「紅」のイメージ
  紅 (雅号の一字)    
   

2010/7/24

【紅】くれない(くれなゐ)(「呉(くれ)の藍(あい)」の変化) 植物「べにばな(紅花)」の異名。赤く鮮明な色。紅花の汁で染めだした紅色。臙脂(えんじ)色。江戸時代、京都で染めた紅絹。京紅。香の名。伽羅の一種。
紅の雨(あめ) 花に降りそそぐ雨を美しくいった語。紅雨(こうう)。
紅の薄様(うすよう) 女房の装束または懐紙などの襲(かさね)の色目の名。上から下へ紅色を次第に薄く匂わしたもの。
紅の海(うみ) 夕日が映えて赤く見える海。
紅の梅(うめ) =こうばい(紅梅)
紅の霞(かすみ) 朝日や夕日が映って赤く見える霞。
紅の装束(しょうぞく) 成人の朝服の単(ひとえ)袴などの下着の色目。未成年の赤の濃い濃色(こきいろ)の装束に対していう。
紅の末摘花(すえつむはな) (花を末の方から摘み取って紅(べに)をつくるところから)「べにばな(紅花)」の異名。
紅の塵(ちり) (「紅塵(こうじん)」の訓読み)浮世の塵。俗世間の塵。
紅の涙(なみだ) (「紅涙」の訓読み)悲しみのあまり流す涙。血の涙。深く感動して流す涙。感涙。女性の流す涙。
紅の葉(は) 「紅葉」の訓読み。
紅の袴(はかま) 十二単衣などの女房装束で成人女子がつける緋の袴。
紅の筆(ふで) 婦人用の軸の赤い筆。転じて、男女贈答の恋文。
紅の文(ふみ) 軸の赤い筆で書いた手紙。恋文をいう。
紅の峰(みね) 紅葉(もみじ)などで紅色に色づいた峰。
紅は園生(そのう)に植えても隠れなし すぐれた者はどんなところにあってもすぐに人目に立つ意のたとえ。
紅をさす くれない色にそめる。べに色になる。特に、はじらいや怒りで顔色が赤くなるのをいう。
万緑叢中(そうちゅう)=紅(こう)一点 万緑の中にただ一点紅の花があって美しく目立つこと。
【紅】こう くれない。べにいろ。紅色。 
【紅】べに 「べにばな(紅花)」の略。紅花の花弁に含まれる色素から製した鮮紅色の顔料。染料や、頬紅・口紅など化粧品の原料とし、また、食品の着色などに用いる。臙脂(えんじ)。顔料をおしろいに混ぜ合わせたもの。頬紅。口紅。古くは、猪口(ちょこ)、皿、茶碗などに塗りつけたものを、指や筆で溶いて用いた。「べにいろ(紅色)」の略。
【紅色】くれないいろ 赤く鮮明な色。くれない。
【赤・紅・朱・緋】あか (「あか(明)」と同語源という。本来は単独形「あけ(赤)」が複合語を作る時の形と思われる) 色の名。古くは青に対する色として、朱、橙、桃色などを含めて用いた。三原色の一つ。七色の一つ。赤小豆(あかあずき)をいう女房詞。赤子。赤ん坊。子供。「あかごめ(赤米)」の略。「あかがね(銅)」の略。「あかみそ(赤味噌)」の略。「あかじ(赤字)」の略。「あかでんしゃ(赤電車)」「あかバス(赤―)」の略。「あかしんごう(赤信号)」の略。白組に対する赤組の称。(革命旗が赤色であるところから)共産主義、社会主義、およびその主義者をいう俗語。
【色】いろ 紅(べに)をいう女性語。
【紅の】くれないの 紅の色の意で「いろ」にかかる。紅色がうすいところから「浅(あさ)」を介して、地名「あさはの野」にかかる。紅花をふり出して色を染めるところから、「振り出づ」にかかる。紅花で何度も染める意で、何回も染料に浸す意の「やしほ」を介して、地名「やしほの岡」にかかる。紅花の色をうつす意で「うつし」にかかる。染料の灰汁(あく)の意で、同音の「飽(あく)」にかかる。
【紅】
字源 > 会意形声。「糸」+音符「工」、同義同音字「絳」。植物性原料による染料(「糸」を染めるもの)。説文解字によると、赤糸と白糸からなる布、すなわち桃色の布。中国ではその後、紅が赤を置き換えた。
意義 > 色名。あざやかな赤色。
類義字 > 赤、朱、丹、緋、赭
音読み > 呉音/ク 漢音/ コウ
訓読み: べに、くれない(くれなゐ)、あかい

 

【紅葉】こうよう 植物の緑葉が秋に紅色に変わる現象。また、その紅色になった葉。葉にできるアントシアンなどの色素が、離層の形成によって移動を妨げられ蓄積して起こると考えられる。紅葉と黄葉が同じ葉に生じることもあり、秋季以外にも色素が一時的に蓄積して紅葉することもある。もみじ。
【紅葉・黄葉・イ】もみじ(―する)秋に、草木の葉が赤や黄に変わること。紅葉(こうよう)すること。また、その葉。楓(かえで)、または楓の葉をいう。紋所の名。楓を図柄としたもの。丸に紅葉、杏葉紅葉など。「もみじがさね(紅葉襲)」の略。恥ずかしさや怒りのために顔が赤くなることのたとえ。花札で10月を表す札。10点札、5点札と、1点札2枚がある。料理で、秋の紅葉した木の葉の色を表したものにいう語(「もみじおろし」)。鹿の肉。鹿には紅葉が取り合わせであるところからいう。小麦の挽きかす。ふすま。もと、女房詞。また、大坂でいった語。茄子(なすび)をいう女房詞。「もみじがさ(紅葉笠)」「もみじぶくろ(紅葉袋)」の略。
【紅葉つ・黄葉つ】もみつ =もみず(紅葉)
【紅葉ず・黄葉ず】もみず =もみつ(紅葉) 秋になり、木の葉が紅や黄に色づく。紅葉(こうよう)する。
【紅葉・黄葉】もみじば (上代は「もみちば」)秋の末、紅、または黄色に色づいた草木の葉。特に、紅葉(こうよう)した楓(かえで)の葉。
【紅葉の・黄葉の】もみじばの 卻(古くは「もみちばちの」)木の葉が色づき、やがて散っていく意で、「移る」「過ぐ」にかかる。後世、「もみじ」は赤いものという観念ができたところから、「朱(あけ)」にかかる。
【紅紅葉】くれない‐もみじ 女房の衣の襲(かさね)の色目。紅、山吹、黄、青、濃い紅、淡紅の順に重ねたもの。
【紅葉植物】 秋に、紅葉する植物の総称。カエデ、ニシキギ、ウルシなど。
【紅葉蔦】こうようづた 「つた(蔦)」の異名。
【紅葉豆腐】 江戸時代、和泉国(大阪府)堺の名物の豆腐。上にもみじの形を印したもの。のちに江戸でも売られた。
【紅葉木】こうようぼく 植物「こくてんぎ」の異名。
【黄櫨紅葉】はじもみじ 紅葉した黄櫨(はぜのき)の葉。襲(かさね)の色目の名。表は蘇芳(すおう)、裏は黄。女房の五衣には上に黄、次に山吹の濃淡・紅・蘇芳、単は紅とする。秋に用いる。「はぜのき(黄櫨)」の異名。
【楓紅葉・蝦手紅葉】かえでもみじ 楓の葉が紅葉したもの。襲(かさね)の色目の名。@表は薄青、裏は黄または朽葉のもの。A女房の装束の襲は、上に薄青二つ、次に黄、紅、下に紅または蘇芳の単(ひとえ)。
【紅葉襲】もみじがさね  襲(かさね)の色目の名。表は紅、裏は青。一説に、表は赤色、裏は濃い赤色。また、女房の五衣の襲の色目では上には黄、次に山吹の濃淡、紅の濃淡、これに蘇芳の単(ひとえ)を着る。もみじ。
【紅葉たう・黄葉たう】もみたう 〔連語〕(動詞「もみつ(紅葉)」の未然形に、反復・継続を表す助動詞「ふ」の付いたもの)紅葉している。木々の葉が色づいている。
【紅葉鳥】もみじどり 「しか(鹿)」の異名。
【紅葉狩】 山野に紅葉をたずねて観賞すること。紅葉見。
【紅葉襲】もみじがさね 襲(かさね)の色目の名。表は紅、裏は青。一説に、表は赤色、裏は濃い赤色。また、女房の五衣の襲の色目では上には黄、次に山吹の濃淡、紅の濃淡、これに蘇芳の単(ひとえ)を着る。もみじ。
【紅葉葵】 アオイ科の多年草。北アメリカ原産で、観賞用に栽培される。高さ1-2m。葉は掌状に深く三〜五裂、裂片は披針形で縁にまばらな鋸歯がある。八月、葉腋に径15cmぐらいの緋紅色の五弁花が横向きに咲く。果実は卵形で長さ約2.5cm。
【紅蜀葵】こうしょっき 「もみじあおい(紅葉葵)」の異名。
【紅葉筵】もみじむしろ 紅葉の散り敷いたさまを筵に見立てていう語。
【青紅葉】あおもみじ まだ紅葉しないカエデ。襲(かさね)の色目の名。表は青、裏は朽ち葉。女房の五つ衣の青紅葉は、青の濃淡、黄、山吹、紅で、下の単衣(ひとえ)は蘇芳(すおう)とする。秋に用いる。「うりはだかえで(瓜膚楓)」の異名。
【紅葉鈴懸】もみじばすずかけ スズカケノキ科の落葉高木。スズカケノキとアメリカスズカケノキの種間雑種で、葉形や球状果の数が両種の中間を示す。日本では、多く街路樹に用いられる。かえでばすずかけ。

 

【紅打】くれないうち 糊ばりをした上を砧(きぬた)で打った紅色の絹。
【紅威・紅縅】くれない‐おどし 紅色のなめし革でおどした鎧(よろい)。緋威(ひおどし)。
【紅菊】くれない‐ぎく 紅色花の菊。襲(かさね)の色目の名。表は紅、裏は青。秋に用いる。
【紅絞】くれないしぼり 紅色の絞り染め。べにしぼり。
【紅筋】くれないすじ 紅の横筋文様を織り出した錦または綾。
【紅裾濃】くれないすそご 衣または鎧(よろい)などで、紅色を上の方は薄く、裾の方は濃く染め出したもの。
【紅染】くれないぞめ 紅色で染めたもの。また、その染物。
【紅匂】くれないにおい 襲(かさね)の色目の匂いの一種。女房の装束または懐紙などの襲に用いる。上着の紅を濃く下着を漸次薄くし、最下を白とする。
【紅斑濃】くれない‐むらご 薄い紅色の中に所々に濃い紅色がある染色。
【紅糸石】こうしせき 中国、山東省青州から産する石。黄と紅とがまじわった色で、硯石(すずりいし)として用いられる。青州石。
【紅格子】こごうし 練貫(ねりぬき)の一種。紅(くれない)の地に格子縞(こうしじま)を織った織物。身分の高い女房が着たもの。くれないごうし。
【紅猪口】べにちょく 酒の猪口の内部に紅を塗りつけたもの。植物「げんのしょうこ(現証拠)」の異名。
【小紅蜜柑】こべにみかん 「べにこうじ(紅柑子)」の異名。
【紅の木】 ベニノキ科の半落葉性低木。ブラジル原産で、熱帯各地で栽培される。高さ2-4m。葉は心臓形で10cm内外。花は円錐花序をなし、花弁は淡紅色または白色で五弁。果実はやや扁平な三角状のタ果で、種子は赤色の仮種皮に包まれる。仮種皮から採る色素は古くから染料として用い、最近はバター、チーズなどの食品の着色にも用いられる。
【本紅】ほんもみ 蘇枋・櫨などを染料としないで、紅花だけで染めた紅染(もみぞめ)。
【黒柿】くろがき 紅がかった納戸色。紅納戸。紅消し鼠。
【紅衛兵】こうえいへい 一九六六年五月、中国でつくられた革命的な学生や青年の組織。文化大革命の先頭に立って活動。特に初級中学以下の少年のグループは紅少兵と呼ばれる。
【紅黄花】こうおうか 植物「しちへんげ(七変化)」の異名。
【紅黄草】こうおうそう キク科の一年草。メキシコ原産で、観賞用として花壇や鉢で栽培され、多数の品種がある。茎は高さ30-50cmになり、上部で多数の枝が分かれる。葉は羽状に分裂、各裂片は長楕円形で縁に鋸歯がある。夏から秋にかけ、枝の先端に径約4cmの赤色の斑点のある黄褐色の頭花を単生する。くじゃくそう。ほうおうそう。フレンチマリーゴールド。
【紅金松】こうきんしょう アカマツの園芸品種。葉が晩秋から淡黄色に変わり、縁が赤みを帯びる。
【紅躑躅】あかつつじ 「やまつつじ(山躑躅)」の異名。
【紅錦】こうきん 紅色の錦(にしき)。
【紅錦繍】こうきん‐しゅう 赤色の錦(にしき)の縫いとり。赤地の錦で縫いとりをした敷物。転じて、もみじなど、あざやかな紅色をしたものの形容に用いる。「紅錦繍の秋の色」
【紅藻】こうそう =紅藻植物
【紅藻植物】こうそう‐しょくぶつ 植物界の一門。葉緑素のほかにフィコエリトリンなどを含み紅色または黒ずんだ紫色をした藻類。糸状、葉状などの形をなし、大部分が海水に生育。繁殖の様式が複雑で、配偶子の接合と減数分裂がどこで行なわれるかによって、植物体は単相、複単相、複相となる。造精器にできる小精子には鞭毛がなく運動力がない。紅藻。紅藻類。紅色植物。紅色藻。
【紅藻素】こうそうそ 紅藻植物と藍藻(らんそう)植物に含まれる色素。フィコエリトリン。
【おまんが紅】おまんがべに 夕日で空が赤くなること。夕焼雲。江戸時代、享保の頃、江戸の京橋中橋にあったお満稲荷で売っていた紅粉。
【紅槍会】こうそうかい (赤いふさをつけた槍を武器としたところから)辛亥革命後の中国、特に華北の農村で、民間信仰を背景に地主を中心に組織された保守的、排他的な自衛団体。
【紅染月】こうぞめづき 陰暦八月の異称。
【紅柱石】こうちゅうせき アルミニウムの珪酸塩鉱物。化学式 Al2SiO5 白・淡紅・灰・赤褐色、半透明・不透明の斜方晶系の結晶で、ガラス光沢をもつ。ペグマタイト、ホルンフェルス中に、雲母、コランダムなどとともに産出。耐火材に用いる。
【紅皮症】こうひしょう 全身の皮膚の角質層が紅色になり、小細片となってはがれ落ちる皮膚疾患。急性、慢性があり、皮膚の色素が沈着し、肥厚または萎縮、脱毛などの症状を呈する。剥離性皮膚炎。  

 

【紅卍字会】こうまんじかい 一九二〇年頃、中国の新宗教である道院が設立した社会事業団体。
【振り出ず】ふりいず 紅(べに)を水に振り出して染める。*古今‐五九八「紅のふりいでつつなく涙には」
【振出】ふりで 紅を水に振りだして染めること。*永久百首‐春「紅のふりでの色の岡つつじ」
【紅榴石】こうりゅうせき =貴柘榴石(きざくろいし)
【紅鬱金】べにうこん 紅色がかった濃い黄色。紅色を帯びたうこん色。
【紅空木】べにうつぎ タニウツギの変種。紅色の漏斗状花がやや密に咲くもの。観賞用に栽植される。べにざきうつぎ。タニウツギ属植物の異名。
【紅絵】べにえ 浮世絵版画の初期的技法の一種。手彩色の丹絵(たんえ)が進歩してできたもので、墨摺の上に紅を主として筆彩を加え、また、墨の部分に膠(にかわ)を加えて漆のような艶を出したものが多い。漆絵。「べにずりえ(紅摺絵)」の略。
【紅輪花】こうりんか キク科の多年草。本州、九州の日当たりのよい山地の草原に生える。茎は直立し高さ30-60cmで分枝しない。根出葉はさじ形、茎葉は披針形で互生し基部は茎を抱く。夏から秋に、茎頂に数個の頭状花を繖房状(さんぼうじょう)につける。舌状花は濃赤橙色で一〇〜一五個あり、線形で車輪状に下垂する。
【紅簾石】こうれんせき 鉄、マンガン、アルミニウムの含水珪酸塩。単斜晶系。淡紅色または濃紅色。珪質の結晶片岩や流紋岩中に産する。
【紅絵売】べにえうり 享保の頃から明和にかけて、江戸で遊女や役者などの肖像を摺った紅絵を、細竹にかけならべて売り歩いた行商人。
【紅天牛】べにかみきり カミキリムシ科の昆虫。体長15mm内外の小形のカミキリムシ。頭部とあしは黒く、その他の背面は赤色。五〜六月に現われる。日本・中国・朝鮮に分布。
【紅朽葉】べにくちば 染色で、赤みを帯びた朽葉色。
【紅栗毛】べにくりげ 馬の毛色の一つ。赤みの濃い栗毛。やまどりあかげ。
【紅柑子】べにこうじ ミカン科の常緑低木。中国中部沿岸、済州島の原産。高さ約2m。柑橘の一種。果実は扁球形で表面は平滑、橙黄色で光沢がある。外皮はきわめて薄い。一〇室くらいに分かれ、果肉はかたく橙黄色で酸味が強い。染色の名。紅色がかった赤みを帯びている黄色。紅色を帯びた柑子色(こうじいろ)。紅蒲(べにかば)。
【紅小灰】べにしじみ シジミチョウ科の小形のチョウ。はねの開張約3cm。前ばねは朱紅色で外縁と斑紋は黒色。後ろばねは黒褐色で外縁に赤紋がある。成虫は春から秋にかけて数回発生し、草地の花に集まる。各地で普通にみられる。
【紅羊歯】べにしだ シダ類オシダ科の常緑多年草。各地の山地に生える。葉は二回羽状複葉で長さ1mに達する。葉柄は長く褐色の鱗片を着生。葉身は卵状披針形。小羽片は長楕円形で縁に鋸歯がある。
【紅下翅】べにしたば ヤガ科のガ。はねの開張約8cm。体と前ばねは灰褐色。後ろばねは美しい橙赤色で、中央部と外縁は黒帯をなす。成虫は七〜八月ごろ現われる。日本各地や北東アジアに分布。
【紅尻高】べにしりだか ニシキウズガイ科の巻き貝。殻は厚く、高さ約5cmの正円錐形。螺層は約一〇階。表面は淡い灰黄色で、縦に紅色の火炎状斑が並ぶ。殻口は底面に開く。紀伊半島以南に分布し、潮間帯下の岩礁にすむ。
【掻練・皆練】かいねり 砧(きぬた)でよく打って練ったり、のりを落として柔らかくした絹織物。紅色のものについていうことが多い。襲(かさね)の色目の名。表裏ともに、打ちとした紅。あるいは裏を張りとした紅。火色に同じ(桃花蘂葉)。冬から春までの料。また一説に、火色に異なり、表は打ちによる濃紅、裏は張りによる濃紅で、中陪(なかべ)のないもの(後照念院殿装束抄)。かいねりがさね。
【紅摺】べにずり 浮世絵版画の技法の一つで、墨板のほか少数の色彩も版木で印刷するもの。はじめ紅・緑の二色であったが、しだいに五〜六色までふえた。また、その刷ったもの。
【紅摺絵】べにずりえ 紅摺りの浮世絵。享保の後期から宝暦にかけて流行し、錦絵の前身をなすもの。紅絵。
【紅天蛾】べにすずめ スズメガ科のガ。はねの開張約7cm。はねは淡紅色で灰黄褐色の紋や縦条がある。各地に分布。  

 

【紅丁字】べにちょうじ ミソハギ科の多年草。メキシコ原産で、観賞用に栽培。葉は卵状披針形で先がとがる。夏、葉腋に細長い筒状の緋紅色の花を開く。タバコそう。
【紅付指】べにつけゆび =べにさしゆび(紅差指)
【紅天狗茸】べにてんぐたけ 担子菌類テングタケ科の毒きのこ。秋、各地の山林内地上に発生。傘は初め球形でのち平らになり、径10-20cm。表面は真紅色ないし橙黄色で、子実体を包んでいた外皮膜がちぎれて、多数の白いいぼ状になって付着。
【紅苦菜】べににがな キク科の一年草。東南アジア原産で、観賞用に庭に栽培。高さ0.6-1m、葉は長楕円形で茎下部に集まってつき、下葉は柄があるが上葉の基部は茎を抱く。秋、枝頂に赤または橙色の頭花が咲く。
【紅日陰】べにひかげ ジャノメチョウ科のチョウ。はねの開張は4.5cmぐらい。はねは黒褐色で、外方に三個の眼状紋を含む幅広い橙黄色の帯がある。七〜八月ごろ北海道と本州の高山帯の草原に多く現われる。
【紅檜皮】べにひわだ 染色の名。黒みがかった紅紫色。
【紅猿子】べにましこ アトリ科の小鳥。全長約15cm。雄の背面は褐色に黒色縦斑があり、顔・胸・腹は濃い赤色を帯びる。雌は雄の赤色部が灰褐色を呈する。低木林に小群ですみ、美しい声で鳴く。東アジア北部に分布し、日本では北海道で繁殖し、冬は本州で過ごす。
【天が紅・尼が紅粉】あまがべに 日の沈む頃たなびく赤い雲。夕焼雲。おまんがべに。
【紅染草・濃染草】こぞめぐさ 「はぎ(萩)」の異名。
【木染月・紅染月・濃染月】こぞめづき (木々の紅葉する月の意)陰暦八月の異称。
【小町紅】こまちべに もと、京都でつくられた口紅の商標名。転じて、一般に口紅の異称。
【深山紅羊歯】みやまべにしだ シダ類ウラボシ科の落葉多年草。紀伊半島以北の深山の林下に生える。高さ60-100cm。葉柄の基部に褐色の鱗片を密生する。葉は二回羽状複葉で卵状長楕円形。羽片は広線形で長さ20cm内外。小羽片は狭長楕円形で縁に細鋸歯がある。胞子嚢群は小羽片の中脈付近に一列に並んでつき、円腎形の包膜におおわれる。
【薄花桜】うすはなざくら うす紅の桜。うすざくら。薄い桜色。薄紅色。襲(かさね)の色目の名。表は白く、裏は紅。春に用いる。うすざくら。
【韓紅・唐紅】からくれない (舶来の紅の意)濃い紅色。深紅色。その染め色の美しさを特に賞美していう語。濃い紅色をした糸や布。植物「かんこうばい(寒紅梅)」の異名。
唐紅の涙(なみだ) 非常に悲しい時に流す涙。血の涙。くれないの涙。紅涙(こうるい)。
【紅・紅絹】もみ (紅花を揉んで染めるところから)べに色で無地に染めた絹布。和服の袖裏や胴裏などに使う。ほんもみ。
【脂燭色】しそくいろ 織色の名。縦糸は紫、横糸は紅。襲(かさね)の色目の名。表は紫、裏は濃い紅のもの。
柳は緑(みどり)花は紅(くれない) (蘇軾の詩の「柳緑花紅真面目」から)柳は緑色をなし、花は紅に咲くように、自然そのままであること。また、ものにはそれぞれの自然の理が備わっていること。春の美しい景色を形容するのにいう。さまざまにものが異なっているありさまのたとえにいう。
【吾木香・我毛香・吾亦紅】われもこう バラ科の多年草。各地の山野に群生する。高さ0.6-2m。葉は奇数羽状複葉で五〜一三枚の小葉からなる。各小葉は長楕円形または長卵形で縁にあらい鋸歯があり、長さ3-5cm。夏から秋にかけて、卵形で長さ2-3cmの濃紫色の花穂をつける。花弁はなく、萼裂片が花弁状。根は漢方で地楡と呼び、止血・収斂薬に用いる。若葉は食べられる。漢名、地楡。織物などの文様の名。1の花などをかたどったもの。「もっこう(木香)」の異名。「おがるかや(雄刈萱)」の異名。植物「おけら(朮)」の異名。「じゃこうそう(麝香草)」の異名。  

 

【寒紅】かんべに 寒中に作られた紅。色が特に鮮明で美しい。寒中の丑(うし)の日に買う紅は丑紅といわれ、小児の疱瘡などに薬効があるという。
【黄朽葉】きくちば 染色の名。梔子(くちなし)に茜(あかね)または紅を混ぜた色。織物では、縦糸を紅、横糸を黄とする。秋用いる。
【甚三紅】じんざもみ 承応年間、京都長者町の住人桔梗屋甚三郎が茜(あかね)を用いて染め出した紅梅色の無地の絹布。女性の衣服の胴裏に用いる。中紅(ちゅうもみ)。じんざ。
【映山紅】えいさんこう 植物「さつき(五月)」の異名。
【雪下紅】せっかこう 植物「ひよどりじょうご(鵯上戸)」の異名。
【雲間紅日蔭】くもまべにひかげ ジャノメチョウ科のチョウ。はねの開張約55mm。暗褐色で、外方に、各三〜四個の黒円紋を含む幅広い橙黄色帯がある。うしろばね裏面には橙色の帯の内側に銀白色の条紋がある。盛夏に高山帯の草地を飛び、高山植物の花に集まる。欧亜大陸北部に分布し、日本では本州中部山岳と北海道の高地にすむ。
【一捻紅】いちねんこう 「ぼたん(牡丹)」の異名。
【爪紅】つまべに 婦人の化粧で、手や足の指のつめに紅を塗ること。また、その紅。(紅色の花が、婦人の爪を染める原料となったところからいう)「ほうせんか(鳳仙花)」の異名。
【天地紅】てんちべに 巻物、巻紙などの上下の端を紅色に染めること。また、そのもの。つまぐれない。
【紅生薑】べにしょうが 梅酢に漬けたり食用紅を加えたりして紅色に染めた生薑。
【赤芽柏】あかめがしわ トウダイグサ科の落葉高木。本州、四国、九州の山野に生え、高さ10mに達する。葉は卵形または円形で二または三に浅く裂け、その先は伸びてとがり、枝とともに星状毛をもつ。新芽は紅赤色で若葉にも同色の毛が密生。雌雄異株で、夏、黄色い小さな花が集まり咲く。材は淡紅色で器具、床柱などに利用。種子は赤色染料、樹皮は健胃薬、葉ははれ物の外用薬とする。また、古代、葉は食物を盛るのに用いたという。あかがしわ。あかめ。あかめぎり。ごさいば。
【紅粉】べにこ 中国から渡来した紅。唐紅(とうべに)。
【紅楼】こうろう 紅色に塗ってある楼。朱塗りのたかどの。富家や妓楼など、美人のいる家をさしていうことが多い。
【紅楼夢】こうろうむ 中国の通俗小説。八〇回本と一二〇回本とがある。一二〇回本の前八〇回は清の曹雪芹、後四〇回は高蘭墅の作という。乾隆五七年刊。大貴族の栄華と没落を背景に、主人公賈宝玉と従妹林黛玉の悲恋を中心に描き、暗い宿命観と人生の無常観をただよわせており、自伝的要素が強い。石頭記。金玉縁。金陵十二釵。風月宝鑑。情僧録。
【紅鉄漿】べにかね 紅と鉄漿。転じて、女の化粧。
【紅藍】こうらん 紅色と青色。また、紫色。「あかね(茜)」「べにばな(紅花)」の異名。
【紅藍花】こうらんか 「べにばな(紅花)」の異名。
【血紅】のりべに 歌舞伎小道具の一つ。血の流れる場面に用いる血の色をした紅。蘇芳(すおう)など紅色の染料にうどん粉を入れて煮たりしたもの。
【練紅】ねりべに 小さなうつわやチューブに入れた、ゼリー状の紅。頬紅や口紅として用いる。
【端紅】つまぐれない 扇や巻紙などの縁を、紅で染めること。また、そのもの。つまべに。
【卵紅】たまごべに 歌舞伎の小道具の一つ。血を見せる場面で、卵の殻に小さな穴をあけて紅をとかして入れておいたのをつぶして出す。
【青紅鳥】せいこうちょう カエデチョウ科の小鳥。翼長約6cmで尾が長くとがる。羽色は青、紅、緑、黄色からなり、美しく声もよいので飼鳥とされる。マライ半島、ジャワ、スマトラの平野部に分布。水田を荒らす害鳥。
【紅師】もみし 「もみ(紅)」を染める職人。
【紅白】こうはく 紅色と白色。赤と白。(源氏は白旗を、平氏は紅旗を用いたところから)源氏と平氏。源平。また、試合などで二組に分かれるときの紅組と白組。水引(みずひき)の半白半紅のもの。紅白の餅あるいは菓子。
【紅白試合・紅白仕合】 紅白の二組に分かれて行なう試合。源平試合。
【紅白梅図】 紅梅、白梅二種を描いた絵。特に尾形光琳筆の二曲屏風一双は国宝。
【紅白芙蓉図】 紅白の芙蓉を描いた絵。特に中国宋代の李迪(りてき)筆の二幅は院体花鳥画の代表作で日本の国宝となっている。  
 

【紅唇・紅脣】こうしん 赤いくちびる。紅(べに)をつけたくちびる。また、美人のくちびる。朱唇。
【紅樹】こうじゅ 紅葉した樹木。春、赤い花が咲いている樹木。花の盛りの樹木。オヒルギ、メヒルギなどのヒルギ科の常緑樹の総称。
【紅樹林】こうじゅりん =マングローブ
【紅脂】こうし 紅(べに)と脂粉。紅粉。
【紅花緑葉】こうかりょくよう 紅の花と緑の葉。花の赤さと葉の青さ。器物の表面に、朱と緑の漆を交互に塗り重ね、朱漆に花、緑漆には葉というように層の違いを彫り分けた堆朱(ついしゅ)。
【黄紫紅】きむらごう 三浦氏の五幅の幕の黄・白・紫・白・紅の配色にならった三引両(みつひきりょう)の紋章。
【裏倍紅梅】うらまさりこうばい 襲(かさね)の色目の名。表は紅梅、裏は紅(桃花蘂葉)。春の初めに着用、若い男の狩衣にも用いる。
【油紅】あぶらべに 梳油(すきあぶら)に紅を練り込んだもの。芝居で、皮膚などにつけて、血に見せかけるのに用いる。
【丑紅】うしべに 寒中の丑の日に買う紅。東京などでは古く、小間物店などが景品として金色または黒色の土焼きの臥牛を出した。寒紅(かんべに)。赤丑(あかうし)。
【紅花】べにばな キク科の一年草。原産地はエチオピアもしくはアフガニスタンの山地とされ、主にインド、中国、南ヨーロッパなどで栽培。日本でも山形県などで栽培されている。高さ0.3-1m。葉は広披針形、縁が鋭く切れ込みその先端はとげ状になる。夏、枝先にアザミに似た紅黄色の頭花が咲く。小花はすべて管状花。果実は楕円形で白い。若い茎・葉は食べられる。古くは花から黄色や紅色の染料をつくった。また漢方では通経・腫瘍(しゅよう)の薬に用いたので広く栽培されたが現在は少ない。すえつむはな。くれのあい。
【紅花苺】べにばないちご バラ科の落葉小低木。北海道南西部、本州中部以北の高山帯に生える。高さ約1m。とげがない。葉は三出複葉。小葉は倒卵形ないし卵状楕円形で縁に二重鋸歯がある。夏、枝の先に径2-3cmの紫紅色花を一個ずつつける。果実は卵状球形で黄赤色に熟す。
【紅花隠元】べにばないんげん マメ科のつる性一年草。中央アメリカ地方の原産で、江戸末期に渡来し、本州の冷涼地帯で観賞用または食用に栽培される。インゲンマメに似るが、やや大形で、茎は4m余にも達する。夏、葉腋に短い花柄を出し、紅色または白色の大きな花を数個ずつつける。果実は長楕円形で扁平、長さ10-30cmの幅広で、三〜六の種子を含む。種子は腎臓形で大きく、長さ2-3cmでふつう淡紫色の地に不規則な黒紫斑があるが、花の白いものは種子も白い。はなささげ。
【夕紅】ゆうくれない 入り日にはえるような鮮やかな紅(くれない)。また、夕方、西の空が紅色になること。「夕暮れ」に言いかけることもある。
【猿滑・百日紅】さるすべり (木の肌がなめらかで猿も滑り落ちるというところからの名)ミソハギ科の落葉高木。中国南部原産で、観賞用に庭木や盆栽にされる。幹は高さ3-7mになり、淡赤褐色で平滑な樹皮をもち、ところどころにこぶがある。葉は対生かほぼ対生で革質の楕円形。七〜九月、枝の先に小さな六弁花を円錐状に密生してつける。花弁は円形で著しくしわがある。花色は淡紅、紅、淡紫、紫、浅黄色など。果実は径1cmぐらいの楕円球形。材は緻密で堅いので細工物に使う。漢名、紫薇、百日紅。さるなめり。「やまこうばし(山香)」「なつつばき(夏椿)」「ひめしゃら(姫沙羅)」「りょうぶ(令法)」の異名。
【頬紅】ほおべに 頬につける紅。固形のもの、煉(ねり)状のものなどがある。

紅花

 

紅花は黄色から赤になる花を咲かせるキク科の1年草です。花弁から染料や口紅の元になる色素がとれることから、古くから南西アジア・北アフリカを中心に広く栽培されてきました。山形では江戸時代に最上紅花の栽培が盛んでした。このため、紅花は山形県の県花に指定されています。
植物学
学名:CarthamustinctoriusL.
分類:キキョウ目キク科管状花族アザミ類ベニバナ属ベニバナ
キク科ベニバナ属ベニバナ。耐寒性の一年草で、秋に種をまき、夏に花を咲かせ、翌冬に枯れます(山形では早春に種をまきます)。
成長すると草丈は0.5〜1m、葉は5〜10cmほどになり、初夏に半径2.5〜4cmのアザミに似た花を咲かせます。咲き始めは鮮やかな黄色の花ですが、やがて色づき、赤くなります。種子は花1つにつき10〜100個ほど、ヒマワリの種を小さくしたような種子がつきます。葉のふちに鋭いトゲがあり、このため花摘みはトゲが朝露で柔らかくなっている朝方に行われました。原産地はまだ確定していません。地域によって多数の品種が育てられています。
原産地
ベニバナの原産地ははっきりとは確定されていません。原産地の有力な候補としては、古くから栽培されていたインドやエジプト、アザミ類の野生が多いアフリカ・ナイル川流域(エチオピアなど)、およびベニバナ近縁の野生種が多い中近東付近(アフガニスタンなど)があげられています。
最近ではゲノム(遺伝子情報)の比較なども行われており、中近東のベニバナ属の野生種に染色体数やゲノム構成の一致するものが確認されています。
特性と利用
茎・葉 / 食用、茶、飼料
生花 / 観賞用、ドライフラワー
干紅花 / 薬用、嗜好品、茶、酒 / (紅色素)着色剤、化粧用、染用、薬用、美術用 / (黄色素)着色剤、染用、美術用
種子 / (紅花油)食用、薬用、塗料、紅花墨 / (絞りかす)肥料、飼料
色素 / 紅花の代表的な特性は、花のもつ色素です。紅花の花には黄色素サフロールイエロー(saffloryellow)と紅色素カルサミン(carthamin)の2種類の色素が含まれていて、いずれも染め物などに利用されています。サフロールイエローは水溶性で簡単に色素が取り出せるため、安価な衣料品の染めや料理の着色などに使用されます。一方、カルサミンは発色がよく、高級な衣料品や化粧の紅などに利用されています。こちらは水に溶けないため、この色素を取り出すために紅餅などのさまざまな技法が開発されました。
油脂 / 次に種子の胚芽に含まれる植物油脂、ベニバナ油(SafflowerOil)があげられます。ベニバナ油はリノール酸が70%を占める半乾性油で、高品質で健康によい食用油として、現在の紅花栽培の主要な目的となっています。このベニバナ油の油煙から作る墨が紅花墨(べにばなずみ)で、書画用の墨としてよく使われています。油を搾ったあとの種子は安価で栄養価も高く、家畜の飼料などに用いられています。
その他 / ベニバナはその他、薬用・観賞用などに使われます。若い芽や葉は食用されます。干し花も料理に使ったり、ハーブティーとして飲むことがあるようです。
名称
紅花には多数の名前があります。染料としての利用が盛んだったことを反映し、色や染め物に関わる名前が多いようです。
紅花(べにばな) / ベニバナの一般的な和名です。この紅花からとれる色彩であるため、赤い色や口紅を「紅(べに)」と言います。
久礼奈為、呉藍(くれない、くれのあい) / 万葉集などに見える古い和名です(→紅花と文学)。「呉の藍」ともいい、外来の染料作物であるベニバナを代表的な染料作物である藍に例えて“呉から来た藍”と呼んだものです。「紅(べに)」と同じく、色の「紅(くれない)」も紅花から来た言葉です。
末摘花(すえつむはな、うれつむはな) / 同じく万葉集などに見えます。ベニバナの花摘みの情景から付いた言葉で、花摘みのときに茎の頂にある花(天花)を摘み取るためとする説と、外側(末)の開いた花弁から順に摘んでいくためとする説があります。『源氏物語』に同名の段があります(→紅花と文学)。
safflower(英) / サフラワー。英語で紅花のこと。同形にsaflor(独)、Сафлор(saflor。露)など。語源はアラビア語で「紅花」を意味するusfurの変形、もしくは「usfur+flower(花)」から。なお、usfurは「黄色」を意味する語asfarから来ています。
Carthame(仏) / カルタム。フランス語で紅花のこと。同形にCarthami(ラテン語)、Cartamo(伊)など。語源はアラビア語のquartom(染める)、またはヘブライ語のKartami(染める)から。ベニバナ属の学名Carthamusもここから来ています。
bastardsaffron、falsesaffron(英) / 「サフランの父なし子」「偽サフラン」。アヤメ科の多年草サフランとの類似から、欧米ではしばしばこういった名称で呼ばれます。ともに黄色の染料として利用されるなどの類似があるため。中国などでもサフランを番紅花・蔵紅花などと呼び、しばしば混同していたことが知られています。
CarthamustinctoriusL.(学名) / Carthamus(ベニバナ属)は上記の通り。tinctoriusはラテン語で「染色用の-」を意味します。
栽培
ベニバナは元々暑く乾燥した地域の植物なので、高温には比較的強い性質があります。また、苗の段階では耐寒性・耐湿性も高く、温暖な地域では冬を越すことも可能です。ただし発育後は寒さ・湿度ともに弱く、水や気温には注意が必要となります。
栽培はほぼ全国で可能ですが、気候や水、土壌によって成育が大きく左右されるため、育ち方は環境によって大きく変わることがあります。このため、地域に適した時期に種まきを行うことが重要になります。山形などでは雪害を避けるため、病気に備えるためから、雪解けののち畑が乾くのを待ってからすぐに種をまくのがよいと言われています(3月中旬〜4月中旬が適期)。
発芽は秋まきでは遅く3週間ほど、春まきでは数日で発芽します。秋まきではこのあと葉が地べたにはりついたような状態が二三ヶ月続き(春まきでは1ヶ月ほど)、それから分枝し、初夏の頃に開花、それから花が黄色から赤へと変色します(変色しない品種もあります)。花を摘むのは7月中旬から下旬にかけて、種子の収穫は成花期から35〜40日後がよいと言われています。
栽培(海外)
紅花の原産地は不明ですが、紅花の栽培はインドやエジプトなどで数千年前から行われていました。エジプトでは紀元前2500年のミイラの着衣から紅花の色素が認められ、その頃には既に紅花の利用も始まっていたようです。
中国では3世紀には既に栽培されており、伝来に関しては漢代に僧・張騫が中央アジアからもたらしたという伝承があります。東南アジアなどにもかなり早い時期に伝来していたようです。日本にはおそらく中国から、6世紀頃には伝来しています。(→日本への伝来)
ヨーロッパやアメリカにはこれよりかなり遅れて伝来しました。こちらでは主に油料作物として栽培されたようです。20世紀以降、化学染料の登場で染料作物としての生産は衰退しましたが、油料作物としては現在でもアメリカやオーストラリアなどで大規模な栽培が続けられています。
日本への伝来
日本への紅花の伝来は、中国の工人が裁縫や染色の技術とともに紅花の種を持ってきたのが始まりとも、推古天皇の時代に朝鮮半島から日本へやってきた僧・曇徴がもたらしたともいわれています。平成元年に奈良県生駒郡の藤ノ木古墳(6世紀)の石棺内にベニバナの花粉と顔料らしいものが発見されました。このため古くから日本に伝来していたことは分かったのですが、伝来の時期については現在も定かではありません。
栽培(日本)
日本での紅花の栽培は上代には見え、平安時代には関東から中国地方にかけて、広く各地で栽培されていました。山形での生産は中世末期以降と見られ、近世初期になって紅花の代表的な産地となります。江戸時代を通じて日本各地で紅花の栽培が行われていましたが、最上紅花は高品質で知られ、生産量においても最大であったことが知られています。その後、明治に入り中国産の安価な紅花の輸入や化学染料の普及などにより日本の紅花栽培も衰退しましたが、現在でも主に観賞用として、山形などで紅花の栽培が行われています。
最上紅花
最上紅花は最上川中流域の村山地方で産出される特産の紅花のことです。村山地方は土地が極めて肥沃であり、また盆地の特性として朝霧や朝露が起きやすく、紅花の栽培に非常に適した土地でした。このため最上紅花は最高品質の紅花として非常に珍重され、幕末の「諸国産物番付」においては東の関脇として最上紅花の名があげられています。
生産量も非常に多く、各地に「紅花大尽」が現れるほどに最上紅花は近域の農業・経済に多大な影響を与えました。左は享保期の全国の紅花生産高の表ですが、この後も明治に入るまで最上地方の紅花生産高は大きく、その産量から「最上千駄」とも称されました。
紅餅(べにもち)
紅餅作りは紅花の紅を取り出すための加工法の一つで、江戸時代に最も一般的な方法でした。作業の概略としては以下の通りです。
1.収穫した紅花に水を加えてよく踏み、黄汁(ベニバナの黄色色素分)を溶かし出す。
2.ザルに移してよく水で洗い、黄汁を十分に流す。
3.1・2の作業を繰り返し、よく黄汁を抜く。
4.日陰に寝かせ、二、三日おいて発酵させる。
5.酸化して粘り気を帯びた紅花を臼でつき、団子状に丸める。
6.丸めた紅花にムシロをかぶせて踏み、煎餅状にして天日で乾燥させる。
7.乾燥したものが紅餅(または花餅)。最上紅花は主にこの形で出荷する。
紅花の加工法としてはただ生花を乾かすだけの乱花の方が簡単ですが、紅餅にして発酵させることで、より鮮やかな紅が得られるといいます。紅餅作りは古くは中国晋代の『博物誌』に見られる伝統的な技法ですが、行程や紅餅の形などに地域の特徴があります。
紅花染め
紅花染めは自然の草木を染料として使う草木染めのうちでも、花を使用する珍しい染めです(他の草木染めは主に葉や樹皮などを使用します)。紅花の花には黄色と赤の二種類の色素があり、染めにもそれぞれを使った二種類の染めがあります。
黄染めは水溶性の色素を使用するため容易で、紅餅作りの時に生じる黄汁などから庶民の染め物としてよく利用されました。一方、紅染めはかつては高貴な人しか着ることを許されず、京都の西陣織のような高級な着物にだけ使用されました。
紅染めは乱花(干紅花)でも可能ですが、一般には紅餅を使用します。紅餅から紅の色素を取り出し、布を染めるのですが、簡単にできる黄染めと異なり、紅染めにはいくつかのコツがあります。
一つは黄汁を抜くことで、この黄汁を抜かないと鮮やかな紅にならないといいます。このため紅餅をぬるま湯につけ、麻布などでよくしぼりしっかりと黄汁を抜きます。
次に色素を染め液に溶かします。ただの水では紅色素は溶けないため、灰汁などを加えて液をアルカリ性にして溶かします。
十分に色素が染め液に溶けてきたら、最後に酸性の液でこれを中和します。江戸時代の製法ではクエン酸を多く含む梅酢などを使用しました。特に烏梅(うばい)という完熟した梅の実を燻蒸した黒い玉が最も良い媒染剤として用いられたそうです。この染め液に絹や木綿を入れて紅を付着させることで紅染めができますが、作業の温度やタイミングなどで出来が大きく変わってしまうため、熟練の技術が必要な作業であるといいます。
のこぎり商法
江戸時代の山形商人は、地元で換金性の高い紅花を現金買いにして京都や大阪に出荷し、その代金によって上方物資を直買いして山形に輸入するという経営の仕方を行いました。こうした商いの方法を「のこぎり商法」といい、山形商人はこれによって膨大な利潤を上げました。
文学
万葉集
万葉集では「くれなゐ」として紅花の歌が29首詠まれています。
外のみに見つつ戀ひなむくれなゐの末摘花の色に出でずとも(巻十、1993)
くれなゐのやしほの衣朝な朝ななるとはすれどいやめづらしも(巻十一、2623)
くれなゐの花にしあらば衣手に染めつけ持ちていくべき思ほゆ(巻十一、2827)
源氏物語
『源氏物語』第六段を「末摘花」といいます。物語中に出てくる女性を、鼻の頭が赤いことをあざけって“紅花のように末に赤い花(鼻)がある”「末摘花」と呼んだことからついた題です。
芭蕉
まゆはきを俤にして紅粉の花
行末は誰が肌ふれむ紅の花 
 



「紅」のイメージ

 



1

木綿の帯で 暮らせるならば 
貝紅(べに)もいらない 洗い髪
あいつの情けで 染まった様な
紅い葉桜 波が打つ
紅いバラも嬉しかった
気にかかる人だけど 夜汽車が表で待ってるの
赤く口紅の色を変えた
私を咲かせて もっと ああ
祭り盆ござ 小桜おせん 
白い指先 紅のあと
ひと色濃い 寒紅を
人刺すように 唇(くち)に指す
色香でかくした 勝気なこゝろ
うす紅色が わたしの彩(いろ)よ
初の契りは尾上の桜 
薄紅のぼんぼりが  瞬たきはじめた
コスモスが舞う風の音色 
薄紅の空に染まる雲
口紅がついた煙草
あなたの口元へ 差し出す右手
緋(ひ)

2

燃えて赤々 色付く紅葉 
女心を染め抜いて
口紅(べに)が赤くなる
大人の恋と決めているから 今は踊らせて
泣いて散る散る 
恋紅葉(こいもみじ)
冷たい雨に濡れながら
垣根に咲いてる紅い花
この世で咲かせない 
強がりは赤い紅ひく恋化粧
恋して信じて 傷ついて
いつしか濃くなる 口紅(べに)の色
紅を忘れた女の唇に 
愛しつづけるボレロだけ
髪も切らず 紅も変えず 
ずっと前の昨夜のままなんて
ほほ紅も一粒また一粒 
こぼれる涙に消されます
黄昏に岬を紅く染めながら 
入江の灯台今も変わらない

3

紅花すかしの便箋に 
想い出抱いてと書いてある
あなた指さす岩の蔭 
小さな虹がゆれている
紅い椿でひとみも濡れる 
若い僕らの生命の春よ
青い流れにほろほろと 風もないのに紅い花散る
熱いおもいにふるえる心
甘く切なくからみ合う 
闇に溶けゆく紅い糸
落葉が落ちる 紅い落葉 
あなたを憎んで落ちる
生きて添えぬ 辛い宿命(さだめ)なら
命深く沈め 堕ちてゆきたい紅い川
哀しい別れの あの日から 
口紅引く気も なれなくて
髪をやさしく解かれて
この生命燃えてゆく あヽ紅い月
おんな写し絵 走馬灯
束の間に 躰(み)を焦がす あヽ紅い月
猩々緋(しょうじょうひ)

4

口紅をうすめにさして 
くる筈もないあなたを待つの
海の色は青 潮の香匂う
紅の波止場だぜ 太陽は燃える
琥珀のグラスに 
浮かんで消える 虹色の夢
咲いてふたり雨に咲く花 
紅い花
淋しくないのよ 独りが好きと
爪をかんでる ああ 紅い花
紅い雪にかくれ 白い花に埋もれ
あなたの影が 浮かんで消える
新宿駅裏 紅とんぼ 
想い出してね時々は
襷はずして口紅でもつけりゃ 
女らしさがでるかしら
紅葉を濡らし 降りつづく 
おもいで たそがれ 秋しぐれ
桜吹雪よハマナスよ 
紅い椿よ白百合よ

 


5

十六夜(いざよい)の夢枕
淡い紅さしながら 誰を想ってる
口紅ふたつに折りながら 
泣いては駄目だと自分を叱る
つくり笑顔に口紅をさし 
今日も私は生きている
だけど枯れないしおれない 
待つほど紅(べに)が濃くなる日々を
演歌の心には愛がある 
桜も紅葉もいいね  雨でも雪でもいいね 
紅い花の香りに導かれ 
たどる街道は瑠璃色にあふれ
抱いて下さい白い素肌 
紅く染まるまで
花のさかりを 美しく 
燃える紫ほんのり紅く
咲いて彩るあじさいの花
赤く真紅に燃える 愛の強さで飾っていたい
肌の寒さが欲しいとせがむ
淋しさに夜に紅ひく 北の女は春を待ち
紅(くれない)




6

こぼれ灯(び)たよりに口紅ひいて 
詠(よ)み人知らずの恋歌に
恋しさひとつ逢いたさふたつ 
肩にハラハラ散る紅葉
見送る肩に散る花の 
夜風にはらり名残り紅
この世に薄い緑でも 
なんで切れよう紅の茶
遥か彼方にゃ オホーツク 
紅い真っ紅なハマナスが 海を見てます泣いてます
うわさ世間の 流れ川
決めた覚悟の うす紅化粧
お菓子を食べて 紅茶を飲んで 
いつでも二人で 割り勘よ
いまさら出せる義理じゃない
紅い切手を貼(は)る手さえ ほそく震えるなさけなさ
酒のグラスに残り紅
泣いたあの日の傷あとが 酔えばせつなくわかれを責める
窓に汽笛が しぐれる夜は
口紅(べに)がぬれます こころもぬれる

7

薄紅化粧のその裏で 
強く生きると涙を拭いた
あなたをおぼえたわたしが悪いの
一つ紅茶を飲んだあの夜から
真紅の野バラを胸に 
飾って私は今日も
お酒 くち紅 港の酒場 
雨の降る夜は恋しくて
酒場横丁に雨が降るよ
誰が捨てたか紅ダリア
指にからんだ想い出の
色はうす紅恋の花
うすい紅いろひと色に 
せめて野に咲く花でいい
色づく紅葉待ちきれないで 
何故だかせかれる恋でした
あなた愛した秋桜の 
うす紅こぼれるしぐれ駅
秋に別れの木枯し吹いて 
燃えた紅色消してゆく
茜(あかね)

8

ああ紅の命を 逢わずに愛して 
いついつまでも
口紅拭き取る宿鏡
雪よ降れ降れ 列車も止まれ
はしゃいだあとの 口紅(べに)がせつない 
淡雪のひと
アンコ可愛いや紅椿 
どこのどなたに落ちる気か
こゞえる命抱きしめて 
せめてキリリと紅をさす
ここは紀の国旅路の果ての 
紅い明かりの点る巷(まち)
海辺の坂道 駆けてゆく 
紅い椿の散る道で
頬にうす紅さしたなら 
胸のすき間をうずめてくれる
三年先でもいいのです せめてあなたと暮らせたら
紅を引く度 女です
返すお前の移り紅
海に揺れてる灯火のように 燃えて死ねたらいいと言う

9

明日もわからぬ契りとしって 
ほどけば泣けます紅の帯
紅いくちびる噛んで
何処へ何処へつづく この旅のはては
天城椿は別れた女を 
想い出させる紅化粧
田笠の紅緒がちらつくようじゃ 
振り分け荷物重かろに
残る想い出十二橋 
紅緒きりりとすげ笠かぶり
紅椿(つばき)の花よりあゝまだ赫(あか)く 
あなたのためだけ咲き続けたい
拭きとる口紅悲しさ残る 
小雨にまじる靴音ひとつ
その日が過ぎて紅葉の季節 
やがては雪の舞い
現世(うきよ)にごり絵心の筆に 
涙にじませ紅をさす
火のような通り魔がゆく
ぼんやりと紅灯(あんどん)ながめ 文綴る
臙脂(えんじ)

10

強めの口紅凍(こご)えた足で 
降りつむ雪に立ってるか
勘太郎さんも一目惚れ 
泣いて別れた紅つつじ
もえる紅葉の天竜下り 
秋はよいとこ飯田街
生まれる前から結ばれていた 
そんな気がする紅の糸
血の色よりもなおまだ紅い 
罪の香りの寒椿
朱いしごきで結んだ身体 
紅い絆で結んだ心
優しさだけでは結べない 
おとことおんなの紅い糸
目の前の紅茶を 飲み干したなら
二人並んで散歩しよう
薄紅の空落ちてく太陽に 
明日も笑って ああいられますように
二十才間近の女のひとの 
くちづけを待つ紅の色ね

 


11

窓をゆらして風が鳴る 
溶けてはじける紅の息
そっとくちづけ したいのよ 
あー あなたは遠く口紅あかく
忘れさせるの下手なひと 
紅が紅が哀しい左褄
紅のかおりの舞う午後は 好いた惚れたに酔うもよし
浮世まかせの春だもの
今夜は乱れそうな 気がするの 
髪をとけば 紅さえにおう
薄めの紅を 小指で描いて
あなたに着物を 褒められたくて
今夜は何かが起きそうな 
そんな予感の赤い紅
どうかしてます今夜のわたし 
唐紅(からくれない)の血がさわぐ
うす紅の明日も見えない ふたりなら
この身を埋(う)めてよ ああ冬の華
春は桜のあや衣 秋は紅葉の唐錦
夏は涼しき月の絹 冬は真白き雪の布
紅(べに)

12

燃えてみじかい空蝉の 
命いとし残り紅
紅も艶よくかえました 
これでいゝのよ振りむかないわ
頬に染まる紅き落日 
愁くな心のたてがみを洗え
海は真っ赤な夕焼けだろう 
草鞋を濡らす漣も 紅いべべ着てはしゃぐだろ
林檎(りんご)かじって海を見る 口紅いろした陽が沈む
粋な別れがほしかった
はるか今帰仁(なきじん)の 紅(あか)いサクラ花(ばな)
海の夕焼けが 染めた紅(あか)だよ
せめて冥途の草枕
紅い血が舞う 雪が舞う
夜の鏡に紅をひいても 
無口な心は晴れません
薄い口紅細い肩 
男の心が 心がまた揺れる
風が奏(かな)でるふれあいしぐれ
肌に紅さすほり炬燵(ごたつ)

13

お腹をすかせお乳をねだる 
紅葉(もみじ)の手をしたこの命
小千谷(おぢや)つむぎの残り香抱けば 
紅の名残りに涙がにじむ
夢の灯りを覗いただけで 
涙 幕切れ 紅殼格子(べにがらごうし)
噛んだ小指ににじんだ紅が 
生きる支えの扇の要
忘れたいのに忘れられない 
ひとり紅ひくとまり木で 春を待ちます
苦しいの切ないのもうすがれない 
夢に紅さす女の花は
白い雪野を染め返し 
紅い椿はその身を投げる
なんで替えましょ この口紅を 
替えりゃあんたに嫌われる
傷つき紅い痛みに耐えて 
炎のように燃える眼は
紅の振袖鹿の子の帯も よその娘となに変ろ
すねて甘えて絵日傘日傘
紅梅

14

山をいくつ越えてもうすい紅いろの 
エリカの花はまだ見えぬ
紅の花咲く出羽路の人の 
あつい情けに解くわらじ
こゝろ炎情あーあかあかと 
恋は血のいろただ紅い
夜の帳が下りる頃 紅蓮の炎に包まれて 
阿修羅の姿も熔けてゆく
紅くさやかに実を結ぶ
ここにいるよのななかまど
石楠花(しゃくなげ)の紅色は 
契り交したあの日のおまえ
燃えて一輪紅ひと色に 
日ごと身体(からだ)に咲き誇ります
もみじが紅を まだ残すのに 
粉雪ちらつく逢瀬橋
唐紅のおんなの性が 
二つの枝に狂い咲き
浮気封じにあんたの胸に 
紅で名を描く大江戸そだち

15

ひとつ花びらふたつ紅
花の隅田の恋の隅田の 水に流れた宵化粧
12時過ぎたら口紅つけて 
おばけになって出てやろか
口紅を濃いめにひいたとて 
隠しきれない胸の古傷
惚れたら一途よ深なさけ
戻りゃ天国大間崎 口紅(べに)をひくよな暇なかろ
女将一代苦労の水で 涙とかして引く紅に
こめた念願はただひとつ
昨夜(ゆうべ)の嵐が 散らした紅葉(もみじ)
ひとひら荷物に忍ばせる
旅の始まり二枚の切符
紅葉の駅からバスに乗る
決(き)めて決まらぬ紅緒笠(べにおがさ) 
ままよ一天地六(いってんちろく) 渡り鳥
祖国の声が聞こえるか 
せめて紅差せあかね空
紅屋のエ 娘にエ とことん惚れてもサ 
年季明けまでおあずけと しょんぼり小名木川
薄紅梅

 


16

器量ばかりで実らぬ花か 
お駒うす紅黄泉路(よみじ)の旅化粧
真っ赤な着物きて口紅さして 
膝をくずした小夜格子
紅葉あかりの風の中 
雪虫舞えば冬仕度
花の音羽屋お徳のいのち 
髪をほどけば紅が散る
紅で染めるか涙のあとか 
どちら先でも待ってると
浮かべて流れる浮き世川
気がつきゃ場末の紅灯川(ねおん)
口紅も拭かず眠りにつかせて 
優しさが逃げるどんなに抱かれても
誰が棄てたか紅薔薇ひとつ 
白い夜霧の道に咲く
紅い紅い炎の大松明が 
燃えて南部の夜空を焦がす
やさしい女へと逢いに行く
黒い瞳よ白いうなじよ 紅いくちびる細い指先

17

高くかかげた大漁旗を 
待っているだろう紅椿
線香花火の紅い火よ 
夢はちりちり燃え残る
花の袂を噛みしめる 
涙と情けの紅殻格子
急に冷え込んで 楓が色づき
くちびる染めてる 紅よりあざやかに
月のきれいな伊豆の宿 
紅いろの灯(ともしび)に かざす扇舞いすがた
紅いくちびる重ね重ね 今は何も言うな
二人のからだが輝く 鬼火のように
紅提灯のともる道 
お百度まいりの法善寺
裏をみせ表をみせて 散る紅葉
山鳩ほろほろ 小淵沢
後ろ髪引く小紅の渡し 
母に不幸の手を合わす
肩を抱きよせ 眸(め)をのぞきゃ
頬に紅さす おまえに惚れた
珊瑚

18

紅い鼻緒がなぜかうらめしくて 
あの人あの町に行っちゃうなんて
盛りの花も移ろえば 冬木の櫻の返り花 
色もほのかな薄紅に 雪よ積もるな枝折るな
季節だけがひと巡りね 
紅がひと色増えたら 何もいらなくて恋がうすれた今よ
生きることにもため息ついて
ひとり口紅ふきとるだけの 生き方だけなら淋しい
さびしい顔に紅をさし 
微笑ってみせたいとしいおまえ
花もはじらう年頃を 
紅もひかずに束ね髪
おりおりの酒に夢を見て 
そっと拭き取る濡れた紅
口紅が折れたのはどんな意味でしょう 
つらい想いがつづくのでしょうか
おれにゃすぎるぜ恋女房
すこし酔うわと盃に ほろり紅さすお前の目もと
こんな男のどこがいい 聞けばほんのり紅をさす
素顔の花の 花のいじらしさ

19

紅いバラの花びら一つ 
夜の暗さに泣いていたお前だよ
いいの待つのは 慣れている
切りたくないの 紅い絆
髪をほぐしてうす紅ひけば 
窓に祭りの灯(ひ)がゆれる
胸の晒しにこぼれる紅に 
風もはじらう花えくぼ
ちいさな背中でため息ついて 鏡にむかい口紅をひく
更けて灯りが消えてゆく
こんどいつ逢うあてもなく 冷えた紅茶をひとり飲む
ああさみしい私に 私にもどるのね
乾いたくちびる紅で染めて 
この身を焦がして  あなたを焼いて
口紅(べに)をひく 
乳房(むね)の奥に眠る揚羽蝶(あげはちょう) 
こころ空蝉(うつせみ)聞く夏も 
窓の紅葉(もみじ)に雪舞う冬も
もいちど抱いてね あなた雪が泣く
おんなの未練ね あなた口紅(べに)が泣く
鴇(とき)

20

女一匹 花なら椿
吹雪の白にも染まらずに 紅燃えるその姿
髪を切り出直すの まだ間に合うかしら
鳳仙花爪紅さして 
煙草はおやめ口紅も 
うすくといつでも叱られたわね
きりりと口紅(べに)をひき みれん町あとにして 
生きてゆくのよ もう一度
紅をひと刷毛(はけ) 湯あがり化粧 
おんな信濃路 ひとり旅
度胸あるなら抱いてみな 
紅い炎が燃えてるうちに
汽笛よ叫べたとえひと冬 
待とうとも春は 笑顔のうす紅化粧
おんなは情けに死にますと
風の山科あなた 紅もせつない秋ざくら
あの世で一生みちづれに
旅もはればれあなた 雪が散ります紅の雪
姫鏡台に口紅で 
きっと二人は逢えると書いた

 


21

恋した女は口紅の 
色彩(いろ)にもこころが迷います
合せ鏡でほつれ毛を 
指で梳(と)かして紅をひく
抱いて下さい鎌倉夜風 花が散りますあなた
薪能紅いいのち 炎の愛を舞う
恋は せつない祭りだよ 
紅を引きたい夜もある
紅さす目もとがキリリと燃える
どうせ人生まつりじゃないか
口紅が濃すぎたかしら 
着物にすればよかったかしら
安らぎあげる愛あげる 
男は羽根を止め女は口紅を引く
わたしゃ浜のたき火に地酒を温め 
迎え化粧の口紅をひく
加賀友禅の紅色よりも 
いのちは熱く燃えたのに
雨や嵐に晒されたって 
紅の一刷毛忘れずに 咲いてみせますおんな花

22

髪を切り口紅の色も変えたのに 
忘れないあの日のぬくもり
飛沫がとび散る船室の窓で 
口紅も一度引き直す
紅い血潮が燃えてるうちに 
あの娘の情けを受けとめろ
書かれた文字のなつかしや
弥生祭りの短冊に あの娘が添えた口紅も
ひとりぼっちを支えてくれる そんなあなたがいればこそ
明日もここで 山の紅葉に染まりたい
何もいらないあなたが欲しい 
あなたの好みの口紅ひけば
剣をかざして鎌足が 
蘇我の入鹿と紅葉狩り
湯気で曇った天窓の 
朝陽が肌に紅を差す 
紅をひく手のひとり言 
寒い春です風花の恋
割れた鏡に紅をひく 
痩せた右手のあわれさよ

23

この世に咲いた赤い花 
真紅の恋の華
あいやで小泊(こどまり) 
よされで津軽 紅(べに)がちる
わたしゃ白粉紅つけて 
揃い浴衣に深編笠で
紅蓮炎に落ちてもいいと 
泣いてすがった坂の町
沈む夕陽の真紅に 
心の真ん中熱くなる
寿の都に咲いた 
花はハマナス紅く燃え
少し酔ったみたいね 頬が紅く染まった
夜更けの空に声あげて
日陰に咲いても花は花 
叶わぬ夢の口紅を差す
抱かれる夢を見るたびに 
そっと小指で口紅落とす
誰が情けのほろ酔いきげん 
襟の口紅がちょいと気にかかる
東雲(しののめ)

24

黒い衣裳(ドレス)の紅バラが 
褪せりゃ女の夢も散る
晒しに隠した白い肌 紅のはち巻き 
そろいの法被 命ときめくはじけ飛ぶ
紅殻格子に積もった雪を 
噛めば涙の味がする
ひがし茶屋街紅殻格子 泉鏡花の面影残す
おもいで訪ねて蓮如堂
古都の金沢 うす紅 未練
捨てますか さて酔いますか
夜のグラスの酒よりも もゆる紅色色さえも
恋の花ゆえ口づけて 君に捧げた薔薇の花
追えぬ女のみれんに変えて 
頬に残した口紅のあと
咲いてみたいの紅葉の秋に 
耐えて待ちます段葛(だんかずら)
好きで会えない運命でも
心にあなたを忍ばせて ひとり佇み紅を引く
愚かなおんなと知りながら 
背中にはしらす紅い爪

25

ひとり小窓でくち紅ひけば 
夜の海峡霧笛が走る
乳房(ちちふさ)の尖(さき)に点(とも)れる螢火の 
ほとほと紅(あか)しほとほとやわし
霧に消えゆく一本刀 
泣いて見送る紅つつじ
あなたひとりと心にきめて 命かさねる恋だから
紅もふるえる寒椿
貸してあげたいこの傘を 
紅さえ凍える寒牡丹
誰の泪を秘めて
落ちているのかいとし紅バラ一ッ
髪を短く切り口紅も落として 
黒い服を着るわ
傷つきながら 赤い口紅捜しても 
暗闇の中指が 指が乱れてしまう
木曽はよいとこ あの娘(こ)のすまい
笠(かさ)に紅葉(もみじ)の 花が散る
見初(みそ)めたあの娘 
どこか似てるよ 紅ツツジ

 


26

娘ざかりを赦せと詫びりゃ 
風にこぼれる紅つばき
雨の降る日は化粧して 
紅も濃いめにひくという
ハマナス岬あなたの面影も 
紅く凍った冬の砂
淋しさしのぎに覚えたの 
グラスの口紅そっと拭く
紅の唇おしあてて 
送った手紙があゝ片だより
北に咲いた浜茄子の 花のような頬紅よ
生まれ住んだ故郷を捨てても 歩きたい明日へと
ああ ハマナス色の口紅で 
名前は雪子の雪という
おなごは口紅ひきながら 
浜で大漁の船を待つ
元気でいろよと 一筆鏡につづれば
折れた口紅 思い出させるあの女
つらい恋ほど女を磨く 口紅(べに)もきりりと 
撥(ばち)を持つ 三味を叩いて 冬空夜空

27

恋紅ふいた白い指 
そっとお酒に持ちかえながら
夢が欲しさに人恋しさに 
今日は濃い目の口紅をひく
風に打たれて添えない恋が 
落ちて点々紅椿
夢で逢うのもこの世の罪か
紅きくちびる忘られず 男泣きする影法師
君恋しともしびうすれて 
えんじの紅帯ゆるむもさびしや
長い黒髪紅きくちびる 
あゝ初めての恋美しき恋
わが名を書けぬ恋文よ
紅を落としたくちびるで 閉じる悲しさ君知らず
うすい口紅祭りの浴衣 
瞼をよぎる君の酒
青空につばめがおどって 
うす紅の花びらこぼれた
まわす未練の糸車 
雨の木屋町紅殻格子
牡丹

28

夾竹桃が今も咲いている 
紅色の花びらが心を揺らす
時計見つめていつも待っていた 
鉢植えの紅い花
今宵はあなた何処をさ迷い 
口紅染める肌の下
内気装ったその裏に 夜叉を隠して先斗町 
川は紅葉の 紅をさす
情あやとり乱れる心 
紅い手絡が目に沁みる
抱いて行きます三下り半を 
指にくいこむ紅緒の草鞋 
燃えて紅葉(もみじ)の紅より赤く 
命までもと染めた恋
あなたのために綺麗でいたい 
鏡をのぞいてなおす紅
涙ぐませるあなたとわたし
熱い紅茶に レモンひときれ愛をこめて
紅を散らしたななかまど 
風が泣く夢が泣く涙が凍る

29

口紅いろの赤い灯が 
挽歌の街に滲む頃
命にしみたくちづけが 
紅をさす指こんなに熱くする
赤き紅の色一途でも 
決して届かぬ愛なのに
湾岸道路を塗りかえる 
口紅みたいな夕陽のしずく
思い出すのはふるさとの 
雨に咲いてた紅い花
しい葉書の切手の裏は 
そっとそっと そっと染まった紅のいろ
あなたに咲きたい薫りたい 
春を夢みる口紅水仙
愛を重ねた夢から覚めて 
口紅がせつないわかれ町
胸に残した虹のかげ 
にぎる輪ッパは俺の命さ
せめて百日咲いて散る 
命燃やした紅の花
今様(いまよう)

30

そっとブルースくちずさみ 
真紅のベッドに涙をこぼす
暮六ツ 流行の色の紅をさし
逢瀬はいつも晴れ舞台
家を出たあの子が はるばる越えた 
汐路の渦に 紅い花がしずむ
咲いて儚い冬椿 
紅が泣いてるこの縁(えにし) 
どうせあなたの心には 住めるはずない水の花
恋はうたかた 紅蓮の花よ
紅いキャンドルライト フロアに揺れる 
はじめて出会った夜
暁靄を衝いて剣を振ってたら 
紅い花びらが眉に落ちてきた
暗い部屋の鏡の前で 口紅をつけてはみても
頬つたう涙とめどなくこぼれて
熱い心に真紅なぼたん 
登り竜なら似合いの夫婦
大漁旗の真紅の文字がよ 入江のむこうに見えたなら
酒と肴を お膳につくってよ 紅のひとつもつけようか

 


31

紅い灯かげのグラスに浮かぶ 
影がせつない夜更けのキャバレー
胸のときめき紅さす指が 
なぜ震える夕化粧
恋のマッチを二人ですろうよ 
すれば火がつく紅い火が
深深(しんしん)花びえ春がくる
うす紅染めた爪さえも あなた乾いてやつれます
季節のさだめ濡らす秋
舞い散る雪に山茶花の 紅色胸にしみる冬
秋には赤い紅葉酒 冬には白い雪見酒
分けた寝酒の酔いが冷めぬまに
風の吐息か高遠囃(たかとうばや)し 
聞いてひく口紅(べに)湯のかおり
紅い葡萄の酒に 別れの香りゆれて
誰も愛せない あなた以上は
ガラスの窓にくち紅を うつして頬の薄さになける
恋は女の命の華よ
瀬音したたる いで湯宿
ふたり渡ったあの橋は 女と男の紅い橋
古代紫

32

紅をふいたら泣かぬまい 
手鏡の白い息恥かしがるけど
紅をひと掃け心にさして 
あなたを待ちたい宵の口
季節忘れた北向きの 
部屋に飾った紅の花
弥生夜桜紅させど ふたりの春はかくれんぼ
背中あわせの春ならば
口紅忘れたくちびるが 
あなたを恨んで恋しがる
みどりの川の紅い橋 
渡れば揺れる藤の花
燃えろ螢火海山越えて 北の大地に踊る夜は 
無理に濃い目の 口紅をひく
もしもあたなが月になり 私の窓を叩くなら
今宵紅さし髪を解き この黒髪を乱したい
あふれるほどの優しさで
白き乳房を真紅に あふれるほどの恋しさで
紅花染めの浴衣を羽織り 
白い素肌が紅くなる

33

焦がれる想い 断ち切れず
手持ち無沙汰に 紅を引く
あなた忘れた振りをして 
紅を引く手もふるえます
恋に生きても明日がない この私 
赤く燃えて風に舞う 恋紅葉
恋の架け橋お江戸の春は 
咲いて嬉しや薄紅桜
銀の首飾りむせび泣くテナー 
ゆれてとける髪恋は紅いバラ
山は錦秋舞鶴城の 
月はほろよい紅葉映え
好きだから二人どちらも好きだから
姫鏡覗き込み紅をひく
紅灯の海に漂い ひとつふたつの思い出を抱き
紅灯の海は優しい 海と名の付くものは優しい
あなたははしゃいで歌ってる
紅(あか)い頬になればいいと 心でしみじみと思う
通ればあの子を思い出す
達者でいろよ元気でくらせ 故郷の花はいつでも紅い
京紫

34

逢いみての恋しさ切なさに 
紅(べに)をさす指を噛む
夏痩せですとつぶやけば 嘘が哀しいやつれ紅
未練です愚かです 女です
露地に紅引く赤ちょうちんで 
酒は熱かん人肌ごころ
惚れたよ憂き世の川で 
紅い契りのこころ舟
紅は濃いめにひいたって 
酒におぼれる泣き虫だから
二人迎えた最後の夜明け 
別れ口紅(べに)さす鏡がくもる
岐阜の根尾谷 薄墨桜
京都平安紅枝垂れ 吉野山なら千本桜
春知らぬ厚岸草(あっけしそう)の 
紅は怨みの色なのか
淡紅の秋桜が秋の日の 
何気ない陽溜りに揺れている
別離は人の常なるを 銀漢冴えて水清く
ゆきて還らぬ紅唇よ 熱き心よ今何処

35

たとえ世間に背いてまでも 
紅ははんなり 今宵 修羅の道
うす紅の似合う女でいてくれと 別れまぎわに抱いた人
ここで待つのは みれんでしょうか
なんで濡れよか男の胸が
かつら下地にともしび揺れて いつか浮き名のこぼれ紅
紅を拭きとるグラスの淵に 
写る寂しいこぼれ月
紅い野薔薇がただひとつ 
荒野の隅に咲いている
築地河岸(がし)大川づたい 
人目忍んで寄せ合う肩に 月の雫かこぼれ紅
お嫁にいくのと花嫁衣装 見ればせつないまたやるせない
無邪気なおまえのこぼれ紅
流れてゆく時間ふたりで歩く 
色づく山々紅葉(もみじ)の路(みち)を
いのち短し恋せよ乙女 紅き唇あせぬ間に
熱き血潮の冷えぬ間に
止まるも行くも 風まかせ 
お前が見送る酒田港 紅花積んで浪花を目指す
葡萄染(えびぞめ)

 


36

紅を今夜は濃い目につけて 
せめて淋しさまぎらせましょか
肩にうっすらなごり紅 
指でなぞれば 揺れておぼろな狭霧の宿
おまえの口紅とりあげて 
あの海はるかに投げたっけ
ほのぼのとうす紅染むるは 
わが燃ゆるさみし血潮よ
薄紅の花びらひとつ 
手の平から零れて舞うよ
揺れる木漏れ日 薫る桜坂
悲しみに似た 薄紅色
きっと帰ると信じて待って 
咲いて薄紅 さくら草
染まってうれしい あなたの色に
春はうす紅 櫻橋
紅葉(もみじ)しました我が家の桜 
元気を貰った気がします 
流れる闇のなさけ川
紅が哀しいおくれ毛泣いて つれて行ってとすがる女

37

酔ってあなたがわたしにくれた 
紅がかなしい水中花
泣かぬつもりが袖を噛む 
紅を散らせたくずれ帯
紅茶がさめるわさあどうぞ 
それには毒など入れないわ
今夜も口紅拭かずに眠る 
とぎれる命の果てまでも
耐えた者ほどやさしく生きる 
しだれ紅梅見て思う 
島のつばきとこのわたし 
紅く咲いてる燃えている
誕生日にはワインを買った 
おまえは紅くその頬そめた
人も通わぬ山奥に 
咲いた紅葉のこころ意気
辛くなるから捨てて下さい 
涙の紅がついたハンカチは
夢に酔いたいうたかたの 
紅が乱れて黒髪濡れる
蘇芳(すおう)

38

サルビアの花の朱紅さに 
つきあげるあなたへの愛
春の雨でも花冷えの 
夜が淋しい残り紅
夢紅く誰(たれ)を待つ 柳の小窓
泣いているおぼろな瞳
私もひと口いいかしら 
口紅拭きとる盃は愛々酒です
またいつの日か逢える気がしてた 
再び引き合う紅い糸
忘れることなどできないけれども 
あしたを夢見て口紅も変えて
うす紅色のシクラメンほど まぶしいものはない
恋する時の君のようです
みれん残して旅路をゆけば 
山の紅葉の間から  泣いて見送る
せめて別れの紅化粧 綺麗でいたい最後まで
いいの二人の思い出は 流して下さいこの川に
ひとりで紅茶のみながら 
絵葉書なんか書いている

39

母と呼べずにわが子と抱けず 
嘘とまことでとく紅かなし
君待つ宵は欄干(おばしま)の雨に 
花も散る散る紅も散る
姉さん女房の柄ではないと 指輪を包む紅袱紗
包みきれない未練は燃える
三ヶ月(みつき)待たせて 逢うのはひと夜
口紅(べに)をさす手が震えます
抱いた長脇差振り分け荷物 
縞の合羽に紅緒の笠も 人目忍んで草のつゆ
世間の冷たい風に泣かされ 
ほおずえかむ紅差指(べにさしゆび)
泣いて拭きとる口紅みたい 
雨の残り灯こぼれ灯よ
紅をひと刷毛(はけ)あかね雲
想い四十九里大佐渡小佐渡
拍手をくれるあなたの顔が 
夕陽に紅く染まり
紺色(あい)の絣(かすり)に紅させば 
思い出すのよ椿(はな)祭り
葡萄(ぶどう)

40

独(ひと)り咲いてる紅山百合(やまゆり)に 
足が止まるよ三度笠
聞いてお帰り八十八夜 駿河茶どころ菜摘み唄
囃す紅緒の あああん 晴れ姿
真紅に燃えている 恋の炎を 
消せるもんなら 消してみな
ドレスの据さえ妖しく揺れた 
紅いランタン石だたみ
紅いくちびる夜霧に溶けて 
溶けて外灘の華になる
紅いランタン仄かにゆれる 
宵の上海花売り娘
紅の月さえ瞼ににじむ 
夢の四馬路(すまろ)が懐しや
化粧で変わったわけじゃない 
口紅ひとつの色もそのまま
紅い花咲く峠の道を 
越えて涙を拭くつもり
山の紅葉に照り映えて
色づく夢がまだあった ふるえる愛がまだあった

 


41

海の漁師の祭りも近い 
帰ろかなァ紅い夕陽の知床漁港
胸にひっそり咲く花は 
もえて紅さす 白牡丹(しろぼたん)
愛のしるしだとふれたくちびるに 
今朝は口紅さしてみました
嘆きの空の夕焼けは 
ばらの花よりなお紅い
ねぶた祭りが終わってヨー 
林檎が真っ紅に色づきゃヨー
紅はさしても心は美人 
ふたり水棹に手を重ね
紅い沈丁花グラスに活けて 
淋しさまぎらすひとり酒
熱い紅茶を入れる指先ふるえる 
カップが立てる音にあなたが笑う
今度生まれてくるなら 孔雀よりすずめ
口紅も香水もつけないで 誰かと暮すわ
口紅を落として爪の色変えて 
出来るだけ素顔で眠りましょう
江戸紫

42

私には消えない想い出があるの
口紅の色さえもあなたを捜すわ
髪の冷たさ寂しさの果てか 
うす紅のさくら貝
螢を追いかけせせらぐ道を 
君は浴衣の紅い帯
君紅の唇も君が緑の黒髪も
またいつか見んこの別れ 雪中花
肌寒い秋の夜に ワインをのみながら 
マニキュアの紅の色 見つめてるのです
紅い鼻緒の緒が切れて
捨てられたのは雪の夜 雪の化粧に紅を差す
あゝ咲き誇れ愛よ高らかに
紅い糸(さだめ)導くままに 美しくオーラを添えて
うんざりなのよ
信じた唇噛んでにじむ嘘 口紅より赤く
あなたの好きな口紅をさし 
逢瀬を重ねる戻り川
紅がら格子の軒ばの影に 
ゆれて咲いてる恋の白百合

43

待つ人ひとり 誰もいないけど
口紅をひきなおす それは女の意地かしら
深いこの哀しみ 
紅に染め上げて恋の彩はジェラシー
酔わせてよあなた今夜だけ 
あの時と同じ口紅ひくわ
顔残して去りゆく左近
哭(な)いて見送る内蔵之助 庭の紅葉の霜白く
北の岬に咲く浜茄子の 花は紅みれんの色よ
夢を追いかけこの海越えた
行けばおもいで風が吹く
紅葉色づく大和路で 黙って別れたあの人の
君もまだお下げ髪だね 紅もつけずに 
白壁の土蔵背にして
わざとひと汽車遅れてついた 
山の湯の町はらはら紅葉
恥じる心をいさめるように 
うす紅の桃の花屋根
名もなき花に唇(くち)をあて 
紅さし指の君想う
濃色(こいろ)

44

人の心と八重桜 
赤に黄色の花紅葉
歌を忘れた唇 に 
いつか染めたい春の紅
赤い口紅似合う女は 
恋が実ると云うけれど
乱れた口紅(べに)もそのままに 
罪なあなたと知りながら
言ってふり向きゃ眸(め)をうるませて 
ほゝに紅さす可愛い女
真冬の空をまっ紅に焦がす 
花火は一夜で終わるけど ふたりの恋は永遠と
紅いはまなすの立待岬 
いつまでも待つと寂しげにすがりつく
お岩木山から紅葉の帯が 里にひろがりゃヨー 
津軽の冬はもう近い
あんたを迎えるうす紅化粧 
だけど汽笛がしみただけ
わたしを燃やす街灯り
紅くせつなくやるせなく 涙の中でゆれている

45

惚れちゃならない堅気に惚れて 
解いた絣の紅の帯
夢で逢いたい逢えたらつらい 
口紅(べに)がせつない月の宿
忍ぶ哀しみ手紙にしたゝめて 
紅のくちびるおしあてる
すすり泣くよな汽笛の音に 眠れないまま口紅をひく
あなた旅からいつ帰る
弦月(ゆみはり)の月の先が よこしまな紅を引く
悪い女になったのは
電話さえせめて鳴れば着替えも出来る 
口紅をときめく色に
惚れてもいいじゃない
紙でこさえて紅で色づけ 恋のつくり花
馬鹿よ馬鹿なのそうよ私も女よ 伝わりますか
淡い紅をかるくのせて
恋の色は夕暮れの空 
うす紅にはかなく落ちた
離したくない離さない 
女うす紅九十九(つづら)坂
本紫

 


46

紅い椿はね紅い椿は 
おんなの涙
紅い椿の花咲く季節 
飛んでゆきたい南の島へ
未練涙(みれんなみだ)を湯けむりの 
向こうに流す紅椿
紅色に思い出を染めあげて 
夜空いっぱいに散りばめてみても 涙がゆれるだけ
そばで暮らすと決めました
乗り継ぐ夜汽車を待ちながら 口紅ひきなおす指先に
逢いに行ってもいいですか
人目かまわずあなたの頬に 口紅をつけてもいいですか
結ぶ草鞋に絡まる紅緒(べにお) 
乙な木曽路のわたり鳥
愛の手で織る大島紬 
紅の色柄花模様 
真っ赤に染まれば紅椿 
白く開けば玉椿
春で十九になったよな 赤い口紅買ったよな
逢いたいな逢いたいよ

47

夢で逢いたくて眠る夜は 
口紅を一色指します
紅い色して散る花は 
風のせいじゃない
ひとり手鏡紅ひけば 
未練宿して胸がなく
問わず語りで夜が更ける
夏の夏の恋 水面に紅く映る
哀しみが似合う女だけで生きてるよりも 
口紅をふいて暮らせば
一夜(いちや)泊まりの妻籠の宿で 
逢うて見初(そ)めた紅つつじ
真っ紅なドレスがよく似合う 
あの娘想うてむせぶのか
紅い雨傘あの笑くぼ 
ひと夜の温もり忘れない
帰るあなたのシャツの襟もと 
わざと口紅つけてみた
紅蓮の炎に身を焦がし 
生きて行くのかおんな道

48

眠る前の紅茶の白い湯気に 
故郷の冬が揺れている
時には娼婦のように 淫らな女になりな 
真赤な口紅つけて
春にはきれいなさくらを咲かす
紅をひくたび唇に うたがでるのよ恋歌が
口紅の色もこの髪形も 
知らないあいだに変えてたわたし
真紅な角巻舞いとぶ雪の華 
忘れちゃいないさあの日の北の駅
わずか三月(みつき)でも 口紅変えるほど
心のどこかで ときめいてたけど
夢をください消えない夢を 
泣いて紅ひくとまり木の花
荒野に咲いた一輪の 
色は薄紅可憐(かれん)花
この川でひとり春を待つ 
燃えてさみしい紅い唇
紅い灯青い灯わきめもふらず 
死んだつもりのこの戻り船

49

映えて真紅な口びるに 
倖せあげたい人だった
紅ひく仕草が絵になるこんな夜 
おまえは空行く雲になれ 
紅の月さす窓際に 
肩を寄せれば流れる涙
湯の花祭りのいたずらに
ちょっとだけよが あゝ命とり紅椿
とかせた帯ひも南蛮屏風
ガラスの絵にさえ紅がつく 男と女の恋ごころ
薄情な人の名を口紅でかけば 
こぬか雨降る夜の丸山
小指で紅さす宵化粧 
ひとりで 咲かせる水中花
ときめきがほしいから
いつまでも口紅は同じ色 心もあの日のまま
水のしぶきに濡れた夜
襟を合わせる手をほどき 胸に紅葉の長良川
命燃やした浜辺の宿で 肌は紅色深酒すれば
涙ほろほろ心に沁みる
桔梗(ききょう)

50

涙ほろり にがいわ夏の味 
赤い口紅塗りなおす
熱い涙が止まない夜は 
月のしずくで紅化粧
約束のうれしさ胸に 口紅をさす
待ち人待つ夜の 宵化粧
問わず語りの遠い日に あんた泣かせて
生姜の紅がまたにじむ
なみだ下地のお化粧に 
倖せ薄い口紅さして
夜の化粧口紅をさす 
信じても逢う瀬短かい いで湯妻
口紅拭いてもみれんは残る 
まして雨降るこんな夜は
杏の花が薄紅色だよ 
丁度去年の別れの頃のよに
潮が渦巻く心が痩せる 頬の涙が人を恋う 
紅の紅の寒椿
乙女の殻を脱ぎ捨てて
静かが似合う大人となりぬ 紅うすくつけ

 


51

紅く染まる夕陽に追いかけられて 
誰もいない海岸また一人で歩く
夢も今市(いまいち) 紅緒傘(べにおがさ)
賽(さい)の目数(めかず)は
口紅(べに)をさすさえもどかしく 
涙ばかりがあふれます
紅(べに)のかすかなささやき 
胸が痛くなる
口紅さす小指の先までが 
あなた欲しさにまた燃える
胸が燃えるわ想い出されて
あの人が誘いに来るような 紅が気になる
寒い女の 子守唄
知っているのか一人の夜を 枕ならべて紅をひく
灯りおとして紅ひもとけば 
匂うほのかな湯上がり化粧
お染久松切ない恋に
残る紅梅久作屋敷 今も降らすか春の雨
朝(あさ)靄(もや)はるか 深山(みやま)の里の
薄紅色の山桜
紫苑(しおん)

52

何故に私につきまとう
あなた偲んで泣いてます 紅も悲しい博多川
月の那珂川中州の紅燈(あかり) 
縋りつけない恋の舟
そうよ待ちます逢える日を 
紅もほんのり薄化粧
紅もつけずに恥じらいながら 
甘いくちづけ待つ私
風の情念(おもい)が紅葉を散らし 
恋の情炎(ほむら)が衣を燃やす
林檎をわれにあたえしは
薄紅の秋の実に 人恋い初めしはじめなり
空を紅く夕陽が染めて 今日も落ちるよ水平線に
海の藻屑と消えた友
恋の形見の口紅を 
暗い波間に投げすてる
恋も着きます夢もゆく 
春の紅さすネオン町
吐息もからむ襟あしに 
花びらふたつのこぼれ紅

53

女ごころの花道に 
揺れて切ないこぼれ紅
とく髪の指先がたまらなく愛しくて 
紅を引く
爪をたてればはじける命
あなたに焦れ夕べに紅く 咲いて一夜の花しぐれ
夢じゃないのね 抱きしめて 
今夜の私は紅いバラ
白い花なら別れの涙 
紅い花なら嬉しい心 
恋の吐息のその森で 
紅椿心に咲き濡れるよ
深みを増したその森で 
紅椿ひときわ咲き揺れるよ
戯れの紅はこべ 遊ぶこでまりそぞろ咲き
行きずりのゆずりはか
薄紅 (うすくれない)のその中に 
白く咲いてる花もある
紅をささないくちびるは 
愛の言葉にふるえがち
藤納戸(ふじなんど)

54

泣いたあの日も想い出話
そうよ今夜は うす紅さしてつきあいましょうね
春は桜に夏菖蒲 秋に紅葉に冬の梅
光りに集う蝶のよに
谷の紅葉をこぼれた露も 
流れて千曲の川になる
落ち葉焚いてる煙が沁みて 
にじむ紅葉の大原野
吹き荒れる風 舞い踊る木々
薄紅色の吹雪に 愛も凍ります
紅の闇 一人寝の夜
溜め息つけば 心が千千に乱れます
乱れ髪指で直し 鏡に映し薄紅差すの
滝音ながれる山の宿
清き流れの台川に 
染めて散りゆく深山の紅葉
あの日の涙は乾いたか 
薄眼の口紅そのままだろか
別れなさいと人がいう
花水木薄紅かなしく 愛しすぎてる女から

55

水の鏡を朱に染める 
沈む夕陽の紅い帯
知っていながら瞼が濡れる
さよなら うるむロビーの紅い灯よ
桜山吹風船かずら 秋の紅葉で冬が来る
何も心配 いらないと
心づくしの宅配便に 一枝添えた紅梅の
花は わが子に賭ける母の夢
紅をひく度あなたを忍ぶ 
ひとり忍んで惚れ直す
人の出逢いは罪のもと
はまなすの花紅い花 一途な愛のくれないを
浜に咲いてる北の花
幼ごころに美しかった 母が差してた口紅の色
噂追いかけ紅緒笠
逢える逢えない 逢えない逢える 旅の気休め花占いに
両掌(りょうて)合わせりゃ梅一輪
紅もうれしいあゝ春仕度
素直さが美しく お化粧も紅少し
見る夢も懐しく よく笑うあなただけ
菫(すみれ)




56

あゝ春に追われて 口紅ひとつ
綺麗なときは きっと短い
肌にひとひら紅い花 
それはあなたの愛の跡
春よとまれこの手にとまれ 
紅をさす手がかじかむよ
君よ青春の紅(あか)い薔薇 
召しませ薔薇を
あなたが死ぬと言うのなら ついて行きます迷わずに
命火の紅い花びら悲願花
紅葉(もみじ)灯りの手摺(てすり)にもたれ 
深いため息またひとつ
女心の嬉し泣き
あなた好みの口紅は 色も春待つさくら色
人知れず咲いた 紅い朝顔ひとつ 
日照りつづきの軒かげに 忍ぶ恋しさよ
ほんのり薄紅の 香りをただよわせ
恋は一夜で結ぶお話
鏡の中で女が燃える 好きな男に逢うのならなおさら
心の色は口紅の色

57

紅で染った奥入瀬川に 
散って流れた恋いくつ
秋は紅葉の薩摩路へ ふたり旅するはずでした
うしろを見ないで歩いたら
濡れた枕に口紅で 
愛(いと)しい似顔をかきました
命尽くすわ灰になるまで
螢  炎の螢紅々と 髪も乱れて闇に飛ぶ
愛の紅ばら恋の花 
もゆる心のささやきか
柳がくれの大川に 紅い灯りが一、二、三
水にこぼれてゆらゆらと
夜更けの雨に打たれて落ちた 
紅が哀しい落椿
紅い千代紙情念をこめて 
折ればあなたに逢えますか
淋しくはないか 真紅(あかい)浜昼顔
もの言わぬ海に 恋の身を焦がす
昼顔の花薄紅が 
真夏の陽にも涼しげだった
桜鼠(さくらねず)

58

茜くれない金色(こがね)べに 
ぬれて色増す祗王寺(ぎおうじ)紅葉
叶わぬ恋に身を焦がし 
胸の谷間に散らす紅
情け知らずが情けに泣いて 
紅を散らせた傘踊り
夫婦ちゃりんりん水面にふたつ 
落ちて流れる恋紅葉
季節変わって紅葉にも
揺られて語って風鈴が 色づき燃えて秋の木に
惚の字書きたやこの紅で 
粋な藍染めエー 半纏に
紅を濃いめによそゆきの 
顔で笑って生きてきた
誕生日にはワインを買った 
おまえは紅くその頬そめた
私の気持は決まってる
色も知らない口紅は あなたに見せたい薄化粧
あなたを困らせわがままでした
女なら紅く紅く きれいに咲いて 咲いて いたいから

59

長めの指紅茶が好き 
低い声でよく笑う
泣いてるのか 夜更けてひとりよ
遠い空見たネ 口紅の花 
噛んでおくれよあたしの耳を 
紅葉の色に染まるまで
あなたに私見えますか 
紅も悲しい冬化粧
捨てるなら時間をかけて
ひとひらふたひら 紅バラも花びら散らす
色褪せた紅い糸 
いまでも小指に巻いている
けなげに生きたい尽きるまで
口紅塗りました きれいに見えますか
紅はあなたの好きな色 
熱い素肌をすべる衣(きぬ)の音
棄てちゃいやよと紅ひもで 
ふたつからだを縛ったおまえ
泣かない迷わない 
冬の花咲いた 紅も薄いろ冬牡丹
端色(はしたいろ)

60

あなたいいのよ来なくとも 
あゝ泣くだけ泣いて 情けひと枝すがる冬紅葉
恋のなやみを鏡に写し 
うすい口紅つけてみる
秋の紅葉十三夜 
冬は雪原に針葉樹
春は若葉夏は青葉 
秋は紅葉冬は落葉
淋しくて細く身も痩せて
それなのに今日も うかれ化粧の紅をひく
山はくれない色付く紅葉(もみじ) 
心ひとつに結ばれて
きっとあなたは紅いバラの 
バラのかおりが苦しくて 涙をそっと流すでしょう
咲いておくれよ 淋しい頬に
熱いくちづけ 紅の花
やさし過ぎるわ春の海
こぼれ散る紅椿 流れにひきこんで
髪梳かし 口紅塗り 香水つけ
催促のベル気にして




61

私の部屋に紅紫の 
野あざみの花びらが
紅筆も折れそうなときめき 
今夜逢えば苦しみへと墜ちて行くのに
ああ いっそ待てたら 
浮かぶ瀬もある紅の川
耐えて女は女です
口紅を引き直し おんな一輪 
雨にふるえる紅いろ椿
生きる別れるどちらもつらい
恋しい名前を口紅で 
なぞればポキリとはじけとぶ
抱けばほんのりほほ染める 
俺の花だよおまえは紅桜
似合うと貴方に褒められた 
口紅色した紅水仙よ
似合うでしょうか口紅が
答えてくださいそばにきて
わたしはあなたのこころ妻
紅花とかした恋化粧
紅藤(べにふじ)

62

足音を待てば 雪になります あなた
今日で最後と 決めて紅を引く
いのち濡らしてまた泣かす 
あなたつれない紅花しぐれ
女心に春呼ぶような 
霧笛ひと声紅花の宿
吹雪地吹雪(じふぶき)紅吹雪
雪よ降れ降れ 命しんしん雪よ降れ
春にはぼたん 秋には紅葉(もみじ)
粧(よそお)い彩(いろど)り季節が巡る
夜店で買った紅ほうずきを 
おとこのくせに上手に鳴らす
隅田川(おおかわ)あたりでお酒を飲んだわね 
ほんのり薄紅色の  私の手を取って歩く
胸にたまった恨み言こめるように
いつでも鳴らしていたっけね 紅いほおずき
ほお紅を水で落してみたら 
想い出がパッと鏡に咲いた
北緯五十度カムチャッカ沖だ
こんな時にも心の中で 紅く燃えてる命の恋よ

63

まだくちびるに紅もなく 前髪さえも切りそろえ
頬をうぶ毛で光らせて 
霧にけむった途中駅 
車窓に映して口紅をひく
心の区切りできるまで 
北陸本線口紅(べに)が啼く
誰からも愛された紅白のユニフォーム 
月日は流れても胸にずっと生きてる
一目逢いたいお母さん
唇紅(ルージュ)哀しや 唇かめば闇の夜風も泣いて吹く
春なら伏見か京の町 
秋なら紅葉(もみじ)能登の国
彩どりどりの口紅ならべ 
風の音にも戸を開ける
惚れたが悪いか 
唐紅(からくれない)の彼岸花
ほろりお酒せつなく抱けば 
熱い命の紅の花
それでも生きててよかったと 
風に風に微笑む紅芙蓉

64

藁を絡めた緋襷(ひだすき)模様 
肌を刺すよな紅の色
雪に埋れて眠ります  あなたあなた 
命尽きたら紅の花になります 牡丹雪
白い肌を うす紅(くれない)に
染めた今夜を 忘れない
あなたが恋しくて 鏡にうつした口紅は 
いまでもあなたの好きな色
口紅を拭きとりそして涙と 
飲めばあなたを忘れられない
だめと思えばなおさら燃える 
口紅(べに)が哀しい迷い川
ひとり旅する寒いくちびるに 紅いハマナスうす化粧
あなたをたずねてひとすじ
私を見る私がいるのよ
頬紅が青く青く 変わるのが映る映る
報われないならそれもいい
窓に満月この身を焦がし あなた浮かべて紅をさす
曼珠沙華恋する女は 曼珠沙華罪作り
白い花さえ深紅に染める

65

大切なのは心じゃないの 
鏡のぞいて紅をさす
あの日と同じに黒髪結(ゆ)えば 
似合うと言われた口紅淋(くちべにさみ)し
鏡に向かいおもいでを 
口紅引いてなぞるだけ
桜映した掘割りを 
秋は紅葉が朱に染める
花という名の口紅寒い 
酒で心をぬくめてみても
ひと目に触れずに椿の花は 
雪にひと色紅を増す
障子に映った山紅葉 
あなたの胸で燃える肌
髪のみだれに手をやれば 
紅い蹴出しが風に舞う
宿の紅葉が水面に揺れて 
あかあかキラキラ燃えたのよ
惚れてふられて又惚れりゃ 
おばこ嬉しや紅の花
紅殻(べんがら)

 


66

白いうなじが ほんのり紅をさす 
どうした乱れて泣いたりしてさ
煮〆ならべて熱燗つけて 
迎え化粧の口紅をさす
紅を落として島田をくずし 
せめて一夜を都鳥
指でおくれ毛撫でつけて 紅もひと刷け冬の花
あなた早く早く気付いてよ
紅をひく手が汽笛で止まり 
揺れる小窓にあなたの名前
こころの渇きをグラスの酒で 
そっと湿らせ口紅を拭く
君ゆえに麗しき紅きくちびる 
思い出せば今も尚胸が熱くなる
街のくらしがあう人じゃない
ひょっこり帰ってくるようで 紅さす指先ふるえます
倖せが似合う女になりたい 
あなた色した紅が悲しい
たどって夜汽車にゆられてはてない旅路
今でも口紅をつけずにいるのか

67

紅を拭き髪乱し キリリと眉を吊り上げて
抱かれたいのか憎いのか
半年待ったら待たされついで 
紅いはまなす枯れるまで
娘十八□紅させど 
わたしゃ淋しい船頭むすめ
紅(べに)ひく指の先までも 
想いあふれて待つ夜毎(よごと)
湯の香ほんのり口紅させば 
夫婦盃おまえはきれいだよ
こんなに泣き疲れ心泣きはらし 
口紅折るほど憎みはしない
青い青い海が見える
さよならを描こうとした口紅が 折れてはじけた
回す心の盃に 
紅はさしても晴れぬ胸
あなたを抱きしめ もう離さない
月のあかりに紅の帯 
明日は明日さ今日じゃない 
秋から冬へと散る紅葉
深緋(ふかひ)

68

紅葉の紅を手ですくい 
わたしの色よとすがる胸
襟元なおす手をほどき 
胸にも紅葉を散らすひと
船が舟が揺れれば飛沫がかかる 
飛沫は紅花絞り染め
ひとひらふたひら散りゆく紅葉 
恋の終わりを見るように
たたむ浴衣に散り染めた 
夢のなごりか口紅の花
おもかげ酒になみだ唄
ごめんごめんね 紅く燃えつつ枯れていく
足踏みばかりさせないで
あなた恋しい心も肌も 紅葉前線はかなく燃える
あなたは霙それとも氷雨 
紅葉のわたしを打ちのめす
強く生きます恨みはしない 
女一途の 紅葉舟
胸にきかせて戻り橋
幸福なんて 表と裏の紅葉雪

69

紅を散らした顔のぞかれて 
知らぬふりするはずかしさ
みこしなら肌ぬいで 
向う鉢巻紅だすき
命絡めて只ひとすじに 
明日も咲きます紅い花
惚れたあなたに辿りつくまで 
乱れた紅のまま
右と左に泣き別れ 
口紅を拭く手も涙に濡れる
今年も幾千幾万 
幾億の薄紅色の花びらで
口紅も引かずに働く女房 
もんぺ姿で網を刺す
露草で描いた恋の 行くすえは水に流れる
これがさだめか紅殻格子
優しささえも失くしてたあの頃
あなたのために選んだ口紅
紅を紅を紅を薄めに ひけばでる涙
みれん心が意地悪に
小豆(あずき)

70

紅がら格子に九十九小路(つづらみち) 
雪降りやまず足袋を凍す
冬がひと足早いから 
もう散り急ぐ雪国紅葉
お堀城跡 紅殻格子(べんがらごうし) 
汽笛北風汽車は行く
港はきょうも雪に暮れ 
酔ってわたしは口紅をひく
小指に残る口紅のあと 
夢なら泣いて忘れもしよう
七夕祭りを惜しむうち 
おんなを泣かせ紅葉が散った
紅い炎に言ったひと 
冬になったらまた燃え上がる
雪の谷間に紅さす母の 
愛は越後の雪椿
聞いて下さい寒い夜は 耐えて椿の蕾の中に
ひとつ幸せ紅の花
叶わぬ恋が運命でも しんそこ惚れて 
焦がれ咲きする紅の花

 


71

頬にさらさら舞い散る雪は 
紅も哀しい あゝ雪化粧
好きと云う字を手鏡に 
口紅(べに)で愛しく書いて待つ
ああ堅むすび 紅ひもを 
ほどかせたあなたよ
まわり道でも倖せ探す 
肩にひとひら冬紅葉(ふゆもみじ)
道さえも見えぬ眸に 
沁みとおる花の薄紅
ぬくもりひと夜の肌恋し 
山間の雪紅葉定山渓
雨に散る散る無情の雨に 
紅も はかない岩つつじ
あなたと一緒に暮らせたら わたしは死んでもいいの
ひとり紅ひく夜ふけの酒場
拭いても残るくち紅の 
色さえさみしく身をせめる
紅色(べにいろ)の匂い漂う露地に 
小雨のこる夕暮れどき
栗梅(くりうめ)

72

はらりほろり帯ほどく秋 
哀しくて追い橋の紅(べに)まくら
夢を夢を夢を飾って一人で泣いた 
涙いちりん口紅の色
紅く燃え尽き窓の外舞う紅葉 
恋の名残りの愛しさか
たよれる胸でやすらぎほしい 
おんな紅ひく夢化粧
苦労七坂峠を超えて 育て咲かせた紅の花
嫁ぐ娘の花嫁姿
夢破れ道は果てなく デイゴの花は紅く燃え
還るあてない思い出が 
紅筆で唇なぞり 
あなた想って蛍になった
この手につかめぬ幸福ならば 
虹のかからぬあすなし人よ
あなた待つ夜は三十路が十九 
恋は耳まで紅をさす
夢一夜一夜限りと 
言い聞かせては紅をひく

73

今日は逢えない夜だから 
紅をふきとるこの指に
湯の香に咲いた紅い実ひとつ 
似た者同志の夢もどき
雪見障子に紅柄(べにがら)格子 
あなたと歩く路地裏あたり
酒はにがいし煙草はからい 
紅はとけるし寝床は寒い
あなたのそばで過ごせることは 
いとしさ余って残る紅
ひとり口紅拭きとりながら 
鏡のわたしに声かける
花は花ゆえ花と散る
紅(くれない)燃ゆる色香(かんぱせ)も
青いネオンが泣いている 紅いネオンも涙ぐむ
チャコ チャコ 帰っておくれよ
青い夜霧に灯影が紅い どうせ俺らはひとりもの
夢の四馬路かホンキュの街か
女なんかになれないわ
あなた口惜(くや)しい あぁ口紅(ルージュ)もひとり 

74

口紅をつけてティッシュをくわえたら 
涙がぽろりもひとつぽろり
口紅(べに)を噛み切り投げつけりゃ 
死んだふりして夢ん中
提灯の紅あかり 
浮きたつ桜に誰を待つ
紅葉みたいなその手のひらに 
取らせますともこの国を
線香がやけにつき難(にく)い
さらさら揺れる吾亦紅
そっと紅をさせば肌寒く 
桜の吹雪を浴びて眠り合えたら
今夜は赤い口紅をひいたけれど 
燃えるキャンドルライトあせてしまう
紅い椿が しおれちょる 
女房にしたけりゃ 網を引け
今年も咲いている 無花の紅い花
光り映える街角に
紅のたすきが 今も揺れてる 
あゝ目の中に

75

鄙びた籠宿
小指立て紅を指す あなた待つ夜の薄化粧
紅と小さな夢ひとつ 
詰めてきました荷物の中に
くもり硝子の向うは風の街 
さめた紅茶残ったテーブルで
紅い帯締め花嫁人形 
明日は売られてどこへゆく
越えてあなたの後を追う 
夜なべ藁打ち 紅緒の草履
燃えろ 若い太陽 
恋の炎でいつまでも 紅い炎でいつまでも
情とかした鮎川に 
燃えて散りゆく深山の紅葉
虹色の夢なんか 
見られるでしょうか万華鏡
白い小さな風蘭の 花が咲いてた城の跡
紅がら格子 小浜まち 
別れの朝ふたりは さめた紅茶飲みほし
さよならのくちづけ 

 


76

戻らない季節(とき)
別離のルージュは紅く 思い出ぬりかえて
橋を渡れば軒に紅い灯が 
ゆれて誘った雪どけの道
ゆれもせず消えてゆく口紅の色 
罪の重さに耐えながら 
淡い口紅似合うひと 
肩を抱き寄せ歩いてた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   

 

霧の土讃線
旅の出逢いも さだめでしょうか
あれは霜月(しもつき) かずら橋
燃えて燃えて 燃えて紅葉(もみじ)の紅より赤く
命までもと 染めた恋…
おもいで訪ねて 今日また暮れて
影もやせます 霧の土讃線
   剣山(やま)のけむりか 男のこころ
   風の吹くまま 七曲(ななまがり)
   待って待って 待って忍んだ春夏秋を ・・・
   きのう琴平(ことひら) 明日(あす)は土佐山田
谷の瀬音に ひよどり啼(な)けば
旅も終りの 無人駅
泣いて泣いて 泣いて忘れて出直す朝に ・・・
寒い逢いたい 霧の土讃線 
一葉記
想い寄せても 言葉に出せぬ 出せぬ言葉を 綴る文字
現世(うきよ)にごり絵 心の筆に 涙にじませ 紅をさす
恋の陽だまり 切り通し
   明治は遠く なりにけり
   大正も…… そして昭和も
人の真実と 釣瓶の井戸は 汲めば汲むほど 底知れず
帯の結び目 ・・・ 女らしさを とり戻す
花のあの頃 たけくらべ
   夢の不忍 あの夜かぎり 捨てて流した 一葉舟(ひとはぶね)
   逢えば泣きたい ・・・ 揺れてこぼれる 萩の露
   月も入谷の 十三夜 
電児の迷惑メール
私の悪い虫の一匹は、「言葉遊び」と、その連想ゲームです。歳のせいか、皺のせいで目でものが言えなくなった頃からです。言葉をギュッと凝縮したのが、演歌のフレーズと思っています。先日、NHKの歌番組で「霧の土讃線」を聞き、紅葉さんの書「紅」を思い出しました。「紅」のフレーズを集めました、若い頃の思い出が見つかるかもしれません。
追伸/目で物が言えるかどうか、ご確認したい方は「目は口」を見てください。
ディズニー
「紅」の言葉の持つ意味合い、情景、こんなに奥深いものとは気がつきませんでした。私は「柳は緑 花は紅」「夕紅」のフレイズ・イメージが好きです。「紅」のフレーズ 歌、詩歌にこんなに使われているんですね! 「青い山脈」の歌詞もこういった切り口でみると歌詞の意味が新鮮に感じました。私のカラオケ曲「北に生まれたその人は」 ‥ハマナス色の口紅で‥が出てきたのにはビックリです。内容が一杯で少々疲れましたが、ようやく読破、忘れかけていた感性を少し取りもどしたような感じがします。膨大な資料、お疲れさまでした。追伸の 「目線、口元」は 出会い・第一印象にはとても大事なポイントですね。私は左顔からの流し目がいいかも‥?
電児
ご苦労様でした。私は軽い気持ちで始めましたが、やはり疲れました。ちょっとデコレーションをしたついでに数えました、760曲ありました。最初は、せいぜい200-300曲くらいかと思っていました。想像してはいましたが、やはり男女の思いに関るものが圧倒的ですね。「北に生まれたその人は」 も探せたことは、ちょっと愉快でした。デコレーションついでに、「紅」の文字に色を付けてみました、古色名です。ところで、最近、電車の中で堂々とお化粧する若い女性を見かけます。演歌のフレーズ文化も、もしかしたら早晩、民俗芸能「口説き」になるかもしれませんね。
追伸/「中山太郎」という名前を知っていますか、足利生まれの民俗学者で、著書「巫女」を見つけました。疲れますので、興味がありましたら斜めに読んでください。
ディズニー
電児さんの好きな? 「薄めの紅を、小指で描いて、あなたに着物を褒められたくて」…女の心情・男女の風情が無くなってしまうのはさぞ、残念なこととお察しします。これも時の流れか…。「紅」の古色名には、それぞれ深味がありますね。「紅」に染色をほどこすところは、さすが染色家ならではです。足利生まれの民族学者、中山太郎氏については知りませんでしたが、巻頭の小言を読み何となく身近に感じられました。本文のほうは、貴君から教わった「知るアホが凡人になる手立て」の「知る努力」の精神で、難解ですが斜め読みし、やっと「呪文と呪言」のところまできました。
電児
今日、NHKで空海の書の番組を見ました。書に知識がなかったら理解できませんでした。「臨書」の本当の意味がちょっと判りました。番組で、書家の人が空海の「風信帖」の文字を臨書し、空海の気持ちをなぞっていました。何となく「臨書」の大事さが判りました。紅葉さんのおかげで、番組を楽しく見ることができました。
紅葉
書道については、震災以来、書展がほとんど中止となり、私も家の片付けに追われ、休業してまして、今月から、また少しずつ始めようと先生のお宅に先週挨拶に伺ったところです。作品が出来たら送ります。
私も今、空海のテレビ途中からですが見ていました。空海のすばらしさを再確認しました。高野山にお参りして、書の実物を見たいと思いますが、無理でしょうね。
震災で、壊れた家の修理が、なかなか進まず、少しイライラしているこの頃ですが、気晴らしに彦根に行ってきました。>江<のイベントをやってました。毎年参加する団体旅行ですが、彦根城に行くので行きました。現存12天守閣のある城の1つです。松江城・松山城と3城制覇しました。残り9城は、何時になるかわかりませんが(みな遠方にあるので)いくつ制覇できるかな?・・・悪い虫 おきませんか?
「紅」は少しずつ楽しんでいます。深い意味も考えず、雅号に使ったのですが勉強になりました。「霧の土讃線」という歌はは知りませんが、ディズニーさんと意気投合している様子ですが、同窓会の時でもお聞かせください。 
電児
今日、上野の山に「空海」を見に行ってきました。風信帖も見ることができました、ただ、鑑賞するするだけの目はありませんので、歴史を再確認といったところです。多くの名だたる仏像を、近くで楽しく見ることができました。開催期間も押し迫っていますが、お勧めです。
電児
あっという間に台風が通り過ぎました、今日はさわやかな秋の空になりました。
被害はありませんでしたか。
相変わらずの迷惑メールです。紅葉さんのご提案で、天守閣のあるNET城めぐりをしました。「雑学の世界・補考」 > 「天守閣」。 ついでに足利の城址も調べてみました。お恥ずかしい話ですが「せんげん山」の字を知りませんでした、「浅間山」。「名草」の町名が由緒あるもので、生姜が特産とは知りませんでした。
暇つぶしに足利地元の城址見学も楽しいかもしれませんね。
紅葉
昨日6時起きして>空海<見に行ってきました。電児さんに刺激され、会期スレスレ、セーフでした。やはり、本物は一度は見ておきたいですね。>風信帖<はもとより>聾瞽指帰<見ごたえありますね。>曼荼羅<も>仏像<も迫力あって、素晴らしかった。見に行った甲斐がありました。
天守閣は、見ています。すこしとばしながらですが・・・見るのが追いつかないのです。足利にもお城がたくさんあったのですね。浅間神社は懐かしいですね。子供の頃、おでこに印を押してもらいました。