安倍総裁 四選を目指す

自民党総裁 四選の夢
安倍総理大臣

税金をばらまく楽しみ 忘れられない
財政健全化 あの世行き

口を開けて待っていた人 あんぐり
 


 
 

 

「真摯に」 
安倍総理 大好きな常套句
何を言われても 真摯に受け止め 我が道を行く
まじめでひたむきなこと。
一所懸命に物事に取り組むさま。「真摯な態度」
 
 
 2018
 

 

●安倍総裁3選 批判票の声に耳傾けよ 2018/9
事実上の首相を選出する自民党総裁選で安倍晋三首相(総裁)が石破茂元幹事長を破り、連続3選を決めた。
任期は2021年9月までの3年間。第1次内閣を含めると、首相在職日数は19年11月に歴代トップに並び、最長政権が視野に入る。
安倍首相は主要派閥の支持をいち早く取り付け、国会議員票で8割超を獲得した。だが、国民世論に近い党員・党友の地方票は石破氏が約45%を奪い善戦。国会議員票も想定より伸ばした。
石破氏が訴えた「政治の信頼回復」や「地方創生」が共感を得るとともに、経済政策「アベノミクス」の効果が地方に及んでいない不満を裏付ける数字であろう。
行政や政治の公平・公正性で疑義が消えない森友、加計学園問題を巡る議論は総裁選でも乏しく、首相は自身や昭恵夫人に対する疑惑を拭うことができなかった。
「安倍1強」政治は国会審議でも丁寧な議論を避け、最後は数の力で法案を押し通す強引な手法が続いている。官僚は忖度(そんたく)してか、公文書の改ざんまでしている。
首相は長期政権がもたらしているおごりとゆがみを猛省すべきである。
安倍陣営は総裁選で激しい締め付けをした。石破派の斎藤健農相が、安倍首相を支援する国会議員から「石破氏を応援するなら、農相の辞表を書いてからやれと圧力を受けた」と告発した。
敵と味方を峻(しゅん)別(べつ)し、異論を許さない「安倍1強」の本質であり、それを警戒する人たちの批判票でもあろう。
「 首相は記者会見で、最終任期の目標として掲げる憲法改正について「次の国会に改正案を提出できるよう一致団結して向かわなければならない」と前のめりだ。9条への自衛隊明記をはじめ、自民党の改憲4項目を秋の臨時国会に提出する構えである。だが国民と安倍首相との乖(かい)離(り)は激しい。共同通信社が連続3選を受けて実施した全国緊急電話世論調査によると、秋の臨時国会に党改憲案の提出を目指していることについて「反対」と回答した人は51・0%に上り、「賛成」の35・7%を上回った。安倍内閣が最優先して取り組むべき課題は「年金、医療、介護」「景気や雇用など経済政策」「子育て・少子化対策」が上位を占め、「憲法改正」は8番目にすぎない。世論は改憲を優先課題とは考えていないのである。 」
辺野古新基地建設を巡る論戦は交わされなかった。
石破氏は公式サイトで沖縄への米軍基地集中は「(本土の)反基地闘争を恐れた日米が米国の施政下にあった沖縄に多くの海兵隊部隊を移したからだ」と説明。地理的優位性を否定し、政治的理由であることを指摘した。防衛相経験者の本音だが、削除したため全く議論にならなかった。
県の埋め立て承認撤回を受けて安倍政権は知事選が終わるまで様子見を決め込んでいる。安倍首相は「謙虚で丁寧な政権運営」を繰り返した。謙虚で丁寧とは、民意に反して新基地建設を強権的手法で強行することでない。 
 

 

●長期政権の遺産 2018/10
自民党総裁選で安倍晋三首相が3選を果たしたことで、安倍内閣が憲政史上最長の政権となる可能性が高まってきた。憲法改正やデフレ脱却、社会保障といった政策課題で、政権終盤の安倍内閣が成果を挙げるには何が必要か、歴代の長期政権を比較しながら考察する。過去の長期政権では、外交・安全保障政策や政治手法の面で共通点が多く見られ、いずれも歴史に残る実績を挙げている。一方、終盤の政権運営を誤り、レームダックに陥ったケースもある。なぜこうした違いを生じたのか。そして安倍政権は果たして遺産を残して有終の美を飾れるのか。3期目の課題を探った。
首相連続在職1位が視野に
歴代首相の連続在職日数を比較すると、最長が佐藤栄作首相の2798日で、次いで吉田茂首相(2248日)、安倍首相、小泉純一郎首相(1980日)、中曽根康弘首相(1806日)−の順となる。安倍氏は3選を果たした9月20日時点で2095日と小泉氏を超えており、このまま首相を続ければ19年2月21日に吉田氏を抜いて2位になり、20年8月24日には佐藤氏を超えて1位となる計算だ。
なお、通算の在職日数でみると、明治末から大正初めのいわゆる「桂園時代」に、西園寺公望首相と交代しながら第3次内閣まで務めた桂太郎首相の2886日が最長で、安倍氏は2006〜07年の第1次政権と合算すると、19年11月20日まで首相を務めた場合に、これを抜くことになる。
明治憲法下の内閣総理大臣は、憲法上の記載すらなく、天皇の大命降下で組閣し、権限も日本国憲法下の内閣総理大臣と大きく異なるから、単純に比較するのは必ずしも適切でない。本稿では、日本国憲法下で1800日超の長期政権を維持した(時代順に)吉田、佐藤、中曽根、小泉の4内閣について分析し、安倍政権との共通点、相違点を浮かび上がらせることで、安倍内閣が政権の終盤に何を求められているのかを、比較研究的に明らかにしたい。
日米外交
歴代長期政権を比べると、いくつかの共通点があるのに気がつく。
一つは、外交面で日米協調を重視し、首脳外交で日米関係を立て直したり強化したりしたことだ。
吉田内閣はサンフランシスコ講和条約、日米安保条約を締結し、佐藤内閣は沖縄返還を実現した。いずれも強固な日米の信頼関係がなければ成し遂げられなかった。
中曽根首相は、前任の鈴木善幸首相が、日米の同盟関係について「軍事同盟ではない」と発言し日米間の信頼関係が大きく揺らぐ中、就任早々、関係改善に取り組んだ。レーガン米大統領と会談し、日米は「運命共同体」と表明するとともに、米紙に日本列島は「不沈空母」となると発言したと報じられ、物議を醸しながらも、当時、厳しくソ連と対峙していた米国と協調して行動する方針を鮮明にした。
中曽根氏は個人的にも、当時の西側先進民主主義国をリードしていたレーガン氏、ミッテラン仏大統領らと信頼関係を結び、西側の結束を呼びかけることで、最終的に冷戦の終結とソ連の崩壊へと、時代を動かす一翼を担った。
小泉首相も、中曽根氏と似ている。1990年以降の湾岸危機・戦争では、日本の国際貢献が後手に回り、米国をはじめ国際社会の日本への信頼が失墜した。その後、政府は自衛隊の掃海艇をペルシャ湾に派遣したり、自衛隊をカンボジアの国連平和維持活動(PKO)に参加させたりしたものの、「名誉挽回」の十分な機会がなく、日本政府にも湾岸のトラウマが残る中で、2001年9月11日に米同時テロが発生した。
小泉内閣の対応はスピーディーで、翌10月には米軍などへの自衛隊の後方支援を可能にするテロ対策特別措置法を成立させて11月に自衛艦をインド洋に向けて出航させ、ブッシュ米大統領から高い評価を得た。首脳間の信頼に基づく良好な日米関係は、02年の北朝鮮による拉致被害者の一部帰国と、日朝平壌宣言署名にもプラスに働いたと言える。
政治課題への挑戦
歴代長期政権でもう一つ共通していることに、賛否両論のある政治課題で決断し、成果を挙げたことがあげられる。
吉田内閣のサンフランシスコ講和条約締結に対しては、社会党や南原繁東大総長から、ソ連を含む全交戦国と講和条約を結ぶ「全面講和」を求めるべきだとの声が強く出され、国論を二分する状況になった。吉田首相は、早期の講和・独立につながる「多数(単独)講和」を強力に推し進め、駐留米軍に日本の平和と安全を委ねる道を選んだ。日本が西側諸国の一員となったことは、後の経済発展の礎ともなった。
佐藤内閣の沖縄返還も、内閣のスタート当初は外務省内ですら「実現は困難」との見方が強かったが、「沖縄が帰ってこない限り、わが国の戦後は終わらない」と退路を断って訴えながら粘り強く対米交渉して達成した。中曽根内閣による国鉄の分割・民営化は国鉄幹部や労組、自民党運輸族の反対を押し切って実現した。小泉内閣による郵政民営化は、自民党郵政族らの抵抗に遭って一度は関連法が参院で否決されたにもかかわらず、衆院解散・総選挙という異例のプロセスを経て成立させた。
以上から、歴代長期政権は、日米同盟に基づく安定的な外交・安全保障環境を整備した上で、困難な政策課題を解決するミッションを自らに課すことで、いわば向かい風を上昇気流に変えて政権への求心力を高めて飛行距離を伸ばすように在職期間を延ばし、結果的に後世に遺産を残した−と言えるのではないだろうか。
裏を返すと、「大仕事」をやり終えた政権には、一気に遠心力が働くこともある。
講和条約締結から退陣まで約3年3か月の命脈を保った吉田内閣と、沖縄返還協定調印から退陣まで約1年1か月あった佐藤内閣において顕著で、政権末期には与党内から公然と批判が起きたり、党内のグリップが半ば効かない状況となったりしていた。
これに対し、中曽根、小泉両首相は政権末期まで求心力を保ち続けた。両政権は選挙に強く、政権末期の衆院選に大勝している。中曽根政権は1986年7月の衆参ダブル選で300議席、小泉政権は2005年9月の衆院選で296議席という空前の勝利を収めた。また大きな課題に区切りがついてから比較的早期に首相を辞めている。中曽根政権の場合は国鉄民営化の約7か月後、小泉政権は郵政民営化関連法の成立の約11か月後だった。
安倍政権の特徴と成果
では、安倍政権はどうだろうか。
傷ついた日米関係を修復することで日本の国際戦略環境を改善した点は、中曽根、小泉両政権と共通している。
外交失策が続いた民主党政権と常に見比べられるという「運」も味方した。民主党政権、とりわけ鳩山政権は、中国を重視する「東アジア共同体」構想を打ち出したり、米軍普天間飛行場の沖縄県外移設の方針を打ち出して頓挫したりして、オバマ米政権下で日米関係の信頼は大きく揺らいだ。日米同盟のきしみを見透かしたように、中国は尖閣諸島を巡り軍事衝突も辞さない強硬姿勢をちらつかせた。
安倍首相は、日米同盟重視の姿勢を掲げ、2015年4月には米国連邦議会の上下両院合同会議で「希望の同盟へ」と題した演説を行って日米の和解を強調し、成功を収めている。さらに日米の軍事協力の実効性を高める安全保障関連法を15年9月に成立させ、米側から歓迎された。
今また安倍氏は、トランプ米大統領との個人的な信頼関係を各国首脳に先駆けて築くことに成功した。長期政権を首脳外交に生かしてきたことは、自民党総裁選でも重要なアピールポイントとなった。
戦後日本外交の基軸である日米同盟を発展させてきた安倍内閣の政権運営は、長期政権の教科書通りと言えるかもしれない。
外交・安保は道半ば
一方、実績面で見ると、今のところ、過去の長期政権と比べると見劣りする感が否めない。
もちろん、成果がなかったわけでは決してない。
外交・安全保障政策では、日米関係を大きく好転させたことに加え、長年内閣法制局の解釈により憲法上認められないとされてきた集団的自衛権の行使が、限定的とはいえ、安全保障関連法制定を通じて可能になった。防衛装備品(武器)の輸出を事実上禁じてきた武器輸出3原則に代わり、14年4月に防衛装備移転3原則を閣議決定したことも長年のタブーを破るものだった。
ただ、北朝鮮を巡る拉致・核・ミサイル問題の包括的な解決は遠い道のりの途上にあり、ロシアとの北方領土問題も同様だ。
今なお自衛隊違憲論が憲法学者などの間で根強い憲法の改正も長年の重要課題だが、今後の展望は開けていない。
安倍首相は昨年5月、憲法9条1、2項を維持したまま自衛隊を位置づける憲法改正を提起し、緊急事態対応や参院選の合区解消などと合わせて憲法改正の発議、国民投票を行うことを目指している。だが、立憲民主党など野党に強硬な改憲反対論があり、公明党も慎重な姿勢で、国会の論議は足踏みが続いている。
安倍氏は国民投票について、読売新聞のインタビューに「野党の支持者でも、(憲法を)改正したいと考えている方々もいるのではないか。政局的な観点で行われるのは避けるべきで、政権選択の投票ではないと、明確にしないといけない」と述べ、投票結果が自らの進退には直結しないとの考えをにじませたが、仮に国民投票で改正案が否決されれば、政権運営へのダメージは免れない。与党はもとより、さらに野党を巻き込むか、あるいは反対しづらい形に持ち込んで発議するなど、高度な「戦略性」が求められる。
安倍政権は、失態が続いた民主党の前政権を厳しく批判することで、国民の支持を維持してきた。それだけに、立憲民主党などと議論を戦わせながら合意を模索する「熟議民主主義」を達成するのは容易ではないだろう。「言いっ放し」で議論が深まらない不毛な国会のあり方が問題となっており、一義的な責任は野党側にあるが、安倍政権が最終章を迎える中で、憲法改正という歴史的な実績を勝ち取るためには、与野党が党利党略を捨てて政策本位の国会運営を行うための知恵と工夫が求められている。
内政も課題残る
内政面では、アベノミクスの成果が焦点になる。
大胆な金融緩和と機動的な財政出動、民間活力を引き出す成長戦略の「3本の矢」により、円安・株高や企業業績、雇用の改善などで一定の結果を残したことは、安倍首相が総裁選を通じてアピールした通りといえよう。
ただ、持続的な経済成長への道筋は今なお不透明で、デフレ脱却が確実になったとは言いがたい。同時に国と地方を合わせた長期債務(借金)の残高は、約1100兆円に達し、増え続けている。2019年10月には消費税率の10%への引き上げが予定されている。金融財政運営の舵取りを誤れば、再び日本経済はデフレ時代に舞い戻ると懸念する経済学者もいる。
小泉政権は、「首相在任中は消費税を上げない」と消費税論議を封印し続け、財政再建が進まなかったことで批判を浴びた。安倍政権は、消費税率を引き上げると同時に、日本経済をデフレから脱却させることができるだろうか。アベノミクスは歴史的評価を受けるか否か、分水嶺にさしかかっていると言える。
日本社会は今後、急激な人口減少局面を迎える。2040年には、団塊ジュニア世代が老後を迎え、高齢者人口は4000万人近くにまで増加し、総人口の3分の1を超える。同時に、現役世代の減少は加速する。社会保障費の対国内総生産(GDP)比も高まっていく。国民の不安を解消するためにも、費用負担の議論と働き方改革を進め、人口減少を食い止めるため出生率向上に向けて早急に手を打っていく必要がある。
安倍政権が今後向き合う少子高齢化と財政悪化は、過去のどの長期政権も経験しなかった深刻なものだ。東京五輪・パラリンピックがもたらす一時的な好景気や観光客の増加に幻惑されることなく、速やかに少子化・人口減対策を講じることが求められよう。
このように安倍政権の3期目は、まさに課題山積といえる。だが、過去の長期政権を見ると、それは必ずしも悪いこととは言えない。課題解決に向けて強いリーダーシップを発揮できれば求心力を維持できるだけに、むしろ前向きにとらえるべきではないだろうか。
後継者育成がカギ
もちろん、大きな政策課題が解決できるかどうかは時代環境に左右されるし、一内閣だけで焦っても成し遂げられないものの方が多い。
長期政権は、強いリーダーシップの下で政治を牽引し続けてきただけにワンマン化し、政権終盤で反対勢力の激しい抵抗に遭うことも多く、その結果、意中でない人物に政権をバトンタッチせざるを得なくなることもある。これに対し、時間をかけて育成した後継者に首相の座を譲ることで、次期政権が残された課題に取り組み、解決できたケースもある。
前者が吉田、佐藤の両政権であり、後者が中曽根、小泉の両政権であった。
吉田政権は、第3次内閣で講和条約、日米安保条約に調印し、日本が独立を果たすという歴史的な偉業を達成した後も、5次まで続いた。その間、鳩山一郎、三木武吉、河野一郎といった有力な政治家と激しく対立し、鳩山派に対抗するため「抜き打ち解散」(1952年)に打って出るなどしたが、最後には引きずり下ろされるような形で内閣総辞職に追い込まれ、鳩山一郎政権が誕生する。
佐藤政権は、発足後間もなくライバルの河野一郎氏が65年に急死したことなどもあり政権基盤が安定した。「三角大福中」と呼ばれる有力な後継者たちがひしめく中で「人事の佐藤」と呼ばれる巧みな人材登用で政権運営に当たった。同じ東大・官僚出身で自らの政策を引き継ぐことが期待された福田赳夫氏に政権を禅譲することを希望した。だが、佐藤首相が70年の自民党総裁選で福田氏に譲らずに出馬、4選を果たす中で、党人政治家・田中角栄氏が実力を蓄え、福田氏との間で「角福戦争」を展開する。佐藤後継を選ぶ72年の自民党総裁選で福田氏が田中氏に敗れて田中内閣が誕生したことで、佐藤氏の政界における影響力は急落した。
これに対し、中曽根首相は、竹下登、安倍晋太郎、宮沢喜一のニューリーダー3人を競わせ、最終的に首相の裁定で竹下氏を後継に指名する形となり、竹下首相は、中曽根氏が悲願としていた消費税導入を実現する。小泉政権も、「麻垣康三」と呼ばれた有力後継者のうち、官房副長官、自民党幹事長、官房長官を歴任させて育成した安倍氏に政権を引き継ぐことに成功している。
中曽根、小泉両氏とも、政権の最後まで求心力を失わなかった重要なファクターとしては、政権末期の衆院解散・総選挙での大勝に加え、後継者を育成し、その人事への影響力を有していたことがあったと言えるのではないか。
なお、退陣時の年齢を見ると、吉田、佐藤両氏が70歳を超えて政権にとどまり続けたのに対し、中曽根、小泉両氏は60歳代で後進に道を譲っている。現在64歳の安倍氏も、残り3年の任期を務めたとしても60歳代に収まることになる。
結び
長期政権の最後の仕上げとなる3年間で、首相は遺産を残すことができるだろうか。菅官房長官は「政権は、どれだけ長くやったかでなく、何をやったかが一番大事だ」と強調しているが、果たして安倍政権は、長きがゆえに記憶される政権と言われてしまうのか、長かったことよりもその実績ゆえに記憶される政権となっていくのか、首相にとっては正念場の3年となる。
安倍政権が現在抱える課題には、少子高齢化など、過去の長期政権が取り組んだ政策よりも構造的に解決が困難で、任期終了の2021年までに決着しない可能性が高いものも多い。だからこそ、自らの政権運営を引き継ぐことができる力量のある後継者たちを育成し、総裁任期満了が近づくにつれ、最後は並走するような形でバトンタッチするのが有終の美を飾る道なのではないか。
終盤の政権運営を円滑に進める上でも、日本が直面する課題に対処できる力を持った後継者を育てることは、重要課題の一つとなってくるに違いない。 
 

 

●"安倍総裁4選"があり得るこれだけの理由 2018/11
9月の自民党総裁選で3選を果たした安倍晋三首相。気の早い評論家たちは「3年後は誰か」という議論を始めているが、その前に問いかけたいことがある。「安倍4選」は絶対にないのか。自民党の党則は「連続3期9年まで」となっているが、それなら党則を変えればいい。実際、安倍氏は「2期6年」の党則を変えている。「もう1回」となってもなんら不思議はない――。
首相から大統領に復帰した「プーチン方式」が参考になる
自民党内では「プーチン方式」という言葉が冗談交じりで語られている。ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領は、2000年に大統領就任。ロシアは大統領連続3選が禁じられているので彼は、2期8年務めた2008年、メドベージェフ氏を後継指名した。
メドベージェフ氏が大統領になると、プーチン氏は指名を受ける形で首相になった。もちろんロシアのトップは大統領だがプーチン首相は事実上の院政を敷き、メドベージェフ氏をあごで使った。そして次の2012年大統領選で大統領に復帰。さらに今年の大統領選でも勝ち2024年まで大統領にとどまることになった。
「プーチン方式」を日本の政治に当てはめれば、2021年3期を終える安倍氏は後輩にいったん首相の座を譲り、後継者が1期を終えたところで返り咲くということになる。「プーチン方式」で安倍氏が2024年9月に首相に返り咲いたとする。9月21日の誕生日までに総裁選が行われれば安倍氏は69歳。若いとは言えないが、十分首相を務められる年齢だ。
首相の座を「レンタル」する人物は加藤勝信氏か
安倍氏とプーチン氏は気が合って、首脳会談も重ねている。安倍氏はプーチン氏のことを「ウラジーミル」とファーストネームで呼ぶ。そういう間柄であることも、プーチン氏の手法を参考にするのではないか、との臆測の根拠の1つとなっている。
3年間、首相の座を「レンタル」する人物として、最近「ポスト安倍」候補として注目度が高まっている加藤勝信・党総務会長の名を上げる人物までいる。
しかし、わざわざ3年間、他人に首相の座を譲るような、まどろっこしい方法をとる必要があるだろうか。もし、2021年以降も権力の座にとどまろうと考えるのなら、ブランクはつくらず、首相を続けて4選を狙う方が手っ取り早い。今の自民党の党則は4選を禁じているが、党則は変えられる。
3選論が台頭したのは「安倍マリオ」あたりだった
乱暴な議論のように聞こえるかもしれない。しかし2015年、安倍氏が無投票で再選を果たした時、党則で3選は禁じられていた。この段階では、安倍氏は2018年、つまり今年9月に首相から退くことが党則で決まっていた。
3選できるようにしようという機運が高まり始めたのは、翌2016年の夏ごろ。2020年の東京五輪を「安倍首相」で迎えようという意見とともに党則改正論が台頭した。
2016年8月、リオデジャネイロ五輪の閉会式で、安倍氏が「スーパーマリオブラザーズ」のマリオに扮して出席した時、感想を求められた二階俊博幹事長が「(3選の)意欲がなければリオには行かないだろう」と語ったあたりから流れができた。同年秋から党内で党則改定の議論が始まり、翌年3月の党大会で正式決定した。
3選を可能にする党則の変更は、安倍氏のためとしか言いようがない。究極の我田引水といえるルール改正だった。
当然、石破茂氏、岸田文雄氏ら「次」を狙う議員の周辺からは「なぜ今なのか」と異論も出たが、それほど大きな声にならなかった。あまり反対論を唱えると、逆に安倍氏を封じ込めて自分が総裁になりやすくしようとしていると思われるのを気にしたのだ。
2016年にもあった「多選制限撤廃」案
当時の党内の議論で、注目すべきことがある。議論が始まった時から3選に道を開くことでは大筋固まっていたのだが、具体的な方法として2案あったのだ。
1つ目は「連続3期9年」まで可能にする案。もう1つは「多選制限撤廃」案。つまり3期にとどまらず4期でも5期でも無制限でできるようにする案だ。
最終的には党の議論をリードした高村正彦氏の持論である「3期9年」で落ち着いたのだが、「多選制限撤廃」は2年前の議論でも有力な案の1つだった。再燃する素地は十分ある。
安倍氏は3選された後、さかんに「残る3年」という言葉を繰り返す。4選など全く想定していないことを強調しているように聞こえる。実際、安倍氏は現段階で4選を基軸に考えているわけではないだろう。
ただ、忖度する周辺が4選の機運を高めていった時、どう考えるか。その時の政治情勢も勘案しながら、2年前のように、野心を抱き始めることもあるだろう。
来年の参院選で自民党が勝てば「4選論」の出発点に
もちろん、4選という力技を実現するには前提条件が必要だ。安倍氏が安定的に政権運営し、その上で「安倍氏にしか進めることができない」という政治課題が存在することが条件となるだろう。
重要になるのは来年の参院選だ。自民党が勝利を収めれば、そこが4選論の出発点となるだろう。
その時点で憲法改正の道筋がついていなければ「改憲が決着するまで」という理屈で続投の理由がつく。もし、改憲の方向性が出ていれば、拉致問題や北方領土などの外交課題を持ち出して「安倍氏にしか解決できない」ということもできる。4選を目指すことさえ決まれば、理屈は後からついてくる。
小泉進次郎氏が経験を積むまで、安倍氏に続けてもらう
こういった噂が出る背景には、安倍氏の後継候補がなかなか見えてこないという事情がある。石破氏は先の総裁選の地方票で健闘して「ポスト安倍」レースで一歩抜けた印象があるが、肝心の国会議員票では2割にも満たなかった。
その他は岸田氏、加藤氏、茂木敏充経済再生担当相らの名が上がるが、政治的力量、知名度、人望ともに心もとない。石破氏も含めて4人は、いずれも60歳代。64歳の安倍氏とほぼ同世代だ。これでは、対外的に世代交代したというアピールができない。
ならば、37歳と若い小泉進次郎・党厚労部会長がもう少し経験を積むまでの間、安倍氏に続けてもらったらどうか。そういう考えを抱く議員が自民党内に少なからずいるのは事実なのだ。 
●安倍首相まさかの“総裁4選”狙い5つの根拠 2018/11
9月の自民党総裁選で3選を果たしたばかりの安倍晋三首相。永田町では早くも3年後の2021年自民党総裁選に、またまた名乗りを上げるのではという憶測が飛び交いはじめた。多くの自民党関係者は「可能性はある」と指摘し、5つの根拠を挙げた。
自民党幹部は1つ目の根拠をこう断言する。
「『世界の安倍』になれる最大のチャンスが訪れている。先進7カ国の仏、米、英、独、日本、伊、カナダのG7で安倍氏がリーダーシップを発揮する可能性だ」
背景には、ドイツのメルケル首相が「任期(’21年)が切れたら立候補しない」と宣言したことがある。
「ドイツ首相として13年間もG7に出席し、世界で最もバランスのとれた良識派の女性宰相ですからね。トランプ大統領だろうが、プーチン大統領だろうが、習近平国家主席だろうが、ズバズバ意見してきた。ところが、’15年に難民受け入れ姿勢を示したことで、国内の反対派を抑えられず右派政党『ドイツのための選択肢』(AfD)に押されて選挙に大敗したのが、メルケル首相引退の流れです」(全国紙外信部記者)
メルケル首相が去った場合、G7で次に長い国家リーダーは安倍首相だ。
「安倍氏が4選で’21年の総裁選に出馬し当選したら、さらに3年間首相として国家の舵を握り、メルケル不在後のG7の最長老リーダーとなる。安倍氏は明確には言わないが、腹の底では『世界の安倍』として名を残したい思いが強い。4選出馬はあり得る第1の根拠だ」(前出・自民党幹部)
4選実現へは自民党則を変える必要がある。しかも、安倍3選のため党則を改定したばかりだ。それをさらに改正となると、「安倍首相にしかできない政治課題が必要となってくる」(自民党関係者)と言う。先の自民党幹部は「課題はある」と断言したうえで、安倍4選の必然性について2つ目の理由を挙げる。
「安倍氏にしか解決できない課題―それはロシアとの日ロ平和条約締結問題だ。総裁3選勝利直後に浮上したのが、北方領土2島返還を見据えた平和条約締結です。今後3年の総裁任期中ではおそらく無理、4期目に突入必至の難題となる。つまり、首相は4選を視野に見据え、満を持して平和条約締結をブチ上げた。プーチンとは個別で何回も会談を重ね、ファーストネームで呼び合う間柄です。戦後73年燻っていた北方領土返還を『俺の手で解決』する意気込みでしょう」
3つ目の根拠は米国と中国の関係だ。
「まず日米関係は大きな局面を迎える。特に貿易関係です。トランプ大統領の主張通り自動車に20%の関税なら輸出への影響は約2兆円。他も含め日本経済には4兆円程度のマイナスの影響が出ます。反対に、ゴルフ仲間のトランプ大統領を上手く丸め込み、関税阻止できたら、その経済効果は計り知れない。トランプ大統領が2年後に落選しても、米国と渡り合えるのは当面、安倍首相しかいない。それが4選の必要性です。安倍首相の祖父、岸信介首相は1960年に歴史的な改定日米安保条約を結んだ。孫の安倍首相は’21年に4選を果たし、経済と武力を見据え『新日米安保条約』を結ぶという強い意欲を感じます」(経産省関係者)
対中関係はどうか。
「尖閣問題で日中関係は険悪になった。しかし、安倍政権が中国と昵懇の二階俊博氏を幹事長に抜擢し、習政権と粘り強く交渉、やっと回復の兆しが見えてきた。習政権は今後10年続く。回復から安定、対等な日中関係は“安倍4選で継続させないと無理”と経団連や霞が関も認識しはじめた。田中角栄の日中国交正常化から45年、平和友好条約締結は40年。中国とも新日中平和友好条約再締結の必要性を安倍首相は感じている」(政治担当記者)
4つ目は北朝鮮。拉致解決と国交正常化だ。
「北朝鮮最大の後ろ盾は中国です。拉致問題、日朝国交正常化も中国との密な関係で見えてくる。安倍首相は拉致と国交正常化は今後3年以上かかると読んでいる。日朝関係も4選目で正常化にこぎつけたい」(同)
最後の5つ目は戦後レジームからの脱却、そして本格的憲法改正。
「安倍氏が主張する憲法改正は入り口の入り口。安倍氏は4選で完全なる戦後レジーム脱却と、さらに本格的憲法改正に目鼻を付ける強い覚悟を持っている」(前出・自民党幹部)
こう見てくると、安倍首相の4選への野望は明確だが、そこに至るまでの最大の山場は来年の参院選。大敗なら水泡に帰すからだ。
「来年10月1日からは消費税が10%になる。参院選前に景気が悪化傾向なら一気に安倍政権は崖っぷちに立たされるでしょう。いまの政権は景気がまずまずだから持っているようなもの」(経済アナリスト)
しかし、安倍首相には奥の手があるという。
「衆参ダブル選挙ですよ。場合によったら、憲法改正の国民投票も含めたトリプル選挙もありだ。参院選でさえ統一候補擁立で苦労しているダメ野党だから、衆院選での統一候補はさらに難しい」(前出・自民党幹部)
前述したように自民党の総裁選規則は変えたばかり。再び4選へ即変更できるものなのか。
「2017年の変更時も多選制限撤廃案もあったが、3期9年で落ち着いた。今度こそ多選制限撤廃だ。仮に安倍氏が4選を務め上げたとしても、70歳で若い」(同)
安倍“誤選”もありそうだ。 
 

 

 
 2019/1
 

 

●安倍内閣総理大臣年頭記者会見 1/4
【安倍総理冒頭発言】
皆様、明けましておめでとうございます。
平成31年、平成最後となる新年に当たり、先ほど伊勢神宮を参拝し、皇室の弥栄と我が国の安寧、発展をお祈りいたしました。ほぼ200年ぶりに皇位継承が行われる歴史的な1年の始まりに際し、境内の凜とした空気に触れますと、いつにも増して身の引き締まる思いであります。
本年の干支は己亥(つちのとい)であります。前回の己亥は、60年前の昭和34年、日米安保条約の改定交渉が行われた年です。大詰めを迎える日米交渉の傍ら、国内では正に国論を二分する議論が交わされました。しかし、先人たちは決して逃げなかった。国の行く末を見据えながら、決然とその責任を果たしました。改定された日米安保条約は、60年後の今なお我が国の外交・安全保障政策の基軸となっています。今を生きる私たちもまた責任を果たさなければなりません。
冷戦終結とともに始まった平成の30年間に国際情勢は激変した。戦後世界を形づくってきたものが大きく揺れ動きました。こうした変化に真正面から向き合い、私たちの子や孫の時代、次の60年を見据え、日本外交の新しい地平を切り開いてまいります。
5日前、TPP協定が発効しました。来月には、欧州とのEPAも発効します。本年は、米国との交渉がスタートし、ASEAN10カ国に中、韓、インド、豪州、ニュージーランドを加えたRCEP交渉も大詰めを迎えます。保護主義への疑念が高まる世界にあって、日本はしっかりと自由貿易の旗を高く掲げ、新しい時代の公正なルールづくりをリードしてまいります。
北東アジアをめぐる情勢も、昨年6月の米朝首脳会談により歴史的な転換点に差し掛かっています。北朝鮮の核・ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けていかなるチャンスも決して逃すことなく、果断に行動してまいります。
昨年秋の訪中では、習近平主席と今後の両国の道しるべとなる3つの原則を確認しました。本年は、その本格始動の年であります。日中関係を新たな段階へと押し上げてまいります。
そして、ロシアとは北方領土問題を解決して、平和条約を締結する。戦後70年以上残されてきたこの課題に、次の世代に先送りすることなく、必ずや終止符を打つとの強い決意を昨年、シンガポールの地でプーチン大統領と共有しました。事情が許せば、今月下旬に私がロシアを訪問し、平和条約交渉を前進させる考えであります。
今こそ、戦後日本外交の総決算を行っていく。本年はその目標に向かって大きく前進する1年にしたいと考えております。
60年前の亥(いのしし)年、日本は、本格的な高度成長へ正に踏み出そうとしていました。そうした時代の変化を先取りし、先人たちはこの年、国民年金法や最低賃金法を成立させ、現代にまで受け継がれる社会保障制度への礎を築きました。
60年後の今、我が国では、少子高齢化が急速に進んでいます。正に国難とも呼ぶべきこの課題に、現代の私たちもまた真正面から向き合い、未来への改革を進めなければなりません。
本年10月から幼児教育を無償化いたします。戦後、小学校・中学校9年間の普通教育が無償化されて以来、70年ぶりの大改革です。来年4月からは、真に必要な子供たちの高等教育も無償化し、生活費などをカバーする十分な給付型奨学金を支給します。安倍内閣は、次代を担う子供たちの未来に大胆に投資していきます。
その財源となる消費税の引上げについては、前回の反省の上に、本年、頂いた消費税を全て国民の皆様にお返しするレベルの十二分の対策を講じ、景気の回復基調をより確かなものとしてまいります。
同時に、人生100年時代を見据え、意欲さえあれば65歳を超えても働くことができる生涯現役の社会を実現するため、これまでの働き方改革の上に、更なる雇用制度改革を進めます。その上で、医療、年金など社会保障制度全般に渡る改革の検討に入ります。我が国の社会保障制度を子供から子育て世代、現役世代、高齢者まで全ての世代が安心できるものへと改革していく。本年はその力強いスタートを切る年であります。全世代型社会保障元年であります。
本年は、主要国の首脳が一堂に会するG20サミットを初めて日本で開催します。アフリカの国々が集まるTICAD、秋にはラグビーワールドカップも予定されています。そして、5月1日には皇太子殿下が御即位され、改元が行われます。新しい元号は、これまで改元に当たって決定、公表されてきましたが、今回は国民生活への影響を最小限に抑える観点から、先立って4月1日に発表する考えです。歴史的な皇位の継承を国民がこぞって寿(ことほ)ぐことができるよう、政府としてその準備に全力を尽くしてまいります。
そして、平成のその先の時代に向かって国民の皆様とともに力強いスタートを切る。本年を「日本の明日を切り拓く」1年としたいと考えています。
いのししは猪突猛進という言葉があるように、走り出せば時速50キロにも及ぶ。脇目も振らずに突進するという印象をお持ちの方も多いと思います。しかし、その動きは自由自在。障害物があれば左右によけたり、ひらりとターンすることができる。意外と身のこなしが極めてしなやかな動物だそうであります。私も本年は、いのししのようなスピード感としなやかさを兼ね備えながら政権運営に当たってまいりたい。亥年の年頭に当たって、そう決意しています。
引き続き、国民の皆様の御理解と御支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
最後となりましたが、本年が国民の皆様にとりましてすばらしい年となりますことをお祈りいたしております。
私からは以上です。
【質疑応答】
(内閣広報官)  それでは、報道の皆様方から御質問いただきます。御質問を希望される方は、所属とお名前を明らかにした上でお願いいたします。初めは、内閣記者会の代表の方からお願いしたいと思います。どうぞ。
(記者)  共同通信の阪口です。よろしくお願いいたします。今ほど言及された新元号の公表に関してなのですけれども、新元号に関する政令なのですけれども、今の天皇陛下が公表、公布されるかどうかという1点をまず確認させてください。それと、先ほども言及されましたけれども、G20のほかにも夏には参院選挙であったりとか、10月には消費税の引上げなど、重要な節目が数多くありますけれども、どのように政権を運営されていくおつもりなのか。参院選に合わせて解散総選挙なんていう話も聞こえてきておりますけれども、どのようにお考えでしょうかということを伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
(安倍総理)  改元についてでありますが、改元は皇太子殿下が御即位される5月1日に行います。新たな元号については、国民生活への影響を最小限に抑える観点から、4月1日に元号を改める政令を閣議決定し、その公布は通常の政令制定の手続に従って行う考えであります。そして、具体的にどのような過程を経て元号を選定するかについては、平成改元時の手続を踏まえつつ決めていきたいと考えています。政権奪還から6年が経過いたしました。2012年の12月の総選挙、私たちは日本を取り戻すという考え方の下に政権の奪還に挑みました。これは私たちがただ単に権力に復帰したいという考え方からではありません。当時は正に日本が沈没しそうな状況でありました。この中で何とか希望にあふれ、誇りある日本をつくらなければならない。この気持ちで一致結束して政権を奪還することができました。私たちはまた7年目に入って、その初心に立ち戻らなければならないと考えております。この6年間も国民の負託に応えなければならないとの思いで一日一日、全力を尽くしてまいりました。6年が経過したことによって、政権が硬直化してはならないと考えております。大切なことは、しなやかさを持って対応していくことではないのかなと思います。謙虚で、そして寛容な姿勢で政権運営を行っていきたいと思います。7年目の本年は、皇位の継承など我が国にとって正に歴史の大きな転換点を迎えるわけでありますが、今後も一日一日全力投球していく考えであります。緊張感を持って政権運営に当たっていきたいと思います。そして、参議院選挙に合わせて衆議院選挙を行うのではないのかという御質問であります。そういう声が一部にあるということは承知しておりますが、私自身の頭には片隅にもないわけであります。まずは参議院選挙です。これからの日本がどのような国を目指すのか、国民の皆様にしっかりと訴え、堂々と骨太の政策論争、議論を行っていきたいと、こう考えております。その上で繰り返しになりますが、解散総選挙という言葉は頭の片隅にもないということであります。
(内閣広報官)  それでは、次は三重県政記者クラブの代表の方からの御質問とさせていただきます。お名前と所属を改めてお願いいたします。
(記者)  三重県政記者クラブ、幹事社の東海テレビの藤井と申します。今年は2014年に策定された、まち・ひと・しごと創生総合戦略の5カ年目標の最終年度となります。三重県を始めとした地方の創生について、これまでの成果、今後の課題についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
(安倍総理)  安倍政権の基本的な考え方は、元気な地方なくして日本の再生なしということであります。そうした思いの下に安倍内閣は、地方創生の旗を高く掲げて、最重要課題として政策を総動員してきました。地方にとっては一次産業、農林水産業は極めて大切であります。その中で、農業に携わる方々の平均年齢は66歳を超えてしまった。正に改革を行い、若い皆さんが農業あるいは水産業、林業という分野、自分たちの未来を勝てる分野にしていきたい、こう思ってもらえるような改革を行わなければならないと考えました。正に農業、農林水産業を守るための改革を行ってきた。そこで私たちが力を入れたのは、農林水産物の輸出であります。農林水産物の輸出が5年連続で過去最高を更新した。それとともに、40歳代以下の新規就農者は、統計開始以来、初めて4年連続で2万人を超えました。正に若い皆さんが農業で頑張ろうという機運が今、醸成されつつあるのは事実だろうと思います。そしてもう一点、観光立国を目指して、この観光こそ、地方にとって大きなチャンスがある、そう考えました。外国人観光客も今年は過去最高、3000万人の大台に乗り、政権交代前の4倍近くに増えました。ここ三重県を訪れる外国人観光客も7年間で4倍となりました。観光立国は全国津々浦々に一大市場、一大産業を生み出しつつあり、地方の新しい活力となりつつあると思います。そしてもう一つ、地方にとって大切なのは、中小企業・小規模事業者の皆さんです。正に、この皆さんが地方の経済、日本全体の経済を支えていると言ってもいいと思いますが、地方では特に大切ですね。この中小企業・小規模事業者の皆さんの生産性を引き上げていく。支援等を行ってきた結果、中小・小規模事業者の皆さんの倒産も、政権交代前から3割減少し、この四半世紀においては最も少ない倒産件数となっています。このような景気回復の風が地方にも着実に届く中で、地方の法人関係税収もここ三重県で4割近く増えました。ほとんどの都道府県で4割から5割増加しています。来年度の地方税収は44兆円を超え、過去最高になっています。その上で今後、地方からの人口流出の問題について、しっかりと取り組んでいきたいと思います。ポイントとなるのは、近年の傾向として、若い世代を中心に地方移住への関心が高まっていることであります。三重県も鈴木英敬知事以下、皆さんが努力をしていただき、東京などに相談センターを設置するなど、移住の促進に積極的に取り組んでおられますが、昨年度の移住者は2年前と比べて2.5倍に増えるとともに、その6割が30歳代以下の若者だと聞いています。東京にあるふるさと回帰センターでも、10年前は相談に来る人の人数、その半数近くが60代以上だったのですが、直近では相談件数自体が10倍以上に増えました。そのことに加えまして、そのうち9割が50歳代以下の現役世代に占められているということであります。正に地方にこそチャンスがあると考え、地方に飛び込んでいこうとする若者たちが正にだんだん出てきていただいている。そのチャレンジを政府として全力で応援していきたいと思っています。これまでも若者たちによる地域おこし協力隊を政権交代前の10倍以上、5,000人へと大幅に拡大しました。さらにこの春からはUIJターンによる起業、就業に対して最大300万円支給するなど、かつてない支援策を講じていきます。こうした取組によって、もっともっと大都市部から地方への人の流れを分厚いものとしていきたいと考えています。
(内閣広報官)  それでは、再び、内閣記者会の代表の方、お願いいたします。
(記者)  東京新聞の島袋と申します。よろしくお願いいたします。総理は憲法改正について、2020年の改正憲法の施行を目指す考えを示しておられますが、2019年は改憲に向けて、どのように取り組まれるか、教えてください。また、1月のロシア訪問やG20首脳会合でロシアのプーチン大統領との北方領土交渉、あわせて平和条約締結交渉が行われますが、どのように取り組まれるか、お聞かせください。
(安倍総理)  まず、日露についてお答えいたします。過去70年以上、北方領土交渉は全く動いてきませんでした。2年前の長門会談以降、日露が共に北方四島の未来像を描き、その中から解決策を探し出すという新しいアプローチの下、元島民の皆さんの航空機による墓参が初めて行われました。そして、共同経済活動の実現に向けた現地調査も実施されました。これまでになかった協力が進んでいます。同時に、北方領土には多数のロシア人が住んでおり、その皆さんのお墓もあるというのが残念ながら現実であります。したがって、住民の方々に、日本に帰属が変わるということについて納得をしていただく、理解をしていただくことも必要です。日本人が共に住むことにより、生活が良くなっていくということを理解してもらう必要があります。そのための新しいアプローチなのです。長門合意に基づく信頼関係の上に、昨年11月のシンガポールの日露首脳会談において、1956年の共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速していくということで、プーチン大統領と合意をいたしました。今月中旬に河野外務大臣が、そして、下旬には、私がロシアを訪問し、集中して交渉を行います。相手のあることでありますから、交渉の結果を事前に予断することはできませんが、プーチン大統領との間で、できるだけ交渉を進展させたいと考えています。憲法についてでありますが、憲法は、国の未来、そして国の理想を語るものでもあります。本年は、皇位継承が行われ、我が国で初のG20サミットが開催され、世界中の首脳が日本に集まります。そして、ラグビーのワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピック、新しい時代の幕開けに当たり、私たちはどのような国づくりを進めていくのか。この国の未来像について議論を深めるべきときに来ていると思います。憲法改正について、最終的に決めるのは、主権者たる国民の皆様であります。だからこそ、まずは具体的な改正案を示して、国会で活発な議論を通じ、国民的な議論や理解を深める努力を重ねていくことによって、また、重ねていくことが選挙で負託を受けた私たち国会議員の責務であろうと考えています。国会において活発な議論がなされ、与党、野党といった政治的な立場を超え、できる限り広範な合意が得られることを期待しています。
(内閣広報官)  それでは、最後の質問とさせていただきます。三重県政記者クラブの代表の方にお願いいたします。
(記者)  読売新聞津支局の新良といいます。よろしくお願いします。リニア中央新幹線についてお伺いします。地元からも早期着工を求める声が上がっている名古屋−大阪間の開業時期やルート、それから、駅位置などにつきまして首相の考え方をお願いいたします。
(安倍総理)  リニア中央新幹線は、我が国が誇る最先端の技術であります。東京から名古屋へは40分、大阪からは25分程度、伊勢神宮にももっともっと簡単に参拝できるようになると思いますが、大阪までの全線開業については、財投を活用し、最大8年間前倒しを可能としました。現在は、8年後の名古屋までの開業を目指し工事が進んでいます。昨年10月には、品川−名古屋間における大深度地下使用に係る認可も行われたところでございます。名古屋−大阪間のルート、そして駅の位置については、建設主体であるJR東海が検討を進めることとなっておりますが、既に環境アクセスに向けて地元自治体との意見交換が開始されています。また、政府としては、リニア中央新幹線、北陸新幹線等との乗り継ぎ利便性の観点から新大阪駅の機能強化について検討していきます。リニア等新幹線による高速鉄道ネットワークを軸に、東京や大阪、名古屋がハブとなって、日本全国北から南まで地方と地方をつないでいく、地方創生回廊をつくり上げ、全国を一つの経済圏に統合していくことで地方に成長のチャンスを生み出していきたいと考えています。
(内閣広報官)  それでは、以上をもちまして、安倍内閣総理大臣の平成31年年頭記者会見を終わらせていただきます。皆様の御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。
(安倍総理)  ありがとうございました。 
 2019/2
 

 

●安倍晋三首相、野党から4選問われ「ご心配なく」 2/28
安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会で、自民党総裁連続4選を考えているか野党から問われ「自民党のことは、自民党においてしっかりと議論していく。党のことは、ご心配なく」と述べ、明言を避けた。立憲民主党会派の大串博志氏への答弁。
自民党の加藤勝信総務会長は27日の講演で、連続3期9年までとなっている総裁任期がさらに延長され、安倍氏が連続4選する可能性に言及している。 
●安倍首相「党で議論していくこと」=総裁4選論 2/28
安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会で、自民党内にある党総裁連続4選論への見解を問われたのに対し、「自民党のことは自民党でしっかりと議論していくことなんだろうと思う。どうかご心配なく」と述べるにとどめた。立憲民主党会派の大串博志氏への答弁。  
●安倍首相、総裁4選問われ「自民党のこと、ご心配なく」 2/28
安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会で、自民党総裁の4選を考えているのかを問われ、「自民党のことは自民党においてしっかり議論していくことなんだろうと思う」と述べた。
自民党則で総裁任期は連続3期9年までだが、同党の加藤勝信総務会長は27日の講演で、「国民から『さらに』という声がでてくればそういう状況は生まれるかも」と4選の可能性について言及している。
立憲民主党会派の大串博志氏がこうした加藤氏の発言を紹介しつつ「4選を考えているのか」と質問。首相は質問には直接答えず、立憲民主党の代表任期を逆質問。「自民党のことはどうかご心配なく」とかわした。 
 2019/3
 

 

●4選待望論浮上で「ポスト安倍」どうなる? 3/4
安倍晋三首相の、自民党総裁の連続「4選」論が浮上している。複数の自民党幹部が発信しているもので、国会審議でも取り上げられた。「最後の任期」とみられていただけに、「ポスト安倍」候補の心中は穏やかではないはずだ。彼らの天下獲りに影響はあるのか。
「自民党のことは党でしっかり議論する。ご心配なく」
安倍首相は2月28日の衆院予算委員会で、総裁任期を延長する「4選」論について野党議員に問われ、こう答えた。
自民党総裁の任期は、2017年の党則改正で「連続2期6年」から「連続3期9年」に延びた。安倍首相は本来、21年9月で退任する。
ところが、安倍首相に近い加藤勝信総務会長が2月27日の講演で「国民から『さらに』という声が出れば、そういう状況が生まれるかもしれない」と語るなど、永田町では最近、「4選」の話題で持ちきりだ。
万が一、そうなれば、岸田文雄政調会長や、河野太郎外相、石破茂元幹事長、前出の加藤氏ら「ポスト安倍」候補の戦略は激変しそうだ。
政治評論家の伊藤達美氏は、まず岸田氏について「総裁選レースが延長されれば、いま以上に人々をひき付けないと厳しい。禅譲狙いではなく、独自の持ち味を発揮する時期に来ている。予算配分への影響力がある政調会長ポストを活用し、官邸にも財務省にも大胆に注文を付ける。そんな強い一面も持てば『ポスト安倍』は近付く」と語った。
世界を飛び回っている河野氏はどうか。
「外相としては合格点でも、持論の『原発ゼロ』を、わが国のエネルギー政策の中で、どのように実現するかなど、他の政策を具体的に示さなければならない。党務で汗を流すべきだ」
野党顔負けの政権批判が目立ち、「離党論」もささやかれる石破氏の動向も注目だ。
「自民党での先行きは厳しい。今後も『自分ならこうする』と、安倍首相との政策の違いを出し続けるしか道はない。仲間を増やす道を探るしかない」
最後は、安倍「4選」論を披露した加藤氏。
「旧大蔵省出身で、優秀な官吏だ。この先も安倍側近として仕えながら、岸田氏と同様、突出した一面を見いだすべきだ。経産相や外相など主要閣僚を狙うだろう」 
 3/12
 

 

●安倍総裁4選「十分ありうることだ」自民 二階氏 3/12
再来年9月までとなっている安倍総理大臣の自民党総裁としての任期について、二階幹事長は任期を延長して4期目に入ることも十分ありうるという認識を示しました。
二階幹事長は記者会見で、去年の自民党総裁選挙で3選を果たし、再来年9月までとなっている安倍総理大臣の総裁任期の延長について、「党員が決めることで今から予見を持って言うわけにはいかないが、今、安倍総理大臣は十分、党員の期待に応え、しっかり頑張っているのは間違いない。この状況においては十分ありうることだ」と述べ、任期を延長して4期目に入ることも十分ありうるという認識を示しました。
そのうえで「党内の意見を隅々までよく聴取して円満に決めていきたい」と述べました。さらに、二階氏は「連続3期まで」となっている党則の改正について「余人をもって代えがたいという時には何ら問題はない」と指摘しました。
○ 自民 加藤氏「地道な努力を重ねたあとに」
自民党の加藤総務会長は記者会見で、「われわれは一日一日、緊張感を持って取り組むことで、国民の支持をいただき、参議院選挙などの勝利を目指していく。そういう地道な努力を積み重ねたあと、いろいろな議論があるのではないか」と述べました。
○ 自民 吉田氏「議論するのは早い」
自民党の吉田参議院幹事長は記者会見で、「安倍総理大臣が評価されるのは当然のことだが、まだ、その議論をするのは早い。去年の総裁選挙で決まったばかりではないか」と述べました。
○ 自民 森山氏「その選択しかないのでは」
自民党の森山国会対策委員長は、記者会見で「『連続3期まで』となっている党則を改正する必要があるが、『余人をもって代えがたい』ということなら、その選択しかないのではないか。安倍総理大臣は、しっかり仕事をしていると思う」と述べました。
○ 菅官房長官「任期まだ始まったばかり」
菅官房長官は、午後の記者会見で、「自民党幹部の個々の発言について政府としてコメントは差し控えたいが、いずれにしろ、安倍総理大臣の自民党総裁としての任期はまだ始まったばかりだ。一つ一つの政策課題にしっかり取り組んでいきたい」と述べました。 
●安倍首相の総裁4選「十分あり得る」 自民・二階幹事長
自民党の二階俊博幹事長は12日の記者会見で、安倍晋三首相の党総裁4選の可能性について問われ、「党内外、特に海外からの支援もある。その状況においては、十分あり得る。余人をもって代え難いときには何の問題もない」と述べた。
昨年の党総裁選で3選を果たした安倍首相の任期は21年9月まで。現在の連続3期までとする党則の改正を主導したのが二階氏だけに、発言は波紋を広げそうだ。二階氏は会見で「今、総理総裁は十分、党員の期待に応えている。しっかり頑張っているのは間違いない」とも語った。 
●安倍首相の総裁4選「あり得る」 自民・二階幹事長
自民党の二階俊博幹事長は12日の記者会見で、安倍晋三首相の党総裁連続4選論について「党内外や海外からの支援もあり、この状況では十分あり得る。首相は党員の期待に応えて頑張っている」と述べた。堅調な内閣支持率に加え、トランプ米大統領やプーチン・ロシア大統領と個人的な友好関係を築いている首相を評価しての発言とみられる。
党則が認める任期が連続3期9年までとなっていることを巡っては「余人をもって代え難いときは、何ら問題はない」と指摘。党内の意見を幅広く聴取する必要があるとの考えも示した。
4選論は、首相に近い加藤勝信総務会長も2月と3月の講演で2度言及している。 
●4選発言「ポスト安倍は枝野代表だ」立民 福山氏
再来年9月までとなっている安倍総理大臣の自民党総裁としての任期について、二階幹事長は任期を延長して4期目に入ることも十分ありうるという認識を示しました。
立憲民主党の福山幹事長は記者会見で「気が早く、何をもってこんな話が出ているのか、さっぱり分からない。われわれは『ポスト安倍総理は、党の枝野代表だ』と思っているので、議論にくみすることはない」と述べました。 
●安倍首相の党総裁4選問題、自民に対応委ねるべき=山口公明党代表
公明党の山口那津男代表は12日、安倍晋三首相の自民党総裁4選を支持する声が同党内に浮上していることに対し、自民党の対応に委ねるべきとの見解を示した。
自民党の二階俊博幹事長は12日の会見で、安倍首相の党総裁4選もあり得ると発言。これに対し、山口代表は政府・与党連絡会議後、記者団に「自民党の総裁をどうするかなので、自民党の対応に委ねるべき」と述べた。
また、福岡県などの知事選で自民党系列の候補が複数立候補しているケースへの対応について、「それぞれの構図というものがあるので、地元の各都道府県の対応・意見を踏まえ、総合的な観点で党として対応したい」と述べた。  
●4選発言「悪夢だ論外中の論外だ」小池氏 
再来年9月までとなっている安倍総理大臣の自民党総裁としての任期について、二階幹事長は任期を延長して4期目に入ることも十分ありうるという認識を示しました。
共産党の小池書記局長は、記者会見で、「悪夢だ。『強権政治』を維持したいという思いが表れているのではないか。統計不正などの問題にみられるような、うそと隠蔽、改ざんの政治を1日も早く終わらせなければならず、4選など論外中の論外だ」と述べました。 
●4選発言「人材不足を痛感しているのでは」馬場氏
再来年9月までとなっている安倍総理大臣の自民党総裁としての任期について、二階幹事長は任期を延長して4期目に入ることも十分ありうるという認識を示しました。
日本維新の会の馬場幹事長は、記者会見で、「安倍総理大臣の4選を打ち出すということは、それだけ、自民党の中の人材不足を痛感しているのではないか。自民党の二階幹事長は、率直な感想を言っているのだと思う」と述べました。 
●4選発言「党則では3期まで」自民 岸田氏
再来年9月までとなっている安倍総理大臣の自民党総裁としての任期について、二階幹事長が任期を延長して4期目に入ることも十分ありうるという認識を示しました。
これについて、自民党の岸田政務調査会長は、記者会見で、「二階幹事長の発言の趣旨は分からない。いろいろな意見があると思うが、明らかなのは、今の自民党の党則では、総裁は連続3期までということだ」と述べました。 
 3/13
 

 

●総裁4選「問題ない」 二階氏、求心力維持狙いか
自民党の二階俊博幹事長は12日、国会内で記者会見し、党内でささやかれる安倍晋三総裁(首相)の連続4選について「十分あり得る」と述べ、続投の可能性に初めて言及した。党内では4選論を主導することで自身の求心力維持を狙ったとの見方も浮上している。
二階氏は、首相について「十分党員の期待に応えて頑張っていることは間違いない」と評価。多選により独裁を招く恐れがあることを問われると「余人をもって代え難い場合は何ら問題ない」と一蹴した。
総裁任期は2017年の党則改正で連続2期6年から連続3期9年に延びた。二階氏はこの時も首相の3選について会見で「大いに検討に値する」と口火を切り、党則改正の主導的役割を果たした経緯がある。首相の現在の総裁任期は21年9月まで。
今回の二階氏の発信について、党内からは政権のレームダック(死に体)化を避ける狙いがあるとの見方の一方で、幹事長続投を見据えた動きとの臆測も出ている。二階派には有力な後継者がいないため、二階氏の求心力低下は派閥の弱体化に直結する。中堅議員は「自身や派閥の生き残りのために(二階氏は4選論を)言うしかない」とみる。 
●安倍総裁の4選に賛否 参院選の結果踏まえ今後議論も
安倍総理大臣の自民党総裁としての任期について、二階幹事長は12日、延長して4期目に入ることも十分ありうるという認識を示しました。一方、ポスト安倍を目指す議員の派閥からはけん制する声や、野党側からは批判などが出ていて、今後、夏の参議院選挙の結果なども踏まえ議論になることも予想されます。
去年の自民党総裁選挙で3選を果たし、再来年9月までとなっている安倍総理大臣の総裁任期の延長について、二階幹事長は12日記者会見で「安倍総理大臣は党員の期待に応え、しっかり頑張っており、十分ありうる」と述べ、延長して4期目に入ることも十分ありうるという認識を示しました。
これについて党内では「早期に4選への流れを作ろうとしているのではないか」という見方がある中、「安倍総理大臣は実績があり、余人をもって代えがたい」などと、4選を支持する意見も出ています。
一方、ポスト安倍を目指す岸田政務調査会長は「明らかなのは、今の自民党の党則では、総裁は連続3期までということだ」と指摘したほか、石破派などからは「4選は、国民の支持を得られない」などと、けん制する声も出ています。
また野党側は、立憲民主党の福山幹事長が「気が早く、さっぱり分からない。ポスト安倍は、枝野代表だ」と述べたほか、国民民主党の榛葉参議院幹事長が「早い。『そらないだろう』という人が普通出るもので、何のためのルールか」と指摘しました。
さらに共産党の小池書記局長が「悪夢で、4選など論外だ」と批判したほか、日本維新の会の馬場幹事長も「党の人材不足を痛感しているのでは」と指摘しました。
安倍総理大臣の4選には「連続3期まで」となっている党則の改正が必要で、今後、夏の参議院選挙の結果なども踏まえ議論になることも予想されます。 
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●総裁任期また延長論、首相「4選禁止ルールに従う」
安倍総理はいつまで総理大臣を続けることになるのか。自民党総裁の任期をさらに延長する「4選論」について14日、安倍総理は否定的な見解を示しましたが、波紋は広がり続けています。
「安倍首相の自民党総裁4選論がにぎやかですね。3選して半年で早々に4選論が出ることに、私はちょっと驚いているんですが」(日本維新の会・片山虎之助共同代表)
「4選ということは禁じられておりますので、自民党総裁としてこのルールに従うのは当然のことであろうと思いますし、私にとって最後の任期を全力で結果を出していくことに集中していきたい」(安倍首相)
2012年12月に2度目の総理大臣に就任した安倍総理。先月には吉田茂元総理を抜き、連続在職日数は歴代2位となりました。そんな中で浮上したのが総裁任期のさらなる延長、「4選論」です。
「今のご活躍からすれば、この状況においては(4選は)十分あり得ること」(自民党・二階俊博幹事長〔3月12日〕)
そもそも自民党の党則では、総裁の任期は連続2期まででした。その党則を二階氏が主導する形で改正し、安倍総理の3期目が実現しました。その上で、次の総裁選まで2年半以上あるこの時期に4選に言及したのです。
自民党内では波紋が広がり続けています。
「“まだまだ俺が幹事長だ”と言いたいんだろう」(自民党ベテラン秘書)
「周りの反応を見るための観測気球なんじゃないか」(自民党中堅議員)
二階幹事長が自らの権力維持を狙った発言だという見方や、「ポスト安倍」の動向を見極めるための発言だという見方。自民党内は二階幹事長の真意を図りかねているようです。
「4選論」で表面化した自民党内の動揺は、簡単には収まりそうもありません。 
●首相、連続4選に否定的「最後の任期に全力」 
安倍晋三首相(自民党総裁)は14日の参院予算委員会で、党内で浮上している党総裁連続4選論について「党則で禁じられている。ルールに従うのは当然だ」と述べ、否定的な考えを示した。「3選を果たしたばかりで、最後の任期で全力で結果を出すことに集中する」とも語った。
党総裁の連続4選をめぐっては、二階俊博幹事長が12日の記者会見で「十分あり得る」と容認する姿勢を示している。一方で、党内では安倍政権が長期化し、首相に権力が集中することへの懸念も出ている。
自民党総裁の任期は平成29年の党則改正で連続2期6年から連続3期9年に延びた。昨年連続3選した安倍首相の任期は33年9月までで、連続4選のためには党則の改正が必要となる。順調ならば安倍首相の通算在職日数は今年11月に桂太郎を抜き、憲政史上最長となる。 
●安倍首相「4選は禁止、ルールに従うのは当然」 
安倍晋三首相は14日の参院予算委員会で、二階俊博幹事長が期待を示した自民党総裁の「連続4選論」について野党に問われ、「4選というのは党則で禁じられております。ルールに従うのは当然だと思います」と述べた。「私にとっては(21年9月までの今の任期が)最後の任期。全力で結果を出すことに集中していきたい」と強調した。
かつて自民党に所属したベテラン、日本維新の会の片山虎之助共同代表から「3選して半年で早々と4選論が出ることに、私は驚いている」と問われたのに対し、答えた。一方で、片山氏は「必要性とみんなの同意があれば(党規約も)変わる」と述べた。
自民党内では、当初「連続2期6年」だった党規約の連続総裁任期を、「3期9年」に改正した二階氏が、「党内外や海外からの支援もある。この状況では十分あり得る」「余人をもって代え難いときは、何ら問題はない」と、首相の4選論支持を明言し、波紋を広げている。首相と距離を置く議員の間からは、長期政権がさらに続くことへの警戒感も強まっている。 
●安倍首相「4選」の声、なぜ今?野党は反発
自民党内では、ここに来て急に安倍首相の総裁連続4選を求める声が上がっているが、当の安倍首相は慎重な姿勢を示した。
去年の総裁選で3選を果たしたのも党のルールを変えたことによるもので、さらに任期を延ばそうという声にはさすがに批判も出ている。安倍首相は次のように述べた。
安倍首相「すでに自民党の規約によって3選ということで、それ以上、4選ということは禁じられておりますので、自民党総裁としてこのルールに従うのは当然のことであろうと思いますし、私にとって最後の任期を全力で結果を出していくことに集中していきたいと」
「安倍4選論」は二階幹事長が「十分、あり得る」と話したことで波紋を広げたものだが、“ポスト安倍”候補からは「言うのは勝手だが、総裁選から半年もたっていない」などと不満と批判がまじり合った声も上がっている。
また、野党も強く反発している。
立憲民主党・辻元国対委員長「耳を疑っただけでなく、これこそ悪夢だと」
「4選」の声は、なぜ今、出てきたのだろうか。背景には、夏の参院選後の人事を見据えた駆け引きがあるとみられる。安倍首相の総裁任期は現状では再来年の9月までで、いわば“終わり”が見えてしまっている。
そのため、二階幹事長としては、安倍政権のレームダック化を避ける空気を作ることで、首相に恩を売り、夏の参院選の後も幹事長を続投するための布石とする狙いがあるとみられている。 
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●総裁4選、自民内に異論=野田氏「国民置き去り」 
自民党の野田聖子衆院予算委員長は15日、BSテレ東の番組収録で、二階俊博幹事長らが安倍晋三首相の党総裁連続4選に言及したことについて「この時期には適当な発言ではなかった。国民を置き去りにして首相を勝手に決めるようなイメージもある」と批判した。
これに関し、同党の石破茂元幹事長は同日のインターネット番組で「有権者が『そうだそうだ』と言うかは選挙をやってみないと分からない」と述べ、国政選挙の結果次第だとの認識を示した。  
●総裁4選に議論 安倍首相は任期延長を否定
総裁四選について議論されています。
2017年に原則3期までと変更された自民党の総裁任期ですが、これを4期まで可能にするか、議論されています。自民党の二階俊博幹事長は今月12日に行った会見で、安倍総理大臣の総裁4選について「党内外、特に海外からのご支援も十分あるわけですから。その状況においては十分有り得ることだと思います」
と前向きな言及をしていました。日本共産党の小池晃書記局長は「悪夢だ」と発言するなど野党からは反発の声も上がっていましたが、これについて安倍総理大臣は14日の参議院予算委員会で、「自民党の規約によって4選は禁じられている。党総裁としてこのルールに従うのは当然のことだ」と答え、自身の総裁任期の延長を否定しています。 
●安倍総裁4選論 首相、沈静化狙う? 「ルールに従う」 党内では警戒感も
安倍晋三首相は14日の参院予算委員会で、自民党内に浮上する自身の総裁4選論について「党の規約で禁じられている。ルールに従う」と述べた。二階俊博幹事長ら党幹部から4選容認論が相次いでおり、党内の一部では首相に権力が集中し続けることへの警戒感が広がる。首相の発言は党内議論を当面のあいだ沈静化させる狙いがあったとみられる。
総裁任期は2017年の党則改正で連続2期6年から連続3期9年に延びた。18年9月に3選を果たした首相には21年9月までの任期がある。首相は自らこのことに触れ「3選を果たしたばかりだ。私にとって最後の任期を全力で結果を出していくことに集中したい」と強調した。
自民党総裁の4選論は2月上旬に党内で突如、浮上した。27日には加藤勝信総務会長が「国民から『さらに続けてほしい』との声が出てくれば、4選の状況は生まれてくるかもしれない」と述べ、党4役による4選論の口火を切った。首相は翌28日の衆院予算委員会で「自民党のことは自民党で議論する。ご心配なく」と野党の質問をかわしていた。
3月12日には二階氏が「党内外、特に海外からの評価もある今の状況では十分にあり得る」と語り、4選に向けた党則変更が可能であるとの認識を示した。これに森山裕国会対策委員長らが同調した。
一方で4選論の広がりに党内では戸惑いの声も出ている。「ポスト安倍」候補の岸田文雄政調会長は「いま明らかなのは現在の自民党の党則では総裁(任期)は3期までということだ」と指摘。谷垣グループの逢沢一郎代表世話人は「党の信頼に関わる問題で、慎重に向き合うべきだ。首相も現在の任期を相当残している」と話した。
首相の出身派閥で党内最大の細田派で事務総長を務める下村博文氏は14日、記者団に「4選がありうるという声がでることはありがたいが、総裁選が終わってまだ半年だ。今から4選が前提であれば逆におごりだと思われる」と述べた。同日開いた派の会合でも4選の話題は出なかったと説明した。 
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●安倍首相4選論の“震源地”はどこだ!? 3/16
統計不正問題や沖縄基地移転問題、暗礁に乗り上げた日ロ外交問題や、進展を見せない拉致問題など、さまざまな問題を抱える安倍晋三首相だが、早くも4選の話題が持ち上がっている。自民党の党則では総裁任期は「連続3期9年まで」となっているが、そもそも安倍首相が3選するまでは「連続2期6年まで」だった。関連する発言を追ってみた。
二階俊博 自民党・幹事長 「今の活躍からすれば十分あり得る。余人をもって代え難いときは、(4選への総裁任期の延長は)なんら問題ない」「党内外、特に海外からの評価もある今の状況では十分にあり得る」
安倍首相4選論の震源地は、二階幹事長だ。12日の記者会見で、安倍首相の4選について「なんら問題ない」と言い切った。二階氏が安倍首相の4選について公の場で発言するのは初めてとなる。安倍首相の総裁任期は2021年9月まで、この時点で戦前戦後を通じて史上最長の政権となるが、総裁任期延長が実現すれば2024年9月まで首相を務めることになる。
これまでにも二階氏は2月10日に行われた自民党大会での囲み取材の際、オフレコと前置きしつつ、「私は、総裁にさらに頑張っていただきたいという声が出てくると思う」と安倍首相の4選を示唆していた。 
あえて「活躍」と言い切る二階氏
また、2月18日の夜に行われた「自民党93年初当選組」の同期会では、林幹雄幹事長代理が「4選もあるんじゃないか」と安倍首相に声をかけている(『週刊現代』2019年3月9日号)。林氏は二階派に所属しており、「親分」からのメッセージを安倍首相に伝えたとも考えられる。
二階氏の発言は、今夏の参院選後をにらんで、安倍首相と執行部の求心力維持を図る狙いがあるとされている。二階氏は過去にも連続3選を可能にする党則改正を主導したことがあるが、二階派は党内の第5派閥で有力な総裁候補がおらず、4選論をいち早く唱えることで安倍首相の任期である21年9月までは党内で一定の発言力を確保することができる。4選が現実になれば、さらに影響力も保持できるとの読みもあると見られる。
統計不正問題、沖縄基地移転問題、暗礁に乗り上げた外交問題など、さまざまな問題を抱えたままの安倍首相だが、二階氏は「活躍」とあえて言い切ってみせた。「海外からの評価」というのは、これまで大量に兵器を購入してきたアメリカのトランプ大統領や、経済支援を行ってきたロシアのプーチン大統領ということだろうか? これまで田中角栄、竹下登、金丸信らに仕えてきた二階氏について、「誰よりも早く、勝ち馬に乗る」と評するメディアもある(プレジデントオンライン 3月14日)。言い得て妙だと思う。
公の場で真っ先に4選に言及した安倍首相の右腕
加藤勝信 自民党・総務会長 「国民から『さらに』という声が出てくれば、そうした状況が生まれるかもしれない」「『もう少し続けてほしい』という意見が出れば、対応する可能性はある」
二階氏のオフレコ発言に続き、公の場で真っ先に安倍首相の4選に言及したのは加藤勝信総務会長。2月、3月と二度にわたって講演会で安倍首相の総裁任期延長を肯定してみせた。
加藤氏といえば、かつて読売新聞が「ポスト安倍」とまで書いた安倍首相の腹心。第2次安倍内閣で官房副長官に就任し、初代の内閣人事局長を務めた後、一億総活躍相、働き方改革相、厚生労働相と政権の看板政策を担い続けた。「アベノミクス偽装」が指摘されている厚労省のデータ補正が始まった2018年1月当時、厚労相を務めていたのも加藤氏である。また、働き方改革について論じられていた厚労相時代には野党の質問にまともに答えない「ご飯論法」の使い手として注目を集めた。
弱気発言に終止する「ポスト安倍」一番手
森山 裕 自民党・国会対策委員長 「余人をもって代えがたければ、その選択しかない」
党内では二階氏の発言に同調者が相次いだ。「余人をもって代えがたい」というのは、他の人に代わりにやらせることができないということ。つまり、ポスト安倍が党内にまったくいないことを意味している。
岸田文雄 自民党・政調会長 「いま明らかなのは現在の自民党の党則では総裁は3期までということだ」
相変わらず弱気な発言に終始しているのが「ポスト安倍」の一番手と言われてきた岸田文雄政調会長だ。党則を変えても「なんら問題ない」と二階氏は言っているし、実際に変えてしまう可能性も十分にある。
安倍首相「ルールに従うのは当然のこと」の真意
安倍晋三 首相 「4選ということは禁じられておりますので、自民党総裁としてこのルールに従うのは当然のこと」
14日の参院予算委員会で4選について質問された安倍首相は「ルールに従うのは当然」と否定的な考えを示した。しかし、過去を振り返ると、安倍首相は2016年8月の記者会見で「任期の延長ということについては、全く考えておりません」と明言していたが(首相官邸ホームページ)、その後、堂々と3選を果たしている。
「やらない」と言っているわけではない。あくまで「ルールに従う」と言っているだけなのだ。ルールが変われば、当然新しいルールに従うことになる。
安倍晋三 首相 「私も今年で65歳になるわけだが、働きたい意欲は満々だ」
13日の参院予算委員会では、このように語った。企業の高齢者雇用推進についての質問だったが、安倍首相の発言を深読みした議員たちから笑いが起こった。
「自民党のことは自民党で」
逢沢一郎 自民党・元国会対策委員長 「大変重い重要な規定で、党の信頼そのものに関わる問題でもある。慎重に向き合っていかなくてはならない」
党内で盛り上がる安倍4選論に対して釘を刺したのが逢沢一郎元国会対策委員長だ。13日、谷垣グループの会合に出席した逢沢氏は、「安倍総裁は任期をまだ相当残している。日々、総理大臣として、しっかりと取り組んでもらうことを国民も期待している」と指摘し、総裁任期延長に慎重な姿勢を示した。
逢沢氏といえば森友・加計問題の追及が行われていた昨年4月、タクシーの運転手に「あんた政治家だろ。日本人は、日本の国民はおとなしいから、こんなもんで済んでるけど、普通の国なら暴動になってもおかしくないよ」と言われたことを明かし、「国民の怒り、そして国民の政治に対する、あるいは行政に対する不信、本当に大きなものがある。改めて目の覚める思いであります」と語った人物である(NHK政治マガジン 2018年4月18日)。
安倍晋三 首相 「自民党のことは自民党で議論する。ご心配なく」
2月28日の衆院予算委員会では、野党の4選についての質問についてこうかわしていた安倍首相。党総裁のことは自民党のことだが、国民のことでもある。そうそう勝手に決められては困る。国民の怒りなど、どこ吹く風の安倍首相4選はこのまま実現するのだろうか? そういえばお隣の中国でも習近平国家主席が任期の規制を撤廃したっけな……。 
●首相連続4選論 「後継候補」は発憤せよ
自民党幹部が、安倍晋三首相の党総裁連続4選の可能性に相次いで言及している。
加藤勝信総務会長は、先月末の東京都内の講演で「国民から『さらに続けてほしい』との声が出てくれば、4選の状況は生まれてくるかもしれない」と発言。二階俊博幹事長も記者会見で「党内外や海外からの支援もあり、この状況では十分あり得る」と可能性を後押しした。
当の安倍首相は、元日放送のテレビインタビューで「少なくとも(4選は)ない」などと、いったんは明確に否定したものの、ここに来て発言を変化させている。
国会では「自民党のことは自民党でしっかりと議論していくこと」と意欲をにおわせたかと思えば、先ごろは「党則で禁じられている。ルールに従うのは当然」と火消しに回るなど、しきりに煙幕を張っている。
自民党総裁の任期は、2017年の党大会で連続2期6年から3期9年へと党則が改正され、首相は昨年9月の総裁選で3選を果たした。現任期は21年9月までだが、再び党則を変えれば4選への道が開ける。それは「党で議論すること」には違いない。
二階氏は一昨年の党則改正を主導した。4選論が現実味をもって語られるゆえんだ。
だが党総裁が即首相を意味する現状で、総裁選びは「党の勝手」とは行くまい。小泉政権後を担った第1次安倍政権から、ほぼ1年ごとの首相交代の末に民主党に政権を明け渡したのは、まさに「党の勝手」の結果。民主党政権でも首相交代が度重なり政治不信を増幅させたのは、与野党にまたがる重い教訓だろう。
「絶対的権力は絶対的に腐敗する」との時代を超越した格言もある。権力の内側にいて、長期政権の利点に目を奪われた主権者不在の議論は厳に戒めなければなるまい。
とはいえ残任期をたっぷり残す段階で浮上した連続4選論の裏には、後継候補の影が薄い現実が横たわる。
有力候補の一人とされる岸田文雄政調会長は、宴席で同席した安倍首相に「次は岸田さん、出るんですよね」と次期総裁選の話題を振られ、反応しなかったという。「すかさず手を挙げたのは(中略)野田聖子衆院予算委員長だった」と、本紙記事にある。
昨年の総裁選で、地方票をほぼ首相と分けて存在感を示した石破茂元幹事長は、4選論に「本気ではないだろう」と静観の構えと伝わる。
総裁選が派閥闘争そのものだった時代とは様相を異にするとはいえ、4選論の台頭に反応が薄い現状は政治の活力が減退している証左だろう。政権取りへ道筋を描けない野党勢力を含め、「候補」は発憤しなければなるまい。 
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●安倍総裁4選論 「緩む自民党」の表れだ
これも1強政権の緩みとおごりなのだろう。安倍晋三首相の自民党総裁任期をさらに3年間延長する「4選論」が、党幹部から相次いで飛び出した。
安倍首相は昨年9月の総裁選で連続3選された。連続2期6年までだった党則は、2年前の党大会で3期9年に改正された。4選となると再び党則改正が必要だ。
首相は「(連続)4選は禁じられている。総裁としてルールに従うことは当然だ」と述べた。一応の火消しを図った形だが、党則改正の可否には言及しておらず、今後もくすぶる可能性がある。
3期目の任期が始まって半年足らずである。しかも、夏の参院選で党として国民の審判を受ける立場でありながら任期延長が公然と語られるとは、政権与党の見識を疑わざるを得ない。
4選論は先月、加藤勝信総務会長が言及した。さらに波紋を広げたのが二階俊博幹事長の発言だ。
先週の記者会見で「十分あり得る」と述べ、多選により党運営の独裁を招く懸念を問われても「余人をもって代え難いという場合は何ら問題ない」と断言した。あけすけな物言いにあぜんとする。
発言には、安倍政権のレームダック(死に体)化を避けるとともに、参院選後の内閣改造・党人事での幹事長交代論をけん制する狙いがあるようだ。
二階氏は2年前の党則改正を主導した。今回も、4選論をテコに党内の求心力を高め、幹事長続投につなげるつもりだろうか。そんな思惑から口にしたとすれば、党務の責任者として政略がすぎる。
安倍首相は11月まで務めれば、通算在職日数が史上最長となる。
第2次政権以降の6年余りで、憲法や国会を軽んじる強引な手法や、官僚の忖度(そんたく)が行政の公正性をゆがめたとされる森友・加計(かけ)問題など、1強長期政権の弊害が繰り返し指摘されてきた。
自民党がなすべきは首相への追随ではなく、与党として政権のゆがみを正すことだ。その自覚があれば4選論など出るはずがない。
政策面でも、内政、外交とも行き詰まりが目立つ安倍政権の路線を総括し、新たな展望を描く議論がこれから必要になるだろう。
その意味では、「ポスト安倍」と目される顔ぶれから、二階氏らの発言に表立った批判が聞かれないのが気がかりだ。
首相や党執行部の言動に実力者が目を光らせ、時には論争を交わす―。かつての自民党の緊張感は望むべくもないのだろうか。 
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●安倍総裁4選論 むしろ早期退陣求めたい
いわゆる「安倍1強」がさらに強権的になることを危惧せざるを得ない。自民党の二階俊博幹事長は12日の記者会見で安倍晋三首相の党総裁選連続4選論を巡り「十分あり得る」と述べた。この発言が波紋を広げている。
任期を連続3期9年までとする党則を改正し総裁選で当選すれば、任期は2021年9月から24年9月まで延びる。12年12月以降、約12年間にわたって安倍首相が権力を握る構想に、野党からは「よほど人材がいないのか」といった批判が噴出した。
安倍首相は夏の参院選への影響を懸念してか、14日の参院予算委員会で「ルールに従うのは当然だ」と述べたが、自民内には4選に賛同する声もある。当初禁じられていた3選を認めさせたのと同様、多数の国会議員・支持者をバックに、4選へ向かう可能性は否定できない。
総裁任期の延長は危険である。自民党もその問題意識の下、1980年に多選を制限した。戦後最長の約7年8カ月(64〜72年)の長期政権を築いた佐藤栄作首相に対し「権力が集中する」といった批判があったため連続3選を禁じた。この党則を改正し3選された安倍首相がそのまま任期を務めれば、佐藤氏を1年4カ月も上回る憲政史上最長の首相となる。
・・・中略・・・
沖縄の米軍基地問題に対しては、歴代首相には見られない強権ぶりだ。知事選や国政選挙、県民投票で何度も辺野古新基地建設反対の民意が示されても、お構いなしに工事を強行している。総裁任期が延びれば、さらに強権的になる恐れがある。
これ以上、暴走は許されない。選挙や県民投票という民主的手続きで示した民意を踏みにじり、私物化に映る政治を改められない政権には、むしろ早期退陣を求めたい。  
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●安倍首相、自民党総裁4選を強く否定
安倍総理は、自民党総裁について、「連続3期9年が明確なルール」として、党内で憶測が広がっている4選を強く否定しました。日本商工会議所の会合に出席した安倍総理は、三村会頭が今年秋に3期目を迎えることに触れた上で、次のように述べました。
「三村会頭は、『マックスであと1期』とおっしゃったと伺いました。さすがに4期目は考えていないよということかと思いますが、私もまったく同じ心境にあります。私の場合はですね、連続3期9年までというのが自民党の明確なルールでございますので、正真正銘3期目が最後の任期となります」(安倍首相)
自民党は党総裁の任期を「連続3期9年」としていますが、二階幹事長が安倍総理の4選について「十分あり得る」などと発言したことから、ポスト安倍を伺う各派が反発または警戒しています。このため、安倍総理は党内の動揺を沈静化するため、「党のルールに従うのは当然」と答弁するなど、4選の可能性について繰り返し否定しています。 
●安倍首相、自民総裁4選を否定=「正真正銘、最後の任期」
安倍晋三首相は20日、東京都内のホテルで開かれた日本商工会議所の会合であいさつし、自民党内で取り沙汰される自身の党総裁連続4選の可能性を改めて否定した。「連続3期9年までというのが党の明確なルールだ。正真正銘、(現在の)3期目が最後の任期となる」と述べた。
首相は、日商会頭として異例の3期目に臨む三村明夫氏に触れ、「記者会見で三村会頭は『マックス(最大)であと1期』とおっしゃったと伺った。4期目は考えていないということかと思うが、私も全く同じ心境だ」と語った。  
●首相、総裁4選論を否定 「正真正銘3期目が最後」
安倍晋三首相は20日、都内で開いた日本商工会議所の会合であいさつし、自民党内で浮上する自らの党総裁連続4選論を否定した。「連続3期9年までというのが自民党の明確なルールなので、正真正銘3期目が最後の任期となる」と述べた。党内で二階俊博幹事長らが総裁4選を支持する発言をしていた。
首相は新元号の選定では「報道もだんだん過熱しているようだが、各界の有識者の意見をうかがいながら静かな環境で決定したいと心から願っている」と語った。政府は4月1日に新元号を決めて公表する。
第1次安倍政権時の2007年参院選での自民党敗北にも触れ「そこから毎年のように首相が代わり、経済が低迷した。悔やんでも悔やみきれない10年前の深い反省が私の今の政権運営の基礎だ」と話した。 
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●急浮上?観測気球?「安倍4選もあり得る」発言
「安倍首相4選ありうる」発言はどんな場で出た?
安倍首相は2月18日夜、東京都内で、1993年の衆議院選挙で初当選を果たした、“同期”との会食を行った。出席者は、“ポスト安倍”に名を連ねる岸田文雄政調会長や野田聖子前総務相、首相の盟友でもある根本匠厚労相と塩崎恭久元厚労相、二階幹事長の懐刀・林幹雄幹事長代理ら錚々たるメンバーだ。
出席者によると会合は、“同期会”らしく和気あいあいとした雰囲気だったが、“ポスト安倍”、つまり次の自民党総裁選の話題にもなったという。
昨年秋に3選を果たした安倍首相が「次は出ない、次の総裁候補は岸田さんだよね!」と岸田氏に振ると、岸田氏は表情を崩さず無言を貫いた。
そこにすかさず、同じく“ポスト安倍”の一人の野田氏が「私もいる!」と挙手すると、二階派の林氏が、「(安倍首相の)4選もあり得る」と指摘したというのだ。
二階幹事長は去年安倍首相の総裁任期を「連続3期9年」に延長した立役者なだけに、この発言に対し、野田氏の盟友である浜田靖一元防衛相が「出たよ!」とツッコミを入れたが、その場は静かになったという。会合が“ポスト安倍”をめぐる駆け引きの場となった形だ。
「安倍4選」発言が現実味を持つ背景は
実はこれまでも「安倍4選」については党内の一部で語られていたが、今回それが表面化した形で、4選は今後の展開次第で十分ありうるとの声は少なくない。
「参議院選挙で勝てば、4選の話は当然出てくるでしょ。石破も岸田も選挙の顔になれないんだったら、もう1回安倍さんでいいじゃんとなる」(自民党議員)」
「北朝鮮問題もある、ロシアもある、韓国・中国との関係もある。中長期にわたる懸案が続いているなかで、国民に成熟した気持ちがあれば、安倍再選ということもあり得るだろう」(安倍首相周辺)
確かに、厳しい交渉が続いている北方領土問題ひとつとっても、安倍首相の任期はプーチン大統領よりも短く、任期が同程度なければロシアに足元をみられるという指摘もある。また、拉致問題や憲法改正といった課題に時間的余裕を持って取り組む意味でも、安倍首相がより長期にわたり政権を担える環境を作るのはありだという意見は一定の説得力を持つ。
岸田派は冷静に受け止め
では、“ポスト安倍”候補たちは、今回浮上した「安倍4選論」をどう受け止めているか。
安倍首相に「次」と“指名”されながら、安倍4選という冷や水を浴びせられた形にもなる岸田氏の派閥では、努めて冷静に受け止めようという空気だ。
安倍首相のエールともいえる発言について岸田氏周辺は「総理が言ったとしても真に受けたらダメだよね。そんな簡単なもんじゃない。ここで喜んだりしたらそれこそ足元見られる」と述べている。そして「安倍4選」発言については、岸田氏自身が20日、次のように述べた。
「安倍総理4選ということですが、いろんな意見があるんだと思います。今の段階でそれについて、どうこういうような材料は、私は持っていません」
こうした冷静な受け止めに加え、つとめて前向きに受け止めようという声も聞こえてくる。
「うちとしてはより次を狙いやすくなるかもね。安倍さんが行くとこまで行ってくれた方がさ」(岸田派幹部)
昨年の総裁選で不出馬を決め安倍首相を支持した岸田氏は、2期目の党政調会長として地方での「地方政調会」を開催し地方行脚するなど、弱点である知名度のアップを狙い、虎視眈々と”安倍後”を狙っていて、党内の不興を買うことのないよう、慎重に対応しているようにも見える。
石破派は冷ややか「二階さんの思惑」
一方、安倍首相と総裁選で戦い健闘したものの、その後党内での孤立が進んでいる石破元幹事長の派閥幹部は、今回の発言を冷ややかに受け止めている。
「総理を持ち上げるために言わなくてはならなかったんだろう。二階さんの思惑なんじゃないか。二階派にもポストがいないしね。4選にでもなったら素晴らしいことだな」
「4選を言い出す忖度議員が出てくることは当然予想できたのでぜんぜん驚かないし、今後はさらに期数制限なしを言い出す大忖度議員も出てくるのではないか」
石破氏は、“ポスト安倍”の有力候補として、足場づくりを続けているが、安倍首相が2月6日に公邸で石破派を除く6派の事務総長と極秘に会食すると、「堂々とやるべきだ」と述べるなど“安倍批判”を強めている。
また、石破派幹部の指摘通り、二階派や安倍首相の出身派閥である細田派には、有力なポスト安倍候補はおらず、麻生副総理や菅官房長官が目をかける河野外相も、有力候補にまでは達していないという事情もある。それだけに、二階、麻生、菅という安倍政権を支える面々にとって、安倍政権が続く現状の方が影響力を保てるという事情を見透かし、観測気球だと冷ややかに受け止めているようだ。
安倍4選発言の背景に、ポスト安倍の力不足を指摘の声も
しかし、今回の「安倍4選」発言がそれなりの現実味をもって受け止められている背景には、ポスト安倍の面々が決め手に欠けている現状がある。
党内での孤立が解消されない石破氏も、引き続き発信力不足が指摘される岸田氏も、次期総裁選勝利への戦略を描ききれてはいない。また「安倍4選」発言が出た会合で、「私もいる!」とアピールした野田氏も、昨年の総裁選で推薦人が集まらず出馬を断念した反省から、精力的に国会議員との会食を重ね、予算委員長としての存在感も示しているが、足場固めは途上だ。それだけに、党内からは、ポスト安倍への嘆きの声や、奮起を促す声も多い。
「ポスト安倍が全員力不足ってことなんだよね。小泉進次郎にもうやらせるというわけにはいかないでしょ」(安倍首相系議員)
「総理大臣というのは奪い取るものだ。、彼らなりのアイデンティティ、ファイティングスピリットをちゃんと見せてくれと」(首相周辺)
安倍首相はある議員に対し「さすがに四期目はきつい。もうゆっくりしたい」という趣旨の発言をしたというが、首相周辺は「参院選後、五輪後にどういう世の中になっているか。その時に、国民が成熟していれば、安倍さんもそういう気持ちが芽生えてくるかもしれない」と指摘している。
今後、「安倍4選論」が党内で盛り上がるかどうかは、あくまで4月の統一地方選と7月の参院選で自民党が勝利することが前提となる。その選挙も見据え“ポスト安倍”候補や派閥領袖らの動きに注目が集まりそうだ。 
●安倍総理が自民党総裁4選を否定 権力闘争勃発か? 
安倍総理は昨日、日本商工会議所の通常会員総会で、自身の自民党総裁連続4選について強く否定しました。総理は日商の三村会頭が3期目を目指す意向を表明したことに触れて、次のようにコメントしております。
『記者会見で三村会頭は、マックスであと1期と仰ったと伺いました。さすがに4期目は考えていないよという事かと思いますが、私もまったく同じ心境であります。私の場合は連続3期、9年までというのが自民党の明確なルールでございますので、正真正銘3期目が最後の任期となります』
飯田)正真正銘3期目が最後のルールでありますと言ったわけですが、ここのところ自民党の幹部から4選もあるかもという声が出ています。
鈴木)自民党の幹部からというよりは、二階幹事長が4選と口にしたというのが大きいです。安倍総理が今回、私はやりません自民党のルールは3期9年ですからと仰いましたが、2期6年だったルールを3期9年に変えたわけですから、そういう意味では4期12年というルールに変えようと思えば変えられるわけです。例えば安倍さんが一生懸命やろうとしている憲法改正にしても、北方領土にしても拉致問題にしても、まだ志半ばであるならば、もう1回という思いにならないとも限らない。だけれどもこのタイミングでは「ない」と言わざるを得ないわけです。それは二階さんがあぁいうことを言ったために、いろんなところで影響が出てくるわけです。FNNの世論調査で『4選についてどう思いますか』と聞いたところ、ちょっとやりすぎ、長いといった反対の方が多いんです。となると今まさにこれから選挙があるタイミングで悪影響が出てしまう。だから安倍さんとしては「いやいや、そういうことは。まだそんな話はありませんよ」という風に否定をする、ということなんだと思います。否定したらしたで、安倍さんはこれで終わりなんだといって、求心力がなくなってしまいます。実はこれについて発言すること自体がマイナスなんです。だけど発言せざるを得ないように持っていったのは二階さんの4選の会見となるわけです。となると、二階さんは何でこのタイミングであぁいうことを言ったのか。これもずっと取材してあちこちで書いてきましたが、このところやはり二階幹事長の頭越しに官邸が動くケースが多い。例えば選挙の問題であったり、田畑毅前議員の処分の問題。これは官邸主導でやって二階さんは知らされていなかった。結局官邸が頭越しにやっているところがあるわけです。二階さんにしてみると、誰が幹事長なんだと。今まで政権を安定させてきたのは誰なんだと。そういう思いがあるわけです。官邸に対しての牽制球というか、要するに今後の安倍さんにしても政権にしても俺が握っているんだぞと、ある種の牽制、ブラフという意味合いがあると思うんです。そういう駆け引きの中で4選の話が出てきたんだと思います。これは一歩間違うとさっき言ったように、世論は批判的になり、こういうことを言う安倍さんに求心力がなくなり、政局になってしまうという危険性もあるんです。
飯田)不思議なのが、二階さんの発言が注目されていますが、その前に自民党総務会長の加藤勝信さんも4選の可能性について発言しています。あれは2月の末くらいでしたか。
鈴木)早かったですよね。僕も正直びっくりして、真意はどうなんだろうかと。本当に応援しているのか、客観的にそういうこともあるという風に言っているのか。逆に今回と同じようにそれを言うことによって安倍さんに「出ません」と言わせようとしているのか。真意を加藤さんが明かすことはないけれども、おそらくは様子見の観測気球のような形だったんじゃないでしょうか。加藤さんは安倍さんとは関係は悪くないですから、
飯田)官房副長官をやって大臣もやって総務会長で。しかも元々義理のお父さんにあたる加藤六月さんは安倍さんのお父さんの最側近のおひとり。
鈴木)しかもお母さま同士の仲がいい。そういう中でどっちかというと安倍さんを親・安倍という側で言ったのかなとか、そういう見方もあります。でも二階さんは人脈や野党・公明党とのパイプや党内の派閥の数や、これまでの百戦錬磨、剛腕。そういうところからすると二階さんは幹事長で、やっぱり流れを作ることができるわけです。そういう力を持っている。だから加藤さんのが軽いというわけではないけれど、二階さんの発言とは重みは違いますよね。
飯田)この発言で主導権とを得ると考えると、加藤さんも自分の派閥は平成研究会、昔の経世会の流れですよね。茂木さんがいて加藤さんがいてというところを考えると、この発言で主導権って、面白いなぁって思ったんです。二階さんもここで主導権を引き込むという。
鈴木)そういう意味では権力闘争が起こっている。これは今の知事選と同じなんだけど、安倍1強で自民党が安定してくると、内部の争い、権力闘争が勃発しますよね。これが野党が強くて下手すると政権交代だなんて言っている時には内輪もめしている場合ではありません。安定しているからこそ権力闘争が出てきている。トータルで見るとやはり安倍政権が一応ルールでは最後だけど、次の政権に向けてポスト安倍に向けてレームダック(=死に体、役立たずの政治家を指す政治用語)なんて表現されるけど、いろんな内部の権力闘争が起きてくる。その中のひとつ。早いうちに修復しないとボタンを掛け違ったままずーっと行ってしまうと、非常に大きなヒビ、傷になるということですよね。
飯田)二階さんが4選はありうると発言した中でおや?と思ったのは、国内はさておき海外からの要請、ほかの国の元首がガタガタな中で安倍さんは長くやっていて安定感がある、その辺の要請で辞めることが出来なくなってしまうのではないかという指摘もありました。
鈴木)外交は安倍政権が長期だからこその評価としてありますが、権力闘争は昨日言ったことを平気でひっくり返します。二階さんがそう言ったからって、「俺、そんなこと言ったっけ?」って、世の中の流れ、世論は変わっただろ?ってそのひとことで流れが変わっていく。永田町の歴史をみていくと、権力闘争とはそういうものですから、ボールを投げ始めて、安倍さんがどう返していくか。安倍さんだって4選ありませんよと言っていても、どのタイミングでガッと変えてくるか分からないですよ。そういう意味ではスリリングと言っては失礼な言い方ですが、自民党の中ではグラグラと権力闘争が起こってきているなという感じがします。 
 3/22
 

 

●安倍首相が"2024年まで続投"を拒むワケ 3/22
安倍晋三首相が、党内の一部で浮上する「自民党総裁連続4選論」をかたくなに否定している。3月20日には「正真正銘、3期目が最後の任期になる」とも述べた。しかし、この発言も当面の政治情勢を計算しつくしたもの。この発言で「4選」が消えたと受け止めるのは早計だ。安倍氏が「総裁4選=2024年まで首相」を強く否定する背景とは――。
「連続3期までが党の明確なルール」というが……
安倍氏の発言は3月20日午後、東京・内幸町の帝国ホテルで開かれた日本商工会議所(日商)でのスピーチで飛び出した。日商の三村明夫会頭が最近、3期目を目指す考えを表明したことに触れて、「さすがに4期目は考えていないと思うが、私も全く同じ心境だ」と語った。「連続3期までが党の明確なルールなので正真正銘、3期目が最後の任期になる」とも述べた。
背後で聞いていた三村会頭も含め、聴衆たちの間で笑いが漏れるユーモアに満ちたスピーチだったが「正真正銘」という言葉からは、党内外で流布されている4選論を沈静化させようという意思が感じ取れた。
「4選論」を打ち上げたのは、「3選論」の仕掛け人だった
この4選論は、政界の仕掛け人でもある二階俊博党幹事長が12日の記者会見で「今の活躍からすれば十分あり得る」とアドバルーンを上げたことで、にわかに注目され始めた。二階氏は、2016年夏、当時は「連続2期」までしか認められていなかった総裁任期の延長を提案し「3選容認」の流れをつくった。
二階氏の働きがなければ、いまの首相は安倍氏ではなかったかもしれない。このあたりの経緯については「"80歳の古だぬき"二階氏が権力もつ理由」をご参照いただきたい。
その二階氏の発言だけに政界も注目しないわけがない。賛否両論が出た。安倍氏を支持する議員からは「二階氏の提案が一考に値する」という反応があった。一方、自ら次の総裁選出馬を目指す議員からは「国会議員が『4選のために頑張る』といっても有権者が支持するかどうかわからない」(石破茂元幹事長)、「この時期には適当な発言ではなかった」(野田聖子前総務相)と疑問の声があがった。
当初は二階氏の「4選論」を歓迎していた
二階氏の発言の直後、安倍氏は悠然と構えていた。むしろ歓迎していたと言っていい。安倍氏が3選目の総裁任期が切れる2021年9月よりも長く首相でいる可能性が出ることで、レイムダック(死に体)にならないで済むからだ。石破氏らが、かみつくのも想定の範囲内だった。
実際、二階氏の発言の直後の13日の参院予算委員会では安倍氏は「私も今年65歳となるが、まだ働きたいという意欲は満々だ」と意味深な発言。14日には参院予算委員会で4選論を問われ「党則で禁じられている。ルールに従うのは当然だ」と語っている。一見、4選を否定した発言のようだが、ルールさえ改正されれば4選を目指す意欲があるとも受け取れる。
この発言を受けて永田町では「やはり安倍氏は4選を目指していて、二階氏と連携して政局をつくろうとしている」という観測が流れるに至った。安倍氏も、そういった噂が流布されることを楽しんでいるように見えた。
4選支持「たった9%」に衝撃を受けた
局面が変わったのは15日、時事通信社の世論調査で「4期12年まで延長するのがいい」と答えた人が、わずか9.0%に止まったのだ。「3期9年のままでいい」が63.5%。このデータは、安倍氏の4選を有権者が評価していないのに加え、安倍氏の4選をうかがう動きに対して不快感がひろがっていることを意味する。
この調査では「次の首相にふさわしい人」も聞いているが、断トツ1位は小泉進次郎・厚生労働部会長で24.4%。安倍氏は2位の石破氏に次ぐ3位で14.2%にとどまっている。この調査からも、有権者は「3選後」を安倍氏に託す考えが乏しいことが分かる。
参院選の争点が「4選」になりかねない
今のままの状態を続けると7月の参院選では「安倍氏の4選を認めるかどうか」が争点となるだろう。そうなれば「安倍1強」が長く続いたことによる傲慢さが問われることになる。
有権者も自民党に対する不信感を高めるだろうし、何より野党が結集しやすくなる。原発政策や消費税などの政策課題での「小異」にこだわってなかなか結集が進まない野党だが「安倍4選阻止」ならば何の問題もなく結集できる。それは安倍氏にとっても、自民党にとっても最悪の展開だろう。
ちょうど、この調査が出回ったころから安倍氏の周辺から「安倍首相は二階氏の発言に怒っている」という情報が発信されるようになる。そして、冒頭で紹介した「正真正銘、3期目が最後の任期」発言につながるのだ。
参院選と衆院選に勝てば、流れは止まらない
ただし、あらためて強調しておきたいのは、安倍氏は「4選」という選択肢を捨てたわけではない。今はいったん沈静化させたうえで、仕切り直ししようという考えだ。
7月には参院選がある。このタイミングにあわせて衆院を解散して同日選になるという観測も残る。同日選にならなくても今秋もしくは来年中、安倍政権の間に衆院選が行われる可能性が高いだろう。参院選と衆院選に勝てば、党内では総裁4選論が台頭することは間違いない。その時までは、4選への意欲は封印するというのが安倍氏が描くシナリオなのだ。
「『最後の任期』と明言しているのだから4選は目指せないのではないか」と考える人がいるかもしれない。しかし、政治家の進退を巡る発言は融通無碍だ。本人は出る意思がなくても、周囲の要望に応える形で選挙に出馬する例はいくらでもある。
たとえば橋下徹氏が「2万%出ない」といいながら大阪府知事選に出馬したのは記憶に新しい。自らつくった多選禁止規定を、自ら破って多選の道に足を踏み入れる首長もしばしばいるのだ。その前例をみれば、したたかな安倍氏が「最後の任期」という言葉に縛られると考えるのは早計だろう。 
 4/2
 

 

●自民党、78歳・麻生氏と80歳・二階氏 政治を牛耳る2人の対立激化 4/2
安倍政権内で二階俊博自民党幹事長(80)と麻生太郎副総理兼財務相(78)の主導権争いが激化している。
2人の確執が最高潮に達しているのは、3月21日に告示された統一地方選前半(4月7日投開票)に行われる福岡県知事選をめぐってだ。保守分裂選挙となっている同選挙は、3選を目指す現職の小川洋氏と自民推薦で元厚労官僚の新人・武内和久氏の事実上、一騎打ちの構図。自民党の情勢調査などでは現職が圧倒的に優勢で、告示10日前の時点でもトリプルスコア以上の差が開いていた。
小川氏はもともと自民党が担いだ知事だ。多選というわけでもないのに、なぜ落選濃厚の対抗馬を立て、推薦まで出したのかというと、麻生氏の強い意向があったから。
「麻生さんが安倍晋三総裁と甘利明選対委員長に直談判して、武内推薦を決めさせた。選挙の責任者であるはずの二階幹事長はその場に呼ばれず、頭越しの決定に不快感を持っている」(自民党関係者)
というのも、もともと二階派は福岡選出の武田良太衆院議員と鳩山二郎衆院議員が中心となって小川氏を支援していた。それがわかっていながら麻生氏は武内氏推薦をゴリ押ししたわけだ。
麻生氏の小川氏に対する“私怨”が強いとはいえ、暴走する麻生氏に対しては、二階派だけでなく福岡の自民党OBの山崎拓元副総裁や古賀誠元幹事長らも激怒し、小川氏支援に回っている。
ここまでモメる背景には、鳩山邦夫衆院議員が死去したことにともなって行われた3年前の2016年10月の福岡6区補欠選挙に伏線がある。
補選は、鳩山氏の次男で福岡県大川市長だった二郎氏が当選したが、対抗馬だったのが自民党国会議員秘書の蔵内謙氏。今回の知事選と同様、二階派の武田氏が推す二郎氏と、麻生氏が推す蔵内氏という対決の構図だったのだ。
「蔵内謙さんは福岡県政のドンとも呼ばれる自民党福岡県連会長の蔵内勇夫県議の長男。邦夫さんの弔いですから、次男の二郎さんが強いということで自民党公認がすんなり決まるかと思いきや、麻生―蔵内ラインで蔵内さんの息子をねじ込んできた。大混乱の末、両者とも無所属で出馬、予想通り、二郎さんが勝ったというわけです。その時の恨みを麻生さんは今も忘れていない」(福岡のマスコミ関係者)
一方の二階氏。3月に入って、来年に予定される東京都知事選で現職の小池百合子知事を「支持するのは当然」と発言したり、早々と「安倍4選」を口にして永田町を賑わせたが、いずれも安倍―麻生ラインへのあてこすりがあると見られている。
「二階さんは『選挙を仕切るのは幹事長のオレだ』と言いたいのですよ。そして4選については、自身の幹事長留任を求める狙いとともに、『安倍3選で流れをつくったのはオレだ、その恩を忘れたのか』という安倍さんへの皮肉もあるのではないか。実力者は麻生さんではなく二階さんだというのを党内外に見せつける意味もあるのでしょう」(前出の自民党関係者)
もっともこの2人。2月27日にそれぞれの側近をともなって、都内のホテルで会食している。いざとなれば、「敵の敵は味方」の論理で手を組むこともあるというわけだ。
傘寿の幹事長と喜寿を過ぎた副総理。“老害”政治家2人が日本の政治を牛耳る――。人材枯渇の情けない自民党。異常な日本の政治が浮き彫りにされているようだ。 
 4/5
 

 

●安倍首相が野党潰しと4選狙い 囁かれる“令和解散”衆参W選 4/5
まさか本当にダブル選挙に打って出るのか――。安倍首相が「令和解散」に踏み切るのではないか、という臆測が飛び交っている。理由は、圧勝できるからだ。
立憲民主会派の岡田克也衆院議員が、3日「野党潰しのダブル選挙がある」と記者団にこう語っている。
「野党のいまの状況を見て、景気の先行きも不透明な中で、いまやって野党を潰しにかかる。そういうダブルはあるのかなと思っている」
要するに、これまでの「ダブル選挙説」は、7月の参院選の負け幅を小さくするための防衛策だったが、そうではなく、野党を叩きつぶすための攻めのダブル選挙を仕掛けてくる可能性がある、ということだ。
実際、4月1日に新元号「令和」を発表しただけで安倍内閣の支持率は9.5ポイントも上昇している。皇太子が即位する5月1日以降もお祭りムードが広がるのは確実。「令和選挙」となった場合、自民党に追い風が吹くのは間違いない。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「この先、安倍首相が解散に打って出るチャンスは、そう多くありません。消費増税を実施する10月以降は景気が悪化するとみられ、解散は簡単に打てなくなるでしょう。秋までに解散しないとチャンスを逸する可能性がある。攻めの解散なら秋までだと思う。安倍首相本人も、野党が団結する前に解散した方が得策だと計算しているはずです。安倍首相のことだから『新時代を築けるのは自民党政権だけだ』などと、訴えてくるはずです」
「衆参ダブル選挙」は難しくても、総裁4選を狙うとしたら、秋までに解散総選挙に踏み切る可能性が高いという。
「自民党の党則では、総裁の任期は連続3期9年までとなっています。4選を目指すには党則を変える必要がある。2021年9月に実施される総裁選のルールを変更するためには、前年2020年1月の党大会に決定する必要があります。もし、安倍首相が4選を狙うなら、前年の2019年秋に解散総選挙を行い、圧勝するのが手っ取り早い。誰も反対できませんからね」(政界関係者)
いまだに党利党略に走ってバラバラの弱小野党は、いますぐ解散総選挙に備えて団結した方がいい。  
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●令和解散 「令和」を発表しただけで支持率9.5ポイントアップ 4/6
実際、4月1日に新元号「令和」を発表しただけで安倍内閣の支持率は9.5ポイントも上昇している。皇太子が即位する5月1日以降もお祭りムードが広がるのは確実。「令和選挙」となった場合、自民党に追い風が吹くのは間違いない。
「自民党の党則では、総裁の任期は連続3期9年までとなっています。4選を目指すには党則を変える必要がある。2021年9月に実施される総裁選のルールを変更するためには、前年2020年1月の党大会に決定する必要があります。もし、安倍首相が4選を狙うなら、前年の2019年秋に解散総選挙を行い、圧勝するのが手っ取り早い。誰も反対できませんからね」(政界関係者)  
 
 

 

 
 
 

 



2019/3-