ご当地ソング

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雑学の世界・補考

ご当地ソング

ご当地ソング
作られた時代の 庶民史 庶民文化史 
歌は世につれ世は歌につれ  男女の絆
昔を思い出すキーワードの宝庫
■“ご当地ソング”
ご当地ソングといえば、地方を唄うものは、郷愁を誘う演歌が多く、都会を唄うものは、人々の憧れを映すニューミュージックが多かった。しかし、最近、そのどちらでもない、地方と都会といった壁のない、自分たちの地元をそのままに唄うシンガーソングライターが増えている。
もともとご当地ソングとは、演歌、民謡、歌謡曲、ポピュラー音楽のタイトルや歌詞に、その土地の自然や都市がうたわれたもので、全国にたくさんある。
代表的なのは、北海道の襟裳岬や、東北の津軽海峡・冬景色、沖縄のさとうきび畑など。北海道は、雪、春の待ち遠しさ、東北は力強さ、沖縄は南国といった、唄となりやすいテーマがある。全国的なヒットになると、その地名は一躍有名になる。ご当地ソングを唄う演歌歌手のもとには、地方自治体から地元を唄って欲しいと依頼が殺到するという。
ニューミュージックでは、都会のおしゃれなイメージを唄っているものが多い。横浜のブルーライト・ヨコハマや、ユーミンの中央フリーウェイなど。青春ものでは、ワイルドワンズ、加山雄三、サザンオールスターズの湘南が定番だ。夜の繁華街では、伊勢佐木町、新潟、柳ヶ瀬、境港あたりからブルースが聞こえる。
最近のご当地ソングをのぞくと、カラオケで人気の女性シンガー aiko が出したアルバム最終曲のタイトルは、三国駅。彼女が大阪で一人暮らしを始めて上京するまで毎日通っていた阪急電車が舞台だ。あそこのボーリング場が、日常のワンシーンのように目に浮かんでくる。NHK 朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」の主題歌を唄った、いきものがかりのヒット曲 SAKURA には、小田急線の車窓からみえる、舞い散るさくらや大橋が登場する。彼らは、神奈川県厚木市と海老名市出身の同級生によるグループで、仲間と出会い、路上ライブを行っていた地元を大切にしている。
人々に親しまれる唄は、アニメのように瞬時のインパクトを与えはしないが、何度も聴くうちに自然とメロディーを覚えてしまう。一人で口ずさむこともできれば、スポーツ観戦時に広島で肩を組み、それいけカープを唄ったり、同郷の会で北海道出身者が輪になって知床旅情を唄ったり、一緒になって唄うこともできる。そして、作った人、唄う人、聴く人のものから、みんなのもの、地域のものへとなっていく。
もともと民謡がそうであるように、岩手では、北上夜曲を唄うコンクールが、小学生からお年寄りまで参加して開催されてきた。昭和10年代に生まれた大ヒット曲が、世代を超えて唄い継がれる。
ご当地ソングを、電車の発車&接近メロディーに使う地域もでてきている。小田急線海老名駅のプラットホームで電車を待っていると、先のいきものがかりの SAKURA のオルゴール音が流れてくる。
多くの若手ミュージシャンを育てた法政大学教授(元ソニーミュージックエンターティメントプロデューサー)の増淵敏之氏は、「いつの時代にもご当地ソングがある。最近は、“自分たちの居場所”を唄う人気アーチストが増えている」と語る。
ご当地ソングは、未来に続く、地域の確かなコンテンツである。  
■ご当地ソング都道府県ランキング
ご当地ソングが最も少ない最下位の47位は16曲の鳥取県。水森かおり「鳥取砂丘」が代表曲。この事実を知らされた鳥取県知事の平井伸治氏は「ご当地ソングは色々ありますから、数え方の問題もあるんじゃないですかね」などと反論。鳥取県出身のイモトアヤコに安室奈美恵の替え歌を歌って欲しいと話した。
5位は青森県(244曲)、石川さゆり「津軽海峡冬景色」をはじめとし、津軽がタイトルに付く曲だけで134曲があった。
4位は神奈川県(294曲)、湘南・江の島・鎌倉など魅力的な街が多く、数多くのヒット曲が誕生した。
3位は北海道(302曲)、町をテーマとした曲が多いだけでなく、雄大な自然を歌った曲や岬を舞台としたご当地ソングが多かった。
2位は大阪府(422曲)、ストレートな気持ちやユーモアを大阪弁で歌い上げた名曲が多かった。大阪弁ヒット曲メドレーを紹介。
1位は東京(1271曲)、「東京」がタイトルに付く曲だけで730曲あったという。

46位は香川県(18曲)、代表曲は小柳ルミ子「瀬戸の花嫁」など。45位 宮崎県(19曲)、44位 埼玉県(20曲)、43位 栃木県(21曲)、41位は徳島県と和歌山県が22曲で同率。
40位 富山県(23曲)、39位 奈良県(24曲)、38位 滋賀県(25曲)、37位 岡山県(26曲)。38位の滋賀県は25曲中9曲が琵琶湖の歌だった。
36位 愛媛県(28曲)、34位は千葉県と山口県が31曲で同率、33位 島根県(32曲)、32位 佐賀県(33曲)。31位は群馬県(34曲)、後にザ・ドリフターズがカバーしたことで有名になった「いい湯だな」などが代表曲。
30位 山形県(38曲)、29位 宮城県(42曲)、28位 岩手県(43曲)、27位 秋田県(45曲)、26位 福島県(46曲)と東北地方が続く形に。仙台に「杜の都」のイメージを定着させたのはさとう宗幸「青葉城恋唄」がきっかけ。
25位 三重県(47曲)、24位 大分県(48曲)、23位 福井県(49曲)、22位 広島県(50曲)、21位 山梨県(51曲)。
20位 茨城県(55曲)、19位 岐阜県(60曲)、18位 熊本県(63曲)、17位 高知県(64曲)、16位 愛知県(73曲)、15位 石川県(86曲)、14位 新潟県(89曲)、13位 長野県(100曲)、12位 鹿児島県(103曲)、11位 兵庫県(105曲)。ご当地ソングの女王と呼ばれる水森かおりは歌っているうちにご当地ソングの依頼が増えたと語った。そんな水森が歌っていない県は千葉・徳島・福岡・宮崎の4県。
10位は静岡県(106曲)、代表曲は石川さゆり「天城越え」など。
9位は福岡県(126曲)、戦後盆踊りの定番曲として全国に浸透した「炭坑節」は福岡県田川市の炭鉱労働者の間で広まったとされている。
8位は長崎県(130曲)、「長崎は今日も雨だった」に代表されるように長崎がタイトルにつく楽曲が多く見られた。
7位は沖縄県(137曲)、BEGINや夏川りみなどご当地ソングを大量に持つアーティストが多かった。
6位は京都府(220曲)、地元民からは順位が低いとの声が聞かれた。 
■歌は世につれ世は歌につれ
歌は世の成り行きにつれて変化し、世のありさまも歌の流行に影響される。
歌は時勢の影響を受けて変化し、世のさまも歌の流行によって影響される。白く塗りたる墓(1970)〈高橋和巳〉五「それはいわば機械的な中立であって、〈略〉歌は世につれ、世は歌につれというにすぎません」。
歌は、その時代の、ありさまや傾向の影響を受けた歌が多くなり、 又、その時代の、ありさまや傾向も、歌の影響を受けやすいということ。「歌」という意味は、和歌などや、能や狂言、歌舞伎などに用いられる歌、それから、 現代の流行歌としての歌謡曲やポップスなど、いろいろあると思いますが、 確かに、そういう傾向は、あると思います。「歌は世に連れる」という言い方もあるようです。 今の時代では、映画やテレビドラマなども、歌のひとつに含まれるものかもしれません。
歌謡の世界は世の姿をそのままに映し出し、世の中も歌謡の移り変わりに影響されて変動することをいう。「このごろの若い歌手の歌はちっともいいと思わんな」「歌は世につれ世は歌につれっていいますよ。あなたも部下をもつ身なんですから、少しは新しい歌も覚えたら。〈リンゴの歌〉ばっかり歌ってないで」。
「歌は世につれ世は歌につれ。時代を超えて語り継ぎたい歌がある。」
歌は世につれ世は歌につれ… 旧態依然の制作から脱却した「紅白」 2014
大晦日恒例「第65回NHK紅白歌合戦」まで2週間を切った。司会者、出場者も決まり、各メディアの注目はサプライズがあるのか、ないかである。
サザンオールスターズは? 中森明菜は?
もっとも、今年の代表曲と言ったら松たか子の歌ったディズニー映画「アナと雪の女王」の挿入歌「Let It Go〜ありのままで〜」(日本語版主題歌はMay J.)ぐらい。しかし、肝心の松たか子は「紅白」に出てこないと言うから、だったら?
内定しているのは映画のオリジナル版で王女エルサ役を演じた米国人女優で歌手のイディナ・メンゼル。「紅白」には、衛星中継で歌うことが進行しているとも。だとしたら、ある意味でこれもサプライズになるのかも…。
それにしても、「紅白」も1年を振り返る国民的番組ではなくなったと言ってもいいかもしれない。
いつの頃だったろう。「歌は世につれ世は歌につれ」と言われていた時代もあった。
歌は、常に、時代時代の生活や世相、あり様などに影響を受けてきた。テレビドラマやCMとのタイアップ曲がヒットに結びついてきたのも、そういった部分があったのかもしれない。そして「紅白」は、その年を反映したものとなってきた。
そういった意味からすると、2013年は「あまちゃん」(NHK朝の連続テレビ小説)で、今年――2014年は「アナと雪の女王」となる。振り返れば、みんなが「Let It Go」を歌っていた…。だからだろうか、今年の「紅白」のテーマは「歌おう。おおみそかは全員参加で」。
しかし、その時点で「紅白歌合戦」という基本コンセプトは消え去ってしまっている。
だからと言うわけでもないだろうけどジャニーズから6組、AKBからは4組、さらにEXILE関連からも3組が出場…誰から見ても出場者が偏り過ぎと思うに違いない。
いつもながら「紅白」のキーワードは “刷新” だと言う。制作スタッフを若返らせ旧態依然の番組づくりから脱し、独自色を濃く出す――これが基本的な考えらしいが、では「紅白」が「歌合戦」としてどんな風に刷新されるのだろうか? 気になるところだ。
もう一つ。アーティストや歌に好き好きはあるにしても、ヒットがないという理由で浜崎あゆみを落選させ、さらにaikoやDREAMS COME TRUE、ゆず、コブクロらも切り捨てた。その一方で歌手でもなく、新曲を出した形跡もない薬師丸ひろ子が堂々と入り、さらにT.M.Revolution、美輪明宏…。
確かに「紅白」と言っても、所詮はNHKの番組の一つに過ぎない。単に「年末に放送している恒例番組」だと言ってしまえばそれまでだが、だとしても、この人選は不可解だと思う人も多いに違いない。しかも、旧態依然の番組から脱することから「演歌歌手が減る」と一部からは噂されてはいたが、何てことはない。大物で出場しないのは、昨年の「紅白」で卒業宣言した北島三郎ぐらいだった。
まあ、総選挙で圧勝して何でもありの政権と一緒。そういった意味じゃ、世相を十分に反映した「紅白」だってことにもなる。
「どうでもいい」と思いつつも、ついつい文句を言いたくなるのが「紅白」である。実は、これが「紅白」の大きなスキルかもしれない。それに目立った活動もなく、大したヒット曲がなくても、この時期になると湧き出てきて出場出来るかどうかで一喜一憂するのも「紅白」だ。まさに「腐っても鯛」のようなものだ。
昨年の「紅白」の視聴率は、関東地区で前年を2.0ポイントも上回る44.5%という高視聴率だった。
…そして2014年の “歌い納め” の “大トリ” は松田聖子で「あなたに逢いたくて」だという。
紅白歌合戦 2016
NHK「紅白歌合戦」は今年67回目を迎える。ラジオ時代の1951(昭和26)年1月3日に第1回目が開催された、この番組が年末を飾るようになったのは第4回の1953(昭和28)年からのことである。
冒頭のことわざのように、この番組は歌によって世相を映してきた。それとともに、歌が誕生した時代を超えて、歌い継がれていく――そこには、時代が歌の誕生の世相を超えていくのではないか。つまり、人々が歌い始めた時に歌に託した感情が、時を経て変化して、歌が再生する。
『紅白歌合戦と日本人』(筑摩選書・太田省一著)は、そのように述べたうえで紅白歌合戦のなかで歌い継がれてきた歌をその例としてあげている。
「坂本九の代表曲の一つ、『見上げてごらん夜の星を』(1963)は、永六輔が作曲家いずみたくとともに制作した同名のミュージカルの主題歌である。ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の主人公は、集団就職で都会に出てきて、働きながら夜学に通う高校生だった」
今回の紅白では、ゆずがオリジナルの歌詞も加えて「見上げてごらん夜の星を〜ぼくらのうた〜」として歌う。
「手をつなごうボクと 追いかけよう夢を 二人なら ぼくらなら 苦しくなんかないさ」
オリジナルの歌詞は、やはり坂本九の「上を向いて歩こう」とともに、2011年3月11日の東日本大震災後の人々の胸に染み入った。
この年の紅白の大トリは、今年で解散するSMAPの「not alone」だった。前述の著作のなかで、太田省一は次のように指摘する。
「『not alone』の歌詞には『上を向いて歩こう』を連想させる、次のような一節があった。『遠く離れた きみが今見る空は ぼくの見る空と同じだと気づく』。この歌詞は、『幸せは空の上に 幸せは雲の上に』という、『上を向いて歩こう』の一節とどこか通じるところがありはしないだろうか」
金融資本主義とグローバリズムが地球を覆いつくしたいま、格差の拡大とともに、国民国家は揺れ動いている。英国のEUからの離脱や米国の新大統領にドナルド・トランプ氏が就任するなど、メディアの予測を超えた各国の国民たちの不満と憤りが世界を変えようとしている。大国間のパワーバランスも大きく変化していくことだろう。
日本もまたその外に安住することはできない。人々の不安は解消されない。
歌はそうした感情をいやしてくれる。今回の紅白では、デビュー20周年のPUFFYと来年に20周年を迎えるKinKi Kidsが初出場する。PUFFYは紅白のスペシャル・メドレーを、KinKi Kidsはデビュー曲の「硝子の少年」を歌う。
「失われた20年」を経て、彼らの歌もまた誕生時に人々が抱いた感情を超えて、新たな意味を見出すのではないだろうか。
今年の紅白のテーマは「夢を歌おう」である。2020年東京五輪の前年の19年まで4年間にわたって、このテーマを掲げるという。
紅白の視聴率は、1964年東京五輪の前年の第14回に記録した81.4%である。これは過去の視聴率でも群を抜いた第1位である。ちなみに、第2位は東京五輪の女子バレーボール決勝戦「日本×ソ連」(1964年10月23日)の66.8%、第3位は2002年FIFAワールドカップ・グループリーグ「日本×ロシア」(2002年6月9日)の66.1%である。
NHKが紅白にかける意気込みは、前回の東京五輪に向けた熱気の再現にかけているようにみえる。
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズが描いているように、「昭和」は現代と比べて必ずしも暮らしやすい時代ではなかった。この映画のなかで、東京の大気汚染による「スモッグ」や社会の底辺で医療も受けられずに働く女性も多かった。犯罪も現代よりも多い。
平均寿命も、1960(昭和35)年には男性が65.3歳、女性が70.1歳だった。平成27(2016)年には、それぞれ80.7歳と87.0歳に伸びている。
「昭和」に郷愁を抱いたり、懐かしがったりするのは、まず家族のありようが要因ではないか。平成27(2016)年には、単身世帯と夫婦のみの世帯がそれぞれ全体の約四分の一を占めている。ひとり親と未婚の子どもの世帯も約7%いる。
夫婦と子どもの世帯は約3割、三世代同居は約6%である。
これに対して、1961(昭和36)年は、夫婦と子どもの世帯が4割以上を占めていた。三世代同居も約15%もあった。単身世帯は約18%、夫婦のみの世帯も約14%だった。
「一家4人」の世帯あるいは祖父母も含めて、紅白を見る時代は家族構成の変化をみると、視聴率が低下するのは当然である。
紅白の視聴率の推移をみると、平成17(2006)年の第57回から40%前後である。多チャンネルと有料放送が普及してきた現代においては、この数字でも十分に「お化け番組」である。
このコラムのシリーズは、ドラマやその主人公たちが過去に出演した映画などを背景として、テレビのいまを書き綴ってきた。
今回の紅白は、映画「ソロモンの偽証」で重要な役をこなした石井杏奈がメンバーである、E-girls、俳優としても評価が高まっている西島隆弘のAAA、「恋ダンス」が社会現象になり、俳優としても活躍する星野源の歌とダンスを楽しもうと思う。 
音楽の日
「歌は世につれ、世は歌につれ」使い古されていると思っていたこの言葉が、これほどまでに真理を語ってくれるとは、、あらためて感じたのが先日のTBSで放送された『音楽の日』という番組だった。
私が観たのは深夜帯のほんの一時間ほど、ノンストップ灼熱うたリレーというコーナーだったのだが、これがなかなか感慨深く、近年の『歌』というものをあらためて考えさせられた時間になった。
番組のホームページには下記のような出演者一覧があった。HY A.B.C-Z SHISHAMO CHEMISTRY 倖田來未 SEAMO ジャニーズWEST D-51 nobodyknows+AI. 家入レオ E-girls ウルフルズ 倉木麻衣 KREVA CHEMISTRY ジャニーズWEST ファンキー加藤。ここからは登場したアーティストたちが歌っていた歌詞の中で印象に残った歌詞について独断と偏見で勝手な印象を述べさせて頂く。
まずEXILEの妹分として2011年にデビューした ボーカルダンスユニット “E-girls”さん。ストリート系ファッションに包まれた20代中心のキラキラした11人の女の子たちが歌う新曲「シンデレラフィット」というラブソングの歌詞に、こんな言葉が出てきた。「いいことばっかりあるわけじゃない 誰だってそう悩んでる」「True True だから毎日 頑張るの」非常にハッピーなラブソングに急に現実的な歌詞が出てきてはっとする。
続いて登場した20代ガールズロックバンド”SHISHAMO”さんの「明日も」の歌詞には「月火水木金働いた」「ダメでも頑張るしかないからさ」「良いことばかりじゃないからさ」「痛くて泣きたいときもある」たった一時間のうちに2回も「良いことばかりじゃない」でも「頑張る」という歌詞を聞くことになろうとは、、驚いた。
続いて上記のグルーブとは少し年代を隔て、まさしく就職氷河期世代真っ只中の世代、J-ヒップホップ界を牽引してきた カリスマ Krevaさんの『イッサイガッサイ 2019ver.』彼女と一緒に夏休みを迎えた男性が、ワクワクする気持ちを持ちつつも「リゾート気分味わってるはずの理想の自分とは程遠い」「もう普通が普通じゃない毎日だから」「痛感するんだよ」「お前と居られるなら上出来」と語る。そして日曜から土曜までの休暇の過ごし方が その後の詞で語られるのだが、これがまたインドア派。設定は「夏」だが「夏」要素ゼロ。どうやら彼女と出かけたのは新宿へ買い物、インドマッサージ、秋葉の電気屋さんのわずか三か所。あとは自宅でダラダラと過ごし、決して贅沢とは言えない夏休みを過ごす。「お前と居られるなら上出来」彼は恋人がいる事に感謝しつつもしかし、彼は現状に納得しているわけではなさそうだ。「何が俺らを惑わしてる イッサイガッサイのみこんで」いるのだから。
1993年森高千里さんの「私の夏」では彼氏と別れたばかりの女の子同士が当たり前のように「決めた、沖縄の海にしよう」とビーチリゾートに弾丸旅行ができた時代とは隔世の感。
Krevaさんは41歳、私の学生時代もそうだったが、バブル華やかなりし時代の大人を見て育った世代だ。もしかしたら彼女をもっと特別な場所へ連れて行くことが出来ない不甲斐なさのようなものを飲み込んで過ごしている夏なんだろうか、、と想像する。
先に記した二組の女性ユニットの歌詞にはKrevaさんほど裏読みできるストーリーはそれほど感じられないのだが、ストレートすぎる分、今の20代の諦観のようなものを感じて仕方なかった。
それをさらに感じたのはBLUE ENCOUNT(ブルー・エンカウント)、通称ブルエンと呼ばれる2014年デビューのロックバンドの「もっと光を」の歌詞。ロックの激しいビートに乗せて「もっと光を」を繰り返し叫ぶのだが、基本的には「もっと光を」君に届ける、僕が君に光を届ける、という内容にも関わらず旋律と歌詞の相性で、自分が光を欲してやまなくて連呼しているように感じた。
「光は誰もくれない」「だから進むんだ」「僕が君をてらすから」極めて根拠の薄いこの言葉について行く女性はいないなぁ、、とぼんやり考えつつ、自分自身も確固たるものがないのに、女性を守らなきゃいけない思春期の男の子の危うさとか線の細さが皮肉にも現れていて胸が切なくなってしまった。
他の出演者の歌詞にも共通して感じたのは「ラブソング」であっても主人公の生活の苦しさが現れていること。登場したカップルのほどんどがどこにも出かけていない。いかなるスポットも登場しない。おそらく部屋の中。車はもちろんない。毎日働いている。
また登場する要素は必ず「あなた」と「私」、(「君」と「僕」)この二つのみ。いやぁ、ほとんど恋愛の歌なんだから当然でしょう、、と思われるかもしれないが、
例えば「あなた」と「私」は一体何歳くらいなのか、「私」はどんな性格で、今どういうシチュエーションで、「あなた」は何をしていて、どういう関係性なのか、という要素がさっぱり見えない。まるで自己紹介せずに話ししてるみたいなイメージだ。圧倒的にわかりやすいので昔の歌詞と比べてみる。
1976年 荒井由美さんの「まちぶせ」夕暮れの街角 覗いた喫茶店 微笑み見つめ合う 見覚えある二人∞あの子が急になぜか 綺麗になったのは あなたとこんなふうに会ってるからなのね≠ずか二行、「私」はいつ・どこにいて・何をして・何を思ったか、全てわかる。
「会ってるからなのね」部分の下がっていくメロディで、少々嫉妬深い、または執念深い、主人公の性格まで想像させる。
オフコースさんの「Yes No」「君を抱いていいの 好きになってもいいの 君を抱いていいの 心はどこにあるの」
こちらも短いフレーズの中に、好きな女性に踏み込んで行かれない、ある種 繊細な、そしてある種 意気地無しな男性の姿が浮かんでくる。それまでの男らしい男、強い男、からなんでも女性の同意を得て始めようとする新しいタイプの男性像が浮かび上がってくる。
また稲垣潤一さんの『 A Glass of the Sorrow』(売野雅勇さん作詞)冒頭の歌詞では「水路で結ばれたホテルのAmerican Bar 金色で掠れた文字さえ変わらないね君だけがいない 「別れる気ね、、」とコインでフォービート刻んだ」と1986年ならではのラグジュアリーかつ洗練されたスポットでの恋模様が描かれている。
昔の歌には短いフレーズに幾つもの要素が含まれていたことがわかる。再び「音楽の日」に戻る。登場した男性デュオChemistryの新曲「Angel」の歌詞は突然「愛する人がいれば強くなれる 本当さ」というようなサビ(新曲なのでまだ歌詞が検索できず私の記憶に頼っていますのでお許しを)からスタートし、なぜそう思ったかについては最後まで全く触れずに歌詞が終わった。とても普遍的で素敵なメッセージだが、そこに至る過程が示されないままだとただお題目を唱える交通安全週間の標語のように感じてしまう自分がいた。
他のファンキー加藤さんの新曲も、ジャニーズWESTさんの新曲もほとんどの出演アーティストの歌詞にも同じ傾向が見られた。いつ頃からこういう傾向になったのか考えたが、職業作詞家さんがあまり手がけなくなった頃からかな、、ぐらいしか答えは出なかった。
ただこうなった原因を考えてみると、昔は個別のエピソードを歌っても、誰かしらに当てはまり共感を呼ぶだけのリスナーの大きなパイがあったからそれが成立した。量を打ち出せたから。しかし音楽業界のパイ自体が縮んだ今、より多くのリスナー獲得のため誰にでも当てはまる普遍的な概念を歌わなければ営業として成立しなくなったいう現実もあるのかもしれない。
しかしながら普遍的な概念を歌おうとすればするほど、普遍性からは実は遠ざかっていると感じる。普遍性とはそれぞれの細部に宿るものがあってそれを認め、感じあうことから始まりそのそれぞれの細部に自分と共通するものをみつけ(それが共感であるが)新しい考え方をそこで発見することでみんな、なんだかんだ言って同じ時代に生きているだね、、と、エールを送り合うというのがポップスの一義的な素晴らしさだと思ってきたけれど今回のこのやるせない想い、皆さんは感じたことはないでしょうか。
もちろんこうじゃなくてはいけない、、は無いのだけどいっぱい歌に夢を見てきた自分としては、少し寂しい時間だったなという思いです。
 
北海道

 

■ああ北海道には雪が降る
あのときあなたは二十一 学生服のつめ襟がきりりと似合う人でした
・・・ ああ夕暮れ北海道には鐘が鳴る
   逢いたくなったらこの海に 手をつけ名前呼んでねと私はいつか言いました
   ・・・ ああいまごろ北海道には波の音
お元気ですかと来た便り 見なれたあらいペン書きで結婚式の招待状
あれから五年も過ぎた今日 実らぬ初恋抱いて泣くのよ
ああそろそろ北海道には雪が降る 
■イヨマンテの夜
アーホイヨーアー… イヨマンテ
熊祭り 燃えろ かがり火 ああ 満月よ 今宵 熊祭り 踊ろう メノコよ
タムタム 太鼓が鳴る 熱き唇 我によせてよ
   熊祭り 燃えろ ひと夜を ああ 我が胸に 今宵 熊祭り 可愛い メノコよ ・・・
アアアアアアア… アーホイヨー アーホイヨー イヨマンテ  
■北国の青い空
風にまかれた 私の髪に 野バラの甘いかおりがせつない
北国の空と湖 二人の愛は ここにねむる
あなたのために 私は祈る 二度と帰らない 夏の日の恋よ 恋よ
白い小舟に野バラをかざる 北国の青い空はないてる ・・・ 
■北の国の習い
離婚の数では日本一だってさ 大きな声じゃ言えないけどね
しかも女から口火を切ってひとりぽっちの道を選ぶよ
北の国の女は耐えないからね 我慢強いのはむしろ南の女さ
   待っても春など来るもんか 見捨てて歩き出すのが習わしさ
   北の国の女にゃ気をつけな 待っても春など来るもんか
   見捨てて歩き出すのが習わしさ 北の国の女にゃ気をつけな
吹雪の夜に白い山を越えてみようよ あんたの自慢の洒落た車で
凍るカーブは鏡のように気取り忘れた顔を映し出す
立ち往生の吹きだまり凍って死ぬかい ・・・
   待っても春など来るもんか 見捨てて歩き出すのが習わしさ
   北の国の女にゃ気をつけな 
■ソーラン渡り鳥
津軽の海を 越えて来た 塒持たない みなしごつばめ 江差恋しや 鰊場恋し
三昧を弾く手に 想いを込めて ヤーレン ソーラン ソーラン ソーラン 
唄う ソーラン ああ渡り鳥   ・・・
瞼の裏に 咲いている 幼馴染みの はまなすの花 辛いことには 泣かないけれど
人の情けが 欲しくて泣ける ヤーレン ソーラン ソーラン ソーラン 
娘 ソーラン ああ渡り鳥  
■ソーラン仁義
手前生まれは ソーラン節の 歌でなじみの 北海生まれ
夜の酒場を 露路裏づたい 流す男の 仁義には 意地と苦労が しみている   ・・・
手前生まれは しぶきがかかる 銀のウロコの にしん場育ち
惚れたあの娘も 待ってはいまい 風の噂じゃ 他人の妻 そうだ忘れて 生きるのさ  
■北海の流氷
霧にかくした 男の涙 咽ぶ霧笛に ほろりと落ちた
あばよあばよあばよだぜ 流氷の港 恋の未練も ぷっつり切れた
船が波止場で 俺を呼ぶ ・・・
鉛いろした 潮路の涯てに 待っているのは 北海嵐
あばよあばよあばよだぜ 流氷の港 愚痴や恨みは 笑って捨てる
それが男の 締めくくり 
■北海の終列車
深い夜霧に 汽笛をならし ああ 北海の終列車
心に消えぬ まぼろしの 君の名呼べば 胸痛く
涙にじむよ にじむよ涙 ・・・
暗い夜空を 見るさえ悲し ああ 北海の終列車
行方は遥か さいはての 鉄路に結ぶ 夢寒く
どこへ捨てよか 捨てよか涙 
■北の大地
はるかなる 北の空 木霊も叫ぶ エゾ松林
母の大地に根を下ろし 雪を吸い みぞれを背負い
この人生を アア… ハ…噛みしめる ・・・
ギラギラと 燃えながら 夕陽はうたう 大地の歌を
汗と涙を 分けあった 幾歳の 希望の道に
おまえとおれの アア…ハ… 星が降る 
■北の旅人
たどりついたら 岬のはずれ 赤い灯が点く ぽつりとひとつ
いまでもあなたを 待ってると いとしいおまえの 呼ぶ声が
俺の背中で 潮風(かぜ)になる 夜の釧路は 雨になるだろう ・・・
空でちぎれる あの汽笛さえ 泣いて別れる さい果て港
いちどはこの手に 抱きしめて 泣かせてやりたい 思いきり
消えぬ面影 たずねびと 夜の小樽は 雪が肩に舞う 
■おれの北緯四十度
朝は燃える 太陽 夜は揺れる 漁火 北の海 大漁旗を なびかせ帰る
無事を祈り 見守る 母のような 灯台 かすむ波間の村 潮の香りの村
おれの北緯四十度   ・・・
故郷離れ 想うは 都会に住んで 偲ぶは 北の空 ほのかな恋の 想い出残る
言葉荒い けれども 皆(み)んな心 やさしい 幼なじみの村 遠い夢路の村
おれの北緯四十度  
■流氷
一年 そして 二年 三年越しの 恋は重い
捨てきれず 踏みきれず 流れのままに 過ぎて
ガラス窓の外は 雪に昏れて 人の影も 渡り鳥に見える
寒い あなた 寒い 今のままでは 凍えます ・・・
きびしい 冬が 似合う しあわせ薄い 恋であれば
抱かれても 別れても 春待つ あてもなくて
夜がふけて 海が泣いて氷る まるで胸が きしむような音で
寒い あなた 寒い 今のままでは 凍えます 
■流氷の街
流氷の街の 片隅で 心にしみ込む 優しさは
涙おく 露草か ひそやかな ひとよ
   すまじきは恋の 戯れか 心のなごみの 華やぎも
   ひとむれの つわぶきか 隠れ咲く 花よ ・・・
流氷の街を 背にすれば 心にさし込む 悲しさは
ひたむきな 追い風か 散り花の 夢よ 
■オホーツクの舟唄
何地から 吹きすさぶ 朔北の吹雪よ わたしの胸を刺すように
オホーツクは 今日も 海鳴りの中に 明け 暮れてゆく
   父祖の地のクナシリに 長い冬の夜があける日を
   白いカモメが告げるまで 最涯の茜の中で わたしは 立ちつくす
   何故か 眼がしらの涙が凍るまで
オホーツクの海原 ただ白く凍て果て
命あるものは暗い雪の下 春を待つ心 ペチカに燃やそ
哀れ東(ひんがし)にオーロラかなし ・・・
   スズランの緑が 雪解けに光れば アイヌの唄声 谷間にこだます
   シレトクの春は 潮路(しおじ)に開けて 舟人のかいな 海に輝く
オレーオレー オーシコイ 沖の声 舟唄
秋あじだいエリャンサ 揚げる網ゃ大漁
霞むクナシリ 我が故郷 何日の日か詣でむ 御親の墓に ねむれ静かに 
■オホーツクの海
静かに 沈む夕日 オホーツクの海に 風は 波をさそい 夕日におどるよ
はるかな 小舟に 手を振れば 忘れた 何かを 思い出す
静かな そして 静かな オホーツクの海よ
   静かに 闇がつつむ オホーツクの海を 雲は 月をさそい 波間におどるよ
   はるかな 汐さい 耳にすれば 忘れた 何かを 思い出す
   静かな そして 静かな オホーツクの海よ ・・・ 
■おもいで岬
春はたき火の燃えのこり 消えた流氷 とぶ鴎
酒を片手の 親父らが 顔をゆるめる 口ずさむ
北の岬は 今もなお 忘れられない
忘れられない おもいで岬
   夏は真赤な ハマナスが 夜に人待つ 虫も鳴く
   人目しのんで 若い衆が 肌を寄せ合う 月の下
   北の岬は 今もなお 忘れられない
   忘れられない おもいで岬 ・・・
冬はたずねる 人もなく 白い灯台 ただ一つ
耐えてしのんで 船のりが 行方たずねる 目をはらす
北の岬は 今もなお 忘れられない
忘れられない おもいで岬 
■北海道函館本線
都遥かに 今を発車の あゝ函館本線
君の名を呼ぶ 声さえも  ベルに呑まれて 霧となる
泣くが無理かよ 旅はただひとり ・・・
暗い鉄路を 汽笛ひと声 あゝ函館本線
男泣かせか さいはての 空も曠野も 鉛いろ
どこに埋めよう 紅い夢の花 
■宗谷本線比布駅
愛をなくした 女がひとり 涙こらえて 北夜行
花も絵もない 待合室で 夢をかさねた 二人です
宗谷本線 比布駅 あの日の想い出 忘れない ・・・
寒いこころに 汽笛がひびく どこへ行くのか まよい鳥
そっとあなたに 小さな声で 空を見上げて さようなら
宗谷本線 比布駅 明日は涙を 流さない 
■風雪ながれ旅
破れ単衣に 三味線だけば よされよされと 雪が降る
泣きの十六 短かい指に 息を吹きかけ 越えてきた
アイヤー アイヤー 津軽 八戸 大湊
   三味 が折れたら 両手を叩け バチが無ければ 櫛でひけ ・・・
   アイヤー アイヤー 小樽 函館 苫小牧
鍋のコゲ飯 袂で隠し 抜けてきたのが 親の目を
通い妻だと 笑った女の 髪の匂いも なつかしい
アイヤー アイヤー 留萌 滝川 稚内 
 

 

北海道
ああ北海道には雪が降る ロマンチカ
北海道ブルース 八代亜紀
イヨマンテの夜 伊藤久男
コタンの哀歌 津村謙
北国の青い空 奥村チヨ
北の国の習い 中島みゆき
ソーラン渡り鳥 こまどり姉妹
ソーラン仁義 北島三郎
どさん子一代 畠山みどり
北海の流氷 橋幸夫
北海の終列車 三橋美智也
北の大地 北島三郎
北の旅人 石原裕次郎
北から 芹洋子
北緯四十五度 鳥羽一郎
流氷 石川さゆり
流氷の街 渡哲也
流氷の島 春日八郎
流氷の詩 原あつこ
オホーツクの舟唄 倍賞千恵子
オホーツクの海 松山千春
おもいで岬 新沼謙治
初恋列車 氷川きよし
北海道函館本線 三橋美智也
宗谷本線比布駅 水森かおり 
ピリカピリカ 雪村いずみ
風雪ながれ旅 北島三郎 (津軽・八戸・大湊・小樽・函館・苫小牧・留萌・滝川・稚内)
 
札幌
■札幌ブルース
すすきの町に 灯がともる ほのかな明るい 灯がともる 昨日おとして 今日またひろう
恋のかけらを 散りばめながら ああ わたしの札幌 あなたの札幌 夢呼ぶ街よ ・・・
鐘が鳴ります 時計台 月はまだかよ 藻岩山 風がより添い 羊が丘へ
恋の夕笛 さやかにわたる ああ わたしの札幌 あなたの札幌 夢呼ぶ街よ  
■札幌エレジー
りラの花咲き 札幌の 春はやさしく 匂うのに
別れたひとの こころは遠く 胸をとどした 悲しみの
雪は消えない いつまでも ・・・
花の咲く街 札幌に 泪いろした 霧がふる
エルムの鐘の 消えゆく空に 夢をともした あの星も
どこへ流れて 行ったのか 
■札幌ふたりづれ
(女)ついて行きたい あなた (女)わすれられない 夜にして
(男)行けば 薄野あたり (男)七色ネオンの灯がまねく
(男女)あの夢 この夢 あの人 この人 (女)胸の想いをかよわせて
(男)そぞろ歩きの五番街 (男女)北の街 札幌は 恋の街ふたりづれ ・・・
(男)雨がふたりを濡らす (男)逢えば短い 夜だから
(女)どんな小さなことも (女)おぼえておきます いつまでも
(男女)あの夢 この夢 あの歌 この歌 (女)燃えて花咲く アカシアも
(男)名残りつきない時計台 (男女)北の街 札幌は 恋の街ふたりづれ 
■札幌の星の下で
あなたには 見えない星が アカシヤの 梢に点る
東京の 東京の 空は遠くて ただ私 恋に苦しむ
ああ 北の町 札幌の 星の下で ・・・
あなたには 昨日の女 でも私 あきらめないわ
いつの日か いつの日か 千歳の空へ 帰りくる 愛を信じて 
ああ 北の町 札幌の 夜をひとり 
■東京の雨を札幌で
昨夜 銀座で 濡れていた この雨あの娘の しのび泣き
アカシア並木を銀の糸で煙らせて 逃げちゃいやよと 追ってきた
ああ 愛して 愛して 愛したりない ああ 東京の雨を札幌で ・・・
未練ごころで ふりむけば あの傘 この傘 二人連れ
すすきの灯りに 白く浮かぶ横顔が どこか似ている 濡れまつ毛
ああ 愛して 愛して 愛したりない ああ 東京の雨を札幌で 
■ひとりの札幌
運命という名の 別れがなけりゃ 私はあなたの 妻でした
つらゝ斜めに 吹雪いて荒れて ひとりの札幌 泣いている
凍れる夜です あなたに逢いたい ・・・
根雪がとければ 季節もかわる 冬枯れアカシヤ 花が咲く
出来ることなら 許されるなら ふたりの札幌 もう一度
こゝろの人です あなたに逢いたい 
■哀愁の札幌
時計台の鐘が 包む夕暮れは あなたがくれた 優しさに似てる
泣いたっていいのさ 全部抱きしめる おまえを二度と ひとりにはしない
愛よ急げ 時よ迷うな ためらう心 飛んで飛んで飛んで行(ゆ)け
あゝ哀愁の あゝ札幌 恋が似合う街
   泣きたいとき泣ける そんな幸せに 戸惑いながら 甘えてしまうの
   アカシアに透けた 淡い夕月が 触れ合う指の 愛しさを照らす
   合わすグラス 星よ今夜も 愛する人は あなたあなたあなただけ
   あゝ哀愁の あゝ札幌 恋が灯(とも)る街 ・・・ 
■恋の町札幌
時計台の下で逢って 私の恋ははじまりました
だまってあなたに ついてくだけで 私はとても幸わせだった
夢のような恋のはじめ 忘れはしない恋の町札幌 ・・・
淋しい時 むなしい時 私はいつも この町に来るの
どこかちがうの この町だけは なぜか私にやさしくするの
恋人なのね 故里なのね ありがとう私の恋の町札幌 
■サヨナラ札幌
雨に濡れてる アカシヤの花 鐘もないてる 時計台
サヨナラ札幌 サヨナラ 恋の思い出 たそがれの
街はしらない この胸を ・・・
雨の舗道に アカシヤの花 散って淋しい 並木道
サヨナラ札幌 サヨナラ 恋の面影 街の灯も
雨にけむって 消えてゆく 雨にけむって 消えてゆく 
■ブルーナイト・イン札幌
津軽の海のかなた 別れて行った人に 
切なく燃える想いを つめたくつつむ夜霧 
さめた頬に にじむ泪 街の灯が 哀しくて 
ああ ブルーナイト・イン・札幌 薄野の夜は更ける
   女の意地が憎いと 別れて行った人よ 
   さそう人もいないから ひとり飲む にがい酒
   心ゆする 君の言葉 想い出だけを 残して ・・・ 
■好きですサッポロ
すきですサッポロ すきです あなた すきですサッポロ すきです 誰よりも
   雪の重さに 耐え抜いた 耐え抜いた ライラックの小枝に 花が咲くころ
   爽やかな風と共に 訪れる 恋の気配にふりむけば
   みどりに映える 赤レンガ
すきですサッポロ すきです あなた すきですサッポロ すきです 誰よりも
   蝶は生まれて くる前に くる前に スズランとの出逢いが 決まってるのね
   あなたとのめぐり逢いが 始まった ニレの木陰で しのびよる
   靴音を待つ 時計台
すきですサッポロ すきです あなた すきですサッポロ すきです 誰よりも ・・・ 
■中の島ブルース
赤いネオンに 身をまかせ 燃えて花咲く アカシアの
あまい香りに 誘われて  あなたと二人 散った街
あゝ ここは札幌 中の島ブルースよ
   水の都にすてた 恋 泣いて別れた 淀屋橋
   ほろり落とした 幸せを あなたと二人 拾う街
   あゝ ここは大阪 中の島ブルースよ ・・・
あなたと二人濡れた街 あゝ ここは長崎 中の島ブルースよ 
■すすきのブルース
あなたを愛したあの夜から 私は淋しい女になりました
忘れはしない霧降る街で 初めてふれた男の心 ああ… すすきのの夜が切ない ・・・
この夜の運命を恨んでも 私はあなたを憎んでいやしない
逢えなくなって今更知った 諦められぬ心のつらさ ああ… すすきのの夜が切ない  
■南三条
地下鉄の海へ流れ込む人の流れに身をまかせ 
今日も流れゆく流れゆく心のぬけがら 
互いに誰もがまるで人のいない砂漠をゆくように 
うまくすり抜けてすり抜けて触れあわず流れゆく 
突然袖引かれ見れば 息をきらしてる笑顔 
なんてなつかしい と汗かいて 忘れたい忘れないあの日の女 
南三条泣きながら走った 胸の中であの雨はやまない 
南三条よみがえる夏の日 あの街並はあとかたもないのに 
流れてゆく人の流れ何ひとつも知らなくて 
ただ二人は親しそうに見えるだろう ・・・ 
■定山渓
命結んだ この糸で 愛と云う名の 帯を織る
それも今では 夢ですね 強くなかった ふたり共
おもいで連れて 涙を連れて 定山渓に 立ち尽くす ・・・
お酒飲んでも 寝れもせず 泣いて心が 晴れました
運命(さだめ)悲しい めぐり逢い 好きとつぶやき 切る縁(えにし)
春は名ばかり 湯気までこごえ 定山渓に 舞いあがる 
■虹と雪のバラード
虹の地平を 歩み出て 影たちが近づく 手をとりあって
町ができる 美しい町が あふれる旗 叫び そして唄
ぼくらは呼ぶ あふれる夢に あの星たちの あいだに
眠っている 北の空に きみの名を呼ぶ オリンピックと
   雪の炎に ゆらめいて 影たちが飛び去る ナイフのように
   空がのこる まっ青な空が あれは夢? 力? それとも恋
   ぼくらは書く いのちのかぎり いま太陽の 真下に
   生まれかわる サッポロの地に きみの名を書く ・・・ 
■北空港
(女)夜の札幌あなたに逢えて 凍てつく心に灯りがともる
(男)これからは二人だよ もう泣かないで ついておいでよ 涙を捨てて過去さえ捨てて
(男女)愛が飛び立つ北空港 ・・・
(女)夜の札幌舞い散る雪も 
(男)ふたりの夜空で咲く花になる どこまでも一緒だよ もう離れずに
(女)夢を探そう (男女)涙を捨てて過去さえ捨てて 愛が飛び立つ北空港  
■リラの花散る町
町の灯一つ 又一つ 私の胸を 悲しく濡らす
つきぬ想いに 君呼べば 涙の色か 紫の 
リラの花散る あゝ日暮れ道 ・・・
潔(きよ)い心の 青い星 またたくように やさしくともる
いつか逢う日を あの星に 希(のぞ)みをかけて ただ祈る
リラの花散る あゝ日暮れ道 
■北酒場
北の酒場通りには 長い髪の女が似合う 
ちょっとお人よしがいい くどかれ上手な方がいい
今夜の恋はタバコの先に 火をつけてくれた人 
からめた指が 運命のように心を許す
北の酒場通りには 女を酔わせる恋がある 
   北の酒場通りには 涙もろい男が似合う 
   ちょっと女好きがいい 瞳でくどける方がいい 
   ・・・ 北の酒場通りには 男を泣かせる歌がある ・・・  
札幌
札幌ブルース 青江三奈
札幌の女 青江三奈
札幌小唄 淡谷のり子
札幌エレジー 西田佐知子
札幌ふたりづれ 都はるみ
札幌の星の下で ロス・プリモス
札幌発最終便 フランク永井
雪降る札幌 青江三奈
雨の札幌 藤圭子
東京の雨を札幌で アローナイツ
ひとりの札幌 ロマンチカ
哀愁の札幌 松坂慶子・浜圭介
恋の町札幌 石原裕次郎
サヨナラ札幌 マヒナスターズ
ブルーナイト・イン札幌 マヒナスターズ
ラ・サッポロ アローナイツ
サッポロ霧情 瀬川瑛子
サッポロSNOWY 中島みゆき
白い街サッポロ アン・ルイス
好きですサッポロ サザンクロス
トワイライト・サッポロ サザンクロス
ラストナイト・イン札幌 サザンクロス&ルミ
中の島ブルース アローナイツ
すすきのブルース ロマンチカ
南三条 中島みゆき
定山渓 水森かおり
狸小路のうた 朝丘雪路・ボニージャックス
時計台の鐘の鳴る街 芹洋子
虹と雪のバラード トワ・エ・モワ
北空港 桂銀淑・浜圭介
リラの花散る町 倍賞千恵子
北酒場 細川たかし
 
道央​
■石狩挽歌
海猫が鳴くからニシンが来ると 赤い筒袖のヤン衆がさわぐ
雪に埋もれた番屋の隅で わたしゃ夜通し飯を炊く
あれからニシンはどこへ行ったやら 破れた網は問い刺し網か
今じゃ浜辺でオンボロロ オンボロボロロ-
沖を通るは笠戸丸(かさとまる) わたしゃ涙でにしん曇りの空を見る ・・・
オンボロボロロ- かわらぬものは古代文字
わたしゃ涙で娘ざかりの夢を見る  
■石狩川
渡り鳥 どこへ帰るの ここでまた ここでまた 逢おうといった
あの人は 今日も見えずに石狩の 石狩の川は とても淋しい
   愛されて しあわせだった 泣くことの 泣くことの なかったわたし
   花びらを摘んで流した石狩の 石狩の風はとてもつめたい ・・・ 
■石狩川悲歌
君と歩いた 石狩の 流れの岸の 幾曲り
思い出ばかり 心につづく ああ初恋の 遠い日よ ・・・
君を思えば 身にしみる 石狩川の 夕風よ
二度とは逢えぬ この道なれば ああ初恋の 日が恋し 
■石狩エレジー
旅の夜汽車で ふと知り合った 君は流れの レビューのスター
窓に頬よせ 涙にぬれながら 都恋しと 都恋しと
ああ 泣いていた ・・・
ニレの花散る 港の町の 楽屋泊まりが 侘びしゅてならぬ
赤いドレスが どんなに燃えたとて どうせちりぢり どうせちりぢり
ああ 旅のはて  
■小樽のひとよ
逢いたい気持ちがままならぬ 北国の街はつめたく遠い
粉雪まいちる小樽の駅に ああ一人残して来たけれど 忘れはしない愛する人よ ・・・
小樽は寒かろ東京も こんなにしばれる星空だから 語り明かした吹雪の夜を
ああ思い出してる僕だから かならずいくよ待ってておくれ 待ってておくれ  
■小樽運河
精進おとしの 酒をのみ 別の生き方 あったねと…
四十路半ばの 秋が逝き セピア色した 雨が降る
イエスタデイを 聴きながら ふたり歩いた あァ小樽運河
   誰のせいでも ないけれど これで終わるの 始まるの
   あなたほんとの 男なら わたし独りに させないわ
   イエスタデイを 抱きしめて ゆらぐガス燈(ライト) あァ小樽運河 ・・・
イエスタデイを もう一度 窓の向うに あァ小樽運河 
■小樽の灯
暗いこの世を 手さぐりで 生きて流れる 花園あたり
浮世通りの 灯にすがり 酒で自口分を 責めている
そんなあなたに 抱かれて泣いた 小樽の灯 ・・・
他人行儀で とおせたら つらい噂も 立たないものを
稲荷小路の ネオン花 男なんかに だまされて
死にもできない 夜がまた来る 小樽の灯 
■想い出の小樽
別れの握手 握りかえして 微笑みかわすガラスショップの雪模様 
強がり見せてもうわべだけ すぐに心が壊れそう 
おもいでの小樽 運河の町よ ・・・  
名札を外し 駅に向かえば ロフトをかすめ啼いて鴎も見送った 
愉しさばかりのぬくもりか 春を待ってるガス燈(ライト) 
おもいでの小樽 運河の町よ 
■たずねて小樽
泣くなと言えば 尚更泣いて 夜の坂道 消えた影
遠く千切れる 霧笛さえ お前のあの日の 声になる・・・
アカシヤの アカシヤの 花に聞きたい夢のあと 旅の小樽は 霧が胸にふる ・・・
若さの奢(おご)り 間違いばかり 詫びて許せる 過去じゃない
俺はいつでも ここにいる 苦労はするなよ もう二度と・・・
アカシヤの アカシヤの 花に祈ろう倖せを 旅の小樽は 霧が雨になる 
■おれの小樽
夕陽とかした 海に染められて 子ども二人が 家路を駈けて行く
かえらぬ昔の 夢をみるような おれの小樽は 港町
おふくろ おれの名 呼んで呉れ ・・・
時がすぎても 胸がいたむのは 風の冷たさ 恋したあたたかさ
さすらい流れて ふと立ち止まる おれの小樽は 坂の町
別れたあの日が 見えかくれ 
■積丹半島
春が来たから 鰊がくると 騒ぎ始める 半島かもめ
こゝは積丹(シャコタン)神恵内(カモエナイ) 漁を仕掛ける 角網に
男 銀次郎 血が通う ドッコイ 度胸の 日本海 ・・・
漁師冥利は 荒波勝負 舟は鰊の 宝の山だ
こゝは積丹 神恵内 今日も稼いだ 喜びに
大漁 目出度い 漁師町 ドッコイ 笑顔の 夫婦酒 
■積丹岬
カムイ岬の 丘にたち 悲しみ抱いて 泣いてます
恋の痛手が苦しくて 死に場を求め 来たけれど
鸥の啼く声 聞くたびに 別れたあなたの 声に似て
狂った運命が 憎くなる 愛のわりの終 愛のわりの終 こゝは積丹岬 
   カムイ岬に ひとり来て はじめてそれを 知りました
   海がこんなに いくつもの 変わった顏を 持つものと
   出船の灯りを 見ていると 忘れたつもりの ぬくもりが
   わたしを呼ぶよな 波しぶき 愛のわりの終 愛のわりの終 こゝは積丹岬
かえらぬ旅だと 決めながら 女のこゝろは はかなくて ・・・ 
■神威岬
やっぱりあなたは 来なかった 神にもそむいて 愛したけれど
黒ユリ抱いて この命 積丹(しゃこたん)しぶきに 散らそうか…
カムイの夕陽 なぜ燃える 私の夢は 消えたのに ・・・

おまえが死ぬとき 俺も死ぬ あの日の誓いが 夜空を焦がす
悲しいほどに 美しい 積丹伝説(ロマン)の 火祭りよ…
カムイの月は 知っている この世の果てに 咲く恋を 
■岬まで
山から吹く風が 妙に心地良いでしょう 倶知安の空の雲は 温か色でしょう
短い夏だけど 慌てる事もない 旅や恋なんて 急ぐものじゃない
   岬まで行くなら あの娘に伝えてよ 来年の今頃には 会いに行くと
   神威岬にハマナスが咲く頃
急がない旅なら のんびり ひと眠り 蝦夷富士を見上げながら 一杯やりましょう
人生という名の 一度きりの旅人 景色でも眺めながら ほろほろ歩く ・・・
   岬まで行くなら あの娘に伝えてよ 約束通りに 迎えに行くと
   神威岬の 霧が晴れた頃に 神威岬のハマナスが咲く頃 
■余市の女
お酒を相手に ひと冬越えて あなた待つ身を 霧笛が泣かす
シリパ岬は 荒波しぶき 雪また雪の 波止場みち・・・・・
夢を夢を 夢をください もういちど いのち預けた 余市の女 ・・・
泣かせたぶんだけ 優しく抱いて 胸の根雪を 溶かしてほしい
春のあけぼの ローソク岩に 黒ユリ投げて ただ祈る・・・・・
恋を恋を 恋をかえして もういちど あなたひとすじ 余市の女 
■紅すずらんの伝説
山の辺に咲く紅すずらんは 初恋の花でした 
幼ごころに覚えています 思い出 追いかけて 
燃える夕陽が沈む 湖にひとり 
なぜか あの日とおなじなのに あなたはいない 
白鳥が舞う夜に 人知れず 花びらを 
湖に流したら 夢が叶うという… 
紅すずらんの伝説は やるせない 愛の物語 ・・・
白鳥が舞う夜に 人知れず 花びらを 
湖に流したら 夢が叶うという… 
紅すずらんの伝説は 支笏湖の 愛の物語 
■水に咲く花・支笏湖へ
水の中にも 花が咲く 北の大地の 湖に
あてもないまま 支笏湖へ 爪の先まで 凍らせて
辛い心で 見る空は 晴れているのに 涙雨 ・・・
いっそ憎んで 嫌われて ひどい別れの 方が良い
一人旅です 支笏湖へ 愛が消えても 生きて行く
広いこの世の 片隅で 夢のかけらを 抱きしめて 
■終着駅
落葉の舞い散る停車場は 悲しい女の吹きだまり
だから今日もひとり明日もひとり 涙を捨てにくる
真冬に裸足は冷たかろう 大きな荷物は重たかろう 
なのに今日もひとり明日もひとり 過去から逃げてくる
一度離したら二度とつかめない 愛という名のあたたかい心の鍵は
最終列車が着く度に よくにた女が降りてくる
そして今日もひとり明日もひとり 過去から逃げてくる ・・・  
■襟裳岬
北の街ではもう悲しみを暖炉で 燃やしはじめてるらしい 
理由のわからないことで 悩んでいるうち 老いぼれてしまうから 
黙りとおした歳月を ひろい集めて暖めあおう 襟裳の春は何もない春です ・・・
日々の暮らしはいやでも やってくるけど 静かに笑ってしまおう 
いじけることだけが 生きることだと 飼い馴らしすぎたので 身構えながら話すなんて
ああおくびょうなんだよね 襟裳の春は何もない春です 寒い友だちが訪ねてきたよ 
遠慮はいらないから 暖まってゆきなよ  
道央​
石狩の町よさようなら 松山恵子
石狩慕情 石川さゆり
石狩挽歌 北原ミレイ
石狩ブルース 田端義夫
石狩の春 田端義夫
石狩川 こまどり姉妹
石狩川悲歌 三橋美智也
石狩エレジー 霧島昇
小樽小唄 淡谷のり子
小樽のひとよ ロマンチカ
小樽運河 都はるみ
小樽の灯 青江三奈
小樽坂 アローナイツ
想い出の小樽 ロマンチカ
たずねて小樽 森進一
おれの小樽 石原裕次郎
積丹半島 天童よしみ
積丹岬 春日八郎
積丹哀歌 白根一男
神威岬 美川憲一
カムイ伝説 森山良子
岬まで さだまさし
余市の女 水田竜子
紅すずらんの伝説 ラブリーズ
水に咲く花・支笏湖へ 水森かおり
幾春別川 長山洋子
終着駅 奥村チヨ
あゝ勇払千人隊 二葉百合子
勇払原野 井沢八郎
襟裳岬 森進一
 
道南​
■函館ブルース
泣けるものなら 声あげて 泣いてみたいの 思いきり
漁火よりも 小さなあかり 消された哀しみ 誰が知ろ
ああ つきぬ未練の函館! 函館ブルース ・・・
霧が重たい こんな夜は 鐘も泣いてる トラピスト
運命と言えば なおさらつらい 悲しみ多い 恋でした
ああ つきぬ恨みの函館! 函館ブルース 
■函館のランタン娘
たれを待つのか ランタンともして 霧に濡れてる あの娘
白い手袋 目にしみる マフラピンクの 水玉模様
ああ 恋の港 函館のランタン娘 ・・・
だれと逢うのか ランタンともして ひとりたたずむ あの娘
話かければ うつむいて そっと答える やさしいことば
ああ 夢の港 函館のランタン娘  
■函館の女
はるばるきたぜ函館へ さかまく波をのりこえて あとは追うなと言いながら
うしろ姿で泣いてた君を おもいだすたび逢いたくて とても我慢ができなかったよ ・・・
迎えにきたぜ函館へ 見はてぬ夢と知りながら 忘れられずにとんできた
ここは北国しぶきもこおる どこにいるのかこの町の ひと目だけでも逢いたかったよ  
■函館の雨はリラ色
うれしいときも 涙がでると おしえてくれた あのひとと
いっしょにぬれた 朝の雨 おもいだします
大森町の 白い渚に しみとおる
ああ 函館の 函館の 雨はリラ色 ・・・
それでもいつか かならず逢える あなたの好きな 五稜郭
わたしはここで 待ってます
荒い潮路に つかれた夜は 夢に枕も ぬれるでしょ
ああ 函館の 函館の 雨はリラ色 
■函館山から
函館山から 立待岬 吹き上げる雪の中飛び交うかもめよ
若い男は 荒海を走る 優しさ拒む背中にいつも悲しむ女がいた
今はただ胸にしみるひとりの寒さよ
おまえはもう若くはないととどろく波よ 
   誰を待つのか立待岬 頬を切る風の中たたずむ乙女よ
紺のかすりに想い出す笑顔 身勝手許す背中にそっと涙を隠していた
淋しさをわかちあえる懐かしい女よ 凍て曇る冬の空にも想いを投げよう ・・・ 
■雨の函館
雨の…函館 女がひとり 褪(あ)せたくちびる 紅を引く
ほかの男に この身あずけて 断ち切るはずが 断ち切れず
だめな…だめな…だめな…私ね 港あかりに 未練がうずく ・・・
雨の…函館 女のなみだ うすい寝化粧 かくれ宿
灯り落とした あつい素肌に あなたの好きな 香りだけ
だめな…だめな…だめな…私ね 夢でいいから も一度抱いて 
■立待岬
北の岬に咲く浜茄子の 花は紅みれんの色よ
夢を追いかけこの海越えた あなた恋しと背のびする
   待って待って待ちわびて 立待岬の花になろうと ・・・
霧笛かすめて飛び交う海猫よ もらい泣きする情があれば ・・・
   哭いて哭いて哭きぬれて 立待岬の石になっても
   悔いは悔いはしません ひとすじのこの恋かけて  
■江差・追分・風の街
江差 追分 ながれる町は 風も尺八 ヒュル ヒュル ヒュル 吹いてゆく
あの人に 詫びたいよ… 情けの深さを 知らない昔を ・・・
江差 追分 ながれる港 かもめ 誰待つ ヒュル ヒュル ヒュル 日が暮れる
あの人に 逢いたいよ… この世が かぎりの 縁じゃないか 
■奥尻はいま
辛い季節を くぐり抜け たくましくよみがえる ふるさと
ぐるりと海に 囲まれた 島は一つの 宝石となり
光を放つよ 北日本海 どこかがちがう 何かがちがう
この奥尻の 輝きを ぜひみなさんに 見て欲しい
島中みんなで 呼んでます 島中みんなで お待ちしてます
   人の情に 励まされ 美しくよみがえる ふるさと
   ぐるりと海に 囲まれた 島は一羽の 鳥となり
   未来へとび立つ 北日本海 どこかがちがう 昔とちがう ・・・
   島中みんなで お待ちしています 島中みんなで 島中みんなで 
道南​
凾館ブルース 小野由紀子
函館のランタン娘 小畑実
函館の女 北島三郎
函館の雨はリラ色 瀬川瑛子
函館山から 美空ひばり
函館行進曲 藤山一郎
雨の函館 角川博
立待岬 森昌子
江差・追分・風の街 大川栄策
奥尻はいま 島津亜矢
 
道北​
■旭川恋の町
旭川に 来た頃は 俺は一人で 淋しかったぜ
冬は冷たく 友もなく なじみの店も なかった
   それが 一年たった今 俺はこの町 好きになったぜ
   逢えばいるいる いい奴が 行けばあるある いい店が
旭川 俺の町 ほめない俺が ほめる町
旭川 恋の町 ほれない俺が ほれた町
   あつあつの お二人さん 早くおいでよ 旭川
   雪にうもれた 冬の宿 恋をかためりゃ いいのさ
愛しあったら どこまでも ついておいでと 呼んでいる
小雪ちらちら ランタンの ともる夕暮れ 旭橋 ・・・ 
■旭川の夜
夢よ 降れ降れ 石狩川の 橋のたもとの 我が窓に
今日も あなたの ことだけを 想い焦がれて暮れてゆく 旭川の夜 ・・・
どうぞ 体を 大雪山に たまにゃ 近文 してほしい
月の照る夜も 雨の日も こころ南の空へ飛ぶ 旭川の夜 
■旭川ブルース
あなたを信じて傷ついた 女心は淋しく悲し
夜毎の夢にまぼろしに 命も泪も凍ってしまう
ああ 氷点の街 旭川 ・・・
あなたと一緒にいなければ とても生きてはいけないわたし
この世の運命恨んでも どうにもならない想い出ばかり
ああ 氷点の街 旭川 
■大雪よ
ちっぽけな自分に ため息こぼれたら 君に会いに行こう
限られた夏を一心に燃える 北の国の友に
万年雪が夕陽に 照らされて 茜色に染まる
疲れた体を投げ出し 眠れよと 静かに君がささやく
ああ大雪よ ああ大雪よ その大きな腕を広げ 強く抱きしめてくれ ・・・
ああ大雪よ ああ大雪よ そのやさしいまなざしで いつも見守ってくれ
ああ大雪よ ああ大雪よ どんなに遠く 離れても 君は心の友 君は心の友 
■天塩川
みどりの中を一筋に どこへゆくのか ゆうゆうと
わかれかねてる岸の花 旅の嘆きを ひとりゆく 孤独の大河 天塩川
残るは白い白樺の 白もあわれな夜の道
汽笛哀しく身にしみる 音威子府の夜の駅 いつの日あえる いつ逢える
中川くだる鱒の子よ 故郷忘れぬ魚さえ ・・・
花をかきわけ名山の のぞく幌延 母の町 ああさいはての天塩川
山呼び山に こたえつつ 流れ孤独の開拓者
赤い花咲く砂山に ひとり待つのか海鳥よ ああさいはての天塩川 
■サロベツ原野
はるばると訪ねきた 北の曠野 緑なす草原と 碧き空よ
ああサロベツ サロベツ原野 シベリアおろしを 躰で受けて
生きる生命(いのち)を 生命を確かめる ・・・
幾千の歳月(とき)を経て 咲きし草花(はな)よ 我もまたひとすじに 夢を咲かす
ああサロベツ サロベツ原野 地平を染めてる 夕日の彼方
明日(あす)も男の 男の人生(みち)をゆく 
■稚内ブルース
晴れれば浮かぶ サハリンの 島影呼んで 海鳥泣けば
石の乙女の 瞳から ほろほろほろり ほろほろり 涙こぼれる 稚内 ・・・
氷雪胸に とけぬ日も 海幸呼んで また陽は昇る
つよく手をとり 生きてよと きらきらきらり きらきらり ゆれて輝く 宗谷湾 
■氷雪の門
たたかいやぶれて 残りし山河 氷雪くだけて またくる春にも
ふたたびかえらぬ 九人の乙女の みたまにささげん 北国の花 ・・・
あの夢この夢 たのしき青春 み国にささげて 九輪の花散る
さよならさよなら 最後の電話の りりしきあの声 わすれじいまも 
■宗谷岬
北の最果ての宗谷岬にも 春が春が訪れたとか
岩に寄せ返す波の花が飛ぶ 海よ海よ穏やかであれ
急ぐ旅じゃなくましてはかない 山桜山桜いとおしく咲け
のぞむ利尻富士宗谷岬にも 春が春が訪れたとか
注ぐぬくもりに鴎鳥たちは ・・・ 
■宗谷岬
流氷とけて 春風吹いて ハマナス咲いて カモメもないて
はるか沖ゆく 外国船の 煙もうれし 宗谷の岬
流氷とけて 春風吹いて ハマナス揺れる 宗谷の岬 ・・・
幸せ求め 最果ての地に それぞれ人は 明日を祈る
波もピリカの 子守のように 想い出残る 宗谷の岬
流氷とけて 春風吹いて ハマナス揺れる 宗谷の岬 
■ふるさとは宗谷の果てに
ふるさとは 宗谷の果てに 遠くかすんで 今も尚
ちいちゃな頃の 思い出のせて かすかに浮ぶ 樺太の島 ・・・
雪の山々 氷の川よ 鈴をならして 橇は走る
北は遠く 北緯五十度 もう帰れない ふるさとよ
もう帰れない ふるさとよ もう帰れない ふるさとよ 
■最北航路
北の最はて 船追いかけて カモメ一羽が ついて来る
振り切れ 振り切れ 恋みれん 砕けて 砕けて 沫(あわ)になれ
いまも切なく わたしの胸に 残るあなたを 捨てにゆく ・・・
利尻まわりの ちいさな旅路 あれは礼文の 島かげか
振りきれ 振りきれ なにもかも 東京 東京 ふり向くな
せめて今夜は 静かな宿で 夢を みないで 眠りたい 
■礼文島
誰も知らない この町で 人目さけて のがれ来て
昨夜の女(ひと) おもい酒 香深の浜辺は 磯の香満ちて
あゝここは礼文島 さいはての島 ・・・
君の情の 船舶 こころのいたみ 消えたのに
思い出させる やませ風 スコトン岬の 潮騒(しおざい)かなし
あゝここは礼文島 さいはての島 
道北​
旭川恋の町 細川たかし
旭川の夜 美川憲一
旭川ブルース ロス・プリモス
北の国から〜遥かなる大地より〜 さだまさし
大雪山 細川たかし
大雪よ 新沼謙治
天塩川 都はるみ
サロベツ慕情 都はるみ
サロベツ原野 鳥羽一郎
Oh!コッペ節 殿さまキングス
稚内ブルース 鳥羽一郎
氷雪の門 畠山みどり
宗谷岬 芹洋子・松山千春・八代亜紀
宗谷岬 ダ・カーポ
ふるさとは宗谷の果てに 城卓矢
最北航路 香西かおり
利尻慕情 畠山みどり
礼文島 田端義夫
 
道東​
■釧路の駅でさようなら
いつも貴女が つけていた 口紅いろの 赤い灯が
挽歌の街に 滲む頃 霧笛の音も 泣くような
釧路の駅でさようなら あぁ さようなら ・・・
さらば無事でと 身を寄せる 二人をはなす 夜の汽車
いのちの炎 燃やしつつ 海ある町よ さいはての
釧路の駅でさようなら あぁ さようなら 
■釧路の夜
貴方(あなた)のつめたいそのひとみ なぜに私をいじめるの
やさしく抱いてほしいのに 女心も知らないで 貴方がにくい貴方がにくい ・・・
霧は降る降る今日も又 一人歩きのヌサマイ橋よ 
船の汽笛も泣いている 女心も知らないで 貴方がにくい貴方がにくい  
■釧路空港
風の噂に 聞いたんだ 君が酒場で 泣いてたと
逢いたさに居ても立っても いられない 歯止めを失くした この心
あの日に戻る 道はないのか 一人降り立つ 釧路空港 ・・・
縁もゆかりも ない街で 君と暮らした 二年半
思い出はどこの誰にも 奪えない 愛した証と 夢の跡
あの日と同じ 君に逢えたら 連れて帰るよ 釧路空港 
■釧路川
女は帰ると 言いだした 男は待てよと ひき止める
紅を散らした ななかまど 風が泣く 夢が泣く 涙が凍る
すがりたいけど あんたが困る 心がいたい 釧路川 ・・・
   逢いたがる 恋しがる 汽笛が叱る
   肌に点けたい 幸せ灯り 明日が欲しい 釧路川 
■めぐり逢い
過去のことなら 捨てました 記憶の糸も 切れたまま
霧の釧路の 居酒屋で いまさら渋谷が どうだとか 言いっこなしです めぐり逢い ・・・
とうに廃れた 流行歌 思い出つれて なぜ迷う
霧の釧路の 居酒屋で のれんをしまって 灯を消せば 今夜はやたらに 海が鳴る 
■毬藻の唄
水面(みずも)をわたる風さみし 阿寒(あかん)の山の湖に
浮かぶマリモよ なに思う マリモよマリモ 緑のマリモ ・・・
アイヌの村に今もなお 悲しくのこるロマンスを
歌うマリモの影さみし マリモよマリモ 緑のマリモ 
■黒百合の歌
黒百合は恋の花 愛する人に捧げれば 二人はいつかは結びつく
あああ……あああ この花ニシパにあげようか あたしはニシパが大好きさ ・・・
黒百合は毒の花 アイヌの神のタブーだよ
やがてはあたしも死ぬんだよ あああ……あああ  
■霧の摩周湖
霧にだかれてしずかに眠る 星も見えない湖にひとり
ちぎれた愛の思い出さえも 映さぬ水にあふれる涙
霧にあなたの名前を呼べば こだませつない摩周湖の夜 ・・・  
■網走番外地
春に春に追われし花も散る 酒ひけ酒ひけ酒暮れて
どうせ俺らの行く先は その名も網走番外地
   キラリキラリ光った流れ星 燃えるこの身は北の果て ・・・
遥か遥か彼方にゃオホーツク 紅い真っ紅なハマナスが ・・・
   追われ追われこの身を故里で かばってくれた可愛いい娘
   かけてやりたや優言葉 今の俺らじゃままならぬ 
■サロマ湖の歌
アー サロマ湖の 水はからいよ 青く澄むとも
君知るや 君知るや 思い焦れて 泣く女の 熱い涙が しみてるからよ ・・・
アー サロマ湖の 風は寒いよ 空に凍りて
音もなく 音もなく 白く静かに 降る雪は 君を慕いて 嘆くこゝろよ 
■サロマ湖の空
空がすんで きれいだから なおさら悲しい 今日の二人
あなたのこころも ぼくのこころも 湖も空も 変りはないのに
愛にはなぜ 別れがあるの 涙で見上げる サロマ湖の空 ・・・
海を遠く 渡ったとて あなたのほかには だれもいない
別れの言葉は けして言うまい いつの日かきっと 帰って来るから
愛にはなぜ 別れがあるの 涙で見上げる サロマ湖の空
サロマ湖の空 サロマ湖の空… 
■美幌峠
あなた忘れる 旅だけど 霧が心を まよわせる
なにも見えない峠に立てば にくしみだけが遠ざかる
ああ さいはての美幌峠に霧が降る ・・・
胸にすがった この指が いまはみぞれに泣いている
蓮葉氷に しずんだ湖に 愛のもろさがにじんでる
ああ さいはての美幌峠に雪が舞う 
■知床旅情
知床の岬にはまなすの咲く頃 思い出しておくれ俺たちのことを
飲んで騒いで丘にのぼれば はるかクナシリに白夜は明ける ・・・
別れの日は来たラウスの村にも 君は出てゆく峠をこえて
忘れちゃいやだよ気まぐれカラスさん 私を泣かすな白いかもめよ 白いかもめよ  
■知床挽歌
ことしの冬は 蝦夷(えぞ)ふくろうが おまえをさがして こずえで鳴くよ 
汚れてしまった 哀しみだけを 暖炉にもやして 眠りにつこう
春は まだ遠い 知床挽歌 ・・・
やかんのお湯が たぎっているよ おまえがいたなら この髭づらを
剃りなと笑って 剃刀わたす 今夜は凍(しば)れる 北斗の星よ
冬の 月が照る 知床挽歌 
■知床岬
北へ 北へと 流れる船の デッキにひとり立てば 涙のしぶき
胸に抱いてた あなたの写真 暗い波間に 消えてゆく
帰らぬ人は もう待たないで 明日に生きる 女の旅です ・・・
涙 涙が 凍りつくよな 吹雪鳴いて舞い散る 知床岬
振り向かないと 心に決めて 未練心は 捨てました
あなたひとすじ 愛したけれど 明日に生きる 女の旅です 
■岩尾別旅情
北の涯(はて)知床(しれとこ)の 吹く風はつめたく
波荒いオホーツクに 白いカモメはあそぶ
丘の上に咲く一輪の エゾニューの花によれば
茜色(あかねいろ)の空に光る 小さな星ひとつ ・・・
   別れてゆく知床の 霧にけむる道で
   手を振る君の姿は 花のかげに消えた
   いつの日かまた会えると 笑顔で別れてきた
   君の声が今もきこえる その日までさようなら
君の声が今もきこえる その日までさようなら 
■羅臼
ヨーイショ ヨーイショ ヨーイショ ヨーイショ あんたは 船を出す
ヨーイショ ヨーイショ ヨーイショ ヨーイショ あたしゃ歌 唄う
こんぶ採りはヨ あんたと二人じゃなくちゃ 羅臼の海がヨ 荒れるだヨ
   ヨーイショ ヨーイショ ヨーイショ ヨーイショ カモメ群れなして
   ヨーイショ ヨーイショ ヨーイショ ヨーイショ 船を 追いかける
   アキアジ漁はヨ 根室海峡出るヨ オヤジ乗る船ヨ 手を振るヨ
前に見えるは 国後島ヨ 俺の父祖ヨ あこ生まれ ・・・ 
■愛冠岬
遠く涙の 岬を染めて 沈む夕陽に 浜が哭く
波のうねりに 浮かんで消える 面影ひとつ 夢ひとつ
ああ愛冠の岬よ 霧よ晴れて もう一度逢わせてよ
   海よ風よ 時を私に返しておくれ 岬のカムイよ
   せつない祈りをかなえておくれ
潮のつぶてに 打たれて耐えて いのちを咲かせる むらさきの
花に重ねる 女のこころ 死ぬことさえも許されぬ
あゝ愛冠の岬よ 北の涯ての 淋しさが凍りつく ・・・
   海よ風よ 時を私に返しておくれ 岬のカムイよ 
   私の祈りをかなえておくれ かなえておくれ 
■風蓮湖の歌
さいはての 海につらなる 風蓮湖 このみずうみに
冬をこさんと 白鳥の 白鳥の 寒き国より とびきたる ・・・
さいはての 海につらなる 風蓮湖 このみずうみに
暖流ながれ 白鳥の 白鳥の 影すべりゆく 親と子の 
■花咲港
ふたりで灯した 心のあかり 消しはしません 別れたあとも
あなたの重荷に なりたくないと ひとり身をひく この恋を
雨よたたくな 花咲港 ・・・
あなたにわたしが 必要ならば 呼んでください 飛びこんでゆく
いまでもあなたの 心の妻と 北のはずれの とまり木で
夢を待ってる 花咲港 
■北海めおと節
凍りつくよな根室の沖へ あんた夜明けにゃ船をだす
男度胸の門出じゃないか グッと飲みほせお立ち酒
ハァ…エンヤラショエンヤコラショ
纜ほどきゃしぶき華咲く 北海めおと節 ・・・
三月過ぎても戻らん時は あたしゃ一生後家でいい
昆布採りしてあきあじ干して この子漁師に 育つまで
ハァ…エンヤラショエンヤコラショ
荒磯ぐらし泣いちゃ歌えぬ 北海めおと節 
■根室の辰
北の漁場に 着いたら起こせ 獲ってやるとも 好きなだけ
海の河童だ 根室の辰は 時化た位が 丁度いい
ラッパ呑みした 一升瓶を 枕がわりに 高いびき ・・・
割った流氷 石鹸がわり 産湯使った オホーツク
喧嘩 もめ事 根室の辰は 飯を抜いても 飛んで行く
腕っ節なら 誰にも負けぬ 丸く治めて おごり酒 
■納沙布岬
北の白い灯台に 一人たたずむ女がいて
遠い海に聞いてみる あの船はまだですか
   寒い寒い夜ならきっと ・・・
   ぬれて ぬれて あなたを迎えに 飛んで行きたい 納沙布
鴎たちはあの頃と 変わりもせず群れてます
一人残る淋しさに 泣いた日と同じです
   いくつ冬を越したかしら ・・・
   流氷たちは寄ってくるのに あなたのいない 納沙布
遠い国でしあわせに 暮らすあなたの夢を見る
夢でも会えてよかったわ こんな女が私
   春が来ても私はきっと ・・・
   離れてゆく流氷たちが あなたに見える 納沙布
ぬれて ぬれて あなたを迎えに 飛んで行きたい 納沙布 
■納沙布みれん
あいつひとりが 男じゃないと 忘れるつもりの 旅でした
月のしずくに 泣き濡れながら 指輪も捨てた はずなのに…
凍てつく風が 哭く海鳴りが 想いださせる 納沙布みれん ・・・
雪よ降れ降れ 悲しい恋を おもいで話に できるまで
赤いハマナス 咲くこの町で もいちど逢いたい 抱かれたい
また来る春を おんなの春を 待ってみましょか 納沙布みれん 
■まぼろしのキラク
浜の爺様が 酔うたび聞かす 伝え語りの キラクの話
夢をみるよな 瞳で語る 沖をみつめる カモメ鳥
野付半島 遥か昔 一夜で砂に 消えた街
キラク キラク 夢が買えたと 人が言う
キラク 男甲斐性の 花街キラク
   暗い波間に 見えてくる 海の花園 キラクの灯り
   命元手の 稼ぎなら 一生一度は 恋をする
   色とりどりの 口紅(べに)の花 摘んでばらまく 銭吹雪
   キラク キラク 明り消しても 赤々と
   キラク 男冥利の 花街キラク ・・・
キラク キラク 爺様一人が 語るだけ
キラク 野付半島 まぼろしの街 キラク 
■オホーツクの舟唄
何地から 吹きすさぶ 朔北の吹雪よ わたしの胸を刺すように
オホーツクは 今日も 海鳴りの中に 明け 暮れてゆく
   父祖の地のクナシリに 長い冬の夜があける日を
   白いカモメが告げるまで 最涯の茜の中で わたしは 立ちつくす
   何故か 眼がしらの涙が凍るまで
オホーツクの海原 ただ白く凍て果て
命あるものは暗い雪の下 春を待つ心 ペチカに燃やそ
哀れ東(ひんがし)にオーロラかなし
   最涯の番屋に 命の火チロチロ トドの鳴く夜は いとし娘が瞼に
   誰に語らん このさみしさ ランプの灯影に 海鳴りばかり ・・・
オレーオレー オーシコイ 沖の声 舟唄
秋あじだいエリャンサ 揚げる網ゃ大漁
霞むクナシリ 我が故郷 何日の日か詣でむ 御親の墓に ねむれ静かに 
■国後の女
海鳴りさえも 凍(しば)れて絶えて 噂をとざす 北の島
あゝ国後の 国後の女 チャチャ岳の 麓(ふもと)に眠る 
面影を しのぶ岬に 雪が舞う ・・・
地図からいまは 消されたような 島にもきっと 春がくる
あゝ国後の 国後の女 その朝は 墓標に積る 雪のけて 
逢いたかったと 抱いてやろ 
■十勝厳冬
一夜でやつれる 別れのつらさ あなたはきっと わからない
どんなに涙を こらえていても からだがこんなに ふるえます
何処まで行っても 逢いたくて 哀しみからは 逃げられません
行く手が見えない 根室本線 十勝厳冬 雪の中… ・・・
あなたに一生 逢わないで この世を過ごせと 言うのでしょうか
行く手が凍える 根室本線 十勝厳冬 雪の中… 
■帯広の町よさようなら
さようなら さよなら 達者でね 泣かずに泣かずに 別れます
病気しないで 暮らしなさいと 胸にさゝやく 故郷の声よ
あゝ 帯広の町よ さようなら
   さようなら さよなら 町の灯よ 他国に他国に 参ります
   こゝろずくしの 土産を抱けば 人の情けに瞼がうるむ
   あゝ 帯広の町よ さようなら 
・・・  明日の運命を シートに乗せて 旅へ一筋 さいはて列車
あゝ 帯広の町よ さようなら 
■愛の国から幸福へ (帯広)
幸福行きを二枚ください 今度の汽車で出発します
別々に生まれて育った二人が 不思議な出会いで結ばれた
愛の荷物は分けて持ちましょう 各駅停車の旅だから ・・・
   幸福行きを二枚ください 切符に二人でハサミを入れる
   つまらないケンカも たまにはするでしょう
   それでも心は離れない 愛の涙をもう隠さない ・・・ 
■足寄より
もどっておいでよこの町に 都会の暮しにつかれたら
あいかわらずの いなか町 それでもお前の故郷だろう
   誰にもいわずに出てったけれど 俺にはすぐにわかったよ
   小さな時からいなかはいやだ そんな事いってたお前が浮ぶ
家の人達に連絡したか お前の父さん 心配してたよ
お前の妹も高校3年 俺の嫁さんにとってしまうぞ ・・・
   もどって おいでよこの町に 他の仲間たちも気にしてたよ
   ついこの間もみんな集り お前のうわさも出ていたんだ
あいかわらずのいなか町
それでもお前の故郷だろう それでもお前の故郷だろう 
道東​
釧路の駅でさようなら 三浦洸一
釧路の夜 美川憲一
霧の釧路は恋の街 香川裕子
釧路空港 山内恵介
釧路川みれん 北原ミレイ
釧路川 五木ひろし
挽歌 越路吹雪
めぐり逢い 長山洋子
毬藻の唄 芹洋子
黒百合の歌 織井茂子
霧の摩周湖 布施明
網走番外地 高倉健
圭子の網走番外地 藤圭子
サロマ湖の歌 伊藤久男
サロマ湖の空 三田明
美幌峠 美空ひばり
知床旅情 加藤登紀子
知床挽歌 若山かずさ
知床岬 田端義夫
岩尾別旅情 さとう宗幸
羅臼 吉幾三
愛冠岬 松原のぶえ
風蓮湖の歌 大津美子
花咲港 川中美幸
北海めおと節 天童よしみ
根室の辰 宮地オサム
納沙布岬 北原ミレイ
納沙布みれん 美川憲一
さいはての唄〜ノサップ岬〜 都はるみ
まぼろしのキラク 新沼謙治
オホーツクの舟唄 倍賞千恵子
国後の女 春日八郎
北郷の母 二葉百合子
十勝厳冬 松原のぶえ
狩勝小唄 藤山一郎
帯広の町よさようなら こまどり姉妹
おびひろラプソディー 殿さまキングス
愛の国から幸福へ 芹洋子 (帯広)
足寄より 松山千春  
 
東北 

 

■北国の春
白樺青空南風 こぶし咲くあの丘 北国のああ北国の春
季節が都会ではわからないだろと 届いたおふくろの小さな包み
あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな ・・・
山吹き朝霧水車小屋 わらべ唄聞える 北国のああ北国の春
あにきもおやじ似で無口なふたりが たまには酒でも飲んでるだろうか
あの故郷へ帰ろかな帰ろかな 
■みちのく小唄
恋のみちのく青森は 情ひとすじ津軽っ娘
ほしきゃあげます十八の 雪の肌より純な恋
   夢にみるのは北上の 匂いやさしい白百合よ ・・・ 岩手詩国恋の国
雨がしんしん降る夜は こけし人形の目が濡れる ・・・ 秋田生まれは深情
   愛の仙台七夕の 夜は咲きます恋一つ ・・・ 夢もうれしい一番町
祭り花笠山形は 米としょうぎと恋どころ ・・・ おばこ嬉しや紅の花
   須坂ばんだい東山 愛の別れが霧となる
   若い二人の福島は 忘れられない恋ばかり 
■みちのくひとり旅
ここでいっしょに死ねたらいいと すがる涙のいじらしさ
その場しのぎのなぐさめ云って みちのくひとり旅
うしろ髪ひくかなしい声を 背(せな)でたちきる道しるべ
生きていたならいつかは逢える 夢でも逢えるだろう ・・・
たとえどんなに恨んでいても たとえどんなに灯りがほしくても
お前が俺には最後の女 俺にはお前が最後の女
たとえどんなにつめたく別れても お前が俺には最後の女
たとえどんなに流れていても お前が俺には 最後の女 
■樹氷の宿
明日の別れを 知りながら 命のかぎり 燃える女
ほのかに香る 湯あがりの 肌の白さに 匂う月
ああ みちのく 樹氷の宿 ・・・
無理に微笑って 朝の日に そむけた顔の いじらしさ
女のそんな まごころに 何も酬いて やれぬ身が
ああ せつない 樹氷の宿 
■十和田湖
やけ山の 夕やけよ 逢いに来たんだ 峰越えて
夢のようには いかない それが人生と
空が無言で 教えてくれる ああ 十和田湖 さざ波よ ・・・
流れ星 追いかけて 峠をいくつ 越えたやら
明日を信じた 魂 それが人生さ
空は無限だ どこまでひとつ ああ 十和田湖 さざ波よ 
■五能線
どこへ行ったら あなたから 旅立つことが 出来るでしょうか
残りの夢を 詰め込んだ 鞄を膝に 列車旅
女 みちのく 五能線 窓いっぱいに 日本海 ・・・
ひとり歩きに 馴れるには 時間が幾ら かかるでしょうか
終着駅の そこからが 本当は長い こころ旅
涙 みちのく 五能線 夕陽が落ちる 日本海
東北 
北国の春 千昌夫
北の花嫁 小桜舞子
とも子 吉幾三
みちのく小唄 藤圭子
みちのくひとり旅 山本譲二
樹氷の宿 牧村三枝子
十和田湖 北島三郎
僕は特急の機関士で 伊藤久男
五能線 水森かおり
 
青森県

 

■津軽恋歌 
今朝も聞こえる 木こりの音が 風に吹かれて 津軽平野に
岩木山から 町並み見れば はるか函館 霞んで見える
大きな声で 叫んでみたよ 帰ってきたぞと青空めがけ 
あぁ あぁ…津軽恋唄
   懺悔 懺悔 六根懺悔 御山さ 八代 金剛道者
   ハァー 一一礼拝 南無帰命頂礼
西の冷たい 風吹く町が 何故か気になり 帰って来たよ
津軽平野も 一面雪が 遠く 十三湖 霞んで見える
大きな声で 叫んでみたよ 岩木よ お前がいたから 俺がいる 
あぁ あぁ…津軽恋唄 ・・・ 
■津軽恋女
津軽の海よ竜飛岬は吹雪に凍えるよ 日毎夜毎海鳴りばかり愚図る女の泣く声か
津軽の女よ別れうたひとつくちずさむ 
にごり酒に想い出浮かべかじかむ心の空を見る
   降りつもる雪 雪 雪また雪よ 津軽には七つの雪が降るとか
   こな雪つぶ雪わた雪ざらめ雪 みず雪かた雪春待つ氷雪
津軽の女よ枕乱して引き込む恋女 愛に生きて夢に生きて白いかげろう空に舞う
津軽の女よねぶた祭りのゆきずりたわむれか 
過ぎた夜の匂いを抱いて帰れと叫ぶ岩木川 ・・・ 
■津軽の花
真冬(ふゆ)の寒さに 耐えてこそ 花は咲きます 実もつける
恋して何度も 傷ついて 春が来ました 私にも…
あなたと二人 この町で きっときっと きっとつかむわ幸せを
林檎も桜も 一緒に咲いて 北の津軽は 春盛り花盛り 
   明日(あす)の生活(くらし)が つらくても つなぐこの手は 離さない
   津軽の言葉の 優しさに 胸の根雪が 溶けて行く…
   あなたと二人 この町で きっときっと きっとつかむわ幸せを
   女心の 一途な想い 乗せて流れる 岩木川岩木川 ・・・ 
■津軽のふるさと
りんごのふるさとは 北国の果て
うらうらと 山肌に 抱かれて 夢を見た
あの頃の想い出 ああ 今いずこに
りんごのふるさとは 北国の果て
   りんごのふるさとは 雪国の果て
   晴れた日は 晴れた日は 船がゆく 日本海
   海の色は 碧く ああ 夢は遠く
   りんごのふるさとは 雪国の果て ・・・ 
■津軽平野
津軽平野に雪降る頃はヨー 親父ひとりで出稼ぎ仕度 
春にゃかならず親父は帰る みやげいっぱいぶらさげてヨー 
淋しくなるけど馴れたや親父 ・・・
山の雪どけ花咲く頃はよ かあちゃんやけによそわそわするネー 
いつもじょんがら大きな声で 親父うたって汽車から降りる 
お岩木山よ見えたか親父 
■津軽さくら物語
冬から生まれた春訪ね 夜汽車に揺られて 桜の故郷(くに)へ
降りたホームに君を探す 三味(しゃみ)の音(ね) 懐かし笑い声
城下町 なごり酒 あの日があの日が浮かぶ
   桜が咲いたよ 君の好きな 降りて来い 降りて来い
   桜羽(さくらばね)で降りて来い もう一度逢いたいよ 津軽さくら物語
桜の街には愛がある そう言う君は 頬そめる
ひらりひらひら舞う桜 そっと手にして 口づける
長勝寺 弘前城 街が 街が染上(もえ)る ・・・
   城下町 なごり酒 あの日があの日が浮かぶ 桜が咲いたよ 君の好きな
   降りて来い 降りて来い 桜羽(さくらばね)で降りて来い ・・・
   もう一度逢いたいよ 津軽さくら物語 
■望郷じょんから
津軽は雪ん子舞い飛ぶ頃よ みんなは達者か変わりはないか
ふる里恋しや花いちもんめ アア…ア
   爺いさまが叩くじょんがら節の 泣き三味線が
   風にちぎれて聞こえてくるよ 湯呑みの酒にぐらりと酔えば 故郷が浮かぶ ・・・
明りを消して東京の空に 叫んでみたよ
星が流れるこころも寒い 十九の青春(はる)を吹雪にさらし 夜行に乗った ・・・
   涙で詫びてるかさねた不孝 帰るに帰れぬ土産もなしに ・・・
小泊港お岩木山よ 花咲く頃は 船は夢漕ぐ鴎は騒ぐ 
辛さを堪えいい事ばかり 手紙に書いて あれから幾つ何年過ぎた 
帰ろかな帰りたい ふる里夢ん中 ・・・    
■じょんから女節
雪は下から 舞い上がり 赤い裳裾に まといつく
太棹三味線 女の旅路 燃えるくすぶる はじける愚図る
離れられない 男(ひと)がいる じょんからじょんから わかって欲しい ・・・
鉛色した 空の色 春は私にゃ 遠すぎる
太棹たたけば 糸さえ切れる 憎いいとしい せつない辛い
指にからまる 女節 じょんからじょんから あんたが欲しい 
■岩木川
今でも 町を流れる 雪解けの水は輝き
鳥たちも 春の陽射しに 目を閉じてあぁ岩木川…
橋の向こうに 昔見た この橋渡って 都会へ出た 津軽を流るる…岩木川
   花火が 映る水辺に 重なりし 遠い初恋
   夜空には 星座集めて 君の顔…あぁ岩木川
   叶うものなら 今一度 あの日の二人に戻りたい 津軽を流るる…岩木川 ・・・
降る雪 流れる川は 母に似た 背中 ゆりかご
地吹雪に 眠る津軽は 風の音…あぁ子守唄
春を知らせに 流れ行く 十三港へ 日本海 津軽を流るる…岩木川 
■夢は夜ひらく
七に二をたしゃ九になるが 九になりゃまだまだいい方で
四に四をたしても苦になって 夢は夜ひらく
   サルトル マルクス並べても あしたの天気はわからねえ
   ヤクザ映画の看板に 夢は夜ひらく
風呂屋に続く暗い道 40円の栄光は
明日のジョーにもなれないで 夢は夜ひらく
   八百屋の裏で泣いていた 子供背負った泥棒よ
   キャベツひとつ盗むのに 涙はいらないぜ ・・・
生まれ故郷の小泊じゃ 今日もシケだといっている
現金書留きたといい 走る妹よ
   本当に行くというのなら この包丁で母さんを
   刺してから行け行くのなら そんな日もあった
夢は夜ひらく唄っても ひらく夢あるじゃなし
まして夜などくるじゃなし 夢は夜ひらく 
■リンゴ追分
リンゴの花びらが風に散ったよな 月夜に月夜にそっとえええ
つがる娘はないたとさ つらい別れをないたとさ
リンゴの花びらが 風に散ったよなあああ 
   (セリフ) お岩木山のてっぺんを、綿みてえな白い雲が、
   ポッカリポッカリながれてゆき、桃の花が咲き、桜が咲き、
   そっから早咲きのリンゴの花ッコが咲く頃が ・・・
つがる娘は ないたとさ つらい別れをないたとさ
リンゴの花びらが 風に散ったよなあああ 
■リンゴ村から
おぼえているかい 故郷の村を 便りも途絶えて 幾年(いくとせ)すぎた
都へ積み出す 真赤なリンゴ 見るたびつらいよ 俺らのナ 俺らの胸が ・・・
おぼえているかい 子供の頃に 二人であそんだ あの山 小川
昔とちっとも 変わっちゃいない 帰っておくれよ 俺らのナ 俺らの胸に 
■下北漁港
生まれたときから 吹いていた 山背の風だ 荒くれだ
ここは下北 イカ釣り舟に 命あずけた若者が
親のこころを 継ぐ港 ・・・
嵐が噛った 傷跡を ペンキで癒やす 暇もない
海の機嫌が 変わらぬうちに 行こか尻屋の 沖あたり
霧もほどけて イカ日和 
■下北漁歌
窓の氷柱(つらら)を 二つに折って 酒にぶちこみ -気に飲み干す 茶碗酒
時化には勝てない ヤン衆カモメ 嬉しがるのは お白粧(しろい)カモメ
それも イッチャナ ここはさいはて 下北大間崎 ・・・
お国訛りで つないだ酒も 歌で中〆 浜の酒場は 演歌節
烏賊干し簾に 山背が走りゃ 風の向うに 故郷が見える
それも イッチャナ 波の花咲く 下北大間崎 
■俺はぜったい!プレスリー
俺は田舎のプレスリー 百姓のせがれ 
生まれは青森五所川原 いっぺん来てみなが
田んぼできたえた この声と 親にもらった この顔は
   村じゃ人気のプレスリー 田舎のプレスリー
   村のまつりじゃ人気者 むすめこよって来る
   青森田舎とバカにすな俺はプレスリー 山できたえた この声と
   あかぬけた この顔は 村じゃ人気の色男 田舎のプレスリー
鍬ば片手に声だせば すずめこよって来る
田舎育ちとばかにすな俺はプレスリー くみとりしながら 唄いだせば
ウンもいっしょに踊りだす 村じゃウンの色男田舎のプレスリー
   村の村長も泣いて言うお前は世界一と 歌もうまいし きりょうもいい
   だから出て行けと 悪いことだか いいことか ほめているのか ありがとさん
   したども俺はプレスリー 田舎のプレスリー ・・・ 
■帰ってこいよ
きっと帰ってくるんだと お岩木山で手を振れば あの娘は小さくうなずいた
茜の空で誓った恋を 東京ぐらしで忘れたか
帰ってこいよ帰ってこいよ帰ってこいよ ・・・
可愛いあの娘の帰る日を お岩木山で今日もまた 津軽の風と待っている
忘れはしまいあの約束の こんなにきれいな茜空
帰ってこいよ帰ってこいよ帰ってこいよ 
■奥入瀬
奥入瀬 雪どけ 阿修羅の流れ 君をさがして 鳴く鳥 水面に浮かぶさだめ
時はめぐり また春がきて あの日とおなじ 花は忘れな草
こころの中で 今も やさしくささやく 愛しい君に また逢いたい ・・・
鳥よ 川よ 夢おきざりに 生きてはゆけぬ 命あるかぎり
こころの中で 今も せつなくときめく 愛しい君に また逢いたい 
■恋の津軽十三湖
津軽伝説 三味の音聴けば 風のいたずら 心が軋む
嵐 地吹雪 雪舞う中に 恋し・・・恋し・・・と 女が泣いて
恋し・・・恋し・・・と 鐘が鳴る 十三(とさ)の湊は 恋湊
エーエーエー エエエエ エー 津軽十三湖 ・・・
離れ離れは ふたりの運命(さだめ) 恨み言など 涙と枯れた
雪が舞うたび 風吹くたびに 恋し・・・恋し・・・と 女が泣いて
恋し・・・恋し・・・と 鐘が鳴る 十三(とさ)の海鳴り 日本海
エーエーエー エエエエ エー 津軽十三湖 
■竜飛崎
六月の春がいちどに花ひらくこの岬には 秋にあじさい咲くという
また来てしまった しょせん帰りゆく この旅なのに
あゝまだ津軽は 吹雪です 凍え死ぬこともないな ぼくの旅
竜飛崎よ どてっ腹を ぶちぬかれちゃったね ・・・
海峡を越えて 鉄打つ響き渡る 室蘭の夜 赤い火の粉が ふりそそぐ
道ひとつ決まらぬ 生まれついての ろくでなしには
あゝ悲しみでさえも 海の汚点か 過ぎてゆくばかりだな ぼくの旅
竜飛崎よ どてっ腹を ぶちぬかれちゃったね
凍え死ぬこともないな ぼくの旅
竜飛崎よ どてっ腹を ぶちぬかれちゃったね 
■竜飛岬
女の胸の傷あとを 海鳴り飛沫がまた揺する
そそり立つよな岩肌の 竜飛岬はああ風ばかり
遠く離れりゃなおさらに 未練深まる別れ旅 ・・・
ここからいっそ見を投げて この恋すぐにも忘れたい
夢も涙も凍りつく 竜飛岬はああ北の果て
命断ち切る意地もない つらさなお増す別れ旅 
■海峡
わたし昔から そうでした 北へ行こうと 決めていた
この世で愛した男は貴方 あなた あなただけなの
津軽海峡 渡る船は 横なぐり 横なぐりの雨
も一度 も一度やり直せるなら このまま このまま引き返すけど 
もう遅い もう遅い 涙の海峡 ・・・
わたし昔から そうでした 一度海峡 見たかった
荒れた海を 飛ぶカモメに 語り 語りかけたい
津軽海峡 越えて来た 何もかも 何もかも置いて
も一度 も一度やり直せるなら このまま このまま帰り船乗る 
もう遅い もう遅い涙の海峡 
■津軽海峡冬景色
上野発の夜行列車おりた時から 青森駅は雪の中
北へ帰る人の群れは誰も無口で 海鳴りだけをきいている
私もひとり連絡船に乗り こごえそうな鴎見つめ泣いていました
ああ津軽海峡冬景色
  ごらんあれが竜飛岬北のはずれと 見知らぬ人が指をさす ・・・
さよならあなた私は帰ります ・・・ 
 

 

青森県
津軽恋歌 吉幾三
津軽恋女 新沼謙治
津軽の花 原田悠里
津軽のふるさと 美空ひばり
津軽平野 千昌夫
津軽さくら物語 川中美幸
津軽あいや節 三橋美智也
津軽よされ節 山内たつ
津軽じょんがら節 金沢明子
望郷じょんから 細川たかし
じょんから女節 長山洋子
マンボ津軽じょんから節 三橋美智也
岩木川 吉幾三
世去れのお涼 小林旭
夢は夜ひらく 三上寛
リンゴ追分 美空ひばり
リンゴ村から 三橋美智也
下北漁港 鳥羽一郎
下北漁歌 細川たかし
弘前の女 三橋美智也
俺はぜったい!プレスリー 吉幾三
帰ってこいよ 松村和子
奥入瀬 山本譲二
恋の津軽十三湖 長山洋子
竜飛崎 よしだたくろう & かまやつひろし
竜飛岬 島倉千代子
海峡 吉幾三
津軽海峡冬景色 石川さゆり
 
津軽じょんがら節
■津軽じょんがら節 1
ハァー 津軽よいとこ リンゴで飾る 
娘十八 お化粧で飾る 岩木お山は 男で飾る  
   ハァー お国自慢の じょんがら節よ 
   若い衆唄って 主の囃子 娘踊れば 稲穂も踊る
■津軽じょんがら節 2
ハアー ここにおいでの 皆様方よ
サーサ これから じょんがら節を
歌いまするは お聞きとなされ 
   ハアー 岩木お山を こずえに眺め
   続くりんごの 緑の中は
   右も左も じょんがら節よ
ハアー 恋しなつかし わが家を離れ
逢ったよろこび 别れるつらさ
ほんに浮世は ままにはならぬ
■津軽じょんがら節 3
お国自慢のじょんがら節よ
若い衆唄えば主(あるじ)の囃子 娘踊れば稲穂も踊る
   今宵おいでの皆様方よ
   さあさこれからじょんから節を 歌いまするよ お聞きをなされ
声はこの通り塩がら声で
調子はずれのこの節廻し どこがよいやら男が惚れる
   津軽よいとこお山が高く
   水が綺麗で女がよくて 声が自慢のじょんがら節よ
■津軽じょんがら節 4
お国自慢のじょんがら節よ 若い衆唄えば主(あるじ)の囃子 娘踊れば稲穂も踊る
今宵おいでの皆様方よ さあさこれからじょんから節を 歌いまするよ お聞きをなされ
声はこの通り 塩がら声で 調子はずれのこの節廻し どこがよいやら男が惚れる
お燗ついたよ 一口あがれ 酔えば貸します私の膝を 酒の肴にじょんがら節よ
歌え歌えとわーばりせめる 唄の文句は数知らねども 嘘でまるめたじょんがら節よ
通い通いも度重なれば 親の耳にもそろそろ入る それを聞いてはままにはならぬ
西の鰺ヶ沢舞戸の橋よ 橋の袂で桶屋の娘 年は十六今咲く花よ
佐渡はおけさで出雲は安来 江差追分秋田じゃおばこ 私ゃ津軽のじょんがら節よ
一度別れて二度逢うまでは たとえこの身は千里の旅に 客が変われど心は同じ
一度別れて二度逢うまでは たとえ南風 嵐に会おうと 濡れてみたさのこの恋心
恋し懐かし皆様方よ 逢うた喜び別れる辛さ ほんに浮世はままにはならぬ
春は桜かりんごの花か 蝶ももつれる津軽の国は 唄と踊りで暑さを忘れ
村の祭りに櫓の上で 笛や太鼓につい誘われて 踊り明かそか豊年祭
岩木お山に色づく頃は 稲穂稔るよりんごも盛り 娘十八嫁入り盛り
夢で見たいよ逢いたい見たい 逢えば逢うとて人様騒ぐ 夢で逢えば浮名は立たぬ
愛嬌よければ皆人さんが 我も我もと名指しであがる あげて客はどなたと聞けば
奥の床の間お花で飾る 娘十八お化粧で飾る 私ゃ舞台を唄コで飾る
津軽じょんがら唄ってみれば 心のどかに気も朗らかに 仕事する気に力が入る
お国訛りのじょんがら節よ 三味は深山の松吹く風よ 唄は岩木の流れの音よ
おらがお国で自慢のものは 米とりんごと津軽のねぶた 
それに津軽のじょんがら節よ ・・・
■津軽じょんがら節 5 (元唄)
ハアーさあさこれから読みあげまする
津軽浅瀬石じょんから節よ さてもあわれな落城のはなし
   ハアー今は昔の七百余年
   津軽行重主となりて 伝えつたえて十代あまり
ハアー頃は慶長二年の春に
津軽為信大軍ひきい 城主政保討死いたす
   ハアー時に辻堂常椽和尚
   先祖代々位牌を背負い 高い癖崖から濁流めがけ
ハアーやがて春がすぎ真夏となりて
村の子供ら水浴びすれば 砂の中からあわれな姿
   ハアー村の人達手厚く葬り
   盆の供養をすました後は 昔偲んでじょんから節よ
ハアー春は城山りんごの花よ
秋の田の面は黄金の波よ 村は繁昌で家内は笑顔  
津軽よされ節
■津軽よされ節 1
ハァー調子変りの ヨサレ節 ヨサレ
ソーラヨイヤー ハァー津軽よいとこ俺らの国よ
   ハァー春は桜の弘前に
   盃片手に眺むれば かすみに浮かぶ津軽富士
ハァー夏はそよ風波静か
大渡瀬 深浦 浅虫よ 中でもきわだつ十和田湖
   ハァー黒石在は秋の頃
   続くりんごの紅園に 流れる乙女の国の唄
■津軽よされ節 2
アー 一人娘を嫁にとやるにゃ
アー 箪笥(たんす)長持(ながもち)鋏箱(はさみばこ)
これほど持たせてやるからにゃ 二度と帰るな 出てくるな
   アー 父さん母さん そりゃ無理よ
   西が曇れば 雨となる 東が曇れば 風とやら
アー 千石積んだる船でさえ
港でる時ゃ まともでも 風の吹きよで 出て戻る
   ましてわたしは 嫁じゃもの 縁が無ければ出て戻る
■津軽よされ節 3
恋し懐かし 我が家を離れ
私深山で炭を焼く 山小屋暮らしも幾月ぞ 指折り数えて早六月
空行く雲の色見ても 谷間流れる水見ても 秋の深さを思わせる
里は今頃何してる 稲やりんごの取り入れか 吾が子思えば寝もやらず
一人眺める 峰の月 ヨサレソラヨイヤー
   津軽よいとこ おいらの国よ
   春は桜の弘前に 盃片手に眺むれば 霞に浮かぶ津軽富士
   夏はそよ風波静か 大渡瀬(おおどせ)深浦浅虫よ 中でも際立つ十和田湖や
   黒石在は秋の頃 続くりんごの紅園に 流れる乙女の 国の唄
   冬はスキーの阿闇羅山 日本一の名も高い 麓に大鰐湯の町よ
   右も左も よされ節 ヨサレソラヨイヤー
浜の松風 夜毎に聞いて
待てど来ぬ人焦がれ船 どこの港に居るのやら 山背吹き出しゃ寝付かれぬ
私ゃおきざり鴎鳥 夢の通い路白波に 未練月夜に濡れて泣く
逢うが別れの運命(さだめ)なら いつか逢う日も巡りくる 船は潮路の風次第
早く聞きたや 舟唄を ヨサレソラヨイヤー
   おらが津軽に 一度はござれ
   どこの村にも湯の煙 一度入れば雪の肌 どんな女も惚れてくる
   米は名代の津軽米 粘り強くて艶ようて 津軽ならでは味わえぬ
   津軽りんごの味のよさ 一度食べたら忘られぬ 袈裟や衣の坊主でも
   色と香りで 迷わせる ヨサレソラヨイヤー
右に下北 左に津軽
中に抱かれた陸奥の海 前に鴎が舞い遊ぶ 出船入船大漁船
遠く霞むは恐山 山の麓に立つ煙 あれは炭焼く煙かや
青函航路は波静か 明日は小樽か札幌か 夢も楽しい波枕 ヨサレソラヨイヤー ・・・
■津軽よされ節 4
調子変わりの よされ節 ヨサレ ソーラ ヨイヤー
津軽よいとこ 住みよいところ(一度はおいで)
厚い人情のあるところ 旅の鳥でも一休み 一夜泊まりが七八日
四方の山々花盛り 招く姉コは片えくぼ 心あかした薄化粧
りんご見たさに来た人は りんご作りや子を作り 末は津軽の人となる
一度来てみよ俺が国 ヨサレ ソーラ ヨイヤー
   調子変わりの よされ節 ヨサレ ソーラ ヨイヤー
   津軽よいとこ おいらの国よ
   春は桜の弘前に 盃片手に眺むれば 霞に浮かぶ津軽富士
   夏はそよ風波静か 大戸瀬 深浦 浅虫や 中でも際立つ十和田湖よ
   黒石在は秋の頃 続くりんごの紅園に 流れる乙女の郷(くに)の唄
   右も左もよされ節 ヨサレ ソーラヨイヤー ・・・ 
津軽おはら節
■津軽おはら節 1
アイーヤ アナー
アイヤ 咲いた牡丹の あのあで姿
咲けば万花の それもよいや 一となる
   アイーヤ アナー
   アイヤ 咲いて一なる 牡丹でさえも
   冬は菰着て それもよいや 寒しのぐ
■津軽小原節 2
サーサ ダシタガヨイヤー
アー 春は桜の弘前城  夏は緑の岩木山
秋は十和田の紅葉狩り 冬は大鰐(おおわに)湯の香り
   アー 津軽の富士のそよ風に 岩木の川のせせらぎに
   めぐみ豊かな山川の 情けに育つ津軽唄
アー 唄の一筋三味の音に のせて女の心意気
思い通わすおはら節 津軽よいとこ オハラ 唄どころ
■津軽おはら節 3
りんごなる木も冬の日は 雪に埋もれて一休み やがて芽の出る時を待つ
春は身軽に枝切られ くすりの化粧で若返り 年に一度の花が咲く
花に無駄なく実を結び りんご可愛いとかけられて 袋の中にて夏を越す
秋が来たかと顔出せば 色が付くつく赤々と 色より味は更によい
津軽りんごと オハラ名も高い
   お山晴れたよ朝霧晴れた 裾野桔梗は花盛り 谷の向こうで馬草刈る
   赤い頬被りひらひらと あの娘よい娘だどこの娘だ 草刈り上手で声がよい 
   ホーハイ節がほろほろと 今夜踊ろよ盆踊り 可愛いあの娘の手を取りて 
   踊り明かそよカオカオと 夜明け烏の オハラ鳴くまでも
哀れ浮世の習いとて 人の運命(さだめ)は常ならず 栄華誇りし平家とて 
はかなき夢と滅びたり 三日見ぬ間の桜花 月に影さす群雲や 
小野小町の身の果ては 雪の野末で吹きさらす 暗い夜空の流れ星 
キラっと輝き消えていく 私の思いもあのように 燃えて短いひとときよ
ほんに切ない オハラ 恋心
   ここにおいでの皆様方よ お顔見たさに遙々と 故郷の津軽を後にして 
   雨や嵐にさらされて 幾年月の歌ごろも 疲れし声をば張り上げて 
   咲くも花なら散るも花 一枝あげよう咲かせてよ お聞きなされよ オハラ末永く
函館出て行きゃ大沼よ 遠く霞むは蝦夷が富士 森は静かに黄昏れて 
夢に小樽の人恋し しばし休んだ定山渓 後に眺めて右左 
行けば札幌よいところ 揺れるポプラの並木道 固い心も岩見沢 
末は瀬となる滝川の 縁も浅いが深川よ 誉れ輝く旭川
響く声は オハラ 勇ましく ・・・
■津軽小原節 4
サ アーアア サア出したがよいやー
アー津軽名物あの七不思議 世にも珍し不思議なことよ 
西海岸は北金ヶ沢 ここの銘木銀杏の幹は
幾星霜の今の世に 神の御授けお乳が出るよ 
同じ郡の十三村は 夏冬通して雪囲い
雨が降っても草履はく 北の郡は金木町 
嘉瀬と金木の間の川コ小石流れて木の葉が沈む
ここの隣りの長富堤 春秋変わらぬ浮島ござる 
葦に節なし黄金葦 一度来てみよオハラ四方の君
■津軽小原節 5
ハアー 唄にひとすじ 命をかけて 
かけてこの世に生きる身は 人の知らない苦労がある  
   ハアー 義理につまずき 人情にすがる 
   起きて転んでまた起きて 人に涙は見せぬもの  
ハアー 芸の修行を のりこえて 
唄う女の心意気 ひと花咲かす花の様に じせつくるまで その日まで  
のぞみすてずにオハラ唄います
■津軽小原節 6
サアーサア ダシタガ ヨイヤー
アー 哀れ浮世の ならいとて 人の運命は 常ならず
栄華誇りし 平家とて 儚き夢と 亡びたり
   アー 三日見ぬまの 桜花 月にかげさす むら雲や
   小野小町の 身の果ては 雪の野末で ふきさらす
アー 暗い夜空の 流れ星 キラと輝き 消えてゆく
私の想いも あのように 燃えて短い ひとときよ
ほんにせつない オハラ 恋ごころ
■津軽小原節 7
サァー サァーサー ダシタガア ヨイヤアー
あ〜裸同士が組み合って 押して 押される相撲とり
上になるのが勝った人 下になるのが負けた人
   あ〜勝つも 負けるも世の習慣(ならい) 勝った相撲の乱れ髪
   敗(ま)けた相撲の赤い顔 女ぼれする男ぶり
あ〜横綱 大関 関脇も 元はフンドシかつぎです
一生懸命 修行せば どんな相撲(ひと)でも 強く成る
裸商売(はだかしょうばい) おはら つらいもの  
津軽あいや節
■津軽あいや節 1
アイーヤ アナー
アイヤ 咲いた牡丹の あのあで姿
咲けば万花の それもよいや 一となる
   アイーヤ アナー
   アイヤ 咲いて一なる 牡丹でさえも
   冬は菰着て それもよいや 寒しのぐ
■津軽あいや節 2
アイヤーナ
アイヤリんご花咲きゃ 野山が霞む
唄う娘コの ソレモ ヨイヤ 声の良さ
   アイヤーナ
   アイヤ 竹の一本橋 細くて長くて しおしお するよで 危いけれど
   渡って 落ちても ソレモ ヨイヤ いとやせぬ
■津軽あいや節 3
アイヤ アーナー
アイヤ どうせ帰るなら 闇夜になされ
姿見せずに ソレモヨイヤ 泣かせずに
   アイヤ アーナー
   アイヤ りんご作りに 惚れたは因果
   私や紅さす ソレモヨイヤ ひまもない
■津軽あいや節 4
アイヤーナー
アイヤ唄が聞こえる(流れる) 津軽の(お国の)唄が
よされじょんがら ソレモヨイヤ あいや節
   アイヤ破れ障子に 鶯かいて
   寒さこらえて ソレモヨイヤ 春を待つ
アイヤりんご花咲きゃ 野山が霞む
唄う娘コの ソレモヨイヤ 声の良さ
   アイヤ十七娘コに 蝶々がとまる
    とまるはずだよ ソレモヨイヤ 花じゃもの
アイヤ今宵目出度い 花嫁姿
親も見とれて ソレモヨイヤ うれし泣き ・・・
■津軽あいや節 5
アイヤーナー
佐渡の島から 新潟見れば 心新潟にソレモヨイヤ 身は佐渡に
新潟の 川の真ん中で 菖蒲咲くとは ソレモヨイヤ しおらしや
もやくや 煙草の煙 次第次第に ソレモヨイヤ 薄くなる
わしとお前は 野原の薄 枯れて落ちても ソレモヨイヤ 炭俵
唄が聞こえる 津軽の(お国の)唄が よされじょんがら ソレモヨイヤ あいや節
   鳴くな鶏 まだ夜が明けぬ 明けりゃお寺の ソレモヨイヤ 鐘が鳴る
   娘振り袖 色よく染めた 牡丹に絡まる ソレモヨイヤ 藤の花
   姿尊き(麗し) 岩木の山は おらが津軽の(津軽平野の) ソレモヨイヤ 守り神
   りんご花咲きゃ 野山が霞む 唄う娘コの ソレモヨイヤ 声の良さ
   りんご作りに 惚れたが因果 私ゃ紅さす ソレモヨイヤ 暇もない
えくぼ可愛いや 津軽の姉コ 赤いほっぺに ソレモヨイヤ 紺絣
私ゃ深山の 蕾の百合よ 人に折られて ソレモヨイヤ 花咲かす
十七娘コに 蝶々がとまる とまるはずだよ ソレモヨイヤ 花じゃもの
今宵目出度い 花嫁姿 親も見とれて ソレモヨイヤ うれし泣き
どうせ帰るなら 闇夜になされ 姿見せずに ソレモヨイヤ 泣かせずに
   差した盃 中見てあがれ 中に鶴亀 ソレモヨイヤ 五葉の松
   破れ障子に 鶯かいて 寒さこらえて ソレモヨイヤ 春を待つ
   花はよけれど あの木は高い どうかこの手の ソレモヨイヤ 届くよに
   岩木ほほえむ りんごの園に 絣姉コの ソレモヨイヤ 袋かけ
   あなた函館 わたしは津軽 便りつくたび ソレモヨイヤ 船便り
りんご乙女の 歌声聞けば 鶯さえも ソレモヨイヤ 聞き惚れる
年に一度は 必ず来てね 逢わなきゃ私の ソレモヨイヤ 身が細る
北と南に 別れていても 固い約束 ソレモヨイヤ 忘れずに
岩に松さえ 生えるじゃないか 添えて添われぬ ソレモヨイヤ ことはない
遠く離れて 気をもむよりも 浮気されても ソレモヨイヤ そばがよい ・・・ 
津軽三下り
逢いたい見たいは しゃくの種だよ 見たいは病い
顔見りゃ落ち着く 胸のしゃく
   竹なれば割ってみせたい 私の心
   中に曇りの ない私
奥山で 小鳥千羽の 鳴く声聞けば
親を呼ぶ鳥 鳩ばかり
   あきらめて 余念ないのに また顔見せて
   二度の思いを させるのか
棄てて行く 父を恨んで くれるじゃないよ
血を吐く思いの ほととぎす
   人の世に 生きる喜び かみしめ乍ら
   謡いかたるも 三下り  
黒石
■黒石よされ
黒石よされ節 どこにもないよ サーアンヨ 
唄ってみしゃんせ 味がある ヨサレサーアンヨ
   十和田帰りに 車をとめて サーアンヨ 
    お湯の温湯(ぬるゆ)で ひとやすみ ヨサレサーアンヨ
見たか黒石 聞いたかよされ サーアンヨ 
盆の踊りは 日本一 ヨサレサーアンヨ
   岩木眺めて 踊ろじゃないか サーアンヨ 
    秋はりんごと 米の山 ヨサレサーアンヨ
   黒石城下町 水清い ヨサレサーアンヨ 
水がよいので よい酒できる サーアンヨ
よされ駒下駄の 緒コァ切れた ヨサレサーアンヨ 
たてて間もなく また切れた ヨサレサーアンヨ
   踊り踊るなら 愛宕の庭(ツボ)で サーアンヨ 
    深くなるほど お堂のかげ ヨサレサーアンヨ
よされ よされは どこでもはやる サーアンヨ 
まして黒石 なおはやる ヨサレサーアンヨ
■黒石じょんから
国は津軽の 岩木の川原 三日続きの 大雨降りで
その夜雨にて 大川にごる
   国の殿様 馬に乗りかけて 川原近くに お出ましなさる
    里の娘は 大根洗う
それを見てとる 馬上の殿は 無理な難題 娘にかけた
そこで娘の 言うこときけば
   国の殿様 なに言わしゃんす 川が狭いたて 後ばね出来ぬ
    石が小さいたて 歯が立つもだな
山が低いたて しょわれたもだな 針が細いたて 飲まれたもだな
裸で野はらさ 寝られたもだな
   ここの道理を 良く聞きわけて おらが領分 よく見てまわれ
    水の出ないように 百姓まもれ
これに殿様 感心してか 娘ほしさに もらいをかけて
奥のおとのに おさまりました
■黒石甚句
サアーキタコラサッサ 
乙女心を 紅葉に染めて 燃えて流れる 中野川
温湯(ぬるゆ)・板留 かつぶしいらぬ 中野もみじを だしにとる
嫁に来るなら 白粉いらぬ 黒石湯の町 肌光る
宿の二階に 疲れを解けば お湯の板留 河鹿(かじか)鳴く
いで湯あちこち 浅瀬石川よ ちょいと登れば 十和田湖よ
住まば黒石 清水の里よ 今日も平和な お湯が湧く
着いた湯の町 紅葉の山よ 窓に眺める 二人づれ
米とりんごに 命をかけて 明日の黒石 築く夢
■ドダレバチ (津軽甚句)
唄はよいもの 仕事コァ出来る 話わるいもの その手がとまる
夫婦二人で 田の草取れば 広い一町田もアリャせまくなる
高い山コから 田の中見れば 見れば田の中 稲よくもでる
今年しゃ豊作だよ 雀コさわぐ せがれいそいで 案山子を立てろ
どだばむげのなみゃ 口ねなどだば 口も手もある カラポネやめる
カラス啼く啼く お宮の屋根で カラスその日の アリャ役で啼く
どだば家コのてでゃ 雨降る中を 笠もかぶらねで ケラコも着ねで
大石坂より 松坂よりも おれの親爺の 言うことおかね
どだば見事だば 津軽のりんご 色コばりでねじゃ この味みなが 
 
岩手県

 

■盛岡ブルース
青い灯が揺れる盛岡の夜に 君と出逢った中の橋
今夜の二人素敵だわ ロマンチックです ああ 思い出の大通り ・・・
今日も夜が来る盛岡の街に サヨナラも言わずに旅に立つ
灯影に咲いた面影が 優しくのこる ああ盛岡ブルースよ 
■ふたりの盛岡
雨の盛岡 あなたと歩く 想い出のみち 想い出の川
愛を誓った この城跡で きっと逢えると 信じてた ああ 肩がふれ合う 公園通り ・・・
夜の盛岡 あなたと歩く 想い出の店 訪ねましょうか
薄い水割り 涙がひかる 永遠の幸せ 離さない ああ 街の灯ともる 雨の大通り 
■緑の町に舞い降りて
輝く五月の草原を さざ波はるかに渡ってゆく
飛行機の影と雲の影 山すそかけおりる
着陸ま近のイヤホーンが お天気知らせるささやき
MORIOKAというその響きが ロシア語みたいだった
   三つ編みの髪をほどいてごらん タラップの風が肩にあつまる
   もしも もしもこの季節 たずね来ればきったわかるはず
   あなたが気になりだしてから 世界が息づいてる ・・・
セロファンのような午後の太陽 綾とる川面をゆっくり越えて
いつか いつかこの季節 たずね来ればきっとわかるはず
あなたが気になりだしてから 世界が息づいてる
新しい笑顔お土産に誰かのもとへ帰る 
■北上夜曲
匂いやさしい白百合の 濡れているよなあの瞳
想い出すのは想い出すのは 北上河原の月の夜
   雪のチラチラ降る宵に 君は楽しい天国へ ・・・
想い出すのは想い出すのは 北上河原の雪の夜 
■遠野物語
待ちます耐えます信じます あなた偲んで見上げれば
早池峰の山はもう根雪 遠野の冬は寒いけど 
愛をつらぬく 女の胸は胸はあたたかい ・・・
呼びます生きます祈ります 姑の小言がつらい夜は
涙を洗う仕舞い風呂 あなたの胸が恋しくて
燃えるこの肌 遠野の雪に雪に埋めたい 
■花巻雨情
清き流れの台川に 染めて散りゆく深山の紅葉
添えぬ運命と知りながら 泣いてあなたに身をなげた
情みちのく花巻の夜 ・・・
夢で抱かれて目覚めれば 髪の乱れにあなたが匂う
窓をあければ月見橋 しのび泣くよに降るしぐれ
雨のみちのく花巻の夜 
■味噌汁の詩
・・・ あの人 この人 大臣だってみんないるのさ
おふくろが いつか大人になった時
なぜかえらそな顔するが あつい味噌汁 飲む度に
思い出すのさ おふくろを 忘れちゃならねえ 男意気 ・・・
日本人なら忘れちゃこまる 生まれ故郷と味噌汁を
何だかんだと世の中は 腹が立つやら 泣けるやら
どこへいったか親孝行 まるで人情 紙風船
忘れちゃならねぇ 男意気 ・・・ 
■葛巻慕情
霧が流れる 山渓の 夢を呼ぶよに ささやくように
忘れた女を 想い出す  いとしなつかし 宿場町
昔ながらの 面影は 澄んで流れる 馬淵川 ・・・
赤い夕陽が 黒森に 落ちて沈んで 日募るころは
谷をわたって 流れくる 牛方ぶしの 哀愁が
しみじみふれる せつなさに 仰ぐ夕月 象鼻山 ここは北国 葛巻の町 
■盛川
ひぐらし鳴いてた 山あいで 親父とふたり 釣りをした
川のせせらぎ ききながら 鮎や山女 追いかけた
ああ あの日の懐かしさ 今日も流れる 盛川 ・・・
竿先とまった 赤とんぼ 風に揺れてた ネコヤナギ
とうろう流しの おくり盆 橋の上から 眺めれば
ああ あの日の懐かしさ 今日も流れる 盛川  
 

 

岩手県
岩手の和尚さん 三橋美智也
盛岡ブルース 青江三奈
ふたりの盛岡 マヒナスターズ
緑の町に舞い降りて 松任谷由実
北上夜曲 ダークダックス
遠野物語 長山洋子
花巻雨情 角川博
味噌汁の詩 千昌夫
葛巻慕情 新沼謙治
盛川 新沼謙治
繋温泉ブルース  
 
宮城県

 

■青葉城恋唄
広瀬川流れる岸辺 想い出はかえらず 早瀬おどる光に 
ゆれていた君のひとみ 時はめぐりまた夏が来て あの日と同じ流れの岸 
瀬音ゆかしき杜のみやこ あの人はもういない
   七夕のかざりはゆれて 想い出はかえらず 夜空かゞやく星に 
   願いをこめた君のさゝやき 時はめぐりまた夏が来て ・・・
青葉通り薫る葉みどり 想い出はかえらず 木かげこぼれる灯火に
ぬれていた君のほゝ 時はめぐりまた夏がきて ・・・
   ・・・ 瀬音ゆかしき杜のみやこ あの人はもういない 
■はじめまして仙台
はじめまして仙台(仙台) あなたが住む街 はじめまして仙台(仙台) あなたの家族
淋しさに 慣れてた私 やさしくされて 涙がにじむ
あれが奥羽山脈 指させば 白いハンカチ 青空に似合います
はじめまして仙台(仙台) あなたが住む街 はじめまして仙台(仙台) あなたの家族
仙台仙台 はじめましてよろしく ・・・
朝が光りかがやく 広瀬川 探し続けた 故里を見つけたの
はじめまして仙台(仙台) あなたと住む街 はじめまして仙台(仙台) わたしの家族
仙台仙台 はじめましてよろしく  
■ミス仙台
森の都の花乙女 月に掉(さお)さす広瀬川
若きひと夜の恋ごころ 仙台仙台なつかしや
   夏の祭は七夕に 星も逢瀬の笹の露 ・・・
青葉城下に秋立てば ネオン色めく一番丁 ・・・
   恋も涙も想い出も 雪に埋もるる北の国 ・・・  
■七夕おどり
晴れて楽しい星空みれば 青葉城から笛太鼓笛太鼓 年に一度の七夕まつり
キンキンキラキラ お星さまも嬉しそう 笹に花咲く街かざり
   広瀬川さえネオンに染まる 染まる掛橋いそいそといそいそと
   急ぐお方は織姫さまか ・・・
蛍とるとて出かけたあの娘 見れば踊りの仲間入り仲間入り 
無理もないでしょ一年一度 ・・・
   願いかけたは去年の今夜 やがてこの秋お嫁入りお嫁入り 
   仕立ておろしのそろいの浴衣 ・・・ 
■広瀬川慕情
水面に映る 影ふたつ 揺れて揺られて 寄り添った
初恋淡き 思い出の 桜こぼれし 広瀬川
   藍の浴衣に 赤い帯 七夕の夜 恋の夜
   そぼふる雨に せせらぎの 泣いているような 広瀬川 ・・・
淡雪舞いし 中の瀬の 河岸の上から 名を呼べど
はかなく消えて おもかげの あなたは遠い 広瀬川 
■松島紀行
涙どんなに流してみても 過ぎたあの日はかえらない
別れるための旅なのに 面影ばかり浮かびます
ひとり松島未練がつのる あなたにも一度… 逢いたくて ・・・
潮の満干(みちひき)男と女 夢がどこかですれ違う
あなたと買った鉢植えは 枯れずに花が咲きますか
ひとり松島思い出乗せて 島から島へと船が行く  
 

 

宮城県
青葉城恋唄 さとう宗幸
仙台発かなしみ行 小林旭
雨の仙台 藤圭子
はじめまして仙台 サザンクロス
ミス仙台 二葉あき子
七夕おどり 島倉千代子
広瀬川慕情 石川さゆり
悲恋草 三橋美智也
松島紀行 水森かおり
MIYAGI LADY BLUES 〜宮城レディ・ブルース〜  
 
秋田県

 

■秋田ポンポン節
カモメ〜 もうすぐ帰る 夜が明ける 魚は大漁だ 子供は元気か
酒を揃えてヨ〜 待ってろよ ここは日本海 男背負ってヨ〜
波をかき分けて 帰り船だよ ポンポンポン 船が ポンポンポン
ポンポンポン 陸(おか)へ ポンポンポン ア〜 秋田ポンポン節
ポンポンポン ポンポンポン
   海ヨ〜 じっぱリ取れた ありがとう 母ちゃん恋しや じいちゃんもばあちゃんも
   笑顔土産にヨ〜 波しぶき 度胸ひとつでヨ〜 舵をあやつるヨ〜
   夢が男のヨ〜 宝物だよ ポンポンポン 望み ポンポンポン
   ポンポンポン 抱いて ポンポンポン ・・・
空ヨ〜 シャッコイ風を 背に受けて 銭こも命も さずかりもんだよ
家族みんなのヨ〜 恵みだヨ〜 海が男のヨ〜 燃える仕事場だ
夢を乗っけてヨ〜 祝い船だよ ポンポンポン 今日も ポンポンポン
ポンポンポン 明日も ポンポンポン ・・・ 
■あや子のお国自慢だよ
ハァー 東北良いとこ自慢なら みんな喜ぶものばかり
来てたんせ 来てたんせ あなたの笑顔を待ってるからね
わらじまつりに チャグチャグ馬コ ねぶた 竿燈(かんとう)まつり
仙台の七夕よ 花笠踊り 東北の祭りは 明日へ 夢を繋ぐのよ
   ハァー お米豊作 祝い酒 大漁 御礼 旗上げて
   めでたいな めでたいな ・・・
   秋の奥入瀬 田沢湖 平泉 猪苗代湖を巡り 鳥海山をのぞむ
   肩寄せ合った松島の 真赤な紅葉が 頬を染めるのよ
ハァー 辛い冬でも乗り越える 強い心と優しさで
がんばろな がんばろな ・・・
桃や さくらんぼ りんごの花が咲き 三陸の海の幸 豊富な山の恵み
冬のかまくら甘酒で 心温めて 春を待ちわびる
   ハァー これがあや子の東北自慢だよ 
■おばこ巡礼歌
北の岬に夕陽が散って ひとり旅にはお似合いネ 忘れようにも思いでばかり
すべて枯れ果て旅にでた ふわり、ゆらり… そっとしといてョ
男鹿のカモメ私も泣くワ おばこナ… ・・・
便り届かず涙も枯れて 月日お酒が増えるだけ 忘れようにも思いでばかり
遠くでいいから会いたいの カラリ、コロリ… 運命から回り
男鹿の波よ お願いあのひと おばこナ… 
■帰れないんだよ
そりゃ 死ぬほど 恋しくて とんで行きたい 俺だけど
秋田へ帰る 汽車賃が あれば一月 生きられる
だからよ だからよ 帰れないんだよ ・・・
今日も屋台の やきそばを 俺におごって くれた奴
あいつも楽じゃ なかろうに 友の情けが 身にしみる
だからよ だからよ 帰れないんだよ 
■久保田節
エー 嶽の白雪 朝日でとける アー とけて流れて
ヤレサエー 旭川
   エー 旭川から 流れて末は アー 秋田おばこの ・・・
エー 雄物下れば お倉が見える アー 出船入船  ・・・ 
■紺がすり
紺がすり 紺がすり かすりにじんで ふるさと秋田
しょっつる ハタハタ キリタンポ かすりにじんで こいしや おばこ
   紺がすり 紺がすり かすりにじんで おふくろの顔
   しょっつる ハタハタ キリタンポ かすりにじんで おふくろあわれ ・・・
紺がすり 紺がすり かすりにじんで こいしやおばこ
しょっつる ハタハタ キリタンポ かすりにじんで ふるさと秋田
ふるさと秋田 ふるさと秋田 
■竿燈まつり唄
夜空に揺らめく 竿燈絵巻 勇壮絢爛 夢酔い浸る
天を仰いだ 男のロマン 汗にまみれた 若者衆の
晒に半纏 豆絞り 竿燈 竿燈 竿燈まつり唄 ・・・
竿燈提灯 四十と六個 一世一代 この晴れ舞台
風に稲穂が 揺れるが如く 神命を吹き込む 力と技を
弓なり撓った 親竹に 竿燈 竿燈 竿燈まつり唄 
■おんな男鹿港
親の根性 受け継ぐからは 海に 生きると 言うあなた
小雪まじりの 荒海めざし 巻いた 錨の たのもしさ
留守をひと冬 まもる女の 男鹿港 ・・・
日本海なら 船方ぶしに 舵も 帆綱も 鳴るだろう
冬の寒さに 嘆かず負けず 待つは 大漁の 帰り船
春の光を 胸に呼びたい 男鹿港 
■女の始発駅
凍りつきそな指さきに かける涙の白い息 みおくる人もいないのに
ふり向きながら汽車にのる あなたを忘れる女の始発駅 ・・・
今度どこかで逢う時は かわい女で逢いたいの 荷物をはこぶおばあちゃんが
ほほえむ北のローカル線 今日から出直す女の始発駅 
■角館哀歌
恋の残り火雪で消し 桜の頃には忘れたい
あなたと別れて訪ねた町は 北の静かな角館…
生まれかわって出直したいと 願うおんなのひとり旅 ・・・
雪の切れ間に三日月は みれんに焦がれて痩せたのか
あなたの面影抱きしめながら 酔えばせつない角館…
遠くなるほど逢いたさつのり こころ乱れるひとり酒 
■恋する城下町
春の陽差しに 化粧が似合う しだれ櫻の 恋ごごろ
そうよ 私の 大事な あなた どこの 誰より 好きだから
いいでしょう そうでしょう こころ 預ける 角館 ・・・
今じゃ 情けの 垣根を越えて もとの 他人にゃ 戻れない
そうよ さだめを 分け合う あなた 檜木内川 いつまでも
いいでしょう そうでしょう 愛をささやく 角館 
■おんなの湖畔
最後のメールを あなたに送り さめた コーヒー 淋しくすする
言葉も絶えた この部屋の ベッドに眠る 私の恋よ
ここは 雪国 湖畔のホテル ああ 田沢湖に 陽が沈む ・・・
後ろを 向かずに 出直すつもり 明日は 笑顔で 手を振りましょう
さよなら 愛の たつこ像 お湯の乳頭 訪ねて行くわ
落葉化粧が 心を染める ああ 田沢湖は 秋景色 
■男鹿半島
黙ったままで命を燃やす 赤い夕陽は男の浪漫
入道崎(にゅうどうざき)にたたずめば 負けるもんかとこころが燃える
水平線の向こうには 明日が待ってる男鹿半島 ・・・
あたってくだけ崖さえ削る 波のねばりで男の勝負
大桟橋(だいさんきょう)をみつめれば やれば出来るとこころが唸る
水平線の向こうには 夢が待ってる男鹿半島 
 

 

秋田県
秋田ポンポン節 香西かおり
あや子のお国自慢だよ 藤あや子
おばこ子守唄 照菊
おばこ巡礼歌 藤あや子
おばこブルース 奈良光江
帰れないんだよ 沢竜二
久保田節 美空ひばり
紺がすり デューク・エイセス
竿燈まつり ライラックス
おんな男鹿港 小桜舞子
女の始発駅 三船和子
角館哀歌 水田竜子
恋する城下町 小桜舞子
おんなの湖畔 小桜舞子
星女よ 尾崎紀世彦
男鹿半島 北山たけし
 
山形県

 

■おしんの子守唄
冷たい川を上(のぼ)ってゆけば 近くて遠いふるさとよ
大根めしを食べてゝも 囲炉裏(いろり)の明かりが暖(あった)かい
山の家山の家帰りたい 春が来なけりゃ年期があけぬ
おしん哀しや小さな肩に おぼこが重い 「かあちゃーん! ばんちゃーん!」
   吹雪(ふぶき)の雪山(やま)を登ってゆけば 兄(あん)ちゃん恋しい泣けてくる
   人を憎むな死なすなと やさしく強く云ったのに ・・・
弁当持たず読み書き習い 近くて遠いふるさとに
月の明かりで便り書く みんなが通う学校に ・・・ 
■酒田港
白帆は頼り北前船は 止まるも行くも風まかせ お前が見送るヨー酒田港
紅花積んで浪花を目指す 行く手は遠い西廻り ・・・
船足速い北前船の 土産は京の流行口紅 心が急がれるョー酒田港
鳥海山の雪形までが お前に見える日本海  
■庄内平野 風の中
愛という名の絆の糸は 切れてしまえば結べない
肩の寒さに背を向けて 面影偲ぶ北の旅
風が泣いてる鳥海山よ 今もあなたが恋しくて ・・・
紅い花咲く峠の道を 越えて涙を拭くつもり
今度生まれて来る時は あなたをきっと離さない
風が燃えてる庄内平野 千のひぐらし鳴いてます 
■正調真室川音頭
私しゃ真室川の 梅の花 コーオリャ  あなたまた このまちの鶯よ
花の咲くのを 待ちかねて コーオリャ 蕾のうちから 通って来る
   蕾のうちから 通っては見たが コーオリャ ひらかぬ 花とて気がもめる
   早く時節が 来たならば コーオリャ 一枝ぐらいは折ってみたい
夢を見た夢を見た 夢を見た コーオリャ あなたと添うとこ 夢を見た
三三九度の盃を コーオリャ いただくところで目がさめた
   真室川よいとこ 新庄を受けて コーオリャ 娘また美人で 唄どころ
   のぼりくだりに ちょいと足とめて コーオリャ 聞いてまたお帰りこの音頭
裏からまわれば 垣根コあるし コーオリャ 表からまわれば 犬吠える
なくな騒ぐな泥棒じゃないよ コーオリャ この家娘さんにちょいと用がある  
■雪の最上川
ヨーエサノマカショ エンヤコラマーカセ
雪にうもれて岸辺の舟が 心もとなく揺れている あなたとふたりの最上川
頬にさらさら舞い散る雪は 紅も哀しいあゝ雪化粧
   墨絵ぼかしの白糸の滝 細くせつなく舞い落ちる ふたりで旅するこの船で ・・・
出羽路くだりの義経主従 結ぶえにしの仙人堂 こよなくはかない旅枕 ・・・ 
■六十里越え
霧が深くて月山が見えぬ 山がみえなきゃ明日が見えぬ 胸にかかえたおんなの涙 アー アー
袖にこぼれて草の露 想い出羽三山を六十里 ・・・
山の野菊を道連れに 根雪かき分けさわらび摘んで 夢を煮込んだ恋しい昔
寒河江川の瀬枕を濡らす アー アー うすい灯りの行者宿 想い出羽三山を六十里 
 

 

山形県
おしんの子守唄 金沢明子
やっぱり山形 ケーシー高峰&あき竹城
酒田港 大泉逸郎
庄内平野 西山ひとみ
庄内平野 風の中 水森かおり
風の中 水森かおり (庄内平野)
真室川音頭 林伊佐緒
雪の最上川 大泉逸郎
六十里越え 北見恭子
月の山 新井満
湯の浜ブルース  
 
福島県

 

■会津のおんな
みちのく生まれは 深なさけ 抱かれる気持に 迷いはないわ
雪の夜道を つめたい指に 息を吹きかけ 迎え傘・・・・・・
いいの逢えたら 倖ですと 駅へ小走り 会津のおんな ・・・
風花みたいな 恋だけど この手に包んで 信じていたい
月のしずくに ふたりで濡れて なごり惜しんだ 城下町・・・・・・
いいのここから 他人の顔で あなた見送る 会津のおんな 
■白虎隊
戦雲暗く陽は落ちて 弧城(こじょう)に月の影(かげ)悲し
誰(た)が吹く笛が知らねども 今宵(こよい)名残(なごり)の白虎隊
   紅顔可憐(こうがんかれん)の少年が 死をもて守るこの保寒(とりで) ・・・
   濡(ぬ)らす白刃の 白虎隊
      南鶴(みなみつる)ヶ城を望(のぞ)めば砲煙(ほうえん)あがる
      痛哭(つうこく)涙(なみだ)を飲んで 且(か)つ彷徨(ほうこう)す
      ・・・ 十有九士(じゅうゆうきゅうし) 屠腹(とふく)してたおる
飯盛山(いいもりやま)の山頂(いただき)に 秋(あき)吹く風は寒けれど ・・・
花も会津の白虎隊 
■みだれ髪
髪のみだれに手をやれば 紅い蹴出しが風に舞う 憎や 恋しや塩屋の岬
投げて届かぬ想いの糸が 胸にからんで涙をしぼる ・・・
春は二重に巻いた帯 三重に巻いても余る秋 暗や 涯てなや塩屋の岬
見えぬ心を照らしておくれ ひとりぼっちにしないでおくれ 
■相馬恋しや
駅のホ-厶で涙にくれた 辛いあの日がなつかしい
相馬恋しや 母をん恋し 俺の便りを待ってるような
そんな気がする宵灯り 
はるかかなたは相馬の空かよ ナンダコラヨト
   国の訛りを酒場で聞けば 心許してすすむ酒
   相馬恋しや 松川浦で 小舟浮かべて遊んだ傾の
   遠い昔が よみがえる
   揃い浴衣て鉢巻き締めて 年にー度の盆踊り ・・・
笛が聞こえる 夢ん中 
■塩屋崎
つよくなろうとつぶやいた そんな自分が可愛くて
涙ぬぐったその指を 砂にまぶして指輪をつくる
哀しい癖をおぼえていたら 私と遊ぼう塩屋のかもめ ・・・
負けちゃだめよとささやいた ひとり自分にうなずいた
波をのりこえ波がくる 海をみてると勇気が出るの
逢えないつらさこらえて生きる 私と歌おう塩屋の灯り 
■智恵子抄
東京の空灰色の空 ほんとの空が見たいという
拗ねてあまえた智恵子 智恵子の声が
ああ安達太良の山に 今日もきこえる ・・・
まごころの花純情の花 散らない花が欲しいという
黒い瞳の智恵子 智恵子の姿
ああ安達太良の山に 今日も生きてる 
■会津磐梯山
エイヤー 会津磐梯山は 宝の山よ 笹に黄金が エーマタ なりさがる
   おはら庄助さん 何で身上つぶした 朝寝 朝酒 朝湯が大好きで
   それで身上 つぶした ハァ モットモダ モットモダ
エイヤー 東山から 日にちの便り 行かざなるまいエーマタ 顔見せに
   エイヤー 会津盆地の みどりの夏よ 風もほがらにエーマタ 鶴ヶ城
エイヤー 北は磐梯 南は湖水 中に浮き立つエーマタ 翁島 
■高原列車は行く
汽車の窓からハンケチ振れば 牧場の乙女が花束なげる
明るい青空白樺林 山越え谷越えはるばると
ララララ ララララララララ 高原列車はラララララ行くよ ・・・
峠を越えれば夢みるような 五色のみずうみとび交う小鳥
汽笛も二人の幸せうたう 山越え谷越えはるばると
ララララ ララララララララ 高原列車はラララララ行くよ 
■磐越西線
あなたと行った あの日の旅は ささいなことで 行き違い
譲り合ったら 済むことなのに 片意地張って 途中下車
   あれから月日は 流れたけれど いまでも残って いるだろか
   愛と言う名の 落し物 夢と言う名の 忘れ物
   あの日の目印 磐梯山 郡山発 磐越西線
気付いてみれば 失くしたものは かけがえのない ものばかり
想い出すたび 悔いだけ残る 若さの罪か 青春は ・・・
   月日の向うへ 転げて行って 見付からないのか 探しても
   愛と言う名の 落し物 夢と言う名の 忘れ物
   会津を通って 喜多方へ ひとり揺られる 磐越西線 
 

 

福島県
会津の女 春日八郎
白虎隊 藤山一郎
みだれ髪 美空ひばり
いわき恋唄 大月みやこ
相馬恋しや 春日八郎
塩屋崎 美空ひばり
塩屋海峡 大月みやこ
智恵子抄 二代目コロムビア・ローズ
会津磐梯山 藤圭子
高原列車は行く 岡本敦郎
磐越西線 狩人   
 
関東

 

■哀しみのルート16
涙に濡れたセンターライン フィルムのように流れてゆくよ
長距離便のひくいクラクション ふたり最後の航海の汽笛に
きこえて来る Route16 心変わり責めないわ
もっともっと好きだった もっともっとあなたより
思い出が多すぎて この道は遠すぎて 戻れない哀しみのRoute16
   海が見たいと気まぐれ云って ひきとめたりはしていないけど
   フロントグラスたたく雨粒 パイプラインが崩れるような音
   きこえて来る Route16 別れに理由はないのなら
   もっともっと会いたかった もっともっといつまでも
   そのままのきみでいて 死ぬときもそばにいて ささやいた約束のRoute16
涙に濡れたセンターライン フィルムのように流れてゆくよ
フロントグラスたたく雨粒 パイプラインが崩れるような音
きこえて来る Route16 心変わり責めないわ
もっともっと好きだった もっともっとあなたより
思い出が多すぎて この道は遠すぎて 戻れない哀しみのRoute16 ・・・ 
■坂東太郎
スイスイスイと番(つがい)のつばめ 坂東太郎を掠(かす)めて飛んだ
とんぼの水無月蝉の夏 ここでは早よ来る祭りをみたさ
佐原ばやしがもうすぐ聴ける 帰って来いよおーい千太 ・・・
ヤッコラサーと葦(よし)分け舟が 坂東太郎に声掛け下る
お前とこのオレ袖にした あの娘も今年は顔出すそうな
佐原ばやしで一杯やろう 帰って来いよおーい千太 
■おんな船頭唄
嬉しがらせて 泣かせて消えた にくいあの夜の 旅の風
思い出すさえ ざんざら真菰(まこも) 鳴るなうつろな この胸に ・・・
利根で生まれて 十三七つ 月よわたしも 同じ年
かわいそうなは みなしごどうし 今日もお前と つなぐ舟 
■利根の舟唄
利根の朝霧 櫓柄がぬれる
恋の潮来は 恋の 恋の潮来は 身もぬれる
   島は十六 真菰の中の 
   花はひといろ ・・・
夢の浮島 情の出島 
風に思いの ・・・  
関東
哀しみのルート16 松任谷由実
坂東太郎 成世昌平 (利根川)
おんな船頭唄 三橋美智也
利根の舟歌 松平晃 (利根川)
 
茨城県

 

■もずが枯木で
もずが枯木でないている おいらは藁をたたいてる
綿挽車はお婆さん ゴットン水車もまわってる ・・・
あんさは満州へ行っただよ 鉄砲が涙で光っただ
もずよ寒いとなくがええ あんさはもっと寒いだろ
あんさはもっと寒いだろ 
■潮来花嫁さん
潮来花嫁さんは 潮来花嫁さんは舟でゆく 月の出潮を ギッチラ ギッチラ ギッチラコ
人のうわさにかくれて咲いた 花も十八 嫁御寮 ・・・
潮来花嫁さんは 潮来花嫁さんは舟でゆく 花の都へ ギッチラ ギッチラ ギッチラコ
別れ惜しむかよしきりさえも 泣いて見送る 葦のかげ  
■潮来笠
潮来の伊太郎ちょっと見なれば 薄情そうな渡り鳥
それでいいのさあの移り気な 風が吹くまま西東
なのにヨー なぜに眼に浮く潮来笠 ・・・
旅空夜空でいまさら知った 女の胸の底の底
ここは関宿大利根川へ 人にかくして流す花
だってヨー あの娘に川下潮来笠  
■潮来船頭さん
あの娘十八 おいらは二十才 潮来船頭さんは 水の上
嫁に行くそな 東京の人に それでいいんだ いいんだよ
漕いでギッチラコとヨー 泣いている ・・・
鳴くなよしきり 運命じゃないか 潮来船頭さんは まだ若い
河原真菰に しぶきがかかる それでいいんだ いいんだよ
船はギッチラコとヨー 波まかせ 
■潮来舟
こんな悲しい涙の恋を 知っているやら利根の月
真菰(まこも)がくれに人目をさけて 今日も棹(さお)さす潮来舟 ・・・
潮来お前は十二の橋を もっていながら何を泣く
わたしゃひとつの思い出さえも 消えてはかない捨て小舟(おぶね)  
■人情取手宿
化粧回しに 男の意地を かけて夢みて ひと昔
利根の流れは 変わらぬものを どこで逸れて こうなった
今じゃしがねえ 三度笠 ・・・
風にさらした ざんざら真菰 後の始末は 引き受けた
縄の襷に 一本刀 これがせめての 駒形の
一生一度の 土俵入り 
■若鷲の歌
若い血潮の予科練の 七つボタンは桜に錨
今日も飛ぶ飛ぶ霞ヶ浦にゃ でっかい希望の雲が湧く
   ・・・ 腕はくろがね心は火玉
   さっと巣立てば荒海越えて 行くぞ敵陣なぐり込み
・・・ 手柄聞くたび血潮が疼く
ぐんと練れ練れ攻撃精神 大和魂にゃ敵はない
   ・・・ 意気の翼は勝利の翼
   見事轟沈した敵艦を 母へ写真で送りたい  
■恋瀬川
雨の雫は心の雫 あなたとわたしを結ぶ糸 
明日をつなぐこの舟の 行き着く先は風まかせ
ゆれてゆられて ふたつの花は どこへ流れる恋瀬川 ・・・
舟にあずけた女の夢は 涙のすだれのその向う
あなたがいるのわたしには 重ねた指はほどかない
ゆれてゆられて ふたつの花は どこへ流れる恋瀬川  
■船頭小唄
己(おれ)は河原の 枯れ芒(すすき) 同じお前も かれ芒
どうせ二人は この世では 花の咲かない 枯れ芒
   死ぬも生きるも ねえお前 水の流れに 何変(かわ)ろ
   己もお前も 利根川の 船の船頭で 暮らそうよ
枯れた真菰(まこも)に 照らしてる 潮来(いたこ)出島(でじま)の お月さん
わたしゃこれから 利根川の 船の船頭で 暮らすのよ
   なぜに冷たい 吹く風が 枯れた芒の 二人ゆえ
   熱(あつ)い涙の 出た時は 汲んでお呉れよ お月さん  
 

 

茨城県
もずが枯木で ボニージャックス
潮来花嫁さん 花村菊江
潮来笠 橋幸夫
潮来子守唄 都はるみ
潮来船頭さん マヒナスターズ
潮来舟 大月みやこ
人情取手宿 氷川きよし
風の贈り物 南こうせつ
若鷲の歌 霧島昇
恋瀬川 中村美律子
船頭小唄 中山歌子
奥久慈旅情 野路由紀子
袋田温泉 橘あきら
 
栃木県

 

■栃木エレジー
涙で見つめる 青空は 泣き顔だらけの 白い雲
情にすがれば 冷たさに 風にほつれる おくれ髪 栃木の門よ 白い石
   白髪で働く 人もいる 幼ない顔した 人もいる
   ・・・ 罪を詫びつゝ 生きてゆく 栃木の部屋よ 鉄格子
子守りの歌にも 泣かされて 故郷偲べば 遠い町
・・・ 「母よ無事で」と 手を合わす 栃木の空に 星一つ  
■渡良瀬橋
渡良瀬橋で見る夕日を あなたはとても好きだったわ
きれいなとこで育ったね ここに住みたいと言った
   電車にゆられこの町まで あなたは会いに来てくれたわ
   ・・・ 忘れられず生きてます
今でも 八雲神社へお参りすると あなたのこと祈るわ
・・・ あの頃に戻りたい
   床屋の角にポツンとある 公衆電話おぼえてますか
   ・・・ なんども受話器とったの
この間 渡良瀬川の河原に降りて ずっと流れ見てたわ
・・・ 風邪をひいちゃいました
   誰のせいでもない あなたがこの街で 暮らせないことわかってたの
   ・・・ 離れて暮らすこと出来ない
あなたが好きだと言ったこの街並みが 今日も暮れてゆきます
広い空と遠くの山々 二人で歩いた街 夕日がきれいな街  
■足利の女(ひと)
霧が流れる足利駅で 上り始発を待つおんな
横顔が横顔が別れた女に 何処か似ている仕草まで
想い出させる 想い出させる 足利の女 あゝ 
   ネオンきらめく駅前通り 訳も言わずに消えた女
   今も尚今も尚男の胸に 残る面影愛(いと)しさが
   忘れられない ・・・
街を流れる渡良瀬川に 未練写して忍ぶ夜
幸せか幸せか別れた侭で 何もやれない意気地なし
想い出させる ・・・  
■幸福の瞬間
二人で歩いた石畳 ばんな寺の門前の道
また来ようねと 手を繋いだの 一番の思い出なの
幸福(しあわせ)の瞬間を いつまでも忘れない 大切な時間を ありがとう
いくつになっても 忘れないわ ドキドキしたあの場所を
愛の鐘を鳴らしたの だから今があるのよ
いくつになっても 忘れないで ワクワクしたあの時を
織姫神社の小さな社 だから今があるのね
二人で歩いた渡良瀬川 織姫神社が見える
また来ようねと 微笑んでたの 特別な思い出なの
幸福(しあわせ)の瞬間を いつまでも忘れない 大切な時間を ありがとう
いくつになっても 忘れないわ ドキドキしたあの場所を
愛の鐘を鳴らしたの だから今があるのよ
いくつになっても 忘れないで ワクワクしたあの時を
織姫神社の小さな社 だから今があるのね
貴方となら 幸せになれると あの瞬間に感じたの 
・・・
だからだから今があるのよ 
■100年花火
石畳を通り抜ければ 渡良瀬川まで後少し
この街が希望に満ちる夜に 僕も願い込めた
ねえ君が見ている未来にも 僕がいます様に
100年分の思いを載せ 夜空に咲き誇る花火
散ってもまた花開くよ この願いと共に
・・・  
■夜霧(よる)の足利
雨のそぼ降る 鑁阿寺当たり
肩を寄せ合う 落ち葉の森よ
一人たたずむ石畳 北へ夜汽車は遠ざかる
夜霧の足利 さよならあなた ・・・
春の日差しか フラワーパーク
お茶を飲もうか こどうの森で
残る未練はこの川に 北へ夜汽車は遠ざかる
夜霧の足利 さよならあなた  
■悠久の街足利
織姫神社の参道を 登って眼下を見渡せば
古都の風情が息づいて 拡がる街 ふるさと
八雲の杜から八幡様へ 静かに凛と佇み
渡良瀬川を染めて行く 夕日に私 泣きました
巡る季節の景色には いつも優しさ溢れてる
あなたと暮らしたい 足利の街
ここに集いし学び舎の 歴史は古く幾百年
足利銘仙解し織 名草弁天 琵琶を聞く
早雲 栗田 美の心 明日の時代を見つめてる
行道山の岩壁に 浄因寺の鐘 響きます
千代に八千代に建学の たましい 私に流れてる
帰って来たよ 足利の街
   清らに咲いた藤の花 枝垂れる園に 腰掛けて
   千歳桜のトンネルを 家族みんなでくぐります
   浅間の社 龍のぼり 泣きじゃくる私 健やかに
   おでこに朱印 初山の 祈る父母 思い出す
   刹那に過ぎる 人の世も どこかで 喜び生まれてる
   誰も あたたかい 足利の街 
   ・・・
   古き歴史を携えて 新しき光り放ち
   今日も日が昇る 悠久の街
   歌声 聴こえる 足利の街 
■いろは坂
右へ曲がって 左に折れて この坂 明日へ 続くのですか
あなたとふたりの 道行きを 一生一度の 我が儘と 赦して下さい いろは坂
   じっと見ている 二荒(ふたら)の山も 解っているでしょ 女の心
   ・・・ すべて承知の 恋だもの 泣いたりしません いろは坂
闇に迷って 転げぬように 照らしてくれてる やさしい月よ
・・・ 胸に仕舞って つづら折り あなたと生きます いろは坂  
■桜通り十文字
出会ったことが なかったことになると 信じているの 記憶は消え失せると
おかしな話だ、可哀想な奴だ、と 皆に言われても その通りでも
他に何も縋るもの 見当たらないから 他に何も縋るもの 見当たらないから
他に何も 他に何も…
   たかが三年 共に寝起きしただけ 別れたり戻ったり 互いに依存してた
   ・・・ たかが恋愛 然れど恋愛
二十五時の 桜通り十文字で 数少ない往来に 彼を探している
私 何を 何をしてるの…
   春一番が 別れの季節告げた 出会わなければよかったのにと鳴いた
   ・・・ 出会ったことが なかったことになると なかったことになると
   ・・・ 他に何も縋るもの 見当たらないから
   他に何も 他に何も 他に何も 何も 何も 何も
春一番 桜通り十文字で 三年の月日をのせて 渦を描いた
悲鳴あげて どこへ行くの 悲鳴あげて どこへ行くの  
■オリオン通り
夕暮れのオリオン通りには 帰らない人の群れに
苛立ちの爪 磨く僕のリズム
   自己主張の裏通りには 情けない財布の中身
   ・・・ 神社の階段を駆け上る
海へ行こう 夏が来る前に 君を誘い出して
・・・遠い空の下へ
   駅前のスタンドカレーは(放課後の)最高のご馳走だね(僕たちの)
   ・・・忘れさせてくれる
海へ行こう 夜が来る前に 君と二人小さなこの街を抜け出して
海へ行こう 遙か遠い空の下へ 海へ行こう このまま歩きながら オリオンを眺めて  
 

 

栃木県
栃木エレジー 都はるみ
ベジフルとちぎ!! 速水けんたろう/ひまわりキッズ
ほんきすてき栃木 さくまひでき/ゆうかりしずる
とちぎで恋した Doo-Wop せきぐちゆき
ソバユバロマンス 勝手に観光協会
渡良瀬橋 森高千里 (足利)
足利の女 石野公恵 (足利)
幸せの瞬間 織姫&彦星 (足利)
100年花火 渡良瀬橋43 (足利)
夜霧(よる)の足利 栗山雄路 (足利)
悠久の街足利 イザナギTARO (足利)
25(NIKKO) 沼尾健司 (日光)
いろは坂 原田悠里 (日光)
恋の神橋 (日光)
湯西川 水森かおり (日光)
NIKKO, LIFE IS MAGIC! せきぐちゆき (日光)
Chaise À Tokyo Benjamin Biolay (日光)
日光けっこう物語
日光しぐれ宿 茶々
湯西川恋賛歌 佐野夕子 (日光)
さわやか・ときめき・夢タウン (鹿沼)
さつき観光音頭 西崎みどり (鹿沼)
恋する鬼怒川 NAO
きぬがわ子守唄 NAO
温泉流し唄 (鬼怒川)
新鬼怒川小唄
鬼怒川ブルース 茶々
西那須野盆唄 松村秀歌 (那須)
芦野慕情 東京ロマンチカ (那須)
栃木路…烏山 Zinya (那須)
箒川(ほうきがわ) 田中阿矢子 (塩原)
矢板音頭 桂京子/滝昇 (矢板)
八方旅情 滝昇 (矢板)
矢板大好き えりのあ (矢板)
喜連川 森山愛子 (さくら)
住めば都の高根沢 中島伸雄 (高根沢)
桜通り十文字 関口由紀 (宇都宮)
オリオン通り 浜崎貴司/斉藤和義 (宇都宮)
宇都宮の夜 椿みやこ (宇都宮)
ふたりの宇都宮 森山愛子
黄ぶなの詩
餃子ブルース 菊田俊介
おもいでの真岡線 女方(おざかた)玉三郎 (真岡)
小山わがまち
おやま!あれま! ABCこどもコーラス (小山)
水鏡 佐野夕子 (佐野)
佐野雨情 佐野夕子 (佐野)  
 
売野雅勇
■売野雅勇 1
(うりのまさお 1951 - ) 栃木県足利市出身の作詞家。麻生麗二(あそう れいじ)の別ペンネームでも活動している。所属事務所はフェブライオ・エ・メッツオ、ディヴァイン。
栃木県立足利高等学校を経て、1974年(昭和49年)に上智大学文学部英文学科を卒業。
就職試験ではニッポン放送に初めてできた音楽ディレクターの専門職の採用面接で最後の5人まで残ったものの不合格。代わりにグループ会社のポニー(現:ポニーキャニオン)をディレクター職として推薦されたが、音楽性の違いから辞退した。
上智大学卒業後、石井直の勧めにより、コピーライター志望で老舗広告代理店の萬年社に入社。配属が決まるまで総務部で分厚い社史を一日中読む日々が続く中、会う人ごとに制作部へ行きたいとアピールしているうち、数年空席だった制作部のコピーライターの補填が春闘で決まり、春闘が決着した5月に新聞雑誌制作部にコピーライターとして配属される。主にドッグフードと製菓会社を担当していたが、全国紙の全面広告で校正ミスを犯し解雇される(1984年に宣伝会議コピーライター養成講座の特別講師の講演時に売野本人が語っている)が、2年半後、朝日新聞求人欄の「音楽好きのコピーライター求む」という三行広告を見て東急エージェンシーインターナショナル(現:フロンテッジ)に入社。CBS・ソニーレコードの洋楽担当のコピーライターとなるが9か月で退職。その後、第一企画(現:アサツーディ・ケイ)国際部制作室/蛯原ルームのコピーライターとなる。1978年まで日本ポラロイド、ワーナー・ランバート、ジョンソン&ジョンソン、イラン航空などを担当。
事務所はマッドキャップに所属し、1981年(昭和56年)にシャネルズ(後のラッツ&スター)の「星くずのダンス・ホール」で作詞家デビュー。
1982年(昭和57年)に中森明菜の「少女A」が大ヒットし、その後は、3歳上の作曲家芹澤廣明とのコンビで、チェッカーズの一連のヒット曲を生み出す。 
■売野雅勇 作品
青葉久美
恋はティニィ・ウィニィ
浅香唯
恋のロックンロール・サーカス
麻倉未稀
ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO(ドラマ「スクール☆ウォーズ」主題歌、ボニー・タイラーの「Holding Out / For a Hero」のカバー)
東野純直
80'S
安部恭弘
テネシー・ワルツ
鮎川麻弥
風のノー・リプライ(アニメ「重戦機エルガイム」後期オープニングテーマ)
アンディ
失われた伝説(ゆめ)をもとめて(アニメ「機甲創世記モスピーダ」オープニングテーマ) / ブルー・レイン(同エンディングテーマ。松木美音とのデュエット曲で、アニメ本編では松木のソロヴァージョンも使用されている)
五十嵐浩晃
言葉はいらない
生稲晃子
Virgin少年に接吻を / Japanese Girl
池田政典
SHADOW DANCER / NIGHT OF SUMMER SIDE(アニメ「きまぐれオレンジ☆ロード」オープニングテーマ) / 危険なトライアングル
石川秀美
サイレンの少年 / Sea Loves You〜キッスで殺して〜 / SHADOW SUMMER / デス・トラップ / 素敵な勇気
石川ひとみ
元気あげるね(特撮「不思議少女ナイルなトトメス」主題歌)
石野陽子
テディーボーイ・ブルース / さよならのバースデー / 雨のチャペル通り / 涙のポニーテイル / まっ赤なキャデラック / 去年の夏…
伊藤銀次
Baby Blue / TAPPIN' AND CLAPPIN' / プラネット・ガール / ONE WAY TICKET TO THE MOON / SHADE OF SUMMER / 恋のリーズン / NIGHT PRETENDERS / シンデレラリバティなんて怖くない / 真冬のコパトーン / DEAR YESTERDAY / HANG ON TO YOUR DREAM / 風のプール
伊藤かずえ
17歳のテロル / ガラスの星座 / No!
伊藤麻衣子
微熱かナ / 曲ってる / 夢の入口 / 君たちにグッドラック / 秋のほほづえ / あどけないなんて思わないで / 危ない感傷 / レースのハンカチ / さよならのカレンダー / 純情ワル / 優しい絆 / Half Bitter Sweets 〜デザートは甘いだけじゃない〜 / 感激!ラブ・モーション / スロー・ダンサー / 見えない翼(日本テレビ系ドラマ『婦警候補生物語』主題歌) / 粉雪のラブレター / 不良少女とよばれて / 片想いが好きなの / 真珠貝の涙 / 愛の陽炎(松竹映画『愛の陽炎』主題歌) / 私は彼のシャボン玉 / 日曜日だけ恋人 / 心呼吸 / 視線がする / 別れPart1 / 恋のリーグ / 蒼い予告篇 / 夏の写真 / BlueSeptember / ひそやかなレジスタンス / X’masまでセンチメンタル / Epilouge−数秒(すこし)だけサヨナラ− / 20番目のカレンダー / 夏の封印 / プールサイド物語 / ルーフに白いTシャツ / 5ヵ月の後 / ホワイト・ムーン / 人の夢 / 春の雪
稲垣潤一
夏のクラクション / シーサイド・ショット / 優しさが瞳(め)にしみる / P.S.抱きしめたい / 想い出のビーチクラブ / セブンティ・カラーズ・ガール / Misty Blue / 真夏の果てまで / プラチナ・アストロノーツ / TOKYO ELEGY
井上大輔
めぐりあい(劇場版アニメ「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇」主題歌) / ビギニング(劇場版アニメ「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇」挿入歌)
岩崎宏美 (益田宏美)
夢見るように愛したい
岩崎良美
恋ほど素敵なショーはない / ラストダンスには早過ぎる / プリテンダー
内田彩
それは、私じゃない
内海和子
蒼いメモリーズ / 好きで、ごめん
岡田有希子
PRIVATE RED
沖田浩之
困ったラブ・ソング / とりあえずボディートーク / お前にマラリア / 東京ジョー
荻野目洋子
フラミンゴ in パラダイス / ビーチ・ボーイズを止めないで / 六本木純情派 / Melting Point / 湾岸太陽族 / 粉雪のリゾート / さよならの果実たち - オリコン1位獲得曲 / ロフトサイド・グラフィティ / 246プラネットガールズ / 北青山三丁目四番地 / 続・六本木純情派 / キラー通りは毎日がパーティー / バビロン A GO GO / 悲しきヘアピン・サーカス / 軽井沢コネクション / 少年の最後の夏 / 避暑地の出来事 / 北風のキャロル / 月曜日のマリーナ / ストレンジャーtonight - オリコン1位獲得曲 / BUS STOP / スターダスト・ドリーム(麻生麗二・名義) - オリコン1位獲得曲 / パーム・トゥリー・キャンドル / ペルシャン・ローズ / Eye Spy The Night / スーピン・イン / ディス・クッド・ビー・ザ・ナイト / サムシング・アバウト・ユー / ウィッケッド / ディジー・ディジー・ディジー / 湘南ハートブレイク / ユア・マイ・ライフ / ビーチ・ドライブ
1986 OMEGA TRIBE
Super Chance / Miss Lonely Eyes / Brilliant Summer / Stay girl Stay pure
影山ヒロノブ
光戦隊マスクマン(特撮「光戦隊マスクマン」オープニングテーマ)
門あさ美
退屈と二つの月
カルロス・トシキ&オメガトライブ
Down Town Mystery / アクアマリンのままでいて / 花の降る午後 / どうして好きといってくれないの
河合奈保子
エスカレーション / UNバランス / コントロール / 唇のプライバシー / 北駅のソリチュード / ジェラス・トレイン / デビュー〜Fly Me To Love〜 - オリコン1位獲得曲 / ラヴェンダー・リップス / THROUGH THE WINDOW〜月に降る雪〜(日本語詞) / 涙のハリウッド / 刹那の夏
河内淳一
さよならに虹が降る / 君のいた夏
菊池桃子
Say Yes! - オリコン1位獲得曲 / アイドルを探せ - オリコン1位獲得曲 / Nile in Blue - オリコン1位獲得曲 / ガラスの草原 / 愛は心の仕事です(RAMU) / 少年は天使を殺す(RAMU) / 青山KIILLER物語(RAMU)
吉川晃司
サヨナラは八月のララバイ / ラ・ヴィアンローズ
木村昴
Clowntime Berlin
KinKi Kids
イノセント・ウォーズ / 哀愁のブエノスアイレス
倉田まり子
真夏のランナー(アニメ「ナイン」挿入歌) / 青いフォトグラフ(映画・アニメ「ナイン」主題歌)
桑田靖子
脱・プラトニック / ラブ or ロンリー / 愛・モラル / 星屑のメモリー / もしかして・ドリーム / 午前6時のラブソング / 愛はひとつだけ / ひそやかな反乱 / 冬の星座 / 八月の窓辺 / 愛の純度 / すずらんの街で / 蒼い莟(つぼみ) / サヨナラの愛 / 恋のスマッシュ / 夏の手紙 / 波の上の花片 / 10代の証明 / 夢色メランコリー / 淋しくてヨコハマ
GEISHA
GIRLS 少年
研ナオコ
六本木レイン / 裏窓トワイライト
小池玉緒
鏡の中の十月
小泉今日子
フジヤマ・ローズ
郷ひろみ
2億4千万の瞳〜エキゾチック・ジャパン〜(国鉄キャンペーンソング) / ヤクシニー
小林幸子
お地蔵サンバ
近藤房之助&Quncho
夢を継ぐ人
近藤真彦
一番野郎 - オリコン1位獲得曲 / ケジメなさい - オリコン1位獲得曲 / 夢絆 / 大将 / 純情物語
西城秀樹
背中からI Love You / パシフィック『背中からI Love You』収録曲
坂井紀雄
ソルジャー・ブルー(アニメ「機甲猟兵メロウリンク」オープニングテーマ)
さかいゆう
桜の闇のシナトラ / 21番目のGrace / 孤独の天才(So What)feat. Terrace Martin / Soul Rain
坂本龍一
美貌の青空
沢田研二
PAPER DREAM / 素肌に星を散りばめて
沢田聖子
都会人
篠原涼子
青空が降る少年
柴田恭兵
TRASH(ドラマ「もっとあぶない刑事」挿入歌)
シブがき隊
サムライ・ニッポン / 喝! - オリコン1位獲得曲 / 挑発∞
吹田明日香
ライク・ア・ヴァージン / さよならのメッセージ
杉浦幸
悲しいな / 初めまして / 仮名の告白 / ミステリアス
杉山清貴
水の中のAnswer / 最後のHoly Night
鈴木けんじ
地球戦隊ファイブマン(特撮「地球戦隊ファイブマン」オープニングテーマ)
セピアンローゼス
君がいたHoly Night
高井麻巳子
シンデレラたちへの伝言 - オリコン1位獲得曲 / 約束 - オリコン1位獲得曲
武田久美子
シャワー・ホリデー / 渚から帰れない(シャワー・ホリデーのB面)
田原俊彦
エル・オー・ヴイ・愛・N・G - オリコン1位獲得曲
田所あずさ
あなたの淋しさは、愛
チェッカーズ
恋のレッツダンス / 涙のリクエスト(後にカントリー・ガールズが4枚目のシングルの2曲目にて同曲をカバー) / 哀しくてジェラシー - オリコン1位獲得曲 / サマーガーデン / HE ME TWO(禁じられた二人) / ひとりぼっちのナタリー / ムーンライト・レヴュー50's / 星屑のステージ - オリコン1位獲得曲 / 電撃lookin'&shockin' / ジュリアに傷心(ハートブレイク) - オリコン1位獲得曲 / スノー・シンフォニー / 24時間のキッス / Jukeboxセンチメンタル / ティーンネイジ・ドリーマー / あの娘とスキャンダル - オリコン1位獲得曲 / 俺たちのロカビリーナイト - オリコン1位獲得曲 / クレイジー・パラダイスへようこそ / 湾岸物語(ハングリー・アイズ) / ジェイルハウス・ラヴ / スキャンダル魔都(ポリス) / 哀しみのヴァージン・ロード / HEART OF RAINBOW〜愛の虹を渡って〜 - オリコン1位獲得曲 / ブルー・パシフィック / ひとりじゃいられない / OH!! POPSTAR / 君はRock-A-Ballade / One Night Angel / 悲しきアウトサイダー / LADY-M.を探せ / Song for U.S.A. - オリコン1位獲得曲
東京JAP
摩天楼ブルース(ドラマ「少女に何が起こったか」エンディングテーマ)
東京パフォーマンスドール
キスは少年を浪費する / ダイヤモンドは傷つかない / Sanctuary〜淋しいだけじゃない〜 / 涙のパラダイス
トミーズ雅
遠い夏のレニー / 桟橋
中西圭三
WOMAN / Ticket To Paradise / A.C.E / 新しい僕になろう
中谷美紀 with 坂本龍一
MIND CIRCUS / STRANGE PARADISE / 砂の果実 / 天国より野蛮 -WILDER THAN HEAVEN- / 汚れた脚 The Silence of Innocence / WHERE THE RIVER FLOWS / sorriso escuro(アート・リンゼイ、ヴィニシウス・カントゥアリアとの共同作詞) / キノフロニカ / フェティシュ(Fetish)
仲村宗悟
ワンダフォー!
中村雅俊
70年代
中村由真
Dang Dang 気になる (アニメ「美味しんぼ」オープニングテーマ) / LINE(アニメ「美味しんぼ」エンディングテーマ)
中森明菜
少女A / キャンセル! / 1⁄2の神話 - オリコン1位獲得曲 / 思春期 / ルネサンス -優しさで変えて- / 禁区 - オリコン1位獲得曲 / 100°Cバカンス / 十戒 (1984) - オリコン1位獲得曲
西村知美
君は流れ星(アニメ『がんばれ!キッカーズ』オープニングテーマ)
長島秀幸
オレンジ・ミステリー(アニメ「きまぐれオレンジ☆ロード」オープニングテーマ)
野口五郎
過ぎ去れば夢は優しい
野島健児
涙のRunaway Boy
早見優
Tokio Express / Lonely Liar
Be Choir
聖なる人 / 大和よ
ひろえ純
サイレント・ヴォイス(アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』後期オープニングテーマ)
ブレッド&バター
さよならの贈り物(アニメ映画「タッチ2 さよならの贈り物」オープニングテーマ) / 岸辺のフォトグラフ(アニメ映画「タッチ2 さよならの贈り物」エンディングテーマ)
細川たかし
星屑の街
ポピンズ
妖精ポピンズ / くちびるH/2(C/W 渚の軽井沢)
堀ちえみ
風の変わる頃(アルバム:雪のコンチェルト) / Garcon Pudique(アルバム:Best−記念日 - ) / Jimmy's Girl(アルバム:Lonely Universe) / ミス・ロンリー・ユニバース(アルバム:Lonely Universe) / 18のキャトルセゾン(アルバム:Lonely Universe) / 風のサザン・カリフォルニア / 暗くなるまで待って(アルバム:夢の続き) / オペラ座の雪(アルバム:夢の続き) / T・H・R・E・A・T(アルバム:夢の続き) / 刹那の華(アルバム:夢の続き) / 青春の忘れ物 / サヨナラなんて言ってあげない(シングル:青春の忘れ物B面) / 夢千秒 / ジャックナイフの夏
本田美奈子
殺意のバカンス / 好きと言いなさい / 青い週末
白鷗大学
校歌
マーキーズ
VANITY(アニメ「機甲猟兵メロウリンク」エンディングテーマ)
MIO
GET IT!(劇場版アニメ「ザブングル グラフィテイ」主題歌) / エルガイム 〜Time for L・GAIM〜(アニメ「重戦機エルガイム」前期オープニングテーマ)
松本伊代
ビリーヴ(TBSテレビドラマ「転校少女Y」主題歌) / ポニーテイルは結ばない / あなたに帰りたい / 淋しさならひとつ
松本友里
過剰にオンリー・ユー / ボーイ・キラー
三田寛子
ひとりぼっちのクーデター(日本テレビ系ドラマ『家族ジャングル』主題歌)
森口博子
水の星へ愛をこめて(アニメ「機動戦士Ζガンダム」後期オープニングテーマ)
森川智之
ヨコハマ粋
森進一
京都去りがたし
薬師丸ひろ子
冷たくされたい
山寺宏一
東京PARADISE
山寺宏一 & 内田彩
男と女は十時半
矢沢永吉
愛しい風 / 赤いルビー / 哀しみの彼方へ / CRAZY DIZZY NIGHTS / 早冬の気配 / 太陽の領域(テリトリー) / AZABU / 夜間飛行 / FLESH AND BLOOD / 青空 / バラードよ永遠に / 悪戯(いたずら)な眼 / PURE GOLD - オリコン1位獲得曲 / I AM / Love Chain / 六本木ショット / SOMEBODY'S NIGHT
山本達彦
Stardust Mermaid / 夏の愛人 / 密室のTANGO / 密会のHIGH NOON / 哀しみの外電(テレグラム) / Fairy Princess〜It's You〜 / Pressure / Dancin' On The Beam / 愛は僕の弱さだから
夢工場
ひとりぼっちのデュエット(テレビアニメ番組「タッチ」主題歌) / 君をとばした午後(テレビアニメ番組「タッチ」副主題歌)
吉野千代乃
夢の旅人(コンピュータゲーム『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』テープ版主題歌)
ラッツ&スター
め組のひと(麻生麗二・名義) - オリコン1位獲得曲 / 今夜はフィジカル(麻生麗二・名義) / 月下美人(ムーンライト・ハニー)(麻生麗二・名義) / グラマーGuy / 唇にナイフ / 星くずのダンス・ホール / MAMMA / 恋の4回戦ボーイ / 真夜中のダイヤモンド / サマーナイト・トレイン
ラフ&レディ
背番号のないエース(劇場版アニメ映画「タッチ」主題歌) / ガラスの青春(ティーンネイジ)(劇場版アニメ映画「タッチ」副主題歌) 
■売野雅勇 2
「涙のリクエスト」(チェッカーズ)、「2億4千万の瞳」(郷ひろみ)、「め組のひと」(ラッツ&スター)「Somebody's Night」(矢沢永吉)など数多くの大ヒット曲を送り出し、また、「少女A」(中森明菜)、「最後のHoly Night」(杉山清貴)など作詞家・売野雅勇さん。2016年にデビュー35周年を迎えてもなお、アーティスト・プロデュースなどで精力的に活動している中、初公開のエピソードも交えながらお話しを伺いました。まずは 、作詞家になるまでの長い道のりを伺うと、まるで壮大な物語のように語られました。
就職活動で広告代理店へ
ぼくは作詞家になるつもりはなくて…書く仕事だったら音楽評論家にはなりたいという気持ちが多少あったんですね。ともかく音楽に関わる仕事をしたいという願望があったようです、振り返ってみると。
就職活動は、CBS・ソニー(現・ソニーミュージック)を邦楽のディレクターとして試験を受けたんです。それとLF(ニッポン放送)に初めてできた音楽ディレクターっていう専門職、その他には、数社の広告代理店。結果は、CBSは落ちたけれど、LFは試験が特殊で音楽に関する論文の他に、譜面と歌詞が8小節ずつ書いてあって、その曲名を答えよというのが100題(笑)。すべて知っている洋楽のヒットソングで、全部正解しました。こんな楽な就職試験はなかったですね(笑)。その筆記試験は当然通り、次の課長部長面接みたいなところも難なく通過して、社長・重役面接まで行ったんです。何百名の中から残ったのは上智2人、慶応2人、そして早稲田が1人。その最後まで残った5人が最終面接を受けまして、結局、ぼくは落ちちゃうんです。でも、採用通知は来ないだろうと予測してました。1%も甘い期待はしてなかった。というのは、面接当日、控え室で待っている間、5名の学生たちは雑談しているのですが、ぼくは話の輪には入らずに、他の4人を観察してた。誰が受かるだろうかと、自分が社長だったら誰を採用したいかと考えながら。で、こいつだ!と目をつけた男がいた(笑)。自分が面接官なら、ぼくではなくてこの男を取るだろうと考えたわけです。ぼくを採用したら大したことのない企業だと(笑)。ですから、とても残念だったけれど落ち込むこともなかった。
で、予想通り落ちたのですが、グループ会社のポニー(現・ポニーキャニオン)を勧められました。ポニーだったらディレクター職で推薦するから行ってくれって言われたんです。ぼくはレコード会社といえば、カッコいい洋楽のCBSとEMI(東芝EMI/後にユニバーサルミュージックに統合)しか浅はかなことに知らなかったんです。ポニーはどんなレコードを出しているんだろうって調べてみたら、山本リンダや演歌だったので、こんなところに行きたくないと思って、ありがたいけれど結構ですって断ってしまうんです。行けば良いのにバカだからね(笑)。それと、CBSも落ちちゃったのだけれど、営業職だったら通ると思うから、営業でもう1回受けてみてって言われましたが、これも蹴っちゃうんです。何を考えてるんだか、愚かしい限りですけれど、想像してみると、音楽をつくることにすごく執着があったんですね。
その年は、ちょうどオイルショックの年で、未曾有の就職難の時代が始まるからと、大学は就職が決まっている学生は卒業させるという方針を、冬休みの始まる前に発表したりしたんです。社会全体の空気が不安で暗くなっていく年の瀬って感じでしたね。ぼくは、就職試験は落ちたし留年するつもりでのんびりかまえていたんですけど、女友達から「お父さんの会社も大変で自宅待機よ、大不況が始まるみたいだよ」なんて聞かされて、きっと急にビビったんですね。それから慌てて卒論を書き(笑)、なんとか卒業試験もパスして、たったひとつだけ受かっていた、当時は業界4位の、大阪に本社がある最も旧い広告会社、萬年社に入りました。
萬年社から音楽を求めて 東急エージェンシー・インターナショナルへ
卒業してから数ヶ月後にコピーライターをやることになるんです。でもやっぱり音楽に関わりたいなあ…、影響力もさることながら時代の先端を行く雰囲気があった今野雄二さんみたいな音楽評論家にどうやったらなれるのかな? などと思いながら『ニューミュージックマガジン』を読んだり、細野晴臣さんの「泰安洋行」など日々聴いていました。そんな時に、東急エージェンシー・インターナショナルが、朝日新聞にちっちゃな三行広告で求人募集をしているのを偶然見たんです。「音楽に詳しいコピーライター求む」と書いてあったそれを切り抜いて、自宅の机の前の壁に貼ったんです。
応募資格があって、コピーライター歴3年以上、26歳以上と書いてある。ぼくは当時、コピーライターやって2年半で25歳だったから、応募していいのか迷ったんです。ウチに泊まりに来た友達がそれを見つけて、「売野、会社を辞めた方が良いよ。これカッコいいよ」って言うんです。何がカッコいいのか訊いてみたら、「こんな3行しか無いショボい広告だよ。掲載料がたった3万円くらいのちっぽけな広告で、100倍近い競争率を勝ち抜いて入った萬年社を捨てる、そういう生き方はカッコいいから、売野、辞めてくれ。そんなヤツがいてほしい」って言うんです(笑)。その言葉で調子づいちゃって、その日に履歴書を書き、次の朝にポストに入れて、そして試験を受けたら簡単に入れちゃった。25歳なのに(笑)。いい加減だなあって思った、社会って。このことで、人間が決めることってルールといっても簡単に変わるという教訓を学んだ気がします。それまでは、どちらかといえば、むしろ必要以上に緊張する不器用で生真面目なタイプの人間だったのだけれど、そのあたりから、徐々にリラックスして社会に適応していった気がします。
CBS・ソニー洋楽担当のコピーライター
東急エージェンシー・インターナショナルに入ってみたら、就職試験に落ちたCBS・ソニーの洋楽のコピーライターだったんですね。これが思っていた100倍くらい大変で、ポップスからジャズまであらゆるジャンルの音楽を聴いてコピーを書かなくちゃならなかった。20数名のディレクターがいて、LPが毎月40W(レコード40枚)くらい発売になる。これを全部聴いて、当時は音楽専門誌が多いから、それぞれの雑誌の広告のデザインにあわせてコピーを書くわけです。例えば40誌あったら、40誌×アルバム40枚分のコピーだから160パターンのコピーを書く。朝10時くらいに会社に行きずっと書きっぱなしでも、夜の8時、9時には終わらないんですね。会社内に音楽ブースがあって、そこで大音響で聴いて、原稿用紙を埋めて、フル稼働する。そのルーティーンです。これをひたすら真面目に10か月続けたら、書く技術だけはおそろしくアップしましたね。考えると、素晴らしいトレーニング期間を与えられた気がします。
そろそろ新しい刺激がほしくなってきた頃、マッキャン・エリクソン博報堂と第一企画という、2つの広告会社から誘われて、後から話が来た第一企画に移りました。
開かれていく作詞家への道
第一企画は国際部という外資系のクライアントの広告制作の部署でした。「会議も英語だけど大丈夫?」って、ロサンジェルスの有名なD.D.B.という制作プロダクションから移ってきたばかりのクリエイティヴ・ディレクターにきかれて、「英文科だから大丈夫です」って答えて、CBS・ソニーの仕事で3つだけ書いたジャパンタイムズに掲載された広告を見せたら、その室長が「OK、入れるよ」って(笑)。「あの、 試験とか無いんですか?」ってきいたら、「いや、これが試験だから。ぼくが決めるわけですよ。ぼくが、あなたのボス」(笑)って言う。この人がいたから、第一企画に入ることが出来たんですね。かなり変わった人で、すごく気があいました(笑)。蛯原さんという伊達男の方です(笑)。日本ポラロイドとか、ジョンソン&ジョンソン、ワーナー・ランバート、あ、シーバス・リーガルのコピーも書きましたね。それでコピーライターとして最初にして最後の広告賞ももらいました。楽しい2年間でした。一度、蛯原さんから「売野さんのコピーは詩のようで、外資の広告には不向きです。必要なのはもっと太いドカンとしたヘッドラインです」と言われたことがあってよく覚えてますが、この助言がいまでも生きている気がします、タイトルと歌詞という棲み分けをして。
1978年に、EPIC・ソニーが設立されることになって、東急エージェンシー・インターナショナルから連絡があって、戻ってきてくれないかという話になった。EPIC・ソニーの設立にあたってコピーライターが要るからと。そこで、作詞家になるとはその時は思っていないんだけど、結果的には作詞家になる道が開かれることになるんですね。
その頃、ぼくは友人と一緒に、『LA VIE』という、いまで言うインディーズの男性ファッション誌を編集していて、ともかく時間がなかったので「仕事のない時は会社に行かなくていいという契約にしてくれませんか?」とお願いしたら、東急の今井さんというクリエイティヴ・ディレクターが「条件は何でも会社にのませるから、来月から来い」って言うので「わかりました!」と(笑)。
それでEPIC担当として、ロゴマークやシンボル・カラーとか、EPIC・ソニーというブランドの立ち上げから、EPICのオフィスに何も無いところから関わることになったんです。コピーライターはぼくひとりでしたから、洋楽も邦楽も書いてました。そのひとつがシャネルズのコピーだったのですが、ぼくが新聞用に書いたアルバムの発売告知のコピーを読んだ担当ディレクターの目黒育郎さんに「あなたのコピーは面白いから詞も書ける気がします。書いてみませんか?」って言われて、これが作詞家になったきっかけですね。そこまでに回り道したような、あるいは、それが近道だったかはわからないですけど(微笑)。去年書いた『砂の果実〜80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々』という本に、当時のことが詳しく書いてありますから、興味のある方はどうぞお読みください。
この時に作詞をすることになったのが、河合夕子のアルバム『リトル・トウキョウ』 (1981年5月21日発売)。それよりも発売日が先の、「麻生麗二」というペンネームで書いた、シャネルズのアルバム『Heart & Soul』(1981年3月21日発売/EPIC)に収録の「星くずのダンス・ホール」、「スマイル・フォー・ミー」がデビュー作になっていますが、河合夕子の方が仕事としては先行していました。その翌年、日本テレビ系『スター誕生!』からデビューした中森明菜の2ndシングル「少女A」が最初の大ヒット曲になります。ここからはその「少女A」をはじめ、日本テレビ音楽が著作権を有する楽曲の中からピックアップしてお話を伺います。
「少女A」中森明菜 (1982年7月28日発売/ワーナーパイオニア)
「少女A」は詞先だったんです。で、芹澤廣明さんではない他の作曲家の方が最初に曲をつけてくださった。いまの「少女A」とは全然違う「少女A」です。それは、ボツになってしまったのだけど、2週間くらいして「詞だけ生きてます」と再びレコード会社から、ぼくが所属していた作家事務所に連絡があり「別のメロディがつけられますか?」とオファーされたという話を知らされました。事務所に作曲家は数名いましたが、そのひとりが芹澤廣明さんでした。
それでマネージャーが芹澤さんのストック曲から3曲をピックアップして、「ディレクターに聴かせるので、一緒にワーナーパイオニアに行ってくれ」と連れて行かれたんです。そのワーナーのディレクターが島田雄三さんです。石黒くんという若いマネージャーと3人でその3曲を聴いたわけです。3曲ともマイナー8ビートの曲で、芹澤さんがギター1本で歌っているデモテープでした。芹澤メロディーって世界一アクが強いメロディなので、どのメロディにも芹澤さんの署名がしてある。ブランド・マークが刻印されているわけです。3曲聴き終えたところで、島田雄三さんから「売野さん、作詞家としてはどれがいいですか?」って訊かれた。ぼくは歌詞を嵌め直す必要があるので、なるべくオリジナルの歌詞が損なわれないという観点から「2番ですね」と答えた。ぼくは2月22日生まれなので、そこだと(笑)。そうしたら、島田さんが「ぼくもそう思います」って(笑)ぼくも調子がいいから「ですよね!」って(笑)。この曲だけ漫画家の方が書いたという「シャガールの絵」という詞が付いていたんです。「シャガールの絵」も詞先で芹澤さんが後からメロディを付けた作品です。
このメロディに、ぼくが詞先で書いた歌詞を、今度は曲先みたいにして嵌め直すことになった。でも、あっけないほどまるで難しくなくて、奇跡的にといっていいくらい、曲に詞がうまくハマるんですね。全体の構成が似ていたんだね。Aメロの長さとか、サビのシンプルさとか。なぜかというと、両方とも素人っぽい詞の構成なんです。つまり、小節数のカウントが出来ていなくて、原稿用紙の升目の数を目安に書いているんですね。横1行が20文字ですから、そのあたりで。ぼくも詞先で書いたのは、それで5回目くらいだったから、まだ書き方を充分知らなかったんだ。
やたらAメロが長いんです。そして貧弱なサビ(微笑)。「じれったいじれったい」というサビのキャッチーなフックは、ぼくのオリジナルの詞には無くて、『シャガールの絵』の歌詞の中のサビの最初の部分が「ねえあなた、ねえあなた」が2回繰り返すサビだったんです。
やたらにここは来るなあと思って。ここがキモなんだろうなと思って、サビの書き方を勉強しようと思って歌本を開いていたら、ほとんど役に立たなかったのですが、ひとつだけ阿木燿子さんのサビの書き方が完璧だということを発見するんです。山口百恵さんに書いた詞はすべてよく出来てるなあと、特にサビの書き方を学習させていただきました。女性が啖呵を切る、捨て台詞を言う、これが阿木作品の要諦だと。その原理を援用させてもらって、「じれったい、じれったい、これだ!」って。そうやって書き上げました。
で、次の回のミーティングには芹澤さんも来て、実際に歌詞と合わせて歌うことになったんです。でも、芹澤さんは「半年も前に書いた曲だから覚えてないよ」って、その場で譜面を見てギターを弾いてました(笑)。最初は「じれったい」の譜割りもちょっと違ってたりしてたけど、10分後にはひとつの楽曲として完成しました。芹澤廣明さんは作曲家としてはまだ無名でしたが、何か大物の風格を既に漂わせてましたね。その日が、後にチェッカーズの曲でも組むことになる、「運命の男」芹澤廣明さんとの出会いでもあったんです。
「少女A」が大ヒットした時は、すごく嬉しかったけど、自分としては「ワーイ」っていう感じじゃなかったね。友人や親戚、社会人チームでやっていたアメフトの仲間とか、テレビで名前を見たりして「ワォ!ワォ!」なんですよ、もちろん。でも自分はそこまで喜べるかなっていう気分だった気がします。このヒット一発だけのまぐれだからっていう感じでしたから。次のヒット曲が書けない限りは職業作家になれたわけじゃないと、シビアに冷静に受け止めてました。浮かれちゃいけないと自制していたんだろうね。
だって、アイドルの歌詞を書いたのは初めてなんだから。ただマネージャーに言われるまま、チラシ1枚しかない資料?を見ながら机に向かって書き、LP(アルバム)に入るかどうかっていう曲だったから(微笑)。シングルとして書いたわけじゃないから。その頃は書いても半分以上がボツになっていたんです。その時も、ボツになるかもしれないと思っていたら、LPに入ることになってオケを録音したという連絡が来て、多少の書き直しの注文があり、その後で突然、シングル候補になっていると聞かされ、まさかシングルにはならないだろうと思っていたら、最終的にはシングルですと、、、、何段階かがあってシングル曲になった楽曲です。それは夢みたいなことなんだけど、まあ、そういう好運も人生にはあるよねと思っていただけで(微笑)。作品がすごく優れているとは特に思っていなかったんです。運の強い楽曲だとは感じていましたが。。。。
シャネルズ(後のラッツ&スター)や伊藤銀次さんはスタッフのように、仲間のようにしてやっていたんで、キャッチボールをしながら詞を書いていたからボツになることも無かったんです。当時はマッドキャップという事務所に所属していて、そこのマネージャーがとってくる仕事の中には、コンペみたいな中で、ボツになる仕事も多かったんです。でも、「少女A」の時は、LPに収録する候補曲の中から、シングルにまでなったスペシャル・ラッキー・ナンバーなんですね。
「少女A」は特殊なヒットというか…雑誌の記事などで取り上げられたり、社会的に広がりが多少見えてきて、良い面も悪い面もあるんだけど…すごい作詞家が出てきたと捉える人もいたり、特殊過ぎて、キワドすぎて、企画モノみたいな捉え方をした人もいたでしょうし、そんな作詞家には興味はあっても、先頭をきってまっさきに仕事を頼む勇気がなかったみたいで、思ったほど仕事の依頼が来なかったね。「少女A」はそういう意味でも、体制の外側にいたんじゃないかという気がします。楽曲も2人の作家も業界のアウトサイダーだったんですね。だから、爆発的なヒットなのに次の仕事がなかなか無かったんだ。そんな中で、レコード会社やプロダクションの方が3人だけ、会いに来てくれたり、詞を依頼してくれたりしたんです。
その方々の顔は忘れもしませんし、いまでも感謝してます。
その次の年になって、河合奈保子さんの作曲をすることになった筒美京平さんが声をかけてくださって(「エスカレーション」1983年6月1日発売)、そこからですね、職業作家として勢いが出てきたのは。
日本テレビ系アニメーション『ガラスの仮面』主題歌
「ガラスの仮面」芦部真梨子(1984年4月21日発売/東芝EMI)
(歌詞の元原稿を見たとたんに)あちゃー(笑)モトゲン!タイトルがデカいね(微笑)。阿久悠さんの生原稿を見せて頂いたことがあって、阿久さんのは(詞の形式が)縦書きで、1曲の歌詞に表紙が付いてるんです。表紙に曲名が書いてあって、周りを黒く塗ってあったり、絵が描いてあったりするんです。タイトルがやたら目立つようになっていて。ぼくはそれが出来ないので、(「ガラスの仮面」の原稿を見ながら)タイトルだけマジックインキで書いていた(笑)。この頃はまだ原稿の書き方のスタイルが完成していなくて、きれいには書いてあるんですけど、後からカリグラフィーペンというモノを見つけて、もうちょっと芸術的に(笑)書くようになるんです。
『ガラスの仮面』は、原作の漫画を何冊かもらって、全部読むんです。それで得たモチーフやインスピレーションを、ストーリーにあった形の言葉にしていくという書き方ですね。これは歌入れには行ってないですね。
日本テレビ系ドラマ『誇りの報酬』エンディング・テーマ
「想い出のクリフサイド・ホテル」中村雅俊 (1986年5月21日発売/日本コロムビア)
この頃はヨットをやって、海が好きになっちゃって、海が日常っていう生活だったんです。葉山、横須賀、油壺っていうのは車で走り馴れていて、稲垣潤一さんの「夏のクラクション」もそこからできていった作品です。そういう当時の実生活とは別に、大学生の頃にアメフトをやっていて、そのちょっと遊び人の風情のある先輩たちの会話の中によく出てくる「クリフサイド」という言葉に、ぼくはシビレてしまった記憶があったんです。大人の匂いを嗅いだのでしょうね。粋でセクシーでいい響きだなあって思っていたのを思い出して書いた(微笑)。クリフサイドは、元々ホテルの名前ではなくて、横浜にあるナイトクラブで、ロングドレスを着たホステスの人たちがいて、ビッグバンドが鳴っているダンスフロアがあるグランドキャバレーと言われる大人の遊び場です。そのクリフサイドに憧れていた学生の自分の記憶があり、いつか歌詞に使いたいと思っていたんです。
中村雅俊さんの新曲の打合せの時に、あのクリフサイドを使って、ちょっとゾクゾクするような、甘くて切ない禁断のラブソングを書こうと閃いたんだ。この時は詞先で、作曲家によっていろいろタイプがあるので、例えばこの作曲の鈴木キサブローさんだったら、どういう球を投げたらいいのかなって考えて、この時は歌い出し(の文字数、音符数)を5555にしたんです。7575にする時もありますけど。もちろん、自分で歌いながら書きます(笑)。誰にも聴かせたことはないけどね。余談だけど、3連でやってもらいたい時は、3333で書く時もあるんだけど、「津軽海峡・冬景色」の歌い出しみたいにね。でも、期待した3連ではなくて違うメロディーがついて来て、ちょっと残念なケースもあるんですけど(笑)。
油壺のリゾートマンションに泊まったことがあるのだけど、そこは窓から見降ろすとハーバーのヤードに陸上げされたヨットがいっぱい並んでいるのが見えて、夕暮れには風に吹かれて帆を張るワイアーがマストを叩く切ない音が夕闇に響くんですね。あの夕闇のハーバーを舞台にリゾートで出逢う男と女のひと夏の恋の歌にしようかと思いついた。記憶はインスピレーションのバックヤードだからね。クリフサイド・ホテルは、ですから、もちろん架空のホテルです。
日本航空ハワイキャンペーン’86イメージソング
「最後のHoly Night」杉山清貴(1986年11月6日発売/バップ)
この歌詞を書いた時は、プロデューサーの藤田浩一さんととても長いブレイン・ストーミングのような打ち合わせがあって、3時間くらい話した気がします。それを持って帰って書いたわけですが、もう藤田さんかぼくかどちらが言ったのかは忘れてしまいましたけど、「最後のイヴはいちばん好きな人と過ごしたい」というキーフレーズが最終的にできて、ふたりともこれは行けるぞという手応えを感じて、これを発展させてストーリーを語ろうとそういうことになりました。普段こんな打ち合わせはあまりやりませんが、藤田さんが杉山さんのメロディを聴いて、何か強烈なものがあるけど言葉にならないもどかしさを抱えてたんじゃないかな。だから、たどり着くのに時間がかかったのだと思います。
歌詞の最大のポイントとしては、結婚は結婚、恋愛は恋愛と切り離して考えるような女性を歌詞に登場させて、そういう、一般的には反感を買うような感覚で生きている女性にも、これは自分の歌だと思えるような作品をあえてつくろうという狙いがありました。これはブレストがないと書けなかった作品ですね。プロデューサーの考えとしては、一般的なクリスマス・ソングという枠からはみ出した、ちょっと危険なクリスマス・ソングにしたかったのだと思います。
普通なら街の片隅で一生懸命生きている人達のささやかなクリスマスのエピソードが共感される歌になるわけですが、そこをちょっと外してる、ちょっとズラしたギミックがあるんですね。でも、そこに気づいた人はあまりいないかもしれないですね(笑)。杉山清貴さんのあの美しい声で歌われると、この歌の主人公の女性こそが最も祝福されるべきだと思わせられてしまう。
日本テレビ系ドラマ『もっとあぶない刑事』挿入歌
「TRASH」柴田恭兵(1988年11月16日発売/フォーライフ)
これはスタジオに歌入れに行った時の記憶、印象なんですけど、柴田さん本人が歌詞をあまり気に入ってないような感じがしたんです。後日、「すごく良い歌になった」っていう感想を聞いてほっとしたんだけど…・。あ、いま思い出しましたけど、歌い終わった後に、一生懸命歌った照れもあるんだと思うけど「こんなもんでいい?」って、ボーカル・ブースから出てくるなり僕に向かってそう言ってましたね。それから、歌が完成した時に、「今度、食事かゴルフでも行きましょう」って誘って頂いたのを覚えてますね。
ぼくは本当はこういうワイルドな歌詞が得意なんです。「いつも負け札ばかり引かされ  屑の烙印 押されて生きてきた」、こういうフレーズが好きでいくらでも書けますって感じなんだ。あと、この歌詞にちりばめられた動詞の命令形ね。“叫び続けろ”とか“やたら媚びるな”“浮かれて笑うな”とかね、すごい数の命令文だね(笑)。
「TRASH」ってタイトルも歌詞を書く前に最初からできていたね。普段考えていることを書くスタイルの歌詞だね。いまでも、自分の歌みたいな感じがします。
作詞家の出発点がシャネルズだったから、京浜工業地帯のティーン・エイジャーの青春、土曜だけがオレたちの生き甲斐みたいな、そういう歌が自分にすごくあってると思っていて、そういう人たちの生き方に真実を感じる感性が生まれつきそなわっているのかな。言葉を変えると、不良っぽい歌が好きなんですね。シティポップスと呼ばれた歌をたくさん書きましたから、お洒落とかというイメージでとらえられがちだけどね(笑)。どちらも自分だから、ウェストサイド物語のアップタウンもダウンタウンもどちら側に住んでも違和感がないのが特徴かな(笑)。
本当はリーゼントにしたかったくらいロカビリーが好きで、あまり気づいてくれる人は少ないんだけど(笑)だからチェッカーズもすごく書きやすかったですね。そうそう、リーゼントと柴田恭兵さんといえば、ぼくは東京キッド・ブラザーズの舞台も何度も観に行っていて、ファンだった時期もありました。ロックンロール・ミュージカル!すごく楽しい舞台だった。小劇場時代ですけど、柴田恭兵さんはスターオーラでキラキラしてましたね。
これまでキャリアの中で、特に好きな自作の歌詞
坂本龍一さんの「美貌の青空」(アルバム『スムーチー』/1995年)。それと、坂本龍一さんと一緒に組んだ中谷美紀の曲はだいたい好きかな(中谷美紀のアルバム『食物連鎖』1996年/中谷美紀 with 坂本龍一「砂の果実」1997年など)。あれは、誰も登らなかった山を登ったような感じで、誰もマネできなかったんじゃないかな。
矢沢永吉さんの「SOMEBODY'S NIGHT」(1989年)や「PURE GOLD」(1990年)。それから、もちろんチェッカーズ!それと女性版チェッカーズのつもりで書いていた荻野目洋子さんの一連の歌、初めてプロデューサー的な立場で関わらせてもらえた河合奈保子さんのすべての歌。
ラッツ&スターの「め組のひと」、郷ひろみさんの「2億4千万の瞳」。稲垣潤一さんの「夏のクラクション」「P.S.抱きしめたい」。これ、切りがないね(笑)。好きな歌はCD BOX 売野雅勇作品集「天国より野蛮」に全部入ってますね(笑)
音楽、言葉を書くことから離れた趣味について
趣味?昔からクルマ好きですね。今はポルシェの4人乗りです。最初のクルマはワーゲンのビートル。次がBMWで、作詞を始めた頃は1964年式のメルセデスに乗ってました。あとは映画ですね。スタイル、匂い、ムードのある映画が好きです。監督だとデヴィッド・リンチ、ジム・ジャームッシュ、ウディ・アレン、アキ・カウリスマキ。
フィンランドの監督で、だいたいの作品が好きですけど特に『マッチ工場の少女』や、『浮き雲』。それで思い出したけど小津安二郎の『浮草』も大好きですね。90年代前半が最も映画館に通った時期で、映画手帳をつけながら毎年250本見ました。ビデオは含めず、映画館で観た数です。靴を脱いで上がるような20席くらいのミニシアターの会員証も持っていました(微笑)。それだけ観ると、映画のことがやっとわかったって感じがしました。歌舞伎もその魅力を理解するまでに10年かかりましたから。毎月のように歌舞伎座に通って10年です。頭の回転が遅いのにくわえて、しつこい性格なんですね。突き詰めたくなる気持ちを愛と呼んでますけど(笑)。
35周年の集大成としてMax Luxをプロデュース
Max Luxは、35周年のアニヴァーサリー・アーティストとしてデビューさせたロシア出身のコーラス・ユニットです。結成は2013年で、ライブを中心に六本木のライブハウスを拠点に活動していました。「歌がうまい、性格が良い、美貌である」を選考基準に選び抜いたメンバーです。3回メンバーチェンジして現在の構成になりました。コーラスがもともと好きなのでMax Luxはぼくの夢を実現してくれるドリーム・ガールズですね。
2008年に歌舞伎の市川右近さんと演った『虎島キンゴロウショー 魅惑の夜』という1964年の赤坂のグランドキャバレーのバーレスクという設定のミュージカル・ショーがむちゃくちゃ受けて、その時、日本語でJ-POPを歌う美貌の外国人というアイデアを試していたのですが、その発展形です。歴史は長いんです。性格はしつこく歴史は長く(笑)。
それに、芹澤廣明さんの影響も大きいですね。いま芹澤さんはアメリカで仕事をしているんですが、そのプロジェクトは最初ぼくと一緒にやるはずだったんです。「一緒にやろうよ」って誘われて、詞を書くつもりでいたんです。でも1年くらい後で「キング・クリムゾンのメンバーだった作詞家と組むことになったから」って(笑)。「なんだよさびしいなあ」って思って。芹澤さんはぼくの「運命の男」だから、意識せざるを得ないところがあるんですね。むこうが3つ年上だから、尊敬する兄貴のマネをしたがる弟っていう構図かな(笑)。で、彼がアメリカに行くなら、自分も何かしないとマズいなって…。そんなわけで、アメリカのヒットチャート・オリエンテッドで結成したコーラス・ユニットです。日本でヒットさせて、ロシアで、そしてユーロビジョンというヨーロッパの音楽祭で優勝して、「運命の男」とアメリカで当てるのが夢です。
最初はオリジナルの新曲が7曲録音してあったので、プラス3曲を自分の作品のカバーの普通のオリジナルアルバムとして出そうと思ったんですけど、すべてをヒット曲のカバーにしてボーナス・トラックでオリジナル3曲を収録し、「砂の果実」という自分回顧録とシンクロさせた、35周年のトリビュート・アルバムという形で発売しました。

売野雅勇プロフィール
上智大学文学部英文科卒業。コピーライター、ファッション誌編集長を経て、1981年、ラッツ&スター「星屑のダンスホール」などを書き作詞家として活動を始める。1982年、中森明菜の「少女A」のヒットにより作詞活動に専念。以降チェッカーズを始め近藤真彦、河合奈保子、シブがき隊など数多くの作品により80年代アイドルブームの一翼を担う。
90年代からは坂本龍一、矢沢永吉からゲイシャガールズ、SMAP、森進一まで幅広く作品を提供。郷ひろみ「2億4千万の瞳」、ラッツ&スター「め組の人」チェッカーズ「涙のリクエスト」、稲垣潤一「夏のクラクション」、荻野目洋子「六本木純情派」、矢沢永吉「SOMEBODY'S NIGHT」、GEISHA GIRLS「少年」、中谷美紀「砂の果実」などヒット曲多数。
また1990年以降映画・演劇にも活動の場を広げ、脚本監督作品には『シンデレラ・エクスプレス』『BODY EXOTICA』。脚本プロデュース作品の舞台には『ミッシング・ピース』(市川右近演出・千住明音楽)『天国より野蛮』(市川右近・宝生舞主演)『優雅な秘密』(市川右近・市川春猿主演)『美貌の青空』(市川右近・市川春猿・市川段治郎主演)『下町日和』(市川右近・市川春猿・市川段治郎主演)『虎島キンゴロウ・ショー/魅惑の夜』(虎島キンゴロウ・市川右近・金子國義主演)がある。
2016年8月に作詞活動35周年記念コンサート『天国より野蛮』を開催。鈴木雅之,藤井フミヤ、中村雅俊、荻野目洋子、稲垣潤一、中西圭三、山本達彦、南佳孝、森口博子、麻倉未稀などのアーティストが結集。 
■作詞家・売野雅勇語る 80年代と歌謡曲黄金時代 2016/12
日本のポピュラーソング=歌謡曲が全盛だった1980年代、作詞家・売野雅勇は時代の気分を引っ張っていた。その気分に乗って青春を謳歌した作家・甘糟りり子が、バブルの「聖地」だったかつての東京・赤坂プリンスホテルの跡地で売野と会い、「歌謡曲の時代」のカロリーに想いを馳せる。売野アゲイン!
いなせだね「め組のひと」
それまで「海の家」は、のどかな家族の憩いの場であった。畳張りの店内には扇風機が置かれ、簡素な更衣室があり、ござや浮き袋などを貸し出したりする。提供されるメニューは、ラーメンにカレーライス、かき氷など。
がらりと変わったのが1983年だ。神奈川県の江ノ島・西浜に「SHISEIDO サンフレアハウス」がオープンした。白と黄色を基調としたカフェ&バーのようなしゃれた建物が現れたのだ。江ノ島の砂浜が「浜」から「ビーチ」になった。深緑色のはずの海を青く、灰色のはずの砂を白く錯覚させてしまうほど、江ノ島の景色が変わった。
ハウスの横に、当時としては浜辺には不釣り合いと思われる大掛かりなステージもあった。海開きの日には、資生堂の夏のイメージキャラクターであるトリー・メンドーサやCMソング「め組のひと」を担当したラッツ&スターが駆けつけた。
その歌は、こんな印象的なフレーズで始まる。
──いなせだね 夏を連れてきたひと 渚まで 噂走るよ めっ
当時、私は大学1年生ではじめてのアルバイトをサンフレアハウスで経験した。「め組ガールズ」と名付けられた私たちのユニフォームは短いTシャツと切れ込みの深い黄色い短パン。今ならおそらく露出の多い水着になるだろう。まだ、のどかな時代だった。研修で教えられた派手なメイクをして、サンオイルを売り、イベントの司会をして、お客様に頼まれればポーズをとって写真に収まったりもする。その夏じゅう、ずっと「め組のひと」を聞きながら働いた。今でもこの歌を聞くと反射的に、香ばしいサンオイルの匂いとギラギラした太陽の感触を思い出す。
資生堂のサンフレアハウス以降、企業がこぞって湘南エリアの海の家に進出するようになった。世の中のそこらじゅうに金脈が隠れていて、消費者と企業がいたちごっこしている時代だった。
「め組のひと」の作詞は麻生麗二。その後、チェッカーズや中森明菜、河合夕子、坂本龍一から矢沢永吉まで、数々のヒット曲の歌詞を生み出した売野雅勇さんの当時のペンネームである。
赤坂プリンスホテル
今年で作詞家35周年を迎えられた売野さんに、“あの頃”の話を伺った。場所はプリンスギャラリー紀尾井町。赤坂プリンスの跡地に建ったラグジュアリーホテルだ。インタビューにあたって80年代に繋がる場所を探したのだが、当時も輝いていて、今もなお健在という空間はめったにない。そこで、バブルの象徴ともいえる「赤プリ」跡地のホテルの35階にある「ザ・バー・イルミード」で待ち合わせた。
そのいきさつを告げると、売野さんはいった。
「ここ一番のデートで、よく訪れましたよ。その時の女性と結婚しました。あの頃って、赤プリの旧館は特別な場所でしたよね」
大きい声じゃいえないんだけど、と前置きしてから、旧館は後ろめたい関係の女性とは絶対に来なかったな、と付け加えた。
それからしばし、プリンスホテルの話題で盛り上がった。水族館のようなプールがあった六本木プリンス、屋外プールがおしゃれだった麻布プリンス。東京に外資系のホテルが乱立する前、プリンスはゆるぎないブランドだった。
バブルと呼ばれる狂乱の時期は89年から92年と案外短い(86年からという説もあるが)。80年代とはほとんどがバブルの前兆期だったのだ。あの頃の街には、沸点まで行きつく前の、楽しげではなやかでなおかつのどかな空気があったと思う。
そんな時代を彩ったのが歌謡曲だ。まだJ-Popなんて言葉はなかった。歌謡曲をどう定義するのか、売野さんに聞いてみた。
「歌謡曲は音楽的な定義はできないんじゃないかな。いろいろなジャンルをどんどん侵食して、取り込んでいくものだと思ってます。増殖する宿命を持った音楽というか。たとえば、アン・ルイスが歌ったのは歌謡曲だけれど、彼女自身はロックなんです」
あの頃、私たちは、TBSの「ザ・ベストテン」というランキング形式の歌番組で新しい歌謡曲を知り、楽しんだ。順位の変動を含めての娯楽だった。
売野さんは、チャート・オリエンテッドが歌謡曲の必須条件だという。
「売れることを前提として作られた音楽という意味です。歌謡曲の作家たちはヒット曲が書けないと価値がなくなっちゃう。たとえ売れなくても、作品としていい、なんてものはないんです、歌謡曲には」
売野さんが、チャート・オリエンテッドの作り手として興奮するような手応えを覚えたのは、中森明菜に書いた「少女A」だったという。子供でも大人でもない、少しませた思春期の少女の歌だ。当時、彼女にはどうやら気になる男がいたらしく、それはくっきりと性を含んだ気持ちである。その歌詞のせいなのかどうか、中森明菜本人が歌うのをいやがって、スタッフが、とりあえずレコーディングで1回歌うだけでいいから、と説得した。その時のふてくされた空気が、ちょうど歌に合っていたという。
「少女A」に限らず、あの頃の歌は、たいてい何らかの具体的な場面を想像できた。場面どころか、一曲が完結した物語として成り立っているものもあった。たとえば、ちあきなおみの「喝采」(作詞・吉田旺)のように。
「あれは、本当によくできています。完成されてますよね。実は、喝采をやってくれっていわれて僕が書いたのがチェッカーズの『星屑のステージ』なんです。他にもいくつかあるんですけど、なかなかできなかったですね、あそこまでのは」
近頃のJ-Popと呼ばれる歌には、「がんばろう」だの「感謝」だの「信じる」だの「夢」だの、耳ざわりのいい言葉ばかりで埋め尽くされた抽象的なものが多い。彼ら彼女らは、共感という使命を前に、場面の限定を恐れているのだろうか。世界平和の前に、もっと個人的な物語を聞きたいと私は思うのだけれど。
「だから、曲を丸ごと覚えてもらえないんじゃないかな今の歌ってワンフレーズぐらいは口ずさむことがあっても、なかなか曲全体を世間に覚えてもらえないですよね」
最近の歌にはかっこいいと思えるものが少ないと、売野さんはいう。
制作費1億円
80年代は、レコードからCDへの転換期でもあった。
世界初の商業用CDは82年、ビリー・ジョエルの「ニューヨーク52番街」(レコードリリースは87年)。邦楽では同じく82年、大瀧詠一の「A LONG VACATION」である。あっという間に、世の中にはCDデッキが普及していく。
「当時はシングル盤が8cmになって、アダプターをつけないと再生できない機種もあったりして、もしかしたらシングルという商品自体がなくなるかもしれないという話も出ていたんです。筒美京平さんが『さびしいなあ』というわけ。シングルに生きてきた人ですから。自分の使命がなくなっちゃうんじゃないかという危機感があってね。それぐらいヒット曲というものに固執していました」
シングルで勝負するアイドルや歌謡曲の歌手、アルバムで個性を発信するシンガーソングライターやミュージシャン、バンド。なんとなくの棲み分けがあった。今のように、アイドルも演歌歌手もバンドマンもひっくるめて「アーティスト」などとはいわなかった。
「アイドルのコンセプト・アルバムはめったになかったですね。僕はやってる方かな、特に、荻野目洋子さんの『246コネクション』は大成功でした。国道246号線を皇居からスタートして、青山、渋谷とかいろんな場所を通って、最後は沼津で太平洋に出る。87年です。バブルが始まりかけて、地価も246沿いに次第に上がっていった。事務所の社長と話して、社会事情や経済に密着した歌があってもいいんじゃないかということになったんです。もちろん、その頃は、バブルだなんてわからないから、ずっと上がり続けるものだと思っていましたけれどね」
そう、我々一般市民は誰も考えていなかった、上昇気流にのった経済がぱちんと音をたてるようにはじけるだなんて。パーティのような日々がなんとなく続くのだろうと思っていた。
当時のアイドルのアルバムは10万枚が目安だったが、「246コネクション」は80万枚を売り上げたという。
制作費も桁違いだった。89年に売野さんが手掛けた某アルバムは1億近かったそうだ。サンフランシスコで録音された。日本からのスタッフはサンフランシスコに滞在し、プロデューサーやミュージシャンはアメリカの実力者たち。
「それぐらいお金をかけてもいいものを作ろうとしていたんですよね。それを判断した人、お金を出した人は偉いと思う」
ここまで派手でなくとも、アルバム1枚の予算は4000万〜5000万円が普通だった。
今は、どれぐらいなのだろうか。
「1曲、15万円で完パケお願いできませんか、なんていわれるみたいですよ」
いったい何桁違うのだろうか……。
フロムファースト
売野さんは元々東急エージェンシーインターナショナルのコピーライターだった。二足のわらじで作詞家をスタートさせた時、麻生麗二というペンネームを使った。大好きだったブライアン・フェリーを自分なりに漢字に翻訳し、同時にファンだった映画評論家の今野雄二へのオマージュも込めた。このペンネームでは、主にラッツ&スターを手掛けていた。
インターネットのない時代である。その名前だけを頼りに「麻生麗二」を探し当てて、作詞の依頼をしてくれる人もいた。あっという間に作詞家として忙しくなり、本名のまま仕事をするようになった。
作曲家の筒美京平さんには、いろいろなレストランに連れていってもらった。音楽のシロウトだった売野さんは、筒美さんによく質問をした。リズムのことから始まって、(稲垣潤一の)「夏のクラクション」はどうしてこうなったんですか?といった楽曲のことまで。
「そうしたら、ある時、売野くん、ちょっと質問が多過ぎっていわれちゃって。詞がうまくなりたかったら、音楽や詞の勉強をしてもしょうがない、一番大切なのは旅行だと。旅こそがやがてわれわれの血となり肉となるとおっしゃいました」
旅行も一緒に行くようになった。一番思い出深いのは、アフリカのケニア。サファリにも行った。ホテルはテント風の趣向が凝らしてあり、夜中にカバが水浴びをしている音が聞こえた。鼻息でテントが揺れるほどだったそうだ。
旅行の他には、映画を見ろ、おしゃれをしろ、と教えられた。センスを磨け、ということだったのだろう。
「あの頃、本当にエレガントだったのは、アルマーニだけだったと思います。僕は、仕事のプレッシャーもあって、刺激ばかり求めてました。だから、ヴェルサーチなんか着たりしてね。フロム・ファーストにあったビジオーネにもよく買い物にいきましたよ。当時の写真を見ると、ちょっと恥ずかしい。アルマーニを着ておけば良かったなあ、なんてね」
売野さんは、そういって照れくさそうに笑って、最近は着るものがなくなってしまった、と嘆く。
もしかしたら、「退屈」なのではないだろうか。80年代のあの熱気を通り過ぎた人なら多かれ少なかれ味わう、喪失感によく似たあの感覚。欲しいものが手に入らない状態より、欲しいものがない状態のほうがさびしい。
後から見返すとちょっと恥ずかしい、そんな写真を撮り続けるには時代の熱量が必要なのだから。 
■芹澤廣明&売野雅勇、昭和の黄金コンビがアメリカで復活  2020/5
作曲家・芹澤廣明が曲を手掛け、作詞家・売野雅勇が英語詞を書いた楽曲「Julia」が5月22日にアメリカで発売を迎える。
芹澤と売野の両名は1980年代に中森明菜の「少女A」、そしてチェッカーズの「ジュリアに傷心」「涙のリクエスト」「星屑のステージ」など一連のヒット曲を世に送り出したことでも知られる昭和の黄金コンビ。これらスマッシュ・ヒットとなったシングル盤の累計売上枚数は1,000万枚を超えている。
令和の世に入り、「Julia」はアメリカ東海岸に本社を構えるメジャー・インディペンデント・レコード会社、サンセット・コーポレーション・オブ・アメリカから発売されることとなった。
ラテン調に仕上がった「Julia」を歌っているのは芹澤廣明。アメリカで発売される芹澤廣明自身が作由し歌唱するシングルとしては、これが3曲目となる。アメリカでのデビュー・シングルとなった「Light lt Up!」は2018年にリリースされ“70歳の新人アーティスト、アメリカでデビュー”として当時話題となった。また、それに続いたシングル、「Energy Of Love」は2019年に発売されている。
「Juha」のアメリカ発売が決まったことについて、芹澤廣明と売野雅勇は以下のコメントを寄せている。
芹澤廣明 コメント
40年来の友人であり、仕事仲間である売野雅勇さんと一緒にいつの日かアメリカに打って出たいと思っていましたが、「Julia」で長年の夢が実現し感激しています。曲が仕上がった段階でこの曲の詞は「売野さんしかいない」と思い、英語詞をお願いしました。難しい要望にも拘わらず、売野さんに快諾して貰ったことに改めて「深い友情」を感じました。日本では幸運にも二人である程度の成功を収めることができましたが、アメリカでどこまで通じるか、今まで僕がアメリカで出している2曲以上に期待しています。
売野雅勇 コメント
40年前、芹澤廣明さんとコンビを組んだ1発目の作品「少女A」が大ヒットして以来、チェッカーズ始め色々なヒット曲を一緒に作って来たこの「運命の男」「幸運の作由家」と出逢ってから40年目という節目の年に、アメリカで作品がつくれたことに感謝しています。また同時に芹澤さんのアメリカ第3弾を書けたことを誇りに思います。 
 
群馬県

 

■いい湯だな
いい湯だないい湯だな 湯気が天上から ポタリと背中に
つめてェなつめてェな ここは上州草津の湯
   いい湯だないい湯だな 誰が唄うか 八木節
   ・・・ ここは上州伊香保の湯
いい湯だないい湯だな 湯気にかすんだ 白い人影
・・・ ここは上州万座の湯
   いい湯だないい湯だな 日本人だなァ 
   ・・・ ここは上州水上の湯 
■むすめ上州鴉
肩に重たい振り分け荷物 風が冷たい上州鴉 
なんの憂き世に未練はないが 捨てちゃならない 捨てちゃならない夢がある
   ・・・ 思いこんだら脇目もふらぬ そんな若さが そんな若さが懐かしい
・・・ 歌は世につれ世は歌につれ 待てば日和の 待てば日和の春がくる  
■おんな上州路
笠に一輪 椿の花を 射せば見返る 外道すずめ
惚れたあなたの 後追いかけて 今日は渋川 明日は桐生
雲と旅ゆく アン・ア・アン・アン・アン おんな上州路 ・・・
風に落葉の 暮坂峠 越えりゃ恋しい 故郷の母が
思案水上 情けの榛名 恋に生きます 心のままに
命ひとすじ アン・ア・アン・アン・アン おんな上州路 
■名月赤城山
男ごゝろに男がほれて 雁が鳴いてく赤城山
澄んだ夜空のまんまる月に 今宵横笛誰が吹く
   意地の筋金度胸のよさも いつか落目の三度笠
   ・・・ さとるわらじに散る落葉
渡る雁がね乱れて啼いて 明日はいづこの塒やら
・・・ またもさわぐか夜半の風 
■赤城の子守唄
泣くなよしよし ねんねしな 山の鴉が 啼(な)いたとて
泣いちゃいけない ねんねしな 泣けば鴉が またさわぐ ・・・
にっこり笑って ねんねしな 山の土産に 何をやろ
どうせやくざな 犬張子(いぬはりこ) 貰ってやるから ねんねしな 
■愛されて高崎
小雨に煙った シンフォニーロード 濡れて柳川町 傘もない
あなたに愛されて この街 あなたに逢いたくて この街
ネオンづたいに 面影追って 夜の高崎 聞くうわさ ・・・
ふたりが出逢った ハープの泉 忘れられない 忘れない
あんなに愛されて この街 しあわせありがとう この街
どこかあなたの 香りが残る 好きよ高崎 いつまでも 
■前橋ブルース
よく似た人だというだけで あげたくなるのよ心まで
好いたふりしてあげるから 惚れたふりして踊ってね
あヽ ここは前橋 なぜかこの唄この唄前橋ブルース ・・・
今夜もあなたに逢えなくて 両毛線は終電車
遠い汽笛の淋しさを 酒でぬくめて唄うのよ
あヽ ここは前橋 なぜかこの唄この唄前橋ブルース 
■カルメン故郷に帰る
私しゃモダンな下町娘 ちょいと散歩にニュールック
いきな殿御と手を組んで ララ、歌う唄 甘いラブソング
恋のベニスのゴンドラの唄 濡れます瞳が唇が
ララ、むせび泣くよなセレナーデ ・・・
モンテカルロのひと夜さは 乙なシャンペンかたむけて
浮気まなこのルーレット ララ、玉が飛ぶ 甘い夢が飛ぶ
お金なんかはなくても平気 行きましょ 砂漠の果てまでも
ララ、手に手をとってラブソング  
■木枯紋次郎
縞の合羽が 越え行く峠 後姿が きにかかる 
口の楊枝が 風に鳴りゃ 恋もうらみも かかわりないが 
斬るぜ 木枯紋次郎  
   赤い血潮が とび散る宿場 情無用の 雨が降る
   無縁仏に 咲く花が 泣いて見送る 三度笠ひとつ ・・・ あれは  
雲が飛ぶ飛ぶ あの空あたり 俺の墓場は 野の果てか 
生まれ故郷は 上州か 誰がつたえる あいつの噂 ・・・ さらば
上州新田郡三日月村に生れ 十才の時一家は離散したと伝えられるが
天涯孤独の紋次郎が何故無宿渡世の 世界に入ったかは定かでない  
■だれかが風の中で
どこかで だれかが きっと待っていてくれる
くもは焼け 道は乾き 陽はいつまでも沈まない
こころはむかし死んだ ほほえみには 会ったこともない
きのうなんか知らない きょうは旅をひとり
   けれどもどこかで おまえは待っていてくれる
   きっとおまえは 風の中で待っている
どこかで だれかが きっと待っていてくれる
血は流れ 皮は裂ける 痛みは 生きているしるしだ
いくつ 峠をこえた どこにもふるさとはない
泣くやつはだれだ ・・・
 

 

群馬県
いい湯だな デューク・エイセス
湯の郷つづり 中村悦子
街 MAY'S
夜の糸ぐるま 美沢めぐみ
小桜おせん 市川由紀乃
キャベツ白書 ピーベリー
泡MISSON 進藤尚美
夏の思い出 はいだしょうこ
上州鴉 瀬川伸
上州よいとこ 市丸
上州さわやか音頭 橋幸夫/金沢明子
上州子守歌 双葉勝之
上州の風 勝手に観光協会
上州恋風 水森かおり
上州一匹旅鴉 松島進一郎
上州松五郎 清水博正
むすめ上州鴉 瀬川瑛子
おんな上州路 音羽しのぶ
おぼろ月夜の上州路 森山愛子
名月赤城山 東海林太郎
赤城の子守唄 東海林太郎
風のエアメール 庄野真代
カルメン故郷に帰る 高峰秀子
たそがれの橋 都はるみ
誰よりも愛してる〜いま君がすばらしい〜 KATSUMI
群馬はきのこのふるさとよ
焼にくだんべぇ
恋港 藤川俊男
おきな草(翁草) 青山みき
浮世絵の女 早川晃司
いいんだよ 星ゆたか
しゃらくせえ 加渡京子
光と風のなかで
一衣帯水 山本一太
GET WILD LIFE Lead
愛のコイノボリ 近藤まさひろ
すばらしいきみたちへ 加藤紀代子
水と命 大野千晶
榛名山 水森かおり
湖畔の宿 高峰三枝子 (榛名湖)
榛名湖の愛 池田進/グリーンアイズ
霧の碓氷峠 水森かおり
碓氷馬子唄 樺沢芳勝
ふる里みなかみ なつこ
心の旅 なつこ
伊香保挽歌 橘あきら
伊香保の夜 池田進とグリーンアイズ
伊香保の女よ 橘のぼる
里恋峠 田端義夫
新里音頭 由岐ひろみ
草津音頭 染菊
草津節 染菊
吾妻小唄 つづみ
高山情緒 十和田みどり
たかやま音頭 十和田みどり 
利根音頭 大木純一
高崎小唄 淡谷のり子
高崎新調 天野喜久代
観音小唄 新橋喜代丸
高崎行進曲 大山利夫
高崎音頭 川島信子
高崎夜曲 平井輝夫/川端智恵子
高崎の女 峰たかし(ロス・プリモス)
アイラブ高崎 ロス・アモーレス
愛されて高崎 サザンクロス
ラブ・イン・高崎 美原とも惠
お富さん 春日八郎 (高崎柳川町)
赤城嶺に (前橋市歌)
前橋ブルース サザンクロス
好きです前橋 サザンクロス
ふるさと前橋恋の街 岬伸二
まえばし雨情 双葉勝之
広瀬川慕情 野路由紀子 (前橋・伊勢崎を流れる利根川水系)
太田囃子 春日八郎/文京子
金山慕情 大津美子
光と水と緑と〜板倉の四季〜 オユンナ
タイムトラベル小泉線 (群馬県大泉町)
尾曳の渡し 森山愛子 (館林)
木枯紋次郎 大川栄策
だれかが風の中で 上條恒彦

娘道中伊達姿 美空ひばり
月の渡り鳥 青島りつ子
女国定 二葉百合子
しのぶの渡り鳥 音羽しのぶ
娘道中記 川野夏美
望郷おとこ笠 三門忠治
忠治任客旅 島津亜矢
忠治流れ旅 北島三郎   
 
埼玉県

 

■重忠節 
   ■重忠節 1
秩父の嶺に 雲は湧き 流れも清き 都幾川(つきがわ)の
山河ゆかしき 菅谷野は 関東武士の かがみなる 重忠公の やかた跡
   文武の道に 励みたる 誠忠無比の 精神(まごころ)は
   源平宇治の たたかいに ひよどり越えの かちどきに 先陣競う 男意気 ・・・
時は過ぎゆく 幾星霜 菅谷野山河 遷(うつ)るとも
鎌倉武士の 功(いさ)をしは われ等がたぎる 熱血に 生きてぞ通う 重忠ぶし
   ■重忠節 2
国は武蔵の畠山 武者と生まれて描く虹
剛勇かおる重忠に いざ鎌倉のときいたる
   平家追い討つ一の谷 愛馬三日月背に負えば
   そのやさしさに馬も泣く ひよどり越えの逆落とし
雪の吉野の生き別れ 恋し義経いまいづこ
静の舞の哀れさに 涙で打つや銅拍子 ・・・
   仰ぐ秩父に星移り 菅谷館は苔むせど
   坂東武者のかがみぞと 面影照らす峯の月 
■大宮で別れた修善寺の女
急行で つれだした 修善寺の女 強引な くちづけして 愛をのりこす
   素直な瞳を まっすぐ見れずに いくじなし 勢いだけだね
大宮別れようここで 各駅をおりよう 旅館の予約も取れぬ 今夜
やめておくさ 日本海が ゆめゆめゆめ 荒れるから
   みやげ屋で咲いていた 俺にゃすぎた女 気のきいた 場所もしらず 大船こえて
大きな 幸せ 求めているなら 乗りかえて ばかりじゃ ダメさ
   大宮ネオンは消えて 土地勘もとぎれて ホテルのありかも知らず今夜
   別れるけど 朝の君に ゆめゆめゆめ 会うからさ ・・・ 
■大宮駅から乗る女
生まれ故郷に帰るなら やっぱり一人は淋しいわ
じっと見つめる靴の先 答えないままベルが鳴る
つらいけどつらいけど仕方ない ああぁああぁ大宮駅から乗る女
   二年三月の想い出は あなたと作った夢ばかり
   夕べ一晩泣きながら カバンひとつに詰めました ・・・
昔遊んだあの山は 今は紅葉で赤い頃
恋に疲れたこの胸を きっと迎えてくれるでしょう ・・・ 
■キューポラのある街
生きて働らきキューポラの ある町 築いてひっそりと
霧に 仲よく消えてった ああたくましいあなた達 ・・・
今も あなたがキューポラの ある町 育てたその汗が
鋳型一つに滲みている あああなた達さようなら 
■おねぎのマーチ
おねぎだよ おねぎだよ 白くてながーいあんよにさ
ふるいつきたくなるんだと 鴨が言うのさ 利根川の
おねぎだよ おねぎだよ みどりの帽子が 風を切る
深谷育ちの人気者 おねぎのおねぎのマーチだよ
シャッキシャッキシャッキ ガッツガッツアンドゴー ・・・
おねぎだよ おねぎだよ たべると ムクムク ねぎ力
僕の元気の源(もと)だよと 鴨が言うのさ 利根川の
おねぎだよ おねぎだよ ムクムク娘の流し目に
深谷もみじも ほうれん草 おねぎのおねぎのマーチだよ
シャッキシャッキシャッキ ガッツガッツアンドゴー 
■坂の下に見えたあの街に
まとまった金をため ひとり街を飛び出していくことが
新しい夢の中 歩いて行くことだから
でも寂しそうに見送りに立ちつくす母親にさえ
さよならが言えずじまいで アクセルふみ込んでた
あなたの夢に育まれて その夢奪ってくわけじゃない
   小さな俺を眠らせた こわれちまった オルゴールが 
   バッグの中で 時をかなでている
   俺は車を止めて手を振っていたよ 坂の下 暮れていく街に ・・・
坂道のぼり あの日街を出たよ いつも下ってた 坂道を
家庭を飛び出してきたのは それより上目指してたから
やがて俺も家族を持ち 同じ様に築きあげるだろう
何もかもわけあって行く様にね
   思い出す たそがれて行く街を 坂の下 たたずんでいた街を
   俺はいくつもの 傷をきざみ込んだ 坂の下に見えたあの街の中 
 

 

埼玉県
重忠節 三橋美智也
大宮で別れた修善寺の女 ビートたけし
大宮駅は別れ駅 風舞あきら
大宮駅から乗る女 アローナイツ
キューポラのある街 吉永小百合
新座音頭 藤山一郎
おねぎのマーチ 島津亜矢
坂の下に見えたあの街に 尾崎豊
 
千葉県

 

■北ウイング
Love Is The Mystery わたしを呼ぶの
愛はミステリー不思議な力で
映画のシーンのように すべてを捨ててく Airplane
北ウイング彼のもとへ 今夜ひとり旅立つ
いちどはあきらめた人 心の区切りの Teardrops
都会の灯りちいさくなる 空の上で見降ろす
   夢の中をさまようように 夜をよぎり追いかけて夜間飛行(ミッドナイトフライト)
   Love Is The Mystery 翼ひろげて 光る海を越えるわすこし不安よ
日付が塗りかえてゆく 苦しいだけのきのうを
あなたが住む霧の街が 雲の下に 待つのね ・・・ 
■八千代ふるさと音頭
ソレ ソレ 手拍子 シャン シャン シャン
八千代よいとこ 梨どころ 甘い実がなる 丸くなる
ソレ ソレ 手拍子 シャン シャン シャン
踊れ 世界を つなぐように 歌え はばたけ たからかに
八千代 八千代ふるさと 若い町
八千代 よいとこ 新川に  エビや 小ブナの 泳ぐかげ
ソレ ソレ 手拍子 シャン シャン シャン
踊れ 世界を つなぐように 歌え はばたけ たからかに
八千代 八千代ふるさと 若い町 ・・・
   八千代 よいとこ 灯がともる たどる 家路の 窓と窓
   ソレ ソレ 手拍子 シャン シャン シャン
   踊れ 世界を つなぐように 歌え はばたけ たからかに
   八千代 八千代ふるさと 若い町 
■月の沙漠
月の沙漠をはるばると 旅の駱駝らくだがゆきました
金と銀との鞍くら置いて 二つならんでゆきました
   金の鞍くらには銀の甕かめ 銀の鞍には金の甕
   二つの甕はそれぞれに 紐ひもで結んでありました
さきの鞍には王子様 あとの鞍にはお姫様
乗った二人はおそろいの 白い上衣うわぎを着てました ・・・  
■大利根月夜
あれを御覧と指差すかたに 利根の流れをながれ月
昔笑うて眺めた月も 今日は今日は涙の顔で見る ・・・
もとをただせば侍そだち 腕は自慢の千葉仕込み
何が不足で大利根ぐらし 故郷じゃ故郷じゃ妹が待つものを  
■大利根無情
利根の利根の川風よしきりの 声が冷たく身をせめる これが浮世か
見てはいけない西空見れば 江戸へ江戸へひと刷毛(はけ)あかね雲
   義理の義理の夜風にさらされて 月よお前も泣きたかろ 
   ・・・ 男男泪の落し差し
瞼瞼ぬらして大利根の 水に流した夢いくつ 
・・・ 鐘が鐘が鳴る鳴る妙円寺  
■真冬のサーファー
真冬のサーファは まるでカラスの群れのようさ 灰色の風しょって 空へ漕いでゆく
いちばんへたなだれかさん 私は願をかける 悩んでるこのごろ ぬけ出す気持ちで
   次のいい波は まっ先につかまえてよ
   フラレたことも 見えない明日も 笑いばなしさ そのうちに
   眸をこらして見つめれば あいつは水を蹴った
   おもわずほほえむと 前歯がこおるの ・・・
ゆきずりの荒れた浜辺で 焚火を見つけたなら 声かけてそこには 彼がいるから
私とサーファーは まるでカラスの群れのようさ Take off の高鳴りを かかとに感じる 
■9月には帰らない
9月には 帰らない ただひとり 残っても
明日あたり 燈台へ 波しぶき見に行こう
未来が霧に閉ざされていた頃は この潮騒が重すぎて 泣いた ・・・
無口な人は夏の日のはかなさを うまく言えずにバスの窓おろす
今はもう負けないわ 9月には帰らない 9月には帰らない 
■矢切の渡し
「つれて逃げてよ・・・」「ついておいでよ・・・」
夕ぐれの雨が降る矢切りの渡し
親のこころにそむいてまでも 恋に生きたい二人です
   「見すてないでね・・・」 ・・・
   噂かなしい柴又すてて 舟にまかせるさだめです
「どこへ行くのよ・・・」 ・・・
息を殺して身を寄せながら 明日へ漕ぎだす別れです  
 

 

千葉県
北ウイング 中森明菜
八千代ふるさと音頭 森昌子
やっさいもっさい ディユーク・エイセス
勝浦シャンソン 水前寺清子
月の沙漠 松島詩子
大利根月夜 田端義夫
大利根無情 三波春夫
真冬のサーファー 松任谷由実
9月には帰らない 松任谷由実
矢切りの渡し ちあきなおみ (松戸矢切―葛飾柴又)
 
東京都

 

■東京 (五輪真弓)
長いこと 離れていたら夢にみた 日が暮れてゆく東京 アスファルト
咲いたたんぽぽを思い出す 日が暮れてゆく東京
雨あがりの路に 母ははいてたハイヒール
急ぐように 変わる姿の街並に 想い出あせた東京 訪れる
住んだ瞳の若者が 笑いかけるよ東京
都会のあたらしさ 君は魅かれるかい 今日の日も ・・・ 
■東京 (美輪明宏)
世界の都でどこよりも 素晴らしいのはそれは東京さ
浮気で鳴らしたこの僕(ぼく)が 東京だけは離れられないで
誰(だれ)よりも大切に愛してる都さ 世界の恋人それは東京さ
   パリやローマやニューヨーク 悪くはないが昔の恋人さ
   遊びにあきたこの僕が 離れられない愛(いと)しいその人は
   新しく装えど心古き女 仇(あだ)な黒髪それが東京さ ・・・
素晴らしいのは 「なんてったって」それは東京さ 
■東京アンナ
ライトの虹を 踏みながら 銀座の夜を ひらく薔薇
ああ誰(たれ)か呼ぶ 舞姫の その名はアンナ 東京アンナ 噂のアンナ ・・・
重ねる酒の 激しさは 堪(こら)えた恋の しわざやら
ああ誰が知ろ くずれ咲く その名はアンナ 東京アンナ 吐息のアンナ 
■東京悲歌(エレジー)
まぶたとじればまぶたに浮かぶ 思い出恋し影いとし
命かぎりに呼べばとて 君は答えずああ雨が降る ・・・
たもと重たい花嫁衣裳 泣き泣き着ればなお悲し
ぬれた瞳にまぼろしの 君はいずこかああ雨が降る 
■東京音頭 (小唄勝太郎)
ハア 踊り踊るなら チョイト 東京音頭 ヨイヨイ 
花の都の 花の都の 真中で サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
   ハア 東京よいとこ チョイト 日の本照らす ヨイヨイ
   君が御稜威(みいつ)は 君が御稜威は 天照らす サテ
   ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ハア 花は上野よ チョイト 柳は銀座 ヨイヨイ
月は隅田の 月は隅田の 屋形船 サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ ・・・ 
■東京音頭 (八代亜紀)
ハア 踊り踊るなら チョイト 東京音頭 ヨイヨイ
花の都の 花の都の真中で サテ 
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
   ハア 花は上野よ チョイト 柳は銀座 ヨイヨイ 
   月は隅田の 月は隅田の屋形船 サテ ・・・
ハア 幼馴染の チョイト 観音様は ヨイヨイ
屋根の月さえ 屋根の月さえなつかしや サテ ・・・
   ハア 西に富士ケ嶺 チョイト 東に筑波 ヨイヨイ
   音頭とる子は 音頭とる子は真中に サテ ・・・
ハア 寄せて返して チョイト 返して寄せる ヨイヨイ
東京繁昌の 東京繁昌の人の波 サテ ・・・ 
■東京かくれんぼ
強い化粧が くせになり 派手な衣装が くせになり
夜の名前を 何度もかえて 本当の自分が 見えなくなった
銀座 赤坂 六本木 私 東京かくれんぼ ・・・
どこで生きても 夢に見る 何をしてても 夢に見る
あなた愛して いてくれますか 花嫁姿は もう無理だけど
渋谷 新宿 吉祥寺 私 東京かくれんぼ 
■東京カチート
東京カチートカチート・カチート
赤い灯がつく赤坂タウン 甘くながれる夜の色 恋にゃ泣いたがカチートよ
カクテルグラスにからませた あの娘の白い指白い指 好きになってはいけないかい
僕の可愛い相棒よ 東京カチートカチート・カチート ・・・
いいよ いいんだカチートよ あの娘がこの僕夢にでも みたらと思うのさ思うのさ
好きになってはいけないかい 僕の可愛い相棒よ 東京カチートカチート・カチート 
■東京が泣いている
東京が泣いている 泣いている 風に落ち葉を ぶちまけて
無理はないだろ はじめての 恋が砕けた 夜だもの
俺と 俺といっしょに 泣いとくれ
   東京が泣いている 泣いている 細い汽笛を 追いかけて
   いっそあの娘(こ)を 憎めたら ・・・ 
■東京キッド
歌も楽しや東京キッド いきでおしゃれでほがらかで 右のポッケにゃ夢がある
左のポッケにゃチュウインガム 空を見たけりゃビルの屋根
もぐりたくなりゃマンホール ・・・
歌も楽しや東京キッド 腕も自慢でのど自慢 いつもスイングジャズの歌
おどるおどりはジタバーク 空を見たけりゃビルの屋根
もぐりたくなりゃマンホール 
■東京行進曲
昔恋しい 銀座の柳 仇(あだ)な年増(としま)を 誰が知ろ
ジャズで踊って リキュルで更けて 明けりゃ ダンサーの涙雨
   恋の丸ビル あの窓あたり 泣いて文(ふみ)書く 人もある
   ラッシュアワーに 拾った薔薇を せめてあの娘(こ)の 思い出に ・・・
シネマ見ましょか お茶のみましょか いっそ小田急で 逃げましょか
かわる新宿 あの武蔵野の 月もデパートの 屋根に出る 
■東京子守唄
遊び疲れて集まる 人の背中の淋しさ
歌もいつしかアカペラ 自分寝かせるララバイ
   もぐり込むベッドよりも きみの膝まくら
   やわらかい あったかい 時のたつのを忘れそう
店の灯りが消えたら 朝が眩しく迎える
だけど やさしい東京 知らん顔してくれるよ
   愛に背いてあの娘は 他人みたいな顔する
   人の流れで手を振る 白い指先見えたよ ・・・
少小股の足どり 思いなおして早める
やはり やさしい東京 知らん顔してくれるよ 
■東京砂漠
空が哭いてる 煤け汚されて ひとはやさしさを どこに棄ててきたの
だけどわたしは 好きよこの都会(まち)が 肩を寄せあえる あなた…あなたがいる
あなたの傍で あゝ暮らせるならば つらくはないわ この東京砂漠
あなたがいれば あゝうつむかないで 歩いて行ける この東京砂漠 ・・・
あなたがいれば あゝあなたがいれば 陽はまた昇る この東京砂漠 
■東京讃歌
恋をすれば 東京の空は青い 青空に 手をさしのべて
胸に抱きしめよう 金色の光 貧しいけれど こころは幸せ
太陽が 夢を育てる 東京 ・・・
恋をすれば 東京の空は青い 雨がやみ 若葉の空の
虹も薄れてゆく たそがれの舗道 静かに祈り 捧げる こころに
星屑が 今日も微笑む 東京 
■東京ジェラシー
青いドレスも 胸の真珠(パール)も 夜に溶けるように似合っているのに
倖せがなぜかしら 似合わない私
   悪い 悪い男(ひと)よね あなた あなたのことよ
   今日はどこの酒場で うれい顔してるの
   東京ジェラシー 淋しい夜と ふられた夜だけ Love me
部屋のあかりは つけておきましょう 白いバラの花が別れを告げるはず
行先は風にでも聞いて下さい
   だめな だめな女ね そうよ 私のことよ 「好き」と離さないで
   ただ言えばいいのに ・・・ サヨナラ 東京ジェラシー 
■東京しぐれ
どでかい東京へ どでかい夢を 抱いて来たのに いく春過ぎた
雨の日風の日 泣いた日が 何度あった何度あった 眠れぬ夜が
背伸びしてみる ふるさと恋し ・・・
淋しさなんかは 誰にもあるさ 勝つか負けるか 明日のさだめ
人の情けの やさしさに 何度あった何度あった 涙の夜が
胸にしんしん 東京しぐれ 
■東京詩集
雨 雨 雨 誰の涙かしめやかに 黒い運河に雨がふる
恋は男をこんなに泣かす きみを抱けばきみを抱けば ああ 涙ふる ・・・
   霧 霧 霧 いうにいえない淋しさに もらす吐息か 窓の霧
   逢えばつらさも 忘れるものを グラス冷たい グラス冷たい ああ カウンター ・・・
風 風 風 並木道吹く今日の風 恋も枯葉と散らしゆく
哀し詩集の表紙のように 空は灰色 空は灰色 ああ 凍え空 
■東京シューシャイン・ボーイ
サーサ皆さん 東京名物 とってもシックな 靴みがき
鳥打ち帽子に 胸当てズボンの 東京シューシャインボーイ
ぼくの好きな あのお嬢さん 今日は まだ来ないけど
きっと彼女は 来てくれる 雨の降る日も 風の日も
サーサ皆さん ぼくが磨けば どんな靴でも よく光る
シュシュシュシュシュ…… シュシュシュシュシュ…… 愉快な 靴みがき ・・・
サーサ皆さん 東京名物 とってもシックな 靴みがき
ダンスがお得意 英語もペラペラ 東京シューシャインボーイ
ぼくの好きな あのお嬢さん 今日はまた どうしたの
きっと明日は 来てくれる いつか二人で 踊りましょう
サーサ皆さん ぼくが磨けば みんなほがらか よく光る
シュシュシュシュシュ…… シュシュシュシュシュ…… 愉快な 靴みがき 
■東京セレナーデ
夜霧が流れる 狸穴あたり 咲く夢 散る花 拾う恋
抱いてください ねえあなた ほんの少し しあわせにしてよ
銀のピアスを 鏡のまえで そっとはずせば
夜が泣いてる 夜が泣いてる 東京セレナーデ ・・・
灯影に 濡れゆく 恋人たちよ 変われどつきない 恋の唄
赤く咲いても 白い花 明日は誰と かりそめのルージュ
夜は真珠か ガラスの街は もらす吐息に
夢もかけあし 夢もかけあし 東京セレナーデ 
■東京夜曲(セレナーデ)
青いランプに夜は更けて カーテン引く手のやるせなさ 泣けば泪の星空を
ああ、流れくるくるあの頃は 誰が歌うか 東京夜曲 ・・・
二人一つの想い出の 匂い薔薇よ小田急よ やさしいソファーに 燃える身を
あああ 投げて夢見る 夢の果て 甘い吐息(といき)か 東京夜曲 
■東京たずね人
着物姿を 見たという 黒いドレスを 見たという
風の噂は東か西か 逢いたさつのれど 途方にくれて
銀座 赤坂 六本木 お前 東京たずね人 ・・・
どこで生きても 夢をもて 何をしてても夢をもて
さがし出したら この手に抱いて 花嫁衣装でつつんであげる
渋谷 新宿 吉祥寺 お前 東京たずね人  
■東京だよおっ母さん
久しぶりに手をひいて 親子で歩けるうれしさに 小さい頃が浮かんで来ますよ
おっ母さんここがここが二重橋 記念の写真をとりましょね
   ・・・ おっ母さんあれがあれが九段坂 逢ったら泣くでしょ兄さんも
・・・おっ母さんここがここが浅草よ お祭りみたいににぎやかね 
■東京ディスコナイト
チ-クタイムで 流れて揺れて 背中にまわす あなたの指先
スロ-テンポで リズムとってる 輝くフロア 二人抱きあうの
   Deep Love Deep Night ラヴュ- 東京 ディスコ ナイトネ
   Deep Love Deep Night ラヴュ- 東京 夢の世界
熱いささやき 耳に感じる くすぐるような あなたの吐息
廻るレコ-ド もう聞こえない 隅のテ-ブル 二人抱きあうの
   Deep Love Deep Night ラヴュ- 東京 ディスコ ナイトネ
   Deep Love Deep Night ラヴュ- 東京 夢の世界
Pussy 小猫みたいに ずっと 甘えたい このまま ネェ いいでしょ
燃えてる この胸 愛しているのよ
   ミラ-ボ-ルも踊りつかれて 角のパ-ラ-通りすぎたら
   ネオンサインも消えてしまった 霧の歩道に 二人抱きあうの ・・・ 
■東京でだめなら
東京でだめなら名古屋があるさ 名古屋がだめなら 大阪があるさ
すてちゃいないぜ 男の夢は 肌身はなさず だいている
君の写真と 一緒だぜ ・・・
越後でだめなら 津軽があるぜ 津軽がだめでも 北海道があるさ
泣いたからとて どうなるものか 俺のさだめを 変えるのは
しょせんおいらの 血と涙 
■東京ドドンパ娘
好きになったらはなれられない それははじめてのひと
ふるえちゃうけどやっぱり待っている それは始めてのキッス甘いキッス
夜をこがして胸をこがして はじけるリズム ドドンパ ドドンパ
ドドンパがあたしの胸に 消すに消せない火をつけた ・・・ 
■東京ナイト
ビルディングすり抜けろ 重なる Highwayつっ走れ
ニュースキャスター撒いて 今夜は二人 ohno
   ドレスは ひきちぎれ ハイヒール 脱ぎすてろ
   気分次第のあいつらの デマに背中向けた
TOKYO MIDNIGHT TOKYO NIGHT 抱いてこのまま
   ah 愛し合う 二人には 理由なんて いらない
   いつなのか どこなのか ・・・ 
■東京ナイト・クラブ
(男)なぜ泣くの 睫毛(まつげ)がぬれてる (女)好きになったの もっと抱いて
(男)泣かずに踊ろよ もう夜もおそい (女)わたしが好きだと 好きだといって
(男)フロアは青く 仄(ほの)暗い (女)とても素敵な (男女)東京ナイトクラブ
   (女)もうわたし 欲しくはないのね (男)とても可愛い 逢いたかった
   (女)男は気まぐれ そのときだけね (男)うるさい男と 言われたくない
   (女)どなたの好み このタイは (男)やくのはおよしよ
   (男女)東京ナイトクラブ ・・・ (男女)東京ナイトクラブ 
■東京流れ雨
相合傘で よかったら そこの駅まで お送りします
紅い雨傘 あの笑くぼ ひと夜の温もり 忘れない
渋谷 赤坂 六本木 噂たずねて 東京流れ雨 ・・・
都会の風に 馴染めず ひとり故郷に 帰っただろか
ひだり目元の 泣きぼくろ 泣いてはせぬかと 気に掛かる
銀座 青山 池袋 噂たずねて 東京流れ雨 
■東京流れもの (竹越ひろ子)
流れ流れて 東京を そぞろ歩きは 軟派でも
心にゃ硬派の 血が通う 花の一匹 人生だ あゝ 東京流れもの ・・・
曲りくねった 道だって こうと決めたら まっすぐに
嘘とお世辞の 御時世にゃ いてもいいだろ こんな奴 あゝ 東京流れもの 
■東京流れもの (藤圭子)
風が吹いたら 吹かれます 雨が降ったら 濡れまする
馬鹿な男と 云わりょうと 馬鹿は承知の 一本気 あー 東京流れもの
   あの娘可愛い かれん花 俺がいたんじゃ トゲを持つ
   すねるつもりじゃ ないけれど 情け知らずの 恋知らず あー 東京流れもの ・・・
男一匹 皮ジャンに 飾りましょうか 白い花 
聞いてくれるな 身の上は 明日も一人で 流れてく あー 東京流れもの 
■東京流れ者 (渡哲也)
何処で生きても 流れ者 どうせさすらい ひとり身の
明日は何処やら 風に聞け 可愛いあの娘の 胸に聞け ああ 東京流れ者
   流れ果てない 旅に出て いつか忘れた 東京の
   泣いてくれるな 夜の雨 男いのちは 赤く散る ああ 東京流れ者 ・・・
夢はいらない 花ならば 花は散ろうし 夢も散る
どうせ散るなら 男花 恋もすてたぜ 義理ゆえに ああ 東京流れ者 
■関東流れ者 (松方弘樹)
流れ流れて 行く果ては 風に聞いても わかるまい
割って見せたい この胸にゃ いまも堅気の 血が通う あゝ関東 ながれ者
   いつか死ぬほど 惚れた娘も 俺のものでは なかったよ
   淋しや此の世の 暗闇に 探す明日の 夢もない あゝ関東 ながれ者 ・・・
銀座(ざぎん)浅草(えんこ)に また新宿(じゅく)は 俺の仲間さ ふるさとさ
涙を隠した 身の上は 胸のギターが 知るばかり あゝ関東 ながれ者 
■東京の空青い空
鳩が飛び立つ 可愛い 可愛い鳩が 東京の空 青い空 嬉びの鐘が鳴る
若い口笛 吹きながら 柳さらさら 銀座の街を 君と歩けば 明るい心 ・・・
月が輝く バラ色 バラ色月が 東京の空 青い空 麗しの灯が招く
なごりつきない 街角で あすのプランの 指切りすれば さようならよの 別れも愉し 
■東京の空の下あなたは
雨に濡れる遠くの街 明かりが糸を引く 
とてもきれい とてもきれい あなたに見せたいわ
あなたのこと忘れたくて ここまで来たけれど 
ひとときだって ひとときだって 忘れることできない
東京の空の下のあなたには 私の気持ちなんかわからない
傘もささず濡れている あなたを心配するだけ バカね バカね バカね 私は
   たそがれても明るい街 明かりが灯るなら 
   どこも同じ どこも同じ あなたがいないだけ
   あふれ出した人混みの中 押し流されそうで 
   すがる腕が すがる腕が 今夜は欲しいの
   東京の空の下のあなたには 私の気持ちなんかわからない ・・・ 
■東京の椿姫
窓うつ風の ためいきか 更けてネオンの 点る街
その名は 知らない いつか寂しく 浮ぶ顔
あゝ思い出の 胸にすむ 東京の椿姫 ・・・
夜霧の街に つつまれて 暗いさだめの 果てを行く
その名は 知らない 呼ぶな彼方の 白い星
あゝ胸に咲き 胸に散る 東京の椿姫 
■東京のバスガール
若い希望も恋もある ビルの街から山の手へ
紺の制服身につけて 私は東京のバスガール
「発車 オーライ」 明るく明るく走るのよ ・・・
酔ったお客の意地悪さ いやな言葉でどなられて
ほろり落したひとしずく それでも東京のバスガール
「発車 オーライ」 明るく明るく走るのよ 
■東京の花売娘
青い芽を吹く柳の辻に 花を召しませ召しませ花を 
どこか寂しい愁いを含む 瞳いじらしあの笑くぼ ああ 東京の花売娘 ・・・
ジャズが流れるホールの灯かげ 花を召しませ召しませ花を 
粋なジャンバーアメリカ兵の 影を追うよな甘い風 ああ 東京の花売娘 
■東京の人
並木の雨のトレモロを テラスの椅子でききながら
銀座むすめよ なに想う 洩らす吐息に うるむ青い灯(ひ)
しのび泣く 恋に泣く 東京の人 ・・・
都のすがた 店々は 変れどつきぬ恋の唄
月の渋谷よ 池袋 花は今日咲き 明日(あす)もかおるよ
しのび泣く 恋に泣く 東京の人 
■東京の灯よいつまでも
雨の外苑 夜霧の日比谷 今もこの目に やさしく浮かぶ
君はどうして いるだろか ああ 東京の灯よ いつまでも ・・・
花の 唇 涙の笑顔 淡い別れに ことさら泣けた
いとし羽田の あのロビー ああ 東京の灯よ いつまでも 
■東京の夜
別れがつらいと 泣いているよな 雨にぬれてる 新宿の街
やっとみつけた 幸せなのに 誰がこわして しまうのか 今夜かぎりの 東京の夜 ・・・
帰りたくないと すねるおまえを そっと見送る 青山あたり
俺の背中を つきさすように 別れないでと 泣く声が 今も聞える 東京の夜 
■東京の夜
東京の夜 夢の夜 ネオンの灯り ほのぼのと 胸さえ躍る
恋の都花の都 忘れぬ街よ ああ なつかし彼の君 彼の唄
東京の夜 夢の夜 ・・・
東京の夜 夢の夜 墨田の月は こよいもかたり 夜ふけの鐘よ
夜のレヴューかなし小唄 ほほえむ二人 ああ なつかし青い灯 赤い灯
東京の夜 夢の夜 
■東京は恋人
東京は 恋人 私のこころを 知っている
「ひとりぼっちでも めそめそするな お金がなくても くよくよするな」
いつもそよ風 口笛吹いて 若いこころを はずませる
だから私は 大好き すねて甘えて 暮らす 東京は恋人 やさしい恋人よ ・・・
東京は 恋人 私の思い出 知っている
「ママがなくても しくしくするな 夢ならさめても くさくさするな」
いつも青空 明るくみせて 若いこころに 春を呼ぶ
だから私は 大好き すねて甘えて 暮らす 東京は恋人 やさしい恋人よ 
■東京ブギウギ
東京ブギウギ リズムウキウキ 心ズキズキ ワクワク
海を渡り響くは 東京ブギウギ ブギの踊りは 世界の踊り
二人の夢の あのうた 口笛吹こう 恋とブギのメロディー
燃ゆる心のうた 甘い恋の歌声に 君と踊ろよ 今宵も月の下で
東京ブギウギ リズムウキウキ 心ズキズキ ワクワク
世紀のうた心のうた 東京ブギウギ ヘイー ・・・ 
■東京ブルース (淡谷のり子)
雨が降る降る アパートの 窓の娘よ なに想う
ああ 銀座は暮れゆく ネオンが濡れるよ
パラソル貸しましょ 三味線堀を 青い上衣(うわぎ)でいそぐ君
   ラッシュ・アワーの 黄昏を 君といそいそ エレベーター ・・・
   二人で夢見る 楽しい航路(ふなじ) 仰ぐ南極 十字星
だれも知らない 浅草の 可愛い小(ちい)ちゃな 喫茶店 ・・・
私を待ち待ち 紅茶の香り 絽刺(ろざし)する夜を 鐘が鳴る
   昔恋しい 武蔵野の 月はいずこぞ 映画街 ・・・
   更けゆく新宿 小田急の窓で 君が別れに 投げる花 
■東京ブルース (鶴田浩二)
酒場横丁を 横目で抜けりゃ 花のネオンも 嘲笑(わら)ってる
酔うてよろめく 寂しい肩に 霧が沁みこむ 銀座裏 ああ東京 東京ブルース ・・・  
泣きに帰ろか 浅草(ロック)の隅は あぶれ仲間の 吹き溜り
消えちゃいないよ 男の夢は 熱い血潮の 底にある ああ東京 東京ブルース 
■東京ブルース (西田佐知子)
泣いた女が バカなのか だました男が 悪いのか
褪せたルージュの 唇噛んで 夜霧の街で むせび哭く 恋のみれんの 東京ブルース ・・・
月に吠えよか 淋しさを どこへも捨て場の ない身には
暗い灯(ほ)かげを さまよいながら 女が鳴らす口笛は 恋の終りの 東京ブルース 
■東京ブルー・レイン
夜更けの雨は あなたのことを 思い出させる ブルーレイン東京
眠れぬままに 耳をすませば 小雨が唄う ブルーレイン東京
あなたをどんなに深く 愛していたか しれないの
強がりだけで 別れたけれど 悲しくなるわ ブルーレイン東京 ・・・
夜更けにひとり しのんでみるの 涙も小雨も ブルーレイン東京 
■東京みなと
夜の東京 海ならば 男は誰でも さすらい舟よ
右に左に ただよいながら 夢をひろいに 今日も行く ・・・
   かもめみたいな 胸をした 可愛い娘がいる 小さな酒場
   俺が好きかと しんみり聞けば 酔った眼をして 好きという ・・・
夜の東京 海ならば 女の心は 切ない霧笛
古い傷ある 身体をあずけ 眠りたくなる 時もある 
■東京みれん
命儚(はかな)さ知ってるように 蝉が鳴きます 目黒川
ときめくこころも恥じらいも 星は見てます 忍び逢い
想い出沈めて故郷へ帰る 長良の畔(ほとり) 川面に映る やがて寂しや 鵜飼い宿 ・・・
'うちはあんたと一緒になんねん 夢を見ててん' 吾妻橋
隅田を下る尾形船 '好きや言えへん 女やもん'
想い出沈めて故郷へ帰る 東の夜空 面影沁みる 情け難波の 灯がにじむ 
■東京無情
可愛い女と あなたにいわれ 女房きどりで ついてきた
ネオンまたたく 東京で 惚れた惚れた 惚れた分だけ泣かされた
しあわせ 嘘つき 東京無情 ・・・
お酒を飲むひと この指とまれ みんな似たような 淋しがり
恋の砂漠の 東京で 明日は明日は明日は いいことありそうな
咲く花 散る夢 東京無情 
■東京めぐり愛
(男)「やっと逢えたね あゝ良かった さがしぬいたよ 東京を」
(女)「逃げていたけど心では みつけてくれるのを 待っていた」
(男)赤い運命の糸がある (女)それを互いにたぐってた 
(男女)東京ふれ愛 めぐり愛 ・・・
(男)「元気そうだね あゝ良かった」 (女)「はなさないでね もう二度と」
(男)「嫁になりなよ この俺の」 (女)「死んでもいいくらい うれしいわ」
(男女)ごらん あんなに光ってる 二つならんだ 夫婦星
(男女)東京ふれ愛 めぐり愛 
■東京物語 (さだまさし)
ロードショウで 憶えたての メインテーマ 口ずさんで
二人肩を並べたまま 夕暮れの迫る街を
そぞろ歩けば 銀座の町も ちらほら 灯ともし頃
東京 東京 君はつぶやいた 本当のこの町の 姿なんて 誰も知らない
   晴海通り 数寄屋橋へ 皇居前の広場あたり
   議事堂にかかる 夕陽みつめ この町で 生まれた君と
   東京 東京 確かに僕は 本当のこの町の 姿なんて 何も知らない
何もかもすべて 包み込んで わがままさえも 包み込んで 
まるで母の愛のように ・・・
東京 東京 すばらしき人と すばらしきこの町 みつめ乍ら ここで暮らそう 
■東京物語 (森進一)
今日からは赤い爪 あなたに見せない すき透る桜貝 あなたの好きな色
一日に二本だけ 煙草を吸わせて 珈琲の昼下がり あなたを待つ夜ふけ
群れからはなれた 男と女が 小羊みたいに 肌寄せあって
どこかで忘れた青春のかざりもの さがしているような 東京物語 
   夏が過ぎ秋が来て もうすぐ木枯し この冬はあたたかい あなたがいてくれる
   何もまだ約束は したわけじゃないが 春まではこのままで くらしていましょうね
   どこにもいるよな 男と女が ・・・
   見つめているような 東京物語 東京物語 
■東京夜曲
ネオン七いろ 女の町に なんでこの恋 ちょいと 涙いろ
   聞いてくれるな 身の上ばなし ならべたてても ちょいと 愚痴は愚痴
酔えぬお酒で 酔う切なさは 更けてさみしい ちょいと カウンター ・・・
   誰がうたうか 東京夜曲 夢のかけらが ちょいと 又、濡れる 
■東京夜景
ピアニストが甘い歌を弾いているわ 人の気もまるで知らぬふりをしているわ
飲んだくれて悪いジョークとばしてるわ 何もかも同じ景色だわ
ただの別れだったじゃないの 沈んだ顔見せては駄目じゃない そうよ
男には女の 女には男の まごころがいるけど あいつじゃないわ あいつではないわ
   レインコート壁に掛けたままで行った ブーツまで 隅の方においたままでいる
   置き忘れは そんなものが二つ三つ 心だけ持って行ったのね
   ただの別れだったじゃないの 何でもないよくあることじゃない ・・・ 
■東京やんちゃ娘
東京やんちゃ娘 おしゃれでおきゃんで お転婆で
アプレじゃないわ江戸ッ子だい 神田の生れだよ
だけど 男とお酒は大嫌い ダンスや歌なら大好き
ヤンチャ ヤンチャ娘 私は江戸ッ子だい
   東京やんちゃ娘 映画を見なくちゃ眠れない
   コーヒーがなくちゃ起きられない 困ったお嬢さん
   だけど 銀座は毎日ブラブラ お陰で頭は フラフラ
   ヤンチャ ヤンチャ娘 私は江戸ッ子だい ・・・
東京やんちゃ娘 お嫁に行くなら 派手にゆく
お城の中か ジャングルか 私は女王様
若いプリンス 私に首ったけ お金もダイヤも くさる程
ヤンチャ ヤンチャ娘 夢ではないかしら 
■東京ラブ・コール
花の東京で恋して燃えちゃった 初めて出逢った 駅前喫茶
シャレた店 思い出たずね ギンギン銀座に浜松町 噂を迫いかけて
肩寄せ歩く 恋人たちを 横に見て ちょっぴりやけます 有楽町 束京ラブ・コール ・・・
花の東京で夢みて燃えちゃった あなたをさがして 住んでる町は
どこの町 思い出通り カンカン神田へ日暮里へ 廻るは山手線
いつしか逢える 希望を乗せて 走ります あなたをたずねて 池袋 東京ラブ・コール 
■東京ラプソディ
花咲き 花散る宵も 銀座の柳の下で
待つは君ひとり 君ひとり 逢えば行く ティールーム
楽し都 恋の都 夢のパラダイスよ 花の東京
   現(うつつ)に夢見る君の 神田は想い出の街
   いまもこの胸に この胸に ニコライの 鐘も鳴る
   楽し都 恋の都 夢のパラダイスよ 花の東京
明けても暮れても歌う ジャズの浅草行けば
恋の踊り子の 踊り子の ほくろさえ 忘られぬ
楽し都 恋の都 夢のパラダイスよ 花の東京 ・・・
   花咲く都に住んで 変わらぬ誓いを交わす
   変わる東京の 屋根の下 咲く花も 赤い薔薇
   楽し都 恋の都 夢のパラダイスよ 花の東京
   楽し都 恋の都 夢のパラダイスよ 花の東京 
■東京ららばい
午前三時の東京湾は 港の店のライトで揺れる 誘うあなたは奥のカウンター
まるで人生飲み干すように 苦い瞳をしてブランディーあけた
名前は?そう仇名ならあるわ 生まれは?もうとうに忘れたの
ねんねんころり寝ころんで眠りましょうか 東京ララバイ
地下があるビルがある星に手が届くけど 東京ララバイふれ合う愛がない
だから朝までないものねだりの子守歌 ・・・ 
■東京流れもの
流れ流れて 東京を そぞろ歩きは 軟派でも
心にゃ硬派の 血が通う 花の一匹 人生だ ああ 東京流れもの ・・・
曲りくねった 道だって こうと決めたら まっすぐに
嘘とお世辞の 御時世にゃ いてもいいだろ こんな奴 ああ 東京流れもの 
■東京の人
並木の雨の トレモロを テラスの椅子で ききながら
銀座むすめよ なに想う 洩らす吐息に うるむ青い灯(ひ)
しのび泣く 恋に泣く 東京の人 ・・・
都のすがた 店々は 変われど尽きぬ 恋の歌
月の渋谷よ 池袋 花は今日咲き あすも香るよ
しのび泣く 恋に泣く 東京の人 
■東京の人よさようなら
海は夕焼け 港は小焼け 涙まじりの 汽笛がひびく
アンコ椿の 恋の花 風も吹かぬに 泣いてちる 東京の人よ さようなら ・・・
岬廻って 消えゆく船を 泣いて見送る 日暮れの波止場
アンコ椿の 花びらに にじむ狭霧よ かなしみよ 東京の人よ さようなら 
■東京の灯よいつまでも
雨の外苑 夜霧の日比谷 今もこの目に やさしく浮かぶ
君はどうして いるだろか ああ 東京の灯(ひ)よ いつまでも ・・・
花の唇 涙の笑顔 淡い別れに ことさら泣けた
いとし羽田の あのロビー ああ 東京の灯よ いつまでも 
■東京の屋根の下
東京の屋根の下に住む 若い僕等は しあわせもの
日比谷は 恋のプロムナード 上野は 花のアベック
なんにも なくてもよい 口笛吹いて ゆこうよ
希望の街 憧れの都 二人の夢の 東京 ・・・
東京の屋根の下に住む 若い僕等は しあわせもの
浅草 夢のパラダイス 映画に レビューに ブギウギ
なつかし 江戸のなごり 神田 日本橋 キャピタル東京
世界の憧れ 楽しい夢の 東京 
■東京ロマンス娘
捲毛ゆらゆらきらきら瞳 恋のサインかあのほくろ
そっと見上げる広告塔の 声も君待つ夢の歌 あゝ東京のロマンス娘 ・・・
香るアカシヤロマンス並木 つけたまつ毛に月の影
そっと寄り添い挟霧の中で 肩を抱かれて夢を見る あゝ東京のロマンス娘 
■東京ワルツ
燃える夜空のネオンは移り気 すてられた花束が泣き濡れて
七色の雨にうたう ああ 東京ワルツよ
地下鉄(メトロ)で帰った君よ 君よさようなら ・・・
みんな誰かを愛しているのよ キャバレーの虹の灯をうるませて
ためいきの青い靄(もや) ああ 東京ワルツよ
夜更けの並木は明日の 明日の星空 
■トーキョー・シック
ほんの少しのブルースと 心のシャンペンをつめこんで
窓の外はいい天気 今からどこかへ出かけよう
世の中、いやな事ばかりじゃない 落ち込んでないで 街に出かけようよ
   いろんなこと きっと 知りすぎたんだ
   ほんの少しだけ じれったいんだ
   窓の外はいい天気 今からどこかへ出かけよう
   世の中、いやな事ばかりじゃない 考えこまずに 街に出かけようよ
街にはステキな 偶然に満ちてる 不思議だと感じる心 忘れないで
   ふたりで一緒に粋なリズムで 魂のスクリューも加速して
   世の中、いやな事ばかりじゃない 落ち込んでないで
   街に出かけようよ 街に出かけようよ 街に出かけようよ
街にはステキな 瞬間が待ってる 幸せに恋する心
忘れないで 忘れないで ・・・
ほんの少しのブルースと 心のシャンペンをつめこんで ・・・ 
■トーキョー舞踏曲(タンゴ)
好きだから 抱かれたの 抱かれたら 棄てられちゃった
とうすりゃいいのよ パッと咲いて パッと散って
二度も三度も咲けるなら 強がれるけれど…
トーキョー 独りがつらい都会 都会だから
あなたをください あたしをあげる 夕焼け小焼けの赤トンボ
寝ないで朝まで遊んだら 帰れないのが トーキョー舞踏曲
   行きずりの 恋ならば 後くされ ないわよなんて
   どうして言えるの パッと生まれ パッと生きて
   うれし恥ずかしばかりなら 誰も悩まない…
   トーキョー 夢がきれいな都会 都会だから
   嘘つきごっこも 楽しいけれど 夕焼け小焼けの赤トンボ
   しあわせ捜して飛んで行け みんな迷い子 トーキョー舞踏曲
トーキョー 淋しがりやの都会 都会だから ・・・ 
■トーキョー迷子
思い出は綺麗 本当より綺麗 ありえぬほどいい人が 心で育つ
思い出はひいき あいつだけひいき いいところだけ思い出す それほどひいき
1年2年は夢のうち まさかと笑って待てば 3年4年は洒落のうち 数えて待てば
5年かければ 人は貌だちも変わる ましてや男ましてや他人 今日もトーキョー迷子
   ここで待っておいで すぐ戻って来るよ 言われたように そのままで ここにいるのに
   気にかかってふらり 待てなくってふらり 歩きだして そのせいで なおさら迷子
   1年2年は夢のうち まさかと笑って待てば 3年4年は洒落のうち 数えて待てば
   5年かければ 人は貌だちも変わる ましてや男ましてや他人 今日もトーキョー迷子
鴎でもひとり 見習えばいいのに 木の葉でもひとりひとりずつなのに
5年かければ 人は貌だちも変わる ましてや男ましてや他人 今日もトーキョー迷子
1年2年は夢のうち まさかと笑って待てば 3年4年は洒落のうち 数えて待てば ・・・ 
■TOKYO海燕
くの字に折れた 誰かの吸殻 思い出しても 昨夜(ゆうべ)はおぼろで
当てつけみたいに 情事(こい)したつもりが かえってあんたを 愛(いと)しくさせた…
不良かな 不良だね でもさ 東京タワー 見下ろす部屋と
贅沢(ぜいたく)だけが 愛なんて あぁぁ 淋しいよ—
おろろん おろろん ひと恋しや つがい捜して 今日も啼(な)いてる 恋、海燕
   お前が電話 かけてはいけない 街は他人(ひと)目が あるから逢えない
   あんたのためだと 鵜(う)呑みにしたけど 生(なま)身のあたしは 居場所もないよ…
   卑怯だな 卑怯だね でもさ 背広にしみた トワレの甘さ
   時々見せる やさしさに あぁぁ ほだされて—
   おろろん おろろん ひと恋しや 帰る海さえ 今は失(な)くした 恋、海燕
男って 女って でもさ いつかはきっと 断(た)ちきってやる ・・・ 
■TOKYO挽歌
溜息まじりの 夕日の朱(あか)が あんたの横顔 かすめて堕(お)ちる
あたいもばかだね 後先(あとさ)き見ずに 心底あんたに 惚れてたなんて
TOKYO…TOKYO…あんたは ろくでなしだよ ウブな娘の 夢踏みにじり
TOKYO…TOKYO…あんたは 飽きもしないで
人間(ひと)のこころに 風穴(かざあな)あける街 ああ…TOKYO…
   酔いどれピエロを 色目(いろめ)で誘い 今夜もあんたは お祭り騒ぎ
   決めたよいますぐ あんたと別(き)れて あたいも一から 出直さなくちゃ
   ・・・ くやし涙も 残っちゃいない ・・・
   二度とあんたの 顔などみたくない ああ…TOKYO… 
■Tokyo見返り美人
シートベルトを外して 車を飛びだしたらば
外は雨こぬか雨舗道が濡れてる アイツ追いかけて来ない
いかれポンチな野郎さ 街路樹を蹴とばせば ジョークで済むのに
   買ってやったスーツを着て 売りつけてきた喧嘩腰で
   でかい口きくなんて そんなのアリかよ
   フォグランプ点けたタクシー 萎れかかった花束を
   振り回し止める前 言うことあるだろう ・・・
ビルの谷間の螢さ しっぽチカチカ光らせ
今は赤次は青信号変わる アイツ追いかけて来ない
港区あたりじゃ顔さ 白金か西麻布どっちみち女さ
   めでたいはずのバースディ まるまる空けたシャンペンも
   ムカついちゃザマはない 足許ふらつく
   スタンバってる微笑が 雨の雫で流れてく ・・・
いい女だったとみんなあとから言う 
そいつが小癪な私は Tokyo 見返り美人 
■TOKYOワルツ
脱いだヒールを両手にさげて 裸足で街を 歩きます
赤や青 むらさきの ネオン地獄に のみこまれ 迷子になって しまいたい
   愛しても 愛しても 不幸ばっかり続くなら 女なんか やめたい
   男が悪い 東京が悪い 負ける女が なお悪い ・・・
仲間はずれに された気分で 知らない店で のんでます
左手に ゆれている 金の鎖を ひきちぎり
未練ばかりか 縁も切る 愛しても 愛しても 二度とあなたに逢えぬなら
女なんか やめたい 男が悪い 東京が悪い 負ける女が なお悪い
三拍子そろった 東京ワルツ 三拍子そろった 東京ワルツ 
■アイビー東京
あなたも僕も ホラ君も みんな楽しく 恋してる
好みのスタイル プロポーズ 花を咲かせて 愛し合う
ああ 東京 TOKYO 恋の花咲く TOKYO アイビー東京 ・・・
新宿 銀座 恋の街 夢を見ている アイライン
今夜も二人で 歩こうよ 甘いデートの 夜だもの
ああ 東京 TOKYO 恋の花咲く TOKYO アイビー東京 
■ウナ・セラ・ディ 東京
哀しいことも ないのに なぜか 涙がにじむ ウナ・セラ・ディ東京 あゝゝ
いけない人じゃ ないのに どうして 別れたのかしら ウナ・セラ・ディ東京 あゝゝ
あの人はもう 私のことを 忘れたかしら とても淋しい
街はいつでも 後姿の 幸せばかり ウナ・セラ・ディ東京 あゝゝ ・・・ 
■おさらば東京
死ぬほどつらい恋に破れたこの心 泣き泣き行くんだただひとり
思い出消えるところまで あばよ東京おさらばだ ・・・
どうともなれさ 汽笛ひと声闇の中 当てさえ知らない旅の空
傷みを風にさらしつつ あばよ東京おさらばだ 
■俺ら東京さ行ぐだ
テレビも無エラジオも無エ 自動車もそれほど走って無エ ピアノも無エバーも無エ
巡査毎日ぐーるぐる 朝起きて牛連れで 二時間ちょっとの散歩道
電話も無エ瓦斯も無エ バスは一日一度来る
   俺らこんな村いやだ 俺らこんな村いやだ
   東京へ出るだ 東京へ出だなら 銭コア貯めで 東京で牛飼うだ
・・・ まったぐ若者ア俺一人 婆さんと爺さんと 数珠を握って空拝む
薬屋無エ映画も無エ たまに来るのは紙芝居
   ・・・ 東京へ出るだ 東京へ出だなら 銭コア貯めで 東京で馬車引くだ
・・・ かける機械を見だごとア無エ 新聞無エ雑誌も無エ たまに来るのは回覧板
信号無エある訳無エ 俺らの村には電気が無エ
   ・・・ 東京へ出るだ 東京へ出だなら銭コア貯めで 銀座に山買うだ 
■俺は東京のタフガイさ
酒は好きだが 喧嘩は嫌だ 野暮な人情は なお嫌だ
さあさ乾杯 くよくよするな 辛らい夢など 地獄へ消えろ
肩で風切る 若さが元手だよ 俺らは東京の タフガイさ ・・・
銀座、新宿 女も酒も 悪かないけど おい兄弟
こんな晩にゃ 夜更けの空へ 腹の底から 怒鳴ってみろよ
肩で風切る 若さが元手だよ 俺らは東京の タフガイさ 
■砂漠のような東京で
キザな女と呼ばれても 愛した人のためならば
母にもらったこの指で 命かけてもおしくない
砂漠のような東京で 貴方一人のしもべとなって
夜もねないで女の真心 私は私はつくすのよ
   決して私は言葉では 愛を知ろうと思わない
   生まれながらの純情と この手で愛を受けとめる ・・・ 
■サヨナラ東京
サヨナラ東京 サヨナラ恋の夜 はじめて逢った なつかしあの日
ふりむけば 街の灯遠く 行くてには こどくな明日
サヨナラ東京 サヨナラなかないで なみだでにじむ サヨナラ東京
   サヨナラ東京 サヨナラやさし人 別れの言葉 くちづけにがく
   今一人 この街を去る ・・・ 
■新東京小唄
赤い夜霧の 東京タワー じっと見つめて 手をにぎる
深夜喫茶の 帰り道 恋と若さに 身をまかせ
しんみりしんみり 歌おじゃないか ハアー 東京小唄 ・・・
麻布 赤坂 灯(ともしび)消えて 君は東へ 僕は西
今夜つかんだ 幸せを 胸に抱(いだ)いて さようなら
一人で一人で 歌おじゃないか ハアー 東京小唄 
■スタコイ東京
ハア 俺が東京サ 来るときに 故郷のお母の言う事にゃ
東京ッて言うとかスタコイとこだで あっちあさ行ったら 気をつけろ
「電車ッコサ 乗るにも ぼやぼや こいでで ドアッコの あいだコサ はさまるな 骨こは ポキリで 体はペチャンコ それだば おめえは パアダベシャ」
忰れや 忰れや わかったな
ハア 俺が東京サ 来るときに 故郷のお母の言う事にゃ
東京ッて言うとかスタコイとこだで あっちあさ行ったら 気をつけろ ・・・
忰れや 忰れや わかったな 
■たそがれの東京
なんだか不安だワ 貴方が遅いから
日暮れの有楽町で 私イライラ待ってるの
ルーズな人なのネ いつもの悪いくせ かわりにデートの相手
ハントしちゃおかな 銀座の並木は 女神のように
私の恋の願いを キットかなえて くれるでしょう
たそがれの たそがれの たそがれの東京 ・・・
ネオンがきれいだワ これから夜が来る
貴方と二人の時間 わたしウキウキしちゃうのよ
踊りに行きましょう いつもの新宿ヘ ステキなムードの店で
ソッとキッスしてね カクテルグラスは 女神のように
私の恋の願いを キットかなえて くれるでしょう
たそがれの たそがれの たそがれの東京 たそがれの東京 
■どうせ東京の片隅に
どうせ東京にゃ 星もない どうせ東京にゃ 夢もない
ふるさとなんかにゃ なにもない なにもない どうせ東京の片隅に
   生まれ変われりゃ 花がいい 生まれ変われりゃ 雲がいい
   おふくろだけには 逢いたくて ・・・
泣いてみたって 空はある 泣いてみたって あすは来る
涙も一緒に つれてゆく ・・・
   どこにいるのよ幸福は どこにいるのよ青い鳥
   いいこといとつも ないけれど ・・・ 
■花薫る東京
青い空 かがやく街だよ 君とゆく 二人ゆく
ペーブメントに そよ風の そよ風の 甘きくちづけ
ああ夢を呼ぶ 青春のふるさとよ 東京 若き東京 陽はうらら ・・・
あこがれの 花咲く街だよ 君と住む 二人住む
スイートホームに ながれ来る ながれ来る 愛のメロディー
ああ夢を呼ぶ 青春のふるさとよ 東京 花の東京 いつまでも 
■パラダイス東京
ああ東京 東京 愛が花咲く この街は
パラダイス パラダイス パラダイス東京
   吾妻橋から お台場へ 上り下りの 舟が行く
   傷を背負った 二人にも 愛があるある 愛がある
ああ東京 東京 愛が花咲く この街は ・・・
   銀座の柳 風まかせ 夢も買えるよ 数寄屋橋
   何だ神田と 神だのみ 明日があるある 明日がある
ああ東京 東京 明日は揃って 浅草へ ・・・
   昔も今も 隅田川は 人の喜び 悲しみを
   水に流して 春を呼ぶ 夢があるある 夢がある
ああ東京 東京 夢が渦巻く この街は ・・・ 
■二人の東京
サングラス 真夜中の赤坂一つ木通り
追いかけて くれるうちが 花のタレントどおし
   結婚なんてしません 一緒に住んでるなんて
   いやだな 僕等いつでも 良い子よ
   ねェ Kissの味さえも 知らないわ 清く生きる さだめなの
見つめあう そのしぐさもわざとらしいかしら
噂にも のぼらなくちゃ 困るタレントどおし
   尊敬してるだけです いい人なんですとても
   それしか言えないんです どーしましょ
   ねェ 嘘ついても まもり通すの それが生きる さだめなの
結婚なんてしません 一緒に住んでるなんて
いやだな 僕等いつでも 良い子よ ・・・
ねェ よくある話じゃ ないですか どうぞ そっとしといてね 
■夢淡き東京
柳青める日 つばめが銀座に飛ぶ日 誰を待つ心 可愛いガラス窓
かすむは春の青空か あの屋根は かがやく 聖路加か
はるかに 朝の虹も出た 誰を待つ心 淡き夢の町 東京
   橋にもたれつつ 二人は何を語る 川の流れにも 嘆きをすてたまえ
   なつかし岸に 聞こえ来る あの音は むかしの 三味の音か
   遠くに踊る 影ひとつ 川の流れさえ 淡き夢の町 東京 ・・・
悩み忘れんと 貧しき人は唄い せまい露地裏に 夜風はすすり泣く
小雨が道にそぼ降れば あの灯り うるみて なやましく
あわれはいつか 雨にとけ せまい露地裏も 淡き夢の町 東京 
■夜の東京
嘘で濁った シャンデリア 赤いドレスの バラの花
誰に思いを 寄せるやら 男ごころは うす情け
夜の東京 男と女の うず巻く街よ ・・・
胸の谷間で 十字架の ダイヤモンドが 光ります
素顔見せたい その願い 叶えておくれマリア様
夜の東京 男と女の うず巻く街よ 
■ラブユー東京
七色の虹が 消えてしまったの シャボン玉のような あたしの涙
あなただけが 生き甲斐なの 忘れられない ラブユー ラブユー 涙の東京
   いつまでもあたし めそめそしないわ シャボン玉のような 明るい涙
   明日からは ・・・
幸せの星を きっとみつけるの シャボン玉のような 夢見る涙
お馬鹿さんね ・・・ 涙の東京 
■夢淡き東京
柳青める日 つばめが銀座に飛ぶ日 誰を待つ心 可愛いガラス窓
かすむは春の青空か あの屋根は かがやく聖路加(せいろか)か
はるかに朝の虹も出た 誰を待つ心 淡き夢の町 東京
   橋にもたれつつ 二人は何を語る 川の流れにも 嘆きをすてたまえ
   なつかし岸に聞こえ来る あの音は むかしの三味(しゃみ)の音か
   遠くに踊る影ひとつ 川の流れさえ 淡き夢の町 東京 ・・・
悩み忘れんと 貧しき人は唄い せまい露路裏に 夜風はすすり泣く
小雨が道にそぼ降れば あの灯り うるみてなやましく
あわれはいつか雨にとけ せまい露路裏も 淡き夢の町 東京 
■若い東京の屋根の下
山の手も下町も 下町も山の手も 東京 楽しや 楽しや東京
朝日がさせば あの娘のように 花の笑顔で コンニチワ
春は芽ぐむ お壕の柳 恋は芽ぐむ 若い胸に 東京 楽しや 楽しや東京 ・・・
山の手も下町も 下町も山の手も 東京 いとしや いとしや東京
なじみの街よ 夜霧に更けて 下(くだ)るメトロの 階段よ
瞳交し ささやく言葉 それはいつも「明日またネ」
東京 いとしや いとしや東京 いとしや東京 
■センチメンタルトーキョー
面影の街 黄昏(たそが)れて すずかけの蔭 灯が赤い
ああ君何処 うなじを垂れてひとり聞く ながれる恋の唄
トーキョー泪ぐむ センチメンタルトーキョートーキョー ・・・
初恋の街 日が昏れて あの角あたり なにを待つ
ああ君何処 泪を誘う想い出の はるかな鐘の音
トーキョー呼び交わす センチメンタルトーキョートーキョー 
■ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー
小雨降る夜は なぜか淋しくて しんみりあなたと お話したいの
なんにもいわずに 別れたあの夜 
つれない方と うらんでますのよ
ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー やるせない雨よ
   小窓うつ音は 雨のささやきか しみじみあなたを 想い出してるの
   あなたがいるなら なんにもいらない ・・・  
■女のブルース
女ですもの 恋をする 女ですもの 夢に酔う
女ですもの ただ一人 女ですもの 生きて行く
   あなたひとりに すがりたい あなたひとりに 甘えたい
   ・・・ あなたひとりに ささげたい
ここは東京 ネオン町 ここは東京 なみだ町
・・・ ここは東京 嘘の町
   何処で生きても 風が吹く 何処で生きても 雨が降る
   ・・・ 何処で生きても いつか散る 
■帰郷
夜明け間近に 東京発てば つぎの朝には故郷へ着ける
ふるい停車場 山ふところの 白い根雪も とけてる頃よ
ひとりしみじみ 枕ぬらして 今夜もわたし 夢であの道帰ります ・・・
泣けば負けです 東京ぐらし 生きるささえは あなたの愛よ
ひとつお土産 胸のあたりに ちいさくかかえて 夢であの道 帰ります 
■高原のお嬢さん
あの人に逢いたい たまらなく逢いたい 高原に風はわたり 白樺はゆれていた
夏がゆけば 恋も終ると あの人はいつも言ってた
リーフ・リーフ…… 君にぼくの 恋を語ろう ・・・
あの人に逢いたい たまらなく逢いたい 東京の空のどこか あの人は住んでいる
せめて いちど 逢ってききたい 夏の日の 恋は嘘かと
リーフ・リーフ…… 東京の 秋は淋しい 
■さすらい
真夜中に咲いた 赤い恋花びら 俺の手にこぼれて おまえはほほえんだ
散って男よ 咲いて女よ あれからさまよって 俺には朝もない TOKYO さすらい者 ・・・
俺はおまえを 胸に刻んで 今夜も一人で おまえのブルースを
TOKYO さすらい者 眠れる部屋もない
流れて 流されて 夢のまた夢 TOKYO さすらい者 TOKYO さすらい者 
■卒業
制服の胸のボタンを 下級生たちにねだられ
頭かきながら逃げるのね ほんとは嬉しいくせして
人気ない午後の教室で 机にイニシャル彫るあなた
やめて想い出を刻むのは 心だけにしてとつぶやいた ・・・
席順が変わり あなたの隣の娘にさえ妬いたわ
いたずらに髪をひっぱられ 怒ってる裏ではしゃいだ
駅までの遠い道のりを はじめて黙って歩いたね
反対のホームに立つ二人 時の電車がいま引き裂いた
ああ卒業しても友だちね それは嘘では無いけれど
でも過ぎる季節に流されて 逢えないことも知っている 
■智恵子抄
東京の空 灰色の空 ほんとの空が 見たいという
拗ねてあまえた 智恵子 智恵子の声が
ああ 安達太良の山に 今日もきこえる ・・・
まごころの花 純情の花 散らない花が 欲しいという
黒い瞳の智恵子 智恵子の姿
ああ 安達太良の山に 今日も生きてる 
■なごり雪
汽車を待つ君の横で僕は 時計を気にしてる
季節はずれの雪が降ってる 「東京で見る雪はこれが最後ね」と
さみしそうに君はつぶやく なごり雪も降るときを知り
ふざけすぎた季節のあとで 今 春が来て 君はきれいになった
去年よりずっときれいになった ・・・  
■ヘッドライト
北へ走ろう お前と二人 北は雪どけごろだろう
春もあるだろう そんなに泣くなよ
今夜からは二人だけだよ ふり向けば つらいことばかりの
東京は捨てたよ 夜霧にゆれてる 悲しみのヘッドライト ・・・
もたれて眠れよ 俺に遠慮なんかするなよ
もう二度と 戻らない町には 未練など持つなよ
二人でたずねる しあわせのヘッドライト 
■僕は泣いちっち
僕の恋人 東京へ 行っちっち 僕の気持を 知りながら なんで なんで なんで
どうして どうして どうして 東京がそんなに いいんだろう
僕は泣いちっち 横向いて 泣いちっち
淋しい夜は いやだよ 僕も行こう あの娘の住んでる 東京へ ・・・
上りの急行が シュッシュラシュッと 行っちっち いやな噂を ふりまいて
せめて せめて せめて 遠い遠い東京の 空に飛んでけ ちぎれ雲
汽笛がなっちっち 遠くで なっちっち
夜汽車の笛は いやだよ 早く行こう あの娘の住んでる 東京へ 
■江戸の手毬唄
江戸の名物 火事に喧嘩に 伊勢屋に稲荷に 犬の糞
振袖火事は 本妙寺 恋の執念 恐ろしや
晴着が火を噴き 飛んだそな ひいやふうや みいやようや 
赤いべべ着て 仲の町 ・・・
江戸の御法度 不義に密通 材木問屋の お駒さん
密通露見し 黄八丈 裸馬にて 引き回し
泣き泣き渡るは 涙橋 ひいやふうや みいやようや
いつむうななやあ ここのつとう ひいやふうや みいやようや
いつむうななやあ ここのつとう とんと首尾よく つき上がり 
■江戸の闇太郎
月に一声 ちょいとほととぎす 声はすれども 姿は見えぬ
おれも忍びの 夜働き どっかり抱えた 千両箱
こいつァ宵から 縁起がいいわい ヘンおいらは黒頭巾 花のお江戸の 闇太郎 ・・・
江戸の盛り場 猿若町に ひいき役者の 幟があがる
あだな笑くぼに 雪の肌 女泣かせの 雪之丞
こいつァ今夜も 行かざぁなるめえな
ヘンおいらは黒頭巾 花の お江戸の闇太郎 
■江戸の黒豹
乾いた街の 片隅で おまえは何を 探すのか
傷つき紅い 痛みに耐えて 炎のように 燃える眼は
男の怒りか 男の怒りか 江戸の黒豹 ・・・
東の空が 白む時 おまえは何を 叫ぶのか
名もない人の 小さな夢を 奪うやつなら 許せない
涙の熱さか 涙の熱さか 江戸の黒豹 江戸の黒豹 
■大江戸かわら版
サーテサテサテサテサテ 
ちょいとそこゆく ご新造さん 熊さん八っあん ご隠居さん
天地神命 神かけて 仕込んだネタに 嘘はない 涙もあれば 夢もある 
天下ご免の かわら版
サーテサテサテサテサテ 
義理と人情の しがらみに 咲くのも花なら 散るも花
毎度皆さま お馴染みの 強きをくじく こころ意気 いのちを筆に 傾けた
天下ご免の かわら版
吉良家の付け人剣豪清水一角が、赤穂浪士の討入りに ・・・ 
■大江戸喧嘩花
月はおぼろに 川風夜風 浮かれ柳が 袖を引く
お神酒(おみきざけ)一杯 ひっかけて そぞろ歩きの 河岸の道
おっと野暮だね お兄さん・・・ 肩が触れたの 難癖(いちゃもん)かい
やれるものなら やってみな サ サ サ サ・・ 売られた喧嘩は 買ってやる ・・・
女だてらに 度胸と意地で 染めて仕上げた 鉄火肌
江戸は由縁(ゆかり)の 助六の 伊達が命の こむらさき
おっと強気の お兄さん さわぐばかりじゃ 三社さま
やれるものなら やってみな サ サ サ サ・・ 区別(けじめ)はきっちり つけてやる 
■大江戸出世小唄
土手の柳は 風まかせ 好きなあの子は 口まかせ
ええ しょんがいな ああ しょんがいな
   きりょう良いとて 自惚れな どうせ一度は 散る花よ
   ええ 風が吹く ああ 風が吹く
どうせ散るなら このわしに なびく気持は ないかいな
ええ ままならぬ ああ ままならぬ ・・・
   雨が降ったら その時は わしの涙と 思やんせ
   ええ しょんがいな ああ しょんがいな 
■火事と喧嘩は江戸の華
火事と喧嘩は江戸の華 てやんでぇ べらんめぇ 負けらんねぇ
粋な兄さんが切る啖呵 しゃっちょこばんな そこの若旦那
火事と喧嘩は江戸の華
宵越しの銭は持たねぇから と 事の始めに駆けつけ三杯 
あれよあれよと酒三昧 さぁさ浮いた浮いた 火事と喧嘩は江戸の華
遠くで半鐘がジャンと鳴りゃ そんじゃあばよと捨て台詞 
助太刀いたすと跳んで行く 火事と喧嘩は江戸の華
梅に鶯 花の山 ・・・
咲くも花 咲かぬも花の どうせ忘れる徒花(あだばな)ならば
今夜は 宇宙の底が抜けるほど 飲んで飲まれて 浮かれてみようか
さぁさ浮いた浮いた ・・・ 
■絵草紙若衆
娘ざかりが あれあのように 広いお江戸は 恋の風
むこう通るは 絵草紙若衆 憎や素顔を なぜ見せぬ ・・・
花の小袖に 蝶々が二つ またも白刃に もつれ飛ぶ
恋が斬れよか 絵草紙若衆 浮名辰巳の 川風に 
■雪之丞変化
娘ざかりは 誰でも着たい 花の振袖 涙で捨てて
男すがたの 身は旅役者 尾花咲く咲く ああ 秋が来る ・・・
恋の淡雪 はかなく消えた 江戸のまぼろし 浪路さま
熱い情に 役者が流す 今日の涙は ああ 嘘じゃない 
 

 

東京都
東京 五輪真弓
東京 桑田佳祐
東京 さだまさし
東京 ハッピー&ブルー
東京 美輪明宏
東京 矢沢永吉
TOKIO 沢田研二
Tokyo 渡辺美里
TOu-KYOu SOUL SCREAM
東京アンナ 大津美子
東京イェイイェイ娘 米米CLUB
東京悲歌 三条町子
東京音頭 小唄勝太郎
東京音頭 八代亜紀
東京かくれんぼ 琴風豪規
東京が好き 香坂みゆき、水越けいこ
東京カチート フランク永井
東京が泣いている 三橋美智也
東京が呼んでいる こまどり姉妹
東京キカンボ娘 木の実ナナ
東京キッド 美空ひばり
東京行進曲 佐藤千夜子
東京子守唄 ビートたけし
東京さのさ娘 江利チエミ
東京砂漠 クール・ファイブ
東京砂漠のかたすみで 黒沢年男
東京讃歌 西田佐知子
東京五輪音頭 三波春夫
東京ジェラシー テレサ・テン
東京しぐれ 北島三郎
東京詩集 鶴田浩二
東京シャッフル サザンオールスターズ
東京シューシャイン・ボーイ 暁テル子
東京新地図 美空ひばり
東京新宿恋の街 舟木一夫
東京生活 渡辺美里
東京青春朝焼物語 長渕剛
東京セレナーデ 都はるみ
東京夜曲(セレナーデ) 山口淑子
東京ダーク・ムーン フランク永井
東京たずね人 琴風豪規
東京だよおっ母さん 島倉千代子
東京だより 都はるみ
東京チカチカ 轟夕起子
東京ちょんきな 古川ロッパ
東京っていい街だなぁ 左とん平
東京ディスコナイト 小泉今日子
東京で一番淋しい女 田辺靖雄
東京デイト 美空ひばり
東京でだめなら 水前寺清子
東京ドドンパ娘 渡辺マリ
東京ドンピカ 米米CLUB
東京ナイト 矢沢永吉
東京ナイト・クラブ フランク永井 & 松尾和子
東京流れ雨 山本譲二
東京流れ者 小林旭
東京なんて何さ 松山恵子
東京の雨を札幌で アローナイツ
東京の落葉 菅原都々子
東京の片隅で 藤圭子
東京のサンセット バニーズ
東京の空青い空 岡晴夫
東京の空の下あなたは 山口百恵
東京の空の下で 藤本二三代
東京の空の月 こまどり姉妹
東京のためいき 青江三奈
東京の椿姫 津村謙
東京のどこかで 千昌夫
東京のバスガール 初代コロムビア・ローズ
東京の花売り娘 岡晴夫
東京の美少年 橋幸夫
東京の人 三浦洸一
東京の瞳 山本富士子
東京の灯よいつまでも 新川二朗
東京の門 越路吹雪
東京の夜 石原裕次郎
東京の夜 渡辺はま子
東京の夜さようなら サンボマスター
東京の夜はささやく マヒナスターズ
東京の夜は楽し マヒナスターズ
東京の夜は更けて いしだあゆみ
東京は恋する街 美空ひばり
東京は恋人 大津美子
東京は二人の町 浅丘ルリ子
東京発 堀内孝雄
東京白夜 クールファイブ
東京ブギウギ 笠置シヅ子
東京節(パイノパイノパイ) 榎本健一
東京ブルース 淡谷のり子
東京ブルース 鶴田浩二
東京ブルース 西田佐知子
東京ブルー・レイン ザ・ピーナッツ
東京プレリュード 小畑実
東京プレイマップ 沢たまき
東京へ行っちゃった 西川峰子
東京慕情 桃井かおり
東京聖夜(Tokyo Holy Night) 榊原郁恵
東京盆踊り 岡晴夫
東京みなと 森進一
東京みれん 森進一
東京娘 藤山一郎
東京霧笛 氷川きよし
東京無情 殿様キングス
東京めぐり愛 琴風豪規
東京も今夜は雨 美空ひばり
東京モナリザ 春日八郎
東京物語 さだまさし
東京物語 森進一
東京迷路 藤圭子
東京夜曲 藤圭子
東京夜景 テレサ・テン
東京やんちゃ娘 宮城まり子
東京ラテン十八番街 美空ひばり
東京ラブ・コール 西川峰子
東京ラプソディー ロマンチカ
東京ららばい 中原理恵
東京流れもの 竹越ひろ子
東京の人 三浦洸一
東京の人よさようなら 島倉千代子
東京の灯よいつまでも 新川二郎
東京の屋根の下 灰田勝彦
東京ロマンス娘 山口淑子
東京ワルツ 藤圭子・千代田照子
東京NIGHTS 宇多田ヒカル
東京VICTORY サザンオールスターズ
東京二十五時 平尾昌章
東京27時 弘田三枝子
トーキョー・シック 佐野元春&雪村いずみ
トーキョー舞踏曲(タンゴ) 水田竜子
トーキョー・バビロン 由紀さおり
トーキョー迷子 中島みゆき
Tokyo Rose 中森明菜
TOKYO ZOO 矢沢永吉
TOKYO...0051 ジュディ・オング
TOKYO異邦人 チョン・ソヒ
TOKYO海燕 藤あや子
TOKYOかくれんぼ 坂本冬美
TOKYO銀河 ジェロ
Tokyo散歩 大塚愛
TOKYO挽歌 ちあきなおみ
Tokyo見返り美人 研ナオコ
TOKYOワルツ 由紀さおり
アイビー東京 三田明
憧れの東京 藤山一郎
雨の夜の東京 マヒナスターズ
ウナ・セラ・ディ東京 ザ・ピーナッツ
おさらば東京 三橋美智也
おもかげ東京 都はるみ
俺ら東京さ行ぐだ 吉幾三
俺は東京のタフガイさ 石原裕次郎
霧の東京 美空ひばり
グッド・ナイト東京 松尾和子
グッドバイ東京 岡晴夫
現代東京奇譚 桑田佳祐
恋する東京 沢たまき
さすらい東京 美空ひばり
砂漠のような東京で いしだあゆみ
サヨナラ東京 坂本九
サヨナラ東京 藤圭子
しっちゃかめっちゃか東京 殿様キングス
ジャズ東京 淡谷のり子
新東京小唄 フランク永井
スウヰング東京 ディック・ミネ
スタコイ東京 菊地正夫(城卓也)
スーベニール東京 ザ・ピーナッツ
大東京音頭 三波春夫
たそがれの東京 ロス・プリモス
どうせ東京の片隅に 門倉有希
ノーチェ・デ・東京 金井克子
花薫る東京 鶴田浩二
花嫁東京 市丸
花の東京 中野忠晴
パラダイス東京 小野由紀子
二人の東京 ジューシィ・フルーツ
フォーエバー東京 ロス・プリモス
フラワー東京 中村晃子
ブルー・ムーン・イン東京 フランク永井
フレッシュ東京 吉永小百合
ホロホロ東京 小林旭
メロメロ東京 殿様キングス
夢淡き東京 藤山一郎
夜の東京 淡谷のり子
ラブユー東京 ロス・プリモス
夢淡き東京 藤山一郎
ラリラリ東京 アロハ・ブラザーズ
ルムバ東京 由利あけみ
若い東京の屋根の下 橋幸夫 & 吉永小百合
私は東京 イルカ
センチメンタルトーキョー 三橋美智也
走れ!! トーキョー・タウン サザンオールスターズ
ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー 越路吹雪
ミッドナイトTOKYO フランク永井
In The Spotlight(TOKYO) 安室奈美恵
明日の故郷 デューク・エイセス
女のブルース ロス・プリモス
帰郷 西川峰子
君の故郷は デューク・エイセス
高原のお嬢さん 舟木一夫
さすらい 近藤真彦
淋しき街 吉田拓郎
制服 松田聖子
卒業 斉藤由貴
智恵子抄 二代目コロムビア・ローズ
とんぼ 長渕剛
なごり雪 かぐや姫
ヘッドライト 新沼謙治
僕は泣いちっち 守屋浩
星から来た二人 ピンクレディー
未来は霧の中に 松任谷由実
夜霧のインペリアル・ロード ロス・プリモス
江戸の手毬唄 五木ひろし
江戸の闇太郎 美空ひばり
江戸の花 橋幸夫
江戸の黒豹 杉良太郎
大江戸かわら版 三波春夫
大江戸喧嘩花 小林幸子
大江戸出世小唄 高田浩吉
火事と喧嘩は江戸の華 石川さゆり
絵草紙若衆 勝新太郎
ちゃっきり金太の唄 榎本健一
雪之丞変化 美空ひばり
 
区部  
■東京の女
おばかさんなの私 あの日別れた人
今夜も逢えそな気がして ひとり待つ待つ 銀座よ
   ・・・ 愛してもう一度 私を 霧に泣く泣く 赤坂
・・・ あなたがいないまま灯りが 消えてゆくゆく 青山
   ・・・ ひとりで踊ってもはかない 夢が散る散る 新宿
どこに行ったらいいの 夜が更けゆく街
私のため息が流れて 霧になるなる 東京 
■深川情話
逢うたあの日は 七月十日 赤いほおずき 縁結び
しのぶれど 思わず知らず 色に出て 指をさされる 浅草寺
   浮名立たせりゃ あなたが困る 私しゃ それでは 物足りぬ
   都々逸の 文句に乗せて ・・・
別れ上手な 女を演じ 指が泣いてる 橋の上
隅田川 巡航船の 笛の音に ・・・ 
■面影橋
きみにはきみを 愛する人が いつもそばに いるのに
ぼくの口づけを 受けた わけが わからない
黄昏せまる 面影橋に 見送るつもりで 来たが
帰したくなくなって さよならいえない
ルールも友達も 約束も みんな捨てて きみを
ああ このまま抱いていたい 面影橋で
   心のままに 生きたとしても 幸せとは かぎらない
   ほら ふざけているうちに 涙が出てきちゃう
   楽しいことも 悲しいことも 時が洗い流して
   すべてを 思い出という ことばに変えてしまう
   ルールも友達も 約束も みんな捨てて きみの
   ああ 名前を呼んでいたい 面影橋で ・・・ 
■別れても好きな人
別れた人に 逢った 別れた渋谷で 逢った 別れた 時と同じ 雨の夜だった
傘もささずに 青山 想い出語って 赤坂 
恋人どうしにかえって グラスかた向けた やっぱり忘れられない
変わらぬ やさしい言葉で 私をつつんでしまう
だめよ よわいから 別れても 好きな人 別れても 好きな人 ・・・ 
■お祭りマンボ
私のとなりのおじさんは 神田の生まれで チャキチャキ江戸っ子
お祭りさわぎが大好きで ねじりはちまき そろいのゆかた
雨が降ろうが ヤリが降ろうが 朝から晩まで おみこしかついで
ワッショイワッショイ ワッショイワッショイ
景気をつけろ 塩まいておくれ
ワッショイワッショイ ワッショイワッショイ ソーレ ソレソレ お祭りだ ・・・ 
■銀座セレナーデ
今宵流れる メロディは 甘いほのかな セレナーデ 
うれし銀座に 若い銀座に 二人の銀座に 恋の微風 
ペーブメントに 花が咲く ・・・
今宵流れる メロディは 二人の夢の セレナーデ 
柳ナヨナヨ スイング出して 愛のリズムに 月も踊るよ 
恋し銀座の 銀の月 
■スキャンダル
あなたの背広の移り香は きっとどこかの綺麗な人でしょう
三茶 下北 それとも 吉祥寺 子供のように はしゃいでいたのね
   スキャンダルなら 男の勲章 迷子にならずに 帰ってきてね
   お酒もいいの 噂もいいの 私のことを忘れていないなら
あなたの好みのお相手は 髪を肩まで伸ばした人でしょう
恵比寿 十番 それとも 西麻布 夢人みたいに 時間を忘れて ・・・ 
■やねせん小唄
谷中銀座の 石段に 点る灯りの あたたかさ
裸の付き合い 泣き笑い 下町人情 ここにあり
根津の神社の 境内で 遠い昔に かくれんぼ
あなたと噂になった日の 相合傘が 今もある エエ…
   千駄木この坂 団子坂 乱歩鴎外 散歩みち
   初恋実らず お互いは 違う相手と 暮らしてる
   谷中千駄木 そして根津 それがやねせん 小唄です ・・・ 
区部
東京の女 ザ・ピーナッツ
東京の屋根の下 灰田勝彦
東京ラプソディ 藤山一郎
東京花ものがたり 藤圭子
深川情話 島津悦子
面影橋 NSP
木根川橋 さだまさし
虹のターミナル 北原謙二
湾岸24時 中島みゆき
想い出の女 ロス・プリモス
別れても好きな人 パープル・シャドウズ
はしご酒 藤圭子
お祭りマンボ 美空ひばり
街のセレナーデ 藤山一郎
関東流れ者 松方弘樹
スキャンダル テレサ・テン
女の流れ唄 藤圭子
明治大恋歌 守屋浩
カッコマン・ブギ ダウン・タウン
やねせん小唄 石川さゆり
   東京だよおっ母さん 島倉千代子
   盛り場ブルース 森進一
足立区
■おもいで北千住
おもいでは北向きの あの下宿屋 そして町の名は 北千住
雨あがり 光る舗道 あのひとの 出会い とても身の上 似てました
優しさを ありがとう 初恋の人 いまも住むという
しあわせですか しあわせですか 北千住
   おもいでは春を待つ あの町並み そして走馬燈 北千住 
   花を生け レース編んで あの人の匂い いまもおぼえて つらくなる
   さみしさに 負けたけど ・・・
北千住 北千住 面影の人 いまも住むという
しあわせですか 本当ですか 北千住 
足立区
おもいで北千住 渥美二郎
千代田区​
■丸の内ストーリー
マル秘の書類に はさんだ手紙 苦労するわいつも 他人のふり
会議をぬけだし つかのまの恋ね 乱れた口紅は キャリアでかくすのよ
   ないしょないしょの オフィス・ラブ スリル満点 オフィス・ラブ
   スキャンダラスな ビジネス・タウン ほら又だれかが ニュー・オフィス・ラブ
背中に爪あと つけてるくせに だれをしかるつもり 仕事の顔
しぐさが魅力と うわさの専務 夕べのはげしさは 秘密にしてあげる ・・・ 
■赤いハイヒール
ねえ友だちならきいて下さる? ねえ友だちならきいて下さる?
淋しがり屋のうちあけ話
   東京駅についたその日は 私おさげの少女だったの
   胸ポケットにふくらむ夢で 私買ったの赤いハイヒール
   そばかすお嬢さん 故郷なまりが それから君を無口にしたね
   アラン・ドロンとぼくを比べて 陽気に笑う君が好きだよ
マニキュアの指 タイプライター ひとつ打つたび夢なくしたわ
石ころだらけ私の青春 かかとのとれた赤いハイヒール
そばかすお嬢さん ぼくの愛した 澄んだ瞳は何処に消えたの?
明日はきっと君をさらって ふるさと行きの切符を買うよ
   おとぎ話の人魚姫はね 死ぬまで踊る ああ赤い靴
   いちどはいたらもう止まらない 誰か救けて赤いハイヒール ・・・ 
■大阪行きは何番ホーム
19の頃だったと思うけれど 家を出る事に夢をたくして
1人きりで暮らしてみようと 希望に満ちていた時があった
   たとえ都会の片隅であろうとも 何かが起こりそうな気がして
   後ろ髪をひかれる想いを 明日のために絶ち切ってしまった
恋に破れるむなしさで 酒におぼれてしまった事もある
人を信じるはかなさが 心の形を少し変えてしまった
   愛をむさぼる気持ちのまま 1人の女との生活が始まり
   幸福という仮の住いに 子供の泣き声まで加わっていた
外の景色が変わって行く中で 人とのかかわりがわずらわしくなり
1人の男であった筈だと 真実を隠したまま旅に出た
   家を捨てたんじゃなかったのか 家を捨てたんじゃなかったのか
自然である事の不自然さは 流行という名にもみ消され
流されるままにたどり着いたのは 新しい女とのめぐり会いだった ・・・
   今 東京駅に立ち尽す僕は 長すぎる人生の繰り返しと同じ
   大阪行きの電車は何番ホーム 繰り返し 繰り返し 旅に出ている 
■制服
ラッシュ・アワーが 疲れを吐き出してる 人の多さまでが ものめずらしげに見えて
東京駅地下道の人ごみの中 Ah ひと群れの制服の娘たちがいる
   真新しいスーツ・ケースを提げて 集団就職で今着いたらしい
   妙に腰の低い男が先頭にたって Ah 何とか会社の旗など振りまわしている
家を出る前の晩は 赤飯など食べて 家族揃って泣き笑いしたのかい
里心だけは まだ田舎の家に置き それでも家を出てくる魅力に負けて
   どうですか東京って奴に会ってみて とうですか東京って奴の御挨拶の仕方は
   みんな押し黙ったままの この人ごみは 
   そう これが都会って奴の御挨拶の仕方なんだよ
初めから都会に出ていかなければ いつまでも都会でなくてすんだのに
きれいに暮らしてゆけるところは Ah どこか他のところのような気もするよ ・・・
   ぼくはこれから大阪へ行くところ いちばんきれいだった女の子の顔など思いだし
   制服が人ごみの中に消えてゆくのを 振りかえりながら ぼくは見送っている 
■有楽町で逢いましょう
あなたを待てば 雨が降る 濡れて来ぬかと 気にかかる
ああビルのほとりのティールーム 雨もいとしや唄ってる
甘いブルース あなたとわたしの合言葉 有楽町で逢いましょう ・・・
かなしい宵は 悲しよに 燃えるやさしい 街灯り
ああ命をかけた 恋の花 咲いておくれよ いつまでも
いついつまでも あなたとわたしの合言葉 有楽町で逢いましょう 
■ランチタイムが終わる頃
会えるはずのないあなたの姿も 見つけられそうに混んだレストラン
みじめなうわさが届かないように 気の早い半袖で来てみた
   手紙も出せぬほど忙しいのよ 話しかけられて微笑みかえす
ほら チャイムを鳴らし コーヒー冷まし もうすぐランチタイムが終わる
日向で語らう人々は急ぎ また白いビルに吸い込まれる
私と鳩だけ舗道に残って 葉裏のそよぎをながめていた ・・・
   チャイムを鳴らし 背中をたたき もうすぐランチタイムが終わる 
■経る時
窓際では老夫婦が ふくらみだした蕾をながめてる
薄日の射す枯木立が 桜並木であるのを誰もが忘れていても
何も云わず やがて花は咲き誇り かなわぬ想いを散らし 季節はゆく
   二度と来ない人のことを ずっと待ってる気がするティールーム
   水路に散る桜を見に さびれたこのホテルまで ・・・
どこから来て どこへ行くの あんなに強く愛した気持も
憎んだことも 今は昔 四月ごとに同じ席は
うす紅の砂時計の底になる 空から降る時が見える
さびれたこのホテルから 
■九段の桜
一段のぼって 国のため 二段のぼって 君のため 三段のぼって 村のため
四段のぼって 家のため 五段のぼって 旗の波 六段のぼって あの息子
七段のぼって 母は来た 八段のぼって なに見えた なに見えた
九段の桜は 散りました ・・・ 
■九段の母
上野駅から 九段まで かってしらない じれったさ
杖をたよりに 一日がかり せがれきたぞや 会いにきた
   空をつくよな 大鳥居 ・・・
   神とまつられ もったいなさよ 母は泣けます うれしさに
両手あわせて ひざまずき ・・・
はっと気づいて うろたえました せがれゆるせよ 田舎もの
   鳶が鷹の子 うんだよで ・・・
   金鵄勲章が みせたいばかり 逢いにきたぞや 九段坂 
■靖国の母
夢を見ました 倅の夢を 肩をたたいてくれました
骨になっても 母を忘れぬ その優しさに その優しさに 月がふるえる 九段坂
   生きてきました 嵐に耐えて ・・・
   愚痴は言うまい ここの社へ 詣でる人は 詣でる人は みんなせつない 人ばかり
花が咲きます 桜の花が ・・・
帰る望みも 今じゃはかない 陰膳だけど 陰膳だけど 供え続ける いつまでも 
■涙の九段坂
鳥居くぐれば 思わず知らず あつい涙が こみあげる
ああ お父さん はるばると 逢いに来ました 逢いに来ました九段坂
   砂にやかれて 乾いた咽喉(のど)に ・・・
   ああ お父さん 長かった 辛い月日の 辛い月日の二十年
戦さなんかは もうたくさんよ ・・・
ああ お父さん 来年も 逢いに来ますよ 逢いに来ますよ九段坂 
■カトランの薔薇
風は木枯らし ニコライ坂を 落ち葉集めて 冬仕度 冬仕度
今も帰りを 待ちながら 愛を忘れた 紅を引く
好きなあなたの カトランの 真っ赤な薔薇に 似たルージュ ・・・
鐘が悲しく 鳴り響く あなた逢いたい 今すぐに
好きなあなたの カトランの 真っ赤な薔薇に 似たルージュ
似たルージュ 
■中央線お茶の水
お茶の水まで中央線は ふたつの電車がならんで走る
オレンジカラーの電車の窓に 君を見たのは市ヶ谷あたり
次で降りろと叫んだけれど 鉄の車輪がくだいて消した
君をさがしてるお茶の水駅 ぼくを待つ気に今もなれないのか
   ぼくの姿に君も気づいた 叫ぶ気持ちもわかったはずだ
   何年ぶりかで出会えた今日を 捨ててゆくのが君の言葉か ・・・
   どうだ元気かとお茶をのむには 今は早いと君は言うのだろうか 
■ニコライの鐘
青い空さえ 小さな谷間 日暮れはこぼれる 涙の夕陽
姿変れど 変わらぬ夢を 今日も歌うか 都の空に あゝニコライの 鐘がなる ・・・
誰が読んだか 悲しい詩集 頁をひらけば 出てきた手紙
恋に破れた 乙女は今宵 なにを祈るか 暮れゆく空に あゝニコライの 鐘がなる 
■聖橋の夕陽
学生街の 坂道で 偶然きみに 逢うなんて
白髪の混じる 齢(とし)なのに ときめく胸が よみがえる
   何を話せば いいんだろ あの頃のきみが そこにいる
   変わりゆく この街かどに 色あせぬ 青春がある
きみを傷つけた ことがあったから 今が幸せと 聞いてよかった…
   聖橋から 眺める夕陽 川がまぶしく 時はたたずむ
   戻らない 想い出に 恋をする
家路を急ぐ 日暮れ時 きみにも帰る 家がある
ためらいがちな 微笑みを 交わせば風が さらっていく
   聖橋から 眺める夕陽 響く線路に 時が流れる ・・・ 
■檸檬
或の日湯島聖堂の白い石の階段に腰かけて
君は陽溜まりの中へ盗んだ檸檬細い手でかざす
それを暫くみつめた後で きれいねと云った後で齧る
指のすきまから蒼い空に 金糸雀色の風が舞う
   喰べかけの檸檬聖橋から放る 快速電車の赤い色がそれとすれ違う
   川面に波紋の拡がり数えたあと 小さな溜息混じりに振り返り
   捨て去る時には こうして出来るだけ 遠くへ投げ上げるものよ ・・・
喰べかけの夢を聖橋 から放る 各駅停車の檸檬色がそれをかみくだく
二人の波紋の拡がり数えたあと 小さな溜息混じりに振り返り
消え去る時には こうしてあっけなく 静かに堕ちてゆくものよ 
■袋小路三番町
都会の人の無関心 時には私 救われるのさ
手にしたメモで尋ねれば 何も云わずに指さすよ
青く変わった信号に足を早める街ん中 云われた通り この通り
通りへだてて アー袋小路三番町 ・・・
道づれにした 不幸福 おまえと一緒に 酔いつぶれようか
酒に浮かべる花はなく これより先は道もない
木の葉が輪をかく吹きだまり くちびるかめば風ん中 いつか夢も夢も
夢も追われて アー袋小路行き止まり 
■一心太助
腕の刺青 一心如鏡 どきなやいやい サンピンめ
安いよ安い 一心太助 鰹一匹 いい姿 
なんだ なんだ なんだ べらんめえ
銭のある奴ァ 銭のある奴ァ ヨイショ よそで買え ・・・
神田育ちの 男の涙 あこぎ野郎にゃ 血がまじる
てんびん棒に 命をかけて 死ねば包丁と 埋めてくれ 
なんだ なんだ なんだ べらんめえ
女房一人が 女房一人が ヨイショ なぜ可愛 
■銭形平次
男だったら 一つにかける かけてもつれた 謎をとく
誰がよんだか 誰がよんだか 銭形平次 花のお江戸は 八百八町
今日も決めての 今日も決めての 銭がとぶ ・・・
道はときには 曲がりもするが 曲げちゃならない 人の道
どこへゆくのか どこへゆくのか 銭形平次 なんだ神田の 明神下で
胸に思案の 胸に思案の 月をみる 
■やくざ若衆祭り唄
これはお楽しみ 江戸は神田の 若い衆 喧嘩買おうか
目にもの見せようか 祭りなら着ておいで 派手な元禄 大たもと
アー レー サー 花が散るような 神田明神 スチャラカチャン
チャンチキおかめの 笛太鼓 花にもまれて エー 山車が行く
それ ワッショイワッショイ
   チョイト 待ちなせえ そこのいなせな 若い衆 腕が見たけりゃ
   ずんと 抜いて見せようか みこしなら 肌ぬいで 向う鉢巻 紅だすき ・・・ 
千代田区​
丸の内ストーリー 畑中葉子 & ビートたけし
アーモンド 黒木渚
赤いハイヒール 太田裕美
大阪行きは何番ホーム 吉田拓郎
制服 吉田拓郎
有楽町で逢いましょう フランク永井
ランチタイムが終わる頃 松任谷由実
月曜日のロボット 松任谷由実
経る時 松任谷由実
九段の桜 野坂昭如
九段の妻 菊池章子
九段の母 二葉百合子
靖国の母 二葉百合子
涙の九段坂 天津羽衣
お茶の水時代 森昌子
カトランの薔薇 角川博
中央線お茶の水 トップギャラン
ニコライの鐘 藤山一郎
ハーモニカ・ブルース 小沢昭一
聖橋の夕陽 堀内孝雄
復興神田音頭 霧島昇
檸檬 さだまさし
お菓子職人 山口百恵
袋小路三番町 梶芽衣子
一心太助 橋幸夫
銭形平次 舟木一夫
やくざ若衆祭り唄 美空ひばり
   東京悲歌(エレジー) 三條町子
中央区
■銀座尾張町
昔おもえば なつかし恋し 粋な手厘に 秘め模様 
かわいかわいと ほめはやされて 花の銀座を 初島田 ・・・
ゆれる瓦斯等 ちるちる柳 肌につめたい 風のこえ
忘れましょうよ 昔のことは うわさばかりの 尾張町 
■銀座・おんな・雨
だから別れました 今朝のことです いつか笑い合って 逢えるはずです
ああ あの人は いい人だったけど このまま暮しちゃ いけない人だから
夜の銀座に 雨が降る 今日はどの娘が 泣くだろうか あ… ・・・
外は雨のようね 傘はいらない やせた肩をぬらして かけて行きます
ああ おたがいのためだと 別れたが 想い出たくさん 残した人だから
夜の銀座に 雨が降る 今日はどの娘が 泣くだろうか あ… 
■銀座カンカン娘
あの娘可愛やカンカン娘 赤いブラウス、サンダル履いて 
誰れを待つやら銀座の街角 時計ながめてそわそわにやにや これが銀座のカンカン娘
   雨に降られてカンカン娘 傘もささずに靴までぬいで 
   ままよ、銀座は私のジャングル ・・・
指をさされてカンカン娘 ちょいと啖呵も切りたくなるわ 
家はなくてもお金がなくても ・・・
   カルピス飲んでカンカン娘 一つグラスにストローが二本 
   初恋の昧、忘れちゃいやよ ・・・ 
■銀座セレナーデ
今宵流れる メロディは 甘いほのかな セレナーデ
うれし銀座に 若い銀座に 二人の銀座に 恋の微風
ペーブメントに 花が咲く ・・・
今宵流れる メロディは 二人の夢の セレナーデ
柳ナヨナヨ スイング出して 愛のリズムに 月も踊るよ
恋し銀座の 銀の月  
■銀座の女
夢をなくして また拾い 明日は咲こうと する女
そして傷つき 泣きながら それでも夢を それでも夢を ああ 銀座
   あなたわたしの 眼を見てよ 死んでもいいわと いう女
   そしてなんども 裏切られ それでも虹を ・・・
わたし好きなら 好きなよに 好きにしてよと いう女
いくども恋して 流されて それでも恋を ・・・
   夢を拾って またなくし 夜に咲こうと する女
   明日の行方も わからずに それでも夢を ・・・ 
■銀座の恋の物語
(女)心の底まで しびれるような (男)吐息が切ない 囁きだから
(女)泪が思わず 湧いてきて (男)泣きたくなるのさ この俺も
(二人)東京で一つ 銀座で一つ 若い二人が 始めて逢った 真実(ほんと)の恋の物語り
   (女)誰にも内緒で しまっておいた (男)大事な女の 真ごころだけど
   (女)貴男のためなら 何もかも (男)くれると言う娘の いじらしさ ・・・
(女)やさしく抱かれて 瞼をとじて (男)サックスの嘆きを 聴こうじゃないか
(女)灯りが消えても この侭で (男)嵐が来たって 離さない ・・・ 
■銀座の雀
たとえどんな人間だって 心の故郷があるのさ
俺にはそれがこの街なのさ 春になったら細い柳の葉が出る
夏には雀がその枝で啼く 雀だって唱うのさ
悲しい都会のチリの中で 調子っぱづれの唄だけど 雀の唄はおいらの唄さ
   銀座の夜銀座の朝 真夜中だって知っている
   隅から隅まで知っている おいらは銀座の雀なのさ
   夏になったら啼きながら 忘れ物でもしたように
   銀座八丁とびまわる それでおいらは楽しいのさ ・・・
春から夏夏から秋 木枯だって知っている
みぞれの辛さも知っている おいらは銀座の雀なのさ
赤いネオンによい乍ら 明日の望みは風まかせ
今日の生命に生きるのさ それでおいらはうれしいのさ 
■銀座の蝶
ほこりまみれの 巷の夕陽 ビルにかくれりゃ 灯が点る
昨日みた夢に すがって泣いちゃ 生きては行けない 銀座だよ
弱音吐いちゃ駄目さ にっこりと 夜の蝶々は あゝ 飛ぶんだよ ・・・
つくりものでも 花咲く銀座 ここが小さな 故郷(ふるさと)さ
たとえ柔肌に 冷たい雨が 沁みよと叩こと 運命(さだめ)だよ
今日は明日を忘れ □笛で 夜の蝶々は あゝ 飛ぶんだよ 
■銀座ブルース
たそがれゆく銀座 いとしい街よ 恋の灯つく銀座 夢買う街よ
あの娘の笑顔が 可愛い ちょっと飲んで いこうかな
ほんとにあなたって いい方ね でもただそれだけね
たそがれゆく銀座 いとしい街よ 恋の灯つく銀座 夢買う街よ ・・・
あの娘の気持ちは どうだろう ちょっと聞いて みようかな
目と目で交したお話しが ピンと来るのよ
今宵ふけゆく銀座 たのしい街よ ふたり消えゆく銀座 夜霧の街よ 
■銀座ブルーナイト
銀座ひともし ブルーのコート 女心が 流れて行くわ
ネオンの影で 恋に泣き 未練でうたう 流行歌
いいじゃないの いいじゃないの 銀座の女は情があって いいじゃないの ・・・
銀座ひと夜の ブルーのお酒 好きなあなたが 来ない夜
ひとり遊びの 占いも すねてうらんで 泣きと出た
いいじゃないの いいじゃないの 銀座の女は情があって いいじゃないの 
■銀座旋風児(ギンザマイトガイ)
風が呼んでる マイトガイ 俺がいやだと 言ったって
誰かが俺を 呼びにくる ダスターコートの 影曳いて
今日も嵐の 中に立つ 俺は 俺は 俺は銀座の旋風児
   生れた時から マイトガイ 命がけだよ 本当だぜ
   何処で死のうと 生きようと バトンタッチのない俺に
   恋も女も いるものか ・・・ 
■銀座マリ
空にゃポッカリ白い雲 顔に見えます、亡きママの
街ッ子 陽気で寂しがり 情にゃもろくて一本気
生れつきだよ 銀座マリ いい子の いい子の銀座マリ
   街のたそがれ 降る雨は 幼なじみの銀ねずみ
   街ッ子 濡れても濡れぬ振り 涙まぎらす口笛は
   ママの形見の子守唄 ・・・
つらさ悲しさ吹きとばし 寒い夜ふけも春の顔
街ッ子 江戸ッ子 東京ッ子 たまらないときゃ思い出す
ママの形見の子守唄 坊やいい子の子守唄 
■銀座夜のブルース
おとな同士さ 俺とお前の仲 愛しすぎても あきはしないのさ
これが銀座 濡れたネオンに 枯葉がうたう
いつも ごきげんな街だよ あゝ 銀座ブルース ・・・
呑んで踊って 恋に疲れたひと せめて明日に 夢をつなぐひと
これが銀座 別れたあとの 孤独なこころ
なぜか 眠れない夜ふけの あゝ 銀座ブルース 
■東京銀座は他人町
いいじゃないのよ そんなこと お国訛りが つい出ても
かくし切れない 女の過去を いじめるもんじゃ なくってよ
銀座 銀座 銀座はふるさとのない そんな女の 他人町 ・・・
あなた札幌 うち博多 それが銀座で ふれ合った
他人同志の 不思議な縁よ グラスをせめて 合わせてね
銀座 銀座 銀座は恋さえしない そんな女の 他人町 
■雨の銀座
雨の銀座の街角で 一人涙に 濡れながら
うそと知りつつ 待ちました 男ごころは 移り雨
   女ごころの 古傷に かけた情が うれしくて
   うそと知りつつ 待ちました 恋の銀座は 小ぬか雨
濡れて待つ身の みじめさを 一目あなたに見せたくて
うそと知りつつ 待ちました 女泣かせの 通り雨 ・・・
  雨よ雨 雨 降らないで 今日も銀座の 街角で
  うそと知りつつ 待ちました 馬鹿な女の 涙雨 
■恋の銀座
どうしてあの娘にばかり やさしくするの
私がどんなに好きか 忘れちゃいやよ 銀座へきたときは わがままを
云わせてね ゆるしてね 短い夜だもの 電話がかかってきても 帰っちゃだめよ ・・・
日比谷をまわって寄った スナックサロン
あなたが憎めたならば 苦しまないわ 銀座の夜が更けて 霧がふる
もう今日も おしまいね メトロは終電車 あしたもあなたの好きな わたしでいたい 
■ゆき子は銀座を離れます
お伽ばなしに 恋をして 最後の人だと 思ったの
恨んでなんかいないのよ 淋しいけれど 筋書き通り
ゆき子は銀座を離れます
   今日でおわりの 夜だから 涙かくして つとめます
   親切だったママだけど わがまま云って ごめんなさいね
   ゆき子は銀座を離れます ・・・ 
■二人の銀座
(男女)待ちあわせて 歩く銀座 (女) 灯ともし頃 恋の銀座
(男) 僕と君が 映るウインド 肩を寄せて 指をからませ (男女)二人の銀座
   (男女)触れあう頬 夜の二人 (女) 甘い香り 熱い二人
   (男) みゆき通り すずらん通り なにも言わず ときめく胸の (男女)二人の銀座
(男女)銀座 二人だけの 星もネオンも 僕と私のもの 夜も更けて 消えたネオン
(女) 星空だけ 恋人だけ (男) ペーブメントに よりそう影が かさなる時 初めてのキス
(男女)二人の銀座 ・・・
   (男) ペーブメントに よりそう影が かさなる時 初めてのキス
   (男女)二人の銀座 二人の銀座 二人の銀座…… 
■数寄屋橋ブルース
ビルの灯紅く 燃えたとて 泣きたい夜の 数寄屋橋
月日は流れる 夢の様に 流れて帰らぬ あの人よ
ああ街角に 恋は消え 残るはこの唄 数寄屋橋ブルース ・・・
あなたのあとを 追うように ウツロな風が いまも吹く
再び帰らぬ 恋想い この僕死ぬ程 つらいんだ
ああ夜も更ける 恋は消え 残るはこの唄 数寄屋橋ブルース 
■西銀座駅前
ABC・XYZ これは俺らの 口癖さ
今夜も刺激が 欲しくって メトロを降りて 階段昇りゃ
霧にうず巻く まぶしいネオン いかすじゃないか 西銀座駅前 ・・・
ABC・XYZ 若い二人はジャズ喫茶
一人の俺の 行く先は 信号燈が 知っている筈さ
恋は苦手の 淋しがりやだ いかすじゃないか 西銀座駅前 
■おんなの西銀座
夜の谷間に いのちを張って 生きてる女が 泣かされる
たかが一人の 男だと 思い切れない 恋無情
銀座の隅に ああ… 女はしのび泣く ・・・
紅い灯も泣く やつれた影に 非恋を語る 数寄屋橋
どこに流れる 流される 羽をとられた 夜の蝶
銀座の川は ああ… 女の涙川 
■ひとり酒場で
ひろい東京に ただ一人 泣いているよな 夜が来る
両手でつつむ グラスにも 浮かぶいとしい 面影よ
夜の銀座で 飲む酒は なぜか身にしむ 胸にしむ ・・・
暗い東京の 酒場でも 夢があるから 酔いにくる
今夜はとても 淋しいと そっとあの娘が 言っていた
夜の銀座で 飲む酒は なぜか身にしむ 胸にしむ 
■冬子のブルース
冬子はひたすら 生きたのに 冬子のからだは
冬子をすてた だれかが操る 運命の糸に
ひかれているとも 知らないで あゝ 冬子は銀座へきた女 ・・・
冬子はいけない 女だと 冬子の噂が
冬子を包む 曲がっていたのは 世のなかなのに
唇ひらけば しみる夜風 あゝ 冬子は枯葉を口ずさむ 
■ててご橋
ててごとははごと ごとごとと いっこくばしでまてばよい
ててごとははごと ごとごとと いっこくばしで まてばよい
   まいごになったら どこでまつ ててごとははごを どこでまつ
ててごとははごと ごとごとと いっこくばしでまてばよい
ててごとははごと ごとごとと いっこくばしで まてばよい
   ははごがいなけりゃ どこでまつ ででごだけなら どこでまつ
   ごとごとまわる うばぐるま またずにのって ゆけばよい
ひもじくなったら どこでなく ねむくなったら どこでねる
なきごとねごとと ごとごとと いっこくばしで なけばよい ・・・
   雨がふったら どこでなく 雪がふったら どこでねる
   ごとごとまわる うばぐるま だまってのって なけばよい  
■日本橋のうた
心がなにか 欲しい時 花やぐひととき 欲しい時
訪ねてゆきます 日本橋 愛する街です 日本橋
江戸の名残りが しっとりと 今もにじんで 生きている
新しい街です 日本橋 日本橋 ・・・
心が愛を 欲しい時 安らぐ想いが 欲しい時
いつしか来てます 日本橋 楽しい街です 日本橋
変わる時代の きらめきを いつも忘れず 取り入れて
呼んでいる街です 日本橋 日本橋 
■お江戸日本橋
お江戸日本橋七ツ立ち 初上り 行列揃えて アレワイサノサ
コチャ高輪 夜明けて 堤灯消す コチャエ コチャエ
   恋の品川女郎衆に 袖引かれ 乗りかけ御馬の 鈴ガ森
   コチャ大森細工の 松茸を コチャエ コチャエ 
■明治一代女
浮いた浮いたと 浜町河岸に 浮かれ柳の はずかしや
人目忍んで 小舟を出せば すねた夜風が 邪魔をする ・・・
意地も人情も 浮世にゃ勝てぬ みんな儚い 水の泡沫(あわ)
泣いちゃならぬと 言いつつ泣いて 月にくずれる 影法師 
■築地明石町
川風がもつれさせたか 糸柳 義理が絡んだ 柵を
切ってあなたと暮らしたい ああ 夢が流れる 築地川 ・・・
ガス燈の 灯り咽ぶか 影法師 浮世芝居の 幕引きを
知っているのは お月さま ああ 夜が流れる 明石町  
■佃流し
意地を命の深川育ち 浮名二人を筏にのせて
初手は気まぐれ いつしか まことあかす 佃の流し節
   浮世さらさら さらりと捨てて ままよ明日は あの潮まかせ ・・・ 
中央区
銀座アンノン娘 所ジョージ
銀座イエスタデイ 植木等
銀座尾張町 東海林太郎
銀座音頭 美空ひばり
銀座・おんな・雨 美川憲一
銀座かぐや姫 千昌夫
銀座かっぽれ 楠トシエ
銀座カンカン娘 高峰秀子
銀座九丁目水の上 神戸一郎
銀座セレナーデ 藤山一郎
銀座のお恵ちゃん 藤圭子
銀座の女 森進一
銀座のキューピット 園まり
銀座の恋の物語 石原裕次郎 & 牧村旬子
銀座の庄助さん 北島三郎
銀座の雀 森繁久彌
銀座の蝶 大津美子
銀座のマキ 美川憲一
銀座の夜 フランク永井
銀座はマロン 松尾和子
銀座ひとりぼっち 天地真理
銀座ブルース 松尾和子&和田弘とマヒナスターズ
銀座ブルーナイト 青江三奈
銀座旋風児(ぎんざマイトガイ) 小林旭
銀座マリ 雪村いずみ
銀座夜のブルース 石原裕次郎
銀座四丁目 美空ひばり
銀座ルネッサンス 朝丘雪路&ランブラーズ
銀ブラ娘 松山恵子
銀ブラ娘 美空ひばり
東京銀座は他人町 小林旭
いとしの銀巴里 美輪明宏
俺は銀座の騎兵隊 守屋浩
雨の銀座 ロス・プリモス
女泣かせの銀座川 青江三奈
恋の銀座 ロス・プリモス
恋のブルー銀座 フランク永井
深夜の銀座裏 勝新太郎
たそがれの銀座 ロス・プリモス
ものがたりは銀座 里見浩太朗
ゆき子は銀座を離れます 小林旭
二人の銀座 山内賢・和泉雅子
若い銀座 美空ひばり
さいざんすマンボ トニー谷&宮城まり子
数寄屋橋ブルース 三田明
西銀座駅前 フランク永井
西銀座五番街 西郷輝彦
おんなの西銀座 フランク永井
何かありそな西銀座 奥村チヨ
黒い落葉 水原弘
ひとり酒場で 森進一 
冬子のブルース 美川憲一
星のナイト・クラブ 西田佐知子
ててご橋 バーブ佐竹
日本橋のうた 五木ひろし
お江戸日本橋 デューク・エイセス
お江戸八丁堀 美空ひばり
明治一代女 新橋喜代三
築地明石町 東海林太郎
佃ながし 市丸
港区
■東京タワー
いつか誰かにもらったお土産のカード 描かれた景色
何気なく飾られた部屋で 穏やかな時は流れた
   そんな幸せな日々は 指の隙間から したたるしずくの様にこぼれ
   突然時間は 限りあるものに変わったね…
"平凡"とか"普通"って言葉が よく似合う そんなふたりに
似合わないよ ドラマティックすぎて… こえられぬ運命なんてさ…
   東京タワー いつかきっと 手をつなぎ 登ろうと
   約束したけど 本当は理解(わか)っていた その夢が 叶わない事も…
守れないと知って交わす約束を 「嘘だ」って呼ぶ人がいたとしても
嘘が守る体温(ぬくもり)があると そう信じてた… 守れなかった…
   時は経ち場所は変わり その街で暮らす僕の元へ今日
   自分より重そな荷物を抱えて あなたは東京(ここ)へ来た
「何か欲しい物とかないの?」と 尋ねたらあなたはそれに
「行ってみたい場所ならあるよ」と 照れくさそうに そう答えたね
   「やっと来れた」と笑う横顔(かお)は どことなく寂しさを帯びていて
   「どんなことを考えてる?」 なんて野暮(こと)言いかけて…やめた ・・・
東京タワー いつもそこで 幾千の物語 見つめ 照らし続けてる それはまるで
悲しみを溶かすような まなざしで 輝いてる… 
■東京タワー
素敵よ素敵ね ごらんなさい あちらは富士山 こちらは筑波
おとぎ噺に 出てくるような 小人の国でも 見るような
オゝ ワンダフル ワンダフル 東京タワー ・・・
素敵よ素敵ね ごらんなさい はるかにアルプス 招くは伊豆路
愛のプランを 心の中に 楽しく描いてる 君と僕
オゝ ワンダフル ワンダフル 東京タワー 
■東京タワーを鉛筆にして
東京タワーを 鉛筆にして 青空いっぱいあなたの顔を
うんと 上手に 描きたいのです あなたと出会った 日付けを入れて
ちょぴり 大人の つもりになって LOVEと小さく 描きましょう (Ha Ha Ha ・・・・・) 
   湘南電車を ローセキにして 砂浜いっぱい私の顔を
   うんと かわいく 描きたいのです あなたと私は 水平線で
   ちょっぴり 大人の つもりになって ・・・ 
■手のひらの東京タワー
私のプレゼント うけとってほしいの そっと目をつむって つれていってあげる
ガラスのエレベーター 二人を乗せてゆく ドアが開くとそこは忘れてたパラダイス
テレスコープの底の夕映え 紫のスモッグ 遠いビル
私のプレゼント もう目をあけていいわ ときめくパノラマの 東京タワー
愛したらなんでも手に入る気がする 今は世界中が箱庭みたい
行きたい場所を ほら指させる ハイウェイも港も煌いて
本当は金色のエンピツ削りなの 手のひらに包んだ 東京タワー ・・・ 
■北青山3丁目4番地
ガラスの中の夕映えに
揺れるライ麦畑が ねえ君の瞳には見えたの
   肩で息してショーウィンドウ
   いつも並んで覗いてたね それは夢の入り口
頬づえをついて恋をしてたの
そう二人が 制服をまだ着てた頃ね
   大切なことを忘れそうな日には
   ひとりでここに来て 時間を止めるの
街角で遊ぶいけない私を
叱ってくれたのは 君だけだったね
   ジャケットだけがネイビー・ブルー
   今もガラスの向こう側に 遠い二人が見える
君が振り向く夕暮れは
とても悲しい色をしてる 私だけが大人で…
   さよならで閉じた青いアルバム
   ねえ何を見失ったのと声がするの ・・・
いつか出逢えたらまた私のこと
叱ってくれるかな 昔のまんまで… 
■赤坂どん底一ツ木周辺
舞台裏は見せたくないけど 化粧ののりの悪い日は
生まれおちたことさえ 怨むのよ だって 私 女ですもの
   肩巾の広さは 生まれつきなの 腕の太さも 仕方ないの
   それでも 長いドレスが似合うでしょ だって 私 女ですもの
赤坂の町を一歩ずつ 今日もまた 夜に沈んでく スパンコールつけた熱帯魚
   お嫁に行く歳は過ぎたけど 男の好みは うるさいの
   ヒジ鉄 ヒザ蹴り いざとなりゃ 強いのよ だって 私『男』ですもの
赤坂の町を一歩ずつ 今日もまた 夜に沈んでく シャンデリアの海 深海魚 ・・・ 
■赤坂の夜は更けて
いまごろどうして いるのかしら 切ない想いに ゆれる灯影
むなしい未練とは 知りながら 恋しい人の名を ささやけば
逢いたい気持ちは つのるばかり 赤坂の夜は 更け行く
   夜霧が流れる 一ツ木あたり 冷たくかすんだ 街の灯よ
   うつろなる心に たえずして ・・・ 
■赤坂ブルース
田町通りにたたずめば 夜風が寒い 思い出すのはあなたとの 楽しい日々ね
別れがこんなに 苦しいものと 知らないはずでは なかったけれど
雨 雨 なみだ雨 わたしが泣いてます ・・・
みすじ通りの宵灯り ネオンもにじむ ワイングラスに面影が 浮かんで消える
わがまま云わなきゃ よかったものを 悔やんでみたって 帰らぬ恋よ
雨 雨 なみだ雨 わたしが泣いてます 
■赤坂めぐり逢い
(男) 探していたんだ おまえのような 心安らぐ やさしい女を
(女) 回り道して きたけれど 信じていいのね その言葉
(男) 俺の瞳をみろ 嘘じゃない (二人)夜の赤坂めぐり逢い
   (女) 覚えていますか あの日のことを 夜の赤坂一ツ木通り
   (男) ほれた女に 背かれて さよなら告げられ 乱れ酒 ・・・
(男) エプロン姿で あさげの支度 春の陽ざしが 幸せ運ぶ
(女) あなた行く道 ふたり人生 淋しくなったら その胸で
(男) 流す涙は 俺がふく (二人)夜の赤坂めぐり逢い  
■雨の赤坂
小雨にしずむ 赤坂を あなたと二人 歩いたね
すねて泣いてた 可愛い嘘が 別れ話の はじめとは
赤坂 赤坂 ぼくは悲しい ・・・
あなたと逢った 赤坂で 後姿の 愛をみた
さよならしたら もう二度とは 足音さえも 帰らない
赤坂 赤坂 ぼくは泣きたい 
■コモエスタ赤坂
コモエスタ セニョール コモエスタ セニョリータ
酔いしれてみたいのよ 赤坂の夜 別れた人に 逢えるような
そんな気がして ならないの それが赤坂 赤坂 デルコラソン ・・・
コモエスタ セニョール コモエスタ セニョリータ
酔いしれてふるえるの ろうそくの炎 ひとり暮らしの 私には
ここがいつもの 愛の部屋 それが赤坂 赤坂 デルコラソン 
■めぐり逢い赤坂
(男)ゆきずりの遊び苦手さ (男)不器用な男がゴメン
(女)たわむれのふりをしただけ (女)私もよ遊びは出来ないの
(男)恋 (女)恋 (男女)恋はつなわたり
(男女)赤坂赤坂あぶない二人 (男女)赤坂赤坂めぐり逢いの街 ・・・
(男)もうすこし飲んでゆこうか (女)罪色のお酒が好きよ
(男)出来るなら時間を止めたい (女)二人とも今夜が始まりね
(男女)愛愛愛はものがたり (男女)赤坂赤坂あぶない二人
(男女)赤坂赤坂めぐり逢いの街 
■六本木
"lyrics">朝になるのも気付かずに 好きにすごせるたまり場所
アフロ・ヘアーにブルー・ジーン どれも見なれた奴ばかり
恋している日も ない日も あたしは出かけて来るのよ Ah
ほんのちょっぴり酔いながら 遠い目をしてなまめくの
いつか疲れて眠ったら そうよそのまま眠らせて
いつしかなじんだジャングル この街あたしのとまり木 Ah ・・・ 
■六本木純情派
You've broken my heart 雨の高速で
クルマを飛び出したのParking Area Just get down the night
街のピンナップボーイが 飽きもせずに傘さしかけるわ
   優しくしないで 振り向いたら泣き出しそうなの
   Who are you・・・ 迷子たちの六本木 胸のすき間涙でうめてる
   Who are you・・・ 遊び馴れた六本木 純情ゆらすのよBoogie Woogie
What wonderful night 閉じたシャッターに
知らない子と並んでもたれた I'm crazy about you
かなり嘘くさい 甘いささやきちょい泣かせるね 
どこかあのひとに ワル気な瞳が似てるのよあなた ・・・ 
■六本木心中
だけど こころなんて お天気で 変わるのさ 長いまつ毛が ヒワイねあなた
罪な目つきをしてさ「命あげます」なんて ちょっと場末のシネマしてるね
   この街は広すぎる ・・・
   独りぼっちじゃ 街のあかりが 人の気を狂わせる
櫻吹雪に ハラハラすがり ・・・
うぬぼれないで言葉じゃダメさ 男らしさを立てておくれ
   遊び相手となら お手玉も出来るけど ・・・
   年下のくせしてさ ヤキモチ焼くなんて あなた売れないジゴロみたいね
夜更けに目を覚ませば ・・・
人の寝息がベッドにあれば 夢のつづきが見れる
   そっと横顔 息つめて見る ・・・
   あしたになれば陽はまた登る 女ですもの泣きはしない 
■六本木ララバイ (内藤やす子)
   ふってふられてララバイ 恋はきまぐれララバイ
あなたのやさしさが 痛いほど分かり過ぎる さよならの言葉さえ
言えずに別れた人よ 季節の足音心で聞きながら
ララバイララバイ瞳を閉じて 東京の夜明けに歌う子守唄
   ふってふられてララバイ 恋はきまぐれララバイ
明日の運命など 誰にも分りはしない 出会いと別れの
ためにだけ生きてる人よ 木枯しささやく心を抱きながら ・・・
失くしたあの夢心で呼びながら ララバイララバイおやすみよ
東京の夜明けに歌う子守唄 ・・・
   ふってふられてララバイ 恋はきまぐれララバイ 
■六本木ララバイ (いしだあゆみ)
肩にはおったセーターを 胸であわせて 小さなビルの
エレベーターのボタンを押した 夜明けがもう近い 六本木
あなたはそろそろ坂道で 車をひろって乗る頃かしら
さめた心とうらはらに あなたが欲しい 帰るあなたが
   ミルクのびんをころがして 仔猫があわてて 逃げ出して行く
   ベッドに体をもぐりこませて ・・・ 
■六本木レイン
背中に指文字 好きだと書いて 名前が変わると 嘘をついたわ
唇が冷たいね あなたより正直ね ありがとうって 言えなくなるのよ
笑っちゃうほど哀しい嘘は せめて明るさ 救いになるでしょ
   六本木レイン・・・ いい女でいさせてよ
   私のかわりに 泣いておくれよ 六本木レイン・・・
   いい女になりたけりゃ 振られ上手になることね あゝ・・・
   私泣いてないよ 泣いてないよ
負け札 自分で引いたようだね 最後の賭けだと思っていたの
ブラウスが膝の上 淋しいと言いそびれ 引き止められる一秒が永い
嘘でいいから やり直そうと お人好しだね まだ待っているわ ・・・ 
■雨の西麻布
そして女は濡れたまま そして男は背中を抱いた ずるい人ね
震える瞳が小さく恨んでた 涙お拭きよ よしてなぐさめ 
愛の終わり胸の痛み雨の西麻布 だから女は俯いて だから男は無口になった 
馬鹿俺さ 車のライトが悲しいね二人を照らすだけ
   そして女は泣き出して そして男はコートを掛けた 遊びなのね
   左の肩まで心を決めていた いつかわかるさ だめよくちづけ 
   罪な別れ残る未練 雨の西麻布 だけど女は歩き出す だけど男は名前を呼んだ
   ごめんなんて 都会のノイズに消されてた大人の物語 ・・・ 
■よくやるね
懐かしくて立ちすくんだ交差点 背中でほらすぐに気づいた
元気なの?と声をかけてみたいけど 今の私には待つ人がいる
   別れなんてさ 突然雨に 降られたみたいなものね ・・・
男たちは時がたって気づくのね どんなにねぇ愛していたか
そしていつか女たちも恋をする 最後の愛だといつも信じて
   服を選んで 脱ぎ散らかして またひとつためいきつく ・・・ 
■東京ホテル
眠るあなたの 肩ごしに 船のランプが ゆれていた
明日のわかれを まえにして わたしは服など たたんでた こゝは東京 海沿いホテル 
みれんでしょ おばかさん いまもあなたに 逢いたくて
一年まえの 同じ窓から レインボーブリッジ なみだで見てる ・・・
恋の断片を 集めても ゆめが終わった 白い朝
鏡のぞいて 眉書いて ひとりの女をたしかめる こゝは東京 海沿いホテル
みれんでしょ おばかさん せめてあかるい 顔をして
あなたのいない 同じ駅から わたしは帰りの きっぷを買うの 
港区
東京タワー 石野真子
東京タワー 美空ひばり
東京タワーを鉛筆にして アグネス・チャン
手のひらの東京タワー 松任谷由実
キラー通りは毎日がパーティー 荻野目洋子
北青山3丁目4番地 荻野目洋子
赤坂どん底一ツ木周辺 ダウン・タウン
赤坂の夜は更けて 西田佐知子
赤坂ブルース 美川憲一
赤坂めぐり逢い 三沢あけみ & 日下優
雨の赤坂 角川博
コモエスタ赤坂 ロス・インディオス & シルヴィア
めぐり逢い赤坂 新沼謙治 & 松原のぶえ
六本木 南沙織
六本木純情派 荻野目洋子
六本木ショット 矢沢永吉
六本木心中 アン・ルイス
六本木の赤い月 柏原芳恵
六本木の夜 平尾昌章
六本木バツイチ 日野美歌
六本木物語 森進一
六本木ララバイ いしだあゆみ
六本木ララバイ 内藤やす子
六本木レイン 研ナオコ
続・六本木純情派 荻野目洋子
ナイト・イン六本木 三田明
ヨルノ、ロッポンギ 美川憲一
メランコリー 梓みちよ
雨の西麻布 とんねるず
よくやるね 和田アキ子
東京ホテル 美川憲一
哀愁 島倉千代子
新宿区​
■紅とんぼ
空(から)にしてって 酒も肴も 今日でおしまい 店仕舞
五年ありがとう 楽しかったわ いろいろお世話になりました
しんみりしないでよ…ケンさん 新宿駅裏“紅とんぼ" 想い出してね…時々は ・・・
だからほんとよ 故里(くに)へ帰るの 誰も貰っちゃ くれないし
みんなありがとう うれしかったわ あふれてきちゃった想い出が
笑ってよ 涕かないで…チーちゃん 新宿駅裏“紅とんぼ" 想い出してね…時々は 
■雨の新宿
(男)雨の新宿 拾った恋は (男)スナックバーのカウンター
(女)肩のしずくを払ってあげた (女)オンザロックの好きな人
(男女)あなたも酔って わたしも酔って (男女)降る降る 雨に 燃えました ・・・
(男女)雨の新宿 ふたりの恋は (男女)濡れたネオンの 夜の虹
(男)光る時計の きれいなビルの (女)横を曲がれば ニューパーク
(男女)ひとつのコートに 頬寄せながら (男女)降る降る 雨に 燃えました 
■命預けます
命預けます 流れ流れて東京は 夜の新宿花園で
やっと開いた花一つ こんな女でよかったら 命預けます
   命預けます 嘘もつきます生きるため 酒も飲ます生きるため ・・・
命預けます 雨の降る夜は雨になき 風の吹く日風に泣き ・・・ 
■新宿海峡
骨が鳴るほど 抱き合った 似たもの同士の 根なし草
死ぬまであなたの いい女 惚れさせて 惚れさせて 惚れさせて
裏切りものの 船がゆく 新宿海峡 酒の海 ・・・
傷が沁みれば 沁みるほど やっぱり逢いたい 未練もの
色つきネオンの さざ波を 漂よって 漂よって 漂よって
夜明けに鴎 泣くという 新宿海峡 霧の海  
■新宿恋ほたる
むらさきの ドレス着て むらさきの 夢みてる
嘘に 遊ばれ 泣いた夜 こころが 乾いて 痛くなる
眠らない街は 淋しさ 隠すから 優しさ探して わたし 新宿・恋ほたる ・・・
好きだから くちづけて 好きだから 去っていく
闇に 哀しみ こぼれたら 誰かに 抱かれて みたくなる
眠らない街は 淋しさ 隠すから 優しさ欲しくて わたし 新宿・恋ほたる 
■新宿サタデー・ナイト
キッスしたの あなたは わたしの心に ひとりではいられない 女にしたの
星までも流れるの 待ちかねて さがすよに 好きよあなた 好きよあなた
サタデー・ナイト サタデー・ナイト 新宿の夜
   泣きまねじゃないのよ ほんとの涙 ふと浮かぶ ふるさとの 山脈青く
   さようならと乗ろうかナ 最終の長野行 ・・・
くやしいわ あなたが 忘られないの 恋しくて 泣きに泣く ときさえあるの
どうなりょと どうさりょと 好きならば仕方がない ・・・ 
■新宿情話
新宿は 西口の 間口五尺の ぽん太の店が
とうとうつぶれて 泣いてるヒロ子 
三畳一間で よかったら ついておいでよ 僕んちに ・・・
これからは どうなるの 赤いランプの 最終電車
しょんぼり見送る ヒロ子の涙
風呂敷づつみを 中にして つなぐ手と手に 霧が降る 
■新宿そだち
女なんてサ女なんてサ 嫌いと思って見ても
ひとりで飲む酒まずい酒 指名しようかいつもの娘 
俺もおまえも新宿そだち
   男なんてサ男なんてサ 嫌いと言ってはみても
   貴方の名刺を胸に抱く 一目惚れさすにくい人 
   恋に弱いの新宿そだち ・・・
男なんてサ男なんてサ 嫌いよはっきりしてよ
好きなら好きだとききたいの 駄目よ浮気じゃ出直して 
本気に燃えます新宿そだち 
■新宿なみだ町
酒よ 酒よ 酒よあんたが 男なら あたしを あたしを 捨てないわ
嘘とわかって また惚れて また惚れて 夢につまづく 赤い靴
泣くな新宿 泣くな新宿 新宿なみだ町 ・・・
夢の 夢の 夢の続きが あるのなら 何処かへ 何処かへ 連れてって
そんな倖せ 落ちてれば 落ちてれば 生れ変って 薄化粧
泣くな新宿 泣くな新宿 新宿なみだ町 
■新宿の女
私が男に なれたなら 私は女を 捨てないわ
ネオンぐらしの 蝶々には やさしい言葉が しみたのよ
バカだな バカだな だまされちゃって 夜が冷たい 新宿の女 ・・・
あなたの夢みて 目が濡れた 夜更けのさみしい カウンター
ポイとビールの 栓のよに 私を見捨てた 人なのに
バカだな バカだな だまされちゃって 夜が冷たい 新宿の女 
■新宿の月
新宿で 見る月に 白いウサギは 住めないと
ぽつり淋しく 言ったやつ 世間の流れに 置き去りの
俺とおまえは 忘れ草 新宿の 新宿の 月も寒かろ 冬の風 ・・・
新宿に 来る月に 俺のこの夢 叶えてと
荒れた両手を 合わすやつ ねぎらう言葉も 言えないが
肩を寄せ合い 交わす酒 新宿の 新宿の 月をふたりで 抱いて寝る 
■新宿はぐれ鳥
別れ話の いきさつは ささくれ畳に 聞いとくれ
今じゃ喧嘩もできないが どうしているのよ こんな夜は
あんた 新宿 迷い鳥 想い出数えて いるのなら ここで も一度 ねぇ 暮らそうよ ・・・
路地を吹く風 肩で切り 帰っておいでよ この街へ
遊びがすぎてた ひとだけど それでもあんたが 好きなのよ
あたし 新宿 阿呆鳥 男を愛して 泣くなんて これで 最後に ねぇ したいのよ 
■新宿波止場
赤いネオンの しぶきに濡れて 夜がくるくる 駅前広場
船が出るよに 別れたけれど ここで生まれた あの人だもの
逢える気がする 新宿波止場 ・・・
青い夜霧が 冷たくかかる 街の灯台 裏町通り
ギター泣かせる 流しの唄に 恋のつらさが 心にしみて
独りたたずむ 新宿波止場 
■新宿ブルース
恋に切なく 降る雨も ひとりぽっちにゃ つれないの
夜の新宿 こぼれ花 涙かんでも 泣きはせぬ
   あんな男と 思っても 忘れることが 出来ないの
   惚れてみたって 夜の花 ・・・
西を向いても 駄目だから 東を向いて みただけよ
どうせ儚い なみだ花 ・・・
   こんな私に うまいこと 云って泣かせる 憎いひと
   追ってみたって はぐれ花 ・・・
生きて行くのは 私だけ 死んで行くのも 私だけ
夜の新宿 ながれ花 いつか一度を 待ちましょう 
■新宿みなと町
新宿はみなと町 はぐれ者たちが 生きる辛さ 忘れて酒をくみかわす町
人を押しのけて生きてゆくより 安い酒に酔いたいね 
新宿… 新宿… 新宿みなと町 ・・・
新宿はみなと町 旅に出たやつも 流れ者も いつかはふらり舞いもどる町
生きて行くことは上手くなくても どこか優しい仲間たち
新宿… 新宿… 新宿みなと町 
■新宿駅から
新宿駅から 乗るんだよ 俺の故郷へ 行く汽車は
ああ 浮かぶじゃないか 東京の風に
町から三里の村だけど 小川の花と わらの屋根 ・・・
一度故郷へ 帰りたい ぜひに会いたい ひとがいる
ああ 浮かぶじゃないか 東京の風に
俺の育ったあの村は 新宿駅から 乗るんだよ  
■なみだ恋
夜の新宿 裏通り 肩を寄せあう 通り雨 誰を恨んで 濡れるのか
逢えばせつない 別れがつらい しのび逢う恋 なみだ恋 ・・・
夜の新宿 裏通り 夜咲く花が 雨に散る 悲しい運命を 占う二人
何故か今夜は 帰したくない しのび逢う恋 なみだ恋 
■今夜は華になる
今日もいつもの仕事をこなし 満員電車に ゆらりゆらり 揺られて帰るのよ
そんな私ももうすぐ三十路 期限切れなの でもね今夜は 歌舞伎町で華になる
   夢と現実の狭間で悟った 何時だって頑張らないの 無理しちゃだめと
   愛と偽りの隙間で誓った 快適で頑張らない人生にするのよ
私みたいな普通な女は 毎日が 普通に過ぎてくの 明日も日が昇る
そんな私のストレスケアは エステでフェイシャル でもね今夜は ミナミで華になる
   仕事遅いといじめられるの 陰口大会 睡眠時間 削っても働き
   そんな私は負け犬かもね 心の叫び でもね今夜は 中洲で華になる ・・・
嘘と真実の狭間で悟った 何時だって頑張らないの 無理しちゃだめと
影と幻の隙間で誓った 快適で頑張らない人生にするのよ 
■恋の神楽坂
帰りは気楽な歌で神楽坂を下って 時計が夜店の先で祭りばやしの店じまい
なつめの香りが 夜風に流れそう
汚れたみかげの石とさめた月のすべり台 電車の行方をながめ子供の頃へ夏みかん
このまま帰るか それとも消えるか
永い夢のさめた後の静けさは 青い闇へのびる恋の神楽の坂
けんかに夢中になって誰が恋のロボット なんだか昨日のことも別れの後の紙芝居
このまま帰るか それとも消えるか ・・・ 
■四谷三丁目
雨の四谷の まがり角 おれの女が 泣いてる
がんじがらめの まがり角 おれの頭が 狂ってく
   酔って叫んだ 女の声 雨がはげしく たたいて
   追った男の てれ笑い がんじがらめの ロックンロール
雨の四谷の まがり角 おれの女が 泣いてる
ほれたはれたの まがり角 おれの頭が くさってく ・・・ 
■四谷・大木戸・左門町
まるで傘でも 忘れるように あいつを忘れた 俺だった
まるで明日も 会うように 旅に出かけて それっきり
あいつの匂いは Tシャツの 洗濯バサミの 跡だけだった
四谷 大木戸 左門町 啓子という名の 女がいたら
昔通った この店で 飲んでいたよと 言っとくれ
   まるで夢でも 売ってるように 何にも出来ない 俺だった
   二人暮らした アパートも いつの間にやら 駐車場
   近くのスーパー のぞいたら 想い出ぐらいは 売ってるだろうか
   四谷 大木戸 左門町 ・・・ 
■学生街の喫茶店 ガロ (早稲田界隈) 
君とよくこの店に来たものさ 訳もなくお茶を飲み 話したよ
学生でにぎやかなこの店の 片隅で聞いていたボブ・ディラン
あの時の歌は聞こえない 人の姿も変わったよ 時は流れた
   あの頃は愛だとは知らないで サヨナラも言わないで別れたよ 君と
君とよくこの店に来たものさ 訳もなくお茶を飲み 話したよ
窓の外 街路樹が美しい ドアを開け 君が来る気がするよ
あの時は道に枯葉が 音もたてずに舞っていた 時は流れた ・・・ 
■あずさ2号
明日私は旅に出ます あなたの知らないひとと二人で
いつかあなたと行くはずだった 春まだ浅い信濃路へ
   行く先々で想い出すのは あなたのことだとわかっています
   そのさびしさがきっと私を 変えてくれると思いたいのです
さよならはいつまでたっても とても言えそうにありません
私にとってあなたは今も まぶしいひとつの青春なんです
8時ちょうどのあずさ2号で 私は私はあなたから旅立ちます
   都会のすみであなたを待って 私は季節にとり残された ・・・ 
新宿区​
紅とんぼ ちあきなおみ
雨の新宿 津山洋子 & 大木英夫
命預けます 藤圭子
ギター流して今晩わ 西川峰子
新宿海峡 北原ミレイ
新宿恋ほたる 半田浩二
新宿ゴールデン街 扇ひろこ
新宿午前3時25分 ビートたけし
新宿サタデー・ナイト 青江三奈
新宿情話 細川たかし
新宿仁義 緑川アコ
新宿そだち 津山洋子 & 大木英夫
新宿なみだ町 八代亜紀
新宿の女 藤圭子
新宿の恋人たち 朝丘雪路
新宿の月 山本譲二
新宿はぐれ鳥 内藤やす子
新宿バックストリート ダウン・タウン
新宿波止場 美空ひばり
新宿ふらふら カルーセル麻紀
新宿ブルース 扇ひろ子
新宿みなと町 森進一
新宿ラブストーリー 西田敏行
新宿二丁目・ほたる草 都はるみ
新宿駅から 五木ひろし
西新宿の親父の唄 長渕剛
夜の新宿しのび愛 西川峰子
ワンナイト新宿 坂上二郎
なみだ恋 八代亜紀
思い出に間にあいたくて 松任谷由実
今夜は華になる 美川憲一
恋の神楽坂 井上陽水
四谷三丁目 ビートたけし & たけし軍団
四谷・大木戸・左門町 角川博
元禄桜吹雪 決闘高田の馬場 三波春夫
あずさ2号 狩人 (新宿)
文京区​
■無縁坂
母がまだ若い頃僕の手をひいて この坂を登る度いつもため息をついた
ため息つけばそれで済む 後ろだけは見ちゃだめと 
笑ってた白い手は とてもやわらかだった
   運がいいとか悪いとか 人は時々口にするけど
   そうゆうことって確かにあると あなたをみててそう思う
忍ぶ不忍無縁坂 かみしめる様な ささやかな僕の母の人生 ・・・ 
■湯島の白梅
湯島通れば思い出す お蔦 主税の心意気
知るや白梅 玉垣に のこる二人の 影法師
   ・・・ 岸の柳の 縁むすび
   かたい契りを 義理ゆえに 水に流すも江戸育ち
・・・ 出れば本郷 切通し
あかぬ別れの 中空に 鐘は墨絵の 上野山 
文京区​
無縁坂 グレープ (台東区池之端―文京区湯島) 
湯島の白梅 小畑実
ようこそ輝く時間へ 松任谷由実
台東区
■浅草しぐれ
逢えば別れが 悲しいものを 逢えぬ淋しさ 尚更つらい
あなた偲んで 仲見世通り どこか似たよな うしろ影
ひと目逢いたい… 夜の浅草 通り雨 ・・・
いつか忘れる あの人なのに 飲めば未練が 又つのる
ひさご千束 噂に聞けば 今じゃ妻子さえ いるという
肩に冷たい… 夜の浅草 みぞれ雨 
■浅草姉妹
なにも言うまい 言問橋の 水に流した あの頃は
鐘が鳴ります 浅草月夜 化粧なおして エー化粧なおして 流し唄 ・・・
眼では見えない こころの中にゃ 母に逢う日の 夢がある
二人そろって 観音さまに 祈る願いは エー祈る願いは ただ一つ 
■浅草人情
ひとつたのむと 肩叩かれりゃ 横にゃ振れない 首根っこ
そんな気性が つっ張りすぎて いつか浮巣の 都鳥
なつかしいねえ 月もおぼろな 浅草は ・・・
幼馴染の 観音さまが 男ごころの 蝶番
どこを押しても 弱音は吐かぬ 意地の張子が ついほろり
泣けてくるねえ 時雨 馬道 鐘の音 
■浅草の唄
夜更けて 鐘が鳴ります 弁天山の
聴いて かぞえて 泣いて いずこゆく 鐘のひびき 涙誘うよ 今宵も ・・・
春雨 なにを祈るぞ 平内(へいない)さまに
結ぶ縁(えにし)の 紙縒(こよ)り 帰り行(ゆ)く 後すがた 町の娘の いとしや 
■浅草メロドラマ
とめる母の手 振り切って 彼の下駄ばきアパートへ
泣いてころがり込んだのは ほおずき市の夜だった
風も通らぬ四畳半 恐いもの無かったよ 今に想えば十八歳(じゅうはち)の
あれは浅草メロドラマ
   着のみ着のまま 貧しさに 笑うことさえ 忘れはて
   ふたり死のうとしたけれど ひとり私は残された
   暗くよどんだ隅田川 涙さえ出なかった
   めぐりあわせかあの晩も ほおずき市が近かった ・・・
帰りたいけど両親はふるさとの石の下
イヤだごめんネ ついぐちに外は祭りの人の波
イヤだごめんネ ついぐちに外は祭りの人の波 
■唐獅子牡丹
義理と 人情を 秤にかけりゃ 義理が重たい 男の世界
幼なじみの 観音様にゃ 俺の心は お見通し 背中で吠えてる 唐獅子牡丹 ・・・
おぼろ月でも 隅田の水に 昔ながらの 濁らぬ光
やがて夜明けの来るそれまでは 意地でささえる夢ひとつ 背中で呼んでる唐獅子牡丹 
■吾妻橋で待つ女
好(す)いた惚れたで 結ばれる それが叶わぬ さだめの恋よ
夜の隅田の 川風が 涙ひと粒 やさしく撫でる
あゝ今宵また 吾妻橋で待つ女 ・・・
夜空(そら)を見上げりゃ また潤(うる)む 泣いているよな 浅草ねおん
今は幸せ それよりも たった一夜(ひとよ)の 逢瀬が欲しい
あゝ影ひとつ 吾妻橋で待つ女 
■ああ上野駅
どこかに故郷の 香をのせて 入る列車の なつかしさ 上野は俺らの 心の駅だ
くじけちゃならない 人生が あの日ここから 始まった
   就職列車にゆられて着いた 遠いあの夜を思い出す 上野は俺らの心の駅だ ・・・
ホームの時計を見つめていたら 母の笑顔になってきた 上野は俺らの心の駅だ ・・・ 
■山谷ブルース
今日の仕事はつらかった あとはしょうちゅうを あおるだけ
どうせ どうせ山谷のドヤ住い ほかにやることありゃしねえ
   一人酒場で 飲む酒に かえらぬ昔が なつかしい
   ・・・ 今じゃ山谷が ふるさとよ
工事終れば それっきり お払い箱の おれ達さ
・・・ 世間うらんで 何になる
   人は山谷を 悪く言う だけどおれ達 いなくなりゃ
   ・・・ 誰も解っちゃ くれねえか
だけどおれ達ゃ 泣かないぜ はたらくおれ達の 世の中が
・・・ その日にゃ泣こうぜ うれし泣き 
台東区
浅草キッド ビートたけし
浅草しぐれ 海津栄
浅草姉妹 こまどり姉妹
浅草人情 氷川きよし
浅草の唄 藤山一郎
浅草の鳩ポッポ こまどり姉妹
浅草八景 石原詢子
浅草メロドラマ 島倉千代子
ちょっと待って浅草 北原ミレイ
唐獅子牡丹 高倉健
チンガラホケキョーの唄 渥美清
プカドンドン 榎本健一&古川ロッパ
吾妻橋で待つ女 美川憲一
あゝ上野駅 井沢八郎
上野に五時半 千昌夫 & コロッケ
山谷ブルース 岡林信康
広小路ブルース 青江三奈
墨田区
■俵星玄蕃
槍は錆びても 此の名は錆びぬ 男玄蕃の 心意気
赤穂浪士の かげとなり 尽す誠は 槍一筋に 香る誉れの 元禄桜 ・・・
涙をためて振り返る そば屋の姿を呼びとめて せめて名前を聞かせろよと
口まで出たがそうじゃない 云わぬが花よ人生は 逢うて別れる運命とか
思い直して俵星 独りしみじみ呑みながら 時を過ごした真夜中に
心隅田の川風を 流れてひびく勇ましさ 
一打ち二打ち三流れ あれは確かに確かにあれは 山鹿流儀の陣太鼓 ・・・ 
■両国橋
他人から聞いた話だけれど
小雨にぬれてる両国橋で あなたに偶然出会ったら
長い髪した女の人と 腕組み歩いていたそうね
何にも言いたくないけれど 新しい恋始めるならば
両国橋は行けないわ
あそこは二人の思い出を 川に流した場所だから ・・・
本当は言いたくないけれど 新しい恋始めるならば
両国橋はいけないわ
次の女も同じような 宿命になるような気がするの ・・・  
■スカイツリーは雲の上 
あなたにあげましょ 風船ガムを 夢がふくらむ 青い空
悲しいことは 誰にもあるけど ひとりじゃないよ もう泣かないで・・・
ヤッホー ヤッホー スカイツリーは雲の上 歌えば幸せ 素敵なパラダイス ・・・
あなたと見上げる ちいさな星が いつか心で 花になる
あの橋渡れば 幸せ来るから 笑ってみせて うつむかないで・・・
ヤッホー ヤッホー スカイツリーは雲の上 明日(あした)も晴れだよ 素敵なパラダイス
ヤッホー ヤッホー 素敵なパラダイス 
墨田区
俵星玄蕃 三波春夫
両国橋 五木ひろし
両国橋 松平純子
スカイツリーは雲の上 さくらまや
錦糸町ブルース 三島敏夫
江東区
■深川
猪牙(ちょき)で サッサ 行くのは深川通い サテ
あがる桟橋を アレワイサノサ いそいそと
客の心はうわの空 飛んで行きたい
アレワイサノサ 主(ぬし)のそば
   駕籠で サッサ 行くのは吉原通い サテ
   上がる衣紋坂(えもんざか) アレワイサノサ いそいそと
   大門口を眺むれば 深い馴染みが
   アレワイサノサ お楽しみ 
■深川くずし
丸髷に 結われる身をば 持ちながら
粋な島田や ホントニ ソウダワネ
チョイト 銀杏返し 取る手も恥かし左褄 デモネ、……
   中づくし 石川五右衛門 釜の中 
   お染久松 ホントニ ソウダワネ ・・・ 
■深川しぐれ橋
帯の結び目 逆手で締めて 霧をひと吹き 潔め酒
情け着流し 男の道は 胸に三寸 ぶちこんだ
義理の楔が 義理の楔が 守り札 ・・・
   男いのちの 観音開き 好いた惚れたじゃ 閉じられぬ
   酒の力を 借りてじゃないが すがる片袖 ふりはらい
   涙ひとつぶ 涙ひとつぶ 反古にする ・・・
一度かぎりで 二度ない浮世 濡れりゃ躓く 戻り雨
花は散るから その実が残る 意地のけじめは きっちりと
つけて辰巳の つけて辰巳の しぐれ橋 
■深川ブルース
粋な男の 面影が 浮かんで消えてく 隅田川
渡りきれない 渡れない 江戸の名残の 永代橋で
木遣り一筋 心に響く ここは仲町 恋の町 涙町
   揃い浴衣で 牡丹町 両手を合わせる 不動さま ・・・
   スカイツリーに 寂しさ揺れる ここは富岡 出逢い町 別れ町
寒い心に 灯をともす 檜の香りの ママの店
忘れられない 忘れたい 酔えば切ない 洲崎の灯り
胸の痛みに ぬくもり沁みる ここは深川 恋の町 情け町 
■門前仲町ブルース
夜の門仲 なみだ雨 弱い女の 恋なんて
見てはいけない 夢なのね あれからどこに 行ったやら
ゆれる暖簾に ふりむけば 風のいたずら 風のいたずら 門仲ブルース ・・・
どうせ私(あたし)を 捨てるなら なぜにぬくもり 置いて行く
泣けて来るほど 惚れたのは ささいな事に 目をつむり
許す男の 恰好よさ そっと溜息 そっと溜息 門仲ブルース 
■わたしの門前仲町
黒船橋から川面を見れば 灯りに影を映して揺れてます
人情深川なさけ町 お不動様に 願かけて
夢を託せば 春の宵 大横川には 風に桜舞う ・・・
好きですこの町がこれから先も 私をそっとやさしく包んでくれる
人情深川なさけ町 馴染みの老舗(みせ)に 灯が点る
暖簾(のれん)くぐれば 秋の宵 ほろ酔い路地裏 鈴虫(むし)が鳴いてます 
■萬年橋から清洲橋
浴衣の柄の 赤とんぼ どこへ どこへ 飛んでった…
   萬年橋から 清洲橋 夏の夕陽が 染めて行く
   母の背中を 追いかけた 理由も知らない 幼い日
母さんあなたは お元気ですか 愛を貫き 生きていますか そのひとと
決して詫びたり しないでほしい 今のわたしは あなたの想い わかります
   萬年橋から 清洲橋 路地の奥まで 川風が
   風鈴鳴らして 吹きぬける 今も 昔と 同じです
母さんあなたは しあわせですか 風の噂も聞こえて来ない 今はもう
女としての そんな生き方 ・・・ 
■雨の辰巳新道
今夜は優しい 雨が降る 初めて逢った 日の様な
罪な男(ひと)だね お客さん ボトルの名前 なぞる度 逢いたくなるの
辰巳新道 路地灯り 一人の女で 待ってます
   今夜は冷たい 雨が降る 疲れた胸を 刺す様な ・・・
   辰巳新道 カウンター 昨日と明日の 曲がり角
今夜は静かな 雨が降る 誰かが泣いて いる様な
寄ってらっしゃい お客さん ほろりとしみる 古い歌 聞かせて欲しい
辰巳新道 恋灯り 門前仲町 裏通り 
江東区
深川 市丸
深川くずし 江利チエミ
深川しぐれ橋 鏡五郎
深川ブルース コロムビア・ローズ
門前仲町ブルース 吉村明紘
わたしの門前仲町 津吹みゆ
恋の門前仲町 マヒナスターズ
萬年橋から清洲橋 あさみちゆき
雨の辰巳新道 コロムビア・ローズ  
品川区
■25歳の女は
今日もまたちがう ベッドに寝てる 天井は見慣れない色だし
こんな暮らしじゃ もう あたしも永くはないよ
いきたい場所は そこ
灯りを消して リズムにのって ぜんぶ忘れて
大井町のホームで 鏡のぞいて 天国につづく電車にのる
こんな暮らしじゃ もう あたしも永くはないよ
いきたい場所は そこ
カーテン引いて 携帯切って くちはてるまで愛だ ・・・ 
■戸越銀次郎のうた
自分の歳も 知らなけりゃ 誕生日さえ わからない
そうさオイラは 野良猫さ 趣味は散歩と懐メロさ
ゴシゴシゴシゴシ 銀次郎
   たまたま拾ってくれたのは 日本で最初の○○銀座 ・・・ 
品川区
25歳の女は 鈴木祥子
戸越銀次郎のうた 石田洋介
目黒区
■柿の木坂の家
春には 柿の 花が咲き 秋には 柿の 実が熟れる
柿の木坂は 駅まで三里 思いだすなア ふる里ヨ
乗合バスの 悲しい別れ ・・・
春くりゃ 偲ぶ 馬の市 秋くりゃ 恋し 村祭り
柿の木坂の あの娘の家よ 逢ってみたいなア 今も尚ヨ
機織りながら 暮していてか 
目黒区
柿ノ木坂の家 青木光一
大田区
■羽田発七時五十分
星も見えない空 淋しく眺め 待っていたけど 逢えないひとよ
さよなら さよなら 俺を急(せ)かせる 最終便 ああ 羽田発七時五十分 ・・・
忘れられない夢 見果てぬ夢を 捨てて旅立つ 心は暗い 
さよなら さよなら 俺は涙を のせて行く ああ 羽田発七時五十分 
■蒲田行進曲
紅の都光の湊 キネマの天地 花の姿春の匂い あふるるところ
カメラの眼にうつる かりそめの恋にさえ 青春燃ゆる 生命は踊る キネマの天地 ・・・
春の蒲田花咲く蒲田 キネマの都 空に描く白日のゆめ あつまるところ
かがやく美の理想 永久のあこがれに 生くる蒲田若き蒲田 キネマの都 
大田区
羽田発七時五十分 フランク永井
蒲田行進曲 川崎豊・曽我直子
空へ帰る人 大津美子
羽田発7時50分 フランク永井
世田谷区
■恋の終わり三軒茶屋
その角で車止めて 歩いて行くわ
路地裏を抜けるには そう狭いから
   これ以上求めないと いつからか決めてた
   お互いの事情なら わかってるつもりよ
三軒茶屋 終わりそうな恋 あなたも来なくなった部屋で
一人きりに慣れちゃうって ああ 寂しいものね
愛が整理できずに 思い出が溢れかえってる
まだまだ引っ越せない 合鍵持ってて
   私なら大丈夫よ 無理をしないで
   忙しいとわかってるの そうまた今度 ・・・ 
■駒沢あたりで
雨の日には駒沢あたりを 小犬でも連れて歩きましょう 
しょぼ降る雨は銀の糸 秋の夕暮れにとてもお似合い
だから雨の日には肩を濡らし やりきれない夜を迎える前に
風が落とした落葉をふんで 失くした心のかけらを探しに
   雲が切れて太陽がでると 行き交う人は傘を閉じる
   公園の中は草野球をしたり フリスビーをとばしたりラグビーをしたり
   日向ぼっこで時間をつぶす いろんな人が通りすぎる
   さようならを言ったり背をまるめたり 駒沢あたりで ・・・ 
世田谷区
世田谷のアラブ人 所ジョージ
二子玉川園 かんらん車 松任谷由実
三軒茶屋 古谷一行
三軒茶屋の女 東京プリン
恋の終わり三軒茶屋 岩佐美咲
駒沢あたりで 加川良
渋谷区
■駅
見覚えのあるレインコート 黄昏の駅で胸が震えた
はやい足どりまぎれもなく 昔愛してたあの人なのね
   懐かしさの一歩手前で こみあげる苦い思い出に
   言葉がとても見つからないわ あなたがいなくてもこうして
   元気で暮らしていることを さり気なく告げたかったのに…
二年の時が変えたものは 彼のまなざしと私のこの髪
それぞれに待つ人のもとへ 戻ってゆくのね気づきもせずに
   ひとつ隣の車両に乗り うつむく横顔見ていたら
   思わず涙あふれてきそう 今になってあなたの気持ち
   初めてわかるの痛いほど 私だけ愛してたことも ・・・
ラッシュの人波にのまれて 消えてゆく後ろ姿が
やけに哀しく心に残る 改札口を出る頃には ・・・ 
■渋谷で5時
(男) ざわめく交差点の 風の中で 僕より先を急ぐ この想いが
(女) 10分前 (男) ちらちら見てる腕時計さ
ときめきと云う 坂をのぼれば逢える 今日は 渋谷で5時
ふたりでサボタージュ ちょうど 渋谷で5時 そう今から恋が始まる
シアタービルの中の 2階の店
(男) 笑顔とその心を連れ出すのさ (女) 10分後は (男) キラキラしてる街の角で
ぎゅっとつないだ ふたり出会えたことを 今日は 渋谷で5時
その手をナビゲート それは 渋谷で5時 もう今なら恋が輝く
(男) 君となら走って行きたい (女) 帰れない
このままずっと 今日は 渋谷で5時 ふたりでサボタージュ
ちょうど 渋谷で5時 抱きしめたい OH BABY ・・・
ちょうど 渋谷で5時 今 本当の恋が始まる 
■渋谷ものがたり
酒でふさいだ心の傷に 若いヤツらの 歌がしむ
モノがあふれて 心が痩せて スブヤの街は演歌が 居づらくなるばかり
夜更けのハチ公 目に涙 俺たち時代に はぐれたね あゝ… ・・・
何もいわせず 男が抱けば 世間ふりすて 泣く女
そんなロマンが 少しは残る 道玄坂の人目を忍んだ 仮の宿
誰でもさみしい 人恋しい 俺たちやっぱり昭和だね あゝ… 
■化粧なんて似合わない
"化粧なんて 似合わない" あなたが初めて
そんなに ムキになる 鏡の中の私 ルージュをつけたり 落としたり
   遅れちゃうわ デートの時間 あせらないで あわてないで まだまだ 確かめて
いつもの公園通り 駆けて行くわ 素顔で
まつげ伏せた 横顔に ドキドキ させてあげたい Only you・・・
   "化粧なんて 似合わない" 時々 背のびを
   したい日もあるのよ ウィンドウに映る私 ウィンク 投げたり ふくれたり
遅れちゃうわ デートの時間 あせらないで あわてないで まだまだ 確かめて
   夢色の糸で織る ドレスをいつか着るわ
   そして あなた 眩しそうに 私を 抱いてくれるの Only you・・・ ・・・ 
■涙
忘れようと 心を決めたのは ひと足の途絶えだした公園通り
メッキだらけの けばい茶店の隅っこは 雨やどりの女のための席ね
   今ごろどうしておいでだろうか 今夜は煙草が目にしみる
   男運は悪くなかった あんないい人いやしないもの
   男運は悪くなかった Made In Tears
陽に灼けたサンルーフのたもとから 季節終りの雨がしたたってる
安っぽい格子がうるんで見えるのは 安っぽいシェリーがまわるせいね ・・・
   きれいなビルに変わったこのあたり 出会った日にはさえない街だったね
   だめかもねと怯えていたんじゃないの やっぱりねと哄えば筋が合うわ ・・・ 
■雨ふり道玄坂
雨ふりの道玄坂 バスを待つあなたの
淋しさに声かけたのは 気まぐれじゃなかったわ
   ガラス窓から後ろ姿が 雨に煙りがすんで消える
   ただあなたに嫌われないように いつか長い髪も切ったのに
電話ボックスで夜が明けるまで 一人で寒さしのいだ冬の日
ただあなたの笑顔が見たくて 一人 馬鹿げた事もしてきた
   あの日雨ふりの道玄坂 バスを待つあなたの
   淋しさに声かけたのは 気まぐれじゃなかったわ ・・・ 
■円山・花町・母の町
母になれても 妻にはなれず 小さな僕を 抱きしめて 明日におびえる 細い腕
円山 花町 母さんの 涙がしみた 日陰町 ・・・
母と言う名の 喜びさがし 静かに僕を 見る目には 縋りつくよな 夢がある
円山 花町 母さんの 願いがしみた 日陰町 
■代官山恋物語
坂の途中で振り向けば 2人が恋した街並
涙頬を走るように ほら 山手線
   夢の手前の置き手紙には 5文字の言葉と 胸の痛みだけ
もういちど 代官山まで ああ ため息 くり返して
ひとりきり あの日と同じ道順(みち)で 忘れる時間を歩いた
   いつも通ったカフェテラス 外(はず)した陽除けに気づいて
   あんなに眩しかった愛も 今 黄昏(たそがれ)た
過ぎる季節に流されたまま 破ったカレンダー 愛は帰らない ・・・ 
■原宿キッス
スカートのすそ AH HA ヒョイとつまんで AH HA
原宿の交差点 あの娘はタクシー止めたよ
刺激的だね AH HA ポニーテールさ AH HA
すける程 うすいシャツ ゆらめき なまめきときめく
待ちぶせして お茶しないとまじめに迫るI love motion
だめなら肩ふいに抱いて口唇奪う 原宿 motion
AH- どっちがいい なんでもいいから 一度お願いしたい ・・・ 
■それぞれの原宿
(男女)夕暮れ時と夜の灯りが (男女)色あざやかに 今すれ違う
(男)元恋人と (女)今恋人が (男女)知らん顔して ほらすれ違う
(男)やさしい気持さ (女)気付いているのね
(男)それぞれの理由 それぞれの人
(男女)原宿 表参道 ゆれて青山通り (男女)原宿 表参道 ゆれて青山通り
   (男女)今日の相手は なかなかいいよ  (男女)ケヤキ並木が 今声かける
   (男)見知らぬ人が ・・・  
■表参道軟派ストリート
・・・ 飛ばさないかい 港までのハイウェイ しっかり腰に掴まっていれば 怖くない
風が途中で 潮風に変ったら 戻ってこよう 
この街のアリス達 少し気取った City City Girl
ファッション雑誌まねしては 心ソワソワ City City Girl
   西は大阪 難波ストリート ここは原宿 表参道軟派ストリート ・・・
踊らないかい 十日前にオープン そこを曲ると 朝まで騒げる店がある
誰に聞くのか物好きがどこからか集まってくる 
この街のアリス達 不思議な国の City City Girl
カタログ雑誌かかえては 目線キョロキョロ City City Girl 
■風の街
道のむこうで 手を振った 大きな声で サヨナラ言った
あいつを ふと思い出す 今も元気で いるだろか
白い仔犬を 抱きあげる 君はちょっぴり 幼く見える
表参道 原宿は なつかしすぎる 友達や
人に言えない 悲しみすら 風が運んで しまう街 ・・・
   なつかしすぎる 友達や 
   人に言えない 悲しみすら 風が運んで しまう街 
■アメリカ橋 山川豊
風が足もとを 通りすぎてゆく 久しぶりだねと 照れてわらいあって
アメリカ橋のたもと ふと通うぬくもり やるせない恋埋めた街
角部屋の灯り 石だたみ石だたみ 想い出続く いつかいつか 熱かった青春
   君は変わらない 月日は過ぎても 髪を切ったので 少し若くなった
   アメリカ橋のたもと 黄昏が間近い 煙草やめたのいつからと
   それとなくきいて 眼をそらす眼をそらす ガラスのむこう 
   遠い遠い かえらない青春
アメリカ橋のたもと それじゃと手をあげる ・・・
人の群れ人の群れ 誰もが他人 はるかはるか あの頃が青春 
■霧雨で見えない
なつかしさに ぼんやりバスを降りた 橋の上 霧雨の水銀燈
   探しはしないと誓った 忘れた日はなかった
   まつげに停まった光が ふるえて 見えない
歩きだせば 追い越すヘッドライト 長い影 生まれては消えてゆく
   きらったのじゃないと云った すぐ戻ると信じた
   胸に降り続く光が あふれて 見えない
時よ速く流れて 雨よひくく流れて 淋しさを呼びさますこの世界を 
どこかへ消して ・・・ 
■学生時代
つたの絡まるチャペルで 祈りを捧げた日 夢多かりしあの頃の 想い出をたどれば
懐しい友の顔が 一人一人うかぶ 重いカバンを抱えて 通ったあの道
秋の日の図書館の ノートとインクの匂い 枯葉の散る窓辺 学生時代 ・・・
ロウソクの灯に輝く 十字架を見つめて 白い指をくみながら うつむいていた友
その美しい横顔 姉のように慕い いつまでもかわらずに と願った幸せ
テニスコート キャンプファイヤー 懐しい日々は帰らず
すばらしいあの頃 学生時代 すばらしいあの頃 学生時代 
渋谷区
駅 中森明菜
キングストンの街 森山良子
渋谷で5時 鈴木雅之 & 菊池桃子
渋谷ものがたり 新沼謙治
化粧なんて似合わない 岩崎良美
公園通り ガロ
涙 -Made in tears- 前川清
MajiでKoiする5秒前 広末涼子
雨降り道玄坂 ふきのとう
恋の道玄坂 並木路子
円山・花町・母の町 三善英史
代官山恋物語 城之内早苗
代官山リフレイン ゆず
原宿キッス 田原俊彦
原宿グラフィティ 麻丘めぐみ
原宿心中 新田一郎
原宿の雨 中村晃子
原宿メモリー 高田みづえ
それぞれの原宿 ロス・インディオス & シルヴィア
ペニーレインへは行かない 吉田拓郎
表参道軟派ストリート 水谷豊
表参道日暮れ前 青江三奈
風の街 吉田拓郎
ペニーレインでバーボン 吉田拓郎
霧雨で見えない 松任谷由実
学生時代 ペギー葉山
渋谷ブルース  
中野区
■あゝ中野駅
どこかに献血の呼び声のせて ダフ屋がささやくサンプラザ
中野は私の都会のふるさとだ ブロードウェイの商店街
貧しいミュージシャンが 明日を夢見てる
   東西線総武線中央特快 走ればうれしいなビルが見えてくる
   中野は私の都会のふるさとだ 早稲田通りもにぎやかに
   大妻の女子高生 黒髪しとやかに
サンモールの立ちそばを すすっていたら
母のはげましが聞こえたよ 中野は私の都会のふるさとだ
新井薬師の縁日で ・・・  
■江古田
僕らしさも分からず 一人で歩いてる 駅までの道のり
二日酔いの頭を 支えながら登る せまい歩道橋を
悲しみを振り返っている暇もなく 朝の踏み切りのゲートが上がってく
動き出す街に 今日もまた駆け込んでゆく 電車のブレーキに 足とられよろめいている
君らしい「サヨナラ」に 整理もつかなくて 時にまかせたまま
街頭のモニター見上げて 気付いたら朝の交差点 一人で立ってた ・・・ 
中野区
あゝ中野駅 山本正之
江古田 山崎まさよし
杉並区
■高円寺
君を好きだなんて言ったりすると 笑われそうな気がして
とても口に出すのがこわかったけれど
気がついてみたら君の方が 僕を好きになっていて
それで口に出さないでもよくなったんだよ
   君は何処に住んでいたのですか 高円寺じゃないよね
   だって毎日電車に乗っても 違う女の子に ・・・
   君の事好きだなんて言わないでよかったよ 電車は今日も走ってるものね 
■さらば高円寺
パチンと 頬をたたかれて(たたかれて) 言葉につまる 俺をおき(俺をおき)
美代子は 店を出ていった 高円寺南口の 喫茶店
   もうこの街にも 来ないだろ(来ないだろ) そんな 最後の思い出に(ルルルル〜)
   見知らぬ道を ただ歩く ふっと見上げた その先に(その先に)
ほんとにあるのね ほんとにあるのね 高円寺 ・・・ 
■荻窪二丁目
この街を出てゆく今は 何を残してゆけばいい
あの娘と二人で見るはずだった 映画の切符も要らなくなった
   荻窪二丁目 裏通り 今頃あの娘は新聞受けに
   今日の夕刊投げ込む音を 僕の帰りと間違えている
この街を出てゆく今は 何を忘れてゆけばいい
あの娘の涙もちぎれて 消えた思い出クルクルまるめて捨てた ・・・ 
杉並区
高円寺 よしだたくろう
さらば高円寺 ロス・プリモス
キャッチボール 渡辺美里
荻窪二丁目 南こうせつ
豊島区​
■池袋の夜
あなたに逢えぬ 悲しさに 涙もかれて しまうほど
泣いて悩んで 死にたくなるの せめないわ せめないわ
どうせ気まぐれ 東京の夜の池袋 ・・・
にげてしまった 幸福は しょせん女の 身につかぬ
お酒で忘れる 人生横丁 いつまでも いつまでも
どうせ気まぐれ 東京の夜の池袋 
■鈴懸の径
友と語らん 鈴懸の径 
通いなれたる 学舎の街
やさしの小鈴 葉かげに鳴れば 
夢はかえるよ 鈴懸の径 ・・・  
■千登勢橋
駅に向かう学生たちと 何度もすれ違いながら
あなたと歩いた目白の街は 今もあの日のたたずまい
指を絡めいつもと違う あなたのやさしさに気付き
もうすぐ二人の別れが来ると 胸が震えて悲しかった
   電車と車が並んで走る それを見下ろす橋の上
   千登勢橋から落とした 白いハンカチが
   ヒラヒラ風に舞って 飛んで行ったのは
   あなたがそっとサヨナラを つぶやいたときでしたね
胸の想い言い出せなくて 遠くでカテドラルの鐘
思わずこぼした涙を拭いて 無理に笑った風の中で
心のすべて燃やした恋を いつも見ていた橋の名は
千登勢橋です あなたの淡い思い出に
こうして会いに来ては 一人たたずんで
あなたのくれた青春を 抱きしめ目を閉じます ・・・ 
■巣鴨で逢いましょう
(女)歩きつかれたでしょうと やさしいあなた 変わらないわねいまも そっと手を添えた
(男)地蔵通りのベンチ 休みましょうか ふたりこうしていると
(男女)出会った頃を むかし新宿 銀座 池袋
(女)今は (男)この街 (男女)巣鴨が大好きよ
(男)君と (女)あなたと (男女)楽しみましょう 夢がはずむ街 巣鴨で逢いましょう
   (女)今もおしゃれなあなた 素敵なあなた 少しときめく胸よ どこへ行きましょか
   (男)洗い観音様を 心をこめて 清く洗ったあとは
   (男女)ふたりでお茶を つもる話も ひさしぶりだから
   (女)なぜか (男)このまま (男女)さよなら さみしいね
   (男)君と (女)あなたと 
   (男女)また逢いましょう 夢がはずむ街 巣鴨で逢いましょう 
   ソメイヨシノの花は七分咲き ・・・ 
豊島区​
池袋の夜 青江三奈
鈴懸の径 灰田勝彦
60ブルース 夏木マリ
千登勢橋 西島三重子
巣鴨で逢いましょう 角盈男&須賀ゆう子
すがもん音頭 石田洋介
北区
■飛鳥坂
今年もきれいに咲いたよね それきりあなたは 何もいわなくなる
都電が走るこの街が ふたりはとても好きだったのに
この坂道をのぼる途中で ふりむく私を 黙ってみつめてた
これきりでお別れですか 4年の月日が もうすぐ終わるというのに
ああ舞い上がる 花びらのむこうに 夢が夢が続いている 飛鳥坂 ・・・ 
■音無橋
泣きたくなれば 子守唄を 恋しくなれば 目をとじて
そしておもいで みちづれに 上手に生きて 歩いてゆくわ
   音無橋を 越えたなら あなたは遠い 人になる 
   ぽつんとひとり たたずめば ・・・
ふしあわせとか しあわせとか 誰でも口に するけれど
愛の重さは 変わらない ・・・
   音無橋の その先を まがれば 二度と帰れない
   あの日にそっと 手を振れば ・・・
音無橋を 越えたなら あなたは遠い 人になる
ぽつんとひとり たたずめば ・・・ 
北区
飛鳥坂 西島三重子
荒川土手 真心ブラザーズ
音無橋 中澤ゆうこ
荒川区
■日暮里挽歌
もっとおれより やさしいやつと 生きてゆくなら とめられないさ
わるいのは おれなんだ あやまらないで いいんだよ
ためいきひとつ 真赤に染める 夕焼けだんだん 日暮里は
おれには せつない せつない町だよ ・・・
明日会っても おれとは他人 風を見るよな 目で見ていいよ
人生の やり直し まっすぐ行けよ どこまでも
見送る背中 真赤に染める 夕焼けだんだん 日暮里は
おれには せつない せつない町だよ 
■千住大橋
安い貸間の張り紙を 探して歩いたあの頃は
お前とお茶を飲むたびに マッチの箱が増えてった
街もにぎわう年の暮れ 着たきり雀のジーパン穿いて 
千住大橋たたずめば 頬にぽつんと小雪が落ちてきた
何かやりそうな顔をして 何もできない俺だった ・・・ 
荒川区
日暮里挽歌 半田浩二
千住大橋 石橋正次
千住ブルース  
練馬区
■檻の中の野郎たち
思い出したら 泣けてくる そんなセンチな 俺じゃない
馬鹿な奴だと 言うけれど こんな世間が 馬鹿にした
   空が四角に 見えるのサ ・・・
   野暮で冷たい とこだけど 風も吹く吹く 花も吹く
格子窓から 空みれば ・・・
あれは俺らの 母さんか 畜生可愛い あの娘かよ
   みればークセ ある顔も ・・・
   どいつこいつも いい奴サ 住めば天国 檻の中 
■練鑑ブルース
身から出ました錆ゆえに 夢を見てさえ目がにごる
恨む親でも有ればいい 一人生きてく世が寒い
   曲がりくねった道だから ひねくれ根性で歩いてた
   俺も人の子人なみに 過去も有ります傷も有る
殺したいほど惚れたのに 好きと言えずに言われずに
別れて今夜も酒を飲む あいつの小じわが気にかかる ・・・
ひとでなしよりまだいいが こんな男に誰がした 
■番長ブルース
馬鹿を承知でヤサぐれて みろよアイツが番長と
背中(せな)で嘲(わら)われ指さされ 広い東京せまくする
   生んだ覚えはあったとて ・・・
   サラリ忘れて下さいな 泣いてさとしたお袋よ
どこのどいつと聞く前に ・・・
これが番長ごくつぶし 不孝かさねたなれのはて
   すねて曲がって育っても ・・・
   思い出します練馬区の 今はもどれぬ鑑別所 
練馬区
檻の中の野郎たち 守屋浩
練鑑ブルース 藤圭子
番長ブルース 梅宮辰夫
足立区
■ハルノヒ
北千住駅のプラットホーム 銀色の改札
思い出話と 想い出ふかし 腰掛けたベンチで
   僕らは何も見えない 未来を誓い合った
寒さにこらえた木々と猫が まるで僕らのことで
蕾を咲かせようと実を揺らしてる 素敵に笑っている
   焦らないでいい いつか花束になっておくれよ
それまで待っていてね これからの展開をふたりで
飽きるまで過ごしてみるからね 最低限の愛を伝えながら
   どんな未来が こちらを覗いてるかな 君の強さと僕の弱さをわけ合えば
   どんな凄いことが起きるかな? ほらもうこんなにも幸せ
   いつかはひとり いつかはふたり 大切を増やしていこう ・・・ 
足立区
ハルノヒ あいみょん
葛飾区
■男はつらいよ
      私 生まれも育ちも 葛飾柴又です
      帝釈天で うぶ湯を使い 性は車 名は寅次郎
      人呼んで フーテンの寅と 発します
俺がいたんじゃ お嫁にゃ行けぬ わかっちゃいるんだ 妹よ
いつかおまえの よろこぶような 偉い兄貴に なりたくて
奮斗努力の 甲斐も無く 今日も涙の
今日も涙の 日が落ちる 日が落ちる
ドブに落ちても 根のある奴は いつかは 蓮の花と咲く
意地は張っても 心の中じゃ 泣いているんだ 兄さんは
目方で男が 売れるなら こんな苦労も ・・・ 
葛飾区
葛飾ラプソディー 堂島孝平
金町娘 ナスカ
男はつらいよ 渥美清
矢切の渡し ちあきなおみ
江戸川区
小岩ビビンバ娘 コンクリーツ
 
多摩

 

■武蔵野エレジー
雑木林の落葉に埋もれ 肩を抱かれた深大寺
激しい胸のときめきも 今は空しい武蔵野の
あゝ 武蔵野の思い出よ
   枯れた梢の夕月白く 池に映った井の頭
   帰らぬ夢の口づけも 今は切ない武蔵野の
   あゝ 武蔵野の茜雲 ・・・ 
■井の頭公園
春には 桜が咲き 小さな命が 顔を出す
夏には 緑が深くなり 人の笑顔が 光りだす
   不安になったら ここに来よう 泣きたくなったら ここに来よう
   みんなで一緒に 歩きましょう みんなで一緒に 笑いましょう
   みんなで一緒に 歌いましょう この井の頭公園で…
秋には 色づく木々が 暖かな景色を 作り出す
冬には 小さな虫たちの 静かな寝息が 聴こえます
   迷った時には ここに来よう 疲れた時には ここに来よう ・・・
   この井の頭公園で… 
■懐かしのジョージ・タウン
あまり深く傷つくとき 心は痛みもしないわ
戯れだと許しながら 自分をごまかしてきたの
ここはKICHIJOJI 夢のアラベスク はしゃぎあきた若さの街
昔の友達ならば明るい顔で ゼンマイじかけの青春
ねじを巻いてよ 懐かしのジョージ・タウン
今夜哀しく哀しく酔えそうね 懐かしのジョージ・タウン
今夜哀しく哀しく酔えそうね ・・・ 
■愛の街稲城 
夏を知らせる梨畑 緑豊かな街並みに いつしか心も洗われる
日々の暮らしに流されながら 希望の星を見失ったら 一度は訪ねて来て欲しい
夢のかけらが見つかるはずさ 愛の街稲城 夢の街稲城
希望の街 それは稲城 愛の街稲城 夢の街稲城 希望の街 それは稲城 ・・・ 
多摩
武蔵野エレジー 島倉千代子
むさし野詩人 野口五郎
井の頭公園 山本ゆかり
懐かしのジョージタウン 中原理恵
雨のステイション 荒井由実(松任谷由実)
今日の日はさようなら 森山良子
愛の街 稲城 シルヴィア
 
島嶼
■アンコ悲しや
赤い椿の花びら噛めば じんと眼に泌むちぎれ雲
アンコ悲しや 都は遠い 噂ばかりを残しつつ
今日はあなたはアアア… どのあたり ・・・
帰る帆影をあなたと思い 見れば夕日の鴎どり
アンコ悲しや 飛ぶにも飛べず 胸に写真を秘めながら
島のお山にアアア… 手を合わす 
■あんこ可愛いや
赤く咲いても 椿の花は ホロリ落ちそで 落ちぬとさ
あんこ可愛いや 紅椿 どこのどなたに どこのどなたに 落ちる気か ・・・
沖の瀬の瀬で 汐鳴る宵は 夢で千鳥も 嘆くとさ
あんこ可愛いや 紅椿 といた黒髪 といた黒髪 胸に抱く 
■アンコ椿は恋の花
三日おくれの 便りをのせて 船が行く行く ハブ港
いくら好きでも あなたは遠い 波の彼方へ 行ったきり
アンコ便りは アンコ便りは ああ 片便り ・・・
風にひらひら かすりの裾が 舞えばはずかし 十六の
長い黒髪 プッツリ切って かえるカモメに たくしたや
アンコつぼみは アンコつぼみは ああ 恋の花 
■島の娘
ハアー 島で育てば 娘十六 恋ごころ
人目忍んで 主と一夜の 仇なさけ ・・・
ハアー 主は寒かろ 夜ごと夜ごとの 波まくら
雪はちらちら 鳴いて夜明かす 磯千鳥 
■東京の人さようなら
海は夕焼け 港は小焼け 涙まじりの 汽笛がひびく アンコ椿の 恋の花
風も吹かぬに 泣いてちる 東京の人よ さようなら ・・・
岬廻って 消えゆく船を 泣いて見送る 日暮れの波止場 アンコ椿の 花びらに
にじむ狭霧よ かなしみよ 東京の人よ さようなら 
■波浮の港
磯の鵜(う)の鳥ゃ 日暮れにゃ帰る 波浮の港にゃ 夕やけ小やけ
明日の日和は ヤレホンニサ なぎるやら
   船もせかれりゃ 出船の仕度 島の娘たちゃ 御神火(ごじんか)ぐらし ・・・
島で暮らすにゃ とぼしゅうてならぬ 伊豆の伊東とは 郵便だより ・・・
   風は汐風 御神火おろし 島の娘たちゃ 出船のときにゃ ・・・
磯の鵜の鳥ゃ 沖から磯へ 泣いて送らにゃ 出船もにぶる ・・・ 
■燃える御神火
赤き椿の 夢のせて ゆきて帰らぬ 黒潮や
ほのぼの燃ゆる 御神火に 島の乙女の 唄悲し
恋しなつかし 三原山 山の煙よ いつまでも ・・・
波浮の港の 朝霧に 別れ哀しき 黒髪や
おもいで甘く 月細き 夢の一夜(ひとよ)の 相模灘
恋しなつかし 三原山 山の煙よ いつまでも 
■還らざる戦友
戦い済んで 三十年 やっと来れたぞ 戦友よ
白い夏雲 蒼い海 波間に散った特攻機 特攻機
   緑静かな シャングルに 一きわ高い パイプ山
   激戦の跡 そのままに ・・・
噴煙あげる 天山(てんざん)の 丘に鎮まる 慰霊碑に
故郷(くに)から運んだ 水筒の ・・・
   燃える日差しと この地熱 生きてる希望(のぞみ)は ないけれど
   どこかに潜むか わが戦友(とも)よ ・・・
昼なお暗い 密林の 奥で見つけた 壕ひとつ
錆びた食器と 弾薬の ・・・
   あゝ玉砕の 硫黄島 どんなに祖国が 恋かしろ
   桜の花を 手向けては ・・・ 
島嶼
アンコ追分 松山恵子
アンコ悲しや 松山恵子
あんこ可愛いや 岡晴夫
アンコ椿は恋の花 都はるみ
アンコなぜ泣く 藤島恒夫
大島追分 美ち奴
大島くずし 音丸
大島ルムバ 越路吹雪
島の娘 小唄勝太郎
椿の波止場 春日八郎
東京の人さようなら 島倉千代子
波浮の港 佐藤千夜子
燃える御神火 藤山一郎
夜の八丈島 朝丘雪路
還らざる戦友 鶴田浩二
 
鉄道
■恋の山手線
上野オフィスのかわいい娘 声は鴬 谷わたり
日暮里笑ったあのえくぼ 田端ないなア好きだなア
駒込したことア ぬきにして グッと巣鴨がイカすなア
   始め大塚びっくりに デートさそいに池袋 ・・・
   高田のバーで酔ったとき 胸の新宿 うちあけた あぁ ああ恋の山手線
代々木泣くのはおよしなさい 原宿ならば食べなさい ・・・
目黒のさしみか天ぷらで あたし五反田いただくわ
   きょうはあなたの月給日 まず大崎は買いものよ ・・・
   無理な新橋かけないわ うんと有楽町だいな あぁ ああ恋の山手線
素ッ東京なことばかり 何だ神田のむだづかい ・・・
山手花咲く日も近い 青くホームに灯がゆれる あぁ ああ恋の山手線 
■明日、春が来たら
走る君を見てた 白いボール きらきら 
放物線描いて 記憶の奥へ飛んだ
振り返る君遠くへ 追いかけてるまっすぐ 
スタジアムの歓声 夢の中で繰り返す
   そして名前呼び続けて はしゃぎあったあの日 
   I LOVE YOU あれは多分 永遠の前の日
   明日、春が来たら 君に逢いに行こう 
   夕立が晴れて時が 止まる場所をおぼえてる?
長い廊下の向こう 笑う君のシルエット 
壁にもたれて聞いてた スパイクの足音
そばにいたら二人 なぜかぎこちなくて 
そばにいればもっと わかりあえたはずなのに ・・・
   明日、春が来たら 君に逢いに行こう 
   夕立ちが晴れて時が 止まる場所をもう一度 
■地下鉄にのって
ねぇ君 何を話してるの だからさ 聞きとれないよ
もっと 大きな声で もっと 大きな声で
   でなけりゃ 次の駅にとまったら
   走り出すまでの あの わずかな静けさに話そうか
今 赤坂見附をすぎたばかり 新宿まではまだまだ だね
そう君 とてもよかったの 今日の 映画はとても
もっと そばにおいで もっと そばにおいで
   車輪の 悲鳴が何もかも
   こなごなに立ち切ってしまう もう おだやかな静けさにもどれない
今 四谷を通りすぎたばかり もう うんざりするほど いやだよ
ねぇ君 もう おりてしまおう だからさ 次の駅でさ
ここは どこの駅かな ここは どこの駅かな ・・・
   君も もちろん おりるんだろうね でも 君はそのまま 行ってもいいよ 
■井の頭線
明大前を過ぎたら もうすぐあなたの 住んでいた町
何度も乗っていた この井の頭線
   恋の始まりは あなたに会いに行く この時間が
   いつももどかしくて 落ち着かなかった
路線図を見つめても 頭に入らなくて 
窓ガラスで 前髪を直したりしてた
   改札を抜けると 柱の前でいつも 待っててくれた
   何度もときめいて あなたに恋をした 
   いつでもただ あなたが好きだった
やがて季節は巡り あの夜 今日で 最後になると
残りの駅 数えた この井の頭線 ・・・
   各駅停車はもうすぐ 思い出の駅に 停まるところ
   日差しが暖かい この井の頭線 
■池上線
古い電車のドアのそば 二人は黙って立っていた
話す言葉をさがしながら すきま風に震えて いくつ駅を過ぎたのか
忘れてあなたに聞いたのに じっと私を見つめながら ごめんねなんて言ったわ
泣いてはダメだと胸にきかせて 白いハンカチを握りしめたの
   池上線が走る町に あなたは二度と来ないのね
   池上線に揺られながら 今日も帰る私なの
終電時刻を確かめて あなたは私と駅を出た
角のフルーツショップだけが 灯りともす夜更けに 商店街を通り抜け ・・・ 
■西武沿線
電車の窓から想い出通して周りを見ると 田んぼのシズクが頬をつたって涙がホロリ
やさしく可愛いあの娘は今日も又 僕の帰りを待ち乍ら芋を掘る
西武線沿線は憩いのオアシスで 埼玉県に足を踏み込む電気で動く汽車
   山越え 川越え 谷越え 野越え 海越え 
   グイグイ アメリカまでも行くわけねえだろう 西武線
   石神井公園過ぎると我が故郷は ヌカの香りとシャネルの5番がマッチする
   西武線沿線は野菜ができちゃうよ 鉄道業界にその名を残す電気で動く汽車
東京駅からハジだけ残して電車に乗ると 
カラスがクルリと輪をかいて呼びかける アホ!
悲しみに心を閉ざしていたら 花屋の花も変わりました 
西武線沿線はお花のパラダイス 埼玉県にその名を残すパンツで動く汽車 ・・・
   西武沿線に住みついて早や22年 昔は畑で夫婦が揃って種を蒔く
   今じゃ畑が団地に変わり 夫婦が揃ってお部屋の中で種を蒔く
   西武線沿線は命の泉湧く 埼玉県にシブキをかける電気で動く汽車
   西武線沿線は命の泉湧く 埼玉県にその名を残す電気で動く汽車 
鉄道
恋の山手線 小林旭
リップスティック 桜田淳子
あずさ2号 狩人
明日、春が来たら 松たか子
地下鉄にのって 吉田拓郎
東京地理教育電車唱歌 ダーク・ダックス
井の頭線 藤田麻衣子
目蒲線の女 日吉ミミ
池上線 西島三重子
小田急ピポーの電車 ザ・ピーナッツ
西武沿線 所ジョージ
 
道路
■環状8号線
君を好きだと 気付いたのは
「会いたいです」と 君が言った あの日 気付けば君の家へ向かってた
   こんな時間に 疲れてるのに
   僕は行くんだって 自分らしくない行動に 自分が一番驚いた
明日のことも 気持ちの駆け引きも
そんなのどうでも いいと思った
   早く君に会いたくて 信号待ちさえも もどかしかった
   会えた時嬉しそうに 僕に笑いかけてくれた君を 僕は忘れない
夜の公園は 誰もいなくて 急いで会いに
行ったくせに 僕は 全然上手く話せなかった ・・・ 
■深夜のROUTE246 (にーよんろく)
恋をしたのかな 胸が切ない 別れたばかりで 会いたい女性(ひと)に
幸せが 幸せが 見えたような あの娘(こ)の渋谷が遠ざかる 孤独が走るよ
Route Two Four Six Route Two Four Six 深夜の246 ・・・
明日(あす)も誘いたい サパークラブへ あの娘(こ)の香りに酔ってもみたい
好きなのさ 好きなのさ つぶやけば ネオンも濡れてる切なさに おやすみ赤坂
Route Two Four Six Route Two Four Six 深夜の246 
■青山通り
思いがけない 思いがけない 夕立雨に
となりあわせた スナックよ なんにも言えずに 別れてきたが
あの娘のあの瞳(め)が 言っていた いつかネ 逢いましょ 青山通り
   今日もいるかと 今日もいるかと 胸はずませて ・・・
   肩をすくめて 笑ってる 僕は幸せ 青山通り
みんな来ている みんな来ている なじみの顔が ・・・
もうすぐお嫁に 行くってさ ひとりで帰ろか 青山通り 
■皮のジャンパー
皮のジャンバー リージェントGirl ないしょ話がすきなのさ
皮のジャンバー リージェントBoy てれくさまじり騒いでる
いつか行ったブティックの彼氏と彼女は 楽しそうに何かを探していたよ
   セントラルパーク 青山通り セントラルパーク 青山通り
   俺の視線を浴びてもだえてる やけに静かな日曜
いつも通りのティーンエイジャー ひなたぼっこが好きだから
いつも通りのティーンエイジャー 踊り疲れて騒いでる
いつか行ったブティックの彼氏と彼女は 楽しそうに何かを探していたよ ・・・ 
■そしてキスして
出会った頃のこと 覚えてますか? 眩しく若かった 二人のことを
コンサートや映画 食事やお酒 何度も喧嘩して 仲直りした
夜明け前の青山通りで 何度も何度もキスを交わした
月日は流れても 変わらずにいて 強さと優しさで 抱きしめていて
公園のベンチが 新しくなり お気に入りのカフェは オフィスになった
二人の部屋からの 景色も変わり 東京タワーはもう 見えなくなった
時とともに変わる世界のように 私たちも変わっただろうか ・・・
そしてキスして… 
■目白通り
千登勢橋の欄干に ひじをついて話しこんだ
あの夜(よる)は卒業の コンパの帰りでしたね
走りすぎる都電さえ さびしそうな後姿
もうあなた社會人 私は學生のまま
春が過ぎたら落ちつきました
だけどあと少し目白通りには 來てはほしくないの ・・・ 
■風に吹かれて
踊る緑の中駆けて行く木綿の二人 夏に身を任せて
海に少し飽きて走り出す 中央高速のCar Chase 流れるボサァは Feel so good
彼女がいると聞いて ときめきがせつなさに変わる
届かないから 夢ばかり見て 片思いね また…
風に吹かれて もしも飛んで行けたら あなたの肩に そっと 綿帽子のように
約束も 未来(あした)も いらない た・だ・そ・ば・に・い・た・い ~Beside You~
いつも仲間同志ふざけてた 『好き』と感じたら 友達さえ戻れない
出会いの時間差で幸せな男(ひと)に恋をした
運が悪いの それだけのこと 言い聞かせる今 ・・・ 
■中央フリーウェイ
中央フリーウェイ 調布基地を追い越し 山にむかって行けば
黄昏がフロント・グラスを 染めて広がる 中央フリーウェイ
片手で持つハンドル 片手で肩を抱いて 愛してるって 言ってもきこえない
風が強くて
   町の灯が やがてまたたきだす 二人して 流星になったみたい
   中央フリーウェイ 右に見える競馬場 左はビール工場
   この道は まるで滑走路 夜空に続く ・・・
夜空に続く 夜空に続く 
道路
哀しみの環状線 岩崎宏美
環状八号線 藤田麻衣子
カンナ8号線 松任谷由実
深夜のRoute246 田宮二郎
チョコレートを買いに 所ジョージ
246プラネット・ガールズ 荻野目洋子
青山通り 三田明
皮のジャンパー 所ジョージ
そしてキスして 今井美樹
目白通り 西島三重子
風に吹かれて 大黒摩季
中央フリーウェイ 荒井由実
 
河川
■神田川
貴方は もう忘れたかしら 赤い手拭 マフラーにして 二人で行った 横町の風呂屋
一緒に出ようねって 言ったのに いつも私が 待たされた 
洗い髪が芯まで 冷えて 小さな石鹸 カタカタ鳴った
貴方は私の 身体を抱いて 冷たいねって 言ったのよ
若かったあの頃 何も怖くなかった ただ貴方のやさしさが 怖かった ・・・ 
■雨の隅田河岸
傘をかしげて ふとすれちがう 柳ちる夜の 隅田河岸
えゝ 別れた頃より しあわせそうな
憎い 恋しい‥‥ 人がゆく
   男ごゝろも 隅田の水も いちど流れりゃ かえりゃせぬ
   えゝ 未練とおもえば 口惜しいけれど ・・・
むせぶ「ながし」の あの三昧の音も 雨に消えゆく 隅田河岸
えゝ 勝気といわれた 女がひとり ・・・ 
■すみだ川
銀杏がえしに 黒繻子かけて 泣いて別れた すみだ川
思い出します 観音さまの 秋の日暮の 鐘の声
      ああそうだったわね あなたが二十歳 わたしが十七の時よ
      いつも清元のお稽古から 帰って来ると
      あなたは竹谷の渡し場で 待っていてくれたわね
      そして二人の姿が 水にうつるのを眺めながら
      ニッコリ笑って淋しく別れた 本当にはかない恋だったわね…
娘心の 仲見世歩く 春を待つ夜の 歳の市
更けりゃ泣けます 今戸の空に 幼馴染の お月様 ・・・ 
■隅田川慕情
遠いみちのり 夫婦の旅は 夢を求めて 越えていく
泣いて一生 笑って一生 ひとつに結ぶ 波と波
ふたりで渡る 隅田川 ・・・
岸につければ 苦労も忘れ やっと来たんだ 倖せが
心と心 抱きしめて 愛を包んだ 屋形船
ふたりで渡る 隅田川 
■多摩川夜曲
聴こえてますか? 聴こえてますよ 多摩川夜曲は 一握の夢
   静まる世界 水面に揺れる 君が小さく 何かを言った
   例えば僕ら 二人残して 宇宙が消える そんな空想
聴こえてますか? 聴こえてますよ 虫も鳴かない 沈黙の恋
セロを奏でる 男の唄よ 多摩川夜曲は 一握の夢 ・・・
   覚えてますか? 覚えてますよ 過ちなどと 疑いもせず
   回る風車に 寄り添っただけ 多摩川夜曲の 調べにのせて
この日に帰れ 忘れ得ぬ人 
■川は流れる
病葉(わくらば)を 今日も浮かべて 街の谷 川は流れる
ささやかな 望み破れて 哀しみに 染まる瞳に 黄昏(たそがれ)の 水のまぶしさ ・・・
ともし灯も 薄い谷間を ひとすじに 川は流れる
人の世の 塵にまみれて なお生きる 水をみつめて 嘆くまい 明日は明るく  
■桜詩集
ふたり またね こうして おんなじ川沿い
歩く日が来るって 思えなかった
   ぼくは 変わっただろう そんなことないよ ・・・
誰だって 一生忘れない 恋がある ・・・
   今と 違うわたしを 夢見たりするの ・・・
しあわせって 簡単 しあわせって 難しい ・・・
   心に 正直に 向き合える日が来たら ・・・
春の細い小枝に 命を燃やして
咲いた 目黒川の 桜がきれい  
河川
江戸川ブルース 東京60WATTS
さくらのバラード 倍賞千恵子
神田川 かぐや姫
忘れえぬ街 五輪真弓
雨の隅田河岸 美空ひばり
悲しき紅扇 渡辺はま子
下町夢しぐれ 八代亜紀
すみだ川 東海林太郎
隅田川 城之内早苗
隅田川ぞめき 市丸
隅田川慕情 岡千秋
花 (瀧廉太郎作曲)
ほおずきの町 ちあきなおみ
大きな愛が降る町で 渡辺美里
多摩川夜曲 aluto
川は流れる 仲宗根美樹 (神田川)
桜詩集 南野陽子
悲しいほどお天気-The Gallery in My Heart- 松任谷由実  
 
神奈川県

 

■神奈川水滸伝
光り輝く 表の顔を 裏で支える バカが居る
だからいいのさ この世の中は とめてくれるな 丹沢時雨
これがしたくて 生きてきた ・・・
無事でいてくれ おまえのからだ 心半分 俺のもの
そんなせりふで 別れを惜しむ 男相傘 ほろりと濡らす
雨も神奈川 水滸伝 
■神奈川おどり
海は晴々 お山はみどり ハー ヨイトサ わしが神奈川 花日和り
サテ港にゃどどんと 宝船 街には繁昌の 人の波
ハーヤレコノドッコイ ヨイトナアー
   心いそいそ ドライブ ウエー ハー ヨイトサ 今日は鎌倉 一めぐり
   サテあちらにゃ江ノ島 虹の中 ・・・
富士も笑顔の 湯上り化粧 ハー ヨイトサ 招く箱根の 程のよさ
サテお山にゃほんのり 湯の薫り ・・・
   行こか相模湖 丹沢山に ハー ヨイトサ みんなそろうて ハイキング
   サテ見せたい名所も 星の数 ・・・ 
■川崎おどり
唄えば うきうき いいじゃんか 踊れば うきうき そうじゃんか
港 汐風 音頭をとれば ソレソレ 街は 踊りの 晴れ姿
うきうき うきうき きらきら きらきら 川崎おどり
アソレソレソレ ヨイヨイヨイヨイ
それきナ みなきナ どんときナ 踊りが好きなら寄ってきナ
   唄えば うきうき いいじゃんか 踊れば うきうき そうじゃんか
   大師詣りは お百度 千度 ソレソレ ねがいごとやら 厄ばらい
   うきうき うきうき きらきら きらきら 川崎おどり
   アソレソレソレ ヨイヨイヨイヨイ
   それきナ みなきナ どんときナ 踊りが好きなら寄ってきナ ・・・ 
■好きです かわさき 愛の街
多摩川の 明ける空から きこえる やさしい鳥の歌
ほほえみは 光のシャワー さわやかに こころ洗うよ
新しい 朝は生まれて 人びとの 軽い足どり
好きです 陽差しの 似合う街 好きです かわさき 愛の街 ・・・
街並の つづく窓から きこえる やさしい愛の歌
まごころは 希望のリズム いきいきと こころ弾むよ
新しい 時代(とき)は生まれて つなぐ手に 明日を夢みる
好きです 幸せ 灯す街 好きです かわさき 愛の街 
■雨の川崎
ガラス越し見つめる あなたは 激しく 
待ちわびた街角 私を 抱きしめ
秘密の合い言葉 雨は降るのに 傘がない
許されない愛だから 二人は燃える
禁断の恋だから 花びら濡れる 雨が降るよ 川崎
   約束はいつもの あの場所 激しく 
   かなわない思いを あなたに ぶつけて
   絡み合う合い言葉 雨はやむのに 雨宿り ・・・
   禁断の恋だから 花びら濡れる 雨が降れば 川崎
雨は降るのに 傘がない  
許されない 二人は燃える 禁断の 花びら濡れる 
許されない愛だから 二人は燃える ・・・
花びら濡れる 雨が降るよ 雨が降れば 川崎 
■港町十三番地
長い旅路の 航海終えて 船が港に 泊る夜
海の苦労を グラスの酒に みんな忘れる マドロス酒場
ああ港町 十三番地 ・・・
船が着く日に 咲かせた花を 船が出る夜 散らす風
涙こらえて 乾杯すれば 窓で泣いてる 三日月様よ
ああ港町 十三番地 
■港のためいき
ためいきまじりの はなうたが 聞こえる
愛し疲れた 男と女の やるせない ものうげな 影が並ぶ 外人墓地 ・・・
ためいきまじりの 眠たげな あくびに
朝はしらじら 短かい夜の 愛はどこに 愛はどこに 影が消えた 港のホテル 
■溝の口音頭
田園都市線 南武線 アクセス便利なこの立地
一度はおいでよ オアシスへ 川崎 高津区 溝の口
アー とてもあったかいトコロ 困った時には助け合い 義理人情熱い町
みんなで踊ろう ドンドコドン! 溝の口音頭で ドンドコドン!
   第三京浜 246 車も便利なこの立地
   安全運転で よろしくね 川崎 高津区 溝の口
   アー 笑顔いっぱいのトコロ 道で会ったら こんにちは! 元気いっぱい熱い町 ・・・
田園都市線 南武線 とにかく便利なこの立地
風光明媚なパラダイス 川崎 高津区 溝の口
アー とてもやすらげるトコロ 溝の口神社で大吉だ! 家内安全! 商売繁盛! ・・・
みんなで踊ろう ドンドコドン! 溝の口音頭で ドンドコドン! 
■酒匂川
あなた見送る 東海道の 旅は朝発(だ)ち 日本橋
馴れぬ草鞋(わらじ)に 我慢の紐を 解(と)いて品川 ひと休み
戸塚 藤沢 泣き泣き越えりゃ 別れ近付く 酒匂川 ・・・
三島 島田の 姐(ねえ)さん達に 袖を引かれちゃ いやですよ
焦がれ待ちする 私のために 急ぎ掛川 桑名まで
無事な帰りを 地蔵に祈り あなた見送る 酒匂川 
■弁天小僧
牡丹の様なお嬢さん シッポ出すぜと浜松屋
二の腕かけた彫物の 桜にからむ緋縮緬
しらざァいって 聞かせやしょう オット俺らァ 弁天小僧菊之助
   以前を言ゃあ江の島で 年期づとめのお稚児さん
   くすねる銭もだんだんに とうとう島をおわれ鳥
   噂に高い 白波の オット俺らァ 五人男のきれはしさ ・・・ 
■アキラのダンチョネ節
逢いはせなんだか 小島の鴎 可愛いあの娘の 泣き顔に
いやだ やだやだ 別れちゃやだと
いまも 聞こえるサ この胸に ダンチョネ
   赤い椿が ほろりと散った 旅のお方の 恋しさに
   沖の 瀬の背で どんと打つ波は
   なぜに 出船をサ 押し戻す ダンチョネ ・・・ 
 

 

神奈川県
神奈川水滸伝 北島三郎
神奈川音頭 藤本二三吉
神奈川おどり 島倉千代子
川崎おどり 都はるみ
川崎BLOSSOM 宇崎竜童
好きです かわさき 愛の街 芹洋子
雨の川崎 藤健一
港町十三番地 美空ひばり
港のためいき デュークエイセス
溝の口音頭 柿島伸次
酒匂川 長保有紀
弁天小僧 三浦洸一
ダンチョネ節 小林旭
 
横浜
■横浜
波止場を離れる あの船に あなた 想い出残して 私を残して
夕陽が傾く 横浜桟橋 海鳥鳴いてよ 私と一緒に
あぁ あぁ あぁ・・・・・海よ あぁ あぁ あぁ・・・・・憎い
国を越えて ことば越えて 愛に溺れた 横浜・・・・・ ・・・
外人墓地へと 車を走らす 見えなくなるまで 一人で泣きたい
横浜 YOKOHAMA この街がすべて 小雨よ泣いてよ 朝まで一緒に
あぁ あぁ あぁ・・・・・夜よ あぁ あぁ あぁ・・・・・憎い
鳥になって 海を渡り あの人呼んで 横浜・・・・・ 
■横浜暮色
港灯りが 映しだす 恋にはぐれた この街を
指輪をながめた 帰り道 あの日おまえを 抱きしめた
帰っておいでよ 今もひとりなら 夢を揺らした 愛の横浜に ・・・
古い十字架 白い影 胸に面影 こみあげる
時間が昔に 戻るなら 二度とおまえを 離さない
帰っておいでよ 潮が満ちる頃 めぐり逢う街 愛の横浜に 
■横浜恋あかり
青いガス灯 夜霧にうるむ こころも霧につつまれる
噂たよりに訪ねた街は あのひと空似の元町あたり
ああヨコハマ 横浜の灯りは恋 恋 恋あかり ・・・
昔なじみの情緒が残る 酒場の隅であおる酒
時の流れを戻して追えば おもかげいとしい本牧通り
ああヨコハマ 横浜の灯りは恋 恋 恋あかり 
■横浜の女
惚れていながら 惚れていながら十三年も
まわり道した 恋だった 北は函館 南は薩摩
噂を追いかけ ヨコハマの 港へもどって きたんだよ ・・・
ひとり暮らしが ひとり暮らしが 淋しいならば
俺に償い させてくれ 里にあずけた 子供を呼んで
潮風あかるい ヨコハマで 三人一緒で 暮らそうじゃないか 
■横浜嬢(よこはまモガ)
ませた Darlin’と 中国茶 港夜景に 瞳がうるむわ 
ジルバ疲れの 顔つきで センセーションに 抱きしめて 
BMW で スピンをかけてね 山手をとばせば 風がなく 
横浜モガ 恋のめやす とびぬけてるの 横浜モガ 
普通にすかしちゃ めだたない 爆発しましょう Tonight 
   赤いパンプスと 本牧バー 玉突き仲間が 噂はじく 
   男はずっと 不良がいいわ イミテーションを ぶちこわし 
   とび出しナイフの するどさで 愛のことばを 決めてみて 
   横浜モガ まねできない 幸せしだい 横浜モガ 
   やっちゃいけない ことなどないの 危険でいいの Tonight ・・・ 
■横浜―ハマ―ものがたり
こもれ陽あふれる 部屋でふたりで 語れる そんな日を夢みて生きて来た
「幸福」のふた文字 何故 何故つかめない 死ぬ気になるなら 何んでも出来たのに
最後に君と行った みなと横浜は 僕の人生の中で いちばんつらい場所
雨・雨・雨 雨がただ降る 君の面影 流すよに
   揃いのT-シャツ 一度も着ないで 君は これにしようよ
   それダメなんて はしゃいでた 狭くていいから わがまま言わないからと ・・・ 
■横浜ものがたり
黄昏が足早に 星の明かりをともす頃 
恋人たちの物語り 本牧 ヨコハマ
ジョージの店に くり出して 小粋なブルース 聞きながら
水割りグラスの 氷を鳴らす 今夜は 横浜ものがたり
   濡れた肌抱きしめて 二人優しさ分け合った 
   サーフサイドの窓に立ち 港を見ていた
   外国船が 遠ざかる 悲しい別離を 積み込んで
   溜め息みたいな 汽笛を鳴らす 誰かの 横浜ものがたり
サヨナラを繰り返し 少し優しくなれました 
公園通り 坂道を ゆっくり歩いた
あなたの腕に つかまって 何度も口づけ 交わしたわ
想い出の鐘が 心を鳴らす 私の 横浜ものがたり ・・・ 
■横浜ものがたり
こもれ陽あふれる 部屋でふたりで 語れる そんな日を夢みて生きて来た
「幸福」のふた文字 何故 何故つかめない 死ぬ気になるなら 何んでも出来たのに
最後に君と行った みなと横浜は 僕の人生の中で いちばんつらい場所
雨・雨・雨 雨がただ降る 君の面影 流すよに
   揃いのT-シャツ 一度も着ないで 君は これにしようよ
   それダメなんて はしゃいでた 狭くていいから わがまま言わないからと
   言ってたくせして もう君は帰らない いつでも船が見える みなと横浜で
   「暮らそう」そう言ったね あの日も雨だった 雨・雨・雨 雨がただ降る
   遠い昔の ものがたり ・・・
雨・雨・雨 雨がただ降る 君の面影 流すよに ・・・ 
■横浜物語
あれから何年 過ぎただろうか 帰って来たよ メリケン波止場
小雨にけむる あの桟橋に お前の姿を 探したが
俺の瞼に 面影が 映って消えるよ まぼろしなのか ・・・
ながれる夜霧に 外国船の 霧笛が横浜(はま)の 静寂(しじま)にむせぶ
ひと夜の夢に 酔いしれながら ふたりで飲んだね 馬車道の
古い酒場の カウンター 今でもひとりで いるのだろうか 
■横浜ララバイ
誰かは誰かを なぜ待つことを 覚えたのでしょう いつの日も
星降る港 ベイブリッジで めぐり逢う人 夢の人
横浜ララバイ 恋が生まれ 横浜ララバイ 愛が花開く
   ワインの香りに キャンドルが燃えて 遠くで汽笛が 呼んでいる
   小さな花を 小瓶に飾り 明日に願いを かけて見る
   横浜ララバイ 黒い瞳に 横浜ララバイ 揺れる星くずよ ・・・ 
■横浜 Lady Blues
冷たい夜風に身をさらし 港に立つ女が叫ぶ
見えない運命にやつれ果て 吐息の中にゴスペル
   逢えない予感のその後で 彼の事を小耳にはさむ
   良くない噂が駆け巡り 無情のベルが鳴る
Why do we do 恋人が訳もなく通り過ぎて 
Lai La……YOKOHAMA Oh! Oh!
   迷い道で出逢う二人 はだかで翔ぶ街
   Ah Ah Ah I want you hear me crying
   Ah Ah Ah 今宵 Lady Blues
抱いたり 攻めたり だましたり 恋心も うらみに変わる
ホテルの小部屋で酔いつぶれ レンガ色に溶けた ・・・ 
■逢えて 横浜
泣くのはおよしよ 逢えたじゃないか ずっと今夜は 側にいてあげる
港の灯りが 雨に滲んでる あの日のように霧も 二人を包む
   もっとお寄りよ 髪が濡れてる お前がいとしい 帰したくない
   何処か遠くへ 連れて行きたい 涙が笑顔に 変るものなら
グラスを傾け 語り明かそうよ 時を忘れて 今は二人だけ
どんな話も 聞いてあげるから 昔のようにもっと 甘えて欲しい ・・・
   お前ひとりを 泣かせはしない あふれる涙は 真珠に変えて
   恋の横浜 夢の果てまで 離しはしないよ 今日から二人 
■今も横浜で
波止場 離れる あの船に 昔 愛した 男性(ひと)が乗る
わざと 遅れて 来たんです 今も 心が 揺れてます
もう・・もう・・もう・・逢えない 横浜 桟橋 夕陽が傾いて 泪を誘う
わざと 遅れて 来たんです 今も 横浜 泣いてます ・・・
涙 ふく指 ふるえます 昔 あの夜も そうでした
頬の 痛さは 消えたけど 未練 心が いたみます
もう・・もう・・もう・・逢えない  横浜 桟橋 夕陽が傾いて
別離(わかれ)を輝(て)らす わざと 時計を 遅らせた 今も 横浜 泣いてます 
■神戸・横浜
夜空を斜めに 星屑落ちて せつない想いが 心を突き抜けて行く
背中にため息 残したままで 逢えない月日を 指折り数えては 涙
神戸 横浜と 二人 離れても
   今すぐ逢いたい あなたに逢いたい 抱きしめてほしい 身体が壊れるくらいに
   TAXI 拾って 行ける距離なら こんなにも 辛くない
夜更けの電話を 朝までしても 寂しい時間を 埋める気休めなのね
心の支えを 失うような 不安が募れば 今夜も眠れなくなるの
今度いつ逢える そんな くりかえし ・・・ 
■サヨナラ横浜
別れの夜を 残り火の 恋の炎で かざろうか
サヨナラ よこはま 霧の街 燃える想いをこめて
強く抱きしめあおう 他人同士に なる前に ・・・
サヨナラ よこはま 恋の街 つらい話はよそう
甘いくちづけしよう 他人同士に なる前に 
■シーサイド横浜
夜霧に濡れた外人墓地で 別れるなんて出来ないと
涙を流したおまえの頬に 港の灯りが光ってた
ああ… 一人の夜の シーサイド横浜 ・・・
雨に濡れてた元町通り クラブの灯りも消えていた
そっと交したあの口づけを 今でも俺は忘れない
ああ… 一人の夜の シーサイド横浜 
■たとえば横浜
アドリブの冴えた ジャズメンがいれば 酒が美味い たとえばヨコハマ
別れたおんなが いかしたおとこと 眼のまえで 踊っていても
揺れるハーバーライト 少し切なくて 少し幸せな夜さ  
   古いホテルには 懐かしいピアノ とても似合う たとえばヨコハマ
   港に流れる 霧笛はサックス サテン着た おんなが笑う
   揺れるハーバーライト おもいでの街で おもいでを作る二人 ・・・
揺れるハーバーライト 優しい気分で 昔に還ろう二人 
■ぬれて横浜
淋しさを淋しさを お酒でうすめ 待てば痩せます 湊町
たった一度の おもいでを 守り通した 純情が
重荷になります このごろは ああ ひとり夜雨に ぬれて横浜 ・・・
恋しさを恋しさを 吐息に包み 指でグラスを 暖めりゃ
忘れられない あのひとの ひげの痛みを おもいだす
おもいでの酒場の止り木は ああ熱い涙に ふれて横浜 
■酔いつぶれて横浜
燃えて 抱かれて 夢だけ見ても 壊せぬ暮らしに 責められる
忘れちゃいけない 忘れたい 乱れちゃいけない 乱れたい
恋の麻酔が 覚めぬまま 揺れて 横浜 恋の町 ・・・
ネオン 人波 寄り添う二人 つないだ手と手に にじむ汗
愛しちゃいけない 愛してる 溺れちゃいけない 溺れてる
恋の迷路の 行き止まり 揺れて 横浜 港町 
■よこはま・たそがれ
よこはま たそがれ ホテルの小部屋
くちづけ 残り香 煙草の煙り ブルース 口笛 女の涙
あの人は 行って行ってしまった
あの人は 行って行ってしまった もう帰らない ・・・
木枯らし 想い出 グレーのコート
あきらめ 水色 つめたい夜明け 海鳴り 燈台 一羽のかもめ
あの人は 行って行ってしまった
あの人は 行って行ってしまった もうおしまいね 
■よこはま流れ者
今更わけなど いいじゃない 早くあかりを 消しとくれ
タバコがある お酒もある 私はいて あなたがいる
寂しがり屋の 恋物語 いとしのよこはま 流れ者 いとしのよこはま 暗い窓 ・・・
知りたくないの 何もかも 例えば 名前や癖なんか
ばつだ来れば すべて終わり あなたがさる 私もさる
涙も枯れた 似た者同士 いとしのよこはま 流れ者 いとしのよこはま 朝の雨 
■よこはま物語
愛しあっても かなわぬものを これでいいのと うなづくお前
負けた負けたよ お前に負けた ずっとこのまま ついて来るかい
よこはまで出逢った恋の物語 よこはまで出逢った恋の物語 ・・・
無理をしないで ただ末永く 好いてほしいと 言っては泣いた
泣くな泣くなよ お前のほかに 幸せなんか さがしはしないさ
よこはまで出逢った恋の物語 よこはまで出逢った恋の物語 
■ヨコハマ
雨に濡れただるま船 いつまでたっても動かない
誰かが河に石投げた 淋しい目をしてポチャリ
何もかも びしょぬれで とてもきれいだ 雨ふれ 雨ふれ 私のヨコハマ
   雨の中を泣きながら ここまで来たことあったね
   動かぬ船に話しかけ しゃべらぬお前に叱られた
   あの日から この街に 居ようと決めたよ 雨ふれ 雨ふれ 私のヨコハマ
今は誰も追わないよ 誰にも追われず生きたい
ドブ河低く飛ぶカモメ 雨宿りここにおいで
この街が好きだから 離れはしないよ 雨ふれ 雨ふれ 私のヨコハマ ・・・ 
■ヨコハマ懐古
野毛の山から ボンと鳴る鐘に 明けて波止場の あの蒸気船
文明開化の 煙がなびく ハマの娘の 千鳥がけ
   粋なマントル 山高シャッポ 提げたカバンも 商館通い
   馬車がなければ 合乗車 明日の日曜(ドンタク) どこへゆこう ・・・
野毛の山から ポンと鳴る鐘に 明けて波止場の あの蒸気船
文明開化の 煙がなびく ハマは日本の表口 
■ヨコハマ・ブルース
港の風が 涙の胸に しみるよ切なく やるせなく
バイバイ バイバイ 走り行く船を 鴎なぜ呼ぶ
あゝ泣きながら ・・・
なんにも言わずに 波間に流す 涙の花びら 胸の花
バイバイ バイバイ 泣くなよ鴎 どうせはかない
あゝ恋ならば  
■ヨコハマ港物語
波止場のベンチに腰かけながら 船をかぞえた細い指
潮風 思い出 ヨコハマ ヨコハマ ヨコハマ港 いつも可愛いい 赤い靴
履いてた あの娘はどこにいる 鴎に聞いても わからない 
   落書き酒場の 古びた壁に 残る名前のなつかしさ
   ドラの音出る船ヨコハマ ヨコハマ ヨコハマ港 シスコ好みの 赤い靴
   お洒落な あの娘は もういない どこかへ嫁いで いったのか ・・・ 
■ヨコハマ物語
みどりのそよ風 ヨコハマは 鴎のふる里 ヨコハマは
白髭船長さんの 泣く港 アゝ 古い波止場の ラク画きに
話しかけては なつかしそうに 涙しんみり ふく港 ・・・
夜霧がふるふる ヨコハマは 胡弓が流れる ヨコハマは
やさしい面影 呼ぶ港 アゝ 丘のホテルの サルビアの
花を散らして 霧笛の音が 昔恋しと 呼ぶ港 
■ヨコハマブルース
肩に小雨が しみるこんな夜(よ)は ひとり伊勢佐木 思い出たどる
好きと言って 抱きしめた あんた信じて 夢見てた
なんで なんで なんでどうして あんた あんた あんた あんた恋しい 
ヨコハマブルース ・・・
濡れた舗道に 映るネオンには ひとり馬車道 面影にじむ
外国船(ふね)の灯りが 消えるよに こんな別れが 来るなんて
なんで なんで なんでどうして あんた あんた あんた あんた恋しい 
ヨコハマブルース 
■雨のヨコハマ
赤いクルマをのり棄てて ひとり来ました港町 ヨコハマは雨だった 
恋の名残りを消すように 傘をささずに波止場まで 泣きながら歩くのよ
あー 一年たてば忘れてみせる あなたのことなど
だけど あー人形みたいきれいな服きて 私はひとり
   あなただけはと 信じてた 弱い女を抱くように ヨコハマは雨だった
   長い電話がかけたくて ・・・ 
■雨のヨコハマ
好きになっては いけない女(ひと)と 知っていながら 待ちわびる
雨の横浜 外人(がいじん)墓地に 白いクルス(十字架)が目にしみる
せつない恋を かきたてて むせび泣いてる 汽笛さへ ・・・
別れることは 出来ない女と はじめて知った あの夜も
雨の横浜 港を見てた 青く光った 船の灯(あかり)に
燃やした恋の 想(おも)い出が いまも生きてる 元町に  
■追いかけてヨコハマ
   追いかけてヨコハマ あのひとが逃げる
   残したすてゼリフに 誰か見覚えはありませんか
追いかけてヨコハマ あのひとがいつも この街をほめたことだけが
うらぎりのてがかりです 旅の支度をしたひとばかり
どうしてこんなに 通るのでしょう ヨコハマ ヨコハマ この船は
街ごとはこんで旅ですか
   追いかけてヨコハマ あのひとが逃げる
   残したすてゼリフに 誰か見覚えはありませんか
追いかけてヨコハマ こころあたりには ひとつのこらず 寄ったけれど
返事はなぐさめばかり この街を最後にあのひとのことで ・・・ 
■ふりむけばヨコハマ
夢の続きはおしまいですか 全て白紙にかえるのですか
もしも叶うなら この体投げだして ついて行きたい
閉じたまぶたにあなたが映る 別れ話を打ち消すように
汗がにじむ程 もう一度抱きしめて 映画のように
恋はいつも 背中合わせ 追えば追うほど 手の平返す
ふりむけばヨコハマ くちびるが淋しい ふりむけばヨコハマ 置いてきぼりね
   港離れる外国船を ひとり見送るホテルのロビー
   あなたここに来て おもいではいらないわ 悲しすぎるわ
   めぐり逢わせのいたずらなんて それで終わりにしないで欲しい
   そばに居るだけで華やかなひとときを 生きてゆけるわ
   窓を叩く雨のしずく ・・・
   ふりむけばヨコハマ くちびるが淋しい ふりむけばヨコハマ 置いてきぼりね  
■ブルーライトヨコハマ
街の灯りが とてもきれいね ヨコハマ ブルーライト・ヨコハマ
あなたとふたり 幸せよ
いつものように 愛の言葉を ヨコハマ ブルーライト・ヨコハマ ・・・
歩いても歩いても 小舟のように 私はゆれて ゆれて あなたの腕の中
足音だけが ついて来るのよ ヨコハマ ブルーライト・ヨコハマ ・・・
歩いても歩いても 小舟のように 私はゆれて ゆれて あなたの腕の中
あなたの好きな タバコの香り ヨコハマ ブルーライト・ヨコハマ ・・・ 
■港ヨコハマ花売娘
赤いテールが にじんでとけて 消えてバンドへ ゆく石だたみ
海のかおりを 夜風が運ぶ 花を召しませ 召しませ花を
いとしあの娘は ああ 港ヨコハマ 花売娘 ・・・
ミルク色した 波止場の霧に むせび泣いてる 出船の汽笛
馴れた別れも 切ないものよ 花を召しませ 召しませ花を
声もとぎれる ああ 港ヨコハマ 花売娘 
■別離のヨコハマ
坂道づたいに 港へ下りれば 灯りをともした横浜
いつかはこうなる 二人の間に 最後の時が来たわ
横顔はみせないで 想い出が ふえるから
   船の汽笛を 聞きながら 愛の時計を 止めるわ
   私は夢を見てた 誘惑の甘い夢
公園づたいに 桟橋まわれば つめたい夜風の横浜
涙でかさなる 二人の間に 最後の時が来たわ
言い訳はいわないで 悲しみが つのるから…… ・・・
   船の汽笛を 聞きながら 愛の時計を 止めるわ
   私は夢を見てた 誘惑の甘い夢 
■YOKOHAMA BAY BLUES
会いたい 気持ちだけが 会えない
留守番電話の笑い消えて 空白の答え
   忘れる 強さを酒で試す
   汽笛が空に溶ける夜は 寂しさが回る
君の名を 叫んでも 風が吹き消す 魂
月に届けよ 悲しき願い 誰も傷つけずに 生きるなんてできない
   許しておくれ 俺を 薄情そうな木枯らし 舞う
   YOKOHAMA BAY BLUES ・・・ 
■Yokohama City of Lights
冬時間の遊覧船 人影まばらなまま 出航ゆく
かじかむ手に息をかけて ガラスのドームの屋根見上げた
この冬最後の 雪になるでしょう今夜
ラジオの ニュースに 急(せ)かされるように
街の名タクシーに告げた Yokohama City of Lights
雲に反射して ひとりで見るのには綺麗すぎるね ・・・
船が桟橋にいつか戻る頃 あなたも街も雪の中
Yokohama City of Lights
こんなに優しい気持を 伝える言葉を知らない 
■愛してます
愛してます 泣きたいほどあなた 今まで会った人たち
消えてしまうほど好きよ 愛してます 捨てられたくなくて
あなたが誘う方へと 傾いてゆく ああ私
   海へ続く坂道 はるかギリシャの小船 あなたは黙る 私も黙る ヨコハマ
   冬の港の風は 街の風より甘い 大きな肩にもたれて歩く 黄昏
かまわない 今何言われても かまわない 私はついてゆく
ギリギリ愛してます 泣きたいほどあなた 妖しい恋の火薬の においがしてる
海が鳴る ・・・
   かまわない 海鳴りの底まで かまわない 戻れない道でも
   ギリギリ愛してます 泣きたいほどあなた 今まで会った人たち
   消えてしまうほど好きよ 愛してます 捨てられたくなくて
   あなたが誘う言葉に うなずいてゆく 海が鳴る 
■赤い靴 (童謡・唱歌)
赤い靴(くつ) はいてた 女の子
異人(いじん)さんに つれられて 行っちゃった
   横浜の 埠頭(はとば)から 船に乗って
   異人さんに つれられて 行っちゃった ・・・
赤い靴 見るたび 考える
異人さんに 逢(あ)うたび 考える 
■あなたに逢いたい 奥村チヨ
あなたに逢いたい たまらなく逢いたい 愛され過ぎた ひとだから
逢ってあなたを たしかめたい 夜霧にかくれて かわしたくちづけ
忘れたくない 忘れたくない 
ヨコハマの 二人だけの 甘い甘いできごと
   約束したから たまらなく逢いたい 大人の恋が わたしはほしい
   逢って心を うちあけたい めぐり逢いなのに 恋がめばえた
   ・・・ ヨコハマの 二人だけの 夢の夢のできごと 
■悲しき口笛
丘のホテルの 赤い灯も 胸のあかりも 消えるころ
みなと小雨が 降るように ふしも悲しい 口笛が
恋の街角 露地の細道流れ行く ・・・
夜のグラスの 酒よりも もゆる紅色 色さえも
恋の花ゆえ 口づけて 君に捧げた 薔薇の花
ドラの響きに ゆれて悲しや夢と散る 
■私は街の子
わたしは街の子 巷の子 窓に灯が ともる頃
いつもの道を 歩きます 赤い小粒の 芥子の花
あの街角で ひらきます ・・・
わたしは街の子 巷の子 ついた灯が また消えりゃ
いつもの人に 出逢います 今は恋しい 母様に
うしろ姿も そっくりな 
■雨の港町
雨は体にとくだと 優しい言葉 囁いて抱きしめた 雨の桟橋
あ あなたの胸の あ 切ない香り 横浜今でも忘れられない 港町 ・・・
雨に滲んだ明かりに あなたの顔が 浮かんではまた消える 雨の桟橋
あ 夜明けの海を あ 濡れて歩いた 横浜今でも忘れられない 港町 
■かもめの水兵さん
かもめの水兵さん 並んだ水兵さん 白い帽子 白いシャツ 白い服
波にチャップチャップ 浮かんでる
   かもめの水兵さん 駆け足水兵さん 白い帽子 白いシャツ 白い服
   波をチャップチャップ 越えていく ・・・
かもめの水兵さん 仲良し水兵さん 白い帽子 白いシャツ 白い服
波にチャップチャップ 揺れている 
■恋人も濡れる街角
   不思議な恋は 女の姿をして 今夜あたり 訪れるさ
   間柄は遠いけど お前とは OK 今すぐ
YOKOHAMA じゃ今 乱れた恋が揺れる 俺とお前の まんなかで
触るだけで感じちゃう お別れの Good-night 言えずに
ああ つれないそぶりさえ よく見りゃ愛しく 思えてく
ただ一言でいいから 感じたままを口にしてよ
愛だけが 俺を迷わせる 恋人も 濡れる街角 ・・・ 
■しのび逢い
霜降ればぬれる外人墓地に 人目さけてしのび逢えば 不意に涙
罪深いことと知ってはいても 今のふたり裁き受ける人のように・・・・
こんなにやつれはてたあの人 連れて行けぬせつなさ
ただ感じ合うだけ 港あかり 涙まじり あのひとがいとしい 
   出る船を送る大桟橋を 遠い過去をしのび乍らふたり歩く
   あやまちは一度あの日の弱さ 今のふたり道に迷う人のように
   はげしく思いこめてあのひと すがる腕のかぼそさ ・・・ 
■上海帰りのリル
船を見つめていた ハマのキャバレーにいた
風の噂は リル 上海帰りの リル リル
甘いせつない 思い出だけを 胸にたぐって 探して歩く
リル リル どこにいるのか リル だれかリルを 知らないか ・・・
海を渡って来た ひとりぼっちで来た
望み捨てるな リル 上海帰りの リル リル
暗い運命(さだめ)は ふたりでわけて ともに暮らそう 昔のままで
リル リル きょうも逢えない リル だれかリルを 知らないか 
■時には一人で
男なんて女なんて 顔に出さないうそつきばかり
ゆれる ろうそくに 影をうかせて 踊ってみようか キャンドル・ナイト
貴方と出逢った 乃木坂あたり 踊りあかそう 赤坂ナイト
恋なんて愛なんて なづけたところでどうなるの
おいかけて捨てられて 涙をこらえてどうなるの
   時には誰とも 話さなくても 踊ってみようか キャンドル・ナイト
   小雨にぬれてる 表参道 踊りあかそう 原宿ナイト
   恋なんて愛なんて 咲いて枯れてゆくバラの花
   男なんて女なんて 顔には出さないうそばかり
車の明りの 流れの中で 踊ってみようか 元町通り
どこか淋しげな 小ネコをだいて 踊りあかそう 横浜ナイト ・・・ 
■港灯(ハーバーライト)
(男)出逢いはヨコハマ ベイ・サイド・ホテル (女)夜明けのまぶしさ おぼえている
(女)恋は (男)メイズ…メイズ…メイズ (女)燃えて
(男)ベーゼ(baiser)…ベーゼ…ベーゼ (男女)Ah…
   (女)すき…すき…すき すきよあなた 
   (男)love you love you (男)love you only you…
   (男女)ふたりを死が分かつまで (女)離れない (男)離さない (男女)離れはしない
(男)涕くため出逢った ふたりじゃないのに (女)ハーバー・ライトよ なぜにうるむ
(女)恋は (男)メイズ…メイズ…メイズ
(女)濡れて (男)ローズ…ローズ…ローズ
(女)夢の (男)デイズ…デイズ…デイズ (男女)Ah… ・・・
   (男女)すき…すき…すき いのちかけて 
   (男女)love you love you (男女)love you only you…
   (男女)ふたりを死が分かつまで (女)離れない (男)離さない (男女)離れはしない 
■ベイブリッジ・ブルース
まじめな男は たいくつで プレイボーイは 鼻につく
どこにいるのか好みのタイプ ハッピーエンドは 霧の中
あなたに自信があるならば 渡っておいでよ ベイブリッジ
恋のかけ橋 ベイブリッジブルース ・・・
やんちゃな男は ぶきっちょで やさしい男は 嘘をつく
恋はまぼろし分かっていても おもしろ半分 くり返す
月夜の晩に おしゃれして 渡っておいでよ ベイブリッジ
恋のかけ橋 ベイブリッジブルース 
■港が見える丘
あなたと二人で 来た丘は 港が見える丘
色あせた桜 唯一つ 淋しく 咲いていた
船の汽笛 咽(むせ)び泣けば チラリホラリと 花片(はなびら)
あなたと私に 降りかかる 春の午後でした ・・・
あなたを想うて 来る丘は 港が見える丘
葉桜をソヨロ 訪れる しお風 浜の風
船の汽笛 遠く聞いて ウツラトロリと 見る夢
あなたの口許 あの笑顔 淡い夢でした 
■昔の名前で出ています
京都にいるときゃ 忍と呼ばれたの 神戸じゃ渚と名乗ったの
横浜(ハマ)の酒場に 戻ったその日から あなたがさがして
くれるのを待つわ 昔の名前で出ています ・・・
あなたの似顔を ボトルに書きました ひろみの命と 書きました
流れ女の さいごの止まり木に あなたが止まって
くれるのを待つわ 昔の名前で出ています 
■夜霧の第二国道
つらい恋なら ネオンの海へ 捨ててきたのに 忘れてきたに
バック・ミラーに あの娘の顔が 浮かぶ夜霧の ああ第二国道 ・・・
闇を見つめて ハンドル切れば サイン・ボードの 灯りも暗い
泣かぬつもりの 男の胸を 濡らす夜霧の ああ第二国道 
■別れのブルース
窓を開ければ 港が見える メリケン波止場の 灯が見える
夜風 潮風 恋風のせて 今日の出船は どこへ行く
むせぶ心よ はかない恋よ 踊るブルースの 切なさよ
   腕にいかりの 入れずみほって やくざに強い マドロスの
   お国言葉は 違っていても ・・・ 
■霧情のブルース
口笛も凍る みなとハコダテ 誰かあいつを 知らないか
探さないでと ルージュで書いた 左さがりの 文字がかなしい 
夜霧よ歌うな ブルースは ・・・
讃美歌にむせぶ みなとナガサキ 誰かあいつを 知らないか
夜の円山 見かけたという 噂たずねりゃ 他人の空似
夜霧よ歌うな ブルースは 
■海岸物語
覚えてる 懐かしい潮風(かぜ)吹くあの街 腕を組み 歩いた桟橋
馬車道のシネマでは いつも寄り添って 夜明けまで 眠らずに過ごしたわ
たとえば もしも あの頃に も一度 二人 戻れたら…
山手から元町へ たどる思い出 恋のものがたり
   髪を切り 口紅の色も変えたのに 忘れない あの日のぬくもり
   いくつかの恋をして やっと気付いたの 心から 愛されていた事を
   たとえば もしも あの人の 優しい 声が 聞けたなら…
   夕暮れの本牧は 熱いトキメキ 夢のものがたり
たとえば もしも あの頃に ・・・
甘くせつない 恋のものがたり 
■伊勢佐木町ブルース
アァ アァ アァ アァ アァ アァ
あなた知ってる 港ヨコハマ 街の並木に 潮風吹けば
花散る夜を 惜しむよに 伊勢佐木あたりに 灯がともる
恋と情けの ドゥ ドゥビ ドゥビ ドゥビ ドゥビ ドゥバ 灯がともる ・・・
アァ アァ アァ アァ アァ アァ
あなた馴染みの 港ヨコハマ 人にかくれて あの娘が泣いた
涙が花に なる時に 伊勢佐木あたりに 灯がともる
恋のムードの ドゥ ドゥビ ドゥビ ドゥビ ドゥビ ドゥバ 灯がともる 
■長者町ブルース
ハングル文字のネオン管 
異星からやって釆たホステス 長者町の夜
   コリアにフィリッピン タイランド
   国籍不明のダンサー バントが始まれば 喧嘩も始まる
カタコトで「タンシヌル・サランヘ」 あの女に伝えたかった
   長者町 雑居ビルの宇宙ステーション
   あの女は月へと飛んで行った アッサー! ・・・
長者町 黒いバラ咲く花園 ほとばしる情念のブルース 
■馬車道
横浜出てから 花園橋へ 春のおだやかな 光の中を
私とあなたの 心を乗せて バスはのんびり 走っていくよ
「昔は市電の通りだったよ」 あなたの言葉が 静かに響く
   花園橋すぎ 紅葉坂まで 窓に頬寄せ 表を見れば
   歩道橋の上 雀が一羽 指さす私に 気づかぬふうに
   「学生服で通った道さ」 懐しそうに あなたは言った ・・・
桜木町から 今馬車道へ 若葉の並木を 見上げて歩く
二人の足元 じゃれつくように 小さな仔犬が ついてくるよ
「昔の馴じみの店に行こう」 幸福みつけた 今馬車道へ 
■本牧綺談
まどろむ心に ガス燈が やけに眩しく目に映る
男が見せるこの涙 口に出せない 一人言 ・・・
   あいつが残した 捨て台詞 やけに重たく身にしみる
   男のジョークは 醜いと ジュークの5セント たたきつけ
   ハマの香りも 今はなく 昔の女も 色褪せて ・・・
本牧あたりの サムの店も 今では夢みる椅子はない
やけに淋しい 迷い歌 帰るあてなど 消え果てて ・・・
I remember the night  
■本牧 HONMOKUブルース
女は嘘つき そして愛の獣(けだもの) だから何度でも 恋が出来るの
私の髪に ジャズがからみつく あなた誰? ここは本牧ブルースよ ・・・
このまま何処かへ 連れて逃げてほしいと 言って困らせて またあきらめる
ハーバーライト 窓に爪のあと あなた誰? ここは本牧ブルースよ 
■山手駅
君をつれてくるよ 青い電車揺れて ここへもうすぐ
海のかをり風とともに ひさしぶりの笑顔2つね
「おかえり」のひとことを 準備して すこし照れるけど
きかせて あの日の話しの つづき ちいさな山手駅のメロディー
あたたかい 君の手が もうすぐわたしを包み込む
となりにいたいの いつでもずっと あのとき言えずにいた わたし
約束のこの駅で 君を待っている
   旅へ向かう君のせなか ずっと見送っていたこの駅
   何も変わらないよ いつもふたり座り話したベンチも
   「ただいま」のひとことを 用意して 君もいるのかな、、、
   生まれた街から旅立つ君は 夢の為とせなかを向けた
   あのときは 幼くて 笑顔も涙もみせられなかった
   トンネルのなかにライトが灯る 君を乗せた電車がくるよ
   そしていま 変わらない 笑顔みせたくて ・・・
あのとき言えずにいた わたし
約束のこの駅で 君を待っている 
■桜木町ブルース
淡い黄昏 せまる頃 私の心が 又 いたむ
好きでならない人なのに なぜに私に つれないの
今宵もせつない ためいきが ああ 桜木町は 桜木町は 恋とネオンの 花が咲く ・・・
想い出に咲く ネオン街 私の心に いつまでも
忘れぬ人となるでしょう 今はお酒に 身をまかせ
今宵もせつない ためいきが ああ 桜木町は 桜木町は 恋とネオンの 花が咲く 
■港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ
一寸前なら憶えちゃいるが 一年前だとチト判らねェなあ
髪の長い女だって ここにゃ沢山いるからねェ
ワルイなあ 他をあたってくれよ 
アンタ あの娘の何なのさ! 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ
   半年前にやめたはずさ アタイたちにゃ アイサツなしさ
   マリのお客をとったってサ そりゃもう大さわぎ
   仁義を欠いちゃ いられやしないよ ・・・
ハマから流れて来た娘だね ジルバがとってもうまくってよお
三月前までいたはずさ 小さな仔猫を拾った晩に
仔猫といっしょにトンズラよ どこへ行ったか知らねェなあ ・・・
   横須賀好きだっていってたけど 外人相手じゃカワイソーだったねエ
   あんまり何んにも云わない娘だったけど ・・・
たった今まで坐っていたよ あそこの隅のボックスさ
客がどこかをさわったって ・・・ 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ 
横浜
横浜 吉幾三
横浜あたり 園まり
横浜異邦人 本田理沙
横浜暮色 石川さゆり
横浜恋あかり 北島三郎
横浜小唄 淡谷のり子
横浜しのび雨 日野美歌
横浜スタジアム イルカ
横浜チャイニーズ・ドール ジュディ・オング
横浜泣いてブルース 八代亜紀
横浜ナイト・クラブ 沢たまき
横浜に鐘が鳴る ビリー・バンバン
横浜の女 北島三郎
横浜野毛小路 川中美幸
横浜のためいき 大月みやこ
横浜のマリー 五木ひろし
横浜 MY SOUL TOWN 宇崎竜童
横浜マドロスストーリー 小林旭
横浜みれん坂 青江三奈
横浜メリー 黒沢博
横浜嬢(よこはまモガ) 岩崎宏美
横浜ものがたり ハッピー&ブルー
横浜ものがたり 吉幾三
横浜物語 冠二郎
横浜・ララバイ 五木ひろし
横浜 Lady Blues 原由子
横浜ロンリーナイト 桂銀淑
あゝなんでこんなに横浜が好きなの ダ・カーポ
愛して横浜 カルーセル麻紀
逢えて 横浜 五木ひろし
今も横浜で 吉幾三
神戸・横浜 中条きよし
サヨナラ横浜 石原裕次郎
シーサイド横浜 勝新太郎
たとえば横浜 石原裕次郎
ぬれて横浜 ロス・プリモス
いいね! 横浜G30 クレイジーケンバンド
ブルー・ナイト・イン横浜 田辺靖雄
酔いつぶれて横浜 細川たかし
夜の横浜泣いてる私 ロス・プリモス
I Love 横浜 横浜銀蝿
よこはま朝から今日も雨 青江三奈
よこはま詩集 ダ・カーポ
よこはま・たそがれ 五木ひろし
よこはま流れ者 内藤やす子
よこはま物語 石原裕次郎
よこはま25時 中条きよし
ワンチャンスよこはま ロス・プリモス
Kiss Me よこはま 日野美歌
ヨコハマ 山崎ハコ
ヨコハマA・KU・MA 中森明菜
ヨコハマ海岸物語 寺内タケシ
ヨコハマ懐古 渡辺はま子
ヨコハマ・シルエット 長山洋子
ヨコハマ・スイート・レイン 小泉今日子
ヨコハマ・チーク 近藤真彦
ヨコハマ・ブルース 都はるみ
ヨコハマ・ブルース 三条町子
ヨコハマ港物語 角川博
ヨコハマ・メルヘン 角川博
ヨコハマ物語 美空ひばり
ヨコハマ・レイニー・ブルース 三田村邦彦
ヨコハマ・ロンサム・ボート 麻丘めぐみ
ヨコハマHead Light 岩崎良美
ヨコハマ Uō・Uō・Uō 矢沢永吉
ヨコハマブルース 氷川きよし
雨のヨコハマ 欧陽菲菲
雨のヨコハマ 五木ひろし
追いかけてヨコハマ 桜田淳子
小雨のヨコハマ バーブ佐竹
サンライズ・イン・ヨコハマ 渡辺はま子
ハッピー・ヨコハマ ザ・ピーナッツ
ハッピーヨコハマ アン・ルイス
ビューティフル・ヨコハマ 平山みき
ふりむけばヨコハマ マルシア
ブルーライト・ヨコハマ いしだあゆみ
待ちくたびれてヨコハマ 柏原芳恵
港ヨコハマ花売娘 春日八郎
レッドライト・ヨコハマ クレイジーケンバンド
ロマネスク・ヨコハマ 石野陽子
別離のヨコハマ 欧陽菲菲
YOKOHAMAシャレード 水谷豊
YOKOHAMA二十才(ハタチ)まえ 矢沢永吉
YOKOHAMAベイブルース 瀬川瑛子
YOKOHAMA BAY BLUES 沢田研二
Yokohama City of Lights 菊池桃子
YOKOHAMA FOGGY NIGHT 矢沢永吉
Yokohama Honky Tonk Blues 松田優作
Once Upon A Time In YOKOHAMA ダウンタウン
TANGO DI YOKOHAMA 渡辺はま子
大横浜音頭 都はるみ
愛してます 河合奈保子
赤い靴 (童謡・唱歌)
あなたに逢いたい 奥村チヨ
悲しき口笛 美空ひばり
ひばりの子守唄 美空ひばり
ひばり仁義 美空ひばり
浜っ子マドロス 美空ひばり
港町十三番地 美空ひばり
浜っ子 美空ひばり
みなと踊り 美空ひばり
私は街の子 美空ひばり
雨の港町 八代亜紀
十六酔いフラッパー ちあきなおみ
いま目覚めた子供のように 山口百恵
思い出のスター・ダスト サザンオールスターズ
涙のアベニュー サザンオールスターズ
シャ・ラ・ラ サザンオールスターズ
メリケン情緒は涙のカラー サザンオールスターズ
LOVE AFFAIR 〜秘密のデート サザンオールスターズ
新・野毛山模様 原由子
ダーリン 桑田佳祐
カーニバル・ラブ ペドロ&カプリシャス
外人墓地 橋幸夫
悲しきロンリーガール 高田みづえ
かもめの水兵さん 河村順子
かんかん虫は唄う 勝新太郎
恋人も濡れる街角 中村雅俊
この街の風に吹かれて ダ・カーポ
昨夜の男 淡谷のり子
しのび逢い 尾崎紀世彦
上海帰りのリル 津村謙
出航SASURAI 寺尾聰
ジュン 高橋真梨子
小さなお店を持ちました ロス・プリモス
チャイナ・ライツ 高田みづえ
ドール 太田裕美
時には一人で いしだあゆみ
泣いてみりゃいいじゃん 近藤真彦
ニューグランドホテル 矢沢永吉
港灯(ハーバーライト) 八代亜紀
初恋浜っ子娘 島倉千代子
濱のメリー 米倉千尋
浜をどり 小唄勝太郎
ベイブリッジ・ブルース 青江三奈
港が見える丘 平野愛子
港の見える丘 プリンセス・プリンセス
港スコープ 渡辺真知子
昔の名前で出ています 小林旭
夜霧の第二国道 フランク永井
別れの伝言 石原裕次郎
別れのブルース 淡谷のり子
BLUE BAY STORY 中森明菜
昼下がり クレイジーケンバンド
場末の天使 クレイジーケンバンド
タツノオトシゴ クレイジーケンバンド
女 真田ナオキ
ベイサイド・ブギ 氷川きよし
霧情のブルース 五木ひろし
海岸物語 北原ミレイ
万葉の華 小沢あきこ
伊勢佐木町ブルース 青江三奈
濱のメリー 米倉千尋
夜霧の伊勢佐木町 ゆず
泣いて昔が返るなら 小林旭
長者町ブルース クレイジーケンバンド
馬車道 研ナオコ
アメ車と夜と本牧と クレイジーケンバンド
本牧は午前零時 クレイジーケンバンド
本牧 ソウルレディ クレイジーケンバンド
本牧綺談 萩原健一
本牧メルヘン 鹿内孝
本牧 HONMOKUブルース 青江三奈
HONMOKU GARAGE クレイジーケンバンド
冷たい太陽 舘ひろし
灰色の街 松田優作
モトマチあたり 麻丘めぐみ
モトマチブラブラ クレイジーケンバンド
マリンタワー・ゴーゴー クレイジーケンバンド
山手駅 松たか子
チャイナタウン 矢沢永吉
チャイナタウン ゆず
桜木町 ゆず
桜木町ブルース 美川憲一
883 クレイジーケンバンド
岡村ムラムラブギウギ ゆず
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ ダウン・タウン
I CAME FROM 横須賀 山口百恵
レイニー・ウェイ 矢沢永吉
海を見ていた午後 荒井由実
 
横須賀
■横須賀ストーリー
これっきり これっきり もうこれっきりですか ・・・
   街の灯りが映し出す あなたの中の見知らぬ人
   私は少し遅れながら あなたの後 歩いていました
これっきり これっきり もうこれっきりですか ・・・
   急な坂道 駆けのぼったら 今も海が 見えるでしょうか ここは横須賀
   話しかけても 気づかずに ちいさなアクビ重ねる人
   私は熱い ミルクティーで 胸まで灼けてしまったようです
これっきり これっきり もうこれっきりですか ・・・
   あなたの心 横切ったなら 汐の香りまだするでしょうか ここは横須賀 ・・・ 
■横須賀Baby
今夜はお前と Baby 最後の夜になりそう
空けちまったボトルをまくらに 瞳をとじれば 楽しかった 思い出だけが漂う
   今夜はお前と Baby 最後の夜になりそう
   果てしない夢を 追いかける為 この街を去って行くお前
二人通った Discoteque SANTANA 肩で風切った ドブ板通り
そんな思い ふり切ってまで Oh good-bye yeh 横須賀 Baby ・・・
   俺達とりまいてた おどけた奴ら 陽気なJimmyに あばずれJessie
   そんなダチ公 ふり切ってまで Oh good-bye yeh 横須賀 Baby
   Oh横須賀Baby…Fade. 
■横須賀レイニー・ブルー
外はブルー ブルー横須賀 雨のしずく 数えて
恋はブルー ブルー今日こそ あなた あきらめさせて
   濡れた髪を早くふけよと 白いタオル 投げてよこした人 アアー つめたいわ
   にわか雨に 一人ふられて 彼の部屋に小猫みたいに 逃げ込んだ 私の片想い
   ねえ ください その心を ねえ お願い 私にだけふり向いて ・・・
電話すれば 忙しいよと 話しかけた言葉さえぎる人 でも好きだった
氷一つ入れたグラスで コーラ飲めば 涙が一つ こぼれたわ ベージュのカーペット
ねえ ください その心を ねえ お願い 私にだけふり向いて 
   外はブルー ブルー横須賀 ここはいつも 小雨ね
   恋はブルー ブルー今日こそ あなた あきらめさせて 
■横須賀マリア
あんたがその気になったら いつでも たずねておいでよ ドア板通り
髪に一輪赤い花 マリアといえば見つかるよ
ゆれる ゆれる タバコの煙 色目つかえば しあわせってやつは
男と同じよ うしろも見ないで ああ 逃げちゃうよ
   バーボン程度でよければ いつでも あたしのおごりで 飲ませてあげる
   部屋のとびらは一日中 あんたのために開けてある
   踊る 踊る こはくの水が ・・・
ゆれる ゆれる タバコの煙 抱いて抱かれりゃ 男と女
悲しみ 忘れて けっこう楽しく ああ やれるでしょう 
■そんなヒロシに騙されて
おまえが好きだと 耳元で言った そんなヒロシに騙され 渚に立たずむ
   踊りが上手で ウブなふりをした そんなヒロシが得意な エイト ビートのダンス
泣いたりしたら いけないかもね ディスコティークは 夜通し熱い
だから一言下さい 恋の行方はメランコリー
だからお前はステキさ 愛が消えてく 横須賀に
   小粋なリードで私を誘った あんな男が今さら 許せるでしょうか
二人の仲は永遠だもの ジュークボックス鳴り続けてる ・・・ 
■かもめが翔んだ日
   ハーバーライトが朝日に変る その時一羽のカモメが翔んだ
人はどうして哀しくなると 海をみつめに来るのでしょうか
港の坂道駆けおりる時 涙も消えると思うのでしょうか
あなたを今でも好きですなんて いったりきたりのくりかえし
季節はずれの港町 ああ私の影だけ
   カモメが翔んだカモメが翔んだ あなたは一人で生きられるのね
港を愛せる男に限り 悪い男はいないよなんて
私の心をつかんだままで 別れになるとは思わなかった ・・・ 
横須賀
横須賀デイ・ドリーム 小泉今日子
横須賀ロンリーブルース とんねるず
横須賀Summer Day ビートたけし
横須賀ストーリー 山口百恵
横須賀サンセット・サンライズ 山口百恵
横須賀Baby 横浜銀蝿
横須賀音頭 都はるみ
横須賀レイニー・ブルー 荒木由美子
横須賀マリア 大津美子
ララバイ横須賀 山崎ハコ
ヨコスカ哀歌 青江三奈
ヨコスカ・マンボ 上々颱風
ヨコスカ・バーニング・ナイト 上々颱風
ヨコスカマンボ 野坂昭如
ヨコスカン・ショック クレイジーケンバンド
ヨコスカン・ミラクル クレイジーケンバンド
ミニスカハコスカヨコハマヨコスカ クレイジーケンバンド
Welcome To Yokosuka 渡辺真知子
よそゆき顔で 松任谷由実
タイガー&ドラゴン クレイジーケンバンド
そんなヒロシに騙されて サザンオールスターズ
愛情パズル 渡辺真知子
かもめが翔んだ日 渡辺真知子
 
三浦・逗子・葉山
■城ヶ島雨情
好きで別れた 人ゆえに いまも消せない 面影を
利久(りきゅう)ねずみの 雨は女の なみだ雨
愛に引かれて 想い出を ひとり訪ねる 城ヶ島 ・・・
傘をさしても 心まで 濡らす三崎の 磯しぐれ
辛いけれども 雨で消したい 未練火を
舟が出て行く 通り矢の はなも日暮れる 城ヶ島 
■城ヶ島の雨 (童謡・唱歌)
雨はふるふる 城ヶ島の磯に 利休鼠の 雨がふる
雨は真珠か 夜明けの霧か それともわたしの 忍び泣き
舟はゆくゆく 通り矢のはなを 濡れて帆上げた ぬしの舟
ええ 舟は櫓(ろ)でやる 櫓は唄でやる
唄は船頭さんの 心意気
雨はふるふる 日はうす曇る 舟はゆくゆく 帆がかすむ 
■城ヶ島夜曲
沖の潮風 便りをたのむ 三浦三崎の いとしい人へ
搗布(かじめ)焼く火の ほのゆれ立つ あの浜へ ・・・
利久鼠の 雨降る夕べ 空に銀河の さやかな宵も
恋し三崎の 灯を眺めて 磯に佇(た)つ  
■葉山ツイスト
いくぜ! フェンダー・ミラーのセドリックでバイバスを飛ばそう
葉山のシーサイド・ハウスでツイスト・パーティー
   バイタリスでスカッと決めて スカーフ巻いて
   軽いハンドルさばきでレーサー気取り ゴー!
若さが燃えているぜ 速度も100キロ
慶應ボーイのインパラなんかにゃ負けはしないぜ
   ボウリングもスキーもエレキも得意な俺に
   朱美も 淑子も 麻利ちゃんもうっとりしてる ヤッホー!
赤玉ワイン グラスに夕陽がきれいだ
真夏のシーサイド・ハウスでツイスト・パーティー ・・・ 
■愛の行方(ゆくえ)
逢うほどに 君はかわいい やつだった ふたりで過ごした 鎌倉の海
ひき潮さびしい 砂のうえに もつれた足跡 ああ寄り添って
あれから秋へと 流れた季節 愛の行方を 愛の行方を波は知らない ・・・
歳月が 人の運命を かえようと いのちの契りを 忘れるものか
星降る夜空の 佐島マリーナ かならずふたりは ああめぐり再会う
君へのしあわせ 待ってておくれ 愛の行方を 愛の行方を誰も知らない  
三浦・逗子・葉山
入江の午後3時 松任谷由実
城ヶ島雨情 長保有紀
城ヶ島の雨 (童謡・唱歌)
城ヶ島夜曲 東海林太郎
光進丸 加山雄三
シャボン サザンオールスターズ
SEA SIDE WOMAN BLUES サザンオールスターズ
リフレインが叫んでる 松任谷由実
夏の月 杏里
葉山ツイスト クレイジーケンバンド
愛の行方 里見浩太朗
 
鎌倉
■鎌倉
七里ヶ浜(しちりがはま)の磯づたい
稲村ヶ崎(いなむらがさき)名将の 剣(つるぎ)投ぜし古戦場
   極楽寺坂(ごくらくじざか)越え行けば
   長谷観音(はせかんのん)の堂近く 露坐(ろざ)の大仏おわします
由比(ゆい)の浜辺を右に見て
雪の下道(したみち)過ぎ行けば 八幡宮の御社(おんやしろ)
   上(のぼ)るや石のきざはしの
   左に高き大銀杏(おおいちょう) 問わばや遠き世々(よよ)の跡
若宮堂(わかみやどう)の舞の袖
しずのおだまきくりかえし 返しし人をしのびつつ
   鎌倉宮(かまくらぐう)にもうでては
   尽きせぬ親王(みこ)のみうらみに 悲憤の涙わきぬべし
歴史は長き七百年(しちひゃくねん)
興亡すべて夢に似て 英雄墓は苔むしぬ
   建長(けんちょう)円覚(えんがく)古寺の
   山門高き松風に 昔の音やこもるらん 
■鎌倉八景
来し方の 夢を集めて今もなお 堀割りくぐる 水の音
好きで会えない 運命でも 心にあなたを 忍ばせて
ひとり佇み 紅を引く ・・・
ときめいて 燃える心の篝を あなたにせめて 届けたい
小町通りの 人の波 抜ければつつじの 段葛
結ぶ短冊 風に舞う 
■鎌倉の女
ねぇあなた… しのび雨ね 鎌倉の 紫陽花(あじさい)に
はらはら 戯(あそ)ぶ雨 かしてかしてかして下さい よりそう肩を
恋の細道 花の寺 あなたわたしに 迷いはありません ・・・
ねぇあなた… つらくなるわ 岐(わか)れ道 化粧坂(けわいざか)
涙が すがりつく 咲いて咲いて咲いてみたいの 紅葉の秋に
耐えて待ちます 段葛(だんかずら) あなたわたしに 迷いはありません 
■鎌倉の夜
海のかなたに 夕日が沈む 遠い空には 星がまたたく
鎌倉の夜よ あまい潮風 ふと 砂にかいたふたつの言葉 ・・・
今も昔も かわらぬ波は 砂に残した 思い出を消す
鎌倉の夜よ いついつまでも しあわせな夢を はこんでおくれ  
■鎌倉街道
あなた私が 見えますか こぼす涙が 見えますか
悩んでふた月 やせました 胸も心も 指先も
行く手さえ切る 切り通し ひとり佇む 鎌倉街道 ・・・
叶う叶わぬ しあわせは 追えば追う程 逃げて行く
悔やんでいません 悔やまない 今もあなたに 会えた事
夢を支えに 一歩ずつ 明日に向かって 鎌倉街道 
■あじさいの雨
弱いからだに かさねた無理を かくしていたのか 濃いめの化粧
いくども色を 変えながら 枯れて淋しく 散ってゆく
雨 雨 あじさいの雨に 煙るおまえの 白い顔 ・・・
かげで流した おまえの涙 ふいてやれずに 今日までひとり
身勝手すぎた このおれを 詫びてみたって 遅いけど
雨 雨 あじさいの雨に 声をころして 男泣き 
■しゃくなげの雨
北鎌倉の 改札出たら 心の整理 つきました
しあわせ芝居 永すぎた春 縁切寺へ 納めます ・・・
指輪ひとつで 三年過ぎて お酒の味も 知りました
綺麗になったと 他人は言うけど 悩んで痩せた だけでした
哀しい意地も はりました 淋しい嘘も つきました
雨雨 しゃくなげの雨 すべてを流して くれますか
雨雨 しゃくなげの雨 私もやっぱり 女です 
■若いお巡りさん
もしもし ベンチでささやく お二人さん 早くお帰り 夜が更ける
野暮(やぼ)な説教 するんじゃないが ここらは 近頃 物騒だ
話のつづきは 明日にしたら そろそろ広場の 灯も消える
   もしもし 家出をしたのか 娘さん 君の気持も 分るけど ・・・
   送って上げよう 任せておきな 今なら間に合う 終列車
もしもし 景気はどうだい 納豆屋さん 今朝も一本 もらおうか ・・・
卒業するまでへばらずやんな 間もなく夜明けだ陽が昇る
   もしもし タバコを下さいお嬢さん 今日は非番の日曜日 ・・・
   鎌倉あたりはどうでしょうか 浜辺のロマンスパトロール 
■縁切寺
今日鎌倉へ行って来ました 二人で初めて歩いた町へ
今日のあの町は 人影少なく 想い出に浸るには 十分過ぎて
源氏山から 北鎌倉へ あの日とおなじ 道程で たどりついたのは 縁切寺 ・・・
君は今頃 幸せでしょうか 一度だけ町で 見かけたけれど
紫陽花までは まだ間があるから こっそりと君の名を 呼ばせてください
人の縁とは 不思議なもので そんな君から 別れの言葉 あれから三年 縁切寺 
■七里ヶ浜の哀歌
真白き富士の根(ね) 緑の江の島 仰ぎ見るも 今は涙
帰らぬ十二の 雄々(おお)しきみたまに 捧(ささ)げまつる 胸と心
   ボートは沈みぬ 千尋(ちひろ)の海原(うなばら) ・・・
   力もつきはて 呼ぶ名は父母 恨(うらみ)は深し 七里が浜辺(はまべ)
み雪は咽(むせ)びぬ 風さえ騒ぎて ・・・
みたまよ何処(いずこ)に 迷いておわすか 帰れ早く 母の胸に
   みそらにかがやく 朝日のみ光り ・・・
   黄金(こがね)も宝(たから)も 何しに集めん 神よ早く 我も召(め)せよ
雲間に昇りし 昨日(きのう)の月影 ・・・
悲しさ余りて 寝られぬ枕に 響く波の おとも高し
   帰らぬ浪路(なみじ)に 友よぶ千鳥(ちどり)に ・・・
   尽(つ)きせぬ恨(うらみ)に 泣くねは共々 今日もあすも 斯(か)くてとわに 
■千年の恋
二度と会わない そう決めたのに 胸のほくろが もう寒い
夏の終わりの 鎌倉山 ひとり 坂道 蝉時雨
たった一日 逢えないだけで 千年 恋しい
正しくたって 間違いだって 貴方と二人 ふたりなら…最愛 ・・・
いっそ一秒 憎めるのなら 楽になれるのに
たった一日 逢えないだけで 千年 恋しい
正しくたって 間違いだって 貴方と二人 ふたりなら…最愛 
■古都の春
鎌倉の坂道を父と行く昼下り 嫁ぐ日を前にして 訪れた春の寺
お前なら 幸せになると つぶやく父の 
後姿が今日は小さく とても小さく見えます
おとうさん もう一度 背中で甘えていいですか 
できるなら もう一度 背中で眠っていいですか
帰りたい昔が あなたにあるように 帰りたい昔が 私にもあるのです ・・・
桜にはまだ早く 梅の香の円覚寺 嫁ぐ人 送る人 ひっそりと花の中
こんな日は二度と来ないねと つぶやく父の 
そのひとことが胸をしめつけ そっとうなずくだけです
おとうさん もう一度 背中で甘えていいですか 
できるなら もう一度 背中で眠っていいですか
帰りたい昔が あなたにあるように 帰りたい昔が 私にもあるのです 
■材木座あたり
何が哀しい 訳でもないのに 誰が恋しい 訳でもないのに
恋の唄うたったり 溜息をつないだり 来るはずもない 電話を
待ち焦がれてる なんて どうかしている
本当はあの人に 抱かれたいのだと
認めてしまえば あきらめた恋始まるかしら
迷い迷って 鎌倉 ここは 材木座あたり ・・・ 
■北鎌倉の思い出
春は水辺に艶やかさ求めて 旅情に映ゆ白鷺たちの舞い
花が大地に根を張り芽生えるように 雪解けの水 絶えざるを願う頃
坂を駆け上がり 振り向けばそこに…すぐそこに
騒ぐ南風 海が待っていた
100年前に消えた 君と出会った交差点 人影もなく寂しげな
歴史の闇に埋もれ 時に弄ばれて 今ここに生まれ変わるよ
   交わす口唇柔らかく激しく ほつれた髪は潮風に濡れ
   月の雫を指先で集めて 淫らな酔いが盃に溢れ出す
   風の切り通し 秋の空橙々(マンダリン)…空橙々(マンダリン)
   苔生(む)すやぐらで 誰か呼んでいる
   100年経った今も 君を守ってくれる 姿なき人の思いよ
   憎しみさえも消えて 未来に愛を込めて 永遠の旅は続くよ ・・・  
鎌倉
鎌倉八景 伍代夏子
鎌倉物語 サザンオールスターズ
鎌倉残照 松崎英樹
鎌倉の女 原田悠里
鎌倉の夜 ダーク・ダックス
鎌倉街道 水森かおり
鎌倉の子守唄 ダ・カーポ
鎌倉旅行 平尾昌晃&畑中葉子
鎌倉ロストラブ 狩人
鎌倉は子守唄 上条恒彦
花の鎌倉 水森かおり
かまくら (童謡・唱歌)
あじさいの雨 田川寿美
しゃくなげの雨 田川寿美
若いお巡りさん 曽根史郎
せぷてんばぁ クレイジーケンバンド
縁切寺 グレープ、バンバン
愛の言霊 〜Spiritual Message サザンオールスターズ
古戦場で濡れん坊は昭和のHERO サザンオールスターズ
通りゃんせ サザンオールスターズ
真夏の果実 サザンオールスターズ
夕陽に別れを告げて サザンオールスターズ
君こそスターだ サザンオールスターズ
古の風吹く杜 桑田佳祐
七里ヶ浜の哀歌 ペギー葉山
七里ケ浜 渡辺大地
由比ケ浜 渡辺大地
さざえ クレイジーケンバンド
千年の恋 小柳ルミ子
古都の春 森昌子
SOULMATE クレイジーケンバンド
稲村ジェーン サザンオールスターズ
極楽寺 渡辺大地
腰越 渡辺大地
和田塚 渡辺大地
材木座あたり 研ナオコ
北鎌倉の思い出 サザンオールスターズ
北鎌倉の午後 栗原小巻
鎌倉高校前 渡辺大地
 
湘南
■八月の濡れた砂
あたしの海を まっ赤に染めて 夕日が 血潮を 流しているの
あの夏の光と影は どこへ行ってしまったの
悲しみさえも 焼きつくされた あたしの夏は 明日もつづく ・・・
   打ち上げられた ヨットのように いつかは愛も くちるものなのね
   あの夏の光と影は ・・・
あの夏の光と影は どこへ行ってしまったの
想い出さえも 残しはしない あたしの夏は 明日もつづく 
■湘南ひき潮
湘南ひき潮 砂の中のサンダル 賑わった海の家を秋風が消して行く
君は水着をバスケットにしまって 灼けた肌袖にかくし街へ行くバスに乗る
   8月の熱い砂が 冷えて行く秋に 色の褪せた愛を抱いて 君が振り向く
   手紙を書くわと頬をかたく凍らせ 一夏の想い出手に都会の少女になる
・・・ 砂に残る靴の跡に 君が浮かぶよ 
■湘南哀歌
緑したたる鎌倉で 泣いて別れた あのひとは
今はあいつと 結ばれて 会うに 会えない 人となる
   白と紺との 制服の 肩でゆれてた長い髪
   花の香りの唇に ふれたあの日は もう遠い
   夏が来た ほろ苦い想い出つれて 夏が来た ただひとり湘南哀歌
雨がそぼふる 江の島へ 傘を斜めに傾けて
橋を渡れば 思い出す 髪をぬらした あのひとを ・・・ 
■湘南海岸
夜更けのハイウェイ 朝日を迎えに 湘南目指して Wow…
街は眠りつき 夢見ているのか 風だけ静かに Yeah Yeah Yeah
痛んだ心を 痛めた思いで あの波だけが癒(いや)して ・・・
   眠りにつけずに 時だけチクタク タバコが増えてく Wow…
   真夏の都会は 朝など知らずに 車の音だけ Yeah Yeah Yeah
   時には悲しく 時には優しく あの波だけが迎える ・・・ 
■湾岸太陽族
クラクション叩きながら 追いかけてくわ 
湘南へ抜ける チャイナタウン・ルート
ハーバーライト消えたマリーナ キャビンに隠れ 
騒ぎ出すよ ウィークエンド・ギャング・スターズ
   You're gonna run away Seaside 
   みんな同じ孤独(ロンリネス) 笑いながら分け合ったね
   You're gonna run away Seaside
   嘘のつけない子たちが 青く傷つくの Pacitic※
サキソフォン泣くみたいに吹いたね リズム&ブルース 沖から明けてく海見ながら
悲しい恋のことを何も聞かない その優しさ切なかったの
You're gonna run away Seaside
淋しがりやの子は 昔話たがるね
You're gonna run away Seaside
他に絆 確かめる 方法を知らなくて Get togather ・・・ 
■午前零時の湘南道路
午前零時の湘南道路 750(ナナハン)飛ばす 彼が好き
舗装された海岸通り(ハイウェイ) あなたの肩にしがみつく
私を乗せて そんなに飛ばしちゃ危ないわ あぁ 私の長い髪 潮風がなびく
ついて来たの あなたに誘われ なんとなく 隙をつかれたみたい あなたの言葉に
黒い皮ジャン 似合う 今夜は帰れない
   午前零時の湘南道路 750(ナナハン)飛ばす 彼が好き
今日はじめての海岸通り(ハイウェイ) 夜の闇にすいこまれそう
私を乗せて すぐにUターンは禁物よ ああ あなたの広い背中 私を守ってくれる ・・・ 
■さらば愛の季節
黄昏の停車場にひとり立てば 雨降り映画のように
住みなれた町 海の江ノ島… あざやかに夏の日の出来事が
この胸によみがえるの 今なにもかも捨てて行くのね
ヒロシ あなたを愛してた 嫌われた今でも
あなたのすべてが好きよ 好きなの あー また電車が来たわ
これ以上見送れば 旅立てないわ
   思い出のチャイニーズレストランの 顔見知りのご主人が
   窓から見える 海の江ノ島 渚まであなたを捜しに行った
   アパートの青い屋根が 涙の中を遠く消え去る
   ヒロシ あなたを愛してた 捨てられた今でも ・・・
   海が見えなくなるわ もう鎌倉ね あー もう終着駅
   涙をふかなければ 人が見てるわ 人が見てるわ 
■潮の香り
夕なぎ 陽は暮れまどい 遠くに港の灯 見えかくれして
潮の香りに酔い 漂ようクルーザー 水面まかせ
沖合遙かに水平線 目にうつるすべては未来の安らぎ
頬をくすぐるかすかなこの風 今私にこれ以上何もいらない
ゆれるカンテラの灯 迎える人影闇にうつす
立ちつくすあなたはなつかしそうに 襟もとに手をあて 私を見つめる ・・・
二人車の中 明日はあなたと海へ出よう 
■江の島悲歌(エレジー)
恋の片瀬の 浜千鳥 泣けば未練の ますものを
今宵嘆きの 桟橋の 月にくずれる わが影よ ・・・
さらば情けの 江の島の みどり哀しき わが恋よ
南風(はえ)の汐路の 流れ藻に 明日は真白き 花と咲け 
■江ノ島ごころ
忘れられない 別れても おもいで波うつ 相模湾(さがみ)の海よ
みんな嘘だと 知りつつ今日も ひとり来ました 面影抱いて
誰を呼ぶのか 浜千鳥 雨が泣かせる 女の恋ごころ ・・・
涙かれても 燃える恋 みれんという名の 宵待草か
咲くに咲けない 片瀬の花が あなた偲んで 呑みほすお酒・・・・・
夢に見ました 帰り船 醒めてせつない 女の恋ごころ 
■城ヶ崎ブルース
ゆかねばならぬ 男がひとり ゆかせたくない 女がひとり
ふたりの恋の 城ヶ崎 咲けよ匂えよ 湯の花すみれ
あしたのことは 言わないで ・・・
愛してくれた 小指の爪を そっとかたみに つつんでいれた
ハンカチ白い 城ヶ崎 あなたが帰る 遠笠山が
涙にかすむ 夜のはて 
■茅ヶ崎に背を向けて
きっといつか 君と僕が また会える その日まで
海沿いのバイパスで ウインカー右に出しながら
オートバイ 傾ければ 西の太陽も こぼれていく
背中に顔を埋め しがみつき 風の向きに 君は泣いた
   茅ヶ崎から夏の終わり 遠く消えてく
   街へと景色を走らせて 茅ヶ崎から夏が終わり
   恋も終わった ミラーに2人の渚
   僕の背中 濡らす涙 気が強いはずだった 君なのに
ジーンズのポケットには ほんのひとにぎり 夏の砂
ガードレール並んで腰かけて キスしないで 僕を抱いた ・・・ 
■チャコの海岸物語
抱きしめたい 海岸で若い二人が恋をする物語
目を閉じて胸を開いて ハダカで踊るジルバ
恋は南の島へ翔んだ まばゆいばかりサンゴショー
心から好きだよ チャコ抱きしめたい だけどもお前はつれなくて ・・・
エボシ岩が遠くに見える 涙あふれてかすんでる
心から好きだよ ピーナッツ抱きしめたい
浜辺の天使を見つけたのさ 浜辺の天使を見つけたのさ 
■真白き富士の嶺
真白き富士の嶺 緑の江の島 仰ぎみるも 今は涙
帰らぬ十二の 雄々しきみ魂に 捧げまつる 胸と心 ・・・
み雪はむせびぬ 風さえさわぎて 月も星も 影をひそめ
み魂よいずこに 迷いておわすか 帰れ早く 母の胸に 
湘南
八月の濡れた砂 石川セリ
湘南ハートブレイク 荻野目洋子
湘南ひき潮 加山雄三
湘南シャイニングラブ 湘南銀蝿
湘南哀歌 山本譲二
湘南海岸 真田ナオキ
湘南イン・ブルー ダ・カーポ
雨の湘南通り 横浜銀蝿
湾岸太陽族 荻野目洋子
午前零時の湘南道路 キャンディーズ
メリージェーンと琢磨仁 サザンオールスターズ
DESTINY 松任谷由実
TSUNAMIのジョニー ゴールデンボンバー
さらば愛の季節 ヒデとロザンナ
あの日のボサノバ 吉幾三
恋する渚 美樹克彦
潮の香り オフコース
シャボン 長山洋子
私の水平線 大光寺圭
江ノ島悲歌(えのしまエレジー) 菅原都々子
江ノ島ごころ 水田竜子
江の島エレジー 水森かおり
江の島セニョリータ 中澤卓也
緑の雨江の島 ボニージャックス
春の江ノ島 霧島昇
思い出の江の島 霧島昇
城ケ崎ブルース ロス・プリモス
夏をあきらめて サザンオールスターズ
恋は終ったの クール・ファイブ
SEA SIDE WOMAN BLUES サザンオールスターズ
太陽に吠える!! サザンオールスターズ
シャボン サザンオールスターズ
夜風のオン・ザ・ビーチ サザンオールスターズ
恋のハーフムーン 太田裕美
PRIDEの唄〜茅ヶ崎はありがとう〜 桑田佳祐
雨上がりにもう一度キスをして サザンオールスターズ
勝手にシンドバッド サザンオールスターズ
茅ヶ崎に背を向けて 新田恵利
チャコの海岸物語 サザンオールスターズ
八月の詩 サザンオールスターズ
潮風の少女 堀ちえみ
天気雨 松任谷由実
江ノ電-白い日傘- 伍代夏子
古の風吹く杜 桑田佳祐
眞白き富士の嶺 菊池章子
 
箱根
■箱根馬子唄 民謡
箱根八里は 馬でも越すが
越すに越されぬ 大井川
   箱根御番所に 矢倉沢なけりゃ
   連れて逃げましょ お江戸まで
三島照る照る 小田原曇る
間(あい)の関所は 雨が降る ・・・ 
■箱根八里 唱歌
箱根の山は 天下の嶮(けん) 函谷關(かんこくかん)も ものならず
萬丈(ばんじょう)の山 千仞(せんじん)の谷 前に聳(そび)へ 後方(しりえ)に支ふ
雲は山を巡り 霧は谷を閉ざす 昼猶闇(ひるなほくら)き 杉の並木
羊腸の小徑は 苔滑らか 一夫關に當るや(あたるや) 萬夫も開くなし
天下に旅する 剛氣の武士(もののふ) 大刀(だいとう)腰に 足駄(あしだ)がけ
八里の岩根(いわね) 踏みならす かくこそありしか 往時の武士
   箱根の山は 天下の岨(そ) 蜀(しょく)の桟道(さんどう) 數(かず)ならず
   萬丈の山 千仞の谷 前に聳へ 後方にささふ
   雲は山を巡り 霧は谷を閉ざす 昼猶闇(ひるなほくら)き 杉の並木
   羊腸の小徑は 苔滑らか 一夫關にあたるや 萬夫も開くなし
   山野に狩りする 剛毅のますらを 猟銃肩に 草鞋(わらじ)がけ
   八里の岩根 踏み破る かくこそありけれ 近時のますらを 
■箱根のおんな
あなたを捨てた 報いでしょうか 男にゃ泣いたと 風便り
白から赤へ 赤から青へ こころを変える あじさいの
花をみるたび おもいだす にくい 恋しい 箱根の女よ ・・・
みどりに晴れた 芦の湖さえも 噂をくれぬ きみのこと
尋ねる今日も 湯本に暮れて 滝音ばかり 塔の沢
ひとり別れの 酒くめば つらい 逢いたい 箱根の女よ 
■箱根八里の半次郎
廻(まわ)し合羽も 三年がらす 意地の縞目(しまめ)も ほつれがち
夕陽背にして 薄(すすき)を噛めば 湯の香りしみじみ 里ごころ
やだねったら やだね やだねったら やだね 箱根八里の半次郎 ・・・
杉の木立を 三尺よけて 生まれ在所(ざいしょ)を しのび笠
おっ母(かあ)すまねぇ 顔さえ出せぬ 積もる不幸は 倍返し
やだねったら やだね やだねったら やだね 箱根八里の半次郎 
■箱根 おんな宿
一夜(ひとよ)かぎりの 恋なんて いやですわたし いやですよ
白い障子に 椿の花の 紅がもえます ふるえます
あぁー、もうだめ… 箱根 おんな宿 ・・・
忍ぶ逢瀬の かぎりある 時間がふたりに 火をつける
髪のひとすじ あなたの指に 巻いてからめて またすがる
あぁー、もうだめ… 箱根 おんな宿 
■湯本ブルース
生まれる前の ふたりはひとり そんな気がする あなたの胸に
抱かれて滝の 音を聞く 箱根の夜は ワインのように
甘く冷たく 女を酔わす ・・・
すてたら死ぬと 女が泣けば 椿に宿る 昨夕の露も
ほろりと落ちる 別れ宿 湯本の駅は 日暮れが華で
朝は女の 涙が匂う 
■湯の町月夜
惚れているから 身をひきますと わずか二行の 置手紙
噂たずねる 箱根路の 花に愛しい 笑顔がゆれる
ああ 君に逢いたい・・・ 湯の町月夜 ・・・
たぐり寄せれば ちぎれる未練 何故に結べぬ 細い糸
逢えぬつらさと 淋しさを 酒でまぎらす 強羅(ごうら)の夜よ
ああ にじむ涙の・・・ 湯の町月夜 
■あじさい情話
心変わりは 憎くても 逢えばおまえが 離せまい
俺の負けだよ 戻っておくれ 明日に咲こうと ささやきかける
花はあじさい おとこの泪 ・・・
花で日暮れた 湯の街の 朝は愁いの 始発駅
泣いて手をふる あの女よりも 逢えず別れる 男の胸の
辛らさ伝えよ あじさいの花 
■あじさい橋
ひと雨ごとに 彩づきながら 咲いてあじさい 恋化粧
あなた忘れる 旅なのに 想いださせる 箱根路は
切ってください みれんの糸を 呼んで届かぬ あじさい橋よ ・・・
愛々傘で より添いながら 咲いたあの日の 恋花火
あなた逢いたい 旅の朝 行きつ戻りつ 峠越え
ぶってください おんなの迷い ひとり渡れぬ あじさい橋よ 
箱根
箱根馬子唄 民謡
箱根八里 唱歌
箱根のおんな 北島三郎
箱根パノラマ・ゴーゴー クレイジーケンバンド
箱根スカイライン クレイジーケンバンド
箱根八里の半次郎 氷川きよし
箱根 おんな宿 真咲よう子
湯本ブルース 北島三郎
恋之介旅日記 氷川きよし
忍ぶの乱れ 大川栄策
湯の町月夜 大川栄策
宿時雨 角川博
あじさい情話 北島三郎
あじさいの花 真咲よう子
あじさい橋 原田悠里
豆桜 城之内早苗
 
湯河原
■せきれいの宿
昨夜(ゆうべ)あれだけ 降ったから れんが色した 濁り川
湯の香 湯河原 おんな町 情けひと夜の 想い出を
抱けば恥ずかし せきれいの宿 ・・・
きっと迎えに 来てくれる そんな気がする 風の色
おんな 湯河原 華化粧 操ひと文字 夢かけて
あなた待ちます せきれいの宿 
■湯河原湯情
湯ざめするわと あなたの肩に 宿の丹前 着せかける
窓の下には 千歳川(ちとせがわ) やっとあなたに 逢えたのだから
朝までやさしく 愛して欲しい… ・・・
一夜(いちや)泊まりの 幸せだから つらい別れは すぐに来る
旅の湯河原 情け宿 次の逢瀬も 聞けないままに
あなたを見送る 朱塗りの万葉橋(はし)よ… 
湯河原
湯河原の郷 西川晶
湯河原音頭 西川晶
せきれいの宿 笹みどり
湯河原湯情 島津悦子
 
その他
■厚木
私は信じない私を その理由を言わぬかわりに
手紙さらさら送りつけて そそくさと消えてしまうの
多分口紅でよごしちゃった 厚木基地のフェンス越し覗きながら
またよからぬ事を 今考えているの ・・・
   後ろめたい気持ちいくつかないわけじゃなく 
   河をのぼる魚みたいにしくじったりするから
私は信じない私を だけど明日になれば気が変わるかも
見事何ごとも起きない 二月誕生日 多分口紅でよごしちゃった
厚木基地のフェンス越し覗きながら またよからぬ事を 今考えてみよう
取るに足らぬ事だけ考えてみよう こんな私で ごめんね 
■不如帰
命二つを 結ぶ糸 ちぎれて哀し 相模灘
あなた あなた あなた… この世の次の 次の世は
私のために 下さいと 泣いて血を吐く ほととぎす ・・・
思い続けて 死ぬことの しあわせ知った 逗子の海
そうよ そうよ そうよ… あなたの船の 丸窓で
夜啼く鳥が いたならば それは私の ほととぎす 
■第三京浜
白いクーペが黄昏の オレンジ色に 灼けてくわ
逆光線の暗い横顔 無理に微笑む 優しいひと
   笑っていても わたしはわかるの あなたの胸の悲しみが
   いいのよ いいの 泣けば いいじゃない かわりに私が運転するわ
第三京浜 多摩川を 越えて行くのよ 風のように
こうして二人は禁断の愛の渦の中へ 飛び込む覚悟 決めたの
   白いクーペがやるせない 水銀灯に溶けてくわ
   強気なあなたの無邪気な寝顔 いろいろあって疲れてたのね
眠っていても わたしにはわかるの あなたの胸の苦しみが
いいのよ いいの 終わった事じゃない かわりに私が力になるわ ・・・
   黙っていても わたしはわかるの あなたの胸の悲しみが
   いいのよ いいの 何も云わないで かわりに私が歌ってあげるわ
第三京浜 過ぎた時 胸のつかえも 消えてくわ
こうして二人は禁断の愛の渦の中へ 飛び込む覚悟決めたの
飛び込む覚悟決めたの 何があっても泣かないわ 
■涙の第三京浜(RIDE AWAY)
もう5回目のノック 広くないあなたの部屋に響く
居るのはわかっているのよ あわてて消す あなたは部屋の明り
降りだした雨もさみしさは同じ このまま あてなく とばそうか
Ride away 雨が小石に変わる Ride away 愛が嵐に変わる
片手で速度をあげ もう心は止まらない
   もう第三京浜 流れてく まわりの景色にじむ
   これで5台目のくるま ぬいてく 拳銃みたいに早く
   住みなれた街なんて あたしにはないし このまま あてなく 逃げだすわ
   Ride away 氷つくよな肌に Ride away 想いもつめたくひえる
   ゆっくり速度をあげ もう心は帰れない ・・・ 
■江ノ電 -白い日傘-
江ノ電降りたら 日暮れ坂 今でもそのまま 残ってる
あれから何年 過ぎただろうか わたしも母と 同じ歳
白い日傘を くるくる回し あなたの真似して みるけれど
ごめんなさいね しあわせを 少しはずれて 歩くけど
   逗子から葉山へ 蝉しぐれ 昔の景色が そこにある
   今では遠くへ 旅立った 母は綺麗な 人だった
   白い日傘に 隠した涙 子供の頃から 知っていた
   ごめんなさいね 泣きながら ひとり帰って 来たけれど ・・・ 
その他
真鶴音頭 笹みどり
真鶴よいとこ 水前寺清子
厚木 小泉今日子
マイ・ホームタウン厚木 榊原郁恵
WE LOVE ZAMA! ダークダックス
不如帰 瀬口侑希
LATE SUMMER LAKE 松任谷由実
第三京浜 渚ようこ
第三京浜 クレイジーケンバンド
涙の第三京浜(RIDE AWAY) りりィ
サマータイム ブルース 渡辺美里
京浜狂走曲 クレイジーケンバンド
ハイ・スピード 大森隆志(サザンオールスターズ)
車線変更25時 キンモクセイ
江ノ電 -白い日傘- 伍代夏子
寒川哀歌(エレジー) 百合たえ子  
ダンチョネ節 (民謡)
 
中部

 

■ひとり日本海
風が髪をそっと撫(な)でる 波のしぶき頬を濡らす
ひとりで身をひく こころも知らず 黄昏せまる 若狭の海は
あなたの想い出 胸に胸に溢(あふ)れます… 今は辛いけど いつか忘れます ・・・
汽車の警笛(きてき)空で哭(な)いた 星がひとつ流れ落ちる
こころの迷いが 溶(と)けてくように 漁火ゆれる 越後の旅は
あしたへ出直す 夢の夢の始発駅… あなたさようなら 強く生きてゆく 
■富士山
桜の花が 咲いている 旅立ちのとき 胸あつく
遥かな空に 虹かける 仰げばそこに 富士の山
   逆巻く波が 打ち寄せる 真っ直ぐな道 曲り道
   傷つくたびに 泣くたびに 「元気出せよ」と 富士の山
夕焼け雲が 燃えている ふるさとの山 光る河
父、母、幼友達の 歌が聞こえる 富士の山
   白雪しんと 降りしきる ・・・
「よくやったね」と微笑んで 春を夢見る 富士の山 
中部
ひとり日本海 石原詢子
北陸ロマン 谷村新司
富士 島津亜矢
富士山 三波春夫
富士山だ 加藤登紀子
アッパレ!フジヤマ シブがき隊  
FUNK FUJIYAMA 米米CLUB
 
静岡県

 

■熱海の夜
たった一度の 倖せが はかなく消えた ネオン街
忘れられない 面影を 月にうつした 湯の宿よ 熱海の夜 ・・・
恋も湯けむり 消えるもの 知っていたけど 燃えました
こんな女の 私でも 夢にみるのよ あの人を 熱海の夜 
■金色夜叉
熱海の海岸 散歩する 貫一お宮の 二人連れ
共に歩むも 今日限り 共に語るも 今日限り
   僕が学校 おわるまで 何故に宮さん 待たなんだ
   ・・・ さもなきゃお金が 欲しいのか
宮さん必らず 来年の 今月今夜の この月は
・・・ 見せるよ男子の 意気地から
   恋に破れし 貫一は すがるお宮を 突き離し
   ・・・ 残る渚に 月淋し 
■湯の町エレジー
伊豆の山々 月あわく 灯りにむせぶ 湯のけむり
ああ初恋の 君を尋ねて今宵(こよい)また ギターつまびく 旅の鳥 ・・・
あわい湯の香(か)も 露路裏(ろじうら)も 君住む故に なつかしや
ああ忘られぬ 夢を慕いて散る涙 今宵ギターも むせび泣く 
■踊子
さよならも 言えず 泣いている 私の踊子よ ……ああ 船が出る
天城峠で 会(お)うた日は 絵のように あでやかな
袖が雨に 濡れていた 赤い袖に 白い雨……
   月のきれいな 伊豆の宿 ・・・
   かざす扇 舞いすがた 細い指の なつかしさ……
さよならも 言えず 泣いている 私の踊子よ ……ああ 船が出る
下田街道 海を見て ・・・
小さな櫛も 忘られぬ 伊豆の旅よ さようなら 
■伊豆の踊り子
三宅出るとき 誰が来て泣いた 石のよな手で 親さまが
   まめで暮せと ほろほろ泣いた
   椿ほろほろ 散っていた 散っていた
絵島生島 別れていても こころ逢島(大島) 燃ゆる島 ・・・ 
■伊豆の踊り子
通り雨往く 峠の茶屋に 晴れて道連れ 旅の空
可愛い踊子 太鼓を提げて 歩く道すじ 白い花
   今日の泊まりは いで湯の宿か 白い湯舟に 染まる肌
   可愛い踊子 お座敷めぐり 三味線と太鼓の 障子窓
恋と呼ぶには まだ幼なさが 残る黒髪 薄化粧
可愛い踊子 小首をかしげ 笑う眼もとの 恥ずかしさ ・・・ 
■伊豆の雨
宿の番傘 ふたりでさして 行けば川面の 灯に泣ける
愛しあっても どうにもならぬ 恋のおもさよ せつなさよ
頬につめたい あゝ伊豆の雨 ・・・
雨にうたれて ほのかに匂う 花は白梅 湯のかほり
悔いはしません 別れが来ても 命つくすわ この人に
夢をみさせて あゝ伊豆の雨 
■伊豆路の女
惚れた男に 尽して見たい それが女の 願いごと
妻になりたい あなたの妻に つれて逃げてよ あの山越えて
あ〜 あ〜 熱海、熱川、修善寺で うわさ流した おもいでも
伊豆の湯けむり 湯けむりだけが
   知っているのさ この涙 惚れた男の おもいで残し
   三島、離れる 女がひとり 妻になれない 私の愛を
   どこに捨てるの 狩野川越えて あ〜 あ〜 天城、湯ヶ島、堂ヶ島
   いっそ死にたい あの人と 涙こらえて 夜空を見れば
月がにじんで こぼれ散る あ〜 あ〜 ふたり身を寄せ ・・・ 
■天城越え
隠しきれない 移り香が いつしかあなたに 浸みついた
誰かに盗られる くらいなら あなたを殺していいですか
寝乱れて 隠れ宿 九十九折り 浄蓮の滝
舞い上がり 揺れ堕ちる肩のむこうに あなた…山が燃える
何があっても もういいの くらくら燃える 火をくぐり
あなたと越えたい 天城越え ・・・ 
走り水 迷い恋 風の群れ 天城隧道
恨んでも 恨んでも 躯うらはら あなた…山が燃える
戻れなくても もういいの くらくら燃える 地を這って
あなたと越えたい 天城越え 
■唐人お吉小唄
駕篭で行くのは お吉じゃないか 
下田港の春の雨 泣けば椿の花が散る
  沖の黒船 狭霧で見えぬ
  泣けば涙で ・・・ 泣くに泣かれぬ 明烏 
■お吉物語
泣いて昔が 返るなら なんで愚痴など言うものか
花のいのちは 一度だけ よしておくれよ気休めは
   なにもかもお仕舞いなんだ でもさ わたしにゃ 判ったのさ
   どんなに男を憎んだって 女は女 女ひとりじゃ暮せないってことがさ
   世の中を渡り歩いて しみじみそう思ったんだよ わたしだって女だものねぇ…
夢も見ました 恋もした 二世を誓った 人も居た
娘ごころの 紅つばき どこで誰方が折ったやら
   ハリスさんも死んだ鶴さんも死んだ 今度はわたしの番なんだ
   今のわたしは穴のあいた三味線 みたいなものなんだ ・・・ 
■修善寺で別れた大宮の女
各駅で つれだした 大宮の女 強引な くちづけして 愛をのりこす
素直な瞳を まっすぐ見れずに いくじなし 勢いだけだね
修善寺別れようここで 急行をおりよう 旅館の予約も取れぬ 今夜
忘れないさ 伊豆の海を ゆめゆめゆめ 見てるから
   スナックで咲いていた 俺にゃすぎた女 気のきいた 場所もしらず 熱海がすぎる
   大きな 幸せ 求めているなら 乗りかえて ばかりじゃ ダメさ
   修善寺ネオンは消えて 弁当も買えずに 恋には 届かぬ 軽い 素泊まり
   やめておくさ 朝の君に ゆめゆめゆめ 会うからさ
修善寺別れよう 今は 最終に間に合う ・・・
出直すまで 波の音を ゆめゆめゆめ 聞くからさ 
■天龍下れば
ハア 天龍下ればヨーホホイノサッサ しぶきに濡れてよ
咲いた皐月に エー 咲いた皐月 虹の橋 ホンニアレハサノ 虹の橋 ・・・
ハア 筏つないだヨーホホイノサッサ 藤蔓(ふじづる)さえもよ
切れりゃ気になる エー 切れりゃ気になる 夫婦岩 ホンニアレハサノ 夫婦岩  
■旅姿三人男
清水港の 名物は お茶の香りと 男伊達
見たか聞いたか あの啖呵 粋な小政の 粋な小政の 旅姿 ・・・
腕と度胸じゃ 負けないが 人情からめば ついほろり
見えぬ片眼に 出る涙 森の石松 森の石松 よい男 
 

 

静岡県
熱海の夜 箱崎晋一朗
金色夜叉 宮島郁芳・後藤紫雲 (熱海)
湯の街怨歌 荒木一郎
湯の町エレジー 近江俊郎
雨の城ヶ崎 ロス・プリモス
踊子 三浦洸一
伊豆の踊子〜燃ゆる黒髪〜 四家文子
伊豆の踊子 美空ひばり
伊豆の踊子 吉永小百合
伊豆の踊子 山口百恵
伊豆の雨 角川博
伊豆路の女 千羽優希
天城越え 石川さゆり
唐人物語(ラシャメンのうた) サザンオールスターズ
唐人お吉小唄 藤本二三吉
お吉物語 天津羽衣
修善寺で別れた大宮の女(ひと) ビートたけし
大井追っかけ音次郎 氷川きよし
天竜下れば 市丸
ちゃっきり節
君を呼ぶ日本平 初代コロムビア・ローズ
旅姿三人男 ディック・ミネ
ちょいときまぐれ渡り鳥 氷川きよし
熱海ブルース  
 
新潟県

 

■雪椿
やさしさと かいしょのなさが 裏と表に ついている
そんな男に 惚れたのだから 私がその分 がんばりますと
背をかがめて 微笑み返す 花は越後の花は越後の 雪椿 ・・・
つらくても がまんをすれば きっと来ますよ 春の日が
命なげすて 育ててくれた あなたの口癖 あなたの涙
子供ごころに 香りを残す 花は越後の花は越後の 雪椿 
■越後平野
枯れ葉散らして 吹く木枯しが 夢も連れてく 晩秋の町
遠くはぐれた あの温もりを 追えば未練も かじかんで
かじかんで… 越後平野は 冬間近 ・・・
北風(かぜ)に飛び立つ 冬鳥たちよ どこへ行くのか 凍てつく空を
愛を失くした 女の胸に 二度と止まない 雪が降る
雪が降る… 越後平野は 冬さなか 
■湯沢の女(ひと)
送らないからと 急に背を向けて 青い角巻で 涙を隠す
風花が風花が 雪にもなれずに 吐息つくよに 薄い肩に舞う
越後湯沢の お葉という女 ・・・
今度いつ来るの 口に出しかけて 言っちゃいけないと 淋しく笑う
鳥追いの鳥追いの まつりを見たいと 言えばからめた 細くつよい指
越後湯沢の お葉という女 
■新潟ブルース
思い出の夜は 霧が深かった 今日も霧がふる 万代橋よ
別れの前に 抱きしめた 小さな肩よ ああ 新潟は新潟は 面影の街 ・・・
忘られなくて ひとりさまよえば 青い灯がゆれる 新潟駅よ
愛したわけじゃ ないんだと 強がり云えば ああ 新潟は新潟は 霧に更けゆく 
■佐渡おけさ
ハァー 佐渡へ (ハァ〜 アリャサ) 
佐渡へと 草木もなびくよ (ハァ〜 アリャ アリャ アリャサ) 
佐渡は居よいか 住みよいか (ハァ〜 アリャサ サッサ〜) 
ハァー 来いと (ハァ〜 アリャサ) 
言うたとて 行かりょか 佐渡へよ (ハァ〜 アリャ アリャ アリャサ) 
佐渡は四十九里 波の上 (ハァ〜 アリャサ サッサ〜) 
ハァー 雪の (ハァ〜 アリャサ) 
新潟 吹雪に暮れてよ (ハァ〜 アリャ アリャ アリャサ) 
佐渡は寝たかよ 灯が見えぬ (ハァ〜 アリャサ サッサ〜) 
ハァー 島の (ハァ〜 アリャサ) 
乙女の 黒髪恋しよ (ハァ〜 アリャ アリャ アリャサ) 
またも行きたや 佐渡ヶ島 (ハァ〜 アリャ サッサ〜)
   ■(正調)
ハー佐渡へ(アリャサ)
佐渡へと 草木もなびくヨ(ハ アリャアリャアリャサ)
佐渡は居よいか 住みよいか(ハ アリャサ サッサ)
佐渡と(アリャサ)
佐渡と〜 佐渡と出雲崎ゃ 棹(さお)挿しゃ届くヨ(ハ アリャアリャアリャサ) 
なぜに届かぬ わが想い(ハ アリャサ サッサ)
   ■(おけさそめき)
知らぬー知らぬ(ハ アリャサ)
他国の 二階のぞめきヨ(ハ アリャアリャアリャサ)
聞けばなつかし 佐渡おけさ(ハ アリャサ サッサ) 
■ひばりの佐渡情話
佐渡の荒磯の 岩かげに 咲くは鹿の子の 百合の花
花を摘み摘み なじょして泣いた 島の娘は なじょして泣いた
恋は… つらいと いうて泣いた ・・・
佐渡は四十九里 荒海に ひとりしょんぼり 離れ島
袂だきしめ なじょして泣いた 島の娘は なじょして泣いた
わしも… ひとりと いうて泣いた 
■チャンチキおけさ 三波春夫
月がわびしい 路地裏の 屋台の酒の ほろ苦さ
知らぬ同士が 小皿叩いて チャンチキおけさ おけさ切なや やるせなや ・・・
故郷(くに)を出る時 持って来た 大きな夢を さかずきに
そっと浮べて もらすため息 チャンチキおけさ おけさ涙で くもる月 
■信濃川慕情
町に流れる 長い川 今もあの日と 変らない
愛を誓った 君なのに 川面に浮ぶ木の葉のように
流れていずこへ 教えておくれ 教えておくれ 信濃川 ・・・
遠く流れる 長い川 恋の嘆きの 信濃川
君をもとめて 今日もまた ひとり来てみた 万代橋は
小雨にけむるよ 教えておくれ 教えておくれ 信濃川 
■笹川流れ
あずけていました なにもかも 夢も さだめも 命まで 
啼(な)いて 群れ飛ぶ 海猫みつめ 後悔してます 別れたことを…… 
みれん心を 夕陽に燃やす 旅は越後路 笹川流れ ・・・
あてなく誰待つ 断崖(きりぎし)に 咲いて哀しい 透(ゆ)百合(り)の花 
花になっても 恋しい男(ひと)を 一途(いちず)に信じた 女(おんな)の姿…… 
そうよ私も 面影抱いて ひとり越後路 笹川流れ 
■吉田町の唄
昔 その人は 赤子を抱いて いつか 故郷を拓けと願い
「父を越えて行け」と 名前を さずけた 母は影のように たたずみながら
すこやかであれと涙を流す のびやかに しなやかに 育てよ子供
やがて 大地 踏みしめ 太陽になれ
   祖母に手をひかれ 海辺を歩く はるか遠い国へ 胸をおどらせ
   風がほほを過ぎて 7才の夏の日 姉の唄う声は 小鳥のようで
   心ときめいて 足を はやめる のびやかに しなやかに 育てよ子供
   やがて 大地 踏みしめ 太陽になれ ・・・
いくど春が来て あの日をたどる この名も故郷も静かに生きる
雲が空に浮かび 人の顔になる 昔その人が 愛した場所に
若い緑たちが 芽をふきはじめ のびやかに しなやかに 育てよ子供
やがて 大地 踏みしめ 太陽になれ のびやかに しなやかに 育てよ子供
やがて 大地 踏みしめ 太陽になれ 
■亀田慕情
激しく抱かれも しないのに 忘れられない 恋もある
生きてゆけよと 夢ひとつ くれたあなたの 手の熱さ 夜の亀田は なさけ町 ・・・
硝子のすき間に 残された 手紙いちまい 読み返す
帰るあてない 男だけど 待ってみようか あと三月 夜の亀田は わかれ町 
 

 

新潟県
雪椿 小林幸子
越後絶唱 小林幸子
越後情話 小林幸子
越後平野 多岐川舞子
越後水原 水森かおり
湯沢旅情 加山雄三
湯沢の女 美川憲一
新潟ブルース 美川憲一
佐渡の恋唄 細川たかし
ひばりの佐渡情話 美空ひばり
おけさ唄えば 橋幸夫
おまんた囃子 三波春夫
高田の四季 デュークエイセス
信濃川慕情 ロス・プリモス
笹川流れ 水田竜子
吉田町の唄 吉田拓郎
亀田慕情 ロス・プリモス
私のロンサム・タウン 松任谷由実
六日町ブルース
岩室ブルース 
 
富山県

 

■毒消しゃいらんかネ
      毒けしゃ いらんかネ
わたしゃ雪国 薬うり あの山こえて村こえて
惚れちゃいけない他国もの 一年たたなきゃ会えやせぬ
      目の毒 気の毒 河豚の毒 
      ああ 毒けしゃいらんかネ
      毒けしゃ いらんかネ
わたしゃ雪国 薬うり おなかがいたいは喰いすぎで
頭がいたいは風邪ひきで 胸がいたいは恋わずらい
   わたしゃ雪国 薬うり どんなお方が口説いても
   無邪気にエクボで笑ったら 毒気を抜かれて立ちんぼう ・・・ 
■越中恋歌
踊る輪の中 秘かに抜けて 忍び逢う身に 胡弓が沁みる
つらさ承知で 惚れたのだから いいのよ いいのよ 泣いてもいいの
越中おわらの 風の盆 ・・・
明日の運命も 女の夢も みんな預けて あなたにすがる
港 漁火 泣く波の音 いいのよ いいのよ ぬくもりだけで
越中しぐれの 氷見の宿 
■風の盆
哀しい時は 目を閉じて 八尾の秋を 思い出す
日が暮れた 坂道を 踊るまぼろし 影法師
おわら恋しい 風の盆 ・・・
哀しい人は みんな来い 八尾の町に 泣きに来い
夜流しを 追いかけて 下駄の鼻緒も 切れるだろう
夢かうつつか 風の盆 
■風の盆恋歌
蚊帳の中から 花を見る 咲いてはかない 酔芙容
若い日の 美しい 私を抱いてほしかった
しのび逢う恋 風の盆 ・・・ 
生きて添えない 二人なら 旅に出ましょう 幻の
遅すぎた 恋だから 命をかけて くつがえす
おわら恋唄 道連れに 
■氷見の雪
能登から涙が 追いかけて 氷見(ひみ)の港で 雪になる
愛の名残りは この掌(て)の中に 大事に包んで いるけれど
寒すぎますよ おんな独りは 一緒について 行きたかった ・・・
この海吹雪(ふぶ)けば あのひとは 氷見へ戻って 来るかしら
それが幻想(ゆめ)だと 判っていても 忘れはできない おんなです
一筋眉を 強く引いたら 明日は春が くるでしょうか 
■宇奈月の夜
好きで別れた あの人と 交したくちづけ 思い出す
今日は 一人の黒部川 あゝ 肩も淋しい 宇奈月の夜 ・・・
恋をなくした せつなさは 女でなければ わからない
ひとり泣いてる 面影橋に あゝ 後髪ひく 宇奈月の夜 
 

 

富山県
毒消しゃいらんかね 宮城まり子
越中恋歌 真木柚布子
風の盆 菅原洋一
風の盆恋歌 石川さゆり
氷見の雪 原田悠里
宇奈月の夜 美川憲一  
 
石川県

 

■金沢情話
舞台の上の 水芸は 裏にあります からくりが
素顔で 惚れた この恋は 表も裏も 誠だけ
あゝ 金沢の月に帯解く 高瀬舟 ・・・
   旅芸人の 細腕にゃ いつか重荷に 仕送りは
   操を守る それ故に この手を染める 罪の色
   あゝ 叶うなら この身投げたい 浅野川 ・・・
恋しい人に 裁かれる 運命哀しや 糸車
真実を言えと 言う人を 庇って嘘を つき通す ・・・ 
■金沢の雨
東京言葉と 加賀なまり 愛するこころに 違いはないわ
合縁奇縁のこの恋を 咲かせてみせます
あなたと出会った 片町あたり 相々傘です 金沢の雨 ・・・
川なら犀川 浅野川 春夏秋冬(はるなつあきふゆ)水面に写す
友禅流しの緋の色は 絆の色です
雨の日晴れの日 寄り添いあって 相々傘です 金沢の雨 
■金沢の雨
最終列車に揺られて 4人掛けに 一人きりで
ガラス窓に 頬をついて 長い夜に 瞳を閉じた
別れの言葉も 告げずに 愛のかけら 胸に抱いて
近づいては 遠ざかる踏切 Ah- 人恋しくて
金沢の雨の中で あなたを忘れたい
思い出に 打たれながら この悲しみ そっと 夢になるまで
   3分だけでもいいから 声を聞いて みたいけれど
   誰もいない朝の駅で 途中下車は淋しくて
   2人が過ごした月日を リバイバルはできないのね
   街の角に 色褪せた ポスター ・・・
   青空が戻る 明日を探して 
■金沢の夜
紅殻格子に 積もった雪を 噛めば涙の 味がする
これでいいのね 眸できけば うなずくあなたに あゝ
雪が降ります 金沢の夜 ・・・ 
それじゃゆくよと 犀川ぞいに あなた残した 加賀なまり
橋を渡れば 香林坊 あなたの背中に あゝ
雪が降ります 金沢の夜 
■滝の白糸
心だけ下されば 倖せだから どうぞ どうぞ 行って下さい 東京へ
夢があなたに 叶うなら 苦労もかえって 愉しいと
滝の白糸 水に咲かせる 恋舞台 ・・・
恨まない悔やまない この世のことは みんな みんな おんな心の 愚か故
好いた御方に 裁かれて 生命を生命を 断とうとも
滝の白糸 末は夫婦の ふたりづれ 
■加賀の女
君と出逢った 香林坊の 酒場に赤い 灯がともる
ああ 金沢は 金沢は 三年前と おんなじ夜が
静かに俺を 待ってる町だ ・・・
謡曲がふるふる 加賀宝生の 木洩れ陽青い 石だたみ
ああ 金沢は 金沢は 身も世もすてて あなたのために
生きると云った 君住む町よ 
■友禅流し
雪はまだ 河原に白く 指を切る 水のつめたさ
加賀の金沢 浅野・犀の流れ 明日をさがして さまよう恋に
いのち華やぐ 夢染めて 春を呼ぶ 春を呼ぶ 友禅流し ・・・
城下町 肩先さむく ひとり行く 水のたそがれ
かすむ白山 夕山ざくら 夢も望みも ぼかした恋に
せめて小さな 幸福の 春を呼ぶ 春を呼ぶ 友禅流し 
■雨の香林坊
あなたの心が 離れていると 抱かれるそのたび 感じてた
ひとり たたずむ せせらぎ通り 別れて来ました 私から
涙のしずくか しとしとと 胸にそぼ降る 金沢 雨の香林坊 ・・・
あなたをあきらめ いつかは私 出直すことなど 出来ますか
尾山神社(おやまじんじゃ)の 神門(しんもん)くぐり 明日(あした)の行方を 祈ります
今夜も日暮れて ちらちらと にじむ灯りの 金沢 雨の香林坊 
■浅野川春秋
女ひとりの 運命(さだめ)の川は 渡りきれない 橋ばかり
古い暖簾が 邪魔する恋に 思い悩んだ 若い頃
あの日の想い出 水面(みなも)でゆれる 金沢 おんなの浅野川 ・・・
軒にポツリと 行灯(あかり)がともり 響く三味の音(ね) 東山
旧(ふる)い格式(しきたり) べんがら格子 生きてゆきます この街で
あなたとふたりで せせらぎ聴いて 金沢 おんなの浅野川 
■七つ橋渡り
無言で渡り 願い事 七つの橋を 振り向かず…
常盤橋(ときわばし)から 不器用なりの 背を押す瀬音は 浅野川
生きがいずっと あなただけ 離ればなれを 耐えてます
古都に伝わる 習わしで 逢える日祈る 七つ橋渡り ・・・
昌永橋(しょうえいばし)を 七つ目に せめて連れ添う おぼろ月
きっとふたりで 幸せの お礼に来ます 七つ橋渡り 
■能登半島
夜明け間近 北の海は波も荒く 心細い旅の女 泣かせるよう
ほつれ髪を指に 巻いて溜息つき 通り過ぎる 景色ばかり見つめていた
十九なかばの 恋知らず 十九なかばで 恋を知り
あなた あなたたずねて行く旅は 夏から秋への 能登半島
   ここにいると 旅の葉書もらった時 胸の奥で何か急に はじけたよう
   一夜だけの旅の 仕度すぐにつくり 熱い胸に とびこみたい私だった
   十九なかばの 恋知らず ・・・ 
■能登の火祭り
能登の火祭り 月夜の浜に キリコの若衆 渦を巻く
わたしもあなたに 口説かれたなら 身を灼く女に 変わりそう
飲んでもいいわ 御陣乗太鼓の 浮かれ酒 ・・・
能登の火祭り かがり火よりも ぶつかる人波 なお熱い
あなたと寄り添い 宇出津(うしつ)の宿へ 向かえばやさしく 海が鳴る
抱いてもいいわ しあわせ呼ぶよな 腕のなか 
■能登みれん
別れた後の 淋しさを 初めて知った 宵灯り
今日で涙と お別れね 未練ひと粒 捨てに来た
女ひとりの 能登の旅 涙…涙… 涙こぼれます
輪島 金沢 情け町 風も泣いてます ・・・
女ひとりの 能登の旅 女…女… 女未練です
七尾 木の浦 涙町 波も泣いてます 
■女ひとりの日本海
女がひとりで 旅することを あなたわかって くれるでしょうか
能登のはずれの 恋路ヶ浜は あしたも見えない 雪ばかり
あなた あなたさよなら 夜明けの汽車で ひとり迷子の ひとり迷子の ああ日本海 ・・・
この世の果てまで 吹雪いていたら 胸の叫びも 消されてしまう
能登のはずれの 海鳥たちは またくる春を 運ぶから
あなた あなた恋しい 夜明けの汽車で ひとり迷子の ひとり迷子の ああ日本海 
■七尾しぐれ
雪なら払えば すむものを 芯まで沁みます 秋の雨
和倉 能登島 日本海 あなたたずねて 来たこの町で
故郷を捨てたと 聞かされました 今は迷い子 七尾はしぐれ ・・・
しっかり掴んで いなければ 幸せ逃げてく ものですね
白い灯台 日本海 女ひとりで 生きられないと
気づいた時には 遅すぎたのね 明日が見えない 七尾はしぐれ 
■輪島朝市
愛をなくした 心のように 空は重たい 鉛色 輪島朝市‥‥
涙をひとり 捨てに来た 寒さこらえて 店出す人の 声がやさしい 能登訛り ・・・
まるで私を 見送るように 沖は潮鳴り 風が泣く 輪島朝市‥‥
出直すための 足がかり 強く生きろの 言葉をあとに 明日へ踏み出す 能登めぐり 
■御陣乗太鼓
叩く太鼓が 大地を揺すり バチが激しく 舞踊る
能登の御陣乗 自慢の音が 寄せる波間に 轟(とどろき)き渡る
巻いたサラシに 吹き出す汗は これが男の 夢しずく ・・・
男一代 命を込めて 暗い世間に 幸せを
辛い時こそ 一押し二押し 夢を明日に 繋いでやるさ
それが願いの 御陣乗太鼓 鬼も暴れる 乱れ打ち 
■曽々木海岸
荒磯(ありそ)に舞い散る 波の花 この手につかめぬ 幸せか
あなたの指に 馴染んだ髪を 切って北陸 能登の旅・・・・・
命もくれると 言った人 曽々木(そそぎ)海岸 また涙 ・・・
垂水(たるみ)の滝の 水飛沫(しぶき) 女の心に 沁みて行く
いつか私に 来るのでしょうか もとの笑顔に 戻る日が
今日であなたを 忘れます 曽々木(そそぎ)海岸 また涙 
■恋路浜
あなたと流した 涙のような 雨がいつしか 霙(みぞれ)にかわる
秋の終わりの 恋路浜(こいじはま) 忘れられない
肌の匂いの 潮騒が 沁みて哀(かな)しい 能登(のと)の海 ・・・
乾いたこころを まぎらすための 北の地酒は 飲むほどつらい
恋の砂山 恋路浜 連れにはぐれた
鴎みたいに 明日(あす)もまた 泣いて奥能登 ひとり旅 
■内灘愁歌
はるばると続く アカシアの丘に 海鳴りの 海鳴りの 音 とうとうと響く
夏の日の想い出を 訪ねてひとり 白い砂丘をゆけば 光る日本海
友はどこに 歌はどこに 歳月(とき)はいま 流れて
燃える思い 熱い心 よみがえれ この胸に 内灘の海よ
   ひゅうひゅうと歌う 潮風の浜に 面影は 面影は ただ ゆらゆらと揺れる
   あの頃は若すぎて 許す優しさも 愛も忘れてひとり 明日をみつめてた ・・・ 
■赤提灯の女
袖のボタンがとれてるなんて そっと肩よせ 針さすおまえ
胸のすきまにこぼれてしみる 冬の日だまり 女の笑顔
旅の途中の 縄のれん ・・・
泣いてきたのか男のうそに 眠るおまえのめじりに涙
おれの旅路の終着駅か そんな気がしてねがえりうてば
闇に夜汽車の汽笛がなる 
■一夜宿
日本海から吹く風が 能登の湾にも 春運ぶ
いつかあなたと旅をした 遠い昔の 恋の旅
   今日は一人で 北陸路 一夜限りの 宿居ます
   夕陽見ながら 泣きそうで 思い出します あの頃を
潮風浴びに 戸を開けりゃ カモメ鳴く鳴く 一夜宿
泣いてばかりのあの頃の 私抱きしめ能登の夜
   今日は一人で 北陸路 一夜限りの 泪橋
   闇に浮かんだ 向こう岸 町の灯りと 眠ります ・・・ 
 

 

石川県
金沢情話〜滝の白糸抄 金田たつえ
金沢の雨 川中美幸
金沢の雨 城之内早苗
金沢ひとり 三橋美智也
金沢の夜 都はるみ
滝の白糸 石川さゆり
加賀の女 北島三郎
加賀友禅 岡ゆう子
友禅流し 牧村三枝子
香林坊ブルース 西田佐知子
雨の香林坊 角川博 (金沢)
浅野川恋唄 田川寿美
浅野川春秋 島津悦子
七つ橋渡り 城之内早苗 (浅野川での願掛け)
銭五の海 鳥羽一郎 (金沢・加賀の商人・銭屋五兵衛)
能登半島 石川さゆり
能登はいらんかいね 坂本冬美
能登の海鳥 二葉百合子
能登の火祭り 金田たつえ
能登みれん 松原のぶえ
能登絶唱 市川由紀乃
能登の恋歌 大川栄策
能登の夢 加藤登紀子
女ひとりの日本海 大月みやこ
七尾しぐれ 多岐川舞子
輪島朝市 水森かおり
御陣乗太鼓 北島三郎 (輪島市の和太鼓)
曽々木海岸 水城なつみ
恋路浜 島津悦子 (鳳珠郡能登町恋路)
内灘愁歌 尾崎紀世彦 (内灘の海)  
太鼓 美空ひばり (能登・輪島・御陣乗太鼓)
赤提灯の女 松原のぶえ
一夜宿 香西かおり
花紀行 荒井由実
ビュッフェにて 松任谷由実
 
福井県

 

■越前風舞い
ひゅるりひゅるひゅる 風が頬うつ空で哭く 波が 波が足元(あし)まで 打ち寄せる
あなたの愛を 失くしたら わたしは何処で 生きればいいの…
越前風舞い こぼす吐息が こぼす吐息が 雪になる ・・・ 
心細さに 胸が凍える躰(み)も凍る 夢も 夢もしんしん 冷えてゆく
ふたりで暮らす 隠れ家を 鴎よどうか 見つけて欲しい…
越前風舞い 縋るこの声 縋るこの声 雪になる 
■越前竹舞い
白山おろしの 風にのり 雪ふり虫が きたという
愛しい人の その胸に 私もすがって すがってみたかった
唇に触れもせぬ それも恋 躯だけ求めても それも恋
   きしむ はじける 反りかえる たたく 震える 波を打つ
   障子あければ あゝいちめん 竹の海
命の終わりが そこにある あなたと 生きていたいのに
はじめて握る 手のぬくみ ようやく女に 女になれました
報われぬ愛ですが それも恋 心だけ ひとすじに 恋は恋 ・・・ 
■越前恋歌
哀しい恋の歳月を 知ってるように海風に
抱かれて眠る 波も麗な若狭の湾よ
   あなたを捜し浜辺を歩けば 帰らぬ恋に砂が鳴く
   いくら呼んでもわたしの愛は あなたの胸には届かない
   辛い別れを恋歌で紛らして 続くの続くのわたしの旅は
いつかは終わる恋だとは わかっていたの最初から
それでもわたし 辿りたかったあなたの辺
   はぐれた海鳥がぐるぐる回り 沖ゆく船は日本海
   肩を冷たく突き刺す雨が 想い出濡らしてすぎてゆく
   愛を信じてひとりゆく旅は 続くの続くの越前岬 ・・・ 
■越前岬
きこえるはずない 汽笛を聴いて 飲めば泣きそな ひとり酒
ついてゆきたい ついてゆけない 燃やす切符の 残り火が
あなた消えます あなた消えます 越前岬 ・・・
おまえの明日は ふたりの明日 そんなあの夜の 腕まくら
忘れたいのに 忘れられない ひとり紅ひく とまり木で
春を待ちます 春を待ちます 越前岬 
■若狭の宿
風の音にも やせて行きます お酒並べて 泣いてます
ただひとり あのひとの通夜をする
おもいで残る おもいで残る 若狭の宿よ ・・・
窓にうつして 髪を切ります 違う女に 変わります
何もかも あの人に捧げてた
恋をふりきる 恋をふりきる 若狭の宿よ 
■東尋坊
別れ旅する 女の胸を 見抜いて泣くのか 日本海
波の花散る しぶき 越前 東尋坊
行きは貴方が 道連れだけど 帰りは涙と ふたり連れ ・・・
右と左に 別れる影を 夕陽が染めてく 日本海
うしろ髪引く みれん 越前 東尋坊
襟を何度も 合わせてみても 身体に沁み込む 向い風 
■居酒屋「敦賀」
外は雨です 居酒屋「敦賀」 今夜はお茶挽き 誰も来ない
となりに座ってお酌をさせて 十九で死んだ弟に
似ているあなたと 飲みたいの 酔ったらかしましょ この膝を ・・・
少し寒いわ 雨降りつづき タクシーいなけりゃ 朝までいてよ
居酒屋「敦賀」の 暖簾はカモメ 最後に見つけた とまり木に
あなたが点した 夢あかり いいことあるよね いつの日か 
■ふるさと
祭りも近いと 汽笛は呼ぶが 荒いざらしの Gパンひとつ
白い花咲く 故郷が 日暮りゃ恋しく なるばかり
   小川のせせらぎ 帰りの道で 妹ととりあった 赤い野苺
   緑の谷間 なだらかに 仔馬は集い 鳥はなく
   あー 誰にも 故郷がある 故郷がある
お嫁にゆかずに あなたのことを 待っていますと 優しい便り
隣の村でも いまごろは 杏の花の まっさかり
   赤いネオンの 空見上げれば 月の光が はるかに遠い ・・・ 
 

 

福井県
越前風舞い 松原のぶえ
越前竹舞い 石川さゆり
越前竹人形 島倉千代子
越前竹山唄 島倉千代子
越前恋唄 香西かおり
越前哀歌 香西かおり
越前忍冬 角川博
越前岬 川中美幸
若狭の宿 牧村三枝子 
朝日音頭 舟木一夫 (丹生郡朝日町[現越前町])
東尋坊 水森かおり
居酒屋敦賀 香西かおり
ふるさと 五木ひろし
わたしのまちときめきのまち ダ・カーポ
北陸ブルース  
 
山梨県

 

■武田節
甲斐の山々 陽に映えて われ出陣に憂いなし
おのおの馬は 飼いたるや 妻子につつが あらざるや あらざるや
   祖霊まします この山河 ・・・
   人は石垣 人は城 情けは味方 仇は敵 仇は敵
躑躅ケ崎の 月さやか ・・・
おのおの京を めざしつつ 雲とおこれや 武田節 武田節 
■風林火山
あれは疾風(はやて)か 東海の 砂塵(さじん)を巻(ま)いて 騎馬は行く
怒濤と起こる 勝鬨(かちどき)に きらめく旌旗(しょうき) ああ 風林火山 ・・・
仇(あだ)に向かわば 火のごとく 情けに立たば 山のごとく
かざす軍配 日月(じつげつ)の 光燦(さん)たり ああ 風林火山 
■一宮音頭
ハア〜 桃の花から ソレ 一宮
咲いてほのぼの いかんけこんけ   
甲斐の名どころ日本一 ソレ 日本一
   ハア〜 主は木花 ソレ 咲耶姫
   御輿そこだい いかんけこんけ
   おみゆきさんだよ 花衣装 ソレ 花衣装
ハア〜 流れ御手洗川 ソレ 金川に
鮎も紅さす いかんけこんけ
秋はぶどうがまた甘い ソレ また甘い ・・・ 
■縁故節 1
縁で添うとも 縁で添うとも 柳沢は嫌だよ 
アリャセ〜コリャセ〜 女が木を切る 女が木を切る 茅を刈る ションガイネ〜
   縁がありゃ添う 縁がありゃ添う 無ければ添えぬよ
   アリャセ〜コリャセ〜 みんな出雲の みんな出雲の 神まかせ ションガイネ〜
縁の切れ目に 縁の切れ目に このぼこできた
アリャセ〜コリャセ〜 このぼこ否ぼこ このぼこ否ぼこ 縁つなぎ ションガイネ〜 ・・・ 
■縁故節 2
縁で添うとも 縁で添うとも 柳沢は嫌だよ 
アリャセ〜コリャセ〜 女が木を切る 女が木を切る 茅を刈る ションガイナ〜
   河鹿ほろほろ 河鹿ほろほろ 釜無し下りゃよ
   アリャセ〜コリャセ〜 鐘が鳴ります 鐘が鳴ります 七里岩 ションガイナ〜
巨摩の深山で 巨摩の深山で 炭焼く主はよ
アリャセ〜コリャセ〜 けさも無事だと けさも無事だと 火の煙 ションガイナ〜  ・・・ 
■花の椿城
空は晴れたり 城山遠く 上がるのろしに いななく人馬
「信玄公御出陣 御出陣」
どんと打て打て 出陣太鼓 おくれとるなと えびらの旗が
風に鳴る 風に鳴る 風に鳴る鳴る 椿城 ・・・
胸を固めた 盾無鎧 諏訪法性の お冑召して
「晴信公御元服 御元服」
旗は孫子の 風林火山 大井夫人の まなじりさえて
鳩が飛ぶ 鳩が飛ぶ 鳩が飛ぶ飛ぶ 椿城 
■富士吉田音頭
さ〜あ〜あ アッ どうしたネ 酒はチョコから 色気は目から
富士の眺めは吉田から 吉田土産のパラソルさして
チョイと 湖水めぐりのうららかさうららか 
   さ〜あ〜あ アッ どうしたネ 湖水めぐりで 見初めたあの娘
   くれた形見の富士桜 桜咲く咲く躑躅は燃える
   チョイと お山開きは もう近い もう近い ・・・
さ〜あ〜あ アッ どうしたネ 花の銀座の 紳士の服も
吉田名産 繻子の裏 裏を返してまたおいで吉田
チョイと 冬のスケート 雪見酒 雪見酒  
■河口湖おどり
ハアー 胸のすくよなネ ヨイショコラドッコイサノ
朝焼け富士のヨ ソラフジノヨ 姿うつしたネ アソウジャンソウジャンネ
姿映したネ あチョイトサ 河口湖
鶯は谷間で愛の唄 富士の河口愛の町
   ハアー お山登りはネ ヨイショコラドッコイサノ
   雲海バスでヨ ソラバスデヨ みんな揃ってネ アソウジャンソウジャンネ
   みんな揃ってネ あチョイトサ 御来光
ハアー 五胡のうちでもネ ヨイショコラドッコイサノ
河口は可愛ヨ ソラカワイヨ 可愛鵜の島ネ アソウジャンソウジャンネ
可愛鵜の島ネ あチョイトサ 片えくぼ 
鶯は谷間で愛の唄 富士の河口愛の町 ・・・ 
■足和田音頭
山の山梨 足和田山は 富士を支える 緑のお山
山をとり巻く 足和田村にゃ いつも人情の いつも人情の
花が咲く 花が咲く ソレ おいで足和田 花の里 花の里 ・・・
昔甲州の 信玄様が 金を掘られた お山も近い
富士の風穴 竜宮さまも キャンプ村から キャンプ村から
一走り 一走り ソレ おいで足和田 夢の里 夢の里  
■鳴沢音頭
人富士の高さよ 裾野の広さ 裾野 鳴沢 花だより
さくら つつじも 春化粧 ソレ
ナルナル鳴沢 なにが鳴る 富士のお山に こだまして 踊る手拍子 シャンと鳴る
   紅葉台から 樹海を結ぶ 自然歩道の 素晴らしさ
   ひと眼 絵になる 山景色 ソレ
夏の盛りの 鳴沢氷穴 暑さ知らない 肌寒さ
氷柱が 人を呼ぶ ソレ
   まつり自慢は 鳴沢気質 春は 春日の 宮太鼓
   秋は 八幡 神楽舞 ソレ ・・・
富士を眺めて 楽しいゴルフ ここは 自然の 別荘地
明日へ「いちい」の 木も伸びる ソレ 
■鳴沢慕情
人は愛して 身を捧げ 人は別れて 遠くなる
訪ねて 帰る ふるさとの 富士を 見上げて 涙ぐみ
おもかげ探す 紅葉台 ・・・
恋のいのちと シャクナゲは 咲いて 散るのが さだめやら
ふたたび 明日は 鳴沢の 里を 離れる この胸に
青木ヶ原の 霧が泣く 
 

 

山梨県
山梨音頭 霧島昇・久保幸江
武田節 三橋美智也
風林火山 春日八郎  
信玄踊り 三波春夫
春日居音頭 春日八郎
御坂音頭 三波春夫
御坂路慕情 三沢あけみ
よい坂御坂 三沢あけみ
八代音頭 大月みやこ (笛吹市八代町) 
里の恋歌若彦路 芹洋子 (甲斐[山梨]—駿河[静岡])
一宮音頭 松山恵子 (笛吹市)
勝鬨上条河原 二葉百合子
新府城 三橋美智也 (韮崎市)
縁故節 大塚文雄 (峡北地方[北巨摩]の民謡)
花の椿城 二葉百合子
富士山やぶさめ祭り 三波春夫
富士吉田音頭 都はるみ・大下八郎
河口湖おどり 島倉千代子・青木光一
足和田音頭 春日八郎
鳴沢音頭 都はるみ
鳴沢慕情 新沼謙治
いつも君がいた 芹洋子
花の実みのれ 芹洋子
 
長野県

 

■千曲川
水の流れに 花びらを そっと浮かべて 泣いたひと
忘れな草に かえらぬ恋を 想い出させる 信濃の旅よ ・・・
一人たどれば 草笛の 音いろ哀しき 千曲川
よせるさざ波 くれゆく岸に 里の灯ともる 信濃の旅路よ 
■信濃川慕情
町に流れる 長い川 今もあの日と 変らない
愛を誓った 君なのに 川面に浮ぶ 木の葉のように
流れていずこへ 教えておくれ 教えておくれ信濃川 ・・・
遠く流れる 長い川 恋の嘆きの 信濃川
君を求めて 今日もまた ひとり来てみた 万代橋(ばんだいばし)は
小雨にけむるよ 教えておくれ 教えておくれ 信濃川 
■信濃山国
信濃山国 今年も暮れて 山が荷になる 旅烏
捨てた故里 未練はないが 尾花なぜ泣く なぜとめる
これが浮世か おらが句は 「行くな雁 住めばどっちも 秋の暮れ」 ・・・
信濃山国 烏が啼いて 日暮れは悲し 里恋し
儘(まま)よ一夜は 御堂で寝るか 月よ今夜も ともに寝ろ
旅路の果ての おらが句は 「寒月や 明日の我が躯(く)は 途(みち)知れず」 
■木曽路の女
雨にかすんだ 御岳さんを じっと見上げる 女がひとり
誰を呼ぶのか せせらぎよ せめて噂をつれて来て
ああ恋は終わっても 好きですあなた 湯けむりに揺れている 木曽路の女 ・・・
明日は馬篭か 妻篭の宿か 行方あてない 女がひとり
やっと覚えた お酒でも 酔えば淋しさ またつのる
ああ恋は終わっても 待ちますあなた どこへ行く流れ雲 木曽路の女 
■小諸情歌
都会の水のしょぱさに 泣いて いないか 妹よ
もしも暮らしに 破れたならば
生まれ育った 故郷へ 帰って おいでよ 赤とんぼ ・・・
   小諸でてみろ 浅間の山に
花嫁衣裳 みたかった たった ひとりの 妹よ
手提げひとつで しょんぼり帰る
痩せてやつれた 夢をみて 眠れぬ夜更けが またつづく 
■安曇野
大糸線に揺られて着いた ここは松本 信州路
安雲野は安雲野は想い出ばかり どの道行けばこの恋を
忘れることができますか せめて教えて道祖神 ・・・
なごりの雪の北アルプスを 染めて朝陽が今昇る
安雲野は安雲野は想い出ばかり あなたを今も愛してる
恋しさつのる旅路です 揺れる面影梓川 
■鬼無里の道
昔女に化けし鬼の 忘れがたみと伝え聞く
ああ紅葉たずねて鬼無里の道  女ごころを君知るや
   悪しき女と世に流れ ・・・
   ああ紅葉たずねて鬼無里の道 影に日向に君思ふ
たとえ生涯逢えねども ・・・
つひにもらさぬ我が心 後の煙に知れようか
   老いし夫婦の語らひに ・・・
   ああ紅葉たずねて鬼無里の道 結びかなわぬわが恋や 
■大糸線
寒いホームで 背中を丸め 列車を待ってた 小さな駅よ
人もまばらな 大糸線の 窓に想い出 走馬灯
途中下車して 帰りたいけど 二度と 二度とあなたの 胸には戻れない ・・・
長いトンネル 抜けたらきっと こころに春の日 来るのでしょうか
恋を断ちきる 大糸線は 北へ北へと 急ぎ足
空を茜に 染める夕陽に 今も 今もあなたの 面影ゆれてます 
■月よりの使者
白樺ゆれる高原に 龍胆(りんどう)咲いて恋を知る
男の胸の切なさを 啼け啼け山鳩 幾声も
   夜霧の駅に待つ君の おもかげ強くふり捨てて
   ・・・ 白衣の袖よ いつ乾く
人目も草も枯れ柳 うらみも恋も散る宵に
・・・ 未練が夜も眠られず
   幾春秋をさ迷えど まことの縁(えにし)結ぶ日は
   月よりの使者思い出の 龍胆抱いて来るという 
■母のいない故郷
母のいない故郷は風の村 無人駅に降りりゃ
子供にかえれない淋しさ 母さんのせいだよ
ただ時の流れにたたずむばかり ・・・
母のいない故郷は春の村 かごに草を摘んで
手拭いかぶってく村人 母さんに似てたよ
ただ後姿を見送るばかり  
■高原のお嬢さん
あの人に逢いたい たまらなく逢いたい 高原に風はわたり 白樺はゆれていた
夏がゆけば 恋も終ると あの人はいつも言ってた
リーフ・リーフ…… 君にぼくの 恋を語ろう ・・・
あの人に逢いたい たまらなく逢いたい 東京の空のどこか あの人は住んでいる
せめて いちど 逢ってききたい 夏の日の 恋は嘘かと
リーフ・リーフ…… 東京の 秋は淋しい 
■高原の旅愁 伊藤久男
むかしの夢の 懐かしく 訪ね来たりし 信濃路の
山よ小川よ また森よ 姿むかしの ままなれど なぜにかの君 影もなし ・・・
過ぎにし夢と 思いつつ 山路下れば さやさやと
峠吹き来る 山の風 胸に優しく 懐かしく 明日の希望を 囁(ささや)くよ 
■愛と死をみつめて
まこ 甘えてばかりで ごめんネ 
みこはとってもしあわせなの はかないいのちと しった日に
意地悪いって 泣いたとき 涙をふいて くれた まこ ・・・
まこ げんきになれずに ごめんネ
みこはもっと生きたかったの たとえこの身は 召されても
二人の愛は 永遠に咲く みこのいのちを いきて まこ 
■穂高よさらば
穂高よさらば また来る日まで 奥穂に映ゆるあかね雲
返り見すれば遠ざかる まぶたに残るジャンダルム
   滝谷さらば また来る日まで 北穂へ続く雪の道
   返り見すれば遠ざかる まぶたに残る槍ヶ岳 ・・・
岳沢(だけさわ)さらば また来る日まで 前穂をあとに河童橋(かっぱばし)
返り見すれば遠ざかる まぶたに残る畳岩 
■古城
松風さわぐ丘の上 古城よ独り何偲ぶ
栄華の夢を胸に追い ああ 仰げば侘(わ)びし天守閣 ・・・
甍(いらか)は青く苔(こけ)むして 古城よ独り何偲ぶ
たたずみおれば身にしみて ああ 空行く雁(かり)の声悲し  
■ちょいときまぐれ渡り鳥
花のお江戸の 風来坊が ひとり駿河路 富士の山
三保の松原 沖見れば 白帆にじゃれつく 鴎(とり)の群れ
おっとどっこい いけねぇよ おっとどっこい いけねぇよ
ごめんなすって ちょいと きまぐれ渡り鳥 ・・・
小諸(こもろ)離れて 沓掛宿は 月がおっ母(かあ)に 見えてくる
指のあかぎれ 丸い肩 達者でいなよと 祈るだけ
おっとどっこい いけねぇよ おっとどっこい いけねぇよ
ごめんなすって ちょいと きまぐれ渡り鳥 
 

 

長野県
千曲川 五木ひろし
信濃川慕情 ロス・プリモス
信濃川慕情 美川憲一
信濃路ひとり 原田悠里
信濃山国 岡本敦郎
木曽路の女 原田悠里
木曾の恋歌 ダ・カーポ
軽井沢コネクション 荻野目洋子
軽井沢ホテル さだまさし
小諸情歌 大川栄策
野尻湖ひとり 水森かおり
安曇野 原田悠里
安曇野 さだまさし
信濃路梓川 森昌子
白馬山麓 狩人
白馬村から 南こうせつ
高遠さくら路 水森かおり
鬼無里の道 西島三重子
大糸線 水森かおり 
コスモス街道 狩人
月よりの使者 竹山逸郎・藤原亮子
風の篝火 さだまさし
まつかわOnDo! 小坂明子
北風小僧の寒太郎 田中星児
春の音 三橋美智也
夕月 三橋美智也
母のいない故郷 鳥羽一郎
高原のお嬢さん 舟木一夫
親父の一番長い日 さだまさし
愛と死をみつめて 青山和子
穂高よさらば 古関裕而
古城 三橋美智也
ちょいときまぐれ渡り鳥 氷川きよし
 
岐阜県

 

■奥飛騨慕情
風の噂さに 一人来て 湯の香恋しい 奥飛騨路
水の流れも そのままに 君はいでゆの ネオン花
ああ奥飛騨に 雨がふる ・・・
抱いたのぞみの はかなさを 知るや谷間の 白百合よ
泣いてまた呼ぶ 雷鳥の 声もかなしく 消えてゆく
ああ奥飛騨に 雨がふる  
■長良川艶歌
水にきらめく かがり火は 誰に想いを 燃やすやら
あなた あなたやさしい 旅の人 逢うたひと夜の 情けを乗せて
こころまかせの 鵜飼い舟 ・・・
添えぬさだめと 知りながら いまは他人じゃ ない二人
あなた あなた私を 泣かす人 枕淋しや 鵜飼いの宿は
朝が白々 長良川  
■柳ヶ瀬ブルース
雨の降る夜は 心もぬれる まして一人じゃ なお淋し
憎い仕打と うらんでみても 戻っちゃこない あの人は
ああ 柳ヶ瀬(やながせ)の 夜に泣いている ・・・
青い灯影に つぐ酒は ほろり落した エメラルド
もだえ身を焼く 火の鳥が 雨に打たれて 夜に泣く
ああ 柳ヶ瀬の 夜に泣いている  
■淡墨桜
下へ下へと 根を伸ばし 雨風 嵐に 耐えて立つ
優しく清く しなやかな 母によく似た その姿
あの故郷の 山里で 凛と咲いてる 淡墨桜 ・・・
泣いた分だけ 倖せが 必ず来るよと 母の声
根雪は溶けて 川になる 蕾開いて 夜は明ける
私の春も きっと来る 咲けよ匂えよ 淡墨桜  
■郡上の詩
着物姿が よく似合う白いうなじの愛しい女よ
忍ぶ郡上の 思い出は 燃えて切ないかがり火か
夏の夜空にああ咲いた小百合
   郡上のナー八幡出てゆく時は 雨も降らぬに 袖しぼる
ほほに光ったひとすじの 君の涙がこぼれておちた
忍ぶ郡上の 夢うかべ 秘めて切なく 舞う 蛍
忘れられないああ長良川 ・・・  
■濃尾恋歌
伊吹(いぶき)おろしが 刺すよに吹けば 濃尾平野は 冬間近
木曽の流れは 海へと帰る 空よ風よ鳥たちよ 伝えておくれ
私はひとり ひとり待っている ・・・
桜花びら 川面に降れば 濃尾平野は 春さなか
霞む山より あなたが遠い 空よ風よ鳥たちよ 教えておくれ
私は生きて 生きてゆけますか  
■皆の衆
皆の衆 皆の衆 嬉しかったら 腹から笑え 悲しかったら 泣けばよい
無理はよそうぜ 体に悪い 洒落たつもりの 泣き笑い
どうせこの世は そんなとこ そうじゃないかえ 皆の衆 ・・・
皆の衆 皆の衆 好きと嫌いじゃ 恋にはならぬ 恋はその日の 風次第
風の吹きよで しんから惚れた あの娘(こ)と別れた 奴もいる
どうせこの世は そんなとこ そうじゃないかえ 皆の衆
 

 

岐阜県
飛騨の吊り橋 山口百恵
奥飛騨慕情 竜鉄也
奥飛騨・星の宿 城之内早苗
長良川艶歌 五木ひろし
長良川旅情 春日八郎
ひとり長良川 水森かおり
柳ヶ瀬ブルース 美川憲一
淡墨桜 石原詢子
郡上の詩 石原詢子
濃尾恋歌 石原詢子
倖せさがしに岐阜羽島 畠山みどり
美濃赤坂線 森昌子
なみだ雪 三橋美智也
キムチの気持ち 近藤久美子
皆の衆 村田英雄 
 
愛知県

 

■名古屋ブギー
名古屋ブギウギ ブギウギ名古屋 はでなリズムよ 若い心よ
歌えおどれ みんなでおどれ 恋になやんで 納屋橋渡れば
ジャズが呼ぶ呼ぶ ネオンが招く そしてキャバレの 窓があく
名古屋ブギウギ ブギウギ名古屋 このうたで それ はりきれ
ヘイヘイヘイヘイ 名古屋ブギウギ
   名古屋ブギウギ ブギウギ名古屋 虹の光だ 街は生きてる
   歌えおどれ みんなでおどれ 木の芽草の芽 恋の芽も出たよ
   むかしなじみの 観音様の ここは大須の 喫茶店
   名古屋ブギウギ ブギウギ名古屋 このうたで それ はりきれ ・・・  
■名古屋ブルース
遊びなれてる 人なのに 燃えたお酒に ついまけて
今夜だけよと 許したわたし 花が散ります
花が散ります 栄町
   夜が来るたび 泣かされて ほどく女の 名古屋帯
   一度だけなら 忘れもしようが 忘れられない
   忘れられない 柳橋 ・・・
今日は逢えても このつぎは あてにならない あなたなら
せめて二人で いるときだけは あまえさせてね
あまえさせてね 広小路 
■なごやの女
寒かないかとだきよせて ぬいだ上衣を着せてやる
俺の負けだよ どうにもならぬ 恋にくるしい ため息が
ぬらすネオンの ぬらすネオンの 広小路 ・・・
泣ける君より 泣かないで がまんする身は まだつらい
これがさだめか 庄内川の 水にうつした 影ふたつ
好きでいようよ 好きでいようよ わかれても  
■名古屋のひとよ
誰を待つのか 涼しい顔で 白いパラソル くるくるまわし
納屋橋あたり 絵になるあなた 声をかけようか 誘おうか…
緑もえたつ 名古屋の街は うまれたばかりの 光のシャワー
謎めくひとに ほほ笑みのこして 風のように 花のように
桜通りに あゝ消えた 麗しいひと
   俄雨降(にわかあめふ)る 並木の舗道 長いまつ毛に 愁いをためて
   恋唄似合う すてきなあなた ついてゆこうか 広小路
   濡れてときめく 名古屋の街は ・・・
緑もえたつ 名古屋の街は うまれたばかりの 光のシャワー
きっと この恋 かなえてくれそう 風のように 花のように
名古屋の街で あゝ夢を追いかけるひと  
■名古屋音頭
片端線から ソレ 天守閣みれば 夫婦金の鯱 ナモ ほどのよさ
雨にぬれよと鯱は鯱 ここで降車(おり)ましょ ササ お城見に
   走る〇八(まるはち) ソレ 伝馬町行けば 深いあの森 ナモ 熱田さま
   鳥が立とうと白鳥が ここで降車(おり)ましょ ササ お詣りに
広い十字路(クロス)よ ソレ ここ上前津 西は大須の ナモ 門前町
願ひかなへる観音さんの 恋のおみくじ ササ 引いてみな ・・・
   ここは終点 ソレ 覚王山よ 長い参道筋(みち) ナモ 猷上燈籠
   土産にや釣鐘のお菓子かよ 包むあの娘は ササ 愛嬌もの 
■東海音頭
ハア 海は潮風 世界の船を 招く手ぶりの知多半島(みさき)
出船入船 朝日に映えて 今日も栄える 東海市
ソレ みんな一つの輪になって 東海音頭でひと踊り
   ハア あつい心が 炎と燃えて 鉄も溶けます 若いまち
   だれもどなたも 鋼(はがね)のように 打てば響くよ 心意気
   ソレ みんな一つの輪になって 東海音頭でひと踊り
ハア 春はうれしい 大日さんへ 年に一度の ご縁日
きのう見そめた あの娘の胸に 愛のつぼみを 咲かせたい
ソレ みんな一つの輪になって 東海音頭でひと踊り ・・・
   ハア 細井平洲 育てた町に 今日もふくらむ 若い夢
   聚楽大仏 琴弾松に 明日の願いを かけてみる
   ソレ みんな一つの輪になって 東海音頭でひと踊り 
■豊橋市歌
太平洋の 潮騒(しおざい)を 希望の歌と 聴くところ
脉(みゃく)打つ若さ はつらつと 伸びゆく力 たくましき
見よ躍進の 産業都 豊橋われら いざ挙(こぞ)れ ・・・
ゆたけき流 豊川(とよがわ)に いにしえしのぶ 吉田城
歴史の絵巻 花に映え 文化と競う 美しき
見よあこがれの 観光都 豊橋われら いざ興せ 
■岡崎市歌
雲にかがやく竜城の 青葉の嵐仰ぎ見よ 
国に築きし先傑の 勲(いさお)は高し この力
奮(ふる)えよ我等 後永(のちなが)く堅実の地歩 日に継がん 
岡崎これや 我が光 岡崎これや 我が郷土 ・・・
煙(けぶり)にぎわう 新興の時代の勢(きおい) ここに見よ 
音にきこゆる 産業の誉は高し この栄(さかえ)
奮えよ我等 眉わかく 躍進の都市 いまどよむ 
岡崎これや 我が光 岡崎これや 我が郷土  
■瀬戸市歌
千古にきよき 猿投山 朝(あした)に夕に 仰ぎつつ
歴史に栄えて 陶業の 輝くその名 かくれなく ああ 大瀬戸市 光あり
   渦巻くそらの 窯けむり 地にはロクロの 玉の業
   生命こめて 焼く窯に 伸び行く意気は 火ともえる ああ 大瀬戸市 力あり ・・・
花咲く文化 産業の ここに輝く 土の幸
世界の海の 果てまでも 讃えよ誇れ 高らかに ああ 大瀬戸市 誉あり 
■今池音頭
ハア 名古屋ネ 名古屋よいとこ お城が招く
ヨイトナ 花の今池 チョイト灯が招く
ソレ 来てみな 来てみな 寄ってみな 金の鯱 ピーカピカピカ ピカピカ
   ハア 今夜ネ 今夜逢いましょ メトロの駅で
   ヨイトナ ジャズが呼んでる チョイト 今池で
   ソレ 来てみな 来てみな 寄ってみな 金の鯱 ピーカピカピカ ピカピカ ・・・
ハア 名古屋ネ 名古屋見るなら 今池見やれ
ヨイトナ いつも繁昌の チョイト 花盛り
ソレ 来てみな 来てみな 寄ってみな 金の鯱 ピーカピカピカ ピカピカ 
■白い街
この道の はるか彼方の 雲流れる下に 幸福がある
ああ 久屋通りの花時計 花に遺した きみの微笑
白い街 白い街 名古屋の街 ・・・
この道の 光るゲートの 星の消えた空に ふるえる瞳
ああ 楓にひめた東山 杜にのこした 雨のくちづけ
白い街 白い街 名古屋の街  
 

 

愛知県
名古屋まつり 藤山一郎
名古屋ざかり 市丸
名古屋娘 豆千代
名古屋ブギー 笠置シヅ子
名古屋ブルース 神戸一郎
名古屋の女 北島三郎
名古屋のひとよ 真咲よう子
名古屋音頭 曽我直子、佐藤貞子
名古屋小唄 勝太郎
名古屋囃子 三島一声
名古屋特急 ザ・ベンチャーズ
わたしの名古屋 水谷麻里
どんとこい名古屋 神野美伽
しゃちほこ音頭 島倉千代子
大名古屋行進曲 四家文子
汎太博行進曲 二葉あき子 & 松平晃
東海音頭 ピンキーとキラーズ
豊橋の歌 伊藤秀志
岡崎の歌 伊藤秀志
春日井の歌 伊藤秀志
知立の歌 伊藤秀志
瀬戸の歌 伊藤秀志 
今池音頭 ザ・ピーナッツ
ロマンス・ガイド 初代コロムビア・ローズ
Hey! Mr. Pure Town 長山洋子
白い街 石原裕次郎
ふれあい 伍代夏子
マツケンのええじゃないか 松平健
ロックンロールふるさと 舟木一夫
 
近畿

 

■三都物語
胸さわぎの旅は いま始まって 時の流れのままに こころを遊ばせ
この私は誰を 訪ねるあてもなく まるで詩人のように 景色に染って
   ああ なんて 街 それぞれ 美しいの
   ああ なんて 人 それぞれ 生きているの
   昨日 今日 明日 変りゆく 私
   紅くいろづく ときめきを 誰に告げましょう
風そよげば ひとり 胸抱きしめて 愛の不思議を思う 吐息をもらして
この泪はきっと 感じるよろこびね 揺れる瞳に 映る季節に 恋して ・・・  
近畿
三都物語 谷村新司 
 
京都府

 

■伊根の舟屋
壁の日めくり 一枚破り 宿の窓辺で 鶴を折る
泣きに来た 伊根の舟屋は 波まくら・・・・・
海が玄関(おもて)よ 通りは裏口(うら)よ そんな哀しい 恋だから ・・・  
旅のおわりの 浮棧橋に 咲いて春待つ 口紅水仙(せっちゅうか)
ふりむけば 伊根の舟屋は 雪の中・・・・・
生きる寒さに 負けそな時は 泣きにおいでと 呼ぶように 
■宇治川哀歌
遣り水さらさら蛍が飛び交う 闇を走ってあなたに会いに行く
これが最後ですあなたに抱かれたら 何処かへわたしは消えてゆきます
   風が冷たくなりました もうすぐ秋ですね
   話しかけてもきっとあなたは 何も変わらない
   白い単衣の帯紐しめて 明朝はたちます 霧の中
辛いわこの恋ふたりのひとを 愛するなんてわたしには出来ません
心魅かれても辿れぬ愛だから 今からわたしはさよならします
   恋は宇治川に流されて もうすぐ冬ですね
   水の瀬音に耳を澄ませば なみだ溢れます
   過ぎた想い出捲り捲って 夢が散ります 隠れ里 ・・・ 
■保津川下り
誰にせかれて 早瀬の水は 胸に散るやら 保津川下り
水棹捌きの 船頭衆にみとれ 燃ゆる 燃ゆる想いの 岩つづじ ・・・
丹波なつかし 山城恋し 飽かぬ眺めの 保津川下り
名残り惜しめば ひかげも搖れて はやも はやも招くか 渡月橋 
■舞妓はん
花のかんざし 重たげに きいておくれやすかと 舞妓はゆうた
お座敷帰りの 祇園町 きけばかなしい 物語
京はおぼろ夜 涙月 加茂の流れも 泣いていた ・・・
桜がくれに 清水の 別れ道で舞扇 あの妓はくれた
二人のこの恋いつまでと 思や気になる ことばかり
あすは参ろか その墓へ 恋の花咲け 京の春 
■京のにわか雨
雨だけがひとつぶ頬に 見上げればお寺の屋根や
細い道をぬらして にわか雨がふる
私には傘もない 抱きよせる人もない
ひとりぼっち 泣きながら さがす 京都の町に
あの人の面影 誰もいない心に にわか雨がふる ・・・ 
■京都の恋
風の噂を信じて 今日からは あなたと別れ 傷ついて
旅に出かけて 来たの わたしの心に 鐘が鳴る
白い京都に 雨が降る うしろ姿の あの人は
今は帰らぬ 遠い人
   涙みせたくないの 今日からは
   一度はなれた 恋なんか 二度とはしたくない
   このまま死んで しまいたい 白い京都に つつまれて ・・・ 
■京都慕情
あの人の姿懐かしい 黄昏の 河原町
恋は 恋は 弱い女を どうして泣かせるの
苦しめないで ああ責めないで 別れのつらさ 知りながら
あの人の言葉 想い出す 夕焼けの高瀬川 ・・・
苦しめないで ああ責めないで 別れのつらさ 知りながら
遠い日は二度と帰らない 夕やみの桂川 
■京都ひとり
逢いたい 逢えない 河原町 思い出燃やして夕日が沈む
あんなに愛してくれた人 どうしてこんなにいじめるの
風よ 夢の続き見せて 京都 京都
別れのわけさえ知らないままに… あなたの噂をたずねれば 
鐘が鳴ります 京都ひとり
   あなたがいそうなあの店を 捜せば似たよな格子戸ばかり
   涙の数だけ傷ついて 失くした時間が降り積もる
   風よ 夢の続き見せて 京都 京都 
   未練を集める鴨川の水… やさしい思い出ふり向けば 
   つらくなります 京都ひとり ・・・ 
■京都の夜
別れないでと 抱きしめて 愛してくれた あの人は
白い夜霧に 消えたまま 淋しく今日も 求めてうたう
甘い京都の夜は ふけてゆく ・・・
聞かせておくれ 今一度 優しいあなたの ささやきを
祇園の雨に 濡れながら シャネルの人を せつなく今日も
さすが京都の夜は ふけてゆく ・・・ 
■京都ブルース
哀しみが つきものなら 女などやめたいのに あの人の ためならばと 私は耐えてる
別れようと 言ったけれど さよならと言わなかった
あの人の 胸のおくを 私は信じた ああ 雨がながれる ああ 清水坂
好きな人にも 涙みせずに ああかくれて 京都の女は 生きるために泣く
   強がりは 女のもの 素顔など見せないもの 
   死ぬときも 化粧だけは とらないものなの
   待ちますと 言ったけれど 逢いたいと言えないまま
   あの人の 帰る時を 暦にたずねる ああ 石を投げ込む ・・・ 
■京都から博多まで
肩につめたい 小雨が重い 思いきれない 未練が重い
鐘が鳴る鳴る 哀れむように 馬鹿な女と云うように
京都から博多まで あなたを追って 西へ流れて行く女 ・・・
京都育ちが 博多になれて 可愛いなまりも いつしか消えた
ひとりしみじみ 不幸を感じ ついてないわと云いながら
京都から博多まで あなたを追って 今日も逢えずに泣く女 
■京都でひとり
あなたに何も言わず京都へと着きました 静かに二人の愛考えたいのです
人影のたえたお寺ひとりでめぐったら 急に熱い涙流れて来ました
こんなことははじめて 愛することはいつもつらいことあるけれど
あなたと生きるならば堪えてゆけそうです ・・・
川ぞいを肩を並べあなたと歩きたい ひとり旅を私後悔してます
こんな想いはじめて 愛する時にいつも誰でも迷うけれど
あなたのもとへ私明日は帰ります 
■京都物語
鴨川流る 京はふるさと 春は花灯路(はなとうろ)の東山でした
祇園囃子が響く夏にも 送り火に揺られて 永遠(とわ)にあなたは眠る
二人で歩いた小路(こみち)や石畳 月夜にまぎれて隠れた恋の街
"都や御所"の紅葉染まりて 歌人が愛でたは秋の南禅寺
嵐山にて雪も恋しや 南天の実のような赤い紅をさすわ
帰らぬ人への想い出溢る場所 幾千年もの涙の別れ道 ・・・
昨日と明日を結んで帯にして 桜の花咲く頃また 京都へ 
■京都ふたたび
ひとつ ひとつと 噂集めて たずねて来ました 河原町
逢えて良かった 良かった逢えて こらえた涙が こぼれます
京都ふたたび 巡り逢い 心寄り添う 高瀬川 ・・・
もしもあなたに 誰かいるなら 逢わずに帰ると 決めていた
逢えて良かった 良かった逢えて 離れはしません もう二度と
京都ふたたび 巡り逢い つなぐ手と手の 二寧坂 
■京都北嵯峨別れ寺
ひとのあなたを 愛することに 疲れはてたの ごめんなさい
駅で手紙を 出したあと 思い切るよに ゆく旅は 京都 北嵯峨 別れ寺 ・・・
くずれ落ちそそに 悲しいけれど 二度とあなたに 逢いません
戻る細道 沙羅の花 花も日暮れを 泣いてます ここは女の別れ寺 
■私は京都へ帰ります
小雨さみしい 博多の街へ 恋した貴方に 会いたくて
やって来ました 二年前 鞄一つで 泣いていた
まるであの日と 同じよに 私は京都へ帰ります ・・・
雨に流れる 見なれたこの街 ゆれてる灯りの その一つ
夢をあずけた 人がいる 窓のうしろへ うしろへと
未練心が はしります 私は京都へ帰ります  
■だから京都
燃えて一途な はかない花が 風にもつれて 舞い上がる
咲いて十日の短い命 乱れ散るならそれもいい
   だから京都 抱きしめていて だから京都 せつないくらい
   焦がれるほどに 女は女 愛を幾つも選べない
赤い口紅 似合う女は 恋が実ると云うけれど
はがゆい思い かみしめながら 想い出ばかり 並べてる ・・・
   だから京都 あの日のように だから京都 心酔わせて
   許されるなら 叶うものなら 夢の続きを 見たいから 
■古都逍遥
春爛漫の 嵐山 落花の雪に 踏み迷う 
旅にしあれば 京洛に 君が眸ぞ 偲ばるる
ああ花も夢もかえらず 逢いたい逢いたい 今の君に逢いたい ・・・
別離は人の 常なるを 銀漢冴えて 水清く
ゆきて還らぬ 紅唇よ 熱き心よ 今何処
ああ花も夢もかえらず 逢いたい逢いたい 今の君に逢いたい 
逢いたい逢いたい 今の君に逢いたい 
■古都情念
情念が めらめら燃える 大文字 五山の送り火 見ています
胸から揚げ羽の 蝶が舞う 私(うち)は このまま 死んでも
あなたと 切れません たとえ世間に 背いてまでも
紅ははんなり 今宵 修羅の道 ・・・
火祭りに 心を焦がす 鞍馬山 恋路をはばむか 九十九祈り
逢いたくなったら 夢で逢え 私(うち)は さみしさ 殺して
あなたに 捧げます 骨のずいまで 火の海となり
浴びた焔(ほむら)が 肌に 刺さります 
■千年の古都
約束もなく 日が暮れて 衣笠山に 一番星です
蚊柱を追う こうもりも 機織る音も 変わらないですね
夏は 火の車 抱いたまま 冬は 心に闇を 凍らせて
母が唄った 星の歌 あの星は あの星は あなたにとって 何ですか
   あぁ 時は身じろぎもせず 悠久のまま
   あぁ 時は身じろぎもせず 悠久のまま 千年の古都 ・・・ 
■木屋町の女
京都なみだ色あなた失くした町 蒼い日暮れが来て想い出が消える
恋を奪った白い羽織の 木屋町の女
あああなたが逃げてゆく石だたみ ・・・
京都たそがれに人の噂きいて 地図をたよりに来たあなたが住む町
憎む心と背中合わせの 愛に生きたけど
あああなたが忘られぬ石だたみ  
■三条河原町
都大路に ともる灯は 泣いて朧な こぼれ紅
弱いおんなが 強がりで ひとり生きてく あゝ 三条河原町 ・・・
忘れましたと 云いながら なんで八坂の 宵参り
もしやもしやに ひかされる おんな哀しや あゝ 三条河原町 
■紫野
君 いつの間に 誰 恋して 眩暈を覚える 綺麗になったね
その眼差しで 僕 見ないで 垣根がほどける 綺麗になった
   七重八重 山吹は 実をつけず 枝垂れ咲く
   鐘の声の 風の声の うらぶれて 道遠く
護りつつ犯しつつ 二人来た紫野
   君 知らぬ間に 誰 壊して 妖しく哀しい 笑顔になったね
   ふと 今何か 僕 はじけた 肩口すべって 揺らり一葉落ちた
幾度の 初恋を 君すでに 脱ぎ捨てて
紅色の 唇に 香り立つ 薄明かり
   与えつつ奪いつつ 二人来た紫野
幾度の 三叉路を 選び来て ゆき過ぎて
また同じ 三叉路に 今二人 巡り来て ・・・ 
■雨の嵐山
雨の降る京都の 嵐山を二人 息をきらしながら のぼり始めてゆく
ひとつの傘を二人 お前との世界 寒さにふるえる声は 霧の中へ消えてく
でも今はあの笑い顔も 冷たい雨もみんな すべて僕一人の 想い出の中
やがてくる春に 涙をうずめ 過ぎ去る冬を心で唄い
お前の影を抱きしめる
   雨の降る京都の 嵐山を二人 息をきらしながら のぼり始めてゆく
   大つぶ小つぶの雨は まるで涙語り 暗い雲の下で 愛を確かめ合う
   あの時のお前の言葉は 寂しさの中にしがみつき ・・・ 
■大原絶唱
かがり行燈 衣越しに 匂いこぼれる 白い肌
膝をすすめて 恋い問うひとに 罪を承知の 隠れ茶屋
高野川 瀬鳴りの音に 花橘を慕って 郭公が鳴く
生きて甲斐ある 命なら 夜叉も覚悟よ ねえあなた
夢のまた夢 そのまた夢を 夢と信じて 夢を見た
京都 大原 うつせみの恋
   月の出ぬ間の 螢火か 浮世流行も また恋も
   夜のすき間を 五月雨乱れ からだ反るほど 息も翔ぶ
   おんな道 踏むほど深し 哀れ知るやら 寂光院
   明日に別れが 来ようとも 抱いてください もういちど ・・・ 
■加茂川ブルース
情ながした加茂川に とけた淡雪はかなくて
好きや好きやと 寄り添うた 恋の真実が いまさらに
夜も待ってる ぼんぼりの 色を映して ほほ染めた
花の簪 コッポリの 舞妓いとしや 祇園町 ・・・
花見小路に雨が来て 濡れた黒髪 重たげに
ほんにほんにと細路地を ぬけてお座敷 京化粧
都おどりで 知り逢うて 祇園祭りで 結ばれた
京の恋路に 身を灼けば 燃える夜空の 大文字 
■祇園小唄
月はおぼろに 東山 霞む夜毎の かがり火に 夢もいざよう 紅ざくら 
しのぶ思いを 振袖に 祇園恋しや だらりの帯よ
   夏は河原の 夕涼み 白い襟あし ぼんぼりに かくす涙の 口紅も 
   燃えて身を焼く 大文字 祇園恋しや だらりの帯よ ・・・
雪はしとしと まる窓に つもる逢瀬の さしむかひ 灯影つめたく 小夜ふけて 
もやひ枕に 川千鳥 祇園恋しや だらりの帯よ 
■ひとり囃子
四条通りの 日盛りを 長刀鉾が通ります
   去年の夏に 見た時は あなたと私は揃いの浴衣
   はぐれちゃ嫌よと手をつなぎ 冷たいラムネを飲みました
あれからあなたは 帰ってこない 今から思えばわがままで
強がりばかりの私でした ごめんなさいねと いいながら
   祇園囃子と人波に 押されて思わず泣きました
鉾の上から 十字路に 青い粽が散りました ・・・
   あれからあなたは 帰ってこない 今から思えばあの時に
   生意気言ってた私の頬を 音立て殴って欲しかった
私ばかりか京都まで 捨ててどこかへ行った人 
■貴船の宿
はじめから 身丈に合わない 恋ですが
結べる縁は ありますか 雨をあつめて 流れる川と
たぎる心は 拒めない 京都 北山 時雨かなしい 貴船の宿 ・・・
何処までも 九十九に折れてく 木の根みち
ふたりの明日に 似てますね 風に打たれて 添えない恋が
落ちて点々 紅椿 京都 朝霧 夢もおぼろな 貴船の宿 
■嵯峨野巡礼
愛し合っても 実らぬ恋の せめて最後の 想い出づくり
嵯峨野巡礼…… 桜はらはら 祇王寺よ
先へ延ばせば 延ばすほど 別れはつらく なるものを
庵(いおり)のひと間 あなたと借りて 隠れ住みたい 三日でも ・・・
嵯峨野巡礼…… 露がほろほろ 念仏寺
ひとりぼっちで いつの日か 訪ねるときの 道しるべ
叶わなかった 女の夢を 埋めて小石の なみだ塚 
■比叡の風
荒行千日 比叡の風を 受けて歩いた 山道万里
暑さ寒さに 雨雪越えて 無我の心に 咲く花を
あゝ 不滅の法灯(あかり)が いま照らす ・・・
国の宝は 人づくりだと 伝え広めた 聖(ひじり)のおしえ
照らす一隅(いちぐう) 衆生(しゅじょう)のために 捧げ尽くさん この命
あゝ 比叡の風に 誓う朝 
■比叡おろし
風は山から降りてくる レタスのかごをかかえて
唇はくびれていちご 遠い夜の街を越えて来たそうな
うちは比叡おろしですねん あんさんの胸を 雪にしてしまいますえ ・・・
風は今夜も吹いている 死んでは駄目よといいながら
さよならは小さなみぞれ そっと京都の街に捨てて来たそうな
うちは比叡おろしですねん あんさんの胸を 雪にしてしまいますえ ・・・ 
■丹後半島
涙の残りは 小瓶に詰めて 窓から海へ 流します
丹後半島 伊根の舟屋は 軒の下まで 若狭湾
憎さ恋しさ あなたのために 女の胸は 板ばさみ ・・・
終わった昨日を 振り向くよりも 明日を向いて 歩きます
丹後半島 伊根の舟屋を 舟が出て行く 若狭湾
生まれ変わって 出直すために 口紅代えて 旅支度 
■女ひとり
京都 大原 三千院 恋に疲れた女がひとり
結城に塩瀬の素描の帯が 池の水面にゆれていた
京都 大原 三千院 恋に疲れた女がひとり ・・・
京都 嵐山 大覚寺 恋に疲れた女がひとり
塩沢がすりに名古屋帯 耳をすませば滝の音
京都 嵐山 大覚寺 恋に疲れた女がひとり 
■どうして私を愛したのですか
どうして 私を愛したのですか このまゝ二人の青春は 春を待たずに 終るのですか  
   悲しみを抱いて ひとり嵯峨野路へ 二人の想い出を 捨てに来ました 
   置いてきぼりの 山茶花に 降る雪が 淋しさをやさしくつゝむ 
   あー 白い世界が音もないまゝに 私の心を染める ・・・
化野(あだしの)に続く 雪の坂道は いくつもの悲しみ 隠しています 
凍えた愛の 想い出を ひとつづゝ この場所に置いて行きます 
あー 白い世界が 時を止めて今 私のこころをつゝむ ・・・ 
■お座敷小唄
富士の高嶺に 降る雪も 京都先斗町(ぼんとちょう)に 降る雪も
雪に変わりは ないじゃなし とけて流れりゃ みな同じ
   好きで好きで 大好きで 死ぬほど好きな お方でも
   妻という字にゃ 勝てやせぬ 泣いて別れた 河原町(かわらまち)
ぼくがしばらく 来ないとて 短気おこして やけ酒を
飲んで身体を こわすなよ お前ひとりの 身ではない
   一目見てから 好きになり ほどの良いのに ほだされて
   よんでよばれて いるうちに 忘れられない 人となり ・・・
お金も着物も いらないわ あなたひとりが 欲しいのよ 
■岸壁の母
母は来ました 今日も来た この岸壁に 今日も来た
とどかぬ願いと 知りながら もしやもしやに
もしやもしやに ひかされて ・・・
悲願十年 この祈り 神様だけが 知っている
流れる雲より 風よりも つらいさだめの
つらいさだめの 杖ひとつ 
■旅の夜風
花も嵐も 踏み越えて 行くが男の 生きる道
泣いてくれるな ほろほろ鳥よ 月の比叡を 独り行く
   優しか君の ただ独り 発たせまつりし 旅の空
   可愛子供は 女の生命 なぜに淋しい 子守唄
加茂の河原に 秋長けて 肌に夜風が 沁みわたる
男柳が なに泣くものか 風に揺れるは 影ばかり ・・・ 
 

 

京都府
伊根の舟屋 水田竜子
宇治川哀歌 香西かおり
保津川下り 三橋美智也
舞妓はん 橋幸夫
京のにわか雨 小柳ルミ子
京都生まれ 青江三奈
京都の恋 渚ゆう子
京都慕情 渚ゆう子
京都ひとり 渚ゆう子
京都の夜 愛田健二
京都ブルース 西田佐知子
京都から博多まで 藤圭子
京都でひとり 天地真理
京都哀愁 麻丘めぐみ
京都去りがたし 森進一
京都物語 原由子
京都ふたたび 多岐川舞子
京都北嵯峨別れ寺 島倉千代子
私は京都へ帰ります 藤圭子
だから京都 小柳ルミ子
古都逍遥 都はるみ
古都情念 美川憲一
千年の古都 都はるみ
木屋町の女 青江三奈
三条河原町 バーブ佐竹
もいちど河原町 由美かおる
紫野 さだまさし
雨の嵐山 長渕剛
大原絶唱 都はるみ
加茂川ブルース フランク永井
祇園小唄 藤本二三吉
ひとり囃子−祇園祭より− 小柳ルミ子
貴船の宿 川中美幸
嵯峨野巡礼 あべ静江
比叡の風 北島三郎
比叡おろし 小室等
西陣育ち 笹みどり
丹後半島 水森かおり
わたしの向日市 ダ・カーポ
女ひとり デューク・エイセス
どうして私を愛したのですか 高田みづえ
お座敷小唄 松尾和子 & マヒナスターズ
岸壁の母 菊池章子 (舞鶴) 
旅の夜風 霧島昇 (京都)  
 
奈良県

 

■奈良の春日野
奈良の春日野 青芝に 腰をおろせば 鹿のフン
フンフンフーン 黒豆や フンフンフーン 黒豆や 
フンフンフンフン 黒豆や 
   男鹿 女鹿は 子鹿連れ 鹿にうめぼし やったらば ・・・
春の鐘鳴る 東大寺 さぞやねむかろ 坊さんも
コクコクコーク こっくりこ コクコクコーク こっくりこ 
コクコクコクコク こっくりこ 
■大和路の恋
涙で綴った 別れの手紙 あなたに届いた 頃でしょう
ひとり大和路 淋しさ抱いて 仰ぐ三輪山 季節の風が…
振り向きません あの恋を 胸にしまって 胸にしまって 私は生きる ・・・
あなたに出逢えて 倖せでした 今なら言えます 心から
ひとり大和路 大神(おおみわ)鳥居 時を忘れて 想いはめぐる…
いにしえ人の あの和歌(うた)に 夢を重ねて 夢を重ねて 歩いてゆける 
■旅愁〜斑鳩にて〜
更け行く秋の夜 旅の空の わびしき思いに ひとりなやむ
恋しやふるさと なつかし父母
   夢じにたどるは 故郷の家路 更けゆく秋の夜 旅の空の
   わびしき思いに ひとりなやむ
窓うつ嵐に 夢もやぶれ 遥けき彼方に こころ迷う
恋しやふるさと なつかし父母 思いに浮ぶは 杜のこずえ ・・・ 
■室生寺
どうしていいのかわからぬままに すがりに来ましたみ仏に
教えてください室生さま 
女のかなしみ曳きずって 朱塗りの橋を渡ります ・・・
妻子を捨てさせ愛する人も なくして五重の塔の下
救けてくだせさい室生さま
深山のしぐれは罪ぶかい 女の頬を叩きます 
■女人高野
ひとりで行かせて この奥山は 女人高野(にょにんこうや)と 申します
愛も 明日も あきらめて 涙 おさめに まいります
通りゃんせ 通りゃんせ ここは どこの 細道じゃ
若い命を 惜しむよに 花が散ります はらはらと
燃えて咲くなら それでいい 枯れて散るなら それもいい
ここは室生寺(むろうじ) 鐘の音 ああ
   恋しくて 切なくて 女人高野の 風に泣く
   その手をはなして ここから先は 女人高野の おんな道
   夢も みれんも ふり捨てて 命 洗いに まいります
   通りゃんせ 通りゃんせ 行きは よいよい 帰りはこわい
   迷うわたしを 招くよに 灯り揺れます ゆらゆらと
   春に出会えりゃ それでいい 冬に別れりゃ それもいい
   ここは室生寺 鎧坂 ああ ・・・ 
■壺坂情話
見えぬあなたの杖になり 越える苦労の人世坂
あなた離しちゃだめですよ 運命の糸をこの指を
つなぐ心のお里・沢市 夫婦づれ ・・・
   すまぬ女房と掌をあわせ 頼る夫のいじらしさ
   好いたあなたとふたりなら 地獄へだってついてゆく
   なんでつらかろお里・沢市 夫婦づれ ・・・
神よ仏よきこえたら お慈悲くださいこの人に
明日を信じてねぇあなた 濡らすこの世のしぐれ道
涙ふきあうお里・沢市 夫婦づれ 
■平城山(ならやま)
人恋ふは悲しきものと 平城山(ならやま)に
もとほり来つつ たえ難(がた)かりき
   古(いにし)へも夫(つま)に恋ひつつ 越へしとふ
   平城山の路に 涙おとしぬ 
■まほろば
春日山から飛火野辺り ゆらゆらと影ばかり泥む夕暮れ
馬酔木の森の馬酔木に たずねたずねた 帰り道
   遠い明日しか見えない僕と 足元のぬかるみを気に病む君と
   結ぶ手と手の虚ろさに 黙り黙った 別れ道
川の流れは よどむことなく うたかたの時 押し流してゆく
昨日は昨日 明日は明日 再び戻る今日は無い
   例えば君は待つと 黒髪に霜のふる迄
   待てると云ったがそれは まるで宛て名のない手紙
寝ぐらを捜して鳴く鹿の 後を追う黒い鳥鐘の声ひとつ
馬酔の枝に引き結ぶ 行方知れずの懸想文 ・・・
   例えば此処で死ねると 叫んだ君の言葉は
   必ず嘘ではない けれど必ず本当でもない
日は昇り 日は沈み振り向けば
何もかも移ろい去って 青丹よし平城山の空に満月 
 

 

奈良県
奈良路慕情 三浦洸一
奈良の春日野 吉永小百合
大和路の恋 水森かおり
旅愁〜斑鳩にて〜 布施明
室生寺 牧村三枝子
女人高野 田川寿美
飛鳥は逝ける 藤山一郎 
壷坂情話 中村美律子 
平城山(ならやま) 平井康三郎
まほろば さだまさし
 
滋賀県

 

■琵琶湖周航の歌
われは湖(うみ)の子 さすらいの 旅にしあれば しみじみと
昇る狭霧(さぎり)や さざなみの 志賀の都よ いざさらば
   松は緑に 砂白き 雄松(おまつ)が里の 乙女子は
   赤い椿の 森陰に はかない恋に 泣くとかや
波のまにまに 漂えば 赤い泊火(とまりび) 懐かしみ
行方定めぬ 波枕 今日は今津か 長浜か
   瑠璃(るり)の花園 珊瑚(さんご)の宮 古い伝えの 竹生島(ちくぶじま)
   仏の御手(みて)に 抱(いだ)かれて 眠れ乙女子 やすらけく
矢の根は深く 埋(うず)もれて 夏草しげき 堀のあと
古城にひとり 佇(たたず)めば 比良(ひら)も伊吹も 夢のごと
   西国十番 長命寺 汚(けが)れの現世(うつしよ) 遠く去りて
   黄金(こがね)の波に いざ漕(こ)がん 語れ我が友 熱き心 
■琵琶湖哀歌
遠くかすむは 彦根城 波に暮れゆく 竹生(ちくぶ)島
三井(みい)の晩鐘 音絶えて なにすゝり泣く 浜千鳥
   瀬田の唐橋 漕ぎぬけて 夕陽の湖(うみ)に 出で行きし
   雄々し姿よ 今いずこ あゝ青春の 唄のこえ
比良の白雪 溶けるとも 風まだ寒き 志賀の浦
オールそろえて さらばぞと しぶきに消えし 若人よ ・・・ 
■比叡の風
荒行千日 比叡の風を 受けて歩いた 山道万里
暑さ寒さに 雨雪越えて 無我の心に 咲く花を
あゝ 不滅の法灯(あかり)が いま照らす ・・・
国の宝は 人づくりだと 伝え広めた 聖(ひじり)のおしえ
照らす一隅(いちぐう) 衆生(しゅじょう)のために 捧げ尽くさん この命
あゝ 比叡の風に 誓う朝 
■番場の忠太郎
筑波颪(つくばおろし)も 荒川土手を 跨ぎゃほぐれる 三度笠
顔も知らねえ 瞼の母に もしも遭えたら 話しのつぎ穂
なんとつけよか なんとつけよか 忠太郎 ・・・
   渡世仁義の 切り口上は 恥の上塗り さらすだけ
   せめてたよりは 親子の絆 どんなお人か ご無事でいてか
   思うだけでも ・・・
二束三文 草鞋の紐も いちどこじれりゃ 捨てるだけ
花のこぼれ灯 水熊横丁 雪の引き幕 芝居ははねた
どこへ流れる どこへ流れる 忠太郎 
 

 

滋賀県
近江の譜(うた) 芹洋子
近江わがまち 芹洋子
湖国(びわ)の女 愛田健二
湖岸通りは雨模様 愛田健二
琵琶湖周航の歌 加藤登紀子
琵琶湖哀歌 東海林太郎
琵琶湖慕情 三田佳子
びわ湖大橋小唄 金田たつえ
びわ湖旅情 三波春夫
びわこ音頭 村田英雄
びわこ賛歌 デューク・エイセス
みずうみの詩(うた) 斉藤昌子
多賀音頭 金田たつえ
ごかしょう音頭 小松みどり
守山音頭 都はるみ
日野小唄 金田たつえ
比叡の女 春日八郎
比叡の風 北島三郎 
しゃくなげ小唄 金田たつえ
琴という女 三橋美智也
番場の忠太郎 氷川きよし
みどりいっぱい ペギー葉山
 
三重県

 

■伊勢の女
雨を雨をふらした 南の風が 鳥羽の港に ふたりをのこす
ここまできたら ほんとうの ことをきかせて 欲しいのさ
なにをきいても おこりはしない
   海女の海女の磯笛 とぎれてないて 赤い夕陽に 真珠もぬれる
   黙っていると くるしくて 泣けてきそうな おれなのさ
   好きなだけでは 惚れたりしない
なにをなにをいのるのか 二見ヶ浦の 磯にしゃがんだ 襟足かわい
ふたりの夢は ふたりして ・・・ 
■二見情話
二見乙女(みやらび)やー
花ならば蕾 咲かすも散らすも あなたまかせョー
   小指からめればー
   心までからむ 濡れたこの肌が 忘れられぬョー
めぐり逢わなけりゃー
嘆きも知らぬに 今朝の別れ歌 涙の歌ョー
   連れて行かぬならー
   何故死ねと言わぬ 二見乙女の 夢を散らしョー ・・・
一夜二夜でもー
命を燃やせば 恋の残り火が 三年消えぬョー  
■志摩半島
焼いたアワビに からくち地酒 酔えば聞こえる 荒波太鼓
和具の大島 前浜漁港 土地の訛り なつかしい
海女のふるさと 志摩半島 ・・・
惚れた相手を 船から投げる 天下御免の 潮かけ祭り
気立て荒いが 人情も熱い 一度食べて いかんかれ
海女のふるさと 志摩半島 
■七里の渡し
万感の思いを 抱いて 伊勢の国 一の鳥居をくぐったよ
桑名・初恋 城下町 このいのち この心
燃やした夜が 此処にある うわさ・住吉 七里の渡し ・・・
宮水でこさえた お酒 焼蛤に添えた れもんの二十日月
桑名・浮世絵 宿場町 夢ひと夜 恋ひと夜
あの夜は何処へ 行ったやら 逢うて泣きたい 七里の渡し 
 

 

三重県
伊勢の女 北島三郎
伊勢めぐり 水森かおり
二見情話 田端義夫
志摩半島 鳥羽一郎
七里の渡し 笹みどり 
 
和歌山県

 

■豪商一代 紀伊国屋文左衛門
惚れた仕事に 命をかけて 散るも華だよ 男なら
怒濤逆巻く 嵐の中を 目指すは遙か 江戸の空
花の文左の みかん船
   肝の太さと 度胸の良さに 勇み集まる 十二人
   力合せて 乗り出す船は これも故郷の 人の為
   征くぞ夜明けの 和歌の浦 ・・・
沖の暗いのに白帆がサー見ゆる
あれは紀の国ヤレコノコレワイノサ みかん船じゃエー
   八重の汐路に 広がる歌が 海の男の 夢を呼ぶ
   花のお江戸は もうすぐ近い 豪商一代 紀の国屋
   百万両の 船が行く 
■和歌山ブルース
逢いたい見たい すがりたい そんな気持ちに させるのは
ぶらくり丁の恋灯り 真田堀なら ネオン川
和歌山泣きたい あぁやるせない ・・・
流れる涙 紀の川に 捨ててしまった女でも
慕情をこめてブルースを 唄う花散る 城下町
和歌山泣きたい あぁやるせない 
■熊野古道
離れるほどに 恋しさつのる 心はなんて あまのじゃく
列車を何度か 乗り継いで 熊野古道を ひとり旅
切れぬ未練に 振り向けば 足を取られる 木の根道 ・・・
涙の川を 何度か渡り 女は強く なると言う
つまずきながらも また一歩 熊野古道を 峠越え
歩き通した その時が きっと私の ひとり立ち 
■潮岬情話
沖へゆくのは 佐吉の舟よ 今朝は別れて いつまた逢える
いくら好きでも 添えない人を なんでこうまで 好きになる
ハァー潮の岬に 灯台あれど 恋の闇路は 照らしゃせぬ ・・・
わたし飼われた 夜啼く島よ 生きているさえ 悲しいものを
波は磯打つ 港は暮れる つらや恋しや 胸しぼる
ハァー熊野灘から 荒滝よせりゃ 涙糸ひく 天野の川 
 

 

和歌山県
豪商一代紀伊国屋文左衛門 三波春夫
和歌山ブルース 古都清乃
熊野古道 水森かおり
潮岬情話 香西かおり  
 
大阪府

 

■浪花恋しぐれ
芸のためなら 女房も泣かす それがどうした 文句があるか
雨の横丁 法善寺 浪花しぐれか 寄席囃子
今日も呼んでる 今日も呼んでる ど阿呆春団治
      「そりゃわいはアホや 酒もあおるし 女も泣かす
      せやかせ それもこれも みんな芸のためや
      今にみてみい! わいは日本一になったるんや
      日本一やで わかってるやろ お浜
      なんやそのしんき臭い顔は 酒や! 酒や! 酒買うてこい!」
そばに私が ついてなければ なにも出来ない この人やから
泣きはしません つらくとも いつか中座の華になる
惚れた男の 惚れた男の でっかい夢がある ・・・ 
■大阪のおんな
お酒飲まなきゃ いい人なのに 酒があんたを また変える
死ぬほど泣いて 泣いて泣いて それでも好きなら 帰れない
難儀なもんや 難儀なもんやね 大阪のおんな ・・・
橋の下から 鴎がとんだ あれは切ない おんな橋
死ぬほど抱いて 抱いて抱いて あんたと添いたい 情け花
難儀なもんや 難儀なもんやね 大阪のおんな 
■大阪ブルース
あんな男と 言いながら あんな男が 忘られぬ
ネオンのにじむ窓 夜ふけて雨がふる
あなた寒いわ 抱きしめて あーあああ 夢に泣く 大阪ブルース ・・・
肩にしぐれが 似合うよな よわい女に 誰がした
も一度あたためて あなたのその胸に
ふたり生きたい この街で あーあああ 春はいつ 大阪ブルース 
■大阪ラプソディー
あの人もこの人も そぞろ歩く宵の街
どこへ行く二人づれ 御堂筋は恋の道
映画を見ましょうかそれともこのまま
道頓堀まで歩きましょうか 七色のネオンさえ
甘い夢を唄ってる 宵闇の大阪は 二人づれ恋の街 ・・・
覚えておきます 小さなことまで 
あなたとすごした 大事な夜は 七色のネオンさえ 
甘い夢を唄ってる 宵闇の大阪は 二人づれ恋の街 
■大阪情話
お父ちゃんを買うてと 泣きじゃくる 不憫なこの子を 抱きしめて
生きてます 泣いてます この世にいない あんたを怨んで泣いてます
見えますやろか 見えますやろか 妻と娘の 妻と娘の このふしあわせ ・・・
お父ちゃんはお空の あの星と 唄って寝かせる 子守唄
もう泣かへん 泣きまへん この子にいつか 倖せめぐってくる日まで
見えますやろか 見えますやろか 妻と娘の 妻と娘の 春待つこころ 
■大阪夜霧
好きになっては いけないと 誰も教えて くれなんだ
ひとり歩きの 御堂筋 なんで今夜も 霧が降る ・・・
   なまじ来る気じゃ なかったに 赤いネオンに 誘われた
   恋の難波の 人波に もしや もしやの 空だのみ ・・・
せめて泣くだけ 泣いたなら はれてくるそな この胸も
霧で溶かした 思い出を 夜の大阪 どこで消そ 
■大阪ぐらし フランク永井
赤い夕映え 通天閣も 染めて燃えてる 夕陽ヶ丘よ
娘なりゃこそ 意地かけまする 花も茜の 夾竹桃(きょうちくとう)
   がたろ横丁で 行き暮れ泣いて ここが思案の 合縁奇縁
   おなごなりゃこそ 願かけまする 恋の思案の 法善寺 ・・・
夕は夕凪(ゆうなぎ) 夕凪千鳥 鴎啼け啼け 大阪ぐらし
男なりゃこそ 夢かけまする 明日の才覚 土性っ骨 
■大阪の人 三浦洸一
霧が流れる 御堂筋 君待てど君は来ず 街は夜の化粧
恋の梅田も 呼んでいるのに ああ辛かろうと泣かない 大阪の人 ・・・
花の難波(なんば)の スナップ・ショット 君のかわいい姿 胸に抱いて今宵
通天閣に ひとり登ろよ ああ辛かろうと泣かない 大阪の人 
■哀愁の駅
涙あふれる夜汽車の窓に これを最後と別れのベルが
情無用に鳴りひびく 大阪始発上りの列車
10時45分 あゝ哀愁の駅 11番ホーム ・・・ 
恋に破れて旅ゆく影に 忍び寄るのは無情の風と
すがるあてないこの夜ふ 大阪始発上りの列車
10時45分 あゝ哀愁の駅 11番ホーム 
■買い物ブギ
今日は朝から私のお家はてんやわんやの大さわぎ
盆と正月一緒に来たよなてんてこ舞いの忙しさ
何が何だかさっぱりわからず どれがどれやらさっぱりわからず
何もきかずにとんでは来たけど 何を買うやら何処で買うやら
それがゴッチャになりまして
わてほんまによう云わんわ わてほんまによう云わんわ
たまの日曜サンデーと云うのに 何が因果と云うものか
こんなに沢山買物頼まれ ひとのめいわく考えず
あるもの無いもの手当り次第に ひとの気持も知らないで
わてほんまによう云わんわ わてほんまによう云わんわ ・・・
お客さんあんたは一体何買いまんねん そうそうわたしの買物は
魚は魚でもオッサン鮭の缶詰おまへんか 
わてほんまによう云わんわアホカイナ 
丁度隣は八百屋さん
人参大根にごぼうに蓮根ポパイのお好きなほうれん草
トマトにキャベツに白菜に胡瓜に白瓜ぼけなす南瓜に ・・・ 
■悲しい色やね
にじむ街の灯を ふたり見ていた 桟橋に止めた 車にもたれて
泣いたらあかん 泣いたら せつなくなるだけ
   HOLD ME TIGHT 大阪ベイブルース おれのこと 好きか あんた聞くけど
   HOLD ME TIGHT そんなことさえ わからんようになったんか
大阪の海は 悲しい色やね さよならをみんな ここに捨てに来るから
   夢しかないよな 男やけれど 一度だってあんた 憎めなかった
   逃げたらあかん 逃げたら くちびるかんだけど ・・・ 
 

 

大阪府
浪花小唄 二村定一・藤本二三吉
浪花恋しぐれ 都はるみ&岡千秋
浪花そだち 神野美伽
浪花夜景 渥美二郎
浪花の灯り 大月みやこ
浪花酔虎伝 冠二郎
俺は浪花の漫才師 横山やすし
大阪音頭 藤本二三吉
大阪女のブルース 藤圭子
大阪かっぽれ 藤本二三吉
大阪化粧 三門忠司
大阪恋みれん 青木愛
大阪ビギン 坂本ひろし
大阪行進曲 井上起久子
大阪で生まれた女 BORO
大阪テ・キエロ〜あなたゆえに〜 香西かおり
大阪のおんな 石川さゆり
大阪の夜 西田佐知子
大阪ブルース 青江三奈
大阪ヘヴィーレイン 和田アキ子
大阪レイニーブルース  
大阪無情 三門忠司
大阪ラプソディー 海原千里・万里
大阪ものがたり 角川博
大阪情話 金田たつえ
大阪夜霧 大月みやこ
大阪野郎 フランク永井
ぬれて大阪 アローナイツ
ふたり大阪 松浦亜弥
泣いて盛り場大阪編 横山やすし
OSAKA LADY BLUES 〜大阪レディ・ブルース〜 桑田佳祐
哀愁の駅 松山惠子 (大阪)
面影の都 氷川きよし
買物ブギ 笠置シヅ子
悲しい色やね 上田正樹
こいさんのラブ・コール フランク永井
小鳥が来る街 島倉千代子
 
大阪市
■大阪ものがたり
大阪 大阪 雨の北新地 肩を抱く人もない 女がひとり
お初天神 梅のひと枝に 結んだおみくじ 濡れて 濡れてちぎれ
古い屋台の 関東煮(かんとうだ)きを あの人と 頬張った 夜が遠去かる
噂は 今日も 桜橋 あの人 浮かれ上手な人よ
大阪 大阪 恋と 夢が 川に映る街 ・・・ 
■大阪ごころ
泣けばあなたが 帰るなら 涙 涸れても 悔いはない
一人きました 御堂筋 すがりたいのよ もう一度
あー雨が 雨が 雨が思い出つれてくる… 大阪ごころ ・・・
あても頼りも無いけれど 両手合わせる 法善寺
なさけ難波の 恋灯り いつかあなたに めぐり逢う
あー夢を 夢を 夢を見ました 今日もまた… 大阪ごころ 
■大阪しぐれ
ひとりで 生きてくなんて できないと
泣いてすがればネオンが ネオンがしみる
北の新地は おもいでばかり 雨もよう 夢もぬれます ああ大阪しぐれ ・・・
しあわせ それとも今は ふしあわせ
酔ってあなたは曽根崎 曽根崎あたり
つくし足りない 私が悪い あの人を 雨よ帰して ああ大阪しぐれ 
■大阪つばめ
雨の降る夜は人恋しくて 夢がぬれますネオンがしみる
とんでゆきたい抱かれたい 大阪つばめ
縁を切る橋つなぐ橋 渡りきれない淀屋橋 ・・・
にごり水でも青空うつす 越えてゆけますあなたがいれば
ふたりとびたい春の空 大阪つばめ
つたい歩きのとまり木は 浮いて流れて北新地 
■大阪の夜
なにも なにもしないで 帰してくれる そんなそんな あなたが 憎らしい
なぐりつけても なびかせる 無理を待ってる 宗右衛門町の
夜が短い 大阪の夜 ・・・
豆が 豆が欲しくて 集まる鳩の 影に影に 夜明ける 中之島
あんな女じゃ ない私 見栄もはります 意地張りまする
好きのニの字に すべてをかけて 
■大阪の女
まるで私を 責めるよに 北の新地に 風が吹く
もっと尽くせば よかったわ わがまま言って 困らせず
泣いて別れる 人ならば
   とても上手に 誘われて ことのおこりは このお酒
   がまんできずに 愛いたの 悪いうわさも 聞いたけど
   やさしかったわ 私には ・・・
きっと良いこと おきるから 京都あたりへ 行きたいわ
酔ったふりして 名を呼べば 急にあなたが 来るようで
離れられない 大阪を 
■ふたりの大阪
(女)頬よせあって あなたと踊る (男)別れに似合いの 新地のクラブ
(女)泣かない約束してたのに (男)おまえの背中が しのび泣く
(女)残り (男)わずかな (男女)この刻を
(男女)あゝ 抱きしめて ふたりの大阪 (男女)ラスト・ダンス ・・・
(女)さよならいわせる 時間を停めて (男)ごめんよおまえに 幸せやれず
(女)誰にも負けない 愛なのに (男)夜明けが静かに 幕を引く
(女)残り (男)わずかな (男女)この恋を
(男女)あゝ 抱きしめて ふたりの大阪 (男女)ラスト・ダンス 
■宗右衛門町ブルース
きっと来てねと 泣いていた かわいあの娘は うぶなのか
なぜに泣かすか 宗右衛門町よ さよなら さよなら 又来る日まで
涙をふいて さようなら ・・・
いちょう並木に 春が来る 君にも来るよ 幸せが
なぜかかなしい 宗右衛門町よ さよなら さよなら もう一度だけ
明るい笑顔を みせとくれ 
■お百度こいさん
あきらめられない この願い 泣いて船場の こいさんが
芝居の裏の雨の夜 お百度まいりの法善寺
くすり問屋のあの人に あの人に どうぞ添わせて どうぞ添わせて
おくれやす おくれやす ・・・
おみくじ引こうか辻占か 淡路町から こいさんが
悲しい夢と 知りながら お百度まいりの法善寺
思いこがれるあの人に あの人に どうぞ添わせて どうぞ添わせて
おくれやす おくれやす 
■法善寺ブルース
恋もしました 泣きました 今じゃ ネオンの花園が
はぐれ蝶々の 仮の宿 夢をください もう一度
祈る涙の 祈る涙の 法善寺 ・・・
夢をみました 消えました 今じゃ ミナミのこの街で
変えた名前も いくつやら つかみそこねた 幸せを
さがす女の さがす女の 法善寺 
■月の法善寺横丁
庖丁一本 さらしに巻いて 旅へ出るのも 板場の修業
待っててこいさん 哀しいだろうが ああ 若い二人の
想い出にじむ 法善寺 月も未練な 十三夜 ・・・
   腕をみがいて 浪花に戻りゃ 晴れて添われる 仲ではないか
   お願いこいさん 泣かずにおくれ ああいまの私(わて)には
   親方はんに すまないが 味の暖簾(のれん)にゃ 刃が立たぬ ・・・
意地と恋とを 庖丁にかけて 両手あわせる 水掛不動
さいならこいさん しばしの別れ ああ夫婦善哉
想い出横丁 法善寺 名残りつきない 灯がうるむ 
■新地の雨
(男)新地通りに にわか雨 (男)ついてない日や 傘がない
(男)金もないけど 安そな店に (男)入ってやむまで 雨宿り
(女)新地通りに にわか雨 (女)ついてない日や 客がない
(女)早じまいして お部屋に帰り (女)レンタルビデオでも見ようかな
(男)君は似てるね大原麗子 (女)あなた似てるわ 高倉健
(男女)恋は二人の 北新地
   (女)ど演歌唄う 渋い声 (女)カラオケ代はいらへんわ
   (女)商売忘れて一緒に飲んで (女)あたしも一曲歌うから
   (男)逢ったその日に気がおおて ・・・
   (男女)恋は二人の 北新地 
■中の島ブルース
赤いネオンに 身をまかせ 燃えて花咲く アカシアの
あまい香りに 誘われて  あなたと二人 散った街
あゝ ここは札幌 中の島ブルースよ
   水の都にすてた 恋 泣いて別れた 淀屋橋
   ほろり落とした 幸せを あなたと二人 拾う街
   あゝ ここは大阪 中の島ブルースよ ・・・
あなたと二人濡れた街 あゝ ここは長崎 中の島ブルースよ 
■新・中の島ブルース
夢をください 嘘でいいから この指に この髪に この胸に
ゆきずりの旅の人よ あすは他人の 背広姿
一度だけ 一度だけ 契りかわせば ああ 泣いて札幌 中の島ブルース
   お酒ください 涙色した 淋しさに 想い出に 傷跡に
   止り木の旅の人よ どこか昔の 男に似てる
   面影が 面影が 心ゆらせば ああ 泣いて大阪 中の島ブルース ・・・
ひきとめて ひきとめて 未練ごころを ああ 泣いて長崎 中の島ブルース 
■雨の御堂筋
小ぬか雨降る 御堂筋 こころ変りな 夜の雨
あなた… あなたは何処よ あなたをたずねて 南へ歩く
   本町あたりに あなたはいると 風の知らせを 背中で聞いて
   こんな… 女がひとり 探していたことを 誰かつたえて ・・・
ああ 降る雨に 泣きながら 肌をよせて 傘もささず
濡れて… 夜の 梅田新道 心斎橋と
雨の舗道は 淋しく光る あなた… あなたのかげを
あなたを偲んで 南へ歩く 
■愛染橋
春一番が吹き荒れた後 花を敷いた路地へ
今日こそ返事聞かせてくれと 問いつめられそうで
   あなた以上にやさしい人は いそうにもないけど
   結婚なんて旧い言葉に 縛られたくなくて
橋の名は愛染橋 ほほえんで渡れば恋がかなう
うつむけばそれきりとまどい橋
   うちは淋しい女やからね 愛なんてよう知らん
   時の流れも春のうららに 渡りたい 渡れない ・・・ 
■王将
吹けば飛ぶよな 将棋の駒に 賭けた命を 笑わば笑え
うまれ浪花の 八百八橋 月も知ってる 俺らの意気地 ・・・
明日は東京に 出て行くからは なにがなんでも 勝たねばならぬ
空に灯がつく 通天閣に おれの闘志が また燃える 
大阪市
大阪ブギウギ 笠置シヅ子
大阪ものがたり 角川博
大阪エレジー シャ乱Q
大阪ごころ 大月みやこ
大阪暮色 桂銀淑
大阪しぐれ 都はるみ
大阪つばめ 石川さゆり
大阪ぐらし フランク永井
大阪ろまん フランク永井
大阪の夜 美川憲一
大阪の女 ザ・ピーナッツ
さそわれて大阪 道上洋三 & 唐川満知子
ふたりの大阪 都はるみ & 宮崎雅
若い二人の心斎橋 吉永小百合 & 三田明
宗右衛門町 丘みどり
宗右衛門町ブルース ダークホース
道頓堀左岸 アイ・ジョージ
道頓堀情話 田端義夫
道頓堀人情 天童よしみ
道頓堀の花売娘 岡晴夫
お百度こいさん マヒナ・スターズ
法善寺ブルース 金田たつえ
月の法善寺横町 藤島桓夫
千日前ラプソディー 水木ケイ
戎橋ブルース 美川憲一
あゝ大阪城 三橋美智也
船場ごころ フランク永井
丼池人生 北島三郎
通天閣の子守唄 大月みやこ
通天閣の灯 橋幸夫
梅田ブルース 並木路子
梅新ブルース 藤田まこと
新地ワルツ レツゴー三匹
新地ブルース 畠山みどり
新地の雨 藤圭子
堂島 フランク永井
曽根崎ブルース 美鈴愛子
恋の曽根崎 美空ひばり
天満エレジー 海原千里・万里
天満橋から 吉永小百合
天神祭りばやし マヒナスターズ & 田代美代子
中の島ブルース アローナイツ
はじまりは中之島 神農幸
朝靄の京橋で乗り換え 中之島ゆき
上六ブルース 愛郷子
雨の御堂筋 欧陽菲菲
ありがとう御堂筋 唐渡吉則
恋する御堂筋 江本孟紀&入江マチ子
たそがれの御堂筋 坂本スミ子
タンゴ御堂筋 小林旭
二人の御堂筋 クール・ファイブ
愛染橋 山口百恵
くいだおれの唄 デューク・エイセス
かに道楽の歌 デューク・エイセス
地底のランナー 芹洋子
好きやねん 河合美智子 & 生瀬勝久
泣かんとこ 美川憲一
心ブラお嬢さん 美空ひばり
心ブラブラリはエゝヤナイカ 島倉千代子 & 北原謙二
十三の夜 藤田まこと
王将 村田英雄
 
北摂地方​
■国際線待合室
青いランプの誘導路 なぜか今夜は身にしみる
逢えばつらいと逢えばつらいと 知りながら
ひとり来ました逢いたくて ああああ涙の空港待合室 ・・・
別れ言葉のその先は はるかに遠い滑走路[ランウェイ]
長い別れの長い別れの 尾を引いて
異国の空に消えた人 ああああ夜霧の空港待合室 
北摂地方​
国際線待合室 青江三奈
ここに千里の丘がある 佐良直美
世界の国からこんにちは 三波春夫
万国博音頭 村田英雄
 
河内地方​
■河内おとこ節
河内生まれの 風来坊は 生きのいゝのが あゝ…売りもんや
サテモ皆様 おそまつながら こゝが男の 舞台なら
太鼓叩いて 見栄を切る 喧嘩囃子の 河内ぶし ・・・
馬鹿な息子と 叱ってくれる 俺(わい)の親父(おやじ)は あゝ…生駒山
サテモ皆様 おゝそれながら 肌は鉄火の 勇み肌
グイと冷酒 飲みほして 仁義がわりの 河内ぶし 
■野崎小唄
野崎参りは 屋形船でまいろ どこを向いても 菜の花ざかり
粋な日傘にゃ 蝶々もとまる 呼んで見ようか 土手の人 ・・・
野崎参りは 屋形船でまいろ 音にきこえた 観音ござる
お願かけよか うたりょか滝に 滝は白絹 法(のり)の水 
河内地方​
河内おとこ節 中村美律子
河内酒 中村美律子
野崎小唄 東海林太郎
 
泉州地方​
■泉州春木港
五人も倅がありながら ひとりも船に乗るヤツが
いないと悔んで涙ぐむ 泉州春木港の髭おやじ
鴎相手に呑む地酒 なんで男の気持ちがわかる
ヨーホホイ ヨーホホイ ああ・・・ ・・・
立派な稼業といわないが 命をかけた 今日までの
漁師の心をついでくれ 泉州春木港の 兄弟よ
陸で女のケツ追うて 馬鹿をみるなよ どっしり生きろ
ヨーホホイ ヨーホホイなああ・・・ 
■だんじり
冷酒を一ぱい 一気に干して パッと清めの 塩をふる
行くぞだんじり この血がさわぐ 恋は二の次 祭りが先だ
風に法被を なびかせて 町を地鳴りが ソリャーソリャー つっ走る ・・・
秋の浜風 こなから坂へ 吹いて宮入り やり回し
うなれ風切れ たんじり囃子 見てるあの娘の 心をゆすれ
汗は男の 花吹雪 あがるどよめき ソリャーソリャー 天を衝け 
泉州地方​
泉州春木港 鳥羽一郎
だんじり 鳥羽一郎
だんじり 中村美律子
だんじりの女房 永井みゆき  
水茄子ブギ 谷本知美
 
兵庫県

 

■神戸
トンネルをくぐりぬけ 降りたつ駅は ドラの音の 似合う街 少しだけ寂しい
想い出ばかり たどってみても 愛した人 別れた人 今…
神戸 叫んでも 届かぬ思い いつも見てた 灯かりさえも 見えなくて
   神戸 変わり行く 景色の中で 夢を ゆめを 探してる
風見鶏揺れている 夕暮れ時は 赤い靴 似合う街 少しだけ 悲しい
季節外れの 野路菊なのに 愛した人 別れた人 今…
神戸 消えそうな夢を 追いかけ ・・・ 
■そして、神戸
神戸 泣いて どうなるのか 捨てられた我身が みじめになるだけ
神戸 船の灯うつす 濁り水の中に 靴を投げ落す
そして ひとつが 終わり そして ひとつが 生まれ
夢の続き 見せてくれる 相手 捜すのよ
   神戸 呼んで帰る人か 傷ついた心が みにくくなるだけ
   神戸 無理に足を運び 眼についた名もない 花を踏みにじる ・・・
誰か うまい 嘘のつける 相手 捜すのよ 
■港が見える丘
あなたと二人で 来た丘は 港が見える丘
色あせた桜 唯一つ 淋しく 咲いていた
船の汽笛 咽(むせ)び泣けば チラリホラリと 花片(はなびら)
あなたと私に 降りかかる 春の午後でした ・・・
あなたを想うて 来る丘は 港が見える丘
葉桜をソヨロ 訪れる しお風 浜の風
船の汽笛 遠く聞いて ウツラトロリと 見る夢
あなたの口許 あの笑顔 淡い夢でした 
■三の宮ブルース
三の宮 泣いて別れた 小雨に煙る舗道
元町 泣いて別れた 雨に濡れた舗道
ポートアイランドで 五時に待ち合わせたわ
船は出て行くけど あなたは来ない 
三の宮 泣いて別れた 雨に濡れた舗道 ・・・
三の宮 傘もささずに 肩を濡らす裏通り
元町 二度と帰らぬ 過去がゆれるレンガ道
ポートタワーにも 灯りがともる頃
二人で乗るはずの 船が出て行くわ
三の宮 泣いてサヨナラ 雨に濡れた舗道 雨に濡れた舗道 
■尼崎の夜空を見上げて
少し口が悪くても 誰かの事を思う人の 言葉は本当に優しくて
思い出すたび笑顔になる 洗面器カタコト おばさんサンダル履いて
見上げた尼崎の夜空を 僕はたまに思い出す
   「背中に絵が描いてるよ?」 子供だった僕は言った
   湯気の向こうで従兄弟が 固まってたっけな
   「傑作やなぁ」とおっちゃんは とがめずに笑ってくれた
   年寄りも子供もどんな人も 同じ風呂につかって
ちょうど買って帰るときの 手の中のたこ焼きみたい
思い出は今も僕の胸で ほんのりしめって暖かい ・・・
   高速道路をトラックが 走り過ぎて行く音が
   怪獣が寂しそうに泣いてる 声みたいで不安になった
   明かりのひもを二回だけ 引っぱって眠りにつく
   胸の灯火とでも言うように 消さない豆電球
夜中に目が覚めた時に オレンジに浮かぶみんなの寝顔を
見てるだけで嬉しくなって 安心してまた目を閉じた
   少し口が悪くても 誰かの事を思う人の 言葉はあまりに優しくて
   素直になってしまう 洗面器カタコト おばさんサンダル履いて
   見上げた尼崎の夜空を 僕はたまに思い出す ・・・ 
■淡路島
親父の車で渡った明石海峡 まだ橋もなく船の旅
朝陽に照らされ消えてく神戸の夜景に 子供のくせにせつなくなった
海辺を走り 五色浜に寝そべり 魚釣る親父の背中に大きさを
ここは淡路島 親父を生んだ町 神戸からこぼれた涙の形
   浴衣に着替えておどける 洲本の旅館の写真の俺は幼くて
   親父とぶつかることなど知るよしもなく 酒飲みかわすこともないまま
   窓から吹き込む玉葱の香りも 夕陽に照らされた燻(いぶし)の瓦にも
   ここは淡路島 親父が眠る町 神戸からこぼれた涙の形
今ならわかるさ 親父の不安や苛立ちも
父親と男で揺れる心の葛藤も 珈琲の味も
ステテコと志賀勝の良さも 親父が夢に破れていたのも
何も言わなかったのも ・・・ 
■新雪
紫けむる 新雪の 峰ふり仰ぐ このこころ
ふもとの丘の 小草をしけば 草の青さが 身にしみる ・・・
大地を踏んで がっちりと 未来に続く 尾根づたい
新雪光る あの峰こえて ゆこうよ元気で 若人よ 
■霧のハイウェー
誰がつけたか ドリームコース デイトが二人の 幸福なのよ
時間の限りを 寄り添いながら 恋のドライブ 夜を夜を明かして
ああオレンジカラーの 夢を見る ・・・
星があんなに 降る夜に近い 芦屋六甲 風さえ甘い
オレンジカラーの 光を切って 恋のドライブ 時を時を忘れて
ああ あなたの胸の 花になる 
■春景色
あなた待つホームから見える景色は遠い海 
春めく風に誘われる神戸線 のどかに
紺色のつめ襟のあなたは少してれたふう 
どきどきするわ 生意気なあなたなの いつもは
   電車の音 まぎれ 「遊び過ぎたみたい」と 
   黙ってるわたしの瞳 不安気にのぞくの
卒業式が終わって 春休みが過ぎてけば 
4月からあなたより1つ上級生になる
おこってるからじゃないの 無口になってるわけは 
過ぎて行く季節のことを想ってただけ
   坂道を上りきり 見下ろせば ほら船の影 
   優しくわたし包んでる この街は いつでも
   ジェラートをなめてても やっぱりあなた 元気ない 
   「嫌われても仕方ない」と思ってる ばかなの ・・・
いつの日かこんなふうでいられなくなるとしても 
今はただ優しい日射しに甘えていたい 
■別れのブルース
窓を開ければ 港が見える メリケン波止場の 灯が見える
夜風 潮風 恋風のせて 今日の出船は どこへ行く
むせぶ心よ はかない恋よ 踊るブルースの 切なさよ ・・・
   腕にいかりの 入れずみほって やくざに強い マドロスの
   お国言葉は 違っていても ・・・ 
   二度と逢えない 心と心 踊るブルースの 切なさよ 
 

 

兵庫県
神戸 前川清
神戸北ホテル 青江三奈
神戸で死ねたら 西田佐知子
神戸で逢えたら 桜田淳子
そして、神戸 クール・ファイブ
港が見える丘 平野愛子
港・坂道・異人館 いしだあゆみ
港神戸は泣いている アローナイツ
三の宮ブルース サザンクロス
タワー・サイド・メモリー 松任谷由実
ザ・明石海峡大橋 オヨネーズ
六甲おろしふいた 大江千里
阪神タイガースの歌 (六甲おろし)
栄冠は君に輝く 伊藤久男
陽は舞いおどる甲子園 (選抜高校野球・二代目大会歌)
芦屋の雨 麻丘めぐみ
尼崎の夜空を見上げて 槇原敬之
播磨の渡り鳥 坂本冬美
あゝ忠臣蔵 三波春夫
淡路島 増田政夫
デカンショ節
恋は魔法さ 浜田省吾
新雪 灰田勝彦
泣いてみりゃいいじゃん 近藤真彦
霧のハイウェー 青江三奈
春景色 南野陽子
今ありて 谷村新司
春の唄 渡辺光子
ふたりの季節 ジュディ・オング
すみれの花咲く頃 天津乙女
夢日記 大月みやこ 
別れのブルース 淡谷のり子 (神戸) 
 
中国

 

■山陽道
それじゃ行くぜと 背を向けりゃ 露地を小走り 後追い泣いた
雨に追われて 船坂越えりゃ やけにお前が 胸に泌む
酒だ酒だよ こんな日は ああ街道に 灯が点りゃ
旅の宿場に月も顔出すョー 山陽道 ・・・
宇品小郡 ひとり旅 ああ見上げれば 満天の星
遥か夜空に 夢が燃え立つョー 山陽道 
■絶唱
愛おしい 山鳩は 山こえて どこの空
名さえはかない 淡雪の娘よ なぜ死んだ ああ 小雪 ・・・
山番の 山小舎に 春が来る 花が咲く
着せて空しい 花嫁衣裳 とこしえの ああ 小雪
なぜ死んだ ああ 小雪 
中国
山陽道 鳥羽一郎
絶唱 舟木一夫
 
鳥取県

 

■鳥取砂丘
潮の匂いに 包まれながら 砂に埋れて 眠りたい
失くした後で しみじみ知った あなたの愛の 大きさを
鳥取砂丘の 道は迷い道 ひとりで生きて行けるでしょうか… ・・・
二度と昨日へ 戻れぬように 砂が足跡 消して行く
あなたと生きた 想い出捨てて 背伸びをすれば 涙越し
鳥取砂丘の 星が道しるべ 見えない明日が見えるでしょうか… 
■砂になりたい
心がこなごな こわれた私 体もさらさら 砂になりたい
春になっても まだ寒い 北の砂丘を ただひとり
   日本海から 吹く風で 砂のつぶてが 頬をうつ
   うらんでいうのじゃ ありません 恋でこの身が 燃えつきました ・・・
山陰本線 夜の汽車 明けて砂丘の 砂もよう
心がこなごな こわれた私 体もさらさら 砂になりたい なりたい なりたい 
 

 

鳥取県
はわい(羽合)音頭 都はるみ
鳥取・砂丘・風の人 ロマンチカ
鳥取砂丘 水森かおり
砂になりたい 石川さゆり
夢港 石崎旭
 
島根県

 

■島根恋旅
愛するだけでは 結ばれなくて ふたりのこの恋 行き止まり
つらい思いを 断ち切るために 山陰本線 ひとり旅
雨にかすんだ 宍道湖が 未練なおんなの なみだ…なみだ…なみだを誘う ・・・
心と心で むすんだ糸を 今度は切らない ほどかない
雲の彼方に 光が射せば 島根恋旅 未来(あした)へと
出逢い ふれ逢い めぐり逢い 縁は一生 笑顔…笑顔…笑顔が嬉しい 
■美保関潮歌
小さな入江に 肩よせ合って 小さな町が 息づいている
関の五本松 一本伐りや四本 あとは伐られぬ 夫婦松(めおとまつ)
心温める 船唄の 唄の向こうに ショコホイ ショコホイ 美保関 ・・・
元気でゆこうと海猫啼けば しぶきの虹が 岬を染める
関はよいとこ 師走の海を 寒くないのか 諸手船(もろたぶね)
神が選んだ つわ者が 水をかけあう ショコホイ ショコホイ 美保関 
■日御碕灯台
白い灯台 潮風耐えて 誰を待つのか ただひとり
必ず戻ると 言ったのは その場かぎりの 嘘ですか あなたに逢いたい 日御碕 ・・・
海を夜通し 照らしてみても 思い届かぬ 恋灯り
涙の飛沫に 濡れようと 私一生 ここで待つ あなたの名を呼ぶ 日御碕 
■津和野
愛する想いを 絶ち切るつらさ 知っているのか 花菖蒲
こんなに遠く 離れても あきらめきれずに 涙ぐむ・・・
島根 津和野の 城下町 心細さが 身に沁みる ・・・
あなたと出逢って 愛されたこと いまは言えます 倖せと
今度は夏の 鷺舞(さぎまい)に 二人でおいでと 土地のひと・・・
島根 津和野の 和紙(かみ)人形 明日(あす)は笑顔に 戻れそう 
■津和野ひとり
恋した娘は なぜだか知らず ひとりで旅に 出かけます
私も同じ 雑誌に出てた 津和野の街へ 来たところ
あああー 城下町を 歩いていても 小さな宿屋に 泊っていても
想うはあなたの ことばかり 今度帰るまで 心に決めます
あの胸にとびこめる 私になってます ・・・
今度帰るまで 心に決めます あの胸にとびこめる 私になってます 
■案山子
元気でいるか 街には慣れたか
友達出来たか 寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る
   城跡から見下せば 蒼く細い河 橋のたもとに 造り酒屋のレンガ煙突
   この町を綿菓子に染め抜いた雪が消えれば お前がここを出てから初めての春
手紙が無理なら 電話でもいい 「金頼む」の一言でもいい
お前の笑顔を待ちわびる おふくろに聴かせてやってくれ
   元気でいるか 街には慣れたか
   友達出来たか 寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る
山の麓煙吐いて列車が走る 凩が雑木林を転げ落ちて来る
銀色の毛布つけた田圃にぽつり 置き去られて雪をかぶった 案山子がひとり
   お前も都会の雪景色の中で 丁度 あの案山子の様に
   寂しい思いしてはいないか 体をこわしてはいないか ・・・
寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る 
■恋歌の里
なにが女にできるでしょうか 詠歌(うた)に託して 泣くよりほかに
命むすんだ 情(なさ)けの糸も 切れて 別れの辛(から)の崎(さき)...
ひとつ摘(つ)みましょ わすれ草 さだめ哀しや 恋歌の里 ・・・
逢える 次の世くださいますか 千鳥おしえて また来る春を
たとえ死んでも 添いとげますと 祈る おんなの江(ごう)の川(かわ)...
ひとつ 摘(つ)みましょ おもい草 みれんせつなや 恋歌の里 
 

 

島根県
島根恋旅 水森かおり
美保関潮歌 島津亜矢
日御碕灯台 丘みどり
津和野つれづれ 川野夏美
津和野 水森かおり
津和野川 島津悦子
津和野ひとり 森昌子
津和野にひとり 芹洋子
哀愁湖畔 三橋美智也
案山子 さだまさし
都万の秋 よしだたくろう
恋歌の里 森若里子
さくらほろほろ さだまさし
 
岡山県

 

■西大寺ブルース
吉井川からわき立つ霧は なぜに心を濡らすやら
泣いてくれるな 波止場の千鳥 赤いネオンが ああ今日の夢呼ぶ 西大寺 ・・・
人をとるこも かみつく人も みんな可愛い 街の花
誰を待つやら 平安橋の 橋のたもとで ああ歌うブルース 西大寺 
■倉敷ひとり雨
小雨がしとしと そぼ降る夜は 逢いたくなるのよ あのひとに
お銚子一本 お猪口がふたつ 来るあてないけど 待ってるの
未練よね 愚かよね ため息つくたび 泣けてくる
逢いたい 恋しい やるせない ひとりの元町 なみだ雨
・・・ 柳の掘割 白壁小路 歩いたあの日も雨だった  
■倉敷川
雨よなぜなぜ 私を泣かす 水面に白壁 映る町
おんなが欲しがる 倖せは おとこの夢と すれ違う
お別れします 今日かぎり ひとり佇む・・・ 倉敷川よ ・・・
日暮れ・掘割(ほりわり) 蛇の目のおんな みれんの涙は 捨ててゆく
貴方を忘れて 出直して 明日(あした)へ生きて ゆきたいの
戻れはしない 昨日には ゆれる街の灯(ひ)・・・ 倉敷川よ 
■鷲羽山
これが最後の ふたりの旅と 知っているのか 瀬戸の海
想いあふれて 背を向けて 見上げる空に 鷲羽山
たった五文字の さようなら なんで言えない 意気地なし ・・・
何度ともなく 振り向きながら やがてあなたは 風の中
涙こぼれて 落ちぬよう 見上げる空に 鷲羽山
女みれんの 海峡を 明日はひとりで 越えて行く 
■吉井詩情
ラインの流れか 吉井の川は 琥珀色した ワインの香り
遥か彼方の 異国の国と 夢を結んだ 吉井の郷よ
赤松林に 山雉の声 野辺を彩る つつじの花よ
町の幸せ 祭りの太鼓 聞けば愛しい 吉井の郷よ ・・・
めぐる季節に ふと口ずさむ 歌も優しい 吉井の郷よ 
■野風増(のふうぞ)
お前が二十才(はたち)になったら 酒場で二人で飲みたいものだ
ぶっかき氷に焼酎入れて つまみはスルメかエイのひれ
お前が二十才(はたち)になったら 想い出話で飲みたいものだ
したたか飲んでダミ声上げて お前の二十才(はたち)を祝うのさ
いいか男は 生意気ぐらいが丁度いい いいか男は 大きな夢を持て
野風増 野風増 男は夢を持て…… ・・・
お前が二十才(はたち)になったら 旅に出るのもいいじゃないか
旅立つ朝は冷酒干(ひやざけほ)して お前の門出を祝うのさ
いいか男は 生意気ぐらいが丁度いい いいか男は 大きな夢を持て
野風増 野風増 男は夢を持て……!! 
■喝采
いつものように幕があき 恋の歌うたう私に
届いた報せは 黒いふちどりがありました
あれは三年前 止めるあなた駅に残し
動きはじめた汽車に ひとり飛び乗った
ひなびた町の昼さがり 教会の前にたたずみ 
喪服のわたしは 祈る言葉さえ失くしてた
   つたがからまる白い壁 細いかげ長く落として 
   ひとりの私は こぼす涙さえ忘れてた ・・・
いつものように幕があく 降りそそぐライトのその中
それでもわたしは 今日も恋の歌うたってる 
■桜井の訣別(わかれ)
青葉茂れる桜井の 里のわたりの夕まぐれ
木(こ)の下蔭(したかげ)に駒とめて 世の行く末をつくづくと
忍ぶ鎧(よろい)の袖の上(え)に 散るは涙かはた露か
   正成(まさしげ)涙を打ち払い 我子正行(まさつら)呼び寄せて
   父は兵庫へ赴かん 彼方の浦にて討死せん
   汝(いまし)はここまで来つれども とくとく帰れ 故郷へ
父上いかにのたもうも 見捨てまつりて我一人
いかで帰らん 帰られん この正行は年こそは
いまだ若けれ もろともに 御供(おんとも)仕(つか)えん 死出の旅
   汝(いまし)をここより帰さんは わが私(わたくし)の為ならず
   己(おの)れ討死なさんには 世は尊氏(たかうじ)のままならん
   早く生い立ち 大君(おおきみ)に 仕えまつれよ 国のため ・・・
ともに見送り 見返りて 別れを惜む折からに
またも降り来る五月雨(さみだれ)の 空に聞こゆる時鳥(ほととぎす)
誰れか哀れと聞かざらん あわれ血に泣くその声を 
■漁師一代
他人(ひと)の出来ない 事をやり 両親(おや)にせめても 恩返し
惚れた女房(にょうぼ)を みちづれに 備前名代(びぜんなだい)の アオ鰻
獲りに夜釣りの 船を出す ・・・
骨の芯まで 透き通る 細い小さな 稚魚の群れ
漁師一代 この俺が 瀬戸の入江の アオ鰻
海の宝に してみせる 
 

 

岡山県
備前炎歌 杉田愛子
西大寺ブルース 瀬川瑛子
下津井お滝まだかな橋 中村美律子
倉敷の女 春日八郎
倉敷ひとり雨 香西かおり
倉敷の町 三田まり子
倉敷川 芹洋子
倉敷川 原田悠里
倉敷ブルース
鷲羽山 水森かおり
鷲羽旅情 デュークエイセス
吉井詩情 五木ひろし
野風増 橋幸夫
花冷えの宿 水森かおり
喝采 ちあきなおみ
桜井の訣別(わかれ)
漁師一代 鳥羽一郎
鬼たいじ 森高千里
図々しい奴 谷啓
 
広島県

 

■広島の川
広島の街ゃあね 川だらけじゃけんねェ
ちょっとあるいたら 川があるんじゃァ
一番目の川は 太田川 太い川じゃけん 庚午ばしゃァながいんじゃァ
二番目の川は 天満川 古い川じゃけん 溺れた子も 多いんじゃァ
三番目の川は 本川じゃァ ふたまたじゃけん 相生ばしゃァしあんばし
四番目の川は 元安川 ピカドン川じゃけん 盆にゃ涙川
五番目の川は 京橋川 長い川じゃけん 橋の数は11本
六番目の川は 猿猴川 ・・・ 
■尾道の女
北国の 町からきたよ 潮風に ふかれて来たよ 
あゝ 尾道 あの娘がここに いるという 
噂の町の ともしびが 泣けとばかりに まぶたにしみる ・・・
逢えないと わかっていても いちどだけ きてみたかった 
あゝ 尾道 ひと月前にゃ いたという 
二階の窓で いさり火を ひとり眺めて あの娘をしのぶ 
■鞆の浦慕情
冷たい風 雲を筆にして 墨絵のような海を描(えが)いてる
いつかあなたが話してくれた あれが仙酔島(せんすいじま)
   私一人きり 波止場から 雁木(がんぎ)へ焚場(たでば)へ
   船番所 あなたは心の端に建つ ああ燈籠塔(とうろどう)
残した愛も残された愛も 潮待ち港 鞆の浦慕情
   鉛色の空が崩れても 雨が降るだけ 雪は降らないと
   あの日あなたが教えてくれた
冬の強情っ張り 奥歯噛み締めて 我慢する
終わってしまった 恋模様 遠くの島影 滲むのは 瞳の雪 ・・・
残した愛も残された愛も 潮待ち港 鞆の浦慕情 
■安芸の宮島
ひとりで旅する おんなの背中 泣いているよに 見えますか
あなたをどんなに 愛しても いつかこころの すれ違い
安芸の宮島 朱色の鳥居 胸の痛みを わかって欲しい… ・・・
未練という名の こころの霧は いつになったら 晴れますか
あなたを忘れる おんな旅 今日で終わりに したいから
安芸の宮島 夕陽の海よ 生まれ変われる あしたが欲しい… 
■ひとり三次へ
こらえて下さい 其の人の名は 死ぬまで心に しまっておくわ
夜汽車の窓を 泪でぼかし 身をひくほかに 仕方がないの
運命に追われて 山あいの町 あなたの女が 三次にいます ・・・
どなたか私を 壊してくれと 言いたくなるのよ 辛さに負けて
小指でなまえ 鏡に書いて 弱さを叱る 夜明けの宿よ
雨ふりやまない 河原の音色 あなたの女が 三次にいます 
■フランチェスカの鐘
あゝ あの人と別れた夜は ただ何となく 面倒くさくて
左様ならバイバイ 言っただけなのに フランチェスカの 鐘の音が
チンカラカンと鳴り渡りゃ 胸は切ない 涙がこぼれる
なぜか知れない この悲しみよ ・・・
フランチェスカの 鐘の音よ チンカラカンの 鐘の音よ
心も狂う未練の言葉 せめて一度は つたえておくれ 
■一本の鉛筆
あなたに 聞いてもらいたい あなたに 読んでもらいたい
あなたに 歌ってもらいたい あなたに 信じてもらいたい
   一本の鉛筆が あれば 私はあなたへの 愛を書く
   一本の鉛筆が あれば 戦争はいやだと 私は書く ・・・
一本の鉛筆が あれば 八月六日の 朝と書く
一本の鉛筆が あれば 人間のいのちと 私は書く 
■八月の歌
砂浜で戯れてる 焼けた肌の女の子達 おれは修理車を工場へ運んで渋滞の中
TVじゃ この国 豊かだと悩んでる だけど おれの暮しは何も変らない
今日も Hard rain is fallin'. 心に Hard rain is fallin'.
意味もなく年老いてゆく 報われず 裏切られ
何ひとつ誇りを持てないまま
   八月になるたびに “広島-ヒロシマ”の名のもとに 平和を唱えるこの国
   アジアに何を償ってきた おれ達が組み立てた車が アジアのどこかの街角で
   焼かれるニュースを見た 今日も Hard rain is fallin'. 心に Hard rain is fallin'.
   子供等の肩をうつ 飢えてゆく すさんでゆく 明日への希望など持てないまま
満たされぬ想い この からまわりの怒り 八月の朝は ひどく悲しすぎる ・・・
意味もなく年老いてゆく 報われず 裏切られ 何ひとつ誇りを持てないまま 
 

 

広島県
広島の川 中山千夏
広島ブルース ヤングトーンズ
広島ストーリー 角川博
いつも見ていたヒロシマ 吉田拓郎
濡れて流川 都はるみ (広島歓楽街)
尾道水道 水森かおり
尾道の女 北島三郎
鞆の浦慕情 岩佐美咲
ささやき橋 松永悦子 (福山市鞆町)
安芸の宮島 水森かおり
ひとり三次へ 角川博 (広島)
フランチェスカの鐘 二葉あき子
砂漠のバラ 森公美子
唇をかみしめて 吉田拓郎
一本の鉛筆 美空ひばり
空港日誌 薬師丸ひろ子
八月の歌 浜田省吾
花ぐるま 芹洋子
中新地ブルース
芦田川ブルース  
 
山口県

 

■関門海峡
唸るスクリュ- 関門海峡 俺の腹にからんだ サラシが濡れる
俺とお前で ヒレ酒飲んだ 肝に凍みるか みぞれの雪か
あ-あ-あ- 見つめ合う 男同士の 目がぬれる ・・・
泣くも笑うも 関門海峡 握る 握る手鉤は 父親の形見
延縄引く手が しびれても 負けてたまるか 男の意地よ
あ-あ-あ- 飯をつぐ 古いしゃもじに 朝陽が映える 
■秋吉台
掴んだつもりが いつしか消えた あなたの愛は 蜃気楼
旅に逃れた 秋吉台は 見渡すかぎりの 草の海
支えを失くし さまようだけの 私はまるで 難破船 ・・・
一緒に捜せば 見付かる夢も 捜せはしない ひとりでは
女ごころの 秋吉台は 果てなく広がる 草の海
あなたの胸に 戻れる日まで 私はきっと 難破船 
■瀬戸の港
瀬戸の港が しぐれる夜は 連絡船の汽笛に 吐息がまじる
明日の夢より 今夜の夢が あぁ、欲しい
肩をだかれて 飲んだ日の 嘘が恋しい 露地あかり ・・・
春はいつ来る 瀬戸内つばめ 飛んでおいでよ ネオンの町に
お酒ならべて とまり木あたり あぁ、ひとり
生きるつらさに 泣けそうな 星が流される 瀬戸港 
■夜の瀬戸内
ミナト神戸の 赤い灯だいて わたしの涙が テープに滲む
恋に泣くのも 女の運命 死ぬほど好きよ 好きなのよ
あなたが欲しい 夜の瀬戸内 瀬戸内の夜 ・・・
噂なんかに 負けたくないの 逢わせて濡れして 別れはつらい
せめて別府で ただ一目でも 死ぬほど好きよ 好きなのよ
あなたが欲しい 夜の瀬戸内 瀬戸内の夜 
■心の色
受話器の向こうから 聞こえる涙声 君はだれにはぐれた
都会を舞う君は 黄色いツバメのようだね 心を染めないで
昇るサンライズ 見上げてごらんよ ひとり素顔に戻って いつだって俺は此処にいる
だから朝陽と出逢い君は 春をゆけ 熱い今日を生きて
夏をゆけ そしてララバイ やさしさを知れば 微笑いあえる
   ざわめく人波に 消された細い声 君はだれを愛した
   素直になれた時 黄色いツバメと気付くよ すべてを脱ぎ捨てて
   燃えるサンセット 唄ってごらんよ 遠くあどけない日々を 振り向けば俺は此処にいる
   だから夕陽に踊り君は 北へゆけ 寒い今日を生きて
   西へゆけ そしてララバイ 淋しさを知れば 愛しあえる ・・・
淋しさを知れば きっと 愛しあえる 
■高杉晋作
玄界灘に 時ながれ 薫風かおる 花ひとつ
その名は高杉 長州の 松下村塾 双璧で
思想かかげた ありし日に ・・・
幕末乱の 世の中で 魂ささげ 萩の国
病魔にたおれて 夢なかば 若き晋作 武士と
歴史かさねて 今も咲く 
 

 

山口県
関門海峡 山本譲二
秋吉台 水森かおり
瀬戸内情歌 神野美伽
瀬戸の港 中村美律子
夜の瀬戸内 青江三奈 (神戸・粟島・別府)
早鞆ノ瀬戸 水森かおり
お元気音頭 ロス・プリモス
たそがれたずねびと 三橋美智也
心の色 中村雅俊
高杉晋作 山本譲二
 
四国

 

■むすめ巡礼
沖に寄る浪 とんとろり 空にゃのどかな あげ雲雀
娘遍路は ひとり旅 ここはどこやら 故郷(さと)恋し
シャラリコ シャラリコ シャンシャラリ 八十八ヶ所 鈴だより ・・・
いつか日暮れた 磯の道 帰る白帆が 見えたとて
娘遍路は ただひとり 帰命頂礼 父恋し
シャラリコ シャラリコ シャンシャラリ 赤い夕焼 見て歩く  
四国
むすめ巡礼 鈴木三重子
お四国めぐり 畠山みどり  
 
徳島県

 

■鳴門海峡
いのち捨てても 悔いないほどに 惚れていちずに 惚れさせた
憎いあの娘は ああ 鳴門海峡の 潮の花 乱れ乱れて 胸に咲く ・・・
思い切ろうか いつものように 口じゃ云えない うわべだけ
みれん渦巻く ああ 鳴門海峡の もどり波 向けた男の 背を濡らす 
■鳴門海峡
髪が乱れる 裳裾が濡れる 風に鴎が ちぎれ飛ぶ
辛すぎる 辛すぎる 恋だから 夢の中でも 泣く汽笛
鳴門海峡 船がゆく ・・・
潮が渦巻く 心が痩せる 頬の涙が 人を恋う
紅の 紅の 寒椿 夢の中でも 散りいそぐ
鳴門海峡 海が鳴る 
■鳴門海峡
海峡に 吹く風は おまえの 呼ぶ声か  
さすらう この俺の 背中に つきささる
おまえ忘れの この旅は 男ごころの 身勝手か
辛いけど もう遅い 未練 尾を引く 鳴門海峡 ・・・
海鳴りの 港町 嵐が叫ぶ夜は
乗りつぐ 船もなく 酒場で 朝を待つ
お前だけでも 倖せに なってくれたら それでいい
海が哭く 風が哭く 潮がうず巻く 鳴門海峡 
■剣山(つるぎさん)
雨風耐えて 堂々と 天にそびえる 凛々(りり)しさよ
望みがでかけりゃ 苦労も多い 今日の我慢が 明日(あす)を呼ぶ
はるか見下ろす 瀬戸の海 夢を貫く 剣山 ・・・
望みをいつか かなえたら 会いに行きたい 人がいる
しっかりしろよと 励ますように 気高(けだか)き山の 頼もしさ
心迷わず ひとすじに 夢を貫く 剣山 
■おはなはんの歌
いつでも 明るく 南の日射しのように
だれにも優しく 愛に生きる人 胸に抱いた 望みを育てて
いつでも 明るく 笑顔消さない おはなはん ・・・
春なつ 秋ふゆ 落葉と花とを越えて
涯てない旅路の 愛に生きる人 過ぎた道の 遠さは言わずに
春なつ 秋ふゆ 歩きつづける おはなはん  
 

 

徳島県
鳴門海峡 三橋美智也
鳴門海峡 伍代夏子
鳴門海峡 日野美歌
剣山(つるぎさん) 北山たけし
おはなはん 倍賞千恵子 (原作小説)
 
香川県

 

■高松夜曲
ふたりで支えた ちいさな暮し 想い出まとめりゃ カバンがひとつ
愛して つくして いたわりあって それでも余る この恋を
波間に捨ててく 高松港 ・・・
朱実という名で あなたに逢って 明日は何色 止り木の街
ふたりでようやく 一人前と わたしを抱いた あの夜を
汽笛よ消してよ 高松港 
■瀬戸の花嫁
瀬戸は日暮れて 夕波小波 あなたの島へ お嫁にゆくの
若いと誰もが 心配するけれど 愛があるから 大丈夫なの
   だんだん畑と さよならするのよ 幼い弟行くなと泣いた
   男だったら 泣いたりせずに 父さん母さん 大事にしてね ・・・
島から島へと 渡ってゆくのよ あなたとこれから 生きてくわたし
瀬戸は夕焼け 明日も晴れる 二人の門出 祝っているわ 
■瀬戸内 小豆島
いっそ嫌いと 云われたかった 迷いもそれで 断ち切れる
こんなのどかな 波打ち際で 思慕(おも)い引きずる 身が辛い
ひとり瀬戸内 小豆島 手さげ鞄に おもいで詰めて ・・・
うしろを向けば 明日が逃げる 逃(の)がせば夢も 逃げてゆく
ゆれる心を 励ますように 海を渡って 春がくる
ひとり瀬戸内 小豆島 生きて行きます 希望(のぞみ)を胸に 
■森の石松
山が富士なら 男は次郎長 あまた子分の いる中で
人のいいのが 取り柄だが 喧嘩早いが 玉に疵(きず)
森の…森の石松 いい男 ・・・
   やっと出ました 俺らの名前 清水一家の 暴れん坊
   情がからめば ついほろり うれし涙が こぼれます
   男…男石松 泣き笑い ・・・
腕は強いが おっちょこちょいで 酒と女と 喧嘩好き
讃岐金刀比羅 代参で 死出の旅とも 知らないで
森の森の石松 ひとり旅 
■波止場しぐれ
波止場しぐれが 降る夜は 雨のむこうに 故郷が見える
ここは瀬戸内 土庄港 一夜泊りの かさね着が いつかなじんだ ネオン町 ・・・
あれは高松 最終便 グラス持つ手に 汽笛がからむ
ここは瀬戸内 土庄港 恋も着きます 夢もゆく 春の紅さす ネオン町 
 

 

香川県
高松夜曲 都はるみ
瀬戸の花嫁 小柳ルミ子
瀬戸内 小豆島 水森かおり
金毘羅一段 長山洋子
森の石松 島津亜矢
波止場しぐれ 石川さゆり
Sweet my home 庄野真代
 
愛媛県

 

■伊予の女
君が泣くから 松山の 月も涙の 傘をさす
すぎた昔の ことなんか おもいだすなよ今日からは
俺のものだぜ放しはしない ・・・ 
道後湯の町 奥道後 岩をつらぬく 石手川
どんなことにもまけないで ゆけとささやく 水音が
愛の愁いを流してくれる  
■松山しぐれ
途切れた恋を ひとひらの 雲に乗せてく ひとり旅
お城山から 見下ろす町は 遠く涙で にじみます
生きてゆくのは 淋しくて いつか濡れゆく 松山しぐれ
   こころは澄みて 身は病みて 庭の鶏頭 みつめてる ・・・
   遠いあの人 想うたび まぶた濡れゆく 松山しぐれ
緑に染まる かなしみは 桜三里か つづら川
蝉の鳴き声 静かになれば やがて峠に にわか雨
まるでかなわぬ 恋のように 胸も濡れゆく 松山しぐれ 
■豊予海峡
女に去られた 男がひとり 男に去られた 女がひとり
群れる鴎を 振り切るように 伊予路へ向う 船の上
あんたもかい・・・ 私もよ・・・ 傷を見せあう 豊予海峡 ・・・
死ぬのはやめたと 男が叫ぶ 私もやめたと 女がわらう
生きるのぞみを みつけた二人 やさしく照らす 瀬戸の月
がんばろうね・・・ ふたりでね・・・ 影がより添う 豊予海峡 
■佐田岬
岩肌で 眠る海鳥たちは 潮の流れに 夢をみる
三崎漁師が 乗る船は 波を蹴り 風を衝き 豊予海峡 夢を釣る ・・・
佐田岬 俺のふる里さ 富士のお山も おじぎする
巡る季節の それぞれに 海の幸 ありがとう 今日も大漁の 旗が舞う 
■来島海峡
嘘も誠も 飲み込んで 潮は流れる 青々と
のせられた ふりをして しかけた者の 鵜綱を
ぐっとつかんで ふりまわす 男の海だよ 来島海峡 ・・・
泣いてとび込む 椋鳥に 我が身削って えさをやる
人生の 荒海に ただよう者は みな仲間
右も左も 有りゃせんと しぶきが吠えるぞ 来島海峡 
■夜明けのブルース
このグラス飲みほせば帰ると 言えばお前がからみつくから
すねてる肩をそっと引き寄せれば 膝にもたれて耳元ささやく
秘密に出来るの 誰にも言わずに トキメキこころは 運命(さだめ)と信じて
ここは松山 二番町の店 渋い男の夜明けのブルース
   かっこつけて一人タクシー乗っても 後ろ髪引く別れ口づけ
   ひきかえしたら思いっきり抱きしめ 夜のしじまにとけてみようか
   秘密に出来るの きっと最後の恋だと トキメキこころは 見つめ合う目と目
   ここは松山 二番町の店 シャレた女の夜明けのブルース ・・・ 
 

 

愛媛県
伊予の女 北島三郎
松山しぐれ 城之内早苗
豊予海峡 大月みやこ
佐田岬 鳥羽一郎
来島海峡 鳥羽一郎
夜明けのブルース 五木ひろし
おはなはん 倍賞千恵子 (テレビドラマ)
坂バスブルース  
 
高知県

 

■南国土佐を後にして
南国土佐を後にして 都に来てから幾歳ぞ
思い出します故郷の友が 門出に歌ったよさこい節を
土佐の高知のハリマヤ橋で 坊さんかんざし買うをみた ・・・
国の父さん室戸の沖で 鯨釣ったと言う便り
わたしも負けずに励んだ後で 歌うよ土佐のよさこい節を
言うたちいかんちゃ おらんくの池にゃ 潮吹く魚が泳ぎよる
よさこい よさこい 
■よさこい鴎
土佐の荒波 ヨイショと越える 意気で乗り出す 度胸舟
よさこい よさこい 逢いに来い 海が鳴るたび 荒れるたび
胸にちらつく 面影ヨー こいこい よさこい 逢いに来い ・・・
青い海より なさけは深い 男 土佐っぽ 土佐なまり
よさこい よさこい 逢いに来い 波が噂を 消そうとも
大量祭りにゃ 待ってるヨー こいこい よさこい 逢いに来い 
■四万十川の宿
あなたの胸の ぬくもり抱いて ひとりの旅路は もう土佐のはて
遠くなるほど また逢いたくて いとしい人の 思いはつのる
ヒュルルン ヒュルルン ヒュルルン 四万十川の宿 ・・・
ほほに流れる 涙もかれて ひとりの夜は もう通り雨
思い出だけを 抱きしめながら 生きてゆきます このさだめ川
ヒュルルン ヒュルルン ヒュルルン 四万十川の宿 
■桂浜
夢など捨てて 下さいと すがれば あなたを 困らせる
波も引き潮 身を引いて 明日(あした)の旅立ち 見送る私…
だからだから泣かせて 今夜だけ 月も朧(おぼろ)の 桂浜 ・・・
この次生まれ 変わったら 鴎になって ついて行く
きっと戻るの約束は 忘れてください 今すぐあなた…
だからだから泣かせて 今夜だけ 砂も崩れる 桂浜 
■足摺岬
つらい別れも 男であれば 涙見せずに 行く俺だ
土佐の高知の あの娘の声が 呼んで 呼んでいるよな 足摺岬 ・・・
鯨潮吹く 潮路をはるか 涙こらえて 行く俺だ
恋も情(なさけ)も また逢う日まで 捨てにゃ 捨てにゃならない 足摺岬 
■室戸岬
別れに泣いた 女の目には 白い灯台 なお沁みる
あなたを忘れる ひとりの旅に 面影 後から 従いて来る
室戸 室戸岬は 恋岬 胸のすき間に 風が吹く ・・・
黒潮寄せる 月見が浜は 春がどこより 早く来る
信じて待ったら あなたの愛も いつかは戻って 来るかしら
室戸 室戸岬は 恋岬 髪を撫でてく 風に訊く 
■龍馬残影
風が舞うのか お龍の声か 頬をたたいた 京しぐれ
夢のつづきが あるならば おまえと見たい 最後まで
龍馬血染めの 龍馬血染めの 夢が哭く ・・・
土佐の高知の はりまや橋で 坊さんかんざし 買うをみた
ヨサコイ ヨサコイ……
   維新回天 命を賭けて 散って実のなる 華もある
   荒れて吠えるな 土佐の海 明日は七つの 海越えて
   龍馬夜明けの 龍馬夜明けの 天を征く 
■暖流
私これで帰りますと席を立った 急にたずねすみませんと頭下げた
いいのここで一人にして下されば 後はぶらり海を見つめ過します
これで心が晴れました あなたなしで生きることに決めました
沖を走る潮の流れ見つめながら 私しんみり南国土佐の昼さがり ・・・
これで心が晴れました あなたなしで生きることに決めました
ふり向いては駄目よ駄目よ戻っちゃ駄目 私はらはら 南国土佐の昼ざかり 
■男の一生
土佐のいごっそ 黒潮育ち 意地を通した 男伊達
酒と女にゃ 目がないけれど 折目筋目は きっちりつける
男一生 俺は行く ・・・
   顔で笑って 心で泣いて 吐いたツバなら 呑みこめぬ
   馬鹿じゃ出来ない 利口じゃ出来ぬ 中途半端じゃ 尚更出来ぬ
   これが男の 生きる道 ・・・
嫁ぐ娘の 花嫁姿 俺の淋しい 祝い酒
暴れ者でも 吾が子を思う 親の心は 誰でも同じ
泣くなほえるな 土佐の海 
 

 

高知県
南国土佐を後にして ペギー葉山
よさこい与三さん 三沢あけみ
よさこい鳴子踊り 都はるみ
よさこい鴎 都はるみ
四万十川の宿 中村美律子
四万十川 三山ひろし
四季・四万十川 バーブ佐竹
桂浜 水森かおり
高知ネオン花 牧村三枝子
足摺岬 春日八郎
足摺岬 鳥羽一郎
室戸岬 川野夏美  
坂本龍馬 鳥羽一郎
龍馬残影 美空ひばり
南の風 三橋美智也
暖流 石川さゆり
男の一生 村田英雄
帯屋町ブルース  
 
九州

 

■玄海ブルース
情け知らずと わらわば笑え ひとにゃ見せない 男の泪
どうせ俺らは 玄界灘の 波に浮寝の かもめ鳥 ・・・
嵐吹きまく 玄海越えて 男船乗り 往く道ゃひとつ
雲の切間に キラリと光る 星がたよりの 人生さ 
■さすらい慕情
霧にかすんだ 関門海峡 越えて来たのさ 博多の町へ
祇園山笠 あの夏に 出逢って見初(みそ)めた 浴衣の女(ひと)よ
逢いたいよ… 恋しいよ… さがす天神 涙のあの眸(ひとみ) ・・・
雨に昏(く)れゆく 天文館は どこか似ている 横顔ばかり
今も愛して くれるなら 一緒にゆきたい 地の果てまでも
逢いたいよ… 恋しいよ… 旅の鹿児島 明日(あした)は晴れになれ 
九州
玄界ブルース 田端義夫
玄海船歌 氷川きよし
あばれ玄界 天童よしみ
有明けの海 水前寺清子
日豊本線 森昌子
残暑 松任谷由実
星空の秋子 氷川きよし
僕は特急の機関士で 霧島昇
さすらい慕情 氷川きよし  
 
福岡県

 

■博多みれん
恋を拾って また捨てて いつも泣くのは 女だけ
夜の博多の 川あかり 消えてまたたく 別れ星
   すがりつきたい 信じたい 未練はらって 散る涙
   夜の博多に 降る雨は 胸にしみつく 恋なごり ・・・
云ってどうなる ものじゃない いずれ散るのよ 乱れ花
夜の博多の 川やなぎ 弱い女の よりどころ 
■博多の女
ひとの妻とも 知らないで おれはきたんだ 博多の町へ
逢わなきゃよかった 逢わないで 夢にでてくる 初恋の
君をしっかり だいていたかった ・・・
それじゃゆくぜと 背を向けて 夜の中洲(なかす)へ 逃げてはみたが
まぶたをあわせりゃ 浮かぶのさ 俺はやっぱり あの頃の
君をさがして 明日に生きるのさ 
■博多ブルース
泣いてた泪のかれた 私にも 流す泪が 残っていたのか――
酒場の隅で 東京の 言葉を聞けば 死ぬほど逢いたい
ああ 博多の夜も 泣いている ・・・
つらい悲しい嘘を ついたのも 恋にすがって 生きたいばかりに――
酒場の窓に 咽び泣く 東京行きの 夜汽車のあの汽笛
ああ 博多の夜も 泣いている 
■博多川ブルース
雨のしずくと 未練の糸は 何故に切れない 払えない
ここは天神 宵待ち通り 出逢いと別れの 交差点
あなた私の そばにきて 胸が淋しい 博多川 ・・・
夜がくる度 ネオンが点る 川に映って 帯になる
あなた真似して 覚えたお酒 今では涙の 誘い水
夢でいいから 逢いにきて あなた愛しい 博多川 
■中洲・那珂川・涙街
玄海灘の風にちぎった 恋の行方を 知りたくて
忘れものでも 探すような 心細さで来たけれど
男が中州と言う街で 女は中州と意地を張る
逢えないひとの噂ばなしを 訪ね歩いた涙街
「忘れんしゃい…」「忘れんしゃい…」 中州那珂川 風が吹く ・・・
男が中州と言う街で 女は中州と意地を張る
逢えないひとの名前を呼べば面影ゆれる涙街
「忘れんしゃい…」「忘れんしゃい…」 中州那珂川 風が吹く 
■無法松の一生〜度胸千両入り〜
小倉生まれで 玄海育ち 口も荒いが 気も荒い
無法一代 涙を捨てて 度胸千両で 生きる身の 男一代 無法松
   空にひびいた あの音は たたく太鼓の 勇駒
   山車の竹笹 堤灯は 赤い灯に ゆれて行く
   今日は祇園の 夏祭り 揃いの浴衣の 若い衆は
   綱を引出し 音頭とる 玄海灘の 風うけて
   ばちがはげしく 右左 小倉名代は 無法松
   度胸千両の あばれうち ・・・ 
■花と竜
波も荒けりゃ 心も荒い 度胸ひとつの 玄海男
恋も未練も 波間に捨てる それが男さ それが男さ 花と竜 ・・・
竜の彫りもの 伊達ではないぞ 命すて身の 若松みなと
俺の死に場所 ここだと決めた それが男さ それが男さ 花と竜 
■母に捧げるバラード
「お母さん、今僕は思っています。僕に故郷なんか、なくなってしまったんじゃないかと。そして、ひとつ残っている故郷があるとすれば お母さん、それはあなた自身です。あなたは、何から何まで故郷そのものです。今、こうして静かに目をとじていると、お母さん、あなたの声が聞こえてくるんです。聞こえてくるんです。」
今も聞こえる あのおふくろの声
ぼくに人生を教えてくれた やさしいおふくろ
「コラ!テツヤ!何ばしようとかいなこの子は、おまえ、はよ学校いってこんか。デレーッとして。近所の人からいつも、おまえ何てウワサされようか、知っとうとか。タバコ屋の武田ん方の息子は、フォーク・ソング狂いのバカ息子、バカ息子って、噂されよっとお。どうしてまた、こげん頭の悪か子のできたとかいなね。ほんなこと、母ちゃん情けなか。あの日、あの日、父ちゃんが酒さえ飲んで帰ってこんかったら、おまえのごたあ、バカ息子はできとらんとにねえ。ほんなことが。待て!待てテツヤ!またタバコば だまってもって行きよろうがこの子は。ほんなこと はらん立つ。家の稼業がタバコ屋からちゅうて、この子は小学校四年の時からタバコの味おぼえて、中学校一年の時ゃ、おまえ、歯のウラまっくろやなかったか。まだ判らんとか。母ちゃんが、このタバコ屋を経営するためにどれだけ苦労しようか、血と汗と泪でよごれた女の半生が。まだわからんとか、このバカ息子は、ほんなこと。アホ! ・・・ 
 

 

福岡県
風の福岡 海援隊
博多みれん 野口五郎
博多の女 北島三郎
博多ブルース 西田佐知子
博多っ子純情 チューリップ
博多川ブルース 角川博
博多人形に寄せて 由紀さおり
博多ア・ラ・モード 五木ひろし
京都から博多まで 藤圭子
中州・那珂川・涙街 青江三奈
千鳥橋渋滞 チューリップ
能古島の片想い 井上陽水
無法松の一生 村田英雄 (小倉)
あばれ太鼓 坂本冬美
柳川の女 三橋美智也  
花と竜 村田英雄
ばりほれとんぜ 中島みゆき
母に捧げるバラード 海援隊
 
佐賀県

 

■有田皿山節
ハアー 有田よいとこ弁天公孫樹(いちょう) アヤットサノサ
空に黄金の葉を散らす(葉を敏らす) 
   ハアー 年に一度は有田の街に ・・・ 
   七日七夜の市が立つ(市が立つ) 
ハアー 見せてやりたい他国の人に ・・・ 
有田石場の露天掘り(露天掘り) ・・・ 
   ハアー 陶山神社は蓮華石山(れんげしやま)の ・・・ 
   裏に桜の咲くところ(咲くところ) 
■有田音頭 (チロリン節)
ハア 有田皿山 ヨイショチロリント どこから明けるヨ ソラアケルヨ
窯の炎で 夜が明ける 技をみがいて 四百年の 意気が燃え立つ ネチョイト
有田焼 アソレ グイチョ グイチョと
有田へござれ 有田チロリン 皿の音 皿の音 チロリン チロリン
   ハア 白い素肌に ヨイショチロリント 一筆染めてヨ ソラ染めてヨ
   胸のおもいを色にだす 花の赤絵に 頬ずりすれば 可愛いダミ娘の ネチョイト
   声がする アソレ グイチョ グイチョと
   有田へござれ 有田チロリン 皿の音 皿の音 チロリン チロリン ・・・
ハア 陶器市には ヨイショチロリント 手拍子いらぬヨ ソラいらぬヨ
皿のひびきが音頭とる 鐘ヶ江三兵衛さんに 見せたいものは 有田繁昌の ネチョイト
人の波 アソレ グイチョ グイチョと
有田へござれ 有田チロリン 皿の音 皿の音 チロリン チロリン  
■初恋の人は
初恋の人は 壱岐 対馬へだてて 海の彼方 
ナヌン・タンシン・サラン・ハンミダ
耳に残る愛の言葉
   別れていくとせ 今 唐津の浜に 貴女 想う
   ナヌン・タンシン・サラン・ハンミダ
   風に聞く愛の言葉 ・・・
初恋の人は 玄海灘の果て 遠い国に
ナヌン・タンシン・サラン・ハンミダ
波に伝う愛の言葉 
 

 

佐賀県
佐賀県 はなわ
有田皿山節
有田チロリン節  美空ひばり
わや! たんこぶちん
さぁ、出かけよう! ビッキーズ
ビッキー音頭 ビッキーズ
初恋の人は デューク・エイセス
 
長崎県

 

■長崎物語
赤い花なら 蔓珠沙華 阿蘭陀(オランダ)屋敷に 雨が降る
濡れて泣いてる じゃがたらお春 未練な出船の ああ鐘が鳴る ララ鐘が鳴る
   うつす月影 彩玻璃(いろがらす) 父は異国の 人ゆえに
   金の十字架 心に抱けど 乙女盛りを ああ曇り勝ち ララ曇り勝ち ・・・
平戸(ひらと)離れて 幾百里 つづる文さえ つくものを
なぜに帰らぬ じゃがたらお春 サンタクルスの ああ鐘が鳴る ララ鐘が鳴る  
■長崎の鐘
こよなく晴れた 青空を 悲しと思う せつなさよ
うねりの波の 人の世に はかなく生きる 野の花よ
なぐさめ はげまし 長崎の ああ 長崎の鐘が鳴る ・・・
こころの罪を うちあけて 更けゆく夜の 月すみぬ
貧しき家の 柱にも 気高く白き マリア様
なぐさめ はげまし 長崎の ああ 長崎の鐘が鳴る 
■長崎は今日も雨だった
あなたひとりに かけた恋 愛の言葉を 信じたの
さがし さがし求めて ひとり ひとりさまよえば
行けど切ない 石だたみ ああ長崎は 今日も雨だった ・・・
頬にこぼれる なみだの雨に 命も恋も 捨てたのに
こころ こころ乱れて 飲んで 飲んで酔いしれる
酒に恨みは ないものを ああ長崎は 今日も雨だった 
■長崎の夜はむらさき
雨にしめった 賛美歌の うたが流れる 浦上川よ
忘れたいのに 忘れたいのに おもいださせる ことばかり
ああ 長崎 長崎の 夜はむらさき ・・・
霧にうるんだ 眼鏡橋 そっとのぞけば あなたが見える
そんな気がして そんな気がして ひとり渡れば 胸いたむ
ああ 長崎 長崎の 夜はむらさき 
■長崎慕情
丘に登れば 外人墓地あたり ないているような 浦上の鐘は響く
後姿だけを追いかけても 呼べばむなしい ただ涙がのこるだけ
愛をかわした あの日の幸せを あなたは忘れて 長崎はかえらない
   遠くにうかぶ あの外国船に 心うばわれて 見知らぬ国へ行きたい
   後姿だけを追いかけても ・・・ 
■長崎ブルース
逢えば別れが こんなにつらい 逢わなきゃ夜がやるせない
どうすりゃいいのさ 思案橋 丸山せつない恋灯り
ああ せつない長崎ブルースよ ・・・
石のたたみを 歩いたときも 二つの肩がはなれない
ザボンのかおりの うす月夜 死んでも忘れぬ恋すがた
ああ 忘れぬ長崎ブルースよ 
■長崎の女(ひと)
恋の涙か 蘇鉄(そてつ)の花が 風にこぼれる石畳
噂にすがり ただ一人 尋ねあぐんだ港町
ああ 長崎の 長崎の女(ひと) ・・・
夢をまさぐるオランダ坂に しのび泣くよな夜が来る
忘れることが幸せと 遠く囁(ささや)く鐘の音
ああ 長崎の 長崎の女 
■長崎みれん
泣くだけないて 忘れて来ると 旅に出たのは 女の意地ね
別れてつのる 恋しさに 濡れてさまよう オランダ坂で
あなたを呼べば 雨 雨 雨が泣かせる 長崎みれん ・・・
黙っていつも 倖せくれた あなたひとりを 信じていたい
命をかけて 出直すわ 思案橋から 今日また祈る
めぐり逢う日を 雨 雨 雨よ叶えて 長崎みれん 
■長崎エレジー
波が歌うよ 長崎の 港めぐれば 石だたみ
愛の灯点す 希望の家に サンタ・マリヤの 鐘が鳴る
   君に捧げた 純潔は 永遠(とわ)に散らさぬ 白薔薇(しろそうび)
   乙女心は ブルーの海に 夢を浮かべて すすり泣く ・・・
昨日降ったは 小糠雨 今日は涙の 雨が降る
夢の長崎 相寄る魂(たま)を 結べ夜霧の アベ・マリヤ 
■長崎から船に乗って
長崎から船に乗って 神戸に着いた ここは港まち 女が泣いてます
港の女は お人好し いいことばかりの そのあとで
白い鴎に あゝ 騙される あゝ 騙される 彼岸花 ・・・
函館から船に乗って 東京に着いた ここは日暮れまち 女が泣いてます
都会の女は うす情 惚れているやら いないやら
何んでもなさそに あゝ 傷ついた あゝ 傷ついた 芥子の花 
■長崎のお蝶さん
ナガサキ 長崎 南の町よ 丸にやの字の マリヤぶね
むかしおひげの バテレンを 待った丸山 いしだたみ
赤い提灯 灯がついて 今は涙の お蝶さん ・・・
ナガサキ 長崎 情けの町よ なさけひとすじ 立つけむり
あれはメリケン いくさぶね 待ったお方は 来たけれど
死ぬほどつらい 人連れて さてもかなしい お蝶さん 
■長崎のザボン売り 小畑実
鐘が鳴る鳴る マリヤの鐘が 坂の長崎 ザボン売り
銀の指輪は どなたの形見 髪に結んだ リボンも可愛い
可愛い娘 ああ 長崎のザボン売り ・・・
星がキラキラ 夕べの星が 夢の長崎 ザボン売り
黒い瞳の 夢見る笑顔 ゆれるランタン 灯影(ほかげ)に可愛い
可愛い娘 ああ 長崎のザボン売り 
■西海ブルース
港の雨に 濡れてる夜は 思い出すんだ 白い顔
ふたりで歩いた あの坂道も 霧にかすんで 哭いている
浮いて流れる あの歌は 君とうたった 西海ブルース ・・・
燃える想いが この身に染みる 命をかけた 恋ゆえに
帰えらぬ人と 知ってはいても 忘れられずに ひとりなく
遠くに聞こえる あの歌は 君とうたった 西海ブルース 
■思案橋ブルース
哭いているような 長崎の街 雨に打たれて ながれた
ふたつの心は かえらないかえらない 無情の雨よ
ああ 長崎 思案橋ブルース ・・・
夢は捨てたのさ 今のこの俺 じっと孤独をかみしめた
お前を好きだと いってみたいってみた 冷たい雨に
ああ 長崎 思案橋ブルース 
■雨のオランダ坂
こぬか雨ふる 港の町の 蒼いガス燈の オランダ坂で
泣いて別れた マドロスさんは 縞のジャケツに オイルのコート
煙にむせてか 泣いていた 泣いていた ・・・
異人屋敷の 窓の灯りで 濡れてさまよう マドロスさんを
恋しい人かと のぞいてみれば 遠いお国の 見知らぬお人
オランダ坂の 雨の日よ 雨の日よ 
■平戸雨情
雨にけむった オランダ橋で 決めたはずです もう泣かないと
遠くはなれて なおさらつのる 未練でしょうか 恋ごころ・・・・・
鐘が鳴る鳴る 平戸の港 女泣かせの 雨がふる ・・・
咲いて春呼ぶ 海寺(うみでら)あとの 闇に真白き 花もくれんよ
明日(あす)の日暮れは まっ赤な夕陽 見えるでしょうか この海に・・・・・
船を待とうか 平戸の灯り 女泣かせの 雨がふる 
■思い切り橋
ここは長崎長崎 思い切り橋 男が一人女が一人
たった二人の愛なのに ささいなことで別れてしまう
難し過ぎます 大人の恋は あ… あ… あ 夜が泣かせる ・・・
ここは長崎長崎 思い切り橋 見返り橋から あなたを呼べば
泣いて答えるサヨナラが 思い切るわ 未練の糸は
たぐれば痛むの 傷跡だけが あ… あ… あ 夜に流れる
ここは長崎長崎 思い切り橋 
■島原(地方)の子守唄
おどみゃ島原の おどみゃ島原の 梨の木育ちよ
何の梨やら 何の梨やら 色気ナシばよ しょうかいな
はよ寝ろ 泣かんで おろろんばい
鬼の池(おんのいけ)久助(きゅうすけ)どんの 連れんこらるばい ・・・
沖の不知火(しらぬい) 沖の不知火 消えては 燃える
バテレン祭りの バテレン祭りの 笛や太鼓も 鳴りやんだ
はよ寝ろ 泣かんで おろろんばい はよ寝ろ 泣かんで おろろんばい 
■精霊流し
去年のあなたの思い出が テープレコーダーから こぼれています
あなたのためにお友達も 集まってくれました
二人でこさえたおそろいの 浴衣も今夜は一人で着ます
せんこう花火が見えますか 空の上から 約束通りにあなたの愛した
レコードも一緒に流しましょう そしてあなたの舟のあとを ついてゆきましょう
私の小さな弟が何も知らずに はしゃぎ回って 精霊流しが華かに始まるのです ・・・  
 

 

長崎県
長崎物語 美輪明宏
長崎夜曲 岡晴夫
長崎の鐘 藤山一郎
長崎は今日も雨だった クール・ファイブ
長崎の夜はむらさき 瀬川映子
長崎慕情 渚ゆう子
長崎未練 青江三奈
長崎ブルース 青江三奈
長崎の女 春日八郎
長崎はみなと町 八代亜紀
長崎小夜曲 さだまさし
長崎の蝶々さん 美空ひばり
長崎みれん 美川憲一
長崎の精霊祭り 鶴田六郎
長崎の白いレースの女の子 佐良直美
長崎のザボン売り 小畑実
長崎エレジー ディック・ミネ
長崎から船に乗って 五木ひろし
長崎のお蝶さん 渡辺はま子
わたしの長崎 小柳ルミ子
西海ブルース クール・ファイブ
思案橋ブルース コロラティーノ
雨のオランダ坂 渡辺はま子 
佐世保ストーリー 幸地愛子
佐世保 Le Couple、さだまさし
五島恋椿 丘みどり
平戸雨情 水田竜子 
思い切り橋 クール・ファイブ
私を忘れる頃 松任谷由実
ふるさとの空の下で 美輪明宏
島原(地方)の子守唄 ペギー葉山
精霊流し グレープ
瞳を閉じて 荒井由実
 
熊本県

 

■肥後の盆唄
襦袢(じゅばん)の裾(すそ)に 蛍が止まる 止まる蛍が 盆を呼ぶ
抱かれて熱い 熱いこの身を あんたもいちど 抱き締めて
惚れちょるばい 惚れちょるばい あの世へ逝っても 惚れちょるけんね
あ…あんた あ…あんた 盆に来い
   おどま盆ぎり 盆ぎり 盆からさきゃ 居らんど
早よ来ておくれ 八代湾(やっちろわん)の 波にきらめく 不知火は
迎え火なのか 夢幻か 生きる女の 命火か ・・・
   あ…あんた あ…あんた 盆に来い 
   あ…あんた あ…あんた 逢いに来い  
■火の国の女
肥後は火の国よ 恋の国 燃える中岳よ 胸こがす
一つしかないこの命 くれというならくれてやる
熱か 熱か こころもからだも 熱か 惚れた女を抱きたけりゃ
火傷かくごで 抱かんとね 抱かんとね ・・・
   熱か 熱か 枕も吐息も 熱か うちはひとりじゃ よう寝れん
   月にかくれて 逢いに来い 逢いに来い
熱か 熱か こころもからだも 熱か 闇を流れる 火の河で
うちはあんたの 夢をみる 夢をみる  
■天草の女
船が出る度 泣きじゃくる 女も昔は いたとか聞いた
不知火舞台に 漁火が 追って行けよと 云うけれど
天草捨てて 生きれない あなた急いで ドラが鳴る ・・・
嬉しかったわ この私 誰より優しい あなたに逢えて
半年 一年 過ぎたなら どこか知らない 消し印の
葉書でいいの それだけで せめて一言 あるだけで  
■慕情〜天草の女〜
送っちゃいやよと 強がって あなたと別れる 連絡船
この身が二つに 裂けるなら あなたに残して 行きたくて
つらいのよ つらいのよ 天草の恋が散るとき ・・・
二度と逢うまい すがるまい どうにもならない 恋だもの
あなたと暮らした この島に 花は再び 咲くけれど
遠ざかる 遠ざかる 天草の恋が散るとき  
■不知火情話
不知火(しらぬい)ともしに 帰らんね 死んでもよかよ 今でもあんた
生まれ火の国 女は熱か 心は他人(だれ)にも 許してないの
「あんた 逢いたか…」 乳房(むね)の芯まで 乳房(むね)の芯まで
ああ…逢いたかね ・・・
不知火枕に 眠らんね 夢でもよかよ 隣りであんた
抱けば昔に 女はもどる 右手の匂いも 忘れてないの
「あんた 淋しか…」 小指(ゆび)の先まで 小指(ゆび)の先まで
ああ…淋しかね  
■不知火の女
蒼い有明 女がひとり 海を見ようと 来たけれど
夜明けの海は なにも応えない
ああ恋に 恋に ルルルルルル... 女は生きてゆく
   好きで別れた あの人ゆえに 海に拾うの この涙
   恋の甘さを いつも想い出す
   ああ夢を 夢を ルルルルルル... 女は抱いてゆく
思い切れない 不知火あかり 海で死のうと 来たけれど
あの日の面影 なぜかひきとめる 
ああ愛に 愛に ・・・ 
■五木の子守唄
   ■五木の子守唄 1
ねんねしなされ 早起(はやお)けなされ 朝は六時にゃ(お寺の)鐘(かね)が鳴る
おどま盆(ぼん)ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと 盆が早よくりゃ 早よもどる
おどまくゎんじんくゎんじん ぐゎんがら打(う)てさるく ちょかでままたゃて ろにとまる
おどんが打死(うちん)ちゅうて 誰(だい)が泣(に)ゃてくりゃか 裏の松やみゃ 蝉が鳴く
せみじゃござらぬ 妹でござる 妹泣くなよ 気にかかる
花は何の花 つんつん椿 水は天から もらい水
おどんが打死んだら おかん端(ばちゃ) いけろ 人の通る数 花もらう
   ■五木の子守唄 2
おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと 盆が早よくりゃ 早よもどる
おどまかんじんかんじん あん人たちゃよか衆(し) よか衆ゃよかおび よか着物(きもん)
おどんが打死だときゃ 誰が泣(に)ゃてくりゅか 裏の松山ゃ せみが鳴く
せみじゃござらぬ 妹(いもと)でござる 妹泣くなよ 気にかかる
おどんが死んだなら 道端(みちばち)ゃいけろ ひとの通るごち 花あげる
辛(つら)いもんだな 他人の飯(めし)は 煮(に)えちゃおれども のどにたつ
   ■五木の子守唄 3
おどまいやいや 泣く子の守にゃ 
泣くといわれて 憎(にく)まれる 泣くといわれて 憎まれる
おどんま盆ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと
盆が早よくりゃ 早よもどる 盆が早よくりゃ 早よもどる
花は何の花 つんつん椿
水は天から もらい水 水は天から もらい水
   ■五木の子守唄 4
おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと
盆が早よくりゃ 早よもどる 盆が早よくりゃ 早よもどる
ねんねした子の かわいさむぞさ
起きて泣く子の 面憎さ 起きて泣く子の 面憎さ
   ■五木の子守唄 5
おどま親なし 七つん年で ひとの守り子で 苦労する
おどまいやいや 泣く子の守りにゃ 泣くといわれて 憎まれる
つらいもんばい 他人の飯は 煮えちゃおれども のどこさぐ
   おどんが打死(うちん)だちゅうて 誰(だる)が泣(に)ゃてくりゃか
   裏の松山(まつやみゃ) せみが鳴く
   せみじゃござらぬ 妹でござる 妹泣くなよ 気にかかる
おどんが打っ死ん(うっちん)だら 道ばた生けろ
通る人ごち 花あぐる
花は何の花 つんつん椿 水は天からもらい水
   つらいもんばい 他人のままは 煮えちゃおれども のどこさぐ
   ねんえした子の可愛さむぞさ 起きて泣く子の 面(つら)憎さ
   おどんがお父っぁんな 山から山へ 里の祭りにゃ 縁がない
   ■五木の子守唄 6
おどま盆ぎり 盆ぎり 盆から先ゃ おらんど
盆が早よ来りゃ 早よもどる
   おどまかんじん かんじん  あん人達ゃ よか衆(しゅう)
   よかしゃよか帯(おび) よか着物(きもん)
おどんが打死(うっちん)だちゅて 誰(だい)が泣(にゃ)てくりゅきゃ
裏の松山 蝉(せみ)が鳴く
   蝉じゃ ごんせぬ 妹(いもと)でござる
   妹泣くなよ 気にかかる
おどんが打死(うっちん)だば 道端(みちばた)いけろ
通る人ごち 花あぎゅう
   花はなんの花 つんつん椿
   水は天から 貰い水
   ■五木の子守唄 7
おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先きゃおらんと 
盆が早よくりゃ早よもどる
   おどんが打っ死んだちゅうて だいが泣いてくりゅうか 
   うらの松山蝉が鳴く
おどんが打っ死んだら みちばちゃ埋けろ 
通るひとごち花あぐる
   花はなんの花 ツンツン椿 
   水は天からもらい水
ねんねした子の 可愛さむぞさ 
おきて泣く子のつらにくさ
   おどまいやいや 泣く子の守にゃ 
   泣くといわれてにくまれる
   ■五木の子守唄​ 8
おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先きゃおらんと 
盆が早よ来るりゃ 早よもどる
   おどま勧進勧進 あん人たちゃよか衆
   よか衆ゃよか帯 よか着物
おどんがうっ死んだちゅうて 誰が泣いてくりょか   
うらの松山 蝉が鳴く
   おどんがうっ死んだら 道端ちゃいけろ   
   通る人ごち 花あぎゅう
花は何んの花 つんつん椿
水は天から もらい水
   ■五木の子守唄​ 9
おどまいやいや 泣く子の守りにゃ
泣くといわれて憎まれる 泣くといわれて憎まれる
   ねんねした子の かわいさむぞさ
   起きて泣く子の面憎さ 起きて泣く子の面憎さ
ねんねいっぺんゆうて 眠らぬ奴は
頭たたいて尻ねずむ 頭たたいて尻ねずむ
   おどんがお父つぁんな あん山ゃおらす
   おらすともえば行こごたる おらすともえば行こごたる  
 

 

熊本県
肥後の駒下駄 水前寺清子
肥後の盆唄 石川さゆり
火の国小唄 藤圭子
火の国へ 石川さゆり
火の国の女 坂本冬美
天草の女 原田悠里
慕情〜天草の女〜 森進一
ロザリオの島 春日八郎
不知火情話 八代亜紀
不知火酒 八代亜紀
不知火の女 クールファイブ 
阿蘇の女 クールファイブ
五木の子守唄 山口淑子
この街 森高千里
未来 森高千里
屋台 石川さゆり
帰らんちゃよか 島津亜矢
 
大分県

 

■豊後巡礼
襟におくれ毛 湯上りの 肌にほんのり 薄化粧 豊後巡礼 いで湯町
別府(べっぷ) 湯布院(ゆふいん) 九重(ここのえ)の湯
おんな磨きの 旅ならば 人が見返る 宿浴衣(やどゆかた) ・・・
急ぐばかりの 世の中に たまに息抜き 骨休め 豊後巡礼 城下町
竹田(たけた) 中津(なかつ)に 杵築城(きつきじょう)
下に下にと 行列の 声がしそうな 大通り 
■豊後水道
背のびした恋破れ なぐさめる人もなく
信じていたのに あなたはもう来ない
やせた女の旅路には やさし過ぎるわ 春の海
こぼれ散る 紅椿 流れにひきこんで
何を急ぐか 豊後水道 ・・・
爪の色 変えたのも 心が晴れたから
一人の旅でも 泣かないひとになる
春は何日早かった 風もうららで甘かった
海猫の棲む島を ぐるりと一まわり
何を想うか 豊後水道 
■豊予海峡
女に去られた 男がひとり 男に去られた 女がひとり
群れる鴎を 振り切るように 伊予路へ向う 船の上
あんたもかい・・・ 私もよ・・・ 傷を見せあう 豊予海峡 ・・・
死ぬのはやめたと 男が叫ぶ 私もやめたと 女がわらう
生きるのぞみを みつけた二人 やさしく照らす 瀬戸の月
がんばろうね・・・ふたりでね・・・ 影がより添う 豊予海峡 
■国東半島
霧笛とびかう 瀬戸内航路 ここは国東 竹田津港
男海なり 舳先に立てば カモメ群れとぶ 漁火あかり
風も冷たい 風も冷たい 周防灘 ・・・
昇る朝日に 願いは一つ 揺れて遥かな 夢佐田岬
瀬戸の水軍 昔をしのぶ そんな男の 命が燃えて
潮の香りの 潮の香りの 国東半島 
■霧の湯布院
阿蘇のやまなみ涙でみつめ ひとりで来ました山の宿
日暮れ湯布院湯のかおり 対の浴衣に眼をやれば 別れの決心がまた鈍る ・・・
浅い眠りに寝がえりうてば あなたが夜明けの夢にでる
旅の湯布院朝霧の海 胸の迷いが晴れたなら も一度あなたに帰りたい 
■坊がつる讃歌
人みな花に酔うときも 残雪恋し山に入り
涙を流す山男 雪解(ゆきげ)の水に春を知る
   ミヤマキリシマ咲き誇り 山くれないに大船(たいせん)の
   峰を仰ぎて山男 花の情を知る者ぞ
四面山なる坊がつる 夏はキャンプの火を囲み
夜空を仰ぐ山男 無我を悟るはこの時ぞ
   出湯(いでゆ)の窓に夜霧来て せせらぎに寝る山宿に
   一夜を憩う山男 星を仰ぎて明日を待つ
石楠花(しゃくなげ)谷の三俣(みまた)山 花を散らしつ篠分けて
湯沢に下る山男 メランコリーを知るや君
   深山(みやま)紅葉に初時雨 暮雨滝(くらさめたき)の水音を
   佇(たたず)み聞くは山男 もののあわれを知る頃ぞ
町の乙女等思いつつ 尾根の処女雪蹴立てつつ
久住(くじゅう)に立つや山男 浩然の気は言いがたし ・・・
   三俣の尾根に霧飛びて 平治(ひじ)に厚き雲は来ぬ
   峰を仰ぎて山男 今草原の草に伏す 
■男の港
板子一枚 生命をはった 男度胸の 海が呼ぶ
競う船出を 送ってくれる ありがとう 浜千鳥の群よ
豊後 鶴御崎(つるみざき)男の港 ・・・
高くかかげた 大漁旗を 待っているだろう 紅椿
松浦港は もうすぐ近い ありがとう 黒潮の幸よ
豊後 鶴御崎 男の港 
 

 

大分県
大分紀行 舞ひろ子
豊後巡礼 松前ひろ子
豊後の一心太助 鳥羽一郎
豊後の女 三島敏夫
豊後水道 川中美幸
豊予海峡 大月みやこ
国東半島ぶらり旅 佐良直美
国東半島 北島三郎
別府音頭 小唄勝太郎
別府行進曲 霧島昇
別府湯けむり恋けむり 三沢あけみ
由布院 南こうせつ
霧の湯布院 宮史郎
坊がつる讃歌 芹洋子
ひとりきり かぐや姫
坊がつる讃歌 芹洋子
男の港 鳥羽一郎 
 
宮崎県

 

■宮崎の二人
変わらぬ愛を 誓うため 夢にまで見た 宮崎の
海のあおさに 噓はない 渚にけむる 砂山が
あなたとわたしを 待っていたのよ ・・・
あなたと愛の 想い出を 胸にきざんで 宮崎の
星のあかりに 頬よせる 靜かな夜の幸せが
あなたとわたしを 待っていたのよ 
■高千穂峡
時を刻んだ 大渓谷に ゆるがぬ思い 重ねてる
青雲橋(せいうんばし)の おおきさで 明日に架けたい 夢がある
こぼれた涙 乾かすように 高千穂の風が 風が 風が吹く ・・・
ひとり夜通し 夜神楽(よかぐら)みれば こころの岩戸 ひらかれる
国見ヶ丘に のぼる陽が かじかむ命を 照らし出す
信じた道を 生きればいいと 高千穂の風が 風が 風が言う  
■逢初川(あいそめがわ)
橋の上から 川面を見れば 翳(かげ)るとこほど よく見える
みんな承知で 背負ってくれる 深い契りの 指と指
あなたと出逢って 知りました 逢初川の 逢初川の あゝ始まりを ・・・
あの日あの頃 涙の淵を… 今は望みの 岸に立つ
影も一つに あなたと私 ここで眺める 桜(はな)が好き
一生この日を 忘れない 逢初川の 逢初川の あゝ始まりを 
■焼酎哀歌
おまえとふたりで 住んでたときは 気儘を通して 苦労をさせた 
小銭数えて 焼酎の 味にすがれば 浮かぶ顔
おまえ恋しい 縄のれん 
   未練を分け合う 焼酎仲間 男の涙は 可愛ゆてならぬ 
   女ごころと 焼酎は ・・・
破れた希望を 繋いでみても 元には戻らぬ 世間の辛さ
せめて今夜も 焼酎の 世話になりたい 思い切り
おまえ何処やら 逢いたいぜ 
 

 

宮崎県
宮崎ブルース 大月みやこ
宮崎の二人 渚ゆう子
高千穂峡 岡ゆう子
逢初川 中島ゆきこ 
焼酎哀歌(エレジー) 水木大介
フェニックス・ハネムーン デューク・エイセス
 
鹿児島県

 

■薩摩の女
義理あるひとに 背を向けて 別れてきたと 君は泣く
雨がふるふる 天文館通の 青いランプに 身をよせりゃ
ああ 悲恋の旅の ドラが鳴る ・・・
いままで泣いた かなしみは かならず俺が とりかえす
やがて出船の 合図はあるが 故郷で待てよと ささやけば
ああ 錦江湾に 陽がのぼる 
■奄美恋しや
波に夕日を 大きく染めて 名瀬は日暮れる かもめは帰る
わしも帰ろうよ あの島へ 奄美恋しや なつかしや ・・・
母が丹精の 大島つむぎ 頬にあてれば 涙がにじむ
せめて歌おうよ 島ぶしを 奄美恋しや なつかしや 
■島のブルース
奄美(あまみ)なちかしゃ 蘇鉄(そてつ)のかげで
泣けばゆれます サネン花ヨ ながい黒髪 島むすめ 島むすめヨ
   愛人(かな)はいまごろ 起きてか寝てか 淋(さび)しがらせる 浜千鳥ヨ
   南風(はえ)のふく夜(よ)は ねむられぬ ねむられぬヨ ・・・
着せてみせたい 大島つむぎ わすれられない あのひとにヨ
なさけひとすじ 島むすめ 島むすめヨ 
■島育ち
赤い蘇鉄の 実も熟れる頃
加那も年頃 加那も年頃 大島育ち
   黒潮黒髪 女身愛しゃ
   想い真胸に 想い真胸に 織る島紬 ・・・
夜業おさおさ 織る筬の音
せめて通わそ せめて通わそ この胸添えて 
■永良部百合の花 1
永良部百合の花 亜米利加に咲かち ヤレクヌ
是(うり)が黄金花 島にヨー 咲かさー
アングワヨーサトウ  ナイチャシュンガシュンガ
囃子(アングワヨーサトウ  ナイチャシュンガシュンガ)
   如何(いきゃ)し横浜ぬ 波荒さあても ヤレクヌ
   百合や捨てぃるなよ 島ぬヨー 宝
百合球ぬ美(ちゅ)らさ 心(くくる)抱きしめて ヤレクヌ
永良部女童の 身持ちヨー 美らさ
   百合や島育ち 吾(わ)ちゃも島育ち ヤレクヌ
   選らび選ばらぬ 者にヨー なゆり ・・・ 
■永良部百合の花 2
永良部海の青さ 珊瑚花咲ちゅり ヤレクヌ
陸(あぎ)や百合ぬ花 咲かちヨー 美(ちゅ)らさ
アングワヨーサトウ ナイチャシュンガシュンガ
囃子(アングワヨーサトウ  ナイチャシュンガシュンガ)
   暗河(くらご)水汲みや 乙女ぬ仕事 ヤレクヌ
   百合よ枯れるなよ 育ちヨー 給(たぼ)れ
永良部百合の花 亜米利加に咲かち ヤレクヌ
是(うり)が黄金花 島にヨー 咲かさ
   如何(いきゃ)し横浜ぬ 波荒さあても ヤレクヌ
   百合や捨てるなよ 島ぬヨー 宝 ・・・ 
■永良部百合の花 3
永良部百合ぬ島 百合咲きゅぬ 花ぬ美らさ 花ぬ美らさ
うりが黄金花 島や花ざかり アングワーヨーサトゥ
ナーイッキャ シュンガー シュンガー
アングワーヨーサトゥ ナーイッキャ シュンガー シュンガー
   花心知らば 百合ぬ花 美らさ咲きゅる 美らさ咲きゅる
   互に肝揃りてィ 気張てィよー作ら
アングワーヨーサトゥ ナーイッキャ シュンガー シュンガー
アングワーヨーサトゥ ナーイッキャ シュンガー シュンガー ・・・
他所島に送てィ 百合ぬ花 咲かちヤリクヌ 咲かちヤリクヌ
互に喜くどてィ 豊かヨー暮さ アングワーヨーサトゥ
ナーイッキャ シュンガー シュンガー
アングワーヨーサトゥ ナーイッキャ シュンガー シュンガー 
■桜島
錦江湾に陽が沈み 海が赤く血の色に燃え始める
照りかえす雲は紫に染まり 鋭んがったまんまでモクモクと息をしてる
   俺は桟橋から 桜島フェリーに乗り
   山よ、岩肌よ、ゴツゴツのおまえ 貴様の前に立つ
燃えて上がるはオハラハー桜島
丸に十の字の帆を立て薩摩の風が吹く
   立ち昇る煙が天空を突き刺し
   情熱の血液が俺のからだを走りかけめぐる
錦江湾に陽が昇り 命の雫が金色に燃え始める
水平線から無言の息吹よ 薩州薩摩の荒くれ俺らぼっけ者 ・・・ 
■屋久島
屋久島 シャクナゲ咲く時は 黒潮は 海から空へと湧上る
   熱い涙は 女子の情念
   月に三十五日の ヤーエー 雨降らす
屋久杉 小杉に沁みこんだ 黒潮は天から授かる もらい乳
   愛し恋しと おまえを抱けば
   いつか縄文杉を ヤーエー 七千年
屋久島 女子の黒髪は 黒潮に揉まれて育った深情け ・・・ 
 

 

鹿児島県
鹿児島パラダイス 水森かおり
鹿児島中央STATION 長渕剛
薩摩の女 北島三郎
ひとり薩摩路 水森かおり
奄美恋しや 仲宗根美樹
島のブルース 三沢あけみ・マヒナスターズ (奄美大島)
島育ち 田端義夫 (奄美大島)
永良部百合の花 高石かつ枝、朝丘雪路 
桜島 長渕剛
屋久島 小野由紀子
青年おはら節 西郷輝彦
夏休み 吉田拓郎
 
沖縄県

 

■さとうきび畑
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
今日も見渡すかぎりに みどりの波がうねる 夏の陽ざしのなかで
   ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
   ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
   昔海のむこうから いくさがやってきた 夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
あの日鉄の雨にうたれ 父は死んでいった 夏の陽ざしのなかで
   ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
   ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
   そして私の生まれた日に いくさの終りがきた 夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
風の音にとぎれて消える 母の子守(こもり)の歌 夏の陽ざしのなかで ・・・ 
■十九の春
私があなたにほれたのは ちょうど十九の春でした
いまさら離縁と言うならば 元の十九にしておくれ
   元の十九にするならば 庭の枯木を見てごらん
   枯木に花が咲いたなら 十九にするのもやすけれど
見捨て心があるならば 早くお知らせ下さいね
もしも若くあるうちに 思い残すな明日の花
   一銭二銭の葉書さえ 千里万里と旅をする
   同じコザしに住みながら 会えぬ我が身の切なさよ ・・・
奥山住まいのうぐいすは 梅の小枝で昼寝して
春が来るよな夢をみて ホケキョホケキョと鳴いていた 
■エイサーの夜
夕焼けが島を染めて 涼風(すずかぜ)が吹き抜けたら
満月の夏の空に エイサーの音が響く
   この夏も島に戻り あの笑顔と祈りの謡(うた)
島の風に願いのせて 月の光に導かれて
響く太鼓 平和の祈り いつまでも永久(とわ)に繋ぐ
   七月(しちぐぁち)や島に戻(むどぅ)てぃ 昔友(んかしどぅし)語り欲(ぶ)さぬ
   大月(うふちち)ぬ下道巡(しちゃみちじゅ)ねー
   美童(みやらび)ぬ手舞(てぃも)い美(ぢゅ)らさ
忘(わし)らりみ生(ん)まり島(じま)ぬ 海ぬ匂(にう)い島ぬ情き
   風(かじ)や涼(しだ)さ十五夜(じゅうぐや)ぬ月(ちち)
   三味(しゃみ)とぅ太鼓(てーく) 村に響(とぅゆ)む
   歌や黄金(くがに) 島ぬ云言葉(いくとぅば)
   変わる事(くとぅ)や 事(くとぅ)や無(ね)さみ
この夏も島に戻り あの笑顔と祈りの謡(うた)
島の風に願いのせて 月の光に導かれて ・・・ 
■ハイサイおじさん
ハイサイおじさん(ハーイ) ハイサイおじさん(アッヌガッ) 
夕びぬ三合ビン小 残とんな 残とら我んに 分らんな 
アリアリ童 イェー童 三合ビンぬあたいし我んにんかい 
残とんで言ゅな イェー童 アンセおじさん 
三合ビンし不足やせみーら 一升ビン我んに 呉みせーみ  
   ハイサイおじさん(ハーイ) ハイサイおじさん(アッヌガッ) 
   年頃なたくと 妻小ふさぬ 貴方が女ん子や 呉みそーらに 
   アリアリ童 イェー童 汝や童ぬ くさぶっきて 
   妻小とめゆんな イェー童 アンセおじさん 
   廿才やあまて三十過ぎて 白毛かみてから 妻とめゆみ ・・・ 
ハイサイおじさん(ハーイ) ハイサイおじさん(アッヌガッ) 
夕びぬ女郎小ぬ かばさよい 貴方ん一度 めんそーれー 
アリアリ童 イェー童 辻、仲島、渡地と 
おじさんや あまぬ株主ど アンセおじさん 
毎日あまにくまとして 我んねちゅらーさよーがりゆさ 
汝やちゅらーくよーがりゆさ 
■涙そうそう
古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた
いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ
晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔
想い出遠くあせても おもかげ探して
よみがえる日は 涙そうそう ・・・
晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔
想い出遠くあせても さみしくて 恋しくて
君への想い 涙そうそう 会いたくて 会いたくて
君への想い 涙そうそう 
 

 

沖縄県
平和の琉歌 サザンオールスターズ
沖縄サンバ 浅野ゆう子
沖縄ベイ・ブルース ダウン・タウン
いつまでも 沖縄 山本譲二
バイバイ沖縄 ネーネーズ
島の伝説 南沙織
神の島遥か国 サザンオールスターズ
さとうきび畑 田代美代子
守礼の門 伍代夏子
十九の春 田端義夫
みんさ織りのおばあちゃん 小柳ルミ子  
エイサーの夜 夏川りみ
ハイサイおじさん 喜納昌吉
阿檀の木の下で 中島みゆき
黄金の花 ネーネーズ
涙そうそう 森山良子
私の夏 森高千里
星の砂 小柳ルミ子
愛より青い海 上々颱風
 
全国行脚

 

■盛り場ブルース
咲いて流れて 散って行く 今じゃ私も 涙の花よ
どこにこぼした まことの涙 さがしたいのよ 銀座 赤坂 六本木
   お酒飲むのも なれました ・・・
   小雪はらって 今夜もひとり 酔ってみたいの洞爺 すすきの 定山渓
酔ってもえてる この腕に ・・・
想い出させる 七夕の夜 恋の細道 青葉 国分 一番町
   泣けぬ私の 身がわりに ・・・
   夜のお城の つれない風に 髪も乱れる 栄 今池 広小路
通り雨には すがれない ・・・
すがるこいさん 涙にぬれて 帰るあてなく 南 曾根崎 北新地
   路地のひかげの 小石でも ・・・
   願いをかけた チャペルの鐘が 今日もせつない 薬研 八丁 本通り
グラス片手に 酔いしれて ・・・
ぐちも言います 人形だって 誰がなかせる 中洲 天神 柳町
   流れたくない 流れたい ・・・
   何を信じて 生きてく女 春はいつくる 渋谷 新宿 池袋 
■港町ブルース
背のびして見る海峡を 今日も汽笛が遠ざかる 
あなたにあげた 夜をかえして 港、港 函館 通り雨
   流す涙で割る酒は だました男の味がする 
   あなたの影を ひきずりながら 港、宮古 釜石 気仙沼
出船 入船 別れ船 あなた乗せない帰り船 
うしろ姿も 他人のそら似 港、三崎 焼津に 御前崎
   別れりゃ三月 待ちわびる 女心のやるせなさ 
   ・・・ 港、高知 高松 八幡浜
呼んでとどかぬ人の名を こぼれた酒と指で書く
・・・ 港、別府 長崎 枕崎  
   女心の残り火は 燃えて身をやく桜島 
   ここは鹿児島 旅路の果てか 港、港町ブルースよ 
■哀しみ本線日本海
何処へ帰るの 海鳥たちよ シベリアおろしの 北の海
私には 戻る 胸もない 戻る 戻る 胸もない
もしも死んだら あなた あなた泣いてくれますか
寒い こころ 寒い 哀しみ本線 日本海 ・・・
入江沿いに 灯りがゆれる 名前も知らない 北の町
凍りつく指に 息をかけ 旅の重さ 筆をとる
綴る便りをあなた あなた読んでくれますか
寒い こころ 寒い 哀しみ本線 日本海 
■いい日旅立ち
雪解け間近の 北の空に向かい 過ぎ去りし日々の夢を 叫ぶとき
帰らぬ人達 熱い胸をよぎる せめて今日から一人きり 旅に出る
ああ 日本のどこかに 私を待ってる人がいる
いい日旅立ち 夕焼けをさがしに 母の背中で聞いた 歌を道連れに
   岬のはずれに 少年は魚つり 青いすすきの小径を 帰るのか
   私は今から 想い出を創るため 砂に枯木で書くつもり 「さよなら」と
   ああ 日本のどこかに 私を待ってる人がいる
   いい日旅立ち 羊雲をさがしに 父が教えてくれた 歌を道連れに ・・・
いい日旅立ち 幸せをさがしに 子供の頃に歌った 歌を道連れに 
■北へ帰ろう
北へ帰ろう 思い出抱いて 北へ帰ろう 星降る夜に
愛しき人よ 別れても 心はひとつ 離れまい ・・・
北へ帰ろう 涙を捨てに 北へ帰ろう 星降る夜に
みとせの夢よ わが恋よ 君くれないの くちびるよ 
■別れの一本杉
泣けた 泣けた 堪(こら)えきれずに泣けたっけ
あの娘(こ)と別れた哀しさに 山のかけすも啼いていた
一本杉の石の地蔵さんのヨ 村はずれ ・・・
呼んで 呼んで そっと月夜にゃ呼んでみた
嫁にもゆかずにこの俺の 帰りひたすら待っている
あの娘(こ)はいくつ とうに二十(はたち)はヨ 過ぎたろに 
■恋街ブルース 
たとえ一夜の 契りでも つれない人と 知りながら
待っているのよ 貴方だけ 花も夜咲く 函館 大門 恋の街
   貴方来るかと 今日も又 涙に濡れて 霧の中
   ・・・ 汽笛切ない 港 横浜 恋の街
人の心を ひきつけて 他の誰かに 溺れてる
・・・ 罪な話よ 京都 木屋町 恋の街
   好きな貴方の 嘘だから 一度だけなら 許したが
   ・・・ なみだ元町 神戸 元町 恋の街
嘘を承知で だまされる 逢えば貴方の 腕の中
待っていたのよ 貴方だけ 夜に濡れてる 博多 中洲は恋の街
■日本海ブルース
ざんざざんざと 浪が散る ひゅるるひゅるると 風が泣く
岬越前 日本海 はぐれ鴎か 俺はひとり旅
   灯りともした 花街で 赤い蛇の目の 女を見た
   しのぶおまえの 面影よ 宵の金沢 細雪(さゝめゆき)が舞う
ホタテ肴(さかな)の 熱爛が じんとしみたぜ 輪島では
酔ってうつろに 見る地図の 魚津 直江津 あとは夢ん中
   おけさ踊りで 俺を待つ 佐渡は荒海 なさけ島
   一と夜添寝の ぬくもりを 抱いて夜明けの わかれ船にのる
宿にころがり まくら酒 汽車にゆられて 憂(うれ)い酒
ながれ男が 目になみだ 男鹿の彼方に 赤い陽がしずむ ・・・
   津軽海峡 竜飛崎 沖で夜どおし 呼ぶ霧笛
   海も明日は 晴れるだろ さらば乾杯 俺の日本海
■中の島ブルース
赤いネオンに 身をまかせ 燃えて花咲く アカシアの
あまい香りに 誘われて  あなたと二人 散った街
あゝ ここは札幌 中の島ブルースよ
   水の都にすてた 恋 泣いて別れた 淀屋橋
   ほろり落とした 幸せを あなたと二人 拾う街
   あゝ ここは大阪 中の島ブルースよ ・・・
あなたと二人濡れた街 あゝ ここは長崎 中の島ブルースよ 
■新・中の島ブルース
夢をください 嘘でいいから この指に この髪に この胸に
ゆきずりの旅の人よ あすは他人の 背広姿
一度だけ 一度だけ 契りかわせば ああ 泣いて札幌 中の島ブルース
   お酒ください 涙色した 淋しさに 想い出に 傷跡に
   止り木の旅の人よ どこか昔の 男に似てる
   面影が 面影が 心ゆらせば ああ 泣いて大阪 中の島ブルース ・・・
ひきとめて ひきとめて 未練ごころを ああ 泣いて長崎 中の島ブルース 
■霧笛
霧が深くなる テープが海に散る
鴎は泣き叫ぶ 私は耳をふさぐ
やめて やめて やめて 汽笛はやめて 
誰か 誰か とめてよ あの船を
おんな ひとりでは この港町 生きてゆけない
あぁ 夜を あぁ ひき裂く 出船のブルースよ
   灼けた強い腕 タバコが 沁みた胸
   甘さをふくむ声 すべてが これで終る
   やめて やめて やめて 汽笛はやめて 
   誰か 誰か とめてよ あの船を
   あなた 帰したら もうこの町は みんな灰色
   あぁ 夜も あぁ 泣いている ・・・
やめて やめて やめて 汽笛はやめて 
誰か 誰か とめてよ あの船を ・・・  
 

 

全国行脚
盛り場ブルース 森進一
港町ブルース 森進一
哀しみ本線日本海 森昌子
いい日旅立ち 山口百恵
北へ帰ろう 小林旭
別れの一本杉 春日八郎  
恋街ブルース 
日本海ブルース
中の島ブルース
新・中の島ブルース
霧笛 八代亜紀
 
韓国

 

■大田ブルース(テジョンブルース)
別離(わかれ)のことばも 云えないままに 二人をひきさく 太田発0時50分
逢えるその日は 来るだろか 堪(こら)えきれずに 泣けてくる
あ……離しちゃいけない 倖せなのに ・・・
つないだ手と手を 離せとばかり 夜汽車は出て行く 大田発0時五0分
夢を抱きしめ 耐えながら 祈りつづけて 待っている
あ……二人の倖せ 涙で遠い  
■釜山港へ帰れ
つばき咲く春なのに あなたは帰らない 
たたずむ釜山港(プサンハン)に 涙の雨が降る
   あついその胸に 顔うずめて もういちど幸せ 噛みしめたいのよ
   トラワヨ プサンハンへ 逢いたい あなた
行きたくてたまらない あなたのいる町へ 
さまよう釜山港は 霧笛が胸を刺す
きっと伝えてよ カモメさん ・・・ 
■雨降る湖南線
あなたは誰に會いに行く 信じてはいけないの 知った日はどれほどの 女の淚なのよ
真実(ほんと)の戀など 此の世にないものね 莫迦なわたしよ 雨降る湖南線 ・・・
あなたと送ることさえも 思えば切ないの 別れが罪だよと 誰もそう思わない
真実(ほんと)の戀など 此の夢なのと 知っては泣き泣き 雨降る湖南線 
 

 

韓国
太田(テジョン)ブルース チョーヨンピル・大月みやこ・桂銀淑・青江三奈・・・
釜山港へ帰れ 渥美二郎
雨降る湖南線 大川栄策
 
 
 

 

ブルース演歌
全国
■盛り場ブルース
咲いて流れて 散って行く 今じゃ私も 涙の花よ
どこにこぼした まことの涙 さがしたいのよ 銀座 赤坂 六本木
   お酒飲むのも なれました ・・・
   小雪はらって 今夜もひとり 酔ってみたいの洞爺 すすきの 定山渓
酔ってもえてる この腕に ・・・
想い出させる 七夕の夜 恋の細道 青葉 国分 一番町
   泣けぬ私の 身がわりに ・・・
   夜のお城の つれない風に 髪も乱れる 栄 今池 広小路
通り雨には すがれない ・・・
すがるこいさん 涙にぬれて 帰るあてなく 南 曾根崎 北新地
   路地のひかげの 小石でも ・・・
   願いをかけた チャペルの鐘が 今日もせつない 薬研 八丁 本通り
グラス片手に 酔いしれて ・・・
ぐちも言います 人形だって 誰がなかせる 中洲 天神 柳町
   流れたくない 流れたい ・・・
   何を信じて 生きてく女 春はいつくる 渋谷 新宿 池袋 
■港町ブルース
背のびして見る海峡を 今日も汽笛が遠ざかる 
あなたにあげた 夜をかえして 港、港 函館 通り雨
   流す涙で割る酒は だました男の味がする 
   あなたの影を ひきずりながら 港、宮古 釜石 気仙沼
出船 入船 別れ船 あなた乗せない帰り船 
うしろ姿も 他人のそら似 港、三崎 焼津に 御前崎
   別れりゃ三月 待ちわびる 女心のやるせなさ 
   ・・・ 港、高知 高松 八幡浜
呼んでとどかぬ人の名を こぼれた酒と指で書く
・・・ 港、別府 長崎 枕崎  
   女心の残り火は 燃えて身をやく桜島 
   ここは鹿児島 旅路の果てか 港、港町ブルースよ 
■恋街ブルース 
たとえ一夜の 契りでも つれない人と 知りながら
待っているのよ 貴方だけ 花も夜咲く 函館 大門 恋の街
   貴方来るかと 今日も又 涙に濡れて 霧の中
   ・・・ 汽笛切ない 港 横浜 恋の街
人の心を ひきつけて 他の誰かに 溺れてる
・・・ 罪な話よ 京都 木屋町 恋の街
   好きな貴方の 嘘だから 一度だけなら 許したが
   ・・・ なみだ元町 神戸 元町 恋の街
嘘を承知で だまされる 逢えば貴方の 腕の中
待っていたのよ 貴方だけ 夜に濡れてる 博多 中洲は恋の街
■日本海ブルース
ざんざざんざと 浪が散る ひゅるるひゅるると 風が泣く
岬越前 日本海 はぐれ鴎か 俺はひとり旅
   灯りともした 花街で 赤い蛇の目の 女を見た
   しのぶおまえの 面影よ 宵の金沢 細雪(さゝめゆき)が舞う
ホタテ肴(さかな)の 熱爛が じんとしみたぜ 輪島では
酔ってうつろに 見る地図の 魚津 直江津 あとは夢ん中
   おけさ踊りで 俺を待つ 佐渡は荒海 なさけ島
   一と夜添寝の ぬくもりを 抱いて夜明けの わかれ船にのる
宿にころがり まくら酒 汽車にゆられて 憂(うれ)い酒
ながれ男が 目になみだ 男鹿の彼方に 赤い陽がしずむ ・・・
   津軽海峡 竜飛崎 沖で夜どおし 呼ぶ霧笛
   海も明日は 晴れるだろ さらば乾杯 俺の日本海
■中の島ブルース
赤いネオンに 身をまかせ 燃えて花咲く アカシアの
あまい香りに 誘われて  あなたと二人 散った街
あゝ ここは札幌 中の島ブルースよ
   水の都にすてた 恋 泣いて別れた 淀屋橋
   ほろり落とした 幸せを あなたと二人 拾う街
   あゝ ここは大阪 中の島ブルースよ ・・・
あなたと二人濡れた街 あゝ ここは長崎 中の島ブルースよ 
■新・中の島ブルース
夢をください 嘘でいいから この指に この髪に この胸に
ゆきずりの旅の人よ あすは他人の 背広姿
一度だけ 一度だけ 契りかわせば ああ 泣いて札幌 中の島ブルース
   お酒ください 涙色した 淋しさに 想い出に 傷跡に
   止り木の旅の人よ どこか昔の 男に似てる
   面影が 面影が 心ゆらせば ああ 泣いて大阪 中の島ブルース ・・・
ひきとめて ひきとめて 未練ごころを ああ 泣いて長崎 中の島ブルース 
北海道
■札幌ブルース
すすきの町に 灯がともる ほのかな明るい 灯がともる 昨日おとして 今日またひろう
恋のかけらを 散りばめながら ああ わたしの札幌 あなたの札幌 夢呼ぶ街よ ・・・
鐘が鳴ります 時計台 月はまだかよ 藻岩山 風がより添い 羊が丘へ
恋の夕笛 さやかにわたる ああ わたしの札幌 あなたの札幌 夢呼ぶ街よ  
■すすきのブルース
あなたを愛したあの夜から 私は淋しい女になりました
忘れはしない霧降る街で 初めてふれた男の心 ああ… すすきのの夜が切ない ・・・
この夜の運命を恨んでも 私はあなたを憎んでいやしない
逢えなくなって今更知った 諦められぬ心のつらさ ああ… すすきのの夜が切ない  
■石狩ブルース
赤い夕陽に せつなく燃える 男涙を 誰知るものぞ
ここは石狩 曠野の果ての 雲も俺らも ながれ者 ・・・
咽(むせ)ぶ夜風に 心の汚点(しみ)を 捨ててはるばる 石狩平野
男一匹 夢からさめて 待は生命(いのち)の 朝ぼらけ
■函館ブルース
泣けるものなら 声あげて 泣いてみたいの 思いきり
漁火よりも 小さなあかり 消された哀しみ 誰が知ろ
ああ つきぬ未練の函館! 函館ブルース ・・・
霧が重たい こんな夜は 鐘も泣いてる トラピスト
運命と言えば なおさらつらい 悲しみ多い 恋でした
ああ つきぬ恨みの函館! 函館ブルース 
■旭川ブルース
あなたを信じて傷ついた 女心は淋しく悲し
夜毎の夢にまぼろしに 命も泪も凍ってしまう
ああ 氷点の街 旭川 ・・・
あなたと一緒にいなければ とても生きてはいけないわたし
この世の運命恨んでも どうにもならない想い出ばかり
ああ 氷点の街 旭川 
■稚内ブルース
晴れれば浮かぶ サハリンの 島影呼んで 海鳥泣けば
石の乙女の 瞳から ほろほろほろり ほろほろり 涙こぼれる 稚内 ・・・
氷雪胸に とけぬ日も 海幸呼んで また陽は昇る
つよく手をとり 生きてよと きらきらきらり きらきらり ゆれて輝く 宗谷湾 
■北海道ブルース
■北見ブルース  
岩手県​
■盛岡ブルース
青い灯が揺れる盛岡の夜に 君と出逢った中の橋
今夜の二人素敵だわ ロマンチックです ああ 思い出の大通り ・・・
今日も夜が来る盛岡の街に サヨナラも言わずに旅に立つ
灯影に咲いた面影が 優しくのこる ああ盛岡ブルースよ 
■繋温泉ブルース
一夜限りか また来る人か 名残り尽きない つなぎ橋
せめて繋げよ 心の橋を 恋の湯町の 想い出に ・・・
つなぎ街道に 雪降るとても 忘れしゃんすな 七つ森
右は小岩井 左は湯町 恋の湯宿の 燈が招く 
山形県
■湯の浜ブルース
酔っていたって 私は本気 貴方の胸で 甘えてみたい
波の音さえ 愛しく唄う 恋の 恋の湯の街 湯の浜ブルース
   眠れぬ夜の 空しさに 一人悩むも 女の定め
   燃えてみたいと 切なく唄う ・・・ 湯の浜ブルース
愛する事の 苦しさを 知っていながら なぜ惚れた
忘れたいのと 涙で唄う ・・・ 湯の浜ブルース 
秋田県​
■おばこブルース
雪でこごえた 指先を 熱いなみだで あたためて
やさしく抱いて くれた人 嫁になるなら あのひとの
好き 好きよ おばこブルース
   にぎりしめてる 幸福を どこに落として しまったか
   りんごの花が 散るように はなればなれに なったけど
   好き 好きよ ・・・
命なんかと おおげさに 言わず語らず つくすのが
女と男の 若い仲 母さん許して この恋を
好き ・・・  
宮城県
■MIYAGI LADY BLUES 〜宮城レディ・ブルース〜
ハイカラ 宮城のWoman アンタは偉いっちゅうの オモロイっちゅうの
酔いどれ陸奥のWoman アンタ歌ウマイんちゃうの? 凄いんちゃうの?
そのファンキーなリズムで 魂のBluesを さァ、聴かせておくれ Oh…!!
エエのんか!? 宮城のLady アンタはエロいっちゅうの ヤバいっちゅうの
酔いどれナミダのBaby 彼氏(アイツ)にフラレて泣いてんの!?
悲しい時も笑顔にしてくれる この街が好きさ Oh…!!
ヨッ!! ナンバーワン!! 大崎八幡宮
八木山ベニーランド もうエエわ言わんといて
Oh, my sweet home 仙台 陸奥 northern east
もう一度言う!? My sweet home 仙台 やっぱり"萩の月"はベスト
ハイカラ 宮城のWoman アンタは可愛いっちゅうの オモロイっちゅうの
サイナラ 陸奥のお姐ちゃん アンタを世界中が好きさ
野暮で情けない男やけれど 君を抱きしめて Oh…!!
えっ、ホンマでっか!? 気仙沼 ビューティフル
石巻 ワンダフル 宮城レディ・ブルース ・・・
栃木県
■鬼怒川ブルース 
湯けむりの町 湯西川 たもとでかくす 白い指先
一人来ました 思いでたずね 恋の花咲け 我が恋ならば
愛のいろはの 鬼怒川ブルース ・・・
ライン下りの 行く先は 流れのままに 流されて
色もあざやか ベコニアの  恋の花咲け 川俣の恋
愛のいろはの 鬼怒川ブルース
■餃子ブルース
群馬県
■前橋ブルース
よく似た人だというだけで あげたくなるのよ心まで
好いたふりしてあげるから 惚れたふりして踊ってね
あヽ ここは前橋 なぜかこの唄この唄前橋ブルース ・・・
今夜もあなたに逢えなくて 両毛線は終電車
遠い汽笛の淋しさを 酒でぬくめて唄うのよ
あヽ ここは前橋 なぜかこの唄この唄前橋ブルース 
埼玉県
■大宮ブルース 
東京都
■東京ブルース (淡谷のり子)
雨が降る降る アパートの 窓の娘よ なに想う
ああ 銀座は暮れゆく ネオンが濡れるよ
パラソル貸しましょ 三味線堀を 青い上衣(うわぎ)でいそぐ君
   ラッシュ・アワーの 黄昏を 君といそいそ エレベーター ・・・
   二人で夢見る 楽しい航路(ふなじ) 仰ぐ南極 十字星
だれも知らない 浅草の 可愛い小(ちい)ちゃな 喫茶店 ・・・
私を待ち待ち 紅茶の香り 絽刺(ろざし)する夜を 鐘が鳴る
   昔恋しい 武蔵野の 月はいずこぞ 映画街 ・・・
   更けゆく新宿 小田急の窓で 君が別れに 投げる花 
■東京ブルース (鶴田浩二)
酒場横丁を 横目で抜けりゃ 花のネオンも 嘲笑(わら)ってる
酔うてよろめく 寂しい肩に 霧が沁みこむ 銀座裏 
ああ東京 東京ブルース ・・・  
泣きに帰ろか 浅草(ロック)の隅は あぶれ仲間の 吹き溜り
消えちゃいないよ 男の夢は 熱い血潮の 底にある 
ああ東京 東京ブルース 
■東京ブルース (西田佐知子)
泣いた女が バカなのか だました男が 悪いのか
褪せたルージュの 唇噛んで 夜霧の街で むせび哭く 
恋のみれんの 東京ブルース ・・・
月に吠えよか 淋しさを どこへも捨て場の ない身には
暗い灯(ほ)かげを さまよいながら 女が鳴らす口笛は 
恋の終りの 東京ブルース 
■女のブルース
女ですもの 恋をする 女ですもの 夢に酔う
女ですもの ただ一人 女ですもの 生きて行く
   あなたひとりに すがりたい あなたひとりに 甘えたい
   ・・・ あなたひとりに ささげたい
ここは東京 ネオン町 ここは東京 なみだ町
・・・ ここは東京 嘘の町
   何処で生きても 風が吹く 何処で生きても 雨が降る
   ・・・ 何処で生きても いつか散る 
■ハーモニカ・ブルース 小沢昭一
ハーモニカが欲しかったんだよ どうしてかどうしても欲しかったんだ
ハーモニカが欲しかったんだよ  でもハーモニカなんて売ってなかったんだ
戦争に負けたんだ かぼちゃばっかり喰ってたんだ
   ハーモニカが欲しかったんだよ どうしてかどうしても欲しかったんだ
   ハーモニカが欲しかったんだよ もう機関銃なんか欲しくなかったんだ
   戦争は負けたんだ 誰も俺を待ってなかったんだ ・・・
ハーモニカが欲しかったんだよ どうしてかどうしても欲しかったんだ
ハーモニカが欲しかったんだよ 何にもなかったあの年の夏
■銀座ブルース
たそがれゆく銀座 いとしい街よ 恋の灯つく銀座 夢買う街よ
あの娘の笑顔が 可愛い ちょっと飲んで いこうかな
ほんとにあなたって いい方ね でもただそれだけね
たそがれゆく銀座 いとしい街よ 恋の灯つく銀座 夢買う街よ ・・・
あの娘の気持ちは どうだろう ちょっと聞いて みようかな
目と目で交したお話しが ピンと来るのよ
今宵ふけゆく銀座 たのしい街よ ふたり消えゆく銀座 夜霧の街よ 
■銀座夜のブルース
おとな同士さ 俺とお前の仲 愛しすぎても あきはしないのさ
これが銀座 濡れたネオンに 枯葉がうたう
いつも ごきげんな街だよ あゝ 銀座ブルース ・・・
呑んで踊って 恋に疲れたひと せめて明日に 夢をつなぐひと
これが銀座 別れたあとの 孤独なこころ
なぜか 眠れない夜ふけの あゝ 銀座ブルース 
■数寄屋橋ブルース
ビルの灯紅く 燃えたとて 泣きたい夜の 数寄屋橋
月日は流れる 夢の様に 流れて帰らぬ あの人よ
ああ街角に 恋は消え 残るはこの唄 数寄屋橋ブルース ・・・
あなたのあとを 追うように ウツロな風が いまも吹く
再び帰らぬ 恋想い この僕死ぬ程 つらいんだ
ああ夜も更ける 恋は消え 残るはこの唄 数寄屋橋ブルース 
■冬子のブルース
冬子はひたすら 生きたのに 冬子のからだは
冬子をすてた だれかが操る 運命の糸に
ひかれているとも 知らないで あゝ 冬子は銀座へきた女 ・・・
冬子はいけない 女だと 冬子の噂が
冬子を包む 曲がっていたのは 世のなかなのに
唇ひらけば しみる夜風 あゝ 冬子は枯葉を口ずさむ 
■赤坂ブルース
田町通りにたたずめば 夜風が寒い 思い出すのはあなたとの 楽しい日々ね
別れがこんなに 苦しいものと 知らないはずでは なかったけれど
雨 雨 なみだ雨 わたしが泣いてます ・・・
みすじ通りの宵灯り ネオンもにじむ ワイングラスに面影が 浮かんで消える
わがまま云わなきゃ よかったものを 悔やんでみたって 帰らぬ恋よ
雨 雨 なみだ雨 わたしが泣いてます 
■新宿ブルース
恋に切なく 降る雨も ひとりぽっちにゃ つれないの
夜の新宿 こぼれ花 涙かんでも 泣きはせぬ
   あんな男と 思っても 忘れることが 出来ないの
   惚れてみたって 夜の花 ・・・
西を向いても 駄目だから 東を向いて みただけよ
どうせ儚い なみだ花 ・・・
   こんな私に うまいこと 云って泣かせる 憎いひと
   追ってみたって はぐれ花 ・・・
生きて行くのは 私だけ 死んで行くのも 私だけ
夜の新宿 ながれ花 いつか一度を 待ちましょう 
■渋谷ブルース
夜が明けたセンター街で 遊び疲れて駅へと向かう
路肩の生ゴミが少し破れて 夢の残り物 カラスたちが狙う
   悪いことをしてたんじゃない 親に言えない秘密が欲しい
   「メールか電話くらいできるでしょ?」
   そう叱られたって どこで何してたか 言わない ・・・
渋谷 渋谷 渋谷だけが いつも私の話を聞いてくれるから
今日も 今日も 今日もここで なぜだか泣けて来るんだ
   交差点の人の流れと 逆に歩いて孤独に気づく
   スカートのプリーツがしわしわで バレてる朝帰り 
   でも反省なんかしてない
■山谷ブルース
今日の仕事はつらかった あとはしょうちゅうを あおるだけ
どうせ どうせ山谷のドヤ住い ほかにやることありゃしねえ
   一人酒場で 飲む酒に かえらぬ昔が なつかしい
   ・・・ 今じゃ山谷が ふるさとよ
工事終れば それっきり お払い箱の おれ達さ
・・・ 世間うらんで 何になる
   人は山谷を 悪く言う だけどおれ達 いなくなりゃ
   ・・・ 誰も解っちゃ くれねえか
だけどおれ達ゃ 泣かないぜ はたらくおれ達の 世の中が
・・・ その日にゃ泣こうぜ うれし泣き 
■広小路ブルース
あなたに甘えて 飲んだ酒
別れがつらいと 泣いた酒
東新町の ネオンの花に
すがる私は 夜の蝶
あぁ 涙がうたう 広小路ブルースよ ・・・
■錦糸町ブルース
夜の下町 恋の町 女泣かせの 灯がゆれる
男心の 薄なさけ ああ・・・ 泣いて別れた 隅田川
   好きにならなきゃ いいものと 涙かみしめ 決めたのに
   今夜も今夜も 痛む胸 ああ・・・ 一人淋しい 帰り道 ・・・
風が身に泌む(にじむ) 錦糸町 濡れたまつげに 泣きぼくろ
こんな女に 誰がした ああ・・・ 花の咲かない ひかげ花
■深川ブルース
粋な男の 面影が 浮かんで消えてく 隅田川
渡りきれない 渡れない 江戸の名残の 永代橋で
木遣り一筋 心に響く ここは仲町 恋の町 涙町
   揃い浴衣で 牡丹町 両手を合わせる 不動さま ・・・
   スカイツリーに 寂しさ揺れる ここは富岡 出逢い町 別れ町
寒い心に 灯をともす 檜の香りの ママの店
忘れられない 忘れたい 酔えば切ない 洲崎の灯り
胸の痛みに ぬくもり沁みる ここは深川 恋の町 情け町 
■門前仲町ブルース
夜の門仲 なみだ雨 弱い女の 恋なんて
見てはいけない 夢なのね あれからどこに 行ったやら
ゆれる暖簾に ふりむけば 風のいたずら 風のいたずら 門仲ブルース ・・・
どうせ私(あたし)を 捨てるなら なぜにぬくもり 置いて行く
泣けて来るほど 惚れたのは ささいな事に 目をつむり
許す男の 恰好よさ そっと溜息 そっと溜息 門仲ブルース
■60ブルース 夏木マリ
TOKYOは池袋で生まれたあたし 病院はビックリガード脇のぬかりや医院
おしゃまで 気の強い女の子 ある日、KIOSKの前で大の字に寝てストライキ
欲しいお菓子を買ってもらえず反抗した3才 母はあきれた
早稲田の学生さん達に笑われちゃってはずかしい あんたの未来が恐ろしいって
   その母が借金しても良いものを食べようって言った 我が家 朝は赤玉の半熟玉子
   バタージャムたっぷりトースト あの頃 バターやジャムは高級品
   今のあたしの元気 あの玉子やバターのおかげ
   がしかし 夜になると ロールキャベツだ
   シチューだ X'masにはターキーと 和食を魚を食べたことがない
   だからあたしはCaが足りない そう あたしはこの頃よく転ぶ コケル ・・・
未来はドローン達が飛び HOTELもロボットがお出迎え
思えば 思えば 遠くへ来たもんだ そうは言っても 朝は体がカタイ
夜はすぐ眠くなる がしかし 今を楽しみたいよ ハシャギたい 葬式までさ
みんな みんな一緒に行こう よろしく よろしく頼むよ
あたしのペイシェントたち スワサントンBLUES
■練鑑ブルース
身から出ました錆ゆえに 夢を見てさえ目がにごる
恨む親でも有ればいい 一人生きてく世が寒い
   曲がりくねった道だから ひねくれ根性で歩いてた
   俺も人の子人なみに 過去も有ります傷も有る
殺したいほど惚れたのに 好きと言えずに言われずに
別れて今夜も酒を飲む あいつの小じわが気にかかる ・・・
ひとでなしよりまだいいが こんな男に誰がした 
■番長ブルース
馬鹿を承知でヤサぐれて みろよアイツが番長と
背中(せな)で嘲(わら)われ指さされ 広い東京せまくする
   生んだ覚えはあったとて ・・・
   サラリ忘れて下さいな 泣いてさとしたお袋よ
どこのどいつと聞く前に ・・・
これが番長ごくつぶし 不孝かさねたなれのはて
   すねて曲がって育っても ・・・
   思い出します練馬区の 今はもどれぬ鑑別所 
■千住ブルース
故郷(くに)を出た時ゃ 十六、七で 花の都に憧れて 
たどりつく町 夢の町 惚れてえらんだ この稼業 
夜の千住の 夜の千住の 流し唄  
   負けず嫌いの 男の歌は 意地で覚えた 命うた
   今日も馴じみの カウンター 生きて行くのが 辛いなら ・・・
久し振りだと ネオンが灯る どこへ消えたか あの頃は
浮かぶギターの うしろ影 おもい出させて また泣かす ・・・
■薬研堀ブルース 
愛を結んだ このクラブ あなたを忍んで 来たけれど
グラスに グラスに 映った小さなしあわせは
うしろ姿の 影ばかり ああ雨が泣いてる 薬研堀ブルース ・・・
寒い心の すきま風 誰が包んで くれるのよ
うそでも うそでも いいから優しくされたくて
さびしがりやに なりました ああ雨が泣いてる 薬研堀ブルース
■江戸川ブルース
神奈川県
■ヨコハマブルース
港の風が 涙の胸に しみるよ切なく やるせなく
バイバイ バイバイ 走り行く船を 鴎なぜ呼ぶ
あゝ泣きながら ・・・
なんにも言わずに 波間に流す 涙の花びら 胸の花
バイバイ バイバイ 泣くなよ鴎 どうせはかない
あゝ恋ならば  
■ヨコハマブルース
肩に小雨が しみるこんな夜(よ)は ひとり伊勢佐木 思い出たどる
好きと言って 抱きしめた あんた信じて 夢見てた
なんで なんで なんでどうして あんた あんた あんた あんた恋しい 
ヨコハマブルース ・・・
濡れた舗道に 映るネオンには ひとり馬車道 面影にじむ
外国船(ふね)の灯りが 消えるよに こんな別れが 来るなんて
なんで なんで なんでどうして あんた あんた あんた あんた恋しい 
ヨコハマブルース 
■YOKOHAMA blues
YOKOHAMA blues 潮の風に乗って
君の香水の香りがした気がして 振り返る君のいないこの街
   君と離れてどれくらいだろう  いつも会うのは横浜だった
   あれから僕も少し変わって 大変だけどなんとかやれてる
あの頃話した夢も叶って 幸せなのかと思ったけれど
やっぱりそうはいかなかったみたい 僕は今、立ち止まってる
   名が売れていいこともあったけど悲しいこともあった
   受け入れてるし、仕方ないことだから
   今更何か言うこともないけど
   ただちょっと疲れただけだと思うんだ ・・・ 
■よこはまブルース
鎌倉街道 南へ走る 港よこはま 通り雨
あなたの生まれた この街が いつかわたしの故郷になる
ついて来いと言ってくれるまで わたし泣かない
いつも心にふる よこはま 別れ雨ブルース
   山手の境界 ウェディングベル 港ゆうやけ ワシン坂
   あなたと歩いた この街に いつかわたしの唄が流れる
   声をかぎり叫んでみても あなた見えない ・・・
・・・ いつも女ひとり よこはま 別れ雨ブルース 
■横浜ブルース
霧笛せつなく 泣き出しそうな 夜霧が漂う 港の酒場
愛はかなしい かなしいものね あなただけに かけていたのに
わたしひとりに させないで ああ 横浜 横浜ブルース ・・・
恋の命は 煙草のけむり 港をはなれる 外国航路
せめて今宵は 一緒にいてね 琥珀色の グラスかたむけ
飲んで明かして ほしいのよ ああ 横浜 横浜ブルース
■横浜ブルース
港の雨は 夜の涙か ここまでたずねて来た 俺を泣かせる
横浜 さみしい秋がただよう お前の噂の 糸をたぐれば
きっと逢えると 信じているから 愛は今もここにあるよ 横浜ブルース
   港に続く 道の向こうは 馬車道あたりなのか 何故かひかれる
   横浜 この街雨に打たれて 歩いたお前の 気持ち思えば
   抱いてやりたい 思いの限りに ・・・
・・・ 胸が初めて 悲しみふるえた 愛は今もここにあるよ 横浜ブルース 
■横濱のブルース
愛を信じてくれ 俺を信じてくれ なのにお前はどこ どこどこなの
山手 本牧 馬車道と 誰かあいつを 知らないか 本気で最後の そんな恋だった
ポツリポツリと雨が 肩に心にしみて来る 今すぐ逢いたい 横濱(ハマ)のブルース
   いっそ恨んでくれ 俺を嗤(わら)ってくれ ・・・
   尾上町(おのえ) 山下 伊勢佐木町 街に灯りを 一つずつ 嘘などなかった ただのくい違い
   ルルリルルラと遠く とぎれとぎれの流行り歌 お前と聞いてた 横濱のブルース
日ノ出町(ひので) 元町 桜木町 波に逆らい ただ一人 寂しい右手に 風を抱きながら
ユラリユラユラ揺れる 瞳閉じれば面影が 待つのも良いだろう 横濱のブルース
■ヨコハマ・レイニー・ブルース
ひとり飲む酒 悲しくて 映るグラスはブルースの色
たとえばロング・ゴーン・ロンサム・ブルースなんて聞きたい夜は
横浜ホンキートンク・ブルース
   ヘミングウェイなんかにかぶれちゃってさ
   フローズン・ダイキリなんかに酔いしれてた あんた知らないそんな女
   横浜ホンキートンク・ブルース
飯を食うなら「オリジナル・ジョーズ」なんて
聞いたふうなことをぬかしてた 亜麻色の髪のサラって言う女さ
横浜ホンキートンク・ウーマン
   あなたの影を探し求めて
   ひとりさすらったこの街角 本牧あたりの昔の話さ
   横浜ホンキートンク・ブルース ・・・
ひとり飲む酒わびしくて 映るグラスは過去の色
あなた恋しい 黄昏の 横浜ホンキートンク・ブルース ・・・
■Yokohama Bay Blues
会いたい 気持ちだけが 会えない 留守番電話の笑い消えて 空白の答え  
忘れる 強さを酒で試す 汽笛が空に溶ける夜は 寂しさが回る  
君の名を 叫んでも 風が吹き消す 魂
月に届けよ 悲しき願い 誰も傷つけずに 生きるなんてできない
許しておくれ 俺を 薄情そうな木枯らし 舞う 
YOKOHAMA BAY BLUES  
君の名を 叫んでも 風が吹き消す 魂 
できることなら もう一度話したかった 誰も傷つけずに 生きるなんてできない
許しておくれ 俺を ・・・
■YOKOHAMA BAY BLUES
本牧埠頭から oh 霧が立ちこめると
濡れてく YOKOHAMA BAY BLUES
    サヨナラは再び ah 逢う為の言葉と HARBOR LIGHT 君の影 震えてゆくよ
    ・・・ 三年 過ぎたら 戻るから 離れてく 桟橋に 手を伸ばす
そのままの君だけ 抱きしめていたい 涙も 痛みも 包みこんで
このままの俺だけ 傍に置いてく 悔しさ 切なさ 胸に伏せて I LOVE YOU!
■横浜のベイ・ブルース
霧笛が泣いて 船の灯揺れる 泣いて別れた 夜の波止場
二人の恋が 儚く散った 誰を恨んで 泣いたらいいの
暮れゆく街に 灯がともり 心のともしび 消えてゆく
   港見下ろす 外人墓地に 今日も来ました あの日のように
   私の夢は 空しく消えた 馬鹿な私を 笑うがいいわ
   ネオンの街で 一人泣く 横浜の女の ベイ・ブルース
一人さまよう 伊勢佐木町に ・・・
■ベイブリッジ・ブルース
まじめな男は たいくつで プレイボーイは 鼻につく
どこにいるのか好みのタイプ ハッピーエンドは 霧の中
あなたに自信があるならば 渡っておいでよ ベイブリッジ
恋のかけ橋 ベイブリッジブルース ・・・
やんちゃな男は ぶきっちょで やさしい男は 嘘をつく
恋はまぼろし分かっていても おもしろ半分 くり返す
月夜の晩に おしゃれして 渡っておいでよ ベイブリッジ
恋のかけ橋 ベイブリッジブルース 
■別れのブルース
窓を開ければ 港が見える メリケン波止場の 灯が見える
夜風 潮風 恋風のせて 今日の出船は どこへ行く
むせぶ心よ はかない恋よ 踊るブルースの 切なさよ
   腕にいかりの 入れずみほって やくざに強い マドロスの
   お国言葉は 違っていても ・・・ 
■霧情のブルース
口笛も凍る みなとハコダテ 誰かあいつを 知らないか
探さないでと ルージュで書いた 左さがりの 文字がかなしい 
夜霧よ歌うな ブルースは ・・・
讃美歌にむせぶ みなとナガサキ 誰かあいつを 知らないか
夜の円山 見かけたという 噂たずねりゃ 他人の空似
夜霧よ歌うな ブルースは 
■伊勢佐木町ブルース
アァ アァ アァ アァ アァ アァ
あなた知ってる 港ヨコハマ 街の並木に 潮風吹けば
花散る夜を 惜しむよに 伊勢佐木あたりに 灯がともる
恋と情けの ドゥ ドゥビ ドゥビ ドゥビ ドゥビ ドゥバ 灯がともる ・・・
アァ アァ アァ アァ アァ アァ
あなた馴染みの 港ヨコハマ 人にかくれて あの娘が泣いた
涙が花に なる時に 伊勢佐木あたりに 灯がともる
恋のムードの ドゥ ドゥビ ドゥビ ドゥビ ドゥビ ドゥバ 灯がともる 
■長者町ブルース
ハングル文字のネオン管 
異星からやって釆たホステス 長者町の夜
   コリアにフィリッピン タイランド
   国籍不明のダンサー バントが始まれば 喧嘩も始まる
カタコトで「タンシヌル・サランヘ」 あの女に伝えたかった
   長者町 雑居ビルの宇宙ステーション
   あの女は月へと飛んで行った アッサー! ・・・
長者町 黒いバラ咲く花園 ほとばしる情念のブルース 
■本牧 HONMOKUブルース
女は嘘つき そして愛の獣(けだもの) だから何度でも 恋が出来るの
私の髪に ジャズがからみつく あなた誰? ここは本牧ブルースよ ・・・
このまま何処かへ 連れて逃げてほしいと 言って困らせて またあきらめる
ハーバーライト 窓に爪のあと あなた誰? ここは本牧ブルースよ 
■桜木町ブルース
淡い黄昏 せまる頃 私の心が 又 いたむ
好きでならない人なのに なぜに私に つれないの
今宵もせつない ためいきが 
ああ 桜木町は 桜木町は 恋とネオンの 花が咲く ・・・
想い出に咲く ネオン街 私の心に いつまでも
忘れぬ人となるでしょう 今はお酒に 身をまかせ
今宵もせつない ためいきが 
ああ 桜木町は 桜木町は 恋とネオンの 花が咲く 
■横須賀ロンリーブルース
米軍の爆音が 俺の目覚まし時計 OH つらいけど シャワーを浴びるぜ
飲み過ぎたテキーラが まだぬけていないから OH 朝メシは シケモク吸うだけさ
街で拾った ソファーにもたれ ひとりつぶやく 何処にいる? 俺のハニー
Run a way Run a way Baby
   聞いてくれ 横須賀ロンリーブルース 
   ジェラシーなんて もうないぜ そう 終わりさ
   やるせない 横須賀ロンリーブルース 
   こんな俺に 愛想が尽きて そう おさらば
   You broke my heart You make me blue No good
メキシコへ渡ったら Bankでも襲うわと OH ジョークなのか マジかはお手上げさ
サクソフォン鳴らすしか 能のない俺だけど OH 相性は 悪くはないはずさ
どんなことでも 信じてしまう 世間知らずで 心配さ 俺のハニー
Run a way Run a way Baby ・・・
■城ヶ崎ブルース
ゆかねばならぬ 男がひとり ゆかせたくない 女がひとり
ふたりの恋の 城ヶ崎 咲けよ匂えよ 湯の花すみれ
あしたのことは 言わないで ・・・
愛してくれた 小指の爪を そっとかたみに つつんでいれた
ハンカチ白い 城ヶ崎 あなたが帰る 遠笠山が
涙にかすむ 夜のはて
■湯本ブルース
生まれる前の ふたりはひとり そんな気がする あなたの胸に
抱かれて滝の 音を聞く 箱根の夜は ワインのように
甘く冷たく 女を酔わす ・・・
すてたら死ぬと 女が泣けば 椿に宿る 昨夕の露も
ほろりと落ちる 別れ宿 湯本の駅は 日暮れが華で
朝は女の 涙が匂う 
■サマータイム ブルース
天気図は 曇りのち晴れの予報 週明けの第三京浜 選んだ 
流れる雲の切れ間から 吸い込まれそうな 青空
   眩しい太陽 標的にして フリスビー 遠くに シュルル 飛んでゆく 
   波打ちぎわ 黒い犬が ジャンピングキャッチ している  
夏の海のうねりのように 今でもきみ おもっているよ 
とりのこされたの 私のほうで きっと自由になったのは きみね  
   メリーゴーランド 光の中 回ってる 砂浜で ボール遊び子供達
   おろしたてのあの日の スニーカー 白すぎて恥ずかしかった  
最後のゴールころんだ時の 傷跡はまだ 傷みますか
寂しいとき すぐに会えると そっと笑って 別れたけれど  
   サマータイム ブルース サマータイム ブルース 次の波 やってきたら 
   サマータイム ブルース もう一度 駆け出すよ 裸足のままで 
   サマータイム ブルース 二人の気持ちは一つだった  
夏の海のうねりのように 今でもきみ おもっているよ 
とりのこされたの 私のほうで きっと自由になったのは きみね 
最後のゴールころんだ時の 傷跡はまだ 傷みますか ・・・
   サマータイム ブルース もう一度 駆け出すよ 裸足のままで
   サマータイム ブルース サマータイム ブルース
■横浜泣いてブルース
静岡県
■熱海ブルース
昨日来た街 昨日来た街 今日また暮れて 
つきぬ情(おも)いの 湯けむりよ 雨の匂いも やさしく甘く 
君は湯上り 春の顔 ・・・
熱海湯の街 熱海湯の街 湯の香に開く 
花は白梅 山ざくら 仇に散らすな 奥山しぐれ 
濡れて玄岳(くろたけ) 越えらりょか  
新潟県​ 
■新潟ブルース
思い出の夜は 霧が深かった 今日も霧がふる 万代橋よ
別れの前に 抱きしめた 小さな肩よ ああ 新潟は新潟は 面影の街 ・・・
忘られなくて ひとりさまよえば 青い灯がゆれる 新潟駅よ
愛したわけじゃ ないんだと 強がり云えば ああ 新潟は新潟は 霧に更けゆく
■六日町ブルース
憎い貴方を 憎めずに 渡りきれない 未練川 
西へ東へ 噂を求め あなたあなた探して 来た町は 
雪が冷たい 肩に冷たい 六日町ブルース  
   他人に馬鹿だと 言われても 貴方ひとりを 信じてる 
   ・・・ 命せつない 涙せつない 六日町ブルース  
きっと貴方も 今ごろは わたし探して いるはずよ 
富士見通りの 灯りの中に 揺れる揺れる面影 なぜ遠い 
忘れられない 忘れたくない 六日町ブルース
■岩室ブルース 新潟県
いつまた逢えるも聞かないで あなたと別れたヤガワ橋
つめたい女といわないで 死ぬほど好きな人だけど
ついて行けないくやしさに 泣けてことばが出なかった
あ〜 あ〜 岩室ブルース ・・・
ひかえめ女は仕合わせがすいと誰かがいっていた
いいのよ私はおそ咲きの 桜の花に似ているの
年はいくつと聞かないで みんな知ってる芸者まち
あ〜 あ〜 岩室ブルース 
福井県
■北陸ブルース
岩に砕ける東尋坊の 波の強さを抱いた恋
おしゃれ湯の町芦原の夜よ 逢えてよかったうれしさを
胸にすがって君は泣く ああ・・・ああ・・・ 北陸ブルース ・・・
福井うまれと東京育ち 恋にへだてがあるものか
雨の降る朝雪降る夕べ 生命枯れても花と咲け
明日の倖せ呼んで咲け ああ・・・ああ・・・ 北陸ブルース 
石川県​ 
■香林坊ブルース
逢わなきゃよかった こんなにも つらいお別れ するならば
虹が出ていた 城下町 今日は涙の 香林坊ブルース
   あなたのゆくとこ どこにでも ついてゆきたい 影のよに
   恋の片町 片思い 吐息せつない 香林坊ブルース ・・・
別れの泪は 犀川の 水に 流した はずなのに
赤いネオンが おもかげを 呼んで泣かせる 香林坊ブルース
■片山津ブルース  
岐阜県​ 
■柳ヶ瀬ブルース
雨の降る夜は 心もぬれる まして一人じゃ なお淋し
憎い仕打と うらんでみても 戻っちゃこない あの人は
ああ 柳ヶ瀬(やながせ)の 夜に泣いている ・・・
青い灯影に つぐ酒は ほろり落した エメラルド
もだえ身を焼く 火の鳥が 雨に打たれて 夜に泣く
ああ 柳ヶ瀬の 夜に泣いている  
愛知県​ 
■名古屋ブルース
遊びなれてる 人なのに 燃えたお酒に ついまけて
今夜だけよと 許したわたし 花が散ります
花が散ります 栄町
   夜が来るたび 泣かされて ほどく女の 名古屋帯
   一度だけなら 忘れもしようが 忘れられない
   忘れられない 柳橋 ・・・
今日は逢えても このつぎは あてにならない あなたなら
せめて二人で いるときだけは あまえさせてね
あまえさせてね 広小路 
京都府
■京都ブルース
哀しみが つきものなら 女などやめたいのに あの人の ためならばと 私は耐えてる
別れようと 言ったけれど さよならと言わなかった
あの人の 胸のおくを 私は信じた ああ 雨がながれる ああ 清水坂
好きな人にも 涙みせずに ああかくれて 京都の女は 生きるために泣く
   強がりは 女のもの 素顔など見せないもの 
   死ぬときも 化粧だけは とらないものなの
   待ちますと 言ったけれど 逢いたいと言えないまま
   あの人の 帰る時を 暦にたずねる ああ 石を投げ込む ・・・ 
■加茂川ブルース
情ながした加茂川に とけた淡雪はかなくて
好きや好きやと 寄り添うた 恋の真実が いまさらに
夜も待ってる ぼんぼりの 色を映して ほほ染めた
花の簪 コッポリの 舞妓いとしや 祇園町 ・・・
花見小路に雨が来て 濡れた黒髪 重たげに
ほんにほんにと細路地を ぬけてお座敷 京化粧
都おどりで 知り逢うて 祇園祭りで 結ばれた
京の恋路に 身を灼けば 燃える夜空の 大文字 
和歌山県​
■和歌山ブルース
逢いたい見たい すがりたい そんな気持ちに させるのは
ぶらくり丁の恋灯り 真田堀なら ネオン川
和歌山泣きたい あぁやるせない ・・・
流れる涙 紀の川に 捨ててしまった女でも
慕情をこめてブルースを 唄う花散る 城下町
和歌山泣きたい あぁやるせない 
大阪府
■大阪女のブルース
本当のあなたを 知りたかったの つめたい小雨に 別れる前に
いいの いいのよ 泣かないわ 泣けばネオンに 笑われる
ここは大阪 夜の曽根崎町 ・・・
あなたの命は わたしのものと 信じた女が バカだったのね
いいの いいのよ 又一つ 強くなります 流れ蝶
ここは大阪 夜の曽根崎町
■大阪ブルース
あんな男と 言いながら あんな男が 忘られぬ
ネオンのにじむ窓 夜ふけて雨がふる
あなた寒いわ 抱きしめて あーあああ 夢に泣く 大阪ブルース ・・・
肩にしぐれが 似合うよな よわい女に 誰がした
も一度あたためて あなたのその胸に
ふたり生きたい この街で あーあああ 春はいつ 大阪ブルース 
■大阪レイニーブルース
かえられへん 戻られへん あの頃の二人に 
あれほとオマエ愛してた 大阪レイニーブルース
寄り添って二人 生きていた 運命さえ 感じてた 
季節は変わっても二人は 一緒だと信じてた
かえられへん 戻られへん あの頃の二人に 
あれほどオマエ愛してた 大阪レイニーブルース
季節は巡り 命巡り  また会えると 信じてる 
そやけどこんな雨に独りじゃ せつなくて歩けない
忘れられへん 離れられへん アイツのぬくもり 
壊れそうだよ悲しみに 大阪レイニーブルース
動き始めた夜明けの街 それでも朝はやって来る 
この街で ずっと せつなさ抱いて
かえられへん 戻られへん あの頃の二人に 
あれほどオマエ愛してた 大阪レイニーブルース
忘れられへん 離れられへん アイツのぬくもり 
壊れそうだよ悲しみに 大阪レイニーブルース
■OSAKA LADY BLUES 〜大阪レディ・ブルース〜
ハイカラ ナニワの Woman アンタは偉いっちゅうの オモロイっちゅうの 
酔いどれナニワの Woman アンタ歌ウマイんちゃうの? 凄いんちゃうの? 
そのファンキーなリズムで 魂の Blues を さァ、聴かせておくれ Oh…!! 
エエのんか!? ミナミの Lady アンタはエロいっちゅうの ヤバいっちゅうの 
酔いどれナミダの Baby 彼氏(アイツ)にフラレて泣いてんの!? 
悲しい時も笑顔にしてくれる この街が好きさ Oh…!! 
ヨッ!! ナンバーワン!! 心斎橋 ビューティフル 梅田 ワンダフル 
もうエエわ言わんといて Oh, my sweet home 大阪 夢のパラダイス・ウエスト 
もう一度言う!? My sweet home 大阪 やっぱり“粉もん”はベスト 
ハイカラ ナニワの Woman アンタは可愛いっちゅうの オモロイっちゅうの 
サイナラ ナニワのお姐ちゃん アンタを世界中が好きさ 
野暮で情けない男やけれど 君を抱きしめて Oh…!!  ・・・
ヨッ!! ナンバーワン!! 心斎橋 ビューティフル 梅田 ワンダフル 
もうエエわ言わんといて Oh, my sweet home 大阪 
夢のパラダイス・ウエスト もう一度言う!? 
My sweet home 大阪 意外と“オムライス”もベスト
■宗右衛門町ブルース
きっと来てねと 泣いていた かわいあの娘は うぶなのか
なぜに泣かすか 宗右衛門町よ さよなら さよなら 又来る日まで
涙をふいて さようなら ・・・
いちょう並木に 春が来る 君にも来るよ 幸せが
なぜかかなしい 宗右衛門町よ さよなら さよなら もう一度だけ
明るい笑顔を みせとくれ 
■法善寺ブルース
恋もしました 泣きました 今じゃ ネオンの花園が
はぐれ蝶々の 仮の宿 夢をください もう一度
祈る涙の 祈る涙の 法善寺 ・・・
夢をみました 消えました 今じゃ ミナミのこの街で
変えた名前も いくつやら つかみそこねた 幸せを
さがす女の さがす女の 法善寺 
■戎橋(えびすばし)ブルース
ネオンの数ほど 男はいても 今さら 元へは 戻れない
あなた あなた好みに 染めかえた 爪の 爪の先まで しみている
みれんごころを みれんごころを 道ずれに あぁ 渡る 涙の 戎橋 ・・・
おまえのためだと 離れていった あなたは別れが お上手ね
ふられ ふられ上手の ふりをして 思い 思い切る気で きてみたが
見ずに輪を画く 見ずに輪を画く 道頓堀の あぁ 雨も 昔の 戎橋
■曽根崎ブルース
浪速の空を 見上げていたら お前の顔が 眼に浮かぶ
涙溢れた うつろな瞳 何も言わずに すすり泣き
俺の旅立ち 見守るだけ 曽根崎 曽根崎 曽根崎ブルース ・・・
別れた時の お店を訪ね 探してみたが どことなく
街を離れて 何處へ行ったか 彷徨うお前 眼に映つる
俺にその顔 見せておくれ 曽根崎 曽根崎 曽根崎ブルース
■梅田ブルース
■梅新ブルース
■新地ブルース
■上六ブルース
兵庫県 
■三の宮ブルース
三の宮 泣いて別れた 小雨に煙る舗道
元町 泣いて別れた 雨に濡れた舗道
ポートアイランドで 五時に待ち合わせたわ
船は出て行くけど あなたは来ない 
三の宮 泣いて別れた 雨に濡れた舗道
   三の宮 胸はずませて いつでも逢った 地下の街
   元町 明日を話した 二人だけのレストラン
   ポートターミナルに汽笛が響いてる ・・・
三の宮 傘もささずに 肩を濡らす裏通り
元町 二度と帰らぬ 過去がゆれるレンガ道
ポートタワーにも 灯りがともる頃
二人で乗るはずの 船が出て行くわ
三の宮 泣いてサヨナラ 雨に濡れた舗道 雨に濡れた舗道 
■別れのブルース
窓を開ければ 港が見える メリケン波止場の 灯が見える
夜風 潮風 恋風のせて 今日の出船は どこへ行く
むせぶ心よ はかない恋よ 踊るブルースの 切なさよ ・・・
   腕にいかりの 入れずみほって やくざに強い マドロスの
   お国言葉は 違っていても ・・・ 
   二度と逢えない 心と心 踊るブルースの 切なさよ
■三木待ちブルース  
岡山県
■西大寺ブルース
吉井川からわき立つ霧は なぜに心を濡らすやら
泣いてくれるな 波止場の千鳥 赤いネオンが ああ今日の夢呼ぶ 西大寺 ・・・
人をとるこも かみつく人も みんな可愛い 街の花
誰を待つやら 平安橋の 橋のたもとで ああ歌うブルース 西大寺 
■倉敷ブルース
明日も来てねと 甘えてすがる あの娘に会える 水島の ネオンがきらめく
笑顔に浮かぶ さみしい影は 恋の未練か 聞かせておくれ
泣いて 泣いて 泣いて 泣きぬれ 倉敷ブルース
   女の大事な 男のために すべてを捨てる 玉島の 夜風がつぶやく
   初めてふれる うぶな気持ちは 守りたいほど こころにしみる
   夢に 夢に 夢に 酔いしれ 倉敷ブルース
・・・ きっと幸せ はこんでくるよ
いのち いのち いのち 燃やして 倉敷ブルース
■岡山酒場町ブルース  
広島県​
■広島ブルース
お酒もタバコも やめました 化粧も薄めに かえました
広島おんなは 素直じゃけん あなたの色に すぐ染まる
薬研堀から流川 恋の噂の 恋の噂の 浮き沈み
   恋人同士で いつまでも つづいてくれたら 嬉しいの
   広島おんなは けな気じゃけん あなたに負担 かけないわ ・・・
途中はいろいろ あったけど 最後が決まれば それでいい
広島おんなは 一途じゃけん あなたのあとに ついてゆく
中新地から薬研堀 恋の波間の 恋の波間の 夢まくら 
■中新地ブルース
薬研堀から流川 中をとりもつ中新地
心に傷を負った時 酒で癒しに来る街さ
ネオン花咲く 夜の広島 雨も歌うよ 中新地ブルース
   昼は静かな佇まい 夜は明るい中新地
   素敵なママの艶ばなし 可愛いあの娘のご愛敬
   ネオン眩しい ・・・ 歌も流れる ・・・
道幅狭い街だけど 熱い情けの中新地
涙で飲んだあのお酒 元気もらった酒もある
ネオン瞬く ・・・ 風も踊るよ ・・・ 
■芦田川ブルース
いく年ぶりのふるさとは 幼い夢もちりぢりに
思い出ばかり風ばかり 葦笛きょうもきこえるよ
ああ 夕映えの 芦田川 ・・・
河原の石を一つずつ 拾ってわけたひといずこ
忘れはしないいつまでも お城の町よ福山よ
ああ 初恋の 芦田川 
愛媛県​
■夜明けのブルース
このグラス飲みほせば帰ると 言えばお前がからみつくから
すねてる肩をそっと引き寄せれば 膝にもたれて耳元ささやく
秘密に出来るの 誰にも言わずに トキメキこころは 運命(さだめ)と信じて
ここは松山 二番町の店 渋い男の夜明けのブルース
   かっこつけて一人タクシー乗っても 後ろ髪引く別れ口づけ
   ひきかえしたら思いっきり抱きしめ 夜のしじまにとけてみようか
   秘密に出来るの きっと最後の恋だと トキメキこころは 見つめ合う目と目
   ここは松山 二番町の店 シャレた女の夜明けのブルース ・・・
■坂バスブルース
背伸びして見る 春の海 桜舞い散る トンネルの
甘い香りに 包まれて あなた見つけた 出合い坂
あゝ 高尾 国玉 桜坂
   灯りが揺れる 宵の刻(とき) 登るだんじり にぎやかに
   はぐれぬように 手を取って あなたと歩く 恋の坂
   あゝ 五毛 天神 祭坂 ・・・
風が摩耶から 舞い降りて 二人のあいだ 吹き抜ける
チャペルの鐘も 悲しげに 落ち葉が積もる 別れ坂
あゝ 原田 青谷 マリア坂
高知県
■帯屋町ブルース
一ヶ月(ひとつき)前には おまえを見たと 土佐の夜風が また笑う
ひとりたたずむ 追手筋(おうてすじ) いつか噂も 行き止まり
ばかだよ ばかだよ ばかだよ俺は おまえに会いたい…帯屋町ブルース
   別れて一年 今さら知った 尽くすおまえの 真心を
   グリーンロードの 灯(ひ)も揺れて 追えば空似の うしろ影
   ばかだよ ばかだよ ばかだよ俺は ひと言詫びたい…帯屋町ブルース
未練の灯(あか)りが 心に染みる きっとおまえを 探し出す
泣いちゃいないか 桂浜 抱いてやりたい 涙ごと
ばかだよ ばかだよ ばかだよ俺は も一度会いたい…帯屋町ブルース  
九州
■玄海ブルース
情け知らずと わらわば笑え ひとにゃ見せない 男の泪
どうせ俺らは 玄界灘の 波に浮寝の かもめ鳥 ・・・
嵐吹きまく 玄海越えて 男船乗り 往く道ゃひとつ
雲の切間に キラリと光る 星がたよりの 人生さ 
福岡県​
■博多ブルース
泣いてた泪のかれた 私にも 流す泪が 残っていたのか――
酒場の隅で 東京の 言葉を聞けば 死ぬほど逢いたい
ああ 博多の夜も 泣いている ・・・
つらい悲しい嘘を ついたのも 恋にすがって 生きたいばかりに――
酒場の窓に 咽び泣く 東京行きの 夜汽車のあの汽笛
ああ 博多の夜も 泣いている 
■博多川ブルース
雨のしずくと 未練の糸は 何故に切れない 払えない
ここは天神 宵待ち通り 出逢いと別れの 交差点
あなた私の そばにきて 胸が淋しい 博多川 ・・・
夜がくる度 ネオンが点る 川に映って 帯になる
あなた真似して 覚えたお酒 今では涙の 誘い水
夢でいいから 逢いにきて あなた愛しい 博多川 
長崎県
■長崎ブルース
逢えば別れが こんなにつらい 逢わなきゃ夜がやるせない
どうすりゃいいのさ 思案橋 丸山せつない恋灯り
ああ せつない長崎ブルースよ ・・・
石のたたみを 歩いたときも 二つの肩がはなれない
ザボンのかおりの うす月夜 死んでも忘れぬ恋すがた
ああ 忘れぬ長崎ブルースよ 
■西海ブルース
港の雨に 濡れてる夜は 思い出すんだ 白い顔
ふたりで歩いた あの坂道も 霧にかすんで 哭いている
浮いて流れる あの歌は 君とうたった 西海ブルース ・・・
燃える想いが この身に染みる 命をかけた 恋ゆえに
帰えらぬ人と 知ってはいても 忘れられずに ひとりなく
遠くに聞こえる あの歌は 君とうたった 西海ブルース 
■思案橋ブルース
哭いているような 長崎の街 雨に打たれて ながれた
ふたつの心は かえらないかえらない 無情の雨よ
ああ 長崎 思案橋ブルース ・・・
夢は捨てたのさ 今のこの俺 じっと孤独をかみしめた
お前を好きだと いってみたいってみた 冷たい雨に
ああ 長崎 思案橋ブルース 
■平戸ブルース 
宮崎県
■宮崎ブルース
妻と呼ばれる うれしさに 燃えてすごした 旅の宿
あの日眺めた 日南の 海に変りはないけれど
なみだ色した 都井岬 ああ 女にゃつらい 宮崎ブルース
   やせて悲しい この指に 残る指輪の 愛の跡
   いまの私を見るようで 聞けば泣けます 山里の
   古い椎葉の ものがたり ・・・
思い切る気の旅ならば なんでいつまで夢を追う
せめて涙は ビロー樹の 青い葉蔭に埋めたなら
やがて夜明けの 日向灘 ・・・
■宮崎ブルース
傘もささずに 雨の中 後姿の 消えた街
シャネルの香りを ほのかに残し 胸にすがって 泣いた娘(と)
あぁ 消えない面影 辛い別れの 宮崎ブルース ・・・
こぬか雨降る 西橘通りを ひとり歩けば 灯がにじむ
シャネルの香りが 心で揺れて 思い出させる 泣きぼくろ
あぁ 泣きたい夜は 雨も泣いてる 宮崎ブルース 
鹿児島県
■島のブルース
奄美(あまみ)なちかしゃ 蘇鉄(そてつ)のかげで
泣けばゆれます サネン花ヨ ながい黒髪 島むすめ 島むすめヨ
   愛人(かな)はいまごろ 起きてか寝てか 淋(さび)しがらせる 浜千鳥ヨ
   南風(はえ)のふく夜(よ)は ねむられぬ ねむられぬヨ ・・・
着せてみせたい 大島つむぎ わすれられない あのひとにヨ
なさけひとすじ 島むすめ 島むすめヨ 
沖縄県​
■沖縄ベイ・ブルース
アーン アーン お前となら もう一度 アーン アーン 苦労してもいいって 
あの人が言った 約束はとうに過ぎて 影ばかり震えてるの 
今すぐ旅立てるよう 手荷物はまとめてあるわ  
   バスローブ羽織る前の 囁きを信じたのは 
   たくましい腕の中で 海こえる夢をみたから  
   アーン アーン 聞き違いなの 教えてよ 
   アーン アーン 待ちぼうけ残して 青い鳥が逃げた
   沖縄ベイ・ブルース 揺れる珊瑚礁 ・・・  
約束はオウム返し 唇に乗せてみるの 
窓からの月の光 心の壁 突き抜けるよ  
アーン アーン 勘違いなの 教えてよ 
アーン アーン 忘れた顔をして 青い鳥が逃げた  
沖縄ベイ・ブルース 燃える珊瑚礁    
 

 

歌謡ブルース考
■歌謡曲としてのブルース考
8月12日は「ブルースの女王」と呼ばれた淡谷のり子(1907 - 1999年)が生まれた日だそうだ。「別れのブルース」が大ヒットしたのは日中戦争が勃発した1937年。その後、戦中・戦後を通じて、日本人を癒してきた「ブルース」。日本人は「ブルース」が好きである。何にでもブルースをくっつけて歌にしてしまう。人から自然現象からご当地名まで手当たり次第である。「男のブルース」、「女の・・」、「あなたの・・」、「雨の・・」、「別れの・・」、「夜霧の・・」、「大阪・・」、「中之島・・」、「港町・・」、「赤と黒の・・」、「一番星・・」、「黒い傷痕の・・」、「昭和・・」、「しのび泣きの・・」、「恍惚の・・」、「一人ぼっちの・・」・・、ああ、きりがない。さてそれでは、何をもって「ブルース」というのかというと、歌謡曲の世界では、その定義を聞いたことが無いので、これがさっぱり分からないのである。
洋楽における「ブルース」の定義というのは、はっきりしている。ブルース(Blues)は、米国深南部でアフリカ系アメリカ人の間から発生した音楽のひとつ、またはその楽式のことである。その特徴は、A・A・Bの形式をとるワンコーラス12小節形式 (ブルース形式)で綴られる詩が多いということ。そして、二つ目は循環コードの一種である定型のコード進行(ブルース・コード)をとることが多いということ。三つ目には、旋律に独特の節回しがあり、一般にブルー・ノートと呼ばれる独特の音階が使われる。つまり、日本の歌謡曲のスタイルとして「ブルース」と、ここで言う洋楽の「ブルース」とはまったく関係がないのである。
しからば、どうして歌謡曲に「ブルース」と呼ばれるスタイル?ジャンル?ができたのであろうか。まったくの私見で根拠は無いのであるが、私はこんな風に考えている。正式な名称かどうか分からないが、社交ダンスのステップに4/4拍子の「ブルース」というのがある。娯楽の乏しかった日本で社交ダンスの普及とともに、その踊りの雰囲気を最大限盛り上げるための曲として、スロー・テンポで、チークダンスや感情移入がしやすい短調(マイナー)の曲、歌謡曲が好まれていった。これが日本の歌謡曲の「ブルース」の発祥となって、その「ブルース」という言葉が持つモダンで哀調の語感が歌謡曲のウェットな世界にぴったりなため、強く結びついていったのではないかという勝手な持論を持っている。強いて定義してみれば、短調(マイナー)のスロー目の曲で、これが一番重要であるが、「・・・のブルース」というタイトルがついていることという極めて大雑把なところであろうか。まあ〜、目くじらを立てて議論するほどのことはないのであるが・・・。 
先ほどあげた日本の「・・・ブルース」がついた歌をみると、「ブルース」というよりは、「エレジー(哀歌)」といったほうがいいのではないかと思う。私は、歌うほうはJAZZと違って、日本のエレジーいえる曲が好きで、「この歌は私のエレジー」と勝手に定義してカラオケなどで歌っていた。その条件は、「マイナー(短調)」、「ドロドロ、ベタベタな歌詞」、「抑えた感情、やがて迎える山場、絶唱」、「私がカラオケでうたえること」であった。これが「私の哀歌、おやじのエレジー」の条件で、それに当てはまる次のような歌をあげれば、なんとなく気分が伝わるでしょうか・・・。
「あんたのバラード、悲しい色やね、月のあかり、酒と泪と男と女、あなたのブルース、粋な別れ、大阪で生まれた女、石狩挽歌、想い出ぼろぼろ、ルビーの指輪、別れのサンバ ・・・・」。これもきりがないのですが・・・。
これを見ると、私はまさに、どんぴしゃ正統派の「オヤジ」ですね。  
■歌謡曲とブルース
歌謡曲という言葉は今では殆ど使われていない。かつてそういう歌のジャンルがあった程度の認識しかない懐かしの音楽で60年代から80年代にかけて日本の音楽産業の栄華を支えてきたのが歌謡曲だと思っている。時代は平成から新しい年号に変わっていく中、歌謡曲=昭和歌謡と認識する人も少なくはない。
「音楽は好きでも嫌いでもない」とこのブログで何度も述べてきたが実は歌謡曲もそれほど愛着があるわけではない。テレビが好きで子供時代はテレビっ子でありそこで放映されていたのが歌謡曲であり自然と体に染みついたというのが正直なところである、子供時代から青春時代はそれほど良かったとは思っていないが歌謡曲を聴くとその時代を思い出す、楽しい事もあったがつらい事や悲しい事の方がどうしても思い出として残っている。60年代から70年代の歌謡曲は歌詞もそうだが曲想も悲しみ、悲哀を帯びたものが多かった、それは当時の日本人は何事にも我慢する、その為には「諦め」が必要でありその諦めの行き場のなさが何とも言えない哀愁や怒りのようなものに変わり、そのはけ口のひとつとして歌謡曲が代弁していたのではないかと思える。
昔の歌謡曲は作詞家と作曲家そして歌い手と分業しており中でも歌手より詞と曲に重きを置いていた、歌手の個性は歌声であるがそれ以上に歌詞や曲の影響が大きかったように感ずる。それが70年代終り頃からシンガーソングライターとして一人の人が曲と詩を作りさらに歌ってしまうスタイルを確立し現在はそのスタイルは当たり前のようになってきた。そして歌謡曲からニューミュージックとなりJ-POPSと変わり現在はどういう名称、ジャンルに変貌したのだろうか?それとも冒頭に書いたように使われていないのでその流れは断ち切れたのか?最近の歌は殆ど聴いていないので分からない…。
ジャズはブルースと同義語として捉えられるが黒人音楽として成り立っていたものがヨーロッパ音楽との接触によりどんどん白人化していった、パーカーやコルトレーンもヨーロッパ音楽寄りにひたすら傾いていき、そこには本来のブルースの姿は無くなりかけていた、無くなりかけてはいたが完全に無くなっていたわけではない、その流れを止めたのが60年頃から始まるフリージャズである。これまでのヨーロッパの規範とは全く異なる黒人音楽本来の姿がそこに見受けられる、ブルースがジャズの要素として重要である事を再認識するきっかけになったのもフリージャズのおかげであると思っている。
ブルースの根源は貧しく物がない中、更には自由がない立場にあった黒人が唯一心の叫びまでは自由を奪われなかったという事である。日本の戦後の音楽、歌謡曲も含めこのブルースがつくものが多い、物資がなく制約が多い中、我慢をする事が美徳としてきたその心の叫びを歌で表現するブルースはその時代に合っていたからだと思う。
作詞家も作曲家も戦前、戦中、戦後間もない頃の不自由な時代の人が多かった、諦めによる悲哀と怒りが行き場のない状況のまま爆発したのが昭和の歌謡曲で70年代終り頃までのものがブルース感覚を帯びている。80年代からは物が増え自己中心的な世の中になってきた、それに伴い歌謡曲も歌や歌詞は快楽を求めるだけのものになってしまった…同じブルースを歌うにしても時代が違うとこうも違うのかと落胆することが多い。
オーディオで歌謡曲を聴く人は少ない、クラッシック、ジャズが大半を占めている。昭和歌謡にあるブルースを表現するには高級なオーディオ装置で心地よさが伴う、いわゆるバランスが取れた音は自分的にはあり得ない、時代を経験してきた人、貧しさと死を身近に感じた人でないと本当の歌謡曲再生は難しいと思う。ただし例外はある、歌謡曲と思わないで時代のBGMとして捉えるならば思い出は蘇りその時代の風景の写真として感じられると思っている、現に自分自身の思い出の風景として楽しんでおり音楽としてはみていないのである、ゆえにその再生は自由であり制約はない、80年を過ぎた作品であるのでブルースは感じられない。学生時代彼女が16歳の頃のポスターを下宿先のボロアパートの部屋に貼っていた…冬場こたつはあったが暖房聴器具がなかったので時々ガスコンロで暖をとっていた、銭湯に行く金も惜しんでいたぐらいの時期だった。一応アイドルの立場だが生き方はかなりロックがかっておりファンキーな人である。 
■日本人のブルース
日本の歌謡界のブルースがどうしてブルースなのか、ずっと謎であった。ブルースを辞書で引くと「奴隷制下のアメリカ黒人の間に、宗教歌・労働歌などを母体に生まれた歌曲。のちダンス音楽やジャズなどにも取り入れられた」(大辞泉)と全く歌心のない記述である。大辞林では「四分の四拍子の哀愁を帯びた歌曲。のちジャズに取り入れられてジャズの音楽的基盤ともなった」とあり、少しは音楽的特徴を述べている。広辞苑もほぼ同様の記述だが、ちなみに正式にはBLUESはブルーズと発音するので、広辞苑にはブルーズとも表記されている。ポイントは四分の四拍子と哀調を帯びた楽曲ということで、その他独特の節回しでブルーノートと呼ばれる音階(いわば「訛り」)を使って即興的に演奏される。12小節ワンコーラスというのが基本形である。
さて、日本人のブルースである。世相が戦争へと向かう1937年(昭和13年)、服部良一が作曲した“別れのブルース”を淡谷のり子が歌い、その後続けて“雨のブルース”や“東京ブルース”などのヒット曲を飛ばし、淡谷のり子は「ブルースの女王」と呼ばれるようになった。ブルースという言葉自体よく知られていない時代に、地方巡業に行くと「ズロースの女王」と看板に書かれていたこともあったそうだ。淡谷のり子自身は、自分の歌が本物のブルースではないことをよく知っていて、本物のブルースとは例えば“セントルイス・ブルース”のような曲だと断言していた。演歌嫌いで、「エフリコキ」(恰好を気にする人、イイカッコシイ)だった彼女は、自分の出世作とはいえその演歌的世界が好きではなかったようだ。
多くの日本人にとってブルースとは「哀しい雰囲気をもつムード曲」を意味している。歌謡曲や演歌などでタイトルにブルースとついた曲はほとんど音楽的にはブルースとは無縁の代物である。ブルーノートはなくて、代わりにもの悲しい歌詞と大抵はサックスのソロが多用されるアレンジが施されているという共通点があるようだ。
写真は、後年、淡谷のり子から「ブルースの女王」の名を承継した感のある青江三奈の真面目に?いい出来のジャズアルバム『The Shadow Of Love』(1993)である。彼女は高校在学中から「銀巴里」のステージに立っていたそうだからキャリア、実力は半端ではない。彼女の声は、ハスキーでジャズ向き、ブルース向きと言えるかも知れない。カタカナ英語?もそんなに気にならない。このアルバムはジャズのスタンダード曲を中心に歌っているが、“Bourbon Street Blues”というタイトルで彼女のヒット曲“伊勢崎町ブルース”を取り上げている。これはとても黒っぽくて、とてもファンクしている。例の原詞の「デュ・デュビ・デュビ・デュビ・デュビ・デュビ・デュワー…」というスキャット部分をうまく英語詩の間に挟んで盛り上げている。このほか“本牧ブルース”も歌っているが、参加ミュージシャンが超豪華なのにまた驚いてしまう。ナット・コールの実弟のフレディー・コール、グローヴァー・ワシントン・ジュニア、エディ・ヘンダーソン、テッド・ナッシュ、マル・ウォルドロン、ジョージ・ムラツ、ビリー・ハートほかと錚々たる布陣である。いったいどうしたことだろうか?
こんなに日本人度が高い歌手なのに、ブルース・スピリットを感じてしまうのが不思議である。 
■歌謡ブルース  
「ブルース(Blues)」というものが、黒人音楽のジャンルを意味する言葉だとは知らなかった時代が、自分にあった。 歌謡曲のタイトルにつく、なんかの記号。例えば、「フォルテシモ(ごく強く)」とか、「アレグロ(陽気に)」とか「アダージョ(ゆるやかに)」みたいなものだと無邪気に思い込んでいた。そんな時代に聴いていたブルースには、次のようなものがある。
   西田佐知子 『東京ブルース』
   美川憲一  『柳ヶ瀬ブルース』
   藤圭子   『女のブルース』
つまりブルースとは、「この楽章を歌い込むときは、フラれた気持ちで … 」 … ってな感じで、作家が演奏家に指示を出すときの言葉であって、それがいつしか歌謡曲用語に転化したものだと思ったのだ。
恋人とか、愛人とかにフラれた歌だから、メロディは哀しい。去っていた人を、遠いところでしのぶわけだから、歌い方は、ちょっと物憂い。ブランデーグラスを置いたカウンターに座り、お客が来るまでの時間をつぶしているドレス姿のママさんが、頬杖をついてつぶやく鼻歌。それが自分の原初の「ブルース」像だった。
だから、高石ともやの『受験生ブルース』(1968年)を聞いたとき、ギャグだと思った。全然、 “酒場っぽくねぇ” と感じ、しかも “夜っぽく” もねぇし、これは、作者が確信犯的に「ブルース」の用法をわざと間違えた例だと解釈した。
しかし、そのうち岡林信康が『山谷ブルース』を歌うわ、ジャガーズが『マドモアゼル・ブルース』 を歌うわ、ゴールデン・カップスが『本牧ブルース』を歌うわで、訳がわからなくなった。
ところで、本来の「ブルース」とは、どんなものであるのか? あえて、詳しくは説明しないけど、一言でいうと、「一定の音楽形式を持ったアメリカ黒人音楽の一種で、ロックンロール、R&B 、ジャズなどの母体となった音楽スタイル」とでもいっておけばいいのだろうか。B・B キング、アルバート・キング、オーティス・ラッシュなどのメジャープレイヤーは、世界的な人気を誇っているし、日本人でも大木トオル、ウエストロード・ブルース・バンド、憂歌団といった黒人ブルースを根幹において活躍するミュージシャンがいっぱいいる。
ロックの分野では、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、エリック・クラプトンなども、初期の頃はこぞってブルースの演奏スタイルを採り入れていた。そういった意味で、世界のポピュラーミュージックの原点には、「ブルース」があるともいえる。
しかし、日本の歌謡ブルースは、黒人ブルースとはリズムもテンポも違う。歌われる歌詞の内容も違う。日本の歌謡ブルースは「ロマン的」「詠嘆的」「未練たらたら的」だが、黒人ブルース…特にシカゴなどのアーバンブルースは、「現実的」「能動的」「脅迫的」である。「俺の可愛いベイビーちゃん、ベッドでたっぷり楽しませてくれれば、いつかはキャデラックを買ってやるからよ」ってな歌詞を、ンチャチャ ンチャチャ … と いうギターの小気味いいカッティングに乗せて軽快に歌っていく。
黒人ブルースというと、「人種差別で虐げられた黒人たちの嘆き節」という解釈が浸透しているけれど、もちろんそういう歌も多いけれど、けっこうヤケクソ的に明るい歌も目立つ。男が、ちょっとマッチョに自分の性的魅力を誇示するなんて歌も多いのだ。
そうなると、同じ “ブルース” でも、ブルース・リーとか、ブルース・ウィルスの世界に近くなる。
いつの時代でも、開き直ったビンボー人は明るい。黒人ブルースには、差別社会や格差社会の底辺を生き抜く人間たちの苦渋がベースにはあるけれど、「そんなことで、くよくよしてもしょうがねぇじゃねぇか」という開き直りのたくましさと優しさも備わっている。
そういうことが分かってきて本場モノのブルースを聞き出すと、もうあっさり、そっち一辺倒になったけど、ふと『港町ブルース』(森進一)って何だろう? と思い始めると、これもなかなか興味深いテーマに思えてくる。
「ブルース」という名前で、日本人の頭の中に刷り込まれた歌謡曲は、実にたくさんある。
   美川憲一 『柳ヶ瀬ブルース』(1966年)
   青江三奈 『恍惚のブルース』(1966年)
   青江三奈 『伊勢崎町ブルース』(1968年)
   森進一  『港町ブルース』(1969年)
   平和勝次とダークホース 『宗右衛門町ブルース』(1972年)
   クールファイブ 『中の島ブルース』(1973年)
これらの曲は「ブルース」という言葉で飾られてはいるけれど、黒人ブルースの楽曲スタイルや歌詞の指向性とはまったく交わらない。日本人独特の感性と情緒感に彩られた、純度100%のドメスティック歌謡曲だ。
では、なんでそういう純和風の歌謡曲に、「ブルース」と名づけられる歌が登場するようになったのか。これに関して、自分はまったく素人なので、突っ込んだところまでは何も分からないが、Wiki どを読むと、「日本の歌謡曲のスタイルとして『ブルース』と呼ばれるものもあるが、それは『憂鬱=Blue な気持ちを歌った曲』という意味合いが強いため、音楽形式としてのブルースとは関係ない」という説明がなされている。
これだけでは、まだよく分からない。詳しそうな解説がなされているいくつかのサイトを覗いてみると、多くの人が挙げているのが、淡谷のり子(1907年〜1992年)。
彼女はもともとはシャンソン歌手で、クラシック音楽の素養もあり、「10年に一度のソプラノ」などと評された実力派シンガーだった。彼女に「ブルース」を歌わせたのは、服部良一という稀代の作曲家。服部の念頭にあったのは、アメリカの『セントルイス・ブルース』だったという。
その曲をヒントに、「ブルースの小節の数や長さをきちんと勘定して」作られたのが、『本牧ブルース』(後のゴールデンカップスの曲とは別物)だった。ところが、これを淡谷のり子に歌わせようとしたところ、ソプラノの音域で歌っていた淡谷のり子には難しく、アルトの音域にまで下げるため、彼女はそれまで吸ったことがなかったタバコを一晩中吸い、声を荒らしたままレコーディングに臨んだとか。
この『本牧ブルース』が、タイトルを変えて『別れのブルース』(1936年=昭和12年)になり、大ヒットする。淡谷のり子は、その後『雨のブルース』(1938年)、『思い出のブルース』(1938年)、『嘆きのブルース』(1948年)など、立て続けのヒットを飛ばし、「ブルースの女王」という異名をとる。これが、いろいろなサイトから集めた情報による「歌謡ブルース」の誕生である。
もちろん、淡谷のり子以前にも「ブルース」を名乗る歌謡曲がけっこうあったらしいが、日本人の脳裏に「ブルース」という呼び名がしっかり刻み込まれたのは淡谷のり子から、というのが定説のようだ。
ただ、これらの曲を聞くと、やはり黒人ブルースの影響を受けたという感じはしない。それよりも、社交ダンスの「ブルース」がヒントになっているのではないか、という人もいる。社交ダンスの世界には「ブルース」というステップがあり、それは「フォックストロット」のテンポを遅くしたものだという。(ブルースもフォックストロットも、社交ダンスを知らないので、どんなものかよく分からない)。
『別れのブルース』を吹き込むとき、淡谷のり子は、ディレクターから「ブルースらしく歌わないでフォックストロットみたいに歌うように」と指示されていたという記述をどこかで読んだことがあるから、「歌謡ブルース」が、ダンス経由のブルースだったという説は正しいのかもしれない。ダンスにおける「ブルース」は、チークを踊るためのステップだったから、スローテンポで、情感たっぷりのマイナーコードの曲が演奏されることが多かったという。たぶん、ここらあたりで、その後の「歌謡ブルース」の方向性が定まったようだ。
1960年代に入ると、いよいよその「歌謡ブルース」が全面開花する。この時代、個人的に好きだったのは西田佐知子。彼女は、『メリケン・ブルース』(1964年)、『博多ブルース』(1964年)、『一対一のブルース』(1969年)など、「ブルース」を語尾に持つ曲をけっこう歌っているが、最大のヒット曲は『東京ブルース』(1963年)だった。
この曲にみるようなビブラートを押さえたクールな歌い方は、なかなかお洒落で、ちょっとしたアンニュイも漂っていて、歌謡ブルースが “都会の歌” であることを印象づけるには十分だった。
その後、「新ブルースの女王」となったのは、青江三奈。なにしろデビュー曲が『恍惚のブルース』(1966年)「あとはおぼろ、あとはおぼろ …」と、恋におぼれた女性の官能の極致を描いた歌だった。
彼女の歌で有名なのは、『伊勢崎町ブルース』(1968年)。青江三奈は、これでその年の日本レコード大賞歌唱賞を獲得する。その後も、彼女の歌謡ブルースは快進撃を続けた。
   『札幌ブルース』(1968年)
   『長崎ブルース』(1968年)
   『昭和女ブルース』(1970年)
   『盛岡ブルース』(1979年)
最後は、清水アキラとのデュエットで、『ラーメンブルース』(1991年)なる歌までうたっている。(残念ながら聞いたことがない)
歌謡ブルースが、歌謡曲シーンの中で決定的な存在感を持ったのは、美川憲一の『柳ヶ瀬ブルース』(1966年)だったかもしれない。120万枚を記録する大ヒットだった。
「雨、夜、ひとりで泣く女、酒場のネオン」歌謡ブルースの定番となるシチュエーションは、すべてここに出尽くしている。
美川憲一はその1年前に、『新潟ブルース』を発表している。この頃から、歌謡ブルースは『伊勢崎町ブルース』(青江三奈)、『宗右衛門町ブルース』(平和勝次とダークホース)などのヒット曲に恵まれ、ご当地ソングの代名詞のようになっていく。
   鳥羽一郎 『稚内ブルース』
   ロス・プリモス 『旭川ブルース』
   小野由紀子 『函館ブルース』
   森雄二とサザンクロス 『前橋ブルース』
   扇ひろ子 『新宿ブルース』
   北島三郎 『湯元ブルース』
   ロス・プリモス 『城ヶ崎ブルース』
   小松おさむとダークフェローズ 『庄内ブルース』 ……
まだまだ地元の観光業とタイアップしたようなローカルブルースがいっぱいあると思うが、以上挙げた曲は、しっかりレコード化・CD化されているようだ。
演歌歌手の森進一をいちやくスターダムに伸し上げたのも、ブルースだった。『港町ブルース』(1969年)。演歌ではあるが、クールファイブにも共通するような、奇妙な “洋楽性” があって、非常にしゃれた、あか抜けしたメロディーラインを持つ曲だった。
森進一は、その後もブルースをタイトルにつけた歌をいくつか歌っている。
   『波止場女のブルース』(1970年)
   『流れのブルース』(1971年)
内山田洋とクールファイブといえば、 『中の島ブルース』(1975年)が有名。これは、秋庭豊とアローナイツが自主制作した同名曲(1973年)と競作になったが、前川清のなじみやすい 唱法がウケて、クールファイブ版の方がヒットした。
なんといっても、歌謡ブルース最大のヒットは、平和勝次とダークホースが歌った『宗右衛門町ブルース』(1972年)ではなかろうか。200万枚という大ヒットを記録し、いまでも中高年が巣くうカラオケスナックでは、必ずこれを歌いたがるオヤジがいる。(私もそのひとり)
マイナー(短調)を条件とした歌謡ブルースが、メジャー(長調)の曲調でもぴったり合うことを実証したのが、この曲だった。
覚えやすいメロディ。たわいない歌詞。歌う人間に解放感をもたらすノーテンキ性。
まさに鼻歌として楽しむ歌謡曲の極北に位置する歌ではないか! 事実、「日本フロオケ大賞」(風呂場で歌う鼻歌の1位)を受賞した曲らしい。
フォーク系から出た歌謡ブルースのヒット曲としては、岡林信康の『山谷ブルース』(1968年) がある。楽曲形式は黒人ブルースとはほど遠いが、初期のデルタブルースのような素朴さと切実感があり、労働者目線に徹したところが歌謡ブルースとは一線を画したリアリティを獲得していた。
グループサウンズ(GS)も、歌謡ブルースに乗り遅れまいと、いろいろトライしたようだ。ジャガーズの『マドモアゼル・ブルース』(1968年)。ゴールデンカップスの『本牧ブルース』(1969年)などがその代表曲。
カップスといえば、横浜・本牧で黒人兵たちも唸らせた実力派バンドだったから、ブルースのなんたるかも当然分かっていただろうが、この曲は、完全に日本マーケットを意識した作りになっている。デイブ平尾が、もう少しこぶしを利かせれば、演歌の方にも近づいたかもしれない。
最後に、あまり有名ではないかもしれないけれど、個人的に好きなブルースを挙げれば、次の二つ。
   荒木一郎 『君に捧げるほろ苦いブルース』(1975年)
   高山厳  『握りこぶしのブルース』(1993年)
荒木一郎の歌には、「都会の片隅に住む人間の喪失感」のようなものがあって、夜明けの酒場のカウンターで、半分眠りながら聞いたりしていると、けっこうジーンと来るものがある。特に、『君に捧げるほろ苦いブルース』は、女が去っていった後の部屋で、コーヒー豆をひきながら聞いたりしていると、ジワジワっと心がうずく。詩人が作った歌だなと思う。
高山厳の『握りこぶしのブルース』を知っている人は少ないだろう。しかし、大ヒット曲の『心凍らせて』のカップリング曲だから、CDを買った人は、この曲も聞いているかもしれない。
もうほんと、元祖 “負け犬”の歌。うだつの上がらない独身サラリーマンの日常生活が克明に描かれていて、身につまされるときがある。
このように、探してみたら日本の歌謡曲には、『〇〇ブルース』という歌が、けっこう多いことに驚く。しかし、その大半は1960年代の中頃から後期に集中し、70年代になると下火になり、75年以降はほとんど消え去っている。
何が起こったのか。
歌謡ブルースが消えていった時代は、「ニューミュージック」の台頭期と重なる。たぶん日本人の多くが、この頃から、黒人ブルースでもないのに「ブルース」を名乗る歌謡曲に、ちょっと違和感を感じ始めたのではないかと思う。タイトルに「ブルース」をつけることによって “都会性” やら “おしゃれ感” を盛り込もうとした曲作りが、荒井由実(松任谷由実)のような本格的な都会志向を持つ歌の前で、急激に古びたものなってしまったのだ。
「ニューミュージック」ムーブメントは、日本の都市や郊外が、あっという間に乾いた抽象的な空間になっていった時代に呼応している。そのような新しい都市空間では、新しい美意識を求める人たちが育ち、変貌を遂げていく現代都市を埋める新しい音楽が求められるようになっていた。どこの都市も、おしゃれで清潔な意匠に装われるようになり、いかがわしい面白さを秘めた「裏町」とか「場末」といわれるような空間がどんどん消えていった。
そういう変貌の時代に、歌謡ブルースは、もうそのタイトルだけで、古くて泥臭い音楽のレッテルを貼られることになり、商業的な音楽シーンから脱落していかざるを得なかった。
そういった意味で、歌謡ブルースは、「昭和の頂点」を示す音楽だったのかもしれない。昭和の高度成長が終わり、昭和の停滞が見えてきたときに、歌謡ブルースは眠りについた。  
■天使はブルースを歌う 
ブルースの街のもうひとつの戦後史、横浜アウトサイド・ストーリー 1996年の暮れ、著者は横浜の繁華街にある雑居ビルで、全身白一色の老女を見る。彼女は「メリーさん」と呼ばれる老街娼で、横浜では伝説的な存在の女性だった。戦後、どこからともなく横浜に現れ、外人専門に身を売っていた。そのような女性はほかにもたくさんいた。でもそうした女性達はどこへ消えたのだろう。彼女達が生んだかもしれない混血児たちは? メリーさんに心惹かれた著者は、1960年代の末、全員混血というキャッチフレーズで売り出した人気GS「ゴールデン・カップス」のメンバー達と会う。そこから根岸外国人墓地という未知の場所へと、不思議な糸に導かれた著者は、墓地にまつわる奇妙な噂を追うことに…。
戦後横浜の鬼っ子(エイリアン)を通して、ブルースの街の光と影を描くノンフィクション。

山崎洋子 1947年、京都府宮津市生まれ。コピーライター、児童読物作家、脚本家などを経て第32回江戸川乱歩賞を『花園の迷宮』で受賞し、作家デビュー。横浜を描く作家として名高い。現在は、小説だけでなく、ノンフィクション、戯曲なども手がける。2010年、NHK主催の地域放送文化賞を受賞。  
天使 1
この本を手にした理由は、ゴールデン・カップスについて詳しく書いてあるからだった。だが、これは、ゴールデン・カップスのバイオグラフー本というわけではない。彼らと横浜で伝説化していた白塗りの街娼、横浜のメリーを二本の柱に戦後の横浜の裏面を追いかけた本なのだ。
結婚してから横浜に住むようになって横浜をテーマにした著作も多い筆者に、平岡正明が「書くものにブルースが足りない」と評して、ある日エディ藩を紹介してくれた。この時点で筆者は、かつてのGS時代のゴールデンカップスの活躍をどうにか覚えている程度にすぎなかった。この日からエディ藩のライブやCDを聴きはじめ筆者の横浜のブルースへの旅は、はじまるのだ。
その著者が、音楽以外に、ブルースを感じていたものが、戦後の混乱時代を生き残った亡霊のような白塗りの異色の街娼「ハマのメリー」だった。この二つが本書でつながるのは、エディ藩に、「根岸の外人墓地」に埋葬されてといわれる遺棄された、たくさんの混血の嬰児達の慰霊碑を建設するためチャリティで作るCDの曲の作詞をたのまれたからだ。
数多くのメリーさんたちが産んだであろう幻の子供たち…エディ自身は、これらの嬰児と直接関係あるわけではない。しかし彼も筆者も、この世を見ることなく消されていった嬰児たちとほぼ同年代にあたるだけに他人事ではないという思いがあった。そして筆者は、ゴールデン・カップスのメンバーと共有しているのは、この同じ世代という一点からなんとか彼らを自分のほうへたぐりよせようとしている。こうして一見無関係な二つの出来事は、戦後のヨコハマをテーマにからみあってゆく。
かつてゴールデンカップスが全員ハーフや日系人だといって売り出されたのもこういう横浜の時代背景の産物に他ならない。タイガースは、京都出身、テンプターズは、埼玉出身だが、ゴールデンカップスほど出身地と切り離せないイメージをもったGSは、いなかった。それも彼らのイメージは横浜というより、第2次大戦後米軍が駐留したヨコハマそのものだったのだ。
それは、彼らが、もともと本牧のクラブで、米兵相手にライブをやって腕をみがいてきたせいもあるだろう。そして、この本の中で加部正義は、外人相手の娼婦を母にもっていたという衝撃的な事実も明かされている。彼こそひとつ間違えばその、嬰児の仲間入りをしていたかもしれないのだ。
だが、この慰霊碑も当局側は、あくまで根岸の外人墓地全体の慰霊碑として認めただけで、多数の嬰児が埋葬されている事自体を公式には、認めていない。前後のいきちがいもあり、建立までには、いろんな紆余曲折があった。慰霊碑を実現させるために奔走する一方で、筆者は、ゴールデンカップスの過去から現在までを追いかけ横浜の戦後の裏面史を読み取ろうとしている。この中で、メンバーの口からは、あまり語られてこなかったこともあかされているのは、非常に興味深い。
GOLDEN CUPS  にもかかわらずこの本に、今一つのめりこめないのは、作者の彼らの音楽に対する理解がいささか付け焼刃だからかもしれない。本来小説家として才能のある人なだけに、このようなドキュメンタリーでは、客観的な説得力に物足りなさが残る。それでもこのような形で、あの時代を生きたゴールデン・カップスの事がまとめられたのは、非常に貴重だと思う。カップスのファンだけでなく、GSに興味ある人には、ぜひ読んでほしい。
カップス最大のヒットになった「長い髪の少女」のカバーの写真で他のGSのように、にっこり笑うこともなく、こちらを射すくめるかのように強いまなざしをむけている彼らが写真を撮った場所は、ほかならぬ外人墓地の十字架の下だった。
天使 2 
" ヨコハマ " という地名の響きに惹かれたのはいつの頃だっただろうか。
たぶん、まだ家にテレビも無かった頃、ラジオから流れてきた童謡「赤い靴」のなかの「ヨコハマの埠場から船に乗って・・・」という歌詞だったような気がする。その後、いしだあゆみの「ブルーライト・ヨコハマ」が大ヒットして小学生だったオレもよく口ずさんだ覚えがある。その頃から何故か横浜には漠然とした憧れを持っていた。平山三紀の「ビューティフル・ヨコハマ」も好きだったし、原由子の「ミス・ヨコハマダルト」のレコードも持っていた。赤い煉瓦の倉庫が立ち並び、外国船が行き来するお洒落で、異国情緒たっぷりで、どこか哀愁を湛えた街・・・ヨコハマ。
まぁ田舎に住んでる人間が描く横浜のイメージなんて月並みだけどこんなものだ。
そしてもうひつ、ゴールデン・カップスを生んだ基地の街・・・ヨコハマ。
山崎洋子という作家を知ったのは十数年前である。ミステリー小説にも目の無いオレは、行きつけの本屋で面白そうなタイトルの本を見つけた。それが「ヨコハマ幽霊(ゴースト)ホテル」だった。この本の紹介はまた後日にして、この作品のストーリーも良かったのだが、ここに描かれたヨコハマの雰囲気がなかなか素晴らしく、この時、山崎洋子という作家の名前はオレの頭の中に刻み込まれた。
彼女が書いたカップスがらみの本がある。タイトルは「天使はブルースを歌う」(1999)。京都生まれの彼女が、現在横浜在住である事は知っていたし、読んではいないが他にも横浜を舞台にした作品を数多く書いていることも知っていた。けれど、ゴールデン・カップスのメンバーと親交があるとは全然知らなかった。
この本からは、三つのブルースが聞こえてくる。
一つめは、もちろん「ザ・ゴールデン・カップス」。ゴールデン・カップスがいかにハチャメチャでスキャンダラスなバンドだったかは、もはや伝説となっているので、ここで登場するカップス時代のエピソードにも大して驚きはしなかったが、彼等の生い立ちや、解散後の彼等がそうとうキツイ状態に置かれていたことがメンバー自身の口から語られる部分には本当に身につまされる思いがする。そして中国人であるエディ藩との出会いからカップスにのめりこんでゆく著者の姿が、根岸外人墓地に慰霊碑を建てるのために奔走する著者の姿にオーバーラップしてゆく。
そして二つめが、その根岸外人墓地に眠るとされる900余体の「GIベイビー」である。終戦直後の横浜にはGHQが置かれ、基地の街としての歴史がスタートする。おびただしい数の米兵が占領軍として街に溢れ、極貧状態におかれた女性たちは好むと好まざるとにかかわらず、米兵たちに身体を売って日々の糧を得なければならなかった。また、今も沖縄でたびたび繰り返される米兵によるレイプ事件などは日常茶飯事だったようだ。その結果、望まれずに生まれてきた嬰児900余体もの亡骸が、人知れず根岸外人墓地に捨てられたという。これはショックだった。今でも横浜市はこの嬰児遺棄を公式には認めていないようだが、著者は綿密な取材と関係者の証言でその事実を明らかにしていく。
三つめは、真っ白な孤高の娼婦「ハマのメリーさん」。このメリーさんの話は何かの記事で読んだ記憶がある。昭和30年代中頃からたった一人で街角に立ち始め、年老いてからもその姿は多くの人の目に留まっている。とにかく身に着けているものは上から下まで白尽くしだという。この本では、森日出夫というカメラマンによる年老いたメリーさんの写真も掲載されているが、背中も曲がった老婆が、真っ白な化粧を施し、全身を真っ白な衣装に包んで座っている姿はどこか崇高で、人間の気高さが感じられる。根岸外人墓地に眠っている嬰児たちの魂をやさしく包み込む母のような・・・。凄い女性だと思う。 
どの話もとても哀しい話である。オレが今まで抱いていた横浜のイメージがいかに軽薄で一面的だったのかを思い知らされた。だからどうだという事も無い。ただ読み終わった後に不思議な爽快感に満たされた。それはこの三つのブルースが大袈裟に言えば「生きる」というのはどういう事なのかをさり気なく語っているような気がしたからだ。このブルースを引き出した山崎洋子の筆力にオレは感服した。そしてゴールデン・カップスの音楽(ブルース)が何故オレをこんなに惹きつけるのかが少し分かったような気がした。 
天使 3
山崎洋子の「天使はブルースを歌う〜横浜アウトサイド・ストーリー」(1999年・毎日新聞社)を知ったのは、本当に偶然だった。あるタレント本を探しに紀伊国屋書店新宿本店6階の芸能コーナーを訪れた際、ふと目に留まったのだ。なんとなく手に取って読み始めたら、ページを繰る手が止まらなくなった。全く私の知らないヨコハマが、そこにあった。
横浜在住のミステリー作家である山崎は、ある日、白塗りの老娼婦「メリーさん」を目撃し、彼女の姿に「ブルース」を感じたことをきっかけに、横浜の裏の顔に気付いてゆく。そして、メリーさんを調べるうち広がった人脈の一人である評論家・平岡正明の「あなたの小説にはブルースが足りない」という一言がきっかけで、彼女は伝説のブルースアーティスト・エディ藩と知り合う。彼は中華街に生まれた華僑であり、60年代横浜本牧出身のGSバンド・ゴールデン・カップスのギタリストとして一世を風靡した存在だった。彼の音楽に魅了されつつも「歳月の泥がびっしり詰まったような」彼の存在感にたじろぐ山崎。
やがて彼女はエディ藩から、横浜根岸外人墓地に眠るという、混血の嬰児たちの慰霊碑建立のためのチャリティーソングの作詞を依頼される。山崎は、彼ら嬰児たちを「メリーさんの子ども達」とイメージングし、チャリティーソング「丘の上のエンジェル」の詞を手がけた。しかし、墓地を管理する行政側は、墓地への嬰児たちの埋葬の事実を頑として認めようとしない。それがきっかけで彼女は、敗戦後の米軍駐留期から始まる横浜戦後史の光と影を、そしてメリーさんやゴールデン・カップスの面々をはじめとする、時代を彩った横浜のアウトサイダーたちの歴史と現在を追いかけ始めることになる・・・。
同じヨコハマの外人墓地でも、山手墓地に比べるとはるかに知名度の低い根岸墓地に眠る嬰児たちの多くは、敗戦後様々な形で、米兵や軍関係者たちと、日本人の女性たちー例えばその中にはメリーさんの様な米兵相手の娼婦女性も多かっただろうーの間に生まれた混血児、所謂GIベイビーだったと思われる。ゴールデン・カップスのメンバーの一人であり、後に「ピンク・クラウド」などでも名を馳せるベーシスト/ギタリストのルイズルイス加部も、そんなGIベイビーの一人であった。(因みに山崎は初めてライブで加部を目撃した際、中年になっても衰えぬ彼の混血ならではの美貌に目を奪われ「キリストのよう」な「メランコリックな美しさ」とまで書いている。)
そして1960年代、加部やエディ藩、デイヴ平尾ら、のちのゴールデン・カップスメンバーが出演するようになったのが、本牧のライブハウス、その名も「ゴールデン・カップ」だった。当時本牧地区は米軍に接収されており、ベトナム戦争から一時帰休した米兵たちがつかの間の休暇を楽しむ場所だった。米兵相手の店が立ち並び、東京よりも早くアメリカの音楽や文化が入ってくる、当時日本で一番「ホット」な地区が本牧や中華街だった。華僑の息子であり比較的経済的に恵まれていたエディをはじめとして、メンバーらはごく自然に最先端の音楽に親しんでいたのだ。「ゴールデン・カップ」には、彼らの演奏を見に、東京から内田裕也やスパイダースの面々らも訪れたという。
バンドはまもなくスカウトされ、ライブハウスの名を冠し、全員がハーフという売り文句で(実際には違う)1967年にデビューする。「ついこの間まで差別の対象でさえあったのに、成長した混血児は欧米礼賛の風潮にのり、容姿の欧米っぽさ,リズム感の良さなどで、今度は憧れの対象になったのである。全員ハーフということにされてしまったゴールデン・カップスは,まさしくあの時代の象徴と言えるだろう。」ゴールデン・カップスは「いとしのジザベル」「長い髪の少女」などプロの作家が作った歌を歌いヒットを飛ばし一躍アイドルになるが、ライブでは日本語詞を決して歌わず、本場のブルース・ロックを指向した。プロ意識も希薄で、喧嘩も絶えなかったという。そしてGSブームは長く続かず、バンドは1971年限りで解散し、各メンバーの流転が始まる。そしてそれは、それまで日本におけるファッションや音楽の最先端であったヨコハマの凋落を予言するものでもあった・・・。
60〜70年代にかけてのゴールデン・カップスのメンバーの栄光と流転の軌跡を追いながら、山アは自らの割と平凡な青春時代を重ね合わせる。エディ藩らと同世代の戦後ベビーブーマーの1人として地方都市に生まれ、東京に憧れながら育ち、わりと平凡な青春時代を送った山崎。しかし、そんな山崎だからこそ、彼女は冷静に、戦後の横浜の繁栄が、朝鮮戦争・ベトナム戦争という米軍とアジア民族との戦いによる特需に支えられたものであり、また音楽やファッションなど横浜の独自の文化的優位性に見えたものが、日本人がアメリカ文化に憧れた時代ゆえのものであったことを記している。そしてその時代の終焉も・・・。
「1975年、サイゴンが陥落し、ベトナム戦争が終結した。本牧の米軍住宅地も返還され、米兵相手の店は次々と撤退し、アメリカ色は一気に薄らいだ。同時に、横浜は只の、言ってしまえばありふれた大都市でしかなくなっていた。太陽のおかげで月が輝くように、アメリカの光を受けて横浜は輝いていたのだ。戦後、というより、幕末の開港以来ずっと−。ゴールデン・カップスも同じである。彼らは「アメリカ色の横浜」ブランドで売り出した。しかしそのブランドはマジカル・パワーを発揮しなくなってしまった。」山アがミステリー作家としてデビューした80年代には、横浜はその磁力をほぼ失っていたという。
一方で山崎は、彼女と対照的であるが故に、同世代の日本の栄光と悲惨と矛盾を一身に背負った、エディ藩やルイズルイス加部、メリーさん、そしてエンジェルたちの来歴や現在を調べ書き残すことに使命感を感じ執念を燃やす。それは彼ら彼女らへの山崎なりの愛を込めたラブレターでもあり、彼女なりの「ブルース」となっている、とでも言えば良いのだろうか。(尤も私は山崎以上に「ブルースが足りない」人間なので、迂闊なことは言えないのだが。)
そして、話の発端であった根岸外人墓地の嬰児たちの慰霊碑は、曲折を経て、すべての埋葬者の慰霊碑という名目で、何とか建立された。しかし、建立記念式典では、エディ藩作曲・山崎作詞の「丘の上のエンジェル」を流す許可は下りなかった。ついに行政側は埋葬された嬰児たちの存在を認めようとはしなかったのだ。しかし山崎は式典後も様々な関係者への取材や聞き取りを行い「エンジェル」らの存在の傍証を提示している。根岸墓地の現状や、片翼の天使を型どったという慰霊碑を見てみようと思い立ち、私も先日、残暑の中、横浜・山手を訪ねた。JR根岸線山手駅を降り、暫く迷った挙句、ようやく墓地の入り口に辿りついたが、そこは鉄の扉に固く閉ざされていた・・・。
本書の刊行から10年余が過ぎている。エディ藩やルイズルイス加部は現在も精力的に活動しているようだ。ゴールデン・カップス自体も2003年に再結成されたが、2008年ボーカルのデイヴ平尾をがんで失っている。山崎にエディ藩の存在を教えた平岡正明も鬼籍の人となった。そしてあの「メリーさん」はどうなったのだろうか。ここまで触れなかったが、本書内で山アはかなり克明に戦後のメリーさんの足跡を追い、そして彼女が1996年に横浜から姿を消すまでを記している。その後は?
天使 4
私にとって団塊の世代とはマルキストかヒッピーか、大別すればいずれか二つに属してしまう種族になってしまう。中学生の頃などは、何故、あの世代の人たちは機動隊とぶつかり合っているのか理解できなかった。革マル派、連合赤軍といっても、主義主張を理解してない私は、何をそんなに死に物狂いでやっているのか分からず、そこへ持ってきて三島の割腹自殺。世の中の動きを理解するにはまだ若すぎた。
どちらかといえばヒッピー路線への傾向を強めていた私は、革命なんかは考えず、好きな音楽を聴いて、映画鑑賞、読書と平和裏に過ごしたいという怠け者。そんな怠け者にGSサウンドはピッタリフィットして、将来の洋楽嗜好への土壌に種バラマキ、僅かな活動期間だったが殆どのヒット曲を50年ほど経った今でも歌える。
一方、この世代の人たちは私にとっては怖いお兄さんで、中でもその筆頭がゴールデン・カップス。あの当時、ただでさえ音楽を演る人は、どこか取っ付きにくく何となく不良っぽいところがあって、ちょっと強面で委縮しちゃう。
然し、そのゴールデン・カップスは一番本格的なロックバンドだったんだろうか。先日、本屋に行くと購入を決めていた物を取りやめ、急遽、帯にゴールデン・カップス、エディ・潘の名前を見つけたので読みたい、買いたい、欲しい病炸裂で迷わず購入してしまった。
東京生まれの名古屋育ちの私は外国人を初めて見たのはいつだったか記憶にない。海外旅行などは夢の夢で、昭和39年まで日本人は自由に外国へ行けなかった。そんな夢を満たしてくれたのは精々『金高かおる世界の旅」を見る程度だろうか。然し、デイブ平尾だけは違った。何の不自由もなく育った彼は、翌年、つまり昭和40年にアメリカ旅行とあるから、かなり裕福な家の息子だった。
そんなデイブ平尾をリーダーとする、ザ・ゴールデンカップスのデビューは1967年の「いとしのジザベル」で、彼らGSのメンバーは同世代の学生が機動隊と角材を持ってぶつかり合っているのをどのように見ていたのか分からないが、著者も同じ団塊の世代で、こう書いている。
「 学生運動が暴力を伴いつつも前進しようとする革命運動だとすれば、一方で、後退しようとする革命運動というべきヒッピーという存在があった。ヒッピーはもともと、平和、非暴力、自由といったことから始まったのだが、日本に入ってくるとだんだん退廃的な色合いが濃くなり、一日中、シンナーを吸って、新宿駅周辺などで呆けたように座り込んでいる若者を指すようになった。 」
はい、新宿東口ですよね。昭和48年になっても彼らはあそこでたむろしていました。私は遅れて来たヒッピーだったがシンナーだけはやらなかった。本書は戦後、GIベイビーと言われ、墓地に葬られた約900体の嬰児たちを知ることによって、横浜で娼婦となった女たちの哀しい歴史など掘り下げるノンフィクションで、その数は横浜だけで15,000人といわれる。
昨日まで鬼畜米英と叫んでいた女性が、生きて行く糧としてパンパンと呼ばれる人生を選んだのか私には分からないが、彼女らが産んだ混血の数が26年までで15万というから凄い。その中のひとりがザ・ゴールデンカップスの天才ベーシスト、ルイズルイス加部で、彼がどんな境遇であれ、若くして自らの道を切り開き、今日もライブハウスで活躍していることは誇らしい。
因みにサイドギターのケネス伊東が脱退してハワイに帰ったのをきっかけに、ミッキー吉野がキーボード奏者として加入したのは1968年、ミッキーはまだ16歳だった。
今現在、15万の混血児の人たちがどうしているのか分からないが、困難な人生を歩んでこられたのだろうか。
然し、GSのメンバーも多くは世を去り、同世代の星野仙一も先達て旅立った。本書は約20年ぶりの復刻版らしいが、本当に再販されて良かった。
横浜や本牧の歴史を知ることと悲哀に満ちた女性たちの人生。
忘れてはならない戦後史の一ページなのだから。
メリーさん
(本名不詳、1921 - 2005) 神奈川県横浜市の中心部でしばしば目撃された女性。歌舞伎役者のように白粉を塗り、フリルのついた純白のドレスをまとっていた。第二次世界大戦終戦後、進駐軍兵士相手に身体を売っていた「パンパン」と呼ばれる娼婦だと噂され、「皇后陛下」「白狐様」「クレオパトラ」「きんきらさん」などの通り名で呼ばれていた。。1980年代に入った辺りから「(港の)マリーさん」と呼ばれ出し、同じく80年代の後半から「メリーさん」と呼び名が変化したようである。。そして後年ドキュメント映画がヒットした影響から「ヨコハマメリー」「ハマのメリーさん」などと呼ばれることが多くなった。
岡山県出身。実家は農家で、女4人、男4人のきょうだいの長女として生まれる。
実弟の話によると、地元の青年学校を卒業後に国鉄職員と結婚。その後、戦争が始まり軍需工場で働きに出るが、人間関係を苦に自殺未遂騒動を起こす。この出来事が原因で結婚からわずか2年で離婚。子供はいなかったという。戦後、関西のとある料亭(実際は米兵相手の慰安所だった)で仲居として働いた後、そこで知り合った米軍将校の愛人となる。彼に連れられ東京へ出るが、朝鮮戦争勃発後、現地へ赴いた彼は戦争が終結するとそのまま故郷のアメリカ合衆国へ帰り、日本には戻らなかったという。
取り残された彼女はその後、横須賀を経て横浜へと移動し、米兵相手の娼婦としての生活を始める。以後は在日米軍基地に数十年間と長期にわたり居住した。中村高寛監督の映画『ヨコハマメリー』によると来浜の時期は1963年とのことだが、檀原照和著『消えた横浜娼婦たち』によれば1955年には既に横浜の伊勢佐木町で目撃されていた、という。
彼女の存在が注目されだしたのは、1980年代に入ってからである。折しも「なんちゃっておじさん」や「歌舞伎町のタイガーマスク」など、町の奇人たちがメディアに取り上げられていた時期と重なる。
1990年代の半ばに、横浜の街から姿を消した。その時期は映画『ヨコハマメリー』では1995年初冬(『朝日新聞』は「関係者の話」として同年12月に故郷の中国地方へ帰ったとしている)、書籍『消えた横浜娼婦たち』によると1996年の11月だという。
晩年は「故郷の老人ホームで暮らした」とされるが、実際は故郷に居場所を見いだせず、数十キロメートル離れた津山の老人ホームで余生を送った。2005年1月17日、死去。84歳没。
■「歌謡曲は私たちの時代のブルースである」 寺山修司 
幼くして父を戦争でなくした寺山修司は、終戦を迎えた10歳の頃からいつもひとりぼっちだった。青森県三沢市にある米軍基地で働いていた母親が家を空けることが多くなり、いつしか自宅で自炊をする生活になったという。
寺山はそのことが表現者への道を用意したのではないかと、後にこんなことを述べている。
「 親が側にいなくて兄弟もなく、ひとりでいる時間が多かったから、物を書いたという気がする。現実で満たされていないと、現実以外でもう一つの世界を作って、作ることで満たされようという気になるのではないか 」
テレビがまだ家庭に普及していなかった1950年代から60年代にかけて、歌謡曲が果たした役割は現在とは比べものにならないほど大きかった。空襲による焼け跡から復興していく日々のなかで、戦争によって肉親や親族をなくした子どもたちと、子どもを失った親たちがそれぞれに黙って孤独に耐えていたのだ。寺山は著書「書を捨てよ、街へ出よう」のなかで、”歌謡曲は私たちの時代のブルースである”と書き記している。なりふり構わず必死になって生きていた昭和の時代に、余裕のない生活の中でひとときのうるおいを与えたり、乾ききった心を慰めてくれたり、あるいは励ましてくれたのが、どこかから聴こえてくる歌謡曲であった。ラジオや映画館、商店街の街頭スピーカーなどから流れてくる歌や音楽は、もっとも身近な娯楽になった。寺山のお気に入りは自分と同世代で、2歳年下の少女スターだった美空ひばりだった。
初期の美空ひばりのヒット曲は、親を亡くして身寄りのない子や、もらわれてきた子どもという設定が多かった。戦争で多くの人たちが生命を奪われたことを背景にして、大切な家族や友達を亡くした喪失感や哀しみを歌った楽曲が、名もない若者や庶民たちに支持されのである。
また、寺山は歌謡曲の何よりの特質が、“合唱できない歌だ”というところにあると指摘していた。“合唱できない歌だ“というのは、戦後の歌謡曲の特徴を鋭く言い当てている。
子どもも大人も、お年寄りも、みんな先々が不安で孤独だった。そんな寄る辺のない人間が哀切な歌を聴いて、ひとりずつ心を慰めるということが、戦後の歌謡曲には役割として求められていたのである。
都会では生命力があって明るく力強い「東京ブギウギ」や「銀座カンカン娘」がヒットしていても、青森県に住む寺山にはどこか遠い世界であった。
だが美空ひばりは、そうした寂しさにも答えてくれたのだ。
「リンゴ追分」や「津軽のふるさと」といったローカル色が強い歌は、復興から取り残されされがちだった地方の人たちから、圧倒的に支持されていった。
そうした歌謡曲のあり方が変わり始めたのは1964年に東京オリンピックが開催されて、その2年後にビートルズが来日公演を行ったことで、若者たちが身近な楽器で好きな楽曲を演奏し、仲間たちと一緒に歌を唄う時代になってからのことだ。
もっとも手軽なフォーク・ギターが人気を集めて普及し、新しい時代の気分を唄う伴奏楽器として広まった。
ハーモニーの豊かさや心地よさ、あるいは一緒に体を動かして音楽を楽しむことの喜びに気づいた人が増えた。
そこから学生たちを中心にフォークのブームが起きて、自作自演で唄うことが特別のことではなくなっていく。
京都の大学生でアマチュアだったザ・フォーク・クルセダーズが、卒業をひかえてグループを解散することになり、その記念コンサートで販売するために自主制作盤のレコードを作って販売したのは1967年の秋だった。
そのアルバムに入っていた「帰って来たヨッパライ」が、神戸の民放局で取り上げられて、ローカル・ラジオ局から火がついて東亰にまで飛び火した。そして12月25日に東芝レコードから発売されたシングル盤は、またたく間に200万枚を越えるヒットを記録した。
主要メンバーだった北山修と加藤和彦はアマチュアならではの自由な発想から、1年間の期間限定でプロとして活動していくことを決めた。
そして京都のフォーク仲間だった端田宣彦を、正式なメンバーに加えている。彼らが目ざしていたのは<みんなの音楽>として、多くの若者たちと歌を共有して楽しむことだった。
そんな彼らが発見してレパートリーに加えていた楽曲の中に、寺山修司が最初に作詞した叙情的な歌謡曲の「戦争は知らない」(作曲:加藤ヒロシ)があった。
これは1968年11月10日にライブ・ヴァージョンが、シングル盤のB面で発売された。
もちろん彼らはその曲にハーモニーをつけて、みんなで一緒に唄っていたのである。
加藤和彦と北山修に加えて、はしだのりひこの代わりを務めるアルフィーの坂崎幸之助が参加して、ザ・フォーク・クルセダーズが再々結成されたのは2002年11月だった。
その後に彼らはふたたび解散したのだが、解散記念コンサートで披露された「戦争は知らない」は見事なものだった。
そんなふうにして、この世に生まれた歌のなかでも、ひとたび確かな命が宿った作品は、作者の思いや意図とは関係がないところで、スタンダード曲としてひとり歩きしていくのである。
なお寺山修司が手がけた歌謡曲は多いが、もっとも初期の「戦争は知らない」と、18歳のカルマン・マキに書いてヒットした「時には母のない子のように」が、21世紀になっても歌い継がれている。 
■ムード歌謡 
第二次世界大戦後、特に1952年(昭和27年)の連合国の占領軍の撤退以降の日本で独自に発達したポピュラー音楽のスタイル、ジャンルの一つである。広義では歌謡曲に含まれ、コーラスを主体としたものをムードコーラスと呼ぶことがある。
ハワイアン、ジャズ、ラテンをベースにした歌謡曲であり、いずれもダンサブルな音楽である。
1950年代(昭和20年代後半)、主に連合国の占領軍(の中でも主にアメリカ軍)を相手に活動していた歌手やバンドが、東京の銀座や赤坂のナイトクラブに移り、客の要望に応じてムードのあるダンス音楽を演奏し始めたのが、「ムード歌謡」の始まりといわれる。
もともとこの当時に流行していたハワイアン音楽のバンドや進駐軍相手にジャズを歌っていた歌手が中心となり、スティール・ギター、ファルセットといったハワイアン音楽の特徴や半音進行を織り交ぜたジャズ音楽のテイストは、そのままムード歌謡にも引き継がれた。第一人者といわれるフランク永井や和田弘とマヒナスターズ、松尾和子らの人気とともにムード歌謡は流行、レコードデビューするバンドや歌手も増加し、1960年代には一大ジャンルを形成した。
日本語による歌詞は、独特の世界観を持っている。楽曲の演奏されるステージであった「ナイトクラブ」や酒場が存在した歓楽街や繁華街を舞台にしたものが多く生まれ、銀座や赤坂のほか、横浜の伊勢佐木町、札幌のすすきのや中の島、大阪の御堂筋や宗右衛門町、岐阜の柳ヶ瀬、神戸の新開地や福原、長崎の思案橋等の「盛り場」の地名や、それらを有する札幌、東京、岐阜、大阪、神戸、長崎等、都市名を冠した楽曲タイトルをもった。これら地名は、「ムード」を表現する要素となり、とくに地方都市を舞台としたものは、のちに「ご当地ソング」とも呼ばれた。
また、歌詞世界の描く時間帯はおもに「夜」であり、繁華街のある「港」や別れの舞台である「空港」をも描いた。男性ヴォーカルを有するグループが多い反面、女性の視点から女言葉で書かれた歌詞も多く、女性歌手をゲストに迎えた楽曲もつくられた。
俳優の石原裕次郎が歌手としても活躍し、ムード歌謡のヒット曲を連発した。1950年代 - 1960年代(昭和30年代 - 昭和40年代前半)には、特に演奏スタイルの定義にこだわらなければ、ムード歌謡こそが歌謡曲の本流だったといえる。森進一・五木ひろし・八代亜紀といったのちの演歌界の大御所も、デビュー当時はムード歌謡色が濃かった。大相撲の増位山太志郎は、「そんな女のひとりごと」などのヒットを飛ばしている。
1970年代(昭和40年代後半)から、伝統的な大人の社交場としてのナイトクラブやキャバレーの文化が衰退していく。それにあわせて、ムード歌謡の描く歌詞世界はどこか非現実的で古くさいものと感じられるようになる。また、演歌と愛好者層が重なることから演歌と混同されて捉えられる事も多くなる。上記の森、五木、八代だけでなく、ジャズに憧れてプロ入りし、この分野の第一人者でもあった前川清も、ソロ転向後は演歌歌手として扱われるケースが多くなってきた。同時期には、一方でフォークソングなどニューミュージックなどの台頭もあり、ムード歌謡は徐々に衰退していったが、1970年代後半(昭和50年代)にカラオケスナックが流行、時代に合わせたスタイルでヒットを飛ばす例もあった。
現在の「ムード歌謡」はポップス色の強い楽曲はシティ・ポップスと呼ばれ、旧来の「ムード歌謡」および演歌ポップスやニューアダルトミュージックの一部を指すジャンル用語となっている。
コーラス・グループ​
秋庭豊とアローナイツ(「中の島ブルース」「ぬれて大阪」「献身」「さだめ」など)
今井まさるとフェニックス(「ダンディ・ナイト」「恋させて」)
内山田洋とクール・ファイブ(「長崎は今日も雨だった」「逢わずに愛して」「噂の女」「そして、神戸」など)
黒沢明とロス・プリモス(「ラブユー東京」「たそがれの銀座」「札幌の星の下で」など)
沢ひろしとTOKYO99(「愛のふれあい」「さよならまた明日」「陶酔」「好きなの」「朝日のくちずけ」など)
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ(「雨の赤坂」)
中井昭・高橋勝とコロラティーノ(「思案橋ブルース」)
鶴岡雅義と東京ロマンチカ(「小樽のひとよ」「君は心の妻だから」「ああ北海道には雪が降る」など)
敏いとうとハッピー&ブルー(「星降る街角」「わたし祈ってます」「他人じゃないの」「よせばいいのに」など)
原みつるとシャネル・ファイブ(「稚内ブルース」)
平和勝次とダークホース(「宗右衛門町ブルース」)
三浦弘とハニーシックス(三浦京子とハニーシックス)(「お嫁にゆけないわたし」「よせばいいのに」など)
南有二とフルセイルズ(「おんな占い」)
森雄二とサザンクロス(「意気地なし」「足手まとい」「好きですサッポロ」など)
ロス・インディオス(「知りすぎたのね」「コモエスタ赤坂」「別れても好きな人」(withシルビア)など)
和田弘とマヒナスターズ(「夜霧の空の終着港」「誰よりも君を愛す」「お百度こいさん」「お座敷小唄」など)
ヒロシ&キーボー(「3年目の浮気」)
純烈(「キサス・キサス東京」)
歌手​
アイ・ジョージ -「硝子のジョニー」「赤いグラス」
愛田健二 -「京都の夜」「琵琶湖の少女」
青江三奈 -「恍惚のブルース」「長崎ブルース」「伊勢佐木町ブルース」「池袋の夜」など
朝丘雪路 -「雨がやんだら」
天知茂 -「昭和ブルース」
石原裕次郎 -「ブランデーグラス」「恋の町札幌」など
五木ひろし -「よこはま・たそがれ」「港の五番町」など
内田あかり(大形久仁子) -「浮世絵の街」
欧陽菲菲 -「雨の御堂筋」「ラヴ・イズ・オーヴァー」など
扇ひろこ -「新宿ブルース」
角川博 -「雨の赤坂」「伊豆の雨」「大阪ものがたり」など
佳山明生 -「氷雨」
キム・ヨンジャ -「北の雪虫」「命火」
黒木憲 -「霧にむせぶ夜」
桂銀淑 -「夢おんな」「都会の天使たち」など
斎条史朗 -「夜の銀狐」
坂本スミ子 -「夜が明けて」
島和彦 -「雨の夜あなたは帰る」
島津ゆたか -「ホテル」「花から花へと」
朱里エイコ -「北国行きで」
城卓矢 -「骨まで愛して」
園まり -「何も云わないで」「逢いたくて逢いたくて」など
平浩二 -「バス・ストップ」
立花淳一 -「ホテル」
田辺靖雄 - 「よせばいいのに」「おれでよければ」など
ちあきなおみ -「四つのお願い」「喝采」など
鶴田浩二 -「好きだった」「赤と黒のブルース」など
テレサ・テン -「つぐない」「時の流れに身をまかせ」など
中条きよし -「うそ」など
西田佐知子 -「アカシアの雨がやむとき」「女の意地」など
バーブ佐竹 -「ネオン川」など
箱崎晋一朗(箱崎晋一郎) -「熱海の夜」
日野美歌 -「氷雨」「男と女のラブゲーム」
藤圭子 -「女のブルース」「圭子の夢は夜ひらく」など
フランク永井 -「君恋し」「おまえに」など
マルシア -「ふりむけばヨコハマ」
増位山太志郎 -「そんな女のひとりごと」「そんな夕子にほれました」など
松尾和子 -「再会」「東京ナイト・クラブ」など
美樹克彦 -「花はおそかった」「もしかしてPART II」
水原弘 -「黒い花びら」「君こそわが命」
美川憲一 -「柳ヶ瀬ブルース」「釧路の夜」など
森進一 -「年上の女」「港町ブルース」など
森本英世 -「わたし祈ってます」「よせばいいのに」「ホテル」など
八代亜紀 -「なみだ恋」「雨の慕情」など
矢吹健 -「あなたのブルース」「うしろ姿」
李木蘭(リー・ムーラン) -「雨の日の花嫁」
作曲
吉田正 - 「東京ナイト・クラブ」「誰よりも君を愛す」
川内康範 - 「誰よりも君を愛す」「伊勢佐木町ブルース」「逢わずに愛して」
吉田佐 - 「中の島ブルース」
彩木雅夫 - 「長崎は今日も雨だった」「逢わずに愛して」「港の五番町」
中川博之 - 「ラブユー東京」「わたし祈ってます」「さそり座の女」
川原弘 (コロラティーノ) - 「思案橋ブルース」
鶴岡雅義 (東京ロマンチカ) - 「小樽のひとよ」「君は心の妻だから」「二人の世界」
平田満 (シャネル・ファイブ) - 「くやし泣き」
池田進(池田進とグリーンアイズ) ‐ 「愛びき」 
■違和感たっぷりのムード歌謡、令和の担い手?! 「純烈」 
歌手としての活動だけでなく、前山田健一名義では、ももいろクローバー、AKB48といったアイドルから、SMAP、郷ひろみなどのビッグアーティスト、さらに、はやぶさへアニソンを楽曲提供するなど、ジャンルに一切とらわれない幅広い音楽活動を展開するヒャダイン。そんな彼が心から愛する往年の名曲やいま注目の歌手など、歌謡曲の魅力を徹底考察する連載。テーマは「ムード歌謡」!
ムード歌謡
昭和をデフォルメする際の記号としてとても使いやすい音楽ではないでしょうか。スローなテンポにマイナーキー、ギターのスライド奏法の上に乗るのは湿っぽい歌詞とボーカル。メインボーカルがいて、コーラスが一本マイクで「ワワワー」と歌う姿はCMやコントでもよく見たものです。
今回ムード歌謡について考えてみようと思うのですが、正直、変ですよね、このジャンル。”違和感”が満載です。日本ならではの音楽なんだけど和楽器が入っているわけでもなく、それどころかハワイアン音楽の要素が。
さらに夜の街を舞台にした世界観の歌詞を、かなりクセのある「しゃくり」やビブラートのテクニックでボーカルが歌い上げる。世界的に見てもこんな楽曲が流行ったのは日本だけですよ。主に流行したのが1960年代。僕は1980年生まれなので完全に後追いなのですが、好きなんですよ、ムード歌謡。
なので今回は僕が好きなムード歌謡の曲を挙げながら分析、さらに令和のムード歌謡の担い手「純烈」についても考察していきます。
強烈な“艶”を放つハスキーボーカル
まず青江三奈さんの「池袋の夜」。これは強烈だ!
ムード歌謡の特徴として“地名が入る”、“夜の街を描く”、“恋”とあると思うのですが、全部クリアです。イントロからリバーブたっぷりのスライドギター、そしてストリングス。Aメロはもはや浪曲なんですよね。拳の回し方やビブラートが浪曲。それをハスキーな青江三奈さんがちょっと音符から後ろノリ(以下・レイドバックと表現します。)で歌うと、なぜかしら情感たっぷりになるんですよね。サビの「夜の池袋〜♪」の【よ】の発声は本当に見事。当時28歳の青江三奈さん。何をどう経験すればあの発声になるんでしょうね。
さらに青江三奈さんといえば「伊勢佐木町ブルース」。印象的なストリングスのフレーズを受けるようにさらに印象的な青江さんの喘ぎ声。サビのスキャットのレイドバックよ! 「デュデュブデュビデュビデュビデュワー!!」こんなのボーカルディレクションでどうにかなるもんではないでしょう。当時のレコーディングは楽器と“せーの”で一発録音だったと聞きます。表現はアレですが楽器隊の演奏とセックスをしているような艶っぽさは、今のミュージシャンでは残念ですが表現できないなあと思ってしまいます。
しかもこのタイトルも最高ですよね!「ブルース」。アメリカ発祥の黒人哀歌で12小節単位のループで作られる音楽なんですが、そう!ムード歌謡における「ブルース」は全くブルースではないんですよね!ループもしていなければアメリカっぽさもない。クレイジージャパニーズ。
で。今回ムード歌謡を語る上でのキーワードが”違和感”だと思っています。ハワイアンなのに浪曲だったり、ブルース進行を全く使わないのにブルースだったり、違和感がたっぷりなわけです。
ねっとりボーカルと5声コーラスの独特な歌唱法
次に内山田洋とクール・ファイブの「長崎は今日も雨だった」。こちらも“地名”、“夜”、“恋”、全てクリアしていますよね。勘違いされやすいことですがメインボーカルは前川清さんです。内山田洋さんはリーダーですね。前川さんのビブラート強め、しゃくり、レイドバックな歌声の伴奏は、6/8拍子のミディアムテンポのストリングスとギター中心のトラックです。結構軽やかなトラックなんですが上に乗るボーカルがねっとり重めなんですよね。まずそこに違和感。
そして歌唱法もいいですよね。前川清さんが一人マイクを持って棒立ちでメインボーカルを歌っている遠くで、5人が一本マイクでコーラスをするという。余談なんですが、昨年私がプロデュースした山崎育三郎さんのアルバム収録「君といつまでも」。 加山雄三さんの楽曲をムード歌謡にアレンジしたものなのですが、そのレコーディングの際プロのコーラスの方3人に来ていただきました。すると、普通は1人1本マイクで録るところを「俺たちこれがいいから」と、1本マイクを囲んでコーラスを歌うんです。三声コーラスなのでかなり難しいのですが、「ここはちょっと俺が離れたほうがいいね」とか、「ここは近づくわ」とか、所謂“マイキング”と呼ばれるテクニックを使ってキレイなハモリをご披露いただきました。このテクニックはクールファイブやマヒナスターズから連綿と続くものなのでしょうね。
話を戻します。内山田洋とクール・ファイブは、先程の青江三奈さんと同じく「ブルース」を量産しています。「中の島ブルース」「西海ブルース」などなど。これも先程と同じく本場のブルースのかけらも入っていないあたりが最高です。
違和感こそが“ムード歌謡”
まだまだありますがこれくらいにしておきましょう。
ここまででムード歌謡には”違和感”が重要だという僕の説はわかっていただけたでしょうか。“素晴らしいミュージシャンたちが最大のテクニックをもって、ふざけず茶化さず真面目に違和感のあることをやる”という、このスピリットこそがムード歌謡の真髄ではないでしょうか。そこの違和感だけがフィーチャーされると「奇抜なもの」となり、冒頭に書いたような昭和をデフォルメする記号として時に揶揄される存在になってしまったのでしょう。
あえての違和感で“新化”する純烈
ここで令和にムード歌謡を復活させて「新化」させたと言われる純烈を取り上げてみましょう。純烈は4人組、メインボーカル1人、コーラス3人という構成です。楽曲は“地名”、“夜”、“恋”を扱った当時のムード歌謡の完コピのような作品もありますが、支持されている「プロポーズ」や「愛をください〜Don’t’ you cry」は、ムード歌謡というか80年代歌謡曲といったほうが親しいかもしれません。「純烈のハッピーバースデー」にいたってはサウンド的にはラテン音楽のルンバです。従来のムード歌謡のハワイアン要素はあまり見当たりません(南国音楽という部分では共通点があるかもしれませんが)。しかし、僕はそれこそが純烈の「新化」させたムード歌謡なのだと考えています。 1960年代のムード歌謡をまんまトレースして新曲として発表することは可能ですし、そっちのほうがまあ楽でしょう。しかしそれは所詮トレース。「ムード歌謡のパロディ」の域から超えるのは難しい。ただでさえデフォルメされた昭和の記号なわけですから、お笑い要素がかなり強くなります。(純烈の皆さんは意図的にそれをやっている時もありますが!)
ここで皆さんに思い出していただきたい。ムード歌謡の真髄はなにか、を。そう。違和感なんです!違和感。
「僕たち、ムード歌謡グループです!」と言って、そのまんまのムード歌謡を歌う人たちに何の違和感がありますか? 「そのまんまじゃないか、ふーん」となったらそれは既にムード歌謡ではないんですね。音楽的な制約にとらわれず、情感たっぷりの歌詞を湿っぽいボーカルで歌うのが平均身長185センチのイケメン4人組で苦労人という違和感こそが、純烈の「新化」させたムード歌謡なのでしょう。
“違和感”という点で純烈を改めて考えると、本当に変なグループですよね。元力士、元戦隊ヒーローたちが令和の世で歌謡曲を歌い、しかしクールファイブやマヒナスターズと違いバッチリ振り付けを踊り、しかしスーパー銭湯や温浴施設の宴会場で“ゼロ距離”で会えるという。
前例がなさすぎる。しかもデカイし。
今冗談っぽく言いましたが、ご年配の女性を虜にする要素として「デカイ」は結構重要な気がしています。ムード歌謡といえば石原裕次郎さん、流し目の色男・杉良太郎さん、ご年配を少女にさせたスター氷川きよしさん、さらにはご年配を熱狂させたペ・ヨンジュンさん、皆さん約180cmなんですね。身長が色っぽさに直結するとは思いませんが、やはり高身長から醸し出されるスター感は特にご年配の皆さんにはわかりやすい指標のようなものであるのかもしれませんね。
苦労に苦労を重ねてついにお茶の間のスターになった純烈の皆さんですが、このまま「一般的」なものに集約されていくのではなく、違和感満載の「新化」させたムード歌謡を魅せていってもらいたいです! 
 

 

青江三奈 
(1941 - 2000) 日本の歌手(演歌・歌謡曲など)。本名は井原 静子(いはら しずこ)。芸能活動におけるプロフィールでは生年月日を1945年7月7日としていた。東京都江東区砂町出身。成徳学園高等部卒業。
「青江三奈」の芸名は、作詞家・川内康範が『週刊新潮』で連載した小説「恍惚」のヒロインの歌手の名前に由来する。
高校在学時から銀座の「銀巴里」でステージに立ち、高校卒業後は西武百貨店勤務を経てクラブ歌手となる。
1966年に『恍惚のブルース』でメジャーデビューし、80万枚を売り上げるヒットとなる。
1968年に冒頭部分の「色っぽい吐息」が有名な『伊勢佐木町ブルース』が100万枚、『長崎ブルース』が120万枚をそれぞれ売り上げていずれもミリオンセラーを記録し、「伊勢佐木町ブルース」で第10回日本レコード大賞歌唱賞と第1回日本有線大賞スター賞を受賞した。
1969年に『池袋の夜』が150万枚を売り上げて自身最大のヒット曲となり、史上初めて2年連続で第11回日本レコード大賞歌唱賞を受賞した。1969年度のレコード年間売上金額は青江が全歌手の中で1位、翌1970年度は4位だった。この頃より、青江と同じくハスキーボイスの男性演歌歌手・森進一と並んでため息路線と呼ばれた。
その後、ヒット曲は途絶えるものの、1984年に初のブラジル公演を開催する。デビュー25周年となった1990年に「レディ・ブルース」で第32回日本レコード大賞・優秀アルバム賞を受賞するなど、テレビ番組やコンサートなどに精力的に出演し続けていた。
「NHK紅白歌合戦」は1966年の第17回に初出場したのちに、1968年の第19回から1983年の第34回まで16年連続で出場した。1990年の第41回は同年12月に亡くなった「恍惚のブルース」の作曲家浜口庫之助を偲び、7年ぶりに通算18回目で出場して最後の紅白出演となった。
1990年に青江三奈としてデビュー歌手生活25周年の記念リサイタルを開催する。1991年にものまねタレントの清水アキラと二人で「ラーメンブルース」のデュエット曲を発表する。1993年に初のジャズアルバムも発表しニューヨークでもライブを開催する。1995年に歌手生活30周年リサイタルをNHKホールで開催するなど、1999年1月までコンスタントに歌手活動を行った。
1998年に背中の激痛で受診して膵臓癌と診断されたが、病を隠して仕事をキャンセルせずに歌い続けた。1999年1月23日に渋谷公会堂で催したコンサートを最後に歌手活動を停止し、1月下旬に都内の病院へ入院し、膵炎による加療と発表された。最後のコンサート当日に痛みを耐えながら熱唱した公演の写真が、追悼の特集の際に公開されることがある。
1999年2月5日に9時間を要した手術が成功し、約3か月の入院生活を経て同年4月24日に退院した。退院後は抗癌剤の点滴のために通院しながら美容院へ通うなど歌手活動の復帰を図るが、2000年2月に体調が悪化して再入院して膵癌の転移が発覚する。その後は入退院を繰り返したが、2000年7月2日午後11時40分頃に東京都港区の北里研究所病院で膵臓癌により59歳で死去。葬儀と告別式で親友の水前寺清子が歌手仲間の代表として弔辞を読んだ。
作曲家の花礼二は青江と大井町で同居しながら歌唱指導した間柄であり、癌の転移が判明した青江が直接連絡して19年ぶりに再会し、青江が死去する約2か月前に病床で婚姻届に署名して結婚した。青江の死後は、青江の兄弟と花の間で相続について訴訟するなどに争議して耳目を集め、「伊勢佐木町ブルース」の歌碑が神奈川県横浜市中区のイセザキモールに建立された。
人物
「伊勢佐木町ブルース」冒頭の「色っぽい吐息」が有名だが、発売当時は「“吐息”は子供向きではない」「お色気だ」の意見もあり、『第19回NHK紅白歌合戦』に2年ぶりで2回目に出場時は、カズーの音と差し替えて白組司会の坂本九は「ダチョウのため息」と紹介した。1982年『第33回NHK紅白歌合戦』で2回目に歌唱した際は「吐息」は差し替えられなかった。
1970年(昭和45年)から1979年(昭和54年)まで、マスプロ電工のマスプロアンテナのテレビCMへ出演した。「あなた知ってる〜 マスプロアンテナ〜 見えすぎちゃって 困ァるのォ〜」と「伊勢佐木町ブルース」の替え歌を唄い、サンバイザーにミニスカート姿でゴルフのグリーンでパッティングする際にミニスカートから内側がうかがえる光景が強調され、「お色気コマーシャル」として強い印象を残したが、その後の青江が出演する同社CMは「お色気コマーシャル」では無くなった。 
■評価 
1998年に、体調に異変を感じて診察を受けると、膵臓ガンと診断されました。しかし、この時点で世間には公表せず、歌手活動を継続。1999年に9時間に及ぶ手術を受け成功する物の、その後抗がん剤の投与が続きました。
2000年に入ると歌手活動復帰を計画したものの、体調不良を起こし入院2000年7月2日に膵がんで他界しました。続いては青江三奈さんの評価について書いていきます。具体的な歌手としての評価を書いているサイトはありませんでした。
しかし、個人的な感触で書いていくと、ブルースの女王というイメージです。それは、楽曲のタイトルにブルースと入る物が多いと言う印象があるからです。本来のブルースというと、黒人が自分の身分を憂いて歌い始めたのが始まりです。
また、12小節をワンコーラスをとした形式を取ることが、スタンダードとされています。しかし、日本のこの当時の○○ブルースは何となくのイメージでタイトルにブルースと入れているだけであまりブルースの匂いがプンプンするような物ではありません。
切ないイメージや憂いとエロティックその情景を歌い熟すことが出来た歌手ともいます。また、青江三奈さんの声質が他の歌手には持っていない独特な声を持っており、当時の時代とマッチングしたと言うように考えて良いと思います。
また、セクシー路線という部分で、時代と上手く絡んだ歌手とも言えます。それだけ時代に与えたインパクトはとても強く、時代を超えた今でも多くの人に愛されていると感じ、この後も歌い継がれていくことになる事を期待します。
ここからは青江三奈さんの性格について書いていきます。具体的に性格について触れた記事はありませんでしたが、キャラナビ人物図鑑というサイトを見つけましたので、引用します。
青江三奈さんの性格は・・・見た目は謙虚でも心の中は百獣の王。人間よりも自然が好きなロマンチス
外面的にはあまり自分の意志や感情を出さず、相手の言い分をおとなしく聞く謙虚で穏和な印象です。けれども、自分の考えには絶対の自信あり。最初は相手とイープンな立場で接しながら、だんだんと自己主張してリーダーシップを発揮していきます。独断的とも言えますが、何ごとも冷静にこなし、自分にも他人にも厳しいので、人からは信頼されるでしょう。でも本当の姿は、警戒心が強く、人間嫌いで孤独を愛する人。叙情的な感性のもち主で、自然や芸術を好みます。
孤独を愛する人というのは、イメージ通りですね。続いては青江三奈さんの楽曲「伊勢佐木町ブルース」「恍惚のブルース」について書いて行きます。「伊勢佐木町ブルース」後に触れる「恍惚のブルース」は大ヒットしましたがその後ヒットに恵まれない時期が続いていました。
そんな中でリリースされた楽曲でした。作詞は川内康範、作曲鈴木庸一、作詞家の川内氏がハーンという声とも付かない吐息とも言えない物を楽曲のどこかに入れることを青江三奈さんに指示し吐息を入れました。
結果として大ヒットしたものの、紅白歌合戦では吐息の部分はお色気と言う事で歌えずカズーと言う楽器で代用しました。この曲で貰った賞は、『第10回日本レコード大賞 歌唱賞』、「第1回日本有線大賞」スター賞・「第1回全日本有線放送大賞」優秀スター賞を受賞しました。
また、「伊勢佐木町ブルース」を題材とした映画も梅宮辰夫さん主演で製作されました。伊勢佐木町モールの中に青江三奈さんの看板と石碑が建立されており、ボタンを押すと「伊勢佐木町ブルース」が一分間流れます。
続いては「恍惚のブルース」1966年に青江三奈さんがメジャーデビューした時のシングルでいきなり80万枚を超える大ヒットを記録しました。作詞、川内康範 作曲、浜口庫之助のコンビで制作されました。
この歌をリリースするまでは銀座のクラブ銀巴里で歌手をしていました。作詞の川内康範さんの原作小説恍惚の主人公の名前が青江三奈という名前でそれを購入しこの名前でデビューに至りました。
ある意味では、歌手として独自の道を歩き世間にインパクトを沢山残した歌手とも言えます。 
■『私のスター』
「髪が茶色い、このおばさんはだあれ?」
これは筆者が小学生の頃、とある歌手に関して両親へ質問した際の言葉である。今思えば、失礼極まりないことを言ってしまったなと反省しきり。しかし、当時の自身にとっては、このような印象しか持てなかったのも事実でアリマシテ。5〜6歳の、幼少期真っ只中にいた少年にとって”オトナの女性”というものは=(イコール)おばさんというイメージだったのだろう。
見方を変えてみれば、それだけ貫禄がある風に見えたという意味にもなりそうだが、その威風堂々とした歌手の当時年齢は、三十路をわずかに過ぎたあたり。今思えば”おばさん”なんて呼ぶのは失礼もいいところ、十分にお若かったではないか。その年齢を遥かに超越している筆者こそ一体なんなのだ?という疑問符を、即座に打ちまくる必要がアリアリかと思われ。笑)
“髪の茶色いおばさん”などと、無礼にあたる表現をしてしまった歌手。その方が、後の筆者にとって『私のスター』になるとはね。人生は海、少年は舟…どこをどうやって漂ってきたのやら。羅針盤さえ付いてなかったチンケな小舟にゃ、航海日誌など残されているはずもなく。今となっては”後悔”の雨あられ、その詳細な航路なんて分かりっこないのである。
なにはともあれ、その歌手についての紹介を、敬意を払いながら進めさせていただくことにする。
歌手の名前は、青江三奈。彼女は1966年、25歳の時に『恍惚のブルース』でメジャーデビュー。これ以前、高校在学中より、銀座・銀巴里や横浜のナイトクラブのステージにも立っていたというから恐るべし。シャンソンはもとより、ジャズもお手のものというム・ス・メだった模様。歌手全盛期の容姿からは、おそらくその頃に覚えたであろう着飾り方やヘアセットの仕方などが、脈々と受け継がれていたことが見て取れる。それは、古き良き時代のアメリカで輝いた、美人ジャズボーカリストといった風。そして、68年には”色っぽいため息”を交えた曲『伊勢佐木町ブルース』を発売。当時はその”ため息”が卑猥であると物議を醸したらしいが、それに反動するかのように50万枚超えの大ヒットを記録。以後も『長崎ブルース』『新宿サタデーナイト』『国際線待合室』などをヒットチャートの上位へ送り込み、『池袋の夜』ではミリオンセラーを達成。やがて”ブルースの女王”と呼ばれるようになる。NHK『紅白歌合戦』にも83年まで連続出場し、ベテラン歌手としての意地見せつけたのである。
昭和という時代を生きた者にとって、青江三奈という歌手は大御所という認識のはず。おそらく筆者の年代(1968年生まれ)あたりが、彼女の華々しい活躍を記憶に色濃く留める、最後の世代と言えるのかもしれない。とにかく彼女は、毎年の『紅白』に名を連ねるベテラン歌手…まさにこのイメージだったのである。
だから当時は、彼女が出場して歌っていた曲はすべてヒットしていたのだと思いこんでいた。しかし、そうではなかったことの詳細には、後々気づかされることになるのだが。特に、時代の節目と言われた1970年以降に発売した楽曲群には、そうでなかったものが多い。たしかに、メロディーがすっと頭に浮かんでくる曲が極端に少なくなるのである。時代が進み80年代になると、ヒットから遠ざかっているのになぜ『紅白』に出場?と槍玉に挙げられることもあったか。それでも、以前にミリオンセラーを叩き出した歌手としての貫禄を以って、長らく第一線に居続けた。そして、その名を幅広い世代に向けて轟かせたのはさすがと言える。
回数を重ねた、輝かしい『紅白』の出場暦。しかし、その桧舞台で歌われることのなかった撃沈ソングも、そのキャリアに比例して多く存在する。中には、聴き手の心を揺さぶるほど素晴らしい楽曲もあるというのに、ヒットに至らず埋もれたまんま。あたかも、日の目を見せてくれ!と叫んでいるかのように。
その楽曲のひとつが『私のスター』である。本曲はシングル第32弾、発売日は1974年2月25日。今から遡ること、43年も前のことになる。作詞:橋本淳、作曲:都倉俊一、編曲:飯吉馨。
60年代最後の作品『池袋の夜』の売上が100万枚を超え、以降も青江節をつらぬいた。しかし、セールスはジリ貧…となったところでの快心作といった風。なにしろ、サウンドがそれまでのものとはうって変わったのである。
この時代の都倉氏と言えば、イメチェン後の山本リンダにおける一連作品や、フィンガー5などで当てまくり。青江三奈という歌手にしみついたイメージを塗りかえてくれるのは、都倉氏しかいないとでも任命されたのか?その甲斐あって本楽曲は、それまでの彼女には見られなかった、映画音楽のような美しいバラードに。そして、ゆったりとスウィングするという、ジャズ風味も加味されたお洒落なメロディーに仕上がった。イメチェンの先人として成功していたリンダにならい?セールスが下向きで『こまっちゃうナ』だった青江三奈のテコ入れ…ここにありきといったトコロか。
そもそもデビュー前の経歴を見るにつけ、”アーンアーン”のため息より、このような作風こそが彼女の本領だったとは思うけれども。
『私のスター』テーマ
とある酒場のステージにて…袖から見守るは、そこに歌い手として立つ男。主人公の女は、その男の情人。これまで男の成功をひたすらに願い、陰で支えてきた女…である。しかし今夜、男はひとり(都会へと)旅立ってゆく。別れのプラットホーム…流行(はやり)の歌を口ずさむように捨てられたアタシ。夜汽車の窓をへだてて見たわ…貴方はスター。そしていつしか時は流れ…貴方の噂を目にしたの。「幸せつかめそうだ」とサ。つめたい言葉よね…それでも貴方は…私のスター。
『私のスター』聴きどころ
1:往年の、映画音楽のような美しい旋律。ゆったりスウィングして、ジャズるアレンジ。
2:星堕ちる、群青の夜空を描き出すよなストリングス。ピアノの音色は瞬く星の輝きか。
3:魅惑のハスキーボイス!NYのため息がヘレン・メリルなら、TOKYOのため息は青江三奈。
カクテルドレスでピアノに寄りかかりながら、グラス片手に歌ってほしいような曲。
   今は何も云いたくない 貴方については
   こころの片隅の 白いページと 破れた恋
      踊りつかれ 壁にもたれ ひとり飲むお酒
      陽気な男たちの誘い声が 淋しすぎる
彼女が歌手デビュー前に立っていたという、横浜のステージ。そこで夜な夜な奏でられていたであろう、往年のスタンダードナンバーを彷彿させるような…心にじんわり沁みて目頭が熱くなるメロディー。そう、セピア色した映画の、一場面を切り取ったかのような、ノスタルジック風味とでも表現したらよいのだろうか。おそらく、青江三奈という歌手を、例の”アーンアーン”でのみ認識している人にとっては、目からウロコの楽曲になるはずである。
   夜汽車の窓 へだてて見た 貴方はスター
      夜汽車の窓 へだてて見た 私のスター
手の届かない存在になりゆく男を、遠巻きに見つめる女。寂しいけれど”貴方はスター“だと自身に言い聞かせる。踊り、酒…快楽で淋しさをまぎらわせようとしてみても、こころの片隅にある空白が埋められることはなく。忘れようとしても忘れられない男…彼こそが”私のスター”。そう…アタシが育てあげた男なのだと自覚する。主人公のゆらめく心、そして、悲哀の描き方が全編に渡って素晴らしいのである。
そして、あえて不器用な女を装って歌う、青江三奈のハスキーボイスが抜群なのは言うまでもない。流行歌(はやりうた) のようにポイ捨てされた哀れな女を、ものの見事に表現しているのである。特に、夜汽車の窓…のクダリで聴ける枯れ具合には、思わず涙腺がうるむ。素晴らしすぎるから、”アーンアーン” と叫んで筆者は天に昇りますわヨ。笑)
都倉氏が手がけた他秀作としては、麻生よう子『逃避行』『午前零時の鐘』、郷ひろみ『ハリウッド・スキャンダル』、ピンク・レディー『事件が起きたらベルが鳴る』、カプチーノ『九時からのリリィ』、浅野ゆう子『バレンチノ・インフェルノ』などもある。オーケストラ風あり、映画音楽風味あり…幼少期と青春期をドイツで過ごし、生活を通して西洋の旋律を浴びたという彼ならではといった、いかにもな雰囲気の作品がズラリと並ぶ。どれも夜の帳(とばり)が下りた曲になるが、青江三奈の『私のスター』を含め、『都倉俊一のムード・インディゴ』なるコンピレーションCDでも作ってみたら、その世界観を存分に楽しめるのではないだろうか。
・・・ 『私のスター』のB面には、同作家陣による「想い出のレンガ通り」を収録。こちらも青江三奈にしてはめずらしい、カジュアルなポップス調。シャララと合いの手を入れる女声コーラスがオールディーズっぽい雰囲気を醸し出すが、全体的には70年代の洋楽ヒット風メロディーになっている。
実は筆者…そのようなムーディーな宵を、青江嬢と過ごしたことがある。と言うと、語弊が生じる可能性があるので明確に。
それは、とあるホールで行われたコンサート。筆者がまだ20代だったので、90年代の中ごろの出来事になる。この時代の彼女の公演は、一連のヒットソングに加え、ジャズナンバーを歌唱するコーナーを設けていた。あいにく、ヒットせずの『私のスター』が歌われることはなかったが、『ラヴレター』や『ス・ワンダフル』など、往年のスタンダードナンバーから数曲を披露してくれた。ちょうどこの時期、ニューヨークでのジャズコンサート開催、本場のミュージシャンが参加したジャズアルバム発売、フレディ・コールとの共演等により、ジャズ歌手としての評価が大いに高まっていたことによるものだったのだろう。このコンサートの内容はすこぶる素晴らしく、彼女の新しい一面(こちらが本来の姿のはずだが)を垣間見ることができた筆者は、一気にファンになってしまったほど。
・・・ フレディ・コール、グローバー・ワシントンJr.等をゲストに迎えたジャズ・アルバム『The Shadow Of Love~気がつけば別れ~』(1993年発売)。『Cry Me River』『It’s Only A Paper Moon』などのスタンダードなジャズナンバーに加え、青江三奈の大ヒット曲『伊勢佐木町ブルース』『本牧ブルース』をジャズアレンジにして収録。全編英詞で構成の、本格的にジャズる1枚。 当初はCDとして発売されたが、近年になってアナログ盤として復刻された。
終演後にはロビーへ出て、観客との交流にも積極的。それを遠巻きに見ていた筆者は、彼女のあまりの気さくさに驚いてしまったほどでアリマシテ。
”ロビーのむこう へだてて見た 貴女はスター”
歌詞をパロディーしてみればこんな風か。ロビーのむこうの方で、たくさんの熟年女性客たちに囲まれる彼女は、まさにこのような感じに見えたのである。すると…
「ボク!若いね!こっち来てお話しよ。」
辺りを見回しても”若い”に該当するのは筆者のみらしい状況(←周囲のお客様方、誠に申し訳ございません)。念のため、もう一度確認してみたが、やはりそうらしいことを再認識。
(心の声)「えっ…青江さんが直接にお声がけくだすった、ワナワナ。それでもって、こっさ来いと呼ばれとる。笑)しっ…しかも”ボク”って言われた???笑)」
90年代の中ごろとは言え…筆者は20代後半へと足を踏み入れた、いわば”オジサン予備軍”。なのに”ボク”と呼んでくださるなんて!まぁ、彼女の目から見た20代後半のオトコなぞ、若造そのものだったのだろうけれども。しずしずと近寄る筆者、二人の距離はどんどん縮まり…やがて手を伸ばせば届く位置までになった。すると彼女は、こんな風にポツリとつぶやいたのである。
「ボクみたいな若いお客さんってあまり来ないもん。だから嬉しくって。」
下町育ちらしい(容姿があまりにエレガントなのでそうは見えないが)、とてもチャキチャキした口調。しかも、あの”魅惑のハスキーボイス”でこのようにおっしゃったのである。笑)
この後も筆者のワナワナが止まらなかったことは、想像に容易いだろう。緊張しながらも、コンサートを楽しませていただいたお礼、そして、ジャズナンバーの歌唱が超絶的に素敵だった件などなど、長くおしゃべりさせていただいた。これぞ火事場の馬鹿力?ソレが働きまくった結果だったのか、ナゾ。
“ロビーのとこ まぢかで見た 貴女はスター”
歌詞をさらに引用展開してみればこんな風になる。オーラがキラキラと輝き、宝石のようにまばゆかった彼女。これがまさにスターとしてのきらめき…と感じさせるほど。それと同時に、脳裏をよぎったのはこの言葉。
「髪が茶色い、このおばさんはだあれ?」
幼少時のこととは言え、彼女をこんな風に言ってしまった自身が、とてつもなく恥ずかしくなった。
この宵の一会がまさしく…青江三奈という歌手が筆者にとっての『私のスター』になった瞬間…だったことは間違いないのである。 
■島津亜矢 
「彼女の歌が日本調とモダン味の亀裂にあまりにも深く喰い入っているがゆえに、日本調のものはモダンにきこえ、モダンな味のものに日本調のかげりを感じる、ということになるらしい。その関係は歌詞とメロディについても同様で、それぞれに別個の意味内容を持つ歌詞とメロディのはざまに分け入って、そこから自分自身の歌を統一的にひきだす力量において、彼女は抜群の力を持っている。だから、何をうたってもうまいのだ。」
この文章は、ジャズ評論家・相倉久人が1969年から70年にかけて演歌、歌謡曲について書いた一連のエッセイの中の、青江三奈へのオマージュです。
相倉久人は山下洋輔、筒井康隆、赤塚不二夫、唐十郎、若松孝二と交流を深め、「銀巴里」、「新宿ピット・イン」などで司会をつとめながら、若手ミュージシャンの理論的な面での育成に当たるなど、世界の民衆運動への広い視野と深い共感をもってジャズを論じた日本で最初のジャズ評論家といってもいいと思います。
その彼が60年代後半のジョン・コルトレーンの死とフリー・ジャズの衰退に見切りをつけてジャズ批評の現場を去り、70年代にはロックを中心としてポピュラー・ミュージック全般の評論家となる直前に歌謡曲や演歌にのめりこみ、優れた歌謡曲論を展開した一瞬がありました。
日本が高度経済成長のスピードのもとで、戦後民主主義の甘くてもろい夢と希望が振り落とされようとしていた1970年代、北島三郎、藤圭子、都はるみ、水前寺清子、森進一が歌う演歌がパチンコ屋や居酒屋、街の商店街やショッピングセンターに流れていました。この時代、たしかにいままでの歌謡曲のやわらかいレンジからまず、演歌というジャンルが生まれ、それ以後フォークソングからニューミュージック、Jポップスへと別れ、広がっていったきっかけをつくったともいえるのではないかと思います。
革命幻想が消えた後、相倉久人は竹中労、平岡正明、寺山修司、五木寛之などとはまた別に、大衆音楽のしぶとさというべきか、「艶歌が星野哲郎のいうように人生の応援歌ならば、無名の人びとの口から口へと歌いつがれてきたこれらの歌には怨歌の名こそふさわしい」(相倉久人)と、演歌の可能性を見たのかもしれません。
いま、若い人が書いたもので、演歌はそんなに古いジャンルではなく、70年代に新左翼がつくったものだと主張する本があるようです。相倉久人、竹中労、平岡正明、寺山修司、五木寛之を「新左翼」と呼ぶのは大きな間違いですが、ひとはなぜ歌うのか、ひとはなぜ歌を必要としているのかと彼らが論じたり小説にしたように、デモのときに多くの人びとが手をつないで歌った「インターナショナル」よりも、ひとりひとりの心の底に潜み、暗い通底路を通って響きあうような演歌の方が、少なくともわたしの心に届いたことは間違いありません。
前置きが長くなってしまいましたが、相倉久人はとくに青江三奈に深くはまり込み、冒頭の文章はそのうちのごく一部です。
さて、わたしが彼の文章を引用しましたのは、青江三奈について書いている相倉久人の文章が、まるで島津亜矢について書いているのではないかと思うぐらい、島津亜矢の天賦の声、歌唱力、歌への姿勢などを見事に表現しているようなのです。
そして、こんな古い文章を思い出したのも、島津亜矢の2000年リサイタルのDVDに収録されている青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」をうたう島津亜矢に、びっくりしてしまったからでした。
とくに声を張り上げるわけでもなく、どちらかといえばトーンをさげて歌っているのに、リズム感もあり、なんといってもふっくらとした肉感があるその歌は、とても青江三奈と似ていました。言葉でもなくメロディでもなく、「うた」のエロスを噛むように歌う少し危険なかおりがただよっているのも、青江三奈ととても近いところに島津亜矢がいたことを感じました。
2000年のDVDについてはもっと他にも思うことがあるのですが、この歌を聴いたとき、今年の座長公演やコンサートで歌った「テネシーワルツ」などのジャズや、アルバム「SINGER」に収録されたポップスへとつながる道が、この時にすでに広がっていたことに感動します。
わたしはこの道はまだまだ先があり、かつての美空ひばりのように、いずれはビリー・ホリデイやアレサ・フランクリンへと到達する演歌歌手になることを夢みています。
この歌を歌う島津亜矢は、青江三奈を追いかけることで「テネシーワルツ」や「I Will Always Love You」よりももう少し先にあるブルースの官能を自分のものにしていて、ぞくっとしてしまいました。
若くして歌の道を歩き始め、希有の才能を持ちながらも努力を惜しまない彼女ですから、これからもジャンルにとらわれずたくさんの歌を歌っていくことでしょう。これはいくらなんでもと思ってしまう歌が新しい可能性を広げてくれるにちがいありません。そして、青江三奈の歌は本格的なジャズへの入り口を島津亜矢に用意してくれているように思います。
青江三奈は高校在学時から東京・銀座の「銀巴里」でステージに立ち、高校卒業後クラブ歌手となり、1966年、「恍惚のブルース」でメジャーデビューしました。以後、1968年に「伊勢佐木町ブルース」、「長崎ブルース」、翌1969年には「池袋の夜」が大ヒット。森進一と並んで「ため息路線」と呼ばれました。わたしは森進一が好きなように、青江三奈もとても好きでした。
島津亜矢の「伊勢佐木町ブルース」に感動し、青江三奈がどんな歌手だったのか、どんな歌をどんなふうに歌っていたのか、もう一度聴きなおし、素晴らしい歌手だったことをあらためて知りました。
わたしは島津亜矢のおかげで、子供のころの歌謡曲からジャズやロックにいたるまで、いろいろな歌をもう一度聴きなおすことができ、とても感謝しています。そして、それらの歌を島津亜矢ならどう歌うのかと問いなおすことで、かえってオリジナルの素晴らしさももう一度知ることができました。ほんとうに島津亜矢は不思議な歌使い(魔法使い)だと思います。 
■ハスキーボイスの吐息で魅了したブルースの女王
青江 三奈(あおえ みな/1941(昭和16)年5月7日〜2000年7月2日)は、日本の歌手。本名は井原 静子(いはら しずこ)。芸能活動におけるプロフィールでは生年月日を1945(昭和20)年7月7日としていた。東京都江東区砂町出身。
芸名である「青江三奈」の名は、作詞家としてデビュー時に青江を担当し、後に代表曲“伊勢佐木町ブルース”を作詞した作詞家・川内康範が『週刊新潮』で連載した小説『恍惚』におけるヒロインの歌手の名前に由来する。
成徳学園高等部在学中から銀座の「銀巴里」でステージに立ち、高校卒業後は西武百貨店勤務を経て、クラブ歌手となる。
デビュー前は横浜のクラブなどで、ジャズを中心にシャンソン、カンツォーネといった幅広いレパートリーの曲を歌っていた。
1966年に青江三奈として、“恍惚のブルース”でメジャーデビューし、新人としては異例の80万枚を売り上げるヒットを記録。この年、同曲で第17回『NHK紅白歌合戦』に初出場した。
だが、当時は新曲発表サイクルが短い中、その後思うようにヒット曲が出ない状態が続く。そこで、デビュー作“恍惚のブルース”で青江を人気歌手に押し上げ、その後も作詞を担当していたにもかかわらず一度外れた格好の川内に白羽の矢が立った。青江が再び売れるようにと、ビクター・レコードから川内に再び作詞が依頼されたのだ。
これを受けた川内は、ビクターからの50万枚は売れる作品で青江を復活させてやれないかという厳しい課題に取り組んだ。
一計を案じた川内は、ご当地ソングとして場所を横浜からさらに絞った伊勢佐木町をテーマに作詞。終盤のスキャットも強い印象を残す歌詞を書き上げた。さらに、ハスキーで特徴的な青江の声質を存分に活かし、かつ印象付けるため、「ハーン」というため息を曲中のどこでもいいから入れるように、と彼女に言った。
こうして1968年1月に発売された本作はリリース直後から徐々に売れ始め、5ヶ月を経てオリコンのトップ10に初登場、3週間5位にランクインを続けるなどデビュー曲を上回る大ヒットとなり、青江は見事復活を遂げる。
1月発売の “伊勢佐木町ブルース”が100万枚、さらに7月発売の“長崎ブルース”が120万枚を売り上げた同年は、青江復活にとどまらず、ミリオンセラーを2枚も記録する当たり年となった。
勢いに乗った“伊勢佐木町ブルース”は、第10回日本レコード大賞歌唱賞と第1回日本有線大賞スター賞を受賞した。
『NHK紅白歌合戦』にはこの1968年の第19回に出場。以後1983年の第34回まで16年連続で出場した。
2年ぶり出場となった第19回「紅白」では“伊勢佐木町ブルース”を歌唱したが、イントロの印象的な「色っぽい吐息」に対して発売当時は「<吐息>は子ども向きではない」、「お色気だ」などの意見もあったこともあり、吐息部分がカズーの音と差し替えられた。この辺りは、大晦日に家族全員で視聴する国民的娯楽番組だった当時の『NHK紅白歌合戦』らしいと言うべきか。なお、この時の紅白で白組司会の坂本九に「ダチョウのため息」と紹介された“伊勢佐木町ブルース”だが、1982年に第33回『NHK紅白歌合戦』で2回目の歌唱をした際は「吐息」が差し替えられることはなかった。
続く1969年に発売した“池袋の夜”が150万枚を売り上げて自身最大のヒット曲となり、前年の第10回に続き、第11回日本レコード大賞歌唱賞を受賞。2年連続で同賞を受賞するのは史上初めての快挙だった。
因みに1969年度のレコード年間売上金額は青江が全歌手の中で1位、翌1970年度は第12回日本レコード大賞作詞賞を受賞した“昭和女ブルース”のヒットもあり、4位だった。
黄金期といえるこの頃、青江と同じくハスキーボイスの男性演歌歌手・森進一と並んで「ため息路線」と呼ばれた。また、故・淡谷のり子と並んで、青江は「ブルースの女王」と呼ばれた。
1970(昭和45)年から1979(昭和54)年まで、マスプロ電工の「マスプロアンテナ」テレビCMに出演した。「あなた知ってる〜 マスプロアンテナ〜 見えすぎちゃって 困ァるのォ〜」と“伊勢佐木町ブルース”の替え歌を歌い、サンバイザーにミニスカート姿でゴルフのグリーンでパッティングする際にミニスカートの内側が見えるシーンが「見えすぎちゃって困るの」の歌詞と相まって「お色気コマーシャル」として広く認知された。だが、青江が出演する同社CMがお色気路線だったのは初期だけだった。
1971年、日比谷野音大音楽堂で初の「ワンコイン(100円)コンサート」を開く。
1976年には歌手生活10周年を記念し、LP5枚組の『青江三奈大全集』を発売。
その後のヒット曲に、1978年“酒場歌”、1990年“HONMOKU”、1995年“女とお酒のブルース”などがある。
1984(昭和59)年8月、それまで17年間所属していた事務所から独立し、個人事務所「三晋企画」を設立した。同年5月、初のブラジル公演を催行する。
デビュー25周年となった1990(平成2)年、3月にシングル“ベイブリッジブルース”と、アルバム『レディブルース-女・無言歌-』を発売。同年9月には「25周年記念リサイタル」NHKホールを実施した。『レディ・ブルース』が第32回日本レコード大賞・優秀アルバム賞を受賞した勢いもあり、7年ぶりにNHK「紅白」出場を果たした。「紅白」では、直前の12月に亡くなった “恍惚のブルース”の作曲者・浜口庫之助を偲んで同曲を歌ったが、これが青江にとっては通算18回目で、そして最後の「紅白」出場となった。
1991年には、三共が発売していたヘルシー志向のインスタントラーメンとカップ麺「メルビオ・ラーメン」とのタイアップで、CMソング “ラーメン・ブルース”(作詞:丼盛太郎、作曲:猪俣公章)を売れっ子ものまねタレントで青江をレパートリーとする清水アキラとデュエット。なお、「メルビオ・ラーメン」CMには清水とともに青江本人も出演した。
この頃、1992年のシングル“いとしのすっとこどっこい”などの歌唱により、「懐メロ歌手」の地位に甘んじることなく、様々なタイプの楽曲に取り組んだ。
1993(平成5)年には新たな試みとして、初のジャズアルバム『The Shadow Of Love』をリリース。グローバー・ワシントンJrなど名だたるミュージシャン達をゲストに迎えた本作は、同年渡米時にレコーディングしたもの。
全編英語で、ジャズのスタンド・ナンバーはもちろん、代表曲 "伊勢佐木町ブルース"と"本牧ブルース" の2曲も、英語詞をつけてジャズ・アレンジで収録。アレンジはマル・ウォルドロンが担当し、フレディ・コールとのヴォーカル・デュエットも実現した、青江の新境地を拓く意欲作だ。
30周年を迎えた1995(平成7)年にはジャズアルバム第二弾として『PASSION MINA in N.Y.』をリリースしている。
同年10月には30周年記念リサイタルをNHKホールで開催し、全25曲を熱唱して健在ぶりをアピールした。
1998年に、背中に激痛を感じたため病院で受診して膵臓癌と診断されたが、病を隠して仕事をキャンセルせずに歌い続けた。同年11月に発売した“しのび逢いそっと”が生前発売された最後のレコードとなった。
1999年1月23日に渋谷公会堂で催したコンサートを最後に、歌手活動を停止し、1月下旬に都内の病院へ入院したが、その際は膵炎による加療と発表された。
1999年2月5日に9時間もの大手術を行ったが無事成功し、約3か月の入院生活を経て同年4月24日に退院した。
当時、「これまでほとんど休みらしい休みもなかったので、疲れを取る休養になった。自分を見つめなおす良い機会にもなった」とコメントを発表したが、関係者によると、この時は周囲に「治りづらい膵臓の病気になった。歌手を続けるため、慎重に直したいので、自宅療養を続けたい」と話し、個人事務所をいったん閉鎖。
退院後は抗癌剤の点滴のために通院しながら美容院へ通うなど歌手活動の復帰を図るが、2000年2月に体調が悪化して再入院して膵癌の転移が発覚する。その後は入退院を繰り返したが、「血糖値が上がったので、インシュリン投与が必要」と入院。同年7月2日午後11時40分頃、入院先の東京都港区・北里研究所病院で膵臓癌により59歳で死去。葬儀と告別式で歌手仲間の代表として、親友の水前寺清子が弔辞を読んだ。
最後のコンサート当日に痛みに耐えながら熱唱した青江の写真が、追悼の特集の際にしばしば公開された。青江の主だったヒット曲は、『ゴールデン☆ベスト』で聴くことができる。
作曲家の花礼二は青江と大井町で同居しながら歌唱指導した間柄であり、癌の転移が判明した青江が直接連絡して19年ぶりに再会し、青江が死去する約2か月前に病床で婚姻届に署名して結婚した。この結婚は青江の死後、青江の兄弟と花との間で相続について訴訟に発展するなど、後々までもめるなどして衆目を集めた。
青江の1周忌となる平成13年7月、“伊勢佐木町ブルース”の歌碑が神奈川県横浜市中区伊勢佐木町4丁目のイセザキモールに設置された。
青江がこの歌を出した頃、建設中だった横浜市営地下鉄1号線における当該駅の仮称駅名は、設置場所の住所の町名を採って「長者町駅」であった。ところが、青江の“伊勢佐木町ブルース”が大ヒットしたことから、横浜市議会で「伊勢佐木町駅にしよう」との提案がなされた。結局、正式駅名決定時に、所在地名の「長者町」と近隣の有数な商業地でもある「伊勢佐木町」の名前も併せて採るかたちで、現在の「伊勢佐木長者町」に決まった。
こうした経緯や、この歌のおかげで伊勢佐木町の名前が全国津々浦々にまで知られるようになったことから、伊勢佐木町商店街の創立五十周年記念事業として建立されたのが、、この歌碑である。
グランドピアノをモチーフにした部分は「さくら石」、台座部分は「黒みかげ石」でできており、作曲者の鈴木庸一直筆の楽譜が彫られた上部には、青江の顔が彫像された青銅製レリーフが飾られている。台座部分にスピーカーが内蔵されており、赤いスイッチを押すと“伊勢佐木町ブルース”を一分間聴くことができる。
歌碑のそばに大きな横長の看板が立てられているが、ここには数年に一度、青江三奈の姿が新しく描かれ、ブルースの女王は今も、伊勢佐木町を見つめている。 
■歌謡ブルースの女王はジャズ・シンガーだった  
前々回コラムで、昭和の歌謡ヒットメーカーで、巨匠の浜口庫之助の作品について取り上げた。作詞・作曲者として有名な彼が、シンガー・ソングライターとしてかつて録音した二枚のアルバムを紹介した。
当時LPで出されていたものをCDとして復刻した貴重なアルバムだ。これをリリースしたのが、新譜・中古のCD販売を展開するディスクユニオンという会社がつくる小さなレーベル「THINK RECORDS!」だった。なかなかユニークな試みをしてくれると思っていたら、また気になる復刻盤が同レーベルから最近出された。
昭和のブルースの女王といわれた、青江三奈の2枚の作品である。内容はというと、これが一枚は完全なジャズ。そしてもう一枚は本人のもちうたをジャズでこなしたり、ポップスを英語で歌ったり。聴いて衝撃を受けた。
青江三奈がジャズをうたっていたことは薄々知ってはいたが、これほどまでにジャジーな雰囲気を自然に出しているとは思わなかった。英語で表現することで歌の勢いや深みが決して損なわれることなく、むしろあの極度のハスキー・ヴォイスが功を奏している。
彼女の代表作である「伊勢佐木町ブルース」を思い出していただきたい。昭和43(1968)年にシングルがミリオンセラーとなり、この年の日本レコード大賞歌唱賞に選ばれた、横浜伊勢佐木町を歌った和製ブルースである。
「タタッタ・タタタタッタ・タ、アァ〜」という甘くハスキーで、聴き方によっては悶えるような、ため息混じりフレーズを繰り返すイントロは、当時小学生だった私としては子供心に「大変なうただ」という印象をもった。その後、この曲はときどき知人(男性)がカラオケで歌うのを聴く程度だった。
しかし、今回この伊勢佐木町ブルースを日本語と英語の両方のバージョンで聴くと、「あなた知ってる、港横浜〜」ではじまるあの歌謡ブルースが、かつてとはちがった大人の洒落た音楽としてきこえてくるから不思議だった。
さて、その二枚のアルバムについて、内容を詳しく紹介しよう。まず最初にレコーディングされたのは、1993年にリリースされた『THE SHADOW OF LOVE〜気がつけば別れ〜』。ニューヨークで録音されたこの作品は、フレディ・コール、グローバー・ワシントンJr.、マル・ウォルドロンといった豪華ジャズ・プレイヤーをゲストに迎えてのジャズ・アルバムとなった。
ここではジャズのスタンド・ナンバーを中心に歌っているが、フレディ・コールとのヴォーカル・デュエットもある。曲目は、「 Cry Me A River 」からはじまり、「It's Only A Paper Moon」、「 Lover, Come Back To Me 」など全13曲からなる。“ニューヨークのため息”といわれたあのハスキー・ヴォイスが売り物のヘレン・メリルの掠れ具合をさらに深めて、やや濃厚にしたような青江三奈の声がジャズによく合う。
スウィングする感覚もいいが、とくに粋なのが、「What A Differance A Day Made」。ゆったりとそしてさらりと、ため息まじりの声が音になっていくラテンフレイバーの曲をロマンチックに聴かす。最後に一曲彼女の持ち歌である「本牧ブルース」が入るが、これも英語の詞をつけて歌っている。
もう一枚の『PASSION MINA IN N.Y.』は95年の作品。前作で好評を得た彼女が、ニューヨークのトップ・ジャズメンを起用して自分の楽曲を日本語で歌った。マンハッタンの喧噪らしい路上の音が冒頭に入り、臨場感を出す。オープニングは、ジャズの名曲「モーニン」に伊勢佐木町ブルースの英語バージョンをつないでいくという凝った趣向。
このほか、レゲエのリズムでの「上を向いて歩こう」やビリー・ジョエルの「NEW YORK STATE OF MIND」も入る。N.Y.のレインボー・ルームでのディナーショウの模様を重ねた演出がこれまた功を奏している。
デビュー前より彼女と付き合いのあった音楽評論家の岩浪洋三氏の解説によれば、彼女は本当はジャズをもっと歌いたがっていたことがわかる。残念ながら2000年に50代でこの世を去ってしまった彼女には思えばもっとジャズを残して欲しかったという気がする。
流行り歌で大ヒットを飛ばしてしまうとなかなか、軌道修正は難しいのだろう。その点美空ひばりくらいになると、歌謡曲に加えてジャズやポップスなど、本来の作品に加えて彼女の歌手としてのスケールの大きさと力量を示す作品がいくつも残っている。例えば、『魅惑のワルツ』(コロムビアミュージックエンタテインメント)では、ワルツをはじめジャズやポップス、そしてクラシックな曲が収められている。
いまさら、うたがうまいなどといっても意味がないだろうが、美空ひばりほど安心して聴ける人はそうざらにはいないだろう。このアルバムでは1955年から65年までに録音した17曲が収められている。55年の録音では「La vie en rose  薔薇色の人生」や「Take the“A”Train  A列車で行こう」。
この人のジャズも素晴らしく、「Walkin' my baby back home 歩いて帰ろう」や「Love ラヴ」は、きっちりと清々しくきめる。これらは『ひばりジャズを歌う−ナット・キング・コールをしのんで』(65年録音)からの作品。日本が高度経済成長期にあって、欧米に強く憧れていたころの、夢が伝わってくるような雰囲気がある。 
 
 
赤坂の夜は更けて
今ごろどうして いるのかしら
せつない想いに ゆれる灯かげ
むなしい未練とは 知りながら
恋しい人の名を ささやけば
逢いたい気持は つのるばかり
赤坂の夜は更けゆく
   夜霧が流れる 一ツ木あたり
   つめたくかすんだ 街の灯よ
   うつろなる心に たえずして
   なみだぐみひそかに 酔う酒よ
   身にしむわびしさ しんみりと ・・・
赤坂の夜は更けゆく  
アカシアの雨がやむとき
アカシアの雨にうたれて
このまま 死んでしまいたい
夜が明ける 日がのぼる
朝の光りのその中で
冷たくなった わたしを見つけて
あの人は 涙を流してくれるでしょうか
   アカシアの雨に泣いてる
   切ない 胸はわかるまい
   思い出のペンダント
   白い真珠のこの胸で
   淋しい今日も あたためてるのに ・・・
アカシアの雨が止むとき
青空 さして鳩がとぶ
むらさきの羽の色
それはベンチの片隅で
冷たくなった わたしのぬけがら ・・・ 
あなたとわたし
肌でおぼえた 恋の味
こころでそっと かみしめて
なんにも知らない 顔してる
あなたとわたしの 夜が更ける ああ……
ふたりだけの ふたりだけの ブルースよ
   花になりたい 夢がある
   あなたの胸に 咲きながら
   女の命が 燃えている
   あなたとわたしの 夜が更ける ああ…… ・・・
燃えるこころの つきるまで
ふたりの愛は 変らない
風も知ってる あの時を
あなたとわたしの 夜が更ける ああ…… ・・・ 
あなたに泣いた
あなたに泣いた 愛して泣いた
こころの底から しみじみ泣いた
辛い運命の 重たさに あきらめて
ああ… ああ…あなたに泣いた
   あなたに泣いた 逢えずに泣いた
   信じることさえ 出来ずに泣いた
   味気ないけど こぼれ酒 飲みながら ・・・
あなたに泣いた 別れて泣いた
まぎれはしない ひとりに泣いた
派手なネオンの 冷たさに 負けたから ・・・ 
池袋の夜
あなたに逢えぬ 悲しさに
涙もかれて しまうほど
泣いて悩んで 死にたくなるの
せめないわ せめないわ
どうせ気まぐれ 東京の夜の池袋
   他人のままで 別れたら
   よかったものを もうおそい
   美久仁小路の 灯りのように
   待ちますわ 待ちますわ ・・・
にげてしまった 幸福は
しょせん女の 身につかぬ
お酒で忘れる 人生横丁
いつまでも いつまでも ・・・ 
伊勢佐木町ブルース
   アァ アァ アァ アァ アァ アァ
あなた知ってる 港ヨコハマ
街の並木に 潮風吹けば
花散る夜を 惜しむよに
伊勢佐木あたりに 灯がともる
恋と情けの ドゥ ドゥビ ドゥビ
ドゥビ ドゥビ ドゥバ 灯がともる
   アァ アァ
あたしはじめて 港ヨコハマ
雨がそぼ降り 汽笛が鳴れば
波止場の別れ 惜しむよに
伊勢佐木あたりに 灯がともる
夢をふりまく ドゥ ドゥビ ドゥビ ・・・
   アァ アァ アァ アァ アァ アァ
あなた馴染みの 港ヨコハマ
人にかくれて あの娘が泣いた
涙が花に なる時に
伊勢佐木あたりに 灯がともる
恋のムードの ドゥ ドゥビ ドゥビ ・・・ 
大阪ブルース
あんな男と 言いながら
あんな男が 忘られぬ
ネオンのにじむ窓
夜ふけて雨がふる
あなた寒いわ 抱きしめて
あーあああ 夢に泣く 大阪ブルース
   いっそひとりが 気楽さと
   笑う目もとが なぜ翳る
   淋しさまぎらせる
   お酒は涙割り
   あなたつらいわ 酔わせてよ
   あーあああ 流れゆく ・・・
肩にしぐれが 似合うよな
よわい女に 誰がした
も一度あたためて
あなたのその胸に
ふたり生きたい この街で
あーあああ 春はいつ ・・・ 
小樽の灯
暗いこの世を 手さぐりで
生きて流れる 花園あたり
浮世通りの 灯にすがり
酒で自口分を 責めている
そんなあなたに 抱かれて泣いた 小樽の灯
   石の坂道 港町
   船が口笛 咲いてるような
   遠い汽笛が 淋しいの
   耳をふさいで 涙ぐむ
   女ひとりの 想い出通り ・・・
他人行儀で とおせたら
つらい噂も 立たないものを
稲荷小路の ネオン花
男なんかに だまされて
死にもできない 夜がまた来る ・・・ 
カスバの女
涙じゃないのよ 浮気な雨に
ちょっぴりこの頬 濡らしただけさ
ここは地の果て アルジェリア
どうせカスバの 夜に咲く
酒場の女の うす情け
   唄ってあげましょ わたしでよけりゃ
   セイヌのたそがれ 瞼の都
   花はマロニエ シャンゼリゼ
   赤い風車の 踊り子の ・・・
貴男も妾も 買われた命
恋してみたとて 一夜の火花
明日はチュニスか モロッコか
泣いて手をふる うしろ影 ・・・ 
気まぐれブルース
あなたを愛した 愛したからには
死ぬまで変らぬ 誓って欲しい
女ごころを 知りながら
嘘と真実は 気まぐれなのさ
うそぶきながらも 火をつける
ああ ああ わるい人
   お前を好きでも どうにもならない
   生まれた時から こうしてきたと
   女ごころを 知りながら
   明日のことなど わかりはしない
   うそぶきながらも 抱きよせる ・・・
冷たくされると なおさら燃えるわ
せめて嘘でも 信じていたい
女ごころを 知りながら
逢った運命が 気まぐれなのさ
うそぶきながらも 惹きよせる ・・・ 
木屋町の女
京都なみだ色あなた失くした町
蒼い日暮れが来て想い出が消える
恋を奪った白い羽織の
木屋町の女 あああなたが逃げてゆく石だたみ
   京都大文字愛を重ねた夜
   夜空こがした火もいつか消えていた
   思いがけない別れの朝に
   答えがなくって ・・・
京都たそがれに人の噂きいて
地図をたよりに来たあなたが住む町
憎む心と背中合わせの
愛に生きたけど ・・・ 
京都慕情
あの人の姿懐かしい 黄昏の河原町
恋は 恋は弱い女を どうして泣かせるの
苦しめないで ああ責めないで
別れのつらさ知りながら
あの人の言葉想い出す 夕焼けの高瀬川
   遠い日の愛の残り火が 燃えてる嵐山
   すべて すべてあなたのことが どうして消せないの
   ・・・ 遠い日は二度と帰らない 夕やみの東山
・・・ 遠い日は二度と帰らない 夕やみの桂川 
霧のハイウェー
誰がつけたか ドリームコース
デイトが二人の 幸福なのよ
時間の限りを 寄り添いながら
恋のドライブ 夜を夜を明かして
ああオレンジカラーの 夢を見る
   汐の香りを 身に沁みこませ
   今夜もあなたは 迎えに来たわ
   恋のドライブ 瞳をよぎる
   幸福色の 虹が虹が飛んでく ・・・
星があんなに 降る夜に近い
芦屋六甲 風さえ甘い
オレンジカラーの 光を切って
恋のドライブ 時を時を忘れて ・・・ 
銀座ブルー・ナイト
銀座ひともし ブルーのコート
女心が 流れて行くわ
ネオンの影で 恋に泣き
未練でうたう 流行歌
いいじゃないの いいじゃないの
銀座の女は情があって いいじゃないの
   銀座そぼ降る 小雨に濡れて
   帰る車を 見送る女
   冷たくしないで 欲しいのと
   別れた言葉が キザだけど
   ・・・ 銀座の女はムードがあって いいじゃないの
銀座ひと夜の ブルーのお酒
好きなあなたが 来ない夜
ひとり遊びの 占いも
すねてうらんで 泣きと出た
・・・ 銀座の女は情があって いいじゃないの 
銀座ブルース
たそがれゆく銀座 いとしい街よ
恋の灯つく銀座 夢買う街よ
“あの娘の笑顔が可愛い ちょっと飲んで行こうかな”
“ほんとにあなたっていい方ね でもただそれだけね”
たそがれゆく銀座 いとしい街よ
恋の灯つく銀座 夢買う街よ
   ネオン花咲く銀座 夢売る街よ
   こころはずむ銀座 夢買う街よ
   “気のない素振りが憎い 一寸酔ってやろうかな”
   “耳打ち話が気になるわ あなた意地悪ね”
   ・・・ こころはずむ銀座 夢買う街よ
ルルールルールルー銀座
ルルールルールルー銀座
“あの娘の気持はどうだろう ちょっと聞いてみようかな”
“目と目で交したお話が ピンと来てるのよ”
・・・ ふたり消えゆく銀座 夜霧の街よ 
グッド・ナイト
GOOD NIGHT GOOD NIGHT
SWEET HEART GOOD NIGHT
なんでもない様に 街角で
別れたけれど あの夜から
忘れられなく なっちゃった
名残り惜しさに ああ
星を見つめりゃ 泣けてくる
GOOD NIGHT GOOD NIGHT
SWEET HEART GOOD NIGHT
   わたしがひとりで ただ熱く
   燃えてることなど 知らないで
   霧が降る降る 夜が更ける
   肩に散らした ああ
   髪も吐息に ふるえてる  ・・・
涙ぐんでる 泣いてるに
恋にゃつれない ああ
青い街灯の 曲り角 ・・・ 
恋命
一人で生きても命はいのち
二人で生きても命はいのち
だから 賭けてるあなた一人に
つまずき つまずきやっとのことに
つかんだほんとの恋だから
   どこで死んでも命はいのち
   どこで生きても命はいのち
   会うも さだめよ別れもさだめ
   この世の きまりをのりこえて ・・・
なんに散らそうと命はいのち
なんに咲こうと命はいのち
だから 悔いなく二人で燃えて
いのち ひとつに溶けあって ・・・ 
恍惚のブルース
女の命は 恋だから
恋におぼれて流されて
死ぬほどたのしい夢をみた
あとはおぼろ あとはおぼろ
ああ 今宵またしのびよる
恍惚のブルースよ
   あたしをこんなにしたあなた
   ブルーシルクの雨が降り
   こころがしっとり濡れていた
   あとはおぼろ あとはおぼろ
   ああ 今宵またしのびなく ・・・
あなたがこんなにしたわたし
ブルーパールの霧が降り
わたしは貝になっていた
あとはおほろ あとはおぼろ
ああ 今宵またすすり泣く ・・・ 
国際線待合室
青いランプの誘導路
なぜか今夜は身にしみる
逢えばつらいと逢えばつらいと
知りながら
ひとり来ました逢いたくて
ああああ涙の空港待合室
   別れ涙に泣くひとも
   うれし涙に泣くひとも
   つきぬ想いはつきぬ想いは
   さまざまに
   ゲートを越せばよその国 ・・・
別れ言葉のその先は
はるかに遠い滑走路[ランウェイ]
長い別れの長い別れの
尾を引いて
異国の空に消えた人 ・・・ 
この恋なくしたら
灯りがほしい 暗い夜
ひとり ひっそりキャンドル ともす
しあわせうすい 夜の蝶
ようやく 探した恋だから
この恋 なくしてしまったら
あたしはとっても 生きてはゆけない
   涙が出てくる 暗い夜
   ひとり 淋しくキャンドル ともす
   しあわせうすい 夜の蝶
   ようやく つかんだ恋だから
   この恋 なくしてしまったら ・・・
いくども迎えた 暗い夜
ひとり せつなくキャンドル ともす
しあわせうすい 夜の蝶
ようやく 咲かせた恋だから
この恋 散らしてしまったら ・・・ 
再会
逢えなくなって 初めて知った
海より深い恋心
こんなにあなたを 愛してるなんて
あゝ 鴎にも わかりはしない
   みんなは悪い 人だと云うが
   わたしにゃいつも 良い人だった
   小っちゃな青空 監獄の壁を ・・・
仲よく二人 およいだ海へ
一人で今日は来たわたし
再び逢える日 指おり数える ・・・ 
札幌ブルース
すすきの町に 灯がともる
ほのかな明るい 灯がともる
昨日おとして 今日またひろう
恋のかけらを 散りばめながら
ああ わたしの札幌 あなたの札幌
夢呼ぶ街よ
   アカシア並木は 雪化粧
   北斗の星さえ 花の顔
   けれどもあの娘は こころを粧う
   熱い血潮で 夜明けを招く ・・・
鐘が鳴ります 時計台
月はまだかよ 藻岩山
風がより添い 羊が丘へ
恋の夕笛 さやかにわたる ・・・ 
淋しい時だけそばにいて
一年たつのが ほんとにはやいよね
誕生日さえ この頃うれしくなくて
バッグをぶらぶら 揺らして一人
ほろ酔い気分で 夜ふけ街
自由もいいけど 男もいいね
淋しい時だけ そばにいて
身勝手すぎると ネオンが笑う
大目にみてよね 今夜だけ
   今日まで何度か 恋してきたけれど
   今いちどれも その気になれないままで
   ついてないわね ステキな男性は
   いつでも誰かの ものだから
   お酒もいいけど 男もいいね
   淋しい時だけ 抱きしめて ・・・
自由もいいけど 男もいいね
淋しい時だけ そばにいて
恋人同志が 行きすぎる街
ちょっとジェラシー 今夜だけ 
しのび逢いそっと
恋は切ないもの
だれにもあしたがある
ふたりの時間
どこかへ逃げてゆく
良かったら また逢いましょう
人生を変えない 恋ならば
人知れず 街角で しのび逢い
そっと しのび逢い そっと
   恋は儚いもの
   だれにも青春がある
   ふたりがあの頃
   出逢えていたのなら
   良かったら また逢いましょう
   想い出が綺麗な 恋ならば
   むらさきの 雨の中 しのび逢い ・・・
良かったら また逢いましょう
悲しみが積もらぬ 恋ならば
胸に秘め ときめいて しのび逢い ・・・
   そっと しのび逢い そっと 
島のブルース
奄美なちかしゃ 蘇鉄のかげで
泣けばゆれます サネン花ヨ
ながい黒髪 島むすめ 島むすめヨ
   愛人はいまごろ 起きてか寝てか
   淋しがらせる 浜千鳥ヨ
   南風のふく夜は ・・・
夏のおどりは 七日と七夜
みんな知り候る 月の夜ヨ
名瀬の港の ・・・
   着せてみせたい 大島つむぎ
   わすれられない あのひとにヨ
   なさけひとすじ 島むすめ 島むすめヨ 
昭和おんなブルース
あなたの子供が ほしいのと
泣いて背中に すがりつく
見栄も誇りも 捨てました
可愛い女で いたいから
生まれて初めて 見せました
化粧おとした この素顔
嘘も秘密も もうないわ
はだかの私を 見てほしい
   情がからむと つらいから
   捨ててゆくなら 今のうち
   返してほしいと 言わないわ
   どの道あなたに あげた夜
   幾度か男に 捨てられて
   幾度か男に 拾われた
   恋をする度 悔やむのよ ・・・ 
新宿サタデー・ナイト
   シュール シュルルル シュビデュワー
   シュール シュルルル シュビデュワー
キッスしたの あなたは わたしの心に
ひとりではいられない 女にしたの
星までも流れるの 待ちかねて さがすよに
好きよあなた 好きよあなた
サタデー・ナイト サタデー・ナイト 新宿の夜
   シュール シュルルル シュビデュワー
泣きまねじゃないのよ ほんとの涙
ふと浮かぶ ふるさとの 山脈青く
さようならと乗ろうかナ 最終の長野行
だけどあなた だけどあなた ・・・
   シュール シュルルル シュビデュワー
   シュール シュルルル シュビデュワー
くやしいわ あなたが 忘られないの
恋しくて 泣きに泣く ときさえあるの
どうなりょと どうさりょと
好きならば仕方がない 若い街の 恋の街の
サタデー・ナイト サタデー・ナイト 新宿の夜 
新宿ブルース
恋に切なく 降る雨も
ひとりぼっちにゃ つれないの
夜の新宿 こぼれ花
涙かんでも 泣きはせぬ
   あんな男と 思っても
   忘れることが 出来ないの
   惚れてみたって 夜の花
   添える訳では ・・・
西を向いても 駄目だから
東を向いて みただけよ
どうせ儚い なみだ花
夢に流れて ゆくだけね
   こんな私に うまいこと
   云って泣かせる 憎いひと
   追ってみたって はぐれ花
   恨むことさえ ・・・
生きて行くのは 私だけ
死んで行くのも 私だけ
夜の新宿 ながれ花
いつか一度を 待ちましょう 
東京アンナ
ライトの虹を 踏みながら
銀座の夜を ひらく薔薇
ああ誰か呼ぶ 舞姫の
その名はアンナ 東京アンナ
噂のアンナ
   重ねる酒の 激しさは
   耐えた恋の しわざやら
   ああ誰が知ろ くずれ咲く
   ・・・ 吐息のアンナ 
東京ナイト・クラブ
なぜ泣くの 睫毛がぬれてる
好きになったの もっと抱いて
泣かずに踊ろよ もう夜もおそい
わたしが好きだと 好きだと言って
フロアは青く 仄暗い
とても素敵な 東京ナイト・クラブ
   もうわたし 欲しくはないのね
   とても可愛い 逢いたかった
   男は気まぐれ その時だけね
   うるさい男と 言われたくない
   どなたの好み このタイは ・・・
泣くのに弱いぜ そろそろ帰ろう
そんなのいやよ ラストまで
踊っていたいの 東京ナイト・クラブ 
中洲・那珂川・涙街
玄海灘の風にちぎった 恋の行方を 知りたくて
忘れものでも 探すような 心細さで来たけれど
男が中州と言う街で 女は中州と意地を張る
逢えないひとの噂ばなしを 訪ね歩いた涙街
「忘れんしゃい…」「忘れんしゃい…」
中州那珂川 風が吹く
   飾り山笠人の波間に 捨てて流した 恋ごころ
   おまえの気持ち 無駄使いした 詫びる想いを 伝えたい
   男が中州と言う街で 女は中州と意地を張る
   夢にはぐれて痩せていないか うしろ髪ひく涙街 ・・・
男が中州と言う街で 女は中州と意地を張る
逢えないひとの名前を呼べば面影ゆれる涙街
「忘れんしゃい…」「忘れんしゃい…」
中州那珂川 風が吹く 
泣かないで
さよならと さよならと 街の灯りがひとつずつ
消えて行く 消えて行く 消えて行く
その手を早く離しておくれ 涙を早く拭いとくれ
明日の晩も会えるじゃないか
   さよならと さよならと むせび泣くよなクラクション
   すきなのさ すきなのさ すきなのさ
   忘れるものか二人の誓い 車を早くひろおうよ ・・・
さよならと さよならと 霧が流れるビルの影
泣かないで 泣かないで 泣かないで
我がまま云わず帰っておくれ 今夜はこれでさようなら
明日の晩も会えるじゃないか 
長崎ブルース
逢えば別れが こんなにつらい
逢わなきゃ夜がやるせない
どうすりゃいいのさ 思案橋
丸山せつない恋灯り
ああ せつない長崎ブルースよ
   泣いてすがれば 好きだと抱いて
   とかせた帯ひも南蛮屏風
   ガラスの絵にさえ 紅がつく
   男と女の恋ごころ ・・・
石のたたみを 歩いたときも
二つの肩がはなれない
ザボンのかおりの うす月夜
死んでも忘れぬ恋すがた
ああ 忘れぬ長崎ブルースよ 
眠られぬ夜のブルース
夜が化粧をはじめると
風もないのに 心がさわぐ
あの人が訪ねてくるような
ドアが気になる 気になる 気になる
ひとり身の ああ 眠られぬ夜のブルースよ
   恋はこりごり 捨てたのに
   胸が燃えるわ 想い出されて
   あの人が誘いに来るような
   紅が気になる 気になる 気になる ・・・
眠るつもりで 枕べの
消した灯りの 暗さの中で
あの人の電話があるような
ベルが気になる 気になる 気になる
ひとり身の ああ 眠られぬ夜のブルースよ 
野母崎の夜
すがる私の 両手をほどき
止めても行くのね 涙をくれて
やっと開いた 恋の花
せめて散らして 欲しいのに
ひとり泣いている ひとり泣いている
ああ 野母崎 野母崎 野母崎の夜
   街のはずれの 小さな部屋で
   二人で暮らす 夢みた私
   どこか都会に行くという
   そんな貴方に恋をして
   すすり泣いている すすり泣いている ・・・
二年待ちます 心にきめた
貴方はきっと 帰ってくるわ
恋の哀しい 抜け殻を
そっと私は抱きしめて
今日も泣いている 今日も泣いている
ああ 野母崎 野母崎 野母崎の夜 
ブルー・ブルース
わたしのこころは 淋しい湖
ブルー・ブルー・ブルー
どんなにどんなに 愛されて
幸福だいて いる時も
わたしのこころは ブルー・ブルー
そうよそうなの ブルー・ブルー
ひとりで唄う ブルー・ブルース
   わたしのこころは 悲しい湖
   ブルー・ブルー・ブルー
   夕陽が夕陽が 燃えてても
   あなたのいない 夜が来る ・・・
わたしのこころは 冷たい湖
ブルー・ブルー・ブルー
まぶしいまぶしい 幸福が
どんなに赤く 咲いてても
わたしのこころは ブルー・ブルー
そうよそうなの ブルー・ブルー
ひとりで唄う ブルー・ブルース 
ベイブリッジ・ブルース
まじめな男は たいくつで
プレイボーイは 鼻につく
どこにいるのか好みのタイプ
ハッピーエンドは 霧の中
あなたに自信があるならば
渡っておいでよ ベイブリッジ
恋のかけ橋 ベイブリッジブルース
   若い坊やは気がきかず
   中年紳士は 口ばかり
   結婚しない 女といわれ
   幸せいくつも 棄ててきた
   そんな私でよかったら ・・・
やんちゃな男は ぶきっちょで
やさしい男は 嘘をつく
恋はまぼろし分かっていても
おもしろ半分 くり返す
月夜の晩に おしゃれして
渡っておいでよ ベイブリッジ
恋のかけ橋 ベイブリッジブルース 
星の流れに
星の流れに 身を占って
何処をねぐらの 今日の宿
荒む心で いるのじゃないが
泣けて涙も かれ果てた
こんな女に誰がした
   煙草ふかして 口笛ふいて
   的もない夜の さすらいに
   人は見返る わが身は細る
   町の灯影の 侘びしさよ ・・・ 
炎のように火のように
激しく燃える 恋の火は
赤いライトの 渦の中
刻むリズムが 人生ならば
二度と帰らぬ この刻を
愛するあなたの その胸で
炎のように 火のように
   花散る夜も 秋の夜も
   紅のドレスが 夢を呼ぶ
   いつか散り行く 命であれば
   せめてこの恋 燃ゆる間に
   愛して愛して 愛されて
   あなたの胸で 死にたいの
命の限り その日まで
紅い炎を 燃やしたい
夢とまぼろし 追いかけながら
生きた月日は もう遠い ・・・ 
本牧 HONMOKUブルース
女は嘘つき そして愛の獣(けだもの)
だから何度でも 恋が出来るの
私の髪に ジャズがからみつく
あなた誰? ここは本牧ブルースよ
   くちづけの味は なんでいつも違うの?
   まして抱き合えば 恋は七彩(いろ)
   はずしわすれた ピアスが痛いわ ・・・
このまま何処かへ 連れて逃げてほしいと
言って困らせて またあきらめる
ハーバーライト 窓に爪のあと
あなた誰? ここは本牧ブルースよ 
港が見える丘
あなたと二人で来た丘は 港が見える丘
色あせた桜唯一つ 淋しく 咲いていた
船の汽笛咽び泣けば チラリホラリと花片
あなたと私に降りかかる 春の午後でした
   あなたと別れたあの夜は 港が暗い夜
   青白い灯り唯一つ 桜を照らしてた
   船の汽笛消えて行けば ・・・
   涙の雫できらめいた 霧の夜でした 
盛岡ブルース
青い灯が揺れる 盛岡の夜に
君と出逢った 中の橋
今夜の二人 素敵だわ
ロマンチックです
ああ 思い出の 大通り
   風の冷たい 北国の夜は
   初めての恋でした やさしいひと
   貴方と 私の めぐり逢い
   一緒に いたい
   ああ 忘られぬ 盛岡のひと
今日も 夜が来る 盛岡の街に
サヨナラも言わずに 旅に立つ
灯影に咲いた 面影が
優しく のこる ・・・ 
柳ヶ瀬ブルース
雨の降る夜は 心もぬれる
まして一人じゃ なお淋し
憎い仕打ちと うらんでみても
戻っちゃこない あの人は
あゝ 柳々瀬の 夜に泣いている
   二度と逢えない 人なのに
   なぜか心が 又いたむ
   忘れたいのに あの夢を
   想い出させる この酒が ・・・
青い灯影に つぐ酒は
ほろり落した エメラルド
もだえ身を焼く 火の鳥が
雨に打たれて 夜に泣く
あゝ 柳々瀬の 夜に泣いている 
夜霧に消えたチャコ
俺のこころを 知りながら
なんでだまって 消えたんだ
チャコ チャコ
酒場に咲いた 花だけど
あの娘は可憐な 可憐な娘だったよ
   青いネオンが 泣いている
   紅いネオンも 涙ぐむ
   ・・・ 帰っておくれよ もう一度
   俺のせつない せつないこの胸に 
夜霧の第二国道
つらい恋なら ネオンの海へ
捨てて来たのに 忘れてきたに
バック・ミラーに あの娘の顔が
浮かぶ夜霧の ああ第二国道
   花の唇 泪の瞳
   想い出さすな 帰らぬ夢を
   ヘッド・ライトの 光の中に ・・・
闇を見つめて ハンドル切れば
サイン・ボードの 灯りも暗い
泣かぬつもりの 男の胸を
濡らす夜霧の ああ第二国道 
よこはま・たそがれ
よこはま たそがれ ホテルの小部屋
口づけ 残り香 煙草のけむり
ブルース 口笛 女の涙
あの人は行って行ってしまった
あの人は行って行ってしまった
もう帰らない
   裏町スナック 酔えないお酒
   行きずり 嘘つき 気まぐれ男
   あてない恋唄 流しのギター
   ・・・ もうよその人
木枯らし想い出 グレーのコート
あきらめ 水色 つめたい夜明け
海鳴り 灯台 一羽のかもめ
あの人は行って行ってしまった
あの人は行って行ってしまった
もうおしまいね 
夜がわたしを誘惑するように
夜がわたしを誘惑するように
愛されたい なにも言わず
あなたの胸で
星が見ている恋する天使の目付きして
ささやきの夜 やさしく抱いて
   花の匂いが包んでくれるように
   わたしにして 腕をまわし
   くちびる寄せて
   夢にまで見て さがして求めて逢えた人 ・・・
夜がわたしを誘惑するように
見えなくして あなただけか
この世の中で
あなたひとりの女でありたいいつまでも
ささやきの夜 やさしく抱いて 
夜の瀬戸内
ミナト神戸の 赤い灯だいて
わたしの涙が テープに滲む
恋に泣くのも 女の運命
死ぬほど好きよ 好きなのよ
あなたが欲しい
夜の瀬戸内 瀬戸内の夜
   夢の大橋 粟島はるか
   いつかの指輪を 捨てきれないで
   船のデッキで 面影呼べば
   死ぬほど燃える 燃えるのよ ・・・
噂なんかに 負けたくないの
逢わせて濡れして 別れはつらい
せめて別府で ただ一目でも
死ぬほど好きよ 好きなのよ
あなたが欲しい
夜の瀬戸内 瀬戸内の夜 
別れのブルース
窓を開ければ 港が見える
メリケン波止場の 灯が見える
夜風 汐風 恋風のせて
今日の出船は どこへ行く
むせぶ心よ はかない恋よ
踊るブルースの 切なさよ
   腕にいかりの いれずみほって
   やくざに強い マドロスの
   お国言葉は 違っていても
   恋には弱い すすり泣き
   二度と逢えない 心と心 ・・・ 
ワン・レイニー・ナイト・イン東京
ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー
濡れた舗道には
ゆれる灯が 何故か切なくて
なんにもいらない 二人だけの夜
かわす瞳が囁く アイ・ラブ・ユー
ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー
ムムム… オー・イエス
   ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー
   雨に濡れながら
   かわした瞳に 心はときめく
   このしあわせこそ 二人だけのもの
   愛のしるしをちかう アイ・ラブ・ユー ・・・
このしあわせこそ 二人だけのもの
愛のしるしをちかう アイ・ラブ・ユー
ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー
ムムム… オー・イエス…… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

森進一 
(1947 - ) 日本の歌手、作曲家、社会福祉活動家。本名・森内 一寛(もりうち かずひろ)。山梨県甲府市生まれ鹿児島県育ち。
演歌歌手という括りで扱われることが多いものの、本人は演歌歌手と呼ばれるのは不愉快とし、流行歌手であるとしている。そのため、演歌の枠に捉われず常に新たな音楽の領域に挑戦し続ける幅広い音楽性の持ち主でもある。一聴して森と分かる、独特のハスキーボイスを特徴とする。「演歌の枠にとらわれず、いい音楽であれば何の障壁もなく耳を傾け、自分の世界に取り込みたい」という彼の思いに共感する松本隆、大瀧詠一など他ジャンルのアーティスト達と積極的に交流し、提供曲を精力的に歌い、発表した。
1968年『第19回NHK紅白歌合戦』に初出場して以来、2015年(第66回)の紅白まで48回連続出場。初めてトリを務めたのは、出場2回目である1969年(第20回)の「港町ブルース」で、白組におけるトリ歴代最年少記録を持つ。トリ通算出場回数は9回で、美空ひばり、五木ひろし、北島三郎(いずれも13回)に次いで歴代第4位。トップバッターは2回務めている。
大原麗子・森昌子との結婚歴があり(いずれもその後離婚)、昌子との間に誕生した3人の息子のうち、長男森内貴寛はロックバンド「ONE OK ROCK」のボーカリスト、次男はテレビ東京の社員、三男森内寛樹はロックバンド「MY FIRST STORY」のボーカリストである。 また、俳優の小倉一郎は親戚(互いの祖母が姉妹同士)であり、森は自らの座長公演で小倉と度々共演している。
後述の『じゃがいもの会』などの社会福祉・篤志活動でもその名を高めた。また、日本中央競馬会に馬主登録をしており、フォーレストムーンなどを所有していた。
生い立ち​
山梨県甲府市で生まれる。母子家庭に育ち、沼津、下関などを転々とした。最終的には母の郷里・鹿児島に落ち着き、鹿児島市立長田中学校卒業と同時に集団就職で大阪に出て移住した。金の卵と呼ばれた若年労働者として、家族に仕送りするために少しでもいい賃金を求めて17回も職を替えた。
デビュー​
1965年(昭和40年)、フジテレビ系の「リズム歌合戦」に出場して優勝。チャーリー石黒にその才能を見出され、渡辺プロダクション(ナベプロ)に所属した。芸名の名付け親はハナ肇であり、本名の「森内」と「一寛」から一字ずつ取り、渡辺晋のシンを進と読み替えて合成した氏名であった。
元は普通の声であり、ルックスもいいことからポップス系でデビューさせる予定でスクールメイツ入りさせた。しかし個性が弱いとして、チャーリー石黒は売れるためには声を潰し、演歌を歌うしかないと森と渡辺プロを説得。翌1966年、猪俣公章作曲、吉川静夫作詞による「女のためいき」でデビューした。「恍惚のブルース」でほぼ同時期にデビューした青江三奈と共にため息路線として売り出された。猪俣はその後の彼の数多くの代表曲を手がけることになる。美声歌手が主流だった当時の歌謡界において、かすれ声で女心を歌う森のデビューは衝撃的であり、世間からは「ゲテモノ」「一発屋」と酷評された。しかしその後も「命かれても」「盛り場ブルース」と立て続けにヒットを重ね、ついにはデビュー3年目の1968年、ヒット曲「花と蝶」で第19回NHK紅白歌合戦に初出場を果たした。
円熟期​
1969年(昭和44年)には全国の港町の情景を織り込んだ「港町ブルース」を発表。22歳の若さで第11回日本レコード大賞・最優秀歌唱賞を受賞、さらに出場2回目にしてこの年の「第20回NHK紅白歌合戦」のトリを務めた。1971年(昭和46年)には「おふくろさん」(作詞・川内康範、作曲・猪俣公章)が発売され、同曲で2度目の最優秀歌唱賞を受賞した(第13回日本レコード大賞最優秀歌唱賞)。また、「第22回NHK紅白歌合戦」にも同曲で出場し、3年連続でトリを務めた。
1972年(昭和47年)、森の狂信的なファンの女性から婚約不履行、未成年者略取で告訴された。実際には女性の主張していた内容は全くの狂言だったが、彼女がそうした妄想にとらわれるようになったのは、以前病気療養中の森の母を見舞った際に母から親切に対応されたのがきっかけだった。このことを苦にした母は翌1973年に自殺。山口地裁が森の全面勝訴を言い渡したのはその半年後だった。
1974年(昭和49年)にはフォークソング全盛期の黄金コンビ、岡本おさみ作詞、吉田拓郎作曲の「襟裳岬」を発表。同曲で第16回日本レコード大賞、第5回日本歌謡大賞など多くの音楽賞を獲得し、「第25回NHK紅白歌合戦」で自身初の大トリを務めた。この「襟裳岬」との出会い以降彼の曲の世界は転換期を迎え、通常の演歌歌手には無い趣向を持ち始める。
独立​
1979年(昭和54年)2月に、デビュー以来約14年間に渡り在籍したナベプロから独立し、「森音楽事務所」を設立した。しかし一流スターが多く在籍する大手事務所からの独立は芸能界における自身の居場所を失う可能性を示唆していた。しかし同年夏、再起を賭けて発表した「新宿・みなと町」がヒット、以降の活動に弾みをつける契機となった。このころ、ナベプロ時代の同僚だった既婚者の大原麗子との関係が取り沙汰され、1980年(昭和55年)に大原と結婚。
1982年(昭和57年)に松本隆作詞、大瀧詠一作曲(両者とも元・はっぴいえんど)による「冬のリヴィエラ」を発表した。ポップス系のこの曲により従来とは異なる新たなファン層を開拓した。この頃の活動は、公私共に充実し順風であるとしながらも、実際の夫婦生活は既にすれ違いが生じていたと言われる。1984年(昭和59年)に大原麗子と離婚。
社会福祉活動​
離婚後、新しい挑戦として社会福祉活動「じゃがいもの会」を設立した。デビュー当時より面識があり、社会福祉活動に力を注ぎその前年からユニセフ親善大使の職を拝命されていた黒柳徹子がこれに賛同した。さらに歌手仲間である原田直之、小林幸子、森昌子らが参加した。この「じゃがいもの会」での活動により歌手以外の社会的活動家としての「森内一寛(本名)」の一面が開花し、1998年(平成10年)の長野オリンピックの委員会理事、カンボジア地雷除去キャンペーン活動の発起人、在日外国人を支援援助する社会福祉法人「さぽうと21」の理事など、以後数多くの福祉・社会的活動に参画している。この活動には独立当初の騒動で迷惑を掛けた人々への感謝と贖罪の意味があったと言う。この活動は新しい出会いを作るきっかけともなり、約1年半の交際を経て、1986年(昭和61年)10月1日に昌子と結婚した。昌子はこれを機に歌手を一旦引退。3児を授かり非常に仲睦まじい夫妻の在り方は、一般に理想的な家庭像・夫婦像のイメージとして広く認知されるようになった。
昌子との結婚式はテレビで生中継され、視聴率45.3%を叩き出すなど、日本中の注目を集めた。ただ、その裏では自宅に空き巣が入ったという。
1988年(昭和63年)の「京都去りがたし」でシングルとしては2回目の作曲を手掛け、はじめて作曲者「森進一」のクレジットでリリースする。
闘病​
2001年(平成13年)の「第52回NHK紅白歌合戦」で妻・昌子と共演。翌2002年(平成14年)から昌子とジョイント・コンサートを行うようになり、デュエットソングも2曲発表している(書籍扱いという異色の発売方法)。しかし、これがきっかけで夫婦仲が悪化、昌子との意見の相違等があり結婚19年目の2005年(平成17年)3月に別居。その心労もあってか、間も無くして長年の持病であったC型肝炎をこじらせて入院した。4月19日には所属事務所から2人の離婚が発表された。闘病中にはうつ病にかかるが、2006年(平成18年)3月に回復して退院した。
2008年(平成20年)10月5日に、台東区蔵前にあるビクターのショールームで新曲「波止場」の発表を兼ねたファン限定のミニライブを開催、そのステージ上で二年前にC型肝炎が完治したことを報告した。
2014年(平成26年)5月10日に放送された『ザ・インタビュー〜トップランナーの肖像〜』で、肺がんの手術を行ったことを明かしている。
おふくろさん騒動​
2007年(平成19年)2月、おふくろさん騒動が勃発、川内康範との確執が表面化した。両者はついに和解に至ることのないまま、2008年4月6日に川内は逝去した。2008年(平成20年)11月に、森と川内の遺族が和解したことが明らかになり、1年9ヶ月に及んだおふくろさん騒動に一応の終止符が打たれた。話し合いの席には関係者らと森やレコード会社が同席したという。同年の「第59回NHK紅白歌合戦」に出演した際に「おふくろさん」を歌唱した。この時、冒頭で川内康範に謝罪を行った。
カバーアルバム​
2009年(平成21年)11月25日には尾崎豊の「I LOVE YOU」や石川さゆりの「天城越え」など、演歌からJ-POPまで様々なジャンルの曲を集めたカバーアルバム『Love Music』をリリースした。コブクロの「蕾」では、自身初の多重録音によるハーモニーを聴かせている。
デビュー50年、紅白勇退​
紅白歌合戦には第19回(1968年)の初出場から連続出場を続け、第64回(2013年)に北島三郎が勇退してからは最多出場となった。デビュー50周年となった2015年、第66回に48回目の出場を果たすが、12月4日、公式サイトで同回限りでの勇退を宣言する。同回の紅白ではトリ前で「おふくろさん」を披露、半世紀に渡る紅白出場に終止符を打った。連続出場48回は五木ひろしに抜かれるまで歴代最長だった(通算出場は北島の50回が最多だが、北島は不祥事による降板が1度あるため、連続出場は27回にとどまっている)。
音楽作風​
先述の通り、演歌歌手と呼ばれることを嫌い、流行歌手として、固定観念に捉われず様々なジャンルの作品を歌うことを信条としている。一般的に形式を重んじ急激な変化を好まない演歌界においては森のようなスタイルは稀少である。森への楽曲提供者には岡本おさみ、吉田拓郎、大瀧詠一、松本隆、井上陽水、谷村新司、シャ乱Qメンバー、須藤晃、長渕剛、細野晴臣、松山千春、BORO、坂井泉水(ZARD)、小室哲哉といった多彩な顔ぶれが名を連ねる。演歌嫌いを公言して憚らなかった淡谷のり子からもその音楽性を賞賛された。森はこうした自身の多彩な活動について「僕が歌ってきたのは演歌ではなく流行歌です」と説明している。
日本の国民的な作曲家である古賀政男の知遇を得てその薫陶を受けたこともまた特筆すべきである。プロ歌手として3年目の1968年(昭和43年)には古賀メロディーを集めたアルバム『影を慕いて』が製作された。「人生の並木路」の録音の際には歌の内容を自らの人生に重ね合わせてしまい、涙を抑えることができなかった。後日の録り直しを申し出る森に対し、古賀は「歌は生き物だからこれでいいんだ」とそのままOKを出したという。
エピソード​
1974年発売の「襟裳岬」は、「森に何か新しい発想のレコードを」という方針で、作曲者の吉田拓郎が「森さんみたいな人に書いてみたい」という話をしており実現に至った。しかし、ビクターレコード上層部や渡辺プロダクションのスタッフの反応は「フォークソングのイメージは森に合わない」「こんな字余りのような曲は森に似合わない」と評され、拓郎もこれ以上直せないところまで推敲を重ねたものの、当初はB面扱いだった。当時の森は、母親の自殺や女性問題から苦境に立たされていたが、当時森と同様のスキャンダルに巻き込まれていた拓郎からの思いやりと、同曲の3番の歌詞に感動した森が渡辺プロダクションのスタッフの反対を押し切り、両A面という扱いに変更して発売した。また、森が「襟裳岬」で自身初めて大トリを務めた「第25回NHK紅白歌合戦」では、レコード大賞からの移動で慌てていたこともあり、ズボンのファスナーを開けたまま歌唱し、間奏のときに白組の先輩歌手らが森のズボンのファスナーを閉める一幕があった。
1975年3月にはラジオ放送を含めたNHK放送開始50周年の記念式典がNHKホールにて行われ、特別来賓として出席した昭和天皇・香淳皇后を前に森が「港町ブルース」を披露した。当日は天覧歌唱という舞台でもあったためか、森は1番と2番の歌詞を一部間違え、番ごとに変わるはずの地名の箇所を「宮古 釜石 気仙沼」と2回繰り返して歌ってしまうアクシデントがあった。
坂本九が、日本航空123便墜落事故で不慮の死を遂げた直後の1985年8月21日放送のフジテレビ系「夜のヒットスタジオDELUXE」では、森が坂本への追悼の意を込めて、当日歌唱予定であったオリジナル曲「うさぎ」の歌唱を急遽取り止めて、坂本の代表曲「見上げてごらん夜の星を」を涙ながらに熱唱。その際にスタジオにいた司会の芳村真理を初め、出演者・スタッフのみならず多くの視聴者の涙を誘った。森はこの後も他のテレビ番組でも幾度か披露したほか、自身のオリジナルアルバムにも同曲を収録した。 
■『港町ブルース』 
作詞:深津武志、補作:なかにし礼、作曲:猪俣公章、編曲:森岡賢一郎、歌:森進一。
1969(昭和44)年4月15日、ビクターレコードより発売。100万枚を超える大ヒットとなる。森進一のシングルとしては、この曲が最大の売り上げ枚数を記録している。その年には、東映の『夜の歌謡シリーズ 港町ブルース』として、鷹森立一監督、野川由美子、浦辺粂子、谷隼人、梅宮辰夫、そして森進一自身も歌手役として出演し、映画化された。
時代を代表する大ヒット曲
高度経済成長華やかなりし昭和30〜40年代、夜の盛り場にはいつもブルースが流れていた。『柳ヶ瀬ブルース』や『伊勢崎町ブルース』、『別れのブルース』など、それらの歌は、1日の仕事を終え、酒場のカウンターで一杯の酒を傾ける男たちの、心の癒しとなったものだ。
1969(昭和44)年4月15日、こうしたブルース歌謡の金字塔とも言える名曲のひとつ、『港町ブルース』が発表された。歌うのはその前年に、デビュー3年目にして第19回NHK紅白歌合戦に出場し、独特の歌いまわしから、青江美奈と並んで「ため息路線」と言われた歌手・森進一である。
作詞・深津武志、補作・なかにし礼、作曲・猪俣公章、編曲・森岡賢一郎。北は北海道・函館から南は鹿児島まで、全国各地の港町を歌詞にちりばめた「ご当地ソング」でもあるこの歌は、その叙情あふれるメロディと森の優れた歌唱力も手伝い大ヒットとなる。
発売から2週間あまりでオリコン・チャートのベスト10に入り、以後、5週間にわたって1位にランク。この年に発表された歌謡曲としては、由紀さおりの『夜明けのスキャット』についで、年間第2位のミリオンセラーに輝く。これにより、『港町ブルース』は森進一のシングル最大の売り上げを記録、第2回日本有線大賞や第11回日本レコード大賞・最優秀歌唱賞を受賞。さらに年末の紅白では、出場2回目にして、この曲の大ヒットによりトリを務めるという栄誉を飾った。まさに、時代を代表する大ヒットであったといっても、過言ではないだろう。
誰もが共感できる舞台と物語
ブルース歌謡であると同時に、ご当地ソングの代表曲でもある『港町ブルース』。その歌詞は、1番から6番まで、日本の主な港町を舞台に、女の立場から別れた男への想いを歌い上げている。
この歌詞は、雑誌『平凡』により募集された歌詞を作詞家のなかにし礼が補作、猪俣公章が作曲したものだ。歌詞の募集に際しては、全国各地から3万7582通もの歌詞が寄せられたという。その中から選ばれたのが、深津武志が作詞した現在の『港町ブルース』の歌詞である。
「背伸びして見る海峡を」で始まる歌詞。1番の舞台は北海道屈指の港町・函館である。「あなたにあげた、夜をかえして」というフレーズから、港を去っていった男を想う、女の哀歌となっている。一方で2番の舞台は、宮古、釜石、気仙沼と、東北の港町。「流す涙で割る酒は、だました男の味がする」と、1番とは対照的に、惚れた男のために他の男をそでにする切ない女心が歌われる。
このように、1番から6番まで、舞台となる港町はもとより、そこに歌われる多彩で切ない恋物語は、だれもが1つは心当たりがあるような多面的な展開となっている。そんなある種の親しみやすさと、分かりやすいメロディ。そしてなにより、気鋭の歌手・森進一のたぐい稀なる歌唱力が、この曲を昭和を代表する名曲にしたのだろう。
四半世紀を超えても歌い継がれる
『港町ブルース』に登場する港町は実に数多い。函館(北海道)、宮古・釜石(岩手)、気仙沼(宮城)、三崎(神奈川)、焼津・御前崎(静岡)、高知(高知)、高松(香川)、八幡浜(愛媛)、別府(大分)、長崎(長崎)、枕崎(鹿児島)となる。いずれの港町も、当時も今も変わらず、日本を代表する港湾の数々である。
この曲の発表当時、森進一は作中に登場する港町はもちろん、全国の港々をキャンペーンして回り、大きな反響を得たという。
こうして生まれた大ヒット曲が、気鋭の歌手にひとつの方向を与えたのだろう。以降の森進一のシングル曲には「波止場女のブルース」「波止場町」「放浪船」「襟裳岬」「北航路」「十六夜舟」「東京みなと」ほか、港や海を題材にした曲が多数見られる。
あれから38年、港町の風景も当時とは様変わりしているかもしれないが、潮風薫る波止場でふと口ずさみたくなる不朽の名作として、今後もこの曲は歌い継がれてゆくだろう。 
■『襟裳岬』 
この作品が森進一に提供された1973年、秋。拓郎は金沢事件直後で世間の評判は地に落ち、その傷はまだ生々しかった。森進一も、女性スキャンダルがあり、森の実母がそれ苦にして自殺するというとんでもなく悲惨な時期だった。そんな世間のすべてを敵に回し罵詈讒謗を浴びている二人を組み合わせて作品を出すとは、かなり無謀な企画でないかい?それを敢行した当時のディレクターやナベプロの決断と気骨は驚嘆に値する。
殆どの人々が世間の世評を気にし、KYと炎上を恐れて怯えまくる今の世にそんな根性のある仕事人はいるだろうか?もちろん、そこまでさせるだけの才能と魅力があったということでもある。その気骨に答えて、どん底の男は名曲を作り上げ、それがレコード大賞を受賞し、拓郎ファンに限らない多くの人々の心をつかみ、日本の不滅のスタンダードとして歴史に刻まれたのだ。うーむ日本も捨てたもんじゃない。ともかく嵐の海に向かって漕ぎ出して行くようなこの作品の出自を忘れてはならないと思う。
岡本の詞の原詞は「焚火」というタイトルだった。傷つき、地獄をも見た人間が、すべての悲しみを集めて「焚火」で燃やす。原詞は、「何もない春」ではなく「何もない秋」だったようだ。いずれにしても凍てつく冬に立ち尽くさなくてはならない。この時の拓郎と森の心情に全くぴったりの言葉だったのかもしれない。
しかし一か所「いつもテレビはね、他愛無くて」という詞に対して、拓郎が岡本に「テレビがどうとか、小さいよ。」と不躾な注文をつける。岡本は怒るどころか、その指摘に「やられた」と思い、吉田拓郎という人間の魅力を再確認する。これも素敵な話だ。その結果「日々の暮らしは嫌でもやってくるけど」に差し替えられた。
この詞につけられた吉田拓郎の原曲は、岡本いわく「春の風が吹いてくるような歌」でビートの効いた軽快なポップな曲で関係者を驚かせた。驚くというか「こんなん森進一に歌えるかっ!」というトホホ状態だったらしい。その原曲は、名盤「よしだたくろうライブ73」の母体となった中野サンプラザの音源でかろうじて雰囲気を察することができる。
苦闘の末、換骨奪胎のようなアレンジを施して、あの有名な森進一のバージョンの完成となった。拓郎は「アダモかと思った」と感嘆していた。最近になって、拓郎は森進一の「えりぃぃぃぃものぉ」の歌い方が気に入らなかったと語る。2005年に森進一が離婚の慰謝料でモメたとき「森進一、慰謝料ケチるなら襟裳岬返せ!」と御大がMCで冗談まじりに語ったことがあった。離婚のたびに全財産を投げ出してきた御大にとって慰謝料をケチるのが許せなかったに違いない。その頃から森の歌唱のことを言いだした気がする。原因はそのあたりかと下種勘してみる。
まあ確かに当時、テレビで拓郎と森進一が二人で襟裳岬をデュエットして、てんでバラバラだったこともあった。思えば1974年の大晦日のレコード大賞授賞式。感涙の波にむせぶ森進一に対して、ジーンズ姿でステージに上り、なんかヘラヘラ、クネクネしてた拓郎。二人はたまたま満身創痍で同じ船に乗りながらも、進むべき方向はまったく違っていたのかもしれない。しかし拓郎のアプローチでも森のアプローチでも、どこから来ようとも堪えうる不滅の作品だ。但し、この歌に勝手にセリフ入りの歌詞とかつけたら許さんぞ森進一! 圧倒的な熱唱歌い上げの「森バージョン」に対して、拓郎バージョンは、森バージョンに対して「ささやかな抵抗」を試みたということで、「今はまだ人生を語らず」に収録された。あらためて聴き直すと、静かな小品のごときたたずまいなれど、イントロのハーモニカから、暖炉のぬくもりが立ち上るような演奏、あたたかくも清冽な松任谷正隆のキーボードが美しい。何より拓郎の優しく繊細なボーカルが心に響く。大事に大事に言葉を歌っているのが伝わってくる。ああ、歌うまいよなぁ拓郎。これぞ最高バージョンであると思う。
悲しみを燃やす「焚火」がある。「遠慮はいらないから暖まってゆきなよ」と手招きしてくれる。聴き手も歳をとってそれぞれに悲しみや苦しみ経験を経れば経るほど心に深くしみる作品だ。もちろんファンとしての静かなる誇りも脈打つ。ともかく日本の音楽の歴史にしっかりと残ってくれてありがとうと心から言いたい。
2014年のステージでも久々に歌われた。テレビでは、谷村新司との驚きのデュエットも見せてくれたし、小田和正にデュエットを断られたMCも笑わせてくれた。この作品を大切に歌っていかんとする気持ちが嬉しい。極寒の厳しさを経て創られた御大の燃やす「焚火」に遠慮しないで暖まりに行こう。 
■評価 
現在も歌手活動を継続しています。またビクターレコードとの契約も残っており2020年6月17日に『昭和・平成・令和を生きる』をリリースしました。森進一さん本人が作詞・作曲をした意欲作です。
楽曲のテイストは、ミディアムテンポの演歌です。今まで生きてきた3つの時代を振り返りながら、回りに感謝しながらこれからを生きて行こうという自分に対する応援歌となっており大切に歌い継ぎたい楽曲と思われます。
その他のテレビ出演などの、予定は今のところは行っておりません。本来であれば新曲リリースしたばかりなので、スケジュールがどんどん埋まっていっても可笑しくありません。しかし、新型コロナウイルスの状況によりプロモーション活動が出来ないという状況です。
今年は、歌手活動54年目を迎え来年いよいよ55周年を迎えようという節目前の年です。今年の活動は状況次第で変化する可能性は充分ありますので、今後の動向に注目したいと思います。
個人的な歌手としての評価は、演歌というジャンルにポップスの新しい風を送り込むことに成功した一人では無いかと思います。現在は、ジャンルレスとなって来ています。その基礎を築いたと言え、今まで森進一さんの楽曲に関わった他ジャンルのアーティストは、長渕剛、坂井泉水、つんく、はたけ、松本隆や筒美京平など歌手としての領域を広げるため貪欲に活動し続けているという証拠です。
単なる演歌歌手としてだけではなく、ある意味では自己プロデュース能力に長けていると言う事になります。今後はどの様なジャンルとコラボレーションするか?ある意味見物でもあります。
続いては、森進一さんの楽曲「襟裳岬」「港町ブルース」「おふくろさん」について書いて行きます。「襟裳岬」は、普段吉田拓郎さんが楽曲制作をしているコンビで製作され、作詞は岡本おさみ、作曲、吉田拓郎。
元々日本ビクターの50周年記念の企画で、森進一さんにおいては何か新しい発想のレコードを作りたいという思いの元、製作がスタートしています。このレコード製作以前から森進一さんみたいな人に曲を書いてみたいと言っていた吉田拓郎さんの話を思いだし依頼し完成にこぎ着けました。
レコード会社と当時の所属事務所から、森進一にフォークソングみたいな字余りの物はイメージに合わないという反対意見が出て、逆風が吹き一時は発売が出来ないという危機もありました。
当時は森進一さんも吉田拓郎さんも色々なトラブルに見舞われ、人間として少し弱っている時期でもあり、3番の歌詞に森進一さんは感動を覚え周囲の反対を押し切りリリースに踏切りました。
累計売上は100万枚を記録し、レコード大賞などを獲得し歌手として最高の瞬間を迎えました。また、歌詞の中に出てくる『襟裳の春は何もない春です』と言う歌詞に抗議が来ていましたが、後に襟裳の知名度アップに貢献したのでそう言った声は消えて行きました。
「港町ブルース」は、作詞、深津武志・なかにし礼 作曲、猪俣公章で作られました。当時はご当地ソングが流行っており、森進一さんもその流れに乗ろうと「港町ブルース」が制作されました。
楽曲タイトルは、当時の所属事務所が決め、作詞も全国各地の地名を盛り込んだ歌詞を募集し、3万通を超える歌詞が集まりその中から7人の歌詞をつなぎ合わせなかにし礼が順列合わせを行ったものです。
この楽曲では作詞家の欄に深津武志・なかにし礼となっており、1番の歌詞の作詞者名を代表として届け出たものです。売上は狙い通りの大ヒットを記録し、ミリオンセラーを記録しました。
続いては、「おふくろさん」この曲は森進一さんの代名詞的な作品であり、作詞家川内康範氏とのトラブルが話題になりました。事の発端は本来作詞の中には無い台詞を森進一さんが勝手に付け足して歌唱しており、それを見た川内康範氏が激怒。
『森にはあの歌を歌わせない』と発言し、トラブルに発展。川内康範氏の自宅をとらやの羊羹を持って訪れるところがワイドショーのカメラに抜かれ、話題となりました。結局和解に至らないまま川内康範氏が死去。
後に、弁護士である長男の計らいにより、今後は川内康範氏のオリジナルの歌詞のみを歌う事を解禁されました。森進一さんは再びこの曲を歌うことが現在は出来ています。しかし、本人から直接OKは貰っておらず、しこりが残る形での解決となってしまいました。 
 
 
あゝ人恋し
夜は誰でも みなし子で
みかんむく手が 染まります
窓にかさかさ 舞い落ち葉
私いくつに なったのか
あゝ人恋し 人恋し こころが すすり泣く
   ぽたりぽたりと 便箋に
   涙落として 書いてます
   左手に持つ 赤い酒
   私あいつに 惚れたのか
   ・・・ こころが しのび泣く
夏に抱かれた ひとこまも
秋の別れも 浮かびます
白い枕は びしょぬれで
私見る夢 どんな夢
・・・ こころが むせび泣く
哀歌
人を愛しては 傷ついてきたけど
こんどだけは きっとちがうと感じた
この世は愛だけで 生きてはゆけないと
わかっていても やっぱり夢を見ていた
だけど季節は過ぎ 愛がこわれてゆく
なぜかこわれてゆく 心ただ うつろに
   人はそれぞれに 生きるものだけれど
   あなたのいない 明日(あした)なんていらない
   哀しみを笑顔で ごまかしたりせずに
   泣いて後を追うわ 子供のように
   だけど いつかはきっと 愛は還(かえ)ってくる
   きっと還ってくる 待つわ ただ信じて
だけど いつかはきっと 愛は還ってくる
・・・ 待つわ ただ信じて
哀愁行路
窓をたたき 泪ぐんでたおまえ
こんな別離 許せないわと泣いた
なにもいわずに俺は 片手をあげただけで
別れ別れになった 哀愁行路
愛しているというだけでは
生きられないさ それが運命さ
カモメ舞うあの街 片すみのぬくもり
捨ててひとり旅に出る俺を 許してくれ
   ベルが鳴って 汽車はホームをはなれ
   ひとつ残る 影もかすんで消えた
   いつかセピアに褪せる 笑顔の写真持って
   はなればなれに歩く 哀愁行路
   愛しているというだけでは
   生きられないさ それが宿命さ
   どうせ根無し草の 気まぐれがいつかは
   夢に疲れ果てて もどる日を 祈ってくれ
・・・
愛人
あなたが好きだから それでいいのよ
たとえ一緒に 街を 歩けなくても
この部屋にいつも 帰ってくれたら
わたしは待つ身の 女でいいの
   尽くして 泣きぬれて そして愛されて
   時がふたりを 離さぬように
   見つめて 寄りそって そして抱きしめて
   このまま あなたの胸で暮らしたい
めぐり逢い少しだけ 遅いだけなの
何も言わずいてね わかっているわ
心だけせめて 残してくれたら
わたしは見送る 女でいいの
   ・・・
哀(あい)の河
女が死ぬほど つらいのは
愛しながらも 別れる恋よ
一緒に居たい それだけの
願いを世間が 許さない
逢いたい触れたい 抱かれたい
あなたへ流れる 哀の河
   気強く生きてた はずなのに
   恋が寂しさ 教えていった
   あなたの名前 呼ぶ鳥を
   窓から逃がした 夜明け前
   ・・・ 心にあふれる 哀の河
この世の何処かで 呼び合って
愛し続ける さだめの恋よ
忘れられない その胸で
むせんだ涙を ささやきを…
・・・ ひとりで溺れる 哀の河
愛のままで…
小鳥たちは 何を騒ぐの
甘い果実が 欲しいのですか
他人(だれ)かと比較(くら)べる幸せなんて いらない
あなたの視線が 愛しくあれば…
   あぁ この世に生まれ 巡り逢う奇跡
   すべての偶然が あなたへとつづく
   そう 生きてる限り ときめきをなげかけて
   愛が愛のままで 終わるように…
過ぎた日々を 飾ることより
あなたと生きる これからの時間(きせつ)
後から感じる幸せよりも 今は
糸ひくような 接吻(くちづけ)しましょう
   ・・・
朝日のブルース
あなたのようなやさしいひとと
出会えることがわかっていたら
はんぱな恋などしないできたのに
神さまなんてつめたいものね
酔いどれぐらししている時に
一言教えてくれたらいいのに
あなたの胸にだかれて泣いた
私を馬鹿だと 笑っておくれ 笑っておくれ
   とろけたような朝日を見つめ
   窓辺で煙草ふかしていたら
   しあわせなんだと思えて来たけど
   私につきがまわって来たと
   甘えていてもほんとにいいの
   どんでん返しはもうないでしょうね ・・・
あなたの指にとまったような
私のしあわせ守っておくれ 守っておくれ
熱き心に
北国の旅の空
流れる雲はるか
時に人恋しく
   くちびるにふれもせず
   別れた女(ひと) いずこ
   胸は焦がれるまま
熱き心に 時よもどれ
なつかしい想い つれてもどれよ
   ああ 春には花咲く日が
   ・・・ 夢を誘う 愛を語る
熱き心に きみを重ね
夜の更けるままに 想いつのらせ
   ああ 秋には色づく日が
   ・・・ 胸を叩く 歌を歌う歌を
オーロラの空の下 夢追い人ひとり
風の姿に似て 熱き心 きみに
甘ったれ
心が寒い からだが寒い
恋の行方(ゆくえ) 思えば寒い
悲しくなれば 二人で飲んで
それですべて 忘れるだけの
こんな愛なんか いつかこわれると
知りながら抱いてしまう
酒に踊らさせ バラに酔わされて
流れ行く ふたり 甘ったれ
   涙がにがい 煙草がにがい
   夢のつづき 思えばにがい
   別れましょうと いうだけいって
   昨日今日と おんなじ明日
   せめて酒場では ピアノ弾きながら
   楽しげに笑いころげ
   愛や恋なんか どうせピエロだと
   ふざけ合う ふたり 甘ったれ
こんな愛なんか いつかこわれると ・・・
雨の空港
ドアに挟んだ 別れのメモを
読んでいるはず いま頃は
ごめんなさいね あなた
こんな別れ方しか 出来なくて
ひとり身を引く 女の旅は
空も泣いてる 雨の空港
   いまは小いさな 年の差だけど
   いつか重荷に なるはずよ
   初めて知ったの あなた
   長さだけじゃないのね しあわせは
   ・・・ こころ重たい 雨の空港
遠く消えてく 灯火の中に
ふたり暮した 部屋がある
捜しなさいね あなた
同じ夢を見られる いい女を
・・・ 濡らす未練の 雨の空港
 
雨の夜
あなたひとりに かけた恋
惚れておぼれた おんなの涙
つらい逢いたい 死ぬほどもえたのよ
今も残るぬくもり
心淋しい 雨の夜
   傘にかくれた おもいでひとつ
   もえてはかない おんなの命
   髪のしんまで あなたに抱かれたの
   ・・・ 心せつない 雨の夜
雨に泣いてる 私のこころ
とどいていますか あなたの胸に
せめて死ぬまで だましてほしかった
・・・ 心悲しい 雨の夜
いきなやつ
艶(あだ)は深川 勇みは神田
粋を売るのは 柳橋
そうさ男さ 決めたらやるさ
なぐられ蹴られて ついてゆく
今日のがまんが 一生決める
   ひとつ成せたと 思ったときが
   次のひとつの 落とし穴
   山の向うにゃ お山があって
   ・・・ それが修業さ 初心に帰れ
サヨリみたいに 容姿(ようす)が良いと
ほめたつもりが 叱られた
妾(わた)しゃそんなに お腹の中が
・・・ 人は鏡さ 自分が映る
十六夜舟
乗せて下さい 十六夜舟に
月の岸辺に 葦の葉がゆれる
愛をためらう 心と心
いいの私は かまわない
あなただけです この命
   漕いで下さい 十六夜舟を
   寄せるさざ波 情けの夜風
   はなさないでね このままずっと
   罪な女と いわれても ・・・
明日のあてない 十六夜舟に
霧にかすんだ はるかな灯り
遠くはなれて 泣くことよりも
これでいいのよ なにもかも ・・・
愛しい人よ
なぜ君は 哀しくなるのか
なぜいつも 自分をせめるの
さびしさと せつなさで
時間のなかを 旅する人よ
でも僕がこのままいるから
もし永遠の 変わらぬ気持ちで
優しさと 温もりを
綺麗な君に 約束しよう
   愛しい人よ 可愛い人よ
   もうだれにも もう何処へも
   もうはなしはしない
   愛しい人よ 可愛い人よ
   君は僕の恋人
なぜ君は大人になるのか
なぜとても綺麗になるのか
髪形と着る服で
突然僕をハッとさせるね
でも気分 少女のようだよ
ほら嘘を ときどきつくけど
幼なさと いじわるが
変わらないのが 君らしいよね
   寄り添う時も 甘える時も
   愛すること 信じること
   あの夜空を駈けて ・・・
命かれても
惚れて振られた 女の心
あんたなんかにゃ わかるまい
押え切れない 淋しさは
死ぬことよりも つらいけど
なぐさめなんかは 欲しくない
   みんなあんたが おしえてくれた
   酒もタバコも うそまでも
   泣かぬつもりで いたけれど ・・・
こんどこそはと 命をかけて
惚れてみたけど 駄目だった
女の青春を唇を
返してくれとは 言わないが
死ぬまで愛して 欲しかった
妹よ
しらじらと明ける頃
びしょぬれで帰って来た
蒼(あお)ざめた顔をして
一言も話もせず
妹よ今は何もきくまい
君の好きにするがいい
だけど傷つく君を
見たくはないんだよ
無邪気な笑顔が消えるのが つらいんだよ
   もう少し見ないふり
   していてといった君の
   悲しげなあの顔が
   気になって仕方がない
   妹よ今は何もきくまい
   君の好きにするがいい
   だけどこんなにまでも
   せつなくさせるのは
   どういう男か知りたいと 思うんだよ
この部屋を捨てるのか ・・・
何(なん)にもなかった顔をして 帰るんだよ
うそつき
私でよければ傍をはなれずに
尽くし捧げるはずでした
あなただけにしあわせ願う
女ごころの一途な夢を
あなた泣かせて
捨ててゆく 逃げてゆく
   いまさら泣いても仕方ないけれど
   悔しすぎるわこの涙
   私だけがあなたの女
   それを信じて抱かれた夢を
   あなたうそつき ・・・
どれほど好きでも追えばみじめです
だからあなたを忘れます
ふたりだけのちいさな生活
いつも欲しがる女の夢を
あなた泣かせて ・・・

移り香
別れの理由は 言わないで
それより 聞きたいことがある
あなたをうばった 移り香の
その女 きれいなひとですか…
   忘れないわ今夜 旅立つひとよ
   きっと 愛したことも
   忘れないわそして 憎んだことも
   笑い話に してみせる
背中をむけた 幸福を
やっぱり 心が追いかける
あなたにしみてる 移り香は
わたしの涙で 消せますか…
   忘れないわ今夜 旅立つひとよ
   ふたり出逢ったことも
   ・・・ 別れたことも ・・・

裏切り
強く強く抱いて
その気にさせてくやしい
誰があなたさがす
こんな真夜中鳴る携帯
   信じたくない私以外の女
   嘘つきで裏切りで卑怯者
   勝手な人だけど 逢えばだめなの
   切り出せないの私から
追えば追えば逃げる
男はみんな同じね
何が男の夢よ
自分勝手なだけじゃないの
   ふざけないでと震えてる涙声
   ・・・ 今すぐ出て行って 恋は終わりね
   何度目かしらまたひとり
信じたくない私以外の女
・・・ 勝手な人だけど 逢えばだめなの
切り出せないの私から
襟裳岬
北の街ではもう 悲しみを暖炉で
燃やしはじめてるらしい
理由のわからないことで 悩んでいるうち
老いぼれてしまうから
黙りとおした 歳月を
ひろい集めて 暖めあおう
襟裳の春は 何もない春です
   君は二杯めだよね コーヒーカップに
   角砂糖をひとつだったね
   捨てて来てしまった わずらわしさだけを
   くるくるかきまわして
   通りすぎた 夏の匂い
   想い出して 懐かしいね ・・・
日々の暮らしはいやでも やってくるけど
静かに笑ってしまおう
いじけることだけが 生きることだと
飼い馴らしすぎたので
身構えながら 話すなんて
ああ おくびょう なんだよね ・・・
寒い友だちが 訪ねてきたよ
遠慮はいらないから 暖まってゆきなよ
男と女
こころの海から船がでる
いのちの港へ着く船が
恋とか愛とかいうけれど
言葉なんかは信じない
   汽笛を鳴らして男から女へ
   いのちを燃やして女から男へ
   船が着いたらきっと夜が明ける
なみだの海から船がでる
別れの岬(みさき)へ着く舟が
運とか縁(えん)とかいうけれど
宿命(さだめ)なんかは信じない
   なみだをかくして女から男へ
   こころをかさねて男から女へ ・・・
男の真情
この命 この命 すててもいいと
泣きながらとりすがる お前のひとみ
世間のつらい噂を 背中にうけて
男の涙をかみしめる
幸せに生きてくれ いとしい女よ
   人並に 人並に 暮らせるならば
   それだけで幸せと 言ってたお前
   二人を遠くひきさく 運命がにくい
   男の旅路のせつなさよ
   許されるものならば 逢いたいけれど
別れても 別れても 心の絆
結ばれてとこしえに 解かれはしない ・・・
おふくろさん
おふくろさんよ おふくろさん
空を見上げりゃ 空にある
雨の降る日は 傘になり
お前もいつかは 世の中の
傘になれよと 教えてくれた
あなたの あなたの真実 忘れはしない
   おふくろさんよ おふくろさん
   花を見つめりゃ 花にある
   花のいのちは 短いが
   花のこころの 潔ぎよさ
   強く生きよと 教えてくれた ・・・
おふくろさんよ おふくろさん
山を見上げりゃ 山にある
雪が降る日は ぬくもりを
お前もいつかは 世の中に
愛をともせと 教えてくれた ・・・
女がひとり
旅人に似合いの 終着の駅からは
一人ずつ悲しい さだめ背負った ひとが降りる
女のいのち 一つにかけて
室蘭のこの町へ
荷物も持たず 私は来た
   無茶をして馬鹿だと 口先で責めながら
   あのひとは私を ここでやさしく 抱いてくれた
   女の夢は 小さいけれど
   何よりもはげしくて
   はるばる遠い町まで来た
北国の室蘭 あのひとが住むところ
今日からは私も そっとあなたの そばで眠る ・・・
女恋港
波止場を出て行く 別れの出船
捨てちゃいやよと カモメが泣いた
汽笛鳴らして あなたを乗せて
船の無情が たまらない
こらえきれない 女恋港(おなこいみなと)
   涙があふれて あなたが見えぬ
   声にならない さよならなんて
   今も聞こえる あなたの声が
   耳に残って はなれない
   好きよ死ぬほど 女恋港(おなこいみなと)
私にゃ最後の 命の恋よ
あなたいなけりゃ 生きてはゆけぬ ・・・
女心
たった一度の わたしの恋を
あなたは冷たく 捨てるのね
おまえにしあわせ あげるといって
この肩を この肩を 抱いたひと
女を泣かせる あなたが憎い
   別れちゃいやよと すがってみても
   あなたの背中は もう他人
   着物姿が 似合うといって
   抱きしめて 抱きしめて くれたひと
   愛していました あなたは嘘つき
恋のなみだを お酒でうすめ
飲んでもこころは だませない ・・・
女坂
身丈の着物の私をつれて
母は黙って背負子(しょいこ)で歩く
山道いつも聞かされたのは
一つ覚えの夕焼け小焼け
   何が生きてて しあわせか
   母の顔では 知りかねた
   あの日けわしく思えた道を
   今あなたとなら たどってみたい
行く坂 はるかな女坂 私も母に似てきそう
   湯上り子供ら寝かせる声で
   やっとその日が終ったような
   祭りも盆も変らぬ色の
   絣(かすり)の柄まで覚えています
耐えることしかない母も
夢を見た日は あるのやら
強くかよわく やさしい背なは
みな忘れたよと 答えるけれど
   行く坂 ・・・
何が生きてて しあわせか
母の顔では 知りかねた
あの日けわしく思えた道を
今あなたとなら たどってみたい
   行く坂 ・・・
女の愛
男は夢を追う 女はあなたが 夢なのよ
つらい時こそ 私の出番
あなたをかばって 身をよせる
それが女の 愛なのよ
見えない心 感じて欲しいのよ…
   男は惚れたがり 女はなんでも 知りたがり
   あなたいやです より道したら
   つれなくするから 尚もえる
   ・・・ 二つのからだ 命は一つです…
男の嘘なんて 女は解るの 初めから
くやし涙を お酒に浮かべ
喧嘩をするのも 好きだから
・・・ ふたりの明日 信じて歩きたい…
女の恋
あなたの匂いが 素肌にしみて
離れない あなたと私 何があろうとも
恋の深みを さまよいながら
燃えて 燃えて…散らした紅(べに)のあと
   やさしいあなたの 吐息が熱い
   かまわない あなたとならば 命かけた恋
   つらい噂に 震える体
   泣いて 泣いて…どこまで闇の中
あなたの腕に この身を寄せて
夢ならば 夢でもいいの 今はこのままで ・・・
女のためいき
死んでも お前を 離しはしない
そんな男の約束を
嘘と知らずに 信じてた
夜が 夜が 夜が泣いてる
ああ 女のためいき
   どうでも なるよに なったらいいと
   思いなやんだ時もある
   なにに すがって 生きるのか
   暗い 暗い 暗い灯影の ・・・
男と女の 悲しいさだめ
なんで涙がつきまとう
ほれているから憎いのよ
未練 未練 未練一つが ・・・
女の波止場
別れはしない はなれない
死ぬほど好きな 人だから
あなたの名だけ 呼んでいる
船の汽笛も ああ 泣く波止場
可愛いかもめも貰い泣き
   独りはつらい やるせない
   すがりもできぬ 淋しさは
   あなたが知って いるばかり
   船がわたしを ああ 駄目にする ・・・
流れの花の恋だから
真赤に咲いて 散るさだめ
あなたをひとり 乗せてゆく
船の無情が ああ たまらない ・・・
女の岬
恋のつらさに泣くよりも
にげて にげて にげておいでと 呼んでる岬
海こえてゆく人を
せめて一目と追いかける
ああ 女の 女の 岬
   それが二人のためならば
   苦労 苦労 苦労なんかに 負けないつもり
   ひとときも忘れずに
   赤い椿と待ちわびる ・・・
あなた頼りのいのちなら
胸に 胸に 胸に灯がつく 灯台岬
だれよりも好きにして
涙ばかりを流させる ・・・
女もよう
かわいい女じゃ 生きてはゆけぬ
片意地はる目に 涙がゆれる
ひとりぼっちに させられて
すがりつくのは 思い出ばかり
あなたの胸に この身を投げて
おもいきり そうよ私
涙をながして みたい
   はしゃいでみる程 心の傷は
   痛みが増すもの 泣かせるものよ
   淋しがりやの あなたには
   重荷すぎたの 忍んだ恋は
   離れてからは 生命をけずり
   爪を噛み そうよ私
   弱さをかくして 生きた
噂を聞くたび この身が細る
本当はだれより かよわい女 ・・・
帰ってきて
浮かれて騒いだ そのあとで
はしゃぎ町から ベルが鳴る
声だけなんて あんまりみじめ
女にも心があること 知ってますか
さびしくて さびしくて この胸がいたい
おねがい おねがい 帰ってきて
   電話を切られて 闇の中
   泣きぐせだけを 身につけて
   楽しいあの日が ぐるぐるまわる
   女にも心があること 知ってますか
   涙でて 涙でて ・・・
悲しい歌が流行ります
どうしたことでしょう この頃さびしい
悲しい歌が流行りそうです
また 泣くのでしょう
ほろほろと 夜 き鳥の
身悶える 夜ふけに
ああ 私は女です
どなたの手紙を読むのでしょうか
泣きぼくろ かくして
   何でもないのよ 気持ちのせいでしょう
   悲しい歌が流行りそうです
   ただ思うだけです
   カタカタと窓を揺する
   夜嵐に 怯えて
   ああ 私は女です
   どなたのノックを待つのでしょうか
   膝小僧 かかえて
ヒタヒタと 通り過ぎる 
しあわせを 追いかけ ・・・
悲しいけれど
悲しいけれど ふたりの暮し
終わりのみえた シネマのようね
出来ない約束 言ったら罪よ
自分の言葉に 酔ってるだけよ
悲しいけれど 若くないから
愛することに 疲れたみたい
憶病なのは きっとわたしね
あなたが悪い 訳じゃない
   泣いたりしたら おかしいわ
   いつかは忘れる 忘れる日がくるわ
   もう過ぎたこと もう過ぎたこと 昨日までのことは
悲しいけれど 終わりにしよう
本当は喧嘩 別れにしたい
うぬぼれだけど あなたのことは
わたしが一番 知ってるつもり
悲しいけれど ひとりにさせて
あなたにふれたら 負けてしまうわ
いつものわたしに 戻らぬ前に
心の迷い 断ち切るの
   黙っていても きりがない
   淋しさひきずる ひきずる それだけよ ・・・
北上川
愁いを胸に 秘めた男が
さすらいの旅に ひとり出かけた
柳さやかな 岸辺に立てば
訳もなく泣けて来る 北上川よ
   ひばりは空に 唄いやまない
   浮雲よどこへ 旅に出かける
   遠く別れた あの人しのぶ
   草むらに咲いている 昼顔の花
流れにそって ひとり歩けば
夕月がいつか のぼる野末に ・・・
北航路
冬に旅する女の哀れを
あなたはきっと 知らないでしょう
ことし初めて ちらつく雪に
頬をうたれて泣いてる私
寒いからお入りよと 人にすすめられ
部屋に入ったけど なお寒い心
私は北へ帰ります 北行く船で 帰ります
   たった二行の 手紙を残して
   二人のくらし 終らせたけど
   心なんてそんなに急に
   変るものでは ないと知った
   夜明けには銀世界と 教えられたけど
   それを楽しむには 悲し過ぎる心 ・・・
北の酒場で
北の町は 鉛色の空におおわれ
人は肩をすぼめながら 風に追われる
流れついて二年あまり
土地の訛りも 身についたけど
こんな季節は あなた恋しい
わたしを探しに 早く来てよ… あなた
   切れぬ恋を すてるために鞄一ツで
   眠る街にあなた残し 汽車に乗ったの
   だけど今も 夢の中で
   枕ぬらして あなたを呼ぶの
   お酒なければ 胸が凍える ・・・
寒いこころ のぞくように 客が今夜も
お酒からめ甘いことば かけてくるけど
だめよ今も あなたのこと
忘れられない 北の酒場で ・・・
北の螢
山が泣く風が泣く
少し遅れて雪が泣く
女いつ泣く灯影が揺れて
白い躰がとける頃
   もしも私が死んだなら
   胸の乳房をつき破り
   赤い螢が翔ぶでしょう
ホーホー螢翔んで行け 恋しい男の胸へ行け
ホーホー螢翔んで行け 怨みを忘れて燃えて行け
   雪が舞う鳥が舞う
   一つはぐれて夢が舞う
   女いつ舞う思いをとげて
   赤いいのちがつきる時
たとえ遠くにはなれても
肌の匂いを追いながら
恋の螢が翔ぶでしょう ・・・
北港
北の港に 汽笛がひびく
出船未練の 別れ唄
あの娘はどうして いるのかと
うわさに聞いた この町へ
たずねて来たよ 北港
   古い酒場に 灯りがともる
   窓のむこうに 雪が舞う
   幸せつかんで いればいい
   泣きぐせ 消えていればいい
   グラスに浮かぶ 細い影
風が泣いてる 海峡岬
カモメ呼んでる 面影ひとつ ・・・
銀座の女
夢をなくして また拾い
明日は咲こうと する女
そして傷つき 泣きながら
それでも夢を それでも夢を ああ 銀座
   あなたわたしの 眼を見てよ
   死んでもいいわと いう女
   そしてなんども 裏切られ
   それでも虹を それでも虹を ああ 銀座
わたし好きなら 好きなよに
好きにしてよと いう女
いくども恋して 流されて
それでも恋を それでも恋を ああ 銀座
   夢を拾って またなくし
   夜に咲こうと する女 ・・・
くちべに怨歌
あんな男は 誰でも逃げる
あんな男に 私は惚れた
かばうつもりは さらさらないが
いいとこあったさ 一つや二つ
   馬鹿な女と 世間のうわさ
   いいじゃないのと 笑った私
   それみてごらんと 言われた通り
   ちょいと暮らして あっさり切れた
切れてよかった 男のはずが
切れる前より 夜風がしみる
あんな奴でも 口惜しいけれど
居ると居ないで こんなにちがう
   あんな男に 惚れるも女
   こんな男に 泣くのも女 ・・・
恋ひとすじ
一度こうだと 決めたなら
決めたとうりで どこまでも
恋に命を かけたなら
恋はひとすじ いつまでも いつまでも
   恋のつれなさ 苦っぽさ
   いやというほど 知らされた
   味気ない日の おもいでも
   なぜか今では なつかしい なつかしい
たまにゃしみじみ 泣くもよし
酒でなみだを 吹き飛ばし
膝をかかえて ふるさとの
歌をうたうも 味なもの 味なもの
   遠い日暮れの はなれ雲
   雲の中から 夢がわく ・・・
神戸の夜
あなたとわたしを 逢わせてくれた
元町通り 灯がともる
お別れなんかしたくない
ささやくような 泣くような
ミナト神戸の ミナト神戸の 恋の夜
   メリケン波止場を 出てゆく船に
   淋しく咲いた 花が散る
   やさしく抱いてくれそうな
   有馬も須磨も 霧の中 ・・・
あなたが男でわたしが女
情けひとつで 結ばれる
涙をながせ 生田川
夢さえあまく濡れそうな ・・・
故郷
毛布にくるんだ からだを寄せて 何(なん)だか今夜は 安心と
そっともらす 吐息だけで あなたをいじらしく 思う
何にもいらない あたたかさだけ 私は前から ほしかった
胸に強く 顔をうずめ あなたは泣きじゃくる ばかり
雪どけ時に帰ろう 同じ故郷だもの
それまで土産(みやげ)だけでも そろえておきたいね
   北国生まれの お酒の強さ あなたははしゃいで 歌ってる
   紅(あか)い頬に なればいいと 心でしみじみと 思う
   いつしかからだを 丸めて眠る あなたの寝顔が あどけない
   窓の外は 街の夜明け はぐれた小雀が 遊ぶ
   ・・・ 雪割る花が咲く道 歩いて行きたいね
盛り場ブルース
咲いて流れて 散って行く
今じゃ私も 涙の花よ
どこにこぼした まことの涙
さがしたいのよ 銀座 赤坂 六本木
   お酒飲むのも なれました
   むせるタバコに あなたを忍ぶ
   小雪はらって 今夜もひとり
   酔ってみたいの洞爺 すすきの 定山渓
酔ってもえてる この腕に
あなたならばと 瞳をふせる
・・・ 恋の細道 青葉 国分 一番町
   泣けぬ私の 身がわりに
   ついだお酒が この手をぬらす
   夜のお城の つれない風に
   髪も乱れる 栄 今池 広小路
通り雨には すがれない
いっそ 明日が来ないでほしい
・・・ 帰るあてなく 南 曾根崎 北新地
   路地のひかげの 小石でも
   いつか 誰かがひろってくれる
   願いをかけた チャペルの鐘が
   今日もせつない 薬研 八丁 本通り
グラス片手に 酔いしれて
夢のあの日が お酒に浮かぶ
・・・ 誰がなかせる 中洲 天神 柳町
   流れたくない 流れたい
   愛したくない 愛していたい
   何を信じて 生きてく女
   春はいつくる 渋谷 新宿 池袋
桜坂
君よずっと幸せに
風にそっと歌うよ
愛は今も 愛のままで
   揺れる木漏れ日 薫る桜坂
   悲しみに似た 薄紅色
   君がいた 恋をしていた
   君じゃなきゃダメなのに
   ひとつになれず
   愛と知っていたのに
   春はやってくるのに
   夢は今も 夢のままで
頬にくちづけ 染まる桜坂
抱きしめたい気持ちでいっぱいだった
この街で ずっとふたりで
無邪気すぎた約束
涙に変わる
愛と知っていたのに
花はそっと咲くのに
君は今も 君のままで
   ・・・ 君だけが わかってくれた
   憧れを追いかけて
   僕は生きるよ ・・・
酒無情
恋が心の 花ならば
酒は心の 涙やら
好きなだけでは 結べない
運命の糸に あやつられ
添えぬ別れの 秋を知る
   愛の深さを確かめて
   肌に求めた 夢のかず
   酒よわかるか聞いてくれ
   この世に生きているかぎり
   胸の炎は燃え残る
酔えば淋しさ果てしなく
人の無情を噛みしめる ・・・
さざんか
春に咲く 花よりも
北風に咲く花が好き
そんな言葉を残して 出ていったね
別れのわけも 言わないで
さざんかの花びらが
小さな肩先に こぼれていたよ
   やさしさが ほしいのよ
   ほかには何もいらないの
   いつか涙をうかべて あまえたね
   悲しいほどに いじらしく
   さざんかの花よりも
   かぼそい肩先が ふるえていたよ
春が逝き 夏が逝き
北風寒い冬が来た
いまはどうしているのか しあわせか ・・・
さらば友よ
このつぎの汽車に乗り 遠くへ行くと
あの人の肩を抱き あいつはいった
お前にはこの恋を わかってほしいと
くり返しそういって あいつは泣いた
さらば友よ もう何もいわない
ここで ここで 見送ろう うしろ姿を
   打ち明けてくれたのが せめての救い
   裏切りといえるけど 許してもいい
   なにかしらいいたげな あの人の瞳に
   キラキラと光ってる 涙を見た
   さらば友よ もうあうこともない
   胸で 胸で 音たてて 何かが消えた
ベルの音ききながら しみじみ思う
ふたりともそれなりに 悩んだだろう
しあわせを祈るよと いいたいけれど ・・・
しあわせ挽歌
追えば逃げてく しあわせが
背中向ければ 呼んでいる
どうせ駄目ねと うす笑い
もしかしたらと 立ち止る
裏街 まよい灯 こぼれ酒
   ひとりふたりと めぐり逢い
   三つ四つと 消えた夢
   いつか涙も 底を尽き
   酒と仲良くする夜明け
   裏街 とまり木 流し唄
ひとりぽっちにゃ 慣れたけど
ひとりぽっちは さみしいね
吉と出ていた おみくじも
恨みたくなる この頃は
裏街 残り灯 すきま風
   ・・・ 裏街 あきらめ うすあかり
昭和最後の秋のこと
貧しさも つらくない
四畳半にも 夢がある
嘘をつかない 約束で
肌を寄せあう 二人なら
死にましょうか 生きましょうか
生きましょう 生きましょう
たがいに めぐり逢えただけ
この世の神に 感謝して
   昭和最後の秋のこと
   雨にうたれる彼岸花
   ふるえる愛が ふるえる愛がまだあった
飢えた日を 忘れない
痩せて目だけを 光らせた
そんな時代の 子であれば
心だけでも 満たしたい
死にましょうか 生きましょうか
生きましょう 生きましょう
笑えることが ある限り
値打があると 信じつつ
   昭和最後の秋のこと
   時に晴れ間が ひろがって
   まぶしい恋が まぶしい恋がまだあった
昭和最後の秋のこと
山の紅葉に 照り映えて ・・・
昭和流れうた
昭和流れうた 心にしみる
酒に酔う時 あなたがうかぶ
どうして どうして 忘れさせない
苦しむだけね わたしの愛は
今度は男に生れてきたい
   昭和流れうた 女の涙
   恋の苦しみ 死ぬよりつらい
   なんども なんども あなたの胸に
   抱かれた夢で 枕がぬれる
   今度は男に 生れてきたい
昭和流れうた どなたが唄う
あなた恋しい 流しのギター ・・・
新宿・みなと町
新宿はみなと町
はぐれ者たちが 生きる辛さ
忘れて酒をくみかわす町
人を押しのけて生きてゆくより
安い酒に酔いたいね
新宿… 新宿… 新宿みなと町
   新宿はみなと町
   心焼き尽し 背中まるめ
   見果てぬ夢を語りつぐ町
   誰もさみしさが苦いのだろう
   俺に似てるやつばかり
   新宿… 新宿… 新宿みなと町
新宿はみなと町
旅に出たやつも 流れ者も ・・・
人生の並木路
泣くな妹よ 妹よ泣くな
泣けばおさない 二人して
故郷をすてた かいがない
   遠いさびしい 日暮の路で
   泣いてしかった 兄さんの
   涙の声を わすれたか
雪も降れ降れ 夜路のはても
やがてかがやく あけぼのに
わが世の春は きっと来る
   ・・・ この人生の 並木路
切なくて
こころに木枯らし 吹くような
さびしい夜には 手枕で
むかしのアルバム かけてます
いつか一緒に きいた歌
小節(こぶし)のくせまで あざやかに
おぼえているのが ああ また 切なくて
   別れて三年 すぎたけど
   ふたりで暮らした あの部屋に
   無口な女で 住んでます
   髪を染めたり したけれど
   こころはすこしも 晴れません
   変れぬ自分が ああ また 切なくて
朝だけ日のさす ベランダに
あなたが育てた こでまりが
今年もきれいに 咲きました ・・・
瀬戸の花嫁
瀬戸は日暮れて 夕波小波
あなたの島へ お嫁に行くの
若いとだれもが 心配するけれど
愛があるから 大丈夫なの
段々畑と さよならするのよ
幼い弟 行くなと泣いた
男だったら 泣いたりせずに
父さん母さん 大事にしてね
   岬まわるの 小さな船が
   生まれた島が 遠くになるわ
   入江の向こうで 見送る人たちに
   別れ告げたら 涙が出たわ
   島から島へと 渡ってゆくのよ
   あなたとこれから 生きてくわたし ・・・
それは恋
朝露の 深い道から
訪れて 私をとらえ
夕もやの 遠い果てから
呼びかけて 私をとらえ
ひたすらの 愛の願い
あふれさせたもの
それは恋 私の恋
   逢う時は 姿も見せず
   うつつなく けれど確かに
   言葉なく 名前も告げず
   ひそやかに けれど確かに
   よみがえる 愛の誠を
   あふれさせたもの
   それは恋 私の恋
ある時は 心もとなく
疑いに 思い乱れて ・・・
たずねて小樽
泣くなと言えば 尚更泣いて
夜の坂道 消えた影
遠く千切れる 霧笛さえ
お前のあの日の 声になる・・・
アカシヤの アカシヤの
花に聞きたい夢のあと
旅の小樽は 霧が胸にふる
   古びた酒場 運河のほとり
   風のうわさが 知りたくて
   グラス持つ手の この指が
   お前の涙を 拭きたがる・・・
   ・・・ 窓の向こうは 白い霧の街
若さの奢(おご)り 間違いばかり
詫びて許せる 過去じゃない
俺はいつでも ここにいる
苦労はするなよ もう二度と・・・
・・・ 旅の小樽は 霧が雨になる
旅路の果てに
人の妻だと 噂にきいて
風の行方を たずねてみたが
水辺に映る 男がひとり
過去の貴女の 面影を
探し求めて 傷ついて
松江を歩く 旅のひと
   別れいろした 夕日が沈む
   松江大橋 行き交う人に
   どこか似ている 女がひとり
   何時かかわした 約束も
   湖の灯りが 消してゆく
   松江に泣いた 旅のひと
お伽話に 出てくるような
街を見下ろす 千鳥ヶ城を
何処かで見てる 貴女の素顔 ・・・
東京みなと
夜の東京 海ならば 男は
誰でも さすらい舟よ
右に左に ただよいながら
夢をひろいに 今日も行く
   男と女 惚れるもいいさ
   どうせ 気まぐれ 東京みなと
かもめみたいな 胸をした
可愛い娘がいる 小さな酒場
俺が好きかと しんみり聞けば
酔った眼をして 好きという
   ・・・
夜の東京 海ならば
女の心は 切ない霧笛
古い傷ある 身体をあずけ
眠りたくなる 時もある
   ・・・
東京物語
今日からは赤い爪 あなたに見せない
すき透る桜貝 あなたの好きな色
一日に二本だけ 煙草を吸わせて
珈琲の昼下がり あなたを待つ夜ふけ
群れからはなれた 男と女が
小羊みたいに 肌寄せあって
どこかで忘れた青春のかざりもの
さがしているような
東京物語
   夏が過ぎ秋が来て もうすぐ木枯し
   この冬はあたたかい あなたがいてくれる
   何もまだ約束は したわけじゃないが
   春まではこのままで くらしていましょうね ・・・
年上の女
だから分って ほしいのと
そっとからんだ 白い指
放したくない つらいのよ
だめよだめだめ つらいのと
泣いてすがった 年上の女
   髪の乱れの ひとすじに
   甘い香りを 残してた
   ・・・ いのち燃やした 年上の女
もえるせつなさ 苦しさを
そっとおしえた 雨の夜
・・・ 涙で別れた 年上の女
泣かせ雨
あなたに夢で 逢えたらいいと
今夜も想う 雨の宿
いつか添えると 信じて待って
愛の季節の花も散り
独り淋しさ抱きしめる 抱きしめる
   男の恋は ひと夜の情け
   女の恋は 死ぬ日まで
   冬でなくても 心は寒い
   見捨てないでと すがっても
   揺れておもかげ 遠ざかる 遠ざかる
運命のままに ただ生きるのは
馬鹿よと泣いて 叱る雨 ・・・
波止場女のブルース
あなたの生命(いのち)の 半分に
なってはなさず どこまでも
女ひとりが どうして生きる
情けあるなら 捨てないで
   死んだ真似して ひき止めた
   女心を 責めないで
   一度でいいから 甘えたかった
   波止場女の ブルースよ
他人同士に なるまえに
せめて最後の くちづけを
嘘でもいいから 好きだと言って
だましつづけて ほしいから
   ・・・ 泣けと言うのか 死ねと言うのか
   波止場女の ブルースよ
人を恋うる唄
露地にこぼれた 酒場の灯り
しみてせつない 放浪れ唄
おまえがそこにいるならば
リラの花咲く町もいい
汽笛きこえる 港もいい
   夜にはぐれて ふりむきゃ俺も
   酒のにがさが わかる歳
   おまえがそこにいるならば
   肌をあたため眠ろうか
   明日の夢でも 語ろうか
北へ行こうか それとも西へ
風が背中を 吹きぬける ・・・
流れのブルース
川の流れの きまぐれに
逃げて行きます 幸せも
こぼす涙が あと追うばかり
流れ流れの 釧路 札幌 雪の町
   旅のお方と 知りながら
   ・・・ 流れ流れの みぞれ 金沢 主計町
女命の かがり火は
燃えてこぼれて ただ一度
恋のやみ夜に 唇 かんで
流れ流れの 岐阜は 柳ヶ瀬 別れ町
   酔いをさましに 出た頬を
   ・・・ 流れ流れの 京都 木屋町 花の町
好きでせつない 人の名は
書いて流して 今夜から
酒場稼業の 浮草ぐらし
流れ流れの 博多中洲は 浮気町
波止場町
肩で泣くよな 別れなど
したくないわと 言ったのに
海峡一つに 心を裂かれ
鴎死ぬように 恋も死ぬ
函館 函館 波止場町
   夜の伊勢佐木 ブルースに
   にがい酒のむ 人もいる
   ・・・ 酔った女が 泣く町は
   横浜 横浜 波止場町
瀬戸は凪(な)いでも この胸は
つらい未練の 風が吹く
あなたがつけた あの夜の傷が
消える頃には 忘れましょう
高松 高松 波止場町
   今度逢えたら 意地も捨て
   燃えて何度も すがりたい
   ・・・ 泣いてたずねて 来た町は
   鹿児島 鹿児島 波止場町
函館 横浜 高松 鹿児島
恋と涙の 波止場町
はな
名も無い花に生まれ
ひそかに生きている
大きなリボンで飾られなくて
誰かの胸にも抱かれなくて
だけど花には花の心があるわ
しあわせを しあわせを
朝な夕なに祈ってる
   ひと夜の月を浴びて きれいに花開く
   しあわせなんかはこういうものね
   何かと何かのめぐりあいなの
   だから路傍の花もうれしく歌う
   愛されて 愛されて
   あとは涙になろうとも
流れる花もあれば しおれる花もある
運命だからとあきらめないで
この世の時間を愛してごらん
きっといいことばかりうかんでくるわ
ありがとう ありがとう
わかれ言葉はそれにして
   悲しい時に想う 淋しい時に見る
   あなたの心で枯れない花は ・・・
夏子ひとり
夏子が手をふる 北の駅
未練がつないだ 汽車の窓
雨のホームに うずくまり
死んだみたいに 泣いている
夏子お前の はかない影が
捨てて行けない 恋にする
   夏子がからめた 細い指
   思い出させる 恋の夜
   傷がつくほど 指をかみ
   忘れないでと 痛くする
   夏子 お前のいとしい声が
   捨てて行けない 恋にする
汽車が夏子を 遠くする
雨が未練を かきたてる ・・・
涙きらり
そんな女に逢いたい夜は
きざと嘘とを置いて行け
たった二杯のほろ酔い酒と
あとはまごころ見せるだけ
涙きらり きらきらきらり
女泣きます 酒場の隅で
   惚れた想いが確かであれば
   言葉少なにいうがいい
   夜の終りに枯れない花は
   ずっと朝まで咲くだろう
   涙きらり きらきらきらり
   女泣きます 灯りの下で
灯り落とした 真夜中過ぎは
人の心の裏舞台 ・・・
花と蝶
花が女か 男が蝶か
蝶のくちづけ うけながら
花が散るとき 蝶が死ぬ
そんな恋する 女になりたい
   花が咲くとき 蝶が飛ぶ
   蝶が死ぬとき 花が散る
   ・・・ どちらも どちらも 命を賭ける
花のいのちは 短いけれど
蝶のいのちも はかなくて
・・・ そんな恋する 二人になりたい
ひとりぐらし
頬のほくろに墨を入れ
もっと不幸になれという
そんな女が酔いどれて
歌う酒場の夜ふけ頃
ふたりぐらしは昨日まで
今日からひとり ひとりぐらし
   宵の曇りが真夜中は
   先も見えない土砂降りで
   いっそ朝まで飲みたいと
   細いうなじを傾ける
   ふたりぐらしは昨日まで
   今日からひとり ひとりぐらし
たった一人の弟が
所帯もったという便り ・・・
ネオンごころ
ほれちゃいけない 人だけど
ほれておぼれて 死にたい気持
辛い逢いたい ただそれゆえに
酒と涙が ネオンごころを 濡らす夜
   今日の化粧は 昨日とは
   かえてみたけど かわらぬつらさ
   無理に私が 私をよわせ
   やけになりそな ネオンごころの たよりなさ
うそのまじらぬ 恋をして
一度燃えたい あなたの胸で ・・・
ひとり酒場で
ひろい東京に ただ一人
泣いているよな 夜が来る
両手でつつむ グラスにも
浮かぶいとしい 面影よ
夜の銀座で 飲む酒は
なぜか身にしむ 胸にしむ
   嘘で終わった 恋なんか
   捨てて忘れて しまいたい
   男の意地も おもいでも
   流せ無情の ネオン川 ・・・
暗い東京の 酒場でも
夢があるから 酔いにくる
今夜はとても 淋しいと
そっとあの娘が 言っていた ・・・
花と涙
愛のしとねに 身を横たえて
女は花になればいい
男は男は
どんなに激しく想っても
口に出せない
口に出せない愛もある
   花のほほ笑み 夢かぎりなく
   女は明日を待てばいい
   男は男は
   しあわせ あたえる その日まで
   つらさかくして
   つらさかくして 生きている
花の命は短かいものと
女は甘えてよりかかる ・・・
火の女
あなたの涙は 作った涙
ゆるしてくれよと 口先ばかり
それであなたは すむのでしょう
けれども わたしは忘れない
泣いたり しないわ
恋をする 火の女
   あなたは戯れ わたしは真実
   命の灯りを 消されたならば
   赤い血潮は 枯れるでしょう
   けれども わたしは 生きている
   わたしは 泣かない
   恋をする 火の女
あなたは はなれる
わたしは とまる
・・・ わたしは 死なない
恋をする 火の女
止まり木のブルース
だますつもりがだまされて
本気になった 恋の道
遊びに慣れてるふりしても
惚れたら最初の初心になる
ひとに知られて困るのは
私の方じゃないけれど
他人の顔して すれ違い
ひそかに小指をからませる
男と女の とまり木は
一幕芝居 夢芝居 しゃがれた声のブルースよ
   逃げるつもりの 男なら
   逃がしておやり追わないで
   愛したつもりが嘘ならば
   ふられたことさえ嘘になる
   化粧変えたり濃くしたり
   自慢の髪も カットして
   昨日の私は 姉なのと
   くわえ煙草に火をつける ・・・
八甲田
恥じないだけの 生き方したつもり
黙して語らぬ この旅を
吹雪く火の雪 八甲田
抱いてくれるか あの日のように
雄々しくて また遠く
凛々しくて また近く
雪よ おまえと 話しがしたい
   つまずくたびに どうして来るのだろう
   この雪どこまで あたたかい
   ここにまた立つ 八甲田
   生きる力を 誰よりくれる
   男なら 強くあれ
   労れる 人であれ
   雪よ 帰ると 伝えておくれ
北の大地よ 八甲田
俺もも一度 出直せそうさ ・・・
悲恋
夜明けに小雨が 残る頃
港で汽笛が むせぶ頃
どこへ行くのか 顔かくし
小さい荷物の 二人づれ
恋とよぶには 悲し過ぎ
声をかけるもつらくなる つらくなる
   行く人来る人 空港の
   ロビーで二時間 待つ女
   吸ったたばこが 目にしみて
   まだ来ぬ男に 涙ぐむ
   恋とよぶには 悲し過ぎ
   うしろ姿を見るばかり 見るばかり
地の果て行きの 汽車に乗り
窓から想い出 捨てる人 ・・・
挽歌の街から
返せない指輪を そっと抱き
あなたの知らない人と 旅に出ました
絵葉書にやっと 一行だけ
淋しい季節ですね…と 綴って泣いた
恨んで下さい 憎んで下さい
あきらめさせてください
さよなら…あゝさよなら
裏切るしか さよならが言えません
   これきりと 逢うたびこれきりと
   思って一年が過ぎ そして一年…
   抱きしめて一緒に行こうねと
   約束した北の街 憶えてますか
   叱って下さい 笑って下さい
   哀しい女だと 私を ・・・
恨んで下さい 憎んで下さい
あきらめさせてください
さよなら…あゝさよなら
裏切るしか さよならが言えません
引越し
またひとりになりました
何度目でしょうか
引越し荷物もそのままで
窓辺で紅茶を飲んでます
恋が終ったその後は
同じ部屋には住めないくせが
今ものこっているのです
私は駄目な女です
   またひとりになりました
   何度目でしょうか
   想い出のこった品物が
   段々少なくなってます
   恋はここらでやめにして
   そっといようと考えるけど
   それもいつしか忘れます ・・・
冬桜
咲いて淋しい一輪ざしを
おまえのようだと 肩を抱く
むすべない 恋なら
生きる甲斐もない
いっそあなた あなたに散りましょう
どうせ この世は短いゆめ芝居
   もえて悔いない 一夜の夢を
   かんでも 噛んでも 漏れる息
   運命ゆえきれない
   恋の糸ならば
   いっそ死んで 死んで どこまでも
   堕ちてゆきたい あなたと身をからめ
こすに越せない 浮世の川を
流れてゆくしかないのです
・・・ ふたり春には 咲けない冬桜
冬の桑港
あなたの心から 旅立つなら
想い出さえついてこない 冬の桑港
見送る人もない 夜霧の空港
硝子窓のむこう側に 過去を残して
あゝ泣き濡れるほど 今では若くないけど
あゝこんなに人を痛いくらい 愛したなんて
もうふたりを つなぎとめる
心さえ この都会に捨ててゆくから
   あしたに悲しみを 連れてくなら
   涙も凍らせてしまう 冬の桑港
   身体の淋しさを ワインで酔わせて
   満ちたりてたあの日だけを 夢に誘って
   あゝ優しくされた やきつく愛は深くて
   あゝうしろ髪ひく 胸の慕い消せないけれど ・・・
冬の旅
ある日何かで これを読んだら
恋人 あなたは わかってくれ
泣いて一生 むだに暮らすな
すぐにも 幸せ さがしてくれ
もうあなたの所へは 帰らないだろう
一人一人旅に立つ 雪の降る街へ
   もしも誰かに たずねられたら
   あいつは だめだと 話してくれ
   女心を 知らぬ奴だと
   話を 合わせて けなしてくれ ・・・
だからあなたも 部屋をかたずけ
二年の 暮らしを 忘れてくれ
おれのにおいが 残るものなど
一つも 持たずに 歩いてくれ ・・・
夢をかざって
困らせないでよもうこれ以上
痩せてしまうわ惚れてる限り
夢を夢を夢を飾って生きてく為に
あなた一途に信じてる
裏切らないで裏切らないで
わたしの恋を
   あなたが笑ったその横顔を
   見れば心の傷みも解ける
   夢を夢を夢を飾って一人で泣いた
   涙いちりん口紅の色
   みんな消えますみんな消えます
   重ねた肌に
こうなる筈ではなかったけれど
これでいいのよ私のいのち ・・・
夜の走り雨
屋根を濡らして 雨が降る
夜の新宿 駅裏を
消えたネオンの 残り火うけて
傘もささずに 帰りを急ぐ
女泣かせの 女泣かせの走り雨
   人がいぶかる 訳を聞く
   捨てておいてと 酒の息
   酔いがさめれば あの人想い
   酔えばなおさら 忘れられない
   鼻緒切らして 鼻緒切らして雨やどり
同じ雨でも 私には
かわく間もない 酒場雨 ・・・
夢をつづけて
瞳とじれば みえてくる
そっとほほえみ みつめる誰か
心の中に ぬくもりで
ひとつの光 ともしてくれた
   夢をつづけて とまどう私に
   言わないでほしい さよならだけは ・・・
面影ゆれて ふりむけば
そっとうつむき 去りゆく誰か
はかなさゆえに いとおしい
生きる喜び 教えてくれた
   明日をください こごえる私に
   いわないでほしい さよならだけは ・・・
夢をつづけて とまどう私に
言わないでほしい さよならだけは
どうぞお願い 時間を止めて
いつまでも そばにいてほしい
夜行列車
ほんとにひと駅だけだぜ
夜行列車に君を乗せたよ
手のひらの冷たさは
君の生きてた街の冷たさ
そんなそんな淋しげな 瞳をするな
わかったよ 兄貴づらなんか
似合わないって いうんだろ
   ほんとは今でも分らない
   ここにいるのが 自分なんだろかも
   夏みかんむく指に
   涙ひとつぶ落ちて光った
   いつかいつか くやんでも しらないぜ
   わかったよ もう泣くんじゃない
   みんなこっちを 見ているよ
まだまだ 遅くは ないんだぜ
次の駅でも きっと帰れるさ
・・・ 朝まで眠って いいんだから
ライラ ライ
高速の駐車帯に車をとめて
ハンドルにしがみついて泣いている男を見た
街の明かりはいつものように
夜をかざってる
渋滞の果てには家族の小さな家
   「ハワイに行ってみたいなぁ」
   おふくろがつぶやいて
   いつでも連れてってやるよと 笑ってこたえた
   どんな海だって 青くきれいだよ
   働いて 働いて いい人だったと悔やまれる
ライラ ライラ ライラ ライラ…
少し休んで また歩こうか
   たばこも酒もやめたから いまはとても健康
   結構まじめにしているやからはいつも得をする
   誰が好きだとか嫌いとかで 何かを棒に振る
   自分を元気にするものだけポケットにつめこんでる
ライラ ライラ ライラ ライラ… ・・・
冬のリヴィエラ
彼女によろしく伝えてくれよ
今ならホテルで 寝ているはずさ
泣いたら窓辺のラジオをつけて
陽気な唄でも聞かせてやれよ
   アメリカの貨物船が 桟橋で待ってるよ
冬のリヴィエラ 男って奴は
港を出てゆく 船のようだね
哀しければ 哀しいほど
黙りこむもんだね
   彼女は俺には過ぎた女さ
   別れの気配をちゃんと読んでて
   上手にかくした旅行鞄に
   外した指輪と酒の小壜さ
やさしさが霧のように ・・・
   冬のリヴィエラ 人生って奴は
   思い通りにならないものさ
   愛しければ 愛しいほど
   背中合わせになる
皮のコートのボタンひとつ ・・・
   冬のリヴィエラ 男って奴は
   港を出てゆく 船のようだね
   哀しければ 哀しいほど
   黙りこむもんだね
夢という名の女
秋が傾き冬になり
人が人恋う黄昏に
思い出すのはみちのくの
雪にうもれた港町
夢という名の あの女
夢もないのに 夢もないのに
何故か夢という
   窓に木枯し吹き荒れて
   人の心のうそ寒さ
   酒を入れても歌っても
   まぶたかすめる港町 ・・・
酔ってつぶれてまどろんで
とぎれとぎれの夢を見る
不幸つづきの女でも
抱いて眠らす港町 ・・・
林檎抄
ひとりの女が林檎をかじりながら
私の部屋にやって来たのは
灰色の長雨に くさくさしていた午後でした
   不幸と土産とさびしく笑いながら
   ホットな酒をのんでいるのは
   その昔 少しだけ 心をかわしたひとでした
何も話すなよ 何も聞かないから
居心地がいいのなら いつまでもいるがいいよ
   ひとりの女が林檎を一つ残し
   私の部屋を出ていったのは
   待ちわびた夏の陽がぎらぎら輝く朝でした
不幸が好きだと 唇ゆがめながら
男のもとへ去って行くのは
運命に流されて おぼれているよなひとでした
   ・・・ ひからびた林檎だけ テーブルに置いておくよ
ワインレッドの心
もっと勝手に恋したり
もっとKissを楽しんだり
忘れそうな想い出を
そっと抱いているより
忘れてしまえば
   今以上 それ以上 愛されるのに
   あなたはその透き通った瞳のままで
   あの消えそうに燃えそうなワインレッドの
   心を持つあなたの願いが かなうのに
もっと何度も抱き合ったり
ずーっと今夜をゆれ合ったり
哀しそうな言葉に
酔って泣いているより
ワインをあけたら
   今以上 それ以上 愛されるのに
   あなたはただ恥らうよりてだてがなくて
   あの消えそうに燃えそうなワインレッドの
   心をまだもてあましているのさ この夜も
・・・ 心を写しだしてみせてよ ゆれながら
別れの接吻
霧が流れてる
あなたは帰る 別れの朝
ゆれてる あなたの肩に
何かいいたい 何もいえない
誰をうらんだらいいと
涙ためながらいった
それが あなたの くちぐせ
たった一夜だけの 愛の終り
   とめてやれぬ せつなさ
   わけを話せない 悲しさ
   こんな思いだけは
   二度ともう させたくない
   いつかは この両手で
   あなたを 強く抱きしめ
   これが愛だといえる
   雨になりそうな空を
   じっと見上げては思う
傘を持たない あなたが
濡れてとても可哀想に思う
・・・ いつかは この両手で
あなたを 強く抱きしめ
これが愛だといえる
夜霧の第二国道
つらい恋なら ネオンの海へ
捨てて来たのに 忘れてきたに
バック・ミラーに あの娘の顔が
浮かぶ夜霧の ああ第二国道
   花の唇 涙の瞳
   想い出さすな 帰らぬ夢を
   ヘッド・ライトの 光の中に
   つづくはてない ああ第二国道
闇を見つめて ハンドル切れば
・・・ 濡らす夜霧の ああ第二国道
望郷
女心の 故郷は
忘れたはずの 男の胸よ
爪をかむのは 誰のため
しのび泣くのは誰のため
永遠に愛して 離さずに
あなたに会いたい 遠い遠い ひとだけど
   夜汽車にゆられ 幾時間(いくじかん)
   あなたみたくて帰ってゆくの
   甘えたいのよいつの日も
   見てて欲しいのいつだって
   泣いて別れた 北国の
   離ればなれの 遠い遠い ひとのため
幸せ薄い 私にも
いつかくるのね女の春が ・・・
わたしの愛
憎らしい あなたの言葉に
傷ついた ふりしてるけど
それは嘘 ほんとうは
大好きよ くやしいけれど
だれよりも あなたの心に
ながいこと 住んできたから
なにもかも わかるの
それが わたしの愛
ふたりで 暮らすということは
なにかを 失うことだけど
あなただけは 夢をすてずに
生きてほしいの
ほら あの広い 空に流れる
自由な雲の ように
また 強がりを 言ってるねと
きっと 笑われ そうだけど
   以前から 感じていたけど
   ときどき ふっと黙り込む
   さみしげな あなたが
   気になるの 言わないけれど
   ・・・ ほら ちょっぴり 涙も出るけど
   それが わたしの 愛だから
港町ブルース
背のびして見る海峡を
今日も汽笛が遠ざかる
あなたにあげた 夜をかえして
港、港 函館 通り雨
   流す涙で割る酒は
   だました男の味がする
   ・・・ 港、宮古 釜石 気仙沼
出船 入船 別れ船
あなた乗せない帰り船
うしろ姿も 他人のそら似
港、三崎 焼津に 御前崎
   別れりゃ 三月 待ちわびる
   女心のやるせなさ
   ・・・ 港、高知 高松 八幡浜
呼んでとどかぬ人の名を
こぼれた酒と指で書く
海に涙の ああ愚痴ばかり
港、別府 長崎 枕崎
   女心の残り火は 燃えて身をやく桜島
   ここは鹿児島 旅路の果てか
   港、港町ブルースよ
道標
振り向けば 咲く想い出
ばかな事もしたと そう笑えるけど
   つまずき、転んでは、立ち上がり
   あらがい、叫んで、乗り越えた
   不器用だった、裸足の日々はいまも
   この胸に息づいてる
ああ 終わりなき 道の果てに答えがある
そう信じて 一歩、一歩、歩いて来ました
しあわせを探しながら
   そう、心は あの日のまま
   情熱の鼓動を 刻み続けてます
未来が見えないと嘆いては
誰もが肩を落とすけれど
明日も見えない場所にいた少年が
まだここに暮らしてます
   ああ 終わりなき 道の果てに見つけるのは
   投げ出さずに 生きて、生きて、生きて来た標(しるし)  ・・・
しあわせを探しながら
吾亦紅
マッチを擦れば おろしが吹いて
線香がやけに つき難(にく)い
さらさら揺れる 吾亦紅
ふと あなたの 吐息のようで…
盆の休みに 帰れなかった
俺の杜撰(ずさん)さ 嘆いているか
あなたに あなたに 謝りたくて
仕事に名を借りた ご無沙汰
あなたに あなたに 謝りたくて
山裾の秋 ひとり逢いに来た
ただ あなたに 謝りたくて
   小さな町に 嫁いで生きて
   ここしか知らない 人だった…
   それでも母を 生き切った
   俺、あなたが 羨ましいよ…
   今はいとこが 住んでる家に
   昔みたいに 灯りがともる
   あなたは あなたは 家族も遠く
   気強く寂しさを 堪えた
   あなたの あなたの 見せない疵(きず)が
   身に沁みて行く やっと手が届く
   ばか野郎と なじってくれよ
親のことなど 気遣う暇に
後で恥じない 自分を生きろ
あなたの あなたの 形見の言葉 ・・・
待たせたね
いたずらに時は過ぎ 気がつけばなにもない
この心 いやすのは お前ただ一人
   待たせたね長い事 一人きり
   泣きぬれる 夜は もうさよならさ
   もうすぐさ この腕に だきよせて
   はなさない はなれない もう二度と
幸せにさまよえば 人なみに流されて
この心 あたためて くれる人がいる
待たせたね長い事 一人きり
泣きぬれる 夜は もうさよならさ
もうすぐさ この腕に だきよせて
はなさない はなれない もう二度と
   待たせたね長い事 一人きり
   泣きぬれる 夜は もうさよならさ ・・・
湯の町別れうた
潮風はあまく 黒髪をゆらす
霧雨は重く 肩先をぬらす
ここは湯の町 しのび逢う町
死ぬほど悩んで 死ぬほど泣いて
あなたは別れを ためらうばかり
   私ならいいの このままでいいの
   待ちわびていつか 逢えればいいの
   だけどあなたを 苦しめるなら
   一生一度のこの恋だいて
   私はひっそり 身を引くだけよ
あしたまでせめて 恋人でいましょ
・・・ 明日は笑って 見送りましょう
慕情〜天草の女〜
送っちゃいやよと 強がって
あなたと別れる 連絡船
この身が二つに 裂けるなら
あなたに残して 行きたくて
つらいのよ つらいのよ
天草の恋が散るとき
   いつかは終わって しまうのね
   男と女の 恋の旅
   あしたを信じて いたけれど
   いまでは他人に なる二人
   好きだった 好きだった
   天草の恋が散るとき
二度と逢うまい すがるまい
どうにもならない 恋だもの
・・・ 天草の恋が散るとき 
 
 
 

 

八代亜紀 
(1950 - ) 日本の演歌歌手、女優、タレント、画家。本名、増田 明代(ますだ あきよ)。旧姓、橋本。熊本県八代市出身。読みは異なるものの、芸名は出身地の八代(やつしろ)市から採っている。
幼少の頃から父親の歌う浪曲を子守唄代わりに聴きながら育つ。そうした影響もあり、八代は歌好きの子供になり、地元の歌唱コンクールなどにも出場していた。
八代が小学5年生の時、たまたま父親が買ってきたジュリー・ロンドンのレコードを聴き、そのハスキーボイスに魅せられる。もともと自身もハスキーボイスの持ち主だった八代は、その声に若干のコンプレックスがあったが、ジュリーの声質に勇気づけられ、クラブ歌手になることを意識するようになる。
中学卒業後、地元熊本のバス会社九州産業交通(現:九州産業交通ホールディングス)のバスガイドとして勤務していたが、15歳で父親の反対を押し切り上京。銀座のクラブ歌手となり、スタンダードやポップスなどを歌った。
1971年にテイチクより「愛は死んでも」でデビュー。読売テレビのオーディション番組『全日本歌謡選手権』に出場して10週連続勝ち抜きでグランドチャンピオンとなる。1973年に「なみだ恋」が120万枚とヒットした後も「しのび恋」「愛ひとすじ」「おんなの夢」「ともしび」「花水仙」「もう一度逢いたい」「おんな港町」「愛の終着駅」など、女心を歌った歌で次々とヒット曲を連発する。
1979年に新境地を開拓した初の男歌「舟唄」が大ヒットし、1980年に発表した「雨の慕情」で日本レコード大賞を受賞する。これら2曲は「港町絶唱」と共に阿久悠、浜圭介、竜崎孝路のコンビによる「哀憐三部作」とされ、NHK紅白歌合戦では2年連続大トリを務めて“演歌の女王”と称された。
1982年、センチュリーレコードへ移籍して「海猫」「日本海」「恋瀬川」などを発表する。
1986年に日本コロムビアへ移籍して現在まで所属している。1990年の「花(ブーケ)束」はポップス調のバラードで、ファン層以外の支持も受けロングセラーとなった。
2012年、日本コロムビアに所属しながら同社了承の下で、小西康陽プロデュースによるジャズアルバム『夜のアルバム』をユニバーサルミュージックジャパンから発売して世界75か国で同時配信され、歌手活動42年目で世界デビューする。マレーシアのiTunes Storeジャズチャートで1位、シンガポール2位、台湾4位、香港7位、オリコン・アルバムチャートのデイリーチャートで最高9位、週間チャートで最高20位を記録し、ヒット作となった。オリコン・アルバムチャートTOP20入りは34年ぶりである。11月9日にジャズ歌手としてブルーノート東京のステージに立った。
2013年3月27日にニューヨークの名門ジャズクラブ・バードランドでライブを開催し、八代が憧憬するヘレン・メリルをゲストに招き初共演し、4月29日にライブの模様がNHK総合テレビでドキュメンタリー番組『演歌の女王 ジャズを歌う〜八代亜紀・ニューヨークでの挑戦〜』として放送される。同番組が反響を呼んで8月21日に当日のライブを収録したアルバム『夢の夜〜ライヴ・イン・ニューヨーク』が発売され、9月7日に開催されたジャズ・フェスティバル「第12回 東京JAZZ」に出演するなど、現在は演歌のコンサートと並行しジャズライブも積極的に実施している。
2015年10月、寺岡呼人プロデュースによる初のブルース・アルバム『哀歌 -aiuta-』を発表し、11月に3年ぶりにブルーノート東京で『AKI YASHIRO "aiuta" Special Night』を、12月に東京国際フォーラムにて『八代亜紀 "哀歌" クリスマスコンサート』を開催する。
2017年10月、ジャズアルバム第2弾となる『夜のつづき』を発売し、前作『夜のアルバム』に続いてiTunesジャズチャートで1位を獲得する。同作品の発売を記念して11月にブルーノート東京、12月にビルボードライブ大阪、2018年1月にブルーノート名古屋でジャズライブを開催する。
年間を通じて全国を巡るコンサートやディナーショーは演歌・ジャズ・ブルースを構成した内容で、ジャンルレスを掲げた公演を続けている。
演歌歌手では珍しく全盛期の楽曲全てが連続ヒットし、女性演歌歌手の中では総売上枚数がトップである。オリコンのシングルチャートにおけるトップ10獲得作品数も通算7作で、2011年6月に水森かおりが8作連続シングルチャートトップ10を更新するまで、女性演歌歌手歴代1位を続けた。アルバムも好評で、オリコンの総合アルバム・チャートのトップ10に5作品があり、演歌歌手としては氷川きよし、五木ひろし、森進一に次ぐ第4位である。総合アルバムチャート・トップ10獲得連続年数は1974年から1976年まで3年連続で、オリコンによれば2007年9月現在で演歌歌手として、7年連続の氷川きよし、4年連続五木ひろしに次ぐ第3位である。
夫はマネージャー。父の助言で八代からプロポーズしたという。 
■演歌・ジャズ・ブルース・ロック、全て音楽は一緒 
『舟唄』『雨の慕情』など、日本人の心に染みる演歌を歌ってきた八代亜紀が今、悠々とジャンルの壁を超え、ファン層を広げている。2017年秋、小西康陽(元ピチカート・ファイヴ)プロデュースのジャズアルバム第2弾『夜のつづき』を発売。2018年4月にもジャズの殿堂、ブルーノート東京でライブを行った。芸歴48年目を迎えるベテランが新境地に挑む姿は、実に自由で爽快だ。
発端となったのが、2012年に小西プロデュースで出したジャズアルバム『夜のアルバム』。国内の各ジャズチャートを席巻するヒットとなり、世界75か国に配信。翌年にはニューヨークの名門ジャズクラブ「バードランド」でライブを行った。2015年、今度は『哀歌-aiuta-』というタイトルのブルースアルバムを発売。さらに、フジロックフェスティバルなど野外のロックフェスにも参加した。「何万人もの若者がウォーって地響きのような歓声を上げて。フェスは本当に気持ち良くてクセになります」と、笑顔がはじける。
最新作『夜のつづき』は、『夜のアルバム』から5年ぶりとなったジャズアルバム第2弾。「小西さんが5年の間、八代亜紀に歌わせたいものを選曲してくれたそうなの。遊び心がいっぱいあって笑ってしまう曲も多かった」。1曲目、『帰ってくれたら嬉しいわ (You’d Be So Nice To Come Home To)』は、「ユー・ビー・ソウ〜♪」という歌い出しを、小西が「指を〜」と音をなぞりつつ意味も成立させる絶妙な日本語詞を書いた。『赤と青のブルース』では、少女のようなキュートな高音を聴かせる。「小西さんが『17歳になったつもりで歌ってください』と言ったけど、せいぜい36歳かな。でも、声音変えるのは時々やるの。お芝居するのが大好きだから」とほほ笑む。ジャズ以外にも、水原弘の『黒い花びら』も。「『どっぷり流行歌で大丈夫?合いますかね?』と最初は心配したんですけど、いいアレンジでね。ロサンゼルスや台湾の公演でも拍手喝采。スタンディングオベーションだったの」
異ジャンルへの挑戦を厭わない姿勢は、そもそも八代の生い立ちにある。音楽の原点は、幼少時に父親に抱かれながら聴いた浪曲。12歳の時、父親がなぜか買ってきた、ジャズシンガーのジュリー・ロンドンのレコードに夢中になり、ジャズの練習に励んだ。歌手としての出発点も16歳の時、銀座のクラブで歌ったジャズだった。「音楽評論家の方に言われたの。浪曲とジャズのミックスが八代演歌だって」
独りよがりにならず聴き手に寄り添い、泣かせる演歌の真骨頂を会得したのも、銀座のクラブシンガー時代だったという。「私は、歌の主人公にはなりきれないの。代弁者なの。感性が強いのかな。経験してないんだけど、魂が受け取るの」。2歳の時、父がラジオで聴いた浪曲での母子の悲しい場面で「かわいそう」と泣いたり、小学校の音楽ではクラシックを聴いた感想に「朝もやの中に橋があってぼやけている。そこで男の人と女の人が抱きしめ合っている」などと書いたり。幼い頃から備わっていた感受性の強さは、親や教師を驚かせていた。だからこそ、八代は自信を持って言い切る。「演歌、歌謡曲、ロック、ジャズ、ブルース、浪曲。音楽は一緒、感情は一緒ですからね」。
従来の八代演歌ファンも、最近はジャズも喜んで聴いてくれるようになったという。「今度は、若者にも演歌っていいよって教えてあげたい。だって、(2013年にライブを行った)バードランドでも『舟唄』で泣いた人がいるのよ」
ジャンルにとらわれず、まさに音楽そのものを楽しんでいる充実感にあふれた笑顔で語ってくれた。 
■演歌歌手・ジャズシンガーとしてのルーツ
隔週木曜日の20時〜21時にInterFM897でオンエアされているラジオ番組『KKBOX presents 897 Selectors』(以下、『897 Selectors』)。一夜限りのゲストが登場し、その人の音楽のバックボーンや、100年後にも受け継いでいきたい音楽を紹介する同番組では、ゲストがセレクションし、放送した楽曲をプレイリスト化。定額制音楽サービスKKBOXでも試聴できるという、ラジオと音楽ストリーミングサービスの新たな関係を提示していく。12月7日の放送には、八代亜紀が登場。“自身が影響を受けた音楽”と“100年後に残したい音楽”を紹介する。今回はそのプレイリストから彼の音楽性を掘り下げるべく、同回の収録現場に立ち会った模様の一部をレポートしたい。
八代亜紀がまず自身のルーツとして挙げたのは、ジュリー・ロンドン歌唱バージョンの「Fly Me To The Moon」。八代がジャズの名曲として知られる同曲に出会ったのは12歳のときで、父がジャケ買いしたレコードからの影響だったという。当時、ハスキーな声にコンプレックスがあった八代だが、ジュリー・ロンドンのハスキーかつカッコいい声に惹かれ、「この曲を覚えたい、こういう歌を歌いたい」と思ったことが、歌の道を志すきっかけとなった。また、その頃に八代の父が独立して会社を作り、苦労をしていたのを見たことや、ジュリー・ロンドンの影響で一流の歌手はクラブシンガーのことだと思っていたことから、自分が歌手になって家を支えなければと、使命感に燃えたそうだ。
八代は演歌歌手としての活動だけでなく、2012年に小西康陽プロデュースによる初の本格ジャズアルバム『夜のアルバム』をリリースし、ジャズシンガーとしての地位も確立しており、「Fly Me To The Moon」も同作で歌ったうちの一曲だ。しかし、彼女のジャズ・ボサノヴァへの興味は、幼い頃から原点として存在していたということが、この日のトークからもよくわかった。
続いて「10代20代の節目となった曲」として挙げたのは、The Beatlesの「Rock and Roll Music」(アルバム『Beatles for Sale』収録)。八代は歌手を目指したものの、人前に出るのが苦手だったため、それを克服するためにバスガイドを経験したそうだ。その当時、八代の父が家具ほどの大きさのステレオを購入し、触発された八代は父からアドバイスを貰いながら『Beatles for Sale』のレコードを購入。ビートの効いた同曲を良い音響で聴くことにより、ビートルズにハマったという。
また、中盤では「音楽を始めてから影響を受けた曲」として、美空ひばりの「三味線マドロス」をピックアップ。幼い頃から美空ひばりのファンだという八代だが、歌手デビュー初日に美空と遭遇し、「テレビの収録前に音合わせをしていたら、ひばりさんが入ってきたんです。なのでマイクを譲ったら『ありがとう、今日は歌の上手い子が来てるから負けないように頑張らなきゃ』と言ってもらえて、歌手としての自信がつきました」と、自身のキャリアに与えた大きな影響についてコメント。そのなかでも同曲は、八代の十八番だという。
そして、同じテーマの2曲目にはマイケル・ジャクソン「スリラー」をセレクト。美空ひばりとマイケル・ジャクソンとはまた個性的なチョイスだが、八代曰く、マイケル・ジャクソンはリアルタイムで好きになり、初めての日本公演にも足を運んだそう。彼の楽曲について、「リズムとダンスと歌の全部が良いし、パフォーマンスする姿を見るとドキッとする。声もカワイイですからね」と存分にその魅力について語った。
なお、番組ではほかにも、八代亜紀の“100年後に残したい音楽”として、「カバーも経験したフォークの名曲」や、「熊本に住んだ経験もあるというシンガーが歌う、ジャズのスタンダードナンバー」を紹介したり、10月にリリースしたジャズアルバム『夜のつづき』についてのトークも行われた。
1970年代から今日まで、「演歌の女王」として活躍を続けた八代だが、ジャズシンガーとしての進化には、様々なジャンルからの影響も存在していた。今回紹介したプレイリストと、2010年以降の彼女の楽曲を聴き比べることで、その変化の理由を学ぶことができるはずだ。 
■絵画 
最近、趣味で絵画を描いている芸能人や歌手の方が数多くおり、テレビ番組でもその腕前を披露したり、チャリティーバザーなどの企画で絵を売ってアフリカに学校を建てたりしている方がたくさんいらっしゃいます。その中でも、今回は歌手として、そして画家としても活躍中の八代亜紀さんにスポットライトを当てたいと思います。
八代亜紀は1950(昭和25)年に、熊本県八代市で生まれました。幼少のころから父親の歌う浪曲や子守唄を聞きながら育ったため、八代亜紀さん御本人も歌の上手な少女だったそうです。中学卒業後に地元熊本のバスガイドとして働きますが、歌手になる夢を捨てきれず上京し、銀座のクラブで歌手として働き、主にポップスなどを歌いながら生計を立てていました。21歳の時にプロ歌手としてデビューした後は、歌謡コンクールで優勝し一気にその名前が全国に広まり、さらに23歳の時に出した「なみだ声」が大ヒットし、名実ともに売れっ子演歌歌手へと上り詰めました。その後は「おんな港町」や「雨の慕情」など数々のヒット曲を世に送り出し、最近ではジャズ歌手としてブルーノート東京や東京ジャズなどにも出演し、またボランティア活動の一環として全国の女子刑務所に慰問にまわったり、ペルーに工業技術学校を設立したりと、その活躍の場を広げています。
そんな八代亜紀さんが絵画とであったのは、少女時代。外で遊ぶのが好きなおてんば娘だったのですが、雨の日に家の中で絵を描くほうがもっと好きだったそうです。幼少時代によく描いていたのが少女の絵で、特にドレス姿の女の子を好んで描いていました。また、クラスでも「売れっ子漫画家」として活躍していました。というのも、八代亜紀さんの幼少時代というのはまだ漫画が安く手に入る時代では無かった為、八代さんがオリジナルの漫画を制作していました。かなりの評判だったようで、八代さんの新作漫画を待ち遠しにしていたそうです。歌手になってからも絵を描き続けていたそうですが、時間を忘れて一心不乱に制作活動に没頭していた為、気づいたら夜が明けていたということも少なくありませんでした。「本業の歌に支障をきたすことのないように」と当時マネージャー(八代さんの夫)からたびたび注意を受けたそうですが、それでも顔に絵の具をつけて仕事場に現れていたそうです。結局、絵を描く日がスケジュールに組み込まれるようになりました。
以前は風景の水彩画を描いていた八代さんですが、20年ほど前、油彩に切り替えたのをきっかけに静物画に転向。主題も大きく変化しました。それは、「幼き日の思い出」を描くということです。幼き頃に、野の花を見てスケッチブックにただひたすら描く。おもちゃを持ってきて、それをただひたすらに描く。これを大人になってから表現するのがとても面白い、ということに気付き、それ以来子供の頃に良く描いていた少女や猫の他にも、草花、紙風船、けん玉、シャボン玉に折鶴のほか、バスケットや麦わら帽子など、子ども時代に慣れ親しんだものをたくさん描くようになりました。やはり今回ご紹介する絵を見てもどこか優しさと懐かしさにあふれていますね。絵画をお描きになるタレントさんが最近では多いですが、八代亜紀さんの作品は人を魅了する芸術作品にまで、その技術や概念が昇華しています。いずれは美術館に飾られてもおかしくないと私は思います。八代亜紀さんの作品は、決して芸能人が趣味で描いた作品ではなく、きちんと芸術として認められたものです。市場でも非常に高く評価されていますし、何より見る人に安心感を与えます。八代亜紀さんの人となりがわかる、そんな作風ですね。いち絵画ファンとしては、これからも歌手として、そして画家として 八代亜紀さんが活躍することを切に祈るのみです。 
■海外で高評価…“趣味”で広がる50歳からの人生 
かつては「時間つぶし」や「手なぐさみ」的なイメージの強かった主婦の“趣味”が変わり始めているという。
実際、子育てが一段落した50代以降の主婦が、手芸や読書といった趣味にのめり込むケースはこれまでも少なくなかったが、その多くは「作って終わり」「読んで終わり」になりがちな“自己完結型”だった。
しかし、そんなOVER50の主婦の趣味にも、時代の波による変化が起きているという。
「昔と比べると、趣味は世代間交流のツールとして機能しています。習い事やお稽古の種類も多様化していますし、『コミュニケーション』を重視している方が多いですね」
そう語るのは、趣味と資格のスクール情報を30年近く発信しつづけている『ケイコとマナブ』の正田彩佳さん。
女性の平均寿命が87歳を超えたいま、50歳はまだまだ人生の折返し点をちょっと過ぎたあたりだ。
インターネットが普及したこともあり、趣味で世界が広がったという人だけでなく、中には、新たな仕事を生み出した人も!
「自分で時間とお金をつぎ込んで幸せを感じるものが“趣味”だとするなら、自分の技術をお金がもらえるレベルにまで高めたものが“特技”だといえます。
趣味は時間と経験が豊富なほど上達しますので、そうした“特技”につながりやすい。同じ20代で手芸を始めた人であれば、30代より50代のほうが、特技になりやすいといえるでしょう」(正田さん)
最近ではハンドメード作品を販売するアプリが人気を集めたり、特技と仕事をマッチングするサイトができたりと、一般の主婦が特技をお金に変える環境も増えつつある。
また、趣味とは異なるかもしれないが、主婦ならではの、家事や育児などのスキルが仕事に結びつく可能性があることも、現代ならではといえるだろう。
趣味が仕事につながっているのは、芸能界でも同じこと。ベテラン芸能リポーターの城下尊之さんに、OVER50の女性有名人たちの趣味事情について聞いた。
「その世代の芸能人の趣味といえば、まずはキャシー中島さん(66)のハワイアンキルトが代表格。もはやその道の第一人者で、各地にお店や教室を構えるなど、こちらが本職になる勢いです(笑)。また、八代亜紀さん(67)の絵画の腕前も有名ですね。フランスのル・サロン展で5年連続入選、永久会員になるほどです。…
五月みどりさん(78)も二科展で2年連続入賞しているほか、近年では特技(?)の腹話術が若者からも大評判となっていますよ」(城下さん・以下同)
そのほか、男性顔負けの趣味で脚光を浴びる人も!
「かつてはお嫁さんにしたい女性の代名詞だった女優の市毛良枝さん(67)は、いまや芸能界イチの登山家。スポーツ雑誌で特集されるほどの、本気のアウトドア派です。同じく女優の田中美佐子さん(58)は、最近では豪快にメバチマグロを釣り上げる姿が話題。オールドファンはビックリしつつも、往時を知らない若い層からは『男前!』と新たな人気を得ています。みなさん、もともとは自分のために始めた趣味だと思いますが、それが新たな魅力となり、結果的に仕事にもつながっているのでしょうね」
有名無名問わず、人生の後半戦に新しい「自分」をもたらしてくれる――。それこそが「趣味」の最大の醍醐味なのだ! 
■「哀歌-aiuta-」 八代亜紀と寺岡呼人の対談 
八代亜紀がブルースを歌うアルバム「哀歌-aiuta-」を、10月28日にリリースする。本作は演歌歌手として長年にわたり活躍してきた八代が、寺岡呼人をプロデューサーに迎えてブルースに挑戦したアルバム。「St.Louis Blues」「The Thrill Is Gone」といったアメリカのスタンダードナンバーや、淡谷のり子「別れのブルース」、矢吹健「あなたのブルース」などのカバー、さらにTHE BAWDIES、横山剣(クレイジーケンバンド)、中村中による書き下ろしの新曲3曲を収めた聴きどころ満載の1枚だ。音楽ナタリーでは今作のリリースを記念して八代と寺岡の対談を企画。選曲やレコーディングの裏話はもちろん、互いの“ブルース論”についても聞いた。
ブルースは“浪曲”
──まずは八代さんがブルースアルバムを作ることになった経緯から教えてもらえますか?
八代亜紀 2012年にジャズアルバム「夜のアルバム」(参照:八代亜紀×小西康陽「夜のアルバム」対談)を出したんですけど、スタッフにいつも「ジャズは12歳くらいの頃から聴いてたけど、ブルースはもっとその前から聴いてた」って話をしてたんですね。で、「ジャズアルバムが成功したから次はブルースをやりたいね」って。
──八代さんが考える「ブルース」とはなんですか?
八代 ブルースはね、私ずっと言い続けてきてるんですけど、浪曲なの。物悲しいリズムと悲しい言葉がね。さらにそのルーツには子守唄があるような気がしているんです。12〜3歳の子が子守をするような貧しさの中で生まれてきたあのどこか悲しい旋律が。でも海外のブルースは過酷な奴隷制度、厳しい差別から生まれたんですね。そういう意味で、海外のブルースと日本のブルースは根本的には違うんですけど、ただ私は、ブルースっていうものは魂なんだって理解していて。私は「魂の歌=ブルースを歌いたい」と思ってたんです。
──なるほど。
八代 で、その魂の歌を若い寺岡さんはどう解釈されるかなって。
寺岡呼人 個人的にはいわゆるシカゴブルースにすごくハマった時期があって、ブルースは大好きなんですけど、ブルースが日本にやってきて、それが独自の解釈で歌謡曲の原型となっていく過程に関しては全然知らなかったので、今回のお話をいただいたとき、僕にとってはすごい挑戦だなと思いました。でもこんなお話二度とないなと。
王道のブルースから始まる
──今作は、直接的にルーツを感じさせるブルースもあれば、日本に輸入されて歌謡曲として流行したブルースもあって。さらに現在日本で活躍してるアーティストの新曲も入っている。いろいろ聴きどころのある作品で。ここからは1曲ずつ収録順にお話を伺えればと思います。最初はルイ・アームストロングをはじめさまざまなアーティストに歌い継がれてきた「St.Louis Blues」。
八代 もう王道ですよね。演歌の世界の私たちでも知ってますから。超有名でしょ。
寺岡 これが1曲目っていうのはレコーディングが始まる前から決まってました。一番ブルースのスタンダードだろうっていうことで。
──ちなみに今作は寺岡さんが編曲してる曲と、村田陽一さんが編曲してる曲がありますよね。
寺岡 今回はブルースと昭和歌謡をつなぐアレンジが必要だと思っていて。全部、いわゆるベタな昭和歌謡っぽいアレンジよりはモダンなアレンジのほうがカッコいいなと思ったんです。で、村田さんは特にモダンな和音を基調としたアレンジを得意としているので、村田さんにお願いしました。
──2曲目は「The Thrill Is Gone」です。
八代 原曲はB.B.キング。これも王道ですね。
寺岡 この曲はいわゆるマイナーブルースで。シカゴブルースの中でもマイナーブルースって特に昭和歌謡に影響を与えてるんじゃないかと思ったので、この曲を選んでみました。
──3曲目の「別れのブルース」は淡谷のり子さんの歌唱で、1937年にリリースされました。古い曲ですが、広い世代に知られている曲ではないでしょうか。
八代 この曲はブルースというよりも流行歌ですね。淡谷先生はどちらかというと声楽家なんですよね、確か。だから歌謡曲を歌う人はみんな嫌いなの。私も「あんた大っ嫌い」ってずっと言われてたの(笑)。
一同 はははは(笑)。
八代 だから「別れのブルース」もあんまり好きじゃなかったんですって。でも服部良一先生が「St.Louis Blues」を聴いて、日本にもブルースっていうものを作りたいと思って、淡谷先生に「別れのブルース」を歌わせたという話を聞いたことがあります。
──それを今回は八代さんが八代さんなりの歌い方で。
八代 はい。楽しみながら歌わせていただきました。
──ストリングスの音色が印象的なモダンなアレンジですね。「夜のアルバム」からつながるムードも感じました。
八代 そうそう。ジャズもロックンロールもリズム&ブルースも、もともとブルースとつながってますからね。
海外の人が聴いてカッコいいと思う昭和歌謡
──続いては「フランチェスカの鐘」です。
八代 この曲はどうしても入れたいとお願いした曲で。古関裕而先生が作られた曲なんですけど、先生が亡くなられて何周忌かのタイミングに放送されたテレビ番組で、「『フランチェスカの鐘』を歌ってください」と依頼があって歌ったんですよ。そのとき歌ったきりだったんですけど、カッコいいでしょ?
寺岡 カッコいい。これは戦後間もなくの曲ですよね。
八代 そうそう。その時代の曲なんだけど、歌詞が超シャレてるんですよ。彼と別れた歌なんだけど、ねちっこいんじゃなくて、「めんどくさいからバイバイしただけよ」っていう。
──ハイカラなカッコよさがありますね。
八代 外国の方が聴いたら「カッコいい」って言うなと思って。実はそういう楽しみがあるんだよね。
寺岡 僕らにとってはちょっとクラシカルなメロディなんですけど、それこそクエンティン・タランティーノ監督の映画で梶芽衣子さんの曲が流れたときに、外国の人たちがあの旋律をカッコいいって思うような感じ。
八代 そう。カッコいいんですよ。
ブルースが染み込んだTHE BAWDIES&横山剣
──そして次がTHE BAWDIESによる書き下ろしの新曲「Give You What You Want」。演奏にはOKAMOTO'Sからハマ・オカモト(B)さんとオカモトコウキ(G)さんが参加しています。この人選はどのように?
寺岡 今回、僕ができることは何かということを考えたときに思ったのは、今の若いアーティストでブルースをすごく理解していて、体に入ってる人たちに、若者代表で1曲書いてもらうことかなと。その第1候補がTHE BAWDIESだった。
──THE BAWDIESが持っている、ロックンロールにつながるブルースの血筋を感じる楽曲で、ビートはシャッフル。すごく面白い解釈だなと思いました。
八代 レコーディングのとき、20〜30代の若者が演奏して、そのあと80代のベテランのお父さんたちが別の曲をレコーディングしたんですよ。おかしかったよね。歳の差がすごくて(笑)。
寺岡 歳の差60歳くらいとかね。
八代 面白かったですよ。音にね、やっぱり年齢が出るの。80歳の音があるの。ピアノもギターも。
寺岡 あるある。
──その次が横山剣さんの作った「ネオンテトラ」です。
八代 ちょっとムード歌謡みたいですよね。
──ムード歌謡を現代風に解釈しているような感じがします。
八代 うん。だからなのか、大人の悲しい女性が絵に浮かぶの。彼を亡くして1人で化粧厚くしてドレス着て仕事がんばんなきゃっていう。でも悲惨ではないの。「あなた見てる? キラキラしたドレス着てきれいでしょ? こんなの見ないで死んじゃうなんてもったいないわよ」っていう大人の女性の歌なんですね。
──艶っぽいですね。剣さんへのお声がけはどのように?
寺岡 日本にやって来たブルースが昭和歌謡になって、その昭和歌謡を僕らの世代でホントに理解して音楽に取り込んでいるのはクレイジーケンバンド以外ないと思っていて。剣さんだったらブルースの染み込んだ歌謡曲を書いてくれるんじゃないかなと思ってお願いしました。
──歌詞の世界観も含めて、そのものずばりな感じですよね。いわゆる「○○のブルース」という形でヒットした歌謡曲を彷彿とさせる。
八代 そうそう。情景が浮かびますよね、すごく。
和洋の「命のブルース」
──そしてさらにもう1曲の新曲が中村中さんが書き下ろした「命のブルース」。中村さんの音楽には、ほかのアーティストにはない独特の情念がありますよね。
八代 今回は中さんに「とにかく悲しい歌を作ってほしい」とお伝えしたんです。心をえぐられるような「何、この悲しい歌は!?」っていうぐらいの悲しい曲で、と。そしたら最初は中さんビックリしてたけど「いいですね、わかりました」って快諾してくれた。
寺岡 中ちゃんも日本の音楽、昭和の音楽に対しての造詣がとにかく深いんですよね。まだ若いのに詳しいし、愛してる。で、打ち合わせのときに八代さんがおっしゃった「悲しみの中から希望が出てくるんだ」っていう言葉をうまく歌にしてくれたなって思いましたね。
──新曲3曲が挟まったあとで、次に来るのが「The House of the Rising Sun」。これはアメリカのトラディショナルソングですが、一般的にはThe Animalsの印象が強いですよね。
寺岡 僕もイメージ的にはThe Animalsだったんですけど、今回初めて歌詞を見て「これ、完全にブルースだな」と。まさに「命のブルース」で歌っているようなことが、実はこの「朝日のあたる家」でも歌われているんですよね。だから、和と洋の「命のブルース」って感じがします。
──そうですね。この2曲がつながっているのがこのアルバムの面白いところで。
八代 私は昔バスガイドをしてたんだけど、すごく恥ずかしがり屋で、しゃべろうとするとお客さんにピーピーって冷やかされてしゃべれなくなっちゃうんです。で、ステップに降りて「どうしよう、どうしよう」って言ってしまうような子だったんですね。すると運転手さんが叱るんですよ。「名所旧跡が通りすぎて行くぞ、しゃべれ」と。でもしゃべれないんです。それでもう泣きそうになったときにバスの中で「タンタカタン、テンテン」って流れてきたんです、この「The House of the Rising Sun」が。
──おお。
八代 そのとき初めて聴いて「うおお」ってなっちゃったんですよ。言葉はわからないけど、切なくて、この感覚こそがブルースなんだなと思った。だからこの曲はどうしても入れたかったですね。
八代亜紀から飛び出るアイデア
──「夢は夜ひらく」もまた歌謡曲としておなじみの楽曲ですね。
八代 これも「外国の方に聴かせたいなあー」と思って。
──アレンジ的にはちょっとジャズっぽい雰囲気もあります。
八代 そうですね。ちょっと面白く、おかしくやりましょって言って。現場で「1コーラス目はちょっとやさぐれて、2コーラス目から倍テンポのリズムでカッコよく」って感じでアレンジを急遽変えたんですよね。
──そうなんですね。
寺岡 初めは全体的にもうちょっとスローな感じでしたね。ギター1本でやろうっていうのも八代さんのアイデアで。
──そういうアイデアは、どんどん八代さんから出てくるんですか?
寺岡 はい。「命のブルース」にはすごく高いバイオリンの音が入ってくるんですけど、それも八代さんのアイデアで。「高い音で悲しい叫び声が聴きたいのよ」って。「それを譜面にどう書けばいいんですかね?」って聞いたら「いやなんかね、『キィー』って」っておっしゃるので、八代さんに急遽レコーディング現場に来てもらって。それを入れたら、すごくよくなったんですよね。
原曲よりも間口が広がった
──10曲目は「Bensonhurst Blues」です。
八代 7年ぐらい前に、フィギュアスケートでね、この曲で滑ってた選手がいたんですよ。その曲を聴いたときに“一聴き惚れ”というか。マネージャーを呼んで「すぐ録画して」って言って調べてもらったんです。私、こういう音楽が大好きなの。
──アレンジは寺岡さんですけど、寺岡さんはこの曲をどう解釈しましたか?
寺岡 僕はヨーロッパっぽい感じを受けました。だからこれはあえてシカゴブルースみたいにしないほうが逆にいいなと思ったんです。歌謡曲にも相通じる物悲しさがあるなと思ったんで。
──そして11曲目「あなたのブルース」に続くわけですが、これもブルースの曲としてはちょっとユニークなアレンジですね。
八代 歌謡曲よりもブルースに近付けた感じになってますよね。
寺岡 原曲の矢吹健さんの曲と声、アレンジっていうのがけっこう強烈だったので、どうやったらこのアルバムに馴染むだろうかと思ってたんですけど、村田さんが映画のサントラみたいな雰囲気にしてくださって。アレンジが施されて、八代さんの声が入って、「原曲の言いたいことってこういうことだったのかな」と気付きました。
八代 原曲のボーカルは絶叫ですもんね。
寺岡 原曲は“THE 歌謡曲”“THE 演歌”みたいな感じがあったので、ちょっと取っ付きづらいところもあったんですけど、このアルバムのバージョンをきっかけにいろんな人が入って来られるんじゃないかと。間口が広がったような気がしますね。
──アーバンメロウな雰囲気もちょっとあって。クールに抑えることにより、原曲とはまた違った表現になっていると思います。
八代 そうなんですよ。
寺岡 マリーナ・ショウっていうアメリカのジャズシンガーが一時期AORっぽいアルバム(1975年発表「Who Is This Bitch Anyway?」)を作ったんですけど、この「あなたのブルース」はそういう感じがするんですよ。
──なるほど、AORがちょっと入ってるんですね。
寺岡 この「あなたのブルース」を聴いて、僕は勝手に「八代さん、次は昭和歌謡をこういう感じで解釈したアルバムを作ったらいいのになあ」と思ってました。
八代亜紀のルーツ・熊本を歌う
──そしてラストは「Sweet Home Kumamoto」。「Sweet Home Chicago」が熊本を舞台にした歌詞に生まれ変わっていますが、八代さんにとってご自身が生まれ育った町というのはやはり大きい存在ですか?
八代 大きいね。ルーツは血ですから。中でも球磨川のほとりっていうのはすごいルーツなんですよ。あの河川敷で歌を歌ったり、絵を描いたりしてました。あと八代市の「キャバレー白馬」が私が最初に歌った場所なんです。「Sweet Home Kumamoto」の「白馬は聖地さ」っていう歌詞は、そこから来てるんです。
寺岡 僕らからすると「Sweet Home Chicago」のイメージがすごく強くて。せっかくだったら八代さんの地元の歌がいいんじゃないでしょうか、という話になって。そしたら八代さんがノリノリになってくださってうれしかったです。歌詞の最後に「みんなも持ってる ふるさと」っていう歌詞が出てくるので、聴いた人がそれぞれ自分たちの故郷を思い起こしてくれたらいいなと思います。
八代 そうなんだよね。例えばコンサートやるときに、各地でその土地名を入れて歌うといいんじゃないかなあ。
寺岡 あと曲の途中に「あんたがたどこさ」のフレーズが入ってるんですけど、キーボードの小島(良喜)さんが今熊本に住んでらして、よく熊本のイベントとかでブルースを演奏しながら、間奏で「あんたがたどこさ」をやるんですって。で、レコーディングの最中に、小島さんがたまたま遊びで「あんたがたどこさ」を弾いてたんですよね。それを八代さんが聴いて「それ、入れちゃおうよ」と言って入れることに。偶然の産物ですね。また八代さんのミラクルが炸裂しました。
生き様が乗った八代の歌声
──12曲のバリエーションに富んだブルース解釈の中で、やはり大きな軸になっているのが、八代さんのずしりとくる深い歌声ですね。歌の表現に関しては自然と出てくるものですか?
八代 自然ですよね。でもやっぱり詞に合うメロディじゃないと自然には乗せられないです。私いつも、メロディって大事だよって言うの。アレンジもね。
──八代さんは普段は明るくお話されていますけど、レコーディングのときはスパっとその曲に入り込むんですか?
八代 もうイントロで入りますね。
寺岡 ホントにイントロが鳴って声が出た瞬間に“八代亜紀”になってる。
八代 ブースに入ったら“八代亜紀”なんですよ。ブースを離れると“亜紀ちゃん”なの。「すごくよかったね」って亜紀ちゃんが八代亜紀を褒めてるの。
──ちなみに寺岡さんから歌う際のアドバイスは?
八代 寺岡さんはね、優しいから。「いいんじゃないですか」って言うだけ。
──歌う前に、事前に「こういうイメージで」とかそういうこともなく? お任せですか?
寺岡 まずリズム録りのときに仮歌を歌っていただくんですけど、基本的にそれがもう完璧なんですよね。なので、本番も安心して聴いてられるんですよ。あととにかく今回、1にも2にも、八代さんの歌に驚いたんです。僕もそれなりにいろんな人のレコーディングをしてきましたけど、ここまで歌を表現できる人はほかにいないなと。世の中に“歌がうまい人”はいっぱいいるし、実際そういう人のレコーディングは何人もやったことがあるんですけど、歌がうまいっていうのは、歌に感動するのとはイコールじゃないなってことに最近気付いて。歌がうまいから泣けるとか感動するとかじゃない。その奥に、何かもっとその人のアイデンティティだったり生き様のようなものがあって、それが歌に宿って初めて感動するっていうのを、今回まざまざと……。八代さんの歌のすごさは、相当なショックだったんです。
──刺激的なレコーディングだったんですね。
寺岡 はい。しかも歌入れがものすごく短時間なんです。最大1日5曲やったんですけど、僕らJ-POPの世代じゃ、もうあり得ないんです、その数って。速さと表現力はホントに驚きでしたね。
八代 だって1発目が一番いいんですよ。感覚もノリもね、イントロの感情で歌うわけだから。だってライブはそうでしょ。ライブは1発勝負でしょ?
寺岡 歌もその感覚でやってます?
八代 うん、そうなんですよ。「で、もうこれでよくね?」とか言っちゃって(笑)。あはは。
寺岡 あはは(笑)。
目指すはブルースファミリー集結の熊本音博!?
──八代さんはジャズアルバムとブルースアルバムを作ってこられましたが、次に作りたいものは何か見えてきましたか?
八代 次、見えてきたね。歌謡浪曲だね。どう? THE BAWDIESが作った平成歌謡浪曲。
寺岡 すごいですね、それ。
八代 あはは(笑)。
──逆に寺岡さんは八代さんに「この方向の歌をやってみてほしいな」というのはあります?
寺岡 僕はさっき言ったみたいに、マリーナ・ショウの「Who Is This Bitch Anyway?」のムードで昭和歌謡とかやったら絶対にいいものになるんじゃないかと思いました。
八代 いいですね。
寺岡 例えば「フランチェスカの鐘」もそうですけど、今回、改めて昔の曲の歌詞ってすごくいいなあと思ったんですよ。今はもう言葉を詰め込むだけ詰め込んで、でも何言ってるかわかんないっていう曲が多いんですけど、この時代の曲ってやっぱり行間があるなと。あんまり多く語らないんですけど、妙に残る。文字だけ見たらちょっとチープに見えても、そこにメロディが乗ったらものすごく粋になるとか、改めてそのよさに気付きましたね。
八代 いいですね。
──ちなみにお2人はライブでの共演予定はないんですか?
寺岡 こっち的にはぜひぜひという感じです!(笑)
八代 今後ね。THE BAWDIESも呼んでね。ブルースファミリーでどうですかねえ。
寺岡 いいですね。(横山)剣さんとか中ちゃんも呼んで。
八代 いいね。「熊本音博」(笑)。 
  
 
なみだ恋
夜の新宿 裏通り 
肩を寄せあう 通り雨
誰を恨んで 濡れるのか 
逢えばせつない 別れがつらい
しのび逢う恋 なみだ恋
   夜の新宿 こぼれ花 
   一緒に暮らす しあわせを
   一度は夢に みたけれど 
   冷たい風が 二人を責める ・・・
夜の新宿 裏通り 
夜咲く花が 雨に散る
悲しい運命を 占う二人 
何故か今夜は 帰したくない ・・・  
愛ひとすじ
恋のあぜ道歩いてきたわ 
風も見ました 雪も見ました
こころの地獄を さまよいながら 
ほのかに燃やす 真実の
灯り一つに すがってる 
愛することしか できないわ 
できないわたし
   あんな男に望みをかけて 
   どこがいいかと そしられようと
   口じゃ云えない 愛だから 
   命のかぎり どこまでも
   なんの取得も ないけれど ・・・
恋のめくらと 嗤われようと 
わたしにゃ見える あゝあの人の
どろんこだらけの人生に 
きらりと光る 真実が
誰にも見えない わたしだけ ・・・ 
愛の執念
おぼえていてよ ねえあなた 
わたしがもしも 死んだなら
あなたの人生 なくなるわ 
わたしが愛しているかぎり
わたしがおそばにいるかぎり 
あなたは誰をも愛せない
   おぼえていてよ ねえあなた 
   わたしが死んでも 愛だけは
   あなたの胸で 生きている 
   あなたのいのちが枯れるまで ・・・
おぼえていてよ ねえあなた 
わたしが死んだら その日から
あなたの命になるでしょう 
あなたが生きているかぎり ・・・  
おんなの夢
一度でいいから 人並に 
あなたの妻と 呼ばれてみたい
ああ夢を…夢を… 夢をみたいのよ
他人じゃないよと 抱きしめられて 
一生一度の恋に泣く
   ひとりでこれから 生きるより 
   例え日陰の 花でもいいの
   ああ涙… 涙… 涙かみしめ ・・・
あなたと暮らす しあわせは 
私ひとりの 夢でもいいの
ああ女…女… 女運命を ・・・  
ともしび
あなたの命の ともしびが 
もうすぐ消えると 聞かされた
あゝ編みかけの カーディガン 
それが出来たら 夜明けの釣りも
もう寒くはないねと 
   細くなった手で私の手を
   握るあなた
   明るく笑って
   あなたをだまし 
   ただ祈るだけの
   私でした
なんにも知らずにこの春の 
桜の花びら 散る頃は
あゝ教会で 鐘が鳴る 
白いドレスの 花嫁衣装 ・・・
   細くなった手で私の手を
   握るあなた ・・・
あれから二度目の
春が来たけど
私の中に生きてる
あなた
もう一度逢いたい
あんな男と 言いながら 
今日も来ました 港町
波のむこうは 
また波ばかりの 片想い
さよならも 聞こえない 
情なしのうつり気の後影 
もう一度 逢いたい
   泣けば鴎も まねをして 
   あなた呼んでる 別れ町
   うらむことさえ 
   出来ない女の ほつれ髪
   咲いて散る 赤い花 ・・・
夢は引き潮 想い出も 
潮風と逃げてく 出船町
ブイの宿命か 
浮いては沈んで 流されて
縋りつく 恋いごころ ・・・  
おんな港町
おんな港町 
どうしてこんなに 夜明けが早いのさ
それじゃ さよならと 
海猫みたいに 男がつぶやいた
別れ言葉が あまりにもはかなくて 
忘れたいのに 忘れられない 
せつない恋よ 
おんな港町 別れの涙は 
誰にもわからない
   おんな港町 
   涙をこぼして いかりが上るのさ
   泣いちゃ いけないと 
   あわてて男が デッキで手を振った
   その場かぎりの なぐさめとわかっても 
   ・・・ おんな港町 さみしい笑顔に 
   なげきの雨がふる
あんな男と 心から憎んでも 
・・・  おんな港町 別れの涙は 
誰にもわからない  
愛の終着駅
寒い夜汽車で 膝をたてながら 
書いたあなたの この手紙
文字のみだれは 線路の軋み 
愛の迷いじゃ ないですか
よめばその先 気になるの
   君のしあわせ 考えてみたい 
   あなた何故なの 教えてよ
   白い便箋 折り目のなかは 
   海の匂いが するだけで ・・・
北の旅路の 淋しさにゆられ 
終着駅まで ゆくという
あなたお願い 帰って来てよ 
窓にわたしの まぼろしが ・・・  
哀歌
体に残る 傷でさえ 
消えないことが あるとゆう
まして心の 傷あとを 
抱いて生きるも 女ゆえ
   あきらめきれぬ 恋ゆえに 
   口唇かんで 身を焦がす ・・・
帰る家さえ ない鳥が 
寒さこらえて 空を見る ・・・
   死ぬも生きるも 宿命なら 
   恨む気持ちは ないけれど
   せめて一夜の 情けでも 
   あれば苦労も 耐えられる
あれば苦労も 耐えられる  
故郷へ
流されて 流されて 
ひとり傷ついて
浮きぐさのように 
いつか馴染んだ 夜の川
帰りたいけど 帰れない 
うぶなむかしは遠すぎる
ああ故郷へ今日も汽車が出てゆく
   恋をして 恋をして 
   そして捨てられて
   どうにでもなれと 
   酒におぼれた 夜もある 
   ・・・ ああ故郷は青い海のある町
淋しくて 淋しくて 
細く身も痩せて
それなのに今日も 
うかれ化粧の 紅をひく 
・・・ ああ故郷へ帰る夢があるから  
涙の朝
星の数ほど 女はいると 
私を捨てた 憎い人
泣いて泣いて 涙も涸れて 
眠る私の 夢にまで
あゝ あなたあなたが あなたがいるの
   二度と逢うまい 逢わずにいたい 
   苦しいだけの 恋だから
   待って待って 涙の中で 
   朝を迎える 悲しさは ・・・ 
遊び疲れて 私の胸が 
欲しくなったら 帰ってね
馬鹿な馬鹿な 女でいいの 
生きてゆけない 一人では ・・・   
舟唄
お酒はぬるめの 燗がいい 
肴はあぶった イカでいい
女は無口な ひとがいい 
灯りはぼんやり 灯りゃいい
しみじみ飲めば しみじみと 
想い出だけが 行き過ぎる
涙がポロリと こぼれたら 
歌いだすのさ 舟唄を
   沖の鴎に深酒させてョ 
   いとしのあの娘とョ 朝寝する 
   ダンチョネ
店には飾りがないがいい 
窓から港が 見えりゃいい
はやりの歌など なくていい 
時々霧笛が 鳴ればいい ・・・
   ぽつぽつ飲めば ぽつぽつと 
   未練が胸に 舞い戻る
   夜ふけてさびしく なったなら 
   歌いだすのさ 舟唄を ルルル
雨の慕情
心が忘れたあのひとも 
膝が重さを覚えてる
長い月日が膝まくら 
煙草プカリとふかしてた
憎い 恋しい 憎い 恋しい 
めぐりめぐって 今は恋しい
雨々ふれふれ もっとふれ 
私のいい人つれて来い
雨々ふれふれ もっとふれ 
私のいい人つれて来い
   一人で覚えた手料理を 
   なぜか味見がさせたくて
   すきまだらけのテーブルを 
   皿でうずめている私
   きらい 逢いたい きらい 逢いたい 
   くもり空なら いつも逢いたい ・・・  
女心は港の灯
好きな男の ぬくもりは 
ふるさと みたいな 気がするわ
すこし 泣いても いいかしら 
恋は夕ぐれ 明日は出船
女心は あゝ港の灯
   酒で想い出 うすめても 
   別れの涙は とまらない
   ちょっと酔っても いいかしら  
   歌は泣き節 おんぼろギター ・・・
ふられ女は ブイになる 
出船に ついてく 流れブイ
あなた 待っても いいかしら 
北は木枯 南は小雨 ・・・  
海猫
あんたによく似た 広い背中の 
男があたいの 影をまたいでさ
潮の香りを プンとのこして 
黙って 通りすぎたよ
日暮れの港は 女がひとり 
淋しすぎるよね
   振りむいてくれたって いいのにさ 
   声かけてくれたって いいのにさ
   つれないね うしろ姿に 
   あんたの面影うかべる あたいは 海猫さ
あんたと暮らした 愛の古巣で 
海猫みたいに 沖をながめてさ
船が着くたび あんたを探しに 
今日も 飛んで来るのさ
日暮れの港は 女がひとり 
可哀そうだよね
   逢いに来てくれたっていいのにさ ・・・  
ブルーレイン 大阪
泣いて大阪 御堂筋 
別れ上手な人がいる
女ごころを本気にさせ 
追いかければ 逃げてゆくわ
ああだけど憎めない
   恋灯り ぬれる街 
   だれか似た人さがすだけ ・・・
ゆれて大阪 北新地 
浮気上手な人がいる ・・・
   恋灯り ゆれる夜 
   夢の続きとわかっても
   めぐり逢えば 別れがくる 
   やさしくされ つめたくされ
   ブルーレイン 雨の大阪
恋灯り ぬれる街 
だれか似た人さがすだけ
めぐり逢えば 別れがくる 
追いかければ 逃げてゆくわ
ブルーレイン 雨の大阪  
日本海
雨降りだらけの映画のように 
すべてがぼやけて行くのです
窓の右手に日本海 海は灰色 雨まじり 
あなたとくらした青山裏の
部屋に小鳥をおいてます 
窓の右手に日本海 荒れた舟小屋 岩のかげ
   すべてが子供の遊びと知って 
   心がつめたくなるのです
   窓の右手に日本海 
   岬はずれの浮灯台 ・・・
出雲の神さま 
呼んでるような 
ポスター見つめて泣いてます
窓の右手に日本海 松がやせてる岩の上
温泉あたりで 
のんびりしたら 
手紙を書く気も起こります 
窓の右手に日本海 
屋根のかわらが変ります  
恋の彩
恋ってつらいものね 浮気じゃできないわ 
恋ってなんなの 誰か私に教えて
逢っていても 切なくて 
逢わずにいても 切なくて
命が 命が 震えて眠れない 
恋って 恋って 死ぬまで続くのね
   恋って涙色ね 甘くてほろにがい 
   恋って不思議ね あなただけしか見えない
   抱かれながら 夢を見て 
   抱かれたあとも 夢を見て ・・・
恋って迷うものね 他人にゃわからない 
恋ってまぼろし 一人ぼっちの夜明けね
見つめ合えば 苦しくて 
目をそらしても 苦しくて ・・・  
恋瀬川
あなたと私の さだめの川は 
情通わす 舟がない
呼んで下さい ねえあなた
向こう岸  
ついてくるなと 云わないで
離れたくない 恋瀬川
   おまえの倖せ 祈っていると 
   悲しい言葉は 聞こえない
   受けて下さい ねえあなた
   その胸に 
   消えてゆきそな この命 ・・・
川面にゆれてる 螢火ひとつ 
おんなの涙を 照らすのね
抱いて下さい ねえあなた
もう一度 
俺をすてろと 云わないで  ・・・  
冬の恋歌
ヘッドライトが大橋わたる 
あとは暗闇 真の闇
風は西から北へと変わる 
やがて季節は冬になる
わたし 今日から
あゝひとりで眠り 
からだ からだ
からだ ばかりを熱くする
   窓を叩けば 風でも起きる 
   風と知ってて 外を見る
   手紙みたいな 枯葉が舞って 
   涙みたいな雨が降る ・・・
時雨過ぎたら 小さな星が 
空のかなたでまたたいて
やがて消えそうな儚い色が 
恋の行方を 占って ・・・  
下町夢しぐれ
「いつも世間の色恋沙汰には弱い女が泣きをみます… 」
人の世界と 隅田の水は 
どうせ冷めたい ものなのさ
惚れてつくした 女の夢も 
醒めりゃ 一羽の都鳥
なにも言うまい
なにも言うまい 下町しぐれ
   浮いた噂の ひとつやふたつ 
   いつも 女にゃ つきものさ
   情けひと雨 濡れたいけれど 
   しょせん 男は 浮気舟
   なにも言うまい
   なにも言うまい 下町しぐれ
長くこの世に 生きてるよりも 
派手は 短く 咲いて散る ・・・  
花束(ブーケ)
ひとり暮しに慣れたのに 
愛も気にせず 生きたのに
罪な心が届けられ 
わたし 女を 思い出す
   こんなキザなことは 
   あなたに違いない
   郵便受けにブーケを 
   さして 帰るなんて
   何を話すつもり 
   あなたがわからない
   死んでも いいと泣くほど 
   つらくさせておいて
ひとり暮しに慣れたのに 
愛も気にせず 生きたのに
罪な心が届けられ 
わたし 女を 思い出す
   時の流れだけが 
   あなたを遠ざける
   逢えない日々の長さに 
   じっと 耐えて来たわ
   胸に飾ることは あなたを許すこと
   花束一つだけでは 
   終わることじゃないわ
やっと忘れた頃なのに ・・・  
あんた逢いに来い
泣かずに待てと 肩を抱き 
始発の汽車に 乗った人
一ヶ月二ヶ月(ひとつきふたつき) 待たされ二年…
あんたを怨んで しまいそう 
夢で抱かれりゃ なおさらつらい
あんた今すぐ 逢いに来い
   信じていても 雨の夜は 
   胸を横切る すきま風
   一ヶ月二ヶ月 待たされ二年…
   誰かにすがって しまいそう 
   他の心に なびかぬうちに ・・・
心細さに 淋しさに 
いつかおぼえた ひとり酒
一ヶ月二ヶ月 待たされ二年…
声さえ忘れて しまいそう 
涙酔わせて なだめる夜ふけ ・・・  
風のブルース
風が吹きぬける ピアスの傷穴を 
あなたは霧笛坂 シュルヒュル遠ざかる
すきよすきよすきよ すきよあなた 
あゝ もどってきてよ
だめよだめよだめよ あなたなしじゃ 
…生きてゆけないわ
あなたに咲くため うまれたあたしを 
あゝゝ… あゝゝ… 忘れて行かないで
   夢が散りいそぐ やつれた指先に 
   あなたは後も見ず シュルヒュル風になる
   すきよすきよすきよ すきよあなた 
   あゝ それでもすきよ
   せめてせめてせめて 涙みせて 
   …抱いてほしかった ・・・
すきよすきよすきよ すきよあなた 
あゝ もどってきてよ
だめよだめよだめよ あなたなしじゃ 
…生きてゆけないわ ・・・  
新宿なみだ町
酒よ 酒よ 酒よあんたが 男なら 
あたしを あたしを 捨てないわ
嘘とわかって また惚れて また惚れて 
夢につまづく 赤い靴
泣くな新宿 泣くな新宿 新宿なみだ町
   雨が 雨が 雨が別れの 未練なら 
   このまま このまま 行かないで
   ひとり想い出 探しても 探しても 
   虹も見えない 雨やどり ・・・
夢の 夢の 夢の続きが あるのなら 
何処かへ 何処かへ 連れてって
そんな倖せ 落ちてれば 落ちてれば 
生れ変って 薄化粧 ・・・  
霧笛
霧が深くなる テープが海に散る
鴎は泣き叫ぶ 私は耳をふさぐ
やめて やめて やめて 汽笛はやめて 
誰か 誰か とめてよ あの船を
おんな ひとりでは この港町 生きてゆけない
あぁ 夜を あぁ ひき裂く 出船のブルースよ
   灼けた強い腕 タバコが 沁みた胸
   甘さをふくむ声 すべてが これで終る
   やめて やめて やめて 汽笛はやめて 
   誰か 誰か とめてよ あの船を
   あなた 帰したら もうこの町は みんな灰色
   あぁ 夜も あぁ 泣いている ・・・
やめて やめて やめて 汽笛はやめて 
誰か 誰か とめてよ あの船を ・・・  
 
 
1971年 9月25日 A面 愛は死んでも  池田充男(作詞)  野崎真一(作曲)
           B面 赤坂はせつなくて
1972年 1月25日 A面 別れてあなたを  悠木圭子  鈴木淳
           B面 淋しい朝  あきらはるお  鈴木淳
1972年10月25日A面 恋街ブルース  悠木圭子  鈴木淳
           B面 ドアーを叩いて
1973年 2月 5日 A面 なみだ恋  悠木圭子  鈴木淳
           レコード大賞・歌唱賞
           B面 雨のカフェテラス  二条冬詩夫  鈴木淳
1973年 6月 1日 A面 おんなの涙  悠木圭子  鈴木淳
           B面 未練恋
1973年10月 1日 A面 女ごころ  千家和也  鈴木淳
           B面 過去  悠木圭子  小谷充
1974年 1月25日 A面 しのび恋  悠木圭子  鈴木淳
           B面 みれん雨  野本高平  伊藤雪彦
1974年 5月25日 A面 愛ひとすじ  川内康範  北原じゅん
           B面 別れのフェリーボート
1974年 9月25日 A面 愛の執念  川内康範  北原じゅん
           レコード大賞・歌唱賞
           B面 悲しい夢
1975年 1月25日 A面 おんなの夢  悠木圭子  鈴木淳
           B面 雨の港町
1975年 5月25日 A面 ともしび  悠木圭子  鈴木淳
           B面 最終列車
1975年 9月25日 A面 貴方につくします  悠木圭子  鈴木淳
           B面 わかれ雨
1975年10月25日 A面 愛していません  ジェームス三木  野崎真一
           B面 命つくして  朝倉一雄  野崎真一
1976年 1月25日 A面 花水仙  池田充男  浜圭介
           B面 白い桟橋  池田充男  伊藤雪彦
1976年 5月25日 A面 ふたりづれ  池田充男  伊藤雪彦
           B面 霧笛
1976年 7月25日 A面 夢魔のブルース  川内康範  北原じゅん
           B面 かくれ妻
1976年 9月25日 A面 もう一度逢いたい  山口洋子  野崎真一
           レコード大賞・最優秀歌唱賞
           B面 女の燈台  小島高志  広崎竜二
1976年11月25日 A面 あい逢い横丁  ジェームス三木  いずみたく
           B面 かげろうの唄  山川啓介  いずみたく
1977年 2月 5日 A面 おんな港町  二条冬詩夫  伊藤雪彦
           B面 盛り場  池田充男  伊藤雪彦
1977年 5月25日 A面 恋歌  池田充男  伊藤雪彦
           B面 迷い  鳥井実  浜圭介
1977年 8月 5日 A面 愛されてみたい  小野朱美  遠藤実
           B面 夜の顔  荒川利夫  遠藤実
1977年 9月25日 A面 愛の終着駅  池田充男  野崎真一
           レコード大賞・最優秀歌唱賞
           B面 なみだの艶歌
1977年11月25日 A面 おんな橋  梅林貴久生  菊池俊輔
           B面 もう泣きません
1978年 1月25日 A面 愛の條件  川内康範  北原じゅん
           B面 ひとり寝
1978年 5月25日 A面 哀歌  谷村新司  谷村新司
           B面 ボンボヤージ
1978年 9月25日 A面 故郷へ…  池田充男  野崎真一
           レコード大賞・金賞
           B面 愛の歳月  杉紀彦  弦哲也
1979年 1月25日 A面 涙の朝  悠木圭子  鈴木淳
           B面 ながれ花
1979年 5月25日 A面 舟唄  阿久悠  浜圭介
           レコード大賞・金賞
           B面 長いプラットホーム  阿久悠  中村泰士
1979年 9月25日 A面 女だから  悠木圭子  鈴木淳
           B面 あなたの子守唄
1980年 4月25日 A面 雨の慕情  阿久悠  浜圭介
           レコード大賞・大賞
           B面 男と女・酒と歌
1980年 9月10日 A面 港町絶唱  阿久悠  浜圭介
           B面 死ぬほど愛して
1981年 2月 5日 A面 女の街角  悠木圭子  鈴木淳
           B面 私にお世話を…  池田充男  鈴木淳
1981年 4月25日 A面 あなたに逢いたい  五木寛之  弦哲也
           B面 たそがれの歩道橋  五木寛之  呼子雅彦
1981年 7月10日 A面 女心は港の灯  山口洋子  弦哲也
           B面 港は日暮れ
1981年10月 5日 A面 うしろ影  山口洋子  北原じゅん
           B面 なみだ俱楽部
1981年12月20日 A面 はまなすの花が咲いたら  岡本おさみ  樋口康雄
           B面 黒い髪
1982年 4月 5日 A面 あなたと生きる  五島新  森安俊行
           B面 銀座海峡
1982年 8月21日 A面 海猫  高橋直人  小林学
           B面 さいごの恋人  杉紀彦  曽根幸明
1982年10月21日 A面 いい顔になったね  八代亜紀  八代亜紀
           B面 新宿情話  みなみらんぼう  八代亜紀
1982年10月21日 A面 うれし泣き  八代亜紀  八代亜紀
           B面 新宿螢  八代亜紀  八代亜紀
1982年10月21日 A面 夜更けの二人  八代亜紀  八代亜紀
           B面 北海おんな節  高田宏治  立花亮
1983年 1月21日 A面 積木の城  なかにし礼  浜圭介
           B面 異国の人
1983年 3月20日 A面 なみだ川  荒木とよひさ  三木たかし
           B面 只今恋のド真中  里村龍一  野崎真一
1983年 5月21日 A面 ブルーレイン大阪  荒木とよひさ  浜圭介
           B面 夢ならさめないで  水木れいじ  浜圭介
1983年 8月21日 A面 日本海  阿久悠  大野克夫
           レコード大賞・特別金賞
           B面 おんな北帰行  阿久悠  浜圭介
1983年10月21日 A面 恋の彩  麻生香太郎  藤本卓也
           B面 想い出涙色
1984年 2月21日 A面 ふたりの夢  悠木圭子  鈴木淳
           B面 粉雪の手紙  池田充男  野崎真一
1984年 5月21日 A面 涙の最終列車  池田充男  野崎真一
           B面 陸の船乗り  山口洋子  中村泰士
1984年 5月21日 A面 夢待草  荒川利夫  聖川湧
           B面 恋慕夜曲  吉田旺  浜圭介
1984年10月 5日 A面 恋瀬川  秋野めぐみ  竹田賢
           B面 愛夢  山口洋子  中村泰士
1985年 4月 5日 A面 愛しても今は他人  石本美由起  遠藤実
           B面 裏町しぐれ
1985年 9月21日 A面 命火  石原信一  浜圭介
           B面 おんなの情念  秋野めぐみ  竹田賢
1986年 8月22日 A面 港町純情  水木かおる  鈴木淳
           B面 あなたの噓  鳥井実  鈴木淳
1987年 4月 1日 A面 竜二  吉岡治  三木たかし
           B面 うぬぼれ鏡
1987年 4月 1日 A面 砂の城  吉岡治  三木たかし
           B面 あばよ港町
1987年 9月21日 A面 恋は火の川  池田充男  徳久広司
           B面 紅歌  石原信一  徳久広司
1988年 4月 1日 A面 かもめの歌  阿久悠  浜圭介
           B面 北都の女
1988年 6月 1日 A面 最終ひかり  沢ひとし  大船わたる
           B面 こころうた  曽我部博士  荒木圭男
1988年 9月 1日 A面 冬の恋歌  阿久悠  浜圭介
           B面 野暮
1989年 2月10日 A面 下町 夢しぐれ  石本美由起  岡千秋
           B面 信濃路の里
1990年 2月10日 A面 花束  阿久悠  服部克久
           レコード大賞・作詞賞
           B面 たそがれ東京  阿久悠  服部良一
1991年 2月21日 A面 カクテル  阿久悠  川口真
           B面 接吻
1991年 8月21日 A面 愛を信じたい  秋元康  中崎英也
           B面 酒占い
1991年10月 1日 A面 熱海あたりで  秋元康  林哲司
           B面 はっけよい  秋元康  高橋研
1992年 4月10日 A面 雪のれん  松井由利夫  遠藤実
           B面 風紋
1993年 3月21日 A面 カラス  岡田冨美子  浜圭介
           B面 「思秋」奥嵯峨  MAKI  竹田賢
1994年 3月21日 A面 あかんたれ  もず唱平  弦哲也
           B面 あなただけ  石坂まさを  弦哲也
1994年 5月21日 A面 ラッキーマンの歌  ガモウひろし  佐瀬寿一
           B面 恋はブーガ  高田ひろお  佐瀬寿一
1995年 3月21日 A面 とおりゃんせ  悠木圭子  鈴木淳
           B面 女は花になれ
1996年 2月21日 A面 あんた逢いに来い  麻こよみ  西峰卓矢
           B面 夢のあとさき  建石一  伊藤雪彦
1996年10月19日 A面 泡沫〜UTAKATA〜  野村万之丞  野村万之丞
           B面 (大河ドラマバージョン)
1997年 1月21日 A面 ミスターサムシングブルー  湯川れい子  長谷川智樹
           B面 Sentimental Boat to Heaven  湯川れい子  鴨宮諒
1997年 5月21日 A面 ほんね たかたかし  杉本真人  矢野立美
           B面 桜吹雪の中で  松本比呂  松本比呂
1997年11月 1日 A面 男はつらいよ  星野哲郎  山本直純
           B面 さよならあんた  河島英五  河島英五
1998年 3月21日 A面 盛り場流れ唄  悠木圭子  鈴木淳
           B面 きずな
1998年 9月19日 A面 あなたに乾盃  悠木圭子  鈴木淳
           B面 おもかげ
1999年 3月20日 A面 風のブルース  吉田旺  杉本眞人
           B面 紅の花  秋野めぐみ  竹田賢
2000年 2月19日 A面 朧月夜  阿久悠  弦哲也
           B面 ひまわりワルツ
2000年 2月19日 A面 グアム慕情  ひさとみまこと  中谷靖之助
           B面 (オリジナル・カラオケ)
2000年 8月19日 A面 あなたの背中に  阿久悠  杉本眞人
           B面 ステーションホテル24時
2001年 3月17日 A面 これからがある  もず唱平  伊藤雪彦
           B面 愛の影 水木れいじ  川口真  伊藤雪彦
2001年c7月25日 A面 あした天気になーれ  もず唱平  大谷明裕
           B面 Memorie's  西森三紗  亜乃庸
2002年c2月21日 A面 友の焼酎  いではく  大谷明裕
           B面 冬の鷗
2002年10月19日 A面 哀しみよ隣りで眠れ  荒木とよひさ  徳久広司
           B面 友の焼酎  いではく  大谷明裕
2003年 4月 2日 A面 裸足のシンデレラ  悠木圭子  鈴木淳
           B面 春夏秋冬ふられ節  荒木とよひさ  鈴木淳
2003年 7月23日 A面 新宿なみだ町  荒木とよひさ  鈴木淳
           B面 昭和の灯り
2004年 4月21日 A面 新宿なみだ町  荒木とよひさ  鈴木淳
           B面 おのれ道  渡邊智央  一色真実
2004年 7月21日 A面 不知火酒  荒木とよひさ  聖川湧
           B面 愛を信じたい  秋元康  中崎英也
2005年 3月23日 A面 不知火情話  荒木とよひさ  岡千秋
           B面 生まれ変わる朝  八代亜紀  長谷川智樹
2005年 9月21日 A面 白い花  YANCY  YANCY
           B面 空に星があるように  荒木一郎  荒木一郎
2006年 1月18日 A面 骨までしびれるブルースを  荒木とよひさ  水森英夫
           B面 最後の女  秋野めぐみ  竹田賢
2006年 8月23日 A面 女心と秋の空  所ジョージ  所ジョージ
           B面 お酒を飲んで…
2007年 2月21日 A面 鰻谷  河島英五  河島英五
           B面 月の花まつり
2007年 7月18日 A面 立ち呑み『小春』  もず唱平  円広志
           B面 悲しみの法則  BORO  BORO
2008年 2月20日 A面 役者  たきのえいじ  大谷明裕
           B面 宗谷岬  松山千春  松山千春
2008年 5月21日 A面 東京音頭  西條八十  中山晋平
           B面 東京ブギウギ  鈴木勝  服部良一
2008年 9月24日 A面 昭和の歌など聴きながら  荒木とよひさ  徳久広司
           B面 漢江の月
2009年 9月16日 A面 純情カプチーノ  岡田冨美子  徳久広司
           B面 女の予感
2010年 4月 7日 A面 一枚のLP盤  荒木とよひさ  杉本眞人
           B面 昭和の歌など聴きながら  荒木とよひさ  徳久広司
           C面 CRY ME A RIVER  Arthur Hamilton  Arthur Hamilton
2011年 1月19日 A面 人生の贈りもの  吉元由美  都志見隆
           B面 一枚のLP盤  荒木とよひさ  杉本眞人
           C面 愛を信じたい  秋元康  中崎英也
2011年10月19日 A面 デスティニーラブ  石原信一  徳久広司
           B面 人生の贈りもの  吉元由美  都志見隆
2012年 5月30日 A面 クレオパトラの夢  ちあき哲也  鈴木キサブロー
           B面 あの日の昭和がここにある  鳥井実  大谷明裕
2012年11月21日 A面 この広い宇宙のかなたで  高嶋渉  ゲール語民謡
           B面 この素晴らしき世界  鈴木博文  G.Douglas
2012年12月 5日 A面 追憶の面影橋  喜多條忠  鈴木淳
           B面 五月雨の道  岡田冨美子  中崎英也
2013年10月23日 A面 MU-JO  伊藤薫  M.Friedman
           B面 愛しすぎる女  吉元由美  クリヤ・マコト
           C面 残心  渡辺淳一  浜圭介
           D面 赤い街  さくらももこ  松雪陽
2014年10月22日 A面 心をつなぐ10円玉  かず翼  杉本眞人
           B面 あなたにありがとう  小川容子  若草恵
           C面 五月雨の道  岡田冨美子  中崎英也
2016年10月19日 A面 JAMAAS 真実はふたつ  伊藤薫  G.Jargalsaikhan
           B面 みんな、こどもだった  伊藤薫  重実博
2020年 3月11日 A面 明日に生きる愛の歌  悠木圭子  鈴木淳
           B面 ワタシウタ  カタヤマケイジ  カタヤマケイジ
           C面 舟唄(ピアノ・バラードVer.)  阿久悠  浜圭介
2020年12月 9日 A面 居酒屋「昭和」  中山正好  八代亜紀
           B面 月ノ小舟  竹内清訓  八代亜紀
1974年 8月10日 石原裕次郎 A面 別れの夜明け  池田充男  伊藤雪彦
1979年11月25日 石原裕次郎 A面 夜のめぐり逢い  池田充男  野崎真一
           B面 ふたりの港町  池田充男  上原賢六
1980年12月20日 石原裕次郎 A面 わかれ川  池田充男  野崎真一
           B面 なみだの宿  池田充男  上原賢六
1984年10月 5日 夏木勲 A面 盛り場二人づれ  池田充男  野崎真一
           B面 夜の駅
1990年 6月21日 高倉健 A面 挽歌  荒木とよひさ  平尾昌晃
           B面 放浪雲
1994年 9月21日 ミスターX A面 水割りのセレナーデ  たきのえいじ  美樹克彦
           B面 夜更けのふたり  たきのえいじ  秋野めぐみ
1999年 9月10日 杉本眞人 A面 港灯  吉田旺  杉本眞人  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

藤圭子 
(1951 - 2013) 日本の歌手。本名、宇多田 純子(うただ じゅんこ)。旧姓、阿部(あべ)。 最後の夫は音楽プロデューサーの宇多田照實、娘はシンガーソングライターの宇多田ヒカル。元夫は歌手の前川清。
1960年代末から1970年代初頭にかけ、夜の世界に生きる女の情感を描いた暗く哀切な楽曲(『怨歌』)を、ドスの効いたハスキーボイスと凄みのある歌いまわしで歌唱し、その可憐な風貌とのギャップも相俟って一世を風靡した。代表曲は『新宿の女』『女のブルース』『圭子の夢は夜ひらく』など。他の歌手のヒット曲も幅広くカバーしており、多くの曲で本家を凌駕する歌唱力と表現力を発揮したと評される。『うそ』をカバーされた中条きよしは「こんなにうまく歌われたらたまんないよ」と作曲した平尾昌晃に伝えた。
幼い頃から浪曲師の父・阿部壮(つよし)、同じく浪曲師であり曲師でもある母・竹山澄子(2010年に死去。享年80)のドサ回りに同行。旅の生活を送り、自らも歌った。北海道の岩見沢市立栄中学校(1983年閉校)卒業。勉強好きで成績優秀だったが、貧しい生活を支えるために、高校進学を断念。15歳の時に岩見沢で行われた雪祭り歌謡大会のステージで歌う姿が作曲家・八洲秀章の目に留まり、上京。八洲秀章のレッスンを受けながらいくつかのレコード会社のオーディションを受けるが全て落選。生活のために錦糸町や浅草などで母と流しをする。その後、作詞家の石坂まさをと知り合い、石坂まさをの自宅に住み込みでレッスンを受ける。1969年9月25日、RCAレコードより「新宿の女」でデビュー。
以後、石坂まさをと組んでヒット曲を連発。オリコンチャートで、ファーストアルバム「新宿の女」は20週連続1位、間を置かずリリースされたセカンドアルバム「女のブルース」は17週連続1位を記録。計37週連続1位という空前絶後の記録を残す。なお、内山田洋とクール・ファイブとの共作「演歌の競演 清と圭子」も含めると計42週連続1位となる。シングルにおいても「女のブルース」は8週連続1位、続く「圭子の夢は夜ひらく」も10週連続1位を記録し、18週連続1位という同一歌手での連続記録を残す。
演歌を歌いながらもアイドル歌手としての人気も集め、青少年に大きな影響力を持っていた少年マガジンなど多数の雑誌の表紙を飾った。またその人気からテレビアニメ『さすらいの太陽』のヒロインのモデルにもなった。
1971年、当時ともに絶頂期であった内山田洋とクール・ファイブのボーカル前川清と結婚するが、大スター同士の結婚生活はすれ違いが重なり、翌1972年に離婚。1974年、喉のポリープの手術を受けたことで、自身が強みと考えていた声の特徴が失われたと悩むようになり、引退を考え始める。
1979年に1度引退して渡米したが、1981年に帰国して歌手復帰。RCAレコードからCBSソニーに移籍し、第一弾となるシングル「螢火」を藤 圭似子名義で発表した。
1982年に、宇多田照實と再婚。以降、照實との間で7回の離婚・再婚を繰り返す。
1983年1月19日、ニューヨークにて娘を出産。網膜色素変性症を発症し視力が徐々に低下していた頃の出来事だったことから、「我が子から光が失われないように」という願いを込め「光」(ひかる)と命名した。その後、光を世界で通用する歌手に育てるため、1990年から照實とともに光を連れて初めて渡米、お金が足りなくなると日本に戻って歌い、お金が貯まるとまた渡米することを繰り返した。その際にはいくつかのテレビ番組にも顔を出しており、複数回出演した『THE夜もヒッパレ』(日本テレビ)では光とのエピソードを交えつつ、当時のヒット曲を歌唱している。更に1996年11月26日に出演した『徹子の部屋』(テレビ朝日)では当時13歳だったデビュー前の光の歌声を紹介した。光デビュー直前の1997年まではテレビ番組出演を続けており、1月27日放送の『ふたりのビッグショー』(NHK総合)では八代亜紀と共演、往年のヒット曲「女のブルース」など多数の曲を歌唱、八代と昔の思い出を語りあうなど健在ぶりを見せていた。
光が15歳となった1998年に宇多田ヒカルの名で歌手デビューし、これを機に藤も再び注目を浴びた。しかし、光のデビューと入れ替わるように自身は歌手活動を封印、以降ほとんどステージで歌うことはなくなった。
2013年8月22日午前7時頃、東京都新宿区のマンションの前で倒れているのが発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。遺書などは見つかっていないが、衣服の乱れや争ったような跡がないことなどから、新宿警察署によって飛び降り自殺を図ったと断定された。藤が自殺した後、照實と光はそれぞれコメントを発表し、藤が1988年頃から精神疾患を患っていたことを公表した。
喪主を務めた光は「遺言書がある」と表明、葬儀は行わず本人の遺志に沿う形で宇多田父子ら親族関係者の数名が火葬に立ち会う直葬となり、のちに遺灰も海に散骨された。その後、藤の実家の阿部家側によって、ファン有志とともに「しのぶ会」が行われた。
エピソード​
マスコミが『一卵性母娘』と名付けるほどとても母思いで仲がよかった。レコード歌手になろうとしたのも、母をもっと楽にさせてあげて、不自由な目を治してあげられるかもしれないからだったという。しかし、1990年頃に金銭トラブルから母とは絶縁状態となった。
五木寛之は「1970年のデビューアルバムを聞いたときの衝撃は忘れがたい。これは『演歌』でも、『艶歌』でもなく、まちがいなく『怨歌』だと感じた。」と評している。
デビュー前から同居していた石坂まさをに ”アメリカ人になりたい” と話しており、デビューしてから間もなく、熱心なファンのハーフの少女と友だちになり英語の勉強を始める。デビュー当時、マネージャーだった成田忠幸は、藤から「いつか、アメリカに行きたい」と聞かされており、藤はアメリカに住んで、そこで、ロックを歌いたいのだろうなと感じたという。
紅白出場に強い執着があり、1974年の紅白では力を入れていた新曲『命火』もヒットし、事前にほとんどのメディアが当選確実と報じていたにもかかわらず、落選したことで大きなショックを受けてダウンし、その様子を心配した母親が医師に往診を頼んだほどだった。結局それ以降1週間に渡って仕事をキャンセルしている。
1979年に引退する前、八代亜紀は藤から「アメリカに行って、ロックを歌うんだ」と聞かされている。
光を天才歌手と信じ、知り合いの音楽関係者にことあるごとに光を売り込んでいた。その売り込みは光が9歳のとき、藤圭子育ての親である石坂まさをにも行われ、光がいかに天才歌手であるかを力説していたほどだった。同じ頃、藤がデビュー前に世話になった初代林家三平師匠の夫人である海老名香葉子のもとにも訪れ、光の歌を吹き込んだデモテープを聴かせている。
大の虫嫌いで虫全部が嫌いだと述べている。光が子供の頃、いたずらで体中にセミの抜け殻をまとって帰宅したところ、それを見た藤が卒倒してしまい、おおごとになったという。
麻雀や競馬などギャンブルが好きで、2006年には世界各国のカジノなどで5年の間に5億は使ったと述べている。2006年にニューヨークのケネディ国際空港で約49万ドルに上る多額の現金を没収される騒動を起こしたが、2009年になって事件性がないとして全額返還された。 
■『生命ぎりぎり』 日本語でブルースを体現するロック世代のシンガー 
藤圭子がデビューした1969年、日本の音楽シーンには明らかな傾向があった。カルメン・マキの「時には母のない子のように」を筆頭に、ちあきなおみの「雨の慕情」、加藤登紀子の「ひとり寝の子守唄」、佐良直美の「いいじゃないの幸せならば」など、若い女性シンガーが歌う暗い曲調の歌がヒットしていたのだ。
それらの歌の主人公に共通するのは、"行き場のない孤独と切なさ"だった。そのきわめつけが藤圭子のデビュー曲「新宿の女」である。ありふれた夜の女のつぶやく自嘲的な歌詞、俗っぽい5音階のメロディーは当時にしても、かなり時代おくれで古めかしい歌だった。
ところが1969年から70年にかけてこの歌を支持したのは、明らかにロック世代の若者たちが多かったのである。それはハスキーな歌声が異様なほどに生々しく、そこから伝わってくる"行き場のない孤独と切なさ"には、不思議なまでにリアリティがあったからだ。
     「新宿の女」
   私が男になれたなら  私は女を捨てないわ  
   ネオンぐらしの蝶々には  やさしい言葉がしみたのよ
   バカだな バカだな  だまされちゃって  
   夜が冷たい 新宿の女
その年の1月、全共闘の学生たちによるバリケード封鎖で、半年以上も占拠されていた東京大学の安田講堂が陥落した。第2次世界大戦が終わって四半世紀が経ってもまだ東西冷戦は続いていたし、地域間や民族間の紛争は絶えることがなかった。
ビートルズが登場した60年代前半から世界中に広がっていた、若者たちによる反抗の季節は終わりを迎えつつあった。それまでの価値観を壊そうとした文化運動もまた、新たな地平を見い出せないまま、変革のエネルギー失って彷徨するしかなかった。
漠とした未来への希望がはかない幻想だったことに気づいた若者たちの間で、無力感や閉塞感が共有されたのは当然の流れだった。さほど良い楽曲とは思えない「新宿の女」を歌っていたにもかかわらず、藤圭子というシンガーが発見されたのは、時代の空気感をそのまま彼女が鏡のように反映していたからだろう。
そのハスキーで切ない叫びを際立たせるのが、細やかながらも力強く震えるヴァイブレーションだ。 藤圭子が歌うと声の震えは風になり、聴くものの心の壁にそっと吹いてきた。
それを可能にしたのが天性のリズム感で、そこにはロック世代が意識していたビートがあった。どちらかといえば歌謡曲や演歌的なものを敬遠して、ロックやジャズに親しんでいた若者たちの間で、藤圭子が熱烈に支持されるようになった理由はそこにある。古色蒼然とした歌詞にもかかわらず、彼女の唄のグルーヴはロックだったのだ。
"行き場のない孤独と切なさ"を抱えた若い男性だけでなく、いつしか女性たちにまでそうした思いが共有されたことで、歌声に振り向いてくれる人が増えていった。そうした人たちの間でひそかに好評だったのが、デビュー・シングルのB面に入っていた「命ぎりぎり」だった。
     「命ぎりぎり」
   誰が泣こうと誰が笑おと ネオンの町は
   背中あわせの人ばかり いいよ いいのさ
   飾った愛などいるものか いつか花咲く夢をみて
   生命ぎりぎり 生命ぎりぎり 燃やして死ぬのさ
いかにも自嘲的な歌詞と演歌的なメロディーは、A面の「新宿の女」とまったく同じ構造だった。だが、どこかで突き放したように自分を見ているクールな視点、生への抑えきれない切実な思いには、たかが歌謡曲という括りを超えたリアリティが感じられた。
「飾った愛などいるものか」というフレーズには、パターン化された主人公の向こうから、瞬間的に生身の藤圭子が浮かんで来る。ハスキーな声で絞り出すように歌った瞬間に放たれるリアリティは、まもなくレコーディングされる代表作「夢は夜ひらく」にもつながっていく。
1970年の3月にファースト・アルバムの1曲として発表された「圭子の夢は夜ひらく」は、ファンの間で圧倒的な支持を得て、有線放送などでリクエストが急増し始めて世間に発見されて、"藤圭子ブーム"を巻き起こしていった。
そして当時の歌謡曲では考えられもしなかった、アルバムからのシングルカットという形で、大ヒットを記録したのである。これもまた、それまでの歌謡曲の世界では起こりえないことであった。
藤圭子はこのとき、演歌という限られた枠組みのなかで、日本語のブルースとロックを体現していたのだ。  
■ 『流星ひとつ』 
宇多田ヒカルは、もう『流星ひとつ』を読んだろうか。すでに読了しているならば、新作アルバムを制作するパワーを与えられたのではないだろうか。通りすがりの読者に過ぎない身として読んでも、心揺さぶられるものがあるのだから。
藤圭子の「水晶のように硬質で透明な精神」の「最も美しい瞬間の、一枚のスナップ写真」と、「後記」で沢木耕太郎は書いている。マスコミ不信でインタビュー嫌いの二十八歳の演歌歌手が、引退の間際に心を開いた三十四年前の言葉は粒だっていて、藤圭子名言集のおもむきをも呈している。
この本は藤圭子と沢木の二人の会話だけで成り立っている。ト書きもなにも一切がない、実験的なノンフィクションである。読者は全八景の白熱した二人芝居の最前列の観客になった気分である。ホテル四十階のバーという設定が舞台であり、背景の闇から、そこだけおぼろなスポットライトを浴びた二十八歳の「あたし」と三十一歳の「ぼく」が浮かび上がってくる。インタビュアーとスターという関係が、カウンセラーとクライアントという関係にも見えてくる。出会ってすぐに打ち溶けはじめた男女の会話に耳をそばだてているような錯覚にも襲われる。心地よい緊張感が全体を支配している。
歌声と容姿を誰もが知っている藤圭子と、爽やかで好感度の高い沢木耕太郎という予備知識があるため、実験性はまったく気にならない。むしろそこが作品としては問題かもしれない。
今ではなかば忘れられている「ニュージャーナリズム」という言葉がある。ゲイ・タリーズ、ハンター・トンプソンなど、60年代アメリカに出現した、方法論を強く意識した書き手たちの潮流である。若き日の沢木は彼らに拮抗しようとしていた。去年、「ラムダイアリー」という映画が公開され、ジョニー・デップが敬愛するハンター・トンプソンの役を演じていた。映画を観ながら、ニュージャーナリズム台頭期の昂揚を思い出した。
作家の檀一雄夫人の一人称だけで書かれた沢木の『檀』は、『流星ひとつ』と対になる作品である。『檀』では沢木の野心的な方法が必ずしも成功していなかったという記憶がある。
それにひきかえ、『流星ひとつ』は完璧に近い。藤圭子の持つ原石の輝きを損なうことなく、周到な構成と、読点ひとつにまで神経を研ぎ澄ませた会話のキャッチボールが、生き生きと再現される。
簡単な挨拶のあと、最初の質問がデビュー以来十年間に稼いだ金額である。「関係ないよ、そんなこと、どうでもいいよ」とかわされる。藤圭子の育ってきた貧困という環境、芸能界特有の大金が人を蝕んでいく現実。それらと密接にかかわる質問だから、本書の底流には、一方で常にカネの問題が流れている。沢木は一旦あきらめて、すぐに後退する。「とうてい、すぐれたインタヴュアーにはなれっこない質問だった。数字に関する質問は撤回します」。藤圭子は「フフフ」と応じる。
次には、大宅文庫に行って過去の記事をたくさん読んだら凄惨な印象を受けたと話を変える。藤圭子が初めて嘘の記事を書かれた思い出を語る。「ハハハッ、そいつは傑作だ」。沢木が不用意に声を上げると、「笑うなんて、ひどいよ」と言われ、「ごめん」とあやまる。
沢木のインタビュー作法を実地に見るようであり、二人の距離を測りながら、少しずつ相手に近づいていく呼吸が伝わってくる。
お酒が運ばれてきた後、沢木は五年前のパリのオルリー空港での出来事を語り始める。そこで偶然接触があった「黄色いオーバーが、なんとなく野暮ったかった」実に綺麗な女の子のことを。「あの男の人が ……沢木さんなのか!」。藤圭子の口から「沢木さん」という固有名詞が洩れる。フランス映画ならここから間違いなくラブストーリーが展開するシーンである。
この後は、ほんとのことしか語れない潔癖な、潔癖すぎる藤圭子の語りがどんどん冴えてくる。闇だまりのような場所での生い立ち、家庭内暴力(沢木は藤圭子の両親については腫れ物に触るようについつい敬語を使ってしまうところがおかしい)、男運、おカネの苦労、手術によって失われた自分の声のことを語っていく。「業務用には心の取りはずしができなければ、やっていけないんだろうね」「どうやって死ぬのがいちばんいいのかとか、夜になると考えるようになったんだ」と心境も吐露される。おそらく沢木のほうでオフレコと判断したエピソードも相当あったのではないだろうか。
髪の毛を茶色に染めていたデビュー当時の話から、会話はこんな風にも展開する。「その頃のあなたに会ったとしたら、ぼくはその藤圭子を好きになっただろうか」「どうだろう。たぶん、なったと思うよ。そんなにいやな子じゃなかったから、好きになってくれたと思うよ」
藤圭子と沢木耕太郎は、素の人間として相対している。時には年上の沢木の方が人間として位負けしそうになる。その部分も隠さずに、インタビューに残している。これはやはり稀有な本である。
残念に思えてならないのは、この本が三十四年前に陽の目を見なかったことだ。もう一回のチャンスは十年前にもあった。沢木の著作集が出た時である。その時、雑誌発表から二十七年間放置されていた傑作『危機の宰相』は本になった。『流星ひとつ』も収録しようとしたが、藤圭子と連絡がつかなかったという。もし連絡がとれていたら、藤圭子の運命は変わっていたのではないだろうか。 
■8月22日
「人生って苦しいことの方が多いけど、歌があったらまあいいっか、と言えるような死に方をしたい」  
藤圭子は、日本の演歌歌手。本名、宇多田 純子(うただ じゅんこ)。
1960年代末から1970年代初頭にかけて、夜の世界に生きる女の感情を描いた歌を、伸びやかに、深々と歌い上げ、一世を風靡した歌手だ。デビュー曲は「私が男になれたなら 私は女をすてないわ」で始まる「新宿の女」。代表曲は「赤く咲くのはけしの花 白く咲くのは百合の花 どう咲きゃいいのさこの私 夢は夜ひらく」の「圭子の夢は夜ひらく」。
ドスの効いたハスキーボイスと可憐な風貌とのギャップを不思議に思いながら、テレビに見入っていたことを思い出す。不思議な存在感を醸し出す歌手だった。
母は三味線瞽女。藤圭子は昭和の歌姫。娘は天才歌手・宇多田ヒカル。母娘に天才の遺伝子があると天才が生まれるという節がある。三味線瞽女、悲しき歌姫、天才・宇多田ヒカル、と続く血の流れを、現代の歌姫・宇多田ヒカルは、音楽をやっている自分をどう思うかと訊かれて、「呪い」と表現している。
1stアルバム『First Love』は累計売上枚数765万枚を超え、日本国内の歴代アルバムセールス1位になった娘の宇多田ヒカルは、アメリカンスクールの高校生の時は全成績が「A+」という最高評価だった。そして当然のように名門コロンビア大学に合格している。母の藤圭子は中学生では通知表はオール5であり、恐ろしく頭の回転が速く、頭が良かった。ひかるはその娘だ。宇多田ひかるは、自らつくる歌詞も素晴らしいが、言葉も凄い。「どうしようもないくらい絡まってぐちゃぐちゃになったネックレスを、一生懸命ほどくような感じ」(「歌詞ってどうやって書くんですか?」への回答)。「私が曲をつくる原動力って結局「恐怖」と「哀しい」と「暗い」なんですよ、全部」。
阿久悠は「時代に食い込んだり、時代を引き裂いたりする力は、母(藤圭子)の方にあったかもしれないんだよ」と藤圭子の存在を評価していた。
藤圭子の歌を、演歌でもなく、艶歌でもなく、援歌でもなく、負の感情から発した「怨歌」と表現した五木寛之は、黒人のブルース、宿命を意味するポルトガル民謡・ファドなどと同様の、下層から這い上がってきた人間の、凝縮した怨念の燃焼と語っている。
心の病をもっていた昭和の歌姫・藤圭子は、デビュー作品「新宿の女」の舞台である新宿で飛び降り自殺をしている。享年62。「歌があったからまあいいっか」という死に方だっただろうか。 
■「とても長い間、精神の病に苦しめられていました」 自殺 
歌手の宇多田ヒカルさん(30)が自殺した母・藤圭子(本名:宇多田純子)さんについてのコメントを、2013年8月26日に公式サイトで発表した。
藤さんは22日朝、東京・西新宿のマンションから飛び降り、搬送先の病院で死亡が確認された。サイトには藤さんの元夫で所属事務所代表の宇多田照實さん(65)のコメントも載せられている。
「私はただ翻弄されるばかりで、何も出来ませんでした」
ヒカルさんは「8月22日の朝、私の母は自ら命を絶ちました」との書き出しから、「様々な憶測が飛び交っているようなので、少しここでお話をさせてください」と経緯を説明している。
藤さんは「とても長い間、精神の病に苦しめられていました」というが、病気の性質上「本人の意志で治療を受けることは非常に難しく、家族としてどうしたらいいのか、何が彼女のために一番良いのか、ずっと悩んでいました」と話す。
幼少期から、藤さんの病気が悪化していく姿を見ていて、
「症状の悪化とともに、家族も含め人間に対する不信感は増す一方で、現実と妄想の区別が曖昧になり、彼女は自身の感情や行動のコントロールを失っていきました」
といい、そんな藤さんに「私はただ翻弄されるばかりで、何も出来ませんでした」と明かした。
自殺を選んだことには、
「母が長年の苦しみから解放されたことを願う反面、彼女の最後の行為は、あまりに悲しく、後悔の念が募るばかり」
だという。「誤解されることの多い彼女」だったというが、実際には「誰よりもかわいらしい人」で、「悲しい記憶が多いのに、母を思う時心に浮かぶのは、笑っている彼女」「母の娘であることを誇りに思います。彼女に出会えたことに感謝の気持ちでいっぱいです」と話している。
通夜や葬儀は「故人の遺言書に書かれていた本人の強い意志」により行わない
一方照實さんは、今回の自殺で世間を騒がせていることについて「心からお詫びを申し上げます」と語り、ヒカルさん、照實さんを気遣うメッセージに「この場を借りて感謝の意を表明させていただきます」とした。通夜や葬儀は「故人の遺言書に書かれていた本人の強い意志」により行わない。
出会った当時から「感情の不安定さ」があったようだが、「心を病んでいるというよりも、類い稀な『気まぐれ』な人としか受け止めていませんでした」といい、「僕にとっては十分に対応出来る範囲だ」と考えていたという。
しかしヒカルさんが5歳ぐらいの時から、照實さんの母親に対しても「攻撃的な発言や行動が見られる」ようになり、「光(編注:ヒカルさんの本名)と僕もいつの間にか彼女にとって攻撃の対象」になったが、攻撃した直後にはまた感情が変化し、いつも数分後は「ゴメン、また迷惑かけちゃったね」と謝ってきたという。
病院での治療を勧めると、照實さんへの不信感を抱かせることになり、「結果、本人が拒絶し続けた治療が成されないまま、彼女の苦しみは年を追うごとに重症化したものと思われます」。
ここ十数年、圭子さんは海外を頻繁に旅していた。
「そのような環境の中、光と僕には昼夜を問わず、予期せぬ時間に電話連絡が入り、『元気?』という普通の会話が交わされる時もあれば心当たりのない理由で罵声を浴びせられる時もあり、相変わらず心の不安定さを感じさせられてとても気がかりでした」
そして、「僕が純子と会話をしたのは今年の8月14日でした」といい、「珍しく明るい口調で、元気そうな純子の声」で、約8分間に渡り「世間話を含め、お願いごとを何件か受け、了承」したという。
照實さんは「覚悟の上での投身自殺だったのか、衝動的に飛び降りてしまったのか、今となっては知りようがありません」「最終的に僕から救いの手を差し伸べられなかった悔しさ、大切な人間を失った悲しさでいっぱいです」などと語っている。 
■「誰が見ても危ない状態だった」 最後の映像 
高度成長期の1960年代末、日本の歌謡シーンに燦然と登場したのは「怨歌」の藤圭子(62)だった。ほの暗い世界を歌って支持を得た「昭和の歌姫」は、90年代後半、「平成のディーバ」宇多田ヒカル(30)の母として再び脚光を集めた。その彼女が突然、なぜ自ら死を選んだのか。
ヒカルは98年に、15歳でデビューすると、いきなり800万枚を売り上げ、鮮烈なデビューを飾る。作詞作曲も手がけ、立て続けにミリオンセラーを飛ばした。やがて世界に目を向け、2000年にコロンビア大学に入学。04年には全米デビューを果たした。
一方で、ヒカルが稼ぎ出す莫大な収入を前に、藤の感覚はおかしくなっていく。06年3月、ニューヨークのJFK国際空港で米司法省麻薬取締局が藤を摘発した。藤が持ち込もうとした米ドルなど現金計約4900万円相当を差し押さえ。麻薬犬が微量の規制薬物も見つけたと報じられた。藤は「違法なカネではなく、麻薬への関与は一切ない」と主張。後に主張は認められ、没収された現金は返却されたが、異常な金銭感覚が世に知られることになった。
「銀行も誰も信用できないと言って、いつも多額の現金をカバンに入れて持ち歩いていた」と話す関係者もいる。藤の最後の映像は、06年の空港での事件後、フジテレビやテレビ朝日でインタビューを受けた際のものだ。その経緯を、フジテレビ関係者が明かす。
「テレビ局の代表電話に『藤圭子ですが、話したいことがある』と電話が入ったんです。スタッフが話すと本当に本人だったので急遽ロケバスの中でインタビューしましたが、『5年間世界を旅していたが、カジノで5億円は使った』などと話す。現金所持事件については『カジノでは現金を持っていて当たり前だ』などと、とにかく早口で一方的に話し、目の焦点があっていない。誰が見ても『危ない』状態だったので、まともに映っているところだけを使いました」
同時期のテレビ朝日のインタビューでは、こうも語っている。
「私はもう藤圭子でもなんでもない。(藤圭子は)お金もうけのために、人からもらった歌を歌って、喜びも悲しみもわかちあって、10年で幕を閉じた」
このころ、結婚と離婚を繰り返していた音楽プロデューサーの宇多田照實(てるざね)氏(65)と最後となる7度目の離婚をし、それからは消息が聞かれなくなった。10年に母・澄子が死去。今年3月には、恩師の石坂まさを氏も亡くなったが、藤は姿を見せなかった。芸能関係者の間では、「ニューヨークで心療内科に入院している」といった噂が流れていた。 
■自殺の裏側 
歌手の宇多田ヒカル(30)が、22日に飛び降り自殺した実母・藤圭子さん(享年62)の死去後初のコメントを公式サイトで発表した。その言葉には親子間の複雑な感情が見え隠れしており、一部でささやかれている父親の宇多田照實氏(65)との不仲など「親子関係の崩壊」が悲劇の一因になったのではないかともいわれている。
最初に「8月22日の朝、私の母は自ら命を絶ちました」と切り出した宇多田は、藤さんについて「彼女はとても長い間、精神の病に苦しめられていました」と告白。以前から業界内では藤さんの精神不安がささやかれていたが、実の娘の口からハッキリと「精神の病」という言葉が出たのは衝撃的だ。
さらに宇多田は「幼い頃から、母の病気が進行していくのを見ていました。症状の悪化とともに、家族も含め人間に対する不信感は増す一方で、現実と妄想の区別が曖昧になり、彼女は自身の感情や行動のコントロールを失っていきました」と明かし、「母が長年の苦しみから解放されたことを願う反面、彼女の最後の行為は、あまりに悲しく、後悔の念が募るばかりです」と複雑な心境を綴っている。
また、07年に離婚した藤さんの元夫・照實氏もコメントを発表しており「(藤さんの)感情の変化がより著しくなり始めたのは宇多田光が5歳くらいのことです。自分の母親、故竹山澄子氏、に対しても、攻撃的な発言や行動が見られるようになり、光と僕もいつの間にか彼女にとって攻撃の対象となっていきました」と、家庭の不和が深刻化していたことを明かしている。
関係者によると「ここ最近は親子3人ともほとんど連絡を取り合っておらず絶縁状態に近かった」といい、藤さんの精神不安を発端に親子関係が破綻していた様子がうかがえる。だが、この家庭崩壊は宇多田のブレイクが原因だったという声もある。
「デビュー前、藤さんは宇多田を本格派の歌手にしようと熱心に動き回り、ステージママのようになっていた。照實氏はそれほど乗り気ではありませんでした。ところが、日本でメジャーデビューが決まる前後から宇多田の売り出しは照實氏が中心になり、ブレイク後は藤さんが『外される』ようになった。利益分配も当初は夫婦で分け合っていたのに、段々と藤さんは蚊帳の外にされ周囲に不満を漏らしていたそうです。照實氏にしてみれば、精神的に不安定な藤さんを娘の売り出しに関わらせると問題が起きかねないと危惧した面もあったのでしょうが…。病気の影響もあって藤さんは“被害妄想”を募らせ、照實氏や宇多田に対する攻撃が過激化していった」(芸能関係者)
この夫婦間の問題は親子の確執にもつながり、宇多田は両親と距離を置くようになっていった。
「2010年に宇多田が無期限休養を発表したのは、両親、特に照實氏から離れたかったからといわれています。親子感情の面でも仕事面でも両親に対する不信感が強まり、ここ数年はロクに連絡もとっていなかったようです。少女時代の宇多田は母親と一心同体のように過ごし、母親が大好きだった。だからこそ、母親を切り捨てて平然と自分のプロジェクトに乗っかってくる照實氏が許せなかったのでは。母が亡くなっても帰国しないのは、照實氏と顔を合わせたくないからではないかともいわれています。それも宇多田のブレイクがなければ生まれなかった確執でしょうから、娘が“カネのなる木”になってしまった家庭の悲劇なのかも…」(週刊誌記者)
ここ最近の藤さんは精神疾患だけでなく視力も弱まり、同居していた元マネジャーの男性だけが頼りの状態だったといわれている。元マネジャーは照實氏の指示で藤さんの世話をしていたといわれ、照實氏は離婚しても彼女のことを案じてはいたようだ。だが、それでも二人の間の亀裂は修復されることなく、宇多田との距離も離れる一方になってしまった。
藤さんには宇多田のブレイクによって手にした数十億円という資産があったようだが、それもたび重なる海外豪遊とカジノ三昧で底を尽きかけ、知人に「あと2000万円くらいしかない」と漏らしていたと一部メディアで伝えられている。
家庭崩壊、浪費癖、精神の病…それら不幸が重なり藤さんは追い詰められてしまったのだろうか。宇多田は「母の娘であることを誇りに思います。彼女に出会えたことに感謝の気持ちでいっぱいです」とも綴っているが、この言葉は天国にいる藤さんが何よりも聞きたかった言葉なのかもしれない。 
■自殺の真相 「宇多田ヒカルとカネと病」 
ファミリーの崩壊と薬が引き金――。歌手・宇多田ヒカル(30)の母で「圭子の夢は夜ひらく」などの大ヒット曲で知られる歌手の藤圭子さんが22日午前7時ごろ、東京・新宿区のマンションから飛び降り自殺し、日本中に衝撃が走った。62歳だった。あまりに突然すぎる藤さんの自殺の動機としては「違法薬物に手を出した?」との情報が流れ、捜査当局が否定する事態にまで発展した。母子でミリオンヒットを飛ばした“芸能界の成功者”だったはずの藤さんが、なぜ自殺したのか? 死の真相を追跡した。
突然の悲報に誰もが耳を疑った。その直後から「藤さんが自殺した理由は違法薬物に手を出していたからではないか」というとんでもない情報が、芸能マスコミを駆け巡った。確かに、藤さんには疑われても仕方がない“過去”があった。2006年、米ニューヨークのJFK国際空港で米国司法省麻薬取締局により、42万ドル(当時のレートで約4900万円)もの多額の現金を没収された時のことだ。
麻薬捜査犬による探知後に現金から微量の違法薬物が検出されたため、同局は「現金は麻薬取引に使う、もしくはすでに使われた」と結論付け、現金を没収。だがその後、現地の捜査当局は違法薬物説を否定し、現金も09年に返却された。
藤さんを知る関係者も「例えば、シャブとか本当にやばいクスリには手を出していなかったはず。ただ睡眠薬とかうつ病のクスリとかは持っていたのではないか」と明かした。
うつ病の治療薬と睡眠薬は、セットで処方されることも多い。だが、医師の指示を守らなかったり、過剰に服用すると自殺願望を強めてしまうことがあるのは欧米では常識となっている。関係者の言う通りだとすると、これら薬の扱い方を誤ってもうろうとした意識のまま、13階から飛び降りた可能性もある。
今回の自殺での薬物摂取について、捜査に当たった警視庁新宿署の副署長は「尿検査の簡易鑑定からは違法薬物、睡眠薬は検出されなかった」と否定。だが、脱法ドラッグが検出されたかについては「違法じゃなければ、関係ない」とあいまいな回答。精神疾患や向精神薬の服用については「プライバシーに関わる」として公表しなかった。同居の男性は「(藤さんは)酒もたばこもほとんどやらない」と話してるという。
藤さんは、1969年に「新宿の女」でデビュー。翌70年には早くも「圭子の夢は夜ひらく」が大ヒットし、一躍スターダムに上り詰めたが、その裏では“苦難”の連続だった。中でも象徴的といえるのが、現在の家族関係だろう。実は、07年に離婚した元夫の音楽プロデューサー宇多田照實氏(65)、そして娘のヒカルとは最近“絶縁状態”だったという驚くべき証言が浮上した。
音楽関係者は「ヒカルがブレークしたのは照實氏の手柄のようになっていますが、実は水面下で陣頭指揮を執っていたのは藤さんでした。デビュー当初、ヒカルがテレビ等に出なかったのも、藤さんが“学校卒業”を歌手活動の条件にしたからです。ただ、ヒカルが売れてカネが入ってくるようになると、当初は夫婦で権利を分けていたのに、次第に藤さんは『外されるようになった』と漏らしていたそうです」。
宇多田も02年に映画監督・紀里谷和明氏(45)と結婚して、両親との距離が徐々に広がるようになった。
「ヒカルが2010年に音楽活動無期限休止したのも両親との縁を切りたかったからです。両親への不信感は相当なものでした。藤さんが亡くなる直前は、藤さん、照實氏、ヒカルはまったく連絡を取り合っていなかった」と前出の音楽関係者は衝撃的な事実を明かす。
藤さんの不幸はそれだけではない。病気にも悩まされていたという。
「藤さんのお母さんは盲目でしたが、藤さん本人もかなり視力が悪くなり、ほとんど物が見えない状態だった。娘にヒカル(本名は光)と名付けたのも、娘には自分と同じ思いをしてほしくないからという理由だったのです」(芸能関係者)
前出関係者によれば「晩年はほとんど誰とも連絡を取っていなかった」という藤さん。楽しみといえばギャンブルだけで「カジノ、マージャン、競馬などにのめり込み、相当な金額を突っ込んでいた」(同)という。
「新宿の女」でデビューし、新宿で自ら人生の幕を下ろした藤さん。もともとは内向的な性格で、読書好きの物静かな少女だったが、年を経るごとに心に開いた“暗い穴”は大きくなっていったようだ。

ふじ・けいこ=1951年7月5日生まれ。岩手県一関市出身。69年、18歳での歌手デビュー曲「新宿の女」が77万枚、翌年の2枚目シングル「女のブルース」が102万枚、2か月後に出した「圭子の夢は夜ひらく」は185万枚のヒット。71年に内山田洋とクールファイブのボーカル前川清と電撃結婚。22歳と19歳の歌手夫婦となったが1年で離婚。82年に宇多田照實氏と結婚し、翌83年に長女・光(宇多田ヒカル)を出産した。 
■波乱万丈の人生に自ら終止符… 
衝撃的な事件となった。宇多田ヒカルの母親で歌手の藤圭子さん(本名・阿部純子=享年62)が22日未明、東京・西新宿6丁目のマンション、アトラスタワー13階から飛び降り自殺したというニュースだ。このマンションの部屋は藤さんの元夫で07年に離婚した照實氏の所有する部屋だったと言うのだが、事実関係は不明だ。いずれにしてもマンションの敷地内に倒れていたという。都内の病院に搬送されたが亡くなっていた。それにしても自殺も驚きだったが東京にいたことすらも驚きだった。
自殺の原因について、一部には空を飛ぶ鳥を観て「自分も空を飛べると思ったようだ」と言った情報もある。もちろん、情報には根拠はないが…しかし、俳優の窪塚洋介も神奈川・横須賀の自宅マンションの9階から「飛べると思った」なんて言って26mも落ちたことがあった(2004年)。そういった意味では、あるいは…ってことも考えられる。
思えば、育ての親で恩師・作詞家の石坂まさをさんが今年3月9日に闘病生活の末にこの世を去った(享年71)時、藤さんは葬儀に訪れなかった。てっきり、日本にはいないかと思ったが…。それが、あした(23日)は、故石坂さんを偲ぶ会である。午後6時から千代田区のホテルルポール麹町で行われる。余りのタイミングに驚くばかりである。
ところで、藤さんについて振り返ると…06年3月――米ニューヨークのケネディ空港で、現金約42万ドル(日本円で約4900万円)を差し押さえられたことがあった。この時、藤さんは「この5年間は殆ど日本には帰らず世界旅行をしていた」とした上で「飛行機はファーストクラス。ホテルは各国の高級ホテルに泊まった。5年間で5億円は使った」と、リッチな生活ぶりだったことを吐露していたものだ。
一人娘で歌手の宇多田ヒカル――ヒカルは、99年に歌手デビューした。ファースト・アルバム「First Love」は、日本の音楽史上最高の850万枚を売り上げた。以来、藤さんは、演歌歌手とは全く別の部分で注目されてきた。
藤さんは愛娘のヒカルに負けず劣らずの輝かしい実績を持っていた。が、その足跡は、まさにスキャンダラスそのものだった。しかも、藤さんにとっての歌手生活は波乱万丈そのものであった。
内山田洋とクールファイブのボーカルだった前川清との結婚・離婚。そして人気絶頂での「歌手引退」。音楽関係者によると、彼女の行動は「その都度、芸能事件として大きな話題になった」という。
東大安田講堂の占拠事件など、藤さんがデビューした69年は、学生運動が激化していた年だった。今回、自殺を図った新宿の西口で「フォーク集会」が行われていた時に、彼女は「新宿の女」で華々しくデビューした。キャッチフレーズは「黒のベルベットに身を包み純白のギターを持った宿命の少女」。
彼女は、浪曲師の両親の間に生まれた。幼い頃から、両親とともにどさ回りする生活だったという。人前で初めて歌ったのは小学校4年生の時。畠山みどり「出世街道」が彼女の十八番だった。人前で歌った快感が忘れられず歌手を目指すキッカケとなった。デビューは、弱冠17歳の少女だったが「白いギターを抱えて、うなるように歌う彼女の姿に、世の中は釘付けになった」(レコード関係者)という。
出世作「圭子の夢は夜ひらく」は、デビュー2年目の70年に発売された。
「この曲は、もともとは園まりが歌っていたんです。そこで、作詞家の石坂まさをさんが詞を変え、藤さんに歌わせたんです。これが100万枚に迫る大ヒットとなった。当時、オリコンのチャートで40週間に亘ってトップを独走しました」(音楽関係者)。
彼女の人気は不動のものとなった。その藤さんに降って湧いたのが「結婚」だった。当時を知るフジテレビの関係者がいう。
「当時、生放送していた『夜のヒットスタジオ』に前川清が出演した時、司会の前田武彦さんが切り出したんです。『藤さんとの結婚の意思を固めたと聞きましたが…』という問いに、前川が頷き認めたんです。彼女のスター歌手らしくない素朴なところに惚れたようです」。
2人の交際のキッカケは、70年9月に東京・浅草国際劇場で行われた「藤圭子ショー」の楽屋に、前川が花束を持って訪れたことだった。その後、藤も東京・有楽町の日劇で行われた「クールファイブ・ショー」に前川を訪ねたことから一気に深まった。
「藤さんは結婚の意志を恩師の作詞家・沢の井竜二氏に打ち明けたんです。沢の井氏は、リーダーだった内山田洋と相談して、最終的に結婚を了承したといいます」(当時、2人の所属していたレコード会社RCAビクターの関係者)。
藤さんは、前川について「さっぱりした人柄。結婚できたら嬉しい」と言いつつも「芸能人同志いろいろ問題もあるので、もっと話し合って気持ちを確かめたい」と慎重な態度を見せていた。
当時、人気絶頂だった藤さんには、結婚するためには余りにも障害が多かった。オリコンのデータによると、70年に出したファースト・アルバム「新宿の女」は、3月30日付から8月10日付まで連続20週も1位にランクされ、入れ替わって1位にランクされたのは、やはり藤さんのセカンド・アルバム「女のブルース」だった。同アルバムは17週間連続でトップに立った。つまり、70年のアルバム・チャートは3分の1強の約9週間、藤さんのアルバムが1位を独占していたわけだ。それだけに、周囲には結婚を反対する声も多かった。
しかし、「情熱的な性格」だった藤さんは、前川との結婚を決意、71年8月2日に前川の出身地である九州・佐世保のカトリック教会「俵町教会」で式を挙げた。大挙したマスコミやファンに佐世保市民からは「エンタープライズの入港以来の騒ぎ」と驚きが上がっていたという。
披露宴は、ハネムーン(8月3日から8日まで)からの帰国を待って、8月9日にやはり東京・西新宿にある京王プラザホテルで行われた。ハワイ焼けですっかり健康色になった2人は、喜びに満ち溢れていたという。
「挙式は洋装でしたが、披露宴は前川が紋付はかま姿、藤は十二単衣。微笑ましいカップルぶりを発揮していました。披露宴の会場には森進一やいしだあゆみら歌手仲間が来ていたと思います」(当時を知る週刊誌の元ベテラン記者)。
周囲には、19歳の藤と22歳の前川の「若すぎる結婚」に不安視するムキもあった。しかし、はたも羨む「おしどり夫婦」ぶりは、芸能界の大きな話題になっていた。
だが、2人の結婚生活は長くは続かなかった。僅か1年での破綻だった。離婚の理由は「性格の不一致」というが、芸能マスコミの中からは「一体、どういうことだ…」とのブーイングも上がった。
「結婚した当時の藤のヒット曲が『圭子の夢は夜ひらく』だったが、離婚したときの最新曲が『別れの旅』。まさに、藤さんは “演歌の星” らしく、結婚生活も歌につれてということになった」
なんて皮肉られる羽目となった。
あと、ヒンシュクを買った一つが72年7月30日から4日間、グアム島に夏休み旅行をしたことだった。その模様は、「結婚1周年」と銘打って週刊誌やテレビのワイドショーで紹介され、ファンからも大反響となった。ところが、その楽しそうな旅行は「実は、離婚の話し合い」だった。「帰国するや2人は関係者に離婚を報告した」という。
離婚会見は8月12日に東京・紀尾井町の赤坂プリンスホテルで行われた。
記者から理由を聞かれた藤さんは「何を言ったらいいんですか?」「何もないですよ」「(離婚の理由は)なんとなく、お互いに…」。
「藤も前川も全く理由は曖昧。肝心なことはボソボソと言うから聞き取れない。離婚話は、どちらから言い出すわけでもなくグアムに行った時に固まったと言うんですから、何が何だかサッパリ分かりませんでした。正直言って結婚ごっこだったとしか言いようがない」(当時、取材した週刊誌の元取材記者)。
そして…歌手生活10年目を迎えた79年のこと。藤は何と「普通の女になりたい」と引退を決意したのである。ヒットに恵まれなかった藤は、キャンディーズの「普通の女の子に戻りたい」ではなく「普通の女になりたい」という気持ちになったと言うのだ。
「実は、藤の引退説というのは77年ぐらいからくすぶっていた。ただ、その頃は、阪神の小林繁投手とのロマンスが囁かれていたんです。そんなこともあって、引退説は立ち消えになってしまった。しかし、藤の気持ちの中では引退しかなかったのかもしれませんね。RVCレコード(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)の奥野一郎社長とも話し合ったようですしね。その席で、契約問題を整理した上でということになった」(当時を知るプロダクション関係者)。
79年5月、東京・有楽町の日本劇場で「10周年記念リサイタル〜圭子のすべて!」が行われた。そのステージで「私には演歌しかありません。これからも、飾らず、気どらず、欲張らず、で頑張りたい」と11年目に向けての意欲を語ったばかりだった。また、9月には新曲「可愛い女」が発売され、キャンペーンも始まっていた。その矢先に、いきなり「引退する」では、「前川清との離婚の時と全く同じ。単なる我がままでしかない」という声がマスコミ内から上がっても不思議ではない。
藤さん本人は「もう、何もいらない。1年ぐらいボケッとしたい。外国旅行でもしたい」と親しい友人に漏らしたというが、その引退の一方で、小林投手とのロマンスの裏で東京・六本木のクラブで演奏しているミュージシャンとも交際しているといった噂が出ていた。
引退宣言は79年10月17日に東京・渋谷のRCAレコード本社で行われた。引退の理由は、やっぱりハッキリしなかった。ただ「物心がついたときから、ずっと生活のために仕事をしてきました。この辺で、すっきりと芸能界から身を引き、第二の人生を過ごしたい」と言うだけだった。さらに、その上で「再びステージに立つことはありません」と強調していた。
「彼女は、10年間にシングル34作品を出し800万枚、アルバムは200万枚を売上げ、133億円を稼ぎ出した。この金額は当時としては莫大でした」(音楽関係者)。
そして、藤さんは、その年の12月26日に、ゆかりの新宿――新宿コマ劇場で引退公演を行った。
引退後は「とりあえずハワイへ行きたい。ハワイでのんびり自分の気持ちを落ち着けたい」と言ったが、「実は、翌年の80年、米国のカリフォルニア州に滞在していたことが分かったんです。彼女は日本に帰る意思のないことを示し、米国の大学に入るために勉強していると言っていたんですけどね」(ワイドショー関係者)。
ところが、その翌81年7月「二度と芸能界に戻らない」と引退したはずだった芸能界に、突然にカムバックすることになった。しかも名前を「圭似子」に改名しての再活動だった。藤の気まぐれな行動に世間は冷ややかな反応を示した。結局、藤さんのカムバックは中途半端に終わり、再び渡米した藤は翌82年に宇多田照實氏と結婚、83年に長女・光(宇多田ヒカル)を生んだ。もっとも、その照實氏とも07年に離婚していた。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

淡谷のり子 
(1907 - 1999) 青森県青森市出身の日本の女性歌手。日本のシャンソン界の先駆者。愛称は「ブルースの女王」。叔父は政治家の淡谷悠蔵。
1907年、青森市の豪商「大五阿波屋」の長女として生まれる。1910年の青森市大火によって生家が没落。10代の頃に実家が破産し、1923年、青森県立青森高等女学校を中退し母と妹と共に上京。東洋音楽学校(現・東京音楽大学)ピアノ科に入学する。後に荻野綾子に声楽の資質を見出されて声楽科に編入。オペラ歌手を目指すためクラシックの基礎を学んだ。
しかし家がだんだんと貧しくなったため、学校を1年間休学して絵画の裸婦のモデルを務めるなどして生活費を稼いだ。当時は「霧島のぶ子」を名乗っており、この時期、淡谷の裸婦像を描いた画家に 岡田三郎助、田口省吾、前田寛治がいる。その後、復学しリリー・レーマン(ドイツ語版)の弟子である柴田稲子の指導を受け首席で卒業。春に開催されたオール日本新人演奏会(読売新聞主宰)では母校を代表して「魔弾の射手」の「アガーテのアリア」を歌い十年に一人のソプラノと絶賛される。
世界恐慌が始まる1929年の春に卒業。母校の研究科に籍を置く。母校主宰の演奏会でクラシックの歌手として活動する。クラシックでは生計が立たず、家を支えるために流行歌を歌う。1930年1月、新譜でポリドールからデビュー盤「久慈浜音頭」が発売。キングレコードでも吹込みをはじめる。当時、佐藤千夜子の活躍以来、奥田良三、川崎豊、内田栄一、四家文子ら声楽家の流行歌への進出が目立っていた。
1930年6月、浅草の電気館のステージに立つ。映画館の専属となりアトラクションなどで歌う。当時、東洋音楽学校からは青木晴子、羽衣歌子らが流行歌手として活躍していたが、東京音楽学校出身の声楽家が歌う流行歌よりも低い価値で見られていた。淡谷は流行歌手になり、低俗な歌を歌ったことが堕落とみなされ母校の卒業名簿から抹消された(後年復籍)。
1963年に起きた内紛(東洋音楽大学事件:創業者一族の鈴木理事と経営側理事が対立し、双方が暴力団を「警備員」として大学に呼び込んだスキャンダル)に際しては、卒業生たちが東京声専音楽学校(現在の昭和音楽大学)に集まり、理事たちの異常な行為を糾弾した。
1931年コロムビアへ移籍。古賀メロディーの「私此頃憂鬱よ」がヒット。淡谷はコロムビアでは映画主題歌を中心に外国のポピュラーソングを吹込む。1935年の「ドンニャ・マリキータ」はシャンソンとしてヒットし、日本のシャンソン歌手の第1号となる。
日中戦争が勃発した1937年に「別れのブルース」が大ヒット、スターダムへ登りつめる。ブルースの情感を出すために吹込み前の晩酒・タバコを呷り、ソプラノの音域をアルトに下げて歌う。
その後も数々の曲を世に送り出し名をとどろかせる(なお、この頃のバックバンドのメンバーには日本のジャズの父と言われるティーブ・釜萢がいた)。その当時に淡谷のピアニストを務めていた和田肇(1908〜87)と1938年に結婚するが、翌年離婚。その後は生涯独身であった。尚、淡谷には娘が一人いるが、和田との間の子供ではない。
戦時下で多くの慰問活動を行い「もんぺなんかはいて歌っても誰も喜ばない」「化粧やドレスは贅沢ではなく歌手にとっての戦闘服」という信念の元、その後の第二次世界大戦中には、禁止されていたパーマをかけ、ドレスに身を包み、死地に赴く兵士たちの心を慰めながら歌い送っていた。
「英米人の捕虜がいる場面では日本兵に背をむけ、彼等に向かい敢えて英語で歌唱する」、「恋愛物を多く取り上げる」といった行為の結果、書かされた始末書は数センチもの厚さに達したとのことである。
戦後はテイチク、ビクター、東芝EMIで活躍。やがて、ファルセット唱法になる。声楽の基礎がしっかりしているので、胸声一本ではなくハイトーンを失わないところに歌唱技術の深さがあった。1953年に『第4回NHK紅白歌合戦』に出場、紅白初出場を果たす。NHKの公式資料によれば、同紅白で初出場ながらいきなり紅組トリを務めたとなっている。また、紅白で第1回を除いて初出場でトリを務めたのは淡谷のみである。
この頃からテレビのオーディション番組の審査員やバラエティ番組などに出演する。歌手オーディションでマイクの前で歌う経験がなく、セーブせずにホールで歌うように歌唱して不合格になった程の圧倒的な声量と、音楽的な基礎を学んできた自らの経験から辛口の発言が多く、1965年の『NHK紅白歌合戦』では「今の若手は歌手ではなく歌屋にすぎない」、「歌手ではなくカス」の発言で賛否両論を巻き起こし話題となる。
しかし複数の歌手や作品に対しては高く、もしくは一定の評価をしており、晩年は五輪真弓の「恋人よ」をレパートリーに取り入れていた。同楽曲で1982年4月1日放送のTBS『ザ・ベストテン』のスポットライトのコーナーに出演したことがある。一方で、大物とされるような歌手であっても嫌いな歌手に関してテレビ番組等で堂々と公言していた。
そして1970年代前半には、『全日本歌謡選手権』(よみうりテレビ)の審査員も務めたが、この番組から世に出た五木ひろしについて、同番組審査員の山口洋子は五木に高得点を付けたが、淡谷は落とす方に回ったと後に述懐している。1979年、津軽三年味噌(かねさ)の広告に出演。淡谷が口にしたコピー「たいしたたまげた!」(方言で「とても驚いた!」)は当時の流行語になった。
若者からの人気​
1980年代から1990年代にかけて、フジテレビ『ものまね王座決定戦』の名物審査員として若者からも人気となる。審査員としては辛辣な評価が有名で、コロッケのネタによく破顔一笑していた一方で清水アキラが披露する下品かつ悪ふざけに近い物真似に対しては、非常に厳しく採点していた。淡谷の死後、コロッケは一時期淡谷の物真似の封印も検討したが、淡谷の実妹である淡谷とし子から「若い世代の人にも淡谷の名前を知って貰いたい」と言われ、死後20年近くなる現在でも淡谷の物真似を披露している。
また、小堺一機司会のフジテレビ『ライオンのいただきます』にも度々出演。「自分の母親に似ている」という原ひさ子と仲良くなったという。スタジオでも淡谷が原の手を引いて歩くほどだったが、実は淡谷の方が年上だったというエピソードがある。
晩年までテレビやコンサートで精力的に活動を続けてきたが、長年の音楽仲間で戦友ともいえる藤山一郎・服部良一が死去した1993年に脳梗塞で倒れる。軽度ではあったが言語症や手足にマヒが残るなど体調は悪化し、この頃から急速に仕事への意欲を失い始めた。この時期、自身のライブを録音したテープを聴き「これでは人様に聴かせられない」と絶句し、一線を退く決心をしたとも言われ、露出は無くなった。
晩年​
1990年代にはゲルマニウム美容ローラーの広告に他界するまで契約を結んでいた。一時期は淡谷が愛用している旨のテレビ広告が盛んに流れていたため、清水アキラやコロッケが淡谷の物まねをするときには小道具として使用していた。晩年、テレビ等への露出が減った際にも広告に「復帰はもう少し待ってくださいね」などとメッセージを寄せ、淡谷が他界すると美容ローラーのメーカーは「ありがとう淡谷のり子さん」と追悼広告を新聞に出した。
晩年は寝たきりとなり療養生活を送っていた1996年、後輩たちによって淡谷の米寿記念コンサートが行われ、久々に姿を現した。このコンサートの際に森進一に「別れのブルース」を、美川憲一に「雨のブルース」を、「それぞれ形見分けではないですが差し上げます、歌っていって下さい」と発言し、話題を呼んだ。しかし、これは周囲が勝手にお膳立てをしたもので、淡谷本人や妹のとし子(同居人で姉の介護にもあたっていた)は、このことを知らされておらず、報道後も(形見分けなど)認めていなかった。そして、このコンサートのフィナーレで全員合唱の中、口ずさんだ「聞かせてよ愛の言葉を」が人前で歌った淡谷最後の歌唱となった。
軍歌と演歌を嫌い、このようなコメントを残している。
「軍歌はもちろんだけど演歌も大嫌い。情けなくなるの。狭い穴の中に入っていくようで望みがなくなるのよ。私は美空ひばりは大嫌い。人のモノマネして出て来たのよ。戦後のデビューの頃、私のステージの前に出演させてくれっていうの。私はアルゼンチン・タンゴを歌っているのに笠置シヅ子のモノマネなんてこまちゃくれたのを歌われて、私のステージはめちゃくちゃよ。汚くってかわいそうだから一緒に楽屋風呂に入れて洗ってやったの。スターになったら、そんな思い出ないやっていうの。」
死去​
1998年10月、故郷の青森市名誉市民の推戴式に車椅子姿で姿を現したのが、生前公の場に立った最後になった。翌1999年9月22日、老衰により死去。その死は一般紙でも一面で報じられ、テレビでも複数の追悼番組が放送された他、多くの雑誌で追悼記事が掲載された。ステージ衣装が一着のみではあるが、群馬県渋川市の日本シャンソン館に展示されている。 
■『別れのブルース』 日本初の"ブルース歌謡"の誕生秘話 
「特攻隊の慰問にいったときのこと。白鉢巻をした兵隊さんがいっぱいいるんですよ。ちょっと横を向いたら2〜30人もいたでしょうか。中には子供みたいな兵隊さんもいるんですよ。まだ15〜6歳ぐらいの。だから私、係りの人に訊いたんです。そしたら「はい、特攻隊員で平均年齢16歳です。命令がくれば飛びますよ!」って。「もし歌っている最中に命令が下されたら行かなければなりませんからごめんなさいね。悪く思わないでください!」って。命令がこなけりゃいいなあと思いながら歌っていたらーやっぱりきたの、命令が。さっと立ち上がって、私の方を向いてみんなニコニコ笑いながら、こうやって(敬礼の格好)行くんです。もう、泣けてなけて、声がでなくなりましたよー悲しくて。あんな悲しい想いをしたことはありません。」  淡谷のり子
   窓をあければ港が見える メリケン波止場の灯が見える
   夜風汐風 恋風乗せて 今日の出船は何処(どこ)へ行く
   むせぶ心よ はかない恋よ 踊るブルースの切なさよ
この「別れのブルース」は、1937年(昭和12年)に発表された歌で、日本における“ブルース歌謡”の第一号として知られている。日本で初めて題名に“ブルース”と付けられたのは、1935年(昭和10年)にヘレン雪子本田の歌唱によって発表された「スヰート・ホーム・ブルース」だが、広く大衆に知らしめたという意味ではこの楽曲をおいて他にないと言われている。歌手・淡谷のり子はこの歌の後に発表した「雨のブルース」などの連続したヒットによって"ブルースの女王"と呼ばれるようになる。
──ブルースのルーツをさかのぼると、古くは西アフリカ、そして17世紀から19世紀の間にアメリカ大陸に連行された黒人奴隷の歴史に辿り着く。西洋の音階で言う三度の音、すなわち「ド」に対する「ミ」が、クラシック音楽の感覚で正しいとされる音程よりフラットになるブルーノートスケール(ブルース特有の音階)は、黒人がアフリカ音楽から持ち込んだ要素である。1936年(昭和11年)、日本コロムビアレコードの専属作曲家として入社した服部良一は、次々に作曲や編曲を手掛けつつも、独自の個性の確立を模索していた。この背景には、従来の専属作詞家や作曲家同様に結果を出すことを会社から求められていた上に、結婚したばかりで新たに家庭を築こうとしていた個人的な事情もあったという。そんな中、服部は"決定打"となるような楽曲を書けずに苦しみながらーある日、自分にしか書けない"和製ブルース"を作ろうと思い立った。服部は、当時いまひとつ芽が出ずにくすぶっていた作詞家の藤浦洸にポケットマネーから30円を渡してこう言った。
「日本でブルースの雰囲気がある場所はここしかない!」
服部は横浜の本牧にあるチャブ屋(日本在住の外国人や外国船の船乗りを相手にした売春宿の俗称)を舞台に選び、取材させたのだった。そこは遊郭や芸者に飽きた"遊び慣れた"日本人も出入りする場所で、エキゾチックなムードが漂っていた。渡された30円をふところに本牧で一夜遊んだ藤浦は、翌日服部に会うと、おもむろにノートを開いて歌い出しのフレーズを書いたという。
   窓をあければ港が見える
   メリケン波止場の灯が見える
服部はそれを見て「これだ!」と叫び、早速作曲に取りかかった。そのつぶやくようなメロディーを"あえて"ソプラノの淡谷に歌わそうと白羽の矢を立てた。当時、譜面を渡された淡谷は2オクターブも低いアルトでは絶対に歌えないと反発したという。淡谷の歌の上手さを知っていた服部はこう嘆願した。
「ブルースは黒人の苦しみ、悲しみを歌ったものです。ソプラノもアルトもない。無理をしてでもキーを下げて歌って下さい!」
青森出身のじょっぱり(頑固者)な淡谷は、意を決してわざと深酒と煙草でノドを荒らしてレコーディングに挑んだという。出来るだけマイクに近づいて囁くように歌い、見事に服部の要求に応えたのだ。 こうして完成した日本初の"ブルース歌謡"は、発売当初、あまり売り上げは芳しくなかったという。淡谷は当時の貴重なエピソードこう語っている。
「あのね、『別れのブルース』は最初国内ではあんまり売れなかったのよ。ところが発売翌年の昭和13年(1938年)の暮れころからどんどん売れてきたんですよ。それも満州の兵隊さんからなの。それが大阪から東京へと(広まって)いって、トップをきっていったけれども、次の年の昭和14年に発売禁止になったのー絶対に歌ってはいけないと。センチメンタルだからだって、国民を鼓舞するような歌でなくてはダメだって。あの頃はよく兵隊さんの慰問に外地に行って歌ったの。確かあれは上海だったかしらー東京の部隊だったのね。都会的な歌をたくさんリクエストされたあと「もう一つどうしても歌ってくれ」と言われたの。それが『別れのブルース』だったのよ。問題の歌だったので、少しためらったけれどー明日がわからない兵隊さんでしょ、だから私歌ったのよ。そのとき歌い始めてひょっと見たら、憲兵さんと将校さんがホールから出ていったのよ。出ていってくれたの。そして、ひとつへだてた中庭の向こう側からこちらをのぞき見るように聴きながら泣いていているじゃないのーそういうことがあったの。」  淡谷のり子 
■時を創った美しきヒロイン
したいと思ったことはした、したくないことはしなかった
日本が戦争で泥沼化した時代、「ぜいたくは敵だ!」などの標語が叫ばれました。そして、女性はパーマ禁止、モンペ着用となります。その時勢にたった一人、真っ赤な口紅とマニキュア、華やかなドレスにハイヒールで通した歌手淡谷のり子がいました。度々の弾圧にも「これは私の戦闘服よ」と屈しません。
淡谷のり子は、1907(明治40)年に青森市で誕生しました。生家は呉服商を営む豪商で、下に妹のとし子がいます。祖母はのり子を溺愛、贅沢に、わがままし放題に育てます。
しかし、青森大火で店が全焼し没落。愛人宅に有り金を持ち去った父は家に戻りません。夫の放蕩三昧に笑顔で耐えてきた母みねは、つらいばかりの故郷を去ることを決意。「女3人が力を合わせれば飢え死にすることはない」――こうして大正12年4月7日、母33歳、のり子16歳、とし子14歳は東京に旅立ったのです。
のり子は東洋音楽学校(現・東京音楽大学)のピアノ科に入学。音楽なら女でも自活できるという母の考えからでした。間もなく天性の美声を見抜かれ声楽科に編入します。
しかし、母の内職だけではすぐに困窮。とし子は眼病で失明の危機に瀕し、治療費も必要になってきます。のり子は休学し、「一家心中する気があればなんでもできる」と、絵のヌードモデル業に飛び込みました。初日は恥ずかしさのあまり失神してしまいますが、すぐに売れっ子に。雪のような白い肌、猫のような目に人気が集まったのです。そして、学校を離れている間にのり子は音楽への愛に気づくのです――「私には歌しかない! 歌をやるんだ」
こうして復学後、猛勉強に励み、21歳の春に音楽学校を首席で卒業。初めてのステージでは、新聞が「十年に一度のソプラノ」と絶賛します。
しかし、クラシックだけでは食べていけません。さらに、高尚なものとされるクラシックより、大衆に支持されるジャズやタンゴ、シャンソンに惹かれていきます。苦渋の末にレコード会社と契約。流行歌手となったのです――「クラシックを断念するのはつらいけれど、とびきりいい流行歌を歌っていけばいい」
やがて、昭和12年に吹き込んだ『別れのブルース』が空前の大ヒット。翌年の『雨のブルース』も大ヒットし、「ブルースの女王」として一躍大スターとなったのです。「歌のためならすべてを犠牲にできる」――たった一度の結婚もすぐに解消。そして、プロとして人を魅せることも意識。日本で初めてつけまつ毛やアイシャドウを取り入れました。
しかし、その成功の陰で資産家の息子との結ばれぬ恋がありました。彼は中国で急死し、お胎には忘れ形見が…。母は咎めも詮索もせず「子どもはいいものよ」と応援。のり子は迷いを捨て一人娘を産みました。
そして、自由が失われた戦時中、「歌は人の心に生きることの喜びを与えるもの」と、モンペも軍歌も拒否。慰問は、軍に束縛されない無料奉仕に徹して戦場を回ります。
「権威や権力は大嫌い。意に染まないことを受け入れるなんてまっぴら」という思いで反骨精神を貫いたのり子は、戦後も歯に衣着せぬ物言いで活躍しました。「したいと思ったことはした、したくないことはしなかった」という見事なじょっぱり(津軽弁で強情っぱり)人生に幕を下ろしたのは92歳の時でした。 
■「ブルース」で席巻 
昭和戦前のジャズ・ソング全盛期を創出
淡谷のり子(1907−99)が母親と妹とともに青森市を出奔し、東洋音楽学校(のちの東京音楽大学)に入学したのは1923年だった。予科ピアノ科から声楽(ソプラノ)に転じ、クラシックを学んでいた。途中1年休学して画家のモデルで収入を得ていたが、復学して1929年に卒業している。
淡谷のり子も声楽家から流行歌手へ
東洋音楽学校は、1907年に鈴木米次郎(1868−1940)が設立した私立の音楽学校である。鈴木は音楽取調掛に入学し、改組後の東京音楽学校を卒業している。井沢修二が校長だった時期である。
伊沢による西洋音楽の移入で唱歌教育を全国に展開していた国策にのっとり、鈴木米次郎が各地の音楽教諭を経て東京高等師範学校教授に就任したのが1903年。翌04年に教授職を辞任し、07年に東洋音楽学校を開校した。東洋音楽学校は戦後、短大、4年制大学を設置し、1969年に東京音楽大学へ改称している 。
淡谷のり子が卒業した1929年、日本ビクター蓄音器は設立2年を経過し、いち早く流行歌へ乗り出していた。先行していたレコード会社の日本蓄音器商会(日本コロムビア)も流行歌に本格参入し、競争が始まる。日本ポリドールやキングレコード(講談社)も次々に市場へ参入し、歌手、作詞家、作曲家は完全な人手不足となる。
音楽学校でクラシックの基礎を学んだ声楽家は流行歌手の大きな供給源となっていた。淡谷のり子もクラシックに未練を残しながら、卒業後は稼げる流行歌手のオーディションに応募し、ポリドールやキングレコードで吹き込みを始め、浅草では映画館で歌い始めている。無声映画の時代なので、映画館はオーケストラ、弁士、指揮者、歌手を抱え、映画に合わせたサウンドを提供し、幕間にはライブも催していたのである。
「昭和六(1931)年の一月、私はコロムビアと契約をした。コロムビアには、前に一度吹込んだことがあった。(略)コロムビアとの条件は、専属料として月三百円のほかに、吹込料が三〇円、印税については触れず、だいたい終身契約の形だった。入社して半年もたたないうちに『私このごろ憂鬱よ』(高橋掬太郎作詞・古賀政男作曲)のヒット曲が出た。昭和六年の六月であった。/私は、古賀さんの曲が好きだった。『酒は涙か溜息か』でも『影を慕いて』でも、あのギターにからむ哀切な調子が心に沁むものがあった」(淡谷のり子)
「私このごろ憂鬱よ」の表記は、正しくは「私此頃憂鬱よ」と、漢字が並ぶ。この曲は藤山一郎の「酒は涙か溜息か」のB面として発売されている。このとき藤山一郎は東京音楽学校の学生で、顔を出さない覆面歌手だった。その後、東京音楽学校当局にばれて停学処分をくらっている。
淡谷のり子は終身契約で月300円の固定給だったというわけだが、当時、日本の平均賃金は月54.23円(『近現代日本経済史要覧・補訂版』)だったから、かなり高給ではある。ただし、印税契約を結んでいない。
「私此頃憂鬱よ」のヒット後は鳴かず飛ばず、1932年は1曲「アリランの歌」(古賀政男編曲)、33年は3曲、「椿姫の歌」(西條八十作詞、江口夜詩作曲)、「来る来るサーカス」(西條八十作詞、古賀政男作曲)、「ジャズ東京」(久保田宵二作詞、江口夜詩作曲)を発売しただけである。
「私はうたっている流行歌には満足出来なくて、心の底では絶えずクラシックへの烈しい郷愁を感じ、何かはっきりした『自分自身の歌』を発見したかった。 (略) 私はブルースに興味を持ち始めていた」(淡谷のり子)。
流行歌より洋楽のジャズ・ソングやブルースのほうが自分に合っている、と感じていたのだ。当時のジャズはダンス音楽全般を総称している。
「昭和十一年(1936)から、十三年にかけてはいろいろなことがあった。十一年の正月は、日本劇場の『ジャズとダンス』というショーに出演して、『セントルイス・ブルース』を歌っていた。しかし、このショーは二・二六事件で公演中止になってしまった。(略)私は毎月のようにレコードの吹込みに追われていた。『ドニャ・マリキータ』『ダーダネラ』『思い出のカプリ』『ジーラ・ジーラ』『ポエマ』『アマポーラ』『巴里祭』『人の気も知らないで』など数え切れない新しい曲に挑んでいった。戦前の舶来流行歌の黄金時代であった」(淡谷のり子)
ちなみに、「セントルイス・ブルース」は1914年にウィリアム・ハンディが作曲した作品で、現在でもスタンダード・ナンバーであり、膨大なカバーがある。有名なルイ・アームストロングの歌とトランペットによるカバーも1933年にはレコードが発売されていた。
福田俊二編『日本流行歌年表』(彩工社、1968)で淡谷のり子の初期の盤歴(ディスコグラフィ)をたどってみる(すべてコロムビア)。この年表はレコード各社のカタログから記録をまとめたものだ。
1934(昭和9)年
「美しの島」(高橋掬太郎作詞、モーリス・デュフォール作曲)これはタンゴ。この年に東海林太郎「国境の町」が大ヒットしている。
1935年
「ヴェニ・ヴェン」(千葉徹三作詞・レニエール作曲)スペインのフォークロア。
「ブロンドの夢」(大木惇夫作詞、ウェルナー・R・ハイマン作曲)1932年同名ドイツ映画の主題歌。
「三ヶ月娘」(佐藤惣之助作詞、古関裕而作曲)
「ポエマ」(奥山靉作詞、エドゥアルド・ビアンコ作曲)タンゴ。
「思い出のカプリ」(奥山靉作詞、仁木多喜雄編曲)ヴィルヘルム・グロス作曲のタンゴだと思われる。
「バルセロナ」(高橋掬太郎作詞、奥山定吉編曲)
「ダーダネラ」(桐山麗吉作詞、バーナード&ブラック作曲)ジャズ・コーラス。
このように、ジャズ、タンゴ、シャンソンを多数発売している。
1936年
「春は自転車に乗って」(松平晃とのデュエット、西條八十作詞、古関裕而作曲)
「暗い日曜日」(久保田宵二作詞、セレス作曲)シャンソン。
戦前の淡谷のり子のジャズ・ソング全盛期はここまで。この年以降は激減している。ソロは「暗い日曜日」1曲のみ。本作はハンガリーの作曲家によるもの。「セレス」ではなくマジャール語では「シェレシュ」と発音するはずだ。1935年に録音され、36年には英語で録音されているそうだから、淡谷のり子のカバーはかなり早い。戦後は岩谷時子の訳詞で越路吹雪もカバーしている。沈鬱な曲想で、文字通り暗い歌である。淡谷のり子の歌唱は透明でありながら、ドスの効いた声が聴き手の胸の奥に迫ってくる。
ちょうどこのころ、淡谷のり子のようなジャズ系の歌手をもっと活かそうと、オリジナルのジャズ・ソングを増やしたかったコロムビアは服部良一を専属作曲家として招き、1936年2月に入社している。
「『別れのブルース』を私が吹込んだのは、『大島レビュー』が好評で、大阪道頓堀の松竹劇場で公演され、東京に帰ってきたころだった。/作曲の服部良一さんは、大阪道頓堀の『出雲屋』少年音楽隊をふり出しに、ダンスホールのバンドマンに加わって苦労しながら作曲の勉強を続けた人だ。そのジャズ編曲の手法が買われてコロムビアに迎え入れられたばかりだったが、服部さんは、何とかして日本のブルースを作りたいと、心ひそかに決めていたらしい」(淡谷のり子)。
「日本風のブルースを!」(服部良一)
「ぼくは、入社後すぐに妙に気が合い、相棒となった詩人の藤浦洸に言った。/『ブルースはなにも、ウィリアム・ハンディの『セントルイス・ブルース』のように黒人の専売ではないと思うんだ。日本には日本のブルース、東洋的なブルースが大いにありうると思わないかい』(略)数日後、ぼくは、日本のブルースのモチーフを求めて、横浜の本牧界隈をさまよった。晩春の夜であった。(略)一軒のバーで洋酒を傾けていたが、ある衝撃を感じてグラスを宙に浮かせた。蓄音器からシャンソンの『暗い日曜日』が流れ出したのだ。淡谷のり子の声だ。(略)〈淡谷のり子だ。本牧を舞台にしたブルースを彼女に歌わせよう。もっともっと低い、ダミアばりの声で……〉」(服部良一)。
こうして生まれたのが「別れのブルース」(1937)で、時間をかけて売れ、以後、服部良一による和製ブルースが量産され、淡谷のり子は戦前のポップス系歌手の大スターとなる。
いまこの曲を聴くと、ブルーノートを使っているわけでもなく、曲想としては現在の演歌のようにも思える。しかし、リズムは間違いなくブルースで、8分の12拍子のようなスイングである。作曲時の楽譜を見ていないので拍子は推測だが、このリズムは当時、新鮮だったに違いない。
テイチクに移った古賀政男の量産は2年目に入り、1936年に藤山一郎の「東京ラプソディ」を大ヒットさせている。ヨナ抜き5音音階の古賀メロディから離れ、ジャズ・ソング風の軽快で都会的な歌である。
「別れのブルース」の発売後、服部良一と淡谷のり子の組み合わせで多くのヒット曲が生まれた。1937年はもう1曲「私のトランペット」を発売している。翌38年には「雨のブルース」「思ひ出のブルース」、39年「たそがれの小鳥」「誕生日の午後」「東京ブルース」と続く。
しかし、1937年7月7日、盧溝橋事件を機に日中全面戦争が始まる。生産力を軍需に集中させるため、政府は38年4月1日に国家総動員法を施行し、生産活動を全面的に統制するようになる。企画院官僚による立案で、一種の社会主義政策だ。統制経済システムが完成した。
思想・文化統制も強化され、帝国日本にふさわしくない軟弱な音楽は摘発されていった。国策遂行上、有害な音楽・芸能だと当局が認めると、次々に姿を消していったのである。1940年には情報局が設立され、検閲も強化される。
服部良一と淡谷のり子の作品は人気があったが、情報局にとっては有害だった。淡谷のり子のコンサートには警察官が入り込み、何度も呼び出されて処分されたのだそうだ。
「昭和十三年(1938)に、一〇年目になって、『私の好きな歌をうたう夕べ』というのを、日比谷公会堂でやった。自分の好きな歌を、じゃんじゃんうたえばいいという、この企画が、嬉しくてたまらず、自分で演出から何から全部やってしまった。/何しろもう戦争が始まっていたので、ステージに花など飾ってはいけないという『軍』のお達しが出ていたというのだが、ええ構うことはない、飾ってしまえということで、景気よく皆飾りつけて、花に埋まったステージで、私は思う存分うたいまくった。/音楽会はものすごく成功したのだが、たちまち警察に呼び出された。第一、花が多すぎる……この非常時にというのだ。『そんなゼイタクなことをしちゃいけない』/で、警視庁でまた始末書を書かされる破目になった」(淡谷のり子)。
「軍」のお達し、とあるが、出版法や新聞紙法にのっとって思想警察として活動していたのは内務省警保局で「軍」ではない。実行部隊は東京では警視庁特高課である。情報局がレコード産業を統制し、摘発は警視庁が行なった。
1940年から敗戦までの流行歌は戦時歌謡一色になるが、淡谷のり子はまったくこの種の歌を歌っていない。戦地へ慰問演奏に出かけているが、やはりジャズ・ソングばかり歌い、化粧もドレスもやめずに始末書を大量に書いたと自伝にある。なかなか見事な歌手人生だった。
1954年生まれの筆者には、60歳代の淡谷のり子のややくぐもった声と、時にバラエティ番組に出演し、津軽弁でコミカルな突っ込みを入れる年配の歌手、というイメージしか残っていないのだが、あらためて戦前の録音を聴くと、中低音を胸声で響かせ、高音を頭声で伸ばして2オクターブに渡る歌唱を聴かせてくれる。とくにシャンソンがすばらしい。聴き手を引きずり込む説得力に驚く。
戦前の洋楽ポップスは服部良一・淡谷のり子でピークに達し、戦時下の洋楽発禁、上演禁止で消え去る。戦後、淡谷のり子は再びシャンソン、タンゴ、ジャズ・ソングを歌い、80歳を超えるまで舞台に立った。
敗戦を挟んで、服部良一が再び腕を振るうのは、笠置シヅ子(1914−85)に出会ったからである。戦後のブギウギ・ブームでロック風の歌謡曲を量産し、ジャズ・コードも自在に取り入れて爆発的な人気を呼んだ。 
 
 
 
 
 

 

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