酷暑 夏負け

連日の猛暑
ちょっとだけ中休み
すぐに戻る 猛暑 酷暑

今年の暑さは 極端から極端へ
残暑のイメージ いつになるのだろう
 


 
 
コロナ 外出自粛
梅雨明けしたら  連日の猛暑 酷暑
クーラーつけて ひきこもり
 
 
 
「猛暑」「酷暑」「激暑」「炎暑」「炎天下」
●猛暑
猛烈な暑さ。最高気温が35℃以上の日を猛暑日という。
「猛暑」は文字通り「猛烈な暑さ」や「激しい暑さ」を表す言葉で、「猛暑」という言葉自体に温度などの明確な定義はありません。しかし、「猛暑日」という言葉には気象庁によって定められた明確な定義があります。「猛暑日」とは日中の最高気温が35℃以上の日のことを意味します。「猛暑日」は2007年4月から正式な予報用語として使われるようになりました。  
 
 
●酷暑
ひどく暑いこと。猛暑日の俗語として酷暑日という使い方をすることもある。
「酷暑」とは「ひどく暑いこと」や「厳しい暑さ」を表す言葉です。しかし、温度などの明確な定義はありません。「酷暑の折、お変わりありませんか。」などのように手紙の中で使われることが多いです。「酷暑日」という言葉は、気象庁が「猛暑日」を定める前にマスコミなどで最高気温が35℃以上の日を表す言葉として使われており、それが広まって一般的に使われるようになりました。しかし、気象庁が「猛暑日」という言葉を正式な予報用語定めた後は、「酷暑日」は「猛暑日」の俗語という位置付けになりました。
●激暑
激しく暑いこと。「激暑日」という使い方はしない。
「激暑」は文字通り激しい暑さを表す言葉で、「劇暑」と書かれることもあります。しかし、この言葉も温度などの明確な定義はありません。また、「猛暑」や「酷暑」のように言葉の後ろに「日」をつけて「激暑日」ということも一般的ではありません。しかし、「激暑」という言葉は漢字からも「非常に暑い」ということが伝わってくるので、うだるような暑さを表現する上ではとても効果的な言葉です。
●炎暑
真夏の激しい暑さのこと。「炎暑日」という使い方はしない。
「炎暑」は「真夏の厳しい暑さ」を表す言葉です。この言葉も明確な温度の定義などはありませんが、他の言葉と違うのは「真夏の暑さ」というニュアンスを持つという点です。「炎暑」の後ろに「日」をつけて「炎暑日」ということはできないため注意しましょう。他の言葉と比べてあまり一般的な言葉ではありませんが、「炎」という漢字を含んでいるため異常な暑さを表す時にはとても効果的な言葉です。  
●炎天下 
炎天とは、太陽の日差しが強く焼きつけるような空のこと。 炎天下は炎天の下(もと)、つまり焼き付けるように強い太陽の日差しの下という意味であり、炎天とは異なり地上の状態を指す表現である。なお、「炎天下の下(もと)」や「炎天下の中」は重複表現である。夏の風物詩として季語にもなっている。  
 
 
ただただ 暑い
暑い中にも 朝晩 寒暖差があるはず
今年は僅かで 朝晩も平年より高温
寝る時もクーラー 増える
 
 
 
小名木川 遊歩道
日中 歩く人疎ら
 
 
 
長雨だったからか
果物 なんとなく 甘み不足
 
 
 
暑いのに
ほとんどの人 マスク着用
 
 
 
毎年の 町内の夏行事 
今年 全て中止
 
 
 
昔 暑い日の日常
「夕立ち」
気が付けば 東京の夕立ち なくなりました
 
 
 
一日 蝉の声
時々 廊下に寝ころんでいる
 
 
 
近所のスーパー お買い物
わずかな距離なのに
炎天下 いっきに汗が吹き出す
 
 
 
猫の風と雷 暑いか
お昼寝 風通しの良い廊下 
 
 
 
夏負け
年寄りには きつい夏
 
 
 
残暑のイメージ
なんとなく 旧盆過ぎての暑い日
今年の暑さ 季節の変わり目に沿わない
 
 
 
●「夕立」と「ゲリラ豪雨」 
「夕立」は、夏の午後から夕方に降るにわか雨のことを言います。
強い日差しで発生した雲が空に「立つ」ような積乱雲に発達して上空を通過する際に降るから――など、夕立の語源には諸説あります。急な夕立には困らされることもありますが、夏の風物詩とも言えました。
でも最近では、突然の大雨を指す際に「ゲリラ豪雨」がよく使われるようになりました。
違いはどこに? 気象情報会社ウェザーニューズの広報に聞いてみました。端的に言うと「夕立」と「ゲリラ豪雨」の違いは、夕方に降るか、時刻に関わらず降るかにあるようです。
「夕立もゲリラ豪雨も、メカニズムとしては同じです。どちらも、影響するのは地上の空気と上空の寒気の温度差。この温度差によって大気の状態が不安定になるのがまず必要な要素です。風の集まり具合と水蒸気の量も関係します」
以前は真夏、昼間の暑い空気がそのメカニズムで夕方に雨を降らせていて、それが「夕立」と呼ばれていました。
現在は、温暖化や、エアコンの室外機が放出する熱などが原因のヒートアイランド現象などで、地上の空気が昼間に限らず暖められやすくなり、「ゲリラ」に例えられる突然の大雨が、夕方だけでなく起きるようになったそうです。
ゲリラ豪雨の傾向は
7月、ウェザーニューズが9月までの「ゲリラ豪雨傾向」を発表しました。ゲリラ豪雨は全国で7043回発生する予想で、過去3年の平均と比べると3割増だとしています。
多発するようになった豪雨によって、日本各地で大きな被害も出ています。
「夕立」と聞くと風物詩としての趣もありますが、「ゲリラ豪雨」だと災害的なマイナスのイメージしか浮かばないのは私だけではないと思います。
環境省の「STOP THE 温暖化2017」は、現在のまま温室効果ガスを排出し続けた場合、21世紀末には滝のように降る雨(1時間降水量50ミリ以上)の発生回数が全国平均で2倍になると発表しました。
地球温暖化防止に関するパリ協定からアメリカが離脱を表明したことで、温暖化に歯止めをかけるのはますます困難になるかもしれません。
神立・狐雨…
日本語で「にわか雨」を表す言葉には、「夕立」以外にも情緒のあるものがさまざまあります。
にわか雨を熟語にすると「驟雨(しゅうう)」。驟は「急に、突然」などの意味です。大きな雨粒や勢いのある雨脚が地面をたたき、辺りを真っ白に見せるところから「白雨(はくう)」という別名もあります。
夕立には雷もつきもの。この二つが合わさると「神立(かんだち)」と呼ばれます。もともと神が現れて力を示すことなどを意味していた神立が、雷や雷鳴を指す言葉となり、雷を伴った夕立のことまでこう言うようになった、とされています。
晴れているのに、なぜかポツリ。天気雨には「狐雨(きつねあめ)」というほほ笑ましい名も。「狐の嫁入り」として知られます。雲のない空から降ってくる様子を天が泣いているように見立てた「天泣(てんきゅう)」という語もあります。
日本は雨の多い国です。昔の人はカエルが鳴き、魚がはね、ツバメが低く飛び、トビが舞うのを見て雨の予兆を感じ取ってきたと聞きます。雨に関する言葉が豊富なことにも納得できます。
しかし、近年の記録的な雨による災害をみる限り、風情のある雨の名前が、今後生まれることはあるのでしょうか。
雨はなくてはならないものですが、常日頃から十分に警戒し、情報を集め、対策をたてる必要がある時代になったことは間違いありません。 
●東京には夕立がない?  
毎日暑い日が続きますね。たまらんです。
東京に来てから不思議に思うことがあって、夕立があまり発生しないんです。昨年まで住んでいた大阪や、学生時代によく出かけた岐阜や名古屋では、暑い夏の日には夕方になるとたびたび夕立が発生し、涼しい思いをしていた気がします。今年の夏だけの現象なのでしょうか、夕方になっても雨が降らず暑い!と一人愚痴っています。
東京は大阪と比べ夕立が少ないのでは?…といろいろ調べてみましたが、実証的なデータに当たりません。しかしいくつか面白い論文に当たりました。
都市部と郊外を比較して、昼間に湿度の差が大きいとの論
確かに市街地と郊外では、樹木など植生の差が大きいですからね。東京は都市部の面積が広いから尚更でしょう。また夕立も、東京は山が遠いので、午後に海風が入ってきても、積乱雲発生のトリガーにもなる山に届くころにはすっかりカラカラになり、雲が発生しにくそうです。
また湿度の差が原因でしょうか、東京は日陰に入れば暑さがしのげるように思います。大阪のほうが蒸し暑く、外だとどこに居ても蒸しているような。
一方東京も湿度が上がっているとの研究も…
東京都心はここ40年間で湿度が数%上昇しており、冷房による水蒸気排出を原因だとする論
猛暑の日のデータを比較していますから、空調の影響は大きそうですね。
地球温暖化だ気象変動だと巷で色々な事が言われていますが、こういう地道な実証データに基づいた研究がされているのは素晴らしいですね。「噂」で動向が左右されやすい教育分野でも、見習いたい姿勢です。 
●猛暑を和らげる夕立がなぜ起こらない? 
私が子供の頃は、猛暑が続いたあとに夕立がきた。それが猛暑の連続記録を止めていた。夕立は気化熱を地面から奪うだけでなく、強い下降気流を引き起こして、冷たい空気を地表にまで効率的に運んでくれるからだ。ところが昨今の猛暑では、夕立が来ない。それは何故なのだろうか。
夕立に必要なものは湿気を含む上昇気流と上空のやや冷たい気団だ。このうちの上昇気流は、特定の地面が周囲よりも急速に暖められると発生し、その温度差が大きいほど大規模で強くなる。都市化によるヒートアイランド現象はこの条件を満たすから、それが引き起こしている猛暑(本欄「猛暑の原因に関する3つの誤解」参照)は夕立を増やすはずだ。現に東京の環状八号線ぞいに出てくる「環八雲」はヒートアイランド効果によると考えられている。では、足りないのは「湿気」なのか、それとも「上空の冷たさ」なのか。
ヒートアイランドと夕立の関係の文献を検索したところ、定量的な議論をしているものは見つからなかった。定性的な推定すらほとんどない。そこで本稿では専門外ながらも、高校理科程度の知識で分かる範囲で、この問題を考察したい。私自身は、ヒートアイランド現象が広域化した結果、夕立に必要な「上空の冷たい空気」を暖めてしまっているのではないかと想像している。
都市は砂漠化しているのか?
近年、都市の砂漠化という言葉を良く聞く。
都市では緑地や水面がコンクリート・アスファルトや排水溝・地下水路などにとって代わられて、その結果、雨水のほとんどが蒸発•蒸散する前に排水されてしまう。これがもしも土の地面であれば、深さ1メートル当たり100ミリほどの雨水を保持できて、それが雨の上がったあと時間をかけて蒸発したり、植物を通して蒸散したりする。この違いが積もり積もって、都市のアスファルトの下の土は確かに乾燥している。これが「砂漠化」という言葉の由来だ。
相対湿度だって下がっている。図1に戦後急速に都市化の進んだ主要都市での8月の平均値をまとめたが、それによると相対湿度は平均80%から平均70%にまで下がっているのである。冬場の下がり方はもっと大きい(気象庁のデータ)。
しかし、相対湿度とは空気中に含まれうる最大の水蒸気量(飽和蒸気圧)に対する比率であり、減少したからといって砂漠化とは限らない。温度が上がれば、同じ絶対湿度(水蒸気圧)でも相対湿度は下がるからだ。そして温度は1.5度ほど上昇している(図1中段)。そこで水蒸気圧を調べると、8月は27hPa(ヘクトパスカル)前後でほとんど変わっていなかった(図1下段)。
湿度の謎を考える
なぜ湿気は変わっていないのか? 環境省の報告では、化石燃料による人工的な水蒸気源が示唆されているが、図2に示すように絶対湿度は一日中ほとんど変化しておらず、むしろ昼間の方が若干低くなっている。ビルなどで風が弱まり、地表近くの水蒸気が逃げにくくなっていると考えたほうが説明しやすいが、本当の理由は全く不明だ。
そもそも、絶対湿度が変わっていないというデータ自体に問題があるかもしれない。というのも、測定は気象台のような「ヒートアイランドの効果を出来るだけ少なくする」環境の一地点で行なわれているからだ。必要なのは、蒸発・蒸散が弱いと思われる場所での測定であり、地点でなく面として湿度の測定である。
ちなみに、絶対湿度の測定はアメダスの大多数ですら実装していないほど困難で、温度のような「面」測定は簡単ではない。リモートセンシングも技術的に困難だ。しかし気象台で出来るのだから不可能ではない。
上空の温度はどうなっているのか?
次に上空の温度を考察する。
ヒートアイランド現象では、都市で暖められた空気が届く範囲も暖められる。暖かい空気が一都市の一部市街地だけから発生するなら、それは郊外に抜けて、最終的にドーム状の範囲にしか影響を及ぼさない。上空は無関係のままだ。これが古いヒートアイランド像である。
しかし、現代のヒートアイランド現象は広い地域で起こり、 ・・・  
 
 
●2020年8月の猛暑が「例年以上にヤバい」理由
今年も猛暑の夏が続いている。気温が40度を超す、もしくはそこに迫る日が各地で続き、8月17日には静岡県浜松市で、これまでの国内最高気温と並ぶ41.1度を記録している。同じ気温は2年前に埼玉県熊谷市で観測されていた。
熊谷が最高気温を記録するまでの過去最高は、2013年8月12日に高知県四万十市江川崎で記録した41.0度だった。その瞬間、私はその観測地点のすぐ脇に立っていた経験を持つ。
「40度超えの暑さ」とはどんなものか
「41.0度って、四万十みたいでいいな」
その当時、地元の名産品の直売所では、そんな声が聞こえた。「おめでとうございます」。地元の報道関係者はそう声をかけて取材していたが、こう暑くて何がめでたいのか、よくわからなかった。
なんでも「日本一」は人の心を躍らせるようだ。それも5年後には、わずか0.1度の差で熊谷に持っていかれた。
江川崎は、最後の清流と呼ばれる四万十川を河口から約40キロメートル上って、愛媛県を流れてきた広見川と合流するところにある地区だ。ただ、観測地点は四万十川に架かる橋を渡って、山沿いを少し登ったところにある中学校の駐車場の片隅に、フェンスで囲まれてあった。今年も8月18日に39.4度の全国最高を観測している。
当時は連日40度を超す暑さが続いていた。四万十川を渡ってくる風は、清流とはほど遠く熱い。
最高気温を記録した瞬間は、空間に漂う熱気が上からも下からも全身にまとわりついて、離れていかなかった。自然と息も荒くなり、体温より熱い空気は、鼻孔や口腔から肺の中に入って、身体の芯から熱くしていく。ひょっとしたら、吐き出す空気のほうが涼しくなっているのかもしれない、そう思えた。
どうして日本の夏は、こんなに暑くなったのだろうか。東京でも猛暑日を数え、タイのバンコクやシンガポールよりも暑くなる。そう思って取材してみると、意外なことを知った。
そもそも日本の夏の暑さというのは、今に始まったことではない。例えば、東京はもともと明治時代から暑かった。
気象統計を調べてみると、1876〜1912(明治9〜45)年までの最高気温が30度を超える真夏日は平均で32.1日あり、このうち1894年には最多で65日間だった。現在では猛暑日と呼ばれる35度以上も3日ある。
最高気温の年平均も33.8度。最高は1886年に36.6度を記録している。総じて、東京はもともと暑い地域なのだ。
複数の要因が折り重なって上昇した気温
この暑さを底上げしているのが、地球温暖化と都市化だ。
昔ならば「夕涼み」という言葉があったように、夜になると東京でも気温は下がった。それが都市化によって夜、冷えなくなったところに大きな違いがある。いわゆる「ヒートアイランド現象」が、東京を暑くする。
もともとヒートアイランドとは、冬場の問題だった。それも産業革命によって著しく発展したロンドンのホームレスによって発見された。
夏場は少なかったはずのホームレスが、寒い冬になると、なぜかロンドンに増える。その事情を調べていくと、郊外よりも都市部の気温が高いことがわかった。これを人の集まる「Urban Heat Island」と呼んだことに由来する。当初は冬の気温が下がらないことが歓迎されていた。
それが日本では夏の高温を招いて人々を苦しめる。ヒートアイランドはさまざまな要因からできあがる複合現象となる。
まずは地表。例えば、成田国際空港の開業前の1974年の調査によると、滑走路など空港の敷地内は周辺よりも2度ほど高くなっていることがわかった。田畑に囲まれた平坦な場所に、コンクリートやアスファルトで固められた建造物ができるだけで、気温が上昇する。
ここに人々が集まり、活動することによってさまざまな熱を放出する。「人工排熱」と呼ばれるもので、冷暖房機の室外機から、交通機関によって排出される熱、あるいは工場や商業施設が機能することによっても、熱は放出される。
そこに建物や地表で相互に日射を反射する「多重反射」などが加わり、昼のヒートアイランド現状が起こる。これが夜間になると建物や地表に蓄積された熱が放出され、暑さによってフル活用されるエアコンの室外機からも排熱される。陽が沈んでもヒートアイランドは続き、気温は下がらず、熱帯夜となる。
ここに海風が加わる。もともと日射によって暖められた陸地に、日中は低温の海上から風が吹き込んでくる。とくに海に面した東京では、ヒートアイランドによって強烈な上昇気流をつくり、都会の熱を巻き込んで内陸部に向かって熱風が吹き込んでいく。「広域ヒートアイランド」と呼ばれるもので、これによって関東全域がより熱くなる。
さらには内陸部も都市化している。埼玉県北部から群馬県南部にかけては、人口が200万人を超えている。熊谷や群馬県館林市が高温を記録するのも、こうした事情が原因と考えられる。
関東と同じ地形的条件がそろっているのが、濃尾平野だ。湾があって、平野があって、山がある。気温も同様の条件によって上昇していく。
大阪の場合は、もう少し環境が違うようだ。広い平野というより、京都の盆地という地形が大きく影響しているといえる。
あとは当日の気圧配置などの気象条件が左右する。
浜松が最高気温に並んだのは、本州に張り出した太平洋高気圧の影響で、北西からの風が吹いた。これがフェーン現象を起こした。
フェーン現象は、山を越えてきた風が100メートル吹き下ろすごとに1度上がるとされる。この風が名古屋の上空を通ったことでさらに気温が上昇して、浜松に流れ込んだ。浜松には海からも風が吹き込み、そこで熱風をブロックして暑くなったと考えられる。無論、浜松も新幹線が通る都市である。
さらに今年は、太平洋高気圧の上にチベット高気圧が張り出すという2重構造になったことで、雲ができにくく、全国で気温が上がった。
この猛烈な暑さで、東京都内では19日までに103人が熱中症で死亡している。新型コロナウイルスのペースを超えている。
熱中症だけではない猛暑の悪影響
熱中症ばかりでなく、脳梗塞が増えることも指摘されている。熱中症と同じように水分不足による脱水症状から、血液が「ドロドロ状態」となり、脳梗塞を引き起こす原因となる。また、夏かぜなど感染症を起こすと、血液がたまりやすくなり、やはり脳梗塞を起こしやすくなるという。同じ理由で、心筋梗塞にも気をつける必要がある。
さらに意外なところでは、気温の高い日というのは、低い日に比べて自殺死亡率も上昇する傾向にある。専門家によると、イギリス、韓国、それに日本の統計から裏づけられるという。
その理由は定かではないが、高温を招くフェーン現象は地表面のプラスイオンを発生させ、この影響で人間の精神に悪影響を及ぼす、というアメリカの研究報告もある。
それよりも身近なところでは、熱帯夜の影響が考えられる。快適な睡眠がとれないことは、精神状態によいものではない。睡眠不足は昼間の活動にも影響を及ぼす。
今年の猛暑には新型コロナウイルス対策も加わる。ストレス管理も重要な課題だろう。 
 
 
●酷暑にマスク、熱中症の心配も
暑い盛りにマスクを着けて過ごす。昨年までは想像もつかない日常風景が、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の影響で見られている。
感染拡大を防ぐためとはいえ、酷暑でのマスク着用は息苦しさや暑苦しさを伴い、熱中症や体調変化も心配される。これに対し、学術団体は「適宜マスクを外して休憩することも大切」と人びとに呼び掛けている。また、マスクを製造する企業も「冷感」をうたうマスクを発売するなど、人びとのニーズに対応している。
梅雨が明け、暑さは本格的になった。今後は全国的に例年より暑くなるという予報もある。熱中症の専門医や、冷感マスクを製造する企業に取材し、この時期のマスクとの付き合い方を探ってみた。
WHO「感染を防ぐ根拠なし」から「着用推奨」へ方針転換
多くの人が使っているのが「家庭用マスク」や「医療用マスク」だ。これらマスクの着用には、主に自分からの飛沫(ひまつ)や、飛沫より細かいエアロゾルなどを介したウイルス感染を抑える効果があるとされる。また、マスクの種類や性能次第ではウイルス侵入を防ぐ効果も期待されている。
世界保健機関(WHO)口腔(こうくう)保健協力センターの研究者らが今年5月、英国の専門誌『ネイチャーメディシン』に報告した論文は、マスクのこうした効果を示すものだった。通常の風邪の原因となるコロナウイルス感染者のうち、マスクを着けている人からの飛沫やエアロゾルではウイルスは検出されなかったが、マスクを着けていない人の3分の1からはウイルスが検出されたという。
WHOは当初「健康な人がマスクを着けても感染を防げる根拠はない」と主張してきたが、6月上旬にその方針を転換し、「感染が広がっている地域の公共の場でのマスク着用を推奨する」とした。一般の人びとに向けては、市中感染地域での公共交通機関や店など「物理的距離(フィジカルディスタンス)」を取るのが難しい場所で、本人からの感染を防ぐ目的でマスク着用を推奨している。また、60歳以上や基礎疾患のある人たちには医療用マスクの着用を、本人へのウイルス侵入防止の目的で推奨している。
外す・着けるの見極め感覚を養って
一方で、暑さが増していく中でのマスク着用には、熱中症や体調不良への心配もある。
日本救急医学会、日本臨床救急医学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会の合同ワーキンググループは6月1日、「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」を発表した。提言にはマスク着用に関するものがあり、「身体に負担がかかりますので、適宜マスクを外して休憩することも大切です。ただし感染対策上重要ですので、外す際はフィジカルディスタンシングに配慮し、周囲環境等に十分に注意を払ってください」などと人びとに訴える。
グループのメンバーの1人で、熱中症を専門分野の一つとする東京都多摩総合医療センター救命救急センター長の清水敬樹医師は、「マスクをしたから熱中症になるという証拠はまだありませんが」と前置きしつつも、「身体の熱は呼気からも逃げていきますが、マスクがそれをブロックすることになります。また、苦しいために体を動かす量が増えたり、呼吸数が上がったりする分、運動エネルギーが増え、余計な熱を産生してしまう可能性もあります」と話す。
その上で清水医師は、提言にある「適宜マスクを外して」というメッセージを強調する。「今後、マスクをしながらの生活が当たり前になっていく中で、うまくマスクと付き合うことが求められます。ここではマスクを外して過ごす。ここでは着けなければならない。そうした見極めの感覚を、マスクの習慣化とともに養っていくことが大事になります」
提言ではまた、マスク着用に関連して「口渇感によらず頻回に水分も摂取しましょう」とも訴えている。マスクをしていると口の渇きをあまり感じないこともあり得るが、そもそも口渇感は熱中症予防の指標にはならず、とにかくこまめに水分摂取することが熱中症予防に重要となるからだ。
水分摂取について清水医師は「特にご高齢者は暑さを感じづらくなります。周囲の人が、高齢者には予防的に飲水を促すことが重要です」と話す。
気化熱の原理を応用した冷感マスクも
マスクを着けつつも、どうにか暑さをしのぎたいという人も多いだろう。そうした需要に応えるように、「冷感」をうたうマスクがよく売られるようになった。
よく目にするのは「接触冷感」タイプ。触れるとひやりと感じる生地を使ったものだ。一般的に化学繊維が使われ、熱を拡散しやすいことや、皮膚が触れたとき「シャリ感」をもたらすことなどが冷感に影響するとされる。寝具メーカーの西川やイオングループなどが「接触冷感」のマスクを販売している。
「水にぬらす」タイプもある。水泳用品製造業のフットマーク(東京都墨田区)は、水着と冷感タオルの素材を組み合わせ、水分が蒸発するときに熱の一種「気化熱」が奪われることで冷感をもたらすマスクを6月に発売した。吸水、保水、蒸発の役割をそれぞれ持つ3種類の糸を組み合わせており、マスクを水にぬらし、絞ってから振ることで冷感の効果を得る。同社の三瓶芳社長は「接触冷感タイプよりも冷たさを必要とする方々に向け開発しました。扇風機などの風に当たると気化がより促進され、熱中症対策にもなるのではないかと思います」と話す。
冷感マスクはこれらのほかにも、ポケットに保冷剤を入れるタイプや、繊維にキシリトールを配合して吸熱効果を得るタイプなども発売されている。
いずれのタイプも多くは繰り返し使える仕様となっているため、毎回、使う前にはよく洗濯をするなどし、衛生的にマスクと付き合いたい。
湿度重視の暑さ指数「WBGT」に注意を
地球温暖化や都市のヒートアイランド現象などに伴い、熱中症による死亡者数は増加傾向にある。厚生労働省の人口動態統計によると、東日本と西日本で記録的な高温となった2018年には、1581人が熱中症により死亡した。
今年の熱中症による救急搬送者数は、6月1日から8月2日までで1万5849人(総務省消防庁の速報値)。昨年同期間の2万7183人よりは抑えられている。だが、気象庁は8月から10月までの向こう3カ月、暖かい空気に覆われやすく、気温は北日本では平年並みか高く、ほかでは高くなると予報している。
例年にも増して、一人ひとりが「きょう・あすが熱中症になりやすい気象条件か」を把握しておくことも大切になる。前出の清水敬樹医師は「純粋な気温よりも、暑さ指数を表すWBGTの値に注意してほしい」と呼び掛ける。WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)は「湿球黒球温度」と訳され、熱中症との関連が深いとされる「湿度」に重きを置いた値だ。「曇りの日でも、湿度が高いと熱中症の危険性は高まります」と清水医師は続ける。
環境省は「熱中症予防情報サイト」などでWBGTの実況と予測を発表するとともに、今年7月から関東甲信地方を対象に、試行的に「熱中症警戒アラート」を気象庁と実施している。WBGTが28度を超えると「厳重警戒」、31度を超えると「危険」とし、さらに33度以上になると予想される場合、アラートを発表する。
酷暑の時期にもかかわらず、マスク着用で過ごすことは前例のないことだけに、熱中症などの死者・患者数にどれだけ影響を及ぼすかは未知数だ。感染症の拡大を防ぐという社会的意味がある半面、個人の体調を崩しかねないというジレンマがある。マスク着用の意識を大切に持ちつつも、適宜マスクを外したり、冷感マスクを使ったりして、まずは自分の体調を大切にしたい。 
 
 
●「暑中」と「残暑」
「暑中」は「1年で最も暑さが厳しいとされる時期」
「暑中」は、暦の上では夏の土用(7月19〜20日頃から8月6〜7日頃まで。その年によって日付が変わる)の時期を指します。この時期は、秋が始まる「立秋」の直前で、1年で最も暑さが厳しくなるとされています。
「残暑」は「暦が秋になっても暑さが続く時期」
「残暑」は、暦の上で「立秋」(秋の始まり)を迎える8月7〜8日頃(その年によって変わる)以降を指しますが、暑さが残る時期という意味なのではっきりとした終わりの日付はありません。一般的には概ね8月いっぱい、暑さが長引く年には9月に入っても残暑とされることがあります。
暑中見舞いは「暑さのピーク」を見舞うもの
暑中見舞いは暦にならえば夏の土用の時期に出すものですが、最近では実際の気候に合わせて梅雨明け〜立秋前日(土用の終わり)に出すことが多いようです。1年で最も暑い時期に出すものですから、ご挨拶の言葉も「本格的な暑さ」「猛暑が続く」「暑さ厳しき折」など、夏本番を意識した内容がよいでしょう。
残暑見舞いは「なかなか終わらない暑さ」を見舞うもの
残暑見舞いは、「立秋」を過ぎ、暦の上で秋を迎えても実際は暑さが続いている時期に出すものです。ご挨拶の言葉も、「立秋とは名ばかりの暑さ」「暦の上では秋とはいえ、厳しい暑さが続いておりますが」といった“まだまだ暑い”ニュアンスがよいでしょう。8月末以降など、暑さが引いてきた頃には「朝夕には吹く風に秋の気配が感じられる頃となりました」など、気候に合わせた内容にするとよいでしょう。  
 
 

 
2020/8
 
 
 
向日葵