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●銀座クラブの背に腹は代えられぬ事情 時短要請にも半数は通常営業 1/10
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首都圏の一都3県に再発令された緊急事態宣言を巡っては、飲食店を中心に午後8時までの時短要請も出ている。これに対し、日本を代表する東京・銀座の夜の歓楽街のクラブの多くは、時短要請を拒否して通常営業を続けている。
昨春の緊急事態宣言では臨時休業の要請があり、店だけでなくホステスらにも持続化給付金が出た。しかし、今回は時短要請だけのため、ホステスらの補償問題には触れられていない。
銀座のクラブオーナーは「時短要請に協力すればクラブに1日あたり上限6万円の協力金が出ますが、焼け石に水。クラブは午後8時ごろからお客が入る。にもかかわらずアルコール類の提供は午後7時まで。これでは商売にならない。時短要請を受け入れたら、店は潰れ、ホステスは路頭に迷う。ホステスたちの給料も払えません」と語る。
緊急事態宣言が再発令されるという情報が流れたころから、クラブのオーナーやママたちはLINEで連絡を取り合い対策を練っていたという。再発令が確実になった時点で、都の時短要請を拒否して通常営業を続けることを決定したという。
銀座の大箱クラブ店長は「現段階で約500店舗のクラブが通常営業することに賛同してくれてます。リサーチするとそれ以外のクラブでも、背に腹は代えられないということで、通常営業を続けているようです」と明かす。
銀座には1000店舗以上のクラブがあるとされるが、半数に及ぶクラブが通常営業というわけだ。実際、“花金”の8日午後8時過ぎ、銀座のクラブ街では、ほとんどの看板に明かりがついていた。とはいえ、街を歩く人はあまりいなかった。
「新型コロナ対策の特別措置法改正案では、時短要請に協力しない店には50万円以下の罰金で、店の名前を公表するそうですね。改正法案が国会で成立するのは2月の初旬だと報道されている。それまでは通常営業を続けますよ」(クラブ関係者)
時短要請を拒否し、銀座のクラブは断腸の思いで通常営業しているようだ。 |
●銀座クラブママ悲鳴 キャスト守るために…「8時閉店を守っていけるか心配」 1/10
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緊急事態宣言を受け、飲食店は午後8時までの時短営業を要請され、外食産業が悪戦苦闘している中で東京・銀座の高級クラブも悲鳴を上げている。銀座で1996年から「ル・ジャルダン」など4店を経営する望月明美ママ(55)は「8時閉店を守っていけるのか心配です」と苦しい胸の内を語った。
時短営業要請を受け、午後8時だった開店時間を8日から午後5時に早めることを決めた。変更初日となった8日には早めに来店して楽しむ客の姿も多く見られたが、銀座のクラブでは午後8時30分ごろから飲み始める客が多いといわれる。そのため、明美ママは「この状態が続くかは不安」と語る。
「ウチの店では幸いコロナ患者は出ていないが、2000人もの新規感染者が連日出る中で協力していかなければ。けれど、売り上げが落ちて苦しくなる女の子(女性キャスト)たちも助けなければいけない」と語った。先行きの不安を語る女性キャストも多いそうで「今後、売り上げが落ちて苦しくなったとしたら、時短を続けられるのかと不安になる」と話した。
《「花はな」オーナー“特別な街”守りたい》
銀座のクラブ「花はな」は午後7時30分だった開店時間を午後4時に変更。松岡華世ママは「企業の終業時間が早まると聞いたので(客の来店を)期待したいが、テレワークが増えれば、どれくらい来てくれるか分からない」と窮状を訴える。
時短要請に応じれば1カ月最大180万円の協力金が支給されるが「家賃など月300万円は掛かるのに全く足りない。どうしたらいいんでしょうね」と頭を抱えている。
1998年創業。客席は約20で、ママと女性キャスト6人。「銀座では中規模の店。時間制をとらず、銀座では比較的入りやすい店」として親しまれてきた。新型コロナの感染拡大で客足は激減したが「何とか生活していける程度に収入が戻ってきていた」という矢先に再び発令された緊急事態宣言。周囲には、閉業や休業する店も目立ち始めたという。
「銀座は特別な街」という。女性キャストも、客も礼儀を重んじる。「それでいて堅苦しくない街の空気を守っていきたい」と思っている。飲食店だけでなく、それを支える酒店や花店、美容院を含む街全体の未来を心配する。「私たちが店を閉じたら、いろんな店が立ちゆかなくなる。なんとか頑張らなくては」と自身に言い聞かせるように話した。 |
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●水商売の時短で増える「パパ活」 1/13 |
新型コロナウイルスの感染拡大により各地で緊急事態宣言が出され、午後8時以降の飲食店の時短営業が求められている。昨夏の第2波では、ホストクラブやキャバクラなどが「夜の街」と名指しされ、批判された。
だが日本水商売協会代表理事として、歓楽街で働く人の相談に乗る甲賀香織さん(40)は、今回の要請に「従えない店があってもやむを得ない」という。なぜか。
――接待を伴う飲食店は「営業してもいい」ということでしょうか。
「いえ、反発心や開き直りで営業しても良いと言っているわけではないんです。でも、業界として必ず従うべきだと言ったときに、どういうことが起きるのか」「『やったもん勝ち』の店舗が出てきて、感染症対策という観点からみるとかえってマイナスな状況が起こりえるからです。一方で、感染対策をしたところは『やったもん損』になっています」
――「やったもん勝ち」とはどういうことですか。
「いま開いているお店があると、要請に従って20時に閉めるお店のキャバクラのキャストやお客さまが、そこに流れてしまうんです」「また、『パパ活』や『ギャラ飲み』など、無店舗型の個人営業のような業態が盛んになったり、看板を消して営業するなど『闇営業』したりするところがでてきます。そういうお店は大にぎわいになりますが、密な上、クラスターが起きても店としての責任がない。よけいに無防備になりがちです」
――なるほど。では、「やったもん損」とは?
「相当なお金と手間をかけて対策を行い、従業員やお客さまがマスクをつけているかどうかを毎晩チェックするようなお店がある一方で、『うち、そういうの気にしないんで』というお店も入り交じっています。でも、どちらも売り上げは変わらないのが現状です」
――安全な店にお客さんが流れるわけではないのですか。
「いま、店にいらっしゃるお客さまは、感染症にそれほどナーバスではない方が多い。店側も貴重なお客さまなので、主導権をとって『マスクをつけて』とも言い出せない。なので、感染対策がさほど集客につながっていないんです」
――だから「やったもん損」だと。
「現場は『何か特別なことをやっても、売り上げにはつながらない』ということを学習してしまいました。『だったら対策しなくてもいいのでは』という店舗もでてきて、悪循環に陥っています」「経営判断としてやむを得ないという事情も理解できますが、このような流れになったのは、政府が各店舗の感染対策を評価する仕組みをつくっていないことが一因だと思います」
ホストは9割5分営業
――実際、今回の要請は守られるでしょうか。
「歌舞伎町のホストさんは9割 ・・・ |
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●「コロナ時短」は無視 銀座のクラブが“通常営業一揆” 1/15 |
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、菅義偉首相は1月13日、先の7日に再発令した東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象にした緊急事態宣言に続き、大阪、兵庫、京都の関西3府県、愛知と岐阜の東海2県、福岡と栃木の合わせて7つの府県を対象に加えることを発表。飲食店を中心に午後8時までの営業時間短縮をあらためて要請したのだが、東京・銀座の約500店舗のクラブ関係者は徹底抗戦、通常営業を続けているという。
「クラブやキャバクラは午後8時までの時短では仕事にならない。緊急事態宣言による時短要請は水商売関係者に『死ねッ』と言っているようなもの。銀座の大半のクラブやバーは通常営業せざるを得ないんです」(銀座社交料飲協会会員)
ほとんどの銀座のクラブが、3連休明けの12日から新年の営業をスタートさせている。
「水商売関連は午後8時以降からお客さんが入り始めます。にもかかわらず、アルコール類は午後7時までしか提供できない。これでは商売になりませんよ。時短にすれば、ホステス、従業員の給料はとても払えない。クラブのママやオーナーたちがLINEで連絡を取り合って、約500店舗が通常営業することに決めた。銀座一揆≠ナす。店が入るビルの貸主や、おしぼり業者、おつまみ業者も協力してくれています」(銀座8丁目の大箱クラブ店長)
昨年4月の緊急事態宣言では、店が臨時休業になったため、確定申告していたホステスらは持続化給付金を申請すれば、100万円の給付金を受け取れた。しかし、今回はあくまで時短要請。店への協力金は1日6万円と決定したが、ホステスへの保障の話は持ち上がっていない。
「パチンコ店やゲームセンターは協力金なしの時短要請に激怒しています。ホステスらも同じですよ」(前出・銀座社交料飲協会会員)
クラブ側は通常営業の期間を「特別措置法改正案が成立する日をメドにしている」(銀座クラブ『S』のママ)という。なぜか。
「特措法改正案では、要請に応じない店に対し罰則が盛り込まれる予定です。施行は2月初旬と報道されていますから、それまでは通常営業を続けます」(前出・大箱クラブ店長)
夜の蝶の生活を守るためにも、ガースー政権の保障対策は急務だ。 |
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●夜の銀座は時短営業要請をどう受け止めた? 1/17
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夜の銀座の街も時短営業要請や緊急事態宣言を受け、期間中、小規模なお店は休業を決めたところも多いようですが、営業時間の変更をするところが大半です。正直なところ、通常通りの営業をしたいと考えていますし、他の飲食店経営者も同じ気持ちの方が多いのではないかと思います。
●夜の街・銀座に「時短営業」要請が直撃
凛とした冷たい空気に風花が美しく輝く今日この頃、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。1月8日(金)一都三県に緊急事態宣言が施行されたことに伴い、様々なところに影響が出ていることと思います。
夜の銀座の街も時短営業要請や緊急事態宣言を受け、期間中、小規模なお店は休業を決めたところも多いようですが、営業時間の変更をするところが多いようです。個人的には時短要請や緊急事態宣言に至ったのは、GoToトラベルやGoToイートを始めたことや、始めたとしても停止の時期が問題だったように思います。
全世界からの外国人の新規入国は、2020年12月28日より原則として停止する措置をしています。入国を停止する以前に入国制限の緩和措置によって日本に入国した外国人は、2020年11月末日で約6万3,000人。中国とベトナムの2カ国で6割近くを占めるそうです。2020年12月の外国人入国者の数を計算に入れたら、さらに増えるはずです。
●入国制限も遅かった
また、一方で、2020年11月1日より日本がビジネス往来の枠組みを結んだ11の国や地域の新規入国は例外として認めています。ビジネス目的の入国を認めている11の国や地域は、中国、香港、マカオ、韓国、シンガポール、タイ、台湾、ブルネイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド。 ある意味、鎖国状態にあったのに、入国を認める国や地域が出てきて、新たな課題ができました。
イギリスや南アフリカで見つかった感染力が今までより強いと言われる変異種のウイルスが日本でもすでに確認されています。 変異種のウイルスの情報はまだ少なく状況がわかりませんが、日本で広がるのもそう遠くないと思われます。ビジネス往来も一時的に停止することを検討していた政府ですが、継続となっていることが残念でなりません(※編注:原稿執筆時点1月12日。政府は13日、ビジネス関係者の往来についても一時停止する方針を固めました)。日本の国や国民のことを心より思い、行動してくれる賢い政治家が必要だと思う今日この頃です。
●時短営業に応じる銀座ママの心境は
今回、私が経営する「銀座ルナピエーナ」は時短営業の要請を受け、1月8日(金)〜2月7日(日)までの期間中、営業時間を17時〜20時に変更することと致しました。また、前日までにご連絡を頂けたら、17時以前や土日祝日のご予約も期間中は対応する予定です。
とはいえ、この時間帯ですとお食事をなさっていない方もいらっしゃるのではないかと思います。 その場合は、知り合いの飲食店から出前を取らせて頂いたり、前日など事前にご予約を頂けた場合は、お腹の足しになるような物をご用意できたらと思っています。
今回、時短要請や緊急事態宣言を受け、期間中はお店を休業することも考えました。ですが、夜の銀座で働く私たちを支えてくれている業者さんや美容師さん、着付け師さん…。 今後のお店のこと、そして…何よりスタッフのことやお客様のことを思うと、時短営業に伴い、営業時間を一時的に変更して、お店を開ける決断をしました。政府より緊急事態宣言が出ていることもあり、お客様が銀座にお越しになることは難しいこととは思いますが、今は営業時間を変更してお店を開けることにしました。
●固い決意で通常営業を続ける飲食店経営者も
外食店運営の株式会社グローバルダイニングという会社をご存知でしょうか。イタリア料理店の「ラ・ボエーム」や、エスニック料理の「モンスーンカフェ」など約40店舗を運営している会社です。株式会社グローバルダイニングは、緊急事態宣言が発令された後も、事業の維持、雇用の持続のために通常通りの営業を続けるとのこと。ニュースにもなっていたのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、自社の意思を貫くところが素晴らしいと思っています。
正直なところ、私も同じように通常通りの営業をしたいと考えていますし、他の飲食店経営者も同じ気持ちの方が多いのではないかと思います。ですが、銀座にみえるお客様の層を考えると、緊急事態宣言が出されている以上、20時以降の来店だけでなく、その期間の来店自体が難しいことは間違いありません。
ちなみに、ある方がグローバルダイニングの店舗を23時頃に覗いたら満席だったと言っていました。20時以降に空いている飲食店が少ないということも関係しているかもしれませんが…。意志に共感した方々が訪れているのかもしれません。自分で考え行動することがとても大切です。
●夜の街は未来を見続けている
今現在、銀座ルナピエーナでは、救急車で使用されているオゾン装置による殺菌、次亜塩素酸水による除菌、掃除の徹底などをしています。新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、様々なことをしてきましたが、これからも続けていきます。
前回のように緊急事態宣言が延長される可能性もありますが、そうなる可能性も視野に入れつつ、先のことを考えて行動していこうと思います。改めて、自分がコロナウイルスに感染した時のことも考える必要があると思います。感染しても病院に入れないことも視野に入れて、自宅療養に備える、家庭感染に備えることが大切です。政府に頼らず、自分自身の身を自分で守る覚悟を持つこと。 そして、新型コロナウイルスの影響でなかなか思い通りに人と会うことができない期間は、自分を育てる時期として学び成長すること。
そうすることで、今回の緊急事態宣言が解除された後やその先の未来が開けていくのだと思います。
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●窮地の飲食店 8時の閉店要請無視 1/20 |
菅義偉政権による2度目の緊急事態宣言初日の8日午後11時半の銀座。金曜日にもかかわらず人影はまばらだ。空車のタクシーが長蛇の列を作り、飲食店が軒並みシャッターを下ろす中、「カフェ・ラ・ボエム 銀座」の明かりはひと際目立っていた。
この店を運営するグローバルダイニングの長谷川耕造代表は「午後8時までの営業では事業、雇用の維持は無理だ」などとして、翌9日未明まで店を開いた。小泉純一郎元首相とジョージ・W・ブッシュ元米大統領が会談に使った系列の和食レストラン「権八」西麻布店も通常通り営業した。
「GoToイート」が中止され、年末年始の繁忙期を逃した飲食事業者は新型コロナウイルス感染の急拡大を受けた2度目の宣言で窮地にある。政府は当初、首都圏の1都3県だった宣言の対象を愛知県、大阪府など7府県にも拡大。いずれも期間は2月7日までで、各自治体は外出自粛のほか、飲食店には午後8時までの時短営業を要請した。
大手ファミリーレストラン「サイゼリヤ」の堀埜一成社長は13日の決算会見で「恐ろしいのは大手がつぶれること」であり、大手にも補償を広げないと「しゃれにならないことが起こる」と危機感を示した。飲食業の裾野は、食材生産者や飲料メーカーから、厨房(ちゅうぼう)設備やおしぼり業者、店舗が入る不動産業者まで幅広い。
居酒屋「博多劇場」などを展開する一家ダイニングプロジェクトは、1都3県にある約70店をいったん時短営業としたが、9日から大半を通常に戻した。武長太郎社長は12日、同社ウェブサイトで「雇用を守ることもわれわれの使命だ」との認識を示した。
感染リスクに関連して、夜だけでなくランチの時間帯も不要不急の外出自粛を呼び掛けた西村康稔経済再生担当相の12日の発言に、時短要請に応じているサイゼリヤの堀埜社長は「ふざけんなよ」と不満を爆発させた。事業存続をかけた飲食業者と感染を抑えたい政府はコロナ対応でともにジレンマを抱えている。
大手飲食業者の悲痛の声を受け、東京都の小池百合子知事は18日、時短要請への協力金の給付対象を中小飲食店だけでなく首都圏3県と同様、大手チェーンなどにも広げる方針に転換した。都は1店舗当たり1日6万円、1カ月間で最大186万円を用意している。ただ、規模が大きな店舗にとっては足りない可能性もある。
東京商工リサーチによると、政府の支援策もあり、2020年の倒産件数は過去50年間で4番目の低さとなった。しかし、インバウンド需要の消失や外出自粛の影響が大きい飲食業や宿泊業を含むサービス業に絞ると2596件と最も多く、5年連続で前年を上回る。
都内で洋食店「グリル 満天星」を展開するファインフードシステムズの三宅伸幸社長は、「飲食店が倒産すると不動産オーナーが傷み、不動産オーナーが傷むと金融が傷む。巡り巡ってみんなが傷む」と負の連鎖を懸念する。金融機関からの借入枠は上限まで使い資金を確保済みだが、コロナ禍が今年1年続けば「甚大な危機に陥る」と危惧している。
銀座街づくり会議・銀座デザイン協議会の竹沢えり子事務局長は「食事ついでの買い物がなくなった」と言う。バッグや洋服を販売する銀座大黒屋の安西慶祐社長も、飲食店や観光業の苦境ばかりがクローズアップされているが、都心の繁華街にある物販店も厳しいのは同じだと話す。
菅内閣の成長戦略会議メンバーで慶応義塾大学名誉教授の竹中平蔵氏は、昨春の緊急事態宣言以降、失業者相当の休業者が存在し、補助金で支えられていると指摘。企業は「一生懸命止血し、首の皮一枚」の状態にあると語った。日本企業の債務は昨年3月からの3カ月でバブル崩壊時を上回るペースで増加したという。
政府・与党は、新型コロナ感染防止策を定める特別措置法改正案を18日召集の通常国会に提出。財政支援を明記する一方、罰則規定を新設する。西村再生相は17日のNHKの討論番組で3兆8000億円の予備費があり、雇用を守るため臨機応変かつ機動的に対策を打つ考えを明らかにした。
菅首相は13日の記者会見で、「1年近くの経験に基づいて、効果があるものは全て対象とし徹底的な対策を行う」との考えを表明。特に飲食については「かねて感染リスクが最も高いと言われている」として午後8時までの時間短縮を要請すると改めて強調した。
政府の経済財政諮問会議メンバーであるサントリーホールディングスの新浪剛史社長は、飲食店を一律に「いじめてはいけない」と指摘する。自治体が各店舗の感染対策を細かくチェックし、補助金の給付や要請の仕方についても、店舗の規模や期待される対策の効果に応じて差を付けるべきだとの考えを示した。
ファインフードの三宅氏は、政府の感染対策が厳しくなるたびに「またわれわれがダメージを食らうのかと毎日、ニュースが怖い」と嘆いた。 |
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●銀座のママとホステスの苦境 1/22
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緊急事態宣言で飲食店の時短営業が求められるなか、もともと深夜が書き入れ時の水商売は土壇場の対応を迫られている。1店舗あたり1日6万円という補償は、小規模な店ならいざ知らず、家賃が何百万円、ホステスが100人以上所属といった「大箱」であれば雀の涙だ。週刊ポストでは、時短要請に従いたくても従えない水商売の現場をリアルに報じているが、そこで取材に応じた店の本音を詳しく紹介する。
銀座の高級クラブ「ル・ジャルダン」は、コロナ禍の前には4店舗で年商10億円を誇った一流店である。一律の補償では家賃も払えないという「大箱の悲哀」の典型だ。同店の望月明美ママは、時短に応じるかどうか決めかねている。
「当面は17時に開店して様子をみてみます。お客様が来なければ20時に閉めるかもしれませんが、まわりのお店の様子なども見ながら判断したいです。だいたい、ウイルスは夜寝てるわけではないから時間で区切るのもどうかと思います。
昨年の緊急事態宣言の時は、300万円の協力金もあったし、120人いる女の子たちの雇用調整助成金、持続化給付金などで、合わせて1億円以上の支援がありました。それが今回は1店舗につき1日6万円だけ。家賃にもなりません。うちの経営規模だと、これでは休みたくても休めませんよ」
ホステスたちも、それぞれ苦しい事情を抱えているという。
「いまは女の子の数は60人で半減しました。ずいぶん水商売はいじめられましたから、看護師やプログラミングの資格を活かして昼の仕事に移った子もいますし、田舎に帰った子もいました。いま残っているのは、ほかの仕事に就くのが難しい子たちです。シングルマザーで子育てをしていたり、家族が病気で昼間は介護をしているとか。潰れてしまった他店から来た子もいます。楽して稼いでる子なんていないんですよ」(明美ママ)
政府の対策には不公平感を感じている。
「あるバーは、マスター1人の小ぢんまりした店なので、1日6万円の補償でがっぽがっぽだと言っていたそうです(苦笑)。感染対策も、うちは検温も換気も、PCR検査も抗体検査もしてきました。銀座のクラブは徹底していますよ。でも、マスクもしないで客をぎゅうぎゅうに入れているガールズバーなんかもある。何かおかしいですよね」(明美ママ)
昨年の緊急事態宣言では、クラスターの発生源となった新宿歌舞伎町のホストクラブが物議をかもした。同エリアの人気店のひとつ「SINCE YOU…本店」では、感染対策を徹底したうえで通常営業を続けるとしている。小田桐蓮・総支配人が語る。
「周りのホストクラブの営業状況を見ながらではありますが、現状では24時までの営業を継続しようと考えています。マスク着用、回し飲み禁止などの対策はしているし、ニュースで見ても接待をともなう飲食店の感染率がそんなに高いということはない。20時閉店というなら、夜の仕事はダメということですよね。ナイトワークの人間を疎外する動きを感じます。それなら、ランチで密になっている店はそのままでいいんですか? もっと誰が見ても効果があると思える対策をしてほしい」
銀座のキャバクラ「Giraffe」の齋藤祐大・店長は、営業時間で規制をかけるのではなく、営業形態を制限すべきだという意見だ。
「時間制限ではなく人数制限すればよかったと思います。何平米あたり何人とか、座席の50%とか。うちは検温もパーティションもしっかりやって密にならないけれど、そんなの関係なくぎゅうぎゅうに客を入れている店もある。真面目にやるとバカを見るということにはなってほしくないですね」
緊急事態宣言は1か月で解除されるかもわからない。銀座や歌舞伎町など日本を代表する繁華街では、この1年で何百店もの飲食店が潰れている。前出の明美ママは、「銀座で38年やってきました。銀座の文化が消えてしまうのは残念です」とため息をついた。 |
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●銀座ホステス 時短営業に協力金や給付金支給なし 1/24 |
コロナ禍で銀座の高級クラブも営業が苦しい事情は、どこも変わりません。銀座の高級クラブ「ル・シャルダン」に取材した記事を引用して実情を探っていきたいと思います。
「 緊急事態宣言で飲食店の時短営業が求められるなか、もともと深夜が書き入れ時の水商売は土壇場の対応を迫られている。1店舗あたり1日6万円という補償は、小規模な店ならいざ知らず、家賃が何百万円、ホステスが100人以上所属といった「大箱」であれば雀の涙だ。昨年の緊急事態宣言の時は、300万円の協力金もあったし、120人いる女の子たちの雇用調整助成金、持続化給付金などで、合わせて1億円以上の支援がありました。それが今回は1店舗につき1日6万円だけ。家賃にもなりません。 」
家賃に言及していますが、店子の営業収入が激減しているのは、何も銀座や水商売だけに限ったことではないので、賃貸ビルオーナーも相応の負担は求められないのでしょうかね?
家賃を既に変額して、コロナ禍を対策しているのが実情であれば失礼な発言に申し訳ありません。
それにしても政府からの支援が1億円、経済のためとは言え、生死に関わる問題ではないのに支払われてたとは驚きです。
某芸能人が銀座クラブの休業補償拒否で話題になりましたが「ホステスさんが休んだからといって、(その補償を)我々の税金では払いたくない」の発言はコレだったのですね…
ホステスさんの給料ではなく、営業を維持するため使うのに拒否したいとの内容でしたか…わかりにくい説明でしたよ〜
「 ホステスたちも、それぞれ苦しい事情を抱えているという。「いまは看護師やプログラミングの資格を活かして昼の仕事に移った子もいますし、田舎に帰った子もいました。いま残っているのは、ほかの仕事に就くのが難しい子たちです。シングルマザーで子育てをしていたり、家族が病気で昼間は介護をしているとか。潰れてしまった他店から来た子もいます。楽して稼いでる子なんていないんですよ」 」
いろいろとあるでしょうが… 銀座のクラブに限定すると、週末は営業していないので月20日の営業日、出勤ごとに美容室でのセット、衣装代、交通費の支給は自腹でしょうから、逆算して日当いくら稼ぐ必要があるのか?
銀座ホステスと言えば、同半出勤やアフターなども重要な仕事のうちになりますが、要請されている時短営業の飲食業では、なかなか都合よく営業にも結びつかない表面にはわからないことだらけです。
果たして20時までの営業で、周辺飲食店も閉まってしまうところに遊びに行くお客様は、そう多くはいないはず。入店するだけで、ン万円、ン十万円請求される高級クラブばかりではありません。もちろん高給を稼げるのも一部のホステスに限定されることでしょう。 ・・・
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●国会議員の「クラブ通い狩り」が始まった 1/26 |
狙われて当然だ――。緊急事態宣言の発令下で、飲食店には午後8時までの時短営業、国民には不要不急の外出自粛が要請されている中、模範となるべく国会議員がその禁を破って、クラブ通いが判明。不届き者が相次いで摘発≠ウれた。
デイリー新潮が26日、掲載したのは「麻生側近議員が23時まで『イタメシ』と『銀座クラブ』をハシゴの証拠写真」とのスクープ。松本純元国家公安委員長(70)が今月18日、都内のイタリア料理店と銀座のクラブを夜8時以降にハシゴした瞬間の写真を掲載していた。
「松本氏はマツモトジュンの名前から自民党のマツジュン≠ナ知られています。麻生太郎財務相の側近中の側近で、常に一眼レフカメラを携帯し、同僚や会合の写真を撮っているのが有名ですけど、自分が撮られちゃダメでしょ」(永田町関係者)
文春オンラインでも26日、公明党の遠山清彦衆院議員(51)が今月22日、深夜の銀座クラブ通いしていたのがばれ、党から注意を受けていたと報じた。遠山氏は参院当選2回、衆院当選4回のベテランで、こちらは永田町の遠山の金さん≠ナ親しまれている党の次代を担う中堅だ。
各党は緊急事態宣言下で、不要不急の外出はもちろん、夜の会食を控えるよう議員らに通達しているが、この2人のクラブ通いは、必要至急≠フ案件だったというワケか。
昨年の緊急事態宣言時も立憲民主党(当時)の高井崇志衆院議員(51)の歌舞伎町セクキャバ通いが判明し、除籍処分となった。
自民党関係者は「夜に出かける議員を週刊誌や写真誌が狙い撃ちする飲み会狩り≠ェ始まるのは明白だった中、銀座のクラブに通っているとは…。もうスキがあり過ぎて話になりません」と嘆いた。 |
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●銀座クラブ深夜訪問の自公2議員釈明 「陳情受けていた」「誘われるままに」 1/27 |
緊急事態宣言下で午後8時以降に銀座のクラブなどを訪れていたことが相次いでわかった、自民党の松本純国対委員長代理と、公明党の遠山幹事長代理が、26日夜、記者団の取材に応じて、陳謝した上で、事情を説明した。両氏の釈明は以下の通り。
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●自民・松本純氏
Q:一部週刊誌の報道でですね、この緊急事態宣言下の中で、深夜の銀座のクラブに行かれてたという報道があります。事実関係について教えてください。
A:今月の18日の月曜日でありましたが、私の夜以降の動きについて、週刊新潮さんの取材がありました。そして私自身が受け止めていることにつきましては、まさにこの国民の皆さまに我慢を強いているときであり、さらに今後のことについて、たくさんの不安を持っていらっしゃる中、こういった環境の中で、私の行動自体が少し軽かったかなということでの、反省をしているところでございます。誠に申し訳ないなという、そんな思いでありますが、その当日の動きについては記事の中にある。3店の飲食店があったと思いますが、それはかねてより、いずれも要望陳情をいただいているところでございまして、昼間動きが取れないというようなことから、その夜のお時間に動いてしまったということであります。しかしながら、かといってそれが今の緊急事態宣言の発令下の中で取るべき行動だったのかということについては、先ほど申し上げましたように反省しているところでございます。信頼される政府として、また党として動きができるように、自ら律して、そして精進を重ねてまいりたい、そんな思いでございます。
Q:お店に行かれたときは松本さん1人だったということで
A:1人です。
Q:複数人での会食っていうのは、その各飲食店であったんでしょうか
A:ありません。全部要望、陳情を受けて回るという立場で、1人で行っております。
Q:幹部の方々から何かご指導なり、お話とかあったか
A:いやその取材されたということについての報告はいたしました。
Q:どなたあてに
A:幹事長。
Q:二階幹事長
A:はい。
Q:二階幹事長からはどういった言葉が
A:特にそれを申し上げることは、ありません。
Q:一部報道ではですね、飲酒もされていたというようなふうに書かれているが事実か
A:事実です。事実、一部ですけども。最初のイタリア料理のお店で、これ8時前の話で7時までの間、お酒を飲んでイタリア料理をいただいた。
Q:最後にクラブを出たのは何時だったのか
A:おそらく11時時くらい。ちょっと多少過ぎたかもしれませんけど、だいたいそんな時間だったと思います。
Q:3件目については何かかなり長い時間いられたということですが、それでも陳情か
A:はい。それぞれ要望、陳情の内容がそれぞれ違いますよね。
Q:陳情要望を電話でやるとかオンラインで受けるという発想はなかったのか。
A:それ以上に、いろいろ心配事やらあるので、直接会ってお話をせざる、受けざるを得ない、そんな要件の内容もありましたので、この際は会ってお話を聞くということでございまいした。
Q:今回の問題について何か責任の取り方を考えているか
A:これは自分自身がそういった状況の中で、動きを注意をして、それでさらにこのコロナ対策に取り組んでいくということ。頑張っていくということが、自分の責任だと思ってます。
Q:何か役職を辞されるような考えは
A:ありません。
Q:報道された日以外に緊急事態宣言中の8時以降に外出してたことはあるか
A:ごめんなさい、一つ一つ覚えてませんが、ほぼないと思います。基本的には食事はとります。お酒も飲みます。しかしその時間になったら、赤坂宿舎の方に戻るという、そんな毎日を過ごしてます。
Q:選挙区外の外出だが、要望陳情というのはどういうつながりがあって、受けられてたんのか
A:いやもうコロナ下の中で、それぞれ飲食店が、私自身も、その飲食の街の生まれ育ちですけど、たくさんの心配事を聞かされてます。同じように、どこの地にあっても、飲食の皆さんが、これからこのつらい中、どうやって仕事を続けられるかということでの相談というのは、いくらでもあることで、それは有権者だから対応する、有権者でないから対応しないというものではなくて、もう国民全てに対してわれわれは、一生懸命対応していくということが必要なんだと思います。
Q:店舗は時短営業されてなくて通常営業だったのか。
A:お店閉まった後です。それでお客さんもいないし、誰もいません。その店主たる人と。
Q:2人だけ
A:そういうことです。
Q:どんな要望があったのか
A:それは言えません。
Q:今後、こういうことがあった場合どういうふうに対応されるか
A:今お話があったように、電話だとかメールだとか、いろいろ方法はあるのかもしれませんが、これは会わないと話ができない内容もありますので、そういったことには時間は十分注意しながら、そういう時間を、どうやりくりするかということを考えていきたいと思います。
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●公明・遠山清彦氏
Q:一部報道で緊急事態宣言下の22日に時短要請が出ている時間以降に飲食店に行かれたという報道。石井幹事長から厳重注意を受けたと。事実関係を。
A:国民の皆様方に私の深夜まで外出をしていたという事実につきまして心からおわびを申し上げたいと思います。本当に申し訳ございませんでした。報道にありますように先週の金曜日に知人と食事をした後、その食事をしたところは8時頃に終わったわけでございますが、その後もう一カ所行こうと誘われまして、個室があると言うことで、話の続きをということでしたので参りましたところ、報道されているとおりの状況でございまして、結果として8時以降不要不急の外出は控えるようにと政府が呼びかけている中ですね、それを守らずに外に出ていたと言うことについて心から反省を、猛省を致しているところでございます。
Q:幹事長から厳重注意と処分はあったか。
A:処分は分かりませんが極めて不適切な行動であったと。公明党の一員として厳しく反省をしてもらいたいと言うことで注意を受けたところでございます。
Q:今思い出す範囲で、一緒にいた方の人数、場所、滞在時間等詳細を。
A:知人1名と食事を、夕食をともにしたということでございます。
Q:トータルお店は何軒行かれて、何時間過ごされて、場所はどちらだったのか。
A:当日は2カ所でございます。で、一カ所目はレストランでございました。豚の料理が出るところだったと記憶しております。もう一カ所が知人が用意した場所ということです。
Q:2軒目に行かれたお店だが何時まで滞在したのか。
A:記憶は定かではありませんが11時を超える時間までいたと記憶しております。
Q:銀座の高級クラブで間違いないのか。
A:事前には知りませんでしたけれども、着いてそうだという認識は持ちました。
Q:お酒は飲まれている?
A:一次会のところでは多少たしなみましたけれども、二次会のところは知人の仕事のさまざまな相談がありまして、飲んでおりません。
Q:今回幹事長から注意を受けたと。取材を受けたことをきっかけに報告された?
A:それは取材を受けましたのでご報告してということです。
Q:幹事長から注意を受けたのは何日?
A:幹事長からのご注意は今日のお昼前後だったと思います。
Q:誘いを受けたときに断る選択肢もあったと思うが断れなかった心境について。
A:そうですね、自分が行く、次に行く場所は存じ上げませんでした。その知人のやっぱり話を聞いてあげたいという思いが強くありまして、本来であれば時間が時間ですので切り上げて帰るべきだったと今反省しております。
Q:銀材の繁華街にある完全会員制のクラブだと。隣に女性が座るようなお店?
A:初めて伺いしましたので詳しくどういうお店かはわかりません。
Q:ご自身が言ったときにはそういう状況ではなかった?
A:知人の方と話をしておりました。
Q:石破元幹事長がふぐ会食をして批判を受けたあとのことだが、石破元幹事長も帰ろうと思ったが帰れなかったと。ご自身は帰ろうということが頭をよぎったりは?
A:本当に私の不徳の致すところでございまして反省をしております。
Q:今後の活動予定は。
A:私の立場と職責で議員としてすべきことをきちっとやっていきたいと思っておりますし、またこのたびのようなことがですね、二度とないように重々自重して行動して参りたいと思っております。
Q:一件目のレストランも銀座?
A:おそらく有楽町駅に近いところだったと思います。
Q:今年、山口代表も政治決戦の年と。政権与党の一員といて今回の件が与える影響をどう受け止めるか。
A:そのことにつきましては私の立場では猛省をして、まずはなんといってもコロナの中で大変厳しい状況に置かれている皆さまが多いわけでありますからその皆さま方に心からおわびを申し上げ、新型コロナ対策のさまざまな政府与党としての努力があるわけでありますが、しっかりと後押しをしていく、その職責を果たすことで私の責任を全うしていきたいと思っております。いずれにしても本当に申し訳なく思っております。 |
●大豪遊の夜回り議員≠ノ「頭が下がります」 1/27 |
コメディアンのぜんじろうが27日、ツイッターを更新。緊急事態宣言下、与党の国会議員2人が銀座のクラブで深夜まで大豪遊したことを「夜回り指導」と皮肉った。
ぜんじろうは「緊急事態宣言下、議員が23時まで『銀座クラブ』をハシゴ』 23時? 時短営業中ですが、医療崩壊しても即入院出来るっていう武器≠烽って『高級クラブ』を1人で夜回り指導」とイヤミたっぷりに伝えると「しかも1人で経済回してらっしゃると思うと頭が下がります。 夜回り議員≠ニ呼ばせていただきます(笑)」と叩き斬った。
これは自民党の松本純・国会対策委員長代理、公明党の遠山清彦・前財務副大臣が、それぞれ銀座の高級クラブで豪遊した場面を写真付きで報じられたもの。27日の参院予算委員会で、菅首相が「理解を得られる行動をすべきで、しっかりとこれから対応をさせて頂きたい」と陳謝する事態に発展している。
ただでさえ、年末に菅首相と二階幹事長が不要不急の銀座ステーキ会食を行い、政権への風当たりが強くなった。さらには今月22日、コロナ陽性になった自民党元幹事長の石原伸晃衆院議員(63)が、無症状のまま即日入院したことが反感を買ったばかりだ。
冬の気候に加え、GoTo、外国人受け入れで感染爆発が起こり、医療体制は崩壊寸前に追い込まれている。病床に空きがなく、自宅待機のまま命を落とす人が増える中、永田町の「上級国民」たちは仕事中に居眠りし、歳費&ボーナスをもらい放題、即日入院付きの税金天国≠満喫している。 |
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●「銀座クラブはしご酒」公明党議員 現役創価学会員から怒りの声が続出 1/29
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緊急事態宣言下、与党幹部2人による深夜の「銀座クラブ通い」が大きな波紋を呼んでいる。報道を受けて、自民党の松本純・国対委員長代理(70)と公明党の遠山清彦・前財務副大臣(51)は事実を認めて謝罪したが、自粛を強く要請している与党幹部の行動だけに、国民の不信感は頂点に達している。特に、公明党議員による「クラブ通い」が発覚したことには、支持母体である創価学会内部からも、怒りと不満の声が噴出している。
26日、遠山氏は22日の深夜に東京・銀座のクラブを訪れていた事実を認め、記者団に謝罪した。「私の深夜まで外出をしていたという事実について、心からおわびを申し上げたい。本当に申し訳ありませんでした」
さらに、当時の状況について聞かれるとこう弁明した。「2次会の所(クラブ)では知人の仕事のさまざまな相談があり、(酒は)飲んでいない」「自分が次に行く場所は、知らなかった。知人の話を聞いてあげたいという思いが強くあった」
遠山氏は公明党の山口那津男代表からも厳重注意を受けたというが、自民党のみならず、公明党の議員までもがこの状況下で「銀座クラブ通い」をしていた事実は、驚きを持って受け止められた。
公明党は「平和と福祉の党」を標榜し、庶民的な生活者の視点から政策提言を行ってきた。公明党議員は一部政治家が持つ「特権意識」からは縁遠く、市井の人々の生活に寄り添う信念があると考えられてきた。図らずも、今回はその“ギャップ”が明らかになった。
遠山氏は外務政務官や財務副大臣を歴任してきた公明党の“ホープ”であり、党では幹事長代理も務めている。その遠山氏が、まるで「自分は特別だ」と言わんばかりの行動をしていたことは、公明党の支持母体である創価学会の現役会員からも批判が上がっている。
「報道を聞いて、驚きと共に、怒りを覚えました。これまで、公明党の議員と銀座の高級クラブはイメージとして結びつきませんでした。公明党そのものが長い間与党にいることで、権力の座に酔ってきたのかという思いでした。創立者(池田大作氏)の表立った発言もないので、これまで“締め付け”ていたのものが外れてしまったのかもしれません。公明新聞に委員長と遠山議員の謝罪を掲載しないことは、反省が無いと受け止めています」
遠山氏が行った弁明についても、強く非難した。「酒は飲んでない、という言い訳にはあきれました。土下座するくらいの姿勢でおわびと反省をしなければならない。遠山議員に特別な感情はありませでしたが、党全体の引き締めのためにも辞職してほしい。今後の選挙にも影響が出るでしょう」
関西地方で選挙運動にも積極的に関わる20代の女性学会員も不満をあらわにする。「このコロナ禍では人の生き死にがかかっています。そこでルールが守れない人は、そもそも人の命が守れない人です。議員という以前に人として情けないと思います。女性が接客する高級クラブに行っていたというのも、まるで私たちとは立場が違うし、女性からみればとても印象が悪い。公明党は注意だけで済ますのではなく、もっと重い処分を出すべきです。私は議員辞職してもいいレベルだと思っています」
この女性は、選挙活動への影響も懸念する。「公明党が処分をしなければ、選挙で公明党議員への投票を頼む際にも、申し訳が立ちません。これから、私たちはこの不祥事を背負って選挙運動をしなければいけないのです。1人の議員のせいで、どれだけの学会員に迷惑がかかると思っているのか。この秋までに総選挙があるタイミングで、なんてことをしてくれたんだ、という思いです」
元公明党副委員長の二見伸明氏は公明党の現状をこう嘆く。「今の公明党は、立党精神である『大衆とともに』という意識が薄くなってしまった。そもそも、銀座の高級クラブに行くことを学会員さんはよく思わない。『自分たちとは違う世界の人間だ』と感じてしまうからです。それなのに、緊急事態宣言下でも我慢できずに行ってしまうのは、倫理観の欠如としか思えません。私の議員時代でも『金と女性関係は絶対にタブー』と言われてきた。今回の遠山くんの行動は、20〜30年前の公明党なら公認取り消しになったはずです。今の公明党は注意で終わりでしょうが、学会員さんは覚えています。こうした行為は、ボディーブローのようにじわじわと効いてくるので、次の総選挙で影響が出るかもしれません」
かつて公明党は「政権のブレーキ役」を自任していた。与党の水に浸かり、「特権意識」を持つ議員が増えれば、もはや庶民に寄り添う政党ではない。もう一度、党の“原点”に立ち返るべきではないか。 |
●政治資金にキャバクラ代を計上 公明・遠山幹事長代理が報告書訂正 1/29
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緊急事態宣言下の深夜に東京・銀座のクラブを訪れていた公明党の遠山清彦幹事長代理は29日、2019年の政治資金収支報告書に、キャバクラなど不適切な飲食費計11万円余りを計上していたとして、報告書を訂正した。
インターネット上の指摘を受け、国会内で記者団に明らかにした。福岡市のキャバクラ3店と宮崎県延岡市のスナック1店への支出を計上し、キャバクラは公設秘書、スナックは遠山氏が利用していたという。遠山氏は記者団に「責任を痛感している」と陳謝し、「職責をしっかり果たすことで信頼を回復できるよう努力したい」と述べた。
遠山氏が緊急事態宣言下にクラブを訪れたことに関し、公明党の石井啓一幹事長は29日の記者会見で、「党としては形式的な処分で済ますことなく、実質的にしっかりおわび行脚をしてほしい。厳しく指導していきたい」と述べ、処分しない方針を示した。 |
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●「この不景気が続けば…」新型コロナ、銀座のホステスが語る”夜の街” 2020/3 |
長引く、新型コロナウイルスの影響。自粛ムードは「夜の街」にも、暗い影を落としている。「路頭に迷うホステスが、多数出ると思います」銀座でホステスをしているという美紀さんは、LINE「バズおぴ」で、そんな窮状を訴えた。
「今回のコロナウイルスパニックでの自粛の波は、イベント業界だけでなく、飲食店やナイトワーク従事者にとっても大打撃です」「とくに、銀座、六本木などの繁華街は企業の自粛で開店休業状態。とはいえ、臨時休業させれば『感染者が出たのでは?』との噂になり今後の営業にも影響は避けられません」
専門家も「換気が悪く、人の密度の高い空間での複数人とのおしゃべりは避けて」と呼びかけていることもあり、ラウンジやクラブのような飲食店にはネガティブなイメージがつきまとう。実際、大分のクラブでは、女性従業員と客から感染者が出た。大分市はほかの従業員41人全員が陰性だったことから「クラスターが発生した可能性は低い」としているが、ダメージは深刻だ。
美紀さんの店でも、常連客たちからは、こうした声が漏れ聞こえるという。
「感染が怖いからいかない」「家庭にウイルスを持ち込むわけにはいかない」「会社で飲み会を自粛するよう言われている」「社員に自粛要請しておいて自分が飲み歩くわけにはいかない」
客が減っているため、店側からは出勤できるスタッフの人数を制限されている。専業でホステスをしている美紀さんは、こう不安を吐露する。
「他店舗もそのようです。私たちは日給月給で、しかも売上ノルマなどもある。出勤できなければ即収入減に直結してしまうので、死活問題です。今月の収入がどのくらいになるのか、計算もできません。生活がかかっているので不安です。給与補償があるわけでもなく、先が見えません」
リーマンショックや震災などのたび、ホステスはそのしわ寄せを受けてきたの、と美紀さんはいう。必要なのは「労働者としての権利の保障」だ、とも。
「もともとホステスの労働環境は、一般的な労働基準法からはかけ離れています。不当なペナルティを引かれたりします。額面の半分もざらです。それを是正してくれる機関もないので泣き寝入りなのですが、この不景気が続けば、働けど収入が入ってこない可能性も高いのです」
もちろん、収入面だけではない。自らへの感染リスクも不安な要素のひとつだ。
「接客中にマスクをすることはできず、お客様に消毒を促す事もなかなか難しいです。入口、トイレに置いてありますが自主性に任せてます」「体調不良のスタッフは休むように言われています。『昼間の仕事で』『実家に戻っている』というように指導されています。とはいえ、自己申告なので収入を考えて隠して出勤する方もいます」
そのうえで、複雑な心境とやりきれない思いを、こんな言葉にした。
「私もいま、自分が感染したり、お客様や同僚に移してしまったらクビになるという不安もあるので、万が一罹患しても内緒にしてしまうかも、という気持ちも正直あります。しかし、(そんなことをして)蔓延してしまえば、ますます不景気になるので、罹患しないよう日々気をつけて過ごしています」「私たちの業界の存在を『無駄』という人もいます。しかし、これを生業にしている人間がいること、困窮していることを理解していただけたら幸いです」 |
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●自民に銀座ホステスら陳情 コロナ対策「差別なく支援を」 2020/4 |
自民党の岸田文雄政調会長は9日、党本部で東京・銀座のクラブホステスや歌舞伎町のホストクラブの代表らと面会した。ホステスらは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の緊急経済対策について、「接待飲食業を除外しないでほしい」と申し入れた。
この中で、クラブなどでつくる一般社団法人「日本水商売協会」は要望書を提出、地方自治体の制度融資が接待飲食業を対象外としているとして、改善を求めた。政府系金融機関の支援融資が受けられることも、明確にするよう訴えた。
面会後、銀座のクラブ「ル・ジャルダン」代表の望月明美さんは記者団に「緊急事態宣言で全部休業になり、まさに存続の危機」と窮状を説明。「お店の女の子たちも補償がゼロ。田舎に帰ることも止められず、地方への感染拡大にもなってしまう」と述べ、支援の必要性を訴えた。 |
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●水商売への偏見、高い賃料、人件費……危機に瀕する[夜の銀座] 2020/5 |
コロナ禍による「外出自粛要請」が夜の銀座を直撃している。高い賃料、人件費、そして「世間の目」がここで働く「夜の蝶」の羽をもごうとしている。青息吐息の彼女たちの声を拾った。
ゴーストタウンと化した高級歓楽街はコロナに屈す?
安倍総理も小池都知事も口を酸っぱくして市民に外出自粛を要請しているが、その影響は特に夜の街において歴然だ。4月7日の緊急事態宣言から1週間ほどたった銀座を歩くと、「営業自粛」の紙がいたるところに張られ、ゴーストタウンの様相。日本有数の歓楽街は、コロナ禍に直撃されている格好だ。 クラブホステス経験もあり「銀座のオンナ」として20年生きてきたバーのママは現状をこう話す。 「銀座のお客様は六本木や歌舞伎町とは違い、年齢50代以上の大企業の方々や経営者・オーナーさんが中心です。大企業の中では、早い段階から夜の社交を自粛するようお触れが出ていたようで、ウチでは1月末から客足は落ち始めていますね。2、3月には売り上げは3分の1。東京都の休業要請は5月6日までですが、実質、銀座の“自粛期間”はもう3か月にわたっているということです」
もっとも、一部の景気のいい人や経営者・芸能人たちはコロナなどおかまいなく銀座に繰り出し、彼らが集まる高級クラブは3月中も変わらずの活況だったという。だがそれも、某クラブでコロナ感染者が確認され、さらには飲み歩いてコロナに罹患したとされる志村けんさんの訃報(3月30日)で潮目が変わった。かくして3月末には、銀座の街の灯はほぼ消えたのだ。「こんな状況でも家賃などの固定費は変わらず発生するため、銀座の店の経営者たちは頭を抱えています。銀座の家賃は最低でも1坪3万円で、それに管理費などが加算されます。ウチは家賃を含めた固定費が月40万円ほど。貯金を取り崩してなんとかやりくりしていますが、それもいつまでもつかわかりません」(ママ)
苦境にあえいでいるのはママたちばかりではない。中級クラブでホステスをしている中条美里さん(仮名・30歳)はこう話す。「私は銀座歴3年で、1年前に昼職を辞め、ホステス一本で暮らしています。ようやく同年代のOLさんより少し多い額が稼げ、軌道に乗り始めた矢先にコロナ騒動が起こり、4月から収入はゼロになりました。金融事情に明るいお客様から教えていただいた『新型コロナによる小口資金貸付制度』を申請し、20万円を借りてどうにか過ごそうと考えています」
窮状のクラブホステスに注がれる冷たい目
こうして必死に糊口をしのぐ銀座のオンナたちだが、世間の目は思いのほか厳しい。 4月9日、銀座のママらが自民党本部を訪れ、政府の新型コロナウイルスに対する緊急経済対策をめぐり「接待飲食業を除外しないでほしい」と岸田文雄政調会長に要望書を提出した。これに対し、お笑い芸人の松本人志氏は自身の番組で「ホステスさんに自分の税金は払いたくない」と発言。また、銀座の名物ママである高嶋りえ子氏も「銀座ママらが物乞いとは恥ずかしい。『高給取りの自分たちは後回しで結構です!』と言ってほしかった」とツイートし、両者の論調に賛同する声も相次いだ。だが前出バーのママは、これらの意見を短絡的だと切って捨てる。「銀座にも収入格差があり、みんな事情が違うんです。スポンサーがいて援助を受けられる一部の人もいれば、それがない人もいます。世間がイメージする高給取りのホステスやママはごく一部なのに、さもそれが全体かのように語られては迷惑です」 |
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●執拗な「銀座叩き」で壊滅寸前 銀座のクラブホステスが陥る窮状 2020/6 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、繁華街とりわけ銀座の街への風当たりが強くなったのは3月下旬のことだ。都が人混みへの不要不急の外出自粛を要請しているなか、銀座の高級クラブでクラスターが発生。しかし、「なぜ銀座だけがここまで世間から目の敵にされなくてはいけないのか」と、ある銀座クラブのAママは悩んでいる。店を再開したくても、いつになっても開けない。銀座がそんな状況に陥ったのはなぜなのだろうか。
銀座の街を“壊滅”させたのは誰だ
4月7日にデイリー新潮が報じた、『売れっ子ホステスの告白 「夜の街」がコロナまみれになったワケ』では、“ある繁華街”のホステスが衝撃の内容を告白した。そのホステスが働いている大手グループでは、従業員の10%強がコロナ陽性となった。
しかし、同グループはこういった状況を従業員の女性たちや客に伝えることなく、営業を続けた。グループ全店舗が休業になったのは3月26日のこと。この暴挙が大クラスターの原因となったのはいうまでもないが、某週刊誌記者の男性曰く、この“ある繁華街”は銀座だというのだ。4月中旬、Aママに確認を取ってみると、このように返ってきた。
「銀座という街は狭いところですから、すでにその噂は広まっています。店名もすでに回ってきていますが、そのグループは銀座でもかなり大手のところですよ。そういった力のある店が勝手なことをしたせいで、もう銀座は地獄と化しました。怖がって誰も街に来るわけがありません」
Aママの店は3月の下旬にすでに営業を停止。2月、3月と店を開いていたものの売り上げはまったくあがらず、女の子への給料や家賃など合わせて400万円近くがただ出ていくという状態に。街の人出はガクッと減り、ブランド品が陳列されていたショーウィンドウも強盗対策のため軒並み空になった。
銀座のママ「松本人志はなにもわかっちゃいない」
さらに4月5日放送の『ワイドナショー』では、松本人志が「ホステスさんが休んだからといって、(その補填を)我々の税金では、俺は払いたくない」という旨の発言をした。差別的な発言に批判も集まったが、「ボロ儲けしていい生活をしているのだから不必要」という意見もわからなくはない。しかし、Aママは大いに反論する。
「松本さんは銀座の街にあまり行ったことがないんじゃないですか。それか高級クラブにしか行ったことがないか。銀座には現在でも1500店舗ほどのクラブがありますが、そのすべてが大儲けしている? 何を言っているのでしょうか。たしかに一晩に500万円も使うような客が来るクラブもありますが、ほとんどは一般のお客様を相手にしているんです。ましてや日本は長らく不況で企業の接待交際費も落ちづらくなりました。赤字になる月もあるくらいですよ」
一方で、ボロ儲けしているようなクラブでも、店側だけが得をするシステムになっているという。高級クラブと呼ばれる店では、女の子は時給制ではなく売上制(日給+歩合)で働くことがほとんどだ。銀座で広く使われている売上明細書を見るとわかるが、チャージが5種類もある。そして客が支払う総額が大きい店になればなるほど、このチャージ料金は膨れ上がっていく。
しかしこのチャージ料金、女の子の歩合には影響しない。さらに高級クラブともなれば美容院代、衣装代、着付け代など経費もバカにならない。もちろんこの経費は女の子持ちだ。なかには総額に対して「tax」と称し、30%も上乗せするクラブもある。法外な料金のクラブでも、大金を儲けているのは基本的には店側だ。すべてのホステスが贅沢な生活をしているなど、幻想にすぎないとAママはいう。
「この前はあるドキュメンタリー番組に月に1億円を売り上げると銘打って、ある銀座ママが出演していましたが、それがコロナで収入が減ったからといって世間はどう思うでしょうか。これがスタンダードと思われてしまうわけですから、銀座では大ひんしゅくをかっていますよ」
売上制で借金 吉原のソープランドに移るケースも
では一般的な銀座のホステスたちは、どんな生活を強いられているのか。その一例を、銀座でスカウト業を営む男性が教えてくれた。
「時給制で働いている子たちは昼職と兼業している場合が多いから、収入がゼロになるということは少ない。でもみんなそれぞれ事情があって銀座で働いているのだから、ダメージがないわけはないよね。問題は売上制で働いている銀座一本の子たち。歌舞伎町や錦糸町のキャバクラに泣く泣く移ったり、地方で風俗嬢(出稼ぎ)になった子もいる。スカウトマンとしてはこの現状は非常に胸が痛むよ」
また、銀座のクラブホステスの由香さん(仮名・24歳)はこの街の暗い側面を話す。
「売上制で働くことの大きなデメリットは、自分のお客様がツケを払わずに逃げた場合、肩代わりをしなければいけないことです。六本木によくいる半グレたちを綺麗にした感じでしょうか。派手に遊ぶけど、なんの仕事をしているのかはわからない。でもきちっと背広を着ているものですから、騙されてしまう子も多いんです。1000万円単位の借金を背負わされる子もいます。そんなことが山ほどあります」
そういった子たちが向かう先は、吉原のソープランドだ。銀座のクラブと吉原のソープランドが裏で繋がっていることなど多々あり、「1〜2年吉原に行ってくる」なんてケースは珍しいことでもなんでもないという。結局、風俗のほうが楽に稼げるといってそのまま吉原から帰ってこないことも。その吉原もいまや危機に陥っているのだから、ホステスたちの不安は計り知れない。
「銀座の有名クラブ“S“は、女の子をソープに落とすことで有名です。ソープからバックももらうので、客が逃げても店としてはむしろ得なんです。その”S“の本丸のオーナーは政治家と絡んだりもしていますから……。歌舞伎町や六本木の繁華街はなんだか、なあなあになって動き出していますよね。世間も『もうやっていいんじゃないか』という感じになってきました。でも銀座だけは、『銀座の格』とか『銀座のクラブたるもの』など、そんなことを言われる。品格に誇りを持ってコロナが終息するまでは耐え続けますなんて、そんな綺麗ごとでどうにかなるほど綺麗な街ではないですよ」 |
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●「夜の街」と呼ばれて 2020/6 |
従業員数名が新型コロナウイルスに感染し、休業を余儀なくされた六本木の「クラブ・オーシャン」。追い打ちをかけるように発令された緊急事態宣言下で、20年続いた店は閉じることになりました。十分ではなかった休業補償、閉店に向かうさなかで起きた新たな問題、そして六本木の街を揺るがしたコロナ禍についてなど、店のママからお話をうかがいました。
六本木のカラオケパブ「クラブ・オーシャン」では、三月二十七日から二十八日にかけて、黒服の男性スタッフ一人の新型コロナウイルスの感染が発覚した。他に男性一人、女性一人も同様の症状を訴えていた。六人の従業員のうち三名が新型コロナウイルスに感染した可能性があるという状況では、店内でクラスターが起きたと言っても過言ではなかった。さらに追い打ちをかけたのが、四月七日に国が出した緊急事態宣言だった。これに伴う休業要請によって六本木のナイトクラブは一斉にシャッターを下ろすことを余儀なくされた。それは、夜の街にとって、いつ終わるともわからないコロナ禍のはじまりだった。すでに十日前から店を閉めていたママの笹谷麻衣は、これによって店の廃業を決断した。麻衣は言う。「店の常連さんの話では、一度こうなったら二年は元通りにはならないだろうっていうことだった。仮に街に景気がもどってきたとしても、うちの店はコロナ患者を出したということで敬遠されるよね。常連さんでもなかなか『オーシャンに行こうぜ』とは言えなくなる。そういう将来のことまで考えた時、だらだらと店をつづけて借金に借金を重ねてつぶれるくらいなら、ここで潔く『辞めます』と言った方がいいよね。損切り≠チて言い方もできるけど、それで店を閉じることを決めたの」
都は休業補償を打ち出していたものの、クラブ・オーシャンにとってそれは決して十分な額ではなかった。まず家賃が月に七十万、その他カラオケや各種機器のリース費用、さらにビルの光熱費(ビルでかかった分は各店で割って支払うことになっている)などを加えると、最低でも月に百万円以上がかかる。さらに従業員に対して最低保障の二十四万円(本来はこれに歩合が加わる)を支払えば、月々の支払は合計二百万円〜三百万円だ。先の見えない中でこれを数カ月ないしは一、二年つづけて客足がもどるのを待つことはできなかった。麻衣は自宅待機させていた従業員に、ネットを介して決断を打ち明けた。「店を閉じることにした。ごめん。このままお先真っ暗な中で赤字だけを流しつづけても、逆に迷惑をかけるだけだと思う。だから、ここで閉店することを許してください」新型コロナウイルスに感染した者も含めて従業員たちはみな、その決断を受け入れてくれた。彼らとしても、この状況下では反対したところで、どうにもならないことはわかっていたのだろう。こうして店のオープンから七年と一カ月目に廃業が決まったのだ。同じ六本木のナイトクラブの中には、感染者が出ても内緒にしつづけた店もあるという。店側からすれば事実が明らかになれば、従業員たちが感染を恐れてライバル店へ移籍しかねないし、噂が広まれば大勢の客を失うことになりかねない。それなら事実を隠蔽しした方が賢明だという判断だったに違いない。対して、麻衣が廃業を決めたのは、従業員が少なく、意思を通じ合える仲間のような関係にあったことが大きい。お互いの距離が近かったからこそ、危険にさらさないためにすぐに公表して店を閉じることを決めた。それは麻衣が約二十年にわたって六本木で積み上げてきた信頼を守るためでもあった。
クラブ・オーシャンを閉じることを決めた麻衣は、ビルの管理会社への連絡など各種手続きをはじめた。賃貸契約を含めて様々な後処理を行わなければならなかった。そんなある日、麻衣のもとに管理会社から連絡があり、思いがけないことをつげられた。「お店でコロナ感染者を出したのなら、うちの関係している会社に頼んでエレベーターから店内までの消毒を行ってください。他の店の方への感染の危険がありますので」感染拡大を防ぐためには消毒が必要になる。見積もりを頼んだところ、入り口のエレベーターホールだけで二十万円かかるというのだ。麻衣はそれを聞いて血の気が引いた。わずか一坪ほどのエレベーターホールで二十万円なら、三十坪の店内の消毒にはいくらかかるというのか。麻衣は慌てて小料理屋を営むママなどに相談して、別の業者に価格を訊いてみた。すると、これまでの事例に照らし合わせても、十五坪の店で消毒から抗菌作業まで行って三十万円ほどで収まるという。ビルの管理会社はテナントの貸し借りの仲介だけでなく、内装から廃棄物処理など様々なことにかかわって手数料を取ることがある。おそらく消毒に関しても、関連会社に委託することで手数料を上乗せしているために値段が上がるのだろう。逆に言えば、別の業者に依頼すれば、費用を抑えることはできる。麻衣は管理会社と掛け合い、別業者から聞いた話などを材料に交渉することで消毒費用を大幅に安くしてもらえることになり、無事に閉店の運びとなった。
彼女は言う。「今回のコロナの騒ぎに便乗して、一儲けしてやろうみたいな人も出てきていると思うんだよね。店内の消毒にかかる代金なんて、あってないようなものじゃん。でもコロナを出してしまったらやらざるを得ない。初めのうちはその方針も定まっていなかったから、いろんな業者が名乗りを上げて法外な値段を要求することもあった。そういうところにつかまっちゃうと二次被害みたいになりかねない。水商売をやってる以上、私は国に頼ろうなんてことは思わないけど、せめて早めに消毒の指針や業者の取り締まりなんかを行ってほしかったよね。水商売じゃなくても、別の業種の人たちも被害を受けかねないから」では店を閉めたことについてはどう思っているのか。「六本木は十代の頃から二十年過ごした街だから、やっぱり離れるのは寂しいよね。ただ自分の決断は間違ってなかったと思うし、自分なりにかっこうつけられたのかなとは思うよ。水商売の世界って、潔いことが必要なんだよ。そこでしかメンツを保てないっていうのかな。逆に言えばそんな志を持ちつづけていれば、誰かが見ていてくれてまた声を掛けてくれることもある。そういう生き方はできたのかなと思ってる」店を閉じた二カ月後の六月から、麻衣は銀座に店を構える割烹料理屋で働きはじめた。旧知の経営者から声を掛けてもらったという。彼女の言葉で表せば、「潔さ」が生んだ新しい縁なのかもしれない。 |
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●「銀座は厳しい」人気店女将が語る飲食店の窮状 2020/7 |
そうでなくても、リニューアルで手元資金がなくなったところでのコロナ禍だ。知人に頼んで借り、しのいだという。4人の社員は解雇しないで済んでいるが、2〜3人のアルバイトにはシフトを減らしてもらった。
6月15日から通常営業を再開したが、満席にはしないで、1日1〜2組のみを受け入れている。3面ある窓を開け、今まで大皿盛りで取り分けていたのを、1人分ずつ皿に盛る、アルコール消毒をするなどの対応はしているが、席数半分以下でも値上げをするわけにはいかず、経営が厳しい状況は変わらない。
徐々に通勤する人が増えるなど都会に人は戻りつつあるが、茅島氏は「ハレ」の場でもある銀座の飲食店がかつてのような活気をすぐに取り戻せるとは考えていないという。実際、今でも多くの企業は会食を全面解禁していないうえ、高級クラブなどにも客足は完全に戻っていない。住宅地の飲食店に人出が戻っているからといって、銀座はそうとも限らないのだ。
周りの飲食店の助けにもなりたい
今、構想しているのは、第2波が来るなど次の困難に向けて、急速冷凍機や真空パック機などをクラウドファンディングで資金を集めて買うことだ。「真空パックの料理を全国発送するための、地域のお店が利用できるパッキング・ステーションを作りたい」と茅島氏は言う。「何かやるなら声をかけてくれ」と言ってくれる店は多いという。
「飲食店のビジネスは、5〜8%しか利益が出ない薄利多売のもの。それでもやるのは、普通では会えないお客様と対等に話ができ、喜んでいただけるのがうれしいから」と茅島氏。
これだけアイデアを絞り、対策を売って売り上げを確保している店ですら、営業が厳しい。コロナ禍が飲食店にもたらすダメージは計り知れないほど大きいのは明確だ。
飲食店は、働く人の雇用を守る場であるとともに、利用する人の憩いの場であり、日々の食事をまかなう不可欠な場でもある。そこで人が交流することで、新しいビジネスや文化が生まれ、人間関係が深まる。そもそも食自体が文化である。たくさんの人が利用し、喜んでいた店をどうしたら守れるか。地域、国、そして消費者がそれぞれ守る方法を考えなければならない。そして、店舗も自らを守る方法を見つけ出す必要がある。もしかすると、そこから新しいビジネスの可能性が生まれるかもしれない。
営業が厳しくなった店が退去した空き店舗を、中国人がどんどん買っているという噂を聞き、「空き物件はほとんど、中国の方が押さえる。時代の流れだから仕方ないかもしれないけれど、古きよき銀座が姿を変えていくんだ、とゾッとしました」と寂しそうに話す。
その頃は、銀座や新宿、浅草、六本木以外の街では、オフィスが通常営業してまだ大きな影響がなかったのか、周囲の人たちに不安や困難を話しても、なかなか理解してもらえなかったという。
しかし、志村けんさん死去の報道で、ほかの地域の店も状況が似てきた。「みんな一緒だと心が落ち着いて、次の方向へと舵を切ればいいだけだと思えました。わかってもらえないことがいちばんへこんだので」と茅島氏。「ただ、今でもそうですけど、住民が多い町や乗換駅、もともと予約が取りにくい店はそれほどダメージがないようです」。
テイクアウト用に新たないなりを「開発」
こうした中、4月中旬から弥右エ門いなりと、真空パックした料理の販売を開始。6月5日からスナックだったテナントを借りテイクアウト専門店とした。デリバリー、インターネットサイトを立ち上げての通販も始めた。いなりずしは1日20箱程度が売れていく。
いなりずしはもともと、穴子と五目の2種類だったが、コロナ禍で価格が1.5倍ほどになった穴子の仕入れは難しくなっていた。豊洲市場では、高級食材のマグロ、カニ、エビ、アワビは安くなっているが、日常的に店で使うような魚は高騰しているという。
「高級魚は料理屋が営業していないから売れない。一般の人はさばけないから、スーパーへは回せない。漁で獲るだけ損をしかねないから、漁師さんが漁を大きく減らしてしまいました。輸送費も、通販で物を買う人が増えた影響でトラックが足りず、高騰しました」(茅島氏)
そこで別の具材の商品を開発。穴子の代わりに、以前から店で使用していた尾崎牛の「弥左エ門いなり 尾崎牛しぐれ」、8個2593円だ。尾崎牛は、宮崎県の尾崎宗春氏が独自の配合飼料で育てた牛で、肥育期間が通常より長い。茅島氏は「コクも甘みもあるのに脂の融点が低いので、胃もたれしないしアクも出にくい。年配の方でもおいしく召し上がっていただけます」と説明する。
五目の代わりに開発したのは、「はぜる白ごま」1個139円(販売は2個以上から)。具材は白ごまだけのシンプルないなりずしだ。
真空パック入り商品については、実は2年前からの蓄積があった。「おせちを作ってほしい」と客から要望があったが、おせちは通常、日持ちさせるために濃い味付けをする。しかし、濃い味にすると魚勝の味でなくなってしまう。そこで、「迎春おつまみセット」のような商品を開発し、季節ごとに出していくことにしたのだ。行楽弁当を依頼されたこともある。
真空パック用に試作すると、変色するもの、水が出るものなど、真空パックに向かない料理もあり、開発は試行錯誤だった。そうした蓄積があったからこそ、今回テイクアウト向けの商品開発はすぐにできた。以前から店で人気があった「尾崎牛のぴり辛こんにゃく」「カキの山椒オイル煮」「納豆チャーハン」などのセットで、製造日から5日間もつ。
ウーバーイーツにも登録したが、客の評価が集まった店が上位にくるサイトで、新規の自店は選んでもらいにくい。そこで、従業員の雇用を守るためもあって、2人体制でカーシェアを利用し、23区内で行き先の曜日を決めて宅配することにした。告知と注文はフェイスブックで行う。それ以外の地域は通販対応にした。朝9時に出勤して仕込みをし、午後1時から出発。店にいる2人は、片付けや精算などを行う。
デリバリーを行ってわかったのは、いかに遠くから来店してもらっていたかだ。例えば練馬区大泉だと、銀座から20キロもある。遠方から来ていたのだから、外出自粛になると来られなくなる理由も納得できた。
実際にデリバリーすると、道に迷うなど配達の素人として苦労した。区画ごとに細かく入り口やエレベーターが分かれている高級マンション内で、30分迷ったこともある。しかし、人気は高く、最大で1日12カ所配達した。通販では、「地方の両親に送りたい」という人や、来店したことはないが投稿を見て注文してくれた人もいる。
デリバリーのスタッフが戻ってくるのが午後7時半や8時。9時に退勤。通常営業しているときより、3時間ほど労働時間が前倒しになった感覚だ。
家賃だけでも2カ所で100万円
定番商品だけでは飽きられる、と他店とのコラボ商品も売った。会員制の別の和食店とコラボして自店が6品、相手が10品で2万円のおかず、おつまみなどのセット商品を出す。日本酒とペアリングをしたときもある。今後は、コロナ時代にうまく対応できずにいる、老舗の味を残す意図を含めたコラボも考えているという。
飲食店への国の対応が進まないこと、対策が十分でないことは、テレビなどでもたくさん報道されている。実際、銀座魚勝への支援も足りない。何しろ、家賃だけで2カ所合わせて毎月100万円もかかるのだ。
4丁目の店は6月に閉店したが、銀座の慣行で、退去予告は6カ月前に行う必要があるので、営業しなくても家賃だけは払い続けなければならなかった。値下げ交渉にも応じてもらえなかったため、緊急手段で保証金から償却してもらう形で工面した。一方、普段から付き合いがある㐂津常の大家は、家賃を半額に下げてくれた。
東京都の感染拡大防止協力金は4月末に、国の持続化給付金は5月初めに申請済みだ。東京都のお金は6月に入ったが、国からは7月2日にようやく入った。申請書類は複雑で、4回も書き直している。「もちろん、税理士に頼めばすぐに書類を作ってくれますが、100万円程度のために税理士に頼んだら、手元にほとんどお金が残らないです」。日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付も申し込んだが、面談の順番がこない。
そうでなくても、リニューアルで手元資金がなくなったところでのコロナ禍だ。知人に頼んで借り、しのいだという。4人の社員は解雇しないで済んでいるが、2〜3人のアルバイトにはシフトを減らしてもらった。
6月15日から通常営業を再開したが、満席にはしないで、1日1〜2組のみを受け入れている。3面ある窓を開け、今まで大皿盛りで取り分けていたのを、1人分ずつ皿に盛る、アルコール消毒をするなどの対応はしているが、席数半分以下でも値上げをするわけにはいかず、経営が厳しい状況は変わらない。
徐々に通勤する人が増えるなど都会に人は戻りつつあるが、茅島氏は「ハレ」の場でもある銀座の飲食店がかつてのような活気をすぐに取り戻せるとは考えていないという。実際、今でも多くの企業は会食を全面解禁していないうえ、高級クラブなどにも客足は完全に戻っていない。住宅地の飲食店に人出が戻っているからといって、銀座はそうとも限らないのだ。
周りの飲食店の助けにもなりたい
今、構想しているのは、第2波が来るなど次の困難に向けて、急速冷凍機や真空パック機などをクラウドファンディングで資金を集めて買うことだ。「真空パックの料理を全国発送するための、地域のお店が利用できるパッキング・ステーションを作りたい」と茅島氏は言う。「何かやるなら声をかけてくれ」と言ってくれる店は多いという。
「飲食店のビジネスは、5〜8%しか利益が出ない薄利多売のもの。それでもやるのは、普通では会えないお客様と対等に話ができ、喜んでいただけるのがうれしいから」と茅島氏。
これだけアイデアを絞り、対策を売って売り上げを確保している店ですら、営業が厳しい。コロナ禍が飲食店にもたらすダメージは計り知れないほど大きいのは明確だ。
飲食店は、働く人の雇用を守る場であるとともに、利用する人の憩いの場であり、日々の食事をまかなう不可欠な場でもある。そこで人が交流することで、新しいビジネスや文化が生まれ、人間関係が深まる。そもそも食自体が文化である。たくさんの人が利用し、喜んでいた店をどうしたら守れるか。地域、国、そして消費者がそれぞれ守る方法を考えなければならない。そして、店舗も自らを守る方法を見つけ出す必要がある。もしかすると、そこから新しいビジネスの可能性が生まれるかもしれない。 |
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●コロナに喘ぐ高級クラブママ「なぜ飲食店だけ批判」 2020/9 |
先の見えない自粛生活の中、特にダメージの大きい“接待を伴う飲食業”。そんな中、『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)で密着取材された高級クラブのママが語るコロナに翻弄される銀座の“今”──。「銀座という街は、大手企業の立場のある方もたくさんいらっしゃいますので、自粛が解けたとはいえ、なかなか厳しい状況ではありますね。売り上げ的には以前の半分くらいです」 銀座という一等地でビルを1棟借り上げ、クラブ『Nanae』を経営するオーナーでありママの唐沢菜々江さんは、現在の新型コロナによる経営への影響をこう語る。
感染防止対策はできる限りしているが
新型コロナ感染者の増加で4月に緊急事態宣言が発令され、外出自粛とともに“密”になる接待を伴う飲食店にも、国や自治体などから営業自粛の要請が出された。そのときを振り返り、「『Nanae』以外にもワインバーなど小さい店舗も経営しているのですが、コロナ禍以前だとすべて合わせて、だいたい1か月に1億円くらいの売り上げがありました。それが自粛要請で4月から6月の半ばまで約2か月半の間、休業しましたので、入るはずの売り上げ2億5000万円がゼロでしたね」『Nanae』は会員制のクラブで一見さんはお断り。セット料金は4万円からで、焼酎のボトルが2万円〜、ウイスキーが3万円〜という高級店。テレビのドキュメンタリー番組では、常連客が高級シャンパンなどを開け80万円を超える会計をする姿も放送された。
営業が再開したとはいえ、収束の見えないコロナ禍の中、常連客たちの足も店から遠のいているという。「お客様からたまに“元気なの? 大丈夫?”とお電話をいただくこともあります。“俺も行きたいんだけど会社がね……。社員たちには、夜は飲食せずにできるだけ帰るようにと言っている手前、自分がお店に行ったことがバレちゃうとまずいから”って」
飲食店でのウイルスや“密”対策が厳しく求められている現在、自粛後のオープン前には店内に抗菌塗布を施すなど、できる限りのことをしている。「入店される際には入り口で除菌の噴霧器で全身の消毒を10秒していただき、そのあと非接触型の検温器で体温を測定。『日本水商売協会』さんがガイドラインとして出された、渡航歴がないなどといった15項目くらいをチェックシートに記入していただきます。マスクもお店のロゴが入っているものを配布させていただきまして、ハンドジェルで手の消毒をしていただきます。あと、おしぼりも危険だということなので、普通のものより厚めの使い捨てのおしぼりを今、発注しているんです」
席にもアクリル板で衝立をして、オゾンで除菌する装置も設置。まさに万全という対策を立てている。しかし、自粛が解けた後に新宿の接待を伴う店でクラスターが発生。“夜の街”というくくりで世間からの風当たりが強くなった。
こういった流れを菜々江ママはどう見ているのか? 「SNSの書き込みはひどかったですよ。“なんで店を開けているんだ”“やめてしまえ”とか……。そういった意見に対して、すべてを否定できないとは思います。銀座ではないにしても、現にクラスターとなってしまったお店があるのですから」
すべてをお店の責任とするのは違うのでは
しかし、飲食店にだけ批判の矛先が向けられることには疑問がある、とこう続ける。「一般の方が知っているのかわかりませんが、OLが知らない男性と食事をしてお小遣いをもらう“ギャラ飲み”ですとか、銀座ならナンパ通りと言われているコリドー街で、サラリーマンが女性に声をかけて食事をしていることも問題ではないでしょうか。“ギャラ飲み”なんて、女性が1日に何組も掛け持ちして居酒屋などでお食事しているじゃないですか。そういうところでコロナが広まっているのが実は多い、という話がありまして。お店でコロナ対策をいろいろ考えてやっているのに、それでも飲み屋さんが悪いと言われるのは、ちょっと違うかなという気持ちがありますね」
また、個人事業主に対する持続化給付金がホステスにも払われることに対し、批判の声が集まった。『ダウンタウン』の松本人志も、「普段の(ホステスが)もらっている給料をわれわれの税金では払いたくない」という発言をして物議を呼んだ。
「ホステスさんの収入は確かに多く見えますが、そこから出ていく経費もすごく多いんです。毎日のお着物、髪の毛のセット、深夜になればタクシーでの帰宅──。そういったことは、全部自分のお給料から出るので、すべて領収書をもらい個人事業主として確定申告している子が、特に銀座はすごく多いんです。うちにはいませんけど、申告しないで所得を隠して税金を納めてこなかった子は、今回、給付金はもらえません。たくさん稼いで、税金も払っていないのに給付金をもらうなと言われるのはそのとおりだと思いますが、きちんと申告して税金を払っているのですから、昼間の仕事をしている方もそういうことをわかっていただけるとうれしいな、と思うんですけど。ホステスさんはお店が閉まってしまうと、収入がゼロなんですから」
マスクの無料配布をスタート
そんな逆風の中、ツイッターやインスタグラム、YouTubeでマスクを配布するという『マスクチャレンジ企画』を実施。マスクの入手が困難な時期に無料配布を始めた。
「うちで立ち上げたオンラインショップがあるのですが、そこの顧問で入ってくださっている方から“マスクを大量に入れられる”と連絡をいただきまして。最初は困っている方がいるなら少しお譲りしようかと思っていたのですが、銀座のママでSNSやメディアに出る人が少ないので、銀座にいいイメージを持っていただければという思いもあったんです。銀座代表としてではないですけど、何かできることがあればという感じでやってみました」
反響は上々で、普段、店に来ない人からも申し込みが多数あったという。
「もともと私の仕事が、お客様に対して何かできることはないかと考える仕事なので、こういうこともできるんだな、と思ったんです。この先も、こういった活動も広げていければいいなと思っています」
環境の変化に耐えられ自らを変えられること
緊急事態宣言が解かれてから全国で感染者の数は増え続け、再び宣言を発令したほうがいいという声も上がってきた現在。強まる逆風の中、それでも菜々江ママは前を向き、歩を進めようとしている。
「うちの従業員が“ママ、本当に強い生物は環境の変化に耐えられて、自分を変えていける生物ですよ”って言ってくれまして。第2波が来るかもしれない、また違うウイルスの可能性もあるかもしれない、と思ったときに、社会のネット化が進んでいるので、そちらにも力を入れようかなと思ったんです。“オンラインキャバクラ”というのも実際出てきたじゃないですか。なので店舗は通常どおりに進めながら、今、私も『オンラインクラブNanae』を作っているんです」
店の売り上げがゼロになっても、SNSで誹謗中傷されても、ひたすら自分の道を行く。そんな菜々江ママを支えているものは何? と問いかけてみると──。
「何でしょうね。銀座に20年いて、経営も小さいお店からスタートしてやってきたので……。私、もともと小さいころから数字に強いんです。経営をしていく中で、固定費がこのくらいで、ホステスさんのお給料が売り上げのこのくらいのパーセンテージならそんなに赤字にならないな、とか。数字の裏づけが自分の中で必ずあるんです。だからあまり悲観的にならないというか。あとは、いつも視野を広げるように心がけています。いろいろなことを見るようにしていると、何かしら引っかかってくるんです。例えば、オンラインショップだったり、飲みのネット化だったり。そう思ったときに、現実につなげる手助けをしてくれるのが、これまで培ってきた人脈です。私を支えているのも、数字の裏づけと人脈ですね。あと、自分が楽しんでいるということもあると思います。私、若いころにどん底な人生を送ってきたので、今どんなことがあってもへっちゃらです。“あのときに比べれば全然、楽”って思えば。今の私には、ポジティブになれる要因しかありません」 |
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