経団連 2016年度事業方針
・・・国民が一体となって
経済・社会全般に亘る改革を力強く進めれば
2020年にはGDP600兆円を達成できる・・・
「大政翼賛会」 年寄りは昔を思い出します
■GDP600兆円経済の実現 |
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・・・国民が一体・・・の意味 |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ●仮説1 経団連 平成の「大政翼賛会」を目指します よいしょ 安倍政権 |
![]() ![]() ![]() ●仮説2 戦前の歴史を知らない人たちが 軽い気持ちで書いた 「言葉の重み」など 配慮なし したがって 事業方針も中身はただの作文です |
![]() ![]() ![]() ●仮説3 どうせ達成できない目標 達成できなかった時の理由づくり 「国民がバラバラでした」 |
![]() ![]() ![]() ●仮説4 GDP600兆円経済の実現 国民=政府だのみ もしかして 「国民」ではなくて「官民」の誤記 |
● (1) 戦略的プロジェクトの実施
政府との密接な連携の下、「日本再興戦略2016」に盛り込まれた「官民戦略プロジェクト10」への取組みを進めていく。 ● (2) 科学技術イノベーションを基軸とするSociety 5.0の推進 (科学技術イノベーション) 政府に対して、政府研究開発投資の対GDP比1%(2016年度から5年間で総額26兆円)の確保、ベンチャー育成への支援を働きかける。 (Society 5.0) 政府に対して、第5期科学技術基本計画を確実に実施し、省庁横断的にSociety 5.0を推進するよう求める。また、質の高いデータを適切かつ効率的に収集するとともに、利活用の推進を図る制度の整備を働きかける。 ● (3) 経済連携の推進と経済外交の積極展開 官民を挙げた経済外交の展開により、TPP協定の署名、わが国の高品質なインフラの輸出など、具体的な成果があがっている。引き続き、諸外国との経済関係の更なる強化を図る必要がある。 (TPP協定と経済連携) 政府に対して、TPP協定参加国における批准手続の進展、更には参加国の拡大に取組むことを求める。RCEP、日中韓FTA、日EU EPAについても、政治のリーダーシップにより、包括的で高いレベルの協定に早期に合意するよう働きかける。 (インフラ輸出) 政府に対して、経協インフラ戦略会議の司令塔機能を強化し、民間のニーズを踏まえつつ、技術とファイナンスを適切に組合せることで、受注実績に結び付けていくよう求める。また、品質やライフサイクル・コストなどを総合的に評価する入札制度の定着をはじめ、相手国の法制度整備への働きかけを求める。 (経済外交) 政府に対して、米国、アジアをはじめ諸外国との一層の関係強化を求める。 ● (4) 新たな成長機会の創出に向けた規制改革 政府に対して、規制改革会議の後継機関を設置し、産業構造の変化を見据えた規制改革や岩盤規制の改革を進めるよう働きかける。また、電子行政の推進、マイナンバー制度の運用円滑化と民間利活用の促進を働きかける。 ● (5) 農業の競争力強化・成長産業化 政府に対して、企業の農地所有適格法人への出資規制の撤廃、農地集積の促進など、農業の事業環境整備・生産基盤強化を働きかける。また、農産物輸出を拡大するため、政府間協議の推進などを求める。 ● (6) 観光の振興 政府に対して、推進体制の強化やMICE戦略の立案遂行を求める。また、空港・港湾の整備、多言語対応の強化、キャッシュレス決済の普及をはじめとするハード・ソフトインフラの整備などを通じて、国内旅行者及び訪日旅行者の都市・地域での受入れ体制を強化するよう働きかける。 |
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●GDP600兆円経済の実現に向けて
−2016年度事業方針− 2016年6月2日 一般社団法人 日本経済団体連合会 |
経団連は、昨年1月に、2030年までに目指すべき国家像を描いた将来ビジョンを取りまとめ、今後の行動指針として掲げた。この中で、国民が一体となって、経済・社会全般に亘る改革を力強く進めれば、2020年にはGDP600兆円を達成できることを示した。
現下の最重要課題は、デフレ脱却と経済再生を確実に実現し、GDP600兆円経済に向けた確固たる道筋をつけることである。 そのためには、まず、足踏み状態にある個人消費を上方トレンドに持ち上げる必要がある。そこで政府に対しては、消費喚起に向けた即効性ある対策の実行を働きかけるとともに、設備投資や研究開発投資の拡大に向けて、事業環境のイコールフッティングを求めていく。また、官民が英知やリソースを結集し、GDP押上げ効果のあるプロジェクトを複数設定した上で、着実に実施していくことが肝要である。 さらに、日本経済が持続的に発展するためには、将来の展望を描きながら、「イノベーション」と「グローバリゼーション」を軸に成長戦略を強化する必要がある。特に、時代を牽引する基幹産業(IoT、人工知能・ロボット、スマートシティ、バイオテクノロジー、海洋資源開発、航空・宇宙)の育成、魅力ある商品・サービスの開発への不断の取組みが欠かせない。 このような認識に立って、経団連は下記の課題に積極的に取組み、GDP600兆円経済を確かなものとし、「豊かで活力ある国民生活」を実現する。 |
●記
●1. 震災復興の加速と新しい東北の実現 ●2. GDP600兆円経済の実現に向けた成長戦略の推進 (1) 戦略的プロジェクトの実施 (2) 科学技術イノベーションを基軸とするSociety 5.0の推進 (3) 経済連携の推進と経済外交の積極展開 (4) 新たな成長機会の創出に向けた規制改革 (5) 農業の競争力強化・成長産業化 (6) 観光の振興 ●3. 成長戦略を支える強い基盤の確立 (1) 財政健全化・社会保障制度改革への着実な取組み (2) 経済成長と両立するエネルギー・環境政策の構築 (3) 企業活力の向上に資する法人税改革 (4) 女性の活躍推進と働き方改革 (5) 次代を担う人材育成の推進 (6) サイバーセキュリティ・テロ対策の強化 ●4. 人口1億人の維持と魅力ある都市・地域の形成 (1) 人口減少問題への対策強化 (2) 地域経済の活性化 (3) 都市機能の充実 ●5. 東京オリンピック・パラリンピック等の成功 ●6. 経団連改革の継続 |
●アクション・プログラム |
●1.震災復興の加速と新しい東北の実現
東日本大震災から5年が経ち、生活拠点の再生や公共インフラの復旧には一定の目処がついてきた。しかし、本格復興に向けては、これからが正念場である。産業復興を着実に進め、新しい東北を創生していく必要がある。 経団連は、東北の経済界との連携の下、事業活動を通じた産業復興を支援する。国民の記憶の風化防止に取組むとともに、被災地産品の消費拡大への協力呼びかけなどを通じて、風評被害の克服に貢献する。また、被災地の復興に向けた国・自治体、NPOなどの取組みの情報提供を行う。 政府に対して、被災地の産業再生、原子力災害被災地域の復興への継続的な取組みを働きかける。 熊本県熊本地方を震源とする地震についても、政府と協力しながら、被災者支援、産業復興、雇用維持に取組んでいく。 |
●2.GDP600兆円経済の実現に向けた成長戦略の推進
(1) 戦略的プロジェクトの実施 GDP600兆円経済の実現に向けては、10兆円規模の経済効果が期待できるプロジェクトを複数設定し、強力に推進していく必要がある。 経団連は、政府との密接な連携の下、「日本再興戦略2016」に盛り込まれた「官民戦略プロジェクト10」への取組みを進めていく。 (2) 科学技術イノベーションを基軸とするSociety 5.0の推進 IoT、ロボット、人工知能などの革新的技術が、産業構造や社会構造を劇的に変化させる時代が到来している。経済・社会的な課題の解決に向けて、国家戦略としてSociety 5.0を推進し、世界に先駆けて超スマート社会を実現するとともに、その成果を広く諸外国に展開していく必要がある。 (科学技術イノベーション) 経団連は、産学官や大企業とベンチャー・中堅・中小企業の連携をはじめ、オープンイノベーションを促進するとともに、IoT、ロボット、人工知能などの分野における設備投資や研究開発投資の拡大を呼びかける。政府に対して、政府研究開発投資の対GDP比1%(2016年度から5年間で総額26兆円)の確保、ベンチャー育成への支援を働きかける。 (Society 5.0) 経団連は、Society 5.0の深化に向けて、各企業の取組みの連携を図るとともに、基盤技術の強化や国際標準化の推進に貢献する。政府に対して、第5期科学技術基本計画を確実に実施し、省庁横断的にSociety 5.0を推進するよう求める。また、質の高いデータを適切かつ効率的に収集するとともに、利活用の推進を図る制度の整備を働きかける。 (3) 経済連携の推進と経済外交の積極展開 官民を挙げた経済外交の展開により、TPP協定の署名、わが国の高品質なインフラの輸出など、具体的な成果があがっている。引き続き、諸外国との経済関係の更なる強化を図る必要がある。 (TPP協定と経済連携) 経団連は、各国経済団体との連携によるTPP協定の早期発効の後押しや、非参加国への参加呼びかけを行うとともに、シンポジウムの開催などにより、協定の積極的な活用を促していく。また、日EU間の業界対話などを通じて、規制協力を推進する。政府に対して、TPP協定参加国における批准手続の進展、更には参加国の拡大に取組むことを求める。RCEP、日中韓FTA、日EU EPAについても、政治のリーダーシップにより、包括的で高いレベルの協定に早期に合意するよう働きかける。 (インフラ輸出) 経団連は、主要国別に企業の関心分野を取りまとめ、インフラ輸出戦略の的確な進展に貢献する。政府に対して、経協インフラ戦略会議の司令塔機能を強化し、民間のニーズを踏まえつつ、技術とファイナンスを適切に組合せることで、受注実績に結び付けていくよう求める。また、品質やライフサイクル・コストなどを総合的に評価する入札制度の定着をはじめ、相手国の法制度整備への働きかけを求める。 (経済外交) 経団連は、米国事務所の活用やミッションの派遣により、米国の連邦・州レベルでの交流促進、在米日系企業の米国経済への貢献などに関する情報発信に取組む。アジア諸国(特に隣国である中国、韓国)とも、ミッションの派遣や合同会議の開催を通じて、経済交流を図る。欧州、中南米、中東・アフリカ各国やロシアなどとも、経済関係を強化する。政府に対して、米国、アジアをはじめ諸外国との一層の関係強化を求める。 (4) 新たな成長機会の創出に向けた規制改革 規制改革は、新たな成長機会を生み出す推進力であり、成長戦略の中核を成すものである。 経団連は、規制改革要望の取りまとめを通じて、民間の創意工夫の更なる発揮や事業環境の国際的なイコールフッティングの確保を促進する。 政府に対して、規制改革会議の後継機関を設置し、産業構造の変化を見据えた規制改革や岩盤規制の改革を進めるよう働きかける。また、電子行政の推進、マイナンバー制度の運用円滑化と民間利活用の促進を働きかける。 (5) 農業の競争力強化・成長産業化 わが国農業は、潜在的な成長力の高い分野である。抜本的な構造改革により、こうした潜在力をいかんなく発揮し、農業の競争力強化と成長産業化を図る必要がある。 経団連は、農業界との「連携プラットフォーム」を拡充し、具体的な連携プロジェクトを創出することで、農業の競争力強化・成長産業化を後押しする。 政府に対して、企業の農地所有適格法人への出資規制の撤廃、農地集積の促進など、農業の事業環境整備・生産基盤強化を働きかける。また、農産物輸出を拡大するため、政府間協議の推進などを求める。 (6) 観光の振興 観光は、幅広い産業への波及効果があり、成長戦略の柱として推進すべき重要な分野である。東京オリンピック・パラリンピックをひとつの契機として、より高いレベルでの観光立国を実現していく必要がある。 経団連は、観光立国推進基本計画への意見の反映を図る。「観光インターンシップ」による高度観光人材の育成に取組むとともに、地方へ展開する。また、減少傾向にある国内観光需要の拡大に向けて、学校休業日にあわせた年3日程度の追加的な年休取得を呼びかける。 政府に対して、推進体制の強化やMICE戦略の立案遂行を求める。また、空港・港湾の整備、多言語対応の強化、キャッシュレス決済の普及をはじめとするハード・ソフトインフラの整備などを通じて、国内旅行者及び訪日旅行者の都市・地域での受入れ体制を強化するよう働きかける。 |
●3.成長戦略を支える強い基盤の確立
(1) 財政健全化・社会保障制度改革への着実な取組み 健全な財政状況の確立は、経済の持続的発展と豊かな国民生活を支える基盤であり、国民や企業の将来不安の解消にも資する。財政健全化に向けては、デフレ脱却・経済再生、社会保障改革を中心とする歳出改革、消費税を含む歳入改革の3本柱を一体として推進する必要がある。 政府に対して、2020年度のプライマリーバランス黒字化に向け、「経済・財政再生アクション・プログラム」を着実に実行するよう働きかける。この一環として、医療・介護分野の給付の効率化・適正化に向けた制度改革を求める。 また、消費税率引上げに向けた環境整備や、軽減税率に伴う事業者の事務負担軽減への配慮を働きかける。 (2) 経済成長と両立するエネルギー・環境政策の構築 エネルギーは、国民生活や事業活動の基盤である。安全性の確保を大前提に、エネルギー安全保障(安定供給)、経済性、環境適合性のバランスのとれたエネルギーミックスを実現する必要がある。とりわけ、原子力と化石燃料を有効活用することは、経済性ある価格による安定的な供給を維持する上で不可欠である。 同時に、地球環境問題は、人類にとって喫緊の課題である。気候変動政策とエネルギー政策は表裏一体であることを踏まえ、経済と両立する実効ある環境政策を推進する必要がある。 (エネルギー) 経団連は、省エネの徹底や、再生可能エネルギーなどの技術開発の推進を呼びかけるとともに、原子力に対する国民の理解促進に取組む。また、今後の政府による検証に向けて、電力小売の全面自由化の影響を評価する。政府に対して、安全性の確認された原子力発電所の再稼働の着実な推進、再生可能エネルギーの固定価格買取制度見直しの早期実現を求める。 (環境) 経団連は、「低炭素社会実行計画」を着実に推進するとともに、同計画で培ったプレッジ&レビュー アプローチの知見を国際的に発信する。また、家庭部門のCO2削減に向け、政府が推進する「COOL CHOICE 推進チーム」に協力する。政府に対して、COP21で採択されたパリ協定を踏まえ、地球規模の温室効果ガスの削減を目指し、経済成長と両立する気候変動政策の推進を働きかける。また、主要排出国に対して、パリ協定の確実な批准を呼びかけるよう求める。 (3) 企業活力の向上に資する法人税改革 企業の国際競争力を強化するとともに、わが国の立地競争力を高める観点から、法人税改革を進めていくことが不可欠である。 経団連は、法人実効税率が20%台に引き下げられたことを踏まえ、設備投資や研究開発投資を拡大させるよう呼びかける。 政府に対して、アジア近隣諸国並みの法人実効税率25%を目指しつつ、特に研究開発税制を維持・拡充するよう求める。 (4) 女性の活躍推進と働き方改革 少子高齢化とグローバル化の下で企業が持続的に成長を遂げていくためには、組織の多様性を確保することが重要である。誰もが働きやすい職場環境を整備することにより、女性をはじめ、若者、高齢者、障害者、外国人など、多様な人材の労働市場への参入と活躍(Diversity & Inclusion)を促進する必要がある。 (女性の活躍) 経団連は、「女性活躍アクション・プラン」を着実に実施する。政府に対して、理工系女性人材の育成やキャリア教育の充実、働き方に中立的な税制・社会保障制度の実現を働きかける。 (働き方改革・非正規労働者の処遇改善) 経団連は、恒常的な長時間労働の解消に向け、企業の先進事例の共有などに取組む。「年休等取得促進キャンペーン」を実施するとともに、従業員の健康増進と生産性向上に向けて健康経営を推進する。また、意欲と能力のある非正規労働者の正社員への転換や待遇の改善を呼びかける。政府に対して、時間でなく成果で評価する労働時間制度の導入、裁量労働制の対象拡大など、労働基準法改正案の早期成立・施行を求める。 (5) 次代を担う人材育成の推進 変化が激しく、将来が展望しにくい状況において経済成長を実現するためには、開かれた質の高い教育や学び直しによる生涯学習を通じて、産業構造や社会の変化に主体的に対応し、世界で活躍する人材やイノベーションを起す人材を育成する必要がある。 (人材育成・教育改革) 経団連は、「グローバル人材育成推進事業」を実施するとともに、経済広報センターと連携して、企業などが実施している教育支援活動を更に推進する。政府に対して、第2期教育振興基本計画などを踏まえ、グローバル人材やイノベーション人材に求められる教養や英語によるコミュニケーション能力の育成に資する教育改革を、初等中等教育段階から高等教育段階まで一貫したかたちで着実に推進するよう働きかける。また、児童・生徒が、将来、社会で自立していけるよう、初等中等教育を通じて幅広い基礎学力の修得をより確実なものとするとともに、専門職業教育についても拡充することを求める。 (大学改革) 大学に対して、自主的な改革への取組みを促す。具体的には、学長のリーダーシップにより、各大学が強みや特色を活かし魅力ある大学づくりを進めることや、大学のグローバル化の推進、ガバナンス改革による経営刷新を求める。 (6) サイバーセキュリティ・テロ対策の強化 東京オリンピック・パラリンピックを控え、サイバー攻撃やテロの脅威への懸念が増す中、その対策が喫緊の課題となっている。特にサイバーセキュリティについては、IoTの進展に伴い、個人情報漏洩や企業の機密情報の不正窃取のリスクが増大するとともに、通信、放送、金融、電力、鉄道などの重要インフラに重大な障害が生じる可能性もある。 経団連は、サイバーセキュリティの確保やテロへの対応を経営上のリスク管理の重要項目と位置付けるよう、経営層の意識改革を促す。 政府に対して、重要インフラへの対策の一層の強化を図るとともに、脅威情報や分析結果などの民間への情報共有、人材育成や技術開発に取組むよう求める。 |
●4.人口1億人の維持と魅力ある都市・地域の形成
(1) 人口減少問題への対策強化 国家が一定規模の総人口を維持することは、経済・社会の活力を維持する上で必須の条件である。直ちに出生率改善に向けた取組みを進める。併せて、労働力不足対応などの観点から、外国人材の受入れを促進する必要がある。 (少子化対策) 経団連は、出産・育児期の女性の就労継続支援、男性の育児休業の取得促進など、出産・育児がしやすい職場環境の整備を呼びかける。また、事業所内保育所の活用など、待機児童解消施策への協力を促す。政府に対して、希望出生率1.8の実現に向けて、結婚・出産の希望が実現できる環境の整備、高齢者に手厚い歳出構造の見直しや税財源の確保による子育て支援の拡充を求める。 (外国人材) 経団連は、外国人材の受入れ促進に向けた課題について検討を進める。また、外国人留学生の就労促進を呼びかける。政府に対して、高度人材を一層積極的に受入れるとともに、幅広い外国人材の受入れを促進するよう働きかける。 (2) 地域経済の活性化 地域経済の活性化なくして、日本経済の再生はない。地域の自立的な経済発展の促進に向け、地域の中核企業の競争力強化、農業や観光の振興が必要である。 経団連は、地方経済団体・商工会議所との連携の下、大企業と地方のベンチャー企業とのマッチングの促進をはじめ、「地方創生に向けた経団連アクションプログラム」を実行する。 政府に対して、まち・ひと・しごと創生本部を中心に、地域経済の活性化に着実に取組むよう働きかける。特に、地域の中核企業の競争力強化に向けて、地方版総合戦略の遂行や企業間・産業クラスター間連携への支援などを求めるとともに、地域が独自の成長戦略を主体的に実施できる体制の構築に向けて、将来的な道州制実現を見据えつつ、地方分権改革を推進するよう働きかける。また、熊本県熊本地方を震源とする地震なども踏まえ、防災・減災対策や国土強靭化の一層の推進を働きかける。 (3) 都市機能の充実 企業活力を存分に発揮できるビジネス環境を整備するためには、PPP/PFIを活用しながら、企業活動の舞台となる都市の魅力を高め、国内外からヒト、モノ、カネ、情報を引き付ける必要がある。 経団連は、国・自治体との連携の下、各都市がそれぞれの個性を発揮できるよう、民間の創意を活かす取組みを通じて、都市機能の高度化に貢献する。 政府に対して、都市機能のコンパクト化を進めるとともに、中核都市と周辺地域間において産業、物流、交通などのネットワークを強化することを求める。 |
●5.東京オリンピック・パラリンピック等の成功
東京オリンピック・パラリンピックは、前年に開催されるラグビーワールドカップ及び翌年に開催されるワールドマスターズゲームズと併せて、わが国に新たな活力をもたらし、成長力を強化していく絶好の機会である。 経団連は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会などとの連携の下、オリンピック・パラリンピック等経済界協議会などを通じて、大会の成功ならびにレガシーづくりを積極的に支援する。 政府に対して、大会の開催に向けた万全の準備はもとより、開催後も見据えたレガシーの形成を働きかける。特に、バリアフリー化を進め、世界の見本となるようなバリアフリー社会を構築するよう求める。 |
●6.経団連改革の継続
経団連は、社会からの信頼と期待の下で、国益や将来を見据えた政策提言と、実現に向けた働きかけを行う。そのため、自らの改革を継続する。 経済三団体はもとより、地方経済団体や海外の経済団体との連携を強化していく。また、委員会相互の連携を図り、より横断的な政策提言を行うとともに、インターネットを用いた広報の改善など、広報活動を強化し、経団連の考え方の周知を図る。更に、会員専用サイトの開設、会員相互の交流機会の充実などに取組み、会員との密接なコミュニケーションを図りつつ、行動する。 |
●「人口減少社会とGDP600兆円」 (2015/12) |
●アベノミクス第2弾
「名目GDPを600兆円にする」と聞いて驚いた。言うまでもなく安倍内閣が掲げた「新三本の矢」の話である。日本の名目GDPが21世紀に入ってから500兆円前後で推移していることを前提に考えれば、この600兆円はかなりインパクトのある数字である。ニュースでも大きく取り上げられ、さまざまな議論が巻き起こったのも当然だろう。この600兆円という数字は、アベノミクス第2弾の認知度を高めるという大きな役割を果たした。しかし、本当に達成可能な目標なのだろうか。 まず、新三本の矢について復習しておこう。 第一の矢は『希望を生み出す強い経済』であり、現在の名目GDP500兆円を600兆円にすることが目標となっている。 第二の矢は、『夢をつむぐ子育て支援』で、結婚や出産等の希望が満たされることにより希望出生率1.8がかなう社会の実現である。具体的には待機児童解消、幼児教育の無償化の拡大(多子世帯への重点的な支援)等が課題となっている。 第三の矢は、『安心につながる社会保障』であり、介護離職者数をゼロにすることが目標となっている。このため、多様な介護基盤の整備、介護休業等を取得しやすい職場環境整備を進め、「生涯現役社会」を構築するとしている。 この「新三本の矢」は「矢」ではなく、「的」ではないかという批判はさておき、いずれもそう簡単に達成できるような目標ではない。特に名目GDP600兆円はかなりハードルが高い。しかし、よく見てみると、政府の資料には、いつまでに600兆円を達成するのかが明記されていない。マスメディアが2020年度だと報道しているので、仮に2020年度だと仮定すると、名目GDPの成長率が毎年3%以上であれば達成可能だということがわかる。平成26年度(2014年度)の名目GDPは約490兆円なので、2015年度から毎年3%で名目GDPが拡大すれば、2020年度には585兆円、2021年度に602兆円に達する。したがって、平均して3%超の成長率であれば達成できる目標なのである。問題は名目GDPの成長率を3%超にできるかどうかにある。 ちなみに、2013年8月に閣議決定された中期財政計画『当面の財政健全化に向けた取組等について』には、名目GDP成長率3%という経済成長を2020年まで続けるという目標が記載されているので、名目GDP600兆円という数字は、この中期財政計画から生まれたものなのかもしれない。 |
●人口減少社会
結論から言えば、名目600兆円の達成はかなり困難だろう。(ちょっと荒っぽい議論になってしまうが)最大の理由は、日本が人口減少社会になっているからである。日本の総人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少を続けている。人口予測は、さまざまな予測数字に中でも、かなり確度が高い。20年、30年先の人口予測にはある程度の誤差が生じるが、数年先の人口はかなり正確に予測できる。ちなみに、国立社会保障・人口問題研究所の出生中位・死亡中位推計結果によれば、2020年の総人口は1億2410万人であり、2015年に比べて約250万人減少する。人口が減少するということは、一人当たりの消費支出が変わらないという前提で考えれば、GDPの約6割を占める家計最終消費支出は減少する。人口減少社会では住宅投資にも期待はできない。家計消費や住宅投資といった国内需要が伸び悩むのであれば、民間の設備投資にも大きな期待はできない。もちろん海外の需要が伸びるということも考えられるが、より人件費の安い海外での生産が増えていることを考えると、日本のGDPが伸びることにはならない。 |
●名目GDP600兆円は達成可能か
アベノミクスを擁護する専門家は、600兆円という目標が名目値であることを強調している。つまり、物価上昇によってGDPデフレーターが大きくなれば、実質的に経済成長しなくても名目GDPは大きくなる。つまり、これから数年間、毎年物価が3%以上上昇すれば、名目GDP600兆円は達成できる。あるいは実質GDP成長率1%+物価上昇率2%の組み合わせでもよい。 しかし、経済学的に考えれば、需要が縮小する中で物価が上昇することは極めて稀である。需要が縮小する以上に供給が縮小すれば需給ギャップが縮まり物価が上昇する可能性があるが、あくまでも可能性でしかない。 こう考えてくると、国内需要を無理やりにでも増やすしか600兆円を達成する方法はないように思えてくる。政府は所得が増えれば消費も増えると考えているようだが、国民の多くは公的年金だけでは老後の生活には不十分であると考えているため、仮に所得が増えても、増えた所得の大半が貯蓄にまわるだろう。残るは大胆な財政出動だが、12月18日に閣議決定される予定の補正予算は3.5兆円程度と報道されており、景気を下支えすることはできても、600兆円実現にはそれほど寄与しないだろう。 ただ、名目GDP600兆円を達成する方法がないわけではない。国債を大量に発行してデフォルトを起こすことである。国債のデフォルト処理のため、日銀は大量に円を刷って国債を買い上げることになり、市場にあふれた円によって物価が急上昇する。年率100%以上の(つまり物価が2倍以上になる)インフレが起きれば、一気に名目GDPは600兆円を超えるだろう。しかし、その一方で日本経済は計り知れないダメージを受けることになる。当然のことながら、この選択肢を政府が選ぶことはあり得ない。 日本経済を明るくするために名目GDP600兆円という目標を掲げたのかもしれないが、もう少し現実的な数字を示した方がよかったのではないだろうか。たとえば、国民一人当たりのGDPを目標にすれば、もう少し現実的な目標を設定できたのではないかと思う。 |
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●「2020年にはGDP600兆円達成できる」 (2015/11) |
[ 安倍晋三首相 読売国際経済懇話会(YIES)講演 ] 「1億総活躍の実現に向けて、私は新しい三本の矢を放ちます。今回の新たな矢には、それぞれ明確な的があります。第1の的は、戦後最大のGDP(国内総生産)600兆円。これに向かってこれまでの3本の矢を束ね、より強固な希望を生み出す強い経済という第1の矢を放ちます。アベノミクスによって成長率がマイナスからプラスに転じた結果、足元で500兆円まで回復しています。ここから毎年名目3%以上成長が実現すれば、2020年ごろにはGDP600兆円は十分達成することができます。名目3%成長なんてここ20年で一度も実現していないじゃないか、とそういう批判が皆さんからも聞こえてきそうであります。しかしそもそも、この20年間デフレだったんですから、名目で成長するわけがないのです」 「デフレを当然の前提として、デフレ発想で推し量ること自体が、既に間違っています。今年日本を訪れる外国人観光客は恐らく2000万人近くまで増える見込みです。しかし、たった3年前は、800万人ほどでした。総理就任以来、ビザの緩和などを戦略的に進め、1年目で1000万人突破、2年目で1300万人余り、そして今年いよいよ2000万人に近づいています。これだけの急速な伸びを誰が予測したでしょう。足元の7〜9月期では外国人旅行客の国内での消費は初めて1兆円を越しました。昨年の同じ時期と比べてほぼ2倍です。私自身も正直申し上げて、ここまで伸びるとは思いませんでした。安倍政権が発足してから、海外から日本への投資は10倍以上増加しました。少し前までは、外国企業の方々にアジアのどこに投資しますかと聞けば、中国という答えが一番多かった」 「しかし、直近の調査では、R&D(研究開発)拠点を置くなら日本だという回答がトップになりました。日本のアジアにおける存在価値は確実に高まりつつあります。例えば来年の春にはアップル社がアジアで初めての研究開発拠点を横浜でオープンする。こんな心強い朗報もあります。このような事態を3年前、誰が予測したでしょうか。これまでの想定を超える大胆な政策を実施すれば予想を超える成果が生まれる。これは当然のことであります。ですから私はこれからも皆さまの期待を上回る改革を次々と断行していきます」 「法人実効税率を数年で20%台にまで引き下げる。国際的に遜色のない水準へと法人税を改革する。この目標の下に今年4月から2.5%引き下げました。さらに来年は0.8%引き下げていると既に決めています。来月決定する税制大綱では、これを確実に、これに確実に上乗せを行い、来年4月からさらに引き下げを実現します。今後の道筋をつけていきたいと考えます。そのことによって。国内外からの日本への投資を促し、生産性革命を進め、イノベーションを起こしていくと考えています。経済界の皆さんにも積極果敢に設備や人材への投資を行っていただきたいと思います」 「先般の日中韓首脳会談での最も大きな成果の一つは日中韓FTA交渉の加速化であります。中韓両国からの強い期待感を感じました。これはTPPという強い礎ができたからこそであります。さらに経済の好循環を回し続け、内需を拡大する。働き方改革を進め、女性や高齢者の皆さんのチャンスを広げる。既存の規制制度の改革を断行する。あらゆる政策を総動員していけば、日本の潜在成長率は確実に押し上げることができる。そしてGDP600兆円を実現できる。私は極めて現実的な目標であると確信しています」 |
●GDP600兆円目標「あり得ない」 経済同友会の小林代表幹事 (2015/9) |
経済同友会の小林喜光代表幹事は、安倍晋三首相が「新3本の矢」で掲げた、名目国内総生産(GDP)を600兆円に拡大する目標について、「あり得ない数値だ」と実現性を疑問視した。2015年9月29日の記者会見で語った。
安倍晋三首相は9月24日の記者会見で、「アベノミクスは第2ステージへ移る。『1億総活躍社会』を目指す」と語った。経済や社会保障に焦点を当てる姿勢を示して、新たな「3本の矢」を提唱。2014年度に約490兆円だったGDPを、「(GDP)600兆円の達成を明確な目標に掲げたい」と宣言した。 小林代表幹事は「新3本の矢」について、「安倍政権がまた経済をメインにやっていくというメッセージは大いに歓迎」と理解は示しつつも、GDPを600兆円に増やす目標は、名目で年率3%超の経済成長が前提になるとして、「とてもコミットできる数値ではない」と突き放した。 また、株価が乱高下する状況については、「日本経済が悪くなっているわけではなく、米国も比較的安定している」と述べたうえで、中国経済の動向には警戒感を示した。 |