまえない女性と思われていたのでしょう。テロ特措法に反対して、菅直人さん(当時、民主党幹事長だった)に注意を受け、「またやると除名だ」とまで言われたものでした。某議員から、いつもとんがってないで、名前のように「まるく」(円く)なってほしいと言われたこともありました。その場ですぐに反論したのが、一昨年亡くなった文化人類学者の原ひろ子さん。「だめよ、まるくなっちゃ。円さんは今のままでいいのよ」と。
まるくなるのも、わきまえるのも、良い意味に使われることもありますが、ジェンダーバイアスが強い現状だからこそ、まるくなれとか、わきまえろという言葉に、権力を持つ側のジェンダー意識の希薄さが見えて、問題視されるのです。
社会的文化的性差から自由になる
ジェンダーといえば、かつて「ジェンダーフリーの社会をめざして」という小冊子を出した時、ジェンダーって何? と言われたのはまだしも、フリーセックスかと揶揄(やゆ)されたのを覚えています。小冊子を出したのは1999年。参議院の法務委員会の質疑で、弁護士、裁判官、検事になるための勉強をする司法研修所でもジェンダーの視点を取り入れて欲しいと言った時、法務省のお役人が「ジェンダーってなんですか?」というような時代でした。
「うまれつきの性と違って、生育過程で刷り込まれる社会的文化的性差」のことと説明してもわかりにくいし、一言でわかる日本語訳語もない。「おっかない」女性の側が差別だと異議申し立てをしているらしいという風潮が広まり、ジェンダーバイアスを改めようという動きより、ジェンダーバッシングが強くなりました。
男らしさ、女らしさにとらわれないでと主張し、法制度を変えようと運動するフェミニストたちは、「トイレも男女一緒にしろとか、ひな祭りはやめてしまえと言っている。日本文化や伝統を破壊する危険思想の持ち主だ。彼女たちの話は聞くな」と、危険分子扱いされました。ひな祭りをやめろなんて言ってないし、トイレを男女一緒だなんてとんでもないと思っているのに……。
男は仕事、女は家事といった固定的性別役割にとらわれないようにしたい。その固定観念が、男女の賃金や昇進差別などあらゆる生きにくさに繋がっているから、社会的文化的性差であるジェンダーから自由になろうというのがジェンダーフリーです。この、性による差別からくる不利益をなくしていく考え方は、今は女性の側に不利益が多いことから、男性側からの抵抗が大きいようですが、実は男性も男らしさへの要求におしつぶされていることだってあるはずです。
洋裁学校に入れなかった高田賢三さん
昨年、デザイナーの高田賢三さんが、在住地のパリで新型コロナウイルスに感染して亡くなりました。洋裁学校に通っていた姉に感化された彼は、姉と同じ学校に入りたいと思ったのですが、当時は女子の募集しかなかったそうです。その後、東京の文化服装学院が男子を募集していることを知るのですが、洋裁は女と、決めつけているような時代があったのですね。
男と女で教育も違えば当然、仕事も違ってくる。高田さんがめげずにデザイナーの道に進んで、ほんとうによかったと思います。あのステキな洋服がなかったと思うと、寂しいですからね。
仕事を続けたいのに、「嫁に行くのが一番の幸せだ」と言われる女性も辛いけど、稼げる男でないと男じゃないと蔑まれる男性も、辛いと思います。男性にとっても、ジェンダーから自由になることで、生きやすくなるのではないでしょうか。
スポーツ界のもっと悩ましい男女問題
それでも、昨今、このジェンダーフリーの動きは、世界各国、さまざまな分野で始まってはいます。
まだ十分とは言えませんが、LBGTの人たちへの配慮も、確実に広がってきました。生まれつきの性と前述しましたが、生まれた時から女性として育てられても、自分は男性だとしか思えない人もいる。そういう人たちの生き辛さを解消するのもジェンダーフリーです。多様性の尊重とも言えます。
これに対し、スポーツ界は依然、男女をはっきり分けています。身体的能力差が男女にはあるとして、ほとんどが男女別々の競技になっています。それもあって、男社会的風潮が色濃く残ってしまうのでしょうか。
南アフリカにキャスター・セメンヤという女性がいます。彼女は男性に多いホルモンのテストステロンが平均的女性の約3倍もあり、規則上、国際大会では400mから1マイルまでの競技に出られないのだそうです。東京五輪の800mに出場すれば金メダル候補と言われている彼女にとって、医学的数値だけで女ではないときめつけるのは酷過ぎます。
もし男性として生まれ、男性としての高い身体能力を持った人が性転換したら、女性として競技に参加できるのでしょうか。女性理事が多いと会議の時間が長くなるなんてことを言っている場合ではない。スポーツ界には、男女にかかわるもっと悩ましい問題が山積しています。その解決のために、それこそ男性、女性がこぞって知恵をしぼらなければならないのです。 
●森会長“女性蔑視”発言は何が最悪なのか? 2/6
またしても、としか言いようがありません。東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗・元内閣総理大臣から失言、それも「女性蔑視」という、まことに本音臭ぷんぷんたるものが飛び出しました。「カミの国」発言など、失言の多いこの人らしく、例によって国際規模で問題になっています。当然、国内、与党内からも総スカン状態になっている。
2月3日に開かれた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、森会長はまず「女性理事を4割というのは文科省がうるさく言うんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」と発言。
これでやめておけばまだよかったのですが、長々とその後自説を開陳してしまいます。
「女性っていうのは優れているところですが競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね」
「あまり言うと(中略)俺がまた(女性の)悪口言ったとなるけど、女性を(中略)増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困る。(中略)誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります」
そして、とどのつまり次のような発言が飛び出しました。
「私どもの組織委員会にも、女性は(中略)7人くらいおられますが(中略)みんな競技団体からのご出身で国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですからお話もきちんとした的を射て、(中略)非常にわれわれに役立っていますが、欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになるわけです」
つまり、男性理事は場所をわきまえているから発言が短いが、女性理事についてだけ「発言の時間をある程度規制」といった明らかな「性差別」から、「女性は(男性より)競争意識が強い」といった、およそ科学的根拠のない虚妄まで、女性蔑視というよりジェンダーバランスが最初から最後まで崩れまくった妄言です。
もっとも話者の本音がそのまま出た、というだけとも言えそうです。
こんなことを言えば当然ですが、国際社会を含め四方八方から「辞めろコール」が噴出。予想される通り、辞任は否定しつつ、深く反省したり、「陳謝」して「これで解決」と称しているわけですが・・・。
そんな謝罪では、日光猿軍団の反省ポーズほどの説得力もないわけで、問題の根幹はもっと別のところにあると指摘する必要があります。
男女は同じ生き物か?
これは客観的な観点から非常に明確に言えることですが、男と女は生物として違う存在です。
雌雄同体でない生物種では、オスはいくら頑張ってもメスのように産むことはできない。オトコが「生まざる性」であるのは、人間も例外ではありません。
それ以外にも、私個人は、「男と女は本当に違う生き物だなぁ」と痛感することが、率直に山のようにあります。
卑近なところでは「家の中では女の言うことには逆らわない方が無難」みたいなことも含め(冷汗)、善くも悪しくも私は男性でありますから、オトコのバイアスがかかったものの見方しかできないとも思います。
あるいは「男性蔑視」という言葉があるか分かりませんが、そう感じることがあります。
私個人は「嫉妬」というのは・・・「嫉」も「妬」も「おんな偏」がついているけれど、男女でいえば、よほど男の嫉妬の方が「長く続き」「陰湿で」「メメシイ」(これも「女」という漢字を使うことがありますが、男の方がよほどコレはヒドイと思うので)ように思います。
もちろん、これは数限られた私の体験に基づく主観的印象に過ぎません。
しかし、人間関係が崩れた時、ペキッとひびが入ると、スカッとどうでもよくなるのは、むしろ女性の方で、いつまでもだらだらと尾を引くのは男の専売特許のように思うのは、私一人でしょうか。
こういった考察は、あらぬ「男性蔑視」批判なども回避するべく、深追いしないことにしておきましょう。
ともあれ、森会長の発言が「最悪」であることは論を俟たないとして、それが「女性蔑視」であるかどうかは、よく分からない。
というか、「鮫」などの単語も登場し、様々な武勇伝(?)の伝わる森氏のイメージから「蔑視」という間違ったフレーズがついているように思います。
これは「女性蔑視」などではない。純然たる「女性差別」というのが現実ではないか?
そのように考えます。具体的に検討してみましょう。
もし、ある理事会で、例えば衆議院や参議院の何らかの理事会で女性の国会議員だけ発言時間を制限するというようなことがあったら、これは何に相当するか?
「蔑視」なんて生易しい話ではなく、完全に憲法に抵触する「性差別」以外の何物でもありません。
男女雇用機会均等法が施行されたのが昭和60(1985)年。すでに36年も経過していながら、曲りなりにも内閣総理大臣を経験したはずの人物の本音がこれでは・・・。
いまさら驚きもしませんが、この国は一体どこにどういう本音を温存しているのかと、ただただ呆れるばかりです。
そういう「女性差別」やら「女性蔑視」以上に、さらに森会長発言がはらむ本質的問題は別のところにもあるように思うのです。
「結論ありき」の談合政治で、ほぼ沈没しつつある、この社会の癌こそが病巣の本体だと思うのです。
黒いカラスも白くなる ヤクザの行動原理と無内容な儀式
もう一度、森会長の問題発言を、先ほど「中略」とした部分も今度は補って、確認してみましょう。
「・・・だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかる。女性がなんと(中略)(笑いが起きる)5人います」
森会長は、女性理事が多いからよくない、と言っているわけではない。女性理事が多いと、みな発言したがり、結果的に会議の時間が2倍にも長くなる。それがよろしくないと言っている。
確かに、時間のかかりすぎる会議が良いとは思いません。しかし、私のごく限られた社会経験、端的には、東京大学という大学内での異なる学部や部署、大学院研究科での会議を比較してみると、会議が長いか、短いかは、圧倒的にその部署の慣習に依存しています。
ジェンダーはほぼ無関係というか、非常に時間をかける男性群像と、さっさと終える男性群像に大別されます。
女性についてももちろん、寸鉄人を殺す人もあれば、かなり悠長に話す人も思い浮かびますが、会議で長口舌のワースト3を考えても、5、10を考えても、男しか思い浮かびません。
それくらい、アカデミアには女性が少ないということを反映しているだけですが、女性が増えたからといって会議の時間が伸びるとは、少なくとも大学研究機関に関しては全く思いません。
森会長が、ある種のいら立ちとともに言っているのは、シャンシャン総会的な「ヨキニハカラエ」が通用しないことへのクレームなのではないか?
つまり、あれこれ異見を差し挟まず、あらかじめ準備された結論ありきで、実質的な議論の場など一切念頭にないシナリオからずれることを「恥ずかしい」と言っているのではないか?
もしそうであるとしたら、これは「ヤクザの行動原理」に近いものと言わざるを得ません。
つまり「親分がシロといえば、黒いカラスも白くなる」という「統率」がとれていることが任侠団体としては重要ですから、それができていないのが「恥ずかしい」というのはよく分かる話です。
しかし、こういうのをいい加減やめないと日本の未来はありません。
五輪など論外であって(私はまともな開催ができるとは2020年3月時点で思っていません)、いま、政府の「コロナ対策」が、およそ奏功することなく、ついに自民党内からも、こんな堂々巡りの先延ばしばかり繰り返していたら「このやり方では事態は改善しない可能性がある」(細田派会長が政府のコロナ対策に苦言と、最大派閥の長、細田博之元幹事長からすら、三行半を突き付けられる事態になっているのではないか?
日本社会が死に至る病、「がん」の病巣の一つが、ここにあるといっても過言ではないでしょう。
実質のある議論をしていたら、男性が話が長いとか短いとか、女性の発言時間は区切るべきだとか、そもそもそういう、一切中身のない本音が出てくるわけがないのだから。
形骸化した「理事会」の身振りとポーズ、手続きだけで、本質的に有用な中身の検討など一切行われず、最初から準備された「結論ありき」の「おまじない儀式」。
そして緩やかに、でも確実に訪れる社会の「死」。
こういうものをやめない限り、この動かない日本は、もうどうにもならないように思われます。
東京五輪は単に中止、莫大な借金をどうするかという、予想される最悪のシナリオに迷い込むだけだと容易に予想されるわけです。
死に至る病を回避することは、できないのでしょうか? 
 
 
 
 
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●森会長、女性蔑視発言への有名人コメント 「本当に頭が悪い」 2/7
東京五輪組織委員会の森喜朗会長が、2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」など女性蔑視とも取れる発言をして波紋が広がっている。森会長は2月4日の会見では「五輪・パラリンピックの精神に反する不適切な表現だった」と謝罪し、発言を撤回するとした一方、テレビで生中継された会見での逆ギレ態度で、火に油を注いだ形となっている。総理大臣時代から失言の多い森会長について、多くの著名人が反応。
ダウンタウン松本人志 / 「そもそも浮世離れした方じゃないですか。それがどんどん浮世との距離がさらに開いていってるっていう気はしますね。謝罪会見が思い切りバックギアに入れて、けっこうアクセル踏んじゃってますもんね」(2月7日『ワイドナショー』)
和田アキ子 / 「普段なら(森会長が)83歳で、まあまあって『つい言っちゃった』って新聞も持ちつ持たれつみたいなところがある。でも、コロナ禍でオリンピックを開催するかしないかで、世界が日本を気にしている。(そこで森)会長が女性蔑視の言葉を使ったってことは世界中が『何を言ってるんだ』って。今の時期にこれはマズイ」(2月7日『アッコにおまかせ!』)
爆笑問題・太田光 / 「『老害』って言葉は嫌だなと思うが、森さんがあの場で言ったのは自分が言われてるのを意識してるんでしょうね。『老害から粗大ごみになったら掃かれるしかない』も、森さんは辞任する気はないけど、解任されるのはしょうがないと言ってると思う」(2月7日『サンデー・ジャポン』)
鈴木紗理奈 / 「メチャメチャ不快ですね。どうしてこういう考えの方が会長をできるのかなって。支持している方も疑問ですし、こんな時代はとっくに終わっているんですよ! わきまえない女として発言させていただくと、『時代はこんな流れだよ、今はこうだよ』って森さんに説明するほうが、よっぽど時間かかるからやめてほしいです。 この問題で話し合わなければいけないことが飛ばされて。おっさんにかける時間の方がかかっとるのじゃ、時間が!」(2月7日『サンデー・ジャポン』)
元大阪府知事の橋下徹氏 / 「7年ちょっとにわたって、五輪のものすごい大変な準備業務をやっていたわけですよ。その点については、われわれ国民は感謝しないといけない。ただ、今回の発言は世界に対し通用しないし、アスリートの気分も害したと思うし、国民の気分をちょっとなえさせた。五輪は国民の祭りなので、ここは政治の知恵で森さんには一歩引いてもらって。森さんの実力、政治折衝の力はこれからも必要ですから、そこのポジションでやってもらいながら、看板的な部分はちょっと別の人を迎えるという政治の知恵が必要なんじゃないかな」(2月7日『日曜報道 THE PRIME』)
ビートたけし / 「森さんは本当に頭悪いよな。あれ、女も男も間抜けな人はいます、と言えばそれまでのこと。女だけに限定するからいけない。要するに、話をまとめられないやつがいるから、女も男もそういうやつがしゃべると話が長くなる。(女性だけを)言うからこういうことになる」(2月6日『情報7days ニュースキャスター』)
徳光和夫 / 「森さんの話が一番長かったですね。話すと非常に長くて、自分だけ話して、あんまり人の話を聞かないみたいなところがあるんです。人柄は、決して悪い人じゃありません。むしろいい人の部類に入る。松井秀喜なんかはお世話になった石川県が誇る大政治家だと思うんです。森さん、潔さをぜひ見せて、勝手に発言させてもらうんですが、まったく他の理由をつけずに、“申し訳ありません。退かせていただきます”って言ったら、カッコイイと思いますね」(2月6日『徳光和夫とくモリ!歌謡サタデー』)
テレビ東京・大江麻理子 / 「性別だけではなくて国籍もそうですし、人種も職業も学歴もカテゴリーでまとめて語ってしまうと決めつけになってしまいます。そうではなくて……差別や偏見を生み出すことにつながりかねないので、そういうことは無意味だからやめよう、というのが今の社会だと思うんですよね。私は、ふだん自分の意見をあまり言わないのですが、今回は言わなければならないなと感じてお伝えさせていただきました」(2月5日『ワールドビジネスサテライト』)
元「2ちゃんねる」管理人ひろゆき氏(西村博之氏) / 「Q:森喜朗さんの逆ギレ会見がなぜ許されるのか? A:橋本聖子五輪大臣が更迭しないから。橋本氏は女性活躍担当大臣も兼務してるのに、自民党内での自身の地位を、女性全体の立場向上より優先しています。女性の敵は女性という実例がまた増えましたね。更迭はよ」(2月5日ツイッター)
古舘伊知郎 / 「ウケると思ったんだろうね。もうさ、『男社会のシーラカンス』。森さんは『歩く博物館』で『ミスター男社会の生き残り』な感じがする。森さんは実はエポックメイキングの人。2000年に密室政治で総理になったんだよ。小渕(恵三)さんの後でいろいろあってね。森さんがさんざん言われて、その後から総裁選になったでしょ。小泉(純一郎)さん以降。今回は国際的にこんなに袋叩きにあってる。もう男社会にとどめを刺して、これから女性議員が増えますよ。国際的にこれだけ騒がれたってことは、これで男社会とはおさらば。男女平等、女性の本来的な強さがちゃんと真っ当に出てくる時代になりますから。だから森さんはエポックメーカーでしょ。大したもんでしょ!」(2月5日『古舘伊知郎のオールナイトニッポンGOLD』)
厚切りジェイソン / 「米国は特に敏感になっている。差別問題の失言ひとつで仕事ができなくなるようなシビアな状況ではありますし、そういう人たちは本当に社会に出てほしくないという流れになってます。日本は国として女性を差別する国なんだと見られてる。それは森さんが辞任したって変わらない。大変な状況になっている」(2月5日『ひるおび!』)
小倉智昭 / 「昨日の謝罪会見は、逆に居直り会見のように見えてしまって、森さんもこれじゃあ損だな、っていうふうに見てましたが。茶飲み話でもこういう話をすると、いま非難される時代。公式の場でこういうことをお話しになってしまったわけで。世界の潮流として性差別の問題っていうのが大きく取り上げられていますから」(2月5日『とくダネ!』)
吉田沙保里 / 「レスリングも女子が五輪に参加できたのは、2004年のアテネ五輪からで、ようやく性別に関係なく五輪の素晴らしさを実感していたので、このような発言は残念だなと思います。五輪の開催予定日まで半年を切っているんですが、いまだに開催されるかどうかわからない状況に、選手たちが一番不安になっていて。それでも選手たちは開催されることを信じて頑張っています。選手の気持ちを思うと、本当につらいですね」(2月5日『ZIP!』)
EXITりんたろー / 「森会長の会見を見ていると『俺が代弁してやってんだ』と思っているのではないかという印象すら感じた。このままでは『政治はおじさんのもの』であり続けてしまうし、世間とのズレや距離は埋まらないままだと思う」(2月4日『AbemaPrime』)
EXIT兼近大樹 / 「こういう会見を見ると、普段から女性の方ってめちゃくちゃ我慢しているんだと感じた。女性たちの我慢によって、偉い方は責められることがないからこういう発言が出るんだと思う。権力あるおじさんは、常にまわりの女性に我慢させて生きているんだと思う」(2月4日『AbemaPrime』)
坂上忍 / 「呆れるしかない。男女平等に関しても政治の世界が一番遅れてる。謝罪っていうのはペーパー読んで全然かまわないと思うんです。ただ、ああいった会見って、一番大事なのは質疑応答になったときにその人の人間性だったり本音だったりが透けて見えてくる」(2月4日『バイキングMORE』)
海外の通信社も大きく取り上げている森会長の失言騒動。今後の去就に注目したい。 
●森会長の女性蔑視発言に潜む昭和カルチャー 2/7
昭和的で時代遅れ、そして裸の王様―。東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会会長、森喜朗氏(83)が女性を蔑視する発言をした。世界女性スポーツ会議でかつて共同議長を務めた順天堂大学女性スポーツ研究センター長の小笠原悦子さん(62)は「海外だったら絶対に許されない。仰天したと思う。あの失言は即クビのレベル」と語った。森氏の進退そのものは事の本質ではないとする一方で、女性とスポーツの分野に深く関わる日本の第一人者の言葉は厳しい。
森氏は2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会に出席した際に「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」と話し、自身が率いる組織委で7人いる女性理事については「みんなわきまえておられて」と述べた。小笠原さんは「昭和のどこかで止まっていると思う。時代はものすごいスピードで変わっているのにアップデートできていない」と断じた。
リーダーが発言する際は背負う肩書きを意識すべきだという。「会長としての言葉に何を期待されているか。五輪はそんなに軽いものではない」と指摘した。「ある意味で裸の王様。自分の言うことだけを聞く人を置いて、誰も進言しないカルチャー。上が言ったことに対して、はい、というのが会議像という意識なのでは」と述べ、とがめる人材が周りにいないことも一因だとした。
急カーブに気付かず
欧米の有力メディアが報じただけでなく、SNSなども通じて海外からの批判に火が付いた。東京が五輪を招致したがゆえ、世界は高く設定した国際的な基準を通して日本を見ているからだと小笠原さんは言う。五輪憲章には根本原則として、いかなる差別も認めないとある。国際オリンピック委員会(IOC)の改革案、アジェンダ2020の第11提言には男女平等の推進が明記されている。「世界では書いてあることは実現するのが価値観としてあり、守らなければ責任を取る。昭和的な日本は書いてさえおけばいいという感覚。このギャップに気付いていない」と嘆いた。
スポーツ庁が2019年に示した中央競技団体への指針では、女性理事40%以上の目標が設定された。森氏は4日の釈明会見で「(女性比率の)数字にこだわって無理をしない方がいい」と言ったが、世界女性スポーツ会議を主催する国際団体のアジア代表も務める小笠原さんからすれば、40%という数字すら「時代遅れ」であり、「世界ではもっと細かいところに焦点がある」と言う。
1994年の世界女性スポーツ会議初会合で、スポーツのあらゆる分野での女性参加を求めた「ブライトン宣言」が採択された。改定を経て約27年が過ぎ、先進的なカナダではスポーツ界のジェンダー・イクオリティ(男女平等)に多額の予算が付いているという。小笠原さんは「世界ではみんなが神経をとがらせているのに(日本は)急カーブに気付いていなかった」と振り返る。
進退よりも、変革を
海外からの批判には怒りが含まれ、小笠原さんは「恥ずかしい思いをした」という。国内における批判の矛先は森氏の進退に向くが「会長を辞めさせることが焦点ではない」と言った。日本のスポーツ界に根深く残る男女不平等があぶり出されたのであり、「人が変わればできる問題ではない。何をすれば世界的に評価されるか。そこに焦点を合わせてほしい」と早急な変革を求めた。(時事通信運動部・和田隆文)  
 
 
 
 
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●森会長の女性蔑視発言巡り 再発防止など求める署名13万超  2/8
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の女性蔑視と取れる発言を受けて、森会長の処遇の検討や再発防止などを求める署名活動が行われていて、8日までに13万人を超える広がりをみせています。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長は先週「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、その後、撤回、謝罪しました。
署名活動は、ジェンダー平等の推進に取り組む20代の女性3人が中心となって今月4日からインターネット上で行われ、8日午後5時の時点で13万5000を超える署名が集まっています。
この中では、発言は女性への偏見、差別であり容認できないとして、日本オリンピック委員会などに対し、森会長の処遇の検討や、こうした発言が繰り返されないための具体的な再発防止策の実施、それにスポーツ庁の指針に沿い、女性理事の割合を40%以上にすることを求めています。
これに関連して、賛同する女性25人が意見を表明する動画が配信され、この中では「私自身もわきまえて容認してきてしまった。今回の発言を社会全体で考え直す機会にしたい」といった声が寄せられ、7万回以上再生されているということです。
署名を呼びかけた1人の、山本和奈さんは「個人だけの問題にせず、組織委員会にもしっかり向き合ってほしい。日本社会では男女関わらず、わきまえないと仕事がしにくい場面があることに気付き、声を上げやすい社会を作る機会にしていきたい」と話していました。 
●東京五輪開催「科学で判断を」 菅首相とも協議―米大統領 2/8
バイデン米大統領は7日、今夏の東京五輪・パラリンピックについて「安全に開催できるかどうかは、科学に基づくべきだ。そうなる(安全に開催できる)ことを祈っている」と述べた。米政府は五輪開催や米選手団派遣に関し「今のところ協議していない」(サキ大統領報道官)という立場で、バイデン氏が直接言及したのは大統領就任後初めて。
米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の王座決定戦、スーパーボウルのハーフタイムに行われたラジオのインタビューで、バイデン氏は五輪開催について「日本の(菅義偉)首相と話した。彼は安全に開催できるよう、懸命に頑張っている」と指摘した。日本時間の1月28日に行われた日米首脳の電話会談後、日本側は五輪・パラリンピック開催は話題に上らなかったと説明している。 
●反性差別で具体策検討へ 森会長発言受け―JOC 2/8
日本オリンピック委員会(JOC)は8日、東京都内で総務常任委員会を開き、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視と取れる発言をしたことを受け、JOCとして性差別に反対する姿勢を改めて打ち出す方針を確認した。19日に予定される理事会で具体策を検討する。
総務本部長を務める松丸喜一郎JOC副会長は、森会長の発言について「五輪憲章の根本原則に反する発言だった」との見解を示した上で、「五輪ムーブメントを推進するのがわれわれの役割。JOCは差別について対応しない組織だと誤解があってはいけない」と述べた。  
●森会長の“女性蔑視”発言、二階幹事長「問題ない」 2/8
東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森会長の発言を巡り自民党の二階幹事長は“撤回されたので問題ない”との見方を示しました。
「撤回をもう既にされたことでありますし、問題はないと思います。森会長にもそこは1つ周囲の期待に応えて、しっかりやっていただきたい」(自民党 二階俊博幹事長)
自民党の二階幹事長はこのように述べ、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言した森会長に続投を求めました。
また、大会ボランティアの辞退が相次いでいる状況については「事態が落ち着けば、その人たちの考えも変わる」と述べる一方、「どうしてもお辞めになりたいということだったらまた新たなボランティアを募集する、追加するということにならざるを得ない」と語りました。 
●二階氏が森会長を擁護 「撤回したので問題ない」 2/8
森会長の発言について、自民党の二階幹事長は発言を撤回したので問題はないとしたうえで、辞任する必要はないという認識を示しました。
自民党・二階幹事長:「私は撤回したということで、それでいいんじゃないかと思っています」「(Q.(五輪)開催に対する影響は?)撤回はもうすでにされたことでありますし、問題はないと思います」
また、ボランティアの辞退が相次いでいるので、森会長が辞任すべきだとの考えについては次のように答えました。
自民党・二階幹事長:「(ボランティアが)すぐやめちゃいましょうかなんてことは一時、瞬間に言ってもね、そんなことではなくて、協力して立派に仕上げましょうということになるんではないかと思います。森会長にもそこは一つ周囲の期待に応えてしっかりやって頂きたい」 
●東京五輪・パラのボランティア440人が辞退、森会長の失言影響か  2/8
東京五輪・パラリンピック組織委員会は8日、4日以降に約390人が大会ボランティアへの辞退を、2人が聖火リレーランナーへの辞退をそれぞれ申し出たと発表した。組織委は辞退理由を公表していないが、3日に森喜朗会長が女性蔑視の発言をした影響とみられる。
またこの5日間、組織委への問い合わせは電話、メール合わせて約4550件に上った。
組織委は競技会場で活動する大会ボランティアを約8万人採用したが、森氏発言の以前にも大会の延期で都合がつかなくなったり、新型コロナウイルス感染症対策への不安などで辞退者が続出。組織委は現在の参加人数を明らかにしていない。
一方、東京都も8日、森氏発言を巡り、都が募集した道案内などのための都市ボランティア(約3万人)の辞退申し出が53人になったと発表した。都庁への苦情や抗議の電話・メールは8日午後5時の時点で計1162件に上った。 
●二階幹事長 森会長の女性蔑視発言は「そんなこと」  2/8
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言を巡り、自民党の二階俊博幹事長は8日の記者会見で、大会ボランティアに辞退を申し出る動きが出ていることについて「そんなことですぐ辞めると瞬間には言っても、協力して立派に(大会を)仕上げましょうとなるのではないか」と述べた。党はその後、「『そんなこと』は『そのようなこと』に訂正する」と文書で記者側に通知した。
二階氏は「どうしてもお辞めになりたいということだったら、また新たなボランティアを募集、追加せざるを得ない」とも話した。森氏の辞任を求める声が強まっていることに関しては「周囲の期待に応えてしっかりやっていただきたい」と語り、辞任の必要はないとの考えを示した。 
 
 
 
 
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●それでも森氏の首に鈴をつけられない自民党の醜態 2/9
中身がない挨拶で女性差別発言
森喜朗氏と言えば、受け狙いで失言を繰り返す政治家として有名だった。短い首相在任中も何度も失言によって批判された。
2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、森氏は会合の最後に挨拶した。出席者が約40分間聞かされたのは、あきれるくらい中身のない話だった。
その内容はまず、「こないだまで悪口は山下さん(JOC会長)ばかりだったんだけど、最近は私か菅さん(首相)とどっちが多いかというぐらい悪者になってますね」「結局オリンピックをさせたくないんですよ」などマスコミへの恨み節。
次は、「私は体協もラグビー協会も本当は、前代未聞のラグビーワールドカップをやったんですから、皆さんがもうちょっと残ってやったらどうかと言ってくれるかなと思っていたが、誰もそうは言ってくれなかった。それでしゃくに障ったんで、九州にいる森(重隆)さんを会長にしたんです」というラグビー協会への恨み節。
そして問題の発言である。
「女性理事を4割というのは、女性がたくさん入っている理事会、理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言います。ラグビー協会は倍の時間がかかる。女性がいま5人か。女性は競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分もやらなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局、女性はそういう、あまり私が言うと、これはまた悪口を言ったと書かれるが、必ずしも数で増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらないと困る」
「私どもの組織委にも、女性は何人いますか。7人くらいおられるが、みんなわきまえておられる」
こんな話を40分間も聞かされた評議委員は、腹が立たないのだろうか。女性のところでは笑い声も上がったというのだから、評議委員会にもろくでもない人間が入っているようだ。
田村淳さんの聖火ランナー辞退は当然
失言はこれだけではない。2月2日に自民党本部で行われたスポーツ立国調査会・オリパラ東京大会実施本部の合同役員幹部会に出席した際、聖火ランナーについて「人気のあるタレントはあまり人が集まらないところを走ったらいいじゃないか。田んぼで走ったらいい」などと発言したと言うのだ。お粗末としか言いようがない。
この発言を受け、TBS「グッとラック」のコメンテーターを務めているお笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳氏が、決まっていた聖火ランナーを辞退すると番組内で表明した。私は思わず「偉い!」と声を上げた。
同番組の司会者立川志らく氏も、「(森会長は)自分で東京五輪は無理だって言ってるんですよ。だって、聖火ランナーで人気者が走ったら密になる、これがダメなら、無観客でやるって言ったって、本番のマラソンはいくら無観客にしたって人が集まってくる。マラソンも田んぼで走れって言うのか」と指摘。「言ってることが矛盾だらけ。タレントを小バカにして。お願いしておいて、いくら何でも失礼ですよね」と厳しく批判した。
なかなか立派だった若い記者たち
森氏が釈明の記者会見をやった際の記者の質問もなかなか鋭いものだった。
女性記者が森氏に対して、「(会長職を)辞任をしなければならないと考えたことはあったか」と聞くと、森氏は「ちょっと僕はね、そのマスクをされているとよく聞き取れないので」とマスクを外すよう要求、その後も森氏は別の記者に対してもマスク外しを求めたそうである。このコロナ禍でマスクを外せと要求すること自体、常識外れという他ない。
男性記者の質問もなかなか鋭かった。男性が「いくつかうかがわせてください」と切り出すと、森氏は「1つにしてください」と要求。自身が組織委員会の会長をするのが適任なのかと問われると「さあ? あなたはどう思いますか?」と逆に質問し返した。男性は間髪入れずに「私は適任じゃないと思うんですが」と返答した。恐らく森氏はこう率直に返されるとは思っていなかったはずだ。いろいろな会合で誰も森氏には逆らわないという環境に悪慣れしているからだ。結局、森氏は悔しそうな表情で「そういうふうに承っておきます」というしかなかった。
その後も男性記者は質問をたたみかけたが、森氏は最終的に「面白おかしくしたいから聞いてんだろ?」と遮って退出した。謝罪会見どころか、森という人物の傲慢さ、世間の常識からかけ離れた姿をさらしただけであった。
組織に「余人をもって代え難い」人などいない
だらしないのは山下泰裕JOC会長だ。森氏の女性差別発言はJOCの評議委員会で起きたことだ。森氏は山下会長に臨時評議員会の席上で挨拶をするよう頼まれたと問題発言の中で述べている。山下氏にとって他人事ではない。
山下会長は、「(笑いが起きたのは)女性差別のところではない」と否定したそうだが、評議員会を取材した記者は、その場で笑いが起きたことを確認している。森会長をたしなめる動きがなかった点については、「『ん?』と思った部分もあるが、指摘する機を逸してしまったのが正直な感想」と回答した。森氏に対して指摘する勇気など持ち合わせていないと思う。
山下会長が森氏に逆らうことなど到底できなかったはずだ。そこまで森氏の存在を大きくしてしまったのは、政界やスポーツ界、あるいは財界の責任でもある。政官財、スポーツ関係者が森氏について「余人をもって代え難い」と口を揃えるそうだ。
しかし「余人をもって代え難い」ということなどあり得ない。この言葉が使われるときは、人事が硬直し、無理矢理、誰かを居座らせようとしている時である。
私がかつて在籍していた日本共産党でも使われたことがある。それは1994年、第20回党大会の時だった。当時、宮本顕治氏は85歳の高齢だった。党内でも「引退すべき」という声があった。そこで中央委員会議長に居座るために持ち出されたのが、「余人をもって代え難い」という屁理屈であった。
昨年(2020年)、安倍内閣が黒川弘務前東京高検検事長を検察庁法の規定に違反してまで、定年延長させ、検事総長に就けようとした。この時には、昨年の緊急事態宣言発令中に黒川氏が新聞記者と賭け麻雀をしていたことが発覚して、この人事は成功しなかった。この時、当時の安倍首相は、「検察庁の業務遂行上、黒川氏が必要だった」という趣旨の答弁をしていた。要するに「余人をもって代え難い」ということである。だがそんなことはまったくなかった。
森氏の場合も同様だ。挨拶といっても与太話しかしない森氏の代わりなどいくらでもいる。
森氏の首に鈴を付けられない自民党
驚いたのは、国際オリンピック委員会(IOC)の森発言への対応である。2月4日、「森会長は本日、発言を謝罪した。これをもってIOCは問題が終わったと考えている」と声明を出し、問題視しない姿勢を示した。IOCは「あらゆる差別を認めない」という五輪憲章の根本原則をどう考えているのか。
森氏は政界にも依然として大きな力を持っている。自民党時代の森派は、いまは自民党最大派閥の細田派になっている。2年程前にその細田派の議員の1人に話を聞いたことがあるが、その当時でも森氏が細田派の会合に出席すると緊張感が走るというのである。自民党も菅政権も森氏の首に鈴を付けられないのだ。
いま五輪組織委員会の「定款」には、「会長、副会長、専務理事及び常務理事の選定及び解職」という項目があり、その34条には理事会が「利害関係を有する理事」、つまり森会長本人を除く過半数出席のもと決議を行い、半数以上が賛同すれば解任となる」という規定がある。だが、組織委員会のメンバーにそんな勇気があるとは思えない。「森辞めろ」の声を国民があげるしかない。 
●森会長&二階幹事長の発言「悲しいですが、驚きはないです」 2/9
元衆院議員の金子恵美氏(42)が9日、TBS系「ゴゴスマ−GO GO!Smile!−」(月〜金曜後1・55)にリモート出演。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)と自民党の二階俊博幹事長(81)の発言について言及した。
MCの石井亮次(43)から「金子さんは元二階派です。二階幹事長の昨日今日の発言は、どのように受け止めてらっしゃいますか?」と話を振られた。五輪開催に向けて奔走している人たちに対し、「水を差している」と批判し、「戦うべきはコロナだったはずなのに、他の要因で開催を危ぶませているのは残念」と嘆いた。
続けて「女性をはじめ、多様な意見を政治の世界、他の世界でも抑制しようとした森さんの発言、それを『撤回したら問題ない』と言ってしまった二階幹事長の発言も、悲しいですが、驚きはないです」とコメント。自身も政治の世界で差別と戦ってきた一人であるとし、「一時的な怒りにするよりも、多様性とは何か、真の女性活躍とは何か。考えるきっかけ、契機になってほしい」と訴えた。
石井は、金子氏の「悲しいですが、驚きはない」という言葉に驚愕。「二階さんはこういうことを言っちゃう人だもん、というニュアンス?」と発言の真意を問うと、金子氏は「二階幹事長に限らず、表では言わなくても腹の中では思っている男性は多くいらっしゃった。永田町だけでなく、地方にも」と説明し、「残念だし、悔しいですけれども、『あぁ、こういう考えがまだ残っていることが浮き彫りになったな』ということです」と明かした。 
●二階幹事長「特別に深い意味ない」「女性を心から尊敬」  2/9
自民党の二階俊博幹事長は9日の記者会見で、東京五輪・パラリンピックでボランティアの辞退が相次いでいることに関する自身の8日の発言について「特別深い意味はない」と述べた。
二階氏は、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の失言以降、ボランティアの辞退が相次いでいることについて、8日の会見で「落ち着いて静かになったら、その人たちの考えもまた変わる」などと発言し、批判が出ている。
これに対し、二階氏は発言について「お互い冷静に考えたら、また、それぞれ落ち着いたお考えになっていくんじゃないかということ。特別深い意味はない」と語った。
また、二階氏は「我々は男女平等で、ずっと子どもの頃から一貫して教育を受けてきた。女性だから、男性だからってありません。女性を心から尊敬をしております」と話した。
一方、森氏の発言が不適切だったかどうかについては「内閣総理大臣をお務めになった党の総裁であられた方のことを、現職の幹事長があれこれ申し上げることは適当ではありません」と発言。
橋本聖子五輪相が9日の衆院予算委員会で、二階氏の発言が「不適切だった」との認識を示したことについても、「大臣が大臣のお考えでおっしゃったんでしょうから、大臣の発言にいちいち幹事長が論評を加える必要はありません」と述べた。 
●橋本五輪相「不適切だった」 二階幹事長のボランティア辞退発言で  2/9
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言を巡り、ボランティアの辞退が相次いでいることについて自民党の二階俊博幹事長が記者会見で、「お辞めになりたいなら、新たなボランティアを募集、追加せざるを得ない」などと発言したことが9日の衆院予算委員会で、取り上げられた。橋本聖子五輪相は発言について「不適切だった」との認識を示した。立憲民主党の亀井亜紀子氏の質問への答弁。
亀井氏は、8日の会見での二階氏の発言について「ボランティアへの感謝の気持ちも感じられない。非常に失礼だ。ものじゃないのだからいなくなれば補充すればいいという考えは、不適切ではないか」とただした。
これに対し、橋本氏は森会長発言以降に約390人の大会ボランティアが辞退しているとし「ボランティアが不快な思いをされて辞退されていることに対し、真摯に受け止めて発言しなければならなかった」と答弁した。
さらに亀井氏が「不適切だという発言がないのは非常に残念だ。納得しかねる」と重ねて認識をただすと、橋本氏は「発言の真意は把握していないが、不適切だったというふうに思います」と答えた。  
 
 
 
 
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●「金メダル級の女性蔑視」 森氏発言、海外でも批判続々 2/10
「年老いた指導者たちの無理解ぶりを示す」「日本のずれているエリートの典型」――。東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言は、海外でも批判的な論調で一斉に報じられている。今回の発言の背景として、多くのメディアや人権団体が改めて指摘しているのは、日本社会に今も根強く残る男女格差の問題だ。
「金メダル級の女性蔑視」。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は5日の声明で森氏の発言をそう論評し、「(日本に)はびこる女性差別をあらわにした」と問題視した。
声明は、複数の医大が入試結果を操作して女性の合格者数を抑えたことや、女性が結婚後も元の姓を名乗ることが難しいこと、性暴力被害を訴えにくいことに触れ、日本で男女間の不平等が残っていると指摘。さらに「森氏の発言は、日本政府が女性差別・蔑視問題で早急に改革に乗り出すべきことを示している」として、女性差別の是正に本腰を入れるよう求めた。
仏紙ルモンドは7日、森氏の発言について「年老いた日本の指導者たちの(男女間の不平等についての)深い無理解ぶりを示すものだ」と報じた。「日本の古いジェンダー観」が残っている証しだとも伝え、日本では企業などの女性トップが極端に少ないことや、非正規雇用で働く人の大半が女性である現状にも触れた。
森氏の謝罪についても「いらだたしげで口先だけのものだった」とし、日本で辞任などを求める署名運動が起きていることにも言及。「すでに8割の国民が(世論調査で)五輪の中止や延期を望んでいるなか、組織委の新たな悩みの種となっている」と伝えた。
英日曜紙オブザーバーは7日、コラムニストによるオピニオン面の記事で、森氏の発言に触れた。記事はまず、英国の地方議会で、オンライン審議中に暴言を吐いたり怒鳴ったりする男性議員を女性職員が画面から退場させた事例を紹介。「このビデオクリップを誰か森喜朗元首相に見せてあげてほしい」とつづった。
また、ある大学の学部での7回分の会議を分析すると、男性の発言の方が女性より頻繁で長かったという1970年代の研究も引用。「問題は、女性が多く話すことではなく、女性が声を上げることが、いまだに驚くべきこと(または迷惑でさえあること)ととらえられ、多く記憶されることだ。自分の権威に異議を唱えられることが受け入れられない男性は特に、好ましくないと感じるのかもしれない」と指摘した。 ・・・ 
●森会長の「女性蔑視発言への過熱報道」に違和感を覚える理由 2/10
森会長の女性蔑視発言 報道のタイミングに違和感
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(元首相)の発言が物議を醸しています。日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会での「女性を会議に入れると会話が長くなる」という趣旨の発言が、オリンピックの男女平等の精神から大きく外れるという批判です。令和時代の日本において、ましてや21世紀の国際社会においてこの女性蔑視と取られる発言は容認されるべきではないし、世界から痛烈に批判されても致し方ないことです。
しかし、私はこの報道を知り、その後の国内外の反応を眺めていて違和感を抱き始めました。特にこの日本国内における「森喜朗バッシング」です。
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長としての不適切な発言であることは間違いないことではありますが、そこから派生して「そんな会長の下でのオリンピック開催はあり得ない」という論調まで出てくる始末です。果たして、そこを結び付けてオリンピックの開催の是非を考えるのは正しい思考回路なのでしょうか。その辺りを考えたいと思います。
そもそも、森喜朗氏はもともと失言で有名でした。首相在任中、日本を「天皇を中心としている神の国」と表現して物議を醸した神の国発言をめぐる報道は、当時私は大学生でしたが、今でも鮮明に覚えています。
他にも「子どもを一人も作らない女性を税金で面倒見るのはおかしい」という発言、自民党京都府連のパーティーでは「大阪はたんつぼ。金もうけだけを考えていて、公共心のない汚い町」など、過去の失言を探せば枚挙にいとまがありません。
近しい議員たちからの話では、行き過ぎたリップサービス、過剰なファンサービスからくる発言だそうです。しかし、今の時代、マスメディアやインターネットを通じて拡散されることにより、「言葉」だけが無機質に独り歩きしてしまいます。そういう意味では森喜朗氏は、記者たちがその気になれば、いつでも問題発言というネタを見つけやすい人物といえるでしょう。
今回の問題発言の件で私がまず疑問を抱いたのは「なぜ今のタイミングで報じられたのか?」です。会長職を続けて7年間、森会長が今日まで失言をしないで来られたはずがないのは、彼をよく知る関係者や記者たちも皆知っているはずです。これはオリンピックを中止させたいと思っている勢力が、今のタイミングで森氏をターゲットにしたのではないかと勘繰ってしまうのは私だけでしょうか。
森氏をずっと会長職に置いておくことは確実にこのような問題が起こることを関係者は理解していたはずであり、その上で会長としての力を評価していたことの裏返しでもあるわけです。もちろん発言の内容は批判されるべきものであり、私の目から見てもこの発言で全てを失っても仕方がないレベルではあるとも思いますが、報道のタイミングなどについては、気味の悪さというか、違和感を覚えてしまいます。
思考停止の大衆心理で一億総攻撃する病
そして、またもや始まりましたと思ったのが「一人の人間に対する世の中の集中砲火」です。どこを見ても森氏を擁護するコメントは見つかりません。何なら、普段政治や時事ネタについてコメントをしない人までもが怒りのコメントを出しています。
繰り返しますが、明らかに森氏の発言は今の世の中には到底受け入れられるものではありません。だからこそ、このことになら自分も声を大にして批判できる、という心理が働いているような気がしてなりません。「女性蔑視」という今のグローバルスタンダードの視点からもジェンダーの視点からもNGであるこの発言だけに注目し、後のことは何も考えずに批判をしまくるということは、思考停止以外の何物でもありません。
森氏は東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長であり、元首相という立場にあり、今なお、強い権力を持っているとみなされる人物であっても、一人の83歳の人間です。そんな老人の失言を、鬼の首を取ったかのように攻撃するのは人道的にいかがでしょうか。
「森氏は国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長とも関係が深いし、それに政治力もある。今回の問題発言を撤回しているし、大目に見てオリンピックの成功に向けて努力をしてもらい、結果で償ってもらおうじゃないか」という寛容さは皆無です。何が何でも徹底的につぶしてやらなければ気が済まない、そういう狂気の渦に日本国民全員が巻き込まれているような状況だと私は感じています。
これは日本が今、侵されている病です。一億総攻撃病です。今回の症状は「一億森喜朗バッシング」病です。新型コロナに侵食されているだけではなく、それ以上にこの病は蔓延(まんえん)していて深刻であるように感じます。
オリンピック開催の可否は冷静に議論すべき
そして、今回の問題で一番違和感を覚えたのは「こんな会長の下でのオリンピックなら中止すべきだ!」という論調があることです。
そもそもオリンピック開催の可否の議論は、新型コロナの感染拡大が原因であり、女性蔑視の問題とは無関係です。新型コロナの影響によって延期され、感染防止策を徹底させることによって何とか開催しようという機運の中で頑張ってきたのではないでしょうか。
にもかかわらず、森氏への感情に思考を奪われ、新型コロナ問題とジェンダー問題を混同し、オリンピック中止を主張するのは冷静さを欠いていると言わざるを得ません。
オリンピックの参加選手たちの姿は、新型コロナに苦しむ世界中の多くの人々に勇気と元気と感動を与えてくれるでしょう。
一刻も早く、日本国民が冷静さを取り戻し、女性蔑視発言の問題に終止符が打たれ、生涯を懸けた戦いをしている選手たちのためにもオリンピックが開催されることを心から願っています。 
●五輪4者会談、欠席へ 森氏女性蔑視発言受け―小池都知事 2/10
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言を受け、東京都の小池百合子知事は10日、近く開催予定の東京五輪のトップ級4者会談について「今はポジティブな発信にならないと思うので私は出席することはない」と述べた。都庁で記者団の取材に答えた。
都には9日までに苦情や抗議が1405件寄せられ、道案内などを行う「都市ボランティア」の辞退も97件あった。小池氏は「非常に悲しい。新型コロナウイルス(の感染)を抑え、そして盛り上げていく中でこれだけ皆さんに不快な思いをさせてしまい、開催都市の長として残念に思う」と話した。
会談は小池氏のほか、森氏と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長、橋本聖子五輪担当相が出席し、今月中に開くことが決まっていた。
加藤勝信官房長官は10日の記者会見で、小池氏の発言について「政府として評価する立場にはない」と言及を避け、4者会談の日程は「現段階で何ら決まったものはない」と説明した。  
 
 
 
 2/11

 

●東京五輪組織委の森会長、辞任へ 女性蔑視発言問題で 2/11
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の会長で元首相の森喜朗氏が11日までに、組織委会長を辞任する意向を固めた。女性について「不適切」と本人も認めた発言をめぐり国内外で批判されたことを受け、12日にも組織委の緊急会合で発表する見通し。
森会長は今月3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などと発言した。
これが国内外で厳しく批判されたため、4日の記者会見で謝罪し、発言を撤回したが、辞任は否定していた。
しかしその後、辞任要求の圧力は高まり続け、11日の時点で辞意表明の意向と報道された。報道によると、後任を初代Jリーグチェアマンの川淵三郎氏に打診し、川淵氏も引き受ける意向を示したという。
森氏の発言については東京五輪のスポンサー企業からも批判が相次ぎ、スポンサーに名を連ねるトヨタ自動車は10日、「トヨタが大切にしてきた価値観と異なり、誠に遺憾だ」との豊田章男社長のコメントを発表していた。
9日には女性を中心に約20人の野党議員が、白い服装で衆院本会議や予算委員会などに出席した。白はアメリカなどで女性参政権運動の象徴とされる。この抗議には一部の男性議員も参加した。
また複数報道によると、森会長の発言以降、約500人の五輪ボランティアが参加を辞退している。
国際オリンピック委員会(IOC)は森会長が4日に謝罪した後、「IOCはこれでこの問題は終了と考えている」との立場を示していたものの、その後も批判の声が高まる中、9日には「森会長の発言はまったく不適切で、IOCが重視するものや2020年オリンピック・アジェンダの改革と矛盾する」とする声明を発表した。
JOCの会長・副会長・理事は25人で、女性は5人。2019年には、女性理事の割合を40%にすることを目標にしていた。
森会長の問題発言はこれに関連して出たもので、「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」とも述べ、「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困ると言っておられた。だれが言ったとは言わないが」などと話していた。
さらに、「組織委員会に女性は7人くらいおりますが、みなさん、わきまえておられて」とも話した。この発言に反発し、ツイッターでは「わきまえない」とハッシュタグにしたり、自分のIDにつけ足す人が相次いだ。
森氏は2000年から2001年の首相在任中を含め、問題発言を繰り返してきたことで知られる。
毎日新聞によると、今回の女性蔑視発言の後、「昨夜、女房にさんざん怒られた。『またあなた、大変なことを言ったのね。女性を敵にしてしまって、私はまたつらい思いをしなければならない』と言われてしまった。今朝は娘にも孫娘にもしかられた」のだと同紙記者に話したという。
●五輪組織委・森会長が辞意 女性蔑視発言引責 川淵氏で後任調整 2/11
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が辞意を固めた。11日、関係者が明らかにした。スポーツ団体の理事起用を巡る女性蔑視発言が国内外で反発や批判を受け、発言を撤回して謝罪したが、責任を取る形となった。12日の組織委の評議員会、理事会の合同懇談会で表明見通し。後任は日本サッカー協会元会長の川淵三郎氏(84)で調整している。
新型コロナウイルスの影響で史上初の延期となった五輪は、開幕まで残り半年を切った時期にトップ不在となる異常事態となった。
森氏は3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと述べた。4日に「五輪・パラの精神に反する不適切な表現だった。深く反省している」と謝罪したが、選手やスポンサーからも厳しい声が相次ぎ、ボランティアの辞退者が続出。当初不問に付した国際オリンピック委員会(IOC)も9日に「完全に不適切だ」と指摘する声明を発表し、会員制交流サイト(SNS)上などで辞任を求める声が高まっていた。大会の開催可否を巡る懐疑論の中で、開催準備はさらに混迷が深まった。
元首相の森氏は日本体育協会(現日本スポーツ協会)や日本ラグビー協会の会長を務め、五輪の招致活動に尽力するなどスポーツ界に強い影響力を持つ。2014年1月に発足した組織委の会長に就任。政財界との強固な人脈を生かして準備をけん引してきた。
森氏は自民党幹事長だった00年4月、第85代首相に就任。在任中も不用意な発言が相次いで内閣支持率が低迷した。01年2月、ハワイ沖での米原子力潜水艦と実習船えひめ丸の衝突事故の際、ゴルフを続けたことに非難が集中し、同4月に辞任した。 
●森会長辞任でも院政の公算、組織委「森帝国」は不変 2/11 
日本独特の“茶番”が続いている。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん入る理事会は時間がかかる」などと女性蔑視ともとれる失言を発した問題は、日本国内のみならず世界中のメディアや有識者たちから非難を浴び、重大な国際問題にまで発展する勢いだ。
日本のスポーツ界で“陰のキングメーカー”と崇め奉られる森会長の失言問題は当然のように政界にも波及している。野党からの森会長の辞任を求める声に、森会長の後ろ盾となっている政府・与党の自民党は対応に四苦八苦。菅義偉首相を筆頭に政府トップが、最大派閥出身の元首相で今も権力を誇示する森会長を何としてでもかばおうとしている。時間稼ぎを決め込み、“逃げの一手”でどうにか事態の鎮静化を図ろうとしているのはミエミエである。
IOCの手のひら返しと小池都知事のダメ押し
しかしながら当初は「森会長が謝罪したので問題は終了」としていたはずのIOC(国際オリンピック委員会)が朝令暮改のごとく「全く不適切だった」と声明を出し直したことで、森バッシングは歯止めがかかるどころか、もはや制御不能の状況となっている。
17日には森会長とIOCのトーマス・バッハ会長、政府の橋本聖子五輪相、そして東京都の小池百合子知事が顔をそろえ、4者会談が行われる方向で調整されていた。ところが10日に小池知事が「ポジティブな発信にはならない」と出席を拒否。事を丸く収めようとしている政府・与党、組織委幹部らも、いよいよ火消しが出来なくなりつつある。
それでも森会長を擁護する声は与党内で滑稽なほどに根強い。まず二階俊博幹事長が「発言を撤回したので、それでいいのではないか」と森会長をかばって、世を呆れさせた。
さらに同幹事長は蔑視発言そのものについて「そんなこと(後に書面で『そのようなこと』に訂正すると通知)」と言い放ち、これによって辞退者が続出している五輪ボランティアに関しても「どうしてもお辞めになりたいということだったら、また新たなボランティアを募集、追加せざるを得ない」と口にし、森会長に続く失言の連発で火に油を注いだ。
今なお与党から飛び出す「余人をもって代えがたい」発言
自民党の世耕弘成参院幹事長は「余人をもって代えがたい。IOCとの人脈、五輪に関する知見などを考えたら、この(開催)直前のタイミングで、森氏以外に誰か五輪開催を推進できる方はいるのだろうか。ご自身が会見し、謝罪、撤回、反省の弁も述べた。この件はここで収めて、五輪開催に向けての準備にまい進をすることが何よりも重要だ」などと語り、ツイッターを中心にネット上で批判が集中している。
萩生田光一文部科学相も9日の閣議後の記者会見で「『反省していないのではないか』という識者の意見もあるが、森氏の性格というか、今までの振る舞いで、最も反省しているときに逆にああいう態度を取るのではないかという思いもある」とかなり苦しい擁護論を展開し、メディアの失笑を買った。
組織委は牢固な「森帝国」
そうした中、組織委の内部にも、森会長の失言や幹部クラスの「開催ありき」の姿勢に疑問を投げかける人もいる。現在も組織委で要職に就く関係者のK氏もその1人だ。そのK氏に、政府・与党や組織委幹部がこの期に及んでも必死になって森会長を擁護するわけについて尋ねてみると「すべての権力を集約させ過ぎていることからも分かるように森会長の“陰のキングメーカー”としての見えない力に怯えているからです」と即答し、次のように打ち明けた。
「組織委員会の会長という重責ポストは、森氏のこれまでの労をねぎらう意味で政府から用意された花道のようなもの。菅首相が国会で野党の追及に森会長の進退を問われ『それは私が判断する問題じゃない』とあくまでも無関係を主張しましたが、実際のところは政府・与党の影響力が一切及ばないわけがありません。簡単に言えば、森会長が現在も政界でも保持し続けている陰の力を恐れているからに他ならない。それは自民党内で今や『最高実力者』ともっぱらの、あの二階さんですら森氏に一目置いていることからも理解できるはずです。こうした背景のもと、水面下において政府・与党の主導で構成された組織委員会は森会長を権力構造の頂点に据え、そこから幹部クラスの各重職にも森会長の息のかかった有力者たちを人選しているとささやかれています。このようにがっちりと強固な森体制ができ上がっているのが、今の組織委員会です。だから表立って誰も逆らえるわけもなく、意見できるような人もいない」
かつて森会長は第85、86代総理大臣として政界のトップに君臨した。その後は高校、大学入学当初まで没頭し続けたラグビーへの情熱と経験を元に2015年まで11年間に渡って日本ラグビーフットボール協会の会長職に就き、2019年に行われた第9回ラグビーワールドカップの日本初招致にも尽力している。森会長が政界のみならず日本スポーツ界でも“陰のキングメーカー”の座を確固たるものとした理由の中に、このラグビーW杯の招致成功が自身最大級のバックボーンとしてあるのは言うまでもない。
とはいえ、今も政府・与党内に散在する“森シンパ”たちはこれまで幾度も失言癖も見せてきた森会長の再失敗を防ぐことができなかった。逆にその存在を気遣う余りに、コントロール不能な「組織委=森帝国」の構築にまい進してしまったことは、やはり重罪に値すると言えるのではないだろうか。
急遽「後任」が決まっても森氏の指示なしでは回らぬ構造
前出のK氏は次のように指摘する。「仮に森会長が今回の問題で引責辞任に追い込まれることになっても、次に就任する新会長は『お飾り』のような形になるでしょう。大会開幕まで残り約5カ月しかない中で、急造の新任会長がまともに仕事をこなせるわけがない。そう考えれば会長辞任後も、裏側で森氏があれやこれやと指示を出す流れは目に見えています。事実上の院政を敷くシステムにすれば、森氏のメンツも辛うじて保たれ、政府・与党内の“森シンパ”も安堵するはず。つまりは森会長が辞任しようがしまいが、組織委の根幹となっている“森帝国”の権力構造は崩壊せずに保たれるということになります」
東京五輪は、「新型コロナウイルスの感染収束」が開催に向けての最大の論点だったはずだ。それがいつの間にか1人の組織委会長の進退問題にすり替わってしまった。
国民も、アスリートも不在の“茶番”を我々はまだ見せつけられ続けなければならないのだろうか。嘆かわしい限りだ。 
 
 
 2/12

 

●森喜朗会長が辞任表明、女性蔑視発言は「解釈の仕方」 2/12
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は12日、理事会と評議員会の合同懇談会に出席し、女性蔑視発言の責任を取り、辞任を表明した。森氏は、これまでの準備を振り返りつつ、「意図的な報道があり、女性蔑視だと言われた」と反論。また「老害」といわれ「極めて不愉快」と怒りをにじませた。森氏の懇談会冒頭の発言は以下の通り。
森喜朗氏 
それではお許しをいただいて、最初に私からごあいさつを申し上げます。
今日はご多用の中を、こうして大勢お集まり下さいましたし、リモートで参加されている方もあるんでしょ。ということで約45名くらいの方がご覧になっているということになります。
いま総長からお話がありましたように、今回、私の不適切な発言が原因で、大変混乱を致してしまいました。理事の皆さん、さらには評議員の皆さま、そして多くの皆さま方に、大変ご迷惑をおかけをしたことを誠に申し訳なく存じております。
今日は改めて、もうすでに報道されております通り、今日をもちまして会長を辞任をいたそうと、こう思っております。大事なことは、オリンピックをきちんと7月に開催するということでありますから、そのオリンピックを開催するための諸準備に、私がいることが妨げになるということであっては、ならないと思います。
職員44人から3千人超に「感慨無量」
思い起こしますと、8年前になるわけですけれど、2014年1月でございましたか、東京都庁の一部をお借りをして、組織委員会がスタートいたしました。そのときは44名でスタートしたんです。今日、コロナのこともあり、休んでおられる方いろいろありますが、3千数百の職員のみなさんがおられて、それぞれの部署で懸命なオリンピックの準備作業をされておられます。その皆さま方のことを考えましても、感慨無量であります。
14年に発足しましてから、会場の見直し案というのをやりました。当初の東京都が中心となっておつくりいただきました当時の最初の計画を思い切って削減をするということになりました。そのために、東京都で開催する東京オリンピック・パラリンピックが、隣県の神奈川県、埼玉県、千葉県、そして一部山梨県、静岡県にまでですね、ご協力いただくことになりまして、大変広範囲なオリンピック・パラリンピックということにもなりました。
またサッカーの予選等もあります。また野球もあとで追加になりましたので、これの予選等もありますので、大会の前にですね、サッカーもそして野球も行うということで、とくに東北を中心にした各県でサッカーをやります。野球、ソフトボールは福島県でお願いをするということで、これもまた各県の知事はじめみなさんの大変なご努力をいただいて、準備をしていただいております。
さらには15年に入りまして、3者合意というものがありまして、財政負担の国と都との合意。
それから2016年に入りまして、リオ大会が行われました。すばらしいアスリートの活躍があったわけでありますが、そのときに安倍総理においでをいただいて、安倍マリオという大変大きな国際的に話題を生むセレモニーがあったことも記憶に新しいです。
17年には、いわゆる携帯電話のリサイクルでメダルをつくろうという運動を提唱いたしました。これとともに、表彰台をペットボトルでつくろう、と。できれば、これを参加してくれた選手の母校に贈ったらどうかという案も検討をしているところであります。
持続可能な社会を目指して
さらにはいま、たしか福岡県に行ったのかどうかくらいかと思いますが、トーチですね。このトーチを、これもまた東北の震災のときに使われた仮設住宅の金属部分をはがしまして、これでトーチをつくったということなど、いわゆる持続可能な社会というものを目指して、オリンピックの我々も組織委員会もその中で一緒になって、がんばろうということになったのも、みなさんのおかげです。
さらに2018年には、バッハ会長がおいでになりまして、改めて復興五輪ということを確認をいたしたわけです。
2019年には、暑さ対策の流れといたしまして、札幌へマラソンを移すという、これはIOCからの提案でございましたが、東京都、そして国みなさんのご協力いただいて、北海道、札幌市みなさまのご協力で順調にこの準備ができております。
そして2020年にはアテネで採火式が行われまして、遠藤(利明)会長代行など始め、みなさんがご出席をいただきました。ちょうど採火式の火をいただいて日本側に渡された時だと思いますが、コロナでEUから厳しい措置が出されました。その後の18日に、私たちはその火をいただきに行く予定でしたが、向こうに行くと2週間帰れなくなるとかいろんな制限がありました。したがって飛行機だけ飛ばそうと。返してくれますねということで、8名の職員が向こうに残っておりまして、日本側にいただいたトーチ、聖火を大事にホテルで確保していた。これがとてもよかったので、もしあの騒ぎで聖火が日本に入らないと、今日はたしてどうなっていたのか。来るのか来ないのか危ぶまれたかもしれません。幸い3月のたしか19日でしたか、日本に入ってきまして、それからJOCのオリンピックハウスで大事に点検をしてきました。
多くの方の関心が深いし、総務省の当時の高市大臣の提案もあり、オリンピックの理念が届かないようなところに見ていただく陳列をしたらどうかと、その予算も総務省の予算を使って結構ですとのことだったので、その計画をつくり、たしか今、福岡県あたりかなと思いますが。どこにいっても、たった松明が1つあるだけで3千人、4千人が集まって来られて大変なにぎわい。多くの人たちが、特に子どもを中心に、アテネの火に関心があったということで、こうしたこともオリンピックへの前章として大変意義ある行事だったかと思います。
「女性蔑視」は解釈の仕方、意図的な報道あった
そしてコロナ対策ということで、第一段を政府にとりまとめていただきましたが、結局そのためにわれわれの想像もつかないような、1年延期するということ、これは当時の安倍総理の発案で、IOCとの間で合意を得たわけであります。したがってその1年、計画しましたのも半年になりました。私どもとしては、あくまでオリンピック、パラリンピックを開催するという強い方針で、今、準備を進めていた矢先でありまして、そういう中で会長である私が余計なことを申し上げたのか、まあこれは解釈の仕方だと思うんですけれども、そういうとまた悪口を書かれますけれども、私は当時そういうものを言ったわけじゃないんだが、多少意図的な報道があったんだろうと思いますけれども。まあ女性蔑視だと、そう言われまして。
女性はなかなかお話しにならない
私はこの組織委員会に入ってから、女性の皆さんをできるだけたたえてきましたし、男性よりも余計、女性の皆さんに発言していただけるように絶えず勧めてきました。皆さんはなかなかお手を上げてお話しにならない時がたくさんありましたけれども、あえてお名前まで申し上げて「谷本さんどうですか」とか言ってお誘いをして、女性の皆さんに本当によく話をしていただいたと思っております。
まず冒頭にですね、私がオリンピック、パラリンピック一緒にやるぞということになった以上、ご記憶あろうかと思いますが、ロンドンでのオリンピックの後の優勝者のパレード、その後リオで行われました優勝者のパレード、いずれもオリパラが一体でパレードをやるべきだということを主張いたしまして、従来と違うことなので抵抗もかなりございましたけれども、大成功いたしました。それから各種目においてIOCから示されていた指針である1対1、5対5と言いましょうか、女性と男性の比率をできるだけ同じくしようということで、ほとんどの競技団体にお願いして、ほぼ完璧な仕上がりができたなと思っております。
バッハ会長から「大変称賛いただいた」
そういうふうに私自身は女性を蔑視するとかいう気持ちは毛頭ありませんし、これまでもオリンピック、パラリンピック、障害のある人、ない人、みんな同じだよということで、すべて同じように扱って議論して参りました。そういう意味で、この一言でこういうふうになったということは、私自身の不注意もあったのかもしれませんが、まあ長い83年の歴史の中で本当に情けないことを言ったもんだなと思って、皆さんに大変ご迷惑をおかけしたことになりました。
昨日、(IOCの)バッハ会長とコーツ(副会長)さん、私と武藤(敏郎・組織委事務総長)さんとで電話会談を1時間ちょっといたしました。バッハさんからも大変、労いの言葉をいただきましたし、「よくここまでしっかりやってくれた、これはまさに東京2020の大きな成果だ」ということで、大変称賛もいただきました。ぜひこの後、遅滞のないように運営していただけたらと思いました。私がいる限りご迷惑をかけるということになったんでは、今までにやって参りました努力がまったく無になってしまいます。
老害「きわめて不愉快」
したがって、だれかが老害、老害と言いましたけれども、年寄りが下がれというのはどうもいい言葉じゃないんで、子どもたちに対するいろんな言葉がございますけれども、老人もやっぱりちゃんと日本の国のために、世界のために頑張ってきているわけですから、老人が悪いかのような表現をされることも、きわめて不愉快な話であります。しかし、そんな愚痴を言ってもしょうがないことでありますので、この際、この組織委員会、約8年になりますから、小学校をちょうど1年間留年になりましたので、ちょうど小学校を終わったような感じでありまして、そこで後半の中学校の方の仕上げを新しい会長にリーダーシップをとってやっていただいた方がいいだろうという思いをいたしまして、本日をもちまして会長を辞することをあらためて正式に皆さまに表明をいたしまして、どうぞご了承をたまわれればと思います。
今日はせっかくお集まりいただいた会合でありますから、いくつかご相談いただくこともございますが、最後には後継者の選定をどうするかも事務総長からお取り計らいがあると思いますが、どうぞ皆さんの率直なご意見をいただいて、この会が意味のある会であったと。また私にとりましても会長としての理事会、評議委員会、最後の会として心に残るように、そういう運営をお願いできればと思います。本当に皆さんありがとうございました。
今日は都議の皆さんもいらっしゃいますが、東京都の大きな仕事がオリンピック、パラリンピック、それを組織委員会が担当してここまで進めてきたわけです。都民の皆さん、国民の皆さん、また東京都、国、政府多くの皆さんの協力があってここまでこれました。スポーツ団体の皆さんにも本当に大きな力をいただきました。皆様方に心からおわびを申し上げて、そしてお礼を申し上げて、私の命ある限り、日本のスポーツ振興のためにさらに研鑽をしていきたい、そんなふうに考えております。どうぞ今日の会合をよろしくお願い申し上げて、おわびを兼ねてお願いを申し上げた次第です。ありがとうございました。 
●森会長が正式に辞意表明、悔しさにじませてあいさつ15分 2/12
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)は12日午後、都内で開かれた組織委の緊急会合で、女性蔑視と受け取れる発言の責任をとって、辞任することを正式に表明した。
会合の冒頭、あいさつに立った森氏は「私の不適切な発言が原因で、混乱を来してしまいました。多くの皆様にご迷惑をおかけしたことを申し訳なく思っている」と謝罪。その上で、「今日をもちまして会長を辞任しようと思います。大事なことは五輪をきちんと7月に開催すること。その諸準備に私がいることが妨げになってはいけない」と述べた。
あいさつは15分間に及んだ。組織委での7年間を振り返る内容が多かったが、辞任に追い込まれた発言に自ら触れ、「会長である私が、余計なことを申し上げた。解釈の仕方だと思うが、そういうとまた、悪口を書かれてしまう。多少、意図的な報道があったと思う」などと恨み節もあった。
さらに「私は女性を蔑視するという気持ちは毛頭ない。(問題の)一言で、こういうことになったのは、私の不注意。私の長い83年の歴史の中で、本当に情けないことを言ったものだと思っている」と本番まであと数か月という時点での辞任に悔しさを表した。
また前夜にバッハ会長らと電話会談したことを明かし、「ねぎらいの言葉、称賛もいただいた」などと話した。
●組織委、森喜朗会長が辞任表明 後任に橋本聖子五輪相が浮上 2/12
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は12日、理事会と評議員会の合同懇談会に出席し、女性蔑視発言の責任を取り、辞任を表明した。森会長の後任候補に挙がっていた日本サッカー協会元会長で選手村村長の川淵三郎氏(84)は一転、就任要請を辞退し、人事は白紙に戻った。関係者によると、候補に橋本聖子五輪相(56)が浮上している。
組織委の武藤敏郎事務総長は懇談会後の記者会見で、より透明性の高い手続きを取る必要があるため後任会長の候補を選考する委員会を設置し、委員長に御手洗冨士夫名誉会長(85)が就任することを明らかにした。
●IOC、女性の共同会長を提案 森氏は固辞 2/12 
東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長辞任を表明した森喜朗氏が、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長から、森氏と並ぶ女性の共同会長を置くことを提案されていたことが12日、分かった。女性蔑視発言で批判にさらされる森氏への「助け舟」だったとみられるが、森氏は提案を固辞した。関係者が明らかにした。
組織委の武藤敏郎事務総長は12日の記者会見で、次期会長は女性がふさわしいかどうかを問われ「選考で性別を議論する必要は全くなく、適任者を選ぶことに尽きる」と話した。 
●森喜朗会長が辞任表明 川淵氏、後任拒否で組織委混乱は必至 2/12
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は12日、女性を蔑視する発言をした責任を取り、辞任すると表明した。東京都内で開かれた組織委の評議員と理事による緊急会合で「私の不適切な発言が原因で混乱をきたし、ご迷惑をかけて誠に申し訳なく思っております。今日をもちまして会長を辞任いたす意向を持っています。オリンピックのための準備に私がいることが妨げになってはならない」と述べた。
一方で、後任として森氏から就任を要請され、11日に受諾する考えを示していた元日本サッカー協会会長で組織委の評議員を務める川淵三郎氏(84)が、会長を受けない意向であることが明らかになった。組織委トップの後任人事は白紙となり、混乱は避けられない。組織委は後任を選ぶ選考委員会を設置する。
組織委幹部によると、11日に森氏と会談した川淵氏は、関係者の了承を条件に受諾する考えだった。しかし森氏による後継指名について「密室政治」との批判が高まり、川淵氏は一夜で就任要請を拒否することになったとみられる。
元首相の森氏は、日本体育協会(現日本スポーツ協会)や日本ラグビー協会の会長を歴任。東京五輪招致委員会の評議会議長として招致に関わり、2014年1月の組織委発足時から会長を務めていた。
今月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会で、日本ラグビー協会を例に出して「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言。4日の記者会見で発言を撤回して陳謝したが、質問に対して声を荒らげる様子は「逆ギレ会見」との批判を招いた。国内外から組織委や東京都に抗議が殺到し、ボランティアの辞退も相次いでいた。

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は12日、理事会と評議員会の合同懇談会に出席し、女性蔑視発言の責任を取り、辞任を表明した。森会長の後任候補に挙がっていた日本サッカー協会元会長で選手村村長の川淵三郎氏(84)は一転、就任要請を辞退し、人事は白紙に戻った。関係者によると、候補に橋本聖子五輪相(56)が浮上している。組織委の武藤敏郎事務総長は懇談会後の記者会見で、より透明性の高い手続きを取る必要があるため後任会長の候補を選考する委員会を設置し、委員長に御手洗冨士夫名誉会長(85)が就任することを明らかにした。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が辞任する意向を表明し、スポンサー企業からは12日、透明性を確保した後任の選定と、組織委の早期立て直しを求める声が相次いだ。アシックスの広田康人社長は12日の決算説明会で、森氏の発言を「男女平等の理念に反することがあってはならない」とし、組織委には「早い時期に体制を固めてほしい」と求めた。後任の会長は「しっかりしたプロセスで選任されるべきだ」と指摘した。7三井住友フィナンシャルグループも発言を「五輪・パラリンピックの精神に反する。大変残念に思う」とし「今後、開催国として信頼回復に努める必要がある」とした。
橋本聖子五輪相は12日、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の後継候補とされていることについて、打診や要請は「全くありません」と否定した。組織委に立ち上がった選考委員会を経て決定されるとの認識を強調し「公正公平のもとで決定されるということなので、政府として注視していく」と語った。同日夜、都内で記者団の取材に応じた。辞任した森喜朗会長に対し、女性蔑視発言を改めて批判した。大会参加を目指す選手に向け「心を痛めている選手もいると思うが、アスリートが誇りを持って、東京大会に参加できるんだという自信につながるような準備に取り組んでいく」と述べた。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の理事会と評議員会の合同懇談会に出席した理事には、重苦しい表情が目立った。かつて組織委スポーツディレクターとして森喜朗会長と共に大会準備に携わったスポーツ庁の室伏広治長官は12日、会長の辞任を受けて「ご本人の判断で辞任されるということで、われわれも受け止めた」と神妙な面持ちで語った。後任会長には「大会まで6カ月で、かなりの手腕が求められる」との考えを示した。組織委理事で日本スポーツ協会の泉正文専務理事は、川淵三郎氏が後任とみられた人事も白紙となり「このドタバタは何だったんだろう」と、こぼした。 
●森会長が辞任を表明 「準備の妨げになってはならない」 2/12
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)=元首相=は12日、自身の女性蔑視発言の責任をとり、辞任を表明した。この日午後、都内で開かれた理事と評議員らによる合同懇談会の冒頭で「今日をもって会長を辞任する。大事なことは、オリンピックを7月に開催すること。私がいることで諸準備の妨げになってはならない」などと述べた。
森会長は11日、評議員で元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)に就任を打診していたが、退任する森会長自らが後継を指名することに「密室で決まっている」などの批判の声が高まっていた。12日の冒頭の発言では川淵氏への言及はなく「皆様の率直な意見を頂いて、この会を意味のあるものにして欲しい」と述べるにとどめた。
川淵氏は「もし選ばれれば、森さんの期待に沿うべく、ベストを尽くしたい」と受け入れる意向を示したが、12日に一転、受諾しない意向を固めた。
組織委の会長は指名で決定するものではなく、川淵氏が会長に就任するには、まず理事に就任したうえ、理事会の互選を経る必要がある。関係者によると、アスリートを含む選考委員会で議論するなど、透明性を高める方向で調整しているという。
森会長は3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などと発言。五輪憲章の根本原則には「肌の色や性別、宗教などいかなる差別も許さない」などと明記されており「五輪憲章違反だ」との指摘が出た。4日の記者会見で謝罪し、発言を撤回した。その時点では辞任を否定した。
だが、記者会見で森会長が見せた、いら立ちを隠さない態度に批判の声が収まらず、500人以上のボランティアが辞退。スポンサー企業からも抗議の声があがった。菅義偉首相は8日、発言について「国益にとって芳しいものではない」と述べ、国際オリンピック委員会(IOC)も9日、「発言は極めて不適切」と改めてコメントを出していた。
●森会長の辞任 「間違った考えを謝るのではなく、不適切な発言を謝る…」 2/12
CBCテレビ制作の=TBS系情報番組「ゴゴスマ|GO GO!Smile!」は12日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の理事会と評議員会の合同懇談会での森喜朗・組織委会長(83)の辞任あいさつを中継した。
政治ジャーナリスト角谷浩一さんは「森さんはこれまで自信をもってやってきたのに、こんなところで終わって無念だ、とよく分かりました」と感じたという。
スポーツジャーナリスト小林信也さんは「あくまでも組織委、評議員の会議なので、これまで協力してもらって、やっていることが間違っていないとあらためて言った。森さんの成果というより、組織委の姿勢をあらためて伝えたと理解した」。後任として一時名前が上がっていた川淵三郎さんについては「昨日の動きがなければ、俎上(そじょう)に上がらなかった。白紙にして決め方、どんな方がいいかと議論し、川淵さんがまた上がるのはあっていい」とした。
アーティスティックスイミングのソウル五輪銅メダリスト田中ウルヴェ京さんは「辞任の目的は、混乱させたから、迷惑をかけたから、と取ることができました。女は競争意識が高い、女は話が長いという客観的根拠のない、大きなくくりでの発言に問題があったわけですから。そういう発言をしたことにもうちょっと言及してほしかった」などと話した。
タレントのナジャ・グランディーバは「老害と言われて森さん自身が不愉快な思いをした。女性蔑視的発言は女性も不愉快な思いをすると気付いてもらいたかった」、お笑いコンビ「ますだおかだ」の増田英彦は「間違った考えを謝るのではなく、不適切な発言を謝っていたので、女性蔑視という根本的な考えは森会長にはなかったと強調したと受け取った。志半ばで辞める悔しさも伝わってきた」と話した。
●森会長が辞任表明 後任の候補者検討委設置―川淵氏に政府難色 2/12
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が12日、女性蔑視発言の責任を取って辞任する意向を表明した。同日、東京都内で開かれた理事と評議員、監事を集めた臨時の「合同懇談会」で「私の不適切な発言が原因で大変混乱させてしまった。五輪開催の準備に、私がいることが妨げになってはいけない」と述べた。
合同懇談会では、新会長選出に向けた候補者検討委員会を設置することを決めた。委員長には御手洗冨士夫名誉会長が就く。武藤敏郎事務総長は記者会見で「後任会長を早急に決める必要がある。国民にとって透明性のあるプロセスでなければならない」と語った。菅義偉首相は首相官邸で「国民や世界に歓迎され、ルールと透明性に基づいて決定されるべきだ」と述べた。
後任候補に橋本聖子五輪担当相が浮上している。他にオリンピアンの小谷実可子氏、山口香氏、高橋尚子氏、室伏広治スポーツ庁長官らの名前も取り沙汰されている。
11日、森氏に後任を依頼された組織委評議員で日本サッカー協会相談役の川淵三郎氏(84)は就任に前向きな姿勢を示していたが、首相官邸が難色を示した。川淵氏は12日に一転して辞退した。
●森会長が辞任表明、女性蔑視発言で…IOCバッハ会長は決定に理解 2/12
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長は2月12日、評議員会・理事会合同懇談会で、会長職の辞意を表明した。後任については未定としている。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長は2月12日、評議員会・理事会合同懇談会で、会長職の辞意を表明した。
森氏は、2月3日の臨時評議員会にて、女性を蔑視する発言を行ったとして、その責任をとる形で辞意を表明する形となった。
森氏の“女性蔑視発言”は海外でも波紋を呼んでおり、『ESPN』は「日本のジェンダーの不平等はまさに先週、森氏の卑劣なコメントによって提起された問題」とし、「彼の追放を引き起こした」と強く批判。また、IOC(国際オリンピック委員会)は「森会長のコメントは絶対的に不適切であり、IOCのコミットメントとオリンピックの改革と矛盾している」と、各方面から非難の声が挙がっていた。
IOCのトーマス・バッハ会長は、「IOCは、森会長の辞任の決定を完全に尊重する」と辞任に理解を示し、「延期されたオリンピック・パラリンピック東京2020の開催に多大な貢献をしてくださった彼に感謝する」と森氏を労った。
組織委員会は公式サイトにて「大会を契機に社会のジェンダー平等推進に、如何に貢献すべきか、数多くの意見が出たことを踏まえ、具体的な取り組みの検討を至急進めて参ります」と、改めてジェンダー平等を推進していく考えを示した。
また「オリンピック・パラリンピックの開催を単にゴールとすることなく、開催を通じて社会に貢献する気持ちをあらたに、皆さまからの信頼回復及び引き続き応援頂けるよう組織委員会一丸となって全力で努めて参ります」としている。
なお、後任については現時点では未定。組織委員会は「透明性をもって早急に進め、大会準備に影響のないよう新体制を構築して参ります」と発表するにとどまっている。
新型コロナウイルスの影響で1年の延期となった東京オリンピックは、2021年7月23日に開幕する予定となっている。
●自民・石破氏「『功』の部分が評価されなければ」 森会長辞任に 2/12
自民党の石破茂元幹事長は12日付のブログで、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視ともとれる発言の責任をとって辞任したことについて「新国立競技場(東京都新宿区)の設計変更など面倒極まりない案件が多く発生した中で、森氏の指導力が必要とされたことだろう。病身を押して取り組まれた『功』の部分が正当に評価されなくては、衡平を失する」と投稿した。
「人情に厚く、こまやかな心遣いをし、比類ない面倒見で知られる森氏に世話になって『足を向けては寝られない』人は大勢いる。そのような人ほど諫言(かんげん)はしにくいものだ」とも指摘した。
●「誠に遺憾」五輪最高位スポンサー豊田社長らの発言で急転、森会長辞任へ 2/12
「トヨタが大切にしてきた価値観と異なり、誠に遺憾だ」---。やはり、最高位スポンサーなどの批判発言を受け、急転直下、事態は慌ただしく動き始めたようだ。
トヨタ自動車は、2月10日の決算説明会の席上、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視発言に対し、豊田章男社長のコメントを発表。翌11日付けの東京朝刊は1面トップで「経済界沈黙しない。森会長発言トヨタなど批判次々」などと、上方修正の決算の記事よりも大きく掲載。トヨタやENEOSなどスポンサーに名を連ねる企業からの批判が、日増しに強まっていることを伝えていた。
女性蔑視をめぐる国内外からの包囲網は激しさを増すばかりで、ようやく、森会長も責任を取り、辞任する意向を固め、きょう(2月12日)の組織委の緊急会合で表明するという。後任会長には組織委評議員会議長の川淵三郎・日本サッカー協会相談役に就任を要請し、川淵氏は受け入れたそうだ。
きょうの各紙が1面トップで「森会長辞任へ『女性蔑視』引責」とのタイトルで報じているが、迷走続きの東京五輪については、トップの首を挿げ替えただけで幕引きとなるほど甘くはないようだ。
きょうの日経なども指摘しているが、昨年の延期後も新型コロナウイルスの収束の見通しも立っていないで、開催自体が危ぶまれており、仮に強引に開催しても感染対策や国内外からの観客受け入れの判断などの課題が山積している。
最近の世論調査によれば、コロナ下では「開催を中止するべきだ」という意見が8割を占めている結果もある。世論を無視して開催すれば、協賛金を負担するスポンサーにとって企業イメージの低下にもつながりかねないという悩ましい問題にも直面している。今回のトップの辞任騒動と同様に「沈黙は金」とはいかないようで……。 
 
 
 2/13

 

●森喜朗会長辞任〜遅過ぎた「レッドカード」 2/13
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月12日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の辞任問題について解説した。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、女性蔑視発言の責任を取り、2月12日の組織委員会の評議員会、理事会の合同懇談会で辞任を表明した。
飯田)オリンピックまであと160日余りです。
宮家)辞意という方向は当然だと思います。ただこの問題は、冷静、客観的に見なくてはいけないと思います。オリンピックには理想と現実と両方あって、理想は人権も含めて崇高なものです。しかし、同時に日本にとっても1964年以来という大イベントです。当然のことながら、ビジネスの利益も関係します。これが日本各地すべてで利益のぶつかり合いがあるわけですから、その中で物事を決めなくてはいけない。みんなの意見を聞くのが理想ですが、いろいろなことを決めなくてはいけないときに、誰がいちばんうまく収められるかということを考えると、現実問題としては、森さんのような経歴の方が適任だったのだろうと思います。
飯田)実績もあります。
宮家)ただ、もう1つの現実があって、あの発言が国際的にどう見られるかということです。11日のニューヨーク・タイムズでも大きく報じられていますけれど、国際的に見たら残念ですが、これはレッドカードで1発退場なのですよ。それなのに、日本ではイエローカードもなかなか出しにくくて、出すのか出さないのかとやっているうちに問題が大きくなってしまった。少なくとも広報という観点、対外説明という観点から言うと、非常によくないやり方でした。結果的にそれは東京オリンピック自体を傷つけたことになるわけです。そういう意味では、極めて残念だと思います。
飯田)メールもさまざまいただいています。越谷市の“ようこ”さん、77歳主婦の方。「女性蔑視発言の森さんが辞任して後任が川淵さん84歳、どうか老齢の思慮深さと英知を持って活動され、差し迫ったオリンピックに希望の火が灯ることを願うばかりです」といただきました。
宮家)その通りだと思います。ニューヨーク・タイムズにどう書いてあるかと言うと、「これは単に森さんだけの問題ではなくて、日本の古い人たちがまだ力を持っている」という書きぶりなのです。古いからと言って、お年寄りだからと言ってダメだということはないのです。しっかりした人たちはたくさんいるのですから、そういう力もきちんと示して欲しいと思いますね。
飯田)ニューヨーク・タイムズのようなリベラルと言われている人たちが、「古い考えだ!」と言ってそれを糾弾するまではまだわかるのですが、「古い人たちが力を持っているのがダメだ」というのは、年齢による差別にもなるのではないかと。
宮家)上の世代にもしっかりした人たちはたくさんいますから、その声がきちんと伝わるようにして欲しいと思いますね。
飯田)他にも“還暦テレワーカー”さん、60歳の会社員の方。「目上の人を立てるという日本のよさとともに、それにかこつけて権限にしがみつく人の醜さも同時に露呈したのかな」と。これがどこを指すのかですね。森さんそのものなのか、その周りなのか。含蓄のある指摘をされているという感じがありますね。
宮家)森さん個人の問題ではないですよ。それを止めた人もいるわけですからね。
飯田)実際に辞意を固めたあとに、引き留めた人もいます。
●森氏の会長辞任 2/13
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が辞任を正式に表明しました。女性差別発言から9日も居座り続けるなど、あまりに遅すぎます。しかも、批判を浴びて辞任する張本人が後任を指名する動きが表面化し、さらに世論の批判を招きました。森氏と周辺が問題の根本を理解していないことは明らかです。
辞任表明した12日の森氏の発言も、反省と謝罪は皆無でした。「大事なことは7月のオリンピックをすること。その妨げになってはいけない」と苦渋の決断を装う一方、「意図的な報道があった」「女性蔑視と言われたが、私は女性をたたえてきたし、男性より余計に発言してもらうように進めてきた」などと述べました。
「女性を増やす場合は発言時間の規制を促しておかないとなかなか終わらないので困る」などの発言が、民主主義の根幹にも関わる、明らかな女性蔑視、女性差別の発言であることを最後まで認識できないのは深刻です。
SNS上でも街頭でも、女性たちの怒りが沸き起こりました。新日本婦人の会は組織委宛てに抗議文を出し、ツイッターや街頭スタンディングなど行動を広げ、NHKなどが報道しました。多様な分野の女性たちが、「どの世界にも“森さん”はいる」「私もわきまえさせられてきた」などと実感を込めて発信し、共感を広げました。
各国大使館や国際団体の女性たちからの「沈黙しないで」とのメッセージにも激励され、日本の女性たちの行動はさらに広がりました。11日には、性暴力を許さないフラワーデモが全国で取り組まれ、「性暴力と性差別は同根だ」と、森氏の差別発言への抗議の場となりました。「沈黙は容認すること」と、アスリートや男性たちからも意見表明が相次いでいます。
声を上げている人は共通して「辞任で一件落着とはならない」と語ります。今回の事態を、日本社会の構造的なゆがみをただし、ジェンダー平等社会をつくる契機にしていかなければなりません。
菅義偉政権は、森氏を擁護し、続投を模索し続けました。国会で姿勢を問われた菅首相は、「公益団体のことだから」と人ごとのように述べました。しかし、首相は組織委員会の顧問会議の最高顧問・議長で、「顧問会議は当法人の運営に助言ができる」と規定されています。辞任を求めなかった責任は免れません。政権と自民党の人権無視の体質が問われます。
新型コロナ禍の中、女性に負担と矛盾が集中しています。その支援を欠いたまま、オリンピック開催ありきで走り続ける一方で、女性蔑視を擁護した政権の姿勢は大問題です。日本はジェンダーギャップ指数で153カ国中121位、政治の分野でみると144位の低位です。意思決定の場に占める女性の割合の異常な低さが、日本社会の重しになっています。
ネット署名を呼びかけた20代女性は、「変えようとしている人もいっぱいいることがわかった。社会をアップデートしていきたい」と語ります。今回の事態は、日本の構造的な闇を明らかにしたとともに、自分の言葉で声を出し、行動することの大事さを示しました。未来をつくるのは、まぎれもなく多様な一人ひとりの声です。
●森会長の辞任劇を米メディアが一斉報道「日本にとって三重苦」 2/13 
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が12日、評議員会・理事会の合同懇談会で正式に辞任を表明したことを受け、米国メディアも一斉に騒動を報じた。
米テレビ局「NBCニュース」は「東京五輪・パラリンピックのトップが女性についての性差別的な発言をしたスキャンダルの影響で金曜日に辞任した」と大々的に伝えた。その中で「新型コロナウイルスのパンデミックを巡る恐怖によってすでに傷つけられている中で、新たな打撃を与えました」とつづった上で「日本にとっては三重苦となってしまった。最初は新型コロナウイルス、次に安倍晋三前首相(66)が病気のために辞任。そして今度は森が辞任しました」と懸念を示した。
米誌「タイム」は「新型コロナウイルスのパンデミックの中で大会を安全に開催する方法については疑問が残ります」と投げかけ、森会長の辞任劇については「もし森会長が日本を代表した立場として、国際舞台の中で目立っていなければ、一連の発言の影響で辞任することはなかっただろう」と話す専門家の意見を紹介した。
さらに、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「最初は森会長の謝罪で終わった問題だった。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)が批判に転じたところから、彼の運命は大きく変わってしまった」と指摘した。
遠く離れた海外の地でも大きな話題となった森会長。果たして新会長はこの逆風をはね返すことはできるのか。 
●森喜朗会長辞任、「昭和の保守派」の勘違いで日本は衰退まっしぐら 2/13
高度経済成長期の成功体験が足かせに
東京五輪は、日本の国力を世界に示す「国威高揚策」として招致された一面がある。また、巨大なハコモノの建設にカネをバラまいて景気の浮揚をもくろむ経済政策でもある。
要するに、森氏に代表される昭和の高度経済成長期の成功体験を強く持っている世代の影響力が強く反映された政策なのだ。そして、それが日本の発展の足を引っ張ってきたことが問題ではないだろうか。
コロナ禍に見舞われた我々は、リモートワークなどで必要なIT・デジタル技術で日本が世界の後塵を拝しているという事実を目の当たりにした。遅れてしまった理由は、安倍晋三政権の時に、「アベノミクス」と呼ばれた異次元の金融緩和・公共事業のバラマキにより、斜陽産業の延命が図られた一方で、成長戦略の実行が先送りされ続けたためである(参照:「国民が「経済にしか関心がない」ことも政治の混乱の一因だ」)。
GAFAと呼ばれる巨大IT・デジタル企業体が世界を席巻し、中国勢もそれを追う展開となっていた時、日本では昭和の夢の復活を追う老人たちに、安倍首相など現役政治家たちが配慮する「シルバー・デモクラシー」が続き、イノベーションの芽が摘まれ続けてきた。
「昭和の保守派」は日本を滅亡させたいのか? 極めて低い女性の権利への意識
森氏は、かつて首相だった時に「日本は神の国」と失言し、バッシングを受けた。いわば「昭和の保守派」である。私は、「昭和の保守派」たちに常々聞きたいと思っていたことがある。
それは、「昭和の保守派」たちの様々な主張をそのまま実行すれば、日本は衰退の一途をたどってしまうのではないかという疑問だ。強いていえば、彼らは、まるで日本を滅亡させたいのではないかとさえ思えてならないのである。
菅政権誕生後、女性の社会進出を進めようとする動きが出てきている。例えば、「選択的夫婦別姓」を実現させようという動きが、自民党内の女性議員たちから出てきた。これは、国際連合の女性差別撤廃委員会から「差別的な規定」と3度にわたって勧告を受けている問題だ。
だが、「昭和の保守派」たちの考えを引き継いだ反対派の抵抗が強く、法案の提出は見送りとなった。
このような女性に対する意識の低さの結果として、日本の女性の社会進出は世界の中で極めて低い。例えば、企業の管理職における女性の割合が、わずか14.9%だ。
女性の社会進出の低さが、日本社会・経済の成長の可能性を阻害しているのは明らかだ。それについて、「昭和の保守派」たちはどうお考えなのか、お聞きしたいものだ。
「サザエさん」のような一家だんらんが日本の家族のあるべき姿?
次に、「昭和の保守派」たちに聞きたいのは、彼らが伝統的な「家族」に非常にこだわっていることの弊害だ。「サザエさん」のような一家だんらんが日本の家族のあるべき姿だというのだが、そんな人たちの支持を受けた野党時代の自民党が作成した「自民党憲法改正草案」には、日本国憲法には存在しない「家族条項」と呼ばれる条文(第24条)が追加されている。
これは、日本国憲法第24条の「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し」という文言を「二人だけで決めて、親を排除しなさいと言っている」「日本の家庭は崩壊の一途をたどり、家族の絆は失われつつある」と批判して設けられたものだ。
しかし、家族の崩壊を憲法のせいだというのは、あまりに論理が飛躍している。
日本の家族形態が多様化したのは、発展過程での普通の変化だ。産業化・都市化が進み、価値観が多様化すれば、どこの国にも起こる。祖父母・夫婦・子どもが同居する「標準家族」が多数を占める社会に、国家が「価値観」を押し付けて戻すことなど、絶対に無理である。
むしろ、家族形態・価値観の多様化という現実を積極的に認めたほうが、日本の「少子化」の克服、経済成長、社会の発展につながるのではないだろうか。
例えば、欧米では「シングルマザー・シングルファザー」を認める社会にしたことで、むしろ出生率が上昇し、少子化の克服につながったという研究結果がある。また、日本では、未婚の母など結婚していない母親から出生した「婚外子」の割合が、わずか2.3%にすぎないが、フランスでは9.7%、スウェーデンでは54.9%で、1990年代に1.5〜6%台に下がっていた出生率を2%台に回復させることに成功している。
これは、例えばフランスの場合、1999年に事実婚のカップルに対して、税控除や社会保障などは結婚に準じる権利を付与するパックス婚の制度が制定されていることが一因と考えられている。結婚の形態の多様化に合わせた柔軟な制度設計にすることで、子どもを産みやすい社会になってきたのだ。
これに対して日本では、価値観が多様化したといっても、いまだに家族という単位へのこだわりが強く、明らかに若者が結婚を重いものと考え、躊躇(ちゅうちょ)する一因となっている。それを、自民党の草案のように「家族は、社会の自然的かつ基礎的単位として尊重され、国および社会の保護を受ける」「家族は、互いに扶助し、健全な家庭を築くよう努めなければならない」などと規定してしまったら、余計に家族を築くことが重いものになってしまい、若者が結婚から遠のき、少子化が進んでしまうのではないだろうか。
皇位の継承問題も根幹は同じ問題にたどり着くのではないか
さらにいえば、「昭和の保守派」たちは、皇室の存亡にかかわる深刻な問題をどうお考えだろうか。皇位の継承は「万世一系の男系の男子」が継承することになっているが、秋篠宮殿下、そのご長男の悠仁さましか事実上の継承者がいない。
この問題への対応策は、「女性天皇」「女系天皇」を認めることである。これは、小泉純一郎政権時代に私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が設立され、議論された。「だって、このままじゃ皇室が滅びるでしょ」的な、シンプルでリアリスティックな小泉首相(当時)の意向が反映され、2005年11月に「家族観や社会における男女の役割分担をめぐって、国民の意識や制度に様々な変化が生じてきていることも考慮する必要がある」として、「女系」容認の可能性を示唆する報告書が提出された。
しかし、その後、秋篠宮家に悠仁さまという皇位継承者が誕生したことで議論が停滞し始め、保守派が支持する第一次安倍政権が登場して議論がひっくり返されてしまった。
「昭和の保守派」たちが主張する、「天皇は『万世一系』であり、皇統連綿の一糸の『男系』によって125代の天皇が存在してきた。だから天皇は『万世一系』『男系』でなければならない」という日本の「文化」は理解できる。しかし、皇室は滅亡に向かうしかないという現実に対して、どういう考えをお持ちなのだろうか。
「旧宮家」を再興すべきだという主張がある。テレビで「応神天皇の5代目の子孫の継体天皇を福井で見つけ出して、男系の皇位継承を守った」という話まで持ち出した人がいたようだが、これを現代に当てはめれば、昨日まで民間人だった方を突然皇位継承者にするということだろうが、国民には非常に違和感があるのではないだろうか。
女性宮家と女性・女系天皇を認めるかどうかの議論をするほうが、はるかに現実的で、国民の理解を得やすいはずだ。
昭和の高度経済成長は米国による「奇跡」
最後に、森氏のような「昭和の保守派」たちが憧れる「昭和」とは、そもそもどんな時代だったかを考えたい。端的に言えば、毎年税収が増えて、国民のどんな要求に対しても何の苦労もなく、いくらでも予算を付けられる時代だった。そんな時代のやり方を、何の反省もなく現在も続けている結果が、若者の将来につけ回される巨額の財政赤字ではないか。
この「昭和」という時代を作ったのが、東西冷戦期の米国の世界戦略だ。米国は、ソ連・中国共産党の共産主義の拡大を防ぐための地政学的な拠点を同盟国とし、軍事的脅威から防衛すると同時に、同盟国のエネルギー資源確保も保障した。また、同盟国を工業化し、その製品を米国市場に大量に輸出させることで経済成長させた。その恩恵を最も受けたのが日本だったのはいうまでもない。
昭和の高度経済成長というのは、米国に守られ、米国に食べさせてもらった「奇跡」であって、その時代に生きた人たちが努力をして成し遂げたというのは、完全な勘違いである。
自分たちの力で何を成し遂げたわけでもないのに、自らを「成功者」と勘違いした「昭和の保守派」が、日本の社会、政治、経済をいまだに牛耳っている。そして、後に続く世代に「昭和の経験」を絶対的な価値観として押しつけていることこそが、世界の進歩から取り残されてしまった日本の本質的な原因なのである。 
 
 
 2/14

 

●女性蔑視、密室、長老支配、人間軽視 旧弊が問われた森会長の辞任劇 2/14
女性侮蔑の発言をした森喜朗元首相が、ついに東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長を辞任した。
IOCと示し合わせて森氏続投を目論んだが……
発言の直後、政府は本人に謝罪させ、IOCと示し合わせて森会長を続投させようとした。「余人をもって代えがたい」というが、森発言には五輪事務の継続を上回る深刻な問題が含まれていることを認識できなかった。
報道によると、森氏は発言後に辞任の意向を示したが、武藤敏郎事務総長らが引き留めたという。これが森氏に「オレは必要とされている」と誤解させ、後々、事態をこじらせる原因になった。
森発言は要するに「女は口を慎め」という攻撃的な内容である。海外の最初の非難はカナダのIOC委員ヘイリー・ウイッケンハイザー氏から寄せられた。「東京でこの男を絶対に問い詰める」という激しい怒りに、政府や五輪関係者は、森発言の影響の大きさに初めて気づいた。
「首相に言われて」森氏に電話した橋本男女共同参画担当相
橋本聖子五輪担当相は2月4日の会見で「首相に言われて森氏に電話した」と明かした。彼女は男女共同参画担当相でもあり、今回の問題の結節点にいた。しかし、上から指示されて初めて電話したのだった。
男女平等というグローバル・スタンダードをめぐる、世界との深刻なズレ。日本の男女平等が付け焼刃であり、実体は後進国レベルであることを世界に宣伝してしまった。
森氏が自分の後任を旧友の川渕三郎氏にしようと動き回ったことは、この国にはびこる別の弊害も浮かびあがらせた。密室性や長老支配である。その実態がこれほど生々しく表面化することは珍しい。
森氏は相談役になる意向だったようだが、これは民間企業でもよく見られる光景だ。権力の座にあった会長が引退にあたって相談役での処遇を求める。いつまでも部下からチヤホヤされたい、秘書や車、個室を使いたい……。
就任以来の劣勢を挽回する好機を逸した菅首相
いまとなっては後の祭りだが、もし発言直後に菅首相が素早く森氏に「発言は不適切だった。遺憾である」と伝えておけば、森氏はその意を汲んで早期辞任に踏み切ったかもしない。
しかし、首相は、「それは組織委員会が決めること」と、建前だけ述べて逃げた。五輪には国民の巨額の税金がつぎ込まれている。首相が納税者の代表として森氏個人に意見を言うことはおかしくない。
「泣いて馬謖を斬る」ということわざがある。首相にとっては辞任を促すことで、就任以来の劣勢を挽回する機会でもあったが、その役割は4者会談への出席を拒否した小池都知事に取られてしまった。 ・・・ 
●森会長の辞任劇で予感 「この秋、小池総理誕生するんじゃないか」 2/14
元衆院議員でタレントの杉村太蔵(41)が14日、TBS「サンデージャポン」(日曜前9・54)にリモート出演。森喜朗氏(83)の東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長辞任騒動で「この秋、小池総理誕生するんじゃないかという予感すらしてますよ」と語った。
番組では、女性蔑視発言騒動を受け、森喜朗氏(83)の東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長を辞任した一連の騒動について特集。動きの中で存在感を増す小池百合子・東京都知事(68)についても紹介した。
この日、MCを務めたお笑いコンビ「ぺこぱ」の松陰寺太勇(37)から「小池都知事がここに来て、存在感出てきたんじゃないですかね」と話を振られた杉村は「小池さんっていいポジションにいるなと思う、いつも」と指摘。「コロナの感染対策だって、感染拡大している時は政府が悪い。感染が収束したら自分がすごい。オリンピックだってそう。開催できなかったら、政府と組織員会が悪い。無事開催できたら私がすごい」と持論を展開した。
続けて「今回の4者会談だって、東京都が開催都市ですから、この混乱を収束するために自らが4者会談を招集して、この混乱の落ち着かせようとするのが普通の考え方、あえてそこには出ない。今回の女性蔑視発言も小池さんは追い風にして、私、期待してるとかしていないとかじゃなくて、この秋、小池総理誕生するんじゃないかという予感すらしてますよ。予感…」と話した。 
 
 
 2/15

 

●森喜朗会長の辞任「当然だ」72% 朝日新聞世論調査 2/15
13、14日に朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)で、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言した責任を取って辞任したことについて質問したところ、72%が「辞めたのは当然だ」と答えた。「辞める必要はなかった」は21%だった。
「辞めたのは当然だ」は、自民支持層でも67%いた。年代別でみると、40代以上は7割を超えたが、30代は65%、18〜29歳は55%で、全体より低めだった。
元首相でもある森氏の発言をめぐる一連の問題について、政府や自民党の対応を妥当と思うかも尋ねた。「妥当ではなかった」は52%で、「妥当だった」35%を上回った。内閣支持層で「妥当ではなかった」は39%、「妥当だった」は52%、自民支持層は「妥当ではなかった」は43%、「妥当だった」は47%だった。無党派層は「妥当ではなかった」が53%、「妥当だった」は29%にとどまった。
調査は無作為に作成した電話番号にかけるRDD方式で実施し、固定、携帯合わせて1597人から回答を得た。回答率は固定54%、携帯47%。
●森会長は政界引退後もなぜか重用? スポーツ界で影響力を増した背景 2/15
「私の不適切な発言が原因で混乱をさせてしまいました。誠に申し訳なく存じております」
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)による女性蔑視発言。森氏は1週間余りで辞任に追い込まれた。2月12日に開かれた組織委の合同懇談会で森氏は、冒頭のように謝罪した。
女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる──。発言があったのは2月3日に開かれた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会だった。一時は森氏を慰留する声があったというが、結局は辞任。後任は森氏本人の指名で元日本サッカー協会会長で現在は相談役の川淵三郎氏(84)の名前が挙がった。だが、後述する「森首相」誕生時の「密室会談」にも通じるやり方に、「透明性が確保されない」との批判が上がり白紙に戻った。
11日に報道陣の取材に応じた川淵氏によると、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は森氏に、女性の共同会長を置くことを提案したというが、受け入れなかった。
川淵会長案が白紙に戻り、今後は国内外に新体制をアピールできる新会長の早急な人選を迫られる。
ラグビーで早大に進学
森氏の話に戻したい。森氏は組織委が発足した2014年から会長を務め、官邸との調整役も果たした。首相経験者とはいえ疑問なのは、12年に政界引退後もなぜこれほど表舞台で重用されていたのかだ。その点を考える前に、まずは基本的な情報を押さえておきたい。
石川県根上町(現能美市)出身。ラグビーのために早稲田大学に進学するが、体調を崩して断念。その後、多くの政治家が輩出した雄弁会に入り、卒業後は政治家になるためのステップとして産経新聞社に入社した。
初当選は1969年で、文部(現文部科学)大臣などを歴任。00年、総理大臣だった小渕恵三氏が病に倒れると、急きょ、党の重鎮5人組による「密室会談」で後継に決まった。総理在任中は、「神の国」発言など失言を繰り返す。最終的に森内閣の支持率は調査によっては1桁にまで落ち込み、約1年の短命内閣となった。
今も重用される理由について、政治評論家の有馬晴海さんはこう指摘する。
「この国をどうにかしようとする人たちのために外堀を埋めることが得意で、五輪関係でも、陰で動いて手柄を人にあげられる人だから重宝されたのでしょう。目配りで生きてきたところがあり、知恵があるから自分自身が接着剤役になっていろんな人たちをつなげていく。失言もありますが、人間力もなかなかです」
粘って縁故入社する
有馬さんは、森氏の魅力として、具体的に「交渉術」や「処世術」を挙げた。
「産経新聞社への入社の経緯や、初当選のときのエピソードなどから、そうした才能に若いころからたけていたのだと考えられます」
森氏の自伝『私の履歴書』(日本経済新聞出版社)でも、それらのエピソードに触れられていた。産経への入社の際は、縁故を使ったので安泰だと思っていたらしい森氏。ところがその年に限って採用がない旨をいったんは担当者から告げられるが、なんとか粘って入社にこぎつけたのだという。
初当選の際は、自民党の公認候補になれなかったにもかかわらず、知人のつてを頼りに安倍晋三前首相の祖父、岸信介元首相に石川の地元に入って応援してもらえるようお願いしたという。当時、羽田空港と小松空港を結ぶ路線はプロペラ機だったようで、悪天候で石川入りが実現しないことを心配した森氏は、負担はかかるが列車で来るよう、自ら交渉したようだ。そのおかげもあってか、選挙区でトップ当選を果たした。
「総裁選もせずに小渕恵三さんの後継になるなど、いつもギリギリのところでうまくかすめ取ってきたのが森さんです。世の中を渡っていく知恵を蓄えているようです」(有馬さん)
野党とのパイプも強い
自民党衆議院議員秘書の経験があるコラムニストの尾藤克之さんは、森氏が築き上げた幅広い人脈も強みと考える。
「永田町の住民は、与野党問わず森さんのことを悪く言う人はそれほどいません。野党とのパイプもとても強かった人で、自社さきがけ政権の発足時(94年)に、村山富市さんをかつごうと裏でうまくネゴしていたのも森さんでした」
当時、羽田孜内閣が倒れて自民党は1年足らずで政権に返り咲いた。首相指名を巡り、森氏は社会党右派の山口鶴男氏(故人)から、社会党左派を取り込めばうまくいくという助言を受け、調整を進めた。
首相在任中から築いていたロシアのプーチン大統領との良好な関係も森氏の存在価値を高めているようだ。民主党政権時代には、当時の野田佳彦首相が森氏を頼り、ロシアへ異例の“野党特使”を送ろうとしたほどだ。
「脇が甘く失言もありますが、こうした人脈は森さんの強みとなっているのでしょう」(尾藤さん)
前出の有馬さんによれば、森氏の人脈は政財界や芸能界、スポーツ界など、ありとあらゆるところに張り巡らされているという。ここでは特にスポーツ界での森氏の存在について触れておきたい。
政治とスポーツの距離
スポーツジャーナリストの生島淳さんは、森氏がスポーツ界で影響力を増していった背景にあるのが「スポーツと政治の親和性」だと指摘する。
それを理解するために、40年前の出来事に触れておきたい。80年、ソビエトで開催されたモスクワ五輪では、前年のアフガン侵攻で、冷戦状態にあった米国がボイコットを世界に呼びかけた。対応は真っ二つに割れ、日本は米国に同調した。
当時、JOCは文部省所管の日本体育協会(現日本スポーツ協会)の中の一組織だった。国会議員も協会長を務めてきた経緯から、政治の影響も受けやすかった。生島さんによれば、その反省から、スポーツは政治から距離を置いて独立性を保つ流れがいったん強まり、JOCも89年に協会から独立。ところが、政治側はスポーツと手を組んでも損はなく、スポーツ側は競技力を保つために政治の力が必要だったという。
「利害が一致して再び距離を詰めていったのが世紀の変わり目くらいです」(生島さん)
文教族でスポーツ愛好家の森氏が日本体育協会長に就いたのは05年だ。その頃にはすでに両者の再接近が完成していたといい、16年の五輪招致に動いていた時期だった。「一連の時流に乗って森氏が影響力を増していったのだと考えられます」と生島さんは考える。
コロナ禍に振り回されたあげく、組織委トップの交代劇でミソがついた東京大会。トップ交代で好転するか。「五輪の価値が随分と傷つけられたのが残念」。生島さんの言葉は、森氏や組織委に届くのだろうか。 
 2/16

 

●森「オールジャパン体制」崩壊で得たスポーツ界の教訓 2/16 
女性蔑視発言をした東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、五輪開幕まで5カ月余と迫る中、辞任に追い込まれた。元首相の森氏が、国内スポーツ界を束ねる日本体育協会(現・日本スポーツ協会)の会長に就任してから16年。この間、五輪を中心に日本のスポーツを取り巻く構造は大きく変わった。森氏の「退場劇」によって、スポーツ界はどんな教訓を得たのか――。
潮目が変わった2005年
あれは2005年の春先だったと記憶している。本社のデスクから帰宅途中に連絡を受けた。「体協の会長に森さんが内定したらしい。裏を取ってくれ」。
日本体育協会の会長候補者選考委員会の委員長を務めていたのは、元日本サッカー協会会長の長沼健さん(故人)だった。自宅に電話すると、長沼さんが出た。「なぜ政治家を会長に据えるのですか? また政治介入を招くのではないですか?」と聞く私に、長沼委員長は「財界からの起用を考えたが、適任者は見当たらなかったよ」と応じ、森氏に絞り込んだことを認めた。
当時の日本スポーツ界は、政治と一定の距離を保っていた。政府方針に従って不参加となった1980年モスクワ五輪の教訓が残っていたからだ。
体協傘下にあった日本オリンピック委員会(JOC)は、89年に財団法人として独立した。体協会長も95年以降、元昭和エンジニアリング社長の安西孝之氏が務め、05年3月に任期満了で退くことになっていた。
当時、スポーツ界の「ドン」と呼ばれていたのは、プロ野球・西武ライオンズのオーナーであり、JOCの初代会長を務めた西武鉄道グループの総帥、堤義明氏だった。特に五輪関係の重要事項は堤氏の決裁が必要だった。
堤氏が会長を務めるコクド本社は東京・原宿にあった。このため、関係者は堤氏のことを隠語のように「原宿」と呼び、「原宿はどう考えているのか」とその意向を常に気にしていた。しかし、堤氏は証券取引法違反容疑で05年3月に逮捕され、スポーツ界からも失脚した。
そのタイミングで森氏が体協会長となり、その後、JOCの理事にも就任。大物政治家の登場により、スポーツ界の司令塔は「原宿」から「永田町」へと移っていく。
体協会長の就任記者会見で、私は「モスクワ五輪についてどういう歴史認識を持っているのか」と質問したが、森氏は「政治が圧力をかけたのではなく、競技団体が自ら判断したものと理解している」と平然と答えた。問題の本質をはぐらかす政治家のコメントに聞こえた。
「スポーツ立国」の思想の下で
森氏は日本ラグビー協会の会長にも就き、他にも自民党の政治家が次々と競技団体のトップに座るようになった。スポーツ界としても、国の補助金を得るには好都合だった。バブル崩壊後、各団体はスポンサー集めに苦しみ、企業スポーツの休廃部が相次いで、選手たちも活動基盤を失うケースが多くなっていた。
中でもスポーツ界は、日本代表の強化拠点となる国立のナショナルトレーニングセンターの建設を歓迎した。東京・西が丘に完成したのは07年12月。北京五輪を翌年に控えていた頃だ。小泉純一郎首相が「北京五輪に間に合うように」と建設を急がせ、予定よりも早くできあがった。
同時に進行していたのは、国のスポーツ振興基本計画に基づく「メダル倍増計画」だった。96年アトランタ五輪の時に1・7%にまで落ち込んだ日本のメダル獲得率(メダル総数に対する獲得数)を早期に3・5%にまで伸ばすというものだ。政策目標として競技力向上が数値化され、「国がカネを出すのだから、結果を出せ」とばかりにメダル至上主義が加速した。
各競技団体に対して、国庫補助金や文部科学省の外郭団体が実施するスポーツ振興くじ(toto)からの助成金が増した。しかし、その一方でJOCに加盟する複数の団体では、補助金や助成金の不適正処理が横行した。そのたびにスポーツ界への国家監視は強まり、結果的には国に対して服従せざるを得ない風潮が進んだ。その点ではスポーツ界にも大きな責任がある。
国によるスポーツへの関与はさらに増していった。11年には「スポーツ立国の実現を目指し、国家戦略として、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進する」と謳うスポーツ基本法が成立。15年には文科省の外局としてスポーツ庁が発足した。
こうした流れの中で、スポーツ界の主体性は失われていった。スポーツによって、日本国家の活力を示すという「スポーツ立国」の思想は、国威発揚の思想そのものだ。
そんな中、13年の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京が20年東京五輪の開催権を勝ち取ると、国家プロジェクトとして、政治主導の体制はますます強化されていく。戦後復興の象徴となった前回東京五輪の熱狂を再びと国民の期待が高まった。その中心で組織委員会会長の座に就き、「オールジャパン体制を」と呼び掛けたのが森氏だ。
相次ぐトラブルの後に渦巻く不安と懸念
森氏が辞任を表明した翌日の毎日新聞朝刊2面には、「招致の中核4氏 開催見届けず……」の見出しとともに、13年の招致出陣式で気勢を上げる森氏、安倍晋三首相、猪瀬直樹・東京都知事、竹田恒和・JOC会長の写真が掲載された。
安倍氏は持病、猪瀬氏は不正な献金疑惑で辞任し、竹田氏は招致活動をめぐる裏金贈賄疑惑で捜査対象となり、任期満了でその座を退いた。
これまでを振り返れば、国立競技場の計画変更や大会エンブレムのデザイン盗用疑惑、マラソン・競歩の札幌移転などがあり、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で史上初の延期が決まった。
相次ぐトラブルに見舞われ、ついに組織委員会の会長も辞任して、関係者が思い描いた「オールジャパン」は崩壊したに等しい。そしてまだ、コロナ下で大会を開催できるのか、という不安と疑念が渦巻いている。
確かに、五輪は政治の協力なくしては開催できない。しかし、スポーツ界からみれば、「森時代」が残した負の側面は拭えない。メダル至上主義と巨大イベントの日本誘致。いずれも国家の存在意義を世界に知らしめるというナショナリズムの下で進められてきたことだ。スポーツ界もそのみこしに乗せられて踊っていたのではないか。
スポーツ界が主体性を取り戻す気概を持たなければ、これからも政治主導の体制は変わらないだろう。大会準備が大混乱に陥った今こそ、スポーツ界のあり方を考える機会にするべきだ。
五輪の価値を問い直し、スポーツ界が発信を
五輪憲章の根本原則の6には、「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」と記されている。女性を蔑視した森氏の発言は、この精神に反すると多くの人が指摘した。
今回の問題に対する抗議は、日本国内だけにとどまらず、海外にも広まった。男女平等や人種差別根絶を願う価値観は、世界で共有できるものだ。
昨年はテニスの大坂なおみが全米オープンで黒人差別被害者の名前が入ったマスクをつけてコートに登場し、話題を呼んだ。その抗議行動をスポーツメーカー「ナイキ」がバックアップし、今回は女性差別に対する抗議の意思を五輪スポンサーが次々と表明した。
辞意を固めた森氏が後任会長就任を打診した川淵三郎氏について、日本の報道機関は引責辞任する会長が進めた「密室人事」だと非難した。しかし、海外メディアの中には違う反応も見られた。
川淵氏の名前が挙がった際、テレビ朝日の取材を受けたフランスの高級紙、ル・モンドの東京特派員、フィリップ・メスメール氏は「後任といわれる川淵氏は、ある意味、合理的な選択だろう。ただ、近隣諸国を動揺させかねない立場を取ってきた人。川淵氏の歴史認識やナショナリズムが災いするかもしれない」と指摘した。
川淵氏は、サッカー・Jリーグの創設やバスケットボール界の内紛を収めてBリーグを発足させ、スポーツ界に大きな功績を残してきた。しかし、猪瀬氏の選挙対策本部長を務めて政治に足を踏み入れ、最近はツイッターで国家主義的な投稿をしばしば繰り返している。外国人記者はそれを見逃さなかった。
五輪やパラリンピックが、国威発揚の下でメダルを競うだけの大会になってはならない。「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進」がオリンピズムの目的であり、差別排除を掲げる根底には「スポーツをすることは人権の一つ」という考えがある。東京大会を開催するのであれば、その普遍的価値を世界に伝える舞台にしてほしいものだ。 
●森喜朗氏の後任会長人事に世界の眼〜五輪組織委員会は再生できるか 2/16
思いもかけなかった東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長交代。これはすこぶるつきの難題だ。森喜朗氏に代わって誰を新会長にするかだけでなく、それを誰がどうやって決めるかも、国内外の厳しい眼にさらされているからだ。
国内メディアの世論調査を見る限り、東京五輪・パラリンピックについて、新型コロナを理由として、開催の延期、ないしは中止を求める民意が大きくなっているように見える。「開催できればいいが、無理して開催すべきことではない」という声が、もはや世論の大勢であろう。
それゆえ、新しい会長人事においても、いざとなれば「中止や延期の判断ができる人」が望ましいということになる。責任重大である。
驚天動地の森・川淵会談
それにしても、今回の「森発言」に対する海外の世論、国際オリンピック委員会(IOC)など大会関係者、メディアの厳しい批判は驚くばかりだ。発言直後、国内ではなんとか乗り切れると見る向きもあったが、森会長が居座り続けることが可能な情勢は、あっという間に吹き飛んでしまった。
森会長自身の辞職の意向表明が遅かっただけでなく、この間の打つ手打つ手の勘違いが事態をさらに悪化させたのは明らかだ。なかでも、2月11日におこなわれた森会長と川淵三郎氏(元日本サッカー協会会長)との会談は、驚天動地としか言いようがない。テレビのニュースで見た時には、目を疑い、耳を疑わざるを得なかった。
森会長は、こんな“密室での交代劇”のシナリオが、今どき通用すると本気で思っていたのだろうか。
そもそも自らの不祥事(女性蔑視発言)によって引責辞任をする人が、どうして後継者を指名できるのか。多くの人がそう感じただろう。この一事をもってしても、森会長の反省心や薄さや今までの組織の人的支配の構図が透けて見えてきた。
日本の構造的劣化があらわに
さて、この不幸な「森発言」事件を「禍(わざわい)を転じて福をなす」という方向に転換することができないか。
現在、組織委員会の動向、関係者の一挙手一投足には、全世界の注目が集まっている。主役の森会長が川淵氏の耳もとで交代してくれるようささやく。本人たちは“密室”でやっているつもりかもしれないが、実は大きなステージで演じられており、全観客がライブ中継で見ているようなものだ。そこではあらゆる小策や手練手管が通用しないということを、われわれはまずわきまえるべきだろう。
逆に言うと、われわれがこの件を説得力のあるやり方で決着させることができれば、それは一気に広がって全世界から評価され、その勢いによって日本の政界、経済界、スポーツ界などの風景を変えていくこともできるはずだ。それほどまでに、今回の件は日本の構造的劣化を示す一例とも言えよう。
従来の会長選手方法では限界
2月13日の朝日新聞によると、12日に開かれた組織委員会の理事と評議員らによる合同懇談会では次のような発言もあったという。
「理事会は森会長の意向に追随する機関ではない。後任指名すること自体が論外で、透明性を確保して会長を決めるという当たり前のことをやるまでだ」
組織委員会の人たちは、よかれ悪しかれ森会長の“体質”に染まった人たちばかりかと感じていただけに、こんなまっとうな見識を持つ理事が含まれていたことに、ある意味安堵(あんど)した。
とはいえ大半の理事は、森会長のくだんの失言に笑いで応え、異議を唱えないことで同調してきた人たちだとの報道もある。そういった性格の理事会に、果たして後任会長を選ぶことができるのか。疑問を抱かざるを得ない。
12日の合同懇談会では、組織委員会内に後任を選ぶための「候補者検討委員会」を設置し、委員長にはキヤノン会長兼社長CEOの御手洗富士夫名誉会長が就くことになった。検討委員会のメンバーは御手洗氏が組織委員会の理事から男女半々になるよう選び、メンバーは公表せず、会議も非公開とし、候補者選定終了後に過程を公開するという。組織委員会の定款によると会長は理事の互選で決まるが、検討委が会長候補を理事会に推薦するかたちだ。
だが、世界が注視する舞台で、そんな形式的な小細工が通用するだろうか。委員長になる御手洗氏は納得しているのか。政府が多用してきた「審議会」をつくるかのような安易な手法で、このすこぶるつきの難題を乗り切れるとは到底思えない。外から見ると、森氏だけではなく組織委員会そのものも信頼を失墜させていることを忘れてはならない。
同じニワトリからうまれた卵では……
日本国民から見ても、そして海外から見ても、これまでの経緯を見ると組織委員会の体質や考えは、その大半が森会長と同じと見なされてしまった。だから、組織委員会の理事が後任を選んでも、単に“包装紙”を替えただけという誤解が生じるだろう。同じニワトリからうまれた卵に本質的な違いはないと見られる恐れがあろう。
要するに、今の理事会が新会長の選任を主導する限り、国際社会からの十分な理解は得られないのだ。
内外からの中途半端な理解で再出発することになれば、そんな組織委員会が求心力を持つことは残念ながらあり得ない。世界中を苦しめるコロナ禍のなかで、オリンピック開催の是非を決断し、いかなる結果であれ、世界を納得させることは至難の業であろう。
首相が陣頭に立って苦境の突破を
「国益にとって芳しくない」(菅義偉首相)この事態を収めるには、やはり菅首相が自ら乗り出すしかない。ここで首相が陣頭に立って火中の栗を拾い、苦境を突破することが必要だろう。
幸い「首相」は組織委員会の顧問会議の議長であり、自らも最高顧問の地位にある。今回のような組織の非常時において、指導力を発揮することが期待されている。
これまで菅首相は森発言に端を発した今回の問題について、一歩距離をおいて観察をしているように見える。だが、オリンピック開催に強い意欲を持つだけに、実はこの人事への関心は高く、関係者の言動に内心いらだっているのではないか。
菅首相は森会長の後継者として、「若い人を、女性はいないか」と言ったと報道されている。もともとが“人事好き”とも言われる首相のことだ。すでに意中の人がいるかもしれない。
日本学術会議の会員任命に横車を押したことでは世論の不評をかったが、組織委員会の非常時における新会長人事については具体名を出すことは認められる。菅首相が候補者検討委員会にこれと思う人を推薦すればいい。一人でも複数でもいいと思う。それなら、組織委員会の定款にもそうだろう。
強力な求心力を生むために
現状では、組織委員会が会長人事を先導するのは、いささか荷が重すぎる。そもそも、その決定に内外の世論が好意的に反応するか、はなはだ心もとない。粛々と“事務的”に進めるだけでは、空気は逆に冷めることもあろう。
すでに、何人かの候補名が取りざたされている。首相が発言した「若い人」「女性」の二つの条件に最も合致する人となると、小谷実可子さんが頭に浮かぶ。もしそうなれば、国内はもちろん海外からも驚きと歓喜の声があがり、新会長の強力な求心力が生まれるであろう。
大役に心細ければ、副会長に親しく信頼できる人を一人、指名できるように計らえばいい。さらに、組織委員会の構成も大きく変えることも必要だ。  
●森人脈ズラリの「怪しすぎる財団」が…会長辞任でも消えない利権の臭い 2/16 
差別発言が国内外から猛批判を浴び、辞任に追い込まれた東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長。後任選びが迷走する中、“五輪マネー”に関する新たな疑惑が国会で取り上げられた。
15日の衆院予算委で、立憲民主党の斉木武志衆院議員が、森会長とかかわりが深い「一般財団法人日本スポーツレガシーコミッション」なる団体について質問。日本オリンピック委員会やJOC関係者の間では、五輪の剰余金がこの団体に贈与されると言われているというのだ。
役員一覧を見ると、「レガシーコミッション」の最高顧問は森会長と御手洗冨士夫キヤノン会長兼社長CEOの2人。御手洗氏は、森会長の後任会長候補を選ぶ組織委の「候補者検討委員会」の委員長も務める。
さらに、理事長は遠藤利明元五輪担当相、理事には山下泰裕JOC会長、評議員に馳浩元文科相や組織委の武藤敏郎事務総長など、“森人脈”がこれでもかと名前を連ねている。
団体は昨年3月12日に設立され、所在地はJOCが入っているビルの10階に置かれているが、電話番号は非公開。
斉木議員が連絡先を入手して電話をかけてもなかなかつながらず、7回目でようやく通じたが、先方の職員は「来られても困る」「すべて遠藤利明さんがやっているから、遠藤さんに聞いて欲しい」の一点張りだったという。そこで遠藤事務所に問い合わせたところ、「事務局に聞いてくれ」とたらい回し。斉木議員は「実際にどんな活動をしているのかも分からない」と指摘していたが、こういう怪しげな財団に東京五輪の剰余金が流れる可能性があるというのだ。
長野冬季五輪では45億円、平昌冬季五輪では62億円、夏季のロンドン五輪では46億円の剰余金があったとされる。
組織委の定款には、清算時の残余財産は評議員会の決議を経て「国」、もしくは、「地方公共団体」「公益法人」に贈与できるという規定がある。
「週刊新潮」(2020年2月13日号)によれば、「レガシーコミッション」の設立者は、森会長が代表理事を務める〈一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター〉で、「この新財団をゆくゆくは公益財団法人にして、東京五輪終了後の剰余金の受け皿にするのではないか」という文科省関係者のコメントも紹介していた。
不透明なのは後任会長人事だけではない。どこを掘っても森人脈と利権が根を張る「モリンピック」。森氏が会長を辞任しても、利権構造は温存されるのか。国会は、もっとこの問題を詰めるべきだ。 
 2/17

 

●森喜朗会長の後任候補、橋本五輪相に一本化で調整 2/17
東京五輪・パラリンピック組織委員会の候補者検討委員会は、女性蔑視と受け取れる発言で引責辞任する森喜朗会長の後任候補として、橋本聖子五輪担当相に一本化し、就任を要請する方向で調整していると、NHKが17日報じた。
橋本氏が新会長に決まれば、新型コロナウイルス感染の終息が見えない中、開催まで半年を切った大会の安全な運営に向け重責を担うことになる。
男女半数ずつ8人で構成する候補者検討委員会(御手洗冨士夫委員長)は16日開いた非公開の会合で、男女平等など新会長に必要な5つの資質を取りまとめた。検討委員会の会合は17日も開催され、具体的な候補者を検討した。18日も3回目の会合を開く。その後理事会を開催して次期会長を正式に選定する。
加藤勝信官房長官は17日午後の記者会見で、「組織委は政府と独立した法人であり自ら判断されるべきもの。今実際、そうしたプロセスを進められていると承知している」と指摘、「詳細については政府として承知していない」と語った。
内閣の規範によると、国務大臣、副大臣及び大臣政務官は公益法人などの団体の役職に就く場合、報酬のない名誉職などを除き兼職できない。国務大臣は無報酬で兼務する場合には、首相に届け出なければならない。また、国会法39条によると、国会議員は国または地方公共団体の公務員と兼職できないが、参院事務局は五輪組織委会長は公務員でないので、法的には兼職可能と説明している。
   新会長に求められる5つの資質
   オリパラ、スポーツに深い造詣がある
   男女平等や多様性などの理念を実現できる
   国際的活動経験と国際的知名度がある
   東京大会の経緯や準備状況を理解している
   組織運営能力と多様な関係者との調整能力がある
組織委は17日の検討委員会後発表した文書で、同日の審議内容については具体的な候補者の人選に関わるため、新会長決定後に選考プロセスなどあらためて説明の場を設けるとしている。
森氏(83)は3日の日本オリンピック委員会(JOC)評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言。その後、海外メディアが批判的に報じたほか、トヨタ自動車など東京五輪スポンサー企業も相次ぎ遺憾の意を表明。大会ボランティアが数百人規模で辞退するなど影響が広がる中、森氏は12日に辞意を表明した。
森氏の辞意表明に先立ち、日本サッカー協会相談役の川淵三郎氏(84)が一時後任候補に浮上したが、選任過程が不透明との批判から一転、受け入れを辞退するなど事態は混迷した。組織委は新たに候補者検討委員会を設置して次期会長候補の人選を進めてきた。
   会長交代を巡る経緯(2月)
   3日 JOC評議員会で「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」と発言
   4日 森氏が会見で発言を撤回・謝罪したが辞任は否定
   9日 山下泰裕JOC会長が発言を批判。IOCも「完全に不適切」と声明
   9−10日 トヨタ自動車など五輪スポンサーが批判的コメントを相次ぎ発表
   11日 川淵氏が後任会長を引き受ける意向示す
   12日 森氏が辞意表明。川淵氏は辞退。組織委が検討委を設置
   15日 菅義偉首相が「透明でルールに基づいた選考」を組織委に要求
   16日 候補者検討委の第1回会合で新会長の5条件取りまとめ
   17日 検討委第2回会合で具体的候補者を検討
組織委や国際オリンピック委員会IOCは7月の開催に向け、受け入れ観客数を含め新型コロナ対策を盛り込んだ詳細な運営計画を策定する重要な時期にある。3月25日には聖火リレーが、4月以降にはテスト大会も始まる予定だ。
●五輪組織委会長の後任候補、橋本五輪相に一本化の方向 2/17
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)の後任候補を選ぶ「候補者検討委員会」(座長・御手洗冨士夫名誉会長)が、17日に第2回会合を開いて後任候補を橋本聖子五輪相(56)に一本化し、就任を要請することが大会関係者への取材でわかった。橋本氏が引き受ければ、18日に開かれる検討委の第3回会合で報告し、同日の組織委の臨時理事会で了承を得たい考えだ。
8人の検討委は、「男女平等など五輪憲章の理念を実現できる」「東京大会の経緯や準備状況への理解がある」「組織運営能力や調整力がある」など16日の初会合で決めた五つの基準に沿って後任候補を協議した。その結果、選手として夏冬の五輪に計7回出場し、日本オリンピック委員会(JOC)副会長や組織委理事を務めるなど東京大会に長く携わってきた橋本氏が最適との方針で一致した。
組織委の定款では、会長は理事の中から選ぶ必要がある。組織委は臨時理事会で橋本氏の就任が了承されれば、臨時評議員会で橋本氏を理事に選び、理事会で新会長に決める。大臣は公益法人の役職員との兼職が禁止されており、橋本氏が就任するには五輪相を退く必要がある。
橋本氏は1992年アルベールビル五輪のスピードスケートで、冬季五輪の日本女子で初のメダル(銅メダル)を獲得。日本スケート連盟会長、日本自転車競技連盟会長を務めた経験もある。
●森会長の後任候補 橋本五輪相に就任要請へ 候補者検討委 2/17
辞任を表明した森会長の後任候補を選ぶ東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の「候補者検討委員会」は候補を橋本聖子オリンピック・パラリンピック担当大臣に一本化し就任を要請することになりました。「候補者検討委員会」は18日、3回目の会合を開き、新しい会長の選出に向けた議論を進めることにしています。
大会組織委員会の森会長は、女性蔑視と取れるみずからの発言の責任を取り、今月12日に辞任する考えを表明しました。
組織委員会は透明性を確保して後任の会長候補を選ぶためにアスリートを中心とした8人のメンバーによる「候補者検討委員会」を設置し後任の会長候補の選考を進めてきました。
その結果、17日、都内のホテルでおよそ2時間にわたって非公開で行われた会合の中で、候補者を橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣に一本化し、就任を要請することになりました。
橋本大臣に意向の確認をして就任要請が受け入れられれば、組織委員会は必要な手続きを経たうえで、今週中にも理事会を開いて正式に新しい会長を選出する方針で「候補者検討委員会」は18日、3回目の会合を開き、新しい会長の選出に向けた議論を進めることにしています。
橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣は、17日夜8時前、東京 永田町の合同庁舎で記者団に対し「組織委員会において『候補者検討委員会』を立ち上げ、プロセスにのっとって、いま、手続きが進められているということで、人事に関わることであり、私からは、それ以上、申し上げることはない」と述べました。
また、記者団が「次期会長候補になる何らかの要請や打診はあるのか」と質問したのに対し「それも含めて、いま、そういったプロセスにのっとって、しっかりと進められていく段階であるので、私からは申し上げることはできない」と述べました。
さらに「もし、打診があれば受けるのか」という質問に対し、橋本大臣は「それも含めて、人事に関わることなので差し控える」と述べました。
橋本聖子氏は北海道出身の56歳。スピードスケートや自転車競技の選手として、冬と夏合わせて7回、オリンピックに出場し、1992年のアルベールビル大会では、銅メダルを獲得しました。
1995年の参議院選挙で初当選し、これまでに外務副大臣や自民党の参議院議員会長などを歴任し、おととし9月から、オリンピック・パラリンピック担当大臣を務めています。
また、JOC=日本オリンピック委員会の副会長や2014年のソチオリンピック、2016年のリオデジャネイロオリンピックの日本選手団の団長も務めた経験があります。
橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣は、衆議院予算委員会の終了後、記者団が「連絡はあったのか、要請は受けるのか」と質問したのに対し「予算委員会だったので」と述べるにとどめました。
加藤官房長官は午後の記者会見で「組織委員会は政府から独立した法人であり、みずから判断され、プロセスを進められているものと承知しているが、詳細は、政府として承知していない」と述べました。
そのうえで「人事においても、組織委員会が、透明性を持って、手続きにのっとって判断されるというのが政府の立場で、具体的なことについて、申し上げる立場にはない」と述べました。  
  
 
 
 
 2/18

 

●橋本聖子新会長と森前会長は「父と娘」特別な関係 2/18
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会のこの日2度目となる理事会が18日午後、都内で行われ、橋本聖子五輪相(56)が新会長に選ばれた。女性蔑視発言で辞任した森喜朗会長(83)の後任となる。
橋本新会長と森前会長の関係は特別なものがある。現役時代の95年に自民党から参院議員に初当選した際も、正式に出馬要請したのが、当時の森幹事長だった。それを物語るようなエピソードも。五輪相就任後、初めて組織委の森会長を訪問した19年9月、森氏は橋本氏を「娘だと思っている」と口にした。橋本氏も呼応。森氏について「父なんです」と笑顔を見せた。
●橋本聖子氏、組織委会長に就任 「五輪成功に向け尽力」 2/18
女性蔑視発言で辞任を表明した東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)の後任に18日、橋本聖子五輪相(56)=同日付で辞任=が就任した。橋本氏はこの日、評議員会で理事に選任され、同日夕の理事会で理事の互選により会長に決まった。
橋本氏は理事会の場で、「大変大きな重責を担わせていただくことになりました。このたび、大臣を辞職するのは私にとって大変大きな決意でありましたけど、東京大会の成功に向け、尽力したい一心でこの場にいさせていただきました」とあいさつした。
また、組織委は18日、森氏が12日付で会長、理事を退いたと発表した。
会長の後任を巡っては、理事ら8人で構成される候補者検討委員会(座長=御手洗冨士夫・名誉会長)が17日の第2回会合で橋本氏に一本化。大会関係者によると、橋本氏は受諾の意向を示し、18日午前の第3回の検討委に示された。検討委は18日午後の理事会で橋本氏を推薦し、了承された。
大臣規範には「兼職」を禁止する規定がある。橋本氏は評議員会後に菅義偉首相と首相官邸で面会し、五輪相の辞職願を提出した。菅首相は後任の五輪相に、自民党の丸川珠代参院議員(50)=東京選挙区=を再登板させる方針を固めた。 
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 2/20

 

●森喜朗前会長の辞任に学ぶ「引き際の美学」 2/20
コロナ報道もかすむほどの勢いだった森喜朗・前東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の舌禍から始まる会長交代劇。橋本聖子前五輪担当相が後任となったが、今回考えてみたいのは森前会長の引き際だ。果たしてあれでよかったのだろうか。
邪魔が入り続ける東京オリパラ大会
仕事でもプライベートでも、何か事を成そうというとき、スムーズに事が運ぶこともあれば、障害が最初から最後まで次々に現れて邪魔され続けることもある。
東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京オリパラ)はまさしく後者であって、人の運営によるものなので人災的な面はもちろんあるが、新型コロナウイルスがなければ、今のように綻びが表面化することもなかったかもしれず、アンラッキーが重なったとも見える。その点では運営関係者、選手および日本国民一同は実に不運だ。
東京オリパラ開催における直近の「人災」が森喜朗氏の失言である。女性蔑視の発言とその後の会見により、多くの人の怒りを買って結局辞任した。
引き際をどうするか・どう見せるかというのは、その人のキャリアにおいて非常に重要である。最後の姿だから印象深く人の記憶に残るということもあろうが、その人のそれまでのキャリアが引き際にすべて集約されているように感じられることが多々あるからである。引き際とは一種の総括で、または積み重ねてきたキャリアが引き際を作るともいえる。
森氏の辞任会見についての意見が一通り出て一巡した頃合いの今、改めて森氏の引き際について考えてみたい。
あの時、どうすればかっこよくなれた? 反省はクレバーな人ができる尊いスキル
まず森氏の辞任に至るまでの背景として、森氏は女性蔑視発言とその謝罪会見でものすごいヘイトを買っていた。当然、辞任の会見にも厳しい目が向けられたが、森氏はいつもの調子で、世論は案の定怒った。
というか、これ以上怒ってもどうしようもないのであきれるようなトーンの論評がだいぶ増えた。「結局何もわかっていない」「言い訳がましい」と批判された辞任会見は、ではどうすればかっこよくなり得たのか。いくつかの可能性が考えられる。
まず、正面から問題に向き合ってきちんと反省できていればかっこよかったかもしれない。「何もわかっていない」と批判されたのは、森氏の女性蔑視に対する認識である。だからきちんと認識した上で謝罪すれば、「森さんも反省したみたいだし、責任を取るために会長を辞任したし」と溜飲を下げた向きはあろう。また、反省はクレバーな人ができる尊いスキルなので、「森さんやるじゃん」という声も出てきたかもしれない。
もしくは、辞任せず心を入れ替え、世間にわかりやすい形で「私は生まれ変わりました」とアピールし、その後、粉骨砕身して東京大会を無事終幕まで導いた場合も、そこそこかっこよかったかもしれない。
しかし、現実は素直に辞任となった。「森さんのオリンピック・パラリンピックは楽しめない」という声まで出てくるくらい状況はこじれていたので、辞任は賢明であり、妥当な線だったともいえる。
女性蔑視の発言をし、反省の様子が感じられぬふてぶてしい謝罪会見を行い、それにさらに批判が集まって「じゃあやめます」という一連の流れはお粗末であったが、お粗末が限界を突破して今度は世論に別の声が混ざってきた。キーワードは「森喜朗氏の長女」である。
一周回って着目される森氏のパーソナリティー “正義vs.悪”
森氏の長女と孫娘がある雑誌の取材に答えた記事がネットで話題になり、Twitterでは一時「森喜朗氏の長女」なるワードがトレンド入りしていたようである。記事は森氏の長女と孫娘がインタビューに回答する形で、主に「お騒がせして心底申し訳ない」のおわびと氏の家庭での人柄を伝える内容で、「森氏に女性蔑視の気配は感じられない」「女性が多い家庭で、森氏の立場はむしろ弱い」「(質問に答える形で)たしかに世代的にジェンダーレスを理解するのが難しいのかもしれない。しかし理解しないまま許される立場ではないことは承知している」といった趣旨のことが書かれていた。
『鬼滅の刃』で敵として登場する悪逆非道な鬼たちは、そこに堕するまで、同情に値する凄惨な過去を持つことが多い。悪が“悪”だけで終わらずその背景が探られようとするこの視点は最近見られるようになってきた世の傾向で、これまでスタンダードだった“正義vs.悪”の二元的な切り取り方はいささか古くなってきている。ヘイトをためにためて、いよいよ悪の親玉じみてきた森氏にもこの新時代の視点が適用されたわけである。
その記事ではまた、女性蔑視に関する認識の隔たりの主な要因にジェネレーションギャップが挙げられ、さらにインタビューに答える長女と孫娘の様子が謙虚であったから一定の支持を得て、ネットでは「うちの祖父も森氏と似たようなもの」など森氏のスタンスにある程度の理解を示す声が散見されるようになった。
傑物だが、どこにでもいるような普通のおじいちゃん的パーソナリティー
こうした意見が出てきたのは森氏に対する批判が一巡したのに加え、終始一貫した森氏の姿勢が一役買ったのかもしれない、とも考えられる。たとえば世論を納得させることができなかった辞任会見については「要領を得ない」「話が無駄に長い」といった評があった。たしかにその通りで、何しろ話が途中唐突に飛んで「『老害』という言葉は好ましくない」という愚痴になったりするのである。
およそ整然としていない会見であったが、会見全文を読んでみると森氏の人柄がよく伝わってくるのは確かであった。全文に接して筆者が真っ先に感じたのは「この人はその辺のおじいちゃんなのだ」だった。
誤解なきよう言っておくが、仮にも一国の宰相を務めた人物であるから傑物には違いない。人たらしとして有名で、失言が多いが界隈にながく生き残るしぶとさは間違いなく政治家として突出した適性があったからである。
しかしそんな傑物も、“政治家”の一皮をむいて見てみれば、旧態依然のジェンダーの価値観から脱却できず、話は長く言わなくていいことまで口走る悪癖があり、外野から「老害」と罵られていちいち腹を立てるような、どこにでもいるような普通のおじいちゃん的パーソナリティーがあった。
女性蔑視発言とその後の一連の会見は確実に不適切であったが、“森喜朗らしさ”に着目して見返してみると、公私がごちゃ混ぜになったような森節はたしかにそこでも貫かれていた。“逆ギレ会見”として有名になった謝罪会見も、記者の戦闘的な姿勢に反応してキレたように見える部分もあり(それ以前に記者を憤慨させていたのがほかならぬ森氏の言動と態度だが)、実に一般のおじいちゃん的であった。良くいえば“裏表のない政治家”であり、悪くいえば“配慮と自省が著しく足りていないマイペース”な人物である。
森氏の引き際はお世辞にも美しくなく、多くの国民の怒りを鎮静化させることもないまま、幕が引かれたが、実に「森喜朗ここにあり!」たる引き際であったことは間違いない。これを範とするか反面教師とするかは読者に委ねるとしたい。森氏の辞任は引き際の美学を学ぶ上で非常に示唆に富んだ教材となった。
●森会長辞任で考える、正義の名の下に行う「ポリコレ」の危うさ  2/20
「女性蔑視」発言を巡り、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長が辞任。国会やテレビが批判一色となる中、その功績にも目を向けるべきだと筆者は考えます。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の後任会長に橋本聖子氏が就任しました。ドタバタ感のある、閉鎖した中での決定でした。橋本氏は役割を果たすことができるのでしょうか。
森喜朗前会長の発言が適切でなかったことは間違いありません。しかし、重大なことを忘れてはいないかと筆者は危惧します。「AERA」2021年2月22日増大号に、筆者の取材記事が掲載されています。その内容なども踏まえながら本稿を構成します。
森喜朗氏の功績と人脈
2013年9月7日、国際オリンピック委員会(IOC)総会で東京五輪開催が決定しました。総会前の、サンクトペテルブルグで開かれたG20サミットで、プーチン大統領の支持や、韓国の朴槿恵大統領(当時)を取り込んだのは森氏と言われています。
事実、東京五輪開催が決まった後、官邸に「日本が勝ってよかった」と電報を打ってきたのはプーチン大統領しかいなかったと森氏の著書「日本政治のウラのウラ証言・政界50年」(講談社)には書かれています。当時から、ロシアにパイプがあるのは森氏しかいないというのは衆目の一致するところでした。
ここで、経歴について振り返ってみます。政界デビューは1969年、32歳のときです。当時の石川1区から第32回衆議院選挙に立候補。当初は泡沫(ほうまつ)候補という評価で、自民党から公認を得ることはできませんでした。ところが、知見と行動力を駆使した選挙戦を展開し、見事にトップ当選を果たします。
地方議会議員を経験したことのない新人が衆議院選挙に挑み、当選するのは異例のことです。当時、自民党幹事長だった田中角栄は即座に祝電を打ち、懐柔しようと自民党本部に呼びつけます。その場で、ねぎらいの言葉をかけ、金の入った封筒を渡そうとしますが森氏は受け取りません。
逆に「金の趣旨」について質問したことから、田中は激怒します。結果的に、森氏が入ったのは福田派でした。その後、反田中派、反金権政治を貫きます。
森氏は事あるごとにマスコミからたたかれていますが、日本には数少ない政治哲学を持った政治家で、人間関係構築にたけていると評価する政治評論家も大勢います。野党にも人脈があり、自社さきがけ政権の発足時、村山富市氏をかつごうと裏でうまくネゴシエーションをしていたのも森氏です。
当時、羽田内閣が倒れ、自民党が1年足らずで政権に返り咲きました。首相指名を巡り、森氏は社会党右派の山口鶴男氏からの「社会党左派を取り込めばうまくいく」という助言に基づき調整を進めています。
民主党政権時代には、当時の野田佳彦首相が森氏を頼り、ロシアへ異例の「野党特使」を送ろうとしたほどです。脇が甘く失言もあるようにも見えますが、逆に言えば、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いをする政治家とも言えるでしょう。
森氏以外に適任がいるのか
森氏の発言を読めば、女性蔑視と取られる箇所がなかったとは言えません。しかし、メディアの都合のいい一部を切り取った報道がなかったとも言えません。批判を浴びせ、役職から追放させるほどの問題があったのかと言われると少々疑問です。
高齢の中、東京五輪実現に奔走し、さらに、ラグビーワールドカップの日本招致などを実現してきました。日本スポーツ界への貢献は、官邸や世耕弘成氏が言われたように「余人に代え難い」存在だったのです。
コロナ禍であることから、通常の東京五輪開催は難しいと言われています。そうなると、政治とカネの問題が複雑に絡み合う撤退戦をうまく仕切らなければなりません。このような撤退戦を、実務を知らない素人に仕切れるとは到底思えません。まさに、森氏の力量が必要とされている場面ではなかったでしょうか。
2012年12月16日に行われた第46回衆議院議員選挙で、与党だった民主党が大敗します。現役閣僚8人が落選するという歴史的な大敗でした。選挙後、民主党内では野田佳彦首相(当時)や執行部を批判する発言が相次ぎます。
これらの発言は「自分は悪くなく、他に責任がある」という他責から出てくる発言です。そのような中、岡田克也副総理(当時)が「選挙は最終的に自分の責任。執行部や他人の責任にするところから改めないと、この党は再生できない」と発言しました。私はその通りだと思いました。同じ民主党の中でも、実力者と言われている人たちは当選していたからです。
そのような他責発言をする人物は、そもそも当選したのも「執行部のおかげで、自らの力ではない」と暴露しているようなものです。つまり、政治家は自らが「最後のとりで」という意識を持たなければいけないのです。
高齢者になると、考え方が凝り固まって、柔軟性が失われることがあります。しかし、年齢だけを見て「ダメ」という判断は性急過ぎるのではないでしょうか。いまや、日本は65歳以上が28.4%を占める超高齢化社会です。老人が悪いかのような表現をされることは極めて不可解と言わざるを得ません。森氏へ投げかけられた多くの批判は無益な高齢者批判にすり替えられるリスクをはらんでいます。
テレビでも国会でも、朝から晩まで総批判で少々やり過ぎではないでしょうか。「五輪誘致ありがとうございます」「今までお疲れさまでした」。ねぎらう言葉はないのでしょうか。83歳のご老人に優しくできない社会なのでしょうか。
私は一言申し上げます。「森さん、ありがとうございます。お疲れさまでした」と。 
 
 
 
 
 

 

●森喜朗 失言​録 
マスコミにより多くの発言が問題(失言)として報道され、首相時代には失言(「こりゃ失言失言」)が流行語となるほどであり、退任後も時折発言が槍玉に挙げられた。実際の活動については退任後に段階的に明かされて来ているが、在任当時からこうした点について秘匿性の低い件は反論なども少数なされている。  

 

●首相就任前​ 
言葉は悪いが、たんつぼだ
自由民主党全国組織委員長時代の1988年4月3日、京都市でのパーティーで「大阪人は金儲けばかりに走り、公共心も選挙への関心もなくした。言葉は悪いが、たんつぼだ」と発言した。夫人の千恵子は「たとえが適切じゃないですよ」とたしなめたという。その後、大阪選出の国会議員に囲まれた際も、この話題に触れず、逆に大阪選出の国会議員の方から「もういい」といった発言があったという。
過渡的内閣には限界がある
1995年5月10日、自民党幹事長時代、総理大臣公邸での話として「村山首相は『過渡的内閣には限界がある』と洩らしている」と発言した。この発言に飛びついた読売新聞社が「首相、退陣意向洩らす」と報道し、他社もこれに続く大騒ぎとなる。これにより、自社さ連立政権全体から森は猛反発を受ける。それにともない、閣内では村山の慰留に努める雰囲気が醸成され、村山内閣はその後も継続した。森によれば、「いつも言うように、マスコミは片言隻句だけをとらえて報道してるんだ。あのときも僕はそんな風に言っていない。(中略)「大変つらい、大変な仕事だと総理は言っている」と言っただけで、別に「辞めたい」と具体的に言ったわけじゃあない」と言う。なお、1995年7月23日の参議院選挙の晩に連立政権が議席減となったことが判明すると、村山は党首会談で河野に首相交代を提案する騒ぎがあった。当時この発言を報じた新聞は皆無であり、各社のデータベース、G-search等にも一切収録されず、新聞各紙が首相時代に過去の発言を問題視した際にも取り上げていない。当時報じられていたのはナホトカ号重油流出事故発生直後の1月10日に運輸省を訪れて「第八、第九管区の海上保安本部の所管範囲の境界が石川、福井県境にあるため、海上の重油処理が円滑に進められていないのではないか」と広域的な処理活動を要請したこと や、1月23日に首相の橋本等と共に日本海産の魚介類のイメージ回復のため、報道陣の前で蟹を食べて見せたことであり、菅直人がカイワレを食したひそみに倣ったものだとされた。また、文部大臣の時分からボランティアを評価するよう提言していた森は後日、首相時代に阪神大震災のボランティアと共に重油回収に当たったボランティアを第149回国会の所信表明演説で引用したほか、官邸ウェブサイトにても「阪神・淡路大震災やナホトカ号重油流出事故のときに全国から若者たちが集まってきたのは、あれは何も教育がよかったからとか教育が悪かったからじゃないはずです。献身的にボランティア活動をしていた姿というのは、これはさすが日本の若者だと私は大変感動しました。そういう子どもたちは、本来そういうすばらしいものを持っているんですよ。それをどう引き出してあげるかということだったと思うんです。」と賞賛している。
エイズが来たように思われて
2000年1月13日、福井県敦賀市で行われた講演において「初めて選挙に出たときは泡沫候補だった。選挙運動で行くと農家の皆さんが家の中に入っちゃうんです。なんかエイズが来たように思われて…」と発言し、民主党などから批判された。民主党は2001年の国連エイズ総会へ森が派遣された時にも批判した。エイズ自体については森は以前から関心を持っており、沖縄サミットではマラリア、結核などとともに例年になく大きく扱われ、撲滅対策に総額30億ドルの協力を約束している。また、国連ミレニアムサミットで「アフリカ問題の解決なくして21世紀の平和と安定はない」と演説し、森は対アフリカ外交を活発に推進していったが、その主軸に据えられているのはエイズ(およびその一因である衛生教育の不備)対策であった。森の提唱で世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)を呼びかけ、ジェノバ・サミットで実現もしている。 

 

●首相時代​ 
天皇を中心としている神の国
2000年5月15日、神道政治連盟国会議員懇談会結成三十周年記念祝賀会で演説し、「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知をしていただく」と発言。NHKなどが大々的に報道して大きな波紋を呼んだ。後日、森は次のように述べている。「家内は、僕の話し方が良くないという。僕は全体を聞いてもらいたいんですね。ところがどこか部分だけ抜き出せば問題にできる」「あのときの世論調査の結果は、告示されて二日か三日目の調査でしたから、これからあと一週間あるのに、こんな自民党有利の数字を見て喜んではいけませんよと。これは前回の参議院もそう書かれて惨敗したわけですからね。だから、「このまま誰も投票に行かないで寝ていてくれればいいかもしれないが、そうはいかないでしょう。だからこれから頑張らないと」といった趣旨の話をした。「寝ていたらそうなるかもしれないが、そうすべきではないし、だから頑張ろう」という意味で言ったのですが、しかし、「寝てたほうがいい」で発言を止めちゃっているわけです」。
沖縄万博
九州・沖縄サミットの開催前の6月19日の3党合同演説の場において「九州・沖縄サミット」のことを「沖縄万博」と連呼した。なお、大手新聞・通信社の中では朝日新聞がこの件を報じた。
人道上の大きな『石』
北朝鮮は2000年頃に西欧に積極外交を行い、かなりの国と国交を結んでいた。その流れにイギリスも乗りつつあった中、森は2000年10月20日、イギリス首相のトニー・ブレアとの会談に臨んだが、その中で北朝鮮との国交樹立の難しさの一例として、当時北朝鮮が否定し続けていた日本人拉致問題について、「人道上の大きな『石』を取り除かなければ、国民の理解は得られない」と述べ、拉致された日本人を行方不明者として第三国で発見するという解決策を北朝鮮との協議で提案していたことを公表した。
回顧の内容は次のようなものである。即ち、1997年に日本政府が北朝鮮を訪問した際の訪朝団団長だった森は、北朝鮮との交渉の場でこの解決策を提案した。この解決策を考えたのは外務省で、協議の場で発言したのは副団長の中山正暉だった。メンツを重んじる北朝鮮に配慮したものだったという。しかしこの時は、北朝鮮からは行方不明者はいないという回答だった。なお、「私や政府が今、そう考えているわけではない」と付言したが、毎日は現行案のように報じ、「釈明した」と書いた。なお、会談相手のイギリスは12月に北朝鮮と国交を樹立した。
そのためバッシングが起こりつつも、報道の焦点は提案者や各々の関係者政策のスタンスにスライドしていった。森や官房長官だった中川は記者会見や衆院本会議で、この提案は中山の私案だと言った。中山は事前の打ち合わせなしにこの発言をしたことは認めたが、訪朝団は政治家として自分を信頼してくれていた旨のコメントを残している。なお、森は中山から抗議を受けて後に陳謝した。外交関係としての観点では、北朝鮮の協議の場で誰が発言したかは問題ではないのだが、中山の名を挙げて批判をかわそうとした姿勢は、さらに批判を招いた。なお、中山自身は親北的な姿勢が度々見られ、救う会よりその点を指摘され、公開質問を受けている上、森との関係を含めたラジオ番組での発言も「ほとんど支離滅裂で、正常な神経の持ち主とは思えません」と切り捨てられる形で紹介されており、拉致問題での発言の信用に疑問が持たれてもいる。
イット革命
IT革命(アイティーかくめい)のことを就任当初の官僚との打ち合わせの場でイット革命と述べたり、開発途上国会議で「電気がなくともiモードは使える」といった発言を残す。なお、ニコニコ動画などで自身が機械音痴であることは度々認めている。首相在任当時は米クリントン政権の打ち出したNII(National Information Infrastructure:全米情報基盤)構想が成果を挙げ始めたり、或いは1990年代末のインターネットバブルによる一時的な景気過熱などがあり、一方で日本がIT産業、情報通信インフラ等で諸外国に遅れを取っていることは専門家の間でも日頃から憂慮されてきたことであった。情報機器の複雑性が中高年への普及を妨げてきたことへの指摘も常々なされることである(詳細は情報格差)。政治家としての森はこうした問題があることについては理解を示し、e-Japan戦略の策定を決めた。後年、ニコニコ動画の森喜朗チャンネルにて、これらのことに触れている。 

 

●首相退任後​ 
子どもを一人もつくらない女性
2003年6月26日、鹿児島市内で開かれた「全国私立幼稚園連合会の討論会」にて「子どもを沢山つくった女性が、将来国がご苦労様でしたといって、面倒を見るのが本来の福祉です。ところが子どもを一人もつくらない女性が、好き勝手、と言っちゃなんだけど、自由を謳歌して、楽しんで、年とって・・・税金で面倒見なさいというのは、本当におかしいですよ」と発言し、社民党の議員や出生率向上へ誘導する政策などに反対する一部女性団体の抗議を受けた。
北朝鮮問題について
2007年7月、北朝鮮の外務次官・金桂冠は同年6月に訪朝したアメリカのヒル国務次官補に対し、日朝関係について「参院選の結果をみて考えたい」と伝えた。発言は、北朝鮮問題で強硬路線を採っている安倍政権の第21回参院選における苦戦が予測されている状況を踏まえたものと受け取られた。7月23日には朝鮮労働党機関紙『労働新聞』で日本の第21回参院選について「安倍一味(政権)は腐敗政治と決別し、自ら権力の座から退くのが良いだろう」「参院選での惨敗を意識した責任論も台頭している」と論評していることが報じられた。当時は6カ国協議に参加していたアメリカがテロ支援国の指定解除に舵を切り始め、日本と溝が生まれ始めていたという背景も指摘されている。2日後の7月25日、選挙中、森は金沢市で行った街頭演説の中で「北朝鮮は安倍さんが潰れてくれる事を願っている。そんな北朝鮮の不埒なやり方に黙っていてはいけない。安倍さんを勝たせるしかない」と発言した。読売新聞によれば民主党筋からは森の発言に「北朝鮮の拉致問題は超党派で取り組んでいる課題」と反発する声も出たと言う。更に7月27日、野党が過半数を獲得した場合の国会運営について森は「国民のためにやらなければならない政策(の法案)が全然成立しなくなる。結局、だんだん追い込まれていって、(衆院を)解散せざるを得なくなる」と述べた。読売新聞は衆院の早期解散の可能性を示したものと解釈して報道した。参院選は自民党が敗退したが、北朝鮮サイドはこの結果を歓迎。「安倍政権は朝日関係改善に取り組む姿勢が見られなかった。過去を正しく清算する意思がないなら相手にする必要はない」とコメントし、森が演説で述べた、安倍政権に対する北朝鮮側の評価自体は事実であることが選挙後にも改めて立証された。さらに、3年後、安倍政権で政策秘書官を務めた井上義行が、選挙前の2007年4月、北朝鮮が拉致問題で協議したい意向を申し入れていたが、参院選後の再協議を予定したものの、自民党敗北により立ち消えになったことを明かし、「北朝鮮側は当時、安倍内閣の支持率を気にしていた印象があり、選挙で勝っていれば本格的な協議が始まった可能性もあった」と分析している。なお、安倍政権の対北姿勢は参院選敗北後も変化無く、2ヵ月後の退任まで継続し、後継政権はほぼ任期一杯になるまで衆院解散を選択しなかったため、国会運営はねじれ現象が顕著となっていった。
武士のたしなみがない
2007年8月17日、防衛事務次官人事をめぐる守屋武昌と小池百合子防衛相の対立について、「辞めなければならないと(守屋氏が)自分で分かっていて、『武士の最後の華だ』と切腹しようとしたら、小池氏が後ろから刀で切りつけた感じだ」「(女性の)小池氏に言っていいのか分からないが、武士(もののふ)のたしなみがない」と述べ、小池の行動を批判した。守屋については、沖縄の基地問題に生涯をささげてきた立派な人物と評価した。
首相が被災地でパフォーマンスする必要なんてない
2011年、東日本大震災に対する菅直人政権の対応への批判を述べながら、1995年の阪神・淡路大震災当時を振り返り、「思えば村山富市元首相は偉かったな。阪神大震災で初動が悪かったとずいぶんマスコミにたたかれたけど、そんなことなかった。決断力もあった。小里貞利さんをすぐに震災対策担当相に任命して現地で陣頭指揮を執らせ、自分は首相官邸でドンと構えてね。首相が被災地でパフォーマンスする必要なんてないんだよ。被災者のみなさんに迷惑をかけるだけじゃないか」と村山元首相を評価した。
英語は敵国語
2014年2月9日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長として冬季五輪開催中のソチで会見し、執行部が高齢で語学力に乏しいことについて、「第2次大戦時、英語は敵国語だった」「昔はボール、ストライクも『よし』『駄目』と日本語を使わされて野球をやっていた。私の世代はよほど特別に勉強した方じゃないと外国語をよく理解しない」と説明した。
大事なときには必ず転ぶ
2014年2月20日、ソチオリンピックのSPで浅田真央に転倒が相次いだことに関して、「見事にひっくり返った。あの子、大事なときには必ず転ぶ」と福岡市での講演で述べた。フィギュアスケート団体への出場に関しても「負けるとわかっていた」とし出場するべきではなかったとの主張を展開した。アイスダンスのキャシー・リード、クリス・リード組に関しても「(米国代表として)五輪出場の実力はなかったが、帰化させて日本選手団として出した」と述べた(リード兄弟は日米両方の国籍を有していたが日本国籍を選んでおり、帰化したわけではない)。浅田は帰国後の会見の中で「私は別に今なんとも思っていないですけど、たぶん(森さんが)ああいう発言をしてしまったことについて森さんは今少し後悔をしているのではないかなというふうに、少しは思っています。」と感想を語った。
国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない
2016年7月に自チャンネルでリオデジャネイロの壮行会で、日本人選手が国歌を斉唱しなかったことを「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と批判したが、実際には独唱であり誤解である。
東京五輪の予算について
2020年東京五輪・パラリンピックの関連施策として国が直近5年間で8011億円を支出したと会計検査院が指摘したことに、大会組織委員会会長の森は2018年10月4日「この機会に将来の日本のためになる、国民のためになる、その恩恵を受けることができるということであれば(大会に関連がある行政経費を)ある程度認めていかなければいけないのではないでしょうか」と必要性を強調し、一方で「予算編成で、(五輪への)いわゆる便乗みたいなことは、厳に慎んでほしい」とも述べた。
李登輝への弔辞
2020年7月30日の李登輝の死去を受け、8月9日に弔問団の団長として訪台。蔡英文総統と会談して安倍首相の事実上の名代として訪台した旨を説明し、謝意を受けている。海外からの最初の李登輝への弔問団であり、遺影の前で「台湾はあなたが理想とした民主化を成し遂げ、台湾と日本は自由と民主主義、人権、普遍的な価値を共有する素晴らしい親善関係・友好関係を築き上げた」などとする弔辞を読み上げた。
オリンピック延期の世論調査について
1月初旬に行われた複数の世論調査で、オリンピック東京大会に対して、「中止もしくは再延期」で今年の開催に否定的な声が8割に達したことに言及し、「開催すべきが1月の調査で14%、12月から半減した。再延期は1月が44%で12月は32・2%だった。ただ、再延期というのは開催するべきだという声。58%が開催してほしいという意見だ」と、強調した。さらに、「今のコロナで、こういう騒ぎでやっている時に、『オリンピックどうですか?』と聞かれたら、何と答えますか?答えようがないでしょう。まして一般国民が、“明日、子供や孫の成人式が中止になった”“来月結婚式の予定をどうしようか”と、そういう時期に、なぜあえてこういう『五輪をやるべきか』『延期すべきか』『中止すべきか』という世論調査をするのか。世論の動向を見るのは大事なことだけど、これをこうして発表しなければならんのかなと。私には疑問がある」と、投げかけた。
女性の発言時間
2021年2月3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困る」と発言した。さらに「女性理事を増やすJOCの方針に対する私見として述べた。これはテレビがあるからやりにくいんだが。女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさくいうんですよね。だけど、女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。これは、ラグビー協会、今までの倍時間がかかる。女性がなんと10人くらいいるのか? 5人いるのか? 女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです。」と発言し、参加者の失笑を買った。2021年2月4日、毎日新聞の取材において、今回の発言について「一般論として、女性の数だけを増やすのは考えものだということが言いたかった。女性を蔑視する意図はまったくない」と持論を展開した。 

 

●森総理大臣略歴
昭和12年 7月14日 石川県能美郡根上町生まれ
昭和19年 4月     根上町立浜国民学校入学
昭和25年 4月     金沢市立高岡町中学校入学
昭和28年 4月     石川県立金沢二水高等学校入学
昭和31年 4月     早稲田大学商学部入学
昭和35年 3月     早稲田大学商学部卒業
昭和35年 4月     産経新聞東京本社入社
昭和38年 4月     国会議員秘書
昭和44年12月27日 衆議院議員初当選(第32回衆議院議員総選挙)
昭和50年12月26日 総理府総務副長官(三木内閣)
昭和52年11月28日 内閣官房副長官(福田改造内閣)
昭和56年12月     衆議院大蔵委員長
昭和58年12月27日 文部大臣(第2次中曽根内閣)
平成 3年 1月     衆議院議院運営委員長
平成 3年10月     自由民主党政務調査会長
平成 4年12月12日 通商産業大臣(宮澤改造内閣)
平成 5年 8月     自由民主党幹事長
平成 7年 8月 8日 建設大臣(村山改造内閣)
平成 8年11月     自由民主党総務会長
平成10年 7月     自由民主党幹事長
平成12年 4月     自由民主党総裁
平成12年 4月 5日 第85代内閣総理大臣(第1次森内閣)
平成12年 6月25日 第42回衆議院議員総選挙
         (91日)
平成12年 7月 4日 第86代内閣総理大臣(第2次森内閣)
平成12年12月 5日 内閣改造(第2次森内閣改造内閣)
平成13年 4月26日 (297日)
 
 

 

●衝撃 … 東京五輪 「21年の中止はすでに決定済み」 2020/6
緊急事態宣言解除を3日後に控えた5月22日、小池百合子都知事(67)は五輪代表選手の練習施設『ナショナルトレーニングセンター』に言及。早期に再開したいと述べた。だが、現実は甘くない。
五輪の準備作業を統括するIOC(国際オリンピック委員会)のコーツ調整委員長は5月21日付の豪紙『オーストラリアン』で「新型コロナウイルスの感染が収束しない限り、東京五輪の開催はありえない」と警告。今年10月ごろに開催可否を判断する、とクギを刺した。
感染者170万人、死者10万人を出しているアメリカの見立てはさらに厳しい。本誌は米政府との繋がりをバックに世界展開している大手旅行会社のマル秘レポートを入手。そこには、こんな一文があった。
「東京五輪は中止が決定している」
その根拠は以下の通りだ。
多くの国が代表選手の再選考のための大会を開催する余裕も時間もない
2021年は各国、財政の建て直しが最優先
ワクチンができたとしても、世界中に行き渡るだけの量を確保することは困難。注射器や瓶の確保も間に合わない
アフリカや中南米などの医療後進国はまだ第1波の真っ只中で収束が見えない
こうした事情を勘案し、件(くだん)の企業は「東京五輪関連の予約をすべてキャンセルした」とレポートを結んでいた。
ちなみにこの企業は、今年、五輪延期が発表される数週間前にも同様のレポートを作成。いち早く対策を練っていた。
米スポーツ専門誌『スポーツ・イラストレイテッド』のクリストファー・ウォルシュ記者も「五輪中止」を否定しない。
「強行開催したとして、無観客に近い形になるでしょう。そんな大会に莫大な資金を出すスポンサーがどれだけいるのか。実際、新型コロナで多くの選手が企業のサポートを失っています。練習環境に不平等が生じているのもフェアではない。これらの理由で、複数のIOC関係者が『中止すべき』と主張しています」
長年、アメリカの代表選手や関係者の移動を担ってきたスポンサー企業のひとつ、ユナイテッド航空は1月〜3月の決算で1800億円もの赤字を計上した。
「延期を受けて各スポンサー企業は再契約を迫られていますが、難航しています。大減益のなか、ビジネスとしての旨味も宣伝効果も薄い東京五輪にカネを出す意味を測りかねているのです。中止になってほしい、というのがホンネでしょう」(在米ジャーナリストの伊吹太歩氏)
「五輪ファースト」は日本だけなのだ。 
●「日本政府が東京五輪・パラの中止と結論」と英紙報道  1/22
英紙タイムズ(電子版)は21日、今夏の東京五輪・パラリンピックを巡り、新型コロナウイルスの影響で「日本政府が中止せざるを得ないと内々に結論付けた」と報じた。
「日本、コロナのせいで五輪脱出を模索」と題した東京発の記事。連立与党幹部の話として「既に1年延期された大会は絶望的だとの認識で一致している。今は次に可能な2032年大会の開催を確保することに焦点が当てられている」と伝えた。
「誰も最初に言いたがらないが(開催は)難しすぎるというのが一致した意見」との情報筋の談話を紹介し、国際オリンピック委員会(IOC)と日本政府が表向きには五輪開催は可能と主張しているとした。
大会組織委員会は英紙タイムズの報道について「政府、東京都、組織委、IOC、国際パラリンピック委員会(IPC)など全ての関係機関が、今年の夏の大会開催に完全に注力している。今夏の安全で安心な大会開催実現に向け、関係団体と緊密に連携し、準備に尽力する」とのコメントを発表した。
●IOC、東京五輪の中止報道を否定 山下氏「ばかげている」 1/23
国際オリンピック委員会(IOC)は22日、東京五輪の中止に関する報道内容を否定した。
声明で「新型コロナウイルスに対するあらゆる予防措置を実施し、今夏の安全かつ確実な五輪開催への準備に引き続き取り組んでいく」と表明した。
日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は、報道について、間違っておりコメントするのもばかげていると一蹴した。
これに先立ち、英タイムズ紙は、日本政府が新型コロナウイルス感染症流行のため東京五輪を中止せざるを得ないと非公式に結論付けたと報じた。
●「東京五輪中止はない」は本気か。無観客では経済効果も期待薄 1/24
昨年3月24日、安倍首相(当時)が東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)の1年延期を正式発表してから早10カ月が過ぎようとしています。この間、日本だけでなく全世界が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて右往左往の大騒ぎだったことはご存知の通りです。
そうした中、昨年末から欧米など先進国の一部でようやくワクチン接種が始まっており、感染収束に向けて徐々にではありますが、明るい兆しが見えていることは確かです。しかしながら、時間は無情にも刻々と進んでおり、1年延期となった東京五輪の開会式まであと半年となりました。
そして、2021年になってから東京五輪開催を危ぶむ報道が世界中で出始めた一方、1月21日にはIOCのバッハ会長が、中止や再延期を否定したというニュースが流れました。また、同じ日には菅首相が国会の代表質問で「ワクチンを前提としなくても、安全安心な大会を開催できるよう準備を進めている」と述べたと報じられています。
さらにその後、英タイムズ紙が与党幹部の話として「東京五輪の中止が必要と非公式に結論」と報じ、日本政府が否定するなど混迷を深めています。
何やら外堀から埋められている感もありますが、果たして東京五輪は開催されるのでしょうか。
過去に開催中止となった夏季五輪は3回、理由は全て世界大戦
まず、改めて過去の事例を振り返ります。夏季五輪が開催中止になったのは以下の3回です。
 ・1916年ベルリン大会(ドイツ) 理由:第1次世界大戦
 ・1940年ヘルシンキ大会(フィンランド) 理由:第2次世界大戦
 ・1944年ロンドン大会(英国) 理由:第2次世界大戦
1940年大会は、当初は東京開催が決定していましたが、日中戦争が激化したことを受け、1937年に(自ら)開催を返上しました。その後、ヘルシンキが代替開催地に決定したため、正確な記録上は「ヘルシンキ大会の中止」となっています。また、過去に延期になったことはなく、今回の東京五輪の1年延期が初めてとなりました。
これを見ても分かる通り、120年以上にわたる五輪の歴史上、世界大戦以外で中止になったことは一度もありません。また、一度決定した開催地が何らかの理由で開催を返上し、代替地での開催になったこともありませんが、冬季五輪に関しては1度だけ代替開催がありました(1976年大会、米国デンバーからオーストリアのインスブルックへ)。
開催延期を決めた昨年3月に比べ、国内外のコロナ感染状況は大幅悪化
もう一つ改めて確認するべきは、1年延期を決めた昨年3月下旬と直近の感染状況です。開催地である東京都の新規感染者数(1日当たり、以下同)を見ると、昨年3月下旬は概ね60〜70人でしたが、直近は概ね1,500人前後です(注:曜日によってバラツキがあるので中心値を算出)。
昨年3月に比べると検査数が格段に増えているため、単純比較が適当かどうか定かではありませんが、桁違いに拡大していることは確かです。
また、全世界ベースでは、昨年3月下旬が6〜7万人だったのに対して、直近は60〜80万人で推移しており、ザックリ言って10倍です。なお、新規感染者数のみならず、死亡者数、入院者数、重症者数など全てのデータにおいて、昨年3月下旬より大幅に悪化しています。特に、欧米や南米などでの感染状況悪化が際立っているのが特徴と言えましょう。
外国人入国制限が続く中、無観客開催しか選択肢がないのか?
この国内外における感染状況を見る限り、半年後に東京五輪を開催するのは現実的でないと言わざるを得ません。仮に開催となれば、現在は全面停止している外国人の新規入国規制を早急に大幅緩和する必要がありますが、これも非現実的です。
確かに、出場するアスリートとその関係者だけを特例扱いして、事実上の無観客で開催する案もなくはないでしょう。しかし、無観客で開催するスポーツの祭典、平和の祭典にどれだけの意味があるのか甚だ疑問に思う人は多いはずです。また、いわゆる経済効果も期待できないでしょう。
それでも、現時点では、東京都や日本政府を含む実行委員会は、「人類がコロナに打ち勝った証としての大会」を掲げており、少なくとも表面上は、開催中止を想定していないようです。この熱意は通じるのでしょうか。
東京五輪の主催者はIOC、開催決定の可否を含む全ての権限を有する
そして、最も重要なことがあります。それは、東京五輪の主催者はIOC(国際オリンピック委員会)であるということです。東京(日本)は、あくまでIOCから開催を委託されている形に過ぎません。もっとハッキリ言うと、東京五輪の開催中止や延期に関する全ての権限はIOCにあるのです。IOCが開催と言えば開催、中止だと言えば中止になります。
東京がIOCの承認なしに行える権利は、83年前(1937年)のような開催権の返上のみですが、この時期に開催権返上は到底あり得ない選択です。
こうした過去の事例と、IOCが全権限を有した主催者であるという現実を踏まえ、開催中止や延期の可能性を考えてみましょう。
再延期の可能性は限りなくゼロに近い
まず、再延期の可能性は限りなくゼロと考えていいでしょう。今回の1年延期により、他の大きなスポーツイベント(世界陸上、世界水泳、ハンドボール世界選手権など)が日程変更を承諾しましたが、2年続けてお付き合いするとは考え難いと言えます。
特に2022年は、冬季五輪の北京大会に加え、夏季五輪と並ぶ世界規模のスポーツイベントであるサッカーW杯が開催予定です。開催時期こそ異なりますが、同じ年にこれだけ大きなイベントが相次ぐと、各々のイベント価値が相対的に低下する他、スポンサーの分散にもつながります。
したがって、1年延期となった東京五輪は、開催か中止の二択しかないと言えるのではないでしょうか。
結局、最後はIOCの判断がどうなるのか? ということに尽きます。
IOCは開催中止に傾いていた? 安倍氏のインタビュー記事
そのIOCの最終判断を予想するのに参考になるのが、安倍晋三氏が首相退任後に応じた日刊スポーツ紙のインタビュー記事です(昨年10月20日掲載)。
一般に、政治家は職務を離れると、重圧から解放されたためかどうか分かりませんが、自身が関わった経緯や裏話を明らかにするクセがあります。政治家が後々に回顧録を出版するケースが多いのがその証拠であり、中には“暴露本”の類も珍しくありません。
安倍氏は政治家を引退したわけではありませんが、首相退任でリラックスしたのか、記事では昨年3月の延期決定時の経緯も話しています。その中に、「中止だけは避けたかったため、早い段階で延期を申し出、IOCや国際社会の了解を得るべきだと思った」とありますが、これはIOCが中止の方向で動いてたことを示唆しているとも受け取れます。
安倍氏はコロナ感染が拡大し始めた昨年2月現以降、IOCのバッハ会長と頻繁に電話会議を行っていましたから、東京五輪中止の可能性を感じていたのかもしれません。自らも最終プレゼンで登場して誘致成功を導いた東京五輪を中止にしたくなかった気持ちは理解できます。
IOCによる正式発表“Xデー”はいつになるのか
あれから10カ月経ちましたが、前述の通り、全世界でのコロナ感染状況は悪化する一方です。そして現実に目を向けると、開幕まであと半年しかないのに、東京五輪に出場するアスリートの代表が決定していない国が数多くあります。球技など、五輪最終予選の開催が決まっていない競技も少なくない状況です。
そこに出てきたIOC会長の中止・再延期否定という報道。これは本気の発言なのでしょうか?  それとも”ちゃぶ台返し”があるのでしょうか…。IOCによる正式発表がいつになるのか注目したいと思います。
●バッハ会長「東京五輪の中止・再延期の臆測」 …予定通り開催  1/28
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は27日、オンライン形式で記者会見を行い、東京五輪・パラリンピックについて「開催されるかどうかを臆測するのではなく、どう開くかに力を注いでいる」と述べ、7月23日に開会式を迎える予定通りの開催を強調した。
バッハ氏は「東京大会の中止や代替案などの臆測があり、2032年への大会の延期を提案する人までいる。こうした臆測は相手にしない」と強い口調で述べた。さらに「最も著名な科学者でさえ大会時のウイルスの状況は予測できない。残念なことに、これが臆測の背景だ」と指摘し、中止や再延期などを求める声が「選手らを傷つけている」との批判も展開した。
各国・地域の五輪委員会や選手団向けには、来日時の感染予防対策について説明した「プレーブック」を、2月初めに配布するとした。
東京大会での新型コロナウイルス対策については日本政府や世界保健機関(WHO)との連携を強調したうえ「多くのウイルス対策のうち最終的に大会時にどれが適当かを判断するには時期尚早」とし、選手や日本国民などに「忍耐と理解をお願いしたい」と述べた。
一般の観戦については「答えられない。安全な五輪を開催するために必要なあらゆる措置を取る」と応じるにとどめた。
またIOCが東京大会の出場選手らに訪日前のワクチン接種を推奨したことについて、日本選手にも適用されるとの考えも示した。
●コロナ禍を理由にした東京五輪の中止・再延期論が無責任と言える根拠 1/29
緊急事態宣言中に3週間も分科会を開催しない 政府の無責任
コロナ感染者数の推移を見ると、東京都内と全国の双方について、緊急事態宣言発出後の1月10日頃がピークだったと推測されます。
ちなみに、これらのデータは民間の集計値で、政府の発表ではありません。政府のデータを引用していない理由は、コロナに関して一番権威ある政府の会議体である新型コロナウイルス感染症対策分科会が、緊急事態宣言が発出された1月8日を最後にもう3週間近くも開催されていないからです(1月15日に“持ち回り”で開催されただけ)。
緊急事態宣言中という国民や企業に行動制限を課している時期だからこそ、本来ならば週に1回は分科会を開催し、感染状況の分析と国民にお願いすべき事項を頻繁に更新・公表すべきなのに、もう3週間も開催していないというのは、政府の対応として無責任極まりないと思います。おそらく国会審議への対応を優先した結果なのでしょうが、それならば週末に開催すれば済む話です。
それはともかく、1月10日頃が新規感染者数のピークだったとすると、昨年4月の緊急事態宣言時の経験からは、おそらく今週が重症者数のピークで、(昨年4月より感染者数や重症者数の絶対数が圧倒的に多く、かつ国会開会中なので政権は野党に攻められないよう安全サイドを選ぶであろうことも考えると)緊急事態宣言の解除は2月末ころまで延長されるのではないかと思います。
オリンピックの延期、中止を叫ぶのも無責任
ところで、コロナ禍で無責任なのは政府だけではありません。新規感染者数が大幅に増えた1月上・中旬に、多くの有識者と称される人たちが、“7月に東京オリンピックを開催するのは無理なので中止(または延期)すべき”といった趣旨の発言をしていましたが、これもかなり無責任と言わざるを得ないのではないでしょうか。
というのは、そうした人たちの多くは、足下の国内外での感染者数の大幅な増加を受けてそう発言していたように見受けられますが、そもそも1月のような感染状況が7月までずっと続くことは、少なくとも北半球では想定しにくいからです。
一般的な知見の延長で当たり前に考えると、春になって気温が上がり出せば、風邪やインフルエンザと同様にコロナの感染者数も減って落ち着くはずです。かつ、早ければ4月から高齢者へのワクチン接種も始まるのですから、これも感染者や重症者の数を減らすのに寄与するはずです。
そう考えると、感染が拡大しやすいと元々言われていた冬にその通り感染者数が増えただけで、オリンピックを延期・中止だとギャーギャー騒ぐというのは、いかがなものでしょうか。
かつ、人口は日本の3倍だけど1日の新規感染者数が15万人で死者が4200人(どちらも1月26日の数字)と、今の米国は日本よりよっぽど酷い感染状況にありますが、それでもちゃんとNBA(バスケ)、NFL(アメフト)、NHL(アイスホッケー)といったプロスポーツの試合は開催されています。
ちなみに、NBAを例にどのように開催されているか解説すると、昨年のプレーオフは、フロリダのリゾートを借り切って、選手や関係者はリゾート内で宿泊、練習、試合を行い、リゾート外への外出は禁止という完全隔離型(バブル方式)で行われました。
そして、昨年12月からの新シーズンでは、通常の会場を使って試合をしているものの、選手や関係者は、決められた場所以外の外食の禁止など様々な厳しいルールに従う中で開催されています。例えば、アウェイでの試合の際に感染を防ぐためのルール(“road-trip protocol”)は、82ページもの大部の文書になっています。
ちなみに、選手など関係者へのPCR検査は頻繁に行われており、例えば選手に感染者が出た場合は試合は延期となり、濃厚接触者全員がルールに基づき一定期間活動できなくなります。また、試合会場での観客の観戦については、州によって無観客であったり、2万人収容の会場に数千人だけ観客を入れるなど、州の規制に従っています。
この例からは、オリンピックについては、すべての選手が基本的には選手村に滞在することを考えると、東京近郊の会場で行われる競技については“バブル方式”を取り入れられるはずです。地方で行われる競技についても、米国並みの厳しいルールを定めることで対応できるはずです。
つまり、今でも米国よりよっぽど感染者数が少ない日本では、観客に外国から日本に来る人を入れるのか、無観客にするのかはともかくとして、オリンピックは十分に開催できると考える方が自然ではないでしょうか。
延期・中止を求める主張の根拠はどれも不十分
もちろん、オリンピックの予定通りの開催に反対する有識者の中には、単に今感染者数が増えているからだけでなく、別の理由を挙げている人もいます。
例えば、海外からたくさんの選手が来たら変異種も含めウィルスが大量に国内に入るからという理由もありましたが、これも眉唾ものです。
これまでも外国人が日本に入国する際は、ビジネストラックの11カ国以外については、出発国でのPCR検査、到着空港でのPCR検査、入国後2週間の自己隔離などが求められていました。もちろん、これまでの水際対策にはちょっと甘い面もありましたので、それを更に厳格化するとともに、国内では米国流の“バブル方式”を採用すれば、理屈の上ではウィルスの国内への流入は防げるはずです。
また、ただでさえ医療崩壊の危機がずっと叫ばれているのだから、医者や看護師などは国内での感染者対応を最優先すべきで、オリンピックのために医療スタッフを使う余裕はないという理由を挙げている人もいました。
なるほど、これは一理あります。特に1月26日の国会で、橋本五輪担当大臣が「(オリンピック)期間中には1人5日間程度の勤務をお願いすることを前提に、1万人程度の方に依頼して必要なスタッフ確保を図っている」と答弁したので、1万人もの医療スタッフをオリンピックに割く余裕はないと騒ぎたくなるのも無理ありません。
しかし、そもそも夏になって感染者数が減少すれば、医療スタッフにもある程度の余裕はできるはずです。また、それでも医療スタッフの数が足りない場合は、選手団を派遣する国に選手の面倒を見る医療スタッフの同行を求めるなど、やり方はいくらでもあるはずです。
かつ、橋本大臣の答弁をよく読むと分かるように、おそらく1万人というのは延べ人数でしょう。前回のオリンピックに参加したアスリートの数が1万1000人であることを考えても、オリンピック期間中ずっと1万人もの多くの医療スタッフが稼働というのはあり得ません。無用の疑念を避けるためにも、もっと分かりやすい答弁をすべきです。
有識者と称される人たちは、もっと考えて発言するようにすべき
以上のように普通に考えていくと、結論として7月にオリンピックを開催することは十分に可能なはずです。それにも拘らず、意外と多くの有識者がオリンピックの延期や中止を叫ぶというのは、まったく理解できません。一体何を考えているのでしょうか。
オリンピック出場経験者と話したら、オリンピック出場が決まった選手もこれから選考がある選手も、この時期は人生を賭けるくらいの気持ちで命懸けでトレーニングに励んでいる最中なのに、そこに延期だ中止だと余計な雑音が聞こえてくるというのは本当に気の毒だと言っていました。
ソーシャルメディアで発言を繰り返していると、人間は直感的に思ったことをすぐ口に出してしまうようになる傾向があります。有識者と称される皆さんは、オリンピックの延期や中止について意見を言う時には、自分の発言には影響力があるんだということを今一度認識し、トレーニングを頑張っている選手たちのことにも想いを馳せて、よくよく考え抜いた上で発言するようにすべきではないでしょうか。
●森会長がトップ務める財団が突然閉鎖…五輪中止の“前兆”か 1/30 
やはり東京五輪は中止が決まっているのか。大会組織委員会の森喜朗会長(83)が代表理事を務める一般財団法人「嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」が昨年12月末で活動を終了していたことが分かった。公式HPには〈2020年12月末をもちまして活動を終えました〉と記されている。
財団は、アジアで初めて国際オリンピック委員会(IOC)委員を務めた嘉納氏の名前を冠し、2009年に設立された。日本オリンピック委員会(JOC)と同じ東京・新宿区のビルに入居している。森会長をトップに山下泰裕JOC会長や遠藤利明・元五輪相ら“お歴々”が理事に名を連ねる。五輪関連の講座など、啓発活動を行うと同時に「20年大会の招致活動にも関わった」(大会関係者)といわれている。
招致活動を巡っては、疑惑も浮上。英ロイター通信は昨年3月、東京五輪招致時、招致委員会から財団に約1億4500万円の使途不明金が支払われていたと報じている。昨年11月、IOCのバッハ会長が来日した際、森会長は会見でこの疑惑について追及され、「財務に直接関与していないから分からない」と苦々しい表情で答えていた。
突然の活動終了は「疑惑隠しじゃないか」(前出の大会関係者)との声が上がる。半年後に大会本番を控えたこれからが財団としての“書き入れ時”のはずだからだ。
なぜ、活動を終了してしまったのか。日刊ゲンダイが複数回、電話で問い合わせると、コールは鳴るもののつながることはなかった。留守電にメッセージも残したが返答もなかった。法人登記を見る限り、閉鎖したわけでもなさそうだ。
一方で、今回の一件は五輪中止を前提にした動きではないかとの声も上がる。東京五輪に関する著書がある作家の本間龍氏はこう言う。
「新型コロナ蔓延の影響で、国内外では東京大会への不信感が高まっています。財団は、今こそ国民に対し理解を呼び掛けるタイミングです。そんな大事な時期に職務を放り投げてしまうのは、明らかに不自然でしょう。しかも、幹部からは何の説明もない。『中止』を見越した上での動きとみられても仕方ありません」
28日、IOCのバッハ会長との電話会談後に取材に応じた森会長。大会開催の前提である「安心・安全」の基準について問われ、「基準があるかといえば、ないですよ」と断言。それでどうやって開催するというのか。本音では「もう中止かな」と思っているのかもしれない。  
●東京五輪「危険過ぎれば中止」 IOC最古参委員が見解 2/5
国際オリンピック委員会(IOC)の最古参委員、ディック・パウンド氏(78)=カナダ=が4日、オンライン形式による時事通信の単独インタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染状況次第では、IOCが今夏の東京五輪を中止するとの見解を示した。IOCのバッハ会長は、中止を検討しない姿勢を見せている。
パウンド氏は「大会中止も選択肢の一つか」との質問に、「あらゆる科学的な証拠により、開催は危険過ぎると判断したら、そうなる。IOCには中止する権限がある。その場合、世界保健機関(WHO)などのデータに基づき、日本政府や大会組織委とともに決断することになるだろう」と述べた。
東京五輪は、2020年の開催予定が1年延期された。パウンド氏は再延期の可能性を否定し、「もう協議事項にはならない。選択肢は二つ。やるか、中止か」と語った。昨年3月の1年延期決定の際、日本側が「これ以上の延期はない」としていた点を根拠に挙げた。
一方で中止は最悪の選択肢だとの見解も示し、「無観客開催の方がまし。最も重要なのは選手が競い合い、参加できる機会を設けること。観客は必ずしも必要というわけではない」と話した。IOCが選手らに推奨する入国前のワクチン接種については、「率直に言って、ワクチンを受けずに日本に来るのはどうかしている」とも述べた。
パウンド氏は1960年ローマ五輪に競泳代表として出場。78年にIOC委員となり、副会長などを歴任。07年まで世界反ドーピング機関(WADA)の初代会長も務めた。
●東京オリンピックは中止?延期?開催?

 

東京オリンピックが1年延期となった理由
IOC(国際オリンピック委員会)は2020年3月24日、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的なパンデミックにより、2020年の東京オリンピック開催を断念、1年程度の延期とすることを発表した。
IOCは延期決定の声明で「現状と本日(3月24日)、WHOから提供された情報をもとに、アスリート、オリンピックの関係者全員、国際社会の健康を守るため、IOC会長と日本の首相(安倍晋三首相/当時)は東京で行われる第32回オリンピック競技大会が2020年以降、ただし2021年夏を過ぎない日時でスケジュールを変更すべきという結論に至った」と、延期に至る理由を説明している。
開催地の東京はその後、緊急事態宣言が発令されるなど現在に至るまで新型コロナの感染拡大により多大な影響を受けているが、2020年3月30日に、延期となった東京五輪のスケジュールを発表。2021年7月23日に開幕することが決定した。
東京オリンピックは開催される?
IOC(​国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長は、2021年1月27日に行われた理事会で、東京オリンピックがスケジュール通り、2021年7月23日に開幕するというIOCのコミットメントを改めて強調した。
バッハ会長は声明で「7月23日に始まるオリンピックと8月24日に始まるパラリンピックについて、私たちは2020東京オリンピック・パラリンピックの成功と安全な開催に向けて完全に集中、コミットしている」と説明。そのうえで、「日本政府、東京2020組織委員会、日本オリンピック委員会と同じコミットメントである」と述べた。
開催地の東京のみならず、世界中で新型コロナウイルス感染拡大の終わりが見えないなか、イギリス『Times』などが「日本政府は(五輪を)中止にせざるを得ないと水面下で決定付けた」という報道も飛び出したが、これらの報道に対して、日本の菅義偉首相、大会組織委員会の森喜朗会長は開催に向かっていると強調。IOCと日本政府が共通の意向を持っていることを改めて強調している。
東京オリンピック延期、中止の可能性は?
IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長が、東京オリンピックの開催を改めて強調したのは前述の通りだが、同会長は延期や中止の案についても理事会で言及している。
東京五輪の延期案には、2032年の開催や都市を移して開催する案が浮上しているが、バッハ会長は「もしあなた方が2021年のオリンピックに向けて準備しているアスリートと話し合う必要があるというのなら、グッドラックという言葉を送りたい。別の街でという提案もいくつかあったが、オリンピックの複雑さを知っている人物であれば、誰もが不可能だと分かる。もう時間は非常に少ない」と説明。
バッハ会長は「東京五輪の中止・再延期の臆測は相手にしない」と、延期・中止の可能性を完全に否定している。
そのうえで「そういったすべての理由から、私たちは憶測に時間とエネルギーを費やすことをしない。今年7月23日の開会式に向けて全力で取り組んでいるし、大会が行われるかどうかに考えを巡らせてはいない。大会がどう行われるか、ということに取り組んでいる」と、予定通りの開催を強調している。
組織委員会の森喜朗会長が辞任
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長は2月12日、評議員会・理事会合同懇談会で、会長職の辞意を表明した。
森氏は、2月3日の臨時評議員会にて、女性を蔑視する発言を行ったとして、その責任をとる形で辞意を表明する形となった。
IOCのトーマス・バッハ会長は、「IOCは、森会長の辞任の決定を完全に尊重する」と辞任に理解を示したものの、後任については現時点では未定。組織委員会は「透明性をもって早急に進め、大会準備に影響のないよう新体制を構築して参ります」と発表するにとどまっている。
東京オリンピックの開催期間
東京オリンピックの開催期間は2021年7月23日(金)〜8月8日(日)となっている。
開会式は7月23日(金)に開催。閉会式は8月8日(日)に行われる。
なお、開会式に先駆けて野球・ソフトボール競技、サッカー競技が7月21日(水)よりスタートする。
東京2020聖火リレー開催期間
東京オリンピックの聖火リレーは、2021年3月25日(木)に福島県のナショナルトレーニングセンターJヴィレッジでスタートする。
121日をかけて日本全国47都道府県を巡る予定だ。  
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 



2021/2
 
 
 

 

●「根性なし」 特徴と原因
 
 

 

●根性とは
「根性」の意味は「苦しみや困難などに絶えて、物事を成し遂げようとする強い気力」
「根性」の意味は「苦しみや困難などに絶えて、物事を成し遂げようとする強い気力。根気のこと」です。人が持つ性格や性質について指し、「根性がある」「根性なし」などと使われています。
「根性」の類語は「根気」「気概」「不屈」
   根気(こんき)
意味:物事を途中で投げ出さずにやり続ける気力、精力のこと 「彼は根気よくトレーニングを続けてダイエットに成功した」「Aさんはついに、Bさんの説得に根気負けした」
   気概(きがい)
意味:困難にもくじけない強い意気、気性 「彼女はああ見えて必ず物事を成功させるという気概がある」「目的達成に向けての気概を感じる」
   不屈の精神(ふくつのせいしん)
意味:困難に直面しても決して挫けたりあきらめたりしない心意気 「彼は不屈の精神を持っている」
 
 

 

●根性なしの性格の特徴
ネガティブ
根性のない人はネガティブな人がとても多いです。自分がうまくいくことの想像ができないため、すぐに諦めてしまいます。そうせやっても無駄だと思っているので、行動に移すことが出来ません。根性がないのは、かなりネガティブな性格が影響しているようです。
無責任
根性なしの人は、何でもすぐに諦めたり投げ出したりしてしまうので無責任です。それは責任を負う恐怖や、自分のミスを認められない精神的な弱さから来ています。任された仕事なども、すぐに放棄してしまいます。また根性がないのですぐに手を抜いたり、生半可な気持ちでやってしまいます。
めんどくさがり屋
根性なしはかなりのめんどくさがり屋です。最後まで一生懸命やるということとがなかなか出来ません。そういった持続力がないので、すぐにめんどくさくなってしまいます。頭を使ったり、体が疲れるようなことをすぐに拒絶します。根性がないので、頑張ることが出来ません。
感情的
根性なしは感情的な人が多いです。根性なしは自制心が低いので、喜怒哀楽を我慢できません。自分の感情や欲望がむき出しなので、思い通りにいかなければすぐに怒りをあらわにします。また、感情によってすぐにモチベーションが下がってしまうので、気分が乗らなかったり誰かに指摘されたりするとすぐに嫌になってしまい、やるべきことでも投げ出してしまいます。根性なしは我慢というものが出来ません。
自己中心的
自分のことしか考えていない人って、本当にめんどくさいですよね。そういう人に合わせていると、周りはどんどん疲れていってしまいます。根性のない人は、他の人に合わせることも出来ず協調性もありません。そのためかなり自己中心的なところがあります。周りが自分に合わせなければ文句を言ってきたり不機嫌になったり。それがめんどくさくて、結局合わせてしまうこともしばしば。
他人の目を気にする
他人の目ばかり気にしている人も根性なしです。自分の意志以上に、他人からの評価やどう見られるかばかりを気にしています。人の目を気にしていると、集中力もなくなり、自分のために努力することが出来なくなってしまいます。また、周りからの評価や周りの意見にすぐ左右されるので、一つのことを長く続けることも難しくなっています。自分は良かれと思って始めたのに、他の人から「それどうなの」や「こっちのほうがいいんじゃない?」と言われるとすぐにブレてしまい、その姿は「根性なし」と評価されてしまいます。他人の目ばかり気になってしまう人は、自分が一度決めたことを最後までやり通すことを心がけましょう。
虚栄心が強い
「虚栄心」の意味は、「自分を実質以上に見せようと意地をはること」です。自分のことを良く見せようと見栄を張ったり、自分のエピソードを誇張したりしてしまうことです。自分の成長のために努力をせずに、見てくれだけ良く見せようとするのは根性のない証拠です。根性のある人は周りからちゃんと評価してもらえるように、自分自身が成長するための努力をします。虚栄心が強い人は、本当は自分に自信がないのにプライドばかり高く、出来ない自分を認めることが出来ません。
感傷的になりやすい
感傷的になりやすいのは悪いことではありません。感受性が強く、すぐに感動してしまいます。しかし、それは感情に左右されやすいとも言えます。何か悲しいことがあったり、友達が悲しんでいるとそれにつられて、悲しい気持ちでいっぱいになってしまいます。その感情を引きずりすぎると仕事に支障をきたしたり、自分がやらなければならないことが出来なくなってしまいます。
豆腐メンタル
「豆腐メンタル」とはメンタルが豆腐のように脆く崩れやすいことを表します。根性のない人はとにかくメンタルがもろく、打たれ弱いです。ちょっとした困難や叱責にすぐにへこたれてしまいます。他人からの非難なども気に病みやすく、すぐにめげてしまいます。
 
 

 

●根性なしの行動の特徴
三日坊主
ダイエットにしろ、ジム通いにしろ、勉強にしろ、とにかく継続してやることが出来ません。「めんどくさい」「今日はいいや」「とりあえず明日にしよう」を繰り返して、勢いよく始めたもののすぐに三日坊主になってしまいます。始める時も、後先考えずに始めるので継続が困難になるのも早いです。ダイエットする!とみんなに宣言しながら、誰かがお土産で買ってきたケーキを見れば「食べないのは悪いしね」なんて理由をつけて食べてしまいます。
口だけで行動しない
根性のない人は口ばっかりです。「これ頑張る!」「俺に任せておけ!」「私は今月中に○○するの」などと、無責任な発言をてしまいます。そして結局誘惑に負けて有言実行することはないので、「あの人って口だけだよね」と言われてしまいます。プライベートなことや、自分自身にしか迷惑のかからないことなら「ご勝手にどうぞ」という感じですが、仕事のことであったり周りに迷惑をかけるようなこともあるので、根性のない人が近くにいると面倒くさいことに巻き込まれがちです。
時間にルーズ
根性のない人は、時間にとてもルーズです。待ち合わせ時間のために早起きして準備したりすることが出来ません。学校や会社の遅刻はしょっちゅうですし、人との待ち合わせにも平気で遅れてきます。待ち合わせに遅れる理由が仕事などやむを得ない事情があるのなら待たされた方も許せますが、寝坊だったり人と会ってたとか、そういった類なことが多くなっています。自分の都合を第一優先にするので平気で周りの人に迷惑をかけます。反省もあまり見えないので、周りから友達は減っていくでしょう。時間を守れない人との約束ほどしんどいものはないので、そのうち何にも誘われなくなるでしょう。
すぐにパニくる
根性がない人はすぐにパニックになります。感情が押さえられないので、不安なことやイレギュラーなことが起きると「どうしよう!!」という気持ちでいっぱいになってしまいます。そのため冷静さを失って、状況把握も出来ずに一人でパニくっています。冷静に考えればすぐに解決することや、時間が経てば大丈夫になるようなことでも待つことが出来ずに騒いでいることが多いです。
サボり癖がある
根性なしの人はとにかくすぐサボります。仕事も「めんどくさいな」「やりたくないな」と思うとサボり始めます。いっちょ前にサボっていないかのような振る舞いをすることもあります。また、自分自身で決めたこともすぐにサボります。例えば毎日筋トレ50回!とか、一駅前で降りて歩いて帰るとか、健康管理のために始めたことすらもすぐにサボります。
諦めが早い
根性なしはとにかく諦めが早い!今はすぐに成果が出なくても、辛抱強く頑張れば出来るようになる!ということが出来ません。ちょっとやってみて上手くいかなかったら「もう無理だ」とすぐに諦めてしまいます。根性なしは出来ていない自分を受け入れることもできず、また努力することも出来ないので成長をしません。何事もすぐに諦めては、言い訳ばかり言っています。
 
 

 

●根性なしの発言の特徴
すぐに弱音を吐く
根性なしは、すぐに「めんどくさい」と発言します。やりたくないことをやらなければならない場面ってたくさんあります。仕事でも雑用とか書類整理とか、物を運ぶような力仕事をしなければいけないこともあるし、業種によっては丸一日立ちっぱなしなこともあります。しかしそれも仕事であり、その時間も給与が発生しているので一生懸命に仕事をしなくてはなりません。そして、やる前から「めんどくさい」を連呼する根性なしですが、やり始めたら大してやってもないのに「もう疲れた」と言い始めます。とにかく忍耐することが出来ません。本当にやっかいです。
ワガママな発言が目立つ
根性なしは、とにかくワガママで空気の読めない発言が多いです。例えば、ちょっとでも疲れたら「帰りたい」の連呼です。みんな疲れているし、出来ることなら帰って休みたいものです。それでも仕事をしている以上、「帰りたい」なんて思っても口にするものではありません。しかし、自制心がない人はそういった判断すら出来ずに思ったまま口から出てしまいます。さらには、友達と出かけていても歩き疲れたりつまらなかったりすると平気で「はやく帰りたい」などと言い出します。テーマパークなどで楽しんでいる時に言われたら、空気壊されますよね。そういう時は「先帰っていいよ」と突き放してあげましょう。
愚痴や文句が多い
とにかく愚痴が多いです。誰でも愚痴ってありますよね。友達などに会社の愚痴などを言ってしまう時もあります。しかし、根性なしはどこでもすぐに愚痴を言い始めます。しかもそこまで仲の良い相手じゃなくても、職場でもすぐに愚痴を言います。それから、大したことじゃないものに対しても愚痴を言い始めます。もう少し我慢しようとか、今は言うことじゃないなとか、そういったことを判断出来ません。そのためその場ですぐに愚痴を言い始めてしまいます。
言い訳をする
根性なしは努力をしないので、周りから注意されることがあります。しかし自分の非やミスを認められないので、すぐに言い訳をします。しかも、ただただめんどくさくてやっていないだけなので、説明しようにも「欲に負けた」としか言いようがありません。そのため、その場しのぎの言い訳ばかりしています。遅刻や仕事上の期限遅れ、やるべきことが出来ていないなど、根性がない人はそういったことの言い訳をずっとしています。
他人の陰口を言う
根性なしは、面と向かって相手に意見を言うことが出来ません。そのため、陰口がとても多くなっています。根性なしは、陰湿な性格をしていることが多く、自分のミスを他人のせいにしてそれを陰口で広めたりもします。そういうことばかりしているので、信じてもらえなくなることも多いですが、仕事もせずに無駄口ばかり叩いているのも根性無しが故です。
すぐに否定的な言葉を吐く
根性のない人は、自分自身に対しても他人に対しても否定的な言葉をすぐに使います。否定的な言葉はモチベーションを下げたり、ストレスを溜めたりするため、それが自分の言動に影響が出てしまいます。そのため、どんどん根性なしになっていきます。否定的な言葉を使わなくなるだけで根性のある人だと周りからも思われます。自分自身でも冷静な状態を長く保つことができるので、結果長い時間忍耐したり努力したり出来ています。しかし、根性のない人は「そんなことやっても意味がない」「それは違う」「何をやっても無駄」などと否定的な言葉ばかり吐き続けています。
 
 

 

●根性なしの原因
夢や目標がない
根性がない原因として考えられるのが、夢も目標もないことです。夢や目標がないと、頑張ることがありませんよね。そのため根性というものが全く必要ではなくなってしまうんです。なので、根性があるかないかも分からない場合もあります。
体力がない
それから、根性のない人はそもそも体力がありません。一生懸命頑張ろうと思っても、風を引いてしまったり具合悪くなってしまったり、スタミナ不足になってしまうこともあります。体力はあらゆる人間活動の基本中の基本です。心が体に影響を与えることもありますが、体が心に影響を与えることもよくあります。体力がないゆえに、根性のない人もたくさんいます。
飽き性
また、根性のない人の多くは飽き性です。頑張ろうと思っていても、飽きてしまうことでやる気がなくなってしまいます。楽しいと思えていなければ続けることは難しいですもんね。根性のある人は、頑張るということを楽しめています。しかし根性のない人は飽きてしまい、完全に楽しくなくなって途中で投げ出してしまいます。
すぐ感情的になる
また、根性のない人は感情的な人が多いです。イライラすることも多く、なかなかうまくいかないと「うわーーー!もう嫌だーーー!」と投げ出してしまいます。根性のある人は、そのように感情的にはならずペースを保ってやり続けることが出来ます。根性なしは、すぐに落ち込んだりイライラしたりしてしまい、また感情によってやる気や行動力も変わってしまうタイプです。自制心があまりありません。
自分に自信がない
自分に自信がない人も根性がありません。「どうせ頑張ったってうまくいかない」「自分には到底かなわない」と思ってしまいます。そのため鼻っから諦めてしまいます。自信がないと根性がなくなり、逆境に立ち向かうことが出来ません。
挫折してしまった経験がある
過去に挫折した経験のある人も、なかなか根性を持てなくなってしまっています。また、挫折してしまうんじゃないか、どうせ失敗するだろう、と過去の挫折がコンプレックスになってしまっています。元々根性があって頑張っていた人でも、挫折をした経験によって根性がなくなってしまうことがあります。
ストレスが溜まっている
ストレスが溜まってくると、自律神経が乱れ集中力がなくなったり何もなくてもイライラしたりしてしまいます。そういう状態では、努力をしたり前向きに考えることって出来なくなってしまいます。その結果、根性がなくなってしまいます。根性のある人は、心が元気な証拠です。ストレスがたまりすぎると心の元気がなくなってしまうので、根性なしになってしまいます。
マイナス思考
根性のない人は、基本的にマイナス思考です。何事においてもネガティブに考えてしまいます。なので、夢や目標があってもそれに向かって頑張るということがなかなか出来ません。
 
 

 

●根性なしの治し方
生活習慣を整える
根性を鍛えるには、まず生活習慣を整えましょう。寝不足や栄養不足の食事は、頭の回転も遅くなりますし体力の低下にも繋がります。まずは早寝早起きをして、健康的な食事を摂るように心がけましょう。そんなんで根性がつくのか?と思うかもしれませんが、かなり重要です。ストレスや疲れも溜まりにくくなりますし、モチベーションもかなり変わってきます。
運動をする
それから、体を動かすことも大事です。この運動というのは、ジムに通ったり筋トレをガチガチにやるということではありません。ひと駅分の散歩などでもまずは十分です。体を動かすだけで、血流が良くなったりリンパの流れも良くなります。内臓も正常に機能するので、便秘の解消や頭痛の解消にも繋がります。体がスッキリするだけで集中力が上がるので、生活習慣を見直せたら少しの時間でも運動をするように心がけましょう。ここで大切なのが、日々の継続です。毎朝ひと駅分歩くとか、帰りに遠くのスーパーに寄るとかをしてみてください。
体を鍛えて体力をつける
それから、体を鍛えて体力を付けていきましょう。ここでは主に筋力や体幹を鍛えることを意識してみましょう。筋トレや体幹トレーニングって、家の中で出来ることがとても多いです。しかもドタバタとするわけではないので、マンションやアパートで一人暮らししている人でも出来ます。毎日30分ほど時間を使うだけです。テレビを見ながらやドライヤーをしながら出来るトレーニングもたくさんあるのでぜひ試してみましょう。このトレーニングを継続するということ自体が根性です。これが出来れば根性が鍛えられている証拠です。そして筋力がついたりや体幹が強くなってくると、体力も自ずとついてきます。根性には体力はとても大事なので、ぜひトレーニングをしてみましょう。体力がついたり体が引き締まったりすると、それだけで自信にも繋がります。
自分の気持ちと向き合う
それから、自分自身の気持ちとしっかり向き合いましょう。自分が今後どうなっていきたいのか、どういうことがしたいのか、というのを理解しましょう。自分と向き合う中で、夢や目標を見つけていきます。人様に自慢出来るようなものじゃなくなっていいです。自分の心の中で思っているだけで大丈夫なので、例えば「1ヶ月海外旅行したい」とか「芸能人の○○に会いたい!」とか、そういうのでもいいんです。
人生の夢や目標を掲げ、達成するためにはどうしたらいいのか考える
自分の気持ちと向き合えたら、人生でどういうことがしたいか見えてきた人がいるかと思います。夢や目標が定まったら実際に出来る出来ないは別として、どうしたら出来るか考えてみてください。では海外旅行するためにはどうしたらいいのか、芸能人に会うためにはどうしたらいいのか、を考えましょう。一つずつ紐解いていくと結構簡単なんですよね。箇条書きで大丈夫です。例えば海外旅行なら、
   •お金が必要(○○万円)
   •貯金をする(3年後に行くなら月○万円)
   •残業手当てをもらう
   •昇進できるようにする
   •長期休暇をもらう
   •有給をためる
   •申請しやすい関係性を作る
などなど…まずはお金が必要ですよね。そして休みも必要です。となると、、、どうしたらいいかは会社によって違うかと思いますが、ちょっと考えれば答えってすぐ出てきます。あとはその目標に向かってどれだけ頑張れるかが勝負です。この、どれだけ頑張れるかが「根性」次第なわけです。頑張れるように計画を立てていきましょう。
日々の目標を立てる
大きな目標が立ったら、日々できることを考えてみましょう。貯金するために食費を節約するとか、遊びに行く場所を考えるとかしてみましょう。また、休みの日にぐーたらしてしまいがちな人は、仕事に役立つような資料や本を読む時間を作ってみてください。もちろん、ぐーたらすることでストレス解消になるので、ぐーたらもとても大事な時間です。でも毎週日曜日ぐーたらしていたらもったいないですよね。午前中は本屋や図書館に行って、お昼食べて仕事に役立ちそうな部分をまとめて、後は夜までぐーたらするとかそういった日々のスケジュールや小さな目標を立てていきましょう。
継続する習慣をつける
スケジュールを考えたり、日々の目標を立てることが出来たら、それを習慣づけていきましょう。なかなかそういった事が出来ない人は、完全なルーティンを決めてしまうことです。毎週日曜日は9時に起きる、10時には図書館、12時にお昼ごはん、13時から14時でまとめる、15時以降はフリータイム、などと決めちゃうと目標を達成しやすいです。細かいところまで事前に決めるクセを付けて、その通りに過ごすことをしてみてください。  
 
 
 
 
 

 

 
 
 

 

●橋本聖子
(1964 - ) 日本の政治家、元スピードスケート・自転車競技選手。自由民主党所属の参議院議員(5期)、内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)、東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣、公益財団法人日本スケート連盟会長、公益財団法人日本自転車競技連盟会長。公益財団法人日本オリンピック委員会副会長。戸籍名は、石ア聖子。
スピードスケートおよび自転車競技でオリンピック日本代表として出場。アルベールビル冬季オリンピックスピードスケート女子1500m銅メダル。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事。現在ビル冬季オリンピックスピードスケート女子1500m銅メダル。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を務めている。
北海道勇払郡早来町(現:安平町)の牧場で生まれ育つ。祖父母は開拓者で、父方は宮城県三本木町から、母方は奈良県十津川村から入植した。4人兄弟の末子。1964年東京オリンピックの直前に生まれ、聖火にちなんで「聖子」と名付けられた。このことから、後にマスコミで「五輪の申し子」と呼ばれる。
父親の方針で3歳でスケート開始。小学3年の時、腎臓病にかかり、2か月間入院。2年間スポーツを禁止される。
中学3年の時、全日本選手権を初制覇の後、駒澤大学附属苫小牧高等学校に入学。全日本スプリント、全日本選手権で優勝。以後、10年間にわたって全日本選手権を制覇。高校1年で世界ジュニア選手権の日本代表に選ばれる。
原因不明の呼吸器系の病気にかかり生死の境をさまようが、後に全日本選手権で「4種目完全制覇」を達成。
1983年、高校卒業後、富士急行株式会社へ入社。1994年、富士急行株式会社退社。
1995年、第17回参議院議員通常選挙の比例区に自民党から立候補し初当選。国会議員とスポーツ選手の二足のわらじを履き、午前3時に起きて自転車に乗り、昼間に国会議員としての活動をして、夜9時すぎから2時間のウエイトトレーニングという日課を繰り返し、土日の地方講演には自転車で移動をするなどして練習に充てていた。
1996年、現職国会議員としてアトランタオリンピックの自転車競技2種目に出場するも、12位と9位に終わる。現役スポーツ選手続行の体力があると自負していたものの、国会議員としてのオリンピック出場が政界とスポーツ界の両方から批判をされたことを理由に「両方の世界を傷つけた」としてスポーツ選手としての現役引退を決意する
1998年、一般人の男性(警察官)と結婚。
2000年8月、園田天光光以来51年ぶり、現役国会議員として2人目、参議院議員としては初の出産。これに先立ち、妊娠判明後の同年3月、出産による本会議欠席を認める参議院規則改正が行われ、事実上、国会議員の産休が制度化する。橋本は直前まで議員活動をし、入院後2時間で初の出産。
役職
1995年 7月 - 第17回参議院議員通常選挙に比例区から立候補、初当選。
2000年 7月 - 北海道開発総括政務次官就任。
2001年 7月 - 第19回参議院議員通常選挙に比例区から立候補、当選(2期目)
    8月 - 参議院文教科学委員長就任。
2003年 9月 - 自由民主党副幹事長就任。
2004年 9月 - 自由民主党副幹事長退任。
2005年 9月 - 自由民主党女性局長。
2006年 6月 - 日本スケート連盟会長。
2007年 7月 - 第21回参議院議員通常選挙に比例区から立候補、当選(3期目) 北海道トライアスロン連合会長/トライアスロン議員連盟 幹事長
2007年 9月 - 2007年自由民主党総裁選挙で、立候補者・福田康夫元内閣官房長官の推薦人代表となる。
2008年 9月 - 麻生内閣で外務副大臣に就任。
2012年12月 - 第2次安倍内閣で自民党参議院政策審議会長に就任。
2013年 7月 - 第23回参議院議員通常選挙で比例区から立候補、当選(4期目)
2016年 7月 - 自民党参議院議員会長に就任。初の女性及び閣僚経験のない自民党参院会長となる。
2019年 7月 - 第25回参議院議員通常選挙で比例区から立候補、当選(5期目)
2019年 7月 - 自民党参議院会長を退任
2019年 9月 - 第4次安倍第2次改造内閣で東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当、女性活躍担当、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)として初入閣。
2020年 9月 - 菅義偉内閣でも東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当、女性活躍担当、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)再任。内閣総理大臣臨時代理就任順位第5位に指定された。
2021年 2月 - 18日内閣府特命担当大臣の辞表を提出し、退任した。
スポーツ活動
オリンピック
1984年、サラエボ冬季オリンピック出場。当時スピードスケート女子全種目の4種目に出場したが、いずれも8位以内(入賞)には届かなかった(500m11位、1000m12位、1500m15位、3000m19位)。
1988年、カルガリー冬季オリンピックではスピードスケート女子全種目の5種目に出場し、全ての種目で日本記録を更新の上、入賞を果たす(500m5位、1000m5位、1500m6位、3000m7位、5000m6位)。但し3000mでは、同走の選手にクロッシングゾーンで本来譲られるべき走路(ほぼ同走時にはアウトからインに入るコースの選手が優先権)を、邪魔されてしまうアクシデントがあった(その同走選手は走路妨害を取られて失格)。さらに最後の出場種目だった5000mでは、レース終盤に苦悶の表情ながらも懸命に滑り続け、そして最後は完全に力尽きてしまい転倒してのゴールとなった(後に橋本本人は「あのゴール直後の転倒は私自身非常に恥ずかしく、スケート人生の中で一番悔いの残るレースだった」と語っている)。
同1988年、ソウル夏季オリンピックに自転車の代表選手として出場した。このため、関ナツエとともに、日本人として男女を通して史上初めて冬・夏両方のオリンピックに出場した
1989年、世界オールラウンドスピードスケート選手権大会において、500m優勝を含む日本人初の総合銀メダル。
1992年のアルベールビル冬季オリンピックも女子スピードスケート全5種目出場。女子1500mでの橋本は、序盤から中盤まで積極的に飛ばし続け、終盤ラップタイムが落ちたものの屋外リンク自己記録の2分6秒88をマーク。結果3位入賞を果たし、日本人女性としては史上初となる冬季オリンピックで銅メダルを獲得する快挙を達成した。1000mは5位入賞だった(他500m12位、3000m12位、5000m9位)。
1992年バルセロナオリンピック出場(自転車競技)。女子3000m個人追抜で11位。
1994年、リレハンメル冬季オリンピック出場。日本選手団の主将を務め、女子スピードスケートでは500mを除く4種目に出場。特に3000mでは、600m付近で当時世界記録保持者のグンダ・ニーマンの転倒に巻き込まれ、橋本自らも転んでしまい左肘と左脇腹に打撲傷を負うハプニングがあった。その後橋本の再レースが認められ、約1時間経過後の再レースでは当時の日本新記録となる6位入賞を果たした。5000mでも8位入賞だった(他1500m9位、1000m21位)。
1996年アトランタオリンピック出場(自転車競技)。女子3000m個人追抜で12位、女子2万4000mポイントレースで9位。
合計7回(冬季大会4回・夏季大会3回)のオリンピック出場は日本女子最多記録である(世界最多記録は8回出場のヨセファ・イデム、レスリー・トンプソン、ニノ・サルクヴァゼが保有)。
引退後
現役引退後は後進の指導に当たる。個人の芸能マネジメント事務所「セイコ・ハシモト・インターナショナル(SHI)」を設立し代表に就任。
2006年7月1日付けで日本スケート連盟会長に就任する。また、日本オリンピアンズ協会の理事も務めている。
2008年10月30日、麻生内閣発足に際して外務副大臣に就任したため日本スケート連盟会長職を休職した。これは国務大臣・副大臣・大臣政務官については「公益法人その他これに類する諸団体については、報酬のない名誉職等を除き、その役職員を兼職してはならない。」とする「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」の規定によるものである。2009年9月16日、内閣総辞職に伴い外務副大臣を退任したため、日本スケート連盟会長職に復帰した。
2009年11月17日、日本オリンピック委員会理事に就任し、バンクーバー冬季五輪選手団長となる。2012年、ロンドン夏季オリンピック選手団副団長。2013年には、日本オリンピック委員会常務理事となり、女性として初めて、日本オリンピック委員会選手強化本部長を兼務。2014年、ソチ冬季オリンピック選手団長となる。2015年、リオ夏季オリンピック選手団長となる。2017年、日本オリンピック委員会副会長に就任。
2009年12月21日、日本女子プロ野球機構名誉顧問に就任。
2010年、国会開会中ながらバンクーバーオリンピックに日本選手団の団長として参加。女性として初めてオリンピック日本選手団団長となった。スノーボード男子ハーフパイプ出場の國母和宏の服装問題で出場辞退の話が浮上した際には、団長として國母に開会式への出席辞退と謝罪会見をさせた上で競技には出場させるという裁定を下した。
2012年12月には日本自転車競技連盟の会長に就任。2008年から東京都自転車競技連盟の会長に就任していた。
2012年より、日本ハンドボール協会顧問 を務め、副会長に就任。
2012年に発覚した柔道全日本女子の園田隆二監督及びコーチらの女子柔道強化選手への暴力問題に関する、日本オリンピック委員会「緊急調査対策プロジェクト」メンバーを勤める。2013年2月6日自民党参議院議員総会において、暴力問題を告発した15名の強化選手について「プライバシーを守ってもらいながらヒアリングをしてもらいたいというのは、決していいことでない」「あまりにも選手のプライバシーを守ろうとする観点から、15人の選手が表に出ていないことをどう判断するか。非常に大きな問題だ」と語った。これが、告発に対する否定的な見解として問題化したため、後に「公表しないことに厳しい意見もあることから、どういう方法で選手を守り、経緯や事実を明らかにするか検討すべきという考えだ」と釈明するコメントを出した。また、2013年、全日本柔道連盟外部理事に就任。
2013年1月、日本自転車競技連盟会長に就任。
2014年8月20日発売の週刊文春において、ソチ五輪閉会式後の打ち上げパーティーで、酔って橋大輔選手に強制的にキスするなどのセクハラ行為を行ったと報じられた。これに対し橋本および橋両者とも強制ではなかったとしてセクハラについては否定した。また日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は8月22日、「総合的に判断した結果、これ以上本件を問題にすることは考えておりません」と、不問にする考えを示した。9月1日の日本スケート連盟理事会において、橋本は騒動の責任を取って引責辞任する考えを示したが、慰留されたとして会長職に留任した。また、自民党は9日、橋本を2020年五輪・パラリンピック東京大会実施本部長に充てる人事を総務会で了承した。以上のように、JOC、スケート連盟、自民党とも問題はないとして処分は見送った。
2015年10月、全日本スキー連盟理事に就任。
2017年6月、日本ライフル射撃協会副会長に就任。
2017年7月、日本ホッケー協会副会長に就任。
その他、前述の通り父が馬主であったことから、日本競馬にも幼き頃より造詣があり、自由民主党の競馬推進議員連盟の会長にも就いている。

1985年 北海道民栄誉賞
1986年 エイボン女性スポーツ賞
1988年 山梨県民栄誉賞
1988年 北海道新聞スポーツ賞
1989年 朝日体育賞
1989年 日本ユネスコフェアプレー賞
1994年 文部大臣賞
オリンピック出場7回は女子として日本最多記録。
政策・政治活動
2007年12月7日に「南京の真実を検証する国民の集い」にメッセージを送った。
2007年の第16回統一地方選挙においては自民党道連会長として、リレハンメル五輪で銅メダルを獲得したスピードスケート選手・堀井学に北海道議会議員選挙への出馬を要請した(登別市選挙区から立候補した堀井は当選)。
2001年の時点では選択的夫婦別姓制度には反対していた。2019年の調査では「どちらとも言えない」としていた。2020年10月9日の記者会見で、男女共同参画担当相として、「国民がどう望んでいるのか前向きに検討することは、非常に前進だと感じてもらえる」として、選択的夫婦別姓の導入に向けた議論に取り組む姿勢を示した。
2012年、ルネサンス佐世保散弾銃乱射事件を契機に改正された銃刀法の所持項目等を高校生射撃部員を増やすため緩めたい意向を明らかにした。
憲法9条の改正に賛成し、自衛隊を他国同様の「国防軍」にすべき(2013年毎日新聞アンケート)。
日本の核武装について、国際情勢によっては武装すべき(同上)。
首相や閣僚の靖国神社参拝は問題ないとしている(同上)。
2020年3月17日、新型コロナウイルス感染症の影響が懸念される東京五輪について、五輪相として「延期も規模縮小もしない予定通りの形で開催する」との認識を示した。「無観客ではないということか」と記者から問われた際、自信をもって「そのとおり」と答えた。
2020年、男女共同参画担当大臣として、性犯罪者へのGPS機器の装着義務化等を検討する政府の方針を発表した。
家族・親族
実家は養牛で知られ、父の善吉はマルゼン橋本牧場を経営し「牛のハシモト」として知られた牛の仲買商。後にサラブレッドのJRA顕彰馬マルゼンスキーのオーナーとしても知られる。母方の大叔父には新十津川村長、衆議院議員を務めた松実喜代太がいる。現在、三男三女あり(実子3人。夫と、死別した前妻との子供3人)。現在は千葉県在住。
支援団体
宗教法人曹洞宗およびMOA(明るい社会をつくる会)の支援を受けている。 
●橋本聖子さんの家族 
橋本聖子さんが東京五輪の委員長として就任することが決定しました。橋本聖子さんといえばスケートや競輪の選手として有名で、現在国会議員をされています。しかし華やかな経歴の裏に、実家での多額の借金があったことが言われています。
橋本聖子さんの家族や実家についてはあまり多く知られていないので気になります!
橋本聖子の父親と家族
橋本聖子さんは北海道出身で、父親の橋本善吉さんは牧場を経営し、牛の仲買商をしていたそうです。
家族は両親と4人兄弟の6人家族で、橋本聖子さんは4人兄弟の末っ子として育ちました。
橋本聖子さんの実家は養牛で知られ、父親が経営する牧場「マルゼン橋本牧場」は「牛のハシモト」として知られていたそうです。
また後にサラブレッドのJRA顕彰馬マルゼンスキーのオーナーともなり、サラブレッドを育てる牧場でもあったようです。
牧場で産まれ育った橋本聖子さん。さぞのびのび育ったのかと思いきや、とても厳しいお父様だったそうです。
橋本聖子さんはご自身で子供時代を振り返って、このように語っています。
「「おはようございます!」挨拶の時は、正座をして三つ指をつかなければいけない。ご飯を給仕して父に手渡すときは、必ずお茶碗に両手を添えて渡さなければ許されない。胃薬でも父が薬のビンに手をかけた間に、水の入ったコップを出さないと強い口調で怒られる。家は主にサラブレッドを生産する牧場でした。北海道ですので冬は吹雪ますから、ガレージの扉は開けておく。外出した父が帰宅した時は父の車のヘッドライトが遠くに見えると、家族は急いで外に出て、ガレージの扉を開く。父の運転する車が一度も止まらずに、ガレージに入れるようにしなければ怒られました。「バカヤロー!! 何やってるんだ!!」怒られた時の私をにらむ父の目は怖かった。父は絶対に妥協を許さない人でした。出来て当たり前で出来ない時は厳しかった。汚い言葉で叱責されました。時には言葉の前にいきなり手が出て殴られることもありました。」
とても厳しいお父様だったようですね。
「虐待ともとらえかねない」と自身でも言うほど、かなり厳しいしつけを受けたようです。とても厳しい、厳格なお父様だったことがわかります。
それもそのはず。祖父母は開拓者、父方は宮城県三本木町から、母方は奈良県十津川村から入植したという開拓者だったそうです。
橋本聖子さんの祖父が山奥を開拓し、そこに父親が牧場を興したそうです。
「日本が貧しい時代に両親ともに農家で育ち、ナタで木を一本一本切って畑にして、北の大地で生き抜いてきた。3人兄弟の次男だった父は小学校も満足に通えず、小さい頃から行商をしたり、ものすごく働いたといいます。「泣いても誰も助けてくれない。涙を見せる暇はなかった」それは父と母の共通した言葉です。」
祖父母の頃から、北海道に入植して開拓することは大変な苦労だったと思います。
そして橋本聖子さんのご両親とも、そんな両親を見ながら自然の厳しさの中で生き抜くために大変なご苦労をされてこられたのではないかと思います。
そんな厳しい父親は、五輪の直後に生まれた聖子さんにオリンピック選手になる夢を託し、橋本聖子さんのスポーツ選手人生としての道を築いていった方ともいえます。
大変厳しい父親のもとで育った橋本聖子さんですが、のちに輝かしい活躍を遂げる素晴らしい選手となりました。
その陰にはお父様の「オリンピック選手に」という熱い思いがあったのだと思われます。
橋本聖子の実家の借金
橋本聖子さんの実家には、20億以上の借金があったことがわかっています。
「「聖子さんの父・善吉さんは90歳を過ぎてなお健在ですが、バブル期の前後には地元の『千歳信用組合』から、本来の融資限度額の2倍以上である16億円余りもの融資を受けていました。ところが返済が滞り、そのあおりで千歳信組は99年に経営破綻。翌年には、債権回収を行なう整理回収機構が、信組の元理事長ら4人を相手取り、3億円の損害賠償を求めて提訴したのです」(地元関係者)「06年には、聖子さんの選挙資金と称して善吉さんが知人から2千万円余りを借り、一部を返済せずに訴訟で返済命令が下ったことが明るみに出ました。この件はひとまず解決しましたが、あわせて善吉さんには借金が20億円以上あるとも報じられたのです」(同)」
バブル期に銀行から受けた融資16億円の返済が滞っていき、返済が滞ってしまったようです。
さらに聖子さんの選挙資金として2千万円を知人に借金。これも返済されていなかったようですが、のちに解決したようですね。
橋本聖子さんも借金返済に協力したのではないかと思われますが、20億以上もの借金の返済は大変なものだったのではないかと思われます。
橋本聖子の兄弟
橋本聖子さんの兄弟は3人で、兄が1人、姉が2人いることがわかっています。
名前は次の通りです。
   長男:橋本善一(はしもと・ぜんいち)さん
   長女:高橋睦(たかはし・むつみ)さん
   次女:小熊あさ子(おぐま・あさこ)さん
長男の橋本善一さんは、父の牧場を引き継ぎ、オーナー・馬主として活動しているようです。
長女の高橋睦さんは、元衆議院議員の高橋辰夫さんの奥様です。
また次女の小熊あさ子さんは、橋本聖子さんの政治活動の手伝いをしているそうです。
橋本聖子さんが現在56歳ですので、兄弟は50代後半〜60代ではないかと思われます。
橋本聖子さんは末っ子としてかわいがられたのかもしれませんね!
ご兄弟はそれぞれに活躍をされているようで、素敵なご兄弟をお持ちですね!
まとめ
橋本聖子さんは、父母と3人の兄弟を持つ、6人家族で育ち、橋本聖子さんの父親は牧場を経営し、牛の仲買商やサラブレッドを生産していたそうです。
橋本聖子さんの父親は大変厳しい方だったようですが、橋本聖子さんにオリンピック選手になる夢を託し、将来への道を開いていった方だったようです。
また橋本聖子さんの実家は多額の借金を抱え、20億円以上の借金があると言われていました。
橋本聖子さんの兄弟は、長男「橋本善一さん」は父の牧場を引き継ぎ、長女の「高橋睦さん」は元衆議院議員の高橋辰夫さんの奥様、次女の「小熊あさ子さん」は聖子さんの政治活動の手伝いをされているようです。
橋本聖子さんのご家族を調べた結果、彩にあふれた家族のたくましくもすてきなストーリーが溢れていました。  
 
 

 

●組織委会長受諾
●橋本聖子氏が会長就任へ 組織委要請を受諾 森喜朗氏後任 2/18
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の後任会長について、橋本聖子五輪担当相(56)が組織委からの就任要請を受諾した。18日、東京都内で開催された理事会で報告された。複数の関係者の話で明らかになった。
橋本氏は理事ではないため、同日に行われる評議員会で理事に選任された後、改めて開催する理事会の互選で正式に会長に決まる。大臣規範で公益法人の役員との兼職が禁じられているため、会長に就任すれば、五輪担当相を退任する。
女性蔑視発言の責任を取って森喜朗氏(83)が12日に会長を辞任したことを受け、組織委はキヤノン会長兼社長最高経営責任者(CEO)で組織委名誉会長の御手洗冨士夫氏(85)を座長として8人で構成する後任候補を選考する検討委員会を設置した。検討委は16、17日の会合で、組織運営能力を備えていることなど、新会長に求める資質を踏まえて橋本氏を新会長候補に一本化していた。
●橋本聖子五輪相が辞表提出 「組織委会長候補になり願い出た」 2/18
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の後任会長の要請を受諾した橋本聖子五輪担当相(56)が18日、菅義偉首相に辞表を提出した。大臣規範で公益法人の役員との兼職が禁じられている。後任は丸川珠代参院議員(50)の再登板が有力視されている。
橋本氏は報道陣に「会長候補になり、国務大臣の辞職を願い出た。総理から『国民に歓迎される大会になるよう全力を尽くしてほしい』と言われた」と述べた。同日午後の組織委理事会で新会長に選任される見通し。
また、自民党を離党するかどうかについては「公平公正な立場で組織委を運営していくことになるので、これからしっかり相談したい」と答えるにとどめた。
橋本氏は安倍晋三政権下の2019年9月に五輪担当相として初入閣し、菅内閣でも再任されていた。男女共同参画担当相も兼務していた。
●火中の栗を拾った橋本聖子氏の「覚悟」 組織委会長、当初は難色 2/18
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の新会長について、橋本聖子五輪担当相(56)が組織委からの就任要請を受諾した。18日、複数の関係者の話で明らかになった。女性蔑視発言の責任を取って会長を辞任した森喜朗氏(83)の後任は、逆風の中で数々の難題に取り組むため、「火中の栗を拾うようなもの」。難色を示していたとされる橋本氏が「覚悟」を決めた理由とは。
東京五輪開幕まで約5カ月。組織委トップの辞任という緊急事態にかじ取りを託されたのは、「橋本さんしかいない」と言われた本命だった。夏冬計7回五輪に出場したアスリートとしての実績、五輪担当相や日本オリンピック委員会(JOC)副会長を歴任した組織の運営経験や大会準備への理解度……。組織委の候補者検討委員会が新会長の資質として求めた五つの条件を、橋本氏はすべて満たしていた。
女性を登用することは、森氏の女性蔑視発言による傷ついた日本のイメージ回復につながると期待されるが、二の足を踏む懸念材料もあった。その一つが7年前のスキャンダルだ。橋本氏は日本スケート連盟会長だった2014年、フィギュアスケートの男子選手にキスを強要したと週刊誌で報じられた。当時は「強制した事実はない」と釈明したものの、橋本氏が後任候補に浮上した際、英BBC記者がこの問題をツイッターに投稿。18日は週刊文春が再び報じるなど、世間の目にさらされた。さらに会長に就任するためには公益法人の役員との兼職を禁止する大臣規範で、五輪担当相の辞任を求められるなど会長就任へのハードルは低くなかった。
関係者によると、当初は難色を示していた橋本氏が決断したのは、「頼まれたら断らない」という性格にある。最後はあらゆるルートを使った説得を受け、覚悟を決めた。
これまでも逆風の中で「誰も引き受けたがらない」要職を担い、組織運営に尽力してきた。最初は2006年の日本スケート連盟の会長就任だ。不正経理問題で元会長が逮捕されるなど混乱をきたしていたスケート連盟の再建を図った。13年には暴力や助成金の不正受給問題に揺れる全日本柔道連盟の外部理事を務めた。夏の自転車と冬のスピードスケートを両立した「鉄人」として、難題と向き合ってきた。
12年ロンドン五輪は陸上のセバスチャン・コー氏、24年パリ五輪はカヌーのトニー・エスタンゲ氏など、最近の大会組織委会長は五輪メダリストのアスリート出身者が務める傾向にあった。新型コロナウイルス対策で国との連携も不可欠で、政府関係者は「橋本氏は政治家でオリンピアン。IOC(国際オリンピック委員会)との関係も考えると他にはいない」と評価する。
今後は世界中に広がる新型コロナウイルスの感染状況を踏まえた上での大会開催可否の判断、17日に島根県から中止検討の声も上がった聖火リレーの運営、海外からの受け入れを含めた観客の取り扱いの決定など解決すべき課題をどうさばくか注目される。 
 
 

 

●橋本聖子氏は、どんな人なの 2/18
女性蔑視発言を受けて、辞任表明した東京2020組織委員会の森喜朗会長。その後任として、橋本聖子オリンピック・パラリンピック担当大臣が就任要請を受諾する意向であると報道各社が報じている。きょう2月18日に開かれる理事会を経て正式決定する見通し。橋本氏が会長に就任する場合、大臣規範により、オリパラ担当大臣を退任することになる見込み。
どんな人物なのか
橋本聖子氏は現在、自民党の参議院議員で、オリンピック・パラリンピック担当大臣を務めている。
もともとは、女子スピードスケート選手。公式サイトのプロフィールによると、1992年冬季アルベールビルオリンピックでは、1500メートルで銅メダルに輝いた。冬季では、日本人女性初のメダリストとなった。
夏季オリンピックは自転車競技の代表として、1988年ソウル、1992年バルセロナ両大会に出場。夏季と冬季合わせて、計7回オリンピックに出場した。
現役時代の1995年7月、参議院議員選挙で自由民主党の比例区代表で当選し、政治の道に進んだ。
この参院選で、自民党幹事長として橋本氏を擁立したのが森喜朗氏だったと、朝日新聞(2000年4月6日付朝刊)は報じている。
自由民主党女性局長などを経て、現在5期目。日本オリンピック委員会(JOC)の副会長も務めた。
2019年9月から、東京オリンピック・パラリンピック担当大臣を務めている。
東京2020に関しては、政府の代表としてIOC、組織委員会、東京都との4者協議などに出席し、これまでの経緯や内情に詳しい人物でもある。
大臣規範では、公益法人の役員との兼職を禁じているため、会長に就任する場合は、オリパラ担当相を退任することになる。
過去にセクハラ疑惑報道「強制した事実ない」
橋本氏は、日本スケート連盟の会長だった際、男子フィギュアスケート高橋大輔選手に対するセクハラ疑惑を週刊文春に報じられた過去がある。
これに対して橋本氏は「キスを強制した事実はない」とコメント。高橋選手も日刊スポーツに対して「パワハラ、セクハラとは思っていない」などと語っていた。
新会長選定の経緯は
新会長選定をめぐっては、辞任する森氏が自ら打診したとされる川淵三郎氏の就任案が、批判を浴びて白紙となった。
そのため組織委は、理事による候補者検討委員会を設置。非公開の会議で、新たな会長に求められる5つの資質を取りまとめ、候補者を選定していた。
名前が報じられたのは、オリンピアンで組織委スポーツディレクターの小谷実可子氏や、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長ら。報道各社が2月17日、橋本氏に一本化したと報じていた。
報道陣から、就任打診の有無などを問われた橋本氏は「プロセスにのっとって進められている。人事に関わることなので、私から申し上げることはない」などと述べていた。
候補者検討委員会が掲げた、新会長に求められる5つの資質は次の通り。
1 オリンピック・パラリンピック、スポーツに対する深い造詣があること
2 ジェンダー・イコーリティー、ダイバーシティ、インクルージョンなどオリンピック憲章や東京大会の理念を実現し、それを将来にレガシーとしてつなげていくことができる人
3 国際的な活動の経験があり、国際的な知名度や国際感覚があること
4 東京大会のこれまでの経緯や準備状況について理解していること
5 組織運営能力や多様な関係者の調和を図る調整力を備えていること  
 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

 

醜聞
●“ポスト森”の意向固めた橋本聖子氏 実父が残した億単位の借金 2/18
デキレースか、それとも強行指名か。東京五輪・パラリンピック組織委員会の次期会長選出に向けた候補者検討委員会が、候補を橋本聖子五輪相(56)に一本化。橋本氏が組織委からの要請を受諾する意向を固めたともいわれている。
菅首相は次期会長に「若さ」「女性」「元アスリート」を求めており、条件を満たす“聖子推し”。また、昨年10月に96歳で逝去した橋本氏の父の葬儀委員長は、辞意を表明した森会長だった。そもそも、1995年に橋本氏が政界に進出したのも当時、自民党幹事長だった森会長の後押しがあればこそ。2人はズブズブの師弟関係にある。
検討委の結論は「政権の意向」と「森院政」に忖度したデキレースにも見える。ややこしいのは、会長就任に橋本氏が難色を示しているという共同通信の報道だ。
日刊ゲンダイの調べによると、理由は過去のセクハラを蒸し返されるだけではない。父が残した巨額の負債もネックになっているようだ。
「聖子さんは3人きょうだいの末っ子ですが、億単位ともいわれる父の借金を背負ったと聞いています」(ある知人)
父は地元・北海道で名士と呼ばれる一方、借金問題で週刊誌を騒がせてきた。バブル期に競走馬を生産する牧場経営を拡大。「千歳信用組合」から16億円もの融資を受けたが、返済は滞り、そのあおりで信組は99年に破綻してしまった。
その後も橋本氏の選挙資金と称して知人から2000万円余りを借り、一部を返済せず訴訟沙汰になったこともある。2006年にこの件を取り上げた週刊文春は併せて「父に借金が20億円以上ある」と報じていた。
「債権者との訴訟は他に何件も抱えていたようです。聖子さんは議員活動の傍ら多くの講演をこなし、借金返済に回してきましたが、このコロナ禍ではそれもままならない状況でしょう」(前出の知人)
父が残した借金について、議員会館の橋本事務所に話を聞こうとしたが、一度も電話はつながらない。橋本氏の資金管理団体の連絡先も同様だった。ようやく北海道の「橋本聖子北見市後援会」の電話がつながると、担当者は「込み入った話はしませんし、そうした話は聞こえてきません」と答えた。
その上、橋本氏には6人の子どもがいる。元警官の夫と死別した前妻との間の3人はとうに独立したが、実子の1女2男はまだ学生だ。要請を受諾すれば五輪相辞任は必至。一家の稼ぎ頭として“大臣手当”を失い、森会長の無報酬路線まで引き継がされたら、懐は厳しい。
そのケアとして政権側が十分な“保証”を用意すれば「政治介入」として、ますますIOCにニラまれるだけだ。 
●橋本聖子氏の父親の借金 
政治家の橋本聖子さんの実の父親の借金がヤバいとの噂があります。父親は牧場を経営していて、さらに調査していくと、20億円もの借金があるとか。真相はどうなのでしょうか。
「本日の1面です。昨年10月、橋本聖子五輪相の父が96歳で逝去。葬儀委員長を務めた森喜朗会長の後任指名に難色を示す理由の1つは父が残した億単位の借金と言われています。受諾すれば大臣を退き、議員辞職を迫られる可能性も。会長職の報酬は役目を終えれば途絶え、金の不安を持つのは当然です。」
森喜朗会長の後任に、難色を示す理由として父親の借金というのが、大々的に出ていますね。深堀りしていきましょう。
なぜ借金があるのか?週刊新潮には
「聖子さんの父・善吉さんは90歳を過ぎてなお健在ですが、バブル期の前後には地元の『千歳信用組合』から、本来の融資限度額の2倍以上である16億円余りもの融資を受けていました。ところが返済が滞り、そのあおりで千歳信組は99年に経営破綻。翌年には、債権回収を行なう整理回収機構が、信組の元理事長ら4人を相手取り、3億円の損害賠償を求めて提訴したのです」(地元関係者)
橋本聖子さんの父親が営む、牧場経営に対して多額の融資を受けていたのが、次第に返済を怠っていったのが原因のようですね。国立国会図書館では報道データでは20億円の借金があると記載されています。
橋本聖子さんの父親の牧場はどこにあるのでしょうか。橋本聖子さんの生まれは「北海道勇払郡早来町(現:安平町)」であることは公表されていますので、その情報を元に調べていくと、1軒牧場が見つかりました。
現在は、父親でなく長男の橋本善一さんが経営されているようです。20億もの借金となれば、現在も返済中と考えられますね。 
 
 

 

●セクハラ疑惑報道 2014
●橋本聖子議員、高橋大輔選手に「キスを強制した事実はない」  2014/8/20
橋本聖子参院議員(49)が、2月のソチ・オリンピックの閉会式後に選手村で開かれた打ち上げパーティーで、フィギュアスケート男子の高橋大輔選手(28)=関大大学院=にキスを強要したと、8月20日発売の週刊文春が報じた。
橋本氏は、日本オリンピック委員会(JOC)選手強化本部長を務めている。47NEWSなどが報じた。
橋本議員は同日「キスを強制した事実はない」とのコメントを発表した。
橋本議員は日本スケート連盟会長でソチ五輪では日本選手団の団長を務めており「誤解を招くようなことがあったとすれば、気を付けなければならないと反省しています」とした。高橋選手の関係者は「高橋にパワハラやセクハラを受けたという認識はない」と話した。
週刊文春には、橋本氏が高橋選手に抱きついて顔や唇にキスする写真が掲載された。
JOCの竹田恒和会長は20日、この問題について「まだ本人とも話せていない。状況をしっかり確認してから対応を判断したい」と述べた。
ユース五輪で中国の南京に滞在している竹田会長はJOC幹部と19日夜に対応を協議。「選手村に選手団役員は打ち上げなどでお酒を持ち込める。それ自体はルール違反でないはずだが、本人から事情を聴いてみないと細かい状況が分からない」と説明した。
●高橋大輔選手「パワハラ、セクハラはない」 キス報道に見解 2014/8/22
フィギュアスケート男子の高橋大輔選手(28=関大大学院)が8月21日、2月にあったソチ・オリンピックの打ち上げパーティーで、日本スケート連盟会長で自民党の橋本聖子参院議員(49)からキスを強要されたと週刊文春が報じたことについて、「パワハラ、セクハラとは思っていない」などと語った。日刊スポーツなどが報じた。
2月のソチ冬季五輪閉会式後の打ち上げパーティーの酒席での一件について高橋は「大人と大人がハメを外しすぎたということで、お酒が入ってしまい、はしゃぎすぎてああなった。反省してますがパワハラ、セクハラ(をされた)とは一切、思っていない」と語った。今日22日開幕の「フレンズオンアイス」の公開リハーサルが行われた新横浜スケートセンターで語った。既に所属事務所が「スケート界では健闘をたたえて、ハグやキスをすることはよくあることです」と説明していたが、それを追従するものとなった。
高橋選手はまた、ソチ・オリンピックに向けて禁酒していたことを明らかにし、「酒を飲んだ中でも、もう少し考えて行動をしないといけない」と話した。
橋本氏は20日に「キスを強制した事実はありません」とするコメントを発表、セクハラやパワハラにはあたらないとの認識を示している。 
 
 

 

●蒸し返されたセクハラ疑惑 2021
●橋本聖子五輪相に「泥水」を飲ませる組織委の論理 2/18
進むも地獄、退くも地獄――。この迷走人事は抜け出すことのできない“負のスパイラル”にハマり込んでしまったようだ。
東京五輪・パラリンピック組織委員会は17日、辞任を表明した森喜朗会長の後任を選出するための「候補者検討委員会」の第2回会合を都内で開催した。約1時間半の議論の末に御手洗冨士夫名誉会長や日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長ら検討委員8人が具体名を挙げて協議し、夏冬7度の大会出場を誇る橋本聖子五輪相に就任を要請することを決めた。
しかしながら、かねて橋本氏は会長就任に難色を示していることから説得に難航。18日に第3回の会合を開くことを余儀なくされたが、ここで受諾するかどうかは現時点で不透明な状況となっている。
組織委会長を受諾すれば五輪相ばかりか議員も辞職することに
明らかに異常な状況を示していた。17日の夕方5時を回った頃、組織委から発表されたリリースは新会長承認の場となる理事会開催の通知ではなく、選考の延長を意味する第3回会合の実施を知らせる内容だった。組織委関係者の話を総合すると「橋本さんは一貫して強い態度のまま固辞する姿勢を変えていない」とのことで、会合の進行は足踏み状態になっていたという。
橋本氏が難色を示すのも無理はない。仮に組織委の新会長就任を受諾する場合、国務大臣規範では「兼職禁止」と定められており、五輪相を辞職する必要性に迫られる。しかも組織委会長の座に就けば、中立の立場であることが絶対条件となる役職だけに自民党に留まることは困難となり、自主的に離党しなければならない。参院議員も辞職するハメになるだろう。
女性蔑視発言で辞任に追い込まれた森前会長、そして「森氏の相談役就任プラン」など自らのフライング提言や前任者との密通が露呈したことによって後任有力候補から一転して白紙となってしまった川淵三郎氏らの尻拭いをさせられるため、これまで築き上げてきた「大臣のポスト」と「自民党参院議員」の肩書きを手放すことになるのだから、内心たまったものではないはずだ。
組織委会長は今や「泥舟」
今や組織委新会長の座は言わば“泥船”だ。森前会長による失言連発とコロナ禍を無視した「開催ありき」の強硬路線で東京五輪へのイメージは、もはや手が付けられないほどに凋落している。東京五輪開催の有無に関しては「3月下旬にも中止が決まる可能性がある」との見方もあるだけに今から就任を受託すれば僅か1カ月後、その責任者として完全な汚れ役となる可能性は高い。
橋本氏は国内随一の夏冬7度の五輪出場を誇るメダリスト。日本スケート連盟会長や五輪の日本選手団団長を歴任するなどアスリートの心も知り、2019年からは五輪相として国際オリンピック委員会(IOC)との調整や大会準備に尽力するスポーツ界出身の政治家だ。女性蔑視問題で森会長が辞任表明した経緯から「次は女性」という声は大勢を占めつつあり、後任候補だった川淵氏の就任も頓挫したことで、いよいよ“嫌がっている”橋本氏を後任に一本化するしかなくなってしまった。とにかく、こうした選考過程を振り返ってみても組織委の迷走ぶりが明確に表れている。
この日も渦中の橋本氏は報道陣の取材に「人事に関わることであり、私から今申し上げることではない」と話すにとどめていた。
昔からメディアの間では「突飛なことは言わず取材記者泣かせ」として知られているだけに、予想通りの対応とも言える。実際に筆者もこれまでスピードスケート・自転車競技でのアスリート晩年、指導者時代、そして現在の政治活動を行う橋本氏をこれまで何度か取材し、とにかくゆっくりと言葉を選んで話す“不変の姿”が印象に残っている。そういう観点からも橋本氏は森前会長のような失言の危険性がなく、組織委、そして陰で糸を引く政府与党・自民党にとって「都合のいい後釜」にふさわしい。だからこそ周囲からはコントロールしやすい新会長への就任を熱望され、猛烈な圧力もかけられているのだろう。
だが、この日の橋本氏は発言こそ終始無難だったが、珍しく顔をしかめることも節々であったように感じられた。やはり漏れ伝わっているように難色を示しているからなのだろう。大手企業から出向扱いで組織委の要職に就く関係者も「橋本さんは就任すれば犠牲者になるだけで、悲惨な目にあう。ある意味でかわいそうだ」と同情の声を寄せている。
蒸し返されたセクハラ疑惑
その「悲惨な目」の引き金となりそうなのが、2014年ソチ冬季五輪で橋本氏がフィギュアスケートの高橋大輔選手に対して引き起こしたとされる「キス強要セクハラ騒動」だ。
橋本氏のセクハラ問題は2014年8月20日発売の「週刊文春」によって詳細に報じられている。同誌が報じた内容はソチ冬季五輪で日本選手団団長を務めていた橋本氏が、閉会式後に開かれた飲酒を伴う打ち上げパーティーで「高橋選手に抱き付いてキスをした」というもの。うやむやのまま“黒歴史”になりつつあった騒動が橋本氏への後任一本化によって再び掘り起こされた挙句、仏AFP通信や中国のニュースサイト「新浪体育」などによって配信され、あろうことか世界中に拡散してしまった。しかも国際オリンピック委員会(IOC)委員がヘビーユーザーとなり、五輪及び世界のスポーツ界において国際的な影響力を持つウェブ通信社「インサイド・ザ・ゲームズ」にまで、この橋本氏のセクハラ騒動が報じられてしまったのは「経歴にキズがつく痛恨」と断じていい。
前出の関係者はこのように補足する。
「もし新会長に就任したら橋本さんは、世界中に恥をさらすようなことにもなりかねない。となれば、日本はますます信用を失う。ただでさえ困難な大会開催も今後ますます暗礁に乗り上げ、目も当てられないようなドツボにハマっていくことになるだろう。正直に言って橋本新会長の手腕に期待するものはなく、大会中止の正式決定とともに文字通り『共倒れ』になる運命を待つしかなくなる。橋本さんが周囲からの説得にも応じないのはおそらく、こういう空気を読んでいるからだと思う。ただ橋本さんが断ったら断ったで、今度こそ後任選出も行き詰まる。そうなったら誰がやっても同じこと。つまり、どちらに転んでも東京五輪開催を熱望する側にとっては“地獄”でしかない」
国民やアスリートの感情をそっちのけで展開される東京五輪・パラリンピック組織委の新会長選考は、全く笑えない「パロディ」にしか見えなくなってきた。身勝手な利権しか追い求めない大会開催推進派たちの論理には日本中が愛想を尽かしている。もういい加減に気付いてほしい。
●ポスト森のゴタゴタで高橋大輔もらい事故=@2/18
まさかのもらい事故≠セ。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が女性蔑視発言で辞任を表明したことを受けて、後任候補を選ぶ「候補者検討委員会」は橋本聖子五輪相(56)に就任要請することを決めた。この後任選びを巡って、思わぬとばっちりを受けているのがフィギュアスケートのアイスダンスで活躍する高橋大輔(34=関大KFSC)だ。橋本氏による過去の「キス強要写真」が蒸し返されて再び注目の的に…。関係者からは「大ちゃんがかわいそう」と憤りの声が上がっている。
検討委の2回目の会合が17日に都内で開かれ、座長を務める組織委の御手洗冨士夫名誉会長(85)を筆頭に、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)、スポーツ庁の室伏広治長官(46)、柔道金メダルの谷本歩実氏(39)、元体操選手の田中理恵氏(33)ら8人のメンバーが参加。前日16日の初会合はわずか約1時間、この日も約1時間半という短い話し合いで橋本氏への就任要請を決定した。
組織委は委員名を非公表とし、会議の時間や場所も非公開。この「秘密主義」に報道陣も振り回されることになった。検討委の終了後は情報が錯綜し、一部メディアは「山下氏へ一本化」と打つなど大騒ぎとなった。その後、組織委が18日に検討委の3回目の会合と理事会開催を発表すると「橋本氏が固辞した場合を想定して3回目を開催する」「すでに受諾したから理事会開催を決めた」などと憶測が乱れ飛んだ。
一方で、橋本氏に注目が集まったことで最も損≠したのが「大ちゃん」こと高橋だ。森会長の後任として橋本氏の名前が挙がった直後から、「週刊文春」で報じられた、2014年ソチ五輪の閉会式後の選手村で橋本氏が高橋へキスを強要したスキャンダルが蒸し返されてきた。今回の後任候補決定で関係者から「女性蔑視の後釜がセクハラとは…」とやゆする声も上がる中、最も深刻な被害は全世界の五輪関係者にも醜聞≠ェ知れ渡ってしまったことだ。
組織委幹部によると、すでに国際オリンピック委員会(IOC)の関係者にも「ハシモトが襲ったイケメンスケーター」として認知される始末だという。フィギュア界での高橋の知名度は圧倒的。男子シングルで全日本選手権5度制覇という国内実績もさることながら、10年バンクーバー五輪銅メダルをはじめ、10年世界選手権、12年グランプリファイナルを制するなど輝かしい実績を残してきた。
14年ソチ五輪後に引退したが、18年に現役復帰。そして昨年からはアイスダンスに転向し、平昌五輪代表・村元哉中(27=関大KFSC)とかなだいカップル≠ニして活躍中だ。高橋は「北京五輪が大きな目標」と来年の夢舞台に向かって日々トレーニングを積んでいるだけに突然、火の粉が降りかかってきた格好。これはもらい事故∴ネ外の何物でもない。
あるフィギュア関係者は「大ちゃんは全く非がない。こんなことで邪魔されて本当にかわいそう」と同情する。振り返れば、騒動の発端となった森会長の失言が飛び出した際には元世界女王の浅田真央(30)に対する「あの子は大事な時に必ず転ぶ」との過去の失言が再び取り上げられて割を食った。前出の関係者は「(今回の一連の)騒動で人気スケーター2人が損をした」と憤りを抑えられない様子だった。
くしくも18日発売の「週刊文春」では再び橋本氏による高橋へのセクハラ行為を報じている。橋本氏が注目を集めれば集めるほど、大ちゃんの風評被害≠煌g大する負のスパイラル…。高橋は森会長の辞任騒動による「最大の被害者」と言えそうだ。
●五輪専門メディアが橋本氏のセクハラ疑惑を詳報 2/18
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長就任が有力になった橋本聖子大臣について、海外のオリンピック専門メディアが過去のセクハラ疑惑について詳しく報じました。
オリンピック専門のニュースサイト「インサイド・ザ・ゲームズ」は17日、橋本大臣の会長就任が有力になったことを伝える記事のなかで「セクハラ疑惑にも直面している」と紹介しました。
2014年のソチ大会でフィギュアスケート代表の高橋大輔選手に対し、パーティーの場で「キスをして抱き付くところを目撃された」とし、「自身を巡る論争に巻き込まれてしまった」と指摘しています。
その後、高橋選手がセクハラはなかったとコメントしたことや、橋本大臣が謝罪文を出したものの疑惑を否定したことなども詳しく伝えました。
インサイド・ザ・ゲームズはIOC(国際オリンピック委員会)も読んでいるとされていて、仮に会長に就任した場合、その後の影響も懸念されます。