第2次岸田改造内閣

政策断行内閣 問題山積

新型コロナ
ウクライナ危機
台湾をめぐる米中関係の緊張
国際的な物価高

旧統一教会と政治家との関係

「 検討します・・・」 とのこと

 


第2次岸田改造内閣8/108/118/128/138/14・・・
検討使新興宗教統一教会払拭内閣・・・
 

 

●第2次岸田改造内閣「顔ぶれ」固まる…狙いは? 「手堅い」「地味」の声も 8/10
10日に行われる予定の内閣改造を前に、新内閣の顔ぶれが固まりました。デジタル相には河野太郎氏。また、経済安保担当相には高市早苗氏が起用されます。
【新内閣の顔ぶれ】
首相      岸田文雄(65) 岸田派 衆<10> ※<>の数字は当選回数
総務相     寺田稔(64)  岸田派 衆<6> 初入閣
法相      葉梨康弘(62) 岸田派 衆<6> 初入閣
外相      林芳正(61)  岸田派 衆<1>参<5> 留任
財務相     鈴木俊一(69) 麻生派 衆<10> 留任
文科相     永岡桂子(68) 麻生派 衆<6> 初入閣
厚労相     加藤勝信(66) 茂木派 衆<7> 再入閣
農水相     野村哲郎(78) 茂木派 参<4> 初入閣
経産相     西村康稔(59) 安倍派 衆<7> 再入閣
国交相     斉藤鉄夫(70) 公明党 衆<10> 留任
環境相     西村明宏(62) 安倍派 衆<6> 初入閣
防衛相     浜田靖一(66) 無派閥 衆<10> 再入閣
官房長官    松野博一(59) 安倍派 衆<8> 留任
デジタル相   河野太郎(59) 麻生派 衆<9> 再入閣
復興相     秋葉賢也(60) 茂木派 衆<7> 初入閣
国家公安委員長 谷公一(70)  二階派 衆<7> 初入閣
少子化担当相  小倉将信(41) 二階派 衆<4> 初入閣
経済再生担当相 山際大志郎(53)麻生派 衆<6> 留任
経済安保担当相 高市早苗(61) 無派閥 衆<9> 再入閣
地方創生担当相 岡田直樹(60) 安倍派 参<4> 初入閣  
【内訳】※岸田首相のぞく
初入閣 9人
再入閣 5人
留任 5人
【派閥】※岸田首相のぞく
安倍派 4人
茂木派 3人
麻生派 4人
二階派 2人
岸田派 3人
森山派 0人
無派閥 2人
【その他】
参議院 2人
女性 2人
継続性と安全性重視の一方「地味」の声も
岸田首相周辺は「国難を突破するために安倍・菅政権の実力者を入れた」と話しています。政策の継続性が重要な分野では留任や経験者を起用しました。例えば新型コロナウイルス対策では、山際コロナ担当大臣は留任。厚労大臣には経験者の加藤勝信氏を起用しました。ウクライナ情勢への対応や防衛力の強化が重要課題となる安全保障分野では、林外務大臣が留任。防衛大臣には経験者の浜田氏をあてました。一方で、派閥のバランスに配慮した人事で、全体の印象としては「手堅く」「地味」な人事といえます。
“統一教会”との関連は?
今回、教団や関連団体との関係を認めた閣僚7人は全員、交代しました。ただ、このうち関連団体のイベントに参加したことを認めた、萩生田経済産業相は党の政調会長に起用されました。また、留任が固まっている山際経再生担当相は関連団体との関係が指摘されていますが、9日夜、BS日テレの番組で「今、点検をしている最中。そう時を置かずにきちんとお伝えできるようにしたい」と述べました。岸田首相は周辺に対し「過去に関係があった人はきちんと認めて説明し、今後は付き合わないよう線を引いてもらう」と話していて、新閣僚や党の新執行部には、説明責任を果たすことが求められます。
“派閥分断”の狙いも?
今回、派閥のバランスには配慮しているものの、“派閥分断”の狙いを指摘する声もあります。例えば河野太郎氏は麻生派に所属していますが、麻生派を率いる麻生副総裁は河野氏の入閣を求めていませんでした。前回の総裁選では河野氏の立候補をめぐり派閥が分裂したため、河野氏を一本釣りで起用することで、麻生副総裁が力を持ちすぎないように麻生派にくさびを打ち込んだという見方もあります。 
 
 

 

●改造内閣きょう発足 8/10
岸田総理大臣は10日、内閣改造と自民党の役員人事を行いました。初入閣は9人で、重要課題への対応が必要となる厚生労働大臣や防衛大臣に経験者を起用するなど、5人が再入閣となります。一日の動きをまとめました。
岸田首相が会見【午後6時〜】
岸田総理大臣は、第2次岸田改造内閣の発足を受けて記者会見しました。冒頭、岸田総理大臣は「数十年に一度とも言われる難局を突破するため、新たな自民党・公明党の連立政権を発足させた」と述べました。そして「新型コロナ、ウクライナ危機、台湾をめぐる米中関係の緊張、国際的な物価高と、内外で歴史を画するような課題が生じている。骨格を維持しながら有事に対応する『政策断行内閣』として、山積する課題に対し、経験と実力を兼ね備えた閣僚を起用することとした」と説明しました。その上で、新たな内閣で取り組む5つの重点分野として、防衛力の抜本強化、経済安全保障政策の推進、「新しい資本主義」の実現を通じた経済再生、それに新型コロナの感染症法上の取り扱いを含めた対策のあり方、少子化対策などの強化に全力をあげていく考えを示しました。一方、旧統一教会と政治家との関係をめぐり、みずからは関係がないと重ねて説明した上で「信教の自由は、憲法上保障されているが、社会的に問題が指摘されている団体との関係は、国民に疑念を持たれるようなことがないよう、十分に注意しなければならない」と指摘しました。そのうえで「国民の疑念を払拭するため、組閣にあたり、閣僚に対して政治家の責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果も踏まえて厳正に見直すことを厳命し、それを了解した者のみを任命した」と述べました。そして、宗教団体で仮に法令から逸脱する行為がある場合は厳正に対処すること、悪質商法など不法行為の相談や被害者の救済に万全を尽くすよう指示したことを明らかにしました。
第2次岸田改造内閣 正式に発足
第2次岸田改造内閣は、皇居での新閣僚の認証式を経て、正式に発足しました。
皇居で新閣僚の認証式【午後3時30分ごろ】
第2次岸田改造内閣で新たに起用された14人の閣僚らの認証式が、皇居で行われました。皇居・宮殿の南車寄(みなみくるまよせ)には、10日午後3時半前から、加藤勝信厚生労働大臣や河野太郎デジタル大臣など、新たに起用された閣僚らが次々に到着しました。閣僚の認証式は、宮殿の「松の間」で行われ、14人の閣僚らが1人ずつ天皇陛下の前に進み出て、岸田総理大臣から任命書を受け取りました。そして、天皇陛下が「重任ご苦労に思います」と一人ひとりに言葉をかけられました。
退任する二之湯国家公安委員長「私自身の政治責任 一生背負う」
退任する二之湯国家公安委員長は閣議のあとの記者会見で、安倍元総理大臣が演説中に銃で撃たれて死亡した事件に触れ「要人の警護・警備に責任を持つ警察を所管する大臣として非常に重く受け止めている。『国葬』や来年のG7サミットが控える中、このような重大な事案が二度と起こることのないよう、警察庁による検証見直しを着実に進めていく」と述べました。そのうえで、「私自身の政治責任は、おそらく一生背負う。この問題について非常に責任を感じている。道半ばで最後まで見届けることはできないが、後任の委員長のもとで警備・警護の検証見直しの結果が報告できるのではないかと思う」と述べました。また、「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の関連団体のイベントで、4年前に実行委員長を務めたことについて、当時の判断を改めて問われたのに対し、「名前を貸したわけだが、今となってはもう少し考えるべきだったと思っている」と述べました。
退任する萩生田経産相「経済版2プラス2の初開催は大きい」
退任する萩生田経済産業大臣は、臨時閣議のあとの記者会見で任期中を振り返り、「経済版2プラス2の初開催をし、半導体の連携を進める日米同盟の新たなページを開いたことは大変大きかった」と述べました。そのうえで、「担当大臣を拝命したGX=グリーントランスフォーメーションの実行、大前提としてエネルギーの安定供給の確保のためのあらゆる選択肢の検討などは、この前に拝命したばかりなので少し心残りだ。サハリンの権益維持や電力やガスの安定供給も大事な局面を迎えているので、人が替わってもしっかり続けていただきたい」と述べました。また萩生田経済産業大臣はみずからの処遇に関連し、8日に経済産業大臣の職務を続けることが望ましいという考えを示したことについて、10日の記者会見で、「経済産業行政が今、非常に難しい課題がある時で継続性が大事ではないかということをせん越ながら申し上げたまでだ」と述べました。そのうえで、「切り取った一部の発言だけを見ると、この大臣、何をのぼせているんだ。自分じゃなければできないみたいなことを言っているように聞こえて、私もネットでたたかれてショックを受けた。アメリカとも非常にうまく信頼関係が短期間のうちにできたという思いもあったので、可能ならば続けたいという意欲があったことを最後の記者会見で申し上げたい」と述べました。
退任する野田少子化相「こども家庭庁を大きく育てて」
退任する野田少子化担当大臣は臨時閣議のあとの記者会見で「こども家庭庁の設置法を、子どもの権利を守るための理念などを規定する『こども基本法』とともに成立させられたことは、私個人としては何十年の思いがあったので嬉しく思う。次の方に、しっかりと大きく育てていただきたいと願っている」と述べました。
退任する末松文科相「性差打破を永岡氏に期待」
退任する末松文部科学大臣は、臨時閣議のあとの記者会見で、理系で学ぶ大学生が文系と比べ少ない割合にとどまっているとして、「ここ10年近く、今の日本の大学が果たして時代の要請にあっているのか、社会も、現場の先生も、疑問を感じてきたと思う」と述べました。そして「理系学部を再編するには当然お金もかかるので、対応できる予算も必要で、文部科学省は強く言い続けなければならない。後任の永岡氏には、理系の人材、特に農業女子や理系女子の比率を高めるため、ジェンダーギャップや、『女性はこうあるべき』という妙な思想があったならば、ぜひ打破してほしい」と述べました。
法相で初入閣の葉梨氏「しっかりと職責を果たしていく」
法務大臣として初入閣する葉梨康弘氏は、午後0時半すぎ、議員会館の事務所で記者団の取材に応じました。葉梨氏は「任命された以上、しっかりと職責を果たしていきたい。経済政策にも関わる所有者不明土地の問題や、外国人の労働者とどう向き合うかといった入国管理行政などに取り組むとともに、親子の関係や選択的夫婦別氏の話などはしっかりと理解を深めて、国民の議論を広げていきたい」と抱負を述べました。一方、記者団から旧統一教会と関係があるか問われたのに対し、「全然そういう関係があるわけではない」と説明しました。そして、午後1時20分すぎに、総理大臣秘書官から呼び込みの電話を受けると「伺わせていただきます」と答え、総理大臣官邸に足早に向かいました。また呼び込みのあと、総理大臣官邸を出る際、記者団に対し「岸田総理大臣からは、頼りがいのある司法、差別や虐待のない社会、世界一安全・安心な日本、わが国の領土・領海・領空の警戒監視、外国人の円滑な受け入れ、そしてポストコロナの時代を見据えた観光立国といった項目に取り組むよう指示があった。これまで法務副大臣などを務めているので『エキスパートとして、しっかりと手堅く、ことを進めてほしい』という話があった」と明らかにしました。そのうえで「風通しの良い、チームワークのとれた組織を作っていくことが非常に大切だし、緊張感を持ってみんなと仕事をやっていくことで国民生活をしっかり支えていきたい」と述べました。
3度目の厚労相で入閣の加藤氏「常に初心の気持ちで」
厚生労働大臣として入閣する加藤勝信氏は午後1時20分すぎ、議員会館の事務所で呼び込みの電話を受けました。加藤氏は、記者団に対し「3度目の厚生労働大臣となるが、刻々と状況は変わっているので、常に初心の気持ちで取り組んでいきたい。まずは急激に拡大している新型コロナの対応が大事だ。コロナ禍ではっきりしてきたさまざまな課題などにスピード感を持って取り組んでいきたい」と抱負を述べました。一方、加藤氏は旧統一教会との関係について、平成26年と平成28年に関連団体に対し、1万5000円ずつ合わせて3万円の会費を支払っていたことを認めました。そのうえで、「懇親会費として秘書が代理で持参したが、秘書は参加していない。また総務会長を務めていた時に、『世界日報』の取材に応じたことがある。総理の指示もあるので、今後は関連の疑いがある団体との関係はきっぱりと整理していきたい」と述べました。
2度目の防衛相で入閣の浜田氏「冷静沈着に対処」
2度目の防衛大臣として入閣する、無派閥の浜田靖一氏は、議員会館の事務所で、みずからの起用を伝えるニュースをテレビで見ながら、電話の前に待機して総理大臣官邸からの連絡を待ちました。そして午後1時20分ごろ、総理大臣官邸から呼び込みの電話を受けると記者団に対し、厳しさを増す安全保障環境を念頭に「大変厳しい状況なので、冷静に沈着に対処していきたい」と述べました。また総理大臣官邸を出る際、記者団に対し「岸田総理大臣からは『これから秋に向けて色んな山場が来ると思うので、しっかりこなせるように』という話があった。指示が出たことをしっかり全うすることが役目だと思うので、頑張りたい」と述べました。また、2度目の入閣となったことについて、「すごく重い任務を得たと思っている」と述べました。
第2次岸田改造内閣の閣僚名簿発表【午後1時20分ごろ】
松野官房長官は、第2次岸田改造内閣の19人の閣僚名簿を発表しました。
それによりますと、
総務大臣に寺田稔氏。
法務大臣に葉梨康弘氏。
外務大臣は林芳正氏が留任。
財務大臣は鈴木俊一氏が留任。金融担当大臣も兼務します。
文部科学大臣に永岡桂子氏。
厚生労働大臣に加藤勝信氏。
農林水産大臣に参議院議員の野村哲郎氏。
経済産業大臣に西村康稔氏。「GX=グリーントランスフォーメーション実行推進担当大臣」も兼務します。
国土交通大臣は公明党の斉藤鉄夫氏が留任。
環境大臣に西村明宏氏。
防衛大臣に浜田靖一氏。
官房長官は松野博一氏が留任。ワクチン接種担当大臣のほか、沖縄基地負担軽減担当大臣と拉致問題担当大臣も兼務します。
デジタル大臣に河野太郎氏。
復興大臣に秋葉賢也氏。
国家公安委員長と防災担当大臣に谷公一氏。
少子化担当大臣に小倉將信氏。こども政策や女性活躍、孤独・孤立対策も担当します。
経済再生担当大臣と新型コロナ対策担当大臣は山際大志郎氏が留任。スタートアップ担当大臣も兼務します。
経済安全保障担当大臣に高市早苗氏。科学技術担当大臣も兼務します。
地方創生担当大臣に参議院議員の岡田直樹氏。万博や沖縄・北方対策、行政改革なども担当します。
また、衆議院の官房副長官の木原誠二氏、
参議院の官房副長官の磯崎仁彦氏、
事務の官房副長官の栗生俊一氏はいずれも留任します。
林外務大臣や鈴木財務大臣、松野官房長官ら5人が留任します。
また、3度目の厚生労働大臣就任となる加藤氏や、2度目の防衛大臣就任となる浜田氏など、5人が再入閣となります。
新閣僚は、夕方にも皇居での認証式に臨み、第2次岸田改造内閣が正式に発足する運びです。
そして、岸田総理大臣は10日夜、記者会見を行い、閣僚人事の狙いや今後の政権運営などについて、みずからの考えを明らかにすることにしています。
そのあと、新しい内閣として初めての閣議が開かれます。
組閣本部を設置【午後1時15分ごろ】
岸田総理大臣と公明党の山口代表の党首会談が終わり、組閣本部が設置されました。
このあと、内閣改造が行われ、松野官房長官が、第2次岸田改造内閣の閣僚名簿を発表することにしています。
与党 党首会談終わる
岸田総理大臣と公明党の山口代表による党首会談は終わりました。このあと、組閣本部が設置されて内閣改造が行われ、松野官房長官が、第2次岸田改造内閣の閣僚名簿を発表することにしています。
与党 党首会談始まる【午後1時ごろ】
岸田総理大臣と公明党の山口代表による党首会談が、午後1時すぎから総理大臣官邸で始まりました。会談のあと、組閣本部が設置されて内閣改造が行われ、松野官房長官が、第2次岸田改造内閣の閣僚名簿を発表することにしています。
復興相内定の秋葉氏「被災地や被災者に寄り添って」
復興大臣への起用が内定している自民党の秋葉賢也氏は、午前11時半ごろ議員会館の事務所に入り、さっそく、復興庁の幹部らと打ち合わせを行いました。地元が宮城の秋葉氏は、「岸田総理大臣からは、『適任だと思うのでしっかりやってくれ』と言われた。被災者の生の声をずっと聞いてきたので、感慨深いものがある。被災地や被災者に寄り添う姿勢で、現場主義を大事にして取り組んでいきたい。本当にやりがいのある仕事だと思う」と話していました。一方、旧統一教会との関わりについて、「会費や寄付などお金がらみのことは断じて何もない。関連団体がたくさんあるので、中には知らずに出席していたケースもあるかもしれないが、私の認識では、関わりはないと断言できる」と述べました。
改造内閣の特徴は…
【平均年齢は62.65歳】
岸田総理大臣と19人の閣僚の平均年齢は62.65歳で、去年10月に第1次岸田内閣が発足した際の61.81歳より0.84歳、高くなりました。最高齢は野村哲郎氏で78歳、最年少は小倉將信氏で41歳です。岸田総理大臣と19人の閣僚を年代別にみますと70代が3人、60代が12人、50代が4人、40代が1人となっています。
【初入閣・再入閣・留任】
第2次岸田改造内閣の閣僚は、初入閣が9人、閣僚経験者の再入閣が5人、留任が5人となっています。
【派閥の内訳】
第2次岸田改造内閣の閣僚を自民党の派閥ごとにみますと、安倍派と▽麻生派が最も多い4人で、続いて、茂木派と岸田派が3人、二階派が2人となりました。森山派や谷垣グループからの起用はありませんでした。一方、無派閥は2人で公明党はこれまでと同様1人となりました。
【女性閣僚は2人】
女性の入閣は、永岡桂子氏と高市早苗氏の2人で改造前と同じでした。
【参議院からは2人】
参議院からの入閣は、野村哲郎氏と岡田直樹氏の2人で改造前から1人少なくなりました。
【参議院当選4回で入閣も】
第2次岸田改造内閣の衆議院議員の閣僚で、最も当選回数が多いのは、10回の鈴木俊一氏、斉藤鉄夫氏、浜田靖一氏です。当選回数が少ないのは参議院議員として5回当選し、去年、衆議院議員に転じた林芳正氏を除けば小倉將信氏の4回です。このほか、当選9回が2人、8回が1人、7回が4人、6回が5人となっています。一方、参議院議員の2人は、いずれも当選4回です。
辞表とりまとめ 閣議終わる
岸田総理大臣は、午前11時半すぎから開いた臨時閣議で、閣僚の辞表をとりまとめました。午後、組閣本部を設置して、内閣改造を行うことにしています。岸田総理大臣は内閣改造に向けて、午前11時半すぎから臨時閣議を開き、閣僚の辞表をとりまとめました。これを受けて午後、総理大臣官邸で、公明党の山口代表と党首会談を行ったうえで、組閣本部を設置し、内閣改造を行います。そのあと、松野官房長官が閣僚名簿を発表し、夕方にも皇居での認証式を経て、第2次岸田改造内閣が正式に発足する運びです。そして、岸田総理大臣は記者会見し、閣僚人事のねらいや今後の政権運営などについて、みずからの考えを明らかにすることにしています。
地方創生相内定の岡田氏「地方と国の共同作業で頑張る」
地方創生担当大臣として初めての入閣が内定している自民党の参議院議員、岡田直樹氏は午前11時すぎ、国会に入りました。党の参議院国会対策委員長を務めていたことから、国会内の委員長室を訪れ、職員にあいさつしました。岡田氏は、「岸田総理大臣から電話があり、『身に余る光栄です』と答えた。それぞれの地域の知恵を十分に聞き、現場を見て、地方と国の共同作業でしっかりと頑張っていきたい」と意気込みを語りました。また「沖縄北方対策も兼ねるということで、沖縄の基地移転なども円滑に進むよう地ならしをして真に本土と変わらない生活水準、沖縄独自の経済開発振興を進めていきたい」と話していました。一方、記者団から、旧統一教会やその関連団体から献金や選挙活動の支援を受けたことがあるか問われ、「献金や選挙活動の支援はない」と述べました。
辞表とりまとめ 閣議始まる【午前11時30分ごろ】
岸田総理大臣は午前11時半すぎから臨時閣議を開いていて、閣僚の辞表をとりまとめたうえで組閣本部を設置し、内閣改造を行うことにしています。内閣改造に向けて、総理大臣官邸では午前11時半すぎから臨時閣議が開かれていて、岸田総理大臣は、閣僚の辞表をとりまとめることにしています。そして午後、総理大臣官邸で、公明党の山口代表と党首会談を行ったうえで、組閣本部を設置し、内閣改造を行います。そのあと松野官房長官が閣僚名簿を発表し、夕方にも、皇居での認証式を経て、第2次岸田改造内閣が正式に発足する運びです。これを受けて、岸田総理大臣は記者会見し、閣僚人事のねらいや今後の政権運営などについて、みずからの考えを明らかにすることにしています。
経済産業相内定の西村氏「初心を忘れずに頑張る」
経済産業大臣への起用が内定している自民党の西村康稔・前経済再生担当大臣は10日朝、認証式で着用するモーニングを持って、事務所に入りました。西村氏は、「きのうは夜遅くまでメールが300件くらい来て、電話にも対応した。朝は妻が入れてくれたコーヒーを飲んで目を覚まし、気を引き締めてやろうという思いで来た。当面はエネルギーの安定供給や物価高に対応していかなければならないが、何より日本の成長のための生産性の向上やイノベーションを起こしていかなければいけない。やれることを全力でやっていきたい」と意気込みを語りました。また、「日本の将来のために、いちばんやりがいのある省庁だと選んでやってきた。役所に入ったときの初心と、政治家を目指したときの初心を忘れずに頑張っていきたい」と述べました。
国家公安委員長など内定の谷氏「国民の不安払拭のために」
国家公安委員長と防災担当大臣への起用が内定している自民党の谷公一氏は午前9時ごろ、議員会館の事務所に入りました。妻が用意してくれたという2本の新しいネクタイを持ってきました。深夜まで100通以上のメールや電話があったということで「寝不足かもしれない」と話していました。谷氏は9日夜、岸田総理大臣から電話で初入閣を伝えられたことを明らかにし、「総理からは旧統一教会との関係をしっかりほしいと言われた。高揚感よりも、身が引き締まる思いだ」と述べました。そして「治安は悪くないという常識は、安倍元総理への襲撃事件によって大きく揺らいだ。国民の不安払拭のためにも頑張らなければならない。また、27年前に阪神・淡路大震災を体験し、防災や東北の復興に力を入れてきた。ライフワークの一つとしてしっかりやらなければという思いだ」と決意を語りました。そのあと、事務所には関係する省庁の幹部が次々と訪れ、さっそく打ち合わせを行っていました。
自民 参議院 国対委員長に野上元農相を起用
内閣改造と自民党の役員人事にあわせて、世耕参議院幹事長の再任と、参議院国会対策委員長に、野上浩太郎・元農林水産大臣の起用が決まりました。
総務相内定の寺田氏「不動心で臨みたい」 旧統一教会関連は…
総務大臣として初めての入閣が内定している寺田稔氏は、午前9時すぎ、議員会館の事務所に入りました。
その際、「立場が変わるだけで、内閣を支えることには変わりはない。これまでと変わらず不動心で臨みたい」と決意を述べました。事務所には、さっそく総務省の山下事務次官ら幹部と、大臣秘書官となる職員があいさつに訪れ、今後の打ち合わせなどを行っていました。一方、寺田氏は記者団に対し、旧統一教会関連の政治団体『国際勝共連合』へ平成30年に会合の会費として、2万円を支払っていたことを明らかにしました。寺田氏は、「一度だけ、広島県人会の知人に誘われ、結果的には行けなかったが会費だけ支払った。ただ、その時点で『国際勝共連合』の会合だとは知らなかった」と釈明しました。そのうえで、「私自身、旧統一協会の会合に出たり、祝電を出したことは一切ない。旧統一教会に限らず、社会的に問題となるような諸団体とはお付き合いすることがないようにしたい」と述べました。
少子化相内定の小倉氏「意見をどんどん言う大臣になりたい」
少子化担当大臣への起用が内定している自民党の小倉將信氏は、午前10時ごろ、自民党本部に入りました。小倉氏は、「入閣は予想していなかった。入閣の知らせを受けた時は、身が引き締まる思いだった。これからさまざまな仕事が待ち構えているし、決して浮かれることなく一歩一歩着実に仕事を進めて、国民や有権者にご恩をかえしたい」と述べました。また、今回、最年少の41歳での入閣となることについて、「年齢は若いが、年齢を考えず、意見をどんどん言う大臣になりたい。子育て世代の方や境遇に恵まれずに苦しんでいらっしゃる方、その子どもたちの世代のさまざまな事情をしっかりとくみ取って政策に反映していきたい」と述べました。そのあと、小倉氏は議員会館の事務所に入り、内閣府の職員とさっそく打ち合わせを行いました。
文科相内定の永岡氏「本当に頑張らなければいけない」
文部科学大臣として初めての入閣が内定している自民党の永岡桂子氏は10日の朝8時すぎに議員会館の事務所に入り、文部科学省の義本事務次官らと打ち合わせを行いました。このあと永岡氏は記者団に対し、9日夜、所属する麻生派の麻生会長と岸田総理大臣からそれぞれ電話で連絡を受けたことを明かし、「とても重責だと緊張し、本当に頑張らなければいけないと感じた。応援してきてくださった方々にやっと恩返しできる」と述べました。また、すでに成人している2人の娘から「お母さん、文部科学大臣すごいね」とか「頑張ってください」などと、電話やLINEでお祝いされたということです。永岡氏は、「自分が子どもを育ててきた中で、学校は子どもの健やかな成長に向けて、よいものでなければならないと感じているので、きちんと頑張っていきたい」と抱負を話していました。10日の朝もお祝いの電話やメールが相次ぎ、地元の町長からの電話に、永岡氏は、「ありがとうございます。頑張りますので、またご指導ください」と応じていました。
農相内定の野村氏「ひしひしと重責感じる」
農林水産大臣として初めての入閣が内定している野村哲郎氏は、午前9時半ごろ、議員会館の会議室で地元、鹿児島の農業団体の人たちと面会しました。野村氏は拍手で迎えられ、「たまたま、このようなタイミングでみなさんに上京してもらい祝勝会のようになってありがたい」と笑顔であいさつしていました。そして、「きのう、宿舎に帰ってひしひしと重責を感じるようになった。大臣として、どのようにかじ取りをしていくかを考え、今後も皆さんの力を貸してもらいたい」と協力を要請していました。
環境相内定の西村氏「妻もびっくり」 旧統一教会関連は…
環境大臣への起用が内定している自民党の西村明宏氏は、午前9時半すぎに東京 赤坂の議員宿舎を出ました。西村氏は、「岸田総理大臣から『環境大臣として仕事をしてほしい』と電話を受けた。温暖化による自然災害や気候変動といった問題に世界的に取り組まねばならない中で、カーボンニュートラルなどを進め、環境と経済の好循環をつくっていきたい」と意気込みを語りました。そして、「きのうは遅くまでお祝いの電話の対応をして、けさも早くからメールが来て目が覚めたので、慌ただしくきょうを迎えた感じがする。妻もびっくりしていて、きのうも電話やメールが届いて晩ごはんを食べる時間もないようだった。『大臣、がんばって』と冷やかしのように言って、見送ってくれた」と、にこやかな表情で話していました。また西村明宏氏は、旧統一教会との関わりについて、「政治資金も選挙支援もなく、旧統一教会が主催すると認識した会合に出席したこともない。ただ、保守的な識者がやっているフォーラムと認識して、旧統一教会と関わりがあるのではないかと指摘を受けた会合に出たことはあった。旧統一教会との関係には一線を画し、疑念を持たれないよう注意を払いたい」と述べました。また、所属する派閥の会長を務めていた安倍元総理大臣については、「30年以上の付き合いで、亡くなる3日前にも『選挙が終わったら一杯飲みながら話をしよう』と話していた。安倍元総理大臣がやろうとしていた日本を築けるように、われわれが、力をあわせてやっていかねばならない」と述べました。
首相「一致結束してこの国をリードしていきたい」
岸田総理大臣は、総務会で「心機一転、気持ちを新たに『難局突破』、『政策断行』にまい進していきたい。日本は今、戦後最大級の難局のさなかにあり、政治の空白はいっときも許されない。この瞬間から、高い緊張感を持って、難局に臨んでいただきたい。われわれ党役員が一致結束してこの国をリードしていきたい」と述べました。
自民党役員人事 広報本部長に石田元総務相
高木国会対策委員長、小渕組織運動本部長、梶山幹事長代行の再任に加え、広報本部長に石田真敏・元総務大臣の起用も決定しました。
岸田首相 自民党役員人事を決定
岸田総理大臣は、午後の内閣改造に先立って、午前9時前に党本部に入り、自民党の役員人事を行いました。そして、午前10時すぎからの臨時総務会で、麻生副総裁と茂木幹事長を再任し、総務会長に遠藤選挙対策委員長、政務調査会長に萩生田経済産業大臣、選挙対策委員長に森山前国会対策委員長を起用することが正式に決まりました。
第2次岸田改造内閣発足への流れは
岸田総理大臣は10日午後、公明党の山口代表と党首会談を行ったうえで、総理大臣官邸に組閣本部を設置して内閣改造を行い、松野官房長官が閣僚名簿を発表します。その後、皇居での認証式を経て、夕方にも、第2次岸田改造内閣が正式に発足する見通しです。そして、岸田総理大臣は記者会見を行い、人事のねらいや今後の政権運営などについて明らかにすることにしています。
記者はどう見る 政治部 古垣記者
【新閣僚の顔ぶれ。人事のねらいは?】
岸田総理大臣との距離が指摘される二階派も含めてポストを充てている点は、派閥間のバランスに腐心したことがうかがえます。また、去年の自民党総裁選で争った河野さんと高市さんを起用した点も、党内融和を意識したという見方もあります。岸田政権は、比較的高い支持率を維持してきましたが、今月のNHKの世論調査では先月に比べて13ポイント下がって、発足後、最も低くなりました。旧統一教会と政治家との関係が明らかになっていることなどが影響しているという指摘もある中、岸田総理大臣としては、党の結束を図って政権を安定化させて、局面を転換したいねらいがあるとみられます。
【組閣の注目ポイントは?】
経験を重視した点です。新型コロナや物価高騰への対策を担う厚生労働大臣や経済再生担当大臣、財務大臣、それにウクライナ情勢や台湾問題への対応などを担う外務大臣や防衛大臣は、いずれも留任か、そのポストの経験者となります。また、エネルギー対策などにあたる経済産業大臣も、閣僚の経験者で旧通産省出身の西村さんを充てます。岸田総理大臣は、いま人事を行う理由について「難局突破」のための体制強化と説明していて、政権が直面する内外の重要課題を、経験値を集めて乗り切りたいという考えが表れていると思います。
【女性が少ない気もするが、岸田カラーは?】
去年10月の岸田内閣の発足当初は3人でしたので、それに比べると1人減った形です。今回は、閣僚経験のあるベテランを優先したという点も影響しているかもしれません。一方、41歳の小倉さんの起用からは、中堅・若手の積極的な登用を継続していこうという姿勢も見て取れます。
【党役員人事のねらいは?】
岸田総理大臣は、みずからが率いる岸田派が自民党第4派閥のため、党内基盤が盤石とは言えず、第2派閥を率いる茂木幹事長、第3派閥を率いる麻生副総裁を続投させることで、安定的な党運営を図っていこうというねらいがあります。一方、最も数が少ない森山派からも派閥を束ねる森山さんを党四役に入れることで、閣僚人事とあわせて挙党態勢の構築を図ったとみられます。また、政務調査会長となる萩生田さんは、最大派閥の安倍派に所属し、安倍元総理の側近として知られています。今後の党内の政策論議で、みずからの考えと違いのある安倍さんに近い議員らとの間で調整力を発揮してほしいという期待感が見えていると思います。ねらいどおり挙党態勢を築いて政権を安定させ、難題を解決していけるかが問われます。
国家安全保障担当の総理大臣補佐官に岸防衛相
岸田総理大臣は、10日行う内閣改造で、国家安全保障担当の総理大臣補佐官を務める寺田稔氏を総務大臣に充てるのに伴い、後任に岸信夫防衛大臣を起用する意向を固めました。岸氏は、衆議院山口2区選出の当選4回で、63歳。亡くなった安倍元総理大臣の実の弟で、外務副大臣などを務めたあと、おととし、菅内閣で防衛大臣として初入閣しました。岸田総理大臣としては、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、NSC=国家安全保障会議にも関わる国家安全保障担当の総理大臣補佐官に防衛大臣の岸氏を起用することで、ことしの年末に取りまとめる安全保障関連の3つの文書の改定の議論などを安定的に進めていく狙いがあるものと見られます。
自民党役員人事
自民党の役員人事では、麻生派会長の麻生太郎副総裁と茂木派会長の茂木敏充幹事長が留任し、総務会長に谷垣グループの遠藤利明選挙対策委員長、政務調査会長に安倍派の萩生田光一経済産業大臣、選挙対策委員長に森山派会長の森山裕・前国会対策委員長が起用されます。
改造内閣の19人の閣僚
これまでの調整で、改造内閣の19人の閣僚の顔ぶれがすべて固まりました。
総務大臣に岸田派の寺田稔・総理大臣補佐官。
法務大臣に岸田派の葉梨康弘氏。
外務大臣は岸田派の林芳正氏が留任。
財務大臣は麻生派の鈴木俊一氏が留任。
文部科学大臣に麻生派の永岡桂子氏。
厚生労働大臣に茂木派の加藤勝信・前官房長官。
農林水産大臣に茂木派で参議院議員の野村哲郎氏。
経済産業大臣に安倍派の西村康稔・前経済再生担当大臣。
国土交通大臣は公明党の斉藤鉄夫氏が留任。
環境大臣に安倍派の西村明宏氏。
防衛大臣に無派閥の浜田靖一氏。
官房長官は安倍派の松野博一氏が留任。
デジタル大臣に麻生派の河野太郎・党広報本部長。
復興大臣に茂木派の秋葉賢也氏。
国家公安委員長と防災担当大臣に二階派の谷公一氏。
地方創生担当大臣に安倍派で参議院議員の岡田直樹・参議院国会対策委員長。
少子化担当大臣に二階派の小倉將信氏。
経済再生担当大臣と新型コロナ対策担当大臣は麻生派の山際大志郎氏が留任。
経済安全保障担当大臣に無派閥の高市早苗・党政務調査会長。
経済安全保障担当大臣は当初、二階派の小林鷹之氏が留任で調整されましたが、最終的に見送られました。
林外務大臣や鈴木財務大臣、松野官房長官ら5人が留任します。
また、3度目の厚生労働大臣就任となる加藤氏や、2度目の防衛大臣就任となる浜田氏など、5人が再入閣となります。
一方、初入閣は少子化担当大臣に起用される当選4回の小倉氏など、9人です。 
●増えぬ女性閣僚 岸田改造内閣は2人にとどまる 過去最多は5人 8/10
新たに発足した第2次岸田改造内閣では、女性の入閣は2人にとどまり、自民党4役でも女性議員はゼロになった。政界では依然として女性進出が進まない状況が続いている。
今回入閣したのは、永岡桂子・文部科学相と高市早苗・経済安全保障担当相。女性閣僚は改造前の2人から変わらなかった。党4役では政調会長だった高市氏が入閣し、新たな女性の起用はなかった。
衆院に小選挙区比例代表並立制度が導入された1996年以降をみると、女性閣僚は2人以下にとどまっていることが大半だ。第2次橋本改造内閣(1997年9月発足)では、全閣僚が男性だった。最も多かったのは、第1次小泉内閣(2001年4月発足)と「女性活躍」を看板政策に掲げた第2次安倍改造内閣(14年9月発足)の5人。 
●第2次岸田改造内閣 初閣議後の大臣発言  8/10
岸田総理大臣は、10日、内閣改造を行い、第2次岸田改造内閣が夕方、正式に発足しました。初閣議のあと記者会見を開いた閣僚の発言です。
葉梨法務相 旧統一教会“関係はない”
葉梨法務大臣は、旧統一教会との関係について「知りうる限り、私は当該団体との関係はない」と述べました。そのうえで「信教の自由は当然あるが、違法行為を繰り返すような団体との付き合い方は、適切に対処していくことが必要だ。法務省は、被害救済の部分を多く担っているので、関係省庁とも連携しながら、どういうことができるか、さっそく検討しなければいけない」と述べました。
林外務相 “「世界日報」取材を受けたこと確認”
留任した林外務大臣は「いま国際社会は歴史の岐路に立っている。この先もわれわれが自由で開かれたルールに基づく国際秩序を維持し、平和と繁栄を享受していくことができるか否か、非常に重要な局面にある」と述べました。また「今般の中国による一連の軍事活動、特にわが国近海への弾道ミサイル発射は重大な問題だ」と指摘しました。そして「外交課題が山積する中、引き続き外務大臣として普遍的価値を守り抜く覚悟だ」と決意を示しました。一方、旧統一協会との関係について、林大臣は、2012年に関連する団体の「世界日報」の取材を受けていたことが確認されたと明らかにし、「団体の現状についての認識を欠いたものであり申し訳ない。今後は一切関係を持たないことを約束したい」と述べました。
鈴木財務・金融担当相 “コロナ対応や物価対策機動的に”
留任した鈴木財務・金融担当大臣は「総理からの指示を踏まえて、新型コロナへの対応や物価高騰対策に機動的に取り組みながら、歳出・歳入の改革を進め、経済再生と財政健全化の両立を図る。金融面でも、貯蓄から投資への流れを促す『資産所得倍増プラン』の策定などに取り組む」と抱負を述べました。そのうえで、財政再建の取り組みについて「2025年度に基礎的財政収支を黒字化するという目標は、財政健全化の一里塚だ。道のりは厳しいかもしれないが、目標に向けて、財政健全化を図る努力をしっかり進める」と述べました。また、「世界平和統一家庭連合」・旧統一教会との関係について「全く私の心の中でも記憶においても、一切関わりはない。特に何か政治資金報告書を調べたりはしていないが、今まで関わりは持ったことはない」と述べ、自身がこれまで何らかの関係を持ったことはないことを強調しました。
永岡文科相 旧統一教会“関係はない”
永岡文部科学大臣は旧統一教会との関係について「私の知る限り、秘書も含め、この団体との関係はない」と述べました。また、宗教法人法について「憲法で保障されている信教の自由を守るため、宗教法人が自由で自主的な活動をするための基礎を確保する法律で、規制や取り締まりを目的としたものではなく、今のところ、変えることは考えていない」と述べました。一方、永岡大臣は校則の取り扱いをめぐって「ルーズソックスも母親の立場ではかわいいと思っていても学校ではだめだと言われ、学校の言う通りにしなければいけないと子どもに話したこともある。社会の常識や時代の変化などを踏まえて、絶えず積極的に見直すことが重要だ」と述べました。
加藤厚生労働相 旧統一教会“人を派遣してもらったことない”
加藤厚生労働大臣は、平成26年と平成28年に関連団体の懇親会の会費として合わせて3万円を支払っていたことや、平成30年に開催されたイベントに祝電を送っていたことなどを改めて説明しました。一方、記者団から「そうした団体から選挙で協力を受けたことはあるか」と質問されたのに対し「具体的に人を派遣してもらったことはない」と述べました。そのうえで、今後の対応について「一切関係を持たない姿勢で臨んでいきたい」と述べました。
野村農水相 旧統一教会“一切関係ない”
野村農林水産大臣は就任の記者会見で、旧統一教会との関わりについて、「率直に申し上げてまったく関係ありません。会合に呼ばれたことはないし、何か働きかけられたことも、こちらから働きかけたこともありません。そのことは岸田総理大臣に一切関係ありませんとはっきり申し上げた」と述べました。また「ウクライナ情勢を受けて、輸入に依存している小麦や大豆の値段はさらに上がっている。食料の安全保障の必要性をこれまでも訴え、自民党内でも議論を深めてきたが、大臣に就任したことで役所全体で取り組んでいきたい」と述べました。そのうえで「供給を安定させるには、小麦や大豆など、ターゲットをしぼりこんで、それぞれの国内生産をどのように増やすかを考えなければならない。家畜のエサに輸入トウモロコシではなく国内でとれる大麦などを活用していくことも必要だ」と述べ、食料や飼料の国内生産を強化する考えを示しました。
西村経産相 サハリン1と2 権益維持の方針変わらず
日本の大手商社が参画し、ロシア極東で進められている石油や天然ガスの開発プロジェクト、「サハリン1」と「サハリン2」について西村経済産業大臣は就任の記者会見で、エネルギーの安定供給の観点から権益を維持する方針に変わりはないと述べました。この中で西村大臣は「サハリン1は原油輸入のおよそ9割を中東に依存している日本にとって中東以外の貴重な調達先だ。また、サハリン2は、日本のLNGの約9%を供給し、これは発電電力量の約3%に相当するなど、我が国の安定供給の観点から重要であり、権益を維持する方針は今後も変わりはない」と述べました。また、サハリン2の事業を引き継ぐロシア企業が設立されてから1か月以内に日本側がいまの出資割合で新会社の株式を取得することに合意するかどうか、ロシアに通知するよう求められていることについて「期限は、来月4日までと承知をしているが、安定供給に万全を期すべく官民一体となって対応したい」と述べました。そして原子力発電について、脱炭素のベースロード電源だとしたうえで、エネルギーの安定供給の観点からも安全性の確保や地元の理解を前提に再稼働を進めていく考えを示しました。この中で西村大臣は「原子力は、脱炭素のベースロード電源だ。エネルギーの安定供給を確保する観点からも安全性の確保を大前提に原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合にはその判断を尊重し、地元の理解を得ながら進めていく」と述べました。また、原発の建て替えや増設については、現時点では想定していないとする一方で「研究開発や人材の育成、原子力のサプライチェーンの維持や強化といった将来を見据えた取り組みは進めていく」と述べました。一方、西村大臣は福島第一原子力発電所の処理水を海に放出する計画について「説明が十分でないとの指摘もあり、真摯に受け止めて科学的根拠に基づいた情報をより効果的に届けるためさまざまなツールを使って取り組みを強化する。できるだけ早く福島を訪れて意見交換したい」と述べました。また「世界平和統一家庭連合」・旧統一教会との関わりについて「岸田総理大臣から国民の疑念を払拭するため、個々の政治家としての責任において点検し、厳正に見直すよう指示された。私自身について申し上げれば事務所で確認し、知りうる限り当該団体との関係はないと認識している」と述べました。
西村環境相 “旧統一教会関わるとされるフォーラム世話人に”
西村環境大臣は就任後初めての記者会見で、旧統一教会との関わりについて、3年前に会長を務めていた自民党宮城県連に依頼があり、宮城県で開かれた旧統一教会と関わりがあるとされるフォーラムの世話人となっていたことを明らかにしたうえで「保守系のフォーラムという認識で世話人を引き受けた。さまざまな会合に出ているので率直に、あまり記憶が無い」と述べました。また5年前にも旧統一教会と関わりがあるとされる都内での会合への案内を受けて、会合の開始前に出席者らと意見交換などをするために訪れたとしたうえで「会合自体には出席していない」と説明しました。西村環境大臣は「旧統一教会が主催していると認識した会合に出席や対応をしたことはない。また、政治献金や選挙支援を受けたこともない。今後、旧統一教会とは一切関係を持たないとともに、疑念を抱かれることがないように、適切に対応したい」と述べました。
浜田防衛相 “防衛力を5年以内に抜本的に強化”
防衛費の増額について浜田防衛大臣は、就任後初めての記者会見で、厳しさを増す安全保障環境に対応できるよう、必要な事業を積み上げ、防衛力を5年以内に抜本的に強化していく考えを示しました。この中で、浜田防衛大臣は2度目の就任となったことについて「前回は今とは安全保障環境が全く違った。今回はかなり厳しい環境の中で、任務を果たさなければならず、大変な緊張感を持って職についた」と述べました。そして、防衛費の増額について「現行の安全保障環境に対応できるよう必要な事業をしっかりと積み上げ、防衛力を5年以内に抜本的に強化していく考えだ。防衛費の内容、規模などは新たな国家安全保障戦略などの策定や今後の予算編成過程で検討していきたい」と述べました。また、中国軍が台湾周辺で行っていた演習について「今般の活動を含め、中国の軍事動向などは国防政策や軍事力に関する透明性の不足と相まって、わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっており、今後も警戒監視に万全を期していく」と述べました。一方、旧統一教会との関係について「知りうるかぎり、当該団体との関係はないことを明確に申し上げておきたい」と述べました。
松野官房長官 “旧統一教会との関係 副長官2人で確認”
旧統一教会との関係をめぐり、松野官房長官は初閣議のあとの記者会見で、点検の結果、みずからは関係がないことが明らかになったと説明しました。一方で、木原官房副長官の秘書が関係団体の会合に出席していたことと、磯崎官房副長官が関係団体の行事に出席していたことが確認されたと明らかにしました。これについて松野官房長官は「いずれも当該団体の現状について認識を欠いたもので、両副長官とも今後は厳正に見直していくことを約している」と述べました。
谷国家公安委員長 “警護・警備の見直し喫緊の課題”
谷国家公安委員長は今夜、就任の記者会見で「安倍元総理大臣が銃撃され亡くなられた事件を非常に重く受け止めている。要人の警護・警備の責任を有する警察を所管する大臣として、二度と起こることのないようしっかり取り組んでいかなければならないと決意を新たにした」と述べました。その上で「来月の国葬、G7サミットが控える中、警護・警備の見直しを完了させ、万全を期すことが喫緊の課題であり、警察庁に対し厳しく指導していきたい。新たに設けた『サイバー警察局』を中心に厳正な取り締まりを行ってサイバー空間の脅威に対処するなど、国民の安全・安心をしっかり図っていきたい」と抱負を述べました。また、旧統一教会との関わりについては「選挙を手伝ってもらったことや献金、パーティー券もなく、祝電、会合、あいさつもない。そのことを明確に申し上げておきたい」と述べました。
小倉少子化担当相“女性活躍どうしたらいいのか考え続ける”
男女共同参画を担当する小倉少子化担当大臣は、就任の記者会見で「女性特有のものについてわれわれ男性が完全に知ることはできないが、謙虚に受け止め、女性が活躍するにはどうしたらいいのか考え続けることが、男女共同参画を実現することにつながる」と述べました。一方で、希望すれば結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」への考え方を質問されたのに対し「私は私の思いのもとさまざまな議員連盟で活動してきたが、今は男女共同参画を所管する担当大臣なので、国民が深い議論を幅広くしてもらえるようしっかりと後押ししていきたい」と述べ、賛否は明らかにしませんでした。
高市経済安保相 旧統一教会と関係ある雑誌に対談記事掲載
高市経済安全保障担当大臣は就任の記者会見で「エネルギー安全保障、食料安全保障を含めて、国民の安全を経済面から確保することは喫緊の課題だ。まずは、先に制定された経済安全保障推進法で定められた制度の円滑な実施に向け、しっかりと準備を進めていく」と述べました。そのうえで、経済安全保障の分野で優先して取り組む課題について「コロナ渦において様々な日用品を含めて、身近で必要なものが入手できなかったことや、国産の薬やワクチンがなかったという意味では、経済構造の自律性が非常に重要だ。半導体も含め、最終的には何が起きても、必要なものは国内で調達できる形を作っていくのはとても大切で、最も重視をしている」と述べ、サプライチェーン=供給網の強化に取り組む考えを示しました。また2001年に旧統一教会と関係がある雑誌に、政治評論家などと対談した記事が掲載されていたことを明らかにしました。この中で高市大臣は「当時、私が親しくしていた政治評論家からの誘いだったと思う。女性議員をいかに増やすかや教育基本法などがテーマだった。新聞社から問い合わせを受けた昨日まで、この雑誌が旧統一教会と何らかの関わりがあるということを知らなかった。この点については大変申し訳なく思う」と述べました。そのうえで、「今後、さまざまな取材を受ける場合には、しっかりとバックグラウンドを調べて、取材を受けるということをここに約束をしたい」と述べました。
岡田地方創生相 “秘書が関連団体会合に出席”
旧統一教会との関係をめぐり、岡田地方創生担当大臣は、就任の記者会見で、秘書が関連団体の会合に出席していたことや、関連団体の行事にメッセージを送っていたことが確認されたと明らかにしました。そのうえで「関連団体の現状についての認識を欠いたものであり申し訳なく思う。今後は当該団体とは、一切関係を持たないことを約束する」と述べました。 
●統一教会田中会長、改造内閣「当法人との関わり方が判断基準・・・残念」 8/10
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長が10日、日本外国特派員協会で会見し、岸田文雄首相が内閣改造で、旧統一教会との関係の点検、見直しを厳命し、了解者のみを任命としたことについて、「当法人との関わり方が判断の基準に定められたならば至極残念なこと」などと話した。「報道に揺れる世論に対しての気遣いもまた介入していたと否定はできないと思うので、その点は遺憾」とも加えた。
15年の教団の名称変更については、文化庁から当初申請を拒否され、その後も対応が変わらなかったため、15年に申請した際には「訴訟もやむを得ない」との決意を意思表示。「適法に処理され」認証されたなどと説明した。教団は97年に変更を相談も、文化庁は「霊感商法などの正体隠しにつながる」として拒否したとされる。田中氏は、変更は世界で一斉に行ったもので、正体隠しの手段ではないと主張し、政治的介入や不正も否定した。
田中氏の会見は、安倍元首相襲撃事件後2度目。山上徹也容疑者の動機が教団への恨みとの報道を受けて「お騒がせしていることに深くおわび申し上げます」と謝罪。一連の報道によって、教会や信者などに脅迫やいじめなどの被害が出ているなどとも訴え、報道に対し「人権を傷つけ信教の自由を侵害している」「偏向報道がきっかけとなって信者に対して新たな被害が発生することを危惧する」などと批判を繰り返した。 

 

●第2次岸田改造内閣 7閣僚 旧統一教会との関係明らかに 8/11
第2次岸田改造内閣の閣僚のうち、少なくとも7人が旧統一教会と関係があったことを明らかにしました。
岸田総理「国民に疑念が持たれることがないように、厳正に見直しを行っていく必要があると認識をしております」岸田総理は内閣改造にあたり、「旧統一教会との関係を点検し、厳正に見直すことを了解した人のみを任命した」と明らかにしました。寺田総務大臣、加藤厚生労働大臣、山際経済再生担当大臣が、旧統一教会関連の団体への支出などを行ったことを認めました。
高市早苗経済安保担当大臣「旧統一教会と何らかの関わりのある本だということも知りませんでした。この点については大変申し訳なく存じます」高市大臣は20年前に、旧統一教会関連の月刊誌「ビューポイント」で、対談を行っていたことを明らかにしました。選挙応援や資金提供を受けたり、行事に参加したりしたことはないと説明しました。
林芳正外務大臣「当該団体の現状についての認識を欠いたものであり、申し訳なく存じます」林外務大臣は、2012年に旧統一教会と関係の深い「世界日報」から取材を受けたことを明らかにしました。林大臣は献金や選挙支援はないとしたうえで、「今後は当該団体と一切関係を持たないことをお約束したい」と強調しました。
また、岡田地方創生担当大臣は、過去に関連団体に祝電を送ったり、秘書が関連イベントに出席したことを明らかにし、西村環境大臣も関係するイベントで、代表世話人を務めたことを明らかにしましたが、当日参加したどうかについては「確認できていない」としています。 
●第2次岸田改造内閣 コロナ対策 物価高対応 成果出せるか課題  8/11
第2次岸田改造内閣の発足を受け、岸田総理大臣は、新型コロナ対策や物価高への対応などに最優先であたる方針で、政権基盤を安定させて着実に成果を出していけるかが課題となります。
岸田総理大臣は10日、自民党の役員人事と内閣改造を行い、認証式を経て、第2次岸田改造内閣が発足しました。
岸田総理大臣は、記者会見で「有事に対応する『政策断行内閣』として、山積する課題に対し、経験と実力を兼ね備えた閣僚を起用することとした」と述べました。
そして、初閣議では「難局突破」と「政策断行」にまい進し、新型コロナ対策や世界的な物価高騰などへの対応のほか、「新しい資本主義」の実現や国民を守り抜く外交・安全保障などに力を入れて取り組むとした基本方針を決定しました。
岸田総理大臣としては、まずは新型コロナの感染拡大を食い止めながら社会経済活動を回復させるとともに、物価高に対応する経済対策を講じるなど、喫緊の課題に最優先であたる方針です。
そのうえで、みずからが掲げる「新しい資本主義」の実現や、ウクライナ情勢や米中対立などを受けた安全保障政策の見直しなど、中長期的な課題にも取り組んでいく考えです。
一方で、閣僚と旧統一教会との関係が相次いで明らかになったほか、来月行う安倍元総理大臣の国葬をめぐって、世論が割れる状況が続いていて政権基盤を安定させて着実に成果を出していけるかが課題となります。
今後のポイントは?政治部 伏見記者が解説
Q 今回の内閣改造について、与党内の評価は?
A 「各派閥のバランスをうまくとった人事だ」とか「手堅い布陣となった」などとおおむね積極的な評価が聞かれます。
岸田総理大臣が意図した挙党態勢の構築というメッセージが、一定程度、与党内に伝わったと言えると思います。
岸田総理大臣としては、新型コロナ対策や物価高への対応、それにウクライナ情勢や台湾問題を受けた安全保障政策の見直しなど山積する重要課題に、政府・与党が結束して対応していきたい考えです。
Q 政権にとって、今後の課題は?
A 岸田総理が、10日の記者会見でも言及した「信頼と共感を得る政治」が実現できるかどうかだと思います。
来月行う安倍元総理大臣の「国葬」をめぐっては、世論が割れる状況が続いています。
また、閣僚と旧統一教会との関係が相次いで明らかになりました。
野党側は「『旧統一教会隠ぺい内閣』だ」などと批判していて、臨時国会の早期の開会を求めるなど、政権への追及を強めていく構えを見せています。
岸田政権が「国葬」や旧統一教会との関係などについて丁寧に説明して疑念を払拭できるのか。そして、内外の喫緊の課題に対し国民の実感の伴う成果を出していけるかがカギとなりそうです。 
●岸田改造内閣 課題としっかり向き合え 8/11
挙党態勢の構築を重視して各方面に配慮したようだ。岸田文雄首相は内閣改造・自民党役員人事を行った。政権基盤の安定を通して政策課題と向き合えるかが問われる。
参院選で自民は改選過半数を単独で確保した。参院選を乗り切ったことで、首相は大きな国政選挙がない「黄金の3年間」を手に入れた。長期政権を見据える状況だが、選挙後の内閣支持率は大きく下落し、発足以来最低となっている。
新型コロナウイルス感染は流行「第7波」で感染者が急増して、医療は逼迫(ひっぱく)の度合いを強めている。物価は高騰し、景気後退が懸念される。安倍晋三元首相の国葬への反発も強い。また、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民議員の関係が次々と発覚している。
首相は当初、改造は9月前半に実施する方向で調整していたが、1カ月ほど前倒しすることになった。秋の臨時国会へ向けて態勢を整えるという理由付けもできるが、体制を一新して、逆風が強まらないようにするのが狙いだろう。党内最大派閥の領袖(りょうしゅう)だった安倍氏の死去に伴う党内力学の変化をにらみ、人選の主導権を握る思惑もあったはずだ。
第4派閥会長の首相の権力基盤は強固とは言えない。第2、第3派閥への支援の期待は、領袖の茂木敏充幹事長、麻生太郎副総裁の留任に見て取ることができる。
党内保守派の離反も警戒する。安倍氏との調整で保守派の反発を抑え込めたが、難しくなってしまった。安倍氏側近だった萩生田光一氏の政調会長起用は、最大派閥を重視する姿勢とともに、保守派と向き合うことへの期待が込められる。
党四役にはほかに非主流派を配置するなど、配慮とともに党内基盤を強めたい意図がうかがえる。留任や再登板が多く、堅実さとしたたかさを感じさせもする。
首相は内閣改造・党役員人事を巡り、旧統一教会との関係を点検し、適正に見直すように指示した。それにどう向き合ったのか、閣僚らの姿勢が注視されることになる。
課題は山積している。物価高対策の大型補正予算編成が迫られる。新型コロナは感染予防と経済社会活動をどう整合させるのか、議論を深めていく必要がある。
台湾情勢は緊迫化し、中国、ロシアによる日本周辺での軍事活動も活発化している。防衛力の抜本強化へ向け、首相は防衛費の「相当な増額」を表明している。これらは国民の関心が高い事案であり、説明と理解が基本だ。
しかし、先の臨時国会では、安倍氏の国葬や、旧統一教会と政界の関係を巡る議論は行われず、本格論戦は先送りされた。国会軽視の姿勢は認められない。「桜を見る会」や森友、加計学園、日本学術会議を巡る問題など「負の遺産」への対応もこれまで十分ではなかった。
首相が掲げる「信頼と共感」の政治をどう実現するか。野党もまた存在意義に関わる局面にある。両者がしっかりと向き合うことだ。 
●岸田改造内閣が発足 疑念を払拭できるのか  8/11
岸田文雄首相が内閣改造と自民党役員人事を行った。山積する内外の懸案を処理するには自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を徹底的に調べ、関係を断つことが前提だが、首相はその姿勢に乏しく、国民の疑念を払拭(ふっしょく)するには程遠い。
安倍晋三元首相銃撃事件を機に霊感商法などの不法行為を行った旧統一教会が百人規模の国会議員と接点を持つことが次々と明らかになった。教団が選挙などの支援を通じて政治家に影響力を行使しているのではないかとの疑念が、国民の政治不信を生んでいる。
首相は役職への起用に当たり、旧統一教会との関係を「自ら点検し、厳正に見直すことが新閣僚、党役員の前提となる」と述べた。改造前の内閣で教団との関係を認めた閣僚七人は閣外に去った。
教団との関係断たねば
しかし、改造内閣でも少なくとも四閣僚が教団と関係を持つことが明らかになった。党政調会長に起用された萩生田光一氏も教団関連のイベントであいさつするなど関係が深いとされる。
最大派閥安倍派の有力議員であることが起用理由でも、党三役に教団と接点を持つ議員を起用するなら、党として「一切の関係を持っていない」(茂木敏充幹事長)と強調しても説得力を欠く。
国民の疑念は今回の人事では払拭(ふっしょく)できず、政権として教団との関係を断つ意思を明確にしなければならない。自民党と教団との関係をすべて明らかにし、これまでの政策決定や政権運営に教団の影響力が及んでいなかったか、徹底検証の必要がある。さもなければ、問題を封印するに等しい。
例えば、安倍政権下の二〇一五年、世界基督教統一神霊協会から現在の名称への変更を文化庁が認めた問題だ。名称変更の申請を拒んできた文化庁がなぜ姿勢を転じたのか、そこに政治家の介入はなかったのか。行政文書の全面開示も含めて調査を尽くすべきだ。
また、自民党の改憲草案は旧統一教会系政治団体の改憲案と類似していると指摘され、選択的夫婦別姓や同性婚への反対でも軌を一にする。こうした党の政策に教団の影響はなかったのか、国民への説明を尽くすべきだ。政治信条の近さを背景に教団の不法行為を不問に付していたのなら、国民への背信行為にほかならない。
自民党は党所属の全国会議員に教団との関係を点検し、適正に見直すよう要請したというが、党執行部主導で調査する姿勢を欠く。
与党の公明党や立憲民主党など野党各党が党として調査し、結果を公表する中、個々の議員任せでは無責任のそしりは免れない。首相は党総裁としての指導力を発揮すべきである。
今回の人事は旧統一教会との関係清算に加え、安倍氏の強い影響下にあった経済財政や安全保障政策を巡り、首相が独自色を発揮できるか否かの試金石でもある。
閣僚の顔触れを見ると、首相が看板政策に掲げる「新しい資本主義」担当の山際大志郎氏は続投させる一方、厚生労働、経済産業、防衛、経済安保担当、デジタル担当には安倍・菅政権で閣僚や党幹部を務めた議員を起用した。
一気に安倍・菅路線からの脱却を図るのではなく、党内の各派閥に配慮して政権基盤を固める必要があるとの判断だろう。
とはいえ、いつになれば「岸田色」が見えるのか。漫然と政権運営を続けるなら、そもそも首相には成し遂げたいことがあるのか、との疑問が募るばかりだ。
岸田政権が直ちに取り組むべき課題は山積している。ロシアによるウクライナ侵攻や円安による物価高、新型コロナウイルス感染症の第七波対策、台湾情勢を受けた日中関係の悪化などだ。
会で議論・説明尽くせ
しかし、首相は「戦後最大級の難局に直面している」と言いながら、参院選から一カ月がたっても課題審議のための国会は開かず、国論を二分する安倍氏の国葬についても説明を尽くしていない。
先の臨時国会では、野党が十分な会期を確保して諸課題を審議するよう求めたが、与党が拒否し、三日間で閉会してしまった。
首相は参院選結果を受け「与野党問わず幅広い視点や現場のさまざまな意見を踏まえ、大胆で機動的な政策を立案する」と述べた。ならば、内閣改造を機に臨時国会を早期に召集すべきだ。国民の意見に耳を傾け、国民への説明を尽くす。それが政治への信頼を取り戻す唯一の道である。 
●第2次岸田改造内閣に中国が期待「両国関係が正しい軌道で発展」 8/11
「日本の新しい内閣が中国と同じ方向に進み、両国関係が正しい軌道に沿って健全で安定して発展するよう推進してほしい」
岸田総理大臣が内閣改造を行い新体制が発足したことについて、中国政府は「両国関係が正しい軌道で発展する」ことに期待を示した。
中国外務省は10日の会見で「中国は日本との関係を重視している」とした上で、両国関係の前向きな進展を望む考えを強調。中国は、台湾周辺での大規模な軍事演習を批判するG7外相の共同声明に反発して4日に予定されていた日中外相会談をキャンセルしていた。 
●「極めて強力」「手堅い」 岸田改造内閣を評価―経済界 8/11
第2次岸田改造内閣が10日、発足した。経済界からは「政策通の人材が多数登用され、極めて強力」(十倉雅和経団連会長)、「本格的な経済再生に向かうための手堅い布陣」(桜田謙悟経済同友会代表幹事)と評価する声が聞かれた。
十倉氏は「重要政策の推進に専心できる安定した政治体制が継続する」と指摘。厳しい国際情勢を念頭に置いた外交・安全保障政策の展開や、原子力発電所の早期再稼働を含むエネルギーの安定供給など、強力なリーダーシップを発揮するよう求めた。
日本商工会議所の三村明夫会頭も「政策や実務経験豊富な安定感の高い布陣だ」と評価。中小・小規模事業者による自己変革の取り組み支援など、持続的賃上げが可能な環境整備に努めるよう要望した。桜田氏は「極めて安定した政権基盤を最大限生かし、日本の構造的な課題に解決の道筋を示してほしい」と要請した。  
●赤旗主張 岸田改造内閣 8/11
目先変えて危険な政治推進か
岸田文雄首相が内閣改造と自民党役員人事を行いました。9月ごろに行う予定を前倒したのは、内閣支持率が急落しているためです。統一協会と自民党の癒着、安倍晋三元首相の国葬、コロナ対応や物価高騰対策などに国民の不信は広がりました。改造人事で目先を変え、国民の批判をかわすことが首相の狙いです。しかし、統一協会との関係を指摘される閣僚らが留任・起用され、疑念は払しょくされません。主要閣僚を続投させ、大軍拡や9条改憲、格差と貧困を広げる経済政策を推進する姿勢もあらわです。国民との矛盾は一層深まります。
関係は断ち切れていない
党人事では茂木敏充幹事長、麻生太郎副総裁が続投します。内閣では松野博一官房長官、林芳正外相、鈴木俊一財務相らが留任しました。安倍元首相の側近で、最大派閥安倍派の幹部である萩生田光一氏は経済産業相から党政調会長に横滑りしました。萩生田氏は統一協会関連団体のイベントに出席するなどしていました。同氏を党四役という要職にあてたことは重大です。
統一協会から選挙支援などを受けていた安倍元首相の実弟・岸信夫氏は防衛相から外れたものの、国家安全保障担当首相補佐官として首相を支える立場に就きました。再任された山際大志郎経済再生担当相は統一協会関連団体に会費を払っていました。再入閣の加藤勝信厚生労働相や、初入閣した寺田稔総務相らも同団体側と接点があることを認めました。
岸田首相は、統一協会との関係の点検・見直しを指示しましたが、関係をきっぱり断ち切るのかどうかが問われます。文化庁が統一協会の名称変更を認めた経過の全面的な公開をふくめ、反社会的カルト集団と政治の癒着の解明を終わりにすることはできません。
萩生田政調会長は10日の記者会見で、軍事費を5年以内に国内総生産(GDP)比で2%以上を念頭に増大することを速やかに実行に移すと述べました。年末に向け「敵基地攻撃能力」保有への議論も促進させます。
浜田靖一氏の防衛相就任は、岸首相補佐官とともに、大軍拡を進める布陣です。同党内で“国防族”とされる浜田氏は2015年の国会で、衆院安保法制特別委員長として安保法制=戦争法案の採決を強行した経歴があります。
安倍元首相と思想的に近い高市早苗・前党政調会長は経済安全保障担当相に任命されました。経済活動と科学技術研究を「国家安全保障」の柱にして軍事と一体で統制する政策などを担います。安倍派の西村康稔・元経済再生担当相が経済産業相として再入閣したのは、「原発の最大限活用」を進めるためと指摘されています。
安倍元首相の派閥への配慮や、菅義偉前首相や二階俊博元自民党幹事長に近い政治家の起用が目立つのも改造人事の特徴です。
政権追い詰めるたたかい
岸田首相は「わが国は今、国の内外で戦後最大級の難局に直面している」「これまで明らかにした政策を本格的な実行に移していく」などと主張し、危険な政治を加速する構えです。
9条改憲と一体の大軍拡、大企業中心の暮らし破壊の政治を許さない国民の世論と運動を広げ、岸田政権と対決する時です。 

 

●官房長官 新任閣僚すべて旧統一教会と「関係見直すと表明」 8/12
松野官房長官は8月12日、第2次岸田内閣でも、複数の閣僚が旧統一教会と関係があったことを認めたことについて「いずれも関係を見直すことを表明している」と述べた。
第2次岸田内閣を巡っては、寺田総務相と加藤厚労相が過去に旧統一教会の関連団体の会合に会費を払ったことを明らかにしているほか、山際経済再生相が過去に関連団体の会合に出席したことを認めるなど、複数の閣僚が旧統一教会と関係があったことを認めている。
松野官房長官は12日の記者会見で、「何人かの閣僚が過去に関係があったことを明らかにしているが、いずれも関係を見直すことを表明している。今後も引き続きそれぞれの責任において適切な対応が行われるものと承知している」と述べた。
また、松野官房長官は副大臣や政務官の人事を発表したことに関連し、副大臣・政務官にも旧統一教会との関係を点検し、厳正に見直すことを了解した者のみを任命したことを明らかにした。
●副大臣ら54人中19人が旧統一教会と接点 閣僚合わせ計26人に 8/12
第2次岸田改造内閣を支える副大臣、政務官計54人のうち、少なくとも19人が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体にパーティー券を買ってもらうなど教団側と接点を持っていたことが12日、毎日新聞の取材で明らかになった。既に関係を認めた閣僚7人と合わせて計26人が政府の要職に就任。いずれも自民党議員で、同党との根深い関係が相次いで判明し、改造による政権浮揚は見込めないとの指摘が出ている。
毎日新聞は副大臣26人と政務官28人に就いた自民、公明両党の議員事務所に教団との関わりについて質問を送付。事務所や本人の口頭での返答も含め、48人から回答を得た。
接点を認めた副大臣は、デジタルの大串正樹▽内閣の和田義明▽外務の山田賢司▽文部科学の井出庸生▽農林水産の野中厚▽経済産業の中谷真一▽国土交通の豊田俊郎、石井浩郎――の8氏。政務官は、デジタルの尾崎正直▽内閣の中野英幸▽総務の国光文乃、中川貴元▽法務の高見康裕▽外務の高木啓、吉川有美▽文科の山本左近▽国交の古川康、清水真人▽環境の柳本顕――の11氏だった。
大串氏は今年5月にパーティー券6万円分、山田氏は2018年4月に4万円分を関係団体に購入してもらった。大串氏は「ちゃんと(教団側との)関係は断つようにします」と話した。和田氏は21年衆院選で教団側から名簿を受け取り、事務所が「今後は一切関係を持たないと約束する」とコメントした。
教団が関係するイベントや会合などに出席した(秘書の代理出席を含む)のは山田、野中、中谷、豊田、尾崎、中野、中川、高見、高木、古川、柳本の11氏。野中氏は「当時は(教団の関係を)知らなかった。以前のようなお付き合いはわきまえていく」と話した。尾崎氏は「選挙前の団体のあいさつ回りの一環だった」と説明した。
祝電やメッセージを送ったのは大串、和田、井出、国光、吉川、山本、古川、清水の8氏だった。井出氏は「一層厳しく付き合いは見直していきたい」、吉川氏は「関係先を確認し、慎重に付き合いを決めていきたい」と語った。
杉田水脈総務政務官は教団との関わりについて「全く何の関係もございません」と記者団に否定した。事務所は取材に対し、16年8月に米ニューヨークの教団施設で講演したとの指摘について「講演したのは事実」としながら「どのような施設であったかは存じていません」とコメントした。
松野博一官房長官は12日の記者会見で、副大臣・政務官の教団との関係については閣僚と同様に「点検と厳正な見直し」を求めたとし、「これを了解した者のみを任命したところだ」と説明。あくまで自主的な取り組みに委ねる考えを改めて強調した。しかし、国民の理解を得られるだろうか。
政治評論家の有馬晴海さんは「旧統一教会を巡る国民の厳しい視線を甘く見た人事で、これでは内閣支持率は下げ止まらないだろう」と指摘。教団とイベントなどとの関係について「当時は知らなかった」という議員側の説明が目立つことに関し、「本当に無知な人もいるかもしれないが、そう言い逃れるしかない人もいるのではないか」と疑問を呈した。
教団への高額献金などの被害者支援に携わる紀藤正樹弁護士は「政治家は旧統一教会との縁を一刻も早く切り、超党派で被害防止や救済策に取り組んでもらいたい」と話した。

 

●旧統一教会問題、底なしの様相 岸田内閣、多難な再スタート 8/13 
岸田文雄首相が10日行った内閣改造・自民党役員人事は、骨格を維持しつつ重要課題には閣僚の続投や再登板で対応、党内各派のバランスにも配慮した「手堅い陣容」(同党ベテラン)となった。だが、政権を直撃した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題は底なしの様相を呈しており、払拭(ふっしょく)には程遠い。党内からは「内閣支持率は上がりそうにない」(閣僚経験者)と冷めた声が漏れる。
過去の関係は問わず
「社会的に問題が指摘されている団体との関係は、国民に疑念を持たれることがないよう十分に注意しなければならない」。首相は10日の記者会見で、旧統一教会への対応を自ら切り出した。
閣僚の人選に当たり、首相が最も神経を使ったのは、教団との関わりだ。政府では首相側近の木原誠二官房副長官、党側では梶山弘志幹事長代行が、それぞれ「身体検査」を担当。改造前の閣僚のうち、教団側に祝電を打ったり選挙で支援を受けたりするなどの接点が判明していた7人は全員、閣外に去った。
だが、初入閣組や続投組も「シロ」とはいかなかった。岸田派所属の寺田稔総務相が2018年、教団の関連団体の会合に参加費2万円を支払っていたことが10日になって発覚。留任した山際大志郎経済再生担当相も会見で、18年に関連団体のイベントに出席していたことを明かした。
首相は入閣を打診した際、教団との関係の点検を求め、「結果を踏まえて厳正に見直すことを了解した者のみ任命した」と会見で説明。過去の関わりには事実上、目をつぶった格好だ。議員本人もきちんと把握していないケースもあるとみられ、党関係者は「統一教会と党所属議員の問題はこれからも出てくるだろう」と諦め顔だ。
首相は全閣僚に説明を尽くさせることで乗り切る構えだ。就任会見は深夜に及ぶことを理由に、祝日明けの12日に先送りしようとしていた官庁は少なくなかったが、首相官邸は全閣僚に対し、10日中に会見して説明するよう急きょ指示した。
「配慮し過ぎ」
今回の人事は、昨年10月の衆院選と7月の参院選を乗り切り、本格政権の足場を築いた首相がどのような陣を敷くかが注目された。
派閥ごとにみると、安倍派と麻生派が各4、茂木派と岸田派が各3、非主流の二階派が2、無派閥2と、各派への配慮が鮮明になった。ただ、各派が求めた「入閣待機組」の起用には必ずしも応じず、喫緊の課題である新型コロナウイルス対策に山際氏とともに当たる厚生労働相に、茂木派から経験者の加藤勝信氏を起用。国家安全保障戦略など関連3文書の改定を年末に控える防衛相には、無派閥の浜田靖一氏を再登板させた。
結果として留任と再登板が合わせて10人と、初入閣の9人を上回った。自民党ベテランは「各派に配慮し過ぎで斬新さがない」と冷ややかに語り、首相周辺も「派手さはない」と認めた。
唯一、目玉人事になり得ると目された菅義偉前首相の入閣もなかった。ただ、昨秋の総裁選で菅氏が推した河野太郎氏が、菅氏肝煎りで発足したデジタル庁の担当閣僚に就任。菅氏は「これはいいよね」と満足そうに語ったという。同氏と気脈を通じる森山裕氏の選対委員長起用と併せ、首相は非主流派の取り込みにひとまず成功したようだ。
公明党とも神経戦があった。12年の政権奪還以降、公明党の「指定席」となっている国土交通相を取り戻そうという動きが自民党にあったためだ。だが、公明党は来春の統一地方選をにらみ「非常にうまみのあるポスト」と手放す気はさらさらなかった。同党の山口那津男代表は8日に首相と会談した際、「国土交通相には斉藤鉄夫さんをよろしくお願いします」とくぎを刺した。
●新副大臣・政務官16人が旧統一教会と接点 “改造内閣”本格始動 8/13
本格始動した改造内閣。新副大臣、政務官のうち少なくとも16人が過去に教団と接点があることがわかりました。また過去にLGBTめぐる発言が問題となった議員も任命されました。
改造内閣が始動も過去にLGBTをめぐる発言が問題視された議員も任命
自衛隊の音楽隊の演奏をバックに防衛省を後にしたのは岸前防衛大臣です。
政府は8月13日、臨時閣議で副大臣や政務官の人事を決定し、改造内閣が本格始動しました。しかし…
自民党 簗和生 衆院議員「生物学上、LGBTは種の保存に背く」
自民党 杉田水脈 衆院議員「彼ら彼女らはこどもをつくらない、つまり『生産性』がないのです」
過去にLGBTをめぐる発言が問題視された議員も任命されました。簗和生衆院議員は文部科学副大臣に
――LGBTの会合の発言について
簗和生 新文科副大臣「あのね、紙でもらえますか」
杉田水脈衆院議員は総務大臣政務官に任命されました。
――今も考えに変わりはないのか?LGBTの方に何かないのか、どういう思いで言ったのか?
杉田水脈 新総務大臣政務官「…」
旧統一協会と新大臣16人の接点が判明
一方、新しい大臣のうち、すでに7人が旧統一教会と何らかの接点があったことが判明していますが、8月13日に任命された副大臣と政務官の中にも関わりがある議員が続々と判明しました。
豊田俊郎 新国交副大臣「ハン・ハクチャ総裁をお迎えしてメッセージをお聞きになると伺っています」
旧統一教会のハン・ハクチャ総裁の名前を挙げて、挨拶したのは国交副大臣に任命された豊田俊郎参院議員です。2017年、千葉で行われた教団関連のイベントに参加していました。
―― 一点だけ質問してよろしいですか? 国民の関心も高いのでちょっとお伺いしたいんですけど
豊田俊郎 新国交副大臣「緊張していますから、後ほどで」
直接取材に応じなかった豊田氏。事務所を通してこんな回答を寄せました。
――教団のイベントというのは事前に知っていたか?
豊田俊郎 新国交副大臣「知らなかったですね」
イベントには教団の総裁と当時の会長が出席していましたが、教団関連イベントとは「知らなかった」ということです。関わりがあったのは豊田氏だけではありません。
井出庸生 新文科副大臣「街頭演説の会場に数名ずつで何か所かに来て応援をいただいたということがございました」
中谷真一 新経産副大臣「イベントに参加していたという事実はありました」
野中厚 新農水副大臣「選挙期間中に街頭演説にお越しいただいていたということを判明いたしました」
現在のところ、副大臣8人、政務官8人に過去に教団と接点があることがわかりました。
幸福の科学や統一教会の信者の方にご支援、ご協力いただくのは何の問題もない
ちなみに杉田水脈氏は教団との関係を訪ねたTBSの質問書に回答していませんが、2016年に自身のツイッターにこう書き込んでいます。
杉田水脈氏のツイッター(2016年)「幸福の科学や統一教会の信者の方にご支援、ご協力いただくのは何の問題もないのですが、どうしても宗教団体の名前が出ると日本国内では過敏に反応して苦情や問い合わせが事務所にありますので、その都度このように否定します」
8月13日改めて関係を問われると…
――統一教会との関係をどのように説明しているか?
杉田水脈 新総務大臣政務官「まったく何の関係もございません」
河野太郎消費者担当大臣、8月中に霊感商法に対する検討会の立ち上げを表明。
一方、就任後初めて会見に臨んだ河野太郎消費者担当大臣。
河野太郎 消費者担当大臣「消費者庁の中に霊感商法に関する検討会を速やかに立ち上げて霊感商法についての対応はきっちりやって参りたい」
旧統一教会で問題となっている霊感商法に対する検討会を8月中に立ち上げると表明しました。

 

●まるで”統一教会内閣”…岸田改造内閣が抱える「統一教会爆弾」 8/14
地元広島の選挙区を裕子夫人に任せ、首相公邸で岸田文雄首相は長男と暮らしている。コンビニ弁当を肴に冷えた缶ビールを数本、日本酒、ウイスキーをしたたかに痛飲しながら、内閣改造・党役員人事を練りに練った。旧統一教会という掣肘(せいちゅう)を被ることになって人選の苦心は倍増したという。
旧統一教会と関係があった7閣僚はすべて排除し、第二次岸田改造内閣は、国民の声をよく聞く清新、誠実な内閣となるはずであったのだがーー。
組閣したその日から、加藤勝信厚労大臣、高市早苗経済安保担当大臣、寺田稔総務相、西村明宏環境相、岡田直樹地方創生相、留任した林芳正外相、山際大志郎経済再生担当相、すでに関係を報告していた磯崎仁彦官房副長官を含め閣内の8人が旧統一教会との関係が続々と発覚。
「統一教会との関係を断ち切るどころか、増えているじゃないか。呆れてモノが言えない。ことここに至っては、自民党として調査しないとした茂木敏充幹事長にも大きな責任がある。線引きが曖昧で国民の理解を得るのは難しいのではないか」(閣僚経験者)
予想通り、旧統一教会との関係が重視され内閣支持率は軒並み下落したのだ。大臣だけではなく、さらに副大臣や政務官にも広がり、永田町のトレンドワードはたちまち、”岸田統一教会内閣”と揶揄された。
ちゃんと調べなかったのはまずかった、というのはあとの祭りだ。旧統一教会を長年取材してきたジャーナリスト鈴木エイト氏がツイッターに、教団広島教区三原教会の教会長、東広島教区伝道教育部長などを歴任したとされる光永一也氏と岸田首相のツーショット写真を投稿した。
「写真は、パーティなどで我も我もと政治家の周りに集まり記念撮影したというモノではないようです。屋外の広場で、河川敷のようなところ。統一教会の集まりに岸田首相が参加した可能性もある。党内では、自民党の党員・党友の1割ほどが旧統一教会の信徒ではないかとさえ言われています。自民党は、骨の髄まで統一教会に浸食されてしまったのかもしれない」
こう話すのは閣僚を経験した自民党ベテラン代議士だ。続けてこの代議士は、「旧統一教会が自民党総裁選挙に影響を及ぼした」と語る。
安倍長期政権の端緒となる12年9月自民党総裁選は国会議員票と都道府県票総数498票、過半数は250票だった。一回目の議員、党員投票結果は、石破茂:199票(議員34票、党員165票)、安倍晋三:141票(議員54票、党員87票)と過半数を獲得できず、議員のみによる決選投票となった。そして、安倍晋三:108票、石破茂:89票となり、安倍氏が勝利を収めた。
「いま自民党内では『このとき、統一教会関係議員が安倍さんに票を集中させ、逆転したのではないか』と言われています。無記名投票だったわけだから、いまさら真相は分かりません。ただ、そうした話が流れているのは事実で、なにやら得体の知れない不気味な空気に自民党は覆われてしまった」(ベテラン代議士)
自民党総裁選に統一教会が関与したとは、にわかに信じがたいことだが、内閣人事と同日に行われた世界平和家庭連合の田中富広会長の会見は意味深であった。
「政治に、私たちの法人などが積極的に関わり、そして選挙にも積極的に行くように指導はしております。私たちの基本姿勢は共産主義と対峙して進めております。その視点から言うと、自民党議員の方々がより多く接点を持つことがある」
旧統一協会は、反共産主義に抵抗する政治団体と語り、先述の閣僚経験者証言がやけにリアルに聞こえるのは筆者だけだろうか。
2012年総裁選後、自民党は党勢拡大として70万〜80万人だった党員拡大運動を展開し、安倍政権の勢いも相まって党員は一気に100万人超えと飛躍するのである。3年後の2015年9月の総裁選は、安倍晋三総裁は無投票再選となって長期政権をひた走ることになったのだ。
自民党と旧統一教会の関係は、もはや言い逃れできない事態に追い込まれているのではないか。18年もの間、認められなかった「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」への名称変更がどのような経緯で承認されたのか国民は注意深く見ている。名称変更問題をめぐっては下村博文氏の関与が取り沙汰されているが、関わっている可能性があるのは下村氏だけではないという。
「08年頃、日本と韓国を海底トンネルで結ぶ『日韓トンネル』という計画がありました。この案は現在、凍結されていますが、当時ある民主党議員が熱心に推進していました。この議員はその後、下村博文文科相を補佐するポスト得た。そのすぐ後の2015年、旧統一教会の名称変更が認められたのです。この人はしきりに『(旧統一教会から)行政裁判を起こされたら文科省は負けるかもしれない』というリスクを強調していました」(文科官僚)
内閣改造でリスタートするはずだった岸田首相の思惑は大きく外れてしまった。国民は、旧統一協会と政治の関係について納得できるような説明を求めている。
 
 

 

 
 
 

 

●「検討使」 
●岸田首相「難しい決断の連続」 政権発足から半年 4/4
岸田文雄首相は4日、就任から半年を迎えた。これを受け、首相官邸で記者団に「半年間を振り返り、大変難しい決断の連続だったが、新型コロナウイルス対策、ウクライナ問題、国内経済再生など課題は山積している。緊張感と危機感を持って日々取り組んでいきたい」と語った。
首相は就任直後の衆院解散、大型経済対策取りまとめ、ロシアのウクライナ侵攻への対処などを挙げ、「気を抜くことのできない半年だった」と回想。特にコロナ対策について「(変異株の)オミクロン株の特性がはっきりしない中で、毎日毎日機動的に対応しなければいけなかった。心掛けたのが、感染症対策と経済社会をどう動かしていくのかのバランスだった」と説明した。
最近の原油や原材料の価格高騰に触れ、「4月中に対策をしっかり用意したい」とも語った。
●岸田首相は「遣唐使」ならぬ「検討使」 国民・玉木代表が衆院予算委で皮肉  5/30
国民民主党の玉木代表は、岸田首相を「遣唐使」をもじった「検討使」と皮肉った。
玉木代表は27日の衆院予算委員会で、岸田首相が答弁で「検討」という言葉を多用することを揶揄して、岸田首相に対し「『ケントウシ』と呼ばれている」と皮肉った。
その後、玉木代表は自身のツイッターに、質問後、衆院の記録部から玉木代表に対して「ケントウシ」の漢字の当て方について問い合わせが来たため、「『検討使』です」と答えたことを明らかにし、「議事録に載ります」とつぶやいた。
一方、更新したツイッターでは、委員会で議論を交わしたデジタル市場の整備について、補正予算通過後の挨拶に訪れた岸田首相と会話を交わした際に、「やりましょう」と言われたことを明らかにして、「正式答弁は『検討使』だったが、総理自身は意外に前向きかも」ともつぶやいた。
●岸田首相「絶えず決断してきた」 「検討多用」の指摘に反論―予算委 6/1
「決断の言葉を使った数と(実際に)決断した数、これは別物だ」。岸田文雄首相は1日の衆院予算委員会で、自身の国会答弁で「検討」に比べて「決断」を使う数が少ないと問われ、こう反論した。
立憲民主党の山岸一生氏は安倍晋三元首相、菅義偉前首相、岸田首相の答弁を独自集計して比較。「検討」を安倍氏は143回、菅氏は126回用いたのに対し、岸田首相は既に204回も多用していると指摘した。
逆に「決断」は安倍氏(29回)や菅氏(10回)に比べ、岸田首相は7回にとどまっているとして、山岸氏は「インフレに苦しんでいる国民が求めているのは決断だ。決断は嫌いか」と迫った。
これに対し、首相は新型コロナウイルス対応に言及して「ワクチン、検査薬、病床確保、水際対策。絶えず決断を続けてきた」とアピール。「ウクライナ問題でも対ロ政策の大幅な転換をはじめ、さまざま決断した」と強調した。
●検討検討の連発で時間稼ぎする「検討使」岸田政権の焦り 6/5
岸田文雄首相は、人の話をよく聞く。参院選挙が目前に迫っていることもあり、今はとにかく、なにがあっても「波風」は立てたくないのだ。
「それが支持率の高さに現れているんだよ。菅政権から続くコロナ対応、想像もできなかったロシアのウクライナ侵攻という国際情勢の激変。岸田政権は仕事をやっているように見えて、実はまだ、なにもやっていない。これといった政策は、なにひとつ実行されていない。
政権が代わり政治が変わって、暮らしやすくなるだろうと期待していた国民が『政府はなにもやってない』ことに気づいて騒ぎ出したら、岸田政権なんてたちどころに吹っ飛んでしまうだろう。さすがにそろそろ、なにかしないと」
自民党幹部は率直に、こう言い放った。
国会で、204回放った言葉
意に反する意見もまずは聞き入れ、「返事は、はい」から始める。参考になる意見には「有意義なご意見として『検討』したい」と応じ、いい人を演じ続けてきた。学校なら「岸田クンよくできました」と先生に褒められそうな態度だ。が、非正規雇用、低賃金というアンフェアな社会構造のなか生活困窮する国民にとっては怒りしか感じない態度だろう。
そうして8か月、なにもせず、静かに政権運営してきたことがバレたのは1日の衆院予算員会だ。
2022年度補正予算案をめぐる衆参予算委員会の岸田首相答弁で「検討する」の言葉が204回。安倍、菅政権に比べ圧倒的に多いことを指摘された。自民党一人勝ちと予測される参院選挙を前にして、野党は、答弁回数を調べている場合ではないだろうと思う反面、「検討使」とは秀逸との賛辞もあった。
命名は国民民主党の玉木雄一郎代表。岸田首相に対して「『検討使』と呼ばれている」と指弾した。その後「衆議院事務局から『ケントウシ』とは、どのような漢字を当てればいいかと問い合わせがあった」とツイートしている。
「『遣唐使』ならぬ『検討使』か…」
岸田首相自身も、官邸に戻る道すがら、そう言って額をかいていたという。悔しいやら可笑しいやら、複雑な表情を秘書官に見せた。与野党とも、呑気過ぎる。
経済政策のぐだぐだ
閣僚経験者が言う。
「岸田首相は、参院選挙に勝って政権基盤を盤石にしてから岸田色を一気に打ち出していくという腹づもりでした。『選挙までの長すぎるウォーミングアップは、新しい資本主義の宣伝期間として、さまざまに情報発信していこう』と、木原誠二官房副長官や総理秘書官たちに話していたのです。いわば、時間稼ぎ。そうこうしているうちに、ウクライナ戦争とそれによる物価高という問題が起きてしまった。岸田首相もさすがに焦りを感じ始めているのです」
高支持率によって長期政権は確実と油断した矢先、「黄金の3年」どころか、日々値上がりする生活必需品の高値はいまなお天井知らずなのである。
経産省キャリアが言う。
「岸田首相の判断ミスは、原油高によるガソリンの補助金でした。原油市場価格70ドルのときから慌ててお金を出し始めたが、あの段階では漁業者と北海道の灯油代にとどめるべきだった。補助金は年間2兆円ペースで投入され、出口が見えない。しかも値上がりを押しとどめようとしているだけだから、国民はありがたみを感じていないのです。こんなことなら、電気代に補助金を出した方が良かったのではないかと経産省内は見ていますし、補助金の使い方をミスったと麻生副総裁や茂木幹事長も言っていたようです」
原油高は瞬間的に150ドルの高値に達したあと、120ドルあたりで落ち着くというのが大方の市場関係者の見通しだ。岸田首相は、ガソリン高騰が選挙に悪影響することを危惧して大慌てで補助金を指示してしまったのだ。
空虚すぎる政策
岸田首相の懐刀である宮沢洋一税制調査会長が一部上場の企業経営者にこう漏らしているという。
「岸田政権が長期政権を担えるか否かは、1にも2にも国民に『分配』の実感を示すことができることだ。その『分配』とは、賃金上昇しかない」
岸田首相の新資本主義は、アベノミクスが失敗したことを受けて、国の支援を強化した資金好循環を目指しているというが、5月31日に発表された内容は、具体策のない、全く空虚なものだった。岸田首相の「未来を切り開く新しい資本主義」は、未だベールに包まれている。もしほんとうにそんな「策」があるのなら、一刻も早く披露してもらいたい。
●「岸田首相は『検討使』」 維新・馬場伸幸共同代表 6/24
新聞紙上の情勢調査で「自民党圧勝」と書いてある。だからもう、自民に票を入れる必要はない。これ以上勝たせても、ろくなことしない。
今の自民はぬるま湯につかって、難しいことには挑戦しない。(首相の)岸田(文雄)さんは、我々が何か質問したら「検討します」。聞く力はあるが、実行する力がない。
岸田さんは「検討」ばかり言うから、(「遣唐使」にかけて)「検討使」と言われている。岸田さんに改革をしていく姿勢はない。だから、日本維新の会を1人でも増やしていただく。そして自民と維新が改革競争をやる。誰に一番利益があるか。それは国民のみなさん方だ。
●岸田文雄首相、池上彰氏からの「検討使」指摘にも冷静…「私の口癖」 7/10
フリージャーナリストとして活躍する池上彰氏が10日、テレビ東京系の選挙特番「池上彰の参院選ライブ」に生出演。岸田文雄首相と生中継でインタビューを行った。
池上氏は「岸田総理は国会のいろいろな答弁の中で、『しっかり検討し』とよくおっしゃいます。そこで『検討使』なんて呼ばれるようになっているところがあると思うんですが、いかがですか」と、時間稼ぎの姿勢を皮肉られていることを指摘した。
すると岸田首相は「私の口癖であるんだと思います。そのように言われていることは、十分に承知をしています」と応じ、「しかしこれは議論を進めていくべきところは、しっかり議論を行うんだということを申し上げているということであり、一つ一つ結果についても今、生かされつつあります」と続けた。
その上で「ぜひ議論を進め、結果を出す。その結果を示していくことが大事だと思っています」と、あくまで冷静に語った。
●岸田首相「『検討』は私の口癖」 7/10
岸田文雄首相(自民党総裁)は10日、テレビ東京番組で、野党議員が「検討」を連発する首相を「検討使」と揶揄(やゆ)していることについて「私の口癖だと思う。そのように言われていることは十分に承知している。議論を進めていくべきところは、しっかり議論を行うと申し上げている。議論を進め、結果をしっかり示していくことが大事だと思っている」と説明した。
また、安倍晋三元首相が死去したことの政権運営への影響について「首相の先輩として、個人的には当選同期の友人として貴重なアドバイスを頂いてきた。大きなショックを受けているが、目の前の歴史的な有事といえる課題を考えたときに結束が何よりも大事。政権を前に進めていきたい」と述べた。
首相は参院選の勝敗ラインについて「非改選を含めて与党で過半数(125議席)」の目標を掲げ、支持を訴えてきた。
●岸田首相「安倍氏の国葬決断」で見せた驚く大変身  7/21
電撃的に国葬実施を表明した岸田首相
岸田文雄首相が、参院選遊説中に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相の「国葬」を決断し、政界に複雑な波紋を広げている。「慎重居士」との定評を覆し、賛否が交錯する難題を決断してみせたからだ。
決断を受けて、政府は7月22日の閣議で、日本武道館での開催日程を決定する段取り。今のところ遺族との調整で、ニューヨークで開催される国連総会(9月21日〜27日)の最終盤となる9月27日に執り行う方向だ。
ただ、ここにきての新型コロナ第7波襲来が大きな懸念材料となる。推移によっては、岸田首相が国葬の直前まで、アメリカのトランプ前大統領ら多数の参列が見込まれる外国首脳の接遇などをめぐって、対応に苦しむ事態も想定される。
首相在任期間の史上最長を更新し、外交を中心に多大な成果を挙げた安倍氏の突然の非業の死。ただ、国葬については、森友学園・加計学園問題などなど“負の遺産”もあり、永田町では「もっと熟慮すべきだった」(泉健太・立憲民主党代表)との批判も少なくない。
このため、今回の岸田首相の決断は、その周辺でも「大変身」と驚く声が多い。岸田首相は安倍氏死去からわずか6日後の14日に官邸記者会見で、自ら電撃的に国葬を実施すると表明。各メディアは「重大速報」として世界に発信した。
官邸関係者によれば、安倍氏の家族葬があった12日の、自民有力議員からの進言が岸田首相の慎重姿勢を変えたとされる。同議員は「安倍氏には国葬がふさわしく、法整備は可能」と力説したという。
これも踏まえ、岸田首相は13日に「国葬」実施意向を秘書官に伝達。秘書官が極秘で政府部内の調整に着手すると、間を置かずに内閣法制局から「国葬は閣議決定で行える」との見解が示され、事態が一気に進展した。
ただ、党内でも賛否が分かれていたため、一連の調整結果を与党サイドには伝えなかった。官邸筋が与党幹部に国葬実施の方針を伝えたのは、14日午後6時からの岸田首相官邸記者会見の約1時間前だったという。
岸田首相は会見の冒頭、安倍氏の憲政史上最長の在任期間や内政・外交面の功績などを丁寧に説明したうえで、「こうした点を勘案し、この秋に国葬儀の形式で安倍元首相の葬儀を行うこととする」と表明した。
安倍氏に次ぐ首相在任期間の佐藤栄作氏は「国民葬」
そもそも、戦後、首相経験者の国葬は吉田茂氏だけで、安倍氏に次ぐ長期在任期間を樹立した佐藤栄作氏は「国民葬」だった。さらに1980年死去の大平正芳氏以降は「内閣・自民党合同葬」が慣例化していた。
戦前の国葬令は廃止されており、多額の国費投入への賛否も分かれるため、政府部内でも「国葬実施には法整備が必要」(官邸関係者)との声が強かったからだ。このため、岸田首相も安倍氏が死去した8日の段階では、「考える余裕はまだないが、相当の敬意を表してしっかり対応を考えるべきだ」と慎重な物言いに終始していた。
その一方で、岸田首相は当初から「国葬」を念頭に置き、世論の風向きを見ていたとみられる。参院選前までは「検討使」との揶揄を甘受してきたが、参院選での自民大勝で「岸田1強」となった時点で、「今後、重要課題はすべて自ら決断する」(側近)との意識変革が背景にあったとされる。
とくに、安倍氏死去の衝撃の大きさで、国内世論は「安倍氏を支持してきた保守派の声が目立ち、安倍氏のすべてを美化する通夜状態」となっていたことが、首相の背中を押したとされる。
もちろん、政府部内は前例主義にこだわる向きが多く、国葬論は少数派だった。加えて、自民党内保守派からも「国葬の是非を論争することが、安倍氏の功績に泥を塗る」との危惧の念も示されていた。
岸田首相の側近の間でも「これまでの岸田流政治手法なら、国葬は現実的ではない」との意見が大勢だった。その中での決断は「ここで決められないトップリーダーとの烙印を押されると、1強の座が揺らぐとの強迫観念」(側近)からとみられている。
政権発足後10カ月間の岸田首相の行動原理は「政権運営に影響を与えかねない難題については、『慎重に検討し、いずれ総合的に判断』という結論先送り」が常態化していた。「首相自身は『選挙に勝ったあとは決断型に変身したい』と考えていた」(側近)とされ、今回は「脱『検討使』への第一歩」(同)と受け取る向きも多い。
国葬決断の背景には「外交の岸田」への野心?
岸田首相の決断に至る一連の経過を検証すると、表面的には参院選勝利を踏まえて「ニュー岸田」に変身しようとの強い意欲が際立つ。ただ、今後の展開も踏まえると、「岸田首相の本当の狙いはもっと壮大」(側近)との声も出る。
予定どおりの国葬が実現すれば、安倍氏と親交のあった世界各国の首脳がこぞって参列するとみられている。盟友関係にあったトランプ氏だけでなく、インドのモディ首相、ドイツのメルケル前首相、トルコのエルドアン大統領、さらにはロシアのプーチン大統領も参列の可能性が指摘される。
そうなれば、「新たな冷戦」の原因となったロシアのウクライナ軍事侵攻の当事者たちが、東京に勢ぞろいすることになる。その中で、岸田首相が「国葬外交」の主役となれば、「一気に世界の岸田」(岸田派幹部)となることは間違いない。
政界では「今回の岸田首相の決断に、そうした野望が秘められている」とみる向きも少なくない。そうなれば「安倍氏と並ぶ『外交の岸田』という称号を手にすることができる」からだ。
ただ、それには「世界中が称賛する歴史的な国葬にすることが大前提」(閣僚経験者)だ。日本での新型コロナの感染拡大が開催直前まで止まらなければ、国内だけでなく国際社会でも開催反対論が拡大しかねない。
そうした事態を想定し、政府部内でも「国葬という体裁は整えても、首脳外交も含めた規模縮小や、一定期間の延期もありうる」(有力閣僚)との声が漏れてくる。その場合は「岸田首相は野望を果たせず、逆に秋以降の政権運営の致命傷にもなりかねない」(自民長老)との厳しい見方も出始めており、今後の展開はなお予断を許さないのが実態だ。
●岸田首相、コロナ全数報告の是非「時期見極め検討」 7/31
岸田文雄首相は31日、新型コロナウイルスの感染症法上の分類を季節性インフルエンザの「5類」に近い扱いへ変える案について発言した。すべての患者を保健所に報告する「全数報告」などの是非をいずれ検討する考えを示した。
感染症法は危険性の度合いなどに応じて感染症を1〜5類に分ける。新型コロナは全数報告が必要な「2類相当」と位置づけられる。首相は公邸で記者団の質問に、時期や変異の可能性を見極めたうえで「2類(相当)として規定される項目について丁寧に検討していく」と述べた。
「いま感染が拡大しているこのタイミングにおいて感染症法上の位置づけを変更することは考えていない」とも語った。同時に「専門家の意見も聞きながら検討していくことは続けていきたい」と話した。
●やりたかった「人事」 首相「検討使」の評価はいかに 8/11
本格政権を狙う岸田文雄首相が「人心一新」のカードを切った。自民党議員を中心に政界を揺さぶる「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)との関係を清算し、重要政策を前に進める意図がうかがえる。政策通やベテランを配置し「経験と実力に富んだ」(首相)布陣で固めたのもそのためだ。ただ党内への配慮は歴然としており、このまま内向きな偏向がさらに色濃くなれば世論に見透かされて砂上の楼閣となりかねない。「岸田カラー」の一刻も早い具現化が求められる。
【岸田流の人事】
2019年、首相が安倍晋三元首相の後継レースを争っていたころ。岸田派を担当していた私は、テレビ番組で「何をやりたいか」と問われた岸田氏が「人事」と答えた場面を鮮明に覚えている。
この言動から首相には「明確な国家観がない」とも取れる半面、人事権への強いこだわりが透ける。7月の参院選直後から周囲には「人事は自分で決める」と漏らしていたといい、今回、大方の予想を覆すタイミングで断行したのも、自らの主導権を党内外に示す思惑があったとみられる。
その首相に立ちはだかるのが旧統一教会を巡る問題だ。首相は「自ら点検し、厳正に見直してもらう」と主張し、接点を断つよう自民内に号令を発したが、あやふやな幕引きを図れば、国民の納得は得られまい。
賛否が割れる安倍氏の国葬、物価高対応、防衛費増額、新型コロナウイルス対応の抜本見直し…。足元だけでも丁寧な説明や合意形成が求められる課題は山積し、決断を迫られる場面がいや応なしに待ち受ける。「聞く力」が信条ならば、政策実現には国民の声を聴いて真摯(しんし)に説明を尽くし、共感を得ることが必要だ。
首相は昨秋の総裁選で「成長と分配の好循環による新しい日本型の資本主義を目指す」と打ち上げ、宰相に上り詰めた。国会で検討を連発し、やゆされた「検討使」の評価を一掃し、温めてきた「岸田ビジョン」を実現できるか。人事の先で試される首相の真の手腕を見極めたい。
●やはり検討使のまま 8/17
コロナ感染者数が高位安定してしまっているが、実際の症状は重篤ではないのではないかということで、5類への変更を求める声が以前から出ている。これについては『コロナ感染の全数把握見直し、岸田首相が検討指示…季節性インフルと同じ5類相当の議論も』と検討指示。
内閣改造の際の会見では『「原子力の活用も含めしっかり検討を進めていく」10日の記者会見で冬場の電力需給の逼迫を避ける策として原発再稼働に言及した。』とのこと。首相は参院選直後(改造記者会見の1か月前)にも同じことを言っていた。一か月経過して内容が変わらない、検討のままなのはなぜ? 『しっかり』とか民主党政権時代に枝野が連発していた抽象的な用語を使うのはやめてください。
エネルギーといえば、カーボンニュートラル達成に貢献するとして、洋上風力入札基準を見直し、運開時期評価を重めにするという。そこまで焦る必要があるのだろうか? 時間をかけても安いもの(=国民負担の低いもの)を作らせる方がいいと思うが。一方で原子力や火力への腰の引け方・・・反発のあるものには「検討」で時を稼ぎ、反発のなさそうなものには乗っかるという姿勢が窺えるが、洋上風力が本当にいいものなのかよく考えるべきではないか。発電設備の維持管理には相当の小型船舶と要員が必要だが、この種の分野の戦力を提供できる事業体となると我が国ではある種の傾向の方々がどうしても出てきてしまうのではないかと懸念している。
どれもこれも国民負担増にしかならない話で、政治家として決断してもよいと思うのだが、決断をしない。と批判したいところなのだが、菅直人のような首相が決断連発した結果がひどかったので、批判一色にできないもどかしさが残っている。 
 
 

 

●新興宗教
●新興宗教7団体に「旧統一教会問題」を直撃 8/2
安倍晋三元首相の襲撃事件で注目を浴びる旧統一教会と政治家の関係。新興宗教各団体は、どうみているのかーー。本誌が各宗教団体に質問状を送ると、7団体が詳細に回答した。以下に掲載しよう。
質問
(1)旧統一教会は、霊感商法などが社会問題になっている団体です。こうした旧統一教会について貴団体はどのような見解を持っていらっしゃるでしょうか。
(2)貴団体は、旧統一教会と国会議員や地方議員との関係について、どういった見解を持っていらっしゃるでしょうか。
(3)貴団体は、国会議員や地方議員とどういった関係を構築なさっているでしょうか。
(4)貴団体は、宗教団体と政治がどういった関係にあるべきだと思われるでしょうか。
真如苑
1936年に伊藤真乗氏が設立した真言宗系在家仏教教団。現在は伊藤真聰氏が継主。1953年に宗教法人として認証。本部は東京都立川市。信者数は約93万人。
(1)(2)につきましてずいぶん以前から、同じことを繰り返しているという印象です。
(3)特にしておりません。
(4)ご信徒には、様々な政治信条の方がおられますので、教団として政治に関与しておりません。
新日本宗教団体連合会
1951年に設立した新宗教団体の連合組織。通称新宗連。2012年に公益財団へ移行。立正佼成会や円応教、PL教団など約60団体が加盟。新宗教教団の結束で世界平和を目指す宗教運動を推進する。
(1)(2)当連合会に加盟していない団体についてのコメントは控えさせていただきます。
(3)政界に限らず、公益財団法人としてより良い社会形成の事業推進のため、諸団体と関係を構築しています。
(4)日本国憲法に定める「信教の自由」「政教分離」が遵守され、特定宗教が国家や政府に特別視・利益供与されないようなものであってほしい。
ワールドメイト
1984年に設立された神道系の宗教団体。深見東州(本名・半田晴久)氏が教祖を務める。2012年に宗教法人として認証。総本部は静岡県伊豆の国市。2019年1月現在会員数は約8万2000人。2020年には、小沢一郎、鈴木宗男、前原誠司ら各議員に寄付。深見東州氏は実業家として「みすず学苑」という予備校の運営も手掛ける。
(1)旧統一教会は「この世に価値を置かず、あの世で幸せになる」という、キリスト教系の価値観を継承しています。こうした考え方の宗教は、時として、非常に反社会的で、過激な行動を起こす事があります。ただ、安倍元首相が凶弾に倒れた原因を、旧統一教会への恨みや、狙撃犯の母親が異常に信仰熱心だった等に求める論調が昨今行き過ぎているのではないかと考えます。
(2)旧統一教会が違法に政治に関わったという話は、今のところ聞こえてきません。聞こえてくるのは、旧統一教会と親しくしていた、政治家達の話ばかりです。旧統一教会が問題だとすれば、比較にならないほど大きな、創価学会と公明党との問題をどうするのかを論ずべきと考えます。
(3)選挙活動のボランティアに駆り出したりといったことは、一切しないという原則を厳守しています。本当に社会に有為な政治家を、与野党に関係なく、法的に問題のない形で財政面のみ応援しています。
(4)政治家が1つの宗教団体に偏るのは問題ではないかと思います。現実には、多くの政治家は、複数の宗教と等距離で関わっているようです。それなら、たいして問題はないと考えます。
ひかりの輪
オウム真理教が名称を変えたAleph(アレフ)から独立して、2007年に設立された宗教団体。オウム真理教で広報を担当していた上祐史浩氏が代表を務める。「脱麻原彰晃」を主張しているが、公安調査庁は観察処分を継続。一連のオウム事件の被害者支援機構と合意し賠償金を払い続けている。会員数は約150人(2019年)。
(1)霊感商法を含めて違法行為は厳に慎むべきであり、民事的な解決に加えて、警察当局の厳重な取り締まりを期待します。
(2)独自の知識はなく、報道等で勉強しております。
(3)数名の国会議員の方とオウムの反省をテーマに対談したことがありますが、それ以外は全くありません。ましてや、継続的な関係の構築は全くありません。
(4)政権与党に関しては、政教分離原則に基づいて、特定の宗教に肩入れしたり、弾圧したりしないことが原則だと思います。
幸福の科学
1986年、大川隆法総裁が立宗した、仏教を基盤とする新宗教。1991年に宗教法人として認証。2018年には、国内信者数1100万人、海外信者数100万人と発表している。歴史上の偉人など、霊人の思考を明らかにする「霊言」や、3000書を超える大川総裁による著書など、活動は多岐にわたる。幸福実現党の支持母体。
(1)宗教は本来、「神仏の子」としての人格向上や理想社会の実現を目指す素晴らしいものです。組織的に正体を隠した勧誘や詐欺的行為を行うことは、宗教以前の問題だと考えます。
(2)社会的に問題のある団体であるにもかかわらず、それに目をつぶって利用し続けてきたことは問題だと思います。
(3)幸福実現党の地方議員を応援しつつ、独自の国会議員の輩出を目指していますが、信者一人一人の自由意思は尊重しています。
(4)政治は本来、「神仏の理想」を体現した世界を、地上に実現すべきものと考えています。政治が混迷するなかにおいては、宗教はその理想を示す役割があると考えます。
創価学会
1930年に牧口常三郎氏と第2代会長の戸田城聖氏が創立した在家仏教団体。池田大作氏が名誉会長を務める。1952年に宗教法人として認証。総本部は新宿区信濃町。会員数は、公称では日本827万世帯、海外280万人。世界192カ国に活動を広げている。「聖教新聞」などの機関紙の発行や、創価大学などの学校運営も手がける。公明党の支持母体。
(1)ご指摘の宗教団体について委細は分かりかねます。いわゆる霊感商法については、トラブルが多発しており、悪質な社会問題と考えます。
(2)法的な問題や事件を多発させる団体と議員との関係は、政治家自身が高い見識に基づいて、また公職にある者として責任を持って判断すべきものと思います。
(3)(4)当会は公明党の支持団体です。党に対しては、「大衆とともに」との立党精神を根本に、社会の安定と国際社会の平和に寄与する政治を望んでいます。
立正佼成会
1938年に設立された日蓮系・法華系の新宗教。庭野日敬氏が開祖。現在の会長は庭野日鑛氏。信者数は102万世帯、約222万人。創価学会に次ぐ規模の信者数といわれる。本部は東京都杉並区。もともとは霊友会から派生したもの。7月の参院選では立憲民主党の議員を応援していた。
(1)他のご教団に対して評価をする立場にはございません。
(2)他のご教団に対して評価をする立場にはございません。
(3)宗教と政治は、「人々を幸せにする」「調和の世界をつくる」という点で、共通の目的を持っています。私たちは宗教者としての役割を果たしつつ、国や地域社会がより良い方向に向かうよう、政治に対して高い関心を持ち、取り組んでいく必要があると考えています。具体的には、政治に対する基本姿勢「五項目」(生命(いのち)の尊厳を守る、平和主義の推進、思想・良心・信教の自由を守る、政教分離の原則を守る、政治倫理の確立)を政治課題として掲げ、国会議員や地方議員へその実行を求めつつ、「一党一派に偏しない」、「人物本位」を原則として、各拠点(教会)で取り組みを検討し、会員一人ひとりが主体的に判断し投票していけるよう、政治意識の高揚に取り組んでいます。
(4)弊会は、憲法20条を厳守し、政教分離の原則を守ることを大切にしています。政教分離の原則とは、国家と宗教の分離を目指すもので、厳密には、政治権力が特定の宗教教団を援助、あるいは圧迫しないように定めたものと理解しています。そのため、特定の宗教団体が、自らの利益のために政治的影響力を持つことに反対しています。

無回答・回答拒否の団体も。
・霊友会「今回の取材についてはお断わりします」
・天理教「取材はお断わりします」
・日本会議「質問への回答は控えさせていただきます」
・世界救世教「個別のご質問に対するコメントは控えさせていただきたいと存じます」
・PL教団「取材は受けておりません」
・神社本庁「お答えすることはありません」
雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏は、「慎重な模範回答が多い」と解説する。
「多くの団体が社会に糾弾されてきたため、一概に旧統一教会を批判できないのでしょう。そもそも日本の旧統一教会の初代会長は立正佼成会の出身者。冷戦期には当時の保守系新宗教と協力し合い、ここまで大きくなった経緯がある。政治的に政教分離を打ち出すのは当然ですが、創価学会、幸福の科学は、独自の政党の支持母体として積極的に政治に関わっています」
小川氏が注目したのは真如苑の回答だった。
「真如苑は、政界とのつき合いが基本的にないため、回答も歯切れが良い。しかも信者数が減っていないのも特徴的です。一方、創価学会や立正佼成会など、ほぼすべての教団で信者数の減少は深刻です。宗教団体本来の姿に立ち返るべきです」
政治と宗教の関係は変わるのか。
●公明党市議が旧統一教会関連イベント出席でネット騒然!  7/27
安倍晋三元首相(享年67)が銃撃され死亡した事件をきっかけに、次々に白日の下にさらされているのが、政治と旧統一教会との関係だ。
そんな中、公明党の現役議員が旧統一教会系団体「世界平和女性連合(WFWP)」のイベントに参加していたことが、ネット上で話題になっている。米ニューヨークに本部を置くWFWPは、旧統一教会創設者の文鮮明氏と妻の韓鶴子氏が1992年に設立。平和促進や貧困撲滅、女性の経済自立支援などの活動を行っているというNGOだ。
公明党の東大阪市議、吉田聖子氏が19年4月28日、自身のブログに「世界平和連合 春のつどい」という見出しで次の文章をつづっている。
「本日、ホテルアウィーナで、世界平和女性連合春のつどいに、参加させて頂きました」
吉田市議は自身も参加したWFWPの催しで、東大阪市の野田義和市長が記念講演を行い、東大阪市の財政状況について話したことなどを報告している。
これについて、《公明党まで統一教会に接近!》《宗教的に大丈夫?》《党としておとがめなしなの?》といった声がネットに上がっている。それもそのはず、創価学会を支持団体とする公明党の議員が、他の宗教団体、それも旧統一教会関連のイベントに参加していた訳だから、こうした声があがるのも無理はないだろう。
特に問題はないのか、公明党本部に聞いた。
「参加の経緯は、面識のある方からの呼びかけがあったことによるものです。なお、吉田議員は同集会が旧統一教会の関係組織の主催によるものとの認識はありませんでした」
“反統一教会”表明の公明党議員も
「公明党には、公明党議員が旧統一教会関連のイベントに出席することに関してのルール、規定はございません。なお、一般常識として、公明党議員は社会的な問題やトラブルを抱えている団体等との接触を控えることは当然であると認識しており、そのような対応をしています」(公明党広報部)
公明党関係者によると、各議員と旧統一教会の関係について完全には把握していないものの、当然、旧統一教会信者による公明党議員への選挙協力などの支援は受けていないという。
霊感商法や献金被害が報告されている旧統一教会と政界の関係解明に着手し始めた政党がある一方で、多くの議員に関係性が指摘されている自民党は、茂木敏充幹事長が「党と組織的関係はない」と話しているものの、旧統一教会への態度を鮮明にしていない。
公明党の山口那津男代表は政治と宗教の関係について「ノーコメント」としているが、
《【政治家が】旧統一教会のような詐欺まがいの団体に関わり便宜を与える事を控えるのは当然の話 一方【あらゆる宗教の信仰者が】政治や選挙活動に参画し意見を述べるのは、憲法上の信仰や表現の自由で保障された当然の権利 なので『宗教が政治に関わるな』は短絡的な誤りです》
ツイッターでこう話す河西宏一衆議院議員のように、立場を明確にしている公明党議員もいる。
政界は今回の事件をきっかけに、さまざまなトラブルを起こしてきた宗教団体との関係を断ち切ることはできるのか。
●萩生田氏が旧統一教会と「関係断ち切る」明言せず 公明党が激怒! 8/20
これはもう役職を辞任しなければ収まらないのではないか。自民党の萩生田政調会長と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のズブズブ関係は、政権与党の連立関係にとっても軋轢になりつつある。
萩生田氏は、今年6月に生稲晃子参院議員と八王子市内にある旧統一教会の関連施設を訪れていたことについて、「週刊新潮」に報じられるまでダンマリを決め込んでいた。
自民党議員と旧統一教会の関係については、岸田首相が「各自が点検し、見直すように」と指示。政調会長就任後も説明する機会はあったのに、スットボケていたのだ。
報道が出て逃げられなくなり、18日、自民党本部でぶら下がり取材に応じたが、萩生田氏は「適切な対応をしていきたい」と繰り返すばかりで、最後まで「統一教会との関係を絶つ」とは言わなかった。
「萩生田政調会長はメディアの報道を気にして、異常なほどピリピリしている。ワイドショーで政調会長と統一教会の問題を詳報した局の番記者に対しては、『オマエの局は出禁だ』などと言い、何も答えてくれないそうです。先日の自民党本部でのぶら下がり取材も、一部の親しい番記者を通じて、事前に質問数を絞るよう要請していました」(全国紙の政治部記者)
連立を組む公明党もオカンムリだ。北側中央幹事会長は18日の会見で、萩生田氏について「本人がしっかり国民に説明してほしい」と注文をつけ、その上で「社会的な問題が指摘される団体との関係について、政治家は慎重でなければならない」と批判。旧統一教会と親密な自民党議員は他にもいるが、とりわけ公明の萩生田氏に対する怒りは凄まじいのだという。
「10増10減」で八王子を標的にする可能性も
「萩生田さんの選挙区である八王子は、公明党の支持母体である創価学会の牙城で、創価大学もある。そこで学会を軽んじて統一教会を重視する姿勢を見せれば、そりゃあ面白くないでしょう。厄介なのは、1票の格差是正のため衆院小選挙区の区割りを改定する『10増10減』問題にも影響しかねないことです。比例票が退潮傾向の公明は、都市部の選挙区で候補擁立を増やす方針で、選挙区が5つ増える東京では、2選挙区を公明に譲ってほしいと言っている。萩生田さんの対応次第では、大票田の八王子を指定してくるかもしれません」(自民党関係者)
萩生田氏が統一教会との関係を「断ち切る」と明言できなければ、今後の選挙で公明が推薦を出さないことも考えられる。
「茂木幹事長になって自公関係がギクシャクしているところへ、統一教会の問題が持ち上がり、公明党のストレスは相当なものがあると聞きます。今回の件でも公明側には相談も根回しもないことが不満なのかもしれませんが、自民党内でも『萩生田さんの対応はよくない』という声は上がっています」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
萩生田氏がケジメをつけなければ、世論の不満と不信も収まりそうにない。
●旧統一教会が現在も生き残っている理由 筑紫哲也が徹底追及 8/21
岸田文雄首相の拙速な内閣改造は大失敗だった。
NHKの世論調査で支持率は46%と内閣発足後最低になった。コロナ第7波への無策、急激な物価高もあるが、統一教会との関係をキッパリ見直す者を入閣させたと胸を張った改造だったのに、蓋を開けてみれば「統一教会汚染内閣」といってもいいほど教会と関係が深い閣僚ばかりだったということが明らかになったのが大きな理由だろう。
安倍元首相の後継者とみられている萩生田光一政調会長が、参院選の公示直前に、東京選挙区から立候補を予定していた生稲晃子(現参議院議員)を伴って、統一教会の関連施設を訪れていたことが週刊新潮(8月25日号)の取材で明らかになった。
教会と付き合いのあったことを認めた議員たちは、「統一教会の関連団体とは知らなかった」と言い訳するが、「その程度の知識しかなくて閣僚やってるんじゃねぇ」と言いたくなる。
今さらいうまでもないが、統一教会と自民党との関係の根っこには岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三という3代が深く関わっている。週刊文春(8月18.25日号)によると、安倍の地元である山口県下関市は、教団の創設者・文鮮明が早大付属校留学のために日本に来て、初めて足を踏み入れた“聖地”である。父・晋太郎の時代から仕えた筆頭秘書が教団の担当で、信者たちも事務所に出入りしていたそうだ。
国葬よりも、安倍家3代の解明が急務だ
岸田がやるべきは、国葬よりも安倍家3代と教団の闇を徹底解明することだが、安倍晋三の亡霊に操られているがごとき岸田では、できるはずはない。
この問題に腰が引けているNHKやフジテレビは論外だが、新聞、週刊誌も大きなことは言えない。福田達夫なるアホ政治家が統一教会について「何が問題か分からない」と、ふざけたことをほざいたが、彼らを統一教会「痴呆症」にしたのはメディアの責任が大きい。
悪名高い霊感商法の実態をいち早く取り上げ、誌面で大キャンペーンを張ったのが、朝日新聞社が出していた週刊誌「朝日ジャーナル」だった。ちなみに霊感商法と名付けたのもここ。編集長は筑紫哲也。「豊田商事をしのぐ冷血の手口 霊感商法の巨大な被害」(1986年12月5日号)を手始めに徹底追及したのである。
同誌は、北九州市に住むB子(60)の被害額が当時の金額で3700万円にもなったと報じている。夫が非業の死を遂げたB子に、息子の命も危ないと脅し、印鑑、多宝塔、朝鮮人参などを次々に買わせた。他人の不幸に付け込む悪徳商法の典型である。
大きな話題になり、ほかのメディアも追随した。その後、桜田淳子らが合同結婚式に参加するなど、統一教会に注目が集まったが、その後、1995年にオウム事件が起きると、メディアの関心は統一教会から離れてしまった。その間、教団名を変え、関係団体をいくつもつくり、統一教会は生き延びてきた。メディアは今度こそ騒動を一過性で終わらせず、根絶するまで追及しないと、再び同じ悲劇が繰り返される。
他人の不幸に付け込み、何十倍もの値段で壺などを売りつけ、信者の家庭を破壊するカルト教団に「信教の自由」などないことを、メディアは自覚すべきである。 
●萩生田に公明党がブチ切れ!旧統一教会、創価学会、幸福の科学と関係 8/23
「私の演説を聞いていてくださった方のご依頼だったので」
参院選公示前の6月に「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の関連施設を訪問していたことについて、8月18日、自民党の生稲晃子参院議員(54)は会見でこう弁明した。
演説後、聴衆から頼まれたため、急遽施設を訪問したというのだ。しかし、「それはありえません」と疑問を呈するのは、生稲議員の選対を手伝った自民党関係者だ。
「生稲さんの遊説スケジュールは、前日に15分から30分刻みで組まれていました。施設を訪問した6月18日は、11時30分から八王子駅前、13時45分から多摩センター駅前で、自民党市議とともに遊説することが決まっていました。過密なスケジュールの合間を縫って、“急遽”訪問することは不可能です」
一方、生稲議員とともに施設を訪問した萩生田光一政調会長(58)について、全国紙政治部デスクはこう語る。
「萩生田氏は、安倍派のなかでも、選挙地盤の弱い若手議員を統一教会の関連団体などに紹介する役割を担っていたと聞いています」
“脱統一教会”を掲げた第二次岸田内閣にとっては痛手だが、そこには岸田文雄首相(65)の思惑もあるという。
「そもそも岸田首相は、萩生田氏が生稲氏を教会施設に連れて行ったことを、内閣改造前に知っていたというのです」
そう語るのは、別の政治部記者。
「今回の内閣改造で、岸田首相は安倍派を追い詰めすぎて“反岸田”で結束させてはならないと考えていました。そのため、萩生田氏を手元に置く必要があったのです。
萩生田氏が希望した経産相ではなく、党四役である政調会長に起用したのは、『統一教会問題もあり、今回は大臣のポストは与えられないが、それでも岸田首相は萩生田氏を重要視している』というメッセージでした」
政調会長として岸田首相になにかと注文をつけていた高市早苗氏(61)は、経済安保相に起用された。
「部下のいない特命相で、実質的に格下げですが、かねてから高市氏は経済安保を“ライフワークだ”と公言しており、断わりにくいポストなんです。閣僚序列を2位にして、岸田首相は高市氏を支持する岩盤保守への配慮も忘れませんでした」(同前)
高市氏は14日、人事への不満とも取れる〈今も辛い気持ちで一杯です〉というツイートをしている。そんな高市氏のカウンターパートが、萩生田氏に代わって経産相になる西村康稔氏(59)だ。
「西村氏と高市氏はともにポスト安倍候補で、協力体制を組むのは難しいでしょう。
また、西村氏は通商産業省出身で、まだ省内には西村氏より入省年が早い先輩官僚が残っています。西村氏得意のスタンドプレーはやりにくいでしょう。考え抜かれた組閣だと思います」(同前)
飢えた二頭の虎を互いに争わせる「二虎競食の計」。『三国志』で、朝廷を支配するようになった曹操は、劉備に領地の長官のポストを与える一方で、呂布を討つよう密書を送る。それは、劉備と呂布が手を組むことを恐れ、ともに弱体化させるために曹操が仕組んだ罠だった。
岸田首相による安倍チルドレンへの“競食の計”というわけだが、発動する前に事態が思わぬ方向へ動きつつある。自民党都議が明かす。
「公明党の東村邦浩都議が萩生田さんと生稲さんの統一教会施設訪問の話を聞き、激怒しているというのです」
東村都議は創価大学卒で、当選6回の60歳だ。公明党東京都本部副代表、つまり高木陽介代表に次ぐナンバー2であり、都議会の公明党では長年幹事長を務める。
大臣職を歴任した大物国会議員である萩生田氏だが、東村都議に頭が上がらない理由があるという。自民党都連関係者が語る。
「萩生田氏の地盤である八王子には、創価大学や池田大作名誉会長によって創立された東京富士美術館など、学会関連施設が集中しています。当然、八王子で生活を送る学会員も多く、学会の大票田です。萩生田氏が昨年の衆院選で得票した15万票のうち、3割近い約4万4000票を学会票が占めているといわれています」
萩生田氏は2009年の衆院選で落選するなど、もともと選挙に強くはない。4万4000票のありがたみは、身に染みて知っているはずだ。
「そのため、東村都議は『誰のおかげで大臣になれたと思っているんだ』と萩生田氏に面と向かって口にするほどの“大物ぶり”で、萩生田氏は平身低頭して接しています。しかし、内心では忸怩たる思いのようで、創価学会に頼らずにすませたいという思いから、都内で約3万票を持つといわれる統一教会に接触するようになったのです」
しかし、節操のない萩生田氏の振舞いに、怒りの矛先は自民党自体にも向けられている。公明党東京都本部関係者はこう憤る。
「よりによって創価学会のお膝元の八王子で、ほかの教団に媚びを売っていたことに、党幹部は『萩生田との関係は考えものだ』『連立政権や、都議会での自民との協力関係も再考せざるをえない』と、かなり怒っています」
そのなかでも、特に怒り心頭なのが、東村都議というわけだ。だが、萩生田氏への激怒の理由は、生稲氏とのことだけではないという。八王子市議がこう明かした。
「幸福の科学大学です。現在は私塾ですが、大学として認可されることを断念してはいません。萩生田さんは、2014年に初めて同校が文科省に認可申請を出したときから、教団と文科省を仲介していたと報じられています。事実、申請が通らなかったとき、幸福の科学が文科省に提出した弁明請求書にも萩生田さんの関わりを示す記述があります。4万4000票の学会員票に支えられている萩生田さんが、他宗教の大学設置に奔走することに、東村さんはもともと納得していなかったのです」
前出の都連関係者が語る。
「萩生田氏と生稲氏との一件を聞いた東村都議は、『あの野郎、何股かけてんだ!』と怒鳴ったそうです。人づてに聞いて慌てた萩生田氏は、何度も東村氏の携帯に連絡をしているといいます」
東村都議は萩生田氏が創価学会、統一教会、幸福の科学に対して、“三股”をかけていたことに憤激し、ほかの宗教団体にも接近しているのではと疑う様子だったという。
東村都議に、萩生田氏についてのコメントを求めたが、期日までに回答はなかった。
劉備は曹操の罠に気づき、「競食の計」は失敗に終わる。
一方、夏休みでゴルフに温泉と英気を養った岸田首相はコロナ感染を発表。その裏で、自公の盟友関係に亀裂が入ったことに気づいているのか。 
 
 
 
 
 
 

 

●「統一教会払拭内閣」
●内閣改造 旧統一教会、根深さあらわに 8/11
政権運営の火種となる問題に取り急ぎ区切りを付け、挙党態勢を演出する意図が鮮明に浮かび上がる。
岸田文雄首相がきのう、内閣改造と自民党役員人事を行い、第2次岸田改造内閣が発足した。鈴木俊一財務相(衆院岩手2区)や林芳正外相、松野博一官房長官ら5人を留任させ、要所要所に実力派の閣僚経験者を充てた。
新型コロナウイルスの感染拡大や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題で内閣支持率が急落する中、党内融和と安定感を重視した布陣で「戦後最大級の難局」(岸田首相)に向き合う姿勢を示したかったのだろう。
最も特徴的なのは、関連団体を含め旧統一教会と関係があった岸信夫防衛相ら7人を交代させたにもかかわらず、改造内閣でも山際大志郎経済再生担当相ら5人に何らかのつながりがあったことが新たに判明したことだ。
岸田首相は新たな閣僚、党役員には旧統一教会との関係を「自ら点検し、厳正に見直すことが前提」とくぎを刺し排除に努めていたが、むしろ改めて、その関係の根深さが印象づけられた。
政治家と旧統一教会の関わり方は、選挙での集票や関係者からの献金、イベントへの出席、祝電などさまざま。安倍派を中心に多くの議員が接点を持っていた。
共同通信社の先月末の世論調査では、旧統一教会と政界との関係について実態解明の「必要がある」と答えた人が8割を超えた。
霊感商法などの反社会的な行為が明らかになった団体がなぜ、たやすく政界に浸透し影響力を持つようになったのか。国民の疑問はさらに深まったと言わざるを得ない。
自民党が2012年にまとめた改憲草案は、緊急事態条項の創設や「国防軍」の明記など、旧統一教会系の政治団体「国際勝共連合」の改憲案と共通点が多いことが明らかになっている。
イデオロギー的な共鳴が政界への浸透につながっていた面もあろう。国会の場でしっかり説明してもらわなくてはならない。
党役員人事では最大派閥の安倍派への配慮が目を引く。
萩生田光一経済産業相は旧統一教会関連のイベントであいさつしたことを認めていたが、政調会長に処遇した。
党内で異論が多い衆院選小選挙区定数の「10増10減」の調整に派閥の力も期待したのだろう。
閣僚人事には、重点政策を確実に前進させる意欲も読み取れる。防衛力の抜本的な強化に向け、浜田靖一元防衛相を再登板させるなど、経験者の起用が目立った。
総じて手堅い人選となった中で、環境相に西村明宏元官房副長官(衆院宮城3区)、復興相に秋葉賢也元首相補佐官(衆院比例東北)が初入閣した。それぞれ十分に力を発揮してほしい。
●山際大臣が一転“統一教会”との関係認める 留任後表明に“後出しだ...”  8/11
大臣を続投する山際経済再生担当相。続投が決まったあとに突然、旧統一教会との関わりを認め、「後出し」との批判が広がっている。
10日に行われた旧統一教会の2度目の会見。
山上容疑者と同様に、信者の親を持つ40代の元2世信者は、いら立ちを募らせていた。
“統一教会”元二世信者(40代)「全部うそですよね。現役信者を安心させるための一方的な発表会みたいな感じ」
旧統一教会が、岸田首相が行った内閣改造と同じ日に会見したことについても批判した。
“統一教会”元二世信者(40代)「自民党に対する逆ギレ会見。逆に自民党に切られたんだなと僕は解釈しましたけどね」
岸田首相は、旧統一教会との関係の点検と見直しが入閣の前提条件だったと明かした。
岸田首相「私から閣僚に対しては、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果をふまえて厳正に見直すことを言明し、それを了解した者のみを任命いたしました」
ところが今回、大臣を続投した山際経済再生担当相は、留任決定後に教団との関わりを認めた。
これが、いわゆる“後出しじゃんけん”ではないかと波紋が広がっている。
今回、内閣改造を前に旧統一教会との関係を認めた7人の閣僚は、全て交代した。
一方、改造までに申告しなかった山際大臣は続投。
事前に自己申告をした人が損をしたとも見える人事になっている。
山際大臣は先週の会見で、旧統一教会との関係を問われると...。
山際経済再生相「この場でのお答えは差し控えたいと思います」
内閣改造が2日後に迫った8日も、歯切れの悪い受け答えで回答を保留していた。
山際経済再生相「きちっと点検はさせていただいたうえで、適切に対応してまいりたい」
記者「明らかにはされない?」
山際経済再生相「今のところは」
記者「いつごろめど?」
山際経済再生相「点検次第だと思いますが...」
ところが、大臣の続投が決まった10日の会見は...。
山際経済再生相「過去に“統一教会”に関連するとされる団体のイベントに出席したことがあることがわかりました」
2018年に関連団体の会合に出席していたことを、初めて認めた。
なぜこのタイミングで発表したのか。答えに詰まる場面もあった。
山際経済再生相「タイミングのことは...なぜというか...。首相から点検したものを明らかにして、そのうえで厳正に見直しをするようご指示がありましたので、それを受けてこのタイミングになったと。そうご理解いただければと思います」
ただ、続投が内定する前にこの件を直接、岸田首相には説明していないと明らかにした。
山際大臣の地元、神奈川・川崎市では、有権者からは「後出しの留任だ」と厳しい声が出ている。
地元有権者(40代)「みんな気にしているところだと思うので、そこは明確にしたうえで、留任するかしないかというところはあってほしかった。“後出しじゃんけん”感は思いっきりありますね」
地元有権者(40代)「(“後出しじゃんけん”感)ありますね。その話聞くと」
野党からも批判の声が上がっている。
共産党・山添議員はツイッターに「問題意識が低かったということであり、岸田首相はその山際氏を留任させた。関係一掃にはほど遠いではないか」と投稿。
改造内閣の発足初日で、7人の閣僚が旧統一教会との関係を明らかにする事態となった。
自民党内からも「何のための改造だったかわからなくなる」と問題の長期化を懸念する声が上がっている。
●藤原崇衆院議員 旧統一教会関連会合出席「地元から要請あった」 8/11
世界平和統一家庭連合「旧統一教会」と関連のある会合に自民党岩手県連会長の藤原崇衆議院議員が出席していたことが分かった。藤原氏は11日、報道陣の取材に対し、「地元から要請があった」と釈明した。
11日、盛岡市内で行われた自民党県連の会合に姿を見せた藤原崇衆議院議員。旧統一教会と政治家との関わりが問題となっているが、藤原氏は去年6月、教団関係者が顧問の1人として名を連ねる議員連合の会合に出席していた。藤原氏は自身と教団との関わりを否定し、次のように釈明した。
(藤原崇氏)「地元の方から参加してほしいと要請がありまして、それを受けて出席したと」「バックボーンがそういうものだとは認識していなかったという点では軽率だった」
また、2021年の衆院選や2022年の参院選で教団からの支援があったかどうかについては「支援を受けていない」と否定した。
●藤原崇衆院議員が旧統一教会友好団体会合に出席「軽率だった」 岩手県 8/11
岩手3区選出の自民党の藤原崇衆院議員が8月11日取材に応じ、2021年、旧統一教会の友好団体が開いた会合に出席したことを認め、「軽率だった」と釈明しました。
自民党の藤原崇衆院議員は11日、岩手県盛岡市内で取材に応じ、2021年6月に旧統一教会の友好団体が開いた会合に出席していたことを認めました。
藤原崇衆院議員「地元の人から参加してほしいと要請があり出席した。バックボーンがそう(旧統一教会関係)と認識していなかったことは軽率だった」
一方、一関市内の教団の支部に、藤原議員のポスターが貼られていたことも判明しています。
藤原崇衆院議員「おそらく地元の人が頼んだのかなと思うが確認しているところ」
そのうえで教団や関係団体からの献金や選挙での支援は「受けていない」とし、今後は「基本的には関わりを持たない」と弁明しました。
●自民党県連・藤原会長が旧統一教会関係する議員連合の会合に出席 8/11
旧統一教会=現在の世界平和統一家庭連合と政治家の関係を巡る問題で、衆院岩手3区選出で自民党岩手県連の藤原崇会長が、去年6月に行われた関係する団体の会合に出席したことを認めました。
去年6月、衆議院議員会館で旧統一教会の関連団体トップと自民党議員が参加した「日本・世界平和議員連合懇談会第一回総会」が開かれました。その中に、細田博之衆院議長とともにガッツポーズをする自民党県連の藤原崇会長の姿があります。
この会合について、藤原会長はきょう盛岡市内で取材に応じ、出席を認めました。
自民党県連 藤原崇会長「地元の方からですね、参加をしてほしいという要請がありまして、それを受けて出席をしたということになっております。ちょっとそのバックボーンがですね、そういうものだということまでは認識はしていなかったという点では軽率だったなと思ってます。私の方は金銭的なもの(支援)はないと、収支報告上もないと思ってます」
去年の衆院選や7月の参院選での組織的支援については否定しました。
藤原崇会長「個人としてですね、もしかしたらそういう関係の方がいらっしゃったのかもしれませんけど、そこは個人のどういうバックボーンがあるかというのは把握をしていないので、組織的にはないということであります」
藤原会長は今後会合に出席する際のチェックの徹底を図るとともに、旧統一教会との関わりを持たないと述べました。

 

●旧統一教会との関係を清算できない自民党の病。岸田首相よ、決断しろ! 8/12
安倍晋三元首相が暗殺された事件をきっかけに、政治家と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のただならぬ関係が次々と明るみに出ている。
旧統一教会は悪質な霊感商法や献金トラブルなどで、多くの被害者を生み出した反社会的団体だ。にもかかわらず、安倍派を中心に多くの国会議員が選挙ボランティアや献金などの支援を受け、公然と教会のイベントに出席したり、祝電を送ったりしている。
しかも、当選1、2回の陣笠(じんがさ)議員だけでなく現職の大物閣僚や知事など、政府や自治体の要職にある政治家まで密接な関係を持っていた。経験豊富な政治家が、有力政治家を教会の広告塔として使おうという旧統一教会側の思惑どおりに、しかも公然と動いたのだ。
通産省(現・経産省)で大臣秘書の経験がある私の感覚からすれば、こうした関係はありえないことだ。
大臣や知事には秘書官らの優秀なスタッフがつき、政務の日程を含め多忙な政治家のスケジュールなどを管理する。会合への出席、来賓あいさつ、祝電などの依頼が多数来るが、相手先の調査を行ない問題があれば、たとえ大臣であっても秘書官らから要請を断るよう強く進言し、大臣もこれを受け入れるのが普通だ。
多くの訴訟を起こされ、その被害認定が最高裁で確定している旧統一教会のような団体は暴力団並みの扱いで、真っ先に除外されるはずだ。ある知事経験者も、在任中に教会関係の団体からアプローチが何回もあったが、事務方から「絶対だめ」と言われてすべて断ったと私に語っている。
なのに、自民を中心に多くの政治家が公然と旧統一教会とのつながりを強めたのは安倍元首相の存在があったからだろう。元首相は関連団体の集会にビデオメッセージを送ったり、確認されただけで6度も機関紙の表紙を飾ったりするなど、旧統一教会との関係をあえて誇示していた。
ある安倍派議員の話では、安倍元首相は、選挙時には公称60万人の信者のいわゆる「統一教会票」の票割りを教会側に依頼できるほどの親密ぶりだったが、安倍派の中では多くの議員がこれを知っていたそうだ。
ちなみに、第2次安倍政権がスタートした2012年以降、13年、16年、19年、22年の各参院選で旧統一教会が元首相の差配で特定の自民候補を支援したことが伊達忠一前参院議長ら、複数の自民議員が証言している。
こうした安倍元首相の振る舞いを見れば、多くの政治家が「時の首相が堂々とやってるんだから大丈夫」と考えたのは当然だ。
問題はそれだけにとどまらない。伝統的家族観を重視する教会の支援を受けるために、「選択的夫婦別姓」や「同性婚の実現」に反対して教会に媚びを売る保守$ュ治家が増えたことで、国家の基本政策を歪めるという深刻な事態も生じている。
「モリ・カケ・桜」で示された安倍元首相の倫理観は「捕まらなければ何をやってもよい」だった。この日本政治トップの「地に堕ちた倫理観」が自民党内に蔓延(まんえん)し、霞が関の官僚たちも汚染した。これを正すには、現職のトップ・岸田文雄首相が旧統一教会との一切の関係を絶つと明言するしかない。
そして、それは建前≠ナも構わない。今や「李下(りか)に冠を正さず」という本来政治家が従うべき倫理観は、「建前」としてさえ存在しなくなったとしか思えないからだ。
●政治と旧統一教会 疑惑の教団と一線を画せ 8/12
政府や政治家は、疑念を払拭できない教団とは明確に一線を画すべきである。まっとうな政治活動や政策まで白眼視される状況を深刻に受け止めなければならない。国民の信用、信頼を失えば、政治は前に進めない。
第2次岸田改造内閣が発足した。岸田文雄首相が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係の有無を点検するよう指示し、「結果を踏まえて厳正に見直すよう厳命し、了解した者のみを任命した」と述べた陣容である。
同じ日、都内で会見した旧統一教会はこうした任命基準について「誠に遺憾」と述べた。だが、過去に霊感商法や洗脳による合同結婚式、高額の寄付などで多くの被害者を出した教団と明確に一線を画すべきは当然である。
会見で旧統一教会側は「当法人が霊感商法を行ったことは過去も現在もない」と述べ、合同結婚式については離婚率2%の数字をあげて正当性を主張した。被害者の救済に取り組む弁護士らは、極端に低い数字は離婚すら難しい異常性を表したものととらえる。会見は、教団が現在も被害者を生み続けているのではないかとの疑念を払拭するには至らなかった。
複数の新閣僚からも旧統一教会との関係が報告された。関係には濃淡があり、関連団体は数多く、全てを把握するのは難しかったろう。ただ、国際勝共連合が旧統一教会の関連団体とは知らなかった―との弁明には耳を疑った。事実なら、政治家として不勉強、無知も甚だしい。
勝共連合は当初、反共を旗印に自民党右派や右翼団体と接触を図った。これは歴史的事実である。目的が近い団体との接近は自然なことだったろうが、表裏一体の教団による霊感商法などの反社会的活動が明らかになった時点で関係を断つべきだった。
一方で、政府や自民党の政策が旧統一教会の影響を受けているとの批判は教団の過大評価だろう。岸田首相は「旧統一教会の政策が不当に自民党の政策に影響を与えたと認識していない」と強調している。憲法改正などの公約は、教団と関わる以前からの自民党の党是である。
一連の批判は、安倍晋三元首相銃撃事件に端を発した。留意すべきは、このことを決してテロの肯定に結び付けないことだ。次の事件を誘発しないために。 

 

●岸田新内閣には神政連関連18人、日本会議関連11人…“差別容認集団” 8/14
「心機一転。気持ちを新たに難局突破」──。10日の内閣改造後、岸田首相がこう言ったそばから、問題の旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)側と関係のある閣僚が7人も発覚。内閣支持率も下落しているが、自民党を支援する「宗教右翼」は旧統一教会だけではない。差別を容認するような組織と蜜月関係にある議員が改造を機にウヨウヨと入閣し、宗教色が一層濃厚になっているのだ。
問題の組織は、神社本庁と一体化した「神道政治連盟」と、安倍政権時代から自民党との蜜月関係が取りざたされてきた右派団体「日本会議」。日刊ゲンダイの調べで、全20閣僚のうち、神政連を支援する議員連盟の会員は18人、日本会議国会議員懇談会への所属が確認できたのは11人に上った(別表)。特に、神政連議連の会員になっている閣僚は改造前から3人増えている。
神政連といえば、性的マイノリティーへの差別的思想を持ついわく付きの団体だ。参院選直前、神政連の議連会合で配られた冊子に「同性愛は精神障害で依存症」などとLGBTに対する差別的な内容が書かれていたことが分かり、問題視された。今回の改造内閣で非会員だったのは、公明党の斉藤国交相ら2人だけ。会員の議員は選挙のたび、神政連の支援を受けている。
神政連、日本会議両議連と関係があったのは、岸田首相本人に加え、安倍元首相シンパの高市経済安保相、西村康稔経産相ら10閣僚。旧統一教会と関係がある閣僚数を上回っている。宗教問題に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏はこう言う。
「日本会議と神政連、さらに旧統一教会は家父長制という伝統的な家族観を重視している点で、考えが一致しています。その思想には、性的マイノリティーの権利抑圧、女性蔑視といった差別的な内容が含まれている。掲げる政策を見る限り、各団体と自民党内の保守派が思想を共有しているのは間違いないでしょう。ですから、仮に今回、自民党が旧統一教会との関係を“清算”できたとしても、日本会議と神政連の影響を排除できなければ何も変わりません。政権内に復古的な価値観が根付いたままになってしまうでしょう」
一体どこが「心機一転」なのか。ジェンダーフリーと逆行する「古色蒼然」もいいところだ。 

 

●「統一教会払拭内閣」が真意なら岸田首相は致命的ミスを犯した 8/17
旧統一教会問題を隠すための内閣改造なのか
8月10日に第2次岸田改造内閣が発足した。先の参議院選挙の与党勝利を受けて内閣改造があることは予想されていた。ただ、安倍晋三元首相の銃撃死から時間がたっていないこともあり、新内閣の発足は9月に入ってからではないかという見立てが多かった。大方の予想を裏切る早期の人事だ。
真の理由は本人の胸の内にあるとしても、巷間この改造は、内閣支持率の低下に危機感を持った岸田文雄首相が早期の人事による人心の一新を狙ったものだと解説されている。全てではないとしても、狙いの一部ではあるのだろう。
しかし、安倍氏の衝撃的な死の余波が意外な形で影響している。当初は、その死があまりに理不尽だったことから安倍氏への同情と彼の業績への賛美が世論を覆っていた。ところが、山上徹也容疑者が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対する個人的な恨みを動機としていたと報じられたことから、次第に世間の関心が旧統一教会と政治家の関係に移った。
こうした推移は、山上容疑者の意図に沿うもののようであって、やるかたない思いがする。
一方、霊感商法などの社会問題に発展するほどの活動を行ってきた旧統一教会と政治家の間の、選挙・宣伝・資金・スタッフなどを通じた深い関係は、それ自体として重大だ。既存のメディアがこの問題を十分報じてこなかったことにも問題があった。
銃撃事件の際にも多くのメディアは報道にあって、しばらくの間「宗教団体」の固有名詞を挙げなかったが、こうした姿勢でいいのか。率直に言って、政治家と同じくらいメディアも頼りないし、両者の間には「暗黙の了解」があったということだろう。
さて、この問題について岸田政権側は、しばらく時がたつと世間の関心が薄れると思ったのかもしれないが、今のところ見込み違いだった。過去の関連事実は動かしがたい証拠と共にまだ出てくるだろう。さらに、それを公開していなかった政治家はいかにも「やましい」感じに見えるので、旧統一教会問題は、メディアが記事を作るには格好のテーマだ。
今回の内閣改造が、「旧統一教会隠し」が目的なのだとすると、岸田氏は少なくともタイミングを間違えたように見える。
岸田首相の決定的なミス 説明責任の転嫁はあり得ない
今回の組閣で岸田首相が間違えたのは、タイミングだけではない。旧統一教会と関係のある新しい閣僚・党役員への対応を決定的に誤った。
旧統一教会との関係について、新しい閣僚・党役員各自が自ら公開・説明し、自らが不適任ではないことの判断に対して責任を負えとしたのは、首相として決定的なミスだったのではないか。岸田氏は、この問題に関する任命責任を負いたくないと考えて候補者各自に説明責任を転嫁したつもりだろうが、組織のリーダーとしてこれはあり得ない。
例えば、ある大企業で広範囲の幹部社員が社会的に不適当な行為に手を染めていたとしよう。今、筆者の頭に浮かぶ一番近い事例は、多くの幹部社員が原子力発電所の立地自治体の関係者から金品を受け取っていた某電力会社だ。ただ、検査データをごまかしていたメーカーや、損失を隠していた上場企業などを思い浮かべてもらってもいい。
こうした不祥事企業で、不正に関わった役員を再任するときに、役員候補本人の自己申告と良心に基づいて任命するのでは、株主にも世間にも納得感は全くない。それでも再任されるかもしれないのが、日本の会社で起こりがちな問題点だが、日本政府が某電力会社くらい腐っていていいはずはない。もちろん政府なのだから、一企業よりも世間の関心の的になる。
岸田氏にとっての問題は次のようなものだった。
旧統一教会問題は、
(1)政治家にとって何がしかは「やましい」点のある問題だ。
(2)関わりのある与党政治家は、濃淡の別はあっても多数いて「処分なし」でも「全員処分」でも組織が保たない。
(3)世間はこの問題の処理に大いに注目している(現在はおそらく関心がピークの時期だろう。何と間の悪い組閣だったことか)。
ここで組織のリーダーである岸田氏が取るべき行動は、組織として許容できる損害の現実的な線引きを決めて、自分がその線引きの責任を引き受けて矢面に立ち、ダメージコントロールに努めることだ。それ以外にない。
それなら、国民が納得する可能性があるし、納得しない場合は支持率を犠牲に強行突破するしかないかもしれない。少なくとも、そうしなければ組織のメンバーには信頼されまい。岸田氏は腹をくくるべきだった。普通の企業経営者にも十分に分かるレベルの理屈だ。
こうした責任から逃げる態度を見せては、国民に誠意と能力のなさを見抜かれる。各方面の調査での組閣後の内閣支持率低下は当然だろう。
自民党総裁を争ったライバルたちの今 効果的「脅し」を放った高市早苗氏
実は、今回入閣した有力政治家で岸田氏のミスをうまく利用した人物がいる。前回の自民党総裁選挙で岸田氏と総裁を争った、高市早苗経済安全保障担当相だ。
彼女は、21年前に旧統一教会に関連する雑誌の対談に登場していたことを認めつつ、次のようにTwitter上でツイートした。
「組閣前夜に岸田総理から入閣要請のお電話を頂いた時には、優秀な小林鷹之大臣の留任をお願いするとともに、21年前の掲載誌についても報告を致しました。翌日は入閣の変更が無かったことに戸惑い、今も辛い気持ちで一杯です」
このツイートには、(1)自分は岸田氏に21年前の事実を報告した、(2)自分自身は今回ポストに就くことが不適任だと判断した、(3)しかし岸田氏は自分を任命した、という経緯が表現されている。
これは、政治的に極めて巧みな表明だ。まず、岸田氏に対しては効果的な脅しになっている。任命の決定責任が彼の側にあったことを世間にさらすと共に、高市氏がこの件を理由に辞任した場合に内閣に対して大きな打撃になる可能性を示唆しているからだ。
また、旧統一教会との関係が高市氏よりも深い政治家は多数いて、この中には彼女の政治的ライバルが複数含まれる。防衛相でも経済産業相でもない今回の経済安全保障担当相というポストは、彼女の政治的な実績と立場を考えると軽量だ。「捨てて惜しいポスト」では全くないだろう。
デジタル相・消費者問題担当相の河野太郎氏は「お手並み拝見」
一方、同じ総裁選を戦った候補である河野太郎氏は、デジタル相のポストを悪くないと考えて引き受けたように思われる。菅内閣時代に「印鑑廃止」で大いに注目を集めたのと似た立ち位置だ。
日本の行政のデジタル化が非常に遅れていることは周知の事実だ。しかし、それだけにかえって、世界的にも先端を行くシステム化とその適用の標準化はやりやすいかもしれないと期待しておこう。
省庁ごと、自治体ごとに導入されている既存のシステムには、そのシステムを囲い込んで商売にしているシステムベンダーがいる。そのため、彼らが自分たちの利益を守ろうとする際のあれこれには大いに警戒が必要だ。特定のベンダーに「ロックイン(固定)」されないシステムを構築して早急に普及できれば、わが国にとっての功績は極めて大きい。「お手並み拝見」だ。
また、河野氏が消費者問題担当相を兼務していることも注目に値する。同氏は早速「霊感商法」に関する検討会の立ち上げに言及した。この検討会は、旧統一教会問題への政府の対処として岸田氏に恩を売ることができるかもしれない。一方で、新たな問題を掘り起こして政権のマイナス要素にもなり得るので、大いに注目できる。
企業の世界に置き換えると、社長を争った候補が3人いて、運良く社長になった1人には能力と人望がなく、敗れた1人は社長を隙あらば批判する構えを見せている。さらに、もう1人の敗者は新しい担当部署で気を取り直したように振る舞っている。組織にあって人間はいろいろだ。
注目は「経産相」を巡る2人の人事 安倍派の主導権争いにも波及
組閣に当たって岸田氏は内閣の「骨格」は残すと言った。その発言を受けて、前経産相の萩生田光一氏は「俺は骨格じゃなかったのか」と会見で発言したことが報じられた。自分の人事に対する不満の言明は異例だ。萩生田氏は閣僚を外されて、党の政務調査会長に任命された。
そして新しい経産相には、安倍氏の死去後の安部派の主導権を萩生田氏と争っている1人と目される西村康稔氏が任命された。
岸田氏が後任に安部派内のライバルを充てて萩生田氏に意地悪をしたようにも見える。また逆の見方としては、萩生田氏は内閣の縛りのない立場で党務や閥務に専念できるので安部派内での立場が有利になるのではないかとも言われている。確言できないが、実態は後者だろうか。1年たつと分かるだろう。
さて、西村氏は就任早々の記者会見で原発の再稼働に意欲を見せた。原発活用の必要性は多くの人が認めるところだが、現時点で安全審査や自治体の同意がない原発にまで再稼働の意向を示したのはいかがなものか。
本来は専門的な検討を要する問題であり、審査や自治体を飛び越して今の時点で新任の大臣が判断できる問題ではない理屈だ。余計な反発を招く可能性もある。一言で言って発言が「軽すぎる」のではないか。重要ポストであるだけに西村氏の政治的力量が心配だ。
経産省の所轄範囲には課題が多い。まずは、エネルギーの確保とマネジメントの問題がある。その中に含まれるサハリン1、2を巡るロシアとの交渉も難題だ。
加えて、世界的に米国側と中国・ロシア側に二分されてサプライチェーンが再編成される中で、円安を背景として、日本の産業は本来「ビッグチャンス」を迎えている。半導体製造に関連する業界などをはじめとして、これをいかに生かしていくかが経産行政には問われている。競争を阻害して企業を強くしない「護送船団方式」や「オールジャパン方式」を卒業した、時代に適応した産業政策を期待したい。
財務相の留任には失望 新たな厚労相には大いに期待
政策の重要性を考えると、財務相と厚生労働相のポストにも大いに注目したい。
鈴木俊一財務相の留任には、率直に言って失望した。財務相というポストは確かに内閣の「骨格」の一部なのだろうが、岸田内閣時代の鈴木氏には、自分で考えた重要政策を語ったイメージがない。官僚の言いなりだったのではないか。唯一記憶に残っている発言は、財務相の立場としては軽率で短慮とも思える「悪い円安論」(論と言うほどのものではなかったが)くらいだ。
岸田氏の過去の発言を思い起こすと、もともと緊縮財政に傾きやすい傾向があった。早過ぎる緊縮財政政策は、日本銀行の人事を通じた金融政策転換に次ぐ日本経済の「岸田リスク」の一つだ。鈴木財務相にその歯止め役は全く期待できないだろう。
もう一つ注目すべきポストは厚労相だ。国政選挙がない、政権にとっての「黄金の3年」を利用した社会保障改革に期待がかかる。加えて喫緊の問題として新型コロナウイルス対策がある。さらに、労働を巡る制度にも関わる超重要ポストだ。
このポストには、菅内閣の官房長官だった加藤勝信氏が就任した。官房長官として仕えた首相に連座した「一回休み」を経て、満を持しての登板だ。加藤氏は経験があり、政治的なキャリアも豊富だ。実務能力に期待できそうで、先の西村氏などよりは安定感がある。
ただし、一般論として、仕事をこなす能力の持ち主と責任を負いつつ賛否のある意思決定を行う胆力の持ち主は必ずしも一致しないから、安心はできない。
加藤氏は、このポストで功績を上げた場合に、次期首相候補の1人に十分なり得る政治的なポジションの持ち主だ。そろそろ政治家として勝負所ではないか。現段階では、大いに期待するとだけ述べておく。 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 
 
 

 



2022/8