誰も理解できない安保法制

安保法制審議 
誰が提出された法律を理解しているのでしょうか 
 
色々の解釈が可能な法律のようです 
時の政府政治家が  
勝手に解釈変更が出来る法律のようです 
 
国民に理解を求めるなど  
絵に描いた餅も怒ります
 


 

平和安全法制特別委員会民主/寺田質問民主/辻元質問民主/岡田質問維新/太田質問国際平和支援法平和安全法制整備法武力の行使の新三要件一問一答
 
  
  
  
景色が変われば 解釈も変わって当たり前 
揚げ足取りの 不勉強な場当たり質問 
当然 妄想思い付きのご答弁
  
  
安倍首相「決めるべき時には決める」 6/26 
安倍晋三首相は26日の衆院平和安全法制特別委員会で、新たな安全保障関連法案について「どこかの時点で議論が尽くされたという判断が委員会、議会であれば、決めるべき時には決める」と述べ、今国会での成立に改めて決意を示した。首相は「過去最大幅の会期延長をし、十分な審議時間を取った。説明の機会をいただければ必ず理解される」と強調。過去のPKO協力法案の審議や日米安保条約の改定の際にも反対が多かったことを挙げ、「今では十分に国民的理解を得ている。法案が実施される中で理解が広がる側面がある」と述べた。  
一方、自民党の若手議員が25日に開いた勉強会「文化芸術懇話会」では、安保関連法案への理解が広がらない現状をめぐり、出席議員が「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」などと報道機関を批判した。これに野党が反発したことから、自民党は26日の特別委理事会で江渡聡徳筆頭理事が陳謝。首相は特別委の質疑で「報道の自由は民主主義の根幹であり、当然尊重されなければならない」と述べて事態の沈静化を図ったが、民主党など野党は激しく追及した。 
  
 
  
「〜おそれ」は 恐れの認識如何で大きくブレた判断を生みます 
首相答弁 ・・・閣議決定では、基本的な考え方として申し上げている。同時にわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある。まさに武力攻撃が発生するおそれのある事態において、これを排除するためにはわが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと。これこそまさにこの考え方は専守防衛なんだろうと思う。 ・・・ 
( 恐れ / 何か悪い結果が起こるのではないかという気づかい。)  
  
  
   
「マスコミを懲らしめるには・・・」 
現代は情報戦争の真っただ中 若手政治家といっても頭は老人 
情報はまき散らしたもの勝ち 情報発信の大事さを知らない 
「ネット社会 政治・政策情報を発信しやすい環境 国営検索エンジンを創ろう」 
「マスコミに負けない対抗情報・・・発信に注力」 
とでも言ったら本物の若手政治家 応援します
6月25日に開かれた自民党文化芸術懇話会で出た主な意見は次の通り。  
大西英男衆院議員(東京)  
「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番。政治家には言えないことで、安倍晋三首相も言えないことだが、不買運動じゃないが、日本を過つ企業に広告料を支払うなんてとんでもないと、経団連などに働きかけしてほしい」  
井上貴博衆院議員(福岡)  
「福岡の青年会議所理事長の時、マスコミをたたいたことがある。日本全体でやらなきゃいけないことだが、スポンサーにならないことが一番(マスコミは)こたえることが分かった」  
長尾敬衆院議員(比例近畿ブロック)  
「沖縄の特殊なメディア構造をつくったのは戦後保守の堕落だ。先生なら沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持っていくために、どのようなアクションを起こすか。左翼勢力に完全に乗っ取られている」  
百田尚樹氏  
「本当に沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん。沖縄県人がどう目を覚ますか。あってはいけないことだが、沖縄のどっかの島でも中国にとられてしまえば目を覚ますはずだ」  
「もともと普天間基地は田んぼの中にあった。周りに何もない。基地の周りが商売になるということで、みんな住みだし、今や街の真ん中に基地がある。騒音がうるさいのは分かるが、そこを選んで住んだのは誰やと言いたくなる。基地の地主たちは大金持ちなんですよ。彼らはもし基地が出て行ったりしたら、えらいことになる。出て行きましょうかと言うと『出て行くな、置いとけ』。何がしたいのか」  
「沖縄の米兵が犯したレイプ犯罪よりも、沖縄県全体で沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い」  
「政治家というのは、理念、信念、大事ですが、言葉が大事だ。戦争と愛については何をしても許されるという言葉があるが、政治家もある程度『負』の部分はネグったらいい。いかに心に届くか。その目的のためには多少……もちろんウソはダメですが」 
   
  
  
首相 「国民的理解 ・・・ 法案が実施される中で理解が広がる側面がある」と述べた。  
語るに落ちる 国民の理解は後回し  
法案が実施されたら 手遅れになる側面もある
  
  
  
法律案文を読む  確かに内閣官房HPに掲載されていました  
「由らしむべし知らしむべからず」
[ 内閣官房HP トップページ > 内閣官房の概要 > 国家安全保障局 ]  
平和安全法制等の整備について  
政府は平成27年5月14日、国家安全保障会議及び閣議において、平和安全法制関連2法案を決定しました。 法律 / 案文(PDF) 
  
  
   
   
   

 


 
2015/7  
 
  
平和安全法制特別委員会 6/26

 

国際平和支援法 「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」  
平和安全法制整備法 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」  
自衛の措置としての武力の行使の新三要件 
安全保障法制の整備について 一問一答
 
●民主・寺田学氏 質問   ●安倍晋三首相 答弁 

 

●寺田学氏 昨日の夕方、そして今日の新聞報道を見て、開いた口がふさがらなかった。自民党の青年局長を務めている木原稔さんという方が代表だそうですが、党本部で「文化芸術懇話会」が開かれ、その場でさまざまなことがお話しされたそうです。議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番だ。経団連に働きかけてほしい。悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればよい」。ある種、自分たちの意にそぐわない報道をしているところを広告料収入を減らして、圧力をかけようじゃないかと取られかねない発言があったという報道がありました。どなたが出席されていたのかをいろいろ聞いてみたところ、報道によると官房副長官の加藤(勝信)さんが出席されていたという報道があった。加藤副長官、この文化芸術懇話会にご出席されていましたか。  
加藤勝信官房副長官 寺田委員にお答えしたいと思います。文化芸術懇話会、これは政治家に求められる教養と想像力を得るため、芸術家と共通する創作手法と成果の普遍性を追及し、世界の中で輝ける日本を創造し、デザインする上で必要不可欠であり、心打つ政策技術を立案し、実行する知恵と力を習得することを目的として開催されたものでありまして、そもそも自民党の正式な組織ではなく、いわゆる有志による内々の勉強会でございます。私自身も今、官房副長官とおっしゃいましたが、官房副長官としてではなく、一自民党の国会議員として出席したところでございます。  
● 党のことだから関係ないだろうというヤジがありましたが、先ほど首相が今回の法案の理解が進まない理由というのを(民主党の)岡田(克也)委員に聞かれて、政府はじめ党の人間たちも含めて、しっかりと法案の審議を十分国民の皆様に分かっていただけるよう努力するべきだという発言があった。まさしく政府とそれを提出した与党側がしっかりと説明しなければならない部分において、じゃ、この懇話会、どのような議論だったか。簡単に、でいいですが、なぜ官房副長官はご出席されたのですか。  
浜田靖一委員長 (ヤジに対して)うるさい、しずかに、静粛に!  
加藤氏 先ほど文化芸術懇話会の趣旨を申し上げましたけれども、まさにその趣旨に賛同し、当日はミリオンセラーを多く輩出されている方も講師に来られるということで、ぜひお話を伺いたいということで出席をさせていただきました。  
● どんな感想をもったか  
加藤氏 作家としての立場でのお話をされていた。われわれとしても、そうした視点からのご意見、大変、拝聴に値するなと思いました。  
● 出席された議員からマスコミを懲らしめるという言い方でしたけれども、ご発言があったという報道がありました。その講演された百田さんがお話しされた内容を報道からお伺いしたのですが、正直、この場でお話しするのが控えた方がよいのではないかと思うような発言があるのですが、このような発言があったとしたら、本当に由々しき問題だと思いますので紹介申し上げます。まず沖縄の件について、自民党の議員からご質問ありました。それに対して、その講演をされた方は「沖縄の2つの新聞は潰さないといけない。沖縄のどこかの島でも中国にでも乗っ取られたら目を覚ますのではないか」というような物騒な発言がありました。  
その後、沖縄についての発言が続くんですが、違和感を感じるのは「もともと普天間基地というのは田んぼの中にあった。周りになんてなんにもない。民家はありましたけれども、田んぼの中にあった。基地の周りに行けば商売になるといって、何十年もかかってみんなどんどん住みだして、1970年ぐらいの航空写真がある。基地の周りは田んぼだらけ」。そのようなお話でした。「そこを選んで住んだのは誰やねんと言いたくなるんですけど、基地の地主さんが六本木ヒルズに住んでいる大金持ちなんですよ」といういご評価をご披露されている。  
「沖縄は本当に被害者なのか」と疑問を呈した上で、信じがたいんですが、あんまりテレビを聞かれている方が不快な思いをされるかもしれまんが、ご発言があったら重大なので申し上げますが、「沖縄の米兵がレイプ事件が起こしたことがある。過去何例もある。けれども沖縄に住む米兵が犯したよりも、沖縄県全体で沖縄県自身が起こしたレイプ犯罪の方が率が高いですね。こういうことは絶対に言わないですね」と。  
その後、最後は「本当にその左翼の扇動に対して言語とデータで反論しなければならない」。私は、こういうことにヤジることが信じられないのですが、副長官、このような発言があったということの事実関係を確認したいのですが、副長官どうですか。  
加藤氏 今の質問の趣旨として、副長官としてというのは私として諮りかねて、先ほど申し上げたのは議員個人としての出席をさせていただいたと申し上げたところでございます。また百田氏に講演をされる前提として内々の勉強会として、ご講演いただいたものでありますから、同氏が講演された内容について私からは発言するのは控えたいと思います。  
● 講演をされた後に質疑応答部分も含めて、全て話を聞いたか?  
加藤氏 私はちょうど他の予定もありましたので、百田さんが講演されたところで退出しました。  
● この後、このような発言があったということを今まで確認されましたか。  
加藤氏 私はそこで退出されましたので、その後の議論については承知をしておりません。   
● このような発言はなかったというような発言は確認されましたか。  
加藤氏 今、申し上げた通り、そこで講演が終わったところで退出しておりますので、その後の様子については一切承知をしておりません。  
● 政府・与党でこの法案についてしっかり議論をしようと。また沖縄に関して言うと、先日、首相が行かれて、慰霊の日、沖縄の皆様にメッセージを発した直後ですよ、首相が総裁を務めている自民党において、自分たちの意に沿わない報道に対して広告料を減らせと経団連に言ってくれという発言があり、かつ沖縄に関しては、私は本当にこれが事実だとしたら、私はしっかりと処分し、議員でいる身分ですらないと思うのですが、首相、このような発言があった、報道になった。そういうことはご認識されていますか。  
 私は報道を承知していません。また委員は伝聞を事実として、ここで述べているわけでありまして、報道自体を知らない訳でございます。また党において、さまざまな議論が行われるわけでありますが、私は基本的には自民党というのは自由と民主主義を大切にする政党でありますから、当然、報道の自由は民主主義の根幹であるという中においての議論であるとこのように思います。  
● 首相お願いです、この後ろに座っている議員の中でご出席されている方いらっしゃいます。お昼1時間あります、午後、私が一番の質問者です。そのような発言があったかどうか確認をしてください。よろしいですか。  
 私は政府の立場であり、ここに立っているのは、この法案の審査でございまして、党においてもさまざまな会合が開催されるわけでありまして、そのいちいち会合について出席者は誰か、どういう発言をしたかということを、この委員会において、私が政府の立場としてここでお示しする立場ではない。もちろん委員会として、それを調査するということではあれば、別の話でありますが、これは委員会にお任せしたい。  
● これは法案の審議ではないと一刀両断に言われているんですが、この法案の審議に関してマスコミに対して懲らしめろ、経団連に言えと、沖縄だって今回の問題、十分関与するよ…  
岩屋毅理事(不見識な発言だけれどもと認めたが、それが報道されているのならば)  
● 不見識な発言だけれども、と岩屋理事もお認めになりましたが、首相、もしこれが本当だとしたら、本当に由々しき問題だと思いますよ。それが報道されているんならば、事実と異なってしっかりと抗議しなければならないではありませんが、私、今答えろという話ではないです。お昼1時間あります。後ろに出席されている方々がいるので、このような発言はなかった、捏造(ねつぞう)だ、レッテル張りだという話をご答弁ください。もしそのような発言があれば、首相にご答弁いただきたいと思います。  
(速記止まる)  
 そういう報道があるということは、存じ上げませんが、今、寺田委員が指摘されたような報道があって、それが事実であるとすれば、大変、遺憾ではありますが、だから党の正式な会合ではないわけでありまして、有志が集まった会合でありますし、その中の発言がどのような経緯で発言されたものか確認してみる必要があるんだろう、このように思います。  
● 報道はほぼすべての新聞社がもちろん、沖縄タイムスも琉球新報も全国紙もおおかた報じられています。お昼休みにごらんになられて、ご出席されている方もいらっしゃるので、これは党の名誉に関わる問題ですよ。報道されてしまっているのですから、ちゃんとこの報道自体が誤りだったら、誤りだと言わないと党としてのレッテル張りになりますよ。総裁、首相、お昼休み1時間あります。私、ここで質疑を切り上げてもいいですから、しっかり調べてお昼一番からご答弁ください。  
 先ほど申し上げた通りでございます。  
● いえ、確認して、簡単な話でありますから。確認をして、そういう話がなかったらなかったと、1時の委員会再開時にご答弁ください。何か確認できない理由があるんですか。首相、ぜひご確認をしてください。確認できないのなら、確認できない理由を述べてください。  
 私は首相として行政府の責任者として、ここに立って、この法案の審査のためにここに出席しているわけであります。まさにこの集中審議に対して、この法案に対して答弁する上において、ここに出席しているわけでございまして、その中におきまして党において行われた会、党の正式な部会等々でもないわけでありまして、それは会が開催されることもございますし、党本部以外でも開催されることもございます。それを首相である私が、行政府の長としてさまざまな仕事がございます。12時から1時、ずっと休んでいるわけではないんですよ。そこで集中してやれといわれてもですね、行政府の長としての仕事もございますから、それはそう簡単に直ちに間違いなく、それを把握して誰がどう発言したかについてつまびらかに皆様に報告することはなかなか難しいのではないかとこう思うんであります。  
● なんでもかんでも調べてくれと言ってるわけでなくて、今朝報道があった新聞にかなり書かれていることなんです。しっかりと調べてください。ご自身が調べられないのであれば、誰かに指示をした上で、午後の質疑再開のときにはしっかりと事実の関係をお話ししてください。  
(速記が止まる)  
● 別にインターネットの掲示板に書かれたという話ではなくて、全国紙、潰すべきだといわれた沖縄2紙の方々が大きく報じられて、自民党議員がこんなことを言っているんだと報道になっているわけですよ。しっかりとそこは事実と違うのであれば、報道されている以上、しっかりとそこは事実と違うのならば、報道されている以上、しっかりと事実を確認し、事実があるならばそれなりの対応し、事実がないのであればそれは報道した側に対する対応をするべきだと思います。お昼の間にしっかり対応されるということでしたので、次の質問に移ります。 
 
浜田靖一委員長 午前中の寺田委員のご指摘のありました点について、確認したところ、そのような趣旨の発言があった。私としては甚だ遺憾だと思います。  
● 小野寺(五典)委員から午前中の審議を見ていない方もいるので、簡単に概略をという話だったので、概略を話す。午前中の議論をお昼休みを挟んで持ち込んでいる案件だが、昨日、今日、報道されているが、文化芸術懇話会が自民党本部で行われて、代表が木原稔党青年局長が主催されている会の中で、今日報道にあったが、出席した議員から「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのは一番。経団連に圧力をかけてほしい。悪影響を与えている番組があれば、その番組を発表し、スポンサーを列挙すればいい」ということを問題視する報道があった。講師として呼ばれた、作家の百田さんが「沖縄の二つの新聞はつぶさないとならない」と。また「本当に沖縄は被害者なのか」と疑問を持たれたり、また沖縄の女性に米兵が乱暴したこと関して過去あるけれども、沖縄県全体で起こしたそれの方がはるかに率が高いんだ。左翼の扇動に対応するための言葉とデータを持って対抗しなければならないという発言をされた。そこに官房副長官の加藤(勝信)さん、総理、総裁の特別補佐の萩生田(光一)さんが出席されていたという報道があった。これが事実だとすれば本当に由々しき問題だ。広告収入を減らせというのは報道の自由に対する圧力だとも取られかねない話でもあるし、百田さんの沖縄に対する失礼というか、ひどい話だと思います。もし、この報道が事実でないとするならば、しっかりと事実関係を調べてご訂正された方がよいです。もし事実であれば、総理から適当な対応をしていただきたいということを述べた。正確を期すためですが、どのような発言があったのかを縷々報道を読み上げる形でいっていただければ、どの部分というのを言っていただいて、審議を続けられればと思います。  
浜田氏 われわれとしては報道にあったことも含め、確認をさせていただきました。どの部分ということではなく、そういったことがあったということでご報告させていただいたのでよろしくお願いします。  
● 私が読み上げた部分で間違いはないと、言っていない発言はないということでよろしいでしょうか。  
浜田氏 その通りです。  
● では総理に伺う。まず一点、メディア、報道に対する非常な大きな発言があった。この質疑の端緒自体は、今、政府が提案している改正案自体がなかなか伝わらないのはなぜか。政府と党の広報の仕方に説明に問題があるという話をしていた。憲法学者が違憲だというのが、大きなうねりになってきたが、政府として党としてしっかりと批判にも向き合って説明したいという趣旨で申し上げた。委員長の話によると、沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない、ないしはマスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい。そういうところに関しては経団連に言って広告料を召し上げたらいいという趣旨のご発言があったという発言があったことが確認されました。総理としてどう考えるか。  
 浜田委員長の発言を踏まえ、報道の自由、民主主義の根幹を成すものであり、尊重されるのは当然だ。その上で、今、寺田委員からご紹介がありましたが、平和安全法制について国民の理解がなかなか進んでいない中において、国会の中でしっかりと審議をしていく、また党として説明会を開くなど、そういう努力をいていくべきだ。その努力をこれから重ねていきたい。また報道の自由については尊重するのは一貫した私の立場だし、党としてもその立場を貫いている。幹事長からもそうした趣旨の発言がなされたものと承知しております。  
● こういう発言があったと委員長が話したが、総理としても事実確認されたか。  
 私は総理大臣なので、総理という立場なので確認していないが、委員長からの発言を受けて答えたところだ。  
● 事実を認めないのか。このような発言が党所属議員からあった。また、お招きした百田さんから発言があったということをぜひ確認してくださいと午前中に申し上げた。ご多忙だという話でしたから、委員長のご配慮で委員長が調べて、委員長が遺憾の意を示した。総理大臣だからと言いますが、総理、総裁だ。都合のいいときには党の話を持ち出し、都合が悪いときには党の話だから知らんというのは私はけしからんと思う。このような発言があったと委員長が確認したが、総理も確認したか。  
 今、寺田委員は私にけしからんと、けしからんとおっしゃった。委員が委員会が終わった後から、(東京)オリンピック・パラリンピック事務局がスタートしたわけでございます。そして、そのスタートのときに看板掛けをして、そして訓示を述べなければいけない。そして、また官邸に戻ってからも、さまざまな出来事について、国政全般、国際情勢等もあるわけですから、そうした報告も受ける。その中において私が名簿を取り寄せて、一人一人に確認するのは当然、不可能だ。午後の委員会における、さまざまな質問に対する準備もしなければならないわけでございました。とてもけしからん、といわれても、それはなかなか時間はないということでございます。  
● 委員長が国会の役職の中において、汗をかいていただき調べていただいた。総理が忙しいことは十分、分かる。別に誰が何を具体的に言ったとか、総理自身がお電話して聞いてくれというわけではない。どなたかに指示をして事実を確認してくださいという話だった。どういう流れかわからないが、委員長が調べた。単純にそういう事実があったということを総理自身として把握されていますかということを聞いている。午前中質疑した。なぜそれを認めないのか。総理、総裁として今、立場はあるが、所属議員がそういう発言をして、報道では朝、多くの紙面が割かれた。その事実があったかを確認してくれといい、委員長が汗をかいて確認しているのに、その事実をまだ認めていないとはどういうお考えなのか分からない。委員長がそのような事実があったと発言した。総理自身としてもこういう発言があったということをまず認めて、そのうえで総理、総裁としてどういう考えか聞きたい。総理、このような発言があったことを認識しているか。  
 最初に、冒頭申し上げたように浜田委員長のご発言を踏まえ、と申し上げたじゃないですか。私自身はそういうことをいちいち調べる時間はなかった。そのことをけしからんといわれても、私は総理大臣としての仕事がありますから。で、委員会が終わってから45分くらい、またここに来るまで10分くらいかかりますから、30分ちょっとの間で準備室の看板かけおよび訓示も行わなければいけない。国政についての状況についての情報の報告も受けなければいけないわけでありますし、私からも指示しなければならない中で、事実において、誰がどういう発言をしたかについて確かめることについては、私自身はできない。そのうえで、委員長がまさに委員長の職権として調べて、先ほどご発言がございました。それを受けて先ほどもございましたが、安倍内閣としての立場、党としての立場を申し上げた。今、党を預かっている谷垣(禎一)幹事長からは、すでに党として記者会見していると承知している。  
● 党の立場で発言したと。特段難しいことは言っていない。委員長がそういう事実があったとお調べになったことをなぜ認めないのか。委員長が報告されていることに関して認めない理由は何か。総理大臣として、委員長が話をして、そのような事実があったと確認していることを、なぜ素直に認識しないで、私はまだ確認していないといわれるのか分かりません。そのような発言があったということ、委員長、お調べいただきましたけれども、確認したんですよね、発言があったということは総理として認識されているんですよね。  
 寺田委員の質問は、なぜこの時間に総理は何をやっているんだと。何で自分で確認しないとおっしゃったじゃないですか。そういうことを自分で確認しろとおっしゃったから、私は確認できないという理由を私自身が時間が残念ながらなかったという話をさせていただいたところだ。そのうえにおいて、委員会の、委員長の権限の中において確認をしたので、その確認を踏まえて、委員長の確認でありますから、認識の上において私がさきほど発言したわけだ。  
● 今、委員長が調べたことを認識して、そのうえでご発言があると思うが、おわびの一言もないんでしょうか。  
※議場から「おかしいじゃないか」  
(理事協議)  
● 「お前こそ謝れ」というやじがありました。理事の一人からは「なんで謝らないといけないんだ」という発言があった。その考えなら、その考えを述べてほしい。私はこのような報道に対する圧力そのもののような発言が、党の所属議員から出ていることについて党の責任者として責任がある。そのいくら党の正式な会議ではないとはいえ、党の青年局長がお招きになり、官房副長官もおり、総裁の特別補佐の萩生田さんもおり、沖縄に対するこのような侮辱的な言葉を話している勉強会があったことに対して私はおわびすべきだと思う。私の価値観では。この事実を踏まえた上で、総理としてどのようなお考えでしょうかということをお伺いしたい。そして、おわびすべきではないでしょうか。報道に対しても、何よりも沖縄の人たちに対しておわびすべきだと思いますが、総理はどうですか。  
 最初に、寺田委員は私が調べたのかと、この休みの間になぜ調べないんだ、それはけしからんと。けしからんじゃないといわれたから、最初にそのように申し上げた。私は最初に申し上げたように委員長が委員長の職権として調べた、この発言を承知した上において、安倍内閣として自民党としての立場を言えということだったから、言論の自由こそが民主主義の根幹であり、当然、尊重されるべきものであると申し上げた。今後ともその方針は変わらないわけであり、その考え方は今後とも党内において徹底していく考えだ。  
● おわびは強制するものではないので、そこは総理の判断だが、私自身が、自分が責任者であったとしたら、私は沖縄に対して、報道に対して申し訳ない気持ちになる。私はそれなりに自分自身の価値観として考えれば、今後ないように発言した方、そしてまた発言をある種、黙認していたその場の環境も含めてしっかりと調べた上で、今後、そういうことがないように、今後、そういう誤解が生まれないように責任者としてやりたいと思う。もう一度お伺いするが、強制するつもりはない。こういう発言があったという事実を前にしておわびする考えははないのか。  
 自民党にはさまざまな講師の方が来て、さまざまな考えを述べる。わが党の考え方とだいぶ離れた考え方を述べる方も往々にしている。そういう方々の、この百田さんだけではなくて、さまざま方々がいろんな発言をされるわけでありまして、その方々が発言された、その場にいないのにもかかわらず、その方に成り代わって、勝手におわびすることは私はできない。そういうわびるかどうかは、そういう発言した人物のみが責任を負うことができるのだろうと思う。その後のやりとりは、私も詳細には知らない。おそらく寺田議員もその後のやり取り全てを知っているということではないんだろう。  
すべてのやり取りを知っているわけではないと思うわけでありまして、報道の自由は尊重される、これは当然のことであろうと思う。同時に、われわれは沖縄の歩んできた苦難の歴史に思いをはせながら、先般も式典に出席させていただいたし、まさに、普天間飛行場は住宅街の真ん中にある基地であって、固定化は断固としてあってはならない。寺田さんはじめ、私たちみんなの責任なんだろうと思う。19年ぶりにやっと動いている。負担軽減も進めながら、普天間飛行場の移設、負担軽減を進めていくことによって沖縄の皆様に対する責任を果たしていきたいと思います。  
● 私自身その場にいませんので、つまびらかにそこの場で何が議論されていたか分からないので、報道を引用して質問した。その結果として、委員長が正式に調べて、そのような事実があった。私が紹介した通りあり、それの限りにおいて質問しているというのが現状だ。百田さんが話した内容に関して、総理が何か述べることは直ちに必要か、ということは議論があるかもしれませんが、広告収入を経団連に言ってなくしてもらえ、という報道に対する圧力と取られる発言をしたのは御党の議員です。そのことに関しても何かしら責任者であれば、おわびしたいと思いますけれども、何かしらそれに対する責任を感じることはないんでしょうか。  
 自民党がいわば企業に圧力をかけて、スポンサーを下りろとか、そんなことは考えられない。当然、それはそれぞれの企業が判断されるわけだ。当然、その考え方については共有されていると思います。  
● 時間が来たので終わりますが、総理の背中を見て他の議員はいろいろ考えていると思う。最初からそういうようなことを発言する議員だったのかどうか、私が述べることはできませんが、総理として、長官として、沖縄に対する態度、または報道に対する態度、さまざまなところを見て1年生、2年生は発言されているのではないかなと思う。いずれにしても、この国民の十分な理解が伴っているとはいえない状態です。しっかりと質問内容も含めて質疑を充実させたいとい思います。 
 
●民主・辻元清美氏 質問   ●安倍晋三首相 答弁 

 

●辻元氏 私は、文化芸術懇の集まりは総理の応援団だと思っています。そして安倍総理は百田さんと対談して本を出し、評価をし、安倍政権としてNHK経営委員に選んだ人ではないか。「自民党の会合にはいろんな話を聞きます」ということではないのではないか。総理ととても仲の良い百田さんが「経済界に行ってメディアに圧力をかけろ」と言ったり、「沖縄のレイプ事件、米兵よりも沖縄の人が起こした方が多い」と言った。普通のことではない、という危機感はないのか。  
 そもそもお話になった内容は、外に出すことを前提にしていなかった。その上において、沖縄の問題については戦後70年、沖縄の歩んだ苦難の歴史に思いをはせながら鎮魂をせねばならないし、米軍基地が沖縄に集中している状況を変えるため、われわれは全力投球してきた。われわれの考え方が、先ほど紹介された(百田氏の)考え方とは大きく違うことにはご理解をいただけるのではないか。普天間飛行場も一日も早い移転を進めねばならないと思っている。普天間の(名護市)辺野古移転で、機能も面積も3分の1になる。防音が必要なお宅の数も1万戸がゼロになる。15機の(KC130)空中給油機が岩国(基地)に移設された。これは17年間の懸案が安倍政権で解決したわけです。西普天間住宅地区も長い間の懸案だったが、安倍政権で返還がなされた。こういったことを私たちは一つ一つ実行している。辻元さんがおっしゃるような、沖縄を米軍基地が集中する状況を肯定する考えはまったくない。  
● 総理は、「公開で行われた会じゃない」とおっしゃった。秘密の会だったら、こういう発言してよいとお考えか。ソーリ、言い訳しない方がよいですよ。これが安倍政権の体質だと思われますよ。「申し訳ない」とか、総理自身の言葉はないんですか。  
 「秘密の会だったら何言ってもよい」なんて一言も言っていないですよ。言ってないことを言っているかのごとく紹介し、批判されても、答弁のしようがない。私自身は調べようがない状況だが、いずれにしても、党としての立場や安倍政権としての立場は先ほど申し上げた通り。報道の自由は民主主義の根幹であり、当然尊重されねばならない。このことは今後も普遍の姿勢だ。その上で、自民党は今後誤解されることないよう襟を正しながら、報道の自由は守りながら、しかし、主張すべきことは主張していく。反論には耳を傾け、議論を重ね、政策を推進していきたい。  
● 総理は百田さんとは本もお出しになって、「近年これほど楽しく対談したことは少ない。百田さんとは話が合うのである」と書いてある。ものすごく意気投合しているんですよ。百田さんとは話が合うんですね?親しいんですね?  
 そのことと平和安全法制がどういう関わりがあるか、なかなか理解が難しいが、私と百田さんは対談したし、会食したこともある。意気投合することもある。ただ互いにすべての主張が一緒ということはない。主張が違うけど息が合うことは、辻元さんはないのかもしれないが、われわれはある(会場から笑い)。岩屋(毅)さんとは政策的な違いもあるが、互いに信頼しあって、意気投合することもあるわけで(会場から笑い)。岩屋さんの言うことがすべてその通りだと思っているわけでないし、私が言ったことを、岩屋さんがその通りと思っているわけではない。  
● 笑うような話ではないですよ、これは。本法案と沖縄は密接に関係あります。集団的自衛権を沖縄の人たちがどう見ているか。基地の固定化につながるのではないか。米軍基地がある沖縄が標的にされるんじゃないかと思っている。「平和安全法制とどう関係あるのか」という総理の発言にがくぜんとしました。総理、こういう発言する人をNHK経営委員につけたのは不適切だと思いませんか。  
 私自身は発言についてつまびらかに把握していない。百田さんは国会の議決があり、NHK経営委員に就任されたと承知している。いずれにせよ、私は、今言われたその意見に賛同しているわけではない。今、苦しいですけど、沖縄の負担軽減の作業を進めているわけですし、一つ一つ課題を解決していくしかない。それがわれわれ政治家に求められていることなんだろうと思う。皆さんも政権を取っておられたんだから、そのときにどれだけ前進したか、それぞれが胸に手を当てて考えながら前に進めていくことが大事なのでは。  
● 憲法学者について人選ミスだったと言うが、百田さんをNHK経営委員につけたことのほうが人選ミスではないですか?  
 私は憲法学者について人選ミスと発言したことは一回もありません。いずれにしても国会の議決をいただいて選任されたと承知している。  
● 正確に議論するために、この内容が事実であるか、確認していただけますか。  
 まず、短い議論の間に、二つも私が言っていない発言を言ったという。「秘密の会であれば何言ってもよいんだ」「憲法学者は人選ミスだ」と。それを前提として議論するのはどうか、と私は言っている。その上において、経営委員においては、手順を踏んで国会で議決され選任されたと承知している。  
● 百田さんは「普天間飛行場は、田んぼの真ん中にあった。基地の周りに商売になるといってどんどん基地の周りに住みだした。そこを選んで住んだのは誰やねん。基地の地主さんが六本木ヒルズなどに住んでいる大金持ちですよ」と言っている。これは間違った認識なんですね?  
 民間人の発言について、間違っているとか言う立場に私はない。が、政府は「普天間の固定化があってはならない」と言っているじゃないですが。民主党政権の時は1ミリたりとも動かなかったでしょ。それを私たちは動かそうとしているわけです。15機の空中給油機を全機、岩国基地に移した。こういう実績を1つ1つ示している。私たち政治家は、民間人の発言をうんぬんするより、実行力が問われている。私たちがやってきたことを見ていただければ、普天間をそのままにしてよいと思っていないことは明らかだと思う。  
● 私が申し上げている問題は、単に一民間人というだけでなく、NHK経営委員にも選んで、総理と本も出されている人だから、このように申し上げている。総理は沖縄の慰霊の日、必ずしも大歓迎で迎えられたわけではない。努力しているというが、なぜ知事と対立し、慰霊の日の式典でもいろんな声が飛んだ。どうしてだと思いますか。  
 翁長知事も自民党県連の幹事長として、市長時代も、辺野古しかないとわれわれと汗を流していたのも事実です。なぜこうなったか。民主党政権下で鳩山総理が最低でも県外とおっしゃったじゃないですか。その前にはわれわれは辺野古という解決案で、説得をしながら名護市長選でも知事選でも勝った。野党だった自民党の沖縄県連としても、政府自体が責任を持って「県外」と言っているのであろう、ということで県外に傾いていかざるを得なかったわけです。それが1年も満たないうちにやはり辺野古となった。われわれはもう1度検証した結果、(辺野古への)移設という道しかないということでわれわれは進めている。この道をとらなければ普天間が固定化されるのも事実。元をたどれば、どこなんだといえば、当時の鳩山(由紀夫)総理が「最低でも県外」とおっしゃったことだ。これで、みんなで前に進もうという気持ちが折れたんだろうと思います。政府と沖縄の信頼関係を取り戻すのは容易ではないが、この2年半で十数年の懸案が動き始めているのは事実ではないか。私たちは一つ一つ積み上げている。沖縄の皆様の気持ちに添いながら、普天間移設に対する理解を深める努力をしていきたい。  
● 私は民主党政権は反省すべきことはたくさんあったと思う。しかし、民主政権のとき総理大臣が慰霊の日に罵声を飛ばされることは。総理は「民主党政権が悪いから罵声を浴びせられた」と言ったように私には聞こえた。元(内閣)法制局長官が国会で、「この法案は憲法違反である」と発言された。元法制局長官が国会でそういう発言されるのは決死の覚悟だったと思う。非常に重い言葉だ。集団的自衛権の行使は、敵となる相手国にわが国を攻撃する大義名分を与えるということ。国民を危険にさらすこともあるとおっしゃっている。沖縄の皆さんも基地があるということで、これから巻き込まれる可能性があるという懸念。法制局長官や沖縄の懸念、総理も重く受け止めなければならない。  
 まず先ほどの辻元さんの発言。「民主党のせいで私が罵声を浴びた」と私が言ったのごとくいう。これは取り消していただきたい。私が言っていないことを、言ったのごとく言う。この短い間に、3つも。そして法制局長官の発言は、これは憲法解釈との関係ではなく、推測に述べているに過ぎないわけです。政策的な選択肢における推測なのだろう。集団的を行使すれば攻撃されるかもしれない、というのは推測だろうと思う。これは憲法解釈との関係の議論でないからそれはそうなんだろうと思いますよ。私たちが一部容認している集団的自衛権行使は、例えば、近隣諸国が日本に対しミサイルを発射しようという状況で警戒にあたっている米国の艦船に対する攻撃を、阻止できるのに阻止しないでよいのか。あるいは、近隣諸国で紛争があって、逃れようとする邦人を乗せている米艦船が攻撃を受けたとき、邦人を守れなくてよいのか。ということについて、私たちは国民から選ばれた国会議員として、政府として、責任を持たねばならない。それこそが必要な自衛の措置とは何かということで、われわれはそこから逃れることはできない。逃れることは責任の放棄。ときどきの安保環境をよく見ながら、われわれが責任を持ちながら、判断することが求められていると思う。  
● 米艦船の話。まだ日本は攻撃されていないが米艦船を守るために自衛隊が出たという例がよく出される。米艦船にとって一番危ないのは魚雷だと思う。存立危機事態と認定された後、米艦船を守りに行った自衛隊艦船が魚雷を打とうとしている潜水艦を見つけたら撃沈するということでよろしいですね?  
中谷元防衛相 その部分が隙間のところで、現在の体制ではできません。ただわが国の存立とか国民の権利が根底から覆されるという判断をした場合、わが国の密接な国が攻撃を受けた場合、(存立危機事態が)適用されるということです。存立危機事態には新3要件が必要で、新3要件がそろえば、武力行使ができるということです。  
● 米艦船の防護とは、米艦船の周りをぐるぐる回っているということではない。敵を見れば潜水艦を撃沈したり、自衛隊の航空機で相手の船を攻撃できるようになるんですね、ということを確認しているんです。ハイ、どーぞ!  
中谷氏 無条件にできるとは言っていません。3要件を満たす場合だけです。総理も例示されたが、そのままの状態にしておくと、わが国にたくさんのミサイルが落ちてきて、大変な被害が出るというようなことで存立危機事態と認定された場合には武力行使をするということです。  
● あのね、結局、限定と言っていても現場に行ったらどうなるかということなんですよ。現実世界です。「限定だからこっちの攻撃はちょっとにしておこう」とならないのが戦争だ。米艦防護というけど、米艦防護の中身は何かと言えば、新3要件を満たして日本は攻撃されていないけど武力攻撃はできるということは、相手方の潜水艦を撃沈したり、公海上で相手の船を空爆できるようになるということなんです。だって、それせずに、やられるだけでぐるぐる回っているだけですか?違うでしょ?攻撃される前に敵を見たらこちらから攻撃するフル装備でいくわけでしょう。はっきり答弁してほしい。  
中谷氏 新3要件とは、まさにわが国の存立に関わる事態だ。現実にミサイル防衛というと、わが国単独でできるわけでなく、米側の艦艇からいろんな情報をもらい、ともに警戒し、実際にミサイルが飛んできたら共同で対処する。米艦艇が攻撃を受け、そのままだとわが国にたくさんのミサイルが飛んできて大変な被害が出ると判断した場合、すなわち3要件に合致した場合は、米国を防衛するために自衛権を発動する。  
● いま、「米国を防衛するために」とおっしゃった。アーミテージ(元米国務副長官)さんは4月28日、総理の演説を歓迎して、NHKのインタビューでこうおっしゃっている。「米国人を守るため自衛隊員も命をかけるという宣誓なのだ」と。アーミテージさんはそう受け取られているようだ。安倍総理も別の本で「軍事同盟というのは血の同盟です」とおっしゃっている。だから、限定的にといっても、実際の現場に行ったら戦争なんですよ。「日本は限定だから攻撃しないでね」「限定だから撃つのはちょっとにしとくわ」とはならない。戦争に行くということなんです。違いますか?  
中谷氏 まず申し上げるが、米国を防衛するということではなく、わが国を守っている米艦を守るということ。限定的集団的自衛権はあくまでもわが国を守るという意味で、他国の防衛を目的とする集団的自衛権までは憲法上、認めていない。  
 先ほど、私の本を引用されました。血の同盟、まさに軍事同盟だから若い兵士が命をかけるのは事実であります。だが、われわれが米国を守るために命をかけることはないというのは、その本に述べている通りだ。限定的な武力の行使だから外国から攻撃を受けないなんて一言も言ったことないですよ。辻元さん。それは違う。武力の行使をするのだから覚悟を持って武力の行使をする。なぜ武力の行使をするかといったら、国の存立が危うくなるから。国民の命が危うくなるから。私たちが享受している自由や幸福追求の権利が根底から覆されるからこそ、覚悟して武力行使する。当然相手も武力行使されたら、反撃してくることもありますが、その点においては、そういう状況になっていることだし、中谷大臣が答弁したように、いきなり潜水艦を沈める行為をすることはあり得ないんですよ。3要件を満たさねばならない。例えば、ある国が「日本を火の海にする」と言い、ミサイルを日本に撃ち込む準備が整ってきており、艦艇出撃の準備も始めているという切迫した状況において、どう判断していくかということになる。そういう中において、米艦艇を攻撃するかもしれない、あるいは攻撃したという潜水艦に対しては、そういう3要件がそろえば、われわれは集団的自衛権の行使をするということになる。まったくわが国の安全に関係ないのに、米国の戦争相手の国の艦船を沈めることはない、ということはご理解いただきたい。  
● 結局、日本で限定と言っていても、実際の現場に行けば、戦争に参画するということなんですよ。総理は「巻き込まれることはない」「戦後、安保条約を締結しても戦争に巻き込まれてこなかった」と岡田さんとの議論でおっしゃった。しかし、それは集団的自衛権の行使を認めてこなかったからだと思う。朝鮮戦争のとき、米艦防護だといっても、戦争に巻き込まれなかったという保証はあるか。わが国が攻撃されそうだからといっても(武力行使したら)ダメですよ、というのが日本の国だった。戦争という世界に行くドアにはカギがかかっていて、カギを外せるのは国民だけだった。そのドアを総理大臣がけ破っていこうとしているから憲法違反といわれているのではないか。その向こうは戦争の世界なんですよ。 
 
●民主・岡田克也代表 質問   ●安倍晋三首相 答弁 

 

●岡田氏 本題に入る前にいろんな各種世論調査で少しの差はあるが、おおむね8割ぐらいの国民が政府の説明は不十分だと答えている。半分以上の方々がこの法案に反対だ、あるいは今国会で成立させることに慎重な意見を述べている。総理の受け止めを。  
 私も世論調査等において、まだ十分に政府は説明を果たしていないという方のご意見が多い、あるいは国会での議論が不十分であるというご意見が多いということは十分に承知しております。そういう中で私どもは国会の会期を過去最大幅の会期の延長をいたしまして、じっくりと国会で議論をしていく。十分な審議の時間をとったわけでございまして、こうした国会、委員会での議論を通して国民の皆様にご説明をしていきたい。また国会の議論だけでなく、自民党において、与党において、各地域において説明会を開催していくことを通じて理解を深めていきたいと思います。そうした説明の機会をいただければ、必ずやご理解をいただけるのではないかと考えているところだ。  
● 十分な審議の時間をということでいただきました。この委員会での審議を十分に行って国民の理解、どういう理解かわからない。そこで大事なことは何十時間たったから採決しますよということではなく、やはり国民がどれだけ理解したかということで、その適否で決めていくべきだと考えているが、総理はご同意いただけますか。  
 今までさまざまな国の判断、あるいは議会の判断があった。その度ごとに残念ながら、国民の支持が十分でなかったこともございます。例えば1960年の安保の改定もそうではなかったかと思いますし、PKO法案が成立したときも、そうではなかったかと思います。しかし、今はそれぞれが十分に国民的な理解を得ている。法案が実際に実施される中において、国民のためのものなんだなという理解が広がっていく側面もあるわけでございます。政治家は国民の代表として、この議会で有権者を代表して議論を戦わせるわけでございまして、どこかの時点で議論が尽くされるという判断を委員会において、あるいは議会においてなされれば、決めるべき時には決めるということになるのではないかと思います。  
● ぜひ内容のある議論をしていきたい。今回、中身を事前にお知らせして議論していきたい。国民の安全と平和な暮らしを守る、ここは共通認識。日米同盟は重要。そういう前提の中で、政府がおっしゃることにさまざま問題もあるし、違憲の問題も含めて一つひとつしっかりと議論していきたい。重要影響事態と存立危機事態の違いですね。重要影響事態、わが国の平和安全に重要な影響与える事態、ここから存立危機事態、わが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険、ここに移行する。前者は米軍への後方支援、後者はわが国自身の武力行使。大きな違いがある。今までの総理の答弁を見ていても判断基準。重要影響事態、存立危機事態でほとんど同じだ。配慮要因、考慮要因の中で、日本が行う後方支援と武力行使は決定的に違う。そこを分かりやすく説明してほしい。  
 今、岡田委員が指摘されたように、この重要影響事態と存立危機事態。重要影響事態は後方支援をするわけでありまして、武力行使はしない。存立危機事態についてはまさにわが国の生存を、また国民を守るために武力行使をする。大きな違いがあるわけでありますが、重要影響事態と存立危機事態の両者は異なる法律上の概念として、それぞれの法律に定める要件に基づいて該当するかいなかを個別に判断するものでありますが、わが国にどれくらい戦禍が及ぶ可能性があるのか。そして国民が被ることとなる被害はどの程度なのかという尺度は共通するわけでありますが、存立危機事態は重要影響事態に包含されるものであります。従って事態の推移により、重要影響事態が存立危機事態の要件をも満たし、存立危機事態が認定されることもありうるということは今までの委員会で何度も答弁していきたところであります。どのような状況がこのような場合に当たるかは一概に申し上げるのは困難でありますが、その一例を申し上げると、わが国の近隣で武力紛争が差し迫っている状況で、米軍も事態の拡大を抑制し、その収拾を図るために活動をしている。わが国も重要影響事態法の下で、対応措置を行っていたが、状況がさらに悪化し、わが国と密接な関係にある他国、例えば米国に対する武力行使が発生した。さらにその時点ではわが国に対する武力攻撃が発生したとは認定されないものの、攻撃国はわが国をも射程に捉える相当数の弾道ミサイルを保有しており、その言動などからわが国に対する武力攻撃の発生が差し迫っている状況にある。当該他国の弾道ミサイル攻撃からわが国を守り、これに反撃する能力を持つ同盟国である米国の艦艇への武力攻撃を早急に止めずに、わが国に対する武力攻撃の発生を待って対処するのでは、弾道ミサイルによる取り返しのつかない甚大な被害を被ることになる、明らかな危機がある。このような場合であれば、いわば重要影響事態から存立危機事態に認定されていくということになるわけであります。  
● 存立危機事態の定義が甘い。武力行使の要件でなければ、多少の幅が合ってよい、政府の判断。するか、しないかでしょ。そのことで国民の権利が守られるかもしれないが、例えば反撃を食らったり、命が失われてしまうリスクもある。これは重大な判断だ。それを基本的に政府に白紙委任するという結果になってしまうんではないか。最後はいろんな情報を総合して政府が判断するんだと答弁しているから、もっと明確にしなければならない。総理、具体例を挙げたが、党首討論でも同様の例を挙げて説明してくれた。例えば米国がどこかの国と戦闘が始まっている。そのときにある国が「東京を火の海にする」という発言をエスカレートさせる、ミサイル攻撃するという状況が発生している。その中において米艦船が攻撃されるという例を挙げた。このご説明を聞いて、よく分からないのがどこまで行ったら存立危機事態として認定して防衛出動するのですかということを聞きたい。大きく言って3つある。一つは米国がその国と戦闘に入った時点、もう一つは総理がおっしゃったさまざまな状況において、ミサイル攻撃するかもしれないとい差し迫った状況が第2点。第3点は米艦が攻撃を受ける。この1、2、3のどこで存立危機事態と認定し、防衛出動するのか。  
 重要影響事態の中においては近隣国の中において紛争が発生し、米軍および米軍を含む他国の軍隊がこの対応に当たっている状況の中において、そこでわれわれもこれは重要影響事態の中において後方支援をしているということであります。単に米国に対しての武力攻撃、そもそも武力攻撃が発生しているという中において、われわれは米国に対する他国の武力攻撃が発生している状況において後方支援している状況において、いきなり存立危機事態になっていない中において重要影響事態に認定しているわけであります。もちろん、そのまま放置しておけば、戦禍が及んでくる危険性がある中で後方支援していくわけだが、3要件に当てはまっていく理由が必要であります。存立危機事態においては3要件に当てはまっていく。わが国の存立が脅かされなければならないわけでありまして、そして国民の生命や自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることというのがあるわけだ。それがまさに判定の基準であるし、例えば相手国が東京も火の海にすると言っている状況がある。そして例えばその中で、彼らの体制が日本に直接攻撃を加えようという態勢が、さまざまな情報から状況として入っている状況もあるわけでございまして、こういうことはまさに、今、日本の手の内を明かしているわけですから、手の内を明かしているわけでありますから、あまり詳細に説明することは控えさせていただきたいと思うが、分かりやすく説明しなければならないということにおいて、これは度々、では他の例、他の例と説明するわけにはいきませんし、そこで米国の艦船がミサイル防衛において重要な役割を果たしている中において、その艦艇が攻撃されるということは、わが国の攻撃のための攻撃となる可能性も十二分にあるわけで、わが国の攻撃をする上における米国に対する攻撃。つまりわが国に攻撃すれば、日米で共同対処します。共同対処するわけでありますから、一緒に対応する米軍の力をあらかじめそいでおく、あるいはあらかじめイージス機能を落としておく作戦の可能性は十分にあるわけでありますから、そこで判断をするわけでありますから、そこで判断をする。もちろん判断はそのときの政府が総合的に、最終的には判断するわけであります。法律事項で自動的に決められるということではない。さまざまなことを総合的に判断をしなければならないわけでありますから、しっかりと政府が高い情報収集能力、判断する能力を持たなければならない。いくら法律をちゃんと作っても能力のない政府であれば、ちゃんとした法律を用意していても、能力のない政府であれば正しい判断はできない。残念ながら。いずれにせよ法律を正しく活用しながら、状況を正しく分析し、判断する能力が当然、ときの政府に求められますが、その中において3要件に該当するかどうかにすべてかかっているのではないかと思います。それではわかりにくいとか、そういう批判をする方が多いですが、世界中で細かく、これで、これで、これで、こういう状況であれば武力行使をするなんていうことを決めている国はありませんよ。もちろんルール・オブ・エンゲージメントというのはありますよ。その中において、その中において、まさに最終的な判断を具体的に判断し、こうでなければならないというのは基本的にはない。しかも個別の想定される相手との関係において、それを定めている国というのは、相手を定めてそんなことを決めている国というのは基本的にはない。  
● ミサイルが飛んでくるかもしれないという状況が発生している。そこで存立危機事態と認定して防衛出動するのか。その段階ではまだできなくて、実際に米艦が襲われたときに存立危機事態と認定するのか。これは考え方の問題ですから、お役所に十分レクを受けてください。それは決まっているはずですから。ぜひ、お答えください。  
 それはもう何回も説明している通りであって、まさに第1要件の中にあるようにわが国がわが国と密接な関係にある他国に武力攻撃が起こらなければ当然、何もできません。これは第1要件で明らかだ。つまり武力攻撃が発生して、武力攻撃がしていないときに、ある国が「日本を火の海にしてやる」と、攻撃する態勢を取っていたとしても切迫事態にはなるかもしれないが、武力行使は発生していないから、個別的であれ集団的自衛権であれ、自衛権を行使することはできない。これは着手ではありませんから、切迫事態でありますが、これはまさにわれわれは自衛権を行使することはできないと考えている。  
● ミサイルが日本に相手の国のリーダーの言動、準備の状況などミサイルが飛んでくる可能性があるなど、そのことを持って国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆されると判断するのか。実際に米艦が攻撃を受けるときにはじめて第1要件に該当するのかを聞いている。  
 すでに明確に答えていると思いますが、まず最初の前提としてわが国がわが国と密接な関係のある他国に武力攻撃が発生しなければならない。その上において、今申し上げましたようにわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が覆される危険があって、これを排除するために国の存立を全うし、国民を守るために他に手段がないということを確かめなければならない。外交的手段等を尽くしたのかということも問われるわけであります。その上において、必要最小限度の実力行使をとどまるべきことと書いてあります。この3つとも満たさなければ、これは武力行使はできないということになるわけであります。常に3つとも満たされているかどうかということになるわけでありまして、一つでも欠けたら、この法律上できないということになる。一つでも欠けてはならないということだ。  
● 具体的事例の中で、どこで存立危機事態で防衛出動するのか。米軍がどこかで戦っている。2番目なのか、3番目なのか。  
 まずですね。まず近隣諸国で紛争が起こり、この対応に当たっている米軍との関係において、そこで米軍に武力攻撃が発生したとしても、ただちに存立危機事態になるわけではなく、これは重要影響事態において後方支援をしている。その中において、先ほど申し上げたようなことが生起してくる。わが国を火の海にする。そしてさまざまな情報において、わが国に対するミサイル攻撃を準備しているという可能性があるという状況が発生してきます。そういう言動、あるいは彼が持っている海軍力をある地点に結集しはじめているということになれば、これは例えば切迫事態になりますから、防衛出動が可能になってくるわけであります。この段階で切迫事態として防衛出動は可能になりますが、武力攻撃は発生しておりませんから武力行使はできない。そこでいよいよ実際にミサイルの発射を警戒している米軍の艦艇に対してミサイル発射が、艦上ミサイルが、艦対艦ミサイルをわが国のイージス艦は能力上、撃墜する能力があるという段階で発射された、今までの対応、進展ぶり、彼らの発言ぶりなどからすれば、これを撃沈した後に、攻撃がこちらにミサイル防衛体制の一角を崩そうとしている、日本のミサイル防衛の能力の一角を崩そうとしているという可能性があるわけで、そこのときにおいては国の存立が危うくなったという判断をすることもありうる。これは限定的ではありませんけど、総合的に判断しなければなりませんが、そういうこともありうるということだ。 
 
● 実際に攻撃されたかどうかではなく、攻撃されるそういう状態になったときに、存立危機事態を認定して防衛出動する。しかし、それでは間に合わない。それから存立危機事態を認定して防衛出動するんですか。相手がミサイルを打ってくるときに、そういう手続きしていて、自衛隊が防衛出動すると。私は論理的に成り立たない説明をしていると思います。次行きますが、この新3要件と旧3要件でですね、このそれぞれあるわけですけれども、(内閣)法制局長官にお聞きしたいと思っておりますが、旧3要件のときの第3要件、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことと、これは何に対して必要最小限度かといえば、それは第1要件であるわが国に対する明白な侵害がある、これを排除するための必要最小限だというふうに私は理解しております。新3要件についても赤で書いたところですね、存立事態、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の権利、生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、この状況を排除するための必要最小限がこの第3要件の意味だと理解しておりますが、それでよろしいですね。  
横畠裕介内閣法制局長官 ご指摘の通りでございます。  
● まあそういうふうに考えますと、例えばですね、ホルムズ海峡の例を挙げたいと思うんですけれどもで、ホルムズ海峡で、この新3要件ですね。まず第1要件。私はこういうことはないと思いますが、国民の生死に関わるような深刻重大な影響がですね、油が止まることによって起きていると、まあそういうことがあると政府はご説明になっているわけですね。第1要件を満たしたときに、第2要件、第3要件で、第3要件で必要最小限の実力行使ということですから、波静かなときに、その機雷を排除する掃海する、まあこれが政府が言っておられるホルムズ海峡における限定的な集団的自衛権の行使です。私はお聞きしたいのは、この第1要件、今言ったような国民の生死にかかるような深刻重大な影響が生じている場合に、もし波静かでなかったらどうなんですか。波静かでなくて、まだ戦闘が時々起きているような状況、その時の必要最小限というのは、必要最小限を満たしていないということではなくて、第1要件がすでに起きているわけですから、それを排除するための第3要件ということで、必要最小限のそういった排除行動、戦闘行為の排除行動もしながら機雷を除去するということも憲法上は可能であると、この新3要件をもって可能であるというそういう考え方でよろしいですね、法制局長官。  
横畠氏 そのいわゆるホルムズ海峡の機雷の問題でございますけれども、どのような状況、私として考えているかと申し上げますと、まずその、そのような機雷の敷設というのが、わが国に対する武力攻撃の意図があるならば、それはまさにわが国に対する武力攻撃そのものになり得るんだという前提でございます。もし、そうであるとするならば、それを放置するのであれば、まさに国民の生死にかかるような深刻、重大な被害が生じて、他に手段がなくまさに座して自滅を待つということになるのであれば、それは他国の領海に敷設されたものであるとしても、これまで申し上げている誘導弾と基地とたたく場合と同じことになるということで、個別的自衛権の発動によってその機雷を処理するということはあり得るだろうと。ただし、あくまでもその必要最小限ということでございまして、いわゆる海外派兵はしないという原則がありますので、本格的な戦闘まで及ぶということは個別的自衛権の場合でも、そこまではできないという解釈をしているわけでございます。そのことはまさに自国を守るために限定した今般の集団的自衛権というものを行使する場合も同様であろうということを申し上げているのでございます。  
● いや、ちょっと私、長官、ごまかさないでください。私、個別的自衛権の話は全くしてませんから。今まで政府がご説明になっている集団的自衛権の行使のとき、つまりホルムズ海峡の機雷がばらまかれた、別に日本をターゲットにしたものではない。しかし、日本のタンカーが現実通れない。そういう状況のもとで、それを排除することはできる。それは波静かな時にできるということは、今までるる説明されてますが、波静かでなくてもこの実際やるかどうかは別ですよ。しかし憲法上はできるというのが答えじゃないですか。ごまかさないでくださいよ。で、総理も今までの答弁の中でそういうことを言っておられますよ。戦闘行為が行われる中では、事実上オペレーションできない。事実上できないとおっしゃっているんですね。これは憲法の問題ではなくて、憲法との関係ではなく、政策的な判断である。5月27日の松野(頼久)さんの質問に対してお答えになっていますよね。つまり憲法上は可能なんです。政策的にやるかどうかは別です。法制局長官どうですか。個別的自衛権の話ではないですからね。  
横畠氏 その今パネルでお示しいただいています。先ほどお答えした通り、第3要件の必要最小限度と言いますのは、新3要件のもとにおきましても、わが国を守るため、国民を守るための必要最小限度ということで、個別的自衛権を発動する場合と変わっていないのでございます。すなわち先ほどホルムズ海峡の機雷の例を、わが国に対する武力攻撃と認定できる場合には個別的自衛権を発動すると申し上げましたけれども、その認定ができない時でも、実際にそのわが国に対する武力攻撃が発生した場合とまさに同様な深刻、重大な状況被害が生じているというそういう状況なのでございます。その時には、国際法上は集団的自衛権といわれるものでございますけれども、一定の必要最小限の武力の行使というのがあり得るということを申し上げているわけでございます。そこで必要最小限ということでございますけれども、わが国が武力攻撃を受けているときですら、そのまさに本格的な戦闘まではいたしませんと。他国の領域に入っていくのは例外中の例外で。そのことはその自国防衛にまさに限るという新3要件のもとでの、いわゆる国際法上は集団的自衛権の行使として正当化される武力の行使であっても全く同じであるということを申し上げているわけでございます。  
● 私の論理的な説明に対してちゃんとお答えになってないですよね。この赤い字で書いたところ、これが例えば、政府の説明だと国民の生死に関わるような深刻、重大な影響が生じている事態、そういう事態が現にあるときに、波静かな時はその機雷を静かに除去するということですが、波静でないときだって、そういう国民の生死が関わっているような状態であれば、そしてそれが個別的自衛権で説明できない。そういう事態であれば、当然憲法上は戦闘を排除し、例えば制空権を確保して、そして機雷を除去するということは憲法上できますねということをお答えしている、ご質問なんですが総理どうですか。  
 今、委員がおっしゃった、例えば制空権を確保していうことにおいてですね。いわば、わが国の戦闘機等々が相手の領土に行ってですね、基地を攻撃をしている、こういうことはですね、まさに必要最小限度を超えることになるのではないかと。正確にはですね、法制局長官に答弁していただきたいと思うわけであります。基本的にいわば制空権を支配をするという目的をもって、そうした施設を壊滅をするということについては、これは従来申し上げております一般に海外派兵は禁じられているということに当たる可能性はあるんではないかと。まあ、これはもし必要であれば、くわしくは法制局長官から答弁をしていただきたいと、こう思うところでございます。その上においてですね。その上において申し上げれば、いわば先ほどすでにご紹介いただいているようにですね。そこで、機雷を掃海するということについては、まさに限定的、受動的な行為でもあるという中において、3要件にあてはまればですね。一般に海外に、一般に認められていない海外派兵のこれは例外に当たると、こう申し上げているわけであります。そして当然それは、受動的ですね、限定的なものになるわけであります。相手の領空に行ってですね。空爆を行って施設を破壊をしていく、これはですね、前の段階ですでに一般的に認められていない海外派兵にあたる可能性は高いのではないかとこう思うわけでございまして、法制局長官からですね。この点については、答弁をいただきたいと。どのみち政策判断としてはですね。政策判断としては、この停戦、事実上の停戦合意が行われていないところにおいてですね、そこに掃海で、木やプラスチックでできている攻撃能力のない掃海艇を送るということは事実上考えられないということはくり返し申し上げている通りでございます。  
● 総理あの、政策判断を話を聞いているじゃないんです。政策判断は総理大臣が変わったら変わるじゃないですか。状況が変わったら変わるじゃないですか。大事なのは憲法上どうなのかってことでしょ。今、先ほど必要最小限、これを超えるとおっしゃいましたが、最初に私説明しましたが、この必要最小限というのは第1要件、これのための必要最小限なんですから、超えないですよ。他に手段がなければ、必要最小の範囲に入っちゃうんですよ。そのことをこれ以上やっても仕方がありませんから、次回またやりたいと思いますが、長官にはですね。ぜひお願いしときたいんですけれども、やはり法制局長官、日本国政府のですね、法律解釈の最後の砦(とりで)です。ですから誠意をもってしっかりとごまかさずに、お答えいただきたいというふうに思います。 
 
● 次に時間もありませんが、日韓関係についてお聞きしたいと思います。今年は50年、日韓基本条約50年という非常に重要な区切りの年ですけれども、総理は朝鮮半島における植民地支配ということについて、どういうふうに基本的にお考えになっているのか。例えば、朝鮮総督府における統治とか、参政権の制限とか日本語の強制とか、あるいは創氏改名、これはすべてではありませんが、創氏改名とか国家神道の普及とか、そういう非常に自由を制限され、そして歴史と伝統のある国家である朝鮮半島の例えば韓国、これが非常に大きな制限のもとに置かれた。植民地支配ということについて、総理は朝鮮半島のですね。植民地支配についてどうお考えかお聞かせいただきたいと思います。  
 安倍政権としてはですね。歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として、引き継いでいるわけでありまして、今後も引き継いでいく考えであります。そして、戦前のさまざまな出来事、日韓間の出来事につきましては、1965年の日韓基本条約で完全かつ最終的に解決をしているものと認識をしておりまして、安倍内閣として植民地支配を否定したことは一度もないわけでありまして、また累次申し上げて参りましたように、基本的には歴史の個々の問題につきましては、歴史家に任せるべきであろうと、このように考えております。  
● 植民地支配については、村山(富市)談話、小泉(純一郎)談話、あるいは小渕(恵三)総理と金大中大統領との日韓共同宣言、あるいは北朝鮮との平壌宣言、それぞれ触れられていることですね。だから否定したことはないという言い方は私は非常に不十分だと思うんですけれども、そこでですね、菅(直人)談話、それも引き継がれているというふうに理解しますが、菅談話ですね。私も外務大臣の時に深く関わったわけですが、こんな中で、当時の韓国の人々は植民地支配によって国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられましたということを書きました。総理もこれ共通の認識でしょうか。やはり私自身はですね。日本人であることに誇りを持っておりますし、日本の文化に誇りを持っておりますので、立場をこう置き換えてみたときに、そういうものが、こういろんな意味で制限される、限定されるということは、それは私がもしその時に、朝鮮半島の、あるいは韓国の人の立場だったら絶対我慢できなかったと思うわけですね。そういうことをわれわれは強いてきたと、過去に強いたということについて、総理はどうお考えですか。  
 もちろんですね。岡田代表がおっしゃったように、相手の立場、相手の国の立場に立つ、国民の立場に立って考えることは大切なことではあろうと思います。同時にその時の世界史的な意味、状況等についてもですね、策を巡らせていくということも大切であろうと思いますが、いずれにせよ今申し上げましたように安倍内閣としては、全体として引き継いでいるわけでありまして、今後も引き継いでいく考えであります。そして個々の認識につきましては、歴史家や専門家に任せるべきであると考えております。  
● 総理、あの、個々の認識は歴史家あるいは学者に任せるべきだというふうにおっしゃいましたが、総理はこの談話についてですね、総理大臣としてではありませんが、過去にコメントしていますよね。総理が会長を務めておられる「創生日本」。出したときに、あまりにも自虐的であり、日本国民と日本の歴史に対する重大な背信である、これが安倍さんが会長を務められる創生日本のその時のコメントですよ。私は本当に残念でしたこれは。いろんな苦労してですね、日韓関係なんとか良くしていこう。当時は日韓併合条約100年だったんですよ。そういう厳しい中で、いろいろ苦労しながらやっているときに、野党だったかもしれませんけれども、こういう言葉を投げつけられる。今まで歴代総理大臣が日韓関係、日韓関係にとどまりませんけれども、何とか良くしよう、そういう努力をしてきても、有力な政治家がそれを否定するような発言を繰り返されることで、そのことが無に帰してきた。そういうことの歴史じゃないですか。総理も過去には、そういうことをされたんですよ。反省ありますか。  
 まさにですね。日韓関係においてはその時々のですね。政権がですね。改善すべく努力をしていくわけであります。ただ、改善をしていく上においては、お互いの努力も必要であってですね。そこは単にわれわれがですね。われわれがどんどん主張すべきことを主張せずに、国益を削っていけばいいというわけではなくて、ここはですね、やはり外交でありますから、われわれの国益を守るために主張すべき点はしっかり主張していくということも求められているんだろうと、このように思うわけであります。その中において、お互いがですね。お互いが、相手の立場に理解を示しながら、改善に向けて一歩一歩努力している最中であるわけでございます。  
● それぞれ主張すべきは、きちんと主張すべきは当然だと思います。しかし、菅談話に対して、安倍さんが、総理とは言いません。安倍議員が会長をしておられる、その団体が示したその中身は、私はこれは決してほめられたものじゃないし、日韓関係、非常にですね、悪くした。今の韓国側の安倍総理に対するですね。いろんな不信感。その一つがここにあるということは申し上げておきたいと思います。ですから、総理。これから70年談話、70年談話をですね。ご検討中だと聞きます。その形式をどうするのか。閣議決定するのかしないのか。中身をどうするのか、いろんなことを入れるのか入れないのか、私は、今まで使われた言葉をきちんと踏まえて、そして内閣の決定という形で出すべきだと思いますが、しかし最終的には総理に委ねられていますよね。ですから、私、総理にぜひお願いしておきたいし、考え方を聞かせていただきたいのですが、この70年談話非常に重要ですよ。この70年談話によっては、せっかく今まとまりつつある少し良い方向に進みつつある近隣の国々との関係、これがまたおかしくなりかねない。韓国との関係どうですか。総理、北朝鮮の脅威、いろいろ具体的に周辺の安全保障環境が変わった中で、北朝鮮のミサイルの話をいわれますけれども、これ韓国のいろんな協力なければ対応できない話でしょ。それに水をさすような結果になったら絶対にいけないですよね。だから、米国の関係との関係もそうですよ。ですから非常に大事ですからね、ここは。十分考えてやっていただきたいし、そしてその結果について責任を負うのは総理ですから。そのことを踏まえてですね。良い談話を出していただきたいと思いますが、一言ありましたら。  
 まさにこれはお互いが努力することが必要でありまして、民主党政権で李明博大統領が竹島に上陸しましたね。これは初めてのことであります。そしてそのことによってですね。関係が悪化をしていくわけであります。それは、かつての自民党政権時代にはなかったこといえるわけでございます。ですから、そういうことについて、あらかじめですね。あらかじめ上陸すれば、大きな問題になるということを果たして先方にですね。伝えることができたかどうかという疑問も、出されているわけでございます。(※やじがうるさいため)これは委員会ですから、場外の方まで参加されるとですね。やはり委員会としての統率がとれていないふうになりますからよろしくお願いさせていただきたいと思います。そこでですね。そこで大切なことは、まさにそれは両国がですね。努力を積み重ねていくことであろうと思っております。そして70年の談話につきましてはですね。まさに日本というのは、先の大戦の痛切な反省の上に道のりを歩んできたわけでございます。こうした歩みについて、70年迎える今年にですね。総理大臣として、国民の皆様あるいは世界に向けて談話として発表したい。今、有識者のみなさまが議論を積み重ねていただいております。この有識者の皆様のご議論をしっかりと踏まえて、また耳を傾けながら、考えていきたいとこう思っているところです。  
● 総理あの、日韓関係はじめいろんな国との関係は与党も野党もないと私は思っているんです。ですから、われわれ野党としてしっかりと野党なりに努力したいと思っているんです。今、大統領の話をされまして、いつもされるので、一言だけ言っておきますけれども、確かに李明博大統領が竹島に行かれたことは私は驚きましたし、非常に残念に思っています。しかしそのことを、民主党政権で初めて行ったと総理は言われますが、その通りですが、しかしあの時に大統領が行った竹島に建っている石碑、これは自民党政権の時にできて、そして首相が除幕式をやっているんですよ。だからそのことも、言わないとバランスとれていないじゃないですか。われわれ、私、これ言うのを初めてですよ。だからあんまりつまらないことで野党攻撃するんじゃなくて、私は良い70年談話を作ってくださいということを申し上げてわけですから、よろしくお願いをしたいと思います。それではですね。もう一つ申し上げたいと思いますが、これからどういう国を目指しているのかということについてですね。少し残された時間で議論していきたいというふうに思います。私、前に申し上げましたように、日米同盟の抑止力によって日本の70年の平和を保たれたと思っています。しかし同時に、憲法9条の存在も大きかったというふうに申し上げました。最初の党首討論です。総理も、憲法の平和主義という確固たるものがあるというふうに言われましたが、この憲法が70年の平和に果たした役割について、具体的にご説明がなかったんですね。もう一度聞きたいと思います。憲法があることで平和憲法があることで、この70年の日本の平和にどういう効果があったか、あるいはなかったのか。そのことについて、率直にお聞かせいただきたいと思います。  
 あの、世界の多くの国々の中においてもですね。憲法の中において、平和主義を明記している国は多数あるわけでありますが、日本もその一国であります。まさに先の大戦の反省の上に平和国家としての歩みを進めてきた。その中におきましてはもちろん、憲法の中における平和主義、そして基本的人権もあります。そして国民の主権。この3つの大きな原則があるわけでございます。こうした原則の中においてですね。いわば多くの国々の信頼も勝ち得ているとこのように思うわけであります。しかし同時に、同時に、まさにかつては、ソビエト連邦が存在したわけでございまして、その脅威の中におきまして、自衛隊の設立、そして日米同盟というものがしっかりと機能している中において抑止力が存在したことによって、まさに日本の平和と安定は守られてきたんだろうと、こう思うところでございます。  
● 明快にはお答えにはなかったですけども、憲法9条があることで、海外における武力行使、これを事実上禁じてきた、わが国が攻撃を受けた時はそれに対して断固反撃するけれども、自ら海外で武力行使することはないと、それは今までの憲法解釈ですよね。そういう中で、つまり武力行使と一線を画することで、日本の平和が保たれてきた部分は、私は確実にあると思っています。例えば、同盟国・米国のベトナム戦争やイラク戦争。もし限定的な集団的自衛権でじゃかくて、フルサイズの集団的自衛権を日本が持っていたとすれば、そこに参加することは、少なくとも、要請があった可能性は高いと思うんです。それをイエスと言うかとノーと言うかは最後は日本の主権です。しかし、そういったことに参加を求められた可能性は、私はかなり高いんじゃないかと思いますがいかがですか。  
 これは、あの仮定の質問でございますから、しかも日米両国に関わることでございますから、お答えは控えさせていただきたいとこう思うところでございます。まさに、イラクの時には、その後、復興の支援を日本は行っているわけでありますし、そのことは、また大きな評価にもつながったとこう思うわけでございます。そしてまた、これは集団的自衛権の行使に関わりがないわけでありますが、PKO法案の時にも大きな議論が行われたわけであります。あの時も、戦後の国政を大きく変えるものであると。憲法の解釈改憲であり、立法府の自殺であるという社説すらですね、当時はあったわけでございます。しかし、その後ですね。いわばPKOについては、そういう社説を書かれた新聞ですら、評価をされるに至ってまいるわけでございます。こうした活動等も行うことによってですね。地域の平和と繁栄は保たれていくし、また日本に対する信頼も高まっていくんだろうと、こう思うわけであります。そこで、岡田代表が挙げられたベトナム戦争に参加したんではなかったか、あるいはイラク戦争に参加したんではなかったか、あるいは要請があったかどうか、これは今の段階からですね。その時のいわば政府と政府との関係にもよるわけでございますから、今ここで軽々に推測することは控えさせていただきたいと思います。  
● PKOは武力行使ではありません。PKO法の時は、私、中谷(元防衛相)さんと一緒にここで野党の抵抗を排除して、議長を守った経験、委員長を守ったことを記憶しておりますけれども、それはともかくとしてですね。私はですね。先ほどの米国の話、申し上げました。もちろん米国は大事な国です。しかし、非常に強い国です。国民の中にはやはりそういった事態の中でもしできるということになったときに、米国に言われて断りきれないんじゃないかという、そういう漠然とした不安感があるんですね。それが巻き込まれるという話なんですよ。もちろん最後は日本が決める話なんです。その通りなんですけれども、本当にきちんと判断できるだろうか。現実を見たときに、それができるだろうかということで多くの国民が不安に思い、この集団的自衛権の問題について異を唱えているというのが私は実態だというふうに思います。そして、武力行使ですね。もし集団的自衛権、限定した集団的自衛権の行使であっても、いろいろやっていく中で、国際的な評価がどうなるのかということも大事だと思います。先ほど公明党の方からの、質疑を聞いていて私思ったんですけれども、戦後の日本の、日本に対する国際的に高い評価、それはやはり武力行使をしないということに対する評価でもあったと私は思っています。あと外務大臣として痛感しておりました。いろんな人道支援、人道復興支援、あるいは経済開発、いろんな支援を日本はしてきましたが、しかし武力行使とは一線を画してきたということが日本の評価につながっている。それはNGOの関係者なんかもずいぶんそういう声はありますよ。それは今度変えてしまうということが、日本に対する評価を変えてしまう。いや、武力行使を集団的自衛権の行使、限定の行使とはいえ、やるわけですから、そういったことにつながりかねないというふうに私は思っているわけですけれども、総理はいかがでしょうか。  
 あの、議論は、正確にしていかないといけないと思うんですが、じゃあ武力行使ということにおいてはですね。まさにこれ海外で武力行使、これはわれわれは、今でも認めていないわけでありまして、例外としてですね。限定的なものとして。危険物の除去に近い、機雷の除去を挙げております。つまりこの海外における武力行使は今度もしないわけでございます。結果として、武力行使はしなかった。しかし、個別的自衛権としては、個別、個別的自衛権としては、武力行使はできるんですけれども、幸いですね。われわれはしっかりとした抑止力の中において、武力攻撃を受けることがありませんでしたから、武力行使をすることもなかったわけでございます。そして、今後もですね。今後もまさにこれは、海外における海外派兵というのはできないというのは何回も申し上げているとおりでありまして、その中において、まさに3要件の中においてですね、われわれは3要件の中において、限定的な集団的自衛権の行使を行いますが、この3要件の中に書いてあるようにですね。まさに国の存立が、わが国の日本の存立を脅かされるわけでありまして、その中において国民の生命や自由やそして、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるわけでありますから、その時にですね。そういうときが来たときに、果たして、果たして国民を守るために対応しなくていいのかどうか。これについてはですね。政治家というのはやっぱりとことんつきつめて考える私は責任はあるんだと思いますよ。そういうことをしっかりとわれわれは考え抜かなければならないと、こう思うわけでございます。  
● 海外派兵ができないという話も、新3要件、3要件の中から出てくるとおっしゃいましたが、私はね、総理はね、トートロジー(同語反復)に陥っていると思うんですよ。これはまた、別途やります。もう時間がありませんから。海外派兵はできないというのはこの第3要件、必要最小限度を超えるから、他国の領土、領海、領空でできないということであって、新3要件になったときには、それは変わる、変わりうるということを私は前から申し上げているわけで、それを海外派兵はできませんというその概念をまた持ってきて議論してっていうなら、トートロージー、一種のトートロージーであります。総理、今いろいろおっしゃいましたが、自民党の改正草案、ここには自衛権を持つということが書いてありますね。何の限定もつけておりません。ということは、自民党が目指している日本というのは、今のような限定した集団的自衛権の行使ではなくて、フルスペックの、制限のない集団的自衛権の行使できる国を目指している、そういうふうに理解していいですね。  
 われわれはですね。国民の命を守るべきであるとこう考えて、今回の法案を提出をさせていただいたということであります。それとは別に、これは谷垣(禎一)総裁の時に自民党の中において、大いに議論をした結果ですね。自民党案として提出させていただいたものでございます。しかし当然、これは発議する上においても3分の2の賛成が必要で、衆参それぞれ必要でありますし、また国民の過半の支持がなければ到底無理なわけでございます。その中におきまして、政府、じゃあ党としてもどの条文から変えるべきかについて、議論を重ねているところでございます。  
● 総理、手続きを聞いているんじゃなくて、党として、立派に映えた自民党の憲法改正草案について、憲法草案について9条についてお尋ねしているわけです。その中で、自衛権という行使については、限定をつけておられませんね。それはその通りですよね。ということは違法な戦争はしない。だけど、集団的自衛権の行使は、基本的にフルスペックでできるようになるということになると、いわば普通の国になるということだと思うんですね。普通の国になる。われわれは違うんですよ。やはり、海外における武力行使、これについて抑制的に考える。今の憲法の平和主義、これはしっかり守り抜いていく。もちろん現実の中で、解釈が将来的に少し変わることがあるかもしれませんが、基本的には私たちは、海外における武力行使をしないと、この考え方の中で、物事を考えていく。それ、その憲法の平和主義を守り抜いていくという私たちの立場と、普通の国を目指す自由民主党の立場と、どちらをとるかというこの法案はそれ以前の問題、その手前の問題ですから、直接関係ありませんけれども、だけど、やがて目指す方向というのはそれをどちらをとるかというそこを視野において議論されている問題だと。国民の皆さんから見たときに、いったいどっちの道を選ぶんだということが、今問われているということを申し上げておきたいと思います。以上です。 
 
●維新・太田和美氏 質問   ●安倍晋三首相 答弁 

 

●太田氏 憲法学者が平和安全法制に違憲を唱えた。国民の不安、不信はピークに達した。安倍総理はしっかりと議論して、理解していただくためと、戦後最大の9月27日まで延長した。説明すればするほど、違憲とか反対とかの意見が出ている。総理、これは説明時間の問題ではなく、元の論理が間違っているからだと思う。国会を延長して、ただやみくもに審議時間を延長し、矛盾を抱えたままの無理矢理な説明を繰り返しただけでは、国民は納得しないというふうに思います。一度、撤回して、一から出し直した方がよいのではないかと思う。いかがか  
 ここで答弁に立って、出し直すかどうか答弁してもなかなか国民の皆様の理解は広がりませんので、元の議論に立ち返って、ここで説明させていただいてよろしいでしょうか。議論について、なぜ合憲であるかについて、これはすでに高村(正彦自民党)副総裁が憲法審査会に出席させていただきました。3名の憲法学者の方々が意見を開陳された後でございます。昭和34年に砂川判決があった。この判決について9条の2項に自衛権が認めているかどうかについて判断しているが、ここで「わが国が、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとりうることは、国家の固有の権能の行使として当然のことといわなければならない」。ここではじめて自衛権の行使について、最高裁が判断を示したわけでございます。最高裁の判断の中には、個別的自衛権、集団的自衛権にも言及があるわけでありますから、そのことを念頭に自衛権があるということを明確にした。つまり、自衛隊の存在がそこで初めて合憲ということが判断された。その段階では自衛隊に対しては憲法の学界では、ほとんどの方々が意見であると述べていた。その上において、必要な自衛の措置は誰が判断するのか。国会、内閣がこの判断をするということだった。つまり、国の存立の基盤に重大に関係し、そして極めて政治性の高いものに関しては、一見、明白に違憲、無効でない限り、国民の代表である国会と内閣が判断を行うものであります。その時々の必要な自衛の措置は何かということにおいて、昭和47年に判断を示している。それからさらに時を経て、国際社会の状況、安全保障状況を見ながら、われわれは必要な自衛の措置とは、わが国の存立に関わることであるならば、必要最小限度の範囲の中に集団的自衛権の行使も入りうる。いわば当てはめを行ったわけでございます。このように必要な措置とは何かということを常に考え抜くことを私たちの責任なんですね。国民から選ばれている私たちの責任であるということを忘れてはならないんですね。  
● この法案はただ長く説明しただけで、到底理解が進むとは思っていない。日本は戦後70年を迎えた。一度も海外派兵をせずに、外国人を殺傷することもなかった。日本人も殺傷されたこともない。このように私たちが長きにわたり、平和な生活を送って来られたのは、一因として日米安全保障条約の抑止力もあった。しかし、大きな要因として専守防衛がある。日本の平和憲法の精神を具現化した専守防衛をかたくなに守り、他国領域での武力行使を行わないとして、平和憲法の枠内で国際貢献に努めてきたからこそ、世界は日本を平和国家として認識してきた。その結果、70年もの長い間、平和に暮らせてきた。長きにわたり、不戦を貫いてきたのは日本の誇り。安倍総理は今、それを壊そうとしているのではないか。総理が意識がなくても今回、安保関連法案が成立することで、後の政権がそれを平和国家日本の誇りを壊すことになりかねないこともあるかもしれない。歴代の政権は専守防衛こそわが国の防衛の基本方針であり、これを順守するとしてきた。日本を取り巻く脅威が多様化して、自衛隊の役割が増えようとも、専守防衛の原則は絶対に堅持すべきであると考えている。安保関連法案を審議入りするにあたり、防衛白書を読ませていただいた。ここ何年かの防衛白書も読み比べた。専守防衛について書かれている部分だが、平成25年度版では「専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときに、初めて防衛力を行使し」と説明されている。そして平成26年度版のものであります。2014年8月のもので、安倍内閣による集団的自衛権行使の閣議決定がなされた7月よりも後に発行された。平成26年度版の防衛白書は「専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し」と全く同じだった。  
(※ここから英語版の平成25年度と26年度の防衛白書に書かれている「専守防衛」の英文を読み上げながら比較し、日本語版では文言が変わっていないが、英語版では文言が変わっていると指摘する)  
「集団的自衛権の行使の閣議決定の前に発行された防衛白書では、武力攻撃を受ける対象が日本となっていたにもかかわらず、閣議決定後に発行された防衛白書では、武力攻撃を受ける対象が日本に限定されなくなってしまっている。こういう書きぶりに変更されていました。日本にだけの攻撃想定ではなくなっている。総理、一体どういうことか。国民が通常、目にする防衛白書日本語版はそのままにして、英語版だけを変更するのは国民を欺く行為になるのではないか。総理、これはもはや解釈を変えたとか、当てはめの次元ではない。定義自体をこっそり変えたということだ。この件についてしっかりと、説明してほしい。明らかに専守防衛の定義が揺らいでいるではありませんか。  
 (昨年の)7月1日に閣議決定を行った。この閣議決定を行い、(武力行使の新)3要件を付して、そして3要件に当てはまれば武力行使をする。これはわが国と、わが国と密接に関係のある他国に対する武力行使に発生したこと、こう書いてある。その中身において、武力行使はわれわれは自衛権の行使を行うということであり、こっそりというよりも、それを閣議決定したということだ。防衛白書については事前に質問通告がないので、私自身、確かめようがない。何か資料をもとに質問する場合、質問通告をしていただかなければ、委員が話したことが本当かどうか、今、確認のしようがない。7月1日の閣議決定では、基本的な考え方として申し上げている。同時にわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される おそれがある。まさに武力攻撃が発生するおそれのある事態において、これを排除するためにはわが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと。これこそまさにこの考え方は専守防衛なんだろうと思う。  
● では、確認させてください。安倍総理は英文の変更について知っていたか。確認です。確認です。知らなかったら知らなかったで、確認です。  
 事前に通告していただかないと、いちいちすべて私は知り得ているわけではないから、今お答えすることはできない。しっかりとそれが事実かどうかも含めて、確かめさせていただきたい。  
● 今、現時点では、安倍総理はご存じなかったということですよね。では、政府参考人を呼んでいるので、政府から答えていただけるか。  
中谷元防衛相 防衛白書のことでございますが、しっかり確認して答えさせていただきたい。  
● 間違いであれば、専守防衛というのを日本語版と同じように英語版を訂正するつもりはあるか。  
 まず確認してから、お答えしたいと思う。いずれにしても昨年の7月1日に閣議決定しているということで閣議決定に則って平和安全法制を作成したわけだ。そこにおいては新3要件からも明らかなように、専守防衛の考え方は貫かれているということだ。  
● 政府に統一見解を求めます  
(※通告のない質問に対して「ルール違反だ」とのやじ)  
● 総理の本音がちょこちょこ出てきているのではないかと思う。一時が万事で、今の政権、沢山あるんではないかという疑念すら浮かんでくるので、きっちりと精査させていただく。次の質問に移る。6月4日の衆院憲法審査会の参考人、憲法学者の3人全員が違憲を指摘したこと、総理も砂川判決を言った。政府は集団的自衛権の合憲性をこの統治行為論により、最高裁判所の司法審査の範囲外として内閣および国会、ひいては国民に委ねるものと考えているのか。  
 まさに砂川判決によって、自衛隊の前提である自衛権が最高裁によって憲法9条があると同時に存在することが認められた。そしてその中において例として挙げたが、統治権を、いわば統治行為として、この解釈において、必要な自衛の措置とは何かという解釈の中において解釈してきた。その中において昭和47年の解釈がある。こうした解釈を憲法の中に自衛隊の存在が明記されているわけではない。憲法9条2項の中で、はたして自衛隊の、あるいは自衛権そのものが存在するのかどうかが大きな議論になり、それを前提とする自衛隊が違憲であるということについて議論がなされてきた。われわれはその中において個別的自衛権について、昭和47年の見解の中で砂川判決と軌を一にする政府の解釈をお示しをしているわけだ。そして、あれから随分時を経て、状況が変わった中においては47年の基本論理は維持しつつ、そして当てはめを変えた。まさに必要な自衛の措置とは何かということを考える中において、何が必要最小限度の中に、その必要な自衛の措置に当たりうるか、必要な自衛の措置というのを考えた中において、今回解釈を変更したところでございます。  
● 砂川判決の自衛権の措置とは集団的自衛権に限ったわけではないと思う。今、総理にもう一度確認したいが、総理の答弁の中にあったが、砂川事件判決の中において自衛権に関しての、最高裁判決が、解釈改憲が正しいと結論づける根拠たり得るとおっしゃるのかということです。先ほど中谷大臣もその根拠たり得るとお答えいただきました。総理にも確認させていただきたい。  
 解釈改憲はしないので、解釈改憲の根拠とはたり得ません。その上で申し上げれば、まさに砂川判決の中で必要な自衛の措置という言及があります。先ほど申し上げましたように国連憲章を引いて個別的自衛権、集団的自衛権に触れた箇所がございますので、それを認識した上において、自衛の措置という言葉を使っているわけだ。そこで集団的自衛権ということを述べているわけでないし、そう申し上げたことはない。そこに必要な自衛の措置ということが述べられていて、この必要な自衛の措置とは何かという中において昭和47年の段階では集団的自衛権は、これは含まれませんねと考えた。しかし今、国際環境が大きく変わる、安全保障環境が大きく変わる中において、まさにわが国の存立に関わること、国民の生命や自由、幸福追求の権利が根底から覆されるような、そういうとき、これは集団的自衛権と国際法上見られることがあったとしても、行使しうる。このように解釈を変更した、いわば当てはめを変えたということだ。  
● 安倍総理が最高裁の判決に重きを置いていることは分かった。では、最高裁は2010年(平成22年)の衆議院の調査において違憲状態であるとの判決を出した。それにもかかわらず総理は違憲状態のまま解散総選挙を行ったというふうに思います。このことについて、一方では最高裁だとおっしゃられたり、解釈改憲が正しいと結論付ける根拠の一つだとされるなど重きを置いている態度をとり、一方では違憲状態の判決を軽んじて衆議院選挙を行う。矛盾していると思います。総理、最後にこのことを聞いて終わりにしたいと思います。  
 あの、矛盾していないと思います。  
 
  
国際平和支援法  
国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律

 

第一章 総則  
(目的)  
第一条 この法律は、国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの(以下「国際平和共同対処事態」という。)に際し、当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行うことにより、国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。  
(基本原則)  
第二条 政府は、国際平和共同対処事態に際し、この法律に基づく協力支援活動若しくは捜索救助活動又は重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第百四十五号)第二条に規定する船舶検査活動(国際平和共同対処事態に際して実施するものに限る。第四条第二項第五号において単に「船舶検査活動」という。)(以下「対応措置」という。)を適切かつ迅速に実施することにより、国際社会の平和及び安全の確保に資するものとする。  
2 対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。  
3 協力支援活動及び捜索救助活動は、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われている現場では実施しないものとする。ただし、第八条第六項の規定により行われる捜索救助活動については、この限りでない。  
4 外国の領域における対応措置については、当該対応措置が行われることについて当該外国(国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従って当該外国において施政を行う機関がある場合にあっては、当該機関)の同意がある場合に限り実施するものとする。 5 内閣総理大臣は、対応措置の実施に当たり、第四条第一項に規定する基本計画に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。  
5 関係行政機関の長は、前条の目的を達成するため、対応措置の実施に関し、防衛大臣に協力するものとする。  
(定義等)  
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。  
一 諸外国の軍隊等国際社会の平和及び安全を脅かす事態に関し、次のいずれかの国際連合の総会又は安全保障理事会の決議が存在する場合において、当該事態に対処するための活動を行う外国の軍隊その他これに類する組織(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)第三条第一号に規定する国際連合平和維持活動、同条第二号に規定する国際連携平和安全活動又は同条第三号に規定する人道的な国際救援活動を行うもの及び重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年法律第六十号)第三条第一項第一号に規定する合衆国軍隊等を除く。)をいう。  
イ 当該外国が当該活動を行うことを決定し、要請し、勧告し、又は認める決議  
ロ イに掲げるもののほか、当該事態が平和に対する脅威又は平和の破壊であるとの認識を示すとともに、当該事態に関連して国際連合加盟国の取組を求める決議  
二 協力支援活動諸外国の軍隊等に対する物品及び役務の提供であって、我が国が実施するものをいう。  
三 捜索救助活動諸外国の軍隊等の活動に際して行われた戦闘行為によって遭難した戦闘参加者について、その捜索又は救助を行う活動(救助した者の輸送を含む。)であって、我が国が実施するものをいう。  
2 協力支援活動として行う自衛隊に属する物品の提供及び自衛隊による役務の提供(次項後段に規定するものを除く。)は、別表第一に掲げるものとする。  
3 捜索救助活動は、自衛隊の部隊等(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八条に規定する部隊等をいう。以下同じ。)が実施するものとする。この場合において、捜索救助活動を行う自衛隊の部隊等において、その実施に伴い、当該活動に相当する活動を行う諸外国の軍隊等の部隊に対して協力支援活動として行う自衛隊に属する物品の提供及び自衛隊による役務の提供は、別表第二に掲げるものとする。
第二章 対応措置等  
(基本計画)  
第四条 内閣総理大臣は、国際平和共同対処事態に際し、対応措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、当該対応措置を実施すること及び当該対応措置に関する基本計画(以下「基本計画」という。)の案につき閣議の決定を求めなければならない。  
2 基本計画に定める事項は、次のとおりとする。  
一 国際平和共同対処事態に関する次に掲げる事項  
イ 事態の経緯並びに国際社会の平和及び安全に与える影響  
ロ 国際社会の取組の状況  
ハ 我が国が対応措置を実施することが必要であると認められる理由  
二 前号に掲げるもののほか、対応措置の実施に関する基本的な方針  
三 前条第二項の協力支援活動を実施する場合における次に掲げる事項  
イ 当該協力支援活動に係る基本的事項  
ロ 当該協力支援活動の種類及び内容  
ハ 当該協力支援活動を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項  
ニ 当該協力支援活動を自衛隊が外国の領域で実施する場合には、当該協力支援活動を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の規模及び構成並びに装備並びに派遣期間  
ホ 自衛隊がその事務又は事業の用に供し又は供していた物品以外の物品を調達して諸外国の軍隊等に無償又は時価よりも低い対価で譲渡する場合には、その実施に係る重要事項  
ヘ その他当該協力支援活動の実施に関する重要事項  
四 捜索救助活動を実施する場合における次に掲げる事項  
イ 当該捜索救助活動に係る基本的事項  
ロ 当該捜索救助活動を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項  
ハ 当該捜索救助活動の実施に伴う前条第三項後段の協力支援活動の実施に関する重要事項(当該協力支援活動を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項を含む。)  
ニ 当該捜索救助活動又はその実施に伴う前条第三項後段の協力支援活動を自衛隊が外国の領域で実施する場合には、これらの活動を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の規模及び構成並びに装備並びに派遣期間  
ホ その他当該捜索救助活動の実施に関する重要事項  
五 船舶検査活動を実施する場合における重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律第  
四条第二項に規定する事項  
六 対応措置の実施のための関係行政機関の連絡調整に関する事項  
3 協力支援活動又は捜索救助活動を外国の領域で実施する場合には、当該外国(第二条第四項に規定する機関がある場合にあっては、当該機関)と協議して、実施する区域の範囲を定めるものとする。  
(国会への報告)  
第五条 内閣総理大臣は、次に掲げる事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならない。 一 基本計画の決定又は変更があったときは、その内容  
二 基本計画に定める対応措置が終了したときは、その結果  
2 1の(一)又は(六)に掲げる業務を実施する場合にあっては、国際連合平和維持活動等が実施されること及び我が国が国際平和協力業務を実施することにつき、当該活動が行われる地域の属する国等の同意が当該活動及び当該業務が行われる期間を通じて安定的に維持されていると認められなければならないものとすること。  
3 内閣総理大臣は、自衛隊の部隊等が1の(一)に掲げる業務又は国際連携平和安全活動のために武力紛争の停止の遵守状況の監視、緩衝地帯における駐留、巡回等の一定の業務を実施しようとする場合は、実施計画を添えて国会の承認を求めなければならないものとすること。  
(国会の承認)  
第六条 内閣総理大臣は、対応措置の実施前に、当該対応措置を実施することにつき、基本計画を添えて国会の承認を得なければならない。  
2 前項の規定により内閣総理大臣から国会の承認を求められた場合には、先議の議院にあっては内閣総理大臣が国会の承認を求めた後国会の休会中の期間を除いて七日以内に、後議の議院にあっては先議の議院から議案の送付があった後国会の休会中の期間を除いて七日以内に、それぞれ議決するよう努めなければならない。  
3 内閣総理大臣は、対応措置について、第一項の規定による国会の承認を得た日から二年を経過する日を超えて引き続き当該対応措置を行おうとするときは、当該日の三十日前の日から当該日までの間に、当該対応措置を引き続き行うことにつき、基本計画及びその時までに行った対応措置の内容を記載した報告書を添えて国会に付議して、その承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会においてその承認を求めなければならない。  
4 政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、遅滞なく、当該対応措置を終了させなければならない。  
5 前二項の規定は、国会の承認を得て対応措置を継続した後、更に二年を超えて当該対応措置を引き続き行おうとする場合について準用する。  
(協力支援活動の実施)  
第七条 防衛大臣又はその委任を受けた者は、基本計画に従い、第三条第二項の協力支援活動としての自衛隊に属する物品の提供を実施するものとする。  
2 防衛大臣は、基本計画に従い、第三条第二項の協力支援活動としての自衛隊による役務の提供について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。  
3 防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある役務の提供の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該協力支援活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。  
4 防衛大臣は、実施区域の全部又は一部において、自衛隊の部隊等が第三条第二項の協力支援活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合又は外国の領域で実施する当該協力支援活動についての第二条第四項の同意が存在しなくなったと認める場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。  
5 第三条第二項の協力支援活動のうち我が国の領域外におけるものの実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者は、当該協力支援活動を実施している場所若しくはその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合若しくは付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合又は当該部隊等の安全を確保するため必要と認める場合には、当該協力支援活動の実施を一時休止し又は避難するなどして危険を回避しつつ、前項の規定による措置を待つものとする。  
6 第二項の規定は、同項の実施要項の変更(第四項の規定により実施区域を縮小する変更を除く。)について準用する。  
(捜索救助活動の実施等) 第八条 防衛大臣は、基本計画に従い、捜索救助活動について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。  
2 防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある捜索救助活動の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該捜索救助活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。  
3 捜索救助活動を実施する場合において、戦闘参加者以外の遭難者が在るときは、これを救助するものとする。  
4 前条第四項の規定は、実施区域の指定の変更及び活動の中断について準用する。  
5 前条第五項の規定は、我が国の領域外における捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者について準用する。この場合において、同項中「前項」とあるのは、「次条第四項において準用する前項」と読み替えるものとする。  
6 前項において準用する前条第五項の規定にかかわらず、既に遭難者が発見され、自衛隊の部隊等がその救助を開始しているときは、当該部隊等の安全が確保される限り、当該遭難者に係る捜索救助活動を継続することができる。  
7 第一項の規定は、同項の実施要項の変更(第四項において準用する前条第四項の規定により実施区域を縮小する変更を除く。)について準用する。  
8 前条の規定は、捜索救助活動の実施に伴う第三条第三項後段の協力支援活動について準用する。  
(自衛隊の部隊等の安全の確保等)  
第九条 防衛大臣は、対応措置の実施に当たっては、その円滑かつ効果的な推進に努めるとともに、自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮しなければならない。  
(関係行政機関の協力)  
第十条 防衛大臣は、対応措置を実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、その所管に属する物品の管理換えその他の協力を要請することができる。  
2 関係行政機関の長は、前項の規定による要請があったときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、同項の協力を行うものとする。  
(武器の使用)  
第十一条 第七条第二項(第八条第八項において準用する場合を含む。第五項及び第六項において同じ。)の規定により協力支援活動としての自衛隊の役務の提供の実施を命ぜられ、又は第八条第一項の規定により捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員(自衛隊法第二条第五項に規定する隊員をいう。第六項において同じ。)若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器(自衛隊が外国の領域で当該  
協力支援活動又は当該捜索救助活動を実施している場合については、第四条第二項第三号ニ又は第四号ニの規定により基本計画に定める装備に該当するものに限る。以下この条において同じ。)を使用することができる。  
2 前項の規定による武器の使用は、当該現場に上官が在るときは、その命令によらなければならない。ただし、生命又は身体に対する侵害又は危難が切迫し、その命令を受けるいとまがないときは、この限りでない。  
3 第一項の場合において、当該現場に在る上官は、統制を欠いた武器の使用によりかえって生命若しくは身体に対する危険又は事態の混乱を招くこととなることを未然に防止し、当該武器の使用が同項及び次項の規定に従いその目的の範囲内において適正に行われることを確保する見地から必要な命令をするものとする。  
4 第一項の規定による武器の使用に際しては、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条又は第三十七条の規定に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。  
5 第七条第二項の規定により協力支援活動としての自衛隊の役務の提供の実施を命ぜられ、又は第八条第一項の規定により捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、外国の領域に設けられた当該部隊等の宿営する宿営地(宿営のために使用する区域であって、囲障が設置されることにより他と区別されるものをいう。以下この項において同じ。)であって諸外国の軍隊等の要員が共に宿営するものに対する攻撃があった場合において、当該宿営地以外にその近傍に自衛隊の部隊等の安全を確保することができる場所がないときは、当該宿営地に所在する者の生命又は身体を防護するための措置をとる当該要員と共同して、第一項の規定による武器の使用をすることができる。この場合において、同項から第三項まで及び次項の規定の適用については、第一項中「現場に所在する他の自衛隊員(自衛隊法第二条第五項に規定する隊員をいう。第六項において同じ。)若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」とあるのは「その宿営する宿営地(第五項に規定する宿営地をいう。次項及び第三項において同じ。)に所在する者」と、「その事態」とあるのは「第五項に規定する諸外国の軍隊等の要員による措置の状況をも踏まえ、その事態」と、第二項及び第三項中「現場」とあるのは「宿営地」と、次項中「自衛隊員」とあるのは「自衛隊員(同法第二条第五項に規定する隊員をいう。)」とする。  
6 自衛隊法第九十六条第三項の規定は、第七条第二項の規定により協力支援活動としての自衛隊の役務の提供(我が国の領域外におけるものに限る。)の実施を命ぜられ、又は第八条第一項の規定により捜索救助活動(我が国の領域外におけるものに限る。)の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官については、自衛隊員以外の者の犯した犯罪に関しては適用しない。
第三章 雑則  
(物品の譲渡及び無償貸付け)  
第十二条 防衛大臣又はその委任を受けた者は、協力支援活動の実施に当たって、自衛隊に属する物品(武器を除く。)につき、協力支援活動の対象となる諸外国の軍隊等から第三条第一項第一号に規定する活動(以下「事態対処活動」という。)の用に供するため当該物品の譲渡又は無償貸付けを求める旨の申出があった場合において、当該事態対処活動の円滑な実施に必要であると認めるときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、当該申出に係る物品を当該諸外国の軍隊等に対し無償若しくは時価よりも低い対価で譲渡し、又は無償で貸し付けることができる。  
(国以外の者による協力等)  
第十三条 防衛大臣は、前章の規定による措置のみによっては対応措置を十分に実施することができないと認めるときは、関係行政機関の長の協力を得て、物品の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供について国以外の者に協力を依頼することができる。  
2 政府は、前項の規定により協力を依頼された国以外の者に対し適正な対価を支払うとともに、その者が当該協力により損失を受けた場合には、その損失に関し、必要な財政上の措置を講ずるものとする。  
(請求権の放棄)  
第十四条 政府は、自衛隊が協力支援活動又は捜索救助活動(以下この条において「協力支援活動等」という。)を実施するに際して、諸外国の軍隊等の属する外国から、当該諸外国の軍隊等の行う事態対処活動又は協力支援活動等に起因する損害についての請求権を相互に放棄することを約することを求められた場合において、これに応じることが相互の連携を確保しながらそれぞれの活動を円滑に実施する上で必要と認めるときは、事態対処活動に起因する損害についての当該外国及びその要員に対する我が国の請求権を放棄することを約することができる。  
(政令への委任)  
第十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附則  
この法律は、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第 号)の施行の日から施行する。
別表第一(第三条関係)  
種類 内容   
補給 給水、給油、食事の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
輸送 人員及び物品の輸送、輸送用資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
修理及び整備 修理及び整備、修理及び整備用機器並びに部品及び構成品の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
医療 傷病者に対する医療、衛生機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
通信 通信設備の利用、通信機器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
空港及び港湾業務 航空機の離発着及び船舶の出入港に対する支援、積卸作業並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
基地業務 廃棄物の収集及び処理、給電並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
宿泊 宿泊設備の利用、寝具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
保管 倉庫における一時保管、保管容器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
施設の利用 土地又は建物の一時的な利用並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
訓練業務 訓練に必要な指導員の派遣、訓練用器材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
建設 建築物の建設、建設機械及び建設資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
備考 物品の提供には、武器の提供を含まないものとする。  
別表第二(第三条関係)  
種類 内容  
補給 給水、給油、食事の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
輸送 人員及び物品の輸送、輸送用資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
修理及び整備 修理及び整備、修理及び整備用機器並びに部品及び構成品の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
医療 傷病者に対する医療、衛生機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
通信 通信設備の利用、通信機器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
宿泊 宿泊設備の利用、寝具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
消毒 消毒、消毒機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供  
備考 物品の提供には、武器の提供を含まないものとする   
理由  
国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるものに際し、当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行うことにより、国際社会の平和及び安全の確保に資することができるようにする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
  
平和安全法制整備法  
我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律

 

第一 自衛隊法の一部改正  
一 自衛隊の任務  
防衛出動を命ずることができる事態の追加及び周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律の一部改正に伴い、自衛隊の任務を改めること。  
二 防衛出動  
1 内閣総理大臣が自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる事態として、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態を追加すること。  
2 自衛隊法第七十七条の二の防御施設構築の措置、同法第八十条の海上保安庁の統制、同法第九十二条の防衛出動時の公共の秩序の維持のための権限、同法第九十二条の二の防衛出動時の緊急通行、同法第百三条の防衛出動時における物資の収用等に係る規定等については、1の事態に係る出動には適用しないものとすること。  
三 在外邦人等の保護措置  
1 防衛大臣は、外務大臣から外国における緊急事態に際して生命又は身体に危害が加えられるおそれがある邦人の警護、救出その他の当該邦人の生命又は身体の保護のための措置(輸送を含む。以下「保護措置」という。)を行うことの依頼があった場合において、外務大臣と協議し、内閣総理大臣の承認を得て、部隊等に当該保護措置を行わせることができるものとすること。  
2 防衛大臣は、1により保護措置を行わせる場合において、外務大臣から保護することを依頼された外国人その他の当該保護措置と併せて保護を行うことが適当と認められる者(3において「その他の保護対象者」という。)の生命又は身体の保護のための措置を部隊等に行わせることができるものとすること。  
3 1により外国の領域において保護措置を行う職務に従事する自衛官は、その職務を行うに際し、自己若しくは当該保護措置の対象である邦人若しくはその他の保護対象者の生命若しくは身体の防護又はその職務を妨害する行為の排除のためやむを得ない必要があると認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができるものとすること。  
四 合衆国軍隊等の部隊の武器等の防護のための武器の使用  
1 自衛官は、アメリカ合衆国の軍隊その他の外国の軍隊その他これに類する組織(2において「合衆国軍隊等」という。)の部隊であって自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含み、現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。)に現に従事しているものの武器等を職務上警護するに当たり、人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができるものとすること。  
2 1の警護は、合衆国軍隊等から要請があった場合であって、防衛大臣が必要と認めるときに限り、自衛官が行うものとすること。  
五 合衆国軍隊に対する物品又は役務の提供  
1 防衛大臣又はその委任を受けた者は、次に掲げる合衆国軍隊(アメリカ合衆国の軍隊をいう。)から要請があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、当該合衆国軍隊に対し、自衛隊に属する物品の提供を実施することができるものとすること。  
(一)自衛隊及び合衆国軍隊の双方の参加を得て行われる訓練に参加する合衆国軍隊  
(二)自衛隊法第八十一条の二第一項第二号に掲げる施設及び区域に係る同項の警護を行う自衛隊の部隊等と共に当該施設及び区域内に所在して当該施設及び区域の警護を行う合衆国軍隊  
(三)保護措置を行う自衛隊の部隊等又は自衛隊法第八十二条の二の海賊対処行動、同法第八十二条の三第一項若しくは第三項の弾道ミサイル等を破壊する措置をとるための必要な行動、同法第八十四条の二の機雷等の除去若しくは我が国の防衛に資する情報の収集のための活動を行う自衛隊の部隊と共に現場に所在してこれらの行動又は活動と同種の活動を行う合衆国軍隊  
(四)訓練、連絡調整その他の日常的な活動のため、航空機、船舶又は車両により合衆国軍隊の施設に到着して一時的に滞在する部隊等と共に現場に所在し、訓練、連絡調整その他の日常的な活動を行う合衆国軍隊  
2 防衛大臣は、1の(一)から(四)までに掲げる合衆国軍隊から要請があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、防衛省の機関又は部隊等に、当該合衆国軍隊に対する役務の提供を行わせることができるものとすること。  
六 国外犯に係る罰則  
一部の罪について、日本国外において犯した者にも適用し、又は刑法第二条の例に従うものとすること。  
七 その他所要の規定の整備を行うこと。
第二 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部改正(第二条関係)  
一 協力の対象となる活動及びその態様の追加等  
1 国際平和協力業務の実施又は物資協力の対象として新たに国際連携平和安全活動を追加し、当該活動の定義について、国際連合の総会、安全保障理事会若しくは経済社会理事会が行う決議等に巷基づき、紛争当事者間の武力紛争の再発の防止に関する合意の遵守の確保、紛争による混乱に伴う切迫した暴力の脅威からの住民の保護、武力紛争の終了後に行われる民主的な手段による統治組織の設立及び再建の援助等を目的として行われる活動であって、二以上の国の連携により実施されるもののうち、次に掲げるものとすること。  
(一) 武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意があり、かつ、当該活動が行われる地域の属する国及び紛争当事者の当該活動が行われることについての同意がある場合に、いずれの紛争当事者にも偏ることなく実施される活動  
(二)武力紛争が終了して紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在しなくなった場合において、当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意がある場合に実施される活動  
(三)武力紛争がいまだ発生していない場合において、当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意がある場合に、武力紛争の発生を未然に防止することを主要な目的として、特定の立場に偏ることなく実施される活動  
2 防衛大臣は、国際連合の要請に応じ、国際連合の業務であって、国際連合平和維持活動に参加する自衛隊の部隊等又は外国の軍隊の部隊により実施される業務の統括に関するものに従事させるため、内閣総理大臣の同意を得て、自衛官を派遣することができるものとすること。  
3 国際的な選挙監視活動について、紛争による混乱を解消する過程で行われる選挙等を含めるものとすること。  
4 選挙の監視等に係る国際平和協力業務に従事する隊員を選考により採用する者及び自衛隊員以外の関係行政機関の職員に限るものとすること。  
二 国際平和協力業務の種類の追加  
1 国際平和協力業務の種類として次に掲げる業務を追加すること。  
(一)防護を必要とする住民、被災民その他の者の生命、身体及び財産に対する危害の防止及び抑止その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警護  
(二)矯正行政事務に関する助言若しくは指導又は矯正行政事務の監視  
(三)立法又は司法に関する事務に関する助言又は指導  
(四)国の防衛に関する組織等の設立又は再建を援助するための助言若しくは指導又は教育訓練に関する業務  
(五)国際連合平和維持活動又は国際連携平和安全活動を統括し、又は調整する組織において行う一定の業務の実施に必要な企画及び立案並びに調整又は情報の収集整理  
(六)自衛隊の部隊等が武力紛争の停止の遵守状況の監視、緩衝地帯における駐留、巡回等の一定の国際平和協力業務((一)に掲げる業務を含む。)以外の業務を行う場合であって、国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動若しくは人道的な国際救援活動に従事する者又はこれらの活動を支援する者(以下「活動関係者」という。)の生命又は身体に対する不測の侵害又は危難が生じ、又は生ずるおそれがある場合に、緊急の要請に対応して行う当該活動関係者の生命及び身体の保護  
2 1の(一)又は(六)に掲げる業務を実施する場合にあっては、国際連合平和維持活動等が実施されること及び我が国が国際平和協力業務を実施することにつき、当該活動が行われる地域の属する国等の同意が当該活動及び当該業務が行われる期間を通じて安定的に維持されていると認められなければならないものとすること。  
3 内閣総理大臣は、自衛隊の部隊等が1の(一)に掲げる業務又は国際連携平和安全活動のために武力紛争の停止の遵守状況の監視、緩衝地帯における駐留、巡回等の一定の業務を実施しようとする場合は、実施計画を添えて国会の承認を求めなければならないものとすること。  
三 武器の使用  
1 国際平和協力業務に従事する自衛官は、その宿営する宿営地であって当該業務に従事する外国の軍隊の部隊の要員が共に宿営するものに対する攻撃があったときは、当該宿営地に所在する者の生命又は身体を防護するための措置をとる当該要員と共同して、武器の使用をすることができるものとすること。  
2 二の1の(一)に掲げる業務に従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己若しくは他人の生命、身体若しくは財産を防護し、又はその業務を妨害する行為を排除するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、武器を使用することができるものとすること。  
3 二の1の(六)に掲げる業務に従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己又はその保護しようとする活動関係者の生命又は身体を防護するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、武器を使用することができるものとすること。  
四 その他の措置  
1 国際平和協力本部長は、国際平和協力隊の隊員の安全の確保に配慮しなければならないものとすること。  
2 人道的な国際救援活動の要請を行う国際機関を掲げる別表に新たな機関を加えること。  
3 停戦合意のない場合における物資協力の対象となる国際機関を掲げる別表に2の機関を加えるとともに、当該物資協力の要件を明確化すること。  
4 政府は、国際連合平和維持活動等に参加するに際して、活動参加国等から、これらの活動に起因する損害についての請求権を相互に放棄することを約することを求められた場合において必要と認めるときは、我が国の請求権を放棄することを約することができるものとすること。  
5 防衛大臣等は、国際連合平和維持活動等を実施する自衛隊の部隊等と共に活動が行われる地域に所在して大規模な災害に対処するアメリカ合衆国又はオーストラリアの軍隊から応急の措置に必要な物品又は役務の提供に係る要請があったときは、これを実施することができるものとすること。  
五 その他所要の規定の整備を行うこと。
第三 周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律の一部改正  
(第三条関係)  
一 題名  
この法律の題名を「重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」に改めること。  
二 目的  
この法律の目的に、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「重要影響事態」という。)に際し、合衆国軍隊等に対する後方支援活動等を行うことにより、日米安保条約の効果的な運用に寄与することを中核とする重要影響事態に対処する外国との連携を強化する旨を明記すること。  
三 重要影響事態への対応の基本原則  
1 後方支援活動及び捜索救助活動は、現に戦闘行為が行われている現場では実施しないものとすること。ただし、既に遭難者が発見され、自衛隊の部隊等がその救助を開始しているときは、当該部隊等の安全が確保される限り、当該遭難者に係る捜索救助活動を継続することができるものとすること。  
2 外国の領域における対応措置については、当該対応措置が行われることについて当該外国等の同意がある場合に限り実施されるものとすること。  
四 定義  
1 この法律において「合衆国軍隊等」とは、重要影響事態に対処し、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行うアメリカ合衆国の軍隊及びその他の国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊その他これに類する組織をいうものとすること。  
2 この法律において「後方支援活動」とは、合衆国軍隊等に対する物品及び役務の提供、便宜の供与その他の支援措置であって、我が国が実施するものをいうものとすること。  
3 この法律において「捜索救助活動」とは、重要影響事態において行われた戦闘行為によって遭難した戦闘参加者について、その捜索又は救助を行う活動(救助した者の輸送を含む。)であって、我が国が実施するものをいうものとすること。  
五 基本計画  
1 基本計画に定める事項として、重要影響事態に関する次に掲げる事項等を追加すること。  
(一)事態の経緯並びに我が国の平和及び安全に与える影響  
(二)我が国が対応措置を実施することが必要であると認められる理由  
(三)後方支援活動又は捜索救助活動若しくはその実施に伴う後方支援活動を自衛隊が外国の領域で実施する場合には、これらの活動を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の規模及び構成並びに装備並びに派遣期間  
2 1の(三)の場合には、当該外国等と協議して、実施する区域の範囲を定めるものとすること。  
六 武器の使用  
1 後方支援活動としての自衛隊の役務の提供又は捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体を防護するため武器を使用することができるものとすること。  
2 1の自衛官は、外国の領域に設けられた当該部隊等の宿営する宿営地であって合衆国軍隊等の要員が共に宿営するものに対する攻撃があった場合において、当該宿営地以外にその近傍に自衛隊の部隊等の安全を確保することができる場所がないときは、当該宿営地に存在する者の生命又は身体を防護するための措置をとる当該要員と共同して、1による武器の使用をすることができるものとすること。  
七 その他所要の規定を整備すること。
第四 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律の一部改正(第四条関係)  
一 題名  
この法律の題名を「重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律」に改めること。  
二 目的  
この法律の目的を、重要影響事態又は国際平和共同対処事態に対応して我が国が実施する船舶検査活動に関し、その実施の態様、手続その他の必要な事項を定め、重要影響事態安全確保法及び国際平和協力支援活動法と相まって、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資することとすること。  
三 船舶検査活動の実施等  
1 重要影響事態又は国際平和共同対処事態における船舶検査活動は、自衛隊の部隊等が実施するものとすること。  
2 船舶検査活動又はその実施に伴う後方支援活動若しくは協力支援活動を外国の領域で実施する場合には、これらの活動を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の装備及び派遣期間を重要影響事態安全確保法又は国際平和協力支援活動法に規定する基本計画に定めるものとすること。  
3 2の場合には、当該外国等と協議して、実施する区域の範囲を定めるものとすること。  
四 武器の使用  
船舶検査活動又はその実施に伴う後方支援活動若しくは協力支援活動としての自衛隊の役務の提供の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体を防護するため武器を使用することができるものとすること。  
五 その他所要の規定の整備を行うこと。
第五 武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律の一部改正(第五条関係)  
一 題名  
この法律の題名を「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」に改めること。  
二 目的  
この法律の目的に、存立危機事態への対処について、基本となる事項を定めることにより、存立危機事態への対処のための態勢を整備する旨を明記すること。  
三 定義  
1 この法律において「存立危機事態」とは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいうものとすること。  
2 「対処措置」の定義に、存立危機事態の推移に応じて実施する措置を追加すること。  
四 基本理念  
存立危機事態への対処に関する基本理念を定めること。  
五 国の責務  
1 国は、組織及び機能の全てを挙げて、存立危機事態に対処するとともに、国全体として万全の措置が講じられるようにする責務を有するものとすること。  
2 国は、武力攻撃事態等及び存立危機事態への円滑かつ効果的な対処が可能となるよう、関係機関が行うこれらの事態への対処についての訓練その他の関係機関相互の緊密な連携協力の確保に資する施策を実施するものとすること。  
六 対処基本方針  
1 政府は、存立危機事態に至ったときは、対処基本方針を定めるものとすること。  
2 対処基本方針に定める事項として、対処すべき事態に関する次に掲げる事項を追加すること。  
(一)事態の経緯、事態が武力攻撃事態であること、武力攻撃予測事態であること又は存立危機事態であることの認定及び当該認定の前提となった事実  
(二)事態が武力攻撃事態又は存立危機事態であると認定する場合にあっては、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がなく、事態に対処するため武力の行使が必要であると認められる理由  
3 存立危機事態においては、対処基本方針には、(一)に掲げる内閣総理大臣が行う国会の承認(衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認)の求めを行う場合にあってはその旨を、内閣総理大臣が(二)に掲げる防衛出動を命ずる場合にあってはその旨を記載しなければならないものとすること。 (一) 内閣総理大臣が防衛出動を命ずることについての自衛隊法第七十六条第一項の規定に基づく国会の承認の求め (二) 自衛隊法第七十六条第一項に基づき内閣総理大臣が命ずる防衛出動  
七 その他所要の規定の整備を行うこと。
第六 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律の一部改正(第六条関係)  
一 題名  
この法律の題名を「武力攻撃事態等及び存立危機事態におけるアメリカ合衆国等の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律」に改めること。  
二 目的  
この法律の目的に、武力攻撃事態等又は存立危機事態において自衛隊と協力して武力攻撃又は存立危機武力攻撃を排除するために必要な外国軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置等について定める旨を明記すること。  
三 定義  
1 この法律において「外国軍隊」とは、武力攻撃事態等又は存立危機事態において、自衛隊と協力して武力攻撃又は存立危機武力攻撃を排除するために必要な行動を実施している外国の軍隊(武力攻撃事態等において、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動を実施しているアメリ力合衆国の軍隊を除く。)をいうものとすること。  
2 「行動関連措置」の定義に、武力攻撃事態等又は存立危機事態において、外国軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置その他の外国軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置を追加すること。  
四 その他所要の規定の整備を行うこと。
第七 武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律の一部改正(第七条関係)  
「対処措置等」の定義に、外国軍隊が実施する自衛隊と協力して武力攻撃を排除するために必要な行動を追加すること。
第八 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律の一部改正(第八条関係)  
一 この法律の題名を「武力攻撃事態及び存立危機事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律」に改めること。  
二 存立危機事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する所要の規定の整備を行うこと。
第九 武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律の一部改正(第9条関係)  
一 この法律の題名を「武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律」に改めること。  
二 存立危機事態における捕虜等の拘束、抑留その他の取扱いに関する所要の規定の整備を行うこと。
第十 国家安全保障会議設置法の一部改正(第十条関係)  
一 国家安全保障会議は、存立危機事態への対処に関する基本的な方針、存立危機事態、重要影響事態及び国際平和共同対処事態への対処に関する重要事項、国際平和協力業務の実施等に関する重要事項並びに自衛隊の行動に関する重要事項を審議し、必要に応じて内閣総理大臣に対して意見を述べるものとすること。  
二 内閣総理大臣が国家安全保障会議に諮問しなければならない事項として、第二の二の1の(一)又は(六)に掲げる業務の実施に係る国際平和協力業務実施計画の決定及び変更に関するもの並びに第二の一の2の自衛官の国際連合への派遣に関するもの並びに保護措置の実施に関するものを追加すること。  
三 その他所要の規定の整備を行うこと。
第十一 施行期日等(付則関係)  
一 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。  
二 その他所要の調整規定を設けるほか、関係法律について所要の改正を行うこと。
理由  
我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に際して実施する防衛出動その他の対処措置、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に際して実施する合衆国軍隊等に対する後方支援活動等、国際連携平和安全活動のために実施する国際平和協力業務その他の我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するために我が国が実施する措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。  
  
自衛の措置としての武力の行使の新三要件

 

 我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること  
 これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと  
 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと  
安保法制懇の報告書提出、自民・公明の与党協議を経て、2014年7月1日、「集団的自衛権」の行使に道を開く方針が閣議決定された。  
新たな武力の行使の「新三要件」を示した  
   [ 従来の三要件 ]  
   我が国に対する急迫不正の侵害があること  
   これを排除するために他の適当な手段がないこと  
   必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと  
「集団的自衛権」を認めた  
「集団安全保障」を否定していない  
自衛隊の実際の活動には根拠法の整備が必要 
  
一問一答 国家安全保障局   
「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」

 

国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な責務です。我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています。我が国の安全を確保していくには、日米間の安全保障・防衛協力を強化するとともに、域内外のパートナーとの信頼及び協力関係を深め、その上で、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法整備を行うことが必要なのです。これにより、争いを未然に防ぐ力、つまり抑止力を高めることができます。今回の閣議決定は、このような問題意識で、自民、公明の連立与党で濃密な協議を行った結果に基づき、政府として新しい安全保障法制の整備のための基本方針を示したものです。今後、この方針の下、法案作成を行い、国会に十分な審議をお願いしていきます。
集団的自衛権とは何か?  
集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利です。しかし、政府としては、憲法がこのような活動の全てを許しているとは考えていません。今回の閣議決定は、あくまでも国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るための必要最小限度の自衛の措置を認めるだけです。他国の防衛それ自体を目的とするものではありません。  
我が国を取り巻く安全保障環境の変化とは、具体的にどのようなものか?  
例えば、大量破壊兵器や弾道ミサイル等の軍事技術が高度化・拡散し、北朝鮮は日本の大部分をノドンミサイルの射程に入れており、また、核開発も行っています。さらに、グローバルなパワーバランスの変化があり、国際テロの脅威や、海洋、サイバー空間へのアクセスを妨げるリスクも深刻化しています。  
なぜ、今、集団的自衛権を容認しなければならないのか?  
今回の閣議決定は、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中、我が国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るため、すなわち我が国を防衛するために、やむを得ない自衛の措置として、必要最小限の武力の行使を認めるものです。  
解釈改憲は立憲主義の否定ではないのか?  
今回の閣議決定は、合理的な解釈の限界をこえるいわゆる解釈改憲ではありません。これまでの政府見解の基本的な論理の枠内における合理的なあてはめの結果であり、立憲主義に反するものではありません。  
なぜ憲法改正しないのか?  
今回の閣議決定は、国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るために必要最小限の自衛の措置をするという政府の憲法解釈の基本的考え方を、何ら変えるものではありません。必ずしも憲法を改正する必要はありません。
今後、更に憲法解釈を変更して、世界各国と同様に国際法上合法な集団的自衛権の行使を全面的に認めるようになるのではないか?  
その場合には憲法改正が必要です。なぜなら、世界各国と同様に集団的自衛権の行使を認めるなど、憲法第9条の解釈に関する従来の政府見解の基本的な論理を超えて武力の行使が認められるとするような解釈を現憲法の下で採用することはできません。  
国会での議論を経ずに憲法解釈を変えるのは、国民の代表を無視するものではないか?  
5月に総理が検討の方向性を示して以降、国会では延べ約70名※の議員から質問があり、考え方を説明してきました。自衛隊の実際の活動については法律が決めています。閣議決定に基づき、法案を作成し、国会に十分な審議をお願いしていきます。  
議論が尽くされておらず、国民の理解が得られないのではないか?  
この論議は第一次安倍内閣時から研究を始め、その間、7年にわたりメディア等で議論され、先の総選挙、参院選でも訴えてきたものです。5月に総理が検討の方向性を示して以降、国会では延べ約70名※の議員から質問があり、説明してきました。今後も皆様の理解を頂くよう説明努力を重ねます。  
今回の閣議決定は密室で議論されたのではないか?  
これまで、国会では延べ約70名※の議員からの質問があり、総理・官房長官の記者会見など、様々な場でたびたび説明し、議論しました。閣議決定は、その上で、自民、公明の連立与党の濃密な協議の結果を受けたものです。  
今回拙速に閣議決定だけで決めたのは、集団的自衛権の行使に向けた政府の独走ではないか?  
閣議決定は、政府が意思決定をする方法の中で最も重い決め方です。憲法自体には、自衛権への言及は何もなく、自衛権をめぐるこれまでの昭和47年の政府見解は、閣議決定を経たものではありません。今回の閣議決定は、時間をかけて慎重に議論を重ねた上で行いました。今回の閣議決定があっても、実際に自衛隊が活動できるようになるためには、根拠となる国内法が必要になります。今後、法案を作成し、国会に十分な審議をお願いしていきます。これに加え、実際の行使に当たっては、これまでと同様、国会承認を求めることになり、「新三要件」を満たしているか、政府が判断するのみならず、国会の承認を頂かなければなりません。
今回の閣議決定で議論は終わりなのか?  
今回の閣議決定は、自民、公明の連立与党の濃密な協議の結果に基づき、政府として新しい安全保障法制の整備のための基本方針を示したものです。今後、閣議決定に基づき、法案を作成し、国会に十分な審議をお願いしていきます。  
憲法解釈を変え、平和主義を放棄するのか?  
憲法の平和主義を、いささかも変えるものではありません。大量破壊兵器、弾道ミサイル、サイバー攻撃などの脅威等により、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しくなる中で「争いを未然に防ぎ、国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るために、いかにすべきか」が基点です。  
憲法解釈を変え、専守防衛を放棄するのか?  
今後も専守防衛を堅持していきます。国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを、とことん守っていきます。  
戦後日本社会の大前提である平和憲法が根底から破壊されるのではないか?  
日本国憲法の基本理念である平和主義は今後とも守り抜いていきます。  
徴兵制が採用され、若者が戦地へと送られるのではないか?  
全くの誤解です。例えば、憲法第18条で「何人も(中略)その意に反する苦役に服させられない」と定められているなど、徴兵制は憲法上認められません。
今回、集団的自衛権に関して憲法解釈の変更をしたのだから、徴兵制も同様に、憲法解釈を変更して導入する可能性があるのではないか?  
徴兵制は、平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条(個人の尊重・幸福追求権等)、第18条(苦役からの自由等)などの規定の趣旨から見て許容されるものではなく、解釈変更の余地はありません。  
日本が戦争をする国になり、将来、自分達の子供や若者が戦場に行かされるようになるのではないか?  
日本を戦争をする国にはしません。そのためにも、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しくなる中で、国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るために、外交努力により争いを未然に防ぐことを、これまで以上に重視していきます。  
自衛隊員が、海外で人を殺し、殺されることになるのではないか?  
自衛隊員の任務は、これまでと同様、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるというときに我が国と国民を守ることです。  
今回の閣議決定で、自衛隊員が戦闘に巻き込まれ血を流すリスクがこれまで以上に高まるのではないか?  
自衛隊員は、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえること」を宣誓して、任務に当たっています。自衛隊員がいざという時に備えて日頃から厳しい訓練を徹底的に行っている理由はただ一つ。国民の命と平和な暮らしを守るためであり、そのために、他に手段がないからです。新たな法整備により与えられる任務は、これまで同様、危険度の高い任務になります。あくまでも、国民の命と平和な暮らしを守り抜くためのものであるという自衛隊員の任務には、何ら変更はありません。自衛隊員が、海外で、我が国の安全と無関係な戦争に参加することは断じてありません。また、我が国の安全の確保や国際社会の平和と安定のために活動する他国の軍隊に対して、いわゆる後方支援といわれる支援活動を行う場合については、いかなる場所で活動する場合であっても、これまでと同様、自衛隊の部隊の安全を確保しつつ行うことは言うまでもありません。  
歯止めがあいまいで、政府の判断次第で武力の行使が無制約に行われるのではないか?  
国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置としての武力の行使の「新三要件」が、憲法上の明確な歯止めとなっています。さらに、法案においても実際の行使は国会承認を求めることとし、国会によるチェックの仕組みを明確にします。
国会で議論されている「新三要件」に言う「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」の有無は、どのような基準で判断するのか?  
現実に発生した事態の個別・具体的な状況に即して、主に、攻撃国の意思・能力・事態の発生場所、その規模・態様・推移などの要素を総合的に考えて、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性などから、「新三要件」を満たすか否か客観的、合理的に判断します。  
自衛隊は世界中のどこにでも行って戦うようになるのではないか?  
従来からの「海外派兵は一般に許されない」という原則は全く変わりません。国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置としての武力の行使の「新三要件」により、日本がとり得る措置には自衛のための必要最小限度という歯止めがかかっています。  
国民生活上、石油の供給は必要不可欠ではないか?  
石油なしで国民生活は成り立たないのが現実です。石油以外のエネルギー利用を進める一方で、普段から産油国外交や国際協調に全力を尽くします。  
狭いところで幅33キロメートルの地点もあるホルムズ海峡に機雷が敷設された場合、我が国に大きな影響があるのか?  
我が国が輸入する原油の約8割、天然ガスの2割強は、ホルムズ海峡を通過しており、ホルムズ海峡は、エネルギー安全保障の観点から極めて重要な輸送経路となっています。現在、中東情勢が不安定になっただけで、石油価格が上昇し、ガソリン価格も高騰していますが、仮に、この海峡の地域で武力紛争が発生し、ホルムズ海峡に機雷が敷設された場合には、かつての石油ショックも比較にならない程に高騰し、世界経済は大混乱に陥り、我が国に深刻なエネルギー危機が発生するでしょう。  
日本は石油を備蓄しているから、ホルムズ海峡が封鎖されても「新三要件」に言う「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」に当たらないのではないか?  
石油備蓄が約6ヶ月分ありますが、機雷が除去されなければ危険はなくなりません。石油供給が回復しなければ我が国の国民生活に死活的な影響が生じ、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されることとなる事態は生じ得ます。実際に「新三要件」に当てはまるか否かは、その事態の状況や、国際的な状況等も考慮して判断していくことになります。
日本は石油のために戦争するようになるのではないか?  
憲法上許されるのは、あくまでも我が国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るための必要最小限の自衛の措置だけです。  
機雷の除去は、海外で武力を行使するものであり、海外派兵に当たるのではないか?  
国際紛争を力で解決するために機雷を敷設し、船舶の自由な航行を妨げることは国際法違反です。自由航行を回復するために機雷を除去することは、国際法上は武力の行使に分類されますが、機雷の除去は受動的、限定的な行為であり、敵を撃破するための大規模な空爆や地上戦とは、性格が大きく異なります。機雷の除去を行う自衛隊の船舶は攻撃的なものではなく、木や強化プラスチックでできており脆弱なため、まさに、そこで戦闘行為が行われているところに派遣して、機雷の除去を行うことは、想定されません。  
従来の政府見解を論拠に逆の結論を導き出すのは矛盾ではないか?  
憲法の基本的な考え方は、何ら変更されていません。我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しくなる中で、他国に対する武力攻撃が我が国の存立を脅かすことも起こり得ます。このような場合に限っては、自衛のための措置として必要最小限の武力の行使が憲法上許されると判断したものです。  
今回の閣議決定により、米国の戦争に巻き込まれるようになるのではないか?  
憲法上許されるのは、あくまで我が国の存立を全うし、国民の命を守るための自衛の措置だけです。もとより、外交努力による解決を最後まで重ねていく方針は今後も揺らぎません。万が一の事態での自衛の措置を十分にしておくことで、却って紛争も予防され、日本が戦争に巻き込まれるリスクはなくなっていきます。  
米国から戦争への協力を要請された場合に、断れなくなるのではないか?  
武力行使を目的として、イラク戦争や湾岸戦争のような戦闘に参加することは、これからもありません。我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がない場合、他に適当な手段がある場合、必要最小限の範囲を超える場合は、「新三要件」を満たさず、「できない」と答えるのは当然のことです。
今回の閣議決定により、必要ない軋轢を生み、戦争になるのではないか?  
総理や大臣が、世界を広く訪問して我が国の考え方を説明し、多くの国々から理解と支持を得ています。万が一の事態での自衛の措置を十分にしておくことで、かえって紛争も予防され、日本が戦争に巻き込まれるリスクはなくなっていきます。  
今回の閣議決定によっても、結局戦争を起こそうとする国を止められないのではないか?  
日本自身が万全の備えをし、日米間の安全保障・防衛協力を強化することで、日本に対して戦争を仕掛けようとする企みをくじく力、すなわち抑止力が強化されます。閣議決定を受けた法案を、国会で審議、成立を頂くことで、日本が戦争に巻き込まれるリスクはなくなっていきます。  
武器輸出の緩和に続いて今回の閣議決定を行い、軍国主義へ突き進んでいるのではないか?  
今回の閣議決定は戦争への道を開くものではありません。むしろ、日本の防衛のための備えを万全にすることで、日本に戦争を仕掛けようとする企みをくじく。つまり抑止力を高め、日本が戦争に巻き込まれるリスクがなくなっていくと考えます。  
今回の政府の決定が防衛予算を増加させ、軍拡競争をあおるのではないか?  
決して軍拡につながることはありません。我が国の防衛予算は、中期防衛力整備計画に基づき、5年間、毎年0.8パーセントずつ増やすことが既に決められていますが、それでも2002年の水準に戻るにすぎません。  
安倍総理はなぜこれほどまでに安全保障政策が好きなのか?  
好き嫌いではありません。総理大臣は、国民の命、平和な暮らしを守るために重い責任を負います。いかなる事態にも対応できるよう、常日頃から隙のない備えをするとともに、各国と協力を深めていかなければなりません。  
※ 人数については安保法制懇報告書提出(平成26年5月15日)から閣議決定(平成26年7月1日)の間に、国会に質問通告した議員の述べ人数