緊急事態宣言

4/ 7 緊急事態 宣言
一か月延長
不要不急 外出自粛要請

5/25 非常事態宣言解除 
お上の要請 守りました
証明 律儀な日本の文化 まだ生きてました
 


非常事態宣言宣言とは何か宣言でどうなる宣言法案成立・・・
4/64/7総理記者会見宣言要旨4/8暮らしはどうなる4/9
4/10東京都/休業要請施設発表4/11・・・・4/154/164/174/184/194/20・・・
4/214/224/234/244/254/264/274/284/294/30・・・
5/15/25/35/45/55/65/75/85/95/10・・・
 
 

 

●非常事態宣言 
災害などによる国家などの運営の危機に対して、緊急事態のために政府が特別法を発動することである。 国によっては「緊急事態宣言」の呼称を用いる場合もあるが、発布される内容は概ね同じである。戒厳と似ているが、戒厳では国の立法、司法、行政という統治権の一部または全部を軍に移管する。
対象には武力攻撃、内乱、暴動、テロ、大規模な災害などのほか、鳥インフルエンザやAIDS、ノロウイルス、コロナウイルスなど疫病もある。措置には警察・軍隊など公務員の動員、公共財の徴発、法律に優位する政令の発布、令状によらない逮捕・家宅捜索などを許すことの他、報道や集会の自由など自由権の制限である。
日本では、第二次世界大戦後の占領期の1948年4月に在日韓国・朝鮮人と日本共産党らが起こした阪神教育事件に際し、GHQが発令した例がある。また1954年までは、旧警察法62条に基づいて国家非常事態の布告を出す権限が内閣総理大臣に与えられていた(効果は、後述の現警察法に基づく緊急事態の布告と同様)。現在では、災害対策基本法に基づく災害緊急事態の布告と、警察法に基づく緊急事態の布告、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく新型インフルエンザ等緊急事態宣言があり、いずれも内閣総理大臣が発する。
アメリカ大統領が非常事態を宣言すること自体は珍しいことではなく、外国からの脅威があるとして大統領の権限で資産凍結を行う際に宣言される(例えば、2018年11月には、反政府デモを武力で弾圧した中米ニカラグアの混乱をアメリカの安全保障上の脅威と見なし、治安や民主主義を損なう人物の資産を凍結するために宣言された)他、テロや感染症に対応するためにも宣言される。アメリカ合衆国では、1979年の対イランの資産凍結を含め、約30件の宣言が2019年2月現在で有効とアメリカのメディアで報じられている。
フランスでは2015年のパリ同時多発テロ事件で発令され、2017年10月31日まで延長された。
発動例
1941年12月8日 - 太平洋戦争開戦(大日本帝国)
1971年 /  11月23日 - 第三次印パ戦争(パキスタン) /  12月3日 - 同(インド)
1996年9月26日 - KB橋崩壊(パラオ)
2001年  /  9月11日 - 9.11同時多発テロ(アメリカ) / 11月26日 - ネパール王族殺害事件後の内乱(ネパール)
2004年12月26日 - スマトラ島沖地震(スリランカ・モルディブ)
2005年 / 7月7日 - ロンドン同時爆破事件(イギリス) /  11月8日 - 2005年パリ郊外暴動事件(フランス)
2006年2月24日 - クーデター未遂(フィリピン)
2007年 / 8月 - 2007年ギリシャ山林火災(ギリシャ) / 11月 - 野党デモ(グルジア)
2009年10月24日 - 新型インフルエンザ(H1N1亜型)感染拡大 (アメリカ)
2010年 / 5月27日 - パカヤ噴火(グアテマラ) /  9月4日 - カンタベリー地震 (ニュージーランド) / 12月4日 - 航空管制官ストライキ(スペイン)
2011年 / 3月11日 - 福島第一原子力発電所事故に対しての原子力災害対策特別措置法による原子力緊急事態宣言(日本) /  3月12日 - 福島第二原子力発電所に対しての原子力緊急事態宣言(日本) / 5月 - メキシコからの麻薬カルテル組織の侵入(グアテマラ)
2013年 / 1月28日 - エジプト・サッカー暴動の裁判結果に対する暴動(エジプト) / 2月15日 - チェリャビンスク州隕石落下災害(ロシア)
2014年 / 7月31日 - 西アフリカエボラ出血熱の流行(シエラレオネ) / 8月6日 - 同(リベリア) /  8月8日 - 同(ナイジェリア) / 8月13日 - 同(ギニア)
2015年11月14日 - パリ同時多発テロ事件(フランス)
2017年12月1日 - 大統領選挙デモ(ホンジュラス)
2018年1月18日 - モンテゴ・ベイ市における殺人事件の多発(ジャマイカ)
2019年 / 2月9日 - ベルーシャ・グバにおけるホッキョクグマの出没回数増加(ロシア) /  2月16日 - メキシコとアメリカの壁建設を目指しドナルド・トランプが発令したもの(アメリカ) /  4月23日 - スリランカ連続爆破テロ事件(スリランカ) / 8月23日 - 大規模森林火災(ボリビア) / 9月5日 - 麻薬組織による兵士殺害事件(グアテマラ) / 10月18日 - チリ暴動(チリ)
2020年 1月以降 - 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、非常事態宣言が各国から発せられている。 / 1月31日 - イタリア /  3月11日 - ハンガリー / 3月12日 - チェコ / 3月13日 - アメリカ・エストニア・スペイン / 3月14日 - リビア / 3月15日 - カザフスタン・スロバキア・セルビア・フィリピン・ブルガリア・南アフリカ・モルディブ・レバノン・パレスチナ自治政府 / 3月16日 - ルーマニア / 3月20日 - ブラジル / 3月25日 - ニュージーランド / 月26日 - タイ
国家以外からの発動例
日本
日本では地方自治体が「非常事態宣言」や「緊急事態宣言」という宣言をすることがある。但しこれらは特別法を発動するものではなく、法的拘束力の無い要請や注意喚起に過ぎない。例として2010年5月18日に宮崎県の東国原英夫知事が口蹄疫の流行に対して宣言したもの、2020年2月28日に北海道の鈴木直道知事が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に対して宣言したものなどがある。この他、戦後日本の主権回復前には阪神教育事件に対してGHQの兵庫軍政部が非常事態宣言を発布している。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国では州知事・首長に災害に伴う地域内非常事態を宣言する職権がある。ロサンゼルス市長が1992年4月30日にロサンゼルス暴動に対して宣言したものや、ルイジアナ州知事が2005年8月28日にハリケーン・カトリーナに対して発令したものが主な例。
タイ
2014年のタイ軍事クーデターではタイ王国軍が独自に非常事態宣言を行った。
インドネシア
インドネシアではジャカルタ特別州知事に非常事態宣言の権限が与えられている。2020年3月20日には、当時流行していた新型コロナウイルス肺炎に対して非常事態宣言が行われた。
イエメン
2017年5月、イエメンの武装組織フーシがコレラの流行が深刻化したことを踏まえて「非常事態宣言」をした。
その他
国際機関であるWHOは、2005年以降大規模な疫病の流行に対して「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言することとしている。 

 

●新型コロナ「緊急事態宣言」とは何か 
第1 はじめに
新型コロナウイルスの蔓延状況は、深刻さを増しています。
そして、まもなく「緊急事態宣言」が発令されると噂されています。確かに、今日(4月4日)、東京都における1日に報告された新型コロナウイルス感染者数が、初めて(指数関数的に感染者が爆発的増大をすると言われる1つの目安となる)100名を超え、都市部を中心に状況が悪化していると感じられ、「緊急事態宣言」は、待ったなしの状況とも言えると思います。
最初に新型コロナウイルスが蔓延した武漢では、都市封鎖がなされ、全ての新幹線が武漢を通過し、地下鉄バス等の通勤用公共交通機関も停止となり、殆ど全ての移動が制限されました。
我が国で「緊急事態宣言」が発令された時どうなるのか。政府や自治体がどのような措置を講じるのか。
私は弁護士ですので、法令を解釈して、「緊急事態宣言」により予想される措置等について、考えていきたいと思います。但し、新型コロナウイルス感染症の専門家ではありません。これでカネを稼いでいる訳ではないので、間違いがあるかもしれません。そういう場合は、是非情報提供をいただけますと幸いです。随時更新したいと思います。
第2 「緊急事態宣言」の根拠法令は何か?
政府も、東京都など地方自治体も、憲法と国会において制定された法律を執行するというのが役割です (法律による行政の原理)。勿論、全てのルールを国会において制定できる訳ではありません。柔軟な対応も必要となります。しかし、行政というのは、強大な権限を有しますので、たとえ善意の行為であっても憲法や法律を破ってしまうと、それによって一部の人かもしれないけれども、人権が侵害されてしまうことがあります。例えば、緊急に病院を建てなければいけないかもしれない。緊急に物資を徴集しなければならない。緊急事態のためには必要なことでしょうが、それによって、土地の所有者が土地の権利を失い、物資の所有者が強制的に売りたくない物を売らされてしまうかもしれません。そこで、行政の行為というのは、基本的に法律によって制約を受けることになります。
新型コロナウイルスの蔓延状況が判明してきたのは、今年に入ってからです。新しい病気ですので、その対策をするための適切な法律がありませんでした。そこで政府は、既に存在する「新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)」(以下「特措法」といいます。)の附則を改正して、特措法2条1号の定める「新型インフルエンザ等」の定義に、期間限定(施行の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日=令和3年1月31日まで)で、「新型コロナウイルス感染症」を含めることにしました(特措法附則1条の2第1項)。この特措法附則の改正は、令和2年3月13日に成立し、3月14日に施行されました。
ですので、「新型コロナウイルス感染症」の対策の話をしているのですが、適用される法律としては、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」ということになります。
なお、実際の改正法の成立は令和2年3月13日でしたが、特措法の改正案が提案されたのは、令和2年2月でした。そこで、「新型コロナウイルス感染症」の定義においては、「病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。第三項において同じ。」と限定されています。つまり、中華人民共和国から世界保健機関に対して1月に報告されたものとは別のベータコロナウイルス属のコロナウイルスに対しては、現状特措法の適用ができない点には、留意を要します。
第3 特措法が考える対策
新型コロナウイルス対策を「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づいて政府や自治体が行うことは良く理解できたと思います。それでは、この特措法は、どのような対策を考えているのでしょうか。特措法を眺めますと、三段階に分けて対策を行うことになっています。
1 平時(未発生期):対策(行動計画)の策定
政府と自治体が有事にどうするのか「政府行動計画」「都道府県行動計画」「市町村行動計画」を定めておきます(特措法6〜8条)。更に、「指定公共機関又は指定地方公共機関」(これがどこかは、法律ではなく政令で定められています。例えば、JRなどです。)も、「政府行動計画」「都道府県行動計画」に基づき、「業務計画」を作成し、関係都道府県知事及び関係市町村長に通知するとともに、その要旨を公表します(特措法9条)。
例えば、「政府行動計画」を見ると、感染蔓延期には「欠勤者の増大が予想されるが、国民生活・国民経済の影響を最小限に抑えるため必要なライフライン等の事業活動を継続する。その他の社会活動をできる限り継続する。」と記載されており、鉄道等公共交通機関をストップして感染症の拡大を防止するという行動計画を有していないことが分かります。例えば、JR東日本が公表している「業務計画」の要旨のリンクを貼っておきますね。これによると、JR東日本の従業員が欠勤することにより最大40%が欠勤する(ために減便が発生すると思われる)ものの、鉄道の運行を完全に止めるということは、想定していないことが分かります。
また、JR東海が公表している「業務計画」の要旨によると、「新型インフルエンザ等の国内発生時においては、新型インフルエンザ等の流行の具体的な状況、社員への感染状況、政府対策本部等から発信される情報・要請等を踏まえ、旅客の輸送を適切に実施する」と記載されていますので、やはり、鉄道の運行を完全に止めることは想定していないように思われます。
実は、裁判所も同様に策定しています。ここには、「政府対策本部が国内感染期に入ったことを宣言した場合には,発生時継続業務以外の業務を縮小又は中断し,新型インフルエンザ等発生時の業務体制に移行する。また,政府対策本部が,新型インフルエンザ等緊急事態(特措法第32条第1項)を宣言した場合には,各裁判所の実情等に応じて,発生時継続業務以外の業務を大幅に縮小又は中断する。」との記載があります。
なお、これらの計画は、「新型インフルエンザ等」のために策定されたものであって、新型コロナウイルス感染症のために策定されたものではないのですが、読み替えにより、「新型コロナウイルス感染症を含む新型インフルエンザ等に関する事項として行動計画等に定められているものとみなす。」ことになっています(特措法附則1条の2第3項)。
2 発生期(海外発生期):対策本部の設置、水際対策
感染症の発生が確認されると、「政府対策本部」「都道府県対策本部」が設置されます(特措法15条、22条)。そして、予防的に、「特定接種」(対策の実施に携わる者に対し、臨時に予防接種を実施すること等)を行い(特措法28条)、海外からの流入を防ぐために、入国者を検疫所で停留させる(特措法29条)、飛行機を運航する事業者に対し日本への来航を制限するよう要請する(特措法30条)等の措置をとります。また、医療関係者に対して、医療の提供等の要請を行います(特措法31条)。
3 国内感染蔓延期:緊急事態宣言等
しかし、当該感染症が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」という。)が発生したと認めるとき、政府対策本部長は、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨を公示し、国会に報告をします(特措法32条1項)。その際、
一 新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間
二 新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき区域
三 新型インフルエンザ等緊急事態の概要
を併せて公示します。この「期間」は、2年を超えてはいけないことになっています(同条2項)。延長可能です。この「新型インフルエンザ等緊急事態」の宣言がされたときに、法がどのような措置を講じようとしているかを概観します(細かい要件等省略)と、
・特定都道府県知事による、生活の維持に必要な場合を除きみだりに外出しないこと、その他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力の要請(特措法45条1項)
・特定都道府県知事による、学校、社会福祉施設、興行場等に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止等の要請(特措法45条2項)
・住民に対する予防接種(特措法46条)
・医療等の確保、特定都道府県知事による臨時の医療施設(特措法47条、48条)
・特定都道府県知事による臨時の医療施設を開設するため、土地、家屋又は物資の使用(特措法49条)
・特定都道府県知事又は特定市町村長による物資及び資材の供給の要請(特措法50条)
・電気及びガス並びに水の安定的な供給に関する措置(特措法52条)
・運送事業者である指定公共機関及び指定地方公共機関による旅客及び貨物の運送を適切に実施するための必要な措置(特措法53条1項)
・通信及び郵便等の確保(特措法53条2項3項)
・指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は特定都道府県知事による、緊急事態措置の実施に必要な物資及び資材等の運送の要請(特措法54条)
・特定都道府県知事による、緊急事態措置の実施に必要な物資(医薬品、食品その他の政令で定める物資に限る。)であって生産、集荷、販売、配給、保管又は輸送を業とする者が取り扱うもの(以下「特定物資」という。)について、その所有者に対する当該特定物資の売渡の要請等(特措法55条)
・内閣による、国会が閉会中又は衆議院が解散中等の状況における、金銭債務の支払の延期及び権利の保存期間の延長について必要な措置を講ずるための政令の制定(特措法58条)
・指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに地方公共団体の長による、生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律(昭和四十八年法律第四十八号)、国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)、物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)その他法令の規定に基づく措置(特措法59条)
・政府関係金融機関その他これに準ずる政令で定める金融機関による、緊急事態に関する特別な金融を行い、償還期限又は据置期間の延長等の措置を講ずるよう努力(特措法60条)
・土地、家屋又は物資の使用等又は特定物資の収用・保管等のための立入検査(特措法72条)
が掲げられています。これらの措置を行った場合のうち、
・土地、家屋又は物資の使用等(特措法49条)
・特定物資の収用・保管等(特措法55条2項、3項、4項)
については、国及び都道府県が通常生ずべき損失を補償しなければならず、また、医療機関に対する要請については、実費の弁償をしなければならないとされています(特措法62条)。また、都道府県は、特措法31条の要請等に応じた医療関係者がそのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となったときは、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によって受ける損害を補償するとされています(特措法63条)。
4 「緊急事態宣言」に強制力があるのか?
「緊急事態宣言」が出た後の各種の措置ですが、まず罰則があるかないかが気になるところです。
・特定物資の保管命令(特措法55条3項4項)に従わず、特定物資を隠匿し、損壊し、廃棄し、又は搬出した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金(特措法76条)
・立入検査(特措法72条)を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金(特措法77条)
が定められています。つまり、「要請」(お願い)ベースが大半で、医療関係者を除く一般人に対して強制力があるものは、臨時の医療施設を開設するための土地、家屋又は物資の使用に関するもの、特定物資の売り渡しや保管に関するものに限られています。逆に言えば、一般の人に対し影響力のある「みだりに外出しないこと、その他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力の要請」や「学校、社会福祉施設、興行場等に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止等の要請」といった特措法45条1項2項の措置については、罰則がなく、強制力に乏しい面があります(但し、施設に対する要請については、「正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないとき」「まん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる。」とはされています(特措法45条3項)。
5 「都市封鎖」は可能か?
また、法令を見ても、政府行動計画を見ても、鉄道等公共交通機関の業務計画を見ても、鉄道の運行の減便はやむを得ず想定されているとしても、止めることまでは想定されていないと言えます。つまり、特措法では、例え「緊急事態宣言」を行っても、都市への公共交通機関を止める「都市封鎖」を行うことはできないのです。他方、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)(以下「感染症法」といいます。)には、以下のような規制があります。
(建物に係る措置)
第三十二条 都道府県知事は、一類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、厚生労働省令で定めるところにより、期間を定めて、当該建物への立入りを制限し、又は禁止することができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する措置によっても一類感染症のまん延を防止できない場合であって、緊急の必要があると認められるときに限り、政令で定める基準に従い、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について封鎖その他当該感染症のまん延の防止のために必要な措置を講ずることができる。
(交通の制限又は遮断)
第三十三条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、政令で定める基準に従い、七十二時間以内の期間を定めて、当該感染症の患者がいる場所その他当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる。
(必要な最小限度の措置)
第三十四条 第二十六条の三から前条までの規定により実施される措置は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。
令和2年1月28日に制定された新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令(令和2年政令第11号)では、新型コロナウイルス感染症については、この感染症法32条、33条に基づく措置の適用がされていなかった模様です(参考)。しかし、3月26日に政令を改正して、新型コロナウイルス感染症についても、感染症法32条、33条の適用ができるようになりました(ご参考(新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令(令和2年政令第60号))。そうすると、あくまで「感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のもの」に限って、建物への立ち入り規制や、72時間以内の交通の制限、遮断ができることにはなっています。そうすると、例えばですが、土日の「都市封鎖」というレベルであれば、感染症法を根拠として「要請」されることがあり得るかもしれません。
6 「補償」は可能か?
既に上記3で概観したとおり、この法律が想定している補償とは、
・土地、家屋又は物資の使用等(特措法49条)
・特定物資の収用・保管等(特措法55条2項、3項、4項)
・医療機関に対する要請についての実費の弁償
・医療関係者の死亡障害疾病等に対する補償
に限られています(特措法62条、63条)。つまり、特措法では、外出自粛や休校等の「要請」(特措法45条)に基づく損害について、政府や自治体が補償することが想定されていません。また、所得補償など、各種給付についても、特措法の想定外です。特措法が想定している経済的な措置は、上述の損害補償を除くと、上記3で概観したとおり、価格の安定に関する措置や、融資に関する措置(特措法59条、60条)に限られていると言ってよいと思います。でも、だから給付も補償もしないというものではなく、あくまで特措法の想定にはないということに留まります。枠外で必要な政策を行うのが、政治というものではないかとは思います。
7 裁判所は止まらないのか?
本論ではないのですが、この法律や政府行動計画で、裁判所が「緊急事態宣言」が出た後にどうなるのか、分かる部分があるでしょうか。実は、若干ですが、言及がある部分があります。
実は、政府行動計画では、「新型インフルエンザ等の発生に関わりなく、行政による継続的な実施が強く求められる国民の緊急の生命保護と秩序の維持を目的とする業務や国家の危機管理に関する職務」が規定されており(政府行動計画84頁以下)、そこでは、裁判所の令状発付に関する事務が記載されています。
また、先述した最高裁の文書には、「政府対策本部が国内感染期に入ったことを宣言した場合には,発生時継続業務以外の業務を縮小又は中断し,新型インフルエンザ等発生時の業務体制に移行する。また,政府対策本部が,新型インフルエンザ等緊急事態(特措法第32条第1項)を宣言した場合には,各裁判所の実情等に応じて,発生時継続業務以外の業務を大幅に縮小又は中断する。」との記載がありますので、緊急事態宣言以後、通常の裁判を止めることは、ある意味想定されているとも言えなくはありません。既に、今週(4月6日〜)の大阪地裁、大阪高裁の通常の民事訴訟の次回裁判期日は、「追って指定」(無期限延期)になっていると複数の弁護士から聞いています。
なお、他国では、裁判所の審理が止まっています(例えば、カリフォルニア州の裁判所では、3月下旬に60日の停止を公表しています。)。
第4 まとめ
以上概観しましたが、「緊急事態宣言」そのものは、必要な物資の確保等との関係で強制力があるものの、外出禁止措置等国民に強制をもたらすものでもないし、都市封鎖をするためのものでもないことが分かります。「緊急事態宣言」そのものでは、新幹線も止まらない、外出しても捕まりません。感染症法33条に基づく交通の制限や遮断があるとしても、72時間以内であることなど、かなり限定的にしか用いることは難しいと思います。
そうだとすると、「緊急事態宣言」には意味がなく、政府が弱いように思ってしまうかもしれませんが、それは国民の人権を過剰に侵害しないように作ってある法律だからです(この特措法が民主党時代に出来た法律だったので、公権力による緊急事態の強制力に抑止的であったとの説もありますが・・・)。政府に「要請」されたことが正しいことであれば、国民が頑張って、団結して合理的に行動し、新型コロナウイルスの蔓延を止めるようにしなければならないと感じます。これほど日本国民のモラルに期待している法律は、ないかもしれません。
そして、現実の政治では、法律が想定していない事態も発生します。上記のとおり法律は「要請」に対する補償や給付を想定していません。しかし、国民がモラルを有して要請に応える場合は、実質的に強制力があったと言えると思いますので、政治の力で、必要な補償や給付がされるべきでしょう。残念ながら、これは法律には書いていないことではありますが、政治判断がなされるべきことだとは思います。  

 

●『緊急事態宣言』でどうなる?「何が強制?」専門家に聞く 3/31 
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、改正特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が出されるのか注目されています。もし、「宣言」となれば私達の生活にどう影響するのでしょうか。法改正審議にも参考人として出席した同志社大学の川本哲郎教授に話を伺いました。
『緊急事態宣言』発令への流れ
まず「緊急事態宣言」発令までの流れをみていきます。首相が「政府対策本部」を設置するところから始まりますが、これはすでに設置されています。そして“緊急事態要件に該当”した場合に、首相が区域・期間を示して『緊急事態宣言』を出す流れとなっています。この場合の“緊急事態要件”とは、「国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれ」「全国的かつ急速なまん延により国民生活や経済に甚大な影響を及ぼすおそれ」となっています。
Q この要件を見ると、日本の現状は“要件”に該当しているような気もしますし、まだと思うかもしれないですが、ここはどう捉えればよいですか?
川本教授: 「著しく」や「甚大な影響」は人によって判断が違いますので、人にとっては「今、著しく甚大だ」と思う方もおられるし、「まだ甚大な影響は及ぼしていない」と思う方もいると思います。また「おそれ」という言葉もありますし、人によって判断が分かれるかもしれません。
都道府県知事が実施可能になる措置
『緊急事態宣言』が発令されると、都道府県知事が(1)「住民に外出自粛要請」(2)「休校などの要請・指示」(3)「大規模施設の使用制限の要請・指示、イベントの開催制限や中止の要請・指示」(4)「臨時の医療施設設置で土地や家屋を使用、医薬品などの売り渡しの要請・収用」などの措置が実施可能となります。
Q 『緊急事態宣言』を出す“首相”が国民に直接命令するわけではなく、“都道府県知事”が措置の実施をできるようになるというのは何故ですか?
川本教授:それは、地域の実情に応じた規制が必要だからということです。二重のチェックといいますか、首相の判断に加えて知事の判断が加わるわけですから、さらに良い判断ができるのではないかという点もあります。一方で、地域差が出てくる場合があります。知事の考え方によってやり方が違うことが出てくるので、そこをどう見ていくかというのは一つの問題だと思います。
緊急事態宣言でどうなる?
   (1)住民に外出自粛要請
Q すでに知事らが住民に「週末の外出自粛要請」を出していますが、緊急事態宣言が出てからの「自粛要請」は何が違うのですか?
川本教授:今、自治体が出している「自粛要請」と変わらない。罰則はないのですが、“法的根拠”があるため重大性が伝わります。そして日本では欧米のような都市封鎖はできません。欧米は罰則がついていることが多く、これは“強制力”があります。日本は罰則がないため“強制力”はありません。しかし法的根拠ができることで重大性は伝わるかなと。
Q 感染拡大を防ぐには皆が動かないことが重要だと思いますが、権力によって私権を制限するということについては抑制的であるべきとも思いますし、判断が難しいですね。
川本教授:バランスですよね。後手後手に回ると、海外の“感染爆発”のようなことが起こりますしね。かといって、前のめりで早め早めで行って、それが長期化することになると、国民の生活に重大な影響が出てきます。そのバランスをとることが難しいと思います。
   (2)休校などの要請・指示
Q 休校などの措置は取られましたが、緊急事態宣言が発令された場合の“休校などの要請・指示”について、新学期からはどうなるのですか?
川本教授:これも強制力はないが法的根拠はある。多くの自治体や私立学校が従うと考えられます。
   (3)大規模施設の使用制限の要請・指示、イベントの開催制限や中止の要請・指示
Q では緊急事態宣言での“大規模施設の使用制限の要請・指示”や“イベントの開催制限や中止の要請・指示”に強制力はあるのですか?
川本教授:指示に強制力はありません。ただ自治体が“対象となる施設などを公表する”ため、従う施設は多いと考えられます。これは特措法の下に施行令というものがあって、さらに自治体では行動計画というのも持っているんですね。これは国も持っています。実際に大阪の行動計画でも、指示を出した場合に「施設名を公表する」ということになっていますので、そうすると、従う施設は多くなるだろうと思います。
Q 指示によって施設やお店を閉めないといけなくなると、『指示に従ったのだから補償して欲しい』という意見が出ると思いますが、経済的損失の補償はあるのですか?
川本教授:法律の条文には「補償する」とは書かれていません。補償については政治判断になります。どの範囲でどのような金額になるのかは、これから大事になるだろうと思います。要請ですから、もし命令・禁止ということになったら、それなりの補償も考えないといけないと思います。
   (4)臨時の医療施設設置で土地や家屋を使用、医薬品などの売り渡しの要請・収用
Q では緊急事態宣言の“臨時の医療施設設置で土地や家屋を使用”“医薬品などの売り渡しの要請・収用”について、これに強制力は?
川本教授:罰則を伴った強制力があります。土地や家屋の使用を拒否した場合は『30万円以下の罰金』、売り渡しの拒否の場合は『6か月以下の懲役または30万円以下の罰金』です。罰則が伴うということは前科がつくということですね。従ってかなり強制力は高いです。「外出自粛」は罰則がついていないので、こちらの方が厳しい措置とも思いますが、こちらは対象が限られているのでね。外出自粛となると全ての住民ですから、そこも違うところです。  

 

●「緊急事態宣言」を可能にする法案が成立 4/2 
感染が拡大する新型コロナウイルス対策として、首相による「緊急事態宣言」が可能になる法案が3月13日、参院本会議で可決し、成立した。どのような法案なのか。
「私権制限」懸念も...法案成立
成立したのは、2012年に制定された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の対象に、新型コロナウイルス感染症を追加した改正案。新型コロナウイルスのさらなる感染拡大を防ぐために、首相が「緊急事態宣言」を発令することが可能になる。
「緊急事態」が宣言されると、都道府県知事が住民に対して外出の自粛を要請したり、学校や社会福祉施設のほか映画館・劇場などの使用制限、イベント開催の停止などを要請・指示できるようになる。また、所有者の同意が得られない場合にも、臨時の医療施設を開設するために土地や建物を使用できるようになる。
国民の「私権制限」を伴う法律のため、与野党からは慎重な検討を求める声が出ていたが、宣言にあたり国会への「事前報告」が付帯決議に盛り込まれたことから、立憲民主党や国民民主党でつくる野党統一会派は賛成に回った。
安倍晋三首相は3月9日の参院予算委員会で、「国民の私権を制約する可能性もあるので、どのような影響を及ぼすのか、十分に考慮しながら判断していきたい」と述べたという。
共産党は、「市民の自由と人権の幅広い制限をもたらし、その歯止めがあいまいだ」として、法案に反対していた。
一方、立憲民主党の山尾志桜里氏は、同法が「強大な私権制限」にあたるとして、同党の方針に反して、法案に反対を表明。宮下一郎・内閣府副大臣の答弁を受け、「緊急事態」が宣言がされると、民放のテレビ局などを指定公共機関とし、首相が報道内容について指示を出すことが可能になると指摘した。(宮下氏は13日午後、答弁を撤回し、謝罪した。)
山尾氏は、国民の権利を守るためには、事前報告ではなく、国会での「事前承認」(緊急の場合は事後)を必須とするよう求め、「野党も責任を持って緊急事態宣言が本当に必要なのかどうか賛否を通じて態度を示すことが、国民に代わって国会議員が権力を統制するという意味だ」と訴えていた。
「コロナ特措法。代議士会で反対を表明してきました。強大な私権制限に国会承認かけない「非立憲」法案。賛成ありきの国対政治に先祖返りした「非民主」的手続き。立憲民主党の議員として、「非民主」的手続きで賛成と決められた「非立憲」法案には反対です。— 山尾しおり 」
「緊急事態宣言」、生活への影響は...
「緊急事態宣言」が発令されると、何が起きうるのだろうか。特措法の条文を元に、生活に影響が大きそうなところをまとめてみると、以下のようになった。
1. 外出自粛の要請
都道府県知事は、「生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないこと」を、期間と区域を決めて住民に要請できる。(第45条)
2. 学校、社会福祉施設、イベント会場の使用制限
都道府県知事は学校、社会福祉施設、興行場(映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸などの施設)の管理者に対し、施設の使用制限もしくは停止を要請できる。また、イベントの主催者にイベント開催の制限もしくは停止を要請できる。施設管理者等が正当な理由がないのに要請に応じないときは、指示することができる(第45条)
3. 臨時医療施設のための土地使用
都道府県知事は、臨時の医療施設を開設するため、土地、家屋または物資を使用する必要があると認めるときは、当該土地等の所有者および占有者の同意を得て、当該土地等を使用することができる。また、正当な理由がないのに同意をしないとき、同意を得ないで、土地等を使用することができる。(第49条)
4. 医薬品や食品など、物資の売渡しの要請
都道府県知事は、緊急事態措置の実施に必要な物資(医薬品、食品その他の政令で定める物資に限る)であって生産、集荷、販売、配給、保管または輸送を業とする者が取り扱うものについて、その所有者に対し特定物資の売渡しを要請することができる。正当な理由がないのに要請に応じないときは、特定物資を収用することができる。(第55条)
5. 生活関連物資等の価格の安定
指定行政機関の長らは、国民生活との関連性が高い物資などに価格の高騰や供給不足が生じたり、生じる恐れがあるときは、法令の規定に基づく措置などを講じなければならない。(第59条)  
 4/6

 

●7日に緊急事態宣言、1都6府県に約1カ月 首相表明 4/6
安倍晋三首相は6日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を7日にも東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に出す意向を明らかにした。期間は1カ月後の5月6日までをめどとする。7日に有識者らによる諮問委員会を開き、意見を聞いた上で、正式に決定する。
首相は6日午後、諮問委員会の尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)らと首相官邸で意見交換。同日夕の自民党役員会で宣言を出すことを伝えた。その後、首相官邸で記者団に「感染につながる人と人との接触を減らすため、そして医療提供体制をしっかりと整えていくためだ」などと説明し、国民の理解と協力を求めた。宣言後に記者会見を開き、説明する方向だ。
首相はまた、「都市封鎖を行うことはない、する必要もない」とも述べた。外出自粛などに罰則を設ける海外の「ロックダウン」(都市封鎖)と、緊急事態宣言を同一視し、誤解する人もいるためで、公共交通機関の運行や食料品店の営業などの経済社会活動は可能な限り維持するとした。
官邸幹部によると、期間終了前に感染状況を確認し、必要な場合は延長する可能性もあるという。
特措法に基づく緊急事態宣言は初めて。新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に新型コロナを追加する改正法が3月に成立、施行されていた。
感染拡大防止に必要な措置を実際に講じるのは、対象区域の都道府県知事だ。住民への不要不急の外出の自粛要請や、学校や劇場、百貨店、体育館といった施設の使用停止、イベントの開催制限の要請・指示など私権の制限を伴う措置がとれる。食品や医薬品、衛生用品、燃料など厚生労働相が定める生活必需品の売り場は営業できる。要請や指示に違反しても罰則はないが、法律に基づく自粛要請となり、心理的な影響は強くなるとみられる。・・・  

 

●首相、緊急事態宣言の準備表明 東京など7都府県1カ月 4/6
安倍晋三首相は6日夕の自民党役員会で、7日の緊急事態宣言発令に向けて準備する意向を表明した。対象は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、期間は1カ月程度。政府はこの後、新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、具体的な準備に入る。
首相は役員会後、首相官邸で記者団に、国内の感染状況について「足元では東京や大阪など都市部を中心に感染者が急増している」と指摘。「人と人との接触を極力減らすため、これまで以上に協力いただく。医療提供態勢を整えていくための宣言だ」と説明した。
「欧米のような都市の封鎖はしないし、する必要もない」とも語った。外出自粛に関しては「全面的に協力いただく一方、社会機能維持のために様々な業種に事業継続をお願いしていく」と述べた。公共交通機関の運行や生活必需品を販売するスーパーなどの営業は継続させる考えを示した。
国民に密閉、密集、密接の「3つの密」を避けるよう改めて要請した。「感染拡大を防止する日本のやり方は変わらない」とも強調。「可能な限りの外出自粛に協力していただきたい」と語った。緊急事態宣言の発令後、首相は改めて記者会見し、国民に説明する。
緊急事態宣言は改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく。首相は7日に開く専門家らの「基本的対処方針等諮問委員会」の意見を踏まえ、対象区域や期間などを定めて宣言する。具体的な措置は都府県知事が決める。鉄道や道路などを強制的に止めたり、外出禁止を強制したりできない。
発令には(1)国民の生命や健康に著しく重大な被害を与える恐れがある(2)全国的かつ急速なまん延により、国民生活や国民経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある――との2つの要件をいずれも満たす必要がある。
新型コロナウイルスの感染者は東京都で5日に143人、累計で1033人に達し、うち92人は感染経路が不明だった。 

 

●緊急事態宣言、7日発令 7都府県、5月6日まで 4/6
安倍晋三首相は6日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、7日にも緊急事態宣言を発令すると表明した。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象で期間は5月6日までとする方針だ。爆発的な感染拡大や医療の崩壊を防ぐには、外出自粛などの要請を徹底する必要があると判断した。緊急事態宣言の発令は初めてとなる。
政府高官によると宣言の効力は8日午前0時から持たせる見通しだ。
首相は宣言を出す理由について「人と人との接触を極力減らし、医療提供体制を整えるためだ」と強調した。「可能な限りの外出自粛に協力をいただく」と呼びかけた。
医療や生活必需品の供給を念頭に「社会機能維持のために様々な業種に事業継続をお願いしたい」と語った。「対象地域には冷静な対応をお願いしたい」と述べた。
海外では罰金や罰則などを科す外出禁止令などを出すケースもある。首相は日本の対応について「都市封鎖することはないし、する必要もないというのが専門家の意見だ」と述べた。首相官邸で記者団に語った。
これに先立ち、首相は新型コロナ対策を担当する西村康稔経済財政・再生相、「基本的対処方針等諮問委員会」の尾身茂会長と会談した。尾身氏は東京や大阪など都市部を中心に感染者が急増しており、医療現場が危機的状況にあると指摘した。首相に「宣言の準備をすべきだ」と提言した。
首相は7日、専門家で構成する委員会に宣言を出す要件を満たすか諮問する。同委が要件を満たすと評価すれば首相が宣言を出す。同日は衆参両院の議院運営委員会で経緯も説明する。首相が議運委で質疑に応じるのは45年ぶりになる。7日夜には記者会見する。
緊急事態宣言は改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく。首相の宣言を受けて7都府県の知事が具体的な措置を示す。知事は特措法の裏付けで要請や指示ができる。住民に不要不急の外出の自粛などを求めることができる。
学校や保育所、福祉施設のほか、映画館や百貨店など多数の人が集まる大規模施設の使用も制限できる。大規模イベントの開催を控えるよう要請することも可能だ。事業者が正当な理由なく応じなければ「要請」より強い「指示」を出せる。
こうした要請や指示に罰則はなく強制力は乏しい。一方で知事は指示を出した企業名などを公表できるため、一定の協力が得られると見ている。
知事は医療体制を強化する権限も得る。臨時の医療施設を設けるため土地や建物を所有者の同意なく収用できる。医薬品や食料品も売り渡しを事業者に要請し、応じなければ収用可能だ。医薬品や食料品の保管も命令できる。隠した場合は6月以下の懲役または30万円以下の罰金を科す。
道路を封鎖したり外出者に罰金を科したりすることはできない。海外で実施される事実上の「ロックダウン(都市封鎖)」は不可能だ。住民や企業が要請・指示に応じるかが実効性を左右する。 

 

●緊急事態宣言、7日発令=5月6日まで、7都府県対象 4/6 
東京都内などでの新型コロナウイルスの感染者急増を受け安倍晋三首相は6日、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を7日に発令する方針を表明した。実施期間は5月6日までの1カ月間。東京など状況が深刻な7都府県が対象となり、一定の私権制限が可能となる。感染症専門家や弁護士でつくる「基本的対処方針等諮問委員会」の議論などを経て、正式に発令する。
同法に基づく緊急事態宣言は初めて。首相は当初、経済的な打撃への懸念から宣言に慎重だったが、東京都などの医療体制が逼迫(ひっぱく)してきたことから、発令は不可避と判断した。首相は6日の自民党役員会で宣言に踏み切る意向を明らかにし、対象地域として東京のほか、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡を挙げた。 
首相は6日午後、諮問委の尾身茂会長、西村康稔経済再生担当相と首相官邸で会談した。発令に当たっては、記者会見を開いて理由を説明する。
政府は先に策定した基本的対処方針の改正作業にも着手。外出自粛や施設使用停止、イベント中止の要請期間について、短縮・延長の余地を残しつつ、実施期間を1カ月間とする。「健康維持のための散歩と運動は認める」とも記す方向だ。
宣言は「全国的かつ急速なまん延により国民生活、国民経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある」などの二つが要件。発令された場合、都道府県知事は外出自粛の要請や施設使用、イベントの中止の要請・指示が出せる。
外出自粛要請に従わない住民への罰則はなく、諸外国で実施されている「ロックダウン」(都市封鎖)のような措置はできない。それでも、知事が必要と判断すれば(1)医療施設開設のための土地・家屋の強制使用(2)医薬品など特定物資の収用―などの権限行使が可能となる。
東京都で5日に140人以上の感染者が新たに確認されるなど、大都市部での感染者が急増。小池百合子都知事は「国家としての決断が求められる」と首相に宣言発令を迫っていた。首相は7日にも衆参両院の議院運営委員会に出席し、発令について国会に事前報告する。 

 

●「緊急事態宣言」に合わせた政府の「基本的対処方針」 4/6
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」に合わせて、政府が改定する予定の「基本的対処方針」の原案が明らかになり、宣言の対象となる都道府県の住民に対し、不要不急の帰省や旅行など、県外への移動を極力避けるよう促しています。
7日にも行われることになった「緊急事態宣言」に合わせて、政府は新型コロナウイルス対策の重要事項などを盛り込んだ「基本的対処方針」を改定することにしていて、その原案が明らかになりました。
それによりますと、緊急事態を宣言しても、海外で行われている「ロックダウン」=都市封鎖のような社会機能を相当程度停止させるような施策は実施しないと明示しています。
そのうえで、〇宣言の対象となる都道府県の住民に対し、感染拡大を防ぐために不要不急の帰省や旅行など県外に移動することを極力避けるよう促しています。
また、〇食料・医薬品や生活必需品の買い占めなどの混乱が生じないよう冷静な対応を求め、〇医療機関への通院、食料・医薬品・生活必需品の買い出し、職場への出勤、屋外での運動や散歩、など生活の維持に必要なことは外出の自粛要請の対象にならないとしています。
医療体制については、〇重症者への医療の提供に重点を移すため、入院治療が必要のない軽症者などは自宅療養とし、医師が必要と判断した場合にはインターネットを通じたオンライン診療を行う体制を整備するとしているほか、〇各地のがんの専門病院や産婦人科など重症化しやすい人が来院する医療機関は、新型コロナウイルスの感染が疑われる人の外来診療を原則行わないようにするとしています。 

 

●「緊急事態宣言」出されても補償がなければ外出して働くしかない 4/6
安倍首相「緊急事態宣言」をする意向
安倍首相が緊急事態宣言を出す意向を固めた。文字通り、すでに緊急事態であり、いまのタイミングまでずれ込んだことは理解に苦しむ。
「安倍晋三首相は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急事態宣言に踏み切る意向を固めた。諮問委員会に諮り、専門家の意見を仰いだうえで、近く宣言を出す方針だ。緊急事態宣言の規定がある新型インフルエンザ等特別措置法の対象に、新型コロナを加える改正法が3月に国会で成立し、施行されていた。同法に基づく実際の宣言は初めて。緊急事態宣言は、政府対策本部の本部長を務める首相が、都道府県を単位とする区域や実施期間などを示して出すと、特措法で定められている。該当地域の都道府県知事が、感染拡大防止などで必要と判断すれば、住民への不要不急の外出の自粛要請や、施設の使用停止、イベントの開催制限の要請・指示などの措置をとることができる。使用制限を要請できる施設には、学校や劇場、百貨店、体育館、ホテルなどがあげられる。スーパーマーケットも含まれるが、食品、医薬品、衛生用品、燃料など厚生労働相が定める生活必需品の売り場は営業を続けられる。こうした要請や指示に違反しても罰則はない。外出自粛に罰則を設けることなど海外で行われている「ロックダウン」(都市封鎖)と、緊急事態宣言を同一視する見方がネット上などであるが、同じではない。特措法には、強制的に外出を禁じる規定はなく、鉄道やバスなどの公共交通機関の運行をとめて、封鎖する規定もない。首相みずから都市封鎖は「できない」とする。 」
緊急事態宣言のなかで大事な点は、海外のように外出自粛に罰則はないため、仕事にも行けること。端的に言えば、今までと大きな違いはなく、また人々の心に訴えかける「お願い」を強くしたものということだ。人々の行動をこれでは抑え込むことは難しいだろう。
相変わらずの「補償なき緊急事態宣言」では市民は働きに出るしかない
まず不要不急の外出は控えてほしいことは言うまでもないが、外出をしなければならない人々が大勢いる。なぜかと言えば、ワーキングプア、低所得階層が増え続けてきたからだ。
2010年代における貧困層の拡大は、実はかなり顕著であり、休業補償などが不足すれば、預貯金や蓄えがすぐに底をつく世帯が膨大に形成された。例えば、実質賃金は上がるどころか、近年は低下傾向が続いている。また、その一方で、国民負担率(税金・社会保険料など)の上昇も見られる。2010年度の国民負担率は37.2%だったが、2018年度は44.1%まで引き上がっている。働いても働いても、税や保険料が上がる一方で、手取り収入が上がらないのである。企業に勤めている方は少し前の給与明細と今のものを見比べてみてほしい。天引きされている金額の多さに驚くはずである。
だからこそ、可処分所得の低下も止まらない。特に低所得層は以前より、さらに低所得に陥っている。例えば、所得が最も少ない下位10%(第1十分位)の可処分所得が、1997年を100とすると、2015年には77.7%まで下がっている。都留文科大学の後藤道夫名誉教授によれば、生活保護基準以下の貧困層(2012)は、すでに約3000万人にも及ぶが、生活保護制度では約210万人を捕捉する程度である。
つまり、いくら外出するな、と叫び続けても、政策の不備によって拡大したワーキングプアは問答無用で働きに出ていくだろう。そうしなければ、暮らしていけないのだから。これらの人々は、新型コロナウイルスの感染リスクだけでなく、収入が途絶えて食えなくなるリスクと平常時から隣り合わせで暮らしている。政府がここに手当を怠ってきて、今更、外出自粛を呼びかけて応じるはずもないだろう。
もちろん、ワーキングプア層の労働現場は、テレワークが難しく、出勤しなければならないところばかりである。テレワークなどインターネット環境整備もされていない。日本はすでにIT後進国なのだから当然である。いくらテレワークを推奨しても、現状では自宅で仕事ができる労働者は限られている。先日のLINE利用者を介した厚生労働省調査でさえ「仕事はテレワークにしている」は、5.6%にとどまっており、いかに外出規制が困難か理解できるはずだ。
要するに、緊急事態宣言を出しても十分な補償をしないことが続けば、貧困が今よりも深刻化することは容易に想像がつく。生活困窮によって、今でも外出しなければいけない人々が大勢いるように、今後も外に出て働かざるをえない。
外出自粛を我慢できる人、自宅勤務ができる人からすれば「なぜ外出自粛しないのか」と、不用意なバッシングが強まることが懸念される。また不毛な分断や差別が起こることがないようにしなければならない。
強調しておきたいことは、いくら緊急事態宣言が出されようが、外出しなければ生活破綻する労働者が大勢いる。これまでの労働政策や社会保障政策が決定的に不足していたことによるものだ。政府の無策は緊急時に「見える化」する。
早急に議論してほしいのは、緊急事態宣言後の現金や現物のサービス給付、休業補償や生活保障である。これについて、今のところ、不明瞭である。というよりも、構想されていないのではないだろうか。
自粛要請をして仕事をしたことにせず、その先が重要なのである。人々が安心して外出をしなくてもすむように、自粛要請ばかり繰り返さず、実効性ある補償をしてほしい。 

 

●新型コロナ経済対策、総額108兆円 6兆円を低所得者、中小に給付 4/6 
安倍晋三首相は6日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、総額108兆円規模の緊急経済対策を実施すると発表した。国内総生産(GDP)の2割に相当し、事業規模は過去最大。首相は「経済に与える甚大な影響を踏まえ、過去にない、強大な規模となる対策を実施する」と述べた。7日に対策に必要な経費を盛り込んだ2020年度補正予算案を閣議決定し、大型連休前の成立を目指す。
政府はリーマン・ショック後の09年4月に策定した事業規模56兆8000億円を大幅に上回る対策を実施し、経済の悪化を最小限に食い止めたい考えだ。
108兆円のうち、収入が大幅に減少し、住民税が非課税となる水準まで落ち込んだ低所得者世帯や、中小・個人事業者らへの現金給付は6兆円超を予定。対象世帯には30万円、売り上げが急減した中堅・中小企業には200万円、フリーランスなど個人事業者には100万円を支給する。税金や社会保険の納付猶予は26兆円規模を想定。20年度補正予算案で、新型コロナウイルス感染症対策として、新たに1兆円以上の予備費も計上する。児童手当は子ども1人当たり1万円を上乗せする。
民間企業の資金繰り支援策として、中小企業が民間金融機関から「実質無利子・無担保」で融資を受けられる制度を創設。中堅・大企業向けは、日本政策投資銀行などの融資を活用する。政府は政投銀に1000億円規模の新たな出資の枠組みを設け、事業拡大を目指す中小、中堅、大企業の財務基盤強化を支援する。
感染防止策では、治療薬として期待されている抗インフルエンザ薬「アビガン」の臨床研究を拡大し、20年度中に200万人分の備蓄を目指す。人工呼吸器、人工肺の確保も急ぐ方針だ。  
 4/7

 

●安倍内閣総理大臣記者会見 4/7 
安倍総理冒頭発言
まず冒頭、全国各地の医師、看護師、看護助手、病院スタッフの皆さん、そしてクラスター対策に携わる保健所や専門家、臨床検査技師の皆さんに、日本国民を代表して、心より感謝申し上げます。新型コロナウイルスとの闘いの正に最前線で、強い責任感を持って、今この瞬間も一人でも多くの命を救うため、献身的な努力をしてくださっていることに心からの敬意を表したいと思います。世界全体で既に6万人以上が死亡した、この過酷なウイルスとの闘いにおいて、確かな技術と高い使命感を持った医療従事者の皆さんの存在は、私たち全員を勇気付けてくれるものです。本当にありがとうございます。
感染リスクと背中合わせの厳しい状況をも恐れず、ベストを尽くしてくださっている皆さんを支えるため、できることは全てやっていきたい。医療現場を守るため、あらゆる手を尽くします。感染予防に欠かせない医療物資について、国内での増産を進めています。電機メーカーなど、異業種の力も借りながら、更に提供体制を強化していきます。軽症者や症状のない感染者の皆さんは、医療機関ではなく、宿泊施設などで療養いただくことで、医療機関の負担を軽減します。ホテルチェーンに御協力をいただき、関東で1万室、関西で3,000室を確保しました。日本財団も臨時の施設建設を進めてくださっています。これらを活用させていただき、医療支援を重症者対応に振り向けることで、病院の機能維持を図ります。
ただ、こうした努力を重ねても、東京や大阪など、都市部を中心に感染者が急増しており、病床数は明らかに限界に近づいています。医療従事者の皆さんの肉体的、精神的な負担も大きくなっており、医療現場は正に危機的な状況です。現状では、まだ全国的かつ急速な蔓(まん)延には至っていないとしても、医療提供体制がひっ迫している地域が生じていることを踏まえれば、もはや時間の猶予はないとの結論に至りました。この状況は、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあると判断いたしました。
本日は、この記者会見に尾身先生にも同席いただいておりますが、先ほど諮問委員会の御賛同も得ましたので、特別措置法第32条に基づき、緊急事態宣言を発出することといたします。対象となる範囲は、関東の1都3県、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、関西の大阪府と兵庫県、そして九州の福岡県であります。最も感染者が多い東京都では、政府として今月中を目途に五輪関係施設を改修し、800名規模で軽症者を受け入れる施設を整備する予定です。今回の緊急事態宣言に伴い、必要があれば、ここに自衛隊などの医療スタッフを動員し、特別措置法48条に基づく臨時の医療施設として活用することも可能であると考えています。
医療への負荷を抑えるために最も重要なことは、感染者の数を拡大させないことです。そして、そのためには何よりも国民の皆様の行動変容、つまり、行動を変えることが大切です。特別措置法上の権限はあくまで都道府県の知事が行使するものでありますが、政府として、関東の1都3県、大阪府と兵庫県、そして福岡県の皆様には、特別措置法45条第1項に基づき、生活の維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないよう要請すべきと考えます。事態は切迫しています。東京都では感染者の累計が1,000人を超えました。足元では5日で2倍になるペースで感染者が増加を続けており、このペースで感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1か月後には8万人を超えることとなります。
しかし、専門家の試算では、私たち全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができます。そうすれば、爆発的な感染者の増加を回避できるだけでなく、クラスター対策による封じ込めの可能性も出てくると考えます。その効果を見極める期間も含め、ゴールデンウイークが終わる5月6日までの1か月に限定して、7割から8割削減を目指し、外出自粛をお願いいたします。
繰り返しになりますが、この緊急事態を1か月で脱出するためには、人と人との接触を7割から8割削減することが前提です。これは並大抵のことではありません。これまでもテレワークの実施などをお願いしてまいりましたが、社会機能を維持するために必要な職種を除き、オフィスでの仕事は原則自宅で行うようにしていただきたいと思います。どうしても出勤が必要な場合も、ローテーションを組むなどによって出勤者の数を最低7割は減らす、時差出勤を行う、人との距離を十分に取るといった取組を実施いただけるよう、全ての事業者の皆様にお願いいたします。レストランなどの営業に当たっても、換気の徹底、お客さん同士の距離を確保するなどの対策をお願いします。
学校休校が長期化しますが、オンラインなどで学習できる環境整備を地域と協力して加速します。電話、オンラインでの診療も、初診も含めて解禁することとしました。病院での感染リスクを恐れる皆さんにこれを積極的に活用いただくことで、受診を我慢するといった事態が生じないようにします。その上で、生活必需品の買物など、どうしても外出する場合には、密閉、密集、密接、3つの密を避ける行動を徹底していただくよう、改めてお願いいたします。
今までどおり、外に出て散歩をしたり、ジョギングをすることは何ら問題ありません。他方で、3つの密がより濃厚な形で重なる、バー、ナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスへの出入りは控えてください。集会やイベントを避け、飲み会はもとより、家族以外の多人数での会食も行わないようお願いいたします。
この感染症の恐ろしい点は、発熱などの症状が全くないにもかかわらず感染している人が多いことです。そして、知らず知らずのうちに周囲の人にうつしてしまうことで拡大していくという点です。既に自分は感染者かもしれないという意識を、特に若い皆さんを中心に全ての皆さんに持っていただきたい。外出する際にも、人混みを避け、他の人との距離を保つ、飛沫(まつ)を飛ばさないようにマスクを着けるなどの行動をお願いいたします。そのことが他の人の命を守ることになります。そして、ひいては自分の命を守ることになります。国民の皆様の御協力をお願いいたします。
緊急事態としての措置を講ずる以上、当然、経済活動への大きな影響は避けられません。もとより、今でも多くの中小・小規模事業者の皆さんが事業継続に大きな支障を生じておられます。世界経済だけでなく、日本経済が、今、正に戦後最大の危機に直面している、そう言っても過言ではありません。
その強い危機感の下に、雇用と生活は断じて守り抜いていく。そのために、GDP(国内総生産)の2割に当たる事業規模108兆円、世界的にも最大級の経済対策を実施することといたしました。困難に直面している御家族や中小・小規模事業者の皆さんには、総額6兆円を超える現金給付を行います。1世帯当たり30万円に加え、次の児童手当支払に合わせ、1人当たり1万円を追加することで、お子さんの多い御家庭の家計もしっかりと下支えします。
日本経済を支える屋台骨は中小・小規模事業者の皆さんです。本当に苦しい中でも、今、歯を食いしばって頑張っておられる皆さんこそ、日本の底力です。皆さんの声は、私たちに届いています。皆さんの努力を決して無にしてはならない。その思いの下に、史上初めて事業者向けの給付金制度を創設しました。売上げが大きく減った中堅・中小法人に200万円、個人事業主に100万円支給します。固定資産税も減免します。消費税などの納税に加え、社会保険料の支払は1年間猶予いたします。当然、延滞金はかかりません。26兆円規模の猶予を実施することで、手元資金を事業継続のために回していただけるようにいたしました。民間の地方銀行、信用金庫、信用組合でも、実質無利子・無担保、最大5年間元本返済据置きの融資が受けられるようにします。さらには、雇用調整助成金の助成率を過去最大まで引き上げるなど、考え得る政策手段を総動員して、国民の皆様と共に、この戦後最大の危機を乗り越えていく決意であります。
今回の緊急事態宣言は、海外で見られるような都市封鎖、ロックダウンを行うものでは全くありません。そのことは明確に申し上げます。今後も電車やバスなどの公共交通機関は運行されます。道路を封鎖することなど決してありませんし、そうした必要も全くないというのが専門家の皆さんの意見です。海外では、都市封鎖に当たり、多くの人が都市を抜け出し、大混乱と感染の拡大につながったところもあります。今、私たちが最も恐れるべきは、恐怖それ自体です。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で広がったデマによって、トイレットペーパーが店頭で品薄となったことは皆さんの記憶に新しいところだと思います。ウイルスという見えない敵に大きな不安を抱くのは、私も皆さんと同じです。そうしたとき、SNSは本来、人と人の絆(きずな)を深め、社会の連帯を生み出すツールであり、社会不安を軽減する大きな力を持っていると信じます。しかし、ただ恐怖に駆られ、拡散された誤った情報に基づいてパニックを起こしてしまう。そうなると、ウイルスそれ自体のリスクを超える甚大な被害を、私たちの経済、社会、そして生活にもたらしかねません。
専門家の皆さんの見解では、東京や大阪での感染リスクは、現状でも不要不急の外出を自粛して普通の生活を送っている限り、決して高くない。封鎖を行った海外の都市とは全く状況が異なります。ですから、地方に移動するなどの動きは厳に控えていただきたい。地方には、重症化リスクが高いと言われる高齢者の皆さんもたくさんいらっしゃいます。その感染リスクを高めることのないようお願いいたします。
当然、社会機能はしっかりと維持してまいります。自治体とも協力しながら、電気、ガス、通信、金融、ごみの収集・焼却など、暮らしを支えるサービスは平常どおりの営業を行っていきます。高齢者の介護施設や保育所などで働いておられる皆さんにも、サービスを必要とする方々のため、引き続き御協力をいただくようお願いいたします。食品など生活必需品の製造・加工に関わる皆さん、物流に携わる皆さん、そして小売店の皆さんには、営業をしっかりと継続していただきます。ですから、皆さんにはどうか正しい情報に基づいて、冷静な行動を心よりお願いいたします。
この2か月で、私たちの暮らしは一変しました。楽しみにしていたライブが中止となった。友達との飲み会が取りやめになった。行きたいところに行けない。みんなと会えない。かつての日常は失われました。ただ、皆さんのこうした行動によって多くの命が確実に救われています。お一人お一人の御協力に心より感謝申し上げます。率直に申し上げて、政府や自治体だけの取組では、この緊急事態を乗り越えることはできない。これは厳然たる事実です。感染者の爆発的な増加を回避できるのか。一人でも多くの重症者を死の淵(ふち)から救うことができるのか。皆さんを、そして皆さんが愛する家族を守ることができるのか。全ては皆さんの行動にかかっています。改めて御協力をお願いします。
全く先が見えない大きな不安の中でも、希望は確実に生まれています。日本中、世界中の企業、研究者の英知を結集して、ワクチン開発、治療薬の開発が進んでいます。新型インフルエンザの治療薬として承認を受け、副作用なども判明しているアビガンは、既に120例を超える投与が行われ、症状改善に効果が出ているとの報告も受けています。観察研究の仕組みの下、希望する患者の皆さんへの使用をできる限り拡大していく考えです。そのために、アビガンの備蓄量を現在の3倍、200万人分まで拡大します。国内での増産に必要な原料の生産には、各地の企業が協力を表明してくださっています。自動車メーカーは、人工呼吸器の増産を手助けしてくれています。欠航が相次ぐエアラインの皆さんは、医療現場に必要なガウンの縫製を手伝いたいと申し出てくださいました。学校が再開する子供たちのために、手作りマスクを届けようとしている皆さんがおられます。スーパーを生活必需品で満たすため、昼夜を分かたず、今、この瞬間も物流を守り続けるトラック運転手の皆さんがいます。医療現場のため自分たちができる支援をしたいと、クラウドファンディングを始めた皆さんがいます。看護協会は、5万人を超える、現在、現場を離れている看護師の皆さんに協力を呼びかけています。私からも是非お願いをしたい。この国家的な危機に当たり、ウイルスとの闘いに皆さんのお力をお借りしたいと思います。
実際、看護協会の呼びかけに応じ、既に、命を救うため、命を守るため、医療現場への復帰を申し出てくださっている方々がいらっしゃいます。あらゆる分野でこの危機にできる限りのことをやろうと、全国で立ち上がってくださっている皆さんがいる。これこそが希望であります。
9年前、私たちはあの東日本大震災を経験しました。たくさんの人たちがかけがえのない命を失い、傷つき、愛する人を失いました。つらく、困難な日々の中で、私たちに希望をもたらしたもの、それは人と人の絆、日本中から寄せられた助け合いの心でありました。今、また私たちは大きな困難に直面しています。しかし、私たちはみんなで共に力を合わせれば、再び希望を持って前に進んでいくことができる。ウイルスとの闘いに打ち勝ち、この緊急事態という試練も必ずや乗り越えることができる。そう確信しています。
私からは以上であります。 
質問

 

(内閣広報官) それでは、これから皆様からの御質問を頂きます。御質問には安倍総理と尾身会長に御対応いただきますので、安倍総理、それから尾見会長、恐縮でございますけれども、所定の位置に御移動いただけますでしょうか。質問の内容によりましては、会長から御説明をしていただくこともある旨、御了解を頂戴したいと思います。御質問をされる方ですけれども、挙手をお願いいたします。私が指名いたしますので、指名を受けられた方はお近くのスタンドマイクまでお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただきたいと思います。御質問をされたいという意思表示は、声ではなくて挙手でお願いしたいと思います。それでは、初めに幹事社の方から頂きたいと思います。どうぞ。
(記者) よろしくお願いします。幹事社、共同通信の吉浦です。総理が発出された緊急事態宣言によって、対象地域の知事は法的根拠を持った措置が可能となります。私権の制限を伴う重い決断ですが、その措置は要請も多く、外国の制度と比べて強制力が弱いとも言われています。それだけに、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには国民一人一人の協力が欠かせません。総理は、このウイルスとの闘いを終息させるために、必要な国民の自発的な協力を得るために、何が最も重要だとお考えでしょうか。1か月後、どのような感染状況になっていると想定されているのか。また、依然として感染拡大が続いている場合は、より強制力のある法改正に取り組む可能性があるのかどうか、お伺いします。
(安倍総理) 今回の緊急事態宣言は、確かに今おっしゃったように、海外で行っている、例えばロックダウンとか都市封鎖、強制力を持って罰則があるようなものではありません。大切なことは、国民の皆様に協力をしていただくことであります。国民の皆様の行動変容、言わば行動を変えていただくことが、終息に向けて何よりも必要であります。ですから、そういう御理解をいただくことが、私は一番大切だと考えています。専門家の皆様の試算では、私たちが努力を重ね、人と人との接触を最低で7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、そして減少に転じていくことができるということであります。正に、この暗いトンネルを抜けていくためには、国民みんなで、この努力を重ねなければならないと思っています。もちろん、それは、7割、8割減らすということは並大抵のことではないと思いますが、国民お一人お一人の御協力をいただければ、必ず達成できると、こう確信をしております。ですから、今日からそういう行動を是非お願いしたいと、御協力をいただきたいと、こう思っています。
(内閣広報官) それでは、幹事社、もう一社お願いいたします。どうぞ。
(記者) 東京新聞・中日新聞の後藤です。総理から発言のあった緊急経済対策についてお伺いします。政府の緊急事態宣言を受け、対象地域の知事が商業施設や教育施設、スポーツ施設など、幅広い業種に対して法的根拠のある休業要請を出すことになりますが、補償や損失補填がセットになっていないのは問題だという指摘も相次いでおります。今後、更に大きな影響を受ける中小企業や個人事業主、会社員ら、数多くの人たちへの生活支援は、今回の対策で十分だとお考えでしょうか。また、収入が減少した世帯への30万円の現金給付、また、事業収入が減った中小企業への200万円の給付などに関しては、対象を絞り込む方針となっており、自民党からも不公平感が残ると異論が出ております。政府の線引きにより、制度の枠組みからこぼれ落ちてしまう中小企業や、家庭の苦しい状況をどう受け止め、どう救済していくお考えでしょうか、お聞かせください。
(安倍総理) 今回のイベント等の中止、延期等の要請あるいは夜の街での自粛要請等々によって、その皆さんにとっては、何の咎(とが)もないにもかかわらず、甚大な影響が及ぶわけであります。そういう皆さんにも御協力をしていただかなければならないということでありますが、そこで、どのような形で、そういう皆さんを支援をしていくかということだと思います。しかし、これは、ある特定の業界にお願いをしても、損失は、その業界にとどまるものではありません。そこと、様々な取引をしている皆さんにも大きな影響が出ていくということを鑑みれば、個別に補償していくということではなくて、困難な状況にある皆さんに現金給付を行いたいと考えています。
そこで、先ほど申し上げましたように、減収がある厳しい状況の中小企業、小規模事業者の皆さんには200万円、100万円の現金給付を行って支援をしていきたいと思います。また、中小企業、小規模事業者の皆さんは、今、一番何が大変か、手元の資金がないということなのだろうと思います。そのために無利子・無担保、5年間元本返済が猶予される、正にお金が出ていく、これは直ちに出ていく必要があると思います。なかなか来ないではないかという例があれば、なかなか時間がかかっているという例があれば、どんどん、それは政府に声をお寄せいただきたいと、こう思いますし、明日、金融機関の皆さんに官邸までお越しをいただいて、私からもお願いをさせていただく考えであります。また、税や社会保険料の大胆な猶予を行う、これは26兆円規模、これは初めてのことでありますが、そのことによって、それを事業の運用にも使っていくこともできますし、雇調金と併せて雇用を維持していくことができる、正に、必要なものをしっかりとやっていきたいと思います。
そしてまた、30万円の給付についてでありますが、自民党にも一律で給付した方がいいではないかという議論がありました。私たちも検討した。例えば私たち国会議員もそうですが、公務員も今、この状況でも全然影響を受けていない、収入には影響を受けていないわけであります。そこに果たして5万円とか10万円の給付をすることはどうなのだという点も考えなければならないのだろうと思います。ですから、本当に厳しく収入が減少した人たちに直接給付が行くようにしていきたいと考えました。また、なるべくスピーディーに行いたい。ですから、我々は5月、なるべく早く補正予算を通していただいて、5月に直ちに出ていくようにしていきたい。全員に給付するということになりますと、麻生政権のときでもやりましたが、大体手に届くまで3か月ぐらい、どうしても時間がかかってしまう。今回はスピードも重視したということであります。どこかで、我々も線引きをしなければいけない。それはつらいことでありますが、今回、お示しをしていただいた形で給付をさせていただきたい。とにかく、今、この事態を何とかみんなで協力して乗り越えていきたいと、こう考えています。
(内閣広報官) これからは、幹事社以外の皆さんからの御質問を頂きますので、御質問を御希望される方、挙手をお願いいたします。私が指名いたしますので、今の幹事社と同じように、スタンドマイクの前にお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただきたいと思います。お一人様、1問でお願いします。では、松本さん。
(記者) NHKの松本と申します。よろしくお願いします。今回の決断に至るまで、いろんなデータや調整があったのだと思いますけれども、この判断のタイミングについて遅過ぎると、遅いという批判もございます。今回の決断がもう少し早ければ、今のような感染拡大は防げたのではないかという声もあろうかと思いますが、そうした声にどのようにお答えになりますか。また、ここに至るまで異例の対応が続いてきたと思います。イベント自粛や一斉休校。それでも感染拡大を抑えることができなかった。この原因についてどのように分析されていますでしょうか、お答えください。
(安倍総理) まず、この特措法を改正した日から、いつ緊急事態宣言を出すべきか、ずっと緊張感を持って考えてきました。でも、今、御質問がございましたが、あのときにどういう議論があったか。むしろ緊急事態宣言は私権を制限するから慎重に出すべきだという議論が随分ありましたよね。しかし、私たちは出すべきときには出すべきだと考え、その中で最大限の緊張感を持って、事態を、感染者の数の拡大状況、専門家の尾身先生を始め、専門家の皆さんに分析をしていただいてまいりました。そこで、我々、イベント等の自粛、また、学校の一斉休校も行いました。だけれども、感染者の拡大を防げなかった。確かにそのとおりです。しかし、スピードはどうなのかということでありまして、今、世界を見ていて、一時スピードが上がっていく、このスピードをどれくらい抑えることができるかということが重要であります。
中国、韓国においては、日本よりも感染者の数は相当多いですが、死亡者の数も多いですが、今、スピードは相当落ちてきている。日本も早くそのピークをはるかに小さいところで抑えていきたい。そして、言わば減少に転じさせたいと、こう思っています。
先週から、我々は、いつ出すべきか、西村大臣と尾身先生と毎日、緊密に協議をし議論をしました。これはやみくもに出せません。専門家の皆様が判断をする。準備をすべきだという判断をいただきました、昨日。その理由については、先ほど申し上げたとおりであります。専門家の皆さんのこの判断、言わば、一つは、累積の感染者の数、スピード、そして医療の提供体制との関係、そして我々行政の場では何を考えるべきかということについて言えば、言わば緊急事態宣言を出す段階において、十分な医療体制をしっかりと対応できるものを、体制をつくっていく必要があります。ですから、先週、私も含めてホテルチェーンの社長さんたちにお願いをしまして、軽症者等を受け入れるお願いをさせていただいた。そういうお願いもさせていただき、準備を整えた上で、言わば緊急事態宣言を出せば、そういうところが、言わばそういう感染者の皆さん、軽症者あるいは無症状者の皆さんを収容していただくことができるわけであります。
同時に、混乱を起こさないようにする必要があります。国民の皆様の理解を進めていく。最初はロックダウンになるのではないかという間違った認識が広がりました。こういう認識をしっかりとなくしていくという準備も整えながら、尾身会長としっかりと心を合わせながら、昨日、ああした形で準備をせよという御判断をいただき、本日の緊急事態宣言となったわけであります。
(内閣広報官) それでは、次の方、御希望の方。では、西垣さん。
(記者) 時事通信の西垣と申します。総理、冒頭の御発言でも、国民に大きな行動変容をしていただきたいと、協力をいただきたいというお話がありました。7、8割の接触を削減するという話もあったわけですけれども、さっきお話を聞いていて、今回対象になった7都府県の方々以外の方々は、私たちはどうすればいいのだろうというふうに、ちょっと戸惑いを覚えたというふうにも感じるのですね。その辺、7都府県の方以外の方々に対するメッセージがあれば伺いたいと思います。
(安倍総理) 7都府県以外の地域について、今回なぜ対象とならなかったのかということについては、専門的に尾身先生からお話をいただきたいと思いますが、基本的には緊急事態宣言の対象とはしていませんが、しかし、いつ広がるかは分からないわけでございますので、そういう意味においては、十分に3密については注意をしていただきたいと、こう思っています。それでは、尾身先生の方から、他の都道府県についてのお話をいただければと思います。
(尾身会長) 今の御質問で、7都府県以外ということですけれども、逆にせっかくですので、なぜ7都府県を選んだかということを説明させていただければその回答になると思うので。
実は、今回、我々専門家の方で政府に御提案したのは、3つの指標ですね、主な指標。それは、先ほど総理からもお話がありましたけれども、累計の報告者数と、それから倍加時間、感染者が2倍になるのにどのぐらいの時間がかかるのかということと、それから最近、いわゆるリンクの追えない孤発例の割合がどのくらいなのかということを中心に、我々はこの2週間ぐらいずっと毎日のようにフォローしておりました。
そういう中で、東京と大阪は、もう累計報告数が400を超えているということと、倍加時間も、実はヨーロッパのイタリアなんかは大体2とか2.5ぐらいなのですけれども、東京都は3月の上旬は10とか11でしたけれども、最近になって5、大阪も6.6、それから孤発例が東京では68パーセント、大阪でも5割近くはリンクが追えないということです。神奈川、埼玉、千葉というのは、東京ほどではないですけれども、生活圏、行政区としては別ですけれども、生活圏としてはほぼ同じということで、その3つ。
それから、大阪は今、言ったようなことですけれども、その近隣県としては、兵庫県が感染状況も大阪に近いし、生活圏としても一体であるということ。それから福岡ですけれども、実は福岡は累積の報告数はいまだ少ないのですけれども、2つの重要な特徴がありまして、1つは倍加時間が、先ほど言ったように2倍になるのに必要な時間が、これは全国で最大、最も短い。昨日の時点で2.9日、最も短い。それから孤発例の割合もこれは全国で一番高くて、昨日の時点で72パーセントです。
こういうことがあって7つの都府県ということで、その他の県は、こういう7つの都府県に比べれば、まだこれから感染拡大のおそれが当然あるわけですけれども、今日、昨日の段階では、その7都府県に比べてまだそこまで達していない。ただし、感染拡大のおそれがあるので、十分これからも3密を中心に警戒を怠れない状況だと思います。
(内閣広報官) それでは、次の御質問。吉野さん。
(記者) テレビ朝日の吉野と申します。総理がおっしゃった薬のことをお伺いしたいと思います。我々もアビガンですとか、レムデシビルが効くというふうな情報には接しておるのですけれども、総理は今、アビガンについては備蓄量を増やして、患者が望めば使うというふうにおっしゃったかと思うのですけれども、もう少し柔軟に病院に行ったら使えるようになるのはいつ頃というふうに見込んでいらっしゃるのでしょうか。見通しをお聞かせください。
(安倍総理) 現在、日本のお薬であるアビガン、また、あるいはオルベスコ、また、フサンというものがありますが、レムデシビルというのはアメリカの薬でありますが、日米で共同治験を行っております。そして、アビガンについては、先ほど申し上げましたように、もう既に120例を超える投与が行われておりまして、症状改善に効果があったという報告も受けています。また、世界30か国以上から、このアビガン、日本から送ってもらいたい、提供してもらいたいという要望も実は来ているわけでありますが、現在、3月31日から企業治験を実施をしておりまして、今後、希望する国々と協力しながら臨床研究を拡大するとともに、薬の増産をスタートすることとしています。
そして、今のお話は、例えば私たちが感染をして、入院をして、アビガンを使ってもらいたいと思ったら使えるのかということだと思います。御本人が使いたい。もちろんこれは御承知のように催奇形性という副作用がありますから、妊婦の方は使えませんが、それを十分に認識した上で先生たちも処方されると思いますが、先生にアビガンを使ってもらいたいと言って、その病院において、倫理委員会において使えるということになっているとすれば、それは使っていただけるようにしていきます。これは観察研究の中で行っていくということに、言わば治験のルートではありませんが、観察研究という形で、先ほど申し上げました、そういう皆さんに使っていただきたい。ですから、患者の皆さんも、先生に、自分はアビガンを使いたいと思えば使いたいと言っていただければ、あと、病院の倫理委員会で通っていれば、それは使えるということになるのだろうと。既に幾つかの病院では、倫理委員会でアビガンが使えるということになっているというふうに承知をしております。
(内閣広報官) それでは、次の質問を頂きたいと思います。では、重田さん。
(記者) 日本経済新聞の重田です。総理、まずなのですが、緊急事態宣言の効力なのですけれども、本日からということですが、何時をめどに効力有効になるのでしょうか。加えて、政府が・・・。
(安倍総理) 何時、ですか。 (記
者) はい。
(安倍総理) これは官報に載った段階かな。ちょっと細かいのですが、官報にいつ載るか、ちょっと私は今。
(記者) 今夜中ということですね。ありがとうございます。引き続きなのですけれども、加えまして、店舗の休業に関してなのですが、基本的には知事に権限が及ぶということなのですけれども、1,000平方メートル以下の店舗については、政府の方が休業要請の対象を決めるということになっていると思います。今後、その自治体側とどのように調整を進められるかということですと、あと、東京都に関しては、理髪店を休業要請の対象としていますが、これはそのまま休業を認めるというふうなお考えなのでしょうか。また、保育所や介護老健施設に関しては必要とする方も多いと思いますが、先ほどのお話で言うと、原則開業するということなのでしょうか。政府としての対応方針をお聞かせください。
(安倍総理) 今、御指摘を頂いた床面積の合計が1,000平米以下の施設について、厚生労働大臣が定めて公示する対象業種や施設については、これまでに発生したクラスターの例を踏まえまして指定する方針でありますが、これはあくまでも、ちょっと誤解があるのですが、これは個別の店舗、会場等を対象とする措置であって、例えば地域等を指定してその業種全体に制限を行うものではありません。例えばAというお店があって、ここで言わば問題があるということになれば、このAというところを指定するということになりますから、このAが属している業種全体あるいは地域全体をするものではないということであります。
また、今、御指摘を頂いた理髪店でありますが、これまでにクラスターが発生していません。発生していないということを踏まえて、今回、厚生労働省告示において公示する対象としては考えていません。なお、国として、理美容については、国民の安定的な生活の確保のために事業継続することが必要なサービスと考えておりまして、この点、東京都知事と西村大臣との間で、今、調整を行っているところであります。
このほか、今、挙げられた保育所あるいは介護施設、また、放課後児童クラブについては、必要な者に預かりが提供されるように、規模を縮小して実施するなど、適切に対応していく方針であります。また、介護施設についても、これも高齢者の皆さんにとって必要な施設であり、感染防止の対策を講じていただいて、今、相当皆さんに講じていただいていると思いますが、講じていただいた上で、引き続き開所いただくという方針であります。
(内閣広報官) 次の御質問。江川さん。
(記者) フリーランスの江川紹子と申します。よろしくお願いします。先ほど、中小企業に200万、フリーランスを含む個人事業主に100万という話がありました。これに対して、出すときにどういう条件を課すのでしょうか。というのは、1世帯30万のときに、30万で結構出るなと思ったら、実はその条件がものすごく厳しくて一部の人しかもらえないではないかというような話が出ています。この200万と100万にはどういうような条件を課すのかということです。これがちゃんと緩やかになっていないと、1週間ぐらいすると、何となく、強制ではないので、要請ベースになるので、だれてくることも考えられるのではないかというふうに思います。そうなったときに、引締めのために、警察を要請して、例えば職務質問などを活発化させるなどのことがあり得るのか、あり得ないのか。実際、千葉市長さんなどは、警察に対して、ナイトクラブの一斉立入りなどの取締り強化を要請していますとツイッターで書かれています。こういうような形で、警察に要請をする、取締りをするということはあり得るのかということについて、お話を伺いたいと思います。
(安倍総理) まず、中小企業、そして個人事業主の方々に対する200万、100万円の給付でありますが、今回、多くの分野において、突然ほとんど収入が、7割、8割、あるいはゼロに近くなった方々がたくさんいらっしゃると思います。そこで、今後、この年末までの間に、これは今までと比べて収入が半減していれば出すということになっている。そういう設計になっておりますので、大きな被害を受けている、大変厳しい状況になっている、あるいは自粛要請になっている分野においては、間違いなくそこには入ってくるのではないのかなと思います。
(記者) 年末ですか。
(安倍総理) それまでの1か月でも、対象にどこかが当たればということだと、今、そういう設計にしていこうということになっています。ですから、どこか当たればその対象にしていくということになるわけでありますし、これはなるべく簡易に、電子的に申請をして受けられるようにしていきたいと思っておりますし、なかなか電子申請というのは大変だという方々は、全国の商工会、商工会議所等で指導してお手伝いをして申請をしていただくということにしたいと思います。
(記者) 警察の話は。
(安倍総理) 警察ですね。これは、言わば取締りの対象には罰則がありませんから、取締りの対象ということでは、警察が取り締まるということはありません。ただ、御協力は要請させていただくことはあるかもしれません。御協力の要請ですね。御協力を要請していただくということについて、お願いをさせていただく。どういう形かどうかは分かりませんけれども、お願いをさせていただきたいと思っています。
(内閣広報官) はい、では菅原(すがはら)さん。
(記者) 日本テレビの菅原です。よろしくお願いいたします。海外の事例ですと、長い自粛の影響で、児童虐待ですとか、DV(ドメスティック・バイオレンス)の相談件数が増加しているといった事例が報告されています。日本はまだそこまで長い自粛ではなかったと思いますが、現状、どういう状況になっているのかというのを政府の方で把握していらっしゃるのかということが1点と、シェルターなどは、いわゆる3密に当てはまるようなケースというのもあると思うのですけれども、今後のそういった場所の避難場所の運営についてはどのようにお考えでしょうか。
(安倍総理) 海外では、このDVが増加しているという状況が出てきているということを私も承知をしておりますが、国内において、まだそういう兆候が出ているということを、私は報告は、今、受けておりません。ただ、海外でそういう状況が起こっておりますから、今日から我々は本格的な緊急事態となりますので、なるべく外出を自粛していただくようになりますので、十分に注意深く対応していきたいと思いますし、そういう状況があれば直ちに電話していただきたいと、このように思っています。DVにおいても、子供たちに対する場合もありますし、189(イチハヤク)という電話に電話していただければと、このように思います。
そしてまた、シェルターについては、今年度の予算でシェルターの支援をより一層強化をしていくことになりました。今、おっしゃったように、シェルターにおいて感染者が出てくることのないように、3密にしっかりと対応していただくようにしていきたいと、このように思います。
(内閣広報官) 次の質問、どうぞ。湯之前(ゆのまえ)さん。
(記者) 西日本新聞の湯之前といいます。特に先ほど総理が地方への移動をなるべく慎むようにとおっしゃっていましたけれども、今、特に大学生とか若い人たちが、宣言の出た地域からそうでない地方へ、帰ってきなさいというか、帰省しようという動きはかなり出ている現状があります。一方で、感染した若者が実家に帰って家族が感染したと、こういう事例もあったようです。宣言対象地域からの帰省を考えている若い人などに対して、総理から改めておっしゃることがあれば、教えてください。
(安倍総理) 冒頭申し上げましたように、この新型コロナウイルス感染症は、感染していても症状が出ない場合があります。症状が出ないことによって、気づかずに人に感染させてしまうという恐ろしい点があります。ですから、自分も感染しているかもしれないという思いを、特に若い皆さんには持っていただきたいと、こう思います。若い皆さんは非常に活動的ですし、体力もありますし、免疫も強いですから、なかなか症状が出てこない。ですから、自分がもしかしたらお父さんやお母さんや、おじいちゃん、おばあちゃんたちにうつしてしまう。高齢者にうつしてしまえば、重症化していくリスクが高いという観点から、東京においても、言わば都市封鎖、ロックダウンのようなことは行いませんから、経済社会の機能は維持をしていきますから、是非できるだけ東京にとどまっていただきたいというふうに思います。
(内閣広報官) 予定していました時間に近づいていますので、ぼちぼち最後の質問にしたいと思います。では、七尾さん。
(記者) ニコニコの七尾です。よろしくお願いします。医療崩壊についてお聞きします。医療に直面している国の現場では、生存する可能性がより高い患者を優先する命の選択を迫られております。日本でも起こるかもしれない問題だと思います。総理は、このことについていかがお考えでしょうか。それともう一点、確認させてください。総理は、SNS、ネットの有益性についてお話しされたと思います。初めてのことですから、これから長い期間、様々な問題が出てくると思います。ネットの声も総理、政府はしっかり見ていて、場合によってはネットの声が届くこともある、そう考えてよろしいでしょうか。よろしくお願いします。
(安倍総理) まず初めに、トリアージについては、これはそういう事態にならないように全力を尽くしますが、トリアージというのは医療現場にとって大変つらい事態ですよね。医療提供体制とのバランスにおいて、A、Bという患者があれば1名しか対応できない、どちらを取るかという、そういう判断なのだろうと思います。我々としてはそういう状況にならないように、重症者対策を中心に医療提供体制を強化することも大変重要だと考えております。このため、今回の経済対策では、医療提供体制の整備に最優先に取り組むこととしておりまして、病床の確保や医療機器の整備、呼吸器疾患の専門医、看護師等の確保、ガウン等の医療資材の確保等もしっかりと強化をしていきたいと、こう思っておりますし、今現在の段階では我々はそういう状況にはもちろんなっておりませんし、先ほど医療提供体制がだんだんひっ迫してきているということを申し上げましたが、今の段階では軽症者あるいは無症状の方も病院に収容されておりますが、先ほど申し上げましたように、ホテルチェーンの皆さん、これは関東圏で1万室あるわけでありますが、そちらに軽症者の皆さんにまず移っていただければ、重症者の皆さんの病床も相当程度、空きが出てまいりますから、そういう体制をしっかりと整えていきたい。また、重症化しやすい高齢者の皆さんへの感染をできる限り抑える対策にも力を入れていきたいと思っています。
そして、ネットについては、例えば災害のときもそうなのですが、ネットで取る情報というのはすごく早い場合があります。むしろ、政府や都道府県の現場から上がってくるよりも、リアルタイムでどうなっているという情報が写真と共に上がってくる場合もありますから、安倍政権になってからはそれを活用するというシステムもつくりました。災害においてはですね。
今回も、医療現場、あるいは地域や、我々の手が届かないところの情報をしっかりと集めるようにしています。我々も、ネットから出てくる情報をしっかりとつかみながら対応していきたいと思っています。
(内閣広報官) 予定しておりました時刻を経過いたしましたので、以上をもちましてこの記者会見を終わらせていただきます。大変申し訳ないのですけれども、次の日程もございますので御容赦いただきたいと思います。では、どうぞ。最後ですね。すみませんけれども。
(記者) ありがとうございます。総理、ごめんなさい。イタリアの方です。帰っていないです。ずっと日本に住んでいます。今まで世界はほとんどロックダウンにしているのですけれども、日本だけ今まで天国が見えると思いますよね。今まで御自分で対策を投じた中で、一か八かの賭けが見られますね。成功だったら、もちろん国民だけではなくて世界から絶賛だと思いますけれども、失敗だったらどういうふうに責任を取りますか。もう一点、みんなここでマスクをかけているのですけれども、2人だけ持っていない。特別な意味があるのですか。主張はあるのですか。メッセージはあるのですか。ありがとうございます。
(安倍総理) 今、私と尾身先生がマスクを外したのは、最初に司会者から御説明があったのですが、今日は距離を取っておりますので、私の飛沫が届かない距離にあるからマスクを取らせていただいているということであります。それが一点とですね、これは、例えば最悪の事態になった場合、私たちが責任を取ればいいというものではありません。まず、私たちが採っている対策は他の国と違うではないかということでありますが、それは他の国々と、例えば、御国と比べても感染者の方の数も死者の数も桁が違う状況であります。様々な対策を採れば、経済に大きなインパクトがあり、そのことによってダメージを受ける方々もいます。その見合いで判断もしなければなりません。もちろん専門家の皆さんが必要とあれば、我々は判断をするわけであります。
そこで、海外の例を見れば、ヨーロッパの国々と比べれば、はるかにこの感染者の増加のスピードは遅いわけでありますし、そして同時に、我々は他の国とは違ってクラスター対策というのをやっています。クラスター対策というのを早い段階からやっています。これは大変なんですが、クラスター班というのは現地に行って朝から晩までずっと、感染者が出れば、この人が接触した人をずっと追っていきます。その皆さんにはPCR検査をやっていただいて、クラスターを潰していくという形でやっている。これは日本の一つの特徴なのだろうと思いますし、これを評価もしていただいているのだろうと思います。こうしたこともしっかりとやっている。
ただ、これがあまりにも感染者が増えていくと、クラスターを追跡することができなくなるので、先ほど申し上げましたように、しっかりとクラスターを、これは追跡し潰していくことが可能となっていけばですね、これは収束に向かっていく。ですから、孤発の例が増えると、クラスター以外の例が出ているので、これはなかなか大変だという、そういう判断も専門家の方がしておられるということだと思います。何か尾身先生、付け加えることはありますか。
(尾身会長) 今、総理がおっしゃるとおりで、私の方からは、外国の場合と比較して、日本がここまでですね、これからはまた分からないので、今、緊急事態宣言を出したのですけれども、それまでに何とか持ちこたえてきたのは3つの理由があると思います。
一つは、今、総理がおっしゃったクラスター対策、日本だけというわけではないですけれども、日本が初期の頃からやっている。それから、これは国民の健康意識、これは2009年の新型インフルエンザのときも世界で死亡率は10万人当たりのあれは1桁違うぐらい少なかったという意味で、国民の健康意識。それから、3つ目は、もちろん日本の医療制度にも様々な課題がありますけれども、比較的しっかりした医療制度で、肺コロナ感染で肺炎を疑われたような人はかなりの部分がシステムに探知されて、PCRも完全ではないですけれども、多くの人にされて、必要な治療が今のところ与えられてきたということが、これまで持ちこたえてきた理由だと思います。
しかし、これからは、今の状況で感染の拡大が、懸念がありますので、今回の緊急事態宣言になったということだと思います。
(内閣広報官) それでは、以上をもちまして、次の日程もございますので、これで締めさせていただきます。ちょっと次の日程がございますので、ここで早く、すみません。いろいろ御質問されたい方がたくさんいるのですけれども、ちょっとこれは次の日程があるので。では、短くしてください。篠原(しのはら)さん。
(記者) テレビ東京の篠原と申します。海外のG7の首脳でコロナウイルスに感染する例が相次いでおります。イギリスのジョンソン首相もICU(集中治療室)に入っているという報道があります。現在、安倍総理は御体調いかがでしょうか。そして、万一のことですけれども、総理が感染された場合、国政運営というのはどのような形を想定されるのでしょうか。麻生副総理が担っていくとか、そういうような何らかの形をお示しいただければと思うのですが。
(安倍総理) まずは、英国のジョンソン首相の一日も早い快復を心からお祈りしたいと思っています。
そして、私自身は感染しないようにできるだけ手洗いをしながら、あるいはまた、免疫力を維持するために睡眠、なかなか睡眠を完全に取ることはできないのですが、なるべく睡眠の時間を確保したいと思っています。生活のリズムを守るという意味においては、私はまだ食事を取る時間がないものでありますから、まだ食事をしていないのですが、なるべく規則正しく生活していくということも大切なのかなと、こう思っています。
そこでもし、私が感染した場合でありますが、感染して、しかし、しっかりと意識がある場合には、私が公邸等で自己隔離をしながら、基本的に総理としての執務を行います。もし、私の意識がないということになれば、これは麻生副総理が臨時代理ということになり、一瞬でも遅滞がないように、そういう対応をしていきたいと、こう思っています。
(内閣広報官) それではですね、すみません。私から提案します。御質問されたい方がいらっしゃると思うので、書面で出してください。後で私の方から総理にクリアを取って、総理のお答えを書面で返しますので。ちょっと次の日程があるので、物理的にもうこれで今日は閉じさせていただきたいと思います。書面で質問いただけますか。すみません。後ほどよろしくお願いいたします。
(安倍総理) どうもありがとうございました。
(内閣広報官) では、どうも御協力ありがとうございました。 

 

●安倍首相が緊急事態宣言 7都府県対象 効力5月6日まで 4/7
新型コロナウイルスの感染が都市部で急速に拡大している事態を受けて、安倍総理大臣は、政府の対策本部で、東京など7都府県を対象に、法律に基づく「緊急事態宣言」を行いました。宣言の効力は来月6日までで、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡が対象となります。午後5時半すぎから総理大臣官邸で開かれた政府の対策本部で安倍総理大臣は「諮問委員会において、新型コロナウイルス感染症は肺炎など重篤な症例の発症頻度が相当程度高く、国民の生命および健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあり、感染経路が特定できない症例が多数に上り急速な増加が確認されている。医療提供体制もひっ迫してきているとされた」と述べました。
対象は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡
そのうえで、「全国的かつ急速なまん延により国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生したと判断し、特別措置法に基づき、『緊急事態宣言』を発出する」と述べ、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に、「緊急事態宣言」を行いました。宣言はこのあと官報で公示され、7日から来月6日まで効力が生じることになります。そして安倍総理大臣は、感染拡大の状況などから緊急事態宣言の措置を実施する必要がなくなった時は速やかに宣言を解除する方針を示しました。
「『都市封鎖』を行うものではない」
また「緊急事態を宣言しても海外で見られるような『都市封鎖』を行うものではなく、公共交通機関など必要な経済社会サービスは可能なかぎり維持しながら、『密閉』、『密集』、『密接』の3つの密を防ぐことなどで、感染拡大を防止していく対応に変わりはない」と強調しました。
「人と人との接触 7割〜8割削減を」
さらに安倍総理大臣は「最も重要なことは、国民の皆さんの行動を変えることだ。専門家の試算では、私たち全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる。効果を見極める期間も含め、大型連休が終わる来月6日までの1か月間に限定して、国民の皆さんには7割から8割の削減を目指し、外出自粛をお願いする」と呼びかけました。そのうえで「この国家的な危機にあたり、国民の命と健康を守ることを第一に、都道府県とも緊密に連携しながら、感染拡大の防止に向けた取り組みを進めていく」と述べ対策に全力を挙げるよう関係閣僚らに指示しました。安倍総理大臣は、7日午後7時から記者会見を行い、宣言を行う理由や具体的な措置などを説明し、国民に協力を呼びかけることにしています。
自民 世耕参院幹事長「議員も移動や会合自粛を」
自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で、「重大な局面を迎えつつあり、強い緊張感を持って取り組んでいきたい。党所属の議員にも、不要不急の移動や夜の会合は慎むとともに、宣言の出ている都府県から、そうでない県への移動は控え、国民の模範となる行動をとるよう呼びかけていく」と述べました。
立民 枝野代表「十分な補償実現を」
立憲民主党の枝野代表は、記者会見で、「感染爆発や医療崩壊が目前に迫っており、宣言自体は必要だが、遅きに失したと言わざるをえない。経営の継続や生活が成り立たなくなった人たちから悲鳴のような声が届いており、適切な補償を行うことが感染拡大を防ぐためには不可欠だ。現状の対策では不十分かつスピード感を欠いているので、十分な補償の実現を強く求めていく」と述べました。
国民 玉木代表「遅きに失したが宣言を評価」
国民民主党の玉木代表は、記者団に対し、「遅きに失したが、宣言を行うことは評価する。緊急経済対策で、現金30万円が給付される対象がものすごく限定されているが、国難の時にケチってどうするのか。すべての人に行動の自粛と経済活動の抑制をお願いする以上、所得に関係なく、感染拡大を防止する『協力金』として給付する発想が必要だ」と述べました。
維新 片山共同代表「知事の意向を尊重し対応を」
日本維新の会の片山共同代表は、記者会見で、「遅まきながらも、宣言を出したことには賛成だ。緊急経済対策は思い切った内容だが、スピード感を持って対応することが大切だ。地域で状況に差があるので、各都道府県の知事の考え方や意向を尊重して対応することが重要だ」と述べました。
共産 志位委員長「政府の責任で補償もすべき」
共産党の志位委員長は、記者会見で、「外出自粛の要請を強める措置は当然だが、緊急事態宣言を行う以上、政府の責任で補償もすべきで、今のままでは爆発的な感染拡大を抑えるうえでの実効性がない。また、緊急経済対策は、現金給付の対象が狭く、基準も不公平だ。国民や事業者に対し、継続的に支援するよう求めたい」と述べました。
専門家「制限は例外的なもの 副作用意識を」
「緊急事態宣言」について、憲法学が専門で人権問題に詳しい専修大学の山田健太教授は「緊急事態宣言により、政府の方針に反する意見は認めないといった同調圧力が生まれるのではないか。店舗や企業、学校などが、政府の方針に反してまで通常どおりの営業や活動を続けることは少なくなっていくだろう。やむにやまれぬ事情で営業を続けざるをえない店舗もあるだろうから、そういうところにまで、社会的な非難が集中するようなことがあってはいけない。自由や権利の制限はあくまで一時的、例外的なものであり、制限されることに私たち自身が慣れてしまうと、少しぐらいなら我慢するといった空気が出来上がってしまう。そうした副作用を意識しなければいけない」と指摘しています。 

 

●緊急事態宣言 要旨 
1)医療現場を守るため、あらゆる手を尽くす
•医療現場は逼迫している。医療崩壊を防ぐため、今、緊急事態宣言を出す必要があると判断した。
•感染防止に必要な物資、治療に必要な医療機器の増産に力を尽くす。
•軽症者や症状のない感染者は、医療機関ではなく宿泊施設で療養してもらい、医療機関の負担を軽減する。
•ホテルチェーンの協力により関東で 1万室、関西で 3千室を確保した。日本財団も臨時施設を準備中。
•東京では五輪関係施設も改修し、800名の軽症者を受け入れられる設備を整備する。
•必要があれば、自衛隊などの医療スタッフを動員し、特別措置法48条に基づく臨時の医療施設として活用することも検討。
•こうして医療施設を重症者対応に振り向けることで病院の機能維持を図る。
2)緊急事態宣言の対象範囲
•対象は、東京、千葉、神奈川、埼玉、大阪、兵庫、福岡の 7都府県
•本日より、GWの終わる 5月 6日までの一ヶ月
3) 現在の状況
•事態は切迫している。この事態を1ヶ月で脱するためには、人と人との接触を7割から8割、削減する必要がある。
•東京は感染者累計が千人を超え、感染者数が 5日で 2倍になっている。このペースが続けば、2週間後には 1万人、1ヶ月後には 8万人を超えてしまう。
•しかし 専門家の指摘では、人と人の接触機会を最低 7割、できれば 8割削減できれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる。
•そうすれば爆発的な感染拡大を回避できるだけでなく、クラスター対策による封じ込めの可能性もでてくる。
•その効果を見極める期間も含め、次の1ヶ月、外出自粛をお願いしたい。
4) 具体的な行動変容の要請
•具体的には知事が定めるが、生活の維持に必要な場合をのぞき、みだりに外出しないよう要請すべき。
•社会機能を維持するために必要な職種をのぞき、オフィスでの業務は原則、自宅で行えるようにしてほしい。
•どうしても出勤が必要な場合も、ローテーションを組むなどし、出勤者の数を最低 7割減らす、時差出勤を行う、人の距離を十分にとる、といった取り組みを実施するよう、すべての事業者にお願いする。
•レストランなどの営業では、換気の徹底、客同士の距離を確保するなどの対策をしてほしい。
•休校が長期化するが、オンライン教育の環境を早急に整えていきたい。
•電話、オンラインでの診療も、初診も含めて解禁する。病院での感染が怖くて受診を我慢するといったことが起らないようにする。
•日常に不可欠な買い物についても、密閉、密集、密接をさけるよう努力をしてほしい。
•ジョギングや散歩をすることはなんら問題ない。
•3つの密が重なるバー、ナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスへの出入りは控えてほしい。集会やイベントを避け、飲み会を避け、家族以外、多人数での会食も避けてほしい。
•発熱などの症状がなくとも感染している人が多く、知らず知らずのうちに周囲の人に移して感染が拡大している。自分は感染者かもしれないという意識をすべての人にもってほしい。
•外出時には人混みを避け、他の人との距離を保つ。飛沫をとばさないようマスクをつけてほしい。
5)都市封鎖、ロックダウンとの違い & 都市間移動の自粛
•海外で行われているような都市封鎖とはまったく異なる。
•今後も、電車やバスなどの公共交通機関は運行される。道路も封鎖しない。そういった必要は無いというのが専門家の意見でもある。
•海外では、感染地から他地方に人が移動し、感染が拡がった例もある。
•日本では、東京、大阪でも外出を控えて生活すれば感染の恐れは低い。だから、重症化リスクが高い高齢者の多い地方への移動は控えてほしい。
6)冷静な行動の呼びかけ
•SNSに拡がったデマによりトイレットペーパーが店頭で品薄になるなど、ウイルスという見えない敵への不安心理を利用した騒動が起っている。
•SNSは本来、人と人の絆を深め、人と人をつないで社会不安を軽減する大きな力を持っている。しかし、拡散された誤った情報によってパニックを起こしてしまうと、ウイルスを超える甚大な被害が生まれてしまう。
•社会機能はしっかり維持する。電気、ガス、水道、通信、金融、ゴミの収集、焼却など暮らしを支えるサービスは平常通りの営業を行う。
•介護施設や保育所なども、サービスを必要とする人のため、ご協力をいただけるようお願いする。
•食品など、生活必需品の製造、物流、それら商品の小売りに関わる方々にも営業をしっかり続けてもらえるよう依頼する。
•だから冷静に行動してほしい。
7)経済打撃への支援
•戦後最大の危機。雇用と生活を守り抜くために、GDPの 2割にあたる 108兆円の経済対策を実施する。
•生活に窮している方のために総額 6兆円、一世帯 30万円の現金給付に加え、児童手当を月 1万円増額する。
•事業者向けの給付金制度も創設。売り上げが大きく減った中堅・中小法人に 200万円、個人事業主に100万円を給付する。
•固定資産税も減免する。消費税の納税や社会保険料の支払いは1年間、延滞金なしに猶予する。
•地方銀行、信用金庫、信用組合などを通して、実質無利子、無担保、最大 5年間 元本返済据え置きの融資が受けられるようにする。
•雇用助成金の助成率を過去最大まで引き上げる。 

 

●緊急事態宣言を発令 首相「接触を8割削減」 4/7
安倍晋三首相は7日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。感染が急拡大している東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象で実施期間は7日から5月6日までとなる。宣言を受け、7都府県の知事は外出自粛や営業休止などを住民や企業に要請する。
米欧では強制力がある外出禁止令を出す例がある。イタリアも罰金付きの外出制限を出したが感染者の増加が鈍化するまで時間がかかった。日本の外出自粛要請は強制力がないため住民の自発的な対応が不可欠になる。今回の宣言で感染爆発を防げるかは未知数だ。
首相は同本部で「全国的かつ急速なまん延により、国民生活と国民経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある事態が発生した」と表明した。人と人との接触機会を「最低7割、極力8割削減できれば2週間後には感染者の増加を減少に転じさせることができる」と述べた。
7日夜の記者会見では東京や大阪など都市部を念頭に「病床数は限界に近づいている」と指摘した。「もはや時間の猶予はないとの結論に至った」と説明した。
西村康稔経済財政・再生相は同日の国会で対象地域について「必要があれば追加を考えたい」と語った。宣言の対象に入らなかった福井県の杉本達治知事は同日「緊急事態宣言直前の状況だ。医療体制は逼迫している」と訴えた。人の外出や往来を減らせなければ宣言の対象地域の追加や期間延長が現実味を帯びる。
発令を受け7都府県の知事は政府の対処方針に沿って住民に外出自粛などを求める。知事は人が集まる施設の使用の制限を求めたり学校の休校を要請したりできる。罰則などの強制力はないが、正当な理由なく応じなければ「要請」より強い「指示」を出し事業者の名前を出すこともできる。
発令後も鉄道やバスなど公共交通機関は運行を続ける。食料品や医薬品などの生活必需品を扱うスーパーマーケットやドラッグストアも営業する。最低限の生活を維持した上で人と人が接触する機会を減らす狙いだ。
発令に先立ち首相は7日、国会で質疑に応じた。宣言が終了する時期を問われ「新規感染者数が、クラスター(感染者集団)対策が可能なレベルまで低減できれば、爆発的増加の可能性は相当程度低下する」と答えた。
2016年度の日本の名目国内総生産(GDP)のうち7都府県が占めるのは48%の約261兆円に上る。19年1月時点の人口は約5617万人で同44%を占める。外出自粛や営業休止は日本経済に大きな影響を与える。 

 

●首相「医療資源、重症者に」 緊急事態宣言で記者会見 4/7
安倍晋三首相は7日夜、新型コロナウイルスの感染拡大を伴う緊急事態宣言の発令を踏まえた記者会見を首相官邸で開いた。新型コロナへの医療対応について「医療現場を守るためあらゆる手を尽くす。医療物資を国内で増産している。異業種の力も借りてさらに提供体制を強化する」と述べた。
今後の対応では「医療資源を重症者支援に振り向け、病院の機能維持を図る」と強調した。「軽症者や症状のない感染者は医療機関ではなく、宿泊施設で療養頂くことで医療機関の負担を軽減する」と語った。
「必要があれば自衛隊などの医療スタッフを導入し、臨時の医療施設とすることも可能だ」とも説明した。
首相は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い「経済は戦後最大の危機に直面している」と強調した。「強い危機感の下に雇用と生活は断じて守り抜く」としたうえで「過去最大級の経済対策を実施する」と訴えた。
緊急事態宣言の発令について「もはや時間の猶予はないとの結論に至った。国民生活に甚大な影響を及ぼすと判断した」と述べた。
今後の対応では「医療への負荷を抑えるために最も重要なことは感染者の数を拡大させないことだ」と指摘した。「そのためには何よりも国民の皆様の行動変容、つまり行動を変えることが大切だ」と訴えた。
「生活の維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないよう要請すべきだと考える。事態は切迫している」と強調した。
感染拡大への対応で「緊急事態を1カ月で脱出するには人と人との接触を7割、8割減らすことが前提だ。社会機能を維持するため仕事は原則自宅でしてもらう」と呼びかけた。
「生活必需品の買い物など、どうしても外出する場合には密閉、密集、密接の『3つの密』を避ける行動を徹底するようお願いする」と要請した。
バー、ナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスへの出入りは控えるよう訴えた。「飲み会はもとより家族以外の多人数での会食も行わないようお願いする」と強調した。
「地方に移動するなどの動きは厳に控えてほしい」と求めた。「地方には重症者リスクが高い高齢者もたくさんいる」と指摘し「感染リスクを高めることがないようお願いする」として都道府県をまたいだ移動を控えるよう要請した。
緊急事態宣言の対象となる7都府県以外の地域についても「いつ広がるか分からない。『3密』には十分注意してほしい」と訴えた。
緊急事態宣言を巡り「社会機能はしっかりと維持していく。自治体とも協力しながら電気やガス、通信、金融、ゴミの収集・焼却など暮らしを支えるサービスは通常通り行う」と述べた。
交通機関についても「海外のようなロックダウン(都市封鎖)ではない。今後も電車やバスの公共交通機関は運行される。道路を封鎖することはないし、必要も全くない」と語った。
食料品などの生活必需品を販売する小売店の営業も維持すると説明し、買いだめなどの行動は不要だとの認識を強調した。「正しい情報に基づいて冷静な行動をお願いする」と訴えた。
緊急事態宣言時の理髪店の営業自粛については「理髪店はこれまでにクラスター(感染者集団)が発生していない。今回は対象と考えていない。理美容は事業継続が必要なサービスだ」と説明した。感染拡大防止策を講じながら、保育所や学童保育も規模を縮小して開所すると説明した。
新型コロナウイルスへの治療効果が期待されている抗インフルエンザ薬「アビガン」について「120例を超える投与が行われ症状改善に効果があったと報告を受けている」と明らかにした。
アビガン備蓄の拡大も表明した。「希望する患者への治療をできる限り拡大する。アビガンの備蓄量を現在の3倍、200万人分まで拡大する」と強調した。
首相は記者会見に先立ち、7日夕に開いた政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で、特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。
対象は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、期間は5月6日までの1カ月間とした。緊急事態宣言の発令は初めてとなる。  

 

●7都府県に緊急事態を宣言 「国家的危機、命守る」―接触8割減呼び掛け 4/7
安倍晋三首相は7日、首相官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部の会議で、まん延阻止のため私権制限を含む措置を可能にする緊急事態宣言を発令した。期間は同日から5月6日までの1カ月間で、東京など7都府県が対象。首相はこの後、記者会見に臨み、対象地域の住民に外出自粛を徹底し、人との接触を7〜8割削減するよう呼び掛けた。
2012年成立の新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく宣言は初めて。東京に加え埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の6府県が対象となる。1月の感染者初確認で本格化した日本の感染拡大防止の取り組みは、大きな節目を迎えた。
首相は対策本部で「国家的な危機に当たり、国民の命と健康を守ることを第一に、感染拡大防止に向けた取り組みを進めていく」と表明した。この後の記者会見では、東京で現在のペースで感染拡大が続けば、感染者は2週間後に1万人、1カ月後に8万人を超えると説明。その上で、7都府県知事に宣言に基づく外出自粛要請を促すとともに、「人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減できれば、2週間後に感染者増加を減少に転じさせることができる」と強調した。
首相はまた、社会機能維持のために必要な職種を除き、オフィスでの仕事は自宅で行うよう要請。出勤が必要な場合も出勤者数を最低7割減らし、時差出勤などの工夫を講じるよう求めた。7都府県以外の国民に対しても、密閉、密集、密接の「三つの密」の回避を要請。一方で、「宣言は海外で見られるような都市封鎖では全くない」と冷静な対応を呼び掛けるとともに、7都府県から地方への退避を控えるよう訴えた。  

 

●「措置遅い」「強制力ない」 緊急事態宣言で海外メディア 4/7
新型コロナウイルス感染者急増を受けた日本政府の緊急事態宣言発令について、海外の主要メディアからは、欧米諸国の非常事態宣言などと比べて「大胆な措置を取るのが遅い」「強制力も罰則もない」と厳しい見方が相次いだ。
AFP通信は、日本の措置には外出禁止や店舗閉鎖などの強制力はなく、違反者への罰則もないため「欧米での都市封鎖(ロックダウン)とは程遠い」と報道。英BBC放送(電子版)は、専門家からは発令が遅過ぎるとの声が出ており、「ドイツや米国は、日本が社会的距離確保の措置実施や新型コロナの広範囲な検査実施に失敗したと強く批判している」と伝えた。
米CNNテレビ(電子版)も、中国と経済・地理的に関係の深い日本では早い段階で感染者が出ていたのに「世界の他の多くの地域で見られるような大胆な措置を取るのが遅かった」と指摘。集中治療室(ICU)のベッド数や検査数の少なさのほか、人工呼吸器の不足で医療崩壊への懸念が広がっていると報じた。
一方、ロイター通信は、緊急事態宣言の発令前から、ツイッターで「東京脱出」が話題になっていたと紹介。日本のメディアを引用する形で、別荘地の軽井沢には東京のナンバープレートの車が増えていることを取り上げた。  

 

●「Stay home、お家にいてください」緊急事態宣言発令、小池都知事が呼びかけ 4/7
安倍総理による緊急事態宣言の発令を受け、東京都の小池知事が記者会見を開いた。
小池都知事は「改めて大事なことは“Stayhome”、お家にいて下さい。外出を控えて下さい。せざるをお得ない場合は“3密“を避ける。何度も申し上げていますが、よろしくお願いします。そして、人と人との間隔を2メートル空けて下さい」として、都内全域で5月6日までの外出自粛を呼びかけた。
また、使用制限の対象施設については国との調整中だとし、都としては9日までに成案を得た上で、外出の自粛の効果を見て10日に発表、11日に実施したいとした。 
●区民の皆さまへ 緊急事態宣言を受けて 4/7 
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急事態宣言が発出されました。新宿区内でも繁華街や特定の施設を中心に、多数の感染者が確認されています。
重症化すれば、面会も許されず、死亡すれば火葬される際にも家族が立ち会うことができません。この感染症は、知らないうちに感染し、知らないうちに人に感染させてしまうことがあります。
どうか、当面の間、不便であっても不要不急の外出を控え、自らの感染リスクを減らし、感染拡大を防止することにご協力ください。
商店や企業を経営されている皆様、区では緊急融資や生活相談を実施しています。窓口の拡大も実施していまいりますので、苦しい時は早めにご相談ください。失業等の恐れのある従業員の方のご相談もお受けしています。
ウイルスとの闘いは、マラソンに例えられます。手洗いや咳エチケットといった基本的な感染予防を続け、バランスのとれた食事、規則正しい生活を送ることによって免疫力を高めることが重要です。ストレス解消に、人込みを避け、近所を散歩することは問題がないとされています。帰宅後はすぐに手洗いによる消毒をし、外出によりウイルスが付着してしまった手で、口や目を触らないようにしてください。皆様のご協力によって、ウイルスの流行を一日も早く収束させましょう。 
 4/8

 

●緊急事態宣言 欧米メディアの見方は  4/8
安倍総理大臣が「緊急事態宣言」を行ったことについて、アメリカのメディアは宣言に踏み切った時期や、罰則がないことなどについて懐疑的な見方を伝えています。
このうちCNNテレビは「ウイルスの感染が長期間、問題になってきたにもかかわらず、日本は他の多くの国で見られるような踏み込んだ措置を取るのが遅れた」と指摘しました。そのうえで「東京は次のニューヨークになる可能性がある」との専門家の見方を紹介し、今後、東京も感染者が急増し、ニューヨークのように医療態勢がひっ迫するおそれがあると伝えています。
また、CBSテレビは「取られている措置のほとんどは『要請』だ」と指摘したうえで「日本では罰金などを科すことが認められていないため、周囲の目による圧力を罰則の代わりにしている」と伝えました。
一方、有力紙のニューヨーク・タイムズは「日本はこの数か月間、他の国が取っているような厳しい措置をとることなく、感染者を抑えてきたことで世界を当惑させてきた。今回の緊急事態宣言は惨事を避けるのに間に合ったのか、それとも遅すぎたのか、専門家も判断できずにいる」として、専門家の間でも評価が分かれていると伝えています。
ヨーロッパのメディアは日本で外出を厳しく制限する措置が取られない背景などに言及しています。
このうち、フランスの公共ラジオは「日本はこれまで、スウェーデンと同様、経済活動をなるべく妨げない方法を採用し、日本人の非常に厳格な衛生習慣に頼ってきた。しかしとりわけ東京で感染の拡大を制御できなくなり、安倍総理大臣はメディアや専門家たちから緊急事態の宣言を強いられた」としています。また「緊急事態宣言を出したにもかかわらず、人々に家に閉じこもるよう強制したり、違反した場合の制裁を科す法的権限は無く、政府は日本人の市民精神や社会の同調圧力に頼ることになる」と指摘しています。
また、イギリスの有力紙「ガーディアン」は「日本政府は罰金や罰則を伴う法的権限を有さない代わりに自粛を求め、拒否する事業者の名前を公表する見せしめ行為に効果があると期待している」と伝えています。そして日本が厳格な措置に踏み切らない理由として「軍国主義時代に起きた国民の権利の侵害や、ハンセン病患者の強制的な隔離といった苦い思い出に起因している」と分析しています。 

 

●専門家が見る 緊急事態宣言のタイミング 4/8
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、7日に出された緊急事態宣言。3月中旬に出たイタリアなどに比べると、半月以上遅れての発令となった。政府は「医療現場で危機的な状況となっていることを踏まえた」と説明しているが、専門家はこのタイミングをどう見るのか。
「少なくとも1カ月ほど前に出してもよかったのでは」 こう話すのは、宮本勝浩関西大名誉教授(理論経済学)。発令によって国民のさらなる出控えが予想され、経済的損失は数十兆円にも上ると試算する。感染が拡大すればするほど損失は広がり、経済回復までの時間がかかる。「宣言が出されれば、抜本的な感染拡大防止の対策を講じられ、今よりも感染拡大は食い止められていたはずだ。感染者の少ない早い時期に出していた方が損失は少なかっただろう」と指摘する。
東京女子大の橋元良明教授(情報社会心理学)は「緊急事態」という言葉が国民に対して強いメッセージ性を持ち、一人一人の行動に大きく影響する、とみる。感染拡大を受けて、これまでも東京や大阪では外出自粛要請が出されており、人出は大きく減ることが予想される。「日本人は同調思考が強いとされ、これまで自粛の行動をとっていなかった人にも一定の効果があるだろう。外出自粛の流れはさらに強まる」と分析する。そのうえで、国民の間で緊急事態宣言の発令が現実味を帯びてきたのは、安倍晋三首相らがロックダウン(都市封鎖)について言及し始めた3月下旬ごろとし、「国民の間ではもう覚悟ができていた。そうした意味では、発令はもう少し早くても良かったのではないか」と話す。
一方で、肯定的にとらえるのは、広島大の坂口剛正教授(ウイルス学)だ。「新型コロナは当初の見立てより重症化の率が高く、決してあなどれないウイルスだということが分かってきた。ここで宣言を打ち出すのは、気を引き締める意味があるのではないか」と指摘する。医療現場では今、医療崩壊に対して緊張が高まっているとし、「宣言を受けて、みんなが外出自粛などを守れば感染拡大を穏やかにすることができる。その間に重症者と軽症者を分けるなど医療体制強化のための時間を稼ぐことができる」と述べた。
近畿大の久(ひさ)隆浩教授(都市・まちづくり)は「こうした宣言は公権力の押し付けになりかねず、本来は宣言を出さなくても感染防止に向けて一人一人が自律した行動をとるのが望ましい」と指摘。3月の連休中に外出自粛要請が出ていたにもかかわらず勝手な行動をとっていた若者らもいたとし、「宣言を出さないとこうした行動を抑えきれない状況にある。やむをえないぎりぎりの判断だったのだろう」と話した。 

 

●緊急事態宣言 小池都知事「スピード感をもって取り組む」 4/8
「緊急事態宣言」を受けて、8日から徹底した外出自粛などを要請する措置が始まったことについて、小池知事は記者団に対し「きのうも80名の感染者が出ている。宿泊所に寄って療養していただくシステムが始まったが、重要局面には変わらない。他の地域と規模感が違うので、都としてスピード感をもって地域の特性を鑑みながらこれから取り組みを進めていきたい」と述べました。
また、都が調整を進めている休業を要請する具体的な業態や施設については「若干調整も必要かと思うが、国との連携を取りながら早く決めたい」と述べました。 

 

●「緊急事態宣言」で暮らしはどうなる 4/8
東京都が事前に公表した「緊急事態措置」案
東京都は、法律に基づく「緊急事態宣言」が出された場合にとる措置の方針案を事前にとりまとめ、4月6日に公表しています。ただ、この東京都の方針案をめぐり、国との間で意見の隔たりがあるということで、都は、国の考え方も踏まえて緊急事態措置を決定することにしています。東京都の小池知事は、「緊急事態宣言」が出されたことを受けて4月7日の午後8時すぎから開いた記者会見で、都がとる措置については、「国と調整を行ったうえで、4月10日に発表したい」という考えを示しました。
●(4月6日時点の案) 次の施設は基本的に休業を要請
次の施設は基本的に休業を要請するとしています。
•大学や学習塾、自動車教習所などの教育施設
•体育館や水泳場、ボーリング場、スケート場、ゴルフ練習場、バッティング練習場、スポーツクラブなどの運動施設や遊技場
•映画館やライブハウス、演芸場といった劇場など
•公会堂や博物館、美術館、図書館など集会や展示に関する施設
•キャバレーやナイトクラブ、ダンスホール、バー、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケ店、マージャン店、パチンコ店、ゲームセンターといった娯楽施設など
また、商業施設については、デパートやショッピングモール、ホームセンターなどについては食品や医薬品など生活に欠かせないものを販売する売り場は除いて休業を要請します。一方、床面積が100平方メートル以下の小規模の店舗については、感染防止対策を実施した上での営業を要請します。
●(4月6日時点の案) 学校は原則として施設使用の停止を要請
大学などを除く学校は原則として施設の使用やイベントの開催の停止を要請します。保育所や介護老人保健施設などは感染防止対策をとるよう求め、利用者や家族などの生活維持に必要ないサービスについては使用制限などを求める場合があるとしています。
●(4月6日時点の案) 次の施設は社会生活を維持する上で必要
次の施設は社会生活を維持する上で必要な施設として、いずれも感染防止対策をとるよう求めています。
•病院や薬局などの医療施設
•スーパーやコンビニ、卸売市場などの食料品販売施設
•ホテルや旅館、共同住宅など住宅・宿泊施設
•電車やバス、タクシー、レンタカー、船舶、航空機などの交通機関や、宅配などの物流サービス
•工場
•金融機関や官公署
•公衆浴場など
また、食事を提供する施設については生活インフラとして必要とした上で、飲食店や料理店は感染防止対策をとるほか、夜間や休日の営業時間の短縮を要請しています。一方、居酒屋などは休業を要請するとしています。
東京都の案めぐり国と隔たり 調整続く (4月7日午後6時時点)
上記のような東京都の方針案をめぐっては、休業要請の対象とする具体的な業態について、都と国との間で意見の隔たりがあるということで、都は、国の考え方も踏まえて緊急事態措置を決定することにしています。東京都は、案のなかで、デパートやショッピングモール、ホームセンターなどについては、食品や医薬品など生活に欠かせないものを販売する売り場は除いて休業を要請するとしているほか、理髪店なども要請の対象に含めています。これに対し、国側は、特別措置法を担当する西村経済再生担当大臣が4月7日、国会で、「理美容やホームセンターはいずれも安定的な国民生活を営むうえで必要な事業で、継続して事業ができるように考えている」などと述べ、要請する対象に含めない考えを示しています。関係者によりますと、休業要請の対象になれば経営に大きな影響を与えるため、理髪店やホームセンター以外にも対象とする具体的な業態をめぐって都と国との間で意見の隔たりがあり、調整が続いているということで、都は、国の考え方も踏まえて最終的に緊急事態措置を決定することにしています。
小池知事「国と調整を行って10日に発表したい」 (4月7日午後9時時点)
東京など7都府県を対象に、法律に基づく「緊急事態宣言」が出されたことを受けて、東京都の小池知事は4月7日午後8時すぎから記者会見を開きました。この中で、小池知事は、施設の使用制限などを要請する対象について、「具体的な内容は国との調整を行って、今月9日までに都としての成案を得たい。外出の自粛効果を見ながら10日に発表し、11日に実施としたい。東京都としてはスピード感も重要でこのような日程を考えたい」と述べ、施設の使用制限などを要請する対象について国と調整したうえで、今月10日に発表し、11日から実施したいという考えを示しました。
法律で定められた内容(外出自粛・休校・施設や店舗など)
新型コロナウイルス対策の特別措置法で定められた内容は次のようになっています。
外出自粛
まず、「外出」についてです。都道府県知事は、住民に対して、期間と地域を定めた上で不要不急の外出を自粛するよう「要請」できます。ただし、▽医療機関への通院、▽食料の買い出し、▽職場への通勤など生活の維持に必要な場合は除くとされています。外出の自粛はあくまでも「要請」で強制力はありませんが、国民は対策に協力する努力義務があります。
学校の休校
都道府県知事は感染拡大を防ぐために必要とされる場合は、学校の休校を「要請」できるようになります。学校の休校についても、特措法の45条2項が根拠となり、休校を「要請」または「指示」できるようになります。県立高校は県が所管しているので知事の判断で休校できます。私立学校や市町村立の小中学校は、知事が休校を「要請」し、応じない場合には「指示」できるという建て付けになっていますが、罰則はありません。
施設や店舗
都道府県知事は感染拡大を防ぐために必要とされる場合は、施設の使用制限も「要請」できるようになります。店舗の営業についても、特措法の45条2項で「多数の者が利用する施設」は使用制限や停止を「要請」できるとなっていて、「多数の者が利用する施設」は政令で定められています。対象となるのは、▽映画館・劇場、▽集会場や展示場、▽百貨店、スーパーマーケット、▽ホテルや旅館、▽体育館、プールなどの運動施設▽博物館や図書館、▽ナイトクラブ、▽自動車教習所や学習塾などの、建物の床面積1000平方メートルを超える施設で、これに満たない施設でも特に必要と判断された場合は対象となります。スーパーマーケットのうち食品、医薬品、衛生用品など生活必需品の売り場だけは営業を続けることができます。「要請」に従わない施設などに対して、都道府県知事は「指示」を行えるようになります。知事は指示を行った施設名をホームページなどに「公表」することになります。この「公表」は罰則的な意味ではなく、施設が閉鎖していることを周知し生活の混乱を防ぐことが目的とされています。
イベント
イベントについては、特措法の45条2項に基づき、イベントを開催しないよう知事がまず「要請」して、それでも応じない場合は「指示」できます。指示には罰則はないものの、公権力を背景とした指示は、事実上の強制力を持つと考えられます。さらに「指示」を行ったら、事業者名などを知事がホームページなどに「公表」することになります。
ライフライン
ライフラインは緊急事態宣言が出されても止まることはありません。電気、ガス、水道については、事業者に対して安定的に供給するための措置を実施することが求められています。また、運送や電話・インターネット、それに郵便についても事業者が適切に実施するよう求められています。鉄道やバスなどの公共交通機関についても法律に基づいて止めることは想定されておらず、むしろ逆に、総理大臣や知事が最低限は交通機関を動かすよう調整を行うことができるとされています。
マスク
また、マスクについては、特措法の55条でマスクなど必要な物資の売り渡しの要請ができるほか、応じないときには、知事が強制的に収用できるようになります。また、特措法とは別に、すでに政府は、国民生活安定緊急措置法などに基づいて、マスクを買い上げるなどして、北海道や医療機関などに配っています。
強制的にできること
緊急事態宣言が出たときに、行政が強制的に出来ることは、都道府県知事が、臨時の医療施設をつくるために必要がある場合に、土地や建物を所有者の同意を得ないで、使用できることと、知事が医薬品や食品など必要な物資の保管を命じることです。命令に従わず物資を隠したり、廃棄したりした場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。保管場所の立ち入り検査を拒否した場合も、30万円以下の罰金となります。罰則があるのはこの2つだけです。緊急事態宣言は強制力のある措置は限られ、海外のような「ロックダウン」=「都市封鎖」ではありませんが、多くの国民や企業が協力するのではないかとみられています。
医療・介護・保育・ハローワーク
緊急事態宣言が出ると、生活に密着する医療や介護、保育などはどうなるのでしょうか。
医療
まずは医療です。そもそも医療機関は、都道府県知事が要請する施設の使用制限の対象になっていないため、閉鎖することはありません。また、不要不急の外出自粛が要請される中でも、医療機関への通院は除くとされています。ただ、各自治体では感染がピークを迎えた時に備えて感染した患者を重点的に受け入れる医療機関を設定したり、ほかの病気の患者を別の医療機関に移したりするなど調整を行うことにしています。また、厚生労働省では、インターネットを通じた「オンライン診療」の利用条件を緩和する方針で、初診では医師による対面診療が義務づけられている現在の決まりを見直し、初回から認めることにしています。
介護
次に介護です。緊急事態宣言が出された地域の都道府県知事は、デイサービスなどの通所施設やショートステイなどの短期間のみ入所する施設に限り使用の制限や休業を要請できます。休業する際はその事業所の職員が利用者の自宅を訪問するなど代わりの方法を検討し、必要なサービスを提供するよう求めています。一方、特別養護老人ホームやグループホームなどの入所施設や、訪問介護は、休業の対象ではなく、職員の感染防止策を徹底した上でサービスを続けてほしいとしています。
保育所
保育所はどうなるのでしょうか。都道府県知事は感染拡大を防ぐために必要と判断した場合、保育所などの施設の使用制限を要請できます。その場合、保育所は臨時休園となる可能性があります。また、知事からの使用制限の要請がなくても、緊急事態宣言が出された地域ではそれぞれの市区町村が保育所の受け入れ規模の縮小を検討することとなります。規模が縮小される場合、自宅でテレワークができたり仕事を休めたりする保護者などは登園を控えるよう協力を求められる見込みです。さらに、子どもや職員が感染したり、地域で感染が著しく拡大したりしているときには市区町村が臨時休園を検討します。ただし、いずれの場合でも、医療従事者や、社会の機能を維持するために働かなければいけない人、それに、ひとり親家庭などで仕事を休めない人など保育を必要とする家庭には代わりとなる保育の提供を市区町村が検討します。
労基署・ハローワーク
雇用をめぐる不安に対応する労働基準監督署やハローワークは、原則、通常通り開くことになっています。ただし、ハローワークは、地域の感染の状況によって運営を縮小することもあり得るということで、利用する際には事前に確認するよう求めています。
公共交通機関の対応
赤羽国土交通大臣は4月7日の閣議後会見で緊急事態宣言が出された場合でも公共交通や物流については「必要な機能を維持することが求められる」と述べ、公共交通機関の運行は確保するという考えを改めて示しました。新型コロナウイルスの感染拡大で利用者が大幅に減少している影響で航空各社では大規模な減便や運休を余儀なくされているほか、新幹線の臨時便でも運休が相次いでいます。
首都圏の鉄道各社・路線バス
首都圏の主な鉄道各社は緊急事態宣言に伴う運休や減便は行わず、4月8日は始発からこれまで通りのダイヤで運行を行うことにしています。首都圏の主な路線バス各社はこれまでのところ、緊急事態宣言に伴う運休や減便は行わないということで、4月8日は始発からこれまで通りのダイヤで運行を行うことにしています。
関西の鉄道各社
JR西日本の新幹線と在来線、それに関西の私鉄各社と大阪メトロは、運休や減便は行わず、4月8日の始発から従来通りのダイヤで運行しています。ただ、JR西日本は春の行楽期に増便を予定していた山陽新幹線や特急列車について、利用客が減少していることから、5月末まで、増便分の一部の運休をすでに決めています。今後の利用状況によって、さらに運休が出る可能性があるとしています。また、関西の主な路線バスも、緊急事態宣言に伴う運休や減便は行わず、4月8日の始発から従来通り運行しています。
兵庫県の鉄道各社・路線バス
兵庫県内の鉄道はJR西日本の新幹線と在来線や阪急電鉄、阪神電鉄などの各私鉄、それに神戸市営地下鉄、ポートライナー、六甲ライナーとも通常通り運行しています。また、神戸市営バスや神姫バスの路線バスも、すでに運休や減便を行っている一部の路線を除いて、通常通り運行しています。
福岡県の鉄道各社・路線バス
JR九州と西日本鉄道、それに福岡市地下鉄は、緊急事態宣言が出されたあとも鉄道やバスの新たな減便や運休はいまのところ検討しておらず、原則これまで通り、運行を続けることにしています。西日本鉄道ではこれまで路線バスと高速バスの一部で減便と運休を行ってきましたが、緊急事態宣言に伴う新たな減便や運休はいまのところ検討していないとしています。また、鉄道も原則これまで通り、運行を続けることにしています。JR九州はこれまで新幹線や特急の一部で運休を行ってきましたが、新たな運休はいまのところ検討していないとしています。また、高速バスも原則これまで通り、運行を続けることにしています。福岡市地下鉄も原則これまで通り、運行を続けることにしています。一方、各社は、国や自治体から特別な要請を受けたり、利用者がさらに落ち込んだりするなど今後の状況によっては必要に応じて減便や運休を検討するとしています。各社はホームページなどで最新の情報を確認するよう呼びかけています。
航空各社
緊急事態宣言が東京都などに出される中、日本航空はさらに需要の減少が見込まれるとして、4月8日から4月12日までの5日間、国内線の52路線であわせて769便の追加の減便を決めました。追加の減便対象となる路線の半数は羽田空港を発着する便で、減便数は多い順に羽田と福岡を結ぶ61便、羽田と熊本を結ぶ39便、羽田と那覇を結ぶ38便などとなっています。対象となった便のチケットを持つ利用客には、乗り継ぎやほかの空港を結ぶ便などとの振り替えを行うということです。このほかの航空各社では、緊急事態宣言の内容によっては、運航をさらに減らす可能性もあり、4月8日以降に判断するとしています。
タクシー
東京都内の以下の主なタクシー会社は、乗務員の感染防止対策を徹底した上でタクシーの運行を続ける方針です。国際自動車、大和自動車交通、帝都自動車交通、日の丸交通、ただ緊急事態宣言の内容によっては、運行する台数を通常より減らす可能性もあり、4月8日以降に判断するとしています。
スーパー・コンビニ・ドラッグストアの対応
スーパー(首都圏)
主なスーパーは原則として営業を続けています。一部の店舗では営業時間の短縮などの対応を取っています。総合スーパーの「イオン」と「イオンスタイル」、食品スーパーの「ダイエー」は通常どおり営業しています。「マルエツ」と小型スーパーの「まいばすけっと」は一部の店舗で営業時間を短縮しているところがあります。「イオンモール」は、食料品などを扱うスーパーは、通常通り営業しています。ただ、テナントとして入る専門店は臨時休業しています。イトーヨーカ堂は、一部の店舗を除いて通常より時間を短縮して営業しています。緊急事態宣言の対象地域にある「アリオ」と「グランツリー武蔵小杉」でも食料品を扱うスーパーは時間を短縮して営業します。施設内の専門店は原則として休業しています。成城石井は原則として営業を続けていますが、店舗が入る商業施設の営業状況に応じて、一部で休業する店や営業時間を短縮する店もあります。サミットは、一部の店舗を除いて営業しています。およそ9割の店舗で閉店時間を早めています。ライフは、首都圏では8割近い店舗で営業時間を短縮しています。西友は全店で通常どおりの営業を続けています。いなげやは、営業を続けていますが、営業時間を短縮する店舗もあります。コープみらいも営業を続けていますが宣言の内容を踏まえて、詳しい営業時間を検討しています。オーケーは全店で通常どおりの営業を続けています。一部のチェーンでは、店内が混雑して感染が拡大するリスクを抑えるため、一度に入店できる買い物客の人数を制限する場合があるとしています。各社は、各店舗の営業時間など最新の情報についてはホームページなどで確認してほしいとしています。
スーパー(神奈川・埼玉・千葉)
神奈川・埼玉・千葉の3つの県の主なスーパーは、ほぼすべての店が営業を継続していますが、営業時間を短縮しているところもあります。埼玉や千葉を中心に店舗を展開する「ヤオコー」は、すべての店舗で営業しています。ただ、大型のショッピングセンターなどに入っている一部の店舗は営業時間を短縮しています。子会社で神奈川を中心に店舗を置く「エイヴイ」は通常どおり営業しています。埼玉と千葉を中心に店舗を展開する「ベルク」は、通常どおり営業しています。埼玉と千葉にそれぞれ30以上の店舗がある「カスミ」は、すべての店が営業しています。ただ、午後10時より遅くまで営業していた店は、閉店時間を午後10時に早めています。東京と神奈川を中心に展開する「東急ストア」と「プレッセ」は、大型の商業施設に入っている東京の「プレッセ渋谷デリマーケット店」が営業を休止しているほか、都内の2店舗が一部の売り場の営業を休止していますが、それ以外の80余りの店舗はすべて営業しています。ただ、一部の店舗は営業時間を短縮しています。各社は、状況によっては営業時間などが変わる可能性もあるので、最新の情報をホームページで確認してほしいと呼びかけています。
スーパー(関西)
関西の主なスーパーは緊急事態宣言が出た後も原則として営業を続けています。イオン、オークワ、スーパー玉出は宣言が出たあとも、通常通り営業しています。ライフ、阪急オアシス、万代、コノミヤ、スーパーマーケットKINSHOは、一部店舗で営業時間を短縮して営業しています。
スーパー(福岡県)
福岡県内に店舗がある主なスーパー各社は原則として営業を続けることにしています。ただ、一部の店舗では営業時間の短縮などの対応を取ります。イオンは総合スーパーのイオンとイオンスタイルは通常どおり営業します。イオンモールは、食料品などを扱うスーパーは、通常通り営業します。ただ、テナントとして入る専門店については臨時休業します。マックスバリュは通常通り営業しますが、店舗が入る商業施設の状況に応じて、一部の店舗で営業時間を短縮しています。西鉄ストアは営業を続けますが、閉店の時間を最大3時間早め、午後9時までにはすべての店舗を閉店するなど営業時間を短縮しています。サニーは通常通り営業を続けますが、24時間営業の店舗が多いことから買い物客に対してピークの時間を避けて来店してほしいと呼びかけています。サンリブとマルショクは食料品などを取り扱うスーパーは通常通り営業します。ただ、テナントとして入る一部の専門店については営業時間の短縮や臨時休業となっています。マルキョウは通常通りの営業を続けていますが、今後の状況によっては営業時間の短縮などを検討することにしています。ハローデイは全店で通常通り営業を続けています。各社は、各店舗の営業時間など最新の情報についてはホームページなどで確認してほしいとしています。スーパー各社は、営業時間などの最新の情報についてはホームページなどで確認してほしいとしています。
コンビニ
大手コンビニのセブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンは原則として営業を続ける予定です。それぞれの店舗の状況に応じて、オーナーと相談して休業したり営業時間を短縮したりする場合があるということです。
ドラッグストア
緊急事態宣言の対象地域の大手のドラッグストア各社は、一部の店舗で営業時間が短縮されているところもありますが、おおむね通常どおり営業していて、今後も営業を継続するとしています。マツモトキヨシホールディングスは、4月8日時点で、ほとんどの店舗で通常通り、営業していますが、一部の店舗で営業時間を短縮しているということです。商業施設などの中にある店舗については、施設自体が臨時休業になった場合は、あわせて休業になっているということです。各店舗の営業時間はホームページで確認してほしいとしています。ウエルシアは、4月8日時点で、ほとんどの店舗で通常通り、営業していますが、一部の店舗で営業時間を短縮しているということです。各店舗の営業時間はホームページで確認してほしいとしています。ツルハホールディングスは4月8日時点で、ほとんどの店舗で営業時間を短縮しているということです。一部店舗では休業しているところもあり、各店舗の営業状況は、ホームページで確認してほしいとしています。サンドラッグのグループの薬局は4月8日時点で、ほとんどの店舗で通常通り、営業していますが、一部の店舗で営業時間を短縮しているということです。各店舗の営業時間はホームページで確認してほしいとしています。スギ薬局を展開するスギホールディングスは、4月8日時点で、ほとんどの店舗で通常通り、営業していますが、一部の店舗で営業時間を短縮しているということです。コスモス薬品は、4月8日時点で、ほとんどの店舗で通常通り、営業していますが、一部の店舗で営業時間を短縮しているということです。各店舗の営業時間はホームページを確認してほしいとしています。
デパートなどの対応
首都圏
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を受けて、デパートや商業施設では相次いで当面の休業を決めました。三越伊勢丹は首都圏の三越の日本橋本店、銀座店、恵比寿店、伊勢丹の新宿本店、立川店、浦和店の合わせて6店舗、「エムアイプラザ」などの小型店27店舗を、4月8日から緊急事態宣言が解除されるまでの当面、臨時休業にすることを決めました。ネット通販についても、食料品の定期宅配など一部を除いて4月8日から当面、営業を取りやめます。大丸松坂屋百貨店は、大丸の東京店、松坂屋の上野店で4月8日から当面全館で臨時休業します。高島屋は、首都圏の日本橋高島屋S.C.、タカシマヤタイムズスクエア、玉川高島屋S・C、立川高島屋S.C.、横浜店、港南台店、大宮店、柏高島屋ステーションモール、流山おおたかの森S・Cで、4月8日から当面、食品フロアのみの営業とします。そごう・西武では、西武の池袋本店、渋谷店、東戸塚S.C.、所沢S.C.、そごうの横浜店、千葉店、大宮店、川口店で4月8日から当面、食品フロアのみの営業とします。阪急阪神百貨店は、阪急メンズ東京について、4月8日から5月6日まで全館で臨時休業します。松屋の銀座本店と浅草店も4月8日から当面全館で臨時休業します。東武百貨店は、池袋本店と船橋店を4月8日から5月6日まで一部の食品フロアのみで営業を続けます。京王百貨店は新宿店と聖蹟桜ヶ丘店で4月8日から当面全館で臨時休業します。小田急百貨店は新宿店と町田店を4月8日から5月6日まで、食品フロアのみで営業します。ただ土日は食品フロアも休業することにしています。東急百貨店は、渋谷区の本店の全館を4月8日から当面臨時休業にします。また、吉祥寺店、たまプラーザ店、町田東急ツインズ、日吉東急アベニューでは4月8日から当面食品フロアのみで営業を続けます。パルコは、首都圏では東京都内の池袋、渋谷、上野にある3店舗で、4月8日から当面全館を臨時休業にします。また、錦糸町、吉祥寺、調布、ひばりが丘、新所沢、津田沼、浦和の店舗では、4月8日から当面、食品を販売する店舗や診療所のみの営業とします。丸井は、北千住、錦糸町、国分寺、中野、溝口、海老名、戸塚、志木の合わせて8店舗で、4月8日から当面食品フロアのみ営業を続けます。また、このほかの全国22の店舗は、診療所やドラッグストアなどを除き原則として全館で臨時休業します。JR東日本系列のショッピングセンター「アトレ」は、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県にある22の店舗で4月8日から当面、食品売り場など一部のフロアのみで営業を続けます。JR東日本系列のショッピングセンター「ルミネ」は、4月8日から緊急事態宣言が解除されるまでの当面、ルミネ池袋、ルミネ有楽町、ルミネ新宿、ルミネエスト新宿、ニュウマン新宿の都内の5つの店舗を全館、臨時休業にすることを決めました。このほかルミネは東京、埼玉、神奈川にある合わせて9つの店舗で4月8日から当面、一部の食品売り場のみで営業を続けます。東京・渋谷区の商業施設「SHIBUYA109渋谷」と「MAGNET bySIBUYA109」は、4月8日から5月上旬まで全館で臨時休業します。
関西
「緊急事態宣言」を受けて、関西の主なデパートや商業施設の多くは4月8日から当面、臨時休業となっています。大丸が大阪府にある梅田店と心斎橋店、兵庫県にある神戸店と芦屋店を当面、休業しています。大丸須磨店と、松坂屋高槻店は食料品の売り場を除き、当面、休業しています。高島屋は、いずれも大阪府にある大阪店と堺店、それに泉北店を、食料品の売り場を除き、当面、休業しています。近鉄百貨店は、あべのハルカス近鉄本店と上本町店、商業施設のHoop、and、上本町YUFURAのあわせて5か所を食料品のスーパーなどを除き当面、休業しています。阪急阪神百貨店は、大阪府にある阪急メンズ大阪、阪急うめだ本店、千里阪急、高槻阪急、阪神梅田本店、兵庫県にある三田阪急、川西阪急、西宮阪急、神戸阪急、宝塚阪急、阪神・にしのみや、阪神・御影、あまがさき阪神を4月8日から5月6日までの予定で食料品の売り場を除き休業します。JR大阪駅に直結する「ルクア大阪」の全館が、駅構内の「エキマルシェ」と阪急の大阪梅田駅に併設された「阪急三番街」が一部の店舗を除いて、5月6日まで休業します。「グランフロント大阪」や「HEP□FIVE」は4月8日から当面、全館で休業となります。「キューズモール」は大阪・阿倍野区と中央区森ノ宮、箕面市、それに、兵庫県尼崎市にある店舗を当面、休業します。施設内にあるスーパーやドラッグストア、診療所などは営業を続けます。「天王寺ミオ」はスーパーなど一部の店舗を除き、5月6日まで休業します。南海電鉄なんば駅の近くにある「なんばパークス」は4月8日から当面、全館で休業するほか、隣接する「なんばCITY」と「なんばスカイオ」も食料品を扱うスーパーやドラッグストアなどを除いて当面、休業します。
福岡県
福岡県内のデパートや商業施設も相次いで当面の休業を決めています。大丸福岡天神店は4月8日から当面、全館で臨時休業。博多阪急は4月8日から5月6日まで全館で臨時休業。岩田屋三越は岩田屋本店、福岡三越、岩田屋久留米店の3店舗について4月8日は時間を短縮して営業していますが、4月9日から当面の間、地下の食品フロアを除いて休業を決めました。食品のフロアも午前11時から午後6時までに営業時間を短縮します。井筒屋は本店と黒崎店で4月8日は通常通り営業していますが、4月8日以降の対応については検討中だとしています。福岡パルコ、博多マルイ、KITTE博多は4月8日から当面、原則、全館で臨時休業します。一部の飲食店などは営業を続けています。JR博多駅の商業施設、アミュプラザ博多とアミュエストも、4月8日から当面、臨時休業します。ただ、飲食店については、ほとんどが4月8日は営業し、4月9日から休業に入るということです。一方、これらの施設にあるドラッグストアとコンビニエンスストアは、営業を続けます。西鉄が運営するソラリアプラザ、ソラリアステージ、レイリア大橋、高宮名店街、エマックス・クルメ、チャチャタウン小倉はスーパーやコンビニ、ドラッグストアなどを除いて4月9日から5月6日までの間、臨時休業します。
外食チェーンの対応
外食チェーン各社はすでに不要不急の外出や夜間の外出自粛要請が出されている地域などで営業時間の短縮などの措置をとっていますが、緊急事態宣言を踏まえて、営業を短縮する店舗を増やしているほか、大手コーヒーチェーンでは休業を決めるところも出ています。
ファミリーレストラン
すかいらーくホールディングスは、宣言を踏まえて、「ガスト」や「ジョナサン」などの店舗の営業は原則、継続します。東京、千葉、埼玉、神奈川、大阪、兵庫、福岡のおよそ2500店舗では深夜営業を短縮し、原則、午後10時で閉店します。会社では宅配やテイクアウトについて人員を増やすなど体制を強化する方針です。ロイヤルホストなどを運営するロイヤルホールディングスは、宣言を踏まえ、営業時間の短縮や人員の体制を検討する方針です。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪の一部のロイヤルホストでは、すでに営業時間を短縮し午後9時に閉店する対応をとっています。サイゼリヤは宣言を踏まえ営業時間の短縮や人員の体制を検討する方針です。すでに、先週末の時点で、入居するテナントの対応に沿って一部の店舗で営業時間を短縮する措置をとっています。大戸屋を運営する大戸屋ホールディングスは全国147の直営店舗のうち宣言の対象となる7都府県で、63店舗が営業時間の短縮を、49店舗が休業することを決めました。営業する店舗は閉店時間を2時間早め、午前11時から午後8時を原則としています。7都府県のフランチャイズ店についても対応を検討しています。
ファーストフード
マクドナルドはすでに東京都内の一部店舗で24時間営業をとりやめる措置をとっています。ケンタッキーフライドチキンは3月下旬から全国1130店舗のうち関東や関西を中心に夜の営業時間を2時間短縮し、原則、8時までとしています。宣言を踏まえて、営業時間の短縮の対象を拡大し、7都府県にある店舗とする方針です。またこの中の一部の店舗では休業するところもあるということです。
コーヒーチェーン
緊急事態宣言を受けて、大手コーヒーチェーンのドトールコーヒーは4月8日から、スターバックスは4月9日から、対象となった7都府県で直営の店舗などを休業することを決めました。ドトールやエクセルシオールなどを運営するドトールコーヒーは、7都府県にあるおよそ250の直営店舗を原則、休業することを決めました。期間は4月8日から5月6日までです。ただ、一部の店舗では、時間を短縮しながら営業を続けるところもあります。フランチャイズ店は店舗ごとに対応を協議するとしています。スターバックスはこれまで東京、神奈川、千葉、埼玉で夜7時までの短縮営業としていましたが、宣言を受けて4月9日から当面の間、宣言の対象となる7都府県の店舗は原則、休業とすることを決めました。対象となる店舗は全国1530のうち、半数を超えるおよそ850店舗に上ります。ただ、一部の店舗では、時間を短縮しながら営業を続けるところもあります。そのほかの地域でも座席の間隔をさらに広げ、夜7時までの短縮営業とすることにしています。休業の理由について広報担当者は「コーヒーをお客さまに届ける役割と、お客様や従業員の安全確保のバランスについて協議を重ねてきたが重大な局面なので感染予防に貢献したい」と話しています。タリーズは全国およそ750店舗のうちすでに関東や関西を中心におよそ250店舗で営業時間の短縮や一部休業を行っていますが、宣言を踏まえて今後の対応を検討します。
大手牛丼チェーン
大手牛丼チェーンの大手3社はいずれも営業時間の短縮を検討しています。すき家は7都府県の店舗で、滞在時間の短縮を図ろうとアルコール類の提供を中止を決めました。吉野家と松屋でも7都府県の店舗で営業時間の短縮を検討しています。
金融機関の対応
政府系金融機関や大手銀行と東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡に本店のある地方銀行では、店舗を原則、平常通り営業しています。個人をはじめ、企業の資金繰りの相談や融資の申し込みなどにも応じています。一方、横浜銀行の湘南シークロス支店は、入居している商業施設が休業のため臨時休業となっています。りそな銀行と、埼玉りそな銀行のすべての店舗と、関西みらい銀行とみなと銀行の一部の店舗では、通常は午後5時までの営業時間を4月9日からそれぞれ午後3時までに短縮します。また、あおぞら銀行は午後3時以降に行っていた資産運用の相談業務を休止しているほか、新生銀行も平日の夜や土日に行っていた相談業務を休止します。
ATM
各銀行ともに4月8日以降もATM=現金自動預け払い機は通常どおり利用できます。ただ、商業施設などに設置しているATMは、施設が休業の場合は利用できないことがあります。
ネットバンキング
パソコンやスマートフォンのアプリを通じたインターネットバンキングも、通常通り利用できます。金融機関の中には従業員を交代で勤務させるため、窓口対応の態勢を普段より縮小するところもあり、可能な範囲でATMやインターネットバンキングを利用するよう呼びかけています。
上記の情報は、以下の銀行に関してのものです
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、新生銀行、あおぞら銀行、横浜銀行、神奈川銀行武蔵野銀行、千葉銀行、千葉興業銀行、京葉銀行、関西みらい銀行、池田泉州銀行但馬銀行、みなと銀行、福岡銀行、筑邦銀行、西日本シティ銀行、北九州銀行、福岡中央銀行、日本政策金融公庫、商工中金、日本政策投資銀行
日本銀行
日銀は、今後政府から緊急事態宣言が出され自治体によって外出の自粛などが呼びかけられた場合でも、現金の需要に応えるため日銀の各支店への現金輸送や金融機関に対する資金の供給は、必要な態勢を整えて通常どおり続けます。
証券取引所など
また、日本取引所グループも、▽東京証券取引所、▽大阪取引所、▽東京商品取引所では、通常どおり株式や先物商品の取引ができるようにします。
証券各社
証券大手の野村証券は、4月8日から当面、緊急事態宣言が出された7つの都府県にある本店と60の支店で店頭での営業を取りやめて原則、電話対応に切り替えます。SMBC日興証券は、4月8日から当面、7つの都府県にある本店と84の支店で店頭での営業を取りやめて電話やインターネットの対応に切り替えます。大和証券は、7つの都府県にある本店と59の支店、それに40の営業所での営業を継続することにしています。来店する際には、事前に電話やインターネットで予約するよう呼びかけています。
通信各社の対応
携帯電話
NTTドコモ、auのKDDI、ソフトバンクの携帯大手3社によりますと、緊急事態宣言が出たあとも通信サービスは通常通り提供されます。一方、販売店の営業時間は、短縮することにしています。NTTドコモは、緊急事態宣言の対象の7都府県を含む全国すべての販売店で営業時間を短縮し、原則、午後4時までとします。auのKDDIは、緊急事態宣言の対象の7都府県のほか、自治体から外出自粛要請が出ている地域で、営業時間を午前11時から午後5時、または正午から午後6時に短縮します。ソフトバンクは、緊急事態宣言の対象の7都府県のほか、自治体から外出自粛要請が出ている地域で営業時間を短縮して午後4時までとします。各社は、入居している商業施設が休業する場合など、店舗によっては臨時休業することもあるため、事前にホームページで確認して欲しいとしているほか、混雑を避けるため店舗を訪れる際は事前に予約するよう呼びかけています。また、NTTドコモとKDDIはコールセンターの人員を縮小するため、問い合わせの電話がつながりにくくなる場合もあるとしています。
固定回線
固定回線のインターネットサービスも通常どおり提供されます。NTTコミュニケーションズによりますと、自宅で働く人などが増え、平日、日中のインターネットの通信量は3月末の時点で2月上旬と比べておよそ40%増えています。日中の通信量は増えてはいるものの1日のピークにあたる夜10時ごろの3分の2程度です。会社では仮にピーク時の2倍の通信量になっても通信に影響が出ることはないとしています。
宅配便の対応
宅配便大手の、ヤマト運輸、佐川急便は、荷物の配達は、原則として通常どおり続ける方針です。しかし、今後の航空便の減便などの影響で国内の遠方への配達に遅れが出る可能性があるとしています。日本郵便も荷物の配達や集荷を通常どおり行う方針ですが、緊急事態宣言の対象地域では、窓口業務の時間については、短縮することを決めました。ただ、いずれの各社も国や地方自治体から、何らかの指示や要請があった場合、それに従うことにしています。また、一部の営業所で窓口業務を取りやめることを検討するなど、ホームページなどで最新情報を確認するよう呼びかけています。
ライフライン
電力・ガス
東京電力と東京ガスは、緊急事態宣言が出された場合でも、電力・ガスの供給や保守の業務は、通常どおり継続します。九州電力と西部ガスは、緊急事態宣言が出されたあとも、通常通り、電気やガスの供給を継続します。また、両社は緊急事態宣言で社員の出社などが制限された場合でも、安定供給を維持するために発電所やガスの供給施設で業務にあたる社員や作業員などの体制を確保することにしています。
ごみ処理
環境省では緊急事態宣言が出た場合でも、家庭や事業者から出るごみの収集や処理が通常どおり行えるよう、自治体や事業者などと連絡をとりながら対応していく方針です。特に事業者が出すごみについては、収集した場所とは別の自治体に運び処理するケースもあることから、運搬に影響が出ないよう体制を整えていくことにしています。環境省によりますと、これまでのところ緊急事態宣言によってごみの収集や処理に影響が出そうだという相談や情報は寄せられていないということです。 

 

●「緊急事態宣言」から一夜明けた東京は・・・ 4/8
7日夜に出された緊急事態宣言では、不要不急の外出の自粛が呼びかけられましたが、朝の通勤ラッシュにはどのような影響が出ているのでしょうか。東京・新橋駅前から報告です。
改札口から通勤する方が出てきているのですが、いつもに比べ、その数は非常にまばらに見えます。駅前のSL広場、いつもは通勤客でごった返しているのですが、非常に閑散としています。その一方で、電車は通常どおり運行を続けていて、JR京浜東北線のホームは、電車がひっきりなしに入ってくる様子が見えます。駅前のそば店に話を聞いたところ、「志村けんさんが亡くなって以降、客足が少し減った」ということでした。
電車で通勤してきた人に話を聞きました。「電車の中は6、7割程度ですね。(駅前)だいぶ、もう閑散としている」 「いつもはテレワークなんですけど、今日は大事な打ち合わせがあって。会社に出社するのは限られた人数で、それ以外の社員は在宅勤務が基本になります」
これまでのところ、各交通機関に影響は出ていません。JR東日本や首都圏の私鉄各線では、8日も通常運行を続けていて、JRの中央・総武線の各駅停車が車両故障の影響で、一部の列車が運休となっているほかはダイヤに乱れはありません。東海道新幹線も通常運転が行われています。また、路線バス各社でも、通常運行が行われていて、首都高速道路など高速道路各社でも特別な対応は取らないとしています。 

 

●緊急事態宣言、対応に迷い自粛半ば 4/8
新型コロナウイルスの感染爆発を防ぐため、政府が7日に東京など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令した。ただ、7日時点で7都府県とも施設の休業要請は出さなかった。一夜明けた8日、街には発令前と変わらぬ姿もみられた。
午前11時すぎ 東京・銀座
百貨店やブティックなどが軒並みシャッターを下ろし、8日からの臨時休業を知らせる張り紙をしていた。通りを行き交う人はまばらで、車通りも少なく街は静か。横浜市に住み銀座の職場に通勤する金融機関の男性会社員(60)は「休日の朝よりはるかに人が少なく、平日昼の光景とはとても思えない」と驚く。会社の指示で男性も9日から在宅勤務になるといい「横浜から通勤電車に乗るのは心配だったので、ほっとしている。ただ家で仕事をするのは生まれて初めてで、うまくいくかどうか…」と不安をのぞかせた。埼玉県川口市の大学4年の女子学生(21)は休講中の大学から私物を引き揚げた帰りに友人と銀座に立ち寄った。「久しぶりに会えたのでご飯だけでもと思っていたが、どこも営業してない。すぐ帰るつもり」と残念そうに話した。
午前11時 東京・巣鴨
普段なら多くの人でにぎわう昼前の地蔵通り商店街(東京・豊島)。8日は「緊急事態宣言を考慮し、臨時休業します」などと貼り紙をしてシャッターを降ろす店も多かった。マスクを着用していない人の入店を断るとの掲示を出して営業する店もあった。近くに住む女性(72)は商店街の薬局でマスクを購入し、「1週間以上、同じマスクを洗って使ってきたけど、ようやく新しいものが手に入った」と安堵する。高血圧で通院しているといい、「生きていくためには、家の中にずっといる訳にもいかない。感染しないようにうがい手洗いをしっかりやります」と話していた。
午前10時半 首相官邸
安倍晋三首相は8日午前、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため発令した緊急事態宣言について「たくさんの方が今日から自宅勤務に変えたと聞いている。協力に感謝申し上げたい」と述べた。首相官邸で記者団に語った。「協力があって初めて緊急事態宣言を脱出することが可能となる」とも強調した。「最低7割、極力8割、人との接触を減らしていただければ、必ずこの事態を乗り越えることができる」とあらためて訴えた。
午前10時半前 東京・千代田
神田明神にはマスクを着用した参拝者が次々に訪れた。西東京市に住む行政書士の男性(60)は今年初めての参拝。「新型コロナの影響でクライアントとも会えなくなり、仕事を広げていくのは難しくなってしまった。なんとか乗り越えられるようにと神頼みした」と話す。千葉県市川市に住む就職活動中の大学4年の男子学生(22)はスーツ姿で面接前に立ち寄った。「こんな状況でも就活はある。『コロナ世代』と言われて挫けそうな時もあるが、希望の会社に就職できるよう頑張りたい」と力を込めた。
午前10時すぎ 東京・渋谷
多くの商業施設が休業中の渋谷。駅前では「緊急事態宣言が出されました。不要不急の外出は控えましょう」と渋谷区の防災行政無線が響いた。8年間渋谷で働くというカフェ店員の女性(27)は「ここ最近の渋谷は見慣れた街とは大違い。店もお客さんが全然来ない」と嘆く。この日は開店を普段より1時間遅らせ、9日からは休業になるかもしれないという。「早く終息して元通りに」と願っていた。
午前10時すぎ 東京・新宿
東京都庁に設置された「東京都緊急事態措置相談センター」では25人の職員が都民からの問い合わせに応対。「緊急事態宣言で暮らしは変わるのか」「休業になる施設は何なのか」など、ひっきりなしに電話が鳴っていた。設置した初日の7日は1500件の問い合わせがあった。
午前10時すぎ 東京・霞が関
1日当たり400件以上の裁判が開かれる東京地裁。緊急事態宣言を受けて大半の期日が取り消された影響で、普段は目につく裁判資料が入ったスーツケースを引く弁護士ら関係者、傍聴人の姿はほとんど見られない。
午前10時 東京・渋谷のハチ公
東京・渋谷の忠犬ハチ公像の口にはマスクが着けられています。スマホで像の写真を撮影した男性は、「買い置きしたマスクが足りなくなっているので、自分にも分けて欲しいくらいだ」と話した。
午前10時前 千葉県船橋市
地元のスーパーでは、開店時間を待つ客が行列を作った。1時間前から開店を待つ同市の主婦(73)は「人がたくさん来ると思って早く待つことにした」。前日に通常通り営業することを電話でお店に確認したといい、「買い占めが起こらないか心配」と話した。
午前10時前 東京・新宿
日本政策金融公庫新宿支店前には、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者らが融資の相談をするために列を作った。列に並んだフリーランスでプログラマーの男性(38)は、「コロナの影響で3月の仕事がキャンセルになり、緊急事態宣言が出たことで4月の仕事も危うい」と融資を求めて訪れた。融資制度についてはTwitterで知ったといい、「国の給付は条件もあるし、いつもらえるか分からない。なんとか生活するために、日々情報収集している」と語った。
午前9時35分 東京・新宿
駅前の喫煙所を利用していた近くで働く30代の男性会社員は「普段ほど人は密集していないが、できる限り周りと距離を取るように気を付けている」と話した。
午前9時半ごろ 大阪市
田辺三菱製薬は一部を除き本社の従業員は原則在宅勤務とした。4月から新しい職場での勤務を始めた松本佑子さんは同じ会社に勤める夫と自宅でテレワークに取り組む。
午前9時半 川崎市
「4/8(水)〜当面の間 臨時休業」。商業施設「ラゾーナ川崎プラザ」の入り口には看板が設置されていた。緊急事態宣言の発令を受けての対応だ。同市在住の60代女性は「これまでも週末は休業していたみたいだけど、平日から全館休業になっているのを見るのは初めて」と驚く。営業を続ける地下のスーパーでは、午前10時の開店前から20人ほどが並んだ。同市に住む主婦(41)は「今日は混み合うと思ったので早めにきた。買い占めなどがあるようなので心配。小学2年の娘は休校が続くので、食料が買えなくなったら困る」と話した。
午前9時半前 東京都庁
マスク姿の小池百合子東京都知事は東京都庁第1庁舎のエントランス前で、記者団の取材に応じ「重大局面には変わりない。都としてスピード感を持って、規模感など地域の特性を鑑みながら進めていきたい」と述べた。小池氏と記者団は約2メートル空けてやりとりした。
午前9時ごろ 東京・台東の上野公園
ごみ収集車が巡回して清掃作業をしていた。業務に携わる男性職員はほぼ空っぽの分別ゴミ箱をのぞき込み、「こんなにごみが少ない年は初めて。いつもはあふれかえってるのにね」と笑う。緊急事態宣言を受け、この日午後に公園内の花見客向けのゴミ箱を撤去するという。「4月のこの時期に片付けるのも初めての経験」と話した。
午前9時ごろ 東京駅
東京駅を行き交う人のほとんどはスーツ姿の会社員で、大きな荷物を持った人は少なかった。86歳の母を岩手県の兄のもとに送り届けるという女性(61)は「母が足を悪くしたのでしばらく都内の自宅で面倒をみていたが、ここまで流行すると東京にいてもらうのは怖い。移動しないでと言われているけれど、高齢だし、本人も不安を抱えているので」と話した。
午前9時 東京・練馬
子どものブランコを押す練馬区に住む会社員の男性(40)。新型コロナウイルスの影響で保育園が休みになり、子どもたちの体調管理のためにも1日1回は外に出るというが、なるべく人と接触しないよう心掛けているという。
午前8時40分 東京・新宿
地下通路をマスク姿で通勤する人たち。会社員30代男性は「会社はまだ在宅勤務を検討中。電車や駅前はいつもより人が少ないが、自分はしばらくは変わらず通勤することになりそう」と話した。
午前8時40分 大阪・梅田
大阪のターミナル駅、阪急大阪梅田駅では通勤列車が到着するたびにマスク姿の男女が一斉にホームに降り立った。大阪府や兵庫県など近畿圏の自治体はこれまでも不要不急の外出自粛を呼びかけ、この日の混雑状況は7日とおおむね変わらない様子だった。阪急の担当者は「緊急事態宣言が出たものの、どう対応するか方針が決めきれない会社もあるのではないか」と推測する。大阪市内のオフィスに向かう60代の公認会計士の男性は「今は企業の決算時期で1日も休めない。仕事は山積みになっている」と話し、「本当は時短勤務ができればいいのだけれど、仕方ないです」と言うと、足早に去って行った。
午前8時半 福岡市
博多駅は通常より人通りは少ないものの、いつも通り出勤する会社員の姿も。福岡県古賀市に住む新入社員の男性(22)は「電車内も通勤時の人出は7日と変わらなかった。会社からも緊急事態宣言を受けた連絡はなかった」と出勤した。鹿児島県から4泊5日の日程で出張した会社員女性(23)は「従来の予定通り、出張を命じられた。博多に着くと歩行者のほとんどがマスク姿で、鹿児島とは街の雰囲気が違う」と驚いた。
午前8時半前 さいたま市
さいたまスーパーアリーナの最寄駅、JRさいたま新都心駅前。周辺にある国の出先機関や企業への通勤者が、駅前デッキを列をなして歩いていた。金融関連に勤務する営業職の50代男性は「人は減ってはいるが、緊急事態宣言が出ても結構多いな」と驚く。会社は明日から当面休業になるため「庭いじりや本をたくさん読んで外には出ないようにしたい」と考えている。40代の男性公務員は「自分の仕事はどうしても対面でやりとりしなければならない」と合同庁舎へ向かった。
午前8時過ぎ 東京都武蔵野市
住宅街からJR三鷹駅に向かう路線バスはほぼ満員。窓が開けられた車内から大勢のマスク姿の人が降車し、改札へと足を早めた。
午前8時半ごろ 東京・霞が関
官公庁街はビジネス街よりも人影は少ない。7日に閣議決定した緊急経済対策に携わったという財務省職員の男性(41)は「今日からテレワークの職員もいるが、まずは補正予算を無事に執行する手続きを踏まないといけない」と足早に省内に入った。緊急事態宣言をうけ、同省を含めた各省で登庁する職員を大幅に減らすという。
午前8時半ごろ 東京・港
東京入国管理局には、在留期限の延長申請などのため、マスクをつけた数百人の外国人が密集していた。職員が「間隔をあけて並んで下さい」と声をかけていた。
午前8時すぎ 東京・新宿駅
通勤ラッシュの時間帯にはマスク姿で出勤を急ぐ人が目立った。不動産会社で課長として働く男性会社員(40)は「社員の半数は在宅勤務しているが、自分は所属長。会社で正確に状況を把握しないと、部下に指示を出せない」と話す。「本当は外に出たくはないけど……」と漏らしていた。
午前7時40分 東京・池袋
繁華街の百貨店は軒並み臨時休業に入った。池袋東武百貨店は、食品フロアを除き5月6日まで臨時休業する。
午前7時半ごろ 東京・西新宿
開店30分前になると店員が購入希望人数を確認。店員が約40人の列後方に並んでいた人たちに「在庫切れです」と伝えると、がっかりした表情で列を後にする姿が見られた。
午前7時半ごろ 東京・大手町
オフィスビルが立ち並ぶ東京・大手町は午前7時半ごろ、通勤するビジネスマンらがコーヒーやスマホを片手に足早に行き交った。ほとんどがマスク姿で普段より人影は少ないものの、往来は絶えない。金融業の男性会社員(53)は「すでに原則在宅勤務だが、今日だけは仕事の都合で出社する。やはり会社で働いた方が仕事がはかどるので、今日ばりばりこなしたい」と話す。同業の30代女性は「会社に在宅勤務の仕組みがないのでいつまでも出社。家が遠いので在宅はうらやましい」と足早に会社へ向かった。
午前6時過ぎ 東京・八重洲
東京駅八重洲口のバスターミナル。成田空港や茨城県、福島県などへの行き先が並んだ電光掲示板には「運休」の文字も目立つ。リュックに大きな手提げ袋の荷物を3つ抱えた都内の男子大学生(18)は千葉県館山市の実家に帰省するという。「大学は休校だし、緊急事態宣言が出て危ないのでしばらく実家にいたい」と話す。新型コロナウイルスに感染しているリスクも考え、1週間ほどは家の中でおとなしくしているつもりだ。「でも体も動かしたいしきっとストレスがたまる。人が少ない時間にジョギングなどして過ごしたい」
午前6時前 東京・皇居周辺
マスクをしながら走る皇居ランナーの姿も目立った。新宿区の男性会社員(47)は「誰かと並走するわけではないので感染予防になっているかわからないが、念のため」。皇居ランを始めて10年ほどで「平日なのに今日はいつもの倍の5人以上とすれ違った。職場に行かない会社員たちが走っているのかな」
午前0時すぎ 東京・新宿
終電の時刻が迫る中、深夜の街を走るJR山手線。換気のため窓を開け、乗客は間隔をおいて座る姿が目立った。
8日午前0時 東京・銀座
銀座・和光の時計台が午前0時を知らせた。人も車も少ない街に鐘の音だけが響いていた。
午後8時半 東京・神田の老舗そば店
8日から2週間の臨時休業に入る老舗そば店「神田まつや」。店主の小高孝之さん(54)はのれんをしまうと「4月に入り売り上げは6割減まで落ち込んだ。従業員や常連客を感染から守るため休むことにした」と落胆した様子で話した。
7日午後7時すぎ 伊勢丹新宿店
最後の客が店から出ると、東京都新宿区にある伊勢丹新宿店のシャッターがゆっくり閉まった。三越伊勢丹ホールディングス(HD)は緊急事態宣言が解除されるまで、首都圏の6店舗を当面休業する。 
 4/9

 

娘の会社も自主休業 4/9-5/6
 
●国内感染4979人(クルーズ船除く)新型コロナウイルス4/9 
8日は1日に確認された感染者の数が初めて500人を超えました。9日はこれまでに福井県と富山県で合わせて6人の感染が新たに発表され、日本で感染が確認された人は空港の検疫で見つかった人やチャーター機で帰国した人なども含めて4979人となっています。このほかクルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせると5691人となります。また、亡くなった人は国内で感染した人が105人、クルーズ船の乗船者が11人の合わせて116人となっています。
日本で感染が確認された4979人のうち、東京都は1338人、大阪府は524人、神奈川県は356人、千葉県は324人、愛知県は280人、埼玉県は250人、兵庫県は248人、福岡県は224人、北海道は208人、京都府は155人、茨城県は77人、福井県は77人、岐阜県は77人、石川県は66人、大分県は41人、新潟県は39人、高知県は39人、沖縄県は39人、宮城県は34人、和歌山県は34人、静岡県は30人、奈良県は30人、福島県は29人、群馬県は29人、栃木県は26人、滋賀県は26人、山梨県は25人、愛媛県は25人、広島県は24人、山形県は22人、熊本県は22人、長野県は19人、山口県は17人、宮崎県は16人、富山県は15人、岡山県は14人、三重県は13人、長崎県は13人、青森県は12人、秋田県は11人、佐賀県は11人、鹿児島県は4人、徳島県は3人、香川県は3人です。
このほか、中国からチャーター機で帰国した人が14人、厚生労働省の職員や検疫官、それに空港の検疫で感染が確認された人などが合わせて96人です。厚生労働省によりますと、重症者は8日の時点で、国内で感染した人などが99人、クルーズ船の乗船者が8人の合わせて107人となっています。一方、8日までに症状が改善して退院した人などは国内で感染した人などが632人、クルーズ船の乗客・乗員が638人の合わせて1270人となっています。

 

●西村大臣、「8割削減」めぐり“より強い措置”も 4/9 
緊急事態宣言をめぐり、西村経済再生担当大臣は人と人との接触が想定通りに削減できなければ「より強い措置に踏み切らざるを得ない」との考えを示しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は7日に緊急事態宣言を発表し、東京など7つの都府県に対し人と人との接触を7割から8割程度減らすよう呼びかけました。
「8割削減が実行されていなければ、施設の使用制限を要請するなどより強い措置に踏み切らざるを得ない」(西村康稔 経済再生相)
西村大臣は9日、このように述べ、人との接触機会が減らない場合、追加の措置を施す考えを示しました。ただ、インターネット上などでは「所得の補償がないなか、働きに出ざるを得ない」との声も上がっていて、政府が「補償なき自粛措置」を強化すれば批判が強まる可能性があります。

 

●愛知県 大村知事 あす県として「緊急事態宣言」へ 新型コロナ 4/9 
愛知県の大村知事は県内で新型コロナウイルスの感染者が増えているなどとして、10日午後、県として独自に「緊急事態宣言」を出し、県民に対し、不要不急の外出や移動の自粛を求める考えを示しました。また、政府に対して、法律に基づく「緊急事態宣言」の対象に愛知県を加えるよう要請したことも明らかにしました。
7日、安倍総理大臣が東京など7都府県を対象に、法律に基づく「緊急事態宣言」を行いましたが、感染者数が全国で5番目に多い愛知県は対象となりませんでした。こうした中、大村知事は9日、記者会見し、県内で感染者数が増えていることなどに触れたうえで、「あす午後、『緊急事態宣言』を愛知県として発出する」と述べました。そして、「県民には、すでに7都府県への移動自粛をお願いしているが、不要不急の外出自粛、移動自粛をお願いする」と述べました。さらに大村知事は政府に対し、「緊急事態宣言」の対象に愛知県を加えるよう要請したことも明らかにしました。
政府は7日の国会で愛知県の感染状況について、東京などと比較して感染者の増加のスピードが緩やかで、感染経路が分からない患者の割合も低いなどという認識を示していて、「緊急事態宣言」の対象に加えるかどうかを慎重に検討するものとみられます。 
 4/10

 

●東京都/休業要請施設発表「感染拡大防止協力金」創設、最大100万円 4/10 
東京都は4月10日、第19回東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、緊急事態宣言に基づく、都の緊急事態措置として、休業を要請する施設を発表した。
施行令による協力依頼を行う施設として、基本的に休止を要請する施設は、遊興施設、大学・学習塾、運動・遊技施設、劇場、集会・展示施設、商業施設。
商業施設は、生活必需物資の小売関係等以外の店舗、生活必需サービス以外のサービス業を営む店舗。ただし、床面積の合計が1000m2を超えるものに限る。
集会・展示施設は、集会場、公会堂、展示場。また、博物館、美術館又は図書館、ホテル又は旅館(集会の用に供する部分に限る。)。ただし、床面積の合計が1000m2を超えるものに限る。
劇場は、劇場、観覧場、映画館又は演芸場。
運動・遊技施設は、体育館、水泳場、ボーリング場、スポーツクラブなどの運動施設、又はマージャン店、パチンコ屋、ゲームセンターなどの遊技場等。
大学・学習塾は、大学、専修学校、各種学校などの教育施設、自動車教習所、学習塾等。ただし、床面積の合計が1000m2を超えるものに限る。
遊興施設は、キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、バー、個室付浴場業に係る公衆浴場、ヌードスタジオ、のぞき劇場、ストリップ劇場、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、射的場、競馬投票券発売所、場外車券売り場、ライブハウス等。
また、大学・学習塾等、集会・展示施設、商業施設であって床面積の合計が1000m2以下の施設については、同1000m2超の施設に対する施設の使用停止及び催物の開催の停止要請(=休業要請)の趣旨に基づき、適切な対応について協力を依頼する。
100m2以下の小規模施設、小規模店舗は、適切な感染防止対策を施した上での営業ができる。
感染拡大防止協力金を創設、50万円支給
また、都の要請や協力依頼に応じて、緊急事態措置期間中、全面的に協力する事業者への協力金として、感染拡大防止協力金を創設した。
対象は、都内に事業所がある中小の事業者のうち、都の要請や協力依頼を受け、全面的に協力する企業。支給額は50万円で、2店舗以上有する事業者は100万円を支給する。小池知事の発言は以下の通り。
小池知事 4月7日に国は7都府県を対象に緊急事態宣言を出しましてから、初めての対策本部会議となります。感染者数は、昨日は181名、1カ月前の3月10日の累計が当時67名でございましたが、わずか1カ月におきまして約1500名を超える、20倍以上となっております。
こうした中、緊急事態宣言が発令されたわけでございますが、都は直ちに特別措置法第45条第1項に基づきまして、都民の皆様に、徹底した外出の自粛要請を行ったところでございます。
その際、同時に施設などの営業休止など要請を行う予定をしておりましたが、国が4月7日付で、対処方針を改正をしてこられたということなどから、その内容についての調整が必要になったということでございます。
そして、昨日、協議が整ったので、東京都における緊急事態措置等を本日、発表するものでございます。
まず、第一に、遊興施設等、大学、学習塾等、運動、遊技施設、劇場等、集会・展示施設、商業施設、これら6つのカテゴリーにつきまして、施行令に基づきます施設を対象として、基本的に営業の休止を要請することとしました。また、施行令に起きまして対象となっておりません床面積が1000m2以下の施設につきましても同様に営業の自粛をお願いして参ります。なお、100m2以下の小規模教室、小規模店舗につきましても営業を自粛していただきたいところですが、さまざまな事情から営業を継続する場合もあると思われます。そうであっても、適切な感染防止対策を徹底することを求めて参ります。
第二に、文京施設でありますが、原則として施設の使用停止、催物の開催の停止を求めていきます。また、社会福祉施設等の保育所・学童クラブ等につきましては、必要な保育等を確保した上で、適切な感染防止対策の協力を要請します。通所介護等の福祉サービス、保健医療サービスを提供する施設につきましては、適切な感染防止対策の協力を要請いたします。
第三に、医療施設、生活必需物資販売施設等につきましては、社会生活を維持する上で必要な施設でございますので、原則として営業を継続。適切な感染防止対策の協力を要請いたします。
以上申し上げました対策につきましては、明日11日から実施をお願いしたいと存じます。
都におきまして、新型コロナウイルス感染症による経済状況の悪化を抑えるため、産業の基盤であります中小企業と個人事業主に対しまして、経営と金融の両面から切れ目のない支援を続けて参ります。国によります支援に合わせまして、資金繰りの下支え、料金徴収の猶予のほか、都の要請に応じて、休業する事業者の方へ協力金の支払いなどを行う予定でございます。
この協力金につきましては、緊急事態措置期間中、都の要請に対しまして、全面的に協力いただける中小企業には協力金を支給をいたします。支給額でございますが、一社で一事業者のみの場合は50万円、ただし、複数の場合は100万円といたします。現在、支給の方法を含めまして、詳細を検討しているところでありまして、決まり次第、発表して参ります。
こうした対応におきましては、今月15日に発表いたします緊急対策の中に盛り込みまして、議会の審議をいただいた上で実施をしていきたいと考えております。
東京都は他の道府県と比べまして、感染者の発生が突出をいたしております。ケタが違います。国と協議した上で、外出の自粛に加えまして、施設の営業休止等を要請することにしたものでございます。
都民の皆様には、大変、ご不便をおかけしますけど、こうした措置をスピード感を持って実施することで、一時的には厳しくとも、結果的には早期の感染拡大の終息につながることができると考えております。要は、都民の命を守ること、これが大事であります。皆様方のご理解・ご協力お願いいたします。以上です。 
●東京都が独自に行う「協力の要請」は「要請」と何が違う?  4/10 
今回、東京都が独自に行う「協力の要請」は、新型コロナウイルス対策の特別措置法の24条に基づいた措置です。「緊急事態宣言」に伴う「要請」とは異なります。
知事の権限で行う「協力の要請」
特別措置法の24条では、都道府県知事の権限として「団体や個人に対し、対策の実施に必要な協力の要請をすることができる」と定められていて、今回の東京都の措置はこれにあたります。緊急事態宣言が出されていなくても、知事の権限で行うことができる「協力の要請」です。
緊急事態宣言に伴う「要請」
一方、特別措置法の45条では緊急事態宣言に伴う「要請」について定められています。
外出の自粛のほか、施設の使用制限やイベントの開催の停止などを「要請」することができるとしていて、対象は多くの人が集まる施設となっています。さらに実際に「要請」を行う際には、個別の施設の管理者を特定して行うとされています。
この「要請」も協力を求めるという点では同じですが、施設の管理者などが応じない場合には、より強い措置である「指示」ができるとしています。「指示」には罰則はありませんが、事業者名などが公表されるので、事実上の強制力があると考えられています。
今月7日の緊急事態宣言に伴って、政府が策定した「基本的対処方針」では、施設の使用制限について「国民の権利の制限は必要最低限にしなければならない」として、まずは外出の自粛を要請し、専門家の意見を聴きながら、その効果を見極めたうえで行うとしています。
政府は人と人との接触機会を7割から8割削減できれば、宣言から2週間後には感染者の増加を減少に転じることができるとしているため、まずは接触機会の削減状況を見極めたいとして慎重な対応を求めていました。
「協力金」は?
また東京都は、休業の協力要請に応じた事業者に対し「協力金」の支出を検討していますが、政府としてはこうした制度を設けないことにしています。 

 

●スピード感削ぐ国・都対立 休業要請で溝、野党は批判 4/10 
新型コロナウイルスの感染拡大を受け緊急事態宣言を発令したにもかかわらず、政府は東京都が主張する特定の事業者への休業要請には及び腰だ。経済への影響や、補償の問題を懸念しているためだが、「国家的な危機」(安倍晋三首相)に際して国と自治体の主導権争いが露呈した形で、スピード感を欠いた対応に批判も出ている。
改正新型インフルエンザ対策特別措置法は、対象区域の知事が「多数の者が利用する施設の使用制限を要請できる」と定めている。感染者の増加が特に深刻な東京都の小池百合子知事は6日の段階で、百貨店やホームセンター、理髪店、居酒屋など幅広い業種に宣言期間中の休業を求める予定だった。
ところが政府は緊急事態宣言を発令した7日に、具体的手続きを定めた「基本的対処方針」を改定。発令後も事業継続が求められる業者として百貨店、ホームセンター、理髪店などを列挙した。
さらに、知事による要請は「国に協議の上、外出自粛要請の効果を見極めた上で行う」との文言も追加し、都の動きに縛りを掛けた。
政府関係者は「百貨店や理髪店まで営業を止めると影響が大き過ぎる。東京都は走り過ぎだ」と指摘。ある自民党議員は、大手パチンコ店関係者から「1カ月営業を止めると億単位の売り上げが消える」と相談を受けたと打ち明けた。
休業要請に応じた経営者らが国に損失補填(ほてん)を求める可能性もあり、首相周辺は「一晩で何百万円と稼ぐ銀座の高級クラブにまで補償はできない」と漏らした。
ただ、強制力のない外出自粛要請だけでは効力は不透明だ。西村康稔経済再生担当相は9日、2週間後に外出自粛の効果が出なかった場合は「より強い措置」に踏み切る考えを表明したが、医師会関係者は記者団に「2週間のうちにまん延してしまう」と危機感を訴えた。
腰の定まらない政府の対応に、野党からは厳しい声が上がっている。立憲民主党の逢坂誠二政調会長は「政府の考えが曖昧だから、一番住民に身近な知事が混乱している」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表は「緊急事態を宣言しながら一体、何をしているのか」と断じた。  
●東京都が休業要請 飲食店は午後8時まで―神奈川、埼玉も・緊急事態宣言 4/10 
東京都の小池百合子知事は10日の記者会見で、新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴う休業要請を11日午前0時から行うと表明した。ナイトクラブやカラオケボックス、パチンコ店など幅広い業種を網羅。居酒屋を含む飲食店は営業を認めたが、午後8時までとするよう求めた。要請に応じた中小企業向けに「感染拡大防止協力金」を創設し、最大100万円を支給する。
小池知事は「厳しいと思うかもしれないが、結果的には早期の感染拡大の収束につなげられる」と理解を求めた。都の方針を受け、緊急事態宣言の対象地域である神奈川県は11日から、埼玉県は13日から休業要請を始める。埼玉は居酒屋などの時間短縮は求めない。大阪府と福岡県は休業要請の是非を13日に決める。兵庫県は当面の状況を見る考え。千葉県は行わない方針を示した。法に基づく対象地域ではないが独自の宣言を出した愛知県は「状況を注視したい」(大村秀章知事)とした。休業要請は、改正新型インフルエンザ対策特別措置法第24条9項に基づく措置。他の対象はライブハウスやゲームセンター、体育館、劇場など。床面積1000平方メートル超の大学や美術館、生活必需品を扱わない店舗なども含む。
ただ、1000平方メートル以下の同種の施設は法の規定がないため、都独自の休業協力依頼を行う。このうち、100平方メートル以下の小規模店舗などは、従業員の検温や換気、消毒などの対策を条件に営業を認める。居酒屋を含む飲食店は、営業時間を午前5時〜午後8時、酒類の提供を午後7時までとした。政府との協議で焦点だった理髪店は「社会生活の維持に必要な施設」として休業要請の対象から外れた。ホームセンターや百貨店のうち生活必需品売り場も同様の施設として営業を求める。ネットカフェやパチンコ店は休業とした。協力金は、政府の緊急事態宣言の期限である5月6日まで休業要請に応じた中小企業などに単独店舗で50万円、複数店舗で100万円を支給。対象件数や総額は「精査中」(都)とした。各種のイベントは、屋内外を問わず密集状態が発生する恐れがある場合に自粛を求めた。都内では3月下旬から急速に感染者が増加し、「医療崩壊」が懸念されている。都や国は人と人との接触を8割減らす目標を提示。都は既に要請している外出自粛と併せて感染拡大の食い止めを目指す。  
●東京都の休業要請、飲食店は時間短縮 協力金50万円 4/10 
東京都は10日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴う休業要請に関して、居酒屋など飲食店については営業時間を午前5時から午後8時まで、酒の提供時間を午後7時までに限定するよう求める方針を決めた。小池百合子知事が具体的な業種などを同日午後、記者会見で発表する。
都が既に行っている外出自粛要請と併せ、人と人との接触を減らし感染拡大を食い止めたい考えだ。休業要請は11日から実施する。
休業要請の対象は、クラスター(感染者集団)が確認されているナイトクラブやカラオケボックスなど。飲食店の全面休業は見送り、時間短縮とする。理髪店やホームセンターは当初対象に含めていたが、除外する。百貨店は食料品など生活必需品に限った上で営業を求める。休業した中小企業に対しては「感染拡大防止協力金」を創設。単独店舗で50万円、複数店舗は100万円を支給する。  
●神奈川県 
緊急事態措置に係る知事メッセージ 4/10
4月7日の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言以来、県民の皆さんには、外出の自粛にご協力をいただき、心から感謝します。
感染拡大の防止に向けては、全ての県民・事業者の皆さんと連携し、今まさに、緊急事態にあるという強い危機意識を持って、取り組む必要があります。
人と人との接触機会を8割低減するには、県民の皆さんの外出の抑制に加え、外出を誘引する機会を減らすことも重要です。
そこで、明日11日から、多くの県民の皆さんが利用する施設の使用や、複数の方が参加するイベントの開催の停止などを、本日改めて、要請することとしました。
具体的には、キャバレー、ナイトクラブなどの「遊興施設」、「大学、学習塾等」、水泳場、ボーリング場などの「運動、遊技施設」、劇場や映画館、などの施設については、基本的に休止をお願いします。
また、その他の規模の小さな施設についても、施設使用の停止の趣旨をご理解いただき、適切に対応いただくよう協力をお願いします。
この他、屋内外を問わず、複数の方が参加し、密集状態等が発生するおそれのあるイベントの開催についても自粛をお願いします。
食事を提供する施設については、朝5時から夜8時までの間の営業とし、お酒の提供は夜7時までとしてください。
また、生活必需品や食料品を扱う施設については、感染防止を徹底したうえで、営業を継続してもらいますので、必要以上の買いだめを控えるなど、冷静な行動をお願いします。
停止や利用の制限をお願いする具体的な施設は別紙のとおりです。
県は、こうした協力のお願いにより影響を受ける県民や事業者の皆さんの相談や支援に全力で取り組みます。
今が、感染拡大の防止の正念場です。県民や事業者の皆さまとともに、力を結集し、県民総ぐるみで、この難局を乗り切っていきましょう。
特措法に基づく緊急事態措置に係る実施方針 4/10
特措法第32条に基づく緊急事態宣言を受け、政府対策本部の対処方針で示された重要事項を基に、次により緊急事態措置を行う。
1 措置を実施する期間
令和2年4月7日(火曜)から5月6日(水曜・振替休日)まで
2 措置の対象とする区域
神奈川県全域
3 実施する措置の内容
(1)県民の外出の自粛(令和2年4月7日から5月6日)
法第45条第1項に基づき、生活の維持に必要な場合を除き、外出の自粛を強く要請する。また、やむを得ず外出する場合でも、「密閉」「密集」「密接」を避ける行動を徹底することや、テレワークや時差出勤などに努めることを呼びかける。
(2)施設の使用停止及び催物の開催の停止要請(令和2年4月11日から5月6日)
法第24条第9項に基づき、これまでの学校に加え、別紙1の施設管理者若しくはイベント主催者に対し、施設の使用停止、若しくは催物の開催の停止を要請する。これに当てはまらない施設についても、法によらない施設の使用停止の協力を依頼する。屋内外を問わず、複数の者が参加し、密集状態等が発生する恐れのあるイベント、パーティー等の開催についても、自粛を要請する。なお、別紙2に記載の社会生活を維持する上で必要な施設は、適切な感染予防対策を講じ事業を継続するよう要請する。法第45条第2項、3項及び4項に基づく要請、指示、及び公表については、上記の要請の効果を見極めたうえで行うものとする。
(3)臨時の医療施設における医療の提供
新型コロナウイルス感染症に対応する医療体制「神奈川モデル」では、医療崩壊を防ぐため、入院の必要な中等症の患者を集中的に受け入れる「重点医療機関」を設定するとともに、重症者に対しては高度医療を提供できる医療機関の治療体制を確保し、軽症者や症状がない感染者については、自宅や宿泊施設等での安静・療養を原則としている。神奈川モデルによる医療の提供にあたって、必要が生じた場合は、法第48条、49条に基づき、臨時の医療施設における医療の提供、そのための土地・建物の使用を行う。
(4)緊急物資の運送
必要に応じ、法第54条に基づき、緊急事態措置の実施に必要な物資、医薬品、医療機器などの輸送を、指定公共機関である輸送事業者に要請、指示を行う。
(5)物資の売り渡しの要請
必要に応じ、法第55条に基づき、緊急事態措置の実施に必要な食料、医薬品などの物資について、所有者に対して売り渡しの要請、収用などを行う。
(6)生活関連物資等の価格の安定等
国や市町村と連携し、県民の生活に関わる物資・役務の価格の高騰や、供給不足が生じないよう関係法令に基づく措置を行う。
(7)その他
上記の他、必要に応じて、特措法に基づく措置を行う。
4 緊急事態措置を円滑に行うための取組み
(1)県民・事業者への周知
緊急事態措置の実施にあたり、知事から、県民・事業者に強くアピールし、理解と協力を求める。ホームページ、SNSなどあらゆる媒体を活用し、県が行う緊急事態措置の周知に努める。施設の利用制限の措置を行う場合は、関係団体等を通じて、周知する。
(2)緊急事態措置に伴う影響への対応
緊急事態措置により影響を受ける県民・事業者等に対して、国の緊急経済対策に基づく施策などと連携し、県対策本部の緊急経済・社会対策部で、きめ細かな支援に努める。売り上げ不振や生活の困窮など、県民や事業者から社会経済面からの相談に対応するコールセンターを設置する。
(3)医療体制の確保
神奈川モデルによる医療供給体制を確立するため、医療機関や医療従事者、民間事業者の理解を得て、病床や宿泊施設の確保に全力で取り組む。新型コロナウイルス感染症に対処する医療関係者を応援するよう、県民に求める。
(4)市町村との連携
本実施方針を市町村に周知し、県民の外出の自粛の要請など、緊急事態措置の実施に協力を求める。
(5)県の実施体制
8月末まで、県が主催するイベントや県民利用施設の休止等を行う。緊急性のない業務の休止や延期、縮小などを徹底し、全庁を挙げて、緊急事態措置を含めた新型コロナウイルス対策を推進する。  
●東京都が休業など要請する施設  4/10 
東京都が実施する休業などを要請する施設についてまとめました。
基本的に休業を要請する施設
法律に基づいて基本的に休業を要請する施設は、
〇キャバレーやナイトクラブ、ダンスホール、バー、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、射的場、勝馬投票券販売所、場外車券売り場、ライブハウスといった遊興施設など。
〇床面積の合計が1000平方メートルを超える大学や専修学校、各種学校などの教育施設、自動車教習所、学習塾など。
〇体育館や水泳場、ボウリング場、スポーツクラブなどの運動施設やマージャン店、パチンコ店、ゲームセンターなどの遊技場。
〇劇場や観覧場、映画館、演芸場。
〇集会場や公会堂、展示場、それに床面積の合計が1000平方メートルを超える博物館、美術館、図書館、ホテルや旅館の集会に用いるスペースといった集会・展示施設。
〇商業施設では、床面積の合計が1000平方メートルを超える生活必需品の小売り関係以外の店舗や、生活に必要なサービス以外のサービス業を営む店舗が対象となっています。
休業協力を依頼する施設
また都は法律にはよらず、床面積が1000平方メートル以下の
〇大学、学習塾など、
〇集会・展示施設、
〇商業施設についても休業の協力を依頼することにしています。
このうち床面積が100平方メートル以下の学習塾などの教室や小規模の店舗についても休業への協力を依頼しますが、営業を継続する場合は感染防止の対策を求めています。
施設の種別で休業要請する施設
また施設の種別によって、休業を要請する施設があります。
〇文教施設では、大学などを除く学校では原則として施設の使用やイベントの開催の停止を要請します。
〇社会福祉施設の保育所や学童クラブなどでは、必要な保育などを確保したうえで感染を防ぐための対策をとる協力を要請します。
一方、通所介護や短期間の入所により利用される福祉サービス、保健医療サービスを提供する施設については感染を防ぐための対策をとる協力を要請します。
社会生活を維持に必要な施設
このほか、社会生活を維持する上で必要な施設には通常どおりの営業やサービスなどを行うにあたって感染を防ぐ対策をとるよう協力を要請します。
対象には
〇病院や診療所、薬局などの医療施設、
〇卸売市場、食料品売り場、百貨店・ホームセンター・スーパーマーケットなどの生活必需品売り場、コンビニ、
〇ホテルや旅館、共同住宅、寄宿舎や下宿などの住宅・宿泊施設、
〇バスやタクシー、レンタカー、鉄道、船舶、航空機などの交通機関や宅配などの物流サービス、
〇工場や作業場、
〇メディア、葬儀場、銭湯、質屋、獣医、理美容、ランドリー、ごみ処理関係などを挙げています。
食事を提供する施設は…
居酒屋を含む飲食店、料理店、喫茶店などの食事を提供する施設は、感染を防ぐ対策をとるとともに宅配やテイクアウトのサービスは除いて営業時間を朝5時から夜8時までとし、酒類を提供する時間は夜7時までとするよう協力を要請します。
テレワーク推進を要請する業界
さらに銀行や証券取引所、証券会社、保険、官公署、事務所などは感染を防ぐ対策への協力とともにテレワークの一層の推進を要請しています。 
●緊急事態措置はなぜ遅れたか
新型インフルエンザ特措法に基づき、7都府県を対象とした緊急事態宣言が4月7日に発出された。これを受け、東京都では即座に法的根拠に基づく外出自粛要請を出したものの、施設や店舗の使用制限要請は若干遅れている(東京都、4月9日現在)。報道ベースでしか知る由はないが、対象となる施設・店舗をどの範囲にするかで、国と都の間で意見の相違があるとのことである。
一両日中には調整が終了すると思われるので、過度に心配する必要はないと思われるが、何が論点になっているかを法令の定め方から読み解いてみたい。
まず、条文を確認したい。知事は「学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者…に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる」(特措法第45条第2項)。すなわち、知事は、政令で定める施設に、利用停止のほか、政令で定める措置を講ずる要請をするというように、具体的な内容はほとんど政令に委任されている。
意見の相違があるものとして、報道で取り上げられているのは、理容室・美容室、ホームセンターといったところだ。理容室は政令で具体的に指定されている(施行令第11条第12項)。ただ、施行令で対象にしているのは、建物の床面積が1000m2を超えるものに限られている(施行令第11条柱書)。ちなみに筆者は1000m2を超える理容室を見たことはない。
ただし、厚生労働大臣が学識経験者の意見を聞いたうえで公示をした場合は、1000m2以下の施設にも、必要な要請を行うことができる(施行令第11条第1項第14号、第2項)。したがって、小規模理容室を要請の対象とするためには、都だけで出せるのではなく、国(厚生労働大臣)の決定が必要となる。
美容室は施行令には例示されていないものの、施行令では「理髪店…これらに類するサービス業を営む店舗」とされているので、知事が出すかどうかを決定することができそうである。ただ、理容室と美容室を別扱いにするには合理的な説明が求められるだろう。
政府や都は繰り返し、三密を避けることを要請してきた。三密は大勢の人が一か所に集まることもそうであるが、小規模の店舗においても、複数人が距離を置かずに長時間とどまることでも発生することを考えれば、理容室等に何らかの要請を行うことは避けられないと思われる。
ただし、知事が行える必要な要請とは、法律本文で定められている施設閉鎖だけではない。入場者の整理、感染者の入店拒否、手指の消毒、施設の消毒、マスクの着用などといった要請を行うこともできる(施行令第12条)。小規模な理容室は完全予約制にして、マスク着用、施設や道具の定期的消毒の対応徹底の要請をするといったことも検討してよいだろう。
ホームセンターは物品販売業であり、かつ1000m2を超える場合も多いので、その場合は、行政からの要請の対象となる(施行令第11条第7号)。しかし、同号かっこ書きで「厚生労働大臣の定める」「生活に欠かせない物品」を販売するものは除外されるので、要請対象外とすることも考えられる。つまり要請対象とするかどうか、要請内容をどうするかは、事実上国と都の調整が必要となる。仮に、ホームセンターを要請対象とするときには、閉鎖要請ではなく、入店者数の制限やソーシャルディスタンス確保などを要請するといったことも考えられよう。
法令で読みにくいのが、たとえば居酒屋である。居酒屋は酒類を提供することを売りにしているが、要請対象とならない食事提供を主とする飲食店と決定的な違いはないように思う。施行令で書いているのは、「キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設」(施行令第11条第1項第11号)であり、居酒屋は遊興施設といえるのか、という問題となると思われる。しかし、すでに多くの居酒屋は自主的に休業しているようである。三密回避という意味ではやむをえまい。
上述の通り、1000m2を超える理髪店を要請対象とするといった、空振りに近い規定が存置されてきたのは、これまで日本が幸運にも「有事」に直面してこなかったつけが回ってきたともいえる。頭で考えていたことが実地になると役に立たないことがあるのは仕方がない。とにかくこの一か月クラスターを作らないという観点から、施行令改正を行うことも視野に検討を行っていただきたいと考える。 
●東京都遊協、緊急事態措置に対し「遵法精神に則り、原則遵守」をお願い 4/10
東京都遊技業協同組合は4月10日、小池都知事の緊急事態措置の発表を受けて、組合員に文書を発出した。小池知事は同日の会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の「緊急事態宣言」を受けた措置として、パチンコホールを含む休業要請の対象施設を公表した。
都遊協の文書では、「本要請は、法令に基づく要請であり、我々は重く受け止めなければなりません」とした上で、組合員店舗に対し、「遵法精神に則り、原則として、遵守下さいますようお願い申し上げます」と要望した。
一方で、営業継続という苦渋の決断をせざるを得ない場合として、営業時間の短縮や週1回程度の休業などの考慮を求めた。同時にこれまで実施してきた感染拡大防止施策の徹底や、絶対に店舗でクラスターを発生させない決意と細心の注意を改めて要望した。
都遊協では4月8日にも新型コロナウイルス感染症対策の文書を通知しており、今回の通知は11回目となる。 
●東京都「緊急事態措置」発表  4/10 
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相が7日、東京都など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令した。これを受け、小池百合子都知事が東京都における緊急事態措置を発表した。
発表時点の新型コロナウイルス感染者は、東京都で累計1519人。小池都知事は、都民の命を守ることを優先して決定したことを発表。当初、休業要請の案が出されていた居酒屋を含む、飲食店については時短営業を要請。午前5時から午後8時までを営業時間とし、酒類の提供は午後7時までとした。また、酒類のテイクアウトを原則認めることを発表している。
経済状況の悪化が続く中、緊急事態措置を実施するにあたり、要請に応じ休業の事業者に対しては、協力金を支払いを行う予定であることも発表。デリバリーなど、都民の生活に不可欠なサポートを行う事業に対しても、サポートを行う予定であることを明かした。なお、緊急事態措置は11日0時から実行開始。小池都知事は「都民の皆さんには大変ご不便をおかけ致しますが、迅速な対応が大切」として、協力を求めた。
安倍首相は、新型コロナウイルスの感染が都市部を中心に急速に拡大していることを受け、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部を開き「緊急事態宣言」を発令した。「緊急事態宣言」後も都市封鎖を行うのではなく、公共交通機関など経済・社会サービスは可能な限り継続しつつ、密集・密接・密閉を避けて感染拡大を防止していくという。そして、安倍首相は最も重要なこととして、外出の自粛などの「1人ひとりの行動を変えること」が大切だと語り、国民全員に呼びかけ。人との密接・関わりを“最低7割、極力8割”控え、2週間後には感染者を減少させていくことを目指すとした。なお、7日だけでも新たに80人の感染が確認されている。「緊急事態宣言」対象は東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の各都府県。期間は令和2年4月7日〜5月6日までの1ヶ月間とし、期間内に新型コロナウイルスが収束した場合は即刻「緊急事態宣言」を解除するとした。 
●「遅すぎる緊急事態宣言…」一番恐ろしいのはコロナじゃなくて安倍晋三  4/10 
安倍首相が発令に躊躇しまくったのはなぜなのか
新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるい、主要国が迅速で大規模な危機対応策を講じる中、安倍晋三首相がようやく4月7日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく初の「緊急事態宣言」を発令した。今年1月に国内で感染者が確認されてから3カ月後の「決断」は、国民の不安を充満させ、同盟国の米国からも「帰国警報」が出される始末となった。感染拡大を受けて東京都や大阪府の知事らが要請しても、直近の世論調査で発令を求める人が8割近くに上っても、安倍政権が緊急事態宣言の発令を躊躇し続けた背景には何があるのか。「我々は戦争状態にある」(フランスのマクロン大統領)、「自分は戦時の大統領。戦争には打ち勝たなければならない」(米国のトランプ大統領)。主要国トップが相次いで「戦時」にあることを強調し、外出制限など強硬な対策を打ち出したのは3月中旬。大規模な経済対策や選挙の延期、産業の保護などを矢継ぎ早に決めていったのとは対照的に、日本政府の対応はあまりに遅かった。
長らく「ギリギリ持ちこたえている状況」だった
中国・武漢を震源とする感染者は国内で1月中旬から確認されていたが、政府の専門家会議は2月16日まで開催されず、感染が拡大していた中国と韓国からの入国制限強化は3月5日、特措法の施行は3月14日までなされなかった。後手に回ってきた政府の対応には首相の支持層である保守派の評価も厳しく、大阪府の吉村洋文知事らは「国が『瀬戸際』という認識であれば(緊急事態宣言を)出すべきだ。増え始めてからでは遅い」と警鐘を鳴らしてきた。だが、安倍首相の危機意識は薄く、4月初めの段階でも「全国的かつ急速な蔓延という状況には至っておらず、ギリギリ持ちこたえている状況」と変わらなかった。各国のリーダーが「戦時」と捉えて国民に協力を呼び掛ける影響は大きく、それが感染拡大防止に有効なのは言うまでもない。では、なぜ緊急事態宣言は遅かったのか。4月7日の記者会見で「判断のタイミングが遅すぎる、遅いという批判がある」と指摘された安倍首相はこのように説明した。「私権を制限するから慎重に出すべきだという議論が随分あった。最大限の緊張感を持って事態を分析してきた」。だが、与党内の議論も経ないまま、緊迫した状況でも唐突に「布マスク1世帯あたり2枚配布する」と発表した後のリーダーの言葉を額面通りに受け取る向きは少ない。
発令したらアベノミクスの果実が吹っ飛んでしまう
安倍政権が緊急事態宣言の発令を躊躇した理由の1つは、日本経済への打撃だ。感染拡大地域は人口や企業が集まる東京都や大阪府、福岡県など大都市であり、対象となった7都府県の国内総生産(GDP)は日本全体の半分近い約260兆円に上る。麻生太郎財務相が率いる財務省、経済産業省などの慎重論は強く、そこには政権に近い民間企業からの悲鳴も加わった。2012年末に政権奪還を果たし、円安・株高を誘引するアベノミクスで景気を浮揚させてきた安倍政権の果実が今回の事態で吹き飛んでしまうのではないか――。そう逡巡した政権中枢の慎重論は4月に入るまで根強かった。与野党から要望が相次いだ経済的打撃を受けている事業者への「補償」についても、政府内では「そんなことをしたら大変になる。絶対にダメだ」と冷淡だった。4月7日の記者会見で「日本経済は戦後最大の危機」にあると数日前の慎重姿勢から一転した安倍首相だが、この日の議院運営委員会でも共産党の小池晃書記局長から自粛要請に伴い生じる損失への補償を一体で行うことの必要性を問われたものの、「個別の損失を直接補償することは現実的ではない」と述べるにとどめている。
「過去最大の経済対策」は実態に合わず
その一方で、首相は同じ会見ではバーやナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスを名指しで出入りを控えるよう要請した。厚生労働省のクラスター対策班の分析・進言を受けて、小池百合子都知事が出入り自粛を求めたものと同じだ。この時、都知事に対しては「営業ができなくなる」との批判が政府内やワイドショーなどで噴出したが、東京都がこうした店舗に「感染拡大防止協力金」という形で支援する構えを見せているのに対して、かたくなに補償を否定する安倍首相が同じ要請をするという矛盾も生じている。そもそも、特措法は休業を求めることができるものの、それによる損害の「補償」についての記載がない欠陥法といえる。「過去最大の経済対策」(麻生財務相)という緊急経済対策に盛り込まれた「1世帯あたり30万円の給付」や「中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円」などの支援策は、休業などで大幅に収入や売り上げが減った世帯や事業者が対象で、その条件が実態に合っていないとの声は多い。自民党担当の全国紙記者はこう語る。「与党内からは『世帯ではなく、一人一人に給付すべきだ』『非常事態だから支援策を欧米のように大規模にすべきだ』との声が相次いだが、政府主導で反対論を押し切った。中途半端な支援策で国難を乗り越えられるか不安視する議員は少なくない」。
北海道の「前例」が、安倍に甘えを与えてしまった
緊急事態宣言の発令が遅れた2つ目の理由は、北海道の「前例」だ。北海道の鈴木直道知事は急速な感染拡大の兆候があった2月28日、法的根拠に基づかない「緊急事態宣言」を発表し、政府の専門家会議が「一定の効果があった」と指摘した。鈴木知事は予定通り3月19日に終了宣言し、4月上旬までは北海道内の感染者数の増加は1日数人程度になっている。特措法に基づかない「緊急事態宣言」で鈴木知事が呼びかけたのは、週末の外出自粛や大規模イベントの開催自粛などだが、「感染拡大のペースが北海道内で落ち着いたことを見た菅官房長官はこうした取り組みを全国で実施すれば、『首相が特措法に基づく緊急事態宣言までしなくても大丈夫だ』と高をくくっていた」(民放記者)とされる。だが、「ヒト・モノ」が集積し、成田空港や羽田空港、関西国際空港を抱えて海外からの帰国者対応も余儀なくされている首都圏や関西圏と、北海道での対応を同一視できるのかは疑問だ。安倍首相は3月10日の政府対策本部で「全国の大規模イベント自粛を今後10日間程度継続」するよう要請したが、3月19日の北海道による終了宣言と重なる「期限」設定は、3月20日からの3連休に「国民に緩みが生じ、『もう期限は過ぎたから大丈夫だ』と外出した人々を生んだ」(前出の全国紙記者)との指摘がある。
国家としての責任も気概も感じない
3連休前に感染拡大エリアの首長が外出自粛を呼びかけなかったことを批判する評論家やテレビコメンテーターもいるが、大阪―兵庫間の往来自粛要請が出されていた両府県も含め3月末から4月初めの感染者が増加していることを考えれば、この時期に「緩み」が生じた傾向は全国的なものといえる。「この緊急事態を1カ月で脱出するためには人と人との接触を7割から8割削減することが前提だ」「極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」。4月7日の記者会見でこう力説した安倍首相だが、緊急事態宣言発令と同時に出された国の方針では「外出自粛要請」を先に行い、その効果を見極めた上で「事業の休業要請」を行うと通知。自治体によっては5月6日までの1カ月のうち、半分の期間を「様子見」に充ててしまうところもある。首相官邸担当の全国紙政治部記者はこう呆れる。「『しょぼくて遅い』対策ばかりで、すべて国民や事業者、自治体任せ。欧米のリーダーのように、国家としての責任も気概も感じない」 
●総理発言 / 令和2年4月10日 
新型コロナウイルス感染症対策本部(第27回)
4月7日、安倍総理は官邸で第27回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました。会議では、新型コロナウイルス感染症への対応について議論が行われました。
「本日、午前中に開催された基本的対処方針等諮問委員会において、新型コロナウイルス感染症については、肺炎等の重篤な症例の発症頻度が相当程度高く、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあり、かつ感染経路が特定できない症例が多数に上り、かつ急速な増加が確認されており、医療提供体制もひっ迫してきているとされました。
このような状況について、全国的かつ急速な蔓(まん)延による国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生したと判断し、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項の規定に基づき、緊急事態宣言を発出いたします。
緊急事態措置を実施すべき期間は、本日、令和2年4月7日から5月6日までの1か月間とし、実施すべき区域は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、及び福岡県の7都府県とします。なお、感染拡大の状況等から措置を実施する必要がなくなったと認められるときは、速やかに緊急事態を解除することといたします。
この後の記者会見で、国民の皆様に改めて私から詳しく御説明いたしますが、緊急事態を宣言しても、海外で見られるような都市封鎖を行うものではなく、公共交通機関など必要な経済社会サービスは可能な限り維持しながら、密閉、密集、密接の3つの密を防ぐことなどによって、感染拡大を防止していく、という対応に変わりはありません。
他方で、緊急事態措置の実効性を高め、爆発的な感染拡大を防ぐためには、今般改定を行った、基本的対処方針に基づき、都道府県からの外出自粛要請等への全面的な御協力や、社会機能維持のための事業の継続など、国民の皆様、お一人お一人に十分な御協力をお願いする必要があります。
最も重要なことは、何よりも、国民の皆様の行動変容、つまり行動を変えることです。専門家の試算では、私たち全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割、削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができます。
効果を見極める期間も含め、ゴールデンウィークが終わる5月6日までの1か月間に限定して、国民の皆様には、7割から8割の削減を目指し、外出自粛をお願いします。
政府においては、この国家的な危機に当たり、国民の命と健康を守ることを第一に、都道府県とも緊密に連携しながら、感染拡大の防止に向けた取組を進めてまいります。
各位にあっては、今後とも、基本的対処方針に基づき、対策に全力を挙げてください。」 
●7都府県への緊急事態宣言発令直後、接客業の3割以上が普段通り営業 4/10 
4月7日、7都府県を対象に緊急事態宣言が発令されたことを受け、社員の安全を確保すべく、在宅勤務やテレワークなどの対応強化に踏み切った企業は多い。一方で、出勤せざるを得ない業種も少なからず存在する。接客業、飲食業などがまさにそれだ。そこで今回、株式会社ツナググループ・ホールディングスが行った、接客業を中心とした職場の対応実態に関する意識調査の結果を紹介していきたい。なお本調査は、緊急事態宣言が発令された7都府県(※4/7時点)で働く全国の16〜69歳1,000人を対象にして実施された。
緊急事態宣言を受けて完全休業する接客業は2割弱にとどまる
緊急事態宣言を受けて、勤めている職場がどのような対応をとるか尋ねる調査が行われたところ、対面接触が発生する接客業において「当面の間完全休業する」と回答したのは19.1%。わずか2割弱にとどまることがわかった。配送業や建設業も含めた非接客業では11.2%、全業種では15.3%だった。
休まず、普段どおりに営業する職場が1/3以上も
緊急事態宣言でも「普段どおり営業する」と回答した接客業の職場は35.2%だった。うち販売系の職場では41.0%と、やや高めのスコアとなっている。コンビニやスーパーなどは生活インフラを支えるために営業を求められており、それがスコアに現れているようだ。非接客業では43.8%、全業種では39.3%が普段通りの営業をするとの回答だった。
3密リスクが高いと考えられる「飲食の職場」でも7割以上が営業
特に「3密」の状況になりやすいと考えられる飲食の職場について見てみよう。完全休業するのが27.0%、普段通り営業するのが26.1%。全業種のなかでは、唯一「完全休業>普段どおり営業」となっているが、それでも7割以上は営業を継続するという回答。また、限定しながら営業すると回答した46.1%のうち、「社員などに従業員を限定する」が17.4%。同質問に対する全業種平均の回答10.1%を大きく上回っていることからも、人件費削減のためアルバイトなどを削って営業を続ける飲食店の苦しい実態が浮かび上がっている。 
 4/11

 

●緊急事態宣言後初めての週末 各地では  4/11 
政府の「緊急事態宣言」が出てから初めての週末となる11日、各地の繁華街は多くの店が休業したり、営業時間を短くしたりしていて人通りはまばらとなっています。
原宿の竹下通りでは
このうち、ふだんは多くの若者などでにぎわう東京 原宿の竹下通りでは、衣料品店や雑貨店など多くの店のシャッターが下ろされ、臨時休業の張り紙が張られています。営業している飲食店やドラッグストアも営業時間を短縮するなどの対応を取っていて、人通りはまばらとなっています。13年前から営業しているレストランでは、窓を開けて換気し、テーブルを拭いて除菌していますが、開店から1時間たっても客はいないということです。東京都の協力要請では、飲食店は午後8時までの営業となっていますが、予約がなければ、2時間早めて午後6時で店を閉める予定だということです。レストランを営む50代の男性は、「こんなに人通りがないことは今までになく緊急事態宣言が出てなおさら少なくなりました。営業としてはなりたっていませんが、店内の除菌や営業時間の短縮で感染のリスクを抑えながら営業しています」と話していました。また土産店の70代の男性は、「観光客が来ないので緊急事態宣言が出る前から多くの店が休んでいました。外国人向けの品物を販売しているので、ほとんど売れません。潰れる店も出てくるのでは無いかと思います」と話していました。
大阪では
緊急事態宣言が出され、不要不急の外出自粛が呼びかけられる中、大阪の中心地、ミナミの道頓堀は、多くの店舗が臨時休業していて人通りもまばらになっています。65歳の男性は、「店が閉まり人もめっきり減ってしまって、別世界に来ているようです。しかたないと思いますが早く元の活気ある道頓堀にもどってほしいです」と話していました。一方、大阪 中央区にある公園には、幼い子どものいる家族連れなどが多く訪れていました。そして、自転車に乗ったり散歩をしたりして、運動不足の解消や気分転換をしていました。4歳と1歳の子どもと散歩に訪れた37歳の会社員の男性は「緊急事態宣言のあと、子どもが家にいることが増えているので、少しでもストレスを解消してあげたいです」と話していました。
福岡の繁華街 天神では
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が出されてから初めての週末を迎えた福岡市の繁華街・天神では行き交う人の姿はまばらで閑散としていました。多くのデパートや商業施設が集まる福岡市の天神はふだんの週末は買い物や食事などに訪れる人たちでにぎわいますが新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を受けてデパートや商業施設は一部を除いてほとんどが臨時休業していて11日午前中の人通りはまばらでした。福岡市と各地をつなぐ高速バスのバスターミナルでもバスを待つ人は少なく、出発するバスの乗客も1台に数人程度でした。市内の20代の女性は「本当は外に出たくありませんが仕事で天神にきました。バスで来ましたが乗客が少なくみんな席を空けて座っていました」と話していました。また、花の配達で訪れた男性は「人通りが本当に少なくてびっくりしました。週末にここまで人の少ない天神をみるのは初めてです」と話していました。
独自の「緊急事態宣言」 名古屋では
一方、県独自の「緊急事態宣言」を出した愛知県。ふだんの週末ならば、多くの買い物客や家族連れでにぎわう名古屋市の中心部も、人通りが少なくなっています。また、出歩いている人もほとんどがマスクを着けるなどの対策を取っていました。薬局に勤めているという50代の女性は「密集が怖いので、電車に乗らずに自転車で30分かけて来ました。薬局は休めないので、しかたないです」と話していました。また、歯科医院に通院したという70代の女性は、「しばらくは診察のために外に出なくてもいいようにまとめて治療してもらいました。宣言で人も少ないと感じますが、終息するまではなるべく外出を控えます」と話していました。
緊急事態の対象に追加要請 京都では
京都府では、11日、観光地を訪れる人が大幅に減り、閑散としています。京都府と京都市は10日、政府に対し、法律に基づく緊急事態宣言の対象に加えるよう要請するとともに、観光客に京都への訪問を自粛するよう呼びかけました。こうした中、京都を代表する観光地の1つ、清水寺の周辺では、一部の土産物店などが臨時休業し、人通りもまばらで閑散としていました。衣料品や雑貨などを扱う店の千田直哉さんは、「本来なら人で埋め尽くされている参道も全然いないので、売り上げもほぼゼロです。こんな経験は初めてです」と話していました。 
「こんなに困ったのは初めて」 商業施設、目立つシャッター 川崎駅周辺 4/11
新型コロナウイルスの感染拡大は地域の暮らしを一変させている。外出自粛が要請された「緊急事態宣言」下の街で、人々は何を思い、どのように過ごしているのか。コロナ禍に揺れる市内各地の「今」を追う。
「宣言」が発令されて最初の金曜日の十日。午後六時ごろの川崎駅前では、マスク姿の会社員らが帰宅を急いでいた。通常の混雑ぶりを思うと減っているのは確かだが、まだ十分に混み合っている。
駅と直結する商業施設「アトレ川崎」は一部の入り口を閉鎖し、八日からスーパーや薬局などを除いて臨時休業を続けている。地下街「アゼリア」でもシャッターを下ろした店が目立つ。飲食店では平日は時間を短縮して営業するところも多いが、夕食時なのにどこも客はまばら。
実際、スマホの位置情報を利用したNTTドコモの統計によると、同駅周辺では「宣言」当日と比べて翌八日には、同じ午後七時時点の人の流れが29・4%減っている。
本来なら歓迎会でにぎわう駅前の繁華街でも、休業の張り紙を出す飲食店が増えている。スーパーや生活雑貨店は仕事帰りの買い物客であふれ、その周辺は不思議なほど普段通りにみえる。
九日夜に営業していた全国チェーンの飲食店店長(56)は「売り上げは欲しいけど感染は怖い。本部の指示に従うだけだが、個人的には早めに閉めて、終息を目指した方がいいと思う」と漏らす。
ただ、不要不急の線引きはあいまいで、店側にも利用者側にも迷いは多い。
近くに単身赴任中の会社員男性(52)は「宣言の後でやはり休業する店が増えた。このまま食事に行けなくなると困るかな」。
横浜市中区から友人と買い物に来た介護士女性(48)は目当ての衣料品店や百円均一の店が閉まっていて困り顔。これから二人で食事という。「仕事相手が高齢者だけに感染防止には気を使う。この騒動で外に出れないお年寄りもかわいそうだけど、だいぶストレスがたまって暴言をはかれることも増えた。友達と会って話す時間がないと私たちがまいっちゃう」と話した。
駅前で父の代から理容店を営む西本寛治さん(71)は「こんなに困ったのは初めて」と嘆息する。予約客に応えるため、アルコール消毒を徹底して営業を続けるが、「外出自粛を要請をしたころからお客さんが徐々に減っている。特に顔そりを控える方は多い。もっと強い要請が出たら休業を考えなきゃいけなくなるが、補償もないままだとどうなるのか」と悩みは尽きない。  
「緊急事態宣言」から初めての週末 4/11
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための政府の緊急事態宣言から、初めての週末を迎えました。緊急事態宣言の対象となった地域では外出の自粛が呼びかけられ、普段なら観光客でにぎわう浅草も閑散としています。
東京都が行う休業要請が11日の午前0時から始まり、渋谷など繁華街では多くの店が休業しています。駅前のスクランブル交差点も普段の週末と比べて人出は減っていますが、仕事のため「外出せざるを得ない」という人もいます。
「私の仕事が小売りなので、出ないといけない」(訪れた人)「自粛はしたいですけど、仕事がなくなると収入がなくなってしまうので」(訪れた人)
東京都や神奈川県は、ナイトクラブやネットカフェなどの遊興施設や、大学、学習塾、映画館や展示施設などに休業を要請しています。  

 

●7都府県外への移動自粛を 宣言対象知事らに要請―西村担当相 4/11 
西村康稔経済再生担当相は11日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の対象である東京、大阪など7都府県の知事らとテレビ会議を行った。西村氏は「7都府県から県域をまたいで(住民が)移動する動きがあるようだ。大きな流れになると、感染リスクは地方まで広がる」と述べ、住民の移動自粛を呼び掛けた。
新型コロナ対策をめぐっては、東京都や神奈川県が休業要請を始めたほか、埼玉、千葉県も実施予定。大阪府なども13日に判断する。会議では西村氏が7都府県の現状と課題を聞き取った。 
●都、6分野へ休業要請 中小協力店 最大100万円支給 4/11 
新型コロナウイルス感染症拡大による政府の緊急事態宣言を受け、東京都の小池百合子知事は十日、休業要請などの対象にする事業者の業種や施設を公表した。休業に協力する中小事業者らには五十万〜百万円の「感染拡大防止協力金」も支給すると明らかにした。要請のエリアは都内全域で、十一日午前零時から五月六日まで実施する。
都内では既に、七日の緊急事態宣言発令を受けて小池知事が、新型コロナ特措法に基づき都民に外出自粛を要請している。記者会見で小池知事は「都では他の道府県と比べ、感染者が突出している。スピード感を持って実施し、早期の終息につなげたい」と述べた。
特措法に基づく休業要請の対象は、(1)ナイトクラブ、インターネットカフェ、カラオケ、馬券売り場などの遊興・娯楽施設(2)大学、自動車教習所、学習塾など教育施設(床面積千平方メートル超)(3)体育館、ボウリング場、スポーツクラブ、パチンコ店など運動・遊技施設(4)劇場、映画館など(5)博物館、図書館、ホテルや旅館の集会フロア(同)、集会場、展示場などの施設(6)生活必需品以外を販売する店舗、商業施設(同)−の六分野。
特措法によらず、都独自で休業を依頼する施設は、(2)、(5)、(6)のうち床面積千平方メートル以下の施設。ただ(2)と(6)は床面積百平方メートル以下ならば、感染防止対策をした上で営業ができる。
一方、社会生活の維持の上で必要な医療施設や生活必需品販売施設、宿泊施設、交通機関、工場、金融機関、官公庁や理美容店、銭湯などには、休業を要請しない。また、居酒屋を含む飲食店のみ、営業を午後八時まで、酒類提供を午後七時までとするよう求める。
感染拡大防止協力金が受給できるのは都の対象になっており、五月六日までの休業や時短営業に応じた中小事業者と個人事業主。店舗が単独なら五十万円、二店舗以上では百万円を支給する。
神奈川・埼玉も要請
神奈川県の黒岩祐治知事は十日、記者会見を開き、東京都と同様に十一日午前零時から休業を要請すると発表した。対象業種や施設などについて黒岩知事は「歩調を合わせたい」と述べ、都に合わせる考えを明らかにした。休業要請に応じた事業者に支払う協力金についても「都となるべく合わせるようにしたい」と述べた。財源は、政府が創設する臨時交付金の活用を検討するという。 
埼玉県の大野元裕知事は十日、記者会見で「首都圏が一体となって対応すべきだ」と述べ、映画館や遊興施設などに十三日午前零時からの休業を要請すると発表した。飲食店は除外する。ホテルや旅館は宴会場やホールだけを対象とする。大野知事は、休業補償について「国が考えるべきだ」とし、県としては支出しない考えを示した。  

 

●東京都の緊急事態措置、名指しされぬエステやネイル店は? 4/11
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の発令を受けて、東京都は4月8日に緊急事態措置を開始。10日、休業を要請する施設を発表した。
それによると、百貨店やホームセンター、スーパーマーケット、ホテル、居酒屋を含む飲食店や喫茶店などは、「社会生活を維持する上で必要な施設」として営業を認める一方で、スポーツクラブや映画館、カラオケなどは休業要請の対象となっている。“名指し”されていない、エステやネイルサロンなどはどうなのだろうか。「エステやネイルサロンは、営業することは可能ですが、万が一感染者が出たらバッシングは計り知れませんし…」(全国紙記者) 結局あいまいだ。
今回の緊急事態宣言には罰則規定がないが、海外に目を向けると、“外出禁止”に罰則を科している国がほとんどだ。
イギリスは違反者に60ポンド(約7900円)の罰金を科しているが、これはかなり軽いほう。フランスでは外出許可証の携帯が義務づけられ、違反すると135ユーロ(約1万6000円)の罰金。30日以内に4度違反を重ねると3750ユーロ(約44万円)の罰金に加え、禁固刑も科される。.変わり種の“罰則”もある。「インド政府は現在、全人口13億人を対象に全土を封鎖しており、外出も禁止しています。違反者は警察官にその場でスクワットや腕立て伏せを命じられ、途中でやめたりすると、細長い棒で容赦なく叩かれることもある」(ジャーナリスト) 南アフリカのヨハネスブルグでは、外出禁止令に違反したとみられる男性が、警察官に射殺されたとの報道も。厳しすぎるのもどうかと思うが…。  
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●「新型コロナ」安倍総理、小池都知事の会見が心に響きづらい理由 4/15 
抽象的な言葉を多用すると伝わらない
会見というのは、政治家にとって一番大事な「勝負どころ」です。テレビカメラの向こうにいる国民に向かってどういった言葉で、どんな表情や身振りをして語りかけるかを徹底的に考えて臨むべき場ですが、最近の安倍総理や小池東京都知事の会見を見ていると、首をかしげるようなことが多い。安倍総理のこれまでの発言には、以下のような言葉が頻出します。「間髪を入れず」「全力で」「徹底した下支え」「きめ細かい対策」。経済対策については、「リーマン・ショック級を上回る大胆な」「世界でも類を見ない大規模な」……。特徴として、具体性が薄いんですね。こういった言葉を頻繁に使うと、「あとは聞いたほうが勝手に想像してください」と言われているように受け取られかねない。首相の演説の原稿を作るスピーチライターの人もよく考えないと。具体的な言葉が必要な状況なのに、抽象的な言葉を使っては、ますます伝わらなくなってしまいます。
「緊急事態宣言」発令の総理会見〜行動指針と対策はセットで
4月7日に安倍総理が「緊急事態宣言」発令のため会見を開きましたが、全国民が注視している会見だけに、記者からの質問がすべて出尽くすまでエンドレスでやってもよかった、と私は思います。しかし、約1時間の会見は、「決定事項の報告」がほぼ半分を占めており、残り半分が記者の質問でした。会見では、行動制限について「人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減」という発言がありましたが、これでは一般の人には計りようがない。どういった行動をとればいいのかが示されていません。
もっと問題なのは、今すぐにでも資金が必要な人たちの不安感に応えていなかったこと。政府内でまだ詰め切っていないからなのでしょうが、経済対策の具体案が出ませんでした。ただでさえ、「緊急経済対策が遅い」という声が多いですし、お金が出るのは5月末だと聞いて、がっかりした事業主は多いでしょう。
「緊急会見」というからには、今後の方向性や方針、対策を具体的に伝えるべきでした。今すぐできるかできないかは別として、「これからこういうことをやっていきます」、「こうなった場合にはこうします」と、政府の行動指針を具体的に示す。それと同時に、「こうなった場合には、こういう対処をしてください」とか、「損害・損失を受ける皆さんにはこういうことをやります」などと対策を打ち出す。これらがセットで出てこないといけません。会見では「戦後最大の危機」という表現が使われていましたが、その危機的状況だからこそ、具体的な方策を示すべきだったのではないでしょうか。
「今、私たちが最も恐れるべきは、恐怖それ自体です」という発言もありましたが、これはアメリカ大統領ルーズベルトの演説からの引用でしょう。前後の文脈から浮いていて、借りてきた言葉だという不自然さがありました。こうした、自分の中にはない「他人の言葉」を使うと、会見を見る人にもそのことが伝わってしまうんです。
もっとも気になったのは、どの会見もそうですが、安倍総理の発言がほぼすべて「原稿読み」であること。左右に置かれたプロンプター(透明板に原稿を映し出す装置)をひたすら読んでいるから、なんの感情も伝わってこない。首振り人形のように左右を交互に見ているため、ほとんど正面を見ることがありません。これでは「語りかける」ことになりませんから、発言内容もストレートに届いてこない。
小池都知事の会見〜非常時にパフォーマンスはいらない
4月7日時点の「休業要請」は、小池さんが少し先走った感がありました。私が気になったのは、「理・美容院」にかんする食い違いで、小池さんが7日に出したプランでは入っていましたが、西村康稔経済再生相が「(理・美容院は)入れません」と言っていましたね。また、業種を指定するのはいいけれども、その休業補償について、当初政府に丸投げしていたのは問題だと思います。(編集部注・4月10日の会見では、休業要請の対象に「理・美容院」は入らず、都が独自に「休業協力金」を出すことを発表した)
小池都知事の会見には、つねにパフォーマンスの臭いがします。たとえば3月23日の会見で、小池都知事が「ロックダウン(都市封鎖)」と言いましたが、これは誤ったメッセージです。今の日本では、外出した者に罰則を与える法律も整備されていませんから、諸外国のような都市封鎖はできません。それなのに、「ロックダウン」と強い言葉を使ったために、独り歩きしてしまった、と私は思いますね。この非常時にパフォーマンスはいりません。心の内から出てくるようなメッセージを伝えてほしかった。
また、小池都知事はていねいな言葉遣いをされていますが、今は言い切る、強い言葉でないと伝わらない。丁寧に言うと、中身が薄まってしまいます。たとえば、「平日につきましては、できるだけお仕事はご自宅で行っていただきたい」、「お急ぎでない外出はぜひともお控えいただきたい」と言われたとき、はたして「禁止」に近い要請だと伝わるかどうか。「じゃあ、出かけていいのかな」と出歩いた人がいたかもしれない。そんな人たちにメッセージを正しく届けるには、強い言葉でないと駄目なんです。
パフォーマンスの面でいえば、3月25日の、最初の「緊急会見」も気になる点がありました。小池都知事が掲げるフリップが、彼女のイメージカラーであるグリーンに塗られていましたが、あの演出は必要だったのか。緊急事態であることを視覚的に伝えるのならば、たとえば赤に塗るべきでは? と感じましたね。
いつも正面、画面の向こうの国民を見て
政治家は、物を作ったり、売ったりする仕事ではありません。言葉を使って人々の共感を得たうえで、決定事項を進める。だからこそ、国民に向かって、自分の内から出てくる心情なり思いなりを語りかける必要があるんです。今の安倍総理や小池都知事の会見を見ていると、国民の心に訴えかけるような言葉はほとんど出てこない。危機的な状況では下手な言葉を挟んではいけない、というのもよくわかる。でも、ちょっと気の利いた言葉や、心から発する言葉があると、受け取る側も敏感に反応すると思います。
たとえば、非常に厳しい状況に陥っているイタリアのコンテ首相が、国民に向けて「明日抱き合うために、今日は離れていよう。明日走るために、今日は立ち止まろう」と言っていた。こういう言葉こそが、今は響くんじゃないでしょうか。
ニューヨーク州のクオモ知事も、毎日のようにテレビの前で語りかけている。ドイツのメルケル首相、イギリスのジョンソン首相は会見をやらず、動画で直接国民に語りかけることを繰り返した。彼らの目は、いつも正面、画面の向こうの国民を見ています。原稿にしばしば目をやり、「決定事項の発表」が多い会見よりも、カメラと相対する動画収録でやるほうが、メッセージの印象も強まるでしょう。
政治家にとって、今ほど言葉が重要な時期はありません。一言一句が、初めて体験する危機にある国民に、大変影響を与えるわけですから。危機にどう対処すべきか、国民はどう考えたらいいのか、具体的に示し、そして同時に、ほのかでも希望の灯が見えていることを提示し、国民を勇気づける――。それこそが今政治家がすべき、大事な仕事ではないでしょうか。
政治家が言葉を発するとき、一番大事なのは「想像力」です。自分の態度や使った言葉が、国民にどう伝わるのか、常に考え、想像しながら言葉を発していく必要があると思います。 
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●全都道府県への緊急事態宣言、16日中にも発令…首相が専門委に諮問  4/16 
安倍首相は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都など7都府県を対象に発令していた緊急事態宣言の地域に40道府県を追加し、対象地域を全都道府県に広げる方針を決めた。期間は7都府県と同じ5月6日まで。全国各地で感染が広がっている状況に歯止めをかける必要があると判断した。
首相は宣言発令に先立ち、専門家でつくる「基本的対処方針等諮問委員会」に、追加する40道府県が緊急事態に当たるかどうかを諮問した。諮問委は該当すると判断する見通し。首相は衆参各院の議院運営委員会での事前報告を経て、16日中にも発令する予定だ。
諮問委に出席した西村経済再生相は、発令済みの7都府県以外でも、患者数が急増し、都市部からの人の移動による感染拡大がみられる道府県があると報告した。そのうえで「(4月下旬からの)大型連休中の人の移動を最小化する」ため、全都道府県を宣言の対象とすることが必要だと述べた。
宣言は改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づくもので、7都府県には7日に発令されていた。 
●政府対策本部「緊急事態宣言」全国拡大 正式決定へ  4/16 
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」について、政府は先ほどから、対策本部を開いていて、東京など7つの都府県以外でも感染が広がっていることから、来月6日までの期間、対象地域を全国に拡大することを正式に決めることにしています。
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」で、専門家に意見を聴く政府の「諮問委員会」は、16日夕方、対象地域を全国に拡大するなどとした政府の方針は妥当だという見解を示しました。
これを受けて、西村経済再生担当大臣は、衆参両院の議院運営委員会に出席して事前の報告に臨み、「7都府県以外の北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府では、感染者の累積報告数が100人以上に上り、感染拡大に伴う倍に増える時間の間隔の短期化が認められる。これ以外の県でも、都市部からの人の移動による感染拡大の傾向が見られる。特に大型連休期間中における人の移動を最小化するための対応を取ることが急務だ」と説明しました。
そして、政府は先ほど午後8時過ぎから総理大臣官邸で対策本部を開いていて、「緊急事態宣言」の対象地域を全国に拡大することを正式に決めることにしています。
期間は、すでに宣言が出ている7都府県と同じ来月6日までとなります。 
●緊急事態宣言 全国に、各地の反応は・・・ 4/16 
政府が緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大する方針を固めたことを受け、各地で驚きと不安の声が聞かれました。北海道では4月に入り、感染者が再び増え始め、15日から2日続けて20人を超えています。政府が緊急事態宣言の対象地域を拡大する方針を受け、街の人からは驚きの声が聞かれました。
「全国にいきなりいくのかと驚いた。販売の仕事で売り上げが激減するだろうと。どこまでやっていけるか」(男性) 「もうちょっと早く出してもよかったと思う」(男性)
北海道の鈴木知事は、午後6時から臨時の記者会見を行い、新たな対応などを説明します。
一方、緊急事態宣言の対象地域に加えるよう知事が政府に求めていた愛知県では・・・ 「仕方ないですよね。ここまで感染が広がってしまうとそこまでしないと手の打ちようがない」(30代 会社員) 「(状況が)ひどくなってから出すのではなくて、ひどくなる前に出してくれればこっちも(仕事の)対処ができる」(20代 飲食店勤務) 「(緊急事態宣言を)出すのはいいが補償をちゃんとしてくれれば。製造業だったが今は(工場が)閉鎖になっちゃって。解雇されて、今どうしようもない」(50代 無職)
愛知県の大村知事は・・・ 「(緊急事態宣言を)40道府県増やすが、愛知はその中でも別扱いすると、西村担当相に聞いている。厳しい自粛の措置をお願いすることになる」(愛知県 大村秀章知事)  
●緊急事態宣言、全都道府県に  4/16 
安倍晋三首相は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急事態宣言の対象を全国に広げる方針を固めた。7日に東京など7都府県に宣言を出したが、地方への人の移動などで感染が全国に広がる懸念があるためだ。5月6日までの期限は据え置く。新たに40道府県の知事が法的根拠に基づき、外出自粛などを要請できるようになる。国を挙げて感染拡大防止に取り組むことになる。
首相は16日、専門家で構成する諮問委員会に宣言の対象拡大に関する意見を求めた。
新型コロナ対策を担う西村康稔経済財政・再生相は都市部からの人の移動で「クラスター(感染者集団)の拡大がある。大型連休の人の移動を最小化することが急務」と述べた。加藤勝信厚生労働相は「医療が逼迫する状況がある」と語った。
報告を受けて開く政府の対策本部で全国への拡大を正式に決定する。
全国が緊急事態宣言の対象になったことで47都道府県の全知事が住民や事業主などに出す要請に法的根拠が生まれる。外出自粛や施設の利用停止の要請ができるが、指示に従わなくても罰則はない。一方で、事業主らが正当な理由なく応じない場合は「指示」を出し、施設名なども公表できる。
7日に宣言の対象地域になった東京都は一部施設などの営業を夜8時までにするよう求めている。こうした要請にも罰則はないが、感染拡大に協力する姿勢を示すかどうかが企業の社会的評価を左右する面もある。全国的に繁華街などの夜の営業自粛を知事が求める声が広がりそうだ。
発令後も鉄道やバスなど公共交通機関は運行を続ける。一方で全国各地の知事が外出自粛に加えて、近隣都道府県への不要不急の移動や、在宅勤務の推進を求める見通しで、交通量も大幅に減る見通しだ。経済活動の大幅縮小は避けられない。
食料品や医薬品など生活必需品を扱うスーパーマーケットやドラッグストアも営業する。
政府は5月6日までに感染に歯止めがかからなければ、諮問委員会の判断を仰ぎ期間を何度でも延長することができる。5月の大型連休前に全国の感染状況などを踏まえ、延長の是非を判断するとみられる。
首相が7日に発令した宣言の対象は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県だった。(1)累積の感染者数(2)感染者が2倍になるまでの「倍加時間」(3)1日あたりの感染者数に占める経路を追えない感染者数の割合――の3つの指標を考慮して決めた。
今回の全国への拡大措置は3指標だけにとどまらない総合的な判断だった模様だ。
首相は7日の宣言発令時に、人と人の接触を「最低7割、極力8割」減らす目標を掲げたが、十分に減らすことができなかった。首相は11日も「通勤者の削減が十分でない」と述べ、出勤を最低7割減らすよう企業に求めていた。対象を全国に広げることで危機意識を高め、接触機会を削減するよう改めて促す。 
●緊急事態宣言、全国に拡大 来月6日まで、新型コロナ感染爆発へ危機感 4/16 
新型コロナウイルスの感染爆発を食い止めるため、政府は16日、私権制限を含む緊急事態宣言について、7都府県だった対象地域を全国に拡大した。期間は5月6日まで。安倍晋三首相は首相官邸で開かれた政府対策本部の会議で「ゴールデンウイークの人の移動を最小化する」と決定理由を説明した。17日に記者会見し、国民に理解と協力を呼び掛ける。
首相は会議で、北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都の6道府県で新型コロナのまん延が進み、他の県でも人の移動による感染拡大が見られると指摘。「最低7割、極力8割の接触削減を何としても実現する」と述べ、不要不急の帰省や旅行を絶対に避けるよう呼び掛けた。都道府県知事に対し、観光施設の入場制限などの検討も促した。
政府は6道府県に、当初から対象とした埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県を加えた13都道府県を、感染拡大防止の取り組みを重点的に進める「特定警戒都道府県」に指定した。
会議に先立って、感染症専門家らでつくる基本的対処方針等諮問委員会は政府の方針を了承。西村康稔経済再生担当相は衆参両院の議院運営委員会で対象地域拡大を事前報告した。
政府は今月7日、7都府県に緊急事態宣言を発令。しかし、他の自治体でも感染は深刻で、追加指定を求める動きが出ていた。政府内には経済的打撃が大きいとして全国への拡大には慎重論があったが、感染爆発への危機感から首相が決断した。
2020年度補正予算案を国会提出直前に組み替えるという異例の対応に踏み切るに当たり、「異例な状況」を演出する狙いもあったとみられる。自民党の森山裕国対委員長は「地域が拡大されると、補正予算そのものも変わってくる」と記者団に語った。  
●コロナ緊急事態宣言「次の対象地域」、倍加時間分析で浮上の有力候補とは 4/16 
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が7都府県に対して「緊急事態宣言」を発令した。それ以降、対象自治体の選定基準を巡る議論が巻き起こっている。愛知県が含まれていなかったことを指す「名古屋飛ばし」がインターネット上で話題になったことがその典型だ。そこで今回ダイヤモンド・アナリティクスチームは、感染者が2倍となる目安の日数である「倍加時間」に着目。「名古屋飛ばし」の理由や、緊急事態宣言の「次の対象」がどこになるのかなどをデータに基づいて分析した。
緊急事態宣言の対象から外れた自治体も次々に独自の宣言を発表
政府が7都府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡)に対して「緊急事態宣言」を発令して以降、その余波が各自治体に広がっている。対象から外れた自治体は、感染拡大の危機感を募らせ、次々に独自の宣言を発表している。例えば、愛知県や岐阜県、三重県、香川県などがそうだ。さらに京都府のように、緊急事態宣言の対象に含めるよう政府に要請する自治体が出てくるなど、各地で緊迫した状況が続いている。
4月14日現在、下図に示すように、感染者の累計者数は国内で約8000人に達し、死者数も100人を超えた。このままではあと3、4日で感染者1万人を突破する勢いである。
そんな中、地域住民は「なぜ自分の自治体が国の対象に含まれないのか」や「なぜ国と自治体との温度差があるのか」などと不思議に思っているかもしれない。
カギとなるのが、感染症の専門家らで構成する「基本的対処方針等諮問委員会」の尾身茂会長が会見で明らかにした、7都府県を選んだ対象基準にある。政府は以下の3つの指標に着目している。
(1)感染者の累計数
(2)感染者が2倍となる目安の日数である「倍加時間」
(3)感染者の経路が不明な割合である「孤発例」の割合
宣言の対象となった7都府県は、当時それぞれ感染者数が100人を超えており、感染経路不明者の割合も大阪、東京では5割を超えていた。つまり、感染が急拡大する中、感染者の大半がどこで感染したか分からず、クラスター対策の手段が講じられない状況となったため、非常事態宣言へと至ったのだ。
とはいえ、緊急事態宣言を県独自に出した愛知県も、感染者が100人を超える状況ではあった。では、なぜ愛知県が対象から外される「名古屋飛ばし」が起きたのか。そこで今回、着目したいのが「倍加時間」である。
倍加時間とは前述の通り、感染者が倍増するのにかかる日数であり、専門家が着目している指標だ。感染爆発を起こしたイタリアや米ニューヨークなどでは、この値が2〜3日を示していた。
感染が爆発するフェーズでは、その数は直線ではなく指数関数的に伸びていく。感染者が2日や3日で倍増する状況を迎えると、それはすなわち早晩、医療機関が患者を受け入れられずにパンクし、医療崩壊につながる危険性を示しているのだ。
政府の緊急事態宣言において愛知県ではなく福岡県が選ばれたのも、この倍加日数が大きな要因にある。尾身会長は当時の会見で「福岡は累積の報告数はいまだ少ないが、倍加時間が全国で最も短い」と指摘していた。実際、累計感染者数の倍加時間(過去7日間ベース)の推移を主要自治体別で見たのが次の図である。
「名古屋外し」の理由は倍加時間にある
図からわかるように、国内ではおよそ7日間で2倍のペースで感染者が増えている。東京都や大阪府では発令前は、それが5〜6日のペースだった。この数日でややペースが落ちているものの、まだ7日台と気の抜けない状況が続く。福岡県は、他の都市圏よりも急速に感染者が増えており、3日を切る日もあった。
一方、愛知県は倍加時間が10日より長く、他の地域よりも感染のペースが抑えられていることがわかる。他にも事情があるだろうが、データからは倍加時間が「名古屋飛ばし」の要因となったことがみてとれるのだ。
富山、広島、群馬で感染拡大
それでは、緊急事態宣言の「次の対象」はどこになるのだろうか。それを占うために、感染者数が50人以上の自治体で倍加時間に着目して上位から並べたのが下の図である。
4月14日時点で倍加時間の上位は、政府の緊急事態宣言が発令された7都府県を除くと、3.2日の富山県(感染者54人)、3.9日の広島県(同66人)、4.0日の群馬県(同97人)、4.7日の滋賀県(同51人)と沖縄県(同76人)、さらに5.1日の石川県(同131人)が続く。
一方で、北海道は14.1日と感染を抑制できている様子がうかがえる。にもかかわらず、2度目となる独自の緊急事態宣言を出して、道民に注意喚起をするなど警戒を怠っていない。
急増する石川県の感染者数
ここで着目したいのは、石川県のような地方自治体だ。谷本正憲・石川県知事は当初、感染者も少なかったことから人の交流を促し、経済活性化につなげようとしていた。だが、今回それが裏目となったようだ。
図に示すように、4月1日時点で15人の感染者が14日までに131人へと拡大した。この間、倍加時間も3日台が続いていた。この状況に、さすがに石川県も態度を変えて、県独自の緊急事態宣言の発令に至った。こうした地方部では、感染者が一気に増えると、大都市ほどの医療体制がそろっていないために医療崩壊を招く可能性が高い。石川だけでなく、先に挙げた地方都市では注意が必要だろう。
このように新型コロナウイルスのデータを巡っては、感染者数や感染不明者の割合だけではなく、倍加時間を見ることで急拡大している地域かどうかがみてとれる。引き続き、感染拡大を防ぐために備えてもらいたい。 
●総理発言 / 令和2年4月16日 
新型コロナウイルス感染症対策本部(第29回)
令和2年4月16日、安倍総理は、総理大臣官邸で第29回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました。会議では、新型コロナウイルス感染症への対応について議論が行われました。総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日、諮問委員会からも御賛同を頂き、4月7日に宣言した緊急事態措置を実施すべき区域を、7都府県から全都道府県に拡大することといたします。実施期間は、5月6日までに変更はありません。まず、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県及び京都府の6道府県については、現在の対象区域である7都府県と同程度にまん延が進んでおり、これら以外の県においても、都市部からの人の移動等によりクラスターが各地で発生し、感染拡大の傾向が見られることから、地域の流行を抑制し、特に、ゴールデンウィークにおける人の移動を最小化する観点から、全都道府県を緊急事態措置の対象とすることといたしました。
今後ゴールデンウィークに向けて、全ての都道府県において、不要不急の帰省や旅行など都道府県をまたいで人が移動することを、まん延防止の観点から絶対に避けるよう、住民の方々に促していただくようお願いします。また、域内の観光施設等に人が集中するおそれがあるときは、施設に対して入場者の制限を求めるなど、適切な対応をとるようお願いいたします。繰り返しになりますが、この緊急事態を5月6日までの残りの期間で終えるためには、最低7割、極力8割の接触削減を何としても実現しなければなりません。国民の皆様には御不便をおかけしておりますが、更なる感染拡大を防止するため、引き続きの御協力を何卒よろしくお願いいたします。
今回、緊急事態宣言を全国に拡大することによって、全ての国民の皆様に更なる御協力を頂くことになります。緊急経済対策においては、収入が著しく減少し、厳しい状況にある御家庭に限って、1世帯当たり30万円を給付する措置を予定しておりましたが、この際、これに代わり、更に給付対象を拡大した措置を講ずべきと考えます。今回の緊急事態宣言により、外出自粛を始め様々な行動が制約されることとなる全国全ての国民の皆様を対象に、一律、1人当たり10万円の給付を行う方向で、与党において再度検討を行っていただくことといたします。
この国難とも言うべき事態を乗り越えるため、政府、地方公共団体、医療関係者、専門家、事業者、そして全ての国民の皆様、正に日本全体が一丸となって取り組んでいくしかありません。各位にあっては、本日決定した新たな基本的対処方針に基づき、引き続き対策に全力を挙げてください。」  
 4/17

 

●緊急事態宣言拡大 デパート各社 休業の動き広がる  4/17 
緊急事態宣言が全国に拡大されたことを受けて、そごう・西武が18日から全国すべての店舗で食品フロアのみの営業にすることを決めるなど、デパート各社で休業の動きが広がっています。
〈そごう・西武〉東京や神奈川、兵庫などの9店舗では衣料品などのフロアを休業し食品フロアのみ営業していましたが、18日から全国の15の店舗すべてで食品フロアのみの営業とします。
〈三越伊勢丹〉東京や福岡などの11店舗で全館休業もしくは食品フロアのみ営業していましたが、18日から静岡伊勢丹と広島三越、松山三越では食品フロアのみの営業、高松三越では全館で休業とします。
〈J.フロント リテイリング〉(大丸や松坂屋を傘下に)東京や大阪、福岡などの12店舗で全館休業もしくは食品フロアのみ営業していましたが、18日からは高知県の高知大丸も全館で休業とします。
〈パルコ〉18日から全国の17店舗で一部の食品フロアなどをのぞき臨時休業します。
大手スーパーは原則営業継続
緊急事態宣言が全国に拡大されましたが、大手のスーパーは原則として営業を続けます。このうち、イオンでは、総合スーパーは原則、営業します。ショッピングセンターのイオンモールでは、食料品などを扱うスーパーは通常どおり営業し、専門店は当面、臨時休業します。イトーヨーカ堂は、通常より時間を短縮して営業します。ショッピングセンターのアリオでは、食料品などを扱うスーパーは営業し、専門店は一部を除いて休業します。西友は一部を除いて、通常どおりの営業を続けることにしています。各社によりますと、外出の自粛や在宅勤務などで自宅で過ごす機会が増えたことなどから、多くの人がスーパーを訪れているということで、感染予防策をとりながら、営業をどう継続させていくかが課題になっています。
外食チェーン 時短営業の地域拡大
外食チェーンの多くは緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されたことを受けて、営業時間を短縮する地域を広げるなどの対応を始めています。
〈ゼンショーホールディングス〉(すき家 はま寿司など約4600店舗運営)すでに東京と神奈川の全店舗で営業を夜8時までに短縮しているほか、自治体からの要請を踏まえ、そのほかの地域でも営業時間を短縮し、それ以外の時間では持ち帰りや宅配を行う方針です。
〈すかいらーくホールディングス〉(ガストやジョナサンなど運営)すでに非常事態宣言が出ていた7都府県に加えて、17日から愛知で、18日からは全国で、原則として営業を夜8時までに短縮することを決めました。持ち帰りや宅配サービスは店舗によって夜8時以降も行うとしています。
〈デニーズ〉すでに営業時間を短縮している東京、神奈川、大阪、兵庫、千葉の店舗に加えて、17日からは愛知と埼玉の店舗を、18日からは岐阜の店舗についても営業時間を短縮するほか、アルコールの提供時間を短縮する店もあります。
〈マクドナルド〉全国およそ2900店舗について自治体からの要請を踏まえて営業時間の短縮などを検討することにしています。
〈スターバックス〉全国およそ1530店舗のうち7都府県はすでに原則、休業しています。このほか愛知、京都、広島、石川、福井、岐阜の6府県では17日から順次、店内の客席での営業をやめて持ち帰りとドライブスルーとし営業時間も夜7時までに短縮します。そのほかの地域は、店内の座席の距離を離して夜7時まで営業する方針です。
コンビニの対応は
法律に基づく「緊急事態宣言」の対象地域が全国に拡大されたことを踏まえた大手コンビニの対応です。セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンは原則として営業を続けますが、それぞれの店舗の状況に応じてオーナーと相談して休業したり営業時間を短縮したりする場合もあるとしています。コンビニの店舗では、引き続きレジ待ちの客どうしが間隔をあけて並ぶように促す表示や、レジのカウンターへの透明な仕切りの設置のほか、入り口のドアを開放しての換気や、トレーを使った現金の受け渡しなどといった感染拡大の防止に向けた対策を進めていくことにしています。  
●緊急事態宣言拡大で、休校再び 戸惑いも 4/17 
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて全国に対象が広がった政府の緊急事態宣言。感染者数の比較的少ない地域などの学校では、新年度の授業を始めたり、4月中の再開を目指したりしていたが、対応の再考を迫られている。17日も全県レベルでの休校を打ち出す自治体が相次いだ。保護者は家庭での負担増などを心配する一方、先行きの不透明さに「やむを得ない」とも受け止めた。
「『やっと学校に戻ってこられた』と子供たちが喜んでいたのに」。約100人の児童が通う秋田県由利本荘市の小学校校長は肩を落とす。
16日時点で累計の感染者数が15人にとどまる同県では、政府が2月末に全国一斉の休校を要請したことを受け、県教委が市町村に臨時休校を求めた。
多くの学校が4月6日から再開したが一部地域で遅れ、由利本荘市では小学校14校、中学校10校が16日から新年度を始めたばかりだった。
秋田県は緊急事態宣言の拡大を受けて17日、県立の高校などを5月6日まで休校とすることを決定。由利本荘市も対応を検討中だが、冒頭の小学校では再び休校に入ることを前提に自宅学習用の課題などの準備を進めている。校長は「学習の遅れや生活リズムの乱れが出ないよう、子供のケアが重要となる」と話す。
岡山や高知、島根県も17日、県立校の大型連休明けまでの休校を決定。これまで15人の感染者(17日午前10時時点)が確認された島根県では国の一斉休校要請後も、感染者の確認された松江市を除き、通常の授業を継続していた。同市内などで感染者がじわりと広がっていることなどから、県は私立校などにも同様の措置を依頼した。
4月23日に小中学校の再開を目指していた水戸市は16日、休校を大型連休明けまで延長することを決めた。
市教委の担当者は不透明な先行きに「連休明けに状況がどう変わるか。給食再開の準備などもあり、頭が痛い」。市立千波小では休校中、教員が児童の自宅を回り、扉越しに会話をするなど健康や生活状況の確認に努めている。宇野博樹教頭は「少しでも児童の様子を確認できれば」と語る。
保護者からは家庭での負担が増えることなどを懸念する声が上がる。
16日時点で感染者が確認されていない岩手県。小中学生の子ども2人を育てる花巻市の助産師(41)は「また親子共に負担の大きい休校の日々が始まるかもしれない」と気をもむ。
15日夜、県内の診療所で働いていた医師の感染が確認され、周囲でも緊張感が高まっている。「いつ休校になってもおかしくない状況にあると思う。父親も仕事を休みやすくするなど、国や自治体は子育て家庭の負担軽減につながる政策に力を入れてほしい」と訴える。
岐阜県は国の対応に先行して10日に県独自の「非常事態宣言」を発表し、19日までを期限としていた県立高校の休校を5月6日までに延ばした。県内の公立小中学校や幼稚園、放課後児童クラブにも同日まで休みにするよう求めている。小学5年の長男(10)ら3人の子どもを育てる岐阜県内の男性公務員(39)は長引く休校にため息をつきながらも「岐阜県、隣接する愛知県の感染者は多い。早々と休校延長を決めた判断は妥当だったと思う」と話した。 
●»緊急事態宣言 全国拡大、反応さまざま 4/17 
新型コロナウイルスの感染拡大防止を巡り緊急事態宣言の対象を全国に拡大したことを受け、新たに対象となった地域ではさまざまな反応を見せています。対象地域の拡大を受けて北海道の鈴木知事は、「今週末の外出自粛」などを呼びかけました。「第2波ともいえる感染拡大の危機。この危機を北海道全体としても、早期に収束させなければならない」(北海道 鈴木直道知事)
一方、これまで感染者が出ていない稚内では・・・ 「やむをえない。地元の商売している人のことを考えると微妙」(男性)
また、鈴木知事は、週明けから来月6日まで道内すべての小中高校などの一斉休校を要請しました。
緊急事態宣言が全国に拡大されることを受け、唯一感染者が確認されていない岩手県では、やむをえないとする一方、戸惑いの声も聞こえてきます。
「(感染者が)出る前からしてた方がいいと思うので、(緊急事態宣言は)いいと思う」(女性) 「(緊急事態宣言は)やむをえないと思う。ちゃんと岩手の人が、それを飲み込むのか、自分もどこまで飲み込めるかわからない」(女性) 「今後の売り上げと、コロナの終息のめどが見えないので、事業をやっているものとしては、いつまで耐えればいいんだろうとか、今後どういう支援が得られるんだろうとか、お店はやっぱり休むべきなのかとか、今後考えなければいけないことがたくさんある」(男性)
一方、名古屋の街では・・・ 「名古屋の栄、交通量、そして歩いている人の数も少なく、きょうも閑散としています」(記者)
「収束も早まるんじゃないかな。だらだらやるよりはね」(男性〔金融関係〕) 「全国に出されたのは意外だった。人の流れが無くなるので大事かな」(男性〔学生〕)
愛知県と岐阜県は、重点的に感染拡大防止対策を進める「特定警戒都道府県」に指定されていて、愛知県では、17日からカラオケやパチンコ店などを対象に休業要請し、要請に応じた事業者には協力金50万円を支払います。また、岐阜県でも18日から、カラオケのほか、スポーツクラブ、保育所などを対象に休業を要請します。 
●政府、7都府県からの流入阻止 全国に緊急事態宣言、安倍首相押し切る 4/17 
政府が16日、新型コロナウイルスの感染防止に向けた「緊急事態宣言」を全国に拡大したのは、大型連休を前に感染が広がる大都市からの人の流れを止める狙いがある。経済への打撃を懸念し、政権内には根強い慎重論もあったが、安倍晋三首相が押し切った。折しも同じ日に、政府・与党では現金給付をめぐる混乱が露呈。唐突な決定には政権の混乱ぶりを薄める思惑も見え隠れする。
「国難とも言うべき事態を乗り越えるため、日本全体が一丸となって取り組んでいくしかない」。首相は16日夜の政府対策本部でこう述べ、全国への緊急事態宣言拡大に理解を求めた。
政府は緊急事態宣言に当たり、累計感染者数、感染者数が倍に増える時間、感染経路が不明な人数などを分析の目安としている。
政府関係者によると、緊急事態宣言の拡大地域はこの目安を元に愛知県、岐阜県などを対象に、14日にも発令する運びだったが、新規の感染増加が想定を下回ったため、いったん見合わせた。
しかし、累計感染者の増加による「医療崩壊」の可能性が各地で叫ばれ始め、各自治体が独自に緊急事態を宣言する動きも続出。3月下旬の3連休で警戒が緩み感染が急拡大したことを踏まえ、今月下旬からの大型連休に向けた対応が迫られていた。
急きょ、16日午前から首相官邸と感染症の専門家による調整が本格化。宣言に伴う地方経済への影響を懸念し、対象を北海道や京都府などに絞り、17日に発令する案も一時検討されたが、首相の意向で16日中の全国発令が決定。同日夕開かれた諮問委員会には関連資料がそろわず、急な政治決断だった様子がうかがえた。
一方、事態が急展開した16日は、政府が当初まとめた収入減世帯限定の現金給付案が公明党の反発で頓挫。異例の補正予算案組み替えに追い込まれた。自民党幹部は緊急事態宣言の全国拡大を引き合いにし、「理屈づけにはもってこい。災い転じて福となすだ」と指摘。宣言拡大を大義名分に、10万円の現金給付を進める考えを示した。 
●「緊急事態宣言」全国拡大「特定警戒」13都道府県 新型コロナ  4/17 
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」について、政府は16日夜に開いた対策本部で、東京など7つの都府県以外でも感染が広がっていることから、来月6日までの期間、対象地域を全国に拡大することを正式に決めました。16日夜、官報の号外に記載され、効力が生じました。また、政府は、これまでの宣言の対象の7都府県に北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6つの道府県を加えたあわせて13都道府県について、特に重点的に感染拡大防止の取り組みを進めていく必要があるとして、「特定警戒都道府県」と位置づけました。さらに、安倍総理大臣は、すべての国民を対象に、一律で1人あたり10万円の給付を行う方向で、与党で検討を進める考えを明らかにしました。
「緊急事態宣言」対象地域を全国に拡大
政府は、16日夜8時すぎから、総理大臣官邸で対策本部を開きました。この中で安倍総理大臣は「北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県および京都府の6道府県については、現在の対象区域である7都府県と同程度にまん延が進んでいる」と述べました。そして「これら以外の県においても、都市部からの人の移動等によりクラスターが各地で発生し、感染拡大の傾向がみられることから、地域の流行を抑制し、特にゴールデンウィークにおける人の移動を最小化する観点から、全都道府県を緊急事態措置の対象とすることとした」と述べ、「緊急事態宣言」の対象地域を全国に拡大し、期間はすでに宣言が出ている7都府県と同じ、来月6日までとすることを正式に決めたと明らかにしました。
安倍首相 全国民に不要不急の移動自粛を呼びかけ
政府の対策本部で、安倍総理大臣は「不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで人が移動することを絶対に避けるようお願いする」と述べ、すべての国民に対し不要不急の移動を自粛するよう呼びかけました。また「この緊急事態を、5月6日までの残りの期間で終えるためには『最低で7割、極力8割』の接触削減を何としても実現しなければならない。国民の皆様には、ご不便をおかけしているが、さらなる感染拡大を防止するため、引き続き、ご協力を何とぞよろしくお願いしたい」と呼びかけました。
政府 大型連休に向け 地方への移動 抑制したい考え
政府は、宣言の対象を全国に拡大することで、今月下旬から始まる大型連休に向けて都市部から地方への人の移動をできるだけ抑制したい考えで、安倍総理大臣は17日午後6時をめどに記者会見を開き、国民にどのような協力を求めるかなどについて説明することにしています。
一律1人あたり10万円給付へ
一方、安倍総理大臣は、緊急経済対策に盛り込まれた現金給付について「緊急経済対策では、収入が著しく減少し、厳しい状況にあるご家庭に限って、1世帯当たり30万円を支給する措置を予定していたが、この際、これに替わり、さらに給付対象を拡大した措置を講ずるべきと考える。今回の緊急事態宣言により、外出自粛をはじめ、さまざまな行動が制約されることとなる全国すべての国民の皆さまを対象に、一律1人あたり10万円の給付を行う方向で、与党で、再度、検討を行っていただく」と述べました。
13都道府県を「特定警戒都道府県」に
「緊急事態宣言」の対象地域を全国に拡大したことにあわせて、政府は、「基本的対処方針」を変更し、全国の住民に対し、大型連休中の県外への移動については、法律に基づいて自粛を要請するとしています。この中では、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6つの道府県について、これまでの宣言の対象の7都府県と同程度にまん延が進んでいると指摘しています。そのうえで、これらのあわせて13の都道府県は、特に重点的に感染拡大防止の取り組みを進めていく必要があるとして「特定警戒都道府県」と位置づけています。また、それ以外の県についても、都市部からの人の移動などで感染拡大の傾向が見られるうえ、医療提供体制が十分に整っていない場合も多く、医療が機能不全に陥る可能性が高いと指摘しています。そして、大型連休中も含め、いまの時期は、全ての都道府県が足並みをそろえて感染拡大の防止に取り組む必要があるとして、宣言の対象地域を全国に広げるにあたっての取り組むべき対策を列挙しています。
具体的には、全国の住民に対し、不要不急の帰省や旅行などを極力避けるよう促し、特に、大型連休中の県外への移動については、法律に基づいて自粛を要請するとしたうえで、観光施設などに人が集中するおそれがある時は、入場者の制限などの適切な対応を求めるとしています。また、全国的かつ大規模なイベントの開催は、リスクへの対応が整わない場合、中止や延期も含めて慎重な対応を求めるとしています。さらに、職場への出勤についても、在宅勤務や時差出勤などを強力に推進するとしています。そして、感染拡大につながるおそれがある施設の使用については、法律に基づいて、制限の要請や指示を行うとしています。ただ、13の「特定警戒都道府県」以外の34県は、出勤に関する取り組みや施設の使用制限については、地域の感染状況や経済や社会に与える影響を踏まえて、それぞれの知事が適切に判断するよう求めています。
西村経済再生相「全都道府県で人との接触機会8割減を」
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の対象地域を全国に拡大したことを受けて、西村経済再生担当大臣は記者会見で、感染の拡大を防ぐため、すべての都道府県で、人と人との接触の8割削減を目指す考えを示しました。この中で、西村経済再生担当大臣は、「人と人との接触機会の徹底的な削減が重要で、すべての都道府県で、極力8割程度の接触機会の低減を目指す。不要不急の帰省や旅行などは極力控え、繁華街の接待を伴う飲食店の利用も厳に自粛をお願いしたい」と協力を呼びかけました。また、先週から、宣言の対象となっている7都府県に、北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都を加えた13の都道府県は感染が拡大しているとした上で、「場合によっては、特定の施設の使用停止の要請、指示、公表などのより強い措置を考えなければならない」と述べました。一方で、それ以外の34の県については、「外出やイベントの自粛などを考えてもらおうと思うが、感染者数が少ないところもあるので、感染状況や経済への影響を踏まえて、知事に判断していただく」と述べ、地域の実情に応じて柔軟に対応してもらう考えを示しました。さらに、西村大臣は、都道府県との緊密な連携が必要だとして、17日、全国知事会の飯泉会長らとテレビ会議を行い、今後の取り組みなどについて意見を交わすことを明らかにしました。
諮問委 尾身会長「6道府県は7都府県と同基準で選んだ」
「諮問委員会」の尾身茂会長は、記者会見で、これまで宣言の対象だった7都府県に6つの道府県を加えた13の都道府県を「特定警戒都道府県」としたことについて、「6道府県については、7都府県とまったく同じ基準で選んだ。当初から、専門家の立場では、恣意的に選ぶことはやるべきではないという立場だ」と述べました。そのうえで、対象地域を全国に拡大したことについて、「客観的な基準とは別のファクターを考えてやったということだと思う」と述べ、13の都道府県を選んだ基準とは別の観点の判断を政府が行ったという考えを示しました。 
●緊急事態宣言全国へ 10万円給付、安倍首相が説明 4/17 
令和2年4月17日 新型コロナウイルス感染症に関する安倍総理大臣記者会見
「緊急事態宣言を発出してから10日がたちました。この間、毎朝、店を開き、食料品など生活必需品を棚に並べてくださっている皆さんがいます。レジの対応をしてくださっている皆さん、そして、物の流れを絶やすことのないよう、昼夜分かたず配送に携わっている皆さんがおられます。緊急事態の中にあっても、私たちの生活を守るために事業を、営業を継続してくださっている皆様に心より感謝申し上げたいと思います。
高齢者の介護施設や、保育所などでは、多くの職員の皆さんが感染予防に細心の注意を払いながら、必要とする方々のため、事業を続けてくださっています。電力やガス、水道の供給、ごみの収集・焼却、鉄道の運行、こうした社会インフラがしっかりと維持されなければ、私たちの生活は成り立ちません。そのために日夜、頑張ってくださっている皆さん、こうした皆さんの存在なくして、私たちは長期にわたるこのウイルスとの闘いに打ち勝つことはできません。目に見えない恐ろしい敵との闘いを支えてくださっている、こうした全ての皆様に心より御礼を申し上げます。
そして、人と人との接触を最低7割、極力8割削減するとの目標の実現に向けて、外出自粛の要請に応えてくださっている国民の皆様に改めて感謝申し上げます。
事業者の皆さんにも在宅勤務を原則とするなど、多大な御協力を頂いています。
しかし、1日当たりの新規の感染者数は、まだ減少には至っていません。東京都では、本日、過去最高の200人を超える感染者の報告がありました。大変厳しい状況です。
都市部の平日の人出は、感染拡大前と比べて、東京の渋谷周辺では6割程度、大阪の梅田周辺では7割程度減少していますが、いまだ目標のレベルには達していません。最低7割、極力8割の接触削減を実現できない限り、1日当たりの新規の感染者数を大きく減少に転じさせることは困難です。
累積の感染者数は、東京都では既に3,000人に迫っています。大阪府でも1,000人を超えました。各地で軽症者の皆さんにホテルなどで療養していただく取組も進んでいますが、医療現場からは悲鳴が上がっています。守れる命も守れなくなる。感染リスクと背中合わせの中で、現場の医師や看護師の皆さんの肉体的な、精神的な負担は限界に達しています。
皆さんに改めてお願いいたします。どうか、外出を控えてください。できる限り、人との接触を避けてください。そのことが医療現場を守り、多くの命を守ることになります。ひいては、皆さんや皆さんの愛する人たちを守ることにつながります。全ては私たち一人一人の行動にかかっています。
昨日、緊急事態宣言の区域を7都府県にとどまることなく、日本全国へと拡大することといたしました。尾身会長を始め、諮問委員会の専門家の皆さんから賛同を頂き、政府対策本部において決定したものです。
足元では、全国各地でクラスターと呼ばれる集団感染が確認されるようになっています。これについては、3月の三連休における緩み、都市部から地方への人の移動が全国に感染を拡大させた可能性があるというのが専門家の皆様の分析です。
また、東京都や大阪府など7都府県では、既に知事による休業要請などが進む中で、一部にコロナ疎開と呼ばれるような、外の地域への人の動きが見られるとの指摘があります。間もなくゴールデンウィークを迎えますが、感染者が多い都市部から地方へ人の流れが生まれるようなことは絶対に避けなければならない。それは最も恐れるべき事態である、全国的かつ急速なまん延を確実に引き起こすことになります。
先週の記者会見でも申し上げましたが、地方には重症化リスクが高いといわれる高齢者の方々がたくさんいらっしゃいます。その感染リスクが高まれば地域医療に大きな負担となり、ひいては、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあります。
こうした事態を避けるため、大型連休に先立ち、それぞれの地域で観光施設への休業要請も必要となるでしょう。人の流れを、人の流入を防ぐため、各地域が所要の緊急事態措置を講じることができるよう、今般、緊急事態宣言の対象を全国に拡大することとしました。
そのため、期間についてはこれまで同様、ゴールデンウィークが終わる5月6日までといたします。あと20日間、日本全体が一丸となってこのウイルスとの闘いを闘い抜いていく。全国の都道府県と手を携えて、皆さんの健康と命を守るため、あらゆる手段を尽くしていきたいと考えています。
今回、緊急事態宣言を全国に広げ、全ての国民の皆様に御協力をお願いします。感染症の影響が長引き、全ての国民の皆様が厳しい状況に置かれています。長期戦も予想される中で、ウイルスとの闘いを乗り切るためには、何よりも、国民の皆様との一体感が大切です。
国民の皆様と共に乗り越えていく。その思いで、全国全ての国民の皆様を対象に、一律に1人当たり10万円の給付を行うことを決断いたしました。収入が著しく減少し厳しい状況にある御家庭に限って、1世帯当たり30万円を給付する措置を予定しておりましたが、国民の皆様から寄せられた様々な声、与野党の皆様の声も踏まえまして、更に給付対象を拡大することといたしました。
これに伴って、現金給付の総額も、これまでの6兆円から14兆円を上回る規模へと大幅に拡大することとなります。補正予算の編成をやり直すこととなるため、更に1週間程度の時間を要することとなりますが、速やかな国会成立に向けて御協力をお願いしたいと思います。
ここに至ったプロセスにおいて混乱を招いてしまったことについては、私自身の責任であり、国民の皆様に心からおわびを申し上げたいと思います。
日々、事態が大きく推移する中で、国民の皆さんの健康と暮らしを何よりも最優先に、そして、国民の皆さんの声にしっかりと耳を傾けながら、常にベストな判断をするよう、最善を尽くしていく。その責任をこれからも果たしていく決意であります。一日も早く、現金を皆さんのお手元に届けられるように、実施に当たる自治体や関係機関の方々と協力し、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
リーマンショックのとき、全国民一律に配付した定額給付金の際には、皆さんに案内をお送りする作業だけで3か月もの時間を要しました。そのため、今回はスピードを重視するとともに、申請する人が殺到して感染リスクが高まることを避ける観点から、手続については市町村の窓口ではなく、郵送やオンラインによることにしたいと考えています。
緊急事態宣言が拡大することにより、全国の観光業・飲食業の皆さん、イベントに携わる方々には大変な御苦労をおかけしています。事業者の皆さんへの現金給付も速やかに実施していきます。休業要請を行っている自治体では、個別に協力金をお配りする動きもありますが、国として休業要請した、そして、休業要請に応じた方々のみならず、今回の感染症で売上が減少した事業者の皆さんを全国的に幅広く支援してまいります。
中小法人は200万円、フリーランスを含む個人事業者の皆さんには100万円を上限に、国として現金給付を行ってまいります。
また、納税時期が迫っている皆さんも多いと思いますが、納税や社会保険料の納付を猶予することで、手元資金を事業継続に活用していただけるようにします。
この困難な中にあって、本当に歯を食いしばって頑張っておられる皆様、必死に前を向いて取り組んでおられる皆さんを、政府はあらゆる手を尽くして支援してまいります。皆さんの努力は決して無駄にしません。共にこの緊急事態を乗り越えてまいりましょう。
このところ相次いで病院内でのクラスター発生、院内感染が報告され、事態を大変憂慮しております。全ての医師、看護師、看護助手、そして病院スタッフの皆さん、臨床検査技師の皆さん、さらには保健所の皆さん、こうした皆さんこそが、今、最前線にあって、感染リスクと背中合わせの苛酷な環境でウイルスとの闘いに臨んでくださっています。
この現実に立ち向かうため、国として自治体と連携し、感染予防に必要な医療防護具を1つでも多く現場にお届けします。医療用ガウンや高機能マスクなどを、産業界の全面的な協力を得て、調達いたします。今週から初診も含めたオンライン診療を先行的に解禁しました。院内感染のリスクを減らすためにも、全ての皆さんや、正に全ての皆さんに電話やオンラインでの診療を積極的に御活用いただきたいと思います。各地の医師会の協力も得て検査センターを設置します。かかりつけ医の皆さんが必要と判断した場合には、直接このセンターで検体を採取し、民間検査機関に送ることで保健所などの負担を軽減してまいります。
厳しい現実に立ち向かうため、国としてこれまでに延べ13,000人を超える自衛隊員を動員し、自治体による軽症者の宿泊施設への移送などを支援してまいりました。医療資源を重症者に集中することで医療現場の負担軽減に取り組みます。
今、この瞬間も重症者の命を救うため、命を守るため、懸命に治療に当たってくださっている医師、看護師の皆さん、医療従事者の皆さんのため、診療報酬を倍増するなど処遇の改善にもしっかりと取り組んでまいります。
そして、現実に必死で立ち向かっている現場の皆さんに、私たちは心からの敬意と感謝の気持ちを表すことができます。現在の厳しい状況に全力で立ち向かっている医療従事者の皆さんに、全国各地で拍手を送り、また、ライトアップを行って、感謝の気持ちを示す取組が行われています。本当にありがとうございます。
でも、私たちにはもっとできることがあります。それは目の前の現実に立ち向かうだけでなく、未来を変えることです。私たち全員が、今、不要不急の外出を避けることで、2週間後の新規の感染者数を劇的に減らすことができます。それは間違いなく、医療現場の負担を減らすことにつながります。2週間後の医療現場の状況を決めるのは正に今なのです。未来は私たちの今の行動にかかっています。医療現場を支えるため、その負担を減らしてください。皆さんの力で未来を変えてください。緊急事態に皆さんの御協力をお願いいたします。
私からは以上であります。」  
●小池都知事 発言が「男前」とネット上絶賛「惚れた」「かっこいいぞ」 4/17 
東京都の小池百合子知事が17日午後、東京都庁で会見を行った。新型コロナウイルス感染拡大を受けての連日の激務による体調を心配する質問に対し、小池氏が答えたコメントが男前だとネットが絶賛した。
この日の小池氏はいつも通りの手作りマスクで登場。疲労からか目の下にクマが見られるなど顔色が良くない様子で、いざ話し始めると、咳払いや痰(たん)が絡む場面も見られた。
これを受け、会見では知事自身の体調について尋ねられた。小池氏は「コロナにかかってしまうと都庁が動かなくなってしまう。まず自分自身かからないために免疫力を落とさないように心がけております。体調は大丈夫です」とほほ笑みながら回答した。
この日も都内で新たに201人の新型コロナウイルス感染者が判明。小池氏は東京の長として「『打ちてし止まん』ですから、とにかく都民の命を守ることが私の最大のミッションだと思いながら、それがエネルギーになって、みなさんとともにコロナに打ち勝っていきたいと思います」と決意表明した。
生放送された動画配信サイト「ニコニコ生放送」のコメント欄には「男前過ぎて惚れた」「ステキです」「かっこいいぞ」「ありがとう百合子」と絶賛の声があふれた。 
 4/18

 

●緊急事態宣言拡大 東北の各業界、懸命対応 4/18 
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い全国に緊急事態宣言が拡大されて一夜明けた17日、客足がさらに遠のいた東北の観光地や飲食店からは深いため息が漏れた。生活用品を求める買い物客の対応に追われる店員や、早期終息を信じて稽古に励む芸者の姿もあった。
タクシー 乗客いない/仙台
「この商売を40年間やっているが、ここまで客がいないのは初めて」。仙台市青葉区のJR北仙台駅前で客待ちをしていたタクシー運転手斎清彦さん(69)=富谷市=がため息をつく。東京都が週末の外出自粛を呼び掛けた先月下旬から乗客が減り始めた。今月の売り上げは前年に比べ半分以下となる見通し。宣言の対象拡大で状況はさらに厳しくなりそうで、「この先の生活が不安だ」とつぶやく。JR仙台駅周辺も状況は同じ。運転手の一人は「どこに行っても乗客がいない」と嘆いた。
薬局 ビニール幕設置/青森
青森市の「ハッピードラッグ新城店」はレジの前にしぶきを防ぐビニールを設置するなど、来客のさらなる増加に備えた。客が距離を空けて並ぶよう1メートル間隔の目印を床に貼り、店員には手の消毒徹底を改めて呼び掛けた。慢性的なマスク不足が続く。客が殺到しないよう開店と同時の販売はやめ、入荷があり次第、店頭に並べる方式に改めた。柏木優汰店長(25)は「マスクや消毒液はいつ何個入ってくるか全然分からない。問い合わせはとても多いが答えようがない」と困り顔だった。
スーパー 対策変えず/盛岡
全国で唯一、感染者が確認されていない岩手県。盛岡市長橋町のスーパー「ジョイス長橋台店」の吉田隆店長(53)は「宣言の全国拡大の影響か、きょうは買い物客が2割ほど増えた。一部のインスタントラーメンが売り切れ、レトルトカレーなど保存できる食品がよく売れている」と説明する。マスクの欠品は相変わらずで、ティッシュペーパーがよく売れている。他の商品に大きな変化はなく、「店として特別な対策は取らない。客数の変化を見ながら今後の対応を考えるつもりだ」と語る。
芸者 稽古は続けたい/秋田
「お客さまに見てもらえないのは残念ですが、稽古は休まず続けたい」。昨年、秋田市の花柳界で約40年ぶりに舞妓(まいこ)から芸者になった紫乃(しの)さんが打ち明ける。同市の歓楽街・川反は営業自粛や時間短縮で次々と街の明かりが消えている。舞妓の派遣・育成を手掛ける会社「せん」は9日から休業に入った。2人の舞妓と共に自主的に出社し、踊りなどの芸を磨く。17日も三味線を手に自分と向き合った。「課題の克服に力を入れ、いつでもお客さまの前で披露できるよう準備したい」と、にぎわいが戻る日を待つ。
そば店 持ち帰り活路/山形
山形市中心部に2店を構える老舗そば店「そば処庄司屋」は、前日に続き時短営業中。庄司信彦社長(45)は「県内外からの出張、観光の客足が減るのは仕方がない」と受け止める。巣ごもりの傾向が強まり、10日にテークアウトを始めた。もりそばや、天ぷらが付いた3人前の家族セットなど1日計約40件の注文が舞い込む。17日も従業員が忙しく対応した。一方で、店を応援するそば好きの地元住民も多い。「閉店すれば簡単だが従業員の生活もある。状況に合わせ柔軟に対応したい」と前を向く。
温泉宿 震災より深刻/福島
福島市西部の山あいにたたずむ土湯温泉。「初めから全国に宣言が出ていれば、感染拡大を食い止められたかも」。土湯温泉おかみ美湯の会会長で旅館「山水荘」専務の渡辺いづみさん(59)は悔やむ。14日までの2カ月半で、宿泊予約のキャンセルは6000人を超えた。今月は予約のない12日間を既に休館にした。自粛が長引けば廃業せざるを得ない同業者も出てくる。「具体的な補償がなければ、旅館や観光業はいずれ立ち行かなくなる。東日本大震災より状況は深刻だ」と不安を隠さない。 
 4/19

 

 
 4/20

 

 
 4/21

 

 
 4/22

 

●総理発言 / 令和2年4月22日
新型コロナウイルス感染症対策本部(第30回)
4月22日、安倍総理は官邸で第30回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました。総理は、議論を踏まえ、次のように述べました。
「緊急事態宣言の発出から2週間が経過しました。現在、全国で、国民の皆様には、外出自粛や3密の回避等、大変な御協力を頂いていることに、心から感謝申し上げたいと思います。
本日は、専門家会議において、この2週間の行動変容を踏まえた現状分析と提言を頂きました。まず、現状については、人の流れについてのデータを踏まえると、例えば、都市部では、感染拡大前に比べて、平日でおおむね6割以上、休日ではおおむね7割以上という減少率であり、接触機会の8割削減を目指し、テレワーク等の徹底を通じた、より一層の国民の皆様の努力が必要な状況とのことです。あわせて、この度発表された、人との接触を8割減らす、10のポイントには、日常生活に着目した様々な工夫が詰まっています。国民の皆様におかれましては、是非、今一度、行動を見直していただき、8割接触削減に御協力をお願いいたします。
また、これから、ゴールデンウィークを迎えるに当たっても、注意喚起を頂きました。これまでの状況を見ると、3月の中旬から連休にかけて、警戒が一部緩み、都道府県をまたいだ帰省や旅行により人の流れが生じ、都市部から地方へと感染が拡大したと考えられる事例も発生しています。
人混みに出掛けて自らを接触のリスクにさらしてしまう機会を厳に慎むよう、お願いします。そのため、今年のゴールデンウィークにおいては、例えば実際に帰省するのではなく、ビデオ通話を使用したオンライン帰省を行っていただくなど、外出自粛への御協力を是非お願いしたいと思います。
また、感染症の影響が長引き、全ての国民の皆様が厳しい状況に置かれています。長期戦も予想される中で、国民の皆様と共に、この難局を乗り越えていくため、全国全ての皆様を対象に、一律に、1人当たり10万円の給付を行うことといたしました。1日も早く、現金を、国民の皆様のお手元にお届けすることが重要です。総務大臣におかれては、速やかな執行に向けて、実施に当たる自治体や関係機関の方々と協力して、全力で取り組んでください。
この緊急事態をできるだけ早期に収束に向かわせるためには、今が非常に重要な時期となります。本日頂いた提言も踏まえ、何としても8割の接触機会の低減を実現するべく、政府としても、感染拡大防止に向けた取組を徹底してまいりたいと思います。
各位にあっては、引き続き、対策に総力を尽くすとともに、緊急経済対策の迅速な実施、そして、そのための補正予算の早期成立に向けて、全力を挙げていただきますようにお願いします。」  
 4/23

 

●「緊急事態宣言」延長を主張 専門家会議に参加の和田耕治教授 4/23
「5月6日までとなっている緊急事態宣言の期限を延ばすべき」。政府の専門家会議に参加している国際医療福祉大学・和田耕治教授は、もう少し時間が経たないと効果を評価できないとしつつも、そう主張しました。
Q. 「濃厚接触者」の定義が変更になった。市民はどのように受け止めれば良いか / ※濃厚接触者の定義変更・・・ 国立感染症研究所は濃厚接触者の定義について、マスクなどの感染対策をしないで接触した人のうち、患者と接触した時期をこれまでの「患者が発症した日以降」から「患者が発症した日の2日前」に、患者との距離や接触時間を「目安2メートル以内」から「目安1メートル以内で15分以上接触した人」と変更した。
和田教授: いわゆる「濃厚接触者」と言われる方、これが「発症した方と(発症の)2日前から接した」というのをカウントするというように定義が変わりました。これまでは発症した日に接触があればその方を「濃厚接触者」としていたが、症状のはじまる2日前からを含めるというのが大きな変更です。さまざまな論文でも出ていますが、症状が出る前からウイルスが出ていたということが分かりましたので、今回そういった対応を含めた形になります。いわゆるインフルエンザとはまた違いまして、インフルエンザも発症する1日前からほかの人にうつしうることが実験的にわかっていますが、それよりも新型コロナはほかの人にうつす期間が長くて、しかも2日前のウイルス量が比較的多いということがわかってきている。インフルエンザは1日前から出ているとは言いつつも、ウイルス量は症状が悪くなっていくに従って増えていくのが特徴だったんですが、新型コロナはそれとは違って、比較的元気な方がこういう風に声を出すことによって相手に感染をさせてしまうことがわかった。15分程度でも1m以内でお互いにマスクをしていない中での感染もありますので、「1m以内の15分」というのを目安として入れました。しかしながらすべてがそうだというわけではなく、外であったら換気がいいので、カウントしなかったりとか総合的に考えることにはなっている。
Q. 市民はどこに気をつけて生活するべきなのか
和田教授: 今後は話をするときには、マスクをしていただく。これはいわゆるガーゼマスクでも結構ですし、スカーフのようなものやバンダナのようなものを使ってもいいというのはアメリカのCDC(疾病対策センター)にも書いてあります。話すときは1m、できれば2mの距離をあけること、できれば口を覆うようなマスクをしていただく、習慣としてやっていただく必要があります。
Q. 1mの距離で15分以上が濃厚接触者というと飲食店に2人でいくのも・・・
和田教授: 今後少しずつ生活のリズムを取り戻す中で・・・例えば外食に行くようなところが今閉まっています。どういう風にしたらいいかは非常に悩ましくて、少し距離をあけるとか、換気を良くするとかがあります。一方で、お話をすると感染してしまうのがありますから、なかなか、外食産業にはいろいろなことを考えていただかないと、いけないなと考えている。
Q. 発症前の人も移してしまう可能性があるとなると、どう気をつければ良いのか
和田教授: 誰もが感染している可能性があるというのを考えるのは非常に差別とか偏見にもつながりうるので難しいところはあります。しかしながら逆に言うと、お互いが思いやるということで、自分がうつすかもしれないし、うつされるかもしれない、ということで顔を覆っていただくというのが今後1年以上は習慣として根付いてくるものになるんじゃないかと思います。
Q. フェーズが変わってきている
和田教授: 世界的に広まっていますので、誰もが「自分がもしかしたら大事な人にうつしてしまうかもしれない」「近しい方からもらうかもしれない」ということを考えてのマスクの着用ということ、距離をあけるということが今後根付いていくことが求められます。
Q. 発症前は感染させるリスクが低いと言われていたがなぜこの段階で変更になったのか
和田教授: これまでの研究の積み重ねにより、2日前も含めることによって感染の拡大を抑えられることがわかってきた。新型コロナは12月30日くらいから話題になり始めて、いろんな研究がなされて3、4か月の間にいろんなことがわかってきた。今後も、新たなことがわかってきて、対応が変わるようなこともあるかもしれません。しかし、できることをどんどんやっていくことが大事になってきます。
Q. 海外の知見では発症前のクラスター(集団感染)もあるが
和田教授: 実際に起きたクラスターの分析だとか、研究も含めてウイルスの量を確認したことによっての変更になります。
Q. 「緊急事態宣言」が出て2週間。感染者の数の評価
和田教授: ちょうど私たちが感染者の数としてみるのが2週間前の人たちが潜伏期間を経て、発症して、検査に至ってということになりますので、今日(21日)の段階ではまだ緊急事態宣言がどういった風に感染者を減らしてるのかと考えることはできません。様々な形で皆さんにご協力いただいて、自粛をしていただいたりだとか、テレワークをしていただいたりしています。人々の行動の減少が感染者の減少にもつながってくることはわかっていることですが、今の減少の度合いが実際にどのくらい変わるかということはもう少しデータをみないとわかりません。場合によっては減りが悪いようであれば、もう少し自粛をお願いすることもあるかもしれませんし、逆にいい成果が得られてるようであればこういったものをスタンダードにしながら1、2年をどう乗り越えていくのかということの基礎データにもなると考えています。
Q. 5月6日に解除になるが・・・宣言の効果は
和田教授: 今日の段階では難しいが、5月6日の前にはある程度出そろったデータはお示しすることができるかもしれません。しかしながら、緊急事態宣言をどうするかということに関しては、一番はまず感染者の数がどうかということ、もう一つは医療の負担がどのくらいあるかということになります。いま入院されている方、今日何人か出た場合にはその方々が大体20日位入院が必要になります。そうすると5月6日の段階には、その方々が毎日蓄積された方が、病床を埋めているという状況になります。今の状況から考えると、病床は非常に逼迫をしております。もちろんホテルの中に移っていただく方も増えてはいますけれども、まだまだ重症の方も増えてますし、亡くなられる方も増えてきています。ですので5月6日の段階で緊急事態宣言を終わる、ということは個人的にはないと考えています。いわゆる東京とか大都市はそうだと考えています。
Q. 一番大きな理由は
和田教授: 延長が必要だというひとつの大きな理由は、やはり病床の確保の問題だと思っております。かなり患者さんの数も多いですし、医療者の負担も大きくなっています。ですので、また再開してまた患者さんの数が増えるといわゆる医療崩壊がまた起きてしまうということにもなります。すでに起きているような地域もありますので、今後この中長期戦のなかでどう戦いを展開していくのかということからすると、この段階でしっかりと患者さんの数を減らす、ということがとても重要。
Q. 6日の解除は全国一律の対応が良いのか、段階的な方が良いのか
和田教授: 私は公衆衛生が専門なのですが、全体の対策を考えたなかで緊急事態宣言はもう少し比較的長めに出して考えるのが良いのかと考えています。1か月か2か月かわかりません。全国を対象に緊急事態宣言を1か月2か月延ばす。それによって何をするかというと今後は政府もいろいろな取り組みをしますけれども、各都道府県が自分のところの状況をみて対策を考えていくことが1〜2年必要なんですね。各都道府県が、病床がどうなっているか、感染状況がどうなっているか、検査はどのように確保するのか、自粛はどうするのか、建物の使用制限はどうするのか、学校はどうするのかということをみんなで知恵を絞って考えていかなければならない。もちろん都道府県のなかには専門家がたくさんいるような地域が東京も含めありますけれども、一方全然いないようなところもある。その場合はお互いの都道府県の政策の良好事例を共有していただきながら、どうやってこの難局を乗り越えていくのか、ということを考えていくしかないと思います。ですので、緊急事態宣言を少し長めにしながら都道府県のリーダーシップをここで確立する。知事や市町村長のリーダーシップを非常に大きく期待しています。もちろん彼らは専門家ではありませんので、その中での専門家というのを含めて体制を作っていく、そんな時期だと考えています。
Q. 緊急事態宣言は全国一律に延長して、個々の対応を都道府県知事が考えることが必要
和田教授: そういうことですね。
Q. 延長のスパンについて先生の意見は
和田教授: 難しいですね、難しいです。流行の状況を見ながら考えていかないといけないです。患者の数だけではない。医療機関のなかでの院内感染があると50人〜100人という人方が感染したりする事例もあります。一方で地域での流行をみるなかで、いわゆる孤発例はどれくらいか、弧発例かどうかは感染された方がどの程度情報を開示してくださるかにもつながる。今後、今感染者が少ない地域でも、もし不幸によって感染されたような方は、ほかの人に広めないために様々なご協力をいただかなければいけません。誰と会ったのか、どれくらい話をしたのか、その方に連絡していいのかというところが、より積極的な疫学調査という名のもとでの、保健所での対応につながるわけです。場合によっては今他の国でもやっていますが、スマートホンのアプリの中に誰と会ったのかというような情報共有をしていく、発症した場合にはその記録をもとに、もちろん本人の同意をとりながらその方々に連絡をするということを今後日本でもやろうと考えています。
Q. 少なくとも1か月以上は延ばさないといけない?
和田教授: それは時間の問題じゃないと思うんですよね。地域での感染の状況によりますし、緊急事態宣言を短くするということが良いことかわからないのですが、だんだん出たり消えたり、出たり消えたりというのが、インパクトが小さくなることを危惧しています。緊急事態宣言以上のものは今もうないので、私たちがもしそこに慣れてしまって「いつものものか」と思うことがないようにしないといけない。外出を自粛されて普段の生活とは全く違うようになって、お仕事がなくなったり給料も減らされている、いろんな方が本当に不安に思っていらっしゃると思う。でも中長期的なところ、みなさんには少しずつ理解していただく、この生活が1年間続いたらどうするかといったところを、事業者も個人も頭の体操をしながら、どうしたら自分たちの会社や個人の生活が守れるかといったところを考えていただく時期にあると考えています。
Q. 学校を再開させていいのか
和田教授: 「緊急事態宣言が出ている=学校を閉める」と思っていらっしゃる自治体の知事が多いように危惧しています。学校といってもいろいろありまして、小学校・中学校・高校・大学、幼稚園。そのなかで特に強調したいのは、小学校・中学校は比較的生活圏のなかである程度限定した動きになる。都市で患者さんが発生しているような地域は、本当に難しいところはありますが、患者さんが全然出ていない生活圏のなかでは、学校やっていただくのは全く問題ないと思っています。学校の先生方も、小・中に関しては市町村が主な担当になりますので、自分のところの生活圏を見ながら、どうやったら学校ができるのかということを真剣に考えていただきたいと思う。ひとつには生活圏の患者さんの数がどうかということを、特にここ1〜2週間をモニターしていただくことがひとつ、もうひとつは特に中3とか小6とか、卒業が近い方々は1年間学校に行けないといろんなことが困る。どこを優先してやるかというところを知恵を絞って、例えば(月)(水)(金)は奇数の番号が末尾の方とか、(火)(木)(土)はそれ以外の方とか。いろんな知恵を絞りながら「どうやったら少しでも来られるのか」といったことを現場で実践していただきたいと考えています。高校と大学については比較的eラーニングみたいなものができてたりしますし、長い距離の移動があるのでまだ再開はその地域の中での流行があれば難しいところはあります。でもこれも同じで、高3とか大4とかちょっとメリハリをつけながらどうやったらいいかということも含めて、市町村・都道府県で考えていただきたい。
Q. 緊急事態宣言が延長された場合は出勤の自粛も継続した方がいい?
和田教授: この後1〜2年はテレワークが当たり前にできるようになっていなければなりません。これは都市部だけではなくて、すべての都道府県に言えることだと思っています。まだまだテレワークの導入が少ない、それは流行があまりないから、という地域もあるかもしれませんが、できるように準備をする・実践をすることが大事だと思います。
Q. 感染した人の職場復帰について
和田教授: 今、感染してしまっている方がけっこういらっしゃるんですが、その方々がいつ職場に戻るのかは非常に難しい問題です。今の段階では都道府県の流行の状況にもよりますが、基本的には検査をしてマイナスの場合には退院という形で、自宅に戻られてということになります。1回症状が出て、出なくてもですけど、そのあとある一定の期間、2週間をめどに症状がない状態であれば、基本的にはマイナス(陰性)で退院した場合には職場に出てきて良いという考えが基本的です。もちろん企業や病院によっては、それでも、もう数日待ったりとかしているところもありますが、それは労使の中で話合いをして、決めるしかないと思います。一方で中長期でみると、感染をしてしまった方が出てくると思います。いま抗体検査をやっている国もありますが、たとえば医療従事者の中でもいったん感染してしまったらその方はしばらく感染しないかもしれないということを考えると、むしろ関わっていただいた方がいいんじゃないかという考えもあります。一方で、まだまだ分からないのは、一回感染した場合に、その後にもう感染しないのかというと、これはまだ分からない。ですが、直前は比較的抗体もあるはずなので、守られてるはずですから、もしそういった状況になってくればですね、抗体検査である程度免疫がある方については、前線で引き続き仕事をしていただくという考えはあります。ただ、もちろん、無い人との公平感ですとか、いろんな課題がありますが、ここは本当にみんなで知恵を絞ってやっていくしか無いと思っています。
Q. 最後に伝えたいこと
和田教授: やっぱり私が一番注目しているのは、中長期のことなんですね。このウイルスは、1年、場合によっては2年、3年と続く可能性があります。ですので、みなさんの中で、学生さんにしても大人にしてもいろんな生活の面で共存していくにはどうするかというところが出ています。ですので、感染対策に関しては新しい生活習慣というのが追加になります。たとえば、話をするときにはマスクをしましょうとか、手洗いをこまめにしましょうとかということもあります。一方で、仕事のほうの三密を避けるようなことは引き続き、自粛を求めることにもなります。たとえば、地域を越えたような移動というのもまだまだ今後難しいです。特に、国を超えたような移動というのはかなりいま制限がされていますので、これをどうやって開いていくのかということも含めて、非常に難しいと思っています。ですので、いろんな意味でそれぞれの生活を守っていきながら、世界との共存というのが大事になってきます。そのなかでひとつキーワードになるであろうことはやっぱり今まで以上に皆さんが住んでいらっしゃる地元を大事にしていただくことかなという風に思っています。生活圏のなかで感染が少し落ち着いていれば、地元の中での交流はできないわけではないので、注意しながらやっていただくだとか、しながらこの難局を乗り越えていく必要がある。年単位ですね。もちろん地域を超えた移動というのはたとえばご両親がおられて介護が必要でっていう方は、これはもういかなくてはいけない時もあると思います。たとえばゴールデンウィークにいま飛行機が満席でっていう話がありますが、もし、どうしても行かなければならない方がおられると思います。ですから逆に今の時期だと、もしかしたら少ないようであれば、今のようなときにお休みを振り返るようなことも、もし会社側でできるようであれば、やっていただくとか、しながらですね。テレワークが、もしご実家でもできるのであれば、いま行っていただいて、必要なことをして戻るということで少し分散してような移動っていったこともですね、もちろん最低限にはしていただきたいわけですけども、そういった工夫もひとつありなのではないかと考えます。 
●都知事「買い物3日に1回」、GWは「ステイホーム週間」に  4/23
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都の小池百合子知事は23日、都庁(新宿区)で臨時の記者会見を開き、25日から大型連休最終日の5月6日までの12日間を「ステイホーム(家にいよう)週間」と位置づけた上で、新たな感染拡大防止策を発表した。都民に買い物を「3日に1回程度」に減らすよう呼びかけたほか、自主的に休業した商店街には奨励金を交付する。
政府による緊急事態宣言後、繁華街での人出は減少しているが、休日を中心にスーパーや商店街、公園などに多くの人が訪れる状態が続いているため、それぞれ対策を強化することにした。
スーパーの混雑対策では、買い物の回数抑制の呼びかけのほか、スーパーやホームセンターの業界団体とも連携し、買い物かごの削減による入店抑制や、高齢者や妊婦らが優先して買い物できる仕組みづくりも進める。
事業者への休業要請とは別に、商店街単位で自主的な休業に協力した場合の奨励金制度も新設する。都関係者によると、5月6日までの土日祝日の間に加盟店が営業を取りやめた商店街組合に対し、1日当たり50万円、最大400万円を給付する方向で調整を進めている。
来園者の密集状態が懸念されていた都立全82公園については、利用自粛を要請した上で駐車場や遊具施設を閉鎖する。都西部のドライブコースとして人気がある奥多摩周遊道路の駐車場も閉鎖し、車での外出抑制につなげる。
また、企業には期間中、従業員に連続休暇の取得を促すことも求める。
小池知事は会見で、「本当に大事な2週間になる。とにかく、家にいてください」と訴えた。  
●買い物「3日に1回」 入店抑制で3密解消を―スーパーの混雑対策 4/23
東京都の小池百合子知事は23日、新型コロナウイルス感染拡大によるスーパーや商店街の混雑対策を発表した。密閉、密集、密接の「3密」の解消に向け、都民に対して「毎日の買い物を3日に1回程度に控えていただきたい」と要請。事業者に対しては、売り場で用意する買い物かごの数を制限して入店を抑制することや、高齢者らの専用時間の設定などを求めた。
対策例は他に、インターネット交流サイト(SNS)での混雑情報の発信▽曜日や時間による特売などの中止▽袋詰めスペースの拡大―など。小池氏は「3密を回避するため業界団体と連携していきたい」と強調。商店街組合による自主休業に対する奨励金や、過密防止に向けた取り組みへの補助金制度を創設する考えも示した。
また、小池氏は埼玉、千葉、神奈川の3県知事と共同で、大型連休を含む4月25日〜5月6日を「いのちを守る ステイホーム週間」として、徹底した外出自粛を求めるキャンペーンを行うと報告。帰省や旅行など他道府県への移動自粛や、企業に12日間連続休暇の呼び掛けを行う。
連休中の都立公園の利用自粛を求めるほか、駐車場や遊具広場を閉鎖することも明らかにした。区市町村立の公園にも同様の対応を取るよう求める。また在宅者向けに屋内でできる運動や遊びの動画配信も行う。
小池氏は「大型連休に人と人との接触がまた増え、一層の感染拡大が懸念される」と指摘。休校が続き子どもたちの学習の遅れや生活リズムの乱れが懸念されることについては「いろいろなコンテンツや工夫を提供していきたい」と語った。  
●買い物「3日に1回」要請の小池都知事を衛藤担当相が賞賛 4/24
衛藤晟一消費者担当相は24日の記者会見で、東京都の小池百合子知事が新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、スーパーマーケットなどでの買い物を3日に1回程度とするよう都民に呼びかけたことに関し「非常に分かりやすく説明していただき、感謝している。さすが小池知事だ」と購買活動での「3密」回避に意欲的な小池氏をたたえた。
衛藤氏は「消費者の皆さんには正しい情報に基づき混雑を避けた冷静な購買活動をお願いしたい」と改めて要請した。  
●連休前、引き締め狙う 東京都の呼び掛け、感染者高水準に危機感 4/23
東京都の小池百合子知事がスーパーの混雑緩和や公園の利用自粛などを呼び掛けた背景には、大型連休を前に、新型コロナウイルスに対する都民の意識を引き締める狙いがある。小池氏は23日の記者会見で「都内では毎日、感染者数が100人を超え高水準のままだ」と危機感を表明。密閉・密集・密接の「3密」を避けるため、自宅にとどまるよう強く求めた。
国の緊急事態宣言が先行して発令された都は11日から、遊興施設などに休業を要請。不要不急の外出も控えるよう訴えてきた。
しかし若年層を中心に感染者が増え続け、終息への糸口は見いだせていない。そんな中、さまざまな施設が休業しているため行き場のない人々がスーパーや公園などに繰り出し、かえって感染リスクを高めている恐れが出てきた。
3月の3連休に起きた「緩み」がその後の感染増加につながったとの見方があり、大型連休でも繰り返される懸念がある。小池氏は会見で同世代の女優岡江久美子さんの死去に触れ、「コロナウイルスは人ごとではない。皆さんの行動に掛かっている」と強調。オーバーシュート(爆発的患者急増)を何としても回避したい考えを示した。  
●緊急事態宣言6月まで延長濃厚か 収束は10年仕事との予測も 4/23
「専門家の提言をもらいながら、延ばすのかどうか判断する」
4月17日、会見で緊急事態宣言の延長の可能性について質問を受けた安倍晋三首相は、そう答えた。4月7日に7都府県に向けて発令された緊急事態宣言だが、16日には全都道府県へと拡大。実はさらに時期の延長まで検討されているという。
「実施期間は5月6日までとなっていますが、感染者数も予想より減少せず、延長するかどうかの議論も始まるそうです。安倍首相も発令前から、『専門家の皆さまが収束にいたっていないと判断されれば、延ばしていくことになる』と、発言していました。延長期間については“最低2週間”という意見もあるそうです……」(全国紙・政治部記者)
専門家たちの判断に委ねられるわけだが、医療関係者のなかで、“5月6日までに感染拡大が収束する”と判断している者はほとんどいないというのが実情だ。医療ジャーナリストは言う。
「アメリカのハーバード大学の研究チームは、新型コロナウイルスの流行を収束させるためには外出自粛などの措置を'22年まで断続的に継続する必要があるという論文を発表しました。また京都大学の山中伸弥教授も、ウイルスへの対応が求められる期間について、“1年くらいになっても想定の範囲内”と、語っています」
NPO法人「医療ガバナンス研究所」の上昌広理事長もこう語る。
「今年はインフルエンザでの死亡者が激増していますが、実はコロナ感染者だった患者さんも大勢含まれていたと思われます。4月17日に発表された東京都の感染者は200人を超えました。このままだと緊急事態宣言を5月6日で解除するのは難しいでしょうね」
ウイルス克服の鍵となるのはワクチンの開発であり、各国の研究者たちが全力で挑んでいる。東大病院で放射線科医を務めている前田恵理子医師はこう語る。
「2年程度でワクチンの開発に成功するだろうと考えています。それから1年で安全性を確かめても、さらに量産化までは3年かかります。それでも驚異的なスピードですが、日本でいえば1億3千万人が安全に接種するためには、かなりの時間が必要です。コロナを収束させるためには“10年仕事”になると予測しています」
だが来年7月に東京オリンピックを開催するとなると、それでは間に合わない。総合内科を専門とする鈴木医院副院長の木原幹洋医師は言う。
「来年6月までをワクチンの接種期間とすると、年内にはワクチンを実用化させる必要があります。安倍首相にはその見込みがあったからこそ、来年7月への延期を決めたのではないでしょうか。これ以上感染を拡大させないために必要なのは、ウイルス検査数を増やして誰が感染しているのかを明確にすること、そして感染者の迅速な隔離です。新たな感染者を増やさないために、現在の外出自粛を2〜3カ月は続けるのではないでしょうか」
すると緊急事態宣言の解除は、6月から7月ごろということになるのだろうか。前出の医療ジャーナリストも次のように語る。
「中国・武漢では約2カ月半も都市封鎖を実施しました。アメリカやヨーロッパ各国も、日本より早い時期に、厳しい外出制限措置を講じていますが、措置の期間の延長を重ねています。もちろん日本は状況も条件も異なります。しかし専門家からも“緊急事態宣言を欧米並みに2カ月続けるべき”といった意見も上がってくることでしょう。感染者数がある程度まで減らないとすれば、延長を2〜3度重ね、解除が6月にずれ込む可能性も濃厚ですね」 
 4/24

 

●緊急事態、延長の見方広がる 安倍首相、大型連休へ協力要請 4/24
安倍晋三首相は24日、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を首相官邸で開き、月末からの大型連休に向け、国民に接触機会の8割削減への協力を呼び掛けた。緊急事態宣言の期限が5月6日に迫る中、首相は感染状況を見極めて解除の可否を判断する構え。政府内では、少なくとも一部自治体で延長は不可避との見方が広がっている。
首相は政府対策本部で「緊急事態を早期に収束させるため、今が非常に重要な時期だ」と指摘。休業要請に応じない事業者の名称公表に言及した上で、「接触機会の8割削減に向けた取り組みを加速化させていく」と強調した。
菅義偉官房長官は24日の記者会見で、緊急事態宣言の扱いについて「状況は時々刻々と変化しており、現時点では控えたい。5月6日を延ばすかどうかは、専門家の話を聴いた上で判断していきたい」と述べるにとどめた。
政府は今月7日に緊急事態宣言を東京など7都府県に発令。その後、対象を全国に拡大したが、収束の兆しは見えていない。政府関係者は「専門家の間では解除は時期尚早との意見が強い」と指摘。政府高官は「延長は避けられない」と語った。
別の政府高官は「特定警戒都道府県に指定した13都道府県は区別が必要になるだろう」と述べ、感染状況によって自治体ごとに異なる対応を取ることもあり得るとの考えを示した。 
●新型コロナ、接触減の継続必要 解除15日で感染増加 4/24
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、人と人の接触を1カ月の間、8割減らしても、対策をやめると15日で患者数が元のレベルに戻るとの分析を、大橋順・東京大准教授(集団ゲノム学)が24日までにまとめた。
大橋准教授は「緊急事態宣言の期限である5月6日より後も、医療崩壊を防ぐには行動自粛の継続が重要」と話している。
大橋准教授は、患者1人が平均して2.5人にうつすと仮定し、感染状況を試算した。試算によると、人口10万人の都市に患者が1人入った場合、1日当たりの患者は59日目に50人に増加する。その時点で接触を8割減らす対策を始めると、30日間で患者数はおおむね半減するが、対策をやめて通常の接触状況に戻ると、15日間で再び50人に増える。
一方、接触8割減の対策を30日間取った後、接触7割減を続ければ、感染者を減らし続けることができるという。  
●小池知事「新型コロナウイルス感染症への対応について」/記者会見 4/24
コロナウイルス感染症に関して、感染者数は依然高水準で推移を続けております。昨日は、お伝えしたとおり134名の感染が判明。そして、昨日までの累計で3,572名となります。詳しい中身を申し上げますと、入院中の方が2,548名、ここには入院調整をしておられる方、宿泊療養中、それぞれの方が含まれております。宿泊療養中の方が、203名でございます。それから、退院者数でありますが、これは調査している時点で937名、そして、亡くなられた方、昨日は岡江久美子さんがお亡くなりになりました。岡江さん含めまして、87名となっております。
それから、今回、都議会の臨時会におきまして、緊急対策第四弾に伴います補正予算で、4月22日(水曜日)に議決を頂いたところでございます。この補正予算を速やかに執行するなど、感染症の拡大を阻止する、そしてまた、経済活動、都民生活を守り抜くために、都庁の総力を挙げて取り組んでまいります。
都におきましては、新型コロナウイルス感染症の方々の受入施設ですけれども、無症状や軽症の方はホテルにおいて宿泊施設ということで、先週までに3つのホテルで1,500を超える部屋数を確保いたしまして、順次受入を始めているところであります。
昨日も加藤厚生労働大臣に、そのうちの1つをご視察いただきました。それから、西村経済再生担当大臣、加藤大臣、お二方に、入院治療が必ずしも必要でない軽症者の方々は、病院外での療養を、家庭内感染などを防止する観点から、原則として宿泊施設における療養を国としてお示しいただきたいと要望してまいりました。この件について、先ほど申しましたように、加藤大臣が宿泊療養を基本として考える旨、方針を示していただいたというところであります。
都としましては、さらなる宿泊施設の確保をするために、先週、公募をいたしました。そして、ご協力いただける宿泊施設事業者ということで、多くの事業者の皆様が手を挙げてくださいまして、合計で228施設、22,220室、2並びになりましたが、提供の申し出がありまして、感謝申し上げるところでございます。
今後、4月中を目途といたしまして、一定規模以上の部屋数を持つ宿泊施設の事業者から順次調整を進めまして、感染者の状況に応じて宿泊施設を開設いたしてまいります。これまでも新しいホテルになりますと、動線をどうするか、クリーンなところとそうでないところと動線など、それらの整備をし、また、職員も、これまでの経験などをうまくバトンタッチしながら進めているというところであります。
さて、明日から実質連休、大型連休が始まります。今一度、皆様に思い出していただきたいのですが、単純な話、ウイルスは人と人との接触で広がるということから、接触を、8割削減する、そのためにどれだけ外出を抑えられるかということで、この連休が正念場だと、このことについて何度も申し上げてきたところであります。
今の皆様の行動が2週間後、総体としての数字になって表れるわけであります。明日4月25日(土曜日)から5月6日(水曜日)まで、12日間ですけれども、これを「いのちを守るSTAY HOME週間」、おうちにいましょう週間、STAY HOME、SAVE LIVES、いのちを守る週間として、企業の休業や都民の外出の抑制など、一層進めるための取組を展開してまいります。
この「いのちを守るSTAY HOME週間」でありますけれども、第1に、在宅を進めるために、都民の皆様や企業への皆様への呼びかけの強化、第2に、在宅を楽しんでいただくための外出抑制の仕掛けづくり、第3に、首都圏で連携協力した広報、キャンペーンの展開ということでありまして、これらの3つの取組をパッケージにいたしまして展開いたします。
具体的な取組内容でありますが、今日の15時に東京都の公式ホームページ内に特別のポータルサイトを開設いたします。「STAY HOME週間」ポータルサイトをご覧いただきたいと思います。
また、昨日の会見でお伝えしたとおり、動画など色々なコンテンツを準備いたしまして、例えば、この連休中に、大掃除しようという方々、ぜひ、「こんまり」さんこと、近藤麻理恵さんのやり方などを学んでいただけるような、そういう動画を載せさせていただきます。
それから、パラリンピックでバリアフリーを徹底しましょうということで、パラバリ懇という会議体がございましたが、そのメンバーでいらっしゃる五木ひろしさんや大黒摩季さん。それから、歌手の倉木麻衣さんをはじめとする方々に、歌のパフォーマンスやメッセージの動画を掲載させていただく予定です。
そのほか、様々な魅力的なコンテンツ多数掲載しておりますので、ぜひご覧いただきたい、また役立てていただきたいと存じます。
都民の皆様方に改めてのお願いでございます。スーパー、そして商店街での3つの密を解消するために、毎日のお買い物を3日に1回程度にお控えいただきたい。それから、食料品など、十分供給されておりますので、必要以上の買いだめなどなさらないようにお願いをいたします。
それから、コロナ対策としてやらなければならないことを覚えやすくするために、この「STAY HOME週間」を使いまして、「コロナ対策いろはカルタ」、これで、色々なすべきことを考えていただきたい、行動していただきたいということで、皆様のアイデアを募集いたします。4月26日(日曜日)の5時まで募集しておりますので、ポータルサイトに申し込み先を書いてまいります。
それから、例年ですと、たくさんの方がお出かけを楽しむ大型連休でありますが、今年は、在宅で楽しみを見つけていただくということで、不要不急の帰省やレジャー、旅行など、他の道府県への移動の自粛を強くお願いを申し上げます。
このことは1都3県共同キャンペーンとして、埼玉、千葉、神奈川からも県民の皆さんに呼びかけていただきます。また、都内におきましても、西多摩地域の奥多摩町、そして、檜原村、伊豆諸島、小笠原諸島、全ての町村におきましては、これは、観光でもっているところでありますけれども、苦渋の決断であります。観光で、この不要不急の来訪を自粛してくださいというお願いを出しておられます。高尾山のケーブルカー、リフトが運休となります。あきる野市、観光地を抱えているわけですけれども、これらの自治体でも観光施設の臨時休館が行われるということであります。
ハイキング、それからキャンプ、バーベキューなど、野外でのレジャーなら大丈夫と思われるかもしれませんが、そうした一人一人の行動が、結果として3密の状態を引き起こす可能性があるということでございますので、観光地や行楽地などへの外出、お控えいただきたい。そして、自宅でお過ごしになること、重ねて強くお願いを申し上げたいと存じます。
次に、感染拡大防止協力金でございます。22日(水曜日)にポータルサイトを開設いたしまして、受付も始まっております。本日のお昼の時点でありますけれども、7,583件の申請を頂いております。外出を避けるためにも、ぜひポータルサイトからオンライン申請をしていただければと存じます。また、郵送、都税事務所などでもお受けしておりますので、お早めにお申込頂きたいということであります。
それから、最後に、私からお伝えするのは、うれしい話でございます。今回、プロ野球の読売巨人軍の皆様から新型コロナウイルス感染症対策のために、寄付金とマスクなどのご寄贈を頂くというお申し出がありました。感染症対策の最前線で奮闘する都内の医療現場などへの支援のために、原監督、阿部二軍監督及び坂本選手、丸選手、菅野選手から、合計5,000万円、お1人ずつ1,000万円ご寄付を頂くこととなりました。誠にありがとうございます。
加えまして、読売巨人軍から医療用などのマスク4万枚、それから除菌シート3,000パックをご寄贈いただけるということでございます。このご寄付いただきました資金は、今後、都内の医療機関などで使用させていただき、マスクの購入などにも活用させていただく予定となっております。改めて温かいご支援に対して厚く御礼を申し上げたく存じます。
そして、今回この監督と選手の皆様方から応援メッセージも動画で頂いているので、ご覧いただきたいと存じます。
(動画上映)
すばらしいメッセージをお寄せいただきました。この「STAY HOME週間」、2週間頑張ることで、プロ野球も、また無観客ではなくて、みんなで楽しめるようなそんな日を迎えるためにも、この2週間、特に皆様方にはご協力をいただきたいと思います。また、巨人軍の皆様方に心から改めて感謝を申し上げたいと存じます。
読売巨人軍のご寄附に関して、この温かいご支援をいただいていることをきっかけとしまして、この感染拡大が続く中で、また都民や企業の皆様、団体の皆様からのご寄附など、マスクなどのご寄附もありました。たくさんの支援をいただいておりますので、そこで改めて、東京都として、「守ろう東京・新型コロナ対策医療支援寄附金」という口座を開設することにいたしました。また、ご寄附いただいたお金につきましては、感染拡大防止のために最前線で力を尽くしている都内の医療現場のための物資購入に活用させていただきます。口座の開設日、口座番号などの詳細は、また改めてお知らせを申し上げます。
このような形で、このコロナ対策というのは、都民の皆様や事業者の皆様、プロ野球の選手の皆様、色々なご協力を得て進めていきたいと存じます。
詳細は、総務局、福祉保健局、政策企画局、産業労働局、財務局にお聞きください。 
●東京都で新たに161人感染確認 新型コロナ  4/24
東京都は24日、新型コロナウイルスの感染者が新たに161人確認されたと発表した。同日、6人の死亡も確認され、都内の累計死者数は93人となった。
都内の新規感染は、17日に1日あたり最多の201人、21日に123人、22日に132人、23日に134人を確認した。累計感染者数は3733人に上る。
24日に確認された161人のうち、40代以下は半数以上の89人で、20代が39人で最も多かった。感染経路が不明なのは75人。感染者との濃厚接触者が86人で、うち家族内で感染したとみられるのは約15%だった。
都立高校の50代男性教員の感染も確認された。都によると、生徒との接触はない。最後の出勤日は13日で、保健所の指示で校内を消毒する。
都内の新規感染者はここ数日横ばいが続いていたが、24日は前日に比べて約30人増えた。小池百合子都知事は「ここにきてパンとはねた感じ。(これから)2週間の連休に突入するが、ある意味これは警告だと受け止めている。自分事としてご協力いただきたい」と述べた。  
●連休のレジャー自粛を 在宅楽しむサイト開設 小池都知事 4/24
東京都の小池百合子知事は24日の定例記者会見で、外出する機会が増える大型連休について、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、「不要不急の帰省やレジャー、旅行など他の道府県への移動の自粛を強くお願いする」と訴えた。
小池知事は「野外レジャーなら大丈夫と思うかもしれないが、結果として『3密』状態を引き起こす可能性がある」と指摘。自宅で過ごす人が楽しめる動画などを紹介する「ステイホーム週間ポータルサイト」を都公式ホームページ内に開設したと報告した。
また、医療従事者やその家族が差別的な言動を受ける事案が発生していることに対し、「悲しく、人権感覚からすれば非常に恥ずべきことだ」と批判。感染者についても「レッテル貼りをしないで、健康になったことを皆で喜ぶぐらいの気持ちを持ってほしい」と呼び掛けた。
都立学校に関しては、5月6日までとしていた休校期間を2日延ばすことを明らかにした。  
●都、商店街の自主休業に50万円 5月6日までの土日祝日 4/24
東京都は24日、商店街が新型コロナウイルス特別措置法の緊急事態宣言後に問題化している密集の解消策に取り組んだ場合に交付する奨励金の詳細を発表した。加盟店が一体となって今月25日から5月6日までの土日祝日に一斉や輪番での休業を実施した際、1日当たり50万円を支給する。
都によると、加盟店が100以上の商店街が対象。期間中、全ての日に対策を講じれば最大で400万円受け取れる。ポスターやホームページでの告知や、巡回による休業状況の確認なども条件となる。混雑緩和に向けたチラシや横断幕を作成する経費も補助する。 
●小池都知事発言に荻原博子氏「さすが」三浦瑠麗氏は“想像力”欠如 4/24
早くも賛否両論! 東京都の小池百合子知事は23日、臨時に記者会見し、新型コロナウイルス特別措置法の緊急事態宣言後に問題化しているスーパーマーケットにおける密集状態の解消策として、買い物を3日に1回程度とするよう都民に求めた。商店街が一体となり自主休業に取り組んだ場合の奨励金交付も表明。感染者数の最も多い都内での身近な「3密(密集、密接、密閉)」回避につながるかどうか注目される。
小池氏は「スーパーの業界団体と連携して取り組む」と強調。具体例として(1)混雑しない時間帯の情報発信(2)買い物かごの数の制限(3)高齢者や障害者、妊婦らの専用時間帯設定(4)曜日や時間帯による特売やポイントアップキャンペーンの中止(5)品出し時間を工夫して開店時の行列回避――などを挙げた。
この小池知事の要請には、賛否両論の意見が出ている。
経済ジャーナリストの荻原博子氏は「『さすが』と感じた。小池知事の提案はいつも細かいところまで行き届いており、安倍晋三首相にはない視点だ」と絶賛。
「スーパーに行くのは3日に1回程度にしてほしいなど、具体的な指示をしてもらう方が守りやすいのではないか。高齢者や障害者、妊婦などが買い物する専用の時間を設定することもとても有効だと思う」
一方、反対するのは国際政治学者の三浦瑠麗氏で「強制することが目的化しているように感じる。日本社会はこれまで危機に直面した時、現場の工夫で乗り越えてきた。知事は今回、混雑緩和策として3日に1回の買い物などを示したが、首長がわざわざ言うようなことなのか」と疑問を呈した。さらに「3月後半に知事がロックダウン(都市封鎖)を口にし、スーパーなどで買いだめが起きた。知事の権限は大きく、発言によって経済活動が立ちゆかなくなったり、生活が損なわれたりする人もいる。知事はそういう想像力が欠けているのではないか」とも話した。 
 4/25

 

●緊急事態宣言、5月6日全面解除は困難か…  4/25
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言について、政府内で5月6日の期限での全面解除は困難との見方が強まっている。特に13の「特定警戒都道府県」については、感染拡大が収束していないため、「解除は考えにくい」(政府高官)との声が出ている。
政府は感染状況に関する専門家の分析を踏まえ、5月初旬に解除や延長について最終判断する見通しだ。菅官房長官は24日の記者会見で「状況は時々刻々と変化している。(期限を)延ばすかどうかは、専門家の話をうかがったうえで判断したい」と述べた。
特定警戒の13都道府県は、感染者の増加ペースが鈍化傾向にあるものの、東京都などでは予断を許さない状況が続いている。内閣官房幹部は、「今月中によほど感染者が激減しなければ、延長だろう」と話す。
宣言を延長すれば、学校の休校や店舗の休業の長期化などで経済や国民生活への影響拡大が避けられない。政府内では、延長幅を1か月未満の5月末とする案などを慎重に検討している。
特定警戒ではない34県を巡っても、全国的な対策を続けるために延長すべきだとの声がある。
緊急事態宣言の全国への拡大の背景には、先に宣言が出された東京や大阪など7都府県からその他の地域に人が流れ、一部の知事らが対象に加えるように声を上げたことがあった。
34県を解除すれば、再び同じような人の流れが生まれる恐れがある。首相官邸幹部はこうした事情を念頭に、「知事たちから解除を求める声は寄せられていない」と話す。
政府内ではこのほか、外出自粛の要請などを維持しながら一部で解除に踏み切ることや、感染状況に応じて特定警戒都道府県を増減させた上で延長することなどが検討されている。 
●1都3県で「12連休」初日 公園では遊具閉鎖  4/25
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県が企業に12日間の連続休暇を呼びかけた初日となる25日、各交通機関では土曜でも混雑は見られなかった。密集を避けるため、すべての都立公園で駐車場や遊具が閉鎖された。
JR東日本や東海によると、各新幹線の自由席乗車率は軒並み10%以下と低水準で、山形新幹線では東京駅出発時点で0%の列車も出た。高速道路も全国的に混雑はなく、空の便も22日の発表では29日から5月6日までの間、前年同期に比べ予約数は国内線88%減、国際線97%減となった。
都立井の頭恩賜公園(武蔵野市、三鷹市)では、遊具の周りにオレンジ色のネットが張り巡らされていた。公園の利用自粛を呼びかける放送が流れ、普段はカップルらでにぎわうボート乗り場も閉鎖。一方で互いに距離を取りながらジョギングや散歩を楽しむ人らも目立った。
三鷹市の男性会社員(36)は1歳の息子を連れて散歩に訪れた。「息子がマンションで走り回るので、外の空気を吸わせてあげたくて来た。すべり台で遊ばせたかったが、きょうは15分くらいで帰ります」と話した。
ジョギング中の武蔵野市の男性会社員(43)は「人出の少なそうな朝方を選んで来た」。自転車で並走する長男(8)は「本当は弟と一緒に広場で遊びたかったけど、今日はサイクリングだけで我慢する」と話した。
小池百合子都知事は24日の記者会見で「ウイルスは人と人との接触で広がる。この連休は正念場」と説明。25日から5月6日の12日間を「ステイホーム週間」と位置づけ、企業に連続休暇を呼びかけ、都民に外出自粛を求めている。  
●「ステイホーム週間に」 都知事、12日間要請 4/25
東京都の小池百合子知事は二十四日の会見で、「二十五日から五月六日までの十二日間を『いのちを守るSTAY(ステイ) HOME(ホーム)週間』として、休業や外出抑制を一層進める取り組みを展開していく」と説明。事業者に十二日間の連続休暇やテレワークの推進、都民には外出自粛を強く求めた。 (小倉貞俊)
期間中は都立公園などの利用自粛を呼びかけ、駐車場や遊具広場、キャンプ場を閉鎖。スーパーなどでの買い物を三日に一回ほどに控えてもらうほか、商店街には加盟店一体で混雑回避などの取り組みを求める。
自宅での過ごし方や著名人のメッセージなどを動画で紹介する専用ウェブサイトも立ち上げた。
小池知事は「この連休が正念場。今の皆さんの行動が二週間後の(感染者の)数字になって表れる」と訴えた。
安倍晋三首相は二十四日、官邸で開いた新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、外出自粛のストレスなどによるドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待の防止対策を強化するよう関係閣僚に指示した。防護具が不足する病院などの医療現場に、院内感染を防ぐため高機能マスクなどを追加配布する方針も明らかにした。
DV被害者の相談用フリーダイヤルを二十九日から二十四時間対応とし、SNSやメールでの相談も始めると表明。加害者と別居するDV被害者には、全国民に一律給付する十万円を直接届けるとした。
医療防護具は新たにサージカルマスク千五百万枚、医療用ガウン百三十万枚などを、物資不足に直面する医療機関へ月内に配布すると説明。国民に対し、政府専門家会議が人との接触機会を八割削減するために提示した日常生活における十項目のポイントを参考にするよう呼びかけた。 
●「いのちを守る STAY HOME 週間」1都3県共同キャンペーン 4/25
4月7日に国から発出された「緊急事態宣言」の下、1都3県が緊急事態措置を講じてから2週間が経過いたします。
この間、感染拡大の防止に向け、人と人との接触機会を8割減らすべく、都民・県民の皆様、事業者の皆様には徹底した外出自粛や施設の休業等をお願いしてまいりました。皆様のご協力に深く感謝を申し上げます。
皆様のいのちを守り、家族や大切な人を守るためには、まさしく今が正念場であり、特に今週末から迎える大型連休期間中の取組が非常に重要となります。
1都3県では同じ危機意識の下、一刻も早く事態の収束を図るため、このたび、4月25日から5月6日までを「いのちを守るSTAY HOME週間」として、企業・住民の皆様に連続休暇の取得などによる通勤の徹底的な抑制やこれまで以上の外出自粛への更なるご協力をお願いすることとしました。
一人ひとりの行動の積み重ねが大きな力を生み出します。
私たちも連携し全力で取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
東京都知事 小池百合子 / 埼玉県知事 大野元裕 / 千葉県知事 森田健作 / 神奈川県知事 黒岩祐治 
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●東京で13日ぶりに新規感染者数100人以下も...5/6 宣言解除は望み薄 4/27
東京都で新型コロナウイルスの新たな感染者数は26日(2020年4月)に72人と、13日ぶりに100人を切った。小池百合子都知事は「100人を切ったが曜日の関係もある。4月25日から5月6日までの12日間、命を守るステイホーム週間。接触者8割削減へ。正念場です」と話したが、緊急事態宣言解除のタイミングはいつになるのか?
全国高等学校体育連盟の岡田正治会長は「全国高等学校体育大会の全競技および総合開会式を中止する」と発表した。インターハイ(高校全国総体)が中止になるのは1963年以来初めてだ。
東京都の感染者数を1週間ごとに見ると、3月23〜29日は292人、4月6〜12日は1034人、4月20〜26日が755人だった。北海道大学の西浦博教授は「4月10日ごろから伸びが鈍化し、上げ止まっている印象」と話した。
とうきょうスカイツリー駅前内科の金子俊之医師は「減少している印象はあるが、短期的なもの。横ばいと評価するのが妥当だ。引き続き、ステイホームすることが大事」とコメントした。
読売新聞特別編集委員の橋本五郎は「時間をずらして買い物をするなどの自粛効果が少し出てきた。ただ、陽性率がまだ高止まりしているので、これを低めないといけない。引き続き頑張るしかない」と話す。
心配材料もある。水卜麻美アナは「大型連休中に沖縄行きを考えている人が6万人余りいる」と、航空会社に予約が6万件以上入っていることを紹介。司会の加藤浩次も「玉城デニー知事が沖縄旅行はキャンセルして受け入れ可能な時期までお待ちくださいと言っている」と話した。
ハリセンボンの近藤春菜は「感染者数が下がっているのは、頑張って自粛している人のおかげ。一部の人が外に出ることで、みんながダメになることを自覚してほしい」と訴えた。 
 4/28

 

●山手線、通勤時間帯の利用者70%減 減少幅が拡大 4/28
JR東日本は28日、20〜26日の利用状況を明らかにした。平日の通勤時間帯に山手線を利用した人は2月初旬から70%減り、4月に入って3週続けて減少幅が広がった。週末の25〜26日は昨年の同時期から87%減で、前週と同じ水準だった。
東京都の小池百合子知事は23日の記者会見で、25日から5月6日を「STAY HOME週間」と位置づけ、外出を控えるよう呼びかけた。JR東によると、首都圏の東京、新宿、渋谷、横浜、千葉、大宮の各駅の利用者は、25〜26日は前年比12〜25%で前週とほぼ同じ傾向だった。比べる時期が異なるため単純比較はできないが、小池氏の会見後も大きな傾向の変化はなかったとみられる。
首都圏6駅の平日の利用者は対前年比で21〜31%と、前週とほぼ変わらなかった。一方で水戸、福島、新潟、長野の各駅は22〜31%で、前週(34〜45%)よりも前年からの減り幅が大きくなった。 
 4/29

 

●小池都知事が緊急事態の期間延長を政府に要請 4/29
東京都の小池百合子知事は29日、都庁で報道陣の取材に応じた中で、新型コロナウイルスについて「東京はまだ厳しい状況。緊急事態宣言の時期は延長をお願いしたい」と発言した。日本の各メディアが報じている。
東京都の小池知事は29日、新型コロナウイルスについて「東京はまだ厳しい状況」と発言し、緊急事態宣言の期間延長を政府に要請した。日本では4月16日、緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大することが発表された。東京や大阪では4月7日に宣言されており、いずれも5月6日まで効力を持つとされている。
安倍首相は、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言について、5月6日の期限を待つことなく、延長するかどうか5月初めにも判断するとしていた。 
●緊急事態宣言延長、全国一律めぐり温度差 全国知事会 4/29
国への緊急提言を議論するため、全国知事会が29日に開催した新型コロナウイルスの対策本部会合では、知事の間で緊急事態宣言の延長をめぐる温度差が浮き彫りになった。全都道府県一律での宣言の延長に対しては、感染リスクを低減させるために人の流れを抑えるという観点から賛成の意見が上がる一方、感染者数の少ない県などからは慎重論も。会合後も調整が続けられた。
会合で用意された緊急提言案では、緊急事態宣言に関して「都道府県をまたいだ人の移動制限の実効性を担保するため」として、全国一律で継続することを基本に検討するよう国に求める内容になっていた。
同案を取りまとめた鳥取県の平井伸治鳥取県知事は感染拡大が収まらない中で宣言が一部地域で解除された場合には「新たな人の流れが起きてしまう」と懸念を表明し、当面は一律延長を検討すべきだと主張。京都府の西脇隆俊知事も同様の理由から賛成した。
一方、佐賀県の山口祥義知事は「連休でめどはつけたい。継続を知事会で求めることには違和感を覚える」と反論した上で、「だらだらと(宣言を)何度もやってはいけない。そのためには(感染者の多い)都市部でしっかり対策してほしい」と注文をつけた。
山口県の村岡嗣政知事も「延びると(県民の)気持ちが弱る。ゴールが見える形でないとつらい」と訴えた。
緊急事態宣言の延長を求める立場の東京都の小池百合子知事は「7日以降どうするのか。できるだけ早く、早期に見解を示していただきたい」と語った。
全国知事会会長を務める徳島県の飯泉嘉門知事は会合終了後、「仮にどこかを宣言の対象から外すなら、人が集中しない取り組みも合わせて国に求めたい」と述べた。 
●新型コロナ 東京都で新たに47人感染 4/29
東京都内で29日、新たに47人が新型コロナウイルスに感染していたことが分かりました。都内では、27日の感染確認が39人とおよそ1か月ぶりの低い水準でしたが、28日は再び100人を超えていました。  
●小池都知事、9月入学「教育、社会変えるきっかけに」  4/29
全国知事会は29日、新型コロナウイルスに関する対策本部会合をテレビ会議で開いた。学校の入学や始業時期を9月にすることについては、東京都の小池百合子知事が「教育システム、社会システムを変えるきっかけにすべきだ」と主張するなど積極的な意見が出た一方、今年度中の導入には慎重な見方もみられた。47都道府県に5月6日まで発令されている緊急事態宣言については、解除の基準を示すよう国に求める緊急提言をまとめた。
会合の冒頭で、飯泉嘉門会長(徳島県知事)は人の移動が多いゴールデンウイーク期間中は「新型コロナを抑え込むことができるかどうか、まさに分水嶺だ」と述べた。その上で、5月6日の期限が近づく緊急事態宣言について「早く方向性を決めてもらう必要がある」と、国に早期の決断を迫った。知事会の提言では、緊急事態宣言を解除する条件を示すよう国に求めた。
感染拡大を防ぐため、44都道府県が事業者への休業要請を決め、39都道府県が協力金などの支援策を用意している。提言では、事業者への補償・支援の充実に触れる一方、従わない場合の法的措置を含めた実効性の担保が必要だと指摘。総額1兆円の地方創生臨時交付金の増額や、収入が減少した事業者の家賃支援の創設も求めた。
学校の休校期間が長引き、学習機会の確保が課題となっている。28日には宮城県の村井嘉浩知事ら17人の知事有志が9月入学制を求めるメッセージを公表した。村井氏は知事会会合でも「9月入学制を国にしっかり働きかけてほしい」と述べ、改めて賛同を呼び掛けた。
小池氏は「これは社会改革の1つだ」として、9月入学制に前向きな姿勢を示したほか、神奈川県の黒岩祐治知事も「9月入学は面白いアイデア。やるなら今しかない」と述べた。大阪府の吉村洋文知事は「染みついた慣習を変えるにはこのタイミングしかない」と訴えた。
これに対し、富山県の石井隆一知事は「今年度からの実施は拙速だ」と述べたほか、京都府の西脇隆俊知事も「冷静な議論が必要だ」との見方を示した。香川県の浜田恵造知事は「大学入試については、高校2年生までの範囲で検討してもいいのではないか」との持論を述べた。 
●小池知事「緊急事態宣言の延長を」東京は厳しい状況 4/29
東京都の小池百合子知事は、緊急事態宣言の期間について「宣言の延長をお願いしたい」と話しました。
東京都・小池百合子知事:「緊急事態宣言については、東京の場合はまだまだ厳しい状況。この宣言延長ということはお願いしたいと思う」
緊急事態宣言は来月6日が期限になっていますが、東京都内では新たな感染者が一日あたりで100人を超える日も多く、これまでに4000人以上の感染が確認されています。29日朝から行われている全国知事会のウェブ会議でも一部の地域で緊急事態宣言を解除した場合、都道府県をまたいだ人の移動が起こる恐れがあるとして、全国を対象に宣言の延長を国に対して求める提言案について協議が行われています。  
●「コロナ患者が日本で少ないのは検査が少ないから」説を統計的に検証 4/29
全世界が新型コロナウイルスの感染拡大でパニック状態になっている中で、日本はこれまでのところ感染者数が低く抑えられている。もちろん、直近になって感染者数が増大し、緊急事態宣言も発出された。日本も今後イタリアや米国のようになるのか、予断を許さない状況にある。
現在まで欧米に比べて感染者が少ないという状況に関し、握手&キス&ハグの文化ではなくお辞儀文化だからだ、よく手を洗いうがいをし、衛生観念が高いからだ、暖かく湿気が多いからだ、結核予防のBCG接種が良いなど、さまざまな説が流れている。
BCG接種説とは、BCGは対結核だけでなく、一般的に免疫能力を高め、これがコロナウイルスにも効果的であるという説である。これによるとBCG接種をしている日本などアジアの国で死亡率が低く、していない欧米で高いという(大隅典子「コロナにBCGは『有効』なのか?東北大・大隅教授が緊急解説」ダイヤモンド・オンライン2020.4.13)。
これに対して、日本の状況は単にこれまでが良かっただけでこれから悪化する、日本は検査をしていないから患者が少ないのだという議論もある。これから悪化するという説に関してはすぐに結果が出るだろうから、本稿では検査数が少ないから患者数が少ないという説を検討したい。おそらく、これが現在の最有力説だと思われるが、この説が正しいかどうかを、統計的に検証する。
結論を先取りして述べれば、「検査していないから患者が少ない」という議論は正しい。しかし、それが患者数の統計に非常に大きな影響を与えているとまではいえない。また、他の説を排除するものでもない。本稿はまず、なぜ日本で検査数が少ないのかを論じた後、検査数と感染者数の関係を説明する計量的分析の方法を説明し、その結果を解説する。
なぜ日本では検査数が少ないのか
感染症の専門家によれば、治療法がないのに検査しても意味がない、インフルエンザであれば簡単に検査して陽性の場合はタミフルやリレンザを処方すればよいが、コロナ患者にはどうしようもない、ということらしい。検査数が少ないことに関し、国立感染症研究所所長が「市民の皆様へ 新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査に関する報道の事実誤認について 2020年3月1日」という文書を発表している。これによれば、検査は感染の拡大を抑えるためにしているのだから、むやみに検査数を増やす必要はないということである。
しかし、これでは何を言っているか分からない。「普通の検査は病因を見つけて患者を治すためにしているのだが、新型コロナウイルスは治療法がないから、その意味での検査をしても仕方がない。だから、意味のない検査に医療資源を使うべきではない」と言ってくれて初めて分かる。感染症学者は、「だから、検査をするよりも感染者の集団(クラスター)を追い、感染者を確実に隔離する方が感染症の爆発的蔓延を防ぐことができる」と言うのである。
検査しても分からない感染者が多数いる。検査で陽性と正しく認定できるのは感染者の7割程度らしい(「新型コロナ、なぜ希望者全員に検査をしないの? 感染管理の専門家に聞きました」BuzzFeed News 2020年2月26日)。すると、本当は感染しているのに陽性にならない感染者に、行動の自由のお墨付きを与えることになる。これはむしろ感染を広げることになりかねない。
また、陰性であるのに陽性になる人も少なからずいる。本当は陰性の人に対して、2週間の自宅待機など社会生活上の不便を与えることは好ましくない。また、発熱など疑わしい人を集中的に調べてもそれほど陽性者は増えない。だから、陽性者は本当に少ないのだという。
しかし、現在では発熱が続いてもなかなか検査をしてくれないという。検査されないと、家族や職場の人に感染することを恐れ、発熱に苦しみながら医者にも行けないことになる。検査して陰性であれば安心できるし(検査結果が確実でないので安心できないのかもしれないが)、隔離することによって感染を防ぐことができる。ドライブスルー検査など、特別な場所に検査所を設けて多数の人を集中的に検査すれば検査数を増やすことができる。
最近では、感染症学者も検査しないことに固執しなくなったように思える。また、検査が足りないことによって病院内で感染することを恐れる感染症学者以外の医師が、検査を求めるようになっている(「PCR検査、都内10カ所に 月内にも 医師会、自治体連携」東京新聞、2020年4月18日朝刊)。
新型コロナウイルスの感染者数と検査数との関係
検査数を増やすべきという意見が強くなっているが、ここでは最初の疑問、検査数が少ないから感染者数が少ないのかという問いに戻る。
この問いについて考える前に、ここで用いるデータの説明をする。感染者数とは、PCR検査で陽性となった人の数。患者数とは、感染者数から無症状病原体保有者と確認中の数字を差し引いたものであったが、途中から、感染者数≒患者数となった。ここで用いているデータでは、感染者数≒患者数、もしくは感染者数=患者数となっている。PCR検査人数とは、PCR検査を行った人の数である。重複は排除するため1人に複数回検査を行なった場合は「1」とカウントしている。なお厚生労働省は「疑似症サーベイランスの枠組みの中で報告が上がった数を計上しており、各自治体で行った全ての検査結果を反映しているものではない(退院時の確認検査などは含まれていない)」としている(さらに詳しくは本稿最後の付注のデータ元の説明を参照)。
以上のデータにより、まず、素朴に   感染者数=a+b×検査数
という式を推定して、検査数が増えるほど感染者数が増えるという関係が見いだせれば、検査数が少ないから感染者数が少ないのだと結論付けることができるような気がする。
図1は、検査数と感染者数と感染者数/検査数を時系列で示したものだ。初期には感染の可能性が特に高い者を検査していたが故に検査数に占める感染者数の比率が高かったが、検査体制が整った3月初めからは比率が低下していた。しかし、最近は比率が上昇、高止まっている。
   図1:累積の検査数と感染者数
一般的に言って、感染者数の真の値があって、それが変化しないのであれば、検査数が増えるほど感染者数が増えるというこの図から、検査数が少ないから感染者数が少ないと結論できる。しかし、感染者数は時間とともに増大していき、それに応じて検査体制を強化し、検査数を増大させている。そのため、検査数が少ないから感染者数が少ないとはいえない。つまり、時間とともに感染者数が多くなるデータでは、この方法では検証できない。
しかし、都道府県ごとのデータであれば、そのときの県ごとの相対的な感染者数の多寡は時間によらず、かつ検査数も時間ではなく県の裁量と検査体制の状況で決まる。従って、ある時点の都道府県ごとの検査数と感染者数の関係を見れば、検査数が少ないから感染者数が少ないのかどうかが分かる。これを見たのが図2である。図は、縦軸に10万人当たりの感染者数、横軸に10万人当たりの検査数を描いたものである。3月11日から直近時点までのデータがあるが、ほぼ20日ごとの結果だけを示しておく。
   図2:検査数と陽性者数の関係
これによると弱いながらも相関があるようである。しかし多くの方は、これらの図を見て、和歌山と大分でたまたま検査数が多く感染者数も多かったので、相関関係が現れたのだろうと思われるだろう。しかし、この2県を除いても弱いながら相関関係はあるようである(2県を除いたR2は図2の注にある)。ただし最近は、全ての県でも2県を除いても相関が弱まっている。この図のなかでは直近の東京のデータが気になる。検査が少ない中で、突出して陽性者数が多いからである。
次に3月11日から現在(4月25日)までの全都道府県のデータを使って相関関係を確かめる。この時、時間とともに感染者数が増加しているので、時間トレンドも説明変数に加える。感染者数は、10日ごとにほぼ倍増しているので、トレンド=1.07の日数乗としている。結果は、表1のようになる。
   表1:感染者数と検査数(それぞれ10万人当たり)の関係
検査数は10万人当たりの値である。この意味は、10万人当たりの検査数が1増えれば感染者数は0.014人増えるということである。人口100万人当たりの韓国の検査数は、3月13日と古いデータであるが、4800件余りである(「新型コロナウイルスの検査 世界の検査数は? 日本の現状は?」NHKニュース2020年3月18日)。人口10万人当たりなら、480件ということになる。日本は、現在10万人当たり98人を検査しているにすぎない。これを韓国の検査数480人にすれば10万人当たりの感染者数は0.014×382(480-98)=5.3人増える。
ただし、この推計に用いたサンプルでは、10万人当たりの検査人数の平均値は44.6人、標準偏差は46.0である。推計した係数は、検査数が少し増加したら陽性者数がどれだけ増えるかという意味なので、5倍近くに増やしたときに信頼できる係数であるかは分からない。とはいえ、増加すること自体は間違いない。
0.014という係数を信頼できるとすると、日本全体での患者数は5.3÷10万×日本の人口1億2600万人=6678人増えることになる。4月26日現在の感染者数の1万3232人が実は1万9910人であるかもしれないということである。すなわち現在の感染者数は、実は5割程度多いのかもしれない。ただし、これは現在の真の感染者が本当はもっと多いとしているだけであって、感染者の今後の増減について何らかの情報を与えるものではない。
統計的な検証からみえてきたコロナ「クラスター対策」への疑問
以上の統計的分析により、「検査をしていないから患者数が少ない」という説はおそらく正しいと結論づけられた。しかし、真の感染者数は現在明らかになっている感染者数の5割増し程度で、隠れた感染者がとてつもなく多いというわけではない。それでも、これは集団感染をつぶしていくことで感染者を抑えることができるという議論、クラスター論に疑問を投げかけるものである。
すでに感染経路が分からない感染者数が半分以上となっているということであるから(例えば、「東京都で新たに181人感染、経路不明7割 新型コロナ」日本経済新聞、2020年4月9日)、感染経路の分からない感染者数が仮に半分だとしても、真の感染者数が検査によって明らかになった感染者の1.5倍いるとすれば、感染経路が分からない真の感染者は「(0.5+0.5)÷1.5=0.66…」ということで、すでに3分の2を占めていることになる。クラスター対策だけでなく、緊急事態宣言による一般的な接触削減方法が必要になったということである。 
 4/30

 

●緊急事態宣言解除の条件とは−ゴールデンウイークの外出自粛徹底を 4/30
現在、新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)に基づき、新型コロナに関する緊急事態宣言が、全国を対象地域として発出されている。宣言の期間は5月6日までである。政府や自治体は、特にゴールデンウイーク期間中、里帰り等の移動を控えることを呼びかけ、感染が地方に波及しないように取り組んでいる。他方で、新型コロナ対応が長期にわたることを前提とした、経済的な援助政策や雇用維持施策等も政府・国会で議論されている。
テレワーク等で自宅にこもり、気晴らしの娯楽も自粛が要請され、自粛疲れも報道される中で、いつまでこの状態が続くのかを知りたいと思うのは自然なことであろう。
筆者は感染症の専門家ではないので、緊急事態宣言がいつまで継続されるのかの判断はつかない。ただ、どのような条件が満たされると、緊急事態宣言が解除されるのかを、法律および政府の基本方針をもとに考えてみたい。
まず、特措法および施行令によれば、緊急事態宣言は、「新型コロナウイルス感染症が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼしているとき、または、そのおそれがあるものとして感染経路が特定できない、あるいは感染が拡大していると疑うに足りる正当な理由があるとき」(特措法第32条、施行令第6条)に、期間、区域、概要を定めて発出される。
したがって、国民生活等に重大な影響を及ぼすおそれがあるものとされる「感染経路が特定できない、あるいは感染が拡大していると疑うに足りる正当な理由」がなくなれば、緊急事態宣言の発出理由もなくなるということができる。そして、その場合は、速やかに緊急事態解除宣言をして国会に報告しなければならない(特措法第32条第5項)。
この点、政府の行動計画1によると、具体的には、たとえば以下の3つのいずれかに該当する場合などに、総合的に判断して解除宣言を行うとされている。
(1) 患者数、ワクチン接種者数等から、国民の多くが新型コロナに対する免疫を獲得したと考えられる場合
(2) 患者数が減少し、医療提供の限界内に収まり、社会経済活動が通常ベースで営まれるようになった場合
(3) 症例が積み重なってきた段階で、当初想定したよりも、新規患者数、重症化・死亡する患者数が少なく、医療提供の限界内に抑えられる見込みがたった場合
上記(1)については、新型コロナに対して、いまだ有効なワクチンがない。また、(3)については米国や欧州の例を引くまでもなく、国内においても、新規患者数、重症化・死亡する患者数が当初想定より少ないとは言えない。そうすると、(2)の「患者数が減少し、医療提供の限界内に収まる…」ことが解除宣言の発出事由になるものと思われる。
以上から、感染者数が一定程度収まると同時に、新たな感染者についても感染経路が追えている状態にまでならないと解除宣言は出すことできない。そのため、このような状態となるまでは、特に感染者の多い13の特定警戒都道府県2では、外出自粛および営業停止要請対象の施設・店舗の営業停止の徹底は必須である。
難しいのは、ゴールデンウイークを控えて、東京等からの移動を抑制するために対象とした、感染がない・少ない地域への対応である。仮に、13の特定警戒都道府県については、5月6日で解除宣言が出ないとする。その場合に、13都道府県以外で感染が拡大しなかった県に対して、解除宣言を出すのかどうか。また、仮に解除宣言を出すとしても、感染リスクの高い業種(たとえば接待を伴う飲食店)の再開を認めるのか、という問題がある3。長期に休業を要請すると、長期の補償を考える必要があることも視野に入れなくてはならない。
この点、直近の経験としては、3月後半の3連休で緊張がゆるみ、その後、2週間で感染が急拡大したことがあった。解除宣言が「安全宣言」として捉えられるとすると、大変問題である。緊急事態宣言の延長は専門的かつ政治的な判断が求められるが、可能な限り、広めに網をかけておくことが必要に思う。
ちなみに、この点に関連してだが、政府の行動計画では、緊急事態解除宣言後を「小康期」と呼び、第二波の可能性やそれに備える必要性につき、情報提供するとしている。「小康期」と呼ぶのは、順次経済活動等は回復されるものの、再度感染が広がりかねない状態での回復であることによるものである。
緊急事態宣言が出てから「重大局面」という言葉を聞くことがむしろ減ったように思えるが、解除宣言を出すための「重大局面」が、ゴールデンウイークであることは間違いない。報道によれば、すでに医療現場で医療従事者がかなりの程度、疲弊している。医療崩壊を防ぐためにも、このゴールデンウイークは家で過ごすことが特に重要と考える。 
●緊急速報に「外出自粛要請」が追加、該当エリアの地方公共団体から配信 4/30
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは、災害時になどに避難勧告や各種警報などを配信する「エリアメール」(ドコモ)、「緊急速報メール」(au・ソフトバンク)において、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、都道府県知事から出される「外出自粛要請」が配信されるようになった。
同サービスは、「緊急地震速報」などの情報を対象エリアのユーザーに向けて、一斉に送信するサービス。今回、それらの情報に加えて、地方公共団体からの「外出自粛要請」も配信の対象となる。
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく感染を防止するための外出自粛要請が出された場合、各通信会社の同サービスを通じて「外出自粛要請」が配信されることになる。 
 5/1

 

 
 5/2

 

●4月1日ごろ減少転じたか 外出自粛要請など契機―専門家会議 5/2
新型コロナウイルス対策を検討する政府専門家会議は、1人の感染者が平均してうつす人数「実効再生産数」が4月1日ごろに「1」を下回り、感染が減少傾向に転じたとみられるとの分析をまとめた。「一定の成果が表れ始めた」と外出自粛要請など一連の対策を評価したが、人と人の接触の8割減は未達成で、減少ペースは緩やかだとした。
同会議で感染状況の推計に当たる西浦博・北海道大教授(理論疫学)は、東京都内の感染が減少に転じた要因は、3月25日の小池百合子都知事による外出自粛要請などが考えられると指摘。緊急事態宣言の後、感染リスクの高いナイトクラブなどに対し休業を要請した効果も大きいとした。4月10日の実効再生産数は0.5に低下したが、「今後も維持できるか見る必要がある」と慎重な対応を求めた。
感染の減少が緩やかな要因としては、医療機関や福祉施設内での集団感染を挙げた。仕事に就いている30代以上の年代では、接触減が8割に達していないとの分析も明かした。
全国の同10日の実効再生産数は0.7で、東京ほどの低下はみられなかった。
大石和徳・富山県衛生研究所所長は「感染減のスピードが鈍いのは、政府の対応も影響している」とした。緊急事態宣言発令や店舗の休業要請、テレワークの推進などで、実施の遅れが目立つと指摘した。
大橋順・東京大准教授(集団ゲノム学)も「感染減は不十分で、宣言を解除すればすぐに患者が急増する」と分析。「ロックダウン(都市封鎖)をしなくても、現状程度に接触を制限すれば感染が減りそうだと分かったのは良かった。今後の政策に生かしてほしい」と求めた。 
 5/3

 

●外出自粛「要請」はどこまで効果的か 5/3
日本の外出自粛、休業の要請はどれだけ効果があるのか。
日本はあくまで要請ベースだ。罰則を伴った強制措置ではない。専門家は、人の接触を8割減らせという。政府や地方自治体は、毎日のように外出するな、人との接触を控えよと「要請」する。それでも、なかなか人出が減らない。朝の通勤時間帯はそれなりの人混みだ。
要請されても休むわけにいかない事情がある。スーパーや交通機関で働く人々、医療従事者たちは自宅にこもってはいられない。我々が自宅にこもっていられるのは、これらの人々が危険と隣り合わせで働いてくれているからだ。
いったい、どれだけの仕事が、在宅勤務というわけにいかないのか、どれだけの人が小売りや交通機関、医療従事者として働いているのか、その割合が大きければ大きいほど、自粛要請効果は限定的でしかない。
欧米は強制措置による都市封鎖で、有無を言わさず、人に外出させず仕事に行かせない。仕事をしないから経済は大幅ダウンだ。それでも、期限を区切って我慢しないとこの危機は収まらない。そうやって耐えている。経済は、危機が収束してからやり直すしかない。もっともな考え方だ。仕事はテレワークを通じできるものだけに絞る。では、その結果、経済はどれほど落ち込むのか。
4月16日付エコノミスト誌(21日付日経、和訳掲載)は、各国の「都市封鎖による影響」がどれほどになるかを特集する。期せずして20日付日経は、緊急事態宣言によりどれだけ人出が減ったか報じる。双方併せ読むと、外出自粛要請の限界が浮かび上がってくる。
エコノミスト誌は、都市封鎖の影響を3つの基準で分析する。「在宅勤務でできない仕事の割合」「小売り、輸送、サービス業のGDPに占める割合」「景気刺激策の対GDP比」だ。
前二者は、外出自粛を求められても仕事場に行かなければならない人がどれだけいるか、三点目は、政府支援で自粛要請をどれだけ受け入れてもらえるか、を調べる。
世界33カ国を数値化し、都市封鎖で最も影響を受けやすい(したがって、経済が最もダウンしやすい)1位のギリシャから、封鎖しても比較的影響が少ない33位の米国まで順位づけた。
影響を受けやすいほうにギリシャ、スペイン(3位)、イタリア(5位)、フランス(15位)等、南欧諸国が並び、中位に日本(23位)やスウェーデン(28位)、ドイツ(29位)等、中北欧諸国が、最も影響が少ないところに英国(31位)、米国のアングロサクソンが並ぶ。
より詳細にみれば、「在宅勤務でできない仕事の割合」で、日本(67%)は、上位のギリシャ(68%)やスペイン(同)と並び、英国(56%)米国(58%)を大きく上回る。
「小売り、輸送、サービス業の割合」でも日本(22%)はギリシャ(23%)、スペイン(24%)と肩を並べ、英国(17%)米国(16%)を引き離す。
つまり、南欧や日本は、「人を介しての仕事」が多い。
南欧は非金融機関の雇用者の1/8が観光業だ。建設業も人が多く介在するといえる。これらの業種が多いと「人を介しての仕事が多い」経済構造ということだ。
テレワークは企業規模と関係する。大企業ほどテレワークが進みやすく、逆に中小はテレワーク導入が進まない。日本の報道では、従業員2万人以上のテレワーク実施率が6割、1~10人規模では1割となっている。
日本では、テレワークと地域との関連も指摘される。東京のテレワーク実施率は49%だが、これを全国平均にならすと27%まで落ちるという。
つまり、大企業や大都市はともかく、中小や地方は、テレワークといってもなかなか進まない。「人を介しての仕事」が中心だからだ。
企業慣行も関係する。この関連で指摘されるのが「ハンコや対面」だ。わざわざ印鑑を押すだけのために出勤が求められるとすれば改善の余地がある。対面でなくとも行政手続きはできるのではないか。政府もようやく見直しに乗り出した。
さらには、完成品メーカーが働いていれば部品メーカーが生産を止めることはできない、との事情も指摘される。
日本には、こういった「人を介しての仕事」が多い。つまり、日本には、自粛を要請してもなかなか浸透しない構造的要因がある。
それにもかかわらず、エコノミスト誌が日本を中位にランク付けられるのは、三点目の「景気刺激策のGDP比」で、他を圧倒して比率が高いからだ。日本(10%)米国(6.9%)英国(3.1%)であるのに対し、上位のギリシャ(1.0%)やスペイン(1.2%)はごく低い数値に留まっている。
これに対し、4月20日付日経は、緊急事態宣言の全国拡大後初の週末、週明けに、実際どれだけ人出が減ったか、を調べた。
結果は、「週末,ほぼ8割減を達成、これに対し、週明け(平日,4月20日)は4~5割減にとどまった」。
(東京駅(週末:−87%、平日:−57%)名古屋駅(−83%、−42%)博多駅(−81%、−45%))。ただし、地方都市や下請け工場が集まる所では、削減幅はずっと下がる。
休日、平日の人出に大きな開きがあることは、在宅勤務が言うほど簡単でないことを表す。専門家会議も22日、緊急事態宣言後の2週間を総括し「テレワークや時差通勤は必ずしも進捗していない」とする。一言で言えば、在宅勤務さえクリアすれば見通しは明るくなるかのようでもある。一番の問題は仕事場だ。
二つの記事は、「日本では、仕事場が変わらない限り政府がいう8割削減は難しい」ことを示唆する。それは、人の意識の問題もあるが、より根本的には構造的問題だ。経済の構造に手を入れない限り実現は難しい。そうだとすれば、日本もやはり強制措置の是非を真剣に検討すべき時期に来ているのだろうか。そしてもう一つ、それは何より休業補償の問題だ。補償があれば自粛要請はもっと浸透する。ただし財源がなければ補償は望めない。
では、自粛要請しても所詮限界があるのか。しかし、我々は諦めるわけにはいかない。できる限りの努力をする。
営業は対面が不可欠とされるが、そういうところでも「ネット接客」ができないか、試行の動きがある。不動産業界やアパレルで、ネットをつかい物件説明や商品選択をするという。
専門家会議は、22日、接触削減10ポイントをまとめた。在宅勤務、遠隔診療等に加え、オンライン帰省、オンライン飲み会、オンライン筋トレ等、オンライン活用を強く推奨する。オンライン飲み会や筋トレは既に馴染みだが、オンライン帰省は初めて聞いた。要するに国に帰るな、画面のやり取りで我慢しろ、という。総理も「この行動指針には様々な工夫が詰まっている。いま一度行動を見直していただきたい」と述べた。
ところで、20日付日経は、東京駅、名古屋駅等に関し述べているが、「同じ東京でも渋谷、丸の内、新宿等の都心は人出が減っても、住宅街は逆に人出が増えているではないか」との点を考慮していない。つまり、住宅地でまだ改善の余地がある。都知事は、買い物を3日に一度に、と呼び掛けた。
日本経済には仕事場に行かなければならない構造的要因がある。それをそのままにして、いくら自粛を言っても限界がある。それはそうだが、我々は、まだまだしなければならないことがある。ここは自粛に不満をいってはなるまい。我々が直面しているウイルスは手ごわい。一人一人の命がかかっているとすれば、ここは専門家の言うことに素直に従うしかあるまい。 
●特定警戒外は「8割減」求めず 緊急事態延長も、一部自粛緩和―政府 5/3
政府は2日、新型コロナウイルスの感染防止に向けた緊急事態宣言が全国で延長されるのに合わせ、「特定警戒都道府県」以外の地域については、人と人との接触機会8割減を求めず、外出自粛要請などを部分的に緩和する方向で調整に入った。政府関係者が明らかにした。
政府は4日に対策本部を開き、6日に期限が切れる緊急事態宣言の全国一律での延長を決定。安倍晋三首相は4日午後6時から記者会見に臨む。これに合わせ、新型コロナ対策の基本的対処方針を改定。東京都や大阪府など感染拡大が引き続き懸念される特定警戒都道府県では人と人との接触8割減を継続しつつ、それ以外の地域では外出自粛や休業要請を緩和すると明記する方向だ。
具体的には、特定警戒都道府県以外でも、クラスター(感染者集団)発生が懸念される大規模イベントや接客を伴う飲食店などには、引き続き休業を求める。一方で、商業店舗や飲食店では客同士の距離を一定程度離した上で営業することや、いわゆる「3密」の回避や手指の消毒などの徹底を前提に数十人程度の小規模イベントの開催などを認める案が浮上している。
特定警戒都道府県でも「徹底した行動変容」を求めつつ、学校や公園、図書館などについては部分的な再開を模索する。
在宅勤務については、引き続き全国で推進するよう要請し、特定警戒都道府県では「出勤7割削減」を求める方針。都道府県をまたぐ移動も、全国で自粛の継続を促す。
政府の専門家会議は1日、感染者数や医療提供体制に応じ、地域を2種類に分けることを提言。「新規感染者数が限定的となった地域」では「3密」などの回避を前提に対策の緩和も可能とした。
西村康稔経済再生担当相は2日の記者会見で、「7日以降は特定警戒都道府県以外の地域は少し(自粛などが)緩まっていく。事業者がしっかり判断できる枠組みをつくっていきたい」と語った。
特定警戒都道府県には、東京、大阪、北海道、茨城、埼玉、千葉、神奈川、石川、岐阜、愛知、京都、兵庫、福岡の13都道府県が現在指定されている。 
 5/4

 

●緊急事態宣言、5月31日まで延長決定。「コロナの時代の新たな日常」 5/4
5月6日までを期限に全国に出されていた緊急事態宣言が5月31日まで延期される。4日に安倍首相が発表した。
安倍首相は、多いときは700人を超えていた全国の新型コロナウイルス感染者数が直近では約200名、約3分の1に減少し、「収束に向けた道を着実に前進していることを意味する」と言及。「欧米のような感染爆発が起こるという悲観的な予想もあったが、私達の行動は私達の未来を確実に変えつつある」とし、緊急事態宣言から約1カ月での感染者減の実現と、国民の協力について感謝を述べた。
一方で、「努力をもう少しお願いしたいと、お伝えしなければならない。現段階では感染者減少が十分ではない。1万人近い方が全国で療養中で、人工呼吸機による治療を受ける方は1カ月で3倍、500名を超える方が亡くなっている。医療負荷が高い現状は変わっていない。さらに重傷者治療に集中するためにも、新規感染者を減らす必要がある」と説明し、特に「特定警戒都道府県」(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府)の13都道府県については、「引き続き8割の接触回避をお願いしたい。各地への感染を防ぐためにも、地方への人の流れが生まれることを避けなければいけない。全国を対象に延長する」とした。
宣言の延長が5月31日までとなった理由については、「平均的な入院期間は2〜3週間。感染した方の退院などで医療現場の逼迫を改善するには、1カ月程度の期間が必要と判断し、専門家の皆様の賛同を頂き、延長を決定した」と説明。ただし、10日後の5月14日を目処に、その時点での状況を改めて評価する。「その際に地域ごとの感染者の動向や医療機関の逼迫状況などを見て、可能であると判断されれば、期間満了を待つことなく緊急事態を解除する」と述べ、早期の解除もありうるとの姿勢を示した。
また、「1カ月で緊急事態宣言を終えることができなかったことは、国民の皆様にお詫びしたい」と語り、「我が国の雇用の7割を支える中小企業の皆様がこれまでにない経営環境に置かれていることは痛いほどわかっている。緊急事態を1カ月続ける判断は断腸の思い」と語り、支援策などについて言及。また、家賃補助やアルバイト学生の補助なども与党で追加施策を検討していく。
学校の再開についても言及。収束のための1カ月で次なるステップの準備期間とし、「『コロナの時代の新たな日常』を作り上げなければいけない」とし、ウイルスの存在を前提としながらも会社や学校に行くなど、“密”を避けた新たな生活様式に取り組むよう呼びかけた。そのため、分散登校や小規模なイベント開催など、活動再開に向けた感染予防ガイドラインの作成を進めていく。
一方、密が避けられないライブハウスなどは「引き続き自粛をお願いすることとなる」という。「外出自体が悪いわけではない。予防対策をしながら外出できるよう、日常を取り戻していく。5月は出口に向けて真っ直ぐに進んでいく1カ月」と語った。
安倍総理冒頭発言
緊急事態宣言を発出してから間もなく1か月となります。最低でも7割、極力8割、人との接触を削減する。この目標の下、可能な限り御自宅で過ごしていただくなど、国民の皆様には大変な御協力を頂きました。その結果、一時は1日当たり700名近くまで増加をした全国の感染者数は、足下では200名程度、3分の1まで減少しました。これは、私たちが終息に向けた道を着実に前進していることを意味します。また、一人の感染者がどれぐらいの数の人にうつすかを示す実効再生産数の値も、直近の値も1を下回っています。
緊急事態を宣言した4月上旬、1か月後の未来について、欧米のような感染爆発が起こるのではないか。そうした悲観的な予想もありました。しかし、国民の皆さんの行動は、私たちの未来を確実に変えつつあります。我が国では、緊急事態を宣言しても、欧米のような罰則を伴う強制的な外出規制などはできません。それでも、感染の拡大を回避し、減少へと転じさせることができました。これは、国民の皆様お一人お一人が強い意思を持って、可能な限りの努力を重ねてくださった、その成果であります。協力してくださった全ての国民の皆様に心から感謝申し上げます。
その一方で、こうした努力をもうしばらくの間、続けていかなければならないことを皆さんに率直にお伝えしなければなりません。現時点ではまだ感染者の減少が十分なレベルとは言えない。全国で1万人近い方々がいまだ入院などにより療養中です。この1か月で人工呼吸器による治療を受ける方は3倍に増えました。こうした重症患者は回復までに長い期間を要することも踏まえれば、医療現場の皆さんが過酷な状況に置かれている現実に変わりはありません。これまでに500名を超える方々が感染症によりお亡くなりになられました。心から御冥福をお祈り申し上げます。
一人でも多くの命を救うためには、医療資源を更に重症者治療に集中していく必要があります。1日当たりの新規感染者をもっと減らさなければなりません。このところ、全国で毎日100人を超える方々が退院など、快復しておられますが、その水準を下回るレベルまで、更に新規感染者を減らしていく必要があります。
そのために、感染者が多く、特に警戒が必要な13都道府県の皆さんには、引き続き極力8割の接触回避のための御協力をお願いします。東京都では、5月になってからも平均で1日100人を超える感染者が確認されています。これまでの努力を無駄にしないためにも、ここで緩むことのないようにお願いをいたします。
そして、各地への感染拡大を防ぐためにも、地方への人の流れが生まれるようなことは避けなければなりません。そのための対策も講じることができるよう、今後とも全国を対象として、延長させていただくことといたしました。その上で、入院患者の皆さんは、2、3週間が平均的な在院期間とされています。新たな感染者数を低い水準に抑えながら、これまでに感染した患者の皆さんの退院などを進めていく。そうすることで、医療現場のひっ迫した状況を改善するためには、1か月程度の期間が必要であると判断いたしました。
こうした考え方について、本日は尾身会長を始め、諮問委員会の専門家の皆さんの賛同を得て、今月いっぱい、今月末まで緊急事態宣言を延長することを決定いたしました。ただし、今から10日後の5月14日を目途に、専門家の皆さんにその時点での状況を改めて評価いただきたいと考えています。その際、地域ごとの感染者数の動向、医療提供体制のひっ迫状況などを詳細に分析いただいて、可能であると判断すれば、期間満了を待つことなく、緊急事態を解除する考えであります。
当初予定していた1か月で緊急事態宣言を終えることができなかったことについては、国民の皆様におわび申し上げたいと思います。
感染症の影響が長引く中で、我が国の雇用の7割を支える中小・小規模事業者の皆さんが、現在、休業などによって売上げがゼロになるような、これまでになく厳しい経営環境に置かれている。その苦しみは痛いほど分かっています。こうした中で、緊急事態を更に1か月続ける判断をしなければならなかったことは、断腸の思いです。
明日の支払にも大変な御苦労をしておられる皆さんに、一日も早く、使い道が全く自由な現金をお届けしなければならないと考えています。5月1日から最大200万円の持続化給付金の受付を始めましたが、最も早い方で8日(注)から入金を開始します。公庫や商工中金だけでなく、身近な地方銀行や信金や信組でも、3,000万円まで、実質無利子・無担保、元本返済も最大5年据置きの融資が受けられます。納税や社会保険料の支払も猶予いたします。これらの支援策を御活用いただくことで、この緊急事態を何とかしのいでいただきたい。事業と雇用を何としても守り抜くとの決意の下で、政府の総力を挙げ、スピード感を持って支援をお手元にお届けしてまいります。加えて、飲食店などの皆さんの家賃負担の軽減、雇用調整助成金の更なる拡充、厳しい状況にあるアルバイト学生への支援についても、与党における検討を踏まえ、速やかに追加的な対策を講じていきます。
その上で、事業者の皆さんが何よりも望んでおられるのは、事業の本格的な再開だと思います。そのために、この1か月で現在の流行を終息させなければならない。5月は、終息のための1か月であり、そして、次なるステップに向けた準備期間であります。どうか御理解と御協力をお願い申し上げます。
感染の拡大防止は、私たちの命を守るための大前提です。有効な治療法やワクチンが確立されるまで、感染防止の取組に終わりはありません。その意味で、私たちはある程度の長期戦を覚悟する必要があります。しかし、経済社会活動を厳しく制限する今のような状態を続けていけば、私たちの暮らし、それ自体が立ち行かなくなります。命を守るためにこそ、私たちはコロナの時代の新たな日常を一日も早くつくり上げなければなりません。ウイルスの存在を前提としながらのいつもの仕事、毎日の暮らし、緊急事態のその先にある出口に向かって、皆さんと共に一歩一歩前進していきたいと考えています。その観点から、本日、日常生活において留意すべき基本的なポイントを専門家の皆様からお示しいただきました。密閉、密集、密接、3つの密を生活のあらゆる場面でできる限り避けていく。このウイルスの特徴を踏まえ、正しく恐れながら、日常の生活を取り戻していく。専門家の皆さんが策定した新しい生活様式は、その指針となるものです。
子供たちには、長期にわたって学校が休みとなり、友達とも会えない。外で十分に遊べない。いろいろと辛抱してもらっています。心から感謝いたします。また、お父さんやお母さんや御家族の皆様には、大変な御負担をおかけしています。先週、文部科学省から、分散登校など、新たな指針をお示ししました。段階的であっても、子供たちの学校生活を取り戻していく。学校においても、新たな日常をつくる取組を進めます。
経済活動においても、新たな日常をつくり上げます。様々な商店やレストランの営業、文化施設、比較的小規模なイベントの開催などは、新しい生活様式を参考に、人と人との距離を取るなど、感染防止策を十分に講じていただいた上で、実施していただきたいと考えています。今後2週間をめどに、業態ごとに専門家の皆さんにも御協力を頂きながら、事業活動を本格化していただくための、より詳細な感染予防策のガイドラインを策定してまいります。ただし、3つの密が濃厚な形で重なる夜の繁華街における接待を伴う飲食店、ライブハウスなど、これまで集団感染が確認された場所へ出かけることは、引き続き自粛をお願いすることとなると考えます。
他方で、外出それ自体が悪いわけではありません。人との距離を十分に保ち、マスクを着用する。そうした予防対策を講じながら外出できる。そうした日常を、専門家の皆さんのアドバイスの下に取り戻してまいります。
もう一度申し上げますと、外出それ自体は全く悪いわけではないということであります。3つの密を避けることを大前提に、新たな日常を国民の皆さんと共につくり上げていく。5月はその出口に向かって真っすぐに進んでいく1か月です。同時に、次なる流行のおそれにもしっかり備えていきます。その守りを固めるための1か月でもあります。
各地で、医師会の皆さんの協力も得てPCRセンターを整備するなど、検査体制を更に拡充していきます。地域の感染対策の砦(とりで)である保健所の皆さんの負担軽減、体制強化にも更に取り組みます。感染が判明した方々には、宿泊施設での療養や医療機関への入院など、病状に応じた適切な対応がスムーズに行われるよう、自治体ごとの体制構築を支援していきます。ガウンや高性能マスクなどの医療防護具についても、国内での増産や輸入を一層強化します。そして、最前線の医療現場に国が直接届ける取組をもっと充実していきます。介護施設などの感染予防も一層強化しなければなりません。さらには有効な治療薬、有効な治療法の確立に向かって、この1か月、一気に加速していきます。
日米で共同治験を進めていたレムデシビルについて、米国で使用が承認されました。そして本日、我が国においても特例承認を求める申請がありました。速やかに承認手続を進めます。我が国で開発されたアビガンについても、既に3,000例近い投与が行われ、臨床試験が着実に進んでいます。こうしたデータも踏まえながら、有効性が確認されれば、医師の処方の下、使えるよう薬事承認をしていきたい。今月中の承認を目指したいと考えています。あらゆる手を尽くして、次なる流行に万全の備えを固めていく。そのための1か月にしなければならないと考えています。
感染のおそれを感じながら、様々な行動制約の下での生活は緊張を強いられるものです。目に見えないウイルスに強い恐怖を感じる。これは私も皆さんと同じです。しかし、そうした不安な気持ちが、他の人への差別や、誰かを排斥しようとする行動につながることを強く恐れます。それは、ウイルスよりももっと大きな悪影響を私たちの社会に与えかねません。誰にでも感染リスクはあります。ですから、感染者やその家族に偏見を持つのではなく、どうか支え合いの気持ちを持っていただきたいと思います。
各地の病院で集団感染が発生している状況を大変憂慮しています。しかし、医師、看護師、看護助手、そして病院スタッフの皆さんは、そのような感染リスクと背中合わせの厳しい環境の下で、強い使命感を持って、今この瞬間も頑張ってくださっています。全ては私たちの命を救うためであります。医療従事者やその家族の皆さんへの差別など、決してあってはならない。共に心からの敬意を表したいと思います。
緊急事態の下でも、スーパーや薬局で働いている皆さん、物流を支えている皆さん、介護施設や保育所の職員の方々など、社会や生活を様々な場所で支えてくださっている皆さん、そうした皆さんがいて、私たちの暮らしが成り立っています。改めて、心から感謝申し上げます。私たちの暮らしを支えてくださっている皆さんへの敬意や感謝、他の人たちへの支え合いの気持ち、そうした思いやりの気持ち、人と人との絆(きずな)の力があれば、目に見えないウイルスへの恐怖や不安な気持ちに必ずや打ち勝つことができる。私はそう信じています。
今年は、大型連休中も不要不急の外出を避け、自宅での時間を過ごしてくださっている皆さんに、改めて、衷心より御礼を申し上げます。友人同士でのオンラインでの交流など、インターネットやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使って人と人との絆を深め、楽しもうという、自宅での時間を楽しもうという方々がいらっしゃることに大変勇気づけられます。前向きな皆さんの存在が緊急事態を乗り越える大きな力となっています。
例年、ゴールデンウィークには実家に帰省するなど、家族で旅行していた皆さんも多いと思いますが、今年はオンライン帰省などのお願いをしております。そうすることで皆さんの、そして愛する家族の命を守ることができます。御協力に感謝いたします。いつかきっと、また家族でどこかに出かける。そのときのために、今はどうか、おうちで家族との時間、家族との会話を大切にしていただきたいと思います。
先日、国立感染症研究所が発表したゲノム分析によれば、我が国は徹底的なクラスター対策によって、中国経由の第一波の流行について押さえ込むことができたと推測されます。そして、700名を超える集団感染が発生したダイヤモンド・プリンセス号からのウイルスも、様々な対策の結果、国内では終息したと分析しています。そして、今また欧米経由の第二波についても感染者の増加はピークアウトし、終息への道を進んでいます。皆さんに大変な御協力を頂きました。大変つらい思いもしていただいていることと思います。しかし、私たちのこれまでの努力、取組は間違いなく確実に成果を上げています。みんなで前を向いて頑張れば、きっと現在のこの困難も乗り越えることができる。国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
ありがとうございました。私からは以上です。  
●緊急事態宣言延長 「基本的対処方針」の詳細 5/4
政府対策本部で変更が正式に決まった「基本的対処方針」は次のようになっています。いまだ全国的に相当数の新たな感染者が確認されており、引き続き、現在の枠組みを維持し、感染拡大の防止の取り組みを進めていく必要があるとしています。そのうえで、特定警戒都道府県とそれ以外の県では感染の状況が異なるとして、東京や大阪など13の「特定警戒都道府県」では、これまでと同様の行動制限を求めています。一方、それ以外の県では、「3つの密」を避け、手洗いや人と人の距離の確保といった基本的な対策の継続など「新しい生活様式」を徹底することを前提に、制限の一部を緩和する方針を打ち出しています。特定警戒都道府県とそれ以外の34県での制限の違いを個別に見てみます。
外出は
外出については、特定警戒都道府県では、引き続き、生活や健康の維持のために必要なもの以外は自粛を要請し、「接触機会の8割削減」の目標を掲げています。要請の対象外となる外出の例として、医療機関への通院、食料・医薬品・生活必需品の買い出し、必要な職場への出勤、屋外での運動や散歩などが挙げられています。一方、それ以外の34県でも、不要不急の帰省や旅行をはじめとした県外への移動に加え、繁華街の接待を伴う飲食店などこれまでにクラスターが発生した場所への外出は引き続き、自粛を促すとしています。それ以外の外出は、自粛を促す対象とはしていません。
イベントなどは
イベントなどについては、すべての都道府県で、クラスターが発生するおそれがあるもの、「3つの密」がある集まりは、引き続き、開催の自粛の要請などを行うとしていて、特に、全国的かつ大規模なものは感染リスクへの対応が整わない場合は、中止や延期など、慎重な対応を求めるとしています。一方で、特定警戒都道府県以外の34県では、比較的少人数のイベントなどは「感染防止策を講じたうえで、リスクの態様に十分留意し適切に対応する」としています。
休業要請などは
休業要請などについては、特定警戒都道府県では、引き続き、「感染の拡大につながるおそれのある施設の使用制限の要請などを行う」としています。その際は、「社会経済や住民の生活・健康などへの影響を留意し、各都道府県知事が適切に判断する」としています。例として、博物館、美術館、図書館、屋外の公園などは感染防止策をとることを前提に、開放することも考えられるとしています。それ以外の34県では、「感染拡大の防止や社会経済活動を維持する観点から、地域の実情に応じて各県が判断する」としています。そして、クラスターが多数発生している施設などは、使用制限の要請などを行うことを検討するよう求めています。また、クラスターの発生が見られない施設については、基本的な感染対策の徹底を強く働きかけるよう求めています。そして、事業者などには、業種や施設の種別ごとにガイドラインを作成するなど、自主的な感染防止のための取り組みを求めています。
職場への出勤は
職場への出勤は、特定警戒都道府県では、引き続き、「出勤者数の7割削減」の目標を掲げて、テレワークやローテーション勤務などの強力な推進を求めています。一方、それ以外の34県は、その目標の対象からは外したうえで、テレワークや時差出勤など人との接触を減らす取り組みは続けることを求めています。
学校は
学校については、特定警戒都道府県とそれ以外の県で区別はせず、「地域の感染状況に応じて、感染予防に最大限配慮したうえで、段階的に学校教育活動を再開し、児童・生徒が学ぶことができる環境を作っていく」としています。そして、これらの制限を行うにあたっては、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を図ることに留意する必要性を強調しています。
対象地域を判断する際の基準 新たに示される
このほか「基本的対処方針」では、今後、緊急事態宣言の対象地域を判断する際の基準が新たに示されています。判断基準は大きく、「感染状況」と「医療提供体制」の2つに分けられます。「感染状況」は、新たな感染者数などの水準や、近隣都道府県の感染状況などを判断基準として挙げています。
「医療提供体制」は、医師が必要と認めるPCR検査、院内感染の制御、救急医療などその他の一般医療への影響、医療機関の役割分担の明確化、患者の受け入れ先の調整機能、重症・重篤例の診療体制、病床の稼働状況や動向を迅速に把握・共有できる体制、重症患者から軽症患者まで病状に応じた迅速な対応を可能にする医療提供体制、などを判断基準にするとしています。 
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●「緊急事態宣言」の延長は本当に正しかったのか 5/7
緊急事態宣言が延長されたばかりのタイミングなので、ここは改めてじっくりこれまでの新型コロナウイルス対策の政策に関して、少し「外野的な議論」をしてみたい。政策の是非は問わず、どのような立場にも立たず、純粋に議論することは有益だと思う。そこで今回はコロナ対策の政策の議論を観察してきた中で、私が素朴に疑問に思っていることを、五月雨式に書いてみたい。私自身結論のないものを、あえてここで3つ取り上げてみたいとおもう。
いまさらだが、そもそも「行動変容」って何だ?
まず1つ目。行動経済学者の私にとって、一番不思議なのは「行動変容」という言葉だ。緊急事態宣言を延長するかどうか議論するときにも、「行動変容」が十分に起きているか、8割削減が達成されているか、というフレーズが何度も繰り返される。
しかし、そもそも「行動変容」って何だ?
これほど多用されているのに、政府が直接説明したのを記者会見の報道では見たことがないし、新聞などでもワード解説みたいなものは目にしない。さらに疑問なのは「本当にみんなわかっているのか?」「わかって使っているのか?」という点だ。
「いまさら何を言っているんだ。『行動が変わること』だよ。それ以外あるのか?」と言われるかもしれない。
しかし、どういう行動の変化を指すのか? たとえば、馬券が当たったから、いつも食べているカツ丼の並を上に変えるということか?あるいは、うちの息子に彼女ができて、急におしゃれになったとか?毎日風呂に入るようになったとか?カネが必要だからバイトを始めたとか?
行動経済学の範囲に入るのかもしれないが、その他の学問などいろいろな分野でも使われているようだ。おおむね、学習の心理学から出てきた概念で、「経験によって生じる比較的永続的な行動の変化」ということのようだ。また、医療保健の分野では、人間の行動が変わるときにはいつくかのステージを経て変化するという「行動変容ステージモデル」というものが使われているらしい。禁煙の研究などで生まれたようだ。
たとえば、厚生労働省のサイトでは「人が行動(生活習慣)を変える場合は、「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えます」と説明されている。
これをコロナ感染拡大防止の点で考えると、行動変容とは、外出を自粛してステイホームを徹底するとか、三密を避けるとか、マスクを必ずするとか、手洗いは欠かさないとか、そういうことであろうか?それともパチンコ屋に行くのをやめる、夜、飲むお店に行くのをやめるということか?
そうであるし、そうではないとも言える。
行動変容とは「永続的に変わる行動変化」のこと
つまり、単純なことだが、大まかに言って行動変化には2通りあり、1つは制約条件が課されたために行動が変化した場合。もう1つは、行動する人間の行動原理が何らかの理由で変わった場合だ。前述のように、行動変容というのは、永続的に変わることだから、後者のことを指す。前者の行動変化は意味がない。なぜなら、制約条件が外れれば行動は元に戻るわけだから、行動原理はまったく変わっていないからだ。
馬券が当たってカツ丼を上に変えても、明日からは並に戻る。息子も彼女に振られれば、ファッションのことは忘れ、バイトも止める。これらは意味がない。では風呂はどうか? もし風呂に入る習慣ができて、彼女と別れても毎日風呂に入るようになったらどうか? これは行動原理が変わるというよりは、風呂に入るということの価値に気づいたことによって、これまでの行動を決定するときの行動の選択肢に関する価値評価が変化することであり、「行動変容」である。
さて、緊急事態宣言を続けると「行動変容」が起きる、というのはどういうことか?マスクをしなかった人たちがマスクを嫌がらずに必ずするようになる。頻繁に手を洗うようになり、外出先でも食事の前には必ず手を洗うようになる。
満員電車はコロナがあろうがなかろうが、インフルエンザにもただの風邪にも良くないから、避けようとするようになる。企業は、テレワークのほうが効率的な部分もあるから、今後永続的にテレワークの割合を増やす。夜の店の濃厚接触というのはいろんな感染リスクがあるから、もともと必需でもないからこれを機会に通うのを止める。こういうことが起これば、「行動変容」であろう。
一方「今はステイホームがんばろう」「緊急事態宣言が外れた、よし、外出しまくろう」「ライブに行こう」「みんなでパーティやろう」。これでは「行動変容」は起きていないことになる。
この観点で見ると、緊急事態宣言、とりわけその延長というのは「行動変容」に関して、どのような意味があるのだろうか?
「マスクをするようになる」。これは日本ではもともと確立していた習慣だから、効果はない。欧米には大きな効果があっただろう。マスクをしなければ外出できないのであれば、嫌がらずにマスクをしよう。欧米の人々はこれまでほとんど手を洗わなかったから、手を洗う習慣ができる、トイレに石鹸が置いていなかったのが置いてあるようになった、それを使う習慣ができた、ということで欧米には絶大な効果があったはずだ。
「緊急事態宣言延長」は「行動変容」に対して効果なし?
一方、日本ではほとんどない。そんなことは分かっているし、多くの人がしていた。「満員電車を避ける」「テレワークが進む」。これらは大きな効果があっただろう(と期待したい)。ただ、延長してもしなくても関係なかったかもしれない。要は企業側次第だが、延長してもしなくても、しないところはしないだろうから、延長の意味はないだろう。
そして、パーティなどは、延長は逆効果ではないか。延長で不満が溜まる。規制が外れたらとことん遊んでやる、騒いでやるという気持ちが、ストレスの高まりとともに、限界値を越えて高まったのではないか。
夜の店に通うのはどうか。パチンコはどうか。一種の中毒だとすると、規制が外れればとたんに押し寄せるだろう。この意味でも、緊急事態宣言はその期間だけ押しとどめているだけだから「行動変容」にはつながらず、意味はないだろう。
もともと、「行動変容」は、タバコ中毒、アルコール中毒に対して、それを脱却するために不可逆的な行動の変化をもたらすために、ある程度の期間が必要で、その期間において前述の5つのステージを経てようやく実現する、というものだ。肥満対策として、運動習慣、食習慣を変えさせるというのが、今回のコロナ対策における「行動変容」としては近いだろう。
あらゆる意味で、少なくとも「行動変容」に対して、緊急事態宣言の延長というのは効果がない、あるいは逆効果なのではないか。
「行動変容」にも関係するが、2つ目の大きな疑問は、「8割」「8割」とノイローゼになるぐらい繰り返されるお説教である。
第1に、8割というのは人出なのか、接触なのか?という疑問である。これは、安田洋祐氏なども指摘しているが、当初は、人出を8割減らせというように、政府側も言っていたようであるが、あるときから、接触率を8割減らせ、という風に変わった。もし接触率8割でよいなら、人出は8割減らす必要はない。10人同士で接触するのが10×10=100だったのが、2人になれば2×2=4で、8割の人出削減だと接触は96%減るからだ。
第2に、私の反論は、4月17日配信の記事「接触機会8割削減策がズレていると考えるワケ」でも述べたように、接触の質にもよるので、濃厚接触を厭わない人の外出が減らなければ意味がない。逆に言えば、非常に気をつけて外出する人が多ければ8割減らす必要もないということだ。
ここでは、「住宅地のスーパーで多少の密になったときに、本当に感染が起きているのか?」あるいは「通勤の電車で、満員でなく普通に少し混んでいるときぐらいで、本当に感染が起きているのか?」。そういうデータも分析も公開されないので、どこをどう自粛していいのか、どういう自粛がもっとも効果的なのか分からない、ということが問題だ。ライブに行くこと、夜の店に行くこと、みんなで飲み会をすること、これらが悪いのは分かったが、あとは良く分かっていないのだ。
「8割達成」も「延長の判断」とは無関係?
しかし、ここでもっとも大きな疑問は、緊急事態宣言が必要かどうかだ。「行動変容が起きているか」「8割達成できているかどうか」ということがしつこく言われるが、それは、そりゃあ自粛しろ、といわれているから達成できているが、緊急事態宣言が外れれば、すぐに動き出すわけだから、今8割達成できているかどうかは、緊急事態宣言の延長の判断とは無関係であるはずだ、ということだ。
なぜそこまで8割にこだわり、街中に出ている人を見つけて批判したり、戦時中の隣組みたいに、近所の人に白い目で見られなければいけないのか。
1つ考えられるのは、感染者数というのは1週間前から2週間前の感染状況であるから、足元の感染状況は、今、人出が少ないかどうか、それしか判断材料がないから「今8割削減が達成されていれば、2週間後の数字はきっといいだろう、感染者数の増加幅は減少しているだろう」、という推測に使えるということだ。
おそらくこれなのだと思うが、そうすると最大の疑問点について考えざるを得ない。
つまり、ロックダウン(都市封鎖)、外出自粛はどこまで効果があるのか?これが3つめにして最大の疑問点だ。外出を自粛したほうがしないよりも、感染の拡大が少ないのは分かる。だがロックダウンを外せばまた感染が始まってしまうのだから、意味があるとするなら、あくまで、感染スピードが加速しているときにそのスピードを一時的に抑えるということが最重要である場合にやるべきということだ。
感染者をゼロ、ウイルスを根絶できない以上、外出制限はあくまでそのときだけ効果があり、制限を外せば、また感染の広がりは始まるわけだから、あくまで緊急避難的な措置だ、ということだ。
ロックダウン=「命も経済も守れる」という前提
ここで最大の疑問は、その効果の程度なのである。いったい、どこまで効果があるのだろうか?
すでにアメリカでは、アカデミックな議論が盛んである。もっとも有名なのは、3月末に発表された1918年のスペイン風邪の流行のときに、政府介入による行動規制を行った都市の方が、健康被害も経済被害も長期的には小さかったという論文だ(Sergio Correia et. al.Pandemics Depress the Economy, Public Health Interventions Do Not: Evidence from the 1918 Flu)。
したがって「命か経済か」というトレードオフではなく「命も経済も」、とにかく厳しい外出制限、ロックダウンを長期に継続したほうが守れるという主張に学問的なサポートを与えた。
経済学者達は、トレードオフに見えるが実はそうではない、というロジックの美しさに興奮しており、これに注目が集まっている。だが批判もあり、私も疑問を持っている。実例として1回の例に過ぎないこと、1918年と現在ではすべての環境が大きく異なること、データが年度ごとなので、経済回復の影響が行動規制によるものなのか、第1次世界大戦によるものなのか、さらにアメリカの西部と東部、中西部ではそもそも経済環境や状況、成長段階が異なったのではないかなど、さまざまな疑問がある。
一方「ロックダウンが唯一の感染拡大防止策であり、かつ効果的だ」、という断定的な論調に疑問を投げかけたのは、2013年にノーベル化学賞を受賞したスタンフォード大学医学部で生物学教授であるマイケル・レビット氏だ。
彼は「感染症が専門ではない」と強く留保条件をつけたうえで、「純粋に統計的な数字を見ると、疫学の学者達が前提とするような、指数関数的な感染爆発は、世界中のどこでも起きておらずもっと緩やかだ」、と主張する。かつ、「どこの都市も、感染拡大のスピード、最終的な感染者数や死亡者数の規模が余りに良く似ており、各都市の都市封鎖の程度や方法は異なるにもかかわらず、同じような感染拡大カーブを描いているのは驚きだ」と指摘し、ロックダウンの効果に疑問を投げかけている。
彼の主張は、ロックダウンに効果がないことを示すものではない。だが、これまでのすべての議論は、ロックダウンの感染拡大防止効果は絶大であることを前提としてきた。
それゆえ、こうした前提は定量的にどこでも示されておらず、効果はあるが、どの程度か、それは地域、対象の人種、そのほかの環境によってどう変わるか、まったくわからないまま、「とにかくロックダウンするしかない」「命を守るためには何がなんでもするべきだ」、という議論に対する疑問としては、意味のあることだと思う。ちなみに、彼は、ロックダウンではなく、普通の行動制限、感染拡大防止行動(マスクや手洗い)をした上で、死亡リスクの高い人々を隔離して徹底的に守るべき、こちらの守りを固めるべきだと主張している。
この主張と整合的なMIT(マサチューセッツ工科大学)の経済学者達の分析もある(Daron Acemoglu et. al., A MULTI-RISK SIR MODEL WITH OPTIMALLY TARGETED LOCKDOWN)。
この出来立てほやほや(5月3日公表)の論文では、人々を年齢によって3つの世代に分けたシミュレーションを紹介している。結論として、国民全体に一律の行動制限、ロックダウンをかけるのでなく、世代ごとに分け、特に高齢者世代に絞って、徹底的なロックダウンをかけた方が、健康被害を減らすという意味では断然効果的であり、経済的被害も健康被害もともに最小化できる、ということが示されている。
このようにアメリカでもさまざまな議論が行われているのだが、読者の皆さんはどう思われるだろうか(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
ここからは競馬コーナーである。
10日に行われるNHKマイルカップ(G1、東京競馬場11R、距離1600メートル)は、予想の難しいG1として有名であり、過去には超大穴も出ているレースである。過去には、3連単で1000万馬券(100円が1000万円になる)に近いものも出ている。
理由は、3歳春という成長途上の時期であり、レース経験が少ない馬たちが多く、また直接対戦してない馬同士も多く、力関係もはっきりしないことがある。
ただ、この傾向は先日行われた桜花賞でも皐月賞でも同じはずなのであるが、このマイルカップはクラシックでないことが大きいようだ。
ほとんどの馬たちは、とりあえずは皐月賞からダービーあるいは桜花賞とオークスを目指すので、最初からマイルカップということが少ないので、臨戦過程がばらばらだったり、馬の状態がここを目標に作られている馬とそうでない馬とがいて、非常に比較しにくいことがある。
さらに、牡馬と牝馬が混じって戦う3歳春の大レースは基本的にはこれだけなので、その点も予想を難しくさせる。特に、マイルということで、「桜花賞組」の有力牝馬が出てくると人気になることが多いのだが、「男子」と一緒だと急に走らなくなる「女の子」もいて、なかなか興味深い。
NHKマイルは3戦無敗の「超大物候補」で勝負
さて、今年はその牝馬が主役だ。彼女の名はレシステンシア。2歳戦では断然の最強牝馬で、桜花賞でも強いレースをしたのだが、さらに度肝を抜く強いレースをしたデアリングタクトに勝たれてしまった(桜花賞馬となったデアリングタクトはオークスではなく、ダービーに向かうという話もある)。
桜花賞は2着だったとはいえ、彼女が1番人気だろう。一方、牡馬で有力なのは、2歳戦では、実力馬のサリオス(皐月賞2着馬)に完敗し、2着だったタイセイビジョン。
サリオスは、皐月賞こそコントレイルにはわずかに負けたが、同賞を見ればこの2頭が牡馬では抜けていると思われる。この一角に負けたとは言え、タイセイは前走、今回のG1距離と同じマイルのアーリントンカップ(G3)を圧勝しており、ここでは一見、牡馬では最有力に見える。
今年は迷う。どうするか。
まず、今年は荒れないと見る。過去のレースの勝ち馬を見ると、キングカメカメハを始め、このNHKマイルカップを勝って将来さらに大物になる馬が少なくない。全体のレベルが低いときには大荒れになるときもあるが、レベルが高いときは、実力のある大物、ここで完成されていて確実な馬ではなく、将来の超大物が勝っている。
ということで、ここまで3戦無敗で底を見せていない、サトノインプレッサとルフトシュトローム。この2頭の、どちらかの単勝を買ってみたい(なお今回の予想は出走馬確定前のものです)。 
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●緊急事態宣言延長まで 5/8 
安倍内閣と東京都の対立
はじめに
「本日は尾身会長を始め、諮問委員会の専門家の皆さんの賛同を得て、今月いっぱい、今月末まで緊急事態宣言を延長することを決定いたしました。」 5月4日18時から官邸2階の大ホールで安倍晋三首相は記者会見を始め、こう述べた。その前に開催された新型コロナウィルス感染症対策本部で首相は緊急事態宣言の期限を5月末まで延長することを決定した。ほぼひと月前の4月7日に安倍首相は緊急事態宣言を発令していた。対象地域は東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県である。それから1ヶ月ほど経ち、首相は期限の延長を決断した。首相が会見の中で挙げた最大の要因は医療機関に1万人程度の患者が入院しており、医療機関の状況が逼迫していることであった。本稿では上篇と下篇に分けて首相が緊急事態宣言を発表してから、5月4日に期限を延長することを決定するまでの政治過程を振り返る。上篇の「緊急事態宣言延長まで 上:安倍内閣と東京都の対立」では、宣言後、安倍内閣と東京都が休業要請の行い方で合意するまでの経緯を説明する。
緊急経済対策と補正予算
安倍内閣は緊急事態宣言の発表と同時に緊急経済対策と令和2年度補正予算を閣議決定した。緊急経済対策の総額は108兆円であり、うち財政支出は39.5兆円であった。補正予算の規模は16.8兆円であった。特に中小企業や個人事業主向け給付金と減収世帯向け給付金が目玉であり、それぞれの総額2.3兆円および4兆円であった。中小企業や個人事業主向け給付金は、「持続化給付金(仮称)」として、事業収入が前年同月比50%以上減少した事業者に対して、中堅・中小企業は上限200万円、個人事業主は上限100万円の範囲内で、前年度の事業収入からの減少額を給付するというものであった。個人向け給付金は、一定の条件を満たす世帯に30万円の給付を行うというものであった。その条件とは次のいずれかであった。
(1)世帯主の月間収入(今年年2月〜6月の任意の月)が、新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準となること。
(2)世帯主の月間収入(今年年2月〜6月の任意の月)が新型コロナウイルス感染症発生前に比べて半分以上減少し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準の2倍以下となること。
だが、この30万円給付案は、その後、与党内の摩擦の火種となる。
世論の反応
緊急事態宣言を出したタイミングについて、世論調査で見る限り、国民は不満であった。毎日新聞の調査では回答者の70%が緊急事態宣言が出された時期が「遅すぎる」と回答している(『毎日新聞』2020年4月9日)。読売新聞の調査でもやはり81%が「遅すぎた」と答えている。朝日新聞の調査でも同様の結果が出ている。さらにこの調査では内閣の対応を評価しない、首相が指導力を発揮していないと答えた人が回答者のそれぞれ53%、57%となっている。
安倍内閣と東京都の対立
緊急事態宣言発令後、4月10日に小池東京都知事は広範な業種に対して休業要請を行う。特措法24条9項に基づき、映画館、ライブハウス、バーなどに休業要請を行う一方、生活必需品に関連しない小売店舗などに対し法律に基づかない休業協力依頼を行う。また飲食店に対しても営業時間を5時から20時、酒類の販売は19時までとする。また、休業要請に応じた中小の事業者や個人事業主に対して最高100万円の感染防止協力金を支給することを公表する(4月15日の東京都の補正予算発表時に営業時間の短縮に応じた飲食店も対象となることが明確となる)。発表に至るまでに安倍内閣と東京都の感染防止策に対する考えの違いが明らかになる。
安倍内閣の考え
安倍内閣はまず外出自粛を国民に要請し、2週間程度様子を見てから休業要請を行うことを考えていた。このため、国は基本方針を宣言発出と合わせて3月28日に策定した新型コロナウィルス感染症対策の基本的対処方針を改正していた。基本的対処方針は感染防止策としてまん延の防止に関する措置として、まずは特措法第45条第1項に基づく外出の自粛等について協力の要請を行うことを定めていた。次に、都道府県による法第24条第9項に基づき休業要請を行うことになっていた。その後に、強制力の強い、特定都道府県による第45条第2項から第4項までに基づいて休業の要請、指示等を行うにことを定めていた。その際、都道府県は、国に協議の上、必要に応じ専門家の意見も聞きながら、外出の自粛等の協力の要請の効果を見極めた上で行うことになっていた。
東京都の考え
しかし、東京都は早急かつ広範な業種を対象に休業要請を行う考えだった。すでに小池東京都知事は6日に記者会見を開き、宣言が出された場合に東京都が取る「措置」について説明していた。小池知事は24条9項に知事が「新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる」と規定されていることを根拠に広範な休業要請を行おうとしていた。小池知事は「基本的に休業を要請する施設」、「施設の種別によって休業を要請する施設」、「社会生活を維持する上で必須な施設」に分けて、休業や感染防止措置を要請する方針を示す。東京都は広範な業種に休業を求める考えで大学、映画館、ライブハウスなどに加え、居酒屋、百貨店、ホームセンター、理髪店なども対象にする方針あった。(『日本経済新聞』2020年4月10日、『朝日新聞』デジタル版2020年4月6日)。東京都は宣言発令以前に対象業種を公表する計画であった。
協議
これに対し、国は休業要請を直ちに行うことやその対象を広範とすることに慎重であった。早急に広範な休業要請を行おうとする東京都に対し、西村経済財政担当大臣は7日に休業要請を2週間先送りにすることを求めた。国と東京都の考えの間に隔たりがあった。このため宣言発表前から、両者の間で調整が行われた。最終的に小池都知事と西村経済財政担当大臣が9日に会談して、調整が完了する。東京都は当初休止の対象としたホームセンター、理髪店、居酒屋を除くことに同意する。最終的に国は東京都が特措法24条に基づいて特措法の施行令が対象とする業種については休業要請を行い、それ以外の小規模な業種には休業への協力をお願いすることを認め、調整が完了する。
安倍内閣の妥協
安倍内閣が早期かつ広範な休業要請に躊躇したのは経済に悪影響を及ぼすことを恐れたためであった。一方、東京都は感染者が急増していることに危機感を覚えていた。東京都は国との調整が整わなかった場合、単独の要請も考えていた(『朝日新聞』2020年4月11日)。安倍内閣が妥協した背景には「私が足を引っ張っているとされるならバカバカしい。もう争わなくていい」という安倍首相自身の判断もあった。4月15日までに他の府県も東京都同様の休業要請および飲食店の営業時間短縮要請に踏み切る。東京都の影響力を示すことになる。ただし、埼玉県と千葉県は飲食店の営業時間短縮を要請しなかった(埼玉県は17日から、千葉県は18日から酒類の提供を19時までとすることを求める。)
「うちで踊ろう」コラボの波紋
宣言後の最初の日曜日となる4月12日に安倍首相はツイッターに歌手の星野源氏がインスタグラムに投稿した「うちで踊ろう」という動画に合わせて自身が自宅で過ごす動画をツイッターで投稿する。一部で批判を浴びることになる。首相自身その後「賛否両論」あったと振り返ることになる。しかし、4月13日以降、動画に対する批判よりも首相やより深刻な難題に直面することになる。安倍首相は緊急経済対策の柱である30万円の現金給付案を見直し、補正予算を組み替えることを余儀なくされるからである。
与党内対立から延長決定へ
はじめに
「本日は尾身会長を始め、諮問委員会の専門家の皆さんの賛同を得て、今月いっぱい、今月末まで緊急事態宣言を延長することを決定いたしました。」 5月4日18時から官邸2階の大ホールで安倍晋三首相は記者会見を始め、こう述べた。その前に開催された新型コロナウィルス感染症対策本部で首相は緊急事態宣言の期限を5月末まで延長することを決定した。ほぼひと月前の4月7日に安倍首相は緊急事態宣言を発令していた。対象地域は東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県である。それから1ヶ月ほど経ち、首相は期限の延長を決断した。首相が会見の中で挙げた最大の要因は医療機関に1万人程度の患者が入院しており、医療機関の状況が逼迫していることであった。本稿では上篇と下篇に分けて首相が緊急事態宣言を発表してから、5月4日に期限を延長することを決定するまでの政治過程を振り返る。下篇の「緊急事態宣言延長まで 下:与党内対立から決定へ」では、30万円給付案が10万円給付金支給案に変更され、その後、緊急事態宣言の延長が決定されるまでの経緯を説明する。
30万円給付から10万円給付へ
4月16日に安倍首相は二階俊博自民党幹事長と公明党の要求に屈し、緊急経済対策の柱である30万円の現金給付を見直し、かわりに10万円を一律に国民に支給することを決めることを余儀なくされる。これに伴って、補正予算を組み替えなくてはならなくなる。
安倍・岸田会談
30万円給付案は4月3日の安倍首相と岸田文雄政調会長との会談でまとまった。しかしながら、会談の前から給付額は30万円と決まっていた。しかしながら、岸田氏に「花をもたせるため」、岸田氏の発案で30万円とすることを決定した形にした。このため、幹事長の二階氏や公明党には十分知らされておらず、二階氏や公明党は不満をためていた。また、30万円の給付を受け取れる人は限られており、自民党内や公明党支持者の間で不評だった。
二階幹事長と公明党の要求
4月14日に二階幹事長は党本部で所得制限をつけた上で「経済対策では一律10万円の現金給付を求めるなどの切実な声がある。速やかに実行に移すよう政府に強力に申し入れる」と記者団に突如、表明する(『朝日新聞』2020年4月15日)。翌15日に公明党は二階氏の動きに呼応し、一律10万円給付を求めることを決め、山口那津男代表が首相に面会を求める。山口氏は連立からの離脱も示唆した。首相は自民党と公明党の協議を要請する。自民・公明両党の幹事長・政調会長を中心とする協議で、自民党側は二次補正に盛り込むことを提案するが公明党側はこれも拒否。翌日、山口代表は首相に進退をかける考えを示して譲歩を迫った(『産経新聞』2020年5月2日)。これに対し、首相は公明党の要求に応じることを決断、補正予算を組み替え、30万円給付の代わりに国民一人あたり一律に10万円を給付することを決断する。
緊急事態宣言の対象地域の拡大
10万円給付に変更するためには補正予算の組み替えが必要であった。しかし、すでに公明党も決定過程に参加して閣議決定した補正予算を組み替えるのは極めて異例のことであった。補正予算を組み替える正当性が必要であった。そこで、首相は10万円給付に変更する根拠とできることを最大の理由としてこの日、緊急事態宣言の対象地域を拡大することも併せて決断する。
「公明党に押し切られた」わけにはいかない
この日の夕方から安倍内閣は新型インフルエンザ等対策有識者会議基本的対処方針等諮問委員会を開催、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大することなどを諮問する。了承を得た上で、政府対策本部は地域の全国への拡大や、もともと対象地域としていた7都府県に、北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都に加え、13都道府県を特定警戒都道府県として指定する。これにあわせて基本的対処方針を改訂し、宣言発出時より踏み込んで、特定警戒都道府県は休業要請を行うことを方針として定めた。もともと安倍首相は対象地域を全国に拡大することを考えていたことは確かである。しかし、拡大を決断した最も重要な要因は30万円給付案を10万円給付案に変えたことであった。首相は「公明党に押し切られた」ことを理由にするわけにはいかなかった(『読売新聞』2020年4月18日)。このため、首相や主要閣僚は緊急事態宣言を全国に拡大することを政策変更の理由とすることを決断する。
急遽開催された諮問委員会
10万円給付への切り替えのために拡大に繋がったのは諮問委員会が急に開かれることになったことにも表れている。諮問委員会は17日に開かれる予定だった。急遽前倒しになった。一人の委員は「いきなり今日になった。全国に広げる議論もしていない。今までの議論は何だったのか」と語ったという。首相は4月17日に記者会見を開き、二つの決定について説明する。首相はゴールデンウィークに地方への「人の流入を防ぐため、各地域が所要の緊急事態措置を講じることができるよう」対象地域を拡大することにしたと述べる。その上で、「国民の皆様と共に乗り越えていく」ために全国民を対象に10万円給付を行うことにしたと説明する。そして、首相は政策決定過程が混乱したことについて「心からおわびを申し上げたい」と述べる。
妥協の理由:参議院
公明党は補正予算案や緊急経済対策案に賛成していた。にもかかわらず首相はなぜ公明党の要求を受け入れなくてはならなかったのか。最大の要因は参議院にある。参議院で自民党は過半数議席を割っており、公明党の議席がないと法案は通らない。公明党の連立離脱の脅しが本気だったかどうかはわからない。だが、本当に連立離脱されると失うものがあまりに大きい。首相はリスクを冒すわけにはいかなかった。さらに1999年から連立を組む中で多くの自民党議員は学会から支援を得るようになっている。学会票が自民に来るかそれとも他党に行くかは自民党議員の当落に直結する。連立離脱はやめてほしいというのが自民党議員の願いでもある。首相の力は強くなった。しかし、多くの自民党議員がこぞって反対するようなことは首相もできない。首相に強い要求を突きつけたのは公明党だった。しかしながら、公明党を先導したのが二階幹事長であったことは間違いない。二階氏は「30万円は事前に岸田政調会長から相談がなかった。おれ個人ではなく、幹事長というポストを軽んじてはいけない」と語ったという。
補正予算成立
4月20日に安倍内閣は組み替えた補正予算を閣議決定。30万円給付案を10万円給付に組み替えたため、総額は16兆8057億から25兆5665億円に増える。30万給付は4兆206億円だったのが10万円給付に必要な額は12兆8803億円となる。4月27日に補正予算の審議は始まる。国会は29日の祝日も審議し、4月30日に成立する。
緊急事態宣言延長へ
4月7日の会見で、首相は感染拡大を抑えるために人と人との接触を7割から8割削減する必要性を訴えた。17日ではさらに踏み込んで、感染者を減らすために「最低7割、極力8割」削減することが重要であることを強調している。宣言発令やこうした呼びかけが功を奏し、宣言後人の流れは大きく縮小する。読売新聞社の報道によれば2月3日と4月17日の朝の人の流れを比較すると東京駅の利用者は7割減となっている。また、同じ日付の夜の人の流れを比較すると渋谷センター街は85%減となっている(『読売新聞』2020年4月21日)。内閣官房の資料によれば全国の多くの主要駅で前年比で平日で人流は7割から8割近く減少している。
「行動変容」と「新しい生活様式」
新規感染者は4月中旬には700人近くに達する日もあった。しかし、外出自粛、営業休止などが功を奏し、4月下旬には日によっては200人を切るようになる。緊急事態宣言の期限は5月6日であり、この頃から宣言が延長されるのかどうかについて関心が高まる。首相はこの日、緊急事態宣言を延長する意向を表明する。5月1日には西村経済財政相に1ヶ月程度延長することを中心に調整するよう指示する。専門家会議は提言を発表し、実効再生産数が全国で0.7、東京で0.5まで低下していることを発表。しかしながら、発症者が拡大したペースに比べれば、全国、東京とも現象のペースはより緩やかであると分析、「行動変容」や「新しい生活様式」を打ち出し、基本的にこれまで同様の対策を求める。
延長の発表
5月4日に対策本部は緊急事態宣言を5月31日まで延長することを発表する。基本的対処方針も改定し、これまで同様に特定警戒地域とそれ以外の地域で異なる対応を求める。特定警戒地域に対しては外出自粛や休業要請、通勤の7割削減など強力な対策を求める。それ以外の地域に対しては小規模イベントの開催を許容するほか、休業要請についても地域の状況に応じた対応を求めている。
医療現場の逼迫
首相は5月4日に会見を開き、31日まで延長することを正式に発表する。首相はこれまでの対策の結果、感染者が減少したことを認めつつも、医療現場の状況が厳しいことを最大の理由として、延長を決断したことを説明する。「全国で1万人近い方々がいまだ入院などにより療養中です。この1か月で人工呼吸器による治療を受ける方は3倍に増えました。こうした重症患者は回復までに長い期間を要することも踏まえれば、医療現場の皆さんが過酷な状況に置かれている現実に変わりはありません。」 同時に具体的な目標として次のように新規感染者が100人以下に抑えることを次のように説明している。「医療現場の過酷な状況の中において、更なる努力が必要である。1日の新規感染者を退院、回復される方、100人の水準以下に抑える必要があると、そのように判断をしたということであります。」 病院からの退院者が現在では平均100人なので、新規感染者を100人以下に止めることができれば、医療現場の状況がこれ以上悪化しないよう歯止めをかけられるためである。
解除目標
安倍首相は同時に5月を「終息のための1か月」と捉え、5月14日までに改めて評価を行い、解除できる地域については解除する方針を示した。また家賃支援、雇用調整助成金拡充、学生支援について新たな経済支援策を策定することを表明する。実は首相は4月27日に1ヶ月程度、延長する方針を決めていた(『日本経済新聞』2020年5月4日)。2月中旬にイベントの自粛、一斉休校を求めた時、首相に迷いはなかった。だが、宣言の発令に至るまでの過程では発令へのためらいがあったことは間違いない。発令後の政策決定過程も混乱した。しかし、医療現場の安定を最優先の課題として捉えたことは明らかであり、今後はこの目標を軸に政策を立案していくはずである。 
●「緊急事態宣言延長」は国民のせいなのか 5/8
安倍晋三が何もやってこなかったこの1カ月間
経済活動再開に向けて、日本政府がほとんど何もしてこなかった1カ月間。それが4月7日〜5月6日までの安倍政権の緊急事態宣言期間だったと言って良いだろう。
5月4日に行われた安倍首相による緊急事態宣言延長の記者会見の内容は驚くべきものだった。一体何に驚かされたかというと、緊急事態宣言の解除後に国民が日常に復帰していくための諸施策が5月中に作られるというものだったからだ。
たとえば、安倍晋三首相は5月4日から2週間を目途として各種業態ごとに専門家と協力して事業活動を再開するための詳細な感染予防ガイドラインを策定する旨を発表した。
そもそもこのようなガイドラインは、緊急事態宣言を発出した段階ですでに策定開始していて当然のものだろう。仮に5月6日で緊急事態宣言を解除したとしても、事業者は新型コロナウイルス蔓延事例が自己の責任が及ぶ範囲内で発生した場合の風評被害・訴訟リスクを懸念し、その事業活動を安心して再開することは困難だろう。まして、これだけ政府が自粛を煽った後であるから一層リスクが高まっていることも間違いない。そのため、政府が一定の責任を引き受ける形になるガイドラインの存在は極めて有用である。
自粛圧力に耐えている民間事業者を馬鹿にするのもいい加減にしろ
したがって、緊急事態宣言延長後にガイドラインを作ることは論外なことは明らかだ。緊急事態宣言期間中に策定が完了することは最低限のことであり、可能であれば先月の同宣言公表以前の段階で作られていることが望ましいのは当然だ。むしろ、事業活動再開のためのガイドラインが緊急事態宣言解除判断日に揃っていないということは、政府は最初から1カ月で緊急事態宣言を解除するつもりが無かったと言っているに等しい。苦しい思いで自粛圧力に耐えている民間事業者を馬鹿にするのもいい加減にしてほしい。
安倍首相は「わが国の雇用の7割を支える中小・小規模事業者の皆さんが、現在、休業などによって売上げがゼロになるような、これまでになく厳しい経営環境に置かれている。その苦しみは痛いほど分かっています」と述べている。その中で5月1日からの持続化給付金、すでに対応が行われている中小企業への融資や雇用調整助成金の措置について触れている。
安倍晋三の国民生活への無理解が明らかになった
だが、すでに実施されている施策についても制度の複雑さや対応速度等の使い勝手の悪さによって中小企業の怨嗟の声が渦巻く状態となっている。雇用調整助成金を受給するための基準には、行政用語に慣れていない中小企業側にとってはチンプンカンプンな文言が並んでおり、結局は社労士に頼まない限りは申請すらままならない。
諸々の対応策の実施が遅れた理由として補正予算の成立が遅れたこともある。その理由は安倍政権が作成した限られた人しか受け取ることができない30万円給付金にあった。その理不尽さが国民の怒りを買って連立与党の公明党が動いたことで、補正予算閣議決定後に一律10万円給付金に予算の組み直しを行う羽目になったのだ。つまり、国民の現場の声に耳を貸さず、安易に表面上の額面だけを増やした給付金が却下されたのだ。公明党の対応は生活者の声に敏感だったと思うが、逆に安倍政権の国民生活への無理解が明らかになった出来事だった。
人間社会の現場を全く理解していない専門家集団が経済を壊す
その無理解の極みが専門家会議による「新しい生活様式」の発表だ。この「新しい生活様式」の内容に従った場合、多くの中小企業(飲食店等)は廃業に追い込まれるだろう。提言内容には、食事は「対面ではなく横並びで座ろう」「大皿は避けて料理は個々に」「屋外空間で気持ち良く」と御託が並べられているが、これではほとんどの飲食店にとって回転率が悪すぎて商売が成り立たないことは自明だ。娯楽・スポーツについても「筋トレやヨガは自宅で動画を活用」「予約制を利用してゆったりと」「歌や応援は十分な距離かオンライン」とされているが、多くのレクリエーションはそれでは当然に成り立たない。人間社会の現場を全く理解していない専門家集団による提言とは、斯様に専門家への信頼自体を揺るがすものになるのかと実感する良い見本だ。
安倍政権は、民間事業を潰す提言内容を「新しい生活様式」として持ち上げている暇があるなら、この1カ月の間に上述の経済再開のためのガイドラインや緊急事態宣言停止のための基準を作成しておくべきだった。
米国の猿真似を何でもするが、肝心なことだけは真似しない日本
実際、専門家会議の副座長である尾身氏からも「我々のような公衆衛生、感染症のプロと経済のプロの両方が政府に提言し、政府は両方を見た上で最終的な判断をしてほしい」と要請されたほどに、経済面に関しての意識が低かったように思われる。政府の回答は「分かった。何とかしよう」というものだったらしいが、感染症の専門家に経済政策の心配をされるとは政府は恥を知るべきだろう。
海の向こうでは、米ドナルド・トランプ大統領は経済人会議を創設して経済活動再開のためのガイドライン作成に以前から着手しており、すでにそのためのガイドラインは公表されている。米国の場合、ロックダウン解除権限を持つ民主党系州知事が頑なに解除に反対しており、トランプ大統領は経済活動再開に向けて国民の世論を形成するために連日のようにメッセージを発している状況だ。米国の猿真似を何でもしているわが国政府は、このような肝心なことだけはあせて真似しないとはどうしたことか。効果の有無すら不確かな緊急事態宣言の紛い物を発し、経済活動再開に向けてはボケっとしているようでは、現政権は得意の物真似芸すらまともに務まらないと言えるだろう。
世襲政治家や試験秀才の官僚の国民生活への無関心さが露呈した
国民がひたすら理不尽に耐えてきたこの1カ月間、政府がやったことは、同調圧力による私刑を背景とした自粛を国民に強制し、多大な経済被害を与えながら、経済・雇用の命運がかかった経済活動再開についてほぼ何も準備せず、むしろ自粛で困窮する人々への補償を出し渋っていただけだ。
安倍政権の担当者たちは会議室の中で毎日のように新規感染者数の発表を確認することにさぞ忙しかったことだろう。政権の有様から察するに、市井で失業者、倒産者、融資申請件数がどれだけ増えたかは彼らの目には何も入っていないのだろう。国民生活が何によって支えられているかを理解しておらず、世襲政治家や試験秀才の官僚が人々の生活について無関心な有様が露呈している。
ちなみに、筆者の手元に、官邸肝いりのアベノマスクが届いたのは5月頭。うちの町内会はとっくの昔にマスクを早く配布してくれたし、虫入り・カビだらけの可能性があるマスクを貰うよりも、地域コミュニティからの贈り物のほうがよほど役に立つ上に安心だ。
真面目に働いたと思われる国内事例を一つ紹介する
最後にこの一カ月の間に経済活動再開に対し、その賛否はあるものの、真面目に働いていたと思われる国内事例を一つ紹介しよう。
大阪府は緊急事態宣言延長の翌日5日に、休業及び外出自粛要請の段階的な解除基準を定めている。その基準は重症病床率、検査対象者の陽性者率、感染経路不明新規感染者数などであり、クラスターが発生していない業種などを解除対象とすると言う。その上で、国の対応について「具体的な基準を示さず、延長することは無責任」と断じている。大阪の吉村洋文知事の政治姿勢は、政府が緊急事態宣言解除の基準すら示さず、自らの判断を専門家会議の判断に丸投げしている姿とは大違いだ。ちなみに、西村康稔経済再生担当大臣が吉村知事の発言にメディア上で噛みつき、吉村知事が大人の対応として陳謝することになったが、誰が仕事をして誰が仕事をしてないかは、衆目の目には明らかだっただろう。
政治家が責任を持って基準を公表することは、その政治生命に対するリスクを自ら背負う行為だ。しかし、それはあくまでも政治生命でしかなく、国民の生命・財産と比べられるようなものではない。内閣総理大臣の政治生命は、失業・倒産がもたらす経済苦で命を落とす国民の命に比べれば何の価値もないものだ。
一体誰のための政治か、国民はわが国の民主主義を問い直すべき
しかし、残念なことに今の永田町の空気からは、このような筆者の言葉に冷笑を浴びせかけるような雰囲気すら感じる。政治責任をできるだけ回避しようと奔走する政権の有様を見ると、この国の政治家は国民との関係において根本的な部分を履き違えてしまっているように見える。一体誰のための政治か、国民はもう一度我が国の民主主義の在り方を問い直すべきだろう。
今回の自粛延長は政府が目標に掲げた「接触8割削減」などを国民が守り切れなかったからではない。安倍首相が国のリーダーとしてあまりに無能すぎるからだ。 
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●宣言“延長”初の週末「人増えた」心配の声 5/9
新型コロナウイルスの緊急事態宣言の延長が発表されてから初めての週末を迎え、繁華街などで道行く人からは「人が増えた」と心配する声も聞かれました。また、8日の全国の人の流れは、感染拡大前と比べて多くの地点で目標の8割の減少率に届きませんでした。
9日午前の東京・JR新宿駅前の映像を見ると、マスクを着けた人が行き交っているのが分かります。「きょうは新宿の病院に来ました。人増えて大丈夫なのかなって、ちょっと心配ではあります」  「ゆっくりだと思うんですけれども、だんだん通常に近づいていくといいかなと思っております」 駅近くにある大型衣料品店は9日から営業再開となりましたが、午前11時のオープン前に行列などは見られず、人が密集するような様子はありませんでした。店では、入り口にアルコール消毒を設置したり、通常より営業時間を短縮したりするなど感染防止対策をとっているということです。
一方、午後の神奈川・江の島周辺の映像を見ると、砂浜に観光客はほとんどいなかった一方で、海にはサーフィンなどのマリンスポーツをする人の姿が見られました。地元の人「全然(人は)やっぱり多いですよ。少ないとはいっても多いですよ。(Q:きょう?)うん、きょうはね」  地元の人「ちょっと緩んでるんですかね。(外出自粛が)結構長くなっていますからね」
一方で、8日の人の流れは、都内6つの主要駅で感染拡大前と比べ6割から7割の減少率となりました。また、13の特定警戒都道府県では、7日と比べると増加した地域が多いことが分かります。
感染拡大前との比較では、岐阜駅周辺で37.7%、大阪・梅田周辺では69.9%の減少となっていて、多くの地点で目標の8割に届きませんでした。  
●福岡の街中は閑散…緊急事態宣言“延長後”初の週末 5/9
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が延長されて最初の週末を迎えました。特定警戒都道府県に指定されている福岡県の繁華街では人出は少ないままです。
緊急事態宣言が延長されて初めての土曜日。福岡市天神はデパートなどの商業施設は臨時休業となっていて、人通りはまばらです。一方、休業要請が解除された佐賀県ですが、例年の「母の日」前と比べるとデパートの人出は少ないということです。佐賀市の佐賀玉屋では営業時間の短縮や催事の中止のほか、出入口や館内にアルコール消毒液を設置するなど感染拡大防止の対策を取りながら営業しています。  
●追加経済対策 第2次補正予算案を編成へ 5/9
新型コロナウイルスの感染拡大を受け追加の経済対策を行うため、政府与党は第2次補正予算案を早期に編成し、今の国会で成立させる方針を固めたことがわかりました。複数の政府与党関係者によりますと、第2次補正予算案は事業者向けの家賃支援や生活の苦しい大学生らへの給付、地方自治体への交付金の拡充などが柱となります。
自民党は、週明けから第2次補正予算案について議論を本格化させる予定で、安倍総理大臣は、来週にも編成を指示する見通しです。先週、第1次補正予算が成立したばかりですが、与党からはさらに家賃や学生を支援すべきなどの提言が相次ぎました。政府関係者は「第1次補正予算の予備費では到底、財源が足りない」と話していて、異例の早期編成に踏み切ります。政府与党は、今月中にも第2次補正予算案をとりまとめ、来月上旬にも国会に提出し、来月17日までの今の国会で成立させる方針です。 
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●政府、2次補正予算案の成立めざす方針 今国会中に 5/10
政府・与党は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する追加の経済対策を盛り込む第2次補正予算案を早期に編成し、今国会中の成立をめざす方針を固めた。今国会では総額25兆円超の補正予算が成立したばかりだが、緊急事態宣言の延長を受け、さらなる対策が必要と判断した。
複数の政権幹部が明らかにした。近く安倍晋三首相が2次補正予算案の編成を指示する。追加経済対策は、先に与党がまとめた事業者への家賃支援策のほか、経済的に困窮する学生らへの支援策などが柱になりそうだ。企業が従業員に支払う休業手当を支援する雇用調整助成金について、日額上限の引き上げも検討する。週明けから追加対策の党内論議を始め、早期のとりまとめをめざす。首相官邸は自民党幹部に通常国会の会期を延長しないよう求めており、自民党は2次補正予算案を6月17日の会期末までに成立させたい考えだ。
経済対策をめぐっては、一律10万円給付などを盛り込んだ総額25兆6914億円の補正予算が4月30日に成立したが、追加の対策を求める声が与野党双方から上がっている。 
 
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●非常事態宣言解除 5/25
 
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2020/4-5