人事院勧告
国家公務員 毎年の給与昇給を決める
不思議 毎月勤労統計と同様な年推移
「厚労省の毎月勤労統計不正」
もしかして
人事院勧告の統計数字にも ?
![]() ![]() ![]() |
|
お役人仲間 身内のこと 好都合な数字を抽出 給与昇給 出所は税金 国民のお金を忘れる |
|
![]() ![]() ![]() |
|
●人事院勧告 | |
人事院が、国会、内閣、関係大臣その他機関の長に行う、国家公務員の一般職職員の「給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告」(国家公務員法第3条第2項)の総称である。人勧とも略称される。一般には、単に人事院勧告と言う場合、給与制度に関する勧告である給与勧告を指すことが多い。
「人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告」(国家公務員法第3条第2項)をつかさどる。勧告は人事院の権限のうち、最も重要なものの一つであるとされる。 ここで言う勧告とは行政機関が他の政府機関に参考意見を提出することである。勧告制度は人事院だけではなく、行政委員会、審議会等各種の行政機関に設けられている。勧告制度は勧告する機関とそれを受ける機関との間に、上級・下級の指揮命令関係がないことを前提とし、相手側への法的な拘束力はないが、勧告する機関の専門的地位と勧告の権威によって実際上、一定の影響力をもつ。とりわけ人事院勧告は一般に公務員の労働基本権制限の代償措置とみなされているため、影響力は強い。 人事院勧告の勧告先の機関には、国会、内閣、関係大臣その他の機関の長があるが、勧告の種類によってその規定は異なる。具体的には、その実現に法律の制定改廃を要する種類の勧告は国会や内閣に対して、行政措置で足りる勧告は関係大臣その他の機関の長のみに対して行うことが定められている。国会に対する勧告は、憲法に国会に対する内閣の責任制度(日本国憲法第66条第3項)を定めた日本においては、人事院の強い独立性とその勧告内容の重要性を意味する。内閣所轄下にあって国会に対する勧告権をもつ行政機関は、現行制度下では人事院のみである。 「人事院勧告」という呼称は人事院が行う諸勧告の総称、通称であり、法律上の用語ではない。国家公務員法にて「勧告」の語を用いて規定された人事院の権限には大きく「人事行政改善の勧告」(第22条)と勤務条件の変更に関する勧告(第28条ほか)の2種類に大別でき、後者のうち給与、勤務時間等主要な事項については給与法、勤務時間法等の関連法に個別規定が設けられている。 この他にも、上の「勧告」(GHQの作成した国公法草案の英原文:recommendation)と性質が同一または類似する権限が、「意見の申出」(to submit opinions)、事案および(調査研究)成果の「提出」(submit its recommendation)といった形式で定められており、「人事院勧告」の範囲は一様ではない。本項ではこれら全体を扱うものとする。 元人事院総裁の浅井清は上の勧告制度の特質を踏まえ、いずれも、国会と内閣を勧告先に含むことから「勧告」と「意見の申出」、「提出」はその内容においては同じことであるとしている。ただし、「筆者の経験によると、意見の申出は、これを受け取るほうで、勧告ほど強く感じないように思われる」とも述べている(浅井1970)。また、人事院勧告の中には、給与勧告(後述)のように「報告」と密接に結びついているものもある。以下、国公法その他関連法に規定された人事院勧告を列挙する。以下、国公法その他関連法に規定された人事院勧告を列挙する。 「人事行政改善の勧告」(国公法第22条第1項) - 人事行政の改善に関し関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。ただし、この勧告をしたときは、その旨を内閣に報告しなければならない(同条第2項)。なお、国家公務員宿舎に関する事項はこの勧告と国公法第28条第1項に定める勧告に含まれる(国家公務員宿舎法第21条)。本条制定以来、この勧告がなされたことはない。 「法令の制定改廃に関する意見の申出」(国公法第23条) - 法令の制定改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出る。最近の例では、給与勧告と同時の2010年8月10日、非常勤職員が育児休業を取得できるようにするために「国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出」を行った。過去人事院が行った意見の申出は、そのほとんどが内容どおりに立法化されている。 勤務条件の変更に関する勧告(国公法第28条第1項) - 給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項を、国会により社会一般の情勢に適用するように(情勢適応の原則)、随時変更するよう勧告する。ここでいう「基礎事項」とは法律の制定改廃を要する事項であるため、1950年代後半まで人事院は、当該勧告と国公法第23条の「法令の制定改廃に関する意見の申出」を厳密に区別した上で、勧告後に改めて「意見の申出」を国会及び内閣に行っていた。現在は、単に当該勧告を国会と内閣に行うことで済ませている。なお、国家公務員宿舎に関する事項はこの勧告と国公法第22条第1項に定める勧告に含まれる。 給与勧告(国公法第28条第2項)。給与改定勧告とも。給与水準・制度の適正化・改善について国会及び内閣に対して勧告する。国公法第28条に規定された勧告の具体的一形態である。職員の給与を調査研究し、それが適当であるかどうかを明らかにした「報告」とセットでなされる。「情勢適応の原則」により、国家公務員の給与水準を民間のそれに合わせること(民間準拠)を基本としている。給与法において、給与一般のより詳細な勧告規定がある。寒冷地手当については、寒冷地手当法にて2種類の勧告が特記されている。 給与に関する法律に定める事項の改定に関する勧告(国公法67条) - 国公法28条2項に規定された給与水準の改定以外で、給与に関する法律に定める事項の改定案を作成し、国会及び内閣に勧告する。 行政措置要求の実行勧告(国公法第88条) - 行政措置の要求に対し、人事院が措置の必要性を認めた場合、内閣総理大臣又は請求者たる職員の所轄庁の長に対し、その実行を勧告しなければならない。 補償制度の研究成果の「提出」(国公法第95条) - 補償制度の研究成果を国会及び内閣に提出しなければならない。規定どおり、人事院は研究成果を1951年2月17日に国家公務員災害補償法案として提出し、同法は第10回国会にて成立、同年7月1日に施行された。 退職年金制度に関する「意見の申出」(国公法第108条) - 退職年金制度に関して調査研究を行い、必要な意見を国会及び内閣に申し出る。退職年金制度は現在、退職共済年金として財務省の所管する国家公務員共済組合が運用しているが、退職年金制度は人事労務管理上の重要な機能を有しており、人事行政の公正確保と職員の利益保護のために、人事院の意見の申出が認められている。ただし、退職年金制度は第一義的には社会保障制度の一部であるため、改正の際に政府・内閣は人事院の意見の申出の有無にかかわらず、社会保障制度審議会に意見を求めなければならない。 勤務時間、休日及び休暇に関する勧告(勤務時間法第2条第1項) - 勤務時間、休日及び休暇に関する制度の改定を国会および内閣に対して勧告する。人事院が上の制度について調査研究を行い、その結果を国会及び内閣に同時に報告、必要があればそれにあわせて勧告がなされる。給与と同様に民間準拠原則を採用しているほか、「行政サービスの維持」や「仕事と生活の調和」といった観点から決定される。直近の例では2008年8月11日の給与勧告と同時に、職員の勤務時間を1日7時間45分、1週38時間45分に引き下げる内容の「職員の勤務時間の改定に関する勧告」が行われた。 指定職俸給表の号俸に関する内閣総理大臣への意見の申出(給与法6条の2) - 指定職俸給表の適用を受ける職員(人事院及び会計検査院の職員を除く)の号俸を内閣総理大臣が予算の範囲内で決定するさいに聴く人事院の意見である(給与法6条の2第1項)。この意見について「内閣総理大臣は、職員の適正な勤務条件の確保の観点からする人事院の意見については、十分に尊重するものとする」。 級別定数等に関する内閣総理大臣への意見の申出(給与法8条1項) - 各俸給表の級の職員(人事院と会計検査院の職員を除く)の定員数(級別定数)を内閣総理大臣が予算の範囲内で決定するさいに聴く人事院の意見である(給与法8条1項)。この意見について、「内閣総理大臣は、職員の適正な勤務条件の確保の観点からする人事院の意見については、十分に尊重するものとする」と規定されている。 |
|
![]() ![]() ![]() |
|
●給与勧告 | |
●法律上の規定
日本国憲法は内閣が「法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること」(第73条第4号)を定めている。これを受けて、国家公務員法は国家公務員の給与、勤務時間等の勤務条件は「国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる」こと(第28条第1項、勤務条件法定主義、情勢適応の原則)を定めている。また、人事院はこの変更に関して勧告することを怠ってはならない。 この「勤務条件法定主義」と「情勢適応の原則」を給与において実現させるため、「人事院は、毎年、すくなくとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給与を決定する諸条件の変化により、俸給表に定める給与の100分の5以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない」。 この勧告は給与勧告(または給与改定勧告)と呼ばれ、毎年8月上旬になされるのが常例となっている。国家公務員給与は勤務条件の要であり、多方面への波及力ゆえ(詳しくは#日本の賃金決定機構における機能に後述)その変動は財政・経済にも大きく影響するので、人事院の勧告中最も重要視されている。給与勧告が扱う事項は、情勢適応の原則による給与水準(ベース)の上下だけではなく、給与制度全般を含む。 国公法第28条第2項に対応して、給与法においても人事院が「職員の給与額を研究して、その適当と認める改定を国会及び内閣に同時に勧告すること」(第2条第3項)が定められている。 寒冷地手当については、「国家公務員の寒冷地手当に関する法律」(寒冷地手当法)が別個に2種類の勧告を規定している。一つは、第3条第2項に規定され、寒冷地手当の支給日、支給方法その他支給に関し必要な事項の定めについて内閣総理大臣に対して行う勧告である。もう一つは、第4条に規定され、寒冷地手当について調査研究し、法改正が必要と認めるときに、国会及び内閣に同時に行う勧告である。第3条第2項の勧告は、内閣総理大臣に対してのみ行う勧告であり、人事院は給与勧告とは区別して扱っている。一方、第4条の勧告は給与勧告の一部として他の勧告事項と一緒に行われている。 |
|
●給与決定の要素
国公法は職員の給与を決定する要素として、「生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情」を挙げている(第64条第2項)。この規定により、人事院は毎年国民一般の標準的な生活費用(標準生計費)と民間賃金の調査を実施している。実際の給与勧告にあたっては、人事院が官民給与の比較を行い、両者の較差を算出し、職員の給与を民間給与にあわせること(民間準拠)を基本として、俸給表・手当の改定内容を決定する。 民間準拠原則を採用する理由について、人事院は「国家公務員も勤労者であり、勤務の対価として適正な給与を支給することが必要とされる中で、その給与は、民間企業とは異なり、市場原理による決定が困難であることから、その時々の経済・雇用情勢等を反映して労使交渉等によって決定される民間の給与に準拠して定めることが最も合理的であり、職員の理解と納得とともに広く国民の理解を得られる方法であると考えられることによる」と説明している。 なお、生計費は前出の国公法第64条の規定で給与決定の条件の一つに挙げられてはいるが、現在の勧告実務においては全体の給与水準を直接左右する要素としては扱われておらず、俸給表作成時に号俸の盛り付けの参考とされるにとどまっている。これは、生計費は民間給与の形成段階で既に織り込まれており、官民給与の比較をすれば同時に生計費への配慮を行ったことになるとする人事院の見解による。 民間準拠のためには、民間事業所の従業員の給与と、国家公務員の給与の実態を把握する必要がある、民間給与については、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や国税庁の「民間給与実態統計調査」など政府機関による様々な調査が行われているが、いずれも国家公務員給与と直接比較するための資料としては不十分である。そこで人事院は、官民給与比較に最適な独自の調査として「職種別民間給与実態調査」(通称「民調」)と「国家公務員給与等実態調査」を実施している。 「職種別民間給与実態調査」は、公務と類似する職種に従事する常雇従業員について個人別に4月分の月例給与等を調査する「従業員別調査」と、事業所別に給与改定や雇用調整等の状況、手当制度を調査する「事業所別調査」から成る。大規模な実地調査であるため、人事院が都道府県・政令市などの人事委員会と共同で行う。期間は例年、5月1日から50日間程度である。なお、特別給(賞与、ボーナス)は月例給とは別に「事業所別調査」で調査する。調査対象は企業規模50人以上で、かつ事業所規模50人以上の民間事業所であり、地域別に、産業、規模等により層化無作為抽出される。「従業員別調査」もその標本事業所の従業員が対象となる。 2009年の調査では、50232事業所を対象に、前述の基準で910層に層化し、うち11100事業所が無作為抽出された。「従業員別調査」の調査実人員は78職種に就く463712人であった。 調査対象事業所を事業所規模50人以上とする理由は「これによって、公務と同種・同等の者同士による月例給比較が可能であり、精緻な実地調査による調査の精確性を維持できる範囲で、民間企業の従業員の給与を広く把握し反映させることができ、民間企業の常雇従業員の六割強をカバーできるということに基づく」(佐藤2009、p.44)と説明されている。 一方、国家公務員の給与は「国家公務員給与実態調査」を通して把握される。こちらは人事院が全職員を対象に毎年4月1日における給与実態を調査する。両調査ともに職種、役職段階、年齢、学歴、勤務地域といった給与決定要素別に細かく給与を調査しており、官民給与の精密な比較を行うための基礎的統計となっている。 |
|
●公務・民間給与の比較方法
官民給与の比較は、民間、公務員の両実態調査を基に行われる。単純に平均値を比較するのではなく、仕事の種類、責任の度合い、年齢、学歴、勤務地域といった主な給与決定条件を同じくするグループごとに比較し、国家公務員の人員構成を基準としてラスパイレス算式で全体の官民較差を算出する。 税務、公安職等は民間に比較すべき職種がないため、比較から外されている。特別給も比較方法は一般給与と同じだが、単位に年間支給割合を用いる。 |
|
●勧告から給与改定に至るまで
給与勧告の内容は人事院会議で最終決定し、官民給与や生計費に関する調査結果が記載された「報告」(国公法第28条第2項)とセットで国会と内閣に対して同時に行われる。例年、人事院総裁が内閣総理大臣に勧告書を手渡す様子が公開されている。 職員の給与は金銭、有価物を問わずすべて法律に基づき支給されなければならない(国公法第63条第1項、給与法定主義)。よって給与勧告の実施には法律の改廃制定が必要となるが、人事院には法案提出権はないので、政府立法か議員立法を通じて実施する。制度発足から現在にいたるまで、勧告を受けた内閣が法案を国会に提出し、可決・成立させるというプロセスをたどっている。人事院勧告は相手方(給与勧告の場合、内閣と国会)を法的に拘束するものではないので、勧告通りに法案が策定、又は可決・成立するとは限らない。 給与勧告を受けた内閣は、その取扱方針を給与関係閣僚会議を経て閣議決定する。この取扱方針を基に、総務省人事・恩給局(旧総務庁人事局)が給与関連法(給与法、寒冷地手当法など)の改正案を策定。次にこの改正案を閣議決定し、内閣提出法案として国会に提出する。最後に国会で法案が可決・成立し、改正法に定められた実施時期が訪れて給与改定は実施をみる。なお、改定時期は給与の改定項目(俸給表、各手当など)によってことなる。 政府・国会側が勧告通りに給与改定を実施しない時に用いられる手法には、減額(「値切り」)で改定内容そのものを勧告から改変する方法と、内容は勧告通りだが、実施を遅延もしくは見送る(「凍結」)方法がみられた。どちらも職員給与を抑制するもので、前者の方法は主に1950年代と1982年〜1984年にかけて、後者は1960年代に使われた。近年は引き下げ勧告となった年もあり、一部の改定事項を除いて完全実施が続いている。 このような給与勧告の不完全実施の理由として政府は財政上の理由を挙げてきたが、人事院や組合側は人事院勧告は労働基本権制約の代償であるから完全実施するべきとしてきた。 |
|
●日本の賃金決定機構における機能
給与勧告は国家公務員の一般職非現業職員の給与を対象とするが、公務員の給与法制上、公共部門全体の給与水準がこれに連動し、また一部の民間給与にも逆作用するため、日本の賃金決定機構において重要な機能を持っている。高度経済成長期にあっては、春闘相場の設定自体に大きな影響を及ぼすこともあった。このため、マルクス経済学の立場から、人事院の給与勧告を「国家独占資本主義の段階における賃金決定過程への国家の直接的介入」「政府のイニシアティブによる賃金水準の統制」と規定する研究者もいる。また、大局的には、消費経済の動向に影響を与えることになる。 ●公務部門 人事院の給与勧告は公務員全体の給与水準に対する強い影響力を持っている。 人事院の給与勧告が直接対象とする国家公務員は給与法、任期付職員法、任期付研究員法の適用職員(2009年1月15日現在、292405人)である。また他の公務員給与法により大臣、裁判官、裁判所職員、国会職員、防衛省職員(自衛官含む)等特別職の職員(約30万人)及び検察官(約3千人)が勧告に準じて措置される。 行政執行法人(約7千人)の職員の給与は労使の団体交渉(または中労委の仲裁裁定)によって決定されるが、その際給与法適用職員の給与を考慮することが定められており、勧告の強い影響下にある。地方公務員にも勧告は大きな影響を及ぼす。地方公務員一般職の職員の給与は、首長が提出した給与条例の改正案を議会が可決・成立させることで改定され、都道府県や政令指定都市等においては、人事委員会が事前に首長に行う独自の給与勧告が給与改定を主導している。この人事委員会の勧告と、給与条例の改正案は、人事院の給与勧告にならうことが多い。ただし、その程度には差が見られる。 ●公務員以外の公共部門 行政執行法人以外の独立行政法人(非公務員型、職員数約7万5千人)並びに国立大学法人(約12万9千人)の職員の給与は労使の団体交渉を通じて決定されるが、「社会一般の情勢に適合」させることが定められている(独立行政法人通則法第63条第3項)。また、独立行政法人、国立大学法人、特殊法人及び認可法人等の給与水準は、毎年公表と総務大臣への届出をすることが義務付けられており、人事院はそれにあたって、これらの法人(2008年度は208法人)と国家公務員との給与の比較指標を作成し、各法人と総務省に提供している。このような制度と取り組みにより、非公務員である政府関係機関の職員の給与も直接または間接的に勧告の影響を受けている。これらの機関のほかにも勧告の直接的、間接的影響が指摘されている機関には、公共組合、国及び地方公共団体系の公益法人、地方独立行政法人、地方の特殊法人(地方住宅供給公社、土地開発公社など)なども挙げられており、その範囲は公共部門全般にわたっている。 ●民間部門 給与勧告は民間給与を基に決められるが、これが直接または国、地方公共団体及び政府関係機関の職員の給与を媒介して民間給与にも一定度逆作用する。具体例としては、私立学校、私立病院、農業協同組合、(春闘に参加できない)中小企業等が挙げられている。中小企業の多くは給与勧告後の夏から秋にかけて賃金改定を行い、その中の一定数が勧告を基準としているとされる。なお、給与勧告の根拠となる「職種別民間給与実態調査」は職種、役職、年齢等の給与決定要素別に集計されているという特色から、民間企業が賃金決定の資料として活用している。労務行政研究所が企業の賃金決定のための資料として発行している『規模別・地区別・年齢等でみた職種別民間賃金の実態』には、同調査が収録されている。 |
|
![]() ![]() ![]() |
|
●労働基本権制約の代償措置性 | |
日本の国家公務員は争議行為が全面一律に禁止され、加えて非現業職員は団体協約締結権が認められていないなど、労働基本権が大きく制限されている。したがって、勤務条件を私企業のように労使交渉を通して決定することができず、人事行政の改善、特に勤務条件を社会一般の情勢に適応させる機能は人事院勧告が担っている。
公務員の労働基本権制約・剥奪は1948年7月31日の「昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合國最高司令官書簡に基く臨時措置に関する政令」(昭和23年政令第201号)に端を発している。この政令に基づく国公法一次改正の際、同時に人事院勧告制度が導入された。 このような状況と経緯から、人事院や最高裁の判例(全農林警職法事件など)は、人事院勧告を労働基本権制約の主な代償措置と位置づける見解を採用している、これは「人勧代償措置論」とも呼ばれ、公務員の労働基本権制約の正当化や、給与勧告の完全実施要求の根拠として援用されることもある。 一方で人事院勧告の代償措置性を否定する議論もある。地方自治問題研究機構の行方久生は、歴史的にみて人事院・人事院勧告は労働基本権制約の代償として導入された制度ではなく、原理的にも労働基本権を離れた人事行政一般の範疇に収まるものであり、両者に代償関係は認められないとしている。 |
|
![]() ![]() ![]() |
|
●沿革 | |
●年表
1947年10月16日 - 国家公務員法可決成立。21日公布、翌年7月1日全面施行。 11月1日 - 臨時人事委員会 1948年7月 - 第1回職種別民間給与実態調査。391事業所、25職種、調査実人員427人。 7月31日 - 公務員の争議権を禁止する政令201号公布、即日施行。 11月9日 - 臨時人事委員会が内閣総理大臣(当時、吉田茂)に「政府職員の新給与実施に関する法律」(給与法の前身)の改正案を「提出」。6307円ベース。国家公務員法第67条(「給与準則の改訂」)の趣旨による。 11月30日 - 国公法第1次改正可決成立。12月3日公布。国家公務員の争議権、団体協約締結権を剥奪。臨時人事委員会を人事院に改組。「情勢適応の原則」に基づく給与勧告制度(第28条第2項)が導入される。 1950年 - 「一般職の職員の給与に関する法律」(給与法)公布。 1953年3月 - 1953年職種別民間給与実態調査。4741事業所、76職種、調査実人員96528人。人事院と都道府県及び5大市の人事委員会が、民間給与調査を民調に一本化し、合同で実施。調査規模の飛躍的な拡大をえる。 1959年 - 公民給与の比較方式を格付号俸方式(ベース比較)からラスパイレス方式に変更。 1960年4月 - 1960年職種別民間給与実態調査。調査時期を3月から4月に変更。 8月8日 - 月例給の12.4%引き上げ給与勧告。 1964年4月 - 太田・池田会談(内閣総理大臣と総評議長の会談)により公労協「四・十七スト」回避。公労委裁定の遵守およびその基準とする民間給与を企業規模50人以上から企業規模100人以上とすることを確認。 1965年4月 - 1965年職種別民間給与実態調査。調査対象事業所の規模を事業所規模50人以上から、企業規模100人以上かつ事業所規模50人以上に引き上げ。 1970年8月14日 - 月例給の12.67%の引き上げ給与勧告。佐藤栄作内閣、初の完全実施を決定。 1973年4月25日 - 全農林警職法事件最高裁判決。 1982年8月6日 - 月例給の4.58%引き上げ給与勧告。鈴木善幸内閣、財政難を理由に実施見送り。 2002年8月8日 - 月例給の2.03%引き下げ給与勧告。初のマイナス改定。 2006年4月 - 2006年職種別民間給与実態調査。調査対象事業所の規模を企業規模100人以上かつ事業所規模50人以上から企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上に引き下げ。 2009年5月1日 - 夏季の特別給0.2ヶ月分を凍結するよう臨時の給与勧告。既に前年度の改定で決まった特別給の夏季支給分を臨時で引き下げる勧告は初。人事院は民間企業における夏季一時金の急激な削減を理由として説明。 2011年10月28日 - 野田内閣が同年9月30日になされた人事院勧告を実施するための給与法改正案を提出しないことを閣議決定。既に国会に提出していた「国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案」(給与臨時特例法案)を理由に挙げる。給与臨時特例法案は一般職の給与を、公布日の属する月の翌々月の初日から2014年3月31日まで平均7.8%減額するもの。 2012年2月29日 - 2月22日に民主・自民・公明3党の共同提出した「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(給与改定・臨時特例法)が参議院(第180回国会)で可決・成立。2011年度は人事院勧告を実施し、一般職の給与を2012年度から2013年度まで2年間、平均7.8%減額する。内閣提出の「給与臨時特例法案」は廃案になった。 2013年8月8日 - 職員給与と国家公務員制度改革について内閣・国会に報告した。例年、給与に関する報告と同時に行っていた給与勧告を、給与改定・臨時特例法の定めた「給与減額支給措置による減額前の月例給及び特別給の水準について、本年は民間給与と均衡している」として行わなかった。 |
|
●過去の給与勧告一覧
過去の給与勧告一覧は以下の通り。 |
|
![]() ![]() ![]() |
|
●毎月勤労統計調査 | |
1月〜12月 前年同月比 % 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 ●2005 0.2 0.1 -0.4 0.6 0.6 1.5 1.3 -1.1 0.8 0.6 0.1 1.6 ●2006 -0.1 0.4 0.4 0.4 0.5 1.0 0.4 -0.2 0.1 0.0 0.2 -0.1 ●2007 -1.2 -1.0 -0.1 -0.2 -0.2 -0.9 -1.7 0.6 -0.6 -0.1 0.1 -1.7 ●2008 1.6 1.5 1.5 0.8 0.8 0.4 0.3 0.1 0.2 0.1 -0.7 -0.8 ●2009 -2.7 -2.4 -3.9 -2.7 -2.5 -7.0 -5.6 -2.7 -1.8 -1.9 -2.4 -5.9 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 ●2010 -0.2 -0.7 1.0 1.6 0.1 1.8 1.4 0.4 0.9 0.5 0.2 0.1 ●2011 0.4 0.3 -0.1 -1.4 1.0 -0.7 -0.2 -0.4 -0.4 0.0 -0.2 0.1 ●2012 -1.2 0.1 0.9 0.2 -1.1 -0.4 -1.6 0.0 -0.5 -0.4 -0.8 -1.7 ●2013 0.1 -0.8 -0.9 0.0 -0.1 0.6 -0.1 -0.9 -0.2 -0.1 0.6 0.5 ●2014 -0.2 -0.1 0.7 0.7 0.6 1.0 2.4 0.9 0.7 0.2 0.1 1.3 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 ●2015 0.6 0.1 0.0 0.7 0.7 -2.5 0.9 0.4 0.4 0.7 0.0 0.0 ●2016 0.0 0.7 1.5 0.0 -0.1 1.4 1.2 0.0 0.0 0.1 0.5 0.5 ●2017 0.4 0.4 0.1 0.5 0.7 0.4 1.8 0.6 0.8 0.4 0.8 0.9 ●2018 1.1 1.1 2.2 0.6 2.1 3.3 1.8 0.8 1.2 1.7 1.8 1.9 |
|
厚生労働省HPより (2019/2/28現在) 毎月勤労統計調査結果の概要/全国調査(月別結果)/概況 |
|
![]() ![]() ![]() |
|
●人事院 | |
日本の行政機関の一つである。国家公務員法の第2章に基づいて設置された「中央人事行政機関」である。国家公務員の人事管理の公正中立と統一を確保し、労働基本権制約の代償機能を果たすため、いわゆる行政委員会として人事院規則の制定改廃や不利益処分審査の判定、給与に関する勧告など、人事行政に広汎な権限を有する。人事行政の公平を保つため、その権限は内閣から独立して行使することができる。
人事院は国家公務員法(国公法)に定められた中央人事行政機関のひとつである。中央人事行政機関とは、国家公務員のうち一般職に属する職員の人事管理の基準を定めたり、各省庁の任命権者が行う人事管理を総合調整したりする機関であり、人事院の他には内閣総理大臣がある。人事院と内閣総理大臣の所管事項はそれぞれ異なり、人事院は国家公務員法運用の中軸機関としての地位を占める。 給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告(人事院勧告)、採用試験、任用、分限、研修、給与、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる(国公法第3条第2項)。この中には、人事院規則の制定権などの準立法的権限、行政措置要求や不利益処分審査請求の判定権などの準司法的権限、給与の勧告権、人事行政の調査権など重要な権限が含まれる。かつては職階制に関する事務もつかさどるとされていたが、第166回国会(2007年)の国公法改正により職階制そのものとともに廃止された。 近代的公務員制度における人事管理は、行政の継続性と専門性を確保するため、政党その他による一切の情実を排除し、能力主義・実績主義(資格任用制)を徹底しなければならない。また、現代の行政は著しく複雑膨大化、専門化しているので、人事行政には科学的調査研究を基礎とする人事管理技術を通して、専門性と統一性を確保する必要がある。さらに公務員は労働基本権が制限されているため、その代償措置として、使用者である政府から独立した第三者機関が職員の利益を保護する必要がある。 これらの要請に応えるため、人事院はいわゆる行政委員会の一種として強い権限と独立性を与えられている。さらに、公正取引委員会や中央労働委員会など他の行政委員会が、内閣府や省に外局等として所属しているのに対し、人事院は内閣の直接の所轄の下にある。すなわち、人事院の所管する国家公務員法自体が人事院の設置法となっており、国家行政組織法は適用されないこととなっている(国家公務員法第4条第4項)。その独立性や権限は憲法典に根拠を持つ機関である裁判所や会計検査院には及ばないものの(これらの廃止や憲法によって直接与えられた権限の縮小・他の機関への委譲などは憲法典自体の改正が不可欠であるが、人事院は法律により創設された機関であるがゆえに、そのような問題は生じない)、内閣の下にある行政機関の中では極めて強固なものである。 人事院は3人の人事官をもって組織される合議制の執行機関である。人事官は、両議院の同意を経て内閣によって任命され、うち1人は人事院を代表する人事院総裁として命ぜられる。人事院の意思決定は少なくとも1週間に1回行われる人事院会議による。人事院の下には、事務部門である事務総局が置かれ、人事院が予算の範囲内において事務総長以下の職員が任命する。また、国公法及び国家公務員倫理法に基づき、国家公務員倫理審査会が設置されている。 人事院はその内部機構をみずから管理するものとし、国家行政組織法及び行政機関の職員の定員に関する法律(総定員法)は適用されない(国家公務員法第4条第4項、総定員法第1条)。したがって、人事院は事務総局の組織、定員に関し内閣人事局の規制を受けずに人事院規則によって独自に定めることができる(第13条第2項)。 人事院が編集する白書には『公務員白書』がある。これは、国家公務員法第24条の規定により、毎年、人事院が内閣と国会に対して業務の状況を報告するために提出する「年次報告書」を収録した政府刊行物である。また、定期刊行の広報誌として、『人事院月報』を月刊で発行している。 |
|
![]() |
|
●設立の経緯
国家公務員法の一次改正によって、1948年12月に臨時人事委員会の組織・権限を強化する形で発足した。GHQ民政局公務員課長のブレーン・フーバーの絶大な支援の下に、人事行政の一元化を目指して設置された。設立当初の人事院はGHQの後ろ盾もあり、強い権勢を誇っていた。例として旧内務省が入居していた内務省ビルは、人事院が奪い取るかたちで「人事院ビル」と改称している。ほか、各省庁の反発を押し切って○×式試験を強行したこともあった。 廊下にまではみ出して執務をしていた各省とは違い、人事院は僅かな人員で広いオフィスを独占し、調度はすべてアメリカンスタイルの新品であった。フーバーは「悪名高き内務官僚を入れてはならない」と厳命しており、人事官をはじめとする重要ポストから旧内務官僚は排除されていたが、フーバーの帰国によってこの鉄則は崩れ、以後、多数の旧内務官僚が要職に就いた。 人事院は経済安定本部と並び、GHQのお声がかりで設立された役所であるため、日本の主権回復後にGHQという後ろ盾を失った二つの役所は一転して窮地に陥り、経済安定本部は廃止され、人事院も行政機構改革や行政整理のたびに廃止論が出ていた。 |
|
●沿革
1947年(昭和22年)11月1日 - 国家公務員法に基づいて、内閣総理大臣の所轄の下に臨時人事委員会が設置される。国の機関としての正式な「人事委員会」の開設日が「昭和23年7月1日から昭和24年1月1日までの間」と設定されたため、それまでの臨時代替機関として発足した。ただし、この時点では人事委員会発足に備える準備をするための権限に限られ、人事行政に関して対外的に命令を発するなどの本格的な権限は与えられなかった。 1948年(昭和23年)7月1日 - 人事委員会発足まで、臨時人事委員会が人事行政に関する権限を行使することが認められた。 1948年(昭和23年)12月3日 - 国家公務員法(第1次改正)により、当初予定していた「人事委員会」としての発足を見ないまま、内閣の所轄の下に「人事院」が設置される(臨時人事委員会は廃止)。 1965年(昭和40年)5月19日 - ILO87号条約の批准に伴う国家公務員法等の改正により、内閣の指揮監督に関する事項を扱い、政府の対組合の窓口となる機関として総理府に人事局(現在の内閣人事局)が設けられ、人事院の機能の一部が移管された。 2008年(平成20年)6月13日 - 人事院の機能の一部を移管して新たに内閣官房に内閣人事局を設置することなどを定めた国家公務員制度改革基本法が公布・施行される。 |
|
![]() |
|
●所掌事務
国家公務員法により、人事院は、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告、採用試験及び任免、給与、研修、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる(第3条第2項)。 「給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告」は人事院勧告と通称され、その一つに給与勧告がある。これは国家公務員の給与水準を民間に均衡させること(民間準拠)を原理として運用されている。具体的には「民間給与実態調査」で従業員50人以上の事業所を対象に給与制度や金額を調査し、そのデータをもとにして官民給与較差を算出し、その分だけ給与水準の上下を勧告している。国家公務員の給与水準の決定に強い影響をおよぼすことから、人事院の権限中、重も重要視される。 |
|
●組織
人事院の内部組織は「人事院規則二―三―二五(人事院事務総局等の組織)が規定している。国家公務員法第4条第4項により、「人事院は、その内部機構を管理する」とされているためであるが、会計検査院では、法律で各局の設置を規定し、細目を会計検査院規則で定めるのみ対し、人事院では、国家公務員法自体には事務総局を置く規定のみで、「事務総局の組織及び法律顧問に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。」(第13条第2項)とすべて人事院規則によるとしている。 ●人事官・人事院会議 ○人事院総裁(人事官) ○人事官(人事院総裁のほか2名) 人事院は人事官3人をもって組織される。「人事官は、人格が高潔で、民主的な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり、且つ、人事行政に関し識見を有する年齢35年以上の者の中から、両議院の同意を経て、内閣が、これを任命する」こととされている(国公法第5条)。また、その任免は天皇が認証する。人事官のうち1人は人事院総裁として任命され、院務を総理し、人事院を代表する。 人事官の任命条件には「人事官の任命については、その中の2人が、同一政党に属し、又は同一の大学学部を卒業した者となることとなつてはならない」(第5条第5項)という規定も置かれている。このように出身大学学部の重複が禁止された官職は他になく、国家公務員法の制定・一次改正を主導したGHQのブレイン・フーヴァー(Blaine Hoover)公務員課長が東大法科出身の官僚による学閥支配を防ぐことを意図して設けた規定と言われる。第2代目(1953年)から2009年まで、人事官は事務系官僚が1人、技術系が1人、全国紙やNHKなどのマスコミ系が1人という出身構成が慣例であった。人事官の任期は1期4年、最長で3期まで再任できる。また国公法で定める場合を除き、その意に反して罷免することはできず、強くその身分が保障されている。そのため、内閣が交代しても人事官の人事は直接影響を受けない。 人事院会議は少なくとも週1回は開くことが常例とされ、その議決を要する事項には、人事院規則の制定改廃、人事院勧告、公平審査の判定などが国家公務員法第12条第6項に列挙されている。なお、事務総長は会議に幹事として出席し、議事録を作成する。人事院の下には事務総局、国家公務員倫理審査会、法律顧問、人事院総裁秘書官を置く。事務総長は総裁の職務執行の補助者となり、その一般的監督の下に、人事院の事務上及び技術上のすべての活動を指揮監督する。 ●事務総局 国家公務員法第13条により、人事院の下に事務総局がおかれている。事務総長以下の機関は「人事院規則二―三―二五(人事院事務総局等の組織)」が規定している。長は事務総長で、事務総局の事務を総括する。内部部局として5課4局が置かれ、5課は省庁における国家行政組織法上の官房に相当する。内部部局の外には公務員研修所、地方事務局等、委員会等が置かれ、それぞれ国家行政組織法上の施設等機関、地方支分部局、審議会等に準ずるものとされる。 ●国家公務員倫理審査会 国家公務員倫理法に基づく職員の倫理の保持、倫理違反に関する調査・懲戒処分に関する業務。事務総局の外に設置された機関である。会長及び委員4名で組織される。会長及び委員3人は両議院に同意を得て内閣が任命する。もう1人の委員は人事官の中から内閣が任命する。その下に事務を処理する事務局が置かれている。 |
|
●財政
人事院総裁は、財政法第20条第2項に規定する各省各庁の長ではないため、予算上は人事院は、内閣の一部の扱いとなる。2018年度(平成30年度)一般会計予算における内閣所管の歳出予算のうち人事院は120億9589万7千円である。 上記のように人事院は、財政法の各省各庁ではないので、人事院所管の特別会計という概念はない。 |
|
●職員
一般職の在職者数は2018年7月1日現在、601人(うち、女性187人)である。 人事院規則二―一四(人事院の職員の定員) に定められた人事院の定員は624人である。 2018年度一般会計予算における予算定員は特別職5人、一般職624人の計629人である。 人事院職員は一般職の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は保障されており、職員は労働組合として国公法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国公法第108条の2第3項)。 2018年3月31日現在、人事院に登録された職員団体の数は単一体1となっている。組合員数は39人、組織率は8.8%となっている。組織率は13府省2院の平均である44.3%を35.5ポイント下回っている。職員団体は人事院職員組合(略称:人職)といい、1948年12月11日結成。国公産別の国公労連(全労連加盟)に加盟している。 |
|
![]() |
|
●歴代人事院総裁
代 氏名 在任期間 総裁就任前の主要役職 1 浅井清 1948年12月7日 - 1953年12月6日 慶應義塾大学教授 2 1953年12月7日 - 1957年12月6日 3 1958年2月6日 - 1961年2月5日 4 入江誠一郎 1961年3月2日 - 1962年7月25日(亡) 内務省警保局外事課長 5 佐藤達夫 1962年9月3日 - 1964年2月10日 内閣法制局長官 6 1964年2月24日 - 1968年2月23日 7 1968年3月7日 - 1972年3月6日 8 1972年3月15日 - 1974年9月12日(亡) 9 藤井貞夫 1974年12月24日 - 1976年3月14日 自治省行政局長・消防庁長官 10 1976年4月1日 - 1980年3月31日 11 1980年4月1日 - 1984年2月27日(願) 12 内海倫 1984年2月27日 - 1984年3月31日 警察庁刑事局長・防衛事務次官 13 1984年4月2日 - 1988年4月1日 14 1988年4月2日 - 1990年4月1日(願) 15 彌富啓之助 1990年4月2日 - 1992年4月1日 衆議院事務総長 16 1992年4月2日 - 1996年4月1日 17 1996年4月2日 - 1997年6月23日(願) 18 中島忠能 1997年6月24日 - 2000年4月1日 人事院事務総長(自治省出身) 19 2000年4月4日 - 2004年4月3日 20 佐藤壮郎 2004年4月5日 - 2006年4月11日 通商産業省工業技術院長 21 谷公士 2006年4月12日 - 2008年4月4日 郵政事務次官・人事官 22 2008年4月8日 - 2009年9月11日(願) 23 江利川毅 2009年11月18日 -2012年4月7日 内閣府事務次官・厚生労働事務次官 24 原恒雄 2012年4月11日 - 2014年4月11日 東海旅客鉄道副社長・人事官 25 一宮なほみ 2014年4月12日 - 仙台高等裁判所長官・人事官 |
|
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
過去の給与勧告一覧 |
|||||||
給与勧告 |
国会決定 |
||||||
年 |
日付 |
月例給改定率 |
実施時期 |
特別給支給月数 |
月例給改定率 |
実施時期 |
特別給支給月数 |
1985 |
8月7日 |
5.74% |
4月1日 |
- |
勧告どおり |
勧告どおり |
勧告どおり |
1986 |
8月12日 |
2.31% |
4月1日 |
- |
〃 |
〃 |
〃 |
1987 |
8月6日 |
1.47% |
4月1日 |
- |
〃 |
〃 |
〃 |
1988 |
8月4日 |
2.35% |
4月1日 |
- |
〃 |
〃 |
〃 |
1989 |
8月4日 |
3.11% |
4月1日 |
5.1 |
〃 |
〃 |
〃 |
1990 |
8月7日 |
3.67% |
4月1日 |
5.35 |
〃 |
〃 |
〃 |
1991 |
8月7日 |
3.71% |
4月1日 |
5.45 |
〃 |
〃 |
〃 |
1992 |
8月7日 |
2.87% |
4月1日 |
- |
〃 |
〃 |
〃 |
1993 |
8月3日 |
1.92% |
4月1日 |
5.30 |
〃 |
〃 |
〃 |
1994 |
8月2日 |
1.18% |
4月1日 |
5.20 |
〃 |
〃 |
〃 |
1995 |
8月1日 |
0.90% |
4月1日 |
- |
〃 |
〃 |
〃 |
1996 |
8月1日 |
0.95% |
4月1日 |
- |
〃 |
〃 |
〃 |
1997 |
8月4日 |
1.02% |
4月1日 |
5.25 |
〃 |
〃 |
〃 |
1998 |
8月12日 |
0.76% |
4月1日 |
- |
〃 |
〃 |
〃 |
1999 |
8月11日 |
0.28% |
4月1日 |
4.95 |
〃 |
〃 |
〃 |
2000 |
8月15日 |
0.12% |
4月1日 |
4.75 |
〃 |
〃 |
〃 |
2001 |
8月8日 |
0.08% |
4月1日 |
4.70 |
〃 |
〃 |
〃 |
2002 |
8月8日 |
△2.03% |
|
4.65 |
〃 |
〃 |
〃 |
2003 |
8月8日 |
△1.07% |
4.40 |
〃 |
〃 |
〃 |
|
2004 |
8月6日 |
- |
- |
- |
- |
〃 |
- |
2005 |
8月15日 |
△0.36% |
4.45 |
〃 |
〃 |
〃 |
|
2006 |
8月8日 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
2007 |
8月8日 |
0.35% |
4月1日 |
4.50 |
〃 |
〃 |
〃 |
2008 |
8月11日 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
2009 |
5月1日 |
- |
- |
(4.30) |
- |
- |
勧告どおり |
2009 |
8月11日 |
△0.22 |
4.15 |
勧告どおり |
勧告どおり |
〃 |
|
2010 |
8月10日 |
△0.19 |
|
3.95 |
〃 |
〃 |
〃 |
2011 |
9月30日 |
△0.23 |
|
- |
〃 |
‐ |
‐ |
2012 |
8月8日 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
2013 |
8月8日 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
2014 |
8月7日 |
0.27% |
4月1日 |
4.10 |
勧告どおり |
勧告どおり |
勧告どおり |
2015 |
8月6日 |
0.36% |
4月1日 |
4.20 |
|||
2016 |
8月8日 |
0.20% |
4月1日 |
4.30 |
|||
2017 |
8月8日 |
0.15% |
4月1日 |
4.40 |
|||
2018 |
8月10日 |
0.16% |
4月1日 |
4.45 |
|||
2019 |
8月7日 |
0.09% |
4月1日 |
4.50 |