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「月例経済報告」
月例経済報告・日銀短観・マイナス金利・・・ ■日本の経済成長・経済大国の地位を守れるのか・雇用者急増でもGDPが減る・GDPは6年連続増加・日本のGDP、リーマン級の危機はなくても結果は「最悪」・・・ 国内総生産・GDPデフレーター・三面等価の原則・経済成長・・・ |
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●月例経済報告 | |
政府は24日発表した5月の月例経済報告で、景気判断を2カ月ぶりに下方修正した。月例経済報告とはどんな文書なのか、どういった役割があるのかまとめた。
○月例経済報告は何を記載した報告書 / 政府の景気に関する公式見解だ。内閣府が毎月、原案を作り、首相や財務相、経済再生担当相らが出席する関係閣僚会議に提出する。 ○どのように作る / 輸出、生産、個人消費、雇用など数多くの指標を踏まえ、「足踏み」「持ち直し」といった表現を使って景気の現状を判断する。文言のトーンが前月とどう変わり、景気判断が上方や下方へ修正されたのか、据え置かれたのか、などが注目点だ。 ○判断が示されるのは景気の現状だけか / 先行きのリスク要因にも言及する。また、国内だけでなく世界全体の景気や米国、中国、ユーロ圏といった個別の国・地域の景気に関する判断も示す。 ○国内の景気は悪化しているか / 5月の月例経済報告は「輸出や生産の弱さが続いている」との留保を付けつつ、「緩やかに回復している」との見方を維持した。個人消費や設備投資などの内需が底堅いとの見方は変わっていない。 ○「戦後最長」の景気拡大は続いているのか / 3月の景気動向指数では基調判断が、景気が後退している可能性を示す「悪化」に下方修正された。ただ、景気の拡大が後退に転じたかの正式な判断は一定期間の推移を見た上で、内閣府が専門家の意見を踏まえ、事後的に判断する。 |
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2019/7- | |
2019/1-6 | |
●2019/6 景気は、輸出や生産の弱さが続いているものの、緩やかに回復している。 ●2019/5 景気は、輸出や生産の弱さが続いているものの、緩やかに回復している。 先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響に一層注意するとともに、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 ●2019/4 景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している。 ●2019/3 景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している。 先行きについては、当面、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 ●2019/2 景気は、緩やかに回復している。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 ●2019/1 景気は、緩やかに回復している。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
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2018/7-12 | |
●2018/12
景気は、緩やかに回復している。 ●2018/11 景気は、緩やかに回復している。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。 ●2018/10 景気は、緩やかに回復している。 ●2018/9 景気は、緩やかに回復している。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。また、相次いでいる自然災害の経済に与える影響に十分留意する必要がある。 ●2018/8 景気は、緩やかに回復している。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。 ●2018/7 景気は、緩やかに回復している。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。また、平成30年7月豪雨の経済に与える影響に十分留意する必要がある。 |
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2018/1-6 | |
●2018/6
景気は、緩やかに回復している。 ●2018/5 景気は、緩やかに回復している。 ●2018/4 景気は、緩やかに回復している。 ●2018/3 景気は、緩やかに回復している。 ●2018/2 景気は、緩やかに回復している。 ●2018/1 景気は、緩やかに回復している。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
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2017/7-12 | |
●2017/12
景気は、緩やかな回復基調が続いている。 ●2017/11 景気は、緩やかな回復基調が続いている。 ●2017/10 景気は、緩やかな回復基調が続いている。 ●2017/9 景気は、緩やかな回復基調が続いている。 ●2017/8 景気は、緩やかな回復基調が続いている。 ●2017/7 景気は、緩やかな回復基調が続いている。 |
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2017/1-6 | |
●2017/6
景気は、緩やかな回復基調が続いている。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 ●2017/5 景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 ●2017/4 景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 ●2017/3 景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 ●2017/2 景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 ●2017/1 景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 |
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2016/7-12 | |
●2016/12
景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 ●2016/11 景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 ●2016/10 景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがある。また、英国のEU離脱問題など、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 ●2016/9 景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがある。また、英国のEU離脱問題など、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 ●2016/8 景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 ●2016/7 景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがある。また、英国のEU離脱問題など、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。さらに、平成28年(2016年)熊本地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。 |
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2016/1-6 | |
●2016/6
景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 ●2016/5 景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 ●2016/4 景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがある。こうしたなかで、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。また、平成28年(2016年)熊本地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。 ●2016/3 景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 ●2016/2 景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがある。こうしたなかで、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 ●2016/1 景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、アメリカの金融政策の正常化が進むなか、中国を始めとするアジア新興国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがある。こうしたなかで、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
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●日銀 平成31年6月短観 | |
短観、正式名称を「全国企業短期経済観測調査」といいます。統計法に基づいて日本銀行が行う統計調査であり、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としています。全国の約1万社の企業を対象に、四半期ごとに実施しています。短観では、企業が自社の業況や経済環境の現状・先行きについてどうみているか、といった項目に加え、売上高や収益、設備投資額といった事業計画の実績・予測値など、企業活動全般にわたる項目について調査しています。短観は、国内外で利用されており、海外でも"TANKAN"の名称で広く知られています。 | |
●日銀の緩和強化、焦点に=6月短観、米中摩擦で景況感悪化 7/2 日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、輸出企業など製造業で景況感の悪化が顕著となった。先週末の米中首脳会談では、貿易協議の決裂こそ回避されたが、世界経済をめぐる懸念は残り、欧米の中央銀行は先行きの金融緩和をいとわない姿勢を鮮明にしている。日銀が29、30日に開く次回金融政策決定会合でも、金融緩和強化の是非が焦点となりそうだ。 「先んじて政策手段を取ることはあり得る」。日銀の若田部昌澄副総裁は6月27日、青森市で行った記者会見で、物価の伸びが失速する予兆があれば先手を打つ形で追加策を打ち出す可能性を指摘した。 短観では大企業製造業の業況判断指数はプラス7と、2期連続で悪化。自動車や金属製品など幅広い業種で企業心理が冷え込んだ。非製造業の景況感は小幅改善したが、10月には消費税増税が控えるほか、2020年の東京五輪関連の建設需要はまもなくピークアウトすると予想され、国内景気の先行き警戒感は強い。 日銀が早期に緩和強化に踏み切る場合は、現在「少なくとも20年春ごろまで」としている低金利を続ける期間を示す指針の延長などが検討される公算が大きい。一方、銀行収益の悪化が懸念されるマイナス金利の拡大は慎重論が根強く、国内外の経済や金融市場、欧米中銀の政策運営などをにらみながら最終判断することになりそうだ。 |
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●日銀 平成31年3月短観 | |
●大企業・製造業の景況感 大幅悪化 日銀短観 4/1
日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス12だった。前回2018年12月調査のプラス19から7ポイント悪化した。悪化は2四半期ぶりとなる。7ポイントの悪化は12年12月(9ポイントの悪化)以来、6年3カ月ぶりの大幅な悪化となる。米中の貿易摩擦や海外経済の減速が景況感の悪化につながった。非鉄金属やはん用機械などの悪化が目立った。石油・石炭製品や電気機械も悪化した。 3月の大企業・製造業DIは17年3月(プラス12)以来、2年ぶりの低い水準となる。業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。3月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス14を下回った。回答期間は2月25日〜3月29日で、回収基準日は3月11日だった。 3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス8と悪化する見通し。市場予想の中央値(プラス12)を下回った。海外経済の不透明感などを背景に、先行きも慎重姿勢が強い。 19年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=108円87銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。 大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス21と前回を3ポイント下回った。業況感の悪化は2四半期ぶり。人手不足による人件費の高騰などコスト上昇圧力が逆風となった。卸売などの悪化が目立った。3カ月先のDIは1ポイント悪化のプラス20だった。 大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス23となり、前回と同じだった。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、マイナスは人員不足を感じる企業の割合の方が高いことを表す。 19年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比1.2%増と、市場予想の中央値(0.7%減)を上回った。人手不足を背景にした省力化投資の需要が追い風となったようだ。 |
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●景況感、6年3カ月ぶりの大幅悪化 日銀短観 4/1
日本銀行が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)で、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス12となり、前回の昨年12月調査から7ポイント悪化した。悪化は2四半期ぶり。悪化幅は2012年12月調査以来、6年3カ月ぶりの大きさとなった。中国など世界経済の減速懸念が高まった影響が出た。 短観は全国の約1万社に3カ月に1度、景気動向を聞く。DIは景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた指数。 大企業・非製造業のDIは3ポイント悪化のプラス21で、2四半期ぶりの悪化となった。中小企業・製造業のDIは8ポイント悪化のプラス6、中小企業・非製造業が1ポイント改善のプラス12だった。 米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題を巡る不透明感が強まり、中国や欧州では経済の減速が目立つ。3カ月後の先行きDIは大企業・製造業が4ポイント悪化のプラス8、非製造業が1ポイント悪化のプラス20だった。 |
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●2019年3月日銀短観 4/1
輸出減退と油価再上昇で大幅悪化、先行きも幅広い業種で懸念残る ○3月短観では、1中国向けを中心とした輸出の大幅な減少と、2原油価格の再上昇を背景として、前回調査(2018年12月)時点から大幅に業況感が悪化した。業況判断DI(最近)は大企業製造業が17年末、大企業非製造業は18年央をピークとして緩やかな低下が続いてきたが、今回の短観ではそれぞれ12%pt(前回差▲7%pt)、21%pt(同▲3%pt)となり、いずれも市場コンセンサスを下回った。 ○先行きに関しても幅広い業種で悪化が見込まれているが、これは上記の二要因を反映したものとは言い難い。むしろ本質的には日本経済全体の足踏みが続く中、需給・在庫・価格判断に示される需給バランスの悪化が続いており、一段の生産調整が発生する可能性が高い点が先行きの懸念材料として残っている可能性が高い。 ○大企業全産業の2018年度の売上高計画は前年度比+2.6%となり、2年連続の増収が見込まれている。しかし前回調査時点からは▲0.7%pt下方修正された。また、今回から2019年度の計画が公表されているが、同+0.9%と、2017年度、2018年度の年初計画よりは慎重だ。大企業全産業の2018年度の経常利益計画(水準)は、前年度の大幅増益の反動もあり、前年度比▲1.4%となる計画だ。前回調査からも▲0.5%pt下方修正されている。2019年度の計画も同▲1.3%となった。 ○2018年度の全規模全産業の「設備投資計画(含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)」は、前年度比+10.4%となり、比較可能な2004年度以降で、2005年度計画(同+10.5%)に次ぐ高水準となっている。ただし2019年度の計画は、底堅いながらも若干の減速を見込んでいる。人手不足と施設の老朽化という長期構造的な要因と、売上・生産の鈍化という短期循環的な要因が、現在は拮抗している。 ○同様に、労働市場のひっ迫が一時的に停止していることも興味深い。全規模の雇用人員判断DI(最近)は、依然として大幅なマイナス圏での推移となっており、企業の人手不足感は強い。しかし前回調査時点から製造業は+2%pt(需給の緩和)、非製造業は横ばいとなっており、足元では需給のひっ迫は進んでいない。こちらも、生産年齢人口の減少という長期構造的な要因と、売上・生産の鈍化という短期循環的な要因が、現在は拮抗している状況にあるとみられる。 |
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●日銀短観、大企業製造業の景況感悪化
日銀が1日発表した3月全国企業短期経済観測調査(短観)よると、大企業・製造業の景況感は2四半期ぶりに悪化した。前回12月調査から7ポイント悪化し、12年12月調査以来の大幅な悪化幅となった。市場関係者のコメントは以下の通り。 <みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏> 業況判断DIは製造業が落ち込んだが、非製造業は思った以上に底堅い印象がある。ただ製造業主導で景気サイクルが出来ることを考えると、企業心理面で景気の悪化を確認したといえる。設備投資計画はもう少し弱くなると思っていたが、大企業についてはプラスでスタートした。現時点では設備投資に腰折れ的な悪化が起きているという訳ではなく、しっかりとした数字が並んでいる。だが自動車の業況判断では先行きが大きく落ち込んでいる。海外経済の減速や消費税率引き上げの影響が見込まれる中、心理面ではなお警戒される部分があり、設備投資計画もこの先は下方修正されやすいとみている。大企業製造業の想定為替レートは予想通りの水準だったが、市場実勢との幅が現時点ではあまりない。製造業の19年度の業績予想で、為替面での「貯金」の部分が小さい点はこの先の不安材料にはなるだろう。 <東海東京調査センター チーフエコノミスト 武藤弘明氏> 思ったよりも弱い。大企業製造業・業況判断DIのプラス12はそれほど悪くはない水準だが、先行きがプラス8と、4ポイント悪化している。前回調査に比べて大きく悪化した時、先行きが改善する傾向であることを考えると、現在進行形で景気が悪化していることを示していそうだ。深刻なものではないが、マイルドな景気後退に入っている可能性がある。強かった設備投資にも慎重化の動きが出始めている。2019年度大企業・製造業の想定為替レートは108.87円。為替を慎重に見ていることは、企業のセンチメントも悪化している証拠だろう。この先、米中通商協議や英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)などもある。日本も景気の調整で先行きがもっと落ちていく可能性がある。この想定レートより円高が進行する可能性もあり、楽観できない。 <三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏> 3月の日銀短観は、規模、製造業・非製造業の区別なく、全体的に大きく悪化した。先行きについては、センチメントが一段と悪化する回答となっている。大企業・製造業DIに関しては、2017年12月にピークを付けたあと、足元に至るまで悪化が続いている。これまでは水準が高いが故に景気減速感が漂わない状況だったが、今回は絶対水準も低くなったことで、ベクトルの向きが完全に悪化に変わったとの認識につながろう。設備投資については、3月短観は翌年度の数字が出てくる最初の回であるため、企業は慎重な数字を置く癖があるが、それを勘案しても、いかにも弱い。DI悪化と設備投資の弱さは、輸出の減退で在庫が積み上がり、生産調整が促されていることが主因だとみている。今回の短観の景況感は、欧州や中国経済の減速、通商戦争の悪影響が前面に出ているが、日本経済の景気循環における局面変化に伴って、センチメントが停滞している事にも目を配りたい。大企業・製造業の想定為替レートは、2019年度通年で108.87円と、現在のドル/円相場から、さらなる円高を織り込んでおり、企業の円高警戒感は依然として強いことが見て取れる。こうしたスタンスは今後のDIの大幅悪化に備えて、ある程度のバッファーとなるだろう。為替市場の注目点は、ファンダメンタルズの悪化を受けた各国金融政策の向きにある。先んじて金融政策の正常化に踏み出した米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)には緩和の余地があり、緩和を経由した通貨安がありうる。一方、日本の緩和手段は極めて限定的であり、このチャネルを通じての円売り要素は限りなく小さい。結果的に、円全面高の様相を呈するリスクが今後は高まるとみられ、現行の想定レートでは「備えあれば憂いなし」と言えるほどに十分な円高リスクの織り込みはなされていないといえよう。 |
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●日銀短観は追加金融緩和に直結せず 4/1
●非製造業の業況判断DIは比較的安定 4月1日に公表された日銀・短観(3月調査)で、大企業製造業の業況判断DIは、2四半期ぶりの悪化となり、また前回比悪化幅は、事前予想を上回って6年3ヶ月振りの水準にまで達した。これは、輸出統計、鉱工業生産統計等で既に確認されている、昨年末から年初にかけての外需悪化による景気減速を裏付けるものとなった。しかしながら、今回の短観は、日本が本格的な景気後退に陥ったことを決定づける内容とは言えない。また、日本銀行の追加緩和策実施に直結するものではないだろう。 大企業製造業の業況判断DIは、現状で前回比7ポイントの下落と、事前予想の5ポイント程度の下落を上回る下落幅となった。また、先行き判断も4ポイントの下落と、当面は景気の調整局面が続くことを示唆している。しかし、非製造業の業況判断DIは、大企業の現状で前回比3ポイントの低下と、比較的小幅な下落にとどまっている。また、非製造業の中堅・中小企業では、小幅に改善している。これらは、足もとでの外需の悪化が、本格的かつ持続的な内需の悪化へと未だ波及していないことを示している。 ちなみに、2008年の本格的な景気後退入りの前には、製造業の業況判断DIと並んで非製造業の業況判断DIも顕著に下落していたが、現状ではそれはみられていない。 ●企業の収益環境は悪化へ また、内需が比較的安定を維持している点は、設備投資計画にも表れていよう。今回初めて示された2019年度の全規模全産業設備投資計画は、前年度比−2.8%とマイナスからのスタートとなったが、過去(2000〜2017年度)の平均値(3月調査)を依然上回っている。外需悪化によって景況感が顕著に低下した大企業製造業でも、2019年度の設備投資計画は前年度比6.2%と過去の平均を大幅に上回っている状況だ。 他方、年末以降急速に悪化した外需の先行き見通しについても、企業はそれほど悲観的にはなっていない。大企業の2019年度輸出計画は、0.5%とプラスとなったことに加えて、年度下期には持ち直す見通しとなっている。企業は、年度後半の外需持ち直しを予想しているのだろう。 ただし、昨年末から年初にかけての外需悪化が、企業の経営環境、マクロ経済環境に与えた影響が軽微であるとは言えない面もある。それは、製品需給判断DIの大幅悪化と価格判断DIの低下に表れている。企業にとってはより値上げがし難い状況になったのである。他方で、雇用人員判断DIは、労働需給が極めて逼迫した状況にあることを引き続き示す中、人件費の増加が企業の収益見通しを厳しくしている。その結果、2019年度の経常利益見通し(全規模全産業)は、−0.7%と、前年度の−1.5%に続き、2年連続のマイナスとなった。こうした収益環境の悪化が、今後設備投資の下振れに繋がるリスクは残されている。 ●日本銀行は追加緩和策をできるだけ温存する 製品需給判断DIの大幅悪化や価格判断DIの低下は、基調的な物価上昇を妨げることとなり、日本銀行が掲げる2%の物価安定目標の達成をより困難にするだろう。しかしながら、今回の短観の結果が、日本銀行の追加緩和策実施に直結する可能性は高くないと思われる。もはや、2%の物価安定目標の達成の是非など、物価環境が日本銀行の金融政策を決める重要な要素ではなくなった、と考えられるためだ。日本銀行は、効果が期待できない一方で副作用が懸念される追加緩和策をできるだけ実施したくないと考えているだろう。また、追加緩和余地が限られる中、追加緩和策をできるだけ温存する戦略だろう。 最終的に、追加緩和策の実施を余儀なくされる条件としては、1内外景気の本格的な後退局面入り、21ドル100円を超えるような円高進行、3政府の巨額な景気対策実施、の3つが考えられる。現状では、この3つとも満たされていない。 日本銀行は、今回の短観の結果が、市場での追加緩和観測を強め、いわば追加緩和の催促相場へと発展することを警戒しているだろう。それを避けるため、日本銀行は、短観の調査結果の中でポジティブな側面を強調するような情報発信に注力するのではないか。 |
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●日銀短観が大幅に悪化しても景気が大丈夫な理由 4/5
まず、押さえておくべきことは、「景気は自分では方向を変えない」ということだ。景気が拡大すると生産が増え、それに伴って雇用が増え、雇われた人が給料を受け取って物(財およびサービス)を買うので、一層物が売れるようになる。 景気拡大で企業の生産が増え、利益が拡大すると、設備投資が増えることも見込まれる。企業の設備投資意欲が強まることに加え、銀行の融資姿勢も借り手企業の利益が増えれば積極化するからである。 今回の局面では労働力不足が深刻化しつつあり、これが企業の省力化投資を活発化させていることが、景気の自律的な拡大を持続させる力として働いているもようだ。 したがって、景気が後退するとすれば、何らかの力が外から働く場合となるが、国内を見渡す限り、景気を後退させるような力が働いているとは思われない。 消費税がどの程度の影響を及ぼすかについては不明だが、増税幅が前回(5%→8%)より小さいこと、またさまざまな景気対策が講じられていることなどを考えると、これも景気を後退させるとは考えにくい。 足元の景気指標や景況感の悪化の主因は、中国の景気の落ち込みだ。中国は昨年、過剰債務問題への対応として「景気が多少悪化してもいいから問題を解決する」という方針で走り始めた。そのタイミングで“米中貿易戦争”が本格化したためダブルパンチとなり、景気が急激に悪化してしまった。 それが、日本の対中国輸出を急激に減らしたのみならず、日本企業の景況感を悪化させたり生産活動を慎重化させたりしているのだ。 しかし、中国政府の景気コントロール力は凄(すさ)まじいものがある。なんといっても、リーマンショックのときに世界で唯一、景気が悪化しなかった国が中国なのだ。今回も、政府は景気刺激策にかじを切ったようなので、短期間で景気は回復するだろう。実際、その兆候は既に現れているようだ。 中国の景気が回復に向かえば、日本の輸出も回復するだろうし、企業の「在庫圧縮のための減産」も終わって、「減った在庫の回復のための増産」が始まるかもしれない。いずれにしろ、日本の生産も輸出も「一過性の落ち込みだった」ということになりそうだ。 バブル崩壊後の長期低迷期、日本経済は需要不足に悩み、景気回復を輸出に頼り続けてきた。だからこそ、外国の不況で輸出が落ち込むと、国内の景気もあっけなく後退してしまうのだ。 しかし、少子高齢化で状況は変化してきた。「高齢者の消費は安定しているので、高齢化は景気の波を小さくする」「少子高齢化による労働力不足で、失業が増えにくくなった」という大きな変化が起きているからだ。 高齢者は年金で暮らしていて、不足分は預貯金を取り崩しているが、いずれも景気に影響されないので、高齢者の消費は景気にかかわらず安定している。ということは、高齢者向けの物を提供している現役世代労働者の所得も消費も安定しているということだ。消費者に占める高齢者の比率が増えることは、景気を安定させるダブルの効果があるのだ。 さらに重要なのは、失業者が増えにくくなったことだ。少子高齢化で現役世代が減り、少ない生産物を多くの消費者が取り合うようになったため、現役世代の労働力が不足するようになったというわけだが、それだけではない。 高齢者の消費は、医療や介護といった労働集約的なものが多いので、高齢化が進むと同じ消費額でも労働力不足を招きやすいのだ。 これを象徴的に表しているのが、リーマンショック時の失業率だ。ITバブル崩壊時よりもはるかに大きな景気の落ち込みであったにもかかわらず、失業率はITバブル崩壊時と同程度の水準までしか上がらなかったのだ。 従来であれば、「景気の落ち込みによって失業が増え、失業者が所得を失って消費を減らす」という悪循環に陥っていたのだが、そうした悪循環が生じにくくなっているのだ。 今回の中国経済の落ち込みは、リーマンショックとは比べものにならないほど小さなインパクトであろうし、加えて当時よりも少子高齢化が進んでいることに伴って、日本経済は失業が生じにくい体質になっているわけだから、製造業で多少の失業が生じたとしても、容易にサービス業が吸収するだろう。 そうなれば、「失業者が消費をしないから景気が一層悪化する」という悪循環には陥らないわけで、景気は後退せずに終わるか、仮に後退したとしても短期で軽微な落ち込みにとどまるだろう。 日銀短観の中にも、強気の材料は少なくない。労働力不足であり、企業経営者は設備が足りないと感じており、加えて「国内での製商品・サービス需給判断」がバブル期に近い水準となっている。 こうした事態を考えれば、仮に一部輸出企業で設備投資や雇用が落ち込んだとしても、他の業種が十分にその落ち込みをカバーする。となれば、景気の先行きを過度に懸念する必要はなさそうだ。 もちろん、中国の景気が今後も大幅な悪化を続ける可能性は消えたわけではないし、米国で金融機関の与信姿勢の緩みから、不良債権問題が深刻化する可能性を指摘する声も少なくない。 そうしたリスクシナリオはしっかり頭の中に入れておく必要はあろうが、メーンシナリオとしては強気を続けて構わないと思われる。 もしも3月と4月の輸出と生産が悪かったら、上記のシナリオを再検討する必要がありそうだが、今の段階で筆者の強気の景気判断を変更する必要はなさそうだ。 |
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●日銀短観悪化 企業心理の冷え込みが心配だ 4/5
海外経済の減速に伴う企業心理の冷え込みに警戒を強める時だ。 日本銀行が、3月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。 企業の景況感を示す業況判断指数は、大企業・製造業で前期より7ポイント低い12に落ち込み、2四半期ぶりに悪化した。下落幅は6年3か月ぶりの大きさとなる。非製造業も3ポイント悪化して21だった。 中国だけでなく、欧州や、好調だった米国でも経済に陰りが見えているためだろう。景気を慎重に見る企業の割合が増えていることが裏付けられた。国内経済の行方に黄信号が点灯しかねない。 業種別でみると、中国向けの輸出が多い機械産業で悪化が目立った。電子部品などの「電気機械」は12ポイント下がった。こうした業種は下請けなど関連企業が多く、影響の広がりが懸念される。 中小企業・製造業の業況判断は前期より8ポイント低下した。 大企業・製造業では、先行きも景況感の悪化が見込まれている。基幹産業の「自動車」は11ポイントの悪化予想だ。生産を控える動きが大企業だけでなく、中小企業にも波及する恐れがある。 注意を要するのは貿易交渉の行方だ。今月中旬にも始まる日米協議では、日本の自動車輸出が焦点の一つになる。政府は、米国の不当な圧力に屈してはならない。自由貿易の原則に沿った形で交渉をまとめることが求められる。 中国経済については、景気対策などへの期待感から今年後半に持ち直すとの見方が出ている。しかし、民間の過剰債務は解消されておらず、安心はできまい。 経済運営に責任を持つ政府・日銀は、今のうちに政策の選択肢を検討し、景気の下振れリスクに備えておく必要がある。 一方で、企業は過度な悲観論に陥るべきではない。今春闘では一定の賃上げが実現している。国内総生産(GDP)の過半を占める個人消費は、持ち直しの動きが見られる。国内需要は底堅い。 省力化に向けた投資や老朽設備更新の需要も根強い。余裕のある企業は、将来を見据えた設備投資を継続してもらいたい。 非製造業を中心に、人手不足は深刻だ。短観によると、企業の人手不足感を示す指数は、バブル期並みの水準が続いている。 このままでは生産やサービスの供給力が需要に追いつかず、経済成長を抑制する要因になろう。女性や高齢者が働きやすい環境を整えるとともに、外国人労働者の着実な受け入れを進めるべきだ。 |
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●「マイナス金利」 考 | |
●マイナス金利政策 1
民間金融機関が中央銀行に預ける預金の金利をマイナスにする金融政策。金融機関が中央銀行に預金の利息を支払うという異例の措置をとることで、預けていたお金を企業や個人への貸し出しに回すよう促し、経済の活性化につなげる狙いがある。一方で、運用難により金融機関の収益が悪化する懸念もある。2015年までにマイナス金利政策を導入したことがあるのは、スイス国立銀行、スウェーデン国立銀行、デンマーク国立銀行、ヨーロッパ中央銀行(ECB)の四つ。16年2月からは日本銀行でも導入が決定している。日銀の政策では、当座預金の金利全体ではなく一部をマイナスにすることで、金融機関の収益が大きく悪化しないよう配慮している。 |
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●マイナス金利政策 2
デフレーション(デフレ)から脱却し、物価上昇を促すとともに、投資や消費を活発にする目的のために、市中銀行が中央銀行に預ける当座預金の一部について、中央銀行が手数料の支払いを求める政策のこと。市中銀行が中央銀行に預ける資金に手数料が発生することから、中央銀行に預けずに企業や個人への貸出し等にシフトされ、経済の活性化につながると期待される。古くは1970年代にスイスがマイナス金利政策を導入したことがあるが、これは他国からの資金流入に伴う通貨高により引き起こされるデフレを防ぐために行われた政策であり、当時は国外から流入する外国人の金融資産のみが対象であった。2000年以降では、スウェーデンで2009年から2010年にかけて、デンマークで2012年から2014年4月まで当該政策が実施された。その後、2014年6月には主要国・地域として初めてヨーロッパ中央銀行(ECB)がマイナス金利政策を導入した。そのために、ユーロを導入していないデンマークでは自国通貨高圧力を下げる目的で、ふたたび2014年9月にマイナス金利政策を導入した。日本においても2016年(平成28)1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」としてマイナス金利政策を導入した。さらに、ユーロを導入していないハンガリーでも2016年3月から当該政策を導入している。ここで各国のマイナス金利政策導入の目的は、インフレ率上昇による物価安定と自国通貨高圧力緩和による為替(かわせ)相場安定に分かれるものの、当該政策の効果に関しては現状では明確に現れているとはいえない(表)。 ●非伝統的金融政策 マイナス金利政策は、「量的金融緩和政策」(quantitative monetary easing policy:QE)といわれる政策と同じく、「非伝統的金融政策」(または「オルタナティブな金融政策」)とよばれている。他方、従来、中央銀行においては、金融政策を運営するうえで操作対象となる短期金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)を政策金利とし、日々短期金融市場の資金量を調節(金融調節)することで政策金利に誘導するとともに、必要であれば政策金利を上下に動かすことで、当該国の物価の安定および経済の持続的な発展を図ってきた。このように日々の金融調節や政策金利の変更等を通じて物価の安定および経済の持続的な発展のために行われる金融政策のことを「伝統的金融政策」という。伝統的金融政策からマイナス金利政策に一足飛びに移行していったわけではない。すなわち非伝統的金融政策においても複数のレベルが存在する。日本の非伝統的金融政策は、マイナス金利の要素を付加した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」に至るまでに、「ゼロ金利」「量的緩和」「包括的金融緩和」「量的・質的金融緩和」を経ており、5段階のレベルがある(清水功哉(しみずいさや)著『緊急解説 マイナス金利』2016)。なお、2016年9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が導入されたので、この政策も含めるとレベルが六つ存在することになる。 ●日本 ●マイナス金利付き量的・質的金融緩和 日本においてマイナス金利政策にあたる「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が導入されたのは2016年1月である。この政策では、一般の預金者に直接的に影響するような預金金利等を「マイナスにする」ということではなく、市中銀行等が保有する日本銀行(日銀)当座預金の一部について「マイナス0.1%のマイナス金利を適用する」というものである。ここでマイナス金利になるのは、2013年4月から導入された、従来の「量的・質的金融緩和」(レベル4)のもとで各金融機関が積み上げた残高等を除き、当該政策が実施されて以降に積み上げた残高に対して適用される。日銀当座預金の金利をマイナス化するということは、イールドカーブ(利回り曲線)の起点を引き下げることを意味し、従来通りの大規模な長期国債買入れとあわせることで、金利全般により強い下押し(下落)圧力を加えることができる。さらにマイナス金利幅を拡大することで政策効果を高めることも可能になることから、政策の自由度も広がるというメリットもある。このように従来の「量」と「質」に「マイナス金利」を加えた三つの次元の追加的な緩和が可能なスキーム(計画)にすることで、2%の「物価安定の目標」の早期実現を図った。 ●マイナス金利政策の問題点 日銀当座預金金利の一部をマイナス化したことによってイールドカーブの起点が引き下がるとともに、量的・質的金融緩和政策として引き続き強力に長期国債の買入れを継続したことで、金利全般にいっそう強い下押し圧力が働いた。その結果として、イールドカーブの起点がマイナスになり、より長い期間の金利についてもフラット(水平)化したために10年国債もマイナス圏を推移するようになり、長短金利差(イールドスプレッド)は縮小した。市中銀行の伝統的なビジネスモデルは、預金を預かり企業等に貸し出すことであるため、預金金利はマイナスにできないことから、金利全般がマイナス圏で推移しつつ、イールドスプレッドが縮小すると、市中銀行の収益構造が成立しづらくなってしまうという問題が生じる。また、長期資金を取り扱う年金および保険についても運用が困難となってしまう。そのため、金融機関では総じて当該政策に対する評価は厳しいものが多い。加えて、物価動向についても、前年比でマイナスになるなど、当該政策を導入してもなお引き続き下押し圧力が存在している。 ●「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入 こうした問題に対処しつつ、さらに政策効果を高めるために非伝統的金融政策のレベル6にあたる「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が2016年9月に導入された。当該政策では、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の弊害に対処するための「イールドカーブ・コントロール」(長短金利操作)と、時間軸政策の強化としての「オーバーシュート型コミットメント」(2%の物価安定目標を超えるまで金融緩和を継続すると約束すること)を、そのおもな内容としている。 |
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●マイナス金利 3 [ 2016/3 日銀広報 ]
「日銀がマイナス金利にしたって本当?」「日銀は、3年前から大規模な金融緩和をやってきました。『量的・質的金融緩和』とか『異次元緩和』と呼ばれています。これをもっと強力にするため、1月にマイナス金利もはじめました。」 「マイナス金利になると、私が銀行に預金しているお金も減ってしまうの?」「マイナス金利といっても、銀行が日銀に預けているお金の一部をマイナスにするだけ。個人の預金は別の話です。」 「個人の預金金利はマイナスにはならない?」「ヨーロッパでは日銀よりも大きなマイナス金利にしていますが、個人預金の金利はマイナスにはなっていません。」 「マイナスにはならなくても少しは下がるでしょう?」「普通預金金利は0.02%だったのが、0.001%になりました。」 「それで消費が悪くなったりしない?」「100万円預けて1年間の利息が200円だったのが10円になったということです。消費を悪くするほどの規模ではありませんよね。」 「もともと200円しかもらえなかったんだ。それがひどいんじゃない?」「そのとおりですね。100万円預けた時の利息が1000円未満になったのは1999年。もう15年以上、預金金利はとても低くなっています。でもそれは『デフレ』だったからで・・・」 「デフレって何?」「物価が毎年のように下がることです。日本は15年間もデフレでした。」 「物価が下がって何が悪いの?」「デフレで物価が上がらないということは、会社の売上げも増えないので、給料も上がりませんでした。日銀が『異次元緩和』をやってきたこの3年間で、会社はかなり儲かるようになって、春のベースアップ(給料アップ)も復活しました。デフレでなくなれば、給料も毎年上がるようになります。」 「デフレだと金利も低くなるの?」「デフレや不況のときに金利を上げてしまうと、もっと景気が悪くなって、給料や物価はもっと下がってしまいます。日本ではデフレの間も失業者が大量にでることはありませんでした。何とかやってこれたのは、金利を低くしていたからです。」 「金利を上げた方がみんな利息でお金を使うのに・・・」「みなさんの家の収入の大部分は給料ですよね。金利を上げて利息収入を増やしても、それで景気が悪くなって、給料が下がったり、職を失っては何もなりません。」 「じゃあどうしたらいいの?」「デフレから完全に抜け出すしかありません。そのために、今はがまんして金利を低くして、もっと景気を良くして、物価をもう少しだけ上げていくということです。」 「でも異次元の緩和とかマイナス金利までしなくても・・・」「15年もデフレが続いたので、みんなそれが当たり前になってしまいました。それを変えるには、思い切った手を使わないとだめです。」 「マイナス金利ってそんなに効果あるの?」「マイナス金利にしたあと、住宅ローンの金利は下がって、10年固定で借りても1%以下になっています。銀行のローンセンターは大忙しだそうです。会社が借りるときの金利も下がっています。みなさんが家を建てようとしたり、会社が工場やお店を建てたりするときは有利になります。」 「そうすると銀行が損しない?大丈夫?」「たしかに銀行にとっては、預金金利はマイナスにならないのに、貸出金利は下がるので、その分儲けは少なくなります。」「でも大丈夫です。日本の金融機関は、リーマンショックでも傷ついていないし、とても健全です。去年もたくさん収益を上げています。日銀の預金でもマイナス金利にするのは一部だけにして、あまり銀行が困らないようにしました。」 「本当にそれでデフレから抜け出せるの?」「みなさん忘れているかもしれませんが、3年前まで物価はマイナスでした。今は、ガソリンのように世界中で下がっているものを除くと、物価は1%以上上がっています。『もうデフレには戻らない』というところまで、あと少しです。この3年間、『異次元緩和』は、たしかに効きました。それをもっと強力にするということです。かならずデフレから抜け出せます。」「もう1%も物価が上がっているなら、十分でしょう。」「景気はいい時も悪い時もあるから、ある程度バッファーがないとすぐにデフレになってしまいます。飛行機だって地上ぎりぎりは飛べないでしょう。だから、日本銀行は2%の緩やかな物価上昇を目指しています。この2%というのは、アメリカもヨーロッパも同じで、世界共通です。」 「デフレを脱却すれば預金の利息も増える?」「デフレから完全に抜け出せば、景気も良くなって、日本経済はもっと元気になります。そうすれば、預金金利も上がります。銀行にとっても、貸出金利を上げても大丈夫になります。これはみんなのためなのです。」 「話を聞くとわかったような気もするけれど、『マイナス金利』と聞いて不安になってしまったんだよね。」「『マイナス』という言葉の響きも悪かったかもしれません。それと、今、世界中で金融市場が不安定になっていて、『ニューヨークで株価が下がった』とか『中国から資金が逃げてる』とか、心配なニュースが多い。このイメージと重なったのもあるでしょう。」「でも、日本の会社は、全体でみると、史上最高の収益になっていて、経済は良い方向に向かっています。それに、この政策はとても強力です。いずれ『プラス』の効果がはっきり出てきて、明るくなってくると思います。」 |
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●マイナス金利政策3年 | |
●マイナス金利政策は日本に何をもたらしたか? 2019/2
際立つマイナス金利政策のマイナス面 2月16日で、日本銀行のマイナス金利政策導入から3年となる。この異例の政策が、日本銀行の2%の物価目標達成の助けとはならなかったのは、今や誰の目にも明らかであるが、それだけでなく、経済にプラスの効果をもたらした証拠も見いだせない。導入直後には住宅ローンを増加させた銀行も見られたが、これは貸出金利引き下げを通じた他行からの肩代わりによるところが大きく、金利低下で新規借入れ需要が高まった訳ではない。 むしろ、マイナス金利政策の導入は、金融機関の間で金利引下げ競争を煽るきっかけとなり、その収益環境を著しく悪化させてしまった。それは、金融機関の金融仲介機能を低下させ、適切な資源配分を妨げるなどして、長い目で見て経済活動に深刻な悪影響を与える可能性がある。この点から、マイナス金利政策が経済活動に与えるマイナス面は明らかだ。 マイナス金利政策は、その名称が衝撃的であることから、心理的な効果も狙って導入された面もあったのだろう。しかし、プラスがマイナスへと符号が変わるだけで、経済効果が劇的に高まることはそもそもあり得ないことだ。 また、日本銀行の当座預金に一部マイナス金利が適用されたことで、銀行間ではマイナス金利での資金貸借がなされるようになったが、企業や個人の資金調達・運用には、マイナス金利は適用されていない。つまり、マイナス金利の世界にいるのは金融機関だけであり、その外にいる企業や個人にとっては、長らく続いてきた低金利の水準が、微小に低下しただけに過ぎない。 1999年2月に日本銀行がゼロ金利政策を導入してから20年が経過する。低金利環境が長期化した下では、企業や個人の資金調達の金利感応度は著しく低下しており、こうした環境の下でマイナス金利政策の導入が経済活動にプラスの効果をもたらさなかったのは、自然なことだ。 金利低下が生産性上昇率を低下させる ところで、プリンストン大学の経済学者、アーネスト・リュー教授とアティフ・ミアン教授、シカゴ大学ブース経営大学院のアミール・スフィ教授による最近の論文によると、金利低下はいずれ生産性上昇率を低下させ、経済全体の活力を弱めることになるという。こうした効果は、金利低下が市場支配力の集中を進めることから生じる。 金利が低下すると、各業界の大手企業は中小企業よりも、はるかにそれを有利に活用することができる。その結果、大手企業の成長は加速し、一時的には生産性が高まる。また、他社の追随を難しくするという面もある。 競争条件が悪化した中小企業は、新製品や技術への投資をやめてしまう。さらに、もはや中小企業との競争に脅かされることがないほど巨大になった業界の大手企業も、次第に投資を手控えるようになる。市場支配力が少数の大手企業に集中することで、新規に開業する起業家も減少していく。こうして、生産性上昇率はやがて低下し、業界の活力は低下してしまうという。また、謎とも言われる近年の米国での生産性上昇率低下の背景を、こうした理論が説明しているとも言う。 これは米国経済の話である。長らく低金利環境が続いてきた日本では、経済の金利感応度は著しく低下した状態にあり、マイナス金利政策の導入を通じた微小な金利低下は、もはや生産性上昇率にプラス効果もマイナス効果ももたらさないのではないか。日本経済の活力を高める政策は、金融政策にはないのである。 |
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●マイナス金利政策3年 2019/2
日銀がマイナス金利政策を導入して3年がたつ。この異例の政策は日本に何をもたらしたのか。 2%の物価目標の達成を助けなかったことは明らかだ。それどころか筆者には、経済活動にプラスに働いた証拠さえ見いだすことができない。 マイナス金利政策はその内容、タイミングともに、サプライズを狙ったことが明白だ。「政策金利は0%が下限」という中央銀行にとっての常識と「金利はプラス」という世間の常識を打ち破ることで、「もしかしたら劇的な経済効果を生むのではないか」との期待を高めることが意図されていた。 しかし、金利の符号が変わった途端に政策効果が一気に高まるという経済理論はない。しかも、実際にマイナス金利で資金を貸借するのは、銀行間にとどまるのだ。企業や個人にとっては、それまでの借入金利や預金金利が微小に低下したにすぎない。異例の低金利が長期化する中で金利が追加的に微小に下がったくらいでは、経済活動を大きく刺激するはずもない。 他方、マイナス金利の世界に住む銀行は、収益環境が一段と悪化してしまった。そのもとで景気がひとたび悪化すれば銀行経営は揺らぎ、金融仲介機能の低下が経済に甚大な悪影響を与える。マイナス金利政策はその効果よりも副作用の方が圧倒的に大きい。 この政策は、人々や政府が金融政策への評価を大きく変えるきっかけにもなった。景気情勢が比較的良好で、人手不足など経済の供給制約が深刻さを増す中で、日銀は2%の物価安定目標の達成のみに過度にこだわった。日銀のこの姿勢は、金融政策に対する強い不信感と恐怖を生み出したのだ。それ以降、政府は、景気と雇用情勢が良好である限り「日銀に無理な追加緩和を実施してほしくない」という考えに転じたのだろう。 実は、日銀の政策自体も、マイナス金利政策の失敗をきっかけに大きく変容している。それ以降は、国債の買い入れ増加ペースの縮小を着実に進めるなど、異例の金融緩和がもたらす副作用に配慮して、事実上の正常化措置を実施してきた。その過程では、異例の緩和策を主導してきた総裁の指導力も低下したのではないか。マイナス金利政策の導入をきっかけに一番変わったのは、日銀自身かもしれない。 |
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●日銀のマイナス金利政策は銀行貸出を増加させたか?
本研究の目的は、日本銀行(以下、日銀)のマイナス金利政策が銀行貸出に及ぼした影響を推定することである。日本のインフレ率はすでに20年以上低水準であり、賃金の上昇率も同様に鈍い。そのため、通貨の番人である日銀にはインフレの実現について国民の強い期待があった。2013年に就任した黒田東彦日銀総裁は「量的・質的金融緩和」という大胆な政策を表明したものの、その成果は芳しくなかった。そこで日銀は、2016年2月から金融機関が日銀に預けている預金口座のうち一部にマイナスの金利を付ける制度を導入した。これがマイナス金利政策と呼ばれるものである。この政策によって銀行貸出が増え、経済全体の需要が増加すればインフレも実現すると考えられるため、その効果を統計的に検証することには意義があろう。 実は、日銀の預金の一部には以前からプラスの金利がついていた。これは金融機関に補助金を与えることが目的ではない。金融機関は余裕資金がある際には日銀に預けることもできるが、金融機関同士で貸し借りする市場で運用することもできるため、より高い金利がつく運用方法を選択する。日銀の預金にプラスの金利がついていて市場金利がそれ以下なのであれば、日銀に預けておいたほうが良い。すると、資金を借りたい金融機関はより高い金利を提示しないと借りることができない。その結果、市場の金利は日銀の預金につけられた金利と同じかそれを超える金利となる。つまり、日銀の預金金利は市場金利の下限になるのである。かつて市場金利は通常マイナスになることはないと考えられてきたのだが、日銀がマイナス金利政策を導入したことで、金融機関同士の貸借の市場では金利の下限がマイナスとなった。 マイナス金利の銀行への効果は大きく2つの経路が考えられる。先ず、マイナス金利政策は上記のように市場金利を引き下げるため、銀行は市場から影響を受ける。これはマイナス金利政策が銀行に与える間接的な効果である。他方で、日銀の預金がある一定額を超えた銀行はマイナス金利が適用され、マイナス金利政策の直接効果を受けることになる。本稿ではこの直接効果が銀行の貸出行動をどう変えたのかを検証した。 日銀のマイナス金利政策では、大雑把に言うと、2015年における日銀預金の平均残高を上回るとマイナス金利が課され、下回るとゼロあるいはプラスの金利が課された(実際には金利ゼロの調整残高があるため、2015年平均残高が正確な臨界値ではない)。政策が発表された2016年1月末の直前まで黒田日銀総裁はマイナス金利政策の導入を否定していたため、それよりも前の2015年末には実施は予想されていなかった。したがって、マイナス金利政策導入は自然実験とみなせる。さらに、マイナス金利が課される日銀預金残高に臨界値があることも推定に利用できる。日銀の預金が多い銀行と少ない銀行とでは、おそらく銀行の経営方針や経営環境などが異なるであろう。しかし、マイナス金利政策の臨界値である各銀行の日銀預金の2015年平均付近では、同じような性質を持つ銀行にほぼランダムにマイナス金利が課されたとみなすことができる。 そこで本稿では、この臨界値を若干上回った(マイナス金利が課された)銀行と若干下回った(マイナス金利が課されなかった)銀行の貸付増加率を比較した。当時の銀行および地方銀行のデータを用いて推定したのが下記の図である。横軸はマイナス金利が課される臨界値からの乖離率(プラスはマイナス金利)、縦軸は政策導入前から導入後にかけての貸付増加率を表している。臨界値前後で近似曲線に断絶が生じており、マイナス金利が課された銀行(臨界値の右側)では貸付増加率が低下していることがわかる。つまり、臨界値付近ではマイナス金利が課された銀行はそうでなかった銀行よりも貸付の増加率が相対的に低かったことになる。この傾向は様々な条件下での推定においても変わらなかった。 日銀のマイナス金利政策は市場金利の下限をマイナスの領域にまで引き下げることを可能にしたという点で重要である。しかし、日銀にブタ積みにされた預金にペナルティーを課して貸付を増加させる効果はないどころか、むしろ減らしさえする。もちろん、日銀は市場金利のさらなる低下を狙ってマイナス金利政策を導入したのであろうが、マイナス金利が課される銀行数をうまくコントロールしていかないと貸出にも影響が出かねない。 マイナス金利が課される銀行は少ないのだから、経済全体の貸出総額が増えていれば問題ないというのは早計である。もともと日銀の預金が多かった銀行というのはリスクを取らずに安全な運用を目指していたと考えられるが、そういった銀行の平均的な利益は低く、マイナス金利を課されることで利益をさらに下げてしまうことにもなる。ただでさえ金融自由化や長引く低金利によって銀行の利益への圧迫は続いているところに、さらに強い競争状態に銀行を晒せば、よりリスクの高い貸付や運用を行わざるを得ない。場合によっては不正に手を染める銀行も出てくる可能性もある。とりわけ注意すべきは不動産関連への貸付であろう。万策尽きた銀行同士が合併して銀行業全体が寡占的になることで、借り手や預金者に不利益が生じることも考えられる。仮に決済サービスに影響が出るようなことになれば、日銀は金融政策と金融システムの安定化のどちらを優先すべきか判断を迫られることになるだろう。 |
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