韓国 反日煽動史

韓国 反日の主張を聞く

 


日本を許さない文在寅・・・
2019 8/16〜 光復節 8/15 慰安婦の日 8/14 8/13 8/12 8/11 8/10 8/9 8/8 8/7 8/6 8/5 8/4 8/3 8/2 8/1 ・・・2019/7 2019/6 2019/5 2019/4 2019/3 2019/2 2019/1
〜2018 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 〜2011 ・・・
日韓請求権協定檀君朝鮮反日主義・・・ 
 
 
 
 
 
 
●反日の主張を聞く

 

 
 
 
●なぜ韓国は日本を許さないのか
 
 
日本がいくら韓国に対して謝っても、彼らは、いつまでも謝罪や賠償の要求を繰り返します。そのことに対し、多くの日本人が疑問に思うとともに辟易としているのが現状ではないでしょうか。なぜ彼らは日本を許そうとしないのか、どうすれば彼らの要求が終わるのか? それを理解しないことには日韓友好も何もあった物ではありません。
日韓両国は1965年に締結された日韓基本条約の付随協約により、当時の国家予算の二倍強の協力金(日韓は戦争しておらず賠償義務がないため賠償金とは呼ばない)を日本が韓国に支払うことにより日韓両国間の請求権問題が「完全かつ最終的」に解決されたことを確認しています。
本来であれば、その時点で両国の過去は清算され対等の付き合いを始めるべきなのですが、日韓それぞれの事情により、その後も日本は韓国に対して何度も謝罪や援助を繰り返してきました。それにもかかわらず、韓国は日本に対して、いつまでも謝罪と賠償を要求しています。そんな韓国という国が、我々日本人の目には理解不可能な国に映るのも当然と言えば当然でしょう。
韓国人の理屈
しかし、これは日本から韓国を見た感想であり一面的な物の見方でしかありません。では、反対に韓国から日本を見た場合はどうなのでしょうか。当たり前のことですが、彼らには彼らなりの理屈があります。そして、それを理解しないことには韓国人の日本に対する言動の本質は見えてきません。
その理屈を簡単に言うと「日本の植民地支配に起因する出来事は、すべて日本政府の責任であり、それに対して時効の概念はない」というものです。少し大げさに言えば、日韓併合時代に起こったことは、例え交通事故でも「日帝が道路を拡張したから事故が起こった」と言えば日本政府の責任になるということであり、しかもそれは永遠に請求できる権利であるということなのです。日本人からすれば「そんなアホな」という話ですが、韓国では裁判所も認める当たり前の話として通用しています。
ちなみに、日韓基本条約の交渉時に日本政府は未払い賃金等の個人債権は直接個人に対して保証すると提案しましたが、韓国側がそれを断った経緯があるので、条約締結後の個人補償義務は韓国政府にあります。しかし、韓国政府が意図的に自国民に条約の内容を知らせないでいたため、いまだに多くの韓国民が、その事実を認識していません。もう一つ付け加えれば、この時、韓国は朝鮮半島を代表する国家として北朝鮮の分も受け取っています。ですから百歩譲って日本が北朝鮮に協力金を支払う義務があるとしても、日朝の国交が開始された時点で支払い義務は日本にではなく韓国にあるのです。
なぜ韓国は日本が何度となく謝罪や賠償を行っても、許さないのか
それを一言でいえば「そういう国だから」という答えになります。ふざけた言い方に聞こえるかもしれませんが、一言で言いあらわそうとすると、本当にそうなるのです。これで話を終えれば本当に「ふざけるな」といわれるのは間違いないので、今から順を追って説明いたします。
韓国はどういう国なのか
その国がどういう国なのかを知ろうと思えば、その国民性を見る事も重要ですが、何と言っても、国家の成り立ち(歴史)や統治形態(法令等)を見るのが一番の近道です。特に憲法、中でも「前文」を読み解き現実と対比させれば、その国が、おおよそどの様な国であるのかという様な事がわかります。一例をあげると、いわゆる日本国憲法は前文で「(前略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。(後略)」と謳い、まさに「自国の命運を他国に委ねる」という無責任国家の本質を端的に表しています。
では「大韓民国憲法」の前文はどうなっているのかというと、
「悠久の歴史と伝統に輝く私たち大韓国民は己未三一運動で大韓民国を建立し(中略)檀紀4281年7月12日に憲法を制定する」 ※注
となっています。
ここで、韓国の歴史を多少なりとも知っている人は、何かがおかしいと感じるはずです。韓国=大韓民国の独立の宣言は1948年8月15日に初代大統領の李承晩が行っているのですから、おかしいと思うのは当然の事です。では、大韓民国が建立されたという「己未三一運動」とは、一体何なのでしょうか? それは、1919年3月1日、日韓併合時代の朝鮮半島で起こった、反日暴動のことです。
この運動自体の評価は諸説いろいろとありますが、要約すると、33名の宗教家が独立宣言書を作成し、それに共鳴した民衆がデモを起こしたという事件です。デモに参加した人数は多いものの運動は約2か月で収束し、処罰された人数の少なさや量刑の軽さ、何の成果もあげられなかったことを客観的に見ると「建国」とはほど遠いのが実情ですが、彼らに言わせると宣言書を読み上げただけで、大韓民国臨時政府ができたということらしいです。
彼らの歴史では、その後、大韓民国臨時政府は上海、重慶と場所を移しながら光復軍を創設し、それをもって連合国の一員として日本と戦い、最終的に勝利したことにより自力で独立を勝ち取ったという話になっています。つまり、大韓民国という国は自国の建立の歴史を、国際社会が認めた李承晩の独立宣言ではなく、自分の都合のいいように書き換えていることが、この前文から分かるわけです。
このことを、分かりやすく書けば
朝鮮(清の属国)→大韓帝国→大日本帝国→アメリカ軍政→大韓民国
という本来の歴史を
朝鮮→大韓帝国→日本植民地→臨時政府→大韓民国
というふうに書き換えているということです。
以上、韓国が自国の都合のいいように歴史を書き換える国であるという説明です。
日韓の歴史認識の違い
次に、日本と韓国の歴史に対する認識の違いを整理しておきましょう。
日本において歴史というのは過去に起こった事実を客観的に検証し事実に迫ろうとするものですが、韓国においては事実とは関係なく「こうあってほしい」「こうあるべきだ」という結論をもとにストーリーを作ります。そして、その結論を決めるのは戦いの勝者、つまり時の権力者ですから、話がおかしいと思っても誰も文句は言いません。
彼らは往々にして、自分たちに都合の良い結論をもとに歴史をつくり、自分たちが政権の座から引き摺り下ろした過去の為政者を否定します。それは自分たちが新しく作った政権の正当性を担保するため、政権が交代する度に繰り返し行われる行為で、昔は一族皆殺しなどの残虐行為も珍しくありませんでした。民主化された今は、残虐行為こそ行われませんが、歴代大統領の末路を見れば、韓国の歴史に対する考え方が良くわかるかと思います。
ちなみに政権の正統性というのは、その政権が国を統治する根拠のことで、多くの国では国家設立の過程にその淵源を見ることができます。具体例を挙げると「アメリカ」は、植民地支配により自国を搾取していたイギリスに戦争で勝ち国民を救ったことを、「フランス」は、民を顧みない王家を革命によって倒し国民を救ったことを、根拠としています。
李氏朝鮮の場合は、高麗の将軍であった李成桂が、明との戦いのために集めた兵を己のために自国の王家に向け、いわゆる謀反により政権を簒奪したのですが、彼の国の歴史では高麗王朝は腐敗して民から見放されていたため、李成桂がやむなく高麗王家を討ったという筋書きになっています。
このように事実はともかく、新しく政権に就いたものにとっては、以前の政権が民を苦しめるダメな政権でなければならず、仮にそうでなければ現政権がおこなった行為(特に武力行使)が、君臣の秩序を乱した、ただの権力奪取になり、政権の正統性が疑われてしまいかねません。
大韓民国の場合はどうかというと、憲法前文で「三・一運動により建立された大韓民国臨時政府(後略)」と謳い、1919年に建国したことになっているので、現在の大韓民国にとっての前政権は日本であり、かつ彼の国の歴史では「光復軍」というものにより日本から武力で独立したという話になっていますから、先ほどの「政権の正当性」の話に当てはめれば、歴史の事実がどうであれ日本は民を苦しめる、倒されて然るべき政権であったという話でなければならないのです。
ですから日韓併合時代に朝鮮王国が近代化し、圧政に苦しんでいた民衆の生活が向上して民が暮らしやすい世の中になったという本当の歴史では、韓国政府としては非常に困るのです。まして大韓民国の建国後には国民の生活レベルが日韓併合時代より下がっているのですから、そんなことを認めれば日韓併合時代の方が良かったという話になりかねず、ひいては自分たちの政権の正当性が揺らぐため、何が何でも日本を悪者にしなければないのです。
そのため韓国政府は、歴史を書き換え、自国民を年端もいかない子供の頃から虚実交えて日本に反感を持つように教育しており、その成果とも言えるのが、平成25年にソウルで起きた「日本統治はよいことだった」と発言した老人が若者に殴り殺された事件です。
20代後半で終戦を迎えた日韓併合時代を実体験として良く知る95歳の老人が、自らの体験に基づいて述べた率直な感想に対して、それが真実か否かは関係なく、朴正煕政権末期に生まれた実際の日韓併合時代を直接知らない38歳の若者が日本をほめたという理由だけで殺意を抱くほどの怒りを覚え、それだけではなく、それを実行に移し、なおかつその行為を称賛する人が少なくないという事実は、実際の歴史である日本統治体験よりも、虚構をもとに行われている反日教育の方が、韓国人が日本を憎む原動力となっているという韓国社会の病根を如実に表していると言えるでしょう。
おまけに裁判所が、この若者に対して下した判決が懲役5年であるいうことと、韓国の裁判所が慰安婦訴訟やセウォル号事件で分かるように国民世論の影響を受けやすい体質であることを、重ね合わせて考えてみれば、韓国社会における、この反日無罪のような風潮は一部の人たちだけではなく広く世間一般の人々が容認しているという結論にならざるを得ません。
まともな人もいたが
では韓国人すべてが反日思想の持ち主かというと、そうではありません。このように日本人から見れば絶望的な韓国社会ですが、そんな中でも事実を捻じ曲げた一方的な日本悪玉論に異を唱える希望の光のような人がいるにはいました。
金完燮という作家は「親日派のための弁明」という日韓併合に肯定的な見解の書物を出版しましたが、その結果、本は事実上の発禁処分、本人は逮捕されました。(ちなみに日本ではベストセラーとなっています) また、韓国で国民的人気を誇った趙英男というタレントが「殴り殺される覚悟で書いた親日宣言」という本を出版しましたが、その後は親日派(=売国奴)として激しく糾弾され、芸能活動は休止に追い込まれました。
韓国社会において社会的地位の高い学者とて例外ではありませんでした。ソウル大学で韓国経済史を研究する李栄薫教授は「従軍慰安婦は売春業」と発言したため、元慰安婦らの前で土下座させられ、長時間にわたり罵倒を浴びせられ続けました。
このように韓国社会で日韓併合時代を良く言うことは自殺行為なのです。どんな人気者でも社会的地位の高い人でも、ひとたび日本寄りの発言をすればマスコミをはじめ司法に至るまで、ありとあらゆる方面から圧力を受け、集団リンチで社会的に抹殺されてしまうのです。韓国にも日本のことを正当に評価する人はいるのですが、怖くて声をあげられないというのが本当のところなのです。
このような社会に真の言論の自由などあるはずもなく、今この瞬間にも公教育により反日韓国人が生産され続けられているのです。彼ら韓国政府にとっては日韓併合時代こそが不都合な真実であり、特に日清戦争で日本が勝利したことによって初めて朝鮮が独立したことや、日本人として大東亜戦争を戦ったなどという歴史の事実は、彼らにとっては消し去りたい悪夢なのです。
ですから日韓併合時代に建設された建造物を「日本が建てた」という理由だけで取り壊し、日本に協力したとされる人たちを、親日(韓国では親日=売国)リストに載せ、子孫の財産を没収するなど、近代法の常識である「法の不遡及の原則」を捻じ曲げてまで、過去を消し去ろうとするのです。悲しいことに韓国は日韓併合時代を全否定しなければ国が成り立たないのです。
反日の理由
また、今なお戦争状態(南北間は休戦中であり、国際法上の戦争は終わっていません)にあり領土の北半分を占領しながら、韓国と朝鮮半島における政権の正当性を争っている北朝鮮の存在も見逃せません。北朝鮮建国の父である金日成は、日本軍と勇敢に戦い勝利した(事実かどうかは問題ではない)ことを政権の正当性としていますから、そのような歴史的事実がない韓国としては、何が何でも光復軍が日本軍に勝ったという話を創らなければならず、そのために日本人を殺した人物を英雄に祭り上げるなどして組織的な戦闘行為を行わなかった本当の歴史を、暗殺=戦争という歴史に書き換えるなどの作業を行っているのです。
つまり、国家として最も大事な政権の正当性のためには、彼らにとって事実がどうであれ日本が悪の帝国でなければならないのです。そのために彼らは、自分たちが一方的な被害者であると捏造した物語を武器に、国内では自国民に対して幼少期から徹底的に反日教育を行い、国外では諸外国(特にアメリカ)に対して、陰に陽に日本を非難し、日本が悪い国であるかのような印象を与えようとしているのです。
以上、ここまで述べてきたように韓国における反日の根本的な原因は、彼ら自身にあるのですが、それを大前提としたとしても、ここで忘れてはならないのが日本の責任です。言うまでもなく自己の保身のために歴史を書き換えて他国を非難する方が悪いのですが、それを助長してきたのが日本の政治家、官僚、マスコミ、学者、弁護士、市民活動家を名乗る人たちなどである事を忘れてはいけません。
政治家や官僚は保身のために目先のトラブルだけを回避しようとして、韓国の嘘を半ば認めるかのような対応を繰り返してきました。マスコミは日本が悪かったという話を捏造してまで日韓の両国民を洗脳し、時には日本の何気ない出来事を、悪意を持って韓国に伝え、反日感情を煽る一方、韓国の不都合な真実は日本で報道しません。学者は学問ではなく政治活動に走り日本を非難し、弁護士は海外に出かけ被害者を金で釣って集め、その人たちを自身の政治活動のために利用し、市民活動家を名乗る人たちはこれらの人たちの尻馬に乗って騒いでいます。
これでは韓国に対して「どうぞ日本を叩いてください」と言っているのと同じようなもので、実際に現在の日韓関係悪化の最大の原因と言われる慰安婦問題を創り出し育てたのも、これらの人たちです。この人たちは口先では「日韓友好」を唱えていますが、実際にやっていることといえば日韓両国民が互いに反発するようなことばかりで、結果的に日韓関係を悪くしているのです。
中でも日本政府は、今まで韓国の言いがかりを放置しただけではなく、さしたる根拠がないのにも関わらず、ただ単に日本が悪かったという内容の談話を発表するなど国家の責務を放棄したかのような振る舞いを続けてきました。
そのため「日本も自身の非を認めている」などと他国から誤解され、韓国には「日本は嘘でもなんでも大声を出せば、謝り金を出す」と馬鹿にされ、都合のいいように反日カードを使われてきたのです。いわば韓国を傍若無人な国に育てたあげた責任は日本にあるといっても過言ではありません。
そして、もう一つ忘れてはならないのが、日韓両国が友好な関係になれば困る国の工作活動です。典型的なのが、韓国でアジア女性基金を受け取ろうとした元慰安婦の老婆を脅迫して金を受け取らせず、問題の解決を妨げた親北団体の「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)で、彼らは事あるごとに「慰安婦」問題を持ち出し、無理難題な要求を突きつけて問題の解決を妨げてきました。
彼らのように表立って行動する人間は、まだ分かりやすくて良いのですが、本当に気を付けなければいけないのが、日韓の政府中枢やマスコミに深く潜り込んでいる人間です。スパイを取り締まる法令のない日本は言うまでもありませんが、金大中、廬武鉉と従北政権が10年も続き、国家の屋台骨であった国家安全企画部が縮小された韓国は昔では考えられないほど食い込まれています。日韓の主要なポストにいる人間の中にも、日々、日韓両国が離反するような活動を行っている人間がいる事を忘れてはいけません。
いずれにしても韓国は、国策として反日政策を行っているわけですから、そのような相手に対して共通の歴史認識など模索しても無意味な話です。あえて日韓共通の歴史認識を確立するとすれば、日本が韓国の言い分を丸呑みするしか方法がないでしょう。
また、単に嫌韓と言って感情論だけで対抗しようとしてもかなうはずがありません。日本も国家が中心となって戦略的に対抗しなければ、この先も彼らは日本に対しての謝罪や賠償を要求するだけではなく、執拗に反日工作を続けてくるでしょう。
この問題を解決するには彼らが言うように「日韓双方とも歴史を直視して、是は是、非は非と認めることから始めなければならないのです。ただし、それには長い長い時間が掛かるでしょう。
注 / 韓国は1948年の憲法制定から現在に至るまで9回、改憲されています。上記は制定時のものですが、現在においても(中略)より前の文言はほとんど変わっていません。 
 
 
 
●文在寅
 

 

(ムン・ジェイン、1953 - ) 韓国の政治家、弁護士、市民活動家。第19代大統領。
北朝鮮からの避難民の息子として生まれる。弁護士として市民運動や人権運動に参加したのち、盧武鉉政権で大統領側近として活躍した。その後、国会議員に当選、新政治民主連合代表や共に民主党代表を務めた。2012年12月19日の大統領選挙では朴槿恵に惜敗したが、朴槿恵の弾劾・罷免に伴う2017年5月9日の大統領選挙で当選し、同年5月10日に大統領に就任して在任中。
来歴
生い立ち
南平文氏の人である。1953年1月24日に巨済島(慶尚南道巨済郡、現・巨済市)の巨済面明珍里南井村で二男三女の長男(姉(1949年生まれ)が1人、妹が2人(1955年生まれと1957年生まれ)、弟(1959年生まれ)が1人)として生まれた。両親(父・1920年生まれ、母・1928年生まれ)と姉は朝鮮戦争最中の1950年12月に現在の北朝鮮の咸鏡南道咸興市の興南区域(当時は興南市)から興南撤収作戦の際に、米国の貨物船「メレディス・ヴィクトリー号」に乗り脱北した避難民。祖父母は北に残したままだった。父は巨済島捕虜収容所で労働者として働き、母は鶏卵売りの行商をした。
小学校入学前の6歳のとき(1959年)、釜山市影島区瀛仙洞に一家で転居。在寅の母と下の妹は2017年5月現在も影島に住んでいる。一家が釜山にきてから父は統営、馬山、麗水、木浦などを回って靴下卸しの商いをしたものの最終的に失敗、母が救援物資として得た服を売る屋台や練炭配達で家計を支えた。この経緯から家は貧しく、トウモロコシのお粥の給食が一日の食事のすべてで、月謝が払えず授業中に教室から追い出されたこともあったという。釜山の南港小学校、慶南中学校、慶南高校を卒業。慶南高校の同期には詩人・劇作家・演出家の李潤澤、建築家の承孝相がいる。文在寅と李潤澤は同じクラスだった。
現在の私邸は慶尚南道梁山市梅谷洞にある。ソウルでの政治活動のためにソウル市西大門区弘恩洞にも仮住まいを持っていたが、大統領に就任して青瓦台に入居したあとに売却した。大統領退任後は梁山に戻る予定だという。
高校3年生のときはソウル大学校の受験に失敗し、高校卒業後、ソウルの予備校・鍾路学院(入塾試験の成績が1位で受講料を免除された)で1年浪人生活をして、4年全額奨学金のあった慶煕大学校法科大学(法学部)法学科に志望校を変更。首席で合格して1972年に入学。
民主化運動参加と妻との出会い
慶煕大学3年生のとき(1974年)、大学祭でのちに妻となる2学年後輩の慶煕大学声楽科の学生・金正淑(1954年11月15日生まれ)と出会う。当初は単なる先輩・後輩だったが、翌1975年に文在寅が当時の朴正煕政権に反対する民主化デモに参加して、朴政権側が放った催涙ガスの直撃を受けた際に金が看病したことがきっかけで仲が深まったという。慶煕大学在学中の1975年、朴政権に反対する民主化運動に関わった容疑で逮捕され、ソウル市の西大門刑務所に収監された。
兵役
通常なら兵役に就く時期は一定期間内から選ぶことができるが、この時代には民主化運動を行って逮捕された者はただちに強制入隊させられるという慣習があったため、文も釈放後すぐに入隊し、厳しい訓練で知られる特戦司令部第1空挺旅団に配属された。爆破任務を担う優秀な軍人だったといい、司令表彰も受けている。
1976年には板門店で北朝鮮と韓国および国連軍の軍事衝突「ポプラ事件」が起こり、文の部隊が解決のために投入されている。軍隊での最終階級は兵長だった。
弁護士
1978年の除隊後、父が心臓発作で59歳(数え年)で急死、突然この世を去った父に息子が出世する姿を見せてあげられなかったという悔恨の念から司法試験の準備をすることを決意。全羅南道海南郡の大屯寺で司法試験の勉強に集中。1980年に慶煕大学校を卒業したあと、合格率2.9%と言われた第22回司法試験に合格。全斗煥率いる軍部が民主化運動を弾圧した光州事件に伴う非常戒厳の全国拡大措置による予備検束で逮捕され、司法試験合格通知書は拘置所で受け取った。司法修習の同期には、2011年10月からソウル市長を務めている朴元淳がいる。司法修習中の1981年に金正淑と結婚(1982年に長男、1983年に長女が誕生)。文本人が語ったところによると、プロポーズは金からで、文が友達と一緒にいたところに金が来て、突然「在寅、あなたは私と結婚するの?しないの?早く答えて!」と言われ、びっくりして「わかった」と答えたという。1982年に司法修習を次席で修了したが、デモと運動家としての経歴のため、志望していた裁判官になれず、弁護士になった。「法律家は庶民を助けるべきだ」との考えからキム&チャン法律事務所など大手の法律事務所からのオファーを断り、釜山で活動していた弁護士・盧武鉉の法律事務所に司法修習の同期の朴正圭の紹介で入所し(盧武鉉と司法試験の勉強仲間だった朴正圭は、盧武鉉より遅れて合格し、文在寅と司法修習同期となった。当初、盧武鉉の法律事務所には朴正圭が入所する予定だったが、朴正圭は検事になることになったため、自分の代わりに修習同期の文在寅を盧武鉉に紹介した)、「弁護士盧武鉉・文在寅合同法律事務所」を開設。盧武鉉らとともに釜林事件の弁護を担当する。その後、釜山地方弁護士会人権委員長や釜山YMCA(キリスト教青年会)理事など要職を務めるかたわら、時の全斗煥政権に反対する民主化運動に取り組んだ。
民主化直後の1988年には、当時、野党・統一民主党の総裁だった金泳三から盧武鉉、金光一とともに同年4月の国会議員選挙への出馬を勧められ、二人は決意したが文だけは政界入りを断った(盧武鉉と金光一は国会議員に当選した)。
1996年に起きた「ペスカマ号事件」の弁護を担当。遠洋漁船で働き始めた中国朝鮮族の船員たちが、雇用主の韓国人船員の暴力に耐えかね暴発した事件を「人権という立場」から捉えなおし、死刑から無期懲役への減刑を実現した。
その後も政界入りの誘いを受け続け、2002年6月の第3回全国同時地方選挙の際には、当時大統領候補だった盧武鉉から数回、釜山市長選挙出馬を勧められたが固辞した。
盧武鉉政権
2002年12月19日に行われた大統領選挙に盧武鉉が立候補した際、釜山地域における選挙対策本部長を務めた。盧が大統領に当選したあとも文は何度か弁護士業務に復帰したいという意思を示したが、翌2003年2月25日に盧武鉉政権が発足すると、大統領府(青瓦台)民情首席に就任。1年で辞任したが、2004年3月、ヒマラヤへ登山旅行中に盧が国会に弾劾訴追されたことを知り、急遽帰国して盧の弁護団幹事となる。2004年5月に盧に対する弾劾訴追が憲法裁判所に棄却されると、市民社会首席として青瓦台に復帰、2007年には大統領秘書室長となるなど、盧武鉉大統領の側近として活躍した。
常に盧武鉉の側にあったことから「盧武鉉の影法師」の異名をとった。
下野、そして政界入り
2008年2月24日に盧武鉉が大統領の任期を終えて退任すると、文は慶尚南道梁山市の私邸に戻り、釜山で弁護士業務を再開した。2009年5月23日の盧武鉉の自殺時、国民葬を葬儀委員会常任執行委員長として取り仕切った。また盧の死後に設立された盧武鉉財団の理事(のちに理事長)に就任した。
盧武鉉の死後、金大中が死去(2009年8月18日)の約2か月前に文在寅、朴智元、丁世均、安熙正らを呼び、金大中に「必ず政権交代を果たしてほしい。私は年老いて病気で先が長くない。あなたたちがしなければならない」と言われ、文は政界入りを決意。政治の前面に乗り出すことになったときの心境を、「あなた(盧武鉉)はもう運命から解き放たれましたが、私はあなたが残した宿題に縛られることになりました」と語った。以後政治活動を活発化させ、2011年9月には「革新と統合」(以下、革統)を結成し、常任共同代表に就任した。
翌2012年4月の第19回総選挙では民主統合党(前年12月に民主党や革統などが合同して結成。以下、民主党)の候補として釜山市沙上区選挙区(小選挙区)から立候補し、当選を果たした。
2012年大統領選出馬
6月17日、12月の大統領選挙への出馬を表明する。
民主党の公認候補を選ぶ予備選挙では8月25日から行われた全国13地域のすべてで1位を獲得、最後に投票された9月16日のソウル市も含めて累積得票数34万票7,000票あまり、得票率56.5%となり、孫鶴圭、金斗官、丁世均らを大差で破って民主党の大統領候補に選出された。同じく立候補を表明していた野党系の安哲秀(無所属)との間で候補を一本化、安が出馬断念を発表した。12月19日の本選では左派政党の進歩正義党の支援も受けた(進歩正義党の公認候補として立候補予定だった沈相奵は朴槿恵の当選を阻止するために立候補辞退して文を支援)。20代〜40代の支持で与党セヌリ党候補の朴槿恵を大きく上回り、民主党の地盤の全羅道(光州市・全羅北道・全羅南道)で朴槿恵を圧倒、ソウル市でも勝利し、全国で14,692,632票・得票率48.02%を得たが、15,773,128票・得票率51.55%を得た朴槿恵に3.5ポイントという僅差で惜敗した。
野党議員として
2012年大統領選後、次期大統領選挙へは出馬せず、野党陣営の基盤作りを表明したが、2013年11月、記者との懇談会の場で「大統領選挑戦に執着はしないが機会が来たら回避はしない」として、次期大統領選挙への再挑戦の意思を明らかにした。
2014年9月、同年7月の国会議員再補選で新政治民主連合(3月に民主党と安哲秀率いる新政治連合が統合して発足。略称:新政治連合)が惨敗し、党指導部が総辞職後に発足した非常対策委員会の委員に就任。2015年2月8日の全国代議員大会で行われた党代表選挙に出馬、朴智元などを僅差で抑えて代表に選出された。しかし、同年4月末の補選において新政治連合は全敗、また党運営をめぐって対立していた安哲秀、朴智元らの離党が相次ぐなど党勢は低迷。新政治連合から「共に民主党」に党名改称した直後の2016年1月27日に党代表を辞任した。
2016年4月に行われた第20回総選挙には出馬せず、首都圏を中心とした応援遊説を行った。総選挙で「共に民主党」は議席を増やし、朴槿恵政権与党のセヌリ党を上回って第1党となり勝利したものの、文が「政界引退」まで公言し力を入れた全羅道(光州市・全羅北道・全羅南道)では安哲秀、朴智元、鄭東泳、千正培らが属する国民の党に惨敗した。
選挙後の10月6日、ソウル市内で行われた集会の場で次期大統領選挙への事実上の出馬宣言を行った。
崔順実ゲート事件が発生して国民の朴槿恵政権への不満が高まる中の2016年10月15日に「民心が何を望んでいるのかは明白になりました。光化門広場で国民が口にした『これが国なのか?』という嘆きは、大統領の下野だけでは治癒できない、絶望感の表現です。大統領の退陣を超えて、時代を交替させ、国家の根本を一気に変えよという峻厳な命令です」「大統領が無条件退陣を宣言するまで、私は国民とともに全国的な退陣運動に乗り出します」との声明を発した。
以降、2017年3月の憲法裁判所の大統領弾劾決定まで毎週土曜日に開かれた朴槿恵退陣要求デモに参加し続けた。
2017年大統領選出馬、そして当選
2016年12月9日に朴槿恵が国会に弾劾訴追されたあと、12月22日の野党候補らによる討論会では「弾劾以降の課題」について、「親日と独裁が受け継がれ、常に韓国社会の主流になりすましてきた偽保守の時代をもう終わらせなければならない」とし、各分野における「積弊の清算」を強調、「公正社会の出発は検察改革などを通じて権力機関を正常化すること」「財閥改革、行政改革、入試改革など、不公正な構造と慣行を正さなければならない」「特に兵役逃れ、不動産投機、偽装転入、脱税、論文剽窃など5大不正の関連者は高位公職から排除すべきだ」と述べた。経済問題については「最初の課題は不公正な財閥経済を打破すること」「財閥関係者が市場に反する重大な犯罪を犯した場合、執行猶予が不可能になるように法定刑を引き上げ、赦免を禁止して法執行の公正性を確立しなければならない」と話した。このほか、循環出資・相互出資に対する根本的な手術、懲罰的損害賠償制の強化など不公正取引の根絶、非正社員の差別禁止特別法の制定などを提案した。
2017年3月10日に朴槿恵が憲法裁判所に罷免され失職し、大統領選挙が早期に行われることが確定。4月3日に「共に民主党」の大統領選挙公認候補を選ぶ党内予備選挙で忠清南道知事の安熙正、京畿道城南市長の李在明らを大差で破り、党の大統領候補に選出された。
4月12日に選挙公約を発表した。公共部門に81万人の雇用創出、民間にも要請して50万の雇用創出、最低賃金1万ウォンといった雇用対策を前面に掲げた。また財閥改革として財閥大企業への経済力の集中を防ぐために持ち株会社要件の強化、子会社所有に必要な出資比率の引き上げなどを行うとともに、ショッピングモール規制などで中小零細企業を保護することを公約した。
選挙期間中は各社世論調査で支持率で首位を固めるなど選挙戦を優位に進め、5月9日の投開票の結果当選を果たした。前回2012年の大統領選では朴槿恵の当選を阻止するために立候補辞退して文在寅を支持した安哲秀と沈相奵が今回はそれぞれ立候補したこともあり、得票数・得票率では前回を下回ったものの、全国で13,423,800票・得票率41.08%を獲得し、2位の自由韓国党の洪準杓(7,852,849票・得票率24.03%)に557万0951票・得票率17.05ポイントの大差をつけて圧勝した。この557万0951票差は、2007年大統領選での李明博と鄭東泳の531万7708票差を上回り、1位と2位の票差として歴代の韓国大統領選挙史上最大となった。
前回も勝利したソウル市では、市全体の総得票のみならず市内25区全区で1位となった。前回大統領選では朴槿恵を圧倒したものの前年の国会議員選挙では「共に民主党」が国民の党に大敗した全羅道(光州市・全羅北道・全羅南道)では、前回大統領選同様にすべての市・郡・区で1位となったうえ、国民の党の安哲秀を大きく引き離し圧勝した。前回は朴槿恵に敗れた仁川市、京畿道、忠清道(大田市・世宗市・忠清北道・忠清南道)、済州道、江原道、釜山市、蔚山市でも1位となった。江原道で民主党系の大統領候補(1956年の申翼煕、1960年の趙炳玉、1963年、1967年の尹潽善、1971年、1987年、1992年、1997年の金大中、2002年の盧武鉉、2007年の鄭東泳、2012年と2017年の文在寅自身)が1位になったのは1963年の尹潽善以来54年ぶり2度目、釜山市、蔚山市で民主党系の候補が1位になったのは韓国大統領選挙史上初めてのことである。慶尚南道でも巨済市、金海市、梁山市、昌原市城山区・義昌区・鎮海区で勝利し、道全体でも洪準杓に得票数にして約1万票、得票率にしてわずか0.5ポイント差まで迫った。釜山市・蔚山市・慶尚南道(旧慶尚南道、いわゆるPK地域)の得票の合計では洪準杓を上回り、民主党系候補として大統領選挙史上初めてPK地域の総得票で1位となった。大邱市と慶尚北道(いわゆるTK地域)では洪準杓を下回ったものの得票数・率ともに前回を上回った。
大統領として
 2017年
通常は大統領当選後2か月の政権移行期があるが、朴槿恵前大統領の弾劾による罷免に伴う選挙だったため、2017年5月10日午前の中央選挙管理委員会の会合での文の当選確認をもって同日午前8時9分に即時に第19代大統領に就任した(任期はこの日から起算され、2022年5月9日までの5年間が予定される。)。与党の共に民主党は比較第一党だが国会で過半数を得ていないため、政権運営は野党の協力が必要不可欠という状況でスタートした(2012年に改正された国会法により与野党対立法案の本会議への上程は5分の3が必要と定められており、この数には共に民主党、国民の党、正義党の議員全員の協力に加え、革新系無所属議員2名を得ても足りず、保守野党の自由韓国党、正しい政党からさらに14名の議員の賛成が必要であった。その後、2018年2月に国民の党は正しい政党との合併を目指す安哲秀らのグループと、合併に反対する朴智元、鄭東泳、千正培らのグループに分裂し、合併反対派は国民の党を離党して民主平和党を結党し、国民の党残留者は正しい政党と合併して正しい未来党を結党した)。
国会での就任演説では「すべての国民の大統領になる」として国内統合を強調した。外交では緊張の高まる北朝鮮核問題の解決のため「必要ならば直ちにワシントンに飛んでいく。北京と東京にも行き、条件が揃えば平壌にも行く」と積極外交を宣言した。経済については「何よりも先に働き口を作る」「同時に財閥改革にも先頭に立つ」「政経癒着という単語を完全になくす」と述べた。また「権威的な大統領文化を清算する。準備を終え次第、大統領府から出て光化門大統領時代を開く」と宣言した。
5月12日、朴槿恵前大統領が教科書の左派色を減退すると称して推進したが、朴槿恵の父親の朴正煕政権の独裁を美化しているなどと批判され、結局使用されなかった国定歴史教科書の廃止を命じた。
同日、訪問した仁川空港公社で「任期内に公共部門の非正規職ゼロ時代を切り開く」と明らかにした。また各省庁に公共部門で勤務する非正規労働者の全面的実態調査と非正規問題を解決するためのロードマップの作成を指示、公共機関における非正規職問題を解決する強い姿勢を示す形となった。この文大統領の訪問と宣言を受け、仁川空港公社社長が関連企業の1万人の非正規雇用従業員を正規雇用に切り替えると表明した。
5月18日、光州事件から37周年の5.18民主化運動記念式における演説で、「文在寅政府は光州民主化運動の延長線上に立っています」「新政府は5.18民主化運動とろうそく革命の精神を仰ぎ、この地の民主主義を完全に復元します。光州の英霊たちが心安らかに休めるよう成熟した民主主義の花を咲かせます」「光州精神を憲法に継承する真の民主共和国時代を開きます」「5.18精神を憲法前文に含める改憲を完了できるようこの場を借りて国会の協力と国民の皆様の同意を丁重に要請します」と述べた。
5月23日、盧武鉉元大統領の8周忌追悼式の式辞で、「民主主義と人権と福祉が正常に機能する国、地域主義と理念の葛藤、差別という非正常がない国」を作るという「盧武鉉の夢は目覚めた市民の力で復活しました。私たちがともに見た夢が私たちをここまで連れてきてくれました。私たちはもう、二度と失敗しないでしょう。私たちは李明博、朴槿恵政権だけでなく、金大中、盧武鉉政権まで、去る20年間のすべてを省察し、成功の道へと向かっていきます」「私はこれから任期中に(盧武鉉)大統領を胸の中にだけしまっておきます。現職の大統領としてこの場に参席するのは今日が最後になります」「必ず成功する大統領になって任務を果たした後にまたうかがいます」と述べ、スローガンである「参与政府(盧武鉉政権)を超える完全に新しい国」を実現する強い意気込みを示した。
5月24日には政府組織改編案で中小企業庁を中小ベンチャー企業部(省)へ昇格させることを発表し、大企業中心から中小企業中心の政治に転換させる意思を示す形となった。5月26日には李明博政権が推進した四大河川改修事業のせいで「水質が悪化した」として事業で整備されたせきの一部の開放と事業の監査を指示し、「違法行為が明らかとなれば相応に対処する」と述べた。
6月4日には国家情報院改革に着手し、政府機関やメディアの監視を行っていると批判されていた国内情報担当官(IO)制の廃止を指示した。
6月5日には11兆2,000億ウォンの財政緩和によって公共部門の雇用創出、若年層への求職促進手当の拡大、若年層を雇用する中小企業支援、育児休職給与の増額、認知症安心センターの増設といった雇用対策を図ることをおもな内容とする2017年度補正予算案を打ち出し、これを「雇用補正予算案」と位置づけた。6月12日に国会で行った施政方針演説では、スクリーンに失業の苦しみを訴える若者たちの映像を流しながらこの補正予算案についての説明を行い、国会各派の理解を求めた。大統領が補正予算案を直接国会で説明するのも、大統領の施政方針演説にスクリーンが使われるのも初めてだった。この補正予算案は公務員増員数をめぐって野党と論争となったが、公務員増員数を当初案4,500人から2,575人に削減することで7月22日に可決成立した。
6月16日には、朴槿恵前大統領が労働組合の反対運動を押し切って推進した公共機関における成果年俸制の廃止を決定した。文自身は成果年俸制に反対しつつ「単純な年功序列も望ましくない」として職務の難易度や性格によって賃金が代わる職務級制を持論としているが、新たな賃金形態は各公共機関それぞれごとの労使合意に任せることとした。
同日、韓国・済州島で開かれたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の第2回年次総会に出席し、ホスト国大統領として開幕の演説を行った。これが大統領になって初めての国際会議デビューとなった。
6月22日、文が任命した公正取引委員長・金尚祖の主導により、経済改革第一弾として中小納品会社に「カプチル(弱者への強者の論理の押しつけ)」をして摘発された大型のデパートやスーパーマーケットに対して、これまでの不当利得よりも大きな課徴金を課することとした。
6月28日に大統領就任後初の外遊先となるアメリカに向かい、6月30日にはトランプ大統領と会談した。高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に環境影響評価を行うとして配備を先延ばしする文政権に対してトランプ大統領は不快感を表明したことが伝えられていたが、会談ではその懸案は先送りとなり、両国の同盟関係が確認された。「反米的」という米国からの疑念を一応払拭できた形となった。
7月5日にはG20出席のため、ドイツを訪問した。7月7日に日本の内閣総理大臣安倍晋三と初の首脳会談を行った。会談では懸案の慰安婦問題について双方とも激しい主張を避け、両国首脳が定期的に会談を行う「シャトル外交」を再開させることで一致した。またトランプ大統領・安倍総理とともに日米韓共同声明を発し、北朝鮮に挑発行動を自制させて対話の場に復帰させるために最大限の圧力をかけること、対北圧力にあいまいな態度を取る中露にも働き掛けていくことで一致した。7月6日には中国国家主席習近平、7月7日にはロシアのプーチン大統領とも会談を行い、対話と圧力によって北朝鮮を対話の場に出すことで北朝鮮非核化を目指すことで一致した。
7月15日、労使と政府推薦者で構成される最低賃金委員会は2018年度最低賃金を過去最大の引き上げ幅となる16.4%増の7,530ウォンと決定した(さらに文は任期中に1万ウォンまで上げることを公約している)。この引き上げによる中小零細企業への打撃を和らげるため、来年の予算から3兆ウォンの規模で従業員30人未満の事業所を対象として支援策を打ち出すことを決定した。
就任以来、「国民との疎通」や、李明博政権・朴槿恵政権の非正常を正し、不正腐敗を清算しようという「積弊清算」の姿勢などが韓国国民に評価され、各種世論調査でおおむね70%〜80%程度の高い支持率を維持し続け、就任100日、就任半年の時点の支持率はいずれも歴代大統領で金泳三に次ぐ2位となった。
 2018年
2018年3月22日から24日にかけて2泊3日でベトナムを国賓訪問した。23日のチャン・ダイ・クアン国家主席との首脳会談の席で、韓国軍のベトナム戦争参戦と民間人虐殺に対する包括的な謝罪の意味で「我々の心に残っている両国間の不幸な歴史について遺憾の意を表する」と述べた。これに対し、クアン国家主席は「ベトナム戦争の過去史に対する韓国政府の真心を高く評価する。過去の痛みを治癒し、両国間の友好関係を強固なものにし、共存協力を強化するため、韓国政府がさらに努力してほしい」と応えた。 文在寅大統領は当初、民間人虐殺について公開かつ明確な謝罪を行う意向を示したが、韓国政府の謝罪の打診に対し、ベトナム政府は民族内部の戦争という問題が浮き彫りになることを懸念し、難色を示した。文在寅大統領はそのような事情にもかかわらず、ベトナムの被害者に謝罪したい旨を改めて明らかにし、最終的には両国政府は首脳会談で文大統領が遺憾表明をする線で妥協した。
2018年4月3日、就任後初めての済州島四・三事件犠牲者追念日の追悼式に2006年の盧武鉉以来、大統領として12年ぶりに出席した。追念辞で「私は今日、その(金大中政権と盧武鉉政権の取り組みの)土台の上に4.3の完全な解決を目指し揺らぎなく進むことを約束します。これ以上4.3の真相究明と名誉回復が中断したり、後退することはないでしょう。それとともに4.3の真実はどんな勢力も否定することのできない明らかな歴史の事実として、位置づけられたことを宣言します。国家権力が加えた暴力の真実をきちんと明らかにし犠牲となった方たちの怒りを解き名誉を回復するようにします。このために遺骸の発掘事業も悔いが残らないよう最後まで続けていきます。遺族たちと生存犠牲者たちの傷と痛みを治癒するための政府としての措置に最善を尽くす反面、賠償・補償と国家トラウマセンターの建設など立法が必要な事項は国会と積極的に協議いたします」と事件の完全解決に意欲を示した。
2018年4月27日に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と板門店の韓国側施設「平和の家」において11年ぶりの南北首脳会談を実施した。北朝鮮の首脳が軍事境界線を超えて韓国側入りしたことは史上初。朝鮮半島の完全な非核化を南北の共同目標とし積極的に努力をすること、1953年から休戦状態の朝鮮戦争の平和協定の締結を2018年中に目指して恒久的な平和体制に向けた南・北・米3者、または南・北・米・中4者会談の開催を積極的に推進すること、軍事境界線一帯での敵対行為を中止して非武装地帯(DMZ)を実質的な「平和地帯」とすることなどを内容とする「板門店宣言」を金正恩と共同で発表した。
2018年5月第1週の世論調査での支持率が83%で、就任1年の時点での支持率において歴代大統領の中で最高の数値となった。
2018年5月9日、日中韓首脳会談出席のために初訪日して朝鮮半島の完全な非核化に向けた日中韓の協力などで一致した。一方、日韓間の懸案は先送りされ、その後の個別の首脳会談で日中が複数の合意文書を交わしたのに対して日韓では目立った成果がなかった。
2018年5月26日午後3時から5時にかけて、板門店の北朝鮮側の施設「統一閣」で金正恩と2度目となる南北首脳会談を行い、米朝首脳会談や板門店宣言の履行について協議した。
高い政権支持率を背景に、2018年6月13日に行われた統一地方選挙では、与党・共に民主党が全国17か所の広域自治体の首長(広域団体長)選挙のうち14か所で勝利するなどして圧勝した。共に民主党は仁川市長選、京畿道知事選で自由韓国党所属の現職を大差で破るなど、首都圏、全羅道、忠清道、江原道の広域団体長選で全勝したのみならず、1990年の三党合同による民主自由党の結成以降、民主自由党とその後継政党である歴代の保守政党(民主自由党→新韓国党→ハンナラ党→セヌリ党→自由韓国党)の強固な地盤で、1995年の地方自治制度導入以降、一度も民主党系政党の公認候補が勝利したことがなかった慶尚道地域でも、釜山市長選、蔚山市長選、慶尚南道知事選で自由韓国党候補を大差で破って圧勝した。釜山市と蔚山市では現職を破り、自由韓国党代表の洪準杓が2017年4月まで知事を務めていた慶尚南道でも元職を破った。同日に投票が行われた国会議員補欠選挙でも、共に民主党は12選挙区のうち候補者を擁立した11選挙区で全勝した。この結果を受け、文在寅大統領は選挙後の6月18日に「地域主義の政治、分裂の政治構図の中で既得権を守っていくような政治も続けることができなくなった」「私が政治に参加したもっとも大きな理由の一つについて目標を達成したと言える」「新しい政治を用意した国民に改めて感謝申し上げる」と述べた。
2018年9月18日から二泊三日の日程で平壌を訪問し、18日と19日に金正恩と三回目の南北首脳会談を行った。19日に、非武装地帯をはじめとする対峙地域での軍事的な敵対関係終息を朝鮮半島の全地域での実質的な戦争の危険の除去と根本的な敵対関係の解消につなげていくこと、年内に南北を結ぶ東・西海線の鉄道および道路連結のための着工式を行うこと、条件が整い次第開城工業団地と金剛山観光事業を再開すること、金剛山地域の離散家族常設面会所を早いうちに開所すること、東倉里エンジン試験場とミサイル発射台を関係国専門家たちの参観のもとに優先して永久的に廃棄すること、金正恩が近い日時にソウルを訪問することなどを内容とする共同宣言を発表した。
 2019年
2019年3月、韓国の世論調査会社リアルメーターの世論調査で、不支持率が50%を超えた。これは自身初のことである。
就任1年目と比べると支持率は下がっているものの、2019年に入ってからも支持率はおおむね40%台後半から50%前後で推移しており、過去の歴代大統領の就任後同時期の支持率と比べて高い数字を維持している。
2019年4月4日に江原道の高城郡・束草市周辺地域で起こった大規模な森林火災(詳細は「2019年江原道山林火災」参照)に対し、全国の利用可能なすべての資源を動員して総力対応するよう指示。消防士2,589人と消防車820台(済州道を除くすべての広域自治体から集められた)、ヘリコプター45台、軍の将兵1万6,500人、消防公務員、山林庁鎮火隊員、医療消防士、警察官など約1万人を投入し、翌日には鎮火に成功した。 文在寅大統領や李洛淵首相が先頭に立ったこうした政府の積極的な対応が被災者や国民から評価されたことにより、4月9日〜11日に行われた世論調査では、前週に比べて支持率が6ポイントの大幅な上昇を記録した。
2019年4月30日〜5月2日に韓国ギャラップが行った世論調査での支持率は45%で、就任2年を前にした時点の支持率として歴代大統領で金大中に次ぐ2位となった。リアルメーターの調査では同週の支持率は49.1%、R&サーチでは51.1%、韓国リサーチでは51・7%だった。韓国ギャラップの2019年5月7日〜5月9日の調査での支持率は47%で、就任から丸2年の時点の支持率として歴代大統領で金大中(49%)に次ぐ2位となった。
一方で大統領弾劾を求める少数派の人々のインターネットでの呼びかけの動きもあり、2019年5月27日には大統領弾劾請求を求める青瓦台国民請願の賛同者が21万7000人となり、政府が請願に対する見解を示す要件である賛同者20万人以上の署名が集まったことから、政府が回答を示すことになった。他方、文在寅政権を激しく攻撃している野党第一党の自由韓国党(李明博政権・朴槿恵政権時代に与党だった右派政党)の政党解散請求を求める青瓦台国民請願には5月22日時点で国民請願制度史上最多の183万1900人が賛同した。
略歴
1953年1月24日:慶尚南道巨済郡(現:巨済市)に生まれる
1959年:釜山市影島区に一家で転居
1965年:南港小学校卒業
1968年:慶南中学校卒業
1971年:慶南高校卒業
1972年:慶煕大学校法科大学(法学部)法学科入学
1975年4月:朴正煕政権に反対する民主化運動をしたことで投獄され、西大門刑務所に収監される(6月に釈放) 8月:兵役の任務に就き陸軍に入隊、特殊戦司令部第1空挺特戦旅団第3特戦大隊に配属
1978年:陸軍兵長(特戦司令部第1空挺部隊特戦旅団)満期除隊
1980年:慶煕大学校法学部卒業
1980年:第22回司法試験合格、光州事件に伴う非常戒厳の全国拡大措置による予備検束で逮捕され、拘置所で司法試験合格通知書を受け取る
1981年:結婚(1982年に長男、1983年に長女が誕生)
1982年:弁護士になり、釜山で盧武鉉弁護士(当時)と「弁護士盧武鉉・文在寅合同法律事務所」を開設
以降、釜山NCC人権委員、仏教人権委員、天主教(カトリック)人権委員会人権委員、釜山市教育庁行政審判委員、釜山地方労働委員会公益委員などを務めながら、全斗煥政権に反対する民主化運動に取り組む
1984年:海洋大学校海事法学科講師
1985年:釜山民主市民協議会常任委員
1987年:釜山民主憲法争奪国民運動本部常任執行委員
1988年:ハンギョレ新聞創刊委員・釜山支社長
1989年:釜山民主抗争記念事業会副理事長(〜2002年)
1995年:「法務法人釜山」設立、代表弁護士(〜2003年)
1995年:民主社会のための弁護士会(民弁)釜山支部・慶南支部代表
1995年:釜山地方弁護士会人権委員長
1996年:釜山YMCA理事
2001年:「労働者のための連帯」共同代表(〜2002年)
2002年:盧武鉉大統領候補釜山地域選対本部長
2003年:大統領府(青瓦台)民情首席(2003年2月〜2004年2月)
2004年:盧武鉉大統領弾劾審判被請求人代理人団幹事(2004年3月〜5月)
2004年:大統領府市民社会首席(2004年5月〜2005年1月)
2005年:大統領府民情首席(2005年1月〜2006年5月)
2006年:大統領政務特別補佐官
2007年:大統領秘書室長(2007年3月12日〜2008年2月24日)、第2次南北頂上会談(首脳会談)推進委員会委員長
2009年:盧武鉉前大統領国民葬儀委員会常任執行委員長
2010年:盧武鉉財団理事長
2011年:「革新と統合」常任共同代表
2012年: 民主統合党常任顧問/第19代国会議員(釜山市沙上区選挙区選出)(5月30日〜2016年5月29日)/民主統合党大統領候補/代表権限代行(11月18日〜12月28日)
2014年 新政治民主連合非常対策委員(9月21日〜2015年2月8日)
2015年 新政治民主連合代表(2月9日〜12月27日)/共に民主党代表(12月28日〜2016年1月27日)
2016年 共に民主党常任顧問
2017年 共に民主党大統領候補
第19代大統領就任(5月10日〜)
人物・思想
身長は172cm、体重は67キロ(2017年時)、血液型はB型。趣味は読書、登山、囲碁。好きなスポーツはスクーバダイビングやスキンダイビング。信仰はローマ・カトリックである。好きな食べ物は刺身や海産物、座右の銘は「困難な時ほど原則に戻れ」。尊敬する人物は丁若縺A世宗大王、フランクリン・ルーズベルト。好きな芸能人は歌手のイ・ウンミ、俳優のソン・ガンホ。好きな映画は『王になった男』。幼少期の夢は歴史学者だった。息子をアメリカに、娘を日本に留学させている。
「左派」(読売新聞・産経新聞)「反米・親中」(産経新聞)「反日・親北」(産経新聞)「従北」(産経新聞・夕刊フジ)と保守系メディア中心に否定的な見方がある。「従北」というレッテルについて文は「特殊戦司令部出身の私に従北という人たちが本当の従北」と中央日報の取材で述べている。一方、「革新」(時事通信・公明党)「リベラル」(CNN)「中道左派」(日本共産党)と肯定的な見方もあり、メディアにより評価が分かれる。
その半生は保守派との闘争に彩られているが、保守主義全般については必ずしも否定的ではなく、保守思想を「家族、国家と民族、共同体をより大事にし、そのために犠牲になり献身するもの」と肯定的に定義している。2012年大統領選挙の時には参拝を忌避した顕忠院を2017年4月に訪問し、李承晩・朴正煕の墓地を順に参拝しており、芳名録に「国民すべての大統領!」と書いている。「真の保守」と「偽保守」を峻別して「偽保守」を批判している。
2012年1月にバラエティ番組に出演した際、メディアにつけられたニックネームの中でもっとも気に入っているのは「盧武鉉の影法師」であると語り、「盧武鉉大統領が亡くなっていなければ政治の道に入ることはなかっただろう」と述べた。
活動・言動
政策
 国政基本方針
2期9年間の保守政権(李明博政権と朴槿恵政権)で積み重なった弊害(不正や不公平な社会構造)を正すという意味の「積弊清算」をスローガンに掲げている。
大統領就任後の2017年7月19日、任期5年間の政策運営ロードマップとなる「国政運営5カ年計画」を発表した。「国民が主人の政府」「共に豊かに暮らす経済」「国民の人生に責任を負う国家」「均衡発展する地域」「平和と繁栄の朝鮮半島」を五大国政目標と定めた。「国民が主人の政府」では旧弊清算に向けた各官庁でのタスクフォース(TF、特別チーム)運営、官僚などの不正を捜査する機関の設置、警察と検察の捜査権分離などの行政改革のほか、国会議員選挙での圏域別の政党名簿比例代表制の導入、大統領決選投票制の導入など選挙制度改革も課題として盛り込んだ。「共に豊かに暮らす経済」では大企業偏重の経済構造を是正する「経済民主化公約」、公共部門81万人の雇用創出、若者雇用義務率3%から5%への引き上げなどを掲げた。「国民の人生に責任を負う国家」では児童手当導入、認知症に対する国家責任制の実施、3歳から5歳児の教育・保育課程の全額国庫支援といった福祉公約のほか、大気汚染の原因となる粒子状物質(PM)の総合対策や「脱原発」などの環境問題が入れられた。「平和と繁栄の朝鮮半島」では北朝鮮との経済協力「朝鮮半島新経済地図」構想を推進し、北東アジアの平和と協力のための「北東アジアプラス責任共同体」の設立にも取り組むとした。また、なるべく早期に韓国軍の有事作戦統制権の移管を米軍から受けることも盛り込んだ。これらの計画の課題選定はソウル中心部に設置された市民が政策を提案できる『光化門一番街』やインターネットでの意見募集を通じて行ったといい、文はロードマップ作成が「政府が主導していた過去の慣例から脱皮し、初めて国民参加型で行われた」と強調した。
また財源について7月21日の国家財政戦略会議で「一般の中産層や庶民、中小企業への増税はまったくない。増税をしたとしても対象は超高所得層と超大企業に限定する」としている。2018年2月15日、大統領府で主宰した国家情報院・検察・警察改革戦略会議で、「今年を、日帝時代を経てゆがめられた権力機関の影から完全に脱する元年とすべきだ」、国家情報院・検察・警察は「ひとえに国民のための機関として生まれ変わる覚悟が必要だ」と述べ、これらの権力機関の改革に強い意欲を示した(なお韓国語の「親日」は日本語とは意味が異なり、日本の植民地支配に協力し戦後にも影響力を維持した支配階級を反民族主義者として批判する用語で、国内の保守派に向けて「親日→独裁便乗→反北冷戦→産業化既得権層」といった冷笑的な使われ方もされている。)。
 憲法改正問題
「大統領の権限を分散させる分権型改憲と5年単任制の弊害を克服するための4年重任制改憲」に賛成。
また、憲法前文に光州事件の民主化運動の精神を盛り込むことを公約している。
大統領に就任したあとの2018年3月26日、大統領任期を1期4年として2期まで再選可能にし、大統領の権限を縮小、首相の権限を強化、国会の権能を強化することなどを内容とする憲法改正案を国会に発議した。6月の国民投票を目指しているが、大統領主導改憲発議に野党の反発が広がっており、国会の承認を得られるかは不透明である。
 議会改革
公認改革は、国会議員公認権の市・道党への移譲と基礎議会政党の公認廃止、地域別比例代表制の導入と地方区・比例代表議席数の調整などの比例代表公認改革を約束。
 環境・原発・エネルギー政策
韓国では中国から飛来してくる黄砂やPM2.5の被害に加え、国内の石炭火力発電所が59基と多いため、ソウル市内などでばいじんによる健康被害が深刻化しており、大統領選挙戦中に大気汚染問題に取り組むことを公約した。また「脱原発」にも熱心であり、原子力発電所について「全面見直し」を公約に掲げた。「我々は、もはや安全とクリーンなエネルギーを目指すことについて遅れをとっていられない。石炭火力と原発を減少させ、再生可能エネルギーと天然ガスの発電を増やしていく」と述べている。
大統領就任後の2017年5月15日に稼働から30年以上の老朽化石炭火力発電所は、6月中に一時停止し、翌年以降も大気中の粒子状物質の濃度が跳ね上がるシーズンである3月から6月にかけては停止することを発表。また任期中に10基の老朽化石炭火力発電所を閉鎖し、クリーンエネルギーに転換していくとした。原発についても老朽の物は順次閉鎖していき、建設中のものは見直しを行って今後40年のうちに原発ゼロを実現するとした。「韓国水力原子力発電会社」は、こうした文の脱原発の姿勢を忖度するように慶尚北道に建設予定だった原発2基の計画を中断した。
2017年6月19日には老朽化した古里原子力発電所1号機の運転停止宣言式に出席し、「脱原発国家スタート宣言」を発した。その中で文は新規の原発建設計画はすべて白紙に戻し、運転期限がきた原発の稼働延長は認めず閉鎖し、また新古里5号機や6号機の工事は中断、月城1号機も閉鎖することを宣言した。脱原発をしなければならない理由について、2011年に日本で起きた東京電力福島第1原発事故、2016年9月に起きた慶州地震、古里原発の半径30キロ以内に人口約380万人が密集していることなどを指摘したうえで「韓国はもはや地震安全地帯ではない。地震は原発の安全性に致命的である」と論じた。またセウォル号沈没事故にも絡めて「設計寿命が尽きた原発の稼動を延長することは、船舶運航の船齢を延長したセウォル号と同じだ」「安全な大韓民国はセウォル号の子どもたちとの固い約束だ」と述べた。そして「脱原発は逆うことのできない時代の流れだ。数万年この地で生きていく私たちの子孫のために、今始めなければならない」と語った。
 鉄道の公共性強化
韓国では李明博政権と朴槿恵政権の間に韓国鉄道業界の競争体制の確立が目指され、2016年12月にSR社が開業したことで韓国鉄道公社との競争体制ができた。文は大統領就任前から鉄道労組と「競争体制の名目で行われた鉄道民営化政策に反対する」との協定を結んでいるため、韓国鉄道業界の公共性を強化するとの政策方針に掲げている。大統領就任後、SR社を公社に統合させる検討に入ったと伝えられている]。
 兵役について
自身の良心に基づいて軍隊へ入ることを拒否する良心的兵役拒否者のために、代替服務制を導入することに賛成している。
また保守政権の高官が兵役逃れしているとしてこれを「安保の積弊」と批判している。「李明博−朴槿恵政権の国家安全保障会議(NSC)メンバーの相当数が軍免除であり、これら高位公職者本人と息子の現役入営率は一般人に比べて顕著に低い。兵役不公正は安保に穴をあける利敵行為であり、必ず根絶しなければいけない」と述べている。
兵役義務期間の短縮も公約にしており、陸軍は18か月、海軍は20か月、空軍は21か月に、それぞれ3か月短縮される見込みである。
 最低賃金
2017年の大統領選の公約の一つに「2020年までに最低賃金を1万ウォンにする」というものがあった。2018年7月14日には最低賃金の引き上げが行われ、前年6,470ウォンから7,530ウォンとなったが、対前年比16.4%の上昇幅については小規模事業者などから批判の声が高まり、同月16日には、2020年とする目標達成時期について事実上撤回するに至った。
また、2019年1月から最低賃金を8,350ウォンまでに引き上げた(10.9%増)が、雇用減少を招いたため、同年7月12日に最低賃金委員会が2020年の最低賃金を8,590ウォン(2.9%増)に設定すると発表した。
前政権批判
 セウォル号沈没事故
「セウォル号沈没事故」では、朴槿恵政権(当時)を「国民を守らず、真相究明を求める遺族の決死の抗議も無視し続けた」と批判した。セウォル号事件の際の朴大統領の動向がはっきりしないいわゆる「空白の7時間」問題についても「ほかにどんな大事な要件があるのか、いったい何をしていたのか」と批判した。大統領選挙出馬後には「朴槿恵政権は国民の心の中からセウォル号を消そうとしたが、政権交代でできる新政府は違う」と述べ、セウォル号沈没事故の真相究明に力を注ぐことを宣言した。
しかし文のセウォル号をめぐる朴政権批判について、正義党の沈相奵代表は、安哲秀の「朴槿恵赦免関連発言」について「あいまいな態度を取っている」と批判している。
また大統領選挙戦中、文陣営の選挙カーがバイクと交通事故を起こしてバイクに乗っていた男性を死亡させる事件を起こしたが、当初文陣営が誰も遺族に謝りにいかなかったことが遺族やネットから批判され、事故発生から文が弔問に行くまでの時間がセウォル号沈没事故と絡めて「空白の31時間」と揶揄された。
 歴史教科書の国定化
歴史教科書の国定化については、「(朴槿恵政権は)国民と歴史の前に贖罪する姿勢で民心を敬わなければならない」として「その始まりは歴史国定教科書など朴槿恵印の政策の執行をただちに中断すること」だとしている。
 崔順実ゲート事件
崔順実ゲート事件をめぐって逮捕された前大統領・朴槿恵や、サムスン副会長李在鎔に恩赦を与える考えはないことを表明している。
対北朝鮮姿勢
対北朝鮮融和派といわれ、アメリカの新聞は文の北に対する宥和的な姿勢について、金大中の「太陽政策(サンシャイン・ポリシー)」と文の姓のアルファベット表記である「Moon(=月)」をかけ合わせて「月光政策(ムーンシャイン・ポリシー)」と名づけている。2007年には盧武鉉政権で南北首脳会談推進委員長を務めて金大中の「6・15宣言」を発展させた「10・4南北首脳宣言」の第4項に朝鮮戦争休戦協定の署名国である米国・中国・北朝鮮の3か国、または朝鮮戦争の交戦国の韓国・北朝鮮・米国・中国の4か国で終戦宣言と平和協定を目指すことを盛り込んだ。
西岡力によると、大統領秘書室長当時の2007年、国連における北朝鮮人権決議案への賛否を北朝鮮に事前に問い合わせたうえで棄権の判断を下したことが、盧武鉉政権時に外交通商部長官を務めた宋旻淳の回顧録『氷河は動く』から判明したという。日本の保守系新聞である産経新聞記者の野口裕之は、文は紛うことなき北朝鮮の内通者だと主張している。これに対して、当時統一部長官だったイ・ジェジョンは2016年10月16日、ハンギョレ新聞との電話インタビューで、「韓国政府の立場は、すでに2007年11月15日に(ペク・ジョンチョン大統領府外交安保室長の主宰で)開かれた安保政策調整会議で(棄権に)決まっており、翌16日には議論内容を盧に報告し、『棄権』を最終決定した」として、「すでに結論が出ているのに、北朝鮮の立場をなぜ聞くだろうか」と話した。「11月18日の会議」についても「決定内容を覆すためのものではなく、『決議案に賛成すべきだ』と主張していた宋が盧に再検討を主張したため、彼をなだめるために集まった」と話した。回顧録で、当時北朝鮮の立場を確認することを主導した人物として書かれた金万福(キム・マンボク)元国家情報院長も「そうした事実はまったくない」として、「(与党が)国会情報委員会への出席を求めるなら、国家情報院の承認を受けて出席し、質問に誠実に答えるつもり」だと話した。
2017年1月25日江原道を訪問した際に、「平昌冬季五輪が北朝鮮の参加で平和五輪として注目されれば、成功的な開催はもちろん、南北関係改善の契機になるだろう。釜山アジア大会も当初はあまり注目されなかったが、北朝鮮応援団の電撃的な参加で、成功した大会となった」と述べた。さらに文は「相手がいてのことだから、思う通りにはいかないかもしれないが、南北共同応援団や共同トレーニング、平昌冬季五輪の前夜祭を金剛山で開催する案などが実現すれば、冬季五輪が南北関係を解決する誘い水となり、江原道は平和特別自治道になるだろう」と話した。しかし、北朝鮮側は天安沈没事件からの制裁の解除を五輪参加の条件とし、文が例に出した米国と中国のピンポン外交も「スポーツより政治が先行した」とする見解を示した]。
2017年3月12日、「北朝鮮の核問題解決に向けて、北朝鮮を圧迫するにしても、制裁するにしても、金正恩を実体として認めざるを得ない」と述べた。開城工業団地の早期再開を主張していたが、大統領選中の2017年4月に北朝鮮核危機が高まると慎重な姿勢に転じた。
保守キリスト教団体の韓国キリスト教総連合会(韓キ総)のコ・チャンゴン牧師からの「NLLに対する立場と愛国歌も歌わず、国旗の前であいさつさえしない人と政治的パートナーになろうとする特別な理由があるか」 という問いに対して、「NLLに対する意志が弱いのではないかという考えは誤解」「過去の国民政府(金大中政権)のときも、二回西海海戦を行い、北朝鮮側の挑発を断固として撃退した。そんな精神を持っている」「国旗や愛国歌を否定するような精神にはまったく賛同しない」「そうした政治勢力と政治的連帯などをするつもりもまったくない」「NLLは1992年、盧泰愚政府のときに南北基本合意書上で『南北間の海上不可侵境界線』と南北が明示して合意した」「憲法上朝鮮半島と附属島嶼すべてが大韓民国の領土であり、法的に領土線という言葉を使うのは正確ではないが、事実上、領海線であり領土線だ。その部分(領土線)を断固 として守る」「10.4共同宣言で、南北共同漁撈区域に合意したのも、NLLを守るためだった」「NLLを基点として共同漁撈区域を設定したのは、北朝鮮が NLLに特に主張もできないように基本的に防ぎ、紛争や偶発的な衝突の可能性も防ごうということが南北共同漁撈区域」と答えている。
2017年5月14日に行われた北朝鮮のミサイル実験の際は北朝鮮を「敵」と呼んで武力挑発には報復すると発言し、この文在寅政権の姿勢に対して北朝鮮の対韓窓口機関朝鮮アジア太平洋平和委員会は「憎たらしい朴槿恵前政権を思い起こす」と反発した。また、中国の一帯一路国際協力サミットフォーラムでの文在寅政権初となる南北の要人接触でもミサイル実験への抗議がされた。同年5月26日に民間の北朝鮮人道支援団体に北朝鮮との接触許可を出した。これについて韓国統一省は「民間交流は、国際社会の対北制裁の枠を傷つけない範囲内で柔軟に検討する」としている。しかし、北朝鮮は韓国政府が国連安保理の対北制裁強化決議に賛成したことを理由にこの民間団体の訪問と人道支援を拒否した。
同年6月15日に「6・15南北共同宣言17周年記念式」に出席した文は「歴代政権で推進した南北合意は、政権が変わっても必ず尊重されなければならない重要な資産」「南北問題と朝鮮半島問題解決の方法をこれまでの合意から見出していく」「最近、北朝鮮が6・15共同宣言と10・4南北首脳宣言の尊重と履行を求めている。しかし、核とミサイルの高度化により、言葉と行動が異なるのがまさに北朝鮮」「私たちは私たちなりに努力する。北朝鮮もそうすべき」「北朝鮮の核放棄の決断は、南北間の合意履行の意志を示す証票だ。これを実践するならば積極的に支援する。北朝鮮が核とミサイルの追加挑発を中止するならば、北朝鮮と条件なく対話に乗り出すことができる」と述べた。6月16日のAIIB年次総会で文は国際会議デビューし、分断された京義線鉄道の南北連結事業への投資を演説で呼びかけた。
7月6日G20出席のための訪独中、「条件が整い、半島の緊張と睨み合いの局面を転換させる契機になれば、いつでもどこでも北の金正恩朝鮮労働党委員長と会う用意がある」と述べ、南北首脳会談を呼びかけた。この呼びかけに対して北朝鮮は「寝言のような詭弁」と批判した。7月17日にも南北軍事会談を提案したが、北朝鮮は文在寅政権を「同じ民族との対決を追い求め、民族の和解と団結に障害をもたらしてる」と非難した。これに対しても韓国統一部は「北の反応に一喜一憂せず、冷静に一歩ずつ努力することが必要だ」と声明し、引き続き会談の門戸を開き続けるとした。8月18日、北朝鮮は文在寅政権の就任後100日の成果は「落第点だ」「対話や融和は口先だけ」と酷評した。8月29日、文在寅政権は北朝鮮の相次ぐ挑発を受けて独自制裁や軍事措置も講じる「強力な報復」を誇示する圧力路線に従来の対話路線から転換した。9月17日、北朝鮮は文在寅政権を「間抜けな親米逆賊」「植民地忠犬」と嘲笑した。7月に北朝鮮問題について文は「我々に解決する現実的な力はなく、合意を引き出す力もない」とG20首脳会議で発言し、10月10日には「安全保障上の危機に対して我々が主導的にどうにかできる状況ではない」と無力感を吐露した。16日に行われたサンクトペテルブルクの国際会議に出席した北朝鮮は、同じく出席した韓国代表団とのロシア政府仲介の南北直接対話を拒否した。11月6日には文在寅政権初の対北独自制裁を実施した。12月1日には米中バランス外交論を掲げた文大統領を「間抜けの愚かな醜態」と批判し、12月11日には追加制裁実施を発表。15日に北朝鮮は談話で「北京に追加制裁を上納する卑屈な態度に軽蔑を禁じえない」と非難した。23日、北朝鮮は文政権の対日政策を「事大と外国勢力依存に狂った売国奴」「親日屈従的な姿勢を赤裸々に曝け出した」と論評した。
2018年1月1日には金正恩が「新年の辞」において2018年平昌オリンピックに北朝鮮代表団を派遣する用意があると述べた。昨年末まで文政権を「同族対決を追求している」「北南関係は落第だ」と非難してきた北朝鮮は、これ以降突然立場を急変させて南北融和ムードを演出するようになった。
金正恩の「新年の辞」の声明を受けて1月9日にも南北閣僚級会談を行い、北朝鮮は平昌冬季五輪に参加することを正式に表明した。文大統領は2018年平昌オリンピックの開会式に出席するために訪韓した金正恩の妹の金与正朝鮮労働党第一副部長と金永南最高人民会議常任委員会委員長と会談し、2018年平昌オリンピックの閉会式に北朝鮮から派遣された金英哲朝鮮労働党統一戦線部長とも文大統領は会談した。
2018年3月5日、文大統領の特使である鄭義溶国家安全保障室長を北朝鮮に派遣。会談で金正恩は「軍事的脅威が取り除かれ、体制の安全が保証されれば核を保有する理由はない」と述べ、4月に第3回南北首脳会談を板門店で行うことで合意した。それまで金正恩は外国の政府要人との会見は中国と4回、キューバと2回、シリアと1回の計7回しかなかったために極めて異例とされる。7日、文大統領はあくまで核拡散防止や核開発の凍結ではなくて非核化を目標とするとして「南北対話で国際社会の制裁を勝手に緩和することはない」と表明した。
2018年4月27日に板門店の韓国側施設「平和の家」で南北首脳会談を実施し、「核なき朝鮮半島の実現」を謳った板門店宣言を金正恩と共同で出した。
2019年3月に行われた二回目の米朝首脳会談が合意なしに終わったあとの内閣改造において、統一部長官に仁済大学教授で前統一研究院長の金鍊鐵を起用した。これについて進歩系のハンギョレや京郷新聞は金鍊鐵が統一問題・北朝鮮問題の専門家であるとして好意的に評価し、北朝鮮・南北関係と近現代史研究者などを中心に学者159人が金鍊鐵の任命を支持する声明を発表した。他方、保守系の朝鮮日報・中央日報・東亜日報(「朝中東」)は金鍊鐵が制裁無用論を主張してきたなどとして批判した。
対米姿勢
2017年3月10日にニューヨークタイムズに掲載されたインタビュー記事の中で「韓米関係は今後はさらに堅固に発展させていかなければならないが、その関係が過度に一方的であってはならない」とし、「米国にノー(no)と言えなければならない」という趣旨の発言をしている。
なお、ホワイトハウス内に「文在寅大統領のファンクラブ」ができたという。
対日姿勢
2012年の大統領選挙に立候補した際には、選挙戦を通じて「親日清算をしたい」という表現を使用している。また、真実と和解委員会を設置。過去史の整理作業を締めくくりたいと述べている。同選挙戦中に「独島(竹島)挑発に決して妥協しない」「慰安婦問題について日本政府に法的責任を問う」などから成る「対日5大歴史懸案」を掲げている。
2017年11月にニューヨークで行われた日米韓首脳会談において、トランプ米大統領と安倍首相の面前で「アメリカとは我々の同盟であるが日本は同盟でない」と発言した。
 慰安婦問題をめぐって
2015年12月に結ばれた慰安婦問題日韓合意については「問題の本質は10億円ではなく、法的責任認定と公式謝罪だと国民は考えている」として批判的である。
2016年12月28日に釜山市東区当局が日本領事館前に設置された慰安婦像を不許可として強制撤去した件をめぐっては、Facebookで「少女像は生きている歴史教科書だ。釜山市民の少女像設置は、本物の独立宣言だ。釜山東区庁とその背後勢力は、設置を恐れた。清算されていない親日行為にほかならない」と区当局の対応を批判した。その後市民からの批判が殺到したことで区当局は12月30日に一転して設置を許可し、慰安婦像は元の場所に戻された。日本政府はこれに対抗して駐韓大使長嶺安政らを一時帰国させたが、それについて文は「韓国が詐欺でも働いたように主張している」として日本政府の対応を批判した。2017年1月20日には文自身も慰安婦像を訪れ、「像が寂しがらないよう、ともに関心を持って守っていこう」と市民に呼びかけた。
大統領選挙で共に民主党候補に選出された直後の2017年4月4日、韓国政府が「旧日本軍従軍慰安婦」と認定しているイ・スンドクが死去するとFacebookで「おばあさん(イ・スンドク)に代わり、必ず日本から謝罪を受ける」という決意を述べるとともに、日韓合意を「朴槿恵政権による屈辱的な合意」と批判。「間違った交渉は必ず正す」と宣言した。大統領選挙の終盤戦となる2017年5月8日にも「日本との慰安婦合意は間違っている」と発言した。
大統領就任後の2017年5月11日には日本の内閣総理大臣安倍晋三と電話会談を行い、その中で慰安婦合意について「国民の大多数が心情的に合意を受け入れられないのが現実」と伝えた。同月5月17日には、文喜相が大統領特使として親書を携えて訪日。A4判2枚にまとめられた親書には、「北朝鮮問題における協調強化」「慰安婦合意は、韓国国民の大多数が受け入れられずにいる」との2点が盛り込まれていたとされている。
 竹島問題をめぐって
大統領就任前の2016年7月25日に竹島(韓国名:独島)に上陸し、芳名録に「東海のわが領土」などと書き込んだ。次期大統領選の準備のためとみられるが、文側は竹島上陸の目的について「(日本の植民地支配からの解放日とされる)『8・15』を前に、我々の領土主権を確固たるものにすべきとの考えで訪問した」としている。これを受け8月9日に、慰安婦問題日韓合意に関する会談において金杉憲治外務省アジア大洋州局長による抗議がなされた。 2017年11月7日にアメリカ合衆国トランプ大統領が訪韓した際の晩餐会では、竹島近海でとれたエビを独島えびと称して振る舞った。後日、日本政府から外務省を通して抗議された。
 徴用工問題
日本統治時代の朝鮮人徴用工の賠償請求の問題について、2017年8月17日に文は「両国間の合意が個々人の権利を侵害することはできない」として、個人請求権は消滅していないとの見解を表明した。この表明について8月25日の電話会談で日本の内閣総理大臣安倍晋三から「日韓請求権協定で解決済み」との憂慮を伝えられた文は「国家間の問題解決とは別に個人請求権は存在するというのが韓国最高裁の判断である」と発言の趣旨を説明する一方、国家間の請求権問題は日韓請求権協定で解決していることを認めた。安倍首相は判決に対応しない文大統領への「戦略的放置」路線を決定したとされ、資産差し押さえについては報復措置も関係省庁に指示したため、文在寅は「日本の政治指導者が政治的な争点とし、問題を拡散させている」と安倍首相を批判した。
2018年5月1日のメーデーに際して労働団体が釜山の日本総領事館前に徴用工像を建てようとしたが、外国公館周囲での集会や行進が禁じられていることを理由に韓国警察が阻止した。文の初訪日の直前であること、また小渕恵三と金大中によって出された日韓パートナーシップ宣言から20年という節目にあたることから、日韓関係の悪化を避けたい文政権の意向が働いたのではないかと報道されている。5月8日、韓国政府はこの件について「強制徴用という残酷な歴史を忘れずに直視する意味で像を建立するという趣旨に共感し、市民の関心と募金により作られた像を何よりも大切に思う」としつつ「外交公館に対する国際礼譲や国内法などを勘案すると、団体側が設置しようとしている場所よりは、犠牲者追悼と後世に対する歴史教育のためによりふさわしい場所に設置することが望ましい」とする声明を出した。
 その他
2014年10月、産経新聞ソウル支局長加藤達也が朴槿恵大統領の名誉を棄損したとして在宅起訴された事件が発生。加藤によれば、当時野党議員だった文は政争の具にしようという意図もあって当初は加藤を起訴した朴政権を批判する立場に立った。ところが、反日世論が高まってくるや文は一転して加藤から手を引いたという。文が加勢してくれたと期待していた加藤はその時「オイオイ」と思ったという。加藤は「人権派弁護士のバックボーンを持ちつつも、法の精神より世論を優先する。それが文氏です」と論じている。
2018年5月9日の初訪日の際の昼食会で、安倍晋三から就任1周年記念の祝賀ケーキをサプライズで贈られた。
対中姿勢
文は「対米関係を重視しつつ中国との関係もさらに強化するバランス外交を目指したい」と主張する米中バランス外交論で知られる。中国を「高い峰」「大国」と称え、韓国は「小国」「責任ある中堅国」と述べている。また、三国志演義を愛読し、自らの姿勢に通じるとして義理人情に厚い劉備が好きだと語っている。
 THAAD配備問題をめぐって
大統領就任前からTHAAD配備が既成事実化しても中国と関係改善することが韓国外交の最優先事項と主張しており、共に民主党議員団の訪中を牽制した韓国大統領府を「情けない政府」と批判しているものの、自身の主張としては賛成とも反対とも明らかにせず、全面的な再検討を行うべきと述べるにとどまり、曖昧な態度であるとの批判を受けている。
2016年12月22日の討論会では、「次の政権で議論して決めればよい」「次の政権でリーダーシップが確立されたらその状況で国益を優先して再検討し、その結果によって外交的手順を踏む」としている。
2017年1月15日に報道されたNEWSISとのインタビューで、これまで「公論化および再検討→配備手続き中止および次期政府へ移管」と修正してきたのを「THAAD問題の解決策は次期政権が講じなければならないが、韓米間ですでに合意がなされたことを取り消すことができるとは思っていない」とした。
2017年3月12日の会見では、「中国が懸念し、反対意見を出すことは十分理解できるが、THAAD配備は韓国の安保に関する問題であり、韓国の主権事項」だとしたうえで「中国が反対意見を表明することを超えて、反対意見を貫くために過度な圧迫を加えるのは正しくない」と述べて中国の反韓政策(禁韓令)を批判した。
しかし、2017年10月に中韓両国は「韓中関係改善に関する両国間協議の結果」として「THAADは本来の目的で利用して第三国(中国)を標的とせず、中国の安全保障における戦略的利益を損なわせない」とする関係正常化の合意を発表した。
2017年11月11日に開始された原子力空母を3隻を投入した日本海での米軍による合同演習でも、中韓の裏面合意ともされる「3つのノー」(韓国政府は約束ではなく、立場表明としている)の一つである「日米韓の安全保障協力を軍事同盟に発展させない」に基づき、日米韓3か国による演習は拒否して日米と米韓で共同訓練を分けることを決定した。
2017年12月11日、訪中する前に中国中央電視台(CCTV)のインタビューに応じて「THAADが北朝鮮の核・ミサイルに対する防衛目的を越えて中国の安全保障上の利益を侵害しないよう、韓国は特別に留意する。この点は米国からも何度も確約を受けている」と表明した。
2017年12月13日、中国を国賓として公式訪問して重慶にある大韓民国臨時政府庁舎の跡地などを訪れるも、同年に訪中したフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領やアメリカのトランプ大統領への厚遇と比較して冷遇されたと報じられた。中韓首脳会談ではTHAAD問題で見解の違いの差を縮めることはできなかったとの保守派メディアの報道に対し、韓国大統領府は「冷遇論に同意できない」「THAAD問題によるわだかまりを完全に克服した」と反論した。文在寅が中国から帰国したあとの12月18日に発表された世論調査では、55.8%が「朝鮮半島の平和と安全に役立った会談で肯定的に評価する」と答え(「外交欠礼・屈辱外交などの言葉が出てくるほど否定的に評価する」という回答は33.7%であった)るなど、韓国国民は訪中の成果を肯定的に評価した。米メディアは文在寅訪中の成果として、韓国初の最先端技術移転であるLGエレクトロニクスによる対中投資への韓国政府側の認可を挙げるも、中国側では北京や山東省で禁韓令が復活していることなどから成果を疑問視する見方も伝えている。しかし、韓国政府と世論の反発を受け、28日に北京の当局は人数制限などを新たに課しつつ団体観光の解禁を発表した。
2018年3月30日、最高指導者就任後初の外遊で訪中した北朝鮮の金正恩と中朝首脳会談を行った中国の習近平国家主席(党総書記)の特使として訪韓した楊潔篪党政治局員兼党中央外事工作委員会弁公室主任(楊は3月19日まで外交担当国務委員であった)と会談して南北首脳会談・米朝首脳会談に向けて協力することで一致し、THAAD配備への報復措置解除も中国は事実上表明した。
 朝鮮戦争終結をめぐって
2018年5月4日、習近平国家主席(党総書記)と電話会談を行い、「南北首脳会談は習主席の全面的な支持と応援によって成功した」と謝意を述べ、朝鮮戦争の終戦宣言と朝鮮戦争休戦協定を平和協定にすることを目指して積極的に協力することで一致した。
2018年5月4日、日本で李克強国務院総理と会談し、朝鮮戦争の終戦宣言と平和協定の締結に向けて積極的に協力することで一致した。
その他
韓国の建国年について、2016年8月15日にFacebookで「憲法は大韓民国が3・1独立運動によって樹立した大韓民国臨時政府の法の正統を継承すると明示している」として、「制憲憲法は3・1運動によって大韓民国が樹立されたと明らかにした」としている。さらに「(したがって)今まで大韓民国の歴代政府は1948年8月15日を建国の日ではなく、政府樹立日として公式に表記してきた」とし、「最近、大韓民国が1948年8月15日に樹立したためその日を建国節として記念すべきだと主張する人々がいる。歴史を歪曲し憲法を否定する反歴史的、反憲法的な主張だ。大韓民国の正統性を自ら否定する間の抜けた主張」としている。
2019年3月、マレーシア首相のマハティール・モハマドとの合同記者会見の冒頭で現地語であいさつしたところ、誤ってインドネシア語で挨拶をしていたことが分かり、外相の康京和が韓国国会で謝罪した。
2019年3月に大邱の市場を訪問した際、大統領の警護にあたっている私服姿の警護員が自動小銃を露出した状態で携行していたことから、野党から警護規則違反と批判された。
 
 

 

 
 
 
8/16〜

 

北朝鮮、韓国と「再び対座せず」 文大統領の対話呼びかけ拒否 8/16
北朝鮮で南北関係を担当する祖国平和統一委員会の報道官は16日、韓国と再び対座することはないとの立場を示した。韓国の文在寅大統領は15日、2045年までに朝鮮半島の和平と統一を目指すと表明し、北朝鮮に対話を呼びかけたが、これを拒否した格好だ。
北朝鮮は先週始まった米韓合同軍事演習に抗議し、ここ数週間に短距離ミサイルの発射を繰り返している。
報道官は、南北対話が失速し、両国首脳による昨年の歴史的会談での合意の実行が行き詰まっているのは完全に韓国の責任だと主張し、米韓軍事演習は北朝鮮に対する韓国の敵意の表れだとあらためて非難した。
その上で「いずれ明確になることだが、韓国当局者とこれ以上話すことはなく、再び対座する気もない」と言明した。
韓国の文大統領は15日の演説で、「北朝鮮による最近の懸念すべき行動にもかかわらず、対話に向けた勢いは揺るぎない」と述べた。
北朝鮮報道官は、米韓軍事演習が終了すれば南北対話が再開されると考えるのは「妄想だ」と一蹴。「韓国は将来の米朝対話の恩恵を得ようと口を挟んでいるが、そのような愚かなことはやめたほうがいい」とし、米国との対話の可能性に言及する一方で韓国をけん制した。  
北朝鮮、南北対話を拒否 8/16
北朝鮮の対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会は16日、報道官談話を出し、韓国の文在寅大統領が15日の演説で朝鮮半島の平和構築などを訴えたことを非難、「(韓国当局者と)これ以上話すこともないし、再び対座する考えもない」と表明した。朝鮮中央通信が伝えた。
談話は、米韓合同軍事演習を重ねて非難。「北南対話の動力が失われたのは(韓国側の)自業自得だ」とした上で、演習が終われば対話局面が来ると考えるのは「妄想」だとした。 
 8/15 
光復節

 

光復(こうふく)とは、「奪われた主権を取り戻す」という意味を持つ朝鮮語。大韓民国(韓国)においては「1945年8月15日に朝鮮が日本の植民地統治から脱し自主独立を取り戻した事件」と定義しており、8・15光復とも表記される。韓国政府は、光復を記念するために毎年8月15日を光復節という祝日に定めている。
なお、朝鮮が日本の統治から離脱した出来事について、あくまで史実は宗主国日本の戦争敗北によるソ連軍の占領によってもたらされたわけであるが、「金日成が抗日革命闘争を勝利へ導くことでもたらされた偉業」と認識している朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では、「光復」という単語を用いず「祖国解放」と表現している。その為、北朝鮮でも8月15日は祝日になっているが、その名称も「解放記念日」としている。  
韓国大統領、日本との対話に「喜んで応じる」 8/15
韓国の文在寅大統領は15日、日本が帝国主義の過去を顧みることを望むとした上で、日本側が対話を選択すれば「喜んで手を結ぶ」と述べた。
文大統領は日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説し、自国が優位にある分野を「武器」にすれば自由貿易の秩序が脅かされかねないと警告した。
韓国は、日本が半導体材料などの輸出規制を強化したことを、元徴用工問題を巡る報復と主張している。
文大統領は「われわれは日本が、隣国に不幸をもたらした過去について熟考するとともに、東アジアの平和と繁栄を共にけん引することを望む」と述べた。
ソウル市内では、徴用工だった人を含む数千人が日本大使館へデモ行進した。参加者は「安倍体制を非難」、「元徴用工に謝罪せよ」といったプラカードを掲げ、「戦うぞ」、「補償しろ」と声を挙げた。
梨花女子大学のレイフ・エリック・イースリー准教授(国際関係論)は「最近の韓日関係悪化は、経済的利益が危機に瀕しているということ、相手国の国内政治や地域の安全保障面の深刻な状況に対する認識が欠けていることの表れだ」としたうえで「文大統領の日本に関する発言は、経済協力の重要性を強調し、外交の余地を残したものだ」と語った。
文大統領は、南北関係について、2032年の五輪共同開催や2045年までの統一を達成するために取り組む姿勢を強調した。
これらの目標達成は、はるか先のことだと考えられてきた。北朝鮮は最近、新型短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返しており、北朝鮮の非核化に向けた米朝協議は停滞している。  
文在寅大統領演説 外務省幹部「明らかにトーンが変わった」 8/15
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、日本の朝鮮半島統治からの解放記念日「光復節」の演説で対日批判を抑制したことについて、外務省幹部は「明らかにトーンが変わった」と指摘し、韓国側の対応を見極める考えを示した。今後は、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じたいわゆる徴用工訴訟をめぐり、日本側が受け入れ可能な解決策を示すかどうかが焦点になる。
政府内には、安全保障上の対韓輸出管理の厳格化が、文氏の変化につながったとの見方もある。政府関係者は「ついに打つ手がなくなって弱気になったのではないか。日本と対話したいのだろう」と述べた。
ただ、別の外務省幹部は「実際の行動につながればよいのだが」とも語り、韓国側が現実的な解決策を示すのか、注意深く見守る考えを示した。 
文在寅が焦り出した! 「反日」過熱でいよいよ韓国経済がヤバくなる 8/15
対韓輸出規制に端を発して以来、韓国の文在寅大統領は日本に対する強硬姿勢を強めてきた。しかし、文在寅大統領のここのところの発言を仔細に追うと、そこに微妙な「変化」が出てきたことが見て取れる。
8月12日、大統領府で開催された会議に出席した文在寅大統領は「日本の不当な経済報復に対して決然と反対」「(経済報復は)歴史の問題から始まった」などと述べた。
これだけを見ると相変わらず対抗姿勢をむき出しにしているようだが、じつはこの同じ会議では「われわれは感情的になってはいけない」とも発言。怒りを前面に出すこれまでのスタイルとは正反対の旨を発言し始めているところに注目したい。
文在寅大統領は同じくこの会議で、韓国国民に向けて「両国国民間の友好関係を毀損しないよう毅然とした姿を見せている」とも発言。韓国全体に広がりつつある反日ムードを抑制するように促しているようにさえ映るのだ。
日本政府が韓国を「ホワイト国」リストから除外する閣議決定をした8月2日当時、文在寅大統領は「両国関係に対する重大な挑戦だ」と強調。そのうえで、「われわれは二度と日本に負けない」「日本は盗人猛々しい」などと感情むき出しで語っていたことは記憶に新しい。
これを機に韓国全体では反日ムードが盛り上がり、日本製品の不買運動にまで発展していったことを考えれば、文在寅大統領みずからが韓国国民の「反日」に火をつけてきたといえる。それが一転、ここへきてみずから「火消し」に動き出しているのはいったいなぜか。
じつは文在寅大統領の発言のトーンダウンは少し前から徐々に始まっている。
たとえば8月8日には日本の対韓輸出管理強化に触れて、「全員が被害者になる勝者のないゲームだ」などと発言。「二度とも負けない」と対決姿勢を前面に出してから1週間も経たないうちに、過激な姿勢を押し出すウラで、バトルの過熱化を抑制するように呼び掛けていたわけだ。
文在寅大統領のこうした発言の変化の背景の一つには、韓国経済が目下抱える構造的な問題があると指摘する向きは多い。
もともと韓国経済はここ数年来、低成長に沈んでいる。実質経済成長率が7%を誇っていた1990年代は遠い昔のことで、2019年1−3月期に実質経済成長率がマイナスに転落したほどだ。
今夏には、文在寅大統領が経済政策の司令塔を担っていた幹部二人を同時退任させて話題となったばかり。幹部二人は就任から約1年での交代となったため、韓国経済を浮揚させることができなかった責任を取らされた事実上の更迭人事とされた。
そんな矢先に起きたのが日本による対韓輸出規制だったわけだ。
日本の韓国に対する輸出管理強化をめぐっては、その影響度合いについてさまざまな議論がされているが、最も注目すべきは韓国経済を支える大黒柱である「輸出」への影響だ。
韓国のGDPにおける輸出の割合はじつに約4割を占める。しかし、その肝心の輸出が不振に陥っており、ここのところは7月時点で8ヵ月連続のマイナスに落ち込んでいる。
文字通りの「輸出大国」である韓国にとって、輸出が落ち込むことは経済全体が沈むことと同義。7月に韓国銀行(駐豪銀行)が突然利下げに踏み切ったのは、こうした輸出不振にあえぐ韓国経済に「カンフル剤」を注入する意味合いがあったことは否めない。
しかも、そんな輸出の約2割を占めるのが「半導体」である点がポイントだ。
対韓輸出管理強化で対象となったのは、まさに半導体を製造する際に使用される材料。サムスン電子など日本の材料をもとに半導体を製造する会社も当面は在庫でしのげるが、仮に輸出規制が長期化すれば影響が出てくることは避けられない。
そして半導体製造が滞れば、韓国の輸出が落ち込む。それはすなわち、韓国経済全体の「沈没」につながりかねない……。韓国政府が一番恐れているのはそうした最悪シナリオであり、文在寅大統領の発言のトーンダウンの背景にはこうした事情が透けて見えるのである。
すでに韓国経済をめぐっては、目下の輸出管理強化によって「マイナス成長」に落ち込む可能性が指摘され始めている。
文在寅政権になって、経済成長率がマイナスに沈むことはすでに2回経験している。それが3度目となれば、すでに不況で疲弊している韓国国民の怒りの矛先が日本から文在寅大統領そのものに向き始める可能性すら出てくる。
実際、すでに文在寅政権の経済政策の失政ぶりに対して、韓国国民の不満は爆発寸前である。
というのも、文在寅政権になって始められた「働き方改革」では、労働時間を制限されたために賃金の減少に直面し、生活苦にあえぐ人たちが発生。そこへきて文在寅政権が最低賃金を引き上げたことで、「雇止め」を始める中小企業が急増して、職にありつけない人が増加している。
韓国ではそんな文在寅政権の労働政策を批判する大規模ストライキが多発しており、不満は膨らみ続けている。
文在寅大統領からすれば、そんな国民の怒りのはけ口として「反日」を利用できる側面は確かにある。来春に総選挙を控えて、なおさら反日カードは有効だ。
しかし、反日ムードが高まって輸出規制が長期化すれするほど、韓国経済は疲弊していくうえ、今度は国民の怒りがみずからに向かいかねない。文在寅大統領はいまそんなジレンマに陥っているわけだ。
折しも、韓国の「お隣」の中国では米中貿易戦争によって経済が失速。いまもトランプ大統領が新たな関税措置を発動したり、ストップしたりする度、中国経済に動揺を広がるという風景が繰り返されている。
韓国の輸出最大相手国はそんな中国。中国経済の失速は、韓国の輸出の低迷につながり、すなわち韓国経済を直撃する。米中貿易戦争と対日貿易問題というダブルパンチを前に、文在寅政権はいよいよ有効な打ち手を見いだせなくなってきた。
7月、韓国政府は2019年の実質GDP成長率見通しを下方修正をした。再びのマイナス成長に陥れば、この下方修正した経済見通しすら達成できなくなるだろう。
そのとき、韓国国民はどんな声を上げ始めるのか。文在寅大統領はこれまで以上に「反日」の火を燃やそうとするのだろうか。
たとえどちらに進んでも、バラ色の未来は待っていないようにしか思えないのだが。 
「ソウルと平壌で2032年に五輪共催」文大統領が構想 8/15
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は15日、日本の植民地支配からの解放を記念する式典で演説し、遅くとも2045年までに朝鮮半島の南北統一を実現するとの構想を打ち出した。ソウルと平壌で32年の五輪共催をめざすとも宣言。米韓同盟をめぐって北朝鮮が韓国への強硬姿勢を崩さぬなか、持論の南北融和を訴えた。
文氏は演説で、南北はそれぞれの体制を維持しつつ、「8千万人の単一市場を作り出せる」と指摘。統一まで進むことができれば、経済規模が「世界のトップ6に入るという研究結果もある」と強調した。現在の経済規模は韓国が世界11位、北朝鮮は韓国の43分の1にとどまる。
文氏はまた、32年にソウルと平壌で五輪を共同開催するとも明言。日本統治からの解放を意味する「光復」から100年になる2045年までには、「統一で一つとなった国(ワン・コリア)」ができるよう約束すると述べた。
ただ、実現には多くのハードル・・・  
韓国・文在寅、日本が対話望めば「喜んで手を結ぶ」 8/15
韓国の文在寅大統領は15日、日本が帝国主義の過去を顧みることを望むとした上で、日本側が対話を選択すれば「喜んで手を結ぶ」と述べた。
文大統領は日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説し、自国が優位にある分野を「武器」にすれば自由貿易の秩序が脅かされかねないと警告した。
韓国は、日本が半導体材料などの輸出規制を強化したことを、元徴用工問題を巡る報復と主張している。
文大統領は「われわれは日本が、隣国に不幸をもたらした過去について熟考するとともに、東アジアの平和と繁栄を共にけん引することを望む」と述べた。
ソウル市内では、徴用工だった人を含む数千人が日本大使館へデモ行進した。参加者は「安倍体制を非難」、「元徴用工に謝罪せよ」といったプラカードを掲げ、「戦うぞ」、「補償しろ」と声を挙げた。
梨花女子大学のレイフ・エリック・イースリー准教授(国際関係論)は「最近の韓日関係悪化は、経済的利益が危機に瀕しているということ、相手国の国内政治や地域の安全保障面の深刻な状況に対する認識が欠けていることの表れだ」としたうえで「文大統領の日本に関する発言は、経済協力の重要性を強調し、外交の余地を残したものだ」と語った。
文大統領は、南北関係について、2032年の五輪共同開催や2045年までの統一を達成するために取り組む姿勢を強調した。
これらの目標達成は、はるか先のことだと考えられてきた。北朝鮮は最近、新型短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返しており、北朝鮮の非核化に向けた米朝協議は停滞している。
ただ、文大統領は「北朝鮮による最近の懸念すべき行動にもかかわらず、対話に向けた勢いは揺るぎない」と主張し、日本からの解放100年となる2045年までに和平と統一を達成し、「一つのコリア」となるための基礎をしっかりと築くと表明した。 
日本政府、変化に期待=文氏演説「抑制的」と分析 8/15
韓国の文在寅大統領が日本の植民地支配からの解放を記念する15日の「光復節」の演説で日本に対話を呼び掛けたことについて、日本政府内では文氏の変化の兆しと期待する声が出ている。
ただ、文氏は元徴用工問題に触れておらず、日本政府は関係改善に必要なのは同問題の解決だと引き続き訴えていく方針だ。
岩屋毅防衛相は15日の記者会見で、文氏の演説について「一時期の発言と比べると、非常にモデレートされた(抑えを利かせた)形になってきている」と語った。
政府高官も「抑制的だった」と分析。外務省幹部は14日の「慰安婦の日」の談話を含め、「反日的な言動はあまりなかった」と指摘した。  
 8/14

 

日韓合意に反対する集会、ソウルで相次ぎ開催 8/14
韓国の文在寅ムンジェイン大統領は14日、慰安婦問題について、「平和と女性の人権に関するメッセージとして国際社会と共有し、広げていく」と自身のフェイスブックに書き込んだ。
日本政府に対する直接の批判はなかったが、韓国政府として引き続き慰安婦問題を国際世論にアピールしていく考えを示したものだ。
14日は、昨年から始まった韓国の法定記念日「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」にあたる。ソウル市内では、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決を確認した2015年末の日韓合意に反対する集会などが相次いで開かれた。
ソウル中心部の観光名所・南山ナムサンには、元慰安婦をイメージした4体の像が新たに設置され、除幕式が行われた。 
「慰安婦の名誉回復に最善尽くす」と文氏 8/14
韓国の文在寅大統領は14日、従軍慰安婦の記念日に合わせ「政府は被害者の尊厳と名誉を回復するために最善を尽くす」とのメッセージを発表した。日本の加害責任には触れなかった。 
“慰安婦の日” 文大統領「名誉回復に最善尽くす」 8/14
韓国政府は慰安婦問題を内外に伝える記念日の式典を開きました。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「慰安婦被害者の尊厳と名誉を回復する」というメッセージを出しました。
韓国政府は8月14日を去年から「慰安婦の日」とし、14日午前11時からソウルで式典を開きました。式典には元慰安婦らが出席し、陳善美(チン・ソンミ)女性家族相があいさつしました。文大統領は出席せず、「日本軍慰安婦被害者の尊厳と名誉を回復するため、最善を尽くします」というメッセージを出しました。ソウルではこの後、日本大使館前で1400回目の慰安婦団体の集会が開かれるほか、新たな記念碑と慰安婦像の除幕式が行われます。  
慰安婦問題「国際社会に拡散」=「名誉回復に最善尽くす」−韓国大統領 8/14
韓国の文在寅大統領は14日、この日に2回目となる「慰安婦の日」を迎えたことを受け、慰安婦問題を「平和と女性の人権に対するメッセージとして、国際社会と共有し、拡散していく」と表明した。自身のフェイスブック(FB)に投稿した。
文氏はまた、韓国政府は元慰安婦らに対し、「尊厳と名誉の回復のため最善を尽くす」と強調。「人類の普遍的観点」から慰安婦問題を国際社会に提起していく考えを示した。日本政府への直接的な言及や批判はなかった。  
慰安婦問題「国際社会に広める」韓国大統領 8/14
旧日本軍の従軍慰安婦問題を巡り、韓国政府が被害者の記憶を伝える記念日と定めた14日、政府主催の式典がソウルで開かれた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は出席を見送った一方で「平和と女性の人権に対するメッセージとして(慰安婦問題を)国際社会と共有し広めていく」との談話を発表した。自身のフェイスブックに投稿した。
文政権は2017年11月に法律で8月14日を「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」に制定した。慰安婦問題の最終的解決をうたった15年の日韓合意は「国際社会で互いに非難、批判することを控える」と確認したが、文政権下で合意の空文化が進んでいる。
今年で2回目となる式典に出席した陳善美(チン・ソンミ)女性家族相は「慰安婦問題を女性の人権問題として確立させ、歴史の教訓として記憶されるよう後世に教育していく」と述べた。
ソウル中心部の南山には14日、慰安婦を象徴する少女像が新たに設置された。ソウルの日本大使館前に置かれた少女像前では市民団体の抗議集会が開かれ、参加者が「日本政府は謝罪せよ」などと声を上げた。
文大統領は15日午前、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説する。元徴用工や輸出管理を巡る問題など日韓の対立にどのような見解を示すかが焦点だ。
日本政府は14日、文氏による慰安婦問題を巡る見解に関し、相手への批判を控えるとした慰安婦問題の日韓合意を着実に実施するよう外交ルートを通じて要請した。 
文大統領「名誉回復に最善」 韓国で「慰安婦の日」、対日抗議集会も 8/14
韓国で法定記念日に定められた「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」の14日、政府主催の式典がソウルで開かれた。文(ムン)在寅(ジェイン)大統領は出席しなかったが、「韓国政府は被害者の尊厳と名誉回復のために最善を尽くす」とのメッセージを寄せた。
式典には元慰安婦の女性や市民団体、専門家ら約300人が参加。文氏は慰安婦問題について「国際社会で共有し、広めていく」とも伝えたが、日本への批判はなかった。文氏は昨年、中部、忠清南道(チュンチョンナムド)天安(チョナン)市の国立墓地で開かれた第1回の式典には参加し、演説した。
式典であいさつした陳(チン)善美(ソンミ)女性家族相は「慰安婦問題を女性の人権問題として確立し、歴史の教訓として記憶されるよう後世に教育していく」などと語った。
また、ソウルの日本大使館前では、慰安婦問題で日本に抗議する1400回目の集会が開かれた。
一方、ソウル市中心部の南山(ナムサン)では、同市などが主催する慰安婦像(記念碑)の除幕式が行われた。式典は日本の朝鮮半島統治時代に「朝鮮神宮」があった場所の付近で、朴(パク)元淳(ウォンスン)市長や陳氏、慰安婦問題で韓国の主張に賛同する日系米国人のマイク・ホンダ元米下院議員らが出席。元慰安婦の女性があいさつで安倍晋三首相を「嘘つきだ」と強く批判するなど、除幕式は安倍政権を糾弾する色合いが濃かった。
この日の集会は韓国の13都市で開かれ、ソウル市内では南山以外でも、慰安婦像が設置された。また、日本や米国、オーストラリア、台湾など12カ国・地域の37都市でも慰安婦問題に抗議する集会が開催されたという。集会の海外への拡散について韓国メディアは「一層意味の大きいものとなった」(聯合ニュース)と評価している。 
 8/13

 

文大統領の発言、反日あおりすぎ? 韓国内でも批判の声 8/13
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の言葉が、国内外で波紋を呼んでいる。
豊臣秀吉の朝鮮半島侵略を挙げるなど日本にとっては刺激的だが、韓国では学校などで幼いころから学んできた「普通」の表現と受け取られることが多い。ただ、発言に対する受け止め方が日韓で違うことから、関係悪化をさらに招きかねない状況だ。
文氏は7月30日、大統領の休養地の南部の島を訪れた際、「このあたりの海は壬辰倭乱で李舜臣将軍が緒戦で勝利を収めた場所だ」と語った。壬辰倭乱は秀吉が朝鮮に出兵した文禄・慶長の役のこと。文氏は、李将軍が考案して日本を撃退した亀甲船という名前を持つ食堂に行ったことも、側近が明らかにした。
8月7日には、精密機器メーカーの工場を視察に訪れた際、「壬辰倭乱で日本が最も欲しがったのは陶工だった」と指摘。文氏は日本の輸出規制を、韓国の未来の成長を妨げる意図があると批判しており、当時も今も日本は技術を狙っていると主張したようだ。
韓国の人々にとって、秀吉の侵略や李将軍は、幼いころから学校で学び、今でも身近な話。文氏には「日本に勝つ」という分かりやすいイメージを国民に伝える意図があるようだ。一方で一連の発言には野党を中心に、「反日」をあおりすぎだとの強い批判もある。 
反日行動の韓国を待つ地獄。トランプを激怒させた文在寅の罪 8/13
今週に入っても改善するどころか悪化する一方の日韓関係ですが、世界はどのように見ているのでしょうか?
まずアメリカですが、ご存知の通り、バンコクで開催されたASEAN外相会議の際に、アメリカのポンペオ国務長官が日韓関係の仲介役を買って出ましたが、日韓外相の歩み寄りの気配が見えない(歩み寄れない)状況を感じたのか、仲介するのではなく、「あくまでも2国間で政治的に解決することを望む」とのみ述べるにとどまり、従来通り、懸念は抱きつつも、問題(対立)から一定の距離を置くことを決めました。国務省報道官のコメントを見ても、これ以上の深入りはしたくないとの動きが見えます。
しかし、国防総省やホワイトハウスの安全保障筋は少しトーンが違い、明らかに韓国政府側の非を認めるようなコメントを、非公式ですが行っています。特に安全保障当局を憤慨させたのが、韓国政府が対日報復措置の一環として挙げたGSOMIAの破棄です。GSOMIAは形式上は日韓2国間の安全保障に関する機密情報共有の協定ですが、北朝鮮はもちろん、中国の動きに非常に神経質になっているアメリカ政府にとっては、日米韓での緊密な連携と迅速な情報共有は不可欠であり、その核を担うGSOMIAの破棄に、韓国政府が安易に触れたことに怒り心頭です。
米韓軍事演習への“警告”と称して、連日、北朝鮮が短距離弾道ミサイルの発射実験を行っている際に、日韓間での緊張関係は決して望ましくないばかりか、日米韓での情報共有がスムーズに行われない恐れに、ワシントンDCは対韓国と文大統領に対する不信感が募っています。
その表れでしょうか。日本や欧州各国(英国を除く)、イスラエルも参加を見送るとした「有志連合」への積極参加を半ば強制的に喉元に突きつけていますし、在韓米軍の維持費についても、韓国に多大な負担を強いるため、新任のエスパー国防長官が、懐に韓国に対する請求書を忍ばせているとさえ伝えられています。韓国内で高まる在韓米軍撤退の意見に真っ向から対決し、国民感情をあえて逆なでするような内容の“請求書”は、トランプ大統領から文大統領への最後通牒というように捉えることが出来ます。
「アメリカの韓国及び朝鮮半島の安定に対する貢献に見合う支払いをせよ。さもなければ、“望み通りに”出て行ってやる」というような感じでしょうか。
これだけでなく、北朝鮮問題に関する度重なるトランプ大統領への嘘と、今回の日本政府が課した輸出管理に対する抗議の一環として、「影響がアメリカや国際経済に及び、多大な被害を与えるだろう」との根拠のない言い分に、トランプ大統領とその周辺が怒り狂っているようです。その証拠に、トランプ大統領は「韓国政府も、文大統領も、例えるならば詐欺師だ!」と批判しているようです。
北東アジア情勢にかかるアメリカと同盟国日本の利益という、最後の首の皮一枚のところで、合同軍事演習やポンペオ国務長官と康外務長官との会談などを行っていますが、もし韓国に対して、アメリカの有する権益にそぐわない、信頼に値しないとの判断がアメリカ政府によって下された瞬間、アメリカは韓国切りを決行する可能性が高まります。
次に、8月8日に発表された日本政府による韓国への輸出許可第1号案件の意味合いです。これまでと同じく、あくまでも安全保障上の懸念の有無によって、ピュアな判断を行ったとの説明が、世耕大臣や菅官房長官からなされましたが、どうしてこのタイミングだったのでしょうか。
「韓国との緊張を和らげようとの観測気球なのではないか」との非常に楽観的な見解も多く聞かれますが、諸々の情報を分析してみた結果、私は「韓国への最後通牒を突きつけるか否かを判断する最後の観測気球で、日本政府が投げた変化球なのではないか」と見ています。ホワイト国除外指定は、日本政府側にも深慮があっての決定・措置であると考えますので、早々簡単に覆りキャンセルされるものではありませんが、状況によっては、28日の発動後、通貨スワップ協定の破棄を含む追加措置が連発されるのではないかと見ています。そして、仮にそのような措置を日本政府が取ることになっても、アメリカ政府としてはバックアップする旨、先に訪日したボルトン補佐官や、今週訪日したエスパー国防長官も、トランプ大統領の意向として、日本政府に伝えているようです。
もし、このまま韓国側の反日行動と扇動が収まらず、激化するのであれば、そう遠くない将来に、日米両国は、北東アジアにおける同盟から韓国をすぱっと切り離すことになるかもしれません。今のところ、来春の韓国総選挙まで、反日のトーンが弱められないとの見方が強いことから、来春まで日米ともに最後の一手を打つのは待つのではないかとする意見がある一方、状況の悪化度合いによっては、それまでに切り捨てるとの見方もあります。そうなると韓国にとっては、反転して北朝鮮との関係を密にする一方、中ロへの接近しかなくなりますが、果たして北朝鮮や中ロはどうでしょうか。
残念ながら、以前「裏切りの韓国。すり寄る中ロや北にもソデにされる文政権の断末魔」でもお話したとおり、中国もロシアも、すでに韓国と文政権を見切っており、ロシアについては、「韓国は今や、もう信頼できない国で、その元凶は文大統領」という意見が政権内で主流になっているため、ロシアの利益として属国的に取り込むという目的で後ろ盾になる可能性は無きにしも非ずですが、韓国をパートナーとはみなすことはなさそうです。
中国も同じで、THAAD問題に絡み、文政権があいまいな対応ではぐらかしていることを受け、すでに同等の相手とは見なしていません。ご存知の通り、ファーウェイ問題でも、ファーウェイとの取引を続けるか否かという“踏み絵”を韓国に課しましたが、文大統領はそれにも明確に答えずに、どちら付かずの笑顔で流してしまったようです。これを受けて、習近平国家主席の中国も、韓国切りを決定したと言われています。つまり、中国からもロシアからも、望むようなサポートは受けることが出来ず、あるとしたら、言いなりの属国待遇という地獄が待っているのかもしれません。
では、就任以来、ラブコールを送っている北朝鮮の金正恩氏はどうでしょうか。シンガポールでの第1回米朝首脳会談のお膳立てをしてくれたところまでは、笑顔で文大統領を友人と讃えていましたが、それ以降の仲介者気取りに加え、第2回米朝首脳会談に至るプロセスで、トランプ大統領側の“決意”について間違った情報を与え、会談を物別れに終わらせ、国内的に金正恩氏の求心力の危機を作り出すなど、絶対に文大統領を許すことはないようです。ゆえに、今後はまったく文大統領の韓国を対話の相手とは見なさないと思われます。
それでは他の国々はどうでしょうか。欧州も、東南アジア諸国も、残念ながら、韓国が関係のない国際会議においても、所構わず日本批判をし、必死で支持を得ようとしている姿を冷笑し、そして、外交的な常識がない国との見方を固めています。先日のASEAN外相会議での日本批判発言では、議長国のタイから「2国間の問題で、ASEANに無関係の問題を延々と持ち出して、議論を妨げないように」との警告がありましたし、頼みのアメリカ政府も、ポンペオ国務長官からの援護射撃は一切ありませんでした。また先日のWTOでのやり取りでも、各国から韓国の立場への“理解”は皆無で、理事会でも「場に則さない関係のない議論を持ち込んだ』」と韓国を非難する声もあったと聞きます。これらを見ても、すでに外交的な支持を失い、国際社会の中でも異質かつ常識のない国とのレッテルが貼られてしまったのではないかと思われます。
加えて、これまで日本政府を批判する材料となった慰安婦問題が、今、ASEAN諸国、特にベトナムから、ブーメランのように韓国を襲う気配があります。ベトナム戦争中の韓国軍兵のベトナム人への性的な暴行について、これまでベトナム政府は公に非難して来なかったのですが、国際社会における韓国の地位の低下が理由なのか、国際社会でのあまりに非常識ともいえる行いが引き金なのかは分かりませんが、ベトナム政府とその周辺国(カンボジアなど)は、韓国への外交的な攻撃に出るのではないかという予想が耳に入ってきました。この裏には、韓国企業の各国での素行の悪さなども、批判のamplifierになっているものと思われますが、もしアジアにおける包囲網が出来てしまった暁には、韓国に対するend gameに決着がつくことになるのかもしれません。
ここまで書いてみて、かなり過激な内容になっているのではないかと懸念していますが、様々な情報を包括的に分析してみた際、韓国にとって考え得る最悪のシナリオは、さほど妄想とはいえないような気がしています。
かりにその最悪のシナリオが現実化した場合、どのような影響が国際社会、特に北東アジア地域とアジア全体、そして日本が韓国に対して行っている輸入管理の見直し対象となっており、韓国企業のシェアがかなり大きい半導体をめぐる世界経済へのショックはどのようになるのでしょうか。
最悪のシナリオが描かれたものが手元にありますが、とても恐ろしくてその内容には触れることが出来ません。その内容があくまでも机上の“推論”で終わってくれることを祈っています。 
文在寅大統領、対日強硬姿勢を改める=「感情的ではいけない」 8/13
中国メディアの海外網は12日、韓国の報道を引用して「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が対日強硬姿勢を改めた」と報じた。韓国紙・中央日報などによると、文大統領は12日に開いた首席秘書官会議で、「日本の経済報復に感情的になってはいけない」と述べ、冷静に根本的な対策を考える長期的な対応が必要との認識を示した。記事は、これまでの文大統領の発言と比較し「より控え目になった」と評した。 
日韓対立がターニングポイント迎える?微妙な変化が発生 8/13
2019年8月12日、澎湃新聞は、日韓両国の対立について、ここにきて変化が生じ始めたとする記事を掲載した。
記事は、日本政府が8日、7月4日に半導体材料3品目の対韓輸出規制を強化してから35日ぶりに初めて関連材料の対韓輸出を許可し、これに対して韓国政府も日本の輸出ホワイト国リスト除外を遅らせたと紹介した。
そして、遼寧大学国際関係学院の李家成(リー・ジアチョン)副教授が「日本としては、対韓輸出規制措置が禁輸ではないことを国際社会にアピールするとともに、日韓貿易の掌握権は日本側が持っており、輸出規制の強化、緩和は韓国の対日政策次第だということを韓国に示す狙いがあった。また、日本も韓国との関係を修復不可能にはしたがっておらず、今回の措置でガスを抜こうとした」と解説したことを伝えている。
李氏はまた、韓国側の対応について「日本という世界で3番目の経済大国と貿易戦争をしても勝ち目はなく、紛争をクールダウンさせる手掛かりを見つけた」と分析した。
記事はさらに、これまで日本に対して強烈な反発を見せてきた韓国のメディアや世論にも変化が見え始め、「反安倍であり、反日ではない」「政府と民間は分けて考えるべき」「日本人観光客は敵ではない」といった呼び声がますます高まっていると紹介。韓国の世論調査会社が実施した調査でも、韓国政府による日本への対抗措置を支持する人が54%に達する一方で「誤りだ」との認識も35%に上る結果になったことを伝えている。
また、韓国紙・中央日報が5日「日本の行為におのずと怒りを覚えている国民の感情を政府は尊重すべきだが、故意に反日感情をあおったり過激な行為に出れば国益を損なうことになる。こういう時期こそ冷静になることが必要だ。日韓は互いに生きていくうえで切り離せない隣人どうしであり、時に対立が起こったとしても政府は長期的な視野を持って相応の政策を打ち出さなければならない」と論じたことを紹介した。 
文大統領、経済「容易でない」 8/13
韓国の文在寅大統領は13日、大統領府で会議を開き、米中貿易摩擦に日本の輸出規制強化が加わったことで、韓国経済は「容易な状況ではない」との認識を示した。一方、「根拠のないフェイクニュースやうその情報、誇張された展望が市場の不安感を大きくすることを警戒しなければならない」とも指摘。日本の輸出規制の影響を慎重に見極めるべきだとの考えも明らかにした。韓国経済については「基礎体力は堅固だ」とも説明。世界市場での経済競争力を高める機会と位置付け、政府としても予算措置により経済活性化を目指すと述べた。 
文大統領の支持率、5割超 8/13
輸出管理の問題をめぐって日韓関係が悪化する中、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率が5割を超えたことが、韓国の世論調査で明らかになりました。韓国の「リアルメーター」が12日に発表した最新の世論調査では、文在寅大統領の支持率は50.4%で、前の週より0.5ポイント増えました。一方、不支持は前の週より1.1ポイント減って、44.4%でした。「リアルメーター」によりますと、文大統領の支持率は、北朝鮮による相次ぐ短距離弾道ミサイルの発射や米中貿易摩擦にともなう金融市場への懸念などから一時下落。その後、輸出管理の強化などによって日韓関係が悪化する中で、日本に対する文大統領の強硬な姿勢が支持を得たと分析しています。 
安倍首相と文大統領、共にトランプ大統領のジョークのネタに 8/13
2019年8月12日、観察者網は、トランプ米大統領が日本と韓国をジョークのネタに用い、安倍晋三首相と文在寅(ムン・ジェイン)大統領の口まねを披露したと報じた。
記事は米紙ニューヨーク・タイムズの9日付報道を引用。米国内の選挙資金募集イベントに出席したトランプ氏が、韓国に駐留米軍の軍事費用負担増を求めている問題について「韓国に10億米ドル(約1050億円)支払わせるのは、ブルックリンで114ドル13セント(約1万2000円)のアパート家賃を取り立てるより簡単なことだ」と発言したことを紹介した。
トランプ氏はまた「韓国には卓越したテレビ製造技術があり、経済が繁栄しているのに、どうしてわれわれは韓国のために防衛費を負担しなければいけないのか。彼らが費用を払うべきだ」と語るとともに、文大統領が厳しい合意内容に屈服するような口調をまねたという。
記事はさらに、「トランプ氏は文氏の他に安倍氏もジョークの対象とし、日本との関税交渉に言及した際に安倍氏の口まねをした」とも伝えている。
そのうえで、トランプ氏のパフォーマンスに対してネット上では「彼はレイシスト(人種差別主義者)だ」「身の程を全くわきまえていないうえ、ユーモアも欠如している。彼のやっていることは『敵』を貶め、残酷な方式で他人から笑いを取ろうとすることだけ。自身の人気がその風格と魅力にあると考えているようだけど、違う。注目される理由は、恨みや愚昧、民族主義にある」など、批判的な意見が寄せられたと報じた。 
北朝鮮が中国を捨てトランプを選んだワケ 8/13
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、中国を見限り、アメリカのトランプ米大統領との関係を優先しつつある。なにが起きているのだろうか。危機管理コンサルタントの丸谷元人氏は、「これまで北朝鮮を支援してきた『上海閥』が中国国内の権力闘争に敗れつつある。このため金正恩氏は中国を見限り、地下資源開発などの利権を狙うトランプ氏と手を組むことを決めたのだろう」という――。
建国の父・金日成につながる北朝鮮の「ロイヤルファミリー」は、習近平派対上海閥という中国国内の激しい権力闘争の中を懸命に泳いできた。
例えば現在の最高指導者である金正恩氏の実兄で、2017年に暗殺された金正男氏は生前、習近平政権の完全な監視下にある北京のほかに、旧ポルトガル領のマカオにも生活拠点を持ち、そこに妻子を住まわせていた。マカオは香港とともに長年上海閥が大きな勢力を維持していた地域であり、だからこそ正男氏とその妻子はそこで一応は安全に暮らすことができたのだろうとも言えるが、見方によっては習近平政権(北京)と上海閥(マカオ)の間をうまく泳ごうとしていたようにもとれる。上海閥としては、正男氏の妻子を事実上の人質として手元に置いていたのかもしれない。
しかし今やそのマカオや香港は、北部戦区に吸収された旧瀋陽軍区一帯とともに、上海閥の最後の砦となりつつある。
例えば金正男氏と親交のあった江綿恒氏(江沢民氏の長男)は、正男氏が暗殺される直前には上海郊外において軟禁状態にあったとも言われていたし、正男氏殺害の直後に彼の長男の金漢率(キム・ハンソル)氏がマカオから忽然と姿を消し、台湾経由で米国に脱出したという事実は、マカオがもはや上海閥にとって安全な場所ではないことを意味するのかもしれない(この金漢率氏の脱出には、上海閥の持つ米国+台湾コネクションが使われたのであろう)。
こんな中国国内の権力闘争の行方にもっともあたふたしてきたのは、実は北朝鮮の権力者たちであったに違いない。例えば金正男氏にしても、一昔前であれば、米国エスタブリッシュメント(旧支配層)と関係の深い上海閥の傀儡であろうが、その次に権力を握った胡錦濤政権のそれとしてであろうが、いずれは本物の権力者として北朝鮮に戻りたいという下心も少しはあったはずだ。
実際、2012年には金正恩政権初期の実力者であった叔父の張成沢が、中国の胡錦濤国家主席に対し「金正男を北朝鮮の後継者にする」という政権転覆計画を秘密裏に示している。これも正男氏本人のある程度の了解なしにはあり得ないことだろう。
しかし、浦安のディズニーランドに行って日本当局に逮捕されたこともある、本来享楽的な金正男氏にしてみれば、2013年に国家権力を掌握した習近平氏によって上海閥の人々が次々と粛清され、同年暮れには自分を中国に売り込んでいた張成沢氏が金正恩氏によって処刑され、さらに自分の命まで狙われるようになったことで、元々そこまで熱意のなかった権力者への道を諦めたのかもしれない。
ちなみに、張成沢氏による胡錦濤国家主席への「金正男政権擁立」という密談を盗聴し、それを金正恩に通報したのは、胡錦濤政権で中国共産党中央政治局常務委員を務めた周永康氏(上海閥)であった。同氏は当時、習近平政権による粛清のターゲットとなっていたため、この情報を正恩氏に渡すことで北朝鮮支配のための便利なカードを習近平政権から奪うと同時に、「自分の背後には核を保有する北朝鮮(=旧瀋陽軍区)があるのだ」ということを誇示し、粛清から逃れようとしていた可能性がある。実際、習近平氏が国家主席に就任する直前の2013年2月、北朝鮮は核弾頭の小型化を目指した3度目の核実験を行っている。
この上海閥重鎮の密告は、張成沢氏と金正男氏にとって完全な裏切り行為であり、これによって張成沢氏は極めて残忍な方法で処刑された。一方で金正恩氏にとっても、この一件は「上海閥の連中は、いざという時に自分をも売るのではないか」という疑いを持たせたことであろう。
つまり、北朝鮮の権力者たちは、ここでも中国国内の権力闘争に、単なる政治カードとして利用されていたにすぎないのである。
そんな金正恩氏にとって、崖っぷちに立たされた上海閥や、北部戦区の一部となった旧瀋陽軍区の力が、もはや以前ほど当てにならないことは明らかであった。
かといって、上海閥の力を借りて習近平氏に喧嘩を売ってきた以上、いまさら習近平政権に許しを乞うこともできない。そこで正恩氏が頼ろうとしているのが、習近平政権と激しく対立する米トランプ政権である。
金正恩氏の持つ武器は二つある。一つは、みずからが開発している核ミサイルであり、もう一つが数百兆円相当にも上るという北朝鮮国内の手付かずの地下資源だ。そこで、一方では核やミサイルで脅威を煽りつつ、もう一方では地下資源を餌に外国投資を呼び寄せようとしている。
そんな正恩氏は、米国や国連による厳しい制裁によって窮地に陥った状況を打破するため、2018年5月にシンガポールで初の米朝首脳会談をやってのけた。そうしてアメリカとも対等に話ができることをアピールした上で、2019年1月に北京を訪問。習近平氏に直接、米国に対北朝鮮制裁緩和を働きかけてほしいと依頼したようだ。しかし、習近平氏は正恩氏に対して「非核化が先だ」と願いを一蹴したと言われている。
この冷たい態度は、習近平氏にとってみれば当然のことであった。2016年から17年初頭にかけては、不倶戴天のしぶとい仇敵・上海閥との暗闘がまだ予断を許さない時期だった。そうした状況のもとで習近平氏は、旧瀋陽軍区の後ろで荒ぶる金正恩氏を少しでもなだめるため、お近づきの印として金正男氏の暗殺を容認した可能性がある。
だが正恩氏はそれにまったく感謝しなかったばかりか、同じ2017年の夏には中国本土のほとんどを射程に収める長距離ミサイルを立て続けに発射(実際は北海道上空を飛行)。9月には核実験まで実施し、北京を十分に核攻撃可能だとする能力を改めて誇示した。つまり、習近平氏としては顔に大きく泥を塗られた格好で、2019年1月に金正恩氏が会いに来た際にも、そのときの屈辱は忘れていなかったはずだ。「一体どの面を下げて」とでも言いたかったのが本音であろう。
こうして習近平氏に突き放された金正恩氏は、単独でトランプ政権と交渉をする以外にないと感じたに違いない。正恩氏は北京から帰国してすぐ、トランプ政権との秘密交渉を開始。それから数週間後の2月5日、トランプ大統領は一般教書演説の場で突然、「2月27日と28日に金正恩氏と再び会談する」ことを発表したのであった。
金正恩氏にとっては願ったりかなったりの展開だったろうが、このことは同時に正恩氏自身が、上海閥や旧瀋陽軍区といったかつての中国人脈の大半と、反トランプで固まる米国エスタブリッシュメント層を、完全に敵に回した瞬間でもあったに違いない。
拉致問題の解決を目指す日本政府にしてみれば、安心確実な後ろ盾であった上海閥が力を失い、藁をもつかむ気持ちでトランプ政権に接近している今の金正恩政権の状況は、絶好の機会ではあるとも言える。
その一方で、朝鮮戦争の終結と北朝鮮大規模開発を目指すトランプ政権は、日本に対して「拉致問題解決を手伝ってやるから、北朝鮮のインフラ復興整備のカネを出せ」などと言いかねない。日本政府もひそかに警戒はしているだろうが、実際に要請されれば断ることはできないだろう。
日本には、かつて江沢民政権が米クリントン政権とともに行った「ジャパン・パッシング」という名の対日包囲網によって、大変な経済的痛手を受けたという苦い記憶がある。それをふまえれば、現在米国内でも優勢になりつつあるトランプ政権に追従し、その力を使って孤立無援の金正恩政権に対し、今のうちから影響力を行使した方がはるかに得策であるかもしれない。
北朝鮮が改革開放路線に舵を切った暁には、北は未曾有の好景気に沸く可能性がある。その際に、その経済発展の下支えをするインフラを日本のカネで作れというのなら、いずれ日本にも利益がきっちりと回ってくるような賢い算段をすればよいのだ。
ただここで日本が注意すべき点は二つある。一つは、そのカネの出し方だ。日本としては、(最近韓国からも声が上がり始めている)北朝鮮に対する「戦後補償」などではなく、可能な限りの低金利ローンという形態でカネを出すのが最善の形だろう。
そうなれば、朝鮮半島は場合によっては日本円通貨圏になる可能性すらある。
もし朝鮮半島が日本円通貨圏になれば、巨額の地下資源開発ビジネスに参加する日本にとっては為替リスクも減り、ビジネスの機会も増えるのではないか。人口減少による経済縮小が予測されるなか、成長の起爆剤にすらなりうる。
朝鮮半島にとっても、これは決して悪い話ではない。国内開発を信用度の高い日本円で行うことで通貨リスクの分散ができ、経済基盤の安定を通じて大いなる繁栄に至る可能性も出てくる。
それは日本が北東アジアにおける経済的覇権を握ることにもつながるだろう。第二次大戦以来、時には中国をも使って敗戦国日本を永遠に封じ込めておきたいと考えている米国エスタブリッシュメント層にしてみれば、これは許し難いことであろう。だがその一方で、米国債の最大保有国である中国がその保有量を減らし始めている今、強い経済をベースに日本が米国債を買い支えるのなら、商人気質のトランプ大統領には魅力的に映るに違いない(もちろん、米国は日本を引き続き「忠実な番犬」と見なし、対中監視の前線基地として使おうとするであろうが)。
もう一つ日本が深く注意すべき点は、北朝鮮の非核化がおざなりになってしまう可能性だ。北朝鮮の核問題にそれほど強いこだわりを持たないトランプ大統領が、金正恩氏を完全に手中に収めれば、北の核はそのまま放置されてしまうことになりかねない。
この可能性は決して低くない。なぜなら、トランプ大統領にしてみれば、北朝鮮の核兵器は中国・習近平政権の喉元に突きつけた匕首(あいくち)のようなものであり、まさに理想的な中国への交渉カードになりうるからだ。一方の金正恩氏にしても、長年自分を侮蔑し、腹の底ではいまだに信頼しようとせず、非核化だけをうるさく迫ってくる習近平政権よりも、その習政権と厳しく対立し、核保有を大目に見てくれるトランプ政権の方がはるかに付き合いやすい相手であるに違いない。
このような状況で、もし今の日本が北朝鮮に対して何ら積極的に関与しないまま、本心では日米安保の破棄さえ願っているトランプ政権によって南北融和が成立し、米国その他の国が北の復興資金をカバーするのみならず、北の核兵器が温存されるような事態が起きたとしたらどうなるか。核ミサイルを持ち、エネルギーや地下資源の多くを自給自足可能な人口7000万の強力な反日統一国家が、やがて朝鮮半島に現れることになる。これは日本にとって安全保障上の死活問題だ。つまり日本は今、国の将来を左右する大きな選択を迫られているのである。
この選択を誤らないためにも、激動する今の米朝・米中・中朝の三角関係を、日本がただ黙して座視することは許されない。将来の日本の繁栄と安全のためにも、この三角関係の裏で今まさに進行中の、米中両国内における凄まじい権力闘争と、その間で生き残りを図る金正恩政権の実相を注意深く観察しなければならない。
そして、現在の状態をチャンスと捉え、外交力とそれを担保する国防・軍事力とを一層強化し(そのために必要であれば憲法改正も行い)、この三角関係に積極的に関与していく必要がある。 
韓国経済にウォン大幅下落の難題、文政権は「反日」で乗り越えられるか 8/13
7月上旬以降、アジアの通貨市場で韓国ウォンの下落が目立つ。この間、ドルに対する為替レートの変化率を見るとウォンは5%近くも下落した。8月に入りドル高・人民元安が注目を集めているが、ウォンの売られ方はそれよりも大きい。
中国経済の減速懸念に加えて、8月2日、日本政府が韓国を“ホワイト国”から除外したことはウォン安に拍車をかけた。市場参加者の間には、米中問題のこじれや日韓の関係悪化などにより、韓国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が一段の悪化に向かうとの見方が増えつつある。経済専門家の中には、これから文政権が経済政策を大きく変革しない限り、長期的に韓国経済についてかなり厳しい展開を余儀なくされるとの見方が多い。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、反日姿勢をさらに強めて支持を取り付け、来年の総選挙を乗り切りたいと考えているだろう。ただ、韓国経済を取り囲む状況を考えると、経済状況がすぐに改善に向かうことは考え難い。韓国経済の不安定化は続くとみるべきだろう。
年初来、韓国のウォンが軟調に推移している。最大の原因は、韓国経済のファンダメンタルズの先行き懸念が高まっていることだ。近年の韓国経済は、サムスン電子などによる半導体の輸出によって景気を支られえてきた。
韓国の輸出に占める半導体の割合は20%程度と高い。事実上、韓国の景気動向は、半導体の輸出動向と表裏一体の関係にある。
現在、世界的に半導体の需要は落ち込んでいる。それにもかかわらず、サムスン電子などは楽観に基づき生産能力を増強してきた。その負担も加わり、業績の悪化が止まらない。4〜6月期、サムスン電子の半導体事業の営業利益が前年同期比7割に落ち込むなど経営状況は厳しい。サムスン電子の売上高は、韓国GDP(国内総生産)の10%程度もある。当面、韓国経済のモメンタム(勢い)は弱まる可能性がある。
その上、日本の対韓輸出手続きの見直しは、韓国経済にかなりの影響を与える可能性がある。この懸念から8月に入りウォン安に拍車がかかった。これまで、韓国は日本などの技術などを使って半導体産業分野を強化してきた。
1980年代後半以降、韓国は日米半導体協定に乗じる形で、日本などから半導体の生産に必要な技術を吸収した。それをもとに、韓国は、日本から高純度のフッ化水素や精度の高い半導体製造装置などを輸入し、サムスン電子を筆頭とする財閥企業などがICチップを大規模に生産できる体制を整えたともいえる。
特定3品目の対韓輸出手続きの見直し(リスト規制)に加え、わが国が韓国を“ホワイト国”から除外したことは、韓国経済のファンダメンタルズ悪化に直結する問題だ。調達に従来以上の時間とコストがかかるようになれば、韓国企業がスムーズに生産を行うことは難しくなるだろう。
加えて、足元、世界的に半導体の生産能力は余剰気味だ。韓国の生産落ち込みを台湾勢などが取り込むことは可能だろう。韓国経済はかなり深刻な状況を迎えつつあるようにみえる。
ウォン安には、中国に依存した経済運営が限界を迎えるとの懸念も影響している。韓国にとって中国は最大の輸出先だ。輸出の25%は中国向けであり、香港を加えると30%を超える。
中国経済は成長の限界に直面している。
当面、習近平国家主席はインフラ投資や補助金の積み増しによって景気を支えようとするだろう。ただ、景気刺激策がどの程度の効果を発揮するかは不透明だ。なぜなら、中国国内では耐久消費財や社会インフラの需要が飽和し、投資効率が低下しているからだ。韓国が中国の経済成長を当てにして自国の経済運営を続けていくことは難しくなっている。
それに加え、米中摩擦には、米国と中国の“覇権国争い”という側面がある。これは、長期的な世界経済の変化だ。
韓国経済にとって、米中摩擦は、無視できないリスク要因だ。摩擦の激化とともに、韓国は、米国と中国の“板挟み”になる可能性がある。今後、米国は自国だけでなく同盟国の企業にも、ファーウェイなどとの取引を制限するよう、再度、圧力をかける可能性がある。それが現実のものとなれば、韓国経済にはさらなる下押し圧力がかかるだろう。
サムスン電子にとって、ファーウェイは最大の顧客だ。取引が困難になることの影響は計り知れない。加えて、中国が韓国に報復する展開も考えられる。2017年、中国は、在韓米軍へのTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)の配備に対抗し、韓国向け団体旅行の制限などの報復を行った。これによって、韓国経済にかなりの下押し圧力がかかったことは記憶に新しい。
また、中国の科学技術分野での進歩は目覚ましい早さで進んでいる。日本に依存して半導体を生産してきた韓国に、自力でゼロから新しいモノを生み出す力があるか否かはかなり不確かだ。一方、ファーウェイの半導体製造能力やIT、通信関連機器の開発力にはすさまじいスピードがある。中国の科学技術力は韓国を上回っていると考えられる。米中摩擦という世界経済の大きな変化の中で、韓国は動力源を失った小舟が大海を漂流するかのような状況に直面する恐れがある。
韓国ウォンの下落には、日本の輸出手続きの見直し以外にも、世界的な半導体需要の落ち込み、中国経済の減速、米中摩擦などさまざまな要因が絡み合っていることがわかる。当面、韓国からは資金の流出が続く可能性がある。なぜなら、経済を支えてきた財閥企業の経営悪化に加え、労働争議、政治不安など、懸念材料が多いからだ。
年初来で韓国総合株価指数(KOSPI)は6%以上下落した。アジア株式市場の中でも、韓国株の下げはきつい。一因として、外国人投資家による売りの増加が考えられる。韓国の大手金融機関、サムスン電子などの一般企業では、外国人投資家による持ち株比率が高い。
ウォン安と株安の同時進行は、外国人投資家が文政権への懸念を強めていることの表れと解釈できよう。ニューヨークなどを拠点に資金運用に携わるファンドマネージャーらと話をすると、「日韓関係の修復と改善は韓国経済にとってのバックストップ=安全措置」との指摘が多い。
一方、来年4月に総選挙を控える文大統領は、世論の反日感情に合わせて反日姿勢を強め、支持率を高めておきたい。当面、日韓の関係がこじれ続ける展開は避けられないだろう。ある意味、文大統領は、経済の安全措置を、自ら手放してしまっている。その代わりに韓国政府はフッ化水素などの国内生産を実現して、日本に対抗しようとしている。
ただ、政府の予算規模や韓国の技術力を考えると、そうした取り組みの効果に期待するのは現実的ではないはずだ。半導体製造装置や材料の分野で、日本メーカーのシェアは高い。それは、日本メーカーの技術力が高いからだ。自国の技術を高めるよりも日本に依存してきた韓国が、短期間で技術力をつけることは容易ではないだろう。
韓国の反日感情の高まりとともに、経済は一段と厳しい状況を迎える可能性がある。すでに、韓国の政治・経済の不安定化は、北朝鮮の軍事挑発を許すことにつながっている。この状況が続けば、極東情勢の不安定感は一層増すばかりだ。わが国はその状況に自力で対応することを目指すべきだ。政府は、国際世論を味方につけて自国の主張が理解され、賛同されやすい状況を目指さなければならない。 
扇動され反日繰り返す韓国人の民度と哀れ 8/13
韓国では、日本による輸出規制強化を受けて、日本製品不買運動が起こっている。韓国で今行われているデモは、他国で行われているデモや不買運動と比べてみると、かなり違っていて、奇妙だ。デモや不買運動は、人々が生きるための安定した生活、それが脅かされたときに、自己防衛で自発的に行われることがほとんどだ。だから、個人が自己主張のために自分でプラカードを作り、そしてそれを担いでデモの会場に集まる。
1989年中国天安門事件の集会、2008年チベット騒乱、2010〜2012年アラブの春、2014年香港反政府のデモ、2014年台湾のひまわり学生運動、2019年マクロン政権批判デモ、2014年ミズーリ州黒人青年射殺事件への抗議デモ・・・。これらを見れば、参加者それぞれが、自作したプラカードを持って抗議していることが見て取れる。ところが、今回の韓国の非難デモ・不買運動を見ると、一つの特徴が明瞭に現れている。非難デモでは、同じビラやプラカードを手にして叫んでいるし、不買運動では、同じビラが貼られている。つまり、ある特定の主催者がそのビラやプラカードを製作して、参加者に配布しているということだ。「誰かが陰で扇動している」と読み取れる。非難デモの一つひとつを分析し、その結果、異様と判断される点を紹介する。
1.自営業者組合不買運動で踏み潰した箱
7月5日の韓国の中小商人自営業者総連合会の不買運動に不可解な疑惑がある。主催者は、ソウルの日本大使館前で記者たちを集め、日本政府が発動した韓国向け半導体材料の輸出管理強化措置に抗議し、日本製品の販売中止運動を開始すると宣言した。
では、写真を細かく見てみる。
1 参加者が手にしている不買のビラは、色は違うがデザインは全て同じだ。なぜ、同じデザインと内容なのか。それぞれ個人が持参したものではない。企画者が一括して製作し、全員に配布したのだろう。
2 デモでは、日本のブランドの名前が書かれた箱を踏みつけるというパフォーマンスをしてみせた。色も材質も大きさも同じ箱で、貼ってあるメーカーのロゴの作り方も、なぜか同じだ。誰かが段ボールを買ってきて、ロゴを集めて印刷したものだろう。
3 中央の段ボール箱には、中央の一つだけに「旭日旗」のデザインが張られている。自営業者の不買運動に、なぜ「旭日旗」のデザインが出てくるのか。この運動の背景に政治的な意図があることが読み取れる。
4 段ボール箱を踏みつけるのではなく、なぜ、本物の日本製品を自宅から持ってきて並べて壊さないのか、疑問だ。その物は、自宅にあるけど、大事に使って壊したくないから、壊したくないのだろう。
「韓国政府と企業ばかりか一般国民まで怒りを露わにし、対応に乗り出している」と韓国メディアは報道している。カメラの前でのパフォーマンスであり、やらせだ。この日の不買運動は、明らかに誰かの指示によって行われたことが明白だ。では、誰が陰で糸を引いているのか。この団体のトップの意図で行われていると判断できる。各種情報によれば、この団体の昨年までのトップは、前会長イン・テヨン氏だ。現在、青瓦台の秘書官だ。以前、内乱扇動容疑で強制解散された親北極左政党である統合進歩党大会に参加し支援演説したことがある人物である。そして、現在の会長であるキム・ソンミンは昨年11月、ソウル市内で文在寅を称賛する集会を開いた人物だ。文在寅と極めて親密な繋がりがあるのだ。つまり、文大統領の意図に基づいて実施したのか、あるいは忖度して実行したものと考えられる。「官製デモ」であり、文在寅派が陰で糸を引いていると言える。この種のデモは、主催者が準備して、そこにマスメディアが到着してから、演技が開始される。写真やビデオカメラで撮影され、自分たちは「指示通り」にできたことが証明されれば、「任務終了、お疲れさま」と解散し、何もなかったように平常の状態に戻る。解散した時の様子で、本気か指示を受けて動いているのか、雇われているのかがよく分かる。参加者には、陰で、日当が現金で手渡されるという仕組みだ。
2.市民集会のプラカード
多くの参加者が、「NO安倍」のプラカードを持っている。デザインも色も大きさも同じだ。主催者が、デモ会場の入り口にいて、参加者に印刷したプラカードを手渡している写真もある。プラカードには、「親日積弊を清算しよう」というものもある。なぜ、「NO安倍」「親日積弊を清算しよう」というスローガンなのか。今回の事態を韓国側から考えれば、「日本による輸出規制に反対」というスローガンになるはず。
だが、そうではなくて、反日運動、安倍政権批判という“いやがらせ”になっている。なぜ、そうなるのか。見えてくるのは、主催者に日本の輸出規制を本気で撤廃しようという意思はなく、文在寅政権に言われたことを実施しているだけということだ。
3.日本製品不買運動
韓国のスーパーには、「わがマートは日本製品を販売しません」(KMA韓国マート協会)というビラが貼ってある。どこでも、同じデザイン、同じ色、同じ内容が記述されている。ということは、韓国のスーパーが個人の意図で実施しているのではなく、韓国マート協会の指示に基づいて行っていると考えられる。進んでやっているのかやらされているのかは分からない。進んでやっているのであれば、それぞれのスーパーのオリジナルビラがあってもいいと思うが、それはない。
他に注目するのは、「過去史 反省のない日本!日本産の製品を販売しません」(韓国マート協会)という横断幕もある。貿易規制によって発生した不買運動なのに、なぜ、政治的な内容がスーパーに貼られるのか。極めて不自然な行動の一つだ。「韓国マート協会が誰の指示でやっているのか」と分析してみたところ、注目すべき結果が出てきた。段ボールを踏み潰していた自営業者組合不買運動で、パフォーマンスを実行した人たちが手にしていたビラに描かれていたデザインと完全に同じものだったのだ。韓国マート協会は、自営業者組合と同じ人から指示を受けてやっていることを証明している。自営業者組合は、文在寅と強いつながりを持っていた。つまり、この不買運動も文政権の指示を受けて実施しているということだ。やはり政治的な組織が、この機会を利用して反日運動を盛り上げようとする意図が見える。
4.「NO」マークで統一されている怪
韓国の市民らしき人たちが、「NO安倍」、「NOメイドインジャパン」「NOボイコット ジャパン 行きません 買いません」のプラカードを持って、気勢を挙げている。ほとんど同じデザインのプラカードだ。個人が自発的にデモに参加するのであれば、それぞれ個人が考えてプラカードを作るのが世界の一般的なデモだ。今回の韓国のデモは、ほとんどの場合、同じプラカードを手にしている。ソウルの中心部の中区の通りには、「NO」というマークがついた旗が掲げられた。民主党所属区長の強い指示によるものだ。商店主などから抗議を受けて撤去されたが、「管制不買運動」そのものだ。特に目につくのが、「NO」というマークだが、これは、ほとんどのプラカードの最初に記してある。これは、デモ参加者の同意によって書かれたものではなくて、主催者が書いて、参加者に配っているから、同じものになっている。
あるところからの指示によって作られたデモということを裏づけるものだ。中区の区長は文政権と同じ民主党所属だ。このマークは、民主党内部から配布されていることを裏づけていると見ていい。韓国の光徳高校の学生一同が、「歴史反省のない安倍政府 経済報復 撤回せよ」という横断幕を掲げ、プラカードも同様に掲げている。中には、「NO」のデザインもある。高校生が、「経済報復撤回せよ」と主張するのは分かるが、「歴史反省のない安倍政府」とまで主張するのか大きな疑問が生じる。また、高価な横断幕を、高校生が自費で製作しているとは考えられない。これらを考えると、誰かの意図を受け、横断幕を手渡されて実施しているとしか考えられない。韓国の学生団体「韓国大学生進歩連合」がソウル市内にある三菱重工系列会社の事務所前で、「植民支配 徹底して賠償せよ(写真参照)」のプラカードを掲げて抗議デモを行った。この映像を見たネットユーザーからは、「大学生もこんなに頑張っているのに、政府は何をしているのか」の意見もある。映像をよく見ると、学生らしき者全員が、同じプラカードを掲げている。プラカード作成には、結構な費用がかかったはずだ。誰がその費用を出したのか、疑問が多い。学生の発意なのか、誰かの指示によって動いているのかを考えると、学生の発意だとは考えにくい。文在寅政権は、今回の日本による輸出規制については、批判が主なものであり、大きな動きは見せていない。政治家は何をやっているのかと批判を受けているくらいだ。だが、実は、表には出てはいないが、裏で糸を引いているのが、文政権だと考えるべきだ。
5.官製デモに連携
国民一人ひとりが、自分の発意によって、反対運動を行っているとは、とても思えない。手書きのプラカードを掲げて、必死に訴えている市民は、写真からは見えない。政治的な意図の基に作られたプラカードが、参加する市民に配布されているのだ。横断幕を掲げる企業団体や学生団体もいる。横断幕を作成するにはかなりの費用が必要だ。だから、横断幕を掲げるデモは、政治的な臭いがする。中国での対日批判のデモでは費用がかかる横断幕を掲げる場合が多い。一方、市民が自発的に行うデモの場合には、わざわざ費用がかかる横断幕を掲げて行進することは少ない。
韓国内の金正恩朝鮮労働党委員長を強く支持する韓国大学進歩連合(大進連)の動きも、異様な感覚を受ける。この7月に、この団体の幹部が、鳥の死骸を韓国の政治家に宅配で送りつけた。学生の一部がフジテレビソウル支局に侵入したのも、三菱重工系列会社の事務所前で激しい抗議デモを行ったのも、大進連の学生だ。韓国での対日批判デモの陰で、親北の勢力も過激に動いている。韓国の対日批判デモと親北の大進連が連携しているかどうか不明である。しかし、同じ時期に活動していることに、韓国デモの動きを利用して、北朝鮮の工作員らが活動している疑惑は拭い切れない。文政権が韓国市民を煽りデモを行わせ、これに連携して親北勢力が過激に動き出す。これは、まさしく北朝鮮による韓国内間接侵略の動きと見ても大きくは外れないだろう。 
 8/12

 

文在寅大統領、なぜ反日発言が多いのか 8/12
「盗人猛々しい」「私たちは充分に日本に打ち勝てる」−−。8月2日、日本政府は、輸出管理上の優遇措置の対象となる「ホワイト国(現グループA)」から韓国の除外を閣議決定。これを受け、文在寅大統領(66才)は会見で攻撃的な言葉を吐き続けた。
事の発端はいわゆる徴用工問題。日本政府は1965年に結ばれた日韓請求権協定で、元徴用工への補償問題は解決済みとの立場をとっている。
(※日本が韓国に無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力金を供与し、両国それぞれの国民間で「請求権」の問題を「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記されている)
しかし、韓国の最高裁が日本企業への賠償責任を認めたことで一転、日韓関係は悪化。そしてこのタイミングでの排除措置を、韓国側は事実上の対抗措置と捉え、文大統領は過激な発言で反日感情を煽っているのだ。
韓国国内では日本製品の不買運動が激しさを増し、日本への観光旅行のキャンセルも相次いでいる。多くの専門家が、今の日韓関係を“史上最悪”と見ており、その“旗振り役”が文大統領なのである。
だが文大統領には意外な一面があると、産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘さんは言う。
「長女のダヘさんは、日本の国士舘大学に留学していました。金正淑夫人も茶道が大好きで、釜山に住んでいた頃には裏千家の教室に熱心に通っていた」
さらに韓国国内で、アニメーターとして活動する長男のジュニンさんは『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督に大きな影響を受け、《今の私があるのは、日本のアニメのおかげ》とのコメントが報じられている。
「側近も日本に長期滞在するなど、文大統領のまわりは日本好きが集まっています。文大統領自身、寿司が大好きで、6月の大阪サミットでも寿司をたくさん食べていたそうです」(黒田さん)
つまり、文一家は家族ぐるみで“親日”という一面を持っているのである。
日本好きのわけは、その生い立ちにあるという。
「文大統領は釜山の学校を出ていて、選挙区も釜山です。地理的にも日本に近く、町そのものが親日的な地域。『さしみ』や『あじ』『あなご』などは日本語としてではなく、日常の言葉として定着しているほど」(黒田さん)
日本文化が染みついているという文大統領は、なぜ反日的な政策や発言を繰り返すのか。
「皮肉なことに、韓国では『反日』や『日本叩き』は『愛国のシンボル』とされています。今は徴用工問題が経済問題にすり変わり、韓国は日本にいじめられている“被害者”だと主張している。過去の日本の統治・支配時代の歴史と重ね、“また日本はわれわれを侵略している”と言い出している。これは文大統領にとって、支持率アップに直結する大きなチャンスなのです」(黒田さん)
文大統領の“口撃”は、はたしてどこまでが本音なのだろうか。 
「情勢緊張の主犯だ」金正恩氏が文在寅政権を猛非難する理由 8/12
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は10日、韓国こそが「情勢緊張の主犯、平和と安定の破壊者である」であるなどと猛非難する論評を配信した。
論評は、韓国が最近「『多様な安保脅威』をうんぬんして軽空母級の大型輸送艦と3隻の新型イージス艦など艦船の建造計画を推し進めている中、F35A戦闘機と空中目標打撃のための迎撃手段、高高度無人偵察機グローバルホークをはじめとする先端武装装備の搬入もエスカレートしている」と指摘。「朝鮮半島の情勢を軍事的緊張激化へと導く危険極まりない行為である」と非難。
また、「F35A戦闘機の搬入問題だけを見ても、それが朴槿恵執権時代に軍部好戦狂らが『対北先制攻撃システム「キル・チェイン」』を構築するために立てた」ものであるなどとして強く反発した。
論評が指摘する通り、韓国の文在寅政権が推進する軍備増強策の多くは、朴槿恵前政権で定められたものだ。「軽空母級の大型輸送艦」構想は日本の護衛艦「いずも」の空母化に対抗して最近浮上したものだが、これは今のところ実現性が乏しい。
北朝鮮が最も神経質になっているのはやはり、論評も言及しているステルス戦闘機の導入ではないだろうか。なぜなら、朴槿恵前政権は金正恩党委員長に対する「斬首作戦」の推進を検討した経緯があり、ステルス戦闘機こそは、それを実行するための必須の兵器と言えるからだ。
論評はこうした前提の下、「(韓国の)対決狂らは自分らの武力増強策動について『防衛のためのこと』だの、『南北合意に違反しない』だのという詭弁(きべん)を並べ立てている」と反発。続けて「諸般の事実は、対話の相手を狙った武力増強に狂奔する南朝鮮当局こそ朝鮮半島の情勢緊張の主犯、平和と安定の破壊者であることをはっきり示している」と非難している。
北朝鮮の反発の裏には、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)内部の混乱により、韓国側との通常兵器での戦力差がいっそう拡大することへの危惧もあるだろう。
とはいえ、北朝鮮の非核化の見通しが立っていない以上、文在寅政権としても一方的な軍縮に動く選択肢はない。昨年、朝鮮半島は対話と緊張緩和の雰囲気に包まれたが、それも実際には、こうした現実的課題から目を背けた上での一時的なものだったと言えるかもしれない。 
徴用工問題の本質は「韓国の“李氏朝鮮時代”への回帰」 8/12
日韓関係が破綻の危機に瀕している。
7月4日、日本政府が半導体製造に必要な素材3品目の輸出管理を厳格化したが、これに韓国が激しく反応。
続いて8月2日、貿易上の優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を安倍政権が閣議決定したことを受け、韓国の文在寅大統領は会見で「盗人たけだけしい」などと言葉を極めて日本を批判。
さらには韓国政府高官が、日韓間の安全保障の中核をなす軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する可能性まで示唆した。
もしGSOMIAが破棄されれば、日米韓同盟は根底から揺らぐことになる。
なぜ日韓関係はここまでこじれてしまったのか?
一連の混乱の発端となったのは、2018年10月、いわゆる戦時徴用工をめぐって韓国大法院(最高裁判所)が驚くべき判決を出したことだ。新日鉄住金(現・日本製鉄)を訴えた原告4人へ1人あたり1億ウォン(約1000万円)を支払うよう命じたのだ。
この判決がいかに常識外れであるか、重要なので改めて基本から説明しておこう。
現在の日韓関係は1965年の日韓基本条約と関連協定の上に成り立っている。このうち日韓請求権協定は、両締約国およびその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており、「いかなる主張」もできないと定めている。これが日韓両国で批准され発効し、国際約束となった。
この協定により、日本側は官民合わせて8億ドル(無償援助3億ドル、有償援助2億ドル、民間借款3億ドル)もの経済協力金を韓国に支払い、韓国側はこれ以上の請求を日本にしない、ということで落着した。つまり、韓国側が徴用工の補償を日本政府側に追加請求することはできない。それがすべてである。
にもかかわらず、韓国大法院はこの国際条約をあっさり覆した。
日本政府は日韓請求権協定にもとづき、韓国大法院の判決が不当であることを韓国政府側に何度も申し入れたが、韓国政府側は「三権分立」を楯に、一切応じなかった。
同様に提訴された日本企業は三菱重工など約70社を越える。
すでに原告側は、差し押さえた資産の現金化へ向けた手続きを開始しており、現金化は時間の問題とされる。
こうした韓国の振る舞いは、日本人の目には国際常識を無視した暴挙に映る。いわゆる慰安婦問題や昨年の日本海レーダー照射問題なども含め、多くの日本人が「なぜ韓国とは話が通じないのか?」「韓国に法の支配はないのか?」と驚き呆れているだろう。
いったいなぜ、韓国は国家間の約束を反故にするのか?
「じつは韓国の振る舞いの本質は、『歴史』という視座を持つことによって見えてくるのです。韓国は、李氏朝鮮時代の姿に回帰しつつあると考えられます」
こう読み解くのは、元外交官でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦氏である。
朝鮮半島の歴史を長い射程で観察することによって、われわれ日本人にとっては理解しがたい韓国の振る舞いの本質が見えてくるのだと宮家氏は指摘する。
「地政学的に脆弱な朝鮮半島の国家は、歴代中国王朝に朝貢し、冊封体制に組み込まれてきました。一方で、中国に完全に飲み込まれないよう、面従腹背の姿勢も忘れませんでした。李氏朝鮮は、周辺強国のあいだを振り子のように行ったりきたりしてバランスを取りながら生き残ってきたのです」
第二次大戦後は朝鮮半島が南北に分断され、韓国は米国主導の自由主義陣営に属した。日本からの経済援助をもとに、「漢江の奇跡」といわれる経済発展を遂げ、繁栄を謳歌してきた。
ところが今世紀に入って米国一強体制に揺らぎが生じ、中国の台頭、北朝鮮の核保有というあらたな変数が東アジアに持ち込まれた。
「韓国は北朝鮮と統一し、ふたたび李氏朝鮮時代の姿に戻って振り子外交を繰り広げ、強国のあいだでバランスを取りながら東アジアで存在感を発揮する——そんなシナリオが現実味を帯びてきたわけです」
では、韓国は最終的に何を目標としているのか? また、そんな韓国を相手に日本政府は何をすべきなのか?
宮家氏の分析は、 「日韓炎上 文在寅政権が敵国になる日」に・・・  
「盗人猛々しい」金正恩氏、文在寅政権との対話を拒絶 8/12
北朝鮮は11日、米韓両軍が同日から合同指揮所演習を開始したことを受けて外務省局長の談話を発表し、米韓合同軍事演習を即時中止するか韓国が演習について誠意ある釈明を行うまでは「南北の接触自体が難しい」と表明した。
一方、トランプ米大統領は10日、ツイッターで「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が米韓合同軍事演習後に会い、(非核化)協議を始めたいと手紙で書いてきた」と明かした。金正恩氏はまた、7月下旬から続ける短距離ミサイル発射について「演習が終われば発射実験をやめる」と伝えてきたという。
金正恩氏は、合同軍事演習を行ってはいても米国とは対話するが、韓国との対話は拒絶するという、あからさまな2重基準を持ち出してきたわけだ。なぜ、そんなことをするのか。北朝鮮の言い分にもう少し耳を傾けてみよう。
談話は「演習の名称を変えたからといって訓練の侵略的性格が変わったり、またわれわれが難なく見過ごすと考えたりするなら誤算である」と主張した。
また、最近のミサイル発射について「米大統領までがわれわれの通常兵器開発試験について、どの国でも行うたいへん小さなミサイル試験だと言って、事実上、主権国家としてのわれわれの自衛権を認めた」と指摘。対北朝鮮を想定して米軍との合同演習を進める韓国が発射の中止を求めていることについて「盗人猛々しい」と反発している。
そして、「今後、対話に向かう良い気流が生じてわれわれが対話に出るとしても、徹底的にそのような対話は朝米間で開かれることであって、北南対話ではないということをはっきり知っておく方がよかろう」と強調しているのだ。
このように展開された北朝鮮の主張を平たく解釈すると、金正恩氏は韓国に対し、「お前ら自分のことだけ棚に上げるなよ」と言っているのだ。韓国は北朝鮮に非核化を求め、ミサイル発射の中止を要求しているが、米軍との合同軍事演習を止めようとしない。ならば自衛のための兵器開発は当然必要であり、それに難癖をつける文在寅政権はけしからんと言いたいわけだ。
とはいえ、北朝鮮側のこうした主張をまともに受け入れるのは間違いだ。北朝鮮は核武装しており、非核化も進展していない。まだまだ韓国が気を抜ける状況ではないのだ。
問題は、文在寅大統領が持ち前の極端な楽観主義により、金正恩氏との間で軍事的緊張緩和のための安易な約束をしてしまったことにある。もちろん、その約束には北の非核化も含まれるはずなのだが、北朝鮮は核問題については米国とだけ話し合う態度を貫き、韓国に対しては「約束したものは守ってもらおうか」と圧迫しているのである。
自らまいた種とは言え、文在寅政権は苦しい状況に追い込まれている。果たしてこの局面を打開し、北朝鮮を対話の場に引っ張り出す妙案をひねり出せるだろうか。 
双方に広がる安易なステレオタイプ 8/12
日韓対立、悪化の一途
「文在寅(韓国大統領)のクビを切るしかない」
勇ましい表題のコラムが在京テレビ局のホームページに掲載されたのは、7月17日のことだった。この「(盧武鉉元韓国大統領は)弾劾の途中で自殺した」という、およそ「ウィキペディア」レベルの事実関係の精査すら行ったとは思えない誤りをも含む、過度な思い込みに満ちたコラムが、堂々と大手テレビ局の解説委員の実名によって出されることには、その基礎的な事実関係のチェック体制の不備を含めて驚きを禁じ得ない(実際には盧武鉉氏は大統領退任後に自殺。後にテレビ局が訂正)。
しかし、ここで取り上げたいのは、そんな一部日本メディアの報道姿勢についてではなく、その背後に存在するあまりにも安易な現在の日本における韓国理解の在り方だ。(神戸大学教授 木村幹)
事態の深刻さに気付かない韓国
経済産業省が発表したいわゆる「輸出規制」措置の背景に、日本政府が元徴用工問題などで悪化する日韓関係に関わる「メッセージ」を込めたことは、菅義偉官房長官や世耕弘成経済産業相、そして安倍晋三首相自身がわざわざこの措置の背景として、本来なら不必要なはずの元徴用工問題などに発する信頼関係の毀損(きそん)について触れていることから明らかだ。この点について、毎日新聞はこの措置が、元徴用工問題の深刻さを文在寅に知らしめるための「気付け薬」だったという表現を用いている。
そして実際、この措置は韓国の政府、世論に大きな刺激となって表れた。韓国メディアはこの措置について連日のように報道し、これまで日韓関係について沈黙を続けてきた韓国政府も活発な発信を続けている。
とはいえ、この措置がもたらした影響が、日本側の期待通りのものだったかといえば、そうではない。なぜならば、この措置によって韓国側が「気付いた」のは、元徴用工問題の深刻さではなく、日韓関係に関わる日本政府の強硬姿勢であったからである。
事実、今回の措置が出された後、韓国政府は元徴用工問題についての発信をほとんど行っておらず、発信の大部分は「輸出規制」に関わる日本側への批判とこれに対する対抗措置に対するものになっている。
背景には、日本側の措置以前に韓国政府が何を正確に認識し、また認識していなかったか、が存在する。昨年秋から悪化する元徴用工問題は、そもそも韓国の大法院判決から始まったものであり、故に彼ら自身がこの問題の扱いの難しさを理解していなかったわけではない。むしろ、彼らは問題の扱いの難しさを知っていたからこそ、今日までこの問題の解決を放棄し、日本側が繰り返し求めてきた協議をも拒否することになってきた。
つまり、彼らは少なくとも「法律的には」この問題がいかに解決困難で深刻な問題であるかは、分かりすぎるくらい分かっていたからこそ、これを放置してきたのである。
では、韓国政府と世論が分かっていなかったのは何か。それはこの問題がいかにして日本国内の韓国に対する感情を損なったか、ということである。例えば、過日、東京を訪問した韓国の国会議員たちは日本側国会議員の冷淡な対応を見て、「日本側の対応がこれほど冷たいとは思わなかった」と語っている。この反応に表れているように、韓国ではこの問題を契機として、日本政府や世論の韓国に対する姿勢がいかに大きく変化したかということは、驚くほどに実感されていなかった。
日本の強硬措置に「驚き」
同じ元徴用工問題に直面し、しかもその法律的な解決の困難さが分かっているにもかかわらず、韓国ではなぜ、この問題が日本に対して与えた影響の大きさが理解されていなかったのか。
一つ目の理由は、そもそも韓国国内で歴史認識問題そのものに対する関心が低下していることである。急速に広がる格差社会の中、自らの職を得ることにきゅうきゅうとする若い人にとって、植民地支配に関わる問題は自らの生活に直結しない遠い過去の出来事である。他方、文在寅政権に反対する人の多い高齢者にとっては、最大のイシューは北朝鮮への接近であり、やはり、自らの生活をめぐる問題だ。進歩と保守、若い世代と高齢者世代の間での、深刻な社会的分裂の中で、日本をめぐる「過去」の問題は置き去りにされた形になってきた。
もう一つの理由は今回の「輸出規制」措置が発表されるまでは、日韓の経済的・人的交流が滞りなく行われていたことである。とりわけ活発な日本旅行熱が続いていた韓国では、滞在先での好ましい思い出と共に、日韓関係が悪化しているという「実感」は感じ取られていなかった。
まとめればこういうことだ。韓国政府や多くの韓国人は元徴用工問題が解決の難しい問題であることは分かっていた。しかし、彼らはそれが「日韓関係を根本的に損なうほどの重要性を持った問題だ」という認識を有するには至っていなかったのだ。
だからこそ、今回の「輸出規制」措置の発表に際して、韓国政府や世論からは「どうして日本政府はそこまで強硬な措置を取るのだ」という「驚き」に満ちた反応が噴出することになった。分かりやすく言えば、「理不尽だ」というわけである。
文在寅支持率、むしろ上昇基調
このような「理不尽だ」という思いは、日本政府からの直接の挑戦にさらされた韓国政府だけでなく、韓国世論に広く分かち持たれることとなっており、結果、「文在寅のクビを取る」どころか、韓国世論をして日本政府への強硬姿勢へとまとめさせ、政府を中心に団結させる効果を持つことになった。与野党は一致して日本を糾弾する声明を発表し、文在寅の支持率は上昇基調になっている。
そして、韓国の事態がこのような展開になることを予想するのは容易だった。「文在寅のクビを取る」ことで日韓関係の何かが解決する、という「期待」が根本から間違っているからである。考えてみればすぐに分かる。仮に文在寅政権が退いたとして、その後に日本に好意的な政権が出来上がる、というシナリオが一体どこにあるというのだろうか。
確かに、韓国では保守派と進歩派の間で世論が分裂し、これを代表する与野党は激しい対立を繰り返している。しかしながらそのことは、与党が「反日」だからとか、野党が「親日」だというような単純なものではない。
今回の日本側の措置に関して、確かに野党は文在寅政権への批判を強めている。しかし、それは野党が政権に対して「日本への譲歩を要求している」ことを意味しない。野党が批判しているのは、現在の状況をもたらした政権の「無策」であり、また一部の重要産品の日本への依存を放置してきたことへの批判にすぎないからである。
そしてその背後には、野党の支持者もまた日本への強硬な姿勢を求めていることがある。韓国ギャラップの調査によれば、日本への強硬姿勢を求める保守政党の支持者は、進歩政党の支持者より多く、当然、政党の方針は支持者たちの傾向に左右される。そもそも現在の野党は慰安婦問題で日本に強硬姿勢を見せた朴槿恵政権与党の流れをくんでいる。その彼らが「親日」だと考えるのは、あまりにも早く前政権の記憶を失った認識だと言わざるを得ない。
根拠のない日本の「期待」
こうして見ると、いかに今日の日本における韓国国内の動きに対する理解がいいかげんなものであり、またその「期待」が根拠のないものであるかが分かる。
とはいえ、状況は韓国においても類似している。なぜなら、日本の「輸出規制」措置に関わる韓国内の「驚き」は異なる、しかしやはり不正確な認識を韓国内に生み出しているからである。それはこのように唐突で強硬な措置は、日本国内の世論を反映したものではなく、「(彼らの言う)極右」安倍政権の性格を反映したものだ、というのである。
そしてそのことは日本側同様、韓国側もまた、現在の日韓関係に関わる状況を、相手側の政権の「特殊性」に求め、その政権さえ打倒すれば、問題が容易に解決する、と考えていることを意味している。
そしてもちろん、このような考え方は間違っている。なぜなら、元徴用工問題、さらにはその背景に存在する慰安婦問題等に対する韓国側への忌避感情は、与党支持層のみならず野党支持層にも広がっているものだからだ。だから、仮に日本の現政権が退陣しても、これによりこれらの問題に対して日本側が矛を収めるとは思えない。
こうして考えるなら、結局、明らかなのは日韓両国の政府も世論も、事態の正確な分析を怠ったまま、自らの理解を安易なステレオタイプに押し込んだままで議論を続けている、ということだ。現実を踏まえない議論がかみ合うはずはなく、事態が平行線をたどったまま、ただ問題だけが悪化していくことになりそうだ。 
 8/11

 

北朝鮮、文在寅政権との対話を拒否「盗人猛々しい」 8/11
北朝鮮外務省のクォン・ジョングン米国担当局長は11日、米韓両軍が同日から合同指揮所演習を開始したことを受けて談話を発表し、米韓合同軍事演習を即時中止するか韓国が演習について誠意ある釈明を行うまでは「南北の接触自体が難しい」と主張した。朝鮮中央通信が伝えた。
談話は「演習の名称を変えたからといって訓練の侵略的性格が変わったり、またわれわれが難なく見過ごすと考えたりするなら誤算である」と主張した。
また、最近のミサイル発射について「米大統領までがわれわれの通常兵器開発試験について、どの国でも行うたいへん小さなミサイル試験だと言って、事実上、主権国家としてのわれわれの自衛権を認めた」と指摘。対北朝鮮を想定して米軍との合同演習を進める韓国が発射の中止を求めていることについて「盗人猛々しい」と反発した。
さらに、「今後、対話に向かう良い気流が生じてわれわれが対話に出るとしても、徹底的にそのような対話は朝米間で開かれることであって、北南対話ではないということをはっきり知っておく方がよかろう」と強調した。
トランプ米大統領は10日、ツイッターで「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が米韓合同軍事演習後に会い、(非核化)協議を始めたいと手紙で書いてきた」と明かした。金正恩氏はまた、7月下旬から続ける短距離ミサイル発射について「演習が終われば発射実験をやめる」と伝えてきたという。  
文在寅には「脅迫状」を、トランプには「美しい書簡」を送った金正恩 8/11
トランプ米大統領は9日、北朝鮮の金正恩党委員長から前日に「非常に美しい書簡」を受け取ったとホワイトハウスで記者団に明かした。書簡の中身については「(トランプ氏)個人に向けたもの」であり、「非常に前向き」と説明したが、詳細については言及していない。
ただ、金正恩氏が書簡の中で5日から始まった米韓合同軍事演習への「不快感」を表明したことを明らかにしつつ、「私も(合同演習を)一度も好きだったことはない。なぜなら米国が費用を支払うのが気に入らないから」と述べ、金正恩氏に同調して見せた。
さらには、「韓国は米国に(演習の経費を)返済すべきで、韓国にもそう伝達した」とまで言っている。
韓国の文在寅大統領にとっては、たまった話ではないだろう。おそらく今、世界で最も金正恩氏に「同調したい」と思っているのは文在寅氏だろう。日本との関係悪化の中、「南北の経済協力で平和経済を実現すれば、(日本経済に)一気に追いつくことができる」と語っているくらいだから、北朝鮮との関係改善に大統領としてのすべてを賭けていると言って過言ではなかろう。
しかし一方、金正恩氏は文在寅氏にしびれを切らしている。昨年の首脳会談で合意した南北経済協力に韓国が踏み出そうとせず、また重ねて「やめてくれ」と主張してきた米韓合同軍事演習を続けているからだ。
文在寅氏としても、開城工業団地や金剛山観光の再開など、南北経済協力を開始したいのは山々なのだ。それでも出来ないのは、米国から「非核化まではダメ」と止められているからだ。それなのに、当の米国大統領が「オレも合同演習なんかイヤなんだ」と好き勝手なことを言っているのである。
金正恩氏はもちろん、こうした状況をすべて承知している。それなのに、米韓合同軍事演習を巡って対韓国機関の祖国平和統一委員会に発表させた「真相公開状」では、米国には非難の矛先を向けず、ただ韓国だけを槍玉にあげ、「疲弊するほど高価な代償を払わせる」と脅迫している。
金正恩氏がこうした態度を取る目的は、米韓の離間にあることはもちろんだが、韓国に無理難題を押し付けて、当事者能力を奪ってしまうことにあるのではないか。
今や南北対話は、北朝鮮が望むとおりにしか動かなくなっている。北朝鮮は言いたいことを何でも言うが、韓国は言うべきことも耐えねばならない関係になっている。金正恩氏の残忍な人権侵害に言及すらできないのが端的な例だ。
金正恩氏はこれからもしばらく、韓国に対してこうした揺さぶりを続けるはずだ。違った動きを見せるようになるのは、2022年に予定される次期韓国大統領選に向け、主要な候補者たちの顔ぶれが出そろう頃ではないかと思われる。 
 8/10

 

文在寅大統領「盗人猛々しい」発言の真意 8/10
日本が輸出管理上のホワイト国、優遇対象国から韓国の除外を閣議決定した2日、韓国の文在寅大統領が日本を批判した発言が波紋を広げている。「賊反荷杖(チョクパンハジャン)」という韓国語の四字熟語が、日本語の翻訳では「盗人猛々しい」という本来のニュアンスより強い表現となって、日本の怒りに拍車をかけている。
飯田)西日本新聞などが記事にしているのですが、居直るとか道理に合わないという意味だそうです。
宮家)私は韓国語は専門ではないので詳しくニュアンスを申し上げられないのですけれど、一般論として言葉とその翻訳というものは非常に難しいのです。日本語と韓国語はかなり近いですけれども、それでもニュアンスは全然違う場合があります。「盗人猛々しい」と辞書にあるのだから、間違いではないのだろうと思います。しかし文脈で考えたとき、そして大統領がこういう言い方で言ったときに、四字熟語を使うということは、知識人の言葉でもありますからね。そういう意味では「無茶苦茶に議論している」と言うのと、「侃々諤々(かんかんがくがく)だ」と言うのでは、似たような意味でも違うわけです。そういうニュアンスまで考えた際に、どこまで熱くなるかということですよ。ただし、仮に「盗人猛々しい」と言ったのではなく、あくまでも「居直った、道理に合わない」という意味で言ったのだとしても、決してエレガントな言い方ではないでしょう。大統領が言いますかね。日本の首相だったらそんなことは言わないですよ。
飯田)もともとの発言としては、「加害者の日本が“賊反荷杖”のように、むしろ大口をたたくような状況を決して座視しない」というような発言だということです。
宮家)「大口」なんて「叩いて」いないですからね。
飯田)そうですね。
宮家)でも、どちらに転んでも、不愉快な状況は変わらないと思いますけれどね。
飯田)それを韓国のトップが、ある意味ののしるように発言するということ自体がね。
宮家)しかし、今回は「言葉にあまり過剰反応をしないで」、という教訓にはなったかもしれないですね。
飯田)メールもいただいております。“アンチョビ”さん、葛飾区の53歳の方。「ソウルに行って来た友人から話を聞きました。この方、ご主人が単身ソウルに駐在していて1週間ほど遊びに行ったそうなのですが、ソウルに行く前は反日不買運動の嵐だろうと思ったら、現地の様子はどうも報道とは違うようです。一部のお店や市民が不買運動をしているだけ、国民一丸となってというイメージとは程遠いそうです。市民もむしろ文大統領の無策に腹を立てているようです」と、いただきました。
宮家)そうですよね。韓国人の本音はどうかと聞かれたら、恐らく日本人だって同じですよね。韓国に対して初めから最後まで怒っている人もいれば、国民レベルではそんなに悪くないところもある。今回の報道でしか知らないけれども、例えばソウルのど真ん中の区が変な垂れ幕を作ったでしょう。印刷が実によくできている。あれは行政府が組織的にやったことですよね。しかしそれに対して、周りの人たちは「やめなさい」と言ってやめさせたわけです。だから、韓国にもきちんと良識のある人はいるのですよ。いま我々が知らなくてはいけないのは、文在寅政権と韓国の一般国民が必ずしも同じではないということです。両者をうまく切り離すような急所を突くのが、本当はいちばんいいのですけれどね。韓国の国民全体を反日にするような動きは、日本が今しているわけではないけれど、それは逆効果になる。それでも文在寅さんの支持率は上がっているのだから、彼にとっては「ありがとう」、ということになるのですよ。
飯田)そのまま来年(2020年)の4月に総選挙があって。
宮家)そうです。そのためにやっているわけですから、本当はもう少しうまい方法があればいいのですが。そのような形で、大統領と国民を離反させるのが最も賢いやり方だと思います。
飯田)外務省の方に聞いたのですが、今回の方法でもう少しうまいやり方があるとすれば、どうしてこの国がホワイト国ではないのだろうという国もあったりする。その辺を絡めて「今回は全体を見直すのだ」という形にしていたら、もう少し見え方が違ったのではないかという指摘がありました。
宮家)それは1つのやり方かもしれません。それなら玄人にはわかるけれど、それを素人にわかるようにやるのはなかなか難しいかもしれませんけれどね。  
「同族への信義を捨てた」金正恩氏、文在寅氏の“排除”加速か 8/10
北朝鮮の対韓国機関、祖国平和統一委員会の統一宣伝局は8日、米韓合同軍事演習を巡り韓国政府を非難する真相公開状を発表した。
公開状はまず、「南朝鮮当局は、対話の場ではわれわれと『和解と平和』の握手をし、後ろでは『軍事的備え態勢においては抜かりがあってはならない』と力説し、外部勢力と共に同族に反対する合同軍事演習を引き続き強行している」と指摘している。
そして、韓国政府が昨年から今年にかけて推進してきた米国との軍事協力や、軍備増強の事例を列挙しながら、「同族に対する信義を捨てて米国の対朝鮮圧殺策動に便乗してきた南朝鮮当局は、われわれをして国家安全の潜在的・直接的脅威を取り除くための対応措置を取らざるを得なくした責任から逃れられず、疲弊するほど高価な代償を払うことになるであろう」と警告している。
注目すべきは、この公開状が米国には非難の矛先を向けず、ただ韓国だけを槍玉にあげている点だ。
金正恩党委員長は今後もトランプ米大統領との対話を維持することを望む一方、韓国の文在寅大統領との個人的関係は「切る」腹を決めているのではないか。
北朝鮮の対韓国宣伝サイトである「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は6月28日付の記事で、南朝鮮の執権者——つまりは文在寅氏を「思考と精神がマヒしている」などとして、けちょんけちょんに罵っている。普通、何か気に食わないことがあっても、そのうち再会することを前提とするならば、ここまで口汚い言葉は使わないものだ。
金正恩氏の中では文在寅氏に対し、「もう十分だ」との感情があるのではないか。
しかしこのような状況が続くと、文在寅氏としても言われっぱなしではいられない。韓国側はこれまで、北朝鮮に配慮して、様々な問題に目をつぶってきた。特に、北朝鮮の人権問題からは意図的に目を逸らしており、そのせいで国内外の批判を浴びてきた。
南北対話がとん挫し、北から引き続き悪罵が飛んでくるようなら、文在寅政権としてもこれ以上、北朝鮮を大目に見れなくなるだろう。だが、それにより南北が完全に決裂すれば、文在寅氏にとって最大にして唯一のセールスポイントがなくなる。
果たして文在寅氏はこの袋小路から、どのようにして抜け出すのだろうか。 
トランプ氏「日韓対立は米を苦しい立場に」 8/10
2019年8月10日、中国のニュースサイトの中国新聞網は、トランプ米大統領がこのほど、日韓対立について「米国を苦しい立場に追い込んでいる」と発言したと報じた。共同通信の報道を引用して伝えたもので、それによると、トランプ氏は9日、ホワイトハウスで記者団に対し、日韓対立の激化について「米国を苦しい立場に追い込んでいる。日韓は同盟国であるはずだ」と訴え、早期の関係改善を要求した。トランプ氏は7月中旬、日本との緊張緩和に向けた仲介を韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領から依頼されたことを明らかにした上で、「もし彼らの双方が求めるなら、私は関与するだろう」と述べた一方で、「彼らによって問題が解決されることを望んでいる」と話していた。 
韓国には前科40犯、50犯がざらにいる理由 8/10
日本が「輸出管理の問題」から半導体部品輸出の厳格化を打ちだすと、韓国はそれまで日本が呼びかけても無視していた二国間協議を慌てて持ち出したり、国際会議で議題にもないのに日本を非難するなど日韓関係は戦後最悪の状態にある。韓国をホワイト国から除外すると、韓国も日本に対して同様に報復措置。しかも、文在寅大統領ら政府高官たちが「経済戦争」を示唆したり、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄をちらつかせたりと日本からすると理解に苦しむことばかりだ。
そもそも「不可逆的で最終的に合意」したはずの慰安婦問題合意を一方的に破棄したり、1965年の日韓請求権協定で解決済みの元徴用工に対する慰謝料を支払うよう大法院(最高裁)が日本企業に命じたりと、国と国の間で交わされた約束を平気で反故にしてみたり、「法の不遡及」という概念さえない法治国家とはいえない。
どうして、韓国には日本の常識が通じないのか。大反響を呼んでいる『韓国を蝕む儒教の怨念〜反日は永久に終わらない』(小学館新書)を上梓した著者の呉善花氏は「韓国の歴史が理解できれば、韓国の異常性も納得できるはずだ」という。

呉善花:朝鮮半島では王朝の交代は革命にほかならず、朝鮮半島最後の王朝として登場した李朝は、これまで仏教文化を誇った高麗王朝にとって代わるや、完璧な儒教国家の建設を目指し、朝鮮半島の政治・社会・文化・習俗は一律、儒教=朱子学に基づく倫理、価値観に沿ったものへと変質していきました。国家ぐるみの儒教への総改宗が行われたといっていいでしょう。李朝では、反乱を起こした者は一族もろとも皆殺しにしてその血を絶やし、反乱者を少しでも助けた村は村人のすべてを殺戮して消滅させました。過酷な密告システム、拷問、公開の斬首刑、死体陵辱刑などで国民を慢性的に脅えさせる状態にして、その強固な政治支配を可能にしていたのです。北朝鮮には今なおこのほとんどすべてがあります。
──韓国でも李朝の影響を受けているということか。
呉:韓国でも1948年に起きた済州島四・三事件を典型として、李朝以来の残虐な政治支配が多々展開されてきたのです。さらに李承晩は、朝鮮戦争中の1950年に「共産主義者の収監・再教育・パルチザンの殲滅」の名のもとに、無実の一般市民を大量虐殺しており、その数実に120万人といわれます。朴正煕政権時代のベトナム戦争時には、ベトナムに派遣された韓国軍兵士が一般市民大量虐殺事件と大量強姦事件を引き起こしています。
──それにしても日本に対する韓国の反応は理解に苦しむことばかりだ。
呉:韓国人は一般に、歴史的に日本人は野蛮な民族で、自分たちは平和的で高度な文化を持った民族としてあり続けた、という見方をしたがります。私も幼い頃からこうした反日教育を受けてきて、そういう風に信じてきました。しかし、これは日本統治時代(韓国併合)以降に始まったものではありません。李朝時代に培われてきた中華主義と、それに基づく華夷秩序の世界観です。特に中華主義。これは中国の統一王朝が世界の中心にあり、その中心から離れれば離れるほど野蛮で侵略的な者たちが跋扈する文化果てる夷族の地となる。だから、韓国からすれば、日本は明らかに自らも劣った野蛮な夷族の地と認識しているのです。韓国は今でも、「かつて韓国は文化のなかった日本に文化を与えてやった」という言い方をします。そこに、今なお韓国人が「日本は文化的に低い位置にある」と見なしたい気持ちが働いていることは否定できません。その“侮日観”が現在まで続いているということです。つまり、自国民は絶対善であり、日本は絶対悪でなければならないのです。
──徴用工判決や慰安婦合意の一方的破棄もその考え方が元になっているというわけか。
呉:李朝でも“情理を追求する精神”が強固に働いていましたが、その伝統をひく現代韓国もまさしく“法よりも情が優先する”状況下にあります。韓国では酒に酔っての犯行であれば、「情理」の判断をもって必ず減刑されるし、単純暴力では前科の有無を問わず罰金・略式起訴で裁判までいかないのが司法界の慣例です。そのため、韓国には前科40犯、50犯がざらにいるのです。日本をはじめ、近代法治国家の裁判では、審議を薦める具体的なルールがあり、“情理”や“情実”が絡む判断は規制・排除され、事実(証拠)に基づいた客観的な判断が下されていく構造になっています。韓国の場合は、そのときどきの“この辺が正しい”という国民の思いに引きずられます。つまり、あのときは間違っていないとされたが、今この時の常識からすれば間違っている、という国民の思いが正義になってしまうのです。だからこそ、慰安婦合意の一方的破棄や元徴用工者への賠償判決なのです。つまり、“国民的合意”があれば、国と国との約束を反故にしようが、あとでルールを自分たちに都合良く変更することなど意に介さないのです。だから、過去に親日だった者の子孫の財産を召し上げるなど過去に遡って法律を適用するようなことも平気なのです。
──そんな韓国を隣国にもつ日本はどうすればいいのか。
呉:まず、認識しなければならないことは、韓国は民主国家ではないということです。朴槿恵政権時に書いた記事が名誉毀損に当たるとして産経新聞のソウル支局長を起訴し、長期間出国禁止にしました。“自由、民主主義、基本的人権”などの基本的価値を共有する近代民主国家では決して起こりえない事態でした。さらに北朝鮮問題に関しても内政干渉を理由に北朝鮮の人権問題に向き合おうとしません。これは北朝鮮を刺激したくないと言うよりも、北朝鮮の体制をこのまま認めていこうというのが文在寅政権当初からの方針なのです。現在、直面する韓国問題は北朝鮮におもねり従う韓国政権の「従北・人権問題」です。だからこそ、日本は仮に韓国がすり寄ってきても、毅然とした態度を崩さず、NOのときは、NOと突っぱねるべきです。現在、日韓関係は最悪の関係にありますが、決して妥協するべきではありません。過去2度ほど深刻な経済危機の時にも、日本は韓国に対し、多額の経済援助をしましたが、感謝するどころか「対応が遅い」などと文句を言う国であることを忘れてはいけません。現在、韓国は政治的にも経済的にもどん底へと向かっています。社会保障も整備されておらず、いずれ行き詰まることは確実です。3度目の深刻な経済危機さえ囁かれています。前述したように過去2回は日本が助け船を出しましたが、現状が続く限り、3度目はないでしょう。韓国は泥沼に足を踏み入れてしまったのです。 
見苦しい反日不買運動 8/10
反日不買運動の今週のハイライト(?)はKBSテレビ。キャスターがニュース番組の最後に「放送中に私が手にしているボールペンは日本製ではないかと視聴者から抗議電話がありました。日本に対する国民の怒りがいかに大きいか実感しましたが、このボールペンは国産です」といって番組を締めくくったのだ。
さすがこれには放送局内部からも「やりすぎ」と批判の声が出たというが、韓国テレビ界の反日扇動ぶりを実感させるものだ。局内では「テレビカメラなど放送機材が日本製なのはどうするの?」と皮肉も出ているとか。今回、久しぶりに討論番組に招かれたので文句をいうのは気が引けるが、KBSは日頃、日本のNHKや英国のBBCをお手本にしていると聞くだけに、感情的な反日・愛国キャンペーンは見苦しい。
もう一つは文在寅(ムン・ジェイン)政権を支える与党幹部が、昼食に日本料理を食べて日本酒を飲んだのはケシカランといって野党から追及された一件。酒は国産の清酒(日本酒)だったと言い訳したというが、これでは威勢のいい反日言説も尻抜け?
ただ食に罪はない。文大統領だってG20大阪サミットの際、宿舎では握りずしを楽しまれたと聞く(外交筋の話)。食文化をはじめ、この国際化時代に日本製品不買運動など実にケチくさい。 
 8/9

 

徴用工問題は慰安婦問題を超える大歴史論争になる 8/9
安倍内閣は8月2日に、韓国に対する半導体材料の輸出優遇措置を解除する閣議決定を行った。これに対して韓国の政界では反発が強まり、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄しろという話や、日韓基本条約を見直せという話まで出てきた。
これは極論だが、ありえない話ではない。日本と韓国は1965年に根本的な歴史認識の違いを棚上げしたまま国交を結んだので、韓国がそれをリセットしたら、歴史論争が再燃する可能性がある。
軍の「強制連行」から企業の「強制動員」に延焼した
日本の輸出管理強化に韓国は反発しているが、この原因は2018年10月に韓国大法院が出した「徴用工」訴訟の判決である。この判決は形式上は元労働者の新日鉄住金に対する賠償請求権を認めたものだが、これを日本政府が認めると、日韓請求権協定は有名無実になり、際限なく訴訟が起こされるだろう。
この訴訟の原告は日本政府が徴用した労働者ではなく、戦時中に募集広告を見て日本に出稼ぎに来た朝鮮人労働者だが、大法院判決は彼らの請求権を認めた。これに対して日本の外務省は「徴用工の未払い賃金は請求権協定で解決した」と反論したが、それは大法院判決も織り込みずみだ。その根拠は請求権協定ではなく、次のような論理である。
「 原告らの損害賠償請求権は日本政府の韓半島に対する不法な植民支配および侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権であるという点を明確にしておかなければならない。原告らは被告に対して未払賃金や補償金を請求しているのではなく、上記のような慰謝料を請求しているのである。 」
つまり問題は請求権協定に明記された未払い賃金ではなく「韓日合併条約の不法性」なのだ。日韓併合は反人道的な不法行為なので、その支配下で行われた労働はすべて不法な強制動員であり、政府が徴用しようが民間企業が募集しようが、すべての元労働者は日本企業に対して賠償請求権をもつという。
これは慰安婦問題で議論された軍による「強制連行」をめぐる論争を踏み超え、戦時中の日本企業の雇用まで不法な強制動員として断罪するものだ。この論理を認めると、1910年から1945年まで朝鮮半島で働いた人々の賠償請求は、すべて請求権協定の対象外になる。
現実に、すでに70社以上の日本企業が、韓国で同様の訴訟の被告になっている。戦時中に日本で働いた朝鮮人は延べ20万人以上なので、これは慰安婦問題をはるかに超える賠償問題に発展するおそれが強い。
問題の根源は韓国の「建国神話」にある
韓国の論理は、それなりに一貫している。従来から韓国政府の公式見解では、日韓併合は侵略戦争によって行われた不法行為だから、日本政府がその損害賠償をしないまま結んだ日韓基本条約も請求権協定も無効だということになる。大法院判決は無効とまでは言っていないが、元労働者への賠償を請求権協定の対象外として認め、日韓が「完全かつ最終的に解決」した賠償問題を白紙に戻すものだ。
だから本質的な論点は、日韓併合は侵略だったのかという歴史問題である。韓国政府は「日韓併合条約は武力で強制されたので無効だ」と主張しているが、常識的には日韓併合条約は大日本帝国と大韓帝国の正式な合意にもとづく条約であり、当時の世界各国もこれを承認したので、日本政府もそういう見解を取っている。
日清・日露戦争に勝った日本は朝鮮半島を軍事的に支配し、大韓帝国を保護国にした。戦略的にはロシアの南進を防ぐために朝鮮半島を支配下に置く意味はあったが、その主権を奪う必要があったかどうかは疑問である。初代の朝鮮統監だった伊藤博文は消極的だったが、彼が1909年に暗殺されて歯止めがなくなった。
韓国の主張も事実無根ではない。大韓帝国は抵抗しなかったが、「義兵闘争」と呼ばれるゲリラ戦が起こり、1万人余りの朝鮮人が死亡した(日本軍の死者は数百人)。これが韓国政府のいう「抗日戦争」の始まりである。
1919年の三・一事件のあと上海で「大韓民国臨時政府」が設立された。これは実態のない亡命政権であり、抗日戦争を行ったわけでもないが、韓国にとっては日本が朝鮮半島を侵略し、韓国臨時政府がそれと戦って1945年に勝利したという「建国神話」が民族の精神的支柱になっているのだ。
合意しないことに合意しよう
どこの国にも建国神話があり、それはすべて事実とは限らない。日本でも戦前には天孫降臨の建国神話があったのだから似たようなものだが、韓国の建国神話は憲法に書かれ、国定教科書などで今まで継承されてきた。
サンフランシスコ条約にも韓国は「戦勝国」として参加しようとし、アメリカに拒否されたが、日本に対しては戦勝国として賠償を求めた。自民党政権はこれを拒否したため、1960年代まで日韓の国交は正常化しなかったが、朴正熙大統領が賠償を棚上げする政治決着を求め、アメリカの要請もあって佐藤栄作首相が日韓条約を結んだ。
このとき日本が払った5億ドルの「経済協力」は、当時の韓国の国家予算を上回る大金だったが、朴大統領はこれを元労働者への賠償に使わず身内に分配し、インフラ投資などに使ってしまった。それは当時は韓国でも問題にならなかったが、1990年代に「慰安婦の強制連行」を日本側から持ち出したため、歴史問題が再燃した。
最初は「慰安婦は請求権協定の対象外だから新たに賠償が必要だ」という話で、これに対して日本政府は譲歩し、1990年代のアジア女性基金で決着したはずだったが、2005年に盧武鉉政権は「人類の普遍的な倫理」にもとづいて(強制連行ではない)慰安婦への賠償を求めた。
これがまた紛争の原因になったが、2015年の慰安婦合意で決着した。ところが2018年の大法院判決はこの合意をくつがえし、時計を2010年に戻して戦時中の労働をすべて「強制動員」だと規定し、文在寅政権もこれを追認した。それを日本政府が認めたら、日韓基本条約や請求権協定の見直しに波及するおそれがある。
日韓が国交を断絶することは不可能だが、この歴史問題の大きな違いを放置したまま、日韓が真に和解することはできない。朝鮮半島の歴史についてどう考えているのか、日韓両国の首脳が会談して、率直に意見を交換してはどうだろうか。
もちろん安倍首相と文大統領が歴史認識で合意することはありえないが、合意しないことに合意することも隣国としては必要だ。同じ歴史観をもたなくても、それを何度も蒸し返すことはやめるべきだ。日韓が長期的な友好関係を結ぶ上では、一度は徹底的に歴史論争することも避けて通れない道かもしれない。 
徴用工問題で韓国が触れられたくない過去 8/9
政府が安全保障上の輸出管理で優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外し、韓国側は反発を強めている。しかし、いわゆる徴用工訴訟をめぐり、韓国政府は国際法違反にあたる韓国最高裁判決に何ら有効な対応策を示していない。韓国側は日本政府に責任転嫁するばかりだが、すべては1965年の日韓請求権協定とその交渉過程で決着している。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はその「過去」には決して触れない。一体、交渉で何が協議されたのか−。
政府が「ホワイト国」除外の政令改正を閣議決定した8月2日、韓国政府も緊急閣僚会議を開き、文氏が語気を強めて日本を批判した。
「加害者の日本が傷をほじくり返せば、国際社会の良識が決して容認しない」
「われわれは二度と日本に負けない」
過去に対する憤りもない交ぜになっているようだが、輸出管理はまったく歴史とは関係がない。菅義偉(すが・よしひで)官房長官も「安全保障の観点から必要な運用の見直し」と繰り返し説明している。
だが、文氏はこうも述べた。
「どのような理由で言い訳をしようとも、日本政府の今回の措置は、強制徴用をめぐる大法院(最高裁)判決に対する明白な貿易報復だ」
輸出管理の見直しを徴用工訴訟と結びつけるのであれば、そもそも日韓国交正常化の際に、元徴用工への補償問題がどのように扱われたのかを振り返る必要がある。
日韓の正常化交渉は1951年に始まった。朝鮮半島統治を規定した1910年の「日韓併合条約」の有効性が大きな争点となり、交渉は断続的に進んだ。
1952年、交渉の初期の段階で韓国が日本側に示したのが「対日請求要綱」だ。日本政府の朝鮮総督府に対する債務の弁済や韓国に本社や事務所があった法人の財産返還など8項目で構成され、第5項では元徴用工に関し、次のように明記している。
「被徴用韓人の未収金、補償金及びその他の請求権の弁済を請求する」
実際、交渉の中でも韓国側の政府代表は元徴用工への補償を求めた。1961年5月10日の交渉では、第5項の要求を「一般労務者の他に軍人軍属、全部を含めて、生存している者、負傷、死亡した者に対してそれぞれ補償してもらいたいという意味だ」と説明。「強制的に動員し、精神的、肉体的苦痛を与えたことに対し、相当の補償を要求するのは当然だと思う」と述べている。
これに対し、日本側代表が「個人に対して支払ってほしいということか」と尋ねると、韓国側は「国内での支払いは国内措置として必要な範囲でとる」と答えた。
日本側は重ねて「国民の感情をなだめるためには、個人ベースで支払うのがよいと思う」と再考を促したが、韓国側は「われわれは、われわれの国内問題として措置する考えであり、人数や金額の問題があるが、どうかして、その支払いはわれわれの政府の手でする」と譲らなかった。
こうした交渉の結果、締結されたのが日韓請求権協定だ。日本が韓国に無償で3億ドル、有償で2億ドルを供与し、両国民の財産や権利に関する問題は「完全かつ最終的に解決された」ことが明記された。韓国側の要望通り、元徴用工への補償金は、韓国政府にまとめて支払われることになった。
協定に付属する合意議事録では、協定で解決された請求権問題には、韓国側が提示した対日請求要綱の8項目がすべて含まれ、この要綱に関するいかなる主張も以後はできないことが確認されている。
こうした事実を踏まえると、「日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の請求権は、日韓請求権協定の適用対象に含まれない」と判示し、日本企業に賠償を命じた昨年10月以降の韓国最高裁判決がいかに不当なものであるかがわかる。
国家間で結んだ請求権協定を無視するような判決が出された以上、韓国政府は日本側に被害が及ばないように適切な措置をとらなければならない。日本政府はこのことを繰り返し主張しているが、文氏は不都合な過去には目をつぶりたいようだ。 
韓国・文在寅がまた大嘘! 8/9
南北経済協力は「文在寅の夢」…?
8月5日、文在寅大統領は、政権幹部を集めた会合で、「北朝鮮との経済協力で平和経済を実現し日本に追いつく」と述べた。
何と夢のあることか。文在寅氏によれば、「経済規模」と「内需市場」で日本経済は韓国より有利であるが、南北が経済協力をすれば、「経済規模」と「内需市場」が拡大し、韓国は北朝鮮と合わせて日本を追い越すことができる、と言うことである。何と韓国国民に希望を与える構想であろう。
文大統領は、日本が韓国を「ホワイト国」から除外する閣議決定を行った直後、これは単なる輸出管理の運用の変更ではなく、韓国経済の発展、成長を妨害しようとするたくらみである、と日本政府を痛烈に非難していた。文在寅氏は、こうした思い込みで日本への対抗策を模索した。
文在寅氏はもともと南北経済協力を進めたくてうずうずしていたが、米国から、北朝鮮への制裁破りは北朝鮮の非核化を遅らせかねない、と押さえつけられていた。そこで、何かこれを進める糸口はないかと機会をうかがっていた。日本の「徴用工問題への報復措置」(韓国主張のまま)を利用しようと考えたのであろう。
日本人にとって、韓国人、特に文政権を理解できない理由が2つある。
第一に韓国人を合理的に理解しようとしても、理解できない。韓国人は理性ではなく感性で物事を考えているからである。その独特の感性は韓国人で出なければ理解できないだろう。
第二に、韓国人、特に文在寅氏は自分が考えていることは正しい、相手も同様に考えるだろうという独善的発想を持っていることである。
理解しがたい韓国人が端的に表れた例が、8月5日の南北経済協力構想である。
残念な韓国
文大統領は現実がわかっていない。北朝鮮と経済が結ばれても、北朝鮮の現在の経済状況では負担が増すだけである。
第一生命経済研究所の首席エコノミスト永濱利廣氏によれば、1990年に東西ドイツが統一した時には、一人当たりGDPの格差は2倍であったが、現在の韓国と北朝鮮の格差は20倍だそうである。
それに加え、北朝鮮のインフラ開発は極端に遅れており、産業もほとんど発展していない。文氏は北朝鮮と一体になれば、「内需市場」が拡大するというが、GDP規模が20分の1の北朝鮮が加わったところで、内需がどれほど増えるというのか。
少しでも経済を理解している人であれば、文在寅構想は実現性の全くない夢物語であることは一目瞭然であろう。韓国でも多少なりとも現実的に見ている人であれば、そう考えているはずである。それでも、文大統領はこのような構想を立ち上げたのは何故か。
韓国人は頭ではなく、ハートで考える。論理や理性ではなく、感性で物事を理解する。北朝鮮と一緒になって、日本を超えることができればこんなに素晴らしいことはない。これは素晴らしいことだから、きっと実現するだろう。これが韓国人の夢であり、ただ、感覚的に文大統領の考えを受け入れてしまう。日本人にはこうした感性を理解することは不可能である。
経済を無視した論理で、経済政策を遂行する。その前例が、2020年までに最低賃金を16年水準の7000ウォンから10,000ウォンに引き上げるとの政策である。この政策に従い、17、18年合わせて最低賃金を29%引き上げた。その結果、企業、特に中小企業はその負担に耐えかねず、雇用者を削減している。
失業者の増加を隠すため、財政資金を使って、高齢者を街頭の掃除などに低賃金で雇って数字合わせをしている。文在寅政権になって生活が苦しくなったという人が国民の60%近くに達している。
文在寅が「韓国経済」を衰退させる
大企業も、文在寅政権の経済政策で国内投資をしようとするところは減少しており、一昨年までほぼ10年間、一年当りの海外投資はほぼ80億ドル程度で推移していたものが、昨年は160億ドル強と倍増した。
また、今年前半の海外勢の韓国投資もほぼ半減したようである。これでは韓国の将来の競争力を奪い、韓国経済の衰退を招くことは必須である。
文在寅氏は決して自分の政策の失敗を認め誤ることはしない。
しかし、さすがに韓国の経済の実態が落ち込み、最低賃金の引き上げに耐えかねなくなったため、今年の引き上げ率は2.9%に抑え、これ以上の引き上げができなくなったことについて国民に陳謝した。
南北経済協力構想も同じように実現性のない構想である。北朝鮮経済を韓国と協力できる水準にまで引き上げることは至難の業である。それには韓国から多くの資金をつぎ込まなければならない。
しかし、韓国の若者は就職難(若者の体感失業率は25%とさえ言われている)に喘ぎ、ヘル世代(地獄を味わう世代)と呼ばれている。そうした中、北朝鮮経済引き上げのため韓国の資金を北朝鮮に投入すれば、韓国の若者を犠牲にせざるを得ない。
仮に、今は北朝鮮との経済協力を夢見ている人々も、それが韓国の人々、とくに若者の犠牲と引き換えであるとの現実を知れば、文在寅構想に「ノー」を突きつけるであろう。
文在寅氏は、北朝鮮も韓国との経済協力に前向きであろうと一方的に考えている。しかし、文在寅氏の構想に対する北朝鮮の回答が8月6日の日本海に向けた飛翔体2発の発射である。
北朝鮮からバカにされる文在寅
北朝鮮にとって、今最も重要なことは、韓国との経済協力ではなく、米韓合同軍事演習を中止させることである。韓国から、経済協力の提案があったからと言って、北朝鮮は飛翔体の発射をやめることはしない。
文在寅氏の北朝鮮支援の考えが空振りに終わった端的な例が、北朝鮮への人道支援提案である。
文在寅氏は米国の了解を得て(韓国は米国が積極的に評価したというが、米国はやってごらんと言った程度のようである)行った提案を北朝鮮により一蹴されている。北朝鮮は、文大統領が思い込むほど韓国との関係を重視していない。
文在寅氏は常に北朝鮮との関係を考えている大統領である。その大統領が、今年の3.1独立運動100周年記念行事を一緒に行おうと北朝鮮に提案したが、北朝鮮はこれに応じなかった。
北朝鮮にとって、韓国で起きた3.1独立運動は重要ではなく、金日成が抗日パルチザンとして、日本との独立運動を闘ったことが重要である。そうした歴史と北朝鮮の金日成を祭り上げる行動を理解すれば、北朝鮮が、3.1独立運動100周年記念に協力などしないであろうことは一目瞭然である。北朝鮮一辺倒の文在寅氏はこんなことも理解できないのか。
韓国は北朝鮮と一緒になって、安倍政権と対峙しようとしている。一昨年の光復節(独立記念日)の演説でも、北朝鮮と一緒になって、徴用工の問題を調査しようと提案した。
北朝鮮は今の安倍政権に対しては強硬姿勢を貫いており、一見韓国との共闘の余地があるかにも見える。現に金正恩氏は安倍総理の無条件対話提案を受け入れていない。しかし、北朝鮮は韓国と手を組んで反日をやるとも言っていない。反日のため北朝鮮を利用しようとする文大統領の独り相撲に北朝鮮は付き合ってはくれていない。
韓国のデモは無視するのが一番
文在寅氏は、日本が韓国を「ホワイト国」から除外したことに対し、「加害者である日本が盗人猛々しく大きな声を上げる状況を座視しない」「私たちは二度と日本に負けない」と日本を糾弾した。
さらに、「問題解決にむけた外交努力を拒否し、事態を一層悪化させる非常に無謀な決定」「今後起こる事態の責任も全面的に日本政府にあることをはっきりと警告する」と非難した。
これを聞いていると、北朝鮮が敵国を非難する時の言質に限りなく似ていると思わざるを得ない。文在寅氏の思考が北朝鮮に近づいてきたのではないことを願う。その内容について一つ一つコメントする気はないが、韓国が外交的努力をしている点については反論せざるを得ない。
韓国は国民感情を刺激して、これを背に日本には譲歩しない姿勢で日本に臨み譲歩を迫ってくる。これが外交的努力というなら、外交とは何かと問いたくなる。本来、外交交渉とはお互いに譲り合って相互の国益の一致点を見出そうとすることだが、韓国の外交努力とは一方的に要求を貫くということではないか。
7月27日のデモには主催者発表で5000人、8月3日には1万5000人が参加した由である。朴槿恵弾劾の時にはデモ参加者は2万人〜20万人とのことだったので、それに比べて規模は小さい。
しかし、朴弾劾のデモを主導した、北朝鮮新派の団体が乗り出していることから、今後さらにデモの規模は大きくなっていこう。特に、8月15日の光復節ではデモはさらに広がりを見せることになるだろう。しかし、朴弾劾時のデモの規模が最終的に100万人といわれるまでに膨らんだのは、弾劾に向けた勢いが増したという背景がある。
日本は韓国のデモの動きによって影響を受けないのだと、日本が平然と振舞うことで、デモの動機を失わせることになるだろう。日本にとってはこれが一番効果的ではないかと思う。
文在寅氏の世論を刺激するやり方は、最初の時点では支持率をあげる。しかし、ぼろが見えるにしたがって、支持を失っていくであろう。ここは長期戦覚悟で行く以外ないのではないか。 
文大統領、安倍政権批判に照準 全面対決は回避も 8/9
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は8日、日本政府による韓国への輸出管理厳格化などの措置について「結局は日本を含め全員が被害者になる勝者のないゲームだ」と強調した。
安倍政権批判を重ねて強調しつつ、国民を巻き込んだ全面対決を避ける意図も見え隠れする。
文氏は同日の国民経済諮問会議で、経済専門家らを前に「日本のこれまでの措置だけでも両国の経済や国民のためにならない」と指摘。また、「日本は自由貿易秩序の恩恵を最も多く受け、自国が必要な時、自由貿易主義を積極的に主張してきた。今回の措置は非常に二律背反的だ」と批判した。さらに「日本が一方的な貿易報復で得る利益が何なのか、分からない。利益があっても一時的にすぎない」と語った。
一方、文氏は「当初、日本は(日本企業に賠償を命じた)韓国最高裁の強制徴用判決を理由に掲げたが、その後、戦略物資の輸出管理の不備のためと言葉を変えた。本当の意図が何か疑問だ」と述べ、安倍政権の対応を批判。「弁明をどう変えようが、最高裁判決に対する経済報復だ」と断言した。
日本政府の措置をめぐり、韓国は1カ月以上動揺と反発が続いている。「日本の不当な行いで国難に直面している」と挙国一致で日本に立ち向かおうという風潮が広がった。
文氏は「政府と企業を信じてほしい」と国民に訴え、7日には部品メーカーを視察し「日本に勝てるという自信を持ち努力してほしい」とげきを飛ばしている。また「二度と日本には負けない。われわれは十分日本に勝てる」などと対日勝利が目標であるかのようにアピールしている。
「日本による国難」は韓国世論を嫌でも燃え上がらせる。経済の低迷から抜け出せない韓国では、文在寅政権不支持の最大理由は経済政策だ。ここに日韓対立がリンクしたことにより、文政権は経済不振の原因を日本にすり替え国民からの求心力を高めようとしているかのようだ。
ただ、与党「共に民主党」の執行部では、党内で起きている東京五輪ボイコットの主張や、自治体が日本製品不買や日本旅行中止を訴える旗を設置した問題に対し「慎重になるべきだ」と冷静さを求めている。文政権は過剰な反日行動を戒めつつ、日本に対する韓国の正当さを訴え世論の支持を集める構えだ。 
 8/8

 

家族が親日的な文在寅大統領、なぜ反日発言が多いのか 8/8
「盗人猛々しい」「私たちは充分に日本に打ち勝てる」──。8月2日、日本政府は、輸出管理上の優遇措置の対象となる「ホワイト国(現グループA)」から韓国の除外を閣議決定。これを受け、文在寅大統領(66才)は会見で攻撃的な言葉を吐き続けた。
事の発端はいわゆる徴用工問題。日本政府は1965年に結ばれた日韓請求権協定で、元徴用工への補償問題は解決済みとの立場をとっている。
(※日本が韓国に無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力金を供与し、両国それぞれの国民間で「請求権」の問題を「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記されている)
しかし、韓国の最高裁が日本企業への賠償責任を認めたことで一転、日韓関係は悪化。そしてこのタイミングでの排除措置を、韓国側は事実上の対抗措置と捉え、文大統領は過激な発言で反日感情を煽っているのだ。
韓国国内では日本製品の不買運動が激しさを増し、日本への観光旅行のキャンセルも相次いでいる。多くの専門家が、今の日韓関係を“史上最悪”と見ており、その“旗振り役”が文大統領なのである。
だが文大統領には意外な一面があると、産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘さんは言う。
「長女のダヘさんは、日本の国士舘大学に留学していました。金正淑夫人も茶道が大好きで、釜山に住んでいた頃には裏千家の教室に熱心に通っていた」
さらに韓国国内で、アニメーターとして活動する長男のジュニンさんは『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督に大きな影響を受け、《今の私があるのは、日本のアニメのおかげ》とのコメントが報じられている。
「側近も日本に長期滞在するなど、文大統領のまわりは日本好きが集まっています。文大統領自身、寿司が大好きで、6月の大阪サミットでも寿司をたくさん食べていたそうです」(黒田さん)
つまり、文一家は家族ぐるみで“親日”という一面を持っているのである。
日本好きのわけは、その生い立ちにあるという。
「文大統領は釜山の学校を出ていて、選挙区も釜山です。地理的にも日本に近く、町そのものが親日的な地域。『さしみ』や『あじ』『あなご』などは日本語としてではなく、日常の言葉として定着しているほど」(黒田さん)
日本文化が染みついているという文大統領は、なぜ反日的な政策や発言を繰り返すのか。
「皮肉なことに、韓国では『反日』や『日本叩き』は『愛国のシンボル』とされています。今は徴用工問題が経済問題にすり変わり、韓国は日本にいじめられている“被害者”だと主張している。過去の日本の統治・支配時代の歴史と重ね、“また日本はわれわれを侵略している”と言い出している。これは文大統領にとって、支持率アップに直結する大きなチャンスなのです」(黒田さん)
文大統領の“口撃”は、はたしてどこまでが本音なのだろうか。 
左派団体「GSOMIAを破棄せよ」各地で反日集会 8/8
日本政府が「輸出審査優遇国」(ホワイト国)から韓国を除外するという内容の政令を公布した7日、ソウル市内のあちこちで反日デモが行われた。親北団体が中心の一部デモ隊は単なる抗議や日本製品ボイコットにとどまらず、韓日間の「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)破棄を前面に押し出し始めた。
全国民主労働組合総連盟(民労総)傘下の「全国公務員労組」(全公労)は7日午前10時30分ごろ、ソウル市鍾路区の駐韓日本大使館前で記者会見を開き、「GSOMIAを直ちに廃棄せよ」と要求した。労働組合員約30人が「NO安倍」「NO韓日軍事協定」というプラカードを掲げ、「文在寅(ムン・ジェイン)政権は安倍政権の挑発に強硬かつ確固たる行動を取らなければならない」「積弊政権下の密室で締結されたGSOMIA廃棄がその第一歩だ」と主張した。
旧・統合進歩党出身者が主軸の「民衆党」も「GSOMIA廃棄」を主張する1人デモを同時多発的に行った。党員たちはソウル市銅雀区の地下鉄2号線新大方駅や同市蘆原区の地下鉄4号線上渓駅などで「GSOMIA即刻廃棄」「強制徴用謝罪・賠償し経済報復中止」というプラカードを掲げた。
親北団体「韓国大学生進歩連合」(大進連)のメンバー約70人は同日午前11時ごろ、ソウル市中区の三菱商事韓国事務所前で糾弾集会を開いた。参加者たちは「謝罪せよ」「賠償せよ」などのシュプレヒコールを上げ、持参した旭日旗を引き裂いた。メンバーたちは三菱側に抗議の書簡を渡そうともしたが、受け取りを拒否された。
ソウル市城北区の駐韓日本大使の官邸前でもデモが相次いだ。同日午前5時20分ごろ、「愛国国民運動大連合」という団体の代表が官邸前を1時間ほど車でふさぎ、「出勤阻止デモ」を行い、官邸前の道路に「コチュジャン(唐辛子みそ)を混ぜた水」を入れたビニール袋2袋を投げた。この人物はビニール袋の内容物を「独立軍と慰安婦、強制徴用被害者が流した血の象徴」と言った。
同日午前9時ごろには市民団体「活貧団」のメンバー2人が唐辛子と粟(アワ)を持って大使館前に現れた。「『韓国経済に唐辛子粉をかけるな(韓国経済の邪魔をするな)』という意味から唐辛子、『安倍晋三の粟のような(度量の狭い)心』という意味から粟を日本に渡したい」と言ったが、警察に阻止された。日本大使館前では「正義記憶連帯」のメンバーら数百人が「NO JAPAN」とシュプレヒコールを上げた。 
「NO JAPAN」から「NO安倍」に変わったスローガン 8/8
国内の反日集会で最近使用されている「NO JAPAN」というロゴが、かつて中国で行われた反日デモのロゴをコピーしたものだという主張がインターネット上を中心に広まっている。インターネット・コミュニティー・サイトやソーシャル・メディア上などには7日、中・日間に歴史・領土問題が発生した2005年と10年に中国で行われた反日デモに関する書き込みが拡散された。そこに添付された写真を見ると、中国の反日デモ隊は「NO」という文字のうち、アルファベットの「O」を赤く塗りつぶして日章旗を連想させるプラカード=写真=を掲げている。プラカードには「日本製品ボイコット」「これから私もやります」などのフレーズもある。アルファベットの「O」を日章旗の赤い丸のように塗った反日横断幕や旗、プラカードは最近の国内の反日デモでも登場しており、ソウル市中区庁などの自治体も使用した。ネット上にこれを書き込んだ人物は「反日デモ隊の主張通りにするなら、(日本製の部品が使われている)サムスンのスマートフォンを買ってはいけない。アップルのiPhoneにも日本製の部品が入っている。スマートフォンはもう使ってはならないということだ」と主張している。
一方、この日開かれた反日集会では、「NO JAPAN」のプラカードや横断幕の多くが「NO安倍」に変わっていた。親与党系陣営で「日本政府と日本人は切り離すべきだ」という主張がわき上がり、一糸乱れず動いたものと見られる。ハンギョレ新聞は同日朝、「『NO JAPAN』ではなく『NO安倍』、賢明で成熟した対応を」という題の社説で、「両国の衝突が長期化すると予想される状況で、今からでも『NO JAPAN』ではなく『NO安倍』に焦点を合わせるなど、賢明で成熟した対応を模索する必要があるとみられる。」と主張した。 
「反日旗」即日回収、韓国「官製不買運動」が大顰蹙 8/8
8月6日午前10時、韓国の首都・ソウルの中心部にある中区の通りには、「NO BOYCOTT JAPAN、行きません。買いません」と、「反日」を謳った大型の旗が掲げられた。中区といえば、ソウル市庁と韓国の大手新聞社が密集している光化門(クァンファムン)、そして観光客で賑わう明洞(ミョンドン)などを含む、まさに韓国の心臓部である。
中区庁のソ・ヤンホ区長(共に民主党所属)は、「中区はソウルの中心で、多くの外国人観光客が行き交う地域だ。全世界に向けて日本の不当さとわれわれの強い意志を見せたい」と意気込んでみせた。
すぐに撤去れた「ボイコット・ジャパン」旗
しかし、この旗はわずか4時間後には地域の商店主たちと韓国国民からの強い抗議を受けて撤去される羽目となった。韓国メディアのインタビューに応じた明洞の商店主は「2週間前から、日本人観光客が半分に減った」「このような状況で反日旗を掲げるなんて、区役所が狂ったとしか思えない」という激しい反応を見せている。
韓国メディアもソ区長の行為を「軽率」と非難した。「国民が自発的に繰り広げているボイコット·ジャパン運動が『官制不買運動』と受け取られる恐れもある」という指摘もあった。
中にはこんな指摘もあった。中区に揚げられた「NO BOYCOTT JAPAN」旗が日本製のプリンタで印刷されたものだ、というのだ。タブロイド週刊誌「日曜新聞」のネット版は、中区関係者の言葉を引用し、「中区が掲げた100本ものノー・ジャパン旗と太極旗は『バリュージェット』という日本製の印刷機で製作された」と明かした。バリュージェットは日本の代表的な大型プリンタメーカー武藤工業の製品で、「垂れ幕などの印刷に使われる武藤工業製品を代替できる印刷機は事実上ない、というのが印刷業者の主張だ」と、日曜新聞は報じた。
「日曜新聞」は、「中区庁が地域住民の血税の250万ウォンをかけて、たったの半日で終わってしまうハプニングを演出した」と非難し、釈明を聞くために、中区庁を訪問したが、「区長は休暇中」という回答を得ただけだったと伝えている。
「このボールペンは国産です。これでニュースを終わります」
韓国の異常な「反日」はメディアにも飛び火している。8月4日、公営放送局のKBSは、メインニュースの異例のクロージング・コメントによってネット上の議論を巻き起こした。
「放送中に、私が持っているこのボールペンが日本製ではないかという視聴者の抗議の電話がありました。日本に対する韓国国民の怒りがどれほど大きいかが実感できます。このボールペンは国産です。これで、9時のニュースを終わります。ありがとうございます」
国民の間に蔓延する「反日感情」に寄り添ったつもりでの発言だったのだろう。しかし、このコメントに対する韓国のネットユーザーの反応は意外と冷たかった。
「ボールペンは日本製ではないと伝えるアンカーを撮っているカメラこそがまさに日本製ではないか!」
「そう言うのなら、放送用カメラやスチールカメラはソニーやニコンという日本製だ。全部捨てて国産に替えたらどうだ?」
「そのボールペンの先についているベアリングは日本製だ」
「公営放送が反日運動を煽るクロージングとは! 国の面子が立たない。情けない」
KBS放送局内で民主労総傘下の言論労組と対立している公営労組(第2労組)も非難声明を発表した。彼らは、「普通、クロージング・コメントはキャスターがあらかじめ準備しておくもので、自分のボールペンは日本製ではないと説明したこの日のコメントは、あらかじめ準備したショーとみられる」「軽率な扇動的報道になりかねない」「そのような論理なら、(KBS)放送局には高価な日本製機材(カメラや編集機など)が多いという事実は、なぜ明らかにしないのか」「無分別な反日報道は韓日どちらにも役に立たない」「すぐに反日扇動報道を取りやめ、 客観的で公正な報道をするべきだ」と非難した。
日本車を所有する政権幹部のリスト
最近、韓国メディアでは日本車を保有している文在寅(ムン・ジェイン)大統領府と政府の主要人物のリストが公開された。リストによると、文在寅政権の核心関係者50人余りが、トヨタなどの日本車を所有しており、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は、夫の名義でホンダ車を保有している。リストを報じたネット紙の「スペシャル経済」は、『ネロナンブル(ダブルスタンダード)の極致』という見出しを使って、文政権に毒舌を飛ばした。
この他にも、7月には日本製品不買を訴える「NO NO JAPAN」サイトの運営者が高価な日本製キーボードを使用していることが判明し、ネットユーザーから非難を浴びた。また、反日世論の急先鋒に立っている政府寄りの放送局JTBCが、実はTV朝日や講談社が株主に名を連ねている会社であることも議論を呼んでいる。
韓国の独立記念日の8月15日を控え、さらに猛威を増していくボイコットジャパン運動。しかし、熱気が高ぶれば高ぶるほど、韓国国民は日本製品が韓国社会にどれほど深く浸透しているのかを切実に感じてしまうという矛盾が生じている。 
賢い不買運動、政治が入り込んではいけない=韓国 8/8
5日、猛暑の中、ソウル合井洞(ハプチョンドン)付近の「ジャパンタウン」を訪れた。若者を相手にした日本風の店が並んでいるところだ。日本不買運動「No Japan」の余波はここにも及んで、客は少なかった。しかしある日本料理店の店長から意外な話を聞いた。
「お客さんは減るのは減りました。しかし知っている人は知っています。店長も韓国人、職員も韓国人、食材もほとんど国内産で、ボイコットをしても関係のない人たちが苦しむということを」。
「ダイソー」店長も似た話をした。「実際、納品会社はほとんど国内の中小企業です。お客さんはインターネットで調べてきて『この商品は国産だから大丈夫』という声が聞こえます」。不買運動の裏で韓国人の被害を心配する世論も少なくないということだ。
オンラインでも状況は変わらない。主要コミュニティーでは一日にも何度も討論が行われる。「韓国人が経営する居酒屋は不買から除くべき」「ロッテのように日本の資本が入っているが国内に税金を納めている企業はどうするのか」「すでに買った日本製品はどうしようか」。
さまざまな返答があるが、「各自の基準を尊重しよう」という趣旨の返答が主流となる雰囲気だ。「日本製品2つ買うところを1つ買えばよい」「ロッテが韓国企業としてTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備の報復を受けたことも考慮すべき」というコメントにも同意が続いている。
単に日本を旅行したからといって石を投げつけるように批判する掲示物もあったが、今はむしろこうしたコメントが力を失っている。
1カ月を迎えた不買運動は賢くなっている。現在、日本政府を嫌うのと日本自体を嫌悪するのを区分すべきという世論が強まっている。不買運動の影響が誰に及ぶかをよく考えながら、市民は事例別にYESとNOの範疇を作っている。
こうした流れに逆行するのは政界と自治体だ。ソウル中区(チュング)は6日、日本人観光客が集まる明洞(ミョンドン)と清渓川(チョンゲチョン)一帯に1000枚ほどの「ノージャパン」旗を設置したが、市民の激しい批判を浴びた。
徐良鎬(ソ・ヤンホ)中区長はこの日、結局、フェイスブックに謝罪の言葉を載せてすべて撤去した。徐区長は「不買運動を国民の自発的領域として残すべきだという批判を謙虚に受け止める」とコメントした。しかし観光客を相手にする地域の商人は数時間ではあったが旗を見て心配が深まった。旗の制作費に使われた税金は戻ってこない。
与党からは「日本全国を旅行禁止地域に拡大しよう」「東京オリンピックをボイコットしよう」という主張も出てきた。オリンピックに向けて数年間努力してきた選手のことを考えれば口にできない発言だ。
ある市民が中区のホームページに残した言葉が目を引く。「市民がろうそく集会をするからといって政界があちことに火をつける姿だ」。
市民運動の力は自発的で純粋な参加から生まれる。権力が市民を動かそうとすれば愛国でなく官製運動になってしまう。市民の怒りに便乗して人気を得ようと火をつける時ではない。 
 8/7

 

韓国「官製反日」に国民が「NO」 自治体トップらに批判 8/7
韓国で日本政府による輸出管理の厳格化に反発し、自治体の首長らが日本製品の不買運動や日本訪問の拒否を率先して呼び掛けるケースが目立っている。有権者に存在感を示すまたとないチャンスと捉えているようだが、地域行政のトップが主導する「官製反日」キャンペーンには批判も多い。
ソウル市中(チュン)区は5日、「NO ボイコット日本 行きません、買いません」と書いた旗1100本を通りに掲げると発表。明洞(ミョンドン)など外国人観光客が集まる通りが多いことから「世界に日本の不当さと私たちの強い意志を示す」と説明していた。
ところが、区のホームページなどに掲揚中止を求める書き込みが殺到。政権寄りの左派系紙、ハンギョレも「韓国が好きで訪れた日本人への礼儀に欠ける」と厳しく批判した。
徐良鎬(ソ・ヤンホ)区長は、ネット上で「なぜ区長は立ち上がってはいけない? 大統領も最前線で戦うときだ」などと反論し、6日、旗はいったん通りに設置された。しかし、批判はやまず徐氏が「心配をおかけした」と陳謝。結局、設置から数時間後に回収された。
騒動に先立ち7月末、ソウルの西大門(ソデムン)刑務所歴史館で自治体の首長らが日本の措置に反対する糾弾大会を開き、日本の措置に対応する連合体を発足させた。日本統治時代に独立活動家らが投獄されたとして「抗日の象徴」とされる場所だ。
自治体による日本製品の購入などの全面中断や公務上の訪日、日本との姉妹提携活動中断といった目標が掲げられた。参加自治体は約100に上る。大会の音頭を取った文錫珍(ムン・ソクチン)西大門区長のように与党「共に民主党」所属の首長が運動をリードしている場合が多い。
中央政府と違い、外交上の責任を直接負わないだけに政治的パフォーマンスも目につく。ソウル市では、小学校でプラカードを掲げ、保護者らに不買運動を呼びかけた区長や、職員らと不買や日本旅行拒否を訴える紙を持って集合写真を撮る区長もいる。行政側が特定国の製品の不買を進めることは国際規定に抵触するとの指摘も出ている。  
ソウル市中区「ノージャパン」旗騒動…「嫌韓誘発」批判起き区長が謝罪 8/7
日本人観光客が多く訪れるソウル都心に「反日の旗」を掲げるというソウル市中区の計画が6日、実施から半日で撤回された。中区の徐良鎬(ソ・ヤンホ)区長はこの日午後フェイスブックを通じ「日本政府の経済報復に国民とともに対応するという趣旨だったが心配をかけて申し訳ない。旗を下ろしたい」と明らかにした。
徐区長が言う旗は「BOYCOTT JAPAN 行きません 買いません」と書かれた旗だ。徐区長は前日の5日に報道資料を通じ、「中区はソウルの中心であり多くの外国人観光客が行き来する地域だ。世界に日本の不当さとわれわれの強い意志を見せるだろう」としながら明洞(ミョンドン)、乙支路(ウルチロ)、南山(ナムサン)など管内に1100枚の旗を設置すると明らかにした。
だが野党と市民から「観光地を訪れた日本人に嫌韓感情を植え付けかねない」という批判が出てきた。青瓦台(チョンワデ、大統領府)の国民請願掲示板には明智大学のナム・シフン教授により「ソウルの真ん中にNO Japanの旗を設置するのを中断してください」という書き込みも上げられた。
反発が強くなったことを受け、徐区長は6日午前フェイスブックに「なぜ区庁が乗り出してはならないのですか? いまは経済版壬辰倭乱(文禄慶長の役)が起き、大統領すら最前線で戦う時」と書き込み、この日夕方に予定していた旗の設置を午前に繰り上げて光化門(クァンファムン)などに50枚余りを設置した。
すると汎与党圏である正義党からも「安倍政権と日本を区分できず無概念的な反日と民族主義に追いやる政治家らの突発的行動は自制することを促す」(ユ・ソンジン報道官)との批判論評が出てきた。
この「旗をめぐる寸劇」は12時間ぶりに終わったが、自治体は先を争って反日対策を出している。主に「共に民主党」所属の首長がいる所だ。自治体は先月30日にソウル・西大門(ソデムン)刑務所歴史館で52の地方自治体が参加する「日本輸出規制措置糾弾大会」を開き、「日本輸出規制共同対応地方政府連合」を発足させた。民主党所属の文錫珍(ムン・ソクチン)西大門区長が主導している。参加自治体数は現在100カ所ほどで、▽地方政府が購入・賃借する品目のうち日本製品の取引全面中断▽民間部門の日本製品不買、日本旅行ボイコット参加▽公務上の日本訪問と日本との姉妹提携活動中断などだ。
これとは別に今月初めに京畿道(キョンギド)は1等賞金500万ウォンの「半導体素材装備国産化アイデア公募」政策を出し、ソウル市江南区(カンナムグ)は管内の通りの万国旗のうち日章旗合計14枚を撤去した。
西大門区は区庁の日本製事務用品を回収して箱に入れる「日本製品使用中止タイムカプセル運動」を行っている。  
 8/6

 

「NO JAPAN」旗撤去へ=批判殺到、区長が謝罪−韓国・ソウル 8/6
日韓対立が深まる中、ソウル中心部に日本製品の不買運動を呼び掛ける旗を掲げたソウル市中区に批判が集まり、旗の撤去に追い込まれた。ソ・ヤンホ区長は6日、自身のフェイスブック(FB)に「日本国民に不必要な誤解を与えかねないという懸念を謙虚に受け止めます」と投稿し、謝罪した。
中区はソウル中心部に位置し、日本人ら外国人観光客に人気の明洞などがある。
日本政府の輸出管理強化措置に反発するソ区長は5日、「NO BOYCOTT JAPAN 行きません、買いません」と書かれ、日本製品の不買運動を訴える旗を韓国国旗と共に区内の通りで1100本掲揚すると発表。韓国メディアによると、6日午前に設置を開始した。
だが、区のホームページには6日までに、「韓国を好きで来る日本人がどんな思いをするか」「最も多くの外国人観光客が訪れる場所。それに見合う行動を」などと対応を批判する書き込みが殺到。区長が同日午後、FB上で旗を撤去する意向を表明した。   
"自由を愛する韓国人"が失望する文在寅のウソ 8/6
あたかも韓国全体が「反日」かのような誇張
結論から言うと、ソウルは平穏で日本料理店には韓国人客があふれ、ビアホールではアサヒビールが飲まれていた。ただ、反日はテレビと新聞の中、国会の中、日本大使館前だけで激しく展開されていた。これは私がソウルの日本大使館に調査員として勤務していた1982年の第一次教科書問題以来、ずっと同じで、日本のマスコミが韓国の政治家の発言とマスコミ論調を紹介し、大使館面の反日パフォーマンスを報じるので、あたかも韓国全体が反日で燃え上がっているかのような誇張が日本に伝わる。
ただし、今回の反日がこれまでと異なるのは、青瓦台(せいがだい、大統領官邸)が先頭に立っておあっていることだ。青瓦台の実力秘書官がSNSなどで連日、反日扇動を行っていることが特異な現象だ。
曹国(チョ・グク)大統領民情首席秘書官(7月26日に交代。法務長官起用説がある)が今回の反日の中心人物だ。彼はSNSで、「親日は利敵で、反日は愛国だ」という過激なメッセージを発信した。民情首席秘書官とは検察、警察、司法など法執行機関を担当する次官級の役職だ。その人物が親日は「利敵」だと明言したことの意味は重い。
韓国は違った国になろうとしている
青瓦台の反日扇動に合わせて、反日パフォーマンスやデモを主導しているのは、やはり親北左派活動家らだ。日本商品のラベルを踏みつけるパフォーマンスを主導したのは、北朝鮮主導の暴力革命を目指しているという理由で朴槿恵(パク・クネ)政権によって解散させられた極左政党・統合進歩党関係者だった。「NO安倍」プラカードをかかげる反日ろうそくデモも、朴槿恵弾劾デモを主導した極左労組などが主導している。
私は、文在寅(ムン・ジェイン)政権になって日韓関係だけが悪くなったとは思っていない。韓国がこれまでの日米韓3カ国同盟、自由民主、市場経済、反共という路線から外れようとしており、それが日韓関係にも反映していると見る。われわれと付き合ってきた韓国とは違う国になろうとしている。
北朝鮮の政権が半島の中で正統性があると考える「主体思想派」(主思派)が南で権力を掌握した。その結果、今までの路線から抜け出ようとしているのだ。
大統領府秘書官の半分を占める主体思想派
80年代に地区の革命運動に広がり90年代には学界、言論界、教育界、芸能界、労組、市民運動などに急速に拡大していった主思派がいまでは大統領府秘書官の半分を占めるようになった。本来は冷戦が終わり、社会主義勢力は衰退していくはずだが、民族主義が媒介になったため、そうはならなかった。
70年代は朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の独裁的なやり方に反対し、韓国は経済も豊かになったのだから、独裁を緩めて、民主化した方が北朝鮮の共産主義勢力との戦いで有利になるのではないかという民主化要求が起こった。
ところが80年代になると「正統性」の議論になった。韓国よりも北朝鮮の方に正統性があるという見方が急速に広がったのだ。その媒介になったのが『解放前後史の認識』という本だ。80年代の学生で読んでない者がいないくらいのベストセラーになった。
同書は解放の45年から大韓民国建国の48年までを扱っている。李承晩(イ・スンマン)政権は親日派を清算せず、日本時代の官僚や軍人、警察官をそのまま使ってスタートした親日派政権だ。彼自身は外国で活動していて、実際は銃一発も撃ってない。一方、同書には明記されていないが、その主張の延長線上で、金日成(キム・イルソン)は銃をとって戦い、親日派も清算している。民族主義の観点から南北どちらに正統性があるかという指摘にまで到達する。
韓国はさらにその後、親日派が親米派に化け、独裁政権となった。だから韓国の現代史は汚れた歴史だという捉え方だ。
「親日勢力の排除」こそ正しい歴史とする思想
文在寅が、大統領選挙の時に出した『大韓民国が尋ねる、文在寅が答える、完全に新しい国』という選挙公約を書いた書籍では「大韓民国の主流勢力を取り換える」と繰り返した。その主流勢力とは「親日勢力」のことだ。
同書にこう書いてある。「親日勢力が解放後にも依然として権力を握り、独裁勢力と安保を口実にしたニセ保守勢力は民主化以後も私たちの社会を支配し続け、そのときそのとき化粧だけを変えたのです。親日から反共にまたは産業化勢力に、地域主義を利用して保守という名に、これが本当に偽善的な虚偽勢力です」。
主流勢力とは彼らに言わせれば親日派であり、それが化けたという、反共派、親米派、開発勢力だ。これらが清算されていないのだと。だから全部を交代させてこそ、初めて歴史が正しく打ちたてられる、と主張している。同書の副題が「完全に新しい国」とされていることに、文在寅大統領の思想が表れている。
だから前任大統領を2人も刑務所に入れ、最高裁の前任長官も「徴用工判決を遅らせた」として逮捕した。彼らからすれば主流勢力を交代させる革命なわけだ。
保守派から反日批判の声が上がり始めた
保守派リーダーの趙甲済(チョ・ガプチェ)氏は「文在寅政権は現在、反日政策を使って、1自分たちの親北政策を隠す2韓米日三角同盟を弱体化する3韓国の主流勢力を親日派として攻撃する――という一石三鳥を狙っている。無条件の反日は反逆であり、是々非々の親日は愛国だ。今の機会に、韓国国民は、日本が韓国の敵なのか友人なのか、真実と国際法と国益の立場からきちんと概念整理をしなければならない」と先に紹介した曹国氏の親日利敵論に正面から反論した。
そして「自由韓国党の黃教安(ファン・ギョアン)代表が文大統領や与野党代表らと会談して、日本の措置を不当な経済報復だとして、政府与野党が協力して日本に対抗するとする文書に署名した。保守新聞の朝鮮日報も社説で反日には与野党の違いがないという趣旨を書いた。なぜ、文政権が65年の日韓請求権協定に違反していることが関係悪化の原因だと直言しないのか。日本や米国の自由を愛する友人らが失望しているはずだ」と強く警告した。
文在寅政権が約束違反をしていることが日韓関係悪化の原因だという趙甲済氏のような正論は、キリスト教系全国紙「国民日報」、自由韓国党の元議員ら、在野保守リーダーから発信されている。そして、戦時労働は奴隷ではなく、日本企業に賠償を求めた判決は歴史的事実を誤認しているうその判決だとする根源的反日批判の声も学者らから出てきた。
韓国の学界や司法界はみんなうそを主張している
李栄薫(イ・ヨンフン)ソウル大学前教授は大胆にも、韓国の学界や司法界はみなうそを主張していると激烈な批判を展開する。
「韓国の歴史学がどのようなうそをついてきたのかを列挙すれば限りがない。うそは主として20世紀に入り、日本がこの地を支配した歴史と関連してむやみに横行している。総督府が土地調査事業を通じて全国の土地の40%を国有地にして奪ったという教科書の記述はでたらめな小説だった。植民地朝鮮のコメを日本に積み出したという教科書の主張は無知の所産だった。日帝が戦時期に朝鮮人を労務者として動員し、奴隷として酷使したという主張は悪意に満ちた捏造(ねつぞう)だった。うその行進は日本軍慰安婦問題にいたって絶頂に達した。憲兵と警察が道端の処女を拉致したり、洗濯場の婦人を連行して慰安所に引っ張って行ったという多数韓国人の通念はたった1件の事例も発見されていない真っ赤なうそだった」
「うその学問がうその歴史を書いて若い世代に教えてすでに60年だ。その教育を受けて育った世代がついに最高裁判事にまでなったので、この国の司法府がうその裁判をすることはそれほどおかしなことではない」
「うそをつく社会や国家は滅びるのが歴史の法則」
同氏はさらに続ける。
「日本製鉄が原告に賃金を支払わなかったという主張は成立しない。強制貯蓄をうんぬんする判決文自体がその点を立証している。賃金は原告に伝達されていなかったなら舎監(しゃかん)が犯人だ。要するに該当事件は原告と舎監の間の民事事件だ。
最高裁判事は歴史家ではない。当時、戦時期の実態について何も知らない法律家にすぎない。彼らは原告のうその可能性が大きい主張を疑わなかった。彼らもやはり幼いときからうその教育を受けてきたためなのだ。彼らは国際人道主義を実現する、というあふれるばかりの正義感と使命感で判決を下した。そのためにこの国と国民がどれくらい大きな代価を払うのかは眼中にもなかった。うそをつく社会や国家は滅びることになるという歴史の法則が、このようにして少しずつ実現しているのかもしれない」
このような正論が、韓国保守の中心勢力である第1野党や保守新聞から発信される日が来るのか。あるいは少数意見として反日扇動に埋もれてしまうのか。韓国が自由陣営に残れるかどうかの最後の戦いが進展中だ。 
韓国、WTOで日本を非難するも中国は訴えず一貫性なし 8/6
韓国の国際機関への訴えによって、日韓の対立は否応なく国際世論をめぐる争いに発展した。気になるのは、世界がこの争いをどう見ているのかということだ。歴史認識をめぐってはこれまで日本が国際社会から批判を浴びてきた経緯がある。だが、ここに来て一気に風向きは変わっていた。
いよいよ日韓バトルは世界に飛び火した。日本が打ち出した韓国に対する半導体素材の輸出管理強化について、韓国は7月24日にジュネーブで開かれた世界貿易機関(WTO)一般理事会で、「不当な措置で自由貿易からの逆行」だと日本を非難した。それに対し日本側は「自由貿易とは武器に転用可能なモノや技術を管理・条件なしに取引するものではない」と応酬した。
さて、このやり取りを世界はどう受け止めたのか。この日の会議について、英ロイター通信(7月25日付)は、〈韓国は国際社会を動員して日本の動きを牽制するために一般理事会にこの問題を持ち込んだが、会議では第三国による発言はなかった。日韓以外の複数国の代表はロイターに、複雑な歴史が絡む2国の対立に巻き込まれたくはないと述べた〉と報じている。
そもそもWTOでは、多国間交渉のルールについて話し合うのが原則で、韓国が二国間の交渉ごとを持ち込むこと自体が異例だった。が、韓国の激しい主張にも他国の同調は広がらず、意見が出ないまま最後は議長が打ち切ったという。他の参加国が冷ややかに見ている様子が窺える。
ところがこのWTO理事会から帰国した金勝鎬(キムスンホ)・新通商秩序戦略室長は、ラジオ番組に出演し、日本を「ライオンがけんかに負けて、隅っこに行って傷をなめているようなもの」と評した上で、こう言ってのけた。
「日本側の対応があまりに荒唐無稽だったため、他の国は開いた口が塞がらないほど呆れていた」
韓国に言わせれば、他国は日本に呆れていたから、何も言えない状態になっていたということになる。日韓が対立する今、双方の見方が食い違うのは仕方ないが、韓国側の見解は第三国の報道ともあまりにかけ離れてはいないか。
WTOへの働きかけが空振りに終わった一方で、韓国は別の問題にも直面している。世界12位の経済大国であるにもかかわらず、韓国はこれまでWTOでは開発途上国と位置づけられ、高率関税による自国産業保護が許されるなどの優遇措置を受けてきた。そのときどきに応じて先進国と開発途上国を都合よく使い分けてきたのである。
そうした行為を問題視し、トランプ米大統領は7月26日、「WTO加盟国の3分の2が自国を開発途上国と定義し、優遇されてきた。経済成長を遂げた国々がこのような優遇を受けられないよう、あらゆる措置を講じてもらいたい」と米通商代表部に指示した。
トランプ大統領と金正恩委員長の米朝会談をお膳立てし、喜色満面だったはずの文在寅大統領だったが、気がつけば対米関係でも追い詰められつつある。国際ジャーナリストの山田敏弘氏はこう言う。
「そもそもアメリカ側は、韓国をあまり信頼していないようです。WTOで韓国は日本の対韓輸出規制強化が不当だと訴えましたが、一方で在韓米軍がTHAADミサイルを配備したことで韓国への団体旅行を禁じたり、現代自動車の工場を封鎖に追い込んだりした中国のことはWTOに訴えない。一貫性がないのです。ましてトランプ大統領と安倍首相の『ブロマンス』(仲のいい男同士のこと)という関係がある現在、日本には何をしてもいいと考えている韓国の言動を、トランプ大統領は快く思っていないはずです」
トランプ大統領は日韓対立について「双方が求めるなら、私は関与するだろう」と仲裁を示唆しているが、韓国への不信感がネックになるかもしれない。 
 8/5

 

異常な反日…外務省が韓国への「渡航注意」呼びかけ 8/5
外務省は4日、韓国への渡航・滞在予定者に対し、反日デモへの注意を呼びかける「スポット情報」を出した。日本政府が貿易上の優遇措置を適用する「グループA(『ホワイト国』から改称)」から韓国を除外する決定をしたことへの反発が収まらないためだ。韓国では、日本の統治からの解放を祝う「光復節」が15日に迫り、「反日」でヒートアップする危険性もあり、外務省は警戒を強める構えだ。
《デモが行われている場所には近づかず、慎重に行動し、無用のトラブルに巻き込まれないよう注意してください》
外務省はスポット情報で、韓国の在留邦人や旅行者らに、こう呼びかけた。
日本政府が2日、韓国を「ホワイト国」指定から外して以降、ソウルや釜山では大規模な抗議デモが行われている。
7月には日本大使館が入居するビルに車が突入して炎上し、釜山の日本総領事館には若者が侵入した。現地の日本メディアにも抗議が押しかけている。
以前から、韓国では「反日無罪」的な風潮があるため、日本外務省では、現地の日本企業や在留邦人、旅行客などが被害に遭わないよう、建物の警備強化や訪問者のチェック体制の確認などを呼びかけている。
韓国事情に詳しいジャーナリストの室谷克実氏は「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は『今後、起きる事態の責任は全て日本政府にある』と警告して、反日テロを煽っている。あと1カ月程度は反日世論の盛り上がりは続くだろう。特に、日本人学校の児童・生徒らの安全が心配だ。こんな時には韓国旅行は避けて、親日の台湾への旅行などがいい。それでも韓国に行くなら、万全の注意が必要だ」と語っている。 
韓国が「中国には従順、日本には攻撃的」な理由 8/5
私は、今の日韓関係を悪くしているのは文在寅政権で、韓国の一般の人々は日本に対し決して悪い感情は抱いていないと思っている。だからこそこれまで、文在寅氏批判は繰り返しても、韓国や韓国人に対する対応は別物として批判しないようにしてきた。しかし、昨今の日本製品不買運動や反日行動を見ると、さすがに違和感を抱かざるを得ない。というのも、韓国人の日本に対する対応と中国に対するそれがあまりにも違いすぎるからだ。しかも、そのことを韓国人は意識していないのだから、困ったものである。彼らは無意識のうちに、あるいは反射的に、中国へは追従し、日本には怒りを隠そうとしない。この思考パターンを改めずして、韓国人の日本に対する客観的見方も公平な対応も期待できないと思うので、ここでは敢えて指摘したい。中国が韓国に対して行っていることは、以下に述べるように相当悪質だ。なのに中国には唯々諾々と従い、戦後、韓国の復興に力を貸し、現在は正当な主張をしているだけの日本に、なぜこうも噛みつくのだろうか。中国が韓国にした大きな出来事を、現在から過去に遡りながら挙げてみる。
1、地上配備型迎撃ミサイル「高高度防衛ミサイル」(THAAD)配備問題をめぐり、中国は報復措置として、韓国製品不買運動、中国人の韓国旅行の販売停止などの報復を行い、韓国企業に甚大な被害を与えた。
2、中国は、高句麗は中国の一部と主張し、歴史を歪曲している。
3、中国は、朝鮮戦争に介入し、多くの韓国、朝鮮人を戦死させたばかりか、南北の分断を固定化させた。
4、元は、1231年から1273年まで、当時の高麗を攻撃し続けて、王朝を屈服させ、多くの朝鮮民族を苦しめた。
中国と日本を比較し、韓国の対応がどうであったか検証してみたい。
「THAAD報復」にも韓国の反中行動はなし
韓国政府が2016年7月に米軍のTHAAD配備先としてロッテグループが所有する土地を提供すると、中国における韓国企業に対する締め付けが厳しくなった。特にロッテは、中国に展開する多くの店舗で税務調査や消防衛生検査を受け、その結果、罰金を課せられたり営業停止処分を受けたりする事態が相次いだ。これに耐えかねたロッテは、ショッピングセンター「ロッテマート」を中国から事実上撤収させることを決めた。また、化粧品会社は税関審査と衛生承認手続きが強化され、中国市場へのアクセスが難しくなり、営業利益が急減している。さらに中国は国内の旅行会社に韓国ツァーの販売を停止するよう「口頭」で正式に指示しており、その状態が2年以上続いている。以前は中国人観光客の「爆買い」で賑わったソウル市内の化粧品販売店の中には、売り上げが70%減ったところもある。現代自動車は北京現代の北京第1工場を稼働停止することを決めた。これはTHAAD報復による販売不振が2年も続き、改善の兆しが見えないことが原因と言われる。
こうした中国の報復措置に対し、韓国のハンギョレ新聞はその社説で、「THAADは米国が運営の当事者なので、韓国政府の決定だけでは解決が不可能だ。特に北朝鮮の度重なる挑発で韓国政府の動きの幅はますます狭くなっている。このような事情を知っている中国が、韓国企業に無差別報復をするのは行き過ぎた処置」と批判している。しかし、中国の報復措置が2年以上継続し、実際に韓国企業に甚大な被害が発生しているにもかかわらず、韓国政府が効果的な対抗策を打ち出したとか、一般国民の間から中国製品不買運動や大規模なデモが発生したといった話は聞こえてこない。
日本に対しては全く違う。7月27日にはソウル市中心部の光化門広場で日本を糾弾する「ろうそく集会」が開かれた。主催者発表で5000人が参加したという。集会では「安倍を糾弾する」などのスローガンが叫ばれたという。朴槿恵前大統領弾劾を求めるデモと同様、今回も民衆労総や全教組系の極左組織が音頭を取っているものと思われ、今後土曜ごとの集会が一層大規模化する可能性がある。
「日本製品不買運動」に対する参加意思表明者も40%台から1週ごとに跳ね上がっている。これに賛同する人々も、実はそれぞれの家庭では多くが日本製品愛用者なのだが、世論の大勢に逆らえないのが韓国人の特徴である。日本に対し悪感情を抱いていない人々も、反日ムードを抑える働きができない。それが韓国の「不買運動」の実態でもある。
「高句麗は中国の地方政権」と主張する中国
中国は、東北部(旧満州)の歴史研究を目的とする国家プロジェクト「東北工程」を立ち上げ、1997年から研究を開始した。その中で高句麗と渤海を中国の地方政権としたことに対し、韓国国内で激しい抗議が起こり、2006年には韓中間の外交問題に発展した。
当時、東北工程の主唱者は、「中国の土地で展開された高句麗は中国の歴史」「三国統一ではなく、新羅による百済統合に過ぎない」「高句麗の領土の3分の2が現在の中国の領土であり、当時の高句麗住民の4分の3が中国に帰化した」などと主張した。これに対し、韓国「東亜日報」はその社説で、「韓国古代史を丸ごと変えようとする中国の執拗さがうかがえる。中国の『歴史侵奪』は、韓国の歴史的ルーツとアイデンティティを否定するものであり、中華の辺境に格下げし、状況によっては再び属国化しようという意図が読み取れる」と強い懸念を示すなど、反中ムードが高まるかに見えた。これを押さえにかかったのが、当時の盧武鉉政権である。中国との間で「学術討論で解決していき、政治問題としない」との政府間合意を結び、ひとまず沈静化させたのだ。
一方で盧武鉉氏は、日本に対しては正反対の行動を取った。竹島の問題を、領土問題から歴史問題にすり替えてしまった大統領である。盧武鉉氏は2006年4月25日、竹島を巡って「特別談話」を発表し、「独島(竹島の韓国名)はわが領土だ。特別な歴史的意味を持つわが領土だ。日本が韓半島侵奪の過程で、日ロ戦争の遂行を目的に編入した。日本が独島に対する権利を主張するのは、植民地の領土権を主張することだ」と日本を非難したのだ。
そもそも、竹島は日本の固有の領土であり、これが領土問題となったのは、李承晩大統領が「李承晩ライン」を公海上に引き、竹島を韓国領としたからだ。日韓はその後、それぞれに領有権を主張してきた。しかし、盧武鉉政権以降は様相が一変した。韓国が竹島を歴史問題として扱うようになったため、日本の領有権主張に対して極めて感情的に反応するようになってしまったのだ。そのため日韓関係が悪化するたびに、李明博大統領(当時)はじめ多くの政治家が竹島に上陸し、日本への抗議を示す場として機能するようにまでなってしまった。
しかし、韓国の人々にはよく考えてもらいたい。中国による「中国の土地で展開された高句麗は中国の歴史」との主張は悪質である。将来、韓国を属国化しようという意図が見え隠れしている。ところが、韓国は中国に対しては毅然とした対応を取れていない。一方で、竹島について日本がいくら正当な領土主張をしても、猛烈なバッシングを繰り返してくる。韓国の「領土」に関わる問題への対応が、日本と中国との間でこれだけ違いがあるのはどういうわけなのか。
朝鮮戦争に介入、南北分断を固定化した中国
1950年6月に北朝鮮人民軍が韓国に侵略、一時は釜山に迫るなど韓国は劣勢だったが、国連軍の仁川上陸作戦により形成は逆転、国連軍は鴨緑江に達した。そこで北朝鮮側に加わったのが中国だ。中国共産党は、人民解放軍兵士を義勇兵扱いにし「人民志願軍」として参戦、前線に投入された部隊だけで20万人、後方待機部隊を含めると100万人がこれに加わった。
朝鮮戦争は全土が戦場となったため、一般の市民も多数犠牲になり、その数は北朝鮮側で250万人、韓国側で133万人とも言われている。戦況は、中国の介入により38度線付近で膠着状態となり、南北分断が固定化することになった。これが南北分断の始まりとなる。韓国は、日本が韓国を36年間植民地化したとして、今でも事あるたびに歴史問題を持ち出す。しかも、日韓国交正常化の際に解決済みの問題も新たに持ち出し、慰謝料を請求してくる。そればかりか、日本がこれまで何度も日韓の歴史について反省と謝罪を述べたにもかかわらず、それでは不十分だという。それでは、韓国は中国の朝鮮戦争介入を問題視したことはあるのか。反省と謝罪を求めたことはあるのか。南北分断をもたらした中国に対し、北朝鮮への一方的肩入れを非難したことはあるのか。北朝鮮に対し、韓国侵略を謝罪させなくていいのか。日本の韓国併合を弁護するつもりはない。しかし、日本は戦後、韓国の発展のために多大な協力をしてきた。こうした歴史を韓国が理解することによって、日本を見る目も変わって来よう。そろそろ、日韓の関係も見直す時が来ている。
秀吉の朝鮮出兵より残酷な元の高麗王朝抹殺
モンゴル帝国は1231年から1273年にわたり、繰り返し高麗王朝を攻撃した。主要な戦いだけでも6度に及んでいる。そしてその後80年間、モンゴルの元王朝が朝鮮を支配した。日本からは豊臣秀吉による二度の朝鮮出兵があった(「文禄の役」1592〜1593年、「慶長の役」1597〜1598年)。韓国ではこれを現在でも「日本の韓国侵略」として非難し、先般のG20サミットの際も、豊臣家の居城・大阪城前での記念写真に異議を述べるほどだった。当時の朝鮮の人々が秀吉の出兵で苦しめられたのは間違いないが、元の朝鮮支配ははるかに残酷を極めた。また元寇という日本侵攻の際には、元軍の先兵をさせられ、多くの人命が失われている。にもかかわらず、秀吉=日本への批判に比べ、元=中国への批判は極めて小さいと言わざるを得ない。
これまで述べてきたように、韓国では日本との歴史問題について今も多くのわだかまりを持って見ている。中国との歴史問題への扱いを見ると一目瞭然である。日韓関係を改善させるためには、このような韓国の歴史に関するわだかまりを和らげることが不可欠である。韓国が中国に対しては歴史問題を持ち出さない理由は、おそらくかつて中国が宗主国だったという経緯があるので、「中国に対しては強いことが言えない」という意識があるのだろう。事大主義である。反面、日本は歴史的に韓国から文化を学んできた「弟子」であり、その「弟子」が「兄貴分」である韓国に対して行ってきた歴史的な数々の行為は許されない、という感情が働くのかもしれない。そうした優越感と、その裏側にある劣等感を取り除き、歴史を客観的に見ることが日韓関係を立て直す基本になるだろう。
客観的視点なくして歴史問題での接近はない
戦後の日韓関係において、日韓の歴史問題が起きるたびに、両国は歴史共同研究を発足させ、政治的解決を図ってきた。しかし、それに出てきた韓国の研究者は国民感情を背に強硬姿勢を貫いてきた。日本の研究者が、「事実はこうなのだから、良く確かめてほしい」と発言したところ、韓国側の出席者は「あなたは韓国を愛していないのか」と答えたそうである。
これでは歴史共同研究をいくらやっても成果はないだろう。ドイツとフランス、ポーランドの歴史研究に成果があったのは、国民感情を排して事実を突き詰めていこうという合意があったからである。韓国の歴史研究は、「韓国の論理に歴史的事実を如何に当てはめるか」との見地で行われている。事実を事実として受け止めることをそろそろ始めて欲しいものである。そして歴史を客観的に理解する。日本も戦後韓国を多大に支援してきた。それを理解することで歴史に対するわだかまりを捨てることができるであろう。そうなれば、韓国の中国を見る目、日本を見る目が平等となるのではないか。 
反日感情を節制してこそ反韓感情も和らげることができる 8/5
安倍政府が韓国をホワイト国リストから除外して文在寅(ムン・ジェイン)大統領が正面対抗を明らかにした。韓日関係がどこまで悪化するか分からない状況だ。最近韓日政府の話や行動を見ると、過去見たことがないほど激しくなっている。激化と過剰の証拠は相手に対する怒りと嫌悪・敵対感を見れば分かる。反日感情や反韓感情も感情過剰の状態だ。
仏陀の五蘊(ごうん)説によると、「私」という人格は身体(色)・感じと感情(受)・考え(想)・意志(行)・意識(識)など5つの要素(五蘊)の結合体だ。人が生まれて身体と心が成長すれば五蘊も増加する。楽しい感じと不快な感じを誘発する対象が増え、楽しみは渇望に、不快感は敵対感と怒りに変わる。仏陀は過剰な五蘊を鋭く批判し、一つひとつを悪魔・障害物・でき物と呼んで「すぐに観察せよ」と説明した。
時には渇望と敵対感は強くなり不満も多くなる。それでもわれわれは世を捨てることが難しい。個人的な欲のためでもあり、政治が蛇のとぐろのようにわれわれをぐるぐると巻いているためだ。過剰の度合いを減らす道しかない。
個人の感情過剰も問題だが、集団の感情過剰はさらに大きな問題だ。集団感情は激しい集団利己主義(tribalism)からやってくる。今日世界の所々で政治理念や民族により組分けして対抗し、さらには敵意と怒りを表わして葛藤する集団利己主義が大半を占める。反日感情もそのような事例だ。反日感情を持って生まれる韓国人はいない。文化と教育・言論がそれを助長する。一度集団的な反日感情が起きればそれを瞑想を通じて観察することも難しく、結果を冷静に問い詰めることも難しい。集団感情に狂気が加われば心理的・物理的なテロをもたらしかねない。
現在の反日感情は韓国大法院(最高裁)の強制徴用賠償判決が招いた日本の経済報復措置によって起こされた側面が強い。韓国司法府の判断と粗末な外交政策に関わったものだが、韓国政府の要人や一部メディアは国民の反日感情を刺激している。これは無能さと無責任を隠そうとするもう一つの無責任な行為だ。
反日感情は節制しなければならない。ここには2つの利点がある。一つ目は日本人の反韓感情を和らげることができる。そうではなければ、日本人も反日感情に対して反韓感情や嫌韓・不信で対抗するだろう。柳成龍(リュ・ソンニョン)は『懲ヒ録』の冒頭で「願わくはわが国は日本との和平を失わないでほしい」という15世紀最高の外交官・申叔舟(シン・スクジュ)の遺言に言及した。
二つ目は韓国社会内部の怒りや憎しみを減らす。「韓日関係の改善のために外交力を発揮せよ」という人を土着倭寇だと追い立てるのは低級な陣営論理で、韓国社会を分裂させるだけだ。日本との和平を主張した柳成龍が土着倭寇第1号ということなのか? 彼は壬辰倭乱の惨禍を目撃して和平が生存のためにどれだけ重要なのかを骨身に染みるほど感じただけだ。チョ・グク前青瓦台(チョンワデ、大統領府)民情首席の「竹槍歌」云々などは反日感情をそそのかしてわれわれの冷静な判断を阻害する。万一、反日世論と外交的に誤った判断のせいで韓日米安保体制に回復し難い亀裂が生じれば自由民主主義である韓国の運命は危うくなるだろう。 
これ以上反日感情や敵対感を扇動してはならない。わが社会にあふれているのがそのような否定的な感情で、これが解放されて人をオオカミのように荒っぽくさせている。韓日葛藤で怒りと敵対感を自制して卓越した計算力を発揮し、われわれが勝てば良いことで、両国がともに勝てばさらに良いことだ。共に民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表の発言のように、日本は「離れることのできない隣国」であるため、感情があってもよく和らげて共存できる関係を結んでほしい。  
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「自発的、拡散、長期化?」 韓国の“反日不買運動” 8/3
韓国の“反日不買運動”が面白い? ネットとテレビを中心に扇動が続き、各種パフォーマンスが面白おかしく紹介されている。テレビなどは朝の奥さま番組で“日本製不買コーナー”まである。夏休みで日本旅行をやめ国内旅行に出かけた家族を登場させ、幼稚園児風の子供に日本批判をしゃべらせている。こりゃまるで北朝鮮のテレビだ。
さる街はずれのよろず屋のおじさんが、店に「日本製品は売りません」と手書きの張り紙を出した映像では、店内の棚の飲料水にモザイクがかかっていた。「ポカリスエット」のようだったが、都合の悪いところは隠す。
筆者は若者街の「新村」に住んでいるが、近くのスーパーやコンビニでは話題のアサヒもサッポロも変わらず売っている。昨夜、突然の雨で急ぎつかまえたタクシーの運転手は「スギノイ(杉乃井)を知っているか?」という。「九州・別府の有名なホテルだけど…」というと、「来月、夫婦で出かける予定」といって温泉で会話がはずんだ。
「言論」といわれる韓国のメディアはもともと「こうあるべき」論が大好きで啓蒙(けいもう)、お説教、扇動を得意とする。だからこのところの日本製不買運動キャンペーンでは「自発的」「拡散」「長期化」を強調している。「そうあるべき」というわけだ。 
求心力向上狙う文大統領「二度と日本に負けない」 8/3
韓国の文在寅ムンジェイン大統領は2日、日本政府による対韓輸出管理の厳格化を激しく非難し、国民に団結を呼びかけた。
国家的な危機を盛んにアピールする姿からは、対日強硬姿勢をとることで求心力を向上させようとの狙いがうかがえる。
反転攻勢
2日午後に韓国政府が急きょ開いた閣議は、冒頭部分で異例の生中継が認められ、文氏は約8分間にわたって事実上の「国民向け談話」を読み上げた。
「我々は二度と日本に負けない。今日の韓国は、過去の韓国ではない」「(日本の)挑戦に屈服すれば、歴史は再び繰り返される。我々は十分、日本に打ち勝つことができる」
就任後、最も強い表現で日本への対決姿勢を鮮明にしたが、もともと日韓関係で守勢に回っていたのは文政権だ。歴史問題を重視する左派としては、元徴用工らへの賠償を日本企業に命じた韓国大法院(最高裁)の判決を尊重したい。しかし、徴用工問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決済みとの見解は、左派を含め歴代の韓国政府が維持してきただけに、文氏は対応に窮していた。
こうした状況で日本政府が輸出管理の厳格化に踏み切ると、文氏は「明白な貿易報復だ」と反発して一気に反転攻勢に出た。2日の閣議で「加害者の日本が盗っ人たけだけしく騒いでいる」と述べたように、国民の反日感情をあおり、対日関係の争点を徴用工問題からずらそうとの姿勢を見せている。
世論好感
韓国ギャラップの世論調査によると、文氏の8月第1週の支持率は48%で、7月中旬以降、高い水準を保っている。市民による不買運動も広がり、世論は文氏の対応を好感している。
韓国SBSテレビによると、与党の政策研究機関は7月30日、政権の対日強硬姿勢が来年春の総選挙にプラスに作用するとの内部報告書をまとめた。有権者の反日感情が続けば、政権の対日外交の失敗を追及してきた保守派の野党も声を上げづらくなるとの計算がありそうだ。7月18日に大統領府民情首席秘書官(当時)が自身のフェイスブックで、「重要なのは左か右かではなく、愛国か利敵かだ」と書き込んだのも、保守派への明らかなけん制だ。
経済動向
文氏は2日の閣議で、「日本政府の措置は我々の経済を攻撃し、成長を妨げようという明らかな意図を持っている」とも批判した。これまで、最低賃金の引き上げなど文政権の政策が経済低迷の一因と指摘されてきたが、「今後は日本のせいだと主張し始める」(日韓関係筋)との見方がある。
だが、国民生活に支障が出るほど景気が冷え込めば、日本との関係改善を求める世論が高まり、対日強硬姿勢が裏目に出る可能性もある。韓国銀行(中央銀行)は7月18日、今年の成長率の見通しを0・3ポイント低い2・2%に下方修正したうえ、3年1か月ぶりとなる利下げに踏み切った。 
 8/2

 

文在寅政権のデタラメに、日本が「休戦」を選ぶべきでない理由 8/2
米国が日本と韓国の対立に介入してきた。安倍晋三政権は8月2日にも、輸出許可を簡略化する「ホワイト国」のリストから韓国を外す方針だが、米国は日韓両国に「一時休戦」を提案する見通しだ。日本はどうすべきか。
結論を先に書こう。いくら米国の仲裁だからといって、日本が既定方針を変える必要はない。日本は韓国のホワイト国指定を取り消すべきだ。それで日米同盟が揺らぐこともない。逆に、方針転換すれば、韓国がますますつけ上がるだけだ。
事態は今週に入って急展開した。まず「これ以上、日韓関係を悪化させないように、米国が日韓両国に現状維持を求める協定に署名するよう要請する」という報道が流れた。問題解決を目指すのではなく、あくまで現状のまま一時休戦する提案である。
菅義偉官房長官は7月31日、報道内容を否定した。だが、米国のポンペオ国務長官は東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が開かれるバンコクに向かう機中で「米国は日韓両国が前向きな道筋を見つけられるように手助けする」と語り、仲裁に意欲を示した。
協定に署名するかどうかは措いても、静観する構えだった米国がここへきて仲裁姿勢に転じたのは、この発言ではっきりした。米国とすれば、日韓の対立がこれ以上、激化するのは、北朝鮮に対する日米韓の連携を考えても望ましくない、という判断だろう。
だが、日本は仲裁に応じるべきではない。なぜか。
言うまでもないが、対立の発端は韓国側にある。慰安婦問題に始まって自衛隊機に対する火器管制レーダー照射事件、いわゆる徴用工問題など異常な反日姿勢を連発してきたのは、文在寅(ムン・ジェイン)政権だ。日本が仕掛けたわけではない。
そうであれば、なにより韓国が反日姿勢を改めるのが先だ。これが1点目。
そのうえで、相手はそもそも「約束」とか「合意」をまったく守らない政権である。この点は重要だ。慰安婦問題では、日韓両政府が「最終的かつ不可逆的な解決」を合意して「和解・癒やし財団」を作ったのに、文政権が一方的に解散した。
徴用工問題もそうだ。日韓両国が1965年に日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決したことを確認」したのに、韓国側が蒸し返した。そうだとすれば、日韓が一時休戦に合意したところで、いずれ韓国が反故にするのは、ほとんど確実である。これが2点目。
それから、米国が仲裁しても、韓国のデタラメ姿勢は変わらない。それは慰安婦問題で証明されている。日韓両国は2015年12月28日、当時の岸田文雄外相と尹炳世(ユン・ビョンセ)外相がテレビカメラの前で合意内容を共同記者発表した。
すると、米国のケリー国務長官がすかさず合意を歓迎する声明を出した。日韓外相だけの発表では信頼できなかったので、米国を事実上の「立会人」として引き込んだのだ。
ケリー長官の声明は「この問題を『最終的かつ不可逆的に』解決することを明確にした」と、しっかり書き込んでいる。にもかかわらず、韓国は一方的に破棄した。今回も米国が仲裁に入ったところで、なんの保証にもならない。これが3点目。
ある意味、韓国の傍若無人というか、ふてぶてしさというか、立場をわきまえないというか、礼儀知らずというか、首尾一貫したデタラメさには感心する。
さらに、一時休戦そのものに意味がない。仮に、両国が休戦に合意したとしよう。それで何か問題が解決されるのか。これまでの文政権の姿勢を見れば、根本的な問題の解決に意欲があるとは、とても思えない。
今回に限らず、およそ休戦に意味があるとすれば、休戦中に話し合いが進んで、やがて停戦につながり、平和状態が回復できる期待があるからだろう。だが、文政権が続く限り、そんな見通しはない。韓国が狙っているのは、ホワイト国の指定外し回避だけだ。
休戦中に話し合いが始まる見通しがないなら、休戦したところで意味はない。日本が一方的に反撃の手を縛られてしまう状態が残るだけだ。これが4点目。
正確に言えば、日本の「ホワイト国指定外し」は韓国に対する「報復」でも「反撃」でもない。輸出管理をどのようにするか、という国内問題である。指定を外したところで、輸出が閉ざされるわけでもない。個別に審査して問題がなければ、輸出はできる。
今回の措置は単に、相手の輸出管理が信頼できないから、安全保障上の観点から優遇措置をとりやめて通常の審査体制に戻すだけだ。政府の立場に立てば、報復でも反日でもない。つまり「戦い」ではないから、そもそも休戦する話ではない。これが5点目。
誤解がないよう注釈すれば、私は「報復」に賛成である。
私は輸出管理強化を有効な「報復」「反撃」と認識しているが、それはあくまで「私の勝手な認識」だ。「政府の認識」ではない。政府は粛々と事務手続きを進めているにすぎないが、傍から見れば、報復になっている。そういう事態である。
およそ現代の国際関係において、ある国が他国に対して「報復する」とか「反撃する」といった事態を極力避けるべきなのは、当然である。すべての外交行動は相手国への敬意と礼儀をもってするのが望ましい。それを失ったら、単なるケンカだ。
だから、安倍政権はけっして、これを報復とか反撃とは言っていない。淡々と国際的に認められた手続きに沿って、輸出管理の運用を見直しただけだ。しかし、外から見ると、立派な報復になっている。
日本は韓国と「戦っている」わけではない。貿易相手国にふさわしい、きちんとした手続きを整えようとしているだけだ。この点は米国に誤解があるかもしれない。(真の意図はともかく)米国には日本がいかに礼儀正しいか、よく説明すべきだ。
過去の約束も道理も、礼儀もわきまえていないのは、文政権の韓国である。そういう国に、日本がそれなりのふさわしい扱いをするのは、当然である。安倍政権はぜひ、毅然とした姿を見せてほしい。 
 8/1

 

韓国の日本製品不買運動が行きつく“国民的大挫折”  8/1
韓国で「最大の反日イベント日」というべき「8・15光復節」まで2週間ほどになった。日本製品に対する「官制」の不買運動は、とりあえず8・15に向けて、トータルな反日運動との区分がなくなる様相を見せながら勢いを増している。憂慮されるのは“着火マン”が火の勢いを制御不能に陥り、とんでもない逃げ道に突入する事態だ。
「これは下から自然に盛り上がった運動であり、官制運動では断じてない」と韓国人は目をつり上げるだろう。
では、韓国・中央日報(7月24日)に載っていた、「韓日関係が悪ければ韓国大統領の支持率が上がり、良ければ下がった」との見出し記事を韓国人は、どう読んだのか問いたい。
記事には、金大中(キム・デジュン)政権で大統領府秘書室長を務めた朴智元(パク・チウォン)氏(=現在は左翼野党・民主平和党の国会議員)の回顧談が載っている。
「2001年、金大統領の三男が不正に関連したという疑惑が浮上した。私が『ちょうど日本の歴史歪曲(わいきょく)問題で世論も良くないから、民間で日本製品の不買運動を行ってみる』と提案」したというのだ。
この提案は却下された。だが、彼の言は、韓国の政権とはヤバい問題から国民の目をそらすため「反日」を利用してきたし、日本製品に対する「民間の不買運動」なら簡単に起こすことができる−という事実を率直に語っている。
今回の不買運動の口火を切ったのは、中小商人自営業者総連合会。ソウルの日本大使館の前で、日本メーカーのロゴを付けたパッケージを踏みつけた連中だ。その指導者は、それと知られた文在寅(ムン・ジェイン)支持派の人物だ。
不買運動が、ジワジワと盛り上がってきたところで、政権ベッタリの新聞ハンギョレ(7月20日)は「安倍政府は『日本製品不買運動』の拡散の意味を直視せよ」との社説を掲げて、猛烈に煽った。
先導は文在寅支持派。扇動は政権ベッタリ新聞。先導と扇動の間で、情報機関の「心理戦部門」が、お家芸ネット工作をしたのは「デマ情報政治国家=韓国」では日常茶飯事だろう。
マスコミ報道やネットを見て「自主的に」不買運動に追随している韓国人とは、踊らされている自覚がないまま踊っている哀れな存在ではあるまいか。
今回の不買運動の不幸は「これこそ日本の輸出管理強化への有効な対抗策だ」と、参加者たちに信じられていることだ。
それで韓国紙は「日本製ビールが大幅売り上げ減」と盛り上げる。日本にも「不買運動による日本の被害は甚大」であるかのように書く「反日新聞」がある。
だが、ビール会社のもうけが減ろうと、トヨタ車が韓国で売れなくなろうと、韓国人観光客が減ろうと、日本政府が「安全保障に絡む国策」を変えることはない。
だから不買運動の行きつく先は、国力大浪費の揚げ句の果てに“国民的大挫折”でしかない。それは政権浮揚力の劇的低下に直結する。
そうした見通しが立つ中で、不買運動は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長阻止運動と結びつき、「トータルな反日運動」の色彩を強めつつある。北朝鮮も「韓国はGSOMIAを破棄しろ」と“指令”している。
従北ポピュリズム政権にとっては、「GSOMIAの自動延長を拒否して日本に大打撃を与えてやった」と喧伝することが唯一の逃げ道かもしれない。 
 2019/7

 

韓国「反日デモ」は「反安倍集会」だった!  7/31
安倍政権の対韓国輸出規制に端を発した日韓政府の対立はどんどんエスカレート、その影響は民間レベルにも及んでいる。そんななかで、日本のマスコミに目立つのは、韓国における「反日」感情の高まりだけをやたら煽り、批判する報道だ。
たとえば、つい最近も日経新聞が「ソウルで数百人が反日集会 輸出規制強化に抗議」(27日ウェブ版)という見出しで記事を掲載。読売新聞も〈韓国では8月15日に日本の植民地支配からの解放を祝う「光復節」があり反日機運が盛り上がる〉(7月26日付)などと書き、産経新聞は社説の「主張」で〈韓国では日本に抗議するデモ、集会が開かれている。日本の公館や企業、邦人が反日テロの犠牲にならないよう、韓国政府はこれまでの対応を反省し、警備に万全を期す義務がある〉(29日付)と「反日テロ」が起きているかのような論調まで展開している。
しかし、こうした報道には明らかなフレームアップが含まれている。たとえば、日経など一部のメディアが「反日集会」「反日デモ」と報じた集会。これは7月27日、韓国・ソウルで開かれた「ろうそく集会」のことで、たしかに主催者発表で約5000人の市民が、安倍政権が実施した韓国への輸出規制に抗議していた。
だが、参加者が掲げたプラカードにあったのは、ハングルで「NO安倍」の文字。デモは“日本を攻撃する”=「反日」ではなく、安倍首相を糾弾するものだったのだ。
ソウル在住のジャーナリストで「コリアン・ポリティクス」編集長・徐台教氏によれば、集会の正式名称は「安倍糾弾 第2次キャンドル文化祭」。596の市民団体やNGOが主催したもので、南北の「民族宥和」の色彩が強いという。
徐氏は、北朝鮮問題における文在寅大統領の対話路線を踏まえながら、反文政権の韓国保守系野党との関係を念頭に、「安倍政権=韓国保守派=南北宥和の敵」という論理の介在を指摘する。安倍首相に対する韓国市民の感情として〈トランプ大統領の判断により18年5月末に史上初の米朝対話が「お流れ」になりかけた際、世界で唯一トランプ大統領を支持する立場を発表した点などから「日本政府は南北宥和を望んでいない」と受け止め、批判を強めている〉という分析だ(Yahoo!個人「韓国『安倍糾弾デモ』のメカニズム」7月29日)。
つまり、27日のろうそく集会には、輸出規制という安倍政権の暴挙に対する反発だけでなく、南北の平和を願う市民感情を邪魔しようとしている安倍政治への強い反感が背景にある。
それを「反日デモ」と呼んで、まるで韓国市民が日本市民全体への敵意を剥き出しにしたかのように報じる日本マスコミ。これは明らかにおかしいだろう。
たとえば、トランプ米大統領への市民の抗議は米国内だけでなく、世界各地で起きており、先日の訪英に際しては、イギリスで大規模なデモが行われたが、これが「反米デモ」とは呼ばれることはない(実際、日本のメディアも反トランプデモと報じていた)。
日本の安倍政権の政策に対する韓国市民の運動やデモ、抗議の動きを、日本のマスコミはなにからなにまで「反日」という言葉で表現してしまっているのである。
これはリベラル系の朝日新聞や毎日新聞も同様だ。「韓国内では反日感情が高まっている」「不買運動で民間レベルでも反日の動きが高まっている」などという言葉を平気で使っている。
米ブルームバーグは「安倍が始めた希望なき貿易戦争」の社説を掲載
まるでアメリカやイギリスを「鬼畜米英」と呼んだ戦中みたいな状況だが、それ以上に問題なのは、「安倍批判=反日」という歪んだ構図ができあがってしまっていることだろう。
言っておくが、そもそもこの数十年で最悪といわれる日韓関係は、安倍首相が煽りに煽ってきたことだ。“圧力一辺倒”で和平への道を塞ごうとした北朝鮮問題だけではない。輸出規制にしても徴用工問題への事実上の報復措置だが、その歴史的背景は戦争犯罪の責任であり、日本政府はこれまで民間への補償問題を韓国政府に丸投げしてきたをことごとくネグっている。事実、日本政府が「解決済み」と主張する日韓請求権協定からは、戦争犯罪に対する日本側の謝罪や賠償としての性質はことごとく削られている。安倍首相はこうした背景を完全にネグって、韓国攻撃に反転させているのだ。
そして、輸出規制に韓国政府や市民が反発すると、今度はいちいち過剰に反応して、どんどん対立や分断を煽っている。
たとえば、7月24日にジュネーブで行われた世界貿易機構(WTO)の一般理事会をめぐっては、国内外のマスコミが韓国への輸出規制の問題が各国関係者にどのように捉えられているかを一斉に報道した。すると、世耕弘成経産相は25日、〈一部報道では、韓国はこの沈黙をもって発言への支持を得たとみなしたと述べたと報じられています〉として〈事実は、議長が他出席者に発言機会を与えたが誰も発言しなかったので、一般理事会で本件へ同意が得らなかったということ〉などと強弁する怒濤の連続ツイートを投稿。ごく普通の報道にも異様にナーバスになり、すきあらば圧力をかけようとしているのだ。
しかし、国内のマスコミは圧力で誘導できても、国際社会は安倍政権による対韓輸出規制の問題を冷静に指摘している。
たとえば米通信社のブルームバーグは、22日「安倍首相が韓国と始めた希望なき貿易戦争」というタイトルの社説を掲載。〈21日投開票の参院選で勝利した安倍晋三首相は多くを成し遂げる政治的影響力を得たわけだが、まずやらねばならないのは、隣国の韓国に対して始めたばかげた貿易戦争をやめることだろう〉と一刀両断にし、安倍政権はごまかしているが徴用工問題への報復なのは明らかだとして、〈安倍首相の方は、政治問題の解決に貿易上の措置を使ったが、これはトランプ米大統領と中国が好む報復の戦略と似ている〉〈非常に偽善的〉と論評している。
いずれにしても、韓国市民の民主主義精神にのっとった“反安倍デモ”が「反日」とねじ曲げられて伝えられる国内マスコミの状況は、他ならぬ安倍首相が主導してきたことだ。これは韓国だけの話ではない。日本国内での安倍批判に対しても、ネトウヨや右派メディアが「反日」「売国奴」と糾弾する構図はすでにできあがっている。この国は、安倍首相のもとで一歩一歩、着実に戦中的な“独裁国家”の様相に近づいているのだ。 
ボイコットジャパン進行中 目的を見失った「レクサステロ」 7/27
韓国で反日運動が激化しています。騒動の原因は日本政府による韓国への輸出管理厳格化です。日本ブランドを目の敵にするこの運動は、日本への「報復」であり、その対象は日本を代表するコンビニ『セブンイレブン』や高級車ブランド『レクサス』にまで及んでいるようです。この記事では、韓国から日本への「報復」について紹介し、こうした事態が引き起こされた背景と、日本経済に与える影響について解説していきます。
韓国で日本製品の不買運動が激化「ボイコットジャパン」
今、韓国のインターネットで「ボイコットジャパン」と呼ばれる動きが広まっています。世界的に有名な日本ブランドのビールや衣類を購入しないことを呼びかけ、様々なパフォーマンスが行われています。実際にはアピールするだけで、商品が欲しい消費者は購入をやめているわけではないとの情報もありますが、実際の売上にも影響が出始めているとの報道もあります。
まず、韓国での日本製品不買運動の激化についてみていきましょう。
”販売しているだけ”のセブンイレブンも標的に
韓国の「ボイコットジャパン」の動きは、始まりのころは日本製品をその対象としてネットユーザーを中心に標的について情報が広がっていましたが、なんと小売店までもがその対象にされてしまいました。韓国に約1万店存在するセブンイレブンも、日本発祥だからという理由でボイコットの標的となりつつあるようです。実際には日本商品以外も販売しているはずのコンビニさえも一絡げに「ボイコットジャパン」の対象にするほど、韓国人の日本に対する悪感情が盛り上がっていることがわかります。
標的は韓国人!?目的を見失った「レクサステロ」
セブンイレブンやその他一部商品は「ボイコットジャパン」の対象としてリストに名を挙げられながらも、実際にはまだ購入者や利用者がいるようですが、高級車「レクサス」は、残念なことに現実に攻撃を受けています。「レクサステロ」と呼ばれる、同ブランド車のタイヤをパンクさせる器物破損行為が複数見られているとのことです。車のオーナーのほとんどは韓国人と考えられ、不買運動の目的である「日本社会への打撃」はもはや達成されるよしもありません。「ボイコットジャパン」から始まった日本製品への攻撃は、当初の「日本への報復」という目的を見失い、もはや単なる犯罪行為となっているようです。車に乗っているというだけで「反逆者」として扱われ、このような犯罪に巻き込まれてしまうというのは、セブンイレブンの例以上に韓国人の日本に対する感情の悪化を感じさせます。
なぜ?不買運動の背景
こうした激烈な不買運動には、どのような背景のもと引き起こされているのでしょうか。
日本による韓国への輸出管理厳格化
「ボイコットジャパン」の始まりには、日本政府から韓国への輸出規制の強化があります。7月24日に開かれた世界貿易機関(WTO)の一般理事会では、国際世論への働きかけを狙い、韓国は日本政府によるこの措置を議題として提起しますが、国際的な貿易問題を扱うべきWTOの会議では2国間の問題解決への働きかけは起こりませんでした。日本の輸出規制強化について徴用工問題との関連性を主張する韓国に対し、日本は軍事転用可能な品目であることがその理由だと主張しています。
徴用工問題とは?
朝鮮が日本の植民地だった時代、日本は日中戦争で不足した労働力を補うため、朝鮮の民間人を劣悪な環境下の炭鉱や工場で働かせていました。日韓の国交が正常化した1965年に締結された協定により「完全かつ最終的に解決された」と明記されたものの、元徴用工側はこれに納得せず裁判を起こし続けます。2012年には韓国の最高裁も解決していないとの判断を下し、2018年10月30日、韓国の最高裁にあたる大法院は韓国人4人へ1人あたり1億ウォン(約1,000万円)の損害賠償を命じる判決を下します。1965年の協定では個人の請求権は消滅していないとの判断に基づきますが、日本政府は日韓関係の「法的基盤を根本から覆すもの」だとして強く反発しています。
韓国市場は年間5,881億円…インバウンド市場への影響は?
日本政府には日本政府のロジックがありますが、実際に韓国人の日本に対する感情は非常に悪くなっているようです。すでに日本への旅行を取りやめる動きが複数の方面でみられているとの報道もあります。2015年に中国に抜かれるまで、訪日外客数で長らく1位となっていたのが韓国です。その後も今に至るまで、毎年順調に推移し、昨年2018年の訪日韓国人数は約753万人となっています。2018年の訪日韓国人によるインバウンド消費総額は5,881億円で、このまま旅行の取り消しなどが続けば、日本のインバウンド市場にとっての大きな経済的損失の発生は避けられません。このほか、インバウンド市場への影響を解説し、韓国人による今回の騒動への味方を紹介します。
大きな影響を受けそうな西日本
九州を訪れる訪日外国人のうち、2018年は約半数が韓国からの旅行客だったというデータがあります。また訪日韓国人観光客全体でも、西日本を訪れる比率が高くなっています。韓国と九州は地理的に近く、たとえば韓国の釜山から福岡までの距離は200kmほどで、所要時間はフェリー(高速船)を利用しても3時間程度、飛行機では1時間弱で着きます。国土の南北に長い日本で言えば、国内旅行と変わらぬ距離で訪問できる場所です。訪日韓国人が多く訪れる九州をはじめとする西日本の観光地では、本当に韓国人が日本への旅行を一斉にやめた場合には大きな痛手となるでしょう。今後の国民感情の推移を見守っていくしかない面もありますが、こうした情勢を踏まえた情報発信でかえって観光客の心に強く印象を残すことも可能なはずです。
「政府と個人は別」日本人観光客に対しては冷静な意見も
こうしたニュースを受けて、韓国の市民の認識を伝えようとする日本人のツイートも見られます。
「韓国のあるホテルが「日本人出禁」のポスターを貼りだしたが、「日本政府のやっていることと韓国がよくて遊びに来る人はきちんと区別しろ」「むしろ日本人観光客は歓迎しよう」とのレスが殺到。すごくホッとしている。」
引用リツイートされている韓国語のツイートをTwitterで翻訳すると「不買運動をしていた巻い構わないが、少なくとも韓国に対する関心に訪ねてくる人を門前払いする必要はないだろうか。国は果たしてどのような形で存在する必要がありだろう疑問を持つようにする」となり、多少日本語として不正確な部分はあるものの、ツイート主の、日本人一個人に対する感情と、日本政府の韓国への対応への評価を区分しようという主張がはっきりと見えてきます。
この韓国語のツイートには、ツイート主に賛同するリプライが多くついていると見られ、そのことに日本人ユーザーも好意的な感想を書き連ねています。政府間の緊張が高まる両国の関係を認識しつつも、お互いの立場を思いやる韓国人と日本人が存在することが、SNSの発言から確かめられたといえるでしょう。
政府への報復感情よりも、個人間の信頼により行動が決定されるのならば、今後インバウンド経済における韓国市場の回復も夢ではないはずです。今後の展開はインバウンド市場にとっても成長を左右する大きな要因であり、引き続き重要トピックとなっていくでしょう。 
韓国での日本製品不買運動、若者層が積極的 7/26
日本政府による対韓輸出規制強化策実施を機に始まった韓国での日本製品不買運動がさらに拡散している。一部、日本企業の消費財の売り上げが急速に減り、日本への旅行をキャンセルする例も増え始めている。不買運動がどこまで拡散するかは不透明だが、「若者層」が積極的に賛同していることが目につく。日本製品の不買運動が拡散しているという報道が多いので最近、気になっていろいろな店を回っている。
今日(2019年7月25日)午後にもソウル市内中心部の「ユニクロ」や「無印良品」を見てきた。混雑はしていないが、平日の午後だからとくにヘンだとは感じない。レジに人も並んで買い物をしている。テレビや新聞で、店頭から日本製のビールなどを撤去している場面を良く見かけるが、筆者が行く店にはいつも通り商品がある。数日前にも、日本製ビールを5本ほど買ったばかりだ。それでも一部日本製品の販売が急減していることは確かなようだ。「中央日報」によると、7月1〜18日の大手コンビニ3社での日本ビールの売上高は、前年同期比で18〜40%減少した。
ビール、日本車販売に影響
大手スーパーである「Eマート」での売上高は、同30.1%減少した。7月第1週は同24.2%減だったが、第2週は同33.7%減、第3週は同36%減とだんだんマイナス幅が大きくなっている。「ユニクロ」は販売動向を明らかにしていないが、同紙は、「最近、販売が26%減少した」と報じた。このほか、日本向け旅行商品や日本車の販売も急減しているという。ある日本の消費財メーカーの幹部も「6月以前に比べて販売が3割以上減っている」と語る。航空便については、羽田〜金浦便の搭乗率や予約率には大きな変化はないが、日本の地方空港への便については旅行客数の減少が出ているようだ。韓国のLCC(格安航空会社)が9月から相次いで日本便の休航や減便を決めた。イースター航空は、釜山〜大阪、釜山〜札幌間、エア釜山は大邱(テグ)〜成田、大邱〜関西が対象だ。いずれも韓国の地方空港発着の便だ。旅行会社の関係者は「企業の報奨旅行のほか、個人旅行の予約もかなり減っている」という。韓国ではネットのほか、一部放送でも、公然と日本製品の不買運動を呼びかける動きがある。これに呼応する消費者が少なくはないのだ。
連日の報道
不買運動の拡散を伝える報道も連日続いている。「毎日経済新聞」は7月25日付の第2面トップで「“日本製品、マート(スーパー)からどけろ”…労組まで“日本産OUT”」と報じた。強硬派で知られる全国民主労働組合総連盟(民主労総)など労組も日本製品不買運動に乗り出したという内容だ。売り場から日本製品の撤去を求めたり、店内で日本製品の案内をしないなどの措置に出る。また、民主労総傘下のサービス連盟全国宅配連帯労働組合は、「ユニクロ」製品の輸送をしないことを決めた。
実際の売り場がどうなるのかは分からない。また、「ユニクロ」配送を拒否する宅配運転手は、「全体の1.8%」(朝鮮日報)だという。影響がどの程度かは不明だが、それでも、こういう記事が連日大きく載ることで、不買運動を勢いづかせているともいえる。
若者層が熱心
もっとも、不買運動が「爆発的に拡散している」ということはない。一部を除くと日本の居酒屋は相変わらずにぎわっている。不買運動を呼びかけるデモや集会も頻繁にあるが、何万人、何十万人も参加した「国民集会」になっているわけでもない。ネットや新聞、放送でも不買運動を自制するように主張する声も少なくない。じわじわと広がる不買運動だが、当初からよく聞くのが「不買運動により熱心なのが若者層だ」という話だ。ある大学教授は、「日韓間で何か問題があると、比較的年齢の高い層が運動を主導してきた例が多かったが、今回は、若者がより積極的だ」という。家族で海外生活経験がある女性の大企業幹部は「親も子供も反日ではないどころか、ふだんは日本製品が好きなのに、スーパーに一緒に行ったら『日本製品はダメでしょ』と言われてびっくりした」と話す。
韓国メディアも「若者層の不買運動」に注目し、新聞や雑誌で関連の記事が多く載っている。実際には、若者層だけが不買運動に熱心なわけではない。世論調査会社「リアルメーター」が7月10日に実施した世論調査では、「不買運動に今後参加するかどうか」という質問に、「参加する」と回答した比率が20代が76.1%で40代と並んで最も高かった。ただ、1週間後の調査では、「すでに不買運動に参加している」「これから参加する意向がある」のどちらについても20代は多少下がった。
ちなみにリアルメーターは、7月10日、17日、24日と3週間連続で「日本製品不買運動に参加しているか?」という質問の世論調査を実施している。参加しているとの回答は、48%→54.6%→62.8%と上昇し続けている。「韓国ギャラップ研究所」が7月11日に実施した世論調査でも「不買運動に今後参加する意向があるか」という質問に、「ある」と回答したのは、19歳〜29歳66%、30代70%、40代75%、50代68%、60代以上59%だった。
日本製品は生活の一部だが…
全体的に高い数字で、若者層だけが突出して高いわけではない。それでも、韓国紙デスクや企業人、大学教授らに聞いても「若者層が熱心だ」という声が多い。学生時代から日本旅行に頻繁に行き、日本の居酒屋に出入りし、日本製品に慣れている。反日感情がさほど強くないのではと見られていた世代が今回は不買運動に積極的に反応しているとの指摘は多い。また、ネットでの呼びかけも若者層が主導する傾向も強い。では、その動機は何なのか?様々な意見を聞いてみた。
ある大学教授は、「若者層は、日本のビールを美味しいと飲み、ユニクロの服を愛用する。ゲーム機も使う。日本人も日本旅行も好きだ。これはもう生活の一部になっている」という。その一方で、「小さい頃から、日本に対するコンプレックスがなく、対等だという意識が強い。中高年層とは明らかに異なる日本に対する認識だ。だから、日本に強く出てこられると、さらに抵抗感を持つ」日本に留学経験がある大企業幹部も似たような意見だ。「日本人や日本製品とは切っても切れない関係で、必ずしも反日ではない。だが、日本が思いのほか強く出てきて、メディアも『危機意識』をあおる面があって、『こちらも見るものを見せてやろう!』となったのではないか」
韓国紙の幹部は、「若者層にとって、日本はその上の世代に比べてもさらに近い存在になり、日本の製品も文化も生活に溶け込んでいる。『日本が報復措置に出た』という刺激的な報道を見て、ふだんはあまり意識しなかった歴史問題とか反日的な感情が出てきた。愛国教育の影響もあるのかもしれない」とみる。韓国紙の20代の記者は「ネットを見ると、不買運動の書き込みが多い。何となく周辺の視線も気にする世代で、目立ちたくないという意識が強いのではないか」と語る。「週刊朝鮮」は「不買運動の先頭に立つ」のは進歩系の考え方を持つ若者層だと記事を載せた。たしかにどの世論調査でも、進歩支持層が保守層よりも不買運動にずっと積極的だ。韓国では、日本政府がなぜ強い姿勢に出ているのかという背景や事情について分析した報道は、それほど多くはない。 徴用工を巡る大法院判決や、日本企業の資産の差し押さえに発展していることについても、何となくはニュースで知っているという程度だ。だから、「勝つか負けるか」という単純な構図でとらえがちだ。
とはいえ、韓国では不買運動を「感情的な対応」とは受け止めていない。7月23日に「リアルメーター」が実施した世論調査では、「不買運動が感情的なもので問題解決に役立たない、という意見に同意するか」という質問に、61.8%が「同意しない」と回答した。
いつまで続くのか?
さて、では不買運動は今後どうなるのか?「さらに爆発的に拡大する」との見方はほとんど聞かない。
それでも、今後どの程度続くかについては、見方が分かれる。ある中堅企業会長は「若者層は、あっという間に反応したが、実用的でもある。徐々に落ち着いてくる」と語る。だが、一方で、「今回の不買運動を通して多くの韓国の消費者がふだん、いかに日本製品に依存しているのか驚いた。これを減らそうという動きは簡単には収まらない」との意見も少なくない。もちろん、両国政府間で解決に向けた動きが出るのかどうか。日本政府が追加措置に踏み切るのかどうかなど不確定要因があまりに多く、予測は不可能だ。そんななか、「毎日経済新聞」にこんな記事が出た。タイトルは「不買運動の断層」。ある記者が、自分の1日を振り返って書いている。「目覚ましがなりテレビをつけて罪悪感に陥った。ブランドが『ソニー』だった。時節柄、日本製品は自制しなければとテレビは消した」「今日の気温は32度まで上がる。Tシャツにジーンズか。また、申し訳なくなった。みんな『ユニクロ』だ」コンビニで簡単に朝食を済まそうと思ったが、緊張した。「ブランドをよく考えないと。セブンイレブンは日本の店か?すぐに検索。『1927年米国ダラスで生まれたグローバルブランドで日本のイトーヨーカ堂が買収した。(韓国セブンイレブンは)ロッテ持ち株会社が79.66%、辛東彬(シントンビン)会長が8.76%…(中略)』」こんな具合に記事は続く。どこに行っても、日系の店や商品がある。「日本産(製品)の生命力は驚異的だ」
記事は、日本への旅行商品の「不買運動」にも触れる。日本への旅行を紹介するサイトが休止したり、日本旅行を批判するサイトなども紹介しながらも、ネットでは賛否が渦巻いているという。さらに旅行とは本来は、苛烈で多忙な生活に終われる中で「ひと休みして人生に木で言えば“節”を作る過程だ」という大学教授の言葉を引用する。「竹のように節ができれば逆境にもくじけない。節にはリラックス、休息、興味が混じっていれば良い」が、「政治や外交の論理が節に混じってしまうことが心配だ」と結ぶ。
この記者は、「不買運動は当然良いことだ」とも書いているが、生活全般に「日本」が入り込んでいる現実と、不買運動に政治や外交が作用していることに懸念を表す。日韓両政府の今後の対応も関心事だが、韓国での不買運動がさらに拡散するのか、そうではないのか。韓国在住の関連日本企業にとってはきわめて重大な問題だ。  
 

 

解決策を提示せず国民の反日感情に火をつける韓国大統領府 7/19
韓国大統領府が朝鮮日報と中央日報の記事に「韓国の国内世論を日本に誤って伝えている」と批判し、両紙はその記事を電子版から削除した。政府が新聞の社説を公式に批判するのは先進国では考えられないが、事実誤認があるわけではない。
他の媒体に転載された記事も削除されたが、今の段階でネット上に残っている朝鮮日報の社説「解決策を提示せず国民の反日感情に火をつける韓国大統領府」の日本語版(元記事は削除)の一部を紹介する(強調は引用者)。
「米国に韓日間の仲裁を要請した韓国大統領府の金鉉宗国家安保室第2次長は帰国の際「1910年の国債補償運動、そして1997年のアジア通貨危機で金を集める運動を行った時のように、今こそ一つとなって(日本の報復という)危機を共に克服しなければならない」と述べた。当初期待されていた米国による仲裁について確かな回答を得ることができなかったため、「国債補償運動」という110年前の運動を持ち出しはじめたのだ。」
これは韓国政府のアメリカに対する外交的な働きかけが失敗したことを批判している。1910年の国債補償運動とは、「大韓帝国国民の自主的な募金活動によって、日本からの借金を返済し、ひいては経済的独立を守ろうとした運動」である。
「韓日対立」の原因が、韓国の「強制徴用被害者」への賠償をめぐる判決と韓国政府の対応にあることも、朝鮮日報は明確に指摘している。
「日本の報復まで招いた今の韓日対立は、強制徴用被害者への賠償判決から始まった外交問題だ。韓国政府が事前に動いて日本側と対話を重ね、解決策を見いだしていれば、今のような事態にはならなかったはずだ。ところが「三権分立」を口実に8カ月にわたり韓国政府が事態を放置した結果、問題はここまで大きくなった。政府が緻密に対応できず、半導体産業や企業に大きな被害を出させておきながら、その一方で100年前の時のように「日本と戦おう」と呼びかけているのだ。与党・共に民主党による「日本報復対策特別委員会」の委員長は「義兵を立ち上げるべき事案」と発言した。今の外交対立を「義兵」と「竹槍」によって解決するというのだろうか。」
半導体産業に「大きな被害」が出ることを認めている。これに対する韓国政府の対応が、経済政策の失敗を隠す「官製民族主義」だとも指摘している。
「親日清算を強調してきた文大統領が今年の3・1節に行った演説も、リベラル系の学者たちからでさえ「典型的な官製民族主義」などと指摘された。「官製民族主義」は政府の失策に対する批判から国民の目をそらせるため、他の方面に注目を向けさせることを目的に行われるケースが多い。「冷静な外交的対応」を求める声に対し、政府の支持者たちは「土着倭寇」などと逆に批判している。感情の噴出は一時的だが、経済の悪化は長期にわたり影響し、国民に構造的な被害をもたらす。現実的かつ合理的な対応策を一日も早く準備していかねばならない。」
朝鮮日報は保守系だが、韓国メディアからもこういう指摘が出てきたことは興味深い。韓国政府は強気を装っているが、世論はゆらいできたようだ。優遇措置解除は、確実に効果を発揮している。日本政府は今後も現在の措置を維持することが賢明だろう。 
韓国人の「日本製品不買運動」一度も成功したことがない単純な理由 7/12
日本政府が7月1日、韓国をホワイト国から除外すると発表してから、韓国ではこれに対抗して「韓国も日本製の輸入を規制すべきだ」とか、「日本車などを買うのはやめるべき」とか、ネット上ではすでに反日の機運が高まっている。
韓国ではこれまで反日感情を抱かない人に対して「親日派」と差別してきたが、新たに「土着倭寇」というレッテル貼りが一般化してきた。土着倭寇とは、「自生的な親日賦役者を意味する新造語」という意味らしいが、意味がよく分からない。なぜ倭寇(わこう:日本人の侮蔑表現)なのか。日本に対して嫌悪感を持たずにいることが、果たして誰かを略奪することなのか。いずれにせよ、日本に対して悪口を言わないと「土着倭寇」にされてしまう現実は一部韓国人にも煩わしいようだ。
日本大使館前に集まった商人、自営業者たちが声を荒らげ、日本の企業名が書かれた箱を踏みにじりながら日本製品不買を訴えるシーンは、日本人にも強い印象を残した。報道によるとトヨタコリア、ソニーコリア、ロッテ、ユニクロなどが、不買運動に遭わないか強い懸念を表明しているという。
韓国における「日本製品不買運動」は100年ほど前から起こり、独島(日本名:竹島)、歴史教科書、慰安婦各問題や日本の政治家の失言騒動などが起こるたびに、性懲りもなく日本製品不買運動が繰り返されてきた。
「繰り返し起こるのは不買運動が成功しないからです。たとえ気持ちが日本に対して批判的だったとしても、自分の欲しい物=日本製品を買うのは当然の消費者心理ですからね」(韓国ウオッチャー)
実際、日本のマスコミは韓国人がものすごい反発をしているかのように報道し、日本国内に「韓国への配慮の必要性」を拡散している。これがまさに韓国の狙いだ。
「実は日本大使館前に集まった自営業者たちは一般人ではなく『韓国中小商人自営業者総連合会』の構成員です。昨年まで会長を務めていたのは印兌淵(イン・テヨン)で、彼は現在、青瓦台の秘書官として政権内にいる人物。2012年大統領選挙では文在寅の選挙対策委員会の市民キャンプ共同代表を務めた『運動家』としての経歴を持っています。そして今回、不買運動パフォーマンスを主導している現会長のキム・ソンミンは昨年11月、ソウル市内のど真ん中で『大統領様 ありがとうございます』というプラカードをもって文在寅を称賛する集会を開いた人物です。日本製品不買運動を繰り広げているのは、実際には筋金入りの左翼活動家であり、政権とも間違いなくつながっている団体なのです。つまりあれは中国と同じ『官製デモ』ですよ」(同)
日本の皆さんは騙されてはいけない。 
 

 

文在寅政権、虚勢を張れば存亡の危機 7/10
昨年、徴用工賠償判決、慰安婦合意破棄、レーダー照射等により韓日関係が悪化したが、日本を訪れた韓国人は750万人に達し、過去最多を記録した。日韓貿易も日韓関係が悪化するのと裏腹に増加する傾向である。
韓国の歴代大統領は支持率が落ちると必ず反日扇動に傾く。だが、本音は親日という点でも共通している。
金泳三氏は旧総督府の建物を撤去したが、日帝時代の恩師の子孫を青瓦台(大統領府)に招待して恩返しした。文在寅氏も反日扇動をしているが、夫人は釜山の茶道学校に通い、娘は日本留学をした。
今、韓国では「金泳三は“日本の悪い癖を直さなければ”と妄言して IMF金融危機を招いたが、文在寅は慰安婦合意破棄、徴用工賠償判決で経済危機を招き、国民だけ被害を受けるだろう」という世論が広がりつつある。
もともと、徴用工問題は1965年、日韓国交正常化を妨害しようと朝鮮大学の朴慶植教授が書いた『朝鮮人強制連行の記録』がテキストになり、強制徴用、無賃奴隷労働と、事実が歪曲されてしまった。
まず、朝鮮人徴用工という名称が間違っている。その多くは1939年から大卒者3倍の給料を得ようと,募集・斡旋に志願した人たちだ。実際の徴用は44年9月〜45年4月まで8カ月間だったが、給料は日本人と同じ金額が支給された。当時の炭鉱労働者の証言や日記には、飲み過ぎて泥酔したり、花札に興じたり慰安所に出入りしたことが記録されている。
今回、日本の輸出規制強化の原因は、文在寅政権の反日路線と文政権の顔色をうかがう司法府の徴用工賠償判決が火種となった。
1965年の国交正常化に際し、日本は無償3億j、有償2億j、民間借款3億j、合計8億jの経済協力資金を韓国に支援。韓日請求権交渉で、日本が請求権を放棄して韓国に残した財産22億jを含めると、韓国は30億jを受け取った計算になる。この資金等の協力が韓国経済成長の肥やしになって貧困を卒業できたわけだ。
さらに、個人請求権は韓国政府が負担することで合意し、朴正煕政権時2回(1975年、77年)、盧武鉉政権時2回(2005年、07年)、“徴用工補償”が行われた。
従って韓国司法府の賠償判決は、国際法と国際常識に反する無理筋といえる。日本が経済制裁を加えた理由には、安全保障上の理由も大きい。
日本の輸出規制品目である半導体やディスプレイの3素材(フッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガス=フッ化水素)のうち、エッチングガスは化学兵器の原料だからだ。この剤は‪一時、‬韓国に大量輸出されたが、北朝鮮に流出した疑いもある。日本が輸出規制を本格施行すると、サムスン電子の生産ラインは停止せざるを得ない。
サムスン電子の株式の57%以上が外国人投資であるため、米国も投資損失を被る。韓国経済は致命傷を負うおそれがある。
韓国の携帯電話、精密部品を含む自動車、造船、鉄鋼、重化学製品、生産設備の国産化率は20%に過ぎず、80%が日本製の精密部品、機械、設備、生産ラインだ。
日韓関係の悪化は、中国と北朝鮮が望むものである。韓米日三角安保協力が崩れると、東アジアの勢力均衡に亀裂が生じ、結局、地域の平和・安全保障秩序が破壊される恐れがある。
オバマ氏は2014年に韓米日首脳会議を手配し、2015年、韓日慰安婦合意の調整役を果たした。米国は、韓国の安保を左右する同盟国で、日本は韓国経済の存亡を左右する友好国だ。韓国は虚勢を張らずに米国に仲裁を要請し、日本に協力を要請しなければ、存亡の危機に直面することになろう。  
韓国の不買運動、日本で報じられない裏側のカラクリ 7/10
日本政府が7月4日に発動した韓国向けの半導体や液晶材料について輸出規制措置、そして貿易規制上の優遇措置対象である「ホワイト国」からも除外される可能性があることから両国間に葛藤が深まっている。対象になったのはフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目。これらが日本から円滑に供給されなければ、韓国は輸出産業の核ともいえる半導体分野で大きなダメージを受けるのみならず経済全般に激震が走ることは明白だ。
1920年代 朝鮮物産奨励運動ポスター。『他が作った製品を買わないようにしよう、買えば我々は次第にやっていけなくなる』というスローガンが示されている。ここで「他」というのは日本のことである。
韓国政府と財界は、日本側の強攻策にパニック状態だ。表面的には依然強気な態度を崩さずにいるが、政府が緊急会議を開き対策を模索する一方で、半導体の世界トップシェアを誇るサムスンの副会長は日本の財界人らと会うため急遽訪日を決めるなど、対応に追われている。
日本でも大きく報じられる不買運動
今回の措置について日本政府は「徴用工裁判」との関連性を否定しているが、韓国は徴用工裁判の事実上の報復的措置とみている。その真偽のほどは明らかでないが、韓国内の反応は大きく二つだ。
一つは、韓国政府の対日外交の未熟さを叱咤する声、もう一つは日本側の措置を韓国に対する嫌がらせ、イジメだと認識し、日本を悪者として批判する動きだ。
後者の例としては日本のテレビ、新聞にも紹介され話題となった「日本製品不買運動」を挙げられる。日本大使館前に集まった商人、自営業者たちが声を荒らげながら日本の企業名が書かれた箱を踏みにじりながら日本製品不買を訴えるシーンは、日本の視聴者にも強い印象を残したことだろう。
本稿ではこの「日本製品不買運動」について少し補足説明したいと思う。これによってこの運動に対するイメージもだいぶ変わってくるのではないだろうか。
毎年恒例のような日本製品不買運動、効果は微々
韓国における「日本製品不買運動」の歴史は長い。なんと100年ほど前、1920年代から日本製品を買わずに、我々が作った製品を買おうという運動が行われていたのだ。当時行われたのは、朝鮮の製品、即ち国産品の生産を奨励するとともに外国(日本)製品を排斥しようという運動であった。
その後も韓国では日本製品不買運動が幾度となく行われてきた。1965年の日韓会談を皮切りに独島(日本名:竹島)問題、歴史教科書問題、慰安婦問題、日本の政治家の失言騒動などが起こる度に、性懲りもなく日本製品不買運動が繰り返されている。
ポイントは、この運動が「繰り返し」行われているという点だ。これは視点を変えてみれば「効果が無かった」、あるいは「続かなかった」ということを意味している。毎年禁煙宣言を、あるいはダイエット宣言を繰り返す行為とまるで同じである。
不買運動の目的=「日本政府へのプレッシャー」
不買運動が成功しない理由は明白だ。表面的に反日感情や愛国心を叫でみたところで、自分が購入するものについては損得勘定抜きに選択することなどできないのだ。誰だって自分で稼いだ金を使うとなれば合理的に考え、その価格が高くなるものであればなおさら冷静に考え購入するものを選ぶだろう。
たとえ韓国人の「気持ち」が日本に対して批判的だったとしても、自分の財布のひもを解くときには、それが「どの国の製品か」という問題よりも、その製品の価格、性能、デザインがより重視される。日本製品不買運動がいつも失敗に終わる理由もそこにある。韓国の消費者に日本製品の方が韓国製品よりも優れていると判断されるのだ。例えば、韓国において韓国製品の方がより高い評価を受けているスマートフォンは日本製品不買運動の対象にはならない。不買運動などしなくても、韓国の消費者は日本製スマートフォンをあまり買わないからだ。
では何故、ここまで効果が見られない(一時的な効果があったとしてもすぐに挫折するような)不買運動が、毎年のように行われているのだろう?  それは運動をして見せること自体がその「目的」であるからだ。つまり、日本の対韓輸出に対する対抗ではなく、日本政府に対し「プレッシャー」を与えることが真の目的なのだ。
現在、まさに進行中の不買運動にしても、日韓両国のマスコミは、怒れる市民運動家たちが日本大使館前で反日集会を開き、日本を非難する映像を繰り返し流した。この映像を見た人たちはどう思うだろう。日韓両国の国民はそれぞれに、これが一般的な「韓国の雰囲気」だと思うのではないだろうか。韓国の視聴者たちは「怒れる市民運動家たち」の姿を見て、それが韓国人の反応として正しいものだと考え、日本政府の措置に対し反感を抱くようになるだろうし、日韓関係にさほど関心がない日本の視聴者たちの中からも「そこまで韓国人を怒らせる必要があるのだろうか?」と日本政府の措置に懐疑的な意見を持つようになる。
実際、日本のマスコミは韓国人がものすごい反発をしているかのように報道し、日本国内に「憂慮」を拡散しているように見える。これが広まれば多くが日本政府に譲歩、あるいは妥協を求めるようになるだろう。誰も「泥沼状態」は望まないし、それは避けるべきだと考えているからだ。それでも日本政府が態度を変えなければ、あるいは措置を強化するようなことがあれば、やがて人々は日韓問題の責任は日本政府にあると考えるようになるだろう。韓国側にとってこれ以上好都合なことはない。
だが、日韓のマスコミが伝えない、この不買運動の裏側を見れば、この運動に対するイメージは180度変わることだろう。
1970年代から日本製品不買運動に関与してきた韓国政府
韓国の情報機関「国家情報院」が2007年に発刊した「過去との対話、未来の省察5」という資料がある。ここには過去に韓国の情報機関が関与し企画した工作が紹介されているのだが、注目したいのは、朴正煕政権時代、国家情報院の前身である中央情報部がマスコミを利用し起こした「反日工作」についてである。
1973年に東京で「金大中拉致事件」が起きた。韓国の中央情報部が野党の指導者であった金大中を拉致した事件である。自国において外国の、つまり韓国の情報機関が起こした犯罪行為に対し、当時の日本政府は韓国政府に対し強く抗議し、日本社会にも反韓感情が広まった。結果として韓国政府が国内外において窮地に立たされることになった事件だ。
資料には、これに対処するために韓国マスコミを利用し韓国内で日本糾弾集会や日本製品不買運動を集中報道させるという、中央情報部の計画が記載されている。韓国国民が反日集会や日本製品不買運動といった行動を起こし、日本に激しく反発する姿をマスコミを通じて国内外に宣伝することによって、一方的に追い込まれた「守勢」から、「攻勢」へ転じようという目論みである(自衛隊哨戒機に対するレーダー照射により韓国が窮地に追い込まれたときに、「低空脅威飛行」というカードで国内の反日感情を盛り上げ「反撃」に出たのとよく似ている)。
金大中事件は、40年以上も前の軍事政権時代に起きた出来事だ。その後韓国は民主化を成し遂げ30年以上が経ったと自負する。だが今の韓国の雰囲気は当時とは違うということができるだろうか? 
不買運動団体の前代表は現職の青瓦台秘書官、現代表も親文勢力
今回、日本大使館前で記者たちを集め日本のブランドの名前が書かれた箱を踏みつけるというパフォーマンスをしてみせたのは韓国中小商人自営業者総連合会という長い名前のついた団体だ。この団体の性向が問題だ。
この団体で昨年まで前会長を務めていた印兌淵(イン・テヨン)は現在、青瓦台の秘書官として政権の核心部にいる人物だ。彼は過去、韓米FTA反対、国家保安法廃止を主張し、2012年2月には統合進歩党(内乱扇動容疑で強制解散された親北極左政党)の党大会に参加し支援演説、2012年大統領選挙では文在寅の選挙対策委員会の市民キャンプ共同代表を務めた「運動家」としての経歴を持つ。
そして今回、不買運動パフォーマンスを主導している共同会長 キム・ソンミンは昨年11月、ソウル市内のど真ん中で「大統領様 ありがとうございます」というプラカードをもって文在寅を称賛する集会を開いた人物でもある。
つまり日本製品不買運動という「パフォーマンス」を繰り広げているのは、日韓両国のマスコミによると「一般人」のように紹介されているが、実際には筋金入りの親文在寅勢力であり、政権とも間違いなく繋がっている団体なのだ。ここまでくれば「官製デモ」だと言っても大きく外れてはいないだろう。
結果から見れば、反日集会や日本製品不買運動により両国関係をより深い「泥沼」状態であるかのように見せることに成功し、日本の世論に「疲労感」を与える程度の効果はあったと見るべきだろう。文在寅政権がそれを意図的に行っていたにせよ、そうでないにせよ、軍事政権が過去に行ってきた手法をそのまま踏襲しているのだ。
残念なのは日本で、このような背景が全く報道されていないということだ。もし、このような背景が、詳細に報道されていたのなら、日本国内の反応も違うものになっていただろう。韓国の怒りと不買運動をみて、韓国人の怒りに対する憂慮と両国関係に対する懸念を感じる人よりは、韓国政府の「焦り」を感じ取る人の方が多かったのではないだろうか?  
日本製品の“不買運動”で広がる影響…「泣き笑い」韓国企業の今 7/9
日本政府による輸出規制措置に触発され、韓国内で日本製品の“不買運動”が広がっている。
過去にもさまざまな政治的葛藤で、日本製品の不買運動は起こったことがある。しかし今回は、日本政府が韓国最高裁の徴用工判決に対する事実上の経済報復としての規制であるだけに、不買運動が激しくなる見通しだ。
7月7日、韓国大統領府の掲示板には「日本の経済制裁に対する政府の報復措置を要求します」という請願が上がり、2万7000人が賛同した。またオンライン上では、不買運動の対象企業リストが急速に拡散している。
そのリストには、自動車、電子機器、衣類、ビール、コンビニなどなど、日常生活で簡単に接することができる製品が網羅された。
ソニー、パナソニック、ニコン、キヤノンなどの電子機器ブランドをはじめ、トヨタ、ホンダ、三菱などの自動車ブランド、ユニクロ、ABCマート、アシックス、デサント、無印良品などのファッションブランド、アサヒ、キリン、サッポロなどビールブランドなどが、不買運動の対象として挙げられた。
韓国ネットユーザーたちは不買運動を象徴する「ノー(NO)」というロゴを共有し、参加を促している。「NO」という英字の「O」は日の丸のデザインで、「ボイコット・ジャパン(BOYCOTT JAPAN)」「行かない」「買わない」というフレーズが一緒に書き込まれている。
不買運動が全方位に広がっている状況下で、流通業界は神経を尖らせている。すぐに大きな売り上げの変化はないが、今回の事態が長期化する場合、ブランドイメージに打撃を受ける可能性が高いからだ。
特に“不買企業”に挙げられたユニクロは、状況を注視している。ユニクロは、日本の株式会社ファーストリテイリングの傘下にある代表的な日本企業だ。ユニクロは数年前にも、旭日旗が登場した広告とTシャツで物議をかもしている。
ユニクロ側は今回の事態と関連し、言葉を選んだ。ユニクロの関係者は「不買運動と関連して話すことはない」と、具体的な言及を避けた。
日本本社が99.96%の株式を保有しているABCマートコリアも、「現在の状況を見守っている」とし、慎重な立場だ。
日本系コンビニの韓国ミニストップも、事態を静観している。韓国ミニストップは最近、大象(テサン)グループが保有株式をすべてイオングループに売却し、日本企業が株式の100%を保有することになった。
韓国ミニストップの関係者は「まだ目に見える売上減少などの変化はない」とし、「不買運動と関連して私たちができることがなく、ひとまず推移を見守っている」と述べた。
一方で、日本企業と誤解を受けて飛び火した企業もある。コンビニのセブンイレブンはボイコットリストに挙がったが、日本企業とは距離が遠い。セブンイレブンはアメリカのコンビニブランドで、株式の79.66%をロッテが保有している。
「日本に行かない」航空・旅行業界の不安高まる
「日本製品を買わない」という不買運動に加えて、「日本旅行をやめよう」という声も大きくなっており、航空・旅行業界にも不安が高まる雰囲気だ。
実際に、本格的な休暇シーズンである7〜9月に入ったが、航空会社と旅行代理店の実績改善期待値は、高くないと予測されている。7月7日、証券業界によると、格安航空会社(LCC)はすでに供給過剰な状況に加えて日韓両国の関係悪化が原因で、日本旅行の需要が急減すると予想した。
テシン証券ヤン・ジファン研究員は、「最近報道された韓国人のビザ発給強化措置は、“ノービザ入国を制限する”という措置なのか、“長期滞在のためのビザ発給条件を強化する”ということなのか未知数で、実現可能性は希薄だ」としながらも、「しかし両国関係の悪化が原因で、日本路線の回復は当分の間、期待しにくい」と述べた。
ケープ投資証券によれば、LCCはティーウェイ航空10カ所、チェジュ航空8カ所、ジンエアー6カ所などと、日本路線の割合が大きい。LCCは各社のシェア競争が激化し、平均運賃が昨年比0.9%ほど下落する見込みだ。
韓国を代表する旅行会社ハナツアーとモドゥツアーの株価も、不安定な状況にある。
日本の輸出規制が実施された7月4日、ハナツアーは一時株価が4万6850ウォン(約4685円)まで落ち、52週間安値を更新したりした。モドゥツアーも同日の株価が1万8700ウォン(約1870円)まで落ち、52週間安値を更新している。
不買運動の影響で、勢いづく韓国企業も不買運動の影響で多くの業界で緊張が続くが、むしろ恩恵を受けている韓国企業もある。
日本産文房具の不買運動によって、韓国を代表するボールペン生産企業であるモナミが注目され、ユニクロの不買運動により、「TOPTEN」ブランドを持つシンソン通商が勢いをつけている。
業界によると、韓国内の筆記用品市場は、1000ウォン(約100円)以下の低価格製品はモナミが掌握しているが、1000ウォン以上の高価な製品の市場は日本製品が主に占めてきた。
モナミ側は「今回の不買運動が文具業界全体に広がり、市場シェアを高めることができるきっかけを用意した」とし、「消費者が日本製品の代わりに国産製品に目を向けるなど、“メイド・イン・コリア”製品に対する認識が変わることを望む」と述べた。
ユニクロ不買運動の恩恵を受けているのは、韓国SPAブランド「TOPTEN」を運営するシンサン通商だ。
シンサン通商は「TOPTEN」の他にも、「OLZEN」「ZIOZIA」「ANDZ」などを保有しており、OEM方式(製造を発注した相手先のブランドで販売される製品を製造すること)で衣類を生産し、輸出する。ファストファッション業界でユニクロと競合関係にある「TOPTEN」が注目されたのは、日本製品不買運動の恩恵と解釈できる。
証券業界関係者は、「日本製品不買運動のおかげで、韓国企業が注目を集めているが、実際の売上高にまでつなげられるかはしばらく見なければならない」とし、「現在までは“不買運動”によって株価が上昇しているが、実際の売上高や市場シェアの増加に影響を与えかは見守る必要がある」と分析した。 
 2019/6

 

 
 2019/5

 

韓国教育現場の「反日」扇動は生徒に毒だ 5/10
急に親日清算問題で韓国全体が騒がしくなり、学校も混乱に包まれた。全国の複数の学校では、数十年にわたって歌われてきた 校歌 は、「親日」のレッテルを張られて消えようとしている。一部の学校では生徒らが校歌を歌うことを拒否し、卒業式や入学式で校歌斉 唱を行わない学校も出ているという。新たな校歌制定をめぐり、生徒、教員、保護者、同窓生などの意見が一致せず、対立が起き てい るケースもあるという。一方、ヒノキ科の常緑針葉樹、カイヅカイブキを校木に指定している一部の学校では、校木を変更し、カイヅ カイブキを撤去している。日帝(日本帝国主義)強制占領期に在職していた歴代校長の写真を下ろし、学校設立者の銅像や記念館 を撤 去しようという動きも出ている。京畿道内の学校で日本の「戦犯企業」の製品にステッカーを張ろうとした動きは世論の反対で棚上げ された。
親日派のレッテルを張られた人物がつくった校歌だという理由で歌うことを禁じたり、日本の一部企業を戦犯企業に分類したり する 行為は自主独立国家らしい行動とは言えない。我々は生徒に対し、人種、文化、宗教の壁を越え、理解、寛容の精神でさまざまな国の 人々と交流する世界市民教育を行わなければならない。75年前のことを持ち出し、反日感情を持たせるように扇動することは、 国際 化時代には合わない。日本を排斥する代わりに和解と協力を通じ、共同の利益を追求する「協力の克日精神」を教えるべきだ。
血気盛んな青少年は国家・民族問題に敏感な反応を示す。誤った教育で日本および日本人について、歪曲(わいきょく)された 認識 を持つことがあってはならない。どの国の人であれ、互いに尊重して付き合い、共に未来へ進む世界市民として成長できるように後押 しすべきだ。 チョ・ジュヘン元中和高校校長
校長先生だった人なんですね。昨日の教授といいこの元校長といい、Koreaでもまともな人が教育界で出世出来るのには驚きます。やはり、反日で騒いでいるのが全てではないということですね。
とは言え、あの文ちゃんを選んだKoreaですから油断は禁物。やはり、未来永劫付き合わないことが前提です。
その中でも、こうして命懸けで信実を発信している人達は日本で受け入れ、世界に信実を発信してもらうべきでしょう。そうすれば、世界も、何故日本が特亜3国と国交断絶するのかを理解してくれるでしょう。 
“反日”で韓国を駄目にした…朝鮮日報が文在寅政権を猛批判! 5/6
ここ最近、文政権に批判的な記事が目立つ韓国各紙、5月5日には朝鮮日報が「『反日』で韓国を駄目にして日本を助ける『売国』文在寅政権」と題した朴正薫論説委員の署名記事を掲載した。日本人もこの記事の多くの部分に共感できると思う。
「韓国の文在寅政権が「親日」フレームを駆使するのは、左派統治のための一種の「陣営の論理」にほかならない。心から問いたい。….日本のために韓国の国益を投げ捨てる売国奴がいるということか。…光復…からおよそ70年が流れ、世の中は大きく変わった。…にもかかわらず、70年前の物差しを持ち出して魔女狩りを繰り広げ…ている。…「先進国」でこんなことが起こっていいのか、と思う。」
「韓国人は自らの力で光復を勝ち取ることができなかった。他人が持ってきてくれた独立だった…。国力競争で日本に勝つことが真の光復だった。・・新たな国家建設に力を貸した国民一人一人が独立運動家だった。そうして国を発展させた克日の民族エネルギーを、現政権は理解できずにいる。」
「サムスン・LGは(ディスプレー市場で)血のにじむ生き残りゲームで勝利し、・・テレビは30年におよぶソニーの独走を終息させ、現代・大宇は造船の「日の丸軍団」に立ち向かった。現代自動車はトヨタ、ポスコは新日鉄に匹敵する競争相手へと成長した。これが克日であって、真の独立だろう。」
「企業だけでなく、あらゆる部門、全ての韓国国民がそうだった。各人が己の立ち位置で日本を競争相手として、国力を育むことに力を貸した。光復後の70年史は、また別の独立運動の歴史だった。」
「「親しくしてこそ勝てる」という克日の観点を、現政権は理解できずにいる。単細胞的な世界観で固まり、国際孤立と外交的なのけ者状態を自ら招いている。・・韓国の国力が衰弱したら誰が喜ぶか、想像するのは難しくない。反日を原理主義的教理のごとく振り回す権力者に問う。どちらが日本を助ける親日で、誰が国を駄目にする売国をしているのかと。」
14年にも及んだ日韓国交正常化交渉が纏まった1965年頃からの、韓国経済の発展振りは誰もが目を見張るほど見事だった。記事にあるようにそれは「克日」の賜物だったに違いない。そこで筆者は、朴委員が「韓国人は自らの力で光復を勝ち取ることができなかった。他人が持ってきてくれた独立だった…」と歴史を振り返って、正しく自覚しているところに先ず注目する。

韓国は国家としての「正当性(legitimacy)」に関して北朝鮮に「引け目」を感じているといわれる。それは金日成が率いた北朝鮮が曲がりなりにも日本と戦ったのに対して、李承晩の韓国は、三・一運動は総督府に内乱として即座に鎮圧され、上海臨時政府も国民党政府の庇護の下で旗揚げを宣言したに過ぎないことに起因しよう。
この辺りは古田博司筑波大学教授の2013年11月8日付産経新聞正論「『棚ぼた式独立』」の傷うずく韓国」に詳しい(古田教授といい、「アジア女性基金」の世話役の一人だった国際法学者の大沼保昭教授といい、一旦は韓国に肩入れしたものの、後に裏切られ失望させられた方の韓国評はその分余計に辛辣だ)。
ともかくも大韓民国独立は連合国から与えられたことは否定しがたい。が、事実よりもあるべき歴史を求める文政権は1919年3月1日の三・一運動をもって韓国が独立した、と歴史を歪めにかかっている。その病膏肓に入り、金日成の抗日闘争を建国の原点にしている北朝鮮の金正恩を三一運動100周年の式典に招くという挙にすら出た。勿論無視されたが、この頓珍漢さは絶望的でさえある。
次に朴委員が「企業だけでなく、あらゆる部門、全ての韓国国民がそうだった。各人が己の立ち位置で日本を競争相手として、国力を育むことに力を貸した。光復後の70年史は、また別の独立運動の歴史だった」というのにも、筆者はその通りだとの感を覚える。

我々日本人は官民10億ドル超の日本の経済協力ばかりを「漢江の奇跡」の源泉として強調し勝ちだ。が、ベトナム戦争の恩恵もそれに勝るとも劣らない。韓国とベトナムというと我々は慰安婦問題との関係でついライダイハンを想起するがそれだけではなさそうだ。朝日新聞は「韓国、軍も企業もベトナム参戦」と題する2008年の特集記事でこう書いている。
「(静岡大学教授の)朴教授によると、韓国は65年から72年まで米国からのベトナム特需で潤い、その総額は10億2200万ドルにのぼる。うち72%が、労働者や軍人の送金、道路建設、浚渫工事、輸送など貿易外だった。「韓国は売る物がなく、労働力を提供するしかなかった」と朴教授は言う。現代、韓進、大宇、三星……。後の大財閥は、ベトナム特需で発展の基礎を築いた。」
いかな朝日でもベトナム特需10.2億ドルは捏造ではなかろう。朴教授の書く通り「朴大統領ら政府首脳は、日本が朝鮮戦争の特需で戦後復興を成し遂げたことをよく知っていた。韓国もベトナム戦争に積極的に加わり、特需により経済発展を遂げようとした」。事実、日本の戦後復興は紛れもなく朝鮮戦争のお陰だった。要するに「全ての韓国国民が」日本を手本として「国力を育むことに力を貸した」のだ。
次は「反日を原理主義的教理のごとく振り回す権力者に問う。どちらが日本を助ける親日で、誰が国を駄目にする売国をしているのかと」と述べている部分だ。韓国と北朝鮮の「反日」の原点の一つとして、光復後の南北朝鮮の指導者となった金日成と李承晩の二人が二人共、日本統治期にはそれぞれソ連と米国に逃げていて、日本統治を経験していなかったことを指摘する論がある。
また、韓国には386世代と呼ばれる層(1990年代に30代で、80年代に大学生として民主化運動に参加した60年代生まれ)がおり挙って文大統領支持らしい。共通項は386世代も文在寅(1953年生)も金日成も李承晩も揃って日本統治の経験がないことだ。一方、苦心惨憺して1965年に日韓の国交を回復させた世代はみな日本統治の経験者だった。ここに深い意味がある。
最後は朴委員が「国力競争で日本に勝つことが真の光復だった」と書く「克日」だ。筆者は4月30日の投稿で「向上心を失い努力をしなければ人間は進歩しない」、自分を他者と比べて一番になりたがることを「果たしてそれは悪いことだろうか。筆者はそうは思わない。…要は妬み嫉みがいけないだけだ」と書いた。
この記事に筆者が共感した一番の理由は実はここだ。1965年当時の韓国は妬み嫉みを横に置き、日本に勝つ努力をしたと思うのだ。凡そ向上心を持つ者には妬み嫉みが生じにくいのではなかろうか。
優れている対象の存在はむしろ自らの努力の源泉だ。努力して追い付けば達成感になるし、如何に努力しようが及ばないと悟れば対象への敬意が湧く。そこに妬み嫉みが生じる余地がないとはいわぬ、がそう激しくはなかろう。
まさに、未だに「70年前の物差しを持ち出して魔女狩りを」しているようではとても韓国を「先進国」と呼べまい。文大統領がやるべきは、半世紀前の気持ちに立ち戻り、朴委員のいう「また別の独立運動の歴史」を作ることと筆者は思う。が、果たして韓国の読者はこの記事をどう読んだだろうか。 
 2019/4

 

 
 2019/3

 

韓国で進む「革命」とは何か 3/12
文在寅(ムン・ジェイン)政権下の韓国を指して、「左翼革命」など、革命という言葉が使われるのを最近よく目にする。
現代の世界でかつてのような共産主義革命が起こるとは考えられない。意味しているところは革命にも似た急激な左傾化、ということだろう。では左傾化とは何か。
イデオロギーとしての反日
たとえば、いわゆる元徴用工への賠償判決は、財産問題の解決を定めた1965年の日韓請求権協定を結んだ、朴正煕(パク・チョンヒ)政権の否定だろう。慰安婦問題の執拗(しつよう)な蒸し返しは、その娘である朴槿恵(クネ)政権による2015年の慰安婦問題に関する日韓合意を、事実上ほごにしている。つまり文政権がしていることは、先立つ韓国の非左派政権の飽くなき否定であるといってよい。
朴槿恵政権時代の最高裁長官が、徴用工訴訟の判決を遅らせたとして1月に逮捕されたことなども、同じ流れにある。積み重なった弊害を正す、文政権の「積弊清算」の一環だろう。
先の「三・一独立運動」100周年では、「親日の残滓(ざんし)清算」という言葉も飛び出した。非左派政権下で続いた戦後の自国を否定することが、日本への否定に転じている。ありていにいえば「反日」である。
筆者は、韓国の反日には大衆の感情的なものと、イデオロギー的なものとの2つの層があると思っている。ここに見える反日は後者である。なぜそのようなことになるのだろう。
建国批判
前もっていっておけば、筆者は韓国の反日ぶりに辟易(へきえき)しているが、「嫌韓」などという言葉も好きではない。感情的な反発は何も解決しない。なぜこのような事態になっているのかを考えることが必要だと思っている。
韓国の経済史学者、李栄薫(イ・ヨンフン)氏の優れた著作『大韓民国の物語』を参考にしたい。前書きの日付は2007年。左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の時代である。文大統領は盧氏の秘書室長を務めていた。
韓国の政治指導者は大韓民国がまっとうに建てられた国ではないと思っているようだ、と李氏は書く。
「彼らはいったい何を言おうとしているのでしょうか。その批判の前後をよく聞いてみると以下の通りです。…日本と結託して私腹を肥やした親日勢力がアメリカと結託し国をたてたせいで、民族の正気がかすんだのだ。民族の分断も親日勢力のせいだ。解放後、行き場のない親日勢力がアメリカにすり寄り、民族の分断を煽(あお)ったというのです」
この見方は韓国の左派の歴史観をよく表しているだろう。そこにあるのは自国の建国の批判であり否定である。李氏によると、だから「『過去史の清算』をしよう」ということになる。そしてその建国には「親日」がかかわっている。
この歴史観は、盧元大統領や文大統領にも通底しているものだろう。盧氏は親日反民族行為を糾明する法律などを作った。文氏が「親日の残滓清算」をいうのもこの文脈にある。
自らを否定する
国家であれ社会であれ、自らの属する集団やその枠組み、歴史を否定することは、左派に特徴的な傾向であるといってよい。一般的にいって、共産主義が退潮した現在では、左派や左翼という言葉は、共産主義との近さというより、自らへの否定として考えた方がわかりやすい。
歴史的に見てもそうなのである。左翼という言葉の起源になったフランス革命下のジャコバン党と、ロシア革命を指導したレーニンについては以前も触れた。ジャコバン党の急進的改革と、レーニンのいう革命は、古い社会制度や支配機構を否定するということが共通する。実際、レーニンはジャコバン党を、「搾取階級にたいする真に革命的な闘争の偉大な模範」として称賛している(「人民の敵について」)。
このようにして韓国の「革命」は、自らの出自と、それと結びついてきた親日派および日本への否定となるのだろう。左派政権が続く限りこの構図は簡単には消えまい。
このような韓国左派の考え方は、北朝鮮という共産主義国家と親和性を持つ。昨年の南北首脳会談以来、文大統領の親北的な態度はしばしば見てきたことであり、注意を要する。
ここでは非左派政権という表現を使って保守とは書かなかった。朴槿恵政権を思い起こすまでもなく、韓国では保守も容易に反日になる。韓国の保守は必ずしも親日ではない。
しかし、歴史の事実に即して日韓関係を見ようとする良識的な保守派も韓国にはいる。そのような保守派が自国のために声を挙げることを、筆者は願っている。
日本がこのような韓国の反日にたじろがず、毅然(きぜん)として対応すべきなのはいうまでもない。 
文在寅大統領が反日発言をした真意 3/2
韓国・文在寅大統領が三・一独立運動の式典で日本を批判
文在寅大統領は昨日の「三・一独立運動」記念式典にて、慰安婦問題に触れ、「終わったと言ってはいけない」と発言。竹島に関しても日本政府を批判した。平昌オリンピックでの北朝鮮との一連の交渉を経て、文在寅大統領の思惑はどこまで達成できたのだろうか。
高嶋)昨日、韓国では三・一独立運動の式典がありました。そこで文在寅大統領がいきなり、「加害者の日本政府が慰安婦問題で終わったと口にしてはならない」と批判し、それから竹島についても、「日本が奪った」と。いつも言っていることですが、これはどう見たらいいのですか?
宮家)三・一独立運動の式典ですから、日本のことを言わないわけにはいかない。それは百歩譲って良いです。 問題なのは、彼が望んだ南北対話と米朝の話し合いみたいなもの。これを画策してオリンピックにしかけて、ある程度やったとは思います。南北統一旗に、女性の応援軍団。金正恩の妹さんまで来た。それはいいのだけど、結局は上手く行かなかったでしょう。
高嶋)上手く行かなかったのですか?
宮家)そう思います。だって、まず米朝は話し合いをしなかった。北朝鮮が最後の土壇場で躊躇したわけです。私に言わせれば当然ですが。
高嶋)副大統領がやり過ごしたのもあるし、2時間前に北朝鮮の方から、メンツを保つために断ってきた。
宮家)そうなると、もう国民に誇れるものが無くなってくる。「これから特使を出す」と言っても、限界がある。私に言わせれば、韓国が最も勘違いしているのは、「米朝の仲介ができる」と思っている。だけど、アメリカは「そんな必要はない」と思っている。そこに不幸な、大きなボタンの掛け違いがあって。これだけ上手くいかないと、内政的に日本批判をする必要があったのだと見ています。
北朝鮮の核開発阻止ができない韓国〜米韓関係に影響
高嶋)本音のところで、「北朝鮮問題も、日本をはずして米朝とやりたい。北は仲間だから、話に加わってくるだろう」と、何となく、甘い期待もありそうですね。
宮家)そうですね。だけど、問題は核兵器でしょう?「何を言ってるの」という話です。それと、仕方がないかもしれないけれど、ああいう風な形でやっていくと、アメリカとの関係がおかしくなって来るのを、韓国はよく考えて欲しい。それから、「加害者が終わったと言ってはいけない」と仰るが、あなたと一緒にやったじゃないか。両国政府が「最終かつ不可逆的な」と言った。「あれはどういうことなの」という日本側の怒りは当然です。
高嶋)当たり前のことですが、あの約束をしっかり守り、ことあるごとに、まったく譲歩することなく、「あれをしっかり守れ」と言い続けている日本政府の姿勢はいいですよね。
宮家)それは当然ですがそうですよ。彼らがそれを言い出したらぐうの音も出ないはず。プロであればあるほど分かっている。だけど、まだまだ難しい。
北朝鮮の次の一手は米韓合同演習の中止
高嶋)逆に北朝鮮側から言うと、この間の平昌の対策とか、昨日の三・一運動の演説とかは、どのように受け取っているのでしょうか?
宮家)基本的にはこれで米韓分断が進み、それから日韓も上手く行っていない。それで、これから特使が来るとなれば、「何を盗ってやろうか。これを、あれを盗ってやろうか」ということで、いまのところは想定内で動いているのでは?
高嶋)細工は流々ですか?
宮家)北朝鮮からすれば、「南北首脳会談」というエサをちらつかせ、「韓国とアメリカの合同訓練は止めよう」となれば、なし崩しになるわけです。そこが彼らのポイントだと考えます。
高嶋)ということは、文在寅大統領の「微笑外交」というのは百の承知で、大した影響力はなかったということですね。
宮家)まあ、これからね。もちろん、対話がちゃんと進んで核兵器を断念してくれればいい。だけど、そういう状況に動いてなさそうだから、まだまだ……
高嶋)そこに持って行くように、文在寅さんは強行にやっていかなければいけないのですけどね。 
 2019/2

 

韓国反日感情、非は日本側に非ず 2/18
韓国の反日とはなんなのか――
日本と韓国との関係がこれほど悪くなってくると、日本側としては韓国がなぜこれほどに日本を叩き、ののしり、侮辱するのかを深層にまで踏み込んで探求する必要があるだろう。日本は韓国にどう対応すべきなのかという重大な課題も、まず相手の反日の真相を知ってからだろう。
韓国側の日本に対する一方的な悪意の言動は果てることがない。2015年の日韓両国政府間での慰安婦問題の最終決着合意を破っての問題を再燃化させての不当な日本誹謗、1965年の日韓国交正常化での国際公約を破っての戦時中の国家総動員への補償の理不尽な要求と、いずれも文在寅政権自体が反日の明確な意思を表示しての無法な動きだった。
韓国軍艦による日本の自衛隊哨戒機への火器使用レーダー照射にいたっては実質上の突然の軍事攻撃に等しい。韓国軍がともにアメリカの同盟相手である日本の航空機に対して戦闘行為に近い攻撃態勢をとることは、国際的な常識では想像もできない。
私自身の報道体験でもこの火砲使用レーダー照射が平時に行われることは異様きわまることが歴然としている。古い話だが1970年代前半のベトナム戦争中、私は当時の南ベトナムで米軍の軍事行動を報道していた。そのころの米軍は南ベトナムに攻撃をかけてくる北ベトナム軍の拠点を空爆していた。その際には米軍機が北ベトナム上空を飛び、北側からレーダー照射を浴びると、もうその瞬間に攻撃を受けるに等しいという判断を下してその照射の発射源にロケットやミサイルを即時に撃ち込んでいたのだ。
米軍はこの種のレーダー照射を英語でlock onと表現していた。つまりカギをかけるように攻撃目標として捕らえるという意味だった。米軍機がlock onされれば、それはもう敵がこちらを撃つために照準を合わせたことであり、瞬時に自衛のために攻撃に移る、ということなのだった。
だから照射を受けた自衛隊機は韓国軍からすぐに実射攻撃を受けてもおかしくなかったのだ。韓国軍のそれほど異様な行動だったのだ。韓国側のこのような日本に対する言動に共通するのは日本への憎悪、悪意、敵意である。一言にまとめれば反日だといえよう。日本はそれに対応すべきか。日本側の一部には「あくまで冷静に」とか「丁寧な無視を」という、結局はなにもしないことを提唱する声も強い。だが現実には韓国からすれば、日本にはなにをしても、なにを言っても、反発はないから大丈夫だという意識が明らかに徹底している。日本が相手ならば、どんなことをしても安心だという認識である。だから日本側への不当、無法の攻撃は果てしなく続き、さらにエスカレートしていくこととなる。
さてでは韓国の反日とはいったいなんなのだろう。なぜ反日なのだろう。
日本側では長年、韓国民が日本に悪感情を抱くのはひとえに日本の過去の行動、とくに日韓併合による朝鮮半島の統治の歴史が原因だとする考察が主流だった。あるいは戦後の日本側の韓国へのネガティブな言動が原因だとする考察も多かった。要するに非は日本側にあるという認識である。
ところがまったく異なる見解も存在する。しかもその見解は日本側でも韓国側でもない中立の第三者が発表しているのだ。その見解は簡単にいえば、韓国の反日感情は非は決して日本側にはない、原因も日本側になないのだという斬新な分析である。
つまりは「日本側の好ましくない言動が韓国側の反日を引き起こしている」という日本側の年来の考察の否定なのである。アメリカ人の政治学者による見解だった。その見解はワシントンで大きな波紋を広げた。
2015年6月のことだった。東アジア研究専門のアメリカ人政治学者で韓国の釜山国立大学准教授のロバート・ケリー氏は、「なぜ韓国は日本への脅迫観念にこれほどとりつかれているのか」と題する論文を発表した。アメリカの政治雑誌「ナショナル・インタレスト」など数誌に載った同論文はまさに韓国の反日の本質を論じていた。
ケリー論文の骨子は以下のようだった。
・韓国の反日は歴史や政治を原因とするよりも韓国民の自己認識(identity)そして朝鮮民族としての正統性(legitimacy)を内外に認めさせるため主張であり、自分の自分らしさの宣言なのだ。
・韓国は朝鮮民族としての歴史や伝統での純粋性、自主性を説いても北朝鮮にはかなわない。そのギャップを埋めるのが日本叩きなのだ。北朝鮮との正統性主張の競争での道具として反日を使っているのだ。
・韓国独自の北朝鮮に対する優位を説くには韓国側には米欧諸国や日本からの影響が多すぎる。民主主義も腐敗が多すぎる。だから日本を悪と位置づけ、叩き続けることが自国や自国民礼賛の最有効な方法となるのだ。
以上がケリー論文の最重要点だった。
ケリー氏の指摘が真実を指し示しているとすると、韓国の反日は日本の過去や現在の言動にかかわりなく存在するということになる。反日はその存在自体に意義があるのだから日本が謝罪しても補償してもなにも変わらないことにもなる。
日本の学者や政治家がこんな見解を述べたら大変なこととなろう。だが日本との特別なきずなもないアメリカ人学者が韓国に長期、住んだうえでのこうした論考ならば客観性は否定できない。韓国側も文句はいえないだろう。
韓国側の反日の原因も責任も実は日本側にはないのだとすれば、韓国の日本叩きはますます不当で理不尽ということになる。自分たちの独特の劣等感さえがからんでいるような勝手な感情だとすれば、日本側はそんな不当な感情の発露には代償を払わせる必要があるだろう。勝手に他国、他国民を誹謗中傷して、なんの制裁も懲罰も報復も受けないというのは一般の人間社会でもあってはならない状態である。まして理性や規則が尊重されるべき国際社会ではさらにあってはならない状況だといえる。
日本もついに行動を起こす時である。 
 2019/1

 

日本人は知らない…韓国がいま「働き方改革」でトラブル続出中のワケ 1/8
韓国の「働き方改革」、いきなりトラブル続出中!
日本と同様、最近韓国では「働き方改革」の風が吹いている。
韓国における働き方改革は、残業時間の短縮時間や最低賃金の引き上げ率が日本を大きく上回り、日本より速いスピードで改革が推進されているのが特徴。残業時間が減ることで業務への集中度が高まり、退社後にヨガやピラティスなどの「アフター5教室」に通う人々が増加したり、一部の大企業では雇用創出の効果も表れ始めている。
しかしながら、その急速な「働き方改革」の成果は決していいことばかりではない。
韓国中部に位置する世宗特別自治市と忠清南道地域の自動車労組は昨年10月1日に週52時間勤務制の実施により賃金が減少したとして、早急の対策を求めた。当自動車労組は賃金の減少分が補填されない限り、10月5日から総ストライキに突入すると発表。その後、労使の間で交渉が行われた。
結局、減少した賃金の一部が補填されることになり、幸いにストライキまでは至らなかったものの、全国各地で労働時間短縮による賃金減少の問題をめぐる労使間の葛藤は絶えずに起きている。
また、大幅に引き上げられた最低賃金の影響(AI技術の発達やスマートフォンの普及の影響もあるのだが)もあり、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアを中心に無人店舗が増加している。韓国の大型ディスカウントストアイーマート(Emart)が運営するコンビニエンスストア「eマート24」は昨年、年末まで無人店舗を現在の9店舗から30店舗まで拡大する方針を示した。
人件費に対する負担増加を労働投入量(労働者の数や労働者の労働時間)の縮小で緩和しようとする動きであり、このような動きが拡大されるとさらに労働市場が萎縮する恐れがある。
働き方改革の核心は「週52時間勤務制」
そもそも韓国政府が実施した働き方改革の代表的な政策は「週52時間勤務制」だ。韓国政府は、残業時間を含めた1週間の労働時間の上限を従来の68時間から52時間に制限する、つまり「週52時間勤務制」を柱とする改正勤労基準法(日本の労働基準法に当たる)を7月1日に施行したのだ。
「週52時間勤務制」は、今は従業員数300人以上の企業や国家機関・公共機関のみに適用されているものの、今後適用対象は段階的に拡大され、従業員数50人以上〜300人未満の事業場は2020年1月から、また従業員数5人以上〜50人未満の事業場は2021年7月から適用対象に含まれることになる。違反した事業主には2年以下の懲役あるいは2000万ウォン以下の罰金が科される(施行から半年間は罰則が猶予)。
「働く時間」はこんなに変わった!
韓国ではこれまでも勤労基準法の規定による残業時間を含む1週間の最大労働時間は、52時間であった。
しかし、「法定労働時間」を超える労働、つまり「延長勤務」に「休日勤務」は含まれないと雇用労働部(日本の旧労働省に当たる)が解釈したため、労働者は1週間の法定労働時間40時間に労使協議による1週間の最大延長勤務12時間、そして休日勤務16時間を合わせた合計68時間まで働くことが許容されていた。
今回の改正により休日勤務は延長勤務に含まれ、1週間の最大労働時間は52時間に短縮されることになった。休日勤務手当は変更されず、8時間以下分に対しては50%の加算が、8時間超過分に対しては100%の加算が適用される。
また、法定労働時間の例外適用が認められていた「特別業種」は、全面廃止を主張する労働界の要求が一部反映され、26業種から5業種に縮小された。一方、18歳未満の年少者の労働時間は1週間に40時間から35時間に、そして延長勤務時間は6時間から5時間に制限されることになった。
急激な最低賃金引上げ、最低賃金は「日本超え」へ
働き方改革のもう一つのポイントは最低賃金の大幅引き上げだ。
韓国の最低賃金委員会は7月14日に2019年の最低賃金を2018年より10.9%引き上げた時給8,350ウォン(約835円)にすることを決めた。2018年の引き上げ率16.4%には至らなかったものの、2年連続の2桁台の上昇であり、2年間の引き上げ率は29.1%に達する。同期間における日本の最低賃金(全国加重平均)の引き上げ率が6.2%であることを考慮すると、韓国の引き上げ率の高さが分かる。
今後、雇用労働部の長官が公示をすれば、最低賃金の引き上げ率は来年1月から適用され、日本の最低賃金(全国加重平均)の時給874円に迫る。さらに、大多数の労働者に支給が義務付けられている週休手当(1週間の合計労働時間が15時間以上の労働者に支給する1日分の手当)を含めると、最低賃金は1万ウォン(約1000円)を超え、日本の最低賃金を上回ることになる。
韓国の性急な「働き方改革」の背景事情
韓国政府が残業の上限規制を大きく短縮し、最低賃金を大きく引き上げる改革を実施した理由はどこにあるだろうか。
まず、韓国政府が「週52時間勤務制」を実施した理由は、長時間労働を解消し、労働者のワーク・ライフ・バランスの改善(夕方のある暮らし)を推進するとともに、新しい雇用創出を実現するためだ。
2017年時点における韓国の年間労働時間は2024時間で、日本の1710時間を大きく上回り、データが利用できるOECD加盟国の中で韓国より労働時間が長いのはメキシコ(2,257時間)のみだ。 
深刻すぎる若者たちの「就職難」
韓国政府が残業の上限規制を行ったもう一つの理由は、若者を中心とする就職難を解決するためだ。
韓国では労働需給のミスマッチと雇用創出の不振で若者の雇用状況が改善されておらず、2017年時点の若者(20〜29歳)の失業率は9.8%に達している。平均失業率3.7%に比べると約2.6倍も高い水準だ。韓国政府は労働時間を短縮することによって、その分新たな雇用が創出されると期待し、「週52時間勤務制」を思い切って実施した。
では、なぜ韓国では若者の労働需給のミスマッチが発生し、若者の失業率が高いだろうか。
その理由としては、大学進学率が高いことと大企業と中小企業の処遇水準に大きな格差が発生していること、そして就業浪人が多いことなどが挙げられる。
韓国における大学進学率は2017年現在68.9%で日本の54.8%(2017年度)を大きく上回っている。つまり、日本は卒業後に専門学校(16.2%)と大学(54.8%)に分かれて進学していることに比べて、韓国は専門学校が少ないことなどが理由で大学進学率が高く、卒業後にミスマッチが発生している。
韓国では大企業と中小企業の間に処遇水準が大きく異なるので、若者は就職浪人をしてまで大企業に就職しようとしている(韓国では応募者の能力を重視しているので、日本のように就職市場で新卒者が既卒者より有利になっていない)。
このように大企業と中小企業の間に処遇水準が大きく異なる理由としては、韓国経済が大企業に大きく依存している点が挙げられる。
例えば、韓国の関税庁が発表した「2017年企業貿易活動統計」によると、輸出の中で大企業が占める割合は66.3%で、中小企業の17.6%と中堅企業の16.0%を大きく上回った。全企業に占める割合が0.9%に過ぎない大企業が韓国の輸出の7割弱を占めているのだ。
また、文在寅大統領は、大統領選挙の際に2016年時点で6,030ウォン(約603円)である最低賃金(時給)を、2020年までに1万ウォン(約1000円)まで引き上げることを公約として発表した。文在寅大統領が最低賃金の目標値を1万ウォン(約1000円)に設定した理由は、韓国における最低賃金の水準が一般労働者の賃金の35.7%に過ぎず、OECD平均50%を大きく下回っていたので、最低賃金を1万ウォン(約1000円)まで引き上げて、OECD平均に合わせるためだ。
但し、その実現のためには2020年までに毎年16%以上最低賃金を引き上げる必要があり、今回の引き上げ率10.9%では2020年までに最低賃金1万ウォンを達成することは難しい。これに関連して文在寅大統領は7月16日に2020年までに最低賃金を1万円(約1000円)まで引き上げる公約は守ることができなくなったと謝罪した。
「夕方のある暮らし」のせいで賃金が減った人たち
「週52時間勤務制」の実施は、労働者の「夕方のある暮らし」を可能にするものの、その代わりに労働者の賃金総額は減ることになる。特に、基本給が低く設定されており、残業により生活水準を維持する製造業で働く労働者が受ける影響は大きいだろう。
国会予算政策処は今年の3月13日に「延長勤労時間の制限が賃金及び雇用に及ぼす効果」を発表し、「週52時間勤務制」が適用され、労働者の残業時間が減少すると、1ヶ月の給料は平均37.7万ウォン減少すると推計した。雇用形態別には非正規職の減少額が40.3万ウォンと正規職の37.3万ウォンを上回った。
「働き方改革」で生活が苦しいのは正社員より非正規
非正規職の減少額が正規職より多い理由としては、非正規職の残業時間が正規職より長いことを挙げている。
収入が減少した労働者が収入を増やすために、勤務後に副業などをすると、韓国政府が目指している「夕方のある暮らし」は難しくなる。
また、新規採用に対する企業の負担も大きく増加することになる。韓国経済研究院は「週52時間勤務」の実施により、26.6万人の労働力不足が発生し、その結果、新規採用などの企業負担は年12兆ウォンまで増加すると推計した。
韓国政府は労働者の収入減少や企業の負担増加を緩和するために、労働者に対しては、1年間(製造業優先支援対象企業は2年間)、1ヶ月に10万〜40万ウォンの支援金を、新規採用をした企業(従業員数300人以上の企業)に対しては新規採用一人当たり1ヶ月に60万ウォンの助成金を支払う方針だ。 
また、最低賃金の引き上げによる零細事業者の負担を減らすために、30人未満の労働者を雇用している事業主を対象に雇用安定資金を支援している。支援金額は労働者の労働時間と労働日数により、1ヶ月3万ウォン〜13万ウォンに設定されている。韓国は来年度の最低賃金の引き上げに対する企業負担を減らすために3兆ウォン規模の雇用安定資金を支援する方針だ。本来なら企業が負担すべきお金を政策の実現のために国民の税金で賄うことは良策ではないだろう。
そして、失業者と低賃金者が増え始めた…
最低賃金の引き上げに関しては企業の反発も大きい。小商工人生存権運動連帯は8月29日にソウルの光化門(クァンファムン)広場で、最低賃金の引き上げ政策に反対する集会を開き、文在寅政権が推進する急激な最低賃金の引き上げ政策を強く批判した。食堂、コンビニ、美容室、ネットカフェなどを経営する全国で集まった自営業者は、最低賃金引き上げの速度調節と最低賃金を規模や業種別に差別適用することを要求した。
最低賃金が雇用に与える影響については専門家の意見も分かれている。韓国労働研究院(KLI)は、最低賃金の引き上げが2018年1月から3月までの雇用量と労働時間に与えた影響を推計し、雇用量に与える効果は統計的に有意ではないと発表した。また、8月2日に発表した報告書「2018年上半期の労働市場評価と下半期の雇用展望」では、「最低賃金は限界に直面した一部の部門で部分的に雇用に否定的な効果をもたらした可能性はあるものの、上半期の雇用鈍化の主な要因ではないと判断される」と主張した。
一方、韓国開発研究院(KDI)は6月4日に最低賃金と関連した報告書を発表し、「最低賃金引き上げの速度調節論」を提起した。この報告書では、最低賃金を毎年15%ずつ引き上げると、最悪の場合、2019年には9.6万人、2020年には14.4万人まで雇用が減少する恐れがあるという推計結果を出した。
では、実際の雇用状況はどうだろうか。参考までに、最低賃金が16.4%に引き上げられた2018年1月からの対前年同月比就業者数の増加幅を見ると、2018年1月には就業者数が対前年同月に比べて33.5万人まで増加して、2017年1月の増加数23.2万人を上回ったものの、2018年2月〜6月までの対前年同月比就業者数は2017年2月〜6月を大きく下回っている。
また、韓国統計庁が8月17日に発表した「2018年7月雇用動向」 によると、7月の失業率は3.7%で前年同月に比べて0.3ポイントも悪化した。7月の就業者数は、前年同月に比べて5000人が増加したものの、増加幅は、韓国経済がリーマン・ショックの影響下にあった2010年1月(10000万人が減少)以来、8年6カ月ぶりの低い水準だ。さらに、7月の就業率は61.3%で、前年同月の61.6%より0.3ポイント悪化し、失業者数は103.9万人で、前年同月に比べて8.1万人も増加した。
最低賃金の引き上げが、未満率(最低賃金額を下回る賃金をもらっている労働者の割合)の上昇に繋がっていることも問題だ。韓国における最低賃金の未満率は2015年の11.4%から2017年には13.3%まで上昇した。同期間における日本の未満率が1.9%から1.7%に低下したこととは対照的であり、未満率の大きさも日本を大きく上回っている。
韓国政府が家計所得を高めて経済成長を成長させる「所得主導成長」を実現させるために、果敢な政策を実施していることは分かるものの、現在の韓国の経済社会状況をみると、政策実行の速度を調整する必要性があることを感じる。韓国政府は韓国における労働市場の問題点をより幅広く洗い出しながら、働き方改革を進める必要があるだろう。 

 



2019/8
 
 
 

 

 
 2018

 

元徴用工の「個人請求権」なぜ残る 弁護士ら声明で指摘 2018/12/4
韓国大法院(最高裁)が戦時中の韓国人元徴用工へ賠償するよう日本企業に命じる判決を再び出した。日本が植民地にしていた朝鮮半島から日本本土へ多くの韓国人が労務動員されたが、政府は1965年の日韓請求権協定で解決したとの立場だ。これに対し、日本での戦後補償裁判に関わってきた弁護士らは声明を出し、元徴用工の個人としての請求権は「消滅していない」と指摘している。声明の呼び掛け人の一人、山本晴太弁護士(福岡県弁護士会)に聞いた。
請求権を互いに放棄する条項は1951年のサンフランシスコ講和条約(サ条約)にもある。後に原爆被害者が「条約により米国に賠償請求できなくなった」として日本政府に補償を求めて提訴すると、政府は「自国民の損害について、相手国の責任を追及する『外交保護権』を放棄したもの。個人が直接賠償を求める権利に影響はなく、国に補償の義務はない」と主張した。
90年代には、韓国人の戦争被害者が日本で提訴し始めたが、政府は従来と矛盾する解釈は取れず、「個人請求権は消滅していない」との国会答弁を続け、訴訟でも「請求権協定で解決済み」とは抗弁しなかった。
ところが、2000年代に重要な争点で国や企業に不利な判決が出始めると、国は「条約で裁判での請求はできなくなった」との主張に転じた。最高裁も07年4月、中国人強制連行訴訟の判決で、サ条約について「事後的な民事裁判にゆだねれば、混乱が生じる。裁判上では個人請求権を行使できないようにするのが条約の枠組み」と判断した。この判例が日中共同宣言や日韓請求権協定にも適用され、以降、日本の法廷での外国人戦争被害者の権利回復は不可能になった。
一方で、この判決では「(条約は)個人の実体的権利を消滅させるものでなく、個別具体的な請求権について、債務者側の自発的な対応を妨げない」とも示し、関係者が訴訟以外の交渉で問題解決する道を残した。政府は「解決済み」と切り捨てず、話し合いで救済を目指すべきだ。(聞き手・黄K)
〈韓国の元徴用工〉 戦時中に朝鮮半島から日本の工場や炭鉱などに労働力として動員された人たち。動員は、企業による募集や国民徴用令の適用などを通じて行われた。当時の公文書や証言から、ときに威嚇や物理的な暴力を伴ったことがわかっている。
元徴用工への補償は、日韓両政府とも1965年の日韓請求権協定で解決したとの立場だが、不満を持った元徴用工らが日韓で日本企業などを相手に訴訟を起こし、争ってきた。韓国政府が認定した元徴用工は約22万6千人。
〈日韓請求権協定〉 1965年の日韓国交正常化に伴い、両国間で締結された。日本が韓国に無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力金を供与し、両国とそれぞれの国民間で「請求権」の問題を「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記した。日本政府はこれに基づき、元徴用工への補償問題は解決済みとの立場。韓国政府も2005年には、協定が定めた経済協力金に元徴用工への補償問題解決の資金も含まれるとの見解を発表していた。 
元徴用工・挺身隊訴訟、三菱重工に賠償命令 韓国最高裁  2018/11/29
第2次世界大戦中に強制労働させられたとして韓国人の元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身(ていしん)隊員が三菱重工業に損害賠償を求めた2件の上告審で、韓国大法院(最高裁)は29日、同社の上告を退ける判決をそれぞれ言い渡した。日本企業への賠償命令の確定は、新日鉄住金に続き2社目。類似の判決が相次ぐなか、韓国政府は対応策を示しておらず、歴史問題を巡り日韓関係が一段と冷え込むのは確実だ。
日本政府は元徴用工の請求権問題は1965年の日韓請求権協定によって解決済みとの立場だ。判決は「日本政府の不法な植民地支配と直結した日本企業の不法行為を前提とした強制動員被害者の請求権は協定の対象外」とした10月30日の大法院判決を踏襲した。被告が主張した消滅時効の成立は「不当で認められない」と判断した。
原告の一人で、挺身隊として名古屋の工場で働いたという金性珠(キム・ソンジュ)さんは判決後の記者会見で「今日まで涙の日々だった。日本に行ったということで、慰安婦と呼ばれて悔しい思いをしたこともある」と発言。「日本の人々は謝罪し、われわれに補償してくれるよう望む」と語った。
元徴用工訴訟は広島市の工場で強制労働させられ被爆したとして原告が2000年に提訴した。一、二審は敗訴したが、大法院が12年に二審判決を破棄して審理を差し戻し、13年に釜山高裁が計4億ウォン(約4千万円)の支払いを三菱重工に命じた。原告5人は他界し、遺族ら23人が訴訟を続けていた。
名古屋の航空機工場に徴用されたとして元挺身隊の韓国人女性ら5人が同社に賠償を求めた訴訟は、光州高裁が15年に計5億6200万ウォンの支払いを命じた。三菱重工はいずれも上告していた。
新日鉄住金への判決後、日本政府は大法院判決は戦後の日韓関係の基盤を揺るがしかねない判断だとして「国際秩序への挑戦で、暴挙だ」(河野太郎外相)と反発。問題解決の一義的な責任は韓国政府側にあるとして、早期に対応策を示すよう促している。韓国側は李洛淵(イ・ナギョン)首相を中心に対応を検討しており、年内に方針を明らかにする構えだ。
元徴用工らを巡る裁判の判決は今後も続く。29日午後には、ソウル中央地裁が新日鉄住金を相手取った別の訴訟の二審判決を言い渡す。12月には元挺身隊員の女性らが三菱重工を訴えた2訴訟の二審判決が光州高裁などで相次ぐ予定だ。 
日新日鐵住金徴用工事件 韓国大法院判決 2018/10/30
2018年10月30日の韓国大法院は、「強制動員生還者」の韓国人(遺族)を含めて、1億ウオン(約1000万円)の慰謝料請求権を認めて、新日鐵住金に賠償金の支払いを命じる判決が言い渡しました。
私は、日本がアジア諸国を侵略し、朝鮮に対して不法で過酷な植民地支配をしたものと確信しています。その私から見ても、今回の韓国の大法廷判決はビックリです。今後の日韓関係に長期間にわたり深刻な悪影響を与えると感じます。また、日本にとっては、韓国との関係にとどまらない大変な影響をもたらすものです。今まで新聞記事の要約でしか、この判決文がわかりませんでしたが、全文が翻訳(仮訳)されたので、読んでみました。また、当該事件については、大法院は、2012年5月24日に判決を言い渡しており、その差し戻し審の再上告事件として今回判決が言い渡されたものです。
また、日本の最高裁は、中国人の強制徴用に関して、2007年4月27日「日中戦争の遂行中に生じた中華人民共和国の国民の日本国又はその国民(法人含む)に対する請求権は、日中共同声明5項によって、裁判上訴求する権能を失った」と判決しています。これと読み比べてみます。
2018年10月30日大法院判決
核心的争点は、「植民地時代に日本企業に強制動員(徴用)された韓国の徴用工が日本企業に対して、1965年の「日韓請求権協定」にもかかわらず、慰謝料損害賠償請求権を裁判上請求できるか」という点です。今回の大法院判決は次のように判断します(上告理由第3点)。
「 (1)本件は、不法な植民支配・侵略戦争に直結した日本企業に対する反人道的な不法行為の慰謝料請求権であり、未払い賃金や補償金を請求しているものではない。
(2)請求権協定は、不法な植民支配に対する賠償ではなく、サンフランシスコ条約第4条(a)に基づく債権債務関係の処理だけであり、植民地支配の不法性に直結する請求権まで含むものではない。
(3)請求権協定第1条により日本が韓国に支払った3億ドルの無償提供及び2億ドル借款は、同協定2条の請求権放棄と法的対価関係にはない。
(4)請求権協定の際に、日本政府は、植民地支配の不法性を認めないまま強制動員被害の法的賠償を否認した。
(5)請求権協定の交渉の際に、韓国が日本に対して8項目に対する補償として総額12億2000万ドルを要求し、そのうち3億6400万ドル(約30%)を強制動員被害補償に対するものとして算定していた事実を認めることができるが、実際の請求権協定は極めて低額な無償3億ドルで妥結し受け取ったものであり、強制動員慰謝料も請求権協定の適用対象者に含まれていたとは言いがたい。 」
請求権協定の文言
大法院判決は請求権協定を引用します。請求権協定第1条に3億ドルの無償供与と2億ドルの借款が定められ、第2条1項に次のように定められています。(しかし、大法院判決は両条は対価関係には立たないとします。)。
「 1. 両締約国は、…両国間及びその国民間の請求権に関する問題がサンフランシスコ平和条約第4条(a)に規定されたことを含め、完全かつ最終的に解決されたことを確認する。
2. (略)
3. …一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益として、本協定の署名日に他方の締約国の管轄下にあることに対する措置と、一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権として同日付以前に発生した事由に起因することに関しては、如何なる主張もできないこととする。 」
さらに請求権協定に関する「合意議事録(T)」には次のとおり定めています。
「 (a) 財産、権利及び利益とは法律上の根拠に基づいて財産的価値が認められる全ての種類の実体的権利をいう
(e) 同条3.によって取られる措置は、同条1.でいう両国及びその国民の財産、権利及び利益と両国及びその国民間の請求権に関する問題を解決するために取られる各国の国内措置をいう。
(g)同条1.でいう完全かつ最終的に解決されたことになる両国及びその国民の財産、権利及び利益と両国及びその国民間の請求権に関する問題には、韓日会談で韓国側から提出された『韓国の対日請求要綱』(いわゆる8項目)の範囲に属するすべての請求が含まれており、したがって同対日請求要綱に関しては如何なる主張もできなくなることを確認した。 」
2005年の韓国政府公式見解と追加措置
大法院判決は、次のような2005年の韓国政府の公式意見と追加措置を認定しています。(故盧武鉉大統領時代です。)
「 韓国政府が設置した請求権協定を検討する民官共同委員会を設置し、2005年8月に「請求権協定は、サンフランシスコ条約第4条に基づき韓日両国間の財政的・民事的債権債務関係を解決するためのものであり、日本軍慰安婦問題等、日本政府と軍隊の日本国家権力が関与した反人道的不法行為については請求権協定で解決されたものとみることはできず、日本政府の法的責任は残っており、サハリン同胞問題と原爆被害者問題も請求権協定の対象に含まれなかった」と公式意見を表明しています。 」
しかし、同時に、この公式意見では次の内容も含まれていました。
「 ○「韓日交渉当時、韓国政府は日本政府が強制動員の法的賠償、補償を認めなかったことにより、苦痛を受けた歴史的被害事実に基づき政治的補償を求め、このような要求が両国間無償資金算定に反映されたと見なければならない」
○「請求権協定を通して日本から受領した無償3億ドルは、個人財産権(保険、預金等)、朝鮮総督府の対日債権等、韓国政府が国家として有する請求権、強制動員被害補償問題解決の性格の資金等が包括的に勘案されたものと見なければならない」  」
この公式意見に基づき、韓国政府は、2007年犠牲者支援法により、強制動員犠牲者には2000万ウオン、強制動員生還者には80万ウオンを支給しました。
大法院判決への疑問
私は弁護士ですが、国際法の専門家ではありません。ただ、その普通の弁護士がこの判決を読んだときに、次の疑問が生じました。
韓国政府の対日要求8項目には、強制動員被害者の精神的肉体苦痛に対する要求も含まれていたことは大法院判決も認めている。にもかかわらず、請求権協定の対象に含まれないといするのは不合理。金額が少ないからという理由は根拠として不十分ではないか。前記「合意議事録(T)」の(g)にも反するのではないか。
請求権協定は、サンフランシスコ条約4条(a)が債権債務関係の処理であることは間違いないが、請求権協定の文言は、「サンフランシスコ…平和条約第4条(a)に規定されたことを【含め】、完全かつ最終的に解決された」としており、【含め】と明記されている以上、同条約第4条(a)以外の規定されたものも含まれていることは明白です。それは他の問題、すなわち「韓国の歴史的被害事実」に基づく関係も含まれると解釈するのが自然な解釈でしょう。もし違うというなら、第4条(a)以外の関係とは何なのでしょうか。この点、大法院判決も「そう解釈される余地がないではない」と歯切れが悪いです。
大法院判決は、不法行為の慰謝料請求権であることを強調し、この慰謝料請求権は請求権協定の対象外としています。では、賃金請求権等は請求権協定の対象となっており、徴用工は請求できないと判断しているのでしょうか。この点、大法院判決は明確ではないように思います。しかし、サンフランシスコ条約4条の規定に賃金請求権は含まれるでしょうから、請求権協定の対象となるでしょう。大法院は、この賃金請求権については判決で認容するのでしょうか?(たぶんこの判決の論理の延長では認容できないでしょう)
日韓政府の条約であっても、国民個人の請求権を奪うことはできないという判断は、一般論としてはそのとおりでしょう。しかし、その個人の請求権を国内措置として裁判所が判決として支払いを命じることは、上記「合意議事録(T)」の(e)の国内措置(当然、国内の裁判制度や判決も含まれる)をとらないとの確認に反しているでしょう。
日本の2007年4月27日最高裁判決
この日本の最高裁判決の事案は、中国から強制連行された中国人が日本企業に対して安全配慮義務違反等があったとして損害賠償請求を求めたものです。韓国の徴用工と同じ事案と言って良いでしょう。
問題は、サンフランシスコ条約や日中共同声明での請求権放棄によって、上記中国人の請求が認められるかどうかです。 サンフランシスコ平和条約14条(b)は、「この条約に別段の定がある場合を除き、連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとつた行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権並びに占領の直接軍事費に関する連合国の請求権を放棄する。」と定めています。
日本の最高裁は、上記サンフランシスコ平和条約について「将来に向けて揺るぎない友好関係を築くという平和条約の目的を達成するために定められたものであり、この枠組みが定められたのは、平和条約を締結しておきながら戦争の遂行中に生じた種々の請求権に関する問題を、事後的個別的な民事裁判上の権利行使をもって解決するという処理にゆだねたならば、将来、どちらの国家又は国民に対しても、平和条約締結時には予測困難な過大な負担を負わせ、混乱を生じさせることになるおそれがあり、平和条約の目的達成の妨げになるとの考えによる」と判断しました。
日中共同声明5項は、「中華人民共和国政府は、中日両国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」としています。
この趣旨は、サンフランシスコ平和条約の枠組みと同じであり、「ここでいう請求権の放棄とは、請求権を実体的に消滅させることがまでを意味するのではなく、当該請求権に基づいて裁判上訴求する権能を失わせするにとどまるもの」とし、「債務者側(日本企業)が任意で自発的な対応することは妨げられない」としました。
「上告人(日本企業)を含む関係者において、本件被害者らの被害の救済に向けた努力をすることが期待される」と判示しました。その結果、当事者間の話し合い、努力により、裁判外の和解により日本企業が中国人被害者に和解金を支払って、一定範囲の中国人徴用工に和解金を支払う基金を設立して解決しました。
この日本の最高裁の判決は国内でも賛否両論ありますが、一つの知恵であることは間違いないと思います。
両国間で請求権放棄で協定(条約)を締結した以上、個人的権利はあるが、裁判所に請求しても、裁判所が判決を下す措置はしないという約束になっている、ということです。このような権利を、民法では「自然債務(自然債権)」と呼んでいます。
この韓国の新日鐵住金の原告らは日本で訴訟を提起しましたが、日本の最高裁判所で上記判例に則って2008年10月9日に敗訴しています。
どちらにしても両国の最上級裁判所が判決を下しました
韓国の大法院や日本の最高裁の判決に疑問を述べても詮無いことです。それぞれ最上級裁判所ですから、韓国政府も日本政府もそれぞれ自国の裁判所確定判決に従うしかないのです。
大法院判決の巨額かつ幅広い衝撃
大法院判決が原告一名につき1億ウオン(約1000万円)の損害賠償を認めたわけですから、韓国国内で新日鐵住金の資産を強制執行することができます。また、第三国でも強制執行できます。第三国の裁判所が強制執行を認めたら、ですが。第三国としては、中国やアメリカ、ロシアでの強制執行が予測されますね。
強制動員被害者(徴用工)は、韓国政府から補償を受けているわけですが、韓国政府が認定した強制動員被害者は22万人もいるそうですから、これだけで2兆円となります。消費税の1%分の巨額な金額です。
さらに、中国も中国の裁判所で韓国大法院と同様の判決を下す可能性が十分あります。韓国と同様の数が存在するのではないでしょうか。
そして、何よりも大きな問題は北朝鮮です。
北朝鮮と将来国交正常化した場合には、韓国に無償供与3億ドル及び借款2億ドルと同等の戦後補償を支払うことが想定されます(現在価値だといくらになるのか不明ですが、5兆円ともいわれています)。そして、さらに大法院の判決でいきますと、北朝鮮の個人被害者に一人1億ウオン(約1000万円)を支払わなければなりません。おそらく少なくとも韓国の22万人規模の被害者とその遺族が存在するでしょう。これを2兆円ですから、北朝鮮との戦後処理には7兆円が必要となるわけです。
日本が韓国大法院の判決を受け入れるなら、日本企業は少なくとも韓国へ2兆円、北朝鮮へ2兆円の4兆円を負担しなければならなくなります。さらに、中国にも負担しなければならないリスクを負うことになります。韓国の人々にとっては日本の自業自得で冷笑していれば良いのでしょう。しかし、日本にとっては大変な問題になります。
大法院判決に基づき日本側の対応を求める一部の野党もあります。しかし、このような2兆円を大きく超える負担を日本企業及び日本政府に負わせることを提案しているのでしょうか。そして、このような巨額な負担と支払いをすること及びそのような政党に、日本人の多数が賛成すると思っているのでしょうか。不可解。
確かに理想的な解決は、日本の最高裁が推奨したように、日本企業が中国徴用工と和解したように、日本企業が基金をつくって自発的な補償をするということでしょう。
しかし、上記のような天文学的な巨額負担は、現実的な和解水準をはるかに超えているでしょう。他方、韓国としては、大法院が1億ウオンと判決した以上、これを下回る水準の解決はありえないでしょうし。
韓国政府が妥協しようとしても、慰安婦合意のように韓国国民が受け入れないことは目に見えています。つまり、この大法廷判決には現実的な解決策が見えないのです。
この大法院判決の影響は、日韓の関係だけでなく、北朝鮮との戦後処理問題や中国との戦後処理問題にも飛び火することになり、そうしたら、日本はにっちもさっちもいかなくなります。
韓国政府も相当に困っているのではないでしょうか。慰安婦問題についても打開策が見えません。他方、日本と決定的に対決することにも踏み切れないでしょう。
韓国としては、今後も、北朝鮮との国交正常化(日本の戦後補償の支払いを想定している)、そして、中国、アメリカの間で微妙な舵取りをしなければならず、そういう中で日本との関係も断ち切るのは韓国にとって損なはずです。でも、韓国国内からの突き上げは激しい。どうするんだろうと人ごとながら心配になります。
(盧武鉉大統領の妥協線が一番良かったのでは、、、)
請求権協定第3条の仲裁委員会による解決
日韓請求権協定第3条には、この協定に関する両国の紛争は外交上の経路を通じて解決するとしつつ、外交上解決できない場合には、仲裁することが定められています。
一方の国が正式に仲裁要請する文書を出せば、30日以内に両国がそれぞれ1名の仲裁委員を任命し、両仲裁委員は30日以内に第3の仲裁委員を指名して、3人の仲裁委員会に付託する。両国政府は、この仲裁委員会の決定に服するものとすると定めています。
最後は、これによる解決しかないでしょう。
なお、韓国の憲法裁判所は、この仲裁委員会の規定をあげて、慰安婦問題について政府の外交努力が不十分で憲法違反と判断しています(2011年8月30日判決)。
その第三国の仲裁委員って、日韓両国が同意するのは、アメリカなんでしょうか。あるいは中立国のスウェーデンとか。
この仲裁委員会をつくって、日本の韓国・朝鮮半島被害者に対する補償を目的とする現実的な水準の金額を定める基金制度をつくっていくしか、解決の方向性がないのではないでしょうか。大法院や最高裁の判決を超える手段って、このような国際的枠組みしかないように思います。  
 2017

 

文在寅の正体 2017/5
女性大統領の弾劾という未曽有の事件、そしてその人物が監獄の中で裁判を受ける最中に新しい政権が誕生するというドラマが韓国で繰り広げられている。その主役は新大統領の文在寅(ムン・ジェイン)である。
5000万の人口規模を持ち、世界有数の経済国になった韓国の最高指導者となった文在寅であるが、その人格や思想などについては、ほとんど知られていない。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の秘書室長というのが彼の政治経歴のメインで、国会議員としては、たった1期4年を務めたに過ぎない。政治の世界で過ごした年月は長いが、政治家としては「新人」といわざるを得ない。
あえていえば、政界での業績をもって最高指導者になったというより、現在、韓国社会を揺り動かしている「渦巻き政治」が産んだ風雲児といってよい。
そこで、明らかになっている情報や、筆者とは同世代で北朝鮮からの避難民の息子という共通する背景から、文在寅新大統領の人格や性向を推論してみる。
従来の政治を「超越する」ロマンティズム
文在寅の自叙伝や評伝を読んだ後にまず浮かぶ印象は、彼がロマンティストであるということだ。基本的に、文系の世界で人生を開拓してきた彼のキャリアに大きな影響を及ぼした経験が2つある。
1つは、韓国南部の名門である慶南高校で4回も停学処分を受けたことである。その原因は大体、飲酒や喫煙であった。彼は、「成績は優等生だったが問題児に囲まれて」過ごした高校時代を、ある種の英雄談のように語っている。
もう1つは、法曹人としての彼の経歴を左右した出来事である。韓国で国家司法試験に合格することは人文社会系の人間にとって、出世の登竜門である。さらに、その合格者が受ける司法研修をトップクラスの成績で終えることは、法曹界のスターとして生き残れることを意味する。
彼は1980年、司法試験に合格、82年に司法研修院をトップの成績で終えたが、「当然の」コースである判事任用を拒否された。大学時代に反政府デモを主導した前歴のだめたった。そもそも法曹人を目指す人間が反政府運動を主導するという事自体が、当時の常識では、まるでドン・キホーテなのである。
判事も検事もなれなかった文には、弁護士になる道しか残っていなかった。なのに、その弁護士も一番きつくて「金にならない」、人権弁護士の道を選んだ。盧武鉉と一緒に人権弁護士の道を歩み、盧が大統領になって秘書官として政権に加わった文在寅の人生を貫くキーワードは「正義」だった。
正義の追求を人生の中心軸として置くことができる原動力は、利益の計算を超えて何らかの価値を求めるロマンである。いい換えれば彼の人生観の核心は「超越主義的」(transcendental)である。
すでに始まっている「超越」政策
この性情を非現実的なものと誤解してはいけない。盧が大統領になって大きな役割を提案したが、文は、「私には参謀役がふさわしい」といって、出世を拒む極めて現実的な姿勢を見せた。
盧は文の、こうした人柄に魅了され、自己紹介で「私は文在寅の友です」とまでいったのである。2人ともロマン主義者だったが、盧は前に立つボス、文は後ろに下がって目標を追求する執行者という対照を見せていた。
この「超越主義的ロマン」は、文の大統領就任後、真っ先行われた人事で表現された。大統領府の中で国家全体の司政秩序をモニターする民政首席秘書官に゙国(チョ・クク)という学者を任命した。このポストには伝統的に検事が起用されていたが、文は大統領の真っ先の措置でその伝統を破った。
゙氏は、刑法を専攻した学者としてソウル大学で教えながら、「参与連帯」という左派系の市民団体に長らく関わり、進歩的市民社会論者として文の大統領選挙を支えた。そして、大統領民政首席秘書官として掲げた政策が、検察改革、朴元大統領の国政壟断問題追及とセウォル号調査の再調査である。この政策方針の是非はこの記事のテーマではない。
だが、この方針は、文政権が通常の政治メカニズムを「超越」するロマンチックな傾向を予告している。
実利より大義名分と理屈を優先
高校の時、友たちと一緒に酒を飲んで摘発された際、自分が主導したといい、停学処分を受けたこと、慶熙大学に入学してみると、その大学で反政府デモが起こらないので自分が率先したこと、それが問題となりのちに「集会及び示威に関する法律」違反で有罪判決を受けたこと、そのため、夢にみた判事になれなくて人権弁護士になったこと、などが総体的に語るものは何か。
私はそこに倫理的優越感の存在を感じ取る。それが文氏を青年時代から数十年を引っ張ってきた精神的動力だろう。
司法研修院を優秀な成績で終えた文在寅が、無名の人権弁護士、盧武鉉と組んで数多くの「時局事件」を担当したこと、盧が大統領になった後にも人権弁護士の仕事を続け、悔しい思いをした人々のためにわずかな費用で弁護を続けたことは、倫理的優越感の表出だろう。
自らを他人より倫理的に優れていると信じる文は、人間関係において信義を重視し、約束を守る。仁義を尊重し、それをもって仲間から倫理的尊敬を求める人なら、他人と約束したこと、仲間たちの決めたことを変えないし曲げないので「原則主義者」の道を歩むこととなる。
国内政治のみならず外交においても、このような姿勢は大きな影響を及ぼすことになる。先に述べた超越主義と倫理的優越感が結合した結果、文の政策や行動は、実利より大義名分と理屈を重んじる可能性が高い。
「親北」「赤」のレッテル貼りは見損じを起こす
この性情と関連して誤解を払拭する必要がある。目下、韓国では以前、文が「共産主義者」呼ばわりされたことで裁判が行われている。今回の大統領選挙でも保守系の候補者たちは、リードしていた文を「赤」と色づけて得点を稼ごうとした。
しかし、文在寅を「赤い」共産主義者とか社会主義者と片付けることには無理がある。
まず、本人が否定している。文が代表する無数の利益集団の価値志向が、おおむねリベラルないし社会主義であることは間違いない。だが、文本人は、「選良のリベラルと既得権を守る腐った左派」を区別しようとする。
「運動圏のエリート主義と既得権カルテル」を非難する文の価値観は、大統領としての人事に現れている。国務総理に指名した李洛淵 (イ・ナグヨン)は、リベラル系の政治家になる前に21年間保守系の大手日刊紙『東亜日報』に勤めていた。
むしろ、文の批判を受ける左派の人々は、彼の融通がきかない姿勢や態度を嫌っている。文を「反米、反日、親中、親北」と性格づけることは軽率な態度である。政治家文在寅を嫌う人々にとって、そうした片付け方は満足感を感じるかもしれないが、政策の読みと予測において誤算を犯すこととなろう。
李承晩・朴正煕時代の清算という「常識」
文在寅に関する書物を読み終えたとき強い印象を感じたのは、母親への感謝と尊敬がクラシックな形で披露されていることだ。北朝鮮から逃げてきて釜山に定住した避難民だった一家を、厳しい仕事をやり遂げて支えた母親は、少年、文在寅の英雄だった。
その延長線上にいるのが姉だった。優秀な生徒だったのに、弟たちを支えるために大学進学をあきらめて商業学校に進学し、銀行の下級職員として働いてくれた姉について、文氏は、深い感謝と憧れをもつ。
私はこれをあえて「エディプスコンプレックス」とよびたい。それは性的な意味ではなく、社会観や政治観への母性的価値観の適用である。
アメリカの民主主義を語ったフランスのアレクセイ・ド・トクヴィル(Alexis de Tocqueville)はアメリカ人の集合的精神の特徴を「女性的良識」(feminine conscience)と要約した。女性的良識をもつ人の身振りや言動は、男性的、マッチョ、威圧的などとは距離が遠く、穏健な方である。彼が文在寅を観察したら同じことをいったかもしれない。
文の個人的な生活模様をみると趣味は読書と1人歩きである。また、大学で音楽を専攻した妻の影響が強い愛妻家で、妻の宗教のカトリックを受け入れた。人との付き合いにおいて、 大げさな演説を嫌い、他人がいうことを傾聴してから冷静に是々非々で判断することを好む。
「女性的良識」の価値観をもつ文が、機会あるごとに力説することに「常識的社会」の追求がある。文が描く常識的社会とは、弱いものへの同情心が根底にある。こうした意味で文は米国のオバマ大統領と類似の思想をもっている。
清算を目指す積弊とは
文が「積弊の清算」を力説する心理的な背景はここにある。韓国社会に「積み上げられている弊害」とは、「男性的良識」の価値観によって長い間に犯されてきた罪をさす。
1945年の独立以降、李承晩と朴正熙が元祖となって作り上げた、親米・親日的な発展万能国家、安保国家、勝者独食国家のさまざまな産物がそれである。それを清算しなければ「常識的社会」は具現できない。
こうした思想を持つ文は自分を「赤」とか社会主義者と非難する人に対して、「弱者の友」と抗弁する。朴恵槿政権の4年間を通して行われ、やっと目途がついた「セウォル号」事件調査を改めて行うという方針を、当選から数日も過ぎない時点で発表したのは、こうした背景がある。
文の「女性的良識」の価値観の中で、母親への愛着は母国(mother land)の次元に広がり、民族主義につながる。
まず、国内政治では、財閥の規制、権益の世襲の禁止に力を入れる。
国内の公権力のあり方ついて、文氏は韓国社会の主たる公敵として国家情報院と検察を上げる。
文在寅政権では、検察は独占してきた捜査権を警察と共有することとなり、「腐った」検察が警察の調査を受けることもありうる。国家情報院は、国内査察を廃止する。代わりに、対北朝鮮、安保・海外問題、そして経済・産業情報に集中する、アメリカのCIAに近いものに改編される。
日本との諸協定には見直し要求か
文氏の「常識の追求」は外交にも影響を及ぼすだろう。
就任直後に日本の安倍晋三首相と行った電話会談で、2015年に朴恵槿政権と結んだ慰安婦に関する日韓合意を「受容することができない」と宣言したことはこうした文脈からである。「不可逆的」という文言が入っている合意を「罪悪」と呼んだ文政権は、その合意の再交渉を要求することになる。
だが、こうした姿勢は単なる「反日」とは片付けられない。
現下の政策案件の以外に文氏が日本について言及したほぼ唯一の事例は、彼が中学生の時に結ばれた1965年の日韓正常化合意を彼の父親が「悪である」といったということだ。この影響で、文氏は、高校2年生の時、李承晩大統領の「3選改憲」の反対デモに参加したという。
もう1つあげれば、2004年に制定された「親日反民族行為真相究明に関する特別法」を盧武鉉政権の大きな功績としてあげることだ。
なお、李明博政権について非常に厳しい評価を持つ文氏は、その政権で結ばれた包括的軍事情報保護協定(GSOMIA)について、日韓の間の軍事情報の共有が日本に有利な形であるという認識をもっている。だから、GSOMIAの再交渉も卓上に挙げられるだろう。
中国の古典『三国誌』を複数のバージョンですべて読んだという文在寅は、中国について突出な発言をしたことがない。だが、中国・ロシアと協力し、「一帯一路」システムへの編入を構想している可能性が高い。
文氏には、韓国の運命を左右するのは、米国ではなく中国であるという認識が底辺にある。ならば、彼の任期の中で、北朝鮮とロシアと協力し、中国主導のユーラシア構想への参加することがありうる。
衝突の予感
米国について、文氏は、自分の家族を北朝鮮の興南から救った米国人への感謝を機会があるたびに述べている。また、特戦司令部の優秀な兵士として訓練を成し遂げた彼は米国の安保・防衛システムを理解しているはずである。だから、政治家として、韓米同盟の重要性を否定したことはない。
だが、先に述べた「常識」という観点から韓国の米国への従属に抵抗があり、韓米同盟の互恵性について疑問をもっているだろう。
北朝鮮について、自身が親北主義者ではなく、「親同胞主義者」であると、文氏は述べる。だから、大統領選挙の候補者論争で、北朝鮮を主敵と定義する保守路線に同調しなかった。対北においては、文氏が尊敬する金大中・盧武鉉ラインの融和政策に転じることは必至である。
このように、自らの「常識」に合致する国内統治と外交に文政権がこだわることになると、国内での意見や価値体系の衝突、そして他国のさまざまな「常識」との不整合が心配になる。世の中には無数のバージョンの「常識体系」が存在するからだ。 
日韓対立煽動に利用された『強制連行の神話』 2017/2
「軍艦島」への関心が高まっている。きっかけになったのは、この夏に韓国で公開予定の映画『軍艦島』である。映画『軍艦島』は日本統治期に長崎県端島(通称:軍艦島。以下軍艦島とする)に強制連行され、炭鉱労働を強要された、それはもう奴隷のように酷使されたという朝鮮人たちを描いた物語である。韓国人が日本の炭鉱労働について持っているイメージといえば、強制連行、飢え、重労働、殴打……など、正に「地獄」のような世界だ。日本側は当時の記録、元軍艦島の住民の証言をもって「地獄」を否定するが、その声は一般の韓国人の耳には届かず、韓国には「軍艦島=地獄」という認識が定着している。
朝鮮人強制連行悲劇のシンボルになった「落書き」
下に示す動画を見て欲しい。韓国の公営教育放送EBSが2014年12月18日に放送した教養番組「e歴史チャンネル」の1分10秒の部分に登場する場面。番組の導入部分として登場したこの画面で右下に書いてある『지워지지 않는 상처-강제동원』(消えない傷―強制動員)というのがこの日のテーマだ。
軍艦島ではなく福岡県筑豊炭鉱落書きだが それも映画撮影のために作られた「演出」
実はこの落書きの写真が撮影された場所は軍艦島ではない。福岡県の筑豊炭鉱である。しかし、場所の問題よりももっと大きな問題は、落書き自体が「捏造」であるという点だ。
この写真が最初に登場したのは1965年。在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)傘下の在日本朝鮮文学芸術家同盟が制作した映画『乙巳年の売国奴』(原題:을사년의매국노)という映画だ。筑豊炭鉱で朝鮮人労働者の痕跡を辿って撮影されたこの映画の中で労働者宿所の壁に書かれていた文字として紹介されたのが、この「落書き」が世に出た契機である。
その後、この落書きの写真は韓国に渡り、日本の残忍性を示す資料として幾度となくマスコミにより拡散され、韓国全国民の記憶の中に刻まれるに至った。韓国育ちの韓国人であれば一度は見たことのある写真であるといっても過言ではない。
この写真が捏造だということが明らかになったのは2000年。西日本新聞が報じた1月3日の社会面に大きく掲載された記事には、1965年に映画を撮影していた現場にいたスタッフの「告白」が掲載されている。「告白」によると、撮影時に監督の指示で壁に韓国語で落書きが書かれたのだという。その当時は深く考えてなかったが、後日、それが事実のように広まっているのを見て、真実を伝えなければならないと思ったというのだ。
以下に、元スタッフの告白を一部引用する。
ーー文字を書いた理由は?
元スタッフ 強制連行には映像資料が少ないでしょ。それに(朝鮮人寮は)廃屋で、撮るものがなかった。監督が「(連行されてきた人々の)思いがあった方がいいんじゃないか」と。その他のスタッフも「それがいい」となった。死と隣り合わせの過酷な労働、国を奪われた者の望郷の念を代弁したかった。
ーーなぜ今、事実を語る気になったのか
元スタッフ 二年前に雑誌で壁文字の写真を初めて見た。知人に相談したら、あちこちの本や雑誌に出てると聞いて、驚いた。壁文字は連行された人々の思いを表現しているが、演出が事実として独り歩きすることはよくないと思った。
この問題について、最も詳細に追跡しているのは、在日韓国人在野研究家、金光烈氏の著書『足で見た筑豊:朝鮮人炭鑛勞動の記錄』(2004)である。金光烈氏はこの本の中で、「落書き」について分析し、それが捏造であることを明らかにしている。
ここまで、朝鮮人強制連行悲劇のシンボルになった「落書き」が実は捏造であるという話を紹介してきた。だが、これらは韓国社会ではあまり知られていない話とはいえ、日本国内で既に発表された内容である。
後半は、「落書き」の裏にあるより大きな問題について述べる。この映画が作られた目的と背景についてだ。実は、映画『乙巳年の売国奴』は日本を批判することを目的とした映画ではない。日韓の「和解」を妨害するため作られた映画なのだ。
「落書き」の問題は主に2つ
まず、演出された写真であるにもかかわらず、日韓両国で数十年間「事実」かのように認識されてきたという点、恐らく検証しようという努力がなされず、マスコミはむしろこれを広めるのに大きな役割を果たした。最も深刻だと思うのは韓国のケースだが、韓国ではこの「落書き」が教科書(『近現代史教科書』 中央教育 2004)に掲載され、教育を通して拡散し定着した。捏造資料を見て学んだ幼い学生たちは、日本に対してどのような感情を抱くだろうか? 考えただけでも嫌になる。
次に、2000年代初・中盤には既に捏造だということが西日本新聞や在日韓国人研究家により明らかにされていたのにも関わらず、依然として「強制連行の残酷性」をアピールする資料として使用されているという点だ。最近の韓国マスコミは、むしろこれを「軍艦島」に関連付けて紹介するなど意図的な「ミスリード」ともとれるような報道さえしている。これらの報道を目にした韓国人は日本への感情を悪化させるしかない。
だが、実はこの問題について考えるときに、日本も、そしてもちろん韓国も、知っておくべき事実がある。それは、この落書きが最初に登場した映画『乙巳年の売国奴』の内容と、この映画が作られた背景についてである。驚くべきことに、この映画は日本の植民地政策を批判するために作られた映画ではないのだ。北朝鮮系組織が戦後の日韓和解、即ち、日韓国交正常化を破綻させようと作られた冷戦時代のプロパガンダ映画だったという事実である。
日韓対立煽動の為に作られた映画『乙巳年の売国奴』
 目的は1965年の日韓国交正常化の妨害
この問題を理解するために最も重要なポイントは、この捏造劇の始発点、映画『乙巳年の売国奴』である。この映画の内容、そして作られた目的が何であったのか。この映画は1965年に日本で制作された白黒フィルムの映画だが、映画の中で使われている言語は韓国語である。元々メジャーな映画でもなく、現在では入手することも難しい映画だ(韓国では北朝鮮の資料という理由で公開や閲覧が制限されている)。私はソウルにある統一部傘下にある北朝鮮資料室でこの映画を視聴した。映画を見る前、私はこの映画を単純に日本の植民地政策を非難する映画だろうと想像していたのだが、私の予想は見事に裏切られた。
映画のタイトルにある「乙巳年」という言葉を見れば大部分の韓国人は六十干支の「乙巳年」のうち1905年に締結された「乙巳条約」を思い浮かべる。「乙巳条約」とは日本で「第二次日韓協約」と呼ばれる条約だ。韓国側から見れば外交権を失った屈辱的な不平等条約である。韓国では当時日本との協約を推進した朝鮮王朝の五人の大臣を「乙巳五賊」と呼び、現在の教科書でも親日売国奴として教えている。
この前提を知れば、私がこの映画のタイトルを見て、映画の内容を乙巳条約(第二次日韓協約)と、それを推進した大臣たちについての映画だと考えた理由もご理解いただけると思う。恐らく大部分の韓国人がこれを連想するはずだ。だが、映画の指す「乙巳年」は1905年ではなく、そこから六十干支が一周した、つまり60年後の1965年だったのだ。そう、日韓国交正常化がなされた年である。この映画のタイトルが示す「売国奴」とは乙巳条約を推進した大臣たちではなく、1965年に日韓国交正常化を推進した朴正煕(大統領)、金鍾泌(与党議長)、車均禧(農林部長官)、丁一權(国務総理)、 李東元(外務部長官)、金東祚(日韓会談首席代表)だったのである。
映画の内容は単純だ。日本統治期に日本が朝鮮と朝鮮人民に対し酷い虐待、搾取、収奪を繰り返してきたかを見せつけ、そんな日本と和解し手を取ろうとする朴正煕政権は民族の背信者であり売国奴であると糾弾し、日韓国交正常化に反対、批判する映画だ。ここで日本統治期の朝鮮弾圧を描写するために登場したのが、前述した「落書き」である。つまり、落書きは朝鮮総連系の団体が韓国と日本の和解を妨害するために制作した映画の中で「反日素材」のための小道具として作り出されたものだったのだ。
この映画を制作した在日本朝鮮文学芸術家同盟は今も活動を続けている。韓国と北朝鮮を往来し、学術会議を開いたり、2016年4月には北朝鮮を訪問し金日成と金正日の銅像を参拝するなどした。映画『乙巳年の売国奴』を撮った監督が1970年代初に北朝鮮に移住したことを考えても、彼らと北朝鮮との「繋がり」が無視できないものであることが分かる。
北朝鮮が韓国と日本を反目させるために捏造した写真を、現在の韓国はその由来も目的も知らないままに公営放送や新聞で繰り返し放送し、教科書で紹介し、日本を批判する材料として利用している。ここまでくると、韓国の現状を批判するより、北朝鮮のプロパガンダ工作の完璧な勝利を褒めるしかない。元々の目的である日韓国交正常化妨害自体は失敗に終わったが、ある意味それよりも恐ろしい、日本への「憎悪」と「反感」を数十年間に渡り韓国人の頭の中に植え付けることに成功しているからだ。
韓国が日本を批判する際に、よく登場する言葉がある。「歴史を忘れた民族に未来はない」という言葉だ。歴史問題で両国が対立するたびにこの言葉を引用し、日本は過去を忘れてしまったと嘲笑してきた。しかし、落書きが捏造であることを告発した日本と、今なお繰り返し新聞、TV、教科書で広め続ける韓国の、どちらを「歴史を忘れた民族」と表現すべきだろうか?
「捏造」はその気になればいつでもそれを認め、修正することができる。だが、捏造のせいで韓国人の脳裏に刻まれた日本に対する「感情」が修正される日はくるだろうか?  
釜山日本総領事館前に少女像を設置した団体の正体 2017/1
韓国のある市民団体が釜山日本総領事館前に慰安婦少女像(以下、少女像)を設置したことに端を発した日韓の対立が長期化している。日韓がここまで悪化したのは2012年の李明博大統領の独島訪問以来ではないだろうか。
日本政府は強い姿勢を崩さないまま韓国側の「変化」を待っているが、韓国では「世論」を恐れ、政府も移転・撤去について具体的な行動ができない状態だ。加えて一部の慰安婦が慰安婦問題日韓合意に従って韓国政府が設立した「和解・治癒財団」から受け取った1億ウォン(約970万円)を返金すると表明するなど、むしろ「日本バッシング」が起きている。
日韓両国のマスコミは、少女像が巻き起こした「混乱」と「軋轢」に注目しているが、ここではマスコミにあまり紹介されていない「少女像を設置した市民団体」について紹介したい。
未来の世代が建てる平和の少女像推進委員会
少女像建立を推進したのは「未来の世代が建てる平和の少女像推進委員会」という市民団体連合だ。ここにはいくつかの市民団体が参加しているが、その核心といえるのが「キョレハナ」という市民団体である。釜山日本領事館前の少女像を設置するための募金活動もキョレハナの口座がその窓口になっている。
キョレハナはソウルの日本大使館前の少女像を取り囲み、座り込みデモをしていた団体であるが、ここには釜山支部大学生組織「釜山大学生キョレハナ」も参加していた。ソウルまで「遠征」していた彼らが地元釜山にも少女像を作ることを目指して募金活動を開始、ついに実現したのが今回話題になった少女像である。
キョレハナとは「キョレ=民族、同胞」と「ハナ=一つ」の合成語で「民族、同胞は一つ」という意味だ。組織の名前から分かるように、この団体を語るときに外すことができないのが「北朝鮮」というキーワードである。キョレハナとは別の言葉で言えば「統一」という意味なのである。
組織の「本業」は「北朝鮮支援」 それは北の住民のための事業か、政権のための事業か?
キョレハナはソウル、仁川、釜山等、全国8カ所に支部が、そして中央組織には11の事業本部が存在する。ところで、この事業本部の「事業内容」をみるとこの団体の性格が見えてくる。11の事業本部の中に慰安婦に関わる活動はなく、北朝鮮を支援するための事業に集中している。次表は11の事業本部の名称とその活動内容である。
【事業本部名称 事業内容】
・ 南北教育協力推進委員会:北朝鮮教育施設現代化事業
・ 北朝鮮子ども栄養パン工場事業本部:パン生産設備および原料支援
・ 北朝鮮子ども豆乳事業本部:平壌近郊100箇所幼稚園に豆乳支援
・ 北朝鮮麺工場事業本部:平壌モランボン麺工場建立、原料供給
・ ウリギョレ緑林:平壌市養苗場建設推進、設備支援
・ 北朝鮮抗生剤工場事業本部:金日成総合大学内抗生剤工場支援
・ キョレハナ大学生本部:南北青年学生交流事業支援
・ 統一豚農場事業本部 :平壌市に豚農場建立、農場物資支援
・ 平壌歯科病院事業本部 :平壌第1人民病院口腔病棟再建築支援
・ 農食品現代化事業本部 :平壌にカムジャラーメン工場建立推進
・ 教育文化センター HUE :労働者統一教科書制作、平和統一教育への道
2003年に準備委員会を結成、2004年に発足したキョレハナは、北朝鮮の「支援」を理由に毎年幾度となく北朝鮮を訪問、北朝鮮に財政的支援を行ってきた。2008年には挺対協と共に北朝鮮を訪問し北朝鮮の団体と接触するなど「対北事業」が「本業」といっていいだろう。ホームページによると2003年から2011年までの9年間に支援した物資だけで総額259億ウォン(約25億円)に相当するという。
もちろん北朝鮮住民を助けるための人道主義的活動を非難するつもりはない。ただ、気になるのは北朝鮮の住民を助けると、北朝鮮でいくつもの事業を行っているような団体が、脱北者や北朝鮮住民の人権、核問題について無関心、あるいは北の政権に賛同しているようにすら見受けられるという点だ。
例えば2016年9月9日、北朝鮮が第5次核実験を実施した時、キョレハナは北朝鮮政府を批判するのではなく、断固とした措置を取るとした韓国政府を非難する声明をホームページに掲載した。
また、北朝鮮の人権問題については、「アメリカの人権基準だけで評価してはだめだ」、「北朝鮮の人権を脅かすのはアメリカによる孤立政策」だとして、北朝鮮を批判するアメリカを批判しているのである。
日本の左翼系市民団体とも連携し 大阪の政権反対集会や沖縄の辺野古も訪問
彼らの「韓国外」活動は北朝鮮だけに留まらない。彼らは日本の団体とも連携し活動している。日本では「同胞一つ」という団体名に翻訳、紹介されているキョレハナは、日本国内のいくつもの団体と交流を持ち、集会などにもしばしば顔を出している。
例えば、キョレハナの大学生組織「大学生キョレハナ」の会員たちは、2016年10月には安倍政権打倒、辺野古基地反対を掲げる大阪の「団結まつり」に日本の市民団体会員たちとともに参加している。この時交流した日本国内の団体にZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)がある。彼らの活動内容は日本の左翼組織、民主主義的社会主義運動 (Movement for Democratic Socialism、MDS)のホームページにも詳しく紹介されている。
また、2016年3月にキョレハナが企画した沖縄ツアーでは、在日韓国人2世の徐勝教授(立命館大学特任教授)が参加者たちを連れて沖縄を訪問し、辺野古基地反対運動の現場を訪れている。京都出身の徐勝教授は韓国に留学していた1971年、国家保安法違反容疑で逮捕され、懲役19年の実刑判決を受けた「学園浸透スパイ団事件」で知られる人物である。
実は韓国マスコミも今回の少女像設置を主導した市民団体については具体的な報道をしていない。このため、一般的な国民はただ「慰安婦を支援する団体」と認識するだけで、その団体の設立目的や主要活動が「北朝鮮支援」だということには気づいていない。これは日本も同じ状況だと思われるが、両国のマスコミは彼らの「副業=慰安婦像設置」だけではなく、「本業=北朝鮮支援」、そして連携している日本の団体についてもちゃんと国民に事実を伝えるべきだろう。
現在、韓国は政治、経済、文化等、全般的政局運営に影響を与えたという疑惑が持たれている「崔順実スキャンダル」で大混乱に陥っている状況だ。マスコミの報道だけ見ていると、まるで崔順実が韓国のすべての物事を操っていた全知全能の存在であったかのようにすら思えてくる。だが、実際のところいくら崔順実の権力が莫大なものだったとしても「外交」においてはどうだろうか。
少なくとも私には、影の実力者と言われている崔氏より日韓両国の外交関係を険悪な状況に陥れ、両国民間の心理的距離を広げたこの「市民団体」の影響力の方が恐ろしく思えてならない。 
 2016

 

韓国で反日扇動にうんざりする若い世代が出現中 2016/6
韓国では学校や社会を通じて行われる「反日教育」が、反日の傾向を助長しているとの指摘がある。しかし最近では、刷り込まれた「反日言説」に飽き飽きし、懐疑する若者が増えつつあるという。韓国の教育問題についての著書があるジャーナリストの崔碩栄氏が報告する。

反日教育が行われている韓国だが、悲観的なことばかりではない。最近は少しずつ変化が起きている。学校で習った歴史、マスコミが伝える話には間違いや嘘も含まれていることに気付き始めた若者たちが現れているのだ。そして、そのような変化は彼らの「歴史評価」にも影響を与えている。
その代表的な例が武装抗日闘争の先頭に立った金九(1876-1949)に対する評価の変化だ。韓国で絶対的な英雄とされている彼は若い時、朝鮮半島中部の鴟河浦で日本人を殺害する事件を起こしている(1896年)。
韓国では、この事件で殺された日本人はスパイ活動をしていた軍人で、金九の殺人は正当な行動、つまり「義挙」だと教えてきた。そしてそれを疑う人はいなかった。
しかし、最近はその評価が揺れている。当時の裁判記録、調書などがインターネットの掲示板、ブログに紹介され、その時殺された日本人は実は何の罪もない商人であり、金九の行動は単に強盗殺人であったことが明らかになったのだ。百歩譲ってその後の抗日闘争は評価するとしても、罪のない商人を殺し金を奪った若い時の行動については、問題があったという意見が広がっている。
当初は英雄・金九を擁護するため反論する人たちもいたが、明らかな資料と証拠の前にその試みは頓挫し、若者たちは衝撃を受けた。自分たちが見てきた偉人伝やマスコミが伝える情報が嘘だったことに気づいたからだ。そして、その衝撃は「なぜ嘘をつくのか?」という疑問に変わり、懐疑と怒りに変化していく。反日扇動にうんざりする若い世代が出現したのだ。
特に、韓国マスコミが繰り返して反日扇動に使っている「旭日旗」「スポーツ日韓戦」「日本の残滓(日本統治時代に、日本から朝鮮半島に伝わった文化・文物の総称。反日的なニュアンスで使われる)」といった話題については韓国内でも「またか」という「反日疲れ」の反応まで出ている。ネット掲示板でもマスコミの扇動を批判する派VS扇動ではないと擁護する派で分かれ、激論が交わされている。
中でも最も熾烈な攻防戦は、やはり竹島問題だ。某有名コミュニティサイトには独島掲示板という「戦場」が設けられ、そこで終わらない討論が続いている。日本の読者は驚くかも知れないが、韓国内にも韓国の主張に懐疑を抱き、古地図や古文書、米外交文書などをもって「異説」を訴える人たちがいる。激論を観戦する人々が、彼らが提示する多様なデータを見て衝撃を受けることも少なくない。韓国のマスコミ、教科書では見たこともない資料や話に戸惑いを隠せないのだ。
だが、それはこれまでのところ匿名の空間であるネット上に止まっている。理由は単純だ。実生活の中でそのような議論をしたら韓国社会で最も致命的な「親日派」というレッテルを貼られるか、名誉毀損で訴えられ酷い目にあうからだ。
そうでなくても、彼らのように価値観が変わっていく若者が増えることを恐れているのか、制裁がかけられることもある。異論を訴えるサイトが検索エンジンに表示されなかったり、異論を訴えるブログの記事がブラインドされたりしているのだ。
彼らのような若者はまだ少数であり、社会的な認識を変えられる力もない。それでも少しずつ増えつつあることは間違いない。「蟻の一穴」ということわざがあるが、果たして訴訟で口を封じ込め、一部のサイトを遮断して目隠しすることで、目覚め始めた若者の変化を止められるだろうか。 
 2015

 

「韓国は反日社会ではない」 中国の専門家が韓国の嫌日運動を分析 2015/12
中国メディア・環球時報は25日、韓国国内にはさまざまな形の「嫌日」グループが存在するものの、社会における影響力は限定的であるとする評論記事を掲載した。
記事は、韓国問題を研究する中国人学者の意見として、日本に対して歴史の清算を要求する集団には、強制労働、慰安婦、原子爆弾の各被害者の遺族のほか、過激派や「報酬を受け取るプロ抗議者」が存在すると紹介。一方、彼らは歴史の正視を求めて声高に叫ぶものの、その影響力はかなり限定的であり「韓国は反日社会とは言えない」状況であると論じたことを伝えた。
また、韓国メディア・韓国日報が以前に報じた内容を紹介。韓国における抗日活動で功があった人物の家族1000人のうち、75.2%が社会の平均より低い月収レベルにあることが明らかになったとした。さらに、同国メディアの国民日報が「抗日独立に功があった人物の子孫は貧困に陥り、売国奴の子孫が大権を掌握しているというのが韓国の現実だ」と評したことを併せて紹介した。
そのうえで、中国社会科学院アジア太平洋・世界戦略院の専門家が「韓国の日本に対する態度は複雑で、ある程度韓国社会を引き裂いている」と語り、社会の上層部を中心とする親日のパワーが強い一方で、過激な行動で反日的態度を示す人々は社会の底辺に生息する集団であると分析したと伝えた。そして「韓国に反日感情は存在するものの、日韓両国は米国にとって重要な同盟国であり、軍事上でも価値観においても、経済関係においても相互依存しているというのが大局。この大局をおざなりにして表面的な反日感情だけで判断すれば、重大な判断ミスを生む可能性がある」と語ったとした。
韓国メディアの報道や、韓国のネット上における言論を見ていると、どうしても「韓国は反日的である」というイメージを抱きがちだ。しかしそれは、韓国社会をある側面からしか見ていない結果であるというのが、環球時報の記事の論調だ。
韓国は35年にわたる日本統治を経て、1945年に日本から独立した。しかしその直後から米ソの資本主義陣営と共産主義陣営の争いに翻弄されることになる。そして、米国の支配下に入ったことで、今度は同じく米国に占領された日本と「仲間どうし」の関係になることを求められた。複雑な歴史的経緯を考えれば、韓国国内に日本に対して異なる感情を持った層が存在することは決して奇妙な話ではない。複雑な感情が入り組む日本と韓国が互いに上手くやっていくためには、ことさら相手を理解しようとする姿勢が必要なのではないだろうか。 
 2014

 

 
 2013

 

日韓関係修復が難しい本当の理由 2013/12
第1次・2次の安倍政権のはざまの7年間で、韓国を取り巻く状況が構造的に変化し、対日姿勢に影響を与えている。朴政権の対日強硬路線の背景を検証する。
「その『怪物』は既に暴れ出している。 今年の5月、日韓併合を生きた95歳の老人が『日本の植民地時代は良かった』という 趣旨の発言をしていたら、それを聞いた30代の男が怒り、奪った杖で撲殺したのだ。 実際に経験した人の話を実際に経験していない人間が力で押し殺す。誰にも止められない反日モンスターだ」
「反日」デモはむしろ縮小傾向
2012年8月の李明博(イ・ミョンパク)前大統領の竹島上陸以来、日本では韓国の「反日」運動への関心が高まりを見せている。上記は日本のニュース番組(2013年11月9日放映TBS「情報7daysニュースキャスター」)のナレーションからの引用だが、メディアでは連日のようにさまざまな運動が紹介され、彼らがいかに過激な運動を繰り広げているかが報道されている。
しかし、実際そうなのだろうか。確かに、現在の日韓関係に存在する領土問題や歴史認識問題についての韓国政府の姿勢が強硬なのは事実である。周知のように、朴槿恵(パク・クネ)大統領は就任以来、日本との首脳会談すら拒否しており、日韓両国は問題を解決する糸口さえ見いだしていない。韓国メディアの報道も同様の傾向を見せており「右傾化」する安倍政権に対する厳しい言葉が並んでいる。表1が示すように、日韓間の歴史認識問題や領土紛争の頻度も長期的かつ確実に上昇している。
   表1 朝鮮日報に見る領土問題/歴史認識問題に関わる議論の推移
だがそれが韓国における「反日」運動が盛り上がりを見せた結果かといえば、必ずしもそうではない。事実、「反日」デモへの参加者は、中長期的には減少する傾向を見せている。時に大規模な「反日」デモが行われる中国と異なり、今の韓国では大通りを埋め尽くす大規模な「反日」デモはまず見られない。
その意味は、80年代頃までの同様のデモが、数万人を超える規模であったことと比べれば明白だ。現在の韓国における「反日」デモの規模は、毎年8月15日、すなわち韓国が日本植民地支配から解放された日においてさえ、千人を辛うじて上回る規模にしか達しない。デモの組織者からは思うように参加者が集らないことへの嘆きの声すら聞かれる始末である。
「反日」デモの規模の小ささは、他のイシューのデモと比べても明白だ。例えば、2008年、李明博政権下における「米国産牛肉輸入反対デモ」の規模は、最盛期には数十万人に達している。今年に入り浮上した、2012年の大統領選挙への情報機関介入疑惑への抗議デモも数万人の規模だった。
これらと比べれば「反日」は、デモのイシューとしては人気のないものだとさえいえる。さらに言えば、2011年にフジテレビを取り巻いた「嫌韓流」デモには3000人以上が参加したといわれているから、韓国の「反日」デモはこれよりずっと小規模だということになる。これらの状況を無視して、韓国の「反日」運動を過大に評価するのは危険である。
二つの安倍政権、2006年と13年の対応に温度差
では、韓国では何が起こっているのか。安倍晋三が首相の座についたのは、2006年に続いて2度目にもかかわらず、韓国政府やメディアの「安倍政権」に対する姿勢は、2006年と2013年では大きく異なっている。第1次安倍政権においては、韓国の政府もメディアもその誕生を、小泉政権下に悪化した日韓関係を改善する糸口として好意的に受け止めた。もちろん、それはこの7年間に安倍の領土問題や歴史認識問題への姿勢が変わったからではない。周知のように、安倍は第1次政権の以前から「戦後政治の総決算」をスローガンに掲げ、河野談話や村山談話への懐疑を繰り返し表明してきた。領土問題への姿勢も同様であり、第1次安倍政権が竹島問題について融和姿勢を見せた事実は存在しない。
2006年と2013年の違いが、第1次安倍政権当時の韓国政府やメディアが歴史認識問題や領土問題そのものについて妥協を模索していたからであるか、といえばそれも事実ではない。2006年当時の韓国の大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)は「歴史認識の見直し」を政権公約に掲げ、小泉政権が竹島近海に派遣した測量船を「船をぶつけて沈めてでも阻止せよ」と命令した人物である。進歩的な政治理念を有した盧武鉉は、保守政治家である朴槿恵と比べても、安倍とのイデオロギー的ギャップは大きく、両者の対話が簡単であったはずはない。
にもかかわらず、韓国政府やメディアの第1次安倍政権に対する姿勢は融和的だった。その理由は明白である。当時の韓国には、経済面でも、安全保障面でも、「日本との協調が必要だ」という認識が存在していたからである。
通貨危機再来の危惧が対日融和路線の背景
わかりやすいのは、経済的な重要性である。図1は、韓国の貿易における日米中の三カ国のシェアを示している。明らかなように、日本のシェアは70年代後半以降長期低減傾向にあり、そのことは韓国にとっての日本の経済的重要性が低下し続けていることを示している。参考のため、このような韓国における日本の経済的重要性の低下は、90年代以降の日本の経済的低迷によるものではない。その事は80年代、日本経済が隆盛を極めた時期にもシェアが低下していること、平行する形で米国のシェアも低下していることから確認できる。
言い換えるなら、韓国における日本の経済的重要性の低下は、日本側の事情によってではなく、韓国側の事情によって生じている。つまり、かつては冷戦下の貧しい分断国家であった韓国は、日米両国以外に有力な経済的取引相手を見つけることができなかった。しかし、冷戦が終了して中国をはじめとする旧東側国家との貿易が可能となり、韓国自身の経済発展と世界経済のグローバル化の結果として、韓国の経済的取引相手が飛躍的に増加した結果、韓国は日米両国への依存を大きく低下させたわけである。
しかし、それだけでも2006年と2013年の違いは十分に説明できない。なぜなら、2006年の段階でも既に日本の経済的重要性は低下しており、韓国が日本に配慮する理由は存在しないように思えるからだ。この点については、2006年が1997年のアジア通貨危機からまだ10年しか経過していない時期だったことが重要だろう。当時の韓国は依然として通貨危機の再来を恐れており、だからこそ盧武鉉政権もまた、大統領自身のイデオロギー的傾向とは正反対に見える新自由主義的な経済政策を選択した。再び訪れるかもしれない通貨危機に備えて、アジアの経済大国である日本との円滑な関係を取り結ぶことは当時の韓国にとって必須だった。
「仮想敵国」転じて「最重要な友好国」中国へ
盧武鉉政権と朴槿恵政権の違いを考える上でもう一つ重要なのは、安全保障面での変化である。例えば、盧武鉉政権期の有名な安全保障戦略の一つに「バランサー論」があった。対立する米中関係のはざまで、バランサーとして振る舞うことで、韓国が自ら北東アジアの安全保障上の危機を防ごうというのである。
ここで重要な事は二つある。一つは、一見、米中間において中立的な立場を獲得しようとするかに見えるこの議論が、同時に「米中対立」を前提にしたものだったことである。
二つ目は、盧武鉉政権下における米韓関係の悪化である。2003年には米国が北朝鮮との最前線に位置する陸軍兵力の一部をイラク戦争のために移動させる事態も起こっている。2006年には北朝鮮が第1回の核実験を行うなど、南北関係も悪化し、韓国をめぐる安全保障上の環境が決して好ましいものとはいえなかった。
当然の事ながら、安全保障上の危機は、当時の韓国政府が日本への融和政策を展開する一つの動機となる。一旦、朝鮮半島において深刻な安全保障上の危機が勃発すれば、在日米軍に多くの基地を提供する日本の役割は極めて大きなものとなるからである。だからこそ、韓国メディア、特に安全保障問題に大きな関心を持つ保守メディアもまた、本来なら小泉以上に「右よりの」イデオロギーを有していたはずの安倍の首相就任を日韓関係修復の絶好の機会として利用しようとしたことになる。
だが状況は2013年までに大きく変化した。韓国内における朴槿恵は「親中派」として知られる人物であり、大統領選挙当選の直後から中国重視政策を繰り返し明言してきた。結果、同政権における中国の重要性は、日本を凌駕(りょうが)するのみならず、同盟国である米国に匹敵する水準のものとなった。中国政府もまた韓国における「親中政権」の誕生を積極的に後押しし、訪中した朴槿恵は歴代の韓国大統領とは比べ物にならない歓迎を受けた。
わかりやすく言えば、朴槿恵政権における中国の位置づけは「仮想敵国」ではなく、「最重要の友好国」というべき存在になっている。そして、このような朴槿恵政権においては、米中関係もまた、対立的なものというよりは、共存的なものと位置づけられることになる。
中国と対立する日本は「障害物」、米国との「切り離し」も
中韓関係の改善は、韓国の北朝鮮政策にも大きな影響を与えている。韓国の対北朝鮮政策は、金大中(キム・デジュン)・盧武鉉政権では積極的な融和政策、李明博政権では日米との協調下での強硬政策が採用された。だが、この一見異なるように見える二つの政策には共通点も存在した。それは中国に積極的な役割が与えられていなかったことである。両者において中国は、共に韓国の統一政策の撹乱(かくらん)要因であり、北朝鮮内における影響力を競い合うライバルとして位置づけられていた。
対して、現在の韓国政府の対北朝鮮政策においては、中国はライバルではなく、協力者として位置づけられている。そしてこのような韓国の安全保障政策の変化は、日本の位置づけにも影響を与える。強大な中国との対抗関係を前提としないならば、韓国が主として備えるべきは北朝鮮であり、その北朝鮮に対して韓国は通常兵器レベルで大きな優位を維持している。もちろん、北朝鮮が保有する核兵器については別途の備えが必要であるが、これについては米国からの「核の傘」の提供で足りる。大規模な通常戦の可能性がないのなら、在日米軍基地を保有する日本に特別な配慮をする必要はない。
加えてこの状況においては、尖閣問題で中国と対立する日本は障害物ですらある。万が一にでも尖閣問題が激化し、米国が巻き込まれる事態へと発展するならば、米中両国との密接な関係を前提とする韓国政府の安全保障政策は根底から覆されてしまうからである。であれば、韓国政府にとって日米両国を切り離す方がむしろ利益になる。朴槿恵政権が米国に対しても歴史認識問題を持ち出して日本を非難することを躊躇(ちゅうちょ)しない理由はここにある。
さらにこのような朴槿恵政権の政策は、韓国の保守メディアによって強く後押しされている。今日の韓国の貿易に占める中国のシェアは25%近くに達しており、その数字は日米両国のそれを合計したものよりも大きい。貿易依存度の大きい韓国において、同じ数字は韓国全体のGDPに対しても4分の1を凌駕(りょうが)する規模に相当する。このような中国への経済的依存は、韓国のビジネス界をして対中関係を重視する方向へと導き、このビジネス界と密接な関係を持つ保守メディアの論調を変化させる。
実際、かつては多く見られた韓国保守メディアの中国警戒論はこの数年すっかり影を潜め、代わって中国との友好関係の重要性を強調する議論が主流を占めている。保守政権である朴槿恵政権がこのような保守メディアの動向から影響を受けるのは当然である。
韓国側の関係修復「メカニズム」はもはや機能しない
重要なのは、二つの安倍政権の間に挟まるわずか7年の間に、韓国を取り巻く状況が大きく変化したことであり、その中で韓国にとっての日本の重要性が大きく損なわれたことである。この状況は必然的に日韓両国間で歴史認識問題や領土問題が頻発する可能性を大きくする。状況は図2のようなモデルを用いて考えるとわかりやすいだろう。韓国における歴史認識問題や領土問題の重要性は、時間の経過と共に減少していく。植民地世代が退き、社会の成熟と共に世論の関心が多様化していくからである。だからこそ、さまざまな「反日」運動に集まる韓国の人々の数は、長期的には減少こそすれ増加しない。
だが韓国における日本の重要性はそれよりもはるかに早い速度で低下している。例えば、70年代頃の韓国にとっては、経済面でも安全保障面にも日本は極めて重要な存在だった。だからこそ、一旦大きな「反日」運動が起こっても、人々はすぐに関係修復に動き出した。民族主義的な感情に反してでも動くべき、具体的な利益が存在したからだ。だが、日韓関係の重要性が低下した今日ではこのメカニズムは機能しない。
歴史認識問題や領土問題に対する人々の関心は減少しても直ちに消滅するわけではない。そのような状況下、日韓関係の重要性が一定以上低下すれば、民族主義的な感情にさらされることを恐れる人々は関係修復に積極的には動かない。それにより得られる利益より、失われる利益の方が大きいからだ。日韓関係がどんなに悪化しても、あるいは「反日」運動に集まる人の数がどんなに少なくなろうと、朴槿恵政権が日韓関係の修復に動き出さない理由は、この枠組みで見事に説明することができる。
日本の潜在的影響力を行使するために知恵を出せ
だとすると、日本側が行うべきことは明白だ。状況が大統領個人や、特定のメディアの特殊事情によってではなく、韓国をめぐる国際環境の構造的変化の結果としてもたらされている以上、従前の施策を継続することには意味がない。そのことは第二期政権発足当初の安倍政権の失敗を見ても明らかだ。当時の安倍政権が韓国側に伝えたのは、日韓両国は共に自由民主主義的な価値観を共有する国だ、という「価値観外交」的なメッセージだった。
しかし、このメッセージが朴槿恵政権により歓迎される可能性は最初からなかった。なぜならこのメッセージは、同様の価値観を共有しない中国との対抗関係を必然的に示唆するからだ。中国との関係を重視する朴槿恵政権にとって、それは日中間で「踏絵」を突きつけられたに等しい状態であり、韓国政府がこの「踏絵」を踏むべき理由は存在しなかった。
結局、できることは二つしかない。一つは歴史認識問題や領土問題そのものを解決に導いてその重要性を下げること、もう一つは韓国にとっての他の面での日本の重要性を上げることである。仮に日本の国内事情により前者が難しいのなら、やれることは後者しかない。忘れてはならないのは、日本が依然として世界第3位の経済規模を持つ「大国」であり、わが国にできることはたくさんあるはずだということである。例えば、自由貿易協定(FTA)の締結を進めることにより、自らの巨大な市場を利用するのは選択の一つであろうし、また米国に積極的に働きかけて、韓国軍を日米同盟の中により深く取り込み、彼らに高度な安全保障の枠組みを提供する、というのも一案だ。
ボールは日本側にこそ回ってきている。問われているのは、日本が自らの潜在的な影響力をどのように使うかという、知恵の出し方だと思うのだがいかがだろうか。 
 2012

 

韓国の「反日」とはなにか 2012/11
反日は韓国の必要から生まれた
韓国の反日(日本に対する否定的な感情や思考)について五つの命題を記しておきたい。まずは起源の問題である。この点に関しては、日本の植民地支配の産物であるという印象が韓国でも日本でも広く共有されているようであるが、それでいいのだろうか。ソウル大学の金容徳教授(歴史学)は次のようにいう。
〈他国に対する認識の基調は、おおよそ両国間の接触の歴史を通じて形成される。(中略)韓国人の大半の対日観も韓日間の接触の歴史を通じて形成された。しかし、その接触は葛藤・破壊と相互蔑視、侵略と抵抗などで染まってしまったので、これと異なる日本を認識する暇もなく、韓国人は反日感情をもつようになった。しかも、日本が主として両国間の不幸の原因を作ったという歴史を忘れることができないので、多くの韓国人が生来反日本人として生まれてきたのである〉(「対日観の変化形態と正しい相互認識への道」小島康敬他編『鏡のなかの日本と韓国』ぺりかん社、二〇〇〇年)
韓国人の対日観は韓国の学校教育やメディアの反日教育の産物だとでもいったほうがよい。解放後の韓国にみられるのは「全韓国人の反日化」(マーク・ピーティー)という状況であり、日本の否定性を語ることとアイデンティティの感覚は不可分の関係にある。これは理解できないことではない。「皇国臣民化」という日本人化を経験した韓国人が解放後それに反発し、韓国人化を志向する過程で自分の心や身体にしみついていた日本的なものを振り落とそうとした態度はおかしくない。解放後の反日とはそのようにして出発したのであり、その意味で、反日は日本の植民地支配とたしかに無縁のものではない。しかし反日を必要としたのは韓国人であり、反日は対日関係に連動しても形成されるが、それ以上に、韓国における政治権力の状況や日本に対する個人的な先入観や蔑視や幻想や妄想に結びついても形成されるもので、その多くは現実の日本や日本人とは無関係の産物である。反日とは、基本的には韓国において社会的、文化的に構築されたものである。
反日教育のまっただ中で育った人類学者の崔吉城(人類学者、一九四〇年生)は、韓国の反日感情や旧宗主国に対する反感は普遍的なものであると考えていたという。ところが九〇年代半ば、一か月あまり調査旅行のため東南アジアに滞在してみると、現地の人間が植民地時代のことを必ずしも否定的に言及しないことに気がつく。「もっとも印象的なことはシンガポールでシティ・ツアー(のバス)に乗った時、女性ガイドがイギリス植民地時代を滔々と紹介することであった。しかもその時代のことを悪く言わない」(『「親日」と「反日」の文化人類学』明石書店、二〇〇二年)。やがて崔は中国東北三省の旧満州地方の朝鮮族が韓国人ほど反日的でないことにも気がつく。「多くの人から植民地時代を含めて日本を讃えることばを聞いた。酒を飲みながら日本の歌を歌う人も多かった」
こうした体験から崔吉城は反日が普遍的なものではないことに気がつく。「東アジア全体からみても中国人よりも延辺の朝鮮族、朝鮮族よりも北朝鮮の人や韓国人のほうが反日感情が強い。それは(中略)植民地史の本質が異なったということよりも戦後の民族や国家の体制や事情によって異なっているといえる。(中略)それが国家的アイデンティティなるものであろう」
氏によれば戦後の反日は戦前の反日を継承するものでもない。日本統治下の朝鮮で反日を実践した朝鮮人は圧倒的少数派であり、三十五年間の統治期間を通しても、反日が国土をゆり動かしたといえるのは三・一運動(一九一九年)のときぐらいである。対して、解放後に見られるのは全国民の反日化という状況である、今や反日は、抵抗や逸脱の運動というよりは同調や規範の運動になっているのである。
反日とは偏見である
反日の言説を反日論というなら、反日論とはしばしば日本への対抗心や敵意や憎悪を動機に生まれるもので、それは現実の日本や日本人との相互作用から生まれる場合もあるが、想像上の日本、あるいはシンボル化した日本との相互作用から生まれる場合もある。
〈政治分野・産業・技術・経済問題などにおいて、日本は韓国に向かって玄界灘の波よりもずっと荒く、高い塀越しにいます。しかし、日本人の厚い障壁を越えることのできる裏道がありますが、それが「文化的攻略」に他なりません。いわば、われわれの商品や政治的影響力よりは、「歌謡曲」「囲碁」「スポーツ」の方が日本を貫いて入っていくのがはるかにたやすく、また可能だということです。彼らと競争して勝つとか、あるいは彼らを説得しうる力は「刀」(軍事力)やソロバン(経済力)ではなく、まさに「筆」だという点ですね。
朝鮮王朝の通信使が日本に行ったとき、彼らが要求したのは「書画」や「書籍」でした。軍事力や経済力はわが国より先立っていたが、「筆の力」に対してはコンプレックスをもっていたし、実際その点においてはわれわれが優位に立っていたんですね。(中略)
文化的にみるとき、われわれは日本を抑えることができます。それが日本の弱みでもあるんです。ところが、今われわれはこの文化的優位政策を忘れています。筆を韓日関係の核とするとき、政治・経済分野でも成功するでしょう。文化とは集団や組織より個々人によって形成されるものです。チームワークに弱い韓国人の性格にも合う政策なんです。集団性が強い日本との競争で勝つ方法はこういうゲリラ戦法ではないかと思います〉(『月刊朝鮮』一九八二年八月号)
これは『「縮み」志向の日本人』等の著書で日本でも知られる李御寧(三三年生)の八〇年代初期の発言である。氏の日本文化論は斬新だった。当時の韓国の日本論は、それが仮に日本への文化的優越性を語るものでも、何かしら屈折や躊躇をともなうのが普通であったが、氏は臆することなく明朗にそれを語り、やがて部分的にではあれ、その言葉が自己実現する時代がやってくるのである。これは根拠薄弱のほら話であっても、言葉が人間の心や身体に新しい感情や思考のパターンをすり込み、それがやがて国民の創作や製造の実践を生みだすという絵に描いたような事例として記憶されてよい。氏は多くの韓国人に明るいビジョンを与えた人間であり、その言葉は比較的健全であった。
だが、反日論には志の低いものも少なくない。右の李御寧の発言と同じ時期の日刊紙に掲載されたある国民作家(女性)の発言は次のようである。
〈私たちは歴史的に日本に対しては、つねに与え、奪われてきました。名前まで奪われ、受けたものは何一つありません。いま書いている『土地』第四部の時代背景は、三〇年代の日本が大陸侵略を拡大していた時ですが、当時の日本の国内事情と今の状況がとても似ているように思われます。急激な富の蓄積、失業問題、エロチックな文化など、それに多年の構想をアジア地域にくり広げようとするところまで、あまりにも似ています。日本人たちは与えることを知りません。この世に日本人ほどケチな人間はいません。与えることができないというのは、文化がないということです。ケチな者は美と真理探求に関心がありません。文化があるとすれば、造花のようなものです。彼らはカネ集めと小さなトランジスターを作ることしか知りません。日本に仏教が伝来してからだいぶん経ちますが、高僧や学僧がいませんね。彼らは芸術までも装飾品と思っております〉(朴景利の談話『東亜日報』一九八二年八月二十一日)
「この世に日本人ほどケチな人間はいません」とは過激であるが、解放後の韓国の公定史観から「ケチな日本人」のイメージまでの距離はいくばくもない。右の発言の背景にあるのは、世界を華夷弁別して眺める儒教文化圏的世界観で、韓国は「小中華」、日本は「夷狄」とされ、日本はかつてわが国からさまざまな先進文化を与えられたという恩を忘れ、授恵者である韓国を侵略するとともに、その謝罪を怠り、また韓国の近代化に充分な協力をしていないとされる。「忘恩背徳の国」という日本イメージは広く韓国人に共有された眺めであり、右のような発言は明らかにステレオタイプの発言であるが、にもかかわらずそれは歴史・道徳的な意味合いを持ち、したがって批判を受けることも少ないのである。 
韓国はなぜ反日なのか 2012/2
最近、また韓国が従軍慰安婦の件で騒いでいるようですが、日本に帰化した元韓国人の評論家、呉善花女史によると、韓国の李明博大統領の支持率が低下していて、支持率回復のために大統領みずから反日を煽っているのだそうです。
大統領が反日を煽ったら支持率が上がるなんて反日国家の面目躍如ですが、我々日本人は、韓国が反日になった理由は、日本による朝鮮半島の植民地支配によるものだと思っています。
ところが呉女史によると、韓国や北朝鮮の反日感情はそれ以前から存在したというのです。
元々、中国には東アジアの中心は中華帝国で、その中心から遠ざかるにつれて野蛮な民族が住むという中華思想があるのですが、朝鮮の場合、日本よりも中華帝国に近い位置に在ることから、文化的、道徳的に朝鮮の方が日本よりも格上であるという思想が根強く存在するのだそうです。
そのため、朝鮮半島が日本によって併合される前から、朝鮮人は日本人を文化的に劣った野蛮人として蔑視してきた歴史があるそうで、現在の韓国の反日感情を掘り起こしていくと、古来からの日本に対する蔑視感情に突き当たると呉女史はいいます。
我々日本人は韓国朝鮮人に対して圧倒的な優越感を持っているので、彼らが日本人を蔑視しているといわれても、もうひとつピンと来ないのですが、在日韓国朝鮮人が韓国や北朝鮮に帰国する意思がなく、これからも日本に永住するつもりでいるにも関わらず、三世や四世になっても日本に帰化しようとしないのは、この日本に対する蔑視感情のお蔭なのだそうです。
つまり、在日韓国朝鮮人は、心の底で日本や日本人を馬鹿にしていて、日本人になぞなりたくないと思っているというのです。
同じ韓国人であっても、アメリカに移民した韓国人はアメリカ人になりたがり、名前も朴であればPark、李であればLeeと西洋風に変えてアメリカに同化したがるそうですが、日本では反対に通名ではなく本名を使う在日韓国朝鮮人が増えてきています。
そして多文化共生とやらで在日のままで様々な特権を享受しています。
そのような特権を正当化するために在日が主張してきたのが過去の日本人による在日差別だったのですが、この在日問題を呉女史の主張するように、日本人による在日差別ではなく、在日よる日本人蔑視の文脈から捉えなおしてみると、在日問題の真実が浮かび上がってくるような気がします。
たとえば、在日韓国朝鮮人一世たちが、みずからの意思で日本に出稼ぎにやって来たり、密航して来たにも関わらず、強制連行されて日本にやって来たという「物語」を作りあげたのも、日本に対する蔑視の感情と関係あるような気がします。
在日一世には、朝鮮よりも格下であると彼らがみなす日本にわざわざ出稼ぎするためにやってきたことや密航してきたことを恥じる気持ちがあって、それで自分の意思ではなく、無理やり連れてこられたということにしたのではないでしょうか。
韓国人が台湾人と異なり、日本の植民地時代を評価せず、植民地時代は朝鮮人は日本人によって厳しく弾圧され、搾取されたと思いたがるのも、根底にこの日本に対する蔑視感情があるためです。
実際には、日本は朝鮮を近代国家にするためにインフラを整備し、学校を建てたり、病院を作ったり、鉄道を敷設したり、発電所を建設したり、農地改良を行うなど多大な貢献をしているのですが、それを認めてしまったら、朝鮮が日本よりも劣等な国家だったということになるので(事実はその通りなのですが)、あくまでも朝鮮は文化的、道徳的に日本よりも優れた国であったのに、野蛮で好戦的な日本によって侵略、征服され、朝鮮の伝統文化を破壊され、朝鮮人は奴隷のように酷使されたと主張したがるのです。
従軍慰安婦の問題にしても国家レベルで騒いでいるのは韓国だけです。
中国では日本の反日フェミ女の団体が北京で慰安婦展を開いて、生き残りの慰安婦に名乗り出てくるように呼びかけたそうですが(「池田恵理子という反日活動家」を参照)、だれも名乗り出なかったようです。
名乗り出なかったのは、元慰安婦が生存していたとしても、プロの売春婦だったからでしょう。
慰安婦が金目的の売春婦だったことは、中国でも常識なんじゃないでしょうか。
大体、あのガメツイ中国女がタダでヤラせるわけないでしょうが!
日本の反日サヨクのグループはインドネシアでも新聞広告を出して元慰安婦を募集した前科があります。
慰安婦と名乗りでれば200万円(現地の物価に換算すると日本の2億円に相当)もらえるという噂が流れて、あっという間に、戦時中、インドネシアに駐留していた日本兵の数を上回る2万2000人もの女性が元慰安婦として名乗りをあげたそうですが、インドネシアの政府高官がこのことに激怒して、「インドネシアはそんなことで金をたかるような卑しい国ではない」と募集を止めさせたそうです。
この騒動の首謀者はアジア各地で慰安婦問題を煽っている高木健一という売国弁護士ですが、インドネシアから追い払われた彼は、韓国政府から勲章をもらっているのです!
「売春は韓国の文化です」に書いたように、本来、韓国は売春に寛容な国です。
そんな韓国人がこれほどまでに慰安婦について騒ぎ立てるのは、やはり日本に対する蔑視感情が根底にあるからでしょう。
つまり、彼らは売春それ自体ではなく、朝鮮人女性が彼らが格下と考える日本兵相手に売春していたという事実が許せなくて、それで吉田清治という元共産党員と朝日新聞が共謀してねつ造した朝鮮人慰安婦は強制連行されたという嘘八百の話に飛びついたのはないでしょうか。
現在、日本国内には韓国人の売春婦が5万人もいるそうですが、これも韓国人が認めたくない事実の筈です。
この事実をごまかすために彼らがどんな「物語」をねつ造するか、今から楽しみです。
韓国人が柔道や空手、合気道、剣道などの日本の伝統武道や、茶道や生け花などの日本文化、寿司などの日本料理をコピー、剽窃しておきながら、これらの文化の起源が韓国にあると主張するのも、この日本に対する歴史的な蔑視感情が関係しているのでしょうか。
元々、日本も含めて東アジアでは著作権の概念はなく、人の物を真似たり、コピーすることは悪いこととは考えられていません。
中国がコピー大国であることはよく知られていますし、日本語の「学ぶ」は「まねぶ」から来ているそうです。
韓国でも日本のお菓子や漫画などパクリまくっているそうですが、柔道や剣道までパクって、その起源を主張するのはどうみてもやりすぎです。
元々、韓国は世界に誇れるような文化がまったく存在しない文化後進国で、そのような国が文化を創造しようとしたら、どうしても日本文化の模倣になってしまうのでしょう。
ただ自分たちが格下とみなす日本の文化を模倣するのはやはり屈辱的なことに変わりなく、その屈辱感を紛らわすために、これら日本文化の起源は朝鮮にあったと考えるようになったのではないでしょうか。
元々、日本文化は朝鮮半島から日本に伝わった文化であると考えているそうですから… このような日本に対する蔑視感情が根底にある反日感情はいつまで続くのでしょうか。
私は半永久的に続くと思います。
彼らがこれほど強烈な反日感情を持つにいたったのは、自分たちが格下として馬鹿にしていた日本に侵略、征服され、植民地になった屈辱から来ているわけで、その屈辱感を晴らすためには、韓国が日本と戦争して日本に勝って日本を植民地にするしかないからです。
実際、韓国では、日本が竹島の領有権を口実に韓国に攻撃を仕掛け、それを迎え討つために韓国の大統領が北朝鮮と手を結び、日本に対して攻撃を止めないと核攻撃を加えると警告し、日本がそれを無視したので、ついに日本に向けて核ミサイルを発射し、その結果、日本中がパニックになり、日本の首相が韓国に対してこれ以上の核攻撃を止めてくるように韓国の大統領に膝まづいて哀願するという小説が100万部を超すベストセラーになっているそうです。
韓国人はこういう小説を読んでマスターベーションに耽っているわけで、日本を攻撃、征服し、日本人に命乞いさせるというのは彼らの長年の夢なのです。
ただ現実には日本と軍事的に戦争するわけにはいかないので、彼らは現在、日本に対して文化的な侵略戦争を仕掛けているのではないかという気がします。
昨今の異常なまでの韓流のゴリ押しは、文化的に日本を支配、征服し、韓流タレントの魅力の前に日本人を膝まづかせるのが目的なのだと思います。
韓国のメディアはK-POPに関して、K-POPは世界を征服するとか、K-POPは日本と東南アジアを占拠しているとか、まるで戦争でも語るような口調で語っていますが、実際、彼らの心情としては、これは戦争なのでしょう。
韓流タレントは反日のくせになぜ次から次へと日本にやってくるのだろうと不思議がる日本人がいますが、彼らは日本を侵略するための先兵で、反日だからこそ日本にやってくるのです。
現実にK-POPが世界を征服することなどありえないと思いますが、日本に関しては、日本に在住する帰化人を含めると100万を超えるという韓国朝鮮人が韓国文化の日本侵略に積極的に協力しています。
NHKから民放まで現在、日本のテレビ局は毎日、朝から晩まで繰り返し、これでもかこれでもかというほど韓国や韓国人の魅力を日本人の視聴者に向かって喧伝し、韓国および韓国人の優越性(と日本および日本人の劣等性)を日本人に刷り込むことにやっきになっていますが、日本のテレビ局がこのように韓国の宣伝工作機関に成り下がったのは、日本のテレビ局が在日朝鮮韓国人に支配されている証拠でしょう。
これらの日本メディアの韓流ゴリ押しの背景には大手広告代理店の電通が黒幕として存在するといわれていますが、私は電通だけでなく、民主党の政治家もバックにいるのではないかと疑っています。
日本のメディアは民主党が政権を取る前から特ア寄りでしたが、抗議デモが起こるほどテレビ局の韓流ゴリ押しが露骨になったのは、一昨年の9月に民主党が政権を取ってからです。
民主党は民潭の選挙協力に対する見返りとして、民潭に対して外国人参政権の実現を約束したといわれていますが、これについては日本国民の間から激しい反対の声があがって断念に追い込まれました。
それに対する謝罪の意味も込めて、民主党は国民の目に見えないところで、民潭や韓国のために様々な便宜を図っているのではないでしょうか。いずれにせよ、民主党政権が続く限り、韓流ゴリ押しも続くでしょう。
今回の一連の韓流ゴリ押し騒動ではっきりしたのは、在日朝鮮韓国人は3世になっても4世になっても韓国や北朝鮮の味方をし、彼らの対日工作に協力するということです。
彼らは日本社会に巣食う癌で、早期に除去しないと大変なことになると思いますね。  
 〜2011

 

 
 
 
 
 
●日韓請求権協定 

 

概要
1
1965年に結ばれた「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」のこと。略称は「韓国との請求権・経済協力協定」ともいう。両国の国交正常化のための「日韓基本条約」とともに結ばれ、日本が韓国に5億ドルの経済支援を行うことで、両国及び国民の間での請求権を完全かつ最終的に解決したとする内容。
日本の太平洋戦争敗戦後、韓国はサンフランシスコ条約の当事国に含まれなかったため、国交は成立しないままとなっていた。52年の同条約発効直前に、韓国は一方的に李承晩ラインを宣言し竹島を占領するなど日韓両国の関係が悪化した。後に、クーデターによって政権についた朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は、日米など諸外国との関係改善を急ぎ、65年には「日韓基本条約」が締結された。これに付随して交わされたいくつかの協約の一つが日韓請求権協定である。
この協定は、日本が韓国に対して無償3億ドル、有償2億ドルを供与することなどで、両国及びその国民の間の請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」と確認する内容である。したがって、戦時中などに生じた事由に基づく請求権は、いかなる主張もすることができない。また、この協定に関する紛争があれば外交経路で解決するものとし、解決できない時は第三国を交えた仲裁委員会に付託することになる。
韓国政府は条約内容を長らく国民に明らかにしていなかったが、2009年には徴用工の未払い賃金等もこれに含まれていたと公式に弁明。同国内では、国民が受け取るべき補償を、韓国政府が一括で受け取り費やしたとの批判もある。近年になって、戦争中に徴用された韓国人らによる訴訟で、韓国の裁判所から日本企業に対する賠償命令が相次いで出された。韓国の最高裁判所に当たる大法院で賠償が確定すれば、これに対して国際司法裁判所に提訴すべきだなどの意見が日本側から出ている。韓国側では請求権の具体的な内容が協約に記されていないことなどから、従軍慰安婦や在韓被爆者などについてはこの協約の対象とはならないとする意見もある。
2
1965年の日韓国交正常化に伴い、両国間で締結された。日本が韓国に無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力金を供与し、両国とそれぞれの国民間で「請求権」の問題を「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記した。日本政府はこれに基づき、元徴用工への補償問題は解決済みとの立場。韓国政府も2005年には、協定が定めた経済協力金に元徴用工への補償問題解決の資金も含まれるとの見解を発表していた。
3
昭和40年(1965)に調印された日韓基本条約に付随して結ばれた協定。第二次大戦における強制動員などの被害補償を求める韓国に対し、日本が無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力資金を払うことで、韓国が日本に対する一切の請求権を放棄することを定めたもの。  
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する
  日本国と大韓民国との間の協定
1965年に日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約と同時に締結された付随協約のひとつ。日韓請求権並びに経済協力協定。
この協定の主要骨格は、第1条、第2条、および、第3条にある。
第1条が日本から韓国に対して経済協力が行われるための手順規定、第2条が日韓両国間の請求権問題が「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」規定、および、第3条が日韓両国間で「この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争」を解決するための手順規定となっている。
この協定に基づき、日本は、韓国との正式国交開始と同時に、韓国に対し、合計5億米ドル(無償3億米ドル、有償2億米ドル)及び民間融資3億米ドルの経済協力支援を行った。当時の韓国の国家予算は3.5億米ドル程度、日本の外貨準備額は18億米ドルであったことから、その額の膨大さが推し量れる。韓国は、この日本からの経済協力金を原資として、国内のダムや高速道路を整備し、「漢江の奇跡」を成し遂げた。
日韓の見解の違い
2009年8月14日、ソウル行政裁判所は、大韓民国外交通商部が裁判所に提出した書面に「日本に動員された被害者(未払い賃金)供託金は請求権協定を通じ、日本から無償で受け取った3億ドルに含まれているとみるべきで、日本政府に請求権を行使するのは難しい」と記述されていることを明らかにした。韓国政府は、日韓基本条約締結時からこの付随協定の内容を韓国民に伏せており、韓国政府の公式見解が明らかにされたのは初めてである韓国・朝鮮人は請求権問題で日本政府にのみ補償と謝罪を求め続けてきたが、1965年当時の韓国政府が彼らの不払い賃金の対価も含まれると判断した上で日本からの経済協力資金を受け取っていたことを示す上記韓国公文書が韓国外交通商部からソウル行政裁判所に呈示されたことが明らかにされた。これについて韓国メディアは2009年8月14日以降は、彼らは日韓両政府に補償・謝罪・日韓交渉を求めなければならないということが明らかになったと報道しているが、日本の立場としては1965年の請求権協定により完全かつ最終的に解決済みである。
なお、日本政府は条約締結以前の1946年、日本企業に対して朝鮮人に対する未払い額を供託所に供託するよう指示を行っており、2009年8月現在、日本に供託形態で保管されたままとなっている韓国・朝鮮人への不払い賃金額は、強制動員労務者2億1500万円、軍人・軍属9100万円などで総額3億600万円となっている。
2010年3月15日、韓国政府は慰安婦、サハリン残留韓国人、韓国人原爆被害者については対象外だとして「日本政府の法的責任を追及し、誠意ある措置を取るよう促している」と発表した。 これに対して日本政府は、同年3月17日、「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定により、両国間における請求権は、完全かつ最終的に解決されている」という見解を発表した。
2012年5月24日、韓国では、第二次世界大戦の際に労働者として徴用された韓国人9名が三菱重工と新日本製鉄に対して損害賠償を請求した訴訟の上告審において、大法院が『個人の請求権は消滅していない』との判断を下し、原審に差し戻した。これは、韓国司法によってそれまでの日韓請求権協定に関する日本政府との見解および韓国政府の見解が却下されたことを意味している。
2013年8月6日、日本共産党の笠井亮議員により、小和田恒元外務省事務次官(本協定締結の1965年当時、外務省条約局法規課員)が、『対立する問題は可能なすべての外交交渉により解決すべき』という趣旨の文書『解説・日韓条約』をまとめていたことが判明している。この『解説・日韓条約』は、「何が『紛争』に当たるか」の問いに対して「ある問題について明らかに対立する見解を持するという事態が生じたとき」と明記しており、また、紛争の発生時期については「何らの制限も付されていない」とし、「今後、生じることのあるすべての紛争が対象になるべき」だと説明している。その上で、日韓間で紛争が生じた場合は、「まず外交上の経路を通じて解決するため、可能なすべての努力を試みなければならないことはいうまでもない」と解説しており、しんぶん赤旗は日本政府の立場と明らかに違う内容で注目されるとしている。
主な合意内容
第一条
日本国が大韓民国に経済協力(無償供与及び低利貸付け)する
「 第一条
1.日本国は、大韓民国に対し、(a)現在において千八十億円(108,000,000,000円)に換算される三億合衆国ドル(300,000,000ドル)に等しい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、この協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて無償で供与するものとする。各年における生産物及び役務の供与は、現在において百八億円(10,800,000,000円)に換算される三千万合衆国ドル(30,000,000ドル)に等しい円の額を限度とし、各年における供与がこの額に達しなかつたときは、その残額は、次年以降の供与額に加算されるものとする。ただし、各年の供与の限度額は、両締約国政府の合意により増額されることができる。(b)現在において七百二十億円(72,000,000,000円)に換算される二億合衆国ドル(200,000,000ドル)に等しい円の額に達するまでの長期低利の貸付けで、大韓民国政府が要請し、かつ、3の規定に基づいて締結される取極に従つて決定される事業の実施に必要な日本国の生産物及び日本人の役務の大韓民国による調達に充てられるものをこの協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて行なうものとする。この貸付けは、日本国の海外経済協力基金により行なわれるものとし、日本国政府は、同基金がこの貸付を各年において均等に行ないうるために必要とする資金を確保することができるように、必要な措置を執るものとする。前記の供与及び貸付けは、大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない。
2.両締約国政府は、この条の規定の実施に関する事項について勧告を行なう権限を有する両政府間の協議機関として、両政府の代表者で構成される合同委員会を設置する。
3.両締約国政府は、この条の規定の実施のため、必要な取極を締結するものとする。 」
第二条
両国は請求権問題が完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する
「 第二条
1.両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
2.この条の規定は、次のもの(この協定の署名の日までにそれぞれの締約国が執つた特別の措置の対象となつたものを除く。)に影響を及ぼすものではない。(a)一方の締約国の国民で千九百四十七年八月十五日からこの協定の署名の日までの間に他方の締約国に居住したことがあるものの財産、権利及び利益(b)一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつて千九百四十五年八月十五日以後における通常の接触の過程において取得され又は他方の締約国の管轄の下にはいつたもの
3.2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。 」
第三条
両国はこの協定の解釈及び実施に関する紛争は外交で解決し、解決しない場合は仲裁委員会の決定に服する
「 第三条
1.この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。
2.1の規定により解決することができなかつた紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両締約国のうちいずれかの国民であつてはならない。
3.いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかつたとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかつたときは、仲裁委員会は、両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもつて構成されるものとする。
4.両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。 」  
 
 
 
●檀君朝鮮

 

(だんくんちょうせん) 神話上の檀君王倹が紀元前2333年に開いたという国の名称。朝鮮半島ではこの年を起点とする記述から計算して檀君の即位した年を西暦紀元前2333年とし、これを元年とする檀君紀元(檀紀)を定め、1961年まで公的に西暦と併用していた。一部では現在も使用されている。
内容
高麗時代の一然著『三国遺事』(1280年代成立)に魏書からの引用と見られるのが、檀君朝鮮の文献上の初出である。『東国通鑑』(1485年)にも類似の説話が載っている。しかし引用元とされる魏書(陳寿の『三国志』や魏収の『北魏書』)などの中国の史書には檀君に該当する記述がまったくないので創作である。また『三国遺事』以前の古書・古記録によっても実在を立証できないため、檀君神話を自国の朝鮮民族主義歴史学の拠り所としている韓国・北朝鮮を除いては、国際的には信頼性や価値がある文献とされていない。中国の史書にはまったく登場せず、初めて朝鮮の歴史書に登場するのも13世紀と遅く、「仏教の宗教説話」の一つとして出てくるだけである。通常は神話として扱われ、歴史事実とは看做されていない。なお、偽書とされる『桓檀古記』、『揆園史話』には『三国遺事』とは異なる記述がなされている。
『三国遺事』
『三国遺事』が引用するが現存していない「朝鮮古記」によれば、桓因(かんいん、桓因は帝釈天の別名である)の庶子である桓雄(かんゆう)が人間界に興味を持ったため、桓因は桓雄に天符印を3つ与え、桓雄は太伯山(現在の妙香山)の頂きの神檀樹の下に風伯、雨師、雲師ら3000人の部下とともに降り、そこに神市という国をおこすと、人間の地を360年余り治めた。
その時に、ある一つの穴に共に棲んでいた一頭の虎と熊が人間になりたいと訴えたので、桓雄は、ヨモギ一握りと蒜(ニンニク)20個を与え、これを食べて100日の間太陽の光を見なければ人間になれるだろうと言った。ただしニンニクが半島に導入されたのは歴史時代と考えられるのでノビルの間違いの可能性もある。
虎は途中で投げ出し人間になれなかったが、熊は21日目に女の姿「熊女」(ゆうじょ)になった。配偶者となる夫が見つからないので、再び桓雄に頼み、桓雄は人の姿に身を変えてこれと結婚し、一子を儲けた。これが檀君王倹(壇君とも記す)である。
檀君は、堯(ぎょう)帝が即位した50年後に平壌城に遷都し朝鮮と号した。以後1500年間朝鮮を統治したが、周の武王が朝鮮の地に殷の王族である箕子を封じたので、檀君は山に隠れて山の神になった。1908歳で亡くなったという。
『帝王韻記』
高麗末期の李承休によって1287年に編纂された『帝王韻記』には、桓雄の孫娘が薬を飲んで人間になって、檀樹神と婚姻して檀君が生まれたという。檀君は1028年後に隠退した。ただしこの書は散逸して現存していない。
王倹について
平壌の古名として「王険」「王険城」が『史記』朝鮮列伝に出てくるのが初出であり、元来は地名である。12世紀の高麗時代に成立した正史『三国史記』高句麗本紀第五東川王の条には人名として王倹という語が出てくるが、平壌にかつて住んでいた仙人の名前としてであって、檀君という王がいたことは全く書かれていない。
中国地理書
山海經
「 東海之内北海之隅有國名曰朝鮮天毒其人水居  」
中国最古の地理書である『山海経』には「朝鮮」、「天毒」、『管子』には「発朝鮮」と言う国名、地名が書かれており、「朝鮮」という地名はすでに紀元前4世紀頃から有った事が確認されている。しかし具体的にいまのどのあたりを指していたのかは説がわかれるため、はたして特定の決まった地域を指していたのかどうかも判然としない。もちろん「檀君朝鮮」の記述はない。
現代の檀君朝鮮
後世の創作
『桓檀古記』
1911年の偽書『桓檀古記』(かんだんこき)の主な檀君朝鮮関連を挙げる。
○ 「三聖記」上編:桓雄までは『三国遺事』とほぼ同じ。桓雄の子ではない神人王倹が檀の木の岡に降り阿斯達を都とし朝鮮と号した。檀君王倹である。妻は河伯の娘。朝鮮から大扶餘と号した。47代2096年続いた。
○ 「三聖記」下編:桓雄は桓因ではなく安巴堅の庶子。桓雄の息子の檀君王倹は有帳という名で別伝では倍達王倹といった。その子は居佛理のち18代居佛まで続いた。
○ 「檀君世紀」:桓因の子檀君王倹の子孫47代世古列加までの史書
○ 「太白逸史」の「三韓管境本紀」:桓雄の子ではない神人王倹が国を三韓に分け辰韓を治めた。桓雄は阿斯達を国とし朝鮮と号した。神人王倹は馬韓を熊伯多、番韓を蚩尤男(蚩尤の末裔という)に治めさせた。
この本は、超古代からの朝鮮半島の歴史を詳細に書き綴っているが、この本は書いたのが桂延壽という人であり、最初に出版されたのが1911年である点からも近代になって作られた話であるのが分かる。また、現行版の「桓檀古記」は1949年に書かれたもので、出版が1979年であった。内容をみると、清の嘉慶5年(1800年)に命名された「長春」という地名の表記があったり、男女平等、父権など、近代になってから登場した社会用語がそのまま使用されている等、明らかに20世紀に入ってから作られた偽書であることが確実視されている。要するに、明治にはいり日本が韓国を併合(日韓併合、明治43年)した後、朝鮮人の桂延壽が、日本の記紀を参考に、「朝鮮の方が日本の倍は古い歴史がある」と記述し出来あがったものであると考えられている。
『揆園史話』
上古、朝鮮半島から満州・モンゴル・中国北部に至る広大な版図を誇った帝国「檀君朝鮮」があったと伝える偽書。1972年に韓国国立中央図書館古書審議議員の李家源、孫寶基、任昌淳3人が17世紀の著であることを確認する認証書を公表したというが根拠不明であり、偽書説を覆すものではない。
『檀奇古史』
成立時代
武田幸男によると、檀君朝鮮(檀君神話、檀君説話)が登場したのは、『三国遺事』と『帝王韻記』が著作される13世紀末期以前であり、『三国遺事』が拠る『古記』と『帝王韻記』が拠る『檀君本紀』は『三国史記』より古く、『三国史記』が拠る『旧三国史』系統の記事であることから、11世紀以前とする見解が多いという。そして、契丹の高麗侵攻の頃に形づくられ、モンゴルの高麗攻略の際に高い関心を引いて、朝鮮民族が巨大な苦難に直面するときに、民族統合の精神的エネルギーとなったという。田中俊明は、檀君朝鮮(檀君神話、檀君説話)はモンゴルの高麗侵攻時に、抵抗の拠り所とすべく成立されたとする意見を、外圧によってナショナリズムが覚醒するのは歴史の常としつつ、「檀君神話は、成立が少し遅れる『帝王韻記』にもみえており、『三国遺事』とは別の典拠があったようにみえる。その典拠の成立は、少なくとも、10世紀までさかのぼらせることが可能であり、とすれば、あらたに形成された伝説であっても、モンゴル侵入とは無関係であったと考えざるを得ない。そしてその場合、民族自尊の意識という点では、契丹の侵入がその背景にあったとみなすことができる。ただし、モンゴル侵入期においても、民族統合のシンボルとして機能したことは十分に考えられる。」とする。
矢木毅によると、『漢書』地理志をはじめ中国史書にも檀君朝鮮に関する伝承はただの一言も触れられておらず、檀君朝鮮を伝える文献が存在しないことから、それらの史書が作られた当時は、檀君朝鮮の伝承が成立していなかったと考えるのが自然であり、檀君朝鮮の舞台は、太伯山と阿斯達であり、これらは平壌の周辺に存在するが、平壌の地は統一新羅の領域外であり、高麗の初代王王建の北進政策により、高麗の領域に入ったにすぎず、従って高麗中期に平壌に存在した土俗的な信仰から創出された後世の説話であることが「定説」という。
井上直樹によると、韓国において琵琶形銅剣と支石墓の分布範囲に基づく檀君朝鮮の研究成果からは、『三国遺事』と『帝王韻記』にみられる檀君朝鮮記事は首肯しがたい状況であるという。日本では、檀君朝鮮(檀君神話、檀君説話)は平壌に伝わる信仰と仏教と道教要素が加味されたものであり、『三国遺事』と『帝王韻記』は、『三国史記』が拠る『旧三国史』の檀君朝鮮記事を引用しているため、10世紀〜11世紀頃の契丹の高麗侵攻時代に形作られ、モンゴル軍の高麗侵攻時代など朝鮮民族が受難を迎えた時に民族統合のエネルギーとなったのが「通説」であり、「そこから歴史的事実を追究するのは困難である」と評する。
韓国・北朝鮮での捉え方
論点
李氏朝鮮時代、歴史家の間で確立された見解は、朝鮮の起源を中国の難民にさかのぼり、朝鮮の歴史を中国とつながる歴史の連続だと考えた。殷からの難民箕子が建国したとされる箕子朝鮮と新羅(新羅の前身辰韓は秦からの難民)はこのように価値づけられ、檀君朝鮮と高句麗は重要だとは考えられなかった。しかし1930年代に、民族主義的ジャーナリスト申采浩(1880-1936)の影響を受けて、中国人が建国した箕子朝鮮より、朝鮮の檀君朝鮮の方が重要視されるようになり、檀君朝鮮は民間信仰を、箕子朝鮮は儒教を背景にして、韓国では自国文化尊重ということから、民族文化を形成する檀君朝鮮がだんだん有利となる。申采浩にとって、檀君は朝鮮民族と朝鮮最初の国の創設者であり、朝鮮の歴史のために必要な出発点だった。
檀君を『三国遺事』の著者による創作だとする白鳥庫吉と今西龍による批判に対して、民族主義的歴史家崔南善は、日本神話は創作されていると批判した。申にとっては、檀君のような古代の人物が朝鮮を作った事は朝鮮が中国より古い事を証明し、檀君が中国を植民地化したとの架空の話は朝鮮が中国よりも優れている事を証明し、中国神話の皇帝と賢人は本当は朝鮮人だったと主張した。
韓国の歴史教科書における檀君朝鮮
大韓民国教育部の韓国教育開発院が1999年に刊行した『日本・中国の中等学校歴史教科書の韓国関連内容分析』は、日本の教科書『日本史A』に対して、朝鮮史における最初の国家が古朝鮮であるにもかかわらず、朝鮮がはじめて登場するのは漢四郡であること、それは「結果的に朝鮮史の上限を引きずり下ろし、朝鮮の歴史がはじめから中国の支配を受けていたかのように暗示している」という。『日本史B』も日本の朝鮮古代史研究の影響のため古朝鮮の記述はない。韓国の教科書の高等『国史』は、古朝鮮は紀元前2333年に成立し、その支配は中国遼寧から朝鮮半島まで及んでいたと記述され、古朝鮮の根拠を琵琶形銅剣の分布にもとめて、古朝鮮建国の根拠として檀君神話を紹介している。そのことから古朝鮮は韓国国民に広く知られている。『日本・中国の中等学校歴史教科書の韓国関連内容分析』は、望ましい『日本史A』として、韓国の『国史』には記述されているため、朝鮮半島にも旧石器時代から人が住んでいたこと、最初の国家である古朝鮮の実態を認定して、朝鮮の青銅器文化が日本の青銅器文化に影響をあたえたことを明らかにすること、としている。
「 青銅器文化が形成され、満州遼寧地方と韓半島西北地方には、族長(君長)が治める多くの部族が現れた。檀君はこうした部族を統合し、古朝鮮を建国した。檀君の古朝鮮建国は、わが国の歴史が非常に古いことを示している。また檀君の建国事実と「弘益人間」の建国理念は、わが民族が困難に直面するたびに自矜心を呼び起こす原動力となった。その他にも檀君の建国説話を通して、わが民族が初めて建国した時の状況を推測することができる。熊と虎が登場することからは、先史時代に特定動物を崇拝する信仰が形成され、その要素が反映していることが知られる。また雨・風・雲を主管する人物がいることからは、わが民族最初の国家が農耕社会を背景に成立したことを推測することができる。 —  中学校『国史』  」
中学『国史』では、神話である檀君が朝鮮最初の国家を建国したことを明示して、檀君説話を通して建国時の状況を推測できるとして、朝鮮最初の国家は農耕社会として成立したと叙述する。
「 古朝鮮建国の事実を伝える檀君説話は、わが民族の始祖神話として広く知られている。檀君説話は長い歳月を経て伝承され、記録として残されたものである。その間に、ある要素は後代に新たに追加され、時には失われもした。神話は、その時代の人々の関心が反映されたもので、歴史的な意味が込められている。これはあらゆる神話に共通する属性でもある。檀君の記録も同じく、青銅器時代の文化を背景とした古朝鮮の成立という、歴史的事実を反映している。 —  高等学校『国史』  」
高校『国史』は、檀君説話は朝鮮の始祖神話であるが、単なる神話ではなく歴史的事実を示すものであると叙述する。
「 農耕の発達により剰余生産物が生まれ、青銅器が使用される中で、私有財産制度と階級が発生した。その結果、富と権力をもつ族長(君長)が出現した。族長は、勢力を伸ばして周辺地域を合わせ、ついには国家を築いた。この時期に成立したわが国最初の国家が、古朝鮮である。以後、古朝鮮は鉄器文化を受容しながら、中国と対決するほどに大きく発展した。 —  高等学校『国史』  」
高校『国史』は、朝鮮最初の国家は古朝鮮であると明言して、「わが民族」と檀君神話とを直接的結びつける。
「 族長社会でもっとも早く国家に発展したのは古朝鮮であった。『三国遺事』や『東国通鑑』の記録によると、檀君王倹が古朝鮮を建国したとする(紀元前2333)。檀君王倹は当時の支配者の称号であった。 —  高等学校『国史』  」
「 族長社会でもっとも早く国家に発展したのは古朝鮮であった。『三国遺事』や『東国通鑑』の記録によると、檀君王倹が古朝鮮を建国した(紀元前2333)。檀君王倹は当時の支配者の称号であった。 —  高等学校『国史』  」
1981年に大韓民国教育部長官の安浩相(朝鮮語: 안호상)が1檀君は実在の人物2檀君の領土は中国北京まで存在した3王倹城は中国遼寧省にあった4漢四郡は中国北京にあった5百済は3世紀から7世紀にかけて、北京から上海に至る中国東岸を統治した6新羅の最初の領土は東部満州で、統一新羅の国境は北京にあった7百済が日本文化を築いたという「国史教科書の内容是正要求に関する請願書」を国会に提出した後に作られた、1982年『国史』から2006年『国史』までは、古朝鮮の建国は、「檀君王倹が古朝鮮を建国したとする」と『三国遺事』を引用して、歴史的事実である可能性を叙述する。しかし2007年『国史』からは、「檀君王倹が古朝鮮を建国した」とし、『三国遺事』からの単純な引用ではなく、歴史的事実として確定する。
「 新石器時代に続き、韓半島では紀元前10世紀頃に、満州地域ではこれに先立つ紀元前15〜13世紀頃に、青銅器時代が展開した。 —  高等学校『国史』 」
「 新石器時代末の紀元前2000年頃に、中国の遼寧や、ロシアのアムール川および沿海州地域から入ってきた粘土帯刻文土器文化は、先行する櫛歯文土器文化と約500年間共存した末に、次第に青銅器時代へと移行した。これが紀元前2000年頃から紀元前1500年頃のことで、韓半島の青銅器時代が本格化した。 —  高等学校『国史』 」
2006年『国史』までは、紀元前10世紀に青銅器が伝来したが、古朝鮮は紀元前2333年に建国されたとして、古朝鮮は石器時代に国家が形成された世界でも例を見ない国家となる。2006年『国史』までは、檀君による古朝鮮建国は事実としつつも、紀元前2333年という建国年は容認しなかったが、2007年『国史』からは、青銅器伝来時期についての記述を通じて、檀君による古朝鮮建国のみならず建国年まで事実とする。
「 わたしたちの同胞は、最初の国である古朝鮮を建て、高句麗・百済・新羅に続き、統一新羅と渤海を経て発展してきた。わたしたちの同胞が発展してきた過程を、歴史的人物と文化財を中心に詳しく見てみよう。—  初等学校『社会6-1』 」
「 わたしたちの祖先は、青銅器文化を基礎に、最初の国家である古朝鮮を建てた。上の文章は、古朝鮮の建国を伝える檀君説話である。ユミのクラスでは、檀君説話を読んで、古朝鮮について話し合ってみた。『三国遺事』の檀君の建国説話について意見を交わしたユミのクラスの生徒たちは、様々な資料を調べて、古朝鮮とその後の国々について整理してみた。《古朝鮮の建国》国を建てた人:檀君王倹、建国の時期:紀元前2333年、都の場所:阿斯達、国を治める精神:広く人間を有益にするという「弘益人間」の精神 —  初等学校『社会6-1』 」
小学『社会』では、青銅器を基礎に紀元前2333年に神話である檀君によって建国された古朝鮮が朝鮮最初の国家と明言する。このような教科書で学習した学生たちは、疑問を差し挟む余地なく神話である檀君と古朝鮮、その建国時期について史実と考えるようになる。大部分の学生たちは教科書を常に正しいと信じており、授業の評価方式は、教科書の内容を正確に覚えて正解を選んだものが高得点を得るようになっているからである。井上直樹は、檀君朝鮮は『三国遺事』によればそうなるだけであり、それが史実かどうかは別問題であり、『三国遺事』や『帝王韻記』は史料批判・史料考証が必要であり、檀君朝鮮を『三国遺事』の神話に求め、そのまま認める教科書の記述は、史料考証に基づく既往の研究成果から導き出された結論か疑問だと批判している。
北朝鮮における檀君朝鮮
北朝鮮が1993年に見つけたと発表した檀君の骨は、「電子スピン共鳴法」による年代測定で5011年前のものとだと分かったために、檀君は実在の人物と発表された。ところが、5011年前では檀君神話に基づく檀君朝鮮の建国年と667年もの違いがある。加えて、年代測定に電子スピン法を用いたといっているが、その詳細な解析方法については詳細が公表されていない。つまりこれもでっちあげのねつ造話であると考えられる。また、1993年に檀君の墓を発見したと公言(実は高句麗時代の古墳)し、その地に「檀君陵」なるコンクリート製の建造物を建設した。
日本や中国やアメリカでの捉え方
○ カリフォルニア大学サンタバーバラ校の「炯逸は、檀君の人気は「今日の朝鮮の歴史学と考古学が超国家主義的になってきている傾向を反映している」。20世紀の人種や民族の概念の古代の朝鮮への逆投影が、「檀君の作り話で満たされた矛盾する物語の複雑な寄せ集め、競合する王朝の神話、部族の仮想的な侵略、説明できない考古学的データが... 古代朝鮮の研究で事実とフィクションを区別することを事実上不可能にしている」と評する。
○ ジェームズ・マディソン大学のMichael J. Sethは、「極端なナショナリズムとカルトの最大の現れは、檀君(最初の朝鮮の国家の神話の創設者)に対する関心の回復であった... しかし、大部分の教科書とプロの歴史家は彼を神話とみなす」と評する。
○ ハワイ大学マノア校のMiriam T. Starkは、「箕子が本当に歴史上の人物として実在していたかもしれないが、檀君はより問題がある」と評する。
○ トロント大学のアンドレ・シュミットは、「ほとんどの朝鮮史の歴史家は、檀君神話を後の創造と扱う」と評する。
○ ブリガムヤング大学のMark Petersonは、「檀君神話は朝鮮が(中国から)独立しているように望んでいたグループでより多くの人気となった。箕子神話は朝鮮が中国に強い親和性を持っていたことを示したかった人たちに、より有用であった」と評する。
○ ホーマー・ハルバートは、「選択が、それらの間でなされることになっているならば、檀君が、彼の超自然的起源により、明らかに箕子よりも神話の姿であるという事実に人々は直面する」と評する。
○ 北京大学の宋成有は、「1910年に日本が朝鮮半島に侵入した後に、韓国の歴史学者で亡命して中国に来た者たちは、侵略に抵抗するためナショナリズムを喚起し、歴史の中からそのような傾向をくみ取って、韓国の独立性を強調した。それらは韓国の歴史学界の中の民族主義史学の流派へと発展した。1948年の大韓民国創立の後、民族主義史学は韓国の大学の歴史学の三大流派の一つになったが、民間のアマチュア史学や神話や伝承や講談などの作り物と真実とを混同して、社会的な扇動におおきな力を振るっている。」と評する。
○ 田中俊明は、「ここは、朝鮮民族の始祖とされる檀君の故地でもある。近年、その東の江東で『檀君陵』が発掘・整備され、その実在化が進んでいるが、明確な記録による限り、天帝の子と熊女との間に生まれた神人であり、神話として受け取るしかない。」とする。
○ 岡田英弘は、「さて、韓半島では、最初の歴史書『三国史記』から約100年後の13世紀になって、『三国遺事』という本が書かれた。これは、一然という坊さんが書いた本だが、このなかに、檀君という朝鮮の建国の王の神話があらわれてくる。この檀君は、天帝の息子で、それが地上に天下って、中国神話の帝堯と同時代に朝鮮に君臨し、1500年間在位して、1908歳の長寿を保ったということになっている。ご記憶の方もあるかと思うのだが、北朝鮮の金日成主席は、1994年7月8日に死んだ。その直前、この檀君の墓が北朝鮮で発見されたという報道があった。墓のなかには、身長が3メートルぐらいで、玉のように白くて美しい、巨大な人骨があったという。当時、朝鮮民主主義人民共和国が国力を傾けて、莫大な金をかけて檀君陵を建造したが、陵ができ上るのとほとんど同時に、金日成が死んでしまった。なぜ、神話中の登場人物である、檀君の遺骨をわざわざ見つけたか。それは北朝鮮の国是である主体思想のせいなのだ。朝鮮の起源は、中国に匹敵するぐらい古い。しかも、中国文明とは無関係に成立していたんだ、ということを言いたいがために、そういうものをつくったのだ。」と評する。
○ 倉山満は、「韓国史は、檀君伝説から始まります。内容を簡単に説明すると、『神様が熊と虎に求婚されたので熊を選び、人間に姿を変えて結婚し、生まれた子供が檀君という古朝鮮建国の祖である』という話です。紀元前2333年檀君朝鮮を建国したことになっており、箕子朝鮮・衛氏朝鮮と合わせて古朝鮮と呼びます。もちろん、神話なのでまともに批判しても仕方ないのですが、『中国の堯・舜時代と同じく長い伝統を持っている。(申N植『梨花女子大学コリア文化叢書 韓国史入門』p19)』と考えるのが韓国人です。」「中国は、日本の『皇紀2600年』やエジプトの『3000年の文明』に対抗するかのごとく、『3000年』『4000年』と歴史を増やしています。最近では5000年を超え、ついに『6000年』と言い出しました。これは北朝鮮や韓国が『檀君5000年』を主張しているからです。『儒教文化』の中華帝国を父と敬う姿勢は、『2000年の遺伝子』として受け継がれていますが、ただ、そうした"中華様"への従属姿勢の反面、韓国人の意識のなかに反発というもう一面があることを見逃しては、理解が不十分になってしまうでしょう。」と評する。
○ 韓洪九は、「韓国では、単一民族という神話が広く信じられてきた。1960年代、70年代に比べいくぶん減ってはきたものの、社会の成員の皆が檀君祖父様の子孫だというのは、いまでもよく耳にする話である。われわれは本当に、檀君祖父様という一人の人物の子孫として血縁的につながった単一民族なのだろうか。答えは『いいえ』です。檀君の父桓雄とともに朝鮮半島にやって来た3000人の集団や、加えて檀君が治めていた民人たちの皆が皆、子をなさなかったわけはないのですから。彼らの子孫はどこに行ってしまったのでしょうか。箕子の子孫を名乗る人々の渡来から、高麗初期の渤海遺民の集団移住にいたるまで、我が国の歴史において大量に人々が流入した事例は数多く見られます。一方、契丹・モンゴル・日本・満州からの大規模な侵入と朝鮮戦争の残した傷跡もまた無視することはできません。こうしたことを考えれば、檀君祖父様という一人の人物の先祖から始まったのだとする単一民族意識は、一つの神話に過ぎないのです。」「いろいろな姓氏の族譜を見ても、祖先が中国から渡来したと主張する帰化姓氏が少なくありません。また韓国の代表的な土着の姓氏である金氏や朴氏を見ても、その始祖は卵から生まれたとされ、檀君の子孫を名乗ってはいません。これは、大部分の族譜が初めて編纂された朝鮮時代中期や後期までは、少なくとも檀君祖父様という共通の祖先をいただく単一民族であるという意識は別段なかったという証拠です。また、厳格な身分制が維持されていた伝統社会では、奴婢ら賤民と支配層がともに同じ祖先の子孫だという意識が存在する余地はないのです。共通の祖先から枝分かれした単一民族という意思が初めて登場したのは、わが国の歴史においていくらひいき目に見ても大韓帝国時代よりさかのぼることはあり得ません。」「国が危機に直面したとき、檀君を掲げて民族の求心点としたのは、大韓帝国時代から日帝時代初期にかけての進歩的民族主義者の知恵でした。」と評する。
○ 日韓歴史共同研究委員会のメンバーである永島広紀は、「韓国では“史実”として扱われている5000年前の朝鮮民族の始祖とされる檀君についても、オフレコでは『そんなもの誰も信じていませんよ』と軽口を叩く。しかし、記録が残る場では絶対にそんな発言はしない。対日的な場での言論の自由がない国なんです。」と評する。
○ 加藤徹は、「第二次大戦後に成立した大韓民国は、公用紀元として、檀君紀元(檀紀)を採用した。これは、朝鮮最初の王とされる檀君王倹が即位したとされる紀元前2333年を元年とする紀元である。檀君王倹は、神話的人物である。神の息子である桓雄と、熊が人間に変身した熊女のあいだに生まれた子とされる。日本の植民地支配を脱したばかりの韓国人にとって、日本の皇紀より古い紀元を使うことは、ナショナリズムの上から必要なことだったのかもしれない。」「東アジア三国のナショナリズムの流れを並べると、面白いことに気づく。後発の若い国民国家ほど、うんと背伸びをして、自国の歴史の古さを強調する。これは、『加上説』の理論そのままである。加上説というのは、江戸時代の学者・富永仲基が提唱した学説である。後発の新しい学派ほど、自説を権威づけるため、開祖を古い時代に求める傾向がある、という理論である。」「韓国人は、中国人よりも、さらに自国の古さを強調する。彼らは『ウリナラ半万年(われらの国は五千年)』という言葉を、好んで使う。自分たちは、日本や中国より古い民族なのだ、という矜持をこめて、ことさらに『万』という数字を入れ、五千年を『半万年』と称する。その実、南北に分断されている彼らは、いまだ国民国家の形成を実現できていない。そのため彼らのナショナリズムは、熱く、むき出しである。ヤマト民族は二千六百年、漢民族は四千年、朝鮮民族は半万年。しかし、近代国家としての年齢順は、この逆である。」と評する。
○ 矢木毅は、高麗時代に女真人が金を建国すると高麗は服属するが、属民視していた女真人に服属する事は屈辱以外の何物でもなく、高麗ナショナリズムが高揚する契機となる。高麗ナショナリズムの高まりの中で、民族の始祖としての檀君神話が誕生したと分析し、檀君がツングース民族を従えて君臨するという檀君朝鮮の構図は、高麗人が、現実世界において屈服させられていた女真人の金に対する歴史的・文化的な優越感と表裏一体の関係であり、従って檀君朝鮮の伝承は、モンゴル帝国の支配に対する抵抗のナショナリズムが生み出したものと言うよりは、高麗時代前期の反女真人意識と自尊意識が生み出したと解釈するのが自然だ、と述べている。
○ 白鳥庫吉は、檀君朝鮮を「僧徒の妄説を歴史上の事実にした」ものだと主張した那珂通世の主張を支持している。
○ 林泰輔は、「その説が荒唐無稽で信じられない(其説荒唐ニシテ遽ニ信ズベカラズ)」と評している。
○ 武田幸男が編集した『朝鮮史』山川出版社、2000年には、「もとは平壌地方に伝わった固有の信仰であろうが、仏教的および道教的要素が含まれ、また熊をトーテムとし、シャーマニズム的な面もうかがえる複合的な神語で、かなり整合性につくりあげられたかたちになっている。その民族性をうかがうには、有効かもしれないが、それをとおして、歴史的事実を追究するのは容易ではない。」とする。
○ 朝鮮総督府が編纂した『朝鮮史』の委員会において、崔南善は、「正篇や補篇の形で檀君と箕子に関する内容を編纂したらどうか」「檀君と箕子に関するものはその史実だけにこだわらず、思想や信仰の側面で発展してきたことなどをまとめて別篇として編纂したほうがいいだろう」と意見をすると、黒板勝美は「檀君と箕子は歴史的な実在の人物ではなく、神話の人物として、思想や信仰の側面で発展してきたわけだから、編年史として扱うのは無理だ」と応じた。対して崔南善は、「檀君と箕子が歴史的に実在していた人物なのか、神話の人物なのかは1つの研究課題にもなりますが、少なくとも朝鮮人の間では、これが歴史的事実として認識されてきたのです。しかし、本会が編纂する『朝鮮史』にこの内容を入れないということは、私たち朝鮮人としては非常に残念でなりません。ですから、本会編纂の『朝鮮史』が朝鮮人にあまり読まれていないわけです」と抗弁した。このように『朝鮮史』で檀君は非歴史的存在として扱われ、歴史上の居場所を失った。
○ 小田省吾は、「檀君朝鮮が半島古代史の一時期を画したと主張するのは、正しい歴史研究として認められない」と評している。
○ 藤永壯は、衛氏朝鮮は実在したが、檀君朝鮮と箕子朝鮮は説話的要素が強いと分析する。
○ 今西龍は、白鳥庫吉と那珂通世の檀君神話の否認を継承して、1925年に起工した朝鮮神宮に檀君を合祀すべきという議論に異を唱え、「檀君を日本のある神格と合祀しようとする妄挙を慨嘆し」「檀君という方は日本となんら関係がない」と強調した。
○ 石平は、「朝鮮半島最初の王朝・衛氏朝鮮は中国人が建国したという史実や、朝鮮の歴代王朝が中華帝国の属国となり続けたことの劣等意識から、韓民族は建国物語『檀君神話』を生み出した」と指摘している。
○ 宮脇淳子は、一然が檀君神話を創った意図を「『三国遺事』が書かれた13世紀後半というのは、ちょうど朝鮮半島がモンゴル人の支配下に入った時期だったからです。それまで30年の間に6回もモンゴル軍に高麗全土を荒らされていた間、高麗王と政府は江華島に逃げこんでいました。しかし、実権を握っていた武人がとうとうクーデターで倒されて、高麗王は太子をモンゴルに派遣しました。高麗の太子(後の元宗)の息子は、フビライの皇女と結婚し、これ以後、代々の高麗王の息子はモンゴルの皇女と結婚して元朝皇帝の側近となり、妻方でモンゴル風の生活をしました。そして、父王が亡くなった後に高麗に戻って即位したのです。高麗王室は残されたものの、朝鮮半島の統治のために征東行省が置かれ、高麗は実質的には元の一地方に成り下がりました。こうした中、食料や毛皮、あるいは人間まで様々なものが収奪されても、文句ひとつ言えなかった。そうした惨めな状況から、朝鮮の民族主義を鼓舞する意図があった」と述べている。 
韓国の歴史教科書
韓国がどのようにして『ファンタジー歴史教科書』ともいうべきものを作り上げてしまったのか、その軌跡をたどってみました。
昔から韓国の歴史教科書は、偏った内容だったのですが、ある時期を境にその偏向度合いを加速させて行きます。…70年代の歴史教科書を見ると、書かなくてはならない事項については、史実を捻じ曲げながらも一応は記述されていました。
例えば漢四郡に付いて
『…漢の武帝が中国東北地方から朝鮮半島北部にわたって設置した四郡は我が国の一部ではあるが、この異民族が統治したという点で確実に望ましい事ではなかった。しかし我が祖先たちはこの試練の時期を通じ、我が民族の団結力を固め、彼らが持っていた社会秩序と科学時術をはじめとする各種文化に接し跳躍の足がかりとみなした。…』(1979年)
物は言いようですが異民族支配に付いて曲がりなりにもちゃんと記述しています。…では現在の教科書ではどうでしょう。
『…古朝鮮が滅亡すると、漢は古朝鮮の一部地域に郡県を設置して支配しようとしたが、土着民の強力な反発にあった。その後、漢の郡県の勢力は次第に弱まり、結局、高句麗の攻撃を受けて消滅した。…』(2003年)
見事なスルーです。実際の史実は、「中国王朝が郡県制を設置した事による半島支配は400年以上に及んだ」 これが正しい。…4年じゃなくて400年ですよ。…国定教科書が朝鮮半島における400年間を無視!
ではなぜここまで教科書の内容が変わってしまったのでしょうか、韓国では在野史家とか民間史学者と称する人たちが1974年に『韓国古代史研究会』を、次いで1975年に『国史探求協議会』を結成し、当時の教科書執筆者たちに対して「日帝植民地支観に染まっている」 と攻撃を始めました。
日本人がでっち上げた朝鮮史を歴史学の権威たちが引き写しているという主張です。
更に在野史家たちは荒唐無稽な朝鮮半島の古代史を史実として教科書に載せるよう1978年に訴訟を起こし(国定教科書五謬是正及び正史確認訴訟)、1981年には、国会に国定教科書改変の請願を行いました。
請願書の主な内容
・檀君と箕子は実在の人物である。
・檀君朝鮮と箕子朝鮮の領土には、中国の北京まで含まれていた。
・百済が3〜7世紀に北京から上海に至る中国東海岸を統治した。
・新羅の当初の領土は東部満州であり、統一新羅の国境は一時期北京にあった。
・高句麗・百済・新羅、特に百済の人々が日本文化を造った。
…その他数項目。
何故か日本の事まで書かれている請願書。
ちなみに在野史家たちがその主張の論拠としているのが『揆園史話』、『檀奇古史』、『桓檀古記』 などの史書ですが、いずれも1920年代以後に作られた ”偽書” であることが判明しています。
しかし、この請願書提出が引き金となり、ついに在野史家たちは国会での公聴会開催を成功させるに至りました。公聴会には学会権威の面々が呼び出され、吊るし上げが繰り返されます。
マスコミも在野史家側の主張を積極的に紹介して世論をリードしました。
東京で学んだ学会の元老・李丙壽氏が、「日帝植民地主義者どもに放たれた文化間諜の疑いがある」 と在野史家たちから言い掛かりを付けられて、ソウル地検に告訴されたのもこの頃です。
次いで80年代半ばに、11を数える在野歴史団体が一つに集結して 『民族史を正す国民会議』 を結成すると、彼らによる歴史学会批判は絶頂に達します。
800人以上を集めた公開シンポジウムでは、発言中の学会権威たちに対して怒号、罵声、侮辱を浴びせて糾弾しました。…なお聴衆の大多数は 『国民会議』 によって大型バスなどで動員されたものでした。
そしてこうした在野史家側の要求に押され、文教部(日本の文部省)は、86年に 『国史教科書審議会』 を発足、87年に国定教科書の改訂試案をまとめます。
それは在野史家たちの主張をかなり盛り込んだハチャメチャなものでした。
新教科書内容一例
『…檀君神話の歴史的事実の反映として把握し、古朝鮮の成立が青銅器文化の土台の上で展開した我が国最初の国家形成であったとする事実を重視し、かつ、その政治・文化的水準は発展した段階にあったことを明記する。…』(1987年)
その後、1990年3月には実際に新たな国定教科書が刊行されましたが、在野史家側からはとりたてて大きな反発はありませんでした。なぜなら新しい教科書は、彼らの主張を反映させたものだったからです。
つまりそれまでは、「非常に偏向した内容の教科書」 くらいで済んでいましたが、1990年から先は、 「ただのファンタジー」 になってしまいました。
以上の経緯を踏まえたうえで、在野史家たちが改編した古代史をどうぞ
『…檀君はこのような部族を統合して古朝鮮を建国した。檀君の古朝鮮建国は、我が国の歴史がとても古い事を物語る。また、檀君の建国の事実と 『弘益人間』 の建国理念(桓因が地上世界を見下ろすと、太白山地域が人間に大いに役立つと考えた事)は、以後、我が民族が困難にあうたびに自尊心を呼び覚ます原動力になった。…』
『…古朝鮮は青銅器文化の発展によって次第に政治・文化の中心としての役割を果たし、勢力を拡張していった。紀元前4世紀頃には、遼野寧地方を中心に満州と朝鮮半島北部をつなぐ広い地域を統治する国家に発展した。…』
『…古朝鮮が盛んとなり、漢に対抗する勢力として大きくなると、漢はは大軍を送って首都の王倹城を包囲、攻撃した。…』
『…「三国遺事」や「東国通鑑」 の記録によれば、古朝鮮は檀君王倹は建国したという(紀元前2333)…』
『…古朝鮮は遼寧地方と大同江流域を中心に独自の文化をつくりあげ発展した。また遼西地方を境界にして燕と対立するほど勢力が盛んだった。…』
『…百済は水軍を整備して、中国の遼西地方に進出し、ついで三東地方と日本の九州地方にまで進出するなど活発な外交活動を繰り広げた。…』
続いて李氏朝鮮の時代です(1392年〜1897年)
『…通信使は日本の要請を受けて日本に渡り、手厚い待遇を受け、日本の文化発展に貢献した。彼らが訪れた後には、日本国内に朝鮮の文化と風俗が広まるほどであった。…』
『…朝鮮の初めには琉球、シャム、ジャワなど東南アジアの諸国とも交流した。これらの国は朝貢あるいは進上の形式で嗜好品を中心にした各種特産物をもたらし、服、生地、文房具などを回賜品として持っていった。…』
『…壬辰倭乱によって侵略された朝鮮は日本との外交関係を遮断した。しかし、日本の徳川幕府は経済的な困難を解決し、先進文明を受け入れるために対馬島主を通して朝鮮に国交を再開するよう要請してきた。…』
『…日本は朝鮮の先進文化を受け入れ、徳川幕府の将軍が変わるたびに、その権威を国際的に認められるために、朝鮮に使節の派遣を要請してきた。…』
『…日本は彼らを通して朝鮮の先進的な学問や技術を学ぼうとした。したがって、通信使は外交使節としてだけでなく、朝鮮の先進文化を日本に伝える役割も果たした。…』
最後は併合から第二次世界大戦まで
『…大韓民国臨時政府は、独立戦争を効果的に展開するため、政府組織を主席制に変えた。そして早くから臨時政府を率いていた金九が主席を任されて戦争を率いた。…』
『…独立軍を土台として韓国光復軍を編成した(1940年)。これによって臨時政府は独立的な政府として独自の軍隊で独立戦争を推し進めることができた。…』
『…日帝が太平洋戦争を起こすと、大韓民国臨時政府は日本に宣戦布告をし、連合国と共に独立戦争を展開した。このとき、韓国光復軍は中国各地で中国軍と協力して日本軍と戦い、遠くインドやミャンマー(ビルマ)戦線にまで進んでイギリス軍と共に対日戦闘に参加した。特に、韓国光復軍は、敵の後方を攪乱するなど、様々な特殊戦で成果を収めた。…』
『…韓国光復軍は国内に侵入して日帝うぃ退け、祖国の光復を達成する作戦を計画していた。この計画の出発の命令を待っていたが、日帝の降伏によって実現されなかった。しかし、祖国の独立と民族の解放を自主的に成し遂げようとする努力を示すものだった。…』
『…アメリカで生活していた我が同胞たちも義勇軍としてアメリカ軍に参加し、独立戦争に立ちあがったりする事もあった。以上のように、我が民族の積極的な独立戦争は各国に知られ、世界列強は、韓国の独立問題に関心を持つようになった。こうして連合国首脳が集まったカイロ会議(1943年)とポツダム宣言(1945年)で、韓国の独立を約束する土台が築かれた。…』
『…1930年代に満州で活動した多数の独立軍は、韓国独立軍や朝鮮革命軍に統合された。これらの部隊は日帝の満州侵略以後は、中国軍と連合して多くの戦闘で勝利した。…』
『…臨時政府が日本に宣戦布告をした後、韓国光復軍は連合軍と共同でインドやミャンマー(ビルマ)戦線に参戦した。また、アメリカと協力して国内侵攻作戦を準備したが、日帝の崩壊によって実現できなかった。…』 
 
 
 
●反日主義
 

 

 

日本に対して敵対または嫌悪する思想、主張、政策、行動をいい、人種差別主義言動の一種。  
韓国
鄭大均は「反日は韓国のアイデンティティと不可分な関係があり、反日と無縁な韓国人はいない」と述べている。
韓国大使を務めた武藤正敏は韓国の反日と中国の反日は異なると指摘している。中国の反日は共産党の指導の下で国益に基づいて、彼らに制御されている。それに対して、韓国では自国の国益を毀損してでも、国民感情で反日をすると述べている。武藤は韓国の反日については「理性的な判断がどこまで働いているかは分かりません」と中国との差を述べいる。
崔碩栄は「韓国の過激な反日感情は自然に発生した感情ではない。『反日国家』韓国では、日本は『悪い国』だという情報だけが与えられ、人々が自然に『反日型人間』になるように仕組まれた『反日システム』という社会構造が形成されている。そこから利益を得ている人々(北朝鮮や日韓の左派など)がシステムを維持強化している」と述べている。
黒田勝弘は「韓国は世界で最も日本非難論が活発で、韓国マスコミは日本非難なら何でもありで、極端な比喩による感情的論評を書き、反日報道ではデッチ上げなど内容が誤報と分かっても訂正はほとんどない。これは『反日病』だ」「韓国は、日本に対して執拗に過去史を追及し『謝罪と反省』を求めてきたが、中国とは1992年の国交正常化以来、首脳会談で過去史が問題になったことはない。中国は朝鮮戦争で北朝鮮を支持して軍事介入した南北分断固定化の元凶であるのに、韓国政府もマスコミも識者も誰も中国の戦争責任、侵略責任を語ろうとはしない」「韓国は中国が侵略戦争責任を追及しても応じないと分かっているので黙っているのだ。とすると結果的に日本のように応じると限りなく追及される」「経済や政治など実利のためには中国と仲良くし、ご機嫌をうかがわなければならないからだ」と述べている。
西村幸祐は「韓国にはタリバンのテロと本質的に同じ反日原理主義が根付いている。小中華思想からの日本人への蔑視感情がそのエネルギーの原動力になっている。韓国人の歪んだ歴史認識は、嘘を嘘と認めない彼らの文化から生まれたものであり、理性や論理を超越したところで仮想現実の構築に勤しんでいる。反日という宗教の原理主義が情報テロリズムという形態を取って日本に襲い掛かっている」と述べている。
鈴置高史は「『韓国の常軌を逸した「侮日・卑日」ブーム』は、「『夷』たる日本への根深い蔑視」という「精神的な先祖返り」が背景にある。韓国は、自分たちは精神文化では日本よりはるかに上だと考え、日本人は倫理性が低いので倫理性が高い韓国人が日本人のために『戦犯国家』日本を叱ってやっているのだ、という態度を取っている。2006年秋に韓国の最高指導者の1人から『韓国はもう、中国に逆らえない。だから日本も中国に逆らってはいけない』と厳しい口調で言われたが、『自分が中国に服しているのに、そうしない奴がいる』と考える韓国人は、中国人以上に日本に対し不快感を持つ」「韓国では論理の整合性は重要視されません。ケンカする時には相手を攻撃しまくるべきであり、自分の行いがどうであるかは関係ないのです」「韓国人は中国の朝貢国であったことに誇りを持っている。それを恥ずかしいなどとは思っていない」韓国は、『もっとも忠実に中国に仕えることで、世界の安定に大きく寄与してきた』という意識が根強いのです。この場合『世界』は『中華世界』、つまり『華夷秩序』を指します」」と述べている。
岡本隆司は「韓国人は、日本は格下で『礼・文化を知らない「夷」、野蛮人だと軽んじ、そういう連中には、礼を欠こうが、多少だまそうが、何を言ってもいい、してもいい、とまた考え始めた。 韓国は『日本の植民地支配から脱した』ことに正統性を置いているため、植民地化以前の『朝貢の時代』も美化して語らいがち」と述べている。
鈴置と木村幹は「韓国は、米中の間で上手に立ちまわって生き残るために、潜在的覇権国である中国には敵対せず、自分だけ「いい子」になり、日本を中国や米国と対立させて、日本を「バック・キャッチャー(「悪い子」、負担を引き受けざるを得ない国)」にして、中国の脅威を日本に向けさせようとしている」と述べている。
歴史と現状
歴史的にみると、朝鮮半島から日本への侵略が何度もあった(「新羅の入寇」「高麗・李氏朝鮮の対馬侵攻」)。日本に来た朝鮮通信使も、たびたび日本を野蛮視したり、日本侵略の願望を記録している。近代に入っても、日本を「倭夷」と呼び排斥しようとする衛正斥邪思想が広まった。李恒老や崔益鉉は、「人獣之別」によれば西洋や日本は「人の顔をした禽獣」だとし、西洋や日本と貿易や交流をすると「人類の禽獣化」につながるとして、開港に反対した。日本と協力して朝鮮の近代化を進めようとした金玉均は、1894年に暗殺された上に、遺体をバラバラにして晒された(凌遅刑)。
韓国は1952年に、李承晩ラインを一方的に設定し、第一大邦丸事件など、多数の日本漁船を拿捕したり、銃撃して漁民を殺戮した。その後も、竹島 (島根県)(韓国名:独島)を占拠し、独島警備隊を常駐させている。韓国では『独島は我が領土』という歌や、「独島パンツ」「独島サンダル」「独島切手」「独島ケーキ」「独島生け花」なる物まで作られている。高月靖は、このような韓国の独島(竹島)に対する異常な執着心を「独島中毒」と名付けている。さらに韓国の一部では、対馬も韓国の領土だと主張し、対馬島の日を制定したり、対馬島返還要求決議案を出したりしている。
韓国語には、日本を蔑視(侮日)する表現として「チョッパリ」「ウェノム」等があり、大手新聞でも天皇を「日王」と呼んだりする。書籍、映画、テレビドラマ、歌などで反日作品が作られている。また、日本のドラマ、映画、歌などが禁止されるなど、日本大衆文化の流入制限が行われており、1998年から段階的に制限が緩和されてきているが、現在も制限が残っている。さらに、日本の物でなくても日本風だとみられる物は「倭色」と呼ばれて非難される。例えば、1960年代に李美子が歌った歌謡曲が倭色とされて発禁になっている。日本統治時代に日本から伝わった文化・文物は「日帝残滓」と呼ばれて非難され排除される。韓国語の中から日本語起源の単語を排除する国語醇化政策も行われている。
反日教育が行われており、学校の生徒に反日主義の絵を描かせて、地下鉄の駅に展示したりしている。2005年6月、橘ヒョン駅構内で地元の小中学生のポスター展があった。それらは、韓国をウサギにして日本をウサギの糞にした地図、子供たちが日の丸を踏み躙っている絵、日の丸が描かれたトイレットペーパーを燃やしている絵、日本列島を火あぶりの刑にしている絵、「嘘つき民族日本人」を犬小屋で飼っている絵、韓国から日本に核ミサイルを撃ち込んでいる絵、などだった。絵には「日本の奴らは皆殺す」「日本列島を火の海に」「日本というゴミが捨てられるのは何時なのか」などという言葉も附けられていた。呉善花は、韓国では小学生の時からこうした教育を受けさせ、伝統的な侮日観をしっかり身に付けさせている、と述べている。
日本にある韓国で作られた仏像や美術品は日本が盗んだ物だから取り返さなければならないとし、返還要求したり、窃盗団が盗み出して韓国へ持ち込んだりしている。日本から盗んだものを大韓民国指定国宝としたり、日本への返還を拒否したりしている。
韓国は、慰安婦問題、竹島問題、日本海呼称問題、靖国神社問題、歴史教科書問題、旭日旗、など様々な問題で、韓国国内だけでなく世界各地で、反日宣伝を行っている。国際連合安全保障理事会改革でも日本の常任理事国入りに反対している。
2012年夏から世界各地で、体操のユニフォーム、電子機器のデザイン、美術展、格闘技の道着、弁当のパッケージ、プロモーションビデオ、菓子の広告、など様々な物が旭日旗に似ているとし、旭日旗はナチスのハーケンクロイツと同じく軍国主義や侵略の象徴である「戦犯旗」であるとして、韓国人が非難する動きが相次いでいる。
Voluntary Agency Network of Korea(略称 VANK)という会員数10万人の団体が、2005年から、世界で日本の地位を失墜させるための「ディスカウントジャパン運動」を開始し、日本海呼称問題、竹島問題、慰安婦問題、歴史教科書問題、などで、インターネットを通して、世界各地で反日宣伝を繰り広げている。2013年からは「アジアで日本をのけ者にさせる」戦略を拡大し、真珠湾攻撃、バターン死の行進、南京事件、などの宣伝を通して世界各国で日本のイメージを悪化させようと図っている。
米国で、「ニューヨーク韓人会」、「韓国系米国人権利向上協会」、「韓米公共政策委員会(KAPAC)」、「KACE(korean american civic empowerment)」、「korean american coalition」などの在米韓国人団体が、従軍慰安婦非難決議採択、慰安婦記念碑建立、などの反日プロパガンダ、反日ロビー活動を行っている。
ソ・ギョンドク(徐敬徳、誠信女子大学教授、ko:서경덕 (1974년))は、竹島問題、日本海呼称問題、慰安婦問題、などで、ニューヨーク・タイムズに広告を掲載したり、タイムズスクエアにも大型広告を掲示している。第3回ワールド・ベースボール・クラシックでも、在米韓国人によって、準決勝と決勝が行われるサンフランシスコの球場のそばに、竹島の韓国領有を主張する大型広告が設置された。
韓国でも稀に反日主義を批判し日本を擁護する人物が現れる事があるが、「親日派」とされて強烈に攻撃され、社会的な立場を失い、法的な措置が取られる事さえある。韓国では「親日派」とは売国奴の同義語である。「親日反民族行為真相糾明委員会」や「親日派リスト」を作って「親日派」を糾弾し、「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」を制定して「親日派」の子孫の財産を奪っている。
北朝鮮
北朝鮮による日本人拉致問題などの対日有害活動を行っている。工作員の活動の土台となる人間を「土台人 」という。在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)は学習資料に「日本は敵」と記述している。
2003年11月4日に行われた国連総会の本会議で、日本国代表が朝鮮民主主義人民共和国を指して「North Korea」(北朝鮮)と呼び続けていたため、北朝鮮代表の次席大使が抗議の意で、日本を蔑称である「ジャップ」で呼んだ事から、日本の次席大使が北朝鮮を非難し、国連総会議長ジュリアン・フントも、「総会場でこのような言葉を使うべきではない」と、北朝鮮側に対し注意をおこなった。
2017年9月、北朝鮮の対外窓口機関である朝鮮アジア太平洋平和委員会は日本が度重なる国連制裁に便乗したとして「日本はわが国の近くに存在する必要ない」「日本人を叩きのめさなければならない」「日本列島四島を核爆弾で海に沈めなければならない」と声明した。また、英語では「ジャップ」が使われ、朝鮮語ではジャップに相当する「チョッパリ」も使用された。日本政府はこれに「極めて挑発的な内容で言語道断」と抗議した。
中国
岡本隆司は「中国はなぜ反日になったのか?と問うこと自体がおかしい。中国は、歴史上ずっと反日だったのであり、何かのきっかけで反日に「なった」のではない。「倭寇」は実際には中国の貿易業者が多かったのに、日本だと決めつけて敵視する思考様式に反日の源流がみられる。『史記』以来の中国の史学はイデオロギーの表明であり、ありのままの事実から出発する近代歴史学が欠落しているのが、歴史認識問題の本質である。「正しい」歴史認識というスローガンがすべてを物語っている」、と述べている。
拳骨拓史は「中国が反日教育に初めて着手したのは1928年5月、国民党が南京において排日教育方針を決議したことに始まる(p.19)。中国が反日運動に狂奔する理由としては、中華思想と、日本に対する嫉妬心、多面的な視点がなく他人と視点や思想を共有できないこと、などがある(P.24)」と述べている。
日清戦争中には、日本を「倭」、明治天皇を「倭酋」などと呼び、人種差別的なプロパガンダが行われ、中国にある日本の企業や商店が襲われる事件が相次いだ。
1908年に辰丸事件による日本製品不買運動が起こり、1928年には済南事件をきっかけに中国各地で「反日会」が結成させた。反日会は「奸民懲戒条例」を制定し、反日会の規則に違反した者に罰金を課したり、木製の檻に監禁して街路に曝す、等のことを行った。
1930年代には、日本人に対する暴行、虐殺事件が、中国各地で多発している。また、「漢奸狩り」として、日本に協力的とみなされた多数の中国人が虐殺された。
中国では日本を蔑視する(侮日)言葉として、小日本、日本鬼子、などがある。憤青と呼ばれる若者たちが過激な主張や行動をすることがある。尖閣諸島問題では、中国側の運動は「保釣運動」と呼ばれ、各地で運動団体が作られている。中国の一部には沖縄も中国の領土だとする主張もある。韓国と同じく、慰安婦問題、靖国神社問題、歴史教科書問題、なども問題になる。
反日映画や反日ドラマ(抗日神劇)が多数作られている。また、中国でのサッカーの試合でたびたび反日行為がみられる。
近年の動きでは、2005年の中国における反日活動、2010年尖閣諸島抗議デモ、2012年の中国における反日活動などがある。2010年9月の尖閣諸島中国漁船衝突事件以後、頻繁に中国船が紛争地域に入している。
日本
韓国、中国の主張に賛同する日本人を反日、反日日本人と批判する考えもある。鄭大均は「反日日本人は、自分では友好や理解だと考えているが、実は韓国の日本に対する偏見を支持しているだけであることに気が付かない」と述べている。
自虐史観に立つ人が、日本の悪を誇張、捏造し、韓国や中国に反日の材料を提供して「反日ウイルス」を撒き散らしている、とする主張もある。南京大虐殺論争、百人斬り競争、強制連行、沖縄戦における集団自決、731部隊、三光作戦、慰安婦、靖国神社問題、などが問題とされることが多い。
東アジア反日武装戦線は日本人を「日帝本国人」として断罪し、1974年から三菱重工爆破事件をはじめとする連続企業爆破事件を犯した。大森勝久は、日本そのものが悪であり、日本を滅亡させなければならない、とする「反日亡国論」を唱えた。
在日韓国・朝鮮人は第2次大戦後、在日本朝鮮人連盟や在日朝鮮民主青年同盟などを結成し、自らを「解放民族」として日本人よりも上位に置き、日本の法律制度を無視して横暴にふるまい長崎警察署襲撃事件、浜松事件 (抗争事件)、阪神教育事件、本郷事件、台東会館事件、長田区役所襲撃事件など、日本各地で集団で、暴行、略奪、不法占拠、不法乗車などを引き起こした。ネット社会ではそのことを引き合いに出し、反日発言をする政治家・文化人・芸能人を在日韓国・朝鮮人(または帰化人)と断定する在日認定も行われている。ただし、ほんの一部に過ぎず、先祖代々から日本に住む日本人であっても反日発言をする者もいれば、日本に帰化した者の中には石平のように反日発言者に反論する者もいる。
ドイツ
ヴィルヘルム2世 (ドイツ皇帝)は、黄禍論を唱え日本を敵視し、日清戦争後に三国干渉を行った。ナチスは、中独合作により中国に軍事顧問団を派遣し、中国軍の近代化を進め、日本を敵視した。
米国
1924年に排日移民法が制定された。
第二次世界大戦中に、アメリカ軍は、東京や大阪などの都市を無差別爆撃し、広島と長崎に原爆を投下して、一般市民を大量虐殺した。また、アメリカ軍は日本各地で子供にまで機銃掃射を浴びせ掛けた。米軍兵による日本軍戦死者の遺体の切断も行われた。米国国内では日系人の強制収容が行われ、『You're a Sap, Mr. Jap』『Tokio Jokio』などの人種差別的な反日プロパガンダが行われた。
日本を占領した連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、マスコミだけではなく個人の手紙や電信電話まで検閲を行い言論統制した。また、全国の新聞紙上に『太平洋戰爭史』を連載させ、NHKラジオで『眞相はかうだ』(後に『眞相箱』)を放送させ、政治宣伝をおこなった。江藤淳は、これらを「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画)としている。
1980年代には、貿易摩擦から「ジャパンバッシング」が起こった。
反捕鯨
日本の調査捕鯨に反対しグリーンピースやシーシェパードが日本の捕鯨船に対し執拗な妨害行為を起こしているほか、1980年3月の壱岐イルカ事件のように日本で活動家が事件を起こした例がある。特に過激なものは、エコテロリズムと呼ばれる。反捕鯨運動については人種差別だとする見解もある。