日本に学ぶ トランプ「1兆ドル」借金宣言

日本に学んだか  トランプも借金宣言
米インフラ投資 「1兆ドル」

世界の大国 借金漬けを目指す

景気・経済対策 借金以外の対策はないのか
教えてあげたい日本の死語 「質素倹約」「身の丈を知る」
 


 
 
 
大荒れトランプ政権、経済政策の命運を握る2人のキーパーソン 2/17
難局に直面する米国のトランプ政権が体勢を立て直すには、減税・インフラ投資などの前向きな経済政策を実現できるかどうかがポイントとなる。カギを握るのは、あまり報道されていない二人の人物、行政管理予算局(OMB)のミック・マルバニー局長と、経済担当のゲーリー・コーン補佐官だ。
トランプ政権は機能不全の瀬戸際
トランプ政権が揺れている。大統領側近のマイケル・フリン国家安全保障担当補佐官が辞任、労働長官に指名されていたアンディ・パズダー氏は議会承認を得られずに指名を辞退した。移民・難民の入国禁止に関する大統領令が全米で混乱を巻き起こす一方で、メディアでは連日のように大統領側近の仲たがいが伝えられる。トランプ政権は、機能不全に陥る瀬戸際にあるように見受けられる。
体勢の立て直しには、前向きな政策の実現が必要だ。なかでも重要なのが、ドナルド・トランプ大統領が主張してきた大型減税やインフラ投資である。大統領選挙後の米国の株価は、これらの積極的な財政政策の実現を期待して上昇してきた。その行方が不透明になるようでは、さらにトランプ政権の足もとは危うくなる。
日本にとっても、こうした政策の行方は見逃せない。トランプ大統領が主張してきた法人税の減税は、米国でビジネスを行う日系企業にも恩恵になる。インフラ投資についても、日本企業の参入機会が拡大するきっかけになるかもしれない。保護主義的な通商政策など、日米関係では気掛かりな政策が目立つだけに、なおさら、こうした前向きな政策の推進が期待される。
移民・難民の入国禁止のような問題含みの政策に比べると、こうした前向きな政策は出遅れ気味だった。入国禁止などは大統領令だけで進められるが、減税やインフラ投資などの財政を使う政策は、議会での立法が必要になる。その実現には、どうしても時間がかかる。
ムニューチン財務長官の人事が議会承認されるなど、経済分野に関するトランプ政権の人事は、ようやく陣容が整ってきた。議会での審議が本格化するこれからが、トランプ政権の正念場である。
財政運営の舵をとるマルバニーOMB局長
経済政策での失地挽回が必要なトランプ政権だが、そのカギを握る人物が二人いる。
その一人が、OMBのマルバニー局長である。耳慣れない名前かもしれないが、OMBは各省庁の予算をとりまとめ、政権としての提案を行うホワイトハウスの機関である。OMBが取りまとめた政権の方針は、毎年2月に「予算教書」として発表される。
減税やインフラ投資の提案も、この予算教書に含まれる。どの程度の減税や、インフラ投資を行うのか。トランプ大統領の意向を実際の数字に置き換えるのが、マルバニー局長の役割だ。
マルバニー局長の前職は、共和党の下院議員である。下院議員時代のマルバニー局長は、強烈な歳出削減論者として知られてきた。年金や医療保険、さらには国防費をも聖域とせず、歳出を減らす。それによって財政赤字を無くそうというのが、マルバニー局長の主張だった。
こうした議員時代のマルバニー局長の主張は、必ずしもトランプ大統領とは一致していない。トランプ大統領が公約してきた大型減税やインフラ投資は、財政赤字を拡大させる。年金や医療保険の削減も、トランプ大統領の公約には含まれていなかった。国防費に至っては、トランプ大統領は増額を謳ってきた経緯がある。
マルバニー局長と同様に、共和党のなかには、財政赤字の拡大に警戒心を隠さない議員が少なくない。トランプ大統領の公約と自らの主張、さらには、共和党議員の関心をどうすり合わせるのか。マルバニー局長の責務は重い。
着々と地歩を固めるコーン補佐官
もう一人、トランプ政権の経済政策を語るうえで見逃せないのが、NEC(国家経済会議)の議長であるゲーリー・コーン経済担当大統領補佐官だ。コーン補佐官は、大荒れに荒れるトランプ政権のなかで、着実に地歩を固めていると伝えられている。
トランプ政権では、とくに経済分野の人事が遅れていた。ムニューチン財務長官を議会が承認したのは、政権発足から3週間以上が経過した2月13日のこと。マルバニー局長の承認に至っては、2月16日までずれ込んだ。過去のOMB局長は、遅くとも政権発足から1週間以内には承認されている。まさに異例の事態だ。
そうしたなかで、トランプ政権の経済政策を陰で支えてきたのが、コーン補佐官だった。NECを担当する経済担当補佐官は、経済関連の閣僚の意見を取りまとめ、政権としての方針を大統領に提案する役割を担う。その閣僚が揃わない中では、コーン補佐官の存在感が高まるのは当然の成り行きだった。
コーン補佐官の手腕が発揮されたのが、2月3日に発表された金融規制の緩和に関する大統領令だ。コーン補佐官は、議会関係者などとの事前の調整を万全に進め、波乱なく仕事をやり遂げた。大混乱となった入国禁止の大統領令とは大違いである。トランプ大統領は、近々、具体的な減税案を提示するとしているが、そこでも、議会などとの事前の調整は、コーン補佐官が進めている模様である。
コーン補佐官の前職は、米金融大手ゴールドマン・サックス社の社長兼COO(最高執行責任者)。グローバルな経済・金融の現場に触れてきたのはもちろん、組織運営の経験も豊富である。報道によれば、多い時には一日に5回も呼び出されるなど、トランプ大統領の信頼を勝ち得ているようだ。
トランプ政権と言えば、「白人至上主義」的な思想が取りざたされるバノン首席補佐官や、対中強硬派でNTC(国家通商会議)を仕切るピーター・ナバロ氏が注目されてきた。マルバニー氏やコーン氏の動静は、それほど日本では報じられてこなかったが、トランプ政権の経済政策の命運は、この二人の双肩にかかっているといえそうである。 
 
「トランプ経済政策」が実行しにくい根本理由 2/22
英語に「キャビン・フィーバー(Cabin Fever=閉所熱)」という言葉がある。閉鎖された場所(キャビン:小屋)に閉じ込められた結果、精神的に不安定な状態になることを指す言葉だ。就任して1カ月余り、今のドナルド・トランプ大統領はまさにこの状態にあると言っていいだろう。
2017年2月18日、トランプ大統領はフロリダ州で遊説を行った。首都ワシントンを離れ、大勢の支持者を集めた選挙運動スタイルでの遊説を行った理由は、トランプ大統領のキャビン・フィーバー対策だったと伝えられる。自由気ままなニューヨークでの生活から、ワシントンのホワイトハウスに閉じ込められて約1カ月。政権運営は暗礁に乗り上げており、大勢の支持者の声援を受けさせることで、トランプ大統領を元気づける必要があったという。
はね返される「トランプ流」
実際、政権運営は、「大統領の壁」に突き当たっている。
国政経験の少ない大統領は、過去にも多かれ少なかれ、自己流の政権運営が通用しない現実に直面してきた。たとえば、アーカンソー州知事だったビル・クリントン大統領は、1992年の大統領選挙で当選すると、地元アーカンソーから旧知のスタッフを引き連れて、意気揚々とワシントンに乗り込んだ。
ところが、経済再建が売り物だったはずが、当時は世論が割れていた同性愛者が軍務に就くことを禁じた規定の撤廃問題にまず取り組んでしまったことなどから、いきなり乱気流に突入してしまう。ワシントンのしきたりを知らない大統領とスタッフの下で、政権の指揮系統は大きく混乱。1993年5月には、ワシントンの政治のプロであり、1980年代にはロナルド・レーガン政権にも参画していたデービッド・ガーゲン氏が、軌道修正のために招聘された。
政治の経験がないトランプ大統領に、ことさら高い壁が立ちはだかるのは当然だ。就任早々からトランプ大統領は、矢継ぎ早に公約の実現に乗り出した。閣僚の議会承認が遅れるのも、お構いなし。スティーブ・バノン首席戦略官など、少数の側近に頼った拙速な政権運営には、ビジネス界のスピーディな展開を、そのままワシントンに持ち込もうとする「トランプ流」の思惑が見える。
しかし、そうは問屋が卸さない。関係官庁や議会への根回しもなく発表された移民・難民の入国禁止に関する大統領令は、全米で大きな混乱を巻き起こした。数多く発表された大統領令の中には、ホワイトハウスのホームページに掲載された文言と、正式に発表された文言に相違があるなど、政権運営の混乱は明らかだ。
頼みの綱の側近も、その仲たがいが連日のように報じられるありさまだ。2月に入ると、どこからともなく、「誰かが混乱収拾のために辞任させられる」とのうわさが立ち始めた。実際に、2月13日には、国家安全保障担当のマイケル・フリン補佐官が、就任前のロシア政府との接触を問題視され、就任1カ月を待たずに辞任に追い込まれている。
トランプ政権の出足が不安定である背景には、「自己流が通じない」というだけではない、もうひとつの「壁」がある。米国議会の存在だ。減税やインフラ投資など、トランプ大統領に期待されてきた前向きな経済政策は、大統領の力だけでは実現できない。米国議会という壁を乗り越えるには、そもそも時間が必要だった。
経済政策実現に後ずれのリスク
トランプ大統領が矢継ぎ早に実現してきた公約は、大統領権限で実行できる内容に限られる。移民・難民の入国禁止に代表される厳格な移民政策や、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定からの撤退などの保護主義的な通商政策のように、大統領権限だけで実行できる政策は、論争的な内容が多かった。
その一方で、トランプ大統領に期待されてきた「前向きな経済政策」を実現するためには、米国議会での立法が必要になる。減税やインフラ投資など、財政を使うような政策は、大統領権限だけでは実行に移せない。こと財政に関しては、議会の権限は大きい。大統領と議会が並列的な関係にある米国の制度を考えれば、経済に好ましい政策が出遅れるのは避けようがなかった。
伝統的に米国では、大統領と議会が適度な緊張関係にある。議会の多数党が、大統領が属する政党と同じであったとしても、黙って大統領の方針に従ってきたわけではない。大統領の提案を受け止めたうえで、議会は議会の立場で立法作業を進めていくのが通例である。各党の党議拘束は日本ほど強くなく、議員個人の意見が反映されやすいのも、米国議会の特徴だ。
注目されるのが、上下両院で多数党の座にある共和党議員たちの動向である。来年11月には、議会が改選となる中間選挙が実施される。4年の任期が始まったばかりのトランプ大統領より先に、共和党の議員たちは選挙の洗礼を受けなければならない。移民・難民に対するトランプ大統領の過激な言動などには、共和党議員からも反発の声が上がっている。
ただ、トランプ大統領が政策運営に失敗すれば、同じ政党に属する共和党の議員も巻き添えとなり、自分たちの再選が危うくなりかねない。どこまでトランプ大統領を支えていくべきなのか。共和党の議員たちは、難しい判断を迫られている。
トランプ大統領は、中間選挙を控えた共和党議員たちの不安を和らげ、経済政策に対する支持を獲得する必要がある。トランプ大統領が政権運営に勢いをつけるためには、期待されてきた経済に向けた好ましい政策を、議会で着実に立法化していく必要があるからだ。ようやく閣僚の議会承認が進み、経済政策に関する議会審議が本格化するこれからが、トランプ大統領の正念場である。
トランプ大統領にとって気掛かりなのは、「トランプ流」を押し通そうとした反動で、経済に好ましい政策の実現が、さらに後ずれしかねない点である。移民・難民の入国禁止をめぐる混乱や、フリン補佐官が辞任する原因となったロシアとの関係などについて、議会にはトランプ大統領への不信が高まっている。議会で多数党を占める共和党の議員が大統領を支持しきれないと判断した場合には、経済政策に関する今後の議会審議にも悪影響が及ぶ。
トランプ大統領が混乱収束に向けたダメージコントロールに体力を割かざるをえないことも、経済政策の実現には暗雲だ。トランプ大統領は、2月28日に議会で演説を行う。本来であれば、経済政策への賛同を呼びかけるべき演説だが、このままだと、入国規制に関する正当性を主張するなど、経済政策以外の論点が注目される展開になりかねない。
「現実派閣僚」が実権握る可能性も
「壁」がプラスに働く可能性はある。クリントン政権がガーゲン氏を招聘したように、政治経験の浅い大統領が直面してきた壁は、過激な政策の角を取り、新しい政権が円滑な政策運営に軌道修正する機会を作り出してきた。トランプ政権においても、フリン補佐官の辞任によって、ジェームズ・マティス国防長官を筆頭とした現実派が、外交・安全保障政策の中心となってきた気配がある。経済政策においても、ゲーリー・コーン経済担当補佐官は、議会などとの根回しに心掛けた政策立案を進めているという。
スティーブン・ムニューチン財務長官など、主要な経済閣僚の議会承認が遅れる中で、国家経済会議(NEC)の議長を務めるコーン補佐官は、減税や規制緩和など、トランプ政権の経済政策の立案を一手に引き受けてきたもようである。米金融大手ゴールドマン・サックス社の社長兼最高執行責任者(COO)にまで上り詰めた実力者であり、多いときには1日に5回も呼び出されるほど、トランプ大統領の信任を得ているといわれる。
トランプ大統領にとって幸いなのは、米国経済が好調であることだ。トランプ政権のつまずきにもかかわらず、米国の株式市場はおおむね好調を維持してきた。中小企業の景況感などを見ても、将来に対する楽観的な雰囲気は明らかだ。
減税やインフラ投資など、経済政策に関する議会の審議は、早くても今年の夏ごろまでは終わらない。「政策への期待」だけでつなぐには、いささか長い期間である。トランプ大統領が体勢を立て直すには、引き続き好調な米国経済の後ろ盾が必要になりそうだ。 
 
 
 
経済政策、具体策見えず 実現は難航確実 3/1
トランプ米大統領の施政方針演説は「米国のエンジンを再起動する」と経済成長重視の姿勢を鮮明にしたものの、政策の具体策は見えてこなかった。中間層の再興や米企業の競争力強化のカギとなる税制改革などの言及は、選挙公約から大差なく、政策実現の難しさが浮き彫りになった。
トランプ氏は演説で北米自由貿易協定(NAFTA)発効から現在までに製造業の雇用が4分の1失われ、2001年の中国の世界貿易機関(WTO)加盟後には6万件の工場閉鎖が相次いだと指摘した。
しかし、成長の処方箋は就任から1カ月以上がたっても不透明だ。競争力強化のため企業や中間層に重点を置いた減税案はなお「策定中」。財源捻出や財政赤字の拡大回避の方策も「無駄の削減」や「成長による税収増」を唱えるばかりで全体像は示せていない。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱は実現したものの、NAFTAの再交渉開始に必要な議会への報告はまだだ。「公正な貿易」を訴えるが、自由貿易に背を向けるだけでは、成長の道筋は見通せない。
オバマ政権は発足1年目の2009年2月には総額7870億ドル規模の景気対策法を成立させた。息子ブッシュ政権も1年目の01年2月には減税法案を議会に提出し、6月の成立にこぎつけた。歴代政権と比べ、経済運営のスピード感の欠如は明らかで、今後の展開次第では支持層に失望が広がる可能性もある。 
 
トランプ氏 . 経済政策足踏み 期待先行、具体策なく 3/2
トランプ米大統領は28日の議会演説で、経済成長を加速させるため「1兆ドルのインフラ投資」と「歴史的な税制改革」の実施を表明した。ただ、財源確保策の具体論には最後まで踏み込まなかった。計画を練る与党・共和党がトランプ氏の方針明示を待つ状態は今後も続きそうで、政策の停滞感はぬぐえなかった。
「国家規模の立て直しを開始するため、議会に1兆ドル(約113兆円)のインフラ投資の承認をお願いする。数百万人の雇用を創出することになる」。トランプ氏は大統領選の公約だったインフラ投資拡大への協力を正式に要請した。議場は大きな拍手に包まれたが、肝心の具体策には乏しかった。財源は「税金と民間資金を投じる」と述べただけ。共和党では財政赤字の拡大を嫌う傾向が強く、野放図なインフラ投資拡大には足元から反対の声があがる可能性が高い。
税制改革では「法人税率を引き下げ、(海外企業との)競争を可能にする。同時に中間層に大幅な減税措置を実施する」と意欲を表明した。ただ、法人税率を現在の35%から15%に引き下げると唱えた大統領選中とは違い、この日は具体的な減税幅には触れずじまい。賛否をめぐり産業界を二分する「国境税」についても直接取り上げることを避け、「米企業は(海外で)高税率を課され、事業展開が非常に難しくなっている」と是正に取り組む姿勢を抽象的に語るにとどめた。
昨年11月のトランプ氏当選決定以降、市場では期待が先行する形で株価が大幅に上昇してきた。期待と現実のギャップを埋めるため、市場では「演説でトランプ氏から具体策が聞きたい」との声が強まっていた。ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は演説直前の28日、13営業日ぶりに史上最高値の更新が途切れたが、肩すかしとなった演説内容への市場の反応が一段と注目されそうだ。
トランプ政権は、共和党内に反対論がある中、インフラ投資や税制改革の関連法案通過に向け、野党・民主党に協力を求める必要が出てくる。民主党側は、トランプ氏が見直しを約束した医療保険制度改革(オバマケア)の維持を取引材料に持ち出す可能性があり、トランプ政権は身動きが取れなくなりつつある。トランプ氏はこの日、オバマケア見直しでも具体策を示せず、演説に先立ち「オバマケアがこれほど複雑だとは誰も知らなかった」と述べ、いらだちをのぞかせた。  
 
トランプ氏 . 米インフラ投資「1兆ドル」 財源示さず 3/2
トランプ米大統領は2月28日に行った就任後初の連邦議会向けの演説で、協調姿勢をアピールした。大幅減税を含む税制改革や1兆ドル(約113兆円)規模のインフラ投資などの公約実現には議会の協力が不可欠なためだ。「トランプ流」の発言は抑制し、超党派の取り組みを求めた。
上下両院合同会議で行った演説で、トランプ氏は就任後約40日間を振り返り、企業の国内回帰による雇用創出や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱など「実績」を誇示。一方で「共和、民主両党の議員にお願いしたい」「我々は同じ運命を共有する一つの国民だ」などと繰り返して結束を呼びかけた。
大統領選から続く深刻な党派対立を意識した内容で、減税や「崩壊している」と指摘した医療保険制度改革(オバマケア)の代替案導入などの公約実現には議会での関連法案成立が不可欠な事情も背景にある。
トランプ氏は、老朽化した道路や橋などの補修を主とした1兆ドル規模のインフラ整備について「税金と民間資金を使い数百万人の雇用を生む」と説明。「高速道路網を建設したアイゼンハワー政権(1953〜61年)以来の国家規模プロジェクトになる」と語った。
目玉公約としてきた不法移民規制に関しては「(米国民の)賃金を上昇させ、失業者を支援し、安全な社会を実現する」と、その経済効果を強調した。中東・アフリカのイスラム圏からの入国を一時禁止する措置については「米国を過激派の聖域にしてはならない」として正当性を訴えた。
安全保障面では「米史上最大級の増額」をした国防予算案を議会に提出すると表明。過激派組織「イスラム国」(IS)の「せん滅と破壊」を目指すと述べた。北大西洋条約機構(NATO)の枠組みを「強く支持する」一方で、NATO加盟国や中東、太平洋地域の同盟国に「応分負担」を要請。「私の務めは世界を代表することでなく、米国を代表することだ」とくぎを刺した。
演説では、選挙で掲げた公約を列挙し「国民との約束を守る」と強調したが、広範な減税による税収減分の穴埋め策や、インフラ投資の財源など具体的な施策の説明はなかった。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は「高尚で散文的な表現が目立ち、詳細な説明は少なかった」と評した。  
 
 
身の丈を知る
分をわきまえる
身の程を知る
自分を過大評価しない
 
 
 
 

 
2017/3