賭けマージャン楽しみました 黒川検事長

新型コロナ対応  緊急事態 外出自粛

手持ち無沙汰 好きなマージャン 楽しみました
世間では 当たり前のこと
賭けて どこが悪いんですか

建前だけで 「不可欠」な人材 排除していいんですか
 


 
 
 
 
●文春砲
お立場 後ろ盾は安倍総理
定年延長 ・・・ 検事総長 既定路線
自信過剰 別世界 雲の上
社会道義 置き去り
御上信奉者
「不要」な人材です
●黒川弘務検事長は接待賭けマージャン常習犯 5/20
5月1日、産経記者の自宅で“3密”6時間半。午後7時半、産経新聞記者のマンションに入っていく黒川氏。その直前、記者はATMへ。深夜2時、黒川氏は記者が用意したハイヤーに乗り込むと帰宅の途についた。13日にも同じ行動は繰り返された。安倍首相が検事総長にゴリ押しする黒川氏の裏の顔。元運転手は証言する。「記者は『今日は10万円やられちゃいました』とボヤいていた。黒川さんはまだ同じことを続けていたんですか」。
●黒川東京高検検事長 ステイホーム週間中に「接待賭けマージャン」 5/20
東京高検検事長の黒川弘務氏(63)が、産経新聞社会部記者や朝日新聞の元検察担当記者らと賭けマージャンをしていたことが、「週刊文春」の取材で判明した。
4人が集まったのは5月1日。小池百合子都知事が「ステイホーム週間」と位置付け不要不急の外出自粛を要請、また安倍晋三首相も「人との接触8割減」を強く求めていた緊急事態宣言下でのことだ。夜7時半頃に産経新聞A記者の自宅マンションに集合すると、午前2時近くまでマージャンは続いた。
マージャンを終えた黒川氏は、産経新聞の用意したハイヤーで帰宅した。
また、5月13日にも同様に黒川氏はA記者宅に向かい、深夜までマージャンをしていた。
産経関係者の証言によれば、黒川氏は昔から、複数のメディアの記者と賭けマージャンに興じており、最近も続けていたという。その際には各社がハイヤーを用意するのが通例だった。
マージャンは密閉空間で4人が密集し、密接な距離で卓を囲む「3密」の典型で、東京都も雀荘に休業を要請している。また、少額でも賭博罪に該当する。
さらに、国家公務員倫理規程上も問題がある。人事院の見解は以下の通りだ。
「国家公務員が、会社の利益を目的とする人物(記者)から、社会通念上相当と認められる程度をこえて、接待や財産上の利益供与を受けている場合、国家公務員倫理規程に抵触するおそれがあります。そもそも賭けマージャンは刑法犯なので、そういう人物がいれば倫理法以前の問題。国家公務員法の98条(法令遵守)や99条(信用を傷つけてはいけない)といった一般服務義務に違反する可能性があり、懲戒免職といった事態も想定されます」
産経新聞広報部は、「取材に関することにはお答えしません」
朝日新聞広報部は「社員の業務時間外の個人的行動について詳細はお答えいたしかねますが、お尋ねのような行為があったとすれば、不要不急の外出を控えるよう呼びかけられている状況下でもあり、不適切だったと考えます。弊社として適切に対応いたします」
黒川氏は何を聞いても口を開かず、東京高検は質問状すら受理しなかった。 
●黒川検事長に文春砲着弾!産経やり玉の朝日記者ブーメラン 5/20
21日発売の週刊文春が、東京高検の黒川弘務検事長が、国や東京都が外出自粛を呼び掛けている5月1日夜、産経、朝日の関係者らと賭けマージャンをしていた疑惑があると報じることが明らかになり、公明党幹部が辞任を要求。ネット上で反響を呼ぶ事態となった。
文春は本誌発売に先駆け、20日夕方、『黒川弘務東京高検検事長 ステイホーム週間中に記者宅で“3密”「接待賭けマージャン」』を配信。これを受け、与党公明党の石田祝稔政調会長が「事実であれば職務を続けられる話ではない」と批判するなど(参照:時事通信)、政界を揺るがす一大スキャンダルになろうとしている。
このスキャンダルは、先頃政府が検察庁法改正の動きを見せた際、黒川氏の定年延長が注目されたこともあるが、賭けマージャン疑惑の「舞台」が産経新聞の社会部記者の自宅、黒川氏と卓を囲んだとされるのがこの産経記者と、朝日新聞の元検察担当記者だったことも波紋をいっそう呼ぶことになった。
さらに、このニュースについて、朝日新聞記者として長年活躍してきた上丸洋一氏のツイートにツッコミが続出する事態も。
フリージャーナリストの田中稔氏が文春の速報記事を拾って「黒川さん、早く辞職しなさい!」とコメントしたのに対し、上丸氏は「事実なら産経記者、産経新聞社の責任も厳しく問われる。」とリプライした。当然のことながら、上丸氏が朝日の元記者が参加したことに触れていないことにツッコミが続出した。
「事実なら産経記者、産経新聞社の責任も厳しく問われる。」
日頃は安倍政権を舌鋒鋭く批判し、朝日新聞とは同調的なスタンスの立憲民主党の有田芳生参議院議員にすら「朝日新聞の元検察担当記者(いまは経営企画室)もこの麻雀を共にしています。」とキッパリ言われてしまう始末。
「朝日新聞の元検察担当記者(いまは経営企画室)もこの麻雀を共にしています。」
一般のネット民からも 「マスコミ人も関わってたとするとこの記事もみ消したり、報道を控えたりするのだろうか?」「知ってる人なのに名前は出さないんですね?黒川さんだけを攻撃するためですか?」「産経、朝日、検察 3密ですねぇ!」 などと続々とツッコまれていた。 
 
●東国原英夫 黒川検事長“文春砲”を絶賛 5/21
元宮崎県知事で衆院議員も務めたタレントの東国原英夫(62)が21日、TBS系情報番組「ゴゴスマ」に出演。新型コロナウイルス感染拡大で全国に緊急事態宣言が発令されていた5月上旬に、東京高検の黒川弘務検事長(63)が新聞記者らと賭け麻雀をした疑いがあると21日発売の「週刊文春」が報じたことについて言及した。
東国原は「週刊文春の真骨頂ですね。もうこれね、僕ね、敵ながらあっぱれだと思いますよ、この報道は」と“文春砲”を評価。週刊誌の取材能力は高いと強調し、政府、あるいは国会内に「文春、新潮諮問委員会みたいなものを設けてここから提案していただく、あるいは政権に対して物を言っていただくシステムをつくった方がいいんじゃないか」と持論を展開した。
週刊文春は、黒川氏が今月1日と13日、東京都内の産経新聞記者宅で、住人の記者や同僚記者、朝日新聞の元検察担当記者の計4人で賭け麻雀をした疑いがあると報じた。
朝日新聞社は50代の男性社員が参加していたことを認め「不要不急の外出を控えるよう呼び掛けられた状況下でもあり、極めて不適切な行為だ。金銭を賭けていたかどうかは調査中」と談話を出した。産経新聞社広報部は「取材過程で不適切な行為があった場合には、取材源秘匿の原則を守りつつ、社内規定にのっとって適切に対処する」とのコメントを出した。  
●黒川検事長が辞意固める 賭けマージャン認める 5/21
東京高検の黒川弘務検事長(63)が新聞記者らと賭けマージャンをした疑いがあると週刊文春が報じた問題で、黒川氏が辞任する意向を固めたことが21日、関係者の話で分かった。黒川氏は法務省の調査に対して、賭けマージャンをした事実を認めた。黒川氏は2月に定年を迎える予定だったが、政府が1月に定年延長を閣議決定していた。
検察官は検察庁法に基づいて身分が保障され、罷免するためには国会議員や有識者で構成する検察官適格審査会の議決などが必要になる。自ら辞職する場合は、こうした手続きは不要になる。
週刊文春の記事によると、黒川氏は5月初め、産経新聞社の記者2人や朝日新聞社の元記者の社員の4人で、産経新聞社の記者の自宅で賭けマージャンをした疑いがある。黒川氏は記者の用意したハイヤーに乗って帰宅した。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受け、東京都は外出自粛を呼びかけていた。
法務・検察当局は記事を受けて事実関係の調査を始めた。黒川氏は同省の聞き取りに対し、記者らと賭けマージャンをしたことを認めた。
森雅子法相は21日、取材に対し「本日中に調査を終わらせ、夕方までに公表し、厳正な処分も発表したいと思っている」と述べた。
政府関係者によると、後任の人事は時間をかけて決めるという。
安倍晋三首相は21日、黒川氏について「法務省において事実関係を確認していると思う。まだ何も報告を受けていない」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
菅義偉官房長官は記者会見で黒川氏の定年を延長したことについて「検察庁の業務遂行上の必要性に基づいて閣議決定したもので問題ない」と話した。検察官の定年延長を含む検察庁法改正案には「必要で重要な法案だ」と改めて強調した。
黒川氏は1983年検事任官した。法務省で官房長や事務次官などを歴任し、2019年1月から現職を務める。賭けマージャンに関する報道を受け、与野党内で辞任論が強まっていた。
検事長は検事総長などと同様に、内閣の任命と天皇の認証で就任する「認証官」だ。検事長以上の検察幹部が自らの不祥事に伴って辞職したケースでは、いずれも女性問題が発覚した札幌高検検事長(1996年辞職)や、東京高検検事長(99年辞職)などがあった。 
●「タイミング最悪」法務・検察当局に衝撃 黒川氏辞意  5/21
法務・検察当局で検事総長に次ぐナンバー2の黒川弘務・東京高検検事長(63)が21日、賭けマージャンをした疑いが原因で辞任する見通しとなった。検察幹部の定年を延長できる検察庁法改正案を巡る議論が続くさなかの辞任劇。「まさかこんな形で」「日本全体が我慢しているのに」。将来の総長候補ともされた実力者の突然の退場に、法務・検察当局内で驚きと怒りが広がった。
「まさかこうした形で辞めることになるとは」。黒川検事長が辞意を固めたとする一報を受け、ある法務省職員は絶句した。
週刊文春は20日、電子版で黒川氏による賭けマージャンの疑惑を報道。同省では同日中に黒川氏への聞き取りを含む内部調査が始まった。国会では黒川氏を含めた検察官の定年延長の問題が紛糾したこともあり、検察関係者は「タイミングが最悪」と漏らした。21日にかけ省内では職員らが慌ただしく動き、異例の事態をうかがわせた。
検察内部では憤りが広がる。関東地方の検事は「日本全体が『3密』を避けて我慢している中、国民感情を逆なでする行為だ」と話す。東京都は政府の4月7日の緊急事態宣言の発令を受け、外出自粛を要請していたが、記事によると黒川氏は5月に2回、都内の記者宅でマージャンをしていた。東京地検関係者は「処分をした上で、辞任しなければ国民への示しがつかない」と語った。
捜査への影響を懸念する声も出ている。西日本の検察幹部は「国民の信頼がなければ捜査はできない。これだけ騒がれれば、いろんな影響が出てくるだろう」とみる。別の検事は賭けマージャン疑惑について「事実関係をきちんと調査しなければ、検察庁に批判が寄せられ、国民からの信頼を失いかねない」と話した。
1月に政府が閣議決定した黒川氏の定年延長は前例がなかった。検察内でも職務を続けることを疑問視する声が少なくなかった。ある検察幹部経験者は「結果的に黒川検事長は政権に近いという印象を持たれてしまった。賭けマージャン問題がなくても、検察組織が公正で中立であるというイメージを保つためには自ら退くほかなかった」と話した。
定年延長で波紋
黒川検事長の定年を巡る一連の問題の発端は1月だ。政府は2月に迎えるはずだった黒川氏の定年を8月まで延長する人事を閣議決定。森雅子法相は記者会見で「業務遂行の必要性に基づき引き続き勤務させる」と説明したが、検察官の定年延長は前例がない。首相官邸の信任が厚いとされる黒川氏を留任し、定年が65歳の検事総長への道を開く人事と受け止められた。
ある検察OBは「検事長の定年延長というこれまでにない措置をなぜ法務・検察当局が受け入れたのか。政権の意向が検察人事に反映されたという印象が広がり、この時点から歯車がおかしくなった」と指摘する。
検察庁は行政組織でありながら公訴権をほぼ独占する準司法機関で、強い独立性を保ってきた。検事総長や各高検の検事長ら上層部の10人は内閣の任命と天皇の認証で就任する「認証官」だが、幹部候補は検察内部で決められ、内閣も追認してきた歴史がある。別の検察OBは「政権と距離があるからこそ、真相解明のため政界捜査に踏み込めた」と強調する。
黒川氏の定年延長に加え、政府の判断で検察幹部の定年を延長できる検察庁法改正案が国会提出されたことを受け、野党は「政権の検察人事への介入が強まる」と反発した。反対の声はSNS(交流サイト)などにも広がり、法務省幹部が「これほど問題が大きくなるとは予想外だった」と話す事態に陥った。
検察OBも動いた。松尾邦弘元検事総長らが相次いで改正案に反対する意見書を法務省に提出。松尾元総長らの意見書では「人事権まで政権側に握られ起訴・不起訴の決定まで干渉を受けるようになったら、検察は国民の信託に応えられない」とした。
政府・与党は野党や世論の反対を受けて改正案の今国会での成立を断念した。 
●黒川検事長が辞任へ 緊急事態下、賭けマージャン報道 5/21
東京高検の黒川弘務検事長(63)は20日、辞任する意向を固めた。複数の政府・与党関係者が明らかにした。新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の発令下に賭けマージャンをしていた疑いがあると週刊文春の電子版に同日報じられたため。特例的に同氏の定年延長を決めた安倍政権にとり大きな打撃となる。
実際に辞任するタイミングは後任人事などと絡むため、政府内で検討している。
賭けマージャン疑惑報道を受け、公明党の石田祝稔政調会長は20日の記者会見で「事実であれば職務を続けられる話ではない」と批判し、辞任を要求。自民党の閣僚経験者も「取り締まる側が賭けマージャンをやっていたとなると、もう持たない。近く辞めざるを得ない」と語るなど、与党内に進退を問う声が広がっていた。
これに関連し、菅義偉官房長官は記者会見で「事実関係については詳細を承知しておらずコメントは差し控えたい。法務省で適切に対応する」と述べるにとどめた。
文春報道によると、黒川氏は今月1日に産経新聞記者宅に約6時間半滞在。朝日新聞社員も交えて翌日未明までマージャンをし、記者が用意したハイヤーで帰宅したとされる。13日もマージャンをしたとの証言も掲載。同誌が事実確認を求めたのに対し、黒川氏は口を開かなかったという。
黒川氏は1月末に検事長としての定年延長が閣議決定され、次の検事総長への昇格含みとの観測が浮上。検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案をめぐっては、黒川氏の定年延長を「後付け」で正当化するものと野党から批判を受けるなどしたため、政府・与党が今国会成立を断念した。
黒川氏は1983年に検事に任官。法務省勤務が長く、官房長や事務次官などを歴任し、2019年1月に東京高検検事長に就任した。安倍政権に近いとされる一方、安倍晋三首相は15日のインターネット番組で「全く事実ではない」と反論した。
一方、立憲民主党の安住淳国対委員長は記者団に対し、黒川氏について「検事長の職責を果たすことは無理だ」と断じた。 
●安倍政権、逆風さらに 黒川氏問題、辞任に発展 5/21
新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が求められる中、東京高検の黒川弘務検事長が「賭けマージャン」をした疑いを週刊文春に報じられ、辞任する意向を固めた。次期検事総長含みとされる1月の異例の定年延長以降、同氏をめぐる問題は安倍政権の火種となっていた。コロナ対応を批判され、支持率低下に焦る安倍政権は火消しを図ったものの、足元の与党内からも辞任論が噴出し、流れを止めることはできなかった。
20日の衆院内閣委員会。野党共同会派の柚木道義氏は文春報道を取り上げ、菅義偉官房長官に黒川氏を辞任させるよう迫った。菅氏は表情をこわばらせ、「事実を確認できていないのでコメントは控える」との答弁を繰り返した。
黒川氏は長年、法務省で政界とのパイプ役を務め、菅氏ら首相官邸からの信頼が厚い。2016年に司法修習同期の林真琴氏(現名古屋高検検事長)を押しのけ、事務次官に就任した際には、省内に「政治の力が働いた」との見方が広がった。
政府は1月末、63歳の定年を間近に控えた黒川氏の半年間の勤務延長を閣議決定した。官邸筋は当時の事情について「現職の稲田伸夫検事総長が勇退を断り続けたため、黒川氏の定年を延ばすしかなかった」と語る。
だが、従来の法解釈を変更しての異例の定年延長は「不当な介入」と批判を招いた。内閣の判断で検察幹部の定年延長を可能にする特例条項を盛り込んだ検察庁法改正案にはインターネットを中心に抗議の動きが広がり、政府・与党は今国会成立を断念した。
そんな中で浮上した賭けマージャン疑惑。政府高官は「賭けをしていた証拠はなく、クビにするような話ではない」と黒川氏を擁護。緊急事態宣言下の記者とのマージャンについて、別の政府高官は「意見交換会だったそうだ」と説明し、進退に関わる問題ではないとの認識を強調した。
しかし、緊張感を欠くとも言える黒川氏の行動に、与党からも厳しい声が上がった。自民党幹部は「黒川氏の検事総長就任はもうない。イメージが悪過ぎる」と断言。公明党幹部は「検事長も続けられないだろう」と突き放した。
与党内に「辞任は不可避」との観測が広がり、黒川氏は検事長職を退かざるを得なくなった。政府関係者は「政権への影響は小さくない」と、疲れた様子でつぶやいた。  
●気さくな総長候補 「政権寄り」見方も―辞意の黒川検事長 5/21
辞意を固めた東京高検の黒川弘務検事長(63)はひょうひょうとした気さくな人柄で知られ、政治家とは与野党問わず緊密に付き合った。「政権寄り」との評も根強く、各方面から、政府が定年延長を閣議決定したのは「次期検事総長に就任させるため」との声が上がっていた。
黒川氏は東京大法学部を出て1983年、検事に任官した。法務省勤務中心の「赤レンガ派」の行政官僚で、2019年1月の東京高検検事長就任まで約7年半にわたり、官房長、事務次官を務めた。
黒川氏と共に仕事をしたことのある法曹関係者は、緊縮財政下の19年4月、同省の入国管理局が出入国在留管理庁に格上げされたのは「黒川氏の政治力あってのこと」と分析。別の関係者は、野党の反発が強かったテロ等準備罪新設を含む組織犯罪処罰法の改正(17年6月成立)にも「貢献があった」と話す。
相手の懐に飛び込むのが上手だったといい、「人たらし」とも言われた黒川氏。定年となる63歳の誕生日を8日後に控えた1月末、政府が半年間の勤務延長を閣議決定した背景には、こうした「政治力」があったとみる向きもある。
次期検事総長候補の一人、林真琴名古屋高検検事長(62)の定年は7月で、「林氏退官後に現在の稲田伸夫総長が勇退すれば、黒川総長が誕生する」との筋書きで延長したとの見方だ。
ある元検事は「こういう報道が出る人が上にいれば、現場は嫌悪感を持つ。総長になったとしても、下はついてこないだろう」と話した。黒川氏を知る別の元検事は「結局、調整力の高さを法務検察にも、政治にも利用されてしまったのかもしれない」と同情した。  
●黒川検事長 賭けマージャン認める 法務省の聞き取り調査で  5/21
東京高等検察庁の黒川弘務検事長が緊急事態宣言のさなかの今月、新聞記者の自宅を訪れ、賭けマージャンをした疑いがあると報じられた問題で、黒川検事長が法務省の聞き取り調査に対し賭けマージャンをしたことを認めていることが関係者への取材でわかりました。
黒川検事長は辞任する意向を固めていて、21日にもコメントを出すものとみられます。
東京高等検察庁の黒川弘務検事長は、緊急事態宣言で外出自粛の要請が続く今月1日と13日の夜、都内にある新聞記者の自宅マンションを訪れ、賭けマージャンをしていた疑いがあると報じられました。
これを受けて法務省が聞き取り調査を行ったところ、黒川検事長が緊急事態宣言中に賭けマージャンをしたことを認めていることが関係者への取材で分かりました。
黒川検事長は辞任する意向を固め、周囲に伝えているということで、検事長は21日にもコメントを出すものとみられます。
東京高検検事長は検察ナンバー2のポストで、政府はことし1月、法解釈を変更して黒川検事長の定年を延長し、野党側からは「官邸に近い黒川氏を検事総長にするためではないか」などと批判が相次いでいました。
法務・検察当局は後任の人選についても調整を急ぐものとみられます。
辞任意向 「報告を受けていない」官房長官
菅官房長官は、午前の記者会見で、「法務省で、現在、事実関係を確認していると承知している。お答えは差し控えたい」と述べました。そのうえで、黒川検事長が辞任の意向を示していることや、週刊誌側から取材を受けたことについては、報告を受けていないと説明しました。また、記者団が、黒川検事長の定年延長に問題はなかったのかと質問したのに対し、「検察庁の業務遂行上の必要性に基づいて法務大臣から求めがあり、閣議決定され、引き続き勤務させるようにしたもので、問題ない」と述べました。一方、検察庁法を改正する必要性については、「高齢期の職員の知識や経験を最大限に活用し、複雑かつ高度化する行政課題に的確に対応するため、国家公務員の定年を引き上げることを目的としており、必要かつ重要な法案だと認識している。法案の取り扱いは国会で決めていただく」と述べました。
野党側「十分な説明ないかぎり国会審議に応じず」
緊急事態宣言の中、賭けマージャンをした疑いがあると報じられた、東京高等検察庁の黒川検事長が辞任の意向を固めたことを受け、野党側は、事実関係について政府・与党から十分な説明がないかぎり、22日以降、国会審議に応じられないという認識で一致しました。東京高等検察庁の黒川検事長は緊急事態宣言で外出自粛の要請が続く今月1日と13日の夜、都内にある新聞記者の自宅マンションを訪れ、賭けマージャンをしていた疑いがあると報じられ、辞任の意向を固めました。これを受けて、立憲民主党、国民民主党、共産党、社民党の野党4党の国会対策委員長らは対応を協議しました。そして、夕方予定されている衆議院法務委員会の理事懇談会までに政府・与党から、事実関係について十分な説明がないかぎり、22日以降、国会審議に応じられないという認識で一致しました。このあと、立憲民主党の安住国会対策委員長が、こうした考えを自民党の森山国会対策委員長に伝え、森山氏は「承った」と述べました。
自民 森山国対委員長「政府は早く真実を調べ報告を」
自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し、「政府には、できるだけ早く真実を調べて報告してもらうことが大事だ。賭博的な行為はあってはならない」と述べました。また、政府が黒川氏の定年を延長したことについては、「定年延長を決めた時に、このことが分かっていたわけではなく、適切だったと思う」と述べました。一方、検察庁法の改正案については、「今の国会での審議は無理だが、次の国会で議論することが大事で、成立を目指すということだ」と述べ、秋にも想定される臨時国会で成立を目指す考えを改めて示しました。
立民 安住国対委員長「法相と首相には大きな政治責任」
立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に、「政府が辞任を認め高額な退職金を支払ったら、国民は黙っておらず、内閣総辞職に値する。森法務大臣や安倍総理大臣には大きな政治責任が発生したので、しっかり追及するが、黒川氏の定年延長を決めた閣議決定も撤回するべきだ」と述べました。
公明 北側副代表「極めて遺憾」
公明党の北側副代表は記者会見で、「事実なら、極めて遺憾と言わざるを得ない。法務省で本人からヒアリングを行い事実確認をしていると思うので、それを踏まえて適切な判断があるはずだ」と述べました。また、政府が黒川氏の定年を延長したことについて、「検察当局から出てきた人事案を官邸がそのまま了承したということだと思うので、検察当局の判断がどうだったのかということが問われるのではないか」と述べました。 
●黒川検事長:実は安倍政権ではなくマスコミとズブズブ 5/21
週刊文春が、定年延長問題で揺れる黒川・東京高検検事長のスキャンダルを報じています。以下、週刊文春より転載。
『黒川弘務東京高検検事長 記者宅で“3密”「接待賭けマージャン」 / 東京高検検事長の黒川弘務氏(63)が、産経新聞社会部記者や朝日新聞の元検察担当記者らと賭けマージャンをしていたことが、「週刊文春」の取材で判明した。4人が集まったのは5月1日。小池百合子都知事が「ステイホーム週間」と位置付け不要不急の外出自粛を要請、また安倍晋三首相も「人との接触8割減」を強く求めていた緊急事態宣言下でのことだ。夜7時半頃に産経新聞A記者の自宅マンションに集合すると、午前2時近くまでマージャンは続いた。マージャンを終えた黒川氏は、産経新聞の用意したハイヤーで帰宅した。また、5月13日にも同様に黒川氏はA記者宅に向かい、深夜までマージャンをしていた。』
ということで、黒川検事長が国内で賭け麻雀をしていた可能性があるとの文春のスクープであります。どうも黒川検事長はギャンブルが非常にお好きな様で麻雀の他にカジノも嗜んでおり、休日にはマカオや韓国のカジノに遊びに出かけていたなどという別報道もあるようです。
カジノ研究者である私としては、勿論、黒川氏がギャンブルをお好きなことそのものに関して一切批難するつもりはありませんが、それはあくまで合法的にそれらを楽しんでいる場合に限定したお話。海外の合法カジノ通いは良しとして、本当に国内で違法な麻雀賭博に参加しているのだとすれば糾弾されて当然です。ましてや、黒川検事長は刑事犯罪者を訴追する検察官を取り纏める責任ある立場にある人間であり、ご自身が刑法犯罪である違法な賭博行為に手を染めているのが確かなのだとすれば、社会的に許される事ではありません。
この様な公職にある人間、特に市民の刑事犯罪を追及する立場にある人間が違法な麻雀賭博に手を染めるという疑惑に関しては、検察庁ではないのですがかつて警察庁で同じような事例があったことを専門家としては思い出します。我々関係者の間では「新潟県警麻雀賭博事件」などと呼ばれている事案でありますが、当該事件に関しては私のYouTubeチャンネルで解説動画を更新しましたのでそちらをご覧下さい。
当時の新潟県警における麻雀賭博疑惑に関しては、警察官僚内での接待麻雀であった為、ある意味ウヤムヤにされてしまって終わったわけですが、今回の黒川検事長の疑惑に関してはウヤムヤに出来ない部分があります。それが国家公務員の倫理規定等に抵触する可能性があるという論。
週刊文春の報では、黒川氏が産経新聞の記者や朝日新聞の元検察庁付きの記者と違法な麻雀賭博をしていたことを報じているのと同時に、それら記者らが「接待」と称してワザとゲームに負けていたという話や、帰りのタクシー代を新聞社の経費として融通していたなどという報道が行われています。要は記者らは、このような接待麻雀を通じて黒川氏からスクープのネタ供給を受けていた可能性があるわけです。
長らく「安倍政権とズブズブ」などと一部マスコミによって印象付けられてきた黒川・東京高検検事長でありますが、実は一方で昨年末から盛んに報じられ安倍政権にもダメージを与えていた秋元司衆議院議員を巡るカジノ汚職疑惑を追及する東京地検特捜部に対して裏から旗を振っていたのが、この黒川氏であったと言われています。以下、5月10日の週刊文春による記事の転載。
『“定年延長”黒川弘務検事長に直撃取材 検察庁法改正で「安倍政権ベッタリ」の検事総長が誕生する / 1月下旬には、IR汚職の捜査で新たに「500ドットコム」とは別の大手カジノ事業者日本法人にも家宅捜索が入ったことが明らかになった。一連の捜査に、菅官房長官は「正規の献金までやり玉に挙がっている」と不快感を示し、杉田副長官も「あまりに荒っぽい。特捜はどこまでやるんだ」と周囲に危惧を漏らしているという。そんな最中に両氏と近しい黒川氏を次期検事総長に内定させるかのような史上初の定年延長を発令すれば、捜査現場に与える心理的影響は計り知れない。それこそが安倍官邸の狙いではないのか。「皮肉なことに黒川氏の犬の散歩以外の趣味は麻雀とカジノ。休日にはマカオや韓国にカジノに出掛けることもあるそうで、カジノの内情を知る彼はIR捜査に一見積極的だった。河井氏についてもかつて法務副大臣だった頃の高圧的な態度が我慢ならなかったようで、捜査にはっぱをかけていた。』
実は上記の文春による報に関しては、私も秋元司議員の事件が連日報道されていた当時、様々受けていた検察庁付きのマスコミ各社の記者から同様のコメントを受けていたもの。当時、黒川氏は秋元司事件の旗振りをする側に居たわけで、一方でマスコミから報じられる「安倍政権とズブズブ」という報道には私自身は大きな違和感を抱いていたのが実情であります。
結果、今回出て来た麻雀賭博の報道によって、黒川氏が安倍政権以前にマスコミ各社と接待麻雀でズブズブの関係であり、秋元事件でも沢山見られた様々な検察リークによるスクープ報道が、ひょっとするとこの様な接待麻雀から生まれていたのだとすれば、私としてはナンダカナアとしか申し上げ様がないわけであります。いずれにせよ、本件に関しては追及が引き続き行われなければならないものであると思います。 
●朝日「不適切」、産経「お答えしない」 黒川検事長と賭けマージャン報道 5/21
週刊文春電子版が報じた東京高検の黒川弘務検事長(63)の賭けマージャン疑惑で、社員が同席したとされた朝日新聞は20日、取材に同席の事実を認め、「不要不急の外出を控えるよう呼び掛けられている状況下でもあり、極めて不適切な行為でおわびします」と謝罪した。
同社によると、黒川氏とのマージャンには東京本社の50代男性社員が参加していた。賭けていたかは調査中だが、「弊社として適切に対処いたします」としている。
同様に記者が同席していたと報じられた産経新聞は「取材に関することはお答えしない」と回答。東京編集局長名で「記事化された内容以外は取材源秘匿の原則に基づき、一切公表しておりません。取材過程で不適切な行為が伴うことは許されず、そうした行為があった場合は適切に対処してまいります」などとする見解を公表した。  
●黒川検事長が辞表提出 首相「批判は受け止めたい」 5/21 
東京高検の黒川弘務検事長(63)が新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言中に産経新聞記者や朝日新聞社員らとマージャンをしていた問題で、森雅子法相は21日、黒川氏が賭けマージャンを認めたとする法務省の調査結果を安倍晋三首相に報告した。また、「不適切な行為」として黒川氏を訓告処分にしたことを明らかにした。黒川氏は21日、安倍首相あてに辞職願を提出。22日の閣議で承認される見通しだ。
東京高検検事長は検察のナンバー2で、次期検事総長の有力候補とされる。過去の法解釈を変更してまで定年を延長し、黒川氏を留任させる正当性を主張してきた政府にとって、不祥事による引責辞任は大きな痛手になりそうだ。
森氏は後任について「速やかに決める」と述べた。内閣は、林真琴・名古屋高検検事長(62)を充てる方向で最終調整に入った。
同省の調査結果によると、黒川氏は緊急事態宣言下の5月1日と13日の計2回、報道機関関係者3人とマンションの一室で、金銭をかけたマージャンをした。帰宅の際は費用を負担せずにハイヤーに乗った。ただ、同省は与野党に、常習性の認定には至らなかったと説明した。
森氏は「誠に不適切と言うほかない。責任を痛感している」と述べつつ、黒川氏の定年延長については「適切なプロセスだった」と改めて強調した。
一方、安倍首相はこの日、報道陣から任命責任について問われ、「最終的には内閣として決定しているので、当然責任がある。批判は真摯(しんし)に受け止めたい」と語った。また、今国会での成立を断念した検察庁法改正案について「法案をつくった時とは状況が違うという意見が自民党にもある。しっかり検討していく必要はある」と述べた。一般の国家公務員の定年を延長する改正案などと一本化された法案について見直す可能性に言及した形だ。
政権内には廃案も選択肢として浮上しており、政府高官は「会期末に野党側がどう対応するかだ」と語った。
政府は1月31日、2月7日に退官予定だった黒川氏の定年を8月7日まで半年間、延長する人事を閣議決定。63歳の定年を規定した検察庁法ではなく、国家公務員法の定年延長規定を適用した。慣例に従えば、今年7月に勇退する稲田伸夫検事総長(63)の後任にする布石だとの見方が広がり、野党は「政権に近い黒川氏を検事総長にするためだ」と批判した。森法相は「重大かつ複雑、困難な捜査公判に対応するため」と説明した。
政府は3月、当初案にはなかった検察幹部の定年延長規定を盛り込んだ検察庁法改正案を国会に提出。野党は黒川氏の定年延長を「後付けで正当化するものだ」と批判を強め、SNS上でも抗議が広がった。政府は18日、改正案の今国会での成立を断念した。
東京高検検事長が自身の不祥事で監督上の措置を受けるのは極めて異例。過去には1999年に当時検事総長候補と目された検事長が女性問題で厳重注意を受けた例がある。 
●黒川検事長、懲戒処分より軽い「訓告」 「甘い」野党が批判 5/21 
新聞記者らと賭けマージャンをしていたことを認め、辞表を提出した黒川弘務東京高検検事長が受けた処分は「訓告」だった。減給や停職、免職といった国家公務員法が定める「懲戒処分」には当たらない措置で、法務省内では「訓告止まりか」(関係者)と処分の軽さを疑問視する声も上がる。黒川氏の辞任は22日の閣議で承認される。
内閣に任命権がある検事長を懲戒処分とするには、閣議決定しなければならない。一方、同省の内規では、検事長に対する訓告は検事総長が決めると定められており、処分の手続き自体には閣議決定は不要だ。
処分内容に関し、立憲民主党の枝野幸男代表はツイッターに「軽過ぎる。辞職を認める前に厳重に調査し厳しく処分すべきだ」と投稿。国民民主党の玉木雄一郎代表もBSフジ番組で「甘い。せめて戒告か減給すべきだ」と主張した。  
●揺らぐ政権基盤 「不可欠」人材の醜聞直撃―検事長辞任 5/22 
次期検事総長の最有力候補と目された黒川弘務東京高検検事長が21日、緊急事態宣言下の「賭けマージャン」を認め、辞表を提出した。異例の定年延長から4カ月足らず。黒川氏を「必要不可欠」の人材と主張し、定年延長を正当化してきた安倍政権にとって手痛い失点だ。「安倍1強」と呼ばれた政治基盤は大きく揺らいでいる。
安倍晋三首相は21日、記者団に対し、黒川氏の定年を延長した判断について自身の「責任」を認め、「批判は真摯(しんし)に受け止めたい」と語った。
政府は今国会に、内閣の判断で検察幹部の定年を延長できる規定を盛り込んだ検察庁法改正案を提出。これが世論の激しい反発を受け、秋の臨時国会へ先送りを決めたばかりだった。自民党内からは「官邸が週刊文春の動きを知って採決を避けた」(ベテラン)との観測も出ている。
黒川氏が旧知の記者らとマージャン卓を囲んだのは5月1日と13日。新型コロナウイルス感染拡大は続いており、東京都では1日に165人、13日に10人の感染者を確認。政府は「不要不急の外出」自粛を呼び掛けていた。
文春は20日に電子版でこの内容を報道。当初は「賭けをしていた証拠はない」と黒川氏をかばった政権幹部も、与党内から公然と辞任論が沸き起こると「辞任やむなし」の判断に傾いた。
黒川氏は首相官邸の信任が厚く、1月末に半年間の勤務延長が閣議決定された。検察官の定年延長は初。「不当な人事介入」と批判され、以降、黒川氏をめぐる問題は政権の頭痛の種だった。
それだけに今回の辞任で幕引きを図りたい考え。首相は記者団に「定年延長は厳正なプロセスを経て法務省から請議が出された」とも強調。自民党の森山裕国対委員長は「その時点で知り得た情報で判断しており、適切だった」と擁護した。
首相官邸内には「黒川氏の任命責任は検察側にある」として、稲田伸夫検事総長の責任を問う声もある。だが、検察トップに露骨に圧力をかけるなら、検察サイドの反発は必至。自民党ベテランは「腹を決めて抵抗するだろう」と混乱を懸念する。菅義偉官房長官に近い河井克行前法相夫妻が絡む公職選挙法違反事件の裁判が続いているため、「意趣返し」の疑念も招きかねない。
黒川氏をかばい続けた安倍政権に対し、ある法務省関係者は「黒川氏を辞めさせるなら、もっと早く決断してほしかった」と恨み節を口にした。「無理を重ねてきたものが崩れていく。官邸は相当、追い詰められている」。首相と距離を置く自民党の閣僚経験者はこう指摘した。  
●答弁グダグダの森法相 進退伺も安倍首相慰留 政権にとって「都合のいい女」  5/23 
政府は22日、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言中に、新聞記者らと賭け麻雀をした東京高検の黒川弘務検事長(63)の辞職を閣議で承認した。また、森雅子法相は安倍晋三首相に進退伺を提出したが、首相は慰留。野党などから首相と森法相への任命責任追及の声が強まる中、永田町関係者からは「茶番」「(森法相は)政権にとって都合のいい女」との声も上がった。
黒川氏の辞表提出から一夜明けたこの日、森氏は午前の記者会見の質疑で開口一番、安倍首相への進退伺を21日夜に出したと説明。首相から「強く慰留された」とも明らかにし「検察の立て直しをしなければならない」と辞任しない意向を示した。
その後、永田町に波紋が広がった。根回しが十分行われた形跡がなく、官邸筋は「なぜ自ら公表したのか」といぶかった。続投となった森氏だが、与党内では「軽はずみ」とみる向きが多く、野党は「グダグダ」と評する。この日の衆院法務委員会でも黒川氏の処分が「訓告」と軽かった理由について聞かれると「(賭け麻雀の)レートと本人の態度を総合的に判断した」とにわかには信じられない基準を挙げ、委員会室をどよめかせた。
質問に立った無所属の山尾志桜里衆院議員からは「辞めたいけど頑張るんでしょ。だったらちゃんと答弁してくださいよ」などと厳しい言葉を投げつけられた。
また、強引に定年延長を閣議決定した黒川氏の後任を選定していることについて、野党から「余人をもって代えがたいポストを今決められるなら、1月にも代えられたのでは」と聞かれると「その時点では業務に支障が出るため代えられなかった。当時の判断は適切」と自信なさげに答えた。
与野党から答弁力の低さを指摘される森氏。首相と同じ細田派で、参院当選3期の間に異例の2度の入閣を果たし、首相の“秘蔵っ子”と目されている。元弁護士で河井克行前法相の後任に起用された際は「お友達人事」との揶揄(やゆ)もあった。森氏がここで閣僚を辞すれば、河井氏に続く法相の連続辞任となり、政権基盤が動揺するのが明らかで安倍首相としては阻止したいところ。政治評論家の有馬晴海氏は「進退伺を出して、慰留するのは想定内。首相は辞めさせるつもりは全くなかっただろう」と指摘する。
党内からは隠れた評価があった。自民党関係者は「下手な答弁を軽はずみにするから論点がズレすぎて野党もうまく突っ込めない。そこに利用価値がある。永田町では政権にとって“都合のいい女”と呼ばれている」と打ち明ける。安倍首相にとっては批判の矛先を森氏に向けさせるスケープゴートとの見方もあり「何か失点があれば、森さんも切り捨てられるだろう」との声もある。都合の良さはいつまで続くだろうか。 
 
●黒川弘務とは何者なのか? 政権と検察庁の問題の「本質」 6/21 
検察の暴走を抑えるために検察庁法改正が必要だと主張する人たちは、検察が政権の意向を忖度し、恣意的な捜査を行ってきた過去を無視している。  6月22日発売の『月刊日本7月号』では第2特集として、「安倍vs検察 国民不在の権力闘争」という特集を組んでいる。今回は同記事から、参議院議員として司法制度改革に関わってきた平野貞夫氏に話を聞いたインタビューを紹介したい。
問題の本質は「検察の政治介入」だ
―― 安倍政権は世論の反発をうけて検察庁法改正案を見送りました。閣議決定で定年延長した黒川弘務・東京高検検事長も不祥事で辞職しました。
平野貞夫氏(以下、平野):政権に都合のいい人物を検事総長の座に就かせるための暴挙が挫折したということです。この問題をきっかけに政権支持率は30%を割り込み、初めて20%台にまで落ち込みました。安倍政権は完全に国民の信頼を失ったのです。  
これまで安倍政権は検察を都合よく利用してきました。安倍政権の7年半、法に照らせば罪を問われるべき政府与党の疑惑は不問に付されてきた。甘利明元TPP担当相のあっせん利得処罰法違反、松島みどり元法相の公選法違反、小渕優子元経産相の政治資金規正法違反、佐川宣寿元理財局長の公文書管理法違反、菅原一秀元経産相の公選法違反、何より安倍総理の森友・加計・桜などの一連の疑惑は追及されないまま今日に至っています。  
その背景にいたとされるのが、「官邸の守護神」の異名をとった黒川氏です。黒川氏は安倍政権の下で法務省大臣官房長、法務事務次官を務め、政権・法務省・検察・国会の間の調整を一手にひきうけてきた人物です。彼がいなければ、このような状況にはなっていなかったはずです。安倍政権と検察は黒川氏を媒介にして、歪んだ関係を築いてきたということです。  
しかし、このような関係は安倍政権が黒川氏を検事総長にしようとした瞬間、一気に崩れ去りました。安倍政権による国家の私物化が頂点に達して自己崩壊したということです。今こそ政治と検察の関係を健全化すべき時です。  
確かに、安倍政権が検察まで私物化しようとしたことは問題です。しかしそれ以上の問題は特に黒川弘務という特定の検事が法務官僚として政治に介入し、検察が政治の在り方そのものを歪めてきたということです。黒川氏はすでに個人的な不祥事で辞職していますが、それでこの問題の本質が解決されたわけではない。「第二の黒川」を出さないためにも、今ここで、黒川氏とはいかなる人物だったのか、政治と検察の関係の実態はどういうものだったのかという問題を総括しておく必要があります。
国家の正義より検察の保身を選び堕落した検察
―― 政権と検察の歪んだ関係は安倍政権に始まったことではありません。
平野:もともと自民党保守本流の旧田中派や宏池会は三権分立の何たるかを肝に銘じて、警察や検察とは一定の距離を保っていました。「今太閤」と呼ばれるほど絶大な権力を手に入れた田中角栄でさえ、警察や検察に手を出そうとはしなかった。  
しかし岸信介以下、岸系の自民党議員にはこういう自制心がありません。むしろ警察力や検察力を利用して政権を維持し、国家を私物化するというぬぐい難い傾向がある。だからこそ、宏池会の前尾繁三郎・元衆院議長は「宏池会の使命は岸派に政権をとらせないことだった」と話していました。これは前尾が生前、私に直接言ったことです。実際、旧田中派の小渕政権が倒れた後から森、小泉、安倍と清和会政権が続いていくうちに、だんだん政権と検察の関係がおかしくなっていったのです。  
その象徴が三井環事件です。2002年、大阪高検公安部長の三井環は、福岡高検検事長への栄転が決まっていた高松高検検事長が5億円の調査活動費を使い込んでいたという検察の裏金問題を告発しようとして、逆に詐欺容疑で逮捕されました。  
この時、小泉政権は検察内部で決められた高松高検検事長の人事を撤回させようとしました。しかし、当時の原田明夫検事総長は「政治は検察の人事に介入しない」という原則を守るため、後藤田正晴を通じて小泉首相に働きかけ、裏金問題を不問にして予定通りの人事異動を実現してもらったのです。それ以降、検察は自民党政権に頭が上がらず、法の正義より政権の都合を優先して鈴木宗男事件や村上正邦事件、小沢一郎の西松建設事件、さらに陸山会事件を捜査していったわけです。  
検察は国家の正義よりも自分たちの保身を優先した結果、政権に使われるようになってしまった。ここから政権と検察の堕落が始まり、岸直系の安倍政権の下で極まったということです。
「陸山会事件の黒幕」とされた黒川弘務
―― その中で、黒川氏はどういう存在だったのですか。
平野:永田町や霞が関では、黒川氏は「政治家たらし」という評判です。麻生政権の鳩山邦夫法相に仕えた時には「猛獣使い」、鳩山・菅政権の千葉景子法相に仕えた時には「千葉たらし」と呼ばれるほどでした。法務大臣をたらし込み、死刑を執行させるのも上手かったため、法務省の中で着実に力を増していったといわれています。  
その一方で、黒川氏には「正義がない」という指摘もあります。これはある警察庁長官が私に直接言ったことです。正義なき検事が政治家をたらし込んで政治に介入したとすれば、これほど恐ろしいことはありません。  
もともと黒川氏は「花の35期」として1981年に検事に任官、全国の地検に勤務してから法務省に異動、いわゆる「赤レンガ組」(法務省に勤務する検事)になりました。大臣官房秘書課長時代の2007年に鳩山邦夫法相の「友達の友達はアルカイダ」という問題発言をめぐる対応が評価されてから頭角をあらわし、翌年には法務省官房審議官(政務担当)に就任しました。官房審議官は大臣・法務省・国会の関係を調整する役職ですから、ここから黒川氏が政治に介入するようになったということです。
―― 黒川氏は具体的にどのように政治に関与してきたのですか。
平野:黒川氏は「陸山会事件」に深く関わっています。政権交代の可能性が現実味を帯びてきた2009年、検察は民主党代表の小沢一郎を潰しにかかります。3月には西松建設事件で小沢の秘書である大久保隆規を逮捕して小沢を狙い、6月には郵便不正事件(村木事件)で厚労省局長の村木厚子を逮捕して民主党副代表の石井一を狙いましたが、いずれも不発に終わりました。  
これらの捜査は麻生首相の下で東大同期の漆間巌官房副長官と樋渡利秋検事総長が主導したとされています。当時、黒川氏は森英介法相の下で政務を担当していましたから、西松建設事件や郵便不正事件にも当然関わっていたはずです。  
8月には総選挙の結果、政権交代が起きました。しかし検察は小沢潰しを続け、政権発足当初から首相の鳩山由紀夫は母親からの「お小遣い」を調べられ、幹事長の小沢は政治資金団体「陸山会」を調べられましたが、またもや不発に終わりました。しかし11月に市民団体から告発を受けるという形で、陸山会事件は続いていきました。  
民主党政権と検察、黒川氏の関係が変化したのは、2010年4月に法務省のスキャンダルが発覚してからです。民主党の看板政策である「事業仕分け」の過程で、法務省所管の社団法人「民事法情報センター」が元最高裁判事の香川保一理事長に1500万円を貸し付けていることが発覚したのです。この問題は最高裁や法務省を巻き込んだ一大スキャンダルに発展しかけましたが、民主党政権は1か月足らずで同センターを解散させてうやむやに終わらせました。  
この時、政権交代前から引き続き官房審議官だった黒川氏は仙谷由人・行政刷新担当相と連携して千葉景子法相を説得して、この件をもみ消したといわれています。ここから黒川―仙谷―菅のラインが出来上がり、陸山会事件が民主党内部の権力闘争の様相を呈していくわけです。  
2010年6月には鳩山首相と小沢幹事長が辞任、菅政権が発足しました。菅首相は「小沢は政治とカネの問題で国民の不信を招いた」と明言し、小沢排除の意思を明確にしていました。その後、黒川氏は8月に検事正になり松山地検に異動しましたが、10月には大臣官房付として法務省へ戻りました。その間に何があったのか。  
実は、9月に民主党代表選が行われて菅が小沢を破りましたが、選挙不正が指摘されていたのです。小沢との権力闘争が激化する中で、菅と仙谷は改めて黒川氏の存在を必要とし、わずか2か月で官邸に呼び戻したということでしょう。その後、検察審査会は小沢氏に対して起訴議決を行い、翌年1月には強制起訴に踏み切りました。  
黒川氏は菅首相、仙谷官房長官の下で小沢潰しに暗躍していたわけです。細かい話は省きますが、森ゆうこ参議院議員は著書『検察の罠』(日本文芸社、2012年)で、陸山会事件で小沢を陥れようとした「黒幕」の一人として黒川氏を名指しで批判しています。  
小泉政権以降、日本の政治はメチャクチャになっています。民主党政権は陸山会事件で大混乱に陥り、安倍政権は法律違反・憲法違反の政治を続けていますが、その原因の一つは、検察が時の政権に利用される形で政治に介入するようになったからです。その中で、黒川氏は政治の在り方を歪めてきたと言わざるをえない。
検察は河井事件の使途不明金1億5000万円を徹底追及せよ
―― 時の政権と検察は持ちつ持たれつの癒着関係を続けてきた。しかし、これでは法の正義が成り立ちません。
平野:私は政治と検察の問題に特別な思いがあります。衆院事務局の時代にはロッキード事件やリクルート事件に深く関わり、参議院議員の時代には12年の議員生活のうち10年法務委員を務めて司法制度改革を担当しました。特に前尾繁三郎・元衆院議長からは「検察がしっかりしなければ民主主義は機能しない。何かあったら相談に乗ってやってくれ」と言われていました。そういう経緯から、法務省や検察とは深く付き合ってきたのです。だから私の問題意識は「いかに検察を健全化するか」、これだけです。  
遺憾ながら、これまで政権と検察はお互いに不祥事をもみ消しあい、法の正義よりも政権の都合を優先してきました。そこから黒川氏のような検事が政治に介入する余地が生まれ、日本の政治がおかしくなっていったのです。  
しかし、今こそ検察は政権との癒着を断ち切るべき時です。そのための試金石こそ、現在進行中の河井克行前法相とその妻・河井案里参議院議員の事件です。この事件では自民党から河井案里陣営に渡った1億5000万円の使途不明金が問題になっており、そのうち一部のカネが安倍晋三事務所や公明党に流れているという情報もあります。  検察は法の正義を守るために、この点を徹底的に追及すべきです。それができなければ、日本の検察は終わりです。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
●文春砲の落日〜テレビは文春・新潮を急激に取り上げ消費した〜 2018/10 
テレビと世間はいつから文春砲に振り回されていたか
「文春砲」と呼ばれた週刊文春のスキャンダル記事。我々はいつの間にか、文春砲に振り回され、いいように操られるようになった。その要因が、テレビだったと思う。文春がスキャンダルを記事にすると、テレビのワイドショー・情報番組や時にはニュース番組がそれを取り上げ、他のネット上のメディアも巻き込んで大きな渦となる。そんなことが当たり前になっていた。
少し前まではここまでではなかったはずだ。いったいいつから我々は文春砲に支配されていたのか。テレビ番組をすべてデータ化するエム・データ社に頼んで調べてもらったら、かなりくっきりした結果が出てきた。それが上のグラフだ。テレビ番組の中で「週刊文春」「週刊新潮」がネタ元として表記された番組の数をグラフにしている。文春が青、新潮が橙色の線だ。
文春砲が放たれ世間が大騒ぎになるほどテレビが取り上げたのは、2016年1月に突如起こった現象だった。それまでにも小さな渦を巻き起こしてはいるが、比べ物にならないくらい少ない。この月から、スキャンダルの歯車が狂ったように回りはじめたのだ。
上のグラフは2008年1月から2018年9月までのデータだ。幅が広すぎてわかりにくいので、2014年以降に絞ってデータを精査してもらった。エム・データ社によれば、ここで言う精査とは「ニュースやワイドショーの中で明確に文春のテロップや誌面の紹介、文春デジタルの映像とテロップによる紹介があるもの」だそうだ。まちがいなく番組の中でネタ元として文春(そして新潮)の記事や映像が使われたかどうかを調べてくれている。
そのグラフがこれだ。
こうして見ると、2014年から2015年にかけて、予兆のように小さな山ができている。そして2016年に爆発したのだ。地震の予震と本震のようだ。そして2016年はブルーの線、つまり文春が何度も山を作っている。ところが2017年に入ると橙色の新潮が文春の向こうを張るように山を作りだした。2018年の文春は3月に山を作ったあと徐々に下がっており、新潮は4月に最後の花火を打ち上げるように山を高くしたあと、静かになった。
不倫を中心に立て続けにスクープを発信した文春
文春と新潮に分けて、もう少し詳しく見ていこう。文春のグラフの前半だけ切り出してみた。2014年から2016年6月までの部分だ。山ができている箇所にアルファベットを振った。それぞれの内容は下記だ。
〇 A:2014年5月 ASUKA覚せい剤所持容疑で逮捕
〇 B:2015年4月 上西小百合議員、本会議欠席旅行疑惑
〇 C:2015年8月 武藤貴也議員、未公開株トラブル
〇 D:2016年1月 ベッキー&川谷絵音、不倫報道
〇 甘利明経済再生担当大臣、収賄疑惑
〇 E:2016年2月 ベッキー&川谷絵音、不倫報道
〇 清原和博、覚せい剤所持で逮捕
〇 宮崎謙介議員、不倫疑惑
〇 F:2016年5月 舛添要一都知事、政治資金問題
2014年から2015年にかけては、文春がスクープをすっぱ抜いたからといってテレビに飛び火したのはわずかだ。ところが2016年1月から急に文春がスクープを連発し、テレビがそれを追いかけるようになった。文春の誌面を紹介すればワイドショーができてしまう。きっかけはベッキーと川谷絵音の不倫だが、そもそもスクープの数も多かった。そして文春による世論リードの決定打が、舛添要一氏の政治資金問題だった。文春のスクープ連発によりテレビが大騒ぎしてついには、舛添氏が辞任に追い込まれた。この一件で文春への信頼度が極度に高まった。テレビは文春のスクープにしたがっていればいい、という状況になったのではないか。
続いて文春のグラフの後半だ。
2016年は小ぶりの山が続く。スクープがなかったわけではなく、小倉優子の夫の不倫、中村橋之助の不倫などが小刻みに報じられている。不倫報道に飽き飽きしたのを私も覚えている。2017年に入ると、文春砲は衰えるどころかますます続けざまに大砲を打ち上げる。
〇 G:2017年6月 小出恵介、未成年女性と不適切関係
〇 NMB48 須藤凜々花が結婚発表
〇 下村博文幹事長代行、加計学園闇献金報道
〇 2017年7月 船越英一郎&松居一代、離婚騒動
〇 渡辺謙、不倫謝罪会見
〇 2017年8月 斉藤由貴、不倫報道
〇 宮迫博之、不倫報道
〇 2017年8月-9月 日野皓正、コンサート中にドラマーの中学生へ暴行
〇 2017年9月 山尾志桜里議員、不倫疑惑
〇 H:2017年11月 大相撲 日馬富士が貴ノ岩に暴行
〇 2017年12月 藤吉久美子、不倫報道
〇 2018年1月 小室哲哉、不倫疑惑
〇 I:2018年3月 伊調馨、栄和人強化本部長からのパワハラ被害騒動
〇 2018年4月 新潟県 米山隆一知事、女性問題で辞職表明
〇 林芳正文部科学大臣、公用車で「ヨガ通い」報道
〇 2018年5月 石原さとみ、交際報道
〇 日大アメフト悪質タックル問題で内田監督の音声データ公開
世の中にこんなにスキャンダルというものがあるものかと感心するが、その度にテレビは何の躊躇もなく文春をネタにし、追いかけてきた。時には文春が撮った映像まで使うようになり、テレビ局は取材をする気さえ失ったのかと思えたほどだ。スキャンダルの方向性も、不倫一辺倒からパワハラの暴露のようなものへと広がってきた。それとともに、必ずしも最初が文春のスクープとは言えなくなってきた。2016年から2017年の文春の勢いに、2018年半ば以降、翳りが出てきたように思える。
文春に追いつけなかった新潮
今度は週刊新潮のグラフを見てみよう。単独で見ると、文春と比べて山がずいぶん少ない。2016年までの間は、2016年3月に「乙武洋匡氏、不倫認め謝罪」4月に「山尾志桜里議員、ガソリン代疑惑」がテレビで取り上げられ小さな山ができているが、大きな山ができるほどではない。そこで2016年7月以降のグラフを拡大したのがこれだ。
これも内容を箇条書きにする。
〇 J:2017年4月 中川俊直議員、女性問題で辞任
〇 K:2017年6月-7月 豊田真由子議員、秘書に暴行
〇 2017年7月 船越英一郎&松居一代、離婚騒動
〇 今井絵理子議員、不倫報道
〇 2017年8月 豊田真由子議員の政策秘書青森県板柳町 松森俊逸町議、金銭トラブル疑惑
〇 兵庫県神戸市 橋本健市議、政策チラシ架空発注疑惑
〇 2017年9月豊田真由子議員、元秘書への暴行暴言問題・新たな音声公開
〇 L:2018年4月 ビートたけし独立&オフィス北野内紛騒動
〇 財務省 福田淳一事務次官、女性記者へのセクハラ疑惑報道&音声公開
こうして見ると、実は週刊新潮はほとんど豊田真由子議員の騒動に終始しているのがわかる。新潮は文春に続いてスクープを連発し、テレビで続々取り上げられたイメージがあるが、実際には「豊田議員のスキャンダル、ほか」といった程度なのだ。豊田議員の件であの音声を入手したのはスクープだったが、それ以外、テレビを振り回すようなことはなかったと言っていい。豊田議員の件があまりにもセンセーショナルだったのと文春とセットで見られることで、新潮のイメージが肥大していただけなのだ。スクープを連発する文春に追いつけとばかりに頑張ったが、到底追いつけなかった、というのが実態のようだ。
文春の落日と、私たちのリテラシー
さて、文春の後半の方のグラフをもう一度見てもらうと、直近2018年10月にちょろりと山ができている。片山さつき大臣の疑惑報道だ。”ちょろりと”と書いたが、実感としてもテレビで大して取り上げられなかった。文春のスクープが不発を続けている。
あれほど毎週のように文春砲が放たれ、テレビが一斉にそれを報じていたのに、いったいどうしたことだろう。単純な話だと私は思う。文春はテレビに飽きられたのだ。“文春砲”とはもう呼ばれなくなっている。
テレビは結局、何もかもを飲み込みエキスを吸い尽くしてぽいと捨てるうわばみのような生き物である。それはとりもなおさず、我々の好奇心の写し鏡なのだろう。つまり、文春に飽きたのは、我々なのだ。文春に反省すべき点があるとしたら、あまりにも連発しすぎた。要するに、調子に乗りすぎたのだ。
文春は、デジタルもうまく使い映像にも手を出して新しいスキャンダルメディアとして生まれ変わる試みにトライしていた。だが結局は、紙の雑誌の部数減少は防げないし、紙を支えてきた団塊の世代に命運を握られている。だから最近は、文春でも健康ネタが増えてきた。気がつくと、オヤジ週刊誌はどれもこれも、健康ネタが満載だ。スキャンダル誌なんて、実はもう要らなくなっているのかもしれない。
ではテレビはどうするのだろう。テレビが文春ネタを取り上げなくなったのはもうひとつ、信頼性を取り戻すべきとの空気があるからだと思う。ようやくわかってきたのだ。メディアにとって信頼性ほど大事なものはないのだと。
それは我々が学んだからでもあると思う。なんだかんだ言って、我々のリテラシーは上がっているのではないか。フェイクニュースには気をつけろ。スキャンダルに振り回されるな。我々が新時代のメディア環境に慣れるために、文春砲に踊る日々は必要だったのだろう。だがもう、そのステップは卒業しようとしている。文春の落日は、そんなターニングポイントの象徴でもあるのだと思う。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


2020/5