3.11 新たな津波

南スーダンPKO撤収 
危機の切迫 死人が出たら手遅れ

森友学園疑惑 
「忖度」解消 トカゲの尻尾切り

朴大統領罷免 
次期政権で 日韓関係悪化 慰安婦問題再燃
 


 
 
 
 
PKO陸自撤収へ、首相「一定の区切りと判断」 3/10
政府は10日、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)4大臣会合を開き、南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊施設部隊の約350人を撤収させる方針を決めた。部隊が現在担っている道路整備が終わる5月末をめどに撤収する一方、司令部要員4人の派遣は継続する。政府は、施設部隊の派遣期間が過去最長の5年超となったことで、一定の役割を終えたと判断した。撤収を終えると、自衛隊の部隊としてのPKO派遣はなくなることになる。安倍首相は会議後、記者団に「国造りが新たな段階を迎える中、自衛隊が担当している施設整備は一定の区切りを付けることができると判断した」と強調。今後は人道支援を充実させる方針などを説明した上で、「積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携えて、南スーダンの平和と発展のためにできる限りの貢献を行っていく」と語った。 
 
 
南スーダンPKO撤収、首相が表明「施設整備に区切り」 3/10
政府は10日夕、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を開き、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊の施設部隊を5月末に撤収させる方針を決めた。安倍晋三首相はNSC終了後、撤収方針を記者団に明らかにした。南スーダンへの自衛隊の派遣は1月で5年を迎えた。首相は、撤収を決めた理由について「施設部隊の派遣としては過去最長となる。首都ジュバと各地を結ぶ幹線道路の整備など南スーダンの国づくりに大きな貢献を果たしてきた。南スーダンの国づくりが新たな段階を迎える中、自衛隊が担当しているジュバの施設整備は一定の区切りをつけることができる」と説明した。施設部隊を撤収させる方針はすでに南スーダンと国連に伝えているという。南スーダンPKO司令部への自衛隊員の派遣は継続する。 
 
 
南スーダンPKO撤収、国連に戸惑いの声も 3/11
日本政府が、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)からの撤収を表明したことについて、国連事務総長の副報道官のハク氏は10日の定例会見で「主要な役割を果たしてきたことに感謝する」と述べた。ただ、日本の部隊が抜けた穴はすぐには埋まりそうになく、戸惑いの声も出ている。ハク氏は会見で、事前に約350人の施設部隊を撤収させる方針が伝えられたと明らかにした上で、日本は「たいへん貴重な機能」を果たし、「住民保護という国連の現地での取り組みにおいて主要な役割を担ってきた」と評価した。また、「国連は日本が将来の他のPKO活動に価値ある貢献ができるよう、日本政府と連携を続ける」とも述べ、新たな貢献への期待感も示した。ハク氏は「貢献国が、それぞれの時期に部隊を派遣し、撤収することはよくあることだ。できるだけ早く施設部隊の穴を埋めたい」とした。ただ、南スーダンが乾期に入り、戦闘のさらなる激化が懸念される中での撤収表明には、戸惑いの声も聞かれる。ある国連関係者は「(撤収までの)数カ月間で穴を埋めることは難しい」と話した。日本の別所浩郎・国連大使は10日、記者団の取材に応じ、施設部隊の派遣が5年に及ぶことや、民族融和を進める国民対話が予定されていることを指摘し、「適切な時期」と繰り返し強調。撤収を伝えた際、PKO担当のラズース国連事務次長から「自衛隊の良い仕事に感謝する」と謝意を伝えられたという。 
 
 
南スーダンPKO. 陸自撤収 首相発言 3/11
先ほど国家安全保障会議を開き、南スーダンに派遣中の自衛隊施設部隊は、現在従事している道路整備が終わる5月末をめどに活動を終了することを決定した。南スーダンPKOへの自衛隊部隊の派遣は今年1月に5年を迎え、過去最長となる。首都ジュバと各地を結ぶ幹線道路の整備など独立間もない南スーダンの国づくりに大きな貢献を果たしてきた。国づくりが新たな段階を迎える中、ジュバでの施設整備に一定の区切りをつけることができると判断した。PKO司令部への自衛隊要員の派遣は継続する。人道支援の充実など、積極的平和主義の旗のもと、国際社会と手を携えて南スーダンの平和と発展にできる限り貢献する。第1次隊から第11次隊まで派遣した隊員は延べ3854人。日本から遠く離れた灼熱(しゃくねつ)の地で立派に任務を果たしている隊員一人一人と、家族のみなさまに心から感謝申し上げたい。  
 
 
ジュバでの活動余地少なく撤収を決断 PKO派遣部隊ゼロに 3/11
 政府、国際秩序の安定へどう関与するかが課題
政府が南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊部隊撤収を決めたのは、現地の治安情勢が不安定な中で、意義ある活動を行う余地が小さくなったことが背景にある。ただ、これで自衛隊がPKOに派遣する部隊はゼロに逆戻りする。国連安全保障理事会の常任理事国入りに不利な材料になりかねず、政府は国際秩序の安定に向けた関与の在り方に知恵を絞ることが迫られる。政府は昨年9月から撤収の検討を開始。同年11月に新たな任務として陸自第11次隊に「駆け付け警護」などを付与したが、首相周辺は「11次派遣が決まった段階で、撤退時期は決まっていた」と明かす。陸自部隊の任務は道路補修やインフラ整備を行う施設活動。3年前から国連南スーダン派遣団(UNMISS)の任務として力点が置かれる文民保護は、陸自部隊が当初想定していた任務ではない。陸自部隊が実施した道路補修は延べ約210キロメートルで、用地造成が約50万平方メートルに達する。首都ジュバでのインフラ需要はある程度満たされたと判断した。ただ、防衛省は平成25年5月、陸自部隊の活動地域としてジュバのある中央エクアトリア州に周辺2州を加えていた。2州はインフラ整備が必要とされるが、「治安情勢が安定しておらず、陸自部隊が活動することはできない」(陸自幹部)という事情がある。ジュバでも昨年7月に政府軍と反政府勢力が衝突。国会では民進党など野党が治安悪化を理由に部隊撤収を求めている。防衛省内には「駆け付け警護で死人が出たら政権にダメージだ」との声もあった。だが、国連常任理事国入りを実現するためには、国際平和に関与する姿勢を示さなければならない。このため、政府は引き続き南スーダンの国づくりを支援する。武力衝突の監視活動を行う東アフリカ諸国の地域機構「政府間開発機構(IGAD)」に資金を拠出するほか、警察強化の支援なども行う。南スーダン以外のPKO活動に関しても、要請があれば部隊派遣を積極的に検討する方針だ。 
 
 
 
 
「口利きない」「再チャレンジする」 森友・籠池氏会見 3/10
学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長が10日夕、大阪市淀川区で会見した。大阪府豊中市で4月に開校することを目指していた小学校の設置認可申請を取り下げたことについて「苦渋の決断。もう少し温かい目で見てほしかった」と話す一方、「(小学校設置を)人生の総決算としてやってきた。また再びチャレンジする」と語った。敷地内のごみや産廃土が適切に処理されていなかった疑いについては「山積みの状態をまず運び出さないといけないということで、かなりの労力、知恵を入れてやってきたが、マスコミの報道によってなかなか処理先が見つからなかった。本当に残念。予想外の展開だった」。国有地売却をめぐる政治家の関与については「口利きはしてもらっていないし、(安倍晋三)首相や(妻の)昭恵さんから何もやってもらったことはありません」と否定した。国会で参考人招致が要求されている点については「応じる気持ちはありません」と語った。報道陣から大阪府に理事長退任の意向を伝えたことについて問われると、「悪いことはしていないが、学校を建設しますといって建設できなかった責めはとらせていただきたい」と説明。後任に自身の娘をあてるとした上で、「(自身も)なんらかの形でかかわらないと。教育の方向性や歴史と伝統教育について理念の継承をしないといけない」と話した。 
 
 
森友学園. 口利き依頼、売却経緯……疑惑山積 追及は続く 3/11
数々の問題が指摘されている大阪市の学校法人「森友学園」。大阪府豊中市で新設を目指していた小学校の認可申請は、10日に取り下げられたが、学園を巡ってはまだ多くの疑惑が残されている。小学校用地となった国有地の売却は、不可解な減額の経緯が謎のままだ。不動産鑑定士は土地価格を9億5600万円と査定したが、「地下からごみが見つかった」とする学園の報告を受け、国はごみ撤去・処分費約8億円を差し引いた1億3400万円で学園に売却。ごみ処理にかかる費用を国が直接算定する異例の対応だった上、国はごみの撤去を確認せず、ごみが出た場所も把握していない。国会では野党の追及が続いており、会計検査院も検査に乗り出した。真相解明のため、学園の籠池泰典理事長の参考人招致を求める声も上がっているが、与党の反対で実現していない。一連の問題で、籠池理事長が自民党参院議員の鴻池祥肇(よしただ)・元防災担当相や大阪府議ら複数の政治家と接触していたことが判明している。国有地売却や小学校設置認可について、政治家の不正な関与がなかったか、解明も必要だ。籠池理事長は2014年に鴻池氏と面会した際、商品券を渡そうとしたことは認めたが、「あいさつの意味だった」と一連の問題とは無関係を主張する。また、小学校用地の造成を巡り、工事に関わった土木業者が「建設現場から掘り出したごみの一部を敷地内に埋めた」と証言している。地上に掘り起こした廃棄物は適正処分の義務があり、埋め戻すと不法投棄に問われる可能性がある。学園側は「仮置き」と主張し撤去する方針だが、搬出開始日は決まっていない。このほか、籠池理事長が代表の社会福祉法人が運営する「高等森友学園保育園」(大阪市淀川区)が15〜16年度、市から運営補助金約1000万円を不正受給していた疑いもある。園長は専従であることが受給要件だが、園長を務める籠池理事長の妻は、別の幼稚園で副園長として勤務している。この保育園では園児に虐待をしていた疑いもあるといい、市は調査を始めた。 
 
 
急転直下の申請取り下げ、保護者も衝撃「説明ない」 3/11
大阪市の学校法人「森友学園」が大阪府豊中市の元国有地で4月に開校を目指していた小学校の設置認可をめぐる問題で、学園側は10日、一転して大阪府への認可申請を取り下げ、籠池(かごいけ)泰典理事長が退任の意向を表明した。だが同じ日の午前、学園が運営する塚本幼稚園(大阪市淀川区)で開かれたPTAの会合では、籠池氏は今後の動向を不安視する数人の保護者を前に「まだ、あきらめない」と、自らの夢である小学校開設を改めて誓っていた。急転直下の方針転換のウラで何があったのか。学園側は今後、残されたさまざまな課題にどう対応するのか。校舎が建つ元国有地取得の経緯、学校認可をめぐる大阪府への虚偽報告、金額の異なる3種類の工事契約書…。次々と浮かぶ疑惑について、保護者らも報道ベースでしか知らない。子供を学園の小学校に入学させると決めていた人もいた。「一体、どうなんでしょうか」。籠池氏に真相をただしたが、要領を得なかったという。理事長退任や認可取り下げの話は一切出なかった。だが、このときのやり取りで取り下げを決意した、と籠池氏は後の記者会見で明かしている。進学先を公立学校に変更してもらうにしても、手続きのリミットがあるからだ。午前11時50分、学園の代理人弁護士が大阪府私学課に電話を入れた。「午後2時に会いたい」。面会時に小学校設置認可申請の取り下げが伝えられた。午前中の会合に出席していた保護者の男性にとっては、思ってもみない急展開だった。「やめるなら、直接言ってほしかった。僕らも説明を待っていた」と不満をにじませた。申請の取り下げは仕方がない。ただ、もし不正があったなら、まずはそれを認めるべきだ。「それと切り離して、教育内容は良いことをしているとはならないだろう」。会見を聞いても釈然としなかったという。府によると、学園の小学校に入学を予定していた子供は最終的に20〜25人になっていた。松井一郎知事は「地元小学校での受け入れがスムーズに行われるよう、府教育庁に早急に調整してもらいたい」とするコメントを発表した。開校予定地だった大阪府豊中市の元国有地は、買い戻し特約に基づいて、国が返還を求める方針だ。木材を多用した校舎は完成直前だったが、そうなると解体して更地にしなければならない。学園側は小学校建設工事の代金に加えて、新たに解体費用という債務を負うことになる。もともと財務状況が不安視されていただけに、経営への影響は大きいとみられる。国土交通省からも校舎建設に支給された補助金約5600万円の返還を迫られることになりそうだ。補助金をめぐっては、申請時に正規の工事代金である15億5520万円を大きく超える「23億8464万円」の契約書が出されていたことが明らかになっており、補助金適正化法に抵触する可能性もある。一方、小学校の認可申請をめぐって、学園が府に提出した契約書では工事代金が「7億5600万円」とされていた。府私学課は10日の会見で「虚偽の疑いが極めて強いとみている」との見解を示したが、「認可の虚偽申請について罰則規定は特にない。刑事告発は考えていない」とした。今後、認可の可否は判断しないが、数々の疑惑について事実確認を続ける。 
 
 
 
 
朴大統領を罷免、5月にも大統領選 韓国憲法裁 3/10
韓国の憲法裁判所は10日、国会に弾劾(だんがい)訴追された朴槿恵(パククネ)大統領(65)に対し、罷免(ひめん)を宣告した。朴氏が支援者のチェ・スンシル被告(60)に機密文書を流出させたことなどを違法行為と認定。「国民の信任を裏切り、憲法を守る観点から容認できない重大な法違反行為と見なければならない」とし、裁判官8人の全員一致で決定した。憲法裁判所の決定に上訴の制度はない。罷免決定は即時、効力が発生する。朴氏の罷免に伴って、次期大統領選は60日以内に行われる。投票日は5月9日が有力視されている。韓国で大統領が弾劾訴追によって罷免されるのは初めて。1987年の民主化以降、大統領が任期途中で辞任するのも初めて。大統領の権限は次の大統領が決まるまで、引き続き、黄教安(ファンギョアン)首相(59)が代行する。憲法裁は、朴氏が秘書官を通じて職務上の秘密に該当する文書をチェ被告に流出させたことを国家公務員法違反だと断定した。サムスン電子など企業からの資金拠出で設立された文化やスポーツに関する財団については、朴氏とチェ被告の意思決定で運営され、チェ被告の個人的な利益につながったと認定。朴氏はチェ被告の利益のために大統領の地位と権限を乱用したとした。さらに朴氏は「チェ被告の国政介入の事実を徹底的に隠し、疑惑が提起されるたびに否定し、むしろ非難した」とし、憲法と法律に違反した行為は朴氏の在任期間中全般にわたって継続して行われたと指摘。検察や特別検察官の事情聴取に応じる考えを表明していたにもかかわらず、拒否したことも挙げ、朴氏の一連の言動は「憲法を守る意志がみえない」とし、「罷免することで得られる憲法守護の利益が圧倒的に大きい」とした。憲法裁の罷免決定を受け、ソウル中央地検は、朴氏への捜査に本格的に着手する見通しだ。ソウル中央地検は文書流出などをめぐって朴氏をチェ被告や秘書官らとの「共犯」と位置づけている。韓国では憲法の規定で大統領は在職中に刑事訴追されないが、朴氏が罷免されたことから、検察は近く事情を聴取し、立件するとみられている。与野党は大統領選に向けた準備を本格化させる。韓国の調査機関「リアルメーター」が6〜8日に実施した次期大統領選に関する世論調査によると、進歩(革新)系で最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)前代表(64)が、支持率36・1%でトップを独走している。野党系の候補は慰安婦問題で日本側との再交渉を求めている。大統領選の結果によっては、日韓関係にも影響が及ぶ。 
 
 
韓国. 朴大統領の罷免決定 即日失職 憲法裁判所 3/10
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する国会の弾劾訴追を審理していた憲法裁判所は10日、朴氏の親友の崔順実(チェ・スンシル)被告による国政介入事件について、違法・違憲と認定し、それが在任期間の全般にわたって続いたとして、朴氏の罷免を言い渡した。朴氏は即座に失職し、60日以内に大統領選が行われる。投開票日は5月9日が有力視されている。韓国憲政史上、弾劾による大統領失職は初めて。憲法裁の裁判官8人(定員9、1人欠員)の全員が罷免に賛成した。規定では6人以上の賛成で罷免が決定される。国民の8割近くが弾劾に賛成していた世論を反映した形だが、朴氏を支持する保守層は強く反発しており、韓国社会の混乱は続きそうだ。李貞美(イ・ジョンミ)所長代行は決定文を読み上げ、国政介入事件について、朴氏が「大統領の地位と権限を乱用した」と認定。検察や特別検察官などの捜査に応じなかったことについて「違法行為が繰り返されないようにする憲法順守の姿勢がうかがえない」と指摘した。そのうえで「(朴氏の)違憲、違法行為は国民の信任に背き、重大な違法行為だ。(朴氏の)違法行為が憲法秩序に与える否定的な影響と波及効果は重大」として罷免が妥当だとした。一方、2014年の客船セウォル号沈没事故については、朴氏が当日、誠実に職務にあたったかどうかは「誠実の概念が抽象的だ」などとして、弾劾審判の判断対象とならないと退けた。朴氏は13年2月に韓国初の女性大統領に就任した。崔被告による国政介入事件は昨年10月、韓国メディアの報道で発覚。朴氏の支持率は過去最低の5%まで下落し、ソウル中心部では毎週末、朴氏退陣を求める市民による大規模集会が行われた。韓国国会は昨年12月、崔被告の国政介入などは違憲だとして弾劾訴追案を圧倒的多数で可決。憲法裁は(1)国民主権主義や法治主義に違反したか(2)大統領の職権乱用の有無(3)メディア弾圧を行ったか(4)14年客船セウォル号沈没事故対応で国民の保護義務に違反したか(5)収賄などにより違法行為を行ったか−−の五つの争点について、違憲もしくは重大な違法行為にあたるかを審理してきた。2月27日まで行われた弁論で、国会側は「朴氏が崔被告に政府高官人事など機密文書を流出させるなどし、国民主権主義に違反した」と主張。一方、朴氏側は「機密文書の流出はなく、崔被告が人事に介入した事実もない」などと全面的に否定してきた。朴氏はこれまで、現職大統領は原則として訴追されない韓国憲法の規定により逮捕を免れていたが、失職したことで近く検察に逮捕、起訴される可能性がある。検察は朴氏が崔被告と共謀した収賄などの容疑があると認定している。韓国では04年、選挙介入を行ったとして盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(当時)が国会で弾劾訴追されたが、憲法裁は弾劾に相当するほど重大ではないとして棄却。盧氏は2カ月ぶりに大統領職に復帰した。盧氏の弾劾棄却の際、憲法裁は「公職者の弾劾は重大な違法行為があった場合」に限定されると判断。「大統領職を維持することが許されない場合や、大統領が国民の信任を裏切り、国政を担う資格を失った場合」が該当するとの基準を示していた。  
 
 
朴大統領罷免「正しい」86%…韓国紙世論調査 3/11
韓国の朴槿恵パククネ前大統領(65)の罷免から一夜明けた11日、韓国各紙は罷免は不可避だったとの見方を示した上で、弾劾支持派と反対派の対立解消を呼びかけた。世論の多くは、10日の憲法裁判所による朴氏罷免の決定を支持した。毎日経済新聞などが10日に行った緊急世論調査によると、朴氏の罷免が「正しい」とした回答は86%に上り、「誤っている」とした12%を大きく上回った。罷免により起訴されない大統領特権を失った朴氏への捜査については69%が「逮捕」を、18%が「在宅起訴」を求めたのに対し、「捜査は不必要」とした回答は10%だった。 
 
 
父は“弾丸”で娘は“弾劾”で去った 全ては「姫」の限界だった 3/11
朴槿恵大統領が任期を全うできず青瓦台(大統領府)を追われることになった。それも“弾劾”という不名誉なかたちで。父、朴正煕(パクチョンヒ)は1979年、長期政権の途中、権力内部の暗闘が原因で側近に暗殺されている。父は“弾丸”で青瓦台から消えた。朴父娘の不幸な末路は韓国政治の激しさをあらためて内外に印象づけるものだ。娘の失敗は、経済発展で国を豊かにした父の“七光”で大統領になったものの、政治的指導力が父に及ばなかったことだ。そして自らは「清く正しく美しく」を看板にしながら、舞台裏では、どこかいかがわしくきわめて俗っぽい女実業家、崔順実(被告)なる“悪友”に人生を依存していたという意外な事実が、国民を失望させ怒らせた。朴槿恵氏は若くして母を北のテロで亡くし、父も非業の死を遂げるなど「悲運の公主(姫)」として人びとから同情と配慮を受けてきた。しかし政治指導者としては、国民との意思疎通や人材起用などがきわめて閉鎖的で独善的だった。政治的力量不足を自覚できず、それを補う手立ても知らなかったというのは明らかに「姫の限界」だった。彼女の悲劇は、父のおかげで大統領になったにもかかわらず父に学ばなかったことだ。軍人出身だった父は公私の区別は厳しく、人材登用と組織運用にたけていたが、娘は“疑似家族”になっていた私的な崔順実一族の勝手を排除できず、足をすくわれてしまった。彼女には父への裏切りもあった。父が65年、国民の反対を戒厳令で抑えて国交回復に踏み切った日本との協力は現在の韓国発展の基礎になった。その日本との関係を、最後は日韓慰安婦合意にこぎつけたものの長く悪化させた。中国への過度の接近もそうだ。朝鮮戦争の際、中国は“侵略国”だったのにその過去には一切触れず、天安門広場での対日戦勝70周年軍事パレードまで参観している。歴史を無視し、さらに“日韓離間”という中国の戦略に乗っかった。そこには「北の脅威」への備えに全力を尽くした父の苦心への思いはなかった。対中関係は今、逆に米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国への配備問題で中国から激しく責められている。対中接近策も明らかに失敗だった。朴氏は当初、保守政権として「非正常の正常化」を公約に、いわゆる民主化で乱れた法秩序の確立や、各界に浸透した親北・左翼勢力の排除を目指した。親北政党の解散や歴史教科書国定化などはそれにあたる。しかし崔順実スキャンダルでその公約もほごとなってしまった。しかも皮肉として最大の“業績”になるはずだった「次の政権を左翼・革新系の野党に渡さない」という課題も、風前のともしびだ。朴氏は弾劾・罷免にいたった崔順実スキャンダルを「仕組まれたもの」と不満を吐露していたが、その隙は明らかに彼女にあった。2008年に狂牛病問題をめぐる大規模な反米・反政府デモが起き都心を埋めたときのように、韓国政治は激しく予測が難しい。今回も反政府派の大規模ロウソク・デモに始まり、後に保守派の国旗デモが抵抗したが、結局、弾劾・罷免を要求する前者の“街頭圧力”が民意として憲法裁判所で認められた。これで“デモ政治”はさらに勢いづく。こうした韓国政治のスタイルは今後も続くことになる。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
2017/3