菅新政権スタート

安倍上皇推挙
菅義偉 総理就任

新政権スタート
 


菅総理記者会見・・・
新内閣顔ぶれ / 総理大臣菅財務大臣麻生総務大臣武田法務大臣上川外務大臣茂木文科大臣萩生田厚労大臣田村農水大臣野上経産大臣梶山国交大臣赤羽環境大臣小泉防衛大臣岸官房長官加藤復興大臣平沢公安委員長小此木1億総活躍/少子化大臣坂本経済再生/コロナ大臣西村五輪大臣橋本行政改革大臣河野デジタル大臣平井万博大臣井上・・・マスコミ・・・
ジャパンライフ山口元会長逮捕 / 2017201820192020/82020/9・・・
 
 
 

 

永年 総理を支える
 
 

 

次の方・・・
 
 

 

自民党 仕切り役
 
 

 

考える
 
 

 

無難 常識 バランス
 
 

 

当たり障りがない
 
 

 

揚げ足を取らせない
 
 

 

初めて 持論を展開 自己主張
 
 

 

ご苦労様でした
長期政権の置土産
森友・加計問題・桜を見る会・忖度文化・公文書抹消・電通問題
 
 

 

総裁  責任の重み
 
 

 

派閥の支え

 

9/16 第99代首相 衆参両院の指名選挙で選出される  

 

●菅内閣総理大臣記者会見 令和2年9月16日
菅総理冒頭発言
第99代内閣総理大臣に指名をされました菅義偉であります。
まず冒頭、今もなお楽観を許されない新型コロナウイルス、この感染症によって命を落とされた方々へお悔やみを申し上げますとともに、国民の命と健康を守るために昼夜分かたず全力で取り組んでおられる医療、介護関係者を始めとする全ての方々に深く感謝を申し上げます。
また、豪雨や台風など、この一連の災害でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害を受けた方々にお見舞いを申し上げます。
これまで第2次安倍政権の内閣官房長官として日本経済再生、外交・安全保障の再構築、全世代型社会保障制度の実現という、この国の未来を左右する重要課題に取り組んでまいりました。また、今年に入ってからは新型ウイルス、この感染症の拡大と戦後最大の経済の落ち込み、かつて直面したことがない、こうした事態に真正面から対処をしてまいりました。
今回、安倍総理が病気のため、道半ばで退かれることになりました。前総理の無念の思いを推察を致します。
しかし、この国難に当たって政治の空白は決して許されません。この危機を乗り越えて、全ての国民の皆様が安心して生活を取り戻すことができるためには、安倍政権が進めてきた取組をしっかり継承して、そして前に進めていく、そのことが私に課された使命である。このように認識をしております。
今、取り組むべき最優先の課題は新型コロナウイルス対策です。欧米諸国のような爆発的な感染拡大は絶対阻止をし、国民の皆さんの命と健康を守り抜きます。その上で社会経済活動との両立を目指します。さもなければ、国民生活が成り立たなくなるからであります。年初来の新型コロナウイルス対策の経験をいかして、めりはりの効いた感染対策を行い、検査体制を充実させ、必要な医療体制を確保します。来年前半までに全ての国民の皆さんに行き渡るワクチンの確保。これを目指しております。
同時に、依然として厳しい経済状況の中で雇用を守り、事業を継続させていくことが極めて大事なことであります。最大200万円の持続化給付金、また雇用調整助成金、最大4,000万円までの無利子・無担保融資の経済対策を必要な方々にお届けをします。さらに、GoToキャンペーンなどを通じて感染対策をしっかり講じることを前提に、観光、飲食、イベント、商店街など、ダメージを受けた方々を支援をしていきます。GoToトラベルについては、7月のスタート以来、延べ1,300万人の方に御利用いただきましたが、GoToの利用者の感染者は10名にとどまっています。今後も躊躇(ちゅうちょ)なく対策を講じていきたい、このように思います。
経済の再生は引き続き政権の最重要課題です。金融緩和、財政投資、成長戦略、三本を柱とするアベノミクスを継承して、今後とも一層の改革を進めてまいります。政権発足前には1ドル70円台、株価は8,000円台で、企業が日本で経済活動を行えるような状況ではありませんでした。現在は、この新型コロナウイルスの中にあっても、マーケットは安定した動きを見せています。
安倍政権発足以来、人口が減少する中でも就業者数は約400万人増えました。そのうちの330万人が女性です。全ての都道府県で有効求人倍率1を超えることができました。すなわち、働きたい人は全て働くことができるような環境をつくったのです。バブル崩壊後、最高の経済状態だったのですけれども、ところが、正にこの新型コロナウイルスが発生しました。まずはこの危機を乗り越えた上で、ポストコロナの社会の構築に向けて、集中的に改革をし、そして必要な投資を行い、再び強い経済を取り戻したい、このように考えます。
とりわけ、新型コロナウイルスで浮き彫りになったのは、デジタル及びサプライチェーンの見直し、こうしたことであると思います。また、ようやく解禁されたオンライン診療は今後も続けていく必要があります。ポストコロナ時代の子供たちの教育のためにGIGAスクールも強力に進めてまいります。行政のデジタル化の鍵はマイナンバーカードです。役所に行かなくてもあらゆる手続ができる、そうした社会を実現するためには、マイナンバーカードが不可欠です。しかし、その普及が進んでいませんでした。今後できることから前倒しで措置するとともに、複数の省庁に分かれている関連政策を取りまとめて、強力に進める体制として、デジタル庁を新設いたします。
また、ポストコロナ時代にあっても、引き続き環境対策、脱炭素化社会の実現、エネルギーの安定供給もしっかり取り組んでまいります。
秋田の農家の長男に生まれた私の中には、一貫して、地方を大切にしたい、日本の全ての地方を元気にしたい、こうした気持ちが脈々と流れております。私は、この気持ちを原点として知恵を絞り、政策を行ってきました。
第1次安倍政権で総務大臣に就任した際に、かねてから自分の中で温めていたふるさと納税を、官僚の大反対の中でありましたけれども、押し切って立ち上げました。それは、地方から東京に来た人たちは、自分を育ててくれたふるさとに何らかの形で貢献をしたい、何らかの形で絆(きずな)を持ち続けていたい、そう思っているに違いない、そうした私の考え方からふるさと納税というのを発案して、そして実現に移したわけであります。あれだけ反対がありましたけれども、今、多くの国民の皆さんに御利用をいただいております。
官房長官として地方の活性化に取り組んできましたけれども、何よりうれしかったのは、昨年、26年間も地方の地価って、皆さん、下がりっ放しだったのです。もう二度と上昇しないと言われていた地価が27年ぶりに上昇に転じたことであります。これは、地方創生の切り札である外国人観光客、いわゆるインバウンドが効果を見ました。政権発足当時836万人でしたが、昨年は3,200万でした。外国人観光客が地方にも足を運び、消費額は全体で1兆円だったのが約5兆円まで伸びました。農業も、農林水産品の輸出も4,500億円から昨年は9,000億円まで伸びたのです。今後とも、こうしたことを中心に、地方を活性化するような政策をしっかり取り組んでいきたい、このように思っています。
我が国の未来を担うというのは、子供たちであります。少子化対策は我が国長年の課題であります。これまで幼稚園、保育園、大学、専門学校の無償化や、男性の国家公務員による最低1か月の育休取得も進めてきました。若い人たちが将来も安心できる全世代型社会保障制度を構築してまいりたいと思います。
待機児童の問題については、経済成長の果実をいかして、72万人分の保育の受け皿の整備を進め、昨年の待機児童者数というのは、調査開始以来最少の1万2,000人でありました。今後、保育サービスを拡充し、この問題に終止符を打っていきたい、こう思います。
さらに、出産を希望する世帯を広く支援し、ハードルを少しでも下げていくために、不妊治療への保険適用を実現します。安心して子供を産み育てることができる社会、女性が健康に活躍することのできる社会、そうした環境をしっかりと整備していきたいと思います。
また、外交及び安全保障の分野については、我が国を取り巻く環境が一層厳しくなる中、機能する日米同盟を基軸とした政策を展開していく考えです。国益を守り抜く、そのために自由で開かれたインド太平洋を戦略的に推進するとともに、中国、ロシアを含む近隣諸国との安定的な関係を築いていきたい、このように思います。
戦後外交の総決算を目指し、特に拉致問題の解決に全力を傾けます。この2年間、拉致問題担当大臣を兼務し、この問題に取り組んできました。米国を始めとする関係国と緊密に連携し、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、引き続き全力で取り組んでまいります。
また、7年8か月の官房長官在任中は、危機管理の責任者としてあらゆる案件に対応してきました。弾道ミサイルなどの安全保障上の脅威、自然災害、海外在留の日本国民へのテロの危険など、様々な緊急事態、そうした危機に迅速かつ適切に対処してきました。
私は、常々、世の中には国民の感覚から大きくかけ離れた数多くの当たり前でないことが残っている、このように考えてきました。省庁の縦割りによって、我が国にあるダムの大半は洪水対策に全く活用されていなかった事実、国民の財産の電波の提供を受け、携帯電話の大手3社が9割の寡占状態を長年にわたり維持して、世界でも高い料金で、20パーセントもの営業利益を上げ続けている事実、他にもこのような当たり前でない、いろいろなことがあります。それらを見逃さず、現場の声に耳を傾けて、何が当たり前なのか、そこをしっかりと見極めた上で、大胆に実行する。これが私の信念です。今後も揺らがず行っていきたいと思います。
私が目指す社会像、それは、自助・共助・公助、そして絆であります。まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする。こうした国民から信頼される政府を目指していきたいと思います。そのためには行政の縦割り、既得権益、そして悪しき前例主義、こうしたものを打ち破って、規制改革を全力で進めます。国民のためになる、ために働く内閣をつくります。国民のために働く内閣、そのことによって、国民の皆さんの御期待にお応えをしていきたい。どうぞ皆様の御協力もお願い申し上げたいと思います。
以上をもちまして、私の挨拶に代えさせていただきます。
質疑応答
(内閣広報官)
それでは、これから皆様から御質問を頂きます。この後、閣議が控えておりますので、21時30分めどで終了とさせていただきます。御理解を頂きたいと思います。最初は、慣例に従いまして、幹事社2社から質問を頂きますので、指名を受けられました方は近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただいた上で、質問をお願いいたします。では、まず1社目、幹事社の方、お願いをいたします。
(記者)
幹事社のNHKです。花岡と申します。よろしくお願いいたします。衆議院の解散総選挙について伺います。これまで解散は新総理の判断とする一方、新型コロナの終息、経済の再生が国民の声で、完全に感染が下火にならないと難しいという認識を菅総理は示してきました。しかし、コロナ対策を始め、各種政策を力強く進めていくためにも、国民の信を問うべきだという考え方もあります。総理大臣に就任された現在、判断はいかがでしょうか。また、コロナ禍では国民の安心を取り戻すためにもワクチンの確保が重要ですが、まだ開発段階です。来年前半までに全国民分の確保を目指していますが、ワクチンが国民に行き渡らない状況では、衆議院の解散総選挙は行わないということでよろしいのでしょうか。
(菅総理)
これまでも、総裁選挙の中でも御説明をさせていただいています。新しい内閣に対する国民の期待。今、国民が求めているのは、この新型コロナウイルス、その終息を何とか早くやってほしい。そして同時に、経済をしっかり立て直してほしい。正にこの感染拡大防止と経済、両立を国民の皆さんは一番望んでいるというように思います。
私たち、今日、内閣が発足したわけであります。まずこのことに全力を挙げて取り組んでいきたい。そして、国民の皆さんに、一人一人が安心して生活できる元どおりの生活、ここを一刻も早く実現したいと思います。
そのためには、先ほど申し上げましたけれども、このコロナ禍の中でいろいろな学習もしてきましたので、この対策についても、めりはりのある対策をやる。そして、コントロールしていく。また、GoToキャンペーン、こうしたものにも支援を行い、経済の回復もしっかり目指していく。まずはここに専念をしたいというふうに思います。
そういう中で、ワクチンの確保、これは先ほど申し上げましたように、来年にまではワクチンの確保、こうしたことは来年の前半まで目指していくことを申し上げました。そういう中で、いずれにしろ1年以内に衆議院はこれ解散総選挙があるわけでありますから、そうした時間の制約も視野に入れながら、ここは考えていきたい、こう思います。
(内閣広報官)
それでは、幹事社の方、もう一社お願いをいたします。
(記者)
西日本新聞の湯之前といいます。まず、今度の内閣の布陣について、その狙いを改めて伺います。それが1つ。それからまた、安倍前政権では、官邸主導の政策遂行の一方で、国民あるいは国会への説明不足、異論の排除、忖度といった体質が指摘され続けてきました。総理は官房長官として前政権の中枢にいて、総裁選は安倍政権の継承を掲げられたのですが、こうした負の側面まで継承されるのか、あるいはこうした指摘をどう改善されるのか、お伺いします。あわせて、安倍政権下で明るみに出た森友・加計問題、桜を見る会、河井克行・案里被告を巡る選挙違反事件などの問題について、追加的な検証を行わないという考えに変わりはないか、お伺いします。 
(菅総理)
まず、この内閣は、先ほど申し上げましたように、既得権益を打破し、規制を改革する、国民のために働く内閣であります。そうしたことを国民の、そうした中で皆さんの期待に応えていきたいというふうに思います。
また、安倍政権に様々な御指摘を頂きました。客観的に見て、やはりおかしいことは直していかなければならない、こう思います。今後、御指摘のような問題が二度と起こることがないように、謙虚に、そして皆さんの声に耳を傾けながら、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。
森友学園に関しては、公文書改ざんについて、既に財務省で調査を行って、処分も行っています。また、検察の捜査も行われて、結論も出ている話であります。
さらに、桜を見る会、このこともいろいろな御指摘を頂きました。安倍政権発足以来、政権が長くなる中で、多くの方が、招待客が多くなったことも、これは事実だというふうに思っています。また、最近、この会の在り方についてもいろいろ御批判があります。私、総理大臣に就任をして、この機に、やはり来年以降、今後は桜を見る会、こうしたことは中止をしたい、このように思っております。
また、河井さんの件でありますけれども、今、裁判中でありますので、私からこの場で発言することは控えたいというふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、これからは幹事社以外の皆様から御質問を頂きたいと思います。質問を希望される方、意思表示は発声ではなく挙手でお願いをしたいと存じます。私から指名をさせていただきますので、近くのマイクにお進みをいただきまして、所属とお名前を明らかにした上で、質問をお願いをしたいと思います。希望される方が多いと思いますので、大変恐縮でございますけれども、お一方1問でお願いをしたいと思います。それでは、たくさん手が挙がっておりますけれども、2列目の左から4番目、日経さんでしょうか。お願いいたします。
(記者)
日本経済新聞の重田です。規制改革についてお伺いしたいと思います。まず、担当閣僚に河野さんを起用されましたが、河野さんの期待、狙いについて、まずお聞かせください。それと、経済の構造改革、これを強力に進めるということですが、河野さんとともに総理主導で改革を実行するお考え、ありますでしょうか。また、従来は年に1度程度、特定の時期に規制改革の答申を取りまとめるケースが多かったように思いますが、より柔軟に、スピード感を持った対応を検討されますでしょうか。最後に、規制改革の対象となる具体的な分野についても併せてお聞かせください。
(菅総理)
まず、7年8か月の官房長官を務める中で、なかなか進まない政策課題というのは、大体役所の縦割りや前例主義、これが壁になってできなかったのです。ダムについて言えば、やはり省庁の縦割り、同じダムでも事前放流できるところとできないのがある。あるいはふるさと納税をつくろうとしたときに役所から言われたことは、住んでいる市町村以外に税金を納めるなんて前例がない、こう言われました。あるいは観光客誘引のためのビザ緩和、政権を発足して緩和をしたのですけれども、このときも治安当局が反対だったのです。国土交通省、観光庁、所管をしているところはやりたかったのですけれども、治安当局が反対をしている。これはビザを緩和して外国人が来ると、不良外国人が来て犯罪が起こる、そういう理由でできなかったのです。ですから、こうしたことを探せば幾らでもあると思っています。こうしたものを、この正に縦割りと既得権益と悪しき前例、こうしたものを打破して、規制改革を進めていく。
その中で、そういうのに一番、私は、河野太郎大臣というのは、党の行政改革もやっていましたので、それで任命をいたしました。そして今、お話を頂きましたように、例えば今日の閣僚呼び込みの中で、私、指示として、河野大臣に、例えば縦割り110番みたいな、そうした国民の皆さんからこんなことが現実に起きている、そうしたことを参考にしたらどうだということも、今日は大臣に指示をしてきました。
いずれにしろ、こうしたこと、縦割り、そして既得権益、そして前例主義、こうしたことに、問題があることについては、全てこの河野大臣のところでまとめて国として対応しようと。そして、私自身がこの規制改革というのをこの政権のど真ん中に置いていますから、これは大臣と総理とで、これはしっかりやっていきたい、このように思っています。
(内閣広報官)
それでは、後はいかがでしょうか。それでは、3列目の5番目のドワンゴさんでしょうか。お願いいたします。
(記者)
ニコニコ動画の七尾です。よろしくお願いします。本日はおめでとうございます。引き続きどうぞよろしくお願いします。14日の菅自民党新総裁の選出を受けまして、北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの母、早紀江さんがこう述べております。安倍さんとともに拉致問題を最重要、最優先課題として取り組んでこられた。同じ思いで全力を尽くしていただきたい。こう述べております。冒頭、御発言がありましたけれども、本日、新総理になられて、再度お聞きします。菅新政権にとっての拉致問題の位置づけについて、そして日朝首脳会談の必要性について、改めて確認させてください。よろしくお願いします。
(菅総理)
まず、この拉致問題については、安倍政権同様、最重要、政権の課題であります。それは私自身も安倍総理と出会い、付き合いがあったのは拉致問題でありましたから、それ以来、今日まで拉致問題に取り組んできています。
特に拉致被害者の御家族の方が御高齢になる中に、拉致問題の解決は一刻も猶予がない。引き続き米国と緊密に連携しながら、執り行っていきたいと思いますけれども、私自身、総理大臣に就任をしましたので、不退転の決意で、この問題は自らが先頭に立って取り組んでいきたい。そうした決意で対応していきたい、このように思っています。
横田さんのお父さん、めぐみさんを引き合わせることができなくて、お亡くなりになられましたけれども、本当に申し訳ない思いでいっぱいであります。
(内閣広報官)
それでは、そろそろ30分になりますけれども、最後、短く御質問いただければと思いますが。それでは、2列目の一番左の、京都新聞さんでしょうか。
(記者)
すみません、京都新聞の国貞と申します。総理、御挨拶の中で、桜を見る会、これに関しては来年以降中止をしたいということをおっしゃられましたけれども、これはかなり思い切った御発言というふうに受け取ったのですが、これに関しては、安倍総理だったり、どなたかに御相談をされたのかどうか。あと、野党からこの問題に関して国会等でもかなり批判があったと思うのですけれども、それを踏まえても中止をするという決断に至ったところ、もう少し詳しく思いを教えてもらえますでしょうか。
(菅総理)
これから予算要求をすることになっていますので、そうしたことよりも今大事なのはコロナ対策、こうしたものに集中をしていきたい。そういう強い思いの中で、私は総理になって、それは予算要求をしないと、そういうことを決めたということです。
(記者)
安倍総理には、前総理には、お話は。
(菅総理)
このことについては、総理にも、従前から予算要求については否定的なことでした。
(内閣広報官)
それでは、以上をもちまして、本日の総理記者会見を結ばせていただきます。皆様の御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。 
 

 

●菅新内閣の顔ぶれ
・菅首相を含めた平均年齢は60.38歳(*2006年の第一次安倍政権発足時は60.9歳)。70代が3人、60代が8人、50代が9人、40代はゼロ、30代は小泉進次郎氏のみ。最年長は麻生太郎氏(79)、最年少は小泉進次郎氏(39)。
・女性閣僚は上川陽子氏と橋本聖子氏の2人。
・閣僚数は菅首相を除くと20人。うち15人は安倍政権での閣僚経験者。初入閣は5人。
・再入閣は4人で、うち3人が同じポストに就く。
・前内閣から引き続き閣僚を務めるのは11人。このうち再任は8人、別ポストからの横滑りは3人。
・「万博担当相」「デジタル担当相」を新設。
・自民党内の全派閥から入閣。民間人登用はなし。
菅首相は「仕事ができる人」を入閣の人事候補の念頭に置く意向を示していたが、菅内閣の顔ぶれを見ると、20人中15人は安倍内閣での閣僚経験者となった。平均年齢は60.3歳。女性閣僚は第一次安倍政権の発足時と同じく2人に留まった。安倍前内閣から引き続いて閣僚を担うのは11人。このうち再任は8人、別ポストからの「横滑り」は3人。さらに再入閣組もほとんどが過去に務めたポストで再入閣する。「安倍政権の後継」を掲げている菅首相だが、新型コロナ禍への対応が続くことや「来年10月には衆院の任期満了を控えることから、解散総選挙も視野に入れた安定した政権」(与党議員秘書)を目指す布陣となった。一方で2025年の大阪万博に向けて「万博担当相」と、行政のデジタル化を推進する「デジタル担当相」のポストを新設。デジタル担当相にはIT政策通とされながら、2020年5月の国会審議中に自身が持ち込んだタブレットでワニの動画を見ていたことで批判を受けた平井卓也氏が就く。
●「デジタル庁で失敗は許されない」菅新政権に霞が関の官僚たちの反応は・・・ 9/16 
安倍内閣の政策の継承を掲げて船出する菅新政権。菅氏は「役所の縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打破していく」と表明し、「規制改革」や「各省庁の政策の一元化」に取り組む姿勢を強調している。霞が関の官僚たちはどうとらえているのだろうか。
「経済最優先」を掲げた第二次安倍政権で進められてきたのがアベノミクスだが、そのエンジンと位置付けられた成長戦略を担ってきたのが経済産業省だ。官邸主導で推進された経済政策の多くが、経産省が旗を振る形で打ち出され、安倍内閣は「経産省内閣」だとする声すらあった。
ある経産官僚は「経産省では、官房長官だった菅氏と密接に関わってきた役人も多い」と話し、「これからも官邸に政策提案をしていけるのでは」と自信をのぞかせる。省内には「菅氏は経産省以上に『成長重視』だ」とみる向きもあり、新政権による経済のてこ入れへの期待感は大きい。
一方で、アベノミクスでは「経済再生なくして財政健全化なし」の方針のもと、景気下支えのため積極的な財政出動が行われ、財政立て直しへの歩みは遠のいた格好となった。
財務官僚のひとりは、経産省がリードした成長路線を振り返り、消費税率引き上げが2回も延期されるなど、歴代政権と違って、安倍総理との距離感のつかみ方に苦労したことを挙げたうえで、「我々にとっては、麻生大臣の存在は大きい。総理経験者の重みがある」と語った。財務省内では、麻生氏の去就が関心の的だったが、続投が固まったことは大きな安心材料となったようだ。「財務省としては特に変わらない。感染症対策と経済再生を粛々と進めるだけだ」
菅氏が行政改革の目玉に掲げている「デジタル庁」創設についての受け止めはどうだろうか。
ある内閣府幹部は「菅氏はもともと行政のデジタル化に強い問題意識を持っていた。これだという課題があれば、こう倒すぞという気持ちを強くもって道筋を描くのが菅氏だ」と評し、10万円給付をめぐり浮き彫りになったマイナンバー制度のほころびが発想の原点にあるとみている。
現在、マイナンバー制度の所管は、総務省や内閣官房、内閣府にまたがる一方、経産省が様々なIT政策に取り組んでいる。この幹部は、複数の役所がからむ権限を整理し、デジタル庁を司令塔として、実効性のあるプラットフォームを構築しようというのが菅氏の構想だとの見方を示した。
内閣府の別の幹部は、デジタル庁創設は、「どの役所のどの権限を持ってくるかでかなりもめるので、大変な作業になる」と語り、「失敗は許されない雰囲気だし、結果を出さないといけない」と表情を引き締めた。
新内閣のスタートで、「菅カラー」はどのように打ち出されるのか。それぞれの省庁で、官僚たちは、政権との新たな向き合い方を探ることになる。 
●夜中に文科省職員100人以上…河野太郎行革相に高まる期待 9/20 
9月16日に菅義偉内閣が発足したことにより、18日に副大臣と政務官の人事が決定した。新内閣の顔ぶれに注目が集まるなか、文部科学省の副大臣と政務官の初登庁が物議を醸している。
文科省の新たな副大臣は、高橋比奈子氏と田野瀬太道氏が就任。政務官には鰐淵洋子氏と三谷英弘氏が就任した。
朝日新聞デジタルによると、高橋氏と田野瀬氏の初登庁は18日22時前、鰐淵氏と三谷氏は23時前。職員100人以上が待機し、4名を花束で出迎えたという。さらに23時45分から始まった記者会見は、深夜まで及んだと報じている。
このことについて田野瀬氏は「今日中にやることで週明けから次の仕事に取り組むことができる」と説明したという。19日から始まる4連休を考慮したようだ。
いっぽう内閣人事局が今年6月に示した「働き方改革推進強化月間」の実施期間は、「7月から9月までの間で少なくとも1か月間」。
その目的は「限られた時間で効率良く高い成果を上げることにより、政策や行政サービスの質を向上させ、職員のワークライフバランスも実現させること」とも明記されている。
Twitterでは「文科省職員100人超」がトレンド入りし、非難の声が広がっている。
《省庁でまだこんな馬鹿げた事やってるのね。誰も喜ばない悪しき慣習》 《「働き方改革推進強化月間」とは笑わせる。何の冗談だ(笑)》 《あきらかに改革すべきところだよな》
新たに行政改革担当大臣に就任した河野太郎氏も、この報道に反応を示した。同日にTwitterを更新し、《ヤメレ》と指摘。
河野氏といえば、16日22時50分頃から首相官邸で始まったリレー形式の閣僚会見にも苦言を呈していた。
全閣僚20人が順番に会見していくなか、河野氏は14番目。順番を待つ間、河野氏はTwitterで時間が押していることを“中継”していた。
ようやく深夜1時すぎに順番が回ってくると、「前例主義、既得権、権威主義の最たるものだと思いますので、こんなものさっさと止めたら良い」とバッサリ。さらに「霞ヶ関のブラックなところを是正しないと人材が集まらない」と、改革への意欲を見せていた。
その意欲を体現するかのように、河野氏は17日午後に自身のホームページで「行政改革目安箱(縦割り110番)」を開設。無駄な規制や、役所の非効率な縦割りなどの意見を受け付けた。
一部では個人情報の取り扱いを懸念する声あったが、わずか1日で4000件以上もの意見が集中。一時停止する事態となった。
新内閣発足直後から浮き彫りになった“悪しき慣習”。改革に意欲的な河野氏に、期待の声が寄せられている。
《大臣がしっかりこういう風に言ってくれるようになった。いい時代になりつつある》 《無駄なことはどんどんやめて欲しいですね! 河野大臣期待してます!》 《河野大臣の手腕にとても期待したいと思います》 
●宰相候補、自民・竹下派で火花 加藤官房長官と茂木外相 9/20 
官房長官に起用された加藤勝信氏が所属する自民党竹下派が揺れている。同派では茂木敏充外相が党総裁候補と目されてきたが、ここにきて加藤氏を推すべきだとの意見が浮上したためだ。来年秋の総裁選をにらみ、派内ではそれぞれを支持する勢力が早くも火花を散らしている。
「能力は非常に優れている。このポストを一つのジャンプ台にし、次へ次へとジャンプしていただけるよう期待する」。竹下派会長の竹下亘元総務会長は17日、記者団にこう語り、加藤氏の官房長官就任を歓迎した。
加藤氏は当選6回。安倍晋三前首相に近く、第2次安倍政権以降、落ち着いた仕事ぶりを買われ、党総務会長や厚生労働相を歴任。今回も官房副長官として仕えた菅義偉首相に抜てきされた。
一方、総務会長当時に「高みを目指す」と公言しながらも、最近の加藤氏は存在感を高める茂木氏の陰に隠れるような形になっていた。18日の記者会見でも「ポスト菅」について質問されると、「大役を果たすことに全力で取り組みたい」と控えめに語るだけだった。
それでも竹下派の参院側からは、加藤氏が脚光を浴びたことで「流れは変わった。総裁候補は加藤氏だ」(中堅)との声が上がる。背景には参院側になお影響力を保ち、茂木氏と距離を置く青木幹雄元参院議員会長の意向があるとされる。
茂木氏側は警戒を強めている。衆院のベテランは「菅氏の次は茂木氏」と強調する。先の総裁選をめぐっては若手からも茂木氏の出馬を期待する声が上がった。衆院側では加藤氏より当選回数が上で、派閥会長代行として閥務も担う茂木氏を推す声は少なくない。
ただ、衆院側は一枚岩ではない。ベテラン・中堅の中には加藤氏を擁立することに理解を示す向きもある。他派閥からは「次の総裁選で竹下派は分裂するだろう」(二階派関係者)との見方も出ている。 
●菅内閣、女性活躍どこに 大臣2人、遠い「クオータ制」 9/21 
16日に発足した菅義偉(すがよしひで)内閣の女性閣僚は、再入閣の上川陽子法相と留任の橋本聖子五輪相の2人で、3人だった直前の安倍内閣から1人減った。安倍政権下でも後半は女性閣僚が減少傾向で、背景には自民党の女性議員自体の少なさがある。多くの国で導入されている候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」に関する議論も進んでおらず、専門家は「政策決定に女性の視点は重要」だとして改善を求めている。
「女性閣僚が少ないのは本当に残念。『女性活躍』も安倍内閣から継承しているはずなのに」。自民党で閣僚経験がある女性議員はため息をつく。党四役も60〜80代の男性議員が占め、それ以外の主要な幹部で女性は野田聖子幹事長代行、丸川珠代広報本部長に限られる。
2014年発足の第2次安倍改造内閣では、01年の第1次小泉内閣と同じ最多の女性5人が入閣。しかし、小渕優子経済産業相と松島みどり法相が「政治とカネ」を巡る問題などでダブル辞任し、その後の女性閣僚は1〜4人にとどまる。
現在、衆議院議員の女性比率は9・9%。各国の議会でつくる「列国議会同盟」によると、一院制の議会か下院と比較し、8月時点で191カ国中166位と先進国で最下位だ。自民党の女性議員の割合も同程度で、立憲民主党の約2割などに比べ低い。上川氏や高市早苗前総務相らが複数回入閣し、「限られた人材を使い回している」(党関係者)のが実態だ。
クオータ制は約120カ国以上で導入されており、自民党内でも女性議員らが導入を求めるが、二階俊博幹事長は「枠を改めて設けることはかえって女性に対して失礼だ」と否定的な考えを示している。 
 

 

●総理大臣 菅義偉(71)
・第二次安倍政権から官房長官を務めた。在職期間は歴代最長。
・新元号「令和」の発表で存在感。
・内閣人事局の創設に参画し、官僚人事を掌握。ふるさと納税や外国人労働者の受け入れ、「GoToトラベル」政策を推し進めた。
・1日2回の記者会見で報道陣に対応。「安定感がある」との評があれば、時に「高圧的」という批判も。学校法人「加計学園」をめぐる問題では「怪文書」と言い放った文書が文科省内に存在していたことが判明。批判を受けた。
・総裁選では不妊治療への保険適用拡大を掲げた。
・9月10日にテレビ東京の番組で「将来的には消費税は引き上げざるを得ない」と発言し批判を受けたが、のちに「安倍首相が以前に『今後10年程度は上げる必要ない』と発言している。同じ考え」と釈明。
・総裁選で「無派閥」をアピールしたが、2019年に近しい議員らの政策勉強会「令和の会」(菅グループ)が発足している。
・法政大学出身として初の首相。大学では空手部に所属した。酒やたばこはやらず、甘いものを好む。過去にスープカレーでダイエットに成功したという。
●「菅義偉新首相」、長年付き合いのある著名人の評価 9/15 
いちご農家の出で上京して段ボール工場で働き、バイトで学費を稼いで大学を卒業……。型にはまった苦労人話が続く菅義偉次期首相(71)とは一体何者なのか。彼と数十年来の付き合いの著名人らへの取材から、徳光正行が綴る。
自由民主党総裁選が滞りなく終わり、菅義偉さんが石破茂さん岸田文雄さんに大差をつけて圧勝致しましたね。しかもマスコミが必要以上に「国民人気NO.1」と喧伝していた石破茂さんは、菅義偉さんの377票、岸田文雄さんの89票に及ばぬ68票で最下位に沈みました。第26代自民党総裁になり、このままいきますと第99代内閣総理大臣に就任なさいます菅義偉さんについて、関係の深い方やまったく関係の無い方なんかにも人となりそして印象なんかを聞いてみましたのでご覧いただきたく存じます。
まずは菅さんと数十年来のお付き合いがある某男性著名人のお話です。
「大学生の頃から眼光が鋭い真面目な人だったよ。口数は多くなかったけど、言う時はしっかりとものをいうタイプだった」
「小此木さん(彦三郎・建設相)の秘書をしている時もちょろちょろ寄ってくる業者に対して利権や私利私欲に走らないで見返りを求めない全体主義の人だなという印象が強かったね」
「お友達内閣のようなものは絶対に作らないでしょう。結果重視内閣を作ると思うよ。だから、官僚も冷や冷やしているんじゃないかな?」
続いて、会社経営者で数年来のお付き合いのある男性の方は、
「とても冷静な人ですよ。お酒を飲まないというのもあってか取り乱したりしているところは見たことがない」
「あとやっぱり今回の総裁選の経緯からして、周りに担がれて立候補したというのが大きい。これは信用の証でもあるわけですから」
「言っちゃ悪いけど石破さんとは大違いですよ。それに菅さんは石破さんや岸田さんと違って人を精査する能力に長けていると思います」
こんなことをおっしゃる方も……。
「菅さんはあの目つきと裏腹に大変腰の低い方なんですよ。私が接してきた限り、偉そうにああでもないこうでもないと上からものをいうタイプでは決してありません」
「菅さんのためならと思う官僚は多いと思いますよ。とにかく人間力って言うんですか? そういったものを備えている人です。あと、どんな悪いことを言われたり書かれたりしても受け止める覚悟がある人だと思います」
因みにこの方は著名代議士の男性秘書であります。
意に沿わない官僚を飛ばしてきたなんて報道もありますが、ひと肌脱ごうなどという人たちもいるわけですね。
さらにこんな話をしてくださったのは、菅さんの選挙区である横浜(神奈川2区)在住の自営業の女性。
「地元でも決して上から目線にならない方です。菅さんは安倍さん(晋三首相)のような出自ではないので『良きに計らえ』みたいなことは全然ないと思います。良い意味で緊張感ある政治を期待しています」
以上が菅さんと関係がある皆さんのご意見でした。
あの目の座り方、空手二段の猛者、でも腰が低い……。その人物像をまとめ上げるのが難しくなってしまいますが、総じて実直な方であることは間違いなさそうですね。
では菅さんとまったく関係を持たない皆さんにその印象についてうかがってみましたのでこちらもどうぞ。
「うちの娘なんかはご多分にもれず“令和おじさんかわいい”なんてはしゃいでいましたよ。私としては、菅さんが『ふるさと納税』を主導していたことを評価しています。あれは本当に良いシステムでしたよね。もちろんやりました」(48歳男性会社員)
このご家族には悪いイメージはないみたいですね。
「官房長官在任中の定例会見で悪態をつく東京新聞でしたっけ? あの女性記者をバッサリ切り捨てるところがカッコ良かったですね。あの切れ味を総理になっても継続して欲しいですね」(33歳男性飲食店経営)
そういう見方もあるのですね、参考になります。
その一方で、好意的ではない見方をなさる方も当然おりまして、
「二階(俊博)幹事長が裏で糸を引いてる気がしてなんか嫌ですね。あの人、媚中派でもありますよね?」(35歳女性会社員)
今回、菅総裁・菅首相へのレールを敷いたのは二階幹事長であるのは衆目の一致するところで、その影響力がどこまで及ぶのか。
この方の仰るように、中国に対して腰が引けてしまうのか否かは注目されますね。
「不妊治療に保険適用って言っていましたが、あれどうなんですか? 少子高齢化対策は重要ですが、とはいえ少し不平等な感じがしました」(29歳女性飲食店勤務)
ご指摘の通り、少子化は待ったなしの政策。風呂敷を広げるだけで行動に移さないとかは絶対にナシにしていただきたいですね。
皆さま貴重なご意見ありがとうございました。
かつてないほどの国難、いや全世界が難局を迎えている状況で国のトップに立つというのは相当な覚悟であると思います。
菅さんにおかれましては、公約に掲げた携帯料金値下げ・デジタル庁設立・不妊治療保険適用もさることながら、なるべく忖度のない閣僚人事や党役員人事や経済再生や国防に全力を注いで、その実直な人柄をもってしてコロナ禍で陰鬱になっている世の中を変えて頂きたく思います。 
●第99代首相に菅氏 今夜内閣発足、20人の閣僚名簿発表 9/16 
菅義偉内閣が16日夜、正式に発足する。安倍晋三前首相の辞任に伴うもので首相の交代は約7年8カ月ぶりとなる。菅首相は安倍前政権の政策路線を継承し、経済再生に向けて省庁の縦割り打破に力を注ぐ。新型コロナウイルス対策との両立に最優先で取り組む。行政のデジタル化も急ぐ。
同日午後、衆参両院の本会議の首相指名選挙で第99代の首相に選出された。その後、直ちに組閣に着手し、官房長官に就く加藤勝信氏が20人の閣僚名簿を発表した。
皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て、16日夜に菅首相が就任の記者会見に臨む。
首相は14日の自民党総裁の就任会見で「役所の縦割り、既得権益、前例主義を打破して規制改革をしっかり進めていきたい」と表明した。河野太郎氏が防衛相から行政改革・規制改革担当相に移り政策を推進する。
首相は16日、官邸に呼び込んだ閣僚への指示書に「全省庁がデジタル改革相に協力し、政府一体で推進する」と明記した。行政のデジタル化の遅れへの対処を急ぐ。司令塔となる「デジタル庁」創設に向け、平井卓也デジタル相が前面に立つ。
新型コロナ対策は再任の西村康稔経済財政・再生相が引き続き担う。厚生労働相から官房長官に移る加藤氏、厚労相に再登板する田村憲久氏と連携し、経済活動の再開とのバランスを探る。
政府の観光支援事業「Go To トラベル」を担う赤羽一嘉国土交通相も再任だ。
新内閣の閣僚20人のうち半数以上が16日に総辞職した第4次安倍再改造内閣で閣僚を務めていた。麻生太郎副総理・財務相、茂木敏充外相ら8人は再任で、加藤氏ら3人がポストを移る転任だ。安倍政権からの継続性を意識する布陣となった。
初入閣は新設の万博相に就く井上信治氏、防衛相の岸信夫氏ら5人。前回の閣僚人事だった第4次安倍再改造内閣での13人に比べ少ない。
菅首相は総裁選で携帯電話料金の引き下げに重ねて言及した。通信行政を担う総務相には武田良太氏を充てる。地方活性化や待機児童の解消、不妊治療の保険適用拡大にも意欲を示す。地方創生相と少子化相は一億総活躍相に就く坂本哲志氏が兼ねる。
菅首相は2012年12月の第2次安倍内閣の発足以降、一貫して官房長官を務めてきた。19年4月には官房長官として新元号「令和」を発表した。自民党で父を国会議員に持たない非世襲で派閥に所属していない議員が首相に就くのは異例だ。
安倍前首相の連続在任日数は2822日となった。第1次政権を含む通算在任日数は3188日で、いずれも憲政史上最長となった。安倍氏は16日、首相官邸で記者団に「(菅内閣を)一議員として支えたい」と話した。
衆院本会議で首相に指名(午後1時45分)
菅氏は自民党総裁選に出馬表明した2日と同様の青いネクタイ。大島理森議長から首相指名を受けると立ち上がり、同僚議員からの拍手を浴びる中、周囲に何度も頭を下げた。
政治評論家・田村氏、縦割り打破目指した「政策実現内閣」
元自民党職員で政治評論家の田村重信氏は新内閣は「デジタル分野に一番詳しい平井氏を担当相、縦割り打破には河野氏を行革担当相に任命したのが目玉だ」と指摘。菅氏が自らの政策を進めるための「政策実現内閣」と位置付けた。解散・総選挙にも備え、河野氏に加え、小泉氏を選挙の顔として閣内に残したと分析。茂木外相の再任は「安倍政権との継続性を国際社会に示すためだ」との見方も示した。
二階氏「いつ解散があっても対応できるよう準備」(午後2時21分)
自民党の二階俊博幹事長はNHKの番組に出演し、衆院解散・総選挙のタイミングは「首相自身が熟慮して判断すればいい」と述べた上で、「いつ解散があっても対応できるように準備を整えている。明日からでもけっこうだ」と語った。
立憲・福山氏「野党が塊となり、対立軸を」(午後2時30分)
立憲民主党の福山哲郎幹事長はNHKの番組で、来年10月までの衆院選に向けて選挙準備を進める考えを示した。野党が塊となって、社会のあり方や新型コロナウイルス対策、経済などについてしっかりとした「対立軸と分かりやすい理念、政策」を提示していくと語った。
閣僚名簿発表(午後3時47分)
加藤官房長官は閣僚名簿発表の記者会見で、「誠心誠意努力したい」と述べた。  
●菅内閣が発足「国民のために働く」 9/17 
国際情勢はコロナ禍で自国第一主義に拍車が掛かり、米中対立の激化など不安定化の懸念が広がっている。感染抑止の国境措置で世界的に首脳間の往来も途絶えがち。各国首脳と信頼関係を築き、安倍政権から引き継いだ道半ばの外交課題を前に進められるかが試される。
安倍晋三前首相はトランプ米大統領と個人的な関係を築き、安定した日米関係を外交戦略の柱に据えた。菅氏もこうした戦略を引き継ぐ意向で、11月の米大統領選でトランプ氏とバイデン氏のどちらが当選するにせよ、その後に先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開催されれば、初顔合わせになるとみられる。
焦点は秋以降に本格化する在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)を巡る交渉だ。交渉中の在韓米軍駐留経費を巡っては米国が韓国に負担増を迫っており、どちらが米大統領になっても厳しい要求を突き付けられそうだ。
日中関係はコロナ禍で延期された習近平国家主席の国賓訪日が難題になる。中国政府の香港への強硬姿勢で自民党内には訪日反対論が強い。経済力と覇権主義の両方が強まる中国とどう付き合うか、戦略と判断が注目される。
日韓関係は元徴用工訴訟に絡み、被告の日本企業が韓国内に持つ資産の現金化が迫るが、日韓ともに相手に態度の変化を求めるだけ。対北朝鮮も安倍氏が無条件の首脳会談を呼び掛けたものの事態を打開できず、ロシアとの領土交渉も進展は見通せない。
安全保障分野も導入を断念した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替案の検討や、敵のミサイル基地を直接攻撃する「敵基地攻撃能力」保有を巡る議論など、安倍政権が積み残した課題が横たわる。 
菅首相は前政権の経済政策「アベノミクス」の継承を掲げるが、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける経済の立て直しが喫緊の課題。感染拡大を防ぎつつ、経済の正常化につながる政策を打ち出すことが急務となる。
日本経済は危機的な状況だ。4〜6月期の国内総生産(GDP)は年率換算で30%近く急落。コロナの影響は長引いており、倒産や失業につながる負の連鎖を断つために追加対策を示せるか、手腕が試される。
経済対策では、観光支援事業「Go To トラベル」のような景気刺激策だけでなく、「ポストコロナ」時代を見据えた産業育成も重要だ。首相は規制改革を目玉に掲げ、地方銀行再編や携帯電話料金値下げに強い意欲を示している。デジタル庁創設は官民の生産性向上につながるとも期待され、具体的な政策とその実効性が問われる。
日銀の大規模金融緩和と積極財政を続けたアベノミクスでは、円安株高が進み、株価や企業業績は回復した。しかし、第2次安倍政権が発足した2012年12月に始まった景気拡大は18年10月に終わり、翌月から後退局面に入った。2%の物価上昇目標は達成できず、地方経済には十分な恩恵が届いていない。
“副作用”も顕在化している。金融緩和の長期化で、地方銀行の経営は大幅に悪化。国と地方の借金は膨張し、基礎的財政収支の黒字化目標は25年度に先送りしたが、コロナの影響でさらに遅れる見通しだ。
コロナ対策では2020年度予算の予備費だけでなく、第3次補正予算案の編成を求める声も上がる。年末にかけて編成される21年度予算案も、歳出圧力が強まるのは必至。当面は経済立て直しを優先するとしても、金融緩和の出口や財政健全化の道筋をどう描くのか、難しい対応を迫られる。 
●菅新内閣発足 目玉なき"居抜き"布陣 9/17 
16日発足した菅義偉政権は、安倍政権の閣僚の過半数を再任や横滑りで維持し、「居抜き」に近い布陣となった。派閥均衡による継承と安定に腐心しつつ、自身が掲げる政策の実行役も滑り込ませ、顔ぶれには「菅カラー」もにじむ。急きょ登板した「庶民派宰相」は衆院解散も視野に内外を揺さぶり、混乱する政局の急場をしのぐ構えとみられるが、不安視される国民への発信や国会論戦でつまずけば、不安定な政権運営を強いられかねない。
最大の焦点だった官房長官には曲折の末、加藤勝信厚生労働相が起用された。旧大蔵官僚で手堅く、菅氏が命名した「国民のために働く内閣」の要となるが、政治家として発信力のある印象は薄い。
加藤氏は第2次安倍政権発足から官房副長官を約2年10カ月間務めた。菅氏が期待するのは国会対応や1日2回の記者会見をそつなくこなせる実務能力の高さだ。厚労相時代は新型コロナウイルス対応で「役所寄り」と批判されており、決して「国民受け」する人選ではない。
森友学園を巡る公文書改ざん問題を引きずる麻生太郎副総理兼財務相の続投も「国民受け」とは程遠い。派閥均衡に腐心した顔ぶれは地味な実務派が目立ち、自民党内からは「選挙に打って出る顔ぶれじゃない」「衆院解散は遠のいた」との見方も出始めた。
一方で、党総裁選で掲げた「改革」実現への意識もうかがえる。当選同期で同じ神奈川県選出でもある河野太郎防衛相は行政改革担当相に横滑り。防衛相時代に決断した「イージス・アショア」の計画断念は根回し不足で批判も出たが、菅氏はその「突破力」を高く買う。
「俺はつくる方で(河野氏に)ぶち壊してもらう」。菅氏は周囲にそう語る。記者会見では「私自身、規制改革を政権のど真ん中に置いている」と強調した。早期の衆院解散よりも、政策実行の意欲が先行しているようにも映る。
もっとも、政権運営には不安もある。準備不足のままトップリーダーになった菅氏自身の言動だ。
総裁選の討論会などでは、消費税や憲法を巡るやりとりで発言を修正。用意したメモに目を落とす姿も目立ち、答弁の危うさを露呈した。森友・加計(かけ)学園問題など長期政権の「負の遺産」も背負い、国会論戦で野党の追及を受けるのは確実だ。閣僚経験者は「耐えきれるか。ぼろが出かねない」と真剣に危ぶむ。 さらに党内最大派閥の出身だった安倍氏と異なり、菅氏は無派閥で党内基盤が弱い。政権運営で配慮を欠けば、「安倍1強」からの復権をうかがう党内勢力に足をすくわれかねない危うさも抱える。
官房長官時代は記者会見で無用な発言を避け、「鉄壁」と言われた菅氏だが、首相になれば自らの言葉で語り、粘り強く国民とコミュニケーションを取ろうという姿勢が不可欠だ。「庶民派宰相」の親近感を政策推進のエンジンにできるか。リーダーとしての資質も試されることになる。 
●菅新内閣の本気度〜上川法務大臣と小此木国家公安委員長 9/17 
9月16日の臨時国会、衆参両院の本会議で総理大臣の指名選挙が行われ、自民党の菅義偉総裁が第99代内閣総理大臣に指名された。その後、皇居での総理大臣親任式と閣僚認証式を経て、夜には菅内閣が発足している。
飯田)顔ぶれ等々、いろいろと出ておりますが、鈴木さんは気になったことはありますか?
鈴木)メインになっているところは留任組、それから新しい人では官房長官に加藤勝信さんで、これは信頼関係があります。河野太郎さんには、菅さんの一丁目一番地である行政改革、縦割り打破の先頭に立ってもらうということです。私が「ゾッ」としたのは、法務大臣の上川陽子さんと、国家公安委員長の小此木八郎さんの2人です。メディアを見ていると、「女性では」というくくりで上川さんを取り上げるところが多かったのです。
飯田)女性では上川さんと、オリンピック担当大臣の橋本聖子さんの2人だと。
鈴木)上川法務大臣と国家公安委員長の小此木さんですが、2017年の安倍内閣でも、このポジションは同じ2人でした。そのとき、当時の官房長官だった菅さんに取材していますが、実はこの2人は菅さんにとても近い人なのです。
飯田)そうなのですか。上川さんは岸田派だけれども、菅さんに近い。
鈴木)菅さんがそのとき、「法務と警察、この2つをしっかりとグリップすることが政権を安定させ、維持するために大事なのだ」と言ったのです。警察は検察などにいろいろと介入することはできませんが、その情報をしっかり押さえておくということです。かつて飯島勲さんも近いことを言っていましたが、権力を維持するためには、法務と警察が大事なのです。権力を維持して行く、もしくは危機管理というのは、そういうことだと思います。その2人がまた入っているでしょう。この辺が、しっかりと権力を維持するための玄人的な人事というか、やるなと思いました。
飯田)派閥均衡だとか、重要なポストを譲り渡したということも言われていますが、そうではなく、きちんと肝を押さえているのですね。
鈴木)派閥を見て、渡していいところもあるのです。押さえなければいけないのは、自分の女房役である官房長官、政権の看板である行革です。そして、危機管理や権力維持のために押さえるべきところを押さえる。
飯田)ここを押さえて来ているということは、ワンポイントリリーフのつもりはなく、「俺は長くやるぞ」ということですね。
鈴木)それは当然でしょう。続くかどうかは別ですが。 
●加藤勝信官房長官・岸信夫防衛相は「恩返し」入閣か 9/19 
政権の要である官房長官に抜擢された加藤勝信・前厚生労働相。安倍晋三前首相の実弟の岸信夫氏は防衛相として初入閣した。その理由を政界関係者はこう話す。
「2人は安倍ファミリーですよ。加藤勝信さんは、安倍さんの母親で『政界のゴッドマザー』と言われる洋子さんがかわいがっているんです。2人の閣僚就任は、菅さんから安倍さんへの『恩返し』のプレゼントですね」
まずは、加藤氏の場合。農水相などを歴任した加藤氏の義父の加藤六月氏は、安倍前首相の父である安倍晋太郎氏のブレーンで、「安倍派四天王」の一人だった。六月氏と妻の睦子さんは2人の娘をもうけている。
「六月さんは官僚の婿を加藤家に迎えたいというのが希望で、財務官僚の勝信さんを娘婿に迎えたんです。当初、六月さんの長女と結婚する話もあったようですが、長女の米国への留学などで実現せず、次女の周子さんと結婚したと聞きました」(前出・政界関係者)
2人の娘は安倍前首相とも幼なじみ。安倍家と加藤家は家族ぐるみの交流が現在も続いている。
「洋子さんと睦子さんとは昔からマージャン仲間でね。睦子さんが洋子さんの家まで、車で迎えに行って、2人でお出かけすることもしばしばです」(同)
温厚な性格だという加藤氏だが、前任の菅氏は内閣人事局を通して中央省庁の幹部人事を決め、官僚たちに睨みをきかせた。果たして加藤氏にそこまでのグリップ力が発揮できるのか。
「官僚出身の政治家は、どうしても官僚に甘くなる。縦割り行政の改革とか、加藤さんに期待するのはムリでしょう」(自民党議員の元秘書)
一方の岸氏。衆院ならば当選5回が「入閣適齢期」と言われる中で、3選目でのスピード入閣は、いかにも“安倍家の七光り”を感じずにはいられない。前出の政界関係者はこう語る。
「岸さんの防衛相就任というのは、外交防衛分野では安倍さんが新政権をバックアップしますよということ。加藤さん、岸さんという『ファミリー』の2人を内閣に置くことで、安倍さんが一定の影響力を残したと見ています」
一方、「菅支持」をいち早く表明して、菅政権誕生の流れをつくった二階俊博幹事長にも、「恩返し」人事が行われたとみられる。二階博俊の幹事長続投に加えて、二階派から武田良太・国家公安委員長が総務相に横滑り就任したのに加え、平沢勝栄氏が復興相として初入閣した。政界関係者はこう見る。
「二階派に幹事長、総務相、復興相の3つのポストを与えたんだから、今回の人事には安倍さんだけなく、二階さんに対する感謝もあるでしょう。他の政権だったら入閣できるか微妙だった平沢さんを入れたんだから」
平沢氏は安倍首相の小学校時代の家庭教師としても知られる。当選8年でも未入閣だった。毎年、平沢氏の政治パーティでは一度も大臣に就任していないことが話題になっており、まさに悲願の入閣だった。
「平沢さんは大臣になりたくて、山崎派から二階派に移籍したんだから。これまで誰もできなかったのに、やっぱり二階さんは力がある、と周りは見ることになるでしょうね」
菅首相が提唱する携帯料金の値下げや地方創生などの中心課題を担うことになる重要ポストの総務相には、武田良太氏を就任させた。
「武田さんは国家公安委員長で、閣外に行くと思われていた。それを総務大臣に横すべりさせたのは、二階氏の意向もあるのでは。ゆくゆくは、武田さんが二階派を継ぐかもしれない」 

 

●副総理、財務大臣 麻生太郎(79)=再任
・安倍首相の盟友、安倍政権で「内閣の骨格」「政権の要」とされた。
・自民党内では麻生派を率いる。総裁選では細田博之氏、竹下亘氏とともに共同会見し、菅氏支持を表明。党内で強い影響力を持つ二階幹事長への牽制だったとみられる。
・過去に何度も「失言」で批判されている。
・総裁選後に「衆院の早期解散」について言及した。
●「147日間、休まず働いてみたことありますか」麻生節≠ノ大ブーイング 8/18 
また麻生節≠ノネット民が大ブーイングだ。安倍晋三首相(65)が17日、東京・慶応大病院で日帰り検診したことを受け、麻生太郎財務相(79)が同日夜、記者団に向けて「147日間休まず連続で働いたら、普通だったら体調おかしくなるんじゃないの。あなたも147日間、休まず働いてみたことありますか」などと発言。これがニュース番組で報道され、SNS上で一部から猛反発を受けている。
ツイッター上では「本当ですか? それ」「(首相は)週末は1時間くらいしか官邸にいないですよね」と発言の事実関係を疑う投稿や、「フリー(自営)ならそのくらい普通でしょ」「主婦は365日休みなしだけど…」などの反応が続出。政府のコロナ対策に不満を抱える国民からは「アベノマスク配っただけで『働いた』ということにされても」といった意見も投稿されている。
仮に安倍首相が休養となった場合、副総理の麻生氏が代理首相を務める可能性もあるが――。果たして、政府は失いつつある信頼を取り戻すことができるか。 
●鳩山氏 麻生副総理の発言に皮肉「平和なお花畑にいるのは麻生さん」 9/13 
元首相の鳩山由紀夫氏(73)が12日、ツイッターを更新。麻生太郎副総理(79)の発言に疑問を呈した。
9日、麻生副総理は通信制高校「N高等学校」で講義を行い「若者が政治に関心がないことは、悪いことではない。それだけ日本で平和に暮らしているということだ。政治に関心が無くても平和に生きられる国にいる方がよっぽど良い」などと発言。SNS上ではこの発言が賛否両論を呼んでいた。
鳩山氏は「麻生副総理がどこかの高校で、若者が政治に関心がないのは悪いことではないと話されたそうだ。それだけ日本は平和ということらしい」と説明。
続けて「多くの学生はコロナの現実の前に就職やバイト先の問題などとても苦しんでるのがお分かりでないのでしょうか」としたうえで、「平和なお花畑にいるのは麻生さん、あなたではないですか」と皮肉った。 
●麻生金融相「再編含め環境整備」 9/17 
麻生太郎金融担当相は16日夜の記者会見で、低金利の長期化で経営に苦しむ地方銀行について「経営基盤強化のため、再編の促進を含めた環境整備を進める」と述べた。地銀の現状を巡り、菅義偉首相は総裁選で「(将来的に)数が多すぎる」と発言している。
麻生氏は「人口減少などを考えると、現在のビジネスモデルの維持は難しい」と指摘。合併などの議論は、個々の企業の経営判断によるものだとも述べた。
政府は今年5月、独占禁止法による合併の制限を緩和する特例法を成立させている。 
●麻生副総理・財務相 経済再生と財政再建の両立図っていく考え 9/17 
麻生副総理兼財務大臣は、初閣議のあとの記者会見で、今後の経済・財政政策の運営について、当面は景気の回復を優先しつつ、経済再生と財政再建の両立を図っていく考えを強調しました。
この中で麻生副総理兼財務大臣は「総理からは日本銀行と緊密に連携し、新型コロナウイルスの影響について企業金融の円滑化と金融市場の安定に努め、感染収束後の成長軌道への回帰のために政府日銀一体となって取り組むよう指示を受けた」と述べました。
そのうえで、麻生副総理は「新型コロナウイルスへの対応で補正予算を組んだため財政は悪化しているが、今は放っておけば、景気はさらに悪くなる。それが悪循環を起こして、財政も悪くなるので、財政投融資なども活用しながら景気をきちんと戻す努力をしていくことが重要だ」と述べ、当面は景気の回復を優先しつつ、経済再生と財政再建の両立を図っていく考えを強調しました。
また麻生副総理は、菅総理大臣が地方銀行の再編に言及していることについて、「地方銀行は現在のままでは人口減少を考えると経営は難しくなっていくので、持続可能な経営をしてもらえるよう、改革を促すことが必要だが、合併などについては個々の経営判断だと思う。経営改革は1つの選択肢だとは思うが、それがすべてではない」と述べました。
●菅内閣を「かん内閣」 麻生氏、会合で2回言い間違い 9/17 
麻生太郎副総理・財務相は17日、自民党麻生派の派閥会合で、16日に発足した菅内閣について「かん内閣」「かん政権」と2回発言した。同派事務局は会合後、言い間違いと訂正した。首相在任時の2008年に国会答弁などで漢字を読み間違え、野党からの批判を受けたことがある。
麻生氏は会合で、約7年8カ月続いた安倍前政権を「日本の存在を国際社会に力強く印象づけた」と評価した。政策継承の必要性を訴え「菅内閣で引き続き役割を果たしていかなければならない」と述べた。 
●麻生副総理、きょう80歳 傘寿迎え存在感ますます 9/20 
麻生太郎副総理兼財務相が20日、80歳になった。第2次安倍晋三政権では屋台骨として安倍氏を支え、菅義偉(すが・よしひで)新政権になっても引き続き要職を担う。自民党第2派閥の麻生派(志公会、54人)を率いて精力的に活動し、傘寿を迎えても存在感は高まるばかりだ。
「新型コロナウイルスに限らず、われわれを取り巻く環境はいろいろな問題を抱えている。非常時には必ず一致団結して立ち向かう。その決意を腹に構え、事に臨むことを期待する」
菅政権発足後初めて、17日に東京都内で開かれた麻生派の会合で麻生氏はメンバーに結束を呼びかけた。
平成24年12月の第2次安倍政権発足以降、務め続けた副総理兼財務相の要職を菅政権でも担い、新型コロナが直撃した経済の立て直しを主導する。新政権の焦点である衆院解散・総選挙の時期について、今月13日に新潟県で行った講演で「下手したらすぐかもしれない」と述べ、与野党の注意を引き付けた。
「義理と人情とやせ我慢」。衆院議長や党副総裁を務めた大野伴睦も用いた言葉を好む。総裁選で敗れた際に人事面で冷遇されることもあったが、麻生派幹部は「麻生氏は“冷や飯”でもどうおいしく食べるかということを考え、楽しくやってきた」と笑う。
第92代首相で、祖父は吉田茂元首相、高祖父は大久保利通。記者会見でのぶっきらぼうな対応はたびたび批判を招くが、至近距離で接した人をとりこにする「半径2メートルの男」の異名も持つ。豪快に笑い、人の話に真剣に耳を傾ける姿を知る側近は「麻生氏が3歩以内に近づくと、周囲が明るくなる」と評する。
憲法改正など国家観を共有する安倍氏の信頼も厚かった。9日に都内の通信制高校で開かれた特別授業では、退陣直前の世論調査で安倍内閣の支持率が上昇したことを紹介。「不人気な政策(消費税増税)を2回もやって、このような形で終われることは政治家としては極めて恵まれた結果だ」と盟友をねぎらった。
新政権でも「内閣の要、党の要」(菅首相)と期待を寄せられており、副総理と財務相の戦後歴代1位の在任記録をまだまだ更新しそうだ。 

 

●総務大臣 武田良太(52)=国家公安委員長から横滑り
・防衛大臣政務官、防衛副大臣などを歴任。二階幹事長の右腕と言われ、二階派内の「兄貴分」「武闘派」などと評される。
・自民党の重鎮だった亀井静香氏の元秘書だった。
・地元の福岡県の知事選などでは、同じ福岡を地元とする麻生副総理と対立した。
・元暴力団関係者から武田氏側が政治資金パーティーの代金を受け取っていたと「週刊朝日」が報道(2019年9月)。記者会見で「個別の報道に関しましては、お答えを差し控えさせていただきたい」「政治資金は法令に基づいて適切に処理されている」と述べた。
●武田良太氏の評判 
早稲田大学出身。大学卒業後に亀井静香衆議院議員の秘書を務め、1993年に衆議院議員総選挙に自民党公認で出馬。結果は落選。その後2回の落選の後、無所属で出馬した2003年に初当選を果たしました。
当選後から頭角を現し、安倍政権を支える二階俊博幹事長の最側近に!将来の二階派後継者と呼ばれるようになりました。安倍氏の側近といえば麻生太郎氏が思い浮かばれますが、その麻生氏とは同じ福岡では対立関係。その武田良太氏が今回、初入閣したのには多くの驚きの声が上がったようです。

武田良太氏は酒豪で「一緒に飯を食うのが政治」と豪語する、いわば古いタイプの政治家。義理人情に篤く、お金と人を集めるのが上手な武田良太氏は今の政治界では珍しくなった存在と言われているそうです。しかし脇が甘く、悪い噂ばかりが立ってしまう政治家でもあるようで勘違いをされてしまうこともあるのだとか。
武田良太氏を潰そうとする人もいるようですね・・・
政治の世界も人間関係が難しそう・・・
「 そらぁ、どの議員だって『地元では』評判悪いんだよ、武田良太だって相当悪いと思う 」
しかし初当選に10年もかかった苦労人。全て跳ね除けて菅首相の期待に答えてもらいたいですね。 
●武田・新総務相、政治資金から年1510万円を飲食代に拠出… 9/16 
衆参両院は16日、本会議で自民党の菅義偉前官房長官を第99代首相に選出した。同日中に発足される新内閣・政府要職の人事はすでに固まっているが、警察・公安畑出身の人物がずらりと顔を揃えたことに霞ヶ関では緊張が走っているという。
なかでも波紋を呼んでいるのが、これまで国家公安委員長に就いていた武田良太氏の総務相への起用だ。
武田氏は防衛大臣政務官や防衛副大臣などを歴任するなど防衛畑出身。昨年12月には「しんぶん赤旗」が、武田氏が18年に政治資金から1510万円もの金を、寿司や串焼き、焼き肉などの飲食に拠出していたことが政治資金収支報告書から判明したと報じていた。
「新内閣の顔ぶれのなかには“いわくつきの人物”が複数人いると永田町ではいわれていますが、武田氏もその一人。総務省といえば、かつて菅首相が大臣を務めて強引に『ふるさと納税』創設を推し進めた省庁で、今でも菅首相が大きな影響力を持っている。さらに菅首相が目玉の政策として掲げる携帯電話料金の値下げを、今後主導していくことにもなる省庁です。そこに、なぜ通信行政の素人で、いろいろと脛に傷があるといわれる武田氏を当てたのか、疑問の声も出ているんです」(全国紙記者)
このある意味で“サプライズ人事”の背景について、ジャーナリストの松岡久蔵氏はいう。
「武田氏は基本的に防衛畑を歩んできたので、地方自治や電波、郵政行政には完全な素人だと言っていい。そもそも菅首相が実務をグリップする想定なので、そこは想定内。コワモテのキャラを生かして、菅首相が執念を燃やす携帯電話料金値下げを現場で強行に進めるでしょう。
致命的な弱点は、スキャンダルを抱えているという噂が消えない点です。二階派の幹部候補生として派閥人事で再入閣しましたが、週刊誌報道などで事実として報道されれば、即失脚の恐れがあります。
会見に慣れていないことで失言も懸念されます。総務相は国家公安委員長よりも所管範囲が圧倒的に広いので、週2回の定例会見でボロを出す可能性も。いずれにしても、河野太郎前防衛相が就任することが有力視されていたポジションなだけに、意外性は高い。いい意味では“しがらみのなさ”を出せるかが、成果を残せるかの分かれ目となるでしょう」
「さっそく週刊誌がターゲットにして、いろいろと探っている」(週刊誌記者)との声も聞かれる武田新総務相。菅政権のアキレス腱にならないことを願いたい。 
●武田良太新総務大臣就任初会見! 9/17 
菅内閣が発足し、国家公安委員長を務めたこともある武田良太氏が新総務大臣に就任した。マイナンバーカードなど、行政運営の改善や情報通信をも担う総務省に、国家公安委員長経験者が配置されたと聞き、メディア統制がさらに進むのではないかという懸念が頭をよぎった。
一方、菅内閣の目玉として新設されたデジタル庁に就任した平井卓也氏は、安部前総理や自民党を、ややきわどい表現も許容しながらツイッターなどで支援するボランティアグループ、自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)の代表を務めた人物だ。
デジタル化を担う省庁にこの武田氏と平井氏を置くという菅内閣の配置には、どのような意味があるのか。菅内閣が力を入れるという「デジタル化」がどちらを向いているのかを注視する必要がある。IWJでは、武田大臣の就任後初会見で、「デジタル化」について質問すべく、取材に行ってきた。
2020年9月17日午前10時より、合同庁舎2号内総務省8階記者会見室で、武田良太新総務大臣の就任後初会見が開催された。大臣から最初の所信表明などはなく、すぐに質疑応答が始まった。まず、武田大臣は、新総務大臣としての抱負について問われ、以下のように回答した。
「非常に国民生活に密着した分野が多いということ、それから新たな国家像、そして社会構造を築く上で基盤となる政策が非常に多いということ、重要な任務というものをお預かりするわけであって、緊張感を持って望んで参りたい。そして、特に政策面においては、国民側からみてしっかりと一個一個検証していきたい。本当の意味で将来の国民生活にとって、国にとって正しい政策であるかどうか、そこを冷静に見分けるならば、しっかりとした問題解決の結果を出していきたい。このように思います」
また、新しい菅内閣の印象と、その中での自分の立場について問われると、武田大臣は、以下のように答えた。
「それぞれの役割、分野に対する、総務という指示もあることながら、(総理からは)我々一人一人に対してしっかりとした仕事をするようにということになると思います。今、コロナ禍で、国民一人一人の心の中になんとなくどんよりしているものがあると思います。このどんよりした部分を払拭して、将来に、明かりが見出せるように一人一人がその分野、責任を持ってしっかりと仕事をするようにと、そういうことを言われておりますので、私もその指示に従って、しっかりとやっていきたいと思います」
「しっかりと仕事をする」「しっかりと」と、取り組む姿勢を強調しているのが印象的である。その他、菅内閣の看板政策の一つ、携帯電話料金の引き下げなどについても質問があった。短い会見なので、詳しくは動画をぜひご覧いただきたい。IWJからは、「デジタル化」について質問した。定額給付金の問題など、コロナ禍で明らかになった日本の行政のデジタル化の遅れには暗澹とした人も多かったのではないだろうか。IWJ「今日はデジタル行政についてお伺いしたいと思っております。コロナ禍が広がる中で、日本の行政のデジタル化の遅れということが強く言われました。今後どのようにお取り組みになっていくご予定でしょうか」
武田大臣「新たな成長分野であるということはご理解いただけると思いますし、とにかく我々から見ても、今の時代を考えていくのに行政に結構無駄が多いということにお気づきだと思います。行政の効率化を進める上でもこのデジタルというものをしっかりと掲げていくことが重要であろうと思います。なんともうしましても国民の利便性ですね、こうした分野に大変寄与するものでございます。これも積極的に私としては進めていきたいと考えます」
IWJ「利便性と同時に情報管理の問題があります。去年も神奈川県で個人情報が大量に流出するという、そうした行政の情報管理リテラシーの問題もあるかと思いますが」
武田大臣「もちろん。どんな分野に関してもいいことも悪いこともあるわけで。あるものを推進すれば負の部分も必ずついてくるわけですけれども、その負の部分というものをしっかりと、未然に防ぐ、そうした手立てを考えながらデジタル化というものは進めていかなければならない」
IWJ「負の部分と言いますと、もうひとつは情報統制の問題がございます。中国のような、強権的な情報統制をされていると聞く国もあるわけです。デジタル化が進むことによって、統制にどういう歯止めをかけて国民の権利を守っていくのか、あるいは報道の自由を守っていくかという問題があると思います。その点についてはどのようにお考えですか?」
武田大臣「個人のプライバシー、基本的人権、報道の自由、これは我が国で絶対守っていかなくてはならないわけでありまして、そこのところもしっかりとセーフティネットというのはやらなければならないと」
IWJ「そうですね、あと、、、」
武田大臣「みなさん、いろいろあるので」
という経過で、多くの記者も質問を待っている中、IWJの質問は十分にはできなかった。しかし、国家公安委員会委員長の経歴を持つ武田大臣が、メディアを統括する総務省に就いたことに不安を覚えている国民もいるはずである。
実は、今回の武田大臣会見の取材申し込み書には、「備考欄」があり、「※会見時に質問を予定されている場合はその内容を簡潔に記載ください」と注記があった。総務省で事前に質問を集め、会見に備えるというわけである。
IWJは「ローカル5G、スナート自治体化をどのくらい重視するか(政策の優先順位)」と記入して提出したが、その夜総務省から電話があり、「もう少し詳しく内容をお聞かせください」と質問された。コロナ禍で明らかになった日本の行政の不効率、デジタル化の遅れは大きな課題であり、今後運営に苦慮する地方自治体にとっても重要な課題であることなどを説明したが、本来は記者会見は自由にその場で質問してもいいはずである。
そして、実は取材当日も、会場にやや早めに着いたIWJ記者に、総務省スタッフが再度質問内容を確認し、「ローカル5Gとかスマート自治体という言葉ではなく、デジタル行政と言っていただけると、わかりやすいかと思います。デジタル行政は一丁目一番地ですから」、「二番目か三番目に当てますので」など、質問内容の再確認と用語、順番まで打ち合わせをすることになった。記者会見を効率的効果的に進めるための事前準備なのだろうが、そこまで「しっかりと」仕事をしていただかなくてもよいのに、と思わざるを得ない。
新しく設けられたデジタル庁に就任した平井デジタル改革担当大臣との役割分担も気になる。「国民の利便性」と「行政の効率化」といえば耳あたりは良い。しかし、デジタル化は、武田大臣もいうように「諸刃の剣」でもある。国家が主体となって個々人の情報を集めるのであれば、その情報管理や情報統制に対する法的な整備も必要だし、国民の間に信頼感が醸成されることも必要である。IWJも「しっかりと」総務省、デジタル庁の動きを見つめていきたい。  
●携帯料金下げ「1割程度では改革にならない」 総務相  9/18 
菅義偉首相は18日、武田良太総務相と首相官邸で会い、携帯電話料金の引き下げについて結論を出すよう指示した。会談後、武田氏が記者団に明らかにした。武田氏は「結論は早く出すべきだとの方向で進める」と記者団に述べた。
武田氏によると、首相から「チームを組んで具体的に進め、しっかりとした結論を出してくれ」と指示を受けたという。
武田氏は記者団に値下げの実現可能性について「百パーセントやる。できるできないではなく、やるかやらないかの話だ」と強調。値下げ幅は「1割程度では改革にならない。海外では健全な競争原理を導入し、7割ほど下げた国もある」と述べた。 
●携帯料金引き下げ「1割では改革にならない」 武田総務大臣 9/18 
武田良太総務大臣は18日、携帯料金の引き下げについて「1割では改革にならない」との考えを示した。
武田総務大臣は菅総理から携帯料金の引き下げ等の指示があったとした上で、「時期、目途はそこまで定まってはないにしても、結論は早く出すべきだという方向性で進めていきたい」と説明。
実現の可能性については、「100%やる。これはできるできないではなくて、やるかやらないかの話だと思うので。国民の生活と直結する問題なので、単なる政策目標ではなくしっかりと具体的に進めていきたい。(菅総理からは)早くというよりも、しっかりと結論を出してくれと。拙速に進めて“何だこれ”という話になっても駄目なので、しっかりと幅広い意見を集約しながらも、ただ単に議論するだけではなく結論を導くための議論をしていくということだと思う」との考えを示した。
一方、大手キャリアとの向き合い方については、「事業者も設備投資などいろいろやっていることは間違いないし、やはり健全な経営を果たしてもらわなければ意味がない。そこはしっかりとユーザー、そして事業者の双方から意見を聞きながら、正しい折衷点を見出していきたいと思う」とした。
その上で、「具体的な引き下げ額の目標値はあるか?」「1割といった程度ではないのか?」との質問には、「1割程度では改革にならない。諸外国はいろいろな政策で健全な競争市場原理を導入して、ドイツやフランスなど70%下げている国もあるので、やればできる」と答えた。 
●菅首相 携帯電話料金の引き下げ実現に向け改革指示  9/18 
菅総理大臣は、18日午前、武田総務大臣と会談し、携帯電話料金の引き下げの実現に向けた改革を進めるよう指示し、武田大臣は会談のあと、記者団に対し「1割程度の引き下げでは改革にならない」と述べ、携帯電話各社の努力を促す考えを示しました。
菅総理大臣は、18日午前、総理大臣官邸で武田総務大臣と会談しました。
このあと武田総務大臣は、記者団に対し「携帯電話料金の引き下げやマイナンバーカードの管理システムを運営するJーLISの改革を力強く推し進めるよう指示があった。国民の生活と直結する問題なので、できるだけ早く結論を出すように、全力で臨んでいきたい」と述べました。
そのうえで、武田大臣は携帯電話料金の引き下げ幅について「1割程度では改革にならない。諸外国は、いろんな政策で健全な競争市場原理を導入しており、ドイツやフランスでは70%下げている。やればできる」と述べ、携帯電話各社の努力を促す考えを示しました。
さらに、武田大臣は「携帯電話事業者も設備投資などいろいろやってることは間違いなく、健全な経営をしてもらわないと意味がないので、しっかりとユーザー、事業者双方から意見を聞きながら、折衷点を見いだしたい」と述べました。 

 

●法務大臣 上川陽子(67)=再入閣
・三菱総合研究所研究員、米民主党上院議員の政策立案スタッフなどを経て、2000年に初当選。
・初入閣は第一次安倍内閣の少子化相。他に公文書管理担当相、総務副大臣、衆院・厚生労働委員長などを歴任した。
・過去にも法相を務め、2018年にはオウム真理教元教祖の麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚ら13人の死刑執行命令書に署名した。
・ 選択的夫婦別姓に賛成。雑誌のインタビューで「私も選択的夫婦別姓については賛成で、そのために議員として活動してきました」(『女性展望』2008年1月号)と述べている。
●上川陽子前法相 オウム死刑「永遠に問われる判断」 2019/5 
当選3期目に少子化担当相で初入閣し、途中から初代となる公文書管理担当相を兼務しました。法相は2度務めました。自分の所掌に精いっぱいだった初入閣のころと比べると、国家全体の中で法務省として何をすべきか、例えばグローバル化が進む社会の中で、法務行政・法曹が果たすべき役割は何か、国家運営の責任ある立場で仕事をすることについて、全体感が見えてきた感じがします。
法相時代は、できる限り現場を回り、“チーム法務省”の一員という感覚で動いていました。
昨年は全国各地で自然災害が発生しました。刑務所などの施設は災害でライフラインが寸断されるなどの被害が出た場合、地域の人々の避難先になることもあります。災害時に各刑務所がどのように対応したか、現場の情報を集約し、他の刑務所などで同じような状況になったときに、そうした知見を生かすことができるよう徹底しました。
平成30年7月、オウム真理教元幹部の死刑執行の決断の理由ですか? 法相として私がどう考え、行動したか申し上げることはできません。ただ、記者会見のときには、鏡を磨いて、磨いて磨いて、磨き切る気持ちで判断したことを申し上げました。
100代目の法相として、そのとき、どう判断したのか。これは永遠に問われるものだと思います。他人から問われる以上に、自分自身、問い続けていく責任がある。政治家としてどういう姿勢で臨むかを考えたとき、私心をどこまで取り除くことができるか。政治は究極の公共だと思っています。
オウム真理教による地下鉄サリン事件から24年を迎えた今年3月、被害者の集いに「命を見つめて見つめ続ける」というビデオメッセージを送らせていただきました。被害者のご家族から「一言一言漏らさず聞かせてもらいました」とお返事をいただきました。
日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の逮捕・勾留で日本の司法制度が海外から批判されている? 個別ケースについて申し上げることはできませんが、海外から批判を受けて、それに対応して説明するというのではなく、日本の中で積み上げられてきた司法制度をしっかりと対外発信し、全体を理解していただくことも重要です。
私自身、法相在任中から司法外交には力を入れてきました。来年4月には「京都コングレス」という国連の犯罪防止刑事司法分野で最大級の国際会議が50年ぶりに日本で開かれます。
国民の皆さんにも再犯防止や法順守の文化など、日本の良さを理解してほしいと思います。安全安心の国・日本というのは世界的に定評があるので、それはどういう裏付けがあるのか、外交的にもPRするチャンスだと思って、一生懸命取り組んでいます。
中長期的には、日本の人口減少の影響はすさまじいものがあります。地域社会が崩壊していく危機感が急速に高まっています。地方移住の促進など、政府もいろんな政策を打ってはいますが、なかなか決定打がない。そんな中、危機感をもって必死に取り組んでいる自治体や地域がある。
私が本部長を務める自民党1億総活躍推進本部では、ユニークな取り組みをしている地域や団体・グループを掘り起こしながら、2040(令和22)年ごろをターゲットに日本の未来像をイメージし、そのための政策を作っていきたいと考えています。
その頃はちょうど団塊ジュニアが65歳になります。地域コミュニティーの再生や支え合う共助の仕組みが非常に大事だと思うので、力を入れて活動しています。 
●上川陽子議員 法務大臣に再入閣 9/16 
9月16日、菅新総理が「国民のために働く内閣」と位置付けた新内閣に、県内から上川陽子衆議院議員が法務大臣に起用された。法務大臣として3度目の入閣だ。
16日午後、国会では総理大臣指名選挙が行われ、自民党の菅総裁が新たな総理大臣に選出された。菅総理は新内閣を発足させ、県内からは上川陽子衆院議員が法務大臣として入閣した。
上川議員は衆院静岡1区選出で、当選6回。過去にも安倍内閣で法務大臣を2度歴任してきた。午後4時前、総理秘書官からの電話で官邸に向かうよう連絡を受け、気持ちを新たにしていた。上川議員は、「真っすぐに思いっきり仕事をしてまいりたいと思う。「仕事し内閣」ということを受けて、私に指名があったということを考えると、これまでの仕事を非常によくみて頂いた。それに応えられるように。国民のみなさんに大きな期待を寄せて頂いているので、しっかり果たしたい」と意気込みを語った。
上川議員は菅新総理のもとへ向かい、その後、認証式に臨んだ。16日夜、初めての閣議が行われる予定。 
●なぜ?上川さん“3度目の法相登板” 9/16 
9月16日午後4時前、議員会館で吉報を受け取ったのは、衆議院・静岡1区選出の上川陽子さん。県内で唯一、入閣を果たしました。
<上川陽子新法相>「本当にまっすぐに、思いっきり仕事をしてまいりたいと思います」
<加藤勝信官房長官>「法務大臣 上川陽子」
当選6回の上川さんは、これまでに2度法務大臣を務めています。手堅いメンバーがそろった菅内閣の中で、法務大臣に再登板することになります。
<上川法相(2018年当時)>「鏡を磨いて磨いて磨いて、慎重にも慎重な検討を重ねたうえで死刑執行を判断しました」
2018年7月、当時法務大臣だった上川さんは、地下鉄サリン事件などオウム真理教の一連の犯行にかかわったとして、教祖だった麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚ら13人の死刑執行を命じました。
2014年には、地元の静岡刑務所を視察。再犯防止の取り組みなどを確認するなど、法務大臣としての実績は積み重ねました。女性議員という立場で見ても着実にキャリアを歩んできました。
<上川少子化担当大臣(2007当時)>「大臣の扉は大変重たい扉でしたが、皆様のご支援でこの扉を14年目にして開くことができました」
始めて大臣に就任したのは2007年。内閣改造によって県内初の女性閣僚に。この時は少子化担当大臣でした。
上川大臣は静岡市生まれで、東京大学を卒業後、ハーバード大学大学院へ留学した経験を持つ国際派です。静岡大学での講演ではこんな一幕も。
<上川大臣>「英語で交流するのは当たり前の時代。積極的なチャレンジを」
上川大臣はどんな点を評価されたのか。県内政治に詳しい専門家はこう解説します。
<法政大学 白鳥浩教授>「まず第1に、過去三回入閣している中でスキャンダルがなかった。2点目は、これまでに手堅い実績を積み重ねてきた。法案の成立、タブーにも積極的に挑戦。それが実績として評価されたと思う。女性閣僚として実績を積んでいる人は限られる。そういった中で上川氏に白羽の矢が立った」 
●上川陽子氏、法相引き継ぎ 前任の森雅子氏「安心です」 9/17 
菅内閣が本格的に始動した17日午前、上川陽子法相(衆院静岡1区)は法務省で前任の森雅子氏から事務の引き継ぎを受けた。
大臣室で森氏を迎えた上川氏は「本当にお疲れさまでした」とねぎらい、森氏は法相経験豊富な上川氏の登板に「安心です」と応じた。続いて、両氏が事務引継書にそれぞれ署名をした。
上川氏はこの後、同省幹部職員ら約80人への訓示を行った。全国の出先機関、関連施設へも積極的に出向くなどして多くの職員と意見交換する考えを示し、「法務行政への問題意識や改善方策を聞かせてほしい」と呼び掛けた。 
●菅新内閣が発足 法務大臣に上川陽子氏が再入閣 9/17 
自民党の菅義偉総裁は16日、臨時国会で第99代首相に指名され、新内閣が発足した。新たに20人の閣僚が決まり、法務大臣には上川陽子氏(67)が再入閣した。
上川氏は、カトリック教徒で、ニコラ・バレ神父が創立したカトリック系女子中高一貫校である静岡雙葉中学校・高等学校の出身。同校ホームページの「卒業生の声」の中で、「新しい挑戦には不安がつきものですが、それ以上に未知への好奇心が、勇気を与え、若い決断を後押ししてくれました。その力は、静岡雙葉での6カ年一貫教育の中で培われたものと確信しており、心から感謝しています」と語る。
大学は東京大学(国際関係論)に進学し、三菱総合研究所研究員を経てハーバード大学大学院へ留学(政治行政学修士)。米国上院議員の政策立案スタッフを務め、大統領選挙運動にも参加した。帰国後は、政策コンサルティング会社設立。
2000年に衆議院選挙に初当選し、第3次小泉改造内閣では当時総務副大臣だった菅新総裁のもと、総務大臣政務官を務めた。第1次安倍改造内閣と福田内閣で少子化担当大臣を務めたあと、14年に法務大臣に就任し、3年前に再び法務大臣に起用された。この間、成人年齢を18歳に引き下げる民法改正に取り組んだほか、18年7月にはオウム真理教元代表の麻原彰晃、本名・松本智津夫元死刑囚ら13人に死刑の執行を命じた。
この死刑執行に関しては、日本カトリック正義と平和協議会、日本基督教団京都教区、日本基督教団西中国教区、日本キリスト教婦人矯風会、日本聖公会正義と平和委員会らが抗議声明を発表。上川氏は記者会見において、死刑執行を命じた時の心境を「鏡を磨いて磨いて磨いて磨ききる心構えで判断した」と述べた。
昨年5月に掲載されたインタビュー記事の中で、死刑執行の決断について聞かれると次のように答えている。
「100代目の法相として、そのとき、どう判断したのか。これは永遠に問われるものだと思います。他人から問われる以上に、自分自身、問い続けていく責任がある。政治家としてどういう姿勢で臨むかを考えたとき、私心をどこまで取り除くことができるか。政治は究極の公共だと思っています」 
●国際仲裁活性化向け諮問 法制審、国際基準に改正へ  9/18 
上川陽子法相は17日、国際的なビジネス紛争の解決を図る国際仲裁を活性化するため、紛争の解決手続きを定めた仲裁法の改正を法制審議会に諮問した。日本は、海外諸国と比べ環境整備で後れを取っており、紛争を解決する国に選ばれることが少ない。法律を国際基準に合わせ利用を呼び込みたい考えだ。
上川氏は法制審総会で「国際仲裁は、グローバル化が進む現代社会で有用性が増している。わが国の件数は低調に推移しており、活性化する必要がある」と述べた。
仲裁は、当事者が中立的な第三者の仲裁人を選び、その判断に従い紛争を解決する方法。裁判より簡便で早期解決につながる利点があるが、現行の仲裁法と、国際基準の法律に差があり課題となっていた。
法務省は昨年12月に有識者らによる研究会を発足させ、今年7月に報告書をまとめた。報告書では、最終的な仲裁判断を決定する前に、当事者の財産保全を強制的に可能とすることを提案。仲裁の過程で裁判所を利用する際は、外国語資料の和訳添付を省略できるようにするなど利便性の向上も検討するよう求めている。法制審では報告書を参考に議論する。 
●新法務大臣・上川氏は、親子引き離し当事者の声に答えられるか 9/18 
菅内閣が誕生した16日、霞が関の厚労省では離婚・別居によって子どもに会えなくなった母親たちが記者会見を開いていた。
無理やり一方の親と引き離されることなどが「子どもの権利条約」に反するとして、EU議会が日本に対して非難決議を可決するなど、離婚時の一方の親による子どもの連れ去り、引き離しは今、国際問題化している。
会見では、「親子引き離し」の当事者女性23人が集まり、自身の体験などを語った。
不貞を繰り返す夫の元を離れる決意をしてから、夫と義母によって3人の子どもと引き離された30歳代女性Uさんは、夫が不貞行為をしていたのが原因で別居したにもかかわらず、子どもとの面会を認められない。月に一度、写真が送られてくるが、自身が子どもたちに宛てて送った手紙を破っている写真や、「死ね」「ババア」「バカ」などと書かれた紙を持っている写真や、中指を立てたポーズをしている写真だという。
このように、主に同居親が子どもに対し、別居親の悪口を吹き込んだり、別居親を無理やり拒絶させる行為や、それによって子どもが別居親を憎むようになる「片親疎外」は、親権を確実に依頼者のものにするために「離婚弁護士」が使う手法として悪名高い。子どもにとっては、どちらの親もそこから生まれてきた自身の一部であり、自分自身を否定することにもなる。片親疎外の行為によって、子どもが心に負う精神的な負担は計り知れない。
会見に同席した棚瀬孝雄弁護士は、別居・離婚時に親と引き離された子どもは「びっくりするくらい早く親を拒否する。片親疎外は、心の中も変わっていってしまう場合と、戦略的に拒否する場合がある。子どもも生きていかなければならないので、今一緒にいる親に合わせなければならない」と子どもの心理を説明し、そのような「弱い子どもだからこそ、社会が守ってあげなくてはならない」と訴えた。
同日、菅内閣で法務大臣に再任された上川陽子氏は、実はこの問題の解決に熱心であると、当事者の間からも期待が寄せられている。
今年6月に上川氏が会長を務める「自民党司法制度調査会」は、司法の役割について提言を行い、その中で「父母が様々な理由で離婚する場合であっても、子が両親の十分な情愛の下で養育されることが、子の成長ひいては日本の未来にとって重要であることはいうまでもない」と両親による養育の重要性を明文化、そのうえで「日本では、離婚を巡って夫婦間で子の連れ去りが起きたり、子と別居親との関係が遮断されるケースも少なくない」と親子の引き離しが起きている問題があることを認めている。
EU議会の非難決議に対し、外務省が「指摘されるような問題は存在していない」と逃げるなど、この問題はその解決の難しさなどから、「存在しない」と言われ続け、当事者は今度こそ法改正につながると、状況が変わるごとに期待をしては、裏切られ、置き去りにされてきた。
上川法務大臣は、今回の就任会見でも「両親が離婚された子どもたちなど、様々な困難を抱える方々への取り組みを推進していく」と明言。いよいよ離婚後の子どもの養育のあり方も法改正がなされるか。EUから貼られてしまった「子どもの人権に向き合わない国日本」のレッテルを返上できるのか。期待が高まっている。 

 

●外務大臣 茂木敏充(64)=再任
・丸紅、読売新聞政治部、マッキンゼー、経済評論家などを経て日本新党から政界入り。その後に自民党へ。
・党政調会長、経済再生相などを歴任。党の重鎮だった野中広務元幹事長、「参院のドン」と言われた青木幹雄元参院会長らから信頼された。
・9月4日の記者会見で、日本語で質問した外国人記者に英語で聞き直した上で「日本語分かっていただけましたか」などと発言。「差別的」と批判された。
●茂木敏充 
昭和30年、栃木県足利市生まれ。足利市立北郷小学校月谷分校に1年生から4年生まで通う。5年生から同小学校本校に通った。栃木県立足利高等学校、東京大学経済学部卒業。大学卒業後、丸紅、読売新聞社に勤務。その後ハーバード大学ケネディ行政大学院に留学し、公共政策を学んだ。行政学修士を取得後、帰国してマッキンゼー・アンド・カンパニー入社。1992年、マッキンゼー・アンド・カンパニー幹部の大前研一が代表を務める平成維新の会事務局長に就任した。
1993年、第40回衆議院議員総選挙に日本新党公認で旧栃木2区から出馬し、同区でトップ当選。
翌1994年の日本新党解党に際しては新進党結党には参加せず、無所属を経て1995年に自由民主党に入党。
1996年の第41回衆議院議員総選挙以降は、小選挙区比例代表並立制の導入に伴い栃木5区から出馬し、連続6選。
1999年、小渕第2次改造内閣で通商産業政務次官に任命され、第1次森内閣まで務める。
2002年、第1次小泉第1次改造内閣で外務副大臣に就任。翌2003年、第1次小泉第2次改造内閣で当選僅か3回で内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・個人情報保護・科学技術政策)及びIT担当大臣に任命され、第2次小泉内閣まで務めた。
2007年、日朝国交正常化を目指す議員連盟「自民党朝鮮半島問題小委員会」の立ち上げに参加し、同議連幹事長に就任。
2008年、福田康夫改造内閣で内閣府特命担当大臣(金融)として入閣し、行政改革と公務員制度改革も担当した。2009年の第45回衆議院議員総選挙では与党に猛烈な逆風が吹き荒れる中、栃木5区で民主党の富岡芳忠を破り6選したが、初めて対立候補に比例復活を許した(富岡は比例北関東ブロックで復活)。
2011年9月、自由民主党政務調査会長に就任( - 2012年9月)。
2012年9月、自由民主党日本経済再生本部の事務総長に就任。
2012年12月の第46回衆議院議員総選挙では、民主党からみんなの党に鞍替えした富岡に比例復活すら許さない大差をつけ、7期目の当選。
第2次安倍内閣で経済産業大臣兼内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構)として入閣した。
2014年9月、内閣改造により経産大臣を退任し、自由民主党選挙対策委員長に就任。
2014年12月、第47回衆議院議員総選挙では8選。
2016年8月の自民党役員人事で、4年ぶりに自由民主党政務調査会長に再任。
2017年8月3日、第3次安倍第3次改造内閣において、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、経済再生担当大臣、人づくり革命担当大臣に就任し、4度目の入閣を果たすと10月の第48回衆議院議員総選挙では9選となった。
2017年11月1日、第4次安倍内閣で内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、経済再生担当大臣並びに人づくり革命担当大臣に再任。
2018年8月9日−8月10日、同年4月の日米首脳会談で議題となった「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議」の閣僚級会合を行うために訪米。ロバート・ライトハイザーアメリカ合衆国通商代表と第1回会合を持つ。以降、翌年にかけて断続的に行われた日米貿易交渉を担当した。
2018年10月2日、第4次安倍改造内閣で経済財政・経済再生担当大臣に引き続き留任し、新設された「全世代型社会保障改革担当大臣」も兼務した。
2019年9月11日、外務大臣に就任。TPP11の困難な交渉を妥結に導いたことが評価された。
2020年9月16日成立した菅義偉内閣で外務大臣再任。  
●「能力抜群だが人望ない」茂木敏充外相。河野前外相との違いとは? 2019/10 
茂木敏充外相(64)が「ご機嫌だ」と評判だ。「将来の首相」を狙う茂木氏がステップアップのためにここ数年望んでいた外相ポストを射止めたことが大きい。9月のニューヨークでの国連総会に合わせた外交では、出身の読売新聞から「上々デビュー」「早くも存在感」と褒めちぎられた。
NYでは外務省担当に加え、安倍晋三首相に同行した旧知の記者も集めて懇談会を開き、自らが経済再生相としてまとめ上げた日米貿易交渉の成果を誇った。政治部デスクが言う。
「懇談は3時間超。持ち上げてくれる記者に囲まれご満悦だったようだ」
能力は抜群だが、人望がない――。こうした評価が定着していた茂木氏。官僚を怒鳴り上げるパワハラの逸話は枚挙に暇がなかったが、「『首相への道』が見えてきたためか、最近は怒鳴ることも少なくなった」(某省幹部)という。
外相として意識しているのは、同様に将来の首相候補と目される前任の河野太郎防衛相(56)。新旧外相の交代式では、2年余りで延べ123カ国・地域を訪問した河野氏の面前で「野球で言うと王選手のホームラン記録。乗り越えるのは無理だ」と持ち上げつつも、「私は記憶に残る外交を作っていきたい」と「我は長嶋」と言わんばかりにライバル心をむき出しにした。
記者会見でも「脱河野」を図る。河野氏は欧米の記者には英語で即答。日本人記者には「外務省担当は英語ぐらいできないと」と言い放っていたが、茂木氏は英語が堪能であるにも関わらず、日本語で応じる。
要人との会談の冒頭撮影でも英語でやりとりしていた河野氏に対し、茂木氏は通訳を入れて日本語で対応。外務省関係者は「英語だと日本語訳がマスコミ各社でバラバラになる。政府の統一見解を示すには双方が母国語でやるべき。外交上は茂木さんのやり方が本来の姿だ」と話す。
滑り出しは上々だが、政治部記者は「首相を目指すためのうわべの対応だ。河野流で生じたあつれきとは違った茂木流のあつれきが生まれ始めている」と言う。
従来は課長級が行ってきた官僚によるレクチャーを格上の局長級に変更。記者会見には、わざわざ山田重夫総合外交政策局長を同席させるようにした。
「茂木氏は自分にとって『使える人』が好きなだけ。山田氏は秋葉剛男事務次官と並んで茂木氏のお気に入り。山田氏も茂木氏に取り入り、次の次官狙い」(同前)
酒好きで朝が弱いことで知られる茂木氏は、国会答弁のための早朝レクも行わないという。自信家ゆえだろうが吉と出るか凶と出るか。人間、そう簡単には変われないものかもしれない。 
●茂木外相、外国出身の記者に「日本語分かっていただけますか?」  9/4 
問題となったやりとりがあったのは8月28日。質問をしたのは英字紙・ジャパンタイムズに所属する外国出身の女性記者だ。
質問は、日本政府が新型コロナウイルス感染拡大を受け、在留資格を持つ外国人に対する入国規制を実施していたことに対するものだった。
そもそも日本は「水際対策」として、永住者や留学生などの在留資格がある外国人について、特段な事情(葬儀や出産など)をのぞいた再入国を認めていなかった。これは、9月からPCR検査による陰性証明などを条件に緩和されることになっている。
記者はこの点について、「入国規制の緩和の方向性」と、規制が導入された「科学的な根拠を具体的に教えてください」と日本語で質問した。
茂木大臣は「在留資格を持つ外国人の再入国を認める方向でいま、最終調整をしている」とし、その理由について「日本に限らずあらゆる国が水際措置をとっている」「各国の感染症対策や主権に関わる問題で、日本としても適正な措置をとっている」などと答えた。
しかし、二つ目の質問である「科学的根拠」に関する回答はなかった。問題視されているのは、その後のやりとりだ。
外務省のホームページ上には、以下のようなやりとりが記載されている。
記者:すみません、科学的な根拠について。
茂木大臣:What do you mean by scientific?
記者:日本語でいいです。そんなに馬鹿にしなくても大丈夫です。
茂木大臣:馬鹿にしてないです。いや、馬鹿にしてないです。全く馬鹿にしてないです。
記者:日本語で話しているなら、日本語でお答えください。科学的な根拠の、同じ地域から日本国へ、日本国籍の方が外国籍の方と一緒に戻られて、全く別の条件が設けられ、その中には例えば事前検査だったり、同じ地域に住んでいるところから、全く別の条件で入って、入国が完全に認められないケースもあったんですね。それに関しては、その背景に至ったその違い、区別を設ける、その別の条件を設ける背景になった、背景にある科学的な根拠をお聞きしています。
茂木大臣:出入国管理の問題ですから、出入国管理庁にお尋ねください。お分かりいただけましたか。日本語、分かっていただけましたか。
「あってはならない行為」
茂木大臣は、まず記者が日本語で質問をしていることに対し、英語で回答。
「馬鹿にしなくても大丈夫です」「馬鹿にしていないです」というやりとりを経たあとに管轄が出入国管理局であることを示し、「日本語、分かっていただけましたか」と述べた。
動画でもそのやりとりを確認できる。「お分かりいただけましたか?」「日本語、分かっていただけましたか?」とのあとに、記者が「はい?」と問い直し、さらに「日本語、分かっていただけましたか?」とのやりとりが続いている。
こうした茂木大臣の振る舞いについて、SNS上では「あってはならない行為」「差別的な問題発言」などという批判が広がっている。
また、茂木大臣自身がハーバード大学の院を卒業している経歴に触れ、言語や多様性に関する体験を自らしているはずではないか、という指摘もあった。
日本社会に潜む、根深い差別感情
日本で暮らす外国人や外国出身者の4人に1人は「日本語が上手く使えない」ことで嫌がらせを受けた、と法務省の調査(2016年度)に解答している。
また、過去5年間に、日本で外国人であることを理由に侮辱されるなどの差別的なことを言われた経験のある人は、「よくある」が2.7%、「たまにある」が27.1%で計29.8%にのぼっている。
実際の差別について聞いた質問では、「日本語がうまく使えないことで嫌がらせをうけた」と答えた人は25.1%だった。
アンケートでは「どうせ日本語が分からないというのが前堤になっている。(女性/20歳代/パキスタン)」という回答も寄せられている。
また、仕事と日本語能力の関係では、調査では「仕事に関する差別の経験には、日本語の会話の程度はあまり関係がないことがうかがえる」と結論づけている。
実際、全体の12.8%だった「勤務時間や休暇日数などの労働条件が日本人より悪かった」という人のうち、「日本人と同程度に会話できる」「仕事、学業に差し支えない程度に会話できる」「日常生活に困らない程度に会話できる」人は82.4%にのぼる。
また、全体では17.1%だった「外国人であることを理由に、昇進できないという不利益を受けた」人のうち、同様の日本語能力がある人が91.3%いた。
茂木大臣が、なぜこのような言動を取ったのかは不明だが、その背景に、日本社会に潜むものと近い差別意識があったとすれば、大きな問題と言えるだろう。 
●中国の領海侵入、韓国の国際法違反に対峙|外務大臣・茂木敏充  9/13 
地球儀を俯瞰する外交を
安倍晋三総理が8月28日の会見で、健康上の理由で退陣を表明されました。本当に残念です。
7年8カ月、安倍総理はアベノミクスによる日本経済の再生と雇用の創出、私が大臣として担当させてもらった人づくり革命、教育無償化の実現、そして日米同盟の強化や地球儀を俯瞰する外交など、様々な分野、政策課題で本当に大きな成果を残された。この間、国際社会での日本の存在感、プレゼンスが大きく高まったのは間違いありません。
今、日本も世界も新型コロナウイルス感染症という大きな危機に直面していますが、皆で力を合わせこの危機を乗り越え、安倍総理の進めて来た「日本を取り戻す、日本を前へ」という様々な政策を、更に進めて行きたいと思います。
私も外務大臣として、今、様々な制約、新型コロナの拡大防止のための移動制限などがある中でも、地球儀を俯瞰する外交を前に進めていきたい。それが今の強い思いです。
先日、コロナの世界的拡大以降、日本の閣僚として初めて海外出張しました。8月5日からイギリスを訪問したのですが、感染リスクを減らすためにチャーター機を利用し、同行したのも局長や秘書官、SPら10人以下。通常の半分以下の態勢です。トラス国際貿易相と日英間の新たな経済パートナーシップについて協議したわけですが、やっぱり電話会談だけで終わるのと、直接対面して交渉するのとでは大きな違いがあります。
コロナで海外訪問を取りやめていた間、各国の外相や、カウンターパートと電話会談を60回近くやってきたんですね。だけど、電話の場合、機微にわたる内容をじっくりやり取りするのは難しい。本当なら一対一で交渉したい場面でも、電話の向こう側に何人いるかも分かりません。
私は経済再生相として昨年、日米貿易交渉を担当しましたが、この時は何度もワシントンを訪ね、ライトハイザー通商代表と協議を重ねました。相手の意見を聞き、「ではこれでどうだ」と提案し、また向こうから案が出て……国益をかけたギリギリの交渉には相当な時間がかかる。最終的に日米の貿易協定をまとめた際には、計3日間、閣僚折衝だけでも11時間というロングラン交渉で、互いの考えをすり合わせていったんです。こうした交渉は、なかなか電話やテレビ会談ではできません。
この8月にはイギリスだけでなく、12日からシンガポールとマレーシア、20日からパプアニューギニア及びメコン3国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)を回ってきました。国によって規制は異なりますが、入国や帰国のたびに相当な回数のPCR検査を受けています。結果は全て陰性ですし、体調は万全です。
韓国への対抗措置は……
ただ、どうしても「外遊」という感じはしないんですね。例えばパプアニューギニアでは、ポートモレスビーの空港から宿泊先のホテルまで車で5分ほどでしたが、そのホテルに向こうの首相が来て夕食会をやって、翌日の会談も同じホテル。空港とホテルの間しか移動していないんです。地元の美味しい店に行ったり、現地の皆さんと触れ合ったりするのはまだまだ難しいのが現実です。
もちろん、現地に直接出向かなければ、向こうの首相と膝を突き合わせて「日本はこういう取り組みや支援をしていきます」といった話をすることもできません。カンボジアでも、フン・セン首相と3時間の会談を行いましたが、これも直接出向いたから実現したことです。どこの国でもコロナ後、最初の海外要人訪問ということで「コロナで大変な時にもかかわらず、日本は外務大臣がわざわざ来てくれた」と歓迎されましたし、現地の新聞ではたいてい1面トップで大きく報じられました。
率直に言えば、空港とホテルだけの移動は窮屈でしたが、外交的にはそれを上回る大きな成果があった。私はそのように受け止めています。
昨年9月に外務大臣に就任し、ほぼ1年が経ちました。この間、厳しい状況にあったのが日韓関係です。
まず申し上げたいのは、旧朝鮮半島出身労働者問題に関する韓国大法院の判決は、明確な国際法違反だということ。新日鉄住金(現・日本製鉄)に賠償を命じた判決について8月4日、資産差し押さえ命令の「公示送達」の効力が発生しました。すぐに資産が現金化されるわけではありませんが、仮に現金化となれば、深刻な事態を招くことは間違いない。
我が国としては、韓国に対し、国際法違反の状態を一刻も早く是正するよう強く求めていくと同時に、関係企業とは緊密な連携を取っていく。もちろん、万が一の場合をはじめ、様々なシナリオを想定しています。「対抗措置としてこういう選択肢を考えています」と表に出したら、外交になりませんからこの場では申し上げませんが、あらゆる選択肢を視野に入れて毅然と対応していきたい。
もう一つ、日韓関係を難しいものにしているのが、輸出管理の問題です。我が国は昨年7月、半導体材料などの韓国への輸出管理を厳格化しましたが、この件についても、康京和外交部長官とは、輸出管理当局間で解決に向けて対話を重ねることが大事だと話をしてきました。ところが、当局間の対話が続いているにもかかわらず、韓国側の要請で7月下旬、WTOに紛争処理小委員会が設置されたことは極めて遺憾です。我が国としてはWTO協定の手続きに従って、淡々と対応していきます。
『愛の不時着』と『半沢直樹』
また、輸出管理とは別の問題ですが、11月上旬にかけてWTOでは事務局長選が行われます。冷静に見ても、今のWTOは上級委員会に欠員が出るなど機能不全に陥っています。次の事務局長に求められる資質は大きく3つ。まず、主要国間の利害を調整する能力があるか。多角的貿易体制の維持・強化に積極的に貢献できるか。組織の透明性をきちんと確保できる人物かどうか。これらの条件を満たすような事務局長を選んでいきたいと考えています。
事務局長選には各国から8人の候補者が立候補していますが、本来なら我が国も、こうした国際機関にもっと人材を送り込んでいくべきです。ある日急に「この人は事務局長にどうか、次長にどうか」ではなく、通商や知的財産などそれぞれの分野で、いかに有能な人材をプールしておけるか。そのプールも若手、中堅、すぐにでも事務局長になれる人……という具合に、ピラミッド型が理想です。これまでの日本は国際機関で活躍できる人材の育成やロビー活動が弱かった。国益を損なわないためにも、中長期戦略の中で、国際機関で要職を担うような人材を育成していくことが極めて大事だと考えます。
ここまで韓国の国際法違反などを指摘しましたが、それとは別に私自身のことで言えば、緊急事態宣言中には、ネットフリックスで最近話題の『愛の不時着』も『梨泰院クラス』も全話観たんですよ。
そもそも私はドラマ鑑賞が趣味なんですが(笑)、ストーリーやキャラクター設定が魅力的なのはもちろん、異文化を知るという意味でも海外の作品はいいなと思います。愛の不時着からは、南北の問題や、財閥の力が強い韓国企業の問題が見えてくる。梨泰院クラスも大手食品会社の会長に、小さな居酒屋を開店させた青年が立ち向かうという話で、家族経営が強い韓国ならではの物語です。 ・・・  
●茂木外相、入国拒否解除の可能性に言及 時期は明言せず 9/17  
菅内閣で再任された茂木敏充外相は16日夜、首相官邸での記者会見で、世界の159カ国・地域に出している感染症危険情報のレベル3(渡航中止勧告)を、レベル2(不要不急の渡航をやめるよう呼びかけ)に引き下げる可能性に言及した。
政府はレベル3の対象国・地域について、外国人からの入国を原則拒否する措置をとっており、レベルの引き下げは入国拒否の解除を意味している。
茂木氏は会見の冒頭、新型コロナウイルス対応について述べるなかで「今後、経済を回復軌道に乗せていくうえでは、感染拡大の防止と両立する形で国際的な人の往来を再開していくことが重要だ」と強調。「これからは(感染症危険情報の)レベルの引き下げも視野に入れ、往来の再開に向けた取り組みを進めていきたい」と明言した。
一方で具体的な引き下げ時期や対象国・地域については、「世界の感染状況をみながら、今後考えていきたい」と述べるにとどめた。引き下げの判断については、「確かに(感染が)収まりつつある地域もあるが、1週間、2週間、さらには1カ月ぐらいの単位でみないと、確実な方向性はみえない部分もある」と慎重な姿勢も示した。 
●茂木敏充外務大臣「違反しているのは韓国」 9/17 
韓国メディアが、茂木敏充外務大臣が韓国に対してしっかりした意見を述べたと報道した。韓国は相変わらず矛盾した反論をしているが、歴史を改ざんする国との、まともな議論は難しそうだ。

茂木敏充外相は、菅義偉政権発足の初日から、韓国を強く非難した。
NHKによると、茂木外相は16日、菅首相主宰により初めて開かれた閣議後の記者会見で、韓国内の元徴用工への賠償問題が「日韓関係の大きな課題だ」とし「国際法に違反しているのは韓国であることは間違いない」と主張した。
茂木外相は「(韓国と)きちんと対話することで、事案を解決していこうという方向性に変わりはない」と言及した。
茂木外相のこのような発言は、日本製鉄(旧 新日鉄住金)などに対する韓国大法院(最高裁)による賠償判決が「国際法違反だ」と主張してきた、既存の日本政府の立場を再確認したものとなった。
日本政府は、韓国内の元徴用工問題に関して、1965年の日韓請求権協定の締結とともに、韓国側に提供した計5億ドル相当の有償・無償の経済協力を通じて「完全かつ最終的に解決した」という立場を固守している状況である。
このため日本政府は、韓国大法院の関連判決は「請求権協定の違反であり、国際法違反だ」とし「韓国側が責任をもって是正しなければならない」と主張している。
しかし 外務省当局者たちは、韓国の裁判所による判決で元徴用工への賠償問題が頻繁に起きる前までは、日韓請求権協定の締結にもかかわらず「国家ではない被害者個人の請求権は消滅していない」という立場であった。
ところが 韓国裁判所による元徴用工への賠償判決後、多くの日本の政治家たちは自国のこのような矛盾した対応については一切の釈明なく、ひたすら「韓国が間違っている」という主張だけを繰り返している。 
●茂木外相、「ファイブアイズ」への参加に慎重姿勢 9/18 
茂木敏充外相は18日の記者会見で、米国や英国など5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」について、「定義自体が『ファイブアイズ(五つの目)』だ。日本がファイブアイズになるわけはない」と述べ、日本が6カ国目として加わることには慎重な考えを示した。ジョンソン英首相は16日、日本が参加する場合は歓迎する意向を示していた。
茂木氏は「ファイブアイズの取り組みを日本は評価している」としたうえで、現在も5カ国との情報共有が行われていることを念頭に「さまざまなマルチの協力は進めていく」と述べた。枠組みへの参加を巡っては8月、河野太郎防衛相(当時)も「ファイブアイズという国際機関があるわけではない。5カ国とはこれからも緊密に意思疎通を図っていく」と述べていた。 
●茂木外相、習氏の早期訪日否定 9/19 
茂木敏充外相は18日の記者会見で、延期されている中国の習近平(シー・チンピン)国家主席の国賓訪日について、改めて「現段階で検討する段階にはない」と述べた。自民党の二階俊博幹事長が前日の講演で早期実現に期待感を示したが、「年内は難しい」(外務省幹部)という従来の立場を明確にした格好だ。二階氏は習氏訪 ・・・  

 

●文部科学大臣 萩生田光一(57)=再任
・都議から国会議員へ。実家はサラリーマン家庭という「たたき上げ」の政治家。内閣官房副長官、党幹事長代行などを歴任。
・安倍首相の側近の一人だった。安倍政権時代には消費増税や解散時期、人事などで持論を展開。物議を醸した。
・党幹事長代行時代に「0〜3歳の赤ちゃんは、どう考えたってママがいいに決まっている」などと発言し批判を受けた。
●萩生田文科大臣「私立大は文科省に構わず堂々歩め」  4/17 
いま行っている大学入試改革は、高大接続改革の一環です。教育改革の議論の中で、大学入試の仕組みを変えないと高校の授業が変わらないという意見もあれば、受験のための高校教育ではないという意見もありました。やはり、片方ずついじってもダメ。そこで高校教育と大学入試を一気通貫で改革しようというのが高大接続改革であり、その1つが21年度から導入する大学入学共通テストです。
大学入学共通テストは、受験生が安心して試験を受けられる準備が十分でなく、19年末、民間の英語資格・検定試験の活用の延期や、大学入学共通テストの国語・数学における記述式問題の導入見送りを判断しました。
しかし、英語によるコミュニケーション能力や思考力・判断力・表現力を育成、評価することの必要性は変わりません。このため私のもとに検討会議を設けて、英語4技能の評価や記述式問題を含めた大学入試のあり方について、年内を目途に広く国民に受け入れられる提言をする予定です。
現場の高校生たちには本当に申し訳ないことをしました。関係する高校や大学に影響を与えたことも事実。そこは率直にお詫びしなければなりません。
他方、大学に対しては、もう少し大学としての強い意志を示すことを考えてもいいのかなという思いもあります。英語4技能の必要性は、大学関係者も反対していませんでした。すでに入試で民間試験を活用している学校はいくつもあります。共通テストへの民間試験活用は延期しますが、民間試験そのものは存在しているのだから、「国が止めてもうちはうちでやる」とフレキシブルに対応する大学がもっとあってもよかったのでは。
記述式問題も、仮に設問を作るのも大変だ、採点も嫌だということがあるとしたら、大学としてどうなのでしょうか。大学入試改革への取り組みは、大学の意気込みを外に示すチャンス。もっと活かしていただきたいなと。
そもそも大学入学共通テストは万能ではありません。私見ですが、本来大学入試は、大学がそれぞれのアドミッションポリシーに基づき、自分たちの建学の精神や学校運営への思い、評価をしたい人材の姿などを考えたうえで実施すべきものです。大学入学共通テストは共通項の基準を示すための試験であり、はたしてそれだけで終わらせていいのか。大学にはしっかりした説明をしていただきたいとも思います。
日本の大学は、けっしてレベルが低いわけではありません。THE(Times Higher Education)の2020年のランキングでは、ランクイン1397校のうち日本は110校。国別のランクイン数ではアメリカに次いで2位です。ただ、ランキングの順位が伸び悩んでいることも事実。原因は、論文引用数の低さや、留学生や外国人教員比率などの指標で構成される国際面の評価が低いこと。日本の大学の学部に多い人文系は国内論文にとどまり、国際論文になりにくい。優秀な研究を行う人が大勢いても、世界の土俵の間尺と合っていないのです。
これからは文系・理系の線を引くのではなく、人文的な感覚を持ちながら科学技術をやるとか、理科系の感覚を持ちながら人文の分野に進むというようにクロスしていくことが求められます。「教授陣がいるから簡単にいじれない」という事情もわかりますが、令和という新しい時代に合っているのかという視点で学部や学科の在り方を見直すことが大切です。
私立大のランキングが低いのは、国公立大に比べて国がお金を出していないせいだという指摘があります。これは指標をどう解釈するかで、財務省は「世界に比べてそんなに劣ってない」と言います。ただ、日本ではこれまで人への投資が圧倒的に少なかったことはたしかだと思います。ですから安倍内閣の7年間で、私立高校授業料の実質無償化、高等教育の修学支援新制度、奨学金事業の充実など、いろいろなメニューを用意しました。私立大についても、令和2年度予算案で大学院との機能高度化への重点的な支援を組織するなど私学助成の確保に努めています。
国のこうした政策を大学がしっかり受け止めて伸ばしていくというように、お互いにバトンを渡し合える環境をつくれれば、日本の大学のレベルはさらに上がるでしょう。たとえば医学部は、6年間の学費を考えると一般家庭のお子さんはなかなか行きづらかった。しかし、給付型奨学金などを活用すれば、経済的に厳しいご家庭のお子さんでも目指すことができます。そうなると医学や科学技術の道を究めたいような多様な人たちが参入しやすくなり、競争が生まれてレベルが上がるはずです。後継者のための医学部と言われることもなくなるかもしれません。
私立大は自由度が高い。文科省の顔色なんてうかがわず、どんどんチャレンジしていただきたいですね。そういう意味で、早慶の存在感は大きい。ともに伝統ある大学ですが、慶應には早稲田にはない医学部があり、早稲田はスポーツ科学部を先行してつくった。こうした競り合いは、他の私立大へもいい影響を与えるはず。両校のチャレンジに期待しています。 
●教員免許失効情報 検索期間 3年から40年に延長へ 9/15 
わいせつな行為をしたとして懲戒処分などを受けた教員が増加する中、萩生田文部科学大臣は、教員免許を失効した人の情報を検索できるシステムについて、対象期間を直近の40年間に延長することを明らかにしたうえで「より慎重な採用選考が可能になる」と述べました。
児童や生徒などにわいせつな行為をしたとして、懲戒処分などを受けた公立学校の教員は平成30年度に282人と、調査を始めた昭和52年度以降、最も多くなりました。
これを踏まえて、萩生田文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で、文部科学省が教育委員会などに提供している、教員免許を失効した人の情報を検索できるシステムについて、対象期間を現在の直近の3年間から40年間に延長することを明らかにしました。
そのうえで「教員を採用する人は、対象者が過去40年間に懲戒免職処分などを受けたかどうかを確認できるようになり、より慎重な採用選考が可能になる」と述べました。
一方、処分を受けた人への対応について「採用してはいけないのではなく、改めて面接などをして心配がなければ社会でもう一度働くチャンスというものは残っているので、制度上は問題ない」と述べました。 
●「縦割り打破し改革の方針 時には見方を変えて」文科相 9/17 
再任された萩生田文部科学大臣は17日午前、文部科学省の講堂で幹部職員に訓示しました。
この中で萩生田大臣は「前政権からの再任・続投だが、総理大臣や内閣が代わったので単なる続投ではなく、きょうから新しい気持ちで皆さんと一緒に仕事をさせてほしい」と述べました。
また、「菅内閣では縦割り行政を打破してでも改革を進めようという方針だ。それぞれの局や課で抱えている課題について、時には見方を変え、思い切って結論を出せる仕事をしてほしい」と述べました。 
●菅内閣でも「教育再生」続行、少人数学級へ道筋 文科相 9/17 
9月16日に発足した菅内閣で再任された萩生田光一文科相は、同日夜の記者会見で「教育再生実行会議の提言を踏まえ、教育再生を実現するための諸施策を進めること」について、菅首相から指示を受けたと明らかにした。安倍晋三内閣で設置された教育再生実行会議は、来年度予算の概算要求に少人数学級の実現を施策として盛り込むことを求めており、萩生田文科相は菅内閣にもこの議論を引き継ぐ意向を示していた。菅首相からの指示を受け、新内閣でも引き続き少人数学級の実現に向けた道筋が示されたことになる。
記者会見でポストコロナ期の教育について問われた萩生田文科相は「新型コロナ(収束)後に万が一、新しい感染症が発生した場合でも、それに対応できる新たな学校のスタイルを目指すべきだと思っている。…… 

 

●厚生労働大臣 田村憲久(55)=再入閣
・石破派から唯一の入閣。懸案の新型コロナ対策にあたることになる。伯父は「タムゲン」と呼ばれた田村元・元衆院議長。
・厚労政務官、党厚労部会長などを歴任してきた厚労族議員として知られる。
・過去にも厚労相を経験。在任中の2013年6月、厚労省は子宮頸がんワクチンの積極的な勧奨を一時中止する措置をとった。
●田村憲久衆院議員入閣 新型コロナ対策の手腕問われる厚生労働大臣に 9/16 
16日午後の臨時国会で、第99代の内閣総理大臣に選出された菅総理。午後3時半過ぎ、菅総理の後を継ぐ加藤新官房長官から、新しい閣僚名簿が発表されました。
東海3県からは、三重選出の田村憲久衆議院議員が、2012年の第2次安倍内閣に続き、厚生労働大臣に決まりました。
過去の厚生労働業務の経験を生かした新型コロナ対策への手腕が期待されます。
「医療現場・地域が混乱しないように、しっかりとした体制を作らなければならない。これはいくら政府が言ってもできない話なので、都道府県・市町村そして医療現場の方々としっかりと意思疎通をしながら進めていきたいと思っています」(田村憲久 衆院議員)
地元・松阪市からは、早速歓迎の声が上がっています。 
「すごく喜ばしいことですね」「厚生労働大臣も以前されていたので頑張って続けてもらいたい」「全国的にこういう事態になっているので、アイデアがあれば国民のためにも出し尽くして頑張ってほしい」 
●不妊治療の助成増額 厚労相、PCR・抗原検査拡充も  9/17 
田村憲久厚生労働相は17日、体外受精など不妊治療への助成金を増額すると表明した。菅義偉首相が同日、田村氏に指示したためで、保険適用が実現するまでの措置として位置づける。新型コロナウイルスはPCRや抗原検査の体制を整備し、オンライン診療の恒久化を検討する。新政権による社会保障や新型コロナ対策の見直しが早くも動き出した。
不妊治療は現在、排卵誘発剤を使う治療など保険適用の範囲は一部にとどまる。体外受精や顕微授精といった高度生殖医療は公的保険の対象に含まれていない。子どもを望みながら妊娠できない夫婦の金銭的負担は重い。菅首相は少子化対策の一環として保険適用を拡大すると打ち出した。
体外受精と顕微授精の保険適用はできるだけ早期の実現を目指しつつ、それまでは現状ある助成制度を拡充する。夫婦の所得が年730万円未満の世帯などを対象に、初回30万円、2回目以降は15万円補助している。年間のべ15万件程度使われている。助成額の引き上げや対象となる世帯の条件緩和を検討する。予算を確保次第、実施する。
オンライン診療は新型コロナの感染拡大を受けて4月から初診も含めて全面的に解禁した。時限的措置として位置づけているが、菅首相が16日、恒久化の検討を指示していた。田村氏は「安全性と有効性を担保できないといけない」と述べ、ルール整備を急ぐ考えを示した。慎重な日本医師会との調整が必要になる。
民間が独自で実施しているPCR検査のサービス価格の実態調査を始める。菅首相が「国際比較をしながらどうすれば金額が下がっていくか検討してほしい」と田村氏に指示した。保険適用になっていないPCR検査は国が価格決定に関わっているわけではない。ただ、国際的にみて日本の民間サービスは割高だという指摘があり、国の調査が引き下げ圧力につながる可能性がある。
厚労省は新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備え、検査体制の整備を進めている。政府は8月末にまとめた対策パッケージで簡易キット型の抗原検査を1日20万件程度実施できる体制を構築するとした。田村氏は「厚労省からの通知だけでは自治体や医療の現場に意図が伝わらない」と述べ、各地の状況を把握・分析しながら対応する考えを示した。
田村氏は75歳以上の高齢者の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる制度設計について、年末にかけて進めていくと表明した。新型コロナウイルスの影響で社会保障制度改革の議論は先延ばしになる懸念がでているが、田村氏は推進する考えを示した。「少子化で人口構成が変わり、負担能力のある人には高齢者も含めてお願いしないといけない」と語った。
2割に引き上げる人の年収基準などを年末にかけ詰める。紹介状なしで大病院を受診する患者の負担の引き上げについても制度設計を進める。来年の国会に関連法改正案の提出を目指す。 
●HPVワクチン「国民の理解が得られていない」田村厚労相 9/18 
田村憲久厚生労働大臣は9月18日の記者会見で、HPVワクチンの積極的接種勧奨について、「国民の理解が十分に得られていないという認識のもと、積極的接種勧奨にはまだ戻していないと認識している」と見解を述べ、「(HPVワクチンに関する)リーフレットの見直しを審議会で議論していただこうというところだ」と国民の理解促進に動く姿勢を示した。また、7月に承認された9価HPVワクチンについては、「効果をしっかり判断する中で定期接種にするかを判断していきたい」と述べた。
田村厚労相は2012年12月から2014年9月まで厚労相を務め、HPVワクチンの定期接種の2014年4月からの開始を決定、しかし同年6月から積極的接種勧奨の差し控えを判断していた。田村厚労相は「その時さまざまな症状などのお声があり、積極的接種勧奨を一度外して考えてみようとした」と振り返り、「その後、それぞれの大臣の下で研究調査が行われたと聞いているが、国民の理解は十分に得られていない」と認識を示した。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、ワクチン共同購入の国際的枠組みCOVAXファシリティに厚労省が参加を表明していることについては、「世界的にCOVID-19が一定程度収束の方向性が見えてこなければいけないことを考えれば、世界各地でワクチンがしっかり利用されるようになる必要性がある」と有用性を強調。「東京オリンピック・パラリンピックの開催国として、我が国だけではなく他の国々に対してもワクチンが利用できるような環境の重要性を認識する必要があると参加を判断した」と述べた。
インフルエンザワクチンの高齢者への優先接種について、日本小児科医会が「子どもへの接種を一律で遅らせるのは避けるべき」などとする見解を表明していることに関しては、「基本的にはまず高齢者の方を優先していただきたいというのは一定程度ご理解をいただければというのが今の立場だ」とした上で、「子どもたちが心配だという声は理解できる。それぞれの自治体からお声かけいただければ、十分に話をしたい」との姿勢を示した。 
●田村厚労相「1日20万件の検査態勢で新型コロナとインフル両方に対応」 9/20 
−−新型コロナウイルス感染症対策で、検査態勢の拡充にどう取り組むか
「これからインフルエンザの流行シーズンだが、症状だけではコロナと区別できないため両方の検査が必要になる。インフルの検査件数は1シーズン約2千万件で、1日当たり20万件の検査能力が必要だ。PCR検査だけでは追い付かないので、抗原検査キットを中心に1日20万件の態勢を整える」
−−75歳以上の後期高齢者の医療機関での窓口負担について。負担を2割に引き上げる所得基準の議論がコロナで先送りされている
「人口構成の変化で支える側の若い方が減っており負担増はやむを得ない。年末の最終報告に向け政府の検討会議で議論しており、そこで一定の方向性が出る。ただ、コロナで医療機関の受診を控えてきた人たちが戻ってきたら、従来と比べて受診回数が増えるかもしれない。そうした不確定要素を踏まえて考えていく必要がある」
−−不妊治療への保険適用はどう取り組むか
「菅(すが)義(よし)偉(ひで)首相からは『なるべく早く』という指示だ。どの治療を対象とするかの議論や安全性、有効性の確認も必要だ。一定の時間がかかることは首相も分かっている。保険適用までの間は現行の助成制度を拡充し、負担を軽減していく形で対応する」
−−他に力を入れる施策は
「力を入れなければいけないものだらけだ。持続可能な医療保険制度を維持する財源をどこに見いだすか。医療現場の長時間労働の是正。改正児童虐待防止法のフォローアップ。待機児童や介護人材など課題は山積だ。ただ、すべての問題に関わってくるのがコロナだ。平常時の政策だけでは対応できない」  

 

●農林水産大臣 野上浩太郎(53)=初入閣
・参院議員。三井不動産、富山県議会議員を経て国政入り。
・農業政策については公式サイトで「万全のTPP対策を講じ、農林水産業を活性化し、農政新時代を拓く」としている。また地方創生のためには「デフレ脱却を確かなものとするために消費税引き上げを延期し、すべての地域、中小企業・小規模事業者が実感できる景気回復を」と記している。
●野上浩太郎農林水産大臣が始動 初登庁し前大臣と引継ぎ 9/17 
16日発足した菅新内閣で、農林水産大臣に就任した野上浩太郎参議院議員が17日、初登庁し前大臣との引継ぎをしました。
農林水産大臣として初入閣した県選出の野上浩太郎参議院議員は、16日夜、皇居で閣僚の認証式に臨み、菅総理から任命書を受け取りました。
その後、午後10時前に総理官邸で開かれた初の閣議に出席した野上大臣。改革意欲が入閣のポイントに挙げられた菅新内閣で、日本の産業の根幹となる農林水産分野の発展を担います。
野上大臣は、17日未明に農林水産省に初登庁し、職員などから拍手で出迎えられました。
また、朝には就任会見に臨み、大臣としての意気込みを述べました。
そして、江藤拓前農林水産大臣から引継ぎを受け、大臣としての業務を本格的にスタートさせています。 
●持続可能な農業を 野上農水相 農政トップとして始動 9/17 
初入閣を果たした野上浩太郎(のがみ・こうたろう)農林水産大臣が、大臣として始動しました。
「若い人たちが夢と希望をもてる持続可能な農林水産業を作っていきたい」と農政のトップとしての意気込みを語りました。
16日発足した菅新内閣で、野上浩太郎参議院議員は農林水産大臣に就任しました。
差しせまった課題としては、新型コロナウイルスで打撃を受けた飲食店を支援する「Go To イート」や、農林水産物の需要回復に取り組みます。
農林水産省には、17日未明に初登庁し、職員らに出迎えられました。
そして、17日午前、就任会見に臨んだ野上大臣は。
「新型コロナウイルス感染症の影響で需要減少・価格低下に見舞われた農林漁業者・加工業者、甚大な影響を受けた外食産業に対する支援を着実に行う」「昨日、菅総理より2点話がありました。1つは農林水産品の輸出。もう1つは農林水産分野の改革。この2点をしっかりと進めてほしい(と言われた)」(野上大臣)
野上大臣は、新型コロナ対策のほか、人口減少による市場の縮小や担い手の高齢化は重要課題であるとして、農産物などの輸出の増加や、ITを活用したスマート農業を推進することで、課題解決に取り組みたいと話ました。
農政分野において、何を一番実現したいかとの質問に対しては。
「地元も米どころ富山であります。まさにこの農林水産業、この農政は政治の中で最重要課題という思いで取り組んでまいりましたし、県議会時代も若手の頃からやっていました。色んな方と話をしながら進めてまいりましたが、若い人たちが夢と希望をを持てるような持続可能性がある農業を作っていかなければいけない」(野上大臣)
野上大臣は、前の農水大臣の江藤衆議院議員から引継ぎを受けたほか、午後からは、職員に訓示を行い、職務をスタートしました。 
●菅内閣が発足 農相に野上浩太郎氏 9/17 
自民党の菅義偉総裁(71)は16日召集の臨時国会で、第99代の首相に指名された。皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て、菅内閣が正式に発足。農相には同党参院議員の野上浩太郎元官房副長官(53)を起用した。初入閣となる。国政で農林関係の要職経験はないが、菅首相は自身や安倍政権を副長官として支えた実務能力を評価したとみられる。野上農相に、輸出拡大や農政改革の推進を指示した。
首相、農政改革を指示
菅首相は就任会見で「秋田の農家の長男に生まれた私の中には、日本の全ての地方を元気にしたい気持ちが脈々と流れている」と強調。地方活性化策として農林水産物・食品の輸出をさらに拡大する考えを示した。「行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義を打ち破って規制改革を全力で進める」とも述べた。
野上農相は参院富山選挙区で当選3回。総裁選で菅氏を支援した、党内最大派閥の細田派に所属する。2016年8月から約3年間、安倍内閣で官房副長官を務めた。
野上農相は首相官邸で記者団の取材に応じ、菅首相に「農林水産品の輸出、農林水産分野の改革等をしっかり進めてもらいたい」と指示されたことを明らかにした。
その上で、「農林水産業は国の基。美しい農山漁村をしっかり次世代に引き継いでいかないといけない」と強調。「喫緊の課題はコロナへの対応」と述べ、新型コロナウイルスによる農産物の消費低迷や、生産基盤の弱体化への対応を最優先する考えを示した。
野上農相は、需給緩和が懸念される20年産米への対応や、食料・農業・農村基本計画の着実な実行に向けた手腕が問われる。菅首相は、自らが主導してきた農産物の輸出拡大を地方創生の切り札と位置付けており、輸出を農家の所得向上に結び付けられるかも課題となる。
官房長官には、加藤勝信厚生労働相が就いた。萩生田光一文部科学相、西村康稔経済再生担当相らは再任。野上農相を含め、安倍政権の官房副長官を務めた4人が入閣した。菅首相は官房長官時代に自身を補佐した関係性を生かし、安定した政権運営に生かす狙いがあるとみられる。
菅首相が重視する地方創生の担当相には、初入閣となる坂本哲志元衆院農林水産委員長を充てた。党畜産酪農対策小委員長などを務めた党農林幹部の一人。少子化対策、一億総活躍などを兼務する。
規制改革担当相には河野太郎防衛相が横滑りで就任した。首相は、発信力のある河野氏を据えることで、省庁の「縦割り打破」や規制改革推進への強い姿勢を示す。河野氏は2度目の就任で、前回は農業分野で指定生乳生産者団体(指定団体)制度の見直しなどに関わった。
新農相の横顔 寡黙、真面目な実力派 バスケで全国大会も
農相に就任した野上浩太郎氏は1967年、富山市生まれの53歳。初入閣となる。政界では寡黙で実直な人柄で知られ、2016年8月〜19年9月に菅義偉官房長官(当時)を補佐する官房副長官を務めた。こうした経験や実力を買っての起用とみられる。ただ、国政で農林関係の要職の経験はない。就任早々、新型コロナウイルス禍や20年産米の需給といった課題に直面するが、農政の手腕は未知数だ。
元衆院議員の徹氏を父に持つ。慶応大学商学部を卒業後、三井不動産勤務などを経て富山県議に。01年の参院選に自民党公認で富山選挙区から出馬し、34歳で初当選した。再選を狙った07年は苦杯をなめたが10年に返り咲き。16年参院選で3選した。国政では財務政務官、参院文教科学委員長、国土交通副大臣などを歴任している。
祖父が農協組合長、米どころ・富山の全県が選挙区で、県議時代から農政にも関わったという。官房副長官時代は安倍晋三首相(当時)の外遊にもたびたび同行し、農水省も含む各省庁や国会と首相官邸の連絡役もこなした。ただ、党農林部会長や農水省の政務官・副大臣などの経験はない。
前任の江藤拓氏いわく「物静かだが、非常に闘志ある人」。農相への起用が報じられた後も「正式に話があってから」と、記者団の取材には慎重に対応した。身長181センチ。中学から大学までバスケットボールを続け、富山高校時代にはインターハイに2年連続出場。キャプテンも務めた。
趣味はバスケと読書。地元の郷土料理「ますずし」が好物。2女1男の父で、座右の銘は「和して同ぜず」。細田派に所属し、「参院のホープ」との呼び声もある。 
●野上農水大臣就任会見 9/18 
〈畜産分野は輸出拡大の主翼、体制整備を進める〉
野上浩太郎農水大臣は9月17日に就任会見開き抱負を述べた。「農林水産業の使命は、農林水産業・食品産業を強くして、豊かな農村漁村を次世代に継承していくことだ」とし、先頭に立ち、若者が自ら将来を託すことができる農林水産業・食品産業の実現に向けて全力を尽くすとした。なお菅義偉総理からは、「農林水産品の輸出、農林水産分野の改革をしっかりと進めて欲しい」と言われたとした。
農林水産業の現状について「国民に食料を安定的に供給するとともに、食品産業・関連産業とともに地域経済を支えている。高品質な農林水産物・食品、和食などは日本の成長の糧となる潜在力を有している。TPP11や日EU・EPA、日米貿易協定など新たな国際環境に対応して、生産基盤の強化、海外の新たな新市場の開拓が必要になる。
その中で、農林水産業の潜在力を最大限に引き出し、成長産業化を図るために、農業の集約や農協改革などを行ってきた。その結果、生産・農業所得は6年間で5,000億円以上増加し、農林水産物輸出額は7年で倍増するなど、着実に成果が表れている」と述べた。
続けて、新型コロナウイルス感染症の影響について、「需要減少・価格低下に見舞われた農林漁業者、加工業者、甚大な影響を受けた外食事業者に対する支援を確実に行っていく。今後も起こりうる食料供給上のリスクや、新たな生活様式による需要変化、社会全体のデジタル化の進展にも対応していく必要がある。これらの課題に対応しつつ、これまでに行ってきた改革を着実に実施することで、農林水産業の成長産業化・地域の活性化、食料安全保障の強化、食料自給率の向上を図っていく」と述べた。
農林水産品の輸出目標、2030年・5兆円実現に向けては「新型コロナウイルスの拡大により、2020年1〜7月は前年同期比6.7%減となったが、7月単月では2.2%増と明るい兆しも見え始めている。しかし、世界的な影響は続いており、現状の商流を途切れさせないための支援などを、緊急経済対策において実施している。輸出本部を中心に政府一体となり、生産から輸出まで各段階の取り組みを強化する必要がある。輸出規制国への対応強化、輸出先国向けの販売戦略強化などあらゆる手段を講じていく」と述べた。
牛肉輸出については「3、4月の輸出額は大きく減少したが、5月以降は米国向けなどを中心に回復しつつある。7月の輸出量は全体で37%増、米国向けは86%増加している。輸出促進は農水省の重要課題であり、牛肉はさらなる輸出拡大を担う分野になる。輸出本部では、食肉処理施設の整備や、内食化傾向を踏まえた売り込みの強化などに取り組んでいる」と話した。
農水省の組織再編については、日本の農業をさらに発展させるためには輸出を拡大し、生産基盤の強化を進める必要があり、必要な体制整備を進める。輸出拡大の主翼を担う畜産分野については、新たな市場環境に適応した生産基盤の強化を担当する体制整備をする。
豚熱(CSF)などの家畜衛生については「国内でのCSFは8県・58事例、野生イノシシは18都府県で陽性が確認され、昨年10月には飼養豚への予防的ワクチン接種を開始し、飼養衛生管理の強化、野生イノシシ対策を実施している。これらの対策により、ことし3月の発生を最後に飼養豚での発生は見られていない。アフリカ豚熱(ASF)は有効なワクチンがなく、アジアでは13カ国・地域まで感染が拡大している。検疫探知犬の増頭や、家畜防疫官の増員などで、水際検疫体制を強化していく」とした。
家畜盗難については、「北関東を中心に相次いでいる。家畜は農家の大切な財産で、新型コロナで深刻な影響を受けている畜産経営にとって、大きな損失となる。CSF・ASF侵入防止のための飼養衛生管理基準の遵守徹底を図る中で、家畜疾病の侵入につながる。畜産業界全体にも影響を及ぼすことが懸念される。農水省は警察庁と連携して都道府県に対して防犯上のポイントなど注意喚起、生産者には盗難防止対策について通知している」と話した。 

 

●経済産業大臣 梶山弘志(64)=再任
・菅首相が「政治の師」として崇める梶山静六元官房長官の長男。
・大学卒業後に動力炉核燃料開発事業団(現:日本原子力研究開発機構)に入社、その後に父の秘書などを務めた。
・2000年に父が死去。後継として政界入り。
・自身で会社を経営した経験があり、経済産業分野をライフワークとしている。
●経産省、「梶山発言」受け、再エネ推進の制度検討に着手 7/14 
経済産業省は7月13日、梶山弘志経済産業大臣の打ち出した「石炭火力の縮小」方針を受け、具体的な政策手法の在り方に関し、有識者会議を開き、議論の方向性を示した。
梶山経産大臣は7月3日、閣議後の会見で、以下の施策を指示した。(1) 2030年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを確かなものにする新たな規制的措置、(2) 安定供給に必要となる供給力を確保しつつ、非効率石炭の早期退出を誘導するための仕組み、(3) 既存の非効率な火力電源を抑制しつつ、再生可能エネルギーの導入を加速化するような基幹送電線の利用ルールの抜本見直しと、これに整合的な発電側課金の在り方――。
経産省は、これらの指示を実現するための具体的な政策手法に関し、総合資源エネルギー調査会の電力・ガス基本政策小委員会の場で、事務局(経産省)の提案する政策手法の方向性を示し、委員から意見を求めた。
「非効率な石炭火力のフェードアウト」については、すでに2018年に定めた「第5次エネルギー基本計画」に明記されていた。しかし、具体的な筋道が示されておらず、電源構成に占める石炭火力の比率は32%まで増え、エネルギーミックス(あるべき電源構成)で定めた石炭火力の比率である「26%」の達成が危ぶまれる状況になっていた。
事務局は、「新たな規制的措置は、省エネ法の規制として検討していくことが適切であるため、同小委員会と省エネルギー小委員会の下の合同ワーキング グループにおいて、議論を深めていく」。また、石炭火力の縮小と安定供給の両立に関しては、「電源予備力の確保など容量メカニズムがポイントになるため、この仕組みを検討してきた制度検討作業部会において議論を深めていく」との案を示し、委員から承認を得られた。  
●核のゴミ問題 鈴木知事 経産大臣と会談 9/4 
寿都町が「核のごみ」の最終処分場選定に応募を検討している問題について鈴木知事と梶山経済産業大臣の会談しました。
梶山弘志経済産業大臣「知事いらっしゃいませ」。
鈴木直道知事「いつも大変お世話になっております。きょうはお時間頂きありがとうございます」。
4日午後4時半ごろ、梶山経済産業大臣のもとを訪れた鈴木知事は寿都町が最終処分場選定の第一段階となる「文献調査」への応募を検討していることへの懸念と、周辺自治体などが反対を訴えていることを伝えたとみられます。
3日、寿都町の片岡春雄町長と会談した鈴木知事は、町長に対して「慎重に判断するよう」求めたほか、午前10時すぎの定例会見で、鈴木知事「巨額の交付金で、住民の合意形成を図るべきではない」と国の姿勢に疑問を投げかけました。  
●経済産業大臣に梶山弘志氏が再任 9/16 
菅内閣で経済産業大臣に、衆議院茨城4区選出の梶山弘志氏が再任されました。
梶山氏は、衆議院茨城4区選出の当選7回で、64歳。無派閥です。
旧動燃=動力炉・核燃料開発事業団に勤務したあと、官房長官や党の幹事長などを歴任した父親の故・梶山静六元官房長官の秘書などを経て、平成12年の衆議院選挙で初当選しました。
これまでに、国土交通副大臣や地方創生担当大臣などを歴任し、去年10月からは、辞任した菅原一秀氏の後任として経済産業大臣を務めています。
梶山氏は、地方創生担当大臣の際には公文書管理の担当として、財務省による決裁文書の改ざんなどを受けた再発防止策の取りまとめにも尽力しました。
菅総理大臣としては、新型コロナウイルスの影響で落ち込む経済の立て直しに継続して取り組むねらいがあるものとみられます。
菅氏が「政治の師」と仰ぐ梶山静六氏を父に持つ梶山氏。
地方創生担当大臣として初入閣した直後の3年前の8月には、当時、官房長官だった菅氏が常陸太田市を訪れ、梶山氏とともに静六氏の墓参りをしています。
梶山氏は、茨城弁を交えた実直な語り口で多くの議員から慕われています。 
●中小支援「枠組み考える」、梶山経産相  9/17 
梶山弘志経済産業相は16日夜の初閣議後の記者会見で、中小企業の支援策について「政策と(企業規模などの)枠組みをどうマッチさせるか考えたい」と述べた。菅義偉首相は資本金や従業員数など中小企業の定義を定めた中小企業基本法の見直しに前向きな姿勢を示していた。
合併などで企業規模を大きくすれば法律上の「中小企業」ではなくなるが、生産性の向上や投資の拡大などが見込める。梶山氏は定義見直しについて「考える必要があるという意見もある」と理解を示しつつ「事業内容が大きくても資本金が小さい企業もある。どう対応するかは今後の課題だ」と述べるにとどめた。 

 

●国土交通大臣 赤羽一嘉(62)=再任(公明党)
・連立を組む公明党からの入閣。第二次安倍内閣で国土交通相として初入閣、コロナ禍で「GoToトラベル」などを担当。
・元三井物産社員。北京駐在時に天安門事件に遭遇した。
・阪神・淡路大震災で被災した経験があり「被災者生活再建支援法」改正など災害対策をライフワークとする。
●国土交通相に公明 赤羽一嘉氏 再任の意向固める 菅新総裁  9/15 
16日に行う組閣人事で自民党の菅新総裁は、国土交通大臣に公明党の赤羽一嘉氏を再任する意向を固めました。
赤羽氏は衆議院兵庫2区選出の当選8回で、62歳。
商社勤務を経て、平成5年の衆議院選挙で初当選し、これまでに財務副大臣や経済産業副大臣などを歴任し、去年9月の内閣改造で国土交通大臣として初入閣しました。
菅新総裁としては公明党側の意向も踏まえて赤羽氏を再任し、新型コロナウイルス対策の観光需要喚起策「Go Toトラベル」をめぐる調整などを円滑に進めるねらいがあるものとみられます。
赤羽氏は高校時代にラグビーに熱中し、全日本高校選抜に選ばれました。
中国語に堪能で、商社勤務時代には中国に駐在し、天安門事件に遭遇したということです。 
●赤羽大臣会見要旨 9/15 
本日は私の方から2点、報告があります。
1点目は本日の閣議案件について報告させていただきます。
令和2年度予備費の使用の閣議決定についてです。
九州地方・中部地方を中心に甚大な被害をもたらした令和2年7月豪雨につきまして、政府として7月に取りまとめた「生活・生業再建対策パッケージ」に対応するものとして、本日、被災した河川やダム、道路、港湾に関し、権限代行を含めて国が施行する災害復旧等事業に要する経費の予備費使用を閣議決定いたしました。
その総額は、315億円となっております。
今後とも必要な予算の確保を図り、被災地の復旧・復興に全力で取り組んでまいります。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
そのほか、もう1点報告いたします。
「Go To トラベル事業」についてですが、まず、これまでの利用実績について申し上げます。
本事業に参加登録する事業者の7月22日水曜日の事業開始以降8月末までの利用実績について、9月14日月曜日までに事務局へ報告があったものについて、事務局から集計結果の報告を受けました。
これは割引での商品販売だけでなく、還付の対象となった商品販売も含めると、少なくとも1339万人泊の利用実績があったところです。次に、Go To トラベル事業における東京発着の旅行の取扱いについてです。
9月11日金曜日に、菅官房長官・西村担当大臣、私の3者で意見交換をした上で、10月1日から、地域共通クーポンの利用開始と併せて、東京を発着する旅行についても、本事業の支援の対象とするとの案を、先週11日に開催された新型コロナウイルス感染症対策分科会にお諮りし、同分科会からこの点について御提言をいただいたところです。
この御提言の主な点について、現時点での国土交通省としての考え方を申し上げます。
まず、Go To トラベル事業における東京の取扱い、これは、東京都内の旅行を含む、東京都が目的地となっている旅行、そして東京都に居住する方の旅行については、10月1日木曜日以降に開始する旅行から、支援の対象に加えるということを前提に、その販売は、今週18日金曜日正午からといたします。
仮に、今後、感染状況の著しい拡大があり、東京都の感染の状況がステージ3以上に引き上げられるなどの動きが出てきた場合には、政府全体の方針に基づき、東京の追加を延期するかどうか、あるいは、事業開始後に対象外とするのかどうかの判断を改めて行うことといたします。
このような取扱いについては、分科会の御提言を踏まえ、今後は東京都を含めた、全ての都道府県についても同様としたいと考えています。
本事業については、かねてから申し上げているように、感染拡大防止と経済活動の両立を図るものであることから、感染の状況等に応じて、対象地域の変更があり得るといった、一定のリスクを伴う事業なのだということについて、関係事業者及び旅行者の皆さまに改めて御理解をいただければと思います。
また、本事業に伴う感染拡大防止を徹底するため、本事業に参加する事業者と旅行者の双方において、着実に感染拡大防止対策を講じることを求めているところですが、東京都の直近の感染状況については、分科会において、「引き続き、継続的な患者発生や再拡大に向けた警戒を続けていく必要がある」とされているところです。
感染拡大防止の徹底に向けては、「新しい旅のエチケット」やGo To トラベル利用者の遵守事項の動画を、9月10日よりYou Tube等で公開しておりますが、既に作成しておりますガイドラインについても、今後の提言等を踏まえて、旅行者の皆さまにとって分かりやすいものとなるよう見直しを図ってまいりたいと思います。
東京に旅行される方も、東京から旅行される方も、それぞれ、今まで以上に感染拡大防止に向けた取組を徹底していただくことを、この場をお借りいたしまして改めてお願いを申し上げる次第です。
なお、東京発着の旅行の割引商品の販売につきましては、今週18日金曜日正午からの販売を予定しておりますが、万が一、10月1日までに感染状況の著しい拡大があり、東京発着の旅行の追加を延期せざるを得ないこととなった場合のキャンセル料の取扱い等につきましては、基本的に、本事業の開始時に東京発着の旅行を除外した際の例に倣うべきと考えております。
この点詳細につきましては、所要の調整、また、検討を行った上で、改めて18日金曜日に発表させていただきたいと思います。 
●赤羽大臣、「地方創生に資する観光支援」 9/17 
菅内閣が9月16日に発足し、国土交通大臣に再任された赤羽一嘉国土交通相が首相官邸で会見に臨んだ。このなかで赤羽大臣は菅総理からの指示を踏まえた3つのテーマに言及。その一つ目に、「新型コロナ禍における感染拡大防止と経済社会活動の両立。地方創生に資する観光の支援と公共交通の応援」を挙げた。
赤羽大臣は冒頭、「国交省が所管する分野は幅広く、国民の皆様の生命と暮らし、地域の経済に直結する大変な重責。国民のために働く内閣の一員として、現場第一主義を徹底して、国民の皆様に寄り添い、緊張感をもってしっかりと働く」と就任の抱負を話した。
菅総理からの指示を踏まえて挙げた3つのテーマのうち、新型コロナ禍における感染拡大と経済社会活動の両立については、「観光業は宿泊業、旅行業のみならず、地元の飲食業、物品業、貸切バス、タクシー、ハイヤー、フェリー、レンターカーなど、大変幅広い地方経済そのものと言って良い」ことに触れながら、「全国で900万人の雇用を支えているこの産業をしっかりと応援することは、まさに地方経済を応援することだ」と話し、観光業支援は疲弊する地方経済活性化に繋がるものであることを強調した。 
●Go Toトラベル 「感染防止策の徹底を」 赤羽国交相  9/18 
観光需要の喚起策「Go Toトラベル」で、来月から割り引きの対象に加わる東京発着の旅行商品の販売が、18日から始まることに関連して、赤羽国土交通大臣は会見で、事業者と旅行者の双方に感染防止策の徹底を改めて呼びかけました。
「Go Toトラベル」の旅行代金の割り引きで、政府は対象から除外していた東京都内への旅行と、都内に住んでいる人の旅行を来月1日から加える方針で、旅行会社や宿泊事業者は、18日の正午から割り引きを反映させた東京発着の旅行商品を販売できるようになりました。
これについて、赤羽国土交通大臣は18日の会見で「関係する事業者と旅行者の双方には、感染拡大を防止する取り組みの徹底が必要だ。最大限の協力をお願いしたい」と述べました。
その一方で「10月1日までに万が一、東京都の感染の状況がステージ3以上に引き上げられるなどの動きが出た場合には、東京発着の旅行の追加を延期するかどうか判断する」と述べました。
その場合のキャンセル料については、旅行者が支払わずにすむよう旅行会社などに働きかけ、事業者に損害が出る場合は、Go Toトラベルの事業費から補填(ほてん)することを明らかにしました。
加藤官房長官は、午前の記者会見で「安全で安心な新しい旅のスタイルの普及と定着を図るとともに、失われた旅行需要の回復が図られることで、観光関連事業のみならず、広く、地域、社会全体に経済的な波及効果が期待される」と述べました。そのうえで「仮に、今後、感染状況の著しい拡大の動きがあれば、政府全体として、東京の追加を延期するかどうか、事業開始後に対象外にするかどうか、改めて判断することになる」と述べました。
観光需要の喚起策「Go Toトラベル」で、10月から割り引きの対象に加わる東京を発着する旅行商品の販売が始まることについて、東京都の小池知事は都庁で記者団に対し「きのうの都のモニタリング会議でまた感染拡大の方向に向かうギリギリのギリだということを分析していただいた。事業者や利用者にも感染拡大防止の基本を守っていただくことが逆戻りさせないための唯一の方策だと考えている」と述べました。 
●赤羽国土交通大臣が香川の観光や交通を視察 9/20 
赤羽一嘉国土交通大臣が香川県を訪れ、観光や交通の現状を確認しました。
赤羽一嘉国土交通大臣は19日と20日、香川県の観光地や交通機関を視察しました。世界最大級の造船設備がある今治造船丸亀事業本部では、中国や韓国との競争が厳しいことや、少子高齢化時代の人材育成の難しさについて説明を受けました。
赤羽一嘉 国土交通大臣 「四方海に囲まれた我が国にとって造船業をしっかりと支えていかなければいけない。様々な要望を頂いたので、前向きに検討して結果を出していきたい」
19日夜は、香川県の浜田知事と四国新幹線や高松空港の機能強化などについて意見を交換しました。 

 

●環境大臣 小泉進次郎(39)=再任
・小泉純一郎元首相の次男。将来の首相候補として名前があがる。無派閥だが菅首相と近しいとされる。
・復興大臣政務官、党厚労部会長などを歴任。若手政治家の登竜門とされる「党青年局長」も経験。
・2019年にフリーアナウンサーの滝川クリステルさんと結婚。閣僚として史上初めて「育休」を取得した。
・『週刊文春』(2019年12月26日発売号)は、小泉氏が独身時代に既婚女性と軽井沢のホテルで密会し、ホテル代を政治資金から支出した疑惑について報じた。小泉氏は記者会見で「個人の事柄についてお話しすることはない」とし、「事務所にも確認し、法令にのっとって適正に処理していると認識している」と述べた。
●小泉大臣記者会見録 9/15 
発言要旨
まず、今日お手元にお配りをしてあるとおり、「福島環境・未来アンバサダー」、この制度の発足式を今日行います。タレントのなすびさんを第1号の「福島環境・未来アンバサダー」として任命して、この後、意見交換を行いたいと思います。なぜ、なすびさんが第1号なのかというふうに思う方もいるかもしれませんが、なすびさんは、長年にわたって環境省が取り組んでいる除染など、環境再生事業の広報に御協力をいただいています。なかなかこの除染というテーマでこのような活動をされている方は他にはあまりおられません。私も先日、福島の磐梯朝日国立公園の70周年の記念式典でお会いをしまして、非常にありがたく、こういった方に今後応援をしていただきたいと、そんな思いでアンバサダーになっていただくことになりました。ぜひ、今日、後で来られますので、皆さんにもお越しいただけたらと思っています。ちなみに、なすびさんは青森県から福島県まで延びている潮風トレイルという遊歩道がありますが、民間の方で初めてすべてを踏破したのはなすびさんと、そういったことも紹介をしておきたいと思います。
今日は、昨年の9月11日に環境大臣に就任して1年がたったということで、明日安倍内閣は総辞職ということもありますから、今日この機会に、新内閣発足の前、明日は臨時閣議がありますが、事実上、定例の閣議は今日が最後ということもありますので、1年間を振り返って私の思いを申し上げたいと思います。ちょっと長くなりますが、これは1年間、私のことを振り返ってどうだったかなと職員の皆さんに尋ねて、職員の皆さんが作ってくれたものですから、職員の皆さんはこういうふうに思ってくれていたんだという思いで読ませていただきたいと思います。私は昨年の就任会見で、「環境省は社会変革担当省だという思いで取り組む」と申し上げました。その思いを持ち続けながら、この1年間、私なりに精一杯取り組んできました。その後、新型コロナウイルス感染症の問題が発生して、今、私たちは感染拡大防止と社会経済活動の両立という世界共通の大きな課題に直面をしています。このような時代の転換点に立っている今こそ、コロナ前の経済社会に戻るのではなく、持続可能で強靱な社会への変革を実現できるかどうかが問われています。こうした認識の下、私は「脱炭素社会への移行」、「循環経済への移行」、「分散型社会への移行」という「3つの移行」による経済社会の「リデザイン(再設計)」が必要だと発信をしてきました。この移行は、急速に変化するグローバル経済における競争力の源泉、すなわち経済社会の「エンジン」であり、また地球環境問題という重大リスクに対する予防、すなわち経済社会への「ワクチン」でもあります。この「3つの移行」は既に動きだしています。その一つの例が石炭火力発電です。就任直後の国連総会で、気候変動とエネルギーをめぐる世界の話題の中心は石炭火力発電と再生可能エネルギーだということを痛感して以来、私は石炭火力発電について強い問題意識を持って取り組んできました。
今年の2月に石炭火力輸出支援の要件の見直しについて政府内で議論を開始してから、環境省は、あるべき論を振りかざして対立するのではなくて、現実を直視してファクトを積み上げていくことに注力しました。その結果、7月に海外への石炭火力輸出を「支援しないことを原則とする」という抜本的な転換を実現することができました。また、こうした動きに呼応して、梶山経産大臣からは、国内の非効率石炭火力のフェードアウトなどについてより実効性のある新たな仕組みを導入すべく検討を開始すると、そういう発表がなされました。これも大きな方針の転換でありました。こうした日本の石炭火力発電に関する政策の抜本的な転換については、先日のオンライン・プラットフォームの場で安倍総理からも世界に発信していただきました。脱炭素に向けた日本の揺るぎない意思を世界にしっかりと示すことができたと思います。地域や企業においても、「3つの移行」は既に動きだしています。特に、私は地方公共団体、自治体と共に脱炭素に向けたうねりをつくり出したいと考えて、ゼロカーボンシティの呼び掛けを続けてきました。その結果、就任当初わずか4つだった宣言自治体の数が、この1年間で152自治体にまで増えました。これらの自治体の人口は、日本の過半数の人口を大きく超えて約7100万人となりました。また、企業の脱炭素経営も加速しており、日本のTCFD、SBT、RE100の参加企業・団体数はそれぞれ世界第1位、第2位、第3位であり、いずれもアジアで1位であります。こうした地域や企業の動きは、間違いなく「脱炭素社会への移行」を進める大きな原動力になります。
今後は、「選択と集中」によって生まれたリソースをこの「3つの移行」に集中投下していくことが重要です。来年度予算を含めた今後の取組については、今まさに省内で議論を進めています。例えば脱炭素社会については、デジタル分野や物流、住宅など、コロナ禍での新たな日常を脱炭素化していくことが不可欠です。また、再エネ由来水素やゼロエミッション火力、CCUSなどの脱炭素イノベーションも早期の社会実装を目指して加速化していかなければなりません。循環経済については、資源循環ビジネスを活性化して、ポストコロナ時代を支える新たな競争力の源泉としていくべきと考えています。今後プラスチックの代替素材への転換などを後押ししていくとともに、企業や自治体、消費者など多様なプレーヤーを巻き込みながら、プラスチック資源循環戦略の具体化を進めていきます。分散型社会については、ゼロカーボンシティにおける再エネ導入支援パッケージ、これによって地域の取組をしっかり後押しをするとともに、ワーケーションなどを通じて国立公園の利活用を広げていきたいと思います。さらに、こうした「3つの移行」をしっかりと支えるため、ESG金融やインパクトファイナンス、ナッジなどの取組を通じて企業や個人の行動変容を起こしていくとともに、環境大臣就任以来、問題意識を持って取り組んできた環境外交についても、オンライン・プラットフォームの開催を大きな足掛かりとして更に強化していくべきと考えています。
そして、この「3つの移行」に並ぶ環境行政の大きな柱が、福島の復興と再生であります。東日本大震災からの復興に向けた取組は、私にとって環境大臣に就任する前から強い思いを持って取り組んできたライフワークです。就任当初、内堀福島県知事から「苦渋」と「信頼」という言葉を胸に刻んで、この1年、福島と共にやってまいりました。地元自治体、農家の皆さん、そして地元の企業の方々、そして住民の皆さんなど様々な関係者の方々のお話を伺いながら福島の復興に取り組んでまいりました。今年3月には除染が進められている拠点のうち双葉駅、大野駅、富岡駅の周辺で避難指示が解除され、JR常磐線が全線で復旧されました。また、今年8月時点で中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送量が輸送対象物量の6割を超えて、仮置場も約6割が解消されるなど、環境再生の取組が着実に進んできたことを実感しています。一方で、来年で震災から10年を迎えますが、環境省が福島の復興に向けた理解の醸成を図り、環境省自ら風評払拭、風化対策の先頭に立っていくことが重要です。これまで飯舘村長泥地区での除去土壌再生利用の実証事業において、住民の皆さまが大切に育ててこられたお花を、環境省だけでなく、他省庁にも働き掛けて会議や会見などの場で活用して、また今年3月には、福島県の除去土壌を利用した鉢植えを大臣室などに設置して多くの方々に紹介をしてきました。さらに、脱炭素、資源循環、自然共生といった環境の視点から地域の強みを創造・再発見をする福島再生・未来志向プロジェクトの取組を一層進めるべく、8月27日には福島との連携協力協定を締結しました。
また、協定にある未来志向のまちづくり実現に向けて、大熊・双葉環境まちづくりミーティングを開催して、先日9月12日、その最終会合も開催をしました。環境省は常に福島と共にある、このことを頭に置きながらこの1年取り組んでまいりました。これからも福島のために全力を尽くしていきたいと思います。こうやって振り返りますと、本当に多くの課題を環境省の職員の皆さんと取り組んできました。こういう課題を一歩一歩前進させることができたのは、私一人の力ではできません。環境省の職員の皆さんに心から感謝をしたいと思います。今日冒頭で説明をしたとおり、私は大臣就任のときに「環境省は社会変革担当省である」と、そういうふうに言いましたが、1年たって、環境省自身も働き方で、民間企業からはデジタル化、テレワーク、そしてペーパーレス、こういったことが霞が関で1位だと、そういったことなど、今までこの省を、組織を変えたい、持続可能な働き方ができる組織にしたい、そう思ってきた職員の皆さんの思いを形にすることも一歩前に進んだと思います。しかし、今、私が1年やってみて感じることは、実は変革をしてくれたのは、環境省が私のことを変革をしてくれたなと、そういうふうに思っています。環境大臣という立場を超えて、私自身のライフスタイル、生き方、身の回り、考え方、そういったことを、より持続可能な社会をつくっていく一人として、どのような立場であってもこの環境省の皆さんから注入してもらったこの思いを生かしていきたいなと思います。様々な残っている課題はあります。そして、環境省が取り組むことで世の中の多くの方に役に立てる課題はいっぱいあると思います。
熱中症も、アラートがさっき出ていましたけれども、今年、少し秋に近づいてきましたが、亡くなった方が非常に多く、その中の9割の方が高齢者、9割の方が室内、9割の方がエアコンをつけていない、こういったことを来年は起こすことなく、環境省が各省庁をまとめて熱中症対策をどのように進め一人でも多くの命を救っていけるのか、環境省ができることはまだあると思っています。最近では、山小屋の組合の皆さんともお会いをしました。このコロナの中で登山客も減って、そして環境省も国立公園の維持運営でお世話になっている皆さんが本当に経営も含めて大変な思いをされていることも分かりました。再エネも、再エネに取り組んでいる事業者、企業の皆さんからは、ここで止めずに、これまで以上に更に再エネは後押しをしてほしいという声も届いています。いずれにしても、環境省が世の中のためにできることはまだまだある、そのことをこれからも私は立場を超えて一緒になって環境省と共に職員の皆さんの思いを酌んで歩んでいければなと思います。改めまして、職員の皆さん、本当にありがとうございました。そして、記者クラブの皆さんにも心から感謝を申し上げたいと思います。1年間、この会見の場、また取材の場、現場、いろんなところでお世話になりましたが、皆さんのおかげで少しでも世の中に環境省の取り組んできたことが広まる1年だったとしたら、こんなにうれしいことはありません。本当に終わるみたいだな。とりあえず最後の閣議なので。お世話になりました。ありがとうございました。以上です。.
質疑応答
(記者)産経新聞の奥原です。この1年間、福島の復興と再生も含めて多くの課題について環境省の職員さんたちと取り組まれてきたと思います。就任直後に話題というか、課題になられた福島原発1号機の処理水の問題に関してですけども、これについて改めて大臣のお考えを伺えればと思います。
(大臣)まず、一番直近でも、石原副大臣には意見を伺う場に出席をしてもらいました、4月から9月まで6回。そして、この処理水の処分については、現時点ではまだ政府は方針決定はしていませんが、福島の復興・再生を進めるためにこの処理水の取扱いの問題を解決することは不可欠です。私は就任当初から、しっかり関係者の、特に福島県の皆さんの御意見、思いをしっかりと受け止めて政府としての検討に生かさなければならない、この思いを持ってきました。今、この課題はまだ政府決定には至っていませんが、特にタンクがあれだけ設置をしてある双葉郡の地域の皆さんの思い、復興に向けては不可欠な課題ですから、これをいかにして世の中の皆さんの理解を得ることができるか、国際社会の理解を得ることができるか、そこは、この課題がどのような形で解決しようとも、環境省としてもしっかりと後押しをしていかなければならないと思います。環境省としてできることをこれからも全力でやっていきたい。私としても、立場がどうなるか分かりませんが、この処理水という課題のまさにファクト、データ、そういったものを国際社会、また日本の国内においても理解が得られるように取り組んでいきたいと思っています。.
(記者)テレビ朝日の藤原です。モーリシャスの件でお伺いしたいのですけれども、おととい三次隊の専門家の方が帰ってこられたということで、派遣された職員の方や専門家の方はもう既に帰国されているとお聞きしていますが、二次隊、三次隊と送ってきた成果と、今後、派遣や具体的な支援のお考えがありましたら教えてください。
(大臣)今触れられたとおり、11日に現地における支援活動を終えて13日に帰国をしたというところであります。援助隊は、現地においてモーリシャスの関係者と連携しながら、海洋汚染の状況調査、マングローブ、サンゴ群集、鳥類の調査、長期的に必要なモニタリング計画の策定などを支援してきました。援助隊は、モーリシャス政府主催の対策会議において活動成果を発表して、政府関係者やNGOなどから高く評価されたと聞いています。まずは、この派遣された環境省の職員、そして環境省から専門家の方にもお願いをして参加をいただいていましたので、長期にわたる派遣になった職員や専門家の皆さんには心から感謝をしたいと思います。そういった中で、日本の知見を生かして発揮してくれたこの成果を、この前、私はモーリシャスのラマノ環境大臣とオンライン会議で今後の取組についても認識を共有しました。引き続き、モーリシャス政府とも緊密に連携協力しながら、長期的な環境モニタリングなどの課題に帰国をした有識者、そして関係省庁とも協力をして取り組んでいきたいと思っています。.
(記者)読売新聞の安田です。この1年間、本当にお疲れさまでした。先ほど環境省が大臣を変革してくれたというお話がありました。具体的にどこら辺を変革してくれたと感じていらっしゃいますか。
(大臣)やはり今回、総裁選を見ていても、あまり気候変動の課題というのは取り上げられることがありませんでした。しかし、今後は間違いなく変わっていくだろうと思いますね。環境省は今気候変動に取り組んでいますが、小峰さんも何度も言っていましたけれども、この課題は、右とか左とか、そしてイデオロギーとかを超えて、間違いなく世界の海外の諸国のように、どのような時代にあってもこの環境政策というのが最重要の課題の一つになっていくし、なっていかなければならないという強い私の中の確信を環境省の皆さんから植え付けてもらったなというふうに思っています。それと、自分のライフスタイルということで言いましても、今までもいろんなところでお話をしていますが、自分自身がいかにより持続可能なライフスタイルを自分の中で根付かせるかという取組を一個一個進めていく中で、今、一つ一つ自分の中で変えていくことを楽しむことができているんですね。こういった感覚を持って生きるように、生活するようになったのは、間違いなく環境省の皆さんのおかげです。だから、環境大臣になったこの私の見た景色、感じたこと、これをこれから一人でも多くの方に共有することで一人一人の変化を次々に連鎖的に生んでいくことができれば少しはお役に立てるのかなと、そんなことも思います。.
(記者)日本テレビの岩田です。1年間、お疲れさまでした。大臣はこの1年間、脱炭素や再エネの促進について尽力を尽くされたと思いますけれども、特に企業への再エネ導入ということは意識改革的な動きも大きかったと思いますけれども、一方で企業の再エネ促進は十分進んできているのかなと思うのですけれども、経済界からは原発の再稼働についてお願いという言葉も出てきていると思います。この二つの課題の実行は、整合性はあると思うのですけれども、日本においてはこの二つは解決が難しい課題でもあると思います。この二つの問題について大臣はどうお考えでしょうか。
(大臣)まず、経済界も、今言ったように、今までは石炭を減らせば原発を再稼働してくれと、そういったいわば固定観念みたいな形で見られている経済界もあったと思うんです。しかし、この前私が意見交換をした同友会は全く違いましたよね。むしろ、国民の理解はそんなに簡単には得られるものじゃないから、なかなか原発の再稼働は進まないだろうという前提の中で、だから再エネももっと導入できる環境を政府にはつくってもらいたいという思いで、40%という非常に高い目標を経済団体が上げてこられる環境になったというのは、私はやっぱり相当変化したんだろうというふうに思います。そして、政府としても再エネの主力電源化は間違いなくこれから進んでいきます。そして、原発は可能な限り減らすという目標も立てています。ですので、石炭という問題ががんじがらめでなかなか動かなかった現状から、この1年で明確に安倍総理も含めて抜本転換をするというところまで行ったことによって、より一つ一つのエネルギー構成、電源構成に対してファクトをベースにしていかに持続可能なエネルギー政策を立案するのかという環境整備ができてきたと思います。それがどう進むのかはまさにこれからで、経産省、環境省が一緒にやっている温対計画の見直し、それと来年を見据えているエネルギー基本計画の見直し、こういった中で議論されることだと思いますので、その中でしっかりとこの再エネの主力電源化、そして各団体いろんなところからもっと再エネをというふうに高まっている声をいかに具体的な政府の取組として入れていくのか。私の中では最初からベストミックスという言葉で、パーセントを議論する前に、どういう社会を築くのか、そういったことを議論しなければこの答えは出ないと思いますので、今後どんな立場であろうとも、そういった議論に前向きな貢献をしていきたいと思っています。.
(記者)毎日新聞の鈴木です。大臣就任から1年、これまでノンストップで走り抜けてこられたと感じています。ただ、その中でも止まってしまいそうになったときやしんどかったときもあったと思います。この1年を振り返って一番しんどかった時期はいつで、どのような課題にぶつかったときだったでしょうか。また、一番うれしく感じた瞬間についてもお聞かせください。
(大臣)うれしいのは、記者会見の雰囲気がより皆さんに温かい目で見てもらえるようになってきたのもうれしいことですけどね。やっぱりしんどかったのは、石炭の調整に苦労したことですかね。特に12月、あのCOPに臨む前、本当に動かなかったわけで、そして省内もなかなか、本当に動くという思いを共有できていたかというと、そこは相当難しいところも議論の中でありましたね。一方で一番うれしかったのは、これも石炭で、やはり当初いろんな思いがありながら、関係の職員とも本当に激しい議論をして、だけど、あの見直しが実現をした後に、その担当の皆さんたちが大臣室に来てくれたときの掛けられた言葉、そしてあのときの景色、これは一生忘れることはないだろうなというふうに思います。もちろん、うれしいこと、しんどかったこと、いっぱいあるんですけど、やっぱりしんどい思いをしてでも本当に変えるということはそこまでしないと変えられない。特に環境省一つの省で完結できる改革ではないので、他省庁にまたがる改革を突破するということがいかに大変か。新しく総裁になられた菅総裁が総理になられて、これからやりたいことは関係省庁のまさに縦割りを打破するということに特に思いを持っている菅さんですけど、私も同じようにこの改革をやりたい、関係省庁の壁を打破したい、そういった思いを持っている中では、そういったことがやっぱり最も印象的な一つですね。あとはやはりCOPですね。職員の中には、あの悔しい思いをして、何とかこの石炭の風穴をこじ開けるまでは一緒に働くという思いを持ってくれて、本当だったら海外赴任の予定だったのに、残りますと言って残ってくれた職員もいます。本当にありがたいですね。そういう職員の存在、一生忘れません。.
(記者)NHKの吉田です。1年間お疲れさまでした。冒頭の発言でも少し触れていたのですけれども、福島のことについて質問させてください。就任の翌日に内堀知事と面会したときの御様子について説明されていたと思います。「苦渋」と「信頼」という言葉を私も聞いていたのですが、この内堀知事との面会の中で、もう一つ強調されていたのが30年の約束だったと思います。貯蔵を始めてから30年後までに県外で除染土を処分すると。なかなか、この1年を見ていましても、処分先や再生利用に向けた状況もまだまだどうなっていくのか先行きは見通せない状況であると私は認識しているんですけれども、改めて最終処分の今後の見通しと再生利用の状況は今どうでしょうか。大臣が就任してから何か前進したことがありますでしょうか。
(大臣)30年は約束ですから、必ず守ります。そのための努力を一つ一つ積み重ねることは簡単なことはありませんが、その一つ一つを突破する以外に万能薬はないと思っています。特に私はこの1年間思いを持ってきたことは、再生利用をいかに多くの方の理解を得て前に進めることができるか。そして、なかなか再生利用が広がっていかない中で、今頑張っていただいている飯舘の長泥地区の皆さん、その皆さんの思いにまずは少しでも応えて、この再生利用に取り組んでいることが報われる、そういう思いを持っていただくことが私はものすごく大切なことだと思ったので、2月に訪問をしたときに実際に再生利用をやっている方々から食べるものをやりたい、野菜をやりたい、そういった声にお応えをして、今はそれが実現をしています。そして、なんとか、福島県だけにお願いをする課題ではないと私は思っています、これはやはり全国の問題ですから。そのときに、どうしたら福島県外にこの再生利用、この理解を得られるか。だったら、なかなかまだ難しいのであれば、私のところでいいから持ってきてほしい、そんな思いからこの環境省の中に鉢植えを置かせていただいているのも、その30年ということに対する不退転の決意の表れだと思っていただきたいと思います。これからもいかにこの県外での再生利用を進めることで福島県内の方の理解もまた信頼も勝ち得ることができるか、非常に大切なテーマですので、これは私が大臣であろうとなかろうと福島の復興は私のライフワーク、これは変わりませんので、引き続き全力で取り組んでいきたいと思っています。. 
●小泉大臣、日本が環境先進国に返り咲くには? 9/16 
「環境先進国・日本」の奪還への号砲が鳴った。温室効果ガス排出ゼロの“脱炭素”実現に意欲を示す企業が増え、国際社会での存在感を取り戻している。国は海外から批判が強かった石炭火力発電所の輸出支援策を転換した。脱炭素への機運を追い風とした環境省は満を持し、100近い国が参加する気候変動関連の閣僚級会合を開き、“環境後進国”の汚名返上を狙った。
石炭政策 抜本転換 温室効果ガス削減 強化―159社賛同
「気候変動への対応は欧州がリードしているようだが、本来は日本から出た問題意識だ。足りないものがあるとしたらリーダーシップだ」。経済同友会の桜田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス社長)は8月末、小泉進次郎環境相と面会し、地球温暖化対策で日本が世界から遅れたことに悔しさをにじませた。
環境先進国からの脱落に危機感を募らせる企業は多い。イオンや積水ハウスなどが参加する「気候変動イニシアティブ」は2月、政府に温室効果ガス排出削減目標の強化を求める声明を発表し、「脱炭素化に後ろ向きな国という評価が広がれば、世界的なビジネス展開への障害となる」と強調した。この声明には159社が賛同している。
日本に負のレッテルを貼ったのが石炭だ。二酸化炭素(CO2)を多く排出する石炭火力の増設計画がある日本に対し、海外からの風当たりは強い。名指しは避けながらも「石炭中毒」と批判する世界の指導者もいた。
企業には脱炭素への意欲が問われるようになった。その象徴が、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際組織「RE100」だ。
脱炭素を目指す国際ルール「パリ協定」採択前の2014年に結成され、欧米や中国企業が参画した。17年にリコーが日本から初めて加盟した時点で90社が活動しており、出遅れた。
いま、挽回が始まった。日本の温室効果ガス排出量は18年度まで5年連続で減少し、90年度の調査開始以来で最小だった。再生エネが普及した成果だ。RE100にも日本の38社・団体が名を連ねる。
企業に厳しい排出削減目標の設定を迫る国際活動「サイエンス・ベースド・ターゲッツ」でも、日本の75社の目標がパリ協定達成に貢献すると認定された。94社の首位・米国と差はあるが、存在感を高めている。
石炭火力についても、政府は輸出支援策の見直しや国内の旧式石炭火力を休廃止する方針を表明した。50年までにCO2排出ゼロを目指すと宣言した自治体も150を超えた。
気候変動で閣僚級会合開催
環境省は3日、コロナ禍からの復興と気候変動対策を話し合う閣僚級会合「オンライン・プラットフォーム」を開いた。
気候変動分野の閣僚級会合で日本が議長国を務めるのは、1997年の京都市での気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)以来。会合で安倍晋三首相は「石炭政策を抜本的に転換する」とビデオメッセージを寄せた。各国に開催を呼びかけた小泉環境相は日本の取り組みを発信した。
「国際協調 経済社会の再設計呼びかけ」
環境後進国の汚名を返上し、企業は国際ビジネスで劣勢をはねのけることができるのか。3日の閣僚級会合の成果を小泉環境相に聞いた。
―会合の成果は。
「96カ国が参加し、46人の大臣・副大臣が発言した。国際協調の機運づくりには、多くの国々の参加が重要だ。会合は今年最大規模の気候変動分野のオンライン会議となり、大成功だった。21年11月の気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の議長国である英国大使からも感謝された。COP26成功への素地をつくれた」
―小泉環境相は脱炭素、循環経済、分散型社会の三つの移行による経済社会の「リデザイン(再設計)」を呼びかけました。
「リデザインのコンセプトが次々に浸透したと確信した。早速、会議でも何人もの大臣が自国の政策とリデザインを掛け合わせて発言していた。シンガポールの大臣は『街をリデザインする』と語っていた」
―これまで「石炭火力への批判で、日本の良い取り組みがかき消される」と語っていました。負のイメージは払拭(ふっしょく)できましたか。
「グテーレス国連事務総長は会合に寄せたメッセージで日本の151自治体、人口にすると7100万人が暮らす街が『ゼロカーボンシティ』を目指すと宣言していることに触れた。間違いなく日本のイメージが変わった。課題がなくなったと言えるほど楽観的ではないが、日本が石炭一色で覆われた状況ではなくなった」
―今回の成果をどう今後の環境外交につなげていきますか。
「21年5月開催の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)、COP26で発信を強化することだ。いずれの開催までに国内で議論を深めることが不可欠だ。コロナ後の社会像を話し合う政府の未来投資会議の基本理念に脱炭素と循環経済が入った。どちらも環境省が言ってきたことであり、各省に政策が浸透していくはずだ」
―会合の成功は企業にも刺激となります。
「これから日本の前向きな部分に目が行くようになる。環境省は日本企業の海外展開を支援する『環境インフラ海外展開プラットフォーム』を設立した。参加した277社・団体とともに再生エネ、省エネ、廃棄物発電、公衆衛生分野で世界市場をこじ開けていく」
―小泉環境相には環境大臣でなくなっても脱炭素に向けた発信を続けてほしいという声が産業界にあります。
「私はどのような立場でも、再生エネの普及を徹底的に進めていく。再生エネの普及に向けて頑張っている人が報われる社会をつくる。これから一生、“再生エネ応援団”だ」 
●小倉智昭氏、再任される小泉進次郎環境相に「大臣になったらおとなしく… 9/16 
16日放送のフジテレビ系「とくダネ!」(月〜金曜・前8時)で、自民党の菅義偉総裁(71)がこの日午後、衆院本会議の首相指名選挙で第99代首相に選出され、菅内閣がこの日発足することを特集した。
政権の要の官房長官には加藤勝信厚生労働大臣が起用される。安倍内閣からの再任は麻生太郎副総理兼財務大臣、茂木敏充外務大臣、萩生田光一文部科学大臣、梶山弘志経済産業大臣、小泉進次郎環境大臣、橋本聖子東京オリパラ担当大臣、それに新型コロナ担当の西村康稔経済再生担当大臣と公明党の赤羽一嘉国土交通大臣の8人となった。
また、武田良太国家公安委員長が総務大臣に、河野太郎防衛大臣が行革担当大臣に横滑りで起用。再登板するのは上川陽子元法務大臣と田村憲久元厚労大臣、小此木八郎元国家公安委員長で、同じポストで起用され、デジタル担当大臣には平井卓也元IT担当大臣が再入閣し、初入閣は5人となる。
小倉智昭キャスターは、再任される小泉環境相に「小泉さんってものすごく発信力のある人なんで環境大臣になった時にかなり期待した人もいると思うんですが、大臣になったらおとなしくなっちゃったじゃないですか」と指摘した。
その上で「僕は、モーリシャスの重油流出問題の時なんかは当然、環境大臣が全面的に出てくるべきだと思ってましたけどほとんど出てきませんでしたからね、ちょっと期待外れだったなって思ってます」とコメントしていた。 
●「ばからしい 悪しき前例なくそう」小泉環境大臣 9/17 
菅内閣で再任された小泉環境大臣は職員らへのあいさつで「悪しき前例をなくそう」と呼び掛けました。総理大臣から受け取った辞令を職員4人がかりで封筒に入れることを例に挙げ、「馬鹿らしい」と批判しました。
小泉大臣は職員へのあいさつで改革の一つとして、「今までやってきたから続けているが、結果として誰も幸せになっていない悪しき前例主義をなくしていく」ことを掲げました。その後の記者会見では、総理が各大臣に辞令を交付する際の職員の仕事を悪しき前例の一つとして挙げました。
小泉環境大臣:「馬鹿らしいと思いました。辞令を受け取って渡して1人、折る人が1人、封筒に入れる人が1人、席まで持ってくる人1人。この作業に人間4人ですよ」
小泉大臣は他にもオンラインによる会議や面会の促進や服装の規定など職員の声を聞きながら取り組んでいくとしました。  
●続投の小泉進次郎環境大臣と梶山弘志経産大臣の連携 9/17 
9月16日、「縦割り、既得権益、悪しき前例主義の打破」を掲げる菅義偉内閣が発足した。新内閣の人事に注目が集まったが、僕は小泉進次郎・環境大臣と梶山弘志・経済産業大臣が続投となったことに注目したい。環境省と経済産業省にまたがる領域にこそ、縦割り行政の打破、霞ヶ関全体のなかに横たわる大きな非効率な既得権益の壁があるからだ。
小泉進次郎は、環境相に就任したばかりの 2019年9月の国連気候行動サミット(ニューヨーク)や12月のCOP25(マドリード)での発言が、メディアに批判されたことが記憶に新しいと思う。ここではその詳細は述べないが、石炭火力発電の廃止や温室効果ガス排出削減目標の決定権は環境省にはないため、進次郎は火力発電を是認する日本政府の方針を述べることしかできなかった。メディアは表層的なことしか報道しないので、背後にある構造的な問題を提起しようとしない。よくある進次郎批判である。たとえば、コロナ禍のなか 進次郎が政府の新型コロナウイルス感染症対策本部会合に1度だけ欠席(代理で環境政務官が出席)した。日曜日に開かれた地元の後援会の新年会に出ていた、と共産党議員に追及されメディアでも批判された。脇が甘い面があったのは事実だが、この日の会合はわずか11分である。この政府対策本部会合が形式的な「御前会議」に過ぎないことはこれまで指摘してきた通りだ。発言の機会もなく意思決定に関わりのないものであれば時間の無駄ではないかと思ってしまう、それもあながち否定できない。
しかし、その後の進次郎は目に見える成長ぶりを見せている。2020年1月21日の記者会見で、石炭火力プラントの輸出の在り方、「輸出4要件」について問題提起した。ベトナムで進められてきた石炭火力のプラント建設計画で、設計・調達・建設をするのは中国とアメリカ企業で、日本は商社が出資するだけだったのだ。
「今日は1件具体的なことに触れたいと思いますが、今、ベトナムの石炭火力、ブンアン2という案件があります。この件に関しては、実態としてどうなっているかというと、日本の商社が出資をして、そしてJBICが入り、これは結果的にプラントのメーカーとして中国のエナジーチャイナ、そしてアメリカのGE、こういった形で成っています。私は、今までこの4要件の話の中でさんざん聞いてきた一つのロジックというのは、日本がやらないと中国が席巻すると、そういったことも聞いてきました。しかし、この構図は、日本がお金を出して、結果、つくっているのは中国とアメリカと、こういう実態を私はやはりおかしいと思います。こういった具体的な事例が見つかったことも一つ契機としまして、各省庁との議論、そして問題提起を引き続き行っていきたい」(環境省、2020年1月21日、「小泉大臣記者会見録」)
日本の石炭火力は効率が高いはずだったのに中国に追いつかれていて、日本企業は資金を提供しているだけというのが現状なのである。このあたり、メディアがきちんと説明していない。石炭火力発電事業は、発電所に関する権限が経済産業省にあり、環境省には発言権がなかった。この構造的な問題を変えていこうというのである。その際には、環境省に「ファクト検討会」を設置するなど、最新のファクトやデータに基づいて意思決定ができる環境を作り上げようとしている。そして、7月には「インフラシステム輸出戦略」において、石炭火力の輸出の支援要件を厳格化し、「原則支援をしない」との文言を入れることができた。この背景には、梶山経産相との連携や、菅官房長官(当時)の理解があったと言われている(2020年7月9日、「経協インフラ戦略会議」)。
さらに、国際的な発信にも取り組んでいる。コロナ禍のなか、気候変動に関する国際的なオンラインイベントが開かれているが、4月に開催されたドイツ主催の会合(ペータースベルク気候対話)でメルケル首相やグテーレス事務総長のスピーチが行われ、進次郎が二人へ質問をし、「オンラインCOP」の開催を提案した。コロナ禍によってCOP26は来年の11月に延期されることになっており、気候変動対策を国際的に話し合う貴重な機会となると期待され、実際に9月3日に進次郎が議長を務めて実現した。このオンラインCOPには最終的に計96カ国が参加し、気候変動関連のオンライン国際会議としては世界最大規模の会議となった。日本が議長国を務めるのは京都議定書が決められた1997年のCOP3以来であった。進次郎は9月4日の記者会見でこう振り返った。
「石炭火力輸出方針の抜本的転換やゼロカーボンシティのうねりをつくり出したことなど、脱炭素に向けた日本の前進をしっかりと世界に伝えることができました。日本がCOP3以来の気候変動閣僚級会合で議長を務めることで、まさに環境先進国日本の復権に向けた大きな一歩を踏み出したのではないかと思います」(環境省、2020年9月4日、「小泉大臣記者会見録」)
来年の2021年に延期されたCOP26までに「地球温暖化対策計画」(環境省)の改定が予定されており、これに合わせて「エネルギー基本計画」(経産省・エネルギー庁)の再検討も開始されることになっているが、日本のエネルギーは石炭火力と原子力に依存したままでいいのか、それまでに環境省と経産省・エネルギー庁の縦割り状態を改めて議論しなければならない。
小さな見直しは始まりつつある。今年の7月3日、梶山経産相が記者会見で再生エネルギーの普及を促進するために、送電線の運用ルールを見直しすると表明した。じつはこの問題は太陽光発電や風力発電、あるいは地熱発電といった再生可能な自然エネルギーの普及を阻害してきた問題だった。たとえば、稚内では風力発電をやっているが、その電力を札幌に送れないのだ。送電線には電力を送るキャパシティーに限界があるからだと思われていたが、じつは電力会社が送電線の使用を認めないという原因もあった。電力会社が既存の火力発電のため送電線を先着優先で仮おさえして排他的に独占していたのだ。2019年に東京電力が重い腰を上げ、全国に先駆けて、千葉県の火力発電の送電線の運用を変更する実験をやったところ、利用ルールを見直せば自然エネルギーで発電した電気を送ることができるとわかった。長期的には送電線自体の増強は必要だが、改革をすれば送電線を効率的に運用できるということだ。つまり、非効率な部分があるのにそれがずっと放置されてきたということでもある。
エネルギー政策というと、日本国内では原発をどうするかがクローズアップされるが、世界ではいかに脱炭素社会を実現するかが問題となっており、そのために自然エネルギーの利用を促進するのが国際的潮流となっている。送電線の排他的独占運用の見直しなど変化は起きているが、世界の速度に追いつけていない。かつて日本は省エネ分野では先進国だったが、国際社会のトレンドの変化に追いつけず、気がつけば後進国になっているのが現状だ。現在はじわりじわりと国際的な「外圧」により変化を促されているが、いつ「黒船」がやってくるかわからない。今回の閣僚人事で小泉・梶原両大臣の続投が決まったことは、改革を進めていくという姿勢の現れだと思う。エネルギー政策と地球温暖化問題は、専門性が高く、いっぽうで情緒に流されやすい、そういう分野だ。注意深く改革への兆しをとらえる必要がある。日本のメディアにはいちばん苦手とするところだが、あらためて「ファクトとロジック」にもとづいてチェックしていく必要がある。 
●環境省に留任の小泉進次郎氏「クリステルサプライズ」も不満の声 9/19 
9月16日に発足した菅義偉内閣。将来の首相候補に誰がふさわしいかを尋ねるアンケートで常に上位に入る小泉進次郎環境相は、今回の人事でも重要ポストに起用されるかと注目されたが、結局は環境相への留任が決まった。9月15日の会見で「環境省が私を変革してくれた」「担当の方からかけられた言葉は一生忘れることはないと思う」などと謝意を示したが、出身の神奈川県の県連関係者は手厳しい。
「滝川クリステルさんと結婚したころから意味不明な発言が多い。環境省にさよならの挨拶をしたと思ったら、半日後には再任発表。総裁選でも、『応援したい』と支持発言した河野さんは結局、不出馬。まったく先が読めていない。これでは裸の王様ですよ」
19年9月に環境相として初入閣を果たすも、ポエムめいた発言ばかりが注目され、国際会議でもNGOから不名誉な「化石賞」を贈られるなど目立った活躍があったとは言い難い。進次郎氏を応援しているが、不満もある、と語るのはさる政界関係者。
「小池百合子都知事が環境大臣をやっていた頃は、『クールビズ』をなどの大胆な政策を次々に打ち出し、実行しました。英語力を駆使し、国際会議でも颯爽と会話していた。彼女は自分から発案して、動いた。ところが、進次郎は発案しない、動いていない。やろうと思っても権限がないからできないとか、縦割り行政だからできないとか、言い訳ばかり。もっと、小池さんに学べと言いたい」
それなのに、何故、環境相に留任できたのか。
「菅首相としては、進次郎はいつまでも華があるということを頼りにしていてはダメで、もっと努力すれば、環境相としていくらでもやることはあるし、素晴らしい実績も上げることができると考えているからだと思います」(前出の政界関係者)
昨年12月には女性実業家との過去の不倫交際が報じられるなど、女癖の悪さも露呈した。それでも結婚後は落ち着いたかと思いきや、地元からは不満の声も聞こえてくる。
「大臣就任後、支援者たちをレストランに連れていき、途中からクリステルさんをサプライズで登場させたらしい。そういうことはするのに、進次郎さんは妻に選挙を手伝わせないと宣言している。赤の他人が一生懸命応援して、身内が手伝いもしないというのはどうかと思いますね」(前出の神奈川県連関係者)
まずは自身の弱点を改革する必要がありそうだ。 

 

●防衛大臣 岸信夫(61)=初入閣
・安倍前首相の実弟。生後まもなく母の実家である岸家に養子入りした。
・高校3年まで安倍前首相と実の兄弟だったとは知らなかった。大学進学に際して戸籍謄本を取得した際に知ったという。岸氏は「私からすると高校生になっても、仲の良い親戚のお兄さんでした。それが急に兄弟だと分かって、混乱はありましたよ。だって、叔母さんがじつはお母さんで、お父さんが伯父さんだったわけですしね。自分の中で気持ちの整理が付くまでしばらくかかりました」(エンタメNEXT・2020年3月15日)と複雑な心境を吐露している。
・防衛副大臣、外務副大臣などを歴任。
●習氏、関係強化訴え 岸防衛相警戒―中国 9/16 
中国の習近平国家主席は16日、菅義偉新首相に祝電を送り、「中日は友好的な隣国で、長期的な(関係の)安定発展は両国人民の根本的な利益にかなう」と述べ、関係強化を呼び掛けた。李克強首相も祝電を発出。日本の新首相への国家主席と首相による祝電は「珍しい対応」(外交筋)で、習指導部は日本重視の姿勢を鮮明にした。
汪文斌外務省副報道局長は記者会見で「菅氏が中国と安定した外交関係を構築すると表明していることを高く評価する」と強調した。
菅首相が7年8カ月にわたり安倍晋三前首相の下で官房長官を務めたことから、中国では「中国に一定の配慮を見せた安倍氏の路線を受け継ぐ」(日本専門家)という見方が強い。15日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報は社説で「(新政権は)日米同盟を基軸として中国との関係も発展させ、利益の最大化を図る」と予想した。
一方で、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題などで、日中の立場の隔たりは大きい。中国は、安倍前首相の実弟で、台湾との関係が深い岸信夫防衛相を警戒している。汪氏は会見で、岸氏について「防衛部門の交流を強化し、『一つの中国』原則を守り、いかなる形でも台湾との公式往来を避けるように希望する」と語った。  
●岸信夫防衛大臣が防衛省で会見 「平和のために全力を尽くす」 9/17 
今月16日、防衛大臣に就任した岸信夫さんが防衛省で会見を開き、平和のために全力を尽くすと挨拶しました。
今月16日に発足した菅内閣で衆議院山口2区選出の岸信夫さんは防衛大臣として初入閣し、閣議や記念撮影に臨みました。そして今月17日の午前1時すぎに防衛省で初めての会見を開きました。
(岸 信夫防衛大臣)
「防衛大臣として、約25万人の自衛隊員とともに、国民の皆様の負託に応えるため、わが国と世界の平和と安定のために全力を尽くす所存でございます。」
またミサイル防衛に関する新たな方針を年末までに示すよう菅総理から指示され、イージス・アショアの代替案について、弾道ミサイルの脅威から国民を守るためさらに議論していくと述べています。 
●「岸信夫防衛相」に中国が慌てふためく理由 9/17 
アンシンフ――この日本人の名前に、早くも「中南海」(北京の中国最高幹部の職住地)がザワついている。昨日発足した菅義偉新政権で、新たに防衛大臣を拝命した岸信夫氏(61歳)、安倍晋三前首相の実弟である。
中国最大の国際紙『環球時報』(9月17日付)は、岸防衛大臣に関する長文の記事を発表した。そこでは、生まれて間もなく岸家に養子に出された岸信夫氏の数奇な半生を詳述した上で、次のように記している。
<岸信夫は、二つの点において注目に値する。第一に、岸信夫は日本の政界において著名な「親台派」である。現在まで、岸信夫は日本の国会議員の親台団体である「日華議員懇談会」の幹事長を務めている。第二に、岸信夫は何度も靖国神社を参拝している。2013年10月19日、岸信夫は靖国神社を参拝したが、これは兄(安倍首相)の代理で参拝したと見られている。安倍晋三本人も、2013年12月26日に参拝している>
このように、中国は警戒感を隠せない様子なのだ。
当初、「菅政権」を楽観視していた中国だったが・・・
今月の自民党総裁選の最中、ある中国の外交関係者は、私にこう述べていた。
「菅義偉新首相が誕生しそうだということよりも、その際に二階俊博幹事長が留任するだろうことが大きい。極論すれば、日本の次の首相が誰になろうと、二階幹事長さえ留任してくれればよいのだ。
二階幹事長は、日本政界の親中派筆頭で、わが王毅国務委員兼外交部長(外相)も、二階幹事長と会った時だけは、まるで旧友と再会した時のように両手を差し出し、相好を崩すほどだ。習近平国家主席にも面会してもらっている。
安倍首相は、二階幹事長の進言を聞かず、対中強硬外交に走った。だが菅新首相は、『後見人』の二階幹事長の声を無視するわけにはいかないだろう」
このように中国政府は当初、菅新政権を「楽観視」していた。だが「岸信夫新防衛大臣」の発表は、冷や水を浴びせられたような恰好なのだ。
実際、岸防衛大臣は、中国政府が「民族の三逆賊」と呼ぶ台湾の政治家(李登輝元総統、陳水扁元総統、蔡英文現総統)のうち、少なくとも二人と親友だ。李登輝氏とは長年にわたって親交があり、8月9日には、森喜朗元首相とともに、李元総統の弔問のため、台北を訪れた。
その際、蔡英文総統にも面会している。蔡総統に関しては、総統就任直前の2015年10月に日本に招待し、自分と安倍首相の故郷である山口県下関市まで、わざわざ案内している。
安倍政権下では「中国担当は兄、台湾担当は弟」で役割分担
この時、ある首相官邸関係者はこう述べていた。
「蔡英文氏の宿泊先を、首相官邸から一番近いザ・キャピトルホテル東急に決めたのも岸信夫氏だった。10月8日昼、ホテル特別室のランチの場に、岸氏は安倍首相を連れてきた。日台合わせて10数人のランチだったが、安倍首相が自分がいかに台湾ファンかを熱く語ったりして、大変盛り上がった。
だがこのランチは、安倍首相の首相動静からは削除され、日本側も台湾側も、一切極秘とした。それは、中国政府に配慮したからだった」
このように、安倍政権の7年8カ月、安倍首相が中国を担当し、弟の信夫氏が台湾を担当するという役割分担をしてきた。だが菅新政権になって、「台湾担当者」が表舞台に登壇したのである。しかもその役職は、中国政府が最も敏感な防衛大臣とあっては、中国側が穏やかでないのもむべなるかなだ。
一方、台湾(中華民国)総統府は、日本の国会で菅氏が首相に選出されるや、直ちに祝賀コメントを発表した。
<日本では今日、臨時国会が開かれ、自民党党首に選出された菅義偉官房長官を、第99代首相に選出した。これに対し、総統府の張惇涵報道官は、蔡総統はわが国の政府と国民を代表して、菅義偉首相に祝賀を表し、合わせて日本政府が菅首相のリーダーシップのもとで、順調に各種の国政を進め、国家が発展繁栄していくことを祝う。
張惇涵報道官はこう述べた。「菅首相は過去に複数回、わが国公開の場で支持している。そして双方が、自由、民主、人権、法治などの基本的価値を共有していると認めている。また、わが国が国際組織に加盟することへの支持を唱えており、台湾にとって重要な海外の友人と言える。
かつ日本と台湾との往来は密接で、日本はわが国の重要なパートナーだ。わが国はこれからも継続して、日本と多様な協力を進めていき、台日友好のパートナーシップ関係を深化させていく。それによって両国の国民の福祉を共同で推進し、地域の繁栄と発展、平和と安定を維持、保護していく>
このように、「岸信夫新防衛大臣」には触れていないが、菅新政権を手放しで歓迎するムードである。
岸氏の防衛相起用は「安倍政権の継承」の証
菅新首相が、岸氏を防衛大臣に抜擢した理由は何だったのか? 安倍政権時代の官邸関係者に聞くと、こう答えた。
「それは、安倍前首相に気を遣うと同時に、同盟国アメリカのトランプ政権に、『安倍政権の継承』を示すためだ。このところのトランプ政権は、『台湾シフト』を鮮明にしており、今後は日本にも役割を求めてくる。そうした日米台の連携に、最もふさわしいのが岸氏の起用だったというわけだ」
当の岸防衛大臣は、16日の就任会見で、官僚が用意したペーパーを読み上げて、こう述べた。
「今月11日に発表された(安倍)総理大臣の談話や菅総理大臣の指示を踏まえ、憲法の範囲内で国際法を順守し、専守防衛の考えのもとで厳しい判然保障環境において、平和と安全を守り抜く方策を検討していきたいと思います」
「11日の総理談話」とは、次のようなものだ。
<迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか。そういった問題意識の下、抑止力を強化するため、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を検討してまいりました。今年末までに、あるべき方策を示し、わが国を取り巻く厳しい安全保障環境に対応していくことといたします>
いわば安倍前首相の「遺訓」とも言うべき「敵基地攻撃能力の保有」である。「敵」とは表向きは北朝鮮だが、実際には中国だろう。
「米台vs中国」――岸防衛大臣の就任で、この米中新冷戦の「断面」に、日本も組み込まれつつある。「まずはコロナウイルスの防止に全力を尽くす」と述べた菅新首相だが、その先には、大きな地政学的リスクが横たわっている。 
●「身内」の登用、安倍氏実弟も 新内閣は安全策か恩義か 9/17 
菅義偉首相が16日、誕生し、新内閣が発足した。再任が8人に上り、女性は2人にとどまった。縁の深い「身内」もしっかり登用した。東日本大震災から10年の節目が迫る復興相には入閣待機組を充て、派閥への配慮をみせる一方、5年後の大阪・関西万博を見据えたポストも設けた。新内閣の顔ぶれを人々はどう受け止めたのか。
菅内閣では、安倍内閣からの再任が8人となった。
副総理兼財務相の麻生太郎氏(79)も再任された1人だ。麻生氏は、学校法人「森友学園」への国有地売却問題で財務省による公文書改ざんが発覚した際に辞任せず、財務省が調査報告書を公表した後は、一貫して再調査に否定的な姿勢を取り続けている。菅氏自身、官房長官時代も16日夜の首相就任の記者会見でも、再調査に否定的だった。
森友問題を追及し続けてきた大阪府豊中市の木村真市議は麻生氏の再任について、「森友問題は財務省で内部調査し、もう済んだ話だと押し通し、開き直ったようで怒りが湧くし、その厚顔無恥ぶりにあきれた」と話した。
公文書改ざんを強いられたとする手記を残して自死した財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さんも、再調査を求めている。木村市議は「安倍政権では森友問題だけでなく、加計学園や桜を見る会などの様々な問題が明らかになったが、政治家の責任はうやむやにされてきた。その安倍政権の姿勢をここまで露骨に継承するなら、政治家が責任を取るまで追及を続けていきたい」と話す。 
●米識者「防衛相は初心者」菅政権の岸氏起用に疑念 9/17 
米有力シンクタンク、ヘリテージ財団が16日に開催した日本の安全保障を巡るオンライン会合で、米識者から菅政権の閣僚起用法に疑念を示す意見が出た。岸信夫防衛相は「初心者だ」とし、厳しく評価された。17日付の韓国主要紙は閣僚の陣容を詳報するなど高い関心を示し、日韓の協力強化に期待する社説も見られた。
米軍が創設に関わり安全保障分野の研究に定評があるシンクタンク、ランド研究所のジェフリー・ホーナン研究員は、岸氏は新参者や未熟者などを意味する「ノービス」だと指摘。その上で「菅政権が敵基地攻撃能力など微妙な問題のある安保分野で大胆な措置を取るとは思えない」との見方を示した。
ヘリテージ財団の会合では、安倍前政権に関する著書があるトビアス・ハリス氏も菅政権の閣僚人事について「防衛相も含めて経験の浅い人がいる」と指摘した。
韓国の東亜日報は韓国人元徴用工問題や日本の対韓輸出規制強化を念頭に、茂木敏充外相や梶山弘志経済産業相など「韓国と関連が深い業務を担う閣僚」が再任されたため「冷え込んだ韓日関係の早期改善は難しいとの見方が出ている」と伝えた。
関係改善には韓国の知日派や日本の「知韓派」の役割が重要との記事も掲載し、韓国側では与党「共に民主党」の李洛淵(イナギョン)代表と大統領府の徐薫(ソフン)国家安保室長、日本側は自民党の二階俊博幹事長らの名前を挙げた。 
●習近平に衝撃!岸信夫防衛相の誕生とクラック米国務次官訪台  9/18 
菅内閣は台湾通の岸信夫氏を防衛大臣に据えるという凄まじい発信をした。加えて米国務次官が訪台。中国外交部の抗議のみならず国防部が「アメリカは死路あるのみだ!中国人民解放軍は黙っていない」と気炎を上げている。
菅総理、みごとな発信
新しく誕生した菅内閣は、その布陣において異論がないわけではないが、少なくとも岸信夫議員を防衛大臣に据えた事で、明確な姿勢を発信したことになる。
岸信夫議員は安倍晋三元総理の実弟で、小さいころに母親・安倍洋子(安倍晋太郎夫人)さんの実家(岸家)に養子として迎えられたという。
最初にお会いしたのは自民党本部で講演をしたときだったが、非常に誠実で控えめな人柄に深い敬意を抱いたものだ。その後、台湾問題に関係する集まりなどでも、何度かお会いしたことがある。
岸信介議員は、日華議員懇談会(日本と台湾との関係強化を目的とした超党派議員連盟)の幹事長でもあり、また自民党青年局などで構成される「日台経済文化交流を促進する若手議員の会」の会長としても活躍しておられるように、台湾との交流に熱心なことで知られる。
2015年には、まだ台湾の野党だった民進党主席の蔡英文氏の来日を実現させ地元の山口県で手厚く接待しているし、今年8月には日華議員懇談会による李登輝元総統の弔問団の一員として台湾を訪問している。
こういう人物を防衛大臣にしたということは非常に大きな脅威を中国に与える。
中国は尖閣諸島を中国の領土として譲らず、第一列島線の根拠地の一つとして台湾統一に向けてまっしぐらに走っている。
その意味でも親台議員を防衛大臣に持ってきたという菅内閣の布陣は、なかなかにみごとなものだと言っていいだろう。
習近平にはショックだろう
習近平国家主席としては、自民党の二階幹事長が続投で菅首相の背後にいる限り「日本はこっちのものだ」と高を括っていただろうが、なんと肝心の防衛大臣にタカ派で親台の岸信夫議員を持ってこられたのでは「日中友好」などと言っているわけにはいかなくなる。
かと言って香港問題にせよ台湾問題にせよ、他国が少しでも非難すれば「内政干渉だ!」として撥ねつけてきたのだから、まさか日本の新内閣の布陣に文句をつけるわけにはいくまい。。
9月17日付けの中国共産党機関紙「人民日報」の機関誌「環球時報」は、「岸信夫防衛大臣に 安倍の実弟入閣 家族の政治的栄光を守る」という、まるでイチャモンを付けるようなタイトルで岸信夫防衛大臣就任を報じた。せいぜいできるのは、このくらいだ。
家族を守るって、「あなたには関係ないでしょ?」としか言いようがない。
詳細に岸信夫氏の台湾や靖国神社参拝などに関する姿勢を伝えているが、それ以上は「内政干渉」になるので、攻撃は出来ないのである。
まるで習近平の歯ぎしりが聞こえてくるようだ。
菅首相は「桜を見る会」に関しては中止すると明言したが、どうか、「習近平国賓来日も中止します」と断言してほしいものだ。
クラック米国務次官訪台に対する中国の激しい抗議
9月17日、アメリカのクラック国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)が台湾を訪問した。かつての中華民国と米国が断交した1979年以降で訪台した国務省高官としては最高位となる。8月のアザー米厚生長官に続く米高官の訪台となった。18日夜には蔡英文総統と面会する予定だ。
クラック氏の訪台に関する中国側の抗議には実に激しいものがある。
まるで「江戸の敵(かたき)を長崎で」と言わんばかりに、岸防衛大臣に対して正面から抗議できなかった分、実行動に出たクラック氏に怒りをぶつけるという印象を受ける。
まず9月18日の環球時報は「クラック米国務副長官訪台、外交部:中国側は形勢の進展に応じて必要な措置を採る」という見出しで抗議を表明した。
そこでは「中国はこれに対して断固反対し、アメリカに対して厳正なる交渉を提出する」として「驚くべきことに米台経済と商業対話と謳いながら、実際は台湾に7種類の武器を売りに行っただけだ。それでも台湾はホルモン漬けのアメリカ豚を食べなければならないのだろう?」と皮肉り、サプライチェーンの台湾へのシフトなど口実に過ぎないと悪態をついている。
また「クラックの訪台目的が何であれ、訪台すること自体が悪行なのだ。それは一つの中国の原則を踏みにじるものであり、台湾独立を叫ぶ分裂主義勢力の傲慢を助長するものである。中国は絶対に許さない!」と激しい。
激しさにおいては中国政府の国防部(防衛省)も負けていない。
何と、使った言葉が「アメリカには死路一筋しかない」だ。
9月18日の中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTVは国防部の任国強報道官の「死路一条!」と叫ぶ声を激しく報道していた。
「人民日報」の見出しにはないが本文には「注定死路一条」という言葉が書いてあり、また、たとえば「紅星新聞」にはタイトルに「注定死路一条」という文字がある。
これは「お前には死の道だけしかない!」というニュアンスの言葉だ。
それが何十種類ものサイトに転載されている。
国防部の報道官は国務院新聞発布会で以下のように叫んでいる。
――台湾は中国の不可分の神聖なる領土だ。台湾問題は中国の内政問題である。いかなる国も干渉することは許されない。最近、アメリカと(台湾の)民進党は結託して頻繁にもめごとを起こしている。台湾を以て中国をけん制するのか、それとも西側におもねて威張るのか知らないが、うつつを抜かした妄想に過ぎず、死の道一筋しかなく、火遊びをする者は焼身自殺をすることになる!
中国人民解放軍には「堅固な意思」と「十分な自信」と「十分な能力」があり、外部勢力の如何なる干渉をも粉砕し、台独分裂行動を打ち砕き、国家主権と領土の完全性を守る抜く!
東部戦区が台湾海峡で海空合同軍事演習
まるで、「目にもの見せてやる」と言わんばかりに、9月18日、中国人民解放軍の東部戦区は海軍と空軍の合同演習を台湾海峡で行うと発表した。国防部の公式サイトが伝えた。
東部戦区の報道官は「これらの行動は現在の台湾情勢に対する対応で、国家統一と主権の安全を守るための東部戦区の戦闘能力を高めるためのものだ。戦区部隊は断固として職責と使命を履行し、如何なる人であれ、如何なる勢力であれ、如何なる形式であれ、台独分裂を策動する活動を打ち砕く」と、これも激しく威嚇している。
実は東部戦区の軍事演習に関しては、先述の国防部報道官のメッセージの後半にも書いてあるのだが、別途東部戦区の報道官が発表したものを中国政府の国防部公式サイトでも報道したので、一部ダブっている。
いずれにせよ、中国は具体的な軍事行動によって、アメリカを威嚇しようとしている。
アメリカの国務次官の訪台と、台湾を重視する日本の岸防衛大臣の誕生が、タイミング的に奇しくも一致し、習近平には相当な衝撃を与えていることだろう。その焦りが、外交部や国防部および東部戦区など複数の報道官からの発信という形に現れているように思える。
習近平は日本の新しい防衛大臣の就任に戸惑っているにちがいない。
岸防衛大臣の今後の活躍に期待したい。 
●日台防衛交流に慎重 岸防衛相 9/18 
岸信夫防衛相は18日の記者会見で、日本と台湾の防衛交流について「1972年の日中共同声明に従って適切に対応していきたい」と述べ、慎重な立場を示した。岸氏は「日本・台湾経済文化交流を促進する議員の会」会長を務め、1月には台湾の蔡英文総統とも面会した親台派。
岸氏は、中国本土と台湾を「不可分」とする中国の立場を記した日中共同声明を踏まえ、日本と台湾は「非政府間の実務的関係」とする政府見解を説明。「防衛相として、こうした立場に基づいて適切に対処したい」と述べた。台湾については「基本的価値を共有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人」とも語った。 
●河野太郎氏から岸信夫氏へ 防衛相交代の日 9/19 
内閣の顔ぶれが変わると各省で行われる大臣交代の行事。自衛隊を抱える防衛省ではかなり異色です。殉職者への献花、離任の花道……。菅義偉内閣発足を受けた9月半ばの「ある一日」を紹介します。
組閣翌日の9月17日、東京・市谷の防衛省。午前9時半に女性の声でアナウンスが流れました。
「河野前大臣の離任式は10時半から二階の講堂で行われます。幕僚監部や内局の部長等はご参集ください。11時5分からは栄誉礼です。4級以上の行政職と2佐以上の自衛官は儀仗広場から正門に並んでお見送りください」
殉職者慰霊と栄誉礼
ツイッターでの発信など何かと注目された河野太郎・前防衛相。その離任式の段取りが、実はコロナ対策も含めてこのアナウンスに簡潔に示されています。追って説明しますが、その離任式の前に大事な行事がひとつ。殉職者への献花です。
午前10時、防衛省の各棟から少し離れた「メモリアルゾーン」。音楽隊のしめやかな演奏が流れる中、河野氏が歩いて現れました。自衛隊が発足した1954年以来の、任務にまつわる殉職者約2千人の慰霊碑があります。その前に河野氏は花を供え、少し下がって数秒間、頭を下げました。
自衛隊では幸い、これまで戦死者は出ていません。それでも危険と隣り合わせの活動で亡くなった隊員を悼む行事は組織にとって欠かせず、メモリアルゾーンでの防衛相の献花は離着任のたびにあります。各地の自衛隊の駐屯地や基地でもトップによる似た行事があります。
続いて省内の講堂で離任式です。去りゆく前大臣が挨拶し、省員を代表して事務次官が謝意を伝えます。これは他省とそう違わないでしょうが、参加者には背広組と呼ばれる「内局」の官僚に加え、制服組の「幕僚監部」の自衛官もいます。
それでも今回はコロナ対策で人がまばらでした。冒頭の省内アナウンスにあったように、参加を「部長等」に絞ったためです。3年前に見た別の防衛相の離任式と比べると、密度の違いは歴然でした。
河野氏は紙を読まずに挨拶しました。在任中は終盤に地上配備型ミサイル迎撃システム、イージス・アショアの配備停止問題で大臣への報告の遅れがあり、辛口の話も出るかと私は思っていましたが、語ったのは自衛隊の人づくりの大切さと職場環境の改善。「いじめ、パワハラ、セクハラをなくさねばならない」「F35(戦闘機)よりトイレットペーパーを取ると言った気持ちは変わらない」と語りました。
クライマックスは「花道」
そして、午前11時過ぎからがクライマックスです。まず、講堂のある建物を出てすぐの「儀仗広場」で栄誉礼。音楽隊の演奏が曇り空に響く中、河野氏が儀仗隊を巡閲します。その時点で、もう花道ができています。
市谷の高台にある儀仗広場から、靖国通りに面した正門の手前まで約100メートル。下り坂と階段の両側に背広組や制服組の自衛隊員らが並びます。これも冒頭のアナウンスにあったように、「4級以上」「2佐以上」といった階級で参加者を絞っていましたが、それ以上の大勢に見えました。
河野氏が花道へと歩む中、儀仗広場で音楽隊が奏でるのは「威風堂々」。「蛍の光」の場合もありますが、送られる側が選べるそうです。
拍手の中、河野氏がその花道を下りきると、2メートルを超す防衛大臣旗を持つ旗手が階級と氏名を告げて随伴の終了を報告し、敬礼。すると河野氏はその若い自衛官に歩み寄り、メダルのようなものを手渡しました。「チャレンジコイン」という、激励を込め旗手に渡す恒例の記念品です。
スタンドの観衆のように階段を埋める自衛隊員らに、河野氏が「ありがとうございました」と大きく手を振ります。黒いワゴン車に乗り込んで正門を通り、午前11時半ごろに防衛省を離れました。
安倍前首相の弟、岸防衛相
前防衛相の離任を午前の部とすれば、新防衛相の着任が午後の部です。午後2時にまた女性の声でアナウンス。「岸大臣の着任式は15時5分から二階の講堂で行われます。幕僚監部や内局の部長等はご参集ください」と流れました。
岸信夫防衛相は午後2時半ごろ、曇り空から陽が差す中、黒い乗用車で儀仗広場に着きました。河野氏と同様に栄誉礼を受け、儀仗隊を巡閲し、メモリアルゾーンに移って殉職者慰霊碑に献花。そして、講堂での着任式に臨みました。
河野氏はすでに防衛相の職を離れていたので「挨拶」でしたが、岸氏からは「訓示」です。懐から紙を取り出し、読み上げました。
「ミサイル関連技術の高度化を図る北朝鮮は重大かつ差し迫った脅威」「中国は透明性を欠く軍事力を強化し、わが国周辺海空域での活動を活発化させている」。菅首相の指示をふまえ、「国民の生命と平和な暮らしを守るため、常に全隊員の先頭に立つ」と述べました。
岸氏が強調した防衛力と日米同盟の強化は、安倍内閣の方針を継ぐものです。岸氏の実兄は安倍晋三・前首相。幼い頃に安倍家から母方の岸家に養子に入り、祖父は同じ岸信介元首相です。就任早々の発言は「安全運転」でしたが、これから独自色を出すかどうか注目です。
引き継がれたのは何?
大臣交代に伴う防衛省らしい一連の行事はほぼ終わり、残るは他省でも見られる大臣同士の引き継ぎです。先ほど防衛省を後にしたばかりの河野氏が戻り、午後3時半から……のはずが、菅内閣で今度は行政改革担当相になった河野氏が慌ただしくなり、翌日に延期。冒頭で「ある一日を紹介」と書いたのですが、「ある二日間」になってしまいました。
引き継ぎは9月18日午後4時半ごろ、防衛大臣室でありました。「昨日はすいませんでした」と現れた河野氏を岸氏が迎え、就任祝いの花がどんと置かれた大臣の執務机の前で並んで撮影に応じます。応接のソファに移り、河野氏、岸氏の順に硯から毛筆を取り、引き継ぎ書に署名しました。
発言に聴き入る報道陣に囲まれ、河野氏が「筆が滑る音しかしねえぞ」「字が汚いのを撮られるのはやばいな」と言う中、「頭撮り」は数分で終了。引き継ぎ自体が10分ほどで終わったので、深いやり取りはなかったかもしれません。
ただ、防衛省によると引き継ぎ書は数十ページあり、在任中の出来事を中心に懸案が記され、河野氏がアショア配備停止問題で自身の反省を含め厳しい認識を示していた省内の「風通し」の悪さも含まれるそうです。
直前にあった防衛相の定例記者会見で私がこの件を岸氏に聞いたときの答えは、「風通しのいい組織を作っていきたい」とあっさりしたものでした。大臣交代がセレモニー以上の意味を持つかどうか、引き継ぎ書を読んだ岸氏の働きぶりに現れることでしょう。 

 

●内閣官房長官 加藤勝信(64)=厚労相から横滑り
・旧大蔵官僚で政策通とされる。
・加藤六月・元農水相の娘婿。その地盤を引き継ぎ、自らを漫画「サザエさん」のマスオさんと例える。
・2012〜2015年にかけて、官房副長官として官房長官だった菅氏を支えた。
・菅氏主導でつくられた内閣人事局の初代局長を務め「官邸主導人事」の先鞭をつけた。安倍政権の目玉政策とされた「1億総活躍」「働き方改革」の担当相などを歴任した。
・厚労相としては新型コロナ禍に対応したが、厚労省が受診目安としていた「37.5度が4日以上」を「誤解」と発言し批判された。
●官房長官に加藤勝信厚労相 起用の意向固める 菅新総裁  9/15 
16日に行う組閣人事で自民党の菅新総裁は、官房長官に竹下派の加藤勝信厚生労働大臣を起用する意向を固めました。
加藤氏は衆議院岡山5区選出の当選6回で、64歳。自民党竹下派に所属しています。
旧大蔵省出身で、義理の父親の加藤六月元農林水産大臣の秘書などを経て、平成15年の衆議院選挙で初当選しました。
これまでに官房副長官や一億総活躍担当大臣を歴任し、3年前に厚生労働大臣に起用されたあと、党の総務会長に就任しました。
そして去年の内閣改造で再び厚生労働大臣に起用され、新型コロナウイルスへの対応などにあたってきました。
義理の父親の六月氏は、安倍総理大臣の父親、晋太郎元外務大臣の盟友で、安倍総理大臣と加藤氏も旧知の仲で知られています。
菅新総裁としては、安倍総理大臣に近く、厚生労働行政など幅広い分野の政策に明るい加藤氏を起用することで安倍政権の継承を印象づけ、政権運営を安定させるねらいがあるものとみられます。
加藤氏は4人の娘の父親で、娘たちから教えてもらった人気のラーメン店やハンバーガーショップの行列に並ぶなどグルメな一面もあります。
日頃から体力作りを心がけていて時間がある時はエレベーターは使わず、厚生労働省が入る庁舎の10階にある大臣室まで階段であがっているということです。
官房長官への起用が固まった加藤厚生労働大臣は15日夜9時ごろ、東京 渋谷区の自宅前で記者団に対し「先ほど菅総裁とお会いして、今度の政権の中で『ぜひ官房長官を』というお話をいただいた。大変な重責で、菅官房長官が7年8か月、本当にすばらしい長官ぶりを発揮されているので、とてもそれに比肩することはできないと思うが、自分なりに頑張っていきたい」と述べました。
菅新総裁との会談については「当面の段取りを打ち合わせした。政策の中身については、特段話をしていない」と述べました。 
●“ポスト菅”「加藤官房長官」の履歴書… 9/16 
加藤氏は東大経済学部を卒業し、1979(昭和54)年に大蔵省(現在の財務省)に入省した。当時を知る同省関係者によると、「当時まだ彼は室崎勝信という名前だったんですが、特に目立つことがなくその名が挙がることはなかったですね」
彼の入省年次は「花の54年組」と言われていて、同期から木下康司、香川俊介、田中一穂の3氏が事務次官に上り詰めている。極めて異例のことだ。
「田中さんに関しては次官の器ではないと見るムキが大勢でしたが、安倍晋三首相の秘書官を務めた経験から、下駄をはかせてもらったという評価がもっぱらですね」
「この期はもともと道盛(大四郎)さんと桑原(茂裕)さんとが次官候補のツートップ。いずれにせよ、室崎(=加藤)さんの名前が出ることはありませんでした」
室崎勝信氏は1994年4月から大蔵省時代に農水相秘書官を務めたが、その際の農水相は加藤六月氏だった。
永田町関係者によると、「加藤六月さんといえば安倍晋三さんの父親、晋太郎さんの番頭として知られた人物です。晋太郎さんが率いた安倍派四天王の1人。六月さんが農水相を務めたのは、わずか2か月で退陣した羽田内閣においてだったのですが……」「六月さんは長女の康子(こうこ)さんを大蔵官僚と結婚させたがっていました。そこで白羽の矢が立ったのが室崎(=加藤)さんだったということです」
「話は順調に進み、2人は婚約したのですが、ある日、康子さんから婚約破棄の申し出があった。それからハーバード大の大学院に留学したのです」
フラれた格好の室崎勝信氏はその後、康子さんの妹と結婚。婿入りして「加藤勝信」となった。
ちなみに加藤康子さんは都市評論家として活躍。内閣官房参与などを歴任し、一般財団法人「産業遺産国民会議」の理事を務めている。
また康子さんは、8県23件の「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を「世界文化遺産」へ登録するにあたり、中心的な役割を担った人物として知られている。
話を戻すと、加藤六月氏の願いだった「大蔵官僚との結婚」も、形は違ったが果たされたことになる。
勝信氏は1995年に大蔵省を退官し、98年から六月氏の秘書に。その年の参院選には無所属で、2000年の衆院選には自民党から出馬するも落選。
「選挙に2度落選してもうダメかと言われたこともありましたが、なんだかんだとサバイブしてきましたね」(先の永田町関係者)
それでも、初当選は2003年まで待たねばならなかった。
2007年の第1時安倍改造内閣で、内閣府大臣政務官に任命。自民党が下野した後、政権を奪還した12年12月に発足した第2次安倍内閣で官房副長官に就任。初代内閣人事局長も務めた。
2015年10月に内閣府特命担当相として初入閣。17年8月から厚労相と新設された働き方担当相、18年10月から自民党総務会長、そして19年9月から再び厚労相と働き方担当相に。
「とにかく、自民党が政権与党に復帰して以降の安倍政権では、官房副長官、大臣、党3役と要職をずっとやり続けてきたわけです。閣内で同じポジションを務め続けた菅さん(義偉)や麻生さん(太郎)とはまた違った意味で、安倍さんが絶大な信頼を置いていたのは間違いない」
もちろんその信頼は、「安倍晋太郎と加藤六月」という先代の“親子関係”と無縁ではない。それに加えて、「ゴッドマザーと呼ばれる安倍さんの母・洋子さんと勝信さんの義理の母・睦子さんはとても親しい。そして2人とも“息子”たちをとても可愛がっている」
実際、2人は、政財界トップの夫人たちが集まって設立された書道サークル「雍容苑(ようようえん)」の会員であり、かつて睦子さんが週刊新潮にこう語っていたことがある。
「洋子さんは、“最近になって、ようやく上手く書けるようになってきたわ”とおっしゃっていました。彼女は書道の他に茶道も嗜まれていて、表千家同門会の山口県支部長も務めています。“父が表千家だったので私も”とお父様のことを誇りに思っているのがわかりましたね」
再び、永田町関係者の話。
「安倍さんが加藤さんを重用したのは仕事ができるということもありますけれど、洋子さんと睦子さんへの忖度がなかったわけではないでしょう」
首相の座に就くことができなかった加藤六月氏の夢を、睦子さんが義理の息子に見ていても何ら不思議ではない。
「今回の官房長官人事にしても、菅さんが安倍さんに忖度したなんて話も出ています」
最後に、先の財務省関係者はこう話す。
「加藤さんが台頭して、久々に大蔵省出身の財務相が登場するなんて言われていたんですが、財務相をスッとばして首相というのも見えてきたのかもしれませんね」 
●放射性物質含む水の処分 結論出す時期 加藤官房長官 9/17 
東京電力福島第一原子力発電所で増え続けている、トリチウムなど放射性物質を含む水の処分方法について、加藤官房長官は、水を保管する敷地がひっ迫しており、政府として結論を出すべき時期にきているという認識を示しました。
東京電力福島第一原子力発電所で増え続けている、トリチウムなどを含む水の処分方法について、国の小委員会がことし2月にまとめた報告書では、基準以下に薄めて、海か大気中に放出する方法が現実的だとされています。
また、菅総理大臣は、自民党総裁選挙の期間中、「結論を出す時期にきている」と述べていました。
加藤官房長官は、午後の記者会見で「政府として、報告書も踏まえ、幅広い関係者への説明を行い、それぞれの意見をうかがっている段階だ」と述べました。
そのうえで、「処理水を保管する敷地がひっ迫しようとしている状況を考えると、いつまでも結論を出さないということはできない」と述べ、政府として、結論を出すべき時期にきているという認識を示しました。 
●「規制改革の中核的な役割を担う」加藤官房長官 就任で 9/17 
加藤官房長官は、内閣官房などの職員に就任のあいさつを行い、菅内閣が掲げる規制改革を実現するため、中核的な役割を担ってもらいたいと呼びかけました。
加藤官房長官と坂井官房副長官は、内閣官房などの職員100人余りを前に就任のあいさつを行いました。
この中で、加藤官房長官は「縦割りを排し、前例を踏襲せず、規制改革を進める視点が内閣官房には必要だ。国民が何を考えているのかをしっかり吸収し、果敢に実行する中核的な役割を担ってもらいたい」と述べました。
また、坂井官房副長官は「未熟だが、菅総理大臣のもとで、しっかり結果を出すことを念頭に置いて、一生懸命頑張っていきたい」と抱負を述べました。
一方、西村前官房副長官も退任のあいさつを行い「内閣がかわるが、政治に一刻の遅滞も許されない」と述べ、政府への協力を呼びかけました。
西村氏は、秘書官や職員に感謝の意を伝えた際には、感極まってことばに詰まる場面も見られました。 
●「行政サービスをチェック おかしいものは是正」加藤氏 9/17 
加藤官房長官は記者会見で、菅内閣の政権運営について「国民に行政サービスが届いているのかをチェックし、おかしいものがあれば、しっかり是正していく」と述べ、縦割り行政の打破などに取り組む考えを強調しました。
この中で、加藤官房長官は菅内閣の政権運営について「今回、新型コロナウイルスを経験し、行政が提供しているさまざまなサービスが届いているのか、国民にどううつっているのかという視点から一つ一つチェックし、おかしいものがあれば、しっかり是正していくのが基本だ」と述べ、縦割り行政の打破などに取り組む考えを強調しました。
また、「縦割り110番」といった縦割り行政の弊害に関する情報を集める仕組み作りについて「『縦割り110番』を含めて、国民の声を聞いていく。どう作っていくか、河野行政改革担当大臣のところで検討してもらう」と説明しました。
一方、臨時国会の召集時期について「新政権がスタートし、政権がどういうことを目指すかも含め、国会を通じて、国民に説明していく必要がある。ただ、具体的なスケジュールに関しては与党と相談させていただきたい」と述べるにとどめました。
加藤官房長官は午前の記者会見で、菅総理大臣が16日夜、総理大臣主催の「桜を見る会」を来年以降、中止すると述べたことについて、「菅総理大臣は来年以降、少なくとも在任中はやらないということを申し上げたと認識している」と述べました。
そのうえで、安倍政権で行うとしてきた会の在り方の検討については「方針として『やらない』ということであるのに、どういう点を検討するのか。菅総理大臣の判断で1つの結論は出ているのではないか」と述べ、否定的な考えを示しました。 
●官房長官「桜を見る会」再調査せず ジャパンライフ元会長逮捕  9/18 
加藤官房長官は、18日午前の記者会見で「警察において、全容の解明に向けた所要の捜査が進められると承知しており、それを見ていく。『ジャパンライフ』については、消費者庁が4回にわたり行政処分を行うなど、悪質商法に対する厳正な対処が行われてきた。制度面でも、消費者庁で消費者被害防止のための実効的な対策を検討している」と述べました。
そのうえで、記者団が、逮捕された元会長が顧客を勧誘する際に総理大臣主催の「桜を見る会」の招待状を示していたとされることが被害を拡大させたのではないかと指摘したの対し、「『桜を見る会』の特定の個人の参加の有無について、名簿が保存されていない。招待者、推薦元は個人情報であり、回答は控えている」と述べました。
また、再調査するかどうかについては、「名簿が保存されておらず、文書はもとより、電子ファイルも廃棄済みだ。個々の招待者について今から改めて調べても確たることを申し上げることはできない」と述べ、再調査は行わない考えを示しました。
また、加藤官房長官は、「ジャパンライフ」の宣伝にみずからの顔写真が使われていたことについて、「私の事務所から、同社に対して厳重な抗議をした」と述べました。
立民 安住国対委員長「菅首相は再調査を」
立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「『ジャパンライフ』の商法では、客を勧誘する時に『桜を見る会』の招待状が使われていた。私たち野党は、安倍前総理大臣の推薦枠で招待されたものではなかったかと追及してきている。その招待状が詐欺を生む大きなきっかけになったのであれば政府の責任は非常に大きく、菅総理大臣には再調査をお願いしたい」と述べました。
公明 斉藤幹事長「桜を見る会に元会長が招待は不適切」
公明党の斉藤幹事長は、記者会見で「ジャパンライフについては、昭和40年代からいわゆるマルチ商法との指摘を受けていたと聞いている。山口元会長が『桜を見る会』に招待されていたことは決して適切なことではない」と述べました。
共産 田村政策委員長「徹底的な真相究明を」
共産党の田村政策委員長は、記者会見で「被害を拡大した大きな原因は、政治家を最大限利用して信頼できる会社だと思い込ませたやり方だ。1番わかりやすい例が、安倍前総理大臣の在任中の『桜を見る会』に関わる問題であり、政府として徹底的な真相究明が求められている」と述べました。そのうえで、田村氏は「安倍前総理大臣も、辞めたから終わりではなく、1議員として答えるべきで、国会などでの説明を求めていきたい」と述べました。 
●政府、「桜」再調査を否定=加藤官房長官「名簿廃棄済み」 9/18 
加藤勝信官房長官は18日の記者会見で、詐欺事件で逮捕されたジャパンライフの山口隆祥元会長が安倍晋三前首相主催の「桜を見る会」の招待状を顧客勧誘に利用していたことに関し、その経緯についての再調査に改めて否定的な考えを示した。「名簿も保存されていないので、個々の招待者を今から改めて調べても確たることは申し上げることはできない」と述べた。
詐欺事件をめぐっては、加藤氏自身が同社の宣伝に顔写真が使われるなど広告塔として利用された経緯がある。加藤氏は「私の事務所から厳重な抗議をしている」と述べ、無関係であることを重ねて強調。政府として捜査を見守る方針を示し、警察当局に対する協力については「今後、必要があれば連絡を取っていくことはあり得る」と説明した。  
●誤認を誘う加藤勝信官房長官の答弁手法 9/21 
加藤勝信氏が菅義偉政権の官房長官に就任した。加藤官房長官の記者会見対応は、菅義偉官房長官時代とは様相が異なっている。「ご指摘は当たらない」「まったく問題ない」といった菅元官房長官の対応に比べ、加藤官房長官は一見したところ丁寧な対応に努めているように見える。しかし、記者会見に臨む記者の方々には、いいように丸め込まれないでほしい。
筆者は2018年の働き方改革関連法案の国会審議における加藤勝信厚生労働大臣(当時)の答弁ぶりを追い、国会パブリックビューイングや著書『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』でその内容を分析してきた。その経験を踏まえ、さらに官房長官としての対応ぶりも検証しながら、「傾向と対策」をここに整理しておきたい。  
1.柔らかな語り口と、相手の意に寄り添って見せる姿勢
加藤氏の語り口は柔らかだ。菅義偉氏のようにコミュニケーションを拒絶する姿勢は示さないし、麻生太郎氏のように「そんなことも知らないの?」とマウントを取りに行くわけでもない。安倍晋三氏のように「早く質問しろよ」といったヤジを飛ばすわけでもない。そのため、一見したところ、丁寧な対応を行う誠実な人柄に見える。しかし、実際に記者が知りたいことに答える姿勢を見せているか、記者の、そして国民の「知る権利」に誠実に答えようとしているか、そこを見極めていただきたい。
官房長官としての最初の9月17日午前の記者会見で加藤氏は「官僚のご出身で、答弁などが役人気質だという評もあります」と朝日新聞の記者が指摘した際、「んふふ」と声を出しながら、柔らかな笑みを見せた(参照:首相官邸 6分41秒より)。その瞬間、一斉にカメラのフラッシュが焚かれている。菅義偉氏であれば、不愉快な表情を見せてもおかしくない場面だが、表情を見られていることが加藤氏には意識されており、感情がコントロールされていることがうかがわれる。
記者の質問の意図は、論点をずらして答えないとの指摘をどう受け止めるか、というものだっただろう。その意を汲む形で、加藤氏は、双方向のコミュニケーションを大切にするかのような答弁を次のように行っている。
「私自身は先ほど申し上げたように、一番大事なことは、国民の目線に立った行政、政治が行われているのかということと、また、この場を使って、政府が、私どもが、何をどう考えているのかということをしっかりコミュニケートしていく、このことが非常に大事だというふうに思っていますので、そういったことにも意を尽くしていきたいと思いますし、また、昨日申し上げましたけど、この会見の場は、私だけが一方的にしゃべる、ま、場合もありますけれど、基本的にはやり取りでありますから、そういった意味では、今日のみなさんと一緒になってですね、この会見というものを、先ほど申し上げた、国民のみなさんへ、政府の考え方等、まあ、理解というのはいろんな形がある、批判もあると思いますが、そういった形で、機能できるものにしたいと思います」
この答弁を見ると、菅義偉氏とは官房長官として記者会見に臨む姿勢が全く違うように見える。「基本的にはやり取りでありますから」というところでは、両手を交互に動かして「やりとり」と示しており、双方向のコミュニケーションを大切にしたいという気持ちをジェスチャーも交えながら示している。
しかし文字に起こしてその内容を子細に検討すると、実際に語っていることは「この場を使って、政府が、私どもが、何をどう考えているのかということをしっかりコミュニケートしていく、このことが非常に大事だというふうに思っています」であり、これは実は記者会見の場を「政府の立場や見解を正確に発信する貴重な機会」と捉えてきた菅義偉氏の見解(参照:首相官邸。9月14日午前、最後の記者会見、2分37秒より)となんら変わるものではない。
期待をもって聞けば、「私だけが一方的にしゃべる」場ではなく、「基本的にはやり取り」の場であるので、「皆さんと一緒になって」「しっかりとコミュニケートしていく」と聞こえる。そのように聞き取られることが意図されていると考えた方がいい。人は聞きたいように聞き、読みたいように読んでしまうものであり、その特性が利用されているわけだ。「働き方改革」とか「一億総活躍社会」とか「女性活躍推進」とか、期待を抱かせるキャッチフレーズを安倍政権が好んで使ってきたのも、人間のそのような特性を織り込んでのことだった。
実際には、「答弁などが役人気質」であると記者が指摘した際に問いたかったであろう「聞かれたことに適切に答えない」という問題は、加藤氏のこの答弁では巧妙にスルーされている。
この朝日新聞の記者は、「こうした評については気にされますか。また、そうした評は当たらないと思われますか」と、比較的自由な回答ができる形式で尋ねている。自由に答えさせてその答えを詳しく分析してみせるならよいが、そうでなく答弁を要約して示すなら「この会見の場は基本的にはやり取りの場であるので、しっかりとコミュニケートしていきたい」といった形でまとめられてしまいかねない。
筆者であればここは、
「官房長官は官僚のご出身で、答弁の際に論点をずらして答えるのが得意だという評もあります。今後、この記者会見の場では、われわれ記者の質問に対し、論点をずらさず、的確かつ誠実に答えていただけますか。これは国民の知る権利にとっても大事な問題です」
のように聞いていただきたかった。
誠実な官房長官であれば、「そのように努めたいと思っています」などと答えるだろう。加藤氏なら、どう答えるだろうか。記者会見の機会は毎日あるので、ぜひ聞いてみていただきたい。  
2.極端な仮定を置いて否定してみせる
極端な仮定を置いてそれを否定してみせ、あたかも相手の指摘や疑問はあたらないかのように答える。この手法は加藤氏に限らず、話をごまかしたいときによく使われる手法だ。
上にみた9月17日午前の記者会見で加藤氏が「この会見の場は、私だけが一方的にしゃべる、ま、場合もありますけれど、基本的にはやり取りでありますから」と語ったところがそれにあたる。「私だけが一方的にしゃべる」、そういうやり方を取るつもりはなく、「やり取り」を重視する、と聞こえる言い方だが、よく考えると「私だけが一方的にしゃべる」ということは、記者の質問の機会を認めている以上、そもそもあり得ない。なのに、「加藤官房長官は一方的にしゃべるつもりはないようだ」という印象を与える。そういう印象を与えることが、意図的に狙われているのだ。
働き方改革関連法案の国会審議においても、加藤氏(当時は厚生労働大臣)は同様の手法を使っている。
2018年3月5日の参議院予算委員会で、石橋通宏議員は、野村不動産において裁量労働制の違法適用があり、その対象となっていた労働者の方が過労自殺をして労災認定されていたことを紹介し、「加藤大臣は、もちろん知っておられたんでしょうね」と尋ねた。それに対する加藤氏の答弁はこういうものだった。
「それぞれ労災で亡くなった方の状況について、逐一私のところに報告があがってくるわけではございませんので、ひとつひとつについて、そのタイミングで知っていたのかと言われれば、承知をしておりません」
これに対し、石橋議員は「知っておられなかったと、この事案」と受け止めていた。
このように文字起こしをしてみれば、加藤氏のごまかしの手法は明白だ。一つ一つの労災事案について、逐一報告が上がってくるかと言えばそうではないので、一つ一つの事案をそのタイミング(どのタイミングだ?)で把握しているかと言えばそうではない、というのがここでの加藤氏の答弁の真の意味であり、野村不動産の件については、実は何も答えていない。何も答えていないのだが、あたかも知らなかったかのように聞こえる。「承知をしておりません」と答えているからだ。
「ひとつひとつについて、そのタイミングで知っていたのかと言われれば」と加藤氏は語っているが、本当は石橋議員は、そんなことは聞いていない。野村不動産の件を聞いているのだ。なのに、そう問われているかのように勝手に論点をずらしたうえで、極端な仮定を置いてそれを否定してみせている。「ご飯論法」との合体技だ。
他に、極端な仮定をおいてそれを否定してみせることによって、相手の指摘が当たらないかのように答えて見せる例としては、「個人的に会ったことはない(仕事の場や社交の場で会った可能性は否定されていない)」「一対一で会ったことはない(秘書などと一緒に会った可能性は否定されていない)」などがある。
「すべて……」「ひとつも……」「全く……」「一つ一つについて……」「……だけ」「一切……」などの言葉は、指摘は当たらないと主張してみせる場合に使われる。要注意だ。  
3.不都合な事実を隠す「ご飯論法」
意図的な論点ずらしの答弁手法である「ご飯論法」については、安倍政権が終わり菅政権が始まるこのタイミングで改めて話題になり、かなり認知が広がってきた。
加藤氏の巧妙な論点ずらしの答弁を広く認知してもらいたくて、筆者が「朝ごはんは食べなかったんですか?」「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」というたとえをツイッターに投稿したのは2018年5月6日。実際のどのような答弁がそれにあたるかをWEB記事に記したのは翌日5月7日。その5月7日の記事を目にしたブロガーの紙屋高雪氏がそれを「ご飯論法」として同日に言及した。
「朝ごはん」は食べたかと問われているのに「ご飯(白米)は食べていない」と勝手に論点をずらして答えるのが「ご飯論法」なのだが、なぜそうするのかと言えば、不都合な事実を答えずに済ませたいからだ。ここで言う不都合な事実とは「パンを食べた」だ。
「何も食べなかったんだな」と相手に思わせることができれば、それ以上の追及を受けずに済む。だから、嘘をつかずに、相手に逆の認識(=何も食べなかった)を与えようとするのだ。
このようなご飯論法は安倍晋三元首相や安倍政権の閣僚たちも多用してきたが、その多くはご飯論法を駆使して書かれた答弁書を棒読みしていたものと考えらえる。それに対して、加藤氏はご飯論法をアドリブで駆使できる。それだけ頭が切れる。記者には侮れない相手だ。
下記の記事で映像へのリンクを貼って紹介しているように、働き方改革関連法案の国会審議が行われていた2018年1月31日の参議院予算委員会において、加藤氏(当時は厚生労働大臣)は、浜野喜史議員の質疑に対して、アドリブでご飯論法を披露して見せた。
労働時間の規制緩和策である裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナル制度の導入という二つの法改正について、労働者側からの要請があったのかと問うた浜野議員に対し、加藤厚生労働大臣(当時)は自分でそのようなニーズを聞き取ったかのような答弁を行った。それに対し、そういう意見があったという記録は残っているのかと浜野議員が問うと、加藤氏はこう答えた。
「いま、私がそうしたところへ、向か……あの、企業等を訪問したなかでお聞かせいただいた、そうした意見、あの、声でございます」
記録が残っているか否かを答えていない。言い淀んでいるところにも注目していただきたい。言い淀んでいるのは、不都合な言質を取られないように、うまく言い繕えるよう、頭を働かせながら答えているからだ。
浜野議員はもう一度、端的に問うている。「その記録はですね、残っているんでしょうか」と。加藤氏は、あたかも記録はないと聞こえる答弁を行う。
「そこでは、その思うところを自由に行ってほしいということでお聞かせいただいたお話でございますから、記録を残す、あるいは公表するということを前提にお話をされたものではございません」
記録はないと聞こえる答弁だが、記録があると答えたか、ないと答えたか、と注意深く聞いていれば、記録の有無には言及していないことがわかる。こういう時に大事なのは、更(さら)問い(重ね聞き)だ。浜野議員は再度、問う。「私は厚労大臣を疑うわけじゃありませんけれども、記録ないわけですね。もう一度、確認させてください」と。さて、加藤氏は何と答えたか。
「公表するという意味でお聞かせをいただいたわけではありませんが、ただ、やはりそういたフランクな話を聞かせていただくということは、私は大事なことではないかと思います」
話をそらしていることがわかるだろう。先ほどは「記録を残す、あるいは公表するということを前提にお話をされたものではございません」と、「記録」という言葉を使いながら、記録はないと思わせる答弁を行ったわけだが、更問いをされたことによって、「記録」に言及するとボロが出ると思い、話をそらしたものと思われる。
これに対し、浜野議員は、「そういうふうにおっしゃいましたけれども、記録はないということでございました」と返した。実際にはその後、記録を出せ、という話になり、記録らしきものが出され、その記録の瑕疵があらわになっていくのだが、その点は上記の記事をご確認いただきたい。
このように加藤氏は、不都合な問題があるときには、聞かれたことに誠実に答えず、往々にして論点をずらす。そのことを念頭に置いて答弁を聞き、「今のは、論点をずらしたお答えでしたが……」と、ぜひその場で、更問いをしていただきたい。  
4.9月18日記者会見における「きょうのご飯論法」
9月17日に始まった加藤官房長官の記者会見は、「きょうのご飯論法」を日替わりで披露するかのような展開になっている。17日には桜を見る会の検証について北海道新聞の石井努記者に問われ、中止を菅首相が決めたのだから在り方の検討を今後行う必要はないとの認識を示した。
菅義偉氏は官房長官であった2019年11月20日に衆議院内閣委員会において、「こうした運用は大いに反省して」「全般的な見直しを行う」という姿勢を示し、「しっかり検討する時間が必要ということで、来年の開催は中止すべき、これは総理のご判断であります」と答弁していたのに、「しっかりとした反省と検討のために時間が必要だからいったん中止する」という説明から「来年以降も中止することに決めたのだから検討を行う必要はない」という説明へと、論理を逆転させたのである。
さらにその翌日の9月18日午後の1回目の記者会見では、ジャパンライフの元会長の逮捕の報を受けて、東京新聞の村上一樹記者が
「山口会長が首相の推薦であるかどうかなど、この事についてですね、たとえば今、書類が保存されていない、名簿が保存されていないって話がありましたけれども、当時の職員から聞き取ることなどはできると思います。そういった再調査、真相究明を、改めて進めるお考えは、いかがでしょうか」と問うた。
これに対し、加藤官房長官は、
「あの、それも、今、私も説明させて頂いたと思いますけれども、当時の、職員に聞いたり、あるいは文書、あるいは様々な、パソコン上の、データというのか、そういったものについても、幾度となく、ご質問を頂き、調査をしてる中で、こうした答えをさして、現在のところ、そうしたものは、残されていないということを申し上げてきているわけでありますから。この間、十分な、そうした調査は行っている、という風に、思っております。また、内容については、国会や、こうした場で、幾度となくご説明をさして頂いている、という風に思います」
と答えている。これも巧妙なご飯論法だ。
村上記者は、名簿が保存されてなくても、当時の職員から改めて話を聞くことによって、山口会長が安倍元首相の推薦であるかどうかの再調査はできるはずであり、そのような真相究明を行う考え方はあるか、と尋ねている。にもかかわらず、加藤官房長官は、当時の職員には既に聞いたし、データも調べたが、現在のところ、そうしたものは残されていない、と、名簿等の記録の有無について聞き取り調査を行ったという話にすり替えて答えている。
村上記者の「そういった再調査」とは、「(名簿の有無ではなく)山口会長が首相の推薦であるかどうか」を「(新たに)当時の職員から聞き取ること」を指しているのに、加藤官房長官が言う「そうした調査は行っている」というときの「そうした調査」とは、名簿などの記録の有無に関して既に実施済みの当時の職員への聞き取り調査へと、意味がずらされているのだ。
この場面のご飯論法は、@buu34 さんがツイッターで指摘したものだ。
このように、加藤官房長官の記者会見でご飯論法が披露された時には、それを一つ一つ記録して共有していく市民運動もできそうだ。筆者は、「きょうのご飯論法」というハッシュタグを用意してみた。  
5.誤認を誘う指示代名詞
上記の例でも「そうした調査」という表現で話をすり替えていた加藤氏だが、このように指示代名詞を巧みに使って誤認を誘うのも、加藤氏が多用する手法だ。
文字ではなく耳だけで聞いているときに「この」「その」「こうした」「そうした」といった指示代名詞を聞くと、聞く側は文脈に即してその言葉を聞く。誠実なコミュニケーションが行われている中では、それは当たり前のことだ。けれども、加藤氏はそれを悪用する。
この記事で紹介してきた他の実例の中でもそれは確認できる。「1.」の項に示した17日午前の記者会見における「この会見というものを……そういった形で、機能できるものにしたいと思います」というのもそうだ。文脈的には、双方向のコミュニケーションを大事にすることによって、この記者会見を機能させたい、という意思表明のように聞こえる。けれども文字起こしして読むと、「そういった形」とは何を指すのか、実は判然としない。
はっきり語っていることは、「この場を使って、政府が、私どもが、何をどう考えているのかということをしっかりコミュニケートしていく」ということだけであるので、「そういった形」とは、実は「双方向のコミュニケーションを大事にする」ということではなく、「政府が何をどう考えているかをしっかりコミュニケート(=伝える)していく」ことでしかないようだ。
「2.」の項で示した石橋議員に対する2018年3月5日の国会答弁もそうだ。「そのタイミングで」と語ることにより、あたかも野村不動産の過労自殺が労災認定されたタイミングで、と聞き手に思わせるが、実は「そのタイミング」とはどのタイミングなのか、その指示語の前にある表現を受けた「その」ではない。
さらに「3.」の項で紹介した2018年1月31日の国会答弁でも、加藤氏は「その方」「そうした働き方」といった表現を巧みに用いている(参照:国会議事録・第196回国会 参議院 予算委員会 第2号 平成30年1月31日)。
「また、高度で専門的な職種、これはまだ制度ございませんけれども、私もいろいろお話を聞く中で、その方は、自分はプロフェッショナルとして自分のペースで仕事をしていきたいんだと、そういった是非働き方をつくってほしいと、こういう御要望をいただきました。
例えば、研究職の中には、1日4時間から5時間の研究を10日間やるよりは、例えば2日間集中した方が非常に効率的にものが取り組める、こういった声を把握していたところでありまして、そうしたまさに働く方、そうした自分の状況に応じて、あるいは自分のやり方で働きたい、こういったことに対応する意味において、これ全員にこの働き方を強制するわけではなくて、そういう希望をする方にそうした働き方ができる、まさに多様な働き方が選択できる、こういうことで今、議論を進めているところであります」
これを聞くと、あたかも高度プロフェッショナル制度の導入を労働者がみずから望んでおり、その声を自分は直接聞き取ったかのような答弁をしていたわけだが、文字起こししてよくよく検討すれば、「その方」とは誰を指すのか、判然としない。指示代名詞とはその前に出てきたものを指すものであるにもかかわらず、「その方」にあたるものはなく、「その方」という言い方が突然、出てくるのだ。
聞いている方は、次に「例えば」として示された「研究職」の方が「その方」であるかのように文脈上、想定しながら聞くことになるが、そうすると加藤氏の詐術にはまってしまうわけだ。このときの「その方」という指示代名詞を使った詐術については、犬飼淳氏が解説している。  
6.終わりに
こうやって分析していくと、難癖をつけているように感じる人もいるだろう。しかし、加藤氏は意図的にこのようなすり替えを行っている。そのことは、研究職の方に自分で話を聞いていなかったのだから虚偽答弁だと指摘した福島みずほ議員に対して加藤氏が行った言い訳からもうかがうことができる(2018年6月12日参議院厚生労働委員会)。
福島議員は研究職の方の事例について「大臣、これ、この答弁、誰が聞いても、大臣自身が直接聞いたとしか聞けないんですが、虚偽答弁じゃないですか」と指摘したのに対し(参照:国会議事録・第196回国会 参議院 厚生労働委員会 第20号 平成30年6月12日)、加藤氏(当時は厚生労働大臣)は、「どこが虚偽答弁なんですか」「声を把握、把握していると言っているじゃないですか、聞いているなんて言っていないじゃないですか」と開き直っているのだ。
しかしこの時の加藤氏の答弁は、よく見ると支離滅裂である。「例えばというのは、研究職の中にということで例えばという言葉を通じ把握をしているということを申し上げているのであります」というところなどは、何を言っているのかわからない。
2日後の6月14日の参議院厚生労働委員会で再度この件を福島議員に問われた際には、「これ、しかも、見ていただくと、次、改行になっているんですよね、この文章」という珍答弁まで飛び出した(参照:国会議事録・第196回国会 参議院 厚生労働委員会 第21号 平成30年6月14日)。委員会室で口頭の答弁だけを聞いている側にとっては、「改行」などわかるはずもないのだが。
以上を踏まえて、記者会見に臨む記者の方々に向けて、そして加藤官房長官の記者会見を見守るすべての方に向けて、「傾向と対策」を端的に整理しておきたい。  
丁寧な姿勢には騙されるな
質問の言葉を引きながら答えていても、必ずしも聞いていることに答えているわけではないことに注意
文脈上の誤認を誘う指示代名詞に注意
論点ずらしのご飯論法に注意し、ずらされないような聞き方を
論点ずらしのご飯論法で隠されていることは何かに目を向けよ
正面から答えずに話をずらすだろうと予想しながら聞き、話をずらしたら、それを指摘してその場で更問いを
ごまかしに気づいた他の記者は、関連質問として問いを引き継いで追及を
ひっかかりのある答弁は、文字起こしをして精査を
その場で気づかなくても、午前の疑問は午後に、午後の疑問は翌日に、再度質問を  

 

●復興大臣 平沢勝栄(75)=初入閣
・元警察官僚。大学時代、安倍前首相の家庭教師を務めた。
・公明党の山口那津男代表と同じ地元で、過去に衆院選で2度戦い、勝利している。山口代表は参院へと出馬を「鞍替え」したが、こうした経緯から、過去には公明党との連立には否定的な発言をしていた。
・これまでに総務大臣政務官、内閣府副大臣などを歴任。
・2004年4月に自民党の山崎拓前副総裁が訪中し、北朝鮮側と接触。拉致議連事務局長として同行したが、政府与党内からは「二元外交になりかねない」と批判を受け、総務大臣政務官と拉致議連事務局長を辞任。
●福島高卒・平沢勝栄氏が復興相就任 9/17 
菅義偉内閣が16日、発足した。復興相に就いた平沢勝栄氏は岐阜県出身だが、父親の仕事の関係で小学校から高校まで県内で過ごした。
平沢氏と中学2、3年時に机を並べて一緒に学んだ二本松市の根本和弘さん(74)は、同級会で小学校時代の恩師が平沢氏に「末は博士か、大臣か。そう言い聞かせていた」と話したエピソードを明かし、「恩師の言葉をようやく実現できた」と就任を喜んだ。
平沢氏は勉強も運動もでき、テストの成績は抜群だった。衆院議員となってからも福島に来る機会があると、旧友との再会を楽しんだという。根本さんは「福島は原発事故の風評被害などもあり、復興は道半ば。第二の故郷の再生に力を入れてほしい」と期待した。
福島高時代に平沢氏の1学年下だった、弁護士で同校同窓会長の渡辺健寿さん(73)=福島市=は同じ東大法学部卒で、関東の福島高OBでつくる同窓会「関東梅苑会」で年に1度は顔を合わせる。「裏表なくバイタリティーあふれる人で、言葉に迫力がある。福島復興のために、日本全体で活躍してもらいたい」と話した。 
●平沢復興相が初会見 福島浜通り研究拠点財源は「国民の理解必要」 9/17 
平沢勝栄復興相は17日未明、就任後初となる記者会見を開いた。東京電力福島第1原発事故で被災した福島県浜通りに産業集積を図る国際教育研究拠点に関し、財源の手当ては国民の協力がなければ困難だとの認識を示した。
平沢氏は昨年、浜通りのロボット関連施設を視察したことに触れ「シリコンバレーや最先端の教育環境を備えた地域を目指してもいい。『災い転じて福となす』と言える街づくりを進める」と強調。「財源確保は難しい。国民の理解がないと駄目だ」と述べた。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、東日本大震災の被災地では企業の倒産が相次ぐ。「コロナは全国民が必死に闘っている問題だということを加味した上で、被災者に何ができるか考えたい」と話した。
復興相はこれまで短期間で入れ替わっている。9人目の平沢氏は「大臣に限らず平成以降は首相もくるくると1年で代わり、諸外国からはネコの目や回転ずしと呼ばれた。こうした在り方自体を変えなければならない」と問題提起した。
同日午前には、田中和徳前復興相から平沢氏への引き継ぎと交代式があった。平沢氏は職員に対し「首相や内閣のために仕事をするわけではない。被災者や国民のためとの視点を忘れず、『復興庁ここにあり』との意気込みを見せてほしい」と呼び掛けた。 
●「福島のため頑張る」 内堀知事と会談―平沢復興相 9/18 
平沢勝栄復興相は18日、就任して初めて福島県を訪れ、県庁で内堀雅雄知事と会談した。小学校から高校まで県内で過ごした平沢氏は「大好きでお世話になった福島の復興のため、全力で頑張る」と語った。
会談後の記者会見では、知事から「風評被害の払拭(ふっしょく)に力を注いでほしい」と頼まれたと説明。「福島県のスポークスマン、セールスマンになって国内外に働き掛けたい」と意欲を見せた。
菅内閣の基本方針に東日本大震災からの復興が盛り込まれなかったことを問われると、「言葉を並べるよりも現場で何をするかの方が大事だ」と強調した。  
●「拉致問題」のイメージ強いが… 平沢復興相、被災地再生に抱負 9/19 
テレビ番組で舌鋒(ぜっぽう)鋭く政治の話題にコメントしてきた平沢勝栄・衆院議員(75)=自民=が、16日に誕生した菅義偉内閣のもとで初入閣を果たした。任じられたのは、東日本大震災からの被災地の復興を担う「復興相」。衆院拉致特別委員長を務めるなど拉致問題に精力的に取り組んできた姿は浮かぶものの、自身の選挙区も東京17区(葛飾区、江戸川区)で、なかなか被災地とは結びつかない。そんな平沢氏が、就任記者会見で語った復興ビジョンの本気度はいかに。
「総理大臣は平成に18人ですよ。諸外国からみたら回転寿司のように変わると思われちゃってる」。17日未明、復興庁で行われた就任会見で、復興相が震災後からこれまでに9人代わり継続性がないのではと問われると、「安倍総理は7年8カ月やられたわけですけど、残りは平成になって何人だと思います?」と記者に逆質問し、冒頭の発言を続けた。復興相が失言などで相次いで交代したいきさつがあるのに「9人交代」に関する明確なコメントはなく、復興を担う国の司令塔として ・・・  
●復興相として念願の初入閣 国家、国民のため全力投球で仕事に励む  9/19 
安倍晋三前首相が8月28日、健康上の理由で突然の辞意を表明した。青天の霹靂(へきれき)だった。
第2次安倍内閣は7年8カ月間続いた。この間、実に多くの実績を上げた。最大の功績は、日本に長期安定政権を誕生させ、国際社会における日本への信頼感や存在感を高めたことだ。
平成の時代に入って以後だけでも、20人近くの首相が猫の目のように代わった。
英国のマーガレット・サッチャー元首相は回顧録の中で「日本は首相が頻繁に代わるので、会うたびに同じ説明をしなければならなかった」と皮肉っていたが、日本は変わった。今や「ルールメーカー」としての役割を国際社会に期待されるまでになった。
安倍前首相は病をおして国家、国民のため獅子奮迅の活躍をした。国民の多くは感謝の気持ちでいっぱいだろう。それは、辞意表明後の各種世論調査で一気に内閣支持率が跳ね上がったことからも明らかだ。
後継の首相は、官房長官だった菅義偉氏に決まった。胆力と度胸があり、土の香りもする「たたき上げの首相」だ。
ふるさと納税を立ち上げ、外国人観光客(インバウンド)の拡大などでは霞が関の官僚の反対を押し切り、成功させた。
国民の期待も大きい。菅新首相は安倍前内閣の取り組みを継承しながらも、従来の諸政策で修正すべきところは修正して、さらに国政を着実に前進させる覚悟だ。
私は菅内閣で、復興相になった。地元の支援者には「私が入閣しないと死ねない」と頑張ってくれた人も数多くいる。それだけに、念願の閣僚決定の電話を受けたときはホッとした。
私は岐阜県白川村生まれだが、福島県で育ち、県立福島高校を卒業した。福島の方々も初入閣を祝ってくれた。そうした皆さんを思うと、大臣としての責任の重さをひしひしと感じる。
福島は東日本大震災(2011年3月11日)の被災地だ。来年は、あの日から丸十年という大きな節目を迎える。
政府はこれまで被災者支援に力を尽くしてきたが、この先の10年では、最新の科学技術を誇り、スポーツも盛んな「日本で最先端の街づくり」へと復興のステージを移していければと考える。
1992年末に英国のエリザベス女王はラテン語の言い回しを使い、「今年はアナス・ホリビリス(=ひどい年)だった」と言い、話題を呼んだのをご存じだろうか。同年に居城のウィンザー城で火災があり、王族の離婚や別居などが相次いだからだ。
翻って今年の日本はどうか。新型コロナウイルス感染問題や自然災害が多発し、これまでを見ると残念な1年ともいえるが、今年はまだ終わってはいない。
菅新内閣も誕生した。今年の最後には「アナス・ミラビリス(=素晴らしい年)だった」と国民の皆さんと一緒に言える年になるよう、引き続き、国家、国民のため全力投球で仕事に励む。 
●平沢復興相、福島を訪問 就任後初 9/19 
平沢勝栄復興相は18日、福島県庁で内堀雅雄知事と面会し、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の現状について意見を交わした。就任後に被災地を訪問するのは初めて。岩手、宮城両県は23日に訪問する。
福島高を卒業するまで約11年間、県内で暮らした平沢氏は「私は福島出身。責任の重さに身が引き締まる思いだ」とあいさつ。「復興を全閣僚、全国会議員の問題として、県民の心に寄り添うべくしっかり頑張りたい」と抱負を語った。
内堀知事は「復興は市町村や地域によって状況が異なる。一律の施策ではなく、地域や自治体の状況に応じた対応が大切になっていく」と指摘した。
終了後に記者会見した平沢氏は、一部の国と地域で福島県産品の輸入規制が続いていることに関し「不当な規制の撤廃に取り組む」と述べ、風評被害の払拭(ふっしょく)に力を注ぐ考えを示した。 
●平沢復興相が来県 9/19 
発足した菅内閣で復興のかじ取りを担う平沢勝栄復興相が18日、県庁を訪れ、内堀雅雄知事と意見交換した。報道陣の取材に応じた平沢氏は「現場主義で隅々まで回り、地域の期待に応えたい」と語った。 平沢氏は、帰還困難区域について「まだ残っていることが残念。帰還を希望する人たちが早く帰れるように関係機関と連携して取り組んでいきたい」。風評被害の対策には「(私は)福島県の応援団、スポークスマン、セールスマンになってがんばることができると思う」と語った。 平沢氏は父親の仕事の関係で子どもの頃に県内で過ごし、福島高校を卒業した。 

 

●国家公安委員長 小此木八郎(55)=再入閣
・菅首相が秘書として仕え、政界入りするきっかけをつくった小此木彦三郎・元建設相を父に持つ。菅氏とは幼い頃から面識がある。
・過去にも国家公安委員長を務めた。
・石破茂元幹事長に近いと言われていたが、派閥には入っていない。
●国家公安委員長に小此木八郎氏 再入閣の意向 9/15 
16日に行う組閣人事で、自民党の菅新総裁は、国家公安委員長に無派閥の小此木八郎元国家公安委員長を再入閣させる意向を固めました。
小此木氏は衆議院神奈川3区選出の当選8回で、55歳。無派閥です。父親は、菅新総裁が秘書を務めた元建設大臣の故小此木彦三郎氏です。小此木氏も彦三郎氏の秘書を務め、平成5年の衆議院選挙に立候補して初当選しました。
衆議院安全保障委員長や経済産業副大臣などを歴任し、3年前の内閣改造で国家公安委員長に起用されました。今回の総裁選挙では菅新総裁の選挙対策本部長を務めました。菅新総裁としては、みずからに近い小此木氏を国家公安委員長として再入閣させることで、政権内の基盤を固めるねらいがあるものとみられます。
小此木氏は高校と大学で野球部に所属して、ピッチャーとして活躍しました。浜田元防衛大臣らと「Gi!nz」(ぎいんず)というバンドで活動し、チャリティー演奏会などを行っています。 
●国土強靱化、計画的に=小此木八郎国家公安委員長兼防災担当相 9/17 
小此木八郎国家公安委員長兼防災担当相 国民や現場の声に耳を傾け、自助、共助、公助による災害に強い国づくりに努める。南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模災害には、関係者と連携した対策を推進しつつ、備えに万全を尽くす。国土強靱(きょうじん)化3カ年緊急対策後も中長期的視点に立って計画的に取り組む。デジタル化の推進は内閣の重要政策。菅義偉首相からは特に、運転免許証のデジタル化について強い指示があった。サイバー空間の安全確保も進めていく。 
●運転免許証デジタル化「菅首相から強い指示」 小此木国家公安委員長 9/17 
小此木八郎国家公安委員長は17日の就任記者会見で、運転免許証のデジタル化を進めるよう、菅義偉首相から「強い指示があった」と述べた。デジタル化の具体像は固まっていないが、政府はマイナンバーカードと運転免許証の一体化を検討している。
小此木氏は「サイバー空間は国民の生活に不可欠な基盤となっており、デジタル化の推進はこの内閣の重要政策」とも述べた。 
●運転免許証のデジタル化を推進へ 9/17 
小此木八郎国家公安委員長は17日の就任記者会見で、運転免許証のデジタル化を推進すると表明した。「菅義偉首相から強い指示があった」としている。政府は6月、マイナンバー制度を活用して行政デジタル化を進める作業部会の初会合を開き、運転免許証などのデジタル化の検討を始めている。警察庁は年内に、運用開始時期を含めた工程表をまとめるという。
小此木氏は「デジタル化の推進は、この内閣の重要政策だ」と強調した。
今後、交通取り締まり現場で、有効期限などを確認するための読み取り端末を整備する必要がある。免許証とマイナンバーのシステムをどう連結するのかも課題となる。 

 

●1億総活躍、少子化担当大臣 坂本哲志(69)=初入閣
・熊本日日新聞記者、熊本県議会議員を経て国政入り。
・総務副大臣、内閣府副大臣などを経験。
・公式サイトでは「少子化への歯止め」として、「出産手当や児童手当を大幅アップ」「出産前後の父母の休暇、そして子育て事業。また学童保育の充実」などを記している。
●坂本哲志 
(1950 - ) 日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(6期)。内閣府特命担当大臣(少子化対策、地方創生)。 総務副大臣・内閣府副大臣(第2次安倍内閣)、総務大臣政務官(福田康夫改造内閣・麻生内閣)、衆議院農林水産委員長、熊本県議会議員(4期)、自民党たばこ議員連盟事務局長などを務めた。 熊本県菊池郡陣内村(現大津町)生まれ。祖父、父は特定郵便局長を務めた。熊本商科大学付属高等学校(現熊本学園大学付属高等学校)、中央大学法学部政治学科(ゼミは地方自治、行政学)卒業。大学卒業後、熊本日日新聞社に入社した。
1991年、熊本県議会議員選挙に自由民主党公認で出馬し、初当選。県議を4期務めた。
県議時代には岩下栄一や園田博之らとともに新党さきがけに入党したが、1998年に自由民主党に復党する。
2003年11月の第43回衆議院議員総選挙に熊本3区から無所属で出馬し、自民党前職の松岡利勝を破り初当選した(松岡は比例復活)。当選後、保守系無所属の新人議員5人で院内会派「グループ改革」を結成するが翌年6月にはグループ改革は解散 。その後、2004年6月には無所属のまま自民党会派に入り、山崎派に入会する。
2005年の第44回衆議院議員総選挙も無所属で出馬し、対立候補の松岡に7,892票差で敗れ、落選した。
2006年9月には対立候補だった松岡が第1次安倍内閣で農林水産大臣に任命されるが事務所費架空計上問題で追及を受け、2007年5月28日に自殺。同年7月、第21回参議院議員通常選挙に合わせた衆議院議員熊本3区補欠選挙に無所属で出馬、松岡の後援会や業界団体の支援を受ける前熊本県議の荒木義行を13,295票差で破り、国政に復帰した。当選後の8月7日、無所属のまま自民党会派に入会。なお坂本は当選後、自民党熊本県連に入党届を出したもののただちに入党は許可されず、県連は最初に不受理とした。一方で、自由民主党本部が役員連絡会で坂本の入党を認める方針を示し、正式に坂本の入党を許可した。これにより会派名が「自由民主党・無所属会」から「自由民主党」に改められた。党本部の決定ということで、県連も入党を許可した。2008年8月、福田康夫改造内閣で総務大臣政務官(担当は年金監督、行政改革、統計管理など旧総務庁の持分)に任命され、麻生内閣でも再任した。
2009年の第45回衆議院議員総選挙では初めて自民党公認で熊本3区から出馬し、民主党公認の後藤英友を6,621票差で破り、3選(後藤は比例復活)。2012年9月の自由民主党総裁選挙では石原伸晃の選挙対策本部長補佐を務めた。
2012年12月16日の第46回衆議院議員総選挙では、熊本3区で日本維新の会の新人らを破り、4選。選挙後に発足した第2次安倍内閣で総務副大臣及び内閣府副大臣に任命され、2013年10月まで務めた。総務・内閣府副大臣退任後、衆議院農林水産委員長に就任。
2014年12月14日の第47回衆議院議員総選挙で5選。
2017年10月22日の第48回衆議院議員総選挙で6選。
2020年9月16日の発足の菅義偉内閣で内閣府特命担当大臣(少子化対策、地方創生)として初入閣。  
●坂本哲志氏初入閣 地方創生担当相に 9/16 
16日発表された新しい菅内閣に、熊本3区選出の坂本哲志氏が「地方創生担当相」として初入閣した。県選出の国会議員の入閣は松岡氏以来14年ぶり。
初入閣が決まった熊本3区の自民党の国会議員、坂本哲志氏。発表を前に地元・大津町の事務所では名簿発表を前に支援者が集まっていた。事務所には花が届けられ、支援者などがその瞬間を見守った。
熊本日日新聞の記者だった坂本氏は、県議会議員を経て2003年の衆議院議員選挙に熊本3区から立候補し初当選。第2次安倍内閣では総務副大臣も務めた。地方創生のほかにも少子化大臣や一億総活躍担当大臣なども兼務し、これから担当大臣として少子高齢化や子育て支援のほか安定した社会保障の実現に取り組む。
熊本県選出の国会議員が入閣するのは2006年の松岡利勝氏以来14年ぶり。地方創生など難題にどのように取り組み存在感を出していくのか大臣としての手腕が問われる。 
●「緊張感と使命感」 初入閣、坂本氏が抱負 9/16 
菅義偉内閣で1億総活躍担当相に就いた坂本哲志衆院議員(69)=熊本3区、当選6回=は16日午後、官邸で記者団に「緊張感と使命感がふつふつと湧いている」と抱負を語った。
坂本氏は地方創生と少子化対策の担当相も兼ねる。官邸の呼び込みで菅首相から「農業と観光に目配りして地方創生につなげてほしい」とハッパをかけられたといい、「どうすれば持続的な地方の振興ができるかを考え、予算や人材を有効に活用したい」と話した。
この日は午前8時45分に東京・赤坂の議員宿舎を出発した。右手には皇居での認証式で着用するモーニング。待ち構えた報道陣に「昨夜、菅総裁から電話で入閣を伝えられた。これからがスタートという気持ちだ」と晴れやかな笑顔を見せた。
閣僚名簿の発表が始まった直後の午後3時50分ごろ、衆院議員会館の事務所で待つ坂本氏に、官邸から正式な電話連絡が入った。坂本氏は「現場の声を聞き、しっかり菅政権を支えたい」と力を込めた。 
●菅内閣発足後初めて 西村経済再生相 福岡で意見交換 9/20 
西村経済再生担当大臣が、菅内閣が発足後初めて福岡県を訪れ、九州の経済団体や小川知事らと意見交換しました。
西村康稔経済再生担当大臣は、20日午前、福岡市博多区で九州経済同友会など4つの団体の代表らと意見交換しました。
西村大臣は、菅総理が掲げるデジタル化や規制改革を前に進め「地方創生につなげていく」と述べました。
その後、西村大臣は福岡県庁を訪れ、小川知事と会談しました。
西村大臣は新たな国際金融拠点の候補地に福岡県が挙がっていることについて「アジアとの近さが大きな魅力」と話し、環境整備に向けた議論を進めていく考えを示しました。 
●西村経済再生担当大臣が東京ドーム視察 9/21 
巨人の本拠地・東京ドームの来場者の上限が1万9000人に引き上げられたことを受け、21日に西村康稔経済再生担当大臣(57)が視察に訪れた。
東京ドームでは強力な換気システムで給気量を従来の1・5倍とし、コンコースに30台の大型送風機を設置しするなど、さまざまな新型コロナ感染拡大防止対策が施されてきた。この日から上限が5000人から約4倍となるため、入場ゲートの混雑を緩和する目的で開場時間も1時間繰り上げるなどの措置も取られた。
西村大臣は原辰徳監督(62)と政府の「コロナ対策サポーター」も務めるエース・菅野智之投手(30)と面会し「スポーツ、経済、こういう活動と両立することが大事だと思いますので、ぜひモデルとなってもらいたい。国民の皆さまに夢や希望や楽しみを与えていただければと思います」と期待を述べた。
「ファンあってのプロ野球」を何度も口にしてきた原監督は「お客さんが入ることが球場としては一番華やかになる。我々は今日は待ちに待った日になりました。これからも気をつけて、我々も対策をして、野球を楽しんでもらおうと思っております」と語り、菅野も「たくさんお客さんが入るということは選手もより気合が入ると思います。しっかりお客さんがそういうものを徹底してくれた結果。満員になるのは難しいのかもしれないですけど、できる限りのことはやって最大限のプレーを見せたいなと思います」と力を込めた。 
●西村再生相、東京ドームの感染対策視察 9/21 
西村康稔経済再生担当相は21日、東京都文京区の東京ドームを訪れ、プロ野球の新型コロナウイルス感染防止策を視察した。巨人―広島戦に先立ち巨人の原辰徳監督、菅野智之投手と意見交換。換気設備や、観客に氏名、連絡先を入場までに記入してもらうといった取り組みを確認した。
視察後、西村氏は記者団に「感染防止と経済・社会活動の両立へ努力されている」と感想を述べた。今後の課題として海外のスポーツ選手の入国に触れ、「水際でどう対策を取れば迎えることができるか、検討を進めなければいけない」と指摘した。
政府は19日、新型コロナ対策で設けていた大規模イベントの参加人数制限を緩和。読売新聞グループ本社によると、東京ドームでは21日、観客数の上限を従来の5000人から1万9000人に引き上げた。 

 

●経済再生、コロナ担当大臣 西村康稔(57)=再任
・新型コロナ対策の担当相として引き続きコロナ禍に対応する。
・元通産官僚。自民党総裁選への出馬経験がある。
・安倍氏の祖父である岸信介元首相を支えた吹田ナ元自治相の娘婿。
・安倍前首相の側近として知られ、官房副長官、衆院内閣委員長、外務大臣政務官、党筆頭副幹事長などを歴任。
●経済再生担当相に西村康稔氏 再任の意向固める コロナ対策も  9/15 
16日に行う組閣人事で自民党の菅新総裁は、経済再生担当大臣に細田派の西村康稔氏を再任する意向を固めました。引き続き新型コロナウイルス対策も担当するものとみられます。
西村氏は衆議院兵庫9区選出の当選6回で、57歳。自民党細田派に所属しています。旧通産省を経て、平成15年の衆議院選挙で初当選しました。
安倍政権では内閣府副大臣としてTPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉などに携わり、平成29年には官房副長官に起用されました。
去年9月からは経済再生担当大臣を務め、新型コロナウイルス対策では特別措置法を担当し、感染拡大の防止などにあたりました。
菅新総裁としては新型コロナウイルス対策や経済再生に向けた取り組みを継続するねらいがあるものとみられます。
西村氏は自民党が野党時代、総裁選挙に立候補した経験もあります。
西村氏は、自治大臣などを歴任し3年前に亡くなった、山口県の元衆議院議員、吹田※あきら氏の娘婿にあたります。
大学時代にはボクシング部に所属し、秘境めぐりや映画、マラソンなどが趣味です。
多くの議員連盟に所属して事務局長や幹事を務め、同僚議員から「ミスター事務局長」と呼ばれていた時期もありました。 

 

●五輪担当大臣 橋本聖子(55)=再任
・元オリンピック選手。スピードスケートと自転車で7大会に出場。アルベールビル冬季五輪のスピードスケートで銅メダル。
・自由民主党副幹事長、外務副大臣などを歴任。
・政界入りした後、2000年8月に出産。国会議員の「産休制度」がつくられるきっかけに。現職の国会議員の出産は、園田天光光氏以来51年ぶり2人目だった。
・2014年、打ち上げパーティーの席上でフィギュアスケートの高橋大輔選手に対してキスを迫った「セクハラ疑惑」を『週刊文春』が報じた。
●五輪相に橋本聖子氏 再任へ 9/15 
16日に行う組閣人事で自民党の菅新総裁はオリンピック・パラリンピック担当大臣に参議院議員で細田派の橋本聖子氏を再任する意向を固めました。
橋本氏は胆振の旧・早来町、いまの安平町出身の55歳。参議院比例代表選出の当選5回で自民党細田派に所属しています。
スピードスケートや自転車競技の選手として冬と夏で計7回オリンピックに出場し、平成4年のアルベールビル大会ではスピードスケート女子1500メートルで銅メダルを獲得しました。
平成7年の参議院選挙で初当選し、党の参議院議員会長などを務めたあと、去年9月に発足した第4次安倍第2次改造内閣でオリンピック・パラリンピック担当大臣として初入閣しました。

橋本氏は参議院比例代表選出の当選5回で55歳。自民党細田派に所属しています。スピードスケートや自転車競技の選手として、冬と夏合わせて7回オリンピックに出場し、平成4年のアルベールビル大会では銅メダルを獲得しました。平成7年の参議院選挙で初当選し、これまでに外務副大臣や党の参議院議員会長などを歴任し、去年9月からオリンピック・パラリンピック担当大臣を務めてきました。菅総理大臣としては橋本氏を引き続き担当大臣に起用することで、来年に延期された東京大会を成功に導きたいという狙いがあるものとみられます。 

 

●行政改革担当大臣 河野太郎(57)=防衛相から横滑り
・父は河野洋平・元衆院議長。2002年には肝炎を患った父のため肝臓の一部を提供した。
・党内では「異端児」と評され、辛口な物言いで知られる。
・入閣前は安倍政権に対しても是々非々の態度だったが、入閣後はそうした発言は控えた。外相、国家公安委員長などを歴任。外相在任中の訪問先は77の国と地域、距離にして地球27周分を外遊した。
・Twitterのフォロワーは177万人超。発信力があるとされるが、書き込み内容を野党から国会で批判され訂正したことも。「沖縄タイムス」の記者をTwitterで「ブロック」したことも批判を受けた。
・自民党の行革推進本部長を務めたときには各省庁に対し「聖域なき無駄削減」を要求した。今回の横滑り入閣は、縦割り行政の打破を掲げる「菅首相の肝いり人事の一つ」(与党関係者)とされる。
●河野太郎氏、深夜の閣僚20人リレー会見に苦言。 9/17 
行政改革担当大臣に就任した河野太郎氏は、深夜に閣僚がリレー方式で就任会見を開く慣習に「こんなものさっさとやめたらいい」と苦言を呈した。
9月17日未明に、首相官邸で開かれた就任会見での一幕だ。
河野氏の出番は午前1時ごろ
菅政権の閣僚20人の就任会見は慣例通り、首相会見、初閣議、官邸内の階段での記念撮影などを終えた後、首相官邸の記者会見室で順番に行われた。毎日新聞によると、首相会見が夕方や夜となることが多いため、閣僚会見は深夜になることが多いという。
最初に加藤勝信官房長官が話し始めたのが、16日午後11時ごろ。そこから順に14番目に会見を開いた河野太郎氏が話し始めたのは、日をまたいで午前1時ごろだった。
記者団から「時間が限られている中で、どれぐらいのスピード感で既存の仕組みを壊していくのか」と問われた河野氏は以下のように答えた。
「スピード感……。たとえば、この記者会見も各省に大臣が散ってやりゃあ、もう今頃みんな終わって寝てますよね。それを延々、ここでやるというのは前例主義、既得権、権威主義の最たるものだと思いますんで、こんなものさっさとやめたらいいと思います。ぜひご協力をいただきたいと思います」
SNS上での反応は?
河野氏の会見での発言について、SNS上では「就任会見を夜遅くにやるのか疑問だったけど、河野太郎大臣はちゃんと指摘した」「深夜1時にまだ会見してるってどうなんだろう」「河野太郎ってこんなに改革派だったの? 知らなかった」などと歓迎する声が相次いだ。
「夜中に就任会見をやっても、国民のほとんどはリアルタイムで視聴してない」などとして、河野氏が言うように各省庁で分散して早い時間に開催すれば、準備する官僚や取材するマスコミも含めて深夜労働をしなくて済むという意見もあった。
河野太郎氏のツイート
河野氏はTwitterへのユニークな投稿で知られている。
16日深夜から17日未明にかけて、就任会見を待っている間もツイートしていた。「記者会見の順番待ち。予定でも日をまたぐことになっているが、二人目ですでに6分押し」「四人目が終わって27分遅れとか」「とうとう50分遅れ」と少し苛立った様子で、実況していた。 
●河野太郎行革相が早速「目安箱」設置 反響大きく…「さすがの行動力」 9/17 
菅義偉内閣の目玉とされている河野太郎行革担当大臣(57)が就任から一夜明けた17日、「行政改革目安箱」(縦割り110番)を自身のHPに設置した。菅首相が16日の会見でふれていたもので、新ポストで早速動きだした。
河野大臣は自身のツイッターで目安箱の設置を告知。「無駄な規制、仕事を妨げている規制、役所の縦割りで困っていること等々、規制に関する情報をお送りください。霞ケ関の住民からのインプットも歓迎します」と呼び掛けた。
目安箱には氏名、住所などを記載の上、誰でも自由に意見を書き込める。「全てのメールに河野太郎本人が目を通します」と明記されており、さまざまな声を河野大臣へ直接届けることができる。
182万人を超えるツイッターのフォロワーからは、「さすがの行動力」「早速送らせて頂きました」などと反響が相次いだ。  
●河野行政改革相 みずからのサイトに「行政改革目安箱」設置 9/17 
河野行政改革担当大臣は、菅総理大臣が重視する規制改革について、スピード感が大事だとして、みずからのウェブサイトに、縦割り行政の弊害に関する情報を誰でも投稿できる「行政改革目安箱」を設けました。
菅総理大臣は16日、河野行政改革担当大臣に対し、「縦割り110番」といった、実態に合わない規制や縦割り行政の弊害に関する情報を国民から集約する仕組みを設けるよう、検討を指示しました。
これを受けて、河野行政改革担当大臣は、みずからのウェブサイトに「行政改革目安箱」と名付けたページを設け、「縦割り110番」という名称も併記されています。
河野大臣はおよそ180万のフォロワーがいるみずからのツイッターで、「むだな規制、仕事を妨げている規制、役所の縦割りで困っていることなど、規制に関する情報をお送りください」と呼びかけていて、中央省庁の職員からの情報提供も歓迎するとしています。
一方で、氏名や住所、メールアドレスといった個人情報も併せて伝えるよう求めています。
河野大臣は、速やかに情報提供の仕組みを作ることで、菅総理大臣が重視する規制改革をスピード感をもって進めるねらいがあるものとみられます。
加藤官房長官は午後の記者会見で「菅総理大臣が言っているように『国民のために働く内閣』として、やるべきことを一つ一つ進めていくという意味では、スピーディーな対応を取られていると思う」と述べました。
そのうえで、記者団が「個人のホームページでは、情報流出の懸念もあるのではないか」と質問したのに対し、「投稿される方は、セキュリティーの状況も踏まえながら投稿されるんだろう。河野大臣も、これをベースにしながら次の展開も考えているのではないか」と述べました。
河野行政改革担当大臣は、みずからのウェブサイトに縦割り行政の弊害に関する情報を誰でも投稿できる「行政改革目安箱」を設けたことについて、「立ち上げたら、もう700通くらい情報がきて、目安箱は破裂しそうな状況だ。激励のメールや、デジタル化を早くやれというようなものもあるが、具体的な規制改革の話も多くいただいている。なるべく具体的なものからしっかり手を着けたい」と述べました。
河野行政改革担当大臣は記者会見で、国家公務員の志望者が減少しており、極めて危機的な状況だとしたうえで「霞が関のブラックな状況をホワイト化する」と述べ、むだな業務を見直し、国家公務員の働き方改革を優先的に進めていくと強調しました。
この中で、公務員制度改革を担当する河野行政改革担当大臣は、国家公務員の働き方をめぐり「これだけ、霞が関を志望してくれる人が減り、若い人が、かなり早い段階で辞めたいという状況になっているのは、極めて危機的な状況にあると言わざるをえない」と指摘しました。
そのうえで、河野大臣は「『むだな時間や作業が多い』という声と『ここで仕事をして成長できるのか』という、焦りのようなものが強く聞こえてくる。霞が関のブラックな状況をホワイト化する」と述べ、むだな業務を見直し、国家公務員の働き方改革を優先的に進めていくと強調しました。 
●河野太郎行革担当大臣「縦割り110番」設置  9/17 
菅総理大臣の肝いり政策である縦割り行政の打破に向け、河野行政改革担当大臣が、さっそく「縦割り110番」を設置しました。
行政改革を担当する河野行革担当大臣は先ほど、自身のホームページ上に「行政改革目安箱(縦割り110番)」を開設しました。
河野氏は自身のツイッター上で「無駄な規制、仕事を妨げている規制、役所の縦割りで困っていることなど情報をお送りください」と呼びかけました。  
●「価値創造する規制改革を」 河野行革相 9/17 
河野太郎行政改革・規制改革相は17日の就任後初の記者会見で「国民や社会から見て価値を創造する規制改革をやらないといけない」と述べた。個別のデータを収集、活用して政策に生かす必要性を示した。具体的に取り組む分野に関しては「全方位でやっていきたい」と答えた。
国家公務員制度も担当する河野氏は「霞が関のブラックなところを是正しないといい人材が集まらない。今の人材も逃げてしまうことになりかねない」と危機感を示した。 
●河野行革相「無駄な規制、通報して」 「縦割り110番」を開設 9/17 
河野太郎行政改革担当相は17日、役所の規制や縦割りの弊害に関する情報を受け付ける「行政改革目安箱」(縦割り110番)を開設した。河野氏の個人サイトに投稿コーナーを設置。届いたメッセージは全て河野氏自身が目を通すとしている。
「縦割り110番」は、菅義偉首相が河野氏を行革相に任命するに当たり検討を指示したばかり。スピード感を重視して個人サイトに開設したが、内閣府が運営している「規制改革ホットライン」への一元化も検討するという。
河野氏はツイッターに「無駄な規制、仕事を妨げている規制、役所の縦割りで困っていることなど情報をお送りください」と投稿。「霞が関の住民からのインプットも歓迎します」とも記し、中央官庁で働く公務員に「内部通報」を促した。
この後の記者会見では、17日夕までに約700件のメールが届いたと説明。規制改革に関する詳細な要望も寄せられたといい、「なるべく具体的なものから手を付けていきたい。やってよかった」と感想を語った。  
●河野太郎氏を行革相に起用した理由…「官僚統制」への第一歩か 9/18 
閣僚人事に隠された意図
菅義偉内閣がスタートした。注目の官房長官には、前厚生労働相の加藤勝信氏が就任した。行政改革・規制改革担当相には、前防衛相の河野太郎氏だ。官僚の手の内を知り尽くした加藤氏と突破力がウリの河野氏は、霞が関に手強いコンビになるはずだ。
事前の下馬評では、河野氏が官房長官との呼び声が高かった。だが、菅首相は加藤氏を選んだ。霞が関を束ねる仕事は財務省出身で官僚の裏表を知っており、かつ第2次安倍晋三政権の発足当時に官房副長官を務めた加藤氏が適任、と判断したのだろう。
だからといって、河野氏が外されたわけでは、まったくない。逆だ。行革と規制改革は菅政権の最重要政策である。河野氏には、持ち前の大胆さと突破力で、官僚たちの既得権益に斬り込む役割が期待されている。
河野氏が突っ込めば、官僚は悲鳴を上げて、加藤氏の下に駆け込むかも知れない。内閣府特命担当大臣である河野氏の上司は、内閣府トップで官房長官の加藤氏であるからだ。そこで、官僚を知り尽くした加藤氏が圧力を跳ね返す役回りになる。
「ボケとツッコミ」ではないが、加藤・河野両氏は百戦錬磨の官僚を相手に、双方が互いの持ち味と強みを生かして、改革を進めるだろう。いずれにせよ、この2人が菅内閣の看板政策で最重要の役割を果たすのは間違いない。
「自助、共助、公助」に込められた意味
さて、菅内閣が発足したタイミングで、新しい立憲民主党も誕生した。衆参合わせて150人の議員が結集し、彼らは「政権交代の発射台」になる、と勢いづいている。だが、それは難しいだろう。そもそも、彼らの理念と政治姿勢がおかしいからだ。
菅首相は目指す社会像として「自助、共助、公助」を掲げ、具体的な政策課題は規制改革を挙げた。これに対して、立憲民主党の枝野幸男代表は「政治の責任放棄」と批判している。共産党の志位和夫委員長も同様だ。ここが、与野党の本質的な違いである。
菅氏は「自助、共助、公助」について「まずは自分でやってみる。そして、家族や地域が助け合う。それでもダメなら、政府が責任を持ってセーフティネットで守る。そうした信頼できる国作りをしていきたい」と説明してきた。
これに対して、枝野氏は「自助を言うなら、政治はいらない。まさに責任放棄だ」と噛み付いた。そのうえで「政治の対立軸が明確になった」と批判し「我々は『支え合う社会』を目指す」と訴えている。
はたして「自助、共助、公助」は、枝野氏らが言うように「政治の責任放棄」なのか。私は、そう思わない。なぜか。自助の裏側には、規制改革という重要な政府の役割があるからだ。菅政権は、そこに全力を傾注する姿勢を示している。
自分でやってみる気概や意思がなかったら、個人はどんな存在になってしまうのか。せいぜい与えられた仕事しかしない、無気力な人間だろう。それで苦しくなったら、すぐ家族や隣人、さらに政府を頼る。文句も言う。そこには創造性も進歩のかけらもない。
まずは自分でやってみる姿勢こそが肝心で、それが社会を前に進め、経済成長を実現する源泉である。たとえば、停滞する地方であっても「オレがやってみよう」と新たな事業に挑戦する人が現れれば、それが活性化のきっかけになる。
問題は「そんな個人の挑戦を許す環境があるかどうか」だ。どんな事業も自由にできればいいが、社会には多くの規制があり、しかもそれらは時が経つにつれて、時代の変化にそぐわなくなる。そこで、絶えず規制を見直して「自由に挑戦できる環境を整える」ことが政府の役割になる。
だから、菅氏が自助の理念とセットで規制改革を打ち出したのは、まったく理にかなっている。ようするに、自助とは「政府はあなたが自由に仕事ができるように、規制を必要最小限にしますから、あとは自分で」という話なのだ。
もちろん、失敗するときもある。そのときは家族や地域社会に助けを求めればいい。これが共助だ。それでも上手くいかなければ、政府がしっかり手を差し伸べて、生活を守る。これが公助である。
野党から出た的外れな批判
ところが、枝野氏は「困っている国民を助けるのが、政府の仕事」と思っているようだ。それは菅氏が言う「公助」であり、もちろん政府の仕事の一部である。だが、それだけだったら、国民と政府がもたれあうだけで、経済は成長しない。
そもそも、経済成長のエンジン(源泉)は民間部門の自由闊達な活動だ。企業を中心にした民間部門が創意工夫を発揮し、市場経済の下、競争を通じて生産性を向上させていく。それで経済が成長していく。
ちなみに、政府や日銀といった公共部門は民間部門の、いわば潤滑油にすぎない。不況で経済がうまく回っていないときに、政府が財政出動や減税、金融緩和で景気を下支えする。だが、財政出動や減税、金融緩和自体が成長のエンジンになるわけではない。
枝野氏の「支え合う社会」という理念は「困ったときに政府が助ける」というだけで、「どうやって経済を成長させるのか」という肝心の視点が欠落している。というより、そもそも、枝野氏は経済成長の必要性を認めていない。
枝野氏の著書「叩かれても言わねばならないこと〜『脱近代化』と『負の再分配』」(東洋経済新報社、2012年)には、次のように記されている。
「1970年代の石油ショックから低成長時代に入って、パイの拡大は限られたものになった。ここ30年の政治は、パイの拡大を国民に再分配することができない状態にある。 全体のパイが大きくならなければ、個々への配分は良くて現状維持である。同時に、社会の矛盾を解消したり公平感を確保したりする過程で、コストやリスクというマイナスの側面を個々が背負うことを余儀なくされる。つまり、経済成長を前提としないパイの再分配は負の再分配を伴わざるを得ない。現代はコストやリスクをどうやってみんなで公平に分担するのかという「負の再分配」の時代に入っている。私たちは、成長幻想や改革幻想といった夢から覚めて、その現実に向き合わなければならない(同書52ページ)」
枝野氏は「もう経済成長はできないから、コストやリスクといった負の再分配が必要だ」と訴えている。「困ったときに支えるのが政府の仕事」という主張は同じロジックの延長線上にあるのだ。
枝野氏の凄まじい「ブーメラン」
と、ここまで書いたところで、なんと、枝野氏自身がかつて「自助、共助、公助が目指すべき社会」と語っていたことが分かった。後で紹介するYouTube番組の「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」でこの問題をとりあげたところ、視聴者がコメント欄で教えてくれたのだ。
それは、2005年7月29日の「年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議」での発言だった。ここで、枝野氏は次のように発言している。
「生活保護という仕組みは、本来は、なければない方が望ましい制度なんだ。まさに自助、共助、公助であって、本来は、各個人が自分の責任と自分の努力で生きていければ一番いいんだけれども、ところが、人間社会というのは必ずしもそうはできない。そうした中でお互いの助け合いという共助の仕組みがある。そして、そういうやり方の中でもどうしても救えないケースが出てくるからこそ、最後のベースとしての生活保護が存在をしているのであって、できるならば自助と共助の世界の中で、生活保護という仕組みを受ける人がいなくなる社会が我々の目指すべき社会なのではないか、私はそういうふうに思っています。」
ご覧のように、枝野氏は「自助、共助の世界の中で、生活保護を受ける人がいなくなる社会が我々の目指すべき社会なのではないか」と訴えている。こうなると、まったく、何をか言わんやだ。また、お得意の「ブーメラン」が帰ってきてしまった。
枝野氏には、せっかく常識的な主張をしていたのに、政権批判のあまり、前言をひっくり返す癖があるようだ。たとえば、憲法改正問題でも2013年9月、集団的自衛権の行使に賛成する論文を雑誌『文藝春秋』に堂々と発表していたのに、安倍晋三政権が安全保障関連法案で一部行使容認を提起すると、徹底的に反対した。
今回もまったく同じである。こういう態度では「立憲は所詮、権力闘争をしているだけ。その局面に応じて、主張をひっくり返す無責任な人たち」と、国民に受け止められても仕方がない。憲法や国家観のような根本問題でそうなのだから、話にならない。
これは枝野氏だけの問題か、と言えば、そうでもない。ブーメランは民主党時代から、彼らの得意技だった。立憲民主党はそうした姿勢を改めて、まず党内で「自分たちは何を目指すのか」を徹底的に議論したらどうか。自己批判を含めるのは当然だろう。 
●「次の総理レースへ好発進」河野氏、早くも存在感 人気取り、危うさ指摘も 9/22 
菅義偉政権が掲げる「省庁の縦割り打破」の宣伝塔として、河野太郎行政改革担当相に耳目が集まっている。発足直後に自身のサイト上に目安箱「縦割り110番」を設け、閣僚が深夜に順番に就任記者会見していく慣例にも「前例主義の最たるものだ」とかみついた。もともと国民の認知度は高い。「次の総理レースへ好発進」「人気取りばかりで地に足が着いていない」と評価は相半ばする。
河野氏の行革相は2度目。17日の会見では「今回は、国民の側から見ていかに価値をつくるかということから必要な規制改革をやりたい」と国民目線を強調。若手官僚が離職していく風潮に関しても、「霞が関のブラックな状況を何とか『ホワイト化』することの優先順位を高く」と、独特の言い回しで制度改善に意欲を見せた。
菅氏が発案した縦割り110番は、開設翌日の18日には通報と相談件数、激励メッセージが4千件を突破し、処理容量をオーバーして募集を一時止める事態に。河野氏は、ここでも「『全部読みます』と言った手前、4連休中に一生懸命、目を通したい」と当意即妙な受け答え。と思えば、19日には沖縄北方担当相として沖縄県を訪れ、玉城デニー知事と会談するなど精力的に動く。
野党時代に自民党総裁を務めた河野洋平元衆院議長を父に持ち、自身も安倍晋三政権で外相、防衛相と重量級閣僚を歴任してきた。
6月には、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」計画の断念を決断、公表。与党などから根回し不足を突き上げられたものの、世論にはその「突破力」を印象付けた。ツイッターのフォロワー数は約190万人。安倍氏が辞任表明した直後、8月末の共同通信の世論調査では「次の首相にふさわしい人」で石破茂元幹事長、菅氏に次ぐ3位に入っている。

かつて2009年の総裁選に挑んだ河野氏。今回もギリギリまで出馬を模索したが、所属する麻生派の領袖(りょうしゅう)・麻生太郎副総理兼財務相が菅氏支持で派内を一本化したため、断念した。
財界の支援を受ける自民に籍を置きながら入閣前は脱原発を公言し、同僚議員と飲食して仲間づくりに汗をかくことも少なく、「一匹おおかみ」「変人」とやゆされてきた。麻生氏は常々、「ちったぁ常識ってもんを養え。派閥の力なしに(総裁選の推薦人)20人集めることができんのか」「チャンスはいくらでもあんだから」と、地力を蓄えるようじゅんじゅんと河野氏を諭す。
武器である発信力も、一つ間違えば「もろ刃の剣」となる。昨年10月には、台風19号が甚大な被害をもたらした直後に「私はよく地元で雨男と言われた。私が防衛相になってから、既に台風は三つ」などと軽口をたたき、被災者の神経を逆なでした。ある閣僚経験者は冷ややかだ。「突破力は認めるが、世論の目ばかり気にする。おかしな方向に行かなきゃいいが」
菅氏は、総裁任期の満了する来秋を越えた本格政権を志向しているとされるが、総裁選を争った岸田文雄前政調会長や石破氏らは既に「ポスト菅」を見据える。57歳とまだ若く、同じ神奈川県選出で菅氏と良好な関係を保つ河野氏の「次」はいかに−。  

 

●デジタル担当大臣 平井卓也(62)=再入閣
・香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」の制定を後押しするキャンペーンを展開した、四国新聞のオーナー一族の出身。この条例は内容の科学的根拠のあいまいさ、制定の経緯が不透明なことで批判を浴びた。
・大手広告代理店の電通出身。地方テレビ局社長を経て政界へ。祖父は平井太郎元郵政相、父は平井卓志元労相。
・自民党内ではIT通と評される。党ネットメディア局長、デジタル社会推進特別委員長などを歴任。
・2013年、ニコニコ動画が主催した「ネット党首討論」で、社民党の福島瑞穂党首(当時)の発言に「黙れ、ばばあ!」などとスマートフォンで書き込む一方、安倍首相の発言には「あべぴょん、がんばれ」など肯定的なメッセージを送っていた。平井氏は東京新聞の取材に対し「申し訳なかったが、(国会の)やじみたいなものだ。画面には流れていなかったはずだ」と釈明した。(2013年6月29日・東京新聞)
・科学的裏付けのない有用微生物群(EM菌)の利用を目指す超党派議連「有用微生物利活用議員連盟」の幹事長。
・2020年5月、国会審議中に自身が持ち込んだタブレットでワニの動画を見ていたことで批判を受けた。毎日新聞の取材に対し、「(動画を見たのは)ほんの1、2秒」と説明。閲覧が約5分続いていたことを指摘すると「質疑を聞きながらということで。(質疑を)聞いてたからね。たまたま(動物の動画が)出ちゃった」と話した。
●平井卓也・新デジタル担当相で「ワニ」連想... 過去の言動 9/16 
2020年9月16日発足の菅新内閣で、平井卓也前IT担当相が「デジタル担当相」として入閣することが決まった。
自民党のIT分野を長年担当してきただけに実績は申し分なさそうだが、SNS上では、過去に物議を醸したこともある言動も含め平井氏の人物像にあらためて注目が集まっている。
「ワニ」「ニコニコ生放送」「条例」
平井氏は香川県出身の62歳。自民党岸田派に所属する。
父は元労働相で西日本放送と四国新聞社の会長も歴任した故・卓志氏、母は四国新聞社社主の温子氏、弟は四国新聞社代表取締役CEOの龍司氏。
上智大学外国語学部英語科を卒業後、1980年に電通に新卒入社。87年に29歳の若さで西日本放送の代表取締役社長に就任し、2000年衆院選香川一区で初当選した。以来、当選回数7回。
自民党のデジタル施策を支えるIT戦略特命委員長、ネットメディア局長、デジタル社会推進特別委員長、IT担当相などを歴任。13年に安倍晋三首相(当時)をモチーフにしたスマートフォン用ゲーム「あべぴょん」を制作するなど、「IT後進国」脱却に向けて精力的に活動してきた。
そのほか、科学的な裏付けがないとされる有用微生物群(EM菌)の推進を目指す「有用微生物利活用議員連盟」の幹事長や、クールジャパン戦略担当相、ネット上の誹謗中傷対策に関するプロジェクトチームのメンバーも務めた。
「デジタル担当相」への抜擢は、党内派閥にも配慮したとみられるが、党のデジタル分野をけん引してきただけに適任といえそうだ。一方でネット上では、過去に批判を集めた平井氏の言動をあらためて指摘し、懸念を示す声も出ている。
SNS分析ツール「ソーシャルインサイト」で、デジタル担当相への内定が報じられた15日〜16日に、「平井卓也」とともにツイッターに投稿された文言を調べると、ネガティブな文脈で「ニコニコ生放送」「書き込む」「香川県」「条例」「ワニ」が頻繁に書き込まれた。
書き込みの中身
「ニコニコ生放送」「書き込む」は、13年に動画サイト「ニコニコ動画」で生配信された党首討論での一幕を指す。社民党の福島瑞穂党首の発言に対し、平井氏が「黙れ、ばばあ!」などと罵倒する書き込みを匿名で行っていたと東京新聞が報じ、批判を集めた。一方、安倍晋三氏には「あべぴょん、がんばれ」と激励の書き込みをしていたという。
「香川県」「条例」は、20年4月に香川県で施行された「ゲーム依存症対策条例」の全国への適用を懸念する声だ。18歳未満のゲームの利用を原則1日1時間とする努力義務を課し、猛反発を浴びながらも成立した。平井氏の家族が経営する四国新聞社のキャンペーン報道「健康は子ども時代から〜血液異常・ゲーム依存症対策への取り組み〜」をきっかけに、条例制定の機運が高まったとの受け止めが強いようで、
「あの香川県のゲーム規制条例を推進していた四国新聞の経営者一族ですよね...。まさか全国でやったりはしないですよね?」(ツイッターより)
といった声が出ている。
「ワニ」は、平井氏による国会での「ワニ動画」閲覧のことを示す。検察庁法改正案をめぐる2020年5月13日の衆院内閣委員会で、審議の際中にもかかわらず、自身のタブレット端末で「ワニ動画」を鑑賞していたことが発覚し、猛バッシングを浴びた。
なお、動画は「Oyster Bay Golf Links - Alligator」というタイトルでユーチューブにアップされている。米ノースカロライナ州のゴルフ場に現れた巨大なワニが大きな石のようなものを口にくわえ、のそのそと歩いている姿のみが映されている。
もっとも、平井氏の手腕に期待する声も少なくない。
IT大手ヤフーの川邊健太郎社長は、菅義偉新総裁が打ち出した「デジタル庁」創設をにらみ、「デジタル庁創設を担うであろうデジタル化担当大臣は平井卓也さんが就任との報道。Y!みんなの政治を06年にリリースした時に自民党の担当が平井さんでした。以後十数年ずっとIT分野の政策を自民党内で担われている方なので最良の人事かと。ぜひ平井さんをしてエンジニア出身の長官を見出してほしいです!」とツイッターでエールを送った。 
●平井卓也 デジタル改革担当大臣に就任しました 9/17 
菅内閣が発足しました。私もデジタル改革担当、IT政策担当、マイナンバー制度担当大臣として、その一員に加えていただくことになりました。地元の皆さまのご支援のおかげであり、そのご恩に報いるためにも全身全霊で職務に励む覚悟です。
新設されるデジタル庁は、役所の縦割りを打破することを目的に、省庁や自治体の垣根を越えてデジタル化を実現する組織です。コロナ禍において、10万円申請の際の不具合や、医療、教育の場でもオンライン化の遅れが指摘されました。それらを解決するための人間中心のデジタル化であり、菅総理肝入りの看板政策です。全ての国民がデジタル化の恩恵を享受できるよう全力で取り組んで参ります。 

 

●万博担当大臣 井上信治(50)=初入閣
・開成中学・高校、東大法学部を経て、旧建設省に入省。在職中に英ケンブリッジ大学修士課程に留学、修了。
・2003年に自民党から出馬、政界入りした。
・地元は東京だが、読売新聞(2020年1月9日)の取材に対し「電力の大消費地は、立地地域の負担の上に恩恵を受けている」として原発政策をライフワークとしていると述べた。
・原発が安全神話を作り上げたことは大いに反省すべきだとし、「科学的、技術的に安全性を追求するとともに、放射能について正しい知識を持ってもらう。大切なのは原子力政策を推進するか否かと、国民世論が二項対立に陥っている今の状況を脱することだ」(2020年1月9日・読売新聞)と語る。 
●「万博担当大臣」井上信治氏はどんな人? 9/16 
第99代内閣総理大臣に菅義偉自民党総裁が選ばれ、新内閣が発足します。その中で、大臣ポストを1つ増やして新設されたのが、2025年開催の「大阪・関西万博」の担当大臣です。関西にとって特に注目の『万博担当大臣』には、東京25区選出の井上信治氏が選ばれました。
この井上信治氏、関西人の皆さんはご存知でしょうか?街中で聞いてみました。
(20代)「知らないです。」
(60代)「井上さんって、あまり知らないですねぇ。」
(40代)「知らないです。なんで?お祭りが得意とか?」
井上万博担当大臣とはどんな人なのでしょうか。井上氏は東京生まれ東京育ち。国交省の官僚を経て、2003年に東京25区から初当選。環境副大臣などを歴任し、原発事故後の除染の実施などに取り組みました。麻生派に所属し、当選6回で今回が初入閣です。
9月16日朝、MBSが井上氏を直撃取材すると…。
(記者)「万博担当大臣、おめでとうございます。」
(井上氏)「ありがとうございます。」
(MBS)「大阪に縁はございますか?」
(井上氏) 「大阪自体は何度も行っていて、友人や仲間もいて、私にとっても好きな地域ですから、大変光栄なことだと思っています。日本人がみんな楽しみにしているので、必ず成功させないといけない。」
万博の開催には、大阪市の松井一郎市長、大阪府の吉村洋文知事との連携は欠かせません。
(万博担当大臣 井上信治衆院議員) 「実はそのお二人とは面識がないんです。もちろん維新所属の国会議員の皆さんとはそれぞれ色んなつながりもありますので、維新の皆さんとも一緒に仕事ができるということを楽しみにしています。」
吉村知事も新大臣に期待を寄せます。
(大阪府 吉村洋文知事) 「東京選出の方ですけども、大阪は僕も松井市長も個性が強いですから、そういう意味ではバランスがとれていいのではないかなと。スマートな東京の選出の方が日本の万博を率いるということで、僕たちも協力して、突き抜けた万博をぜひ実行していきたい。」
一方、大阪の“ある自民党議員”からは、万博担当大臣に地元の国会議員が選ばれなかったことへの恨み節が…。
(大阪の自民党議員) 「大阪の国会議員はダメということか。我々は『都構想』でも冷や飯を食わされているが、菅さんは維新を大事にしているから、今回も気を使ったのだろう。」
2025年の万博成功に向け、新大臣の手腕が問われます。  
●大阪の吉村洋文知事が井上信治万博担当大臣に期待 9/16 
大阪府の吉村洋文知事(45)が16日、大阪府庁で定例会見を開いた。退任する安倍晋三前首相(65)に「7年8か月、日本を引っ張っていただいたことに感謝申し上げたい。お疲れさまでした」と謝辞を述べた後、第99代首相に選出された菅義偉氏(71)に「万博、大阪の改革など関係を築き進めてきた。万博担当大臣とも大阪が世界に貢献できるように連携して進めたい」と期待した。
井上信治元環境副大臣(50)が、新設された万博担当大臣に任命されたことについては、「小泉進次郎さんに継いで2番目に若い。若さで、固定観念にとらわれない新しい万博にしたい」と期待。一方で、関西出身者ではないことについては「大阪は僕も松井(一郎)市長も個性が強いですから、地元は個性派ぞろい。逆にスマートな方が率いて、突き抜けた万博にしたい。(井上大臣とは)直接の面識がないので、早く会って説明したい」と歓迎した。  
●井上万博担当相、「現地で意見交換したい」 9/17 
井上信治万博担当相は17日の記者会見で、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)が開かれる大阪府の吉村洋文知事との会談について「調整中だ」と述べ、今週末にも大阪府を訪問する意向を示した。「まずは現地に伺い、地元の方々といろいろ意見交換したい」と話し、円滑な開催に向けた連携を進める。
井上氏は「東京の者が担当大臣になることは、関西にとどまらず、日本全国で成功させていくということの表れだ」とも語った。大阪・関西万博を東京五輪・パラリンピックに続く、国を挙げた国際イベントとして取り組む意欲を示した。 
 
 
 

 

●NHKが菅義偉官房長官の露骨すぎるヨイショ記事! 2018/7 
〈「あの人の体力と精神力はどうなっているのか」 菅義偉(すが・よしひで)69歳。タフな政治家がそろう永田町でも、驚きをもって語られる。いまでは数少ない、たたき上げの政治家。酒もたばこもやらない姿は、まるで修行僧。〉  
こんな書き出しで始まる政治コラムが7月25日に掲載され、永田町でちょっとした話題になっている。見るからに提灯記事とおぼしき書き出し。掲載したのは、菅氏の後援会誌でも、自民党の広報誌でもなければ政府御用達の産経新聞でもない。国民から受信料を徴収するこの国の公共放送「NHK」だというから、驚くほかない。
実は、NHK政治部はこのほどウェブサイト「政治マガジン」なるものを立ち上げた。政治部員約60人が総力をあげて手がけているという触れ込みで、毎週水曜日に最新号が掲載される。まるで週刊誌の中吊り広告のような目次ページが目を引く体裁だ。
「テレビでは伝えきれない政治の舞台裏や隠れたエピソード」などとうたうが、実際のところ、安倍首相の番記者が毎日の動静をまとめて垂れ流すものや、著名な政治家のランチタイムなどどうでもよい日常生活をウオッチした提灯記事のラインナップだ。
なかでも、菅氏の記事は鼻持ちならない大提灯記事に仕上がっている。その記事の中身をみてみよう。
タイトルは「菅義偉、彼は何を狙うのか」。コラムでは、官房長官在任期間歴代1位となった菅氏について「官房長官の日程は、ほとんど公表されない」と前置きしながら、密着取材で明らかになったという「官房長官動静」を公開している。こんなシーンから始まる。
〈5:00 起床。主要新聞すべてに目を通し、6時のNHKニュースもチェック。読売新聞に掲載される「人生案内(読者の悩みに有識者が答える)」は必ず読むという。6:40 毎朝40分のウォーキング。〉
このウォーキングは菅氏の写真入り。長袖ワイシャツにスーツのズボン姿という、どうみてもよそ行きの装いになっているのが不自然だ。
このあとも、〈7:30 ホテルで朝食〉では与野党の政治家、財界人、学者、官僚と会食している様子や、〈10:40 午前の記者会見に向けた打ち合わせ〉では秘書官のレクを受ける様子を写真入りで掲載している。
しかし、そのあとの〈11:00 午前の記者会見〉は〈「何回もやっているが、毎回、緊張感がある」〉との菅氏のコメントがあるだけで、肝心の仕事内容については何も触れられていない。当然のことだが、今やネット中継で名物になっている東京新聞の望月衣塑子記者による追及シーンは一切触れられていない。
代わりに、菅氏が昼食のそばを5分でかき込むシーンや、甘党の菅氏が好物のパンケーキを食べる様子など、どうでもいい内容がダラダラと続く。
だが、後半にさしかかると、提灯記事の真骨頂が発揮される。書き出しは、〈民意とは相いれないとも言える政策を推し進める一面も兼ね備えている。その代表例が、沖縄県のアメリカ軍普天間基地の移設計画だ。沖縄では根強い反対論があり、移設計画に反対を掲げた翁長知事もおよそ4年前に当選した〉と批判的なポーズをとるのだが、最後はその行動をこう解説してみせるのだ。
〈しかし、その直後の記者会見でも、菅氏は微動だにしなかった。移設計画を白紙に戻せば、長らく日米両政府間でトゲとなってきた問題が漂流しかねず、批判を受けても、長い目で見て基地の返還が進めば、県民の利益につながるはずだという判断からだと見られる〉
あまりに無節操な持ち上げぶりだが、そのあとも、公明党や支持母体の創価学会と太いパイプを持っていること、自民党内の中堅・若手議員との勉強会などを重ね、75人の無派閥議員を束ねる一大勢力を築いていることなど、菅氏のアピールが続く。この内容の提灯ぶりは、いくら大物政治家に弱いNHKとはいえ、前代未聞だろう。
さらに、すごいのは、結論だ。コラムはこんな一節で締められている。
〈菅氏は自らの今後について多くを語らないため、永田町では『ポスト安倍』『幹事長狙い』などの風聞が流れる。しかし、安倍氏と菅氏の信頼関係は、第1次安倍政権が終わった後、ともにどん底から這い上がる過程で、より強固なものになり今に至っている。菅氏は、自らが再起を促した安倍氏を支えるため、幹事長よりも総理大臣との一体感が強い官房長官として最後まで支えるはずだ。安倍政権が続く限り、官房長官続投とみた。〉
まるで、菅の官房長官続投を安倍首相にアピールするような締めになっているのだ。いや、実際に永田町ではではこのNHKの『政治マガジン』の記事について、「菅さんが猟官運動のためにNHKに書かせたものではないか」という見方が広がっている。
「安倍三選の予想が強まるなか、自民党総裁選の後に控える人事をめぐって、安倍首相を擁する派閥『清和会』は菅官房長官のすげ替えを要求しています。菅氏は幹事長ポストの用意があれば横滑りをする構えですが、幹事長ポストを安倍首相がやすやすと認めるとは思えない。情勢の悪化を懸念した菅氏は、官房長官留任の流れをつくろうとNHKを使ったんじゃないでしょうか」(全国紙政治部記者)
実際、先日は西日本豪雨のなか、菅氏が無派閥議員を連れて首相公邸に極秘裏に入るシーンが報じられた。これは、菅氏が官房長官ポストをもらい受けるために自分の影響力が強い無派閥グループを安倍首相に差し出したものといわれる。そうした動きと連動するかたちで、NHKのこの記事は配信されたのではないか、というのだ。前出の政治部記者があきれ顔で続ける。
「NHKの記事は、明らかに菅氏の猟官運動と連動したものでしょう。しかし、ここまで露骨な提灯記事を書くというのは、幾ら何でも露骨すぎると、悪評紛々です」
政権批判を一切やらなくなったテレビ朝日の『報道ステーション』もそうだが、安倍三選確実の情勢を受けてマスコミは再び、一斉に安倍政権に恭順の意を示しはじめたということらしい。 
●史上最悪の極右内閣が誕生! 2019/9 
本日発表された第4次安倍再改造内閣。すでに事前のマスコミによる入閣報道の時点で、その顔ぶれから“史上最悪の極右内閣”になることは確定していたが、あらためて新閣僚の過去の発言やトンデモ思想、差別性をチェックしてみると、本当にこの国は行くところまで行こうとしているとしか言いようがない。
そもそも、今回の内閣改造の最大の特徴は、現政権の極右政策の旗振り役を務めてきたり、メディアへの圧力を担ってきた“側近”たちで要所をガチガチに固める布陣。つまり、安倍首相の極右思想を具現化したようなメンツだ。
その筆頭が、一億総活躍担当相として初入閣した衛藤晟一参院議員だ。一億総活躍の他に領土問題、沖縄北方、海洋政策なども担当するが、これは安倍首相の極右イデオロギーをモロに反映させた采配だろう。
そもそも衛藤氏は、学生時代には当時「大日本帝国憲法復元」を主張していた宗教団体・生長の家の活動家で、日本青年協議会の委員長を務めるなど、日本会議をその前身から支えてきた筋金入りの極右だ。政界入り後は、自身の初当選から1期遅くれて当選した安倍氏を弟分として可愛がり、まさに“右派の家庭教師”として極右イデオロギーのイロハを叩き込んだとされる。まさに長年、安倍氏と二人三脚で極右政策を推進してきた存在だ。
たとえば、若手時代には安倍氏らとともに「歴史・検討委員会」に参加。この委員会は、のちに「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(教科書議連)に発展し、自民党内で慰安婦問題の否定など歴史修正主義の中心的役割を担ってきた。「SPA!」(扶桑社)1995年7月12日号では、日本の戦争責任を〈侵略か否かの問題は、当時侵略という定義はなかったわけで、非常に判断が難しい〉などと語り、大日本帝国による韓国併合についても平然とこう吐き捨てている。
〈韓国併合にしても1910年だから、85年も前の話ですよ。85年前のことを謝罪せよと言われても、「確かにつらかったね」としか言いようがないと思います。特に韓国とは、’65年の日韓基本条約で区切りがついているわけだし、当事者でもなく、当時の歴史もよくわからない人が謝罪するというのはおかしな話じゃありませんか。〉
現在も日本会議国会議員懇談会の幹事長をつとめ、選挙でも日本会議の支援を受けている衛藤氏は、いわば、日本会議と現政権の“直接的窓口”だ。
一例をあげると、日本会議は「令和」の新元号を天皇の代替わりより前に公表することに「遺憾の意」を表明したが、このとき“日本会議側から安倍首相へのメッセンジャー”として官邸に働きかけたのが衛藤氏だ。また、2016年の明仁天皇(当時)によるいわゆる「生前退位のおことば」をめぐっては、安倍首相から事前検閲を指示された衛藤氏が、“万世一系の神話的イメージ”を維持するために天皇・皇后の考えた文章を削除したこともわかっている(伊藤智永『「平成の天皇」論』講談社)。
衛藤氏の入閣は、安倍首相が日本会議に代表される戦前回帰的極右団体との協力関係にまた一段ギアを上げたことを意味している。「日本会議の生みの親」とも呼ばれる村上正邦・元参議院幹事長は、2016年の雑誌のインタビューでこう発言していた。
「もし安倍さんが日本会議の言い分を尊重しようとしているなら、衛藤晟一(首相補佐官)を大臣にしているはずですよ。だけど、入閣させてないということは、そういうことですよ。日本会議の象徴は、稲田(朋美・防衛相)じゃない。稲田だとみんな言うが、衛藤ですよ」(「週刊ポスト」2016年9月2日号/小学館)
その“日本会議の象徴”である衛藤氏を、とうとう安倍首相は大臣に任命した。第二次安倍政権以降、不動の首相補佐官を任せていたが、これからはアドバイザーとしてだけでなく、領土や領海を担当する大臣として、表立って安倍政権の極右政策やタカ派外交を現実化させてほしい──そういう安倍首相の考えがダダ漏れになっていると言わざるを得ない。
そして、この衛藤氏に比肩する“極右新大臣”が、文科相として初入閣する萩生田光一衆院議員だ。萩生田氏については昨日の記事でも、加計問題を中心にその大臣としての資格のなさを指摘したが、あらためておさらいしておこう。
そもそも萩生田氏は、安倍氏が第一次政権を放り投げ、自民党内で求心力を失った時期においても、ずっと“忠犬”として尽くしてきた側近中の側近だ。2014年の総選挙では、『NEWS23』(TBS)に安倍首相が生出演した際、アベノミクスに対して批判的な街頭インタビューを流し、安倍首相が「厳しい意見を意図的に選んでいる」と陰謀論まがいの主張をまくしたててブチ切れると、萩生田氏はすぐさま在京キー各局に恫喝文書を送りつけるなど、報道圧力の尖兵としても動いてきた。
萩生田氏の思想は戦前回帰的なゴリゴリの極右だ。2014年10月にはBS番組で、河野談話について「もはや役割は終わった。骨抜きになっていけばいい」「(安倍首相による)戦後70年談話で、結果的に骨抜きになるんじゃないか」と発言するなど、歴史修正をむき出しにしてきたが、その危険性は教育行政のトップに就いたときにこそ最大限に発揮されるだろう。
たとえば、性差別的な発想だ。萩生田氏は2007年に、日本会議の設立10周年大会にメッセージを送り、〈入会直後直面した、「行き過ぎたジェンダーフリー教育、過激な性教育」対策では日本会議の識者の先生方の後押しもいただき、党内でも問題を喚起し、ジェンダーの暴走をくい止め、正しい男女共同参画社会へと路線を変更する事ができました〉などと自慢げに報告している。この「行き過ぎたジェンダーフリー教育」云々というのは、日本会議が男女平等を否定し、“女は家の中にいろ”という前時代的価値観を喧伝するときに使うレトリックだ。
実際、先日の参院選では、自民党の三ツ矢憲生衆院議員が吉川有美候補の応援演説で「一番大きな功績は子どもをつくったこと」と、性差別丸出しの発言をし問題になったが、このときも、街頭演説に同席していた萩生田氏は「母親になって一つ大きくなった候補を応援してほしいという趣旨だ」と擁護していた。これは「功績は子どもをつくったこと」発言の問題点をまったく理解していないだけでなく、逆に「母親になること=女の仕事」かのような萩生田氏の差別意識を露わにしたとみなす他ないだろう。
他にも、昨日の記事でも触れたが、萩生田氏は2013年、安倍首相の「(現行の教科書検定基準には)伝統、文化の尊重や愛国心、郷土愛について書き込んだ改正教育基本法の精神が生かされていない」と発言したことを受け、自民党の「教科書検定の在り方特別部会」の主査に就任した。同部会は「自虐史観に立つなど、多くの教科書に問題となる記述がある」と教科書批判を展開。教科書会社の社長や編集責任者を呼び出し、〈南京事件や慰安婦問題、竹島などの領土問題、原発稼働の是非などに関する教科書の記述〉について聞き取りをおこない、議員らが「経緯の説明が足りない」「偏っている」などと意見する(朝日新聞2013年6月4日付)など、露骨な“圧力”行動に出たこともある。
さらに象徴的なのが、前川喜平・元文科事務次官がきのう投稿したツイートだ。
〈やっぱり萩生田文部科学大臣か。ひどいことになるだろう。彼の議員会館の事務職には、教育勅語の大きな掛軸が掛けてあった。〉(原文ママ)
教育勅語の掛け軸をかけていたというこのエピソードからも、萩生田氏の目指す教育が、いかに戦前回帰的なものであるかは明らかだろう。
いずれにしても、安倍首相はこれまでの萩生田氏の“忠犬”ぶりを買って、教育行政のトップに起用したのだ。萩生田氏が文科大臣としてやることは明らかだろう。お得意の“圧力”でどんどん現場から自由や平等・反差別の教育を「骨抜き」にし、歴史修正主義を加速させ、安倍政権による改憲を後押しするため、かならずやトンデモな教育行政を推し進めていくはずだ。
さて、初入閣組ではこの衛藤氏と萩生田氏が攻撃的な極右政治家の“ツートップ”だが、だからといって、他の面々がまともなわけでは決してない。
たとえば、経産相に起用された菅原一秀衆院議員は、自民党の元ネットメディア局長で、ネトウヨの巣窟である別働ステマ部隊「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC、通称ネトサポ)の親玉。元愛人に「女は25歳以下がいい。25歳以上は女じゃない」「子供を産んだら女じゃない」と女性差別丸出しの暴言を繰り出した過去を「週刊文春」(文藝春秋)にすっぱ抜かれたこともある。
また、法相の河井克行衆院議員は、差別主義者であるスティーブン・バノン前米大統領首席戦略官を自民党の講演会に招き、一緒にアパホテルを訪れ、ツーショット写真を嬉々としてブログにアップするような神経の持ち主。今年8月にもワシントンDCでバノン氏と性懲りもなく会談しており、河井氏のブログによると、話題のほとんどを韓国政府のGSOMIA破棄に費やして、ホワイトハウスへ働きかけてくれるよう“告げ口”したという(なお、日刊ゲンダイによれば、小学校時代のあだ名は「スネ夫」だったらしい)。
法相としての資質も大いに疑問だ。河井氏はかつて、取り調べの録音・録画などの「可視化」について、〈私は「分かりやすい立証」を進めるという名の下に取り調べの可視化を図ることがどれほど捜査現場の手足を縛り、なし崩しの禍根をもたらすか、危惧しています〉〈日本が築いてきた治安の良さを覆す大問題〉として猛烈に反対していた(「正論」2009年5月号/産経新聞社)。裁判所や検察当局を所管する大臣として、この人権感覚の欠如は致命的だろう。
他にも、農水相の江藤拓衆院議員は、2007年に櫻井よしこ氏らが米紙ワシントン・ポストに出した従軍慰安婦の強制性を否定する意見広告に、稲田朋美衆院議員らとともに賛同者として名前を連ねた。地方創生相の北村誠吾衆院議員も2012年、米ニュージャージー州地元紙に出稿された慰安婦の強制性を否定する意見広告に安倍晋三氏らとともに賛同者として登場している。国家公安委員長で行革担当相などを兼任する武田良太衆院議員もタカ派政治家だ。数年前には防衛副大臣として参加したフランスの武器見本市で、あろうことか楽しそうにライフルの銃口を人に向け、払いのけられた場面がテレビに映され顰蹙を買った。
留任・再入閣組の閣僚も当然のように極右だらけだ。息をするように差別発言を繰り返す麻生太郎財務相は言うまでもなく、ナチス礼賛本を宣伝したことやネオナチ団体代表とのツーショット写真でも知られる「電波停止」発言の高市早苗衆院議員が総務相に返り咲いた。
こうした新閣僚の面々を見てもわかるように、ようするに、安倍首相の極右思想や歴史修正主義、そして韓国バッシングの旗振り役となる者だけが、大臣として出世できる。そういうことだろう。事実、穏健保守派の政治家は閣僚や党の要職にもほとんど起用されないし、安倍首相に刃向かった石破派の議員たちは入閣ゼロに終わっている。つまり、この“史上最悪の極右内閣”が意味するのは「安倍シンパにあらずんば政治家にあらず」ということらしい。
私たちができるのは、この極右むき出しの組閣をちゃんと批判することだ。でなければ、日本はどんどん“安倍サマのための極右国家”になっていってしまうだろう。 
●安倍にヨイショする記者もいたそうだ 2019/11 
その日程は唐突に決まったという。通算在職日数が2887日に達し、憲政史上最長になった20日。首相動静によれば18時39分、東京・平河町の中国料理店「上海大飯店」で内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談したという。入り口で各社が会費を払い領収書を受け取るというどこかのホテルで繰り広げられた光景が繰り広げられ、3つに分かれたテーブルの記者たちに「桜を見る会」の説明などをしたと言う。
このキャップ懇に毎日新聞の記者は出席しなかったという。その気概は褒められるべきだが、この時期にこの会合はいささかタイミングが悪いと諭すとか、会食しながらでなく、まず国会で国民に説明すべきというキャップがいなかったのかと思うとがっかりするが、東京新聞記者・望月衣塑子はツイッターで「『首相は何も悪くない、一体何が悪いのか』と首相を持ち上げる記者もいたとか」と記している。
やはりこういう時はお友達に頼りたいのだろうか。他にも15日には千代田区のパレスホテル東京の「日本料理・和田倉」でフジサンケイグループ会長・日枝久と会食。18日夜には有楽町の日本料理「春秋ツギハギ日比谷」で読売新聞東京本社常務取締役論説委員長・柴田岳、同取締役編集局長・田中隆之と会食している。キャップ懇の翌日、21日には新宿区のフランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」で作家・百田尚樹、評論家・金美齢、ジャーナリスト・桜井よしこ、有本香、作曲家・すぎやまこういちと会食。
「桜を見る会」問題は首相・安倍晋三主催の会でその私物化が問われている時に、マスコミとしての矜持(きょうじ)を捨て、応援団として元気を与えたのか、マスコミ対策の指南をしたのか、首相動静に名前が出ることを承知で宴席にはせ参じる神経が理解できない。 
●NHKの安倍政権忖度 電通疑惑をスルーし続け『日曜討論』で野党排除 6/2 
中小・個人事業者向けの「持続化給付金」の給付作業を、政府が実体の掴めない電通の“トンネル法人”に769億円で委託しているという問題。巨額の予算が電通やパソナといった安倍政権に近い大企業に流れているだけではなく、さらにはこのトンネル法人が“中抜き”した数億円もの金が経産省や政治家に還流しているのではないかという疑惑もあり、一大疑惑に発展する様相を呈している。
昨日6月1日、本サイトでも報じたように、“電通タブー”のせいか、この問題をワイドショーはほとんど報じず。一方、先週から取り上げていたTBSを除く局のニュース番組も、昨夕からようやく取り上げはじめたが(それでも電通とは名指しせず「大手広告代理店」などと伝えているが)、そんななかでも無視を決め込んでいたのが、「アベさまの」NHKだ。
実際、NHKの看板報道番組である『ニュース7』と『ニュースウオッチ9』(以下、『NW9』)は、昨晩、元AKB48の渡辺麻友が芸能界を引退したニュースは伝えたというのに、この「持続化給付金」問題を一切取り上げなかったのだ。しかも、本日2日になって遅れに遅れるかたちで取り上げたものの、正午のニュースでは、梶山弘志経産相が電通に再委託されたことを「問題ない」と言い張ったことをメインにして伝えたのである。
民放のように電通に広告を依存していないというのに、なかなか取り上げなかった上、問題点を掘り下げることもなく政府の言い分を垂れ流す──。本日の『ニュース7』や『NW9』では詳しく報じるようになってはいたが、ここまで「持続化給付金」問題をNHKが取り上げなかったのは、新型コロナ対応で批判が高まっている安倍政権にさらなる大打撃を与えかねないため“忖度”してきた、ということだろう。
だが、こうしたNHKの政権擁護の姿勢が、もっと露骨なかたちで表れている例がある。じつは、与野党の議員が意見を戦わせてきた討論番組『NHK日曜討論』が、この1カ月間、西村康稔コロナ担当相と加藤勝信厚労相を出演させつづけている一方、野党議員を一度も出演させていないとしてSNS上で話題になっているのだ。
そして、本サイトでも確認してみたが、たしかに5月3日放送回で各党幹部が出演して以降、「政府と専門家による討論」「政府や経済界・労働界などが討論」などとし、加藤厚労相か西村コロナ担当相は毎週出演しながら、一度も野党議員が出演していなかった。
そもそも『日曜討論』は毎回、与野党の議員が出演する討論番組ではないが、政府の新型コロナ対応が問われるなかで1カ月にもわたって与野党討論がないのは、あきらかにおかしい。
実際、『日曜討論』では、WHOが「緊急事態」を宣言して以降、新型コロナの問題をテーマにして定期的に与野党討論を放送。たとえば、2月は4回の放送があったが、うち2回は加藤厚労相と専門家のみの出演だったものの、残り2回は与野党の政策責任者が顔を揃えていた。3月も5回の放送のうち、3.11を控えた8日放送回は新型コロナと東日本大震災の2本立てで加藤厚労相と田中和コ復興相、専門家の出演だったが、ほかの4回はすべて与野党の議員で討論。4月も4回の放送のうち2回は与野党議員による討論がおこなわれていた。
それが5月3日放送回を最後に、野党議員を一切出演させず、新型コロナ対応にあたる大臣と専門家による討論だけを放送する──。野党の政府に対する対立意見や批判的検証が取り上げられないまま政権与党の大臣だけが一方的に主張するのは、「放送の不偏不党」「政治的公平」に欠けると言わざるを得ないだろう。
しかし、5月3日まではかろうじて野党議員の出演があったというのに、なぜNHKはそれ以降、なくしてしまったのか。ここでひとつ思い当たることといえば、この1カ月間は検察庁法改正案と黒川弘務・前東京地検検事長の“賭けマージャン”問題で野党による追及が強まり、世論の反発も高まっていったという事実だ。
そしてこの間、検察庁法改正案と黒川氏の定年延長問題についてのNHKの放送姿勢は、あまりにも酷いものだった。
たとえば、検察庁法改正案が衆院内閣委員会で審議入りした5月8日、『NW9』は審議入りしたことさえもスルー。『ニュース7』は法改正に反対する有志の弁護士でつくる団体がオンラインで記者会見を開いたこと、1500人もの弁護士が団体の活動に賛同していることを伝えたのだが、なぜかテロップは「“弁護士1500人が賛同”」という混乱を招くような表現になっていた。
だが、8日に審議入りしたことを受けて、有名人を含む多くの市民による「検察庁法改正案に抗議します">#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけた“Twitterデモ”が勃発。さすがにこれを無視することはできなかったのか、10、11日には『ニュース7』や『NW9』でも紹介。しかし12日の『ニュース7』では「“疑惑隠しで改正 指摘あたらず”」というテロップまで出して安倍首相の主張をメインに報道。『NW9』にいたっては問題を取り上げることさえしなかった。
また、翌13日は『ニュース7』も『NW9』も衆議院内閣委員会の審議を取り上げたが、野党が森雅子法相の出席を求めて質疑の途中で退席したことを伝える一方で、内閣委員会の委員で自民党所属の泉田裕彦衆院議員がTwitterに〈強行採決は自殺行為〉〈与党の理事に強行採決なら退席する旨伝えました〉と投稿したことで自民党が泉田議員を内閣委員から外すという暴挙に出たことは伝えられることはなかった。
さらに、15日には検察庁法改正に反対する松尾邦弘・元検事総長ら検察OBが意見書を法務省に提出したが、〈ルイ14世の言葉として伝えられる「朕は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿とさせる〉などと安倍首相を痛烈に批判したことは報じられず、「改正案 きょうの採決見送り」「検察庁法改正案 与野党が対立」などと政局の話に矮小化させてしまったのだ。
無論、黒川氏の“賭けマージャン”問題での訓告という甘い処分が下された問題についても、安倍官邸が法務・検察の懲戒処分という提案を蹴ったという疑惑や、政権の責任を掘り下げるような報道は一切皆無。SNS上でこれまでにないほどに検察庁法改正案をめぐる安倍政権の対応に注目が注がれようと、NHKは“忖度”報道を繰り返したのである。
そして、同時にこの期間、『日曜討論』という野党が与党に対して追及をおこなう場から排除されているという事実──。ようするに、NHKはあらかじめ検察庁法改正案や黒川問題を追及する声が出ることを、野党議員を出演させないことで封じ込めたのではないか。
そもそもNHKは、新型コロナにかんする総理会見でも第1回目から、記者が挙手していても会見を打ち切って質問に答えるよう求める声が記者からあがる前に生放送を打ち切り、岩田明子記者の解説を垂れ流すという安倍首相のアシストをつづけている。その上、新型コロナ対応への不満が高まるなかで、野党が政府に対立意見をぶつけ検証する場さえなくしてしまうとは……。NHKがこの“忖度”をいつまでつづける気なのか。視聴者による監視が必要だ。 
●NHK政治部の「フェイスシールドで鍋」宴会 8/20 
安倍内閣の支持率はどんどん低下しているのに、むしろ政権忖度は強化されている感のあるNHKの政治報道。新型コロナ対応でも、持続化給付金などの政権の失態をほとんど取り上げず、『日曜討論』では約1カ月にわたって野党を出席させないなどの露骨な政権擁護姿勢を見せ、大きな批判を浴びた。
そんなNHKで異様な飲み会が開かれたことが最近、話題になった。東京で感染が再拡大しはじめたさなかの7月22日、15人弱の局員が赤坂の料理屋に集合し、フェイスシールドをつけて宴会。そのときの写真を「デイリー新潮」がすっぱ抜いたのだ。
しかも、フェイスシールド着用ということで厳格な感染対策をしているのかと思いきや、写真を見ると、大人数が三密状態で肩を寄せあっているうえ、テーブルの中央に置かれている料理はなんと鍋。デイリー新潮もつっこんでいたが、顔を近づけて同じ鍋の料理をつつきあったら、せっかくのフェイスシールドも意味がないだろう。
しかし、本サイトが注目したいのは、感染拡大のさなかの飲み会強行や予防策のちぐはぐぶりではない。この飲み会に参集した連中の顔ぶれだ。
写真では、政治部トップの原聖樹政治部長が真ん中に陣取り、各記者クラブキャップなど、政権に近いとされる政治部幹部がずらり。しかも、“安倍首相にもっとも近い政治記者”と言われる岩田明子解説委員が紅一点、参加していた。つまり、NHKの安倍政権忖度報道を支えている幹部連中がほぼフルメンバーで顔を揃えていたのだ。
しかし、それも当然だろう。デイリー新潮によると、そもそも、この飲み会は政治部トップである原政治部長が企画し、声をかけたものだが、この原政治部長というのが、まさにNHKの政権擁護、政権批判潰しの先兵的役割を担ってきた人物なのだ。
「NHKで官邸の意向に沿うよう報道をコントロールしている司令塔は、今年4月に理事に昇格した小池英夫・前報道局長です。小池氏は政治部長時代から安倍政権とべったり癒着してきた人物で、報道局長になってからは、政治部に政権ヨイショ報道を命じるだけでなく、社会部の森友加計報道などにも介入し、政権批判をことごとく潰してきた。森友報道を潰されてNHKを退局した相澤冬樹氏もその著書で、この小池氏の現場介入が局内で『Kアラート』と呼ばれ、恐れられていたと書いていました。原政治部長はその『Kアラート』小池氏の子飼いなんです。原氏は政治部長になる前、官邸キャップを7年勤めていますが、その頃から、報道局長だった小池氏に官邸の意向を伝える役割を担ってきた。原氏からの報告やご注進を受けて小池報道局長が社会部に圧力をかけるということを繰り返してきたわけです」(NHK関係者)
実際、原政治部長は官邸キャップ時代、たびたび自らニュース番組に出演し、びっくりするほど露骨な政権擁護コメントを発してきたことで知られている。
たとえば、2015年、国会の安保法制審議で安倍首相が質問にまともに答えないゴマカシ答弁を続けて批判を浴びているさなか、『ニュースウオッチ9』に出演した原氏が「きょうの討論で、安倍首相は政府の立場を平易に国民に伝えることに力点を置いていたように感じました」と発言。視聴者をあ然とさせたこともあった。
さらに、『クローズアップ現代+』が加計問題で萩生田光一官房副長官による文科省への圧力文書をスクープしたときは、スクープを骨抜きにしたい小池報道局長の命で、同番組に解説者として出演。「(国家戦略特区の手続きに)間違いが起きるはずがない」「規制を緩和したくない文科省」など、手書きのフリップを持ち込んで、官邸の反論をそのまま垂れ流すように解説をおこなった。
「原氏はこうした功績を買われ、政治部長に抜擢された。親分の小池氏も政治部長から報道局長、そして今回、理事に上り詰めましたが、小池氏もまったく同じルートで、次は報道局長が確実視されています。まさに飛ぶ鳥落とす勢いで、報道局内ではもはや原氏に逆らえる人間は誰もいないという状況です。今回の飲み会も、感染拡大の最中なので参加したくないという人間も多かったはずですが、原氏の命令とあらば、逆らえなかったんでしょう」(前出・NHK関係者)
ようするに、今回のフェイスシールド飲み会は、安倍政権を“忖度”する政治部のトップを忖度する幹部たちの飲み会だったわけだ。デイリー新潮によると、フェイスシールド飲み会となったのも、原政治部長がふだん局内でフェイスシールドをつけて仕事をしているため、それにあわせて全員が装着することになったらしい。
この政治部の忖度体質、そして政権べったりの記者だけが出世する構造がある限り、NHKの政権との癒着、ジャーナリズム軽視の傾向は永遠につづいていくだろう。 
●菅政権の情報開示に懸念 官僚支配とメディア管理が進む恐れ 9/14 
「新型コロナウイルスという国難にあって政治の空白は許されない。安倍総理の取り組みを継承し、進めていかねばならない。私にはその使命がある」
14日午後、菅義偉よしひで官房長官(71)が、自民党の両院議員総会で全体の7割の377票を獲得し、新しい党総裁に選出された。両手を高く掲げ、会場の祝福にこたえる菅氏の姿に、モヤモヤ感が消えなかった。
菅氏は16日に召集される臨時国会で第99代首相に指名され、新内閣を発足させる。私は2017年6月から官房長官会見の取材を続けているが、菅内閣では官僚がモノを言えなくなる空気が強まり、安倍政権よりもさらに情報開示が後退するのではと懸念している。
逆らえば「左遷」
第2次安倍政権で官房長官となった菅氏は、内閣人事局を最大限に利用し、官僚の人事を徹底的にコントロールしてきた。
一例を挙げると、菅氏が力を入れてきた「ふるさと納税」だ。総務省の平嶋彰英自治税務局長は、自治体に寄付する上限額の倍増を指示した菅氏に競争が過熱すると懸念を伝え、総務省の通知と法律で一定の歯止めをかけるよう提案すると、8カ月後に自治大学校長に「左遷」された。
平嶋氏は、「自分だけでなく、菅氏の意向に逆らう官僚はあらゆるレベルで飛ばされた。ふるさと納税が引き起こす問題点を指摘しても、考慮して対処するどころか『逃げ切りは許さんぞ』との言葉が返ってきた。官僚の忠告や提案に耳を傾けられないということは、国民にとってもマイナスだ」と指摘する。
メディアにも「圧力」
一方で、森友学園への国有地売却問題で改ざんの首謀者となった佐川宣寿のぶひさ理財局長を国税庁長官に栄転させ「適材適所だ」と言い張り続けた。
「菅氏ににらまれたら出世できない」「おかしいこともおかしいと指摘できなくなった」 
霞が関の官僚の間では、こんな言葉が不文律のように広まる。萎縮と忖度そんたくでまっとうな官僚の進言が聞き入れられるとはとても言えない状況だ。
官僚だけではない。メディアのコントロールも強めている。
私は2018年12月、沖縄・辺野古の埋め立てについて官房長官会見で「赤土の可能性が指摘されているにもかかわらず、国が事実確認をしない」などと菅氏に質問した。
すると、2日後に長谷川栄一内閣広報官名で東京新聞の編集局長宛てに質問内容についての抗議文が来た。それだけでなく、政治部の内閣記者会にも、官邸の報道室長名で抗議文を張り出した。
その後、東京新聞1面で質問の背景を説明する、赤土の土砂の違法性を指摘する記事を書くと、官邸からの抗議はやんだ。
質問への抗議文を会社に出し、記者クラブにも張り出すという菅氏側が行ってきた圧力は、他のクラブ記者も萎縮させ、厳しい追及をさせないことを狙ったのだろう。メディア全体を「管理」しようとする菅氏の動きは、より強まる恐れがある。
1年半以上にわたり、私の質問に「質問を簡潔に」と妨害行為を繰り返した上村秀紀報道室長は、8月、内閣府沖縄総合事務局総務部長に栄転した。
総裁選でも質問にはぐらかし
菅氏は、今回の自民党総裁選でも、記者の質問をはぐらかしたり、自民党青年局・女性局主催の討論会でも手元の紙を棒読みする場面が目立ち、「自助・共助・公助」のフレーズ以外に、菅氏自身の中で、どんな国家観や国家像を描いているかが見えなかった。
2日の出馬表明の記者会見で、私は「(官房長官会見では)都合の悪い真実への追及が続くと記者に対する質問妨害が長時間続いた。(中略)首相会見では官僚が作った答弁書を読み上げるだけでなく、自身の言葉でしっかり答えていただけるのか」などと質問した。
すると、菅氏は横目でちらっと司会役の議員を見た。官房長官会見でも、菅氏は上村前報道室長に「質問を何とかしろ」というような合図を送っていたが、案の定、司会者は出馬会見でも「簡潔に」と質問を遮ってきた。
8日、自民党本部で行われた記者会見では、別の記者が「総理になったら記者会見はどう行うのか。週1回の定例化やぶら下がりなど、説明責任をどう果たすのか」と尋ねた。
だがここでも菅氏は「官房長官が朝夕2回会見し、内閣の方針を責任を持って説明している」と会見の充実には消極的で、「できるだけ多くのメディアの質問に答えたい」とした石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長との違いが浮き彫りになった。首相として、メディアや国会での説明責任を果たそうという意識が乏しいことが気掛かりだ。 
疑惑の再調査には消極的
今回の総裁選では、5派閥が菅氏を支持した。その原因の一つとして、森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題が影響した、と考えている。
菅氏が総裁選で「財務省で調査し、検察でも捜査した。結果は出ている」と述べた一方、石破氏は「必要ならば再調査すべきだ。国民が『納得した』というのが過半数にならなければならない」と異議を唱えた。
仮に石破氏が再調査に乗り出せば、安倍晋三首相だけでなく、当時の政権にとって、不都合な事実が出てくる可能性があるからではないか。
たとえば、改ざんの4日前の2017年2月22日に、菅氏は佐川理財局長らを官邸と議員会館に2度にわたり呼び出している。「必要なら再調査」という石破氏を首相にさせてはいけないと、菅氏支持の流れが加速したと私は思う。
菅氏らが、時の権力と捜査で対峙たいじしてきた検事総長の人事にも介入しようとしたことも忘れてはいけない。検察庁法に違反する可能性が高いのに、黒川弘務元東京高検検事長の定年延長を閣議で決定し、これを正当化するような検察庁法改正案を国会に出そうとした。
菅氏は加計かけ学園問題や首相主催の「桜を見る会」での疑惑などにも、解明の必要はないと主張しており、前政権が抱え込んだ「負の遺産」に踏み込み、内実を明らかにすることは全く期待できない。菅氏の発言を聞くと、ずさんな公文書管理の改善も進まない、と思う。
国民に感動を与える政治を
「政治は人々に感動を与えるものでなければならない」
敗れた石破氏が総裁選で語っていた言葉だ。菅氏の第2次安倍政権下での発言を振り返るにつけ、そこに「感動」を与える言葉はあったのか。多くの国民の声なき声に耳を傾け、市民目線に立った政治を実行してほしい。問われているのは、国民に優しく感動を与える政治家としての気構えなのだ。  (望月衣塑子)  
●権力との癒着の温床「記者クラブ」の「開放」その先にある「廃止」 9/15 
「権力とジャーナリズムの密接な関係」を可能にする根底には、記者クラブ制度がある。
記者クラブは、大手や各地域の有力なメディアの記者しか事実上加盟できない。その閉鎖性や特権的な仕組みは、長く、国内外の批判を浴びてきた。記者クラブをベースに取材する一部の当事者らを除いて、記者クラブの現状を「是」とする取材者や研究者はほとんどいないだろう。
では、全国各地のマスコミ幹部たちは記者クラブ問題をどう考えているのだろうか。
地方も含めた初の悉皆調査
「国境なき記者団」(本部・パリ)が毎年公表している報道の自由度ランキングによれば、日本は180カ国中66位である(2020年4月)。民主主義の先進国とは思えない低迷ぶりには、閉鎖的な記者クラブの存在も大きい。
記者クラブは事実上、大手マスコミや各地の有力メディアに所属する記者しか加盟できないため、「閉鎖的」「独占的」という問題を抱えてきた。それに加え、権力側との癒着の温床になっているとも指弾されている。双方がインナーサークル的な関係をつくりあげ、記者の中には当局者に遠慮したり、二人三脚を組んで一体化したりする事例が引きも切らないからだ。警察記者クラブの所属記者が「ペンを持った警察官」と揶揄されるケースも多い。
目立つ事例としては、「指南書事件」がある。発生は2000年初夏。森喜朗首相の「神の国」発言に対し、首相官邸記者クラブ所属の記者が釈明会見の切り抜け方を伝授するペーパーを作っていたことが発覚したケースだ。20年前の出来事ではあるが、政治権力とジャーナリズムの関係を示す象徴的事件として前回の論座『官邸記者クラブで20年前に起きた「指南書事件」が問いかけるもの』でも触れた。
その10年後の2010年5月、全国各地の新聞社とテレビ局、ラジオ局の計231社に対し、「記者会見や記者室を独占せず、フリーランス記者などに開放する考えはあるか否か」を問う調査が実施された。231社という数は地方も含め、当時のマスメディアを網羅していたと思われる。
実施したのは任意団体「記者会見と記者室の完全開放を求める会」(会見開放の会、代表・野中章弘氏)である。筆者もそれに加わり、故・日隅一雄弁護士らの協力を得ながら、「会見開放」をメディア企業にどう実行させるかなどを協議した。その一つがこの調査である。
2010 年という年は、民主党政権下において大臣会見へのフリーランス記者らの参加が少しだけ実現した時期でもある。
調査結果は記者会見を開いて公表したものの、中身を詳しく報じるマスメディアはなかった。いま、悉皆(しっかい)調査の中身を詳報するのは、記者クラブ問題に関してメディア企業幹部が個別に回答した実例がほとんどないからだ。ネット上を探してもそれは見当たらない。回答が「建前」であるにしても、公表を前提とした調査に対応したのだから記録として残しておくことには、一定程度の意味はあろう。
新聞協会も「開放」を主張 壮大な建前か
詳報を伝える前に、マスコミの総本山である日本新聞協会が記者会見や記者室の開放について、どう考えているのかを見ておきたい。公式見解は「記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解」に示されている。
以下、「開放」に関わる部分を抜粋しよう。
「 日本の報道界は、情報開示に消極的な公的機関に対して、記者クラブという形で結集して公開を迫ってきた歴史があります。記者クラブは、言論・報道の自由を求め日本の報道界が一世紀以上かけて培ってきた組織・制度なのです。国民の「知る権利」と密接にかかわる記者クラブの目的は、現代においても変わりはありません。インターネットの急速な普及・発展により、公的機関をはじめ、既存の報道機関以外が自在に情報を発信することがいまや常態化しており、記者クラブに対し、既存のメディア以外からの入会申請や、会見への出席希望が寄せられるようになりました。記者クラブは、その構成員や記者会見出席者が、クラブの活動目的など本見解とクラブの実情に照らして適正かどうか、判断しなくてはなりません。 」
「見解」には「より開かれた存在に」の項目があり、こう記されている。
「 記者クラブは、「開かれた存在」であるべきです。日本新聞協会には国内の新聞社・通信社・放送局の多くが加わっています。記者クラブは、こうした日本新聞協会加盟社とこれに準ずる報道機関から派遣された記者などで構成されます。外国報道機関に対しても開かれており、現に外国報道機関の記者が加入するクラブは増えつつあります。 (中略) 記者会見参加者をクラブの構成員に一律に限定するのは適当ではありません。より開かれた会見を、それぞれの記者クラブの実情に合わせて追求していくべきです。公的機関が主催する会見は、当然のことながら、報道に携わる者すべてに開かれたものであるべきです。 」
「見解」は記者室について「記者室を記者クラブ加盟社のみが使う理由はありません」とも明示。記者会見に関しても「クラブ構成員以外も参加できるよう、記者クラブの実情を考慮に入れ努めていかなければならない」と確約調で明記している。
これらが壮大な「建前」になっているにしても、公式見解は公式見解だ。実際に開放させるためには、「公式見解をその通りに実行してください」という点から出発すれば良いのではないか、と筆者は思う。2010年の悉皆調査に伴う申し入れを各社に行った際も、狙いはそこにあった。 ・・・  
●橋下徹氏、麻生副総理に“けじめ”の勧め 9/17 
17日放送のフジテレビ系「直撃LIVE グッディ!」(月〜金曜・後1時45分)では、スタートを切ったばかりの菅政権を特集した。
この日の番組には元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(51)が生出演。留任した麻生太郎副総理兼財務相(79)について、「別の要職についてけじめをつけるべきだ」と提言した。
「麻生さんの党内での実力については実感してます。本当に面白い人だから党内で人気が高いのも間違いない」と橋下氏。その上で「森友問題のけじめって言うのをしっかりつけないと、国民はそんなに甘くないと思います。安倍政権は全体としては評価されていたと思いますが、最後の方、じりじりと追い詰められたのは、国民の政策についての賛否でなく、権力を使ってズルをしているんじゃないかという不信感がずっとたまってきたから」と指摘。
「野党が弱いから選挙になると、ずっと勝ってきて、自民党はみそぎを済ましたみたいな気になってきたのかも知れないけど、国民のモヤモヤ感は払拭されてなかったと思う」と続けた橋下氏。
「森友、加計問題についてはスパッとケジメをつけるべきだと、僕はずっと言ってきた。菅さんが改革内閣だとバーンと旗を振るなら、財務省の最高責任者として公文書を破棄した人がNO2にまでなってしまったことへの責任がある麻生さんには財務相のところは(身を)引いてもらうと。党内の実力者ではあるから、別のところで活躍してもらうというやり方もあったのではないかと思います。菅内閣はここが一番の弱点になるのではないか」と指摘していた。 
●菅〈臭いものにフタ〉政権誕生を助けたメディア 9/18 
戦後最悪・最長の7年8か月続いた安倍晋三政権に代わって9月16日、菅義偉・新内閣が発足した。菅氏は自民党総裁選で「安倍路線の継承」をアピール、石破茂氏、岸田文雄氏を大差で破り、圧倒的多数の支持で新総裁に就任した。
だが、「安倍路線の継承」の実態は、「モリ」「カケ」「桜」をはじめとした政権私物化の疑惑追及を封じ込め、「安倍疑惑=臭いもの」にフタをすることだった。それを追及すべきマスメディアは次期総裁レースの中継にうつつをぬかし、何よりも求められていた「アベ政治」7年8か月の検証をほとんど放棄、菅「臭いものにフタ」政権誕生をアシストした。
《検証 自民総裁選/「石破阻止」安倍首相動く/「後継は菅氏」麻生・二階氏乗る》――「安倍路線の継承」が何より「疑惑追及封じ」であったことを物語る記事が、菅政権誕生当日の9月16日、自民党の広報紙化して久しい『読売新聞』3面に掲載された。
記事は、《安倍首相が菅官房長官を事実上、後継指名し、圧勝へと導いた》とし、安倍首相が8月28日の辞任表明前に菅氏の出馬を確認、安堵したとして、こう書いている。
《首相が総裁選で最も警戒していたのは石破氏に支持が集まることだった。石破氏は森友・加計問題の再調査や、沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について再検討を行なうことを主張するなど、「安倍路線」の転換を訴えていただめだ》
要するに、森友、加計、桜の会など疑惑のもみ消しに奔走した腹心の菅官房長官を「後継」に据え、疑惑の再調査を封じること、それが安倍氏の至上命題だった。それを森友文書改竄で手を貸した麻生太郎財務相と二階俊博幹事長の大ボス2人が支持した。
翌29日、菅氏は二階幹事長らと会談、幹事長はその場で菅支援を表明し、各派閥は「菅支持」へ雪崩を打った。菅氏が正式に出馬を表明したのは9月2日夕。その時点で石破派、岸田派以外の5派閥が「菅支持」で結束し、総裁選は事実上終わっていた。
菅氏は出馬表明の記者会見で、安倍政権が覆い隠そうとしてきた「臭いもの」に改めて「フタ」をする方針を表明した。記者から森友・加計問題について質問されると、森友問題については「財務省関係の処分が行われ、検察も捜査を行い、すでに結論が出ている」と述べ、加計問題についても「法令にのっとり、オープンなプロセスで検討が進められてきた」と強弁、いずれも「再調査する考えはない」と明言した。
メディアは菅氏のこうした対応をどう報道したか。9月3日付各紙は1面トップで、《菅氏、安倍路線を「継承」/総裁選立候補へ会見》(『朝日新聞』)、《菅氏、安倍路線を「継承」/自民総裁選 出馬正式表明》(『読売』)などと報じた。だが、「継承」の中身が森友・加計問題などの疑惑隠しであることは、ほとんど問題にしなかった。
8月28日の辞任表明会見で安倍首相は「在任中に残したレガシー(遺産)」を問われ、「国民の皆さん、歴史が判断していくのかと思う」と白々しく答えた。安倍退陣後、メディアに求められていたのは、「アベ政治の7年8か月」を徹底検証することだった。
アベノミクスの「異次元金融緩和」は株価上昇と大企業の業績回復をもたらしたが、利益は企業の内部留保に回され、労働者の賃金は上がらなかった。それどころか2度の消費税増税によって中小零細企業は経営を圧迫され、労働者の実質賃金は大幅に低下、非正規雇用の割合は4割近くにも増え、貧富の格差が著しく拡大した。
「外交の安倍」を売り込み、「外遊」に励んだが、仲良くしてくれたのはトランプ米大統領だけで、実はほとんど相手にされなかった。最も重要な日中・日韓関係は悪化の一途をたどり、北方領土問題をめぐる日露交渉や日朝国交回復・拉致問題はまったく手つかず。結局、トランプの言いなりに米国製兵器を爆買いした「負の遺産」だけが残った。
国内政治では、「任期中の憲法改正」を掲げ、野党・市民の反対を数の力で押し切る「アベ一強」の強権政治が常態化した。2013年12月・特定秘密保護法制定、14年7月・憲法解釈変更で集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、15年9月・安全保障関連法成立、17年6月・「共謀罪」法成立……。17年7月の都議選ではアベ政治に抗議する市民に「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と敵意をあらわにした。
2013年のIOC東京五輪招致演説では、フクシマの原発事故汚染水を「アンダーコントロール」と強弁したが、コントロールされたのはメディアだけ。沖縄・辺野古基地問題では軟弱地盤が発覚し、当初計画に比べて工期で2倍、費用は3倍に跳ね上がるとわかっても、工事中止を求めるオキナワの声を無視して埋め立てを強行している。
それらの過程で、「モリ」「カケ」「桜」をはじめとした政権私物化が横行していた。その疑惑もみ消しに動員された高級官僚の間に「忖度」がはびこり、ついには財務省幹部が命じた公文書改竄によって、痛ましい犠牲者を生み出してしまった。
そうして、新型コロナ対策のドタバタだ。当初は五輪優先の楽観論から検査・医療体制の整備が後手に回って感染拡大。その後は唐突な全国一斉休校やアベノマスク配布、強権的な緊急事態宣言などちぐはぐな対応に終始した。「自粛」を強いられた市民の補償は後回しにされ、「非正規」や女性、外国人労働者を中心に多くの「コロナ失業者」が作られた。
もしメディアがこうした「負の遺産」をきちんと検証しようとすれば、膨大なスペース・時間を要したはずだ。新聞はそれなりにアベ政治検証の緊急連載を行なった。《考 最長政権》『朝日』、《総括 安倍政権》(『読売』)、《「最長」のおわり》(『毎日新聞』)、《一強の果てに 安倍政権の7年8か月》(『東京新聞』)。中でも『東京』の連載は、日頃の同紙の報道姿勢を反映し、批判的視点に立った鋭い検証記事だったと思う。
だが、こうした検証報道は長くは続かず、疑惑追及も尻切れトンボに終わった。報道の中心は、総裁選をめぐる自民党内の駆け引きなど、政治部主導の「政局報道」に置かれた。とりわけ世論への影響力の大きいテレビは、朝・昼・午後のワイドショーから夕方・夜のニュース番組に至るまで、「アベ政治の検証」と言えるような報道はほとんど行わなかった。それは、アベ政治の「臭いものにフタ」を使命とする菅氏に有利に働いた。
その「成果」が、『東京』9月10日付2面《次期首相に菅氏50%》の記事だ。共同通信が8・9日に行った世論調査の結果、「次期首相にふさわしい」人として、菅氏が50%、石破氏が30%、岸田氏が8%となった。前回、8月29・30日に実施された同じ調査では、石破氏が34%、菅氏が14%、河野太郎氏が13%だった(8月31日付)。
わずか10日余りの間に、自民党総裁選をめぐる「世論」は信じ難い大逆転を起こした。それをもたらしたのがメディア、とりわけテレビの「大勢翼賛」報道だった。
9月16日に発足した菅・新内閣は、20人の閣僚中、麻生副総理をはじめ再任が8人に横滑りが3人、党三役も二階幹事長の留任など、安倍内閣の改造人事かと思わせられる顔ぶれ。事実上の「第3次(大惨事?)安倍政権」と言うべきものになった。
メディアが「秋田の農家の出で、地方を大事にする人」「世襲議員が多い中、数少ない叩き上げの苦労人」「笑顔の優しい令和おじさん」などと持ち上げる菅首相だが、その素顔は「傲慢に反対意見を切り捨てる独裁者、弱者に冷酷な新自由主義者」だ。
総裁選出馬の記者会見で、菅氏は「国の基本は自助・共助・公助だ。まず自分でやってみて、地域や自治体が助け合う。そのうえで政府が責任を持って対応する」と述べ、首相就任会見でも「自助・共助・公助」を「目指す社会像」として強調した。
コロナ不況で収入を失った人や職を奪われた人たちが生活保護を求めて役所に足を運んでも、「まず自分で何とかしろ」とばかり冷たく突き放され、人間としての尊厳を傷つけられる(9月16日放送「レイバーネットTV」特集)。それが日本社会の現実であり、しかも新しい首相の考える「国の基本」「目指す社会像」なのだ。
税金で運営される政治・行政の基本は「公助」だ。足りない分を地域で「共助」し、それらの助けを得ながら、弱い立場に置かれた人が「自助」できるようになっていく。そういう温かい社会を否定し、自己責任で切り捨てる冷酷な新自由主義者が、新しい首相だ。
もう一つ、菅氏の独裁的性格を物語るのが、官邸記者会見で常用した言葉だ。記者の質問を、「ご指摘には当たらない。ハイ次」「まったく問題ない。ハイ次」と問答無用で切り捨てていく。質問で指摘されたことについて、なぜ「指摘に当たらない」のか、「問題がない」のか、その理由を何も示さず、説明を一切省いて答弁したことにしてしまう。恐るべき傲慢さであり、異論・反論を許さない独裁者の振る舞いである。
ところが、それにスクラムを組んで抗議・対抗すべき内閣記者会の常連メンバーは、菅氏の対応を容認し、逆に『東京』の望月衣塑子記者のような粘り強く質問を重ねる記者を「異分子」扱いして、守ってこなかった。それが記者クラブの情けない現実だ。
9月13日付『東京』の「本音のコラム」に、「日本国民は蒙昧の民か」と題した前川喜平氏のコラムが掲載された。安倍首相の辞任表明前の8月22・23日に共同通信が行った世論調査で36%まで落ちていた内閣支持率が、辞任表明直後の29・30日の調査で56%に跳ね上がった。前川氏は《一週間や十日でここまで極端に意見を変える国民が民主国家の主権者たり得るだろうか》と疑問を投げかけ、魯迅の『阿Q正伝』に登場する無知蒙昧の民阿Qに成り下がったのではないかと嘆いた。そのうえで前川氏は、「賢い国民が育つために決定的な役割を果たすのはメディアと教育だ」と指摘した。
その通りだと思う。アベ政治の検証をきちんと行わず、菅〈臭いものにフタ〉政権をやすやすと誕生させた大きな責任がメディアにはある。 
●記者よ、権力に飼い慣らされるな。 9/20 
2822日におよぶ歴代最長の安倍晋三政権が終幕、新たに菅義偉首相が選ばれ、自民、公明両党による連立内閣が9月16日に発足した。
第2次安倍政権以降、官房長官を務めた菅新首相は安倍政治の「継承と前進」を掲げた。内閣も、麻生太郎副総裁兼財務相ら8人の閣僚を再任、閣僚ポストの横滑りや再入閣組も多く、「安倍亜流内閣」「暫定政権」といったふうに映る。
政治、社会、メディアを分断した安倍政治
そもそも安倍政治とはどのようなものだったのか? 一言でいって、それは世の中を敵と味方に峻別(しゅんべつ)する分断対決型の政治である。衆院選、参院選に5連勝したことで得た「数の力」をテコに、安倍政権は対決型の手法を前面に打ち出し、数々の重要法案を強行突破で成立させた。
こうした異論を排除する政治手法は、政治の世界だけではなく国民をも分断し、社会に深い亀裂を生んだ。メディアも例外ではない。政権側の巧みなメディア戦略によって、ジャーナリズムの要諦(ようてい)であるはずの権力監視の機能は切り崩され、分断されたメディアは本来果たすべきつとめを果たせなかった。
菅新政権のもとで同じ轍を踏むことは許されない。菅新政権の発足に際し、安倍政治の「毒」によって麻痺していった言論を再生することが必要だろう。そのために、メディアはどう対応していけばいいかを考えてみたい。
安倍政治に敗北したメディア
安倍政権の随所でみられた力ずくの政治手法は、大別すれば政策と知人への便宜という二つの側面でおこなわれた。
政策面では、集団的自衛権の行使容認や検察官の定年延長など、本来は憲法や法律の改正が必要なものを、閣議で決めていった。さらに、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設は地元の強い反対を排し、断行されている。
国の根幹をなすエネルギー・原子力政策においても、東京電力福島第一原発の爆発事故で多くの住民の避難生活がつづくなか、反対を押し切って原発再稼働が進められた。
一方、森友学園への国有地払い下げや加計学園の獣医学部新設、首相主催の「桜を見る会」へのおびただしい数の後援者招待などの疑惑は、「お友だち」優遇という「政治の私物化」の典型だろう。政権の敵と味方を分け、敵を徹底的に攻撃し、見方に便宜を図るという政治姿勢の行き着いた先ともいえる。
自らの考えに近いメディアとそうでないメディアを選別する方法も、構図はまったく同じだ。こうした分断対決型の安倍政治にメディアはなすすべもなく敗北した。そう私は考えている。
もちろん権力によるメディアの敗北はこれまでもあった。ただ、過去と様相が異なるのは、法の秩序をいとも簡単に損なっていく安倍政治による弊害が、政策や国民生活にまで多岐にわたったにもかかわらず、ジャーナリズムがそれをただす機能を発揮しなかったことだ。
これは、為政者が権力を抑制的に行使してきた日本の戦後政治において特異な現象である。このままでいいはずはない。
「たたき上げ」人生に強烈な自負
では、菅首相と内閣、メディアに何をのぞむのか。
まず、菅氏の経歴をたどる。1948年12月6日、新潟県秋ノ宮村(現在の湯沢市)の雪深い山間部のイチゴ農家の長男に生まれた菅氏は、秋田県立湯沢高校を卒業後、「人生を思い切り生きたい」と実家を飛び出して上京する。
町工場や築地市場などで働き、法政大学法学部を卒業後、就職した電気通信設備会社で「世の中を動かしているのは政治だ」と気づき、地盤も看板もないなか政治家を志す。小此木彦三郎元通産相秘書、横浜市議(2期8年)を経て、1996年の衆院選に神奈川2区から立候補し初当選。現在8期。
国会議員となった2000年、当時の森喜朗首相に退陣を求める「加藤の乱」に加わる。06年には党総裁選で安倍氏を支援し、第1次安倍政権で総務相として初入閣した。秋田県出身としては初の首相。派閥に属さず、国会議員に親族をもたない「無派閥・非世襲」議員が自民党から首相になるのは希有のことだ。
まさしく「たたき上げ」の人生であり、並々ならない努力でそれを築き上げたという強烈な自負があるようだ。橋本龍太郎政権の官房長官だった梶山静六氏を「政治の師」と仰ぐ。「雪国出身の苦労人」「令和おじさん」という巷(ちまた)のイメージとは裏腹に、政界では「けんか屋」とも呼ばれる豪腕、こわもての政治家だ。
安倍氏の病気による突然の辞任の後、7派閥のうち最大派閥をふくむ5派閥の支持を得て、総裁選で圧勝。しかし、無派閥のため党内基盤は強いとはいえず、支持する派閥がそっぽを向けば崩壊しかねないという脆弱(ぜいじゃく)さもあわせもつ。
「負の遺産」に目を向けようとしない
菅首相は安倍政治を「前に進めたい」といい、「負の遺産」に目を向けようとしない。
官邸主導を掲げる安倍政治は、内閣人事局を駆使して中央官庁の高級官僚の人事を掌握、官邸の意向に沿うものが重用された。菅新首相も政策の方向性に異を唱えるものは「異動してもらう」と明言する。
これは官僚の間に萎縮と忖度を生み、森友問題においては財務省の公文書改ざんにまで発展した。膨大な数の書き直しを強いられた近畿財務局職員は自死するにいたった。遺族は再調査をのぞんでいるが、菅氏は財務省の処分や検察の捜査終結で「すでに結論がでている」として取り合おうとしない。
こうした高圧的な姿勢は、報道対応においても変わらない。官房長官時代の朝夕2回の記者会見での質問に対し、「そのような指摘はあたらない」「まったく問題ない」「批判にあたらない」など、木で鼻をくくったような受け答えをする場面がしばしばみられた。
一方、老練な政治家によくみられるように、記者を敵に回すばかりでなく、シンパ記者を増やしていくことにも余念がない。記者は取材相手に取り込まれるのではなく、是々非々で接するのが基本のはずなのだが……。
政権の「NHK支配」はつづく?
第1次安倍政権ではテレビ局を所管する総務相を経験し、放送行政に明るい菅氏。本人は否定するが、NHKやTBSテレビなどの報道番組への圧力が取り沙汰されてきた。
たとえば、2014年にNHKの報道番組「クローズアップ現代」に出演した際、集団的自衛権をめぐって当時の国谷裕子キャスターに食い下がられた菅氏は放送後に激怒。NHK幹部は収拾に追われ、複数の関係者によると、国谷氏は悔しさと情けなさのあまり涙を流したという。
公共放送であるNHKと政権のありようが気がかりだ。安倍前首相と近い関係にある政治部の女性記者が主要ニュースの解説を担当し、その内容は権力監視をしているとは思えなかった。それどころか政権と一体化していた。
この記者をテレビで見るにつけ、戦前に『放浪記』で人気作家になり、ペン部隊として中国戦線に従軍した林芙美子を想起した。
林は1938年夏、日本軍が展開した漢口攻略戦に同行。占領翌日に漢口に一番乗りした。行動をともにした朝日新聞記者は「ペン部隊の『殊勲甲』 芙美子さん決死漢口入り」との記事を書いて賞賛。帰国した林は、東京、大阪の各地で従軍報告講演会に登壇し、戦争熱をあおった。
戦中と現在とは違う。だが、「権力と報道の距離」の問題はいつの時代にもある。
安倍内閣は不祥事を起こしても支持率が下がらなかった。これについてある識者は、「地方にいけばいくほどNHKへの信頼度は絶大だ。NHKが政権に取り込まれ、掌握されているかぎり、支持率は維持される」と解説した。編集権と人事権を握る会長人事などを通じて、政権の「NHK支配」はつづくのではないか。
政治の質を左右する言論のありよう
菅首相にとって、失策つづきのコロナ禍対策の立て直しと、それによって寸断された経済の再生は喫緊の課題だ。これはブレーキとアクセルの関係にあり、どちらを優先するのか悩ましいが、知恵を絞って解決していくのが政治リーダーの務めであろう。
総裁選を通じて、「自助」が強調されたが、それが行き過ぎれば過度の自己責任論になりかねない。裸一貫で首相にまで登り詰めた菅氏ならではの信念のようにも映る。縦割り行政や既得権益、あしき前例主義の打破と規制改革も訴えられた。しかし、これらは手段であり、政策の中身ではない。
どのような国にしたいのか、自らの言葉で国家像を語り、それへの道筋を示す必要があろう。さらに安倍政権の功罪の見直しなくして、本来の次の一歩はないのではないか。
内閣発足直後の報道各社の世論調査では、内閣支持率がいずれも6割を超えている。これには「地方出身で苦労してきた『たたき上げ』」という「菅美化」報道や「菅優位」の政局報道などが影響している面もあろう。
菅首相の党総裁任期は来年9月までの1年。新政権への期待と支持率が高いうちにリセットすべきという、衆院の早期解散論が浮上している。菅氏は早い段階での解散を否定しているが、リリーフ政権から本格政権に移行するには、選挙で勝つことが不可欠で、解散時期を懸命に探っているのが実状であろう。
ただ、コロナ対策と経済再生を前に、優先順位を見誤らないでほしい。これらの課題に対応する言論のありようは、政治の質を大きく左右することになりかねず、責任は重い。
現在の言論状況を打破する道
多様な意見があることは健全なことだ。それ自体を否定しているのではない。
ただ、安倍政権下では、安全保障や原発の存廃、歴史問題の対応など国論を二分するテーマで、保守とリベラル系メディアが鋭く対立。議論が二項対立化し、深い議論や第三の道を探るという成熟した言論が成立せず、二者択一の極論しかない二元論的な世界に社会が覆われることとなった。
お互いに異なる意見を排するのではなく、聞く耳をもって切磋琢磨していく。これが民主主義社会のあるべき姿ではないか。にもかかわらず、報道は菅氏が大番頭として支えた分断対決型の安倍政治を追及するどころか、逆に懐柔され、民主主義の土台が揺らいだ7年8カ月だった。
新政権の発足に際し、メディアはどう対応すべきなのか。現在の言論状況を打破する道として、次のような点を挙げたい。
1 権力に対して萎縮したり忖度したりせずに、権力との適正な距離を保つ
2 意見を異にするメデイアがお互いに聞く耳をもち、社会およびメディアの分断状況、極端な二極化の解消につとめる
3 権力に取り込まれるのではなく、確かな取材にもとづき、首相や官房長官らへの「質問力」をアップする
4 どのような取材を経て記事や番組ができたのか、読者や視聴者への説明責任を果たす
5 旧習にとらわれることなく、女性や外国人らが活躍できるよう組織の多様性をはかる
メディア界の半沢直樹の登場がのぞまれる
放送中のTBS系ドラマ「半沢直樹」が人気を博し、初回からの視聴率がすべてのテレビ番組のなかで、7週連続でトップを独走している(平均視聴率は23%超)。毎週約2500万人が視聴し、サラリーマンの話にもかかわらず、女性の割合が高いという。
正義感があり、理想に燃えるバンカー(銀行員)の半沢直樹が、政権党の幹事長や大臣など政界の実力者にすり寄り、なりふりかまわず利益追求をする銀行に反旗をひるがえす物語だ。時代錯誤の「昭和のおとこ」を連想させるとの批判もあるが、忖度が蔓延する世相を背景に、いまを生きる国民が求める人物像と主人公の半沢直樹がシンクロすることで、大きな支持を得ているのではないかと思う。
利益本位の新自由主義的な世界のなか、権力に飼い慣らされたバンカーの姿が、今日のジャーナリストの姿ともだぶる。社会をよりよくしたいと考えるバンカーとジャーナリストの思いは、同じではないか。
言論は巻き返さなければならい。
メディア界の半沢直樹の登場がのぞまれる。 
●GoToイートに疑惑?しかし献金額は… 9/20 
時の政権を批判するのも週刊誌の役目のひとつだろうからそれはいい。
しかし、今、『週刊文春』がやっているのはハッキリ言えばあら探し。何が何でも菅義偉新総理にケチをつけようという姿勢はいただけない。
9月24日号は「菅義偉『親密企業』が469億GoToイート受注」。
「Go To イート」のオンライン部門で得点が最も高かったのが、レストラン予約サイトを運営する「ぐるなび」。
その創業者の滝久雄会長が以前から菅総理とは昵懇(じっこん)の間柄で、〈菅氏の政治団体「自由民主党神奈川県第二選挙区支部」「横浜政経懇話会」に計二百八十万円の寄附をしている〉と批判。
しかし、よく読んでみると、〈菅氏が初当選を果たした一九九六年から二〇一二年にかけて〉。つまり、17年間に280万円。1年にすれば16万円余。非難されるほどの金額ではあるまい。
京浜急行電鉄についても同じで、〈経営トップらが菅氏に対し、多額の献金を行ってきた。〉〈計一千六百万円に及ぶ〉というが、こちらも〈九八年から一三年にかけて〉。年にすれば100万円。しかも幹部は2人。だから1人あたり50万円。こちらも地元政治家への献金額としてはさほど多くはない。
『週刊新潮』(9月24日秋風月増大号)の「『検事総長』就任祝宴で『セクハラ事件』」。こちらはまぎれもないスクープだ。賭け麻雀問題で辞任した黒川弘務元東京高検検事長を蹴落として就任した〈林眞琴検事総長の就任を祝う宴席で、よりによって検事総長秘書官がセクハラ行為を働いた〉。
被害女性と職員が直訴して発覚。しかし、隠密裡に処理され、森まさこ法務大臣にも報告されていなかった。『新潮』の取材に森大臣、〈この隠蔽体質(中略)ほんっとうに頭にきますね〉と怒り心頭。
菅総理関連では『週刊朝日』(9・25)、朝日新聞・大鹿靖明記者の「亡き父が激白した3時間の全記録 菅義偉新首相の知られざる過去」がおもしろい。ただし11年前の話。  
●ある政治記者の現場復帰 9/20 
菅義偉氏が第99代の首相に就任した。メディアはたたき上げとかパンケーキ好きとか、ご祝儀相場的な報道に余念がないが、私の印象に残る菅氏のエピソードは以下のようなものだ。
菅氏は第2次安倍晋三政権で官房長官を務めた。官房長官は内閣のスポークスマンとして毎日記者会見を行う。2017年8月8日の会見では、森友、加計(かけ)学園問題で「記録にない」を繰り返す安倍政権の姿勢に関する質問がなされた。その際のやりとりである。
記者「ある政治家が『政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録とはその最も基本的な資料。その作成を怠ったことは国民への背信行為だ』とおっしゃっている。その発言を本に記されていたのはどなたか、ご存じですか」
官房長官「(そっけなく)知りません」
記者「官房長官の著作に書かれているんですが」
政治家が自らの発言に対していかに無責任であるか、これほど瞬時に浮き彫りにしたやりとりも珍しい。菅氏はその場では平静を装ったが、しばらくは番記者の取材にも応じないほど激怒したとされる。

この質問をしたのは朝日新聞の南彰記者(41)。前述のやりとりを読めばあら探しの好きな嫌なやつ、との印象を持つかもしれないが、会えば人柄の良さが伝わってくる、周囲の信望も厚かろう、とすぐ分かる(つまりこのコラムの筆者とはまるで違う)人物だ。
南さんは18年秋から政治取材の現場から離れていた。干されていたわけではなく、新聞労連(各新聞社の労働組合が加盟する産別組合)の中央執行委員長として出向していたのだ。日本マスコミ文化情報労組会議の議長も兼任し、安倍政権下で進むメディア分断や記者会見形骸化の危うさについて積極的に発信した。
その南さんが9月、菅政権発足とタイミングを合わせたかのように、政治部記者として現場に復帰した。何でも本人は若手のポストである総理番を希望したらしいが、国会取材を仕切る国会キャップに落ち着いた。今度は国会内の記者席から菅氏の発言をチェックすることになる。

権力者は自分の都合のいいことを報じるメディアを重用し、批判するメディアを遠ざける。遠ざけられると権力中枢の情報が入らないので、どうしても政治部記者は権力者の顔色を見て動くようになりがちだ。
安倍政権はメディアを選別することで報道のコントロールを図った。菅氏もその中心人物だ。都合の悪い質問は「全く問題はない」「指摘は当たらない」と理由も示さず切り捨てるのが「菅流会見術」である。
現場に戻った南さんに「政治部記者なんですよね? 大丈夫?」と余計な心配を告げると、南さんは「政局ばかり追うと相手に取り込まれる。政局だけではなく国会論議の中身を掘り下げ、ファクトチェック(発言の内容が事実かどうかチェックすること)をして、問題を提起していきたい。これからの政治報道に求められるのはそこだと思うんですよね」と語る。
安倍「1強」政権下、巧妙かつ露骨にメディア統制を図る官邸の圧力に報道機関は押し込まれてきた。どこまで押し返せるか。攻防は次のラウンドに入った。 
●「権力者と同じ思考」で働く政治記者たち〜菅政権発足の新聞報道を見て 9/22 
「令和おじさん」と持ち上げられた菅義偉氏が首相に就任し、菅内閣が発足した。
それに関する報道は、マスコミの長き“伝統”に則ったスタイルだった。人事や派閥の意向などによって、何か新しい大きなことが起きるかのような報道である。そして、新政権が発足すると、“新聞の伝統様式”に従って新閣僚の顔ぶれが似顔絵付きで各紙に載った。
旧態依然としたこれらの報道にどんな問題が潜んでいるのか。戦前の新聞批判も交えながら、この間の報道を振り返ると――。
菅政権誕生 各紙は同じような紙面
自民党の総裁選で菅氏が新たな総裁に決まった9月14日。当然のことながら、翌日の15日朝刊は、各新聞とも大展開でこれを報じた。朝日、毎日、読売、毎日の各紙1面見出しを並べてみよう。
 「自民総裁に菅氏 岸田・石破氏に圧勝 得票7割 あす首相選出」
 「自民総裁に菅氏 党要職 派閥で分け合う 二階・森山氏再任 政調会長に下村氏」
 「自民総裁に菅氏 得票7割超 337票 あす新首相に選出」
 「菅氏 新総裁 安倍政治 異論なき継承 あす首相氏名へ」
さて、どれが読売でどれが朝日か。見出しで判断がつくだろうか。答えは上から順に、読売、朝日、毎日、東京である。
次は各紙の2面と3面だ。大きな出来事があった場合、新聞はここで背景や問題点などを展開する。各紙の特徴が色濃く出るページと言ってよい。
では、同じ日の各紙見出しを見てみよう。ただし、記事の本数も多いので主たる見出しに限定して再掲する。
 「菅氏 圧勝で自信 無派閥 党内基盤に弱さ」「岸田氏2位確保 石破陣営落胆広がる」
 「圧勝の裏 うごめく派閥」「菅カラーどう打ち出す デジタル庁・携帯値下げに意欲」
 「『完勝』菅氏 人事試練 支持5派閥 優遇迫る」「解散『コロナ見極め』」
 「路線の『振り子』動かず 党内の多様性失われ」
どの見出しがどの新聞社か判別できるだろうか。こちらも1面と同じく、読売、朝日、毎日、東京の順に並べた。1面と比べると、それぞれの個性が出ているようにも見える。
特に1面で「安倍政治 異論なき継承」との見出しを掲げた東京新聞は、2面と3面でも「党内の多様性失われ」という見出しの記事を掲載。残り3紙と違って、安倍・菅路線に異を唱える形になっている。
他方、見出しを見る限りでは、読売、朝日、毎日の3紙には大きな差がなく、さほどの個性は感じられない。「客観的事実に即している」とも言えるが、「無難な紙面」とも言える。
1970年代から半世紀続く「政局報道」
菅政権が発足した翌日の17日朝刊では、各紙に「新閣僚の顔ぶれ」が載った。新政権発足時には全国紙か地方紙かを問わず、必ずと言っていいほど、各新聞にはこうした記事が掲載される。片側1面をほぼ埋め尽くし、なぜか閣僚の似顔絵を使うケースが多い。また、横顔の掲載は片面のみで、見開きのケースはほとんどない。勢い、1人当たりのスペースが狭くなり、紹介文は1人200字前後しかない。これでは、経歴や「趣味はテレビドラマ鑑賞」「好物はステーキ」といった事柄しか書けないだろう。
筆者が以前に調べたところ、こうした紙面づくりは、少なくとも1970年代には始まっている。半世紀近く続く、“マスコミの伝統芸”と皮肉りたくなるほどの不変ぶりだ。
それは同時に、「政局報道」と裏表の関係にある。マスコミの政治部は政策取材ではなく、官邸記者クラブをはじめ、平河クラブ(自民党)、野党クラブなどの各記者クラブをベースに連綿と政局取材を続けてきた。社会課題や政策よりも「政局」重視の報道。それこそが、“マスコミの伝統芸”と言ってよいかもしれない。
一内閣や政党の人事をメディアはどうとらえてきたのか。そこにはどんな問題が潜んでいるのか。大いに参考となる評論を紹介したい。
戦前や戦中に活躍した言論人・清沢洌氏(きよさわ・きよし、1895〜1945年)の一文である。
清沢氏の「最近の朝日新聞を論ず」とは
清沢氏は米国留学を経て、中外商業新報(現・日本経済新聞)や朝日新聞で記者を経験し、その後は在野の言論人になった。1941年に対米英との戦争が始まると、翌年から日々の出来事や新聞報道などに言及する日記を付け始める。それは戦後、「暗黒日記」として刊行され、大きな反響を呼んだ。
戦前、総合雑誌として名高い存在だった「日本評論」の1936年12月号に、清沢氏は「最近の朝日新聞を論ず」という一文を寄稿した。リベラルな論調で知られた当時の朝日新聞が「2.26事件」などを契機として次第に転向していく姿勢を批判する内容である。その中で、清沢氏はこう書いている(仮名遣いなどは原文のママ)。
議会に対しては徒に嘲笑を事として、他方満州事変以来、低調素朴な愛国心に訴へたのは、誰であるよりも新聞だ。これがフアツシヨの勢力を伸長させないわけはない。この時勢を自分でつくりながら、「御時勢だ、御時勢だ」と悲鳴をあげてゐるのだから世話はない。その御時勢製造の筆頭には、非常時以来朝日がある。
そのうえで、清沢氏はこう指弾している。
「 新聞社が他人の頭――特に役人の頭で動い(て)ゐる証拠には、その立場が常に役人本位である。役人を変へると「人事刷新」などと囃したてて喝采する。庶政一新などに騒ぐのも、役人の出世行詰りを、国民の福利と関係があるやうに解釈する結果だ。外務省に行くものは外務省、陸軍省に行くものは陸軍省、その型と思想が出来て来る。これも自分の頭を置き忘れた結果である。かうした新聞社の傾向から見て、役人の行き詰りから来た非常時心理を紙上に反映するのは自然である。殊に朝日あたりでは、幹部が事務的になり切つて、主義と思想を死守するといふやうな熱意があらう道理はない。斯くしてフアツシヨの風潮に一たまりもなく頭を下げるのである。 」
かいつまんで言えば、内閣や役所、政党、軍といった権力を取材する記者は、それぞれに当該記者クラブに所属する。それは戦前・戦中も今も変わらない。海軍担当なら海軍省の記者クラブ「黒潮会」に所属し、そこをベースにひたすら、海軍の取材を続ける。清沢論文はそれが習性なれば、記者の思考は権力者と同じになる、と指摘しているわけだ。
朝日新聞の元記者で東京・政治部次長などを歴任した今西光男氏は、著書『新聞 資本と経営の昭和史』(2007年)の中でこの清沢論文に着目し、「七〇年もたった現在の朝日新聞社はもちろん、他の多くの新聞社にも当てはまるだろう」と書いている。
今に通じる戦前の清沢論文
清沢氏はまた、「日本評論」の1936年8月号に「大将・大臣・重役」という論考を寄せ、以下のように記した。当時の記者たちも追いかけた「政局」の断面である。
「 先祖代々の財産を使ひ果して、人間の姿さへ見ると投票の影が映って無性に頭を下げたくなる陣笠は、その目指すところは大臣であろうし、また国家の前途を慨する青年将校も、その底の底を掘ってみれば、頭がつかへて大将になれない悲憤の感情が、少しくらゐは交じってゐないとゆふ保証はなかろう。 (中略) いつかの議会で、確か山本達雄さんだったかと思ふ、議員に何かの案について質問されて『それは事は重大でありますから、政府委員をして答弁させます』と答へたことがある。自分のやうな大臣では、そんな大問題は答へられないから、局長あたりをして返答させますといふ意味である。 」
この評論に限らず、当時の清沢氏の論文を「日本評論」誌上で読んでいくと、政治や権力者に対する氏のスタンスが浮かんでくる。筆者の解釈では、つまり、こういうことだ。
大臣にしろ、大将にしろ、役所の幹部にしろ、新聞社の編集幹部にしろ、それぞれは強い上昇志向を持っているが、一方では、そこから滑り落ちることに大いなる不安を抱えている。時流とその勢いに目を配り、主義主張はどうであれ、上層部の多くは結局、大勢に乗ろうとする。そうした者たちの営為や右往左往に目を向けているだけでは世の中は見通せない、と清沢氏は言いたかったのだろう。
「菅官房長官」を間近に見てきた政治記者たちの所作
その後、朝日新聞記者が「(新聞は)国民の戦争生活の指針」だと記すまで、5、6年しか要していない。
「 とくに決戦下の新聞のゆき方は、国家の意志、政策、要請など、平たく言えば国の考えること、行わんとすること、行なわんとすること、欲していること等を、紙面に反映させ、打てば響くように国民の戦争生活の指針とすることを、第一の建前としております。例えば、議会における各大臣の演説、豪(えら)い武官、次官の談話、法律や規制のことについての報道、解説記事がその一例です。(寺田勤著『新聞の読方・考へ方』、山中恒著『新聞は戦争を美化せよ!』から引用) 」
菅氏は官房長官を経て、最高権力者の地位に上り詰めた。では、それを間近に見てきた政治記者たちの所作はどうだったか。清沢氏の先の論文を現在に置き換えてリライトしてみれば、こうなるのではないか。
「 新聞記者が政治家の頭――特に政党幹部や閣僚と同じ思考で動いている証拠には、その記者の立場や思考が政治家本位となっているからだ。政治家や役人が変わると、「人事刷新」などと囃したてて喝采する。庶政一新などと騒ぐのも、政治家や役人の出世の行き詰りを、国民の福利と関係があるかのように解釈する結果だ。 」  
 

 

●合流立憲民主党と菅政権とメディアの関係 9/20 
今週は自民党の総裁選、合流立憲民主党の結党、そして菅内閣の発足と一週間の間に日本の政治に大きな動きが相次いで起きた。
新・立憲民主党については、分裂前の民主党と何がどう違うのかが、よくわからない。枝野代表らは懸命に説明をしているのかもしれないが、ほとんど理解されていない。今後、繰り返しそれが問われるだろうし、その点をわれわれもしっかりとウォッチしていきたい。
とは言え、小選挙区比例代表並立制という世界でも珍しい選挙制度(韓国、旧東欧諸国のほか、フィリピン、タイ、メキシコなどが類似した制度を採用しているが、先進国ではまったく採用されていない)の下では、よほど強い風でも吹かない限り一つの政党が単独過半数の議席を獲得することは難しい。そのため結果的に多少支持率に差があっても、常にすべての小選挙区に候補者を擁立できるだけの力を持った2つの大きな政党と、主に比例区のみで議席を得る複数の小政党が残ることになる。
これはそもそも現行の選挙制度が、当初は中選挙区制から小選挙区制への移行が提唱されていながら、それが実際に導入される段階で中小政党の寄せ集めだった細川8党連立政権が政権の座にあったため、こんな摩訶不思議な制度になってしまったわけだが、結果的にそれが常に2大政党の一つが相棒となってくれる小政党を見つけて連立を組むことを前提とした制度になってしまった。
自民党はいち早くこの制度に適応し、2000年には公明党との連立によって政権維持のための勝利の方程式を作り上げた。伝統的に創価学会とは敵対関係にあった新宗連の支持を受けてきた自民党と創価学会を母体とする公明党が連立を組むことなど、1990年代以前の政治を知る者にとっては、おおよそあり得ない組み合わせだった。政策的にも改憲を党是とする自民党と平和を党是とする公明党の連立は、今でこそ慣れてしまったが、当初は強い違和感があった。自民党はその少し前には55年体制下の仇敵の社会党と組んで自社さ政権なる政権まで樹立している。
一方、リベラル勢力にとっては共産党との共闘が、常に火種となってきた。現行選挙制度の下では、保守勢力の自民が公明と組むのであれば、リベラル勢力は社民・共産と組むことができなければ、よほど強い風でも吹かない限り、現行制度の下では単独で過半数の議席を得ることはできない。しかし、旧来の民主党は左に手を伸ばすと、党内の保守勢力、とりわけ自民党や旧民社党から新生党、新進党などを経て合流してきた保守勢力が離反してしまうし、そこを包摂しようと思えば、選挙では相打ちを覚悟で共産党と戦わなければならないというジレンマを常に抱えていた。
今回の合流では、図らずも原発ゼロが踏み絵となって、旧民社党勢力(=同盟系勢力)はほとんど合流新党には参加していないが、何と言っても150人からの議員を抱える大所帯である。果たしてそのジレンマは本当に解消されたのか。そもそも「保守本流」を標榜する枝野代表はその部分で腹を括ったのか。また実際に連立パートナーにまでなるかどうかはともかく、依然として「共産党アレルギー」なるものが根強いとされる日本において、共産党との共闘に対して国民の理解を得られるのかなどが、新立憲にとっては重要な鍵となるだろう。
つまり、今回の合流劇では少なくとも選挙制度上は、党内の保守勢力を一掃してよりリベラル路線に純化できたことが重要なのではなく、その結果として社民党や共産党と組むことが可能になったのかどうかの一点に、新党結党の真価が問われていると見ていいのではないだろうか。
一方、その間、菅政権は高い支持率を得て、上々の滑り出しとなったようだ。その閣僚人事については各方面で様々な報道が行われているようなのでそこに譲るが、ことメディア対応については、当たり前だが、主要メディアは一切、そこには触れていないものの、どうやら安倍政権の方針をそのまま踏襲するか、もしくはよりメディア統制を強化してくる方向性が政権発足当初から窺えた。
元来、官僚は情報公開が嫌いだし、メディア対応も苦手だ。選挙で選ばれるわけではない官僚は元来、メディアに対応して有権者の理解を得る必要がないし、これは官僚教育に問題があるのかもしれないが、国民に対して説明責任を負っていると考えていないところも多分にある。(実は官僚も国民から税金をいただいて仕事をさせてもらっている公僕なのだが、日本ではそもそも「納税」という言葉に象徴されるように、税金は「納め」るのが当然のものであって、払っていただいているものとは考えられていないところがあるようだ。)
情報公開についても、1999年に情報公開法なる法律が作られてしまったので、法律違反にならない範囲でやむなく対応はするが、そもそもそこに情報公開法の精神を守らなくてはならないという使命感や矜持のようなものは存在しないので、常に最低限の対応になるし、この際だからはっきり言ってしまえば、ばれない範囲であれば、いくらでも法律違反だって辞さない。それは公文書管理についても言えることだ。
だから、政府が積極的にメディア対応をしたり、情報公開をするためには、官僚を統率する大臣やその他の政治家がかなり強いイニシアチブをとり、その方針を厳しく官僚に命じない限り、政府の情報公開など進むはずがない。それをしなかった官僚を叱責したり、それこそ菅首相ではないが、そういう官僚を左遷するくらいの強い意志表示で臨まない限り、そんなものは絶対に進まない。
今週、菅氏は2つの記者会見に臨んだ。一つは月曜に自民党の総裁に選出された直後の自民党本部における総裁会見、もう一つが水曜に国会で首班指名を受けた後の総理官邸における首相会見だ。
いずれの会見もビデオニュース・ドットコム上でノーカット映像をご紹介しているが、自民党の総裁会見の方は自民党の記者クラブ「平河クラブ」のみを対象にした会見で、当然、質問も記者クラブ加盟社の記者からしか受けなかった。また、総理会見の方は安倍政権の時と同様に会見全体の時間を30分に限定し、最初の20分あまりを自身の声明文と内閣記者会の加盟社との質疑に割り振った上で、非加盟社については最後の5分あまりの間に数社に質問を認めるだけの、厳しく統制された会見だった。しかも非加盟社に当てる際も、司会者はいかにもその場でアドリブで当てているような素振りを見せながら、記者を実名で指名していたので、実際は当てる相手は事前に決まっていたのだろう。
記者クラブに加盟していない会見参加者の中で、この人に当てれば厳しい質問が期待できると思われた記者は、誰一人として指名されなかった。安倍政権の最初の7年のように、政権側に忖度しない厳しい質問をする記者や、空気を読まない質問を浴びせてくる記者、事前に質問内容を提出しない記者にとっては、一切質問の機会を与えられない冬の時代が再び到来しないことを願うばかりである。(今回、ビデオニュースは抽選に外れて、会見そのものに参加できなかった。)
ちなみに今回は安倍首相の会見で有名になったプロンプターは使われていなかったが、菅総理も質疑応答になってからも繰り返し目線を下げ、手元のメモを読んでいる様子だったので、全ての質問がそうだったかまでは確認できていないが、質疑部分についても事前に質問の取りまとめが行われ、回答のメモが用意されていたと思われる。これも安倍政権の手法をそのまま踏襲するものだ。
安倍政権の総理会見では総理談話を読む場面ではプロンプターがあがっているが、質疑応答になるとリモート操作でプロンプターが下がるのに、実際は質疑内容が事前に取りまとめられていて、質問と回答が総理の目の前のメモに書かれており、総理がそれを読むだけという、非常に手の込んだ芝居が行われていたことは、たびたび指摘してきた通りだ。確かに質疑部分のやりとりまでプロンプターに出ていたらおかしいだろ、ということなのだろうが、どうせメモを棒読みするくらいなら、プロンプターを出したままでも良さそうなものではないか。ただ、そのことの問題点として、首相会見でわれわれが自分たちの総理大臣の言葉として受け止めているものが、実は単なる官邸官僚の作文でいいのかということは、きちんと指摘しておきたい。
平河クラブや内閣記者会の質問は永田町や日本の既存メディアの政治部の基準ではあれが妥当な質問とされているのかもしれないが、これから内閣総理大臣として日本を背負い、世界に向けて日本を代表していく指導者に対する問いかけとしては、信じられないくらい緩くて甘い質問だった。あんなことをやっているから、日本の記者会見は外国人記者から歌舞伎シアターなどと酷評されるのだ。もっと質さなければならない質問があることが本当にわからないのか。それとも、そんなことは重々わかっているが、それを聞いたら永田町の住人ではいられなくなるということなのか。
どっちにしても、菅政権の下で政府とメディアの関係が大きく変わることは期待できそうにない。今回、壊し役を任ぜられた河野太郎行革担当大臣には、日本にとって記者クラブこそが国益を損なう最大の既得権益であることにどこかで気づいて欲しいものだ。記者クラブそのものはメディア側が勝手に作っている「親睦団体」で、しかも法人格すら持たない「任意団体」なので、壊し屋太郎を持ってしても政府があれこれ手出しができる対象ではないが、実はそこに特権を与えているのはすべて政府なので、これは政府の問題でもある。
政府が記者クラブに施設の占有権(庁舎内の記者室を家賃も払わずに独占的に利用する権利)や情報アクセス占有権(政府が行っている記者会見やレクに記者クラブ加盟者しか参加させない権利)などを与えさえしなければ、記者クラブなどただの社交クラブに過ぎなくなり、少なくとも利権としての価値は皆無になる。そして、他の業界で独占・寡占が解消された場合と同様に、記者クラブ加盟社による情報の寡占が解消すれば、政治や行政に関する情報流通量は全体として拡大し、国民の知る権利は大幅に増進するし、政府の情報公開コストも大幅に下げることが可能になる。それだけでも十分行革テーマになり得るのではないだろうか。
しかしながら、おそらくこの視点を報じる既存メディアは一つもないだろう。まさにそのことが、これが日本にとってとても重要な論点であることの証左になっていると思うのだが、いかがだろうか。 
 
 
 

 



2020/9
 
 
 

 

●9月18日 ジャパンライフ山口元会長逮捕 
 
 
 2017

 

●マルチ商法「ジャパンライフ」の陰にまた昭恵夫人が登場 2017/12 
高齢者をターゲットにマルチ商法を展開してきたジャパンライフが、銀行から取引停止処分を受け倒産した。日刊ゲンダイは、同社が長年、問題ビジネスを継続できた背景に時の政権との“癒着”があった可能性を報じてきたが、安倍首相との蜜月がうかがえる写真がネット上に出回っている。
写っているのは、モリカケ疑惑でも問題視された昭恵夫人だ。笑顔を浮かべる夫人の隣にいるのは、10月27日に消費者庁から3カ月間の一部業務停止命令を受けた「48ホールディングス(HD)」の淡路明人会長である。48HDは「公開前に購入すれば、1カ月半後には10倍に値上がりする」などとウソを言って仮想通貨を販売。マルチ商法まがいで3万5000人の会員をかき集め、この2年で約220億円を売り上げたという。
ジャパンライフと48HDには接点がある。48HDの渡部道也社長はかつてジャパンライフの取締役を務めていたのだ。
「2016年のジャパンライフの会社案内で、渡部氏は『取締役香港支社長』の肩書で紹介されています。ジャパンライフの山口隆祥会長と関係が深く、ネットワークビジネス業界では知られた存在です」(専門紙記者)
淡路会長については、毎年4月に首相が主催する「桜を見る会」で、安倍首相や菅官房長官と一緒にいる写真までネットに出回っている。
ジャパンライフは安倍政権との蜜月関係を背景に問題ビジネスを続けてきたのか。実は、安倍官邸も事が大きくなるのを恐れているという。
「消費者庁は17年3月に行政処分を下した後、新たな追加措置を検討していた。しかし、官邸からストップがかかったといいます。当時はモリカケ疑惑が国会で紛糾中。官邸は、ジャパンライフ問題を突くと、新たな疑惑が噴出しかねないと判断したとみられています」(永田町関係者)
結局、消費者庁は今月15日に1年間の一部業務停止命令を下したが、これが“ユルユル処分”なのだ。
「ジャパンライフは16年末に1回目の行政処分を受けた後も、手を替え品を替え、ビジネスを続けてきました。一部業務停止命令など、痛くもかゆくもないということです。事を荒立てたくない官邸が消費者庁と“調整”し、処分の程度を緩くした可能性があります」(前出の永田町関係者)
ところが、今月20日に被害対策弁護団が告発したことで事態は動き、大手メディアもこの問題を報じ始めている。ある野党議員は「通常国会で追及する」と意気込む。新たな“アベ友”疑惑が、年明けの国会で炎上するかもしれない。  
●倒産したジャパンライフと安倍首相側近・現役閣僚の黒い関係! 2017/12 
マルチ商法、悪徳商法との批判がたえなかった預託商法大手・ジャパンライフ(東京)がついに倒産した。
同社の山口隆祥会長はマルチ界隈での“レジェンド的存在で、これまでたびたび社会問題になってきた。しかし、一時は書類送検までされなから、会社は生き延び、最近は、「買った製品を預かり、レンタル金額として1年あたり価格の6%を購買者に支払う」という触れ込みで、数百万円もの磁気治療器を売りつけるビジネスを展開していた。
しかし、この商法についても、商品数が契約数より大幅に少なかったことなど、不正が次々発覚。昨年から今年にかけて、消費者庁から特定商取引法違反や預託法違反で一部業務停止を命じられ、これが決定打となって経営破綻したというわけだ。同社の負債総額は一説には2000億円にものぼるといわれ、「6%のレンタル料がもらえる」と信じて数百万円をつぎこんだ被害者が大量に発生するのは必至だろう。
それにしても、こんな悪徳ビジネス企業がどうしてここまで放置され、大量の顧客を集めてこられたのか。
実はその背後には、内閣府と経産省の官僚や安倍首相に近い政治家の存在があったといわれている。実際、下村博文元文科相が同社から政治献金を受けていたことが判明しているし、安倍首相の側近中の側近で、現役の厚労相兼働き方改革担当相である加藤勝信氏も同社のダーティなビジネスに全面協力していた。
今回、倒産の引き金となった消費者庁の処分だが、実は消費者庁が立入検査をしたのは2015年9月。1年以上処分が遅れた背景にも、加藤大臣の関与が囁かれている。
本サイトはジャパンライフの問題が国会で追及された直後の今年4月、加藤氏と同社の関係、そして安倍首相の任命責任を追及する記事を掲載している、
倒産にかこつけて、疑惑にフタをされてしまわないためにも、一人でも多くの読者にこの事実を知ってほしい。
安倍首相が縁故で大臣に抜擢、加藤勝信一億総活躍担当相に“マルチ商法の広告塔”疑惑が浮上!
今国会では、安倍政権が森友疑惑の幕引きのために必死だが、そんななか、安倍首相の側近中の側近である現役大臣に、有名マルチ商法の“広告塔”疑惑が浮上した。
先月、東京に本社を置く預託商法大手・ジャパンライフ社に、家庭用磁気治療器の預託取引や訪問販売などで法令違反が認められたとして、消費者庁が9カ月の一部業務停止を命じた。ジャパンライフ社の山口隆祥会長はマルチ界隈での“レジェンド的存在”。マルチ商法が社会問題になっていた1975年には国会に参考人招致され、85年には再び「マルチまがい」との批判が殺到し国会集中審議入り、また90年代前後には韓国の合弁会社が大規模なマルチ商法被害を引き起こし、91年には関税法等、95年には薬事法違反の疑いでたびたび書類送検されている。
実は、このジャパンライフ社については、悪質商法を行っている疑いがあるのに処分が遅れたという見方があり、今月5日の国会で共産党の大門実紀史参院議員が追及。今回の業務停止命令が、15年9月の立ち入り検査から1年3カ月も遅れた背景に、消費者庁の課長補佐が同社に天下りしていたほか、複数の高級官僚OBが同社の「顧問」などに就任していることが働いたのではないかと指摘。さらに、下村博文元文科相への政治献金もあったことを暴露した(しんぶん赤旗6日付)。
大門議員は11日の参院財政金融委員会でも引き続きこの問題を追及。そのなかで、現役大臣で安倍首相の側近議員でもある加藤勝信・一億総活躍担当相の名前が飛び出したのである。
大門議員によれば、加藤大臣は今年の1月13日にジャパンライフの山口会長と会食をしていたという。さらに山口会長は、内部向けの宣伝チラシで、加藤大臣のことを「ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価していただきました」と紹介していたという。この意味について、国会で大門議員はこう解説した。
「(ジャパンライフに対する)1回目の(行政)処分が(昨年)12月16日にありまして、(同社の)なかが非常に動揺している時期ですね、契約者も本当に大丈夫ですか?だまされているんじゃないですか?と動揺している時期に、加藤大臣の写真入りで山口会長と会食したということが宣伝されて、安心してください、と、いまの大臣も評価してくれているんです、と、いうことで、内部向けにチラシが撒かれているわけです」
ようするに、加藤大臣はジャパンライフの“広告塔”であり、メンバーを安心させる“印籠”になっていたというのだ。
母親のコネで加藤勝信を大臣に抜擢した安倍首相の責任
もしこれが事実なら、当然、問われるのが安倍首相の任命責任だ。というのも、この加藤勝信議員は、安倍首相がえこ贔屓で大臣に抜擢したといわれているからだ。
もともと、勝信氏は、国土庁長官や農林水産大臣を歴任した自民党の大物議員・加藤六月氏(故人)の娘婿で、六月氏は安倍首相の父・晋太郎氏の側近中の側近。安倍家と加藤家は家族ぐるみの付き合いであり、六月氏の長女で「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録の陰の立役者とも言われる加藤康子氏は安倍首相とは幼馴染みの関係。また六月氏の妻・睦子夫人と安倍首相の母・洋子氏との関係は相当に深く、大臣抜擢も、洋子氏の後押しがあったためだといわれている。
そんな加藤大臣は、もちろん、安倍首相に忠誠を誓うかのごとくべったりだ。安保法制の夏に、メディア圧力発言が飛び出した例の「文化芸術懇話会」を発足させた呼びかけ人の一人でもあり、元官僚の賢しさを憲法改正にも十分に発揮し、自民党プロジェクトチームの会合では“国民を国家に奉仕させるために、まず「家族」を使ってごまかせ”というトンデモな提案をしていた。
「個人・家族・コミュニティ・国という階層のなかで、日本人は国も捉えているのではないか。したがって、急に国に奉仕しろといわれても飛びすぎて、まず家族・コミュニティに奉仕をする延長線上のなかに国に対する奉仕も位置づけたほうがなじみやすいのではないか」(2004年、自民党憲法調査会憲法改正プロジェクトチームの第9回会合での発言)
しかも、加藤大臣は一億総活躍担当や拉致担当、女性活躍担当の他に、「働き方改革担当」なる大臣ポストについている。首相官邸によれば「働き方改革」とは〈一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます〉とのことだが、その担当大臣がマルチ商法と癒着していたとすれば、「働き方改革」どころの話ではなくなるだろう。
下村博文元文科省、経産省にも癒着疑惑が
さらに、問題なのは、これが加藤大臣だけの話ではないということだ。実際、大門議員も国会で指摘していたとおり、ジャパンライフは下村博文元文科相をはじめとする安倍首相に近い有力政治家に食いこんでいた形跡がある。さらに政治家工作だけでなく、安倍首相と一体化している官庁である経産省を中心に官庁工作や人脈形成を盛んに行っていた。
実際、内閣審議官で内閣府国民生活局長などを歴任した人物が、ジャパンライフの「顧問」や、関連するNPO法人の理事長を務めていることも明らかになっている。今後、政権与党の中枢を巻き込んだ、重大なスキャンダルに発展する可能性も決して低くはないのだ。
いずれにせよ、このレジェンドマルチ商法大手をめぐる政治家・官僚との癒着疑惑はさらなる追及が必要だ。とくに、加藤大臣は山口会長との関係について、国会でしっかりと説明を果たすべきである。 
 
 
 2018

 

●安倍夫妻の恩人が“森友”の意外な真相を激白 2018/4 
財務省が森友学園に「口裏合わせ」を迫ったと報じられ、一連の疑惑は深まるばかり。昨年、国会で追及されても「ない」と稲田朋美前防衛相が言い張った陸上自衛隊の日報が今ごろ見つかり、また嘘がバレた安倍政権。総裁候補探しが本格化する中、安倍夫妻の恩人が意外な真相を語った。
自民党幹部はこう言う。
「森友学園でもめているときに、今度は防衛省で日報の問題。安倍首相周辺は『ほんとついてないよな』とぼやいていた。安倍首相もかなりイラついて『なんで隠しているんだ』と声を荒らげるほど、怒ったそうだ。相変わらず、国会で昭恵夫人の証人喚問を求める声はくすぶり、各派閥のボス連中は安倍首相の知らないところで、連日のように会合をやっていますよ」
しかし、なぜ、この間の悪いタイミングで防衛省のなかったはずの日報が出てきたのか。
「見つかった日報はハードディスクにあり電子データだから公文書じゃないと防衛省はヘタな弁明をしている。今回は、イラクだけでなくハイチなどのPKO活動の分も発見された。イラクでは隊員の身を守るため、違法な武器購入、現地住民への賄賂工作など諜報活動もやり、日報に残していたようだ。稲田前大臣は弁護士出身で六法全書を持ち歩くなどうるさ型だったので、『表に出したら面倒になる』と官僚らの判断で隠蔽したようだ。だが、財務省の改ざんが発覚し、まずいとなり、小野寺(五典)防衛相に対応を相談したようだ」(防衛省関係者)
昨年から国会で追及されている森友疑惑と防衛省の日報隠しで嘘が相次いで露見し、安倍首相は世論調査の数字に戦々恐々としている日々だという。
さらに目下、最大の悩みの種は森友疑惑の“元凶”とされる昭恵夫人だ。
最近は「離婚の危機」まで報じられるようになってきたが、実際のところはどうなのか──。
その昔、晋三氏と昭恵夫人を引き合わせた“恩人”で、今も安倍家と付き合いがある元山口新聞東京支局長の濱岡博司氏が証言する。
「(晋三氏の母の)洋子さんは昭恵さんに『あなたが原因で晋三が首相の座を追われることになったら、絶対に許さない』と言っているそうです。私は以前、晋三さんのお兄さんから『昭恵さんの言動を注意してくれませんか』と頼まれたこともありましたが、50歳を過ぎた女性にそんなことをわざわざ言うのもね。洋子さんは『離婚させられないか』とまでおっしゃったそうですが、夫婦の問題ですからね」
森友問題では昭恵氏の暴走と関与が取り沙汰されているが、濱岡氏の見方は違うようだ。
「晋ちゃんは嫉妬深い男だから、常に昭恵さんの生活ぶりとか、行動とか、いろんなことを把握してないと気が済まない人です。巷間いわれるように、彼が昭恵さんをかばっているという話ではないと思う。昭恵さんはいろんなことを逐一、晋ちゃんに報告していた。勝手にやるということはないと思うよ。今度はこういう話があるからどうだろうねとか、今度はこういうパーティーに出るなどと報告し、了解を得てやっていたので、今、報道されていることと違うと思います」
濱岡氏が昭恵夫人と知り合ったのはさかのぼること36年前。
山口新聞東京支局長となり、地元から上京。晋三氏の父、安倍晋太郎氏の秘書から誘いを受け、安倍家に挨拶へ行ったとき、洋子氏から「うちの息子(晋三氏)がまだ結婚してないのよ。交際相手とか浮いた話もない。あなた誰か連れてきてくれない?」と頼まれたことがきっかけだったという。
濱岡氏は記者として、午前中は国会をまわり、午後から電通をまわるという生活を送っていた。そこで、電通の社員の知り合いができたという。
「晋三さんのお相手を探す際、相談に乗ってくれたのが電通社員でした。彼はサーファーでね。目の前でコピーをとっていた女性をさして、『じゃあ、あの子はどうですか』と言ったんです。それが昭恵さんだった。とりあえず、2人を会わせるかという話になってね。物事ってのは、つくづく弾みと偶然だと思います」
昭恵氏の旧姓は松崎。父親は大手製菓メーカーの森永製菓元社長の松崎昭雄氏、祖父は森永太平氏。森永製菓の創業家一族の令嬢だった。2人のお見合いのためにセッティングされたのは東京・原宿のカフェバー「オーラ」だった。
「その店に決めたのは、レコード会社の知人から『雰囲気のいいお店がある』と聞いたから。『オーラが差すからオーラにしようよ』とその店になった。『もんた&ブラザーズ』のメンバーが生演奏することもありました」
2人の出会いは濱岡氏と電通の社員で考えられた。
「私は晋ちゃんを連れていく、電通の人は昭恵さんをその店に連れていくというシチュエーションだった。ところが、昭恵さんが仕事があるとかで、50分も遅れてきてね。その間、晋ちゃんは『いえいえ、待ちますよ』と言って、期待して待ってましたね。実は昭恵さんの顔はもともと知ってましたから。彼にとっては永遠のマドンナだったんですよ」
濱岡氏によれば、晋三氏の兄の寛信氏が定期的に良家の子女の集まる合コンを開いていて、そこですでに2人は知り合い、晋三氏は一目ぼれだったという。
結婚したのは交際を始めてから3年後だ。
安倍家を知る人物はこう語る。
「昭恵さんに亭主のどこが好きなんですかと尋ねたことがあります。そうしたら『普通の人は長い年月、一緒に暮らしているとどこか嫌なところが目につくはずですが、夫には嫌なところがない』と言ってました。昭恵さんのわがままを許してくれて、理想的な亭主なんでしょう」
安倍夫妻に転機が訪れたのは第2次安倍政権が発足する2カ月前の2012年10月。昭恵氏が周囲の反対を押し切って、居酒屋「UZU」(東京・神田)を出店したことから。昭恵氏の知人は当時をこう振り返る。
「最初は六本木など港区周辺でも探していたようです。昭恵さんはワイン好きで、ワイン1本を空けてもケロッとしているくらいなので、『どうしてワインバーではなく、居酒屋なのよ』と聞いたことがあります。のんべえだし、みんなで飲み会ができる店を持ちたかったようですね」
姑の洋子氏は大反対だったようだ。
「洋子さん、晋ちゃんの兄さんも反対でね。2人からやめるように説得してほしいと頼まれました」(濱岡氏)
しかし、昭恵氏は「UZU」を開店し、その経緯を小誌にこう語っている(週刊朝日14年1月3・10日号)。
「(安倍首相に)反対はされませんでした。『えーっ』という感じではあったと思いますが、もう、しょうがないと」
そして15年に昭恵氏は来日中のミシェル・オバマ夫人やケネディ駐日米大使(当時)をちゃっかり「UZU」に招き、昼食会を主催。「外交を利用した店の宣伝ではないか」と一部メディアで批判されたが、反省もせず、森友疑惑を招く結果となる。
濱岡氏は安倍夫妻の今後をこう予言する。
「あの夫婦はいろんな意味で一蓮托生。離婚はしないと思います」 
 
 
 2019

 

●ついに家宅捜索「ジャパンライフ」と安倍政権の黒い関係!  2019/4 
2000億円を超える負債を抱え、現在、破産手続き中の預託商法大手・ジャパンライフ社に、ついに捜査のメスが入った。債務超過の状態を隠して顧客を勧誘した疑いがあるとして、本日、警視庁など6都県警の合同捜査本部が特定商取引法違反(事実の不告知)容疑で創業者の元会長・山口隆祥氏の自宅や関係先など12都県30カ所を家宅捜索したのだ。
同社の被害弁護団連絡会によれば契約者は約7000人にもおよび、現在、各地で損害賠償訴訟が起こされている。被害規模は史上最大の消費者被害を出した安愚楽牧場に次ぐもので、今後の捜査の行方に注目が集まっている。
しかし、ジャパンライフをめぐっては、もうひとつ、注目すべき問題がある。それは、ジャパンライフと安倍首相の側近政治家、安倍応援団ジャーナリストとの関係だ。
本サイトではこれまでも追及してきたが、安倍首相の側近である自民党の加藤勝信総務会長や二階俊博幹事長、さらに御用ジャーナリストの田崎史郎氏、NHKの島田敏男氏らといった“安倍首相のメシ友記者”たちがジャパンライフの“広告塔”をつとめてきた。さらに、2015年には安倍首相主催の「桜を見る会」に山口会長を招待。ジャパンライフは招待状と安倍首相の顔写真を宣伝チラシに載せてアピールに使っていたのである。
その詳細をお伝えした昨年11月の記事を、今回、あらためて再録する。安倍首相の側近たちが被害の拡大に手を貸した事実は極めて重大であり、徹底した責任追及が必要だ。

マルチ商法としてこれまでにもたびたび社会問題化してきた「ジャパンライフ」が2400億円超の負債を抱えて破産、12日には最初の債権者集会が開催された。しかし債権者への返済はほぼ絶望的な状況も判明、大きな波紋を呼んでいる。ジャパンライフをめぐっては警察当局も特定商取引法違反や詐欺容疑を視野に本格捜査が開始される模様だ。約6800人にも及ぶと言われる被害者が予想されるが、さらに被害を増大させた一因がある。それがジャパンライフと安倍首相の側近政治家との関係だ。
その最たる存在が、安倍政権下で内閣府特命担当及び一億総活躍担当大臣、厚生労働大臣などを歴任し、現在は自由民主党総務会長の要職にある加藤勝信議員だ。加藤氏はジャパンライフの内部向けの宣伝チラシに「ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価していただきました」と紹介されるだけでなく、ジャパンライフ創業者で“マルチのレジェンド”と称される山口隆祥会長と2017年1月13日に会食するなど、ジャパンライフの“広告塔”としての役割を果たしている。つまり被害者を安心させる“印籠”になっていたというわけだ。周知の通り、加藤氏は安倍首相の最側近で、最近では“ポスト安倍”としても名前があがることもある政治家。もともと勝信氏は、自民党の大物議員・加藤六月氏(故人)の娘婿で、六月氏は安倍首相の父・晋太郎氏の側近中の側近。安倍首相の幼い頃から安倍家と加藤家は家族ぐるみの付き合いであり、また六月氏の妻・睦子夫人と安倍首相の母・洋子氏との関係は相当に深く、大臣抜擢も、洋子氏の後押しがあったためといわれる。そんなオトモダチがジャパンライフの広告塔だったわけだから、それこそ安倍首相の責任は免れないだろう。
安倍首相主催「桜を見る会」にジャパンライフ会長を招待!
しかし、ジャパンライフとの関係があるのは加藤氏だけではない。そもそもジャパンライフは政治家との関係をさかんにアピールしてきた。たとえば自民党の二階俊博幹事長も加藤議員同様、ジャパンライフの宣伝チラシに登場するだけでなくは山口会長主催の“自民党・二階幹事長を囲む懇親会”まで開かれていた。また2014年にはこれまた安倍首相側近の下村博文元文科相が代表を務める政党支部に献金がなされた。さらにこの問題を追及し続けてきた共産党の大門実紀史参院議員が入手した「お中元リスト」には安倍首相をはじめ、麻生太郎財務相や菅義偉官房長官、茂木敏充経済再生相らが名を連ねていたのだ。
そして極め付けが2015年に開催された安倍首相主催「桜を見る会」だろう。2014年9月にジャパンライフは消費者庁から文書で行政指導を受けていたにもかかわらず、この首相主催の会にジャパンライフ創業者の山口会長本人が招待されているのだ。しかも、ジャパンライフは招待状と安倍首相の顔写真を宣伝チラシに載せ大々的にアピール、また勧誘や説明会で「招待状」を顧客に見せ、その関係を利用しようとしていた。つまり側近政治家だけでなく安倍首相もまた“広告塔”としての役割を果たしていたと言っていい。
こうして安倍政権に食いこんだジャパンライフだが、さらに安倍首相と一体化している官庁である経産省を中心に官庁工作や人脈形成を盛んに行っていたことも判明している。
実際、ジャパンライフは元内閣府官房長や元特許庁長官ら複数の官僚OBを同社の顧問や関連するNPO法人の理事長として招請し、報酬を支払っていたことが明らかになっているのだ。
さらに問題なのは、こうしたジャパンライフの政界官界人脈が、悪質商法を行っている疑いがあるジャパンライフの行政処分を遅らせたという疑惑までがあることだ。これは昨年4月の国会で前述の共産党の大門議員が追及したものだが、ジャパンライフの業務停止命令が、2015年9月の立ち入り検査から1年3カ月と通常の倍以上も要した背景に、消費者庁の課長補佐が同社に天下りしていたことが指摘されているのだ。
つまり加藤議員ら政治家が“協力”していたことで同社の「信頼」を演出、さらには関係官庁のOBが天下りしていたことで、これまでも悪質マルチ商法を行っている疑いがあったのに、その行政処分が遅れ、被害を拡大させた可能性すらあるということだろう。
田崎史郎、NHK島田敏男ら“安倍のメシ友”記者も広告塔に
ジャパンライフの確信犯的とも思える政界官界への工作だが、もうひとつの疑惑が存在する。それがマスコミ“広告塔”工作だ。これはジャパンライフ問題が大きく取り上げられている現在においても、テレビや大手紙が一切沈黙を決め込んでいるが、通信社、全国紙、そしてNHKなど大マスコミの編集委員・解説委員クラスの幹部が、しかも安倍首相に極めて近い人物たちがジャパンライフの宣伝資料に実名・顔写真入りで登場していたというもの。
この事実は今年2月、消費者問題の専門紙・日本消費経済新聞がスクープしたものだ。記事によると同紙はジャパンライフ元社員から、顧客の説明会で使用する資料を入手。その中に、2017年1月27日、二階幹事長を囲む懇談会を山口会長の主催で開催したことが紹介され〈トップ政治家やマスコミトップの方々が参加しました! このメンバーで毎月、帝国ホテルにて情報交換会を行なっています〉と打たれものがあり、その下に「参加者メンバー」が肩書きと顔写真入りでリストアップされていたのだ。
そのなかには、TBS『ひるおび!』などテレビでおなじみ官邸御用ジャーナリストの筆頭、“田崎スシロー”こと田崎史郎・時事通信社特別解説委員(当時)や、安倍首相と寿司を食う仲から“しまだ鮨”との異名を持つ島田敏男・NHK解説副委員長(当時)、また芹川洋一・日本経済新聞社論説主幹(当時)の名前があげられている。田崎氏、島田氏が安倍首相の会食メンバーであることは言うまでもないが、日経の芹川氏も第二次安倍政権発足以降に少なくとも6回も安倍首相と会食を行なってきた。
ただ、このジャパンンライフの広告塔になっていたのは、安倍首相の“メシ友”だけではない。元読売新聞社東京本社編集局長の浅海保氏、元朝日新聞政治部長の橘優氏、毎日新聞社の亡くなった岸井成格・特別編集委員と倉重篤郎・専門編集委員、『報道ステーション』(テレビ朝日)コメンテーターでもある後藤謙次・元共同通信社編集局長らまでが名前を連ねていた。ようするに、政治部トップ経験者が勢ぞろいしていたのだ。 こうした名だたるメンツが二階幹事長を囲み、その懇談会がジャパンライフの山口会長の主催だとアピールすることで、マスコミ関係にも強力な人脈があるとの印象を顧客に与えたのは想像にかたくない。 安倍首相に近い政官界、そしてマスコミ幹部までもがレジェンドマルチ商法大手であるジャパンライフと癒着、“広告塔”となっていた疑惑──。だが、ジャパンライフと安倍政権の関係について、さらなる疑惑が浮上している。それがジャパンライフと安倍昭恵夫人との関係だ。
これは昨年末、日刊ゲンダイが報じたものだが、昭恵夫人が2017年10月に消費者庁から3カ月間の一部業務停止命令を受けたマルチまがい商法の「48ホールディングス」の淡路明人会長と一緒に写っている写真がネットで出回ったというもの。そして48ホールディングスの渡部道也社長はかつてジャパンライフの取締役を務めていたという。その関係の詳細は不明だが、しかしここでもまた昭恵夫人が登場したこと、さらにジャパンライフと安倍首相の蜜月を疑わざるを得ない。
冒頭で記したように、今後ジャパンライフは当局の本格捜査が着手されるが、果たしてこうした安倍政権との癒着構造が解明されるのか。その動きを注視したい。 
●「桜を見る会」での“逃げ恥作戦” 2019/11 
永田町では今、季節外れの「桜」が話題だ。長年にわたって4月に開催されてきた首相主催「桜を見る会」をめぐる“私物化”批判で、安倍晋三首相が窮地に追い込まれているからだ。
首相自身が主役となって税金が使われる公的行事に、「長年の慣行」を理由に地元山口県から多数の支援者を招いていたことで、野党や国民から厳しい批判が巻き起こり、一気に「首相のスキャンダル」に発展して内閣支持率も下がり、年明けの“桜解散”もささやかれる事態となっている。
首相は問題発覚後、間を置かずに「見る会」の来年開催中止を決め、自ら記者団に事情説明して反省の態度も示した。主要2閣僚辞任や大学入試共通テストでの英語民間試験実施見送りなど、10月下旬から相次いだ「政権の火種の素早い火消し」に続く“安倍流危機管理”だ。
ただ、永田町では「お得意の“逃げ恥作戦”も、今回は通用しないのでは」(自民長老)との声も広がる。
今回の騒動は、11月8日の参院予算委集中審議での共産党議員の首相への追及が発端だ。「招待者に多数の首相後援会関係者が含まれている。公的行事の私物化だ」と、具体的資料も示しての追及で、首相は「私は招待者の取りまとめなどには関与していない」とかわした。
しかし、首相の事務所名が明記された「見る会」や、その前日の「前夜祭」への参加募集文書の地元有権者への配布もすぐ明るみに出たことで、野党側は「首相の関与は明らか、内閣総辞職にも値する事態だ」(立憲民主党幹部)と色めき立った。
「首相がズルをしたという、分かりやすい話」(閣僚経験者)だけに、首相サイドも危機感を強め、菅義偉官房長官は13日午後の記者会見で「見る会」の来年度開催中止を発表、首相も同夜「私の判断で中止することにした」と記者団に語った。
さらに首相は15日には昼夜2回、首相官邸で記者団のインタビューに応じ、政治資金規正法違反疑惑も指摘された前夜祭への対応でも「すべての費用は参加者の自己負担で、事務所・後援会の収入・支出は一切ない」と説明。その上で、「招待人数が多くなってきたことは反省しなければならない」などと謝った。
そもそもこの催しは、1952年に当時の吉田茂内閣が始めたもの。以来、政財官界の代表や各国大公使に、芸能・スポーツの有名人なども加えた「各界の功績・功労者等」を招き、首相を中心に歓談する公的行事として定着してきた。
ただ、第2次安倍政権発足以降は、招待者約1万人・関連予算約1700万円という「原則」からはみ出して年々、招待者数と関連経費が増大。今年4月の開催実績では、参加者約1万8200人、経費約5500万円にまで膨らみ、しかも、首相の地元招待者が約850人とされたことで、厳しい私物化批判につながった。
今回、首相や菅氏が「即断即決」の形で火消しに動いたのは、「放置すれば政権の危機につながる」(官邸筋)との判断からだ。
通常は1、2分で打ち切る官邸での質疑に、15日夜は首相が「他に質問は」と促すなど約20分間も応じたのは、「早く収束させなければ」という、首相の焦りと苛立ちの表れともみえる。
だからこそ、3年前の人気テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」を引いての“逃げ恥作戦”と揶揄されるわけだが、野党側は「首相の一方的な説明は、火に油を注いだ」と勢いづく。
首相サイドが流したとされる「1月下旬解散・2月中旬投開票」説も、「こっちが追い込む。やれば安倍政権は終わる」(国民民主幹部)との声もあり、終盤を迎えた臨時国会の攻防も、与党にとって防戦一方の様相となりつつある。 
●“マルチの有名人”山口元会長と政治家たちとの“ズブズブな関係” 2019/12 
12月9日に国会会期末を控え、野党側は会期の大幅な延長を求めている。もちろん目的は大炎上している「桜を見る会」をめぐる問題の追及だ。政府がひた隠す招待者名簿問題のなかでも、注目すべき論点のひとつがマルチ商法で有名な「ジャパンライフ」の山口隆祥元会長(77)に「安倍晋三首相枠」で招待状が送られていたという疑惑だ。
山口元会長のもとに「桜を見る会」の招待状が届いたのは2015年春。山口元会長は「安倍晋三内閣総理大臣から山口会長に『桜を見る会』のご招待状が届きました」と書いた宣伝チラシに、招待状のコピーを張り付けて宣伝に利用した。野党は内閣府の内部資料をもとに、“安倍枠”による招待だったと主張しているが、安倍首相は否定している。
だが、このジャパンライフについての”悪評”はいまに始まったことではない。若い読者は知らないかもしれないが、山口元会長は40年以上前にも国会招致されており、80〜90年代もジャパンライフのマルチ商法は国会審議で取り上げられている。そこで、「いまさら聞けない『ジャパンライフ』ってどんな会社?」というアプローチで解説してみたい。
そもそも山口元会長の“業歴”は古く、ジャパンライフの創業は1975年。以後、羽毛布団や磁気治療器など商材を変えながら、高配当を謳って高額商品を会員に売りつけるマルチ商法を展開し、繰り返し問題になってきた。
ジャパンライフのマルチ商法は大きな社会問題となり、ついに1985年5月には国会で集中審議されることとなった。ここではじめて、山口元会長が、傘下の販売店から会費を集め、政治家への献金窓口となる「健康産業政治連盟」を設立し、年間1〜2億円をあらゆる政治家にばら撒いていたことが明らかになったのである。
まず槍玉に上がったのは、山口元会長が最も親しかったと言われる「新自由クラブ」(1986年8月に自民党に合流)の山口敏夫労働大臣(当時、山口元会長以外の肩書きは以下同)だ。山口氏はジャパンライフが所有するヘリコプターに乗って選挙区入りしたことが指摘された上、1983年にはジャパンライフから山口氏の5つの政治団体に計500万円の献金が行われていた。
また、ジャパンライフが発行していた「経営者月報」には、見開きページに李香蘭の名で活躍した女優出身の山口淑子参議員が登場していたことが判明。そのほかにも、ジャパンライフが武道館で開いた「記念大会」に、山口敏夫氏をはじめ、増岡博之労相、村上正邦参議員、塩川正十郎元運輸相らが来賓として出席していた。山口敏夫氏、増岡博之氏、塩川正十郎氏の3名は、1967年に初当選した自民党の同期でもある。
最大の大物は、先日101歳で亡くなった中曽根康弘元首相だろう。首相在任中、中曽根氏の5つの政治団体に、ジャパンライフから計1000万円の献金が行われていたことを、共産党の藤田スミ衆議員が追及している。中曽根氏は「善意の政治資金として受け付けたということでございまして……」と答弁している。
しかし、1985年11月の国会で、社会党の横江金夫衆議員が中曽根氏をさらに追い詰めた。内部告発状をもとに「(ジャパンライフは)この商売を守っていくために中曽根総理に対して、パラオ島にあるこの会社が持っている20万坪の土地を贈呈をしたということが書いてあるのです」と指摘したのだ。
翌12月の国会でも、藤田スミ氏がジャパンライフと国会議員らの癒着について糾弾している。ジャパンライフ傘下の「ヘルスカウンセラー協会」創立3周年の集会において、自民党副総裁の二階堂進衆議員と山口労相が山口元会長に“感謝状”を送り、中曽根首相は祝電を打っていたことに言及したのだ。
藤田氏は続いて1985年に開かれたジャパンライフ創業10周年記念集会にも批判の矢を向けた。「増岡厚生大臣をはじめとして、何と15人に及ぶ大臣クラスの錚々たる政治家が競い合うように参加をいたしまして、ジャパンライフの商法やあるいは山口会長を絶賛しているわけであります」と追及している。
翌1986年2月の国会では、安倍首相の父、安倍晋太郎外相まで登場。社会党の松浦利尚衆議員は、ジャパンライフの事業報告書の中で、山口元会長と共に安倍外相と山口前労相がニューヨークを表敬訪問したと記載されていると指摘した。
それに対して安倍元外相は、「山口代議士がたくさんの人と一緒に、ちょうど私が国連に行っておったときに紹介といいますか表敬に連れてきたことは、確かにその中に今の山口隆祥氏ですか、おられたことは事実です」とその事実を認めた。
ジャパンライフが取り込んでいったのは政治家だけではない。1985年12月の国会では、ジャパンライフが警察官僚を多数招聘していることも白日の下に晒された。関東管区警察学校・教務部長を務めた神田修道氏がジャパンライフの組織部取締役部長に、山形県警副本部長を務めた佐藤恒夫氏は代理店指導部長に就いていたのだ。
実は国会審議が始まる前の1983年、ジャパンライフは法人税法違反で告発され、山口元会長は当時取締役に降格していた。そこで後任として会長職に就いたのが、京都府警本部長などを歴任した警察官僚の相川孝氏だ。相川氏は悪徳商法を取り締まる警察庁保安課長を経験している。
山口元会長はなぜここまでして政治家や官僚との繋がりを求めたのか。その理由は、1985年5月の国会で取り上げられている。
山口元会長は、新高輪プリンスホテルで開いた講演会において、過去にマルチ商法の別会社を立ち上げて倒産し、ジャパンライフを創業した経験に触れ、「そういう失敗をしましたよ。だから『健康産業政治連盟』じゃないですか」と話したのだという。くわえて「産業を将来大きく伸ばすために協力してくれる代議士の先生方に政治献金している。おかげでいろんな協力者が陰に日なたになってくれている」とも語っており、政治家らをビジネスに利用してきたことが明らかにされた。
山口元会長は社会的に糾弾されると政治家に献金攻勢をかけて広告塔として利用し、元官僚を抱き込むことで追及を逃れてきたのだ。現在「桜を見る会」を巡って起きていることも、当時と同じ構造が裏にある。
80年代に大きく取り沙汰されてから、一時は鳴りを潜めていたジャパンライフだが、2010年以降に消費者からの苦情が増えていった。そして2014年夏、消費者庁がジャパンライフに立ち入り調査を計画した。
ジャパンライフへの監視の目が強まっていることを察知した山口元会長は、2014年12月に下村博文文科相が支部長を務める自民党東京都第11選挙区支部に10万円を献金。「日本消費経済新聞」によれば、柿沢未途衆議員が支部長を務めるみんなの党東京都第15区支部にも、2010年から2013年までに1940万円を献金している。柿沢氏の父親は外相などを務めた元代議士の故柿澤弘治氏。柿沢氏は同紙に、「亡き父の信頼を引き継ぎ、お付き合いをさせていただき、ご支援をいただいた」と回答した。
この裏工作が功を奏したのか、2014年の立ち入り調査は見送られている。しかし2015年9月には消費者庁がジャパンライフへ立ち入り調査に入り、ついに2016年12月に業務停止命令が下されたのだ。
消費者庁が業務停止命令を発した直後の2017年1月13日、山口元会長は安倍政権の重要閣僚、加藤勝信一億総活躍担当相(当時)と会食をしている。その後に配布されたジャパンライフの宣伝チラシには早速、加藤氏に「ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価して頂きました!」と記載した。
加藤氏との会食の2週間後の1月27日、今度は山口元会長主催で二階俊博・自民党幹事長を囲む懇談会も開かれた。会には多くのマスコミ関係者も招待されていた。その後、またしても宣伝チラシで「トップ政治家やマスコミトップの方々が参加しました! このメンバーで毎月、帝国ホテルにて情報交換会を行っています」と、自身と有名政治家との親密な関係をアピール。チラシには参加メンバーとして、NHK、日経新聞、毎日新聞などの論説委員クラスの顔と名前も並んでいた。
ある出版社幹部はこう話す。
「山口さんには向島の料亭で、2世議員などの政治家を何人か紹介して貰ったことがあります。山口さん主催の食事会に行くと、新聞の論説委員とか、役人上がりの人が必ず来ていました。私は会っていませんが、山口さんの口から、引退した自民党の大物政治家の名前が何回か出たこともある。権威を笠に着ることで、商売に利用していたのでしょう」
2016年12月に業務停止命令が下ってからも、懲りずに広報活動をしていたジャパンライフだったが、2017年3月には2回目の業務停止命令が下っている。
2015年の消費者庁による立ち入り調査以降、山口元会長は80年代と同様に、元官僚たちを自社の主要ポストに就任させていった。
2015年7月、まずは消費者庁の水庫孝夫課長補佐がジャパンライフ顧問に就いた。水庫氏は在職中、ジャパンライフに「定年退職」「最後の仕事」と繰り返し告げ、私用のメールアドレスと電話番号を伝えていたという(内閣府の再就職等監視委員会の調査より)。そして翌16年3月、再就職等監視委員会は、水庫氏のこれらの言動が、「(国家公務員法に)違反する行為であることが認められました」と発表した。
ジャパンライフが隠れ蓑にしようとした元官僚は水庫氏だけではない。2017年4月の国会で、共産党の大門実紀史参議員は、ジャパンライフのパンフレットを入手し、こう指摘した。
「もっと大物がいるんです。海外担当の松尾さん(篤・元経済企画庁長官秘書官)も元経産、キャリア組ですね。水庫さんはノンキャリアですけれども、キャリア組の松尾さんと、右の上の永谷さん(安賢・元内閣府官房長)ですね」
さらに最新のパンフレットには、中嶋誠・元特許庁長官が入っていることも明かした。そして大門参議員はジャパンライフの“お中元リスト”も入手。「いろんな方の名前がずらっと並んでおります。(中略)あいうえお順ですから、最初に出てくるのは麻生太郎さん、2番目が安倍さん、安倍晋三総理ですね……」と指摘した。
この指摘を受けて、後日、麻生太郎財務相は山口元会長について言及。「この人は結構有名人。(中略)この人はその時代から結構有名な方で、マルチという言葉が始まった最初の頃からもう出ていた方だった」と答えている。
社会部記者が話す。
「消費者庁は2015年に立ち入り調査に入ったにも関わらず、業務停止命令を出すまで1年以上かかっています。ジャパンライフのように明らかな違法性が認められる企業であれば、立ち入り調査後に業務停止命令が出てもおかしくなかった。この“特例”には、こうした政治家との繋がりや、役人の招聘が影響していると見られます。そしてこの間に、『桜を見る会』の招待状がジャパンライフの宣伝に使われたのです」
こうして安倍首相主催の「桜を見る会」は、ジャパンライフの“永田町戦略”にまんまと利用されたのだ。 
●加藤厚労相、ジャパンライフ元会長との関係を否定 2019/12 
首相主催の「桜を見る会」の問題をめぐり、加藤勝信厚生労働相は3日の閣議後記者会見で、オーナー商法で行政指導を受けたジャパンライフの元会長と1億総活躍担当相だった時に会食していたとの野党の追及について「マスコミの方が主催する勉強会に出かけた時に、会長がおられたということに尽きる。それ以上の関係はない」と述べ、個人的な関係は否定した。
野党は、同社が「加藤大臣と会長が会食し、ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価して頂きました!」と記した資料をもとに消費者を信用させていたと指摘している。加藤氏は「どういう会話をしたか覚えていない」とした上で、「先方が一方的にやったことで、我々も経緯を調べようとしたが、先方とコンタクトができなかったと記憶している」と説明した。
桜を見る会の問題では、安倍晋三首相の推薦枠で同社の元会長が招待されたのかが焦点の一つになっている。 
●広告塔「一方的にされた」 加藤厚労相、ジャパンライフとの関係否定 2019/12 
加藤勝信厚生労働相は3日の閣議後会見で、特定商取引法違反容疑で家宅捜索を受けた「ジャパンライフ」の広告塔として自身が利用されたとの指摘について、同社から事前の説明はなく「先方が一方的にやった」と述べ、関係を否定した。
野党は、同社の宣伝に加藤氏の顔写真が使われるなど広告塔になっていたとして追及している。加藤氏は元会長との関係について「マスコミの方が主催している勉強会で私が話をしたときに(元会長がその場所に)おられたということに尽きる」と強調。居合わせたのみで、個別に会ったわけではないとの認識を示した。  
●ジャパンライフ元会長と個人的関係「ない」 2019/12 
首相主催の「桜を見る会」をめぐり野党側は、マルチ商法で行政指導を受けた「ジャパンライフ」の当時の会長が招待されていた問題などについて、国会で安倍首相を追及した。
元会長が招待された理由について安倍首相は明言を避けた一方、自身と昭恵夫人は元会長との個人的な関係は一切ないと述べた。
社民党・吉田参院議員「2014年に行政指導を受けた翌年の『桜を見る会』に、この人物を招待したのはなぜでしょうか。安倍総理、昭恵夫人はこのジャパンライフの山口元会長と面識がおありでしょうか」
安倍首相「個々の招待者やその推薦元については個人に関する情報であるため、招待されたかどうかも含めて従来から回答を控えさせていただいているところであります。山口氏と一対一のような形でお会いしたことはなく、個人的な関係は一切ありません。また、私の妻は山口氏との面識はありません」
また、野党側が求めている招待者名簿のデータ復元については、内閣府のシステム上、「復元は不可能であるとの報告を受けている」と説明した。
さらに、野党議員が資料請求した日に招待者名簿がシュレッダー処理され、野党側から「隠ぺい」との指摘があがっていることについて「野党議員からの資料要求とはまったく無関係との報告を受けている」と述べた。 
●ジャパンライフ、元朝日新聞政治部長に顧問料3000万円! 2019/12 
安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に元会長が招待され、悪質なマルチ商法で経営破綻した「ジャパンライフ」が、元官僚や元新聞社幹部ら5人に、2005〜17年度に顧問料として計約1億4000万円を渡していたことが分かった。このうち、元朝日新聞政治部長の橘優(たちばな・まさる)氏は、夕刊フジの直撃取材(4日)に顧問料の開示を拒否していたが、何と約3000万円を受け取っていたことが分かった。
「われわれ弁護団は『これほど巨額のお金ではないのではないか』という想定の下、求釈明(=相手方に『これらを明らかにせよ』と釈明権の行使を促すこと)した」
ジャパンライフの被害者弁護団も、こう驚き隠さなかった。
巨額の顧問料は、東京地裁で18日開かれた第3回債権者集会の終了後、被害者側弁護団が明らかにした。名古屋地裁で審議中の損害賠償請求訴訟で顧問料の開示を求めたところ、同社の破産管財人からの回答で具体的金額が判明したという。
弁護団によれば、5人のうち、松尾篤元経済企画庁長官秘書官が05〜17年度に9060万円、次いで橘氏が13〜17年度に約3000万円、佐藤征夫元科学技術庁科学技術政策研究所長が10〜17年度に1780万円、ほかにも元官僚らが数百万円を受け取っていたという。
ジャパンライフによる被害総額は約1800憶円ともいわれる。同社は、出資者を信用させるため、元官僚や元朝日新聞政治部長を顧問にしていた可能性もある。
現に、同社の「宣伝用資料」には、「桜を見る会」(15年)の招待状とともに、元会長主催で、自民党の二階俊博幹事長を囲み、橘優氏や、現在も新聞やテレビで活躍する政治評論家やジャーナリスト、解説委員らが懇親会を開いていたことがアピールされていた。
夕刊フジが直撃取材した際、ジャパンライフが消費者庁から「行政指導」を受けていた事実を、橘氏は「事件が顕在化するまで知らなかった」と回答。また、「桜を見る会」も同社に利用されたのではないかという問いに、「あれはあれ、これはこれだ」と話していた。
ちなみに、破産管財人は前出の5人に顧問料の返還を求めたが、応じていないという。 
●安倍首相とジャパンライフの関係は父親の代から!  2019/12 
ウソ、ごまかし、強弁、責任のスリカエ、説明放棄……。今週末の臨時国会閉会を射程にとらえ、なんとか「桜を見る会」疑惑から逃げ切ろうと必死の安倍政権。2日の参院本会議で久々に答弁に立った安倍首相は、マルチ商法のジャパンライフ・山口隆祥会長(当時)を「総理枠」で招待していた問題について、こんな言い逃れをした。
「ご指摘の山口会長については、過去において、私が招待した多人数の会合等の場で同席していた可能性までは否定しませんが、山口氏と1対1のような形でお会いしたことはなく、個人的な関係は一切ありません」
そもそも、ジャパンライフは磁気ネックレスの預託商法などを展開、何十年も前から悪徳マルチ商法として社会問題になってきた企業であり、国会でも度々審議され、2014年9月には消費者庁から文書で行政指導を受けていた。にもかかわらず、安倍政権は2015年4月の「桜を見る会」に山口会長を招待。そして、ジャパンライフはこの招待状と安倍首相の顔写真を宣伝チラシに載せて〈安倍晋三内閣総理大臣から山口会長に「桜を見る会」のご招待状が届きました〉と大々的にアピールすることで、被害者の“信頼”を得していたことが判明している。
ようは、安倍首相は多数・多額の被害を出した悪徳マルチのPRに加担していたのだ。それを「個人的な関係は一切ない」と言って責任を頰被りする。これだけでも一国の総理大臣として許されるはずがない。
だが、この安倍首相の「個人的な関係は一切ない」は真っ赤な嘘だ。なぜならば、山口会長は安倍晋三の父・晋太郎に深く食い込んでいたという、動かぬ証拠があるからだ。
実はこの問題は30年以上前に国会で追及されている。1986年2月10日の衆院予算委員会でのことだ。日本社会党の松浦利尚議員が、ジャパンライフが設立した政治団体「健康産業政治連盟」の事業報告書を示し、安倍晋太郎外務大臣、山口敏夫前労働大臣がジャパンライフ山口会長とともに、1984年9月22日にニューヨークを表敬訪問したと書いてある、と追及したのだ。しかも当の安倍晋太郎は、こう答弁している。
「それは山口代議士がたくさんの人と一緒に、ちょうど私が国連に行っておったときに紹介といいますか表敬に連れてきたことは、確かにその中に今の山口隆祥氏ですか、おられたことは事実です」
つまり、安倍晋太郎外相はニューヨークでの国連の会合へ向かった際、山口会長と一緒にいたことを認めているのである。常識的に考えて、一国の現職外務大臣で、しかも“総理候補”であった安倍晋太郎の公務出張に、ジャパンライフというマルチ企業の会長が同行するなんてことは、よほどの“関係”でなければありえないだろう。
そしてこの当時、安倍晋三は父・晋太郎の秘書を務めていた。秘書時代、晋三が父親の外遊に必ずと言っていいほど同行していたことは有名で、この国連会合にも同行していた可能性が高い。
しかも、安倍晋太郎とジャパンライフ山口会長の付き合いの深さは、外遊に同行したというレベルの話ではなかった。前述した晋太郎の1986年2月国会答弁は「おられた」ことは認めたものの、「たくさんの人と一緒に」「その中に今の山口隆祥氏ですか」などと、まるでアカの他人であるかのような口ぶりだった。つまり、2日の国会で安倍首相が「個人的な関係は一切ない」と強弁したように、晋太郎も「山口氏とは個人的な面識はない」というふうに言い逃れをしていた。
だが、これも真っ赤な嘘だった。晋太郎は、ジャパンライフ山口会長がニューヨークに同行した3カ月後の1984年12月には同氏と会食し、こんなセリフを投げかけていた。
「いったい、商売のコツというものは、なんだろうか。金もうけの秘訣を教えてもらいたいものですね……」
「まったく同感だ。その通りだと思う。まだまだのびるね、山口さんは。そういう心構えが大事なんだな……」
現役の外務大臣だった安倍首相の父親が“悪徳マルチの帝王”と言われた人物に「金儲けの秘訣」を教えてくれと乞う……この唖然とするような会話がなされたのは、政界フィクサーとして有名だった故・恩田貢氏が主催した会合でのことだった。恩田氏は当時、主幹を務めていた雑誌「政界往来」(休刊/政界往来社)1985年6月号から8月号にかけて「山口隆祥会長(ジャパンライフ)は本当に“販売の神さま”なのか」と題したジャパン・ライフPRの短期連載を執筆・掲載しているのだが、その連載第一回に、くだんの会合の記述が出てくる。
それによると、1984年12月中旬、恩田氏は主催した会合に山口氏を出席させ、そこに外務大臣の安倍晋太郎が同席。夕食をとりながら話がはずむなか、晋太郎が前述のように「いったい、商売のコツというものは、なんだろうか。金もうけの秘訣を教えてもらいたいものですね……」と山口会長に聞いたのだという。その後のふたりのやりとりを、恩田氏は臨場感たっぷりに描いている。
〈「〔山口氏、前略〕自分の仕事は世の中の仕事であることを忘れたら、必ず商売は失敗します……」
安倍大臣は、大きくうなずきながら、「まったく同感だ。その通りだと思う。まだまだのびるね、山口さんは。そういう心構えが大事なんだな……」といって、こころから感心している様子であった。そんな安倍大臣に向かって、山口氏はさらにこんな発言をした。
「もう一つ、つけ加えて置きたいのは、“朝の時間”ということ。〔中略、長々と語る〕スッキリした毎朝を迎えない商売人は、なにをしてもうまくゆくはずがない。私はそう信じていますが……」
「いや、全くその通りだ。政治家も同じです。朝がスタートだから、その時の情況でかなり一日が左右されますね、朝は大事です……」
こう語りながら、安倍大臣はまた大きくうなずいてみせた。〉
山口会長の話は単なる自己啓発的な内容で特筆すべき点はないのだが、重要なのは、そんな話を当時の現役外相で“総理候補”だった安倍晋太郎が傾聴し、「金もうけの秘訣を教えてもらいたい」「まだまだのびるね、山口さんは」などとヨイショしていたということだ。
現役の外務大臣が政界フィクサー主催の会合に出席して、PR記事に全面協力する──これは、安倍晋太郎が山口会長から相当な見返りを得ていたとしか考えられないだろう。
実際、当時、悪徳マルチ商法で急成長を遂げたジャパンライフは政界の裏タニマチとして注目され、関係の深い政治家として中曽根康弘とともに名前が上がっていたのが、安倍晋太郎外相だった。
そうした関係を考えても、秘書として晋太郎の傍にいた当時の安倍晋三が、山口会長との接点がまったくなかったはずがないのである。
さらに、安倍首相とジャパンライフの関係を物語る“キーマン”はもう一人いる。安倍首相の最側近たる加藤勝信厚労相だ。周知のように、加藤厚労相は、ジャパンライフの内部向けの宣伝チラシに「取り組みを非常に高く評価していただきました」と紹介されるだけでなく、ジャパンライフ が業務停止処分を受けたあとの2017年1月には山口会長と会食していたことも発覚。ジャパンライフの“広告塔”としての役割を果たしてきた。加藤厚労相は3日の閣議後記者会見で「マスコミの方が主催する勉強会に出かけた時に、会長がおられたということに尽きる。それ以上の関係はない」と釈明していたが、とうてい信じられるものではない。むしろ、安倍首相そっくりな弁明は、官邸と口裏を合わせたとしか思えないものだった。
しかも、注目すべきなのは、この加藤厚労相が自民党の大物議員・加藤六月氏(故人)の娘婿であることだ。六月氏は安倍首相の父・晋太郎氏の側近中の側近。安倍首相が幼い頃から安倍家と加藤家は家族ぐるみの付き合いであり、六月氏の妻・睦子氏と安倍首相の母・洋子氏は親友以上の関係といわれていた。安倍首相が加藤勝信氏を重用してきたのもこうした親の代からの家族ぐるみの付き合いの延長線上で、大臣抜擢も洋子氏の強力なプッシュがあったといわれる。
こうした関係をみていると、むしろ、ジャパンライフは安倍首相にとってファミリーぐるみのタニマチだったと考えるべきではないか。安倍晋太郎や加藤六月の代から利権はそのまま晋三、勝信に引き継がれた。その結果として、山口会長が総理枠で「桜を見る会」に招待されていたのではないか。
いずれにしても、ジャパンライフの山口会長について「個人的な関係は一切ありません」と断言した安倍首相の言い分は、例の「前夜祭の代金は参加者が直接、ホテルに代金を支払った」や「名簿はシュレッダーで破棄され、復元はできない」と同様、到底信じられるものではない。
だが、これだけ嘘やインチキが明らかになっても、安倍政権は国会閉会を目前にして、完全に“逃げ切りモード”に入っている。衛藤晟一消費者担当相が「私はそういう方は要注意だと思って接する」などとまるで騙された被害者に非があるような発言をし、ネット上では「だまされた人が悪いと言っているようだ」と批判の声があがったが、裏を返せば「国会を閉じて年を越せば大丈夫」とタカをくくっているのだろう。実際、3日の西日本新聞によれば、自民党幹部は「うまく逃げ切った」「これでもう、首相が国会で追及される場面も時間もないだろう」と記者に嘯いてすらいるという。
だが、本当にこのまま安倍政権の「逃げ切り」を許してしまっていいのか。「桜を見る会」の追及を放棄するということは、日本が権力者ならどんなに税金を私物化してもどんな犯罪に加担しても一切不問に付す“半独裁国”であることを内外に宣言するに等しい。そのことを国民もメディアももっと自覚すべきではないか。 
 
 
 2020/8

 

●秋元逮捕で安倍首相・昭恵夫人と“買収実行犯”の関係に改めて注目が… 8/20 
安倍政権を直撃する事件が、またも動きを見せた。IRをめぐる汚職事件で起訴されている秋元司・衆院議員が、本日、再び東京地検特捜部に逮捕されたからだ。
今回の秋元議員の逮捕容疑は、組織犯罪処罰法違反の証人等買収の疑い。特捜部は8月4日に、贈賄側の中国企業顧問の被告に裁判で虚偽の証言をするよう依頼し報酬として現金を渡そうとしたとして、3人の会社役員を証人等買収容疑で逮捕したが、逮捕されたうちのひとりである淡路明人容疑者が「秋元容疑者から指示された」などと供述していることなどから、逮捕につながったようだ。
秋元容疑者は収賄罪の容疑で逮捕された昨年12月25日に自民党を離党しているが、中国企業の顧問から総額約760万円相当の賄賂を受け取ったとされているのは、安倍内閣で内閣府のIR担当副大臣を務めていた際のこと。しかも、自民党を離党したといっても、秋元容疑者はいまも二階俊博幹事長率いる二階派に特別会員として所属しているのだ。
IRを所管する内閣府副大臣の汚職疑惑のみならず、金をちらつかせて偽証を依頼していた──。これは秋元容疑者だけではなく、カジノ解禁をゴリ押してきた安倍政権の責任が問われるものだ。
だが、この一連の逮捕劇はカジノ利権の問題だけにとどまらない。秋元容疑者から裁判での偽証工作を「指示された」と供述した淡路容疑者は、昭恵夫人の事業に出資し、「桜を見る会」などに参加していた人物だからだ。
淡路容疑者が会長を務めていた「48(よつば)ホールディングス」は、独自の仮想通貨「クローバーコイン」を「購入すれば1カ月半後には10 倍に値上がりする」「3カ月で128倍の価値になる」などと嘘を騙って販売をおこなったとして、2017年には特定商取引法違反(不実告知など)にあたるとして消費者庁から3カ月の一部取引停止が命じられた問題企業。
だが、この48HDの代表だった淡路容疑者は、2016年の「桜を見る会」や安倍晋三後援会主催の「前夜祭」に参加。安倍首相や昭恵氏、菅義偉官房長官らとツーショット写真を撮り、これらの写真をマルチの勧誘に使用していた。
実際、その証拠も出てきた。これまでも被害者から「写真を見て信用し、コインを買った」という証言が出ていたが、「しんぶん赤旗 日曜版」8月23日号が新たに48HDのセミナーの写真を入手。セミナーでは安倍首相と淡路容疑者が一緒に写った写真をスクリーンにでかでかと映し出し、勧誘に使っていたのだ(写真)。
つまり、安倍首相と「桜を見る会」は完全にマルチの広告塔として利用されていたわけだが、しかも、淡路容疑者はその辺の陣笠議員から「桜を見る会」の招待状を入手して参加したわけではなかった。「桜を見る会」当日、「安倍晋三後援会」のバスに乗車して、受付開始時間前に新宿御苑に入園。安倍首相を出迎えて、いっしょに記念写真を撮っていた。ようするに、安倍首相の後援会メンバーだけに許された特別扱いを受けていたのである。
その理由は、本サイトでも既報のとおり、淡路氏が昭恵氏の事業の出資者だったからだ。
安倍首相の地元・下関市には、昭恵氏が経営に参加する「uzuhouse」(ウズハウス)という複合型ゲストハウスがある。このウズハウスはそもそもの発案者も昭恵氏で、運営会社の取締役にも昭恵氏の名前があるが、2016年1〜4月にかけてクラウドファンディングで開業支援を募集。昭恵氏自身がネット上の動画で呼びかけ、合計約4000万円を集めた。このクラウドファンディングに48HDの淡路社長(当時)が出資していたのだ。
そして、この出資のあと、同年8月におこなわれたウズハウスのオープニングパーティに淡路容疑者が参加、このときも安倍首相は淡路容疑者と写真を撮っている。前述したセミナーで映し出された写真というのは、このとき撮られたものと見られているのだ。
つまり、昭恵氏の事業に出資したことによって、淡路容疑者は特別待遇で「桜を見る会」と前夜祭に招待されたというわけである。これはどう見ても、昭恵氏が関わるウズハウス資金提供の見返りとしか思えないだろう。総理大臣夫人が自分の私的なビジネスへの出資の見返りに、税金で開催された国の行事を悪用し、総理大臣もその悪用を認めていたとすれば、これは明らかな背任行為だ。
また、48HDをめぐっては、2017年5月に予定されていた消費者庁の立入検査が見送りになっており、さらに一昨年に刑事告発されていたにもかかわらず、告発を受けた財務省北海道財務局が調査をおこなっていなかったことも明らかになった。安倍首相・昭恵氏をはじめとした政界官界人脈との関係への忖度が、行政処分を遅らせ、被害を拡大させた疑惑がもちあがったのだ。
まさに淡路容疑者と安倍首相・昭恵夫人の関係は疑惑だらけだったのだが、そこにくわえて起こったIR汚職をめぐる証人買収での逮捕劇──。安倍首相には淡路容疑者との関係について、国会でしっかり説明する必要があることは言うまでもない。
だが、安倍首相にはさらに、近々、説明が求められる事態が起こりそうだ。
というのも、やはり「桜を見る会」に“総理枠”で招待され、その招待状をマルチの勧誘に利用していたジャパンライフの山口隆祥・元会長が、今月中にも詐欺容疑で立件されるのではないかという情報が駆け巡っているからだ。
ジャパンライフは磁気ネックレスの預託商法などを展開、何十年も前から悪徳マルチ商法として社会問題になってきた企業であり、国会でも度々審議され、2014年9月には消費者庁から文書で行政指導を受けていた。にもかかわらず、安倍政権は2015年4月の「桜を見る会」に山口会長(当時)を招待。そして、ジャパンライフはこの招待状と安倍首相の顔写真を宣伝チラシに載せて〈安倍晋三内閣総理大臣から山口会長に「桜を見る会」のご招待状が届きました〉と大々的にアピールすることで、被害者の“信頼”を得していたことが判明している。ようは、安倍首相は多数・多額の被害を出した悪徳マルチのPRに加担していたのである。
安倍首相は山口元会長との関係について、「過去において、私が招待した多人数の会合等の場で同席していた可能性までは否定しませんが、山口氏と1対1のような形でお会いしたことはなく、個人的な関係は一切ありません」と国会で否定してきたが、山口元会長に送られた「桜を見る会」の受付票には「60」という招待区分番号が記されており、8月8日に国立公文書館が開示した2006年の招待者名簿でも、この「60」という番号が首相の推薦者を示す区分だったことが判明している。
さらに、安倍首相の父・安倍晋太郎は山口元会長と深い関係にあり、安倍首相も秘書時代に接触があった可能性がある。山口元会長が立件されることになれば、PRに加担し被害者を生み出す要因をつくった安倍首相には、あらためて真実を明らかにする責任があるのは当然だ。
安倍首相をめぐっては、周囲が「体調不良」をことさらアピールすることによって同情を集め、国会や会見から逃げようという算段なのではないかと囁かれている。実際、この状況下で野党が「桜を見る会」問題の追及をはじめれば、安倍応援団が「新型コロナの最中にまた“桜”か」と吹き出すのは目に見えている。
だが、「桜を見る会」問題で嘘やごまかし、責任のすり替え、さらには説明放棄をつづけてきた人物が、透明性が求められる新型コロナの問題でしっかりと対応をとれるはずがなく、実際にコロナでも国会や会見から逃げている。つまり、「桜を見る会」は安倍首相が抱える根本的な問題を内包しているものなのだ。その追及に応じられないということ自体が、総理大臣失格であるということを、ゆめゆめ忘れてはならない。 
 
 
 2020/9

 

●有田芳生氏 「桜を見る会」安倍首相の法的責任に言及 9/12 
立憲民主党の有田芳生参院議員が11日にツイッターに投稿。安倍晋三首相が主催した「桜を見る会」における法的責任について言及した。
有田氏は「桜を見る会」の疑惑を追及した新日本出版社発行の本に触れ、「『桜を見る会』は安倍首相による『公的行事の私物化』『買収』だとスクープした記録。ネットの公開情報から問題を組み立て、現地取材、報道、国会での質問。全国に1万8000の共産党支部があり、多くの地方議員がいる強みだ。昭恵夫人枠とマルチ商法の関係に驚いた」とし、「首相を辞めても刑事訴追の対象です」と指摘した。 
●加藤官房長官、「桜を見る会」中止でも「見直し作業行わず」 9/17 
菅政権は17日、安倍晋三前首相の後援者が大量に招待されていたことで批判が集まった首相主催の「桜を見る会」に関し、来年度の開催中止を決めるとともに、安倍政権が行うとしていた会のあり方の見直し作業も中断する方針を明らかにした。
菅義偉首相は16日夜の記者会見で「就任を機に来年以降、中止したい」と表明し、9月末の概算要求を念頭に「予算要求しないことを決めた」と語った。
翌17日に加藤勝信官房長官は記者会見で「首相は『来年以降、少なくとも在任中はやらない』と言ったものだ」と首相発言を補足した。その上で加藤氏は「会のあり方(の検討)は、当然やることを前提にするわけで、任期中はやらないのなら当然その作業を進める必要性はなくなっている」と述べ、菅政権下では中断するとした。過去の会のあり方の検証についても「必要な調査は既に行っていて、国会でも当時の官房長官(現菅首相)をはじめ、それぞれから答弁があったと認識している」と述べ、行わない意向を示した。
これに対し、共産党の志位和夫委員長は「いくら今後の桜を見る会を中止にしても、やったことは変わらない。政権中枢が私物化したんじゃないかという疑惑が問われている」と指摘。立憲民主党の枝野幸男代表も「臭いものにふたをするのではなく、しっかりと明らかにしていってほしい」と語った。 
●ジャパンライフ元会長を逮捕 「オーナー商法」詐欺容疑 9/18 
家庭用磁気商品の「オーナー(販売預託)商法」で多額の現金を集めた「ジャパンライフ」(東京、破産手続き中)について、警視庁と愛知など5県警の合同捜査本部は18日、元会長の山口隆祥(たかよし)容疑者(78)=東京都文京区=ら14人を詐欺容疑で逮捕した。債務超過の事実を隠して営業したという。延べ約1万人から2100億円を集めたといい、合同捜査本部は実態の全容解明を目指す。
山口容疑者はこの日朝、自宅で逮捕された。髪形を整え、ジャケット姿でサングラスをかけていた。報道関係者から「債権者にひと言」などと声をかけられたが、無言でゆっくりと捜査車両に乗り込んだ。
ほかに逮捕されたのは、山口容疑者の次女で元社長の山口ひろみ(48)=群馬県太田市=、元取締役の安田真二(62)=相模原市=、元取締役の松下正已(61)=愛知県半田市=ら13容疑者。
警視庁生活経済課によると、山口隆祥容疑者らは同社が債務超過に陥っていた2017年8〜11月、元本保証や高い配当の支払いをするとうそをつき、東京や愛知など1都7県(東京、山形、福島、新潟、静岡、愛知、岡山、滋賀)の58〜85歳(当時)の男女12人に磁気ベストや磁気ネックレスの「モニター」として客を募るよう依頼。商品の購入費として計約8千万円をだまし取った疑いがある。捜査本部は容疑者の認否は明らかにしていない。
同社は1975年設立。80年代に国会で「マルチまがい商法」と指摘されていた。03年ごろから、元本保証と年利6%の配当をうたい、顧客が「レンタルオーナー」となって購入した磁気商品を有料で貸すという商法を全国展開。ただ、商品が契約数より大幅に少ないことが発覚。解約を妨害するなど不適切行為もあり、17年末までに、消費者庁から一部業務停止などの処分を計4回受けた。17年末に倒産し、翌年3月に東京地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は2405億円、債権者は7千人。
警視庁などは19年4月、債務超過の事実を隠して顧客を勧誘していた疑いがあるとして、特定商取引法違反(事実の不告知)容疑で12都県の同社の関係先33カ所を家宅捜索。段ボール約4500箱分の財務資料を分析するなどして、経営実態を調べていた。
同社をめぐっては、山口隆祥容疑者が安倍晋三首相(当時)主催の15年の「桜を見る会」に招かれたとする招待状を勧誘に使ったことが19年11月に発覚。安倍氏の推薦枠だった可能性が浮上し、国会で取り上げられた。安倍氏は同年12月の参議院本会議で「個人的な関係は一切ない」と答弁していた。
オーナー商法とは
オーナー商法 高配当や元本保証を約束し、顧客に商品や権利などを売ってオーナーにしたと同時に預かり、別の人に貸すなどして配当を生む商売。「販売預託商法」とも呼ばれる。実際には商品を運用していなかったり、商品自体がなかったりする被害が後を絶たないが、企業が経営破綻(はたん)するまで表面化しにくい。消費者庁は今年5月、オーナー商法を原則禁じる方針を決定。来年の通常国会に特定商品預託法の改正案を提出する。 
●ジャパンライフ 元会長ら14人逮捕 詐欺の疑い 被害2000億円か  9/18 
磁気治療器のオーナー商法などで多額の資金を集め、経営破綻した「ジャパンライフ」について、警視庁は配当の見込みがないのに顧客を勧誘して出資金をだまし取ったなどとして山口隆祥元会長ら14人を詐欺の疑いで逮捕しました。被害総額はおよそ2000億円に上るということで、警視庁が実態解明を進めています。
逮捕されたのは、経営破綻した健康器具販売会社「ジャパンライフ」の元会長、山口隆祥容疑者(78)ら男女あわせて14人です。
警視庁によりますと、山口元会長らは2017年、会社が大幅な債務超過に陥り配当の見込みがないのに50代から80代までの男女12人を勧誘し、出資金あわせて8000万円余りをだまし取ったとして、詐欺の疑いが持たれています。
警視庁は山口元会長らの認否を明らかにしていません。
「ジャパンライフ」は、高いもので数百万円する磁気治療器のオーナーになれば、そのレンタル収入によって年に6%の高い配当金を得られるとうたい、高齢者を中心に出資を募っていました。
しかし、多額の負債があることを隠して顧客と契約を結んでいたことなどが次々と明らかになり、消費者庁が4回にわたって業務の一部停止命令を出す異例の事態となりました。
警視庁は去年、全国のおよそ30か所の関係先を捜索し、捜査を進めてきたもので、契約を結んだ人は全国でおよそ7000人、被害総額はおよそ2000億円に上るということです。
警視庁は集めた多額の資金の流れなどの実態解明を進めています。
山口元会長 集まった報道陣からの問いかけには応じず
山口元会長は18日午前7時半ごろ、警視庁の捜査員に連れられて、東京 文京区の自宅から出てきました。
グレーのスーツ姿でサングラスをかけていて、ゆっくりとした足取りで捜査車両に乗り込みました。
集まった報道陣からの問いかけには応じませんでした。
ジャパンライフとは
「ジャパンライフ」は1975年に設立された健康器具販売会社で、高い配当金をうたって多額の資金を集めるいわゆる「オーナー商法」を行い、経営破綻する直前には全国に80の店舗を展開していました。
具体的には、ベストやネックレスに磁石を埋め込んだものを「磁気治療器」と名付け、そのオーナーになれば元本が保証される上、レンタル収入によって年に6%の配当金を得られるとして、高齢者を中心に全国から出資を募っていました。
その後、違法な訪問販売や多額の負債があることを隠して顧客と契約を結んでいたことなどが次々と明らかになり、消費者庁が4回にわたって業務の一部停止命令を出しましたが、そのたびに契約の名目を変えて規制をすり抜け、営業を続けてきました。
しかし、3年前の2017年12月、資金繰りに行き詰まって銀行取引が停止。
東京地方裁判所はおととし、ジャパンライフの破産手続きを開始する決定を行い、現在、破産管財人の弁護士が会社の資産の調査などを進めています。
被害額 1人あたりの平均で2800万円
被害者側の弁護団などによりますと、ジャパンライフによる「オーナー商法」の被害総額は全国で合わせておよそ2000億円に上り、オーナー商法の被害額としては2011年に経営破綻した「安愚楽牧場」のおよそ4200億円に次いで過去2番目の規模とみられるということです。
また、被害者は高齢者を中心に全国でおよそ7000人に上り、1人あたりの被害額は平均で2800万円となっています。
弁護団は被害の救済に取り組んでいて、ジャパンライフ側が不動産の売却などを進めていますが、今のところ税金の未納分などにも及ばず、集めた資金の大半は回収できる見通しが立っていないということです。
ジャパンライフをはじめとする「オーナー商法」の被害が相次いでいることを受けて、消費者庁の検討委員会は先月、オーナー商法を預託法で原則禁止にしたうえで、違反した事業者には罰則を設けるなど抜本的な見直しが必要だとする報告書をまとめています。
“山口元会長に強く勧められ” 約1億円出資した人も
「ジャパンライフ」の被害者の中には、全財産にあたるおよそ1億円を出資したという人もいます。
埼玉県川越市に住む小松幸男さん(75)は10年ほど前、知人に紹介されてジャパンライフへの出資を始めました。
元本が保証される上、毎月配当が支払われるといううたい文句に当初は疑問を感じたということですが、セミナーなどで山口元会長から出資を強く勧められたほか、実際に配当が振り込まれたことなどから信用してしまったということです。
小松さんの出資額は次第に膨らみ、10代から貯めていた定期預金などを含む全財産、およそ1億円に上りました。
ところが、2017年11月ごろから突然、配当が滞るようになり、担当者に問い合わせても「大丈夫です」と話すだけで理由などの説明は一切なかったということです。
ジャパンライフはそのまま経営破綻し、出資したおよそ1億円は今も戻ってこないということです。
ショックから体調を崩したという小松さんは「配当の支払いが続いていたことや、山口元会長の『絶対、大丈夫』という言葉を信じた自分が今考えればバカだった。山口元会長には本当のことを話してもらい、老後のために貯めたお金を少しでも返してほしい」と話しています。
“「桜を見る会」の招待状が印刷された資料を示し勧誘”
被害者側の弁護団などによりますと、「ジャパンライフ」は2015年に当時の山口隆祥会長に届いた「桜を見る会」の招待状が印刷された資料をセミナーなどで示し、顧客を勧誘していたということです。
この資料には「内閣総理大臣から山口会長に『桜を見る会』のご招待状が届きました」などと書かれ、当時の安倍総理大臣の顔写真や山口会長宛ての招待状、それに受付票の写真が印刷されています。
これについて被害者側の弁護団は「相談者の中には、セミナーで『桜を見る会』の資料を見せられ『安倍総理大臣から招待されているなら』とジャパンライフのことを信用したという人もいた。招待状が顧客を信用させる材料に使われており、政府の責任は重大だ」と指摘しています。
また、この招待状をめぐっては、受付票の番号から当時、安倍総理大臣が招待した疑いがあるとして、野党側が国会で追及しました。
これに対し、安倍総理大臣は去年12月の参議院本会議で「山口氏とは1対1のような形で会ったことはなく、個人的な関係は一切ない」などと述べていました。
山口元会長 NHKの取材に「答えられない」
NHKはことし2月、「ジャパンライフ」の山口隆祥元会長に東京都内の自宅前で直接、取材しました。
その際、山口元会長は「心臓の手術をして体調が優れないので、今は取材に答えられない」として、事件の内容については語りませんでした。
一方、会長だった当時に届いた「桜を見る会」の招待状が印刷された資料が顧客の勧誘に使われていたと被害者側の弁護団が指摘している点については「セミナーなどでプロジェクターに映して紹介したことはある」と話し、招待状を勧誘に使っていたことを認めました。
ただ、「桜を見る会」に招かれた具体的な経緯については「昔のことなので覚えていない」と述べるにとどまりました。 
●ジャパンライフ山口元会長が逮捕、これまでを振り返る 9/18 
警視庁と愛知県警などの合同捜査本部は9月18日、磁気治療器などの「オーナー商法」を手がけていたジャパンライフ(株)の山口隆祥元会長ら十数名を詐欺容疑で逮捕した。
ジャパンライフは、高齢者を中心に約6,500人から2,000億円以上を集めたものの、預託金の返済が滞り、被害弁護団が結成された。弁護団は東京地裁にジャパンライフの破産を申し立て、2018年3月1日に破産開始決定を受けていた。
ジャパンライフなどの消費者被害の広がりを受けて、販売預託商法を原則禁止とする預託法の改正が2021年にも国会に提出される予定だ。社会問題化したジャパンライフ問題をふり返る。
4度の行政処分で事実上倒産
1975年、山口元会長は特殊販売の問題で国会に参考人として招致され、ジャパンライフに舞台を移して活動。ジャパンライフはピークである1985年2月期の売上高が1,509億円を上げるなど、急成長した。その後、「マルチまがい商法」が社会問題化し、事業を縮小したが、「オーナー商法」に姿を変えて事業を拡大。2017年3月期には、売上高235億725万円をあげていた。
ジャパンライフは、100万円を超える磁気治療器を顧客に販売。それをジャパンライフが預かり、他社にレンタルして使用料を顧客に支払うスキームだった。消費者庁の調査で、2015年9月末時点で預託を受けていた商品は2万2,441個だったが、実際にレンタルユーザーに賃貸していた商品はわずか2,749個だったことがわかっている。また、同庁の監査で、2017年3月期は338億7,674万円の債務超過と指摘された。同庁は特定商取引法違反などで短期間に4度の行政処分を出し、ジャパンライフへの批判が高まっていた。
取引先への支払遅延や被害弁護団の結成などトラブルが相次ぐなか、2017年12月に銀行取引停止処分を受け、事実上倒産した。
「倒産していない」と強弁するも債権者破産
取引停止処分後もジャパンライフは「倒産していない。必ず返金する」と強弁し、勧誘を続けた。一方、全国規模の被害弁護団が設立され、事業を停止しないジャパンライフに対して、2018年2月に破産を申し立てた。包囲網が強まる中、破産手続きによる債権者集会で山口元会長が「オーナー商法は詐欺ではない」と述べ、顰蹙(ひんしゅく)を買った。だが、2019年4月に警視庁など合同捜査本部がジャパンライフの関係先を家宅捜査し、着々と詐欺容疑の捜査が進められていた。
ジャパンライフ問題では、一般債権者への配当の可能性が出ている。だが、配当手続きの手数料を狙う輩も出現。ジャパンライフ元社員が顧客名簿などを悪用し、営業しているとの指摘もあり、注意が必要だ。山口元会長が安倍元総理の「桜を見る会」に招待されたことを利用し、顧客集めに使ったとの批判もある。預託法改正につながったジャパンライフ問題だが、悪徳商法は次々と起きており、消費者保護の法改正が急がれる。  
●安倍時代の「桜を見る会」疑惑が菅政権に直撃 9/18 
安倍晋三前総理の「桜を見る会」で疑惑が取り沙汰された「ジャパンライフ」に捜査のメスが入った。
磁石を使用した健康商品の販売会社・ジャパンライフ(現在破産手続き中)について、警視庁は顧客にウソの説明をして現金をだまし取った詐欺容疑で、元会長の山口隆祥容疑者(78)ら14人を逮捕した。
ジャパンライフは全国7000人の顧客から、約2400億円を集めていたとされ、被害はさらに拡大するとみられる。
前総理主催の「桜を見る会」の招待状を、販売促進に使っていたことが国会で判明。招待状などをコピーしたジャパンライフの資料には
<安倍総理から山口会長に『桜を見る会』のご招待状が届きました>と記され、国会で大問題になっていた。
「全国で開催するセミナーで、招待状を見せ、顧客を信用させて、多額のカネを投資させていた」(ジャパンライフ関係者)
また、昨年11月、共産党の大門実紀史議員は国会質問でこう追及していた。
「お中元リストというのがありまして、安倍総理を始めとして国会議員などに広くお中元をまいているとか、非常に政治的な対応をしていたのがジャパンライフ」
「お中元リスト」には菅義偉総理、麻生副総理兼財務相の名前もあったという。また、大門議員は加藤勝信官房長官について2017年4月にこう国会で追及していた。
「現職の大臣までがジャパンライフの広告塔の役割を果たしている。加藤勝信大臣なんですけれども、1月13日(2017年)にこれジャパンライフが宣伝しているんです、チラシで宣伝しているんです。一月の十三日、安倍内閣の重責閣僚の加藤大臣とこのジャパンライフの山口会長が会食して、ジャパンライフの取組を非常に高く評価していただきましたというふうに宣伝チラシで会員向けにやっているんですね」
ジャパンライフが問題になったのは、今回がはじめてではない。1983年には法人税法違反で告発された。消費者庁からは2014年に行政指導、2016年には行政処分を受け、業務停止に追い込まれた。そのたびに、国会でも自民党大物議員と関係が問題になっていた。
「だが、そのたびに政治家や官僚との緊密な関係を使い、生き延びてきた」(ジャパンライフ関係者)
ジャパンライフがかつて、設立していた政治団体「健康産業連盟」から献金を受け取っていたのは中曾根康弘元首相など大物が並ぶ。安倍前首相の父、安倍晋太郎氏が外相時代に山口容疑者が外遊に同行。その際、安倍前首相自身も秘書官として一緒だったという。
実はジャパンライフの摘発については、8月から何度も「Xデー」がささやかれていた。
「8月末のある日、この日でやるということだったが、伸びた。それから間もなくして、安倍前首相の辞任会見ですよ。つい最近も一度はXデーが決まったが、菅新総理の誕生でしょう。政治的な事情があるんだなと感じた」(捜査関係者)
菅総理は来年の「桜を見る会」中止を早々と発表していた。 
●ジャパンライフ宣伝に加藤官房長官の名も 「桜」の幕引きを強調  9/18 
加藤勝信官房長官は18日の記者会見で、詐欺の疑いで逮捕されたジャパンライフ元会長が、安倍晋三前首相主催の「桜を見る会」の招待状を顧客勧誘に利用した問題に関し、招待者名簿などの再調査は行わない考えを示し、幕引きを強調した。加藤氏は「名簿が保存されていない。個々の招待者について改めて調べても、確たることは申し上げられない」と述べた。
加藤氏は、元会長が政府の招待状を、顧客を勧誘する際に示していたことが被害を拡大させた可能性を問われたが「招待者、推薦元は個人情報であり、回答を控えている」と、従来の説明を繰り返した。
加藤氏自身もジャパンライフの宣伝資料に「加藤大臣と会食した」「取り組みを非常に高く評価して頂いた」などと書かれ、広告塔として利用された経緯がある。加藤氏は、元会長とは会合で同席して意見交換しただけとして「何らそうした話があったわけでない。私の事務所から厳重な抗議をしている」と強調した。
これに対し、立憲民主党の安住淳国対委員長は18日、「招待状が2000億円超の詐欺を生むきっかけになった。菅首相は『おかしいと思ったことは直す』と言っているのだから、疑惑にメスを入れてほしい」と再調査を要求した。(村上一樹)
広告に使われ「厳重な抗議」 会見一問一答
18日の加藤勝信官房長官の記者会見でのジャパンライフ元会長逮捕を巡るやりとりは次の通り。
ー被害者の救済策のあり方について見解を。
「警察で全容解明に向けた所要の捜査が進められる。消費者庁が4回にわたり行政処分を行うなど、悪質商法に対する厳正な対処が行われてきた。制度面でも、消費者被害防止のための実効的な対策を検討している」
ー野党は、桜を見る会の招待状が被害を大きくしたとして、再調査を求めている。
「特定の個人の参加の有無について名簿が保存されていないこと、招待者、推薦元については個人情報であることから、回答を控えている。毎年多数の招待者がおり、名簿も保存されていない。個々の招待者について改めて調べても、確たることは申し上げることができない」
ー政府としても捜査に協力するか。
「今後必要があれば連絡をとっていくことはあり得る」
ー同社の宣伝に長官の顔写真が使われた。説明責任を果たす考えは。
「マスコミ主催の会合に出て、山口氏が現場におられた。それに尽きる。同社の広告的なものに使われたことに対しては、厳重な抗議をしている」  
●ジャパンライフ元会長逮捕 「桜を見る会」再調査に否定的 加藤長官 9/18 
加藤勝信官房長官は18日の記者会見で、磁気ネックレスなどの預託商法を展開していたジャパンライフの元会長らの逮捕について「警察の捜査を見ていく」と語った。同社に関しては「消費者庁が悪質商法に対する厳正な対処を行っていた」と述べた。
元会長を安倍晋三前首相の推薦枠で「桜を見る会」に招待した疑惑をめぐり、野党が再調査を求めていることに関しては、「過去の会合では名簿が保存されておらず、招待者推薦は個人情報であることから回答を控えている」と指摘。個々の招待者について今から改めて調べても、確たることは申し上げることができない」とも述べ、再調査に否定的な考えを示した。 
●政府、「桜」再調査を否定 加藤官房長官「名簿廃棄済み」 9/18 
加藤勝信官房長官は18日の記者会見で、詐欺事件で逮捕されたジャパンライフの山口隆祥元会長が安倍晋三前首相主催の「桜を見る会」の招待状を顧客勧誘に利用していたことに関し、その経緯についての再調査に改めて否定的な考えを示した。「名簿も保存されていないので、個々の招待者を今から改めて調べても確たることは申し上げることはできない」と述べた。
詐欺事件をめぐっては、加藤氏自身が同社の宣伝に顔写真が使われるなど広告塔として利用された経緯がある。加藤氏は「私の事務所から厳重な抗議をしている」と述べ、無関係であることを重ねて強調。政府として捜査を見守る方針を示し、警察当局に対する協力については「今後、必要があれば連絡を取っていくことはあり得る」と説明した。  
●ジャパンライフに8000万円投じた女性 「安倍首相らが広告塔なので信用」 9/18 
全国の約1万人から約2100億円もの資金を集めた末に破綻した「ジャパンライフ」を率いた元会長、山口隆祥容疑者(78)らが18日、警視庁などに詐欺容疑で逮捕された。商品を購入すると配当がもらえるというセールストークを信じて老後の蓄えを投じたお年寄りは今、「なぜ信じてしまったのか」と悔やみきれない生活を送っている。
「安倍晋三前首相や大臣が広告塔になっていたので信用してしまった。わずか1年半で老後の蓄えや孫の教育資金を奪われ、カモにされた」。2017年12月の経営破綻までの1年半で全財産の約8000万円をジャパンライフに投じた神奈川県の女性(79)はうなだれる。
女性が同社に関心を持つようになったのは16年春ごろ。息子の同級生の母親と偶然再会した際、約25年前に息子が病死した話題になった。「ジャパンライフの磁気布団を使っていたら大丈夫なのに」と言われ、当初は相手にしないつもりだったが、自宅に押しかけてきたジャパンライフ社員にセミナーに誘われた。
セミナーでは、多数の社員に囲まれ「郵便局や銀行が潰れる時代。ジャパンライフだけ生き残る」「年6%の高配当。絶対損しないから保険を解約して投資しろ。大丈夫だから」と、ネックレスなどを購入するよう繰り返し勧誘された。事業の先行きを尋ねると、ある社員は消費者庁OBらの名前を出して「これだけの偉い人が会社にいるのに潰れるはずがない」と話した。
同年に神奈川県内であった別のセミナーでは、山口元会長がある招待状を得意げに紹介し、会場のスクリーンにも大写しにされた。安倍首相(当時)から届いたという「桜を見る会」の招待状だった。政財界の著名人の写真入りのチラシも見せ、「お年寄りのためにとてもいい事業をしていると加藤(勝信)厚生労働相(当時)にほめられましたよ」とも語っていた。
女性は、生命保険や2人の孫の教育費にするつもりだった学資保険、証券、老後の預貯金などあらゆる積み立てを次々に解約した。10回にわたって、磁気ベストやベルトなどあらゆる商材に約8000万円をつぎ込んだ。「そうそうたる政界トップの名前に信用が増した」と振り返る。
闘病生活をしていた夫からは出資を心配され、「解約できたかい」と尋ねられたが、「大丈夫。解約したわ」とうそを言って安心させていた。夫は20年1月に亡くなったが、葬儀費用を賄えず、子どもたちに借りた。
女性がこれまでに受け取った「配当」は100万円にも満たないという。ストレスから不眠と高血圧で病院通いが続く。「歴史的な悪徳商法のせいで、踏んだり蹴ったりの生活になってしまった。山口元会長には命あるうちにお金を返し、罪を償ってほしい」と絞り出すように悔しさを語った。 
●ジャパンライフ元会長招待の「首相枠」疑惑再燃 野党、再調査を要求 9/18 
預託商法を展開していた「ジャパンライフ」の元会長らが詐欺容疑で逮捕されたことを受け、立憲民主党など野党は18日、元会長が2015年に安倍晋三前首相主催の「桜を見る会」に招かれた経緯や、安倍氏と元会長の関係を再調査するよう求めた。元会長の招待は「首相枠」だった疑惑があり、ジャパンライフは招待されたことを顧客勧誘に利用していた。
立憲の安住淳国対委員長は記者団に「招待状が2000億円の詐欺を生むきっかけになったことを考えれば、政府の責任は非常に大きい」と批判。「菅義偉首相は『働く内閣』と言っている。さまざまな疑惑にメスを入れてもらいたい」と要求した。共産党の田村智子政策委員長は「政治家を最大限利用して、信頼できる会社だと思わせて被害者を増やした」と指摘した。首相は来年度の桜を見る会の中止を表明したが、田村氏は「疑惑にふたをしようとしている。なぜ元会長に招待状が送られたのか、徹底的な究明が求められている」と語った。
これに対し、加藤勝信官房長官は記者会見で「再三再四、前の(菅)官房長官が答弁しているが、名簿が保存されていない。今から調べても確たることは申し上げられない」と繰り返し、再調査に否定的な考えを示した。 
●ジャパンライフ事件  9/19 
厳格だった。神様みたいな人だった―。
磁気治療器販売会社「ジャパンライフ」の創業者、山口隆祥たかよし(78)の印象を、消費者庁元課長補佐の男性はそんなふうに覚えている。
男性は2015年7月に、同社に天下りした。夏でも白のワイシャツとネクタイが欠かせない社風で、山口の前では、社員は直立不動になったという。
ジャパンライフは1975年、群馬県伊勢崎市で産声を上げた。山口は「健康革命」と称して羽毛布団販売を手掛けたが、83年に脱税の疑いで国税庁から告発され、翌年4月に起訴、同8月に懲役2年(執行猶予4年)の有罪判決を受けた。
告発の数カ月前、自らは社長を退き、後任に警察庁で「ねずみ講」捜査の陣頭指揮を執っていた元警察官僚を迎えた。他に10数人の警察官僚や署長を引き抜き、ジャパンライフ代理店(営業所)の指導係に据えた。
社史には「大組織を作り上げたプロを放っておく手はない」と記されている。だが、山口の幼なじみの男性(89)は「脱税もしていたし、捜査の追及のお目こぼしを受けるためではないか、と地元では言われていた」と明かす。
それだけではない。山口は社長辞任の数日前に、政治団体「健康産業政治連盟」を設立。官報によると、83年度の収入は1億8100万円、84年度は2億2400万円で、元首相の田中角栄の政治団体「越山会えつざんかい」を上回った。
中曽根康弘や亀井静香、石原慎太郎、森喜朗…。当時影響力があった政治家の名が献金先として記載されており、顧客から得た資金の一部が流れていたとみられる。
献金を受け取っていた元労働相の山口敏夫は「もしもの時に政治家を利用したかったのだろう」と語る。政治家人脈の1人には前首相の安倍晋三の父、晋太郎の名も残る。85年に日本武道館で開かれた創立10周年記念パーティーに祝電を送っていた。
それから30年後の2015年にあった前首相主催の「桜を見る会」。首相枠での招待状が山口に送られていたことが19年に発覚し、前首相とのつながりを強調して顧客の信用を深めていたことが問題視された。
ジャパンライフ設立時から関わっていた、関東圏の代理店元店長の男性が振り返る。「最初はジャパンライフの商品の愛用者だった。だが、別の人を紹介すればお金がもらえて、気付いたら社員になっていた。入社式には官僚OBも来て、すごい企業だと信じた」。そして続けた。
「誰もがだまされていたんです」(敬称略)

「たー坊は、小柄でおとなしい子。あいさつもできない恥ずかしがり屋だった」。たー坊とは、詐欺容疑で警視庁に逮捕されたジャパンライフ創業者の山口隆祥たかよし(78)のこと。山口の生家近くに今も暮らす男性(89)が懐かしんだ。
山口は1942(昭和17)年、群馬県伊勢崎市の織物業の家元の三男として生まれた。自宅は2階建ての豪邸で、お手伝いさんもいた。近所の男性いわく「別格な家柄だった」という。
だが、戦後の着物から洋服文化の流れに織元の多くが店をたたんだ。山口家も例外ではなく56年に倒産した。当時14歳だった山口は、両親や3人のきょうだいと豪邸の2階の隅の1室にひしめくように暮らし、残りの部屋を借家として貸し出した。
仕事で山口家に食材を配達していた女性(84)は、山口がリヤカーを引いていた時のことを覚えている。親族宅に野菜をもらいに行くためだ。同級生に知られないためか、わざと狭い裏道を通っていたが見つかり、「『財閥くん』がリヤカー引いているや」と、いじめられていたという。「相当の屈辱だったと思う」と女性は語る。
その後、地元の工業高校を卒業し、富士重工業(現SUBARU=スバル)伊勢崎工場の工員として入社。だが1年半で退社し、電話機の交換台の訪問販売を始めた。
山口は著書「巨億を築く99の秘伝」にこう記している。「歯を食いしばって頑張った。弱い自分を強い方向へと持っていったのである。私は断じて人間は改造できると信じる」
近所で履物屋を営んでいた男性(85)は振り返る。「訪問販売をやるようになり、人が変わってしまった」
山口は名古屋地裁など計9地裁で214人の原告から損害賠償請求訴訟を起こされている。東京地裁に提出した陳述書には、幼いころ父親と東京・日本橋に行った時のことを記している。
百貨店を訪れると、父親の作った反物が卸値の5倍で売られていた。父親の悔しそうにゆがんだ横顔が忘れられなかった。「あの姿を見て、私は自分で造った商品は絶対に自分で定価を付ける。その時の気持ちがジャパンライフを創業した原点だ」
言葉通り、83年には、全国の25カ所の協力工場を結ぶ当時最新鋭の流通センターを埼玉県内に建て、経営に全力を注いだ。破綻した際、全国に78店舗を展開するまで会社は膨らんでいたが、その裏で多くの被害者を生んでいた。
山口の4歳上の実兄で、物流センターのかじ取り役として専務を務めていた山口倫義ともよしが語る。「弟とはもう30年以上会っていない。どこで何をしているか、弟のことはもう何もわからない」 (敬称略)  
●ジャパンライフ元会長 経営破綻直前まで高額報酬 9/19 
磁気治療器のオーナー商法などで多額の資金を集め、経営破綻した「ジャパンライフ」をめぐる詐欺事件で、逮捕された元会長が経営破綻の直前まで毎月およそ300万円の役員報酬を得ていたことが捜査関係者への取材で分かりました。警視庁は、顧客から集めた資金の一部がこうした高額な報酬にあてられていたとみて調べています。
経営破綻した健康器具販売会社「ジャパンライフ」の元会長、山口隆祥容疑者(78)ら14人は、会社が大幅な債務超過に陥り配当の見込みがないのに顧客を勧誘し、12人から出資金合わせて8000万円余りをだまし取ったとして、18日、詐欺の疑いで逮捕されました。
被害総額はおよそ2000億円に上り、ほとんど回収できない見通しだということですが、その一方で、山口元会長が経営破綻の直前まで、毎月およそ300万円の役員報酬を得ていたことが、捜査関係者への取材で分かりました。
また、ほかの役員にも毎月およそ100万円が、支払われていたということです。
「ジャパンライフ」のオーナー商法は、当初から事業の実態がなかったとみられていて、警視庁は顧客から集めた資金の一部が、こうした高額な報酬にあてられていたとみて調べています。 
●「ジャパンライフ」 自民党とズブズブの関係 安倍前首相とも面識  9/19 
菅新内閣の発足直後に衝撃の逮捕劇だ。磁気商品の預託商法で多額の金を集め、約2400億円の負債を抱えて破綻した「ジャパンライフ」が、債務超過を隠して顧客から多額の資金をだまし取ったとして、警視庁などは18日、元会長の山口隆祥容疑者(78)ら計14人を詐欺の疑いで逮捕した。菅義偉首相が就任直後に幕引きを図った「桜を見る会」を巡る疑惑の火種は再燃。一方で、背景に選挙を巡る菅首相の思惑も噂されている。
山口容疑者は半世紀近くにわたり、自民党とズブズブの関係が取り沙汰されてきた。複数の被害者は「宣伝のために政治家の名前や顔写真を持ち出すのが常とう手段だ」と語る。
山口容疑者は群馬県高崎市出身で、同郷の福田赳夫元首相の後援会の手伝いをしたことで政界とつながった。83年に政治団体「健康産業政治連盟」を設立し、そこを通じて献金をすることで食い込みを図った。当時を知る永田町関係者は「政治家に毎年1億〜2億円の献金をまいていたようだ。特に中曽根政権では山口敏夫労働相とかなり親しくしていた」とした。実際、山口氏がジャパンライフ所有のヘリコプターで選挙区入りするなど派手な行動が波紋を広げたこともあった。
84年には山口容疑者が山口労働相と安倍晋三前首相の父・安倍晋太郎外相とともに米ニューヨークを訪問。同行していた当時秘書官の安倍前首相との接点も生まれている。86年には中曽根康弘元首相の政治団体にも計1000万円を献金していたことが判明。国会で自民とジャパンライフとの癒着疑惑の追及が続いた。
安倍前首相枠とされる「桜を見る会」招待状や、勉強会で同席した加藤勝信官房長官や二階俊博幹事長の顔写真でチラシを作成。菅義偉首相、麻生太郎副総理兼財務相らの名前が載った「お中元リスト」も国会で指摘された。過去には下村博文政調会長の関連団体への献金も明らかになった。
05〜17年度には元内閣府官房長や消費者庁元課長補佐らを顧問に迎え、6人に総額約1億6000万円の顧問料を渡したことも判明。永田町関係者は「政治家だけでなく官僚OBも利用して追及を逃れてきた」と指摘した。  
●負の遺産「桜」問題再燃 加藤官房長官「再調査しない」  9/19 
加藤勝信官房長官は十八日の記者会見で、詐欺の疑いで逮捕されたジャパンライフ元会長が、安倍晋三前首相主催の「桜を見る会」の招待状を顧客勧誘に利用した問題に関し、招待者名簿などの再調査は行わない考えを示した。
加藤氏は「名簿が保存されていない。個々の招待者について改めて調べても、確たることは申し上げられない」と述べた。
加藤氏自身もジャパンライフの宣伝資料に「加藤大臣と会食した」「取り組みを非常に高く評価して頂いた」などと書かれ、広告塔として利用された経緯がある。加藤氏は、元会長とは会合で同席して意見交換しただけとして「何らそうした話があったわけでない。私の事務所から厳重な抗議をしている」と強調した。
ジャパンライフ元会長の詐欺容疑での逮捕を受け、菅義偉首相が就任直後に幕引きを図ろうとした「桜を見る会」を巡る疑惑の火種が再びくすぶり始めた。同社の宣伝に利用された加藤勝信氏を内閣の要である官房長官に据えたばかりだけに、官邸内には懸念が広がる。安倍政権の「負の遺産」が早速、菅官邸を直撃した格好で、野党は「良いタイミングで追及材料が降ってきた」(立憲民主党幹部)と勢いづく・・・