安倍元総理 暗殺される

安倍元総理
大和西大寺駅前  参議院選挙 応援演説中
銃殺 暗殺される ・・・  無念

とは言え 自民党の裏側 
長期政権  票になるなら 何でもありの闇
パンドラの箱 開けてくれました

山上徹也容疑者に感謝します
できるものなら  せっかくですから 
自民党の大掃除になることを期待しましょう

おまけ
やはり日本には 「商業マスメディア」しかありませんでした
忖度メディアばかり
事件が起きて 目を覚ましました

 


山上徹也 / 7/87/97/10・・・世界平和統一家庭連合創価学会・・・
国内報道 / 7/87/97/107/117/127/137/147/157/167/177/187/197/207/217/227/237/247/257/267/277/287/297/307/31・・・
8/18/28/38/48/58/68/78/88/98/10・・・8/118/128/138/148/158/168/178/188/198/20・・・8/228/238/248/258/268/278/28・・・
海外報道 / 7/87/9・・・
関連諸話 / 7/8・・・
 

 

●事件 山上徹也
 
 
●安倍晋三元首相67歳で死去 奈良で街頭演説中に背後から銃撃 7/8
自民党の安倍晋三元首相が8日、奈良県橿原市の病院で死去した。67歳だった。安倍氏は同日午前11時半ごろ、参院選の街頭演説を行っていた奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説中、元海上自衛隊員の職業不詳山上徹也容疑者(41)に背後から撃たれた。
 
 

 

●山上徹也容疑者犯行前の動きに複数証言「うろうろして様子おかしかった」 7/9
近鉄大和西大寺駅北口で街頭演説中に銃撃され、死亡した安倍晋三元首相。殺人容疑で逮捕された山上徹也容疑者(41)の犯行前の動きが複数の証言により浮かび上がってきた。
男は当初、駅北口の向かい側、北西にあるビルの下で様子をうかがうようにしていたという。演説が始まると横断歩道を渡る形で目の前を2〜3度、ゆっくりと歩くのを目撃されている。現場にいた男性は「うろうろしていて、様子がおかしかった。きょろきょろしているようにも見えました」と明かした。
演説が行われていたのは、駅前ロータリーから続く横断歩道の中央付近にある一角。安倍元首相が登壇する頃になると、男は当初いたビルの下とは反対側、駅ロータリーのバス停付近に移動した。同元首相からは死角になる場所だった。
近くにいたという女性によると、安倍元首相が登壇すると男は拍手をしていたという。演説が始まり、1〜2分が経過すると、バス停付近から歩いて安倍元首相の背後に近づいた。
60代女性によれば「道の真ん中に立ち、安倍さんの後ろから至近距離で大きな銃のようなものを構えた」。別の女性は「カバンから大きな双眼鏡のようなものを出したと思ったら、花火が打ち上がるような大きな音がした」。10代男性は「1発目の発砲が聞こえると、安倍さんがよろめくような感じになった。2発目の音が鳴ってすぐに倒れた」と当時の状況を説明した。
発砲された瞬間に白煙が上がり、炎のようなものが見えたとの証言もある。
現場は悲鳴とともに、拡声器で「看護師の資格を持っている人はいませんか」「早く救急車を呼んで」という声が響き、騒然とした雰囲気に包まれた。
●山上容疑者は県内有数の進学校出身…将来は「わからん」 7/9
奈良市内で参院選の街頭演説中に安倍晋三・元首相(67)が銃撃され、死亡した事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された元海上自衛官の無職山上徹也容疑者(41)は、今年4月半ばに当時の仕事を休み、そのまま退職していた。自宅からは手製の銃数丁が見つかり、奈良県警はこの前後には銃を手作りするなど準備を進めていた可能性があるとみている。最近は周囲と交流がなかったといい、県警は動機の全容解明を急いでいる。
山上容疑者は奈良県内有数の進学校である県立高校出身。同級生によると、休み時間に友人と談笑するなど、「どこにでもいる高校生」という印象だったという。卒業アルバムには笑顔の写真が収められ、生まれた時の体重が記されている。自分の将来については「わからん。」と書かれていた。
山上容疑者は1999年に高校を卒業した後、2003〜05年、海上自衛隊に所属。この頃に銃に関する知識を得たとみられる。
20年10月から今年5月までは、京都府内の工場に派遣社員として勤務し、フォークリフトで倉庫の荷物を運ぶ仕事をしていた。工場の関係者によると、仕事ぶりはまじめで、トラブルもなかったが、口数は少なく、同僚との交流もほとんどなかった。4月半ば頃に「体調が悪い」と言って職場に来なくなり、その後、本人の意向で退職した。その際、「次の仕事は決まっていない」と話していたという。
元同僚の50歳代の男性は「昼食時、他のみんなが食堂に行く中、いつも車の中で一人で食べていた。人間関係を築くのが苦手なのかと思っていた」と話した。
山上容疑者の実家は奈良市内にあり、母親と兄、妹と暮らしていた。父親はすでに亡くなっているという。
「自宅から物音」
事件時は現場から約3キロ離れた同市内のマンションで一人暮らしをしていた。
隣室に住む50歳代女性によると、山上容疑者は会った際にあいさつするなど、まじめな印象で、朝は自転車で外出し、夕方や夜に帰宅していたという。
しかし、2週間ほど前から山上容疑者の自宅から「カチャカチャ」と金属で作業をするような音がよく聞こえてきたといい、女性は「何をしているか不審に感じていた」と話していた。
県警による自宅の捜索は8日午後5時過ぎから6時間以上にわたって行われた。自宅はワンルームで、県警は手製の銃数丁やパソコンなど数十点を押収。実家も捜索し、ノートや書籍など数点を押収した。
自宅の捜索では「爆発の可能性がある」として、県警の爆発物処理班が出動。防弾チョッキや盾などを装備して室内に入り、周辺住民に避難を呼びかけ、騒然となった。県警が確認した結果、爆発する可能性があるものはなかったという。
県警は、山上容疑者が自宅で銃を作っていたとみており、火薬などの入手ルートの確認を進めている。
●安倍元首相銃殺の山上徹也の“意外な青春時代”と“事件直前の異変” 7/9
《安倍元首相銃撃》「家を全然出たがらない子だった」「挨拶しても俯いたり、目をそらす」“計画的な犯行”で元首相を銃殺した山上徹也容疑者(41)の“正体”とは から続く
「名前が徹也なので、中学校時代は親しみを込めて『こてつ』と呼ばれていました。バスケットボール部に所属して運動神経も良く、県内随一の進学校に行けるほど頭も良かったようです。そんな子が日本を揺るがすこんな大事件を起こすなんて……」(山上容疑者の知人)
7月8日に近鉄大和西大寺駅前で応援演説のため壇上に登った安倍晋三元首相(67)が背後から狙撃され、死亡した事件から一夜が明けた。犯行直後、殺人未遂容疑で逮捕されたのは、現場からほど近いマンションに1人で暮らす、山上徹也容疑者(41)。
あまりに唐突な悲報に国内外からは悲嘆と驚きの声があがるなか、謎に包まれた山上容疑者の素顔が徐々に明らかになってきた。
山上容疑者が“危険人物”になった時期
すでに報じられているように、山上容疑者は2002〜2005年までの約3年間、海上自衛隊の任期制自衛官を務めていたとされる。8日夜に行われた家宅捜索では、奈良市大宮町の自宅から手製の銃数丁と爆発物が押収され、住民退避が促されるなど、山上容疑者は一見して分かりやすい“危険人物”のように見える。
山上容疑者の印象について、近隣住民からは「挨拶も返さなくて不愛想だった」という声があがる一方、学生時代の山上容疑者の知人たちは、こうした最近の姿とのギャップに驚きを隠せないようだ。
「山上くんは小学校の時、よく遊びましたよ。近所でかくれんぼをしたり、公園でキックベースをしたり、コインランドリーに置いてある少年ジャンプを一緒に読みに行ったこともありましたね。家にもお邪魔したことがあって、一緒にファミコンでマリオをやりました。お母さんも感じの良い優しい方で、遊びに行くと麦茶を出してくれたのを覚えています。おとなしい子でしたが、こんな事件を起こすような人物には見えませんでした」(小学生時代の友人)
別の小中学校時代の同級生も「とにかく頭がよかった」と証言する。
「成績は常にトップ。テストも上位常連組でした。授業中、難しい問題を解説するために先生から指名されることもよくありました。時には勉強しているのか、分厚い本を休み時間に読んでいることもありました。かといって運動音痴でもなく、むしろ休み時間には友達と校庭でドッジボールをしている姿をよく見かけました。
制服をきちっと第一ボタンまでしめるような真面目な生徒で、いつも清潔感がありました。彼女がいるとかは聞いたことなくて、むしろそういったことに興味がないように見えました。でも女子から嫌われるなんてことはなかったと思います」
山上容疑者のあだ名は小学校時代から「こてつ」。中学に進むとバスケットボール部に所属し、活発な学生時代を過ごし、奈良屈指の名門進学高校に進学する。中学時代の成績も良く、文武両道の学生生活を送ってきたようだ。
山上容疑者の高校時代の知人も、学生生活を謳歌する姿を思い、驚きの声を隠せない。
「『団長』と呼ばれる良い子がいる」山上容疑者の学生時代
「私は山上くんよりも1年先輩でしたが、先生が山上くんのことを『「団長」と呼ばれているすごく良い子がいる』と授業中に紹介していたことを覚えています。彼は応援団に所属していたんです。山上くんは背が低く小柄で『デコボコな身長差のなかで他のメンバーに負けずに頑張っているな』という印象が残っています。山上くんはきびきびと動いていたので、さすが伝統校だなと誇りに思いました。自衛隊員だったという過去はしっくりときましたね。
うちの野球部は1998年の春の選抜に出場し、“平成の怪物”松坂大輔さんを擁する横浜高校と対戦しました。公立高校でありながら全国でも勝ち進んだのは快挙で、学内の生徒は皆喜んでいました。結果は完敗でしたが、山上くんもあの場で精いっぱい声を張り上げ応援していたでしょうし、当時の野球部員は全員彼のことを覚えていると思います。青春時代を共に過ごした人間として、記憶に残っています」
順風満帆な学生時代を過ごしてきた山上容疑者が、転落したきっかけは何だったのか。山上容疑者が幼い頃に住んでいた家の近隣住民はこう明かした。
「元々の家庭環境は悪くなかったと思いますよ。山上容疑者の祖父は建設関係の会社を経営していて、ゴルフ好きの上品な育ちの良いおじいさんという印象です。お父さんも知的な雰囲気があり、高級車スカイラインに乗っていました。お母さんもスラっとした気品のあるお嬢さんというイメージがあって、全体的に上品な一家だったと思います。
お父さんは若くして不幸な死を遂げ、その後、頼みにしていたおじいさんも亡くなってしまった。お母さんは結局、山上容疑者と妹の2人を連れて家を出て行ったのですが、その際に『宗教に入りたい』と私に相談してきたことを覚えています。身内の不幸が重なり、深刻な悩みを抱えていたのだと思います」
捜査関係者によると、山上容疑者は「母が宗教団体にのめり込み恨みがあった」「家を破産させられた」と動機を供述しているという。
学生時代から山上容疑者は母親と同居を続けていたようだが、こうした経済的な要因が引き金となり、最近になって現在の奈良市大宮町のマンションで一人暮らしを始めていたようだ。
山上容疑者の知人が語る。
「そしたらオマエがやれや」事件前に起きた“異変”
「3月頃にお母さんとお話した時、寂しそうにされていましたね。『今は一人暮らしになってしまった』とボヤいていました。15年前に引っ越してきてずっと息子さん(山上容疑者)と一緒に住んでいましたが、突然、歳を重ねた後に一人暮らしになったので喪失感を覚えたのだと思います。原因が宗教にあるとは、当時は知りませんでしたが……」
一人になった山上容疑者もまた、孤独を抱えていたのかもしれない。直近の勤務先である京都府の工場責任者が山上容疑者の“異変”について明かす。
「もともとフォークリフトの資格者の求人をしたところ、派遣会社から派遣されてきたのが山上容疑者です。敬語が使えて社会人として良識のある人という印象で、会社で働き始めた当初は遅刻や無断欠席、トラブルなどを起こすタイプではありませんでした。口数は少なく、昼食も自家用車のなかで1人で食べていましたが、仕事には真面目でした。
しかし、約半年後の2021年4月に指示通りの手順で仕事をしなくなり、上司が指導したことがありました。2021年10月にも再び手順を守らなかったため、上司が叱責すると『なんでこんなやり方をしなければいけないのか』と反論。2022年1月には出入り業者のトラックへ荷物を積み込む際、『このやり方でも崩れない』と緩衝材を挟む作業を勝手に省くなどまた指示を無視し、トラック運転手と口論になっています」
山上容疑者は徐々に自己中心的な振る舞いをすることが増えていった。2022年3月には、注意をする同僚に対して「そしたらオマエがやれや」などと反抗的な態度をとったこともあったという。
「2022年4月中旬頃から『体調不良』といって、何日も休むようになりました。その後、ゴールデンウイーク前に『退社したい』という申し入れがあり、有給休暇を消化して5月15日付で退社したのです。
しかし、あんな事件を起こすとは思いませんでした。とにかく今は驚いています」
“普通の学生”だったという山上容疑者は、どのような気持ちで銃を作り、世間を揺るがす日を迎えたのだろうか。真相解明の時が待たれる。
●山上徹也の供述 「母が宗教のめりこみ家庭生活がめちゃくちゃになった」 7/9
安倍元総理大臣銃撃事件で、現行犯逮捕された奈良市内の容疑者の自宅前から最新情報です。
山上容疑者の自宅マンションには、9日午後2時すぎに捜査員が訪れ、事件との関連は分かっていませんが、シルバーバイク1台を押収する様子がみられました。
8日は、家宅捜索の際に「爆発の危険性がある」として、住民が一時避難しましたが、9日は、目立った混乱は起きていません。
奈良県で選挙応援中の安倍元総理大臣が銃で撃たれ、死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者は、警察の調べに対し「宗教団体のメンバーを狙おうとしたが、難しいと思い、安倍元総理を狙った」などと供述していることが、新たに分かりました。
宗教団体については「母親が団体にのめり込み、多額の寄付をするなどして家庭生活が、めちゃくちゃになった」などと話していて「宗教団体のメンバーを狙おうとしたが、難しいと思い、安倍元総理を狙った」という趣旨の供述をしているといいます。
また、奈良県警によりますと、山上容疑者は自宅の最寄り駅、近鉄電車の新大宮駅から事件現場近くの大和西大寺駅まで、電車に乗って移動していたことが、防犯カメラで確認されたということです。
問題となっている警備体制については、今後の警備に支障をきたすとして、奈良県警は詳しい説明を避けていますが「問題があったかについては確認を進める」としています。
一方、山上容疑者が今年5月まで勤務していた工場の責任者が、NNNの取材に応じ、当時の勤務態度などについて語りました。
山上容疑者が勤務していた工場の責任者「働き始めて半年くらいは、非常におとなしくて良好な勤務態度だったという報告を受けていまして、ただ半年くらいたったころから、作業を手順通りに行わないという事例が散見されるようになって、それを注意しても、なかなか聞き入れてくれない。厳しく叱責すると反抗的な態度をしめすようになった。徐々になれてくるに従って、わがままな態度をしめすようになった」
山上容疑者は今年4月、体調不良を理由に退職を申し出たといい、5月に会社を辞めたといいます。
午後6時から、奈良県警の本部長が記者会見を開くということが、先ほど、発表されました。警備体制や事件の概要について話しをするとみられます。
●「母親が宗教団体にのめり込み恨み、安倍元首相がつながっていると」動機 7/9
安倍晋三元首相が奈良市での参院選の街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された元海上自衛隊員の無職山上徹也容疑者(41)が、「母親が宗教団体にのめり込み恨みがあった。団体と元首相がつながっていると思ったから狙った」という趣旨の供述をしていることが9日、捜査関係者への取材で分かった。事件前に元首相の別の遊説先にも行ったという趣旨の供述をしていることも判明。奈良県警は動機の解明を急ぐ。
県警は、司法解剖の結果、首と左上腕部の計2カ所に銃弾が命中した傷があったと明らかにした。現場では2回の銃声が確認されており、県警は発射された銃弾の数や構造、入射角度などを詳しく調べる。
山上容疑者が、当初は宗教団体の幹部を襲撃しようとしていたとの趣旨の供述をしていることも捜査関係者への取材で判明。一方で、山上容疑者は元首相に対する殺意があったと認めており、県警は結果的に元首相を銃撃対象とした経緯について調べている。
県警によると、死因は「左上腕部射創による左右鎖骨下動脈損傷にもとづく失血死」。左上腕部を撃たれて動脈を損傷したことが原因だった。搬送先の病院は8日、首に銃創が2カ所あったと説明していたが、県警は首のもう1カ所の傷については、銃弾によるものかは分からないと説明している。
山上容疑者が背後から近づき、数メートルの至近距離から銃撃したことも分かった。県警は強い殺意があったとみている。
元首相の遺体を乗せた車は9日早朝、司法解剖を実施した奈良県内の病院を出た。東京に向かうもよう。
県警は9日、山上容疑者の自宅で発見された爆発物の可能性がある物について、調査した結果、危険性はないと判断したと明らかにした。
山上容疑者は調べに対し「特定の団体に恨みがあり、元首相と団体がつながっていると思い込んで犯行に及んだ。政治信条に対する恨みではない」と供述している。
県警は8日、山上容疑者を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。容疑を殺人に切り替えて捜査している。逮捕容疑は8日午前11時半ごろ、奈良市西大寺東町の路上で、街頭演説をしていた元首相に、銃のようなもので発砲して殺害しようとした疑い。
●母親が宗教団体の信者「多額の寄付で破産」「絶対に成敗」… 7/9
自民党の安倍晋三・元首相(67)が奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃され、殺害された事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)容疑者が奈良県警の調べに、特定の宗教団体の名前を挙げて「恨みがあった。団体のトップを狙うつもりだった」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。
安倍氏を狙った動機について、「トップとの接触が難しく、(安倍氏が)団体とつながりがあると思った」と述べている。
山上容疑者は「母親が(この宗教団体の)信者で、多額の寄付をして破産したので、絶対に成敗しないといけないと思っていた」とも話しており、県警が確認を進める。
●安倍元首相を撃った山上徹也が供述した、宗教団体「統一教会」の名前 7/9
安倍氏と統一教会の接点
安倍晋三元首相(享年67)を街頭演説中に銃撃し、殺害した山上徹也容疑者(41歳)の供述が、少しずつ明らかになってきている。大手メディアが報じない供述の内容を、以下、明かそう。
山上容疑者は「宗教団体のメンバーを狙おうとしたが、難しいと思い、安倍元総理を狙った」と報じられてきたが、この宗教団体は、旧・統一教会(世界平和統一家庭連合)である。かねてより霊感商法や集団結婚で話題になってきた新興宗教だ。
山上容疑者は「自分の母親が統一教会の信者で、安倍晋三が統一教会と親しいと知って狙った」と供述している。
なぜ山上容疑者は、統一教会と安倍氏と接点があると考えたのか? 統一教会系の政治団体「国際勝共連合」は、1968年に創設された保守系グループであり、自民党の保守系議員とも密接な関係があると言われる。ネット上では、かねてより安倍氏と勝共連合の関係が取り沙汰されてきた。
統一教会と敵対関係にある日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」では、昨年9月12日、旧統一協会系の天宙和連合(UPF)の集会に安倍氏がオンラインで出席し、「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」と発言した模様を報じている。
保守系政治家の雄であった安倍氏と統一教会との接点は、かねてより永田町関係者では公然の秘密だった。たとえば安倍氏と近いある参議院議員の場合は、「統一教会丸抱え」と言われるほどの密接の関係にあり、統一教会幹部も「あの議員はうちの票で当選できている」と認めるほどだった。
山上容疑者の自宅では拳銃2丁以上が押収され、爆破物を複数製造していたことも明らかになった。自宅のワンルームは火薬の匂いが立ち込め、さながら町工場のように、爆発物などの製造に使う薬品、鉄くずなどが散乱していたという。
「もともと爆発物で安倍氏を殺害しようとして製造したが、これでは無理だと銃に変更し、今年の春には完成させたと供述している。
今回使用した銃は、2つの鉄パイプを粘着テープでつないだものだった。二度発砲ができるもので、激しい殺意が見られる。山上容疑者も、殺害するつもりだったと物静かに語っている」(捜査関係者)
20年前の母親の破産
「統一教会と安倍が親しいので狙った。殺してやると銃を持ち出した。ネットで毎日、参院選の予定を調べていて、奈良にきたのでチャンスだと思った」「政治的な意味合いで狙ったのではない」「自宅でこれまで、拳銃、爆発物など複数作っていた。インターネットなどから、調べて作った」
などと山上容疑者は供述しているという。なぜ統一教会に恨みを燃やしたのか、今のところは供述からは明らかになっていない。
ただ山上容疑者の母親がかつて統一教会の信者であり、大量の寄付をしていたこと、おそらくはそれが理由で2002年8月21日に破産宣告を受けていることが明らかになっており、家族が崩壊したことへの何らかの恨みを統一教会と安倍氏にぶつけた可能性がある。
捜査関係者が語る。
「母親は熱心な統一教会の信者で、今も現役のようだ。山上容疑者は母親と統一教会の関係が家庭崩壊につながったと憎悪を募らせ、犯行に及んだと供述している。母親については調べを進めているが、かなり熱心な信者であったとみられる。
犯行前日には、安倍氏が岡山県で演説をすると知り、追いかけて行っている。パソコンやスマホには拳銃、爆発物を検索した履歴がかなりある。計画的な銃撃とみられるが、意味が通じない供述もある」
自民党幹部は語る。
「最大派閥、安倍派を牛耳る安倍氏が亡くなった、次のリーダーがはっきりしない安倍派は迷走するかもしれない。これまで安倍派だった下村博文、西村康稔、世耕弘成、萩生田光一といった有力者は、みな安倍氏がいるから大人しくしていた。だが、その軛が外れると大変だ。
岸田政権の誕生は安倍氏と麻生氏のタッグのおかげだったが、そこにひびが入れば、岸田氏もウカウカしていられない状況になる。参院選は安倍氏の銃撃で同情票がくるので圧勝だろうが、党内抗争になる可能性がある」
不安のおさまらないなか、10日の投開票日はどうなるだろうか。
 
 

 

●親の宗教で悩み相談 山上容疑者、同僚に―安倍元首相銃撃 7/10
安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)は、海上自衛官だった約20年前、親の宗教活動に関する悩みを同僚に打ち明けていた。逮捕後、特定の宗教団体への恨みについて供述しており、長期にわたる苦悩が逆恨みに転じた可能性がある。
山上容疑者は任期制自衛官として2002年に採用され、05年に3年間の任期を満了し除隊した。防衛省関係者は「親の宗教関係で悩んでいたみたいだ」と語る。同容疑者は同僚に悩みを相談し、きょうだいの心配もしていた。ただ印象が薄く、当時の同僚らで覚えている人は少ないという。
幼少期を過ごした家の近隣住民らによると、山上容疑者は子どもの頃に父親を亡くし、その後は母親、きょうだいと暮らした。実家の近所に住む男性(55)は、妹らとボールなどで遊ぶ幼い同容疑者の姿を思い出し、「ごく普通の家庭で育った子。どうしてこんなことになったのか知りたい」と首をひねった。
進学した奈良市の中学校ではバスケットボール部に所属。目立たず、おとなしいタイプで、「こてつ」というあだ名で呼ばれていた。卒業後は奈良県大和郡山市内の県立高校に進み、応援団に入った。卒業アルバムには将来の夢について、「わからん」と記していた。
山上容疑者の現住所は奈良市内の8階建てマンション。住民の60代女性は「すれ違った時にあいさつしたら、あいさつも返ってこないし、会釈もなかった。すごく悩んでいるように見えた」と振り返った。同じ8階に住む会社員の男性(55)は「去年の秋ごろ、電動工具の音がうるさいことがあった」と話す。同階の60代男性もこの1カ月の間に、「ギコギコ」とのこぎりで切るような音を耳にしたという。 
●安倍元首相銃撃の山上容疑者 “統一教会で家庭崩壊“… 7/10
「私は、畳の上で死ぬことはないでしょう」
7月8日に兇弾に倒れた安倍晋三元首相(享年67)は、長年にわたり安倍家を取材してきたジャーナリストの野上忠興氏にこう語っていたという。
その言葉が現実のものとなってしまった。奈良県で安倍元首相を銃撃したのは、県内に住む無職の山上徹也容疑者(41)。2002年8月から3年間、海上自衛隊に所属し、射撃の訓練を受けていた。
抵抗することなく逮捕され、「特定の宗教団体に恨みがあった」と供述している山上容疑者。その実家はかつて、奈良市内の閑静な住宅街にあった。この家は1999年に人手に渡っており、現在では山上容疑者を知る人はほとんどいない。近隣の住民が語る。
「(山上容疑者の母である)A子さんが実家のあったここに戻ってきたのは、徹也くんが4、5歳のころでした。夫が若くして亡くなったからです。実家は建設業を営んでいましたが、その後A子さんの父親も亡くなり、またよそへ引っ越していかれました。
ここに暮らしていたときも、徹也くんの姿は、まったくといっていいほど見かけませんでした。その下の妹さんはよく見かけましたが……」
その後、山上家は奈良市の西大寺に引っ越していったという。今回、山上容疑者が安倍元首相を銃撃した土地だ。
山上容疑者と中学校の同級生で、同じバスケットボール部に所属していた男性が語る。
「中学時代の山上は、“こてつ”や“こてっちゃん”と呼ばれていました。小柄でバスケは未経験でしたが、とにかく努力家でした。正月以外は休みがないような厳しい練習に耐え、70〜80人いた部員のなかで、山上は3年生のときに12人のベンチ入りメンバーの座を勝ち取ったんです」
バスケットコートを離れた山上容疑者は、打って変わって物静かな優等生だった。
「山上は、勉強はできましたね。授業中はボーッとしているけれど、テストでは高得点を取るタイプで、当時流行っていた漫画『スラムダンク』だけは熱心に読んでいました。
女のコにモテていた記憶はありません。いじめに加わったり、逆にいじめられたりするタイプでもなかったです。話し方はゆっくりで、関西人っぽくボケるようなこともありませんでした。ただ、一人称が『ワシ』とか『オイ』だったことが印象に残っています」
そんな山上容疑者が、“豹変”したことを、男性はよく覚えているという。
「ふだんの山上は、めったに自己主張をすることはありませんでした。ところが3年間で一度だけ、部活の運営をめぐって、部内で意見が対立したことがあったんです。
全員が反対意見だったのに、彼は最後まで自分の信念を貫きました。ふだんの山上のキャラとのギャップに、当時は非常に驚きましたね」
山上容疑者はその後、大和郡山市にある県立高校に進む。最新の入試データでは、偏差値68を誇る進学校だ。
「山上くんは応援団に所属していました」(同級生の父親)
高校卒業後に海上自衛隊での勤務を経て、2022年4月には人材派遣会社を退職している。
山上容疑者が暮らしていたのは、家賃3万5000円で間取り1Kのマンションだった。
「銃撃事件の2、3週間前のことです。山上容疑者が所有するSUV車をマンションの駐車場内の別のスペースに停め、荷物の積み下ろし作業をしていました。
そのことを同じマンションの住民が注意すると、山上容疑者は大声で『ちょっとだったらええやろ!』と怒鳴り散らしたんです。近所の店舗からも様子を見にくる人がいたほどの、すごい剣幕でした」(近隣住民)
一方、山上容疑者に誘われて西大寺の飲食店で食事をしたことがあるという男性は、山上容疑者からある悩みを打ち明けられていたという。
「これまでに3回ほど、安い居酒屋でおごってもらったことがあります。ふだん山上さんは、自分のことをほとんど話しません。
しかしその日は、『自分の家族が統一教会に関わっていて、霊感商法トラブルでバラバラになってしまった。統一教会がなければ、今も家族といたと思う』と語りはじめたのです。
山上さんは続けて、『統一教会は、安倍と関わりが深い。だから、警察も捜査ができないんだ』と、あまり感情を出さない山上さんが、怒りにまかせたように話していました」
統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)の広報に問い合わせると、山上容疑者の母であるA子さんが、同教会の信者であることを認めた。
たしかに、同教団の関連団体が開いた大規模集会に安倍元首相が祝電やビデオメッセージを寄せてきたことは、これまでも本誌や「しんぶん赤旗」などが報じている。しかし、それが安倍元首相を銃撃する理由になるのか。公安関係者が語る。
「親が信じる宗教を押しつけられ、生きづらさを抱える『宗教二世問題』の当事者として、矛先が安倍元首相に向いてしまったことが考えられます。
また、安倍元首相を支援する街宣活動や、銃への信奉でも知られる『家庭連合』の派生団体『サンクチュアリ教会』の設立者・文亨進氏が現在来日していることも、このタイミングでテロを仕掛けた理由なのかもしれません。しかし、捜査が進んでいない現時点では、想像の域を超えません」
山上容疑者の中学の同級生は、こう振り返る。
「山上と政治や自衛隊の話なんてしたことがありません。いま思えば、山上は社会に出てから、自分の信念に反することとぶつかってばかりだったのかな。そうでなければ、こんなことは絶対にやらなかったと思うんです」
山上容疑者の“信念”は、最悪の形で表明されてしまった。 
 

 

●世界平和統一家庭連合  
世界平和統一家庭連合(英語: Family Federation for World Peace and Unification、略称: 家庭連合、FFWPU)は、朝鮮半島のキリスト教の土壌から発生し、文鮮明によって1954年に韓国で創設された新興宗教の宗教団体・宗教法人。旧名称は世界基督教統一神霊協会(せかいキリストきょうとういつしんれいきょうかい、英語: Holy Spirit Association for the Unification of World Christianity)、旧略称は統一教会、統一協会(とういつきょうかい、英語: Unification Church)。
統一教会は宗教学ではキリスト教系の新宗教とされ、文化庁が発行している宗教年鑑ではキリスト教系の単立に分類されている。また、欧米ではカルト宗教であるとされている。1994年5月に名称が変更され、日本では遅れて、2015年8月26日に宗教法人名を管轄している文化庁から改称を認証された。  
●概要​
日本は"エバ国家"で「サタン(悪魔)の国」であるとの反日教義が教えられている。また、エバ国家日本のLGBTや同性婚、夫婦別姓は「生活共産主義」とされ、認めさせてはならないと説いている。文鮮明の教え(教義)の一つとして、文教祖の恨(ハン)を晴らすのは「エバ国家日本をアダム国家韓国の植民地にすること」「天皇を自分(文鮮明)にひれ伏させること」としている。
1978年のアメリカ合衆国下院の報告書では、教団は1961年に大韓民国中央情報部(KCIA)部長の金鍾泌が政治的意図をもって組織し、アメリカや日本で政治工作を行っているとされる。
また、文鮮明は自由民主党の安倍晋三元総理大臣の祖父である岸信介と盟友であり、1950年代から日本の政界と協力していた。岸の自宅付近には統一教会の施設が存在し、そこで岸は交流会や講演会などを行っていた。同教団は現在に至るまで、国際勝共連合等の関連団体あるいはダミー団体を通じて、自由民主党等の保守政治家と密接な関係を保ち続けている。政治家との密接な関係は、教団の宣伝・広報に利用されており、統一協会系月刊誌『世界思想』では、「戦後憲法の終焉」「今こそ日本を取り戻そう」等のフレーズが使われ、安倍晋三元総理大臣の写真が過去複数回にわたり表紙に使われていた。これは後述する「霊感商法」の被害拡大につながると懸念されている。
日本統一教会の初代会長は、反共産主義政治団体国際勝共連合の日本における初代会長久保木修己である。安倍晋三元総理大臣が説いていた国家像である「美しい国」と、久保木修己が説いた「美しい国」との共通点が指摘されている。
欧米ではカルト宗教とみなされており、韓国、日本、米国、ウクライナなどに拠点が存在する。フランスやソビエト連邦諸国などでも活動を広めようとしたが、フランスでは反セクト法により、ロシアではプーチン政権が定めたネオナチ勢力(セクト勢力)に対する対テロ法により、統一教会を安全保障上の問題があるとして規制と監視対象とした。また、イスラエルでの反パレスチナなどの右派勢力に資金援助を行うなど、イスラエル政府にも長年関与している。
米国では、日本人信者を利用して水産会社を興し、全米の中・高級寿司屋向けの鮮魚流通の8割を占めて寿司を広めたりするなど多角的にビジネスを広げ、韓国では財閥組織の扱いを受けており、その巨大な資金力を利用して国際的な政治力も獲得しているが、教団の運営資金の7割は日本が担っており、その原資は深刻な社会問題となっている霊感商法と、法外な献金要求等の信者からの経済的搾取より得られた金である。こうして集められた金は教団の勢力拡大のために日本から韓国やアメリカに送られ、1976年から2010年までの間に日本からアメリカに36億ドルが送金された。
1960年代後半から、学生を狙った反社会的な「原理運動」による家庭崩壊、学業放棄が社会問題となり、霊感商法が社会問題になった1980年代以降、朝日新聞社や『週刊文春』によって大々的な批判キャンペーンが展開されたが、教団側は激しく反発し、信者によるデモなどが行われた。1984年には、世界日報編集長の副島嘉和が教団の反日思想等の実態について、内部告発を行った後に、襲撃を受ける事件が発生。その他にも、教団を批判した人物・マスメディアへの嫌がらせや、教団に関連した不可解な事件が多数発生している。
統一教会は、霊感商法とマインドコントロールを利用した高額な物販と献金に関する問題や、教団が結婚相手を決める合同結婚式、麻薬関連のマネーロンダリングと密輸、統一教会信徒の拉致監禁問題、反共産主義や朝鮮半島の統一の支持、歴史修正主義、反同性婚、反夫婦別姓、反ロシア思想、岸信介政権時代からの自由民主党との関係などの政治との関わりなど、様々な問題で物議を醸している。特に統一教会の布教方法と、高額な献金や財物の購入を強いられることが問題とされ、統一教会を相手に元信者らが札幌地裁に提訴した「青春を返せ裁判」は1987年から2001年までの14年間に及んだ。
全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、判明している分だけで、1987年から2021年までの「霊感商法」による「被害件数」は3万4537件で「被害総額」は約1237億円に上り、物販には壺・印鑑・多宝塔・朝鮮人参濃縮液などが用いられ、その「被害」の高額さから社会問題化している。2000年(平成12年)の広島高裁岡山支部での控訴審では一審を破棄し、統一教会/統一協会の伝道の違法性を認定する全国初の判決が出た。これは日本において、宗教団体による勧誘・教化行為の違法性を認めた全国初の判決となった。
教団は複数の関連団体や関連企業、ダミー団体を有しており、これも正体を隠して勧誘活動を行うのに役立っている。これらの団体は霊感商法等の教団の反社会性が明らかになった1980年代以降に、政治家との関係を秘密裏に保つことにも貢献した。
親世代が統一教会の信者である「2世信者」も社会問題となっている。幼少期から信仰を強要されるなど、ドメスティック・バイオレンス(DV)の状態にあった当時の子供達は、信者や教会からの特定を恐れ、息をひそめ生活せざる得ない等の理由により散在状態になっており、弁護団が救済の為に活動している状態である。「統一教会2世被害弁護団」は今も統一教会による被害は発生し続けているとしており、2022年(令和4年)7月8日に発生した安倍晋三銃殺事件の犯人の動機に関する弁明を行った統一教会による、「2009年以降は全く問題はおきていない」「犯人の母親の寄付額は把握できていない」等とした会見内容は虚偽だとしており、「統一教会と安倍晋三元総理は大して関係が無く、犯人は思い込んだだけである。」とするメディアの報道姿勢や内容も糾弾している。
2012年に亡くなった文鮮明と妻・韓鶴子の7男の韓国系アメリカ人である文亨進は、母親の韓鶴子が父親の教え以上に自らの立場を上位の物にしようとしたとして、韓鶴子との違いを明確に表明した事により対立、2013年には韓鶴子により教会の複数の立場から解任され、文亨進は分家組織である世界平和統一聖殿(通称:サンクチュアリ教会)を、アメリカ統一教会とは別にアメリカ国内にて立ち上げた。統一教会は現在、文亨進のサンクチュアリ教会を「脱会組織」とみなしており、文亨進が主導した統一運動の変革のほとんどは、彼の解任後に却下された。文亨進は有力なトランプ支持者であるとされ、AR-15を重要視する“Rod of Iron Ministries”を率いている事で知られ、2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件にも参加した。
統一教会が大きく成長した最大の戦略的要因として、宗教学者で北海道大学教授の櫻井義秀は、統一教会が国別に機能を特化させる戦略をあげており、「宗教的競争力のなさを、政治・経済部門の事業多角化とグローバルな事業展開で乗り切ったこと」であると述べている。  
●歴史​
朝鮮半島の平安北道定州出身の文鮮明(1920年- 2012年)は、1945年に布教活動を始めた。その後1950年に朝鮮戦争が勃発、1952年に経典の「原理原本」の草稿が完成した。
1954年5月に韓国ソウルで、「世界基督教統一神霊協会」を創設した。なお、名称の「神霊」は、主流派キリスト教における三位一体の聖霊とは関係がない。
1955年、文鮮明が「梨花女子大事件」で逮捕される。韓国マスコミからの総批判を浴びる。
1961年頃、「反共主義」を強調して朴正煕政権との関係を深める。フレイザー委員会の調査によれば、大韓民国中央情報部(KCIA)により「韓国政府機関」として再編された。
1965年に文鮮明一家と幹部たちは、アメリカに宗教・政治的情宣活動の拠点を移し、世界宣教・経済活動を拡大し巨大な統一運動傘下の組織を創設した。韓国の多くの少数派宗教団体とは異なり、朝鮮半島を超えて世界中に普及したという特異性を持つ。世界193か国に支部がある。
日本では、1958年6月に崔奉春(チェ・ボンチュン。通称名西川勝。)が密航し、統一教会を伝えた。崔には立正佼成会が協力し、久保木修己ら約50名の青年信者が転向する。1959年から1965年まで宣教が行われ、同年にアメリカ、イギリスでも布教が行われた。近年は東ヨーロッパと南アメリカで拡大している。
1964年7月16日、日本で宗教法人の認可を受けた。初代会長になったのは元立正佼成会信者の久保木修己だった。同年、「原理研究会」が設立され全国の大学で学生伝道を開始した。世界平和統一家庭連合の総裁は、文鮮明の妻である韓鶴子が就任している(2008年時点)。
元公安調査庁幹部の菅沼光弘は、高橋浩祐の取材に対し、統一教会に入会した人の多くは民青出身だったとしている。
1968年4月、文鮮明が岸信介らの協力を得て反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立した。
1971年、文鮮明は大韓民国籍のまま米国に移住した。
1970年代には、1974年にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、1976年にはニューヨークのヤンキースタジアムで2回、そしてワシントンDCのワシントン記念塔の敷地内で30万人を前に「アメリカに対する神の希望」について講演するなど、米国で次々と公の場で演説を行った。
1973年、自由民主党の岸信介は統一教会開祖の文鮮明に朝鮮半島にて出会い、日本に統一教会を広める切っ掛けを生み出した。文鮮明は岸信介と盟友であり、1950年代から日本の政界と協力していた。岸信介が文鮮明握手した写真は統一教会で「世界でいかに統一教会が認知され、我々の理念が間もなく達成されようとしている。」 といった説明に使われている。
1990年代の前半に霊感商法や合同結婚式で話題になったが、この時代でさえもあまり信者を獲得できていなかった。この合同結婚式によって家庭を持った日本人の信者数は10,000組を超え、2004年時点で統一教会による合同結婚式で韓国人男性と結婚して韓国で暮らす日本人女性信者数も7,000人ほどいる。
1975年、統一教会は韓国の汝矣島で120万人を集めて史上最大の平和的集会を開催した。
1970年代、統一教会は他のいくつかの新宗教運動とともに、反カルト運動のターゲットとなった。活動家たちは、この運動が会員を「洗脳」していると非難した。
1978年、イギリスのタブロイド紙デイリー・メールは、「家庭を崩壊させる教会」という見出しの記事を掲載した。その記事は、統一教会が家族を洗脳し、引き離していると非難するものであった。英国統一教会のデニス・オーム所長は、デイリー・メールとその親会社であるAssociated Newspapersを相手に名誉毀損訴訟を起こし、英国法史上最長となる6ヶ月の民事訴訟となった。オーム所長と統一教会は、名誉毀損訴訟、控訴審で敗訴し、貴族院への提訴も拒否された。元の裁判では、アメリカの反カルト精神科医マーガレット・ターラー・シンガーを含む117人の証人の話を聴取した。原審では、統一教会はAssociated Newspapersに75万ポンドの費用を支払うよう命じられたが、これは控訴後も維持された。原審の陪審員は関連新聞社に費用を与えただけでなく、法務長官に統一教会の慈善団体としての地位を再調査するよう要請し、1986年から1988年までの長期の調査の後も解任されなかった。ジョージ・クリシデスによれば、英国にいた統一教会の500人のフルタイム信者の約半数が米国に移った。統一教会は判決の後、12の主要な教会センターのうち7つを売却した。ドイツのような国の他の反カルト主義者は、ロンドン高裁の判決を法律に組み入れようとした。統一教会は、デイリー・テレグラフ紙に対する同様の裁判を含め、英国で他の名誉毀損や誹謗中傷の裁判に勝利している。
1982年、文鮮明は米国で虚偽の連邦所得税申告と陰謀の罪で有罪判決を受けた:United States v. Sun Myung Moonを参照。彼はコネチカット州ダンベリーの連邦刑務所で13ヵ月間服役した。起訴・収監された際には、キリスト教右派団体やバプティスト教会、全米黒人カトリック聖職者会などの牧師が、文鮮明の無罪と釈放を要求するデモを行った。この事件は、モラル・マジョリティー代表のジェリー・ファルエル、南部キリスト教指導者会議代表のジョセフ・ローリー、ハーバード大学神学教授のハーヴィ・コックス、アメリカ合衆国上院議員で元民主党大統領候補のユージン・マッカーシーなどから、選択的起訴であり信仰の自由への脅威であると抗議を受けた。
1980年代から、文鮮明は統一教会のメンバーに「家庭教会」と呼ばれるプログラムに参加するよう指示し、公共サービスを通じて隣人や地域住民に手を差し伸べるようにした。
1982年、文鮮明はアメリカで脱税の罪で懲役判決を受けた。
1984年、日本統一教会元幹部、副島嘉和と元営業局長井上博明が連名で、文藝春秋1984年7月号に「これが『統一教会』の秘部だ―世界日報事件で『追放』された側の告発」という18頁に渡る手記を暴露発表したことで、初めて日本国内の一部に統一教会の暗部が露見した。
1984年6月10日頃には全国の店舗に並んだが、その直前の1984年6月2日夜、副島が帰宅途中に何者かに襲撃され、全身を刺され瀕死の重傷を負った「副島襲撃事件」が発生した。襲撃事件時、世界日報の元記者が副島の自宅に偶然おり、副島が瀕死の状態で自宅にたどりついた時の様子を証言している。副島は全身を刺され、最も深い物で刃渡り15pまで到達していたが、心臓からわずかに2センチメートル外れており、また世界日報の別の記者が事件直後にたまたま副島の自宅を訪ねており、救急車に担ぎ込まれた事により副島は奇跡的に生還した。副島らは、この襲撃事件前後の統一教会との確執に関して原稿を書き『週刊文春』に持ち込んだが採用されなかった。また、マスコミも襲撃事件を言論事件として取り上げようとするところはなかった。副島らは孤立無援の状態で統一教会の告発を続けたが、さまざまな事情によりグループから脱落者が出て、それを続けることは難しくなっていた。偶然ではあるが、1984年秋から『朝日ジャーナル』が統一教会、霊感商法の批判キャンペーン記事を掲載しはじめたため、副島らが始めた統一教会批判は実質的には『朝日ジャーナル』へ引き継がれることになった。この襲撃事件は殺人未遂事件としてではなく、傷害事件として捜査された。
1990年代、ソビエト連邦で活動を開始したが、ロシアを含む多くのポスト・ソビエト諸国の宗教当局は統一教会を安全保障上の問題があるとして規制と監視対象とした。
1991年、文鮮明は、統一教会員が故郷に戻り、そこで使徒的活動を行うべきであると発表した。新宗教運動の研究者であるマッシモ・イントロヴィーニュは、このことは運動のメンバーにとって、もはやフルタイムの信者が重要であるとは考えられないことを確認したと述べている。同年6月2日、「副島襲撃事件」は犯人を特定できないまま公訴時効を迎えた。
世界平和統一家庭連合(1994-)​
1994年5月1日(統一教会創立40周年)、文鮮明は統一教会の時代が終わったことを宣言し、新しい組織を発足させた。統一教会のメンバーと他の宗教団体のメンバーが共通の目標、特に性的道徳や異なる宗教、国家、人種の間の和解の問題に向けて働く「世界平和統一家庭連合」(FFWPU)であった。FFWPUは祝福式を共同主催し、他の教会や宗教の何千ものカップルに、以前は統一教会のメンバーだけに与えられていた結婚の祝福が与えられた。
2000年、FFWPUは、ワシントンD.C.で行われた家族の結束と人種的・宗教的調和を祝う集会「100万家族行進」を、ネーション・オブ・イスラムとともに共催した。2000年10月16日、同じくルイ・ファラカンが主催した100万人行進の5周年記念日に開催され、ファラカンがメインスピーカーとして登壇した。FFWPUの指導者であるダン・フェファーマンは、ファラカンと文の見解は複数の問題で異なっているが、「神を中心とした家族」という見解は共有していることを認める手紙を同僚に送っている。
2003年、韓国のFFWPUのメンバーは、韓国で「神と平和と統一と家庭のための党」という政党を立ち上げた。新党の発足宣言では、神と平和について国民を教育することによって、朝鮮半島の統一を準備することに重点を置くと述べている。FFWPUのある幹部は、日本や米国でも同様の政党を立ち上げると述べた。FFWPU関連の万国平和連合会の中東平和構想は2003年から、ユダヤ人、イスラム教徒、キリスト教徒の間の理解、尊敬、和解を促進するために、イスラエルとパレスチナの団体ツアーを開催している。
2009年、コンプライアス宣言を行う。これは、印鑑販売会社「新世」の社長らが霊感商法で逮捕された事件の裁判のなかで、統一教会との関連性が一部認定されたことを受けたものである。
2012年2月の始め、旧ソビエト国家であるキルギスでは、キルギス国家保安委員会、キルギス検察庁、および州宗教問題局が、統一教会の活動が適切な登録なしに非伝統的な宗教的見解を強制的に広めることにより、キルギスの国家安全保障に脅威を与えたと主張。裁判所に苦情を申し立てた。ビシュケク裁判所は、キルギスの領土での統一教会の活動を実質上不可能とする判決を下した。
2012年には開祖の文鮮明が死去し、妻の韓鶴子が組織全体の責任者となったが、「家庭連合幹部と母親韓鶴子女史が、後継権を奪い、韓鶴子女史が自ら教主となり、相続権を奪われた」と主張する七男の文亨進派と分裂した。
その後、文亨進は、サンクチュアリ教会を設立した。そして、文亨進は家族連合(韓鶴子率いる統一教会)と裁判で争い(『統一マーク使用権訴訟』)、勝訴した。
サンクチュアリ教会の掲げる主張は統一教会とは異なり、「全能の神が与えた権利によって武器を持ち、民が互いと人類の繁栄を守ることのできる平和の警官、平和の兵士の王国」と銃賛美の宗教となっている。同年には札幌地裁により、違法な布教活動、伝道や献金を強いたとして布教活動を違法とする判決が下された。
韓鶴子は、現在のこの運動のリーダーであり、公的なスポークスパーソンとして活動している。2019年、日本での集会で講演し、環太平洋諸国間の理解と協力の拡大を呼びかけた。2020年、家族連合主催の朝鮮半島統一のための対面・仮想集会で講演し、約100万人の参加者を集めた。
2020年、潘基文前国連事務総長が鮮鶴平和賞を受賞し、100万米ドルの賞金を授与される。
2021年、統一教会の関連団体が主催するイベント「希望の結集(Rally of Hope)」でドナルド・トランプと安倍晋三が演説を行った。統一教会は、安倍の祖父で元首相の岸信介や、安倍の父で元外相の安倍晋太郎と関係がある。
2022年2月24日からのウクライナ侵攻後、ウクライナの家庭連合会長アーニャ・カルマツカヤは、「ウクライナは人類の平和、自由、人権の為に戦っている」とメディアやSNS上などを通じてウクライナ愛国心と反ロシア思想を世界へ向けて説いている。
2022年7月8日、安倍晋三元首相が奈良市で暗殺されたが、犯人は、安倍が統一教会と強い関係性があると主張し、統一教会への恨みを晴らすために安倍を銃撃したと動機を説明しているとされる。  
●政治思想・政治活動​
オウム真理教などの宗教問題を専門とするジャーナリスト出身の有田芳生は、統一教会の本質について、「多国籍企業を上回る準軍事的な国際政党」「宗教という仮面をかぶった経済=政治複合組織である」との見解を示し、その活動は日本、韓国、アメリカ合衆国をはじめ、世界を股にかけるものとしている。
1978年に公表された米下院のフレイザー委員会報告書では、「厳格な規律をもった国際政党の特徴を備えている」と評価されており、教団の最終目的を、教祖の文鮮明を頂点とする「世界的な政教一致国家を樹立すること」だと断定している。教祖の文鮮明本人は「現人神である自分を中心とする神国政治を創る」と言っていたとされる。
神田外語大学の民族主義運動の専門家であるジェフリー・J・ホールは、統一教会は冷戦時代に後に安倍派となる岸派と協力していたことを指摘しており、無償のボランティアの提供は、選挙において価値を発揮したと述べている。
2022年7月8日に発生した安倍晋三銃撃事件後の同年7月19日、統一教会元会長郭錠煥は記者会見にて、「(創設者の故)文鮮明総裁は(安倍氏の祖父の)岸信介元首相と近かった。(父の)安倍晋太郎元外相とも近かったと承知している」と指摘した。
全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長代行を務める紀藤正樹によると、統一教会の信者は自民党の応援団として選挙活動などにも駆り出されているが、2012年(平成24年)に発足した第二次安倍政権以降、国会議員が統一教会の行事へ公然と参加するようになった。統一教会との関係を深めると大臣などへの出世が早まる事が認知され、自民党議員らは教会からの寵愛を受けるために統一教会のイベントに参加するなど関わりを深めていった。統一教会との関係を問題視している自民党議員も一部存在はしたが、彼らは党内での発言権は弱く、出世コースからは事実上外されている。信者は自由民主党への投票を求められる事を、統一教会2世の被害者が語っている。
統一教会2世被害者弁護団は「統一教会は自身らに都合のいい関係の議員を求めており、自由民主党の議員以外にも関係を持っているが、やはり大部分は自由民主党議員である」、と語っており、1990年代の時点で日本の国会議員の内、百数十名(多くは自民党)の秘書は統一教会の信者であり、議員たちの活動は統一教会へ報告され、指示を受けていた。2018年、自民党代議士が統一教会青年イベントに連続出席。来賓祝辞で教祖への感銘を鮮明語った。
2022年8月にTBSが教団との関係について、全国会議員に「旧統一教会の関連イベントに出席したり祝電を送ったりしたことがあるか」と調査を行った結果、「ある」と答えたのは、自民党が60人、日本維新の会が9人、立憲民主党が5人、公明党が1人、参政党が1人だった。選挙支援を受けたことが「ある」と答えたのは、自民党が14人だった。政治献金を受けたのは自民党議員4人と国民民主党の玉木雄一郎だった(全国会議員中、回答率は76%)。
また、宗教ジャーナリストの鈴木エイトがまとめた資料によると、2022年7月の時点で、少なくとも112人の国会議員が教団と関与しているとされ、その内訳は自民党は98人、立憲民主党は6人、日本維新の会は5人、国民民主党は2人だった。
元信者のジャーナリストである多田文明は、教団は否定しているものの、組織的な教団による政治家への投票指示があったとしている。
韓国を中心とする世界統一運動​
赤旗は、「事実上の教典である『原理講論』韓国語版には、世界は第三次世界大戦を経て、政治面では韓国を中心として、宗教面では文鮮明と統一教会を中心として統一される旨の記述があるが、この部分は日本語版に訳出されず隠蔽されて来た」と述べている。赤旗は、「この隠蔽の目的は日本の右翼に取り入り日本での策動を有利にするためだったという指摘がある」と述べている。
統一教会が四大名節と呼ぶ記念日には、早朝5時からの「敬礼式」中、日本の昭和天皇、アメリカ合衆国のロナルド・レーガン大統領、韓国の全斗煥大統領、等各国代表の身代わりをそれぞれその国の教団幹部が担当して聖壇に座った文鮮明夫妻に対し拝跪する儀式が行われていた。赤旗は、この際に昭和天皇の身代わりとなり文鮮明夫妻に対し拝跪したのは日本統一教会の長であった久保木修己であったと述べている。
反共主義​
文鮮明は戦闘的な反共産主義者であり、共産主義は神の摂理に基づく民主主義に対抗する悪魔によるものと主張していた。韓国主導の南北統一を望む西側諸国、特に西側諸国の反共派から相互支持を獲得することで統一教会は規模を拡大した。
教団は共産主義革命の防止を主たる目的とし、日本においては岸信介らが中心となり、1968年(昭和42年)に韓国と日本で「国際勝共連合」(通称「勝共連合」)という政治団体を組織した。勝共連合では反共主義が徹底されており、共産主義は神を否定するサタンの思想であると説く「勝共思想(勝共理論)」の啓蒙を運動方針の第一義に掲げ、具体的にはスパイ防止法や青少年健全育成法の制定運動、日本国憲法や教育基本法改正の推進、性教育に関する教科書改訂や子宮頸がんワクチン撲滅キャンペーンなどに取り組む一方、選択的夫婦別姓制度やジェンダーフリー、人権擁護法案、外国人への参政権付与には反対する。また専守防衛・非核三原則・武器輸出三原則の破棄などを提唱し、原子力発電所の必要性も唱えている。
なお、教団では、LGBT、同性婚や夫婦別姓を、教義の中で「生活共産主義」と呼び、エバ国家日本には許されないとして認めさせてはならないと説いている。しかしながら、LGBT、同性婚、夫婦別姓は、いずれも共産主義とは独立のリベラリズムの範囲の事柄であり、これらを「生活共産主義」という言葉で、あたかも共産主義であるかのごとく語る点で、教祖の共産主義に対する甚だしい無知と無理解がわかる。
1976年(昭和51年)の第78回国会外務委員会で、田英夫は、元在米韓国大使館付武官であった朴普煕と非常に親交のあったというロバート・ロランドというユナイテッド航空の人物が、1967年(昭和41年)に文鮮明が「世界反共連合を設立するために日本の山中湖畔で児玉譽士夫、笹川良一と会合をした」「この会合の結果、世界反共連合というものが1968年の1月に韓国に本部を持って発足をし、同年(68年)4月には日本支部が設立され岸信介氏がこれに加わった」と証言している、と述べている。
ことに自民党の「韓国ロビー」といわれる政治家と親密で、古くは岸信介や福田赳夫、安倍晋太郎といった領袖が文鮮明主催のパーティーに参席したり、同僚議員を教義セミナーへ勧誘するなどして尽力。1989年(平成元年)に東京で開かれた「勝共推進議員の集い」には自民党・民社党を中心とする国会議員232名が一堂に会しており、近年でもシンパ議員は250人にのぼると漏れ伝わった。自民党内には嘗て教団が支援する教育関係の議員連盟が設立されたこともあり、地方議員が関連団体の地元支部で役職に就くことも珍しくない。
1977年(昭和52年)の第80回国会文教委員会で、政治家の大塚喬は、「1961年の朴政権発足とともに、その庇護のもとに急速に勢力を伸ばしてまいりました。」と述べている。後に教団ナンバー2となる朴普煕を始めとした韓国軍の高級将校も入教しており、系列企業の「統一産業」が小銃工場を建設する際に、文鮮明の側近となった朴普煕と朴正煕大統領(当時)が事業支援について協議したことや、公務員教育が国際勝共連合で行われたことなどが報じられた。昭和53年の第84回国会予算委員会で、内藤功は「米国議会フレーザー委員会におきまして「米韓関係の調査」と題する報告書が公表された。その中で統一教会はKCIAが政治活動の目的のために組織したものだ、こういう米CIA資料を公開しております。」と述べ、園田直(当時国務大臣)は 「米国下院国際関係委員会の国際機構小委員会、いわゆるフレーザー委員会が米韓関係に関する調査との関連で先月開催した一連の公聴会の冒頭、韓国中央情報部長であった金鍾泌氏が統一教会を設立した旨の米政府部内資料が公開されたということは承知しており、すでにその資料の写しを取り寄せ済みでございます。ただ、同資料がどのような裏づけを持ってやられたものか等を含め、同資料の性格はまだ判明しておりません。なお、この公聴会では、後日、22日だと思いますが、公聴会で統一関係者が右資料の趣旨を否定する証言を行った旨、これまた報道で承知しております。」と述べている。
日本では、日本共産党をターゲットにさまざまな妨害工作を仕掛けていたとされる。有田芳生が右翼の畑時夫から得た証言として、袴田里見副委員長が共産党を除名になった直後の1978年に、統一教会の久保木修己会長と国際勝共連合の梶栗玄太郎理事長が、京都市内のホテルで、袴田と面識があった畑時夫と面会し、「金はいくらかかってもいいから袴田をなんとか手に入れることができないか。共産党を攻撃する材料ができる」と相談したという。
ソ連では、共産主義が失速した後、西側から様々な新興宗教が進出していたが、文鮮明もソ連人を援助し、1990年4月にモスクワで開かれた統一教会の世界メディア会議の後、ゴルバチョフと個人的に面会し、日本の経済界に働きかけて対ソ投資について調査させることを約束した。
北朝鮮融和路線への転換​
教団などは文鮮明が北朝鮮を訪問し、朝鮮半島の非核化宣言の合意形成に成功したお陰でこの時期の半島での戦争を避けられたと主張している。訪朝後は経由地の北京で「私が過去40年の東西冷戦時代に誰よりも徹底した反共指導者であり、国際勝共連合の創始者として一生を勝共闘争に捧げてきたことは、世界がみな知っている」としつつ「しかし、私の勝共思想は共産主義を殺す思想ではなく、彼らを生かす思想、すなわち人類救済の思想」とする声明文を発表した。
統一教会は共産主義国である北朝鮮とは、「宗教の自由を認めず、弾圧している」として長年敵対関係にあった。政治団体である国際勝共連合という「反共組織」を通じて、反共の先頭に立って「共産主義撲滅」「打倒金日成政権」の運動・活動を展開していた。北朝鮮の金日成主席を「共産主義の悪魔」と攻撃し、北朝鮮もまた世界基督教統一神霊協会(統一教会)の創始者・文鮮明教祖を「反共の頭目」と痛烈に批判していたように統一教会と北朝鮮はまさに不俱戴天の間柄だった。
しかし、ベルリンの壁の崩壊と東欧社会主義諸国の瓦解後である1990年11月30日に、文は金日成による招聘を受けて北朝鮮を電撃訪問し、金日成主席と会談している。金日成は「連邦制による祖国統一実現のためには反共主義者とも手を握る必要がある」として、文をVIP待遇で「統一の使者」として受け入れるよう指示していた。これは、北朝鮮の党国際局・対韓担当の祖国平和統一委員会などの反対を押し切った判断であった。
文鮮明は1950年12月以降から韓国へ移住まで北朝鮮部分に住んでいた拷問を受けたこと、3年近くの興南監獄で多くの罪なき囚人たちが死んでいくのを見たことで反共思想になったと述べている。
満40年10か月ぶりの北朝鮮訪問後の1991年12月7日に北京での声明文「北朝鮮から帰って」において、「北朝鮮に恨(ハン・恨み)が多いと言えば誰よりも多い人間です。」「過去40年の東西冷戦時代に誰よりも徹底した反共指導者であり、国際勝共連合の創始者として一生を勝共闘争に捧げてきたことは、世界がみな知っております」「冷戦時代の終焉とともに招来した平和の運勢を世界的に拡散させるために、私は「世界平和連合」を創設し、国際的平和運動を主導しています。」「統一祖国の明るい新世紀を迎える準備を急ぎましょう。」と冷戦崩壊後に対北朝鮮方針を転換した理由を述べている。
2012年9月3日に世界基督教統一神霊協会(統一教会)の創始者の文鮮明が死亡した際には、北朝鮮の金正恩第1書記は遺族に弔電を送り、「文鮮明先生は逝去したが、民族の和解と団結、国の統一と世界平和のために傾けた先生の努力と功績は末永く伝えられるだろう」との哀悼の意を表している。
2013年1月22日には北朝鮮と世界基督教統一神霊協会(統一教会)の合弁会社「平和自動車(Pyeonghwa Motors)」の最高経営責任者(CEO)で、米国市民権を持つ朴相権へ追加投資を引き出すために、北朝鮮から平壌市の名誉市民証を授与されている。
反日思想​
日本は「サタン(悪魔)の国」であるとの反日教義が教えられているほか、教祖の文鮮明は日本民族や天皇への侮辱的・差別的な発言を繰り返していたことでも知られる。
文鮮明は教義の一つとして、「日本の天皇と韓国の王とが交差結婚をしなければならない。」「日本の皇室と(文教祖の)孫たちが結婚する時が来て、すべての国の王権の代表者たちと結婚する時代に入る。」「韓国が支配された立場とは逆に日本を支配するところまでいかなければなりません。」と説いた。
統一教会の教典「原理講論」の韓国版には「日本はサタン(悪魔)の国」であるとしており、文鮮明教祖はイエス・キリストの再来と書かれており、日本支部会長扮する天皇陛下が文教祖一家にひざまずく儀式を行っている。
このほかにも、統一教会内部では「昭和天皇は霊界で、『原理講論』を一生懸命勉強している。そのことが、私たちのこの世での活動を助けてくれている」「天皇家には色情因縁があるから皇太子殿下は婚期が遅れている」と教えられている。文鮮明は、皇太子がまだ独身の時代に、「結婚相手を統一教会信者の中からあてがう」との趣旨の発言をしていたほか、「韓民族に重い原罪を負っている日本人の結婚相手は、動物でももったいないくらいだ」とも説いていた。
文鮮明はイエス・キリストの「再臨論」も説いており、「韓国のキリスト教を過酷に迫害した」「天照大神を崇拝してきた全体主義国家」と教会から批評される日本と、共産化した中国は「サタンの国」であるため、イエスが再臨する『東の国』とは韓国であるとしている。また、「メシアを迎え得る国となるために我々は第三イスラエル選民となければならない」としている。
阪神淡路大震災について、教団内部では、日本での献金が滞ったことや、犯罪歴などを理由に教祖の文鮮明の入国を拒否したことへの「天罰」であるとの趣旨の教えが流布されていた。
統一教会は韓国と日本では史観が違っており、韓国では献金などのノルマなどは厳しくないが、日本国内での統一教会の信仰者はまず始めに全財産の額の把握を教会にされる。その後「地獄に行く、天国にいけない」と教えられ、莫大な献金を促される。全財産を捧げる事を教義としており、破産しても借金する方法を教える事で貢がせ続ける。
日本統一教会は「先祖の罪業を辿って償わないと不幸になる」という論理を教義の一つとしており、人値の先祖辺り70万円以上の定額寄付を促される。最終的に信者の財産を絞りつくす為にも、定額寄付は信者の資産ごとにコミットメントされ、場合によって縄文時代にまで家系図を遡るように作成され恐怖を植え付けさせ続ける。 統一協会の教義の確信は「堕落論」にあり、この教義を利用して霊感商法を行っている。この教義の中の「万物復帰」という教えは、「全ての万物は神に捧げなければならない」という統一教会の集金システムであり、最終的に信者の全財産を捧げさせる為の物である。
統一教会の教義には、日本人女性をマインドコントロール(洗脳)し、韓国人男性と強制的に結婚させて韓国の血の入った子を産ませることで、「日本の穢れた血」を浄化するという教えもあり、「合同結婚式」(信者は「祝福」と呼ぶ)と呼ばれる教団内婚制をとり、教祖のインスピレーションに従って信者同士で結婚する。「合同結婚式」の参加費用でも日本人は差別されており、日本人は1人あたり50万円から150万円なのに対し、韓国人は5万円(25万ウォン)未満ほどだという(1988年当時)。小規模な閉鎖的コミュニティを除き、教団内婚制をとる巨大教団はほかには見られない。
慰安婦問題も罪悪感を植え付け、マインドコントロールするために利用されており、2012年当時、韓国では教団系の「韓日の歴史を克服し、友好を推進する会」が「慰安婦問題について、心よりお詫びします」と土下座するパフォーマンスを韓国各地で繰り返していた。メンバーは教団の合同結婚式で韓国に嫁いでいった日本人妻で、「日本人は植民地時代の罪を韓国人にあがない続けなければならない」と叩き込まれていたという。
世界で活動する教団の運営資金の7割は日本での「霊感商法」から得られたものであり、日本は「金のなる木」、集金の場所として扱われた。
また韓国の系列企業のビジネスには、日本の献身(無給に近い待遇で、教団の指示のもと様々な活動に従事すること)した信者による物販で稼ぎ出された資金が使われていた。
各国政府・政党との関係​
韓国​
フレイザー委員会に関連して公開された、1963年から1965年にかけて作成された統一教会に関する米中央情報局(CIA)による3つの秘密報告書によれば、1954年に文鮮明によって設立された統一教会は、1961年に大韓民国中央情報部(KCIA)部長の金鍾泌の指示で「韓国政府機関」として再組織され、莫大な資金力を背景にアメリカや日本で秘密裏に政治活動を行っている。また教団は、米国で「韓国文化自由財団」というフロント組織を持ち、この組織の名目上のリーダーは梁裕燦だが、本当のリーダーは陸軍将校朴普煕であるという。
1977年5月5日、米ニューヨーク・タイムズ紙は、金炯旭を取材、「コリアゲート」に関与する朴東宣が、1960年からKCIAの工作員であるとの証言を得ている。この他、当時の韓国駐カナダ大使、統一教会教祖・文鮮明と文鮮明の顧問・朴普煕もKCIAの工作員であることも明かしている。
1977年6月、早稲田大学で「在日韓国人政治犯救援会」が教団系の「原理研究会」と公開討論を行い、その中で原理研は、教団の活動が大韓民国中央情報部(KCIA)に好感を持たれていること、原理研が勧誘活動で入手した資料や写真がOBを通じて、KCIAに流出する可能性があることを認めている。
韓国では教団自ら政党を設立して政界進出を企図することもある。2008年4月に行われた総選挙では「平和統一家庭党」から全245地方区(選挙区)と13比例区に候補を立て臨むも全員落選。更に、政党得票率が全有効票の2%に満たなかったため、選挙法の規定により政党登録を抹消されることとなった。こうした教団の動きに対し同選挙では、「統一教会対策協議会」を中心に全キリスト教派が連携し、統一家庭党候補への落選運動も展開された。
米国共和党​
1970年代から文鮮明はアメリカに居を構えて、大規模な講演会を幾たびも開催した。日本から渡米した信者らも活発に伝道と経済活動をした。自ら創刊した保守系新聞『ワシントン・タイムズ』などのマスメディアで政治的に保守政党である共和党を一貫してバックアップしたほか、ニクソンなどの米国共和党政治家を支援し、関係を築いてきた。
その政治的・社会的影響力について、1976年のニューヨーク・タイムズ紙は、その活動を以下のように報じている。
「急成長している文鮮明のグループは、米国内で韓国政府への支持を確立するため多くの努力を払っている。これらは、議会での集中的なロビー活動、著名な政治家や実業家、地域リーダーへの働きかけ、韓国で戦争が起こった場合に参戦することを誓う熱心な信奉者の育成、共産主義を攻撃して、韓国とアメリカの愛国的テーマを結びつける入念なPRキャンペーンなどの形式を取っている。」
元アメリカ合衆国大統領のジョージ・H・W・ブッシュは1995年に日本で開催された教団系の「世界平和女性連合」で講演している。1996年には、アルゼンチンで創刊された教団系の新聞のパーティーでスピーチをしていた。ブッシュはまた、教団系のワシントン・タイムズ紙について、「自分の政権はもちろん、アメリカの国益の推進のために計り知れない役割を果たしてくれた」と評価。同紙はレーガン政権時も旧ソ連への対抗政策「戦略防衛構想(SDI)」を擁護する役割を果たしている。有田芳生は、教団は米国共和党と密接な関係にあり、ブッシュの一連の言動は、その交際の一環とみるべき、としている。
息子のジョージ・W・ブッシュも2002年5月にワシントンで開かれたワシントン・タイムズ紙創刊20周年の集まりにメッセージを寄せている。
さらにブッシュ一族の中には統一教会の信者がいるとの噂もあった。
日本​
日本での選挙の際にも信者を運動員として派遣し主に頑強な右派候補を積極的に支援することが知られ、1986年(昭和61年)の衆・参ダブル選挙では教団が肩入れした候補150人のうち134人を当選させ、後にその全員が教義セミナーを受講したと勝共連合の機関紙が伝えた。1978年(昭和53年)の第84回国会地方行政委員会で、政治家の正森成二は、勝共連合が「「やっぱり杉村氏は極秘党員か」、こういうビラを全戸に一斉に配布いたしました。」と述べている。
赤旗は、信者が自由民主党の事務所に派遣された際には「統一教会ではなく勝共連合から来ましたと言いなさい」と言い含められたと述べている。
1977年7月、警視庁は、統一教会品川大田支部長の男(33)を選挙違反の疑いで逮捕した。男は都議選・永井辰男候補の運動員だった。別の信者に指示して、品川区内の50戸に同候補の推薦文の載せたはがきを配布させ、報酬として6万円を渡した疑い。
教団の日本の政治への影響力を高める方法として主流だったのは、信者を議員秘書に育成して国会議員のもとに派遣することだったとされる。
当時ジャーナリストとして活動していた有田芳生の調査によれば、1991年当時、自民党の新井将敬と東力、民社党の菅原喜重郎の公設秘書が統一教会の信者だったという。私設秘書はさらに多く、自民党の高橋一郎、伊藤公介、平沼赳夫、原健三郎、大塚雄司らの議員秘書が信者だったとされ、ある自民党大物議員も「こんなものじゃない。私設秘書だって数十人の規模でいる」と証言していたというほどだった。1990年2月の大塚の選挙活動には数十人規模の信者が関与していたとされ、カンパ、ポスター貼り、他陣営候補者のポスター破り、推薦はがきの宛名書き、演説会の案内状書き、支持依頼の電話などを熱心に行ったという。教団は京都の嵐山と神戸の須磨の関連施設を、信者を議員秘書とするための養成所とし、話し方、接待の仕方、お茶の出し方、受付や名刺交換、電話の応対の作法などを泊まりがけで叩きこんだとされる。このほかにも、勝共連合では「まず秘書として食い込み議員の秘密を握り、次に自ら議員になれ」との指示が下されているという。
文鮮明本人がアメリカで行った演説の内容として「先生(文鮮明が使う一人称)は、上院議員一人あたり三人の若い夫人を割り当てるだろう。・・・・・上院議員を正道に戻すには、まずその助手たち、とくに秘書たちを友達にしなければならない」(1972年)「先生には、多数の美貌の女性たちが必要である。三百人ほど必要である。先生は上院議員一人あたり三人の若い夫人を割り当てるだろう。一人は選挙、一人は渉外、一人はパーティーを担当する。もし女性会員たちが多くの点で上院議員たちにまさっていれば、その上院議員はまさにわれわれの会員のとりこになるだろう」(1973年)とあり、同様の戦術を米国でも行っていたことを教祖自ら語っていたことになる。
政治家の中村敦夫は、1998年(平成10年)の第143回国会法務委員会で、国会議員に対して統一教会やその政治組織などから秘書が派遣されており、多い人は統一教会から一人の議員に、9人もの秘書がついているというようなこともあったと述べている。在任中の法務大臣であった保岡興治が政策秘書として使う信者(1800双)を秘書官に登用したことが週刊誌で報じられ国会で追及を受けたこともある。1992年(平成4年)3月には国会議員による法務大臣への働きかけが奏功し、本来であれば米国で1984年に受けた実刑判決の影響で日本へ入国できない文鮮明が、14年ぶりの来日を果たし各地で説教した。
また秘書となった信者が自ら選挙に立候補するケースもあり、例えば渡辺美智雄(国会議員)の元秘書(6000双)で、霊感商法でトーカーと呼ばれる霊能師を担当していた者が衆院選候補に転身し、後に自民党が公認している。2010年(平成22年)にも市議選への女性信者の出馬が発覚した。
弁護士の渡辺博は、安倍晋三への銃撃事件を受けて会見し、「二十数年前の調査では、統一教会の信者百数十人が自民党などの国会議員の秘書になっていた」と述べている。
有田芳生によれば、1980年代から始まった「スパイ防止法」の制定運動など、自民党の一部議員が推進する政策にも教団の思惑が反映されているという。また、「日韓トンネル」の建設推進運動の背後にも、教団関係者の暗躍がみられるとしている。
1987年(昭和62年)の第109回国会法務委員会で、政治家の安藤巖は「霊感商法をやっておる「世界のしあわせ」、「世界のしあわせ北海道」、「世界のしあわせ名古屋」あるいは「世界のしあわせ九州」、「(世界のしあわせ)広島」」といった団体から自民党の保岡興治議員、桜井新議員、亀井静香議員に政治献金がなされており、政治資金報告書によると、わかっている範囲で保岡が400万円、桜井が150万円、亀井が300万円、また自民党の中村文教部会長が国際勝共連合から10万円の政治献金を受け取っていると述べている。
1977年(昭和52年)の第80回国会予算委員会で、政治家の石橋政嗣は、総理あてに原理運動被害者父母の会から出された陳情書の中に、「(真っ先に自民党に陳情したが)多くは儀礼的な挨拶だけで、中には『自民党では、この問題はタブーです』とハッキリ断られた人も居ります。」と書かれている、と述べている。
1987年8月には、「霊感商法」の卸元の1つだった「世界のしあわせ名古屋」が自民党の小島善吉・静岡県議とともに静岡県警を訪れ、「今後、誤解を招くような商法は一切しない」との説明をしていたことがわかった。県議は「国際勝共連合に頼まれた」としている。
有田芳生によれば、1992年3月の文鮮明来日時にも、自民党関係者との密接なつながりが見られたという。文鮮明は過去に二度来日したが、出入国管理法に違反して宗教活動を行なったため、1979年・1981年・1982年にわたり、入国を三度拒否されている。この異例の来日が実現した背景には自民党副総裁の金丸信の働きかけがあったとされる。来日した文鮮明は29日に中曽根康弘と会談し、30日夜には「北東アジアの平和を考える国会議員の会」が主催した晩餐会で、三十一人の国会議員の前で講演を行なった。31日には金丸信と密室で会談した。金丸との会談の内容は主に北朝鮮をめぐるものだったとされ、金日成の親書を金丸側に手渡したとの噂まであった。
韓国の統一教会で発行された『統一世界』1990年4月号では、文鮮明本人が日本の政治に対する影響力の大きさを自慢する演説の要旨を紹介している。
「日本の今度の選挙だけでも、私たちが押してあげたのが、百八議席当選しました。今回、私たちが援助しなければ、無所属で出てきた中曽根なんか吹けば飛んだよ。また派閥で見れば、中曽根派は六十二議席にもなって、安倍派は八十三議席です。私がそういうふうに作ってあげたんですよ。この二派閥を合わせるといくつになりますか?それで安倍とか中曽根は、原理の御言を聞け!と言ったら聞きはじめました」
—  文鮮明の演説より抜粋『統一世界』1990年4月号
2003年当時、教団による政界との関係強化が下達され、関係の深い落選議員への支援が指示されている。
宗教ジャーナリストの鈴木エイトは、「政治家が教団に求めるのは『票集め』ではありません。選挙戦での運動員、事務所スタッフなどの『人的貢献』です。それは政治家が何よりほしがるもので、教団は無尽蔵に提供してくれるわけです。政治家と旧統一教会――その関係は、世間一般の人たちが思うよりも、ずっと深いものなのです」と語っている。
2022年1月、教団系の『世界日報』に、改憲派として、自民党の古屋圭司、日本維新の会共同代表の馬場伸幸、国民民主党の榛葉賀津也の三人が共演した。
自民党所属の参議院議員である青山繁晴によると、2022年の参議院選に際して、ある派閥の長に対して党の候補が統一教会から支援を受けているか確認したところ、事実だと返答があったとしている。
弁護士の紀藤正樹は、安倍晋三銃撃事件を受けて、政治と教団の関係について「国会内に特別委員会を設置するなど、本気でやらなければ、何年か後に同じことが起きる。それは、国として大きすぎるダメージとなることでしょう」と語っている。
   自民党幹事長との密接な関係​
2002年4月、当時自民党幹事長であった山崎拓が統一教会信者の女性と不倫関係にあり、教団側に国家機密が漏れる危険性があったとされる。山崎と関係があった女性は東京の九段にあるマンションに住んでいたが、彼女は毎週末に八王子にあるアパートの1室に通っており、そこは信者が共同生活をする統一教会の関連施設そのものだったという。有田芳生はこの女性を、二十四時間教団の施設で生活する「献身者」ではなく、普段は働いて週末には施設に通い教義を学ぶ「勤労青年」と呼ばれる信者であり、この女性は自ら政治家に接近し、情報を引き出すための「特別な使命」が教団から課せられた人物であるとし、教団が北朝鮮に近い立場にあることから北朝鮮などに国家機密が流出する危険性を指摘した。
山崎は一連の不倫報道を名誉毀損とし、週刊文春に対し5000万円の損害賠償を請求する訴訟を提起したが、2003年9月、東京地裁は「記事は真実か真実と信じる相当の理由があった」と判断、山崎側の敗訴が確定した。
   警察捜査への政治圧力​
ジャーナリストで元参議院議員の有田芳生によると、有田は1995年に警察庁関係者に警察庁幹部から依頼を受けて教団についての講義を行った。当時オウム真理教の次に摘発をしようとしていると聞かされていたが、結局摘発はなかった。その10年後、警視庁幹部二人から「政治の力」により摘発を阻まれたと聞かされたとしている。
上越教育大学教授の塚田穂高は、「旧統一教会の場合は、教団を追及や捜査から守ってもらうために政治に近づき続けた面も強い」とし、「政治家が『よくあるつきあい』で済ませてよい相手ではなかった」として、教団による政治家へのアプローチの背景には、捜査を回避する目的があるとの趣旨の発言をしている。
2012年には、元警察官僚の平沢勝栄が、この種のアプローチを受けたのではないかとの話があった。週刊新潮の報道によれば、平沢の発言を収録したテープが流出し、そのテープには平沢の声で「各地で今、5、6ヶ所警察とトラブってんだよ。それで結局、警察けしからんって言ってんだよなあ、統一教会は。それで私にそれをやってくれって…」などの発言が収録されていたという。この発言について、平沢が、統一教会から警察の捜査について相談され、警察との窓口役を務めざるを得なくなり、困惑したのではないかとの関係者の証言があった。なお、平沢は教団との関与を否定している。
「全国霊感商法対策弁護士連絡会」のメンバーで弁護士の川井康雄は、第1次安倍政権終了後の2007年頃から、教団に関連した違法行為の刑事事件化が相次いでいた一方で、2012年の第2次安倍政権発足後に再び刑事事件化することは少なくなったことを指摘した上で、教団と政治家の関係性は明らかであるとした。同じく弁護士の山口広は、教団は政治だけでなく、言論・学術界などにも食い込んでおり、違法な霊感商法の被害について警察や行政が積極的に取り組まないように、圧力をかけてもらうように働きかけていることを証言している。
イスラエル​
2001年、文鮮明はイスラエルの首相選挙でリクード党のシャロンに選挙資金の援助を行ってる。2002年11月30日の放送では、イスラエルのアリエル・シャロンが、リクード党の党首選挙でのベンヤミン・ネタニヤフに勝った資金は、アメリカのシカゴを拠点とする文鮮明の統一協会から流れていると断言した。
イスラエルの首相選挙で、リクードのシャロン候補が勝利し、政権党が労働党からリクードに交代することになった。これは、冷戦後の国際情勢の中でパレスチナ問題を解決しようとして1993年に締結された「オスロ合意」の体制が崩壊したことを意味している。パレスチナ問題が中東情勢の中核をなしていることから考えて、中東地域では「冷戦後」という一つの時代が終わったことになる。イスラエルでは、建国前のシオニズム運動発祥の時代から現在まで、右派と左派の2つの流れがある。右派は、ユダヤ教をイスラエルの建国精神の中心に置き、パレスチナ人が住んでいるヨルダン川西岸地域までを含めた地域を「神から与えられたユダヤ人の故郷」であると考え、パレスチナ人を弾圧し、できれば西岸から出て行ってもらうことを究極の目標としている。
西岸は1967年の第3次中東戦争の大勝利でヨルダンから奪ったものだが、この大勝利こそ、神がユダヤ人に西岸を与えた証拠だと極右の人々は考えている。彼らにとって、パレスチナ人とその背後にいるアラブ諸国は交渉相手ではなく、追い出すべき敵となっている。首相選挙で勝利したシャロン氏が党首をしているリクードが、右派政党の代表的存在である。
一方、イスラエルの左派の考え方は社会主義に基づき、民族や宗教を越え、ユダヤ人とパレスチナ人が共存するイスラエルを作ろうとするものである。イスラエル建国運動はもともと左派の考え方が発祥になっている。左派政党の中核は労働党で、敗北したバラク氏が党首をしていた。
アメリカのクリントン前大統領が音頭をとって続いていた中東和平交渉は、左派的な和解の精神に立脚している。この方向性は、1992年に労働党のラビン氏が政権を取った後、イスラエルとパレスチナがオスロ合意を締結したことで始まった。この合意は、パレスチナ人が住んでいる西岸とガザ地区にパレスチナ人国家を作り、イスラエルとパレスチナを友好関係の兄弟国家にするシナリオである。
リクードはパレスチナ人とアラブ諸国を信頼しない立場にたち、イスラエルの安全保障のためにはパレスチナ人への寛容政策を取るべきではないと主張し、和平交渉に消極的だった(リクードは自由主義を信奉するタカ派の非宗教政党)。また、極右派の宗教勢力は「神から約束の地として与えられた西岸地域にパレスチナ人が国家を建設することを許すのは神への冒涜だ」と考え、オスロ合意に反対した。ラビンは95年に暗殺されたが、極右イスラエル人の中には「神を冒涜したのだから殺されて当然だ」と考える人々が多い。
しかし2001年に文鮮明は中東和平を望まない政党を支持していながら、2003年シャロンの2次内閣が出発後、摂理と称して「エルサレム宣言」「中東和平イニシアチブ(ワシントン宣言)」とあたかも中東和平を推進している団体のように装っていた。
その他政治に関する一覧​
○統一教会と実質一体で、仏教を装い霊感商法を行う霊石愛好会の主催にて各地で開かれた霊感商法を擁護する集会に、当時の国会議員らが祝電を寄せたことが批判を受けた。
○2006年(平成18年)5月に国内12カ所で開催された「天宙平和連合(UPF)‐祖国郷土還元日本大会」へ、現役閣僚をはじめ多数の政治家が祝電を送っていたことが露見し、教団の活動に正当性を与える行為だとして批判された。なお大会の模様は教団公式サイトより動画配信された。
○2007年(平成19年)、千葉県流山市議選にて統一教会関係者が民主党公認で出馬していることが全国霊感商法対策弁護士連絡会の調査で判明した。
○2008年(平成20年)12月、教団関係者の運営するNPO法人「未来構想戦略フォーラム(JFFSI)」 が中心となって開かれたシンポジウムを外務省が後援。他にも同フォーラム主催の会合や講演会では現職の大使や首長、官僚が講演している。
○2009年(平成21年)に霊感商法で初の懲役判決となった「新世」事件では、教団本部への捜索を阻止するために複数の自民党議員が司法当局に圧力をかけている。
2009年9月、衆議院選挙で民主党から出馬した萩原仁を支援した教会(協会)関係者が公職選挙法違反で逮捕された。
○参院選間近の2010年(平成22年)5月、 山谷えり子への支援ならびに有田芳生への落選運動を通達する教団の内部文書が流出し物議を醸した。翌月には信者による有田に対する選挙妨害が行われた。
2010年11月6日に国際勝共連合が新宿で行った「沖縄・尖閣諸島をまもれ!緊急国民集会」では、中国の覇権主義への抗議と尖閣漁船衝突事件での国の対応を批判し打倒民主党も呼びかけられた。
○2011年(平成23年)に統一教会系団体が主催・後援し全国各地で開催した「アジアと日本の平和と安全を守る全国大会」に現職・元職の国会議員や地方議員が多数参加した。
○2021年9月12日(日本時間)に開催された天宙平和連合主催のイベント『THINK TANK 2022 希望前進大会』に安倍晋三がビデオメッセージを寄せた。天宙平和連合の関連組織であるUPFインターナショナルとワシントン・タイムズの依頼に安倍晋三が応じたことで実現した。全国霊感商法対策弁護士連絡会は9月17日、ビデオメッセージを寄せた安倍晋三に対し抗議文を送付、同日開かれた記者会見で抗議文を公開した。
○警察組織を統括する立場にある国家公安委員長の二之湯智は2021年4月に京都市の国立京都国際会館で開催される予定だった教団系のイベント『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い』の『呼びかけ人』に、田中英之、木村弥生、繁本護とともに名を連ねていたことが判明している。  
●名称​
1954年の設立当時の名称である世界基督教統一神霊協会は「全キリスト教会を霊的に統合させる協会」を意味する。英語名の「神霊」の部分には Holy Spirit が充てられ、Holy Spirit Association for the Unification of World Christianityとなっているが、これは命名当時に他に適切な訳語が思いつかなかったためであるという。
統一教会は、社会における家族の重要性を強調しており、それを反映して1994年5月に名称が世界平和統一家庭連合に変更された。日本で、2015年6月2日に所管する文化庁に変更申請書を提出し、同年8月26日付で名称変更が認証された。
教団の名称変更について、政治的な力が働いているとの指摘がある。当時の文化庁宗務課長だった前川喜平は、教団から最初の名称変更申請があった1997年当時、「実態が変わっていないのに、名前だけ変えることはできない」として、認証できないとして、申請しないよう教団に要請したことを明かした上で、2015年に実現した名称変更について、「当時の文科相(下村博文)の意思が働いていたのは100%間違いない」と指摘。さらに名称変更の申請について、日本共産党の宮本徹衆議院議員が文化庁に情報開示を請求したところ、文書は名称の変更理由の部分が黒塗りとなっており、教団が提出した文書はすべてが黒塗りになっていた。
教団は、政治介入の指摘に対し、2015年当時、「主務官庁が拒否するならば訴訟もやむを得ない」として意見書を提出したことを明かした上で、「純粋な法律問題」として、政治的介入や不正の存在を否定した。
韓国では統一教、日本では旧称の略称の統一教会、またキリスト教会側からはキリスト教の教会と混同されないよう統一協会と記載され、英語ではUnification Church(統一教会)、Unificationism(統一主義)、開祖の姓から俗にMoonies(ムーニーズ)の名で知られる。ただし、信者はムーニーズを蔑称と考えており、自らそう名乗ることはない。文鮮明が率いる組織の集合体は統一運動と呼ばれる。今は、「天の父母様聖会」と、呼ばれている。  
●教理​
教典​
統一教会の教典は1966年に初版が刊行された『原理講論』(原理講話)とされる。日本語版は1967年に刊行され、日本の統一教会信者は長らく教典として重視しており、これを基に信仰心を形成してきた。日本の教団幹部や彼らに教化された教団信者の世界観・信仰観を知るための、検討の対象となる文献である。文鮮明の『原理原本』をもとに、劉孝元(ユ・ヒョウォン)が『原理講論』をまとめ、表向きは「聖書の解説書」と称するが、実質的教典として扱われている。
『原理講論』は、文鮮明の高弟である劉孝元(教会長、1970年死去)が、文鮮明の『原理原本』を増補し、彼の説教を整理したものである。
『原理原本』(1952年発行)は、韓国の神秘主義的キリスト教改革運動の流れを汲む「イスラエル修道院」の金百文(朝鮮語版)(キム・ベンムン。キリストの親臨を主張した、柳明花の信奉者のひとり白南柱の弟子)の著作『基督教根本原理』(1946年3月2日起草、1958年3月2日発行)の執筆中に文鮮明が盗作したという証言がある 。
それに対し統一教会側は「金百文の著作が世に出る前に、『原理原本』そして『原理解説』(1957年発行)が作成された」と主張している。
『原理講論』は初版以降数度改版され、新しい部分も追加されている。初版には、メシアが文鮮明であること、メシアが誕生する国が、韓国であることの論証部分はないが、第3版には追加されている。
『原理講論』のはしがきには、本書が完成版ではなく、編者により適時増補、または加筆修正される可能性のあることが説明されている。『原理講論』の言葉を勝手に解釈したり、自分の言葉を付け加えることは、分派発生の原因になるとして信者には禁止されている。
ハンガリー人のカトリック神学者・神父で上智大学神学部教授であったネメシェギ・ペトロ(ハンガリー語版)は、『原理講論』では、神は「ゲルマン民族を新しい選民として立て」たという主張を基に、古代末期以後の歴史はすべてゲルマン民族に集中して語られていて、カトリック教会はキリスト教の堕落したものとして描かれており、ルターが新しい福音の光をもたらした存在とされるなど、韓民族を現在の選民であるとする最後の唐突な飛躍を除き、ゲルマン・アングロサクソン系のプロテスタンティズムの立場で書かれていると述べている。(日本語版では削除されているが、英語版『原理講論』には、「韓国の民が神によって選ばれた第三のイスラエルとなる」と書かれている。)
聖書に預言された再臨のキリストが文鮮明であるとすることから、エホバの証人・モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)と共に全てのキリスト教会から異端と見なされている。
弟子がまとめた教説よりも、生きている文鮮明が直接語った言葉こそが神の教えと考えられるため、初期の説教内容をまとめた『原理講論』だけでなく、教祖の言葉をまとめた『文鮮明先生御言選集』(360巻以上)、『御旨と世界』(1985年)などの説教集、信者の規律についての『御旨の道』なども併せて教義体系を構成しており、近年では説教集『天聖経』(2003年編纂)が『原理講論』以上に重視されるようになっているといわれる。
「原理講論(Divine Princple)」を見るとキリスト教用語や漢字語の初歩的な誤謬が散見され、著者・劉孝元及び翻訳者・崔元福がそれらに無知であったことが判る。
教義・教説​
統一教会で「原理」とは、文鮮明が霊的体験や独学によって与えられた啓示とされる。他方で文鮮明は1945年に妻の崔先吉と共にイスラエル修道院に通い金百文(朝鮮語版)の教えを学んで盗作したという証言がある。 統一教会の信者は「原理」は旧約聖書・新約聖書の解釈であり、究極的、決定的な真実であると信じている。
「原理」は主に「創造」、「堕落」、「復帰」の3つの部分からなる。『原理講論』は文鮮明の啓示の様々な解釈を書いたもので、「原理」とは厳密に区別されている。1954年に統一教会が創立されて以降、一貫して、聖書よりも『原理講論』が重要視されており、現存する聖書によるキリスト教の正典を超越すると考えられている。この節は本書の内容を中心に述べる。
『原理講論』の「堕落論」には、「人間始祖の堕落によって、その子孫が、一人残らず、神の血統を受け継ぐことができず、サタンの血統を受け継いでしまった」と記され、「真の父母として降臨されるイエスのみがこれを知り、清算することができる」とする一説が記されている。
プロテスタントの日本基督教団牧師・宗教研究者の石井智恵美は、教義内に明確な記述はないが、信徒にとって教祖の文が「再臨のイエス」=「人類と霊界を結ぶ比類ない存在」であることが信仰の前提であると述べている。神の愛を中心に結婚し、完全な子供を産み、真実の家族を作ることで、地上の楽園(地上天国)を建設することが目指される。
ネメシェギは、『原理講論』の思想の特徴として、朝鮮半島の陰陽説、文鮮明が受けたキリスト教的教育に由来する一神論と旧・新約聖書の権威の容認、根本主義的な聖書解釈、象徴的聖書解釈、科学性の主張、終末論的歴史神学、神との「霊交」で得られたという「啓示」を挙げ、『原理講論』の教えの根拠は、実際には哲学・自然科学・客観的な聖書解釈・キリスト教会の教えのいずれでもなく、真の根拠は著者が述べているように、文鮮明が受けたという「啓示」であると述べている。
統一教会ではキリスト教における「再臨論」も説いており、韓国を蕩減復帰の民族的な基台を立て、第三イスラエル選民となければならないとしている。
信徒は「ムーニー(Moonie、Moonies)」と称される。
神の世界創造の目的​
神はこの世からの刺激によって、はじめて喜びに満たされるとされている。旧約聖書の創世記第1章28節「生めよ、増えよ、地を従わせよ」から、神の創造の目的は3つあるとされ、統一教会では三大祝福と呼ばれている。
1.「生めよ(פרו)」を、人格完成、個性完成せよと解釈する。但しヘブライ語「פרו(ペルー)」にはそのような意味はない。また神は人が創造される前、全ての生き物に対しても与えている。
2.「増えよ(ורבו)」子供を産み増やせを、家庭完成せよと解釈する。但し神は人が創造される前、全ての生き物に対しても与えている。「神の二性性相が各々個性を完成した実体対象として分立されたアダムとエバが夫婦となり、合体一体化して子女を生み殖やし、神を中心として家庭的な四位基台をつくらなければならないのである」とされる。
3.「地を従わせよ(ומלאו )」を、万物を主管せよと解釈する。これが神が人間にだけ与えたもの。神、人類、その他の生物の調和のとれた理想的な世界を創造することを意味する。「万物世界に対する人間の主管性の完成を意味する」とされる。人間は完全な家庭を築くことで、完全な社会、国家、世界を実現するために「増殖」できるのである。統一教会が説く神の目的には、「人間の個性完成」という、近代主義的な発想が持ち込まれている。また、家庭形成という「アジア的家族主義を織り込んだ人間論」(櫻井)も神の創造目的に取り入れられている。
   楽園追放と原罪​
『旧約聖書』の「創世記」には、神が創造した最初の人類であるアダムとエバが、罪を犯し楽園を追放される逸話がある。エバが蛇にそそのかされて、次にアダムがエバにそそのかされて、食べることを禁じられていた知恵の樹の実を食べた。この蛇はしばしば悪魔であると解釈される。この罪のために、二人は神に罰せられて、人間は死や労働、出産の痛みといったあらゆる生の苦しみを持つようになり、この世に罪と死とのろいが入り込んだとされる。西方教会では、これがアダムとエバから全人類に「原罪」(ラテン語: peccatum originale)として受け継がれていると考えられている。神学者の宮本久雄は、統一教会における原罪とは、狭義には人間の神との関係の破綻、神と人間との生命的な関係の虚無化を意味しており、従って本来は、モラル規範への単なる違反や男女の性的欲求とは直接関係がないと述べている。(詳細は「原罪」を参照)
『原理講論』の著者は、文鮮明の説教からルシファー(『原理講論』では「ルーシェル」。「Lucifer」の北朝鮮式発音。魔王サタンが堕落する前の天使の頭の呼称)の堕落を次のように説明している。ルシファーは元々神に最も近い大天使で、神の愛を独占するような位置にいたが、神が人間を創造した後はその愛が減少したと感じた。ルシファーは嫉妬に駆られてエバを誘惑し、エバは10代の処女であったが、「神のように目が開けることを望み、時ならぬときに、時ならぬものを願」い、両者には授受作用(相互作用)が生じ、「不倫なる霊的性関係」を結んだ。統一教会ではこれを「霊的堕落」と呼ぶ。天使は肉体を持たないため、これは肉体的な交わりではなく、霊的交わりであった。
ことの重大さに気が付いたエバは、罪悪感から神の元に戻りたいと願い、神が定めた配偶者であるアダムと結ばれようと、彼をそそのかし性的関係を結んだ。エバは神の元に戻れたと思ったが、ルシファーとの「授受」は真の配偶者との「授受」だけでは回復されず、さらにエバとアダムが性的関係を持つことは神の意志ではなく、神の祝福を受けていなかった。エバは3重に罪を犯しており、神に従うべきであり、婚約者を裏切るべきではなく、婚約者と共に完全に精神が成長してから性的関係を持つべきだった。アダムとエバは、自らの個性を完成する前に時期尚早な夫婦関係を結び、それは神ではなくルシファーを中心としたものであったため、人間は家庭形成に失敗したのである。これは「肉的堕落」と呼ばれる。
以降すべての人間は、善と悪、神の要素と堕天使の要素を併せ持つ存在になった。アダムはエバと性的関係を結ぶことで、エバがルシファーから受け継いだすべての要素を受けつぎ、子々孫々にもサタン(ルシファー)の血統が継承されているという。これが統一教会における「原罪」である。原罪は遺伝によって伝わるようなものとされている。アダムとエバはその罪によって、人類を偽りの主、サタンに仕えさせることになった。
   イエス・キリストと再臨のメシア​
統一教会では、イエス・キリストは既成神学における三位一体の存在ではなく、霊的な三位一体と解釈する。心情的には神と一体であるが、イエスを神と言えるのは「すべての完成した人間は神と一体である」という意味においてのみであり、「創造理想を体現した男性」としてその価値は認められる。この点が、主流派キリスト教と最も異なる点である。イエスは、司祭ザカリヤとマリアの間に生まれた原罪のない人間であると考えられている。
イエス・キリストは、サタンが不当に奪った神の「主管性」を回復し、堕落した人類を原罪のない善の人類に産み直し、神を中心に据えた新し人間の血統を築き、地上天国を築くために来たとされている。聖霊は女性神であり、真の母でありエバであるとされる。神はユダヤ民族をはじめとする全人類を救うための代償として、イエスの肉体をサタンに引き渡さざるをえず、イエスの肉体はサタンの侵入を受け虐殺されたとしている。そのためイエスの肉体が復活することはなく、今は霊人間として神のもとに生きているという。
イエスは十字架上で死に、それは人類の霊的救済のための蕩減条件(代償)になり、霊的救いが達成されたが、新しい血統を築くことはできなかったため、救いの摂理は完成されていないと考えられている。
イエスの死はイエス自身の失敗によるものではなく、洗礼者ヨハネや弟子たちといったほかの人間がイエスを裏切り、見捨て、ユダヤ人が彼を受け入れなかったためであると考えられている。統一教会の信者たちは、神はイエスの死を「神の国」を築くための手段にしようとはしなかったことを強調する。
宗教史学者の古田富建は、統一教会の教理の核心は、神、イエスの「恨(ハン)」を解くこと、つまり「恨解(ハンプリ)」であると述べている。「恨」とは、朝鮮文化を語るときにクリシェとして用いられる言葉で、その意味合いには幅があるが、韓国近代宗教史の研究者の川瀬貴也は「様々な要因で叶えられなかった思いが、澱のように沈んでいる状態」と表現している。
韓国の民族的な霊魂観においては、夭折者・横死者は成仏できず、怨みを抱いた「怨魂」となって彷徨うとされており、特に無念を抱えた者、子孫を残さずに死んだ者の恨みは強く、生者に災いをもたらすとされる。こうした死者の恨みを鎮める儀礼が「恨解」である。
統一教会では、人間の堕落のために神の創造目的を果たすことができず、神に「恨」を作ったと考えており、神はこの「恨」を解くためにメシアとしてのイエスを遣わしたが、人間が「責任分担」(5%の責任)を果たせずイエスを殺してしまったため、神の「恨」はさらに大きなものになったとされている、と説明している。
1960~70年代の韓国のキリスト教の一部では、「恨」を教義に取り入れている。李龍道はイエスを人間として理解しようとし、三位一体を否定していた。
古田富建は、李龍道らはイエスを悲しみや痛みを抱える人間としてとらえ、その孤独や悲しみを理解し共感しようとする姿勢が、聖主教ではシャーマナイズ化された「恨解」の儀礼となっていき、統一教会では教義の根幹になっていると述べている。1965年ごろに、「恨」という言葉が文鮮明の説教に定着した。
イエス・キリストを救世主として崇める一方、イエスがやり残した多くのことを成就するために、「再臨のイエス」が韓国に生まれると主張している。それは、地上に戻ったイエス・キリストではなく、イエスが霊界から支援する、聖書に示されている普通の人間であるとしている。
文鮮明はメシアが、出生する時期や場所といった条件を示しているが、メシアが生まれる地とは韓国であり、示された条件には文鮮明自身が適合する。神学的には、メシアは一組の男女である。
文鮮明は1960年に、23歳若い17歳の信者韓鶴子と結婚し、メシア的使命の一環として14人の子供をもうけた。
文鮮明は1992年に自身と妻が全人類の真の父母であり、救世主で、再臨の主であり、メシアであることを宣言した。この宣言の前が「新約の時代」、以降が「成約の時代」であるとされる。新宗教やニューエイジなどを研究し、統一運動を肯定的にとらえるウェールズ大学のサラ・ルイスは、この宣言以降、信者自身がメシアになりうるというように強調されるようになり、文鮮明がメシアであるということへの言及は減ってきていると述べている。
メシアを受け入れることができなければ、ユダヤ人やローマ時代のキリスト教徒、江戸時代のキリシタンのような受難を罰として与えられると考えられている。
   人間における神の要素とサタンの要素の戦い​
人間の堕落は、上記の神と人間の関係を損なったという縦の軸(信仰基台)だけでなく、もうひとつ人間を人間性自体から引き離したという横の軸(実体基台)があるとされる。横の軸の堕落は、旧約聖書におけるアダムとエバの息子カインとアベルの、兄カインが弟アベルを殺したという逸話に基づいている。この人類最初の殺人によって、人間における神の要素とサタンの要素が分離し、互いに争うことになり、横の軸の堕落が起こったとされる。
「最初の兄弟」の間の敵意は、歴史を通して民族、国内・国際的レベルで繰り返されており、20世紀における無神論的共産主義(カインの勢力)と神を畏れる民主主義(アベルの勢力)の衝突に明らかに見られるという。
世界中に民主主義が現れたのは神の復帰摂理によるもので、共産主義の専制政治はそれに対抗する悪魔によるものである。従って、第三次宗教改革によって、理念的に共産主義勢力を屈服させ、世界を一つの地上的な「神の国」に統一することが目指される。
文鮮明は、もし理念的戦いに勝利、つまり共産主義のイデオロギーが敗北しなければ、第三次世界大戦が起こり、サタン側の共産主義が敗北するだろうとしている。そして原子力による第三次産業革命がおこり、幸福で理想的な社会環境が世界的に建設される。その時全人類はキリスト教(統一教会)を受け入れ、最後に神を中心とした、神主義が現れなければならない、という。
   二性性相(陰陽二元論)​
初期には、『原理講論』で説かれた統一原理は宗教と科学を統一する原理であると考えられていた。神の存在の弁証も自然科学的な因果論的推測に基づき、結果から原因を探ろうとしている。被造世界を観察することで、神の神性を知ることができると考え、観察によって知れることは、被造物がすべて陽性と陰性の二性による授受作用(相互作用)により存在するということであり、存在というものは性相(内性、性質を示す内性)と形状(外形、内性が現れた外形)の二相を持つとしている。
神は霊とエネルギーという二重の性質からなるとされ、この2つによってあらゆるものが生まれるとされる。神はエデンの園でアダムとエバを作り、神自身の二重性を反映させた。人間には外形である肉体と、内性である精神が備わっているとされる。
神の内性の本質は心とも呼ばれ、神がどのように人間の復活を達成しようとしているかを理解するには、神の心にある愛、喜び、悲しみといった、もっとも奥深い神の感情を理解することが重要であると考えられている。人間は神の似姿として想像されたのだから、神は男性的な面と女性的な面の両方を持つと考えられているが、習慣的に神は男性として「父」と呼ばれている。
被造物がすべて陽性と陰性の二性を持つという考え方は陰陽二元論であり、宗教社会学者の櫻井義秀は、「この発想は統一教会が人間を男性性と女性性において理解し、双方の性質が合体した時に繁栄・繁殖がもたらされるという基本的なモチーフから出てきている」と述べ、極めて民族的、東アジア的な感覚に根差したものであり、イスラエル・アラブの民の神の理解と著しく異なることを指摘している。内と外、男性と女性は対極にあるのではなく、それぞれがもう一方の要素を内在していると考えられている。
   四位基台​
四位基台という概念は、神と、神の二性性相から生まれた男性(主体)、女性(客体)、男女の相互作用(授受作用)で生まれた子(合性体)が、それぞれほかの3つの対象と相互作用を持ち、「主体と合性一体化をなすという菱型モデル」である。
   祝福​
イエス・キリストによる救済は霊的救済のみに留まり、子孫を残さず天に上げられたため、肉的救済はメシヤに託され、文鮮明夫妻が人類の真の父母として信者に「祝福」を与えなければならないとしている。祝福は、鮮明夫妻司式の合同結婚式で教祖に配偶者を決めてもらう信者同士の結婚である。結婚したカップルだけが天の御国に入ることができ、祝福を受けた家庭からは原罪のない子供が生まれるとされており、特に重要な儀式である。祝福は象徴的な堕落の撤回のプロセスであり、これによってサタンの血統から自由になり、メシアの血統に結び付けられる。無原罪の子をなし、神を中心とする家庭を完成させることが目的であるとされる。
祝福では、メシアとの一体化による「血統転換」を象徴する秘儀ともとることができる「聖酒式」が行われていた。初期の合同結婚式では、新婦が「聖酒」を半分飲み、残りを新郎が飲み干す儀式が行われていた。儀式に使われるワインには、文鮮明と韓鶴子の結婚式で使われたワインがわずかに含まれ、受け手の血統を転換する力があるとされる。
1992年時点では聖酒式ではなく、文夫妻が参加者一人一人に水滴をかける「聖水儀式」が行われていた。また祝福を受ける前には、すべての罪を贖い合うことを象徴する、結婚する男女が互いにバットのような棒で互いの臀部を3回たたく「蕩減棒」という儀式も行われた。挙式後は家庭生活に入る前に、最低40日間の「聖別期間」という心身を清める準備期間があり、夫婦の性交はその後に行われる。最初の性交には詳細な手順が決められている。
カップルのマッチングの権威は、文鮮明から各国の祝福委員会に次第に移譲された。祝福を受けた妻たちがスタッフとして入るなどしているこの委員会が、資格を持った候補者たちを、相手の好みのデータを基に組み合わせる。相手が気に入らなければ、断って次の紹介を頼む人もいる。
現在では、40日間の分離期間を除く蕩減条件は削除されている。いずれにしても、過去から現在に至るまで教団で祝福する男女のカップルのマッチングは、女性(妻)の方が1〜4歳程度年長である「姉さん女房」となるように組み合わせられる場合が多い。教祖一家である文一族や既成祝福の場合を除き、男性(夫)が年長者であるカップルは稀である。
宗教学者のダグラス・E・コーワン(英語版)、宗教社会学者のデイヴィッド・G・ブロムリー(英語版) は、初期には祝福を受けるために多くの奉仕が求められたが、現在は候補者は24歳以上で3年以上会員であることが求められ、儀式も簡素化されていると述べている。
1992年には、祝福には非会員も候補に入れられるようになり、90年代半ばには、存命中の信者と亡くなった配偶者との再結合、信者の先祖も祝福の候補に含まれるようになった。2016年の合同結婚式には、主催者によると62カ国から約3000組が参加し、うち日本からは778人、オンラインでも世界から1万2000組が参加したという。会場で結婚した3000組のうち1000組は新規の結婚で、残りの2000組は入信前に結婚しており、改めて祝福を受けるために出席した。
ジャーナリストの鶴野充茂は、統一教会によると、コミュニティ内の出生率は第二次ベビーブーム時並みの2.1人、基本的には結婚率100%で、離婚率は1.7%と非常に低いと述べている。
2016年5月、フジテレビの番組「みんなのニュース」の中で、合同結婚式が取り上げられており、かつては直接会ったことがない信者同士を文鮮明氏が“組み合わせ”ていたが、現在は、教団のマッチングサポーターと呼ばれる仲人が、信者から希望をヒアリングして、信者の相手探しを手伝うことになっている、と報道されている。
   同性愛​
統一教会は祝福による男女の結婚・家族形成による救いを主張しているので、それに反する同性愛は「創造の原理に反する不自然な関係」であるとして否定・批判している。統一教会は「同性愛は倫理道徳の問題であり、人権問題ではない」、「キリスト教はもちろんのこと、同性愛を“罪”とみなすのは、古今東西の主要な宗教で共通している」と述べている。同性婚を認めれば、「不倫はもちろんのこと、一夫多妻や近親相姦などの“権利”を主張することも可能となる。さらには、文字にするのもおぞましいが、『獣婚』(獣姦、動物とセックスすること)も論理的には認めざるを得なくなる」と主張している。
   霊魂観​
統一原理では、アジア的な霊魂観が説かれている。被造世界は神に似た人間を標本に創造されたため、あらゆる存在は心と体からなる人間に似ているとされ、独特な霊界、霊人間の存在が説かれる。霊界は霊的な五官で知覚される実在世界であるという。霊人間は現実の人間の合わせ鏡のようなものであり、霊魂を浄化するには身体の浄化や贖罪が必要であり、それをしなければ地獄行きであるとされる。天国には地上に建設される地上天国と、その建設に伴ってできる霊界の天国があり、死後に霊界天国で安らぐために地上天国の建設が目指される。
   終末観​
現在は、サタンの支配する罪悪世界から、神が支配する創造理想世界に転換される終末(末世)であるとされる。
   復活
復活とは、サタンの支配圏に堕ちた立場から、神の支配圏内に復帰するその過程を意味するとされる。統一教会では、イエスが埋葬された3日後に弟子たちの前に現れた復活など、キリスト教の伝統的な復活論は全く顧みられていない。聖徒、善霊、悪霊といった霊界をさまよう霊は、地上の人間に憑依して思いを遂げるとされ、霊たちの助けで摂理が進むとされる。
蕩減(とうげん)​
   原義(朝鮮起源の漢字語)
借金を全部帳消しにすること。借債を悉く免除してやること。remission(ゆるし)。 「蕩」の字義は「すっかり無くする。『蕩尽/掃蕩』」 
韓国では一般に金融用語として「債務の減免」の意味で使われ、頻繁にマスコミに登場する。また韓国語聖書で負債や罪の「ゆるし」の訳に用いられており、韓国のキリスト教会の説教でも頻繁に用いられる。
   原理用語
統一教会の教義「統一原理」の中核にあたる救済観を「蕩減復帰原理」という。文鮮明教祖が「蕩減」と言う時、99%は統一教会独自の用語である「蕩減条件」「蕩減復帰」「蕩減復帰原理」いずれかの略語で、原義で言うことは1%未満。文鮮明教祖の原義の解釈は「小さな条件で大きな負債を赦すこと」であるのに対し、劉孝元著「原理講論」では「本来の位置と状態を復帰するために必要な条件を立てる(満たす)こと」、崔元福による英訳では「indemnity(賠償)」と異なる定義をしている。これを読んだ金東俊神田外語大名誉教授は「これは間違い」と明言している。この教会自ら陥った誤認によって国内外のキリスト教会からの批判を招いている。教会内部では無原罪で生まれた再臨のキリストとされる文鮮明(今それは否定され再臨のキリストは妻韓鶴子)が生誕した韓国を最も迫害したとする日本が支払うべき「賠償(indemnity)」の意味で使われることが多い。
   信者達の認識
救済、正確には復帰のプロセスは、神と人間の関係という縦の次元と、人間同士の関係という横の次元がある。復帰は、信心や行いではなく、蕩減(とうげん。償いの意)によって得られるとされる。人類はメシアが出現できるだけの「基台」を築くように務めなければならない。救済の摂理において、神の責任分担は95%、人類の自己責任分が5%であるとされる。神が求めるのは、人間の罪を償いうるに足る以下のものだが、その正確な量は神によって決められるとされる。摂理の成就は、信者の信仰と働き次第であり、よって完全な献身を求められる。
日本「エバ」論
日本のセミナー等で、『原理講論』で説かれる堕落の経緯と復帰の歴史を説明される際に、韓国は「アダム国家」、日本は「エバ国家」とされ、先に堕落したエバがアダムに侍ることは当然であると説かれている。
朝鮮を植民地支配し民族の尊厳を踏みにじった日本はエバと同じであり、韓国に贖罪しなければならないとされているのである。合同結婚式では、日本人女性・韓国人男性のカップルが多く生み出されており、結婚した日本人女性は韓国人の夫や家族に尽くすことが求められる。サタンと姦淫したエバである日本とアダムとされる韓国という構図で規定される。
朝鮮半島は男性器、日本は女性の陰部といった比喩も存在する。  
●信徒数​
2008年時点で統一教会は世界の200近い国で活動しており、日本と韓国を中心に300万人といわれるが、研究者たちは、事実上の会員はアメリカの数千人の信者を含め、数万人程度と考えている。
1995年12月31日現在の文化庁宗教団体信者数統計によれば日本の信徒数は477,000人だが、これは各教団からの申告に拠るもので、統計の全信者数を合計すると全人口を超えてしまい、実際の信者数とはズレがあるため、統一教会の477,000人という数字も実際とは異なると考えられる。
マスメディアによる批判報道(特に『朝日新聞』と『文藝春秋』)や度重なる多額の献金要求の影響もあって、信者数は減少したといわれる。ジャーナリストの米本和宏は、1992年以降の激しい批判報道やその後の貨幣復帰疲れ(献金疲れ)で退会した信者は相当に多く、累計の入会数56万人に対し現在(2009年時点)で活動している信者は推定6万人、残り50万人は退会したか退会同然の状態であると述べている。  
●批判​
多額の献金要求​
1988年5月、献金名目で土地や建物を安く売却させたとして、都内の無職女性(67)と千葉県の会社員(37)が教団に対し、約7500万円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こしている。訴状によると、無職女性の土地やアパートを9400万円で売却させ、うち5400万円を献金させた。会社員は、高額な多宝塔や羽毛布団などを買わされたとしている。
1992年4月、男性(58)ら一家4人が、「詐欺的な説得で多額の資金を提供させられた」として、約19億3000万円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。訴状によると、教団関係者が男性の農地を担保に借金をさせ、16億4000万円を教団に貸金名目で提供させたとしている。
1996年6月、関東地方在住の女性(67)ら3人が、教団に13億2800万円の損害賠償請求訴訟を起こした。訴状によれば、1989年5月から12月にかけて、土地を担保にノンバンクに借金をさせ、約13億を献金させた。
1998年頃、統一教会の元信者の男性が教団に対し、19億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起した。男性は栃木県の資産家の家に生まれたが、大学在学中に入信、以後、多額の献金を求められ、1986年から1991年までに総額32億を寄付し、先祖代々の土地の大半を失ってしまった。教団は当初争う構えを見せたが、最終的に19億の支払いを認める形で和解した。弁護団は判決回避のためとみている。
朝日放送の取材に答えた大阪府在住の元信者は、三男の自殺による精神的ショックから入信に至り、1993年から2006年の13年のあいだに、三男の生命保険金など3000万円近い金額を教団に献金したと語った。
2005年から2010年にかけて、警察による霊感商法の摘発が相次いだことから、不特定多数を狙った霊感商法は下火になり、集金方法は「狭く、深く」少数の信者から大金を搾取するようになっているという。
2012年7月3日、元信者の女性(37)が、教団と国に対し、約4300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起した。教団に対しては、不安を煽られ、献金や「献身」と呼ばれる労働行為を強いられたこと、国に対しては是正措置を講じる義務があったのに放置した責任があったとした。
2014年3月24日、元信者ら40人が、違法な布教活動で献金や宝石購入を強いられたとして、教団に合計1億990万円の損害賠償を求めていた裁判で、札幌地裁は、元信者3人の請求を一部認める形で、合計3850万円の支払いを命じた。判決では布教活動を「経済的利益を獲得する目的」とし「信教の自由を侵害する行為」と認定した。
2016年6月28日、東京高裁は、教団の指示で元妻が多額の献金をしていたとして、60代男性に対して3428万円の損害賠償の支払いを教団に命じた裁判の控訴審で、組織的な関与を認めた上で賠償金を3789万円に増額した。教団は献金は信者の自由意志によるものと主張したが、裁判では、献金をしないと不幸になるとして、夫の預金を献金するように指示したと認定された。
2020年2月28日、東京地裁は、教団に対し、違法な勧誘で多額の献金をさせられたとして520万円の損害賠償請求訴訟を提起していた60代の元信者女性に対しての、470万円の損害賠償支払いを命じた。
2022年7月、教団による被害の救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は、毎日新聞の取材に対し、献金の違法性を認定し、返金を命じる民事裁判の判決が近年も相次いでおり、教団は現在でも信者に献金や奉仕を強要している、と強調した。
原理研問題​
統一教会系の学生組織『原理研究会』は、1960年代以降社会問題になり、複数の事件・訴訟が発生。原理研に加入した学生は学業を放棄して活動に熱中し、帰宅せず教団関連施設に泊まり続けるようになった。さらには親に「金を出さなければ親子の縁を切る」「遺産の前渡しだ」などと寄付金を要求し、要求が受け入れられないと断食をしたり、「サタン」と親を罵ったり、「殉教する」と自殺をほのめかしたりと、異常な言動をするようになり、「家庭破壊」の被害が続出した。原理研の活動は、路上での布教や募金活動を不眠不休で行うなどの重労働で、過労で入院する学生も多かったという。原理研の運動が盛んだった早稲田大学では、大学側は学生に対し学業に復帰するように要請するも、布教に専念するために退学に至る学生も現れた。原理研による家庭崩壊の被害に遭った親らは、「原理運動対策全国父母の会」を結成、渋谷にある統一教会本部前で「わが子を家庭、学校に返せ」などのプラカードを掲げてデモ行進を行った。
1967年12月には、教団信者2人が大分県内の滝壺で溺死、原理運動の修練活動中だったと見られる。
1968年9月、「原理運動対策全国父母の会」は教団会長の久保木修己を刑事告訴した。告訴状によると、神奈川県厚木市に総工費7億円で「修練所」を建設すると称し、学生の親から寄付金を募ったが、募金終了後1年以上たっても着工せず、経理報告もしなかったため、寄付金詐欺であるとした。
1970年8月、原理研の修練会に参加していた学生が、全身打撲による衰弱で死亡した。原理研の幹部らが不法に監禁し医師にも診察させなかったことが原因として、関係者7人が書類送検されている。
1976年には、フランスの「原理運動」パリ本部で手製の爆弾が爆発、教団関係者2人が重傷を負った。原理運動はフランス国内でも社会問題化しており、「子供を取り戻す会」が全国で3つもつくられていた。
1976年9月ごろ、米国の移民局は、「原理運動」に関与する統一教会の信者約700人を不法滞在者として国外追放する手続きを指示した。これらの信者の多くは、日本人と韓国人で、連邦判事が「宣教師見習」としての資格を認めないと裁定していた。
1977年2月、原理運動に反対する「原理被害者更生会」の顧問が男女2人に鉄パイプで襲撃される事件が発生。顧問は統一教会に一時入信した経験から、原理運動の被害者を社会復帰させる活動をしており、これまで約100人を更生させたと話していた。教団側は関与を否定。
1977年4月、渋谷署は統一教会保安係の男(31)を傷害、暴行の疑いで逮捕した。男は、教団に入信した長男、長女と面会に来た「原理運動対策全国父母の会」のメンバーに対し、「不法侵入で110番するぞ。帰れ、帰れ」と恫喝し、二人を手をつかんで押し出し、壁に体を押し付けるなどの暴行を加えた。また、別の日に教団責任者に面会を求めてきた「父母の会」のメンバーにも暴行、全治5日のけがをさせた。
1978年6月、青山学院大学で、原理研究会と対立する「反原理共闘」のメンバーら合わせて約20人で乱闘騒ぎが発生。1人が全治5日のけが。
1982年11月、東京大学駒場北寮で、反原理運動サークル「文理研」の寮生3人がいる部屋に、約10人の男が乱入し殴る蹴るの暴行を加えた。駆けつけた警察官に対して、一部学生らがスクラムを組んで立ち入りを拒んだために、機動隊が出動し4人が公務執行妨害で逮捕された。
1983年には、徳島県で原理研に加入した娘を家に連れ帰った親を相手取って、原理研側が人身保護請求訴訟を提起した。徳島地裁は「娘の幸福を願った親の愛情に基づく正当な親権の行使」として請求を棄却している。
1988年12月、「原理研究会」の指示に従って就職した元信者が、理由もなく給料を天引きされ、1日あたり1100円の賃金しか支給されず、毎日15時間から21時間にわたる長時間労働も強いられ「タコ部屋同様の生活を強いられた」として、元勤務先の「セイロジャパン」に対して未払いの賃金や慰謝料を求める訴訟を東京地裁に提起した。
現在でも多くの大学は「原理研究会」への注意喚起を公式に発信している。特に、上智大学、青山学院大学、同志社大学、明治学院大学等のミッション系大学は、教団を名指しで批判しており、上智大学は「キリスト教の名を語って人を惑わす新興宗教」として、「巧妙な手段を使ってキリスト教の学校や諸機関にまぎれこみ、騙された人を引きずりこんで、あちこちに被害が出ています」としており、青山学院大学は「サークルのふりをした危険な宗教団体」として、一般的なキリスト教の教えと大きな隔たりがあると、警告を発している。同志社大学も、教団を「破壊的カルト」として、「不安や恐怖をあおり、日本や世界が滅びるなどと脅かし、お金をたくさん取る団体」と厳しく批判し、明治学院大学も「多くの被害者を出してきた宗教団体」として、教団への注意を呼びかけている。
散弾空気銃問題​
1968年秋頃から、原理運動の関係者の間で、韓国製の散弾空気銃が出回っていることが判明し、問題となった。この銃は全国の原理運動関係者に市販され、1969年2月1日までに793丁の所持申請が警察に出された。63丁は年齢などの問題で受理されなかったが、446丁は猟銃扱いで許可された。この空気銃は通常よりも威力が高く、散弾銃に近い性能をもっていることから、禁止の方向で検討が始められた。
2世信者問題​
両親が教団の信者である「2世信者」も深刻な社会問題になっている。幼少期から信仰を強要される、教義に従う生き方を強制される心理的虐待を受けてきた、献金のために貧困に苦しんだ、との証言が多数報告されている。自分も「元2世信者」であると語る20代の女性は、日本テレビの取材に答え、「2世信者」の苦しみを語った。女性は幼い頃から親に従い信仰をしてきたが、徐々に違和感を感じたという。小学生の時に、教祖・文鮮明の血が入っているとされる赤ワインを飲まされると「まずくて、気持ち悪かった」と感じたといい。中学生くらいから、信仰を拒否するようになった。親は給料の大半を教団への献金に費やしてきたといい。狭いアパートで高価な統一教会の「聖本」や「壺」に囲まれて生活をしていたという。
別の「2世信者」女性は『週刊文春』の取材に答え、「絶対に異性を好きになってはいけない」と恋愛を厳しく制限されていたことを明かした。恋愛に興味を持たないように、本や漫画、テレビ番組も厳しく制限された。20代になって恋人ができ、そのことを親に打ち明けると「お前はサタンだろう!」と相手を脅迫しにいき、破局に至った。女性の弟は「合同結婚式」に頼らず、自分で相手を見つけて結婚したが、弟がそのことを打ち明けると、親が「殺しに行く」と言ったため、警察沙汰になった。弟は親と絶縁したという。
「合同結婚式」で出会った両親の元に生まれた別の30代女性は、毎日新聞の取材に対し、両親は布教活動などに熱心で家を留守にすることが多く、夕食は一人で食べることがほとんどだったと語る。両親は給料の大半を教団への献金に費やしてきたため、生活は貧しく、小石や虫が混じる「くず米」を食べていたという。やはり家には壺や印鑑、多宝塔が置かれ、文鮮明の写真が飾られていた。
小学館『週刊ポスト』の取材に答えた別の20代後半の「2世信者」女性も、幼少期から貧困に悩まされてきたという。小遣いは1円ももらえず、親戚からもらったお年玉も献金のため没収された。服もボロボロで、集団登校では『くさいから来るな』といじめにも遭った。高校生ではじめたコンビニのアルバイトで稼いだお金も、全額両親に渡していたという。
40代の「2世信者」女性は「親孝行になるんだ」と親に従い高校生のころに入信した。21歳の時に「合同結婚式」に参加、結婚前に一度も会ったこともない当時19歳の韓国人と結婚した。夫は無職で気に入らないことがあると度々暴力を振るった。しかし、教団に相談すると「あなたの信仰が足りない」と言われただけだった。男性とは離婚に至り、教団が紹介した別の男性と再婚したが、男性は女性のクレジットカードを使い込み、女性は自己破産に至った。
規制論​
教団が長期にわたって深刻な社会問題を引き起こしてきたことから、教団に対する規制を求める声も根強い。弁護士の紀藤正樹は「旧統一教会は、本人の財産状況を確認して、ギリギリまでお金を出させる手法で、過去30年余りで1230億円以上の被害が確認されている。行政側は、宗教団体による霊感商法には、信教の自由などからタッチできないという認識があり、問題の根深さにつながっている」とした上で、オウム真理教事件を契機に欧米でカルト対策が進んだ一方、日本では手付かずである現状を指摘した。
国民民主党の玉木雄一郎は、「今問われているのは政治とカルトの問題だ。宗教をまといながら、反社会的な行動を行うことはあってならない。場合によっては法整備も必要だ」として、フランスなど他国の法規制を参考にし、法整備も含めた対策を検討するとして、党内に調査会を設ける方針を明らかにした。
社会心理学者の西田公昭は、「海外では特定の団体をカルトと認定し、その思想を子どもに教えること自体を違法とする国もある」として、教団に対する規制を国が実行する必要性を説いているほか、「宗教」と「カルト団体」と一緒にしてはいけないとして、旧統一教会と他宗教団体を同等に扱うことに否定的な見解を示した。
一方で、弁護士・タレントの橋下徹は、日本テレビ系の『ミヤネ屋』で「反カルト法のような法律を導入すべき」と主張した共演者の紀藤正樹に対し、「教義内容や内心に踏み込むのは危険」と否定的な見解を示している。すると、紀藤は「70年から80年代で欧米で議論されていた、40年前の議論を蒸し返している」と反論、さらに「基本的には信教の自由には立ち入らない。諸外国の常識で、カルト規制法もそう。そしてカルト規制法は団体規制なので、宗教団体に限らない」と橋下の見解を否定した。
勧誘活動批判​
統一教会の勧誘の手法は厳しい批判の対象となっている。
教義・教説​
宗教社会学者の櫻井義秀は、ルシファーとエバが「不倫なる霊的性関係」を結んだという聖書における根拠はないと指摘している。アダムとエバが楽園追放前に性的関係を結んだという聖書の根拠はなく、『旧約聖書』「創世記」四章一節では、実際に二人が夫婦になったのは楽園の外であることが明言されている。また、霊的堕落・肉的堕落が不倫の性関係であるという根拠は聖書にはない。
現在の聖書学では、旧約の諸文書には原罪の観念はないと理解されている。櫻井は、統一原理では、「仮説を公理として議論を進めていって、議論に必要な概念(二性性相、四位基台、肉身と霊人など)もまた直感・霊感的に想定可能な準公理として用いながら、すべての議論を展開していく」と述べている。
カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、『原理講論』を対象とした論文において、この書において哲学、自然科学、歴史、聖書解釈学、神学等においての主張は、完全に確信のあるものとして羅列されているが、その裏付けは非常に弱いか全くないと述べている。文鮮明の理性は鋭く、思弁を好んで入るが、思惟方法は全く独特で、教育を受けているが狭い分野に限られており、独学者であることは明白であるという。文鮮明の思考の特徴は、ミシェル・フーコーが前近代的な思考方法の特徴として明らかにした類似に基づく考え方(呪術的思考の一種)であり、『原理講論』の歴史神学の論証の多くはこのタイプであり、この思考方法は近代以後の思想界では通用しないと述べている。
ネメシェギは、人間は皆悪魔の血を引いているとされるが、統一教会の楽園追放の話においても、人類はサタン(ルシファー)とエバの子孫ではなく、アダムとエバの子孫とされており、そうであるなら、統一教会の原罪を遺伝的にとらえる考え方と統一教会の楽園追放の話は合致しないと述べている。
イエスの死が、罪深い人類を正当な理由で虜にしていた悪魔に支払われた身代金のようなものであったという説は、古代に幾人かの教父が唱えていたが、これには聖書的な根拠はなく、キリスト教神学では中世には捨てられている。また、人類の歴史を神とサタンに分け、人々を恣意的(この分別の基準は、良識や常識の判断と必ずしも一致しないとされる)に神の側、悪魔の側に分けることは、狂信的で極めて危険であると指摘している。ある宗教が天の側により近い宗教の邪魔をする場合、それはサタンに属するとされ、『原理講論』の倫理観では、それを滅ぼすためにはあらゆる行動が許され、善とされることになる。
また、ネメシェギは次のことを指摘している。『原理講論』では、旧約聖書に書かれた様々な出来ごとを文字通りに受け取り、その年代も書かれたとおりであるとする根本主義的な聖書解釈(現代聖書学の立場では支持されない)と、聖書の表現を字義通りにではなく象徴的に解釈する象徴的聖書解釈が混在している。
ネメシェギは、歴史学から否定されていることを事実とする一方、他のことを単なる象徴としているが、どちらの解釈を用いるかの判断基準はなく、文鮮明の独断にしか思われない。
科学と宗教とを混合するような考え方は、現代のキリスト教哲学の認識論ではすでに排除されているが、『原理講論』には認識論が全くない。世界の終末を計算するための歴史観は、非神学的、非学問的であり、その歴史観には驚くほど空白が多く、ギリシア・シリア・ロシア等の東方、ラテン系、アジア・アフリカ系諸民族は全く無視されている。
神に二性性相があるとし、それを性的にとらえることは極めて危険であり、このような神理解から、統一教会の思想で性が過度に大きな位置を占め、結婚が絶対視されているのであろうと述べている。独身性・童貞性に対する評価が全くないという点でも、世界三大宗教のどれとも区別される。神の永遠の幸せがこの世なしにはあり得ず、初めてこの世から得られるという考え方は、キリスト教的な神信仰ではなく、神を進化するもののように考える汎神論の系統のものであるという。
諸問題との関連​
宗教学者島薗進は新宗教における「隔離型教団」の代表的な例としてオウム真理教、エホバの証人、幸福会ヤマギシ会と共に統一教会をあげている。
櫻井義秀は、万物復帰の教えが教団の資金調達と密接に関連することを指摘している。
「霊的な子ども」を生み出すことと考えられていた「勧誘活動」と共に、「資金調達」はサタンの領域から神の領域への合法的な金銭の移動と考えられ重視された。勧誘活動と資金調達は、共に非常に儀式的な活動であり、たとえその活動で敵意にさらされようと、愛を与え、多くの人に復帰に関わる機会を与える活動と考えられていた。多くの信者は、寄付した人がその行為の霊的意義を認識しているか否かに関わらず、神の領域へ資金を移動することで利益を得ると信じている。宗教学者のダグラス・E・コーワン(英語版)、宗教社会学者のデイヴィッド・G・ブロムリー(英語版) は、これが一部の資金調達チームの「聖なる詐欺」の実践、寄付の見込みのある人からさらにお金をだまし取ることに結びついたと述べている。
合同結婚式も統一教会がカルト視される一因となっている。教団内婚制で世代が再生産されるため、ピークを越えたとはいえ教団の持続力は強い。教団内婚制も、カルト視されたりマインド・コントロール疑惑が持ち上がる一因になっている。
日本では1992年には、歌手で女優の桜田淳子(当時34歳)、元新体操選手の山崎浩子(やまさきひろこ、当時32歳)、元バドミントンの世界チャンピオンの徳田敦子(当時36歳)ら有名人が韓国ソウルのオリンピック・スタジアムで行われる「3万組国際合同祝福結婚式」(前年までに12回行われ、計2万組の夫婦が誕生していたとされる)に参加することが公になり、マスコミでスクープとして飛びつき、過熱気味な報道が繰り広げられた。次第に霊感商法被害や、見知らぬ異性同士が教祖のマッチングで結婚するのは不気味だと、激しいバッシングに変わった。
1993年には前年の合同結婚式に参加した山崎が突如行方不明になり、統一教会側は拉致監禁であると記者発表してデモ行進を行った。1か月後、週刊文春の独占で山崎の動静が伝えられ、その後山崎はテレビで婚約破棄と脱会宣言した。1990年代以降、元信者が結婚無効を求める裁判も相次いでいる。
「血分け」批判と諸見解​
カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、神に陰陽説を当てはめるという考え方から性が過度に大きく扱われているが、性的乱交のような腐敗は今のところ見られないと述べている。櫻井義秀は、統一教会の布教当初、血分けの疑惑が持ち上がったが、それは未確認のまま終わっていることを紹介している。
1955年の梨花女子大事件の時も、「血分け」と称して淫行が行われているのではないかという疑いがもたれたが、文鮮明の容疑は兵役法違反及び不法監禁であり、無罪となっている。
韓国では、統一教会は数ある異端の一つと認識されているが、単に宗教団体というよりある種の財閥と認識されている。日本ほど反社会的宗教団体とは見なされておらず、韓国ではむしろ、日本で「摂理」と呼ばれるキリスト教福音宣教会が教祖による女性信者への性的暴行などで社会問題となっている。
櫻井義秀は、文鮮明が初期の信者たちと「血統転換」をどのようにやったかは伝聞でしかないと述べており、統一教会の血分け疑惑に関して著書でさらなる論考はしていない。そして文鮮明が、北朝鮮の興南牢獄に収監され国連軍の進攻で解放された経験や「血分け」スキャンダル等の迫害を受けたことを受難として、メシアにふさわしい聖痕として教説化したことを指摘している。
ポリテクニック・サウスウェストの哲学科助教授・バーミンガム市のセリーオーク・カレッジ新宗教運動センター理事のジョージ・D・クリサイディス(英語版)は、統一教会は血分け教、セックス教であるという主張には裏付けがなく、想像の域を出ていないと述べ、次のように解説している。
統一教会の初期には、夜遅くまで講話が行われることがあり、その際は夜間外出禁止令のために信者たちは朝まで帰宅できなかったが、敵対者はこれを不道徳な性的行為、乱交パーティーであると批判し噂が広まった。官憲が1954年に文鮮明と信者四人を逮捕し、罪状には姦通罪も含まれていた。しばらくして徴兵拒否以外のすべての罪状は取り除かれ、徴兵拒否も無罪となり3か月後に釈放された。キリスト教主流派や統一教会の批判者は、統一教会は批判者が血分けと呼ぶ性の入会式を行っており、救世主的教祖が女性の新入団者と性行為を行って女性を浄化し、その上で夫と性行為を行い夫の浄化と子孫の浄化を復帰するということを行っていると主張している。
しかし、クリサイディスは、統一教会がこれらを実践しているという情報は、いずれも間接的なものにとどまっており、統一教会と性の儀式を結びつける証言はごくわずかしかないとのべている。統一教会の信者であるユー・ヒョーウォン夫人は、歴史的に統一教会と関係のある聖主教で裸体儀式(楽園で人間が裸体であったことにちなむもので、性儀式ではない)が行われていたため、統一教会もその槍玉に挙げられると述べている。
ヨン・ポクチョンによる、文鮮明がキリスト教主流派から「血分け教」の開祖とも呼ばれる李龍道に出会い傾倒していたという証言は、年代が史実と合致しない。クリサイディスは、ユー夫人の見解の方がヨンの証言より問題が少ないと述べている。またクリサイディスは、現実問題として、教祖が合同結婚式に参加する8,000人もの花嫁と性交渉を行うことは不可能であると述べている。
クリサイディスは反カルト派や主流キリスト教の論者で、統一教会は血分け教、セックス教であると批判する論者は、「血」は実物なのか象徴なのか、性行為の相手は救世主である教祖なのか配偶者なのか、後者の場合、集会で行われるのか非公開であるのかを論じることもなく、出どころの不確かな引用、さらなる孫引きを行っていると述べている。
クリサイディスは、「血分け」(ピガルム)というハングルが存在するのだから、その言葉が指す何らかの宗教儀式(乱交パーティーではない)は朝鮮半島にあっただろうと推測することはできるが、正確にどの新キリスト教集団が血分けを実践していたかはわからず、統一教会が行っていたことを裏付けるだけの証拠はないと述べている。
統一教会が元々「セックス教団だ」、「入会した女性信者は儀式と称する教祖との性行為を強いられる」、「血分け教である」、というバッシングは、1995年の文鮮明の逮捕に関する噂が元になっていると思われるが、その後の無罪放免になった顛末は無視されているという。
クリサイディスは、統一教会に血分けの疑惑がかかるのは、同会が婚姻外の性交渉を厳しく戒めていること、血統の復帰の過程は婚姻関係の中だけで「原理的」性交渉として行われること点から見ても筋が通っていないと論じている。クリサイディスは、このような主張が行われるのは、糾弾する側が悪意を持っているということか、より寛容に解釈するならば、血分けの実践と「祝福」(合同結婚式)の後の夫婦間の決められた手順の性行為を混同したのだろう、と述べている。
キリスト教主流派によるもの​
異端・カルト110番によると異端・カルトである。また日本カトリック司教団が1985年6月22日に出した世界基督教統一神霊協会に関する声明では、キリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ないことを明確に宣言とある。
キリスト教は世界中に布教されたが、その過程で様々に変質し、伝道する国の文化に順応してきた。世界の新宗教の多くはキリスト教の伝道活動の影響を受けて発生している。キリスト教の他文化への順応は、1世紀におけるヘレニズム化のように容認される場合もあれば、認められない場合もある。
キリスト教が土着の宗教と混合して生まれた宗教が、キリスト教の主流派から認められず、その宗教がキリスト教であると主張した場合、モルモン教のように主流の教会から異議を申し立てられたり、ラスタファリアンのように独立した宗教を形成することもあった。
櫻井義秀は、統一教会は独特の聖書解釈が見られる『原論講論』を教典とし、教祖・文鮮明が再臨主であると主張していることから、キリスト教の主流派からは異端と見なされていると述べている。統一教会側は、キリスト教の主流ではないが、その教えは韓国に伝来したキリスト教の土着化による正当なものだと主張している。
文鮮明はプロテスタント的なキリスト教の影響を受けており、聖書の正典を知るために教会の伝承が必要であるとは考えない。しかし、キリスト教の最大会派であるカトリック教会では、エキュメニズムの対象にもなり得ないため、キリスト教ではない宗教であると宣言している。
ジョージ・D・クリサイディスは、統一教会を研究する際は、キリスト教の主流の信仰・実践と比較して「逸脱したキリスト教徒」とするのは単純に過ぎ、キリスト教だけでなく韓国の宗教と文化的背景を考慮し、韓国の伝統的な宗教とキリスト教宣教師の到来と活動の結果生まれた新キリスト教集団にルーツを探り研究する必要があると指摘している。独自の神学は仏教、儒教、道教、シャーマニズム等の土着の諸宗教の影響も受けている。
宗教社会学者のマーク・マリンズ(Mark R. Mullins)は日本のキリストの幕屋やイエス之御霊教会を「メイド・イン・ジャパンのキリスト教」と名付けて、キリスト教の土着化の例として欧米に紹介した。死者に戒を授け仏弟子とする日本の仏教が「仏教の土着化」であるなら、先祖に洗礼を授けることも「キリスト教の土着化」になるかもしれないが、これはバプテスマや自発的信仰を重視するプロテスタントとの根幹にかかわることであり、異論もある。
櫻井義秀は、こうした日本のキリスト教のマイノリティ教派を土着化の事例として認めるならば、韓国におけるキリスト教系新宗教も土着化の事例に相当するかもしれないと述べてる。宗教社会学的には、どちらも外来宗教の土着化と見なせる。櫻井は、但し、十字架上のイエス・キリストの血による贖罪を最終的な救済として認めるか否かでキリスト教と異端を分けることは、教派の神学としてはあり得るだろうと述べている。
統一教会は、イエス・キリストは霊的救済のみに成功し、肉的救済はメシヤに託されたとしており、十字架上のイエス・キリストの死を最終的な救済とは考えない。
統一教会は、アメリカの保守的な宗教指導者・政治的指導者たちと連携を築き、これによって社会的存在感を確固たるものにしてきた。文鮮明は、アメリカのキリスト教根本主義者ジェリー・ファルエル牧師が設立した私立のクリスチャン大学であるリバティ大学が経済的危機に直面した際に多額の資金援助をするなど、多くの保守派の活動に援助を行った。
発生の背景には、1930年代の韓国のキリスト教における神秘主義的な運動があり、独立後の朝鮮戦争を経た1950年代以降の韓国において生まれた、新宗教運動の潮流の一つである。その神学は、仏教、儒教、道教、シャーマニズム、さらに韓国のキリスト教の影響を受けており、西洋的文脈になじまない信念も見られる。宗教的コミュニオンへの家族的没入が統一教会の実践的規律になっている。
カトリックの聖職者の減少を憂慮していたザンビア出身の大司教エマニュエル・ミリンゴ(英語版)は、2001年に韓国人鍼灸医師マリア・スンと合同結婚式で結婚し破門されかかった。ミリンゴはスンと別れて静かに暮らしてたが、2006年にワシントンでスンと共にカトリック教会における聖職者妻帯の認可を求め、4人の妻帯司祭を司教に任命し、自動的に破門された。
カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、統一教会はキリスト教、特にカトリック的キリスト教とは本質的に異なる宗教であり、キリスト教に属する諸教会・教団の再統合を目指すエキュメニカル運動の対象外であると述べている。また、統一教会はキリスト教との関係という点で、マニ教と非常によく似ているという。(マニ教はサーサーン朝ペルシャのマニ(3世紀)を開祖とする二元論的な宗教で、統一教会と異なり性を忌むべき悪と見なしていたが、イエスを高く評価し、開祖マニこそが最終的な真理をもたらすものであり、自説が宗教・哲学・科学全ての問題を理性的に解決する真理であると主張し、人類の最終的な唯一の宗教にならなければならないと考え、信徒は世界的な布教を行い、強固な宗教組織を作り、社会生活においても互いに連帯していた。)
ネメシェギは、人間と悪魔が性交できるといった神話的な思想は絶対に排除しなければならないものであり、原罪の教えは人間の悪魔化についての教えではなく、この世の一切の悪いことは神の意志に適うものではなく、神との調和を取り戻すことで、神の助けによってそれらの一切を取り除くことができるという希望を抱かせる教えであると述べている。統一教会は、イエスの復活を認めないからこそ、その死の理解が間違っているという。
またネメシェギは、次のように批判している。『原理講論』は文鮮明が受けたという啓示を根拠にしているが、啓示の客観的根拠は本書では述べられておらず、その教説には誤りが多く、実際に神の啓示であるとは思われず、文鮮明が啓示であると思い込んだのは、若い時からかかわっていた神霊主義的現象や、朝鮮半島のシャーマニズムの影響であったかもしれない。また陰陽論を神に当てはめるやり方は、キリスト教神学と哲学が初めから支持してきた神の絶対的超越性、独立、自己充足性、純一性、自由についての教説とは一致しておらず、神の絶対的超越性を十分理解できていないからこそ、被造世界にみられる特徴をそのまま神に当てはめてしまっているという。
日本では、日本カトリック司教団がカトリック信者向けに、「私たちは、一つの人間家族をつくり上げることの意義を否定するものではありませんが、この世界基督教統一神霊協会がキリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ない」ことを宣言し、その教えはカトリックの教えと明確に相反するため、統一教会のいかなる運動や会合などにも関与しないように注意を喚起している。
プロテスタントの日本基督教団牧師・宗教研究者の石井智恵美は、キリスト教を名乗ることについては、正統派キリスト教による根強い批判が見られると述べている。
キリスト教の主流派における公式の教会会議や委員会の中には、統一教会の統一思想に反対し、キリスト教であるという主張に異議を表明したり、危険性を警告するものもある。
1975年には、フランスのカトリック司教協議会が統一教会の危険性について警告書を出している。パナマの司教会議も、同一の立場から統一教会の実態について述べる司牧書簡を発表した。
1976年には、ニューヨーク大司教区が、アメリカのユダヤ系委員会、全米教会会議と共に、統一教会は反キリスト教的・反民主的であるという共同声明を出した。
プロテスタントの日本基督教団は、教団として統一教会対策に取り組んでおり、ジャーナリストの米本和広は、日本基督教団は総会で「統一教会を潰す」という決議を採択したと述べている。
日本福音同盟は統一教会はキリスト教ではないと表明し、様々な姿と紛らわしい組織体を持ち、それらを通じて多くの人々を勧誘し「マインドコントロール」していると断じ、その活動に憂慮を示している。
統一教会に対するこれらの動きは日本基督教団だけでは限界があると考えられたため、キリスト教諸教派に協力が呼びかけられ、2004年「統一教会問題キリスト教連絡会」が発足した。そこに、カトリック中央協議会、在日大韓基督教会、日本聖公会、日本バプテスト連盟、日本福音ルーテル教会が新たに加わり、日本のキリスト教エキュメニカル運動団体・日本キリスト教協議会がオブザーバーとして参加した。そして、定期的に会合を開いて情報交換を行い、統一教会問題の啓発冊子『これが素顔!』を作成、「連絡会」所属の司祭、牧師と「霊感商法対策弁護士連絡会」の弁護士、「全国統一教会被害者家族の会」の有志メンバーが訪韓し、韓国のキリスト教諸派に日本における統一教会の実態を伝えた。
統一教会などのカルト視される新宗教の信者に対する脱会カウンセリング(特定教団に入信した信者はマインドコントロールされているために信者であり続けるとみなし、家族とカウンセラーが積極的に信者当人の信仰問題に介入することでマインドコントロールを解き、教団から脱会させようという特殊なカウンセリング)には、信教の自由などの面から問題視する向きもあり、強制棄教であるというジャーナリストによる批判もある。
この脱会カウンセリングに関わるキリスト教関係者もおり、1998年以降、統一教会信者とエホバの証人の信者が、違法に脱会・棄教を強要されたとして、家族や関係者、脱会カウンセリングに関わった牧師が相次いで提訴されている。このような裁判は2005年時点で5件あり、2件が信者の請求を全て棄却し、3件が一部に違法行為があったとして損害賠償の請求を認めた(うち1件はエホバの証人)。
統一教会が聖酒には「父母の愛の象徴が入っている」と表現したせいか、聖酒には「精液」が混入されていると報道されたこともあったが、統一教会側は事実無根であると述べている。
同性愛者の信者は、当然同性愛を「克服」しなければ教会に残ることはできない(同性を愛するのは倫理道徳に問題があるから、同性愛者が人種のマイノリティのように権利を求めることは間違いとされるため)。
渋谷区で同性パートナーシップ制度の条例案が提出され、これに反対するチラシが組織的にポスティングされた。チラシでは、条例でエイズが蔓延する、言論の自由を侵害する、伝統的な家族制度に混乱をもたらし、学校教育や子供の躾にも悪影響を及ぼすなどと主張されていた。チラシの連絡先は、統一教会の関連組織として知られるpure love allianceである。
2008年に大阪府の堺市立図書館で、男性同士の愛や絆を扱う女性向けのジャンル「ボーイズラブ」小説が収蔵・貸出されていることを非難する「市民の声」によって廃棄が要求され、ボーイズラブとされた5,500冊の本が開架から除去される「堺市立図書館「BL」本排除事件」が起きたが、これに統一教会の関連会社「世界日報社」が関与していたのではないかと指摘されている。
2012年の設立者の文の死後に組織は分裂したため、韓国でも脱会者が相次いでいるが、まだ地方の不動産を保有しているため韓国内では影響力は残している。
日本共産党の政党機関紙「しんぶん赤旗」を刊行する「赤旗」は、文鮮明は若い時「混淫派」とよばれる血分け(ピガルム、「血の浄化」を意味する)教の信者であり、血分け教とはセックス教であると主張した。また、統一教会の教義は「文鮮明との血分け(セックス)によって人間は清められ、無原罪の子を産むことができる」というものであると断じ、激しく批判している(「赤旗」の主張の情報源は、上記批判を掲載した書籍『赤旗―統一教会元会員の証言』には記載されていない)。統一教会に対する通俗的なバッシングには、しばしばこのような主張が見られる。
また、ワシントン市の統一教会所属の「ユニヴァーサル・バレエ団」とレニングラード市のキーロフ・バレエ団は公式に関係を結び、1990年代初頭には統一教会のロック・グループ「オリジナル・マインド・バンド」が、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、チェコスロバキアで演奏するなど、東欧で活発に活動した。  
●関連事件​
赤報隊事件の関与疑惑​
2人の朝日新聞社所属の記者が殺傷され、2人の首相が脅迫された言論弾圧テロ事件である赤報隊事件について、教団の関与が疑われ捜査の対象となった。朝日新聞社の発行する『朝日ジャーナル』などが統一教会を批判していたことや、教団系の国際勝共連合が街宣車を繰り出し朝日新聞批判の街頭演説を繰り返していたこと、霊感商法批判を繰り返していた『朝日ジャーナル』編集部宛てに「社員のガキをひき殺す」などの脅迫状が送付されていたこと、「とういつきょうかいの わるくちをいうやつは みなごろしだ」との統一教会の名前を使った脅迫状が事件後に送付されたことが指摘されている。
副島嘉和襲撃事件​
統一教会系新聞世界日報は1980年代初頭赤字経営だったが、編集長として統一教会幹部の役職が与えられてた副島嘉和が、独立可能なほど興隆させる。それを乗っ取りと見た統一教会は、渋谷のビルを勝共連合信者約百人で占拠・監禁・暴行し、福島を強制解任した。副島嘉和と元営業局長井上博明は、連名で文藝春秋1984年7月号に「これが『統一教会』の秘部だ―世界日報事件で『追放』された側の告発」という18頁に渡る手記を暴露発表した事で、1970年代の10年間で日本から韓国へ約2000億円が送金された事など、初めて日本国内の一部に統一教会の内情が露見した。1984年6月10日頃には全国の店舗に並んだが、その直前の1984年6月2日夜、副島が帰宅途中に何者かに襲撃され、全身を刺され瀕死の重傷を負った「副島襲撃事件」が発生。この襲撃事件時、世界日報の元社会部記者が副島の自宅に偶然おり、副島が瀕死の状態で自宅にたどりついた時の様子を証言している。副島は全身を刺され、最も深い物で刃渡り15pまで到達していたが、心臓からわずかに2センチメートル外れており、また世界日報の別の記者が事件直後にたまたま副島の自宅を訪ねており、救急車に担ぎ込まれた事により副島は奇跡的に生還した。
この事件の後、統一教会は「副島は闇の世界と深い付き合いがあった。闇の世界のプロの刺客に襲われたようだ」との風説を盛んに流している。
副島らは、この襲撃事件前後の統一教会との確執に関して原稿を書き『週刊文春』に持ち込んだが採用されなかった。また、マスコミも襲撃事件を言論事件として取り上げようとするところはなかった。副島らは孤立無援の状態で統一教会の告発を続けたが、さまざまな事情によりグループから脱落者が出て、それを続けることは難しくなっていた。偶然ではあるが、1984年秋から『朝日ジャーナル』が統一教会、霊感商法の批判キャンペーン記事を掲載しはじめたため、副島らが始めた統一教会批判は実質的には『朝日ジャーナル』へ引き継がれることになった。この襲撃事件は殺人未遂事件としてではなく、傷害事件として捜査された。しかし、犯人を特定できないまま、1991年6月2日に公訴時効を迎えた。
カリフォルニア女性信者強姦殺人事件​
1985年4月、アメリカ合衆国カリフォルニア州の住宅街で訪問販売活動中の信者女性(22)が、住人の男に強姦・殺害された事件が発生している。女性は1984年8月に「布教のためアメリカに行く」と告げて、渡米していた。事件後、女性の遺族は教団関係者ら5者を相手取り、総額3900万円の損害賠償請求訴訟を提起。治安の悪い危険地域で、1人で訪問販売をさせていたことで、安全を指導し、危険を防止する義務を怠ったとして責任を追及した。裁判は教団側が2000万円を支払うことで和解に至った。
ウルグアイ女性信者自殺事件​
1996年12月2日、南米ウルグアイで教団の信者女性が宿泊先のホテルから投身自殺している。女性は教団の布教活動のために、3人の子供と夫を残し単身で11月中旬から渡航、首都モンテビデオで研修を受けた後、ブラジルで1年の布教活動に従事する予定だった。夫は現地の警察に対し、妻は文化の違いなどから「精神的にまいっていたようだ」と説明。女性は自殺直前にもコーヒーカップを床に叩きつけるなどの異常行動をとり、「精神的にとっても疲れている」「日本が恋しい、子供たちが恋しい」と語っていた。
東大生男女刺傷事件​
1999年1月19日、東京大学教養学部2年の男子生徒 (19) が、同級生の女子 (20) を刃物で刺し、全治1か月の重傷を負わせる事件が発生した。女子生徒は統一教会信者で、「原理研究会」の勧誘のために男子生徒に信者であることを明かさずに接近したが、これをきっかけに男子生徒がストーカーと化したという。男子生徒はPHSに1日何十回も脅迫電話をかける、待ち伏せする、寮に押し寄せるなどのつきまとい行為を繰り返していた。さらに女子生徒に信仰をやめさせるために、セミナーに通いはじめていたが、女子生徒が合同結婚式に参加していたことを知り、精神的に追い詰められ、凶行に及んだとみられている。男子生徒は逮捕後、何度も『彼女に騙された』と語っていた。
麻薬関連のマネーロンダリングと密輸​
2020年1月20日、統一教会の南米代表(総裁:ハク・ジャハン)が麻薬関連のマネーロンダリングと密輸で米国連邦捜査局(FBI)に逮捕・起訴された事実が遅ればせながら明らかになり、被告人と教会幹部との接点が疑われている。
同年20日、米司法省によると、米司法省は世界平和統一連盟の政治団体である国際平和議員連盟(IAPP)の会長シンシア・エリザベス・タラゴ・ディアスらパラグアイ国籍の3人を起訴した。FFWPU)は、2019年11月21日(現地時間)、FBIの捜査結果に基づき、マネーロンダリングとドラッグ密輸の容疑でニュージャージー州地方裁判所に提訴した。タラゴはパラグアイの元国会議員(MP)で、他に夫のレイモン・ヴァと両替商の幹部ロドリゴ・アルバレンガ・パレデスが共にに起訴された。
タラゴとヴァの夫婦はマネーロンダリングにより空港に到着した直後の同日にニューアーク・リバティ空港近くのホテルで逮捕され、現在はニュージャージー州モンマス郡の連邦刑務所に収監された。共犯者のAlvarengaは未逮捕であるが、国際刑事警察機構(インターポール)に指名手配されていおり、パラグアイに潜伏しているとみられる。
その他​
1976年5月、ニューヨーク・ブルックリンで日本人の青年信者が布教活動中に強盗に襲われ死亡。
1976年6月、教団系のホテル「ニューヨーカー・ホテル」で、手動式エレベーターの20階からアメリカ人青年(21)が転落死。
1976年8月、ニューヨークで日本人の青年信者(23)が教団系のホテル「ニューヨーカー・ホテル」の22階から転落死。ニューヨーク市警の調べによると自殺とみられる。読売新聞は、統一教会の秘密的な活動状況から、すんなりと「自殺」と受け取れないとしている。また、当時ニューヨークでは、観光ビザで米国を訪れ、日本料理店で不法就労し、移民局から摘発される信者が増えていたという。
1980年12月、タンザニアで統一教会の信者が闇ドル売買のおとり捜査に引っ掛かり、逃げようとして射殺される事件が発生。タンザニアでは布教が禁止されていた  
●各国での活動​
1970年代中盤から80年代中盤までに日本での霊感商法で稼いだ資金のうち、8億ドルはアメリカに送金され、統一教会のアメリカでの大規模な布教活動やロビイング活動に利用された。この資金源はアメリカの信者には秘密であった。それらの資金を利用して、韓国、日本、米国で保守系日刊紙を刊行しており、文鮮明が推進した事業には、日本では1975年創刊の保守系新聞世界日報、1982年に文鮮明はアメリカの保守系新聞であるワシントン・タイムズ、国際ニュースメディア企業「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ」、などがあり、特に財閥組織である「トンイル・グループ(世界基督教統一神霊協会維持財団)」はその代表格である。
日本​
1958年、当時まだ国交のなかった日本での伝道のため崔奉春(日本名:西川勝)を密入国させ1959年10月 に日本統一教会を立ち上げ、1964年には東京都知事の認証で宗教法人となった。1960年代初めには立正佼成会の庭野日敬会長(当時)の指示で統一教会の教えを学んでいた立正佼成会の青年部の信者50名ほどが統一教会に転じ、2年後に日本の会長になった久保木修己をはじめ、後に教団幹部となる者が出た。
戦後の外来宗教としては古い部類であり、ミッション(伝道団)であると考えるならば、その中では日本で最も勢力を拡大している。
日本では多くの社会問題を起こしたことから、社会的評価は低いが、政治家との強い関係や経済組織を持ち、数十万の日本人を活動に巻き込み、現在も数万人の熱心な日本人信者を持つなど、社会的影響力は弱いものではない。
日本において最初に問題になったのは「原理研究会」であった。大学生の子どもの様子がおかしい、ホームや教会に寝泊まりしながら販売活動や募金活動や布教活動に奔走しており、家に戻れと言っても言うことを聞かず、原理研究会や統一教会の批判をすると血走った尋常ではない目で反論して来る、果ては大学を中退し、合同結婚式に参加する。これを朝日新聞が1965年7月7日に「親泣かせの原理運動」と報じたのが皮切りである。
1960・70年代には、統一教会の学生組織である「原理研究会」が大学構内で示威的な布教活動を行い、大学を中退して統一教会に献身する学生が問題となった。現在も大学では学生を守るための対策が講じられている。
統一教会は、霊障や祟りを強調し、占いや先祖祭祀の観念を利用するなど、日本の宗教文化を偽装した布教を行い、違法な物品販売活動で資金集めをした。
1980年代には姓名判断や印相鑑定と絡めたいわゆる「霊感商法」が大きな社会問題となり、1989年には霊感商法被害対策弁護師団が結成された。
統一教会がらみの訴訟が1986年以降100件を超え、献金勧誘行為の違法性と賠償責任を認める判決が複数ある。また、金銭トラブルや教義の妥当性だけでなく、「人生の目的」「生そのものをより良くする」「自分らしく生きる」「幸せな家庭、家族」を望む志向性そのものの侵害、すなわちスピリチュアリティを巡るトラブルという点も注目された。
日本では2008年の特定商取引法の改正以来、統一教会の物販の販社にも司法の手が及ぶようになってきたため、集金が困難になってきている。浅見定雄は、日本からの資金を命綱とするとするこれまでの在り方に、大きな転換を迫られていると述べている。
1967年9月には、自分の子供は洗脳を受けたから家出したと考える親たちが「原理運動対策全国父母の会」を結成し、教団本部に対し
原理運動のために家出する者を「すばらしい」とほめて、家庭を破壊するような指導をやめる
学業を続ける者を「罪悪なり」とする大学の原理研内の風潮を改める
子女に無理な献金を強要し、無報酬労働をさせない
などの9項目を申し入れた が効果はまるでなかった。
1977年6月に早稲田大学で反原理運動が始まり、全国に広がった。
統一教会は、他のキリスト教や新宗教の団体には見られない特異な勧誘方法(統一教会所属していた鄭明析による新宗教団体・摂理は同様の手法を使っている)と、教化システムを確立している。
統一教会では、入信、回心を経てしばらくすると教団に献身することが求められるが、青年信者のうち一定の割合が献身してしまうことから、一般にはこのような急激な態度変化は洗脳、マインド・コントロールであるという認識が少なくなかった。しかし、宗教研究や宗教社会学では、統一教会の事例であっても自発的な入信、回心であると理解されており、マインド・コントロールされたという臨床心理や社会心理学の立場と、学問や法廷で20年以上論争が続いてきた。
日本では、当初は自覚的な参画者からなる宗教運動だったが、1980年代に大きな路線転換があり、以降、教団名や活動内容を説明した上での布教活動を30年近く行っていない。
統一教会の「新規の入り口」は文化系サークルや教養講座、鑑定所等に擬態したものであったため、日本の統一教会には、宗教団体とは自ら信じて集まった人の団体であるという「宗教」の前提が通用しない。信仰とは自発的なものであるはずだが、日本の統一教会の信仰には、そうとも言い切れない複雑さがある。韓国では正体を隠した勧誘は行われていない。
1980年代からは印鑑、壷、多宝塔、高麗人参濃縮液等の販売の比重が高まり、「マインドコントロールで一般の人を信者とし、霊感商法などで金をだまし取る」と批判を浴びて社会問題化し有名になった。
統一教会の宣教活動には社会の規範意識や法律と軋轢のある部分が多く、宗教学者の櫻井義秀は、「教説の創唱性、教祖のカリスマ、教団内婚制という点だけを取り上げても、宗教学的には新宗教と定義して構わないし、再臨主を称する教祖を信奉する少数者の集団という意味では宗教社会学的にはカルトと類型化される」述べている。
韓国では異端、偽宗教といわれることもあるが、霊感商法や正体を隠した勧誘といった日本のような社会問題化する教団活動を行っておらず、献身(後述)や布教の強要もなく、祝福献金の金額は日本よりはるかに安いといわれており、日本のような特異な信仰になっていない。このように被害者がおらず、日本での被害の実態もあまり報道されていないことから、韓国ではあまりカルトとは見なされていない。
1992年に芸能人の桜田淳子・元新体操選手の山崎浩子が合同結婚式に参加したことが報道され、翌年、 山崎浩子が脱会し記者会見で「私はマインド・コントロールされていました」と述べて自らの体験を語ったことからマインド・コントロール・洗脳であるという批判が高まり、1980年代末まで盛り上がっていた活動は以降停滞した。
日本統一教会は資金面でも人材面でも世界の統一教会の供給源になっている。
また日本の信者から徹底的に集めた金銭をアメリカでの事業立ち上げに使用されたと報道され、多額の献金によって崩壊した家庭が多いとされている。
赤旗は、経済活動で得た金の大半を文鮮明に送金、その額は一時年間約1億ドル(当時のレートで約240億円)に達してその私腹を肥やした他、その反共右翼政治活動の資金源となっていたと述べている。また赤旗は、信者は言葉も分からないまま外国へ送られ花売りやキャンデー売りをさせられ、場合によっては観光ビザで入国して現地の系列企業で働き国外退去を命じられた例もあり、美人の女性会員を動員して対米議会工作に当たらせたとも言われ、元会員の証言では文鮮明が日本の女性会員を集めて「君たちを各国大使の貢ぎ物にする」と語ったことがあると述べている。
赤旗は、崔奉春は「日本宣教の父」と言われていたが1987年1月に退会し、末端会員を「伝道」「募金」「経済」と称する金集めに駆り立てる教団のやり方を批判、「良心的に生きない人は偽善者ではないのか」「私は、信仰の道を行っても、絶対に自分の良心と理性だけは、殺したくない」と語っている、と述べている。
2016年には、テレビ東京の番組「世界ナゼそこに?日本人 〜知られざる波瀾万丈伝〜」の中で、合同結婚式で海外信者と結婚した統一教会信者が、信者であることを隠し、虚偽の経緯・経歴で複数回にわたり出演しているなどとして、全国霊感商法対策弁護士連絡会が同局に事実関係や出演の経緯などについて回答するよう申し入れた。局側は「きちんと取材した結果に基づいたもの」と回答している。
欧州​
ヨーロッパ各国では 1980年代に世界基督教統一神霊協会(統一協会)に入信した信者と家族の間で問題が頻発したことを受け、当時のフランス首相、ピエール・モーロワから調査を委嘱された下院議員、アラン・ヴィヴィアンが 1985年4月、「フランスにおけるセクト、精神的自由の表現か悪質なかつぎ屋か」と題する報告書を提出した。その後1984年4月と6月にEC議会が統一教会に対する対策を求めるに当たっての調査の中で同様の問題のある宗教団体があることが認識されるようになった。これにより樹立されたフランスの反セクト法は、統一教会、サイエントロジー、エホバの証人、創価学会、崇教真光などの現地法人がフランス国内での犯罪性や人権侵害の度合いなどに基づきセクトとして取り扱われた。
米国​
アメリカ進出当初、統一教会は活発な活動で欧米のメディア及び研究者の注目を集め、宗教社会学の古典的業績のかなりの部分が統一教会の研究で生み出された。そして1980年代の路線転換後をフォローする研究者がいなかったため、これ以前の研究が教団に利用された。
アメリカでは1970年代以降、共同的な組織から権力を分散した家庭的な構造に移行し、「ホームチャーチ(家庭教会)」として知られる一つの家族の家庭で暮らすことが奨励されるようになった。ホームチャーチは地域の家族に仕え、責任を持つよう期待される。
1980年代に祝福を受けた会員のほとんどは、この落ち着いた生活スタイルになり、統一教会の正会員をやめ賛助会員として、個人的な家庭と仕事を持って暮らしている。しかし、文鮮明の子息で末っ子の文亨進が2015年頃にアメリカ合衆国でワールド・ピース・アンド・ユニフィケーション・サンクチュアリー教会(通称:サンクチュアリー教会)を分派的に設立している。クーリエ・ジャポンによると、教会の信念はキリスト教と聖書に根ざしてはいるが、「武器信仰」が特徴であり、経典は独自のものとなっている。
教祖文鮮明と韓鶴子の7男の韓国系アメリカ人であり、アメリカ家庭連合(アメリカ統一教会)会長であった文亨進は、父親の文鮮明が2012年に亡くなった後、母親の韓鶴子が父親の教え以上に自らの立場を上位の物にしようとしたとして、韓鶴子との違いを明確に表明した事により対立、2013年には韓鶴子により教会の複数の立場から解任され、文亨進は分家組織である世界平和統一聖殿(通称:サンクチュアリ教会)を、アメリカ統一教会とは別にアメリカ国内にて立ち上げた。統一教会は現在、文亨進のサンクチュアリ教会を「脱会組織」とみなしており、文亨進が主導した統一運動の変革のほとんどは、彼の解任後に却下された。文亨進は有力なトランプ支持者であるとされ、AR-15を重要視する“Rod of Iron Ministries”を率いている事で知られ、2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件にも参加した。
韓鶴子(文鮮明夫人)は1993年に「真の父母と成約時代」と題する講演を米国議会で行なったが、その日(7月28日)を記念して(教団はその日を記念してと言っているが、実際の関連性は不明である)米政府は「父母の日」という国民の祝日を定めた(1994年9月30日下院本会議可決、10月4日上院本会議可決、10月14日ビル・クリントン大統領の署名により正式法制化、米公法103-362)。
中華人民共和国​
中国では、1997年に「邪教」であると当局によって認定されており、活動は違法ととなる。
中華民国(台湾)​
戒厳令が終わった頃に台湾に伝来した。台湾にも支部があり16の教会、1万人ほどの信者がいる。2000年から20年間続けて内政部に優秀宗教団体として表彰されており日本とは別でカルト、タブーとはなっていない。
また政治活動も行っており天宙和平統一家庭黨という政党を2014年に設立している。
旧ソビエト諸国​
統一教会は1980年代からソビエト連邦にて活動を始めていたが、ソ連でペレストロイカが始まると、堂々と布教活動をするようになった。
1990年4月、文鮮明はソビエト連邦を訪問し、国家元首であったミハイル・ゴルバチョフと会談。クレムリンの敷地内にあるロシア正教会の重要な教会、ウスペンスキー大聖堂で統一教会の儀式を行なった。文鮮明は「統一教会はやがてロシアで国教として受け入れられるだろう」と発言した。
ロシア宗教・宗派研究センター協会会長のアレクサンドル・ドヴォルキンは、「ソ連の国家元首が、現役の一国のトップとして一番最初に文鮮明に会ってしまった。周囲の人々のプロ意識がなかったとしか思えない」と語っている。
統一教会はまず、莫大な資金を注ぎ込んでロシア教育省と太いパイプを築いた。学校の教師らをロシア南部・ビーチリゾートのサナトリウムへ旅行に連れていき、そこでセミナーを行い、ビデオを見せるなどして啓蒙活動を展開した。
「統一教会は、ソビエト人のメンタリティというものをあまり理解できていなかったと思います。無料でビーチに行きたいから行っただけ、戻ってきてからは何もしないという人が多かったのです。しかし強く感化された人もいて、ひとクラス丸ごと生徒を統一教会の儀式に連れていった教師もいた。それをフランスのテレビ局が取材していたので、よく覚えています。」とドヴォルキンは話している。
統一教会はロシア語で「私の世界と私」という教科書を作った。この教科書はロシア全土のおよそ一万の学校で採用され、特にカルムキヤ共和国では、当時の首長と関係を築き、共和国内の全ての学校が採用した。カルムキヤはロシアの中でも数少ない仏教国である。統一教会は一応キリスト教系の新宗教であるはずだが、ドヴォルキンは全く関係ないと否定する。
ドヴォルキンは、「ロシアは多民族の国ですから、統一教会は地域によって、自分たちの主張を変えていました。カルムキヤでは仏教徒に、イスラム教の地域ではムスリムに対し、それぞれ耳ざわりの良いことを吹き込んでいたわけです。また、最初はロシア正教会の聖職者が統一教会のセミナーに参加することもありました。文鮮明は、色々な宗教の代表者を自分たちのイベントに招くことを好んだからです。しかしロシア正教会の方は、これはおかしいと気づき、行くのをやめました。」としている。
日本では安倍晋三銃撃事件での容疑者のように「2世」の悲劇が注目されがちだが、ロシアでは親の意に反して子どもが入信してしまうケースが目立ったという。
ドヴォルキンによると、「霊感商法や寄付などで日本が統一教会の資金源になっていることは有名ですが、ロシアの場合は、90年代から2000年代にかけては市民が寄付できるほどのお金を持っていませんでした。ロシアにおける手口はこうです。若い信者は、縁もゆかりもない他の町に引っ越しさせられ、アパートの一室に押し込められて集団で生活します。朝から晩まで路上に立って、通行人に施しを求めます。大体は、冷たくされるわけですね。でも、信者は、その冷たくされることこそが、試練だと捉えています。狭い部屋に戻ると、一番寄付を集められなかった人が罰を受けます。そんな中でも、他に友達や頼れる人がいないので、信者の信仰の心は強まり、自分たちは正しいことをしているという気持ちがさらに高まるのです。」とされている。
統一教会は、米国と日本のメディアに大きな影響を及ぼしたが、ロシアではその試みはうまくいかなかった。ドヴォルキンは「特に統一教会が盛んに活動した90年代は、私有財産という概念が誕生したばかりで、社会の何もかもが瞬く間に変化し、盗みや殺人も日常茶飯事だった」と振り返る。そこへ乗り込んでいくのはリスクが大きすぎた。注いだ活動資金の額に比べると結果が見合わなかったため、文鮮明は徐々にロシアへの関心を失っていった。
ドヴォルキンは、統一教会が衰退したのは他にもいくつかの要素が重なったためだと指摘する。例えばゴルバチョフ財団は、長きにわたり統一教会の資金で運営されてきた。しかしゴルバチョフは西側では人気があるが、ロシアでの人気はさほどない。ゴルバチョフ財団は、統一教会が望むような影響力を持てなかった。
「オウム真理教がロシアで有名になったことは、統一教会の活動にも影響を与えました。オウムの危険性がクローズアップされたことで、統一教会もそれと同列で、危ない存在ではないかと、社会全体が危機感を抱き始めました。それ以外にも他のカルト宗教がどんどん出てきて、競争も激しくなり、統一教会の衰退は、2012年の文鮮明の死去とそれに伴う家族間の継承権争いによって決定的となりました。90年代というロシアが最も混乱した時期と、統一教会の全盛期が重なったことは、不幸中の幸いでした。ロシアがもっと安定した時期に彼らが入り込んできていたら、より大きい影響を及ぼす存在になっていたことでしょう。」とドヴォルキンは語っている。
ロシアを含む多くのポスト・ソビエト諸国(ロシア寄りの旧ソビエト諸国)の宗教当局は、統一教会を安全保障上の問題があるとして規制と監視対象とした。ロシアを含む多くのポストソ・ビエト国家の宗教当局は、統一教会の運動をセクト(ネオナチ)と呼び厳しく批判し、その結果それらの場所で統一教会の活動が抑制された。
2012年2月の始め、旧ソビエト国家であるキルギスでは、キルギス国家保安委員会、キルギス検察庁、および州宗教問題局が、統一教会の活動が適切な登録なしに非伝統的な宗教的見解を強制的に広めることにより、キルギスの国家安全保障に脅威を与えたと主張。裁判所に苦情を申し立てた。ビシュケク裁判所は、キルギスの領土での統一教会の活動を実質上不可能とする判決を下した。
2016年、ウラジミール・プーチン及びプーチン政権は、ネオナチ勢力(セクト勢力)への新たな対テロ法として、新興宗教勢力に対する布教活動や私的な参拝を禁ずるとし、すべての伝道師や布教者は「登録済み」の組織に所属していなければならない事を取り決めた。これにより、ロシア国内における統一教会の活動は事実上不可能となった
ウクライナでは現在も拠点が存在している。2022年2月24日からのウクライナ侵攻後、ウクライナの家庭連合(ウクライナ統一教会)会長アーニャ・カルマツカヤは、「ウクライナとはロシアと戦っているだけではありません。人類の平和、自由、人権の為に戦っているのです。」とメディアやSNS上などを通じてウクライナ愛国心と反ロシア思想を世界へ向けて説いている。  
●経済活動​
統一教会では、資金調達は罪深いサタンの領域から罪のない神の領域への合法的な金銭の移動と考えられている。それは、勧誘活動と共に非常に儀式的な活動であり、多くの人に(相手がその霊的意義を認識していなくても)復帰に参与する機会を与えるものと考えられていた。
韓国と日本での商業上の関心は、工業分野で多様化し、鉱山、建設、製造、製薬を含んでおり、韓国やブラジルで相当の大きさの不動産保有地を手に入れている。また海域への関心もあり、いくつもの漁業事業が設立されている。
統一教会のこれらの幅広い企業活動は、単に利益を得るためだけではなく、「文鮮明を新しいメシアとする世界復帰という統一教会の使命を果たすための経済基盤」でもある。
日本ではより多くの「献身者」を出すことが目指され、違法な布教、資金調達活動が20年以上行われた。スピリチュアリティ(霊性)を濫用した収奪のシステムは、額においても国際的なネットワークのスケールにおいても非常に大規模で、組織的で高度に計算されたものであった。
統一教会元広報局長で世界日報編集局長 だった副島嘉和によると、1975年 文鮮明から日本統一教会に送金命令が下り、毎月約20億円、1985年までの 10年間に合計約2000億円が文鮮明に送金された。これに伴い被害相談額だけで2001年までの25年間で1100億円を超える大きな傷跡を残した。
赤旗は、「元会員の一人は、幹部が何もせずにぜいたくな暮らしをしていることに裏では不満もあったと証言した」と述べている。
信者による莫大な献金は、アメリカ本部に送られ、そこから世界各国の統一教会に流れるが、ジャーナリストの米本和宏は、韓国に最も多く送られており、使い道は関連施設費(土地購入・建設費)、新規の事業投資と赤字補填に充てられていると述べている。
2009年に日本統一教会の会長徳野英治が、印鑑や風水など霊が絡む物品販売の禁止、「家系図等を用い、先祖の因縁ないし先祖開放等を理由に(した)献金」の禁止、ビデオセンターに勧誘する場合は統一教会の名前を明示すること、「霊能力に長けているといわれる人物をして、その霊能力を用いた献金の奨励・勧誘行為をさせない」という、これまで社会から批判されてきた問題点の一掃を目指す新方針を示した。
この統一教会の動きについては、警察を意識した通達文に過ぎないのではないかという意見もあるが、ジャーナリストの米本和広は、韓国統一教会員の話として、2008年に新潟で統一教会系企業の社員が逮捕され(1983年の青森事件以来の教会員の逮捕である)、それを文鮮明に報告した際に怒りを買ったことを紹介している。
2008年、文鮮明の息子でハーバード大卒の文国進が日本担当になり、各企業の役員に民間人を入れ、横領などを繰り返した腐敗幹部を一掃、教会員役員をリストラするなどの改革を行い、万年赤字であった朝鮮人参販売会社の一和を黒字転換するなど、統一教会系企業を次々再生させている。この改革で日本からの献金を赤字補填に当てる必要はなくなったが、2009年時点では日本の信者への献金要請は続いている。
1996年から韓国を中心にするこれまでの方針を転換し、南米に地上天国のモデルを作るとして、ブラジルのジャルジンとパンタナール に未開発の広大な土地を買っている。
関連企業や関連団体​
世界基督教統一神霊協会の財産を管理するため1963年に世界基督教統一神霊協会維持財団が設立され、その元に多くの企業を擁している。韓国では財閥の一つとみなされ、系列企業は「統一教グループ」と呼ばれ、宗教としてより統一系企業の方が有名 で、文鮮明は事業家としてのイメージが強いという。文鮮明の親族がそれらの企業の幹部になっていることもある。漁業事業の一つトゥルー・ワールド・フーズ社は、アメリカ最大の寿司用魚の卸業者で、アメリカで75%のシェアを持っているという報告(2006年)もある。2021年には8300以上の顧客を持ち、寿司レストランの7割から8割の食材供給を担い、年間で500億円もの年間売上を誇るなど、名実ともにアメリカの寿司産業界を支配している。
赤旗は、日本では霊感商法に関する社会の追及を逸らしごまかすため「霊石愛好会」や「天地正教」といった仏教色の強い団体を作っていたと述べている。また赤旗は、系列企業は普通の企業を装い和服や不動産の売買など多様な経済活動をしていると述べている。
メディア事業​
宗教学者のダグラス・E・コーワン(英語版)、宗教社会学者のデイヴィッド・G・ブロムリー(英語版) は、全企業の中で最も顕著なものはメディア事業であり、その世界観を伝えるためのメディア組織が世界中で設立され続けていると述べている。統一教会のメディア「ワシントン・タイムズ」は、今日アメリカの政治的保守層の間で非常に影響力があり、この新聞を刊行するニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社は、2000年に由緒あるUPI通信社を買収した。
募金​
ジャーナリストの米本和広は、真の目的を明かさず、難民救済などと嘘を言って行なわれていたと述べている。集まったカンパから自分たちの食費を出しており、従事者も当時から全額が難民に届いていないことを知っていた。
訪問販売​
これまで信者たちは様々な経済活動をして来た。「赤旗」は、苦学生を装い、玄関で土下座して売ることから「土下座商法」と呼ばれたこともあると述べている。また「赤旗」は、数名で「マイクロ隊」と呼ばれる隊を組み、マイクロバスやワンボックスタイプのライトバンに寝泊りしながら、全国をインチキ募金 や珍味やハンカチ やマスコット 等の販売で回ったと述べている。極端な睡眠不足で自動車を運転するので交通事故も多く、例えば1988年12月には7人が乗ったワゴン車が尾鷲市でガードレールに激突し2人の女性信者が即死している。
弁護士の郷路征記は、「札幌青春を返せ訴訟・最終準備書面」で、統一教会は組織的、体系的に脱税をしており、関連会社のハッピーワールドでは、委託セールスマン(会員)に落とした70%の利益はハッピーワールド本社に個人の必要生活費を除いて全額献金するシステムで、証言では信者が受け取るのは月四万二千円のお小遣いとお昼代のみであったと述べている。
霊感商法​
先祖の因縁話などをもとにした詐欺・脅迫まがいの物品販売であった。
   手口のマニュアル化とその「成果」​
元信者によれば、効能を謳って販売し薬事法(現医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)違反に問われ販売に行き詰まっていた高麗人参や、美術品としてはあまり売れなかった韓国の統一教会系企業「一信石材」が製造した大理石壺を売るために、教義を使って売って行こうということになったのが霊感商法の始まりだという。
それまでの先祖の因縁に絡めたトークに代え、「壺は霊界を解放するため」、「救いのためには血統を転換しなければならない」という教団の教義を使い、「高麗人参は血を清めるため」というようにトークを体系化して行き、統一教会の基本トークを作り上げた。
1977年から1978年頃には霊能者役のトーカーが全国から400人ほど集められて体験交流会が行われた。
トークの体系化により、それまで5-6時間かかっていた販売時間が2-3時間に短縮され、3日間ぐらいの展示会で1億-2億円(悪いところでも5千万円)の売り上げがあった。この展示会を毎日のように北海道から九州まで行い、1983年から1984年までの間は、韓国の文鮮明のもとに100億円を送金する月まであったとされる。
統一教会系企業「一信石材」から壺や多宝塔を統一教会系の商社「ハッピーワールド」が輸入し、全国に8社あった「世界のしあわせ」(旧社名)に卸し、統一教会の信者が委託販売員という名目で働く100社以上の販社で販売した。
1980年代初めから、占いなどを切っ掛けに、ゲストを「霊場」と呼ばれる会場に連れて行き、家系図などを鑑定しながら、霊能者を装った信者が聞き出した本人や家族の不幸の原因を先祖の因縁話を使って説明し「先祖が救われる」「このままでは不幸になる」などと不安を煽り、法外な値段で壺、多宝塔などを買わせてきた。
   典型的な手口​
姓名判断、印相鑑定、手相占い等でアプローチする。ゲストを連れて行った案内役の信者は、霊能者を装った信者を徳の高い「先生」のように扱い、「霊山でご修業を積まれ、過去、現在、未来を見通す霊力をお持ちです」「大変人気のある方で、相談に乗ってもらえるのはかなりラッキー」など、いかにその霊能者が優れているかを説いて信頼させる。
物品の契約をしたゲストにはクーリングオフ(訪問販売の一種と考えられる場合が多いので)を阻止するために、それにあたる期間は人に言えば御利益がなくなる、あるいは不幸な目に遭う等と説明をしたり、現金一括払いに持ち込もうとするなど、全てにおいて用意周到に考え抜かれている。
   社会問題化​
これらの「霊感商法」はマスメディアで度々その被害や手口が報じられた。1987年(昭和62年)2月には、全国の弁護士により「全国霊感商法被害対策弁護士連絡会」が結成された。国民生活センターや各地の消費生活センター等に多くの苦情が寄せられ、多額の金銭的被害を生んだこの商法は大きな社会問題となった。
「霊感商法」に関係した各地の販社は、設立後2-3年で次々と解散し、遠隔地に住所移転したり社名を変えたりした。「TV100」は“Total Victory”の略と言われ、ハッピーワールド元社長で当時の経済の責任者であった古田元男は「文鮮明からの指示ではなかったが、小柳定夫副社長(当時)と相談し、文鮮明が言ったかのように誇張して話したことがある」と語っている。
昭和62年の第108回国会法務委員会で、警察庁刑事局保安部生活経済課長の上野治男は「最近、私どもの都道府県の警察の相談の窓口等へ、先祖のたたりがあるとか、そういったことでもってそのたたりを解消するためと称して高価なものを売りつけるということで相談のあるケースがかなりございます。昨年は、一年間に二百件ほど相談が来ております。それからそういったものに対しまして、従来から各種の悪質商法について私ども取り締まりをしておるわけでございますが、その取り締まりの中でもこの種の商法というのは人の弱みといいますか、人の不安につけ込むというもので、悪質商法の中でも最も悪質なものの一つということで、全国の警察に繰り返し厳しく取り締まるように指示をしておるところでございます。その結果、この数年間で十三件検挙した事例が出ております。各種の法令を適用して検挙しておる実態でございます。」と答弁した。
赤旗は、「霊石愛好会」は1988年1月北海道帯広市で「天地正教」として法人登記していると述べている。赤旗は、「弥勒菩薩を本尊とする」「南無霊妙大慈尊というお経を作る」等仏教を装っているが、教祖の川瀬カヨは統一教会の古参会員であり、天地正教の道場にある祈祷室には文鮮明の写真が飾られ、この道場で統一教会の献身儀式が行われるなど実体的に統一教会と一体であり、悪事を隠す仮面として仏教の装いを作っているに過ぎないと述べている。
教団側は信者に向けては「昭和57年ごろから文先生が創設した政治団体国際勝共連合が日本を共産主義の間接侵略から守るためにスパイ防止法制定運動を活発に推進しました。これに対して共産党および社会党は制定運動の資金源が統一教会であると誤認し、教会攻撃のために引き起したのがいわゆる”霊感商法問題”です。」という説明をしたが、その一方で世間に向けては「教会一切の収益事業はおこなっておらず、教会員の献金によってのみ運営されています。…個人の職業に対しては一切関与するものではありません。ゆえにいかなる商法とも教会は関連ありません。」と教団の関与を全面否定してきた。
しかし日本弁護士連合会は1988年3月にまとめた『霊感商法被害実態とその対策について』の中で、この悪徳商法が統一教会信者によって組織的に行なわれていることを具体的証拠をもって証明し、結論として「霊感商法に関わる販売業者群の背後には統一教会の存在が推認される」とした。
「霊感商法」が社会的な問題になった1990年頃から、信者達は着物、貴金属、絵画、毛皮、高麗人参等の商品を展示会形式で販売するようになった。
1994年7月12日、日本社会党(当時)の北村哲男が「霊感商法」などの反社会的なことを行う統一教会に対する政府の見解を質す質問主意書を政府に提出したが、政府は村山富市首相名で「宗教法人法第79条は、宗教法人が行う公益事業以外の事業の停止命令について規定しているが、所轄庁である東京都知事は、いわゆる霊感商法については、現在、統一教会の規則には事業として記載されておらず、また、統一教会が行っている事業であるという確証もないことから、現在のところ、同条を適用することは基本的に困難であると判断している。」と回答した。
しかし民事訴訟では霊感のない信者を“徳の高い霊能者の先生”に仕立てて売るための詳細なマニュアルがあったことや、「連絡協議会」の存在を教団が主張し始めたのは、民事訴訟が提起されてから7年も経ってからであり、証人に立った教団側の信者もその存在を知らなかったと証言し、裁判所からも当時の「連絡協議会」の存在を示す実体もないと認定された(2001年6月29日 札幌地裁)。
訴訟においては、1984年1月12日、青森地方裁判所が、大理石の壺を販売した信者2名の販売行為が恐喝罪に当たるとして懲役2年6月(執行猶予5年)の判決を下したが、教団事体の責任は問われなかった。その後、教団は1990年頃までは弁護士からクレームがあれば、お金を払って和解していた。1993年(平成5年)福岡地裁の訴訟において、原告は教団から有利な和解条件を持ちかけられたが、裁判で決着を着けなければという思いから和解を拒否、これ以降、教団の責任を認める判決が相次ぐようになった。
2009年6月11日の印鑑販売をめぐる特定商取引法違反事件では渋谷教会に対する家宅捜索に警視庁公安部が乗り出した。またそれを遡る5月27日の福岡県の事件においては福岡県警公安一課が立件した。以前はこの種の悪質商法事犯には警視庁や各県警の生活安全部が担当していたが、オウム真理教事件以降、カルトに対しては公安部が担当している。
自己啓発セミナー​
統一教会のビデオセンターなどは自己啓発セミナーを装っていた。赤旗は、横浜市の統一教会系自己開発セミナー「グローバル・アイ」のマークは自己開発セミナーの最大手ライフダイナミックスのマークを反転させただけであると述べている。赤旗は、会場はビデオセンターの他大学の原理研究会グループのたまり場だったり、主婦協会員のための託児所だった例もあると述べている。
赤旗は、実際の講義は第一段階が「創造論」「堕落論」「復帰論」など宗教的な布教であり、毎週末に箱根の研修センタ−で2泊3日の合宿を行なったと述べている。赤旗は、アイドル歌手のコンサートや東京ディズニーランドツアーなど若者受けする催しもあったと述べている。赤旗は、1987年の講師は世界日報の論説委員長であった井上茂信 や、国際勝共連合新宿支部長で千葉大学名誉教授であった清水馨八郎 など統一教会系組織の幹部であったと述べている。赤旗は、受講料は入会金や旅費を含めて7万円、受講生の帰宅時には再会を約束する手紙を渡すなどの手法も自己開発セミナーと同じであると述べている。
「還故郷」運動​
1991年9月29日に文鮮明は世界日報講堂で「故郷へ帰れ」という演説を行ない、教会活動に専念する献身者の制度が解消され、各自が故郷に戻って定職につき、親族へ伝道するように方針転換がなされた。これは内部では「還故郷」と呼ばれた。これは日本で霊感商法が問題になって1987年から送金額が減り始め、1991年になってからはほとんど送金されなくなり、従前世界日報や一和が出していた大赤字を埋められなくなって統一教グループ全体の資金繰りが苦しくなり、新たな資金源としての合同結婚式への参加人数を増やすため、経営不振の企業から信者を退職させて合理化すると同時に、故郷に帰して韓国農村で結婚できていない男性を捜し「信者になれば日本人女性と結婚させてやる」と勧誘させるためだったという。
献金​
ジャーナリストの米本和広は、統一教会に関する社会的に非難されてしかるべき問題として、信者に対する「高額でエンドレスな献金」要請を上げている。販売活動や募金活動の目的は、文鮮明への献金である。文鮮明一家が贅沢な暮らしをしていることは長男の嫁の暴露本などで明らかにされているが、最盛期で2000億円に上った献金すべてを文一家が使い切れるわけでもなく、献金は、金銭に限らずすべてを神に返し、地上天国の出現を目指す「万物復帰」と関連している。
ただしこれはあくまで宗教における象徴的な概念であり、世界の統一教会の信者の中で、献金に追われているのは日本の信者だけである。日本だけが献金に追われていることについては、文鮮明によって日本が「エバ国家」(罪深き国)とされたことに関連しているが、なぜ日本がエバ国家であるかは明確には説明されていない。日本が文鮮明が生まれた朝鮮半島を支配していたことへの感情との関連や、1970年代は日本は高度成長期のただ中で、多額の献金が期待できると考えられたのではないかとも指摘されている。
・10分の3献金 - 赤旗は、ある組織では月に2回、収入の10分の1の献金が奨励されて来たと述べている。
・臨時の献金 - 赤旗は、霊感商法が批判を受けてから、韓国大統領選挙やアメリカ大統領選挙を口実にしてよく指示されるようになったと述べている。
・巨大プロジェクトによる資金集め
   ・国際ハイウェイ構想 - 「東洋と西洋の諸国を高速道路で連絡し、地上天国の実現を促進する」という「国際ハイウェイ構想」を提唱、「国際ハイウェイ建設事業団」を結成、第一段階として日本、韓国、中国、南アジア、中近東を経由してソ連に至る高速道路を建設するとし、その一部として日韓トンネルを建設する日韓トンネル研究会を結成、佐賀県鎮西町(現唐津市鎮西町)に調査斜坑掘削を始め、巨大プロジェクトを売り物に技術者、学者、資金集めをしており、1980年代に信者達が多額の献金をしたと言われているが、実際には日韓トンネルの調査斜坑掘削で400m程掘った以外に具体化の動きはない。関係者は100年たっても完成しないだろうと公言しているという。
   ・パンダ・モータース - 1988年から盧泰愚大統領の北方外交に呼応して中華人民共和国に「パンダ・モータース」(パンダ自動車)という自動車会社を作るとして信者に献金が要請された。広東省恵州市に15,000,000坪の土地を借りて10億ドル以上を投資し年間30万台の自動車を作る計画で、家や土地まで担保に入れて借金する信者まで出したが、この計画は成功しなかった。一方で計画を進めていた朴普煕は広東省長の伝手で北朝鮮に進出するきっかけとなる朴敬允と出会う。
・教会にノルマを課し高額な本の販売 - ただし教団は「『聖本』も『天聖経』も商品ではない」とし、「贈呈にあたっては、献金のみが考慮されているものではありません。」と述べている。
   ・2000年、文鮮明の既存の説教集7冊の合本、『文鮮明御言葉集、「成約時代と理想天国」』と題する本(文鮮明のサインと一冊ごとに番号が付いている)を『聖本』と名づけ、30,000,000円 献金した者にその本を贈り与えるとされ、300の教会に一冊のノルマが課せられた という。  
●慈善活動・ボランティア​
2003年から2年ごとにサッカー大会「ピースカップ」を開催している。
2011年に発生した東日本大震災を受け、支援活動を行った。石巻市のボランティアセンターで寝泊まりしながら活動を続け、延べ910人が参加、青年を中心に若い人たちが活動を行った。震災発生時には、月3〜4回のペースで1回につき7〜8人の教会員が被災地へ10日間ほど派遣された。その際に家財道具の運び出しなども実施している。派遣されたのは、教会員の青年で構成されたボランティア隊で主に生活支援物資の配布や医療チームによる訪問問診などが行われていた。物資としては福島県に炭酸水3万本、群馬県片品村に米1300kgなどが支援された。また、震災翌年の2012年2月6日から13日までは、アメリカの統一教会の二世教会員よって組織された「GPA(Generation Peace Academy)」から40人以上のメンバーが来日し、宮城県内の被災地でボランティア活動を行っている。中でも石巻市牡鹿半島は、交通の便が悪く基本的にボランティア活動に訪れる人は休日でも多くなかったため、40人以上の訪問は受け入れ関係者からも歓迎されていたと『仙台経済界』と報じている。「GPA(Generation Peace Academy)」はおもに20代前後のメンバーで構成をされており、海外での社会貢献活動という教育プログラムの一環として来日をした。それまで日本統一教会も継続して被災地に教会員を派遣してきたが、同年3月には被災した青年教会員も三日間、延べ21人が合流し、ボランティア活動を行っている。統一教会は、これまで東日本大震災の被災地に対し約1億6千200万円の義援金を寄付している。  
●勧誘活動​
教団と長らく戦ってきた弁護士によれば、教団はマインド・コントロールのため、社会心理学に裏づけられた緻密なマニュアルやシステムを、過去30年以上にわたる組織の経験に基づいて巧妙に作り上げているという。教団の勧誘の特徴として、「正体を隠して」行うことが知られている。街頭で声をかけるときに「宗教ではない」と嘘をついたり、教団名を隠し、信者は正体を隠した上で、街頭や大学内でアンケートなどを装い声をかけ、「教養講座」「カルチャーセンター」「自己啓発」「無料映画会」「マンガ研究会」などとだましてターゲットを「ビデオセンター」に誘い込む。
やはり「ビデオセンター」が教団関連施設であることは隠され、自己啓発セミナーであるとか、教養講座であるとか偽装される。ビデオセンターには「トーカー」と呼ばれる専門の勧誘スタッフがおり、ターゲットに長時間、執拗にビデオ講義の受講を決断するまで説得を試みる。ビデオセンターでは「エゴグラム」と呼ばれる簡単な心理テストが行われ、この結果により「トーカー」はターゲットが勧誘に適した人物であるかを判断する。ビデオ講座の受講は有料であり、5万円ほどを支払わせるか、金のないターゲットには「トーカー」からその場で借りさせる。これも心理学的に受講を続けさせる効果があるという。ビデオ講座の受講を決心したターゲットには、「口外禁止」の約束をさせる。これは、統一教会の手口を知っている人に正体を見破られたり、他人にビデオの内容を話すことで、他者から疑問を投げかけられたりすることを防ぐためである。
こうしてビデオ講座が始まるが、やはり宗教であることは明かされずに、特定の恐怖の対象を作り上げて不安を煽り、その恐怖からの解放の手段として教団の教義を段階的にすり込んでいく。どのビデオを見せるか、ビデオを見せる順番はターゲットごとにカスタマイズされるが、最初のビデオの内容は戦争、飢餓、不倫、非行、エイズ、環境問題といった社会問題である。次いで、統一教会の教義の一部である「堕落論」のビデオを見せていく、これは「人間の歴史は堕落して落ちたところから元へ戻る歴史の繰り返しである」といったものである。次に、「霊界」についてのビデオで恐怖を刷り込んでいく、すなわち「霊界」には地獄があり、このまま堕落した生き方をすれば地獄に落ちる、といったものである。スピリチュアルや超能力に関心のあるターゲットであれば、この時点で強い恐怖を植え付けられるという。「堕落論プロローグ」というビデオでは、現代の性の乱れを、旧約聖書創世記の失楽園とこじつけた話をすり込み、その後の和動で「トーカー」は、「罪が淫行であるゆえ、男性はエバを誘惑した天使長と同じである」「女性はアダムを誘惑した当時のエバである」とし、若者の恋愛感情や性衝動と結びつけて「あなたは堕落している」と迫るという。これが効かなかったターゲットには、先祖の因縁、すなわち「あなたの先祖には色情狂がいた」などと迫り「地獄に落ちる」と恐怖を煽る。そして、世界を堕落から救う手段として「メシア」の存在が明かされる。
ビデオセンターで12巻のビデオ受講の後、ツーデイズ修練会(2日間)、ライフトレーニング(約2週間)、フォーデイズ修練会(4日間)と続くが、内容は「エバが淫行したことで人間はサタンの子孫であり、これを救える救い主は一人しかいない」という話が繰り返し教えられるだけで、結局「その救い主は誰か」は明らかにされない。ライフトレーニングは長期にわたるため親に不審を抱かせる場合もあるが、説明する手引書も用意されている。聖書の引用はされるが決して「聖書の何ページを開け」とは言わず、前後の文脈を無視した引用部分を読み上げるだけである。「救世主が文鮮明である」旨明かされるのはフォーデイズの最後であるとされる。また組織内での地位や入会歴で少しでも上位の者に対しては絶対服従を強いられ、同等の者同士で話してはいけないことになっており、それで不平不満が出るのを防いで統制を保っているとされる。  
●批判者に対する嫌がらせ・脅迫行為​
マスメディア​
統一教会に対するマスコミ報道は霊感商法が社会問題となった80年代から90年代初頭にかけてブームとなった。その先駆となったのは朝日新聞社が発行する『朝日ジャーナル』で、不安を煽り、高額な壺や高麗人参濃縮液を法外な値段で売りつける悪徳商法の一種として、「霊感商法」批判キャンペーンを展開していた。統一教会側は殺到する批判報道に対し、大々的なマスコミの情報操作に乗り出したとされる。当時、芸能人の桜田淳子や新体操選手の山崎浩子、作家の飯干晃一の娘・飯星景子が入信し、話題をさらっていたが、教会を批判するメディアには、ニュースバリューのある合同結婚式の取材をさせない、協力的なメディアには情報を与えるという手法を使ったとされる。
とりわけ教団に批判的だった週刊文春や朝日新聞社には、信者が直接的な行動に出ることがあったとされ、週刊文春の記事によれば、社屋を「あなた方は宗教を弾圧して信仰の自由を奪う、最悪のサタンである!」「人類のメシアとして再臨された文先生とご家族を悪くいうな」と叫ぶ信者のデモ隊に囲まれたことがあったという。
当時『朝日ジャーナル』を担当していた筑紫哲也は、大量の無言・脅迫電話のほか、編集部員・朝日新聞関係者の自宅周辺でのつきまとい行為や出前の大量無断注文があったと証言している。電話作戦は、朝日新聞社だけでなく、近隣の無関係の施設にも及び、病院、築地市場、日産自動車、新橋演舞場、海上保安庁にも大量の無言電話が押し寄せたという。
1986年6月、『神奈川新聞』が霊感商法を批判する記事を掲載すると、翌日から「壺は悪くない、効くんだ」との趣旨の電話が殺到した。2日目には無言電話が約7000本となり、編集局長も電話で脅迫された。
1987年7月、新聞労連、日放労、出版労連、民放労連などが加盟する日本マスコミ文化情報労組会議は、霊感商法報道に対して「組織的で陰険な妨害行為」が行われていると発表した。霊感商法の実態を伝えるマスコミやミニコミに無言電話が集中したり、「霊石愛好会」を名乗る団体が、放送局や新聞社に押しかけるなどして圧力を加えていたことを指摘した。
1992年7月、TBSの「モーニングEYE」では、統一教会に批判的な東北学院大学教授の浅見定雄や元信者が出演し、統一教会の実態や霊感商法の被害を報じたが、TBSに対し大量の抗議電話や抗議文が殺到した。特に、浅見が出演した7月29日の直後には、浅見を「サタン」として「出演させるな」との趣旨の抗議文170通が送付された。 8月5日に「筑紫哲也ニュース23」で統一教会と合同結婚式の問題を取り上げると、夕方に教団の広報担当者が来社し「TBSの報道は教団を中傷したものである。報道が続くなら、『国際合同結婚式』を含む一切の取材を拒否することもありうる」との趣旨の文章を提出した。日本テレビの「ルックルックこんにちは」でも同様の抗議があったという。
統一教会の活動を批判的に報じた8月20日午前の「モーニングEYE」の放送終了後にも大量の無言電話が殺到した。24日だけでも1万9000件にもおよんだ。個別の番組担当や事務系統などの、電話帳に記載されていない番号を含めてのものだという。
このような嫌がらせの電話について、元信者の女性がTBSの取材に応え、教団からの指示があったことを明かしている。また、女性は当時の心境を明かし、「統一教会に反対する人はみんなサタン」に見えていたと語り、教団を批判していた弁護士についても「もう顔見るだけで気持ちが悪くて」と語っている。
このほかにも、教団系の国際勝共連合が街宣車を繰り出し朝日新聞批判の街頭演説を繰り返していたとされる。このため、#赤報隊事件の関与疑惑がとりざたされた。
2022年7月の安倍晋三銃撃事件を機に再度世界平和統一家庭連合(統一教会)への批判報道が過熱化すると、世界平和統一家庭連合は同月31日に教団が著作権を保有している映像は使用しないよう注意喚起するプレスリリースをマスコミ各社に出した。これに対し、鈴木エイトは「報道目的での映像使用は著作権法で認められている」と反論している。
弁護士や個人​
霊感商法が社会問題化した1980年代から90年代初頭にかけて、統一教会への反対運動が展開されたが、関係者への激しい嫌がらせが多数報告されている。1987年当時、霊感商法を追求する弁護士の山口広に対し、「バカヤロー」「しまいには死ぬぞ」などとの脅迫電話が早朝から深夜まで殺到していた。同弁護士に対しては「スパイ防止法つぶしに狂奔、霊感商法攻撃も」と書かれた中傷ビラがまかれていたこともわかっている。
同じく霊感商法問題を追求する弁護士の河田英正に対し、「天誅が下るぞ」「神を冒涜したな」との脅迫電話が殺到し、何者かによって無断で寿司の出前を注文されるなどの嫌がらせが行われた。この他にも料理店や葬儀社に同弁護士の名前を使っての偽電話がかかったり、無関係の一般家庭に同弁護士の名前を騙って「詐欺で告訴するぞ」との電話が約62件あったという。河田は偽計業務妨害にあたるとして、刑事告発を検討していると語った。
子供が教団に入信した名古屋市在住の女性は、教団系の国際勝共連合主催の名古屋集会に出席したり、祝電を打った政治家に手紙で抗議したところ、「てみゃーは共産党か。勝共の役員を脅しやがって。てみゃーみたいなものはぶっ殺すぞ」「死んだら地獄に行くよ」などと脅迫された。さらに勝共連合婦人部を名乗る4人組が自宅に押し寄せたという。
奈良市で「原理運動に反対する被害者家族の会」が結成されると正体不明のグループによる激しい妨害活動が始まった。代表の男性は妻が統一教会に入信したために抗議運動を行なっていたが、男性の職場には嫌がらせの電話が殺到し、失職を余儀なくされた。同被害者の会の集会には、正体不明の約30人の男女が押しかけ、妨害を行った。
1987年6月には、長崎市で「霊感商法は、統一教会の組織ぐるみの収益活動」などと批判するミニコミ誌を発行した男性が、自宅で空気銃で狙撃され、右足に怪我を負った事件もあった。男性には、これ以前にも正体不明の人物による嫌がらせや数百本の脅迫電話が殺到しており、警察は関連を調べているとした。その後、長崎県弁護士会人権擁護委員会は、統一教会長崎教会に対し、ミニコミ誌を発行した男性への嫌がらせを行わないよう勧告した。報告書によると、霊感商法に批判的な報道をしたマスコミや「霊感商法」による被害救済にあたっている全国の弁護士にも同様の嫌がらせがあったとしている。
1988年10月、霊感商法問題に取り組む14人の弁護士に対し、中傷ビラを撒いたとして、福岡地裁で420万円の損害賠償を請求されていた霊石愛好会福岡支部長の男(44)が、訴えを認め、賠償金の支払いに合意している。
当時、キリスト教の牧師が信者の脱会説得運動に尽力していたが、牧師に対しても無言電話や嫌がらせ電話、脅迫が一日中殺到しており、「牧師による人権侵害を許すな」とのビラも大量に配られていたという。ビラの末尾には連絡先が書かれており、その住所には教団系施設があった。牧師の自宅周辺には2か月間に渡って街宣車が大音量で徘徊し、牧師の妻への傷害事件まで発生した。説得により脱会を決意した山崎浩子の叔父は尾行されるようになり、自宅付近では正体不明の人物が徘徊し、不審人物にカバンを奪われる事件も発生した。さらに自宅の電話には盗聴器が設置され、統一教会幹部を名乗る脅迫状も送付された。脅迫状には教団の本部がある渋谷の消印が押されており、「神の子山崎さんを奪還するのは正当な権利」と書かれていた。山崎の叔父は精神的圧力により、体重が8キロほど落ちたと話した。
1988年8月、統一教会の信者4人が、脱会した元信者の女性を誘拐するために、女性を保護していた秋田県内のキリスト教会に無断侵入したとして、住居侵入罪で刑事告発されている。信者4人は、女性の父親を突き飛ばし重傷を負わせていたという。
1994年当時、ドイツで統一教会の反対運動を展開しているキリスト教牧師の男性に対して、「赤い牧師は出て行け」「左翼過激派はドイツからいなくなれ」などの嫌がらせ電話が殺到していた。また、街頭では牧師を糾弾する署名運動も行われていた。この牧師は身の危険を感じ、窓を耐熱二重ガラスに強化するなどの対策を余儀なくされているという。
1995年頃には、教団が東京の成城に関連施設の設置を計画し、近隣住民とトラブルになる事件が発生した。近隣住民は教団の霊感商法やマインドコントロール、脅迫などの悪評から進出に反対し、「統一協会成城教会を断固阻止する会」を結成し、反対運動を展開した。これに教団は激しく反発し、内容証明を送付し法的措置を予告。さらに住民に対し「子供たちを皆殺しにする」との差出人不明の脅迫状も送付され、無言電話も殺到した。この運動には地元選出の石井紘基衆議院議員も協力、土地の貸主と交渉し、貸主の建設会社は教団宛に「契約解除」の通告を出すに至った。  
●裁判​
統一教会に対して起こされた裁判は2006年6月現在、1986年の初の提訴以来、100件を越えており、このうち83件で和解。11件で統一教会側の責任を認める判決が最高裁で確定している。 2016年5月に放送されたフジテレビの「みんなのニュース」の報道によれば、現在、統一教会が抱えている訴訟は3件である。
教団側敗訴の判例​
   献金勧誘行為の違法性
   1993年(平成5年)5月27日、福岡地方裁判所での判例
統一教会の「霊感商法」に対する損害賠償請求訴訟で、全国で初めて統一教会の関与と賠償責任を認め、3670万円の支払いを命じる判決が出た。信者らは2人の未亡人に対し、亡くなった夫に関して、先祖の因縁話で、不安を煽り、執拗に迫って高額の献金をさせたり、弥勒像等を購入させた。福岡地裁は「献金勧誘行為は、布教活動の一環として行われたものであったとしても、その目的、方法、結果において到底社会的に相当な行為であるということはできず、違法であり、民法709条の不法行為に該当する」、「信者らと教団は実質的な指揮監督関係にあり、信者が献金勧誘行為が教団の教義である万物復帰の実践として理解していたことや献金がいずれも教団に帰属していることなどからみて、原告らに対して不法行為責任を負う」と判断し、教団に使用者責任を認め、献金相当額と慰謝料の支払いを命じた。
   2002年(平成14年)10月28日、新潟地方裁判所での判例
元信者が、教団による違法な入信勧誘・教化行為によって損害を受けたとして、不法行為に基づく損害賠償を教団に求めた事案で、裁判所は「信者らもしくは信徒会の伝道・経済行為は、被告(統一教会)が経済的な利益を追求するという目的のもとになされ」「信者らが、文鮮明の配下というべき教団の幹部らの意を受けてその指揮・命令の下に実行された結果と認められ、(中略)原告らに対する、法人としての教団自身の故意に基づく違法行為であると評価することができる。」として民法709条に基づいて、その違法行為による損害を賠償する責任を負うと判断された。
   1997年(平成9年)4月16日、奈良地方裁判所での判例
信者らの違法な献金勧誘行為により、原告らが損害を被ったとして、教団に対して、民法709条又は715条に基づき損害賠償を請求した事案で、裁判所は教団の献金勧誘のシステムの特徴として、 1.「万物復帰の教えの下、個々の対象者からその保有財産の大部分を供出させ、被告全体としても多額の資金を集めることを目的とするものである」、
2.「対象者がある一定レベルに達成するまで、被告の万物復帰の教えはもちろんのこと、被告や文鮮明のことを秘匿あるいは明確に否定したまま、対象者の悩みに応じた因縁話等をして不安感を生じさせあるいは助長させる方法をとっている」
3.「各種マニュアル等により勧誘方法が全国的に共通していて、組織的に行われている」
教団への入会ないしは献金等については「入会ないしは献金等をしようとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げ、また、被告への入会ないしは献金等をさせるため、対象者を威迫して困惑させるものであり、方法として不公正なもの」と判断し、教団の献金勧誘のシステムは、「不公正な方法を用い、教化の過程を経てその批判力を衰退させて献金させるものといわざるを得ず、違法と評価するのが相当である。」として教団に原告2人に対する損害賠償を命じた(平成9年(1997年)4月16日判決言渡 平成9年4月16日判決原本交付 裁判所書記官 平成6年(1994年)第二〇七号 損害賠償請求事件)。
   1999年(平成11年)3月11日、最高裁判所での判例(一審・東京地裁1997年10月24日)
統一教会信者が先祖の因縁などを述べ立てて、高額の献金をさせた行為を違法認定し、教団の使用者責任を認めた
   1999年(平成11年)12月16日、福岡地方裁判所での判例
   2000年(平成12年)4月24日、東京地方裁判所での判例
信者による壺や多宝塔、朝鮮人参濃縮液を売りつける活動で、統一教会の法的責任を認める。いずれも最高裁で確定。
   2020年(令和2年)2月28日、東京地方裁判所での判例
信者から違法な勧誘を受けて多額の献金をさせられたとして、東京都に住む元信者の60代女性が約520万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は家庭連合と信者に約470万円を支払うよう命じた。判決では「女性は信者から、亡くなった夫や長男が地獄で苦しんでいるとの不安や恐怖心をあおられ続けており、献金の要求は社会的に相当な範囲を逸脱した違法な行為だ」と指摘し、家庭連合には信者の使用者責任があるとした。
   準禁治産者申し立て事件
教団に献金を続ける信者に対し、親族が家庭裁判所に準禁治産者、保佐人選任の申し立てを行い、審判前に保全処分が認められた事例がある。しかし、2000年4月の「禁治産・準禁治産制度」から成年後見制度への制度変更により、準禁治産の事由に含まれていた「浪費者」を制度の対象から除外したため、このような申し立てはできなくなった。
   伝道に関する違法性(青春を返せ裁判)
損害については「過酷な経済活動や伝道活動に従事して労役の提供を余儀なくされ、さらに、献身するために勤務先の会社をやめることを余儀なくされるなど献身期間中、従前の人間関係や社会生活等を破壊された。」「文鮮明の選んだ相対者を断ると、自己や先祖の救いの道が閉ざされ、病気や怪我をしたり又は死んだりすることになるとか、死後地獄に行くことになるなどと思って苦悩し、相当の精神的苦痛を被った。」などとして、教団に対し原告の3人に対する慰謝料の支払いを命じた。被告の高裁への控訴、最高裁への上告はいずれも棄却された(平成14年(2002年)8月21日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成11年(1999年)(ワ)第18400号 平成15年(2003年)5月13日口頭弁論終結)(平成15年(オ)第1770号 平成15年(受)第1880号)。
   婚姻の無効性
1993年10月7日 福岡地裁で、統一教会の合同結婚式に参加し、教会の指示により婚姻届をした日本人女性が婚姻意思の不存在を理由とした日本人男性との婚姻の無効の訴えが認められた。信者の福岡高裁への控訴・最高裁への上告ともに棄却(1995年10月31日、1996年4月25日。
   その他
・強制改宗をめぐる記事の信憑性
・統一教会の現役信者夫婦が、日本人妻の両親と説得に関わった牧師に対し、人格権に基づき、拉致監禁、棄教強要などの差し止めと、牧師に対し約1330万円の損害賠償を求めた訴訟。
教団側勝訴の判例​
   統一教会信徒の拉致監禁問題の違法性
   人身保護請求が認められた事例(実質的勝訴)
・統一教会信者(30歳男性)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で人身保護請求訴訟により解放された事例
・統一教会信者(26歳女性)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で、高村正彦弁護士等による人身保護請求訴訟により解放された事例
・統一教会信者(25歳女性、小学校教員)が拉致された上、精神病院に強制入院させられ改宗を強要された事件で、上野忠義弁護士等による人身保護請求訴訟により解放された事例
   強制改宗の違法性
2002年2月20日 統一教会の信者(31歳女性)に対して、信者の両親が信者を監禁、脱会を強要した事件において、「逮捕・監禁」は不法行為であり、脱会の説得に協力した牧師も連帯して責任を負うとの判決。被告は上告はせず判決が確定した。(広島高裁・宮本定雄裁判長)
   献金の正当性
2003年11月27日 名古屋高裁が統一教会の献金の正当性を認め、原告の献金返還請求を棄却。教団の関連する「天地正教」の導師部長を務めていた元信者が1000万円の献金について、「信者の因縁話によって畏怖して献金したもの」として、「天地正教」への貸付など、約3700万円の損害賠償を求めた事案。
(2001年)2月28日、名古屋地裁は「自主的に献金した」「統一教会の信者等における脅迫等、違法な働きかけは認められない」として原告の訴えを退けた。1000万円という額についても「宗教活動として許された範囲を遥かに逸脱した違法なものとまでは言えない」と判断した。原告が控訴した名古屋高裁も一審判決を支持。2004年10月22日、最高裁への上告も棄却され、統一教会側が全面勝訴した。
和解の事例​
・統一教会の信者である夫婦が自分達を連れ去り、脱会の説得を行った親、次女、親族、牧師らの8名を被告として、自分達の意思に反する違法な拉致、監禁及び教団からの脱会の強要等の共同不法行為に基づく差止請求及び損害賠償請求を求めた事案。
2004年1月23日 横浜地裁は原告の請求を棄却した。横浜地裁は、「両親の行為が原告の意思に反する、違法な、拉致、監禁及び統一教会からの脱会の強要とまで認めることはできない」「両親による暴行の事実があったと認めることはできない」と判断し、両親に協力した牧師の行為についても「牧師らの指示、指導があったとは言えない」「統一教会からの脱会の強要にあたらない」とし、原告の請求を棄却した 。
・請求額以上を返金する事で和解した事案。
“因縁話”により2億1千万を献金、画や宝石など1千万円分を購入させられたとして千葉県の女性が、賠償を求めたことに対し、教団側は1億3千万での和解案を提示。交渉が進展しないため、所管庁たる文部科学省をも共同被告とした訴状を送付したところ、2008年3月に2億3千万円の和解案が提示され、和解が成立した。実損額を超える和解は極めて異例である。
・アメリカにおいて、不当な勧誘(伝道の初期段階に教団の名前を正式に述べなかった「不実表示による詐欺」)、洗脳、虚偽の監禁などを理由として2人の元教会員が訴えた民事訴訟。
1審、2審は「訴訟自体が法廷を宗教問題に踏み込ませるものだ」として原告の訴えを棄却したが、カリフォルニア州最高裁は教団の名前を隠した伝道は「聖なる詐欺」(Heavenly deception )と呼ばれる、教団の教義に基づく宗教行為であるが、市民が騙され、強制的説得による不利な環境に服従することから保護するという州の利益のために、教団の活動に制限を加えることは憲法上認められるとして、1、2審の略式判決を破棄し、陪審員による事実審理をするようにと差し戻した。結果的に教会と原告は和解したが、「信教の自由」があっても、伝道の方法によっては詐欺にもなり得る場合があることを示唆したものとなった(モルコ・リール事件 1998年10月27日 カリフォルニア最高裁)。  
●他の宗教との関係​
オウム真理教​
正体を隠しての勧誘や、ビデオを利用したマインドコントロールなど、オウム真理教と統一教会の手法には多数の類似点が指摘されているほか、この2教団の関係を巡って、複数の疑惑がジャーナリストの江川紹子と有田芳生の調査で明らかになっている。宮崎県資産家拉致事件を巡って、教団系のメディア『宗教新聞』『世界日報』がオウム真理教の擁護キャンペーンを展開していたことがある。『世界日報』は1994年9月25日と10月30日に「文春『オウム真理教攻撃』のウソ」との記事を掲載、オウム関係者の証言を強調し、週刊文春と反オウムの長女を攻撃する内容だった。『宗教新聞』も同様の趣旨の記事を4回に渡って掲載、その内1つは「社説」としてオウムを擁護するものだった。記事を書いた記者は統一教会の熱心な信者で、オウム真理教教祖の麻原彰晃を「ヨガや仏教をまじめに考えている」と絶賛し、一連の擁護記事についても「オウムの人たちは大変喜んでくれましたよ。私も功徳を積んだと思った」と話していた。これと別に、統一教会幹部と麻原との会談があった、との信者の証言も紹介している。
そのほかにも、麻原の住民票が、オウム真理教の政治進出が話題になった1990年当時、教団系の国際勝共連合と密接な関係にあった自民党福田赳夫派の重鎮・山田久就衆議院議員が所有する選挙区である杉並区内のマンションに置かれていたことがあった。
立正佼成会​
1963年、当時の庭野日敬会長が青年部員を統一教会の修錬会に参加させた結果、次期会長候補とされていた久保木修己を初めとする50名ほどの会員が統一教会に転じた。
生長の家​
1970年安保闘争の時代に、互いの集会に参加したりするような関係であり、谷口雅春は「勝共連合は朝鮮の文鮮明と称する予言者を八紘一宇の世界の中心者とする運動だったので私たちは今まで協力できなかったが、(中略)日本中心の運動にすることが出来れば協力してもよいのである」と述べている。  
●ダミー団体​
それぞれ別組織であり、友好団体だと公言しているが、同一の創設者によって作られ、日本支部では同一の建物で同一のスタッフが運営する組織である。
天宙平和連合(UPF)日本事務局 / 平和大使協議会 / 平和外交フォーラム / ピース・メディア・フォーラム(PMF) / 真の家庭運動推進協議会 / PLA−Japan事務局 / 統一思想研究院 / 一般財団法人国際ハイウェイ財団 / 国際ハイウェイ建設事業団 / 世界平和宗教連合 / 国際宗教自由連合 / 世界平和島嶼国家連合
宗教新聞社 / 東京同胞教会(事務局) / 東京同胞教会 / 世界平和教授アカデミー / 一般社団法人平和政策研究所(分室) / アジアと日本の平和と安全を守る全国フォーラム / 世界平和統一家庭連合 / 平和統一聯合 / 天一國歌舞連合 / 在日平和統一祝福家庭婦人会 / 世界圓和道連盟日本本部 / 世界平和青年連合(YFWP) / 日韓トンネル推進全国会議 / 東西南北統一運動国民連合 / セミナールーム
田中富広会長は「私たちの“友好団体”が主催する行事に、安倍元総理がメッセージ等を送られたことはございます。当法人と友好団体の区別がついていなかったのではないか。どちらも創設者が一緒なので、すべてが同じに見えていたのかなと」と無関係を主張した
その他にも、教団系の団体は多数存在し、密接な関係にある企業も多数存在する。
弁護士の山口広は、「世界平和女性連合」について「統一教会のダミー組織」であり、「ロータリークラブの女性版のようなつもりで入会したご婦人がグループ企業の展示会に誘われて高額な買い物をしたり、信者になって献金させられる例を、数多く聞いている」と話している。
ダミー団体を使って政治家に接近することは全世界で共通する手法だという。  
●関係人物​
政治家​・日本​
   安倍晋三との関係​
安倍晋三と教団の関係は、祖父の岸信介、父親の安倍晋太郎の親子三代にわたるものであり、2022年7月8日に発生した安倍晋三銃撃事件後の同年7月19日、統一教会元会長郭錠煥は記者会見にて、「(創設者の故)文鮮明総裁は(安倍氏の祖父の)岸信介元首相と近かった。(父の)安倍晋太郎元外相とも近かったと承知している」と指摘した。また、安倍晋三元総理大臣が説いていた国家像である「美しい国」と、日本統一教会の初代会長であり、反共産主義政治団体国際勝共連合の日本初代会長でもある久保木修己が説いた「美しい国」との共通点が指摘されている。
英「フィナンシャル・タイムズ」紙もその関係を「近すぎる距離」とし、「祖父・岸信介の時代から、日本の支配者層とメディアが見て見ぬふりをしてきた公然の秘密」と指摘している。週刊朝日の報道によれば、統一教会の日本での拡大には、笹川良一や児玉誉士夫らのフィクサーと岸信介の尽力が大きかったとしており、父親の安倍晋太郎も「勝共推進議員連盟」に参加していたとされる。文鮮明が、アメリカのCIAが創設に深く関与した大韓民国中央情報部の支援のもとにアジアの反共団体の結成に動き、笹川が勝共連合の名誉会長に就任すると、協力関係にあった岸も教団に接近。日本本部は岸がかつて所有していた土地に置かれ、教団は様々な訴追を受けずに済んだ。さらに、教団関係者は自民党の内部にも浸透した。カーター政権下の1977年のFBIによるレポートなどによると、上記の3者が文鮮明の強大な支援者となり、また文鮮明は日本政府上層部との繋がりを保っていたとしている。ジェフリー・ジェムズ・ホールはFTなどの取材に対し、反共産主義活動により自民党の有力な支持団体になった統一教会は、のちに安倍晋三の派閥になる岸の派閥を冷戦期に支持していたとしている。
元公安調査庁幹部の菅沼光弘は、高橋浩祐の取材に対し、安倍晋太郎が外務相だった時に訪米したときに、アメリカ政界の有力者と晋太郎をつなげたのは統一教会だったと話した。
週刊文春が紹介する統一教会関係者の証言では、1980年代以降に教団の違法な霊感商法が社会問題化した後も、別名称の「ダミー団体」を次々作ることで、政治家との接点を持っていたとしており、その内の一人が安倍晋三であったとしている。
2006年5月、日本共産党の機関誌である『しんぶん赤旗』などによれば、安倍晋三は、教団関連団体の天宙平和連合が全国各地で開いた大会の複数会場に内閣官房長官の肩書きで祝電を送付。この前年にも同様の大会への祝電が確認されている。
また、文鮮明が設立した米ワシントン・タイムズ紙2011年5月10日付に掲載された意見広告に妻と共に署名。2010年2月と2012年7月には幹部信者(12双)が代表を務めるシンクタンク「世界戦略総合研究所」で講演。さらに、『FLASH』誌などは父親の金脈、人脈を継いだため教団とは切るに切れない事情があると報じており、教団内では「安倍先生なくしてみ旨は成就できない」と伝えられる。
2006年6月、ジャーナリストの有田芳生は、『週刊朝日』において、安倍と教会の"祖父の代から脈々と続く関係"について「私は以前、安倍さんから統一教会と北朝鮮の関係について聞かれたことがある。そのときは『統一教会が接近してきている。会おうと言われているが断っている』と言っていました。安倍さんは北朝鮮に対して強硬な立場で総裁選も近いということから考えると、少なくとも本人の意思では(前述の祝電を)送っていないとは思います」とコメントしていたが、その後長期安定政権樹立を目指していた安倍は、2013年頃から教団の持つ組織票と無尽蔵の人員を目当てに、一時は距離を置いていた教団に一転して再接近したとされる。宗教ジャーナリストの鈴木エイトは、安倍晋三と統一教会の関係について、「癒着」との表現を用いて極めて密接であったとしている。有田は2022年7月の時点では、「岸信介氏、安倍晋太郎氏、安倍晋三氏は三代続けて、統一教会を日本社会に深く浸透させる政治的に重要な役割を果たした」と評価している。
安倍が「じきじきに」後援を依頼して、教団による選挙協力・動員が得られた例として、2013年夏の参議院議員選挙に比例区で出馬した北村経夫があるとされる。鈴木の調査によれば、北村の後援会名簿には教団系の政治団体である国際勝共連合・世界平和連合の幹部の名があり、北村の選挙事務所には世界平和連合の女性スタッフが事務員として派遣されていたという。教団による組織票は約8万票であり、北村の総得票数142613票の大半を占めていたとされる。また、安倍政権下で開催された桜を見る会にも、2013年から2016年にかけて教団関係者が招待されていたとされる。
霊感商法の被害者支援を行う弁護士の集まり「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が一貫して名称変更反対の申し入れを文化庁に行ってきた中でも、2015年に教団の「世界平和統一家庭連合」(家庭連合)への名称変更が許可された背景に、安倍の関与があったとされる。なお、名称変更当時の文部科学大臣であり、安倍とも親しかった下村博文に対し、教団関係者が陳情したり、政治資金パーティのパーティ券を購入したりしていたことが、『文春オンライン』によって報じられている。ほかにも安保法制の改定時期に「安倍政権を支えよう!」と街頭で安倍政権支持デモを繰り返すなど活発に活動した大学生集団「勝共UNITE」のバックには教団系の国際勝共連合があり。この集団は教団の二世信者により結成されたものだったと伝えられる。このほかにも、教団系の雑誌『世界思想』2013年9月号は「安倍政権の救国ロードマップ」を特集し、街頭演説をする安倍晋三の姿を表紙に使った。
2016年11月、安倍が大統領就任前のドナルド・トランプと異例の会談を実現した背景に、教団の仲介があったとされている。「新潮45」の報道によれば、側近から提案を受けた安倍は教団系の国際勝共連合のメンバーに連絡すると、そのメンバーは教祖・文鮮明の妻でUPF総裁の韓鶴子に電話を入れた。韓鶴子はトランプの娘のイヴァンカ・トランプの夫、ジャレッド・クシュナーに連絡し、ペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会談前の17日にトランプとの会談が実現したとされる。
安倍は2021年9月12日(日本時間)に開催された天宙平和連合(UPF)主催のイベント『THINK TANK 2022 希望前進大会』にも、UPFインターナショナルとワシントン・タイムズからの依頼に応じる形でビデオメッセージを寄せている。このビデオメッセージについて、全国霊感商法対策弁護士連絡会は同年9月17日、安倍に対し公開抗議文を送付している。
ほかにも、第一次安倍政権で内閣総理大臣秘書官を務めた参議院議員の井上義行は、2022年7月6日、埼玉県で行われた教団の会合で、幹部から「(井上は)もうすでに信徒になりました」と紹介され、「信念を持って同性婚反対と言っている」とも演説している。
弁護士の山口広は「安倍政権になってから、若手の政治家が統一教会のイベントに平気で出席するようになった。それまでは、政治家が参加しても名前は出さないとか、統一教会側も名前を伏せて『衆議院議員が参加してコメントした』と言っていた。安倍さんには、統一教会と仲良くすることに開き直るというか、顕著なものがあり、憂慮していた」と発言している。また、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の弁護団は、第1次安倍政権終了後の2007年頃から、教団に関連した違法行為の刑事事件化が相次いでいた一方で、2012年の第2次安倍政権発足後に再び刑事事件化することは少なくなったことを指摘した上で、教団に対する警察捜査に政治が圧力をかけていた可能性に言及した
なお、安倍は選挙応援演説中の2022年7月8日に、41歳の海上自衛隊に短期在籍経験のある奈良県在住の男から銃撃を受け死亡したが(安倍晋三銃撃事件)、犯人の男は、母親が統一教会に多額の献金をした挙句に破産し、家庭が崩壊したことで同教団に恨みを募らせたことにより、殺害が困難な同教団幹部に代わって安倍をターゲットに犯行に及んだことを明かしている。なお、犯人の男は、前日の7日、朝4時頃に世界平和統一家庭連合奈良家庭教会を銃撃している。
一連の報道を受けて、日本での会長である田中富広が2022年7月11日に記者会見をおこない、犯人の母親が信者であることを認めると共に、安倍との関連性については「友好団体(UPF)が主催する行事にメッセージが送られてきたことがあり、『世界平和運動』に関しては賛意を示してくれた」としつつ、「会員や顧問になったことはない」との見解を示した。
この会見について、霊感商法などの宗教問題を専門とする弁護士の紀藤正樹は、「UPFと統一教会はいわば一体の組織であって、友好団体という言い方は極めてミスリード」と述べ、「多くの信者は区別がつかない」として、田中の見解を完全に否定した。2009年以降は教団にまつわる献金トラブルがないとの説明も、裁判の判決文を見せた上で「これは平成25年(2013年)とか27年(2015年)とか、その頃の事件の判決です。その頃でもまだ高額献金をやってた」と完全に否定する見解を示した。全国霊感商法対策弁護士連絡会も、2009年から2020年にかけて献金を含む被害を年に61件から1113件を確認しているという。2021年は47件で、被害総額は3億3153万507円という。
2022年7月15日、岩手県の達増拓也知事は記者会見にて安倍晋三元首相の銃撃事件に関連し、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)とその関連団体が自民党と結び付いていたことが明らかになった」と批判。達増は「自民党や所属議員が団体から選挙で支援を受けている」と指摘すると共に、「政策が極端な特定の宗教団体と関連グループが法外な寄付金を集め、選挙結果や政府の政策に影響を与えている」とし、「そういう団体と深く結び付いている自民党を有権者は支持し続けてくれるのか」と自民党の姿勢を疑問視した。
統一教会への潜入調査を行った経験を持つ中川晴久は、事件の背景には統一協会への接近について問題意識のない政治家たちへの被害者たちの憤りがあるとしながらも、統一教会と直接関係を持つのは選挙地盤が弱い小物の政治家にすぎないとしている。しかし、自民党の元参議院議員・伊達忠一は、2016年の参議院選挙で、大物議員・安倍晋三による、直接的な教団組織票の割り振りがあったと証言している。この証言について、北海道大学大学院教授の櫻井義秀は「自民党が組織的に旧統一教会とやはり関わりを持っていたのかということがだんだん明らかになってきた」と述べている。
2022年7月17日、安倍晋三銃撃事件の犯人の男が、事件以前に「憎むのは統一教会だけだ」「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた」「統一教会の本分は、家族から巻き上げさせたアガリを全て上納させることだ」「統一教会は全世界の敵」などと教団への恨みを2019年からツイッターに投稿していたとみられることが判明した。また、事件の直前に中国地方に住む男性宛てに、銃撃を示唆する手紙を送付していたことが判明した。この手紙の中では、「本来の敵ではない」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎない」「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果的に安倍政権に何があってもオレの知ったことではない」「安倍政権の功を認識できないのは致命的な歪み」と安倍を評価している。
2022年8月12日、教団は、文鮮明の死後10年にあわせて、ソウルで国際会議を開催。トランプ前政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオやカナダのスティーヴン・ハーパー前首相など各国の閣僚経験者が出席した。会合の冒頭、檀上のスクリーンに安倍の顔が映し出され、教団幹部が促す形で、参加者は安倍の死を悼んだ。トランプ前米国大統領は10分にわたるビデオメッセージを送り、「安倍元首相は良き友人であり、偉大な人物であった。人々は彼を懐かしむだろう。深い哀悼の意を表する」と述べた。会議の途中、安倍を追悼するセレモニーも行われた。
   北海道
鳩山由紀夫 (共和党、第93代内閣総理大臣、北海道9区):2004年3月に世界平和連合が開いた「救国救世全国総決起大会」に出席した。2022年には、統一教会のイベントへの出席や祝電の事実を認め、ツイッター上で謝罪した。
   岩手県
菅原喜重郎 (民社党、比例東北ブロック、旧岩手2区):2001年6月、教団側の見地から質問主意書を提出。関連組織の「世界平和超宗教超国家連合(IIFWP)」では共同議長として活躍する。
   福島県
佐藤剛男 (自民党、比例東北ブロック(福島1区)):2006年3月21日、幕張メッセで開催された「天宙平和連合日本大会‐アジア太平洋島嶼国家のパートナーシップ」で祝辞を述べている。
   栃木県
船田元 (自民党、栃木1区、茂木派):天宙平和連合統一教会関連イベントに祝電。かつて統一教会系の議連である勝共推進議員連盟に所属していた。
渡辺美智雄 (自民党、旧栃木1区):信者(6000双)を秘書に起用しており、この秘書は後に衆院選へ立候補し自民党が公認。同僚議員にはセミナーの受講を勧めたとされる。
   群馬県
福田赳夫 (自民党、第67代内閣総理大臣、旧群馬3区):政治家の西宮弘は、文芸春秋の記事(答弁では何年のどの号であるかの言及はなく、どの記事か同定不能)によると、1974年5月7日の「希望の日」晩餐会の祝辞で「アジアに偉大な指導者あらわる、その名は文鮮明、私はこのことをうかがいまして久しいのですが、今日は待ちに待ったその文先生と席を同じくし、又ご高邁なるご教示瀬戸山国務大臣(当時)に対し、にあずかりまして、本当に今日はいい晩だなあと、気が晴ればれとしました」に始まって、最後の結びは「文先生、ほんとうにりっぱなお話をうけたまわりありがとうございました」であったと述べている 昭和53年(1978年)の第84回国会法務委員会で、政治家の横山利秋は、瀬戸山国務大臣に対し、文鮮明と福田赳夫は、「ごあいさつが終わった後、文鮮明氏と、これ見えますか、ごらんのようにかたく抱き合っておる、抱擁しておるのであります。当時の大蔵大臣、現在の内閣総理大臣福田赳夫さんが文鮮明氏と、これ以上は抱き合えないくらいに男と男が抱き合った。」と述べ、両者の関係を問い詰めている。
中曽根康弘 (自民党、第71、72、73代内閣総理大臣、旧群馬3区):文鮮明や朴普煕が来日した際に会談した。1992年の3万組合同結婚式へ祝辞を寄せており 、2004年には世界平和連合の大会で講演。2006年の天宙平和連合‐祖国郷土還元日本大会にも祝電を送っている。
   千葉県
猪口邦子 (自民党、元少子化担当相、千葉県選挙区、麻生派):統一教会関連イベント出席、会報誌に対談記事掲載。
   神奈川県
菅義偉 (自民党、第99代内閣総理大臣、神奈川2区、無派閥):元首相 統一教会の金起勲(キムギフン)北米大陸会長を官邸に招待し、面会した。
山本朋広 (自民党、神奈川4区、菅義偉G):2016年2月15日、関連団体の天宙平和連合(UPF)が世界平和国会議員連合(IAPP)を創設。同年11月、日本のIAPP創設大会が参議院議員会館で開催されるが、同大会には当時の閣僚5人を含む63人の国会議員が参加。山本もその中に含まれていた。2017年2月、UPFは韓国のソウルで「第4回ワールドサミット」を開催。同時に開催されたIAPPの総会に山本は武田良太や柳本卓治とともに参席し、韓鶴子総裁から統一教会を国の宗教にするという「国家復帰指令」を受任した。同年5月14日、旧統一教会のイベント『孝情文化フェスティバル in TOKYO』に来賓として出席し、韓総裁にカーネーションの花束をプレゼントした。その際の挨拶で「日頃より世界平和統一家庭連合の徳野会長、また世界平和連合の太田会長を始め本当に皆様には我々自民党に対して大変大きなお力をいただいていますことを改めて感謝を申し上げたいと思います。おかげさまで安倍政権も5年目を迎えまして『長期安定政権』そのように評価をいただいているところでございます」と述べた。同年7月、山本、武田良太、竹本直一、御法川信英、穴見陽一ら国会議員団は教団幹部とともに渡米、外遊を行った。2018年10月25日、「国際勝共連合創立50周年記念大会」がザ・キャピトルホテル 東急で開催。この集会にも出席した。同年12月、統一教会の関連団体の平和大使協議会はUPFの後援を受けて、かながわ労働プラザで「アフリカビジョンセミナー」を開催。山本はこのセミナーで来賓挨拶をした。
田中和徳 (自民党、元復興相、神奈川10区、麻生派):川崎駅構内で統一教会の機関紙「世界日報」を名刺とともに配布、統一教会の金起勲(キムギフン)北米大陸会長と自民党本部で面会。統一教会関連イベントに出席。
山際大志郎 (自民党、元経済再生担当相、神奈川18区、麻生派):統一教会関連イベント来賓、祝電。
小林温 (自民党、神奈川県選挙区):天宙平和連合イベントに祝電。
   東京都
下村博文 (自民党、元文部科学相、東京11区、安倍派):統一教会関連イベント出席、世界日報社から献金。統一教会幹部が2014年6月に文科大臣だった下村へ陳情を行い、同幹部は下村の後援組織が主催した政治資金パーティーのパーティ券も購入していた。統一教会の改称を認めた当時の文部科学省の大臣だったにも関わらず、改称への関与を否定している。
萩生田光一 (自民党、経済産業相、東京24区、安倍派):統一教会関連イベントで来賓祝辞。
井上信治 (自民党、元万博担当相、東京25区、麻生派):関連団体に会費支払い。
松下正寿(民社党、東京都選挙区)
吉田公一(民主党、比例東京ブロック):有田芳生は、吉田が統一教会が後援するデモ隊から請願書を受け取っており統一教会を支援している議員と述べている。
   富山県
野上浩太郎 (自民党、元農林水産相、富山県選挙区、安倍派):統一教会関連イベントに祝電。
長勢甚遠 (自民党、比例北信越ブロック(富山1区)、町村派):天宙平和連合イベントに祝電。
   石川県
馳浩 (石川県知事):天宙平和連合イベントに祝電。
   福井県
稲田朋美 (自民党、福井1区、安倍派):2006年4月、教団の関連団体「世界平和女性連合(WFWP)‐福井県連合会」が開いた春のつどいに出席。2009年11月には同じく教団関連団体である世界平和連合(FWP)の福井県大会で演説。2010年4月にも前記「女性連合」の催しで講演した。
高木毅 (自民党、元国対委員長、福井2区、安倍派):統一教会関連イベントに祝電。
杉本達治 (福井県知事):愛知県国際展示場(常滑市)で開催された「孝情文化祝福フェスティバル」に祝電を送った。
   長野県
小坂憲次 (自民党、元文部科学相、長野1区、石破派):天宙平和連合イベントに祝電。
   愛知県
池田佳隆 (自民党、比例東海(愛知3区)、安倍派):大規模集会に来賓として出席し、祝辞を述べた。
工藤彰三 (自民党、愛知4区、麻生派):中日新聞の取材に対し、教団関連の政治活動団体「世界平和連合」に以前から選挙応援を受けてきたと説明。団体側も工藤を選挙で支援してきた事実を認めた。工藤は「政治家としての付き合い」と前置きした上で、教団側が掲げる「反共主義」と「意識が同じでお付き合いをしている」と説明し、教団関連の別のイベントでもスピーチをしたと述べた。教団側とは国会議員になる前に知人を介して知り合ったとし、選挙では「人を出してもらい電話をかけてもらうなど、とても助かっている」と話した。教団は霊感商法などを巡りトラブルが表面化した過去もあるが、工藤は「破壊的なカルトや反社と認定されている団体なら付き合わないが、決してそういうわけではない」と指摘。今後の付き合いについて「お付き合いしていくつもり」と語った。
江崎鉄磨 (自民党、元沖縄北方相、愛知10区、二階派):統一教会関連イベントに祝電。
大村秀章 (愛知県知事):2022年7月22日、大村が2019年10月6日に愛知県国際展示場(常滑市)で開かれた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連イベント「孝情文化祝福フェスティバル」に対して送った祝電が教団トップの韓鶴子総裁を礼賛する内容に書き換えられたとして、大村の事務所が教団側に抗議していたことが分かった。
禰宜田政信 (碧南市長):愛知県知事大村秀章に統一教会イベントへの祝電を依頼した。祝電の依頼やその改竄について「わからない」「知らない」と答え、自身が信者かどうかは「ノーコメント」と説明している。
天野正基(国民民主党、愛知県議会議員):「孝情文化祝福フェスティバル」に参加。すでに結婚している夫婦が改めて永遠の愛を誓う「既成祝福式」の代表として夫婦で登壇し、韓鶴子に贈り物を捧げた。翌日の会合では韓を「お母さま」と呼び、「私の議員活動が他の議員の祝福につながるようしっかりと活動してまいることを誓いまして私からの祝意とさせていただきます」などと挨拶した。
青山丘 (国民新党、比例東海、(愛知7区)):2006年5月18日の天宙平和連合‐祖国郷土還元名古屋大会に出席。2010年12月3日、“拉致監禁”反対を訴える決起集会「守れ!日本の人権・信教の自由」では来賓として挨拶した。
鈴木政二 (自民党、元官房副長官、愛知県選挙区):天宙平和連合イベントに祝電。
   静岡県
細野豪志 (自民党、元環境相、静岡5区、二階派):統一教会機関紙にインタビュー掲載、統一教会関連団体より献金。
   三重県
鈴木英敬 (自民党、三重4区、安倍派):三重県知事時代に愛知県国際展示場(同県常滑市)で開催された「孝情文化祝福フェスティバル」に祝電を送った。
中川正春 (立憲民主党、元文部科学相、比例東海(三重2区)):統一教会関連イベントに祝電。
   京都府
二之湯智 (自民党、第98・99代国家公安委員会委員長、京都府選挙区元参議院議員、茂木派・谷垣グループ):2018年に関連団体が開催した京都府のイベント「ピースロード」の実行委員長を務め、壇上で挨拶を述べた。
前原誠司 (国民民主党、元外相、京都2区):統一教会傘下のワシントン・タイムズに全面意見広告を掲載。
   大阪府
足立康史 (日本維新の会、大阪9区):統一教会関連団体の世界戦略総合研究所で講演をしていた。
藤田文武 (日本維新の会幹事長、大阪12区):過去に関連団体のイベントに参加。
馬場伸幸 (日本維新の会共同代表、大阪17区):過去に関連団体のイベントに参加。
松井一郎 (日本維新の会、大阪市長):日本維新の会代表:統一教会の集会に出席していた。
   兵庫県
山口壮 (自民党、元環境相、兵庫12区、二階派):統一教会関連イベントに祝電。
末松信介 (自民党、文部科学相、兵庫県選挙区、安倍派):統一教会関係者が2020年、2021年に4万円分の政治資金パーティー券を購入していた。
   奈良県
高市早苗 (自民党、元総務相、奈良2区、無派閥):天宙平和連合イベント「祖国郷土還元日本大会」に祝電。分派のサンクチュアリ教会が自民党総裁選で高市を支持する街宣を行った。
   鳥取県
石破茂 (自民党、元幹事長、鳥取1区):統一教会関連イベントで講演、祝電、機関紙社長から献金。
   島根県
細田博之 (自民党、衆議院議長、島根1区) : 2019年に、韓鶴子が出席した関連団体の会合「国際指導者会議」に出席、内容を安倍晋三に伝えるとしたうえで、韓をほめたたえるスピーチを行った。
竹下亘 (自民党、島根2区、竹下派):2012年4月29日に開かれた「アジアと日本の平和と安全を守る島根県フォーラム設立大会」に来賓として参加し祝辞を述べた。
   岡山県
逢沢一郎 (自民党、岡山1区、谷垣G) : 2018年、岡山県で開かれた関連団体の会合に出席。豪雨被害の寄付を行った韓鶴子をほめたたえた。
山下貴司 (自民党、元法相、岡山2区、無派閥):統一教会関連イベントに祝電。
加藤勝信 (自民党、元内閣官房長官、岡山5区、茂木派) :厚労大臣在職中に秘書が統一教会関連イベント代理出席。
   広島県
中川秀直 (自民党、比例中国ブロック(広島4区)、無派閥):2012年7月30日に古参信者が代表を務める団体「世界戦略総合研究所」が開いたシンポジウムに参加。2006年5月14日に開かれた天主平和連合(UPF)祖国郷土還元広島大会には祝電を送っている。
   山口県
高村正彦 (自民党、山口1区、麻生派):政治家の中村敦夫は、平成10年(2008年)の第143回国会法務委員会で、「高村はかつて統一教会の代理人であり、ハッピーワールドから時価380万円のセドリックを提供されている」と述べている。かつては勝共推進議員であったが、外務大臣に就任した年の週刊ポスト(1998年12月4日号)紙上では統一教会との関係について、冷戦構造下において共産主義反対というところで一致していただけで統一教会の弁護士をやめる際に今後は一切相談は受けないと申し入れたこと、統一教会の教祖文鮮明に対してビザ発給などで便宜を図ったことはないこと、1999年の入国に協力するつもりはないこと、などを語っている。また週刊現代(1999年2月27日号)が1999年に行った国会議員へのアンケートに対しては、「弁護士としての関係がかつてあったが、今は何の関係もない」と回答している。
岸信夫 (自民党、第21 - 23代防衛大臣、山口2区、安倍派):安倍晋三の実弟で岸信介の孫。2022年7月26日の記者会見で、統一教会との関係について「付き合いもあり、選挙の際もお手伝いをいただいている。電話作戦等々、ボランティアでお手伝いをいただいたケースはあると思う」「選挙だから支援者を多く集めることは必要だと思う」「統一教会に手伝ってもらったというよりは、メンバーの方にお力をいただいたということだ」と述べた。
安倍晋三 (自民党、第90、96 - 98代内閣総理大臣、山口4区、安倍派):岸信介の孫。
北村経夫 (自民党、山口県選挙区、安倍派):世界平和連合から支援を受けている。初出馬した2013年の第23回参議院議員通常選挙では、安倍が北村の選挙応援を教団に依頼。教団内部文書には「首相からじきじきこの方(北村)を後援してほしいとの依頼」「まだCランクで当選には遠い状況です」「今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です」などとあった。2019年の第25回参議院議員通常選挙でも統一教会内部で北村を応援するビラが出回っていた。北村の事務所は「旧統一教会から支援を受けたことも、見返りを求められたこともありません」と否定している。しかし、当時、選挙事務所のスタッフだった近藤将勝は北村が団体の支援を受けていたと証言したほか、「世界平和連合」も「弊団体が北村経夫氏を支援したことは事実です」と支援を認めた。同年、UPF主催の会合に出席。
岸信介 (自民党、第56、57代内閣総理大臣、旧山口2区):日本における勝共連合設立の中心人物の一人。文鮮明が米国で投獄されると「宗教の自由」を侵した過ちであるとし、釈放を求める意見書を米大統領に提出 。自宅と教団本部は隣接していた。文鮮明や久保木修己とも会談しており、ときには松濤本部を訪ねて信者を激励するなど日本統一教会(協会)草創期からの熱心な賛同者である。
   徳島県
後藤田正純 (自民党、比例四国(徳島1区)、茂木派):下部団体の天宙平和連合が主催した、文鮮明の三男である文顕進との昼食会に出席。本人もそれを認めている。
   愛媛県
井原巧 (自民党、愛媛3区、安倍派):世界平和連合の支援を受ける。2013年5月には、愛媛県内のホテルで、同連合は「井原巧先生を励ます会」を開催した。
白石徹 (自民党、愛媛3区、麻生派):教団の関連団体である「アジアと日本の平和と安全を守る全国フォーラム」東予地区の世話人を務め、同じく関連団体の平和大使協議会(AAP)では平和大使に任命されている。また、世界平和連合(FWP)は白石の後援会「愛和会」を設立しており、同会は応援歌「ラブ、ラブ、ラブ」の合唱で締めくくられる。他にも、真の家庭運動推推進議会(APTF)が開くクリスマスパーティーや原理復興文化祭などに通う。
磯崎仁彦 (自民党、元内閣官房副長官、香川県選挙区、岸田派):統一教会関連イベント「ピースロード」に参加。
   高知県
中谷元 (自民党、元防衛相、高知1区、谷垣G):統一教会関連媒体にインタビュー掲載。統一教会関連イベントに祝電。
福井照 (自民党、比例四国ブロック(高知1区)、二階派):2002年1月、世界平和連合‐高知県連合会結成大会に数人の自民党議員と出席。2006年5月には天宙平和連合‐祖国郷土還元高松大会へ祝電を送っている。
   福岡県
山崎拓 (自民党、福岡2区):2002年4月に女性信者とのスキャンダルを週刊誌で報じられ訴訟へと発展。2005年の天宙平和連合‐福岡大会には祝電を打っている。
麻生太郎 (第17代自民党副総裁、第92代内閣総理大臣、福岡8区、麻生派):過去に教団機関紙の思想新聞に名刺広告を出している。警視庁の内部資料からは信者を秘書に起用していたことが発覚。2011年5月10日付の米紙ワシントン・タイムズには、妻・千賀子や安倍晋三らと共に全面意見広告を掲載。日韓トンネル研究会では顧問を務める。
三原朝彦 (自民党、福岡9区、竹下派):1999年10月開催の世界平和連合-福岡県連合会に祝電を寄せた。同会には三原の秘書の他、多数の自民党議員及び関係者が出席。自身が支部長を務める自民党福岡9区支部が2003年11月に世界平和連合から献金を受けた。日韓トンネル研究会顧問。
武田良太 (自民党、元総務相、福岡11区、二階派): 統一教会関連イベント参加、統一教会の推進する日韓海底トンネル推進議連結成大会参加。
   長崎県
宮島大典 (無所属、長崎4区):2006年5月13日、天宙平和連合‐祖国郷土還元福岡大会に出席。2010年12月に開かれたシンポジウム「信教の自由と人権問題を語る」では会場となった議員会館の使用申請をした。
   熊本県
木原稔 (自民党、元首相補佐官、熊本1区、茂木派):統一教会関連イベント実行委員。
   大分県
衛藤征士郎 (自民党、大分2区、安倍派):日韓トンネル推進議員連盟代表であり、2008年5月の「清和政策研究会との懇親の集い」にて配布された政策論文集には「日韓トンネル・日韓を鉄路で結び欧州へ直結」を寄稿。かつては信者5人を秘書に起用しており、勝共連合のセミナーや集会にも参加している。
   宮崎県
中山成彬 (次世代の党、比例九州ブロック(宮崎1区)):2003年11月、当時支部長を務めていた自民党宮崎1区支部の世界平和連合からの献金受領が報じられ返還。地元の会合にも同連合のメンバーを出席させている。
   鹿児島県
保岡興治 (自民党、鹿児島1区、石原派):政策秘書だった信者を法務大臣就任時(第2次森内閣)に秘書官に登用。2005・2006年には下部組織の催しに祝電を寄せた。「希望の日」晩餐会にも臨席している。
   沖縄県
下地幹郎 (政党そうぞう、比例九州ブロック(沖縄1区)、無所属):有田芳生は、下地が統一教会が後援するデモ隊から請願書を受け取っており統一教会を支援している議員と述べている。
   参議院議員比例区
井上義行 (自民党、安倍派):「賛同会員」。
衛藤晟一 (自民党、無派閥):2014年1月22日、統一教会の重鎮が会長を務める世界戦略総合研究所で講師をしている。
室井邦彦 (日本維新の会、比例区):2007年の参院選で配布したビラに幹部信者との写真を掲載。教団の会合では「(文鮮明の)入国のため努力する」と発言している。
山谷えり子 (自民党、比例区、安倍派)
山田宏 (自民党、比例区、安倍派):教団関係者が運営するNPO法人「未来構想戦略フォーラム」で講演。2011年1月には世界戦略総合研究所で講義した。
神谷宗幣(参政党、比例区):教団系メディアの『世界日報』で3本の記事を執筆していた。なお、世界日報における神谷の記事は、教団と政治の関係が注目されるきっかけになった安倍晋三銃撃事件の後に削除されている。
米国​
ドナルド・トランプ(前アメリカ合衆国大統領):退任後の2021年に統一教会主催のオンラインイベント、「シンクタンク2022希望前進大会」で基調演説をし、朝鮮半島の安定化の努力と成果をアピールした。
ポーラ・ホワイト(英語版)(トランプ政権のホワイトハウス宗教特別顧問):放送福音伝道者として、統一教会主催の「希望前進大会」に参加したことがある。
韓国​
潘基文(元国連事務総長):2021年に統一教会主催のオンラインイベントに参加した。
丁世均(元韓国国務総理、元韓国国会議長):2021年に統一教会主催のオンラインイベントに参加した。
呉世勲(ソウル特別市長)
朴亨(釜山広域市長)
梁承晁(忠清南道知事)
李始鍾(忠清北道知事)
李庸燮(光州広域市長)
李負J(慶尚北道知事)
張賢国(京畿道議会議長)
郭度栄(江原道議会議長)
支持者​
笹川良一(全国モーターボート競走会連合会、後の日本船舶振興会、現日本財団の会長):密入国で逮捕された西川勝の身元引受人を買って出た。
福田信之(筑波大学元学長、理論物理学者):「文鮮明師と金日成主席」(世界日報社1992)等の著書あり。
室生忠(宗教ジャーナリスト):統一教会関連のシンポジウムの講師等を務めたこともある。月刊誌『創』(2000年4月号)で浅見定雄が「統一教会信者の『強制説得』請負人」で、「信者を脱会させるために精神病院に『強制収容』する事件に加担した」などとする記事を書いたことを当人から名誉毀損で訴えられ敗訴し、『創』誌に謝罪広告を掲載するよう命じられた。
桧田仁(医師・元衆議院議員):2000年4月の衆議院決算行政監視委員会において、脱会支援活動への取り締まり等について教会員の立場で質問。関連団体の集会やシンポジウムには度々参席し講演もする。2010年11月11日付『世界日報』では「拉致監禁は犯罪」と訴えた。
小林正(教育評論家・元参議院議員):教団の関連団体が主催する大会では講演などをしており、世界戦略総合研究所の評議員も務める。憲法改正や教育問題に取り組む関係上、教団との接点が多い。1999年3月13日、世界平和連合・国際勝共連合共催の救国救世全国躍進大会で挨拶。2004年3月22日の世界平和連合‐救国救世全国総決起大会では乾杯の音頭。2004年7月19日には世界平和連合‐神奈川県連合会の役員研修会で講師を務め、2006年開催の天宙平和連合‐祖国郷土還元日本大会にも出席
渡瀬裕哉(参政党創設メンバー、政治活動家)教団系の『ワシントン・タイムズ』で翻訳担当のエグゼクティブ・ディレクターを担当していた。
門脇護(作家)
一色正春
批判者​
浅見定雄(東北学院大学名誉教授):教団の草創期から反対運動に関わっている統一教会反対派の第一人者。数々の著作がある。
川崎経子(元牧師):特定非営利活動法人 「小諸いずみ会 いのちの家」所長。著書『統一教会の素顔―その洗脳の実態と対策』
有田芳生(立憲民主党前参議院議員):『朝日ジャーナル』の霊感商法報道に加わる。カルト問題についてテレビや雑誌で解説し、教団の問題点を批判する著書も多数。
水島総((株)日本文化チャンネル桜代表取締役社長・映画監督など):同社が制作しているテレビ番組「チャンネル桜」において、統一教会およびこれから政治的影響力を受けていた民主党・社民党(旧社会党)・自民党内の党内勢力、加えて同教会やパチンコ業界が北朝鮮を経済的に支援している事について繰り返し批判している。
山口広(弁護士):霊感商法被害対策の組織「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(被害弁連)を事務局長として主導して来た。
紀藤正樹(弁護士):霊感商法「被害弁連」の中心的存在。テレビでも統一教会問題を取り上げた番組によく出演している。
郷路征記(弁護士):統一教会の伝道を「信教の自由」を侵害する違法なものとして訴える違法伝道訴訟(青春を返せ裁判)の先駆者。
山口貴士(弁護士):被害弁連に所属。紀藤正樹の「リンク総合法律事務所」に在籍。日本脱カルト協会理事・事務局長
中村敦夫(俳優・元参議院議員):飯干晃一と共に反対運動に注力した。
飯干晃一(作家):娘の飯星景子を説得して、離教させた。マスコミや批判書を通じ、統一教会に対する反対活動を積極的に行う。反対集会に参加しては参加者を励ましたり、渋谷の教団本部に出かけて行っては、現役の信者に一人ひとりに「君は間違っているぞ」と説得を繰り返したという。
スティーブン・ハッサン(社会心理学者): 著書 『マインド・コントロールの恐怖』
高橋紳吾(「東邦大学助教授、精神科医」):日本脱カルト研究会(現:「日本脱カルト協会」)を設立。マインドコントロール理論から教団をカルトとして解説。
西田公昭(社会心理学者):カルトによるマインドコントロールに関する研究において、統一教会の資料や元信者の体験を採用しており、オウム事件の裁判において心理鑑定人も務めた。日本脱カルト協会代表理事
卓明煥(タクミョンファン):(宗教ジャーナリスト)韓国において著作や講演で統一教会を批判。
櫻井義秀(北海道大学 大学院教授):宗教社会学などの観点からカルト・マインドコントロールに関する研究において統一教会、天地正教などを考察している。
鈴木邦男(民族派団体「一水会」の元代表):1985年に、『朝日ジャーナル』に 「勝共連合は民族主義運動の敵だ――文鮮明王朝建設に利用される日本の若者」と題した批判手記を発表。
世耕弘成(自民党参議院議員): 青山学院大学の中野昌宏教授に対する裁判の中で、教団や統一教会の学生団体の「原理研究会」を、「反社会的な団体であるとの印象を抱く者が少なくない」とした。
石井紘基(元衆議院議員):生前、統一教会とオウム真理教との関係や統一教会と政治家のつながりなどを指摘していた。
黒川敦彦(国政政党NHK党幹事長):安倍晋三を「おじいちゃんの代からCIA」と批判している黒川は、統一教会は反日カルトであり、安倍晋三の祖父の岸信介が日本に教団を持ち込んだと批判した。
瀬戸弘幸(極右系政治運動家・ジャーナリスト):自身のブログや維新政党・新風の演説などで、統一教会はカルト宗教であり、国家権力に関わっているから、税金を課すべきであるなどと批判している。
山野車輪(漫画家):『嫌韓流3』で霊感商法や自民党と教団の関係について批判的に触れている。
ウィリアム・ウッド(宣教師、神学者):キリスト教福音派の立場から統一教会を批判する著書を発表し、講演活動を行っている。
尾形守(牧師、神学者):統一教会を異端カルトとする著書異端見分けハンドブックを発表している。  
 

 

●創価学会
●概要​
1930年(昭和5年)、尋常小学校の校長であった牧口常三郎と、戸田城聖ら当時の教育者などが集い、日蓮の仏法精神に基づく教育者の育成と、雑誌の発行を目的とする「創価教育学会」(初代会長:牧口常三郎、理事長:戸田城聖)を創立した。同年11月18日、『創価教育学体系』第一号が発刊される。
1937年(昭和12年)に、創価教育学会は日蓮正宗の法華講(信徒組織)の1つとして位置付けられた。この組織が創価学会の前身となる。
第二次世界大戦中の1943年(昭和18年)6月に牧口、戸田を含む幹部が治安維持法並びに伊勢神宮に対する不敬罪で逮捕され、牧口は1944年(昭和19年)11月18日に獄死。1945年(昭和20年)7月3日、出獄した戸田は、組織名を「創価学会」に改称し組織を再建、1952年(昭和27年)、宗教法人の認証を得る。
1951年(昭和26年)5月3日に第2代会長に就任した戸田城聖の下で、75万世帯を目標にした「折伏大行進」という名の大規模な布教活動が行われ、日本国内での創価学会の勢力は急拡大した。しかし強引な勧誘手法は批判を呼び、社会問題化した。1958年(昭和33年)4月2日に戸田第2代会長が死去した後、1960年(昭和35年)5月3日に池田大作が第3代会長に就任した(現・名誉会長)。その後、次第に日蓮正宗宗門と軋轢が生じ、1991年(平成3年)11月、「教義の逸脱」などを理由に破門される(後述)。
教義的には日蓮を末法時代の本仏と定め、法華経の肝心・南無妙法蓮華経の御本尊を認定して掲げ、「南無妙法蓮華経」の唱題を実践し、「法華経」思想の布教を宣言(広宣流布)し、平和な世界の実現を目標とするとしている。
1962年(昭和37年)には「公明政治連盟」を創設し、2年後の1964年(昭和39年)には日本の政党の要件を満たしている唯一の宗教政党として「公明党」を結成し、日本政治にも関わっている。
●教勢​
日本における創価学会公称の会員世帯数は約827万世帯。
推定の会員数は、資料によってばらつきがある。
約250万人(1980年・村上重良)
約500万人前後(1988年・沼田健哉)
約1,200万人(1995年・米本和広)
約542万人(1995年・文化庁統計より推定)
約576万人(2000年・文化庁統計より推定)
約2,000万人(2006年・島田裕巳)
約250万世帯(2007年・島田裕巳)
約280万人(2017年・島田裕巳が大阪商業大学調査より推定)
約380万人、日本国民の約3%(2019年・島園進 )。
海外への布教活動​
1970年代(昭和45年)以後より創価学会は、日本国内での布教活動(会員数)が頭打ち傾向になってきたために、1975年(昭和50年)1月26日にアメリカ合衆国グアム島に51か国の代表が集って創価学会インタナショナル(SGI)を結成して海外への布教活動を積極的に行うようになった。
1975年(昭和50年)のSGI設立時には海外全体で150万人のメンバーだったが、2022年(令和4年)現在は、宗教の布教活動が厳しく規制されている中国、北朝鮮や中東諸国のイスラム教圏を除いた、日本を含む世界192カ国・地域に広がり、海外全体で約280万人のSGIメンバーを擁している。
●教義関連​
教義・理念​
日蓮大聖人の仏法を広め、仏法が説く生命尊厳の思想を根本に、人類の幸福と社会の繁栄、世界平和の実現を目指す「広宣流布」という運動を実践する。
万人の生命に等しく内在する、智慧と慈悲と勇気に満ちた仏の生命を最大に発揮する「人間革命」を信仰の指標とする。
経典​
『法華経』
『新編日蓮大聖人御書全集』(創価学会版、1952年 - 2021年)
『日蓮大聖人御書全集 新版』(創価学会版、2021年 - )
法華経を最高の経典とした天台智の五時八教説と、日蓮が説いた寿量文底下種仏法・三大秘法を基礎としている。
勤行​
朝晩、御本尊に向かい、法華経の方便品(ほうべんぼん)と寿量品(じゅりょうほん)を読み、「南無妙法蓮華経」(なんみょうほうれんげきょう)と題目を唱えること。これを、「勤行(ごんぎょう)」という。
唱題​
「南無妙法蓮華経(なんみょうほうれんげきょう)」(「なむみょうほうれんげきょう」ではない)という題目を唱える行為。「勤行」のあと、随時「題目」を唱える。これを、「唱題(しょうだい)」という。
時間が取れない場合などには「勤行」を行わずに、「題目」のみを唱えてもよいとされる。「南無妙法蓮華経」とは「法華経に帰依する」の意であり、「題目」は経典の表題を唱えることに由来する。
本尊・本仏​
信仰の対象である本尊は、日蓮が顕した法華経の肝心である「南無妙法蓮華経」の文字曼荼羅である。
本尊に関する事項は、会長が司る(創価学会会憲第9条第4項 及び 創価学会会則第12条第1項)。
破門に伴って宗門より御形木本尊の下付が停止されたため、1993年(平成5年)以降は日蓮正宗第26世法主・日寛が1720年(享保5年)に書写した本尊(淨圓寺蔵)を複写印刷し、「御形木御本尊」として授与している。
諸事情で自宅に仏壇を安置できない場合は、「お守り御本尊」と呼ばれる小型の御本尊を授与する。日寛書写の本尊を複写印刷したものである。
「本門戒壇の大御本尊」については2002年(平成14年)の会則改正により表記が変更された。さらに2014年(平成26年)の会則改正により、「弘安2年(1279年)の本門戒壇の大御本尊は受持の対象とはしない」と聖教新聞上で公式発表された。なお「弘安2年の本門戒壇の大御本尊」は日蓮正宗総本山大石寺に安置されていて、日寛書写の本尊はこの本尊を書写している。
「謗法払い」については、創価学会は新入会希望者に対して、
1.入会希望者自身が、かつての信仰対象の処分・返却を行うこと。
2.本人が承諾しても、他人が手伝ったり預かって持ち帰ったりしないこと。
3.謗法払いは入会する会員自身が、自ら自分自身で行う。
4.同居家族や所有関係者の事前了解を得ること。
を指導として徹底している。
   本仏​
日蓮を末法の本仏と仰ぐ。これは日蓮正宗系の教義であり、釈迦本仏論を採用する日蓮宗系と異なる点である。
●活動​
年間主要行事​
2017年時点の年間主要行事は以下の通りである。
1月1日、2日 新年勤行会
成人の日 「成人の日」記念勤行会
2月16日 「日蓮大聖人御聖誕の日」記念勤行会
3月    春季彼岸勤行法要
4月2日 第2代会長・戸田城聖追善勤行会
4月28日 「立宗の日」記念勤行会
5月3日 「創価学会の日」記念勤行会
5月19日 「創価学会常住御本尊記念日」記念勤行会
7月15日 諸精霊追善勤行法要(8月15日に行われる地域もある)
8月15日 世界平和祈念戦没者追善勤行法要
9月12日 「竜の口の法難の日」の意義をとどめた勤行会
敬老の日 「敬老の日」の記念勤行会
9月    秋季彼岸勤行法要
10月13日「日蓮大聖人御入滅の日」の意義をとどめた勤行会
11月15日「七五三」の記念勤行会
11月18日 学会創立記念日記念・初代会長・牧口常三郎追善勤行会
組織の地域活動​
座談会は、三代の会長が最も大切にしてきた伝統行事であり、活動である、とされている。寺田喜朗は、1950年代〜1960年代(昭和30年代〜昭和40年代)の高度経済成長期、農村から都市へと多くの労働者が移住し、生活と将来への不安を抱えた人々が、座談会に参加する中で、悩みを分かち合い、「コミュニティー」を築いたと指摘する。そして、学会が、この座談会などの活動を通して会員を教育し、社会のさまざまな分野に人材を輩出する「総体革命」を目指していた、としている。また、央忠邦によると、座談会は班や地区の単位で行われ、1968年時点で、座談会の拠点は日本に二十万か所以上あった、とされる。
アメリカ・モアハウス大学のローレンス・カーター教授は、創価学会・SGIの特徴として、「座談会」を挙げており、そうした集まりが、寺院や教会ではなく、会員宅で開催されているのは、「SGLが在家運動であることが関係している」と指摘する。加えて、寺院などの場で行えば、聖職者の権威に特別な力が宿る一方で、庶民の自宅で集えば、「自然と皆が普段着で来られるような大衆的、民主的な場になる」ため、その点が「SGIの基底部に埋め込まれた平等主義の表れ」であるとしている。
『聖教新聞』の購読者の開拓​
財務​
創価学会では年1回、広布部員を希望した会員にのみ、申込み用紙が会員宅に届けられる。1970年代中頃以前は財務部員と呼ばれ、現在は広布部員。以前は年間3,000円程度であったが、現在は1口1万円からとなっている。生活保護者など一部を除き財務の対象者となっている。
教学の研鑽​
創価学会が編さんし出版している『新編 日蓮大聖人御書全集』(しんぺん にちれんだいしょうにんごしょぜんしゅう)、『日蓮大聖人御書全集 新版』(にちれんだいしょうにんごしょぜんしゅう しんぱん)を基に行われる。その資料として月刊機関誌『大白蓮華』(だいびゃくれんげ)が用いられ、会員には「教学試験」の受験が奨励されている。
葬儀​
地域の儀典長を読経の中心者とする「友人葬(ゆうじんそう)」の形式で執り行われている。原則として友人葬への参列では香典は必要ないとされているが、参列者が香典を持参する事、遺族が参列者が持参した香典を受け取る事は各位の自由である。また「読経料」「戒名料」などが必要な他宗派と違い、友人葬の中心者の儀典長は、謝礼を一切受け取らないものと定められている。
宗教学者の山折哲雄は、「日本の旧来の仏教集団が単なる葬式仏教になっている」と批判されている中にあって、創価学会の友人葬の取り組みは、「在家仏教として正当な姿」であるとしている。
   友人葬の料金​
友人葬を取り扱っている葬儀社や在住している地域によって若干の差は存在するが、東京の場合では友人葬の基本料金は概ね35万円位から50万円位である。 友人葬を取り扱う葬儀社によっては、一式で基本料金に含まれているケースとオプション料金として別料金になる場合がある。
詳細は葬儀社への確認が必要である。
納骨は、地区部長を通じて申し込むと、全国にある創価学会墓地公園が利用出来る。
儀典長を中心に、生前の名前で葬儀を行うため、戒名料・読経料はかからない。
布教活動​
無宗教あるいは他の宗教を信仰する者を改宗させる事を「折伏」(しゃくぶく、しゃくふく)という。
1951年(昭和26年)に戸田が「青年訓」を発表し、青年部を中心に折伏大行進と呼ばれる大々的な布教が行われた。布教活動は多くの会員を増やすことになった反面、その強引な手法から社会問題になった。
現在、創価学会では、仏法の人間主義に基づき、自他共の幸福を目指して、自身の信仰体験や仏法の哲理を友人や知人に語っていくことを「折伏・弘教」と定義している。
また、信仰者としての自身の振る舞い、生き方を通して、地域や職場で友情と信頼を深め、学会の理念や活動への理解を広げていくことも「折伏・弘教」にあたるとされている。
入会・退会の手続き​
●社会貢献活動​
地域貢献活動​
創価学会では、個々の会員および団体レベルの双方で、近隣友好や地域貢献を推奨している。具体的には、地域の祭りなどの行事への協力がある。創価学会総本部および聖教新聞社本社がある新宿区信濃町では、町内会の盆踊り大会や防災イベントに会場を提供するなどしている。
また、音楽隊が地域行事に際し演奏を行うケースもある。地域貢献の体験談集が過去に発刊されている。
「THE STRAIT TIMES」によると、シンガポール創価学会は、長年、シンガポールの国家行事「チンゲイ(粧芸)パレード」に出演している。2022年2月のパレードは、通算38回目の参加となった。このパレードはシンガポールにおいて、旧正月を祝う最も重要な行事の一つと言われている。シンガポール創価学会は、こうした国家行事への出演のほか、医療施設への物資支援や障がい者のサポートなど多様なボランティア活動を進めているとされている。
イタリア創価学会は、1980年代から環境問題の解決や、核兵器廃絶を目指す展示活動、教育・文化運動を通して、地域や社会の繁栄と平和のために尽力してきたとされる。2015年6月には、イタリア憲法第8条に基づく特別合意によりイタリア政府に承認され、イタリアの公式宗教であるとする「インテーサ」の承認を受けた。これにより、学校と教育機関を設立する権利などが保障される。
災害時の救援・復興活動​
大規模災害の発生時には、地域の会館で被災者を受け入れ、救援活動にあたっている。宗教専門紙の中外日報は、「阪神・淡路大震災では、創価学会の迅速な救援活動に対し兵庫県などから感謝状が贈られ、フランス・オーストラリア・香港・シンガポールなど海外の新聞でも活動が報じられた」ことを報道した。東日本大震災に際しては、42の会館で約5千人を一時避難所として受け入れたほか、義捐金を拠出した。避難所はおおむね、地元会員組織の責任者と、他地域から派遣された専従職員を中心に運営され、医師や看護師が健康相談を実施した。発災翌日には山形県・新潟県などから支援物資が到着している。一部の会館は行政の指定避難所となっている。また、創価学会による東北被災地への救援活動は、アメリカのCNNのブログにも取り上げられた。そして、東日本大震災からの復興にあたっては、「心の福光(復興)プロジェクト」を展開。その中で音楽隊(創価グロリア吹奏楽団、しなの合唱団、創価ルネサンスバンガード等)は「希望の絆」コンサートを開催し、仮設住宅の集会場などで合唱や吹奏楽、マーチングなどの演奏会を開催している。なお、のちに「希望の絆」コンサートは、熊本地震や西日本豪雨などの被災地でも開催されるようになった。
2015年(平成27年)3月に宮城県仙台市で開幕された国連防災世界会議と、2016年(平成28年)5月にトルコ・イスタンブールで開催された世界人道サミット(en)では、一連の復興支援活動を報告している。
宗教学者の寺田喜朗は、東日本大震災における、福島県浜通りの創価学会がどのようなサポートを提供してきたのかを検証した。「創価学会の支援活動のもっとも大きな特質は経済的・物質的な支援以上に、被災者へ積極的に生きる意味を提供し続けている点にあると考えている。」とした。また、「不条理な現実を受け止め、苦難・困難を試練と捉え返し、「人生に勝利する」ことを鼓舞するコミュニティとして創価学会は機能している。」とした。
難民支援活動​
大規模災害や紛争の発生時に、各国大使館や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)への寄付を行っている。 また、創価学会平和委員会主催で、難民映画上映会や講演会などの啓発活動も定期的に実施している。 国連UNHCR協会特別顧問の滝澤三郎氏は、こうした長期的な学会の支援を対し、学会員の「世界平和にかける熱意と、国連への関心や支援意欲の高さ」を、印象的だったとしている。
国際連合NGO(非政府組織)としての活動​
創価学会は国連広報局登録NGO(非政府組織)である。SGI(創価学会インタナショナル)は1983年(昭和58年)に、国連経済社会理事会との諮問資格を持つNGOとして登録された。
1992(平成4年)には、創価学会青年部は国連支援活動の一環として、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)に協力し、カンボジア・ラジオ支援キャンペーン「ボイス・エイド」を展開した。内戦後初の総選挙を翌春に控えていたカンボジアでは、文字を読めない国民が多いため、「政見放送を聴くために中古のラジオを贈って欲しい」との、明石康UNTAC事務総長特別代表(当時、元国連事務次長)の訴えに応える形となった。学会は全国から集めた約28万台の中古ラジオを寄贈した。贈られたラジオが投票率の向上につながり、総選挙の投票率は約90%に及んだ。この取り組みに対して、明石は「カンボジアの民主主義の達成に、大きく寄与した」、「国連の歴史の中でも特筆すべきもの」と述べている。
SGIニューヨーク国連連絡所は、2009年(平成21年)に、国連の「軍縮・平和・安全保障NGO委員会」において議長を務めた。SGIジュネーブ国連連絡所は、特に人権教育のテーマで活動を展開。2005年(平成17年)からスタートした国連の「人権教育のための世界プログラム」は、コスタリカ政府とSGIが中核となって実現している。
核兵器廃絶を目指す取り組みは、戸田第2代会長の原水爆禁止宣言以来、学会における平和運動の主軸とされている。 これまで、広島や長崎での意識調査や、被爆者や専門家の講演会などが定期的に行われている。 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員でNGOピースボート共同代表の川崎哲氏は、SGIが、ICANにとって創設時からの「中心的なパートナー」であり、「核兵器廃絶に向けて大きな貢献」をしていると述べている。
創価学会の青年部は、半世紀前から、戦争体験者への聞き取り調査を行い、証言集などを定期的に出版している。 沖縄国際大学の石原昌家名誉教授は、こうした取り組みについて、ひたすら「戦争の悲惨さ」を追求しつつ、着実に「平和運動」を展開している、としている。
特に、被爆地である広島・長崎では、「被爆体験を聞く会」を開催し、「学生平和意識調査」も定期的に実施している。広島平和記念資料館の滝川卓男館長は「確実に核兵器のない世界の実現に向けた大きな推進力」と述べている。
図書贈呈運動​
創価学会の図書贈呈運動は、へき地や離島をはじめ教育環境に恵まれていない地域や、震災や台風などの被害を受けた地域の子どもたちに書籍を贈呈するものである。1974年(昭和49年)にスタートした。2011年(平成23年)発生の東日本大震災以降は特に、被災地の学校への寄贈が重点的に行われている。
法華経の原典資料保全・研究活動​
法華経の原典研究に寄与する「法華経写本シリーズ」の出版活動を、公益財団法人・東洋哲学研究所と協力して推進している。各国に保存されてきた貴重な法華経写本を鮮明なカラー写真で撮影した「写真版」と、写本の“読み”をローマ字化した「ローマ字版」を公刊し、世界の研究者に広く提供して『法華経』を中心とした初期大乗仏教の研究に貢献するためのもの。2016年(平成28年)頭時点で16点が刊行され、「インド国立公文書館所蔵ギルギット法華経写本:写真版」「ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所所蔵梵文法華経写本:写真版」などが含まれる。
教育関連の活動​
創価学会の教育本部(教育関係に従事する創価学会員)では、1984年から、教育技術の向上を目的として、それぞれの教育現場での挑戦を記録する「教育実践記録運動」を実施。また、その共有の場として「人間教育実践報告大会」が開催されている。
展示活動​
創価学会では、諸団体と連携しての展示会が定期的に開催されている。「希望と行動の種子―SDGs(持続可能な開発目標)の実現のために」展 、「核兵器なき世界への連帯――勇気と希望の選択」展、「わたしと宇宙展 ―奇跡の地球に生きる―」 、「勇気の証言―ホロコースト展 アンネ・フランクと杉原千畝の選択」などが挙げられる。日本国内だけでなく、海外各地で開催されるケースもある。2022年には、身近な食をテーマに命のつながりを考える「ごはんといのちのストーリー展」を企画・作成した。3月に鳥取で開催され、国内を巡回している。
SDGsのための活動​
創価学会およびSGIは、SDGsの普及や目標達成に向けて取り組みを行っている。SDGs市民社会ネットワークの参加団体として登録されている。例えば、展示活動においては、2021年のCOP26に合わせ、会議の開催地であるイギリス・グラスゴー市内で、環境展示「希望と行動の種子」展(地球憲章インタナショナルと共同)を開催した。また、ITTO(国際熱帯木材機関)と連携して、アフリカ・トーゴの森林再生にも携わっている。
●最高幹部​
主要役員​(2021年5月3日時点)
名誉会長:池田大作(創価学会インタナショナル(SGI)会長兼任)
会長:原田稔(SGI会長代行兼任)
理事長(宗教法人代表役員):長谷川重夫
主任副会長:池田博正(SGI副会長兼任)、石嶋謙二、大場好孝(SGI理事長兼任)、金沢敏雄、谷川佳樹(壮年部長・創価学園理事長兼任)、萩本直樹(総東京長・聖教新聞社代表理事兼任)、原田光治、山本武(総務会議長兼任)
歴代の会長、主任副会長、副会長、理事長、副理事長の職に女性の学会員は就任した事が無いが、最高指導会議の議員に就任した柏原ヤスの例がある。
各部部長​(2021年11月18日時点)
壮年部長:谷川佳樹(主任副会長・創価学園理事長兼任)
女性部(旧・婦人部)長:永石貴美子
池田華陽会委員長:林玲子
青年部長:志賀昭靖
男子部長:西方光雄
名誉会長と歴代会長​
歴代会長の中でも、初代・牧口常三郎、第2代・戸田城聖、第3代・池田大作のいわゆる「三代会長」は、「広宣流布実現への死身弘法の体現者であり、この会の永遠の指導者である」と2002年(平成14年)の会則改正(同年4月6日、文部科学大臣が認証)の際に定められた。ただし、三代の会長個人を本仏である日蓮と同等またはそれ以上に崇め奉ることは認められていない。
池田は、戸田城聖の二十三回忌にあたる1980年4月2日付聖教新聞の紙上で、昭和52年の一連の指導の中には「たしかに創価学会中心主義的な独善性」があり、広宣流布のためとはいえ、「宗門に対し、主客転倒の風潮を生んだ」などと反省を示した。その上で、会合等で常日頃より自身を「凡夫」と述べていた通り、組織の指導者たる歴代の会長と本仏は別であり、よって神格化してはならず、池田個人に対する絶対視もあってはならないと語っている。
また、会長の任期は創立以来終身制とする慣例だったが、池田の会長辞任に合わせて制定された創価学会会則で「1期5年で再任を妨げず、会長が任期途中で辞任、または死亡によって欠けた場合、後任者は前任者の残存任期を引き継がない」と規定された。
なお、会長任期は2015年(平成27年)の会則改正で「1期4年」に変更された。
歴代会長・名誉会長の一覧​
   名誉会長(1979年 - )
1 池田大作(1928年 – ) 1979年4月24日 (現職) 会長辞任に伴い、昇格。
   会長(1930年 - )
1 牧口常三郎(1871年 – 1944年) 1930年11月18日 1944年11月18日 創立時の団体名称は「創価教育学会」。在任中に死去。
- 空席 1944年11月18日 1951年5月3日 1946年3月に戸田城聖によって現在の「創価学会」に改称。
2 戸田城聖(1900年 – 1958年) 1951年5月3日 1958年4月2日 在任中に死去。
- 空席 1958年4月2日 1960年5月3日 理事長の小泉隆が会長職務を代行 1958年6月30日に「総務」に池田大作が任命され、これ以降は実質的に池田が全権を掌握。
3 池田大作(1928年 – ) 1960年5月3日 1979年4月24日 在任中に辞任、名誉会長に昇格。
4 北条浩(1923年 – 1981年) 1979年4月24日 1981年7月18日 池田会長の辞任に伴い、昇格。在任中に死去。
5 秋谷栄之助(1930年 – ) 1981年7月18日 2006年11月9日 北条会長の死去に伴い、昇格。任期途中で辞任。
6 原田稔(1941年 – ) 2006年11月9日 (現職) 秋谷会長の辞任に伴い、昇格。
歴代会長の中で名誉会長となっているのは池田のみであり、任期は定められていない。
●組織​
組織体制​
創価学会では年齢や居住地、職業分野などで会員管理を行っている。
各世帯ごとに作成された「会員カード」によって会員や家族の移動などを把握する。
年齢別組織(2021年11月18日現在)
多宝会(たほうかい) - 65歳以上の男女が所属。東京では「宝寿会」、関西では「錦宝会」と呼ばれる。
壮年部(そうねんぶ) - 基本は40歳以上の男性が所属。王城会というボランティアで会館警備を行う人材グループがある。
男子部(だんしぶ) - 未来部、学生部以外の18歳以上から40歳未満の男性が所属。人材育成グループとして創価班、金城会、牙城会、文化班、サテライトグループ、設営グループ、鉄人会(関西のみ)、栄光会、創翔会、音楽隊などがある。
女性部(じょせいぶ) - 未来部、学生部以外の18歳以上の女性が所属。2021年5月3日付けで婦人部が名称変更し、同年11月18日の創立記念日に女子部を統合した。人材グループとして香城会、白蓮グループ、白樺会・白樺グループ(看護師のグループ)などがある。
学生部(がくせいぶ) - 男子の大学(院)生・専門学校生で構成。人材グループ21世紀伸一会もこの中のひとつ。
女子学生部(じょしがくせいぶ) - 女子の大学(院)生・短大生・専門学生で構成。ただし学生結婚した場合は女性部員となる(女子高等部も同様)。
未来部(みらいぶ)- 高校生以下を対象とした組織。少年少女部(小学生)、中等部(男子・女子)、高等部(男子・女子)がある。
地域別​
上から、中央(学会本部) - 方面 - (小)総県 - (分)県 - 圏(地域によっては無し) - 本部 - 支部- 地区 - ブロック となる。
「方面」は以下の14に区分されているが、一般的な地方の区分けと一部異なる。このうち、東京、第2総東京、関東、東海道は同会における「首都圏」とされる(法律上の首都圏に静岡県が加わる)。
北海道 / 東北(青森県・岩手県・秋田県・山形県・宮城県・福島県) / 東京(東京都23区、島しょ部・山梨県) / 第2総東京(東京都多摩地域) / 関東(千葉県・埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県) / 東海道(神奈川県・静岡県) / 信越(新潟県・長野県) / 中部(愛知県・岐阜県・三重県) / 北陸(富山県・石川県) / 関西(福井県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県) / 中国(広島県・岡山県・山口県・島根県・鳥取県) / 四国(香川県・高知県・愛媛県・徳島県) / 九州(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県) / 沖縄(沖縄県)
分野別組織​
芸術部・文芸部・ドクター部・白樺グループ・教育部・学校教育部、幼児・家庭教育部、社会教育・教育相談部、国際本部 通訳・翻訳部、国際ボランティア部、国際交流部、在日外国人部、社会本部、社会部専門部、地域本部、農漁光部、勝利島部・桂冠会・華冠会・星辰会・団地部など。
●沿革​
前史​
1928年(昭和3年) 東京市立白金尋常小学校(現・港区立白金小学校)校長だった牧口常三郎が「日蓮正宗」に入信。ほぼ同時期に戸田甚一(後の戸田城聖)も入信。
1930年代​
1930年(昭和5年) 11月18日 - 牧口の『創価教育学体系』第1巻が発行される。戸田は「戸田城外」を名乗る。創価学会ではこの日を創立記念日としている。また、「創価教育学支援会」も結成された。
1937年(昭和12年) 12月 - 「創価教育学会」発会式。
1939年(昭和14年) 12月 - 「創価教育学会」第1回総会。
1940年代​
1940年(昭和15年) 5月 - 金融業「日本商手」を設立、創価教育学会事務所を現在の東京都千代田区神田錦町に置かれた同社内に移転。10月 - 東京・九段下の軍人会館(現・「九段会館」)において「創価教育学会」第2回総会。
1941年(昭和16年) 7月 - 機関紙「価値創造」創刊。11月 - 創価教育学会第3回総会。
1942年(昭和17年) 11月 - 東京・一ツ橋の日本教育会館において「創価教育学会」第5回総会。支部の数が東京に16、地方に12となる。
1943年(昭和18年) 5月 - 創価教育学会第6回総会。直後に神社神道を批判したことで機関誌『新教』が廃刊命令を受ける。7月 - 「治安維持法」違反並びに「不敬罪」の容疑で牧口、戸田の他、21名の幹部が逮捕される。
1945年(昭和20年) 7月 - 戸田、東京都中野区にあった豊多摩刑務所(現・月形刑務所)から出獄。9月 - 東京都千代田区西神田にビルを取得。創価教育学会本部を再建。
1946年(昭和21年) 3月 - 「創価教育学会」を「創価学会」に改称し、布教活動を進める。11月17日 - 牧口の三回忌法要および「創価学会」第1回総会を開催。戸田が理事長に就任。
1947年(昭和22年) 8月14日 – 戸田が出席した座談会に池田大作が参加。8月24日 – 池田が創価学会に入会。
1949年(昭和24年) 7月 - 機関誌『大白蓮華』創刊。
1950年代​
1951年(昭和26年) 4月20日 - 機関紙『聖教新聞』創刊。5月3日 - 戸田が「創価学会」会長に就任。小泉隆が理事長に就任。戸田は就任演説において、自らが生きている間に75万世帯を折伏することを目標に掲げる。7月11日 - 男子部結成。7月19日 - 女子部(現・女性部)結成。11月 4日 - 第6回総会にて戸田は「学会精神と目的」について「弘安2年10月12日図顕の一閻浮提総与御本尊の日本流布、東洋広布、日蓮正宗宗門の顕揚」の3ヶ条遂行を大誓願とする旨発表。18日 - 『折伏教典』を発刊。12月18日 - 戸田が宗務院の命により登山し、「宗教法人創価学会」設立に際して、宗門から要望のあった3ヶ条の遵守を約束。
1952年(昭和27年) 4月 - 「狸祭り事件」。4月28日 - 『新編日蓮大聖人御書全集』(通称・御書全集、御書)を発刊。8月27日 - 東京都知事より宗教法人の認証を取得。11月 - 『御書十大部講義』を発刊。12月 - 教学部の任用試験を開始。12月20日 - 東京都新宿区信濃町25番地に新本部を建設する計画を聖教新聞紙上で発表するも後に建設用地を売却。年末 - 男子部の人材育成グループ「水滸会」を発足。
1953年(昭和28年) 9月20日 - 東京都新宿区信濃町32番地にあった洋館を改築して新本部とする計画を聖教新聞紙上で発表する。10月 - 東京都新宿区信濃町に本部が完成。11月 - 本部を信濃町に移転。
1954年(昭和29年) 3月 - 参謀室設置。10月 - 大石寺に青年部1万人が登山し、出陣式。11月 - 文化部設置。12月 - 渉外部設置。部長には池田が任命。
1955年(昭和30年) 3月 - 北海道小樽市において、日蓮宗と創価学会との法論が行われる。4月 - 政界進出を目指し、第3回統一地方選挙に文化部員を出馬。当時はまだ政党組織がなかったため、無所属で創価学会が推薦するという形を取った。
1956年(昭和31年) 1月 - 戸田が宗門64世法主水谷日昇の隠退表明を拝して「先代牧口先生当時から学会は猊座の事には一切関知せぬ大精神で通して来たし、今後もこの精神で一貫する。これを破る者はたとえ大幹部といえども即座に除名する」との談話を発表。同日の寸鉄では「(創価学会は日蓮正宗の)法主を宗祖大聖人としておつかえ申上げる、どなたが法主様でも一貫不変、これ信者の大精神。」と評した。7月 - 第4回参議院議員通常選挙に6名の候補者を擁立。大阪支部長の白木義一郎ら3名が当選。12月 - 法務省刑事局は「その信条に基づく行動に暴力的な動向が顕著」「多数の青年行動隊を軍隊の組織区分に準じて編成し、この折伏の実践に当たらせている」として創価学会を新興右翼団体と認定した(後に認定解除)。
1957年(昭和32年) 4月 - 参議院大阪府選挙区の補欠選挙で一部の会員が選挙違反を起こす。会員の供述から小泉理事長、池田渉外部長ら合わせて47人が逮捕される。裁判で実行犯とされた末端会員らが有罪判決を受ける中、首謀者とされた池田・小泉は無罪判決を受ける。6月30日 - 学生部結成。9月 - 横浜市・三ツ沢グラウンドで戸田が「原水爆禁止宣言」を発表。12月 - 本部幹部会で75万世帯の折伏達成を発表。また、戸田会長は欠席したものの、「永遠の三指針」を発表。
1958年(昭和33年) 3月 - 日蓮正宗の総本山大石寺の大講堂が完成。学会では「大講堂落慶記念総登山」と呼んだ。延べ20万人余の会員が参加。3月16日 - 「広宣流布の模擬試験」が大石寺大講堂で行われ、青年部員6,000人が参加、戸田が広宣流布の一切の後事を青年部全体に託した。4月 - 1日に戸田が体調を崩し駿河台日本大学病院に緊急入院。2日に死去。5月 - 戸田の四十九日法要を機に開かれた臨時幹部会において戸田の七回忌まで後継者となる新会長を立てないことを決定、戸田幾、細井日達立会いの下、池田、石田、和泉、柏原らが誓約書に署名。6月30日 – 本部幹部会で「総務」ポストの新設が発表され、池田が就任。
1959年(昭和34年) 6月 - 池田が青年部参謀室長を辞任し、総務職に専念。
1960年代​
1960年(昭和35年) 5月3日 - 戸田の没後2年(三回忌)を経て、池田大作が創価学会第3代会長に就任。理事長に原島が就任。7月 - 創価学会海外本部を設置。
1961年(昭和36年) 11月27日 - 「公明政治連盟」(後の公明党)を発足。大石寺大客殿の寄進として32億円を集める。
1962年(昭和37年) 1月25日 - 大阪事件で起訴されていた小泉と池田が無罪判決を受ける。
1963年(昭和38年) 10月 - 「民主音楽協会」を設立。
1964年(昭和39年) 5月3日 - 池田が政党の創設と衆議院への進出を表明。6月30日 - 第7回学生部総会にて、池田が「創価大学設立構想」を発表。11月17日 - 「公明政治連盟」を改組して政党、「公明党」を結成。結党宣言で、日蓮の『立正安国論』を引用し、「『王仏冥合』・『仏法民主主義』を基本理念とする」旨を謳う。
1965年(昭和40年) 7月 - 『聖教新聞』が日刊化。10月9日〜12日 - 正本堂建立のため4日間の供養が行われ355億円が集まる。
1968年(昭和43年) 年間行事として本部総会(5月)、男子部総会(11月)、女子部総会(11月)、学生部総会(7月)、夏期講習会(8月)などが開催。4月1日 -「創価学園」設立。7月 - 参議院選挙で不正投票を行ったとして学会員34人が検挙される。
1969年(昭和44年) 12月2日 - 言論出版妨害事件が表面化。
1970年代​
1970年(昭和45年) 1月 - 総務会の決定で副会長職を設置。秋谷栄之助、北条浩、森田一哉の3人が就任。同時に公明党中央執行委員長、書記長が学会職務を離れることも決定。5月3日 - 池田が「言論出版妨害事件」について公式に謝罪。創価学会と公明党を組織的に分離することなど組織改革を表明し、即日実行。日本共産党委員長宮本顕治の自宅の電話に盗聴器を仕掛ける。
1971年(昭和46年) 4月2日 - 「創価大学」開学。
1972年(昭和47年) 5月5日 - 池田、アーノルド・J・トインビーと最初の対談を行う。10月 - 正本堂完成。
1973年(昭和48年) 5月3日 - 静岡県富士宮市・大石寺境内地に富士美術館が開館。
1974年(昭和49年) 10月 - 妙信講(現在の冨士大石寺顕正会)男子部約70名が創価学会本部(創価文化会館)を襲撃し、創価学会の会館警備をしていた牙城会メンバーと乱闘騒ぎを起こす。12月 - 日本共産党との間で、向こう10年間の「相互不干渉」、「共存」をうたった「創共協定」を締結。
1975年(昭和50年) 1月 - グアム島において、創価学会の海外組織である「創価学会インタナショナル」(SGI)が設立される。池田が会長に就任。
1976年(昭和51年) 月刊誌『月刊ペン』(1976年3月号・4月号)に中傷記事を掲載した同紙編集長隈部大蔵を名誉毀損罪容疑で刑事告訴。
1977年(昭和52年) 1月 - 池田が第9回教学部大会における「仏教史観を語る」と題する講演で「出家も在家も同格」と発言。反学会派僧侶からの批判が強まる。5月 - 民社党中央執行委員長春日一幸から公明党中央執行委員長竹入義勝宛に国会で池田の豪華専用施設等について調査し、質問する旨を知らせる手紙が届く。7月 - 池田が大石寺への参詣を一時的に禁止される。
1978年(昭和53年) 6月 - 『聖教新聞』紙上で「教学上の基本問題について」と題し、教義逸脱を是正することを表明。11月 - 創立48周年記念登山代表幹部会に幹部、全国の教師2,000人らが大石寺に出向く。創価学会が宗門の許可を得ないまま、本部常住御本尊など8体を模刻して会員に礼拝させていたとされる件について、学会側は「不用意に御本尊8体を模刻してしまい、行き過ぎの点があった」として謝罪。本部常住御本尊以外の御本尊7体を大石寺に納めることで事態の解決を図った。
1979年(昭和54年) 4月24日 - 池田が会長職を辞任し、名誉会長に就任。理事長だった北条が第4代会長に就任。理事長には森田が就いた。創価学会会則の制定により会長の任期を終身から5年に変更。4月26日 - 池田が法華講総講頭を辞任。他の法華講と同様に日蓮正宗の監督を受けることを約束する。日達は池田を法華講名誉総講頭に任ずる。5月3日 - 日達が創価学会第40回本部総会において問題の収束を宣言。ここに第一次宗創問題が終結する。7月22日 - 日達が遷化(死去)(77歳没)。8月6日 - 阿部日顕が宗門第67世法主に登座し、御座替りの儀式、および御盃の儀を行う。
1980年代​
1980年(昭和55年) 7月4日 - 反学会急進派の僧侶、当時は学会に融和的とされた日顕を批判し独立、正信会を結成。10月 - 静岡県富士宮市に「富士桜自然墓地公園」が完成。
1981年(昭和56年) 7月18日 - 北条が死去。副会長だった秋谷が第5代会長に就任。以後、2006年(平成18年)に辞任するまで秋谷は6選を果たす。
1983年(昭和58年) 1月 - 『創価新報』創刊。11月 - 東京富士美術館(東京都八王子市)が開館。
1984年(昭和59年) 1月 - 池田が「法華講総講頭」に再任。
1985年(昭和60年) 4月2日 - 「創価女子短期大学」開学。
1989年(昭和64年/平成元年) 7月16日 - 横浜市旭区の産業廃棄物処分場に現金約1億7000万円の入った金庫が捨てられていたが、これが創価学会幹部によるものと判明。批判を受ける。
1990年代​
1990年(平成2年) 7月16日 - 日顕ら日蓮正宗上層部が創価学会破門に向けた「C作戦(創価学会分離作戦)」を計画。11月16日 - 本部幹部会で池田が日蓮正宗宗門並びに日顕を批判する発言を行う。学会側は「名誉会長(池田)は(後述の)「お尋ね」文書にあるような発言を全くしていない」として反論。12月16日 - 日蓮正宗宗門が前月の池田の発言内容について「第三五回本部幹部会における池田名誉会長のスピーチについてのお尋ね」とする文書で質問。「お尋ね」文書の内容は、池田が僧侶を批判した、四箇格言を否定し、親鸞を好意的に評価した、外道(仏教以外)の歌である『歓喜の歌』を評価した、などとして批判する内容。学会側は反論。12月27日 - C作戦発動。日蓮正宗宗門は法華講総講頭に任期制を導入、これにより1990年(平成2年)末の任期終了と共に池田は法華講総講頭の資格を自動的に失い、第二次宗門問題が勃発する。
1991年(平成3年) 5月 - 国税局から一部事業における税金の申告漏れを指摘され、修正申告及び不足分の納税を行う。11月7日 - 日蓮正宗宗門から創価学会に対し『解散勧告』がなされる。学会はこれに対し1624万余の署名とともに「日顕の退座」を要求する文書を郵送して反論。11月28日 - 日蓮正宗宗門が創価学会および創価学会インタナショナル(SGI)を『破門』する。これにより日蓮正宗と創価学会・SGIの関係が消滅。
1992年(平成4年) 7月 - 全国の地区幹部の中から「友人葬」などの冠婚葬祭を執り行う導師を任命。8月 - 池田が日蓮正宗から信徒除名処分にされる。11月 - 青年部機関紙『創価新報』が捏造した宴席写真を掲載し日顕を批判、日蓮正宗との訴訟に発展。地裁判決では学会側が写真の捏造を行ったことを認定し、学会側が敗訴、原告が求めた賠償請求も認められた。その後学会が控訴した高裁において名誉毀損は認定したが損害賠償は認められなかった。日蓮正宗側は損害賠償を求め上告するも棄却された。
1993年(平成5年) 8月6日 - 池田、『新・人間革命』執筆に着手。9月7日 - 栃木県小山市・淨圓寺所蔵の享保5年(1720年)の日寛書写の曼荼羅御本尊を御形木御本尊として、日本全国および世界の会員に授与することを総務会・参議会・教学部最高会議・県長会議および責任役員会の決議で決定し、同日開催の第70回本部幹部会で「御本尊授与に関する制定」を発表。10月12日 - 日寛書写の曼荼羅御本尊の授与を開始。
10月 - 東京都八王子市に東京牧口記念会館が開館。11月 - 第一次池田大作サリン襲撃未遂事件。オウム真理教がサリンによる池田の暗殺を計画。東京都八王子市の東京牧口記念会館周辺でサリンを噴霧。12月18日 - 第二次池田大作サリン襲撃未遂事件。オウム真理教が東京都八王子市の東京牧口記念会館周辺でサリンを噴霧し、牙城会員数人が被害を受け、実行犯の新実智光が自らが撒いたサリンにより重体。この後、信濃町の本部、全国各地の会館、創価大学、創価学園など学会関連施設での警備が厳重になる。
1995年(平成7年) 9月 - 東京都・東村山市議会議員朝木明代の死に関連して市議が自殺前に創価学会を批判していたことから、創価学会が謀殺したとのデマが広まる。
1996年(平成8年) 2月 - 「戸田記念国際平和研究所」を創設。6月 - 元女性会員が池田から過去数回にわたりレイプされたと虚偽の主張をし、裁判を起こす。9月 - 宗教法人法の改正が施行され、所轄省庁が東京都から文部省(現:文部科学省)に変わる。
1997年(平成9年) 1月 - 公式サイト「SOKAnet」を開設。11月30日 - 同日をもって日蓮正宗の信徒資格を喪失。
2000年代​
2002年(平成14年) 3月 - 創価学会会則を改正。初代牧口、第2代戸田、第3代池田の「三代会長」を、「永遠の指導者」とする規定を入れる。
2003年(平成15年) 9月 - 教学部員の任用試験が全国一斉に開始される。11月 - 創価学会現役会員ら数名が池田大作の秘書を騙り、みずほ銀行から巨額の融資詐欺事件を起こす。
2004年(平成16年) 9月10日- 勤行様式を改定。
2006年(平成18年) 11月9日 - 秋谷が会長を辞任し、最高指導会議議長に就任。新会長には副理事長の原田稔が就任。同月、原田の会長就任披露を兼ねた、新時代第1回本部幹部会開催。本部幹部会の回数がリセットされ「学会新時代」の開始が宣言される。
2007年(平成19年) 9月22日 - 「広布第二幕」第1回青年部幹部会。以後、各部幹部会会合の回数がすべてリセットされる。
2008年(平成20年) 5月 - 富士美術館(静岡県富士宮市)閉館。収蔵品は東京富士美術館(東京都八王子市)に移動。
2010年代​
2010年(平成22年) 6月3日 - 「新時代第41回本部幹部会」で名誉会長の池田大作が第一線から退くことが発表された。11月18日 - 創立80周年。老朽化した本部ビルと創価文化会館を建て替え「創価学会総本部」を建設すると発表。
2011年(平成23年) 11月4日 - 会長選出委員会が開催され、任期満了となった原田会長が再任された(2期目)。
2012年(平成24年) 12月19日 - 創価文化センター開館。
2013年(平成25年) 11月5日 - 創価学会総本部会館(仮称)の大礼拝室で名誉会長の池田を導師として落慶入仏式が執り行われた。8日に行われた落成記念勤行会の席上、総本部会館は広宣流布の大願を誓う殿堂であるとして「広宣流布大誓堂(こうせんるふだいせいどう)」と命名すると発表、信濃町に所在する学会関連施設全体の呼称が「創価学会総本部(そうかがっかいそうほんぶ)」となる。
2014年(平成26年) 11月7日 - 総務会で創価学会会則第2条・教義条項の改正を決議。「一閻浮提総与」や「一閻浮提広宣流布」など、日蓮正宗由来の用語を一掃し、「人間革命」や「世界広宣流布」などといった、創価学会色の強い表現に変更。弘安2年の御本尊を受持の対象としないことを表明し、教義条項における「御本尊」の位置付けも変更。「御本尊」は「創価学会が受持の対象として認定した御本尊」とした。同日開催の全国総県長会議で教義条項の改正を発表。
2015年(平成27年) 11月16日 - 勤行要典の祈念内容の一部改正が発表され、名称を「創価学会 勤行要典」に改めて翌2016年(平成28年)に発売すると発表される。
11月17日 - 総務会で会則改正を決議。会長任期を5年から4年(再任は妨げない)に変更した。また、会長選出委員会が開催され、会則改正によって任期満了となった原田会長が再任された(3期目)。幹部人事では会則改正によって新設された主任副会長若干名の任命、正木正明理事長の退任と副理事長の長谷川重夫が理事長に昇格する人事を発表した。
2016年(平成28年) 11月4日 - オンライン動画共有サイト「YouTube」で「SOKAnetチャンネル 創価学会公式」を開設し、動画掲載を開始。11月7日 - 創価学会会則の一部改正を決議。第2代会長・戸田城聖の指導を引用し、前文に「創価学会仏」の文言を追加。「三代会長」の条文(会則第3条)に、「『三代会長』の敬称は、『先生』とする。」という文言を追加。
2017年(平成29年) 7月18日 - オンライン動画共有サイト「YouTube」で機関紙「聖教新聞」の公式チャンネル「seikyoshimbun」を開設し、動画掲載を開始。9月1日 - 総務会およびSGI常任理事会・SGI理事会で「創価学会会憲」の制定を決議。会則の上位に位置づけられ、最高法規と規定される。11月10日 - 創価学会会憲署名式が行われ、会憲制定に合わせて改正された会則とともに11月18日(創立記念日)に施行された。
2018年(平成30年) 3月11日 - 同年3月16日に「広宣流布記念の日」から60周年を迎えることを記念した「世界青年部総会」が創価大学池田記念講堂を主会場に開催され、名誉会長・SGI会長である池田大作からのメッセージを発表した(長男の池田博正主任副会長が代読する形式)。8月6日 - 『新・人間革命』全執筆が完了。9月8日 - 『新・人間革命』最終回が聖教新聞紙上に掲載され、完結。
2019年(平成31年/令和元年) 5月1日 - 皇位継承にあたっての会長謹話を発表。11月5日 - 総本部構成施設として建設された「創価学会総合案内センター」がオープン。11月16日 - 聖教新聞社の新社屋として建設された「創価学会世界聖教会館」が落成。11月17日 - 会長選出委員会が開催され、任期満了となった原田会長が再任された(4期目)。
2020年代​
2020年(令和2年) 1月11日 - 世界広布新時代第45回本部幹部会で御書全集の新版を2021年(令和3年)11月18日に発刊する計画を発表。4月3日 - 総本部構成施設として建設された「創価宝光会館」の竣工引き渡し式を実施。8月26日 - 世界広布新時代第46回本部幹部会を広宣流布大誓堂で開催。9月15日 - 総本部構成施設として建設された「創価宝光会館」がオープン。9月27日 - 同年10月2日に「世界平和の日」から60周年を迎えることを記念した「世界青年部総会」が総本部の創価文化センターを主会場にオンライン形式で開催され、名誉会長・SGI会長である池田大作からのメッセージを発表した(長男の池田博正主任副会長が代読する形式)。11月1日 - 世界広布新時代第47回本部幹部会を広宣流布大誓堂で開催、2021年の年間テーマを「希望・勝利の年」に設定した旨を発表した。
2021年(令和3年) 1月7日 - 本部幹部会の回数をリセットした第1回本部幹部会を広宣流布大誓堂で開催。1月31日 - 回数をリセットした第1回青年部幹部会を東京戸田記念講堂(東京・巣鴨)を主会場にオンライン形式・無観客で開催され、名誉会長・SGI会長である池田大作からのメッセージを発表した(長男の池田博正主任副会長が代読する形式)。3月22日 - 藤田観光から2月に売却された太閤園の所有権移転が完了。4月18日 - 第3回本部幹部会を東京戸田記念講堂(東京・巣鴨)で開催し、婦人部・女子部を統合した「女性部」発足の発表、新版御書全集の概要説明、学会創立100周年記念事業である「関西池田記念大講堂」の建設計画を発表した。4月21日 - 聖教新聞紙上で「関西池田記念大講堂」の建設計画を公表。5月3日 - 婦人部の名称を「女性部」に変更する改正会則を施行。11月17日 - 第80回総務会で女子部を女性部に統合する会則改正と「創価学会社会憲章」制定を承認。11月18日 - 改正会則と「創価学会社会憲章」を施行。『日蓮大聖人御書全集 新版』を発刊。
2022年(令和4年) 1月27日 - 中央社会協議会で第26回参議院議員通常選挙比例区で公明党を支持することを決定。同時に1994年に決定した各種選挙における支援の基本原則について「人物本位」であることを再確認した。
●日蓮系教団との関係​
日蓮正宗との関係​
   日蓮正宗傘下の時代​
かつて創価学会は日蓮正宗の在家の信徒団体であったが、戸田が布教の利便と宗門である日蓮正宗を外護するため、宗門に宗教法人格の取得の許可を願い出た。そこで日蓮正宗は「新規に入会した会員は信徒として末寺に所属させること」、「(日蓮正宗の)教義を守ること」、「仏・法・僧の三宝を守ること」を条件に承諾した。
   昭和52年路線​
1977年(昭和52年)1月の第9回教学部大会において、池田は寺院の意義について、修行者が集い、仏法を研鑽し、布教へ向かうための道場・拠点と位置付け、その本義からして、「創価学会の本部・会館、また研修所もまた「近代における寺院」というべき」と語った。
これに対し、宗門=日蓮正宗側は池田の主張は教義からの逸脱であると批判し、批判を受けて創価学会は謝罪した。さらに山崎正友が独自に宗門若手僧侶を扇動し、批判活動を行わせた。山崎は創価学会への恐喝罪により懲役3年の実刑判決を受けている。
創価学会の立場を支持する佐藤優によれば、学会と日蓮正宗の対立の「背景には、僧侶が『上』、一般信徒は『下』とする宗門の宗教観と、そのようなヒエラルキーを認めない民衆宗教である創価学会の基本的価値観の対立があった。」とする。
学会幹部が日蓮正宗総本山大石寺に登山を行う事で一応は収まったものの、その後も日蓮正宗(宗門)僧侶や檀徒による批判は続いた。
   正信会との対立、日顕との同盟関係​
1979年(昭和54年)7月22日に管長細井日達が遷化(死去)。日達は生前、後継者を指名していなかった。67世法主として阿部日顕が登座すると学会を含めた日蓮正宗内は混乱に陥る。
学会に批判的な僧侶が「正信会」を結成、山崎正友も学会を退会して正信会に参加した。これに対し日顕は学会に友好的に接し、学会も日達から日顕に血脈相承が行われたと指導、池田も宗門を擁護する立場を取った。その結果、宗務院は正信会僧侶の大量処分に踏み切り、ついには批判派僧侶のほとんどが日蓮正宗から追放された。
後述する宗門との対立後は、池田や学会は日顕が受けたのはあくまでも内証(内定)であって、正式な儀式は行われておらず、後継指名は成り立たないと解釈を変更している。
詳細は「正信会#結成とその後」、「日顕 (日蓮正宗)#正信会破門」、および「血脈相承_(日蓮正宗)#位置付け」を参照
   日蓮正宗との対立・決別​
正信会問題では共闘した日顕との関係は悪化に向かう。1990年(平成2年)7月17日、日蓮正宗との連絡会議の席上、学会側が宗門や法主を批判して席を立つ。同年11月16日、第35回本部幹部会における池田のスピーチに対し、日蓮正宗側は法主や僧侶を軽視するものだとして学会に説明を求める「第三五回本部幹部会における池田名誉会長のスピーチについてのお尋ね」文書を送る。
「お尋ね」文章の内容は、池田が僧侶を批判して四箇格言を否定し、親鸞を好意的に評価した外道(仏教以外)の歌である『歓喜の歌』を評価した、などとして批判する内容で、これに対し、学会側は「お尋ね」文書に対する「お伺い」文書を送付し、日蓮正宗側が自分たちを誹謗・中傷しているとして回答を拒否した。
これを受け、日蓮正宗は規約を改正し、1984年1月に再任されていた池田の法華講総講頭の役職を解くことにした。1991年、創価学会は『聖教新聞』紙上等において日蓮正宗へ反論を行う。同年11月、日蓮正宗は、「創価学会」と「創価学会インタナショナル」(SGI)を破門した。
一方で、田原総一郎は、この対立の背景として、日蓮正宗の法主である日顕が先祖の墓を他宗の禅寺に建立していたことが判明したり、異性やカネにまつわる僧侶の醜聞が伝えられたりするなど、多くの学会員が宗門に対して不満を持つようになったのではないか、と言及している。
創価学会と宗門の決別について、佐藤優氏は、世界広宣流布の観点から、創価学会がこれ以上、「宗門のくびきの下に置かれることは非現実的」とし、聖ウルスラ学院の梶田叡一理事長は、日蓮正宗による破門の内実は、「権威的で形骸化した宗門によってそれまで散々蔑まれてきた学会員の魂が、ようやく解放された」としている。
   シアトル事件​
1992年(平成4年)6月、『創価新報』・『聖教新聞』に「日顕が1963年(昭和38年)に法務で米国ワシントン州・シアトルに出張した際に、現地の売春婦と料金トラブルを起こして警察に通報され、身柄を拘束された」、「現地在住の学会員、ヒロエ・クロウが保釈手続きを行った」として、日顕を痛烈に批判する記事が掲載された。日蓮正宗側はそのような事実はまったく存在しないと否定し、日米両国で訴訟が行われた。また、この報道は創価学会や日顕と敵対する正信会・顕正会の機関紙でも報じられた。
   偽造写真事件​
破門後の1992年(平成4年)11月、学会は機関紙『創価新報』に、日顕が芸者と戯れる偽造宴席写真を掲載。日蓮正宗との訴訟に発展。地裁の判決では、学会側の写真偽造を認定し、賠償請求を命じた。しかし、学会側が控訴した高裁では、学会側による写真偽造を改めて認定したものの、原告に日顕の氏名が無い事を理由に原告が求めた損害賠償は認められなかった。日蓮正宗側は上告するも、最高裁で棄却された。
   コーヒーカップ裁判​
1992年(平成4年)、神奈川県川崎市中原区にある日蓮正宗持経寺に息子の遺骨を預けていた創価学会員夫婦が、同伴した数人の学会幹部とともに息子の遺骨を受け取りに訪れた際、本堂で夫が遺骨を受け取り退出。しかし、5分後に再び本堂を訪れ遺骨が骨壷ではなくコーヒーカップに入っていたと主張した。その後の裁判では、数々の証言から創価学会員は敗訴し主張は退けられた。
   日蓮正宗住職交通事故死​
1994年(平成6年)7月、北海道内で日蓮正宗住職の運転する自動車と学会員の運転する自動車が正面衝突する交通事故が起き、住職が死亡、学会員が重傷を負った。現場検証で住職の全面過失と認定されたが、週刊新潮など一部週刊誌が交通事故は創価学会によって仕組まれたものとする内容を掲載。後に事故の当事者である学会員が週刊新潮を提訴、最高裁は週刊新潮の敗訴を言い渡した。
   池田大作に対する狂言訴訟​
1996年(平成8年)、自らの金銭借款が原因で北海道創価学会の幹部を解任された女性が池田大作にレイプされたとの告発手記を『週刊新潮』に掲載。女性とその夫が池田を相手取り損害賠償請求の訴えを起こした。判決は「訴権の濫用による却下」として訴えそのものが退けられた。『週刊新潮』誌上においても、山田直樹は「およそ5年に及んだ裁判は、なんと実質審理に入らないまま終結」と訴訟を振り返り、「裁判を傍聴し続けた」という乙骨正生も「女性の訴えは時効であるとし、女性の夫の損害部分についても実質的な事実審理に入ることなく訴えを退けた」と記述している。
   正本堂解体​
1998年(平成10年)、かつて創価学会が寄進した大石寺正本堂が解体される。日蓮正宗と創価学会の分裂を象徴する出来事であった。
   池田大作本仏論論争​
歴代会長の中でも、初代・牧口、第2代・戸田、第3代・池田の「三代会長」は、「広宣流布実現への死身弘法の体現者であり、この会の永遠の指導者である」と2002年(平成14年)の会則変更の際に定められた。さらに、2016年(平成28年)11月7日に施行された改正会則の第1章第3条2項として、「『三代会長』の敬称は、『先生』とする。」と加筆明記された。ただし、三代の会長個人を本仏である日蓮と同等またはそれ以上に崇め奉ることは認められていない。池田は過去に聖教新聞紙上で「私などを絶対視してはいけない。」と明言している。一方、日蓮正宗側は「池田本仏論」として批判している。
冨士大石寺顕正会との関係​
創価学会と、顕正会の前身である妙信講は共に日蓮正宗内の一法華講という立場であったが、1970年代に学会が主導した大石寺正本堂の建立をめぐり、正本堂が日蓮の遺言(御遺命)にある「本門の戒壇」にあたるか否かの解釈で対立したのを皮切りに関係が悪化した。
妙信講は「非国立」の戒壇を認めない、と言うよりは「国家権力立」ないし「皇室立」でなければならないとする解釈を顕正会に改名した現在も崩していないのに対し、学会と当時の宗門管長細井日達は「戦後民主主義体制の根幹たる主権在民の下では日蓮の指す国の概念は権力ではなく民衆である」という解釈のもと、正本堂落慶をもって御遺命は達成されたと宣言する。
その後日達の仲介で両団体が協議し「正本堂は御遺命の戒壇にはあたらない」とする学会理事長・和泉覚(当時)の談話を聖教新聞に掲載することで一応和解。この談話は落慶法要直前の1972年(昭和47年)10月3日付紙面に掲載され、法要には妙信講関係者も出席した。しかし、和解した後も妙信講は国家権力ないし皇室による「狭義の」国立戒壇建立という思想を放棄せず、学会中央本部に対するデモなどの実力行使に踏み切る。これを受け日達は1974年(昭和49年)8月12日付で妙信講を講中解散処分に付した。
日蓮宗との関係​
創価学会を含む日蓮正宗系教団では日蓮宗を「身延派」と呼び、距離を置いている。
   小樽問答​
1955年(昭和30年)、日蓮正宗妙照寺所属の創価学会小樽班の会員と日蓮宗妙龍寺との間で論争が起こった。日蓮正宗及び創価学会と日蓮宗は幹部を派遣し、小樽市公会堂で公開法論に臨んだ。法論では日蓮宗側がスピーチするたびに激しいヤジが飛び大荒れとなった。
●他の宗教との関係
戸田城聖が存命だった1950年代から、日蓮正宗以外のすべての他宗教・他宗派を一切認めず「邪宗・邪教」として批判してきた。その攻撃の矛先は折伏大行進期には立正佼成会や天理教など日蓮・法華系あるいは神道系の新宗教団体、正本堂建立以降は妙信講(現・冨士大石寺顕正会)や正信会といった日蓮正宗系新宗教団体、そして破門後は日蓮正宗宗門へと向けられた。立正佼成会等が新日本宗教団体連合会や日本宗教連盟などを通じて他教派との交流を取っているのと異なり、2017年(平成29年)現在でも学会本体・公明党共に日本国内の他の新宗教教団とは協調するまでには至っていない。
一方、日蓮正宗からの干渉により進捗に支障があったキリスト教やイスラム教など仏教以外の既存世界宗教との対話は、同宗からの破門と前後して徐々に軟化。その傾向が顕著になったのは「SGI憲章」が制定された1995年(平成7年)11月23日以降で、憲章の7番目の項目として「仏法の寛容の精神を根本に、他の宗教を尊重して、人類の基本的問題について対話し、その解決のために協力していく。」と記述され、方針転換を正式に表明した。現在、創価学会インタナショナルは(日本を含む)世界192の国と地域に組織を持ち、特定の宗教以外が厳しく制限されているイスラム圏、社会主義国など一部地域を除いて全世界に活動の幅を広げるまでに至っている。
戦前の国家、神道との関係​
島田裕巳によると初代会長の牧口常三郎は皇太神宮の神札である神宮大麻を拝むことを拒否し焼却させたが、国家神道の全てを否定していたわけではないという。第5回総会での全員座談会において牧口は靖国神社に参拝する意義を説き、靖国神社への参拝はご利益を得るためのものではなく感謝の心を表すものである点を強調した。さらに牧口は、天照大神や代々の天皇に対して「感謝し奉る」と言い、昭和天皇を現人神と認め、「吾々国民は国法に従って天皇に帰一奉るのが純忠だと信ずる」と述べている。
また、現代ビジネス(Web版週刊現代)によると、当初、創価学会の前身である戦前の創価教育学会は治安当局と左翼運動取締りにおいて協力的な関係にあった。創価教育学会は「赤化青年の完全転向は如何にして可能なるか」とうたったパンフレットを発行し、治安当局との蜜月ぶりを会員獲得に向けた宣伝材料にもしていた。牧口らは警視庁特高課やその元締めである内務省警保局、思想検事ら治安当局と緊密に連絡を取り合っていた。しかし、共産党を壊滅させた後、治安当局が次に取り締まり対象としたのは宗教団体であった。一転して創価教育学会は特高警察の弾圧を受けることになった。ただしそれは創価教育学会が反戦・平和を訴えたからではない。神宮大麻を拝むことを拒否し焼却させるなどしたからである。
当時、大方の宗教団体がそうだったように、日蓮正宗も戦争には協力的な立場だった。それは日蓮正宗の在家信徒団体である創価教育学会も同じであった。例えば、創価教育学会の機関紙「価値創造」の第6号には、日蓮正宗宗務院が1942年1月21日付で出した布告を転載していた。その布告の内容は、日蓮正宗が2月8日午後、大石寺において全国から僧侶や檀信徒を集め「大東亜戦争戦勝祈願大法要」を開催し、日蓮正宗にとって信仰の根本である「戒壇の大御本尊」の御開扉に続き、「戦争完遂宣誓式」を行うというものであった。さらに1941年10月の「価値創造」第3号ではアドルフ・ヒトラーの『我が闘争』について大きく紙面を割いて紹介し、ヒトラーを「現代の転輪聖王」と持ち上げ、理想的な君主とみなしていた。
1942年になると、日本軍が南方で緒戦の勝利を重ねていたためか創価教育学会の幹部達から勇ましい発言が相次ぐようになる。『価値創造』の後継誌として出された小冊子「大善生活実証録」(国立国会図書館に覆刻版が所蔵されている)によると、総会の開会にあたり幹部の一人が「陛下の御稜威の下、我が陸海軍将兵が緒戦以来、赫々たる戦果を挙げている事は、吾等の衷心より感激に堪えない次第である……我国としても、もう寸毫の妥協も許されず、勝つか負けるかの一時のみ、否、断じて勝つの一手あるのみである」と挨拶。閉会では別の幹部が「いまや、皇国日本か北はアリューシャン群島方面より遥かに太平洋の真中を貫き、南はソロモン群島付近にまで及び、更に南洋諸島を経て、西は印度洋からビルマ支那大陸に、将又蒙彊満州に至るの広大なる戦域に亘り、赫々たる戦果を挙げ、真に聖戦の目的を完遂せんとして老若男女を問わず、第一線に立つ者も、銃後に在る者も、いまは恐くが戦場精神によって一丸となり、ひたすらに目的達成に邁進しつつあることは、すでに皆様熟知されるところである」と締めくくった。また、総会はいつも皇居に向かっての遥拝で始まり、会の終わりには軍歌が歌われた。
一方、創価学会は「学会が軍部政府におもねっていたとすれば、牧口会長も戸田会長も、逮捕されることなど全くなかった」とする見解を取っている。その見解によると、1943年6月、牧口は戸田とともに日蓮正宗総本山・大石寺に召喚され、当局による弾圧を懸念した宗門側から「神札を受けるように」と勧められるも、日興の残した遺戒にある「時の貫首為りと雖も仏法に相違して己義を構えば之を用う可からざる事」の精神を貫き通し、「承服いたしかねます。神札は、絶対に受けません」と言って拒否した。それから1か月後、神札の受け入れを拒否した行為が不敬罪と治安維持法違反にあたるとして、牧口や戸田、他の幹部ら21人は逮捕・投獄された。幹部たちは退転していったが、牧口・戸田の2名だけが最後まで信仰を貫き通した。牧口は1944年11月18日、学会の創立記念日にあたるこの日に東京拘置所で「殉教(=獄死)」し、1人生き残った戸田は終戦1か月前の1945年7月3日に豊多摩刑務所から出獄し、弾圧によって壊滅状態だった学会の再建に挑んだというものである。
●政治との関係​
創価大学の中野毅によれば、創価学会の政治参加の動機は、中小企業労働者を中心とする民衆の代弁、政治の監視、信教の自由の確保の三点に集約されるという。会長秋谷の日本外国特派員協会での1995年(平成7年)の会見でもこの3点が強調された。
創価学会インタナショナルの Rie Tsumura によれば、創価学会の政治への関与は第二次世界大戦時に弾圧された経験をもとにした「主に防御的」("largely defensive")なものであった。
政治学者の中北浩爾は、「公明党は、宗教団体の創価学会を支持母体として、一九六四年に結成された。自民党が財界をスポンサーとしつつ農村部に主な支持基盤を築いたのに対し、公明党は高度経済成長に伴って都市部に流入した比較的貧しい人々を組織化した。日本政治の中枢に位置した自民党とは違い、公明党は周辺から生まれ、成長していったのである。」とした。
國學院大學の塚田穂高によれば、第二代会長戸田城聖は「国立戒壇」の建立を訴え、「王法と仏法が冥合すべきである」(「王仏冥合」)として政教一致的な理念を論じた。中野毅によれば、戸田の展開した王仏冥合論・国立戒壇論は政教分離原則に反するとの疑念を受けやすかったが、戸田に日蓮正宗国教化を目指す意図はなかったという。国立戒壇の建立は創価学会の政治進出における宗教的目的であり、世俗的な目的はあくまで「社会の繁栄と個人の幸福」を一致させることにあったと中野は指摘した。中野によれば、「国立戒壇」建立は戸田時代初期の創価学会の政治参加の目標の一つだったが、早い段階でそれは放棄された。島田裕巳は、創価学会の政治への関心について戸田が1956年(昭和31年)に記した中での「本門の戒壇」への言及、池田の1959年(昭和34年)の「国立戒壇の建立と学会員の前途」という講演における「政治上に、本宗の正義を用いる」という発言に注目し、これらの表現は「実質的には日蓮正宗の国教化を意味」していたのではないかと論じた。
戸田の下、創価学会は1956年(昭和31年)の第4回参議院議員通常選挙での白木義一郎・北条雋八擁立などを通して政治に進出した。第三代会長池田大作の時代に「国立戒壇」という言葉は「本門の戒壇」「民衆の戒壇」などに言い換えられ、「仏法民主主義」「世界民族主義」など普遍性のある用語が目立つようになり、「国立戒壇」は1964年(昭和39年)の公明党結党宣言にも盛り込まれなかった。創価学会批判の妨害や政教分離を巡る言論出版問題を受けて1970年(昭和45年)に創価学会は「国立戒壇論」放棄・「政教分離」を宣言し、公明党綱領から「王仏冥合」などの宗教用語を削除して公明党の宗教色を薄めた。
創価学会・公明党は、公明党結成後の1960年代靖国神社国家護持法案反対・日米安保条約改定反対など革新政党の立場にあった。中野毅によれば、このことが理由で創価学会は保守陣営から危険視された。島田裕巳は創価学会は「下層階級を組織化」する点で左翼陣営と競合していたと指摘し、創価学会が政界進出を始めた時点で創価学会は左翼陣営に批判されることはあったが保守陣営に批判されることはなかったと主張する。初期の創価学会は大都市に流入した下層民を中心にしており、学会員の圧倒的多数が社会階層の下層から中間層の下に位置することは2010年(平成22年)に至るまで変わりがない。
寺田喜朗によれば「創価学会の中央―地方組織(中央本部・方面本部・都道府県本部―総合本部・圏ゾーン・本部・支部・地区・ブロック)は、選挙の区割りに対応する形で編成されて」おり、「選挙は、会員間の結合を強化し、組織を引き締め、会員を切磋し、達成感・充実感を与え、創価学会への帰属意識を高める重要なモメント」であるという。島田裕巳は、創価学会では選挙活動が一種のイベントとしての性格を持っており、選挙活動を共にしたことで親密になり、結婚にいたる創価学会員のカップルも少なくないとしている。
政教分離の問題​
宗教団体の政治活動の自由を制限したり禁止したりすることは、憲法に定められた表現の自由や結社の自由を侵害するものであり、宗教を理由にした差別になる。よって、憲法20条に反しないと解釈される。
1970年(昭和45年)4月24日、民社党中央執行委員長春日一幸が「宗教団体が、議会政治機構を利用して政権を獲得することは、憲法の政教分離原則に反するのでは」と質した質問主意書を送付。政府は「宗教団体が推薦や支持をした者が公職に就任し、国政を担当しても、その宗教団体と国政を担当することとなった者とは法律的には別個の存在であり、(憲法20条が禁じている)宗教団体が政治上の権力を行使することには当たらない」旨の答弁書を出した。
政府の見解は
「宗教団体が政治的活動をすることまで排除するという趣旨ではない。」大出峻郎・元最高裁判所判事
「宗教団体と非常に密接な関係にある政党に属する公職の候補者が、その宗教団体の推薦、支持を受けて公職に就任し、国政を担当するに至る場合でも、その宗教団体と国政を担当する者とは法律的には別個の存在であります。(中略)宗教団体が政治上の権力を行使しているということにはならない。」大森政輔・裁判官、元内閣法制局長官
「宗教団体又は宗教団体が事実上支配する団体が政治的活動をすることをも排除する趣旨ではない。」宮崎礼壹・検察官、元内閣法制局長官
「宗教団体又は宗教団体が事実上支配する団体が、政治的活動をすることをも排除している趣旨であるとは考えていない。」佐藤栄作・元総理大臣、衆議院議員
「憲法の定める政教分離の原則は、信教の自由の保障を実質的なものにするため、国及びその機関が国権行使の場面において宗教に介入し、又は関与することを排除する趣旨であります。宗教法人の政治的活動を排除する趣旨でないと考えております。」麻生太郎・元総理、衆議院議員
となっている。 その他、一部議員により「政教一致」であるとの批判はたびたびなされている。
また内閣官房参与の飯島勲は2014年(平成26年)6月、「公明党と創価学会の関係は政教一致と騒がれてきたが,内閣法制局の発言の積み重ねで政教分離ということになっている。」と政府見解を説明したうえで、仮定の話として「法制局の発言,答弁が一気に変われば,『政教一致』が出てきてもおかしくない。」と発言した。しかし、直後に政府・与党は飯島の発言を否定。自民党の石破茂幹事長は「内閣を代表した形ではない。」と語り、菅義偉官房長官は政教分離についての政府見解を維持するかと問われ、「まったくその通りだ。」と回答している。宗教社会学者の弓山達也は、著書のなかで創価学会を例にあげながら「日本においては政教分離の原則があるが、宗教教団の政治への関与を禁じているわけではない。 むしろ、宗教教団が現世での幸福を願う限り、政治への関与は不可欠となり、特定の政治家を応援したり、宗教政党を結成して積極的に政界に進出したりすることは自然なことともいえよう。」と述べている。
日本共産党との関係​
日本共産党と創価学会は支持層ないし支援対象が重なることなどから、1950年代以降、選挙活動において互いを非難しあうなど対立関係にあった。 1969年(昭和44年)12月2日には日本共産党機関紙の『しんぶん赤旗』が藤原弘達の『創価学会を斬る』の出版を創価学会・公明党が妨害したと報じ言論出版妨害事件が表面化。1970年(昭和45年)には日本共産党委員長宮本顕治の自宅の電話回線を創価学会の学生部幹部数名が盗聴し、逮捕者も出た。
その後1974年(昭和49年)12月、向こう10年間の「相互不干渉」と「共存」をうたう「創共協定」を両者で締結したが、自公連立政権の誕生後は対立が再燃し、しんぶん赤旗が「公明党と創価学会 『政教一体』で『悪政戦犯』の役割」と題した記事で、創価学会首脳が選挙戦で陣頭指揮を執り聖教新聞に会員を鼓舞する記事が掲載されるなどと批判したり、入信強要問題を取り上げるなどしている。
自由民主党との関係​
自民党とは自民党結党以降2代会長戸田城聖と自民党で総裁を務めた岸信介が友好関係にあり、岸の娘婿安倍晋太郎が岸の名代として大石寺の大講堂の完成式典に列席し祝辞を述べた。また創価学会が起こした言論出版妨害事件では公明党中央執行委員長・竹入義勝が自民党幹事長・田中角栄に事態の収拾を依頼、その後自民党田中派竹下派と公明党創価学会は親密、親交を深めていき田中の愛弟子小沢一郎が1993年に自民党を離党すると公明党幹部の市川雄一が小沢に接触、後に「ワン・ワン・ライス」となぞらえられた連携を見せ公明党が非自民党政権の細川連立政権に参加、創価学会も全面的に協力した。この動きを見た自民党は、1993年(平成5年)に同党所属の有志議員が憲法20条を考える会を結成(会長は亀井静香)、「公明党と創価学会の政教分離問題を追及する」を旗頭に創価学会・公明党・細川連立政権に攻勢をかけた。
1994年(平成6年)5月には公明党および創価学会に批判的な宗教団体や有識者からなる四月会の結成に同党所属の河野洋平が参加、自民党は長年の宿敵であった社会党と手を組み、政権を奪取すると、同年10月、同党の川崎二郎が衆議院予算委員会で日蓮正宗住職交通事故死事件を取り上げた。
1995年(平成7年)11月の衆議院宗教法人に関する特別委員会では同党所属の衆議院議員熊代昭彦が創価学会について「我々が内々にいろいろ聞いたところでは、不動産資産9兆円、流動資産1兆円というような堂々たるお力を持っておられるようなことでございますが……」と発言したほか、穂積良行が朝木明代市議転落死事件と創価学会の関係について質問した。
1996年(平成8年)には党の運動方針に「いま、わが国の政治にとって最も憂うべきは、宗教団体・創価学会が新進党という政党の皮をかぶって国民を欺き、政治の権力を握ろうと画策していること」というスローガンが存在したがこれは前年に行われた参議院選挙で自民党が新進党に敗北したことから来る衆議院選挙で勝利し政権維持を目的としたものである。同年週刊誌に掲載された「池田大作レイプ事件」の内容を党の機関紙『自由新報』へ引用、内藤国夫、俵孝太郎が「シリーズ新進党=創価学会ウオッチング」と題し「池田大作と金の問題」や「池田大作レイプ問題」を数回掲載した一方、衆議院選挙で勝利し政権維持を目的を達成した後は自由民主党竹下派を中心に公明党との連立を模索する動きも出ていた。1998年(平成10年)4月、自民党総裁で首相の橋本龍太郎が(創価学会の抗議に応じて)『自由新報』の「池田大作レイプ問題」について事実ではなかったと謝罪した。自由新報は現在廃刊されている。これら一連の動きは自民党による反創価学会キャンペーンとして大々的に行われた。
提言​
   原水爆禁止宣言​
1957年(昭和32年)9月8日、第2代会長戸田城聖が創価学会第4回東日本青年部体育大会「若人の祭典」で核兵器の使用禁止を訴える宣言、いわゆる「原水爆禁止宣言」を行った。
戸田はこの宣言を遺訓として会員たちに託し、以後、創価学会が行っている、戦争体験者の証言を集めて出版する「反戦出版」や、反核・平和運動活動の淵源となったとされている。
   日中国交正常化​
1968年(昭和43年)9月8日、池田大作は、東京・両国の日大講堂で行われた学生部幹部会の席上、「日中国交正常化提言」を発表した。
創価学会の出版機関第三文明社は日中が国交正常化にこぎつけることができたのは、日本では、通産大臣や初代経済企画庁長官などを歴任した高碕達之助、厚生、農林、文部の各大臣を歴任した松村謙三、首相を務めた田中角栄と大平正芳、創価学会会長(現名誉会長)の池田大作、中国側では、最高指導者(中国共産党主席)の毛沢東、日本留学の経験をもつ首相の周恩来、早稲田大学で学んだ政治家の廖承志、中日友好協会会長を務めた孫平化ら、日中双方の政治家や各界指導者たち、そしてさまざまな民間人や諸団体の忍耐強い努力があったからにほかならないとまとめている。
   「SGIの日」記念提言
1月26日の「SGI(創価学会インタナショナル)の日」に寄せて、池田大作名誉会長による平和提言が、1983年以来毎年聖教新聞上で発表されており、2022年の提言で40回目となっている。2022年の提言では、2023年に日本で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ「核兵器の役割低減に関する首脳級会合」を広島で催すよう提案した。また、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、感染症対策を巡る国際協力を強化する国際ルールの早期制定を呼びかけた。
●マスメディアとの関係​
機関紙である聖教新聞などは、「無冠の友」と呼ばれる会員の有志による全国的な宅配網が整備されており、一般紙と同じく日刊で全国に配達されている。聖教新聞社は自前の印刷所を持たず、全国紙の系列の印刷会社や複数の地方紙に聖教新聞の印刷を委託している。
地方紙としては印刷所の輪転機を遊ばせておく時間を減らせる上に、印刷代金を確保できる貴重な収入源として、聖教新聞社(=学会)としては自社で全国に高速輪転印刷機の設備を維持せずに全国津々浦々に日刊で新聞を届ける事ができるという風に、両者の利害が一致している。また、全国紙でも毎日新聞社や読売新聞社は聖教新聞の印刷を傘下の印刷会社で受託しており、読売新聞社は2020年(令和2年)5月1日から茨城県での聖教新聞などの配達業務を受託するまでになった。聖教新聞社(=学会)側には「無冠の友」の人手不足や学会員の高齢化が、読売新聞社には部数減に歯止めがかからない中、全国に整備した販売店の存続という課題が背景にあるといわれている。また、毎日新聞では池田の寄稿を掲載したり、系列の出版社からは池田の著作が出版されたりしている。このことについて、週刊誌「デイリー新潮」では、「ある全国紙記者」の発言として、「いまや毎日にとって学会は、ぞんざいに扱うことができない大口顧客であり、学会に関する批判的な記事など書けるはずもありません」と記している。    
創価学会には聖教新聞社(『グラフSGI』)を始め、潮出版社(『潮』、『pumpkin』)・第三文明社(『第三文明』、『灯台』)などの系列出版社がある。
また、全国・地方を問わずラジオ局への番組提供は複数ある(下記参照)。テレビ局では地方局や独立局を中心に池田原作のアニメや広報番組が放映されているほか、在京キー局などで聖教新聞のCMが放送されている。ただ、J-WAVE、関西テレビ、テレビ熊本のように、公明党のCMおよび政見放送と当学会系列の学校教育機関(創価大学、創価学園)のCMを除き、創価学会関連組織(聖教新聞を含む)のCMの出稿(放送)の一切を受け入れない放送事業者もある。
●創価学会が起こした社会問題​
言論出版妨害事件​
1960年代末から1970年代にかけて、創価学会と公明党が会長の池田大作や自らに批判的な書籍の出版、流通を阻止するため、学会員や公明党党員が著者・流通業者・取次店・書店に、脅迫や圧力をかけて出版を妨害したり、出版前の原稿に自らの主張を織り込むよう要求した問題。
公明党が結成され衆議院で議席を獲得しはじめると、創価学会批判の書物が発表されることが増えた。1969年(昭和44年)の藤原弘達の『創価学会を斬る』をはじめとする様々な批判本に対して創価学会から圧力がかけられていることが明らかとなり、池田は1970年(昭和45年)5月に一連の妨害行為に対し謝罪した。この件は日本共産党の不破哲三も1970年国会での質問で取り上げた。
これらの行為が、日本国憲法に保障された、言論の自由および出版の自由を侵害するものだとして、国会で取り上げられたが、当初、公明党はNHKの公開討論で「これらは全て嘘、デタラメである」と主張した。しかし、国会に招致された出版社や取次店などの証言により、創価学会・公明党が事件に関与していたことが明らかになるとマスメディアから激しい社会的批判にさらされると共に、創価学会・公明党の密接な関係や当時、公明党が創価学会の内部局として存在し、国会や地方議員を務めた人間が再び学会幹部として組織に戻るなど公明党が組織として独立していなかったことが、政教分離の観点から問題視された。
1970年(昭和45年)、池田大作が「言論妨害の意図はなかった」としながらも、妨害行為に対し公式に謝罪、公明党を創価学会から切り離し組織として完全に独立させるなど、創価学会・公明党の問題点を改善することを公約した。しかし後年、池田の著書「新・人間革命」では「衆院選前に、藤沢達造(藤原弘達の仮名)の本とともに、学会の批判本が次々と出されたのだ。暗黒の嵐が吹き荒れ、伸一(池田の仮名)を倒さんとする、攻撃の毒矢が放たれたのであった。」と掲載。「週刊新潮」と不破哲三は、年月が経ったことに乗じて、歴史を改竄するものだと批判した。
選挙における不正投票、不正行為、問題行動​
「大阪事件 (創価学会)」、「新宿替え玉事件」、および「練馬区投票所襲撃事件」も参照
1957年(昭和32年)4月に参議院大阪地方区の補欠選挙が施行された際、創価学会員が大阪あいりん地区に住む日雇い労働者達に候補者名の氏名の入ったタバコや現金を渡したとして創価学会員ら47名が公職選挙法違反で逮捕された。裁判では小泉隆、池田大作は無罪、45名に有罪判決が下され、有罪となった会員45名は戸田会長の名で会員除名処分を受けた。
1968年(昭和43年)に行われた第8回参議院議員通常選挙で不正行為(投票所入場券の窃盗、替え玉投票など)を行い、創価学会員34名が検挙された。
1969年(昭和44年)には投票受付時間終了後に投票所を訪れた学会員の対応を巡り暴徒と化した学会員が投票所を襲撃、投票所内にいた選挙立合人数名に暴行を加え逮捕者を出した。この襲撃事件は共産党選出の国会議員が公職選挙法改正に関する特別委員会の場で明らかにし、自治省に対処を求めている。
学会員が起こした犯罪、問題行動​
学会員が起こした犯罪や社会問題で裁判所が創価学会の組織的関与認めた事案として大阪事件 といった選挙違反、コーヒーカップ裁判宮本顕治宅盗聴事件 といった反目する団体への誹謗中傷行動、手帳強奪事件 のように学会と袂を分かった元学会幹部への違法行為が挙げられる。かつて犯罪を起こし逮捕された学会幹部を除名せず、その幹部が数年後再び刑事事件を起こし学会幹部として逮捕されたこともあり組織として学会の体質が批判されたケースも存在した。
セクト問題、諸外国での騒動​
   フランス​
1995年12月にフランスの下院(フランス国民議会)で採択された「通常の宗教か、セクト(カルト)か」を判定する国際的な指針は調査委員会の委員長の名前を取って『アラン・ジュスト報告書』と呼ばれる。 「@精神の不安定化A法外な金銭的要求B住み慣れた生活環境からの断絶C肉体的保全の損傷D子供の囲い込みE反社会的な言説F公秩序の攪乱G裁判沙汰の多さH従来の経済回路からの逸脱I公権力への浸透の試み」を「セクト構成要件の10項目」として列挙し、このうち1項目でも該当するものがあればその団体をフランス政府はセクトとみなしている。 リストアップされたのは創価学会を含む全部で174の宗教、宗教団体であった。
フランス国民議会カルトに関する議会委員会(1995年)
フランス国家警察の情報機関総合情報局が、UNADFI(カルトの被害者と家族を守る協会の全国連合)など、複数のカルト監視グループと編集フランス国民議会カルトの財務、所有物、収益、同様にそれらの経済活動、経済・金融の関わりに関する公聴委員会報告(1999年)
カルトと金銭に関するフランス議会報告、30数団体に注意を集中させ調査した。
詳細は「反セクト法」を参照
現在、創価学会はセクトとして取り扱われていない。
2011年9月、フランスの新聞『ル・モンド』の月刊誌「Le Monde DES RELIGIONS」に『創価学会、自己の内なるブッダ』と題するルポルタージュが掲載され、創価学会の歴史や活動が詳しく報じられた。ここでは、創価学会が日蓮正宗と絶縁した理由について「創価学会のプラグマティズム、およびその在家による現代世界を中心に捉える方向性は、日蓮正宗の聖職者集団による教条主義的宗教観とはもはやできなくなったからである。」と解説した。また、過去にフランス国会に提出された報告書が創価学会をセクト扱いしていた背景についても解説し、首長直属機関であるセクト逸脱行為監視取締り関係省庁委員長ジョルジュ・フネックによる「ここ5年以上に渡りSGIフランスに関して、我々はセクト逸脱行為の通報を一切受けてない。運動体(SGIフランス)は礼拝、文化、商業活動を区別し、フランスにおいてはまったく問題を提起しない。」とのコメントを紹介している。
   ベルギー​
ベルギーでは創価学会(SGI)が複数の未成年者を勧誘したことが発覚し社会問題となる、1997年、ベルギー議会調査委員会は未成年者保護のため創価学会(SGI)をセクト的な活動を行う団体にリストアップし未成年者への勧誘、入会を禁止した。
   ドイツ​
1980年代から90年代にかけて、日本に留学していた複数のドイツ人が創価学会の総会で池田大作が右手(実際は右の拳)を高くつきだし、それに呼応して参加者たちが一斉に右手を突きだした光景を目撃したことから「創価学会はナチス式敬礼を行う危険な団体」 などといった誤った風潮がドイツ国内に伝わる。その後1996年、創価学会インタナショナル(SGI)等を新宗教と精神世界グループの一団体としてリストアップした。
   イギリス​
イギリスの経済紙『エコノミスト』1999年7月3日号で「創価学会は(日蓮正宗[大石寺]が創価学会との結び付きを断ち池田氏を破門したことによって)主な目的を失った現在、世界中で行っているよい仕事の成果を強調するようになった。さらに創価学会は富裕になって以降初期の目標を失ったその他多くの組織と同様に、批判者を脅迫、主流マスコミを脅して黙らせるという容赦なさでその利害を守っている。」と批判した。
   イタリア​
2015年06月27日、イタリア共和国とイタリアSGI(イタリア創価学会仏教協会)との間に、インテーサ(宗教協約)が調印され、調印式がフィレンツェのイタリア文化会館で厳粛に執り行われた。しかし、式典に池田大作が出席せず代理人をたてたことからイタリアの大衆紙「Corriere della Sera」は「Nessuna cerimonia di vincitori(受賞者なき授賞式)」、「Governo ha dato lui la medaglia di fantasmi(幽霊に勲章を授けた)」などの批判記事を掲載した。
   韓国
韓国SGIに関連した批判が下記のようにある。
1997年(平成9年)に行われた韓国大統領選挙で候補者の金大中が日本で秘密裏に公明党幹部と面会し、日本の公明党の影響下にある韓国SGIから支持を得られるように依頼し公明党幹部の藤井富雄が了承したとされる。
韓国SGIが平和をテーマに行なった集会で竹島の領有権主張や歴史教科書問題、日本の軍国主義批判が背景になっていたことを、週刊新潮が「反日集会」と報道する。
2002年(平成14年)8月15日、韓国・SGIが池田大作の指示で韓国の政治家へ総額20億ウォンの裏金をばら撒いた不正疑惑が、SGIの内部告発という形で韓国の有力全国紙である『中央日報』『東亜日報』『朝鮮日報』の3紙に掲載され日本では週刊実話が『韓国 三大紙上で暴露 池田大作SGI会長が韓国の政治家にバラまいた20億ウォン裏金疑惑』として掲載されたこと。
●創価学会に関する疑惑​
P献金​
「創価学会には、P献金と呼ばれる献金が存在している」という疑惑。P献金のPとは「プレジデント(英:President)」の略で公明党の支持母体、創価学会の池田大作名誉会長を指しているというもの。公明党出身の国会議員福本潤一が2007年(平成19年)6月、外国人記者クラブで外国人記者を前にし、「公明党の議員は選挙で当選した際に衆議院議員は300万円、参議院議員は600万円の献金を行うよう要請されている」と記者会見した。福本の記者会見の内容を民主党の石井一が2007年(平成19年)10月16日、参議院予算委員会で「P献金」を追及した。
『憚りながら』で示された疑惑​
後藤組元組長の後藤忠政の著書『憚りながら』では、元公明党最高顧問の藤井富雄が、後藤(元組長)のもとを訪れ、「反学会運動をしている亀井さんら四人の名前を挙げ『この人たちはためにならない』という意味のことを言った」とされている。著書に登場する編集者は、そのやりとりを、「受け取りようでは後藤組長に四人への襲撃を依頼したという意味にもとれる」と表現した。また、共同通信社記者の魚住昭は『月刊・現代』の中で、藤井が後藤に、創価学会に対して批判的な亀井静香(元・衆議院議員)を黙らせて欲しいと依頼する場面が収録されたビデオテープがあることを記している。リストに名前があった亀井は警察関係者、弁護士などと創価学会対策会議を行うこととなる。後藤は著書の中で「池田大作が裏で何をしていたかといったら、山崎や藤井をパイプ役にして俺達ヤクザを散々利用し、仕事が終われば知らんぷりだ。それで俺達がちょっとでももの言おうもんなら、今度は警察権力を使って潰しにかかる。で、それがマスコミにバレそうになったら、頬かむりだ。」と記している。
大鳳会という組織​
「大鳳会(おおとりかい)」という組織の存在について以下で取り上げられた。
1.週刊文春が『皇太子妃雅子が外務省の創価学会シンパ「大鳳会」とディナーをした』という記事を掲載したこと。
2.「創価学会が外務省幹部に『外遊特別待遇』要請書を送った」とされる問題
3.「外務省が、池田大作の海外訪問に特別の便宜を図っている」とされる内容が国会で審議されたこと。
財務私的流用疑惑​
下記のような例がある。
1977年(昭和52年)に 民社党の春日一幸が国会で池田専用の豪華施設等について調査したところ、会員の財務が私的流用されていたのではという疑惑を持ち、当時の公明党委員長委員長竹入義勝宛に質問する旨の手紙を送った。春日は1970年(昭和45年)12月の衆議院予算委員会で池田の証人喚問を求めたが、自民党、公明党の反対で証人喚問は見送られた。また春日は創価学会が起こした言論出版妨害事件でも、国会で池田大作の証人喚問を求めた。
1989年、神奈川県横浜市のゴミ処理施設に廃棄された金庫から1億円もの現金が発見された。当初創価学会は、この問題を第三者の視点から批判したが、 数日後、創価学会総務の中西治雄が持ち主と名乗り出て、「(金庫のお金は)20年以上前に、自分が学会内で不正に蓄財したもので、その存在を忘れているうちに誤って捨てられた」等と述べた。しかし、すべて聖徳太子像が印刷された旧紙幣(C号券)で、半分は真新しい状態であり、「1000万円」と印字された帯封で束ねられたものや、一度も市中に出回っていない新札もあった。さらには中西が自宅を担保に借金をしていたことから矛盾点をマスコミから追及された。当時の学会内部は中西に同情的であり大多数の幹部が「この事件は中西が池田と学会のために泥をかぶった。」との見方をしていた。
●創価学会へのデマ​
茨城新聞による「香典泥棒」報道​
茨城新聞は創価学会信者宅からの取材をもとに1962年(昭和37年)4月1日号において「創価学会は信徒の家に葬式があると、親戚、知己から集まる香典はすべて創価学会支部が持ち去ることになっている」と報道した。創価学会側は記事の内容は事実無根と茨城新聞社へ抗議した。その後、確証が取れないと判断した同社は4月17日、茨城新聞に訂正記事を掲載した。
月刊ペンに掲載された名誉毀損​
雑誌『月刊ペン』が掲載した「四重五重の大罪犯す創価学会」や「極悪の大罪犯す創価学会の実相」という記事が名誉毀損罪にあたるとして、編集長の隈部大蔵が告訴され隈部が有罪となった。
朝木明代市議転落死​
1995年(平成7年)9月、東京都・東村山市議会議員朝木明代がマンションから転落死し、後に警察が自殺と断定。朝木が創価学会と公明党の批判活動をしていたことから、他殺説や学会の陰謀説が浮上した。『週刊現代』・『週刊新潮』・『東村山市民新聞』の記事に対して、創価学会は名誉毀損で提訴し、3つとも学会側が勝訴した。
映画監督伊丹十三の転落死​
1997年(平成9年)に自殺(転落死)した伊丹十三の死が自殺ではなく他殺であるとした説(創価学会が関与したと断定する内容)が2ちゃんねるに掲載された。創価学会は2ちゃんねるの運営者を相手取り、訴訟を起こした。東京地方裁判所は2009年(平成21年)2月、証拠もないのに断定的な内容を掲載し続けたとして、被告に損害賠償金80万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
週刊文春による「池田大作重病説」報道​
『週刊文春』が2011年(平成23年)10月27日号(176ページから179ページ)で池田大作の看護師からの情報をもとに『衝撃スクープ 池田大作「創価学会」名誉会長 担当していた元看護師が語る「厳戒病室」本当の病状』と池田大作名誉会長の重病説を掲載した。週刊文春の記事を受け創価学会は週刊文春や発行元の文藝春秋社に「該当する看護師は存在せず、証言は事実無根である」と抗議。週刊文春は2カ月後の12月29日号で当時の編集長が「小誌は再取材を行いましたが、証言者が看護師であるとの確証を得るに至りませんでした。病状についての記述を取り消し、ご迷惑をおかけした関係者にお詫びいたします。」と謝罪した。
ワールドビジネスサテライトによる報道​
2018年2月27日付けの聖教新聞の報道記事によると、テレビ東京系列で放送されている『ワールドビジネスサテライト』が2017年(平成29年)11月24日の放送で創価学会についての特集を組んだものの、テレビ東京側の不手際で創価学会への取材依頼などがなされないまま取材が行われた上、学会から除名された人物らの主張や言動を一方的に取り上げ、視聴者に学会に対する偏見を植え付けるものとなっていることなどを問題視した創価学会が抗議。テレビ東京は2018年(平成30年)2月22日までに報道内容の誤りを認めて謝罪した。
●創価学会に対する肯定的評価​
日本国内​
   佐藤優​
佐藤優は「池田氏の平和への思いは本物だ。加えて、池田氏は創価学会の理念を体現した存在だ。」「初代、二代、三代会長が投獄された創価学会の国家に対する距離感。SGIという国際組織。そして鎌倉時代、国家に弾圧された日蓮の縁起観。すべて具体性を伴っている。こうした一つひとつの「経験」が流れ込んで、創価学会の平和主義を形成しているのだ。」とした。また「SGIという国際組織によって、ナショナリズムや排外主義を超克しつつある創価学会が、このような局面でどのような役割を果たせるかが問われるだろう。」と述べている。
第二次宗創戦争については、「歓喜の歌」事件に関して創価学会側の立場を擁護し、「ここで宗門が問題としたのは、キリスト教だ。ベートーベンの『歓喜の歌』を歌うことが邪教礼賛になると宗門は考えた。ヨーロッパの文化はキリスト教と深く有機的に結びついている。ヨーロッパ文化から、キリスト教を抜き去って理解することは不可能だ。科学的無神論を国是としたソ連や東ドイツでも、『歓喜の歌』が、無神論の否定する神を礼賛するといった理由で禁止することはなかった。宗門はソ連共産党やドイツ社会主義統一党よりも偏狭なキリスト教観を持っていることが露呈した」と記している。さらに「各国の文化から、宗門以外の宗教的要素を除去しようという発想は、絵に描いたような排外主義だ」「ある文化と根底から結びついた宗教を完全に否定するならば、宗教間対話は成り立たない。宗門の頑なな姿勢が、創価学会の世界宗教化の深刻な障害になっていることがもはや明白になった」と述べている。
2014年7月の集団的自衛権行使容認の与党協議に関して「公明党がブレーキ役として与党にいなければ、憲法に制約されない集団的自衛権の行使を容認することが閣議決定されていたと思う。」「閣議決定に賛成したために、公明党は『平和の党の看板に傷がついた』『平和主義の看板を下ろした』などと批判された。連立政権を離脱して、きれいな平和論を主張するという選択肢もあったはずだ。もし、公明党がその選択を行っていたならば、私は、公明党の平和主義は本物ではないと批判したと思う。平和の党の看板に傷がついても、現実に戦争を阻止し、平和を維持することが重要なのである。少なくとも現時点では公明党はその機能を果たしている。」としている。
「『国立戒壇の問題』と言っても、現在、創価学会は宗門(日蓮正宗)と訣別しているわけだから、宗門の教義である『国立戒壇の問題』が、もはや存在しないことになる。すなわち、公明党と創価学会には日蓮正宗を国教化する狙いがあるという、批判者たちの論理の前提が崩れているのだ」としている。
   田原総一朗​
田原総一朗(ジャーナリスト)は「度重なる試練に直面し、創価学会は間違いなく衰退するであろうという世論の推測を見事に裏切り、その都度、ピンチをチャンスに変えるという驚くべきエネルギーをもって、逆境を乗り越えてきたのである。どうやら、創価学会の強さは我々には想像も及ばないほど堅固なものらしい。」と示唆した。池田大作の人物像について、「おそらく近寄りがたい雰囲気を持っているに違いないというこちらの予想は見事に外れ、偉ぶったところを一切感じさせない人だった。しかも、人の話を聞くのが非常にうまい。これには、びっくりした。」と述べた。また、「私が池田に感じたのは、自分をよく見せようという下心がまったくなく、誠実で相手のことを気遣うことのできる、きめ細やかな神経の持ち主だということだ。」「喜怒哀楽もあり、とても人間臭い面も持ち合わせている。」とした。
創価学会は「創立当初から、従来の日蓮正宗の枠組みを超えた、独自の在家信徒団体」であったと述べている。また第二次宗創戦争については、「第九を歌うことのどこが問題なのか。しかも、当時の聖教新聞に掲載されたスピーチを何度も読んでも、日顕への批判や侮辱はどこにも見当たらない。私からしても、宗門側がどこに激しい怒りを感じているのか、さっぱりわからない」としている。
(宗門との決別以降)創価学会の活動領域が広がったことは間違いないようだ。学会員に話を聞くと、宗門と決別して以降、地域のためのさまざまな活動に参加するようになったという。例えば、地域のお祭りでお神輿も担ぎ、町会役員や学校のPTA役員も引き受ける。さらに、交通安全週間の行事にも参加するなど、ありとあらゆる地域活動に参加しているというのだ。言論・出版問題後、池田が目指した地域との融和が、ここにきてようやく根付いたということだろう」と述べている。
学会の草創期において排他的な態度が見受けられたことについて、「信仰を広めるために他宗教を否定する、これは草創期の新宗教においてやむを得ないことだ。おそらくどこの宗教団体も同様の活動をしていただろう」と述べている。 田原はまた、学会が日蓮正宗(宗門)と決別してからは、地域活動が活発になった点を指摘する。「例えば、地域のお祭りでお神輿も担ぎ、町会役員や学校のPTA役員も引き受ける。さらに、交通安全週間の行事にも参加するなど、ありとあらゆる地域活動に参加している」「宗門と別れたことで、世界広布、地域との融合など、新たな布教の形を見出した」と述べている。
   その他​
鶴見俊輔(哲学者、評論家、政治運動家) - 創価学会の布教活動が、日本の宗教の浄化に役立っているとして、「この意味で創価学会は、日本に本当の宗教心をつくるために、その前ぶれとして働くバプテスマのヨハネであるかもしれない。」と所感を述べている。
玉野和志(社会学者) - 「創価学会は『幸せにするシステム』とでも呼ぶべき組織原理を生み出し、会員たちがあきらめることなく、地道に自らの生活を継続する手助けをしてきたといえる。」と述べている。
森秀人(評論家) - 創価学会について「中世以来、日本人が喪失していた信仰主体が現出した」と位置づけており、「創価学会は、人間による人間の回復という課題に、限定付にせよ応えることができたことの意味のほうがはるかに巨きい。」と評論した。
中江克己(歴史作家) - 多くの創価学会員への取材を通して、「創価学会の10年 ドキュメント」を著した。その中で「生命尊厳の仏教哲学が不動であり、それを社会に生かしていこうという運動が継続されていく限り、やはり創価学会に対する期待は大きいといわなければならない。」と書を結んでいる。
佐木秋夫(宗教学者)と小口偉一(東京大学名誉教授) - 創価学会の教学運動について「教学の学習の盛んなことは、創価学会の重要な特色になっている。学習が行動の欠くことのできない源泉であることが、会員のあいだに広く理解されている。」と論及した上で「組織、動員、学習がいきいきと結びついていることが、創価学会を強大にしている」と評している。
日本以外​
ブライアン・R・ウィルソン(国際宗教社会学会初代会長)、カレール・ドベラーレ(ベルギー・ルーベン大学名誉教授)- 創価学会について社会的考察をし、「創価学会は哲学的には明らかに個人主義と平等主義に立っているにもかかわらず、信仰における古参原理が仲間意識と結びついており、その結合には神秘的な要素がある。」と評している。
ダニエル・A・メトロ(メアリー・ボールドウィン大学教授) - 創価学会の平和運動を分析し、「創価学会が繰り広げている民衆レベルの平和運動は、もちろん、宗教的な使命感にもとづいたものにちがいない。しかし、必ずしも、全人類が創価学会に入会しなくとも仏法を基調にした平和のメッセージ≠送り続けていくことによって、一人一人に精神の変革≠おこさせていくことは可能である。また平和のメッセージ≠全世界の人びとが共有することは、創価学会の使命を果たすことにも通じることだと思う。」と述べている。また、「創価学会は、日本の近代史におけるユニークな現象である。仏法理念を基盤として、これほどまでに広範な社会的運動を成功裏に展開した宗教団体は、かつてなかった」とも述べている。
フィリップ・E・ハモンド(アメリカの宗教社会学者)、デヴィッド・マハチェク(宗教社会学者) - 創価学会を社会学的に研究。学会の歴史と哲学への考察を著書に記し、「創価学会の活動の原動力は、日蓮仏教がそなえている禁欲的な特質であり、あるいは、宗教的信念に照らして社会状況を変革しようとの強い思いである。」と評価した。また同氏は「1991年(平成3年)に行われた日蓮正宗からの分離が、プロテスタントの宗教改革になぞらえられてきたのは当を得たことである」と評している。そして、「今回の一連の動きでもっとも印象的なことは、創価学会が塔婆――死者の代わりに供養される追悼のための銘板――を自分たちの金儲けのために売りつける強欲な僧侶たちを非難したことと、プロテスタントの宗教改革者たちが、贖宥状を販売する聖職者たちに異議を唱えたこととが、酷似している点である。」と述べた。
●中立的な立場​
島田裕巳​
宗教学者の島田裕巳は、「創価学会員が『広布即地域貢献』として団地自治会長や学校PTA、商店街役員などに積極的に就任し、それらの組織を『折伏の足場』にしようとしていると述べている。一般の人は仕事などに追われてそれらの役員には就きたがらないが、創価学会はそうした状況を利用して地域で主導権を握ろうとしている」と、分析している。島田によれば、1950年代〜1960年代(昭和30年代から40年代)の高度経済成長期には、仕事を求めて故郷を離れて都会を目指し多数の青年たちが、大企業中心の総評などにすいあげられることもなく、未組織労働者・中小零細業者として孤立無援の生活を送らざるを得なかった人たちが、組織化されて、「民族」とも形容できる濃い人間関係ができあがっていった。この組織化が画期的であり、そこに創価学会の社会的な意義があったと主張する。
一方、「かつては他の宗教や宗派を一切認めない姿勢を持っており、創価学会員の子弟は、修学旅行などで神社仏閣を訪れた場合には、神社の鳥居や寺院の山門はくぐろうとしない」、財務の一か月程前には決起大会が開かれ、「100万円出したら息子がいい企業に就職できた。」「保険を解約して学会のために捧げたら幸せになりました。」などの発言が相次ぎ、他の会員にプレッシャーをかけると指摘。また創価学会には多額の寄進をした人間たちが少なくなく、島田の知人にも、創価学会に数千万円を寄進した例があるとした。
「謗法払い」といって以前信仰していた時の仏壇や神棚を焼却させていた事例があったことや、モアハウス大学キング国際チャペルの主催により世界各地で「ガンジー・キング・イケダ展」が開かれていることに関し「世界的に高く評価されているガンジー、キング牧師に対してイケダに二人に匹敵するだけの功績があるか疑問に思う人は少なくないであろう」と批判した。
公明党については「公明党は自民党と連立与党を組んでから政策面で必ずしも独自性を打ち出すことができず、結局、自民党の政策を追認しているだけに終わっていることが少なくなく、特に安全保障政策で公明党が党是とする平和主義の貫徹が妨げられていることから、創価学会内部で公明党に対する批判が潜在化している」としている。
「自民党内にも創価学会=公明党の発言力が強まることを警戒する人間はいることから、自民党内部において創価学会=公明党への批判が高まれば創価学会=公明党としては民主党と連立を組む可能性が出てくる。そうなれば創価学会=公明党は動物と鳥の両方に取り入ろうとして結局はどちらからも嫌われ、暗い洞窟に追いやられたイソップ物語のコウモリになる危険がある」とも発言している。
その他​
西山茂(宗教社会学者・東洋大学名誉教授) - 日蓮仏教にとっての創価学会の功罪について、第一の「功」は、相手が権力を持った官憲であれ、伝統的な宗教習俗を信じる庶民に対してであれ、「謗法」厳戒の姿勢を取った「伝統突破」(折伏というブレイク・スルー)の力にあるとする。第二の「功」は、「本門戒壇」の建立を、戦後日本社会の中で具体的に運動化したことだとする。一方で、「罪」は「功」の裏の部分に当たり、第一の「罪」として、他宗教への悪口雑言や暴力的な神棚撤去等の深刻的な人権問題を引き起こしたこと、第二の「罪」として、会則改正等の転進の際に過去を総括せず、過去と現在の教団の自語相違に一向に無頓着であり、信頼できない点を挙げている。
島薗進(宗教学者・東京大学名誉教授) - 創価学会の特徴として「現世中心主義」を挙げており、「世界的に見ても、庶民がその実現に参与できる現世での幸せを焦点とした仏教として創価学会は目立った例」としている。一方、その排他主義的かつ自己完結的な教義体系のゆえに、強力な集団的統合が実現しており、指導者の指示のもと、一元的な意思の一致が前提とされ、自由な問いや討論が封じられる傾向があるとしている。また、上位者の権威への従順が宗教的指導の範囲を超えており、統制された集団生活の枠組みが日常生活のすみずみの領域にまで及んでいるため、個人の自由に任される領域が縮小する傾向があるとしている。とくに池田名誉会長崇拝にはそうした傾向が強く、このような個人の自立の抑制が「師弟不二」「異体同心」などの強調により正当化されている、と分析している。
宮台真司(社会学者) - ウェブマガジンのインタビューで、「東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被災地における、個人で支え合う人間関係・つながりを持っている者と持たない者の格差を見せつけられた」と述べた上で、「創価学会の避難所は物も潤沢だし、配給物資も公平に、順当にシェアできるしくみがある。だから取り合いになったり、殺伐とした対立なども起こりえない。それは教会などのコミュニティと同じで、たとえば欧米などはハリケーンや津波で被災しても行政や自治体は動かない。救援物資のディストリビューション(配給)をやるのは、教会なんです。」と発言。教会的なコミュニティーが果たす役割に言及し、その例として創価学会をあげた。一方で公明党・創価学会を「都市宗教的マッチポンプ」と呼び、新自由主義と貧困を増幅して疎外される人々を増やし、信者を増やしていると批判している。
●創価学会に対する批判​
離反者による批判​
創価学会は、元副会長福島源次郎、元公明党書記長矢野絢也、元公明党委員長竹入義勝、元公明党都議会議員団長龍年光、元都議会公明党幹事長藤原行正、元公明党議員大橋敏雄、同石田次男、元教学部長原島嵩、元顧問弁護士山崎正友などの幹部クラスの離反者や、長井秀和、杉田かおる等の有名人の離反者を出している。離反者は日蓮正宗に移ったり、マスコミを通じて創価批判・暴露を行うケースが多い。
矢野絢也 - 「学会員二世、三世は幼い頃から、家庭において池田大作が著した絵本やアニメを見せられ、いかに池田と創価学会の教義が素晴らしいかを刷り込まれる。しかも、一貫教育システムにより、筋金入りの創価学会員としてエリート教育される。一貫教育システムという醸成装置があればこそ、創価学会は次々と新たな学会員と「池田名誉会長」を信じて疑わない幹部を養成できる。」と指摘している。このほか、現在の学会の幹部は、こうした「池田チルドレン」たちによって固められ、公明党議員にも創価学園・創価大学出身者がいる。このような教育によって、学会は強固な組織となり、池田の独裁体制も確立されたとしている。また、「100万円財務は、戸田第二代会長の表現を借りれば、学会が決して手を染めてはならない「邪宗教」への一歩を踏み出した瞬間だった」としている。
杉田かおる - 自書『杉田』で創価学会を批判、主に池田大作や男性創価学会幹部の堕落ぶりを批判、また杉田自身が創価学会関係者から受けたセクハラについても触れている。
政治団体による批判​
政界進出を始めた時期に創価学会は、日蓮宗系他教団、浄土真宗系教団のほか、革新陣営からの批判を受けることが増えた。島田裕巳によれば、1957年(昭和32年)の北海道での創価学会青年部隊と日本炭鉱労働組合と間の戦いを一つのきっかけとして、また1960年代の公明党結成に応じて、革新陣営からの批判が刊行されるようになった。島田はこれらの教団・陣営は「民衆をターゲットとし」、「下層階級を組織化」する点で創価学会と競合していたと指摘し、一方の保守陣営はこの段階では創価学会批判を展開していなかったとする。1990年代に公明党も合流した新進党が参議院選挙で議席が増加すると、新進党の台頭に危機感を抱いた自民党は反創価学会キャンペーンを展開していた時期があった。
他団体による批判​
NAACP(全米黒人地位向上協会)は創価学会が主催する「ガンジー・キング・池田平和建設の遺産展」について、「ガンジーやキングは多大な功績を挙げたのを全世界の人が知っているが池田はいったい何をやったのか」と批判、主催するなら「ガンジー・キング・ブルース・(スプリングスティーン)展」とするべきだと主張した。その矛先は創価学会だけでなくモアハウス大学のローレンス・エドワード・カーターにまで向けられた。
オウム真理教教祖麻原彰晃は、サンデー毎日から始まったオウムバッシングは聖教新聞を印刷している毎日新聞社グループと創価学会が結託して行っている、池田大作は日本を侵略するフリーメイソンの手先であり「仏法」を曲げている蝮の一族などと批判。池田大作サリン襲撃未遂事件をはじめ化学兵器や生物兵器を利用した学会に対するテロ攻撃を行った。
幸福の科学の総裁大川隆法は自著で「現代社会における二つの悪」として、一つは悪徳マスコミ、もう一つの悪が「邪教・創価学会」であると批判。
著名人による批判​
内藤国夫 - 「政界に進出し、国家権力と結びつく、また結びつこうとする権力志向、権力依存の宗教団体は邪教の中の邪教ということだ。オウムより、はるかに始末が悪い難問である」。
浅見定雄(元東北学院大学教授) - 「メンバーが結果的に一つの政党しか選ばなかったり、その宗教団体の指示による以外は他の政党に投票することもない-創価学会の指示で信者が自民党に投票する場合のように-もしそういう宗教があれば、その宗教は必ず政教分離の原則を破っているのであり、また恥ずかしいことだが、非常に未成熟で前近代的な宗教である」
石原慎太郎 - 池田名誉会長を「悪しき天才、巨大な俗物」と批判。
俵孝太郎 - 学会と対抗していた組織四月会の代表幹事。2005年9月1日の『日刊ゲンダイ』でも創価学会を批判。
徳川義寛(元昭和天皇侍従長) - 皇太子徳仁親王(現在の今上天皇)の親王妃候補について「新宗教(創価学会)を信仰する人間は親王妃、皇太子妃(未来の皇后)としていかがなものか」との考えを示した。一説では「先代の侍従長入江相政や、『2代続けて平民からの入内は慎むべき(上皇后:正田美智子、皇后:小和田雅子)』と発言し旧皇族旧華族が賛同したことを受けての発言」という説もある。しかし昭和天皇は、1988年(昭和63年)4月6日「慎重にすぎて好きな人が居なくなったり、徒に時を過ごしてもよくない。難しいと思うがよろしく頼む」「私は本人同士が良いならそれで良い」、同5月26日「浩宮(この時点では徳仁親王)のこと、その後は?」と当時の宮内庁長官富田朝彦に繰り返し伝えていたことが明らかとなっている。
テリー伊藤、佐高信 - 共同著書『お笑い創価学会』で創価学会を批判。
大槻義彦 - ブログ「大槻義彦のページ」で池田大作・創価学会・公明党を政教分離の原則の観点から批判。
いしいひさいち - 自書『大問題』で創価学会を批判。
フロランス・ラクロワ - パリの国立研究院の博士。十数年にわたり創価学会を取材・研究を重ね、「創価学会、タブーの解剖」というフランス国家博士論文を発表。
筒井康隆 - 『SFマガジン』1965年8月増刊号で発表した短編小説『堕地獄仏法(中公文庫『東海道戦争』収録)』で、創価学会・公明党を連想させる宗教団体・政党が『政教一致体制』で支配する恐怖の日本社会を描いた。また、朝日新聞で連載していた長編『朝のガスパール(朝日新聞社 のち新潮文庫)』では、信者らしき人物から筒井康隆に対する個人攻撃の投書があったため、筒井康隆は作中で実名を挙げて批判している。さらに『現代語裏辞典(文藝春秋のち文庫)』では『創価学会。そうか。がっかり』と揶揄する記述が見られる。
段勲 - 自書『反人間革命』で創価学会を批判。
韮沢忠雄(日本共産党元赤旗編集局長) - 既存マスコミが創価学会批判をタブー視しているとして、赤旗で創価学会批判を展開。
後藤忠政(元山口組系後藤組組長) - 自書『憚りながら』で創価学会と後藤組(山口組)との関係を記載。
蛭子能収 - 公明党支持者から食事中に強引なサインを要求され、公明党への支援も頼まれたことに立腹。「公明党の信者って、なんでそう熱心なのか不思議だが、相手の気持ちを考えない我がままな人ばっかりの集まりなんだろうなーと思う」と批判。
H・N・マックファーランド(アメリカの宗教学者) - 1963年から64年にかけて日本に滞在して日本のPL教、生長の家などの新宗教について調査し、「神々のラッシュアワー」という本にまとめた。その本の中で唯一、創価学会の調査の時だけは不快な思いをしたとして「創価学会の多くの信者の厚かましさや無作法によって何度も何度も気分を害される」と記している。
ナヴィーン・パトナーヤク(インド地方政党ビジュ・ジャナタ・ダル党首、後のインドオリッサ州首相)、「ガンジー・キング・イケダ展」に対し、創価学会はガンジーだけではインド独立をなし得なかったことやインドの歴史認識を学ぶべきだと批判。
猪口邦子 - 2000年(平成12年)に創価学会の「宗教的団結心」("religious solidarity")を核とした「巨大な政治的力」("enormous political power")を警戒する人もいると述べた。
石井一 - 2007年10月16日の第168回国会参議院予算委員会で、公明党と創価学会の関係について質問した
藤倉善郎 (やや日刊カルト新聞を主宰する宗教ジャーナリスト) - 創価学会について、現在でもしつこい「折伏」や、批判者や組織内の造反者に対する常軌を逸した攻撃が常に行われているとしている。また「安保法制」などをめぐる造反者側についても、「公明党はもともと平和の党」「池田大作先生は平和主義者」などの主張は、批判者への攻撃や言論妨害、しつこい折伏等の社会問題が、むしろ池田の会長在任期間中に起きていることから、池田を美化する「かつての創価学会」正当化は、歴史の歪曲だと強く批判している。むしろこれら社会的な批判を浴びた問題を池田信仰に基づき正当化してきたのが、カルト的側面を正当化する「かつての創価学会」であるとする。1960〜70年代の言論出版妨害事件、70年の共産党・宮本顕治宅盗聴事件、強引な折伏(勧誘)や選挙における不正問題など、池田氏指導下の創価学会が批判されたり池田氏自身の関与が疑われたりした問題が多数あり、だからこそ、創価学会は池田大作ともども、これまで天下の嫌われ者だったのではないか、としている。
溝口敦(ノンフィクション作家、ジャーナリスト) - 創価学会は宗教法人であることを徹底活用と悪用していると批判。70年の出版妨害事件により、著作者や出版社に恫喝を加え、鶴タブーを作り上げてきたという。また、選挙に際しては、80年代まで替え玉投票を事としていたとしたという。創価学会が、出版妨害や電話盗聴、替え玉投票、裁判工作などを過去に行っており、社会不正の塊であることは常識である、としている、信者会員からの財務集金法においても、幹部が会員に「出せ、出せ、出せ」と絶叫するほどの激しさで、生活保護世帯からも数口を引っ張るのが学会流であるとしている。
創価学会は「池田教」であるという批判​
内藤国夫や七里和乗(日隈威徳)などの著書に見られるように、かねてより創価学会は実質的には「池田教」ではないかとの批判があった。そのような批判を伴う呼称をめぐっては各方面から以下のようなことが言われている。
日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』は、「池田大作本仏論」の存在および初代・牧口、第2代・戸田、第3代・池田を「三代会長」「創価学会永遠の指導者」とすることを決めた会則の存在などに触れ、日蓮正宗との関係を断った「池田教」設立の宣言であると批判している。その後2016年(平成28年)11月7日に施行された改正会則の第1章総則第3条2項に『「三代会長」の敬称は、「先生」とする。』と加筆明記される。
日蓮正宗宗務院教学部による出版物では、日蓮正宗が池田大作を破門するに至った1991年頃には、経本や過去帳、数珠を創価学会独自のものに変化させる動きが見られたのを「池田教独立路線を露わにした」とする見方を示している。
元公明党委員長の矢野絢也は、著書の中で「池田教」への変容が起きているとし、指導者としての池田大作名誉会長への個人崇拝が顕著であるとの主張をしている。
作家の佐藤優は、松岡幹夫との共著における対談において、あえて「池田教」などと批判する勢力があるのを互いに認めた上で、そういった勢力が注視している教義の中での池田の位置づけに難しい課題があるとした松岡の思いに応じ、その背景に批判する側から個人崇拝と見られているのがあるものの、「気にすることなく、堂々と池田会長(原文ママ)の重要性を打ち出すべきだと思います。」と意見している。 
●会員緒話
●創価学会の法人職員だったぼくの名まえの命名者は「池田先生」 7/17
「ぼく」が勤めていた宗教法人を公表
宗教法人職員だったぼくが、一般企業に転職していくさまを描いたエッセイを先日公開したところ、大変ご好評をいただいた。嬉しい限りである。その時点では勤め先の宗教法人の名まえは伏せていたのだが、ネット検索に引っかかる情報と記事内容から、かつての所属が「あっ」という間にみなさんの知るところとなった。なので、今日から公表する。
ぼくは創価学会の本部職員だった。父は元理事長の正木正明。そして、ぼくの出身校は、創価中学、創価高校、創価大学である。そこから学会の機関紙・聖教新聞の記者に採用され、約13年間を法人職員として過ごした。
もちろん学会活動は熱心にやってきた。また、創価学会はいわゆる「鎌倉仏教」の祖師の一人・日蓮の系列に位置づけられるが、「日蓮」についての研究も独学ながら取り組んできた。
加えて、「信仰がひとりよがりになってはいけない」との思いから、仏教学や宗教学をはじめ、他の宗教の聖典(正典)や哲学なども学んできた。
ぼくはさまざまなところで学会の教えをわかりやすく解説する文章を書いてきたが、それができたのはこういった学びの背景があるゆえだと思う。
さて、そんな「ぼく」の随想をこれから書いていく。さっそく今回の本題に入っていきたい。それは、ぼくの「名まえ」と入会についてである。
生後2ヵ月で入会。「伸城」と名づけられて
筆者=正木伸城の名を見て、「珍しいな」と感じた人も多いのではないだろうか。「伸城」は「のぶしろ」と読む。何を隠そう、この名まえの命名者は創価学会のカリスマリーダー・池田大作氏である。ぼくが生まれた当時、幹部として勢いを見せ始めていた父が、池田氏にお願いをしてつけてもらったそうだ。
確かに「伸城」はそうそう見ない名である。だから、幼いころから筆者自身も「珍しい」と思ってきたし、その異色さゆえ、周囲からも「お父さんにつけていただいたの?」とよく質問された。
そのたびに「ううん、お父さんじゃなくて、池田先生につけていただいたんだ」と答えていたことを鮮明に記憶している。すると、学会員でない人は「池田先生って、どんな人なの?」と問いかけてくるので、その都度「池田先生っていうのはね……」と自慢げに説明していた。
そんな「伸城」の名だが、池田大作氏に命名してもらったのは、ぼくが産声をあげた直後である。
ぼくは1981年11月に生まれた。創価学会に入会したのはその約2ヵ月後、1982年の1月2日のこと。入会時の写真は見たことがないけれど、きっと多くの人に祝福されたことだろう。
ちなみに、入会日の「1月2日」は池田氏の誕生日である。これは一般化して述べていいか迷うところだが、創価学会員は「記念日」を特段大事にする傾向があるように思う。両親が「池田先生のお誕生日に合わせて、伸城を入会させよう」と発想したことは想像にかたくない。
周囲から教わる「池田先生」の偉大さに違和感を抱く
かくしてぼくは創価学会員になった。また、熱心な学会員の多くは池田氏を「人生の師匠」と位置づけていて、両親も同じなので、ぼくの中にもそのカテゴリーが設けられた。「師匠・池田先生」という概念の誕生である。
池田氏の「偉大さ」については、幼少のころからたくさん教わった。池田氏が、民間人でありながら“国交レベル”で世界平和に貢献していること。会員一人ひとりを大切にしていること。そして「伸城=ぼく」のことをいつも考えてくださっているという話……。
実際に会った時の池田氏の印象は「楽しそうなおじいちゃん」という感じだったが、池田氏は直接の声かけだけでなく、さまざまな形で贈り物もしてくれた。こういった経緯もあり、「池田先生」はぼくの中で、まさに「師匠」という存在になっていった。
ただ、幼いながらにちょっとした違和感もあった。
一つは、周囲から教わる「池田先生」がとても人間とは思えなかったことだ。たとえば「池田先生は君(=伸城)のことをよくよくご存じで、どんなことでも知っている」というような話をたくさん聞かされた。「先生は何でもわかってくださっている」と言うのだ。
ぼくは「そんなわけはない」と思っていたのだが、周囲は「先生は、すべてをお見通し」と信じて疑わなかった。だからだろう。「じゃあ池田先生は、幼稚園の先生とぼくが今日話した内容も知っているの?」と聞くと、「もちろん」と当然のように答えが返ってきた。
これには当時5歳くらいだったぼくも面食らった。
「池田大作=超人」というのが、そのころ醸成されたイメージである。ただし、「池田先生は超人なの?」と親にストレートに質問すると、「偉大な人間で、仏さまだよ。先生の偉大さを自分の中の狭い『人間』の尺度で測ってはいけない」とたしなめられたため、この件については自身の中で静かに消化するしかなかった。
ガンジーよりも偉大な「池田先生」?
違和感のもう一つは、池田氏の偉大さを語る、その「語り口」にあった。
かの有名なマハトマ・ガンジーについてのテレビ番組を観た翌日のこと。地域の学会員の子どもが集まる場に参加していたぼくは、番組内容に心揺さぶられ、思わず「ガンジーみたいに『人を助ける』人物になりたい」と周囲に口走った。すると、近くの大人が苦笑いを浮かべながらこう言ってきた。
「君の師匠・池田先生は、ガンジーよりもはるかに偉大なんだ」
これにも、ぼくは正直ピンと来なかった。なぜかというと、当時のぼくの関心は、「どちらが偉大か」という点よりも、「偉大さの中身」や「なぜ偉大と言えるのか」という問いに集中していたからだ。
だから、仮に「ガンジーよりも偉大」「キング牧師よりも偉大」等と言われても得心できなかった。具体的に「池田先生の何がすごいのか」が知りたかった。しかし、それを問うても満足のいく返答はない。
このような“教育”によって、ぼくは育てられた。
生まれてすぐに入会・入信させることの是非
先ほど書いたように、ぼくの入会は生後約2ヵ月である。そのような早い段階から子どもを入会・入信させることや、幼いころから宗教的な教育をほどこすことの是非については、議論の余地があるとぼくは思っている。
進化生物学者のリチャード・ドーキンスが、まさに著書『神は妄想である』の中でこの問題を扱っている。彼が問題視しているのは、まだ判断能力がない子どもに、本人の意思とは関係なく信仰を教え込むという行為だ。彼はこれを「虐待」という単語すら使って批判し、こう語っている。
「子どもは、キリスト教の子、イスラム教の子ではなく、キリスト教徒の親をもつ子、イスラム教徒の親をもつ子なのだ」(趣意)
「善かれ」「正しかれ」と思って子どもを入信させる宗教信者からすれば「何を言っているんだ」と一蹴されるような話かもしれない。
たしかに、同書におけるドーキンスの主張はかなり過激だが、だからと言って、彼の提起した問題意識を素通りしていいかというと、ぼくは「違う」と思う。
ぼく自身、「創価学会員の親を持つ子」というより「創価学会の子」として育てられた。もっと言えば、「正木理事長(=父)の息子さん」としてずっと見られてきた。そのために苦労したことの一端は、以前書いたとおりである。
●創価学会員は選挙についてどう捉え、どんな活動をしているのか? 8/10
みなで集まって祈る。公明党について学ぶ。投票依頼をする
創価学会員以外の人たちが抱く学会に対するイメージのなかに「選挙活動に熱心」というものがある。学会が公明党の支持母体とされ、学会員が電話などを通じて周囲に投票依頼をして回っていることは、一般的にかなり知られている。
創価学会員は選挙活動のことを「法戦(ほうせん)」と呼ぶ。それはほとんど信仰活動と一体で、ぼく自身も法戦に参画してきた。
選挙の時節になると、学会活動の多くが政治色の濃いものになっていく。たとえば地域の学会員が集まる「座談会」では、公明党の実績や同党候補者の情報を学び合う時間がしっかり設けられるようになる。
また、一般的な表現でいえば「政治学習会」と呼べるような集まりも開催され、そこでも公明党のことを学ぶ。加えて、そもそも「なぜ政治に関わるのか?」といった法戦の意義について確認し合う場が設けられることもある。
ぼくが初めて体験した法戦もそうだった。
みなで集まって題目(=南無妙法蓮華経)を唱える場所を「拠点」と呼ぶのだけれど、そこで祈りつつ、各自の都合に合わせて創価学会員でない“外部”の友人にアポイントを取ったり、投票依頼をしたりするのが定石だった。さらに、学会の活動家が、それほど信仰に熱心でない学会員や、公明を支持してくれるかが不透明な学会員などに投票依頼をして回るということもした。 拠点の壁には、国政選挙なら「公明党からの立候補者」がいる選挙区の一覧が貼られる。そして、選挙区ごとに投票依頼ができた友人数などを集計していく。それらは「成果」として逐一、組織に共有されもする。
ぼくが選挙活動に積極的に参画するようになるまで
当初はこれに面食らったぼくだが、先輩から「卒業アルバムを持って来て」と言われたところから状況は変わっていった。前回書いたとおり、ぼくは中学以降を創価の学び舎で過ごした。つまり、小学生時代は一般の学校に通っていたのである。それを知った先輩が「卒アルに名簿が載っているだろう。片っ端から電話をかけて」と言ってきたのだ。
緊張しっぱなしのなか、恐る恐る友人に電話をした。投票依頼もした。これには、最初は勇気が要った。
しかし、さまざまな要素がぼくを選挙に駆り立てるようになった。
みなと共に祈りを捧げ、同じ目的に向かって協力し合う心地よさ。ほとんど政治に無知だった自分が、“公明視点”の政治理解とはいえ、政治に明るくなっていくことが実感できた喜び。“外部”の友人に電話で投票依頼をした時に、少数ながら「いいよ」との返事がもらえた時の充実感。選挙に勝利した時の達成感。そして、法戦によって学会のカリスマリーダー・池田大作氏に貢献できたという手応えが感じられることによる歓喜――。
この時ぼくは、創価学会の思想と選挙活動にさほどの矛盾は感じなかった。だから、気がつけば法戦に楽しさを見いだすようになっていた。
創価学会が公式に公明支持をお願いすることはない!?
ここで断っておきたいことがある。実は、ここ40年ほどの創価学会は、学会員に「公明支持」を呼びかけはするが、そうした活動を宗教上の言葉で意義づけることは、少なくとも公のメディアではしてこなかった。恐らくそれは、投票行為が「強制」によってなされてはならないという発想に基づいているからだと思う(ただ、近年はわずかながら状況が変わったと解釈できる例も出てきている)。これは池田大作氏も明言していることで、学会員がどこの政党、どの候補者を支援しようとも、それは「各人の自由」ということになっている。  ただ、オフィシャルには「自由」が言われているとはいえ、学会組織の“現場”にその自由がどれだけ確保されているかというと、心もとない。
ぼくが思い出すのは、2003年のことである。11月に衆議院議員選挙を控えていたため、その頃の学会は選挙モードに突入していた。ぼくも張り切って法戦に臨みたいと思っていた。だが、あることが壁になって、そうは行かない状況になった。公明党の振る舞いに納得が行かなくなったのだ。
組織の“現場”で「公明に反対するお前は信心がおかしい」と言われる
当時、争点にされたことの一つが、イラク戦争関連で自衛隊をイラクに派遣するという話だった。ぼくは、“イラク派兵”に反対。では、この件について公明党の判断はどうだったかといえば、のちにこれを容認したように、(ぼくから見れば)かなり歯切れの悪い対応をしていた。それをさまざまな幹部に伝えた時に返ってきた言葉を羅列すると、こんな感じになる。  「公明に反対するお前は信心がおかしい」
「お前の退転の命を、俺が斬ってやる」
「お前がしていることは組織批判、同志誹謗だ」
「祈れば公明の正しさがわかる」
ぼくは政策論争を望んだ。でも、どの幹部と討論をしても、彼らがそれほど理論武装をしていないからか、話にならなかった。だから、ぼくはひたすら論破を繰り返すことになった。その先に何があったか。・・・
●公明党支援にまつわる、学会の“公式”と“現場”のホンネ・建て前 8/21
「池田先生」のために公明党を応援するという発想
前編の記事で、ぼくが創価学会の選挙活動にハマっていった経緯を述べた。また、その後、2003年に話題になった「自衛隊のイラク派遣」に関する公明党の振る舞いに納得がいかなくなり、先輩たちと政策論争を展開したことにも触れた。ただし、議論をしても厚みのある返答をくれる先輩はいなかった。そこでぼくは、学会のとある副会長に相談をした。
「政策に納得ができない時、それでも公明党を支援すべきなのでしょうか」
ぼくがそう問うと、副会長は「納得が行かない点は、どこ?」と聞いてくれた。そこから、またもや政策論争が発生するのだが、やはり納得のいく話は出てこない。そのうち、副会長の顔が曇っていった。そして彼はこう言うに至った。
「公明党は池田先生がつくられた政党だ。弟子として応援しないのはあり得ない」
それを聞いたぼくは、即座に、「確かに、宗教的にはそれも大事な視点ですが、純粋に政策で選ぶならまだしも、『池田先生のため』『同志である学会員が候補者だから』という理由で公明候補者を選ぶという政治的な決定の仕方を取るのは、どうなのでしょうか?」と質問した。
しかし、この言葉を言い終わり、さらに発言を続けようとするぼくの声をさえぎった副会長は、「お前は二乗根性にやられている!」と言ってきた。
池田大作氏の思想と公明党の振る舞いが不一致に見えることに悩む
「二乗」というのは説明が難しい言葉なのだけれど、ここでは「頭でっかちな人」「考えてばかりで信仰実践がおろそかになる人」くらいの意味で捉えてほしい。
こう言われたぼくは、ひどく落ち込んだ。
なぜ、この時ぼくは公明党に疑問を抱き始めたのか。それは、創価学会のカリスマリーダー・池田大作氏の文献を相当に読み込んだことに起因する。その思想についてかなり理解を深めた時、公明党の振る舞いや判断が池田氏の考えと「必ずしも一致するとは言えない」ということを知ったのだ。
この一連の流れのなかで不完全燃焼感をぬぐえなかったぼくは、学会幹部の父にも相談した。だが、理解の懸け橋はやはりかからなかった。売り言葉に買い言葉みたいな言い合いになり、父からは「そんなに不満なら、お前が公明党の政策を考えろ!」と言われてしまった。
この“イラク派兵”については、当時ぼくが通っていた創価大学でも、また所属していた東京・八王子市の組織でも、また他の各地でも論争が起こった。派兵反対の学会員に、ぼくに向けられた言葉と似たセリフが投げかけられたことも多く見聞きした。
「選挙活動に功徳があると学会員は信じている」は本当か
公明支持に賛同できない学会員に、宗教的な言葉で非難の言葉があびせられる事態に、ぼくは戸惑った。「公明党を支援すること」と「信心のある・なし」は本来関係がないはずだ。学会公式の発信はそうなっているし、法戦(=創価学会の選挙活動)の意義を語る上でよく引き合いに出される日蓮の文書「立正安国論(りっしょうあんこくろん)」でも、公明支持は教義的に裏づけられない(同書でせいぜい言えるのは「積極的に政治に関わる意義」までである)。 ところが、組織の“現場”の思想は違った。ぼくは、「これには過去の池田先生の発言が影響しているのかも」と思い、大学の先輩の協力も得ながら、池田氏の古い指導をひもといていった。すると、以下のような発言が見つかった。
「学会が選挙をやることについて、なかには信心の弱い人は、疑問を起こす人がいるかもしれません。しかし、このことについては日蓮大聖人様がおおせになっているのです。(中略)やりたくないと思っても、日蓮大聖人様のご命令ですから、どうしようもないのです」
「(選挙活動をしている「われわれ」について)日蓮大聖人様が、そして諸天善神が、また三世十方の仏・菩薩が、われわれの生活を、われわれ自身に功徳を与えないわけもない」〈( )は引用者、仏教関連用語については解説しない〉
創価学会は過去に何度か指導方針を転換しているが、古い時代において池田氏は、選挙活動の宗教的意義を述べ、そこに功徳があることを明言していたのだ。
だが、さまざまな人にこの“指導”について知っているかを確認すると、認識していた人は皆無だった。つまり学会員は、このような池田氏の“指導”に沿うという形ではなく、ある種の「不文律」的なものによって選挙に宗教的意義を感じながら活動をしていたのだ。 ちなみに、現在の学会員に「選挙活動に功徳はあると思うか?」と問うと、「ある」という人と「選挙そのものではなく、選挙を通じて深まる信心に功徳がある」という人などに分かれる。
「宗教的信念ならベストを選べるが、政治はベターしか選べない」
先に、父と言い争いになったという話をした。父はとても寛容で、ぼくの意見に必ず耳を傾けてくれた。無碍(むげ)にされたことは一度もない。もちろん、父は「公明党支持ありき」の姿勢を崩さなかった。しかし、その上で父はしばしばこう語った。
「宗教的信念ならベストを選べるが、政治はベターしか選べない」
公明党支持と信心の有無を結びつける“現場”に戸惑っていたぼくは、この言葉に救われた。「政治はベターしか選べない」という理屈は、公明党の政治にも当てはまると思えたからだ。公明党を選ぶ行為も、あくまで「ベターな選択」なのであって、ベストではない。だから、公明党に対する批判だって「あり得る」のだ、と。
父とは、政治・政局・政策論争をさんざんした。創価学会と選挙の関係性を今後どうしていくかといった議論も、何度もした。政策をよりベターなものに――。そのベターな政策を託す先として公明党がふさわしいなら、ぼくも公明を応援しようと思えた。
「宗教が欠如した政治は、国家の首を吊るロープである」(趣旨)
これは『バープー物語』という著作で紹介されている、かのマハトマ・ガンジーの言葉である。宗教が政治の「良心」となるのなら、ぼくも、宗教による積極的関与が政治にプラスをもたらすと思っている。
ちなみに巷(ちまた)では、「それは政教一致ではないか」という声が聞かれる。しかし、創価学会の現状の活動が政教一致に当たらないということは、たとえば「憲法の番人」ともいわれる歴代の内閣法制局長官も明言している。いわゆる「政教分離」の原則は、国家が特定の宗教を特権化したり、それらに便益や弾圧を与えてはならないという話であって、宗教団体の政治活動を制限するものではない。これについて、あえて明記しておきたい。 ぼくは、公明党と創価学会については、世間と学会員の間でフェアな議論がなされればと願っている。
その気持ちがあるからこそ、ぼくは今も昔も、ただただ、成文化された法律や一次情報・ファクトに基づく判断と、論理・合理を尽くした推論の積み重ねによる議論、そして「知的には悲観主義、意志的には楽観主義」(思想家・アントニオ・グラムシ)という信念で、折々の“最適”を目指す語らいを続けてきた。
みなさんは、どう思うだろうか。 
 
  
 
 
 

 

●事件 国内報道
 
 
●安倍元首相銃撃 7/8
8日午前11時半ごろ、奈良市内の路上で街頭演説をしていた自民党の安倍晋三元首相が背後から銃で撃たれ、亡くなった。安倍氏はどのような状況で演説をしていたのか。襲撃犯はどこから近づいたのか。現場を3D動画で再現し、SNS(交流サイト)などから入手した映像をもとに犯行の状況を分析した。
銃撃現場は奈良県北部の近鉄大和西大寺駅(奈良市)の北側ロータリー。大阪市、京都市、奈良県南部などへつながる各線が合流するターミナル駅で、周辺には市街地が広がる。駅前は商業施設やオフィスビルが立ち並んでいる。
安倍氏はロータリー前の交差点の中央付近に演台を置いた。午前11時半ごろ、ロータリーを背にして、商業施設前の歩道上に集まった聴衆に向かって演説を始めた。周囲にはのぼりが立ち、党関係者のほか複数の身辺警護の警察官(SP)もいた。
日本経済新聞は安倍氏から見て右手側のオフィスビル前にいた目撃者から、発砲の瞬間を捉えた映像を入手した。演説開始から数分後、参院選候補者と並んで弁舌を振るう安倍氏の背後で突然、大きな音とともに白煙があがった。距離は数メートル程度で、発砲の直前まで多くの人は犯人に気づいていない様子だ。
発砲音は2発。安倍氏が倒れ込み、現場は騒然となった。
襲撃犯の山上徹也容疑者はどのように安倍氏に近づいたのか。SNSに投稿された複数の映像を分析すると、演説する安倍氏の後方にあたるバス停の歩道上に同容疑者とみられる人物が立っていた。演説の最中に後方から至近距離まで忍び寄り、警戒をかいくぐって発砲したようだ。発砲から数秒後、山上容疑者は駆け寄った複数のSPに路上で取り押さえられ、そのままバス停付近に連行された。
●安倍晋三元首相、銃で撃たれ死亡 奈良で街頭演説中 7/8
安倍晋三元首相(67)が8日午前11時半ごろ、奈良市で街頭演説中に銃で撃たれた。搬送先の奈良県橿原市の病院は、午後5時過ぎに死亡が確認されたと発表した。警察は事件現場で男性容疑者を逮捕し、殺人事件として捜査を進めている。
岸田文雄首相は同日夜、「民主主義の根幹たる選挙が行われている中、安倍元総理の命を奪った卑劣な蛮行が行われた」、「断じて許せるものではなく、最も強い言葉で改めて非難する」と述べた。
NHKなど国内メディアによると、安倍氏は大和西大寺駅近くで演説の途中、背後から撃たれた。
安倍氏は血を流して倒れ、病院に救急搬送された。消防は、心肺停止の状態だとしていた。総務省消防庁は、右のけい部に銃創や出血があり、左胸に皮下出血があると発表した。
安倍氏が搬送された奈良県立医科大学付属病院は、午後6時過ぎから記者会見を開いた。福島英賢教授は、蘇生処置をしたが、午後5時3分に死亡が確認されたと述べた。
福島教授によると、首の2カ所に銃弾による傷があった。傷は心臓まで達し、心臓に大きな穴が開いていたという。止血手術をしたが、大量の出血があって失血死したと、同教授は説明した。
警察は、奈良市在住の山上徹也容疑者(41)を殺人未遂の疑いで現場で逮捕した。逃げる様子は見せなかったという。
奈良県警は、午後9時半から記者会見を開催。山上容疑者が逮捕直後の取り調べで、「特定の団体に恨みがあり、安倍元首相がこれとつながりがあると思い込んで犯行に及んだ」という趣旨の供述をしたと説明した。
犯行に使われた凶器については、長さ約40センチ、高さ約20センチの「手製の銃」だとした。手製と判断した理由として、容疑者の供述と、凶器の見た目を挙げた。容疑者が狩猟免許を持っているかとの質問には、捜査中だと答えた。
県警はまた、容疑者の自宅を捜索したところ、「手製の銃のようなものを数丁押収した」と述べた。
NHKによると、警察は、奈良市内にある容疑者の自宅マンションを捜索し、爆発物の可能性のあるものを複数見つけた。容疑者は「拳銃や爆発物をこれまでに複数製造していた」と供述したという。
奈良県警は8日夜には、容疑者宅で発見された爆発物のため、近隣住民に避難を呼びかけたと明らかにした。避難要請は約1時間後に解除された。
複数の国内メディアは、山上容疑者が元海上自衛隊員だったと伝えた。NHKによると、山上容疑者は2005年ごろまで3年間、海上自衛隊で勤務していたという。
国内メディアはまた、容疑者が警察の調べに、「安倍元首相に対して不満があり、殺そうと思って狙った」、「安倍元首相の政治信条に対する恨みではない」という趣旨の供述をしたと報じた。
「卑劣な蛮行」=岸田首相
岸田文雄首相は、午後7時ごろ、官邸で記者団の取材に応じた。
岸田氏は、「どうか一命をとりとめていただきたいと祈っていたが、祈りもむなしく、こうした報に接することになってしまったこと、誠に残念で言葉もない。心よりご冥福をお祈りしたい」と述べた。
また、「民主主義の根幹たる選挙が行われている中、安倍元総理の命を奪った卑劣な蛮行が行われた。断じて許せるものではなく、最も強い言葉で改めて非難する」とした。
安倍氏については、「憲政史上最長となる8年8カ月にわたり内閣総理大臣の重責を担い、卓越したリーダーシップ、そして実行力によって厳しい内外情勢に直面する我が国を導いた」と振り返った。
そして、「この国を愛し、常に時代の一歩先を見通し、この国の未来を切り開くために大きな実績をさまざまな分野で残された偉大な政治家を、こうした形で失ってしまったこと、重ね重ね残念でならない」と話した。
事件を受けて首相は、参院選の遊説のため各地に出ていた閣僚に帰京を指示した。
日本では銃器の販売や所持が厳しく制限されており、銃を使った暴力事件は珍しい。
日本での銃による死亡事案は、2014年にはわずか6件だった。アメリカでは同年、3万3599件に上った。
2年前に首相を退任
安倍氏は、日本で最も長く首相を務め、健康上の理由で2020年に退任した。潰瘍性大腸炎を再発したと説明した。
在任中は、防衛・外交のタカ派的な政策で知られた。また、戦後の平和主義的な憲法を改めるよう長く訴えてきた。
さらに、金融緩和、財政出動、構造改革を柱とする「アベノミクス」と呼ばれる経済政策を推進した。
後任には、自由民主党の盟友である菅義偉氏が就任。その後、岸田文雄氏が首相職を引き継いだ。
ツイッターでは、「#私たちが求めているのは民主主義であって暴力ではない」というハッシュタグが広く使われている。多くの利用者は、卑劣な行為への怒りや不安を書き込んでいる。「民主主義の死」、「暴力ではなく投票で意思表示を」などの投稿も多く見られる。
英米の首脳も非難
事件を非難する声は、外国政府の関係者からも相次いでいる。
イギリスのエリザベス女王は、日本の天皇陛下に追悼のメッセージを送った。
「私の家族と私は、安倍晋三元首相の悲劇的な急死を知り、深く悲しんでいます。2016年に安倍夫妻が訪英した際、お会いしたのを懐かしく思い出します。(安倍氏が)日本を愛し、イギリスとの結びつきをいっそう近いものにしたいと願っているのは、明らかでした」と女王は書いた。
「このつらい時に、ご家族と日本の人たちを私は深く思いやり、追悼の意をお伝えします」
イギリスのボリス・ジョンソン首相はツイッターで、「とんでもなく悲しい知らせだ」と書き、安倍元首相が「地図のない時代に示した世界的なリーダーシップは、多くの人の記憶に残る。彼の家族と友人と日本の人たちのことを思っている。この暗く悲しい時に、イギリスは皆さんと共にあります」と追悼した。
アメリカのジョー・バイデン大統領は「衝撃を受けて、激怒して、深く悲しんでいる」とコメント。
安倍氏について、「(日米の)同盟を堅持し、両国の人たちの友情を大切にした」人だったとし、「日本で最も長く務めた総理大臣だった。自由で開かれたインド太平洋への、彼のビジョンは今後も長続きする」としのんだ。
バイデン氏はさらに、「何よりも彼は日本国民を深く大切に思い、その人たちへ仕えるために一生を捧げた」、「襲われたまさにその時も、民主主義の仕事についていた」とも述べた。
「まだ不明な詳細が多いが、暴力的な攻撃は決して容認できない。そして銃による暴力は常に、被害を受けるコミュニティーに深い傷を残すことが分かっている」
「アメリカは、この悲しみの時に日本と共にある。(安倍氏の)家族に限りなく深い追悼の意をお伝えする」
オバマ元米大統領らも
同じ時期の首脳として安倍氏と頻繁にかかわったアメリカのバラク・オバマ元大統領は、「友人で長年のパートナーだった日本の安倍晋三氏が暗殺され、ショックを受けて、悲しんでいる」とコメント。
「安倍元総理は、自分が尽くした国と、アメリカと日本の間の特筆すべき同盟を、非常に大切にしていた」
「同盟強化のために一緒に取り組んだこと、一緒に広島や真珠湾を訪れて心動かされたこと、そして安倍昭恵夫人が私とミシェルに示してくれた思いやりを忘れない」
「ミシェルと私は、つらい思いをしている日本の人たちを思い、深い哀悼の意を送ります」と述べた。
事件発生から間もなく、オーストラリアのケヴィン・ラッド元首相は、「民主主義の支持者に対する攻撃だ」と犯行を批判。
アメリカのラーム・エマニュエル駐日大使も事件発生から間もなく、安倍氏について、「日本の優れたリーダーで、アメリカの揺るぎない仲間」だったとコメント。アメリカは安倍氏の無事を「祈っている」とした。
事件が生んだ疑問と衝撃――ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ東京特派員
多くの人がまず疑問に思うのは、どんな銃が使われ、犯人はそれをどうやって手に入れたのか、ということだろう。
その答えは、自分で銃を作った可能性がある、ということのようだ。容疑者が逮捕された時に撮られた写真には、即席または手製の二連式散弾銃のようなものが写っていた。
日本では銃による暴力は非常にまれで、銃を所有することは極めて難しい。政治的な暴力も、また極めて珍しい。
安倍氏には警備の警察官がついていた。だが犯人は、チェックを受けることも妨げられることもなく、安倍氏から数メートル以内に近づくことができたようだ。
このような著名人の銃撃は、安全を誇りにしている日本にかなりの衝撃を広げている。
 
 

 

●安倍元首相銃撃 容疑者「特定の団体に恨み」計画的犯行か  7/9
安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれ死亡した事件で、逮捕された容疑者が、「特定の団体に恨みがあり、元総理がこの団体と近しい関係にあると思いねらった」という趣旨の供述をしていることが、警察への取材で分かりました。8日昼前、奈良市の大和西大寺駅近くで演説をしていた安倍元総理大臣が背後から銃で撃たれて死亡し、警察は奈良市に住む職業不詳の山上徹也容疑者(41)を逮捕しました。警察当局によりますと、山上容疑者は手製の銃で襲撃したとみられ、これまでの調べに対し「元総理の政治信条への恨みではない」と供述していることが分かっています。その後の調べに対し、「特定の団体に恨みがあり、元総理がこの団体と近しい関係にあると思いねらった」という趣旨の供述をしているということです。また、捜査関係者によりますと、この団体について「母親が団体にのめり込み、多額の寄付をするなどして家庭生活がめちゃくちゃになった」という趣旨の話をしているということです。警察は、団体への恨みをきっかけに、近しい関係にあると思い込んだ安倍元総理大臣が奈良市を訪れることを知って襲撃を計画した可能性もあるとみて、詳しいいきさつを調べています。
自宅からは手製の銃が数丁 計画的犯行か
容疑者の自宅からは事件に使われたものと似た、手製の銃とみられるものが数丁見つかり、警察は計画的に準備した疑いがあるとみています。一方、奈良県警察本部は8日夜開いた会見で、安倍元総理大臣の演説が行われることを警察が把握したのは、前日の7日の夕方だったとしたうえで、「突発的な警護だが、十分に態勢を取れていたと思っていた。警備を用意するだけの時間はあった」と説明しました。現場で警護や警備にあたった警察官の数などは明らかにしていませんが、「警護の責任を有する警察として安倍元総理大臣が遊説中に死亡したことを重大に受け止め、警護・警備態勢に問題があったか確認を進め、問題があれば適切に対応する」として、今回の対応について検証を行う考えを示しました。
容疑者と同じ階に住む女性「印象はあまりない」
奈良市の集合住宅で容疑者と同じ階の部屋に住む20代の女性は「容疑者とはエレベーターなどですれ違い、おじぎしてあいさつする程度でしたが、マスクもしているので、印象はあまりないです。不審なにおいや音が聞こえてくることはありませんでしたが、ニュースを見てとても怖くなりました。昨晩も、警察から急に避難を呼びかけられてすごく不安でした」と話していました。
容疑者の下の階に住む女性「悩み事でもあるのかなと思った」
また、容疑者の下の階の部屋に住む60代の女性は「報道で容疑者の写真を見て、エレベーター前ですれ違った人だと感じた。事件の3日前にあいさつしたら向こうは会釈もなかった。何か悩み事でもあるのかなと思った。元総理大臣が襲撃されるという歴史的な事件で、身近に犯人がいたというのはすごく怖い。部屋に爆発物が残っているおそれがあったと聞き本当に驚いた」と話していました。
5月まで勤務していた会社関係者“周囲と衝突し欠勤増”
山上容疑者がことし5月まで勤務していた会社の関係者によりますと、容疑者は京都府内の工場でフォークリフトを操縦する仕事にあたっていたということです。この会社が大阪の人材派遣会社に対し「フォークリフトの操縦資格を持っている人を派遣してほしい」と依頼したところ、容疑者を紹介され、おととし10月から派遣社員として働き始めました。採用面接では、真摯(しんし)な受け答えをするという印象を持ったということです。容疑者は工場でフォークリフトを使った製品などの積み降ろしの作業にあたり、入社後の半年間は勤務態度に問題はなく、好印象を抱いていたということです。しかし、その後は、作業を手順通りに行わなかったり製品を雑に扱ったりするケースが目立ち、ことし1月ごろにはトラックの運転手と言い争いになったほか、3月末ごろには同僚に強い口調で反論するなど周囲との衝突を繰り返しました。そして、4月初旬から欠勤が増え始め、4月下旬には「体調不良で退職したい」と会社に申告し、有給休暇を消化したあと、5月中旬に退職したということです。会社の関係者は「容疑者は会社の中で親しい間柄だった人はいなかったようです。事件の話を聞いたときはとても驚きました。暴力で物事を解決することはあってはいけないことだと思います」と話していました。
警察庁 警備態勢や当時の対応を検証
事件を受けて、警察庁は警備態勢が十分だったかどうかなど当時の対応について検証することにしています。安倍元総理大臣は8日、奈良市で演説をしていた際に背後から銃撃され、搬送先の病院で死亡しました。警察庁によりますと、当時の安倍元総理の警備については、奈良県警察本部の警備部参事官をトップとする態勢で、奈良県警が警備計画を作成したということです。一方、現場には奈良県警の警察官のほか、警視庁警護課のSPもいました。警察庁は具体的な人数などを明らかにしていませんが、警備関係者によりますと、SPについては1人が専属で配置され、奈良県警の私服の警察官なども含めると合わせて数十人の態勢だったということです。現場では周囲を360度警戒し、元総理の後ろ側にも警察官が配置されていたということです。しかし今回、元総理への銃撃を防ぐことはできませんでした。沿道にいた人が当時撮影した動画では、容疑者が元総理の斜め後ろからゆっくりと歩いて近づく姿が写っていますが、銃声が鳴るまで警察官が制止する様子は確認できません。一方、警備関係者は、選挙の遊説では多くの有権者が集まるうえ、候補者などが有権者となるべく触れ合おうとするため、警備が難しい面があるとしています。今回の事態を受けて、警察庁は警備態勢が十分だったかどうかなど、当時の対応について検証することにしています。また、全国の警察に対し、要人の警備をさらに強化するよう指示しました。
専門家「警備に抜けがあったと言わざるをえない」
今回の事件について、警視庁警備部の特殊部隊に所属した経験があり、要人の警備などに詳しい元警察官の伊藤鋼一さんは「当時の映像を見るかぎり、事件の前に容疑者がバッグを持って周囲をうろついたり、安倍元総理大臣に直線的に向かって行ったりする様子が見て取れる。このような場合、通常は不審な人物を現場から遠ざけたうえで職務質問し、所持品を検査するのが鉄則であることを考えると、今回は警察官どうしの連携ができておらず、警備に抜けがあったと言わざるをえない」と指摘しています。そのうえで、「当時、どのような警備態勢だったかは今後の検証で明らかになると思われるが、要人の警備は100%でなければならず、1%のミスも許されない。わずかでも危険があれば排除することが重要で、残念な結果となってしまった」と話していました。
●「宗教団体の名前を伏せる」「各局揃って喪服」…安倍元首相銃撃事件報道 7/9
元テレビ朝日ニュースデスクが解説
安倍晋三元首相が殺害されるという衝撃的な事件が起きた昨日、テレビは当然のことながらその事件報道一色に染まった。「襲撃されて心肺停止状態」という第一報から、テレビ東京系列を除きほぼ全ての通常編成の番組は予定を変更して特番となり、深夜まで繰り返し安倍元首相殺害関連の事件に関するニュースのみが放送された。
元首相殺害は断じて許されない。非難すべき犯罪だ。しかし、今日という日は選挙の前日でもあり、私たちはこの事件を冷静に捉える必要もある。そういう意味でも、テレビ報道に関しておかしなことはなかったのか、分析しておく必要があると考えた。
長年テレビ報道に関わってきた筆者が、テレビ報道に感じた「違和感」をみなさまに伝えることにわずかなりとも意義があると思い、この文章を書くことにした。感じた「違和感」はいくつかある。
   (1) なぜ「宗教団体」の名前を明かさないのか
安倍元首相を銃撃した元自衛官・山上徹也容疑者は、その犯行動機として「特定の宗教団体に恨みがあり、その宗教団体と関係がある安倍元総理を狙った」と供述していると報じられている。
ひとつ目の疑問点は、この「宗教団体」の名前をなぜ明らかにしていないのか、である。この点についてテレビニュースの制作者として類推すると、考えられる可能性はふたつある。
ひとつは「警察が団体名を発表しておらず、取材でも明らかになっていない」つまり「テレビ局側も知らない」可能性。供述は警察署の中でされているのだから、原則的に警察側からの情報がなければ宗教団体が明らかになることはない。あとは容疑者の周辺を取材して、聞き込みから関連のある宗教団体を割り出していくしかない。
もうひとつの可能性としては、テレビ局は宗教団体の名前をすでに知っているが、なにがしかの配慮で報道していない場合。この場合、どういう配慮が働いている可能性があるのか。
考えうるとすれば、局として「宗教団体側には何も責任がないから」ということに配慮して、もう少し供述内容が明らかとなって宗教団体と犯行動機との関連性が深まるまで様子をうかがっている可能性だろうか。
あるいは、「安倍元首相とその宗教団体との関係がはっきりしない」ということに配慮している可能性だ。変にその宗教団体の名前を出すことによって「安倍元首相はあの宗教と関係があったのか」と思われてしまう可能性を恐れているのかもしれない。
「配慮や忖度」があれば真相解明は遠のく
しかし今回の場合、事件の犯行動機は「宗教団体への恨み」と報道されているから、この団体の名前を明らかにし、またその宗教団体に取材をしなければ事件の真相解決にはつながらない。そこにもし「配慮や忖度」が働いているとすれば、それは少しおかしいのではないかということになる。
やはり本来であれば宗教団体の名前を明らかにし、宗教団体側の取材もきちんと行ってその内容も併せて報道し、もし安倍元首相とその宗教団体との関係が明らかでなければ、その旨もきちんと報道すれば良いだけのことである。
   (2)今回の事件は「言論の自由や民主主義への挑戦」という問題? 
きのう各局の特番を見ていて気になったのが、「この事件は言論の自由を奪おうとするものだ」とか「民主主義への挑戦だ」というフレーズが多用されていたことだ。
たしかに、この事件への受け止めをインタビュー取材された政治家のみなさんがそう答えるのは至極当然だ。一般的に外形的に捉えれば、「選挙期間中に、選挙の応援演説をしていた元首相が殺害された」わけだから、まさに言論の自由の封殺であり、民主主義への挑戦であると言うべきだろう。
しかし、スタジオにいるコメンテーターや解説委員など「伝える側」まで、このフレーズを繰り返し述べていたのは、本当にそれで良いのだろうか。
もしこの事件の犯行動機が「特定の宗教団体に恨みがあり、その宗教団体と関係がある安倍元総理を狙った」ということならば、本当にそれは「言論の自由を奪おうとすること」であり「民主主義への挑戦」なのか? というところがひとつ疑問として浮かぶ。
「宗教団体へ個人的な恨み」が犯行動機であれば、それは個人的な怨恨による犯行だと言ったほうが適切かもしれない。だとすれば、安倍元首相を殺害するのはほぼ「逆恨み」であると言って良いだろう。
ましてや、安倍元首相とその宗教団体にそれほど関係がなかったとすればなおさら、「安倍元首相は何の落ち度もなかったのに逆恨みで殺害された」ということになり、これはこれで断じて許されないが、果たして「言論の自由の封殺」や「民主主義への挑戦」であったのかというと、議論の余地も出てくるのではないか。
とにかく今は「選挙期間真っ只中」であり、そういう意味では報道機関には冷静で公正な政治に関する報道姿勢が望まれる。
そういう意味で、動機がはっきり分からない中で、局サイドまで「言論の自由と民主主義に対する許し難い犯行だ」と断定してしまっているかのような報道姿勢は、それでよいのだろうか。
テレ東以外は横並び
   (3) 事件の報道時間が長すぎる
さらに、気になるのは昨日、事件の放送時間が長すぎはしなかっただろうか? ということだ。テレビ東京を除く各局とも、ほぼ事件発生時から夕方のニュースそして深夜のニュースが終わるくらいまで、すべて特番編成をしてこの事件について放送したが、それは適切だっただろうか。
確かに元首相の殺害事件であるから、ことの重大さから言えば当然特番を編成するのに十分値するのは間違いない。しかし、報道特番を編成するにはその「重大性」とともに「更新される情報量」も考慮されなければならない。
ニュースには「更新される情報量の多いもの」と「少ないもの」がある。
例えば、台風や地震などの自然災害は「更新される情報量の多いニュース」ということができる。刻々と降水量などの情報は変化し、被害状況も変わっていくからだ。
あとは例えば被害者が多い事件・事故なども「情報量の多いニュース」だろう。刻々と死傷者が見つかったり、その容体が変化したり、救助や原因解明などが進む場合には、特番を編成して伝える事項がたくさんある。
しかし、昨日はどうだっただろう。安倍元首相は17時頃にはお亡くなりになっていた。
事件の発生状況も、衆人環視のもと行われた犯行だから謎は少なかった。犯人は既に逮捕されていた。となれば、実は夕方のニュースが終了した19時頃にはすでにニュースとしては「動きは比較的落ち着いていた」ということができる。
「事件本筋」で更新されるとすれば捜査当局の取り調べ状況くらいだが、逮捕直後で夜間でもあるので、さほどの更新頻度は明らかに望めない。夫人も既に病院に駆けつけていたから、それほど親族の動きもなさそうだ。となると、せいぜい放送できるのは、「事件発生状況のまとめ」と「各界および各国の反応」と「これまでの安倍元首相の振り返り」くらいだろう。
撃たれる映像が繰り返し流れる
これで、ゴールデン・プライムタイムの時間を全て埋めなければならない。いくら、警察署や事件現場、そして安倍元首相の自宅前などから生中継をしても更新される情報は乏しい。
となると、繰り返し事件発生当時の視聴者提供映像や写真などを流すしかない。そうすると、繰り返し安倍元首相が銃器で撃たれる前後の映像が流されることになる。これは結果的に、視聴者に恐怖の感情や不安感を植え付ける。中には衝撃的な映像を繰り返し見てショックを受け、トラウマのようになってしまう人も出てくることになりかねない。
さらに、時間を埋めるためには繰り返し色々な人のインタビューを流さざるを得なくなる。そうすると当然のこととして「安倍元首相を賞賛し、死を悼む声」ばかりが集まることとなる。なぜならいくら日頃対立関係にあろうと、安倍元首相のことが本音では嫌いであろうと、凶弾に倒れた直後に否定的なことをカメラに向かってインタビューで答える人はいないからだ。
そうすると意図しなくても、結果的に「安倍元首相を褒め称える」側面ばかりを強調することになってしまう。
参院選投票日の直前なのに、である。通常時ならまだしも、選挙期間中であるわけだから、こうした「偏った意見ばかりを放送する」ことに、放送局は一番気をつけなければならない時期のはずなのに、である。
さらに、「これまでの安倍元首相の足跡をまとめたVTR」にしても、編集に時間はかけられず、慌てて編集したものだからどうしても内容は表面的な浅いものになってしまう。有識者などに分析してもらうようなインタビューをとることも、そんなにはできない。
しかも、こういう特番で振り返りVTRを長時間放送することには「ライブ感がない」ということで、プロデューサーなどにも抵抗感があるから、どうしてもVTRは短めになってしまう。
結果、「安倍元首相を誉めている内容」ばかりが目立つ数時間となってしまう。これであれば、いっそ夕方のニュースや夜のニュースなどで、きちんと更新情報を伝え、その間は通常編成の番組を放送したほうが良かったのではないかと私は思ってしまった。
安倍元首相の死は大ニュースだから、改めてきちんと後日特番を放送すれば良かったのではないかと思えてならないのである。
喪服を着るべきニュース
   (4)各局揃って「喪服」はやり過ぎでは
そして最後に気になったポイントは、細かいことかもしれないが、各局揃ってキャスターたちが「喪服」を着ていたことである。ぶっちゃけ安倍昭恵夫人ですらまだ喪服を着ていない昨日の時点で、「各局横並びでキャスターが喪服」だったのは視聴者の目にはどう映ったのだろうか。私は正直、若干の違和感を感じてしまったのである。
私の経験で言うと、ニュース番組のスタイリストはどの番組でもほぼ必ず「色目が地味なコーディネイト」と「喪服」を必ず用意している。いつどんなニュースが発生するか分からないから、「派手な色味を避けるべきニュース」が発生したら地味な衣装を、そして「喪服を着るべきニュース」が発生したら喪服をいつでも着られるように準備しているわけだ。
どんな判断が下されたのか
では、昨日の場合はどう考えるべきか。果たして安倍元首相が殺害されたというニュースが「派手な色味を避けるべきニュース」だったのか「喪服を着るニュース」だったのかという判断の問題になると思う。
一般論で言うと、通常、有名人が亡くなったからと言って「喪服」を着ることはニュース番組ではまずない。では、多数の人が亡くなった場合などはどうか? 例えば最近で言えば「知床の遊覧船事故」の際にキャスターは喪服を着ていただろうか? 私の記憶では、多分着ていないと思う。
喪服を着るのは、例えば「追悼番組」のような場合に限られるのではないか、と私は思う。あまり通常「ニュース番組でキャスターに喪服を着させる」という判断はしにくいのではないかとニュース番組のプロデューサー経験者として思うのだ。
果たして、昨日の場合、どのような判断があって各局ほぼ「喪服」ということになったのか。なぜ「知床の事故では喪服ではなかったのに、安倍元首相は喪服だったのか」を放送局関係者はどう説明するのだろうか。みなさんの目には「横並びの喪服」はどのように映っただろう。
さて、テレビニュースの関係者として、「安倍元首相殺害事件報道」に関する「気になったポイント」をお伝えしたが、このことをみなさんはどのように受け止められるだろうか? 
多分お考えは人それぞれだろうが、明日は参議院選挙の投票日だから、こうしたことも頭の片隅に置いてぜひ投票に行かれてほしい、と私は願っている。
●安倍元首相を撃った山上徹也が供述した、宗教団体「統一教会」の名前 7/9
安倍氏と統一教会の接点
安倍晋三元首相(享年67)を街頭演説中に銃撃し、殺害した山上徹也容疑者(41歳)の供述が、少しずつ明らかになってきている。大手メディアが報じない供述の内容を、以下、明かそう。
山上容疑者は「宗教団体のメンバーを狙おうとしたが、難しいと思い、安倍元総理を狙った」と報じられてきたが、この宗教団体は、旧・統一教会(世界平和統一家庭連合)である。かねてより霊感商法や集団結婚で話題になってきた新興宗教だ。
山上容疑者は「自分の母親が統一教会の信者で、安倍晋三が統一教会と親しいと知って狙った」と供述している。
なぜ山上容疑者は、統一教会と安倍氏と接点があると考えたのか? 統一教会系の政治団体「国際勝共連合」は、1968年に創設された保守系グループであり、自民党の保守系議員とも密接な関係があると言われる。ネット上では、かねてより安倍氏と勝共連合の関係が取り沙汰されてきた。
統一教会と敵対関係にある日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」では、昨年9月12日、旧統一協会系の天宙和連合(UPF)の集会に安倍氏がオンラインで出席し、「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」と発言した模様を報じている。
保守系政治家の雄であった安倍氏と統一教会との接点は、かねてより永田町関係者では公然の秘密だった。たとえば安倍氏と近いある参議院議員の場合は、「統一教会丸抱え」と言われるほどの密接の関係にあり、統一教会幹部も「あの議員はうちの票で当選できている」と認めるほどだった。
山上容疑者の自宅では拳銃2丁以上が押収され、爆破物を複数製造していたことも明らかになった。自宅のワンルームは火薬の匂いが立ち込め、さながら町工場のように、爆発物などの製造に使う薬品、鉄くずなどが散乱していたという。
「もともと爆発物で安倍氏を殺害しようとして製造したが、これでは無理だと銃に変更し、今年の春には完成させたと供述している。
今回使用した銃は、2つの鉄パイプを粘着テープでつないだものだった。二度発砲ができるもので、激しい殺意が見られる。山上容疑者も、殺害するつもりだったと物静かに語っている」(捜査関係者)
20年前の母親の破産
「統一教会と安倍が親しいので狙った。殺してやると銃を持ち出した。ネットで毎日、参院選の予定を調べていて、奈良にきたのでチャンスだと思った」
「政治的な意味合いで狙ったのではない」
「自宅でこれまで、拳銃、爆発物など複数作っていた。インターネットなどから、調べて作った」
などと山上容疑者は供述しているという。なぜ統一教会に恨みを燃やしたのか、今のところは供述からは明らかになっていない。
ただ山上容疑者の母親がかつて統一教会の信者であり、大量の寄付をしていたこと、おそらくはそれが理由で2002年8月21日に破産宣告を受けていることが明らかになっており、家族が崩壊したことへの何らかの恨みを統一教会と安倍氏にぶつけた可能性がある。
捜査関係者が語る。
「母親は熱心な統一教会の信者で、今も現役のようだ。山上容疑者は母親と統一教会の関係が家庭崩壊につながったと憎悪を募らせ、犯行に及んだと供述している。母親については調べを進めているが、かなり熱心な信者であったとみられる。
犯行前日には、安倍氏が岡山県で演説をすると知り、追いかけて行っている。パソコンやスマホには拳銃、爆発物を検索した履歴がかなりある。計画的な銃撃とみられるが、意味が通じない供述もある」
自民党幹部は語る。
「最大派閥、安倍派を牛耳る安倍氏が亡くなった、次のリーダーがはっきりしない安倍派は迷走するかもしれない。これまで安倍派だった下村博文、西村康稔、世耕弘成、萩生田光一といった有力者は、みな安倍氏がいるから大人しくしていた。だが、その軛が外れると大変だ。岸田政権の誕生は安倍氏と麻生氏のタッグのおかげだったが、そこにひびが入れば、岸田氏もウカウカしていられない状況になる。参院選は安倍氏の銃撃で同情票がくるので圧勝だろうが、党内抗争になる可能性がある」
●「無念」「冷静さ必要」 安倍元首相死去、SNSに各界から悼む声 7/9
安倍晋三元首相が参院選の街頭演説中の8日に銃撃されて死亡した事件を受け、ツイッター上では9日にかけて、各界の著名人から安倍氏を悼むコメントが寄せられた。10日の参院選投開票が迫るタイミングでの痛ましい事件に衝撃が広がる中、冷静さを保つよう呼びかけるツイートもあった。【デジタル報道センター】
音楽プロデューサーのつんく♂さんは8日夕、「残念無念すぎます。こんな事があっていいのか。悔しすぎます。心の奥底よりご冥福をお祈りいたします。安倍元総理、本当にありがとうございました」とツイートした。
放送プロデューサーのデーブ・スペクターさんは8日夕、「たびたびお会いした安倍さんはいつも楽しく話して頂きました。歴史に残る政治家が失われて残念です」と悼んだ。
事件に過度に動揺しないように訴える投稿もあった。人気ロックバンド「氣志團」の綾小路翔さんは8日夕、「痛ましい事件に心がざわついている人も多いと思うけど、そんな人こそまずは外行って大きく深呼吸して、ゆっくりお風呂浸(つ)かるなり、美味(おい)しいご飯食べるなりして、何なら今日はさっさと寝ちまうと良いよ。で、しっかり頭クリアにして、いよいよ明日/明後日はこの国の未来の為(ため)に投票に行こうぜ」と呼び掛けた。
タレントのラサール石井さんは8日夕、「慎んで哀悼の意を表する。悪口も沢山(たくさん)書いたが、けして死ぬべき人ではなかった。もちろん死ぬべき人間など誰もいない。最悪だ。何故防げなかったのか。日本中のネジが緩んでいる」と投稿。政治的主張の違いを超え、安倍元首相を惜しんだ。
スポーツ界では、サッカー元日本代表の本田圭佑さんが9日未明、安倍元首相と握手する写真をアップし、英語で「Sorry but I'm sad(申し訳ないですが、私は悲しいです)」と悲しみのメッセージを添えた。
2016年リオデジャネイロ五輪体操金メダリストで「ひねり王子」の愛称で知られる白井健三さんは8日夜、「お会いした時の『おめでとうございます』『あのひねりは何が見えてるの?』という優しい口調はいつまでも忘れません」とエピソードをつぶやいた。
政界などからも哀悼する投稿が相次いだ。菅義偉前首相は8日夜、「選挙活動という民主主義の根幹を否定する極めて卑劣な行為は決して許されず、強い憤りを覚えています。明日は参院選の最終日ですが、日本の民主主義を守り、発展させるためにも、安倍元総理の想(おも)いを受け継ぎ、最後まで全力で戦い抜く決意です」と怒りをあらわにした。
小泉純一郎政権時代、安倍氏とともに閣僚を務めるなどした竹中平蔵・慶応大名誉教授は9日未明、「卑劣極まりない行為に、怒りと悲しみが交錯します。本当に、話していて楽しく、同時にいつも示唆に富む話をされる、偉大な政治家でした」と功績をたたえた。
安倍氏と生前、論戦を交わした立憲民主党の枝野幸男前代表は8日夕、「政治的立場を異にしましたが、暴力によって命を失われたことは、許しがたく、悔しく、残念でなりません」と悼んだ。
国際政治学者の三浦瑠麗さんは8日夕、「歴史に大きく名を残しましたが、このような形で人生の幕を閉じるとは思いませんでした。いや、その危険を常にご本人は自覚し、引き受けて生きておられたのかもしれません。意味のわからないほどの憎しみを引き受けるというのは勇敢な行為です。政治家として華のある、優しい方でした」と投稿した。
新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は8日夜、「死去の報を受け安倍さんに酷いことを言っている人がいます。その酷いことを言っている人たちに対して酷いことを言っている人がいます。誰に対しても誹謗(ひぼう)中傷はやめましょう。冷静さが必要」と呼びかけた。
神戸女学院大名誉教授で思想家の内田樹さんも8日夜、「テロリズムが目指すのは何よりも『憎悪の増殖』です。この事件を奇貨として『増しみの対象』を増殖させようとすることはテロリストの願いを実現させることです。『だから…を憎むべきだ/…を排除すべきだ』という話型には最大限の警戒が必要です」とツイッターで指摘。平静になることの大切さを伝えた。
●田崎史郎氏、涙こらえ「もう電話しても応答ない」「本当に無念で悔しい」  7/9
政治ジャーナリストの田崎史郎氏が9日放送のTBS「情報7daysニュースキャスター」にVTR出演し、安倍晋三元首相への思いを語った。
通常午後10時放送の同番組は8日に奈良市で安倍元首相が銃撃され、死亡した事件を受け、1時間前倒しで放送。銃撃事件のニュースを特集する中で、これまで安倍元首相に対して精力的に取材を重ねてきた田崎氏がVTR出演した。
「僕にとっては安倍さんが総理に復帰して以降、半年に1回ぐらい食事をずっとしてきて、1カ月に2、3回は電話を差し上げてた。僕はいつも国政選挙の時は投票日の午前中に安倍さんに電話していくことにしていて。ここ10年近く」と安倍元首相との関係性を語った。
また「今度電話しようと、この土日にはと思ってた。でも、もう電話しても応答ないですよね」と涙をこらえ、「本当に無念で悔しいです」と言葉を振り絞った。  

 

●「前日の朝、宗教団体の施設撃った」 襲撃向け試射か 7/10
自民党の安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職の山上徹也容疑者(41)が「7日の早朝に宗教団体の施設を撃った」と供述していることが10日、捜査関係者への取材で分かった。襲撃に備え銃を試射した可能性がある。
捜査関係者によると、撃ったのは山上容疑者が「母親が多額の寄付をして恨みがあった」と供述する宗教団体の奈良市内にある施設。安倍氏を襲ったのと同じ銃を使い、「音が大きくて慌てて逃げた」という趣旨の説明をしている。
山上容疑者は施設を撃った後、7日夜の岡山の演説会場に足を運んだが襲撃を断念。同日夕に安倍氏が8日に奈良に入ることが急遽(きゅうきょ)決定していた。
一方、同団体は10日、母親が信者として在籍していると明らかにした。金銭トラブルはないとしている。
また、安倍氏を撃った銃について、山上容疑者が「一度に6発の弾丸が発射される仕組みだった」と供述していることも判明。金属製の筒2本に各6発の弾丸が込められ、一度の発砲で1本の筒から全ての弾丸が飛び出す構造だった。
奈良県警は10日、容疑を殺人未遂から殺人に切り替え送検した。
●元首相狙撃・山上徹也と「統一教会」の関係を同級生たちが証言! 7/10
奈良市で安倍晋三元首相が銃撃され、命を失ってから2日あまりが経つ。7月10日、参議院選挙の投票がはじまって間もない午前9時過ぎ、山上徹也容疑者が勾留されている奈良西署を出て奈良地検に送検された。
警察官に囲まれて車両に案内される山上容疑者の顔には、犯行時にかけていた眼鏡はなく、終始無表情のものだった。
戦後最長の政権を率いた大物政治家を銃撃し、殺害した事件は、今も日本社会に衝撃を残したままだ。だんだんと明らかになってきた山上容疑者の最新の背景を記そう。キーワードは2つ、「銃」と「統一教会」だ。
山上容疑者は、2020年10月から京都府内の工場でフォークリフトの運転士として仕事をしていた。奈良市の自宅からバイクで通い、まじめに勤務をしていた。ところが今年に入って「異変」がみられるようになったという。
勤務していた工場関係者が証言する。
「仕事を手順通りにしない、同僚と口論になるなど、態度に変化がみられました。
3月に入ると、フォークリフトからトラックに荷物を積む際に、緩衝材を使うかどうかで先輩社員とトラブルになり、『それならお前がやれよ』などと暴言を吐くようになった。仕方なく先輩スタッフが積み込みを代わってやらざるを得なくなったのです。
やがて無断欠勤も増え、『心臓がおかしい』などと言って、週に1〜2回休むようになった。
社内でも契約更新の話が出始めた4月はじめに、山上本人から『5月で退職させてほしい』と派遣会社に申し入れ、期間満了で退職しました」
山上容疑者の住んでいた奈良市内のワンルームマンションからは、安倍元首相の殺害に使用したのと同タイプの手製の銃や手製の爆弾が複数発見されている。また、部屋の木の板には銃痕が残っていた。
取り調べで、山上容疑者は「爆弾で殺害しようと思ったが銃に切り替えた。今年春には銃が完成していた」と供述しているが、これは前述した工場で態度が乱暴になった時期と一致する。
これまで供述で明らかになっている「銃」について、捜査関係者が語る。
「山上容疑者は、今年になってから鉄パイプを使って銃や弾を密造しはじめたと話している。押収物の中には、1度引き金を引けば、1つの筒から6発の弾が発射される殺傷能力が高い銃があった。犯行に使ったものも、1度に複数の弾が発射されていたようだ。2つの筒が見つかっており、最低でも6つ程度の弾が安倍元首相に向けられたとみている。
また自宅では木製の板で銃の試し撃ちをしていた。愛車の軽乗用車で、奈良県内の山間まで出かけては、弾が打てるかどうかの実射実験もしていたようだ。それがうまくいくと、奈良市内の統一教会の関連施設にも行って試し撃ちをしていたという。
銃の部品はインターネットやホームセンターで入手していたと供述している。山上容疑者は『安倍元首相に弾が出てよかった』という趣旨の話もしており、銃の密造に成功したことを満足気に語っていて、銃への執念を感じる。
一方で政治に詳しいような様子はあまりない」
母親は「韓国に行きたい」と
そこまでして、山上容疑者は安倍元首相に恨みを募らせていた。動機は「現代ビジネス」が7月9日に報じたとおり、母親が統一教会(現・世界平和統一家庭連合)にのめりこんで多額の寄付を行った結果、家族崩壊したことである。
母親の知人は「現代ビジネス」にこう証言した。
「山上君の母親と父親(後に死亡)の折り合いは、もともと悪かったんです。お母さんは、いつしか統一教会に入信して熱心に信仰するようになった。奈良の統一教会に頻繁に出かけて、とても熱心でした。どうも何日も家を空けるようなこともあり、霊感商法のようなことにもかかわっていたそうです。『いくらお金があっても足りない』『韓国にも行きたい』と言って、家を顧みない感じでした」
統一教会は、今も母親が信者であることは認めている。そんな母親に対して、山上容疑者は、周囲の知人にはこう口走っている。
「統一教会のせいで、家がおかしくなった」
「家にカネがなくてどうにもならない」
それと同じくして、山上容疑者が20歳のときに母親が破産をした。そこで転居を余儀なくされた。この破産は、統一教会に対する過剰な献金が原因ではないかと、山上容疑者の同級生らは見ている。
山上容疑者の中学時代の同級生がこう語る。
「卒業アルバムの通り、こてつと呼ばれていて、おとなしいけれど親しみやすい奴だったんです。口数は少ないのにニコニコしていてね。ところが年を重ねるにつれ、ふさぎ込むようになった」
山上容疑者は、奈良県内の進学校・郡山高校から、京都の名門・同志社大学工学部に合格したものの、そこで母親の統一教会問題によって人生を変えられたとみられる。高校の同級生はこう語る。
「母親が、金を統一教会に使い込んで、学費が払えず、中退を余儀なくされたと聞きました。それで大学を途中でやめてしまったと思う。山上は飄々ととしていて、口数は多くはないが悪い奴じゃない。それがおかしくなり、「統一教会がなければ」と恨みを口走るようになってからは、人付き合いを一切しなくなったんです。
自宅でも母親と大声で怒鳴りあい、近所の人が何事かと駆けつけたこともあったと聞きます」
統一教会といえば、「合同結婚式」「霊感商法」「政治家とカネ」といった様々な話題が社会を賑わせてきた新興宗教だ。山上容疑者が起こした前代未聞の事件の背景には、統一教会の存在はどの程度影響を及ぼしたのか。統一教会は7月11日午後に都内のホテルで記者会見を開き、反論を展開するとみられている。
「銃」と「統一教会」という事件の闇は、今後どう解き明かされていくのか、その展開は見逃せない。
●山上徹也容疑者、中学時代のあだ名は“こてつ”「成績バツグン」 7/10
奈良市内で参院選の街頭演説中に安倍晋三元首相(67)が銃撃され、死亡した事件で、奈良県警は10日午前、殺人未遂容疑で現行犯逮捕した元海上自衛官の無職山上徹也容疑者(41)を殺人容疑に切り替え、奈良地検に送検した。
山上容疑者は奈良市内で育った。中学の同級生は「頭が良かった」と話し、高校の同級生らは「人見知りの一面も」と評した。
中学時代はバスケットボール部に所属。小柄だったが運動神経がよかったという。あだ名は「徹也」からとった「こてつ」。中学校の卒業アルバムの写真には氏名の下には「こてつ」。このニックネームを本人も気に入っていたようだという。同級生は「成績がバツグンだった」と話した。
高校は奈良県内有数の進学校である県立高校に進学した。同級生の女性(41)によると、応援団に所属していた。「おとなしくまじめ。ちょっと人見知りの一面もあった」と振り返った。卒業アルバムの自身の将来を記載する欄には「わからん。」としていた。
03〜05年、海上自衛隊に所属。山上容疑者は、20年10月から派遣社員として京都府内の工場でフォークリフトで倉庫の荷物を運ぶ仕事をしていた。工場の責任者によると、フォークリフトの免許を持っており、派遣会社へ支払っていた時給は1800円。遅刻や欠勤もなく、まじめな仕事ぶりだったが、半年が過ぎたあたりから仕事の手順を巡り、同僚らとトラブルが発生。今年3月には年上のベテランと激しい口論になり、同月末ごろから週に1〜2回欠勤するように。「心臓の調子が悪い」などと訴え、5月15日付で退職した。責任者は「仕事の会話はあったが、趣味や経歴などプライベートはいっさい話さなかった」と振り返った。
●「母親が宗教に傾倒し、大病を患う兄が自殺」 山上徹也容疑者が自殺未遂 7/10
「入信した母が破産した後も団体に金を納め続けていたため、許せなかった」(山上徹也容疑者の供述)
近鉄大和西大寺駅前で8日、応援演説のため壇上に登った安倍晋三元首相(67)が背後から狙撃され、死亡した事件。犯行直後に殺人未遂容疑で逮捕されたのは、現場からほど近いマンションで一人暮らしをする山上徹也容疑者(41)だった。
事件前の足取りで見えてきた“明確な殺意”
奈良県警は10日、殺人未遂容疑から殺人容疑に切り替え、山上容疑者を奈良地検に送致した。その後の警察の捜査で、新たにインターネットで部品や火薬を調達して周到に自家製銃を作り上げていたほか、押収した山上容疑者の車から、試し撃ちに使ったとされる複数の穴が開いた木板が発見されたことが判明。犯行前日の7日夜にも、岡山市の応援演説会場付近を訪れ狙撃の機会を狙うなど、決して衝動的とは言えない、“明確な殺意”があったことがわかってきた。
「政治信条に対する恨みではない」
それが犯行当初からの一貫した山上容疑者の供述だったが、謎に包まれているのは「ある宗教団体に恨みがあり、元首相と団体がつながっていると思い込み犯行に及んだ」とする動機だ。元首相を殺害するまでに山上容疑者を駆り立てた憎悪とは、一体何だったのか。背景には、幼少期からつきまとう“死の影”があったようだ。
捜査関係者が話す。
父が急死、母親は宗教に傾倒し破産、兄は自殺…
「山上容疑者には厳しい家庭環境で育ったようです。親族によると、もともと父は名門大学の工学部を卒業後、自分で建築会社を経営する裕福な家庭でした。しかし山上容疑者が5歳の頃に急死。そこから一家の暗転が始まります。悲しみを和らげるためか、母はある宗教団体にのめり込み、お金の使い込みが激しくなっていったのです。山上容疑者の祖父の死後、母は祖父が経営していた会社を引き継ぎましたが、その金も宗教団体に使い込んでいきました」
結果として、山上容疑者の母は2002年、自己破産をするまでに追い込まれてしまう。山上容疑者の母が所属していた宗教団体への恨みは相当根深かったようだ。捜査関係者が続ける。
「山上容疑者は歳の近い兄と妹がおり、3人兄弟でした。しかし母が宗教に金を使い込んだ結果、兄妹は食べるにも困る生活を送っていたようです。山上容疑者は県内屈指の名門進学高校に進学しながらも兄同様、大学には通えず専門学校に進学することになりました」
追い打ちをかけた大病を患う兄の自殺
母親の宗教への傾倒による生活苦――。そして山上家に追い討ちをかけたのが、兄の自殺だった。
「兄は大病を患い、長年治療に苦しんでいました。ですが、母親は宗教団体への献金や行事参加にのめり込み、一家は借金苦に喘いでいた。その結果、疲れ果てて、ついに兄は自殺に追い込まれてしまったのです。山上容疑者には相当ショックだったと思います。山上容疑者自身もこうした生活に相当苦しんでいたようで、海上自衛隊時代には自殺未遂の過去があるようです」(前出・捜査関係者)
亡くなった兄の同級生が明かす。
「山上くんの家へ遊びに行ったことがありますが、お母さんはとても優しい人でした。もっと言うと優しすぎるお母さん。お兄ちゃんには特に甘くて、なんでも買い与えていました。彼が大病を患っていたとは知りませんでしたが、頭が陥没していたり話し方がゆっくりだったりして、何かしらの障害はあるんだろうなとは思っていました。勉強もあまりできるほうではなかった印象ですが、日常生活に困るほどではなかったと思います。普通に高校にも進学してましたから……」
高校時代の友人によると、学生時代は応援団と文芸部に所属し、口数が少なかったという山上容疑者。学生時代の知人や職場関係者からは「真面目で静か」といった声が多いものの、昨年からは職場の上司の指示にたびたび反抗するなど、犯行の前触れを思わせる精神の安定を欠いた状態だったという。
事件直前に“☆1の恨み節レビュートラブル”
犯行直前にも、こんな近隣トラブルがあったという。山上容疑者の自宅付近のレストラン従業員が「事件が起きた時に『あの時の奴や』と驚きました」とこう明かす。
「6月19日昼、見知らぬ男が黒の軽自動車をレストランの駐車場に無断で停めていたのを見つけ、オーナーが注意したんです。その場では『すみません』と立ち去っていきましたが、夜になると店のGoogleのレビューに書き込みがあったんです」
レストラン従業員が「見かけてすぐに撮った」というレビューのスクリーンショットには、匿名でこう書き込まれている。
《定休日だったこの店の駐車場を10分ほど初めて拝借すると、そこに自転車で通りがかった店主が「そこウチの駐車場なんですけど?」 知っとるわ》
《これから(店の車が路駐しているのを)見かけたら必ず言うようにするわ》
「☆1の恨み節満載のレビューでした。実際に翌朝、店の裏口で荷物を積んでいたら、黒のポロシャツにスウェットのようなズボンを履いた男性がつかつかと歩み寄ってきて、『車、邪魔や』と小さな声で言い残し、去っていきました。突然のことでしたから、怖かったし驚きました。その後、本人が消したようで、そのレビューは消えていましたが……」
自分が置かれた境遇へのやり場のない怒りをどこに向ければ良いのか、山上容疑者自身もコントロールができなくなっていたのだろうか。
「実はこうした山上容疑者の過去を詳しく知る母は、山上容疑者の犯行後、行方をくらましたままなのです。安倍元首相を殺害するまでの経緯が明らかになるには、もう少し時間がかかりそうです」(前出・捜査関係者)
事件現場で取り押さえられた際には、山上容疑者は抵抗もせず、静かに組伏されたままだったという。世間を揺るがす大事件を起こした山上容疑者は今、何を思うのだろうか。
●安倍晋三氏と統一教会の関係についての誤解  7/10
安倍晋三氏の射殺事件は、いろいろな憶測を呼んでいる。第一報を聞いて私も次のような動画を収録したが、このときは未確認だった事実が明らかになってきた。
この事件は政治的テロではない
まず奈良県警の発表でも明らかなのは、安倍氏を射殺した山上徹也が「安倍氏の政治的信条が理由ではない」とか「宗教団体の幹部をねらったが失敗したので安倍氏をねらった」などと供述していることだ。
ところがマスコミは「暴力で言論を圧殺することは民主主義への挑戦だ」といった話を繰り返している。それ自体は正しいが、犯人が安倍氏の政治的信条を圧殺するつもりではなかったと言っているのだから、本件とは無関係である。
では何が動機なのか。この点では各社の報道がまちまちだが、「宗教団体への恨み」が原因だという点は一致している。この宗教団体は、週刊誌は名前を出し始めたが、統一教会(世界平和統一家庭連合)である。
これについて犯人は「安倍氏が(統一教会の)教えを全国に広めた」と供述しているようだが、これは犯人の妄想である。
統一教会の創立者、文鮮明は、安倍氏の祖父、岸信介と協力して国際勝共連合をつくった関係で、統一教会は今も自民党の支援団体の一つである。安倍氏が統一教会の関連団体でビデオ演説したことも公知の事実だが、首相をやめた議員が支援団体のイベントであいさつするのは当たり前だ。
動機は家庭内の個人的トラブル
読売新聞によると、犯人は昨年「この動画を見て(統一教会と)つながりがあると思った」と供述しているようだが、安倍氏は統一教会を指導する立場にはなく、公的な場でその宣伝をしたこともない。統一教会は、過去には霊感商法などの事件を起こしたが、その後は分裂し、今は信者6万人程度のマイナーな宗教法人にすぎない。
犯人は「母親が(統一教会の)信者で、多額の寄付をして破産したので、絶対に成敗しないといけないと思っていた」と供述しているようだ。母親は今も統一教会の信者であり、過去には教会に多額の寄付を行い、2002年に破産した。犯人がこれを恨んだとすれば、動機は家庭内の個人的トラブルであり、まったく筋違いの犯行である。
当初は統一教会の幹部をねらったが失敗し、選挙の遊説でねらいやすい安倍氏をねらったようだが、ここに大きな飛躍がある。統一教会を指導する立場にない安倍氏を殺害することは、まったく無意味なテロであり、犯人の精神異常を疑う余地がある。
以上の事実からいえることは、本件は「安倍死ね」といったアジテーションが原因ではないということだ。安倍氏への憎悪をあおった人々に責任がないとはいえないが、犯人が海上自衛隊に勤務した経歴からみても、思想的背景は考えられない。
むしろオウムのような宗教的カルトの犯罪に似ている。今のところ組織的な背景はないようだが、統一教会の分派(銃愛好者の団体)がからんでいるという噂もあり、この点の捜査が必要だろう。
●安倍元総理暗殺で「特定の宗教団体」の存在と「NHK党」への影響 7/10
「逆恨み」されて犠牲に
安倍晋三元総理が7月8日、暗殺された。参院選の選挙応援に入った奈良で演説を始めた直後、背後から男に「密造銃」で銃撃され死亡するというショッキングな展開に、日本国内はもちろん世界各国に衝撃が走っている。
奈良県警は会見で、殺人容疑で取り調べを受けている山上徹也容疑者(41)は「特定の宗教団体」に対する強い恨みを持っており、安倍元総理がこの宗教団体と近い関係にあると勝手に思い込んで、殺害したと述べている。
「この『特定の宗教団体』は、旧統一教会のことだという情報が早い段階で永田町界隈では出回っていました。旧統一教会は正式名称を『宗教法人世界平和統一家庭連合」といって、かつては霊感商法が社会問題になりました』(永田町関係者)
その一方で、「安倍元総理の祖父である岸信介元総理の時代から、反共産主義の観点から保守系の勢力との関係が取り沙汰されている宗教団体です。ただ、安倍元総理自身は、これまで旧統一教会の行事に祝賀メッセージを贈ったことがありますが、あくまでも政治家としての付き合いの範疇に過ぎないのではないかという見方もあります。安倍元総理に限らず、政治家ならば票につながりそうな団体などにそれなりのリップサービスをするなんてのは別に珍しいことではないのですから」(同)
NHK「日曜討論」で
つまり、安倍元総理は、山上容疑者に完全に「逆恨み」されて犠牲になったと言える可能性が高いのだ。
この「統一教会説」に信ぴょう性をもたせるのは、6月26日のNHK「日曜討論」での出来事だ。番組内でNHK党の黒川敦彦幹事長が唐突に「安倍晋三氏と統一教会」の関係を指摘し、顰蹙を買ったばかりだったのである。
もっとも、今回の犯人である山上徹也容疑者は、武器となった「密造銃」を1ヶ月前から準備していたというから、この日曜討論に直接的に突き動かされたという訳ではない。
奈良県警はなぜかこの宗教の名前を明かしていない。しかし、これほどの重大事件の動機に関わる情報なのだから、オープンにするのが筋だという意見は少なくないし、それも当然だろう。
いずれにせよ今回の事件はNHK党にとっては思わぬ逆風になる可能性が出てきた。討論番組で怪しげな情報を口走ったのがそもそも悪いのだが。
安倍元総理の死去はそれだけでなく日本の政治に激震を走らせている。
安倍派の今後は?
「参議院選挙は自民党が圧勝する可能性が高くなりました。1980年のわが国初の衆参同時選挙では、当時の大平正芳首相が選挙期間中に心筋梗塞による急性心筋不全で急死。同情票が集まり、当初苦戦すると予想されていた自民党が圧勝しました。今回の参議院選挙はもともと岸田政権の優勢が確実視されていたので、なおさら自民党の圧勝は間違いないと言えます」(前出・永田町関係者)
事件は政界にどのような影響を与えるのか。
岸田総理にしてみれば、当選同期の安倍元総理を失った悲しみは大きいだろうが、一方で今回の選挙の勝利によって「黄金の3年間」が手に入ることになる。よほどの失政やスキャンダルがない限り、政権は安泰だろう。
一方で、強力な存在感を発揮していた安倍元総理を失った清和会(安倍派)の求心力低下は否めない。
「清和会は衆参合わせて94人と、自民党所属両院議員の4割近くが在籍していますが、先の総裁選でも派内から立候補するメンバーはいませんでした。安倍元総理の後継候補が育たなかったということですね。人材がたくさんいるだけでそれをまとめ切るリーダーが不在だから今後は分裂含みだと言う人も少なくないですね」(同)
凶弾は尊い命を奪い、自民党内の力学も変えることになりそうだ。
●日本サンクチュアリ協会「安倍晋三元首相狙撃事件に関する声明文」発表 7/10
安倍晋三元首相が銃撃され死去した事件を受け、世界平和統一聖殿日本本部(略称・日本サンクチュアリ協会)が10日までに、公式ホームページで声明を発表した。
声明は「安倍晋三元首相狙撃事件に関する声明文」と題し、「まず、最初に安倍晋三元首相の御逝去に接し、心からの哀悼を捧げます」と安倍氏に弔意を表した。
安倍氏を襲撃した山上徹也容疑者は、特定の宗教団体の名を挙げ「母親が信者で、恨む気持ちがあった」などと供述しているが、この宗教団体が「世界平和統一家庭連合(家庭連合)」で、その分派に所属していたと一部で報道されている。
同本部は「当協会の教会長たちに多数のマスコミが質問をして参りましたし、甚だ迷惑な報道も拡散されていますので、ここに声明文を送ります」と主張した上で、日本サンクチュアリ協会総会長・江利川安栄氏の名前で、以下のように見解を示した。
1日本サンクチュアリ協会は、山上徹也容疑者と接点も関係も一切ありません。また、同容疑者は過去にも当協会集会等への参加記録等も一切ございません。さらに、山上容疑者の世界平和統一家庭連合の分派への所属を当サンクチュアリ協会と決めつけていますが、一切根拠のある情報ではなく、マスコミやその他の推測記事や悪意ある印象操作によるものと断じ撤回を求めます。
2また、山上容疑者の母親が宗教団体に献金を捧げて来たとの報道ですが、当日本サンクチュアリ協会では、一円たりとも献金をいただいた事実はありません。
3安倍元首相との当協会の関係ですが、そもそも、私どもは自由と正義、平和を愛する日本国民として、安倍晋三元首相を尊敬し、多くの政策を支持し、応援をして参りましたのは事実ですが、2015年3月1日設立の歴史の浅い当協会が、安倍元首相から祝電をいただくとか、集会に来ていただくとか何かをして頂いたという事実は一切ございません。山上容疑者の安倍元首相狙撃事件は、ショックであり、ただただ御冥福を祈るのみです。
4また、当協会の銃に対する考え方に対しても、マスコミは先入観をもって、多くの誤解を招く論議を拡大しておりますが、アメリカに本部を置く当協会においては、そのアメリカ合衆国憲法修正2条に認められた自由と安全を守るために銃を保持することは重大な権利となっていることを知っております。当協会は日本国憲法の下で法を遵守し、違法行為を行っているということは、一切ありません。銃による山上容疑者の犯罪と当サンクチュアリ協会を結びつける悪なる意図をもった一切の行為に関して謝罪を求め、撤回を願います。
世界平和統一聖殿日本本部(略称・日本サンクチュアリ協会)は、世界平和統一家庭連合(旧名称は世界基督教統一神霊協会=統一教会)の分派で本部は米国にある。
●母・洋子さん、悲嘆の肉声「もう晋三はいないんですよ」 7/10
安倍晋三・元首相が7月8日、奈良県内での遊説中に銃撃されて死亡した事件は国内外に衝撃を与え、いまだ動揺は収まる気配がない。何より、遺された家族のショックは計り知れない。
妻の昭恵夫人は、事件を受け都内の自宅から奈良に向けて出発。夕方に安倍元首相の入院先だった奈良県立医科大学附属病院に到着すると、対面から8分後に死亡が確認された。翌9日の朝、病院から遺体を乗せた車が出発すると、昭恵夫人は後部座席で前を見据え、病院を後にする際に頭を下げた。車は午後、自宅に着き、安倍元首相は無言の帰宅を遂げた。
実弟の岸信夫・防衛相は会見で「兄は政治に命を賭けてやってきた。でも、このような形で命を取られるとは思ってもみなかった。悔しくてたまらない」と無念の胸中を明かした。生前、安倍元首相は健康不安説が取りざたされる岸氏のことを気にかけていたという。岸氏の後援会関係者は言う。
「岸さんは車いすや松葉づえを使って移動していますが、足元がおぼつかない状態です。活舌も悪く、地元でも『防衛大臣が続けられるのか』と懸念の声が上がっていました。現在は息子の信千世さん(元フジテレビ記者)が秘書官を務めており、次の衆院選では岸さんの代わりに信千世さんが継ぐともっぱらです。安倍さんは我がことのように心配し、信千世さんともよく連絡を取って、後継への準備を進めていたと聞きます」
安倍元首相と岸防衛相の母である洋子さんも、岸家の後継には重大な関心を寄せていたという。それだけに、まさか、という思いだろう。同関係者が明かす。
「安倍さんが亡くなったとの一報が流れた後、後援会幹部の一人に洋子さんから電話があったそうです。『もう晋三はいなんですよ。明日から信千世の選挙戦が始まると思ってやりなさい』と声をしぼりだし、『もう晋三は……』と、最後は涙声で聞き取れなかったそうです」
洋子夫人にとっては、総理の座を目前にがんで亡くなった夫に続き、その夢を叶えた息子が凶弾に倒れた。奇しくも、ともに享年67。その心痛は察するに余りある。
安倍元首相の通夜は11日、葬儀は12日に執り行なわれるという。喪主は昭恵夫人。

 

●山上徹也容疑者は母親の「統一教会」入信と破産で逆恨みか… 7/11
「母親が宗教団体の信者で多額の寄付をして破産させられた。宗教団体にのめり込み、恨みがあった。幹部を襲撃しようとしたが、接触が難しかった。宗教団体と安倍元首相がつながっていると思ったから狙った。以前から元首相と宗教団体の関係について、調べていた」
安倍元首相が8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説中、銃撃され、死亡した事件。殺人容疑に切り替えて送検された元海上自衛隊員の無職、山上徹也容疑者(41)は調べに対し、特定の宗教団体名を挙げて、こう供述しているという。宗教団体とは「統一教会」を指している。
山上容疑者は1980年、建設会社を営む父と母の次男として生まれ、兄と妹がいた。父親は山上容疑者が幼少期に亡くなり、その後、祖父も死亡。大黒柱を失った一家は大和西大寺駅近くの古びたアパートで、身を寄せ合うようにして暮らしていた。
統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)によると、山上容疑者の母親が同教会に入信したのは、2000年ごろ。
「奈良家庭教会に通っています。新型コロナの感染が拡大してからは、少し足が遠のいていたようです」(家庭連合広報部)
母親が通っていた奈良家庭教会は、安倍元首相が銃撃された事件現場から徒歩5分ほどのところにある。集会のある日には20台ほどの駐車スペースが車でビッシリと埋まり、駅からも大勢の信者がやって来る。大半が女性の信者で年齢は30代から高齢者まで幅広いという。
入信2年で破産宣告
母親の入信をきっかけに、一家の生活は苦しくなっていく。母親の知人が語る。
「彼女たちは『統一教会に入って助けられた』とか『家族もすごい幸せになり、仕事も順調にいっている』と言って仲間を勧誘するそうです。彼女もどっぷりハマり、本部がある韓国まで出掛け、数週間、向こうに滞在することもあった。熱心に教会に通い、多額の寄付をするようになったのです。次男も当初は入信していたようですが、すぐに退会したようです。ご主人と父親を亡くし、病気を抱える長男も亡くなった。宗教にすがるしかなかったのでしょうが、次男と長女も彼女の元から去ってしまった」
ところが金は出ていくばかりで、入信から2年後の02年、母親は奈良地裁から破産宣告を受ける。
この頃、山上容疑者は自衛隊の同僚に「親が統一教会に入り、生活が苦しくなっている」と悩みを打ち明けている。
昨年9月に「しんぶん赤旗」が報道
安倍元首相と統一教会を結びつけるものとは一体、何だったのか。昨年9月、「しんぶん赤旗」は<旧統一協会(世界平和統一家庭連合に改称)に関連する団体が開いた大規模集会に安倍晋三前首相がビデオメッセージを贈り、「総裁はじめ、皆さまに敬意を表します」と演説していた>と報じている。同教会系の月刊誌「世界思想」の表紙には、安倍元首相の写真が何度も使われていた。
また全国の弁護士約300人で構成する「全国霊感商法対策弁護士連合会」は、昨年9月、安倍元首相のこのメッセージについて「公開抗議文」を送付。<統一教会の幹部・関係者に対し、「敬意を表します」と述べたことが、今後、日本社会に深刻な悪影響をもたらすことを是非ご認識いただきたいと存じます><統一教会やそのフロント組織と連携し、このようなイベントに協力、賛助することは決して得策ではありません>という内容だ。
これらの情報に触れた山上容疑者は、安倍元首相と統一教会がつながっていると思い、怨恨を抱いたのだろうか。
●安倍晋三元首相を銃撃事件 山上徹也容疑者を送検 爆弾製造か 7/11
安倍晋三元首相が奈良市の街頭演説中に銃撃され死亡した事件で奈良県警は10日、元海上自衛隊員の無職山上徹也容疑者(41)を、殺人の疑いに切り替えて送検した。
約100人の報道陣が集まり物々しい雰囲気の中、午前9時頃、山上容疑者は署員の誘導に従い白いワンボックスカーに乗車。2台の護衛車両に挟まれて奈良西警察署を出発し、奈良地検に送られた。車の前方座席と後部座席は金網で仕切られ、中の様子はうかがえなかった。
●「安倍元首相殺害犯の母親、過去に統一教会信者だったがいまは違う」 7/11
世界平和統一家庭連合(統一教)が、選挙遊説中の安倍晋三元首相を殺害した山上徹也容疑者の母親が過去に統一教の信者だったが、いまは違うと10日に明らかにした。
統一教関係者はあるメディア報道を通じ「山上容疑者の母親が統一教会信者だったという日本メディアの報道が出てきて日本本部側に確認をしてみたところ、以前に統一教会信者だったが、いまは教会に通っていないようだ」と説明した。
同関係者は「山上容疑者の母親が献金をどれだけしたのか、いつまで教会に通っていたのかは正確に確認されていない」と付け加えた。
続けて「日本メディアで記事が出ているがまだ日本の警察から関連の問い合わせはきていない。日本の警察で公式な発表をするか調査を要請してくれば誠実に協力したい」と明らかにした。
日本メディアによると、山上容疑者は警察の取り調べで特定宗教団体の名前を出し「母親が信者で多くの金額を寄付して破産した。必ず罰を与えなければならないと恨んでいた」と述べたと伝えた。
●安倍元首相襲撃容疑者が恨んだ統一協会 きょう午後記者会見へ 7/11
安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者(41)が、警察の調べに対し「特定の宗教団体」への恨みを挙げていることについて、特定の宗教団体とされるのは、世界平和統一家庭連合(旧称:世界基督教統一神霊協会=統一協会)であることが分かった。NHKなど主要メディアのこれまでの報道によると、山上容疑者は、母親が特定の宗教団体にのめり込み多額の献金をして家庭生活が崩壊したとして恨みを持ち、団体と関係が近いと考えた安倍氏を狙ったと供述しているとされる。
特定の宗教団体が統一協会であることは、現代ビジネスが9日、捜査関係者の話として独自記事として報道。10日の続報では、山上容疑者の母親の知人や、山上容疑者の中学時代の同級生などの証言をもとに、山上容疑者の母親が熱心な統一協会の信者であったこと、また山上容疑者が周囲に対し、統一協会に対する不満を漏らしていたことを報じている。10日には、週刊フラッシュなども統一協会の名称を挙げて報じた。
統一協会の広報は両メディアに対し、山上容疑者の母親が現在も同協会の会員であることを認めているとされるが、本紙の取材にも11日、認めた。広報によると、11日午後には都内のホテルで事件を受けた記者会見を開催する予定。ただし記者会見には、全国5大紙とテレビ局の参加しか認めていないという。また、声明などの発表は現在のところ未定で、詳細については記者会見の内容を確認してほしいとしている。
●誰がどんな理由で「安倍氏と宗教の関係がテロの原因」と言っているのか 7/11
元官僚の評論家・八幡氏は「宗教団体への不満でそれと繋がりの深いと思って安倍元首相を狙ったと容疑者が言っているというので、政治的背景を言うべきでないと必死になっている人たちがいる」と述べる。
「政治的背景を言うべきでないと必死になっている人たち」が誰を指すかは分からないが、私は安倍元首相を銃撃した犯人が「宗教団体への不満から、その団体と繋がりが深い安倍元首相を狙った」と供述している事から、現時点においては、それが動機として濃厚なように感じる。
しかし、だからと言って、「政治的背景を言うべきでない」などとは全く思わない。ただ、犯人が政治関連の怨恨ではないと主張しているのであるから、あえて、別の理由(政治関連の怨恨)と強引に結び付ける必要があるだろうか(もちろん、犯人が政治関連の怨恨を述べ始めたならば別であるが)。
八幡氏は安倍元首相が「さまざまな宗教と怪しげな関係があるというデマの流布もあった。政治家は、自分が信心してなくてもさまざまな宗教と交流があるのが普通である。それらは政治的意図でばら撒かれた謀略であり、その結果、生じたテロを政治とは関係ないというのは牽強付会ではないか」と述べられている。
安倍元首相を銃撃した犯人が恨みに思う宗教団体が「統一教会」である事は、週刊誌等が既に報道している通りである。
犯人は「安倍氏が(統一教会の)教えを全国に広めた」と供述しているようだが、これは犯人の妄想だ。安倍元首相が統一教会の関連団体でビデオ演説したことは事実のようだが、それに関しては、八幡氏が仰るように「政治家は、自分が信心してなくてもさまざまな宗教と交流があるのが普通」である。
また、統一教会は、自民党の支持団体の一つ。安倍氏が支持団体のイベントで挨拶するのも普通のことだ。安倍氏が統一教会の宣伝を公の場でした事はなく、犯人の供述は全くの妄想。
しかし、家庭を新興宗教によって壊されたとされる犯人としては、例えば安倍氏が統一教会の関連団体でビデオ演説しただけでも、許し難いものと、論理が飛躍してしまい犯行に及んだのだろうか(ネットに溢れている極端な情報を見て恨みを募らしたのか)。
「さまざまな宗教と怪しげな関係があるというデマの流布」は「政治的意図でばら撒かれた謀略」と八幡氏は言う。しかし、普通はそうしたデマ情報を見ても、今回のような犯行に及ぶ人は(今回の出来事があったのでゼロとは言えないが)、極めて少ない。
家庭を新興宗教に壊された犯人が一方的に逆恨みにして、論理を飛躍させて犯行に及んだ、特殊で不幸な事件だったと言えるのではないか。 
●徹也容疑者の母親の破綻は「今回把握した」 旧統一教会の質疑応答 7/11
安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された山上容疑者。「母親が団体にのめり込んで破産した。安倍氏が団体を国内で広めたと思い込んで恨んでいた」と供述したと報じられています。
安倍晋三元首相が奈良市内で銃撃されて死亡した事件に関して、宗教法人「世界平和統一家庭連合」の田中富広会長は7月11日午後2時すぎに会見を開いた。同宗教法人は2015年まで世界基督教統一神霊協会の名称で活動。当時の略称である「統一教会」の通称で広く知られている。
田中会長は殺害未遂容疑で現行犯逮捕された山上徹也容疑者の母親が旧統一教会の信者であることを認めた上で、経済的に破綻したことを「今回把握した」と述べた。
報道を受けて「当法人としての公式見解を発表する必要がある」と会見の理由を明かす
安倍元首相を銃撃したとして、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された山上徹也容疑者。その供述内容について、「特定宗教団体への恨みが動機になっている」とマスコミ各社が報じている。また、一部のメディアからこの団体が世界平和統一家庭連合と実名入りで報道したことから、「当法人としての公式見解を発表する必要がある」と感じて記者会見を開いたという。
山上容疑者に関しては、教団の信者ではなく、過去に信者だった記録も存在してないとした。その上で、「山上徹也容疑者の母親は当法人の協会員であり、これまでも1カ月に1回程度の頻度で教会の行事に参加してまいりました」と述べた。
田中会長の冒頭発言
世界平和統一家庭連合会長の田中富広でございます。本日は参院選の直後、お忙しい中、このように記者会見に駆けつけて下さいまして心から感謝いたします。まずは安倍晋三元首相のご逝去の報に接し、心からの哀悼の意を表すると共に御冥福をお祈りいたします。 (しばらく間を空ける)
このたびの蛮行は決してあってはならない行為であり、強い憤りを感じております。日本の国民が尊敬し、愛する偉大な指導者を失い大変胸が痛みます。到底起きてはならないことが、起きてしまいました。宗教指導者の1人として、このような重大な結果が生じてしまいましたことを、大変、重く受け止めております。 (深く頭を下げる)
さて、今回の事件の容疑者である山上徹也氏の供述内容の一部が警察によって発表され「特定宗教団体への恨みが動機になっている」という報道がなされました。この特定宗教団体が当法人ではないかという噂が広く流れるとともに、一部メディアでは当法人の実名入りでの報道がなされました。それを受け、当法人としての公式見解を発表する必要があると感じ、今日このたびの会見を開かせていただきます。
当法人が知りうる限りの事実を述べさせていただきます。
第一に山上徹也容疑者は当法人の信者ではございません。過去においても当法人の信者であったという記録は存在しておりません。第二に山上徹也容疑者の母親は当法人の教会員であり、これまでも1カ月に1回程度の頻度で教会の行事に参加してまいりました。第三に山上徹也容疑者の犯行の動機や一部メディアで報じられている献金問題に関しましては現在、警察が捜査中であると思われますので、この場での言及を避けさせていただきます。
母親の経済的な破綻は「今回、情報を得た」
毎日新聞は9日、山上容疑者は特定の宗教団体名を挙げ、「母親が団体にのめり込んで破産した。安倍氏が団体を国内で広めたと思い込んで恨んでいた」と供述していると捜査関係者の情報を報じていた。田中会長は会見で、山上容疑者の母親が旧統一教会の信者であることを明かしていた。
記者団との質疑応答の中で、田中会長は山上容疑者の母親が経済的に破綻したことについて「今回、現場で、いろんな方に、このお母さんと因縁ある方に尋ねていって『破綻していた』という情報を、私たちは得ました」と述べた。
また、信者の破綻を教団が把握した後に「さらにそこに献金を願う、要求するということはありません。そのような指導はしておりません」と強調した。
「このご家庭に高額献金を要求したかどうかという事実は、記録上、一切残っておりません」
―― 献金に関して破産したことを知った上で、月例などさまざまな献金を促すということはあり得るんでしょうか?
破綻されているということが、こちらが知っていた立場で、さらにそこに献金を願う、要求するということはありません。そのような指導はしておりません。
―― 「破綻・破産されていることを知った上で、さらに献金を要求することはない。そのように指導していない」ということでしたが、破産されたことを知っているけども、「要求をしていない」という報告を受けているということでいいでしょうか?
破綻に関して……。このご家庭が破綻された諸事情は、私どもも把握しておりません。そして、現場に問い合わせてもなお、当時のことをわかっている方もおられなくて、把握しきれてないのが現状です。ただ破綻されていたということは(現在は)知っております。その後、このご家庭に高額献金を要求したかどうかという事実は、記録上、一切残っておりません。
―― お母様の破綻の件なんですけど、それを教会としてまたは法人全体としてどのように把握されたのでしょうか?
破綻をこちらが理解していたというのは、今回、現場で、いろんな方に、このお母さんと因縁ある方に尋ねていって「破綻していた」という情報を、私たちは得ました。したがって、そのことが、改めてこちらも把握できたということだと理解いただきたいと思います。破綻するに至る原因が何だったのか、どんな家庭事情でそこに至ったかということは掌握しきれていません。そのことも含めて、これは警察がいま捜査する一番大きな案件かとも思いますので、私たちも、これから知っていく情報も入れば、全てあわせて警察に全面協力して、事件の動機の解明に協力していきたいと考えております。

これに関しては警察からの要請があれば全面的に捜査に協力させていただきます。
最後にメディアの皆さまにお願いがございます。報道に際しては正確・公正・客観的な取り扱いの上、事実に反する内容、憶測に基づいた記事を出されることがないように、当法人に関することを書く場合には、事前に直接取材をして情報を得て下さるようにお願いします。取材に対しましては誠意をもって対応いたします。以上です。
●旧統一教会「山上徹也容疑者の母は正会員」…2002年頃に破綻は「事実」  7/11
安倍晋三・元首相(67)が奈良市内で街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の田中富広会長らが11日、東京都内で記者会見し、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の母親が1998年頃から正会員だったことを明らかにした。
山上容疑者は奈良県警の調べに、「母親が多額の献金をして破産した。(同連合を)絶対成敗しないといけないと恨んでいた」と供述していた。
田中会長は「山上容疑者の母親が2002年頃に経済的に破綻していたことは事実」とし、「県警の捜査には全面的に協力する」と話した。
●母が多額寄付で破産…山上徹也容疑者「怨念を抱いた宗教トラブル」 7/11
「母親が宗教団体にのめり込んで多額の寄付をし、強い恨みがあった。団体と安倍氏が、つながっていると思ったから狙った」
7月8日に安倍晋三元総理(享年67)に凶弾を向け死に至らしめた山上徹也容疑者(41)は、警察の取り調べに対しこう供述しているという。
山上容疑者が、宗教団体へ抱いていたという恨み――。この「宗教団体」について、山上容疑者は「統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)」と供述しているという。彼の半生を振り返ると、同団体への強い怨念が見えてきた。山上容疑者が小学校時代を過ごした、奈良県奈良市内の近隣住民が語る。
「徹也君のおじいちゃんが、ここに引っ越してきたのは20年以上前だと思います。しばらくすると、徹也君の家族が越してきた。徹也君は小学生ぐらいでしたよ。利発そうだけど、大人しい子という印象です。よちよち歩きの、幼い妹さんもいましたね。おじいちゃんが建設会社を営んでいたため、比較的裕福だったようです」
転機となった父親の死
トラブルもなく幸せな生活を送っていた山上容疑者の家族に、突然悲劇が襲った。住民が続ける。
「(山上容疑者の)お父さんが急死したんですよ」
父親の死は、家族の状況を大きく変化させる。大黒柱の死によって一家の経済状態は悪化した。母は夫の死の悲しみを紛らわせるためか、ある宗教団体に入信した。これが統一教会だっとみられる。祖父も亡くなって実家を出ると、宗教にのめり込んでいった。
「母親は、多額のカネを団体に寄付していたとみられています。実家を出ると山上容疑者の兄も含め4人で暮らしていましたが、食べるものに困るほど生活は貧しかったとか。
山上容疑者は、警察の調べに対し次のように話しています。『母親が信者で多くのカネを寄付して破産した。必ず罰を与えなければならないと恨んでいた』と。経営していた建設会社も、解散してしまったそうです」(全国紙社会部記者)
山上容疑者は奈良県郡山市内の公立高校を卒業すると各地を転々とした後、安倍元総理を銃撃した現場のマンションで一人暮らしを始める。近くの部屋に住む住民が語る。
「会えば挨拶する程度で、近所付き合いはありませんでした。家賃は3万5000円くらい。(山上容疑者の部屋から)時々、ハンマーを打つような奇妙な音が聞こえてきました」
山上容疑者は、安倍元総理を銃撃する前日の7日、「宗教団体の(奈良市内の)施設を撃った」と供述している。実際に現場周辺でも「(7日の)朝4時頃に銃声のような音が聞こえたという話がある」という証言がある。犯行を完遂するために、試射を繰り返していたとみられる。使用した銃は「一度に6発の弾丸が発射される仕組みだった」とも。
家族を破産に追い込んだ宗教団体への恨み……。元総理の命を奪うという前代未聞の犯行の背景には、山上容疑者の強烈な「怨念」があった。 
●安倍氏「会員や顧問ではない」…旧統一教会会長 7/11
安倍晋三・元首相(67)が奈良市内で参院選の街頭演説中に銃撃され、殺害された事件を受け、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の田中富広会長が11日、東京都内で記者会見を開いた。安倍氏とのつながりについて「友好団体が主催する行事に安倍氏がメッセージを送ったことはある」とし、「(安倍氏が)会員や顧問になられたことはない」と直接的な関係を否定した。
田中会長によると、逮捕された山上徹也容疑者の母親が信者で、山上容疑者は信者ではない。山上容疑者が県警の調べに「母親が多額の献金で破産し、恨みがあった」と供述したとされることに対し、田中会長は「私たちへの恨みから安倍氏殺害に至るのは大きな距離があり、困惑している」と述べた。
母親は1998年頃に入信し、2002年頃に経済的に破綻したという。09年頃から17年頃までは同連合の行事に参加していなかったが、2、3年前から再び接点を持ち、2か月前にも行事に参加していた。
関係者によると、山上容疑者は奈良市内の一戸建て住宅で母親や兄、妹らと同居していた。母親が入信した頃、山上容疑者は高校生で、母親はまもなくして自宅を売却し、02年に破産宣告を受けていた。時期的に多額の献金が原因だった可能性がある。
田中会長は、母親から献金を受けていたことを認め、「献金額は調べきれていない」と説明。母親の破産については「事件後に把握した」とした。
統一教会は1980年代以降、高額な印鑑などを売りつける「霊感商法」や、見知らぬ人同士による「合同結婚式」を巡るトラブルが社会問題になった。2009年には霊感商法で逮捕者が出て、当時の会長が辞任している。田中会長は「09年以降はコンプライアンスの徹底を進めている。母親が破綻した後に高額な献金を要求したことはない」と話した。
●旧統一教会「山上徹也容疑者の母は正会員」… 7/11
安倍晋三・元首相(67)が奈良市内で街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の田中富広会長らが11日、東京都内で記者会見し、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の母親が1998年頃から正会員だったことを明らかにした。
山上容疑者は奈良県警の調べに、「母親が多額の献金をして破産した。(同連合を)絶対成敗しないといけないと恨んでいた」と供述していた。
田中会長は「山上容疑者の母親が2002年頃に経済的に破綻していたことは事実」とし、「県警の捜査には全面的に協力する」と話した。
●山上容疑者 勤めた工場から「もう少しいてくれないか」と慰留も意志固く辞職 7/11
安倍晋三・元首相の銃撃事件で、殺人容疑で逮捕された山上徹也容疑者は今年5月、勤務していた京都府内の工場を辞めていた。2020年10月から働き、フォークリフトで倉庫の荷物を運ぶ「リフトマン」と呼ばれる仕事をしていたという。工場の責任者はこう話す。
「製品を移動させたり、運送会社のトラックに積んだりという、荷物の積み替え作業が主な業務です。フォークリフトの免許保有の条件で派遣会社に人材を要請し、そこで紹介され働くことになりました。日勤なので8時〜17時まで、契約期間は3か月ごとでした。
今年に入るまで特に問題もなく……少なくとも現場でコントロールできていましたので、契約は更新していたというのが現状です。ただ今年に入ってからは少し様子が変わって、言葉が荒くなったようです。仕事に慣れてきたというのもあるかもしれません。
今年の1月に、出入りしているトラックのドライバーと積み荷の仕方で口論となり揉めることがありました。荷物を載せた後は、相手方に届けるまでに製品が破損した場合、運送会社の責任になりますので、ドライバーとしてはきちっと運べるように、細かく注文します。そこで彼(山上容疑者)と言い合いになった。結局、ウチの現場の人間が仲裁して落ち着きましたが、ドライバーさんからは『担当を替えてくれ』とクレームが入ったので、替えました。ただ契約の更新をストップするほどの事案ではないというのが担当部署の判断でした」
しかしその直後、彼は再びトラブルを起こした。
「3月末に、こちらの指示に対して言うことを聞かないことがあり、現場の先輩に『お前がやれや!』と暴言を吐くことがありました。注意をしましたが、それを機に休みがちになってしまった。そこで次の契約について課内で話し合っている最中に、派遣会社から、本人が『体調がすぐれないので辞めたい』と言っていると連絡がきました。ただウチとしても急に働き手がいなくなると困るので、『もう少しいてくれないか』と辞める時期について交渉しましたが、意志は固く、本人都合で辞めることになりました。有給(休暇の)消化もあり4月の後半からは出勤していません」(前出の工場の責任者。以下同)
この間、飲み会など同僚との交流はほぼなかったという。
「ほとんどの従業員が車で通勤していますし、帰宅してから出直すというのも大変ですから、彼に限らず帰りに飲食を共にするのは少ないようです。ちなみに彼の場合、当初はバイクで、途中から車で通勤していたようです。コロナ禍もあり、昼食も一人で食べている人間も多いですし、パーソナルスペースということで車の中で食事をしたり休んだりする者もいます。彼が車の中で食べているのを目撃した従業員がいたそうですが、業務以外で会話らしい会話をした人間がいない。せいぜい喫煙所でタバコを吸っている時に挨拶を交わした者がいる程度だそうで、長く話し込むことはなかったようです。過去に自衛隊に所属していたことも報道で知りました」
容疑者の社会的接点は少なく、事件の真相解明は本人の詳しい供述が鍵を握りそうだ。
●「お金お金お金、献金献金で家庭ぐちゃぐちゃ」 統一教会元信者が語る 7/11
安倍元総理が銃撃され死亡した事件で逮捕された男は、「母親が宗教にのめり込み破産して恨んでいた」と供述しています。11日その宗教団体が会見を開き男の母親が信者で献金していたことを認めました。富山県内に住むこの宗教団体の元信者がチューリップテレビの取材に応じ、多額の献金で崩壊した家庭は複数あると証言しました。
元信者「知った当時は、こんな教えがあるんだってうれしくなって、だけどやっていくうちにいつも『お金お金お金』なんです。献金献金。実際、現実を振り返れば家庭はぐちゃぐちゃでしたね。でもこれは『通らなければならない道』だと聞いていたので。反対されるのも摂理って聞いていたので、そういうことなんだなって」
こう話すのは、富山県内に住む女性です。
今月8日、奈良市で安倍元総理が街頭演説中に銃撃され殺害された事件。
殺人の疑いで送検された元海上自衛官の山上徹也(やまがみ・てつや)容疑者(41)は警察の調べに対し、「母親が宗教団体にのめり込んで破産した。宗教団体と安倍元総理につながりがあると思った」などと供述しているということです。
そして11日、母親が入信していた宗教団体、かつての「統一教会」、現在の「世界平和統一家庭連合」が会見を開き、山上容疑者の母親が信者で、献金していたことを認めました。
世界平和統一家庭連合 田中 富広 会長「破綻されたこの家庭の諸事情は私どもも知りません。ただ、破綻されたことは知っています。その後、このご家庭に高額献金要求したかということについて記録上一切残っていません」
母親は1990年代後半に統一教会の信者となり、生活が経済的に破綻したといいます。しかし、詳しい献金の金額は明らかにしませんでした。同じ時期に信者だった県内に住む女性はこう話します。
元信者「いくらお金があるかと聞かれる。そんなに貯金はないって言うと、生命保険を解約したり、カードローンですかね。借りられるところまで借りるっていう。自分がやらないと。まあ強迫観念といわれたら強迫観念になるのかな」
女性は借金を重ね、高価な「つぼ」を購入するなどして、10年間で合わせて1000万円近く献金したといいます。巧妙なマインドコントロールで献金せざるを得ない状況に追い込まれたというのです。
元信者「(団体を)知らない人はどうしてこんなに(怪しいと)騒がれているところに行くんだろうと思うと思うんです。でもやっぱり入り口はそういうところから入らないことが多いので、それがわかったときにはすでに『これしかない』という気持ちになっているので、あとから(宗教と)わかっても、すべてにおいて説明される。『これはこういう意味がある』と言われると納得してしまう」
一方、世界平和統一家庭連合は11日の会見で、現在はコンプライアンスを徹底していて献金のトラブルは過去のことだと話しました。
世界平和統一家庭連合 田中 富広 会長「過去、献金に関してトラブルあったのは周知の事実です。2009年当時の会長が記者会見し、声明文を発表している。それ以降の案件でトラブルはない」
しかし、霊感商法の問題に取り組む弁護士は…
全国霊感商法対策弁護士連絡会 代表世話人 山口 広 弁護士「全く白々しい発言だと思います、(信者は)従わざるを得ないんですよ、信者としてはノルマなんですよ、目標だとはいいつつノルマ、絶対に達成するべきノルマなんです、したがって死ぬ覚悟でやれと、何回もそんな資料を見ました。多い人は10億、20億の被害でもありましたし、そういうお金を裁判で取り戻したこともあります。現実にたくさん見ていますし、今も相談を受けているケースがあります」
県内に住む元信者の女性は、山上容疑者のように、家族が信者となり、多額の献金をして家庭が崩壊したケースはほかにも複数あると話します。
元信者「実際、みなさんお金の工面で苦労している人が多かったですね。家を売ったり、自分の親の財産まで何とかしようとしたりもありました。人を殺すのはよくないことですし、許されることではない。でも犯人のそのときの気持ちを思うと、切ない思いになります。そのときに何か違う方法で手立てはなかったのかなと思いますね」

 

●実家や会社の土地も続々…山上徹也の母親が統一教会に寄付していた 7/12
統一教会会長は「諸事情は把握していない」
「統一教会のおかげで家庭が壊された。インターネットで調べて安倍元首相が統一教会と近いとわかり、狙っていた」
こう動機を語っているのは、安倍晋三元首相を密造した銃で射殺した山上徹也容疑者だ。7月10日、参議院選挙の投開票日に送検された。
「すごい数のマスコミがきて写真を撮っていたが、山上容疑者は終始平然として、特別な反応もなかった。取り調べにも淡々と応じている」(捜査関係者)
山上容疑者は、安倍元首相をターゲットにする前には、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の最高幹部の殺害も計画していたという。「現代ビジネス」が複数回にわたって報じてきたように、山上容疑者の母親は統一教会の信者であり、多額の寄付をして破産に至っていることが、客観的な証拠からも明らかになってきた。
7月11日、統一教会は都内のホテルで田中富広会長、澤田拓也総務局長らが記者会見を行った。山上容疑者の母親が信者であることも認めたものの、多額の献金については「破綻された諸事情は私どもも把握していません。献金問題については捜査中のため言及を避けます」と答えるにとどめた。
なぜ、山上容疑者はそこまで統一教会を恨んだのか? 
山上容疑者は、自作の銃や爆弾の製造、安倍元首相の参議院選挙の遊説予定などをインターネットで調べたと話している。また、安倍元首相と統一教会の関係については、「ネット上の動画を見て安倍晋三と統一教会がつながっていると思い、殺さねばならないと考えた」と供述している。実は、安倍元首相とこの団体が「親密」だったことくらい、ネットで検索すればある程度は把握できる。
安倍元首相は、官房長官時代の2006年、統一教会のダミー組織とされる「天宙平和連合」(UPF)に祝電を送付している。
安倍元首相の「文鮮明の妻に敬意」
また2021年9月12日に「天宙平和連合」が開催したオンライン集会「THINK TANK 2022希望の前進大会」で、安倍元首相はアメリカのトランプ前大統領らと並んで演説している。山上容疑者はこの演説をYouTubeで目にしたことも、銃撃のきっかけだったと供述している模様だ。
実際、ここでの安倍氏の発言内容を見れば、たしかに統一教会との関係は密接だと誤解されても仕方がない部分がある。以下の発言を読んで欲しい。
《日本国・前内閣総理大臣の安倍晋三です。UPF主催のもと、よりよい世界の対話と諸問題の平和的解決のために、およそ150ヵ国の国会首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で世界平和をともにけん引してきた、盟友のトランプ大統領とともに演説する機会を頂いたことを、光栄に思います。》
《今日に至るまでUPFと共に世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁ら、皆様に敬意を表します。》
ここで言及されている韓鶴子総裁とは、言わずと知れた文鮮明の妻で、統一教会の代表者である。
《さて、いまだ収束のみえないコロナ禍でありますが特別な歴史的意味を持つことになった東京オリンピック・パラリンピックを多くの感動ともに無事、閉幕することができました。ご支援いただいた世界中の人々に感謝したいと思います。
イデオロギー、宗教、民族、人種の違いを超えて東京オリンピック・パラリンピックで感動を共有できた。世界中の人々が人間としての絆を再認識できたと信じます。》
《人と人の絆は自由と民主主義の原則によって支えられなければならないと信じます。一部の国が全体主義、覇権主義、国家が力による現状変更を行おうとする活動を阻止しなければならない。私は自由で開かれたインド太平洋の実現を継続的に訴えてきた。いまや米国の戦略となり、欧州を含めた世界の戦略となりました。》
《UPFの平和ビジョンにおいても、家庭の価値を強調する点を高く評価いたします》
安倍氏が統一教会をこのように礼賛する発言は、今もYouTube上に残っている。
銃の製造も安倍氏の発言もYouTube
統一教会に詳しく、霊感商法被害の相談を数多く受けてきた弁護士は、匿名でこう語る。
「安倍元首相がオンライン出席したこの集会の主催者・UPFのトップは、統一教会の創始者、文鮮明氏の妻・韓鶴子氏です。そこから考えても、UPFと統一教会は事実上一体化したものです。
日本では霊感商法や合同結婚式が社会問題となり、かつて国会でも何度も問題になってきました。総理退任間もなかった安倍氏がUPFや韓鶴子氏をスピーチで絶賛するのは、統一教会に日本としてお墨付きを与えたと思われても仕方がない」
また、安倍派の下村博文元文科相が統一教会系企業から政治資金の提供を受けたり、安倍氏の元首相秘書官であった井上義行参議院議員が統一協会関係者から選挙支援を受けたりしている事実は、かつてメディアでも報じられ、今もネット上ではたびたび言及されている。いずれも安倍氏に非常に関係の近い議員であることは見逃せない。
山上容疑者がYouTubeで見ていたのは、安倍氏の発言や、こうした周辺政治家と統一教会の関係ばかりではない。自作の銃や爆発物を密造方法も、ネット動画で学んだという。
「山上容疑者は比較的短期間で銃や爆発物を自らの手で作っていた。YouTubeを参考にしていたので、そう時間がかからなかったそうだ」(捜査関係者)
同様に、安倍元首相の統一教会を褒め称える動画も、犯行の引き金になった可能性が残るのだ。
「自作の銃ができるたびに、奈良県や京都府の山中で試し撃ちをして性能を確認していたとも供述しています。山上容疑者は奈良でも有数の進学校・郡山高校を卒業しており、頭脳明晰な印象を受ける。自宅からノートが押収され、そこには安倍元首相や統一教会への恨みのような言葉も残っていた。事件は1年以上前から計画していたとみられる記述もあるのです」(捜査関係者)
さて、山上容疑者が統一教会を憎むようになった経緯は、母親が信仰にのめりこんだ結果「家族をめちゃくちゃにされた」と山上容疑者自身が供述している。
現代ビジネスは、2002年8月21日に山上容疑者の母親が破産宣告を受けていることをすでに報じている。
ところが今回、さらに新しい事実がわかった。
実家を「相続から半年で売却」のワケ
山上容疑者の母親の実家は、かつて奈良市内で建設会社を経営していた。母親の両親が死亡後、1998年に自宅と会社の不動産を相続している。
この自宅は国宝、唐招提寺から徒歩10分ほどの閑静な住宅街に位置し、70坪あまり。土地の評価額で、2000万円ほどという。
また、建設会社は幹線道路に面し、高速道路の出入り口に近い便利のいい場所に70坪ほど所有。こちらは、土地の評価額で2500万円程度とみられる。
この母親は、両親の死後に建設会社の社長にも就任していた。建物の価値を加えれば、5千万円を下らない資産を有していたことが不動産登記などから明らかだ。
ところが、母親は1998年10月3日の相続後、たった半年で自宅、会社の不動産をともに売却している。 その3年後に母親は家賃7万円ほどの賃貸マンションで破産宣告を受け、建設会社も清算した。山上容疑者も似た時期に大学を中退したと見られる。
これまでの山上容疑者の供述と総合すれば、この売却で得た現金が統一教会に寄付された可能性は極めて高い。それを裏付けるように、母親のことを記憶している統一教会の元信者が語る。
「何が入信の原因かわかりませんが、お母さんはとても熱心に統一教会を信仰され、活動にも加わっていたのを私も横で見ていました。
近所の人にも『心が汚れるといけないので綺麗にしましょう』などと勧誘もしていた。問題になった、数珠や多宝塔などではなくて、訪問販売メンバーに入って食品などを売って寄付に充てていたこともありました。当然、そのぶん家族はほったらかしです。
確かに、ご実家は建設会社でかなり裕福だったはず。不動産を処分して、それまで一戸建ての大きなおうちにいらしたのに、急にマンションに引っ越した。統一教会に寄付を余儀なくされてしまったのかもしれない。とにかくおカネが大好きな教団ですからね」
この証言は、不動産登記の移動と明らかに符帳が一致する。この元信者はこうも続ける。
「山上容疑者が安倍元首相を銃撃したのは、近鉄西大寺駅前です。実は、統一教会の関連施設はそこから徒歩数分で、駅からも見わたせる距離にあります。事件後の土曜日、日曜日は安倍元首相の死を悼み、献花に訪れる人が500m以上の行列をなしていましたが、その行列が統一教会の施設のすぐ近くまできているの見て、すごく驚きました。これも因縁なのでしょうか」
7月11日の統一教会の会見では、田中富広会長が「破綻された方の家庭が破綻された諸事情は、私どもも把握しておりません。現場に問い合わせても、当時のことをわかってる方もおらず、把握しきれてないのが現状です」と答えるに留めた。だが、この一家の破綻に統一教会の存在が関係していることだけは、疑いようのない事実なのである。 
●容疑者実家に“恨み”ノート…安倍氏「ビデオレター」が銃撃の動機か? 7/12
山上徹也容疑者(41)は「安倍元総理が出ている宗教団体のビデオレターなどを見て殺すしかないと思った」という趣旨の供述をしています。さらに実家からは宗教団体への恨みを走り書きしたようなノートが見つかっています。
山上徹也容疑者「爆弾を作って殺すつもりだったが、周りの人に迷惑が掛かると思い自作の銃を使った。爆弾では殺せないと思った」
新たに、このような趣旨の供述をしている山上容疑者。奈良市内にある宗教団体の関連施設に向けて、「自作の銃を試し撃ちした」とも供述していて、12日も警察が現場を検証しています。
弾丸とみられる金属片が見つかっていたことが新たに分かりました。
近隣住民「バーンと全体的に音がした。就寝していた。でも、起きるくらい大きな音だった」
弾痕とみられる穴は少なくとも7つ。そのうち2つは貫通していたとみられ、自作の銃の殺傷能力の高さがうかがえます。
山上徹也容疑者「弾丸の作り方はネットの動画を見て知った。火薬はインターネットで購入した」
山上容疑者は銃撃事件の前日、宗教団体の関連施設周辺で試し撃ちをしたとされます。
その7日未明、周辺の防犯カメラが捉えたのは山上容疑者が運転しているとみられる車です。自宅の方向へ向かう様子が映っていました。
車から押収された複数の板にも、銃で撃たれたような穴があったといいます。
山上容疑者は試し打ちを繰り返し、自作の銃の殺傷能力を確認していた可能性が高まっています。
なぜ、安倍元総理に矛先が向いたのでしょうか。
山上徹也容疑者「安倍元総理がビデオレターに投稿していることなどを見て、殺すしかないと思った」
世界平和統一家庭連合・田中富広会長「私たちの友好団体が主催する行事に安倍元総理がメッセージ等を送られたことはございます」
山上容疑者の母親が入信していた「世界平和統一家庭連合」。その創設者である文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁は、友好団体の「UPF」を2005年に創設しています。
安倍元総理はこのUPFのイベントに去年9月、ビデオメッセージを送っていました。
UPFは番組の取材に対し今月12日午後、文書で回答。
UPF-Japan「UPFの行事に安倍首相がビデオメッセージを送ったことが山上容疑者の殺害動機となったということは、それが事実であれば、常識的には考えられないことですが遺憾であります。いかなる動機であれ、殺害を正当化することはできないと考えます」
山上容疑者の実家からは、宗教団体への長年の恨みを走り書きしたようなノートが見つかりました。
警察は銃撃事件の背景に宗教団体への恨みがあるとみて、いきさつを調べています。
●山上容疑者を精神鑑定へ 奈良地検 7/12
安倍晋三元首相が銃撃された事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)について、奈良地検が刑事責任能力の有無を調べるため、精神鑑定を実施する方針を固めたことが12日、捜査関係者への取材で分かった。
今後起訴されれば裁判員裁判で審理され、当時の精神状態が争点となる可能性もあることから、本格的な精神鑑定の実施が必要と判断したとみられる。
●安倍銃撃犯・山上容疑者のフィギュアも販売… 7/12
安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者は奈良県警の調べに対し、犯行理由について、世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)に入信した母親が破産した後も献金を続けたことから家庭連合に恨みを持ち、関係の深い安倍氏を狙った、と供述している。
これについて家庭連合は7月11日、記者会見を開き、母親が教会員で02年頃に破綻したと、事実関係を概ね認めた。
そんな中、山上容疑者の特殊な銃の製作、現場での冷静な発砲技術から、
「山上容疑者の単独犯とは考えにくい。銃の扱いを指南した集団がいるのではないかと、捜査当局は慎重に捜査を進めています」(全国紙社会部記者)
そこで浮上してくるのが、統一教会の分派、サンクチュアリ教会なのだ。
SNSには、鞄をたすきがけにして改造銃を左手で持つ、犯行現場の山上容疑者のフィギアが中国語で販売されている写真が上がっている。あまりの悪ふざけぶりだが、その姿が傭兵のように見えるのは気のせいか。
山上容疑者は02年〜05年に海上自衛隊にいたが、その後は派遣会社に登録してフォークリフトの操作をしていたなどとされるが、詳細は不明だ。また、昨春から銃の製作を始め、家庭連合への「復讐」の準備を始めたと供述しているが、母親が破綻したのは02年。なぜ約20年の時を経て、犯行を思いついたのか。前出・社会部記者は、
「事件発生直後に捜査関係者から聞いた話では、山上容疑者はサンクチュアリ教会で銃器の訓練を受けていたとの情報もあったのだと…」
宗教関係者の話を総合すると、統一教会は開祖の文鮮明氏が死去すると、文氏の妻・韓鶴子氏が責任者となった家庭連合(天の父母様聖会)と、七男の文亨進氏により設立したサンクチュアリ教会に分裂状態とされる。
サンクチュアリ教会は米国では「ガンチャーチ(銃教会)」と呼ばれ、銃賛美、武器使用を称賛する。21年1月、連邦議会議事堂を襲撃したトランプ前大統領の支持者の中に、文亨進氏の姿もあったという。捜査関係者が言う。
「現場映像では、2発の銃弾が発射されている。連発できる自作の銃は、よほどの能力がないとできない。また山上容疑者がSPの隙を狙った間合いの取り方も、訓練されていないとできない」
山上容疑者の背後に何が隠れているのか。
●「空の薬きょう入手し火薬詰めた」「銃は今春に完成」山上徹也容疑者が供述 7/12
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件で、逮捕された男が手製の銃に関連し「空の薬きょうを入手し、そこに火薬を詰めた」と供述をしていることがわかりました。
捜査関係者によりますと、逮捕された山上徹也容疑者(41)は犯行に使用した手製の銃について「1回で6発発射できる仕組みで、去年の春頃につくり始め、今年春頃に完成した」という趣旨の供述をしているということですが、新たに「空の薬きょうをたくさん入手してそこに火薬を詰めた」との趣旨の供述もしていることがわかりました。
自宅からは手製の銃のほか火薬も押収されていて、警察は銃弾についても山上容疑者が自ら製造していたとみて調べています。
一方、新たに犯行当時の山上容疑者の動きもわかってきました。安倍元総理の演説開始直後は道路を隔てた位置にいた山上容疑者ですが、直接車道へは進入せずに一旦反対方向へ進んでからバスロータリーの柵の隙間を通り抜けて安倍元総理のもとへ接近していたとみられることがわかりました。
山上容疑者が銃撃直前に迂回して警備の目をそらした可能性も出てきました。 
●210万円献金の代わりに印鑑も 夫が猛反対…ついに離婚 富山 7/12
安倍元総理銃撃事件をめぐり11日、旧統一教会が会見を開きましたが、12日は霊感商法の問題に取り組む弁護団が会見を開きました。富山県内に住む元信者の女性が、教会の活動や献金などの果てに家庭が崩壊し、ついに離婚に追い込まれるまでを証言しました。追跡第2弾です。
12日、霊感商法の問題に取り組む弁護士が会見を開きました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広弁護士「私が許せないのは、山上容疑者のお母さんが平成14年、2002年に奈良地裁で自己破産しています。その自己破産は明らかに統一教会に対する過度の献金のためですよ。それ以外考えられませんよ。それを(教団は)昨日の記者会見ではあたかも他人事のように言ったうえで、『その後の献金はありません』と。おそらく献金させています。借金させても献金させます。カードの借金をしたために自己破産した信者はたくさんいます。それを白々しくああいう形で証言することは許されない」
渡辺博弁護士「これは単なる本なのですが、これを統一教会はいくらで信者に買わせるかといったら3000万円です。こんな普通の本が(教団の「聖本」)3000万円です」
会見で弁護士たちは、旧統一教会をめぐって、今も霊感商法の被害は続いていて、去年1年間だけで3億3000万円あまりの被害があったことを明らかにしました。
こちらの印鑑。家族が円満なことを祈る教団のロゴが入っています。富山県内に住む元信者の女性が、当時、教会へ210万円を献金した代わりに受け取ったといいます。
県内に住む元信者「カードは“借金ローン”になってましたし、いつもローンを返している状態ですね」
女性は10年間で献金をしたり、高額のつぼを購入したりして、合わせて1000万円近くを使ったといいます。
今月8日に安倍元総理が銃撃され殺害された事件をめぐって、容疑者の母親が入信していた
旧統一教会、「世界平和統一家庭連合」が11日会見を開きました。
世界平和統一家庭連合 田中富広会長「(山上容疑者の家庭が)破綻したのは知っている。このご家庭が破綻された諸事情は私どもも把握していません。そして現場に問い合わせても当時のことをわかってる方もいない。把握しきれていないのが現状」
この会見を見た元信者は。
元信者の女性「私は、ちょっとそういうわけはないだろうなと思った。当然献金して、破綻しているのは分かっていると思いますし、私が知る中でもそういう人もたくさんいましたし。家もなくなっている人もたくさんいましたし。親の財産をなくした方もたくさんいましたし」
逮捕された元海上自衛官の山上徹也容疑者(41)は、「母親が宗教にのめり込み、恨みがあった」と供述。この元信者の女性も、山上容疑者の母親と同じ頃の1990年代に入信、当時、結婚して子どもがいました。
しかし、統一教会の活動にのめりこみ、家庭は悲惨な状況になっていったといいます。
元信者の女性「大変でした。(家族は)反対で。当時はやっぱり、話しても主人にはわかってもらえない。『これだけ言ってもやめないのか』みたいな感じで」
家族の猛反対に対し、統一教会の内部では…。
元信者の女性「教会の人がどう言うかというと、それは迫害で、お父様(教祖・文鮮明)が通られた苦難の道なんだから、そういう経験を通していろんな事を学んでいくんだと言われる。今ここであなたががんばらなければ地獄に落ちるという。迫害されるのは当然、喜びなさいと」
女性は多額の献金など、統一教会の活動がきっかけでついに、夫と離婚することになりました。
元信者の女性「統一教会が求める家庭円満どころか離婚、離婚ですね本当に。子どもたちは年頃だったのでつらかったと思いますね。勝手に嘘をついて、いろんなとこへ行ってたりしてたので。当時、もう本当にひどかったですね。(信者は)心の自由っていうものを求めて入ったと思うんです。でも実際、真の自由は感じていないと思う」
●容疑者実家に“恨み”ノート…安倍氏「ビデオレター」が銃撃の動機か? 7/12
山上徹也容疑者(41)は「安倍元総理が出ている宗教団体のビデオレターなどを見て殺すしかないと思った」という趣旨の供述をしています。さらに実家からは宗教団体への恨みを走り書きしたようなノートが見つかっています。
山上徹也容疑者:「爆弾を作って殺すつもりだったが、周りの人に迷惑が掛かると思い自作の銃を使った。爆弾では殺せないと思った」
新たに、このような趣旨の供述をしている山上容疑者。奈良市内にある宗教団体の関連施設に向けて、「自作の銃を試し撃ちした」とも供述していて、12日も警察が現場を検証しています。
弾丸とみられる金属片が見つかっていたことが新たに分かりました。
近隣住民「バーンと全体的に音がした。就寝していた。でも、起きるくらい大きな音だった」
弾痕とみられる穴は少なくとも7つ。そのうち2つは貫通していたとみられ、自作の銃の殺傷能力の高さがうかがえます。
山上徹也容疑者「弾丸の作り方はネットの動画を見て知った。火薬はインターネットで購入した」
山上容疑者は銃撃事件の前日、宗教団体の関連施設周辺で試し撃ちをしたとされます。
その7日未明、周辺の防犯カメラが捉えたのは山上容疑者が運転しているとみられる車です。自宅の方向へ向かう様子が映っていました。
車から押収された複数の板にも、銃で撃たれたような穴があったといいます。
山上容疑者は試し打ちを繰り返し、自作の銃の殺傷能力を確認していた可能性が高まっています。
なぜ、安倍元総理に矛先が向いたのでしょうか。
山上徹也容疑者「安倍元総理がビデオレターに投稿していることなどを見て、殺すしかないと思った」
世界平和統一家庭連合・田中富広会長「私たちの友好団体が主催する行事に安倍元総理がメッセージ等を送られたことはございます」
山上容疑者の母親が入信していた「世界平和統一家庭連合」。その創設者である文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁は、友好団体の「UPF」を2005年に創設しています。
安倍元総理はこのUPFのイベントに去年9月、ビデオメッセージを送っていました。
UPFは番組の取材に対し今月12日午後、文書で回答。
UPF-Japan「UPFの行事に安倍首相がビデオメッセージを送ったことが山上容疑者の殺害動機となったということは、それが事実であれば、常識的には考えられないことですが遺憾であります。いかなる動機であれ、殺害を正当化することはできないと考えます」
山上容疑者の実家からは、宗教団体への長年の恨みを走り書きしたようなノートが見つかりました。
警察は銃撃事件の背景に宗教団体への恨みがあるとみて、いきさつを調べています。
●「“統一教会”の問題は今も」弁護士が会見 “3億円以上被害”主張も 7/12
安倍元首相の銃撃事件を受け、12日、「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”のトラブルに対応してきた弁護士たちが会見を開きました。弁護士らは「問題は今も続いている」と指摘し、去年もあわせて3億円以上の被害相談が寄せられたといいます。
12日午後5時半すぎ、「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”のトラブルに対応してきた弁護士たちは次のように述べました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 川井康雄弁護士「山上容疑者が安倍晋三元首相を死に至らしめた今般の卑劣きわまりない行為は、いかなる理由があろうとも決して許されないことです」
安倍元首相襲撃事件で逮捕された山上徹也容疑者は、母親による教団への多額の寄付で「家庭生活がめちゃくちゃになった」と主張しています。
川井弁護士は、「山上容疑者の母親が統一教会に多額の献金をし、家庭を崩壊させられたことへの恨みが、今回の事件の動機であるという報道が事実だとすれば、同被疑者が母親の常軌を逸する統一教会への献金をはじめとした忠実すぎる活動のため、どんなに苦しんできたことか」と教団の献金などの活動を非難しました。
11日の会見の中で、世界平和統一家庭連合の田中富広会長は、「過去、献金に関してトラブルがあったということは、報道関係者のみなさまも周知の事実かと思います。2009年以降の案件で、そのようなトラブルはありません」と述べていました。
しかし、弁護士らは「問題は今も続いている」と指摘しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広弁護士「きのうの記者会見では、あたかも他人事(ひとごと)のように言ったうえで、『その後の献金はありません』(と言ったが)おそらく献金させてます。借金させても献金させます」
弁護士らによると、「去年もあわせて3億円以上の被害相談が寄せられた」といいます。
さらに、この弁護士会は次のように主張しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 渡辺博弁護士「現在でも同じような形、全ての財産は神様。『全てささげなさい』というのが残念ながら統一教会の教えですから、その結果、家庭崩壊になってしまうということです。一つだけもってきたんですが、単なる本なんですが、“統一教会”がいくらで信者に買わせるかと言ったら3000万円。こんな普通の本が3000万円。常識外れです」
また、「安倍元首相がメッセージを送った団体は“統一教会”と実態は同一だ」と主張しました。
●元宗教2世が語る胸中 「信仰は自由だからと放置され」 7/12
特定の宗教団体の名前をあげ、「安倍元総理がその宗教団体と関係があると考え、殺そうと思った」という趣旨の供述をしている、山上徹也容疑者。警察が供述の裏付けと詳しい動機の解明を進める中、今回の事件を受け、特別な思いを抱いた人がいる。
「彼のやったことは最悪なテロ行為ですが、もしかしたらあれは自分だったんじゃないかと考えてしまうことがあって」
母親が信仰する宗教を強制され、絶縁する形で抜け出した経験がある元宗教2世のiidabiiさん。心の拠り所となる宗教も、一部の人にとっては別の側面を持つことを改めて感じたという。
「(山上容疑者とは)全く宗教も違うし、受けてきた経験のハードさが違うんですが、ずっと見過ごされてきたという点では、共通してるのかなというのはあって。もしそれが本当の話で、本当の動機であったとしたら、どうして彼がこういう行動に至るまで、誰も何もしようとしなかったんだろうというのは(思います)」
家族や自分自身が、信仰する宗教と真剣に向き合ったときに生まれる葛藤。悩み、孤立する人々がいる現実に、目を向けなければならないとiidabiiさんは訴える。
「ここ数年で宗教2世の問題が顕在化してきたが、その問題は社会でずっと放置されてきた。それは触れちゃいけないもの、信仰は自由だからと放置されて、こんなに苦しんでいる人たちがいるのに、こんなに俺苦しんでいるのに無視されるんだ、見過ごされるんだ、取り残されるんだ。という感じでこの社会って最悪だなと思って生きて、家族がつらい目にあっているにもかかわらず誰も何も止めない」
宗教が理由で困難が生じても、家族の問題に他人が立ち入ることができない。悩みを抱えても助けを求める場所がない、そんな社会の現状が最悪の形で暴発してしまったのではないかとiidabiiさんは話す。
最後に、今まさに悩みを抱える人にこうメッセージを送った。
「本当にその信仰が自分自身の正直な気持で心から信じているものなら強く持っていてほしいと思います。ただ少しでも自分自身以外の気持ちが混ざっていたり、家族が、友達が仲間がという言葉が入ってくる理由だったら、あなたの人生ではなくなってくるので、自分の本当の気持ちを大切にしてあげてください」 

 

●山上容疑者、裕福だった幼少期 実家の至る所に貼られていた大量の“お札” 7/13
7月8日、奈良県奈良市で遊説中の安倍晋三元首相(享年67)が銃撃された。逮捕された山上徹也容疑者(41才)は、「YouTubeの動画を参考に銃を製造した」と供述。自宅からは仕組みなどが異なる5丁の銃も見つかっている。
安倍氏が銃撃された近鉄・大和西大寺駅から車でおよそ20分の距離にある、閑静な住宅街。戸建て住宅が立ち並ぶ一角に、かつて、100坪はゆうにある広い敷地に情緒ある和風の邸宅が建っていた。幼少の山上容疑者が暮らした家だ。母方の祖父と、母、兄、妹の5人家族で、山上容疑者は中学時代までをその場所で過ごしたという。山上容疑者の兄の友人が明かす。
「子供の頃、何度も遊びに行きました。いつも広いリビングで、テレビゲームをやっていました。お母さんはお菓子やジュースを出してくれて、物静かで優しい印象でした。
それよりも強く記憶に残っているのは、家の中の至るところにお札が貼ってあったこと。玄関にも、リビングの壁にもです。もちろん、どこの家にも初詣なんかでもらってくるお札の1枚や2枚あるのは普通ですが、ちょっと量が比べものにならないほどで……。その頃から、“神頼み”に熱心だったのでしょうか。子供心に、違和感をもったことを覚えています」
それから30年以上を経て、山上容疑者は日本を揺るがす大事件を起こすことになる。
「母親が宗教団体に多額の献金をして破産した。家庭を崩壊させた団体を恨んでいた」
山上容疑者は、凶行の動機をそう供述している。自宅マンションから押収されたノートには、母親が入信する宗教団体「統一教会」(現・「世界平和統一家庭連合」)への恨みが記述されていたという。また「家庭を壊した団体を日本に招いたのが岸氏(岸信介元首相)。その孫の安倍氏が国内に広めたと思い込んで狙った」とも話している。
重なった憎しみ
地元の公立小中学校を卒業した山上容疑者は、県内でも有数の進学校へ進んだ。応援部に所属したが、人づきあいが得意な方ではなく、高校時代の担任教師が「記憶に残っていない」と言うほど、印象が薄く目立たない生徒だったようだ。
「進学校の、しかも成績上位者だったにもかかわらず、家庭の経済状況から大学進学はできず、専門学校に進んだようです」(捜査関係者)
当時は、いわゆる「就職氷河期」だった。専門学校の後、山上容疑者は2002年からの約3年間、任期制自衛官として海上自衛隊に入隊した。
「海自の場合は、3年が任期です。容疑者は護衛艦『まつゆき』に乗り、大砲やミサイルを扱う『砲雷科』に属していたとされています。二等海士は最下級です。艦艇を掃除したり、整備を手伝う程度の単純作業が多く、ピストルとは無縁でしょう。3年任期の後、本人が希望し、認められれば、さらに2年勤務できますが、容疑者が1期で辞めているところを見ると、そうしたこともなかったのでしょう」(軍事ジャーナリストの田岡俊次氏)
2005年に自衛隊を辞めて以降、山上容疑者は宅地建物取引士や、ファイナンシャルプランナーの資格を取得しながら、職を転々とした。
その頃、2006年に第1次安倍内閣が発足。安倍氏は体調不良のためわずか1年で辞任するが、2012年の衆院選で自公が勝利し、第2次安倍内閣が発足すると、それから7年8か月、歴代最長となる政権が続いた。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は結果として、正規雇用と非正規雇用、富裕層と貧困層などの格差を拡大させていく。
犯行直前の今年5月まで、山上容疑者は派遣社員として、2020年秋から京都府内の倉庫で運搬作業に従事していた。暮らしていたのは、家賃3万5000円、6畳の単身者用ワンルームマンション。幼少の頃の裕福な暮らしぶりから見れば、あまりに大きな差だったのだろう。
「真面目で勉強もでき、成績優秀だった容疑者が、大学へ通えず、非正規雇用にあえいだ。苦労する原因となったのが、母親の宗教活動だと認識しているようです。容疑者にとっては、こんなことになった原因は統一教会だと、憎しみが重なっていったのでしょう」(全国紙記者)
裕福だった幼少期から、父の死、祖父を亡くし、母の入信で生活は一変した。貧困と閉塞感の中で、容疑者の目に映ったのは、安倍政権のもとで拡大した格差社会。光明も見えず、鬱屈した気持ちばかりが募っていった。それが安倍氏に向けられた、手製の銃に込められていた“銃弾”だったのか──。
●山上徹也容疑者“旧統一教会トップを恨んでいた”趣旨の供述 7/13
安倍元総理が奈良市で銃撃され死亡した事件。山上容疑者が「旧統一教会の総裁を恨んでいた」という趣旨の供述をしていることが分かりました。
きょう、安倍元総理が銃撃された現場周辺では、奈良県警の捜査員らが早朝から山上徹也容疑者の銃から発射さた弾丸の捜索にあたりました。
記者「発砲された場所から90メートルほど離れた立体駐車場の壁には、弾痕とみられる穴がくっきりと残っています」
流れ弾なのでしょうか。銃撃現場からほど近い立体駐車場では、壁面に弾痕とみられる穴を3か所確認、午後3時すぎからこの場所でも現場検証が行われ、弾丸のような金属片が見つかったということです。手製の銃の威力がうかがえます。
容疑者の事件前の行動も徐々に明らかになっています。山上容疑者は事件前日の今月7日、安倍元総理の遊説先である岡山に行ったとしていますが、捜査関係者によりますとJR新大阪駅などの防犯カメラには山上容疑者とよく似た人物が写っていたということです。
山上容疑者は「岡山に持って行った銃とは別の銃を犯行には使った」という趣旨の供述をしていることも分かりました。
また、動機として指摘されている世界平和統一家庭連合・旧統一教会への恨みについて、山上容疑者が新たに「旧統一教会の韓鶴子総裁を恨んでいた」「3年前に韓総裁が来日した時に愛知の会場に火炎瓶を持って行ったが、中には入れなかった」という趣旨の供述をしていることが新たに分かりました。
安倍元総理殺害へ冷徹に犯行に突き進んだことがうかがえる山上容疑者。奈良地検が刑事責任能力の有無を調べるため鑑定留置を行う方針を固めたことが捜査関係者の取材でわかっています。
●安倍元首相銃撃の山上容疑者の背後に2つの反アベ団体≠ゥ 7/13
安倍晋三元首相(享年67)が今月8日、奈良市で行っていた参院選の街頭演説中に銃撃され、死亡した事件で、元海上自衛隊員の無職山上徹也容疑者(41)は、より殺傷能力の高い銃を選んだという趣旨の供述をしていることが12日、わかった。そうしたなか山上容疑者は複数の過激な“反アベ”の団体に所属していたとの情報が浮上した――。
山上容疑者は奈良県警の調べに対し、「事件前日に安倍氏が演説した岡山市の会場に持って行った銃とは別の銃を当日は使った」と説明しているという。
安倍氏を銃撃した8日には、一度に複数の弾丸が出る、散弾銃のような手製の銃を使った。一般的に散弾銃は、近距離での命中率が高いとされる。7日に岡山に携行したのはこうした銃ではなかったが、8日になってより殺傷能力の高い手製の銃を選んだことになる。県警はその経緯を調べている。強い殺意をうかがわせる山上容疑者だが、安倍氏を狙うようになったきっかけは母の破産とされる。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は11日の会見で、山上容疑者の母が1998年ごろに入信、2002年ごろに経済破綻したことを今回の事件後に把握したと説明している。
「主文 破産者を免責する」
官報によると、奈良地裁が、山上容疑者の母の自己破産が確定したとしたのは、02年12月10日だった。
山上容疑者は当時、海上自衛官だった。母はかねて自宅を売却するなどカネの工面に四苦八苦していたが、苦労して手に入れたカネを旧統一教会に、巨額の献金としてつぎ込んでいたとされる。
山上容疑者にとっては忘れられないことなのだろうが、20年もたってから旧統一教会との関係を理由に安倍氏を銃撃するとは何とも理解に苦しむ。山上容疑者は海上自衛隊に在籍(02〜05年)後、20年秋から大阪府の人材派遣会社に在籍したが、実は05年から20年までの15年間、大阪府内で職を転々としていたことしか分かっておらず、捜査当局はこの期間の動向にも関心を持っている。
そんな中で浮上したのが、山上容疑者は“反アベ”の団体に所属していたとの情報だ。
「山上容疑者はリベラル色が強い“反アベ”団体に所属していたのではないかと言われています。安倍氏の長期政権の“独善的”な姿勢を嫌う団体。会員は数千人規模です」とはテレビ局関係者。この団体は安倍氏だけでなく、父の故安倍晋太郎元外相、祖父の故岸信介元首相の安倍ファミリーをも敵視する。特に団体幹部は、SNS上で安倍氏を攻撃していた。
山上容疑者は奈良県警の調べに、動機について「安倍氏の政治信条に対する恨みではない」と供述。同関係者は「その団体の中で積極的に活動していたというより、団体の活動を“支持”していたのではと言われている」と話す。この件について団体幹部に「山上容疑者は団体会員か」と問い合わせたが、折り返しはなかった。
それだけではない。捜査当局はもう一つの過激な団体にも注目している。事情に詳しい関係者の証言。
「団体の実名は明かせませんが、かなり好戦的な思想で、やはり反安倍。しかもこの団体の背景がかなり不気味で、闇に包まれている。山上容疑者が洗脳された可能性がないか重要調査対象となっています」
実際、山上容疑者は取り調べで「安倍氏が旧統一教会とつながりがあると思い込んで犯行に及んだ」という趣旨の供述をしているという。この「思い込んだ」と発言している点がポイントで、当局は山上容疑者が何者かに知らず知らずのうちに“洗脳”された線も探っている。
ここで思い出されるのは1963年11月22日、遊説先のテキサス州ダラスで起きた第35代米国大統領ケネディ暗殺事件だ。単独実行犯とされたオズワルドも逮捕直後にジャック・ルビーによって射殺された。死の直前にオズワルドが「ハメられた!」と残した言葉から、何者かがオズワルドを“洗脳”したとの見方は根強い。山上容疑者が“洗脳”されていたとするのは現時点では臆測の域を出ないが、もし自分の人生が誰かが描いたシナリオ通りに歩まされていたとしたら…。事件は異様な展開を見せている。
●山上容疑者 事件前日 安倍元総理の遊説先岡山でも銃隠しもっていたか 7/13
安倍元総理が奈良市で銃撃され死亡した事件で、逮捕された男が事件前日、安倍氏の遊説先の岡山を訪れた際にも銃を隠し持っていたとみられることが分かりました。
安倍元総理が銃撃された現場近くです。けさ、こちらでは警察による大規模な現場検証が行われました。
記者「大和西大寺駅前です。奈良県警の捜査員らが現場検証を行っています」
きょう午前5時ごろから、奈良県警の捜査員およそ50人が現場検証を実施。山上容疑者の手製の銃から発射された弾丸の捜索にあたったということです。
記者「現場から100メートルほど離れた駐車場の壁なんですが、壁には弾痕とみられる穴がくっきりと残っています」
銃撃現場から100メートルほど離れた立体駐車場の壁面には、弾痕とみられる穴を複数確認することができます。
また、山上徹也容疑者(41)の事件前の行動も徐々に明らかになってきました。山上容疑者は事件前日の今月7日、安倍元総理の遊説先である「岡山にも行っていた」と供述していることがすでに分かっていますが、捜査関係者によりますと「岡山に持って行った銃とは別の銃を犯行には使った」との趣旨の供述をしていることが新たに分かりました。
JR新大阪駅などの防犯カメラには山上容疑者とよく似た人物が映っていたということです。山上容疑者は犯行時、ショルダーバッグに銃を入れていましたが、それとよく似たバッグも防犯カメラの映像に映っているということです。
警察は、山上容疑者が岡山を訪れた際も銃を隠し持っていたとみて調べています。
●山上容疑者 事件前日にも安倍元総理が訪れていた岡山に 7/13
奈良市で安倍晋三元総理大臣が銃で撃たれ死亡した事件で、容疑者の男が、事件前日、安倍元総理が訪れていた岡山に「銃を持って行った」と供述していることがわかりました。
山上徹也容疑者は、今月8日、奈良市内で街頭演説をしていた安倍元総理を手製の銃で撃ち、殺害した疑いが持たれています。
山上容疑者は、事件前日、安倍元総理が応援演説で訪れていた「岡山県にも行った」と供述していますが、捜査関係者への取材で、その際に「銃を持って行った」と供述していることが新たにわかりました。
一方、事件前日、山上容疑者が試し撃ちをしたと話している旧統一教会施設近くの防犯カメラには銃声のような音が記録されていました。
警察は、山上容疑者が周到に犯行の計画をたてていたとみて捜査しています。
●山上容疑者 旧統一教会への恨みで安倍元総理に強い殺意か 7/13
安倍元総理大臣が銃撃され死亡した事件で、逮捕された男が「母親が祖父の土地を勝手に売り払い宗教団体につぎ込んだ」と供述していることがわかりました。
逮捕された山上徹也容疑者は警察の取り調べに対し、母親がのめり込む宗教団体に恨みを抱くようになった経緯について詳細に話しているとみられます。
捜査関係者によりますと、山上容疑者は、母親が団体に多額の寄付をするなかで、「祖父の土地を勝手に売り払い団体につぎ込んだ」と話していることがわかりました。
事件があった現場では、13日午前5時頃から捜査員およそ50人態勢で検証が行われ、銃弾などの証拠品を捜索しました。
安倍元総理が襲撃された現場から100メートルほど離れた建物の壁から弾痕のようなものが3か所で見つかりました。
また、山上容疑者は事件の前日、 宗教団体の施設に向かって銃の試し撃ちをしていたと供述し、施設の建物からは、弾痕のようなものが見つかっていますが、近くの防犯カメラには発砲音のような音が記録されていました。
また、山上容疑者は、「母親が祖父の持っていた土地を勝手に売り払い宗教団体につぎ込んだ」と供述しているということです。
母親が入信する団体は旧統一教会だとわかっていて、登記簿によりますと、母親は入信したとみられる1998年に相続した奈良市内2か所の宅地を翌年6月までに売却。その後、破産しています。
山上容疑者は、「岸信介元総理が団体に関係があると思い、孫の安倍元総理も関係があると思った」とも話しているということですが、警察は、団体への恨みから安倍元総理に殺意を抱くようになったとみています。
●「統一教会」から5千万円返還させていた…山上容疑者と教団の金銭トラブル 7/13
安倍晋三元首相を銃撃し逮捕された山上徹也容疑者(41)は、母の統一教会への傾倒を犯行の動機として語っている。その凄絶な生い立ちを山上容疑者の伯父が証言する。
山上容疑者には、兄と妹がいる。母は統一教会を信仰する以前に、実践倫理宏正会という団体の活動に入れ込み、その傾倒が理由でノイローゼ状態になった父は自ら命を絶った。
「徹也の兄は小児がんを患っていて、手術もしています。片目も失明しており、普段の生活にも苦労していました」と明かすのは、山上容疑者の父の兄、つまり伯父にあたる人物である。
「(山上容疑者の)父が亡くなり、兄も病気でした。そうしたことがきっかけになり、父が亡くなってずいぶん経ってから、母は統一教会に入信したんですわ」
彼女は熱心な信者となり、度々、子供を置いて長期にわたり渡韓するほどだったという。
「子供たちはその間、食べるもんがなかったんですよ。だって、母親が日本におらんかったからね。自分は韓国に行き、ずっと放っておいた。ネグレクトどころではない、もっとひどい状態です。兄は病気で自分で食事を作ることもできない。その兄が電話をかけてきて、“食べるものがない”と。お金を持って行ってあげたりしていました。すると、冷蔵庫の中には食料がまるでないんですわ……」
さらに、伯父は統一教会と山上容疑者の家族の間で、ある取り決めが交わされたと語る。
「(山上容疑者は)そりゃあ、統一教会憎しになりますよ。(寄付として家から)持って行かれてしまったのが、1億数千万円はある。私はね、(山上容疑者ら)3人の甥と姪の依頼で統一教会から5千万円を2009年に取り返したんですよ。その時の和解書もある。でも、取り返した金を母親がまた寄付してしまうんです」
その当の母親は大阪府内の伯父の自宅に身を寄せているという。
特殊な環境に育った山上容疑者の兄は後に自殺し、また山上容疑者本人も、母の信仰に悩み自殺未遂を起こしている。
●若狭勝氏 安倍氏銃撃犯の動機に疑問「奈良県警は宗教の方に行こうと…」 7/13
13日放送のTBS系「ひるおび!」では弁護士の若狭勝氏が安倍晋三元首相を銃撃し、死亡させた山上徹也容疑者の犯行の動機を疑問視した。
今回、山上容疑者は「特定の宗教団体」へのうらみから、この団体に近い存在と思い込み安倍元首相を狙ったとされる。しかし、若狭氏は「一連の流れから、容疑者は動機をあえて教団がらみにしようとしている可能性がある」と指摘。
今回、山上容疑者は犯行前日の7日未明に「試し撃ち」として教団施設に銃撃をしている。これについて「試し撃ちというなら、なぜ教団施設なのか。試し撃ちというなら、人形などを撃つとか他に方法がある。教団施設を狙うと通報されたりとかリスクがある。犯行と教団を結びつけようと印象付けるための意図があったという可能性がある」と私見を述べた。
さらに「今回の犯行に関しては動機の解明が非常に重要。動機が宗教団体へのうらみなのか、政治的なテロなのかは大きな違いがある」とした上で「警備の問題にしても、動機が宗教団体であれば批判は弱くなるが、政治的なテロだとすれば大きくなる。奈良県警はどうも動機を宗教の方に持って行こうとしているようにも見える。動機についてはしっかり解明してほしい」と訴えた。
●安倍元総理事件 山上容疑者父の自殺の背景にあった“もうひとつの団体名” 7/13
宗教に傾倒し、育児を放棄
7月8日、選挙応援中に凶弾に斃(たお)れた安倍晋三元総理。「母親が統一教会に多額の寄付をし破産した」と動機を供述している山上徹也容疑者(41)には、実父が自殺した過去、そしてその背景に「別の団体」の存在があることがわかった。
山上容疑者の父は、1970年代末に奈良に本社を置く建設会社に入社し、その前後に社長の娘と入籍、容疑者の兄、妹を含む3人の子どもをもうけた。当時、居を構えていたのは東大阪市内の木造の一軒家。当時の近隣住民によると、頻繁に父が母を怒鳴りつける声がする異様な家だったという。
「実はお母さんが『朝起(あさおき)会』という宗教にはまっていたんです。子育てをほっぽらかしにしていて、朝の5時とかに出かけてしまうんです。当時、2歳か3歳かの男の子が冬も裸足で家の外に出てきて、泣きながら母親を探してるんですわ。ご主人もなんもせんとね。おしっこやうんちで重くなったおむつをはいているから、半ケツ状態でかわいそうでした」(一家を知る知人)
朝起会とは、戦後まもなく設立された実践倫理宏正会のことで、朝起会と呼ばれる早朝の活動をメインに会員数は400万人を超えるといわれる。
「生活倫理を実践する社団法人ということになっており、宗教団体であることを否定しています。しかし、事実上の宗教ではないかと指摘する声もある」(宗教事情に詳しい記者)
「最後は近くのマンションから飛び降りて自殺しはってね」
実践倫理宏正会の東京本部の担当者は、「(母親の)会への在籍は過去を含め、一切なく、朝起会に参加したこともございません」と否定するが、先の知人は団体への傾倒が引き起こした悲劇についてこう語る。
「奥さんが相当宗教に入れ込んでしまったみたいで、旦那さんはノイローゼやったようです。最後は近くのマンションから飛び降りて自殺しはってね、それは近隣で話題になりましたわ。それから1年と経たず、一家は引っ越していかれました」
父を亡くした後、一家は奈良市内にあった祖父の家に身を寄せた。母は父に代わり実家の建設会社の取締役に就任し経理を担当するようになるが、しばらくして統一教会に入信したという。
●銃撃「コロナ禍で標的かえた」 7/13
安倍晋三元首相の銃撃事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が「当初は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁を狙ったが、新型コロナウイルス禍で来日しないので安倍元首相に狙いをかえた」との趣旨の供述をしていることが13日、捜査関係者への取材で分かった。
現場の北約90mにある立体駐車場の壁面に確認された弾痕のような穴の中に、弾丸とみられるものが複数あった。奈良県警は山上容疑者の手製銃を鑑定し、殺傷能力の確認を進める。
19年に旧統一教会の集会で総裁が愛知県に来た際に「火炎瓶を持って行ったが会場に入れなかった」とも供述した。 
●山上徹也容疑者「旧統一教会トップが来日時に火炎瓶を持って行った」と供述 7/13
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件。山上容疑者は「母親が祖父の土地を勝手に売り払った」という趣旨の供述をしているということです。また、容疑者の責任能力の有無を調べるために鑑定留置を行う方針という話が新たに出てきています。
警察は7月13日午後3時ごろからの現場検証で、山上徹也容疑者(41)の銃撃現場から90mほど離れた立体駐車場の壁面にできた3か所の弾痕とみられる穴を捜査し、複数の金属片を回収しました。
また山上容疑者は「事件の前日に宗教施設が入る建物の壁に向けて試し撃ちをした」と供述していますが、近くの防犯カメラには発砲音のような音が記録されていました。
山上容疑者は「母親が入信する宗教団体への恨みを募らせ犯行に及んだ」と供述していますが、その後の捜査関係者への取材で「旧統一教会のトップ・韓鶴子総裁を恨んでいた。3年前に来日したときに愛知の会場に火炎瓶を持って行ったが、中には入れなかった」という趣旨の供述をしていることが新たにわかりました。その理由として「母親が祖父の土地を勝手に売り払った」とも供述しているということです。
捜査関係者によりますと、山上容疑者の刑事責任能力の有無を調べるため、鑑定留置を行う方針だということです。
●山上徹也容疑者“旧統一教会トップを恨んでいた”趣旨の供述 7/13
安倍元総理が奈良市で銃撃され死亡した事件。山上容疑者が「旧統一教会の総裁を恨んでいた」という趣旨の供述をしていることが分かりました。
きょう、安倍元総理が銃撃された現場周辺では、奈良県警の捜査員らが早朝から山上徹也容疑者の銃から発射された弾丸の捜索にあたりました。
記者「発砲された場所から90メートルほど離れた立体駐車場の壁には、弾痕とみられる穴がくっきりと残っています」
流れ弾なのでしょうか。銃撃現場からほど近い立体駐車場では、壁面に弾痕とみられる穴を3か所確認、午後3時すぎからこの場所でも現場検証が行われ、弾丸のような金属片が見つかったということです。手製の銃の威力がうかがえます。
容疑者の事件前の行動も徐々に明らかになっています。山上容疑者は事件前日の今月7日、安倍元総理の遊説先である岡山に行ったとしていますが、捜査関係者によりますとJR新大阪駅などの防犯カメラには山上容疑者とよく似た人物が写っていたということです。
山上容疑者は「岡山に持って行った銃とは別の銃を犯行には使った」という趣旨の供述をしていることも分かりました。
また、動機として指摘されている世界平和統一家庭連合・旧統一教会への恨みについて、山上容疑者が新たに「旧統一教会の韓鶴子総裁を恨んでいた」「3年前に韓総裁が来日した時に愛知の会場に火炎瓶を持って行ったが、中には入れなかった」という趣旨の供述をしていることが新たに分かりました。
安倍元総理殺害へ冷徹に犯行に突き進んだことがうかがえる山上容疑者。奈良地検が刑事責任能力の有無を調べるため鑑定留置を行う方針を固めたことが捜査関係者の取材でわかっています。
●「さらに献金しなくちゃ…」政治家の“お墨付き”が影響 7/13
安倍元総理の銃撃事件で逮捕された男の母親のように、旧統一教会への献金などで家庭が崩壊したという人からの情報が相次いで寄せられました。その中で富山県内に住む元信者の家族は、信者が多額の献金をする裏で政治家の存在が教団の活動にお墨付きを与えていたのではと話しています。元信者が語る、第3弾です。
元信者の兄「ここに高麗大理石のつぼって(書いてある)、なんの変哲もないただのつぼが60万円」
当時、信者だった男性の妹が、60万円で購入したつぼの契約書。
元信者の兄「テレビとか週刊誌とか新聞で霊感商法の被害が出てます。見るたびに家族は泣いていました」
富山市に住むこの男性の妹が、40年前、当時の統一教会に入信。つぼを買ったり、貯金を献金したりするなど、教会の活動にのめり込み、その後、行方不明になりました。
元信者の兄「今まで父、母、(妹と)4人で暮らしていたものが、突然1人がいなくなる。家庭崩壊ですよね」
男性は10年間をかけて妹を脱会させましたが、その後も統一教会を調べ続けてきました。資料の中には、統一教会と政治家とのつながりが書かれた本も…。
12日行われた霊感商法の問題に取り組む弁護士の会見では。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広 弁護士「安倍元総理が殺害されたことは許されない。」「私どもとしては、安倍元総理にも、あるいはほかの政治家に対しても、何回も統一教会の社会悪を考えたら反社会的団体である統一教会にエールを送るような、そういう行為をやめていただきたいと、繰り返しお願いしてまいりました」
安倍元総理は去年9月、旧統一教会の関連団体であるUPFのイベントで、ビデオメッセージを送っていました。
ビデオメッセージ「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ、朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆様に敬意を表します」
UPFは、統一教会の創設者である文鮮明氏が2005年に創設。現在はその妻・韓鶴子氏が代表を務めています。
富山県内でも去年9月、自民党の県議が実行委員長を務めるUPFの講演会が開催されました。自民党の関係者は「UPFから申し出があり、知事選や高岡市長選で選挙の応援を受けた。彼らは戸別訪問が得意で統一教会と関係があることもわかっていた」と 話しています。
安倍元総理のメッセージについて元信者の兄は─。
元信者の兄「ビデオメッセージまで送ってる。インパクト強いでしょ。元総理がこういうことをしてる。これを家族に見せたらどうなりますか。それを見た親はどうなりますか。『ああ総理大臣が推薦しているんだ』と。これはもう国から承認された団体なんだと思うでしょ」
また、別の元信者の女性は政治家の存在が信者の心理に影響を与えていたと話します。
元信者の女性「信者に影響を与えるようなことをなぜするのかなという。信者の人たちはみんなモニター越しに(政治家を)見ますよね。やっぱりそれで安心ていうか『自分のやってることが間違いじゃない』っていうことを確信すると言いますかね。『日本はこういうふうに動いてるんだ』っていうのを、(確信)すると、さらに献金しなくちゃって思いになると思いますね」
一方、11日の会見で、旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合は、UPFはあくまで別の組織だと説明しました。
世界平和統一家庭連合 田中富広 会長「安倍元総理は文鮮明総裁が主導され、多くの世界の指導者とともに推薦されている世界平和運動に賛意を表明してくださっていた。ただ、宗教法人世界平和統一家庭連合の会員として安倍元総理が登録されたこともありませんし、また顧問にもなったことはございません」
しかし、霊感商法の問題に取り組む弁護士はUPFに所属している信者も多く旧統一教会のフロント組織としています。
妹が信者となった富山市の男性。妹が霊感商法の販売員となり、加害者になったことが一番つらかったと言います。
元信者の兄「私の家は家庭崩壊しましたけど、今度は妹はほかの家族を不幸にしていく。今は被害者だけど加害者になっていく。それが一番苦しかったです。政治家といっても、誰一人統一教会に入信しないし、自分の子どもも入信させない。(政治家は)単なる広告塔なんです。賛同するような、誤解を招くような行動は慎んだほうが私はいいと思う。(このままだと)第2、第3の山上容疑者が出てくる可能性は否定できないと思う」
旧統一教会への献金などによって 次々と家庭が崩壊する悲劇。結果として、教団の活動を応援した形となった政治家にも責任はあるのでは、と男性は話します。
●旧統一教会で山上容疑者の母と一緒に布教活動 「寄付額は数千万円」 7/13
安倍晋三元首相が銃撃された事件で、逮捕された山上徹也容疑者は警察の調べに対し、特定の宗教団体名をあげて、「母親が入信し、多額の寄付をして家庭が崩壊した。恨みがあった」などと供述しているという。その母親と同じ宗教団体にいて、布教活動なども一緒にしたという女性がAERA dot.の取材に応じ、当時の母親の様子などを語った。
一方、7月11日、宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧・世界基督教統一神霊協会=統一教会)が東京都内で記者会見し、山上容疑者の母親が入信していたことを認めた。
25年以上前から、奈良県で旧統一教会員だった女性のAさん。当時は旧統一教会の霊感商法が問題になっており、Aさんもつぼや数珠、多宝塔の販売にかかわっていたという。現在は脱会している。
――山上容疑者やそのお母さんのことは知っていますか。
「同じ教会で活動していましたから、お母さんは知っています。時々、子どもさんも連れていました。それが山上容疑者かどうかは記憶はありませんが」
――母親はいつごろ、どのように勧誘されたのでしょうか。
「今から25年くらい前でしょうかね、統一教会に入ったのは。同じ地域の信者がお母さんの心配ごと、悩みを聞くようになったようです。山上容疑者の父親や祖母は比較的、早くにお亡くなりになられてました。祖父も病気がち。当時、統一教会の信者は、相談に乗るといいながら、先祖の話を出して商品を買わせる手法でした。例えば『ご先祖様が苦しんでいるので助けなければいけない。そうすれば、あなたも救われる』というようなことを何度も伝えて刷り込ませる。家系図を書かせて全容を把握して財産も聞き出す。私が(山上容疑者の)お母さんを知った時はすっかり“洗脳”されていました」
――山上容疑者は警察の調べに対し、「母親が統一教会に多額の寄付をして生活に困った」「統一教会のせいで家庭がむちゃくちゃになった」などと供述しているようですが、思い当たることはありますか。
「統一教会がとてもお金がかかる教団であることは、これまでマスコミなどで報じられてきた通りです。私も1千万円以上、つぎ込まされました。山上容疑者のお母さんのお宅は、もともとお金持ちという印象でした。大きな家にお住まいでしたから。お母さんの実の父、山上容疑者のおじいちゃんが亡くなって、遺産を相続したようです。家と経営していた会社です。それも20年以上前だと思います。それを、1年もしない間に売却して、小さなアパートに引っ越しました。近くに統一教会の施設があるという理由です」
そこで、山上容疑者の母親の家や祖父の会社について調べると、家は奈良市南部に位置し、近くには大きな古墳がある古都奈良らしい住宅街にあった。もともと山上容疑者の祖父母の住まいだったが、その後、母親やきょうだいと一緒に住んでいた。
不動産登記簿によれば、土地面積が約240平方メートル、建物は2階建て140平方メートル。1998年10月に山上容疑者の母親が祖父から遺産相続し、翌99年6月に売却している。会社は、奈良と大阪を結ぶ幹線道路に面する好条件の場所にあった。登記簿では、土地面積が230平方メートル。98年10月に山上容疑者の母親が祖父から相続し、99年3月に売却している。
山上容疑者の母親は祖父から相続すると、家と会社の土地を約半年〜8カ月という短い期間で売り払っている。路線価や当時の実勢価格と照らし合わせると、土地のみで約6千万円の評価額とみられる。そして、山上容疑者の母親は2002年12月10日、破産免責決定がなされた。
――山上容疑者の母親は資産を手にして、すぐに売って現金化しています。旧統一教会との関連はあると思いますか。
「私は(山上容疑者の)お母さんから、統一教会から現金化を勧められて売却し寄付した、という趣旨の話を聞いた覚えがあります。具体的な金額はわかりませんが、数千万円だったはずです。その前には山上容疑者の祖父が亡くなり、保険金も寄付させられたはず。そんな大きな金額の寄付は、奈良ではそうはありませんでしたから、今も記憶に残っています」
――山上容疑者の母親は具体的にどのような活動をしていたのでしょうか。
「統一教会の信者獲得で、奈良市内をまわっていました。個別で家を回って食品を売るような活動にも参加していました。その頃は毎日、統一教会の活動で一日を費やしていたように思います。私も一緒に活動したことがありますが、『お悩みはございませんか』『私は救われましたので』と一生懸命に布教していました」
――「統一教会に家庭をめちゃくちゃにされた」というくらい献金を求められるのでしょうか。
「山上容疑者のお母さんは熱心でしたから。大きなお金も寄付されていたとなれば、家族は生活にも困ります。私も、いくらお金があっても足りないほど、いろいろな献金を求められました。お金を出さないと『地獄でご先祖様が苦しむ』『信仰が足りない、ますます不幸になる』などと責め続けられ、家に帰してもらえない」
――そんな状態になってもおかしいと思わないのですか。
「教えを信じ込んでいるので、世間の常識は通じません。私も脱会するまでには本当に苦労しました。お母さんのまわりには脱会をアドバイスするような親戚などはいなかったのでしょう。いつしか周りは統一教会の人しかいなくなる。そうやって、子どもや孫まで囲い込んでいくのが手法でした。だけど、山上容疑者自身はそうはならなかったようです」
山上容疑者の親族に旧統一教会との関係について聞くと、「山上容疑者の犯行は絶対に許せません。ただ、母親が統一教会にのめりこんで、家庭がめちゃくちゃになったのは本当です。統一教会がなければこんな悲劇は起こらなかったと思います」。
一方、統一教会の田中富広会長は記者会見で、山上容疑者との関係について、「山上徹也容疑者は、当法人の信者ではございません。過去も、当法人の信者であったという記録は存在しません」と話し、山上容疑者の母親については、「当法人の教会員であり、これまでも1カ月に1回程度の頻度で教会の行事に参加しておりました」
「母親の入会は1998年ごろだと思いますが、二十数年前なので正確な情報はありません。破綻(はたん)されたと聞いていますが2002年ごろだったと思います」「この方がどのくらいの献金をされたのかも含め、二十数年前の記録までたどりきれません」「破綻されていたことは知っています。その後、このご家庭に高額献金を要求したかは記録上一切残っておりません」などと述べ、「献金額はご本人の心情に基づいて献金されているものと受け止めています。ノルマという扱い方はしておりません」と説明した。
また、過去に、高額な物品を購入させる霊感商法や高額な献金が社会問題化し、トラブルなどが起きたことを踏まえ、2009年以降、「末端にいたるまでコンプライアンスの徹底を進めてまいりました。09年以降の案件で、そのようなトラブルはありません」として、献金でのトラブルは起きていないと話した。
今回の事件については、もし旧統一教会への恨みが犯行の動機であれば、「重く受け止める」との見解を示した。
12日には、旧統一教会の問題に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が都内で会見を開いた。
連絡会の弁護士は「(旧統一教会の)霊感商法や献金の問題はいまだに続いている」と指摘し、最近でも、裁判になった事例や被害相談も寄せられているという。
連絡会によると、昨年末までの約35年で、弁護士や消費生活センターが受けた旧統一教会に関する相談は3万4千件以上あり、被害総額は約1237億円。昨年までの5年間に限っても約580件、約54億円だという。
弁護士の説明では、現在でも「『全ての財産は神様。全てささげなさい』というのが統一教会の教え」であり、その結果、家庭崩壊につながっていくのだという。
一方、前日の旧統一教会側の会見で、山上容疑者が、安倍元首相がメッセージを送ったと主張した団体は友好団体で、旧統一教会とは別との説明をしたことに触れ、「“統一教会”と実態は同一だ」と主張した。

 

●「母親はつながりが切れない、縁が切れない」親族が明かす山上容疑者の母 7/14
奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、自民党候補の応援演説中の安倍晋三元首相が背後から狙撃され死亡した事件。元海上自衛隊員の無職・山上徹也容疑者(41)は、動機について世界平和統一家庭連合(旧統一教会が2015年に改称、以下、本稿では統一教会と記述する)への恨みがあったなどと供述している。
「母親がのめりこみ、破産したので恨みがあった」
「岸信介元首相が日本に招き入れたから孫の安倍氏を狙った」
これに関連し、世界平和統一家庭連合は11日、都内で記者会見し山上容疑者の母親が信者であることを認めた。山上容疑者の事件前の様子を振り返ってみても、母親と統一教会との関係が、その不安定さに拍車をかけているようにみえる。
山上容疑者の直近の勤務先である会社の工場責任者はこう語っている。
「口数は少なく、昼食も自家用車のなかで1人で食べていましたが、仕事には真面目でした。派遣会社から派遣されてきた当初は、敬語が使えて社会人として良識のある人という印象で、遅刻や無断欠席、トラブルなどを起こすタイプではありませんでした。しかし約半年後の2021年4月から、上司と言い争うことが増えていきました」
山上容疑者の“不安定さ”に拍車をかけたもの
旧統一教会の会見によると、母親は1998年に教会員になっているというが、「週刊文春」(2022年7月21日号)の伯父へのインタビューによると、母親は1994年頃にはすでに統一教会での活動をしていたようだ。しかしある期間、母親は教会と距離を取りはじめる。そして「2、3年前から改めて教会と連絡を取るようになって、そしてこの半年ぐらいは1カ月に1度の教会の企画に参加しているというふうに聞いております」(旧統一教会会見より)。
山上容疑者が職場でトラブルを起こし始めた時期と、母親が宗教活動を再開し始めたタイミングが重なるのだ。
特定の宗教に傾倒する親を持つ子どもは、どんな日々を生きているのだろうか。統一教会の信者である両親の元に生まれた“2世”であるXさん(20代男性、関東近郊)は、「2世の生きづらさ」についてこう語る。
理解できてしまう動機「統一教会のトップを殺したい」
「私は両親の『合同結婚式』の末に生まれました。統一教会では合同結婚式で生まれた子は『祝福2世』と呼ばれて自動的に教会員になりますが、私に信仰心はありません。ですので、自由に恋愛すらできないこの境遇への恨みは強くあります。高額献金によって家庭を崩壊させられた山上容疑者の『統一教会のトップを殺したい』という動機は、悲しいことに理解できてしまう。それだけこの国で2世が置かれている状況は辛く厳しいものなんです。
いくら統一教会に不満を抱えていても、そう簡単には誰かに相談できません。一般の友人には偏見が怖くて明かせませんし、教会内の人にも告げ口が怖くて話せない。私でさえ、教会内の幼なじみに話せないことがたくさんありますから」
特に山上容疑者のように、生まれた後に親が入信した子どもは『信仰2世』と呼ばれ、Xさんとはまた別の辛さもあるという。
「信仰2世は入信後の親の変貌ぶりも辛かったと思います。入信すればすべてをおいて信仰が優先されますから。それに信仰2世は祝福2世と結婚できないなど、教会内でも区別されます。容疑者には教会の内でも外でも強い疎外感があったのではないでしょうか」
山上容疑者は、宗教にのめり込む母親の元でどのような幼少期を送ったのか。手がかりをつかむため、約40年前に住んでいた東大阪市の住宅街へ向かった。当時、山上一家と交流があったという近隣住民によると、当時「まだ赤ちゃんだった」という山上容疑者は、両親と幼い兄とともに、ここへ引っ越してきたという。
「お兄ちゃんはまだ小学校にも上がっていないくらいじゃなかったかしら。でも頭を包帯でグルグル巻きにしていてね。大きな怪我か病気をされたみたい、と人伝に聞きました。ご主人も心の病気だったのか、仕事で外にでることなく朝からお酒を飲んでいました。お母さんは育児やご主人のことでかなり疲れているようでした」
「度を超えて見えた」母親の“熱心さ”
この時期、母親は“ある団体”に所属し、頻繁に活動に参加する様子が目撃されている。早朝に集会を行う団体として、当時この辺りでは有名だったという。
「お母さんは統一教会の信者だったと報じられていますが、当時所属していたのは別の団体でしたよ。ほかにも何人か所属している人はいましたから、珍しいわけではなかったんだけど、特に熱心に活動してらしてね。毎朝のように朝早くにでかけて、数時間家を空けるなんてことも多かった」(同前)
この時期、山上容疑者もその兄も未就学児。本来であれば一時も目を離せない年ごろだ。それゆえに母親の“熱心さ”は、周囲からは度を超えて感じることもあったようだ。
「ある朝、目を覚ましてお母さんがいないと気が付いたんでしょうね、お兄ちゃんが、寒空の下に裸足で出てきて、必死にお母さんを探していたことがあります。『お母さんどこ』って……。その姿が不憫でね、保護したのを覚えています。その後お兄ちゃんは『お母さんに会いたい』って言ってすぐに家へ帰っていきました。
ご主人は集会への参加を反対してらしたから、口論になることもしょっちゅう。いつだったか、朝出かける奥さんをご主人が車で追いかけようとして、近所で交通事故を起こして騒ぎになったこともあります」(同前)
そして山上一家が引っ越してきて数年後、父親が自ら命を絶つ。
「引っ越してきてまだ2、3年だったと思いますが、近くのマンションから飛び降りたと聞きました。その後すぐに残されたご家族は引っ越していきました」(同前)
父親の死後、母親は娘を出産。山上容疑者ら3兄妹は奈良にある母方の祖父の家に身を寄せた。一家の知人によると、祖父は地元の名士だったようだ。
「おじいちゃんは小さな建設会社を営んでらしたんだけど、有名大学を出た優秀な方で、大阪の土木関係の下請け団体の会長を務めていました。ゼネコンからトンネル工事をいくつも受けていて昔から景気がよくってね。娘さんは2人とも優秀で、どちらもあの時代に有名大学を卒業しています。徹也くん(山上容疑者)のお母さんはお姉ちゃんで、妹さんは医者になっています」
子育てに邁進する母親 でも「宗教に入りたい」
引っ越し後、母親は祖父の経営する会社の役員になっている。親族によると母親は「経理を担当していた」という。当時、会社の経営はうまくいっており、親族らの助けを借りながら、母親は山上容疑者を含む3人の育児に奮闘していたようだ。
「お母さんはおとなしい感じの方。でも子ども会の役員など、頑張って育児をされていましたよ。徹也くんは勉強も凄くできたし落ち着いていたからか、勉強が苦手なお兄ちゃんを特に気にかけていました。この頃は早朝に出かけて家を空ける、なんてことはなかったと思います」(母親の知人)
しかし、別の知人は母親がこう漏らすのを聞いている。
「お母さんは思い詰めた様子でね、『宗教に入りたい』と相談を受けたことがありました。身内の不幸が重なって、深刻な悩みをかかえていたようです」
伯父の証言によると、1994年以前にすでに母親は統一教会にのめり込み、多額の献金を行っていたとみられる。前出の統一教会2世であるXさんは、献金システムについてこう証言している。
「毎年、年収の10分の1を寄付するのが通常の寄附です。ただ、そのほかにも『430代前までの先祖を供養するため』と数百万円かそれ以上の寄付を求められ、有名な『お壺を買いましょう』といったものあります。祈願書と言われるお札も有名で、お札は確か5千円、1万円、1万5千円とあって、自分の願い事とか清算したいことを書きます。そのお札を集めてお焚き上げすると、願いが叶ったり救われたりするといわれています。“免罪符”みたいなものですね。
教会は会見で寄附について『任意』と語っていましたが、信者にとっては『天国に行くために必要だ』といわれると義務も同然。ほとんどの信者は有り金がなくなるまで教会に貢ぎ、残った金でギリギリの生活をしています。かつては手持ちの全資産を教会に報告していた時代もあった、なんて話も聞きます。私の家も、祖父の代は比較的裕福な方だったのですが、両親はそのお金を使い切り、現在の暮らし向きはいいとはいえません」
シングルマザーで統一教会に多額の献金を行っていた母親。祖父や親族の力を借りながら、奈良の地で新生活を送っていた。しかし山上容疑者が県内有数の進学高校の卒業を控えた頃、一家の支えだった祖父が他界。母親が祖父の会社を継いでいるが、その頃にはすでに経営は厳しくなっていたようだ。
会社は4000万円を超える負債を抱え、母親は自己破産
ある信用調査会社によると、1996年度まで黒字が続いていた会社は母親が社長を引き継ぐ前年の1997年度には4000万円を超える負債を抱え、その後銀行からの融資も認められなくなった。2002年には母親が自己破産。2009年から2017年までは、統一教会側も連絡が取りづらい状態が続いたという。
「教会への入信以降、母親は会社の金を使いこみ宗教にのめり込んでいったとみられる。山上容疑者は大学進学を夢見ていたが経済的な事情から専門学校に進学。学費は夫側の親戚が工面している。その後、海上自衛隊員になった山上容疑者は自殺未遂をして病院に運ばれた。さらに追い討ちをかけるように兄が数年前に自殺している」(捜査関係者)
山上容疑者の親族は、兄をなくした山上容疑者の当時の様子を言葉少なにこう振り返る。
「(兄が亡くなったのは)8年くらい前。葬儀のときに泣きながら、『兄ちゃんアホやな何で死んだん。生きていればなんとかなるやろ』と。その言葉が忘れられません。悲しかったと思います」
度重なる身内の死と、そこに向き合えず宗教にのめり込んでいく母親――。そこで山上容疑者が銃口を向けたのが、統一教会との蜜月関係が囁かれる元首相だったのだ。
「母親はつながりが切れない、縁がきれない」
この親族自身、最近は山上容疑者らと会うことがほとんどなかったが、山上容疑者と母親については「2人は会っていると思う」と語っている。なぜ山上容疑者が母親に憎悪を向けなかったと思うかと聞いたところ、「それはやはり子どもと母親はつながりが切れない、縁がきれない」と呟いた。
前出のXさんは「宗教2世の実態」をこう訴えている。
「例えば、交際相手との結婚を考えている2世の知人がいるのですが、相手は教会員ではないため、結婚できずに悩んでいます。統一教会は自由恋愛を厳しく禁じていますから、もし相手と結婚すれば、知人は両親との縁も切ることになってしまいます。ただ、彼の両親は心から信仰が彼の幸せにつながると信じている。だからこそ、なかなか決断できないでいるようです。
2世の自助努力で解決するのはもはや難しく、まずは社会にこのような問題があることを知ってほしい。事件に便乗するような形で不謹慎と言われるかもしれませんが、それだけ追い込まれているんです。教会内部はほぼ“治外法権”。だから規制する法律や、精神的な虐待を取り締まる法整備などにつながってほしい。2世には普通の人が当たり前に享受できる幸福追求権がありませんから……」
元首相の殺人という史上希に見る大事件には、宗教2世が抱える深く重い苦悩が底流していたのかもしれない。
●山上徹也容疑者の恨みの背景『母親が1億円献金』か… 7/14
安倍晋三元総理(67)が奈良市で演説中に銃撃されて死亡した事件で、逮捕された男の母親が宗教団体に献金した金額は1億円に上るとみられることがわかりました。警察はこうした事情が犯行の動機の一つになった可能性もあるとみて調べています。
安倍元総理が銃撃された現場近くでは、7月13日に続き14日も朝から警察による現場検証が行われました。
7月8日、奈良市で参院選の遊説中だった安倍元総理が銃で撃たれ死亡しました。警察は山上徹也容疑者(41)を逮捕して殺人の疑いで捜査しています。捜査関係者によりますと、山上容疑者は調べに対して「火薬はネットで買った。圧力鍋の爆弾などを最初に作った」と話しているということです。
また犯行の動機につながる供述も明らかになり始めています。母親が旧統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)に入会し、多額のお金を振り込み破産したころから「旧統一教会を恨んでいた」としていて、「20代のころはナイフ1本を持って統一教会の会合などをしている周辺をうろうろしていた」という趣旨の供述をしているということです。
また捜査関係者への取材で、母親が旧統一教会に献金した金額は1億円に上るという情報があることがわかりました。これに対して旧統一教会は「2005年からの約10年間で計5000万円が返金された」とコメントしています。
●山上徹也容疑者 旧統一教会トップ韓鶴子氏を火炎瓶で襲撃の計画も… 7/14
「韓鶴子総裁に敬意を表します」去年安倍元総理が旧統一教会の関連団体に送ったビデオメッセージを見たという容疑者。熱烈な信者だった妹を10年かけて脱会させたという男性は「政治家は誰一人入信しない、賛同するような行動慎んだ方がいい」と批判しました。
旧統一教会に恨み 山上容疑者「安倍元総理がメッセージ送っていた」
安倍元総理が銃撃されてから5日が経った7月13日。奈良市の事件現場周辺では、朝5時から50人規模での検証が行われました。探しているのは、「弾丸」です。
記者「現場から90mほど離れた駐車場の壁には、弾痕とみられる穴がくっきりと残っています」
安倍氏に背後から2回発砲した山上徹也容疑者。銃は手製で、1回で複数の弾丸を発射できる物です。13日の検証で、およそ90m先にある壁に弾痕とみられる穴が3か所確認されました。
JNNのカメラは、捜査員が穴から弾丸のようなものを取り出す瞬間を捉えていました。回収されたのは、金属片だったということです。
山上容疑者は、母親が信者である旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合への恨みから犯行に及んだという趣旨の供述をしています。
山上容疑者「(旧)統一教会トップの韓鶴子総裁をずっと狙っていた」
韓鶴子氏は統一教会の創設者の妻で、現在の教団の総裁です。
2019年、韓氏が来日した際、山上容疑者は火炎瓶を持って行き襲撃を試みたものの、会場には入れなかったといいます。安倍元総理を狙った理由については・・・
山上容疑者「安倍元総理が(旧)統一教会に向けてビデオメッセージを送っていた」
安倍元総理は2021年9月、韓氏が代表を務める旧統一教会の関連団体にビデオメッセージを送っていました。
安倍元総理(2021年9月ビデオメッセージ)「世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた、韓鶴子総裁をはじめ皆様に敬意を表します」
山上容疑者の母親は、1998年ごろに信者となり、2002年ごろに自己破産しています。
山上容疑者「母親が、祖父の土地を勝手に売り払った」
山上容疑者のように、教団への多額の献金などによって崩壊した家庭は少なくないと元信者は話します。
元信者“10年間で1000万円を献金” 借金ローンに家族はぐちゃぐちゃ
家族が円満になることを祈った教団のロゴが入った印鑑。元信者の女性が、当時、教会へ210万円を献金した代わりに受け取ったものだといいます。
元信者の女性「カードは借金ローンになっていましたし、いつもローンを返している状態」
女性は、10年間で合わせて1000万円近くを献金したそうです。
元信者の女性「知った当時は、こんな教えがあるんだってうれしくなって、だけどやっていくうちにいつも『お金お金お金』なんです。現実を振り返れば、家庭はぐちゃぐちゃでしたね。でも『反対されるのも摂理』と聞いていた」
結婚し、子どももいましたが、統一教会の活動にのめり込み、夫と離婚。
教団側は、山上容疑者の母親の破産について、11日にこう話していました。
世界平和統一家庭連合 田中富広会長「このご家庭が破綻された諸事情は私どもも把握していません」
しかし、会見を見た元信者は・・・
元信者の女性「当然献金して破綻しているのはわかっていると思うし。私が知る中ではそういう(破綻した)人はたくさんいたので。家もなくなっている人もたくさんいた」
「政治家は賛同する行動慎んで」元信者の兄の訴え
かつて信者だった妹が、60万円で購入した壺の契約書をみせる男性。この男性の妹も、教会にのめりこんだ1人です。男性は、妹を10年間かけて脱会させたといいます。
安倍元総理のビデオメッセージについて、男性は・・・
元信者の兄「インパクト強いでしょ。元総理がこういうことをしてる。家族に見せたらどうなるか。それを見た親はどう思うか『ああ、総理大臣が推薦してるんだ』と、国から承認された団体だと思うでしょう」
男性は、妹が霊感商法の販売員となり、加害者にもなったことが一番つらかったと話します。
元信者の兄「今度は妹は他の家族も不幸にしていく。それが一番苦しかった。政治家といっても誰1人統一教会に入信しないし、子どもも入信させない。(政治家は)単なる広告塔。賛同するような誤解を招くような行動は慎んだほうが私はいいと思う」
教団は、2009年以降、献金などをめぐるトラブルは起きていないとしています。しかし、被害者を救済している弁護士は、2021年の1年間で、合わせて3億3000万円あまりの被害があったことを明らかにしました。
●山上容疑者の母親の献金総額が1億円に上る報道に「もっと増えるかも・・・」 7/14
テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」は14日、安倍晋三・元首相が奈良市内で8日、街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者の母親の宗教団体への献金について報じた。
スタジオでは山上容疑者の母親の献金総額が「1億円以上にのぼるとみられる」と報じた14日の読売新聞の記事を紹介。スタジオに出演した紀藤正樹弁護士は「ご親族から確認した報道がなされているんですけどお母さんが正直に話していればもっと増えるかもしれません。ここはこれからの捜査の中で明らかになっていく事項だと思います」と指摘した上で「1億円を超えるっていうことはびっくりしました」とコメントしていた。
●山上容疑者 単独犯かそれとも…洗脳殺人≠フ可能性を専門家が分析 7/14
安倍晋三元首相の銃撃事件は、無職山上徹也容疑者(41)の宗教団体に絡んだ“恨み”による単独犯とみられる一方、何者かに洗脳されていたという見方も出ている。果たして、“洗脳殺人”は可能なのか。専門家が分析した。
山上容疑者が県警の調べに対し「当初は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁を狙ったが、新型コロナウイルス禍で来日しないので安倍元首相に狙いを変えた」との趣旨の供述をしていることも判明した。
一方で、別の捜査当局が山上容疑者が「好戦的思想の謎の団体」に知らず知らずのうちに“洗脳”された線を探っているという情報もある。洗脳で殺人まで行わせることは可能なのか。
国際社会病理学者で米国凶悪犯罪に詳しい桐蔭横浜大学の阿部憲仁教授はこう語る。「洗脳の真偽は定かではありませんが、母親から社会性を否定されるほど心理的にネグレクトされていた山上容疑者のことを考えると、洗脳すること自体は不可能な話ではないかもしれません」
米国では20世紀、カルト集団の首領チャールズ・マンソンが支持者を洗脳し、殺人を行わせた例などがある。その例などを分析すると、“洗脳殺人”の方程式があるという。
「1心に穴のあいた人間を探し、2その気持ちを理解し愛情をかけ、3他の人間関係を絶たせることで逃げ場をなくし、4指導者そして他のメンバーとの間に抜け出せない親密な人間関係を構築させ、5指示通りに行動しない場合は耐え難い心理的苦痛を感ずるよう条件付け、6殺人というゴールを設定しそのトンネルを進むことだけが自分に残された道だと思い込ませる、という図式になります」と阿部氏。
これを山上容疑者に当てはめるとどうなるか。高校3年生だった1998年ごろに母親が旧統一教会に入信し、2002年に経済破綻。一部報道によると、母はそれ以前にも別の宗教に傾倒し、幼少期の容疑者らが“放置”されたこともあったという。
「愛情が必要だった時期に母親を奪われ、家庭も破壊された山上容疑者の心にあいた穴は、生き続けることを不可能にするほどのものであったことは事実です。そして、そうした“心の空白”には例外なく破壊的な考えが入り込みます。併せて、他者との心の交流を持たない単調で苦痛な人生を歩んで来た者にとっては20年といった歳月は、通常の私たちにとってとは異なり、“つい昨日のこと”のように身近な現実として感じられています」と言う。
阿部氏自身は「洗脳殺人の可能性はそれほど高くないのではないか」と推測している。
それでも「ポッカリあいた山上容疑者の心の穴に、彼が抱いていた感情と一致する思想が刷り込まれたとしたら、条件的には不可能な話ではないかもしれません。また、洗脳まで行かなくとも、誰かと接触して刺激を得たという可能性はあります。彼の中には40年にわたる自分でも説明のできない怒りが、まるで時限爆弾のようにため込まれていたわけですから」と指摘している。
●事件前日の岡山「安倍元総理周りにSPがいて何もできず」 山上容疑者 7/14
山上容疑者が奈良の襲撃前日に岡山での襲撃を断念した理由について、「安倍元総理が裏口からの入退場で、周りにSPがいて何もできなかった」と供述していることがわかりました。
捜査関係者への取材によりますと、山上徹也容疑者(41)は「実際に安倍元総理を殺そうと初めて動いたのが前日の岡山県だった」「3発発射できる銃を持って岡山まで行った。弾は入った状態でバッテリーだけ外して持って行った」という趣旨の供述をしていることが新たにわかりました。
また、岡山で計画を実行に移さなかった理由については、「持ち物検査などがあるので中には入れなかった」「安倍元総理が会場に入る時か出るときを狙っていたが、裏口からの入退場で周りにSPがいるので、結局その日は何もできなかった」と供述しているということです。
警察は犯行の経緯の裏付けを慎重に進めています。 
●母親は警察など聴取に"息子の事件"謝罪...旧統一教会は批判せず 7/14
安倍晋三元総理銃撃事件で逮捕された男の母親は「息子が事件を起こして申し訳ない」と話しているということです。
7月8日、奈良市で参院選の遊説中だった安倍晋三元総理(67)が銃で撃たれ死亡しました。事件があった大和西大寺駅前では、事件から6日が経った7月14日朝も多くの人が献花に訪れていました。さらに安倍元総理が演説していた場所でも多くの人が手を合わせていました。
警察は無職の山上徹也容疑者(41)を逮捕して殺人の疑いで捜査していますが、捜査関係者によりますと、山上容疑者は調べに対して「火薬はネットで買った。圧力鍋の爆弾などを最初に作った」と話しているということです。
また、山上容疑者の母親はかつての統一教会「世界平和統一家庭連合」に1億円に上る献金をしていたとみられ、山上容疑者は「旧統一教会を恨んでいた」などと供述しているということです。
旧統一教会に入会していた母親のことを知る知人はこのように話しました。
山上容疑者の母親と高校・大学の同級生「(山上容疑者の母親と)会ったときは別にやつれた様子もなかったんですけど。私以外の友達に宗教のパンフレットを送ってこられて、それ以来、関係を断ちました。連絡を取らないようにしました」
母親は奈良県警と奈良地検の聴取を受け「息子が事件を起こして申し訳ない」と謝罪。一方で旧統一教会については批判していないということです。
●安倍元首相銃撃容疑者の母、聴取に「申し訳ない」 7/14
自民党の安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)の母親が捜査当局の聴取に対し、「息子が大変な事件を起こし申し訳ない」と謝罪していることが14日、捜査関係者への取材で分かった。自身が入信している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について批判的な発言はしていないという。
山上容疑者は逮捕直後から、母親が平成10年ごろ入信した家庭連合への恨みが動機だと説明。母親は家庭連合に多額の寄付を重ねたとされ、14年に破産している。寄付の総額は1億円前後に上るという情報もあり、奈良県警などは母親と家庭連合の関係を調べるとともに山上容疑者の供述の裏付けを進めている。
●山上容疑者とみられる新映像 安倍元総理演説の1時間半前に会場近くで 7/14
安倍元総理が奈良で襲撃され死亡した事件はあすで1週間です。JNNの取材で山上徹也容疑者(41)が「殺そうと初めて動いたのが前日の岡山県だった」という趣旨の供述をしていることがわかりました。付近の防犯カメラが山上容疑者と見られる男の姿を捉えていました。
7月7日午後、岡山市北区の防犯カメラが捉えた映像です。肩からかけたバッグに、カーゴパンツ姿の男…山上徹也容疑者と見られる人物です。
7月8日、奈良市で遊説中の安倍元総理が銃で撃たれ殺害された事件。JNNによる捜査関係者への取材によりますと、山上容疑者は「実際に安倍元総理を殺そうと初めて動いたのが前日の岡山県だった」。「3発発射できる銃を持って岡山まで行った。弾は入った状態でバッテリーだけ外して持って行った」という趣旨の供述をしていることが新たにわかりました。
事件の前日、岡山市民会館で行われていたのは参議院選挙の候補者の個人演説会です。
安倍元総理「今日は七夕、晴れましたよね」
約2000人の聴衆を前に10分ほど演説した安倍元総理。山上容疑者と見られる男が防犯カメラに映ったのは、演説会が始まる1時間半前の午後5時半ごろです。
RSK後藤記者「歩いていたのはこのあたり、商店街入り口と大通りに面した歩道で、この先に市民会館があります」
この場所から歩いてすぐの岡山市民会館。陣営の関係者によりますと当日は、来場者に新型コロナ対策のために名前と住所を書いてもらっていたものの、山上という名前や奈良県の住所の記載は無かったということです。
後藤記者「山上容疑者は実際、岡山市民会館までやってきたものの、厳しい警護体制などから襲撃を断念したと見られています。」
山上容疑者は岡山で計画を実行に移さなかった理由について、「持ち物検査などがあるので中には入れなかった」と供述していますが、実際には会場で持ち物検査は行われていませんでした。
また「安倍元総理が会場に入る時か出るときを狙っていたが、裏口からの入退場で周りにSPがいるので、結局その日は何もできなかった」と供述しているということです。
まず岡山での襲撃を企てていたとみられる山上容疑者。警察は犯行の経緯の裏付けを慎重に進めています。
●山上徹也容疑者の自作銃、見た目は粗末だが高精度 簡単に作れる 7/14
“決行日”の前日の早朝4時頃。男は奈良市内の4階建ての雑居ビルの前にいた。恨みがあるという宗教団体の施設だ。手に抱えた凶器の引き金をビルの外壁に向けて引くと、大きな音とともに、コンクリートの外壁とアルミ製のドアフレームに勢いよく穴が開いた。
散らばるように6か所。直径1cmほどの小さな穴だが、それは男が“作り出した”凶器が、目的を達成するに足る威力と精度を持っていることを意味していた。この銃口を向ければ、人の体などひとたまりもないだろう──そう男は確信したはずだ。
一般の人には想像もつかないだろうが、犯行に使われた銃は「手作り」だった。安倍晋三元首相(享年67)に銃口を向け、死に至らしめた山上徹也容疑者(41才)は「YouTubeの動画を参考に銃を製造した」と供述している。
犯行当日、山上容疑者が握りしめていたのは、一見すると銃とは思えない、黒いビニールテープでぐるぐる巻きにされた物体だった。テープの隙間からは、銀色に光る筒のようなものが、2本並んで覗いている。筒の下には木の板が添えられ、後方からは、電気コードのようなものが伸びている。サイズは長さ約40cm、高さ約20cmとかなり大きく、重々しさが伝わってくる。軍事ジャーナリストの竹内修氏が分析する。
「銃身は鉄パイプに、木の板をテープで巻きつけて固定しているだけでしょう。報道写真を見ても、特殊な金属や強化プラスチックで作られた銃には見えない。ホームセンターなどで売られている、ごく身近な素材だと考えられます」
山上容疑者は「自分で作り方を調べて部品を買い、ネットで購入したものもある」と供述。鉄パイプや板を購入している人を見かけて、「まさか銃を作るつもりでは」と疑う人などいないだろう。
「銃弾も自作した。一度に6個の弾丸を発射する仕組みだった」
山上容疑者はそうも供述している。自宅からは、インターネットで購入したとみられる空の薬莢や弾を入れるプラスチック容器も見つかった。竹内氏が続ける。
「16世紀頃からある『ラッパ銃』と呼ばれる銃に近い仕組みだと考えられる。弾丸の素材の断定はできないが、鉄粉を熱し固めたものも銃弾になり得る。束ねたネジや釘、石でも代用でき工具店やホームセンターで手に入るものばかり。
また、弾を撃ち出す際の火薬は、発射時に煙が出ていることから、『黒色火薬』だと思われます。正規購入には資格が必要ですが、匿名のネット掲示板などで売買されていますし、身近なところでは手持ち花火で使われており、かき集めるなりして入手できる」
警察が押収した山上容疑者の軽自動車の車内からは、火薬を乾かす際に使われたと思われる、アルミ箔で覆われたトレー数枚が見つかった。パイプ、板、ビニールテープ、ネジ、釘、鉄粉、手持ち花火……誰もが知るありふれた素材で、材料費は全部で高くても1万円程度だ。人の命を一瞬で奪った凶器が、こんなに簡単に作れてしまう。
一方、試行錯誤を要する点もある。
「人に危害を加えられるほどの『威力』と、相手を狙う『精度』を高めるには試し撃ちが必要です。1回や2回じゃなく、何度も試し、改良を重ねなくてはいけない」(竹内氏)
山上容疑者の自宅からは鉄パイプや仕組みが異なる5丁の銃が見つかっており、取り調べでは「昨年春頃から銃を作り始めた。今年2月頃までに完成させた」と供述。「自宅にある木製の板で銃の試し撃ちをした」「車で奈良県内の山間まで出かけ実射実験をしていた」と繰り返し試し撃ちをしていたことがうかがえる。
「山上容疑者の銃は見た目は粗末だが精度は高く、作るのに長い時間がかかっている。計画性を持って緻密に作られています」(竹内氏)
あなたの隣人が、“銃の所持者”かもしれない。
●旧統一教会、山上徹也容疑者の母親に5000万円返金 7/14
安倍晋三元首相の銃撃事件で、無職山上徹也容疑者(41=殺人容疑で送検)の母親が多額の献金をしたとされる世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が14日までに、05〜14年にかけて5000万円を母親に返金していたと説明した。容疑者が「最初は圧力鍋の爆弾をつくった」との趣旨の供述をしていることも判明。事件から15日で1週間となるが、動機の背景や入念な計画の詳細が浮かび上がりつつある。
捜査関係者によると、山上容疑者は、母親が入信する旧統一教会に「亡くなった父親の生命保険金や祖父の土地の売却益を献金した」と供述。その献金額は、少なくとも5000万円以上とみられることが明らかになった。山上容疑者は「母親が旧統一教会に入信して多額の寄付をし、家庭が崩壊した。教団を(韓国から)招き入れたのが岸信介元首相。だから(孫の)安倍元首相を殺した」と供述しており、奈良県警は動機の解明を進める。
旧統一教会の説明によると、山上容疑者の母親は1998年ごろ入信。不動産登記簿には、自分の父親から相続していた奈良市内の2カ所の土地計約475平方メートルを99年に手放した記録が残っている。
旧統一教会は14日までに、山上容疑者の母親が2002年に経済的に破綻した後、05〜14年にかけて5千万円を母親に返金したと明らかにした。09年に母親ら家族と、教会の男性信者との間で取り交わした合意書が残っているとしている。
一方、母親の寄付総額については「記録が残っておらず分からない」などと説明している。
関係者などによると、容疑者が幼い頃に父親が急死。母親は98年ごろに入信。傾倒して多額の寄付を続けたという。容疑者は調べに「母親が同連合にのめり込んで多額の寄付をし、家庭が崩壊した。恨みがあった。同連合と安倍氏がつながっていると思ったから狙った」などと供述。「当初は同連合の韓鶴子総裁を狙った」「ナイフ1本を持って同連合の会合の周辺などをうろついた」「どうしても許せず、韓国に行って殺そうと思ったが出国できないと思いやめた」「(総裁が)コロナ禍で来日しないので、安倍元首相に狙いをかえた」などの趣旨の説明もしている。19年に同連合の集会で総裁が愛知県に来た際に「火炎瓶を持って行ったが会場に入れなかった」とも話したという。
今回の犯行に向けた入念な計画も、次々に明らかになっている。武器については新たに、「最初は圧力鍋の爆弾をつくった」などと供述していることも判明。「関係のない人を巻き込むのでやめた。標的を絞りやすい銃をつくった」と説明しているという。
銃は昨春ごろからつくり始めたと話すなど、1年以上前から計画していた可能性がある。現場で使われた手製銃は長さ約40センチ、高さ約20センチ、金属製の筒2本を粘着テープで束ねた構造で、筒1本につき弾丸6個が一度に発射できる散弾銃のような仕組みだった。
7日夜、安倍氏が演説した岡山市民会館にも出向いていたが、手製銃を持参したと供述。「会場に出入りする時を狙ったが、周りにSP(警護官)がいて近づけなかった」という趣旨の説明もしている。安倍氏の奈良での遊説は7日午後に急きょ決まったが、容疑者はこの日程について「岡山からの帰りの新幹線車内で自民党のホームページを見て把握した」などと説明していることも分かった。入念な計画と準備を積み重ね、確実に実行できる襲撃機会をうかがってきた姿が浮かんできた。
●旧統一教会と自民党、その関係とは? 安倍晋三氏との距離感の変化は  7/14
安倍晋三元首相銃撃事件で、山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=の供述によりクローズアップされた宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」。山上容疑者は、母親が入信後に破産するほどの献金をして家庭が崩壊したため同会への恨みを持ち、同教会とのつながりが深い安倍氏を狙うことにした、などという趣旨の供述をしているという。同会と自民党との関係は、半世紀以上前までさかのぼるとされるが、その経緯や実態はどうなのか。
霊感商法や合同結婚式が社会問題に
旧統一教会とはどんな団体か。フランスの経済紙「レゼコー」は襲撃事件後、欧米では「カルト宗教」と認識されていると報じた。上越教育大の塚田穂高准教授(宗教社会学)は「活動の基軸はあくまで宗教的理念と実践。その活動の中において多くの問題を抱え、人権侵害や違法行為を積み重ねてきた宗教団体だ。他の宗教一般と同列には扱えない」と話す。
旧統一教会は教祖の故・文鮮明氏が1954年、韓国で創設した。間もなく日本でも布教活動が行われ、59年には日本の旧統一教会ができた。ホームページによると、教義は文氏が考案した「統一原理」と呼ぶ思想・理論によって、理想の家庭や世界平和を実現する指針を与えるとする。
宗教学者の島薗進氏は「ある時期までは、『異端のキリスト教』という枠内にあったと思うが、70〜80年代にかけ、非キリスト教化し、同時期に霊感商法に傾いていった」と分析する。島薗氏によると、新興宗教の中では比較的若い人の入信が多く、高学歴の者も少なくなかったという。「現代文明への失望感が背後にあった。また、離婚が増え始め、家族的な道徳基盤を求める人の流れもあっただろう」
多くの信者を獲得したが、80年代には、先祖供養などを名目につぼや宝石といった高価な品を訪問販売する「霊感商法」や巨額の献金が社会問題に。歌手の桜田淳子氏が92年に信者であることを明かし、教団が配偶者を推薦する合同結婚式に参加したことも話題になった。この合同結婚式は信者の「婚姻の自由を侵害する」として違法と判断された判決も出ている。
2000年には、旧統一教会系の企業が米国の通信社UPIを買収したこともニュースになった。この企業は米保守系日刊紙ワシントン・タイムズも所有している。
理念の近さで「右派政治家と互いに利用」
旧統一教会が拡大していく過程で見過ごせないのが、政治との関係だ。特に旧統一教会の実質的な政治部門として機能してきたのが、保守系政治団体「国際勝共連合」(勝共連合)だとされる。
勝共連合は1968年、文氏が韓国と日本で設立した。目的は反共運動。時代は東西冷戦が激しさを増し、米国はベトナム戦争を泥沼化させていた。共産主義の脅威が今より切迫して語られていた。
初代名誉会長には、右翼の大物で戦後政界のフィクサーと言われ、日本船舶振興会(現日本財団)の会長を務めた笹川良一氏を迎えた。岸信介元首相を名誉実行委員長とする集会も開かれたという。
塚田氏は「勝共連合の設立経緯から岸信介や福田赳夫といった理念的に近い保守政治家と結び付いていった」との認識を示す。その上で、「今は改憲や家族観、反ジェンダーフリーなどで考えが合致する政治家との距離が近い。団体にとっては理念の実現や運動が守られることへの期待があるのだろう。一方で、政治家は選挙などで支援が得られる。右派政治家と団体がお互いに利用し合う関係になっている」と解説する。
第2次安倍政権でさらに接近
問題となっている安倍氏との関係はどうなのか。
「各地の紛争の解決に努力してきた韓鶴子総裁をはじめ皆さまに敬意を表します」。昨年9月、旧統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」が開いた大規模集会「シンクタンク2022 希望前進大会」に、安倍元首相がビデオメッセージを寄せた。
UPFは文鮮明氏と妻で現在の教団トップである韓氏が2005年に創設したNGOだ。
安倍氏は「UPFが家庭の価値を強調する点を高く評価します」「偏った価値観を社会革命運動として展開する動きを警戒しましょう」と家族観への共鳴を明示した。
「積み重ねを経て、ついに隠さなくなった印象だった」。安倍氏と旧統一教会の関係についてジャーナリスト鈴木エイト氏は語る。
安倍氏は官房長官時代の06年、旧統一教会の違法な勧誘などが問題化する中、UPFの集会に祝電を寄せた際、「誤解を招きかねず、担当者に注意した」とコメントしていた。
鈴木氏によると、安倍氏と旧統一教会との関係の深まりは、12年に首相に返り咲いて以降になる。憲法改正と長期政権を目指す安倍氏や自民党にとって、「組織票に加え、秘書や選挙の運動員などの人員を提供してくれる旧統一教会は有用な存在だった」。
安倍氏に限らず、教団関連の行事に出席したり、祝電を寄せたりする自民党議員が続出していたという。「単に容疑者の思い込みで片付けるのでなく、安倍氏と旧統一教会の関係を解明しないと、事件の全容はつかめない」
安倍氏ビデオメッセージへの抗議文は受け取り拒否
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の山口広代表世話人は「旧統一教会を宗教団体と一般化してはならない。巧妙、計画的、組織的にカネを集める団体だ」とくぎを刺す。
09年、旧統一教会の霊感商法に対して、警視庁が強制捜査を実施。教団施設や関連会社が捜索され、幹部らが特定商取引法違反(威迫・困惑)で有罪判決を受けた。山口氏によれば、この事件を受け教団は政治家への働き掛けが不十分だったと総括し、関係強化を図ったという。その時代に第2次安倍政権は重なる。
11日に会見した世界平和統一家庭連合の田中富広会長は「09年以降は献金のトラブルはない」としているが、霊感商法被害救済担当弁護士連絡会の渡辺博事務局長は「来年5月までに韓国の教団施設建設のため、1人120万円献金せよという大号令が出ている。今もやっていることは変わらない」と話す。
全国弁連では19年、全国会議員に、旧統一教会関連の行事に参加したり、メッセージを送ったりしないよう要望書を提出した。
昨年の安倍氏のビデオメッセージに対しては、抗議文を内容証明郵便で送ったが、地元事務所からは返答がなく、国会事務所には受け取りを拒まれた。メッセージは事件の動機の一つとも言われる。
山口氏は「霊感商法や違法な勧誘で社会問題化した団体に政治家がエールを送ると、警察が手を出しにくくなり、被害を拡大させる」と強調する。
全国弁連は12日、記者会見を開催。事件の容疑者と同じように、母親が旧統一教会の信者という40代の女性も出席した。女性は一時信者となり、合同結婚式に参加して教団の指示で夫になった男性から暴力を受け続けた。プライバシー保護のため、ついたての中で話した女性は、絞り出すようにこう話した。
「(事件は)間違っているが、人生を旧統一教会に破綻させられたというのは理解でき、苦しい心情だ。放置されてきた問題が少しでも解決に向かえばと願う」
デスクメモ
宗教団体に限らず、政治家との結び付きを誇示し、広告塔扱いしたい組織・団体は多い。だが本来、支援してくれるならどんな団体でも、というわけには行くまい。ましてあれだけ世間から指弾された団体ならば、安倍氏も知らないはずはなかっただろう。なぜ、断ち切れなかったか。 

 

●山上容疑者の母 旧統一教会へ入会のきっかけは「容疑者の父親の自死」  7/15
7月8日に安倍晋三元総理(67)が銃撃されて死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者の母親が旧統一教会に入会したのは、1984年に容疑者の父親が自死したことがきっかけだったことが分かりました。
7月8日、奈良市で参院選の遊説中だった安倍晋三元総理が銃で撃たれ死亡しました。警察は無職の山上徹也容疑者(41)を逮捕し、殺人の疑いで捜査しています。
7月15日、山上容疑者の親族の伯父が取材に応じ、容疑者の母親が旧統一教会に入会したのは容疑者の父親が自死したことがきっかけであったと明らかにしました。
●家中に貼られたお札、「てっちゃん」は友人に母の入信明かせず 7/15
1998年春の選抜高校野球大会。ほぼ満員の甲子園球場アルプススタンドで、りりしい表情で腕を振る応援団員の姿が、奈良県内の県立高校の卒業アルバムに収められている。
山上徹也容疑者(41)。その人生は、この写真の頃を境に大きく変わり、24年後、安倍晋三・元首相(67)に凶弾を放ち、日本中を震撼(しんかん)させることになる。
山上容疑者は80年9月、裕福な家庭で育った母親と、有名国立大を卒業し、建設関係の仕事をしていた父親との間に生まれた。大阪府東大阪市で暮らしていた幼少期、父親が自殺。母親と兄、妹との4人で、奈良市にある母親の実家に移り住んだ。
実家の建設会社で経理の仕事を始めた母親は夫の死を引きずり、近所づきあいはほとんどなかった。山上容疑者は同居する母方の祖父から「てっちゃん」とかわいがられ、よく友達を自宅に呼んでテレビゲームで遊んでいたという。中学校ではバスケットボール部に所属し、県内トップクラスの県立高校に進んだ。
高校の同級生の女性(42)は、教室では口数が少なかった山上容疑者が、甲子園で野太い声を響かせていたことを鮮明に覚えている。「親しみを込めてみんなに『団長』と呼ばれていた当時の彼と、事件のイメージがどうしても結びつかない」
山上容疑者は友人には明かせない悩みを抱えていた。母親の「世界基督教統一神霊協会」(統一教会)への入信だ。
54年に韓国で創設された統一教会は80年代以降、高額なつぼや印鑑を購入させる霊感商法や多額の献金などで、社会問題となっていた。
母親が入信したのは、山上容疑者が高校3年だった98年頃とされる。中学生の頃にはすでに家中にお札が貼られていたと証言する知人もいる。
母親は統一教会に献金を重ね、99年には前年に亡くなった山上容疑者の祖父から相続した土地と家を売却し、家族で借家に引っ越した。借金を重ね、2002年には破産宣告を受ける。
母親の統一教会への信仰心は薄れることがなかった。献金額は総額1億円に膨れあがった。
山上容疑者は、ほとんどの同級生が進学する中、大学に進まず、02年8月に任期制自衛官として海上自衛隊に入隊。しかし、精神的に不安定になり、自殺未遂騒動を起こした。親族の関係者は「母親の宗教が理由だろう」と話す。
05年に海自を退職後、母親の元に戻るが、家賃を滞納するなど生活は苦しいままだった。アルバイトをしながら宅地建物取引士など複数の資格を取得するための勉強を重ねていた15年頃、幼い頃から慕っていた一つ違いの兄が自ら命を絶った。
「なんで死んだんや。あほやんか。生きていれば何とかなるやんか」
親族の関係者は、自宅で営まれた葬儀で、山上容疑者が号泣して兄の遺体に呼びかける姿が印象に残っている。兄は幼い頃から重い病気を抱えていた。
この日を境に、山上容疑者からの音信は途絶えた。
兄の死後、派遣の仕事を転々とし、20年10月以降は京都府内の工場でフォークリフトを運転する仕事をしていた。しかし、同僚と話すことはほとんどなく、先輩の指導に「そんなこと言うならお前がやれや」などと反発し、車の中で一人で食事をするなど職場では孤立していた。
今年4月、「心臓が痛い」などと言って体調不良を理由に翌月での退職を申し出て職場に来なくなった。この時期には、すでに自宅で手製銃を完成させていたとみられる。
そして7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説を始めた安倍元首相の背後からゆっくりと近づき、2度発砲した。
逮捕後、山上容疑者は統一教会から名称変更した「世界平和統一家庭連合」について、「母親が入信し、家庭生活がめちゃくちゃになった」と強い恨みを口にしている。自宅から押収されたノートにも恨みがつづられていた。
だが、なぜその銃口を元首相に向けたのか。山上容疑者は、淡々と事情聴取に応じているが、謝罪や反省の言葉はないという。
●山上容疑者の母親 「安倍さんや昭恵さんに謝罪の言葉が見つからない」 7/15
奈良市で安倍晋三元総理が銃撃されて死亡した事件から1週間です。事件前日に山上容疑者が宗教団体の施設が入る建物を試し撃ちした際、「車の中から撃った」と供述していることがわかりました。
安倍元総理が銃撃された近鉄・大和西大寺駅前では、事件から1週間が経ちますが、7月15日も多くの人が献花に訪れています。15日午前5時ごろには、奈良県警の鬼塚友章本部長も現場を視察して献花台で手を合わせたほか、逮捕された山上徹也容疑者(41)の母親の知人だという男性も訪れて取材に応じました。
この男性によりますと、山上容疑者の母親は事件後に電話で「息子が大変なことをして申し訳ありません」「安倍さんや昭恵さんに謝罪の言葉が見つからない」と涙ながらに話していたということです。
山上容疑者は取り調べに対して「安倍元総理を銃撃した前日の未明に宗教団体の施設に向けて試し撃ちした」などと供述。警察はこれまでに奈良市内にある宗教団体の施設が入る建物のドアと壁に弾痕のような痕を数か所と金属片を確認しています。
そして捜査関係者によりますと、山上容疑者が「車の中から試し撃ちした」と供述していることが新たにわかりました。また県内の山中でも山上容疑者が試し撃ちをしたとみられるドラム缶や木製の板などが見つかったということで、警察が詳しく調べています。
●山上容疑者の伯父「徹也は過去に自殺未遂…困窮する兄妹へ死亡保険金」 7/15
7月8日、安倍晋三元総理が銃撃されて死亡した事件。山上徹也容疑者は、母親が旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合に入会したことで破産したとして、旧統一教会へ恨みを募らせていました。15日午前、山上容疑者の伯父が報道陣の取材に応じ、次のように述べました。
山上容疑者の伯父「(母親が旧統一教会への)入会とほぼ同時に2000万円献金、総計1億円ですよね。保険金と不動産などで。平成17年1月に自衛隊にいた徹也が自殺未遂している。これを実行した理由ですけども、旧統一協会によって兄と妹が生活困窮しているわけです。そこへ自分の死亡保険金を渡すと」
●生活苦で決心固めたか「死ぬ前にやるしかないと決心ついた」山上容疑者 7/15
安倍元総理が銃撃され亡くなってからきょうで1週間。逮捕された男が、「7月中には所持金がなくなってしまうので、そのときには死のうと思った。死ぬ前にやるしかないと決心がついた」という趣旨の供述をしていることが新たにわかりました。
今月8日、奈良市で安倍元総理が銃撃され死亡した事件で、警察は元海上自衛官の山上徹也容疑者(41)を殺人の疑いで捜査しています。
その後の捜査関係者への取材で、山上容疑者が「7月中には所持金がなくなってしまうので、そのときには死のうと思った。死ぬ前にやろうと思っていたことをやるしかないと思い、安倍元総理を襲撃する決心がついた」という趣旨の供述をしていることが新たにわかりました。
元勤務先によりますと、山上容疑者は体調不良を理由に5月に仕事をやめていて、警察は生活の困窮が襲撃の決心を固める要因になった可能性もあるとみて、犯行に至った動機などをさらに調べています。 
●海自所属05年に生活困窮兄妹に自分の死亡保険金を渡すため自殺図る 7/15
安倍晋三元首相の銃撃事件で、無職山上徹也容疑者(41=殺人容疑で送検)の伯父(77)が15日、大阪府内で取材に応じ、容疑者の家族のこれまでのいきさつなどについて詳細に説明した。母親は、容疑者の父親の自殺などをきっかけに、91年ごろに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に入会し、父親の生命保険金や祖父から相続した土地や自宅を売却して、把握しているだけでも計約1億円を献金したと説明。容疑者が05年に、生活困窮した兄と妹に自分の死亡保険金を渡すために自殺未遂を起こしたことも明らかにした。
伯父は、山上容疑者の父親の兄で元弁護士。母親が旧統一教会に入会したのは91年ごろと説明した。家庭連合の田中富広会長は先の会見で入会は98年ごろとしていた。伯父は入会の動機については、容疑者の父親が84年に自殺したこと、容疑者の兄も小児がんを患い、治療で右目を失明したことなどを挙げた。
母親は、入会とほぼ同時に約2000万円、その後すぐに約3000万円とたて続けに献金し、約3年後にも約1000万円を献金。この計約6000万円の原資は、容疑者の父親の死亡保険金だったという。98年には容疑者の母方の祖父が死亡。母親は相続した会社の事務所の土地を処分した約2000万円、自宅を処分した約2000万円も献金し、計約1億円となった。伯父は「現金の相続もあったが、次々に献金していたため、本人も覚えていない」などとも説明した。
母親は02年に自己破産した。旧統一教会側は「破綻したところに献金を願ったり、要求することはない」などとしたが、伯父は「真っ赤なうそ」と反論。自己破産後も数十万〜100万円の献金を繰り返したという。旧統一教会側はまた、母親が経済的に破綻した後、05〜14年にかけ5000万円を返金した、09年に母親ら家族と教会の男性信者との間で取り交わした合意書が残っているなどと主張している。これに対し、伯父は、旧統一教会に母親の献金額の内訳などを開示するよう求めたが応じず、母親に5000万円が返金されたとし、返金後の使い道は分からないとしている。「5000万円で堪忍してくださいと言ってきた」「(トラブルを)全部うやむやにするためだ」などと強く批判した。
母親が宗教にのめり込む中、家庭は経済的に困窮していった。伯父は、子どもから食べ物がないとの連絡を受け、お金と食べ物を届け喜ばれたこともあったとし、長年にわたり生活費など支援もしたという。
山上容疑者は高校卒業後、大学受験を金銭的理由でやめ、消防士を目指し予備校に通ったが、近眼が原因で試験に落ちたという。02年8月に海上自衛隊に入隊。海自に所属していた05年1月には、自殺を図った。「兄と妹の生活が困窮しており、自分の死亡保険金を渡したかったと本人から聞いた」という。海自からは、本人が「旧統一教会によって人生と家族がめちゃくちゃになった」と説明したとの報告も受けたという。その時も母親は修行のため韓国にいて、すぐに帰ってこなかったという。14〜15年ごろには兄が自殺した。
伯父は母親について「マインドコントロールされているような状況」と説明。過去には伯父にも献金をしつこく求めてきたため、お茶をかけて追い返し、出入り禁止にしたこともあったという。しかし、8日の事件の直後からは、母親を自宅に呼び寄せ面倒をみている。母親は「疲労困憊して寝ている」とし「旧統一教会と連絡を取っているかは分からない」としている。また献金トラブルに関する証拠書類を捜査当局に提出、母親の任意聴取に同席しているとも明らかにした。
伯父は、容疑者について「極めて頭脳明晰(めいせき)で、良い思い出しかない。父親が亡くなってからは、釣りやスケートなどに連れて行ったりした。自殺未遂後に引き取る話もあったが、諸般の事情があって無理だった。徹也はがっくりしていた」と悔やんだ。
山上容疑者の父方の伯父の説明要旨
84年 容疑者の父親が自殺。容疑者の兄も小児がんを患い、抗がん剤治療によって右目を失明。
91年ごろ 母親が旧統一教会に入会。ほぼ同時に約2000万円、さらにすぐに約3000万円、3年後くらいに約1000万円を献金。計約6000万円の原資は父親の死亡保険金。
98年 容疑者の母方の祖父が死亡。母親は相続した会社の事務所の土地を処分した約2000万円、自宅を処分した約2000万円も献金し計約1億円に。
02年 容疑者は高校卒業後、大学受験しようとしたが金銭的理由でやめ、8月に海上自衛隊に入隊。母親は自己破産し、その後も数十万〜100万円の献金を繰り返し「今も頑張ってやっている」。
05年1月 海上自衛隊所属中の容疑者が自殺未遂。生活が困窮した兄と妹に自分の死亡保険金を渡そうとした。「旧統一教会によって人生と家族がめちゃくちゃになった」。
22年7月 母親は事件直後から伯父の自宅に身を寄せており「疲労困憊して寝ている」。
●「母親の献金はトップクラス1億円以上」「原資は保険金や自宅売却…」 7/15
安倍元首相が銃撃され死亡してから1週間。山上徹也容疑者(41)の伯父が、報道陣の取材に初めて応じた。
伯父は、山上容疑者の母親が世界平和統一家庭連合、“旧統一教会”の会員になった後の献金の実態について証言した。
山上容疑者の伯父: (山上容疑者の母親は)入会とほぼ同時に2000万円献金。さらにすぐ3000万円。これが総計1億円以上なんでね、保険金と不動産でね、その原資は(山上容疑者の父親の)保険金です。(山上容疑者の母親は)トップクラス、優良信者じゃないか。
伯父によると、山上容疑者の母親は入会後すぐに2000万円を献金。
献金の総額は少なくとも1億円にのぼり、山上容疑者が幼い頃に亡くなった父親の生命保険金や、自宅の土地などを売却した金なども含まれているという。
山上容疑者は調べに対して「母親が宗教団体の信者で、多額の献金をして破産した」と供述している。
母親の破産は、旧統一教会側にも伝えられたという。
山上容疑者の伯父: (旧統一教会側に)破産の内容を全部知らせた。そしたら統一教会の方が「5000万円(の返金)で勘弁してください」と言ってきた。
山上容疑者は「生活困窮で兄と妹に自分の死亡保険金を…」
さらに伯父は、山上徹也容疑者の過去についても明かした。
山上容疑者の伯父: (過去に)徹也が自殺未遂している。実行した理由は、旧統一教会によって兄貴と妹が生活に困窮している。そこへ自分の死亡保険金を渡す。統一教会によって人生がめちゃくちゃに…
長年、旧統一教会に恨みを募らせていたとみられる山上容疑者の新たな供述も明らかになった。
山上容疑者の供述: 遊説前に早めに行って下見していた
銃撃事件前日の岡山市内の防犯カメラ映像には、半そでにバッグ姿で歩いている山上容疑者とみられる男の姿が映っていた。
この日、安倍元首相は岡山市内で演説会を行っており、会場までの距離は約400m。山上容疑者とみられる男が防犯カメラに映ったのは、演説会が始まる1時間半前だった。
銃撃の周到な準備を進めていたとみられる山上容疑者。警察は、安倍元首相を狙った背景などについて、さらに詳しく調べる方針だ。
●山上徹也容疑者「銃を作るたびに山中で試し撃ちした」命中精度を確認 7/15
山上徹也容疑者(41)は「銃を作るたびに奈良県内の山中で試し撃ちした」と供述しているということです。
7月15日、事件が起きたのと同時刻の午前11時半すぎ、献花台が設置されている奈良市内の近鉄大和西大寺駅の近くでは、多くの人が手を合わせて黙とうを捧げていました。
7月8日、参院選の演説中に安倍晋三元総理が銃撃されて死亡し、奈良市の無職・山上徹也容疑者が逮捕されました。捜査関係者によりますと、山上容疑者は取り調べの中で「銃を作るたびに奈良県内の山中で試し撃ちした」と供述し、捜査員が山中を捜索したところ、弾痕とみられる穴の開いた木製の板やドラム缶のほか、コンクリートブロックが見つかっていたことが新たにわかりました。
山上容疑者はこれまでに「犯行の前日に宗教団体の施設に試し撃ちした」などとも供述していて、奈良市内の旧統一教会の施設が入る建物の壁には銃で撃たれたような痕が6か所確認されています。
警察は、山上容疑者が作った銃の試し撃ちを重ねて命中させる精度を確かめていたとみて、捜査を進めています。
●「山上義士を顕彰しよう!」立命館大に「テロ礼賛ビラ」 7/15
「立命館」の名前を冠した団体を名乗るツイッターアカウントが2022年7月14日、安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者(41)を讃えるビラがキャンパス内に貼られていたと投稿し、批判の声が殺到している。立命館大の担当者は7月15日、J-CASTニュースの取材に対して、ビラは掲示板に実際に貼ってあったことを明らかにし、既に撤去したと説明。ビラの画像を発信した団体について、「大学公認の団体ではない」としている。
投稿写真を確認したところ、ビラの背景には安倍元首相が仰向けで倒れている写真が使われている。太字で「安倍晋三射殺決起万才!山上義士を顕彰しよう」と書かれており、安倍元首相銃撃事件を「腐敗政治への革命的テロル」「7・8単独決起」を称した上で、「山上義士の名を民衆で語り継ごう!」と呼びかけていた。
この投稿がSNS上で拡散され、山上容疑者を讃えるビラや立命館大に対して批判が殺到している。なお、投稿は15日12時までに削除されている。
立命館大の担当者は、J-CASTニュースの取材に対して、14日に衣笠キャンパス内を巡回していたスタッフが掲示板に貼ってあったビラを発見し、担当課が撤去したと明らかにした。ビラを貼った人物の特定には至っていないという。
担当者は「立命館の教学理念は『平和と民主主義』で、今回の掲示物が貼られる前から、安倍元首相銃撃事件に対するメッセージを総長の方から発信しています」と立場を示し、「今回の掲示物の内容とは相容れないです」とコメントした。
立命館大は11日、仲谷善雄総長のメッセージを公式サイトで公開している。安倍元首相に哀悼の意を示し、銃撃事件に対し「民主主義の根幹を揺るがす行為であり、許しがたい暴挙です」と非難している。
ビラの内容について、担当者は「公序良俗に反する内容であると認識しています」とし、「警備巡回の強化をし、状況によっては警察への相談などを含めて検討しています」と今後の方針について述べた。

 

●母入信の背景「長男が小児がん、抗がん剤で失明。これが一番大きい」 7/16
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の伯父(77)が15日、大阪府内でスポニチ本紙などの取材に応じた。
――母親が旧統一教会に入ったのはいつ?
「98年という話があるが、実際は91年」
――入信した背景は?
「84年に弟(山上容疑者の父)が自殺した。さらに長男(同兄)が小児がんになり、抗がん剤投与で右目を失明し、脳にも転移した。これが一番大きい。(山上容疑者の母親の)弟も76年に小学5年で交通事故死している。最愛の母(山上容疑者の祖母)も82年に亡くなった。この方が聡明(そうめい)な方で、その血を受け継いでいた。これも伏線だったと思う」
――家族はどう生活していた?
「弟が84年に自殺してから、私が支援していた。コロナの前までだから、2年前の夏くらいまで。総額で2100万円。生活費や予備校の費用、大学の入学金とか。全て一覧にして残してある」 
●山上徹也容疑者宅からミキサーやペンチなど押収…銃の製造に使用か 7/16
安倍晋三元総理が殺害された事件で、警察は逮捕された男の自宅をあらためて家宅捜索し、手製の銃を作る際に使用したとみられる工具などを押収しました。
奈良市の無職・山上徹也容疑者(41)は、7月8日に安倍元総理を手製の銃で銃撃し殺害した疑いが持たれています。事件当日に警察は山上容疑者の自宅を家宅捜索し、手製の拳銃のようなもの数丁と筒数点、パソコンなどを押収していますが、16日午前に2度目の家宅捜索を行いました。
山上容疑者は拳銃や銃弾の製造方法について「はかりや工具などを使った」などと供述。今回の捜索で電子ばかり・ミキサー・ペンチといった工具を自宅から押収したということです。警察は銃の製造方法の裏付け捜査を進めています。
●安倍元首相銃撃は経済的困窮が引き金か 山上徹也容疑者の負債 7/16
安倍晋三元首相の銃撃事件で、無職山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が事件時に少なくとも約60万円の負債を抱えていたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。「襲撃は7月に決意した」と供述していることも判明。母親が多額献金した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みが動機につながったとみられ、奈良県警は経済的困窮が事件の引き金になった可能性があるとみている。
また、山上容疑者が「銃や弾をつくるために、はかりや工具類を使った」と供述していることが県警への取材で分かった。県警は16日、奈良市の山上容疑者宅を家宅捜索。はかりや工具類、ミキサーなど十数点を押収した。
捜査関係者などによると、山上容疑者は2020年10月から京都府の企業で勤務。月給は二十数万円で、今年2月ごろから体調不良を訴え、5月中旬に退職した。事件があった7月8日時点で負債が60万円以上あり、定期的に返済していた。給料が振り込まれていた預金口座の残高は二十数万円だった。
山上容疑者の伯父(77)によると、母親は1991年ごろ旧統一教会に入会し、父親の死亡保険金や、相続した不動産の売却益などを原資に総額約1億円を献金。一家は生活に困窮し、山上容疑者は経済難で大学に進学できなかった。
海上自衛隊に所属中の05年には自殺を図った。伯父には兄と妹に死亡保険金を渡すつもりだったと話し、海自には旧統一教会が原因で家族関係が崩壊したことが理由だと説明したという。
山上容疑者はこれまでの調べで旧統一教会について「20年以上前から恨んでいた」という趣旨の説明をしているほか「(韓国から)招き入れたのが岸信介元首相。だから(孫の)安倍元首相を殺した」と話している。旧統一教会は05〜14年に5000万円を母親に返金したとしている。
●山上容疑者伯父「母親の入信は1991年」旧統一教会側は「1998年」と説明 7/16
安倍晋三元総理(67)が殺害された事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)の母親について、伯父が旧統一教会の説明とは異なる“1991年に入信していた”ことを明らかにしました。
奈良市の無職・山上徹也容疑者は、7月8日に安倍晋三元総理を銃撃し殺害した疑いが持たれています。調べに対して山上容疑者は「母親が旧統一教会にはまり、多額の献金をして破産した」「団体とつながりがある安倍元総理を狙った」と供述しているということです。母親について、山上容疑者の伯父は次のように述べています。
山上容疑者の伯父「(母親が旧統一教会に入会したのは)平成3年(1991年)です。入会とほぼ同時に2000万円を献金」
一方、旧統一教会側は「母親が1998年に入信した」としていて、両者の説明には齟齬があり、献金額に違いがでてくることになります。
また、警察は山上容疑者の「拳銃や実包を作るのに測りや工具類を使った」との供述に基づき、16日午前、容疑者の自宅へ2度目の家宅捜索を行いました。
●山上容疑者伯父「母親は1991年に入信」旧統一教会側の説明と齟齬 7/16
安倍元総理が殺害された事件で、逮捕された山上容疑者の母親について伯父が旧統一教会の説明とは異なる1991年に入信していたことを明らかにしました。
奈良市の無職・山上徹也(やまがみてつや)容疑者(41)は7月8日、安倍晋三元総理(67)を銃撃し殺害した疑いが持たれています。
調べに山上容疑者は「母親が旧統一教会にはまり、多額の献金をして破産した」「団体と繋がりがある安倍元総理を狙った」と供述しているということです。
山上容疑者の伯父は…「母親が旧統一教会に入会したのは平成3年(1991年)です。入会とほぼ同時に、2000万円を献金」
一方、旧統一教会側は、「母親が1998年に入信した」としていて両者の説明には齟齬があり、献金額に違いがでてくることになります。
また、警察は山上容疑者の「拳銃や実包を作るのに測りや工具類を使った」との供述に基づき、16日朝、2度目の家宅捜索を行いました。
●山上容疑者伯父に聞く 「極めて頭脳明晰。家族に問題なければ京大に」 7/16
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の伯父(77)が15日、大阪府内でスポニチ本紙などの取材に応じた。
――山上容疑者は海上自衛隊時代に自殺未遂をしていた。
「統一教会によって、徹也の兄と妹の生活が困窮していた。だから“自分の保険金を渡す”と。徹也から病院で聞いた」
――当時、母は何をしていた?
「韓国(の教会)に行っていた。40日とか120日とか。自殺未遂の時も海自から私に連絡があったが、彼女の居場所はすぐに分からなかった。統一教会に問い合わせたら韓国にいて、“40日間、帰って来ない”と。実際に帰って来なかった」
――兄と妹はどんな生活をしていた?
「本当にギリギリだった。私は生活を補助していたが、94年に母親の入会を知って一度止めた。徹也の兄から“食べるものがない”と連絡があった」
――山上容疑者はどんな人物なのか?
「極めて頭脳明晰。父親そっくり。家族に問題がなければ京大に入れたと思う。性格?私に対しては抜群。いいエピソードばかり。昔はうちの息子と海水浴や釣りに連れて行った。喜んでました」
――それが、なぜ悩むようになったのか?
「自殺未遂の時に、海自に書面で出させて分かった。“統一教会によって人生がめちゃくちゃになった”と書いてあった。兄も妹もめちゃくちゃになってるので、自分の命でそれを払う、と」
――安倍元首相について何か言っていたことは?
「何も聞いていなかった」
――山上容疑者は宗教には入っていた?
「全く話したことはない」
●山上容疑者伯父に聞く 現在の母「何もせず疲労困憊状態」 7/16
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の伯父(77)が15日、大阪府内でスポニチ本紙などの取材に応じた。
――いまの母親の様子は?
「私の自宅で疲労困憊で寝ている。(事件直後に)私が“すぐタクシーに乗れ”と電話した。すぐに荷物をまとめて来た。布団で1日ぐらい寝てたんじゃないか」
――母親は事件後に統一教会と連絡は?
「何もしていない。疲労困憊(こんぱい)で寝てるから。マインドコントロールされているような状態ですよ」
――母親は事件について何か話している?
「口も利かないし、顔も見たくない。義務だからやってるけど、彼女のためにやってるわけじゃない」
――事件の報道も耳に入るのでは?
「何も思わないでしょう。思うなら脱会してるでしょ」
――捜査には応じているのか?
「私が応じさせている。12日と14日に聴取を受けた。本人は嫌でしょうね。私が資料から経過の報告を全部書いて出してるので、検察官は資料を見て聞いている。本人じゃ分からないことが多々ある」
●献金について「教会は“破産以降ない”と言っているが、真っ赤なうそ」 7/16
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)の伯父(77)が15日、大阪府内でスポニチ本紙などの取材に応じた。
――母親の旧統一教会への献金額は?
「91年の入会と同時に即2000万円。何日後かに3000万円。それから、3年後くらいに1000万円。合計で6000万円」
――原資は?
「(自殺した)徹也の父の保険金。命の代償です」
――合計1億円との話もあるが?
「それは98年に徹也の祖父が亡くなって、母親が会社の事務所を相続した。それの処分で2000万円。あと、自宅を処分した2000万円。だから、一回家がなくなってるんですよ。これで総額1億円。相続した現金もあったが、いくらあったか本人も覚えていない。何十万円、100万円とか、次から次に献金してるから。推測だが、数千万の単位かな。亡くなった夫との結婚式(教団の「霊肉界祝福」)の費用も100万円でしょ」
――破産後に5000万円は取り戻した。
「統一教会は5000万円を返したと言ってるが、これは私が統一教会に対して“破産の内容を全部知らせろ”“献金の一覧を全部出せ”と申し上げたから。私は破産の事実を知らなかったので。そしたら“5000万円で勘弁してください”と言ってきた。全部うやむやにするため。教会が優先的に返したようなニュアンスで言っているが、私が返せと言ったから」
――その5000万円はどうなった。再度献金していないか。
「分からない。ただ、本人は返金を絶対に嫌がった。私が無理やりやったこと。受け取ったのは私ではない。本人が受け取りに行った」
――破産後の献金は?
「統一教会は“破産以降は献金はない”と言っているが、真っ赤なうそ。本人の話を聞いたら、今でも頑張ってやってますよ。もう稼ぎはあまりないが」
――献金の肩代わりを頼まれたこともあるか?
「ある。それで家に出入り禁止にした。2日連続で家に来たので、お茶をぶっかけた」
●山上徹也容疑者が留置所で不気味な腕立て伏せ 専門家が心理分析 7/16
安倍晋三元首相(享年67)を銃撃して現行犯逮捕され、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者が、留置場で腕立て伏せをしていることに困惑が広がっている。山上容疑者は手製銃の試し撃ちを山中などでして事件に備えていたことが判明。計画性を持って行動できる人物ということだが、いったい何のために腕立て伏せをして体を鍛えているのか――。
15日、事件前に山上容疑者が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連施設のビルに対して手製銃を試し撃ちしていたことが判明。弾痕のような穴が6か所確認されているという。また、山の中でも試し撃ちをしていたとも供述。山中では木製の板やドラム缶が発見され、撃たれた痕があった。
山上容疑者の母親は旧統一教会に多額の寄付をし、自己破産もしている。山上容疑者の伯父によると、母親の献金は総額約1億円で約6000万円が自殺した父親の死亡保険金で、約4000万円が母親が相続した不動産を売却したお金だという。
こうした母親の寄付で生活が困窮し、家庭が崩壊。その恨みを山上容疑者は旧統一教会に向けていた。安倍氏が旧統一教会の関連団体に動画を送っていたことから、安倍氏をターゲットにしたというが、本来のターゲットは旧統一教会だった。
そんな山上容疑者は留置場で腕立て伏せを繰り返しているという。ネットでは「もう次のこと考えているな」「脱走するつもりなんかな」「鍛えても今後は刑務所でしか使えないのでは」と謎の行動に戸惑う声が多い。
何が目的なのか。犯罪心理学者の北芝健氏は「留置場で腕立て伏せをする人は多い。信念を持っている確信犯が特にやる。目的は検察対策でしょう。官憲による厳しい取り調べが続き、裁判など長い戦いが待っているので体力をつけておこうというのです」と指摘した。
奈良地検は山上容疑者の刑事責任能力の有無を確認するため鑑定留置をする方針だという。北芝氏は「腕立て伏せをしていたことから鬱状態ではないだろうと推測できます。鬱ならそんな気になりませんし、体が動かないんですよ。事件を起こした高揚感があり、体を動かしたいというのもあるでしょう」と話した。
刑務所内のいじめに備えている可能性もある。刑務所に有名人≠ェ入ると、受刑者から注目を集める。対応を間違えると、いじめられることになる。言葉によるものだけでなく、刑務官の目の届かないところで、殴る蹴るなどされることもあるという。そんな未来を想定しているのだろうか。
いずれにせよ不気味な腕立て伏せだ。

 

 

●山上徹也容疑者、宗教団体を批判するブログ運営者に手紙送る 7/17
安倍元総理が銃撃され、殺害された事件で、逮捕された山上徹也容疑者が書いたとみられる安倍元総理の殺害をほのめかす手紙が、宗教団体を批判するブログを運営している男性に届いていたことがわかった。
山陰地方に住むフリーライターの男性に届いた手紙には、「私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります」と山上容疑者と見られる生い立ちが綴られていた。
そして安倍元総理については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではないのです」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの1人に過ぎません」とした上で、「安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」と書かれていた。
手紙は、事件前日に安倍元総理が演説を行った岡山市内から送られていた。奈良県警が詳しく調べる方針だ。
●安倍氏は「苦々しいが…本来の敵でない」山上容疑者 7/17
安倍晋三・元首相(67)が奈良市で銃撃されて死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)が事件直前、岡山市内から、安倍氏の殺害を示唆する手紙を中国地方に住む男性に送っていたことがわかった。母親が入信した宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」への強い恨みをつづり、安倍氏について「本来の敵ではない」としている。奈良県警も手紙の存在を把握しており、同連合への恨みが安倍氏に向かった経緯の解明を進める。
岡山市では事件前日の7日夜、安倍氏が参加した演説会が開かれた。山上容疑者は会場を訪れたが、襲撃を断念していた。消印の時刻から、会場に向かう途中に 投函とうかん した可能性がある。
手紙はA4判1枚で、手書きではなく印字したもの。差出人名は記されていないが、山上容疑者と母親らが献金の返金に関して同連合と交わした合意書のコピーが同封され、そこに山上容疑者の氏名と当時の住所も書かれていた。
男性は同連合の活動を批判するブログを運営している。手紙では、ブログの読者だと明かした上で「私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります」と自身の生い立ちがつづられている。
安倍氏については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」と主張し、「安倍(元首相)の死がもたらす政治的意味、結果、 最早もはや それを考える余裕は私にはありません」との記述があった。
山上容疑者は県警の調べに対し、安倍氏を狙った理由について「(同連合と)つながりがあると思った」と供述している。県警は、山上容疑者が、元首相を殺害することで同連合への批判を集めようとした可能性があるとみている。
●「私の一生を歪ませ続けた」 山上容疑者の手紙詳報 7/17
安倍晋三元首相(67)が銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)が送ったとみられる手紙の詳報(原文のまま)は次の通り。

ご無沙汰しております。「まだ足りない」として貴殿のブログに書き込んでどれぐらい経つでしょうか。
私は「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書きましたがあの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました。
私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません。
個人が自分の人格と人生を形作っていくその過程、私にとってそれは、親が子を、家族を、何とも思わない故に吐ける嘘、止める術のない確信に満ちた悪行、故に終わる事のない衝突、その先にある破壊。
世界中の金と女は本来全て自分のものだと疑わず、その現実化に手段も結果も問わない自称現人神。
私はそのような人間、それを現実に神と崇める集団、それが存在する社会、それらを「人類の恥」と書きましたが、今もそれは変わりません。
苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません。
文一族を皆殺しにしたくとも、私にはそれが不可能な事は分かっています。分裂には一挙に叩くのが難しいという側面もあるのです。
現実に可能な範囲として韓鶴子本人、無理なら少なくとも文の血族の一人には死んでもらうつもりでしたが鶴子やその娘が死ねば3男と7男が喜ぶのか或いは統一教会が再び結集するのか、どちらにしても私の目的には沿わないのです。
安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません。
●安倍元首相殺害 山上容疑者手紙で示唆か 事件前に岡山から 7/17
安倍晋三元首相(67)が銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)が事件前、安倍氏の殺害を示唆する手紙を岡山市内から島根県に住む男性に郵送したとみられることが17日、分かった。産経新聞などの取材に男性が明らかにした。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への強い恨みがつづられ、安倍氏については襲撃をほのめかしつつ、「本来の敵ではない」と記していた。
山上容疑者は逮捕後、安倍氏を襲うことで「家庭連合に非難が集まると思った」という趣旨の供述をしていたことが判明している。奈良県警も手紙の存在を把握しており、送られた経緯について確認を進める。
手紙はA4判1枚で、手書きではなく印字されていた。家庭連合への恨みが多くつづられ、安倍氏については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではない」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」と記載。「銃の入手に(時間を)費やして参りました」「安倍(氏)の死がもたらす政治的意味、結果、最早(もはや)それを考える余裕は私にはありません」とも書かれていた。
岡山市内の郵便局が押したとみられる7月の消印があったが、日付の判読は難しい状態だった。山上容疑者は事件前日の7日、安倍氏も参加した岡山市内の演説会場を手製銃を持って訪れたが、襲撃を断念したことが判明しており、途中で投函した可能性がある。
男性はブログで家庭連合への批判を展開しており、自宅ポストに封筒が届いたことには13日に気付いたという。封筒には手紙のほか、山上容疑者と母親らが、家庭連合と献金の返金について交わした際の合意書のようなコピーも同封。山上容疑者の氏名なども書かれていたという。
●「憎むのは統一教会だけ」「安倍政権に何があっても知った事ではない」とも 7/17
安倍晋三元首相の銃撃事件で、山上徹也容疑者がツイッターに「憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」と、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みなどを投稿していたとみられることが17日、分かった。
山上容疑者のものとみられるツイッターには「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族から巻き上げさせたアガリを全て上納させることだ」などとつづられていた。家族については「祖父の目を盗んで金を統一教会に流していた母をとがめる者はもういない」と投稿。山上容疑者が当初狙っていたと供述している同連合の韓鶴子総裁について20年8月には「今年はおそらく鶴子は来ないだろう。それはオレにとって吉か凶か」とも。安倍氏が持病を理由に首相の辞意を表明した20年8月28日には「安倍政権のやり方が常に正しかったとは全く思わないが、結果として正しかった事を評価できなければその正しさは失われる」とある。
11日に記者会見した旧統一教会の田中富広会長は、山上容疑者の犯行に関して「教会に対する恨み、そこから安倍元首相の殺害に至るということは、とても大きな距離があって、私たちもその理解に少し困惑しております」と話していた。
●安倍晋三元首相銃撃、手紙で示唆か 容疑者、事件前に送る 7/17
安倍晋三元首相の銃撃事件で、殺人容疑で送検された無職山上徹也容疑者(41)が事件前、銃撃を示唆する手紙を島根県の男性フリージャーナリストに岡山市内から送っていたとみられることが17日、分かった。男性が取材に明らかにした。20
19年秋以降、ツイッターに「憎むのは統一教会だけだ」などと世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みを投稿していたとみられることも判明した。
男性はブログで旧統一教会への批判を展開していた。男性によると、奈良県警は17日、手紙を押収。手紙には岡山市の郵便局が押した7月の消印があった。差出人名はなかったが容疑者の署名がある文書が同封されていた。旧統一教会への強い恨みがつづられ、安倍氏については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではない」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」と記載されていた。
「銃の入手に(時間を)費やして参りました」「安倍(元首相)の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」とも書かれていた。
手紙はA4判1枚で、手書きではなく印字したもの。消印の日付の判読は難しいが、容疑者が7日に同市を訪れて遊説中の安倍氏を手製銃で襲おうとしたことが分かっており、この日に投函した可能性がある。
ツイッターには「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた」「統一教会の本分は、家族から巻き上げさせたアガリを全て上納させることだ」などと投稿していた。
●旧統一教会批判ジャーナリスト「相談してほしかった」 山上からの手紙 7/17
安倍晋三元首相の銃撃事件で、殺人容疑で送検された無職山上徹也容疑者(41)が事件前、安倍元首相の殺害を示唆する手紙を岡山市内から島根県松江市に住む男性に送っていたとみられることが17日、分かった。
男性は、フリージャーナリストの米本和広氏(71)で日刊スポーツの取材に応じ、手紙はA4判1枚で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への強い恨みがつづられ、安倍元首相については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではない」と記載されていた。
米本氏によると、手紙はA4判1枚で、印字したものだった。事件から5日後の13日、自宅のポストに届いているのに気づいた。
「ご無沙汰しております」から始まる文章には、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への強い恨みがつづられ、生い立ちなどが理路整然と書かれていた。
安倍元首相については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではない」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの1人に過ぎません」と記載されていた。
米本氏は自身のブログで旧統一教会への批判を展開し、住所も記していた。山上容疑者と面識はないが、手紙には、米本氏のブログの読者であり、過去に投稿欄に書き込んだことがあると記されていた。
手製の銃などを今年の春ごろには完成させていたとの趣旨の供述をしているが、手紙には「銃の入手に(時間を)費やして参りました」と告白。生い立ち、旧統一教会との関わりなどが書かれていた。
「母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言っても過言ではありません」
岡山市内の郵便局が押したとみられる7月の消印があったが、日付の判読は難しいという。山上容疑者の自宅は奈良市内にあり、7日に岡山市を訪れ、遊説中の安倍元首相を手製銃で襲おうとしたことが分かっている。7日に手紙を投函(とうかん)した可能性がある。差出人名はなかった。
手紙には「安倍(元首相)の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」と殺害を示唆していた。
米本氏は事件について「許されることではない」とした上で、手紙から受けた印象について「文章がすごくまとまっていて、分かりやすい。頭がいいなと思った」と話した。
米本氏はブログで旧統一教会の信者の子どもの問題を取り上げてきたが「悲惨なんてもんじゃない。悲惨を通り越した悲惨」と話し、「だれも相談する人がいなかったのかもしれない。私に友達的なものを感じてくれていたのなら、岡山からならバスで2時間で来ることができる。犯行の前に連絡して相談してほしかった」と話した。
●安倍元首相銃撃前に容疑者が事件起こすこと示唆する手紙投函か 7/17
安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれて死亡した事件で、逮捕された容疑者が事件を起こすことを示唆する手紙を、直前に投函していた疑いがあることがわかりました。手紙を受け取った男性によりますと、宗教団体に対する恨みが書かれ、安倍元総理大臣については、本来の敵ではないなどと記されていたということです。警察は、容疑者が出したものか確認を進めるなど、詳しく調べています。
今月8日、奈良市で演説をしていた安倍元総理大臣が銃で撃たれて死亡した事件で、警察は、奈良市に住む無職、山上徹也容疑者(41)を逮捕して、殺人の疑いで捜査しています。
山上容疑者は、母親が多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こしたとみられています。
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会を批判するブログを運営している島根県の男性によりますと、今月13日、山上容疑者が書いたとみられる手紙が届いていることに気づいたということです。
消印の日付は不明確ですが、岡山市内で投函されたとみられます。
容疑者は、事件前日に安倍元総理大臣を襲おうと、遊説が行われた岡山を訪れていました。
男性によりますと、手紙には、これまでのいきさつや宗教団体に対する恨みがつづられているということです。
安倍元総理大臣については、本来の敵ではなく、最も影響力のあるシンパの一人に過ぎないとした上で、その死がもたらす結果を考える余裕は自分にはないという趣旨の内容が記されていたということです。
また、母親の献金の返金をめぐって、宗教団体側と交わした資料のコピーも同封され、山上容疑者の名前と奈良市の住所が書かれていたということです。
警察は、この手紙について、容疑者が出したものか確認を進めるなど、詳しく調べています。
●桜田淳子「うちの家族は幸せ」合同結婚式夫の統一協会入信後の生活 7/17
7月8日に発生した安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件から一週間が経った。全容解明に向けて捜査が進められているが、連日大きな注目を集めているのがかつて「統一教会」の名前で知られた「世界平和統一家庭連合」だ。
「安倍元首相を撃った山上徹也容疑者(41)は、取り調べの中で母親がある宗教団体に入信し、多額の献金をした結果、破産したことからその団体に恨みを抱いたと供述。そして、団体と関わりのある安倍元首相に恨みを抱き、銃撃を決断したといいます。
そのことが報じられると、ネット上で“団体とは旧統一教会のことではないか”という意見が拡散し、11日に『世界平和統一家庭連合』は会見を開きました。会見で同連合の日本教会会長は、山上容疑者が会員になったことはない、とした上で、母親が会員であったことは認め、献金があったことも明かしていました」(全国紙記者)
14日、「読売新聞」は山上容疑者の母親が旧統一教会に献金した総額が、1億円にのぼるとみられていることを報じている。その後、「世界平和統一家庭連合」は母親に5000万円を返金したと発表したが、献金の詳細については調査中と説明。少なくとも、それだけの献金があったことが明らかになったのだ。
そんな統一教会は、かつて芸能界を賑わしたことも。’92年6月、「花の中三トリオ」として山口百恵さん(63)らと昭和のアイドル界を盛り上げた歌手・桜田淳子(64)が、韓国で行われる同団体の合同結婚式に参加することを記者会見で発表。一世を風靡した桜田の合同結婚式への参加表明は当時、“桜田の結婚は教団による洗脳では”と大騒動を巻き起こしたが、2カ月後の結婚式で桜田は会社役員の男性と結ばれることに。のちに桜田は芸能界をフェードアウトした。
その20年後となる’12年3月。本誌は桜田を直撃している。
夫と息子とともに買い物を楽しんでいた桜田は「すみません。答えられないんです……。私はマスコミの対応はしていないんです」とコメント。
本誌が「“統一教会に洗脳されていた”と思っていますか?」と尋ねると、夫は「さすがにそう思っていたら、今でもこうして淳子も僕も統一教会を信じてはいませんよ。宗教というのは入ってみなければわからない世界があるんです」と語った。
夫は「自分たちは自分自身で選択して入信、そして結婚に至った。教団に洗脳されたわけではない」と主張した。そこで最後に「今も幸せですか?」と問うと、夫は「もちろん、幸せですよ。うちの家族はね」と笑顔にーー。桜田も、夫の横顔を嬉しそうに眺めていた。

 

●山上容疑者、父の自殺の真相 母がハマった“怪しい団体”と凄絶ネグレクト 7/18
安倍晋三元総理を亡き者にした凶弾。それが、参院選の演説中に放たれるまでには、紆余曲折の不幸の連鎖があった。最初の悲劇は容疑者の母がある団体にハマり、その後ノイローゼとなった父が自殺したことだった――。
参院選投開票を間近に控えた7月8日、午前11時31分。奈良市の大和西大寺駅前で1発目の銃声が鳴った。演説中だった元総理はマイクを止め、轟音が鳴り響き白煙が舞う中、ふっと後ろを振り返った。刹那、続けて放たれたのは2発目の銃弾。標的となった元総理は左腕をかばうように、演説台からくずおれた。
周囲の聴衆は何が起きたかも理解できぬ一方で、銃を構えていた男は大事を成し遂げて立ち尽くしていた。しかし、瞬時に警察官が男の身柄を確保。安倍元総理は奈良県立医大病院に運ばれ、昭恵夫人が到着するまでの間、必死の救命措置が行われるも、還らぬ人となった。
享年67。奇しくも父・晋太郎氏がすい臓がんで逝去したのと同じ年齢だった。
「安倍さんは犯人の手製の銃で左上腕部を撃たれたことにより、鎖骨の下にある左右の動脈が傷つき、これが致命傷になりました。死因は失血死でした」(社会部デスク)
「(妻の)韓鶴子を狙っていた」
現職の政治家、それもいまだ自民党内で権勢を振るう、最大派閥の長でもあった安倍元総理を公衆の面前で射殺したのは、奈良市在住の山上徹也容疑者(41)だった。当人は警察の取り調べに、「母親が統一教会に多額の寄付をして家庭が崩壊した」「(創始者の)文鮮明がアメリカで有罪判決を受けたため、(妻の)韓鶴子を狙っていた」「コロナで韓鶴子が来日できないので、標的を変えた。統一教会と関係の深い岸信介の孫を狙った」と供述しているという。
安倍元総理は祖父の岸信介元総理とともに教会との関係の近さが報じられたことがあり、関連団体の式典に祝電を送ったことも。これらの供述から分かる通り、徹也が歪んだ殺意を抱くようになった背景には「宗教」があった。その履歴をたどると、彼の人生を大きく左右したのは宗教にのめりこんだ実母(69)の存在、さらには家族を次々と襲った「自殺の連鎖」であった。
「よく怒鳴り声が聞こえる家やったんですよ」
徹也の父親は、大阪市内でもトップクラスの進学校、府立天王寺高校の出身である。卒業後、京都大学工学部に進学し、土木を専攻。大学を1970年に卒業すると、大手建設関連会社などに勤め、大阪や千葉などを転々としながら、70年代末に奈良に本社を置く建設会社に入社する。それと前後し、徹也の父は妻となる女性と籍を入れるのだが、彼女は建設会社の社長の娘であった。
実はこの社長、すなわち徹也の母方の祖父も父とは別の大阪府内の大学の土木科を卒業していた。そして、63年に建設会社を設立。徹也の父は入社後、ヒラ社員から工事部長を経て、最終的に取締役にまで出世している。
70年代末から80年代前半にかけて、夫妻は徹也本人とその兄と妹を含む3人の子をもうけた。当時、家族が居を構えていたのが東大阪市内の木造2階建ての一軒家。母方の祖父が所有する25坪ほどの土地に建てられた、小さくしかしどこか不気味な家だった。
近隣住民が言う。「山上さんね、もう40年くらい前ですけど、よう覚えていますわ。よく怒鳴り声が聞こえる家やったんですよ。お父さんがお母さんを怒鳴りつけてね、呂律も回っていなかったから、たぶん、お酒飲んでいたんやろうな。外から見える家の洗い場なんかも散らかっていてね……」
「おしっこやうんちで重くなったおむつをはいて…」
一家を知る知人が当時の家族の異様な光景について語る。
「実はお母さんが『朝起(あさおき)会』という宗教にはまっていたんです。周囲を勧誘することはなかったのですが、子育てをほっぽらかしにしていて、その宗教の集まりがあるからと、朝の5時とかに出かけてまうんです。当時、2歳か3歳かの男の子が冬も裸足で家の外に出てきて、泣きながら母親を探してるんですわ。ご主人もなんもせんとね。おしっこやうんちで重くなったおむつをはいているから、半ケツ状態で可哀そうでした」
彼女が子育てを放棄してまで通っていた朝起会とは、戦後まもなく設立された実践倫理宏正会のことである。創始者は上廣哲彦。現在は3代目が会長を務め、朝起会と呼ばれる早朝の活動をメインに会員数は400万人を超えるといわれる。
宗教事情に詳しい記者によれば、「大阪だけでも支部は70ほどあります。朝起会では、『朝の誓』の言葉を唱えるなど、生活倫理を実践する社団法人ということになっており、宗教団体であることを否定しています。しかし、事実上の宗教ではないかと指摘する声もある」
実践倫理宏正会の東京本部の担当者は、「(母親の)会への在籍は過去を含め、一切なく、朝起会に参加したこともございません」
父の飛び降り自殺
しかし、と先の知人が裏事情を教えてくれる。
「旦那さんの勤め先は奥さんのお父さんが経営している建設会社でしたね。でも、奥さんが相当宗教に入れ込んでしまったみたいで、旦那さんはノイローゼやったようです。最後は近くのマンションから飛び降りて自殺しはってね、それは近隣で話題になりましたわ。それから1年と経たず、一家は引っ越していかれました」
自殺した場所は当時の自宅から歩いて5分ほどの距離にある79年築の12階建てのマンションだった。周囲では一際高い建築物だったため、度々飛び降りがあったという。
父を亡くした一家が身を寄せるのが、奈良市内にあった祖父が住む一軒家だった。
すでに祖母は他界しており、ほどなく、母は父に代わり同社の取締役に就任。経理を担当するように。彼女が以前にもまして宗教にのめり込むようになるのは、これ以降のことだった。 
●山上徹也容疑者とみられるTwitter投稿1363件「憎むのは統一教会だけ・・・」 7/18
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)がSNS上に宗教団体への恨みなどを繰り返し投稿していたとみられることがわかりました。
事件から7月18日で10日。周囲の安全確保などのため献花台が19日に撤去されるのを前に、多くの人が献花に訪れています。
逮捕された山上徹也容疑者は、母親が多額の献金をしていた宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に恨みを持ち「安倍元総理と繋がりがあると思い込み犯行に及んだ」と供述しています。
山上容疑者のものとみられるツイッターのアカウントを見ると、初投稿は2019年10月13日。同じ月に旧統一教会のトップ韓鶴子氏が愛知県で集会を開いていて、襲撃に失敗した直後に始めたとみられます。ツイッターには旧統一教会への恨みが繰り返し投稿されています。
【ツイッターの投稿より】「我が家から全財産を奪い、母に家族を騙してそれを秘匿するよう諭した」「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族からアガリを全て上納させることだ」
また安倍元総理についてもたびたび言及されています。
【ツイッターの投稿より】「安倍政権に言いたいこともあろうが、統一教会と同視するのはさすがに非礼である」
安倍元総理を擁護する投稿がある一方、次のような記述もあります。
【ツイッターの投稿より】「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」「岸が招き入れたのが統一教会。安倍が無法のDNAを受け継いでいても驚きはしない」
母親の多額の献金によって困窮していったとみられる山上容疑者。複雑な心境がつづられています。
【ツイッターの投稿より】「オレは母を信じたかった」「言葉では心配している、涙も見せる、だが現実にはどこまでも無関心。こんな人間に愛情を期待しても惨めになるだけ」
約2年9か月の間、投稿されたツイートは1363件。今年6月30日の投稿が最後となっていました。
山上容疑者はその後、事件前日の7月7日に岡山市内の安倍元総理の演説会場を訪れていましたが、この直前、岡山市内から島根県のフリージャーナリストの男性に手紙を送っていたとみられています。男性は旧統一教会の活動を批判するブログを運営していて、手紙ではブログの読者と明かした上で、旧統一教会への恨みをつづり、安倍元総理の殺害を示唆する内容も記されていました。
【手紙の内容より】「安倍は本来の敵ではないのです。安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」
警察は既に手紙を押収していて、事件の動機の解明を進めています。
●「オレが憎むのは統一教会だけだ」山上徹也容疑者が旧統一教会への恨み 7/18
安倍元総理が銃撃され死亡した事件で、山上徹也容疑者がSNS上に宗教団体への恨みなどを繰り返し投稿していたとみられることが分かりました。
安倍晋三元総理(67)が奈良市で遊説中に銃撃され死亡し、山上徹也容疑者(41)が逮捕された事件では、母親が多額の献金をしていた世界平和統一家庭連合=旧統一教会への恨みを募らせた末の犯行だとみられています。
捜査関係者などによりますと、山上容疑者がツイッターに旧統一教会への恨みなどを繰り返し投稿していたとみられることがわかりました。アカウントは匿名で、2019年10月から利用されていて、「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は家族からアガリを全て上納させることだ」「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」などと投稿がありました。
山上容疑者は事件前日、島根県のフリージャーナリストの男性に安倍元総理の殺害をほのめかす手紙も送っていて、警察が動機の解明を進めています。
●上徹也容疑者 事件直前に島根県松江市の男性に殺害をほのめかす手紙 7/18
安倍元総理が奈良県奈良市で銃撃され死亡した事件で、山上徹也容疑者が事件直前、安倍元総理の殺害をほのめかす手紙を島根県松江市に住む男性に送っていたとみられることが分かりました。男性は、取材に対し「直接話してくれればよかった」などと話しました。
山上容疑者が送ったとみられる手紙「母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産・・・この経過と共に私の10代は過ぎ去りました」
これは17日、手紙を受け取った松江市内に住むフリージャーナリスト・米本和広氏が公開した手紙。
封筒に差出人の名前はありませんが、山上徹也容疑者が送ったものとみられています。
手紙には、旧統一協会への恨みがつづられるとともに、安倍元総理の殺害を示唆する内容が記されています。
山上容疑者が送ったとみられる手紙「安部は本来の敵ではないのです」「最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」「安部の死がもたらす政治的な意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」
米本氏は、旧統一協会の活動を批判するブログを運営していて、山上容疑者は手紙でこのブログの読者であると明かしていますが、米本氏と山上容疑者に面識はなかったということです。
また、捜査関係者などによりますと、山上容疑者がツイッターで、旧統一教会への恨みなどを繰り返し投稿していたとみられることも分かっています。
山上容疑者は事件前日、安倍元総理の遊説先である岡山市も訪れていて、封筒の消印などから、手紙はそのころ岡山市から送ったとみられています。
米本氏は、取材に対し、手紙を読んだのは事件後の7月13日としたうえで、「人を殺したことは間違いだと思う」「岡山から島根に来て直接話してくれればよかった」などと話しました。
奈良県警は、すでに手紙を押収、18日も調書作成のため米本氏の自宅を訪れていて、詳しい経緯を調べています。
●「一度は5千万円取り戻した」 山上容疑者の伯父が明かす 7/18
安倍晋三元総理を射殺した山上徹也容疑者(41)。前編(山上容疑者、父の自殺の真相 母がハマった“怪しい団体”と壮絶ネグレクト)では、母がハマっていた“もう一つの団体”と父の自殺について報じたが、後編では山上容疑者の伯父の証言をもとに、山上家が統一教会と抱えていた金銭トラブルに迫る。
「徹也の兄は小児がんを患っていて、手術もしています。片目も失明しており、普段の生活にも苦労していました」と明かすのは一家の面倒を見てきた弁護士資格を持つ父の兄、すなわち徹也の伯父にあたる人物である。
「(徹也の)父が亡くなり、兄も病気でした。そうしたことがきっかけになり、父が亡くなってずいぶん経ってから、母は統一教会に入信したんですわ」
彼女は熱心な信者となり、度々、子供を置いて、長期にわたり渡韓するほどだったと続ける。
「子供たちはその間、食べるもんがなかったんですよ。だって、母親が日本におらんかったからね。自分は韓国に行き、ずっと放っておいた。ネグレクトどころではない、もっとひどい状態です。兄は病気で自分で食事を作ることもできない。その兄が電話をかけてきて、“食べるものがない”と。お金を持って行ってあげたりしていました。すると、冷蔵庫の中には食料がまるでないんですわ……」
生命保険5千万円を全て寄附
徹也は地元の公立中学校へと進学。あだ名は「こてつ」。持ち前の運動神経を生かして、所属するバスケ部でも活躍していたとは、同じ部にいた同級生。
「うちの部は3年の時に自分たちの学年だけで25人以上いました。1、2年生を含めれば、もっと部員がいたわけなんですけど、山上はユニフォームをもらえる15人の中に入っていました。ポジションは確かフォワードだったと思います。走るのも速く、シュートもディフェンスもうまい。三拍子そろった選手といった感じでした」
さらに徹也が得意だったのが「絵」だ。
「ドラゴンボールとかドラゴンクエストのキャラクターをわら半紙によく鉛筆で描いていました。その絵がうますぎて別のクラスからわざわざ見に来る人がいたほどです」(同)
学業も優秀で高校は県内でも有数の進学校へ。応援団と文芸部に所属し、生活での苦労を周囲に吐露することもなかったようだ。
しかし、98年、徹也が高校3年生の秋に突然、祖父が亡くなると生活は暗転する。奈良市内に祖父が所有していた二つの土地(計約360平方メートル)が徹也の母に相続されるのだが、時を置かずして母により売却されてしまうのである。一つは翌年の3月に、さらに同年6月にもう一つの土地が。そして、一家は同じ市内の賃貸マンションへと引っ越すことになる。
先の伯父が言う。「徹也の父親が亡くなった時に生命保険が5千万円も下りました。加えて、自宅なんかも売却し、それらすべてを統一教会に寄付したんですわ。額は億は超えますわな。しかも、そうした金は1回のお布施だけで数千万円単位で吸い取られていたんです」
自分たちの教義に反するものはサタン
統一教会といえば、1980年代以降に高額な壺などを買わせる霊感商法がクローズアップされた。宗教ジャーナリストの藤倉善郎氏が解説する。
「統一教会は朝鮮半島の、キリスト教を模した新宗教です。教祖である故・文鮮明の祝福を受けて、生まれた子供は原罪を背負っていないとして、神聖視されます。そのために合同結婚式が行われているのです」
霊感商法については、「“先祖の因縁が深い”“供養しないと家族が不幸になる”などと脅し、数百万円もする壺などを関連会社を通じ信者に買わせていた。それが露見し、社会的に大きな問題となりました。近年は勧誘の仕方がだいぶマイルドになったといわれています。しかし、本質は変わっていない。自分たちの教義に反する者はサタン、すなわち悪魔だという考えですから」
徹也の母はそうした教義に忠実だったのだろうが、自宅を売った後はあっという間に転落していく。祖父の死後、建設会社の社長を務めていたにもかかわらず、2002年に破産するのだ。
地元の建設業界関係者は当時を振り返り、驚きを隠さない。
「実は90年代半ばの時点で建設会社の業績は非常に好調でした。ある年には、年商6億円、3千万円近くの利益を出したそうです。中堅建設会社の下請けで、関西圏のトンネル工事などを請け負っていた。それなのに……。結果的に建設会社は休眠状態となり、09年に解散しています」
自衛隊任期中の2005年に自殺未遂
母が破産した年、伯父から経済的支援を受け、専門学校を出た徹也は任期自衛官として海上自衛隊に入隊する。しかし、ここでも“事件”は起きた。
「任期中の05年に自殺未遂を起こしているのです。一命は取り留めたものの、防衛庁が運営する自衛隊病院に入院しました。自殺を図ったきっかけは統一教会だった。母親のことで相当悩んでおり、結局、このことがきっかけで退官してしまうのです」(防衛省関係者)
退官後は、測量会社や派遣社員としてリフト作業に従事するなど職を転々。その間、徹也と親族間の交流は少なからずあったようだが、さらなる家族の断絶を招いたのが兄の死だった。今から7年ほど前、病を苦に自殺してしまうのだ。まさに不幸の連鎖である。
山上家の親族が重い口を開く。「葬儀の時、てっちゃんは“何で兄ちゃん死んだんや”“アホやなあ、生きてたらええことあるのに”と言っていたので、この子は大丈夫やと思ったんです。だけど、寡黙だったのがその後ますます話さなくなり、飲みにでも誘おうと思い電話しても出てくれない。ここ数年、彼は妹とも必要最小限のことしか連絡していなかったようです」
この間、徹也が胸の内でたぎらせていたのは、統一教会、そして安倍元総理への憎しみだった。
お金を取り返しても再度寄付してしまう母
伯父が再び語る。「そりゃあ、統一教会憎しになりますよ。(寄付として家から)持って行かれてしまったのが、1億数千万円はある。私はね、(徹也を含む)3人の甥と姪の依頼でそのうちの5千万円を統一教会と交渉して09年に取り返したんですよ。訴訟みたいなとろい手段ではなくて、直接ね。しかも、教会との間で交わした和解書もあります。でも、取り返した金を母親に戻すと、また、そのまま寄付してしまうんです」
今回、凶行に及んだ徹也の思いをこう代弁する。「(徹也は)生活だけではなくて、命まで奪われかけた。普通に見たら、母が統一教会に納めた金が安倍に流れていると、そうなりますわな。生活が苦しいときに私が母親に送っていた生活資金だって全部、教会に流れている。統一教会の言っていることなんて全部でたらめですからね。全部ね」
「うちの妻を勧誘することも過去にあったみたいで…」
山上家、そして伯父とトラブルを抱えていたことについて、統一教会の広報は、「(徹也の)お母さんは1998年に入信しています。(トラブルについては)私どもがお母さんと接触できていないため、お答えできません」
実は事件発生直後、徹也の実家から一人の人物が警察やメディアの目をかいくぐり、“脱出”していた。徹也の母、その人である。
「射殺事件の起きた日の午後、母親は実家にタクシーを呼び、密かに大阪府内の一軒家に向かっていることが確認されています」(捜査関係者)
彼女が向かった先がこの伯父の自宅だった。
「事件後はすべてが大変やからね、私が呼んだんですよ。いまうちの部屋におりますけどね、元気ですよ」(伯父)
伯父は元総理を射殺した凶悪犯をかばい、その遠因を作った母をかくまう。
先の親族がうつむく。「(徹也の母が)うちの妻を勧誘することも過去にあったみたいで、彼女からの連絡は拒否していました。この状況であってもあの母親とは話したくないんです。でも子どもにとって、母親は絶対なんでしょうね。なんぼ憎くても母親を撃つことはできへん、だから安倍さんを撃った。そうじゃないかと思えてきて……」
呪われた一家の中で鬱積してきた積年の恨みと歪んだ愛憎の念に打ち砕かれた「政治家・安倍晋三」。あまりに突然すぎる人生の幕切れだった。 
●岸田首相の野望が動き出した…あえて「安倍路線」を引き継いだ「理由」 7/18
政治の世界が動き始めた…
永田町のど真ん中にぽっかりと大きな穴が開いている。そこはかつて総理大臣として歴代最長記録を持つ安倍晋三元首相がいた場所だ。安倍元首相は7月8日に奈良で参議院選挙の応援中に狙撃されて死亡。日本は大きな悲しみに包まれた。
しかし悲しんでばかりいられないのが政治の世界だ。安倍元首相がいなくなった空洞を埋めるべく、様々な面々がさっそく蠢き始めている。
その中で「覚醒した」と話題になっているのが、岸田文雄首相だ。かねてから「聞く力」を誇っていた岸田首相だが、実行力に欠けると思われ、「検討使」などと揶揄されていた。ところが7月14日夕方の総理会見では、秋に安倍元首相の国葬開催を発表した他、電気不足となる今冬に備えて最大9基の原発の再稼働、5年以内に防衛力を抜本的に強化することなど、これまでになく力強くかつ明確に方針を打ち出した。
もちろんこの多くは、安倍元首相の影響が見られるものだ。6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」の中でも「大胆な金融政策、起動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを堅持」することが記載されたが、これはアベノミクスの継承に他ならない。
そして安倍元首相も存命中、政府の政策に対する大きな影響力を行使した。選挙演説でも急速な円安が進む中でゼロ金利政策の継続を主張するなど、持論であるアベノミクスの遂行を強く主張。また核共有や防衛費をGDPの2%に増額する提案など、その姿勢は岸田政権を背後から操ろうとしているとさえ思えるものだった。
あえて「安倍カラー」を出している?
もちろん岸田首相も唯々諾々とそれに従ったわけではない。岸田政権は6月17日、第2次安倍政権で首相秘書官を6年半も務めるなど安倍元首相に近しい存在で、防衛費増額を主張する島田和久事務次官を退任させ、その後任に島田氏と同期の鈴木敦夫防衛装備庁長官を充てることを決定。
さらに安倍元首相の弟である岸信夫防衛大臣については、健康上の理由で参議院選後の改造で内閣を去ることになっていた。このように岸田首相は内閣から安倍カラーを消し去ろうとしていた。
そして安倍元首相が亡くなった今では、安倍カラーをあえて消し去る必要はなくなった。むしろ安倍カラーをまとうことで、岸田首相は「覚醒」をアピールする方法を選んだのではないか。
実際に岸田首相には余裕がある。今回の参議院選で自民党が勝利すれば、岸田政権には「黄金の3年間」が待っていると言われたが、実際に自民党は8議席増の63議席を獲得し、改選議席数では単独過半数を占めたのだ。衆議院の任期満了は2025年10月で、次の参議院選挙の予定も2025年7月だが、それまでは政権は安泰ということだ。
だが2024年9月には自民党総裁選が予定されるため、「黄金期」はさほどは長くないだろう。実際に参議院選序盤に、ある重要閣僚が入閣適齢期の議員に対して「次の内閣改造でポストのオファーがあっても、受けない方がいい」とアドバイスしていたという話が伝わっている。2023年5月に岸田首相の地元で行われる広島サミット開催を花道とし、衆議院を解散するということだ。
山口で起こりうる「安倍 vs 林」の激闘
そしてここに来てその現実味が増してきた。岸田首相は7月14日の会見で、今年の秋に安倍元首相の国葬を行うことを表明した。また小選挙区選出の議員を失った衆議院山口4区は補欠選挙を行う必要があるが、昨年の衆議院選での1票の格差をめぐる裁判が9月15日までに確定すれば補選は10月23日に行われ、9月16日以降なら来年4月以降となる。いずれにしろ、政治が大きく「弔い合戦」のムードとなることは間違いない。
と同時に、山口県は次期衆議院選挙から県内の選挙区が4から3に削減されるため、4つの議席を保有する自民党は、候補者調整を急がなくてはならない。昨年の衆議院選では林芳正外務大臣が参議院から衆議院山口3区に転身したため、河村建夫元官房長官の長男・建一氏が追い出され、縁も所縁もない比例北関東ブロックに弾き飛ばされた。
また3区と4区が重なる新3区は、安倍家の本拠地である長門市と林家の本来の地盤である下関市を含むため、もし林氏が母親の出身地である宇部市を含む新1区ではなく新3区を希望すれば、安倍家とのバトルは必至。そうでなくても定数削減された山口県内で、安倍・岸家がこれまで通りに2議席を確保するのは難しく、影響力が削がれることは間違いない。
いずれにしろ自分に有利な展開になっているのを眺めながら、岸田首相は最善の選択肢を探しているだろう。安倍元首相が権力を維持し、長期政権を実現できたのは、2012年の衆議院選と2013年の参議院選での大勝など、国政選挙で負けなかったからだ。
岸田首相も昨年の衆議院選で自民党の議席を15議席減らしたものの、261議席を確保して単独過半数を維持できており、8議席増となった今回の参議院選挙は「躍進」と評価されていいだろう。
岸田首相が狙うのは「黄金の3年間」ではなく、さらなる長期かつ安定政権に違いない。凡庸さゆえに敵がいないとされてきた宰相が、もしその凡庸さを振り払うことができるならどうだろうか。安倍元首相の国葬を仕切ることはその後継であることを内外に示すことに他ならず、それこそ安倍元首相がいなくなった穴を埋める唯一の存在になりえる。これぞ「最強の政権」に他ならない。 

 

●明かしていた『ジョーカー』への感情移入「真摯な絶望を汚すやつは許さない」 7/19
安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者のものと見られるTwitterアカウントが7月19日に閉鎖された。同アカウントは2019年10月に開設されており、〈オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない。〉などの投稿から、犯行の動機の解明につながる記述も見受けられる。
山上容疑者は、NEWSポストセブンが2019年10月に公開した作家・橘玲氏の寄稿〈映画『ジョーカー』が描いた「下級国民の反乱」〉をリツイートしており、この記事について複数の投稿があることがわかった。山上容疑者は映画『ジョーカー』に何を感じていたのか。犯行に至った心理と背景を読み解くべく、橘玲氏にあらためて話を聞いた。
──山上容疑者が橘さんの書いた映画『ジョーカー』に関する記事をリツイートしていました。続けて別のユーザーとのやりとりの中で、〈ええ、親に騙され、学歴と全財産を失い、恋人に捨てられ、彷徨い続け幾星霜、それでも親を殺せば喜ぶ奴らがいるから殺せない、それがオレですよ。〉という書き込みもありました。これは、犯行に至る背景を語っているようにも思えますがいかがでしょうか。
橘:銃撃事件とその直後の報道で、映画『ジョーカー』と似ていると感じていたので、容疑者が私の記事を読んでいたというのは驚きました。『ジョーカー』では、主人公のアーサーには政治的・思想的な背景はなにもありません。たしかに格差拡大への怒りで群衆が反乱を起こす場面が描かれてはいますが、アーサー自身にはエリートや富裕層に対する憎悪もなければ、アンチ・グローバリズムや反資本主義などのイデオロギーもまったくありません。
同様に今回の容疑者も、安倍元首相の政治信条にはなんの関心もなく、カルト宗教団体に人生を破壊されたという個人的な恨みが犯行の動機とされています。しかし、背後からなんのためらいもなく2発の銃弾を浴びせるというのは、自分の行為が絶対的に正しいという確信がなければ不可能です。報道でもそこがよくわからなかったのですが、〈ジョーカーという真摯な絶望を汚す奴は許さない。〉という投稿を見て、自分とジョーカーを重ね合わせていたのではないかと感じました。
──容疑者も「真摯な絶望」を感じていた?
橘:今回の容疑者の特徴は、“絶対的な孤立”ではないでしょうか。すべてのメディアが彼の過去を追っているわけですが、2週間ちかくたっても、高校時代と自衛隊入隊、最後に勤めていた京都府内の倉庫のこと以外はわからない。海上自衛隊を退職したあとは、ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士などの資格を取り、複数の会社で派遣社員やアルバイトとして働いていたとされますが、その間のことを証言する友人などはまったくいない。
秋葉原で起きた無差別殺傷事件(2008年)の犯人も孤立していましたが、それでも親身に相談に乗ってくれる故郷の友人や年上の女性がいた。映画『ジョーカー』では、アーサーは「自分はまるで存在していないかのようだ」と繰り返し訴えるほど孤独で、その“絶望”から狂気と妄想にとらわれ、ジョーカーへと変わっていきます。容疑者がアーサーに感情移入したのは、そこに自分と同じ「とてつもない孤独」を見たからではないでしょうか。
ハロウィンの日にジョーカーの仮装をした24歳の男が、京王線内で男性の右胸を刺し、ライターオイルをまいて車内に火をつけた事件(2021年)がありましたが、日本の社会にはアーサー(ジョーカー)の造形に強く惹きつけられる男が一定数いるのでは、とも思います。
教団を悪魔化するようになった“逆の因果関係”
──元記事では「非モテのテロリズム」にも言及しています。アメリカで「インセル(Incel)」と呼ばれる性愛から排除された若い男性による無差別銃撃事件が立て続けに起こったことを、橘さんは「社会への復讐」と分析しています。
一方、山上容疑者も〈ジョーカーがインセルを助長するかもしれないと米国では言われているが、確かに似ている。だがジョーカーに身勝手だと言っても何も変わる事はない。〉〈インセルが狂気に走って希代の悪党になる映画が大ヒットとなれば女としては困るのは分かるが、ジョーカーはインセルでないのではなく憎む対象が女に止まらず社会全てというだけ。「インセルか否か」を過剰に重視するのは正にアーサーを狂気に追いやったエゴそのもの。〉と投稿しています。これらはおそらく、橘さんの記事を読んだうえでのコメントだと思いますが。
橘:今回、投稿を読んではじめて「恋人に捨てられ」ていることがわかりましたが、フェミニズムへの批判やミソジニーへの言及もあることから、容疑者が自分をそこに加えていたかどうかはともかく、“インセル/非モテ”を意識していたことは間違いないでしょう。若い男の最大の絶望は、社会的・経済的に排除されることではなく、性愛から排除されることだと『無理ゲー社会』などで述べてきました。容疑者は、そうした怒りが社会への憎悪に向かっていくことを自覚していた可能性はあると思います。
ただ投稿を見ると、容疑者はジョーカーをたんなる「非モテ」ではなく、もっと巨大な存在だと考えていたようです。「憎む対象は社会全て」というのは、今回の行動がより大きな物語のなかでの「復讐」であることを示唆しているようでもあります。
──山上容疑者が、サブカルチャーにおける究極のダークヒーローである「ジョーカー」と自分を重ね合わせていたとしたら、今回の事件はどのように考えられますか。
橘:すでに報道されているように、新興宗教団体に家庭や人生を破壊されたという強い怨恨があるのは明らかです。しかし、これを単純な因果関係で考えていいのかは疑問です。この教団に家庭を壊されたひとはたくさんいますが、そのほとんどは犯罪など起こしたりしないわけですから。
だとしたら、逆の因果関係もあったのではないか。自衛隊を退職したあと、頑張って資格を取ったにもかかわらず、40歳を前にして、社会からも性愛からも排除されているという現実を突きつけられた。“とてつもない孤独”のなかで、なぜ自分の人生はこんなことになったのかを考えていくうちに、人生をさかのぼって教団を悪魔化するようになっていった。
すべての困難の原因が教団にあり、自分は純粋な被害者(善)だとするならば、その教団とかかわっていた(とされる)元首相が絶対的な「悪」として立ち上がってくるという構図は理解できます。確信があったわけではありませんが、容疑者の『ジョーカー』への思い入れがわかったことで、今回の事件も、京アニ事件(2019年)や大阪の診療クリニック放火事件(2021年)などと同じく「下級国民のテロリズム」の範疇に入るのだろうといまは考えています。
●母親の勤務先社長「息子さんがいたという家族構成自体も初めて知った」... 7/19
安倍晋三元総理が銃撃された事件。逮捕された山上徹也容疑者(41)の事件前の行動が徐々にわかってきています。そこから明らかになりつつあるのは襲撃を最終的に決断した時期です。
安倍元総理が銃撃され殺害された事件から11日が経った7月19日朝、奈良市の近鉄大和西大寺駅前に設置された献花台が撤去されました。
逮捕された山上徹也容疑者は、母親が多額の献金をしていた宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」への恨みを募らせ、「安倍元総理と繋がりがあると思い犯行に及んだ」などと供述しています。
母親の勤務先の社長によりますと、母親は家族の話はほとんどせず、事件があるまで息子がいるとは知らなかったといいます。
山上容疑者の母親の勤務先社長「息子さんがおられたという家族構成自体も初めて(知りました)。担当に11日月曜日の日中ですけど連絡があって、当面休みますとだけ言って切ったということです」
山上容疑者が事件前日に島根県のフリージャーナリストに送ったとみられる手紙では、次のような内容が書かれていました。
手紙に書かれた内容『安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません』
警察が山上容疑者の自宅から押収したパソコンの中からも、この手紙と同じ文面データが見つかり、データは7月6日深夜に保存されていたということです。
また、事件前日の7月7日に訪れていた安倍元総理の岡山市の演説会については、4日前に把握していたことも新たにわかりました。スマートフォンで演説予定を複数回確認し、その後、岡山行きの新幹線の片道切符を購入していたということです。
警察は、山上容疑者がこの時期に安倍元総理の襲撃を最終決断したとみて捜査しています。
●山上容疑者めぐるネット民の不気味さ SNSに殺到、果てしない拡散…  7/19
安倍晋三元首相を銃撃して殺人容疑で逮捕、送検された山上徹也容疑者のものとして、メディアで投稿内容が報じられてきたツイッターのアカウントが19日、凍結された。今回の異常なまでのネット民の関心の高さが浮き彫りになった。
山上容疑者のSNSとされる投稿の内容がネット上で報じられ始めたのは17日夕方から。同日夜にフォロワーは1万人となり、多くの人が引用リツイートし、内容を拡散する姿が確認できた。山上容疑者のアカウントと断定されたわけでもないのに、山上容疑者のものとして拡散する動きには、ネット社会が持つ危険性が潜んでいる。ネット民の異常なほどの関心の高さもくっきりで、フォロワーは約1日で4倍となり、凍結直前には4万人超となった。
投稿内容に1つ触れるならば、子ジカが柵にひっかかり死んでいた写真を添え「ほんの少しの手助けがあれば死なずに済んだのだろうか」と問い掛けるものがあった。これを山上容疑者の境遇と重ね、彼に呼び掛けるようにメッセージを送るコメントも多く見られた。
もし本当に逮捕送検された山上容疑者のものならば、これ以上の新規投稿は増えない。だが数万人の人が新規にフォローし、ネット上で情報発信し続けた。19日に凍結されると「凍結される前に読んでて良かった」「どんな人生を歩んできて、どんな思いがあったのか知りたかったのに」と残念がる声すら散見された。
この不可解な動きは、山上容疑者の背景や心理をメディアを通すのではなく、直接知りたいという気持ちの表れだろう。真実を知りたくなる気持ちは理解できるが、度を越した心酔やシンパシーが不気味に思える投稿もあった。くしくも山上容疑者が憎きとしていた“宗教”や“信者”といった関係に近いと思える状況なのかもしれない。
山上容疑者の境遇は恵まれたものではなかっただろう。しかしどんな境遇であっても、人をあやめる理由の正当性にはならない。その線引きを間違えず、ネット上の情報に接したいものだ。
●「我、一命を賭して全ての統一教会に関わる者の解放者とならん」… 7/19
安倍元総理が奈良市で銃撃され死亡した事件で、逮捕された​山上徹也​容疑者が手紙を送っていたとみられる松江市の男性のブログにコメントを残していたとみられることが分かりました。
「我、一命を賭して全ての統一教会に関わる者の解放者とならん」
「復讐は己でやってこそ意味がある。不思議な事に私も喉から手が出るほど銃が欲しいのだ。何故だろうな?」
松江市内に住むフリージャーナリスト・​米本和広​氏の旧統一教会を批判するブログに寄せられた山上容疑者のものとみられるコメントです。
この3カ月前にはこんなコメントも。
「私はただただ統一教会が気に入らない、それだけですよ」
また、山上容疑者はツイッターで
「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない。」
「統一教会員なんぞナチと同等かそれ以下のクズだぞ。」などと投稿していたとみられています。
自身の家族についても。
「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族に家族から窃盗・横領・特殊詐欺で巻き上げさせたアガリをすべて上納させることだ。」
「根本的に家族として崩壊したまま、現実は上滑りしていった。」
さらに、ある人物に宛てた投稿も。
「今回連絡してみようと思ったのはあなたも統一教会を憎んでいるだろうと思ったからです。憎んでいるなら、さぞかし深く深く憎んでおられるだろうと。統一教会を、​文​一族を、許せないという思いがあるならどうか連絡してください YよりWへ」。
ツイッターへの投稿は3年前からで旧統一教会への恨みや自身の生い立ちなどについてのコメントがみられました。
●山上容疑者、借金100万円以上・口座残金20万円…生活費尽きる前に銃撃か 7/19
安倍晋三・元首相(67)が奈良市で銃撃され死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)が事件時、100万円以上の借金を抱えていたことが捜査関係者への取材でわかった。同容疑者は昨秋以降、武器の材料費などへの支出を重ねており、奈良県警は容疑者の事件前の経済状況を詳しく調べている。
山上容疑者は2005年に海上自衛隊を退職して以降、アルバイトや派遣の仕事を転々としていた。20年10月からは派遣社員として京都府内の工場でフォークリフトを運転していたが、体調不良を理由に今年5月に退職。その後は無職で、無収入だったとみられる。
捜査関係者によると、県警が金融機関や消費者金融に照会した結果、事件時、山上容疑者の銀行口座の残金は20万円ほどで、借入金が100万円以上あった。調べに対し山上容疑者は「昨年秋以降に武器を作り始めた」と供述。自宅から手製銃数丁のほか、電子秤(はかり)やミキサーなど多数の工具が見つかり、「銃や実包を作るのに使った」とも話している。
一方で、山上容疑者の派遣社員時代の給与は月20万円ほどで、自宅のワンルームマンションの家賃は月額3万円台。県警は、借金の大半は武器の製造費用に充て、生活費などがなくなる前に安倍氏を襲撃しようとしていた可能性があるとみている。

 

●両親が数千万円を献金して人生を壊された「統一教会2世」の告白 7/20
手製の銃を発砲し、安倍晋三元首相を殺害した山上徹也容疑者(41)。母親が入信する「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に「人生をめちゃくちゃにされた」と激しい恨みを募らせ、同団体と安倍氏の関係を知って逆恨みしたことが動機の一端とされている。旧統一教会は過去に多くのトラブルを起こしたが、信者の子どもである「2世」の実状はあまり知られていない。両親が統一教会信者という家庭で育った女性を取材し、問題となっている高額献金システムや、「2世」がいかに精神的に追い詰められているかなどを聞いた。

「私は父親も母親も統一教会の信者です。2人は教団によるマッチングで結婚して、私が生まれました。いわゆる『祝福2世』です。『祝福2世』はサタン(非信者)の血統が混じっていないことから、ずっと『あなたは神様の子だから』と言われて育ちました。そして外の世界については『サタンがはびこる悪い世界だ』と教えられてきました。だから私もずっと、教会の外の世界は怖いものだ、という価値観で生きてきたのです」
外山道子さん(仮名)は、物心つくときから両親が信仰する宗教の価値観の中で育った「宗教2世」である。その宗教こそが、旧統一教会だった。年齢は30代後半で山上容疑者とそれほど変わらない。両親が教団に多額の献金をしていた、という点でも山上容疑者とは共通点がある。
外山さんには忘れられない記憶がある。小学生のころ、人々の不安をあおって壺(つぼ)などを高額で売りつける旧統一教会の「霊感商法」が大バッシングを受けていた。メディアもこぞって追及していたが、外山さんは子どもながらに、マスコミに大きな怒りを覚えたという。
「母親が『マスコミは根も葉もないうわさでお父様のことを非難して、ひどい』と言って、毎日泣いていたんです。あのころ、私は母親のことが大好きだったから、お母さんをこんなに泣かせるなんて、マスコミというのはなんて悪い人たちなんだと思いました。統一教会が正しいかどうかよりも、母親を泣かせたことが許せなかったんですね」
ちなみに「お父様」というのは旧統一教会の創始者、文鮮明(ムン・ソンミョン)のことである。
先祖430代で1千万円超
外山さん自身は中高生の時から教義に疑問を感じ始め、大学生の頃には教団から距離を置いた。だが、幼いころから心の奥底に染み込んだ教義はその後も外山さんを束縛した。世間とかけ離れた教団の「常識」がなかなか抜けず、人間関係で苦労し、両親の献金により学費にも苦慮した。母親は教団を捨てた外山さんを責め、その呪縛にもずっと苦しめられてきた。
それでも外山さんは「両親も教団の被害者だ」と思いながら親子関係を維持してきた。それゆえ、問題となっている高額献金のシステムなども間近で見てきたという。
1980年代後半から90年代にかけて霊感商法が問題視されて以降、教団は壺は販売しなくなったが、グッズを販売する集金システムはいまも変わらないという。
「例えば『天聖経』という教祖の言葉が書かれた本があるのですが、これは1冊140万円です。実家にも天聖経は置いてありますが、人によっては何冊も購入します。他にも亡くなった後に霊界で住む家の模型なども高額で売られていて、グッズ販売が献金の代わりのような役割を果たしています」
外山さんによると、最近の主な高額献金は『先祖解怨(せんぞかいおん)』だという。
「韓国に清平(チョンピョン)という聖地があって、そこで先祖の恨みを解くための儀式『先祖解怨』をしてもらうのです。私の場合、たとえ両親が信仰によって神様の血統に転換されていても、その前の代、さらにその前の代にはサタンの血統が混じっているという理屈で、先祖代々の因縁を解放するという名目で行われます。先祖をどんどんさかのぼって、最終的には430代にも上ります。ウチの両親もこの献金を行っていましたが、最近、父親が『うちは相当つぎ込んだ。ふつうに家一軒買えるくらい』って、ぼそっと言っていましたから、数千万円は献金したみたいです」
清平とは、ソウル近郊にある「HJ天宙天寶修錬苑(旧天宙清平修錬苑)」のことだ。
外山さんは「実家にあった献金の達成表みたいなもの」と言って、あるグラフを見せてくれた。そこには8本の棒グラフが書かれており、それぞれのグラフの下には父方、母方の家系名が記されている。縦軸に先祖の代が記され、一番上には「430」とある。グラフのタイトルは「先祖解怨祝福勝利430代」。外山さんの両親はこの棒グラフを伸ばすために、数千万円になるまで献金を繰り返していったのだろう。
「統一教会にはサタンに打ち勝つ意味で『勝利』という言葉があるのですが、これは献金額を達成する意味でも使われます。『この家庭はこんなに勝利しました』みたいな感じで礼拝の場で発表されて、みんなから『すごいね』と称賛される。教会内での地位も高くなるから、献金額がどんどんエスカレートしていくんです」
全財産を差し出せ
儀式にともなう献金のほか、定期的な“献金ノルマ”もあるようだ。
「収入の10%を献金する『十分の一献金』が基本ですが、『摂理』と呼ばれる教会のミッションがあって、そのたびに献金を要請されます。教会からファクスなどで頻繁に連絡事項が送られてくるのですが、そのなかに『〇〇摂理を達成するために、1家庭、100何十万、お願いします』みたいなことが書いてある。摂理によって献金ノルマは変わるんですが、1990年代の後半には、全財産を差し出せ、みたいな要請もあったようです」
献金ノルマについて、教団広報部はこう答えた。
「『十分の一献金』とは月例献金のことだと思いますが、強制ではありません。摂理というミッションがあるとは、私は聞いたことがないですね」(担当者)
教団によると、建設会社を経営していた山上容疑者の母親は1998年に入信し、その4年後に自己破産したとみられる。この時期は外山さんが証言した超高額献金が要請された時期と重なる。
しかし、なぜ山上容疑者の母親は破産するほど旧統一教会にのめり込んだのか?
「報道で知る限り、夫が亡くなったり、子どもが病気だったり、つらい事情があったと思うんです。統一教会は、そういうところにつけこむのが常套手段です。『亡くなったご主人が霊界で苦しんでいる』『子どもの病気も先祖の因縁のせいだ』などとかこつける。実態のない霊界を持ち出されて恐怖を植え付けられると、もうお金の問題じゃなくなっちゃうんです。それが高額献金に結びつく。なぜそう思うのかというと、うちの親もそうだったからです」
外山さんの父親はネグレクトに近い状況で育ち、兄弟も知的障害や精神疾患を患っていたことから、昔から家庭についてかなり悩んでいたという。そして、母親も家庭の悩みを抱えていた。
「母親のお母さんは若くして脳卒中で要介護状態になってしまった。ずっと自分は何で生きるんだろうと考えていたみたいです。いろいろな宗教に救いを求めて、最終的に行き着いたのが統一教会だった。うちの両親も心の穴につけ込まれて教団にのめり込んで、高額献金してしまったのです」
高額献金は幹部の懐に
銃撃事件後、教会の田中富広会長は信者の献金について「ご本人に対するノルマという扱い方はしておりません」と発言したが、外山さんは「それはまったく違う」と断言する。さらにこう続ける。
「記者の『これ以上献金すると破綻するからやめましょう、と言うことはあるのか』という質問に対して(田中会長は)『むしろそっちの方が多いです』と答えましたけれど、そんな事例は聞いたことがありません。私は他の2世たちともつながっていますが、むしろ、山上容疑者の母親のように自己破産した信者の家庭の話はよく聞きます。他にも、献金に困って子どものクレジットカードを勝手に作ってカードローンを組んだり、奨学金を使い込んだという話もよく耳にします」
教団広報に聞くと「(破産した人が)いるという話は聞いたことがあるが、よくいるという話は聞いたことない」と回答した。
実際、外山さんは両親が教団に高額献金してきたのを間近で見てきたのだから、会長の発言にはより思うところがあるだろう。だが意外なことに、両親は教会の体質に問題があることは知っているという。
「父親は献金の使い道を知ったとき相当ショック受けていました。信者は献金の使い道を追及してはいけないんです。そのお金は天に返した、ささげたものだから。ところが実際は韓国にいる教会の幹部の懐に入っていたということが、2012年に教祖が亡くなった後、教会内部から漏れ出たのです(教団広報は「聞いたことがない」と回答)。でも、父親は文鮮明先生や教義は間違っていないと言う。必死で自分を納得させていたように見えました」
母親はどうだったのか?
「母親はそういうことについて語らないんですよ。父親よりも教会にのめり込んでいるし、自分の非を絶対に認めないタイプなので、間違ったことをやったとは一切思っていない。だから、信仰は絶対にやめないんです」
教団に対する「恨み」はある
外山さんに旧統一教会を恨む気持ちはあるのか? たずねると、「それは、ありますよ」と語気を強めた。そして、「人生をめちゃくちゃにされた恨み」と、山上容疑者が語った事件の動機とまったく同じ言葉を口にした。
「親への恨みというより、教団への恨みですよね。だって、親もカルト教団につけ込まれた被害者だと思っていますから。教祖も憎いけれども死んでしまった。いまは教祖の妻がトップになっていますが特別な感情はありません。だから教団そのものが憎い。教団によって、どれだけ多くの2世の人生が狂わされてきたか。本当に怒りがわいてきます」
ちなみに、外山さんが「祝福2世」と呼ばれるのに対して、山上容疑者は教団内では「信仰2世」となる。それは彼が生まれた後で母親が入信したことを意味する。
山上容疑者と同化する苦しみ
外山さんは「信仰2世の方の気持ちは十分にはわかりませんが」と前置きしたうえでこう語る。
「もともと裕福なご家庭で、不自由のない暮らしをしていたのが、お母さんが統一教会に入信したことでガラッと生活が変わってしまった。人格的にも変わってしまったであろうお母さんを見て、相当ショックだったんだろうと思います。もちろん、山上容疑者の行為は擁護できませんが、彼の気持ちに共感できるという2世は多いんです」
それと同時に、大きなショックも受けているという。
「これほどの重大な事件に自分たちが育った教団が関わっているというのは、やはりショックでした。さらに、事件の容疑者が自分たちと似通った境遇で、2世たちはそれと同化するように苦しみを感じてしまっている。もしかしたら、ちょっとボタンを掛け間違えていれば、自分たちも山上容疑者のようになっていたかもしれない。私たち2世は今、そういう苦しみが大きくのしかかっています」
●“統一教会2世”が明かす「自民党とのずぶずぶの関係」と「選挙動員」 7/20
安倍晋三元首相を銃撃して逮捕された山上徹也容疑者(41)。母親が入信する「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に「人生をめちゃくちゃにされた」と激しい恨みを募らせ、同団体と安倍氏の関係を知って逆恨みしたことが動機の一端とみられる。AERAdot.では両親が統一教会の信者という家庭で育った「2世」に取材。「前編」では教団の高額献金システムや2世がいかに精神的に追い詰められていくのかを聞いた。教団がどのように自民党との関わりを持ち、信者たちがいかに巻き込まれているのかを取材した。

熱心な旧統一教会信者の両親のもとに生まれ、周囲から「祝福2世」「神の子」と呼ばれて育った外山道子さん(30代後半=仮名)。しかし、成長するにつれて、教会への疑問が膨らんでいった。
「小学生のころ、霊感商法で教団がバッシングされたときは、社会が根も葉もないこと言っていると思っていました。でも、中学、高校生になっていろいろな人の話を聞いていくうちに『あれ、やっぱり教会がおかしいのかな』と思うことが増えてきた。信仰を捨てたのは大学生のころです」
それでも、子どものころから植え付けられた教団の価値観は外山さんに大きな影響を与え、「教会の外」で人間関係を築くのには苦労した。両親が教団に高額献金を続けたことで、経済的に困窮した時期もあった。そうした「2世」の苦しみを経験してきただけに、教団に対する山上容疑者の思いには共感できる部分もあるという(詳細は「前編」を参照)。
自民党とはずぶずぶの関係
一方、山上容疑者が安倍晋三元首相を狙ったことについては「よくわからない」と言う。
「本当は教団のトップを狙おうとしたけれど難しいから、もうやけくそだったんじゃないか」と推察したうえで、こう続ける。
「ただ、統一教会と自民党が深くつながっている、というのは教会にいれば公然の事実です。印象としては、ずぶずぶの関係ですよ」
外山さんは子どものころから選挙のたびに「この候補を推しますので、みなさんよろしくお願いします」と、旧統一教会が自民党の候補を後押しするのを間近で見てきた。
「それは今でもまったく変わりません。教会から自民党の候補に投票を促すメールが親に送られてきていますから。教会が街頭演説の動員をかけたりもしています」
教団広報部に自民党を支援している実態があるのかと問うとこう回答した。
「(教会からメールが送られてくるとは)聞いたことはない。宗教法人として組織的にある特定の政党や候補者を応援しているということはありません」
なぜ、旧統一教会は自民党を支援するのか? 外山さんによると、両者は共鳴するところがあるのだという。
「もちろん岸信介さんと文鮮明との関係もありましたけれど、やっぱりイデオロギーが近いからでしょう。反共、憲法改正、あとは同性婚反対、夫婦別姓反対とか。そういうところで昔から共鳴するところが多く、双方にメリットがあるのだと思います。うちの父親は『勝共連合』の活動にも打ち込んでいましたね」
国際勝共連合(通称、勝共連合)は反共産主義を掲げる政治団体で1968年に文鮮明が設立した。日本が共産陣営と激しく対立した冷戦時代、勝共連合と自民党は協力関係を築いた。
「父親は共産党の集会に潜り込んでヤジを飛ばしたり、街頭でよく演説をしていました。もちろん自民党大好きで、安倍晋三さんのことも『あんなにすばらしい総理大臣はいない』と言っていました」
安直なバッシングで終わってほしくない
外山さんに勝共連合と旧統一教会のつながりを尋ねると、「実態として同じ団体だと思っていました」と答える。
安倍元首相がビデオメッセージを送ったNGO「天宙平和連合」についても「実態として旧統一教会と同じ組織です」と断言する。あくまでも「友好団体」という言い方にこだわる教団側とは異なる。
「事件が起きて以降、統一教会と自民党の関係について指摘すると、それを陰謀論のように語る人がいますが、私たちからすると当たり前すぎる事実なのに、それを知らない人が多いことの方が驚きです。ちなみに今回の事件について、教会は『安倍さんはサタン(旧統一教会の信者ではない人たちの総称)に連れて行かれた』と信者に説明しているみたいです(教団広報は「聞いたことはない」と否定)」
霊感商法が社会問題となって以降も、統一教会は名称を変えて活動してきた。だが、実質的には教義も献金のシステムも大きくは変わっていない、と外山さんは話す。
「事件の後は、また統一教会がメディアでよく取り上げられるようになりましたが、安直なバッシングには違う危険も感じています。『やっぱりカルトは怖いよね』『ああいう人たちとは関わらないようにしよう』ということだけで片付けられてしまうと、統一教会の構造的な問題は何も解決しません。単なるバッシングで終わってしまうと、かたくなに教義に閉じこもる熱狂的な信者を増やしてしまうことにもなりかねません」
外山さんはこの問題が「自分とは関係ない」と切り離され、見過ごされてしまっている状況に危機感を抱いている。
「『あんなカルトに入っているやつは頭がおかしい』とか『変な宗教をやっている家に生まれなくてよかった』とか、自分とは関係ない問題だと思っている人は多いと思います。でも、本当の恐ろしさを分かっていません。統一教会だって名前を隠しながら、身近なところで活動しています。誰もがある日、飲み込まれてしまう可能性があることをもっと理解してほしいです」
外山さんは、再び山上容疑者の家族のような被害者が生まれないことを願っている。
●山上容疑者の供述で注目「安倍派」と「旧統一教会」とのつながりは? 7/20
安倍元総理の銃撃事件をめぐって「政治と宗教」の繋がりに注目が集まっています。政界に幅広い人脈がある政治ジャーナリストの後藤謙次さんが、宗教団体と政治家個人がつながる背景などについて解説しました。また、今秋に開催される「国葬」は、岸田総理の「即決だった」といいます。背景にどんな思惑があるのでしょうか?
岸信介元総理から始まった「安倍派」と「旧統一教会」との脈々とした人的繋がり
――山上徹也容疑者は母親が多額の献金をしていた宗教団体「旧統一教会」への恨みを募らせ、「安倍元総理と繋がりがあると思い犯行に及んだ」などと供述しています。ここで出てくるのがこの「宗教」と「政治」についてです。まず、自民党としては、宗教と接触はしないが、個人間では接触があったということですが、その点は具体的にはどんなことでしょうか?
「憲法20条で政教分離の原則がありますね。国家は宗教団体に対して中立で無色であると。その一方で宗教団体は自らの宗教的な目的を達成するために国家権力は使わないと。そこは非常に明確な区切りがあるんですが、いざ選挙となると、宗教団体と政治家・個人は非常にある面で相性が良いといいますか、持ちつ持たれつの関係になるんですね。その点で、旧統一教会の団体とですね、岸信介元総理の関係から始まった安倍派には、その脈々とした人的な繋がり、あるいは親和性みたいのがあったということは以前から永田町では知られた事実でありました」
「切りたいけれども切れない」宗教団体と政治家がつながるメリット「選挙の票」と「人出」
――安倍派の議員と旧統一教会が繋がりがあるというのは以前から知られていたということなのですが、宗教団体と繋がるメリットは「票」と「人手」というところがある?
「大きいですね。特に選挙になりますと、候補者は非常に見えない票をあてにしながら運動を続けるわけですね。そういう中で、いくつか『見える票』というのがあるのですが、業界団体や特に宗教団体ですよね。ここに一定の信者の数がいれば、その数が全部来るとは限りませんけれども、ある程度は票が見えると。それから選挙は人手がたくさん必要ですね。例えば、ポスターを町中に貼るとかですね、集会をやったときには交通整理の人や受付の人も必要になります。人手を宗教団体はかなり快く出してくれると。その関係が議員にとって非常に魅力的になって、切りたいけれども切れないと。頼りたくないけども頼りにならざるを得ないと。そういう関係がずっと続いたんだと思います」
安倍元総理の「国葬」岸田総理の判断理由が薄弱…説得力伴う説明を
――安倍元総理大臣の葬儀は今秋に『国葬』で行うと岸田文雄総理大臣が発言しましたがその点についてはどう感じましたか?
「今、内閣府が設置法というのがあってそれを援用してやろうということであって、まさに基準作りがないまま行われているというところが、今の岸田さんが決めた国葬の最大の問題点ですね。やや例は違いますけども、1989年に1月7日に亡くなった昭和天皇の『大喪の礼』を2月24日にやりましたけども、これは法律的な根拠があるわけですね。天皇が崩御した時には大喪の礼を行うと。しかし詳細にどうやったらいいのかというのは一切決まっていなくて、ただその後は政府の中でかなり検討してですね、国民に非常に周知をしながら、こういう形でやりますよというのを決めたんですが、今回の決断はまさに岸田さんの政治決断というですね。つまり佐藤榮作元総理が亡くなったときに、吉田茂元総理を引き継いで国葬にしなかったのは、『国葬は果たして良かったのか』とそういう疑念が残ったんだと思いますね。そこで「国民葬」という非常に曖昧な中間的なところで国民世論を収めていくと、そういう手法がとられたものです。小渕さんの合同葬も、国葬に近いような例えばアメリカのクリントン大統領が来たりで、そういうことは十分可能なわけですから、やはり基準を明確にすると、それは今後これからでも遅くないんですね。国葬の日までに。岸田さんが明示した3つの非常に政権の期間が長かったとかですね、国際社会で悼む声が強いとか、日本の民主主義の国家だということを国際社会に知らしめるっていう3つが岸田さんの国葬にした理由だったんですが、非常に薄弱でですね、説得力が伴わないと。これから9月末まで時間があるわけですから、その間にきちっと国民に説明できる。安倍さんの国葬の根拠ということについて説明責任が岸田さんにはあると思います」
――実際に反対する発言もありまして、立憲民主党の辻元さんはTwitterで『安倍元総理の国葬に反対します。どんな功績や基準で判断されたか不透明だ』と発信しています。秋までは「服喪期間」であるということは、人事の話は控える雰囲気だと、そうすると岸田総理の求心力が高まるんじゃないかという計算が故人を弔うという裏側にあったんじゃないかと後藤さんそういうことなんですね?
「私はその1つだと思いますね。あともう1つは、安倍元総理自身が言っていた岩盤支持層という保守層をいっぱい抱えているわけですね。そこに対する、離反を招かないという判断があったと思います。それから国葬すれば世界各国から要人が日本を訪れるわけですから、その中心に位置するのが岸田さんになるわけですね。岸田外交を全面展開するという意味では、あらゆる意味で岸田さんが主人公になると、おそらく瞬時に判断した多くの最大の理由だなというふうには考えています。岸田総理と安倍元総理は非常に緊密な関係でもあったんですね。93年に初当選したとき、お2人は自民党から出たんですが、当選したら野党だったと。極めて特殊なスタートしているわけですね。そして岸田さんがよく言っていることとして、安倍さんと自分はずっと自民党だという連帯がすごくあるんですね。この間、野党との離合集散、あるいは自民党自体が分裂したりと、自民党でずっとやってきた人は非常に少なくて、その中の数少ない同士が安倍さんだったと」
――国葬が想定されている今年9月までの間に議論をする何か形が変わるなど再考するということになるのでしょうか?
「一応野党側は閉会中審査というのを求めているんですね。これについてきちっと議論しましょうと。それは岸田さんがきちっと受けて立ってですね、もう一度きちんと整理した形で国葬をやる理由は、国民に説明した方がいいと思います」
●山上徹也の伯父の言葉をめぐる「当事者とメディアの使命と責任」 7/20
7月14日発売の「週刊文春」と「週刊新潮」が、安倍晋三元首相の銃撃犯である山上徹也の生い立ちや境遇を語る、山上の伯父のインタビュー記事を掲載、大きな話題になった。
実は、伯父にいちばん最初に接触できたのは朝日新聞だった。そこから、各メディアが伯父のもとに殺到するのだが、伯父側には「真実を報道してほしい」という意向があったとされ、そうして選定されたのが、文春、新潮の両誌だったという。一方、テレビ局、新聞社など他のメディアは取材に応じてもらうことができず、業界内ではちょっとした騒動になっていた(ただし本稿入稿のタイミングになって、各社の囲み取材には応じるようになった)。こうした伯父の当初の姿勢に対して筆者は、なぜ、自身の言葉を報じてもらうのに媒体を選択する必要があるのかという思いが湧き上がってきてしまうのだが、それについては後述する。
まずは余談になるが、朝日新聞の教育部から「最近、ご活躍中とのご様子で、撮影付きのインタビュー取材をお受けいただけませんでしょうか?」と連絡があったのは、4月下旬だっただろうか。内心では「わざわざ東京にまで行って、取材に応じるのはひどくめんどくせえな……」と思ったのだが、つい「教育部」という言葉にうっとりしてしまい、条件反射的に「良いですよ〜」と応えてしまったのだ。
この件については、私も反省はしている。なぜならば、その後、「まだですか?」的なやんわりとした催促を何度かされながらも、日々の忙殺ぶりを言い訳になかなか取材に応じることができなかったのだ。痺れを切らした朝日新聞サイドが、いよいよ「◯日にこちらから伺います!」となったのだが、ちょうどその日は都内で仕事の予定だったので、「大丈夫ですよ。今度こそ私が行きますから〜」と伝えたまではよかったのだが、実際は大丈夫ではなく、上京する前日に、コロナに見舞われてしまったのだ。
――さんざん待たせやがって、このボケだけは…――
朝日新聞の沸々とした怒りの声は、手に取るように伝わってきていたが、40度の高熱なのではどうしようもない。コロナが完治すれば連絡ください、と告げられるも、しばらくしてすっかり完治した頃にはそのことを失念し、「あっ、そうだ! 朝日新聞に連絡せな!」と思ったときには、時すでに遅し。「もう紙面が埋まりましたので大丈夫です!」とピシャリと断られてしまったのである。
そっちが取材を申し込んできたのに…と思わなくもなかったが、経緯が経緯なだけに、どう考えても悪いのは、私と、しいていえばコロナである。またよろしくです的な連絡をして、肩の荷を下ろしたのだった。
文春と新潮の埋めがたき差
余談ついでにもう一ついえば、山上の伯父のメディア選定についてだが、確かに伯父が選んだ文春の取材力、記事の構成力は半端ではない。伯父のインタビューを取った上に、安倍元首相事件関連の特集で40ページをブチ抜き、他誌を圧倒して見せたのである。
現場に派遣された記者の数も半端なかった。大手新聞社ですら10人前後だったのに、文春は20人も現場に投入させてきたのだ。至るところに文春の記者の影があり、その取材力や人脈に他メディアも圧倒されることになったのだが、果たして新潮はどうだったかというと、少し勘違している側面があっただろう。簡単にいえば、伯父のインタビューが取れたということにあぐらをかいたのか、特集全体としては食い足りない印象だった。
初めに一言いわせてほしい。新潮さん、ごめんなさい……私めはこういう人間なんです……でも、先日依頼された書評原稿は締め切り前に入稿しましたから……。
もう随分と前から、紙の雑誌に原稿を書くことはしていない。格式でいえば、書き手はネット媒体ではなく、紙媒体を選ぶのだろうが、私は、各々の媒体独特の編集方針、例えば、この週刊誌ならばこう書かなければならない、この新聞紙ならこういう日本語を使わなければならない的なスタンスと、きっちり決められた文字数のキメ原(完成に近い原稿)で入稿しなければならないことが、堅苦しくなってしまったのだ。それでいて原稿料は安いし……。
ただ、先日は久しぶりに新潮の知り合いの人から電話で書評を頼まれた際、すぐに断ろうと思ったが、その破格の原稿料を聞かされ、引き受けてしまったのだ。だから余計に、新潮のことを悪くは言いたくないのだが、新潮と文春に同日に掲載された山上の伯父のインタビューを含む特集記事を比較してみると、両誌には埋めがたいほどの歴然とした差が生じてしまっていることを感じてしまったのだ。
昔の人は、文春と新潮といえば、二大巨頭として見ていたが、現在、新潮の売れ行きは週刊誌の中では二番手ですらないのだ。山上の伯父も、世代的に2誌に対するよいイメージが根強かったのだろう。十分な誌面を割き、真実を報道してくれるはずと評価していたからこそ、当初は他のメディアの取材は受けず、この2誌のみに対応したのだと思われる。
ただ、冒頭でも触れたが、山上の伯父が、正しく報じられることを求めて、取材を受けるメディアを選別すべきような立場だったかどうかについては一考に値するはずだ。
確かに文春は、山上徹也について、憐憫に訴える記事を掲載している。安倍元首相銃撃の是非に議論の余地などないが、蛮行に及ぶまでの山上を取り巻く境遇は残酷過ぎたことがわかる。
7月19日に凍結された山上本人のTwitterアカウントと思われる投稿からも、そうした点が伝わってくる。だが、そういった抗いきれない現実があったとしても、どんな境遇であろうとも、山上に同情や情状酌量の余地があるかといえば、それは別次元の話だ。いくら山上の境遇が不幸であったとしても、それと安倍元首相の間に直接的な接点など微塵もないからだ。
山上の伯父は、山上に関して真実を報道してほしいという気持ちが強いようだ。伯父は、弁護士という聖職に就いているだけに、立派な人物なのだと思う。宗教に傾倒してしまった山上の母親に、最後の最後まで何度も手を差し伸べ、山上自身についても今も見捨てようとはしていない。そこからは、筆舌には尽くし難い苦悩と葛藤に苛まれていたことを容易に想像することができる。ただ、不幸なことに、伯父は犯罪者の親族となってしまったのだ。それも安倍元首相を凶弾で倒した殺人事件のだ。
そう考えたとき、山上の生い立ちや環境を正しく、広く報じてもらうためにも、山上の伯父は、自身の言葉を報じる媒体を選択すべきではなかったのではないか。少なくとも、真実を報じるのはメディア側の責任だ。山上の素性や背景を洗い、報じていく。その中には事実と異なる記事や誇張や歪曲された内容も入り混じってくるだろう。だが山上は、そのような扱いを受けてしまいざるをえない罪を犯してしまったのだ。
山上にも守られるべき人権はある。不幸な境遇もあっただろう。だからといって、今は国民の知る権利に応える立場にあるメディアが筆を鈍らせてはいけない。もちろん、不法性を伴う報道などに対しては、山上サイドが法的手段なりをとって白黒はっきりさせればいい。突然、針のむしろにのせられた親族の心中は計り知れないものがあるが、山上の伯父の言葉は、国民の誰もが知るべき対象であり、それをどう評価するかも国民の判断に委ねられるべきなのだ。
安倍元首相銃撃事件をめぐる情報や議論は錯綜している。特にSNSの論調は危険だ。ときに得体の知れない正義を「いいね」や「リツイート」によって生み出してしまう。だが、心配することはない。見ていて不愉快な気分になるものは、そっと閉じれば良いだけだ。人間が生きている世界はネットの中ではなく、現実の社会だ…とか言いながら、私は今日もネット媒体で記事を綴るのであった。
●山上容疑者の母「信仰は続けたい」 妹が事件後に漏らした“本音”とは 7/20
安倍元総理の銃殺事件から10日余りが経過した。背景にあったのは、山上徹也容疑者(41)の母親の統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への傾倒。当の母親は事件後、近しい知人に「信仰は続けたい」と語っているという。
山上容疑者の伯父によると、母親は夫の自殺と、息子(山上容疑者の兄)が6歳の時に小児がんになったことを機に、統一教会に入信。その後、夫の死亡保険金などを含め、1億円以上を献金してきた。結果、「(山上容疑者は)大学は入学金や学費の問題があって、断念せなあかんかった」(山上容疑者の伯父)という。
高校卒業後、任期制自衛官として2002年に海上自衛隊の佐世保教育隊に入隊した山上容疑者は、05年1月、自殺未遂を起こしているが、
「統一教会が原因で兄と妹の生活まで困窮している。そこで、自分が自殺して保険金を渡そうと考えたというわけです。本人からそう聞きました」(同)
山上容疑者を自殺未遂、そして今回の凶行へ追い込んだ母親は、いま何を思うのか。17日朝に電話を受けた、彼女と親しい統一教会の関係者が声を潜めて言う。
「母親は安倍さんのご家族に謝罪したいとは話していましたが、一方で、息子さんがこれだけ重大な事件を起こしたのに、教会の批判は一切、口にしていません。事件後も“私の至らなさで、こんなことになってしまった。でも、信仰は続けたい”と言っています」
なおも信仰を捨てていないあたり、問題の根深さを感じさせる。一方で、山上容疑者の妹に遭遇した知人は、こう打ち明けられたという。
「もう4年くらい会ってないし、一緒に住んでもおらんから、事件起こしたとか言われても、知らん」
●山上容疑者はSNSで安倍元首相を擁護…“銃撃はアベガーのせい”大崩壊 7/20
安倍晋三元首相(享年67)を銃撃し、殺害した山上徹也容疑者(41)。山上容疑者のものとされるTwitterアカウントが発見され、17日ごろからネットやメディアで話題に。
各メディアによると、同アカウントは安倍政権を批判する投稿に対し《安倍政権の功を認識できないのは致命的な歪み》《安倍憎しの最初にありきが見え見えの愚論》と擁護ツイート。中には《ネトウヨとお前らが嘲る中にオレがいることを後悔するといい》という投稿もあったという。
しかしSNSでは、事件当初からいわゆる“アベガー”が事件を起こしたのだとする声が相次いでいた。アベガーとは、安倍元首相に対して否定的な人を揶揄するネットスラングだ。
そして、著名人のなかにも「アベガーが犯行に及んだ」と主張する人たちがいた。例えば安倍元首相が亡くなった8日、実業家の堀江貴文氏(49)はTwitterにこう投稿している。
《反省すべきはネット上に無数にいたアベカー達だよな。そいつらに犯人は洗脳されてたようなもんだ》
さらに9日、フジテレビの上席解説委員である平井文夫氏は『FNNプライムオンライン』に「安倍晋三さんを死なせたのは誰だ」というタイトルのコラムを掲載。
そこで平井氏は「(安倍元首相に対して)特定のマスコミや有識者といわれる人々が、テロ教唆と言われても仕方ないような言動、報道を繰り返し、暗殺されても仕方ないという空気をつくりだしたことが事件を引き起こした」とする文章を読んだといい、《僕の胸につかえていたのはこれだった》とコメントし、こう続けている。
《「闘う政治家」だった安倍氏に対しては攻撃もまた激しかったが、中には「許さない」とか「死ね」とか明らかに常軌を逸したものもあった。そしてそうした言動に対して私たちは「ダメだ」とはっきり言ってこなかったのではないか》
また12日、橋下徹氏(53)は『ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜』(TBS系)で「政治家に対しての批判ってね、政策の批判とか疑惑の批判っていうのは厳しくやればいいと思うんです。ただ度を超えた『死ね』とか『死んでいい』とか。それはね、いくら表現の自由でも政治家に対しては違うと思います」と発言。
そして、「安倍さんに対しての強烈な『死んでもいい』ぐらいの、そういうものがもし、犯人の犯意に影響してたっていうんだったら本当に悔やまれるし、成熟した民主国家では絶対あってはならないことだと思います」と述べていた。
いわゆる“アベガー”の存在や発言が山上容疑者の凶行に影響を与えているかのような発言をしたホリエモンや橋下徹氏ら。しかし、山上容疑者は当初から取り調べに対して「政治信条に対する恨みではない」と供述。そして、今回Twitterで安倍元首相を擁護するような投稿もしていたことが判明した。そのため、ネットではこんな声が上がっている。
《左派やアベガーのせいで銃撃事件が起きた云々は全く見当違いだったと勇み足だった人たちは認めるべきでは》《今回の凶行がアベガーのせいであると主張していたホリエモン他の主張は完全に事実無根の言いがかり。アカウントが当人のものであれば》《「安倍さんが殺されたのは、安倍批判しまくった野党やメディア、ネットにはびこるアベガーのせいだ!」みたいなこと言ってたの、謝罪してくんねえかな。動機全然違ったぞ》《なんのために無根拠な主張をしてたのか》 

 

●山上容疑者、事件の1カ月前から無職 収入途絶え犯行決意か 7/21
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)が事件の約1カ月前から無職だったことが21日、奈良県警への取材で分かった。収入が途絶えたことで経済的困窮への不安を抱いていたとみられ、県警は安倍氏の襲撃を最終的に決意した一因になった可能性があるとみて、経済状況を詳しく調べている。
山上容疑者は令和2年10月から今年5月まで、派遣社員として京都府の工場で勤務。体調不良を理由に5月15日付で退職したが、その直後から、大阪府内の別の会社で派遣社員として勤務していたことが新たに判明した。
県警によると、大阪府の会社では夜勤でフォークリフトの操作を担当していたが、1カ月足らずで自己都合で退職を申し出ており、6月上旬に退職した。山上容疑者はフォークリフトの免許を所持しており、京都府の工場でも、トラックへの荷物の積み込みを行っていた。派遣元はそれぞれ別の派遣会社だったという。
捜査関係者によると、事件を起こした際の預金残高は十数万円。手製の銃の材料費でクレジットカードの支払いなどもあり、経済的な不安を抱えていたとみられる。
●「復讐は己でやってこそ意味がある」安倍元総理銃撃事件 7/21
安倍元総理が銃撃され死亡した事件。逮捕された山上容疑者が「圧力鍋で作る爆弾から銃での犯行に切り替えた」といった趣旨の供述をしていることが分かりました。
今月8日、奈良市内で安倍元総理を銃撃したとして逮捕された山上徹也容疑者(41)が警察の取り調べに対し、「圧力鍋の爆弾などを最初に作ったが、その後、銃を作ることにした」といった趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材で分かりました。
おととし12月には、島根県のフリージャーナリストの男性が運営するブログに、「復讐は己でやってこそ意味がある」「喉から手が出るほど銃が欲しい」などとも書き込んでいて、警察は、山上容疑者が安倍元総理を確実に狙うために爆弾から銃での犯行に切り替えたとみて調べています。
●山上容疑者、数十万円以上の借金 銃づくりの費用で経済的ひっぱくか 7/21
安倍晋三元首相(67)が奈良市で8日、参院選の街頭演説中に銃で撃たれて殺害された事件で、無職の山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=に少なくとも数十万円の借金があったことが捜査関係者への取材でわかった。手製の銃の材料を購入しており、カードの支払いや金融機関からの借り入れが残っていた。
山上容疑者は「金がなくなり、7月中には死ぬことになると思った。その前に安倍氏を襲うと決めた」と供述しているといい、奈良県警は事件の背景の一つに借金があるとみている。
捜査関係者によると、山上容疑者は「昨年春ごろから武器を作り始めた」と供述。奈良市内のマンションの自室の家宅捜索で、手製の銃5丁と作製途中のもの二つのほか、数種類の火薬が見つかった。電子はかりやミキサー、工具類など計十数点が押収された。
こうした道具や、銃の弾が入る空の薬莢などの部品は、ネットなどで購入していたことが判明。銃を自作する前に圧力鍋を使った爆弾の製造を考えていたといい、「爆弾を作るために、圧力鍋を購入した」とも供述しているという。
県警によると、昨年11月から今年2月ごろの間、銃に使う火薬を乾かす場所として、県内のシャッター付きガレージを月約1万5千円で借りていた。
山上容疑者が住むマンションの関係者によると、容疑者の部屋の家賃は月約3万5千円。軽自動車と原付きバイクを所有し、軽自動車は契約駐車場に止めていた。県警は軽自動車とバイクも押収している。
山上容疑者は派遣会社に登録し、京都府内の企業の倉庫で働いていたが、「体調が優れない」などとして今年4月に退職を申し出て、5月15日に退社。県警によると、その後、大阪府内の会社に勤めたが、6月初旬に「自己都合」で退職した。
県警が山上容疑者の経済状況を調べたところ、カードの支払いや消費者金融からの借り入れがあり、借金は計数十万円あった。県警はカード会社などへの照会作業を進め、ほかにも債務がなかったか調べている。
銃の作製過程では、火薬の調合や試射を繰り返したとも話しており、銃を完成させるための費用がふくらみ、経済的に逼迫したことが事件の背景にあるとみて調べている。
山上容疑者は7月3日、安倍氏が岡山市で7日に演説する予定をインターネットで把握。事件2日前の6日には、岡山市までの新幹線の片道切符をJR奈良駅の券売機で購入していた。翌7日に岡山に向かったが、演説会場には受付があったため入らず、襲撃を断念して奈良市内に戻っていたという。
山上容疑者は8日午前11時32分ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で安倍氏を背後から銃で撃ったとして殺人未遂容疑で県警に現行犯逮捕された。
●精神鑑定される山上容疑者を追い詰めた戦後社会の「孤独」と病理を考える 7/21
「安倍は本来の敵ではない」
《安倍は本来の敵ではないのです。あくまで現実世界で最も影響力のある統一教会シンパなのです》《安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません》
山上徹也容疑者は安倍晋三元首相を殺害する直前、宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧世界基督教統一神霊協会・統一教会)に批判的なブログを発信しているフリーライター・米本和広氏に、銃撃を示唆する手紙を送っていた。
そのなかで山上容疑者が、統一教会との約30年にわたる因縁に触れている。
《母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産……。この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は、私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません》
こう恨みを書き綴りながらも、襲撃対象の安倍氏に対しては、冒頭のように冷静だ。「本来の敵」でないのは自覚している。
山上容疑者は、教団トップの韓鶴子氏を標的とし、それが果たせないから安倍氏に置き換えた。その短絡さと想像力の欠如には驚かされるが、報じられている「山上供述」は一貫しており、合理的で揺るぎがない。
従って「心神喪失者の行為は罰しない」という刑法第39条には相当しないのではないかと思われる。しかし検察は、犯罪の重要性の観点からも精神鑑定を行う方針だという。精神鑑定の結果はともかく、動機の解明は不可欠だろう。
安倍氏は憲政史上最長の8年2ヵ月、宰相の座にあった政治家である。6回に及ぶ衆参の国政選挙に勝利し、そういう意味では国民的人気を集めた。また、政治的には憲法改正に道筋をつける保守主義を浸透させ、経済的にはアベノミクスでデフレ脱却を目指し、外交的には米国のトランプ前大統領、プーチン露大統領、習中国国家主席と伍して交渉、日本の存在感を見せつけた。
山上容疑者が安倍殺害によって、統一教会への鬱積した長年の感情を解放できたとは思えない。襲撃後、取り押さえられ無抵抗で空を見上げている姿も、奈良地検に送られる送検時の映像も、表情はなく空虚な目をしており、少なくとも満足感は窺えない。
精神鑑定が明かすのは責任能力があるかないかの病理である。だが、国民にとって重要なのは戦後の代表的政治家の命を奪った男が持っていた社会的病理である。その解明なくして安倍氏は浮かばれず、好悪はともかく長年、日本をリードした政治家を失った国民の喪失感は克服できない。
「通り魔殺人」という拡大自殺
自殺には至っていないが、山上容疑者の行為が「自死を遂げる際に周囲を巻き込む『拡大自殺』の一種」であるのは間違いなかろう。これまでの多くの拡大自殺が確認され、その数は年々、増えている。
大阪教育大学付属池田小学校事件(2001年)、秋葉原無差別殺傷事件(08年)、相模原障害者施設殺傷事件(16年)、京都アニメーション放火殺人事件(19年)、そして昨年12月には26名が犠牲になった大阪・北新地のクリニック放火殺人事件があった。
背景や事情はそれぞれに違うし、山上容疑者の場合は無差別大量ではない。だが、後先を考えず「本来の敵」ではない安倍氏を狙ったという意味では、本人の意識はともかく「通り魔殺人」には違いない。米犯罪学者のJ・レヴィンとJ・A・フォックスが、「大量殺人の心理・社会的分析」のなかで殺人を犯す六つの要因を挙げてる。
1. 長期間にわたる欲求不満
2. 他責的傾向
3. 破滅的な喪失
4. 外部のきっかけ
5. 社会的、心理的な孤立
6. 大量破壊のための武器入手
いずれも山上容疑者の人生に重なり合う。
手紙にある約30年前というのは、母親が統一教会に入信したときだろう。取材に応じている伯父によれば、以降、母親は自殺した夫の死亡保険金、相続した不動産などを売却、1億円以上を教会に注ぎ込んだという。
あげく02年に破産。山上容疑者は海上自衛隊に入り、そこでも家族からの呪縛から逃れられず、自殺を図っている。除隊は05年8月である。
以降は、測量会社など複数の会社でアルバイトをしながら暮らした。宅地建物取引主任者、2級ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得したとして、13年からは派遣会社で働き始めている。
1990年のバブル経済崩壊以降、労働市場の規制緩和が行われ、99年には派遣できる業種が原則、自由になった。2006年からは派遣期間は無期限となり、企業の使い勝手は良くなった。それを映して人材派遣業は急拡大、非正規雇用の割合は増えた。
ロストジェネレーション、就職氷河期世代に重なる山上容疑者が、取得が難しい宅建主任などの資格を取ったということは、正社員のような安定した職を望んだのだろう。しかしそれは果たせず、どこかに帰属することなく派遣会社に登録、20年からは京都府内の工場で、フォークリフト免許を生かして働き始めた。
YouTubeなどの動画サイトで銃の作製方法などを調べ、火薬などを調達し始めたのは昨年春頃からだった。襲撃対象が安倍氏に置き換わるのは、昨年9月の天宙平和連合が開催した大会に安倍氏がビデオメッセージを送ったのを観てからである。
山上容疑者は、母親によって破壊的な喪失を受け、生活環境は改善しないまま欲求不満を抱き続けている。二極化する社会構造のなか、敗者をムチ打つ自己責任論に抗するには、他に責任を転嫁せざるを得なかった。そして家族や地域社会、会社というコミュニティとの縁を持てず、社会的にも心理的にも孤立していた。大量殺人を伴う拡大自殺の要件は満たしていたのだ。
カルト宗教にも新自由主義にも同根の怖さ
山上容疑者のTwitterには、頼り頼られる者のいない孤独と虚無が書き込まれていた。
《だから言っただろう。最後はいつも一人だと。頼りになれるのは自分しかいないと。プライドしかないのだと》(19年12月7日)《何故かこの社会は最も愛される必要のある脱落者は最も愛されないようにできている》(20年1月21日)
呪詛のような言葉を吐き散らしながら、フォロワーはおらず、また想定もしていないようだった。孤独ではあるが、80年生まれの山上容疑者は、物心がついた時には携帯電話があり、IT環境が整いつつあったネット世代である。
皮肉なのは、安倍氏が声をあげ始めたネット世代の保守層に、比較的、支持されていた政治家であることだ。
「草の根保守」といわれる日本会議を中心とする保守勢力は、『月刊Hanada』『月刊WiLL』などの保守系雑誌と連携、櫻井よしこ、百田尚樹といった論客に語らせることで憲法改正、嫌韓・嫌中といった動きをリードした。
そうした勢力に支えられて安定政権を築いたのが安倍氏で、「物言うネット世代」には、「ネトウヨ」と呼ばれる保守勢力が一定数いて、安倍氏の人気は高かった。
第一次安倍政権が発足したのは06年でツイッターが創業した年だった。同時にFacebookも一般に開放され、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が始まった。病気による退陣後、第二次安倍政権が誕生した12年12月以降は、SNSは市民生活に根付き、誰もがどこでもつながることのできる必要不可欠なツールとなった。
だが、SNSが失われた家族関係やコミュニティの“代役”を果たせるわけではなかった。家族、地域社会、企業といった価値観を同じくする集団のなかにいて人と連帯してアイデンティティを深める、といったリアル社会の安心感は得られない。
一方で、同じ価値観の集団に属さないことによる生活の不安定さは収入の不安定さでもあり、精神的な孤独と孤立に追い詰められる。
山上容疑者は「安倍殺害」という目標を定めたことで、職場での人間関係が煩わしくなったのか、派遣先では欠勤がちとなり、同僚などとのトラブルも頻発、今年5月には退職する。収入は途絶え、事件当日の通帳残高は20数万円。負債もあって、金銭面でも「やるしかない」と追い詰められていた。
今回の事件を受けて記者会見した統一教会の元二世信者は、追い詰められ相談する先もない時、「いのちの電話」にすがりついたという。最も辛く、死を意識するのは孤独と孤立であり、必要なのはリアルな会話とぬくもりである。
根こそぎ資産を要求し、完全なる帰依を求める宗教団体は怖いが、優勝劣敗のなか敗者を自己責任原則で追い詰める新自由主義にも同じような怖さがある。求められるのは、インクルージョン(包摂)の観点で、排除せず、孤立させないことだろう。
安倍氏は、第二次大戦後、「テロなき国家」と思われた日本で起きた「テロ」に倒れた。その原因を解明のうえ、要因を除去することが、「国葬」以上の弔いになるはずだ。 
●自民党が旧統一教会との"ズブズブ関係"を断ち切れないワケ  7/21
宗教と政治のズブズブ関係が話題になるのは一瞬
安倍晋三元首相の「悲劇」を受けて、世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)と政治の関係が注目されている。
メディアでは連日のように、「安倍家3代と統一教会」「自民党と宗教との深い関係」なんてニュースが報じられ、中にはこの宗教と関係が深い自民党議員などを羅列したリストまで公開されている。
評論家や著名人も黙っていない。「カルト宗教が日本を食いものにしているのを止めるべき」「今こそ自民党は旧統一協会との関係を断ち切れ」などという意見が多く聞かれる。
ただ、統一教会と政治の関係を30年近く注視してきた立場から言わせていただくと正直、この宗教団体と自民党との関係を断ち切ることはかなり難しい。ましてや、カルト扱いして日本から追い出す、なんてことは不可能だと感じる。
今は安倍元首相を失った悲しみでマスコミも威勢のいいことばかり言っている。もし熱烈な安倍氏支持者や愛国者の皆さんから「報復」のような形で、旧統一協会関連施設や、信者が襲撃されるというようなトラブルが起きれば、さらに世論もヒートアップするだろう。
ただ、それだけだ。喉元過ぎればなんとやらで、別の大事件が起きればマスコミはわっとそっちに飛びついて世間の関心も薄れていく。半年も経過すれば、多くの人は「統一教会? ああ、そんな事件あったね」なんて反応で、自民党とズブズブだなんだという話も忘れ去られていく。
旧統一教会を弾圧できない「オトナの事情」
なぜそんなことが断言できるのかというと、「30年以上前からその繰り返しだった」からである。
実ははるか昔から「自民党と統一教会」「岸信介から続く安倍家との関係」なんて話は週刊誌などでは当たり前のように扱われていた。テレビや新聞はスルーしていたが、それでも1980年代に「霊感商法」が社会問題になった時などは、連日のようにこの宗教を取り上げて大騒ぎをしており、その過程でこのテーマにも言及していた。
しかし、それで「終了」だ。何かの話が飛び出して瞬間風速的に注目を集めるが、その後に自民党が旧統一教会との関係を断ち切ります、なんて方針転換したこともないし、山上徹也容疑者のように家族が信仰にのめり込んで人生が狂う「宗教2世」へのセーフティーネットがつくられたなんてこともない。
「これまではそうだったかもしれないが、今回は元首相が殺されているのだぞ!」と怒りに震えている方も多いだろうが、だからといって政府が、そう簡単にこの宗教を弾圧できない「オトナの事情」がいくつかあるのだ。
山上容疑者が鵜呑みにしたネットの陰謀論によれば、「安倍家が裏で手を回していた」「自民党が警察やマスコミに圧力をかけていた」というストーリーがメジャーだが、そんなチープな話ではなく、実はこの宗教はもっと大きな政治力学の中で守られている。
それは「アメリカ」だ。
アメリカの歴代大統領も旧統一教会シンパだった
日本のメディアは「旧統一教会と安倍家はズブズブだ」で大騒ぎをしているが、実はズブズブ具合では米保守系政治家も負けていない。
古くはリチャード・ニクソンからロナルド・レーガン、ジョージ・ブッシュ父子など歴代の共和党系大統領はみな旧統一教会シンパとして知られている。また、現在もトランプ前大統領、マイク・ペンス前副大統領、マイク・ポンペオ前国防長官、ニュート・ギングリッチ元下院議長など、旧統一教会系政治団体のイベントで挨拶をするなど、親密な関係だと言われている。
なぜこんなにシンパが多いのか。陰謀論者からすれば「岸信介をはじめ安倍三代がアメリカでも布教活動を手伝ったのでは」と考えるかもしれないが、さすがに安倍ファミリーもそこまでヒマではない。
これはシンプルに、アメリカの保守系政治家と「ウマが合う」ということがある。大統領になったら聖書に手をのせて宣誓するアメリカでは、政治家がキリスト教系団体から支持を受けることにまったく抵抗はないし、設立者の文鮮明氏の反共主義という政治イデオロギーも共和党と親和性が高い。
自民党の国会議員が、神道系の新興宗教から支持を受けていても、世間の反応が「でしょうね」となるのと一緒だ。
巨大な集票装置かつ世論誘導もしてくれる「太客」
そこに加えて、米保守系政治家にとって魅力的なのは、旧統一教会と良好な関係を築くと、ここに「シンパメディア」のおまけがつくという「お得感」もあるからだ。
文氏が1982年に設立した保守系新聞「ワシントン・タイムズ」は、レーガン以降の共和党議員を熱烈に応援してきた。レーガン大統領がこの新聞を愛読していたというのは有名な話だし、20年の米大統領選の時も、アメリカ国内メディアの多くがバイデン氏の支持を表明する中で、トランプ氏支持を表明したのも、この「ワシントン・タイムズ」だった。
宗教という巨大な集票装置の支援を得られることに加えて、保守系メディアで世論誘導までしてくれる。米共和党の政治家にとって、旧統一教会ほど非常に心強い「太客」はいないのだ。
となると当然、日本の保守政治家たちも、旧統一教会と良好な関係をキープするしかない。このあたりの事情は、日本という国家の原則ともいうべき「対米従属」をイメージしていただくとわかりやすいだろう。
旧統一教会とのパイプ=米保守系政治家への忖度
沖縄の基地問題、憲法を無視した安全保障関連法制などを見てもわかるように、基本的に日本という国は“アメリカ様”が求めていることは、それがどんなに理不尽なことでも、屈辱的なことでも甘んじて従わなければいけない。
特に日本の保守系政治家は、「対中国・北朝鮮の安全保障」という人質を米保守系政治家に握られているようなものなので、彼らの嫌がることができない。
そんな「対米従属」の現実がある中で、自民党が旧統一教会と「絶縁」できるだろうか。米共和党の政治家たちに対して、「あなたたちが支持している団体だけど、我が国ではカルト認定し政治の世界から排除しましたので、悪しからず」などと伝えることができるだろうか。
できるわけがない。ほとぼりが冷めるまでは表向きは距離をとるかもしれないが、水面下ではちゃんとつながっていて、安倍氏のポジションを清和会の誰かがしれっと引き継ぐはずだ。文鮮明と岸信介の蜜月関係を、福田赳夫がちゃんと受け継いだことからもわかるように、旧統一教会とのパイプはなにも安倍家だけのものではなく、清和会で「維持管理」しているものなのだ。
つまり、「安倍家と旧統一教会が蜜月」というのは、清和会を中心とした日本の保守系政治家が、「良好な日米関係」を維持するという大義のため、米保守系政治家への「忖度」をし続けてきたことの結果でもあるのだ。
だから、安倍元首相一人いなくなっても状況は何も変わらない。「自民党と旧統一教会」というのは日本の「対米従属」が変わらない限り続いていく構造的な問題なのだ。
各種宗教団体が「相乗り」している自民党
もちろん、それだけではなく、自民党自身にも「選挙支援」など旧統一教会との関係を断ち切れない「オトナの事情」がいくつかある。その中でも実は特に大きいのは、「自民党を支える他の宗教団体への配慮」だ。
今回やたらと「自民党と旧統一教会はズブズブだ」という話が盛り上がっているが、自民党がズブズブなのはなにも旧統一教会だけではない。
「保守政党」だけあって、有名なところでは神社本庁があるが、それ以外にもさまざまな宗教団体が選挙になると、自民党候補者を支援している。例えば、日本会議ホームページの「役員名簿」を見ると、新生佛教教団、解脱会、念法眞教、佛所護念会、崇教真光、大和教団などの幹部の名が連なっている。また、霊友会や立正佼成会も自民党の「友好団体」として知られているし、創価学会にいたっては連立政権を組む間柄だ。
さて、そこで想像していただきたい。このようにさまざまな宗教団体が「相乗り」しているような状態の自民党が、今回の事件とその後の信者トラブルの報道などを受けて、旧統一教会との付き合いを完全に断ち切ると宣言したらどうなるか。
宗教団体が恐れる「宗教排除の成功モデル」
われわれ一般庶民の感覚では、「まったく問題ないじゃん、他のちゃんとした宗教団体からすれば、カルトがいなくなったと大喜びするんじゃないの?」と思うだろう。
しかし、宗教団体からすると、これはちっとも喜ばしいことではなく、むしろ強固に反対して自民党に思いとどまらせる可能性が高い。
世間を震撼させる事件やマスコミ報道という「条件」さえ揃えば、政治が恣意的に宗教を「社会悪」とジャッジするという前例ができると、自分たちにもそれが適用される恐れがあるからだ。
どんな宗教でも信者やその家族、あるいは脱会した人の間に「トラブル」は起きる。今回の旧統一教会ほど極端なケースではなくとも、信仰にのめり込むあまり、家族が崩壊するなんて話はそれほど珍しくないので、さまざまな宗教には「被害者」という人たちが存在する。
つまり、宗教の評価というのは見る人によってまちまちなのだ。シンパの人には「ちゃんとした宗教」に見えても、被害者からすれば「カルト宗教」「霊感商法」に見えることもある。
この「あやふやさ」によって、宗教団体は政治に介入することができた。
しかし、山上容疑者の事件によって、政治との関係や、献金トラブルが注目されてその結果、旧統一教会が「排除」されるということになれば、この大原則が崩壊する。つまり、世間を震撼させる大事件を起こして社会に問題提起すれば、「悪い宗教」だと政治に認定させて、社会的制裁を与えられるという「宗教排除の成功モデル」ができてしまうのだ。
「俺も山上容疑者と同じことをやれば…」
例えば、自民党と関係の深い宗教団体に対して、強い恨みを持つ男性がいたとしよう。彼も今回の山上容疑者のように家庭を崩壊させられた過去を持つ。
そんな男性が、もし今回の事件で自民党が旧統一教会と絶縁したと聞いたら、こう思うのではないか。
「なんだよ、じゃあ俺も山上容疑者と同じことをやれば、あの教団にダメージを与えられるってことじゃん」
おそらく、男性はこの宗教団体から支援を受けているような自民党議員を狙う。大きな事件を起こせば起こすほど、マスコミは朝から晩まで報じてくれるので、もっと過激な手口で犯行に及ぶかもしれない。
「そんなバカなことを考える人間はいない」と思うかもしれないが、海外では、無差殺人のような「拡大自殺」をする者たちの多くは、衝撃的な事件を起こすことで自分の主義主張を世に知らしめているというような指摘が多い。
だから、アメリカでは、無差別殺傷事件が起きると、模倣犯を生まないように、犯人がどんな人柄で、どんな思想をもっていたのかを過剰に報じないようにマスコミに求める「No Notoriety(悪名を広めるな)」という団体もあるのだ。
今回の事件への対応が「次の悲劇」を生むリスク
今回、マスコミは朝から晩まで惨劇の瞬間をエンドレスリピートして、山上容疑者の「悪名」を日本全国津々浦々に流し、彼の不幸な境遇やその思想を広めている。同じように宗教に憎悪を燃やす人たちに、「皆さんも山上容疑者のようにやれば、あの憎い宗教に復讐できますよ」と教えているに等しい。
いずれにせよ、政府や自民党が旧統一教会を名指しで攻撃して、排除するということは「宗教排除の成功モデル」がつくられるということなので、自民党支持の宗教団体の多くはこの動きに賛同しないだろう。ということは、自民党としては旧統一教会との関係はこのままの「グレー」にしてズルズルと続けていくしかない。
以上のように、自民党が旧統一教会と手を切るのは外交的にも国内の支持基盤的にも難しい。「できない」ことを「やれやれ」と叫んでも不毛なので、もっと地に足のついた議論をすべきだ。
いま本当に必要なのは「宗教被害者」の救済方法だ
例えば、この問題を長く関わってきた紀藤正樹弁護士がワイドショー出演時に、統一教会の2世信者があまりにかわいそうなので養子にもらおうと思った、という趣旨のことをおっしゃっていたが、そういう不幸な子どもを国や自治体が保護して、しっかりと食事や教育を受けさせられるようにする仕組みがまだ足りていない。
父親にボコボコに殴られて虫の息になった子どもがSOSを発しているにもかかわらず、児童相談所の職員が「やっぱりパパと一緒が幸せだよね」と父親の元に送り戻して、死にいたらしめるなんて悲劇がたびたび起きていることからもわかるように、日本は「親権」が非常に強くて、行政は家庭内のトラブルになかなか介入できない。
実はこれも自民党支持の宗教団体が掲げる「伝統的家族制度の復活」という思想が色濃く影響しているのだが、こちらのほうが児童福祉の観点からまだ変えられる余地がある。
「自民党は旧統一教会と縁を切れ」なんてことを叫んでも、歴史に学べば一時の「エンタメ」となって終了だ。そうならないためにもいま本当に必要なのは、この瞬間に、苦しむ「宗教被害者」をどう救えるのかという議論なのではないか。

 

●山上容疑者の母「旧統一教会に迷惑かけて申し訳ない」発言に衝撃広がる… 7/22
安倍晋三元首相が奈良市で演説中に銃で撃たれて死亡した事件について、警察や検察は山上徹也容疑者の母への聞き取り調査をおこなっている。
山上容疑者は、母親が「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に多額の献金をしたことで、家庭が崩壊したと主張している。報道によると、山上容疑者の母親が旧統一教会に献金した総額は、1億円にも上るという。
母親は1998年ごろ、同教団に入信し、翌年6月には土地や一戸建て住宅を売却。2002年に破産宣告を受けていたとも伝えられている。
7月22日、NHKは、母親が検察に対し「今回の事件で旧統一教会を批判にさらして迷惑をかけてしまい申し訳ないという趣旨の話をしている」と報じた。立ち会った親族への取材でわかったという。
これに先立つ14日、読売新聞は、奈良県警などの聴取に対して「息子が大変な事件を起こし、申し訳ない」と謝罪していることを報じたが、当時も教会への批判は口にしていなかった。
今回、旧統一教会への母親の思いが報じられたわけだが、事件後も教会に変わらぬ姿勢を貫いていることに、ネット上でも衝撃が走っている。
《この供述は宗教を重んじる怖さを浮き彫りにしている。ここまでとは…》《息子が殺人に走った一因とも言えるのに、そうさせてしまう教団には戦慄すら覚える》
本誌は、山上容疑者に誘われて、奈良・西大寺の飲食店で食事したことがある男性に取材をしている。男性は、山上容疑者について、こう語っていた。
「これまでに3回ほど、安い居酒屋でおごってもらったことがあります。ふだん山上さんは、自分のことをほとんど話しません。しかしその日は、『自分の家族が統一教会に関わっていて、霊感商法トラブルでバラバラになってしまった。統一教会がなければ、今も家族といたと思う』と語りはじめたのです。続けて、『統一教会は、安倍と関わりが深い。だから、警察も捜査ができないんだ』と、あまり感情を出さない山上さんが、怒りにまかせたように話していました」(知人男性)
食い違う母子の姿が、さらに浮き彫りになってしまったようだ。
●山上容疑者、消費者金融で借金 生活困窮か 7/22
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)が消費者金融から借金をしていたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。カードローンを利用したことも確認されており、負債の総額は少なくとも数十万円に上るとみられる。奈良県警は山上容疑者が事件当時、経済的に困窮していたとみて、実態を調べている。
山上容疑者は派遣社員として勤務していた会社を6月上旬に退職し、事件の約1カ月前から無職だった。収入は途絶えていたとみられ、県警が金融機関の口座などを調べたところ、消費者金融からの借入があったことが判明した。ほかにカードローンも利用しており、クレジットカードの支払いも残っていたという。
捜査関係者によると、銃の材料や工具はインターネット通販やホームセンターなどで購入したとみられるがいずれも安価で、県警は山上容疑者の供述などから、借金の大半は生活費に充てていたとみている。
山上容疑者を派遣していた大阪府内の派遣会社によると、5月15日付で退職した京都府の工場での月給は20万円程度だった。県警によるとその後、大阪府の会社でも派遣社員として勤務したが、1カ月足らずで退職。自宅マンションの家賃は約3万5千円で、昨年11月から今年2月までは、自宅とは別に奈良県内のシャッター付きガレージを月額約1万5千円で借りていた。山上容疑者はガレージについて「火薬を乾かすために借りた」と供述している。
●立憲・泉代表、旧統一教会は「政権与党に相当浸透している」 7/22
安倍晋三元首相の銃撃事件を機に、政治と「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」との関連が注目される中、立憲民主党の泉健太代表は2022年7月22日の記者会見で、旧統一教会が「政権与党に相当浸透していると聞いている」として、情報収集を進めていく考えを明らかにした。
一方で、立憲所属議員についても、旧統一教会系の団体が開いた集会に祝電を送ったりしたケースが指摘されている。過去には団体の素性を把握しないまま祝電を送ったケースがあったことを明らかにした。
「統一教会、またはその関連団体ということを全く知らされずに」祝電送った事例も
立憲は7月21日、旧統一教会による被害対策本部を立ち上げることを発表。泉氏は対策本部の立ち上げに触れる中で、政治と旧統一教会との関係にも言及した。
「相当韓国にも送金を行っていることが伝わっている宗教団体で、様々な霊感商法についてもトラブルがあるということの中で、政治と宗教の関わり方ということも様々問題が指摘をされている。我が党も、そういったことについて、党内で確認をしながら...やはり今伝わっているのは政権与党に相当、選挙あるいは、様々な付き合いの中で浸透しているというふうに聞いている。そういったことについても、情報収集をしなければいけない」
「党内で確認」とは、所属議員6人について旧統一教会関連団体との関係が指摘されたことを指している。泉氏によると、後藤祐一衆院議員は「まったく関係していないことが明確」で、篠原孝衆院議員と小宮山泰子衆院議員は「統一教会、またはその関連団体ということを全く知らされずに」、それぞれ04年、06年に祝電を出した。篠原、小宮山両議員は「それ以降は一切の関連はない」と説明しているという。下条みつ衆院議員は「落選中でもあったので、まったく記録・記憶にない」。中川正春衆院議員は「統一教会がらみの団体とは全く知らされておらず、会合があるということで、三重県の会合に18年、要請があったので祝電を出したが、特別の関係はない」。松木謙公衆院議員は「その団体の会に参加した際に定められた会費を払ったケースがある。ただ、その団体が統一教会系かどうか、ということがまだよく分からない状況だった」と説明しているという。
被害対策本部は「旧統一教会と政治との関係」扱わない
泉氏によると「それ以外で関係があったとは現時点で聞いていない」といい、6人以外の調査については、何をもって統一教会の関連団体とするかが明らかではないとして、
「何が関連団体かということを確定できるようであれば、調査をするということはひとつのあり方なのかもしれないと想像している」と話した。
西村智奈美幹事長は7月21日、被害対策本部が「旧統一教会と政治との関係」について扱うかを問われ「旧統一教会による被害、これを主眼として調査・検証、こういったことをやっていきたい」と応じ、扱わない考えを示している。
泉氏は「旧統一教会と政治との関係」について「何らかの会議体でヒアリングすることはあり得る」と話し、今回の被害対策本部とは別に枠組みになるとの見方を示した。
●元信者が語る“旧統一教会”の実態…「家系に問題ある」不安あおられ入信… 7/22
安倍元首相が銃撃され殺害された事件から22日で2週間です。
容疑者の供述などから明らかになっている旧統一教会をめぐる問題。それは新潟県内でも例外ではありません。旧統一教会の実態について元信者に話を聞きました。
旧統一教会 元信者の女性「1万円くらいかなと思って、家系図を作ることで教会に通うようになった」
こう話すのは、県内に住む旧統一教会の元信者の女性です。
旧統一教会 元信者の女性「兄弟でも男性が早死にしたりとか、何か理由があるということを家系図から読み取って、そこを解決していく方法がありますよということで」
こちらの女性が入信したきっかけは、信者による自宅への訪問でした。
「手相を見せてくれ」と最初に言われ、その後、家系図を作成。家系に問題があると不安をあおられる中で家族には秘密で入信したと言います。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会) 田中富広 会長「ご本人の意思で献金されていきますが、献金の額それぞれはご本人の心情に基づいて献金されていると受け止めています。いわゆる10分の1の献金ということは意識して教育している」
こう会見で話していた田中富広会長ですが、「実態は違う」と元信者の女性は指摘します。
旧統一教会 元信者の女性「恐怖をあおって、こういうことをしたら先祖の供養になるし、子孫が守られるとか、教会の方は恐怖を煽って献金をさせる」
7年間旧統一教会に入信し、物品の購入や献金などで支払った総額は約400万円。家計にも影響が出始め、家族が女性の異変に気づきます。
元信者の女性の夫「書き物とか夜中にしていた。夜、隠れてこそこそしているので、おかしいことをしているんじゃないかなと。事前に事細かくどういったことをやっている団体というのをある程度調べて、それで妻に『こういった行いをやっている組織ですよ』というのを分からせた」
夫を中心に1週間説得し、脱会することができたと言います。
旧統一教会 元信者の女性「夫が私のことをすごく大事に思ってくれたことがきっかけで私が抜けられた。本当に正しい団体なのか、本当に目の前の人が信じられる人なのかどうかを考えてから行動に移してほしい」
一方の旧統一教会は7月17日に再び声明を発表。
過去に一部の協会員による違法とされる行為があったことは認めたうえで、2009年にコンプライアンス宣言をして以降、民事訴訟の数は着実に減少していると主張しています。
●統一教会の“広告塔”となったが… 家族の説得で脱会した芸能人たち 7/22
容疑者が明かした犯行動機は統一教会への「恨み」、そして安倍晋三元首相と教団の「つながり」だった。銃撃事件を機に政治家と宗教団体の不適切な関係が問題視されているが、芸能界では30年以上前から芸能人が“広告塔”に利用されることが社会問題化していた。
連日のように続報が伝えられる安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41才)の供述が明らかになるにつれ、ある宗教団体との関連に注目が集まった。統一教会(2015年に世界平和統一家庭連合に改称。本稿では統一教会と記述する)である。
統一教会の名が広く一般に知られるようになったのは1992年頃。有名女優やスポーツ選手が相次いで入信を表明し、ワイドショーや週刊誌がこぞって教会の問題を取り上げた。とりわけ日本中を驚かせたのは、女優として一線で活躍していた桜田淳子(64才)の告白だ。韓国で行われる“合同結婚式”への参加を会見で表明し、見ず知らずの男性と結婚することも『価値観が一緒で人生の目的が同じ人が集まるのだから、不安はありません』と言い切った。桜田は現在も脱会しておらず、夫婦仲も変わっていないという。
桜田と同じく1992年の合同結婚式に参加したのが元新体操選手の山崎浩子(62才)。鹿児島県出身の山崎は高校時代に新体操を始め1984年にロス五輪に出場。個人総合8位に入賞し、選手引退後は指導者、タレントとして活動していた。
「1988年のソウル五輪ではリポーターとしても活躍していましたが翌年、友人のすすめで教会のビデオ学習を受けたのを機に入信。交際相手と別れ、たびたび韓国を訪れるようになり、1992年に合同結婚式が行われることを知ると自ら参加を望んだといいます」(前出・芸能関係者)
心配した姉や、キリスト教の牧師による説得は46日間にもおよび、山崎は脱会を決意した。2004年から指導者として現場に復帰して、昨年の東京五輪でも新体操チームを率いた。現在は東京とモスクワを拠点に指導を続ける山崎の心の支えは“推し活”だという。
「アイドルが好きで特にKis-My-Ft2の大ファン。ツイッターでも頻繁に“推し活”について、楽しそうに綴っています」(新体操関係者)
山崎が代表を務める会社を訪ねたが、マネジャーらしき女性が「ここには来ません」、「(統一教会の)取材は受けません」と繰り返すばかりだった。
キャスターとしても活動するタレントの飯星景子(59才)は、脱会を巡って父で作家の故・飯干晃一さんと壮絶なバトルを繰り広げたことで知られる。入信のきっかけは、統一教会のイベントで司会を務めたこと。友人のすすめで統一教会の勉強会に参加した飯星は、教義より信者の人間関係に魅力を感じたといい、後にワイドショーでこう語っている。
「神様を通じてわかり合えるような、普通の友人関係とは違う、強烈で独特なものがあった」
霊感商法に関する悪い噂も耳にしたが、「見たくないと思って目をつぶっていた」という飯星。その目を必死に開かせたのが父だった。もともと統一教会に疑念を抱いていた飯干氏は娘が教会のスタッフと共にニューヨークに渡ったことを知ると「絶対に取り戻す」と宣言。統一教会に“宣戦布告”した。
「教会側から『お父さんをなんとかしてほしい』と言われた飯星さんは、新約・旧約聖書を読んで理論武装した父との対話に臨んだそうです。当初は頑なな姿勢を崩さなかった飯星さんですが、いままで見たことのない父親の『弱々しい姿』に心を動かされ、深入りする前に立ち止まることができたといいます」(ワイドショー関係者)
以来、統一教会とは縁を切り、当時のことを振り返る機会もほとんどなくなった。
「2012年にオセロの中島知子さん(50才)と占い師の深い関係が報じられたときに、マインドコントロールから逃れるように呼びかけていたのが印象的でした。ワイドショーのコメンテーターを務めたこともありますが、いまは教会のことに触れたがらないといいます」(テレビ局関係者)
ドラマや舞台を中心に活躍するベテラン女優の音無美紀子(72才)も1986年に入信した元信者。家族の病気や、夫で俳優の村井國夫(77才)の女性問題に悩み、2800万円の“多宝塔”を購入したと報じられたこともあった。
「村井さんの懸命な説得で1992年頃に脱会にこぎつけています。もともと音無さんは霊感商法に懐疑的で、その点も“洗脳”を解く突破口になったようです。いまも支え合う円満な夫婦関係を築いています」(前出・芸能関係者)
統一教会と決別した人、いまも共にある人。それぞれが第二の人生を歩んでいるが、芸能人が宗教団体の“広告塔”になる危うさは当事者だけの問題ではない。統一教会問題に詳しい紀藤正樹弁護士はこう指摘する。
「宗教団体にとって芸能人の信者が果たす役割は大きい。広告塔として団体の知名度を上げるだけでなく、彼らがいることで“いい団体である”という誤ったイメージを植え付ける可能性もあります。有名人は内部で特別扱いされるため、その団体が生み出す悲劇に気づきにくい。桜田さんは沈黙を続けていますが、大勢の被害者がいる現実に目を向け、できれば問題解決に協力してほしい」
いまも頑なに無言を貫く桜田。彼女の耳に今回の事件や、霊感商法による被害者の声は届いているのだろうか。

 

●政治と旧統一教会…自民とは歴史的つながり、野党も集会出席や寄付  7/23
安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件を受け、政治と「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の関係に注目が集まっている。旧統一教会は反共産主義の「勝共思想」を掲げ、自民党だけではなく野党ともつながりが指摘されてきた。
安倍派に所属する末松文部科学相は22日の記者会見で、同連合の関係者が自身の政治資金パーティー券を購入していたと明らかにした。末松氏の事務所によると、2020年、21年にパーティー券計4万円分が購入されていた。
末松氏側は、同連合に関連する集会に複数回、祝電も送っていた。末松氏は「常識の範囲内で何らやましいものはない。選挙活動に関連する支援は受けていない」と述べた。
政治と同連合の関係に焦点が当たるようになったのは、安倍氏を銃撃した山上徹也容疑者が、同連合への恨みを供述しているためだ。安倍氏は昨年9月、同連合が友好団体とする民間活動団体が開いた集会にビデオメッセージを寄せていた。
旧統一教会は1968年、反共を掲げて政治団体「国際勝共連合」を発足させた。当時から、安倍氏の祖父の岸信介・元首相ら自民党タカ派を中心に、政治との関係を築いていたとされる。一方で、80年代以降、旧統一教会の「霊感商法」などが社会問題化した。
同連合は、2015年に文化庁に旧統一教会からの名称変更を受理された。当時、同庁を所管する文部科学相は、安倍派会長代理の下村博文氏だった。下村氏は13日、自身のツイッターで名称変更の決裁への関与を否定した。
政治家と同連合との関係は、野党でも明らかになっている。
日本維新の会の松井代表(大阪市長)は22日、同連合の関連団体の集会に約20年前に出席したことを明らかにした。維新は、国会議員と地方議員を対象に同連合との関係を調査する方針を決めた。
立憲民主党の泉代表も同日の記者会見で、複数の党所属議員が同団体関連の会合に祝電を出していたと説明した。国民民主党の玉木代表は、同連合の関連が指摘される「世界日報」の元社長から16年に計3万円の寄付を受けたと明らかにしている。
立民は21日、同連合による被害などを調査する対策本部の設置を決めた。共産党も追及チームを発足させ、同連合と政界の関係を調査する方針だ。
●山上徹也容疑者の精神鑑定実施を容認 奈良地裁 7/23
安倍元総理が銃撃された事件で、奈良地裁が山上徹也容疑者の事件当時の刑事責任能力を調べるため、精神鑑定の実施を認めたことが、関係者への取材でわかった。
山上徹也容疑者は今月8日、奈良市で安倍元総理を手製の銃で撃ち殺害したとして、逮捕・送検されている。関係者によると、奈良地検は山上容疑者に刑事責任能力があったのか調べるため、精神鑑定の実施を奈良地裁に求め、認められた。
鑑定留置の期間は11月下旬までで、奈良地検は山上容疑者の精神鑑定の結果を踏まえて起訴するかどうか判断するとみられている。
また、山上容疑者が「火薬を乾かすため」として、去年3月から約半年間、奈良県内でアパートを契約していたことが新たにわかった。警察はこのころから火薬などの製造を始めていたとみて調べている。
●自民・下村博文氏がコロナ感染…統一教会の名称変更疑惑で「また雲隠れ」 7/23
《本当なのか?》《また、いつもの雲隠れの手法じゃあないだろうな》
ネット上ではこんな声が広がっている。衆議院が22日、自民党の下村博文前政調会長が新型コロナウイルスに感染し、自宅待機していると発表したからだ。
下村氏をめぐっては、安倍晋三元首相の銃撃事件のきっかけとなった「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の名称変更をめぐり、文科相だった下村氏の関与が指摘され、下村氏側は11日、「大臣に伺いを立てることはしていない」などと全面否定する文書を公表。ところが、参院議員(任期は7月25日まで)でジャーナリストの有田芳生氏の事務所が当時(2015年)、文科省とやりとりしたという文書によると、「本件について大臣に事前に説明いたしました」「『周辺事情』という意味で大臣にお話はしました」などと、下村氏側の説明と食い違うくだりが出てくるのだ。
有田氏もツイッターで、《下村博文コメントと私が2015年に公表した文書を比較してください。おかしいですねえ。》などと指摘している。
下村氏といえば、2017年7月の都議選直前に政治資金規正法違反の疑いが浮上。13〜14年にかけて、獣医学部新設をめぐる経緯で問題となった「加計学園」から下村氏の後援会「博友会」のパーティー券200万円を購入してもらったにもかかわらず、政治資金収支報告書に記載がない──と指摘された。下村氏は当時、「都議選後に説明する」などと話していたが、5年経った今も説明がない。
このため、ネット上では今回の自宅待機についても、《ほとぼりが冷めるのを待っているのでは》《よっぽど説明したくないんだろうな》と冷ややかな意見が出ている。
●旧統一教会と関係ある「安倍派議員35人」! 自民党内でも圧倒的な人数 7/23
安倍元首相銃撃事件で再燃した「政治と宗教」への関心は高まる一方だ。〈#自民党って統一教会だったんだな〉がツイッターでトレンド入り。まさにその通りで、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の政界への浸透はすさまじい。とりわけ群を抜いているのが安倍派(清和会)だ。
日刊ゲンダイがジャーナリスト・鈴木エイト氏から入手した旧統一教会と関係のある国会議員100人超のリストを基に、安倍派所属の議員をピックアップ。その数は35人に上った。もっとも、あくまで判明分のみだ。
党内最大派閥の安倍派は21日に総会を開催。総力支援を受けて参院選で初当選した生稲晃子議員ら新人・元職らの加入などで4人増え、21日時点の会員数を「97人」と発表した。となると、旧統一教会と関係のある議員はおよそ4割。ア然とするほかない人数だ。
ほかにも慣例により、党や安倍派から離れている細田博之衆院議長(当選11回)も関連イベントに出席、講演を行った過去もある。安倍側近でありながら、出戻りが難航している高市早苗政調会長(当選9回)は、フロント団体「天宙平和連合」の行事に祝電を送っていた。安倍元首相が昨年9月にビデオメッセージを送り、銃撃の要因のひとつとなったのも、この団体のイベントだった。
なぜ、こうも問題教団と親密なのか。清和会の成り立ちもまた大きく影響している。
安倍元首相が敬愛してやまなかった祖父の岸信介元首相は、旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」の創設を支援。脱税で米国で実刑を食らっていた教祖・文鮮明の早期釈放を求め、当時のレーガン大統領に「元首相」の立場で嘆願書を送るほど入れ込んでいた。強い結び付きは娘婿の安倍晋太郎元外相にも引き継がれ、信者を議員秘書として斡旋し、議員を教団セミナーに送り込んでいたという。
一方、清和会のもうひとつの源流である福田赳夫元首相も熱が入っていた。教団が「希望の日」と称し、1974年に帝国ホテルで大々的に開催した晩餐会には岸氏、福田氏、安倍氏(父)など40人の自民党議員が出席。蔵相だった福田氏は登壇し、「偉大なる指導者現る。その名は文鮮明」「文先生の高邁なご教示にあずかりまして、本当に今日はいい日だな、いい晩だな」などとスピーチ。会場は何かと万雷の拍手に包まれ、福田氏は文鮮明と熱い抱擁を交わしていた。
「統一教会とつながりを持つ議員は自民党の中でも清和会が圧倒的です。岸元首相以来の流れが今なお引き継がれ、安倍元首相の再登板で強まったといえます」(鈴木エイト氏)
自民党「文教族」の中核を成してきた清和会は、「カルト族」が実態か。
●「“暗殺”ではなく“殺害”」安倍元総理銃撃と旧統一教会、そして国葬 7/23
なんとも暑い中での参議院選挙が終わったものの、なおも暑さは激しさも増し、政治の世界では早くも政局が始まりました。選挙戦の最終盤、白昼の街角での安倍元総理への銃撃事件、そして容疑者の動機は“旧統一教会への恨み”によるものだと次第に判明。この中で岸田総理は安倍元総理の国葬を決断しました。旧統一教会と政治との関係、そして「国葬」を巡る議論について、石破元自民党幹事長が思いを熱く語りました。さらに、ロシアのウクライナ侵攻を受け、中国の台湾攻撃の可能性が取りざたされる中、石破氏は台湾を訪問する考えを明らかにしました。
“暗殺”ではない“殺害”だ 手薄だった警護体制
――安倍元総理大臣が街頭演説中に銃撃され死亡した事件について
石破:暗殺だという人がいますが、暗殺というのは政治目的で殺害し、世の中を動かそうということであり、この事件は“暗殺”ではなく“殺害”だという感じがしました。安倍さんなりの政治的「志」や「理想」を、みんなが賛成しているわけではない。警護体制がきちんとしていればあんなことにはならなかった。この国の警備体制は大丈夫なのか。我々政治家という意味ではなく、世の中の市民生活全体の安全は大丈夫か、ということがまず問われるべきでしょう。安倍さんを悼むことと、警備体制をきちんとして市民の安全を確保すること、両方並行してやらなければいけません。
宗教法人への介入・難しい線引き
――旧統一教会について
石破:お付き合いしたことがないのでよくわからないけど、高い絵画、美術品、壷とかを買ったり、あるいはキャッシュを出して神仏へ寄進するとあなたは幸せになれるというようなことがどこまでが詐欺で、どこからが宗教行為なのか。今回のように家庭が破壊され、挙句の果てに凶行に及ぶことがあってはいけない。ではどこで線引きをするか。立件するとしたら詐欺しかない。かなり難しいが一度きちんと整理しておかないと、また犠牲者が出ます。
――必要ならば法整備も?
石破: 信教の自由というのは難しい。寄進はいくらならいいか、1億円は駄目だけど、1000万円ならいいのか、金額の多寡の問題ではなく、実際の行為そのものに着目しないと。
――どのような宗教団体かがポイントということですか?
石破:例えばオウム真理教は、あれはもう犯罪集団以外の何物でもない。本当にどのような宗教か、どんな行為をやっているのかということがポイントになると思います。
――旧統一教会が問題になっているということを把握していながら応援をしてもらうのは問題ではないですか?
石破:それが、旧統一教会とわかっていれば問題。
安倍元総理「国葬」に賛否交錯
――安倍元総理の国葬については?
石破:世の中に賛成論も反対論もあるが、国葬令という法律のようなものはないので閣議決定することで国葬は可能になります。それによって補正予算を組まなければいけない、ということではないし、法律的には何ら問題のないものです。ただそれに疑義を感じる方々もいるわけで、政府としては1人でも多くの国民のご理解を得るべく努力をしていくのではないでしょうか。
――石破さんは国葬に賛成?反対?
石破:悲劇的な亡くなり方をされて、何よりもお母様がご存命で奥様もあれだけ嘆き悲しんでおられるなかにあって、そういう賛否を論ずるということ自体、私はいかがなものかと思います。ひたすら哀悼の意を表するっていうことではないですか。
――保守層の中で神格化が進むのではという心配が出ています。
石破:戦後では吉田茂元総理の国葬が行われました。吉田元総理が神格化されましたか?そうではないでしょう。日本の独立を果たし、サンフランシスコ条約あるいは日米安全保障条約、発効まで日本の独立ということを成し遂げました。そうした業績がある人を偲ぶことはあっても、神格化されたか?山本五十六元帥も国葬でしたが、神格化されたかと言われるとそうではないでしょう。国葬にしたから神格化するか、私はそういう実感は今後のことだからわかりませんが、それはないです。
鳥取島根選挙区 東京ー名古屋よりも遠い合区の戦い
――今回の選挙、鳥取島根選挙区の応援に行って感じたことは?
石破:(鳥取島根選挙区は)合区だからと言って選挙区が倍になるわけではないし、候補者に有権者がアクセスする機会がとても少ない。物理的に鳥取から島根(選挙区は東西に300キロ)までは東京ー名古屋よりも遠い。そして隠岐の島もある。物理的に候補者本人が回れないなら、せめて衆議院議員が回らなければというのがあって。私自身の選挙と比べて何倍地元にいたかしら。そこでやっぱり候補者に有権者がアクセスできる機会をできるだけ増やしたいと。合区だから得票率が減りましたっていうのを何とか払拭したいと思いましたね。
うちの選挙区に限らず山形でも福島でも三重でもそうですけど、日本最大の問題は人口減少です。いま1年に60万人ずつ減っています。やがて1年に100万人減る時代が来ます。計算をすると、80年後は日本人が半分になる。それでこの国はもちますか、何でこんなに人口が減るんですか。何で出生率が一番低い東京、一番男性女性が結婚する東京に、何でそこに人が集まるんですか。過疎がどんどん進んで日本の人口が減り、この国大丈夫ですか。これについては日本国中どこでも聞く耳はずいぶん持っていただけたと思います。
ではどうするのかという話になりますが、エネルギーもある、食料もある、そして東京でしかできなかった仕事が町でもできるよ。そういう地方の時代を作っていかないとこの国は持ちません、という話はずいぶん(有権者に)聞いていただけたと思っています。
超党派で訪台へ 台湾有事の可能性は
――超党派議員で台湾に行くという話があるようですが、その目的とは?
石破:この会は急に忽然とできたわけではなく、何年も前からあるんです。「安全保障を考える若手議員の会」なんて言っていましたが、気がつくと若手でもなくなってきた。浜田靖一さんが元防衛大臣、前原誠司さんが元外務大臣、私も元防衛大臣、長島昭久さんと渡辺周さんは元防衛副大臣です。それなりの知識は持っているし、意識も共有している。今、ウクライナ問題と台湾問題が並列で議論されるときに、台湾について心情的にシンパシーを持つなか軍事的にどうなのか。どうすればこの地域で紛争が起こらないかと議論するときに、台湾のことを知らないと議論にならない。そういうことで訪問します。
――中国を刺激することにならないか?
石破:この地域の平和を保つためであり、台湾独立を支援するためではありません。どうしたらこの地域に安定がもたらされるか。中国に対しても戦争に踏み切らせないことは中国人民の利益にもなります。そのような話をするために台湾に行くことを許さないという中国だとは思いません。
――中台衝突の可能性について
石破:それがゼロではないからこそ、どうすれば抑止力が効くかということです。衝突の可能性がゼロだったら行く必要はありません。ウクライナだってまさかみたいなことが起こっているわけです。中台だってまさかみたいなことが起こらないなんて言えない。いや、まさかって思ったことが起こりました。そうなったら政治家失格ですよ。
●蓮舫議員「私は特定の組織団体に選挙応援を依頼していません」 7/23
立憲民主党の蓮舫参院議員が22日付でツイッターに投稿。「私は特定の組織団体に選挙応援を依頼していません」と記した。
そのうえで「が、それはとても不安です」と続けた。
「自民の大臣経験者の選挙は『必勝』の鉢巻を巻く1000人単位の集会、企業の朝礼会、各種組織団体の集いに参加。数十人の会合に呼ばれるだけでも候補者の安心でしょう。が、踏み越えてはいけない線引きがあります」と投稿した。
蓮舫議員は前後の投稿でも、旧統一教会と政界の関係に関する問題について投稿している。
●自民・井上氏「賛同会員」 旧統一教会との関係巡り 7/23
先の参院選の比例代表で当選した自民党の井上義行氏は23日までに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を巡り、信徒ではなく「賛同会員」だと説明した。共同通信の取材に対し、事務所を通じて文書で回答した。
井上氏は賛同会員になった理由に関し、自身の政策への賛同が得られたからだと指摘。会費や寄付の提示は受けておらず、井上氏からも行っていないと説明した。井上氏は第1次安倍政権当時、安倍晋三元首相の政務秘書官を務めている。
●統一教会と”政治の力”のただならぬ関係を自民党議員が続々証言 7/23
安倍晋三元総理が銃撃されて死亡した事件は、背景に「統一教会」(現「世界平和家庭連合」、本稿では「統一教会」と呼ぶ)に対する怨恨があったことは周知の通りだ。逮捕された山上徹也容疑者は、入信した母親が統一教会に総額1億円もの献金を行ったことで家庭が崩壊したと言われている。警察庁キャリアが明かす。
「山上は取り調べに極めて率直に応じています。『安倍元総理に恨みはないが、統一教会にとって、ビデオメッセージを寄せるような深い関係性であることが分かった。それなら(安倍氏を)殺すしかないと決心をした』と。調べに対してはぐらかすようなこともなく、冷静によどみなく応えているそうです」(警察庁キャリア)
統一教会と安倍元総理の関係はなお不明な点はあるが、ここにきて同団体と政治の深い関わりが続々と報じられている。7月18日、朝のワイドショーにコメンテーターとして出演したジャーナリスト・有田芳生氏の発言は話題を呼んだ。
「有田氏は95年に警察庁と警視庁の幹部から、統一教会に関するレクを頼まれたそうです。20〜30人の前で、これまでの統一教会の歴史や活動内容などを話した。このとき警察は、統一教会の摘発を視野に入れていたそうです。しかし、その後10年経っても捜査は無かった。それは”政治の力”があった、つまり何かしらの圧力がかかったと結果だとコメントしたのです」(全国紙記者)
その後しばらく、「政治の力」はネット上で”トレンドワード”となった。
統一教会と政治のつながりとは一体、いつから、どのようなものであったのだろうか。多くの大臣ポストを歴任し、内閣の枢要な職責を担った元自民党議員が証言した。
「覚えているのは、1976年の衆議院議員総選挙だった。『共産主義に日本を奪われることなどあってはならない。あなたの選挙を支援したい』、そう言ってきた人物がいた。『お金はいらない。ボランティアで応援する』と。初出馬の選挙でしたし、人手はいくらあっても足りない。そんななか『手弁当ですべてタダでやる』と。その翌朝、事務所前にきちんとスーツを着た10人くらいの若い運動員が待っていたんだ。女性が多かったと思う。
自民党の選挙運動は、せいぜい町内会の有力者に支持を訴えるだけだが、その若い運動員たちは全員、選挙区内の詳細な地図を持っていた。戸別訪問をしたところは×印をつけていた。一軒一軒、全戸に訪問するんだ。これは凄かった。おかげで初出馬、初当選を果たすことができた」
この「ボランティアで応援したい」と言ってきた人間が統一教会の関係者だったとみられる、とこの元自民党議員は証言する。続けて言う。
「統一教会の勢力拡大は、最初から教団名を名乗ることはない。もちろん、『キリスト教原理研究会』などと名乗ることもないのです。政治へのアプローチは、反共産主義というイデオロギーだけだから、自民党としても受け入れやすかったんだよ。受け入れたからといってその後、教義を強要してくる事も無かった。そういう態度だから、政治家の女房の中には心服し、統一教会系の団体『明社(明るい社会を作る婦人の会)』の専務理事に就任した人もいた。こういう人は『献身者』といって、献金はほとんどなく、いわば広告塔となったんだ」
この元議員によると、同じ頃、新潟選出の議員は、この運動員たちの献身的な働きによって当選したことから、労に報いるために公設秘書として雇ったという。
しかし、タダより高いモノは無かったのだ。もちろん、統一教会の運動員たちが入り込んだ政治家事務所で何か問題を起こしたわけではない。からくりは、全戸訪問なのだという。
「運動員たちは、全戸訪問を行って名簿を作っていたんです。それをもとにセミナーに誘い、その後、入信するよう勧誘する。その時、国会議員事務所の人間だといえばアプローチは容易になるというわけです。彼らが政治家に近寄るのはこれが目的だったのでしょう。
同時に、事務所に入り込めば政治家の弱点を握ることができる。弱みを駆使して、政治的に統一教会の庇護を願うのです。統一教会への警察捜査が”政治の力”で止まったかどうかというのは私は聞いていない。ただ、こうした関係は何十年にもわたって続けられてきて、政界とのつながりは相当深いことは間違いない」
世界平和家庭連合(旧統一教会)問題は、90年代にアイドルタレントとして人気絶頂だった桜田淳子、新体操の山崎浩子が統一教会の合同結婚式に参加を表明したことでメディアはこぞって報じるところとなったが、実は、政治との関わりを調べるとそれよりはるか以前からその距離が近かったことがわかる。あ前出とは別の自民党議員の言葉を紹介する。
「政治家として一人前といわれるには、地盤(後援会)看板(知名度)カバン(金)が必要なのだが、選挙区内に宗教団体があった時はラッキーなんだ。宗教団体トップと話を付け支持を取り付ければ、信者は黙って票を投じてくれる。それからの政治活動は保障されたようなもので、こんな楽な事はないんですよ」
銃撃に及んだ山上容疑者の卑劣は許されることではない。だが、その一方でこのような結果を招いた政治のあり様は検証されなければならないのではないか。

 

●山上徹也容疑者に寄せられた「賛同の声」と「模倣犯」の危険性 7/24
「あんたは英雄だよ」
「徹也君 たった一人でよく頑張った」
7月16〜18日の連休中、安倍晋三元首相を銃撃して逮捕された山上徹也容疑者のTwitterアカウントが発見され、話題を集めた。だが、衝撃的だったのは容疑者自身の投稿より、冒頭のコメントをはじめとした数々のリプライである。
さぞかし、彼の凶行を非難する声が殺到しているのかと思いきや、凶行を肯定するような声が多数派だったからだ。その一部を以下に列挙する。
「あんたは英雄だよ」「君のお陰で沢山の人が救われたよありがとう」「山上徹也は世界を変えた」「山上さん、自分を責めて死なないでくださいね。応援してます」
山上容疑者のアカウントは、2019年10月に書き込まれた「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」という決意表明のような投稿で始まっている。
その後、彼の家族を崩壊に至らしめたとされる統一教会への恨みつらみが綴られていたが、安倍元首相の政策については好意的ともとれる投稿が残されていた。ツイートの内容を見る限り、「政治信条に対する恨みではない」という逮捕直後の山上容疑者の供述とも矛盾はない。
凶行へと至るまでの心理状況をのぞかせた本人による手記が、ネット民たちの関心をひかないはずもなかった。山上容疑者アカウントは、ネット民によって発掘されてから数日で凍結されたが、その間にひとけた台だったフォロワーは4万人以上に急増した。
冒頭で示した通り、その中には山上容疑者の共感する人が少なからずいた。たとえば中国のネット上であれば、安倍氏が首相在職中に靖国神社を参拝したことへの反感などから、山上容疑者を賛美する声が上がったことも理解できる。
しかしなぜ日本で、容疑者に賛同する声が上がったのだろうか。
「模倣犯」の危険性
新興宗教への多額の献金によって家庭が崩壊した山上の境遇や、安倍元首相が毀誉褒貶相半ばする政治家だったことなども要因のひとつだろう。
だが、それにしても現代の日本においてここまで公然と殺人犯が持ち上げられた例は少ないのではなかろうか。
「社会への不満から、革命への期待感を抱く人たちは一定数います。安倍元首相といういわば権力の象徴だった人物の命を奪った山上は、彼らにとって一種のヒーロー像となってしまっているのではないでしょうか」
犯罪学が専門の立正大学教授・小宮信夫氏はこう指摘したうえで、「模倣犯」の出現を危惧していると語った。
「独自性や画期性のある犯罪は、常に学習され模倣されます。今回の山上の事件もまさにそう。成し遂げた後は捕まってもいいと思って犯行に及ぶ『自爆テロ型犯罪』自体は、これまでもたびたび起きています。少し前では2008年の秋葉原通り魔事件、最近では2019年の登戸通り魔事件や同年の京アニ放火事件、2021年の大阪クリニック放火事件などもそうです。
しかし、これまでの自爆テロ型犯罪は、犯人が選んだ特定の場所を舞台にしつつも、襲う相手は不特定でした」
他の「自爆テロ型犯罪」とは違う
「一方、山上容疑者は安倍元首相という特定の人物のみをターゲットにした点が特徴的です。また動機には、社会全体に対する漠然とした不満ではなく、犯人の自分なりの正義に基づいた強烈な目的意識があり、自作の銃による凶行という点でも他の自爆テロ型犯罪と一線を画している。
すでに、この事件に触発された潜在的な模倣犯を生んでいる可能性はあると思います」(小宮氏)
山上容疑者のTwitterに寄せられた、犯罪行為を許容したり賞賛したりするような世論は、そんな潜在的模倣犯の背中を押す要因にもなりかねない。
山上容疑者はいわゆる「政治犯」ではなかったことが明らかになりつつあるが、「気に入らないヤツは殺す」という模倣犯が頻発すれば、それこそ民主主義に対する脅威となる。
そうした事態を避けるためにも、山上容疑者を凶行に走らせた種々の事象や、一部とはいえ凶行を肯定する世論が存在する現状について、究明と分析を徹底的に行うべきだ。 
●統一教会に謝罪、献金を継続…事件後も続く母親の“教会愛”に広がる驚き 7/24
安倍晋三元首相(享年67)を銃撃し、命を奪った山上徹也容疑者。捜査が進むなか、山上容疑者が事件を起こした背景に統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)との関係が指摘されている。
「山上容疑者は取り調べに対し、実母がある宗教団体に多額の献金をした結果、破産し、団体に恨みを抱くようになったと供述。その関連団体に安倍元首相がビデオメッセージを送っていたことを知り、安倍元首相と団体の関連を疑い、犯行に及んだとのことです」(全国紙記者)
このことが報じられると、ネットを中心に団体の名前として統一教会を指摘する声が続出。これを受けて統一教会は会見を開き、山上容疑者の母親が教会員であることや献金を受けていたことを明かした。
「報道によると、山上容疑者の母親が統一教会に献金した総額は1億円にも上るといいます。98年に入信した直後に土地や一戸建て住宅を売却し、02年には破産宣告を受けていたそうです」(前出・全国紙記者)
長年にわたり、霊感商法や多額の献金が問題視されてきた統一教会。今回の事件を機に、全国霊感商法対策弁護士連絡会が会見を開き糾弾するなど、再びその活動内容が注目を集め、波紋を呼んでいる。
そんななか、山上容疑者の母親は事件後に亡くなった夫の兄である伯父がいる大阪府へ。奈良地検による聞き取りにも応じているというが、各メディアによると聴取の中で母親が「今回の事件で統一教会を批判にさらして迷惑をかけてしまい申し訳ない」と統一教会へ謝罪をしていることが報じられたのだ。
前出の全国紙記者は言う。
「現在の山上容疑者の母親は、仕事をしていないため、多額の献金はできない状態だといいます。しかし、伯父は『スポニチ』の取材に対して、山上容疑者の母親が今も統一教会への献金を続けていることを明かしています。その元手として『年金から献金しているニュアンスだった』と語っていました。山上容疑者の母親は息子が事件を起こしたことで、昭恵さんをはじめ安倍元首相の家族には非常に申し訳なく思っているそうです。しかし、山上容疑者が凶行を起こした一因にもなっている統一教会への思いはあまり変わっていないようです」
献金の末に破産し、そのことに起因して息子が銃撃事件を起こした今も統一教会への変わらぬ愛を抱いている山上容疑者の母親。インターネット上には、驚きと戦慄の声が広がっている。
《山上容疑者の母親の「統一教会に申し訳ない」という言動には非常に心をえぐられる。どこにも救いがない。悲惨というほかない。》《こんな事を起こすほど息子を自分が追い詰めていたのか…という後悔や反省に何故ならないのか、全く理解ができません。普通だったら自分の信じたもの、生き様を後悔して息子に申し訳ないと思うと思うのですが》《母親に目を覚まして欲しかったのに、届かなかった。山上容疑者は母親の言葉を聞いてどう思うんだろうか、母親に容疑者と向き合ってほしかったけど、そんなとき来るのかな》

 

●山上容疑者の母親が語った“本音”「信仰は続けたい」 7/25
元宰相を2発の銃声と共に葬り去った男の半生は、虐遇への絶望と呪詛の言葉に満ちていた。家族を奈落に突き落とした新興宗教を憎悪し、ドス黒い怨念の炎を燃えたぎらせてきた暗殺犯の心の軌跡をたどる。
「今は少し落ち着いてきたけど、まだ今後のことは考えられない。まずは、安倍さんのご家族、親族の方々に謝罪したい。私の至らなさで……」
7月17日の朝、山上徹也容疑者(41)の母親は親しい統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関係者に、電話でこう打ち明けていたという。彼女が打ち砕いてしまった息子の人生。彼が行動を起こすにあたり、触発された映画があった。
3年前、愛知県常滑市の国際展示場から自宅に帰る道すがら、山上容疑者の脳裏には時折、前々日に観たその映画のシーンが、断片的に浮かんでは消えていたことだろう。
教会トップの暗殺は失敗
その日、2019年10月6日は、統一教会の信者にとって特別な一日だった。
教祖文鮮明亡き後、信者たちが「真のお母様」と崇める教団のトップ・韓鶴子(79)。彼女が、日本の信者の前に姿を見せる日だったのである。
絶対に殺す――。山上容疑者は固い決意と共に、荷物に火炎瓶を忍ばせて、イベント会場に入ろうとした。だが、
「部外者は会場に入場できず、この時、山上容疑者は計画を断念しています」(捜査関係者)
あの映画の主人公みたいにはなれなかった……。失意は深かったに違いない。
後に彼はTwitterにこう書きつけている。
〈オレがJOKERを観たのは鶴子がやって来る前日、名古屋でだった。〉(20年8月12日)
国際展示場でのイベント前日の5日、韓は名古屋市内のホテルに米下院議員や自民党議員たちを招き「ジャパン・サミット」を開いている。
その前の日、つまり19年10月4日は映画「ジョーカー」が日米同時公開となった初日だったのである。
〈ジョーカーは何故ジョーカーに変貌したのか。何に絶望したのか。何を笑うのか。〉(20年1月26日)
「ジョーカー」は、特殊な疾病を抱えた男が、社会の底辺から這い上がろうとするも、心折れ、社会へ復讐する悪役・ジョーカーになり、世上を騒乱の渦に陥れる物語である。
事件前日に送られた手紙
では、現実ではどのような道筋をたどり、山上容疑者は「ジョーカーに変貌したのか」。読み解く鍵は、彼がしたためた手紙にある。
〈ご無沙汰しております。「まだ足りない」として貴殿のブログに書き込んでどれぐらい経つでしょうか。〉
この書き出しで始まるA4判1枚の書面が入った封書の送り先は、統一教会を批判する活動を行っているルポライターである。消印は「岡山中央」になっていた。
山上容疑者は事件前日の7月7日、遊説中の安倍晋三元首相(享年67)を、岡山でも狙っており、かの地から投函したのである。もっとも、
「安倍さんが今月6日、横浜に応援演説に入る際にも山上容疑者が狙っていたという情報があります。前日、三原じゅん子の事務所に、執拗に翌日の安倍元首相の立ち位置などを確認する問い合わせがあったのです」(前出・捜査関係者)
手紙はこう続く。
〈私は「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書きましたがあの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました。〉
「銃の入手」と記しているが、実際は“自製”。昨年秋からネットで銃の作り方を調べ、部品も通販で仕入れて試作を繰り返していた。
「黒色火薬もお手製。犯行に使った銃は金属製の筒2本を木製の板やテープで固定し、発火用の電気コードを接続したものでした」(社会部記者)
深夜に異音が
家賃3万5千円、19平方メートルで間取り1Kの部屋は武器工場と化し、外に異音が漏れていた。マンション階下の住民が言う。
「月に1、2回、深夜に“ギュイーン、ドドドド”という音が響いていました」
今月5日、山上容疑者を目撃していた別の住人は、
「こちらからあいさつをしたんですが、会釈すらなく、目も伏せたまま。まるで、自分以外は世界に誰も存在しないかのようでした」
手紙の先を読もう。
〈私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産‥,この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません。
個人が自分の人格と人生を形作っていくその過程、私にとってそれは、親が子を、家族を、何とも思わない故に吐ける嘘、止める術のない確信に満ちた悪行、故に終わる事のない衝突、その先にある破壊。〉
夫の死亡保険も寄付
手紙を受け取ったルポライター、米本和広氏が語る。
「山上容疑者の犯罪は許されることではないですけど、家庭環境を考えると、その苦しみは理解できます。実際、統一教会によって家庭が崩壊してしまうケースは多いですから」
事件の背景には母親の統一教会への入信がある。山上容疑者の伯父によると、入信のきっかけは二つ。一つは、父親が1984年12月に自殺したことだ。
「翌年2月に妹が生まれたのですが、彼女は父親の顔を知りません」(伯父)
加えて、山上容疑者の兄が6歳の時に小児がんになったことも、母親を信仰の道へと駆り立てた。
「長男は7歳で抗がん剤を投与され、その翌年には頭蓋骨を開ける手術まで行っています」(同)
信仰は家族を一切顧みないものだった。
「統一教会は母親の入信時期を98年だと発表していますが、あれは間違い。本当は91年です。入会時に、2千万円を献金してますよ」(同)
3年以内に母親は合計で6千万円を教会に寄付。原資は主に夫の死亡保険金だった。
山上容疑者は手紙の続きでこう訴えている。
〈世界中の金と女は本来全て自分のものだと疑わず、その現実化に手段も結果も問わない自称現人神。
私はそのような人間、それを現実に神と崇める集団、それが存在する社会、それらを「人類の恥」と書きましたが、今もそれは変わりません。〉
親族にも献金を求め…
実際、統一教会はあの手この手で金を吸い上げた。その一つが母親も参加したという“霊肉界祝福式”だ。
「寡婦が死別した伴侶と祝福(結婚式)に臨む儀式で、参加するに当たり、教会からは多額の献金を要求されます」(宗教ジャーナリスト)
また母親は、伯父に教会への献金を乞うてもいた。
「“献金してくれ”と母親に言われてな。入信を勧められたわけではなく、お金だけ払うよう勧められたんや。“私の霊や夫の霊を慰めなさい”って。4代前までの霊を治めるために1回40万円払えって理屈です」(前出・伯父)
山上容疑者自身もTwitterで、〈オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族に家族から窃盗・横領・特殊詐欺で巻き上げさせたアガリを全て上納させることだ。70を超えてバブル崩壊に苦しむ祖父は母に怒り狂った、いや絶望したと言う方が正しい。包丁を持ち出したの(ママ)その時だ。〉(20年1月26日)と、統一教会によって、一家が苦境に立たされていった様子をつづっている。
大学は金銭面の問題で断念
山上容疑者は地元の小学校と中学校を卒業後、奈良県下の名門・郡山高校に進学する。
母親の信仰は彼の人生に暗い影を落としていたものの、その時点までは、前途は決して悲観すべきものではなかっただろう。だが、98年に建設会社を営んでいた母方の祖父が死去すると、状況は一変。母親が会社の土地を相続したが、
「それを処分して、2千万円を作り、即座に献金してしまいました」(同)
結局、母親が教会に献金したのは、保険金と自宅を含め複数の不動産の売却代金などを合計し、1億円は下らないという。結果、
「大学は入学金や学費の問題があって、断念せなあかんかった。それで、公務員として働こうと、進路を変えたんです。消防士になりたいという話が徹也からあり、そのための予備校にも通わせました」(同)
だが、努力のかいなく、「消防士の試験、筆記は通ったんやけど、実技で落ちて。かなりの近眼だったからでしょう。結局、私の親族が徹也に海自の働き口を見つけてきました」
任期制自衛官として、02年8月、海上自衛隊の佐世保教育隊に入隊。ようやく人生が上向きになるかと思われたのも束の間、今度は母親がその年の12月に自己破産に追い込まれる。
兄と妹を救おうと自殺未遂を
もはや、宗教が一家の生活基盤を根こそぎ奪ったのは明らかだ。この点、統一教会側は今月14日のコメントで、これまで自発的に一家に5千万円を返金してきたかのように説明したが、
「それは違います。私が、統一教会側に対して母親の破産の情報を全部知らせろ、献金の一覧を全部出せと迫ったんです。そしたら教会側から、5千万円で全部勘弁してくれと言ってきたんです。全部うやむやにするために」(同)
もっとも、伯父の交渉虚しく、母親は返金された分まで再び統一教会に寄付してしまったという。息子の絶望は想像に難くない。そして05年1月、“事件”が起きる。
「徹也が自殺未遂したんです。統一教会が原因で兄と妹の生活まで困窮している。そこで、自分が自殺して保険金を渡そうと考えたというわけです。本人からそう聞きました」(同)
一命を取り留め退院したのち、海自を抜けた彼は測量会社など複数の勤務先でアルバイトをしながら暮らし始める。
「生活を立て直そうとしたのでしょう、山上容疑者は働きながら宅地建物取引主任者(現・宅地建物取引士)、2級ファイナンシャル・プランナーなどの資格を取得しました」(社会部記者)
ところがそんな中、さらなる不幸が。彼が自らの命と引き換えにその生活を守ろうとした兄が、15年に将来を悲観して自殺。親族によれば、山上容疑者は葬儀で、「なんで兄ちゃん死んだんや。アホやな、生きていたらええことあるのに」そう嘆いていたという。
〈安倍は本来の敵ではない〉
兄の死をもって、ジョーカーに変貌する素地は整ったといえよう。ただあくまでも、憎しみの対象は一貫して統一教会であり、米本氏への手紙でもこう記している。
〈苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません。文一族を皆殺しにしたくとも、私にはそれが不可能な事は分かっています。分裂には一挙に叩くのが難しいという側面もあるのです。現実に可能な範囲として韓鶴子本人、無理なら少なくとも文の血族の一人には死んでもらうつもりでしたが鶴子やその娘が死ねば3男と7男が喜ぶのか或いは統一教会が再び結集するのか、どちらにしても私の目的には沿わないのです。〉
なお、ここに登場する三男は教団から追放された存在で、七男もサンクチュアリ教会なる分派を率いている。山上容疑者が韓鶴子を敵視し、“銃器礼賛”思想のサンクチュアリに属しているとの情報が一部であったが、それは誤りのようだ。
米本氏は、「“安倍は本来の敵ではない”という認識は合っていますよね。本人が自覚している通り、一番に韓鶴子を狙いたかったけど、できないから安倍さんを、というのはおかしいよね。もっと違う方法があるはずなのに、それを考えられないくらい追い込まれていたということでしょうか」
「喉から手が出るほど銃が欲しい」
一昨年末には、米本氏のブログへのコメントでも教団に対する激しい憎悪を見せていた。
〈統一教会(中略)を破壊しようと思えば、最低でも自分の人生を捨てる覚悟がなければ不可能ですよ。(中略)我、一命を賭して全ての統一教会に関わる者の解放者とならん〉
〈世界平和家庭連合? ポルポトか? スターリンか? ヒトラーか? どんな地獄だ? 人の生き血はどんな味だ?〉
〈統一教会の所業が彼ら(ヒトラーやスターリン)に比肩し得る人類に対する罪レベルだからだ。(中略)いずれ誰かが殺されるだろう。私と社会にはそれをビールでも飲みながら娯楽として消費する権利がある。行使するかは自由だが。だが言っておく。復讐は己でやってこそ意味がある。不思議な事に私も喉から手が出るほど銃が欲しいのだ。何故だろうな?〉
「信仰は続けたい」
そして今年1月、派遣先の工場で同僚と仕事の仕方などを巡って衝突。その後もトラブルがあり、5月に自己都合で退職している。
増幅する狂気がそのまま犯行直前の手紙に記された決意につながっていることが分かる。“狂弾”の原因を作った母親の現在の心境は冒頭で紹介したが、教団に対してはどう思っているのか。前出の統一教会関係者が声を潜めて言う。
「母親は安倍さんのご家族に謝罪したいとは話していましたが、一方で、息子さんがこれだけ重大な事件を起こしたのに、教会の批判は一切、口にしていません。事件後も“私の至らなさで、こんなことになってしまった。でも、信仰は続けたい”と言っています」
この期に及んで、信心は揺らいでいないというのだ。
一方で、山上容疑者の妹に遭遇した知人は、こう打ち明けられたという。
「あの事件あったやろ。あれの犯人、ちょっと身内っていうか、私のお兄ちゃんやねん。だから今ちょっと面倒くさくて大変なんや。でも、もう4年くらい会ってないし、一緒に住んでもおらんから、事件起こしたとか言われても、知らん」
山上容疑者の手紙は最後、こう結ぶ。
〈安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません。〉
だが邪宗にもたらす意味、結果は明確に見通していた。彼はこう供述している。
「自分が安倍氏を襲えば、家庭連合に非難が集まると思った」
●山上容疑者「精神鑑定」へ…“刑事責任”起訴か判断 7/25
マンションからダンボールに入った押収物を、次々と運び出す捜査員。
安倍晋三元総理大臣が銃撃された事件で、奈良県警は24日、山上徹也容疑者(41)の自宅を再び家宅捜索しました。
山上容疑者を巡っては、関係者によりますと、奈良地検が刑事責任能力があったのか調べるため、専門家による精神鑑定の実施を奈良地裁に求め、認められたということです。
奈良地検は、鑑定結果を踏まえて、起訴するかどうか判断するものとみられます。
●山上徹也容疑者の鑑定留置始まる…「母親を恨んでいる」 7/25
安倍元首相が殺害された銃撃事件をめぐり、殺人の疑いで逮捕された山上徹也容疑者の刑事責任能力を調べる鑑定留置が、7月25日に始まった。
同日午前、山上容疑者はこれまで取り調べを受けていた奈良西警察署から大阪拘置所へと身柄が移された。鑑定留置は、11月29日までおこなう方針だという。
山上容疑者は、母親が「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に多額の献金をしたことで、家庭が崩壊したと主張している。報道によると、山上容疑者の母親が旧統一教会に献金した総額は、1億円にも上るという。さらに24日、山上容疑者は「母親を恨んでいる」との供述をしたとも報じられた。
一方、7月22日、NHKは、母親が検察に対し「今回の事件で旧統一教会を批判にさらして迷惑をかけてしまい申し訳ないという趣旨の話をしている」と報じた。立ち会った親族への取材でわかったというが、旧統一教会をめぐる母子の思いは、決定的なまでに食い違っている。
本誌は、山上容疑者が知人の男性に「統一教会がなければ、今も家族といたと思う」と語っていたことを報じている。
ふだんはあまり感情を出さない山上容疑者が、「統一教会は、安倍と関わりが深い。だから、警察も捜査ができないんだ」と怒りにまかせたように話していたという。
母親は1998年ごろ、同教団に入信し、翌年6月には土地や一戸建て住宅を売却。2002年に破産宣告を受けていたとも伝えられている。ネット上では、母子の “交わることのない思い” を嘆く声が多く寄せられている。
《山上母にとって統一教会は、自分と家族を災厄から守るものであり、家族も入信しさえすればその後に続く不幸は回避された筈と考えまたそう示唆もされたと思います》《母親が息子ではなく、教会に申し訳ないと話した記事を読んで心が痛みました》《信仰の自由があり本人が覚醒しないことには誰も止められない》
家族への思いが、“恨み” に変わってしまった悲劇だーー。
●母親への恨み供述 母親は「亡くなった夫の霊を慰めるため・・・」と多額献金 7/25
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件。逮捕された山上徹也容疑者(41)の事件当時の精神状態を調べる「鑑定留置」が7月25日に始まりました。
7月25日午前10時すぎ、山上徹也容疑者が、勾留されていた奈良西警察署を出発しました。鑑定留置先となる大阪拘置所へと身柄が移送され、7月25日から11月29日まで刑事責任能力の有無を調べる鑑定留置が行われることになっています。
山上容疑者は7月8日に奈良市内で演説中だった安倍晋三元総理を銃撃して殺害したとして送検されています。これまでの警察の調べに「母親が旧統一教会にはまり多額の献金をして破産した」「母親の入信で家庭がめちゃくちゃになり母親を恨んでいる」という趣旨の供述をしていて、犯行動機については「教会を恨んでいて、安倍元総理は教会とつながりがあると思い狙った」などと供述しています。
警察は、母親や教会への恨みが安倍元総理の殺害に繋がったと見ていますが、親族によりますと、その山上容疑者の母親は検察の調べに対して「事件で旧統一教会が批判され迷惑をかけ申し訳ない」と話しているということです。
また山上容疑者の母親は「亡くなった夫の霊を慰めないといけない」などとして、旧統一教会に多額の献金を繰り返し、家族とトラブルになっていたといいます。
警察は、7月24日に山上容疑者の自宅の3度目の捜索を行ったほか、25日朝は事件があった近鉄大和西大寺駅前で検証を行うなど、綿密に犯行の裏付け捜査を進めています。
●夫と長男が自殺、次男が元首相殺害…それでも信者を続ける母親の"頭の中" 7/25
山上徹也容疑者(41)の母親はなぜ、旧統一教会への入信を続けているのか。元信者だったジャーナリストの多田文明さんは「夫や長男の自殺といった家族の悲劇や、次男による凶行事件は、母親が宗教にのめりこみさえしなければ避けられたように思います。母親自身もそれを理解しているはずですが、頭の中は完全に教義につかっており、簡単に抜け出せない状態です」という――。
自分のせいで家族が破綻…なのに信者をやめない理由
安倍晋三元首相を綿密な計画で銃撃した山上徹也容疑者(41)。すでに報じられているように、その動機については旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)に入信した母親が約1億円を献金したことで家庭が破綻したこと、また、元首相のことを教団のシンパであると考えたことがあるとされています。
容疑者ファミリーが歩んだ歴史は壮絶なものです。容疑者の父と兄は自殺、本人も自殺未遂。そんななか、母親は宗教にのめりこみ続け、自宅などを売り払ってまで献金。現在も旧統一教会に在籍し、年金から献金しているといった報道もあります。下記は、現在までに報道されている容疑者ファミリーの主な歴史です。
容疑者のファミリーに起きた出来事
・父親:京都大学卒で、会社を経営していたが、母親(妻)が別の宗教にのめりこんだことを苦に自殺。
・兄:7年前に病を苦に自殺。
・母親:夫の生命保険、実父から相続した事務所や自宅を処分し、さらに献金
・容疑者本人:自衛隊に入隊していた任期中に自殺未遂事件、奈良県で安倍晋三元首相を銃撃。
家族の悲劇は母親が宗教にのめりこみさえしなければ避けられたものも多いように思われます。
なぜ、自分の大切な家族がつらい目に遭い、息子が自死を選択し、さらに元首相の殺害行為に及んでしまったのにもかかわらず、母親は信仰をやめることをしないのか。不可解に思う読者の方も多いのではないでしょうか。
カルト的な思想を宗教にハマる人の心のメカニズムとはいったいどんなものなのでしょうか。
旧統一教会「献金はご自身の意思で行う」は本当なのか
旧統一教会の恐ろしさは、筆者のように中に入って信者となったものにしかわからないものがあります。
凶弾に倒れた安倍晋三元首相がビデオメッセージを寄せた旧統一教会の関連団体・UPF(天宙平和連合)には、米ドナルド・トランプ前大統領からもメッセージが寄せられていました。政治家や有名人などが賛同するような関連団体は多くあり、一見すると問題があるようには見えないかもしれません。しかし、外側からだけではあの教団の本質は見抜けません。
7月11日に都内で実施した会見で、教団は「(旧統一教会の)行事や企画で献金要請されることはありません」「献金はご自身の意思で行う」と発言しました。
これを聞いて、元信者だった人の中にも「私も、自ら献金をした」と思っている人がいるかもしれません。しかし、それは違っています。献金するように誘導されているのです。
約10年間、「中の人」となり、その後、ジャーナリストとして長年、詐欺や悪質商法を見てきたからわかることですが、だます側はお金を払わせる際、本人に選んでいるように思わせて、実際のところ、その選択肢しかない状況に追い込んでいることがよくあります。
例えば、一時期、被害の多かったものに「買え買え詐欺」があります。旧統一教会とは直接関係ありませんが、その手口としてはきわめて似た要素があります。
詐欺グループはある高齢者宅に、「近くに○○老人ホームが完成予定した」とのお知らせと、その施設への入居権利の申込書を郵送しておきます。そしてそれが届いた頃に、老人ホームとは関係のない業者を装い、電話をかけます。
「○○老人ホームの完成予定のお知らせと入居権の申し込み書が、お宅に届いていませんか?」
「ありますよ」
「本当ですか? 実はこのホームに入居したい人がいるのですが、それが届いた人しか申し込めないようになっています。代わりに申し込んでもらえませんか?」と懇願してくるのです。
これを聞いた高齢者は次のように思いつきます。
「自分が申し込めば、困っている誰かの助けになるかもしれない」
そう思い申し込み、自分の名義を貸して、高額な権利金を払い、結果的にお金をだまし取られてしまうわけです。詐欺犯らは、高齢者らに「自分にしかできないことだ」と思い込ませて、申し込むように仕向けているのです。これと同じようなことが、旧統一教会の献金や霊感商法による物品購入でも行われています。
旧統一教会で勧誘する側にいた著者が語る恐怖の“手口”
筆者自身は、大学4年生の頃、旧統一教会を隠した勧誘にひっかかり、教団に入りました。友人からバレーボールに誘われたのがきっかけでした。その後に自己啓発のサークルに誘われて、勉強をすることになります。私が信者だったのは1987年から10年ほどです。
旧統一教会ではその人の持つ悩みや不安に付け入ろうとしてきます。当時の筆者は就職への不安を抱えていました。「ここで学ぶことで視野を広げて、願う企業に就職したい」と思うなかで、自己啓発の勉強に自分で申し込みをしたつもりでいました。その先には、ライフトレーニングなど、信者にさせるためのステップが続きますが、これらもまた自分で選んでいたつもりでした。
しかし、後に組織の内情を知るうちにそうではなく「選ばされていた」ことに気づきます。
筆者は教会内で「講師」と呼ばれる肩書を与えられて、長く務めました。
90年代当時の教会の勧誘手法はシステム化されていて、そのレールに乗せることで、新しい信者を量産していきました。勧誘をする者は、とにかく入口の自己啓発サークルに誘い入れれば良いので、必死になって多くの人に声をかけます。
仮に、会社に勤務しているA子さん(貯金500万円)が勧誘されるケースでお話します。
街頭では「自己啓発の勉強をしてみませんか?」「姓名判断を受けてみませんか?」というだけで、統一教会であることは告げずに、勧誘場所に誘い込みます。自分の人生をよりよくするために、自分は今、何をすべきか。そんな思いや悩みを抱く若者は少なくありません。「自己啓発」というフレーズが刺さるケースもあるに違いありません。
A子さんが声をかけられて自己啓発サークルに入会すると、ビデオでの勉強を口実に、教義を徐々に植え付けていきます。筆者の時にも「聖書の勉強をしている」と思わせながら、実際には、統一教会の教義を教えられました。
数カ月して、教義がある程度、頭にすり込まれたところで、2日間の泊まり込みの「セミナー」に参加させます。ここでは受講生の心に訴えるような講義がなされますが、実はこの「お泊り」が大事で、教団では信者になると、ホームと呼ばれるところで四六時中、共同生活をすることになりますので、その第一歩として2日間のセミナーを経験させます。
セミナーを終えたA子さんには不思議な高揚感があり、教団側はすかさず次のステップである、2週間の泊まり込みが基本の「ライフトレーニング」への誘いをしてきます。A子さんは会社に通いながら、夜には講義をして泊り、会社に行くということになるでしょう。
ライフトレーニングの最終日近くで、ようやく「統一教会」であることを告げられます。そして次のステップである、「4日間セミナー(4Days)」に参加することになり、その後も延々とトレーニングは続き、信者となっていきます。
おそらく多くの人は、A子さんは自ら選んで先に進んでいると思うかもしれません。しかし、そうではないのです。すでに教義が心に刷り込まれている状況では、霊界の実在や神様の存在も信じさせられています。神様の言葉を守った行動を取らなければ「不幸になる」「地獄にいく」とも思わされていますので、先に進まざるをえない状況なのです。
特に筆者は長くライフトレーニングの講師を担当しました。ここでは、最終日近くに「統一教会である」ということを告げることになります。
ある時、こんなことがありました。
統一教会に嫌悪を抱いたのに、自ら飛び込む信者
1992年8月に3万組の合同結婚式がありましたが、それを前にテレビのどのチャンネルも統一教会に関する話題ばかりでした。ライフトレーニングの受講生たち(6〜7人)とテーブルを囲んでお昼を食べていました。テレビから流れる合同結婚式の映像に受講生らは「気持ち悪いね」「誰がこんな宗教に入るんだろう」「信じられない」などと言っています。
午後の講義が始まります。そして最後に「さて、皆さんが学んできた講義内容は誰が解明されたかというと」と言い、黒板に「世界基督教統一神霊協会」と書きます。
「先ほど、皆さんがテレビで見ていた、統一教会の文鮮明先生が解き明かされた内容です」
すると、受講者たちは一瞬、絶句し、その後、「えっ」「うぇ〜」という悲鳴にも似たような声を出します。それはそうでしょうさっきまで、悪口を言っていた団体なのですから。
さて、その後はどうなるか。
このときは全員、次のステップである4Daysに参加しました。そしてその次のトレーニングにもほとんどの人が参加して、信者としての道を歩み始めます。
ここがこの勧誘システムの恐ろしいところです。あんなに合同結婚式を行う統一教会に嫌悪感を抱いていても、次の瞬間、受け入れてしまう状況に追い込まれるのです。
ここにはカラクリがあります。
実は受講生はそれまでに受けたビデオによる勉強会などで感想文を書き、その時に話をした内容はカウンセラーの所見として報告され、本人の悩みを含めてストックされていて、個人情報は組織内ですべて共有されています。
当時、筆者の上には教育部門をつかさどる長がいました。その人を中心に、毎日のように、「どうやって信者にしていくのか」という会議が行われます。「統一原理は受け入れているか」「本人は何を動機にして、統一教会の教えを聞いているのか」「霊界の存在はどのくらい信じているか?」「お金はどのくらいもっているか?」などです。
一人ひとりの受講生の状況が報告され、講師やトレーニングのスタッフがどう接するべきかの指示がなされます。
さらに、「統一教会という名を明かした時にどういう態度をとるか」「拒否した時には、どういう対応をとればよいのか」など事細かに指示されて、対策が打たれています。そして、相手が断るだろう言葉はすべて封じておくのです。
仮にA子さんが「だまして教えたのですか!  統一教会の悪評は知っています!」と、言ってくることが想定される時には「マスコミはすべての真実は話してくれません。今まで接してきた人たちがそんな悪い人たちに思えますか?」と切り返します。
さらに「もう少し先に進んで、真実を確かめても良いのではないですか?  イエス・キリストのように、真実を話すものは言われなき誹謗(ひぼう)中傷を受けるものです」と諭すのも常套手段でした。
統一教会と言われて、相当反発することが予想される人には、個別の部屋を用意して、他の人への悪影響を及ばさないようにさせることもあります。すべての否定的要素は封じておくのです。
受講生らは心が教義に染まっている状況である上に、このような万全の対策を取っています。そこで「4daysはどうする?」とわざと聞きます。しかし、彼らはすでに「先に進みます」というしかない状況に追い込まれています。
自分で選んだように思わせて、先に進ませる。これが手なのです。
つまり、旧統一教会内ではその人の個人情報は丸裸になっており、組織的個人という完全アウエーの状況で、受講生らを信者への道を歩ませます。
しかしこれは信者教育だけに限ったことではありません。献金や物品購入においても同じです。もしA子さんが500万円の貯金があったとします。すると、そのことが会議のなかで取り上げられます。
「霊界、因縁は信じているか?」「救われた実感を持っているか?」などの話がなされています。特に「神の言葉に反したら、神の子になれず、地獄にいく」「不幸な人生になってしまう」「家族、親族が悲惨な状況になる」などの恐怖心を感じているかが、大事なポイントになっていたように思います。
こうした入念な打ち合わせが行われた後に「先祖の悪因縁があるということで、100万円の印鑑を買わせなさい」と指示がなされます。
さらに「4Daysで、統一教会のことを受け入れたら、次のトレーニングで、お父様(文鮮明氏)の神の国をつくるため、残りの400万円を献金させるようにしなさい」という方針が決められて、後日、A子さんに実行されます。
すでにA子さんは、統一教会の教えに染まっているので、手のひらで転がされるように全額を統一教会に払ってしまうわけです。
なんで統一教会に入信してしまい、多額の献金をしてしまうのだろうと思う方は多いと思います。この「自発的に入信した」「自分から、神の国実現のために献金した」と誘導させる手口こそが恐ろしいのです。
夫と長男を失い次男が逮捕でも信者続ける母の「頭の中」
山上容疑者の母親も、自らの旧統一教会への入信が家庭崩壊のきっかけになり、息子が安倍元首相を銃弾で打った動機になったかもしれないことは、頭の中ではよくわかっていると思います。しかし、それでも信者をやめられない。
その理由は、教団をやめたら「事故や病気になり、不幸になる」「サタンの側になってしまい、地獄にいく」という恐怖心が大きいはずです。しかしそれだけではなく、教義を知ることで心が救われた実感を持っていることもあると考えられます。
筆者のいた旧統一教会では、これを「救われた実感」という呼び方をしていました。
これまで述べてきたように、旧統一教会の教えが入った人物に多額の献金をさせるか、させないかは上層部との会議のなかで決められて、そこでたてられたストーリーのなかで、本人に「救われた」という思い(救われた実感)を持たせて、お金を出させています。
入信も同じで「自分が選んで入った」のではなく、実際は「(教団側の言葉に)思いつかされて、その道を選ばされた」のですが、このことに気づくには、旧統一教会の内部事情を知り、信者時代の自分の行動を振り返る必要があり、容易ではありません。
自分の行動を振り返り……例えば、霊感商法の商品を買った際、自分から「買います」と言ったのはなぜか、と心の中を見つめ直し、実は「買います」と言わされていたという現実に気づけるか。自分の心に旧統一教会がくくりつけた偽りの糸を一つひとつ外していかなければなりません。
信者にとってこうした作業はしんどいものです。なぜなら、長年信じていたものを手放すことは、これまでの自分の人生への否定にもなるからです。
容疑者の母親は20年以上の信者といわれています。当時の記憶をたどりながら、だまされていたという現実に気づくには、おそろしく長い時間がかかるでしょう。母親が今も、統一教会を信じ続けたい思いは、元信者としてはよくわかりますが、教え込まれたマインドコントロールを解くためには、絶対に向き合わなければならないことなのです。
●統一教会と政治家 2年前設立の議員連合“顧問”に関連団体「議長」も… 7/25
安倍元首相が銃撃され殺害された事件をきっかけに、いわゆる“統一教会”の「世界平和統一家庭連合」と政治家の関わりが続々と明らかになってきています。こうした中、約2年前に設立された世界平和の実現などを目的とする議員連合の役員名簿を入手しました。
25日午前10時過ぎ、ややうつむきながら車に乗り込んだ山上徹也容疑者。奈良西警察署を出発し、約1時間後、鑑定留置のため大阪拘置所に入りました。今後、約4か月間、刑事責任能力を調べるための鑑定留置が行われます。
山上容疑者が恨みを募らせ、犯行に至ったきっかけとみられている、「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”。かつて霊感商法などが社会問題化した教団を巡って、今、問われているのが、教団と政治家の関係です。
2018年、“統一教会”の友好団体が岡山県で主催したというイベントで、来賓の代表として祝辞を述べたのが、自民党の逢沢一郎議員でした。
自民党 逢沢一郎議員「みなさま、こんにちは。衆議院議員、逢沢一郎です」「(韓鶴子氏)総裁より本当に高額な多額な心のこもったご奉仕を頂きましたこと、ご寄付をいただきましたことを、私からも心から厚く感謝御礼を申し上げます。誠にありがとうございました」
当時、西日本豪雨で被災した岡山に「寄付をいただいた」として、教団の現総裁・韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏に感謝を述べていました。
銃撃事件をきっかけに、“統一教会”と政治家の関係が続々と明らかになる中、約2年前に設立された世界平和の実現などを目的とする議員連合の役員名簿を入手しました。
顧問の1人として記載されているのは、「UPF-Japan」の議長を務めているという人物です。UPFといえば、安倍元首相がメッセージを送っていた“統一教会”の関連団体です。
そして、この議員連合のトップ「名誉会長」として記載されているのが、先月には国会の閉会を宣言していた衆議院議長の細田博之氏です。実は、3年前、韓鶴子氏も参加していた会合に参加していました。その時の映像が主催団体のHPに公開されていました。
司会「衆議院議員の細田博之先生にご登壇いただきます」
拍手を浴びながら登壇し、語ったのは――
現・衆議院議長 細田博之氏「きょうの盛会を、会の内容を安倍総理に早速、ご報告致したいと考えております。韓鶴子総裁の提唱によって実現した、この国際指導者会議の場は、大変意義が深いワケでございます」
当時の安倍首相の名をあげ、韓鶴子氏をたたえていました。細田氏と教団はどのような関係なのか質問すると、細田氏側から「回答はすべて差し控える」との返答がありました。その後、会合を主催した団体のHPからは、この映像が消えていました。
議員連合の名簿に名を連ねる多くの議員は、“統一教会”との関係が疑われます。かつて、安倍内閣で防衛副大臣を務めた自民党の山本朋広議員もその1人です。2015年、自身のFacebookに「大学の先輩である平和連合の会長が来所。いくつか要望を頂きました」などと“統一教会”の幹部と会合した様子を投稿しています。
どのような要望だったのか、事務所に確認すると――
山本議員の事務所「相手方もあることですので、個別の問い合わせには回答しておりません」
一方、古くから“統一教会”を追及してきた共産党は、教団と政治家の関わりについて今後、超党派で調査を行う考えです。 

 

●旧統一教会に「申し訳ない」 山上容疑者母、地検聴取に―安倍氏銃撃 7/26
安倍晋三元首相が奈良市で銃撃され死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=の母親が奈良地検の事情聴取を受け、入会している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に「申し訳ない」と謝罪の気持ちを述べていたことが25日、分かった。山上容疑者の伯父が取材で明らかにした。
母親は事件発生後、伯父宅に身を寄せており、伯父は地検の聴取に立ち会っていた。山上容疑者はこれまでの奈良県警の調べに「母親が多額の献金をして破産し、家庭が崩壊した」などと供述し、旧統一教会への恨みを口にしている。
伯父によると、母親は1991年に旧統一教会へ入会し、その後に総額約1億円を献金した。銃撃事件後、奈良地検は約4時間にわたり母親を聴取したが、伯父は両者のやりとりについて「話が合わない。彼女(山上容疑者の母親)のいる世界は霊の世界だから」と指摘する。母親は聴取に小声で応じ、伯父の目には旧統一教会に迷惑を掛けて落ち込んでいるように映ったという。
旧統一教会側は、母親に5000万円を返金したと説明している。母親が電話で話す声を耳にしたという伯父は、「5000万が何とか言っていた。(旧統一教会関係者と)何らかの連絡を取っているのではないか」と述べた。母親は旧統一教会の本や関連書類を伯父宅に持参したという。
伯父は「彼女にとっては(旧)統一教会が全てで、人生そのものという感じだ。息子のことなんか考えているわけがない」と強調。母親がいまだ強い信仰心を持っているとの見方を示した。
●山上容疑者「昨春から試し撃ち」 1年以上、習練重ねたか 7/26
安倍晋三元首相の銃撃事件で山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検、鑑定留置中=が「昨年春ごろから、つくった銃の試し撃ちを奈良県内の山中で何回もした」と供述していることが26日、捜査関係者への取材で分かった。山中では弾痕のような痕跡がある木製板などが見つかっており、奈良県警は1年以上にわたって習練を重ねたとみて捜査している。
捜査関係者などによると、山上容疑者は21年春ごろから銃をつくり始めたと説明。自宅とは別に21年3〜9月ごろに集合住宅の一室を、同11月〜今年2月ごろにシャッター付きのガレージを契約しており「火薬を乾かすために借りた」と説明している。
●山上徹也容疑者の鑑定留置を開始 「そもそも鑑定留置とは?」 7/26
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)の事件当時の精神状態を調べる「鑑定留置」が7月25日から始まりました。山上容疑者の精神鑑定が行われるということですが、「そもそも鑑定留置とは何か?」「なぜ行われるのか?」「検察の本当の狙い」について刑事弁護に詳しい川崎拓也弁護士に話を聞きました。
「心神喪失」「心神耗弱」とは?
―――鑑定留置は、検察官が精神科医に鑑定を依頼し、その鑑定のために勾留を停止し留置するという措置がとられるということですが、どんなことが具体的に行われるのですか?
「専門の精神科医の先生が鑑定人として選任されて、その方が主に面接・面談という形で被疑者の方に直接お会いしてお話を聞いて、あるいは周囲の関係者の方にお話を聞いて。ときには病院に行ってMRIなどの検査することもあります」
―――検察官が鑑定を依頼した場合は必ず鑑定留置が行われるのですか?
「裁判所が許可をしたときに鑑定留置となります」
―――山上容疑者の鑑定留置は11月29日までということで、4か月間という期間についてはいかがですか?
「4か月という期間自体はそんなに珍しくはなくて、やや長いかどうかぐらいです。面談自体は何度か行って、ドクターと被疑者の方との信頼関係もありますし、複数の面談を行うことで客観性を高めていくということもあるので、時間がかかってくるのかなと考えています」
―――鑑定留置が行われて、刑事責任能力の有無を判断するということになり、もし刑事責任能力がある場合は起訴されるということですが、刑事責任能力がない(心神喪失)場合は不起訴ということがあり得ると。どれぐらいの割合で起訴・不起訴となるのでしょうか?
「これはそれぞれの事件、あるいは被疑者の方の状況にもよります。また数字もはっきりと出ているわけではないのでわからないのですが、やはり重大事件の場合はどちらかというと『あり』の方向になる数の方が相当多いのかなというふうには思います」
―――山上容疑者の場合は起訴された場合、殺人以外に銃刀法違反・武器等製造法違反に問われる可能性もあるということですか?
「おそらく模造、自分で作られた凶器でされたということですので、それが銃刀法上の銃に当たるのかどうか、あるいは武器に当たるのかどうか、これは捜査を尽くした上で判断していくんだろうなというふうに思います」
―――鑑定留置の結果、「心神耗弱」という場合は刑を軽減することもあるようですが、この心神耗弱というのはどういう状態のことを指しているのですか?
「法的には、事理弁識能力、善悪がそもそも判断できないかあるいは全く自分をコントロールできないときには、心神喪失。その能力が著しく減退し、かなり減退するというときには、心神耗弱というふうになっていますので、その程度問題ということになります」
―――そして起訴後、弁護側が精神鑑定を行うこともできるんですね?
「もちろん弁護側あるいは被疑者の側も私的にドクターをお願いして精神鑑定的なことを行うということはできるんですが、なかなかやはり自由に体を動かせるわけでもないですし、自由に面談できるわけでもないので非常に難しい。あるいは起訴後に裁判所に求めていくこともできるんですけども、これが採用されるかどうか、これも事件ごとによってだいぶ変わってくるのかなという状況です」
計画的だからといって責任能力があるとは限らない?
―――今回、山上容疑者は計画的な犯行だったのでしょうか。安倍元総理の岡山市の演説会を4日前に把握していたとされ、銃を作るたびに試し打ちをした、奈良に来ると知り犯行を決意した、というような情報があります。その限られた情報だけを聞いていると、計画的だったのではないかと感じてしまいますが、豊田さんはどう思われますか?
元厚労省官僚・元衆議院議員 豊田真由子さん「鑑定留置に限らず、川崎先生もおっしゃいましたけど、精神科の診察・診断というのはものすごく難しくて、すごく本当に経験も豊富な素晴らしい精神科医の方がお2人いて同じ人物を精神科として診察しても、結果が真逆になることだってあるわけですよ。ですし、やっぱりそれだけの時間と信頼関係を作っての上でのいろんな検査もした上で、本人の小さい頃からのいろんな生育歴ですとか考えていることとか、場合によってその周囲の方の話とかも聞いた上で、総合的に『こうかな』という判断をするということなので、そんなに白黒簡単に付くわけではないし、世の中で必ずこれが1つ正解だというものが出るわけでもないという難しさがすごくあるので、やっぱり予断を持ってこうじゃないかああじゃないかということはなかなか難しいんだと思うんですよ。ただ、ご遺族のお気持ちとか考えたら、どんな事件でもそうですけど、刑法39条の心神喪失だから罪には問えないというふうになってしまうことで、持って行き場がなくなるというその切なさ自体は社会にはあるとは思うんですね。ただ、この法律にのっとってきちんとどうかっていうことをやるということですし、今回裁判員裁判ということになると、一般の方が判断するにあたって、責任能力の有無を専門家の方がどう判断したのかということは1つ大事な指標ではあるので、慎重に行われると思います」
―――どんな精神科のお医者さんが選ばれるのか、川崎さん教えていただけますか?
川崎拓也弁護士「捜査段階のこういう鑑定留置、検察官が請求する場合は検察庁の方で鑑定嘱託という形で選んだ方ということになります。もちろんドクターですので客観的にやられるんだとは思いますが、やはり弁護側からすると、若干どういう人選になっているのかというのを注目するということも十分ありえます」
―――鑑定留置を行う検察の狙いというところが1つポイントだと思います。川崎さんの指摘として、計画的だが妄想に支配された状態で犯行を行っていることもあり、責任能力に疑問を抱く人も少なくないと。計画的だからといって、責任能力があるとは限らないわけですか?
「まず前提として、今出てる事実関係というのは捜査機関から出ている情報ですので、どこまでが真実かということはあるにしても、仮にこれが事実だとしてもですね、計画性があるからイコールすぐに責任能力があるということにはならない。例えば、ある一定の妄想に支配されて犯行に至るというときには、妄想から犯行まではそれなりに合理的だけれども、スタートの妄想が病気の影響を受けているとかそういうこともあり得ますので、計画的イコール責任能力があるというふうには言えないんだろうなというふうに思います」
―――検察側が鑑定を依頼するということは、刑事責任能力があるということを証明させるために鑑定を行わせるというのが検察の筋道ですか?
「基本的にはそういう発想はあると思います。我々よく“片道切符”なんて言いますが、ひとたび起訴すると戻れませんので、起訴する前には全ての争点についてそれなりの立証材料を持っておく必要がある。本件に関してどこまでの見立てを持っているかということは別ですけども、検察官としても立証するために、きちんとこの段階で鑑定をしておく、そして鑑定書という証拠を手に入れておく、これは1つの捜査手法としてよくある形なのかなと思います」
何が量刑に影響を与える?
―――山上容疑者は旧統一教会への恨みから安倍元総理を襲撃したとみられています。責任能力の軽減はあるのか、家庭環境の考慮はあるのかという点について、川崎さんによりますと、弁護側は責任能力軽減を主張する可能性はあるということです。これはどういう理由からでしょうか?
「今、報道で出ている情報を前提にすると、一定の旧統一教会への恨みというものがあったんだと。そこから一足飛びに、すぐにこの殺人事件まで至るかというと、そんなことはないわけで。そこに一定の論理の飛躍というものがあり、そしてそれが何らかの精神疾患が影響しているのであれば、それは一定の責任能力の軽減というものがあったんではないか、限定的なのではないか、こういう主張する可能性というのはあるんだろうなというふうに思います」
―――家庭環境が動機の面や責任能力で考慮される可能性はあるのでしょうか?
「何らかの精神疾患がもし発現したあるいは助長されたということに家庭環境が影響するということもありえますし、あるいは動機形成の中で無差別にしたわけではなくて、もちろんこういうことがあってはならないわけですけれども、その中でどういう経緯があったのかということは、もし将来裁判になって量刑を決める、刑の重さを決めるときには当然要素になってくるのかなと思います」
―――今回の事件の被害者は元総理ということで、量刑に影響を与える可能性はどうなのかということですが、川崎さんによりますと、命の重さはみな同じで、被害者がどんな人物かよりも、大勢の観衆がいる前で拳銃を使ったということや、どんな気持ちで行ったかが量刑を決めると思われるということですね?
「難しい問題なんですけれども、まず刑を決めるときには、どんな危ないことをどういう気持ちでやったのかということが重要になってきます。どんな方が被害者であるのかというのも、もちろんご遺族にとっても社会にとってもすごく重要な要素ではあるんですけれども、それであれば亡くなった人によって重さが違ってしまう。これが本当にいいのかということは当然あり得るわけで、できるだけ客観的にどんな行為をしたのか、そしてどんな気持ちだったのか、これがやはり量刑を決める重要なポイントになってくるだろうなというふうに思います」
元厚労省官僚・元衆議院議員 豊田真由子さん「今のところはすごく大事なところです。私は安倍元総理と仕事をしましたけれども、今、申し上げたいのは、日本は法治国家で民主主義国家なので、被害者の方がどなたであるかによって、全く同じ対応で同じ犯罪を犯したのに刑が変わるってことは絶対ないんです。あってはいけないことで、命の重さはどんな方も同じなので。元総理であろうが誰だろうが命の重さは同じ。川崎先生がおっしゃっているのは、大勢の人がいる中で拳銃を打ったので他の人に当たるかもしれなかったとか、その危険性を考慮するという話で、命の重さは変わらないし、どなたであっても同じように罰して同じように刑をするのが日本国の法治国家としての私は矜持だと思っています」
―――今の段階では限られた情報しかありませんが、どういった刑があるか、川崎さんはお考えになりますか?
川崎拓也弁護士「非常に難しいです。やはり事実関係が明らかになっていない中でのことですので、なかなか一足飛びには申し上げられないんですが、やはり、拳銃を使っているということ、そして、大勢の方がいる中で、しかも選挙活動中にあったということ、その意味ではやはり危険度の高い行為であったことは間違いありません。拳銃を使ってることも含めて相応にやはり重い刑にはならざるを得ないんだろうなというふうには思います」 
●国家公安委員長、旧統一教会との関係「事実」と認める 7/26
7月26日、二之湯智国家公安委員長が、旧統一教会との関係を認めた。2018年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が主催したイベント「ピースロード」において、京都府実行委員会委員長を務めていたのは「事実」だと、閣議後の会見で明らかにした。
二之湯氏は「政治家はいろいろなお付き合いがある。平和の祭典、運動を起こすので、ちょっと名前を貸してほしいというので貸した。それ以上の付き合いはない」とし、イベント当日には集まった人たちの前でスピーチしたことも認めた。
政治家と旧統一教会との関係がクローズアップされるなか、よりによって警察組織を管理する立場にある国家公安委員長までも――。
あまりに不適切な行為と言わざるをえないが、本誌では7月15日に、二之湯氏と旧統一教会との関係を報じている。
2021年4月、国立京都国際会館で開催される予定だった『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い』というイベントがある。実行委員長は旧統一教会の京都教区長で、「天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合」や教団系列組織「京都府平和大使協議会」などが共催しており、実質的に旧統一教会の主導イベントだ。
そして、その『呼びかけ人』に名を連ねているのが二之湯氏だった。本誌は二之湯氏の事務所に、旧統一教会との関係について質問書を送ったが、返答はなかった。
「安倍晋三元首相の銃撃事件で批判を浴びている警察組織ですが、国家公安委員長が旧統一教会と親しい関係にあるとすれば、さらなる批判は避けられません。警察全体への不信にもつながりかねない。二之湯氏が国家公安委員長になったのは2021年10月で、これらのイベントはいずれも就任前です。岸田文雄首相は、任命責任を問われても仕方がないでしょう」(政治部記者)
二之湯氏は、京都市議を経て、2004年の参院選で初当選し、3期務めた。今回の参院選には出馬せず、7月25日の議員任期満了をもって政界を引退した。
だが、国家公安委員長については「やめろと言われない限り一生懸命取り組んでいきたい」と、民間人の立場で職務を続ける意向を示している。
7月26日には、岸信夫防衛大臣も「旧統一教会の方と付き合いもあるし、選挙の際にも手伝ってもらっている」と関係を認めている。こんなことで国を守ることができるのだろうか――。 

 

●安倍氏への謝罪口にせず 山上容疑者、銃撃なお正当化か 7/27
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)が、奈良県警の調べに、安倍氏に対する謝罪や反省の言葉を口にしていないことが27日、捜査関係者への取材で分かった。自らの行為をいまなお正当化しているとみられ、奈良地検は鑑定留置を通じ、山上容疑者の刑事責任能力の有無を調べる。
捜査関係者によると、山上容疑者は母親が信仰する旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への恨みが動機だと供述し、当初は家庭連合トップの韓鶴子(ハンハクチャ)総裁の襲撃を画策。令和元年10月、韓総裁がイベントのため来日した際には火炎瓶を持って会場に出向いたが、警備の厳しさから断念したとされる。
その後、安倍氏が旧統一教会とつながりがあると思い、襲撃したと説明しているが、一方で「(安倍氏の)政治信条に対する恨みではない」とも供述。犯行直前に島根県の男性に送った手紙でも、安倍氏と旧統一教会との関係性を指摘しつつ、《本来の敵ではない》とつづっていた。
安倍氏個人への直接的な恨みはなかったとみられるが、捜査関係者によると、山上容疑者は逮捕後の取り調べに対し、安倍氏を殺害したことへの謝罪や反省を口にすることが一度もなかったという。25日から11月29日まで犯行時の精神状態を調べる鑑定留置が始まっており、県警の聴取は中断している。
一方、山上容疑者の母親は捜査当局の調べに「息子が大変な事件を起こし申し訳ない」と話しているが、旧統一教会への批判的な発言はしていないという。
●山上徹也容疑者の手製銃を『発射実験で殺傷能力を確認』へ… 7/27
安倍晋三元総理が銃撃されて死亡した事件で、警察は逮捕した山上徹也容疑者から押収した銃の発射実験を行う方針であることがわかりました。
奈良市で演説中に安倍元総理が銃撃されて死亡しました。逮捕された山上徹也容疑者(41)は大阪拘置所に身柄を移され、刑事責任能力の有無などを調べる鑑定留置が行われています。
警察は山上容疑者が銃撃に使った銃のほか、山上容疑者の自宅から手製の銃5丁を押収していますが、これらについて科学捜査研究所で鑑定を行い構造などを調べるとともに、発射実験を行い殺傷能力を確認する方針であることが捜査関係者への取材でわかりました。
警察は7月27日、選挙カーを事件当日と同じ位置に停めて現場検証を行い、当時の状況をさらに詳しく調べていました。
●山上容疑者が2年前に読んでいた私の記事、交通事故記事に何を感じたのか 7/27
7月19日、安倍晋三元総理大臣を狙撃した山上徹也容疑者(41)のツイッターアカウントが凍結されました。
『山上容疑者のツイッター凍結 「憎悪や攻撃誘発禁止」の規約に違反?』(朝日新聞デジタル)
『朝日新聞』(上記)によれば、そのツイートは2019年10月の初投稿から、2022年6月30日までの間に1363件にのぼっており、「憎悪や差別、新たな攻撃を引き起こしかねない投稿」を禁じているツイッター社により、規約に違反したと判断されたようです。
その数日後、知人からこんなLINEが届きました。
『山上容疑者のツイッターがアップされているサイトを見ていたら、三佳さんの記事が2つツイートされてました!』
一瞬、驚きました。凍結されるようなツイッターアカウントに私の記事が?  そもそも、山上容疑者がどんな記事に関心を寄せていたのか、まったく想像ができなかったからです。
知人からのLINEには、山上容疑者のツイッターのスクリーンショットも添えられていました。そこにはたしかに、私が2年前に書いた「Yahoo! ニュース個人」の記事のタイトルがあったのです。
山上容疑者がツイートした2つの記事
山上容疑者のアカウントに書き込まれたツイートは、主として統一教会に対する批判や政治的な問題、社会への不満のような書き込みが大半でした。そんな中、2020年10月21日、19時23分、彼は珍しくコメントなしで、私(柳原三佳)が執筆した以下の記事を2本連続でツイートしていました。
まず1本目はこの記事です。
『アクセルの踏み間違い、それとも車の異常?  池袋暴走事故裁判から、筆者が思い返す24年前のある死傷事故』(2020/10/16)Yahoo! ニュース個人)
そして、その17秒後、今度はこの記事が、同じくコメントなしで紹介されていました。
『アメリカで起きたレクサス暴走死亡事故 緊迫の通話記録と「制御不能」の恐怖』(2020/10/21)Yahoo! ニュース個人)
おそらく山上容疑者は、21日に公開された『アメリカで起きたレクサス暴走死亡事故……』の記事を読み、本文中にリンクされていた『アクセルの踏み間違い、それとも車の異常? …』という記事も読み、その上で、先に16日付の記事を、続いて21日付の記事をツイートしたのでしょう。
2つの記事に共通する「家庭崩壊」と「大組織との闘い」
山上容疑者がツイートした1本目の記事は、熊本で起こったタクシー(トヨタ・コンフォート)による死亡事故を取り上げたものでした。
詳細については記事をお読みいただければと思いますが、死亡事故を起こしたタクシー運転手は、事故直後から一貫して「車の不具合が事故の原因だった」と必死で訴えたにもかかわらず聞き入れられることはなく、結果的に「業務上過失致死(当時)」の罪に問われ、有罪判決を受けました。
この事故で自身も半身まひや言語障害などの重度後遺障害を負った男性は、タクシー運転手という仕事を失い、たちまち経済的な困窮に陥りました。そして、まもなく離婚。妻は2人の幼い娘を連れて家を出、家庭は崩壊してしまったのです。
次に彼がツイートしたのは、アメリカ・サンディエゴのハイウェイで起こったレクサスの暴走事故を取り上げた記事でした。
こちらは、現役のハイウェイ・パトロール警官が運転するレクサスが、アクセルが戻らなくなるというトラブルに見舞われたケースで、記事中では、その緊迫のやり取りが記録された実際の音声も紹介しました。
最終的にこの警官は車を制御することができず、高速度のまま道路から飛び出して激突。同乗していた一家全員が死亡するという悲惨な結果となったのでした。
山上容疑者は2つの記事に何を感じたのか? 
実は山上容疑者がツイートしたこの2本の記事は、私が特に強い思い入れを込めて問題提起したものでした。
車の欠陥や整備不良が原因で事故が起こったことが疑われるケースであっても、現実には大手自動車メーカーを相手にそれを立証することは極めて難しく、警察もほとんど真実を追及しようとしません。その結果、ハンドルを握るドライバーの不法行為(=過失)として一方的に処理されてしまう……、その恐ろしさを、実際の事故事例を取材して取り上げたのです。
特に、自動運転のシステムが進歩を続ける自動車業界において、この問題は今こそ真正面から議論されるべきだと考えていただけに、数ある記事の中から山上容疑者がこれらの記事に着目し、ツイートという形ですくい上げてくれていたことは、執筆者としては率直にありがたく感じました。
一方、この2つの記事に共通するのは、理不尽な出来事をきっかけに、家庭が崩壊してしまう、という切ない現実でした。
山上容疑者は、巨大な力に対して声を上げることができないまま悲しい結果を招かざるをえなかった当事者たちの運命に自分の境遇を重ね合わせ、ふと心を寄せたのでは……。
もちろん、それは私の推測に過ぎないのですが。
いずれにせよ、山上容疑者は、2年前なぜ私が書いたこの2つの記事に目を留めたのか。そして、この問題に対してどのような意識を持ち、何を目的にツイートしたのか……。
機会があればぜひ聞いてみたいと思っています。 

 

●安倍元首相の現役時代SPが「暗殺」を検証…山上徹也は警護の隙を窺う 7/28
「なぜ真後ろに誰もいなかった」
「SPは警護対象者の真後ろにぴったりとつかないといけないんだ。なぜ真後ろに誰もいなかった? 演説に配慮したのか、指示があったのか……真後ろにいれば安倍元首相は助かったかもしれない」
こう悔やむのは、安倍晋三氏が現役首相だったときにも警護を行っていた警視庁のSPの一人である。
7月8日午前11時すぎ、奈良市の近鉄西大寺駅前で起こった安倍晋三元首相射殺事件。現場で撮影されていた動画を検証すると、山上徹也容疑者は終始安倍元首相の後方で犯行のチャンスをうかがっていたことがわかる。さらに、安倍元首相を警護する警視庁のSPや奈良県警の警護担当者が、山上容疑者の動きを見過ごしていたことも明確になってきた。
当日、事件現場にいた人物から提供された動画を、「現代ビジネス」は前出の警視庁SPとともに検証した。以下、写真とともにその模様を記そう。
参院選奈良選挙区の自民党候補の応援演説会場に、安倍元首相がSPに囲まれながら到着したのは、午前11時19分から20分にかけてのこと。公明党の奈良県議が応援演説をしている最中だった。
聴衆の拍手に迎えられた安倍元首相の周囲を確認すると、少なくとも前に2人、後方に3人の警護がいることが動画からわかる。そこから安倍元首相は、ガードレールで囲まれた演説場所に入った。すると、すぐさま男性の警護が安倍元首相に立ち位置を示したうえ、真横についた。ここまではセオリー通りだ。
奈良県議の演説に続いて、自民党の奈良県連会長の演説が始まった。ここでは安倍元首相の真横に加えて、後方にも警護がいる様子が映っている。
さてこのとき、安倍元首相に向かって右後方のオレンジののぼり旗付近の警護の間から見える人物がいる。背後にあるバスロータリーの歩道に立っている山上容疑者の姿だ。周囲を見回したり、俯いたりと落ち着きがない。ただし、その2〜3m横には別の警護もいる。
山上容疑者の周辺にも聴衆はいて、彼らが演説を熱心に聞いている様子が動画からうかがえる。だが、山上容疑者は終始左右を見たり、時折安倍元首相の方に視線を投げかけている。また、自分のカバンを左手でしっかりおさえているシーンも映っている。もちろんこのカバンの中には、自作の銃が入っていた。
やがて参院選候補本人が熱のこもった演説を終えると、次は“真打ち”安倍元首相の出番となった。 
上記の写真の青い矢印を見ると、直前まで警護はしっかりと安倍元首相の後方に立っているのがはっきりとわかる。そして、安倍元首相と警護の間には、元首相に視線を向けている山上容疑者が確認できる。
警護の様子を観察する山上容疑者
問題はここからである。
紹介を受けた安倍元首相がマイクを握り、壇上にあがったときだった。後方の警護は、安倍元首相の横を通って、場所を移動したのだ。
警護が移動する瞬間を、安倍元首相に向かって右手後方にいた山上容疑者はしっかりと見ている様子を動画はとらえていた(上記写真。矢印で示した警護が動いている)。
安倍元首相の演説がはじまると、クローズアップされた動画には警護は誰も映っていない。山上容疑者は、安倍元首相が壇上に上がるときに退屈そうに手を叩くが、演説を聞くというより、観察しているような姿が映っている。
演説がはじまって50秒ほどで、山上容疑者はさかんにバスロータリー前の車道に目をやっている。
そして、1分10秒後に山上容疑者は移動を始めた(下写真)。バスロータリーの入口を横切って車道に向かい、安倍元首相の背後に向かって歩き始めるのだ。
そして、演説から1分15秒後、最初のズドーンという銃声が響いているのが動画には残っている。
「キャー」という悲鳴があがる中、3秒後、2発目が発射された。
動画には直後、山上容疑者に殺到し覆いかぶさる警護たちの姿もとらえていた。
1発目の銃声から山上容疑者が取り押さえられるまで、わずか8秒間の犯行だった。安倍元首相は1発目の銃声と白煙で一瞬、後ろを振り返りしゃがんだ。そこに2発目が命中して、命を失った。
真後ろに警護がいれば、山上容疑者の凶行から逃れられていた可能性が十分あるのではないか。なぜ、警護は安倍元首相の演説がはじまると、場所を変えてしまったのか。
警察庁幹部の一人が証言する。
「警護で対象者のすぐ近くにつくというのは、鉄則なのです。しかし、そうできないときがあります。その一つが選挙遊説です。安倍元首相クラスになれば、一般市民と触れ合えるのは選挙くらいしかありません。『過剰な警備はしないでほしい』と本人や自民党から要望が来ることだってある。安倍元首相のすぐ近くにいれば報道写真にも写りこんでしまうと、警護が場所を変えたようです」
歩道から動いた時点でなぜ止めなかった
この幹部は、当日の警備の布陣は、本来十分な体制だったという。
「東京の警視庁からのSPは一人だけで、あとは奈良県警が警護にあたった。東京からたくさんつくよりも、地元の地理や事情に精通していることが大事という観点があったからだ。現場での警護が15人ほどで、あと奈良県警本部などで関わったのが15人ほど、合計で25人と聞いている。安倍元首相のすぐ横からも周辺のビルなどからチェックするなど、2重、3重に張りめぐらされているいるはず。それなのになぜ山上容疑者を見落としたのか」(前出・警察庁幹部)
今回、動画を検証してくれた安倍元首相の現役総理時代の警視庁SPはこう語る。
「選挙の時はSPも遠慮がちになるのです。安倍元首相ではありませんが、選挙のときに政治家が市民と握手したりグータッチする際に、見るからに危なそうな市民がいた。そこで一人のSPが前に出てさえぎったのだが、終わってから『選挙妨害だろう』『前に出るな』とひどく叱られ、上からも注意を受けたことがあった。そうした遠慮が、今回、最悪の結果につながったのではないか」
このSPは、動画全体を見てこう感想を漏らした。
「山上容疑者は演説会の最初の挨拶のときから、後方のバスロータリーの歩道にいる。炎天下のなか本当に演説を聞くつもりならば、支援者なら演説場所の前方にいるはずだ。それをなぜ警護はなぜ気づかなかったのか。周囲を見回すなど挙動も不審だし、そもそもバスロータリーの歩道から車道に出るのはとても危険で、その時点で止められなかったのか。警護に隙があったと言わざるを得ない」
岸田文雄首相は7月14日の記者会見でこう語った。
「選挙遊説中の安倍元首相が銃撃を受け、亡くなられたという重大な結果を大変、重く受け止め、率直に言い、警備体制に問題があったと考えています」
7月17日、二之湯智国家公安委員長は事件現場を視察し、奈良県警察の鬼塚友章本部長から説明を受けてこう述べた。
「今回の事件で、警護と警備の問題点を洗い出す。早急に具体的な対策を講じていく」
今回の警護の最高責任者の一人は、警察庁の中村格長官だ。安倍政権時代には“守護神”とも言われ警察庁長官というトップに上り詰めた。
安倍元首相とも関係の深かった自民党幹部は怒りの表情でこう語った。
「中村長官は安倍元首相から大きな信頼を勝ち得た結果、警察庁長官になったと誰もが思っている。中村長官が週刊誌報道で叩かれても、安倍元首相は何も言わなかった。​だが中村氏の大失態で安倍元首相は命を失った。動画が残っている以上、いくら言い訳しても逃れられない。山上容疑者は車道に出て1分近くしてから、安倍元首相の背後から撃っている。これで警備といえるのか? 中村長官や鬼塚本部長の更迭はもう決まったようなものだ。警護には途方もない額の税金が費やされているのに、いったい警察はどうなっているのか。こんな警備では、安倍元首相の国葬にも世界のVIPは安心してやってくることができないという声もあるよ」
今回の警備体制の問題を検証チするームを警察庁は立ち上げたが、時すでに遅し。安倍元首相が帰ってくることはもうないのだ。
●「山上徹也を参考に自作銃作った、こいつで何発も撃って…」市長に殺害予告 7/28
兵庫県明石市の泉房穂市長は27日、記者会見し、「辞職しなければ殺害する」などの脅迫メッセージが届いたことを明らかにした。相談を受けた明石署が、脅迫容疑などで調べている。
発表では、メッセージは26日早朝、他市のホームページの問い合わせフォームから送信された。8月末までに泉市長に辞職を要求し、応じない場合、「(安倍晋三・元首相に対する銃撃事件の容疑者の)山上徹也を参考にして自作銃を作った。こいつで何発も撃って殺す」などと記されていたという。
泉市長は27日夕、自身のツイッターに「辞職するわけにいかないが、心中穏やかではない。しばし言動には慎重を期す」と投稿した。
●“統一教会”の支援 公明・北側副代表「慎重でなければならない」 7/28
公明党の北側副代表は、いわゆる統一教会から政治家が支援を受けることについては「慎重でなければならない」と述べました。
公明・北側副代表「(政治家が)反社会的な団体と評価される、そういう団体からの例えば支援をうけていく、さらにはそうした行事に参加をしていく、ということはやはり慎重でなければいけない」
教団について、北側氏は「過去に様々な事件があった」「結果として、そういう団体に利用されてしまうことにもなりかねない」と指摘しました。
一方で、公明党は創価学会を支持母体としています。
政治と宗教の関係について問われ、北側氏は「宗教団体の政治活動の自由は憲法上、当然、保障されている。選挙において特定の候補者や政党を応援することは憲法上、保障された権利である」と述べました。
●安倍元首相銃撃事件、容疑者狂わせた「母子の呪縛」 母との関係断てず 7/28
世の中を震撼させた安倍晋三元首相銃撃事件。山上徹也容疑者(41)が凶行に至った動機をひもとくカギとして浮かび上がるのは、新興宗教に翻弄された母親との関係性だ。母子の「呪縛」は彼の人格形成にどんな影響を与えたのか──。
安倍晋三元首相を銃撃後、山上徹也容疑者は抵抗するそぶりもなく警護員に取り押さえられた。母親が入信した旧統一教会(現・宗教法人「世界平和統一家庭連合」)に恨みを抱き、「安倍氏が国内に広めたと思った。本当の敵ではなかったが仕方なく狙った」と供述しているという。母親は1991年に入信。84年に夫が自殺したことや、山上容疑者の兄の病気などがきっかけとなり、信仰へ傾倒していったといわれている。多額の献金をくり返し、山上容疑者ら3人の子どもは家に食べるものがないほど困窮したという。統一教会の本部がある韓国まで修行に出掛けて何日も家を空けることもあり、実質的にネグレクト(育児放棄)の状態にあったようだ。
精神科医の和田秀樹氏はこう語る。
「殴る蹴るなど暴行による児童虐待よりも、ネグレクトのほうが心理的な後遺症が強くなることが、精神医学のさまざまな研究でわかっています」
母親は祖父から相続した自宅や会社の土地を売却。総額1億円以上も教団に注ぎ込み、2002年に自己破産。家庭は崩壊した。山上容疑者は当時通っていた専門学校を中退し、生活費を稼ぐために任期制自衛官として海上自衛隊に勤務した。
カルトの問題に詳しい精神科医の斎藤環氏が、献金をやめられない理由をこう説明する。
「新宗教は基本的に現世利益を売り物として強調しますから、いま自分の人生が不幸だと思っている人ほどカルトにはまって、洗脳されてしまうのです。壺に何千万円も払うなど傍から見れば愚かな行為ですが、当人からすれば犠牲が大きいほど救いも大きいと思い込まされているのです」
山上容疑者は「統一教会によって人生と家族がめちゃくちゃになった」「入信した母親を恨んでいる」とも供述している。ツイッターでは<オレは母を信じたかった><こんな人間に愛情を期待しても惨めになるだけ>などと、愛憎入り交じった感情を綴っていた。取り調べでは、最近も母親と連絡を取っていたと明かしており、母子の関係は続いていたようだ。
「さまざまなトラウマ体験を受けながら、彼は母親を見限ることができなかったのでしょう。トラウマティック・ボンド(外傷性の絆)というのですが、同じストレスを経験していると、かえって絆の意識が強くなる傾向があります。母との関係を断てなかったことが、精神的ダメージを引きずる要因になったのかもしれません」(斎藤氏)
海自を退職後は、宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー(2級)などの資格を取得。だが、15年に兄が突然自殺する。葬儀で「兄ちゃん、何で死んだんや。生きていたら何とかなるやないか」と人目をはばからず嗚咽したという。フォークリフトの免許も取り、20年からは派遣社員として荷物を搬送する業務を担ったが、上司や同僚と口論になるなど職場で孤立し、退職した。精神科医の香山リカ氏がこう話す。
「自分で立ち直りのきっかけを見つけて頑張ろうとしても、そのたびに不幸なことが起きて打ちのめされてきた印象です。おそらく、社会や他者に対する信頼感が根こそぎ奪い取られているような状態にあったのだと思います。山上容疑者のように慢性的なトラウマを受けながら生きてきた人は、対人関係で敵か味方かという単純な視点しか持てなくなります。ですから、職場でもトラブルを起こしやすい。容易なことでは、この負の連鎖から逃れられないと思い、どんどん自分を追い込んでいったように見えます」
虐待終わっても回復しない症状
山上容疑者はなぜ、安倍元首相を狙ったのか。山上容疑者が犯行前日、松江市のフリーライターの男性宛てに出した手紙には、<苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません>と、安倍氏の立場を冷静に分析する記述もある一方で、<安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません>と自ら退路を断ち、なりふり構わず犯行に向かう心情も書いていた。
前出の和田氏は、山上容疑者が複雑性PTSDに陥っていた可能性を指摘する。一度の衝撃的な出来事で生じる単発性のトラウマと異なり、子どもが長期間にわたりネグレクトなど虐待を受けることで、育まれるべき心理的成長が妨げられる。このため、人格や感情のコントロールが利かなくなるパーソナリティー障害などの症状が生じるという。和田氏が解説する。
「複雑性PTSDは虐待が終わっても回復しません。成人になり普通の生活を送るようになっても、さまざまな精神症状に苦しめられます。怨恨の度合いが非常に激しくなってしまうこともそうです。教団の関連団体の広告塔に映った安倍元首相を狙った経緯には飛躍があるのですが、それも複雑性PTSDの病理なのです。恨みの対象を殺して、自分も死刑になってもいいという“拡大自殺”の心理も絡んでいた可能性があります」
山上容疑者は、母親に翻弄された自らの人生を清算しようとしたのだろうか。
●「脱落」したら這い上がれない 銃撃事件と氷河期世代“悲惨な状況” 7/28
山上徹也容疑者は「『最悪の時代』に社会に出た」と格差研究の識者は指摘する。凶行は決して許されるものでも正当化されるものでもない。日本を震撼させた事件の社会背景にあるものは何か。AERA 2022年8月1日号の記事から。
「7月中には所持金がなくなってしまうので、その時には死のうと思った。死ぬ前にやろうと思っていたことをやるしかないと思い、安倍元総理を襲撃する決心がついた」
山上徹也容疑者(41)は、奈良市内で7月8日、参議院選挙の応援演説中の安倍晋三元首相を銃殺した。当初は「政治テロ」が疑われ、凶行に対し「民主主義への挑戦だ」という声もあがった。しかし、その後の供述などから、母親の新興宗教への献金による家庭の経済的困窮が背景にあり、最終的に犯行の背中を押したのも貧困だった可能性が徐々にわかってきている。
「山上容疑者は、日本の資本主義社会における労働者階級のさらに下、『アンダークラス』という階層に入っていると見ていいと思います」
こう話すのは、格差研究が専門の早稲田大学人間科学学術院・橋本健二教授だ。橋本教授が定義する「アンダークラス」とは、生きていくための最低限の賃金すら得られない非正規雇用労働者(パート主婦を除く)を指す。たとえば、フリーターや元フリーターを含め非正規雇用のまま年を重ねた人や、シングルマザー、年金を十分に受け取れず非正規雇用で働く高齢者などだ。1990年頃から増えてきたという。
「バブル期の雇用拡大で正規労働者とあわせて非正規労働者も増え始め、バブルが崩壊すると就職できない若者たちが非正規雇用に一斉に流入しました。98年、金融危機でその流れが一気に加速したんです」
就職状況は最悪だった
80年生まれの山上容疑者は99年に高校を卒業。大学には進学せず同年、公務員を目指すための専門学校へ。専門学校中退後は、2002年に海上自衛隊に任期付きで入隊したとされる。つまり、99年から01年頃にかけてが、社会に出るために職を探していた時期と考えられる。
「最悪の時代に社会に出た、と言えます。93年から07年頃までがいわゆる『就職氷河期世代』。中でも金融危機後の、99年から04年までに学校を出た世代の就職状況は最悪でした。大卒の就職率はバブル期には90%台、崩壊後も70%台を保っていましたが、98年を境に60%台前半まで急降下。高卒に至っては40%台前半まで落ち込みました。平均年収も他の世代と比べて極めて低く、厳しい世代です」。
山上容疑者は、高校の卒業アルバムの「将来の自分」欄にひとこと、「わからん。」と書いた。卒業したのは県内有数の進学校だ。大学を目指さなかった理由は定かではないが、高卒時点で就職をしようにも、「厳しかっただろう」と橋本教授は言う。
「進学校なので就職実績がないんです。高卒で就職した先輩がいる会社もなければ、就職指導のノウハウもない。もし、容疑者が高校を出てすぐ就職をしたかったとしたら、進学校卒であることがマイナスに働いた可能性もある」
悲惨な状況が固定する
山上容疑者は海上自衛隊をやめてからも、アルバイトや派遣社員など複数の非正規職として働き続けた。たまたま「最悪の時代」に社会に出て非正規雇用になると、「這い上がれない」悲愴(ひそう)と鬱屈(うっくつ)。そんな苦境が事件に影響を与えなかったか。
「大いにあると思います。近年起きている凄惨(せいさん)な事件の犯人には、山上容疑者に近い世代が多いんです。秋葉原通り魔事件を起こした元派遣社員の彼(82年生まれ)しかり、京都アニメーション放火事件の彼(78年生まれ)もしかり。事件の背景に、この世代に特に顕著である『這い上がれない悲惨さ』があるのは間違いないと感じます」
もっとも、長期雇用の慣行が比較的最近まで強かった日本では、最初についた職業がその後のキャリアを大きく決定づけてしまう傾向は以前からあった。
「しかし、バブル前の頃までは、正規労働者として働く機会はそれなりに開かれていました。たとえば零細企業の正社員だったとして、最低限生活できる賃金は得られた。けれども、非正規労働者にはそれさえかなえられない。非常に悲惨な状況のまま、階層が固定してしまっていることが問題です」
さらに、山上容疑者の場合、母親の新興宗教への献金による貧困や、自らの自殺未遂、兄の自殺など、苦境が続いている。
「経済的な悲惨さを抱えた人が膨大な数いる。そこに何か偶発的な、個人的な要因が重なれば、当然、不満が暴発し、今回のような事件につながってもおかしくないと思います」
●山上徹也容疑者の減刑署名が1200人を突破「起訴もされてないのに」 7/28
参院選中に起きた、安倍晋三元首相の銃撃事件。7月28日までに、事件を引き起こした山上徹也容疑者の減刑を求める署名が1200人を突破し、物議を醸している。
「報道によれば、山上容疑者は母親が信仰する旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への恨みにより、犯行に及んだと供述。母親が多額の献金をおこなったことで、家庭は崩壊したと主張しています。献金額は、1億円にものぼると伝えられています。また、7月27日付の『産経新聞』によれば、山上容疑者は奈良県警の調べに対し、安倍元首相への謝罪や反省の言葉は口にしていないといいます。今後は鑑定留置が始まり、刑事責任能力の有無を調べる段階に入っていきます」(政治部記者)
そんななか、7月15日には署名サイト「Change.org」にて、検察庁長官宛てに山上容疑者の減刑を求める署名活動が始動。署名活動を立ち上げたとされる人物は、同サイトで山上容疑者について《過酷な生育歴を鑑みての温情》、《本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事》という2点をあげた。
そのうえで、《親の信仰によって、生活も精神も追い詰められる人が非常に多いです。このような状況で物心ついた時から生活していた山上徹也容疑者に、どうか寛大な見解をお願いします》と主張している。
「たしかに、山上容疑者の人生は壮絶です。幼くして父親を亡くし、母親は旧統一教会に入ってからの多額の献金で、自己破産。それでも献金を続けていたといいます。山上容疑者は大学進学も断念し、3年間の海上自衛隊勤務を経て、アルバイトや派遣社員を転々としてきました。ただし、安倍元首相を殺害したという行為は、決して許されることではありません。まだ起訴もされておらず、事件の全容も把握しきれていない状況下で署名を募るのは、あまりに時期尚早と言わざるをえません」(同前)
ネット上では、署名に対する疑問とともに、遺された昭恵夫人を思い、疑問を持つ声が相次いでいる。
《よくまぁ、まだ事件の詳細も明らかにされてない中でこんな署名を考えもなく立ち上げるよね。自分が昭恵さんの立場になっても犯人の境遇に同情して署名活動出来るって事ね。》
《自分の家族が殺されて、殺人犯の刑を軽くしろーって運動起きたら残された遺族がどんな感情抱くか理解できんのか……。》
《まだ判決出てないどころか起訴もされてませんが?まだ捜査途中であまりに軽挙すぎると思う》
山上容疑者の境遇は、事件の一部でしかない。全容が解明されるまでは、慎重な判断が求められる。 
●旧統一教会関連団体も マルチ企業から半グレトップまで 「桜を見る会」 7/28
7月27日、しんぶん赤旗日曜版(7月31日号)は公式Twitterで、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連団体の事務局次長が「桜を見る会」に招待されていたと報じた。
《旧統一協会のダミー団体である「世界戦略総合研究所」の事務局長(当時は事務局次長)が、安倍晋三首相(当時)が主催した「桜を見る会」(2013年〜16年)に招待されていました。時の首相自らが“お墨付き”を与えたことに。岸田政権は調査し、国民に説明する責任があります=赤旗日曜版7月31日号》
7月28日発売の「週刊文春」も、同じ事実を伝えている。
「桜を見る会」をめぐる疑惑は、後を絶たない。
「2020年9月18日、マルチ商法と批判され、詐欺の疑いで逮捕された『ジャパンライフ』の元会長も、2015年の『桜を見る会』の招待状を広告に利用していました。広告に使ったことで『信用できる会社だと思った』と証言する被害者もいました。野党は、招待状が首相推薦枠だったとして追及しましたが、加藤勝信官房長官(当時)は、招待者名簿が廃棄されていることを理由に、再調査に否定的な考えを示しました」(政治部記者)
また本誌は2019年12月、「桜を見る会」が、半グレ集団の“営業” 活動に利用されていた事実を報じている。
「この写真を初めて見たとき、『A氏には大物政治家と繋がっている人脈があるんだ。さすがだな』と、思わず感心してしまいました」(沖縄県石垣市の飲食店経営者)
石垣島では有名な半グレグループのリーダーであるA氏は、菅義偉官房長官(当時)らと撮影した写真を仲間や取引先にばら撒き、政治家との人脈を誇示していた。
A氏を知る会社社長が言う。「もともとは、大阪の格闘技団体の代表だった人物です。2011年の東日本大震災では、被災地で炊き出し支援をして、話題にもなりましたね。彼は『大阪の半グレ集団の初代トップ』といっていい存在でした。凶暴さで有名でしたが、大阪で暴力団関係者と揉めて、沖縄に逃げたと聞いています。『桜を見る会』の招待状は、大阪の自民党関係者からもらったと聞いています。『自分の力を誇示するための、いいチャンスだ』と思ったんでしょう」
A氏が石垣島に来たのは、2015年ころ。飲食店やマリンスポーツの会社を立ち上げ、石垣島でのビジネスを拡大させる一方、傷害容疑や恐喝容疑などで、何度も逮捕された。
「彼らは石垣島の歓楽街で、客引きやぼったくりをするなど、やりたい放題。飲食店から、みかじめ料も取っています。歓楽街から客が減って、まともに経営している店にも影響が出ています」(地元関係者)
永田町では、保守系議員たちが「安倍氏の遺志」を声高に叫び、積極財政や防衛力強化などを主張している。だが、安倍氏が残した「負の遺産」にも目を向けるべきだろう。 
●旧統一教会、20代美人信者の「濃厚すぎる性接待」で自民大物議員大ピンチ 7/28
安倍元首相が銃殺された痛ましい事件を契機に、改めて注目されることとなった旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党議員らとの浅からぬ関係性。
ここ最近では、末松信介文部科学相の政治資金パーティー券を、旧統一教会の関係者が購入していたことが明らかになったほか、二之湯智国家公安委員長も旧統一教会の関連団体が開催したイベントに実行委員長として名前を連ね、挨拶もしていたことが判明。
さらに岸信夫防衛相に至っては、今月26日の記者会見で旧統一教会との関係性について「付き合いもあるし、選挙の際も電話作戦などボランティアでお手伝いいただいたケースはある」「統一教会に手伝ってもらったというよりは、メンバーの方にお力をいただいたということだ」などと発言した。
岸防衛相は、今後の選挙で支援を受ける考えはあるかとの問いには「選挙ごとにお話があること。次の選挙でどうなるか、軽々に答えることはできない」と答えており、旧統一教会との縁が切っても切れないものであることを窺がわせている。
まさに抜き差しならないといったこれらの関係が、どのようにして始まり、どう築かれていったのかということで、そのひとつの手段として、このところ取沙汰されているのが、容姿端麗な20代女性らを議員事務所に近づかせるという、まるでハニートラップの如く作戦だ。
秘書やスタッフ以上に食い込んだケースも
報道によれば、旧統一教会系の政治団体である勝共連合が、永田町で積極的に動き始めていた1970年代半ば頃の話として、議員会館の自民党国会議員の事務所に1〜2人の20代女性が「お手伝いさせてください」と突然現れ、タダでよく働くといったこともあり、ほとんどの事務所で採用していたといったことがあったのだという。
事務所内部にうまく食い込むことで、議員の弱みを握り、その情報を教団に上げる目的もあったのではともされるこれらの行動だが、当時真っ先にそのターゲットとなったのが、旧統一教会の教祖である文鮮明氏との縁が深かった岸信介元首相とその周囲の議員らだったという。そう考えると、岸信介元首相の孫にあたる岸信夫防衛相が、旧統一教会と切っても切れない縁なのも頷けるところである。
いっぽうでハニトラといえば、議員事務所の秘書やスタッフとして紛れ込む以上の関係性となっていたとして、当時大いに話題となったのが、自民党の幹事長まで務めた大物・山崎拓氏とその愛人を巡る騒動だ。
2002年に、同氏と不倫関係にあった女性が統一協会の関係者だったと報じたのは週刊文春。それに対して山崎氏は、文芸春秋社などに損害賠償を求める裁判を起こした。
ところが東京地裁は、女性の住民票上の住所であるアパートの部屋が統一協会の施設であったことや、統一協会広報部長が女性の統一協会施設への出入りを認めたことなどを認定。「山崎幹事長と女性が愛人関係にあることや統一協会の関係者であるとの事実は真実であるか、信じる相当の理由があった」とし、山崎氏の訴えを棄却したのだ。
SNS上で燻る「プチエンジェル事件」への関与
このようにハニトラによって、自民党の内部はもとより、大物議員の懐にまで食い込む動きを見せていたとされる旧統一教会。つい先日、旧統一教会批判の急先鋒としても知られる弁護士の紀藤正樹氏が、旧統一教会会員らによる集金の実態として、信者に売春をさせていたというケースもあったと語り、大きな反響を呼んだが、そこから考えれば、信仰をダシにして信者をハニトラ要員に仕立てることも、さほど困難なことではなかったと想像できそうである。
こういった状況もあってSNS上では、旧統一教会のハニトラによる政界浸食はかなり進んでいるのではといった見方が多く浮上しているところ。最初に挙げた旧統一教会に関わった政治家たちが、教団の擁護に終始し、その縁を切ることができないでいるというのは、すでに何らかの弱みを握られているからだ、というものだ。
「エロ拓の愛人統一教会の人だったし、もろにハニートラップひっかかってんですよね、他にも多数いるでしょうな」
「北朝鮮と同じ手口やん。もうこんなヤバい所と手を切れよ自民党。統一教会を利用し反共産は出来たが今度は利用される側になったのでは。ハニトラや金や票で政界のみならず経済界やマスコミにもかなりの数侵食されているんじゃなかろうか。」
「なぜ統一教会と関係した政治家が教団を擁護するのか、一つの仮定。奴らは女性食口を当てがわれるハニトラにかかったんじゃないか。食口としては政治家に血分け(純血復帰・祝福=性交)できるので真面目に取り組むし、教団としては政治家の秘密も掴めるし最高の手ではないかと。」
いっぽうで“弱みを握る”ということで、旧統一教会との関りを疑う声が一部で燻っているのが、2003年に発生し「日本で最も闇が深い事件」などと現在でも事あることに語られる「プチエンジェル事件」である。
児童誘拐事件の発覚を契機に、非合法である児童買春斡旋を行っていたデートクラブが摘発されたというこの事件。ところがその後の捜査で、政財界の大物や弁護士、医師など2,000名以上が名を連ねていたという顧客リストが発見されるや否や、マスコミは報道を止め、警察も「顧客リストの大半が偽名」という理由で捜査を打ち切るという幕引きに。そこで世間からは「何らかの強大な圧力があったのでは」と訝しむ声が多くあがったのだ。
「プチエンジェル事件と統一教会の関係性ってどうなんかね。」
「日本では毎年1200人程度の子どもが消え、警察に行方不明届が出されてる、このような行方不明者を誘拐、拉致しているのが統一教会、世界平和統一家庭連合、創価学会、政府癒着の闇社会の組織等と言われ、プチエンジェル事件等も有名…、統一教会を公安の監視対象から外したのは安倍晋三元首相の時…」
「警察を通じて、名簿を手に入れた統一教会裏社会は、政治家や財界人の下半身の弱みを握り、以後、政財界は、小泉・安倍売国奴偽政権の言いなり。プチエンジェル事件が、実は、日本でマイノリティー裏社会がやりたい放題をできる環境を作ったのかもしれない。」
SNS上では、この事件と旧統一教会との関りに関して「児童を誘拐・拉致していた」といった直接的関与を疑う声もあがるいっぽう、「顧客リストを手に入れ、多くの政治家や財界人の下半身の弱みを握ったのでは」という、間接的な関与を疑う見方も浮上。いずれも憶測の域を出ない、陰謀論的な話ではあるものの、先述の通り自民党内を長年に渡るハニトラで骨抜きにしてきたという“実績”を考えれば、これらの話もひょっとして……と受け止める向きも少なからず増えているというのが実情のようだ。
ツイッターの反応
「統一教会の大イベントに出席し、教団を褒め称えるような挨拶を行った自民党の工藤彰三議員。
教団との付き合いを指摘されても「反社会的勢力でもないので別段悪いなとも思っていない」とまさかの開き直り。教団による霊感商法や多額献金、マインドコントロール等々は明らかに反社会的です。」
「秘書というのは議員の秘密を知ることもできるし、なんならハメることだってやろうと思えばできる立場。つまり、統一協会が議員の下に秘書を送り込もうとするのはそういうこと。カルト信者をそれと知りつつ秘書に入れるということは、カルト教団に忠誠を誓ったも同然の行為。」
「統一教会のひどさや手口の巧妙さをあまりに喧伝すると「そんなところならば知らないうちに名前を貸したり、講演したりするのも仕方ないよね」と思う人が増えるのが怖い。国の行方を左右する政治家です。それも一党の多く人が…。海外でもハニートラップの危険は常にあり、細心の注意を払っているはず。」
外国カルト宗教に日本国会の中枢まで侵食され、外国宗教の教義に沿った政策が行われている自民党の現状こそ、国防上の最大の危機。ミサイル攻撃するだけが国防ではありません。自民党ら多くの議員が統一教会の秘書をかかえ、ハニートラップで身動きが取れません。」
「世田谷一家殺人事件やプチエンジェル事件など、統一教会との関係が噂される事件を掘り起こしてもらいたい。民主主義を取り戻したい。」 

 

●安倍元首相銃撃・山上容疑者がつぶやいていた小室圭さんへの“シンパシー” 7/29
安倍晋三元首相の命を奪った山上徹也容疑者(41)は逮捕前、自らの心情をツイッターでたびたび吐露していた。
現在は凍結されたアカウントには、2019年から今年6月末までに計1363件のツイートがあった。旧統一教会への憎しみや、母親への愛憎入り交じった思いなどが多いが、意外な(?)人物へのエールを見つけた。
<小室圭を応援したくなるなぁ何か。どっちにしろ稼ぐようになりゃ返すだろ。眞子内親王の気持ちがブレなければ終わり良ければ全て良しに向かう。第一、他の女性皇族の婿なんぞ殆ど見ないだろ。小室圭もそんなもの。何を目くじら立てるのか?>(21年4月9日、原文ママ)
小室圭さん(30)はこの投稿の前日、一家の「金銭トラブル」について説明する文書を公開していた。
小室さんの母、佳代さんは小室さんの父親が自死した後、10年から12年にかけてある男性と婚約関係にあり、その間に400万円以上が生活費として元婚約者から小室家に提供されたとされる。
これが「借金」なのか、返済義務のない「支援」かを巡って両者の言い分が異なり、トラブルに発展したことが小室さんと秋篠宮家の長女、眞子さん(30)の結婚問題を深刻化させた一因だ。
だが山上容疑者にしてみれば、このトラブルは取るに足らない問題だったようだ。
<あのな、400万円ぽっち何とでもなるんだよ。元婚約者だって持参金1億があるから言ってる。(中略)圧力掛けてるのは誰なのか?>(21年4月17日)
山上家では父親が早くに自死。その後、山上容疑者の母親が旧統一教会に1億円を超す献金をしたことが、家庭崩壊につながったとされる。
世代も育った環境もまるで異なる山上容疑者と小室圭さんだが、幼い頃に父親が自死し、母親の金銭トラブルが自身の人生に大きな影響を与えた点では似通っている。
過去の金銭トラブルをものともせず、眞子さんとの結婚に突き進んだ小室さんの姿に、山上容疑者は何を感じ取ったのだろうか。
●山上容疑者は「氷山の一角」 崩壊しても逃げ場がない日本の「家族主義」 7/29
日本を震撼させた安倍元首相銃撃事件。背景には、山上徹也容疑者の母親の新興宗教への献金による家庭の経済的困窮がある。日本社会の課題として、家族頼みの「家族主義」の強さが浮かび上がってきた。AERA 2022年8月1日号の記事から。
生活困窮者を中心に支援活動を行うNPO法人ほっとプラス理事の藤田孝典さんは、「山上徹也容疑者は氷山の一角だ」と話す。
「私たちが受ける相談でも、ある20代の女性は家族が新興宗教に入信したことで家族崩壊して大学にも行けず性風俗店を転々としていたり、ある10代の女性は山上容疑者と同様、父親の死後に母親が新興宗教に入信、寄付で貧困に陥った結果、家出や刑事事件を経るなどして生活保護を受けていたり。新興宗教に限らず、家族がアルコールやギャンブル依存症などで養育の義務を果たせず貧困へ、といった事例は山積しています」
これらについて、藤田さんは日本の社会のある課題を指摘する。「家族以外の、福祉や社会保障などのセーフティーネットが極めて弱い」ことだ。
たとえば、教育。出身家庭の財力や資力と、子どもの学歴とは連動する。家庭が貧しければ、中学卒、高校卒にならざるをえない。伯父が報道陣に語ったところによれば、山上容疑者の母親は1991年に入信して献金を始め、容疑者が高校を卒業した99年には奈良市内の2カ所の土地を売却して寄付に充てた。総計は1億円に上る。
「本来払うべき教育費の方に回せないという点一つをとっても、彼の家族は機能不全だった。ただ、そういう『親がきちんと子どもに向き合えていない』環境であっても、日本の社会は『家族頼み』。これがいちばんの課題なんです」
もはや子どもが家族を頼れない。そんなときに大学の学費無償化や、中高を卒業した後に住宅手当を支給して一人暮らしの負担を軽減するなど、「機能していない家族と“別れられる”福祉や社会保障のシステム整備」が急務だと藤田さんは言う。
「1960年代の高度経済成長期以降、正社員で終身雇用のお父さんが一生懸命に働けば家族全員が何とか暮らせていた。いわば『家族主義』で何とかなった時代、国の社会保障負担は極めて少ない部分で済んでいた。けれども、そんな家族主義は実質、2000年以降機能していません。そこを転換するのが安倍元首相をはじめとする政治家らの仕事だったのに、とは思います」
日本社会の「家族主義」という落とし穴について、社会学者の土井隆義・筑波大学教授もこう話す。
「『自助、共助、公助』が象徴的ですが、自己責任主義が進み、共助の狭い部分である家族にも強さを求める傾向が確かにあると思います。こども庁が反対意見を経て『こども家庭庁』になった背景にも、家族という存在への過剰な依存があるでしょう。家族に責任を押しつけるから、その中でうまくいかなくなったときに逃げ場がない。そんな構図は今回の事件にも見受けられると思います」
●山上容疑者の母が見た「死んだ夫の霊」の正体、旧統一教会の教学システム 7/29
安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者の母は、旧統一教会の熱心な信者であり、1億円を超える献金をしていたといわれる。背景には、同団体のカルト的な教学システムがあったとされるが、それはいったいどのようなものなのか? 宗教問題に詳しいノンフィクションライターの大泉実成氏が、その矛盾点を指摘する。
山上容疑者の母が語っていた「死んだ夫の霊」
「死んだ夫の霊がさまよっていて、献金するとしかるべき所におさまる」(NHK関西NEWS WEB 7月22日)
この言葉は安倍元首相を銃撃して死亡させた山上徹也容疑者の母が述べたものである。周知のように容疑者の母は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合。以後は旧統一教会と表記)の熱心な信者であり、一億円を超える献金をしていたという。
驚くべき金額だが、筆者の知る限り旧統一教会では決して珍しいことではない。むしろ驚くのは、この金額を教団に献金させ、家庭を崩壊させ、山上容疑者を安倍元首相の殺害に追いやったこの言葉である。一体どのような経験をすれば、こんな言葉が生まれてくるのか。
特徴的なのは、抽象的な概念を述べているのではなく、極めて具体的で感覚的、特に視覚的なことだ。まるでそれを見ているかのようである。これは旧統一教会の教学システムと深く関わり合っているものなのである。
筆者は1988年から1994年にかけて、宗教団体に親族や友人が捕らわれてしまったと述べる人たちに、ロジャーズ学派に基づくカウンセリングを行っていた。
ロジャーズ学派は、非指示的療法といって、クライアントに思いのたけを話させながら徐々に視野を広げさせ、クライアント自らが悩みを解消すること、そのための気づきを与える点に特徴がある。
また、家族の鎖の解消という重要概念があり、家族関係に縛られている信者親族の悩みの対処法としてはうってつけだった。こうしたカウンセリングの過程で、いわゆる新宗教と呼ばれる教団の資料を集めていたのだが、その中に旧統一教会も含まれていた。
彼らの拠りどころとなる「原理講論」。これを読んでみると、まずわかりにくい造語が多出する。新宗教によくある権威付けのためのものという印象を受けた。
聖書からの引用が多数あったが、教団の教義のためのこじつけのようなもので、内容的にも矛盾が多く、その聖句の歴史的な文脈が押さえられていなかった
この点では筆者が9歳から14歳まで所属し、その後起こった「エホバの証人輸血拒否事件」の解明のため、一年間潜入取材を行うことになった、エホバの証人の方がはるかにましだった。彼らは聖書原本から英訳された「新世界訳」という聖書を持っており、かなりバイアスがかかってはいるものの、その歴史的な文脈を彼らなりに押さえている。
信者が神や霊と“出会える”カラクリ
その点、旧統一教会の「原理講論」には哲学者たちの記述もあったが、理解が浅薄でステレオタイプ。さらに、様々な解釈が可能な「黙示録」の一方的な断定(これはエホバの証人や、筆者が二年近く体験取材をしたオウム真理教にも見られる)が見受けられた。
また、キリスト教という一神教を表看板にしながら、神の存在証明に関する記述がないのも大きな問題だった。
しかし、紙の資料だけでは伝わらないものがある。カウンセリングを始めた当初は、霊感商法の被害や手口についての雑誌記事などがたくさんあったが、教学システムに関わるものはほとんど出回っていなかった。その中で、関係者の語る世界は実に生々しかった。
ある時、私のもとに旧統一教会から友人を脱会させたいという大学生がやってきた。彼自身も教学システムを途中まで行ったが、講師の人間の目の色が異様だったので、怖くなって教団を離れたという。
彼の話で興味深かったのは、常に信者の睡眠時間を少なくしておくこと(徹夜祈祷などが行われる場合もある)、断食などが行われることである。カルトの二大特徴は、このように生理的剥奪を行うことと、法外な献金を要求することだが、旧統一教会はこの両方が当てはまっている。
睡眠を奪われると意識レベルが低下し、教義のすりこみがやりやすくなるし、容易に幻覚や幻視にとらわれるやすくなる。
あるいは神や霊と出会ったかのような神秘的な体験をする人もいる。元々の霊媒体質でなければ、山上容疑者の母にはこの過程で夫の霊の幻視が起こり、「夫の霊」が“見える”ようになったのではないか。
こうした経験が教会の教義に絡め取られると、容易に「先祖の霊が地獄に堕ちているせいで夫の霊が苦しんでいる。このままではもっと恐ろしいことが起きる。献金しなければならない」と言われるようになる。
そこで「死んだ夫の霊がさまよっていて、献金するとしかるべき所におさまる」という異様な言葉が生まれ、「夫の霊」と「献金」という、本来結びつくはずのないようなものが結びついていき、一億円を超える献金が生まれたのではないだろうか。
オウム真理教と旧統一教会のちがい
結局この高額な献金による家庭崩壊が、山上容疑者を追い詰め、安倍元首相を銃撃するという結果を招いた。もちろん、銃撃によって人を殺すなどというのは許されないことだ。ただ、このとめどない献金が家庭の不和を招き、山上容疑者が旧統一教会への怨恨を深めていくことになったのも事実だと伝えられている。
その結果、亡くなった安倍元首相をはじめとして、多くの政治家と旧統一教会の癒着が徐々に明らかになっていった。政教分離の原則からすれば、自民党が票田として旧統一協会の組織票にすがっていたというのもあってはならないことだ。
金の流れを含め、旧統一教会と自民党との不透明な癒着構造は司直の手によって徹底的に明らかにされなければならない。
しかし現実には、自民党右派とその総裁が、旧統一教会と1960年代から反共産主義という立場で協力し合ってきたという歴史がある。
安倍元首相の祖父に当たる岸信介元首相と文鮮明教祖は直接会談し、1968年には岸をトップにした国際勝共連合という組織が創立されている。
1974年、当時大蔵大臣だった福田赳夫は、文鮮明の開いた晩餐会で「アジアに偉大な指導者現る。その名は文鮮明である」として、文を絶賛するスピーチを行っている。晩餐会に出席した自民党議員は40名。1986年には勝共推進国会議員が120名もいた。
1992年、元女優・歌手の桜田淳子らが出席した合同結婚式には、中曽根康弘元首相から「民族問題や宗教の対立を超えて、人類の理想に向かって進もう」という祝辞が送られたほか、旧統一教会親派の自民党議員の名前を上げたらきりがない。警察が手を出しかねているのもこれが原因である。
そして2021年、山上容疑者が安倍元首相を殺害する動機となった、安倍氏が旧統一教会の関連団体に送ったビデオメッセージ。それを見た信者たちがどれほど感動し、自己の信仰に自信を持ったかは、想像に難くない。
1990年、オウム真理教は自ら権力を手に入れようと国政に打って出たが大敗。その後、方針がテロに変わる。その結果、あっという間に解体された。
一方で旧統一教会は政権を利用し、庇護されることでサバイバルする方針を取ってきた。その結果の差は歴然としている。
被害は現在も続いている。その被害の大きさを考えれば、もはや宗教団体ではなく、矛盾だらけの巨大な詐欺集団ともいえる。被害者の心情を鑑み、調査によって被害の全容が明らかになれば、国はただちに宗教法人格の剥奪などしかるべき手段を取るべきではないか。 
●「ひどいですよ、日本の新聞とテレビは」旧統一教会問題 「特定の宗教団体」 7/29
霊感商法の問題に取り組む紀藤正樹弁護士らが2022年7月29日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題について記者会見し、メディアの報道ぶりについて言及する場面があった。
政治家と旧統一教会との関係について、メディアの間で報じ方に濃淡があることに関する質問に答えた。紀藤氏は「全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」と望みをつなぐ一方で、会見に同席していた山口広弁護士は「日本のテレビと新聞はレベルダウンが著しいと思っています。何ですか!『特定の宗教団体』としか言わないじゃないですか」。この状態が若者のテレビ離れにつながっているとして「本当にこのままだと絶望」だと嘆いた。
「最終的には、統一教会の問題は、全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」
記者の質問は、旧統一教会と政治家、とりわけ安倍晋三元首相の家族との関係について「日本テレビやTBSはかなり積極的に報じている一方で、NHK、朝日新聞、テレ朝は非常に消極的」などと指摘した上で「米メディアから、日本のメディアはちゃんと報じていないと言われている」ことへの見解や、今後起こりうる影響について尋ねる内容。
紀藤氏は「それは正直いって、よく分かりません」。その上で、次のように述べた。
「どんな報道でも、最初に(事件が)起こり出すときは、どこかのテレビ局が先鞭をつけて、最終的に全テレビ局やマスコミが報じだすとか、そういうことは過去にもあったので、私は特に特殊な状況だと思っていません。やはり、事実、真実というのは、状況を押し流していくというふうに、信念を持って思っているので、おそらく最終的には、統一教会の問題は、全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」
そこに「ひとつだけ」と割って入ったのが山口氏で、「私はもう、日本のテレビと新聞はレベルダウンが著しいと思っています」。横に座っていた紀藤氏もうなずいた。山口氏がとりわけ問題視したのが、「旧統一教会」の固有名詞を報じるタイミングが遅かったことだ。
「何ですか!『特定の宗教団体』としか言わないじゃないですか。月曜日(7月11日)に、Unification Church(旧統一教会)が記者会見するまで。もうとっくに外国の新聞では、Unification Churchの問題を言ってますよ。あるいはネットにはたくさん流れてますよ」
その上で、新聞とテレビの読者・視聴者離れを嘆いた。
「ひどいですよ、日本のこの新聞とテレビは。だから若い人たちはもう見てませんよ、テレビを。そんなにひどいです。ですから私は、本当にこのままだと絶望だと...だから紀藤さんとは年が違うから(編注:紀藤氏は1960年、山口氏は1949年生まれ)考えが違うんですが、本当に悲しいですよ」
政治家による旧統一教会系団体への祝電や集会出席に続く論点になりそうなのが、資金提供の問題だ。米国では90年代半ばに政治家に巨額の資金提供があったことが報じられており、紀藤氏は「お金の問題については日本も同じことが起きている」とみている。資金の流れを具体的に立証できるかが焦点だ。
「統一教会というのはできるだけ銀行送金とかクレジット、通帳を使わない、できるだけ現金でもらうというシステムなので、現金が統一教会に溜まっている。それが証明できれば、つまり政治家との関係が証明できれば、それは贈収賄とかそういう問題になると思う。(これまで立件されていないのは)過去それが証明できていないということを意味するのだと思う。今、関係性がいろいろ議論されているが、お金がどう動いたかは今後の焦点になっていくのではないか」
●旧統一教会の名称変更 末松文科相 “手続き問題なかった”  7/29
「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の名称変更について、末松文部科学大臣は変更の手続きに問題はなかったとの認識を示すとともに「現時点では、特定の政治家からの働きかけがあったものではないと聞いている」と述べました。
旧統一教会をめぐっては、文化庁が平成27年8月に今の「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認証しました。
末松文部科学大臣は29日の記者会見で「宗教法人からの申請の内容が法令の要件を備えていることを確認して認証の決定を行った」と述べ、手続きに問題はなかったとの認識を示しました。
また、名称変更にあたって政治的な圧力などはなかったのかと問われ「現時点では、特定の政治家からの働きかけがあったものではないと聞いている」と述べました。
●旧統一教会の名称変更理由を「黒塗り」で疑惑隠し…文化庁の不可解な認証  7/29
なぜ突然、名称変更は認められたのか──。1997年以降、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が求め続けてきた法人名の変更を文化庁が2015年に認証した。
開示された決裁文書
この認証の決裁文書について、宮本徹衆院議員(共産)が開示を求めたところ、26日に文化庁から資料が提出された。
開示資料によると、15年6月2日に旧統一教会から下村文科相(当時)宛てに「認証申請書」が提出され、文化庁は同年8月26日に決裁している。ところが、肝心の変更理由の部分は申請書も決裁書も黒塗り。長年、名称変更を拒絶してきた文化庁がどういう理由により認証に転じたのか、サッパリ分からない。
黒塗りの理由を文化庁に聞くと、情報公開法5条2の「公にすることにより、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するとした上で、こう続けた。
「何も、旧統一教会だけ、変更理由を非開示にしているわけではありません。名称変更を申請してきた宗教法人はすべて、変更理由を非開示にしています」(宗務課)
不可解な認証に「政治圧力」はなかったのか?
他の宗教法人と同じ扱いだと強調した。宮本議員が言う。
「中には宗教法人の正当な利益を害する場合もあり、理由を公開できないこともあるでしょう。しかし、宗教法人すべて非開示はおかしい。宗教法人は税制上の特例を受けています。名称変更の理由を示し、国民への説明責任を果たすのは当然だと思います。ましてや統一教会の場合、長年かなわなかった名称変更が突然、認証されたわけですから、理由はなおさら開示すべきです」
情報公開法7条は〈行政機関の長は、不開示情報であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示することができる〉とあり、文科相判断で開示可能だ。
名称変更により、悪名高い旧統一教会の名称が隠され、被害が拡大した可能性は高い。認証プロセスの開示は十分、公益上の必要性にあたる。宮本議員は引き続き追及するという。
前川喜平元文科次官は日刊ゲンダイの連載で「決裁プロセス」に注目している。旧統一教会の組織の実態が変わっていなければ、名称変更の認証はできない。なのに、文化庁は従来の方針を大きく変えた。決裁前に大臣の指示や了解を得ていたのかが「肝心」だという。
不可解な認証に政治圧力はなかったのか──。臭いものにフタをしてはいけない。
●政治家揺るがす旧統一教会の影、安倍氏殺害事件が関係見直し迫る 7/29
安倍晋三元首相の殺害事件は自民党を中心とする政治家と韓国で誕生した宗教団体の密接な関係をあぶり出した。事件の容疑者が殺害動機について、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への怨恨(えんこん)を示唆したことがきっかけだ。両者は選挙や広報活動を通じてつながってきたが、議員らは急速に関係の見直しを迫られている。
国内主要メディアの報道によると、安倍氏を射殺した山上徹也容疑者は母親が統一家庭連合に多額の献金をし、家族が崩壊したことで恨みを持ち、安倍氏が同連合と関係があると思い込んで襲撃したと供述している。
統一家庭連合は11日の会見で、容疑者の母親が信者だと認めた。また、今回の事件が同連合の活動が原因かのような主張に対し抗議するとともに、事件はまだ捜査中で、動機などが真実かは明らかではないと17日付の声明文で反論した。動機の解明に当たり、警察の捜査に全面的に協力するという。
関連団体の天宙平和連合(UPF)のホームページによると、安倍氏は2021年に9月に行われたUPFの集会で、米国のトランプ前大統領らに続きビデオメッセージを寄せていた。
統一家庭連合は性的少数者(LGBT)や夫婦別姓に反対する保守的思想の宗教法人で、理想の実現に向け政治家に接近するのは必然だ。自民党所属の地方議員はブルームバーグの取材に対し、匿名を条件にこう語った。同議員は関連団体の集会や勉強会に参加したことはあるが、献金などの要求はなかったという。今回の事件を機に距離を置かざるを得ないが、次の選挙も応援してほしいと本音を漏らす。
全国霊感商法対策弁護士連絡会は、信者からの献金を巡り有罪判決を受けるなど統一家庭連合の反社会的な活動を問題視し、関連団体で演説したり、祝電を送ったりした議員らに関係を絶つよう要望してきた。渡辺博弁護士は、自民党議員とのつながりは「信者を鼓舞する大きな役割を持っている」とし、政治家には運動員の派遣や組織的投票など選挙上のメリットがあると指摘した。
宗教文化に詳しい北海道大学大学院の桜井義秀教授は、自民党議員と統一家庭連合の間に政策を左右する親密な関係があったとはみていないが、社会的に問題の多い組織と「関係を持つのは適切ではない」と話す。一橋大学の中北浩爾教授は、今後同連合には「相当なプレッシャーがかかる」とし、自民党側も「距離を置くようになる」と予想する。
ブルームバーグは複数の国会議員に統一家庭連合との関係について事実確認を求めた。多くの議員から回答を得られなかったが、自民党の石破茂元幹事長は15年に関連法人で講演したものの、旧統一教会系との認識はなかったと文書で回答した。安倍元首相の実弟である岸信夫防衛相は26日の会見で、選挙の際に同連合のメンバーに手伝ってもらったと語った。
自民党の茂木敏充幹事長は同日の会見で、同党と統一家庭連合に「組織的な関係はないことは既にしっかりと確認している」とし、個々の議員に同連合との関係は「厳正かつ慎重な対応をするよう注意を促していきたい」と述べた。
立憲民主党は21日、旧統一教会被害対策本部を立ち上げ、調査や対策を検討すると発表。泉健太代表は翌日の会見で、過去の祝電送付などが取り沙汰される党所属の国会議員6人に対し事実関係の確認を行ったと明らかにしている。
統一家庭連合の広報担当者はブルームバーグに対し、立憲民主党の動きは何をしようとしているのか分からず、同連合にとって何が弊害となるのか分からないと回答。また、自民党との直接的な関係については否定したが、関連団体は一部の政治家とつながりがあると認めた。
同連合は1954年に韓国で世界基督教統一神霊協会として誕生し、59年に日本へ進出。68年には創設者の文鮮明氏が提唱した保守系団体「国際勝共連合」が日本で作られ、党是で反共産主義や自主憲法制定をうたう自民党と結び付きを強めてきた。
関連団体での講演歴がある笹川平和財団の渡部恒雄上席研究員は自民党と統一家庭連合の関係について、同党結成期に安倍氏の祖父である岸信介元首相らが北朝鮮や中国など共産圏と闘って韓国を救おうと結び付いたと解説。親の代からつながりがある議員も多く、「つかず離れずやっている」とし、「冷戦の遺物」だと話した。
自民党の青山繁晴参院議員は18日のブログで、7月の参院選の公認作業時期に統一家庭連合の選挙支援を受けるよう派閥のトップから指示されたが、断ったとの話をある議員から聞いたと記述。青山氏は、この宗教団体の支援を少なくとも一般の有権者が知らず、明らかにされていないのは問題だとこのトップに指摘したという。
渡辺弁護士は、30年ほど前から専門家らがさまざまな問題点を指摘してきたが、「手は打たれてこなかった」と振り返る。弁護士連絡会によると、同連合は宗教の勧誘であることを隠して被害者に接近し、高額な印鑑やつぼなどを販売。2012年結審の裁判では入院中の家族の命を救うためと称して聖書10冊の購入を迫るなど、女性に計4億9000万円を献金させた事実が判明した。
現代宗教と政治の関係に詳しい上越教育大学大学院の塚田穂高准教授は、政治家は違法行為やトラブルを積み重ねてきた旧統一教会と付き合うべきではなかったと強調。「宗教と政治家の結び付きがノーチェックで良いわけではない」とし、双方が可視化に向け努力することが必要で、市民が投票行動や言論などで判断を示すことが健全化につながるとみる。
仏教系の創価学会は、1964年に当時の池田大作会長の発意で結成された公明党の支持団体だ。同党は99年から2009年までと12年以降、自民党と連立政権を組む。皇室と日本文化を尊重し、憲法改正の必要性や同性婚への反対を訴える神道政治連盟の国会議員懇談会には衆参260人以上の議員が名を連ねている。
日本国憲法は信教の自由を保障する第20条や宗教上組織への公金支出を禁止する第89条など、国が公権力を使って宗教に介入することを認めない「政教分離の原則」を規定しており、裁判の判例を通じて確認されている。半面、宗教団体の政治活動自体を禁じるものではないことは国会で政府見解として示されている。
NHKの報道によると、公明党の北側一雄副代表は28日の会見で政治と宗教の関係を問われ、「表現の自由の一環として宗教団体がさまざまな政治活動をして、特定の候補者や政党を応援していくことは憲法上保障された権利だ」と述べた。
上越教育大大学院の塚田氏は、宗教団体は「理念を実現するために社会に働き掛けており、その一環として政治活動がある」とし、「そのこと自体は違憲ではなく、批判するのはやや的外れ」だと指摘。北大大学院の桜井氏は、政治家は多くの宗教団体と関わりを持ちながら、あたかもないように振る舞ってきたことが問題だという。
●岸防衛相「旧統一教会から選挙の手伝い 問題なかったか検証」  7/29
「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の関係者に選挙活動の手伝いをしてもらったことについて、岸防衛大臣は問題がなかったかどうか検証する考えを示しました。
安倍元総理大臣の実の弟の岸防衛大臣は「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の関係者にボランティアで選挙活動の手伝いをしてもらったことがあると明らかにしています。
岸大臣は、29日の記者会見で「選挙区にはさまざまな宗教的なバックグラウンドを持っている人もいる。個人のボランティアとしてお手伝いがあったが、正しかったのかどうかも含め、検討していかなければならない」と述べました。
また、今後の選挙でも手伝ってもらうかについては「選挙は戦であり、手の内は明かしたくないが、適切に判断して対処したい」と述べました。
一方、岸大臣は旧統一教会や関係する団体から献金を受けたり、団体の行事に参加したりしたことはないと説明し「一つ一つの教義を知っているわけではないが、社会問題化しており、被害を受けた人がいるのは大変問題だと思っている」と述べました。 
●統一教会と自民の癒着を暴け 〜安倍家三代にわたる「負の遺産」〜 7/29
安倍晋三元首相を銃撃し殺害した山上徹也容疑者。報道や関連方面の記者会見等を総合すると、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の信者である母親が1億円近い献金をして、2002年に自己破産した。犯行動機の詳細は不明だが、少なくとも統一教会への恨みが、統一教会と近しい安倍氏に向けられたと思われる供述が報じられている。
山上容疑者自身、安倍氏の祖父・岸信介から続く自民党あるいは安倍氏と統一教会との関係は把握していたようだ。父・晋太郎も統一教会と親しく、過去、自民党内で議員に統一教会信者を秘書として紹介していたと報じられたこともある。
この歴史がどのように犯行に結びついたのかは、今後の捜査や公判を待たなければ、確たることは言えない。しかし政治家と統一教会との関わりを考える時、50年以上前からの歴史以上に重要なことがあることは確かだ。7年8ヵ月にわたる第2次安倍政権下で、自民党議員と統一教会の現在の関係があらためて強化されてきたことだ。安倍氏自身とその周辺の議員たちの直接的な責任は決して小さくない。
霊感商法で被害者が続出
1992年。統一教会は歌手の桜田淳子などの合同結婚式参加表明によって注目を集め、それ以前から弁護士たちが対策に取り組んできた霊感商法被害の問題も含めて、批判が高まった。
2000年代には、統一教会と国会議員の関係はかつてほど大っぴらにしにくい空気ができあがっていた。06年に統一教会の関連団体「天宙平和連合」(UPF)の大会に祝電を送った安倍氏(当時官房長官)は、「誤解を招きかねない対応」として担当者に注意した旨をコメントしている。実際の関係がどうあれ、表向き、祝電には問題があったとする立場を表明していた。
直後の07〜10年にかけて、全国で統一教会関連の運勢鑑定、健康食品販売、印鑑販売の業者が次々と警察に摘発される。容疑は、薬事法違反や、「先祖の因縁」を払わなければひどい目にあうかのようなうたい文句で相手を畏怖困惑させて商品を売りつけた特定商取引法違反だ。統一教会本部の家宅捜索はまぬがれたが、支部に当たる地区教会にも捜索が入った。東京の業者「新世」の事件では、関係者に執行猶予付きとはいえ懲役刑の判決も出され、統一教会との関連も認定された。
ところがそれ以降、統一教会はあらためて政治家とのつながりを強化する。09〜12年の民主党政権下では、同党議員にも秘書を送り込もうとしていたと言われる。
自民党が政権を奪還した12年から第2次安倍政権が始まると、自民党議員との関わりはどんどん露骨に。関連団体のイベントに議員が参加すると、各団体自身がウェブ上でのイベント報告や動画で堂々とそれらを見せつけ、議員たちの中には、SNSなどでイベント参加などを自ら報告する者もいた。
逆に、報道はなくなった。かつて安倍氏自身が「祝電」を問題視された当時は、国会議員が関連団体から献金を受けたケースも報道されていたのだが。
第2次安倍政権で露骨に
しかし第2次安倍政権下の15年、高木宏寿衆院議員が代表を務める自民党北海道第3選挙区支部に、統一教会関連団体「世界平和連合」からパーティー券代として25万円の支払いが行なわれている。16年には、下村博文衆院議員が代表を務める自民党東京都第11選挙区支部に、統一教会の実質的な機関紙とも言える『世界日報』の発行元、世界日報社から6万円の寄付。17年には、石破茂衆院議員が代表を務める自民党鳥取県第1選挙区支部に世界日報社の元社長から10万円の寄付。13年と16年にはそれぞれ、細野豪志衆院議員(当時民主党、現自民党)と玉木雄一郎衆院議員(当時民進党、現国民民主党)にも、世界日報社の元社長から寄付があった。
統一教会関連団体のイベントなどへの出席や祝電も、枚挙にいとまがない。19年の第4次安倍改造内閣発足時には、統一教会関連のイベントに出席するなど何かしらの関わりを持っている大臣が11人、官房副長官1人、副大臣6人、政務官1人もいた。
第4次改造内閣で閣僚11人関与
安倍氏自身、統一教会関連団体への祝電や会合出席のほか、ジャーナリスト・鈴木エイト氏の取材によれば「桜を見る会」や首相官邸に統一教会や関連団体の幹部を招いたケースもあるという。極めつけが、昨年9月に統一教会が「友好団体」と称して別団体を装うUPFが開催したイベントへのビデオ出演だ。しかも、会場は韓国にある統一教会の施設である。
今後の安倍派を率いる1人として名が挙がる下村博文氏も、統一教会関連団体のイベントへの出席のほか、代表を務める自民党支部から12年、統一教会系の世界平和女性連合に会費を支払っている。また、15年に統一教会が現在の「世界平和統一家庭連合」へと名称を変更した際、当時文科相だった下村氏が関与した疑惑も指摘されている。
統一教会と国会議員の関わりは、安倍氏の死によって消えるわけではない。この「負の遺産」をいかに払拭(ふっしょく)するか。政治家、政党、メディア、有権者の問題意識が問われる。
●道内の国会議員とのつながりも明るみに 旧統一教会の影響力と問題点 7/29
旧統一教会=現在の世界平和統一家庭連合と政治家との関係が明るみになっています。道内選出の議員も、教団の関連団体とつながりがあることがわかってきました。
伊達忠一 前参議院議長(ピースTV)「今後も韓鶴子総裁のご指導の下、『世界平和頂上連合』の活動を通して、世界が抱える様々な問題を解決する道が示され、世界平和に向けて力強い一歩が踏み出されることを心より祈念いたします」
この映像は前参議院議長、伊達忠一(だて・ちゅういち)氏が、旧統一教会の関連団体が主催するイベントに参加した時のものです。どういういきさつで参加したのか?伊達氏本人に取材を申し込みましたが、「会議中」などを理由に、応じてもらえませんでした。
道内では、少なくとも4人の現職の国会議員が、旧統一教会の関連団体とかかわりがあることを認めています。
去年6月、衆院選の直前に、国会で撮影された写真です。旧統一教会系団体の中心人物を、自民党の国会議員が囲みます。その中の1人が自民党道連の伊東良孝(いとう・よしたか)会長です。伊東氏の事務所によりますと、2002年ごろから教団の信者2人に、選挙期間中、スタッフとして働いてもらったといいます。
自民党道連 伊東良孝 会長「統一教会系というイメージは持っていなかった。世界平和を目指す国際的な議員連合だと。金銭的なやり取りもありませんし、宗教的な頼まれごともひとつもない」
信者2人は入信を勧誘するわけでもなく、熱心に働いてくれることから、その後も手伝いをお願いをしてきたといいます。写真に映るもう1人が、自民党の中村裕之(なかむら・ひろゆき)衆議院議員。
自民党 中村裕之 衆院議員「(旧統一教会につながるという認識は?)それはありましたけど、霊感商法的なトラブルをたくさん抱えているという話は知らなかった」
中村氏は初当選した2012年ごろから先輩議員と教団とのつながりを引き継ぐ形で、案内があればイベントへの参加や祝電を送ってきたといいます。ただ、謝礼金の受け取りや、旧統一教会への寄付をしたことはないということです。
自民党の衆議院議員、高木宏寿(たかぎ・ひろひさ)氏の事務所によりますと、2015年、代表を務める支部組織が旧統一教会の関連団体に25万円分のパーティー券を買ってもらっていて、収支報告書にも記載しているということです。
一方、立憲民主党の松木謙公(まつき・けんこう)衆議院議員は、2013年、旧統一教会の関連団体が主催するパーティーに参加し、参加費1万5000円を支払ったということを松木氏の事務所が認めています。事務所によりますと、松木氏は教団の関連団体だとは知らなかったということです。旧統一教会側は、HBCの取材に対し「友好団体と宗教法人は別の組織。宗教法人が特定の候補や政党を支援することはない」と説明しています。
スタジオには、宗教社会学が専門で、カルトや新興宗教にも詳しい北海道大学大学院教授 櫻井義秀さんに来ていただきました。
北海道選出衆議院議員と旧統一教会の関係
自民・伊東良孝氏 信者2人が選挙期間中にスタッフとして働く
自民・中村裕之氏 イベントへの参加や祝電を送る
自民・高木宏寿氏 関連団体にパーティー券(25万円)を購入してもらう
立民・松木謙公氏 関連団体主催のパーティーに参加費支払う(1万5000円) 
櫻井教授「(議員が「知らない」というのは?)それはありえない。素性がわからない人が、選挙協力をするとか、いろんな便宜を提供するというのは怖い。ただより怖いものはないわけだから、秘書がチェックしていると思う。それがあるにもかかわらず、知らないと言っているということだと思う」
旧統一教会の影響力は?
櫻井教授「信者数からいくと数千人もいないのではないかと思う。小規模なので、それほど集票力があるというわけではないが、北海道内の政治家が地域の旧統一教会と友好的な関係を結んでいれば、それが中央に届いて、中央から票の割り当て、あるいは、いろんな便宜が図られるのではないかという、そういうことも考えられる」
有権者に対しては?
櫻井教授「有権者は政治家がどんな信念をいだいて、どういう団体と関係を持っているか、団体の活動を指示するのかしないのか、ということを知った上で、投票する権利がある。今回は、その権利が侵害されていると考えられる」
旧統一教会側にとって、政治家とのつながりは、どんな目的が?
櫻井教授「旧統一教会は、霊感商法で、世間に自分たちの活動をアピールできないところがある。そういうなかで、政治家に来てもらい、激励してもらい、自分たちに対するリスペクトもしてもらえ、非常に元気づけられる。政治家の信用や肩書きを使いながら、地域団体のイベントなどに関わっていき、講座、セミナーなどを開く。講座、セミナーを通して、一般市民を勧誘していくということにもなる。政治家の役割は、旧統一教会の集金活動や、布教活動に、結果として力を貸している。このことを政治家にはしっかりと自覚してもらいたい」
旧統一教会の問題点は?
櫻井教授「正体を隠した勧誘と言われているが、自分たちの団体名と活動内容を明らかにせずに、布教活動を行っている。第1点目は、一般の人の信教の自由、選ぶ権利を侵害している。第2点目は、霊感商法の問題、多額の献金を要請して、中には自己破産する人がいる。注意して欲しいのは、最近、旧統一教会の関連団体が、高齢者に的を絞って、70代、80代に、アプローチしているというのを聞いている。特定団体に相続することができる「遺贈」のしくみを使って、公正証書を作成させて、法的に管理をした形で、団体にお金がくるようなしくみを作り、やっていると弁護士から聞いている。そういう意味で、高齢者に注意してもらいたいし、ひとり暮らしの親がいる人は、親に話をし、確認してほしい」
勧誘活動に変化は?
櫻井教授「だんだんソフトになってきている。宗教を前面に出すと、みなさんひくので、ボランティア活動、SDG’s、女性、人権、平和など、だれもが受け入れられるような冠をつけて、いろんな団体を使いながら、布教、勧誘しているという実態がある」
もし勧誘を受けたら?
櫻井教授「相談先は弁護士会、霊感商法被害対策弁護士会がある。不審な団体や個人からアプローチされたら、即断即決をしない。友人や家族に相談するとか、ワンクッション置くと、冷静になって、なにかおかしいのではないかということに気づく。心がけて欲しい」  
●地方議員、旧統一教会系の行事参加 山口公明代表 7/29
公明党の山口那津男代表は29日、党所属の地方議員が過去に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体の行事に出席したと明らかにした。「(旧)統一教会系の団体と認識しないで会合に参加したことがあったそうだ」と説明。その上で「社会的に非難されたり、トラブルを抱えたりする団体に関わることは避けるべきだ」と強調した。首相官邸で記者団に語った。
●自民・福田氏、旧統一教会と党の関係否定 「何が問題か分からない」 7/29
自民党の福田達夫総務会長は29日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の関係が指摘されていることに関し、「わが党が組織的に強い影響を受けて、政治を動かしているのであれば問題かもしれないが、僕の今の理解だと一切ない」と否定した。「誤解を招くようなこと(報道)はしてほしくない」と注文も付けた。
福田氏は「僕自身、個人的に全く関係がない」とした上で、「正直に言います。何が問題か、僕はよく分からない」と述べた。
福田氏は同日夜にコメントを発表。「被害者を生み出すような、社会的に問題が指摘されている団体との関係が問題であることは言うまでもない」と補足し、「そのような団体との付き合いについて『何が問題かわからない』という趣旨の発言ではない」と釈明した。ただ、会見での発言については撤回しなかった。 

 

●山上容疑者、入信した母親の破産から旧統一教会を強く恨む  7/30
安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件の後、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家の関係に注目が集まっている。
奈良県警の調べや関係者の話によると、安倍氏への銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)は、同連合に入信した母親が1億円の献金をして破産したことなどから、同連合を強く恨んでいた。
安倍氏は昨年9月、同連合の友好団体が開いた集会にビデオメッセージを寄せていた。山上容疑者はこれを見るなどして安倍氏が同連合と関係があると考え、襲撃を計画したとされる。
同連合は取材に「宗教法人として特定の政党や候補者を応援することはない。会員個人や友好団体の政治活動については認識する立場にない」としている。
●選挙のため旧統一教会と関係、集会に祝電も「敵に回わさないため」  7/30
安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件の後、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家の関係に注目が集まっている。多くの政治家が選挙で応援を受けるなどしているが、過去に「霊感商法」などが社会問題化した宗教団体であり、関係を見直す動きも出ている。
保守系に浸透
「選挙で個人のボランティアとして様々なお手伝いをいただいた」
岸防衛相は29日の記者会見で、同連合との関係をそう説明した。衆院選の際、有権者に支持を求める「電話作戦」などを同連合関係者にやってもらっていたという。「当時は問題がないという判断をしていた」とする一方、「それが正しかったのか、しっかり検討していく」と述べた。
同連合の創設者・文鮮明氏が「反共」を掲げる政治団体「国際勝共連合」を発足させたのは1968年。当時から、安倍氏と岸防衛相の祖父にあたる岸信介・元首相ら自民党を中心とする保守系の政治家と関係を築いてきたとされる。
今回、関係が明らかになった政治家も多くは自民党の国会議員たちだ。
末松文部科学相は2020〜21年、家庭連合関係者に政治資金パーティー券計4万円分を購入してもらった。下村博文・元文科相も16年、自身が代表を務める政党支部が関連団体から6万円の献金を受けていた。
野党も、国民民主党の玉木代表が同連合の関連団体の元社長から16年に計3万円の寄付を受けたほか、日本維新の会の松井代表も、約20年前に関連団体の集会に出席していた。
「賛同会員」も
なぜ、政治家たちは同連合と関係を結んできたのか。政界関係者の多くは「選挙のため」と話す。
自民党の井上義行・参院議員は、再選を果たした7月の参院選の公示直前に同連合の「賛同会員」になっていた。自身の公約と同連合の考えが一致していたことが理由といい、秘書は取材に「選挙で支援を受けるため」と明かした。
多くの政治家が同連合の集会に祝電を送っていたことも明らかになっている。元衆院議員は取材に「実態のよくわからない団体も多いが、集会への出席を求められた際に何もしなければ、選挙で相手を敵に回すことになる。だから祝電を打っていた」と振り返った。
地方の首長も、同連合側から支援を受けてきた。富山県の新田八朗知事は、初当選した20年の知事選で同連合から支援を受けたことを明らかにし、「手作りの選挙運動をしており、当時の私にとってはありがたいことだった」と語った。
つながりを誇示
一方、同連合の元信者の男性は取材に「文鮮明氏と政治家が握手する写真を何度も見せられた」と話し、同連合が政治家とのつながりを利用していたとの見方を示す。
同連合は1980年代以降、「先祖のたたり」などと不安をあおって高額なつぼや印鑑を売りつける「霊感商法」や、見知らぬ人同士による「合同結婚式」を巡るトラブルが社会問題となっていた。
北海道大の桜井義秀教授(宗教社会学)は「祝電を送るだけでも、団体にとっては応援のメッセージとなり、宣伝に使われる恐れもある。有権者にとって支援団体は投票先を選ぶ重要な情報であり、政治家は支援を受ける団体を明示すべきだ」と話した。

世界平和統一家庭連合 =1954年に文鮮明氏が韓国で設立。平和や共生を理念に掲げ、結婚と家庭を重視する。日本では64年に宗教法人の認証を受けた。2015年に旧統一教会から現在の名称に変更した。 
●山上容疑者の減刑求める署名活動、松田美由紀も「死刑に反対」 7/30
安倍晋三・元首相(享年67)を銃撃した山上徹也容疑者の減刑を求める署名運動が起きている。オンライン署名サイト「Change.org」で署名を募るページが開設され、発起人は〈過酷な生育歴を鑑みての温情〉と〈本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事〉を減刑を求める理由として挙げている。
山上容疑者の“宗教2世”としての過酷な生育環境などが明らかになる中で、世間では彼に同情する声も上がっている。当該ページには7月29日までに2200人を超える署名が集まり、〈彼は被害者だと思う〉〈彼の行動により政治と統一教会の関係が暴かれた〉といった賛同コメントが寄せられた。一方で、〈まだ起訴もされてないのに〉〈殺人は殺人〉など、この署名運動を批判する声も。
著名人もそれぞれの意見をSNSで表明している。女優の松田美由紀(60)は、〈罪は重いと思うけど。どんなに追い詰められていたかを考えると、胸が痛みます。死刑に反対します〉と山上容疑者に同情を示した。
お笑い芸人の三浦マイルド(44)は、〈ホンマ狂っとるな〉と署名運動に反対の立場を取り、〈此奴は世間はおろか昭恵さんにも謝罪がないんだぞ。何が更生の余地だ。毎日昭恵さんが一人泣いてるのではないかと想うと胸が痛いわ〉と猛批判した。タレントのフィフィ(46)も〈“減刑”って、司法の判断も出ていないのに感情だけ先走って動いてはいけない。あと不幸な境遇なら罪を犯すわけでもない。犯した罪への、それ相当の裁きは必要。何より罪を犯すからには罰を覚悟すべきで同情は不要〉との見方だ。
弁護士は「時期尚早ではないか」
『検察の正義』(ちくま新書)などの著書を持ち、元検事でもある弁護士の郷原信郎氏は取材に応じ、「山上容疑者の悲惨な境遇に、自分たちの境遇を重ね合わせる宗教2世の人たちの気持ちは理解できますが、署名運動は時期尚早ではないかと思います」と語る。
「山上容疑者を宗教2世の象徴のように捉えて、ある種の英雄視をしてしまうのは危険です。取り調べは始まったばかりで、動機も含めた事実関係はこれから明らかになっていくところ。まだ減刑云々を考える段階ではないでしょう」(郷原弁護士、以下同)
今回のような減刑嘆願書は、裁判にどれだけ影響するのか?
「弁護人が、集まった署名をもとに『これだけ寛大な処分を求める人々がいる』と主張することで、裁判に多少は影響することもあるかもしれません。ただ、最終的にどれだけの署名が集まるかも不明ですし、今回の署名運動に関しては何とも言えない状況です」
そもそも山上容疑者にはどれほどの刑が求められそうなのか? 郷原氏は「被害者がひとりである以上、無期懲役が妥当でしょう」と指摘する。
「よほど残虐な方法がとられた場合は、殺人事件の被害者がひとりでも死刑判決が出る可能性がありますが、今回の事件はそのケースにあたらないはずです。『元総理の命は一般人の命よりも重いから、被害者ひとりでも死刑だ』なんていう判断はできません。
もしも加害者が国家転覆など内乱罪に近いような目的を持っていたなら話はまた変わってきますが、現時点で伝わってくる供述内容からすると、山上容疑者の動機の中心にあるのは、あくまで旧統一教会に対する恨みと見られます。『旧統一教会への憎しみにより安倍元総理に殺意を向けた』という点に飛躍は感じられますが、安倍氏が旧統一教会系のイベントにビデオメッセージを送ったことなどを『彼らにお墨付きを与えた』のように捉えたのなら、その主張も理解できない理由ではありません」
今の段階で減刑嘆願への署名活動が起きるというのは、それだけ山上容疑者への判決に注目が集まっている証拠とも言える。前代未聞の事件の捜査はまだ始まったばかりだ。
●安倍元首相は旧統一教会だけでなく「神道も政治化」した─米研究者が指摘 7/30
安倍元首相と旧統一教会とのつながりは国内のみならず、日本を「非宗教的な国」だと認識していた世界を驚かせた。だが、日本の宗教を専門とするアメリカの研究者によれば、安倍派の政治家は神道の思想や価値観も政治利用してきたという。
安倍晋三元首相を狙撃した山上徹也容疑者は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に安倍が関係していたことが犯行の動機だった、と警察で供述している。旧統一教会は、救世主信仰の新興宗教だ。
1954年に同教会を創設した文鮮明(ムン・ソンミョン)は、家族を救済して世界を平和にするため、イエス・キリストが自分をこの世に送り出したと主張した。文は宗教活動の他、国際的なビジネスや保守系の反共産主義の政治活動にも関与しており、その信者は「ムーニーズ」とも呼ばれる。
安倍元首相と旧統一教会との政治的なつながりは、3世代前の祖父・岸信介までさかのぼり、父・安倍晋太郎と晋三に引き継がれた。安倍は2021年、旧統一教会系の団体が開催した集会にビデオメッセージを送っている。
山上容疑者の動機は、日本を「非宗教的な国」だと考えていた多くの人々を驚かせた。だが、日本の宗教を研究する私から言わせれば、安倍と保守系の与党・自民党は複数の宗教政党や、宗教的な伝統と関係がある。だがどういうわけか、安倍と神道の深いつながりは、これまでほとんど報道されていない。
神道は安倍政権の一部だったし、いまでも自民党の一部だ。
政権によって立場を変えた神道
神道は、仏教と並ぶ日本の二大宗教のひとつだ。多くの宗教的な伝統と同様に、神道にはさまざまな意味がある。日本人の主要な信仰だと考える人もいれば、宗教とは思っていない人もいる。
神道は通常「神の道」と訳されるが、端的に言えば「カミ」と呼ばれる神々の崇拝に重点を置いた儀式的な伝統の集合である。強大な力を持つ神道の神々は、農業や健康など、多くの物事に責任を負うと信じられている。
神道の神のひとりである天照大神は、日本の天皇の祖先および、国家の守護者として崇拝される。この太陽の女神は、日本において最も神聖な場所のひとつとされる三重県・伊勢神宮に祀られる。神道の儀式は、日本全国、そして世界の神社で、神々とその管轄下にあるコミュニティを代表する神主によっておこなわれる。日本の天皇も、国家の代表として豊作祈願の儀式に参加する。即位と退位の儀式も、神道の伝統に則る。
こうした儀式への参加を、神聖で精神的な高揚感をともなう経験だと考える人もいれば、神社への参拝は単に伝統、もしくは国家の威信を示すものにすぎないと感じる人もいるが、神道には国家と政治に深くつながってきた長く複雑な歴史がある。現存する日本の最古の書物には、天皇と神々の神話的な行為が書かれており、彼らの統治を正当化している。
米ペンシルベニア大学の宗教研究者であるジョリオン・トーマスはその著書『見せかけの自由』(未邦訳)に、神道は「宗教とは何か」という近現代の日本における論争の中心だったと書いている。この議論は1世紀近くも続いた。19世紀まで日本には、西洋社会の「宗教」にあたる概念が存在しなかった。だが、1889年に明治憲法が制定された際、転機が訪れる。「信教の自由」を取り入れるため、既存のどの集団・伝統を宗教に分類するかを日本政府は判断する必要に迫られたのだ。
このとき、神道は公式に「分割」された。天皇とその神聖な祖先にまつわる儀式は「非宗教的な市民儀式」に分類され、ときに「国家神道」と呼ばれるようになる。一方、個人的な信仰や慣習は私的な宗教に分類された。
ところが第二次世界大戦後に日本を占領した連合国軍は、神道を宗教に分類した。これにより戦後の日本では、国家と神道が切り離された。だが他の宗教と同様、神道は日本の政治に関わり続けた。
神道を政治利用した安倍元首相
日本における神道の主要団体のひとつに「神道政治連盟(SAS)」がある。SASは約8万の会員神社を統括する「神社本庁」の政治団体として1969年に設立された。
ニュージーランドのオークランド大学で日本の宗教を研究するマーク・マリンズによれば、この国家主義団体は、天皇の権限の強化、憲法改正、神道に基づいた道徳教育の実施などを目標に掲げる。また同団体は、日本の過去の軍国主義を象徴する場所として物議を醸す靖国神社への政府関係者の参拝を推奨している。同神社には戦争犯罪人を含む戦没者や被植民者の魂が神道の神々として祀られる。
安倍政権は長期にわたり、SASと緊密に協力した。2016年に発足した第三次安倍再改造内閣の閣僚20人のうち、19人がSASと関係があり、14人が「日本会議」の会員だった。日本会議は「日本を守る会」などの神道団体とつながりのある右翼国家主義の団体で、安倍は特別顧問を務めていた。
安倍と彼の家族は政治活動の外でも、右翼的な宗教活動に関わっていた。2017年には、超国家主義的な神道の小学校を開校しようとしていた学校法人「森友学園」をめぐる汚職事件に安倍夫妻が関与していたことが発覚。同学園が国有地を小学校の建設地として購入した際、行政が巨額の値引きをしたことに疑問の目が向けられると、安倍夫妻は学園との関係を断ち、建設計画は頓挫した。
安倍は環境保護的な思想といった、神道の他の面も政治利用しようとした。2016年、彼は天照大神が祀られる伊勢神宮の内宮にG7の首脳を招待し、植樹式をおこなった。ノルウェーのオスロ大学で日本や沖縄文化を研究するアイケ・ロッツ準教授は、国家の公的な精神性として神道を推進し、その正当性を認めさせるために安倍がこの式典を利用した、と自著に書いている。
首相の在任期間中もその後も、保守派や国家主義者にとって、安倍晋三は神道政治の指導者であり、模範だった。彼の遺産はいまも生き続ける。
●旧統一教会めぐる政治家発言 「安倍元首相の殺害動機に関心ない…」 7/30
全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士が、30日放送のTBS系「報道特集」(土曜後5・30)にVTR出演し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる政治家の発言に対する疑問を口にした。
自民党の福田達夫総務会長は29日の会見で、教団と党所属議員との関係が取り沙汰されていることに「正直、僕自身が個人的に全く関係がないので、何でこんな騒いでいるのか正直よく分からない」「何が問題か、僕はよく分からない」などと発言。野党の猛批判を浴びた。この日夜に「これまでも被害者を生み出すような、社会的に問題が指摘されている団体との関係が問題であるということは、言うまでもありません」と、文書で釈明した。
また、過去に教団の関連団体のイベントで実行委員長を務めた二之湯智国家公安委員長は、「名前を貸して欲しいとのことで貸した。それ以上のお付き合いはない」と、教団との深い関係を否定している。
教団との関係をめぐるこうしたの発言に、紀藤氏は「政治家というのは、そこまで市民の感覚から遠いのかなというのも、ちょっとがく然とした思いです」と失望感を示した。
安倍晋三元首相が8日、奈良市内で応援演説中に銃撃され死亡。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者は、母が多額の献金をしていた教団へ強い恨みを抱いていたことが判明しており、これが犯行動機の一つとなったみられる。紀藤氏は「自民党の元総裁で元首相が殺害されたという事件に関して、自民党の政治家が殺害動機に関心を持たないということ自体も、人間的にどうなのかなというくらいに非常に驚きました」と、厳しく批判した。
●「旧統一教会」と関係が明らかになった政治家 「食い物にされている・・・」 7/30
日本テレビ系「ウェークアップ」(土曜・午前8時)は30日、旧統一教会の世界平和統一家庭連合と政治家との関係が次々と明らかになってきたことを報じた。
その中で2015年8月に教団が行った名称変更の経緯について共産党の宮本徹衆院議員が文化庁に情報開示を請求したが、教団が提出した文書の資料が丸ごと黒塗りだったことを伝えた。
当時の文科相は自民党の安倍派の下村博文衆院議員だったが下村氏は名称変更について記者団に「まったく関わっていません。最終決定者が名称変更については(文化庁の)部長だということですね」と述べた。
番組では黒塗りの理由を文化庁宗務課担当者に取材。「情報公開法に基づきすべての法人で開示せず」とし、また特別な取り扱いは?との問いに「名称変更は要件がそろっていれば良い、2015年に初めて申請されたので受理した。政治的理由はない」と回答したことを伝えた。
これにキャスターで弁護士の野村修也氏は「条文に基づいてといっているんですが確かに法人の中には企業機密みたいなものが書かれる部分については非開示にする、これ正当性があると思うんですけど宗教法人については、そういったものがありませんので黒塗りにしていること自体がおかしいんじゃないかなと思うんです」と指摘した。
続けて「さらに要件がそろっていたので名称を変えたといっていますけど、トラブルが起こっている団体が名前を変えればわからなくなるという、こういう状況の中で名称変更するのはおかしいわけなんです」と指摘していた。
さらに旧統一教会が「韓国では集金していないのに日本だけ集金するっていうこの状況に対して、日本の保守的な政党の人たちはきちっと食い物にされているんだということを、ちゃんと反発していく必要があるんじゃないかなっていう気がします」とコメントしていた。
●維新 “国会議員13人が旧統一教会関連団体イベント出席など”  7/30
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会をめぐり、日本維新の会は党所属国会議員のうち13人が関連団体のイベントに出席するなどしていたと公表しました。ただ、寄付や選挙支援などの事実は確認されず、組織的なつながりはなかったとしています。
日本維新の会は、旧統一教会との関係について党所属の国会議員62人を対象に調査を行い、30日、藤田幹事長が記者会見して結果を公表しました。
それによりますと、13人の議員が旧統一教会の関連団体のイベントに出席するなど何らかの関係があったことがわかったということです。
藤田氏自身も関連団体のクリスマスパーティーなどに複数回参加していたということで「パーティーに宗教色はなく、関連団体とは認識していなかったが軽率だった。今後は参加を控えたい」と述べました。
一方、藤田氏は、13人全員について、関連団体などから寄付や選挙支援などの事実は確認されず組織的なつながりはなかったと説明しました。
今後は、消費者庁などにトラブルが報告されている団体の会合に党所属議員が出席することを禁じるなどとするガイドラインを策定し、対策の徹底を図るということです。
●旧統一教会と岸一族と北朝鮮 この奇妙な三角関係をどう考えるべきか  7/30
連日報道される政治家と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係。教団所属の人物から選挙で支援を受けたと証言したのが、岸信夫防衛相だ。その関係を聞くと、兄の安倍晋三元首相が教団の友好団体にメッセージを寄せたのも「さもありなん」と思える。ただ、話はそこで終わらせられない。教団側は北朝鮮と親密な関係を築いてきたからだ。北を警戒すべき防衛相が、北と縁深い教団側とつながるのは問題ないのか。奇妙な三角関係をどう考えるべきか。(特別報道部・中山岳、中沢佳子)
岸一族と教団、関係の源流は「勝共連合」後押しした岸信介元首相
「選挙というのは、まさに戦。手の内を明かすようなことはしたくない。適切に判断をし、対処したい」
29日の会見でそう述べたのは岸防衛相だ。3日前には、教団に所属する人物から過去の選挙で支援を受けたと明かしたが、今後については曖昧に語った。
兄の安倍氏の銃撃事件以降、同氏と旧統一教会の関係が取り沙汰されてきた。源流をたどると、教団の日本進出のほか、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合」の設立を冷戦下に後押しした祖父の故・岸信介元首相に行き着く。
「反共」を名目に接点を持った岸一族と教団。両者の関係を考える上で気になる存在がある。共産主義を掲げて誕生した北朝鮮だ。教団は冷戦末期から同国とつながりを深めてきたからだ。
教団のサイトによると、教祖の故・文鮮明氏は現在の北朝鮮・平安北道出身。1954年に韓国で教団を創立して信者を増やした一方、91年に北朝鮮側の招きに応じて電撃訪問。文氏は主席の金日成キムイルソン氏と会談し、南北の離散家族を捜す事業の推進などで合意した。
その後、金正日キムジョンイル、金正恩キムジョンウン両氏ら後継指導者とも関係を築いた。2012年9月に文氏が死去した際は、正恩氏が「民族の和解と団結、国の統一と世界平和のために傾けた先生の努力と功績は長く伝えられる」と弔文を遺族に送った。一周忌を前にした13年8月にも追悼メッセージを出すなど、教団への配慮を見せた。
教団と北朝鮮、南北統一や資金面で相互にメリットか
反共を掲げる教団が北朝鮮と接近したのはなぜか。文氏訪朝時に教団系の日刊紙「世界日報」記者だった元信者で、金沢大の仲正昌樹教授(思想史)は「文氏には祖国統一の理念があった。教会としても、訪朝目的は北朝鮮が共産主義を克服するために指導者に働きかけ、悔い改めさせるとの理屈が成り立つ」と語る。
教団とつながりを持つことは北朝鮮にもメリットがあったとみる。「教会信者の経営する会社が北朝鮮に協力するなどし、利益をもたらした面はある」
朝鮮半島問題の専門誌「コリア・レポート」の辺真一編集長は「一九八九年にベルリンの壁が崩壊してから東西陣営の緊張緩和が進み、反共一辺倒だった統一教会の姿勢も変わった」と指摘。「北朝鮮は統一教会の資金力に加え、米共和党へのコネクションを利用する思惑もあった。北に強硬姿勢だった同党との関係を改善しようとしたからだ」
安倍氏ら、教団の北朝鮮とのパイプを重視か
一方で岸一族、特に首相時代の安倍氏は、北朝鮮と教団のつながりをどう捉えていたのだろうか。先の仲正氏は「教会は北朝鮮にいろいろなパイプがある。拉致や安全保障を巡る問題を抱えていた安倍氏らは北の情報を得るため、同国と教会との関係は黙認したのだろう」と推し量る。
教団側は、社会的認知度を上げるために安倍氏らとの関係は重視しつつも、信者になってもらうのはハードルが高いと考えていたと仲正氏は見立てており、「賛同を得られる範囲で接点をつくり、両者は『ウィンウィン』の関係を続けたのだろう」と解説した。
教団を介した北朝鮮との接点、国民に不信・不安招く
「保守」を名乗る面々には、教団側がもたらす北朝鮮絡みの情報に関心を抱く向きもある。
ジャーナリストの桜井よしこ氏は「週刊新潮」今月7日号の連載コラムで、旧統一教会系の日刊紙「世界日報」の掲載記事を「特ダネ」と持ち上げたうえ、日本人拉致被害者の生存情報を引用して伝えた。
防衛相である岸氏は、北の情報を得る上で教団に価値を見いだすことはあるのか。つながるとしても別の理由があるのか。
「教団は植民地支配への恨みを解くとして、日本で献金を募った。保守の政治家と相いれないのに、多くの自民保守系議員に教団側の息がかかっている。人手や票など、目先の利益を求めたのだろう」。英軍事専門誌の元東京特派員で、国際ジャーナリストの高橋浩祐氏はそう語る。
29日の岸氏の会見に出席し、教団との関係を改めてただした高橋氏は「終始歯切れが悪い。岸一族に脈々と続くつながりが深過ぎて、手を切れないんだと感じた」と振り返る。
教団側を介した防衛相と北朝鮮の接点はむしろ、リスクが潜むと懸念を語る。
「実際には情報漏洩などがないとしても『何か起こるのでは』と疑念を抱かせる。国防の根幹は国民の安心感なのに、国民の不信と不安を招く」
教団側が政治家をコントロールしうる立場に
山口大の纐纈こうけつ厚名誉教授(政治学)は「岸氏や兄の安倍氏の選挙区がある山口県は、朝鮮半島に近い。岸一族はさまざまな『半島ルート』を持っている」と語る。その力を思わせる一件として、2002年の拉致被害者5人の一時帰国を挙げる。当時、官房副長官として小泉純一郎首相の訪朝に同行したのは安倍氏だ。
「北朝鮮との公式なパイプが細っている今、外交、国防、拉致問題の解決といった問題には、私的ルートを頼らざるをえない。ただ、それを持つ人物が防衛相だと、安全保障上、大いに問題だ」と纐纈氏は話す。
「教団側はさまざまな政治家とパイプを持ち、政治家をコントロールしうる立場にある。そんな集団と防衛相が近しいと、日本を危機に追い込みかねない」
岸氏はこれまでの会見で、選挙で手伝いをした教団所属の人物が「(投票を呼びかける)電話作戦などはあったと思う」と明かした。お膝元の選挙区は、米軍と海上自衛隊が共同使用する岩国基地のある山口県岩国市が含まれている。「教団関係者が電話作戦をしたのなら、岸氏の事務所から支持者名簿が教団に渡っていないか。それがどこまで流れたのか、検証しなくては」と纐纈氏は訴える。
「関係を切る」と明言しないことが問題 野党は解明を
教団と政治家の関係は複雑に入り組み、闇が深い。
千葉商科大の田中信一郎准教授(政治学)は教団との結び付きを追及された政治家たちが「関係を切る」と明言しないことを問題視する。
「岸氏は防衛相の前に国会議員として不適任。そんな人物が与党にいる。そもそも自民党は税金や権限、政治を私物化する利権集団に支えられて政治の舞台に出てきた人々の集まり。教団との関係も悪いと考えていないのだろう」
一方で野党には、教団と政界の闇を解明する動きが広がっている。立憲民主党は被害対策本部、共産党は追及チームを設置。社民党も教団と自民の関わりを調べようとしている。ただ、歩調はバラバラだ。
田中氏は「本来は合同ヒアリングをするべきだが、野党にも教団側と接点を持つ議員がおり、足並みをそろえるのは難しい。まずは政党ごとでも解明に動くことが大切。どこまで取り組むかは、その党と教団の結び付きの見極めにもなる」と語っている。
デスクメモ
岸田首相は岸防衛相と教団、北朝鮮の関係をどう捉えてきたのか。北につながるパイプがあれば北の情報が入りやすくなるが、逆に漏れ出るリスクもある。危うさをはらむ岸氏を防衛相に任命すべきだったのか。事情を知りながら登用したのか。首相の認識と責任も問わねばならない。
●旧統一教会フロント組織「勝共連合」会長が安倍元首相の“ビデオ出演”交渉 7/30
「朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子(ハン・ハクチヤ)総裁をはじめ、皆様に敬意を表します」
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のフロント組織UPF(天宙平和連合)主催の「神統一韓国のためのTHINK TANK 2022希望前進大会」で、安倍晋三元首相(享年67)がおこなった基調講演(ビデオメッセージ)。安倍氏は冒頭のように発言し、旧統一教会トップの韓鶴子を持ち上げて見せた。
今年4月、この「ビデオメッセージ」を見たのが山上徹也容疑者だ。この安倍氏の姿を見て、「殺すしかない」と暗殺の決意を固めたと供述している。
今回、筆者が入手した映像は、2021年10月17日に統一教会松濤本部・渋谷教会で行われた梶栗(かじくり)正義・UPF-Japan議長・国際勝共連合会長による日曜礼拝の説教「神のかたち」を収めたものだ。この映像の中で梶栗氏は、ひと月前の9月12日に韓国で開かれた「希望前進大会」に安倍氏がビデオ登壇した裏側を明かしていた。
梶栗氏の説教映像「元首相3人へもオファーした」
説教の冒頭、「去る9月12日の希望前進大会においてとんでもないサプライズがあった」と切り出した梶栗氏。彼は統一教会や国際勝共連合の会長を歴任した故梶栗玄太郎氏の長男で、UPF-Japan議長の他、国際勝共連合や世界平和連合の会長を兼任するエリート2世幹部だ。
「実際に9月12日以降、私たちは今後の信頼関係を守るためにいろいろと気を遣うのですが……」としながら、梶栗氏は本題に入った。
昨年夏ころ、各国首脳クラスのブッキングが決まる中、梶栗氏は日本からの登壇者が中々決まらずストレスを感じていたとしてこう明かす。
「私とてアプローチをいくつかしておりまして、その難しさをずっとお伝え申し上げている。ただ、決まらないものだから、どういうトーンになってくるかというと、日本においてそれを成すことがいかに難しいかという言い訳じみた報告になっているわけですよ」
元首相3人へのオファーしたものの、そのうちのひとつの事務所からはこう告げられたという。
「宗教団体のフロント組織でしょ?」
「結局あなたたちはわたくしどもの先生を宣伝材料に使いたいだけでしょ? 利用したいだけでしょ? あなたたちに利することがあって私どもの先生に利することはいったい何があるんですか? UPFと言ったってそんなのは家庭連合・宗教団体のフロント組織でしょ?」
フロント組織を隠れ蓑に政治家を広告塔として布教活動に利用してきた旧統一教会に対する厳しい批判だが、このことを梶栗氏が教団幹部に告げたところ、その幹部から返ってきたのは、「実際その通りだしな」という言葉だったと明かしている。
けっきょく3人の元首相からは断られたものの、世界宣教本部の尹(ユン)ヨンホ本部長から、トランプ前大統領の出演が決まったことを告げられたうえで、「例の取り組み」を始めるよう指示される。その「例の取り組み」こそ、安倍氏のブッキングだった。
梶栗氏は、安倍氏との間に「ずっと温めてきた信頼関係」があると誇ってみせる。実は昨年春、安倍氏との間でこんなやりとりをしていたという。
梶栗「これ先生、もしトランプがやるということになったら、やっていただかなくちゃいけないが、どうか」
安倍「ああ、それなら自分も出なくちゃいけない」
梶栗氏は、韓総裁に手紙でこのやり取りを伝えていたため、尹本部長から指示されたのだ。梶栗氏は再度説得に動き、8月末に安倍事務所から「やりましょう」との承諾を得た。そして撮影は9月7日に決まる。
元首相をブッキングした梶栗氏の自慢話は止まらない。
「あの皆さん、(安倍氏が講演で)語られた内容、覚えてますか? 本当に立派な内容を語られたんですよ。そこでね、言わんとされているのは、本当に私(安倍氏)が信頼し、ともに日本の再建のために信頼して一緒にできる団体はどこか、というね。こういう角度から私たちに対する信頼を深めてきたと」
そして梶栗氏は、安倍氏との信頼関係は「一朝一夕の話ではない」と強調して、自分がビデオ撮影のあと安倍氏を見送る際に見た「霊界の後押し」について語り始めた。
「8年弱の政権下、6度の国政選挙で……」
「(撮影が)終りまして、玄関からお送りするときに、私は深々と頭を下げました。本当にありがとうございましたと。ところがね、私の横に梶栗玄太郎と久保木修己(統一教会・国際勝共連合、初代会長)が一緒に頭を下げているんです。あ、いつの間にいたんだという感じで。
そしたら、先方も深々と頭を下げているんです。その横に岸(信介)先生と安倍晋太郎先生がね、深々と頭を下げているんです。もう私は鳥肌もんだったです。過去、現在、未来という時世が編み上げられた形で、奇跡的な瞬間は実現しました」
その光景を斜め上から故文鮮明氏が見守っていたという。
「お父様(文鮮明氏)が腕を組んでニッコニコニコニコされてんですよ。もう私もね、鳥肌もんだったんです」
「この8年弱の政権下にあって6度の国政選挙において私たちが示した誠意というものも、ちゃんと本人(安倍氏)が記憶していた。こういう背景がございました」
教団のトップは、表向き事件後に会見を開いた田中富広会長とされているが、筆者は最高幹部2世である梶栗氏が実質的なトップとみている。安倍元首相が暗殺されるきっかけとなったビデオメッセージの依頼主だと梶栗氏が認めていたことは少なくない波紋を呼びそうだ。
●「我々は世界を支配できると思った」米・統一教会の"選挙協力"の実態 7/30
アメリカ統一教会の元幹部が報道特集の取材に応じ、教団が政界に近づいた理由、そして政治家に多額の報酬を出していた実態などを証言した。
『私は文(鮮明)氏の犬だ』
日本での献金はアメリカでの信者獲得にも使われたという。
1960年代から70年代にかけてアメリカ統一教会の政治部門の幹部だったアレン・ウッド氏。報道特集の取材に応じ、教団の実態を証言した。
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏
「文鮮明氏らは権力者たちを支配しようとしていました。信者に“組織が世界を牛耳っている”と信じ込ませるためです。そのために権力者たちのビデオを作成し、若者に見せるのです」
ウッド氏自身、脱会するまではこうした講演を通して洗脳されていったという。
1970年に日本武道館でおこなわれた統一教会と関連する政治団体「国際勝共連合」のイベント。ここでウッド氏は司会を務めた。日本からは右翼の大物・笹川良一氏も出席。ウッド氏は笹川氏の発言が忘れられないと話す。
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏
「彼(笹川)は胸をたたきながら『私は文(鮮明)氏の犬だ』と言いました。驚くべき発言でした。日本で最強の人物が自分を文氏の下に位置づけたのです。あの時、『我々は世界を支配できる』と思いました」
岸元総理がレーガン大統領に送った親書には・・・
さらに、文鮮明氏と深い関係にあったのが、安倍晋三氏の祖父・岸信介元総理だという。1982年、韓国で行われた合同結婚式には岸元総理が祝電を送っていた。
岸元総理祝電代読「天を中心にとした理想と信念のもとに指導し、教育しておられる。私が文鮮明先生を心より尊敬する所以であります」
これはその2年後の1984年、岸元総理がレーガン大統領に送った親書だ。
文書(岸信介)「本日、大統領にお願いをしたいと思います。文(鮮明)尊師は現在、不当に収監されています。あなたのご協力のもと、何としてでも、一刻も早く、彼が不当な収監から解放されるよう、お願いいたします」
実は、この親書が出されたとき、文氏はアメリカで脱税の罪で収監されていた。岸元総理がレーガン大統領に文氏の釈放を依頼する内容だったのだ。
文書(岸信介)「文尊師は、自由の思想を掲げ、共産主義の誤りを正すことに人生をかけている、誠実な男だと私は理解しております。彼の存在は、現在も将来も自由と民主主義の維持にとって、貴重で不可欠です」
反共産主義を掲げると…
結果的には、釈放には至らなかったが8年後の1992年。文氏はアメリカでの実刑後、初めて来日した。
このときに政府に働きかけをしたのが、自民党の金丸信副総裁(当時)だったという。さらに来日中に、中曽根元総理と会談を行っていた。
中曽根康弘元総理「あの人(文鮮明氏)は統一教会、あるいは昔の勝共というような関係で、むしろ共産圏の中へくさびを入れていくと。そして自由世界の空気、光を入れていくと。そういうような一貫した方針でやられたんではないかと思いますね」
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏は1970年代、ベトナム戦争の終結後、反共産主義を掲げることで教団の影響力が増したと話す。
中でも共和党との関係は…
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏「レーガン大統領は教団の関連団体が発行するワシントン・タイムズを見せながら『私が読んでいる新聞はこれだけだ』と言いました。文氏がオーナーの新聞です。政治的プロパガンダのための新聞で、政界に入り込もうとしていました。共和党の政治家を取り込むという点では大いに成功しました」
傘下にある新聞で歴代大統領への支持を表明した。さらに選挙運動においては…
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏「レーガン、ブッシュ親子、トランプ、その全員が統一教会の大々的な支援を受けました。信者が資金集めをし、全米各地で戸別訪問をして支持を広げました。父親のブッシュが『統一教会の信者等がいなければ、選挙での勝利はなかった』と発言していました」
1回のスピーチで約1億3千万円
また大物政治家がイベントに出席したり、メッセージを送ったりする際には、多額の報酬が支払われていたことも証言した。
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏「ブッシュが大統領の任期を終えて、韓国に講演に行ったときは1回のスピーチにつき100万ドル(約1億3千万円)を支払いました。レーガンにも1回100万ドル支払いました。これは凄いことです。なぜならこの金は洗脳されて奴隷となった若者たちから巻き上げたものだったからです」
去年9月には、関連団体のイベントにトランプ前大統領もビデオメッセージを送るなど、共和党とのつながりは現在も続いているという。
選挙協力や多額の報酬によって日本やアメリカの政界とつながりを深めた旧統一教会。ウッド氏は…
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏「(文氏は)イデオロギーで心を掴めなければ金で買収するんだと言っていました」
金平茂紀キャスター「普通の教会ではない?」
アメリカ統一教会の元幹部アレン・ウッド氏「教会ではありません。(統一教会は)政治団体であり、そのゴールは権力を握ることなのです。文氏は言いました。『今は自分にあらがう人も多いが、将来は自分の言葉がほとんど法律のようになるだろうと』」
●旧統一教会の"献金"内部資料を独自入手 毎年200億円以上が韓国へ… 7/30
独自入手した旧統一教会の内部資料から献金集めの実態に迫る。さらに韓国人現役幹部が取材に応じ、日本からの献金、日本の政治家との関係を赤裸々に語った。
取材に応じた韓国人現役幹部
2021年9月。旧統一教会の関連団体、UPFが開いたイベントにアメリカのトランプ前大統領がビデオメッセージを送っていた。次にスクリーンに映し出されたのが、安倍元総理の姿だった。
安倍元総理「朝鮮半島の平和的統一に向けて、努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ皆様に敬意を表します」
この映像は、韓国の会場からオンラインで世界に配信された。韓国人の現役の信者が報道特集の取材に応じた。男性は40年前に入信し、現在、教団の幹部をしているという。
韓国の教団幹部「正直私は安倍さんに、かなり悪い印象を持っていました。独島(竹島)問題、慰安婦問題、教科書問題、軍国主義の復活などがあったからです」
Q ビデオメッセージによって、安倍氏への考え方が変わった?
韓国の教団幹部「そうです、大変驚きました。あのとき動画が流れることは秘密でしたし、あの映像が流れてみんなが驚きました。安倍さんのことをよく知らなかった人や否定的に見ていた人たちが、“すごくいい方だ”と言ってイメージが大きく変わりました」
この幹部は、1992年の合同結婚式で日本人女性と結婚し、今もその妻と韓国で暮らしているという。
韓国の教団幹部「私が合同結婚式に参加したとき、中曽根元総理がビデオメッセージを送ってこられました。そのことを思い出します。日本では、統一教会のイメージが悪いので、安倍さんは、今回のメッセージを送ることに悩んだと思います。政治家として大きな負担を感じたはずなのに、送ったということに対して、大きな意味があると私は感じています」
トランプ前大統領のビデオ出演で風向きが変わり・・・
安倍元総理へビデオ出演を依頼したのが、UPFの日本支部。中心となって働きかけたのが梶栗正義会長だ。信者に向けた配信映像を入手した。安倍氏のビデオ出演のひと月後に行われた教団の礼拝。梶栗会長がそのいきさつを語っていた。当初は、3人の元総理に話を持ち掛けたというが・・・。
UPF天宙平和連合 梶栗正義会長「(元総理の)事務所から一体何を言われたかと。『結局、あなたたち団体は、私共の〇〇先生を団体の宣伝材料に使いたいだけでしょ。布教のために利用したいだけでしょ』と。3人の元首相からはそっぽ向かれました」
ところが、トランプ前大統領のビデオ出演が決まったことで風向きが変わった。安倍元総理側とは、過去にこんな話をしていたという。
UPF天宙平和連合 梶栗正義会長「先生、もしトランプがやるということになったら、やっていただかなくちゃいけないけどどうかと。“ああ、それなら自分も出なくちゃいけない”という話を実は2021年の春にやりとりをしてたんですよ。先方から『やりましょう』という答えが返ってきて私の耳に入ったのが、8月24日。この8年弱の政権下にあって、6度の国政選挙において私たちが示した誠意というものも、ちゃんと本人が記憶していた」
韓国の教団幹部は、安倍元総理がビデオメッセージを送った理由についてこう話す。
韓国の教団幹部「政治家はたくさんの人々と接する必要があり、選挙の票を意識した行動を取らざるを得ないんです。政治家は“多宗教人”だといわれます。票のためにキリスト教ではキリスト教徒のように、仏教であれば、仏教徒のように振る舞うしかないのです」
“献金”内部資料を独自入手
この幹部に、かつて強引な“献金集め”が社会問題化したことについて尋ねた。
韓国の教団幹部「よく知っています。当時は文総裁が最も世界的な活動を行った時期で、この時期の教団には多額の献金が必要でした。それで多少、無理な方法で献金が行われたことも少しは知っています。それについて、日本統一教会は2009年のコンプライアンス宣言によって、“これ以上、強制的な献金を行わない”と打ち出したはずです」
実際はどうなのか?報道特集は、旧統一教会の関係者から内部資料を入手した。
これは、日本人信者の献金額だという。
1999年度から2008年度まで、献金額は年間おおむね600億円で推移している。2009年のコンプライアンス宣言の後も変わらず600億円近くの献金を集めていたことが分かる。
別の資料に示されたTD。ThanksDonation「感謝献金」の略で、日本から韓国の教会側へ送金した金額だという。
2009年度以降3年間で、200億円以上が毎年、送金されている。さらに別の内部資料には、韓国の関連財団への送金額が日付ごとに記されていているという。2013年度には約132億9996万円が送金されていた。
HK=「返金(HenKin)」は30億〜20億円台
韓国の教団幹部「日本の信者たちは大変な額の献金をしてくれました。とても感謝しています。おかげで今日の統一教会は世界的な宗教に発展し、彼らは世界を救う運動に大きく貢献したと思います」
さらに、資料の「HK」という項目。「返金(HenKin)」を意味する言葉で、裁判によって、教団側が信者側に支払った損害賠償などの金額が示されている。その額は30億円から20億円台で、2009年度以降も信者に返金する事態が続いていた。
献金について旧統一教会は番組の取材に対し、「宗教法人は公表したこともなければ、公表する義務もない」としている。
●岸田首相65歳 “生誕祭” で盛り上がるも…コロナ、旧統一教会問題でダンマリ 7/30
7月29日、岸田文雄首相は65歳の誕生日を迎えた。首相官邸に到着すると記者団から「お誕生日おめでとうございます」と声をかけられ、照れ笑い。
その後の閣議でも、野田聖子地方創生相を皮切りに、閣僚たちが次々と「おめでとうございます」と声をかけるなど、“ほのぼのした光景” が見られたという。SNSでも、《岸田総理、生誕祭おめでとうございます》などのコメントが投稿されていた。
この日は政権発足から300日という節目でもあり、岸田首相は会見で「歴史を画するような課題が次々と目の前に突きつけられる、緊張感、真剣勝負の連続だった」と語ったが、実際のところ、 “ほのぼの” が似つかわしくない状況にあるのは明らかだ。
「安倍晋三元首相の銃撃事件が発生して以降、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と自民党の関わりについて、厳しく追及されています。関わりのあった現職の国会議員は100人以上にのぼるとみられ、そのほとんどが自民党。しかし、岸田首相が『自民党総裁』としてなんらかの対応をとる気配はありません。さらに国会での追悼演説についても2転3転していますし、9月に予定している国葬については、批判の声が高まっています。なにより、新型コロナウイルスの陽性者が過去最大となっているのに、『これまで対策してきた蓄積をフル稼働させつつ、一歩一歩、経済社会活動を動かしていく』とあまりに抽象的なコメントしか発表していません。政府が新たな行動制限をしない代わりに、都道府県に『BA.5対策強化宣言』を出せるようにしましたが、これについても『地方自治体に丸投げ』と批判の声が上がっています。このように、岸田首相には、山積する問題について積極的な姿勢がまったく見られないのです」(政治ジャーナリスト)
一連の岸田首相の対応について、ネット上でも怒りの声が高まっている。
《最近、岸田総理の顔を見ませんねー。非難の嵐が止むまでダンマリですか?当分、嵐は止まないと思う》《何もしないのに全力を出す岸田総理!》《岸田は隠れて沈黙を貫いているがあまりに無責任過ぎやしないか》《素早かったのは安倍元総理の国葬の決定の時だけ》
このまま何もせず、来年も閣僚に囲まれてほのぼのとした “生誕祭” を迎えるつもりなのだろうか――。
●安倍氏追悼で笠岡市長が統一教会系Tシャツ£用「たまたまではない」 7/30
岡山県笠岡市の小林嘉文市長の統一教会系Tシャツ≠ェ物議を醸している。
8日に銃撃された安倍晋三元首相の追悼文とともに、旧統一教会の関連団体のイベント「ピースロード」のTシャツを着た写真を掲載。同市長は「ピースロードと(旧統一教会)の関係は全く知らなかった」と説明し、イベント名がわかるTシャツ部分を削除し、写真を差し替えた。
一部報道によると、ピースロードの参加者は昨年8月に笠岡市へ着き、小林市長たちが出迎えたという。
これに実業家のひろゆき氏は30日に更新したツイッターで「笠岡市長が追悼のメッセージにTシャツ姿を選ぶのは礼を失してるので、統一教会のTシャツを着ていたのは『たまたま』では無いと思うんですよね」と指摘。
安倍元首相と旧統一教会の関係≠ヘ政界では広く知られた話で、笠岡市長のTシャツ着用は確信犯≠ニいうのだ。
ピースロードとは、安倍元首相がメッセージを送ったことで知られるUPF(天宙平和連合)の文鮮明総裁が提唱するプロジェクト。ホームページによると「人類は神のもとの一つの家族であり、文化、貿易、旅行を通じて人々が日常生活の中で出会うことができれば、隣人どうしを隔ててしまう歴史的な恐怖と誤解は消え去ってしまうという文総裁の信念を体現したもの」と書かれている。
●統一教会と政治家 自民総務会長発言「正直、何が問題か分からない」… 7/30
“統一教会”と政治家の接点に、厳しい目が向けられています。名称の変更では当時の文部科学大臣へ異例の事前報告があり、疑問の声が上がっています。自民総務会長は会見で「何でこんな騒ぐのか」「何が問題か分からない」と話し、後に釈明を行う事態も…。
文化庁が承認…“統一教会”名称変更
2015年、いわゆる“統一教会”が文化庁の承認を受け、「世界平和統一家庭連合」へ名称を変更しました。イベントで徳野英治会長(当時)は「本日、この日本におきましても『家庭連合』としての新しい出発ができることとなりましたー!」と声を張り上げました。
多額の献金や霊感商法などが社会問題化していた教団の、「正体隠し」との批判も上がっています。
当時の文部科学相は自民党・安倍派の下村博文議員でした。21日、名称変更に関わったかどうかを記者から問われ、「全く関わっていません」と関与を否定しました。
野党が変更の経緯について文化庁に情報開示請求をしましたが、変更理由の欄は黒塗りされていました。共産党の宮本徹議員は「なぜ名称を変更したのかという理由の所は真っ黒で…」と言います。教団が提出した文書については全体が黒塗り。当時、何が起きていたのでしょうか?
文化庁担当者、下村氏へ「事前報告」
かつて文化庁の文化部長だった寺脇研さんは「(この時の手順は)いわゆる異例なことですよね。普通の場合は(大臣にまで報告を)上げないのが当たり前ですから」と指摘し、自身の経験から、変更プロセスに疑問を呈しました。
下村氏の説明によると、当時“統一教会”からの名称変更の申請を受けた文化庁の担当者が、下村氏に事前に報告。その後、最終決定者である文化部長が変更を了承し、再び下村氏に報告があったといいます。
4年間、部長を務めた寺脇さんによると、異例なのは「事前報告」です。事前に大臣にまで報告するような案件は在任中、一度もなかったといいます。なぜ、このようなことが起こったのでしょうか?
文化庁「大臣に事前に話すことない」
寺脇さん「例えば、大臣と関係の深い団体だということであれば報告するでしょうね。特に申請者の側が『うちは大臣とも深い関係でして』って言われたら、それはやはり報告しますよね」
「(下村氏は)行政の手続きとして関与はしていないんでしょうけど、一般論として関与しているわけですよね」
名称の変更に、下村氏の存在が影響した可能性を指摘します。
名称変更に携わる文化庁の宗務課も、日本テレビの取材に「大臣に事前に話すことは基本的にはない」と答えました。末松文科相は29日の会見で「現時点では特定の政治家からの働きかけがあったものではないと聞いてございます」と述べました。
念願の名称変更…盛大な「記念大会」
創始者の文鮮明(ムン・ソンミョン)氏がかねて願っていたという名称変更を叶え、教団は新たな名称を祝う、盛大な「出帆記念大会」を2015年に催しました。
当時の映像では、音楽に合わせてステージ上で大勢が踊り、「会場総立ちとなって家庭連合時代の出発を決意する場となりました」とナレーションが入っていました。
徳野会長(当時)は「真のお母様が宣言された、この真のお父様への誓いの心情を私たちが相続し、未来への希望あふれる新しい出発をしていこうではありませんかー!」と呼びかけ。教団の友好団体会長は「世界平和統一家庭連合、出帆、大勝利!」と宣言しました。
教団は、名称変更が正体を隠すためではないかとの批判について、「事実無根で的外れな臆測」だと反論しています。
元文科政務官が「マザームーン」連呼
教団の名称が変更された2015年に、当時の下村文科相のもとで政務官を務めていたのが、自民党の山本朋広議員です。
2017年にあった教団のイベントで、山本氏は韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁を「マザームーン」と連呼していました。
山本朋広議員(2017年)「本日は母の日ということで、マザームーン(韓鶴子総裁)にカーネーションの花束をプレゼントさせていただきました」「皆様からマザームーンに対しての感謝の思いがマザームーンへ伝わる」
29日午前、山本氏がカメラの前に姿を現すと…。
スマホを耳に当て、大勢の記者が待つ中へと歩き始めました。呼びかけられても「もしもーし、もしもーし、もしもーし、もしもし? 玄関? もしもーし、もしもーし、もしもし?」とスマホを耳から離さないまま。記者が質問する隙を与えず、そのままその場を去りました。
物議…「組織的な支援」匂わせる発言
山本氏をめぐり、ある発言が物議を醸しています。2017年の教団のイベントで、教団と自民党の双方が否定する、組織的な支援を受けているかのような発言をしていました。
山本朋広議員(2017年)「本当に皆様にはわれわれ自民党に対し、大変大きなお力をいただいていますこと、改めて感謝申し上げたいと思います」。
この意味について29日午前、改めて山本氏に問いかけました。
――“統一教会”のイベントで発言した「自民党に対して大きな力をいただいている」は具体的にどういう意味?
山本氏「きちんと事務所にご連絡いただければ、対応いたしますので」
――“統一教会”とはどういった関係?
「ごめんなさい」
――選挙で協力をもらっているなど、そういう関係は?
「…」
車に乗り込み、「事務所に連絡すればきちんと対応する」として、その場では何も答えませんでした。その後、事務所に教団との関係などについて質問状を送りましたが、29日夜の時点で回答はありませんでした。
「賛同会員」の安倍派議員、今後は?
今月10日に投開票された参院選で当選し、議員となった自民党・安倍派の井上義行氏は、19日にコメントを発表し、自身を教団の「賛同会員」だと明らかにしました。
多くのトラブルを抱える教団と政治家との接点に厳しい目が向けられる中、今後どうつき合っていくのか。改めて話を聞きました。
――賛同会員であったと。
「うん」
――今後も今までと変わらない形でお付き合いを続けていく?
「そうですね、はいはい。あのコメント以外ないものですから。どうもお疲れさまです」
自民幹部、会見で「何が問題なのか」
政治家と教団の関係が連日取りざたされる中、自民党三役の1人、福田達夫総務会長が29日の会見で言及しました。
福田達夫総務会長「正直、僕自身が個人的に全く関係がないので、何でこんな騒いでるのか、正直よく分からない」「何か本当に明確にですね、わが党が組織的にある団体から強い影響を受けて、それで政治を動かしているんであれば問題かもしれませんけど、申し訳ない、僕の今の理解の範疇だと、そういうことが一切ないので」「ただ単に信じている方の母体が“統一教会”に関するところだったというぐらいのことで、問題であるとか、自民党がそこの団体のですね影響を受けて政治を動かすというような誤解を招くようなことだけはして欲しくないなと思いますし」「その上、お相手の方もだいぶご迷惑なのかなと正直思っております」「正直言います。何が問題なのか僕はよく分かんないです」
夜に釈明…周辺にも「分からない」
しかし夜になって、自身の発言について釈明する内容のコメントを発表しました。
「本日(7月29日)の総務会長記者会見における発言につき、御説明申し上げます」「これまでも被害者を生み出すような社会的に問題が指摘されている団体との関係が問題であることは、言うまでもありません」「それゆえに、自分としては、そのような団体との付き合いはしておりません」「個人として何か抜き差しならない関係になっていて、その結果、その方の政治活動に非常に大きい影響を与えているのであれば、それは問題と思います」「一部から御質問をいただいているような、そのような団体との付き合いについて『何が問題か分からない』という趣旨の発言ではございません」
福田氏は周辺に、「自分は“統一教会”と関係ないので、何が問題になっているのか分からない」などと説明しています。 
●「1年も自宅でひそかに」山上容疑者の抱えた“貧困” 人間関係「格差」 7/30
安倍晋三元首相が演説中に銃で撃たれて死亡した事件。山上徹也容疑者が凶行に至った背景には何があるのか。社会学者の土井隆義・筑波大学教授が分析する。AERA 2022年8月1日号の記事から。
山上徹也容疑者はどんな意図で犯行に至ったのか。社会学者の土井隆義・筑波大学教授は二つの見方をしている。
一つは、たとえばベトナム戦争で僧侶が南ベトナム政府に抗議し、焼身自殺をしたような「抗議死」だ。容疑者は自殺こそしていないが、犯行後に逃げようともしていない。政治テロのように未来を見据えた「主張」はなく、「過去についての抗議」だけがそこにある。ただ、犯行前に手紙を投函したのは、そんな自分の予兆に「気づいてほしい」という気持ちもあったから。気づいてくれたら自分の暴走を止められる──そんな思いもあったのでは、と土井教授は見る。
「しかし、その手紙に『安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません。安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません』とあるのを読むと、違う見立ても可能だと思います。『未来を見据えて』統一教会を潰してやろうという思い。その手段としては、影響力の大きい安倍元首相を狙ったほうがいいという冷徹な計算。そんな行動だとしたら、彼なりの合理的判断であり、『テロ的なメンタリティー』だったとも言えます」
いずれにしても、何が彼をそうさせたのか。容疑者はうまく人との関係を紡げない「関係の貧困」を抱えていたのでは、と土井教授は指摘する。
「約1年も自宅で一人ひそかに武器を製造し、教団やその存在を許した社会への敵がい心を募らせていった。人間関係がきちんとあれば、『自分だけの世界』が相対化できるけれども、関係が貧困なためにブレーキもきかず、暴走してしまう。今回の事件は経済的な貧困ももちろん重要な要因ですが、自己責任主義が進むことで社会の分断化が進み、『関係格差』(人間関係が豊かな人とそうでない人の差)が生じているため、いったん躓いたらなかなか這い上がれないという社会状況が広がっていることも背景にあると思います」
土井教授は、容疑者のものとされるツイッターに書かれた「何故かこの社会は最も愛される必要のある脱落者は最も愛されないようにできている」という言葉にも、強い印象を受けたという。
「私は、ある種の諦観(ていかん)ととらえました。現実を『変えていけるかもしれない』という希望が少なからず持てた時代から、いまはその希望がなかなか持てない時代になっている。加えて、政治家を筆頭に異論を封じ、封じられ、互いを認めづらい社会になっている。異論を封じる側も封じられる側も、自分に自信がなく、不安と共に生きざるをえない。そのため、異論の持ち主を認めるだけの心の余裕がないのです。そこに広がる諦観を、よく表した言葉だと思います」 

 

●山上容疑者、安倍氏が首相在任中から殺意か…殺害示唆する投稿 7/31
安倍晋三・元首相に対する銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)が、2019年以前にもツイッターで安倍氏の殺害を示唆する投稿をしていたことが関係者への取材でわかった。これまでに判明しているものとは別のアカウントで、ツイッター社に利用ルール違反で凍結されていた。安倍氏が首相在任中だった3年前にはすでに殺意を抱いていた可能性がある。
ツイッター社は事件後の今月19日、山上容疑者が19年10月に開設した「silent hill 333」という名前のアカウントを凍結し、投稿も閲覧もできないようにした。
同社によると、このアカウントと同一人物が開設したアカウントが19年10月より前に存在し、同社が凍結していた。「特定の標的に対し、殺害の意思を示す」ことなどを禁じる同社の利用ルールに違反していたためだった。
同社は取材に「投稿内容は明らかにできない」としているが、関係者によると、安倍氏の殺害を示唆するものが含まれていたという。
●安倍元首相射殺報道、話が逸れている 7/31
話が妙な方向に逸(そ)れてきた。
安倍晋三元総理を射殺した、山上徹也容疑者の母が統一教会信者だった。多額の寄付で山上容疑者が統一教会に恨みを持った。統一教会は悪。選挙で応援してもらった議員はケシカラン。
テレビのワイドショーが例によって大騒ぎ。『赤旗』が張り切っている。
たかだか現在の信者は10万人(8万人とも)、多額の献金をしているわけでもない。選挙ともなれば、その程度の組織でも、反対に回られるよりは。それだけの関係だろう。
共産党の志位和夫委員長はツイッターで、「何が悪いのか≠ニ開き直りを始めた」と書いているが、実際「何が悪いのか」。
統一教会の名称変更問題もそうだ。じゃ、新聞はその時(平成27年)に反対キャンペーンでも張ったのか。
で、今週の週刊誌。
『週刊文春』(8月4日号)の右柱が「統一教会の闇 自民党工作をスッパ抜く!」、左柱が「安倍元首相暗殺 山上徹也の570日」。
『週刊新潮』(8月4日号)「底なし政界汚染 安倍元総理と『統一教会』ズブズブの深淵(しんえん)」。
両誌ともワイドショーレベル。「闇」とか「深淵」はオーバー。
『サンデー毎日』(8・7)「スクープ 山上容疑者『伯父の激白50分』」。
すでに『文春』『新潮』が先々週号でインタビュー、詳しく報じている。スクープでもなんでもありゃしない。
『週刊朝日』(8・5増大号)で、両親が統一教会の信者だったという女性が、こう語っている。
〈「山上容疑者の行為は擁護できませんが、彼の気持ちに共感できるという2世は多い」〉
山上容疑者は単なる殺人犯だ。
●山上容疑者は「完全にノーマーク」、ローンウルフは黙々と凶器を作り続けた  7/31
安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件は、組織に属さない人物による「ローンウルフ(一匹狼)型」の事件を防ぐ難しさを改めて浮き彫りにした。背景には社会的な孤立もあり、専門家は警察と行政が連携して対応を強化する必要性を指摘している。
「ひそかに武器製造」
「これほどまで周到に準備していたとは」。警察幹部は驚きを隠さなかった。複数の手製銃、自ら作った火薬、工具類……。山上徹也容疑者(41)の自宅から見つかった押収品だ。6畳のワンルームで、誰にも気づかれずに黙々と凶器を作り続けていた。
捜査関係者によると、山上容疑者は母親が入信した宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」を恨み、つながりがあると思った安倍氏の殺害を計画。ネットで買った肥料などを調合して火薬を作り、動画投稿サイト「ユーチューブ」で製造法を調べて手製の銃を作り上げていた。
元海上自衛官で、過激派や右翼団体などへの所属は確認されていない。警察にとって「完全にノーマーク」(警察幹部)の人物だった。
「個人がひそかに武器を製造し、人知れずある日突然犯行に及ぶ。典型的なローンウルフ型だ」。テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功・研究センター長(62)はそう話す。
官邸ドローン
警察は従来、過激派などを監視することで、政治家や重要施設などを狙うテロを阻止してきた。選挙期間中であれば、過激派メンバーらの顔を知る「面割り捜査員」を演説会場に配置し、警戒に当たってきた。
だが近年、組織に属さないローンウルフ型の容疑者が目立ち、兆候をつかむのが難しくなっている。
「ゲリラ戦 とりあえず1人で活動……ローンウルフだ」
2015年4月に放射性物質を積んだドローンを首相官邸の屋上に落下させた男(威力業務妨害罪などで有罪)は、ブログにそうつづっていた。男は「反原発」に傾倒していたが、市民グループなどに所属せず、デモへの参加も確認されていなかった。
男は事件発覚2日後に自ら警察に出頭した。捜査に関わった警視庁幹部は「出頭まで男の存在を全く把握できなかった。ローンウルフ対策を強化する必要性を痛感した」と明かす。
行政と連携必要
警察が近年、力を注ぐ対策は主に二つだ。
一つは爆発物対策で、00年代から、材料となり得る薬品の販売業者に対し、不審な購入について通報するよう求めてきた。15年には火薬を取り出せる花火についても、不審な購入者らの情報を提供するようネット通販大手に要請した。
もう一つは、SNS対策だ。警察庁は16年、テロにつながる書き込みなどを自動的に収集する「インターネット・オシントセンター」を設置し、捜査に生かしている。銃の作り方などを掲載するサイトについても削除要請を行っている。
だが、民間業者への要請などに強制力はなく、対策には限界がある。仕事を辞め、一人きりで襲撃計画を練っていたとされる山上容疑者の行動にも気づくことはできなかった。
治安対策に詳しい東京都立大の星周一郎教授(52)(刑事法)は「警察による対策強化は必要だが、それだけでは不十分だ。例えば、社会への不満や孤立を訴えるSNSの投稿に対して行政が直接支援のアプローチをするなど、背景にある孤立対策に本腰を入れる必要がある」と話している。
移民が疎外感 テロリストに…海外で問題化
ローンウルフは元々、ネットの情報などで人知れず過激派思想に染まり、単独や少人数で事件を起こすテロリストを指す。イスラム過激派組織「イスラム国」がSNSを通じて若者らにテロを呼びかけた影響もあり、2010年代に各国で事件が多発した。
特に問題となったのが、移民先で疎外感を深めた人物が、ローンウルフになるケースだ。13年に米ボストンマラソンが狙われた事件では、移民の兄弟が爆弾を仕掛け、3人が死亡、260人以上が負傷した。
各国の情報機関も予兆をつかめず、治安の脅威になっている。17年に英ロンドンで車を暴走させるなどして警察官らを殺傷した男も、人知れずイスラム過激主義に傾倒していた。
●岸田政権9月内閣改造「入閣待機組22人」が旧統一教会と“濃厚接触”… 7/31
岸田首相は9月前半にも内閣改造を行うそうだが、最大の火種は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との接点だ。安倍元首相の銃撃事件以降、選挙手伝い、パーティー券購入など教団とのズブズブ関係が次々と露呈し、自民党内は“総汚染状態”。判明しているだけで100人近くの自民党議員が関係を持ち、「入閣待機組」も例外ではない。岸田首相が彼らを抜擢すれば“大炎上”は免れない。
岸田政権の現職閣僚にも汚染は及ぶ。安倍の実弟の岸防衛相は29日の会見でも、旧統一教会が霊感商法で社会問題化したことを認識した上で、選挙ボランティアの申し出を受け入れていたと居直り。二之湯国家公安委員長は、教団の関連団体のイベントで実行委員長を務め、末松文科相は宗教法人を所轄する官庁のトップでありながら、教団関係者にパーティー券を購入してもらっていた。先の参院選で引退した二之湯氏の交代は既定路線だったが、岸氏も末松氏も当然、閣内を去るべきだ。
しかし、総汚染状態で代わりになる議員はいるのか。衆院は当選5回以上、参院は当選3回以上で閣僚経験のない議員が「入閣待機組」と呼ばれる。日刊ゲンダイは旧統一教会の取材を続けるジャーナリスト・鈴木エイト氏作成のリストを参考に、教団と接点のある待機組をピックアップした(別表)。
計78人(衆院51人、参院27人)の待機組のうち、衆院は3分の1にあたる17人、参院は5人と計22人が旧統一教会と関係を持っていた。数の上では参院側の方が少ないが、関係性は「特濃」である。
衆参ともに“濃厚接触議員”がゴロゴロ
江島潔議員は2019年10月、旧統一教会の関連団体が名古屋市で開いたイベントに、基調講演を行った細田衆院議長らと参加。壇上で教団の韓鶴子総裁に花束を贈呈したほか、同月に教団関連団体が都内で開いた「平和大使と地方議員の集い」にも出席した。
19年の名古屋のイベントでは北村経夫議員も「日頃よりみなさまには大変お世話になっております」と参加者に頭を下げた。13年に全国比例で初当選した際、旧統一教会の選挙支援を受け、教団の内部文書には、北村氏の当選の可否が「組織の『死活問題』」と記されていた。19年参院選でも教団内部で北村氏を応援するビラが出回っており、そのお礼に頭を下げたのか。
衆院側にも17年5月14日の「母の日」に旧統一教会が都内で開いた「1万人集会」で来賓挨拶を行い、韓総裁を「マザームーン」と称え、カーネーションの花束を贈呈した山本朋広議員など“濃厚接触議員”がゴロゴロいる。
「内閣改造後は安倍元首相の国葬を挟み、すぐ秋の臨時国会が召集されます。野党の追及を避けるため、岸田首相も教団側とつながりの深い議員の初入閣は避けると思いますが……」(自民党関係者)
内閣改造の焦点は、自民党と旧統一教会の関係清算となりそうだ。
●「旧統一教会と政治家のつながりは明らか」紀藤弁護士 海外メディア会見 7/31
安倍元首相の銃撃事件をめぐり、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と国会議員らの関係が取りざたされている。7月29日、霊感商法の被害者支援に取り組む弁護士らが、東京・丸の内にある日本外国特派員協会で海外メディアに向けた記者会見を開いた。会見では、被害者支援に長年携わってきた弁護士らが、安倍元首相をはじめとする政治家と統一教会の関係について言及した。
「旧統一教会と政治家のつながりは明らか」
「親が信者の場合、子どもがどんなに苦しむのか、そのことをぜひ理解してほしい。あの事件は、そのために苦しみ続けた山上徹也が、間違っていますけど、起こした事件だということはご理解いただきたい」(全国霊感商法対策弁護士連絡会 代表世話人・山口広氏)
会見資料によると、山上容疑者の母親が入信したのは1998年、自己破産したとされるのは2002年だ。
この期間は教会が特に苛烈な献金を強いていた時期と重なると、全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、全国弁連)の事務局長で弁護士の川井康雄氏は指摘する。
同資料によると2005年、安倍元首相はUPF(天宙平和連合、旧統一教会のダミー団体とされる)の行事に初めて祝電を送った。その後、2006年にも祝電を送付している。これを受けて全国弁連は安倍氏に公開質問状と抗議文を送ったが、いずれも回答はなかったという。
それ以降も全国弁連は、安倍元首相を含む政治家らに対して、旧統一教会からの支援を受けないよう、また教会や関連団体に対して祝辞を述べたりすることのないよう、繰り返し抗議してきた。
最も最近のものでは、安倍元首相が銃撃される約1年前の9月17日付でも抗議文を送っていた。安倍元首相がUPF主催のイベントに対して、基調講演(ビデオメッセージ)を送ったことに対する抗議だった。
さらに会見では、第1次安倍政権が終わった後の2007年を皮切りに、違法な販売行為を行なっている統一教会関係会社への刑事摘発が相次いだと指摘。一方、2009年に第2次安倍政権が発足して以降に、そうした刑事摘発がなくなったことにも疑問を呈した。
「旧統一教会と政治家のつながりは(年表を見ると)明らかです」(川井氏)
川井氏は、旧統一教会の大きな問題の1つとして「正体を隠しての伝道活動」を挙げる。
これに拍車をかけたのが、2015年8月に文化庁によって承認された「統一教会」から「世界平和統一家庭連合」への名称変更だったとする。
全国弁連は2015年3月に、当時の文部科学大臣(下村博文・現衆議院議員)に対して、変更を受け入れないよう申入書を送っているが、結局、変更は承認された。
川井氏はこの経緯について、2012年の4月頃から下村氏が旧統一教会の関連団体で講演をしたり、関連誌にインタビュー記事が載ったりといった関係性があったことを指摘する。
なお下村氏は、Twitterで旧統一教会の名称変更に関する自身の関与について否定している。
しかし、文化庁文化部宗務課長を務めた際に名称変更を断ったという、元文科次官の前川喜平氏が「何らかの政治的圧力がなければ絶対に起きない」と証言するなど、下村氏の発言について疑問視する向きも強い。
すべての核となる活動で違法行為
1980年代から霊感商法の被害者救済に関わってきた弁護士の山口広氏は、「統一教会は、単なる宗教団体ではない」と語る。
政治や言論、学術界などにも食い込むことで、「イリーガル(違法)なスピリチュアル・セールスなどの被害について、警察や行政が積極的に動かないように、圧力をかけてもらうことが重要なミッションになっている」と、山口氏は言う。
紀藤正樹弁護士は、過去の裁判事例を引きながら「統一教会の核となる、すべての活動について違法行為が最高裁まで確定している」という。
具体的には(霊感商法などによる)違法な献金運動、そして(入信への)勧誘行為、そして合同結婚に対する勧誘行為において被害者らが訴えた裁判だという。
「(これだけ裁判所の判例がありながら)それでもこの団体は不法な行為をやめません。また過去に被害を与えた人たちに対して謝罪やそれを償うということをしていません。(その事実を)今日はぜひ皆さんにご理解いただきたい」(紀藤氏)
山口氏はこう強調した。
「なぜ(被害者救済を)35年もやってきたかというと、被害者の皆さんがあまりにいい人たちだから。家族が不幸にならないように(中略)説得をされて、それを何とかするために献金をしている。そのあまりの悲惨さと、あまりにダーティーであることに、私自身、怒りを常に持ち続けてきた」
●舛添要一さん、旧統一教会に支援を求める嫌韓派政治家の矛盾を指摘 7/31
元東京都都知事、参議院議員で国際政治学者の舛添要一さん(73)が31日にツイッターを更新。連日、多くのメディアで報道されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)とのつながりを持つ政治家について「韓国で発足し、教祖も韓国人である統一教会の選挙応援を平気で受ける『嫌韓派』の右寄りの政治家たち。日本人信者が献金した金は韓国の教団本部に吸い取られている」と、考え方と現実との矛盾を指摘した。
さらに「『嫌韓派』なら、徹底的に韓国を排除すればよいのに、票目当ての付和雷同で、政治理念などどうでもよいということなのだろう」と皮肉を込めた。
●政治と旧統一教会 「ここで止められなかったら、日本は止められない」 7/31
インターネット匿名掲示板「2ちゃんねる」創始者で元管理人の「ひろゆき」こと西村博之氏(45)が31日、TBS系「サンデー・ジャポン」(日曜前9・54)にリモートで生出演。信者の巨額献金や霊感商法による集金が問題視される旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)について私見を語った。
旧統一教会をめぐっては、安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけにクローズアップされ、政治家と旧統一教会の長年にわたる関わりが明るみに出ている。また、旧統一教会の勧誘の中心は大学生ら若年層にシフトしたとされており、最近は「SDGs」をテーマにした講演など一見無縁な会合が、学生信者獲得に利用されているという。
番組ではこの問題を取り上げると、お笑いトリオ、3時のヒロイン・福田麻貴(33)が「反社会的な団体と本当にちゃんとした団体の違いがわからない。どの段階で学生が判断すればいいのか…」と首を傾げた。ひろゆき氏は「まともじゃないところって友達とか親と連絡をさせないようにするんですね。親と連絡をさせないで共同生活をするっていうのが正しいよねって思い込ませる。親と連絡が取れなくなって、どんどんマインドコントロールが止められなくなる」と、親や周りの人と連絡をさせないようにしている団体に気をつけたほうがいいとした。
また、「カルト団体に対しての消費者庁や警察の取り締まり強化」を求める声があると、ひろゆき氏は「もともとそういう動きはあったんですけど。オウム真理教の後は、統一教会だよねって言われていたんですけど。ただ結局、統一教会には捜査は入らなかったんですね」と話し始めた。「なぜ捜査が入らなかったのか」という疑問に対し、ひろゆき氏はジャーナリスト、有田芳生氏(70)から聞いた話として、「政治の力で止められたからできなかったと警察の人が言っていた」と明かした。
連日、自身のツイッターなどで政治と旧統一教会のつながりを批判しているひろゆき氏。「今回は被害が明るみに出ている状態でも止められてない。これだけメディアがやっても、政治家は『縁を切る』とも『潰せ』とも言わない。たぶんもう止まらないと思うんですよね。統一教会のやり口が他のカルト団体にも知れ渡ったし、他のカルト団体も止められない。ここで止められなかったら、日本は止められないんじゃないか」と今が瀬戸際であると訴えかけた。 
●岸防衛大臣「旧統一教会との付き合いもあった」「支援者集めは重要」… 7/31
「統一教会の皆さんは、何人かは存じ上げています。お付き合いもありましたし、選挙の際もお手伝いをしていただいております」(岸信夫防衛大臣)
きのう岸防衛大臣は、選挙の際に旧統一教会のメンバーからボランティアで電話で投票を呼びかける支援を受けたことを明らかにした。「選挙なので支援者を多く集めることは重要」と述べ、「問題はない」との認識を示した。
また、警察庁を所管する二之湯国家公安委員長は2018年、参議院決算委員長当時に旧統一教会の関連団体のイベントで実行委員長を務め、スピーチをしていたと明らかにした。閣僚をはじめとする政治家は、なぜこのように旧統一教会と関係を持つのだろうか。テレビ朝日政治部官邸キャップの山本志門記者は、その理由を次のように語る。
「それは双方にとってウィンウィンの関係だから。自民党関係者によると、旧統一教会側のメリットとしては、例えばさまざまな場でスピーチなどをしてもらうことによって、(信者に)『政治家が来るぐらいの宗教だから大丈夫だ』と(思わせられる)。いわば、“広告塔”のように使う。一方で、自民党議員にとっての最大のメリットは選挙。信者がボランティアで有権者への電話がけ、あるいはチラシ配りなどをしてくれることで『本当に一生懸命やってくれるんだ』と、ありがたがっている関係者は多い」
自民党の茂木幹事長は「組織的な関係がないことをすでに確認している」と述べ、党としての調査に否定的な考えを示した。こうした中、山本記者は「例えば(一般的な)宗教団体から支援を受けて、無償でボランティアとして選挙の手伝いをしてもらうということについては選挙違反ではない。ただ、問題となりそうな宗教団体に支援を受けている政治家が有権者に支持されるのかどうか、国会議員としてそれがあるべき姿なのかは問われてくる」としている。
こうした問題について、ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、臨床心理士・公認心理師で明星大学心理学部准教授の藤井靖氏に話を聞いた。
――自民党の茂木幹事長は「組織的な関係ではない」と話していましたが、藤井先生はどのようにお考えですか?
「僕は会見を見ていて『怖い』と思った。仮に自民党と組織的に関係があって個人のつながりも生まれたのであれば、ある種の『組織の病理』が前提あると考えられる。しかし、それがないと言うものの、これだけ献金を受けている人がいる、イベントに出席した人がいる、コメントを出した人がいるので、繋がりがあることは確か。そうすると、個々のオルグ(勧誘活動)を経て関係ができたということで、関係を持とうとする組織の力は色々な意味で強くて根深いのではないかと感じた」
――政治家は選挙のため、票集めのためという大義名分があると、こうした問題について思考停止に陥ってしまうところがあるのでしょうか?
「政治家の皆さんはとにかく選挙で通ることが目的だから、“自分に対して支持をしてくれる可能性のある人はすべて受け入れる”くらいの気持ちでやっていかないと、なかなか当選に結びつかないという発想があると思う。私たち有権者としては『そこはもう少しちゃんと見てくれよ』という思いはある」「一方で、心理学的に考えると、問題のある宗教や組織、団体に『この人を勧誘しよう』とターゲットにされ狙われた場合、そこから逃れるのは難しいと思う。『自分だけはそんなの引っかからないよ』『ハマる人が悪い』と思ってる人も多いと思うが、環境とコミュニケーションが揃えばほとんどの人が引き込まれてしまうという構造や技があるというのが実際。問題のある組織と関わりがないのは、『たまたま途中で気づけた』あるいは『運がいいだけ』という側面もある」 
●山上容疑者に “お金の差し入れ” 呼びかける人!減刑署名が3000人突破… 7/31
安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者。この山上容疑者の “減刑” を求める署名が、7月31日時点で3000人を突破した。
この活動は、7月15日に署名サイト「Change.org」上で開始されたものだ。検察庁長官宛てに、山上容疑者の減刑を求めるという趣旨。
署名活動を立ち上げたとされる人物は、同サイト上で山上容疑者は《過酷な生育歴》で、《本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事》と主張。
そのうえで、《親の信仰によって、生活も精神も追い詰められる人が非常に多いです。このような状況で物心ついた時から生活していた山上徹也容疑者に、どうか寛大な見解をお願いします》と述べている。
「山上容疑者は幼くして父親を亡くし、母親は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信し、多額の献金で自己破産。山上容疑者は経済的理由で大学進学も断念し、3年間の海上自衛隊勤務を経て、アルバイトや派遣社員を転々としてきました」(社会部記者)
同サイトには署名に賛同する人々のコメントが殺到している。
《彼は犯罪者である以前に犠牲者です。その点、量刑に考慮があって当然です》
《結果は残念だけど親を選べない彼の不遇な生い立ちは本当に気の毒で同時に宗教の恐ろしさを改めて感じました》
《このような犯罪が起こらなくするのが政治であるのに、それをせず自分たちだけ税金を使って贅沢三昧をし、未来ある若者をこのような犯罪に追い詰めた責任が政治家にはあると思う》
《私も母親が信者で、私は別の教団でイジメを受けました。宗教自体なくなってほしいと思います。彼の行動を無駄にしないでください!》
さらには、山上容疑者に現金を差し入れようと呼びかける人物まで登場している。
《山上君が留置場で好きなモノを買えるように、出所した時の生活費の為に、お金の差し入れしませんか? 赤の他人でも現金書留でお金の差し入れは出来ます。千円でも五千円でもいくらでもいい、今までさんざん一人で苦しんで生きてきたんだから、こういう時くらい誰かに優しくされてもいいと思う》
「“擁護派” のなかには、山上容疑者と同じように近しい人が旧統一教会に入信して苦労したという方が多くいるようです。旧統一教会の霊感商法や過剰な献金の問題については、冷静に追及されるべきでしょう。
とはいえ、この署名活動について、ネットでは『山上容疑者より苦労してきた人は山ほどいる』『殺人には変わりないし、減刑したら同じような犯罪が増える』など、冷静な声も多いです。そもそも、求刑すらされていないのに、減刑を求めるのは時期尚早でしょう。
実は、1921年9月に発生した安田善次郎刺殺事件は、犯人が世間で “英雄視” されました。これに刺激を受け、同年11月に原敬首相暗殺事件が起きたと言われています。安易に山上容疑者を持ち上げる風潮は非常に危険です。
なお、山上容疑者宛ての差し入れを警察署に送っても、家族と弁護士以外のものは受け取りを拒否されるそうです。実際に差し入れを送った人が返送されたため、警察署に理由を聞いたところ、『危険物を送ってくる可能性もあるから』と言われたそうです」(同)
山上容疑者の減刑を求める署名活動が、昭恵夫人など遺族を傷つけなければいいが……。 
●岸田首相、旧統一教会との関係「各議員が説明することが大事」 7/31
岸田文雄首相は31日、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と、現職の閣僚や自民党議員との関係が相次いで明らかになっていることについて問われ、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思う」と述べた。
首相公邸で記者団の取材に語った。安倍晋三元首相の銃撃事件後、首相が教団について言及したのは初めて。首相は、「国民の皆さんの関心も高いわけですので、こうした丁寧な説明を行っていくことは大事だ」と述べたものの、今後の対応などについては言及しなかった。
現職閣僚では、萩生田光一経済産業相、末松信介文部科学相、二之湯智・国家公安委員長、岸信夫防衛相が、教団や関連団体と接点があることが明らかになっている。また、朝日新聞の取材に対し、複数の自民党議員が接点を認める一方、明確な説明をしない議員もいる。
野党からは、教団と自民党について「自民は、党で調査すべきだ」(立憲民主党の泉健太代表)と実態解明を求める声が出ているほか、政治・行政への影響を、国会で調査すべきだとの意見も上がっている。 

 

●自民、旧統一教会との関係発覚相次ぐ 世論の批判警戒、野党は追及 8/1
安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件をきっかけに、自民党の現職閣僚や国会議員と「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)との浅からぬ関係が次々と明るみに出てきた。自民党は「党として組織的な関係がないことは確認している」(茂木敏充幹事長)と、世論の批判が同党に向かうことを警戒。立憲民主党など野党は「実態解明が必要だ」として追及する方針だ。
旧統一教会は1968年、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合」を創設。当時から安倍氏の祖父、岸信介元首相ら自民党右派との結び付きが強かったとされる。憲法改正や同性婚反対など保守色の強い主張を掲げており、党幹部は「今もつながりのある人は安倍派に多い」と指摘する。
岸田内閣の閣僚では、安倍氏の実弟の岸信夫防衛相(安倍派)が過去の自身の選挙で旧統一教会のメンバーに手伝ってもらったことがあると公表。同じく安倍派の末松信介文部科学相は、教会の関連団体にパーティー券を購入してもらったと明らかにした。
自民党とのつながりは安倍派に限らない。二之湯智国家公安委員長(茂木派)は2018年に関連団体のイベントで「実行委員長」を務めたと明かし、磯崎仁彦官房副長官(岸田派)も21年に関連団体のイベントに参加していた。
関連団体から選挙で支援を受けた自民党中堅(麻生派)は「真面目に電話かけをやってくれた。選挙の勝利に教会の力は少なからずあった」と振り返る。
野党も全く関係ないとは言えない。立民では中川正春元文科相や篠原孝幹事長代行らが過去に関連団体の会合に祝電を送っていた。日本維新の会は、藤田文武幹事長ら国会議員13人が教会側と接点があったと公表。国民民主党の玉木雄一郎代表も、教会と関係が深いとされる「世界日報」の元社長から16年に計3万円の寄付を受けたことを明かしている。
その一方で、80年代以降、旧統一教会による「霊感商法」や、信者からの多額の献金集めが社会問題化していった。
立民の泉健太代表は7月29日の記者会見で「宗教というよりも霊感商法で数多く問題を起こしている団体で、多くの国民が『おかしいのでは』との声を上げている」と指摘。共産党も「宗教活動の自由という問題ではない」(田村智子政策委員長)との立場だ。
両党は、文化庁が15年に旧統一教会からの名称変更を認めた際、当時の下村博文文科相(安倍派)らの関与がなかったか、臨時国会で追及する構えだ。立民関係者は「今後、統一教会と政治の関係は大きな問題になる」と語った。
●旧統一教会と政治の闇「警察庁出身の政治家の横やりで撃ち方やめ」に 8/1
安倍元首相銃撃事件によって「政治と宗教」が再びクローズアップされている。その中心は、言うまでもなく統一教会(現・世界平和統一家庭連合)だ。全国の約300人の弁護士によって1987年に結成された「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)は、元首相をはじめとする全国会議員に対し、教団と関わりを持たないよう要請してきた。問題のない集団だと「お墨付き」を与えかねないからだ。80〜90年代に霊感商法や合同結婚式などで社会問題化した統一教会は、なぜ野放しにされてきたのか。政治家はなぜいわくつきの教団に肩入れするのか。35年以上にわたり、被害者の救済に奔走してきた弁護士に聞いた。
──霊感商法をめぐっては、教団の組織的関与が認定された民事事件がおよそ30件に上るほか、2007年から10年にかけて警察による摘発も相次ぎました。ジャーナリストの有田芳生前参院議員は「95年秋に警察庁幹部らが〈オウム真理教の次は統一教会を摘発する〉と言っていた」と発言。動きがなかった理由は「政治の力」とも言っています。なぜ教団に大きなメスが入らなかったのでしょうか。
警察の対応が始まったのは05年。09年には刑事裁判で統一教会の組織的犯行が認定された新世事件(特定商取引法違反)に至りました。一連の摘発によって統一教会の動きが少しは収まるかと考え、正直言って喜んでいた。私自身、警察の捜査に協力していたんですが、現場は相当苦労していました。信者の身柄を取っても、彼らは自白しないからです。組織活動の一環であるという実態を隠し、一般的な商売だと供述する。全く口を割らない。現場のフラストレーションがたまる中、新世事件以降の政治の横やりも影響したのか、10年ごろに撃ち方やめとなってしまったんです。警視庁は当初、統一教会の松濤本部までガサ入れする方針だったのに、警察庁出身の自民党有力議員から圧力がかかり、強制捜査は渋谷教会などにとどまった。この話はいろんなところから何回も聞きました。
一連の摘発に「政治家との絆が弱かった」と総括
──教団は正体を隠して霊感商法を続けています。
13件30人余りに上る一連の刑事摘発を受け、統一教会はどう総括したか。「政治家との絆が弱かったから摘発された」「今後は政治家と一生懸命につながっていかなければいけない」だった。表向きは「コンプライアンスの徹底」なんて言っていますが、本音は「もっとうまくやれ」ですよ。
文化庁に繰り返し解散請求を要請
──政治家へのアプローチをさらに強めていくわけですね。全国弁連は宗教法人を所轄する文化庁に対しても、さまざまな要請を行ってきました。
東京地裁の決定によって96年にオウムに解散命令が出されたのを受け、「統一教会にも解散請求をしてください」と何度も申し入れをしました。しかし、文化部宗務課は「組織活動が認められた刑事事件はないから、宗教法人の解散請求まではできない」と。当時、民事訴訟では組織的活動や統一教会の使用者責任が認定されていました。関連する証拠は山ほどある。「いくらでも資料提供しますから、ぜひお願いします」と繰り返し要請しましたが、民事だけではダメだと。ただ、オウムの現状を見れば分かる通り、宗教法人としての統一教会を解散させれば被害がなくなるかと言えば、必ずしもそうではない。宗教団体として活動を続ける余地は残る。霊感商法対策で最も効果を発揮するのは、刑事摘発なんです。統一教会はそれを恐れ、言葉巧みに不特定多数の通行人を呼び止めてビデオセンターに連れて行ったり、高額な商品をいきなり売りつけるようなやり方はできなくなっています。
──それでも、いまだ被害は甚大です。全国弁連のまとめでは、21年だけで相談17件、3.3億円余りの被害が判明。この34年間では相談は約3.4万件、1237億円超の被害が確認されたそうですね。
全国弁連や消費者センターに持ち込まれた相談の集計に過ぎません。氷山の一角です。霊感商法の入り口はいまも3つある。FF伝道、戸別訪問、それに街頭アンケート。FFはファミリー・フレンドの略で、仲間内の誘い込み。戸別訪問は形を変え、無料運勢鑑定なんかをきっかけにしている。かつてのように幅広く網をかけて献金を集める手法はとれなくなっているので、既存の信者を深掘りし、資金源にしています。差し出す財産がなくなれば借金に走らせ、さらには自己破産に追い込み、それでも献金させるのが統一教会のやり口なんです。
──銃撃犯の山上徹也容疑者は動機のひとつとして、教団のフロント団体「天宙平和連合」(UPF)のイベント(21年9月12日開催)に元首相が寄せたビデオメッセージを挙げています。教祖の妻である韓鶴子総裁に元首相が「敬意を表します」などと基調演説する衝撃的な内容でした。
全国弁連は抗議文とともに、メッセージ提供の経緯について説明を求める内容証明郵便を安倍さん宛てに送付しました。しかし、衆院議員会館の安倍事務所は受け取り拒否。地元事務所は受け取ったものの、回答はありません。第2次安倍政権以降、自民党が統一教会との関わりを隠さなくなったことに強い懸念を抱いていました。自民党の変化には2つの理由がある。安倍さん自身が統一教会との親和性に気づき、統一教会とつながりのある議員を積極的に登用するようになったことです。
──教団は関連団体などを通じて憲法改正を求め、同性婚や夫婦別姓に反対すると主張しています。
若手議員は統一教会のイベントに参加したり、祝電を送ったり、それらをホームページなどで発信するようになった。ひと昔前は統一教会の求めには応じるものの、議員たちには問題がある教団だという意識があり、「顔は出すけど、名前は出さないで」と言っていたものです。それがガラッと変わったのは、統一教会と関わりを持てば安倍さんの覚えがめでたくなり、政府の一員になるチャンスになったから。政務官や副大臣、場合によっては大臣に取り立てられることもあった。統一教会が刑事摘発されるケースが少なくなり、マスコミ報道が減り、教団の実態を知らない議員が増えたことも背景にあります。
名称変更に「なぜ!」と抗議、宗務課担当者は「言えません」
──97年以降、教団が求め続けてきた名称変更を文化庁が15年に認証しました。第2次安倍政権下でした。
安倍政権が統一教会に協力的なスタンスであったことは間違いない。私どもは宗務課に「名称変更を認証しないでください」と何度も申し入れましたし、担当者も「そんなことはしませんよ」と応じていた。そうした中での突然の認証でしたから、非常にビックリして「なぜ認証したんですか!」と抗議に行ったんです。すると、担当者は「言えません」と。
──それが精いっぱいの対応?
本当にそうでした。当時の担当大臣は下村文科相。文化庁に具体的な働きかけがあったのか、あるいは忖度したのか。そこは分かりません。一方で、「幸福の科学大学」の新設は14年に不認可とした。そっちができて、こっちはなぜできないのか。そう言いたくはなりますよね。
──文科省の大学設置・学校法人審議会の答申を受ける形ではありましたが、幸福の科学総裁の「霊言」の必修科目教材採用や、認可審査中に下村文科相の「守護霊インタビュー」を出版したことが問題視された。岸田自民党は銃撃事件を「民主主義への挑戦」と強調し、事件の本質から目をそらさせようとしているように見えます。
事件そのものは決して許されるものではありませんが、政治倫理が問われている。そう思います。特定の宗教による長年の苦しみが容疑者を行動に駆り立ててしまったということ。右とか左とか、政治がどうこうというレベルではありません。
──銃撃事件の発生からまもなく1カ月。送検された容疑者への法律面の支援は十分なのでしょうか。
奈良弁護士会の方でいろいろ検討し、動いていると聞いています。私は東京なので勘弁してよ、と言いたいですが、統一教会の実情を理解した弁護人がつく必要はあると思っています。
●統一教会の「名称変更」問題に潜む文科省の「歪んだ行政」 8/1
霊感商法の消費者被害
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と政治の関係が問題視されているが、いわゆる霊感商法に対する規制はどうなっているのか。
政治と宗教の関係は信教の自由(憲法20条)に由来する。政教分離原則とは、信教の自由保障を実質的なものにするために、国及びその機関が宗教に介入し、または関与することを禁止するものである。
一方、宗教団体が政治的活動をすることは憲法上排除されていない。国及びその機関が宗教に介入・関与することがいけないのであって、政治家でも閣僚などの政府の人間であれば注意すべきであるが、一般政治家が宗教と関係を持つことまで禁止していない。というものの、その関係性について懸念を持たれることは、政治家として避けたほうがいいだろう。
かつて、といっても50年以上昔のことだが、旧統一教会は政治団体「国際勝共連合」を設立し、反共産主義団体としても知られていた。その後、1980年代には旧統一教会の霊感商法が社会問題化する。
むしろ問題はこれだ。その点について、立憲民主党は7月22日、消費者部会(部会長・吉田統彦衆院議員)会議を国会内で開催し、紀藤正樹弁護士から、旧統一教会等による霊感商法の消費者被害について話を聞いている。
立憲民主党のホームページには、《日本では規制がなく、誰も咎めないことから放置されてきたことなども問題視しました。》《1999年奈良地裁の判決以後、政治行政がしっかり対応していれば今回の事件をも防ぐことができたのではないか》という記載があったが、本当だろうか。
近年、霊感商法については、様々な前進があった。いわゆる「消費者裁判手続特例法」が2013年に制定され、16年10月から施行された。
消費者が企業(事業者)から何らかの財産的被害を受けた場合、自らその被害回復を図るためには、これまでは自力で事業者を相手に交渉するか、訴訟を提起する必要があった。しかし、消費者契約に関する共通の原因により相当多数の消費者に生じた財産的被害の集団的な回復を図ることを目的として、本法が制定された。いわゆる日本版クラスアクションだ。ここには、霊感商法の被害も含まれる。
あらぬ方向に問題をもっていくマスコミ
さらに、改正消費者契約法が2018年に制定され、19年6月から施行された。その結果、霊感等による知見を用いた告知により締結された消費者契約の取消しをできるようになった。
このような消費者被害の救済について、それまでは公序良俗違反による無効(民法第90条)や不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条)といった一般的な規定に委ねられていたが、これらの規定は要件が抽象的であり、どのような場合に適用されるかが、消費者にとって必ずしも明確ではない部分があった。
消費者契約法改正により、霊感商法は取り消せることになったので、かなりの対応は楽になった。消費者裁判手続特例法も改正消費者契約法もともに第二次安倍政権での各党も賛成、全会一致での成果だ。
実際、被害額も最近ではかなり少なくなってきている。
むしろ問題は今や霊感商法ではなく、宗教団体が受け入れる多額の寄付金ではないだろうか。
もっとも、マスコミはあらぬ方向に問題をもっていっている。
毎日新聞は「旧統一教会の名称変更、異例の大臣事前報告 文化庁、受理の経緯」と報じている。
この記事によれば、手続きを担当した当時の幹部によると、文化庁は最初に名称変更の申し出があった1997年に、霊感商法などへの批判をかわすための申請は認められないと拒否し、その後も同様の対応をとってきたという。
だが2015年に一転して申請を受理し、当時の下村博文・文部科学相にも名称変更を認める前に異例の「報告」をしていたという。元文科事務次官の前川喜平氏を登場させるなど、かつての「加計問題」を彷彿させる。
もっとも、加計問題は本コラムで再三指摘したように、違法行為は何もでなかった。そもそも朝日新聞記事から始まったが、その記事自体が怪しかった。産経新聞の阿比留瑠比記者は、《「国家戦略特区諮問会議決定という形にすれば、総理が議長なので総理からの指示に見えるのではないか」と文書にある部分に影を落とし、見えないようにして総理の意向をでっち上げた記事。この写真は別の日も使った。》という。
不受理をしていた文科省こそ問題
今回の毎日新聞はさすが、突っ込みどころ満載である。まず、名称変更は霊感商法にはさしたる影響はなかった。これは上の被害状況をみればいい。
楊井人文氏は以下のように連続ツイートしている。
《【要検証】この毎日新聞の記事はその多くを前川喜平氏の証言を疑問視することなく依拠しているようですが、法律、事実面から疑問がいくつもあります。
1)前川氏が1997年に名称変更申請を受理しなかったと証言するが、かかる「不受理」は行政手続法7条に抵触しないか》
これに対し、筆者もこうツイートした。
《そのとおり。文科省は平気で不受理を行うがその方が不適切。医学部獣医学部でも学部新設を申請させないとか、憲法違反のようなことを平気で行う役所。前川氏はその権化みたいで法律無視ばかり。そうした人物を使うメディアも問題ですな》
毎日新聞と係争中(高裁では原氏の逆転勝訴)の原英史氏も、
《前川喜平さんの話は、加計問題でもそうだったが、「政治の圧力で行政が歪められた」といいながら、実際は「もともと歪んだ行政をやっていた」だけでないか。
法令を無視して自らの判断で申請を受理しないような裁量行政をやっていたなら、それこそ宗教法人が政治に近づく動機を高めたはず。》とツイートした。
もうおわかりだろう。文科省は届け出を受理しないとか、法令に基づかない措置を平気でやるところだ。これは、前回の本コラムで指摘した、薬学部の新設を認めないという行政スタイルとまったく同じだ。
加計問題のときも、申請を受けつけないという文科省告示がそもそもの問題の発端だった。再三にわたって指摘しているが、これは申請の自由を奪うので、憲法違反とすら言える酷い行政だ。それを元事務次官が平気で話すなど、法治国家としてあるまじきことだ。
原氏が指摘しているように、そのような法令違反をするので、政治の介在を許してしてしまう。文科省が法令に基づかない裁量を持っているから、政治家に頼んでしまうのだ。
「さすが毎日新聞」と書いたのはもちろん皮肉だ。文科省が法律に基づくない措置をやったのに、それを無批判で当たり前のように記事を書いている。とんでもない新聞である。 
●3年前にもツイッター凍結 山上容疑者、教団幹部の殺害示唆 8/1
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)=鑑定留置中=が、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の幹部殺害を示唆する内容をツイッターに投稿し、3年前にアカウントを凍結されていたことが1日、捜査関係者への取材で分かった。銃撃事件の直前まで使用していたアカウントとは別のものという。
山上容疑者は令和元年10月から「silent hill 333」というアカウント名でツイッターに投稿。ツイッター社は、事件後の7月19日にこのアカウントを凍結している。
ツイッター社によると、3年前に凍結したのは、このアカウントと同一人物が開設したとみられる別のアカウント。特定の標的に対し殺害や脅迫の意思を示すことなどを禁じる同社の利用ルールに違反していた。
同社はアカウントの投稿内容は「答えられない」としているが、捜査関係者によると、令和元年以前に旧統一教会幹部らの殺害を示唆する内容があった。一方、当時首相だった安倍氏の殺害を示唆する内容は確認できなかったという。
山上容疑者は事件について、母親が信仰し、多額の献金を繰り返したという旧統一教会への恨みが動機だと供述。当初は家庭連合トップの韓鶴子(ハンハクチャ)総裁の襲撃を画策していたが、安倍氏が昨年9月ごろ、家庭連合の友好団体にビデオメッセージを寄せたことなどをきっかけに、安倍氏に標的を変えたと説明していた。
奈良県警は山上容疑者によるツイッターへの投稿内容をさらに詳しく調べる。
●安倍元首相銃撃事件 山上徹也容疑者の生きづらさ 8/1
安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者のものとみられるツイッターアカウントの投稿を読んだ。約二年九カ月にわたって書かれたツイートからは、生きづらさと鬱屈(うっくつ)を抱えた中年男性が、排外主義的でパターナル(父権的)な思想に傾斜する姿が浮かび上がる。その言葉は、対象に対して常に攻撃的で、冷笑的だ。
山上容疑者は、自らの人生の行き詰まりの根源を、母の「統一教会」への入信に求める。「統一教会」は一九五四年に韓国で創設された新興宗教で、『聖書』を独自に解釈した家族主義的思想を主張する。山上容疑者の「統一教会」批判は、韓国・北朝鮮への悪感情へとつながり、ツイートには両国に対する罵詈(ばり)雑言が並ぶ。この「嫌韓」意識が、彼の右傾化の発端にあったのかもしれない。
しかし、この右派メンタリティーは、重大な矛盾にぶつかる。「統一教会」は「朝鮮民族主義の極右」であり、「日本の不倶戴天(ふぐたいてん)の敵」でありながら、右派的傾向を持つ安倍政権と結びつきを持っている(2019年10月13日ツイート)。「統一教会」では、日本を「エバ国家」と見なし、「アダム国家」である韓国に尽くす義務があるとされる。日本の右派にとって受け入れがたい主張がなされているにもかかわらず、なぜ安倍内閣はつながりを持つのか。
山上容疑者曰(いわ)く、その原因は「金と票、過去の経緯」にある(同)。安倍元首相にとって「統一教会」とのつながりは、思想的な呼応よりも「金と票」が目的であり、背景には冷戦時代の「反共産主義」という利害関係によって結ばれた「過去の経緯」があるというのだ。ここに安倍元首相の政治姿勢に一定の共感を持ちながら、狙撃の対象と定めていく矛盾が生じる。「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」(同)
山上容疑者の右派思想は、リベラルな主張を展開する論客への辛辣(しんらつ)な批判となって表れる。特に顕著なのが、アンチ・フェミニズムというスタンスで、これと女性に対する偏見と優越感が連動する。
山上容疑者がしきりに意識するのが「インセル」という存在である。これは「不本意な禁欲主義者」を意味し、自らの容姿を醜いと感じる男性が、女性からの蔑視によって恋愛関係が生まれないと信じている状態を指す。彼はたびたび「インセル」に言及しつつ、そこから距離をとろうとしながら、ふいに自らを重ね合わせる。
そんな彼が二一年四月二十八日に言及するのが、前日に文春オンラインで公開された杉田俊介の論考「『真の弱者は男性』『女性をあてがえ』…ネットで盛り上がる『弱者男性』論は差別的か?」である。杉田がここで論じるのは、自己の人生に誇りを持つことができず、惨めな思いを抱える男性の救済についてである。
「弱者男性」たちの多くは、異性からの承認から疎外されるが故に、アンチ・フェミニズムへと傾斜し、時に攻撃的になる。実存の「つらさ」が、女性憎悪へと発展し、父権的なイデオロギーと結びつく。そして、「有名人になって一発逆転しなきゃ」と思い、ネット右翼的な過激な言葉に群がる。
杉田は「男の弱さ」を「自分の弱さを認められない弱さ」であると指摘する。そして、「自分の弱さ(無知や無力)を受容し、そんな自分を肯定し、自己尊重していく」道筋を模索する。惨めさを抱えながらも「幸福に正しく――誰かを恨んだり攻撃したりしようとする衝動に打ち克(か)って――生きられるなら、それはそのままに革命的な実践そのものになりうるだろう」。
この杉田の呼びかけに対して、山上容疑者は「だがオレは拒否する」と応答する。誰かを恨まないという姿勢が正しさを帯びるのは、「誰も悪くない場合」であり、自分にとっては「明確な意思(99%悪意と見なしてよい)をもって私を弱者に追いやり、その上前でふんぞり返る奴(やつ)がいる」という。彼の殺意は、杉田の言葉を乗り越えていく。
評者が気になるのは、「だがオレは拒否する」と言ったときの「だが」という一言である。これは逆接の接続詞であり、杉田の主張を受け入れたことを意味する。しかし、彼は強い恨みによってそれを「拒否する」のだ。
山上容疑者の深い部分に届いた言葉があった。批評があった。ここに暴力を超える言葉の力を求めたいが、元首相の狙撃が実行されたのも事実である。論壇がもつ可能性と限界を目前にし、茫然(ぼうぜん)と立ち尽くす自分がいる。
●動機の再検証必要か 古い別アカでも安倍元首相殺害ほのめかしていた 8/1
安倍晋三元首相を自作の銃で殺害した山上徹也容疑者をめぐってとんでもない情報が浮上した。すでに明らかになっている山上容疑者のツイッターアカウントとは別のアカウントが以前に存在し、安倍氏の殺害をほのめかしたことで凍結になっていたというのだ。これが事実なら今まで取り沙汰されてきた動機の再検証が必要になりかねない。
読売新聞電子版で31日に報じられた「山上容疑者、安倍氏が首相在任中から殺意か…殺害示唆する投稿でアカウント凍結」との記事が話題だ。記事によると、山上容疑者は2019年以前にツイッターアカウントを持っており、安倍氏の殺害を示唆する書き込みをしたことで凍結されていたという。
これまで判明している山上容疑者のアカウントは「silent hill 333」で、安倍政権が終わった直後の19年10月から今年6月末まで続いていた。これとは別のアカウントが存在していたことになる。この報道を受けて、問題となっているのが動機だ。事件後に伝えられていた動機は山上容疑者の母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)にのめり込んで、多額の寄付をするなどして家庭が崩壊し、その恨みを旧統一教会と関係のある安倍氏に向けたというものだった。
当初は教団トップの韓鶴子総裁を狙い、19年に来日した際に襲撃を企てたが、実行できなかったとされる。その後は新型コロナ禍で韓総裁の来日も難しくなり、矛先を変えた。とりわけ、安倍氏が昨年秋に旧統一教会の友好団体に送ったビデオメッセージの存在を知ったことが殺害の決め手だったとされている。読売報道の通り、ビデオメッセージ以前にも安倍氏の殺害をほのめかしていたというなら、それは何が理由だったのか。
元刑事で犯罪心理学者の北芝健氏は「事実なら動機は変わってくるかもしれません。山上容疑者は事前に取り調べでこう聞かれたらこう答えるという想定問答を作っていたはずです。調べにペラペラと話しているようですが、想定内のことしか話していないでしょう」と指摘した。もともと伝えられていた動機には旧統一教会への恨みに同情する意見を含め、さまざまな見解があった。ある公安関係者は「動機に政治的な背景があるのか、ないのかというのは事件直後から大きなテーマです。なかなかとっかかりになる話が出てきません」とこぼしていた。
一方で北芝氏は「公安OBたちとも話しましたが、みんな山上容疑者の話していることを信じていない。私もそうです。旧統一教会への恨みは本当でしょうが、そこから安倍氏への殺意にリンクするには別の影響がないと考えにくい」。
以前にもツイッターで安倍氏の殺害をほのめかしていたというのなら、それは何が理由でそう思ったのかを改めて調べてもよさそうだ。少なくともビデオメッセージが決め手という話は修正が求められる。「動機の再検証が必要です」と北芝氏は指摘した。
●自民党が嫌がる旧統一教会との「癒着報道」が終わらないワケ 8/1
連日、ワイドショーを賑わしている政治家と旧統一教会の関係。これでもかというほど、政権与党との関わりがあることが次々に明るみに出ている。
宗教団体の信者というのは熱心に働いてくれるうえに、組織票が欲しい政治家からすると非常にありがたい存在のようだ。
「統一教会側からしても、多くの政治家がバックについているようなもので、これほど心強い味方はいないでしょう。イメージの低下などもあり、団体の名称変更を所轄の文化庁に申請したが、長年認められなかった。ですが、統一教会と関係が深いとされる世界日報から献金を受け、関連団体が発行する月刊誌で表紙に“抜擢”された下村博文氏が文科相だった‘15年に『世界平和統一家庭連合』という名称に変更。下村氏いわく“全く関わっていない”と主張していますが、役人が長年の前例を破って”霊感商法”が取り沙汰されていた宗教団体の名称の変更を許可したという言い分は、にわかには信じ難い」(全国紙記者)
共産党の宮本徹議員が当時の資料を文化庁に開示請求したところ、渡された資料は“規則変更理由”の部分が黒塗りになっていた。“理由”を知りたいのに、それを黒塗りにすることが許されるのであれば、どんなことでも“やりたい放題”になってしまう。
‘21年、衆議院議員会館で開かれた『日本・世界平和議員連合懇談会第一回総会』という会合には梶栗正義氏という旧統一教会関連の政治団体『国際勝共連合』の会長で教団の関連団体のトップも務める人物の姿が。その隣には細田衆院議長らをはじめ20人の議員が笑顔で写真を撮っている。そのほとんどが自民党の議員であるという。
さらに細田氏は‘19年に関連団体のイベントでもスピーチしており「きょうの盛会を、会の内容を安倍総理に早速、ご報告致したいと考えております。韓鶴子総裁の提唱によって実現した、この国際指導者会議の場は、大変意義が深いワケでございます」とはっきりとトップの名前まで口にしている。
これの説明をマスコミに求められると、細田氏は《回答はすべて差し控える》と回答した。
テレビでは連日、統一教会の話題で持ち切りだ。政治家からしたら過去の関連団体のパーティやスピーチなどの映像が掘り起こされることは苦痛でしかないだろう。しかしテレビ局は絶対に統一教会ネタをやめない理由がある。
「とにかく統一教会ネタは視聴率が抜群にいいんです。統一教会ネタが終わるとガクンと数字が下がる。そういう意味でも各局とことんまで統一教会特集をするのでしょうね」(ワイドショー関係者)
見方を変えれば、統一教会と政治家だけでなくテレビ局までが、持ちつ持たれつの“ウィン・ウィン”の関係ということかもしれない…。
●「ザ・ワシントン・タイムズ紙、UPI通信」など旧統一教会の巨大メディア… 8/1
安倍元首相襲撃事件以来、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の活動をめぐる論議が盛んだが、この団体が巨大なメディア組織を世界に展開していることはどう理解すべきなのだろうか。
そのメディア組織の旗艦的な存在なのが、米国ワシントンの日刊紙「ザ・ワシントン・タイムズ」だ。同紙の会社案内のページによれば、同紙は1982年に旧統一教会教祖の文鮮明氏によって創刊された。
ワシントンにはウォーターゲート事件をめぐってニクソン大統領を辞任に追い込んだことで知られるリベラル色の強い「ザ・ワシントン・ポスト」紙があるが、「ザ・ワシントン・タイムズ」紙は逆に保守色を色濃く打ち出している。
その目的について文鮮明教祖は後に「ザ・ワシントン・タイムズは米国人に神を知らしめる責任がある」と述べ、さらに「ザ・ワシントン・ポストは世界に神の真理を広める手段になる」と言っている。(ニューヨーク・タイムズ紙電子版2002年5月23日記事「ワシントン・タイムズ紙創立20年の文鮮明の演説は古い幽霊を呼び起こした」より)
ザ・ワシントン・タイムズ紙が宗教報道をしているとは思わないが、その編集方針の基本に文鮮明教祖の思想が反映されていることは間違いないだろう。
このザ・ワシントン・タイムズ紙から世界に情報を流しているのがUPI通信だ。
同通信はAP通信と世界を二分する有力な通信社だったが1991年倒産。当時の統一教会が出資するニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社に買収された。その活動は縮小されたとは言え、ワシントン・タイムズ紙の情報をはじめ自主取材のニュースを引き続きインターネット配信で世界に流している。
その情報を消費者に伝えているのが同じニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社傘下の世界のメディアだ。
米国のジャーナリズムの動向を伝えるコロンビア大学ジャーナリズム大学院が年2回発行している「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー」は次のように記している。
「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社 3600 ニューヨーク・アベニュー、NEワシントンDC 20002 電話 202-636-4841 ファックス 202-526-6820 ニューズ・ワールド・コミュニケーションズは文鮮明教祖の統一教会のメディア部門である。その傘下の組織として、新聞と雑誌部門ではゴルフスタイル・マガジン、ミドルイースタン・タイムズ(エジプト)、セゲイルボ(韓国)、世界日報 (日本)、ティエンポス・デルムンド(オンラインのスペイン語新聞)、ザ・ワールド・アンドアイ(月刊誌)。通信社、UPI」
つまり、世界平和統一家庭連合ー旧統一教会は米国ワシントンのザ・ワシントン・タイムズ紙を軸に、UPI通信を通じてアジアから中東、南米など世界に情報を発信する仕組みを保有しているのだ。それによって神の真理を世界に広めるという文鮮明教祖の考えを実現しようというのだろう。
宗教団体がその教義を広めるために設立、運営しているマスコミは、カトリック教会が運営するバチカンテレビジョンセンターをはじめ世界に数多い。「信教の自由」や「報道の自由」は民主主義の大原則であり、その二つの大原則に沿ったマスコミを否定することはできない。
しかし、巨大なメディア組織が特定のものの考え方を多くの人に刷り込むようなことになるのだったら対応を考えなければならないだろう。
それは、メディアを規制することではなく、読者や視聴者のメディア・リテラシー(ニュースを主体的に読み解く能力)の向上に他ならない。
そのためにもと考えて、この一文を手がけた次第だ。
●「旧統一教会に毅然とした対応を」 共産党県議団が申し入れ 8/1
日本共産党島根県議団は、1日、島根県の丸山達也知事に対し、世界平和統一家庭連合・旧統一教会と、その関連団体と一切の関係を持たないよう、申し入れを行いました。
申し入れを行ったのは日本共産党島根県議団の4人で、旧統一教会と政治、行政の関係について心配の声が広がるなか、行政として毅然とした対応を求めるとともに、教会や関連団体との関係を調査し、明らかにするよう申し入れました。
これに対し島根県政策企画局の高宮正明次長は、「行政として信頼を損なうことのないよう、毅然とした対応を行う」また、過去の県との関係については「調査手法を検討したい」と、回答しました。
●共産 志位委員長“自民は旧統一教会との関係 調査し明らかに”  8/1
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会と自民党議員との関係をめぐり、共産党の志位委員長は「癒着のままでいいのか明らかにしていく責任がある」と述べ、自民党として事実関係を調査し、何が問題だったのかを国民に明らかにすべきだという考えを示しました。
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会と自民党議員との関係について、岸田総理大臣は7月31日に「政治、社会的に問題になっている団体との関係については、国民の関心も高く、丁寧な説明を行っていくことは大事だ」と述べました。
これについて、共産党の志位委員長は記者団に対し「個々の政治家が明らかにすべきだということで、党や政府としての責任に一切ふたをしようとしている」と批判しました。
そのうえで「反社会的カルト集団との癒着のままでいいのかということを、真剣にみずから明らかにしていく責任がある」と述べ、自民党として事実関係を調査し、何が問題だったのかを国民に明らかにすべきだという考えを示しました。
また、志位委員長は、自民党の福田総務会長が「何が問題なのかわからない」などと述べたことについて「言語道断と言うしかない態度だ。『何が悪いのか』と、もう開き直りだ」と述べました。
●自民党最大派閥「安倍派」総崩れ…旧統一教会との“親密な関係” 8/1
自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会=清和会)が大揺れだ。安倍派と旧統一教会との癒着に国民からの厳しい視線が注がれ、総崩れになりつつある。
安倍氏の死去でパンドラの箱が開いたかのように、自民党議員と旧統一教会との親密な関係が白日の下にさらされ始めた。とりわけ関係が深いのが安倍派のメンメンで、実弟の岸防衛相は、旧統一教会が問題ある団体と知りながら付き合ってきたと白状。末松文科相はパーティー券を買ってもらっていたことを明かした。細田衆院議長や稲田元防衛相は教団の関連イベントで講演していたことが報じられ、下村元文科相は教会の名称変更に関与したことが疑われている。
この状況に安倍派は危機感を募らせ、同時に政権中枢に対する不満の声も上がっている。
「岸信介元首相に連なる清和会が、歴史的に統一教会と縁があるのは確かです。しかし、我が派の議員が次々とやり玉に挙がり、統一教会系のイベントで講演した映像などが連日テレビで流されると、安倍政権と統一教会が一体化していたような印象になりダメージが大きい。岸田首相の宏池会など他派閥にも統一教会系のイベントに参加していた議員はいるのに、まるで清和会が狙い撃ちされているように感じます。官邸や執行部が他人事のように素知らぬ顔をしていることも解せません」(安倍派議員)
茂木幹事長が「自民党としては一切関係ない」と切り捨てたり、安倍派の福田総務会長が「個人として抜き差しならない関係になった結果、政治活動に影響を与えているのであれば問題だ」と断じたのも、旧統一教会と手を切れないのは、安倍氏に近い個別議員の問題だと突き放しているようにも見える。
「岸田総理はじめ政権中枢には統一教会と縁が薄い人が多い。それで“我関せず”と静観を決め込んでいた面もあるのでしょうが、この問題が内閣支持率に響いてきたら、何らかの対応を取らざるを得ない。9月の内閣改造で、統一教会と関係が深い議員は干されるのではないか。それは岸田政権の後ろ盾である麻生副総裁も容認すると思う。麻生さんは敬虔なクリスチャンなので、統一教会のことは邪教だと思っているのです」(自民党関係者)
7月31日に発表された共同通信の世論調査で、岸田内閣の支持率は前回調査から12.2ポイントも急落して51.0%と政権発足以来最低を記録。旧統一教会と政界の関わりについて実態解明の「必要がある」の回答も80.6%に達し、この問題が支持率に影響を与えている可能性がある。
岸田首相初言及
慌てた岸田首相は昨夕、急きょ公邸でぶら下がりに応じ、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことが大事だ」と話した。公の場で岸田氏が旧統一教会の問題に言及したのは初めてだ。
こうなると、自民党内では今後、旧統一教会シンパかどうかで処遇が決まる可能性がある。安倍派内でも教団との関わり方は濃淡があり、無関係をアピールするために派閥を抜ける議員が出てきてもおかしくない。
イメージは悪化の一途で、大所帯をまとめる力のある議員もいない安倍派は草刈り場となり、馬糞の川流れの運命か。
●木原副長官、旧統一教会問題の政府見解問われ「コメントは控える」 8/1
木原誠二官房副長官は1日の記者会見で、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と、現職の閣僚や自民党議員との関係が相次いで明らかになっていることの政府見解を問われ、「各閣僚や国会議員の政治活動に関することであり、政府としてはコメントは差し控える」と述べるにとどめた。
木原氏は「一般論」として「個々の政治家が自らの政治活動において責任をもって行動するということは大切なことだ」と説明。その上で、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明を行っていくことが大事だ」と語った。
現職閣僚ではこれまでに、萩生田光一経済産業相、末松信介文部科学相、二之湯智・国家公安委員長、岸信夫防衛相が、教団や関連団体と接点があることが明らかになっている。また自民党の福田達夫総務会長は教団について「正直言う。何が問題かよく分からない」と記者会見で発言。その後、「党としての問題ではなく、個人として政治活動に非常に大きい影響を与えているのであれば、それは問題だ」と釈明するコメントを出した。
●旧統一教会関連団体のイベントに関係し…村椿魚津市長「不勉強」 8/1
魚津市の村椿晃市長は1日、去年公務として出席したイベントが世界平和統一家庭連合、旧統一教会の関連団体のものだったことについて、「不勉強で知らなかった」と述べました。
村椿市長は、過去に旧統一教会の関連団体による県内を自転車で周り世界平和を訴えるというイベント「ピースロード」で、参加者が魚津市内を訪れた際、参加者を迎え激励したが、運営には一切関わっていないと主張しました。
また、当初は今年も行われる予定だったこのイベントで、村椿市長は依頼を受け実行委員長に就任していましたが、今年のイベントは中止となっています。
一方、射水市の夏野元志市長も1日の定例会見で、旧統一教会の関連団体が開いたイベントの横断幕にメッセージを書いていたことを明らかにしていて、夏野市長は旧統一協会との関連は「知らなかった」と説明しています。
●三浦瑠麗「たいものれい」言い間違いで政治家の漢字力に再注目… 8/1
7月31日、国際政治学者の三浦瑠麗氏が『ワイドナショー』(フジテレビ系)に出演。賛否両論ある安倍晋三元首相の国葬について持論を語った。
「反対意見が出ることは健全というか。反対意見が出ない総理大臣なんかいないですよ。それこそ(戦後の首相で唯一国葬がおこなわれた)吉田茂がどれだけ憎まれていたかを考えたときにね。日本で私が憂慮するのは、天皇陛下の国葬は当然だと、これは大喪の礼だと。権威は認めるけど、民主主義で選んだ総理大臣に対して毀誉褒貶あろう、だけども政治(家)はダメっていうのは、民主的にはおかしいと思っているんです」
さらに、「全然違うんですよ、海外からの評価。暗殺されたのも大きいし。だから岸田政権の説明は理にかなっていると思います。国葬っていうのは政治なんです。私は政治マターだと思うんです。当然、内閣総理大臣が決めるんですよ。閣議で決めるんです」と述べたのだ。
この発言に、SNSでは《天皇の葬儀と一緒にするな》とのツッコミがあったが、なによりも三浦氏が「大喪の礼」を「たいものれい」とハッキリ発言したことが話題となった。正しい読みは「たいそうのれい」だ。
「1980年生まれの三浦氏は、1989年2月24日におこなわれた昭和天皇の大喪の礼を知っているはずです。164カ国、28の国際機関から弔問団が来日し、当時の竹下登首相は39カ国の元首、首脳および国連事務総長と会談しました。
言い間違いは誰にでもあります。ただ、仮に『たいものれい』と間違えて覚えたとしても、その後、勘違いだったと気づく機会はあったと思うのですが……」(政治部記者)
国際政治学者のありえない「言い間違い」に、一時Twitterで「大喪の礼」がトレンド入り。
《「大喪の礼」を「たいものれい」は、さすがにヤバくないか…マジなのか》
《たいものれい。言い間違いは誰にでもあるが、本を読む人ならなかなか間違えないと思うんだが》
さらに、三浦氏の言い間違いから、SNSでは政治家の過去の「言い間違い」にまで話が広がった。
《三浦瑠麗さん「大喪の礼(たいそうのれい)」を「たいものれい」って言っちゃったんだ。さすが「訂正云々(ていせいうんぬん)」を「ていせいでんでん」と公の場で言ってしまった安倍さんのお気に入りだっただけのことはあるな》
《「たいものれい」は、「みぞゆう」に匹敵するね》
安倍晋三元首相の「ていせいでんでん」は、2017年1月24日の参院本会議での発言だ。
当時、民進党の代表だった蓮舫氏が代表質問で、「我々がずっと批判に明け暮れているという言い方は訂正をしてください」と述べたことに対して、当時首相だった安倍氏は、「これはあくまで一般論であって、民進党のみなさんだとは一言も申し上げていないわけであります。 自らに思い当たる節がなければ、これはただ聞いていただければいいのだろう、このように思うわけであります」と反論したうえで、「訂正『でんでん』というご指摘はまったく当たりません」と力を込めたのだ。
答弁書の「云云」(うんぬん)を「伝伝」(でんでん)と読み間違えた可能性が指摘され、このときも「訂正でんでん」がTwitterで一時トレンド入りした。
2009年には、当時首相だった麻生太郎氏が、踏襲(とうしゅう)を「ふしゅう」、未曾有(みぞう)を「みぞうゆう」、頻繁(ひんぱん)を「はんざつ」などと発言し話題に。
また、2010年9月には当時首相だった菅直人氏が、国連の日本語演説で「疾病(しっぺい)」を「しつびょう」と言い間違えたこともある。
さらに、コロナ禍の2021年には、加藤勝信官房長官(当時)が寄席(よせ)を「ヨセキ」と言ったことも。
麻生元首相の言い間違い以降、答弁書には読み仮名のルビが多く書き込まれるようになったという。三浦氏の「たいものれい」から思わず注目を集めたが、大事な場での「言い間違い」には気を付けたいものだ。

 

●山上容疑者 減刑署名が4000人超え、中国ではフィギュア化… 8/2
安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件が発生して、間もなく1カ月が経とうとしている。捜査が進められるなか、山上徹也容疑者(41)の“減刑”を求める署名が7月15日にネット上で始動。8月1日時点で4000人を突破し、その動向に注目が集まっている。
この署名活動は、署名サイト「Change.org」上で検察長官宛に開始されたもの。同サイトでは山上容疑者の減刑を求める理由として、《過酷な生育歴》《本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事》を挙げている。
「山上容疑者は幼少期に父親を亡くしています。母親は’90年代に旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信し、多額の献金をした末に’02年に自己破産。山上容疑者は奈良県有数の進学校に通っていましたが、家庭の経済破綻によって大学進学を断念しました。高校卒業後は海上自衛隊に入隊しましたが、わずか3年で退職。それ以降は、派遣社員やアルバイトとして職を転々としてきたそうです」(全国紙記者)
同サイトには、こうした生い立ちの山上容疑者を同情する声が寄せられている。
《彼には恨みだけの人生を歩んで欲しくない》
《山上徹也の人生は、かわいそうだったと思う。人生やり直して欲しいと思う。もう一度チャンスをあげたい》
山上容疑者を擁護する動きは署名活動だけにとどまらず、他方面でも“持ち上げる”風潮が生まれているという。
「ネット上では一部の人たちの間で、山上容疑者の容姿を“塩顔イケメン”と褒めそやす声も上がっているのです。そして、山上容疑者の生い立ちに思いを馳せ、“家庭環境に問題がなければ今ごろ幸せな生活を送ることができたのかも”と哀れんでしまうそうです」(ITジャーナリスト)
さらに国を越えた中国では、山上容疑者が“フィギュア化”されたというのだ。
「犯行当時の山上容疑者を模したもので、半袖シャツに肩からカバンを斜めにかけ、手製銃を持つ姿が再現されました。事件直後に中国のネット上で販売されたそうですが、中国だけでなく日本からも“不謹慎”と炎上する事態に。制作会社はフィギュアを販売中止し、《国際的な問題になってしまい、悪影響を与えたこと深くお詫びを申し上げます》と謝罪文を発表しました。中国ではフィギュア化だけにとどまらず、犯行当時の山上容疑者のコスプレをする人まで出現したそうです」(前出・ITジャーナリスト)
山上容疑者の刑事責任能力を調べるための鑑定留置は、7月25日に始まったばかり。報道によると鑑定は11月29日まで続き、奈良地検は鑑定結果を踏まえて起訴するかどうかを判断するという。
「山上容疑者を擁護する人たちのなかには、彼と同じように“近親者が宗教に傾倒したことで苦労した”という声が散見されます。他にも、“山上容疑者が事件を起こしたことで政治家と旧統一教会の癒着が露見した”と肯定する意見もあります。
しかし、山上容疑者が安倍元首相を殺害したことは事実ですし、許されることではありません。奈良地検は慎重に刑事手続きを進めています。ましてや求刑すらされていない段階で、“減刑”を求めるのは性急と言えるでしょう。また、政治家と旧統一教会の問題も、冷静に追及されるべきだと思います」(前出・全国紙記者)
山上容疑者を“持ち上げる”風潮に、ネット上では「待った」と制止する声が上がっている。
《事件の背景には同情する面もあります けど、求刑すらされていない段階での減刑の署名って…。確かに容疑者は被害者だった人物かも知れないけど殺人という事実の刑罰は本人がどう受け取るかであって今、擁護するべきではないと思う》
《「テロ」実行犯を英雄視するのは同意できないな。たとえ“宗教二世”で恵まれない境遇だとしても、罪は罪。模倣犯を出さないためにも情緒に流されてはダメ》
●旧統一教会と「関係ない」 茂木自民幹事長 8/2
自民党の茂木敏充幹事長は2日の記者会見で、同党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係について「これまで一切の関係を持っていないと確認できた」と明らかにした。「一部で党として組織的な応援を受けているとの発言があるようだが、そのような事実は全くない」と語った。
党の関係部局に、党として旧統一教会に連絡したことがあるか▽党の会合に招待したことがあるか▽党の友好団体などのリストに記載があるか―などを確認させたところ、「そのようなものはない」との回答だったという。
●旧統一教会との癒着問題でも飛び出した…「丁寧に説明」という自民党 8/2
これまで何回、国民がはぐらかされきた言葉だろうか。
安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を機に、自民党国会議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が取り沙汰されている問題で、岸田文雄首相の口から飛び出した「丁寧な説明を行っていくことは大事」というセリフのことだ。
自民党最大派閥「安倍派」総崩れ…旧統一教会との“親密な関係”次々さらされ集中砲火
モリカケ・桜、日本学術会議会員の任命拒否、統計不正……。安倍元首相や菅義偉前首相などが不祥事を野党議員に追及される度、国会答弁などで多用されてきた「丁寧に説明」という言葉。統計不正をめぐる問題でも、2019年3月の参院予算委で、立憲民主党の蓮舫議員と安倍首相(当時)がこんなやり取りをしていた。
蓮舫議員「総理はよく、丁寧に説明をする、もう何度も聞いているんですが、総理の言う丁寧に説明するとはどういうことですか」
安倍首相「国民の皆様から統計に対するこの不信の目が向けられているわけでございますので、こうした国民の皆様の信頼を取り戻す上において丁寧な説明をしなければならないと、こう考えております」
「丁寧に説明とはどういうことか」と問われたのに対し、「丁寧な説明をしなければならない」と答える……。ヘタな漫才よりタチが悪いだろう。
「丁寧に説明」は議論を断ち切り、相手を思考停止させるため
「丁寧に説明する」とは、本来の意味通りであれば、「相手が理解しやすいよう内容を細かく、その場で質問も受けながら説明する」こと。ところが、第二次安倍政権以降の総理、閣僚は「丁寧に説明する」と丁寧に繰り返すばかり。何も説明する気がないのは明らかで、議論を断ち切り、相手を思考停止させるための“マジックワード”として多用してきた。それがまた、今回の旧統一教会の問題でも出てきたのだから、国民はウンザリだ。
福田赳夫元首相の秘書で、自民党本部情報局国際部主事を務めた経験を持つ中原義正氏がこう言う。
「岸田首相は党総裁として、所属議員と統一教会の癒着の実態をきちんと調査し、公表するのが当たり前。丁寧に説明も何もない。深い関係にある議員は党員資格停止や除名するのが筋だ。適当にお茶を濁し、時間稼ぎしているのだろうが、これでは安倍政権と何ら変わらないではないか」
岸田政権が「アベ政治」の負の遺産を継承してどうするのか。
●宮根誠司「旧統一教会との決別宣言を出すべき」岸田総理への苦言に称賛… 8/2
安倍晋三元首相(享年67)が銃撃により命を落としてから、まもなく1カ月が過ぎようとしている。犯人の山上徹也容疑者は母親が旧統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)へ多額の献金を行い破産したことで教団に恨みを抱くように。そして、教団と繋がりがあると思った安倍元首相への銃撃を計画したと供述していることが明らかになっている。
かねて霊感商法や多額の献金が問題視されてきた旧統一教会。閣僚や自民党議員などと統一教会の繋がりを疑問視する声が高まっている。
「安倍元首相は旧統一教会系の月刊誌『世界思想』の表紙を何度も飾っています。ほかにも自民党の細田博之衆院議長(78)は教団の友好団体のイベントに登壇し、末松信介文部科学大臣(66)は関連団体にパーティ券を購入してもらったと明かしています。
また岸信夫防衛大臣(63)は7月26日の会見で『旧統一教会のメンバーとは付き合いもあり、選挙の際もお手伝いをいただいている』と述べました。いっぽう別の日に記者から『社会的に問題がある宗教団体だという認識は?』と問われると、『そういうことが言われている団体であるということは認識をしておりました』と述べました」(全国紙記者)
岸田文雄首相(65)は7月31日、初めて“政治家と旧統一教会の関係”について会見でコメント。しかし、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思う」と言うに留まるも、SNS上では“他人事”といった批判の声も少なくなかった。
そんななか、舌鋒鋭く統一教会の問題に切り込んでいる人物が。フリーアナウンサーの宮根誠司(59)だ。宮根は連日、自身が司会を務める番組『ミヤネ屋』(日本テレビ系)で厳しく旧統一教会と政治家の問題を追及している。
7月29日放送回では、自民党・福田達夫総務会長(55)は“政治家と旧統一教会の関係”がメディアを通して波紋を呼んでいることに対して「正直、何が問題なのかよくわからない」と会見で述べたことを取り上げた『ミヤネ屋』。すると、宮根は「ちょっとビックリしましたね」と呆れた様子で、「ピントがずれてるとしか思えない」と非難。
また8月1日には前述した岸田首相のコメントを取り上げ、こう苦言を呈したのだ。
「リーダーシップを発揮して、旧統一教会との決別宣言だったり、被害者救済宣言、それくらい強いメッセージ性を出さなきゃいけないと思うんですよ」
さらに岸防衛大臣の「社会的に問題ある宗教団体だと認識していた」という発言に対しても、「芸能人が社会的によくない人と写真を撮ったら、記者会見をさせられるんです。悪い人だって認識がなくても」「政治家の人はよくって、芸能人はダメなのかなって純粋に我々は比べてしまいます」と疑問視していた。
岸田首相を筆頭に、政治家の不誠実な態度に厳しく切り込む宮根。ネットでは、彼の言動を讃える声がこう上がっている。
《統一教会の問題をやるときの宮根さんって何か頼もしい。コメンテーターが違う方向に誘導しようとするとちゃんと戻す。今日だけじゃなくてここのところずっとやってるから今回は本気でやってる》
《統一教会に関して、最近ミヤネ屋の評判がいいなと感じていたけど、見てみて「確かに」と思った》
《ミヤネ屋今日もがんがん攻めている》
《最近の宮根さんかっこよすぎ》
また『ミヤネ屋』は全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹氏(61)やジャーナリストの有田芳生氏(70)といった専門家を番組に呼び、この問題に多大な時間を割いて報道し続けている。そのためTwitterでハッシュタグ「ミヤネ屋頑張れ」を使い、番組へのエールを送る人も多くいるようだ。
●岸防衛相 旧統一教会とのこれまでの関係を見直す考え示す  8/2
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の関係者に選挙活動を手伝ってもらったことを明らかにしている岸防衛大臣は、旧統一教会の社会的問題が指摘されていることを踏まえ、これまでの関係を見直す考えを示しました。
安倍元総理大臣の弟の岸防衛大臣は、旧統一教会の関係者にボランティアで選挙活動を手伝ってもらったことがあると明らかにしています。
岸大臣は記者会見で、旧統一教会から組織として支援を受けたことはないとしたうえで「選挙区で長年のおつきあいをする中で、そういったバックグラウンドを持つ人がいて、応援をいただいているのも事実だ」と述べました。
そのうえで「さまざまな社会的問題が浮上している状況で、これまでの関係をしっかり見直していかなければならない」と述べました。
●旧統一教会 名称変更の経緯解明を  8/2
世界基督教統一神霊協会(旧統一教会)から世界平和統一家庭連合への名称変更を、文化庁がなぜ認めたのか。霊感商法など教団の被害者救済に取り組む弁護士らは名称変更が被害を深刻化させる転機になったと指摘している。
安倍晋三元首相銃撃事件後、自民党を中心に政界と教団との不透明な関係も明るみに出た。岸田文雄首相は指導力を発揮し、真相解明の先頭に立つべきだ。
教団は数多くの関連団体を駆使して、教団の名を隠す形で勢力を伸ばしてきたが、一九八〇年代に表面化した霊感商法による被害などで悪評が広がり、教団は九七年に文部省(現文部科学省)の外局の文化庁に名称変更を相談した。
同庁は、名称変更が隠れみのになって被害が広がることを懸念して変更を拒否し、その後も教団からの申請を拒み続けた。
名称変更が一転認められたのが安倍政権下の二〇一五年。当時、文科相だった下村博文衆院議員は名称変更への関与を否定しているが、担当職員が事前に報告したことが分かっている。大臣への事前報告は異例だという。
下村氏が代表を務める自民党選挙区支部に、教団の関連団体が寄付していたことも判明しており、教団の名称変更に政治家の特別の計らいがなかったのか否か、徹底究明する必要がある。
文化庁は共産党の宮本徹衆院議員の求めで、名称変更の決裁文書を開示したが、教団からの申請書や決裁書の名称変更理由に関する部分は黒く塗られていた。
同庁は不開示理由を、情報公開法五条の「(当該法人などの)権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれ」に該当し、他の宗教法人についても同様の対応をしていると説明する。あまりにもしゃくし定規な判断だ。
名称変更の不透明な経緯や社会的な関心の高さを考えれば、この文書は同法七条に定められた行政機関の長が開示を決定できる「公益上特に必要がある」場合に該当するはずだ。文書の速やかな全面開示を求める。
首相は七月三十一日になって初めて、政治家と旧統一教会との関係について「丁寧に説明することは大事だ」と言及したが、人ごとのような言いぶりだ。旧統一教会が自民党内にどこまで影響力を及ぼしているのか、その解明は党総裁たる首相の義務である。
●野田担当相、旧統一教会関連団体の会議に祝電 「見過ごした」 8/2
野田聖子子ども政策担当相は2日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が共催した会議に祝電を送ったり、野田氏の代理として秘書が出席したりしたことがあると明かした。
野田氏は旧統一教会をめぐり、「考え方が違うので支援ではなく批判をいただく立場だった。距離を置いてきたが、(会議は)共催という形だったので見過ごしてしまった」と説明した。そのうえで「今後そういうことがないよう、気を引き締めて留意していきたい」と語った。
政治と宗教との関係については、「利用したり、何かを取り計ったりしないのが私にとっての一線だ」と述べた。
●統一教会に5億4700万円奪われた女性の人生 8/2
安倍晋三元首相の銃殺事件の影響で、久しぶりにニュース番組の主役に躍り出た統一教会(現:世界平和統一家庭連合)。報道を受けて、教団側は記者会見を開き、声明を発表している。その中で彼らが強調しているのが「2009年のコンプライアンス宣言」の存在だ。
たしかに献金をめぐるトラブルが多発していた時期はあった、しかしコンプライアンス宣言以降、そうしたトラブルは「ごくわずか」だ、というのが彼らの主張である。
その主張自体がどこまで本当なのかはさておき、こうした宣言をせざるを得なくなったのは、霊感商法が社会問題化し、さらに民事訴訟で教団側に賠償が命じられる判決が下されたことが背景にある。
2008年2月には、都内在住の70歳になる女性Bさんが統一教会と信者に計5億4700万円の損害賠償を求めた訴訟において、最高裁がBさんの上告を退けるという決定を下した。このように書くと、統一教会が勝利したように思われるかもしれないが、実は東京高裁において、Bさんの請求額のうち2億7620万円は「違法な献金集めの結果被った損害」だと認められている。最高裁もその判決をそのまま追認したのである。
この決定は当時、「統一教会に2億8000万円の賠償命令確定 個人で過去最高」と新聞等でも報じられた。
被害者からすれば半分しか取り戻せなかったわけだが、それでもその違法性が認められた意義は大きかったといえるだろう。
ここでご紹介するのは、Bさんがどのように教団に誘われ、億単位の金を献金するに至ったかの詳細な記録だ。2007年、宗教学者の櫻井義秀氏はBさんの弁護団の求めに応じて意見書を東京高裁に提出した。これ以上被害者を出さないために、という考えがあったからだ。
それにしても、一体どういう理屈をつければ億単位の金を求めることができるのか。そこには「縄文時代」にまで遡って怨みを解かねばならない、といった無茶苦茶な教えがあったのだ。しかも韓国人の献金額と日本人とには大きな差もつけられていた。
以下、櫻井氏の著書『霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造―』からBさんがどのようにして統一教会と出会い、大金をだまし取られていったかを見てみよう(引用はすべて同書第2章「統一教会と霊感商法」より)。
統一教会との出会い
Bさんは1938年関東地方に生まれ、1961年に東京近郊の農家に嫁ぎ、3人の子供に恵まれた。しゅうとめは1969年、しゅうとは1975年に、それぞれ50代、60代で亡くなる。夫は42歳の時に脳溢血で半身不随となり、1990年に51歳でがんを患い亡くなった。
都市近郊農村では、市街地が拡大するなかで農地が宅地や商業地に造成された。Bさんの家でも先代の時に農地の一部が都に買い上げられ、夫は数億円の遺産を相続したが、Bさんは夫の死後も農業と子育てに多忙な毎日だった。
Bさんが見知らぬ若い女性(統一教会員)の訪問を受けたのは、1991年であった。たまたま家にいた彼女は、「手相や姓名判断に興味はないか」という話を訝(いぶか)しく思いながらも、畑仕事をするにはあいにくの天気だったので、2時間ほどの間運勢をみてもらい、問われるままにふだん気にしていたこの家の人たちがどんどん若くして亡くなっていることなどを話した。そうするとこの女性から手相・姓名判断を勉強するところで先生にみてもらうことを強く勧められ、駅前のマンションの一室に連れて行かれた。
「預金はいくらあるのか」
そこでビデオ(家系や先祖の因縁の話)を視聴した後に、先生と呼ばれる女性から、「B家の家系は衰退しつつある。長男に男の子が生まれたのは奇跡に近い」と言われ、さらにB家が3代の間に寿命をほぼ10年ずつ縮めていることなども指摘された。先生がここに通って勉強するよう勧めるので、Bさんは自分を連れてきた女性に「ここは宗教ではないか」と確認した。しかし、違うということだったので不安ではあったが、家系の因縁も気になるので少しだけ通ってみることにした。
1カ月後、先生は「財には因縁が付いているから聖塩で清めなければならない、預金はいくらあるか」と尋ねた。1千万円くらいはあると答えたところ、別の勉強する場所を紹介された。そこの鑑定士の先生いわく、「家系衰退の原因は、B家の多くの財産に問題がある。人の恨みがあるかもしれない。先祖の徳がある間は守られているが、それがなくなってきたので、あなたが穴埋めのために徳を積まなければならない」
この後、先生はBさんに1千万円の借用を申し込み、応じてもらえるまで何度も財の因縁の話を繰り返した。Bさんは根負けして貸すことにした。3カ月後に、ここが統一教会であることを明かされたが、Bさんは「先祖の因縁という話に取り込まれていたので反発することもできなくなっていた」という。1千万円の借用に関しては、年内に400万円が返されたが、「B家の財の因縁を解くためには600万円を献金にして天に捧げてほしい、そうしないと息子と孫にどんな災難がふりかかるか分からない」と言われ、不安におそわれ献金を承知した。これ以降、Bさんは統一教会に対して、2003年までに40回近くの献金を繰り返すことになる。
家系の不思議
先祖の因縁の説明は、先生が献金の時だけ話したわけではない。Bさんは統一教会信徒が運営するビデオセンターで何種類もの家系の因縁に関するビデオを視聴した。私たちは、目の前で話されることよりも、新聞や雑誌で活字として読んだものや、テレビなど映像で見たものに影響されやすい。家系図や因縁を説明する講師は画面から語りかけることでより専門家らしくなる。統一教会が教育用に用いた「家系の不思議」というビデオでは、次のような内容が語られた。
(1)善因善果悪因悪果の応報的宿命観――不幸には先祖の因縁があるとされ、因縁転換の方法へと話が進む。
(2)縦横の法則――先祖の因縁(縦の原因)は兄弟姉妹(横の結果)にまで及ぶ。
(3)悪因縁の形成原因――五つあるとされ、1・離婚、再婚、2・庶子、3・同棲、4・初婚男性と連れ子のまま再婚、5・別居である。
先祖の色情
(1)に関して、統一教会信徒が強調するのは「先祖の色情因縁」である。Bさんの何代も前の先祖は身持ちが悪く、女性を泣かせたという。その因縁が子孫に出ると言われた。霊能の鑑定だから何でも分かるそうだ。
(2)に関連しては、B家では、夫の弟3人がそれぞれ、4歳、2歳、0歳で亡くなっている。2人の妹も3歳で亡くなっている。確かに、5人も兄弟姉妹が相次いで亡くなるということはまれである。ただし、亡くなった年は、昭和16年が1人、昭和19年が4人である。ついでにいえば、夫の叔母もこの間に相次いで亡くなっている。太平洋戦争の末期、栄養状態が極度に悪く、大空襲にも見舞われた東京であれば、多くの人が難儀な生活をおくっていたであろう。
しかし、亡くなった事実のみ指摘されてBさんは納得してしまった。「私としては子や孫の命のことを言われると、心配だっただけに本気で何とかしないといけないと思い、言われるとおりにするしかなかったのです」とまで思い詰めるに至ったのである。
(3)についても補足しておこう。戦前の家制度が支配的な時代では、子供がないことを理由にした離縁や婚外子を持つことが認められていた。庶民は離婚・再婚も比較的自由に行っていたのである。それが悪因縁になると言われる。現代のように離婚率が上昇し、同棲も目くじら立てるほどのこともない時代となれば、親類縁者をたどればどこかに悪因縁があることになる。誰もが該当する恐ろしい因縁の説明ではないか。ちなみに、再臨主である文鮮明ですら離婚・再婚を経験し、婚外子の話もある。誰がこの悪因縁を清算するかは謎である。
清平の修練会
統一教会信徒になると霊界は、現実世界同様リアルなものとなる。先祖を弔い祭るようにこの世からあの世に働きかけることもあれば、あの世から先祖や諸霊がこの世の私たちに働きかけることも多いという。こうした教えは本で読んだり、説教を聞いたりするだけでは身に付かない。実際に霊界を体験することが大事である。それを説明しよう。
Bさんは、1994年から2003年までの間に計17回渡韓し、統一教会の研修施設である天宙清平修練苑には13回、その他各種修練会にも参加している。
天宙清平修練苑とは風光明媚な山峡である京畿道加平郡の張洛山に位置する統一教(韓国では統一教で通っている)「清平聖地」に立つ修練会施設である。ここには、文鮮明を記念・顕彰する「天正宮」があり、2006年文鮮明が天宙の王に即位する戴冠式と入宮式が行われた。大修練会が開催される天城旺臨宮殿は、地下2階、地上3階、約5700坪の建物であり、一度に8千人を収容する大聖殿と1600人が食事できる大型食堂があるとされる。
ここでは、統一教会信徒向けの40日間修練会や、短期の各種修練会が行われるが、Bさんが参加した「先祖解怨式」と「役事」についてのみ解説しよう。
統一教会の教えによれば、人間は死後「霊人体」となって霊界に行く。原罪をもったままの霊人体となった祖先は地獄で永遠の苦しみを受けているのであるが、地上の子孫の善行により、功徳が祖先に転送され、祖先は安らぐのだという。ところが、このことを知らずに功徳を送らなかった人は死後、霊界で祖先の霊たちに責められる(讒訴される)。
この教えの前半部分は、祖先崇拝と混淆した東アジアの仏教や東南アジアの上座仏教にも見られる先祖供養の観念である。しかし、後半部分は統一教会独自の論理である。
縄文時代の分まで献金せよ
文鮮明は1999年より、「新しい成約時代に天国に入籍するためには必ず自分から7代前までの先祖からはじめ、最終的には120代まで解怨しなければならない」と語っている。
解怨とは怨みを解くという意味であり、韓国文化には恨プリ(プリは解くの意味)といって遺恨を晴らすことを思想や民俗文化、あるいは政治行動の動機付けにも用いることがある。しかし、日帝支配や韓国の独裁政権下で憤死した人々や、それゆえの貧困や不遇の生活を送った人々の怨み(恨み)は当然として、なぜ、日本人を含めて人類全てが恨プリをしなければいけないのか。不平不満を託つことなく静かな人生を送った、多くの先祖がいたのではないか。 
このように考えれば常識人であるが、統一教会の意図は恨プリの擬態による資金稼ぎにある。ただで解怨(恨プリ)はできないのだ。1家族につき、父方・母方のそれぞれのさらに父方・母方、計4家系の先祖解怨が必要とされるが、それには1家系につき日本では70万円、計280万円、韓国では1家系につき5万ウォン程度の献金を要求される。
統一教会において韓国人は霊位が高いので数千円の献金でも許される。遡ること8代目以上の先祖についても7代ごとに解怨するのであるが、献金額は日本の場合、3万円に増額される。理論上、120代目までの解怨を行うと、初回を含めれば計17回が必要になる。その場合、初回に280万円、4家系で12万円を17回で204万円の費用がかかることになる。
文鮮明が言うように120代まで遡るとなると、1世代30年として3600年前まで遡ることになり、日本は縄文末期に相当する時代である。日韓両民族は半島を往来し、血縁をともにしていた可能性すらある。そこまで行き着かなくとも、同じ日本人同士、先祖がどこかで交わり、ダブって献金されることもあろう。しかし、その可能性故に統一教会信徒たちに払い戻しがあったという話は聞かない。
2006年の第761次特別修練会では、大母様(文鮮明の母)が「真の父母様(文鮮明)が先祖解怨式を210代までしなさいと言いました。“家族”たちが210代まで行うと、211代以降は霊界の真の子女様を中心とした絶対神霊たちがアダムとエバまで神様の血統につながれるように準備しておいてくれます」と霊界からメッセージを寄せたらしい。210代は6300年に相当する。なるほど、私たちはこのようにして人類の始祖、アダムとエバにたどりつけるわけだ。
さて、解怨を受けた先祖は、霊界にある興進(フンジン)様の修練所に行き、100日間の修練を受けるという。興進は文鮮明の長男で事故死した。その後、天総官という霊界総司令官になったといわれる。先祖解怨献金を納めない信者の先祖は「興進様の修練所」に行くことを待ちわびている。だから、信徒は清平に行って献金しなければならないのだ。
日本の悪霊は他国の悪霊よりも恐ろしい
Bさんは自分から7代前までの4家系の先祖解怨に280万円を納め、それ以後も清平を来訪するたびに献金を行っていた。そこで幾度となく役事と呼ばれる儀式に参加した。
役事とは統一教会の専門用語であり、天使の助けをかりて体内から悪霊を追い出すという意味で最も一般的に使われている。しかし、より抽象的には、天界(霊界)と地上(現実世界)の間に交流を起こそうという儀礼である。清平においては、金孝南(キムヒョウナム)という霊能者に大母様が再臨し、霊界のメッセージを伝え、先祖の霊を救い出すのは清平の役事しかないことを強調する。
Bさんが記憶している金孝南の典型的な語り口は次のようなものである。
「日本人は、かつて、韓国を侵略し、植民地にした。従軍慰安婦や強制連行で、韓国の人々、特に女性たちにたくさんの苦しみを与えた。その従軍慰安婦や強制連行された女性の霊が日本人女性に乗りうつっている。だから、日本にいる悪霊は、他の国の悪霊よりも恐ろしい」
このようなメッセージの後に、金孝南は講堂に参集した数千の信者に対して、聖歌を歌いながら体中を叩き、体の中に入り込んでいる悪霊を追い出すよう命じる。すし詰め状態で座っている前の人の背中をそれぞれ力いっぱい叩く。Bさんも、「本気で叩かないと悪霊は出ていかない」と言われたために、前の人の背や肩を力いっぱい叩き続け、自身も後の人から叩かれた。壇上には興奮した(霊につかれた)若手の信者が上って踊り出したり、精神的に不安定な人が泣き叫んだりと、まさに悪霊が飛び交ってでもいるような情景が現出する。よく従軍慰安婦の霊が女性信者についたという。その場合は金孝南が除霊した。
およそ3時間続く役事の合間に、信者たちは文鮮明の説教を聞く僥倖(ぎょうこう)を得ることもあった。文鮮明は日本語で語りかける部分もあるのだが、途中休憩を入れながら、夜中の2時3時まで数時間にわたって語り続け、信者のもうろうとした意識の中に霊界話が焼き付けられていく。

Bさんのストーリーは、統一教会が多様なテクニックを駆使して信者をだましていった様をわかりやすく示しているといえるだろう。
それにしても縄文時代まで持ち出して献金を求める姿勢にどこかで疑問を持たなかったのか。そしてなぜ献金額は5億円超にまで膨れ上がったのか。
信仰継続のわけ
Bさんが信仰心を持続させた要因は二つある。一つは、霊界への恐怖と自分が先祖を祭らなければ先祖と子孫もろとも地獄に行くという切迫感であった。このような心境に至ったのは、統一教会信徒の霊能師たちのメッセージを繰り返し受け、家系の因縁などのビデオを視聴し、統一教会の研修施設である天宙清平修練苑の修練会で衝撃的な経験を重ねてきたからである。もう一つは、Bさんを取り巻く統一教会信徒たちによる励ましや人間的ふれあいであった。より正確に言えば、篤志家としてVIP待遇を行うことで、Bさんが献金要請に疑問を持ったり、やめたりしないように何とかつなぎ止める工作が12年も続けられてきた。
数百万円、数千万円の献金要請には心理的プレッシャーがかけられ、数十万円単位のものではソフトなお願いや、Bさん自身の判断に任せる(といっても先祖は常に新たな祭りを求めていると言われた)という形で、総額5億円を超す(最終的に2億7620万円分が違法に献金させられたものと裁判所は認定)献金がなされた。
強烈な心理的圧力をかけずにソフトなお願いだけで、どのようにして献金させることができるのだろうか。統一教会において信徒は統一教会特有の言い回しを駆使して会話する。年季の入った信徒ほど統一教会の用語と論理の枠組みで議論を展開するし、それには誰も反論できない。そのため、古参信者や幹部はもとより、新参の信者もまた同じ言語でコミュニケーションするなかで、一つの言語に一つの感情、一つの言い回しに一つの論理が自動的に連結するようになる。
Bさんは長らく統一教会と関係を持つなかで、このような自動化された感情・論理の伝達手段に慣らされてきた。もちろん、他の統一教会幹部や信者のように人を動かすために統一教会用語を駆使する指導的立場に立ったわけではない。もっぱら受け身で行動を促される立場であった。統一教会は特段の脅迫的言動を用いずとも、Bさんにとって救済のキーになりうるプッシュの言葉を語ることで献金させることができたのである。
そんなことがあるのだろうかと訝(いぶか)る人もいるかもしれない。しかし、私たちはこうしたことを日常生活や職場、専門家集団において経験している。専門家はそれぞれの分野ごとに独特の言語と論理を共有しており、2、3の専門用語を話すだけで関連する事柄や背景的知識、問題の解決法まで頭に浮かんでくる。専門家集団といえば宗教集団も同じである。統一教会のような閉鎖性の強い集団に入るとなかなか抜けられなくなるのは、教団が物理的な障害(見張りやスケジュール管理)を置くからではなく、認識の構図や言語体系までも統一教会独特のものしか使わないよう訓練してしまったために、外部の人たちとコミュニケーションができなくなり、外へ出ることを信者自身がためらうようになるからだ。
私たちの日常生活では、同じ人が職場と家庭、趣味のサークルや所属団体ごとにそれぞれのボキャブラリーや考え方を適宜使い分けるものだ。ところが、統一教会の論理だけで回る生活が長期に及んだ一般信者や、祝福家庭を形成した家族は、統一教会の思考の枠から抜け出すことをおそれ、自縄自縛の状態が継続するのである。
家族の説得がきっかけに
Bさんは2003年に統一教会を脱会した。きっかけは家族の説得であった。
Bさんの子供たちは、多額の献金がなされている事実を知り、統一教会をやめて元の母親に戻ってほしいと真剣な話し合いを持った。次男の「仕事を辞めてもいいのでじっくり話したい」という並々ならぬ決意を感じて、Bさんは子供たちと数日間話し合いを行い、統一教会の実態を知らされたのである。
その間、子供たちは話し合いに専念するために孫3人をよそに預けていた。Bさんと子供たちとの話し合いが終わり、連れてこられた孫たちが親にすがりついて泣いている様を見て、Bさんは孫たちに寂しい思いをさせてしまった自分の姿が客観的に見えたという。つまり、自分は子供たち、孫たちのためによかれと思ってやってきたことだったが、そうではなかったのではないか。これほどまで子供や孫たちを悲しませてしまった自分の愚かさと申し訳なさに涙し、その瞬間に統一教会のおかしさが分かったと語る。
一般的に、統一教会信徒が脱会する道筋は大きくわけて三つある。
第一に自主脱会。教団への疑念が膨らみ継続しがたくなるもので、入信初期に辞めるパターンが多い。
第二に教団からの追放。統一教会の日刊紙「世界日報」の編集局長であった副島嘉和は、本部との路線対立から解任され信者の籍を抹消された後、「文藝春秋」(1984年7月号)に統一教会の暴露記事を掲載した。その直後、暴漢に襲われ重傷を負ったが、このようなケースはまれである。
第三に、Bさんのように家族の話し合いにより認識の枠組みや生活態度が統一教会モードから現実生活のモードに一変するというパターンである。俗にマインド・コントロールが解けるともいい、長期間信者であった人が辞めるケースとしては一番多い。

多額の金をだまし取られたとはいえ、Bさんは家族の必死のはたらきかけによってマインド・コントロールから抜け出すことができた。「これほどまで子供や孫たちを悲しませてしまった自分の愚かさと申し訳なさに涙し、その瞬間に統一教会のおかしさが分かった」――こんなふうに気付いてもらいたいと願う家族は今でも多くいるのではないか。
●山上容疑者の獄中記出版への期待…加害者の手記は過去にも 8/2
安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者の “減刑” を求める署名が止まる気配を見せない。
7月15日に署名サイト「Change.org」上で開始され、検察庁長官宛てに山上容疑者の “減刑” を求める趣旨だが、理由として《過酷な生育歴》《本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事》があげられている。
署名数は、7月31日に3000人を突破したかと思うと、8月1日には4500人を突破した。
「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の被害者の救済に尽力してきた『全国霊感商法対策弁護士連絡会』には、宗教2世たちから『山上容疑者の行為は許されないが、気持ちは痛いほどわかる』という声が殺到しています。
山上徹也容疑者のものと見られるTwitterアカウントは7月19日に閉鎖されましたが、投稿を見ると、狂信的な犯罪者というより、冷静で頭がよい印象を受けます。それで、山上容疑者が育ってきた境遇や犯行の動機に関心が寄せられているのです」(社会部記者)
SNSでは、獄中記の出版に期待する声もあがり始めた。
《普通に大学行けてたら、大企業に就職して、発明品の1つや2つ作りあげて、社会に貢献出来ていたかもしれない 獄中で手記など出版して、お金を稼いで、大学で学ばせてほしい気もしてきた》
《山上徹也のTwitter、そのうち手記として編集して出版されるのかな》
《山上徹也、手記でも書けば印税ガッポガポで一生安泰やろな》
《自伝(獄中記)は争奪戦といったレベルでは収まらぬだろう》
加害者側の手記は、1997年に神戸連続児童殺傷事件を起こした元少年Aによる『絶歌』(2015年、太田出版)、2008年に秋葉原で無差別殺傷事件を起こした加藤智大元死刑囚による『解』(2012年、批評社)など、これまでいくつも出版され、物議をかもしてきた。
「7月26日に死刑が執行された加藤元死刑囚は、2012年7月から2014年8月までに4冊の手記を出版しています。1冊めの『解』と続編の『解+』には、母親に虐待された幼少期から事件にいたるまでが淡々と描かれています。
『絶歌』は2015年6月に出版されましたが、初版10万部はすぐに売り切れ、発行部数は25万部にのぼりました。『絶歌』というタイトルは加害男性が考えたものです。一方で、遺族に無断で出版を進めたことから、遺族側から猛反発を受けるなど、物議をかもしました」(同)
SNSでは、山上容疑者の手記に期待しつつ、慎重な意見も上がっている。
《山上の獄中手記が出版されるとしたら、令和最大のベストセラーになるだろうね? 生い立ち、 #統一教会 の闇が背景となる犯行動機ついての国民的関心事を詳らかに語り文章として残すべきではあるけど、自分は犯人(編集部注:容疑者)なんかに課金したくない気持ちの方が強い》
山上容疑者に関しては、事件当時の精神状態を調べる「鑑定留置」が7月25日から始まり、約4カ月間続くという。山上容疑者への関心が消えることはまだまだなさそうだ。
●山上容疑者が3年以上前“旧統一教会幹部の殺害示唆”をSNSに投稿 8/2
安倍晋三元総理への銃撃事件で逮捕された男が、3年以上前からSNS上で旧統一教会幹部の殺害を示唆する投稿をしていたことがわかりました。
7月8日、安倍晋三元総理が銃撃されて死亡しました。逮捕された山上徹也容疑者は2019年10月〜事件直前までSNS上に、「オレが憎むのは統一教会だけだ」などと旧統一教会への恨みを繰り返し投稿していました。
捜査関係者によりますと、山上容疑者は2019年10月より前にも別のアカウントで旧統一教会幹部の殺害を示唆する内容を投稿し、ツイッター社は当時、このアカウントを利用ルールに違反したとして凍結したということです。
安倍元総理の殺害に関する投稿は確認できなかったということですが、警察は山上容疑者の投稿内容を詳しく調べています。
●旧統一教会の名称変更「お祭り騒ぎ」「新しい人が入りやすく」元信者が証言 8/2
旧統一教会の名称変更に政治家の関与はあったのか?元信者は、名称変更の結果「新しい人が入ってきやすくなった」と証言しました。教団との関係を絶つと断言しない政治家たちの態度に、憤りの声を上げる信者の家族も・・・。
兄が入信し会社の金を…
JNNが入手した旧統一教会の内部資料には、日本人信者の献金額が記されていました。1999年度から2008年度まで、年間の献金額は概ね、600億円で推移。
別の資料に示された「TD」という文字は「ThanksDonetaion」の略で、「感謝献金」の意味。日本から韓国の教会側へ送金した額だといいます。2009年度以降3年間で200億円以上が毎年送金されていることがわかります。
その被害者の1人で、愛知県に住む50代の女性に話を聞くことができました。
兄が統一教会に入信した女性(50代)「兄が旧統一教会の信者でした。”お父様”という言葉(創設者の)文鮮明のことですか。(兄から)聞きました」
女性の兄は、父親が経営する会社に勤務していて、将来は後を継ぐつもりだったといいます。しかし、2008年頃、統一教会信者の事務員が兄を勧誘。気づいたときには入信していたといいます。すると…
兄が旧統一教会に入信した女性(50代)「お金を用立ててくれということで、母が(兄に)500万円を現金で渡して。ちょっと調べてみたら、会社の方で1000万円横領されていて」
信者の事務員と兄が共謀し、合わせて1500万円を持ち出したのだといいます。そのうち500万円は返金されましたが、残りの1000万円のほとんどは返ってこなかったといいます。
兄が旧統一教会に入信した女性(50代)「警察に行って訴えるイコール身内を訴えることになるので、やっぱりそこはできず泣き寝入りという感じですね」
「問題意識なくがっかり」政治家と教団の癒着に信者家族は憤り隠せず
(2017年5月国際指導者会議)
自民党 山本朋広元防衛副大臣「マザームーンに先ほどカーネーションの花束をプレゼントさせていただきました」
自民党 細田博之衆院議員「韓鶴子総裁の提唱によって実現したこの国際指導者会議の場は大変意義が深いわけでございます」
次々と明るみになる旧統一教会と政治家との関係に、兄が信者だったという女性は…
兄が旧統一教会に入信した女性(50代)「ニコニコとトップを讃えたり褒めたり、信者しか分からない言葉を使いながらスピーチしている有名な政治家を見て、目の前が真っ暗というか。これだけ被害に遭っている人がいて、この先もきっと被害に遭う人が出ることがわかっていて、それでも問題意識を持たずに調査もせずに時間が経つのを待っているかのようでなんだか希望が持てない」
この問題について、7月31日初めて言及した岸田総理は…
岸田総理「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思っています」
具体的な対応などについては触れませんでした。
兄が旧統一教会に入信した女性(50代)「7月31日の総理の発言を聞いていると取り組む気がないんだなって気がする。これだけ、自民公明が力を持っている、決める権限があるので、この人たちが問題意識を持っていないということは、やっぱりがっかり。期待が崩れてしまう」
なぜ「統一教会」からの名称変更が認められたのか
政治家の関与があったのではないか、そんな指摘が上がっているのが、教団の名称変更です。2015年、名称がいわゆる「統一教会」から「世界平和統一家庭連合」へと変更することが認められたのです。当時、教団の”再出発”を祝ったイベントでは…
旧統一教会徳野英治会長(当時)「そして本日、この日本におきましても家庭連合としての新しい出発ができることとなりました。未来への希望あふれる新しい出発をしていこうではありませんか」
旧統一教会側は1997年から名称変更を求め、文化庁に相談に訪れていました。当時、担当課長として対応した前川喜平元文科事務次官は…。
前川喜平 元文科事務次官「そのときの我々の対応としては、それは”受理できない”と。名称変更を認証してしまったら文部省が社会的に批判されるだろうと」
教団の問題が解決していない中、名称変更は認められないと門前払い。以後、同じ状況が18年間続きました。ところが2015年、一転して文化庁は名称変更を認めます。下村博文氏が文部科学大臣のときでした。霊感商法や多額の献金による被害を救済してきた弁護士は、名称変更をしないよう文化庁に求めていたといいます。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 川井康雄弁護士「名称変更された8月の5ヶ月前ぐらいに『名称変更を認めないように』という申し入れを文化庁にしてるんですね」
名称変更の前、下村氏は旧統一教会系のメディアに度々登場していました。2014年の世界日報社の月刊誌には当時、「世界日報」の主筆でもあり、社長の木下義昭氏らと大臣室で論じ合ったとあります。大臣室という公の場で3回にわたって旧統一教会系の人物と面会していました。名称変更に下村氏は関わっているのでしょうか?
Q旧統一教会の名称変更に変わったのではないかと報じられていますが、これについての事実関係は?
自民党 下村博文元文科大臣「全く関わってません」
「名前変更した方が新しい人が入って来やすい」
10年間教団で活動した女性は、厳しい献金の要求に耐えきれず、名称変更の半年後に脱退したといいます。
元信者の女性「貯金通帳、生命保険の証書。お金に関するもの全て持ってきてくださいって言われたんです」
自身の母親も信者として引き入れ、総額3000万円を献金しました。手元に残ったのは本や印鑑、壺などの品々です。女性は教団の名称が変更された2015年当時のことを、今でも鮮明に覚えているといいます。
元信者の女性「『勝利だ』って言って、お祭り騒ぎでした。『やったー』みたいに。『自分たちは間違ったことしてなかったんだ、よかった』みたいな感じになってました」
統一教会の名称変更は、教団にとってどんな意味があったのでしょうか?
元信者の女性「もう霊感商法しかないと思います。霊感商法のイメージが昔の人にはついてるから、名前変更した方が新しい人が入って来やすいよねみたいな」
立憲民主党と共産党は「自民党は旧統一教会との関係を明らかにすべきだ」として追及していく考えです。
立憲民主党・馬淵澄夫国対委員長「この名称変更以降、これをもってより一層、その活動が激しくなったのではないかというようなことも言われだしていますから、やはりこれは明らかにしなきゃならないと思います」
共産党・志位和夫委員長「党としての責任。政府としての責任。これ一切、蓋をしようとしてる。こういう反社会的カルト集団との癒着のままでいいのかということを、真剣に自らですね、明らかにしていく責任があるわけです」
●自民党と旧統一教会の癒着を海外でも報道 “カルトとズブズブ” 8/2
安倍元首相の銃撃死事件を機に、あぶり出された旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党との癒着関係が、海外でも注目され始めた。海外メディアの見出しをいくつか並べるだけでも、注目度の高さがうかがえる。
〈安倍晋三の刺客は日本と“カルト”の関係を暴くという歪んだ計画を果たした〉(米デーリー・ビースト=先月29日付)
〈安倍の暗殺によって日本国内で統一教会と政治のつながりが脚光を浴びている〉(米公共ラジオ放送=同28日付)
〈統一教会はいかにして日本政府を乗っ取ったか〉(英オンラインマガジン「アンハード」=同20日付)
祖父・岸信介元首相にさかのぼって丁寧に解説
いずれも、安倍元首相の祖父・岸信介元首相が「反共産主義」を旗印に旧統一教会と協力関係を築いた経緯に言及。旧統一教会の霊感商法や献金問題に触れながら、自民党との癒着の歴史を丁寧に解説している。
岸田首相は旧統一教会と自民党議員の関係について、「政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思う」などと各議員任せだが、これを機に教団との関係を清算できなければ、それこそ安倍元首相の得意文句だった外交上の日本の「国益」を損ないかねない。
「法律でカルトを規制している国からすれば、日本は『カルトすら取り締まれない国』と見なされています。それどころか、『カルトと蜜月の日本と付き合って大丈夫なのか』とすら思われかねない。カルトグループとのつながりが指摘される教団に、外交機密が漏れる恐れさえあるからです。カルトとズブズブの政権というイメージは、日本の外交上、マイナスでしかありません」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
世論の8割は旧統一教会との関わりについて、実態解明を求めている。岸田首相は今こそ「聞く力」を発揮して、旧統一教会との決別を宣言すべきだ。
●泉代表「旧統一教会は自民支援団体」 立民も8人接点 8/2
立憲民主党の泉健太代表は2日の党会合で、自民党が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との組織的関係を否定していることに関し「国会議員、陣営の多くが支援を明確に受けていた。旧統一教会系が自民党の支援団体だったかと言われれば、そうだということが多くの国民の認識、答えだ」と批判した。
泉氏は、立民議員と旧統一教会との関係を調査した結果、金銭の授受や選挙での支援はなかったと報告。「立民にとって支援団体だったかと言えば、明確にノーだ」と強調した。党所属議員が教団の関連団体に祝電を送っていたことに関しては「さらなる精査が必要だろう。改めて報告したい」と述べるにとどめた。
西村智奈美幹事長は2日の記者会見で、調査結果について説明。8人が旧統一教会と接点があり、関連団体の会合に祝電を送るなどしていたという。
●立民 泉代表 旧統一教会めぐり「寄付や政治活動への支援ない」 8/2
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会との関わりについて、立憲民主党の泉代表は、党所属の国会議員などを調査した結果、寄付などの受け取りや政治活動への支援はなかったと明らかにしました。
立憲民主党の泉代表は2日に開かれた党の会合で、党所属の国会議員や地方議員と、旧統一教会との関わりを調査した結果を報告しました。
この中で、泉氏は「寄付や物資の受領はないことが明確になった。旧統一教会への寄付や献金もなかった。政治活動や選挙活動への支援、秘書の派遣といった活動への参加もなかった」と述べました。
一方で、関連団体への祝電の送付などについては、さらに精査するとしています。
また、泉氏は、旧統一教会と自民党との関係について「国会議員や陣営の多くが支援を明確に受けており、いわゆる旧統一教会系が自民党の支援団体だというのが多くの国民の認識だと思う。立憲民主党は明確に『ノー』であり、大きな違いではないか」と述べました。
立憲民主党は、「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会と党所属の国会議員や地方議員との関わりについて調査結果を公表しました。
それによりますと、旧統一教会主催のイベントや、関連団体の会合に祝電を送った国会議員が2人、関連団体の会合に秘書が代理出席した国会議員が1人いたということです。
西村幹事長は記者会見で「いずれも単発のもので、継続的な関係はないと確認したが、今後は厳重に注意するよう要請した。調査は自己申告なので、今後も漏れがないか重ねて呼びかけたい」と述べました。
●立民代表、旧統一教会からの寄付・支援「確認されず」 8/2
立憲民主党の泉健太代表は2日の党会合で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と所属議員の関係に関する党内調査の結果、旧統一教会からの寄付や物資の受領、選挙活動への支援は、いずれも確認されなかったと発表した。
旧統一教会の関連団体と認識しないまま祝電送付などの関わりをもったケースについては「さらなる精査が必要だ」として、引き続き調査する考えを示した。
泉氏は会合で「立憲民主党にとって旧統一教会が支援団体だったかといえば、明確にノーだ」と強調。さらに「自民党の多くの議員にとって(旧統一教会が)支援団体の1つだったことは間違いのない事実だ」と断じ、国会審議などを通じて追及していく考えを示した。
●岸防衛相 旧統一教会とのこれまでの関係を見直す考え示す  8/2
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の関係者に選挙活動を手伝ってもらったことを明らかにしている岸防衛大臣は、旧統一教会の社会的問題が指摘されていることを踏まえ、これまでの関係を見直す考えを示しました。
安倍元総理大臣の弟の岸防衛大臣は、旧統一教会の関係者にボランティアで選挙活動を手伝ってもらったことがあると明らかにしています。
岸大臣は記者会見で、旧統一教会から組織として支援を受けたことはないとしたうえで「選挙区で長年のおつきあいをする中で、そういったバックグラウンドを持つ人がいて、応援をいただいているのも事実だ」と述べました。
そのうえで「さまざまな社会的問題が浮上している状況で、これまでの関係をしっかり見直していかなければならない」と述べました。
●維新 国会議員13人 旧統一教会めぐり“何らかの関係”  8/2
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会をめぐり、日本維新の会は国会議員62人を対象に行った調査の結果、関連団体などと何らかの関係があったことが分かった13人の氏名を公表しました。
それによりますと、馬場共同代表、藤田幹事長、足立国会議員団政務調査会長、室井参議院幹事長らで、旧統一教会の関連団体のイベントへの出席や、会合での講演などが確認されたということです。
一方で13人全員について、関連団体から寄付を受けたことはなく、組織的な支援はなかったとしています。
藤田幹事長は記者会見で「今後は旧統一教会と関わりを持たないことはもちろんだが、何らかのトラブルを抱える団体や悪質な団体のリストなどを作成し、距離を置くよう周知徹底していきたい」と述べました。
大阪維新の会 地方議員など16人“何らかの関係”
大阪維新の会は旧統一教会との関係について、党所属の地方議員と自治体の長、合わせて266人を対象に調査を行い2日、横山幹事長が記者団に結果を公表しました。
それによりますと議員と自治体の長、合わせて16人が旧統一教会の関連団体のイベントに出席するなど、何らかの関係があったことが分かったということです。
このうち7人は月額2000円から3000円程度の会費を関連団体に支払っていましたが、これまでに全員が支払いを取りやめる手続きを行ったということです。
一方、いずれも関連団体などからの寄付や選挙支援などの事実は確認されず、組織的なつながりはなかったとしています。
横山氏は「旧統一教会と何らかの縁がある団体に参加することで『政治家も来ている』と広告塔のように使われることは避けるべきだ」と述べました。
大阪維新の会は国政政党の日本維新の会とともに、消費者庁などにトラブルが報告されている団体の会合に、所属議員らが出席することを禁じるなどとするガイドラインを策定し、対策の徹底を図る方針です。
●大阪維新16人が旧統一教会関連団体と接点 8/2
政治団体・大阪維新の会は2日、所属する大阪府内の地方議員と旧統一教会との関わりを調査した結果、首長や府議ら16人が関連団体の会合に参加するなどの接点があったと公表した。
●自民の調査なし「大問題」 維新・松井代表、旧統一教会で 8/2
日本維新の会の松井一郎代表は2日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と所属議員との関係について内部調査を実施していない自民党の対応を批判した。自民党議員が献金トラブルを抱える教団の広告塔的な役割を果たしていたと指摘し「自民党が何の問題もないというのは大問題だ」と大阪市役所で記者団に述べた。
一方、教団の信者が個人的に政治家の選挙支援をすることについては「問題ない」とした。宗教団体・創価学会を支持母体としている公明党を引き合いに「信仰や思想信条の自由はあるので、信者が政治的活動をするのは一人一人に与えられた権利だ」と強調した。
●自民、個別調査意向示さず 旧統一教会側と議員関与 8/2
自民党は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と同党所属議員の関係に関し、各議員の自発的な説明に委ねる方針を固めた。党として個別に調査する意向は示していない。茂木敏充幹事長は2日の記者会見で「個人の活動については、それぞれの議員が適切に説明すべきだ」と主張。「党として組織的な関係はない。関係部門に改めて指示を出して確認した」と強調した。
霊感商法などが反社会的との批判を浴びる教団側と、閣僚を含む自民議員のつながりが次々と表面化している。立憲民主党や日本維新の会など野党は党内調査を発表。自民は実態解明に後ろ向きだとして、国会で追及する構えだ。
●浜田知事 旧統一教会支部責任者へあいさつも選挙支援は否定 8/2
高知県の浜田知事は2日の会見で「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会との関係について問われ「知事就任以前に県の支部の責任者にあいさつに行ったことはある」と明らかにする一方、支援については否定しました。
2日の定例記者会見で「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会との関わりについて問われた浜田知事は、「知事に就任する前に選挙への立候補を表明して以降、高知県の支部の責任者にあいさつに行ったことはある」と明らかにしました。
浜田知事は、政治関係者に紹介されて行ったいろいろな団体へのあいさつの一環だったとし、選挙をめぐって人的な協力や資金的な支援を依頼しておらず「具体的な形で支援をいただいたことは、私は一切関知していない」と述べ、支援については否定しました。
そして「今回のように社会的な問題が指摘されている団体とのつきあいは、慎重に節度を持って考えるべきではないか」と自身の考えを述べました。
●旧統一教会関連団体イベントで実行委員長 二之湯国家公安委員長 8/2
先週、旧統一教会の関連団体のイベントで実行委員長を務めたことを明らかにした二之湯国家公安委員長は2日の会見で「付き合いの一環だった」などと説明しました。
先週、警察庁を所管する二之湯智国家公安委員長は、2018年に旧統一教会の関連団体が京都で開いたイベント「ピースロード」で実行委員会委員長を務めたと明らかにしました。
二之湯国家公安委員長は2日の閣議後会見で実行委員長を務めた理由について、「政治家なのでお付き合いの一環として名前を貸した」と説明しました。
「選挙活動などでは一切応援してもらってない」ということです。
名義を貸した関連団体については「はっきり覚えていない」「それ位、団体とのつながりが薄い」とも釈明しました。
●関連会合であいさつ、秘書出席 旧統一教会めぐり閣僚 8/2
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係をめぐり、2日の閣議後記者会見で各閣僚から発言が相次いだ。萩生田光一経済産業相は関連イベントであいさつしたことを、野田聖子少子化担当相は関連団体が共催した会合に祝電を送って秘書が代理出席したことを、それぞれ明らかにした。
萩生田氏は「誘われた会合の冒頭であいさつした事実はあった」とした上で、「承知の上でお付き合いしているのではなく、地元の皆さんの中に関係者がいたのかもしれない」と述べた。
野田氏は「(旧統一教会とは)考え方が違い、支援というより批判を頂く立場だった」と説明。「(関連団体とも)距離を置いていたが、共催という形だったので見過ごしてしまった。今後は気を付けたい」と語った。
過去に選挙運動を手伝ってもらった岸信夫防衛相は「さまざまな社会的問題が浮上してきている。関係をしっかり見直していかなければいけない」と表明した。
閣僚では末松信介文部科学相と二之湯智国家公安委員長も接点を認めている。末松氏は「今後はしっかり見極め、慎重に対応していきたい」と強調。次の内閣改造で退任し、政界を引退する見通しの二之湯氏は「議員活動はもうない。関係は自然と消滅していく」と述べた。
一方、鈴木俊一財務相は旧統一教会との関係について「一切ない」と述べた。林芳正外相、西銘恒三郎復興相、牧島かれんデジタル相も関わりを否定した。

 

●旧統一教会と“超濃厚接触”自民議員32人 内閣改造・党役員人事の「踏み絵」 8/3
岸田首相の政権運営に暗雲が漂ってきた。凶弾に倒れた安倍元首相の国葬実施で求心力を高め、独自路線を突き進むはずが、むしろ世論の反発を招き、内閣支持率は急落。「自民党と反社会的教団」の関係に対する不信感を高めている。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連イベントに祝電を送る程度ではなく、とりわけ教団と濃厚に接触しているのが32人の面々だ(別表)。いわば政権の足を引っ張る「A級戦犯」だが、岸田首相はどう処遇する気なのか。
内閣支持率は驚くほどガタ減りした。共同通信の世論調査(7月30、31日実施)では51.0%。自民が圧勝した参院選直後の調査から12.2ポイントも下落し、昨年10月の内閣発足以来最低となった。原因は旧統一教会と国葬だ。教団と政界の関わりについて実態解明の「必要がある」は80.6%に上り、「必要はない」の16.8%を大きく上回った。国葬に「反対」も半数を超えた。
旧統一教会問題に頬かむりを決め込んでいた岸田首相も、ここにきて「丁寧な説明」に言及せざるを得なくなった。良し悪しは別として、分厚い保守層に支えられた安倍元首相が「モリカケ桜」疑惑から逃げ切ったようにはいかないだろう。
「大臣会見で〈選挙を手伝ってもらっている〉と居直った安倍さんの実弟の岸防衛相は体調不安もあり、参院選後の内閣改造での交代は既定路線でした。関連団体のイベントで実行委員長を務めていた二之湯国家公安委員長もしかりです。政界引退表明後の“思い出作り”のために初入閣させたので続投はない。清和会のゴリ押しで畑違いの文科相で初入閣した末松大臣にしても、交代やむなしです」(与党関係者)
教団の反社会的活動の助長にくみした議員はアウト
安倍元首相が銃撃された要因とされるビデオメッセージを寄せた天宙平和連合(UPF)が主催するイベントには、あいさつに立った細田衆院議長のほか3人が出席。岸氏も祝電を送っている。副総理への起用が取り沙汰されている菅前首相は、岸・安倍一族とかかわりの深い北村経夫参院議員を初当選させるため、旧統一教会での講演をセットした。要するに教団票割り振りのための顔見せだったのだろう。
教団丸抱え選挙でバッジを着けた北村氏や、山谷えり子元国家公安委員長は国会議員としてもアウトだ。下村元文科相は旧統一教会の名称変更を認証した当時の担当大臣。昨年はポスト菅を争う総裁選に色気を見せていたものだが、教団の反社会的活動の助長にくみしたような人間はもはや表舞台には立てまい。
支持率急落の元凶である面々が今後、処遇されるなんてあり得ない。9月前半に実施予定の内閣改造・党役員人事は、岸田首相にとっても真価を問われる「踏み絵」になる。
●旧統一教会幹部らが自民党本部を訪問し議員会館でも…桜を見る会にも… 8/3
旧統一教会と政治の問題。自民党は「組織的な関係はない」と断言していますが、私たちが発掘した映像には、旧統一教会関係者らが自民党本部を訪問する様子が…。さらに総理主催の「桜を見る会」には、“教団の関連団体”の幹部が招待されていました。
●自民議員が「問題ない」連発 旧統一教会とのズブズブ癒着をゴマカシ 8/3
だんだん論点がズレていると感じている国民は少なくないだろう。
強引な信者勧誘や霊感商法などが社会問題化し、被害者救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)から「カルト教団」として糾弾されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との癒着関係のことだ。
「組織として何か支援を受けているかというと、そういうわけではない」
過去の選挙で統一教会のメンバーから支援を受けていたことを明かした岸信夫防衛相は2日の会見で、こう釈明。2018年に旧統一教会の関連団体が京都で開いたイベント「ピースロード」で実行委員会委員長を務めていた二之湯智国家公安委員長も、2日の閣議後会見で、「政治家なのでお付き合いの一環として名前を貸した」「選挙活動などでは一切応援してもらってない」と言い放っていた。
自民党の世耕弘成参院幹事長も会見で、「霊感商法や多額の献金といった問題が指摘されている団体の選挙応援やイベント参加は違法行為ではない」などと、そろって「宗教法人のイベントなのだから問題ない」との認識を示していたが、そうではないだろう。
統一教会は一般的な宗教法人とは到底言いがたい。全国弁連が「カルト教団」と位置付けている「反社会的勢力」と指摘されてもやむを得ない団体だ。例えば、広域暴力団のイベントに国会議員や閣僚が出席したり、組員から支援を受けたりしていたら大問題だろう。「お付き合いで名前を貸しただけ」で済む話ではないのだ。
民間企業だって反社に対して厳格なルールを決めているのに、なぜ、国会議員が許されるのか。どう考えてもおかしいではないか。
ちなみに法務省が公表している「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」にはこうある。
<反社会的勢力による被害を防止するためには、反社会的勢力であると完全に判明した段階のみならず、反社会的勢力であるとの疑いを生じた段階においても、関係遮断を図ることが大切である>
<企業の対処方針としては、1直ちに契約等を解消する2契約等の解消に向けた措置を講じる3関心を持って継続的に相手を監視する=将来における契約等の解消に備える)などの対応が必要となると思われる>
つまり、反社とは「関係遮断」が当然で、「問題ない」という釈明は自民党の「論点ずらし」と言っていい。
●旧統一教会 自民は実態調べ決別を 8/3
国民の暮らしを守るべき政治家が、霊感商法や高額な献金が社会問題となっている教団の活動に、お墨付きを与えるようなことはあってはならない。
岸信介元首相以来の付き合いといわれ、歴代の党幹部や派閥のトップが関わりを持ってきた自民党の責任はとりわけ重い。「議員個人の問題」と矮小(わいしょう)化することは許されない。党として実態を調査し、この機会に教団との決別を明確にすべきだ。
関連団体のイベントに出たり、祝辞を寄せたりする。選挙の支援を受ける。関係者からパーティー券を購入してもらう……。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と所属議員の関係が連日、報じられるなか、自民党の茂木敏充幹事長はきのうも「党として組織的な関係はない」と繰り返し、個人の活動なので、それぞれが適切に説明すべきだとの考えを示した。
茂木氏が根拠に挙げたのは、党の組織運動本部が連絡をとっていない、党の関係団体のリストに載っていないなど、いずれも形式的なものばかりだ。
自民党が米ソ冷戦下、反共産主義を共有する教団と協力関係を築き、今に至っていることは明白ではないか。中曽根康弘首相(当時)が国会で、教団の創始者が設立した政治組織・国際勝共連合と縁を切るよう求められ、突っぱねたこともあった。
あきれた発言は、別の党幹部からもあった。福田達夫総務会長の「何が問題か分からない」である。福田氏は「問題」を、教団の影響力で政治が動かされることととらえ、それは「一切ない」と語った。
本当に党の政策に影響がないのかは別途、検証を求めたいが、政治家との親密な関係が教団のPRとなり、被害の拡大につながっているとの批判に思いは至らなかったのか。その日の夜に、「社会的に問題が指摘される団体との関係が問題であることは、言うまでもない」と釈明する文書を出したが、政治家としての資質が問われる。
教団との関係をあけすけに語る閣僚にも驚いた。岸信夫防衛相は、信者に「選挙を手伝ってもらった」と述べ、今後の協力を否定しなかった。きのうになって、関係を見直す考えを示したが、非難を無視できなくなった末の転換に違いない。
岸田首相は先月末、「社会的に問題になっている団体との関係は、それぞれ丁寧に説明することが大事だ」と語った。教団を「問題」と認識しているのなら、必要なのは単なる説明ではなかろう。安倍政権下での教団の名称変更をめぐっては、政治の関与が疑われている。徹底した実態の解明と教団との関係を断ち切る先頭に立つべきだ。 
●旧統一教会”密接交際議員”が「清和会」ばかりの「納得の理由」 8/3
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と国会議員を巡る報道が連日なされている。自民党を中心とした国会議員の名前が取り沙汰されているが、中でも清和会(安倍派)は、安倍晋三元総理を筆頭に細田博之衆院議長(78)や岸信夫防衛相(63)、下村博文元文科相(68)など“ズブズブな仲”が報じられている。
“旧統一教会系議連”には100名近い自民党議員が名を連ねているが、その中で、清和会の議員は35名で、全体の4割と他派閥を圧倒している。
清和会は、2000年以降、森喜朗氏、小泉純一郎氏、福田康夫氏、安倍氏と4人の総理を輩出し、現在でも100名近い最大派閥で存在感は群を抜いている。清和会ベテラン議員がこう説く。
「25年前は経世会(橋本派)が全盛期で、清和会は傍流派閥の一つでした。財務相や外務相など重量閣僚や農林相、経産相、国交相など利権のあるポストは回ってこず、文教族の森会長が文科省の大臣ポストを何とか手に入れた。文科省の外局の文化庁の宗務課が宗教法人を所管しています。安倍元総理は文科省を通じた宗教法人の活用をした数少ない政治家の一人なのです」
宗教法人は税制面で優遇され、例えばお布施に税金がかからない。また法人名義で不動産登記ができ、礼拝用の建物やその敷地の登記をすると差し押さえ禁止が保障される。無論、任意団体にはこのような特例はなく、宗教団体が宗教法人となるために、そしてその法人格の維持のために、文教族の有力議員に近づくのは道理と言えよう。ここに目をつけたのが安倍元総理の慧眼だ、と前述の議員は語りこう説く。
「第二次安倍政権以降の文科相を見れば一目瞭然」
2012年の安倍政権下以後の文科相は、下村氏、馳浩氏、松野博一氏、林芳正氏、柴山昌彦氏、萩生田光一氏、末松信介氏の7人となる。宏池会(岸田派)の林氏を除けば、全員が清和会だ。
「安倍元総理の葬儀が増上寺で開かれたように宗派は別。ただ、安倍元総理は選挙のコツを心得ており、宗教法人を動かすためには文科相ポストを維持することが重要だと知っていました。安倍政権以後の菅・岸田政権でも文科相ポストは清和会で牛耳った。宗教法人が学校を作りたければ、陳情してくる。法人格の維持も必要。その対価として“選挙マシーン”として宗教団体を活用したのです」(前述の議員)
国政選挙では、カネもさることながら、無料で働いてくれるマンパワーこそ必要という。「電話かけ」「ポスター貼り」「戸別訪問」、この3つは一般の運動員から敬遠されがちで、ボランティアでは心が折れてしまうことは想像に難くない。
「信者は布教活動で戸別訪問や電話かけなどを日常的に行っている。布教活動と政治活動は通じるものがあり、信者は極めて優秀な“選挙用運動員”となる。安倍元総理は国政選挙6連勝を果たしているが、この連勝の裏には彼らの下支えがあったわけです」(前述の議員)
旧統一教会は政治家にとって有益な“選挙マシーン”として機能した。一方で、過剰な献金で家庭崩壊が引き起こされたケースがクローズアップされている。立憲民主党や日本維新の会は所属議員と旧統一教会との関わりについて調査を始めた。一方、7月26日、茂木敏充幹事長は会見で、こう述べた。
「自民党として組織的関係がないことをしっかりと確認している。党としては一切関係ない」
関係があるのはあくまで清和会であり、彼らが泥をかぶればいいーー、そう言いたいのだろうか。
●日本維新の会「旧統一教会と関係があった13議員公表」「反省するのは大事」 8/3
8月2日、日本維新の会は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との関わりについての調査結果をまとめた。衆・参の所属議員62人を対象に自己申告による調査をおこない、13人が旧統一教会と関りがあったことを公表した。(接点があった国会議員は文末に掲載)
藤田文武幹事長は、自身もイベントに出席したことを認めたうえでこう述べた。
「意図せずに広告塔のように扱われていたということについては、ちゃんと受け止め、今後悪い影響が国民に出ないように線決めをして、実行していくのが大事。一方で、一律に宗教法人すべてと距離を置くことを禁止することは適切ではないと思います。党としてトラブル団体との距離のとりかたを整理したい」
議員による自己申告とはいえ、関係があった13名の議員名を公表したことに、ネット上では評価する声があがっている。
《まずは統一教会と接点があった議員リストを公表したのはスタートとしては良いと思う。これで自民党や立憲民主党など他党もリストアップはできることが示された》
《まずは党内調査したことは維新は他党とは違うな、と評価する。あとはこの接点があった議員たちは統一教会とどの程度の関係だったのか、どうやって接点を持ったのかを公表し、今後は統一教会との関係をどうしていくのかを表明してほしい》
実業家のひろゆき氏も自身のTwitterでこう評価している。
《党として、公式に統一教会との接点のある議員を公表して反省するのは大事。ここで誉めないと他の党は「隠蔽した方が得」という意見が強くなります》
これに対して、後ろ向きな姿勢が浮き彫りとなっているのが自民党だ。同じく8月2日、自民党の茂木敏充幹事長は、同党議員と旧統一教会との関係について、各議員の自発的な説明に委ねる方針を示した。
「党として組織的な関係がないことを、関係部門に改めて確認するよう指示した結果、これまで一切の関係を持っていないことが確認できた。党の会合に招待したこともなく、『友好団体』など党と関係のある団体のリストに、旧統一教会だけでなく関連団体の記載もなかった。個々人の活動は、それぞれの議員が適切に説明をおこなっていくべきだと考える。党所属議員にはていねいな説明をおこなうよう促していきたい」
同日、日本維新の会の松井一郎代表は、自民党を痛烈に批判した。
「問題がないと言っている自民党こそ大問題だ。旧統一教会が常識から逸脱した寄付を集めていたことははっきりしており、そうしたトラブルを抱えた団体の広告塔的役割を、自民党が果たしてきたのは明らかだ。自民党は党として必要な調査をし、こうした団体とはつきあいを控えるよう方針をしっかり出すべきだ」
本誌が報じた「旧統一教会と関わりがあった現職国会議員101人」リストでも、9割が自民党の議員だった。調査に後ろ向きなままでは、旧統一教会との関係に疑念が深まるだけだろう。
【日本維新の会、旧統一教会との関係者リスト】
○馬場伸幸共同代表 / 世界平和女性連合イベント出席 / 世界日報の取材対応
○藤田文武幹事長 / 世界平和女性連合イベント出席
○足立康史国会議員団政調会長 / 世界戦略総合研究所の定例会講演
○伊東信久衆議院議員 / 世界平和女性連合イベント出席 祝電
○小野泰輔衆議院議員 / 熊本県ピースロード実行委員会主催「PEACE ROAD 2022 in KUMAMOTO」実行委員の名義貸し
○中司宏衆議院議員 / 世界平和女性連合イベント出席
○沢田良衆議院議員 / さいたま南家庭教会挨拶訪問、意見交換
○高橋英明衆議院議員 / 支援者のなかに関係者が1名存在したことが判明
○吉田豊史衆議院議員 / 世界平和連合イベント出席
○室井邦彦参議院幹事長 / 関係団体の集会・イベント出席
○高木佳保里幹事長代理 / 世界平和女性連合イベント出席
○柴田巧参議院議員 / 富山県平和大使協議会主催「富山オープンカレッジ」祝電・講演
○青島健太参議院議員 / 集会に挨拶訪問、意見交換

 

●反カルトのカルト性が判ってる山上徹也がジャーナリストに手紙を託した理由 8/4
「あんな親しげな手紙を送ってくれるのだから、会いに来てくれればよかった」
こう語るのは、島根県在住のジャーナリスト・米本和広氏(71)。犯行直前の山上徹也容疑者(41)が手紙を送っていた人物だ。
犯行直前に山上が投函した“1通の手紙”
〈安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません〉などと記された手紙の存在が明らかになったのは7月17日。読売新聞のスクープだった。山上は安倍晋三元首相を暗殺する前日の7月7日、岡山市内の演説会場に向かう道中で手紙を投函したと見られる。
米本氏が振り返る。「見つけたのは13日。普段ポストは開けないんですが、その日は開けた。宛名は直筆で差出人はなし。献金の返還請求の合意書のコピーが同封されており、山上君だとわかった。元々その翌日に読売の記者が取材に来る予定だったので、手紙について教えたのです」
『洗脳の楽園』(1997年)や『カルトの子』(2000年)などの著書がある米本氏は、長年カルト宗教問題に取り組んできた。
熱心なブログ読者だった「復讐は己でやってこそ意味がある」
山上は米本氏のブログの熱心な読者だった。
〈ご無沙汰しております。「まだ足りない」として貴殿のブログに書き込んでどれぐらい経つでしょうか〉〈かつて「DD」と名乗ってコメントした事もあります〉(山上の手紙)
ブログのコメント欄では、やりとりを重ねていた。
山上〈世界平和家庭連合? ポルポトか? スターリンか? ヒトラーか? どんな地獄だ? 人の生き血はどんな味だ?〉(20年12月15日)
米本〈カッカしなさんな。出発点が狂っている〉(20年12月16日)
山上〈復讐は己でやってこそ意味がある。不思議な事に私も喉から手が出るほど銃が欲しいのだ〉(20年12月16日)
米本氏が語る。「(山上の手紙は)うまいね。行あけもうまい。文章が明快でした」
山上は典型的な「宗教2世」だ。数々の“カルトの子”を取材してきた米本氏にはどう映っているのか。
「多くの宗教2世の感情は内に向いてしまう。外への攻撃に向かったのは、私がこれまで見てきた中でも彼だけ。彼の母親は“子供より統一教会”だった。親は選べない。その問題を一番に考えるべきなんです」
米本氏は統一教会に関しては“反統一教会”批判も展開。『我らの不快な隣人』(08年)では、信者を拉致監禁して脱会させてきた家族と協力者の行動を厳しく追及している。
なぜ山上は米本氏に手紙を託したのか?
統一教会を憎悪し続けてきた山上は、なぜそんな米本氏に手紙を託したのか。
米本氏は「僕が“反カルトのカルト性”を問題にしていることをおそらく彼は知っているから」と語り、山上から届いた手紙の一節を指し示した。
〈私は「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書きましたが あの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました〉
米本氏が言う。「この部分は自身の行動を“反カルト”に重ねて書いたのだろう。僕は以前から反統一教会の人たちに『お前らも(統一教会と)同じだよ』と指摘してきました。彼らは『カルトは悪いからやっつけよう』と断罪するだけ。信者の気持ちへの配慮は一切ない。その問題点を山上君はわかっている。メディアもすべてを『白か黒か』にする。カルト的です。今は統一教会バッシング一色でしょう。『白か黒か』で分けられるものは世の中にはありません。黒の中にも白があるし、白の中にも黒があるんです」
今後、米本氏は山上と“対話”したいと明かす。
「接見はすると思うよ。本を差し入れてあげようと考えています」
唯一気持ちを打ち明けた人物と対峙した時、山上は何を語るのだろうか。
●山上容疑者は「無期懲役」が有力 「元総理が被害者であることは影響しない」 8/4
親が熱心な信者という「宗教2世」の苦悩を手製の薬きょうに込めた山上徹也容疑者(41)。奈良地検は鑑定留置を行うことを決めた。世間ではその境遇に同情論や“神”扱いする声まであるが、果たして、求刑・判決はどうなるのか。
「逮捕されて3週間、これまで再三にわたって山上宅の家宅捜索が行われています。24日にも所有品の押収がありました」と、社会部デスク。
「逮捕当初から捜査は本人の供述頼みの面があり、供述を裏付けるためにその都度捜索が行われているのです。24日には家から衣服とレシートを押収。衣服は自宅で火薬を乾かす際に身に着けていたもので、レシートは銃の材料を購入した際のものだと思われます」
25日午前、山上の身柄は勾留されていた奈良西署から大阪拘置所へ移送された。奈良地裁により、鑑定留置が認められ、11月29日まで、精神鑑定が行われることになる。
「念のため精神鑑定」
「だいぶ調べが進んだ後の精神鑑定なので、検察としても裁判を見据えて、念のため精神鑑定をしておくということでしょう」と、言うのは元東京地検特捜部副部長の若狭勝氏。
「裁判になって被告人の弁護士から責任能力に問題があると主張されたときへの備えだと思います。見るからに責任能力がない場合は供述が固まる前に鑑定を行うはずですから」
そもそも「責任能力」とは何か。若狭氏によれば、二つの能力があるという。
「一つは物事が善いか悪いかを判断する能力。二つ目は、その判断に基づいて犯罪を行わないよう自分を律することができるか、というもの。神からのお告げや幻覚・幻聴のために自分の行動をセーブできないのは、心神喪失、責任能力がないと判断されます」
「独裁国家なら…」
山上の場合はどうか。
「安倍さんが統一教会の関連団体に寄せたビデオメッセージを見て、安倍さんと統一教会に深い関係があると考えた。例えば、Aさんを憎んでいるのに、たまたま会ったBさんに襲い掛かるなど、動機と行為が結びつかない場合、責任能力に問題ありと判断されます。山上の場合は、統一教会への憎悪が安倍さんに向いた。動機と行為が一応結びついていると理解することができます」(同)
実際の判決について、元裁判官で弁護士の井上薫氏は、事件についての情報が少ないと留保しながらも、「殺意が強く、犯行も用意周到ですから、罪はやはり重くなると思います。死刑にはならないにしても、無期懲役になる可能性があるのではないでしょうか」
先の若狭氏も、「無期懲役の求刑・判決がもっとも考えられます」と、こう続ける。
「永山則夫の事件で示された『永山基準』をはじめ、過去の判例の蓄積から、殺害された被害者の数が複数でないと死刑になりにくい。ひとりでも死刑になるのは殺し方が残忍な場合です。例えば、生きている人間を火であぶったり、電動のこぎりで首を切り落とすなど、身震いするような殺害方法なら死刑はあり得ます」
「無期懲役」が有力か
とはいえ、今回は一国の総理を務めた人物。それも憲政史上最長政権を築き、世界の指導者と伍した元総理が被害者という点は考慮されないのだろうか。
「例えば独裁国家で独裁者を殺せば、死刑かもしれませんが、今回は現職の総理でもなく、政府を転覆させようというつもりもない。安倍元総理が被害者であることは判決に影響しないのでは」(井上氏)
若狭氏はむしろ、情状酌量について指摘する。
「殺害の動機が、統一教会によって母親と家族の生活がめちゃくちゃにされた、ということならば、裁判員裁判での情状酌量の余地はあると思います。ただ、一概に無期懲役を有期刑に減刑するまでの情状酌量になるかというと、その点については裁判員と裁判官によって意見が異なるのではないでしょうか」
やはり「無期」が有力とみる。しかし、皮肉にも、山上が放った凶弾は狙い通り、統一教会の「カルト」ぶりと政界との癒着をあぶり出している。いかなる量刑になろうと、かような状況を作り出せたことが彼の本望だったに違いない。

 

●旧統一教会を「法律の範囲を超えて攻撃していくのは山上容疑者の意図・・・」 8/5
5日放送のTBS系情報番組「ゴゴスマ」(月〜金曜・午後1時55分)では、自民党の下村博文前政調会長が4日、自身が文部科学相を務めていた2015年当時、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の名称変更申請を文化庁が認めたことについて「今となれば責任を感じる」と述べたことを前日に続いて特集した。
コメンテーターで出演の元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏はコメンテーターのナジャ・グランディーバが「安倍(晋三)さんの(銃撃)事件がなかったら、この(旧統一教会の)問題は明るみになってなかった?」と聞くと、「残念だし、悔しいところなんですけど、山上(徹也)容疑者の意図した通りになってます」と発言。
「あの事件がなければ、(旧統一教会問題の)対策弁護団は頑張っているけど、ここまで情報番組を席巻するような話題にはなっていなかったでしょう。僕は話題にすることは重要だし、悪いことは悪いと言うべきなんだろうけど、山上容疑者の意図通りに過剰に法律の範囲を超えて攻撃していくのは、山上容疑者の意図した通りになっちゃうんです」と話すと、「僕は(発言が旧統一教会寄りなど)何を言われてもいいんだけど、あくまで法律に照らして、法律がおかしいなら法律を変えていくべきだと」と続けていた。
●旧統一教会と政治家との関係続々と 選挙に協力した宗教2世 8/5
安倍晋三元総理大臣の銃撃事件を機に、「世界平和統一家庭連合」=旧統一教会と政治家との関係が表面化し、問題視されている。「上からの指示は絶対」と教えられ、選挙の支援や、特定の候補者の投票を求められた信者の子供たち。教団の関連イベントに関わったり、選挙運動を手伝ってもらったりした政治家たち。専門家は、政治家側も旧統一教会側もメリットがあったとし、政治家は社会問題となっている宗教団体との関係を絶たなければならないと指摘する。
旧統一教会と政治家の関係続々と
安倍元総理大臣が死亡した銃撃事件を起こした山上容疑者は、「旧統一教会=『世界平和統一家庭連合』の信者である母親が多額の寄付をし、家庭生活がめちゃくちゃになった」と供述している。この事件を機に、政治家と教団との関係が続々と明らかになっている。
安倍元総理大臣の実の弟の岸防衛大臣は、旧統一教会のメンバーが自らの選挙運動を手伝っていたことを明らかにした。
「旧統一教会の皆さんは、何人かは存じ上げている。おつきあいもあり、選挙の際もお手伝いいただいた。電話作戦など、ボランティアでお手伝いいただいたケースはあると思う。旧統一教会に手伝ってもらったというよりは、旧統一教会のメンバーに、ボランティアでお力をいただいたということだ。選挙なので、支援者を多く集めることは必要なことだと思っている」(7月26日記者会見)
岸大臣はその後、関係を見直す考えを明らかにしている。
二之湯国家公安委員長は、旧統一教会の関連団体のイベントで、2018年に京都府実行委員会の委員長を務めたことを明らかにしている。
「平和の祭典という趣旨だったので名前を貸したのであり、旧統一教会の会員ではないし、どういう教義を持って活動しているのか分からない。私は議員活動はもうしていないので、そういう関係は自然と消滅していくのではないか」(8月2日記者会見)
自民党の井上義行参議院議員は、先の参議院選挙で統一教会からの支援を受けたのではないかと指摘されている。教団との関係についてコメントを出した。
「信徒ではなく、私の政策に賛同を得られたことから、一般的に『賛同会員』と呼ばれている。選挙は、推薦団体が増えたこと、安倍元総理大臣の支援、世界平和統一家庭連合の企画などを通じた呼びかけなど、応援していただいたすべての方々の結果だと思っており、感謝している」
末松文部科学大臣は、事務所によると、去年とおととし、それぞれ旧統一教会の関係者がパーティー券4万円分を購入していたという。
また、野田少子化担当大臣は、旧統一教会の関連団体が共催したシンポジウムに、去年、秘書が出席していたと明らかにした。
立憲民主党や日本維新の会の議員の中にも、旧統一教会主催のイベントに祝電を送ったり、関連団体のイベントに出席したりした議員がいた。
政治家と旧統一教会の関係 双方にメリット
宗教と政治の関係を研究している上越教育大学の塚田穂高准教授は、政治家と旧統一教会の関係はそれぞれにメリットがあると指摘する。
「政治家側のメリットとしては、教団の信者らが選挙の運動員として派遣されてきたことが大きい。また限定的だが、票田として特定候補者に最大で数万票を積むという役割も果たしていた。政策面での支持や提言もあった。教団側としては、政治家とつながっていることで、自分たちの活動が認められているという“お墨付き”を得たと感じられるし、対外的には広告塔にもなりうる。さらに、教団への捜査や追及の手から守ってもらうという動機もあっただろう」
“つきあうべきではなかった団体”
そして、関係を絶つべきだとし、こう追及する。
「端的に言えば、政治家がつきあうべきではない団体と関わっていたということに尽きる。旧統一教会は、“霊感商法”をめぐって複数の信者が逮捕された刑事事件を起こしたり、多額の強要的な献金をめぐって民事訴訟を数多く起こされたりして、その活動の違法性が指摘されている。さらに、正体を隠した勧誘活動を広く行ってきたことでも知られ、社会問題性や反社会性がある団体だ。この旧統一教会の特殊性を見逃してはいけない。政治家は、たとえ“うっかり”であっても、教団側に祝辞を述べることや、メッセージを送ることが、被害を受けた人や、苦しんだ人の傷口にどれだけ塩を塗るような行為であったか認識すべきだ」
“関係を絶つ必要がある”
現代日本政治を専門とする立命館大学の上久保誠人教授も旧統一教会が反社会的行動を取ってきたことを問題視している。
「“霊感商法”などで社会的に問題となった団体と関わることで、教団に社会的な信用を与えているというのが問題だ。被害者もたくさんいる中で、結果として教団を助けることになっている。反社会的行動をしていた団体であるということが重要で、政治家は関係をうやむやにするのではなく、断つ必要がある」
当たり前だった選挙協力 “ウグイス嬢”として
旧統一教会と政治との関係について、私たちは信者を親に持つ子供たち、いわゆる“宗教2世”に話を聞くことができた。
両親が旧統一教会の信者だったという女性。今は、脱退しているが、女性自身も、旧統一教会の信者だった。当時は国政選挙の度に様々な協力を教団側から求められ、女性は選挙カーで投票を呼びかける“ウグイス嬢“として動員されたと証言した。当時はそうした協力を疑問に思うことはなかったと言う。
「私自身、約20年前〜10年ほど前までウグイス嬢としてたくさんの国政選挙に行きました。旧統一教会の関連団体からの指示のもと、当たり前のように信者が選挙応援に行っている状態でした。自分の意志で応援しているというよりも、ほとんど義務感で行き始めて、途中からは行くのが当たり前のようになっていました」
さらに、女性は旧統一教会と政治との関係は選挙の協力にとどまらず、国会議員を日常的に支える仕事にも及んでいたと証言した。
「教団側から信者を秘書として国会議員側に送り込むこともありました。国会議員からしてみれば、教団側に頼むだけで真面目に仕事をして、大卒で英語もできるレベルの人が来るからということで、『君も頼みなよ』と議員から議員にと紹介する形だったと聞いています」
度重なる投票の呼びかけも
“選挙への協力は当たり前”という旧統一教会の空気に違和感を持ったという2世の男性もいる。両親が信者で、教会の教えや献金のあり方に疑問を持っているが、脱会せずに教会に残り続けている。
男性は、今年7月の参議院選挙の際、旧統一教会の支部の役職者から送られてきたメッセージを見せてくれた。そこには、特定の候補者に投票するよう求める内容が記されていた。
「一人でも多く〇〇先生に投票してくださいと、あとは周りの知人とかにも投票をお願いしてくださいという旨が書いてあります。これまでの別の選挙でも、教会全体として今回はこの候補を応援しましょうと、特定の人や党を応援するということは、今までもよくありました。信者たちは『とりあえず教会が“この人に入れろ”って言ってるから入れておくか』みたいな感じで。それって本来あるべき選挙の姿とはちょっと違うのかなと感じています。本来なら自分の頭で誰に入れるべきなのかを考える機会があるはずだと思うんですけど。自分で考える機会を奪われているというのはあるのかなと思います」
取材を進めると、旧統一教会の2世たちの多くが、今回の選挙で同じように特定の候補者への投票を呼びかけられていたこともわかった。
SNSのLINEで繰り返し投票をお願いされたケースや、信仰心の強い両親に対して、信仰への拒否を伝えると投票所入場券を隠されてしまい、投票することを諦めたと証言する2世もいた。
選挙の際の対応について、NHKが旧統一教会に取材したところ、次のように回答した。
「特定の政党ならびに特定の候補者を組織的に応援することはありません。(※他の友好団体においてはその限りではございません。)なお、信徒個人が思想信条の自由によって行う、個人的な政治活動については把握することができません」
政治と宗教の関係はどうあるべき
政治と宗教の関係はどのようにあるべきなのか。
上越教育大学の塚田准教授は、宗教団体一般が特定の政党や候補者を支援することが問題なのではなく、政治家が反社会性のある団体と関わることが問題だと言う。それとともに政治と宗教との関係を公表すべきだという認識を示した。
「大事なのは政治と宗教の関係を透明化することだ。政治家はどのような宗教団体からどのような支援を受けているか、また宗教団体もなぜその候補者を支援するのか公表すべきで、有権者はそれも判断材料として投票できる形が望ましい」
立命館大学の上久保教授は、政治家個人が旧統一教会との関係を絶つためには、党がリーダーシップをとる必要があると言う。
「特に関係した議員が多い自民党は、首相や党の幹部がリーダーシップをとって、一人一人の議員に検証や説明をきちんとさせて関係性を正すことが重要だ。また、国会で徹底的に議論に応じるべきだ。地方議会から国会に至るまで追及されなければならない」
●旧統一教会との関り「知らなかった 子どものためと思いやった」複数議員 8/5
「ピースロード」イベントの実行委員会の役員には、鹿児島県関係の国会議員や県議・市議が名を連ねていました。イベントの実行委員長を務めた県議は、旧統一教会と関りがあるとみられる団体との関係については「知らなかった」としています。
MBCが入手したイベントの実行委員会の名簿には、「顧問」として自民党の現職衆議院議員2人と、元衆議院議員1人の名前が記されていました。このほか、自民党の県議2人と自民党の鹿児島市議4人、姶良市の元市議1人も委員などを務めていました。
その一人で実行委員長として名前が記されていた、自民党の長田康秀県議がMBCの取材に応じました。
自民党 長田康秀県議会議員「(Q.旧統一協会の関連団体のイベントだったことは?)全く知らない。存じ上げていない」
長田議員は、知り合いの紹介で関連団体のセミナーに参加したのをきっかけに去年の大会に「委員」としての立場で初めて参加しましたが、宗教色はなかったと話します。
自民党 長田康秀県議会議員「子どもたちが平和を訴えながら自分たちで自転車でタスキをつなぐイベント。青少年の育成、大人としてもいい取り組みだと思った。(Q.イベント自体に宗教色、違和感は?)全くない」
選挙や政治に関する団体との関りはないとしたうえで、今後については関係を見直すとしています。
自民党 長田康秀県議会議員「金銭的な支援は一切ない。ただ、選挙支援の時はいろんな方が来るので、(信者が)個人的に演説会とか、事務所に来ていたことも100%あるともないとも言えない」「(役職を)子どもたちのためを思ってやったが、反省しないといけない」
●臨時国会3日で閉会に批判の声「国会閉じて夏休みかよ」… 8/5
8月3日、岸田文雄首相は、自民党本部で開かれた両院議員総会で、こう危機感をあらわにした。
「私たちはいま、『新型コロナ』『ウクライナ』『世界的な物価高騰』など、歴史を画するような大きな課題に直面している。戦後、最大級のこの難局に直面している」
次々と明らかになる、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党国会議員との関わりや、賛否が割れる安倍晋三元首相の国葬、中国が日本の排他的経済水域(EEZ)内に発射したミサイル5発、さらに新型コロナウイルスの第7波……たしかに、「戦後最大級の難局」といえるだろう。
だが、8月3日に召集された臨時国会の会期はわずか3日。政府・与党は国民の前での議論や説明を、事実上、拒んだ形だ。
「旧統一教会との関係についても、岸田首相は7月31日に『政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明していくことが大事だ』と述べただけです。本格的な法案審議、与野党の論戦は秋の臨時国会に持ち越しとなりました。岸田内閣の支持率が下がるなか、本格的な論戦を受けて立つのは不利と判断したのでしょう」(政治部記者)
ネット上でも、たった3日間で臨時国会が閉じる事態に、「国会を閉じるな」という声が多く上がっている。
《統一教会 円安・物価高 大雨災害 これだけ問題発生時に3日で国会を閉じるな!》《保身と疑惑隠しのために国会を閉じるな》《かつてない危機に直面している時に、このまま国会を閉じて夏休み…でいいはずがないでしょう》《こんなに問題山積なのに、たった3日で国会を閉じて夏休みに入ろうだなんて》
実のところ、岸田首相が「戦後最大級の難局」と認めるなら、会期を長く取ることは可能だという。
「1998年7月30日からの臨時国会は、当時の小渕恵三首相のもと、79日間という異例の長さになった例があります。1998年7月12日の参院選で自民党が大敗し、橋本龍太郎首相が退陣。新たに首相に選出された小渕首相が、金融危機のさなか、秋まで法案審議に精力的に取り組み、金融再生法、金融早期健全化法などを成立させました。野党案を『丸のみ』したと批判されましたが、結果を出したのは事実です」(同)
「冷めたピザ」と揶揄されながら、辛抱強く国会論戦に臨んだ小渕元首相を、岸田首相も見習ってほしい。
●旧統一教会の名称変更 前川喜平氏「当時の下村大臣の意思」  8/5
旧統一教会の名称変更が行われた経緯をめぐり、立憲民主党や共産党などが合同でヒアリングを行いました。旧統一教会から相談が寄せられた時に担当課長を務めていた前川喜平 元文部科学事務次官は、平成27年の名称変更に反対したにも関わらず認証されたと説明した上で「当時の下村文部科学大臣の意思が働いていたことは間違いない」と述べました。
文化庁が平成27年、旧統一教会から「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認証した経緯をめぐり立憲民主党や共産党、れいわ新選組などは、5日午後、国会内で会合を開き、前川喜平・元文部科学事務次官からヒアリングを行いました。
この中で前川氏は、平成9年に旧統一教会側から名称変更の相談が寄せられた際、担当の文化庁宗務課長として、部下の職員から報告を受けていたと説明しました。
その上で「宗務課の中で議論した結果、実態が変わっていないのに名前だけ変えることはできないとして、認証できないと伝え、『申請は出さないでください』という対応をした。相手も納得していたと記憶している」と述べました。
そして前川氏は、18年後の平成27年に文部科学審議官を務めていた際、当時の宗務課長から教会側が申請した名称変更を認めることにしたと説明を受け、認証すべきでないという考えを伝えたと明らかにしました。
この時の経緯について前川氏は「『認証できないから申請を受理しない』という方針を一転し、受理して認証したので、前例を踏襲する役所の仕事からすると、何らか外部からの力が働いたとしか考えられない」と指摘しました。
また前川氏は、当時、文部科学大臣を務めていた自民党の下村前政務調査会長が担当者から報告を受けたものの、判断には関与していないと説明していることについて「下村大臣まで話が上がっていたのは、判断や指示を仰いだことと同義だ。『イエス』か『ノー』か、どちらか言ったはずで、結果を見れば『イエス』と言っているはずだ。下村氏の意思が働いていたことは100%間違いないと思っている」と述べました。
前川喜平氏の説明は
5日のヒアリングで、文部科学省の元事務次官、前川喜平氏は宗教法人を所管する文化庁の宗務課長を務めていた1997年(平成9年)に、旧統一教会から名称変更の相談を受けた際の経緯などについて説明しました。
この中で前川氏は「宗務課の中で議論した結果、実態が変わっていないのに名前だけ変えることはできない。当時、『世界基督教統一神霊教会』という名前で活動し、その名前で信者獲得し、その名前で社会的な存在が認知され、訴訟の当事者にもなっていた。その名前を安易に変えることはできない。実態として世界基督教統一神霊教会で、『認証できないので、申請は出さないで下さい』という対応をした。相手も納得していたと記憶している」と述べました。
その18年後の2015年(平成27年)、文部科学審議官だったとき「当時の宗務課長から突然、『統一教会の名称変更を認証することになった』と報告を受け、『認証すべきではない』と意見を述べた」と説明しました。
前川氏は「そのときの宗務課長の困ったような顔を覚えている。私のノーよりも上回るイエスという判断ができるのは誰かと考えると、私の上には事務次官と大臣しかいなかった。何らかの政治的な力が働いていたとしか考えられない」と述べました。
さらに「当時の下村文部科学大臣まで話が上がっていたのは、『報告』したのではなく、『判断や指示を仰いだこと』と同義だ。当時の下村文科大臣はイエスかノーか意思を表明する機会があった。イエスもノーも言わないとは考えられない。結果としては、イエスとしか言っていない。下村さんの意思が働いていたことは100%間違いないと思っている」と述べました。
一方、宗教法人の名称変更について、文化庁が形式上の要件以外を理由として申請を拒むことはできないなどと説明していることについて、前川氏は「書類がそろっていれば認証というわけではない。申請内容に実態が伴っていない場合は、認証しないという判断をして宗教法人審議会にかける道があったはずだ」と述べました。
旧統一教会 名称変更の経緯は
旧統一教会が「世界平和統一家庭連合」に名称を変更した経緯です。
旧統一教会のように、複数の都道府県で宗教活動用の施設を持つ宗教団体が名称を変更するには、文部科学大臣宛てで文化庁に申請を行い、認証を得る必要があります。
文化庁は、出された申請が法律などに適合しているかを審査し、認証するか、しないかを決定します。
文化庁によりますと、旧統一教会からは1997年以降、「世界平和統一家庭連合」への名称の変更について複数回、相談を受けていたということです。
そうした動きを受けて、全国霊感商法対策弁護士連絡会は、統一教会が関係する霊感商法や献金の強要などのトラブルが相次いでいるとして、名称変更を認めないように繰り返し求めていました。
2015年3月に文化庁などに送った申し入れ書では「宗教団体であることさえ判らない名称で、宗教の勧誘であることに気づかないように仕組んでいる」などと訴えていました。
その3か月後、最初の相談からは18年後の2015年6月、旧統一教会は文化庁に名称変更についての正式な申請を初めて出し、文化庁は2か月後の2015年8月に認証を決定しました。
文化庁によりますと、名称変更の手続きは通常、部長の決裁で済むので大臣に報告しませんが、旧統一教会から申請を受けたときは、当時の担当者が大臣に報告したということです。
末松文部科学大臣は5日の閣議のあとの会見で、申請を受理する前と認証の決定前に担当者から報告が行われたことを明らかにした上で「社会的に注目度の高い法人だったので報告したもので、文部科学大臣が政治的な判断を行ったものではない。当時の文化部長から確認しているが、下村氏から何ら指示などはなかった」と述べました。
当時、文部科学大臣を務めていた自民党の下村前政務調査会長は、3日、記者団の取材に答え「文化庁の担当者からは『旧統一教会から18年間にわたって名称変更の要望があり、今回、初めて申請書類が上がってきた』と報告を受けていた。担当者からは、『申請に対応しないと行政上の不作為になる可能性がある』と説明もあったと思う。私が『申請を受理しろ』などと言ったことはなかった」と述べ、関与を否定しました。
また、申請が認められる前の2013年から2014年にかけて、旧統一教会と関わりがある世界日報社の月刊誌でインタビューなどに応じていたほか、2016年には下村前政務調査会長が代表の政党支部が、世界日報社の社長から6万円の献金を受けていました。
こうした関わりについて問われると「認証問題とは全く関係ない。旧統一教会との関係は、関連団体も含めて、政治家は襟を正しながら距離を置くことが必要だ」と話していました。
一方、名称変更を認めないように申し入れをしていた全国霊感商法対策弁護士連絡会の川井康雄弁護士は先月29日の会見で「統一教会であることや、宗教団体ということを隠して教義を広げ、信者にするという方法を取っていたが、それに拍車をかけたのが、名称変更だった」と話しています。
一連の経緯について「世界平和統一家庭連合」は、これまでの声明の中で、「創始者は統一教会の創立当時から、今の名称を使用することを考えておられた。“世間の批判をかわすため”に名称を変えたかのような批判は、事実無根の的外れな憶測、決めつけにすぎません」とコメントしています。
●兵庫県関係の国会議員32人アンケート 8人が旧統一教会と関わり 8/5
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家の関係が問題視される中、神戸新聞社は、兵庫県関係の国会議員32人に教団との関係を尋ねるアンケートを行った。自民党議員を中心に8人が、教団の関係者らに政治資金パーティー券を購入してもらったり、関連イベントに出たりしたことなどを認めた。選挙活動で支援を受けた議員もいた。
アンケートは、県内に活動拠点がある32人(自民12人、立憲民主党3人、日本維新の会13人、公明党4人)に実施。山口壮環境相(自民、衆院兵庫12区)はアンケートに「相手方のあることなので、個別の問い合わせには回答していない」としたが、5日の会見で、過去に関連イベントに祝電を送ったと明らかにした。
末松信介文部科学相(自民、参院兵庫選挙区)は2020〜21年、教団の関係者にパーティー券を買ってもらったと公表。末松氏の事務所は「(当時)教団の関係者という認識がなかった」としている。
渡海紀三朗衆院議員(自民、兵庫10区)は、2期目を目指した1990年の衆院選で、ボランティアとして電話当番などを手伝ってもらったという。教団側と接点を持った経緯について「先輩議員からの紹介」と回答。関連イベントに参加するなどしていた加田裕之参院議員(自民、兵庫選挙区)は「支援者からの紹介や、さまざまな場で自分やスタッフが名刺交換を行った方から案内をいただいたと思われる」と説明した。
落選中だった2007年以前にイベントに参加したと答えた室井邦彦参院議員(維新、比例代表)の事務所は「声を掛けられた会合には出席するようにしていた時期で、イベントは(教団と)関連があると認識していた」とした。
山田賢司衆院議員(自民、兵庫7区)はアンケートに関わったイベントの名称は示したが、出席したのか、メッセージを送ったのかを明記しなかった。政治と宗教の関係を問う設問では、大半の議員が信教の自由を尊重するとした一方で、「反社会的団体との関係は控えるべきだ」とした。
旧統一教会は信者からの高額献金などを巡るトラブルを今も抱えており、井坂信彦衆院議員(立民、兵庫1区)は「カルト問題は宗教ではなく、反社会的団体による詐欺および不法行為として取り締まるべきだ」と答えた。
宗教と政治の関係に詳しい関西大の小西秀樹教授(政治学)の話
宗教団体や関連団体が政党や議員、候補者を支援すること自体は否定できない。だが旧統一教会は社会的な問題を引き起こしており、政治と宗教のあり方の一般論でごまかし、問題をうやむやにしてはいけない。各政党は徹底した調査を行い、説明責任を果たした上で、同教会からの支援は拒絶すべきだ。反社会的勢力の存在は政治不信を招き、かえって政党の組織基盤を揺るがすことになる。
●国光文乃、石川昭政、加藤明良の3氏が旧統一教会関連団体と関りあり 8/5
安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と政界の関係に注目が集まっている。本紙が茨城県関係国会議員十六人にアンケートを実施したところ、自民党の国光文乃(衆院6区)、石川昭政(衆院比例北関東)、加藤明良(参院茨城)の三氏が、過去に教団や関連団体の集会に出席したりメッセージを送ったりしたことがあると答えた。自民の額賀福志郎(衆院2区)、梶山弘志(衆院4区)両氏からは回答が得られなかった。
アンケートでは、(1)旧統一教会や関連団体の関係者に会う、主催する集会に出席する、祝電を送る、パーティー券を購入してもらうなどの関わりを持ったことがあるか(2)自身の選挙運動の手伝いや票の取りまとめをしてもらったことがあるかーの二点を尋ねた。
国光氏は「地元支援者から依頼があり、祝電を送ったことなどはある」と答えたが、送付先の団体名や祝電の内容、時期などは明かさなかった。今後については「国民の皆さまにご心配をおかけしないよう一層気を引き締め、適切に対応していきたい」とした。
石川氏は(1)の質問に「過去に一度、メッセージの求めに対しては、他の団体と同様に失礼のないような対応をしている」と回答した。それ以外の関与は否定した上で、「いかなる宗教団体も、信教の自由および法で認められている活動については、人々が幸福になるための活動がなされるべきだ」などと付記した。
加藤氏は、県議時代の二〇一九年六月の自身のブログで、「世界平和女性連合茨城第一連合会後援会」であいさつしたことを記している(現在は削除)。世界平和女性連合は旧統一教会の関連団体。
加藤氏はこの集会への出席を認めた上で、「留学生の激励という趣旨だったので依頼を受けて出席したが、関連団体とは把握していなかった」と説明した。
梶山氏の事務所は「回答できない」と返答。額賀氏の事務所は「確認している最中」として、締め切りまでに回答しなかった。
自民の葉梨康弘(衆院3区)、永岡桂子(衆院7区)、田所嘉徳(比例北関東)、上月(こうづき)良祐(参院茨城)、立憲民主党の青山大人(やまと)(比例北関東)、中村喜四郎(同)、小沼巧(参院茨城)、日本維新の会の石井章(参院比例)、国民民主党の浅野哲(さとし)(衆院5区)、無所属の福島伸享(のぶゆき)(衆院1区)、堂込(どうごみ)麻紀子(参院茨城)の十一氏は、いずれも「(関わりは)ない」などと答えた。
アンケートには自由回答欄も設けた。福島氏は「何人かの知人を通じてアプローチがあったが、これまでの行為にかんがみて全て断ってきた」と記した。

自民では、閣僚を含む複数の国会議員について教団との関わりが明らかになっているが、茂木敏充幹事長は二日の記者会見で「党として組織的な関係はない」と説明。「個人の活動についてはそれぞれの議員が適切に説明すべきだ」とし、党主導で調査する考えは示さなかった。
立民は所属国会議員と教団の関係を調査。西村智奈美幹事長が二日、八人について祝電を送るなどの接点があったと明かした。選挙活動への支援は確認されなかったとした。
維新も所属国会議員を対象に調査し、十三人が関連団体のイベントに出席するなど、何らかの関わりがあったと公表。寄付や選挙支援を受けた議員はいなかったとした。
国民は四日現在、党内調査はしていない。玉木雄一郎代表が一六年、教団と関係が深いとされる「世界日報」の元社長から三万円の寄付を受けていたことなどが判明している。

 

●「銃」描写の小説押収、奈良県警 通読し執着深めた可能性 安倍氏銃撃 8/6
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、奈良県警が山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検、鑑定留置中=の自宅マンションから、複数の小説を押収していたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。小説には銃を使う場面もあった。県警は山上容疑者が小説を読むなどし、銃を使った犯行への執着を深めていった可能性もあるとみている。
県警は事件当日以降、奈良市内にある山上容疑者の自宅マンションや実家などを捜索。書籍やノート類を押収した。捜査関係者によると、書籍には小説が複数冊含まれており、一部に銃を使用する描写があった。
山上容疑者は当初爆弾を作ろうとしていたが、昨年春ごろに銃の製作に切り替えたと説明。爆弾から銃に変更した理由については「爆弾だと多くの人を巻き込んでしまうが、銃であればピンポイントで狙える」という趣旨の供述をしていることが判明している。
また、山上容疑者は令和2年12月、島根県のフリージャーナリストのブログに「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書き込み、この時期から銃での襲撃を画策していたとみられる。犯行前日にこのジャーナリストに送った手紙では、ブログへの書き込みに触れた上で「あの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました」と記しており、1年以上にわたって銃の製作に固執してきたことを示唆していた。
県警は、山上容疑者が自作の銃を使った襲撃計画を進めた背景について、押収した小説なども含め詳しく調べている。山上容疑者は銃の製作方法について「インターネットで調べた」と供述。自宅マンションと奈良市内に借りた集合住宅やガレージを拠点に製作していたとみられている。
●「辞職しねーと山上徹也みたいに強硬手段に…」河村名古屋市長にメール 8/6
名古屋市の河村たかし市長に対して、「辞職しないと強硬手段に出る」などと書かれた安倍元総理の銃撃事件を連想させる殺害予告メールが届いていたことが分かりました。
捜査関係者によりますと、7月26日、名古屋市のメールフォームに河村たかし市長宛ての殺害予告とみられるメールが届きました。メールの文面には「さっさと辞職しねーと山上徹也みたいに強硬手段に出るしかねーかもな」「死んでもいいんなら市長やめなくていいよ」などと書かれていたということです。市はメールの文面が安倍元総理の銃撃事件を連想させる内容だったことなどから、8月1日になり警察に被害届を提出していました。愛知県警中警察署は被害届を受理し脅迫事件として捜査するとともに、河村市長への警備を強化することにしています。
●旧統一教会関連イベント、実行委顧問に鹿児島県の自民国会議員3人 8/6
南日本新聞は5日までに、鹿児島県関係国会議員の現職8人と前職4人に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりをアンケートなどで尋ねた。全員が「教団の信者や賛同会員ではない」とし、政治資金の提供や選挙の手伝いを受けたことは「ない」と回答した。関連団体の会合やイベント「ピースロード」については、いずれも自民の3人が出席したり、実行委員会の顧問だったと答えた。
保岡宏武氏(自民、衆院九州比例)の事務所によると、当選前の2019年と20年に「日韓トンネル推進鹿児島県民会議」、21年に「平和大使協議会セミナー」に参加した。事務所は「旧統一教会関連の会合だという認識がなかった。今後、関係の深い団体の催しには参加しない」とした。
金子万寿夫氏(自民、衆院前職)によると、在任中の21年に「日本・世界平和議員連合懇談会総会」に出席した。金子氏は「国会議員による平和のための議員連盟と認識していた。今後は慎重に判断する」と答えた。
ピースロードの21、22年のチラシには、小里泰弘氏(自民、衆院九州比例)、保岡氏、金子氏の名前が顧問として記載されている。取材に対し小里氏事務所は「21年分はチラシで名前の掲載を確認した。頼まれた経緯は分からない」。保岡氏事務所は「引き受けた認識はない」、金子氏事務所は「顧問となった経緯は不明」と回答した。いずれも教団とピースロードの関連は知らなかったとした。
北海道大学大学院の櫻井義秀教授(宗教社会学)は旧統一教会が政治家と関わりを持つ狙いについて、「政治家の名前が教団に信用を与える広告塔となるほか、シンパや代弁者として利用する目的がある」と説明する。教団について「30年以上前から霊感商法や度を超した多額の献金が社会問題となり、違法判決も出ている」と批判。「関わりを持つ政治家は教団に寄与している認識を持ち、今後どうするか、きちんと示す必要がある」と指摘した。
●旧統一教会に祝電、山口環境相「事務所が機械的に出した」  8/6
霊感商法などが社会問題化した「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と国会議員の関わりが相次いで判明している問題で、新たに2閣僚が5日、祝電を送るなどの関係を認めた。
山口環境相は記者会見で、関連イベントに祝電を送っていたと明らかにし、「事務所が機械的に出したようだ。これからは出さない」と述べた。小林経済安保相も記者会見で関連会合に祝電を送り、別の会合では出席してあいさつしたことを明らかにした。小林氏は「この団体と今後関係を持つつもりはない」と語った。
このほか、公明党の石川博崇参院議員は関連イベントに短時間出席したことを記者団に認めた。日本維新の会は、石井苗子参院議員が関連イベントに出席していたと発表した。
●国家公安委員長、旧統一教会に関わる事件「被害届ない」を「検挙がない」訂正 8/6
8月5日、二之湯智国家公安委員長は閣議後の会見で、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の霊感商法に関して、2010年を最後に「被害届はない」と発言した。ところが、会見終了後、警察庁は「被害届」ではなく、2010年を最後に「検挙がない」と訂正した。
二之湯国家公安委員長は、こう語っていた。
「警察としては、違法行為があれば法と証拠に基づいて適切に対処していかなければならないが、私が申し上げた(2010年)以降はそういうことがない。被害届があれば別だが、警察として特別、動きはないということです」
それを警察庁が、あわてて2010年を最後に「検挙がない」と訂正したのだ。
旧統一教会による霊感商法被害の根絶や、被害者の救済を目的に活動している「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)の集計では、2010年から2021年の12年間で、確認できた被害金額は138億円、相談件数は2875件にのぼる。ところが、この期間中、「検挙」はなかったわけだ。
「2005年から2010年にかけて、警察は、霊感商法による販売行為や献金勧誘に絡む物品販売について検挙し、13件で30人以上の旧統一教会信者が摘発され、逮捕・勾留されました。2009年の『新世事件』では、東京の統一教会信者2名が執行猶予つき懲役刑の判決を受けています。それが2010年以降は、一度も検挙されなくなってしまったわけです」(社会部記者)
7月12日に開かれた「全国弁連」の記者会見で、渡辺博弁護士は、こう憤っていた。
「(2009年の『新世事件』のあと)旧統一教会の責任者が、自分たちの機関紙の中で『政治家との繋がりが弱かったから、警察の摘発を受けた。今後は、政治家と一生懸命繋がっていかなきゃいけない』と『私たちの反省』として述べていた。わたしたちが国会議員の方々に、旧統一教会の応援をするのをやめてくださいよ、と呼び掛けている理由も、そこにあります。やっぱり旧統一教会の被害者にとっては、政治家との繋がりがあるから、警察がきちんとした捜査をしてくれないというような思いがずっとあると思います。私どもにもあります」
全国弁連の代表世話人をつとめる山口広弁護士は「日刊ゲンダイ」の取材にこう語っている。
「新世事件以降の政治の横やりも影響したのか、2010年ごろに撃ち方やめとなってしまったんです。(新世事件に関して)警視庁は当初、統一教会の松濤本部までガサ入れする方針だったのに、警察庁出身の自民党有力議員から圧力がかかり、強制捜査は渋谷教会などにとどまった。この話はいろんなところから何回も聞きました」
国家公安委員長による「被害届はない」という発言を、警察庁が「検挙がない」と訂正したことに対し、ネット上でも不安視する声があがっている。
《冷静に考えると、警察庁からの訂正も「被害届はあるが、ここ12年間一件も検挙できていない」という事になる。それまでは検挙できていたのに、2010年から後は検挙できなくなったというのはどういうことか》《意味が180度違う。「被害届がない」のが事実であれば問題がない団体だということ。ところが「被害届が出ているのに、検挙がない」というのことなら、問題のある団体であるにもかかわらず、警察は一件の検挙もしていないということになる》《被害の事実を確かめもせずに、国家公安委員長ともあろう人が公の場で「被害届はない」と断言したことの責任は重いと思われます》
二之湯国家公安委員長は、2018年に旧統一教会の関連団体が開催したイベントで、京都府実行委員長を務めていたことを認めている。旧統一教会と関連がある政治家が、国家公安委員長という要職にあること自体、おかしいと思う人は多いはずだ。
●東大生4人が創設した旧統一教会系の学生団体「UNITE」“安倍応援団”行動 8/6
安倍晋三・元首相を銃撃した山上徹也容疑者は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信した母親が全財産を教団に貢いだため裕福だった家庭が崩壊、貧困の中で育ち、憎しみのはけ口を安倍氏に向けた。しかし、それとは逆に、同教団には安倍氏を熱心に応援する2世信者たちがいた。
安倍氏は政権に返り咲いて3年目に大きな危機を迎えた。安倍政権が推進した安保法制(2015年)に反対するデモが国会を取り囲み、支持率は急落、若者に抗議活動を呼びかける学生組織SEALDs(シールズ)がマスメディアの脚光を浴びた。その頃、そうした流れに対抗して現役東大生4人が結成したのが「国際勝共連合 大学生遊説隊 UNITE(ユナイト)」(2016年1月結成)だ。創設メンバーの4人は全員、旧統一教会の2世信者だ。
UNITEは各地に結成され、〈安保法制 賛成〉〈憲法改正支持! 安倍政権を支えよう!〉などと書かれたプラカードや横断幕を持って全国の主要都市で遊説やデモ行進を展開した。
まさに若者の“安倍応援団”の中核としての行動だった。旧統一教会の活動に詳しいジャーナリスト・鈴木エイト氏はこう見る。
「2015年秋にSEALDsが若者に呼びかけて官邸前で安保法制反対の大掛かりなデモが行なわれたが、政府には対抗する団体がなかった。しかも、2016年には選挙権年齢が18歳に引き下げられて初めての参院選がひかえており、自民党は若者の支持が離れることに危機感を募らせていた。そこで統一教会・勝共連合がSEALDsに対抗する学生の団体を設立したのだと思います。
UNITEが『安保法制賛成』『憲法改正支持』を掲げてデモや遊説を行なうと、当時、自民党広報本部長代理だった平井卓也・元IT担当相はフェイスブックで『このようなデモはあまり報道されませんが、学生はシールズというイメージは間違いです』と書き込み、UNITEが各地で開くセミナーやイベントには自民党の国会議員が多数参加しています」
UNITEは参議院選前にも2度の一斉演説や6大都市でのデモ行進を行なった後、2017年に「勝共UNITE」と名前を変更し、活動はいまも続いている。
昨年の総選挙直後の11月7日には国際勝共連合主催・勝共UNITE共催の憲法改正推進イベント『救国救世勝共大会2021』が開かれた。前出の鈴木氏は、「大会の動画を確認したところ安倍派の中根一幸・元外務副大臣が音声のメッセージを寄せ、『今日は若い方々がたくさん参加をされている』『皆さまと一緒にしっかりとそういった素晴らしい日本を作っていきたい』と2世信者たちを勇気づけた」という。中根事務所では、「個別の問い合わせにはお答えしていません」と回答を拒否した。
本誌が安倍氏や自民党議員との関係についてUNITEに取材を申し込むと、〈勝共UNITEとして「保守政治家を支えてきた」つもりはありません〉とした上で、安倍元首相とはどんな政治家だったと思うかという問いにはこう回答した。
〈一言で言えば、「大変偉大な政治家」だったと思います。外交・安全保障の分野に限っても、平和安全法制の制定や「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進、そして、憲法改正を現実的な政治的課題に押し上げたこと等々、私たちが詳述するまでもありませんが、日本国にとって偉大なリーダーシップを発揮された方だったと思います〉
保守系団体や右派の動向に詳しい『宗教問題』編集長の小川寛大氏は、安倍支持層の中でUNITEの位置をこう読み解く。
「第1次安倍政権が誕生して以降、右派勢力に新しい流れが生まれた。北朝鮮による拉致問題や中国の安全保障上の脅威、日韓関係の悪化がクローズアップされると、街宣活動する従来の右翼団体とは別に、ごく一般の人が右派の運動に参加するようになった。いわゆるネット右翼もそうです。従来の伝統保守に加え、そうした層が“安倍応援団”を形成した。そしてネットでつながった人々はリアルな行動、集会やデモに参加するようになった」
そこに旧統一教会2世など学生信者を中心とするUNITEが結成され、安倍政権支持を熱心に訴えた。小川氏は続ける。
「彼らはネット右翼の人々と違って集会やデモでの働きに長けていて、人員整理からゴミ拾いまで率先して行なうから、活動の中心になっていくわけです。『勝共連合』の横断幕やのぼりを立てているから隠していませんが、旧統一教会系の団体だとは知らずに参加した人もいる」
こうして安倍支持層の中で存在感を示すようになった。
●公明議員が旧統一教会の関連イベント参加「支援はない」 8/6
公明党の石川博崇参院議員は5日、国会内で記者団に対し、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の関連団体「世界平和女性連合(WFWP)」が主催するイベントに参加していたことを明らかにした。10年以上前のチャリティーバザーだったといい、石川氏は「短時間立ち寄った際、WFWPが主催していることがその場でわかった」と説明した。その後も、WFWPから招待された薬物乱用対策のセミナーに複数回、秘書を代理出席させたり、祝電を送ったりしていたという。ただ「旧統一教会から政治的な支援を受けたことはまったくない」とした。今後は「一切、関わりは控えたい」という。
公明党は一部の報道機関が実施したアンケートに所属議員が回答する際、内容を党に報告させる形で、所属議員と教団との関係の有無を確認している。石井啓一幹事長によると、関わりがあったのは石川氏だけだったという。 
●山上容疑者、転職10回超 「人間関係に嫌気」交友希薄 8/6
安倍晋三元首相(67)が銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)=鑑定留置中=は、海上自衛隊を辞めて以降、20年近くの間にアルバイトや派遣社員として10回以上も転職を繰り返していた。退職理由の多くは人間関係。周囲との交友も希薄で、社会から孤立していった実態が浮かび上がる。
《後輩の指導が得意ではなかった》《人間関係》
履歴書には多くの職歴が並び、企業名の横には面接で聞き取った退職理由のメモが書き添えられていた。
山上容疑者は平成28年10月、奈良県内の人材派遣会社の求人に応募。面接した男性社長は「面接で一度会っただけなので覚えていないが、面接のときのメモを見ると、『ボソボソ』と書いている」と話す。
この履歴書に書かれた最終学歴は、奈良県内で有数の進学校として知られる県立高校。山上容疑者の伯父(77)は、経済的な理由で大学進学を諦めて専門学校に進んだと説明しているが、履歴書では高校卒業から海自入隊まで3年余りが空白となっている。
海自で自殺を図った末、17年8月に退官した山上容疑者が次の職に就いたのは18年12月、測量会社でのアルバイトだった。男性社長(75)によると、ハローワークを通じて採用し、沖縄県で潮流を測量する長期出張にも参加したという。「測量の機械を海に落とし、悪びれもせず『そんなに高いものですか?』と聞いてきたのが印象に残っている」と話す。
半年後に退職すると、再び2年半も無職の時間を過ごす。この間、測量や不動産取引に関する資格を取得したと書かれている。
その後も無職状態を挟みつつ職を転々とし、約9年間に5社で勤務。いずれも短期のアルバイトや派遣社員としての勤務で、最長でも約1年半だった。
山上容疑者が説明した退職理由の多くは人間関係によるものだった。27年11月から籍を置いた別の人材派遣会社の男性社長は「声を掛けても『ああ、はい』くらいしか言わない。他人との交流が苦手な感じはあった」と明かす。この会社はわずか半年で退職。理由は《上司とあわない》と記載されていた。
捜査関係者によると、海自退官から事件までの約17年間の勤務先は10社以上で、無職期間は少なくとも通算約7年に及ぶ。捜査幹部は「人間関係で嫌気がさすと、次の仕事が決まっていないのに辞める、ということの繰り返しだったようだ」と話す。
令和2年10月からは派遣社員として京都府内の工場でフォークリフトの操作を担当。今年5月中旬まで最長の2年7カ月勤務した。当初は真面目な働きぶりだったが、3月ごろから無断欠勤が目立ち始め、欠勤時には銃の試射を重ねていたとみられている。
次に派遣先の大阪府内の会社で6月上旬まで働くと、事件1カ月前からは無職だった。捜査関係者によると、事件当時は消費者金融からの借入金など、少なくとも数十万円の負債を抱えていた。
●旧統一教会に祝電出した環境相 「頼まれたら全部出します」発言 8/6
8月5日、山口壯(つよし)環境相は閣議後の記者会見で、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関係イベントに、祝電を送ったことがあると明らかにした。
「こういうのってどこでもそうだと思いますけど、いろんなとこから頼まれたら全部出しますけどね。だからまったく(問題)意識はありません」
記者から、旧統一教会との関係は分からなかったのか、と問われると、こう繰り返した。
「もう1回、言いますよ。どこからでも来たものは全部出してます。よっぽどおかしい団体でなければ。もうこれからは出しません、それだけです」
この会見の様子を同日、『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)が報じると、山口環境相の笑顔とともに《どこからでも来たものは全部出してます》とテロップがつけられた画像が拡散。SNSでは《#山口環境大臣に祝電を頼もう》がトレンド入りし、祝電を打ってもらう理由をめぐって大喜利状態となった。
《この度東京ヤクルトスワローズのマスコットキャラクターであるつば九郎が主催2000試合出場を達成したので是非とも祝電をお願いします》《日本共産党は党創立100周年を迎えました!》《このたび、お陰さまで国会議員を続けられることになりました 祝電をお願いします  吉川赳》《大喪の礼を「たいものれい」と言った三浦瑠麗氏に祝電を送ってやって下さい》
立憲民主党の蓮舫参院議員も8月6日、自身のTwitterで、《タグのセンス、最高》と賛辞を贈った。
「山口氏は元外務官僚で、民主党政権時代には、外務副大臣を歴任しました。ところが、民主党が野党に転落するとあっさり見切りをつけ、2013年に離党。自民党の二階俊博前幹事長と新進党で行動をともにした経緯から、自民党に入党後は二階氏を支え、二階派の事務総長をつとめました。2021年、二階派の力もあり、環境大臣として念願の初入閣をはたしましたが、自らの公式Twitterでアダルト系のアカウントをフォローしていたと指摘され、フォローを解除したことも。大臣就任後は『週刊新潮』で、オカルトへの傾倒ぶりと、秘書へのパワハラを報じられてもいます。旧統一教会との関係も、大ごとになるとは思っていなかったのでしょうが、開き直りともとれる発言は、脇が甘いといわざるをえません」(政治部記者)
SNSでは、山口氏の国会事務所や兵庫の地元事務所の連絡先とともに《#山口環境大臣に祝電を頼もう》とタグを添えるケースも。
《大喜利で盛り上がるのは良いと思うけど、ホントにやったらあかんよ》と注意する投稿も見られた。もちろん、山口氏の大臣としての資質を問う声も多くあがった。
《どう弁明しようが開き直ってこのニヤついた言動、アウトですよね…》《一般の会社でも、祝電打ったりする際は反社会組織が否かチェックします。ましてや国の機関で税金使って電報打つのにノーチェックはありえない》
岸田首相の内閣改造が、8月10日に予定されている。次々と出てくる、認識の甘い閣僚たちのなかで、“続投”できるのは、はたして――。
●岸田首相、閣僚の旧統一教会との関係公表指示へ 10日に内閣改造 8/6
岸田文雄首相(自民党総裁)は6日、広島市で記者会見し、「内閣改造を来週にも行いたい」と明言した。党役員人事と合わせて、10日に実施する。また、新たに入閣する閣僚や現職閣僚に対し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係について点検と結果の公表を指示する考えを表明した。
首相は、安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに旧統一教会やその関連団体と党所属議員との関係が相次ぎ判明していることについて「関係についてはさまざまな濃淡があり、付き合いの中身もさまざまだ」と語った。そのうえで「閣僚については、国民に疑念を持たれることがないように、社会的に問題が指摘される団体との関係は十分注意しなければならない」と指摘。新たに入閣する閣僚と留任する閣僚に対し「国民から信頼される行政を行っていく観点から、それぞれ点検してもらい、その結果を明らかにしてもらう。その上で適正な形に見直す。これを指示する」と明らかにした。閣僚のみならず、副大臣らにも同様の指示を行う考えを示した。
現内閣では、岸信夫防衛相が旧統一教会の関係者から選挙の支援を受けたとし、関係を見直す意向を示している。末松信介文部科学相が教会関係者が自身のパーティー券を購入したと説明したほか、二之湯智国家公安委員長、小林鷹之科学技術担当相、山口壮環境相らも関連団体などのイベントに出席したことや祝電を送ったことなどを明らかにしている。
閣内でも教会と閣僚の「関係」が取り沙汰される中、早期の内閣改造と入閣者への関係の点検を指示することで、政権のダメージを抑える狙いがあるとみられる。
首相は一方で「私個人は当該団体とは関係はない」とも説明。教会に対しても「宗教団体で法令から逸脱する行為があれば厳正に対処する。悪質商法などの不法行為への対応、被害者の救済に政府一体となって万全を尽くしていかなければならない」と述べた。
●膳場貴子アナ 旧統一教会と関係の政治家の態度に憤り 8/6
フリーアナウンサー膳場貴子(47)が6日、キャスターを務めるTBS系「報道特集」(土曜後5・30)に生出演し、政治家と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わり合いについて憤りを口にした。
番組では、教団による献金ノルマに追われた元信者らをインタビューした。総額500万円弱を献金したという女性は、「霊界に行って、死んでも献金のノルマに追われるなと思いました」と、実体験から当時の思いを告白。「子供の保険、学資保険とか、自分の年金保険とか、全部、解約しました。子供がお小遣い貯めてるじゃないですか?お年玉とか。それも全部ゼロにしました。(教団からの指示で)“ゼロにしろ”という時があったんです」と説明し、「霊界というか、脅されてましたね。恐怖は感じました」とも話した。
そんな教団と関係が明らかになっていく政治家たちに対し、膳場アナは歯切れの悪さを感じている様子。「(教団と)関わりのあった政治家たちの言動、皆さんの目にはどう映っているでしょうか?」と、視聴者に呼びかけた。「居直りじゃないかと思える発言を繰り返す政治家も多いですし、それを正して今後、教団との関係を断つべきだと立ち上がるリーダーも不在です。元信者たちが明らかにする、この深刻な被害を知るにつれて、政治家たちのこの無責任な態度は許されないなと思います」と、冷静な口調ながら厳しい言葉を発した。
上村彩子アナも「旧統一教会との関わりがあるとされる政治家の人数がどんどん増えている中で、具体的なことは言わずにただ、今をやり過ごそうとしているような発言が多いと感じています」と指摘。「一人一人がなぜか?という問い、追及を緩めてはいけないと思います」とコメントした。

 

●安倍元首相へ発砲するまで歩き出してから約10秒 現場の警察官は気づかず 8/7
安倍晋三元首相の銃撃事件で、山上徹也容疑者(41=殺人容疑で送検、鑑定留置中)が、安倍氏に向かって歩き出し、発砲するまでに約10秒あったことが6日、捜査関係者などへの取材で分かった。現場の警察官はその間、車や人通りのない車道を横切る容疑者の姿に気付いていなかった。
8日で事件発生から1カ月。警察庁は8月下旬に警護の「検証・見直しチーム」がまとめた検証結果を公表する方針。
●銃の作り方、動画投稿サイトに 火薬調合も5分で紹介 安倍氏銃撃 8/7
安倍晋三元首相(67)が7月、奈良市での参院選の街頭演説中に銃で撃たれて殺害された事件で、山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が使ったのは、動画サイトを参考に作った手製の銃だった。銃の製造や所持は法で厳しく規制されるものの、ネットで製造法を学び、入手可能な材料で銃が自作できてしまう実態に注目が集まっている。
動画サイトで検索すると、銃の作り方の工程や構造を紹介する投稿がずらりと出てくる。火薬の調合を説明するものもある。
そのうちの一つで、ユーチューブに投稿された英語の動画は、火薬の製造に必要な材料と分量を示し、工程を5分ほどにまとめている。9年前の投稿以来、284万回再生された。
奈良県警によると、山上容疑者は銃を作る際、こうしたネット動画を参考にしていた。
銃愛好家のユーチューバーの男性(28)は、ライフルやショットガンの構造を伝える動画を投稿している。「免許試験で銃の構造は出題されるように、情報は基本的にオープン。工業系の技術や知識を悪用すれば、銃を作るヒントになり得てしまう。情報自体をどこまで取り締まるべきなのか」と話す。作り方の動画は投稿していないという。
●安倍3代にわたる統一教会との蜜月関係を、なぜ大新聞は追及しないのか 8/7
腰抜けの大新聞やテレビは、今ごろになって自民党の政治家と統一教会との癒着構造や、安倍政権時代に統一教会から世界平和統一家庭連合への名称変更が認められたなどと寝とぼけたことを報じているが、週刊誌ははるか先へいっている。
この問題の核心は、岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三と3代にわたって脈々と続いてきた安倍家と統一教会との「親しすぎる関係」にあることは間違いない。
週刊新潮(8月4日号、以下新潮)で自民党のベテラン秘書がこう言っている。
「選挙で誰が統一教会の支援を受けるかは、安倍さんの一存で決まるといわれていました。教会の組織票は約8万票。ただ、衆院選では1選挙区あたりの統一教会の票数はそれほどでもないので、参院の全国比例でその組織力が発揮されます」
推薦を受けるには、統一教会のトップと面談をする。そこで不倫や金銭トラブルがないかただされ、安倍元首相が応援している候補なら確実に支援してもらうことができるという。 
だが、選挙の直前になると教会の施設で泊まりがけの研修を受けなくてはいけないというから、この時に“洗脳”されるのかもしれない。そんな連中が政治家になり、統一教会の言うがままに便宜をはかってきたとすれば恐ろしいことである。
その大本が岸信介にあることはよく知られているが、新潮(7月28日号)が放った「『岸信介』が1984年に当時のロナルド・レーガン米大統領に送った『統一教会首領・文鮮明』釈放嘆願書」は、時宜を得たスクープだった。そこにはこう書かれている。
〈文尊師は、現在、不当にも拘禁されています。貴殿のご協力を得て、私は是が非でも、できる限り早く、彼が不当な拘禁から解放されるよう、お願いしたいと思います〉
文鮮明はその前に、アメリカで脱税容疑で逮捕・起訴され、84年4月には懲役1年6月の実刑判決を受けて連邦刑務所に収監されていた。つまりこの書簡は、日本の元総理がアメリカの現職大統領に宛てて、韓国人「脱税犯」の逮捕が不当だとして釈放を依頼するという、極めて異例の内容なのだ。
手紙の後半では、〈文尊師は、誠実な男であり、自由の理念の促進と共産主義の誤りを正すことに生涯をかけて取り組んでいると私は理解しております〉〈彼の存在は、現在、そして将来にわたって、希少かつ貴重なものであり、自由と民主主義の維持にとって不可欠なものであります〉。
このころには、統一教会の悪質な「霊感商法」が世の厳しい指弾を受けていたのである。
しかし、「昭和の妖怪」といわれた岸は引退後も政界に隠然たる力を持ち続け、統一教会との関係も、息子から孫へと受け継がれたことは間違いない。
だが、週刊誌はタレントたちの合同結婚式では報道合戦を繰り広げたが、政界の統一教会汚染にはあまり熱心ではなかった。探してみたが新潮(1992年7月30日号)が、「勝共連合が発表した勝共推進議員名簿には150人もの国会議員が名前を連ねている。ハッキリいって、自民党の代議士の半分以上が統一教会の恩恵にあずかっているといってもいいんですよ」(統一教会に詳しいジャーナリスト)ぐらいだった。
今度こそ、安倍元首相も含めて、統一教会と政治家の極めて不適切な関係にメスを入れなくてはいけない。 
●「安倍元総理の銃撃事件がパンドラの箱を開けたと捉えるのは絶対にマズイ」 8/7
TBS系「サンデーモーニング」(日曜・午前8時)は7日、旧統一教会の世界平和統一家庭連合と政治家との関係について特集した。
その中で岸田文雄首相が10日に内閣改造を行う考えを示したが人事について「新閣僚だけではなく、現閣僚や副大臣を含めて当該団体との関係をしっかり点検してその結果を明らかにして適正な形で見直すことを指示したい」と述べたことを伝えた。
コメンテーターでジャーナリストの青木理氏は一連の問題に「重要な点なので強調しないといけないのは、安倍元総理の銃撃事件がパンドラの箱を開けたと捉えるのは絶対にマズイんです。ある意味で暴力の連鎖を呼びかねないわけですから、そういう捉え方を絶対にマズイと強調しなくてないけない」と指摘した。
その上で「僕はその逆なんじゃないかという気がしている。70年代、80年代から霊感商法とか合同結婚式とか数々の社会的な問題を起こしてきた反社会性の高い教団に対して、もっと早い段階で警察とか行政が実態解明に乗り出していれば被害はその時点である程度、抑えられていた。ところがそれをしなかった」と指摘した。
さらに「政治の意図とか不作為によって教団が温存されてしまった結果として今回、蓄積したものが爆発して事件が起きてしまったと捉えるべきだと思うんです。そうすると、これを機にきちんと政界と統一教会の関係を整理して統一教会とある程度、日本社会が決別していかないとまた同じ事件が起きるんじゃないですかと考えると、今回、岸田さんも含めて自民党がもっと真剣に統一教会との関係、歴史的なものを含めて調べて明らかにしてここで決別すべきだと表明すべきだと思います」とコメントしていた。
●旧統一教会、沖縄で7氏の選挙を支援 国会議員・県議・首長 8/7
安倍晋三元首相の銃撃事件を機に政治家との関わりが焦点となっている宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」を巡り、沖縄タイムス社は6日までに、沖縄県関係国会議員と県議、県内市町村長計98人全員にアンケートを実施した。いずれも保守系の国会議員1人、県議4人、市町村長2人の計7人が過去に旧統一教会関連団体から選挙で支援を受けたことがあると明らかにした。また、16人がイベントや会合へ参加し、うち3人が祝電などを送ったと答えた。県内保守政界も旧統一教会系の団体と関わりを持っている実態が浮き彫りとなった。
支援を受けたことがあると答えたのは、島尻安伊子衆院議員(自民)、いずれも県議で自民会派所属の小渡良太郎、新垣新、花城大輔、又吉清義の各氏、桑江朝千夫沖縄市長、中村正人うるま市長。推薦を得た人のほか、街頭での「手振り」活動などに参加してもらったと明らかにした。
新垣氏は支援を受ける理由に「旧統一教会と自民党の政策はほとんど一致している」などを挙げた。桑江、中村両市長は選挙の会合や集会に出席してもらったことがあるとした。
会合に参加した16人の多くはLGBTや家族の在り方、国防に関する勉強会などに参加していた。又吉氏は「世界の人々が平和に暮らすためのサミット会議に出席した」と回答。自民会派の照屋守之氏は「旧統一教会と同一団体であるとの認識がなかった」とした。
一方、教会や関連団体と関わりがあったと回答した人全員が自身の政治活動や政策への影響は「ない」とした。また、国会議員、県議の全員と一部首長を除き、旧統一教会と政治との深い関わりは「健全だとは思わない」とした。寄付や政治資金の提供を受けたとの回答はゼロだった。
宮崎政久衆院議員(自民)は質問には答えず書面で、2019年に会合に出席したとした上で「当時は関係団体の背景まで承知していなかった」と回答を寄せた。
旧統一教会を巡っては、東京地裁が20年に多額の献金を求める行為を違法として教団の使用者責任を認めたほか、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると09年以降の被害総額は約175億円に上るなど、社会的な問題が指摘されている。
●蓮舫氏、旧統一教会の選挙支援認めた金子恵美氏に苦言「管理は当然」 8/7
立憲民主党の蓮舫参院議員が7日、自身のツイッターを更新し、元衆院議員の金子恵美氏に苦言を呈した。金子氏が6日に出演した日本テレビ系「ウェークアップ!」で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から支援を受けていたことを認めた、という記事を引用した。
金子氏は番組内で旧統一教会からの支援について尋ねられ「当時の地元秘書に確認しましたら、旧統一教会という認識はなく、ただ選挙でボランティアとして手伝っていたということが分かりました」と認めた。さらに選挙ボランティアの身上調査については「運動員レベルでは一人ひとりの(身分を調べるような)身体検査っていうのは、陣営の中では余力も余裕もないっていうのは実態だと思います」と釈明していた。
蓮舫氏は「公選法違反に問われないためにもボランティアの方々の管理は当然行います。」と金子氏がボランティアの身分を調査していなかったことに反論。「選挙に勝つために誰にでも手伝ってもらう、との論はやめた方がいい。」と提言した。
ネットからは「立憲民主党はボランティアに応募すると身辺調査をするのですね。」「来てくれた人の信仰宗教まで聞き出してんのか?」というコメントも。「党派関係なく寄付やボランティア、祝電や行事への参加や名義貸し等の場合、相手から『私は反社関係者では無い』旨の誓約書を提出してもらいましょう。」という提案もあった。
●旧統一教会からの警告文に毅然「メディアが委縮してきたから被害が続いた」 8/7
ジャーナリストで作家の鈴木エイト氏が7日、「サンデージャポン」(TBS)に出演し、旧統一教会から警告文が届いたことを明かした。
20年にわたり旧統一教会を取材してきた鈴木氏。先週のサンデージャポン出演後に旧統一教会からラインが届いたという。鈴木氏は教団本部の関係者からショートメールが届き「『ラインもしといたよ』と書いてあったので」と説明。
そのラインには「こちらの著作物を許可なくメディアに提供していますが、このような違法行為に対して法的措置を取ることをお伝えいたします。まずはご連絡まで」と記されていた。
鈴木氏は「ぼくが色んなデータを各メディアに提供しているのが気に食わなかったようなんです。ただ逆にこういうのをもらったことで直接何か実力行使をしてくることはないのかなと少し安心はしたんですけど」と話した。
色々なメディアにも警告文が送っているようで「無視してもらっていいと思ってる。報道のための引用は著作権法は大丈夫なので。メディアがこんなことで委縮してきたからこそ被害がずっと続いてきたということがありますので」と毅然とした表情で話した。
●岸田首相 内閣改造と党役員人事では旧統一教会との関係も考慮  8/7
岸田総理大臣は、今月10日に行う内閣改造と自民党の役員人事について6日夜、麻生副総裁と会談するなど本格的な調整に入りました。新型コロナやウクライナ情勢など内外の課題への対応を強化することに加え、旧統一教会との関係性も考慮しながら、人選を進めるものとみられ、7日も党幹部らと意見を交わすことにしています。
岸田総理大臣は、今月10日に内閣改造と自民党の役員人事を行う方針で、6日に広島市で開いた記者会見で「新型コロナ、物価高への対応、ウクライナや台湾情勢などさまざまな課題を考え、新しい体制を早くスタートさせたい」と述べ、人事を急ぐのは内外の課題への対応を強化するためだと強調しました。
6日夜は、総理大臣公邸で自民党の麻生副総裁とおよそ1時間半会談し、党内の情勢や人事の全体的な構想について意見を交わしました。
岸田総理大臣は、これまでに麻生副総裁と茂木幹事長に加え、新たに松野官房長官も留任させる意向を固め、政権の骨格は維持する考えです。
一方、岸田総理大臣は6日の会見で、今回の人事で閣僚などに起用する議員には、旧統一教会との関係を点検して結果を明らかにするよう指示する考えを示しました。
岸田総理大臣は、旧統一教会との関係も考慮しながら人選を進めるものとみられ、7日も党幹部らと意見を交わすなど調整を図ることにしています。
●旧統一教会から選挙応援「頂いていない」山谷氏 8/7
「山谷えり子先生の必勝のためにご尽力をお願いいたします。山谷先生、安倍(晋三)先生なくして私たちの『み旨』は成就できません」との内部文書などがあり、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)や関連団体との関係性が強く指摘されている山谷えり子元国家公安委員長(参院議員)は3日、マスコミ取材に「私は関係ありません」。選挙支援についても「応援は頂いていません」と否定。NHKや毎日新聞などが報じた。
この報道に、選挙支援にかかわる内部文書を入手、公表している有田芳生前参院議員は「山谷議員は(旧統一教会と)長いつきあいがあるにもかかわらず『関係ありません』(8月3日)と語った。私は参議院議員の12年間のほとんどを拉致特別委員会に所属してきた。下村(博文元文科大臣)さんより長年の深い関係でありながら『関係ない』と言い切った山谷えり子さんは、これからどうされるんだろうか」とツイッター発信した。
有田氏が公開した内部文書では、2010年の参院選挙の際、国際勝共連合が山村氏への全面支援を指示出ししているもので、統一教会信者が全国に流していたもの。
文書には「山谷えり子先生の必勝のためにご尽力をお願いいたします。山谷先生、安倍(晋三)先生なくして私たちの『み旨』は成就できません。日本会議も今回は票が割れるようです。『山谷えり子』と二枚目の投票用紙に記入することを何度も何度も徹底して下さい。自民党、党名ではだめです。相対的に有田対策にもなります。全国足並み統一行動になります」云々と書かれている。
この選挙で山谷氏は得票数3位当選を果たし、安倍政権の下で当選から4年後の2014年9月3日に国家公安委員長の重責に就いた。有田氏は内部文書に出てくる『み旨』とは「文鮮明教祖の思い(伝道、霊感商法、日本入国など)を実現させること」と解説している。
こうした客観的な関係資料を前に、山谷議員は「関係はない。選挙で応援は頂いていない」と言えるのか。国家公安委員長だっただけに、記者会見の場を設けて国民に説明することが求められよう。ネット上では山谷氏の発言が「虚偽」だった場合「元国家公安委員長でもあるし、辞職すべき」との声も上がっている。 
●旧統一教会と政治家「関係断つ必要ある」77% JNN世論調査 8/7
社会問題化した旧統一教会と政界の繋がりが明らかになる中、政治家が旧統一教会や関連団体との関係を断つ必要があるか聞いたところ「必要がある」が77%で、「必要はない」の15%を大きく上回ることが最新のJNNの世論調査で分かりました。
また、旧統一教会との関係について、各政党が党や党所属の議員を調査する必要があるかについては、「必要がある」が76%、「必要はない」が17%でした。
さらに、旧統一教会と政治の繋がりについて、国会での審議を通じて実態解明をする必要があるかについては、「必要がある」が72%、「必要はない」が21%でした。
岸田総理は8月10日に内閣改造を行う方針ですが、任命する閣僚らには旧統一教会との関係を点検し、その結果を明らかにすると共に適正な形に見直すことを指示する考えを示しています。
●旧統一教会と政治 断絶の可能性は 8/7
次々と明るみになる政治家と旧統一教会の関係。催事参加、選挙支援などの形で、自民、立憲、維新、国民の与野党議員が釈明に追われた。一連の問題について、自民・福田達夫総務会長は「何が問題かわからない」と発言、SNS上に批判殺到。さらに、旧統一教会関連イベントに名義を貸し、実行委員長を務めていた二之湯智国家公安委員長は、「政治のお付き合いの一環で名前を貸した」と釈明。一方、旧統一教会が現在の団体名への名称変更を文化庁から認められた経緯に関し、自民・下村博文前政調会長は、当時、文科大臣だったとして「今となっては責任を感じる」と述べるが、名称変更の関与は否定。政界に浸透する旧統一教会との繋がり。国民の批判が高まる中、政治と旧統一教会の関係断絶の可能性は。
●“「統一教会問題」取り上げるのは「犯人の思う壺」”論の誤り 8/7
安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者が、母親が宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」にのめり込み、多額の献金で破産し、家庭が崩壊したことで恨みを持ち、そのトップを殺害しようとしたが、それが困難だったことから、同団体とつながりがあると思えた安倍氏を襲撃したと供述していると報じられたことを契機に、自民党を中心とする保守系政治家と旧統一教会との関係が、マスコミで、連日大きく取り上げられている。
それに対して、立憲民主党、日本維新の会などは、党所属議員と旧統一教会との関わりを調査し、その結果を公表するなどしているが、自民党は、茂木敏充幹事長が、「党とは組織的な関係はないことが確認できた」と繰り返し、関係が明らかになった議員個人が弁明するだけで、所属議員と旧統一教会との関係を積極的に調査しようとはしない。
マスコミの側も、TBS、日本テレビ等が、ワイドショー等で連日、長時間かけて「旧統一教会と政治の関係」を取り上げているが、フジテレビ、NHKなどは、この問題については、政党や政治家側の対応を取り上げるだけで、積極的に取り上げようとはしない。
当初、連日、「羽鳥慎一のモーニングショー」「大下容子のワイドスクランブル」等で旧統一教会問題を取り上げていたテレビ朝日も、出演者が、「『政治の力』で旧統一教会に対する捜査が中止された」と発言して以降、テレ朝のワイドショーでは全く取り上げなくなっている。
このように、この問題をめぐって極端に対応が分かれていることの背景に、「安倍元首相を殺害した犯人の思う壺にしてはならない」、という意見が影響しているように思える。
元自民党副総裁の高村正彦氏は、過去に、統一教会の訴訟代理人を務めたことについて週刊文春の取材を受け、「勝共連合と統一教会がいいか悪いかは別として、この事件で統一教会が取り上げられることは、テロをやった人の思う壺なので正しいとは思えない」などと発言した。この意見が、一部で「正論」のように受け止められているようだ。
確かに、意図的に人の命を奪う「殺人行為」は、絶対に許容できないものだ。犯人の意図どおりの結果となり、目的が実現してしまうことで、模倣犯や同様の殺人行為が誘発されるというのであれば、犯人の目的が実現しないよう配慮する必要があるということになる。
しかし、一般的に考えた場合、果たして、犯人が意図したとおりの結果になることが、「犯人の思う壺になる」として、避けるべきことなのだろうか。報道などで、そのような配慮をする必要があるのだろうか。
殺人にも様々なものがある。通り魔殺人や衝動的・偶発的殺人などは、犯人が達成しようとする明確な目的がない場合も多いが、計画的殺人には動機があり、それによって、犯人が実現しようとする目的がある。特に、山上容疑者のように、ただちに逮捕され処罰されることを覚悟して、公然と行われる確信犯的な殺害行為の場合、それによって実現しようとする明確な目的がある。その多くは、被害者側に対する「恨み」である。「恨み」によって確定的殺意を生じ、逮捕覚悟で殺害に及ぶという典型的な殺人事件の場合、殺害に成功すれば「恨み」を晴らすことになる。そうならないよう犯行で受傷した被害者の救命行為が行われるが、そのかいもなく被害者が死亡した場合には、犯人の目的は、完全に達せられることになる。
しかし、殺人を犯した者に対しては、厳正な刑事処分が行われる。刑事裁判が行われて、情状に応じた刑罰を科す判決が下されることになる。「怨恨による確定的殺意に基づく計画的殺人」に対しては、特に厳しい処罰が行われる。犯人は、長期間、場合によっては一生服役することになる。それによって、犯人の再犯を防ぐだけでなく、同種の犯罪を抑止する「一般予防」も図られるというのが、刑罰権の発動によって犯罪を抑止する国家の基本的作用だ。
それゆえ、恨みによる殺人事件が起き、その結果、犯人の恨みが晴らされたからと言って、他人に恨みを持つ人間が次々と殺人事件を起こすわけでもないし、ただちに同種の行為、模倣犯が誘発されることにはならない。通常、事件の報道において、怨恨が動機であることやその中身の報道が差し控えられることもない。
事件の捜査の中では、そのような動機の要因となった事実が実際にあったのかどうか、動機の裏付け捜査が行われる。公開の法廷で行われる刑事裁判で、その捜査結果が検察官立証の中で公にされる。弁護人にとっても、殺人事件の動機は「重要な情状事実」なので、被疑者・被告人から十分に話を聞いて、弁護人立証を行うことになる。
社会の耳目を集める事件であれば、犯行動機に関連する事実、被害者に関する事実について、詳細な報道が行われることが多い。犯行動機につながった被害者側の行動がセンセーショナルに報道され、それが過熱することもある。それは、時に、死者の名誉を害し、犯人にとっては犯行の目的実現を一層高めることになるが、それが「犯人の思う壺」だと言って、報道が差し控えられることはない。
殺人の動機となった「恨み」が、被害者個人ではなく、被害者が所属する、或いは関連する組織に対して向けられたものである場合、構図は若干複雑になる。その場合、「恨みを晴らす」という動機の中に、当該組織の悪事を「告発」し、その事実を社会に晒すことが含まれることもある。
この場合、まず問題となるのは犯人が「組織に対する恨み」を抱くに至った事情、その恨みを逮捕・処罰を覚悟してまで晴らしたい、当該組織の問題を社会に明らかにしたいと思うだけの「組織側の悪事」が実際にあるのかどうかである。そして、もう一つ重要なことは、そのような「組織に対する恨み」が、なぜ被害者「個人」への殺意に向かったのか、それが、了解可能なものなのかという点である。
それらは、犯行動機に関する重要事実として当該事件の刑事裁判で認定されることになるので、捜査の段階でも十分な証拠収集、事実解明が行われる。社会の耳目を集める事件であれば、それらの点に関して、様々な方法で取材が行われ、裁判で明らかになる事実を先取りする形で報道が行われることになる。
山上容疑者は、旧統一教会という組織に対して恨みを抱き、最も影響力の大きい「旧統一教会の関係者」である安倍元首相を殺害することによって、旧統一教会に対する恨み、その悪事を社会に晒したいという目的で犯行に及んだとみられる。
そのような山上容疑者の犯行動機に関する供述を裏付ける事実があるのかどうか、つまり、「旧統一教会」の山上容疑者自身やその家族に対する「悪事」が実際にあったのか、それがどの程度のものだったのか、捜査によって解明が進められている。また、そのような「旧統一教会への恨み」を安倍元首相に向けた理由が、了解可能なのか、合理性があるのかについても、鑑定留置によって、山上容疑者の精神状態について精神医学に基づく分析が行われている。
犯行動機に関する裏付け捜査として、山上容疑者の「旧統一教会への怨み」の原因となった、「母親が旧統一教会にのめり込んで破産し、家庭が崩壊した事実」が確認される。事件の背景として欺罔的な信者勧誘や家庭を崩壊させるような多額の献金という「反社会性の問題」も重要となる。事件をきっかけに、それらが、犯行動機に関する事実として報道されるのは当然だと言えよう。
そして、山上容疑者の殺意が安倍元首相に向かった原因について、国会議員が、旧統一の教会イベントに参加したり祝電を送ったりすることで、そのような団体に「お墨付き」を与え、入信の勧誘や信者への献金要請をやりやすくしている事実があり、安倍氏が、UPFの国際大会でリモート基調演説をしたことが山上容疑者の安倍氏への殺意につながったとされている。そのような安倍氏の行動が旧統一教会への「お墨付き」に絶大な効果があったとすれば、殺害の動機に関する重要事実だ。関連団体の国際行事に動画メッセージを送った事実や、その背景にあった旧統一教会と安倍氏との関係も、安倍氏に殺意を向けたことの裏付け捜査の対象となるのは当然だ。これらが事件の捜査で解明されていくだけでなく、それらに関連する事実が、社会の関心事として報道されるのも、事件の社会的、政治的重大性を考えれば当然のことと言える。
山上容疑者の犯行の目的には、単に恨みを晴らすだけではなく、「最も政治的影響力が大きい旧統一教会のシンパであった安倍元首相」を殺害することで、社会の関心を旧統一教会の反社会性と、政権与党である自民党議員との関係に向けようとする「告発的動機」もあったように思える。実際に、事件を機に、その問題がマスコミ等で大きく取り上げられ、相当程度目的を実現している。
高村氏が言う「犯人の思う壺」というのは、このような「告発的動機」の目的が達成されることを問題にしているように思える。しかし、その点について犯人の意図するとおりの結果になったからと言って、犯行自体が正当化されるわけではないし、処罰が軽減されるわけでもない。問題は、山上容疑者が行った「告発」を契機として、そのような問題を、社会がどう受け止め、どう扱うか、それらについてどう判断すべきかということだ。
旧統一教会の欺罔的な入信勧誘や多額の献金要請などが反社会的なものとして報じられていることや、自民党議員への選挙協力などの報道内容が事実に反しているとか評価が間違っているというのであれば、誤りを指摘し、反論すればよいことである。旧統一教会と国会議員との関係を取り上げること自体が、山上容疑者の意図を実現し、「犯人の思う壺」になることを理由に差し控える理由は全くない。
 

 

●「息子のことなんて何も考えていない」母親は事件後も旧統一教会の本など持参 8/8
山上徹也容疑者の伯父(77)が日刊スポーツの取材に応じ、容疑者の母親の現在の様子について語った。伯父は山上容疑者の父親の兄で元弁護士。母親は事件のあった7月8日午後、伯父宅に身を寄せ、いまも暮らしている。
日中はキッチンとトイレのある2階の部屋で過ごし、2階がフローリングのため、夜は1階の座敷で睡眠をとっている。母親が話し掛けてくることは、ほとんどないという。
この1カ月の間に母親は奈良地検の事情聴取を受けた。聴取に立ち会った伯父によると、検察官が「本件についてどう思うか」と尋ねると、母親は「申し訳ない」と話したという。
伯父は「彼女の『申し訳ない』は事件、世間に対しての申し訳ないではない」とし、入会している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し「迷惑をかけて申し訳ないという謝罪」と説明した。かなり落ち込んでいる様子だという。
山上容疑者は「母親が教団に入信して多額の寄付をし、家庭が崩壊した。(教団を韓国から)招き入れたのが岸信介元首相。だから安倍氏を殺した」と供述している。旧統一教会に恨みを募らせていた。
伯父によると、母親は91年ごろに旧統一教会へ入会し、夫の死亡保険金や、父から相続した土地・家屋の売却益などから計約1億円を献金した。
母親は旧統一教会の本や関連書類を伯父宅に持参したという。事件から1カ月が過ぎようとしているが、母親がいまだ強い信仰心を持っているとみている伯父は「息子のことなんて何も考えていない」と話した。
●「隣の人に弾が当たらない距離に近づいた」山上容疑者 安倍元総理銃撃事件 8/8
安倍元総理が銃撃された事件で、警備の問題が指摘される中、山上徹也容疑者(41)が、「安倍元総理の隣の人に弾が当たらない距離に近づいた」などと供述していることが新たにわかりました。
事件発生当時、現場にいた10数人の警察官のうち、4人が安倍元総理の近くで警護を行っていましたが、一部の聴衆の警戒などで山上容疑者の接近に、気づいていなかったことがわかっています。
その後の捜査関係者への取材で、山上容疑者が取り調べに対し、銃撃の際に、「安倍元総理の隣の人に当たらないくらいの距離まで近づいた」などと話していることが新たにわかりました。
当日の朝の打ち合わせで「後方警戒」の必要性などは検討されず
また、当日の朝には現場で警察の警備担当者と演説関係者の打ち合わせが行われましたが、車の止め位置や安倍元総理の動きについて確認したものの、後方警戒の必要性などは検討されなかったということです。
山本憲宥奈良市議「SP、奈良県警、我々のような選挙スタッフも含めて、やはり後方の守りというのはしっかりすべきだったなというふうに、自分自身の責任も含めて改めて感じています」
警察庁の検証チーム、早ければ今月中にも報告書をとりまとめる方針
銃撃の際、現場にいた自民党県連関係者は、警察からは、横断歩道上を使わないことや、交通対策の警備員を出すことなどの要望があった一方、警備については、「警察でやりますので」と説明をされたのみだったとしています。
警察庁の検証チームは、早ければ今月中にも報告書をとりまとめる方針です。
●徹底取材で明らかになった「統一教会2世」の哀しすぎる人生 8/8
安倍元首相銃撃事件以来、山上徹也容疑者に"共感"する人が続々 家庭を崩壊させる献金制度とは?
脱会した後に待っていた厳しい境遇とは?
韓国・清平で霊的な体験をする修練会。2世は40日間の修練会か、14日間の修練会に3度参加する必要がある
「自分の家庭が他と違うと思ったのは小学校に上がったころだったと思います。何をするにもお祈りがあって、朝起きたとき、食事を始める前、寝るとき、いつもお祈りお祈りでした」
都内に住む統一教会(現世界平和統一家庭連合。本稿では統一教会と記述)2世のAさん(20代女性)は、緊張した面持ちでそう語り始めた――。
「教団への強い恨み」という犯行動機が明らかになるにつれ、SNS上には続々と、山上徹也容疑者(41)の境遇に共感する統一教会2世たちの声が上がっている。
いったい何が山上容疑者を追い詰め、凶行に駆り立てたのか。2世・3世への取材から、その哀しすぎる人生を追った。
冒頭のAさんは両親が統一教会信者。幼少期は教義を当然視していたが、小学生の時に、違和感に気付いたと語る。
「両親は教会に多額の献金をしており、家庭はとても貧しかったです。ランドセルや制服などぜんぶ親戚からもらっていました。クリスマス、誕生日のプレゼントもなし。おさがりのみすぼらしい服のせいか、小学校ではイジメも受けていました」
信者家族を苦しめるのが、この「献金制度」だ。教団の指導者たちが「これを買わないと天国に行けない」などと語り、信者に高額な壺や聖書を買わせる手法は現在も続いているという。
経済的困窮に加え、思春期になると2世の精神的負担が表面化してくる。Aさんが続ける。
「母に対して嫌だったのは、私が統一教会の存在を必死で隠しているのに近所中を訪問して伝道活動をすることでした。貧乏や伝道が原因のイジメを親に相談しても『神様からの試練で愛だから』と取り合ってくれない。そんな日々が続いた結果、10代後半に私は精神的に不安定になり病院に入院しました。心の中は死にたいという気持ちだけでした」
入院を機にAさんは統一教会から徐々に距離を取り、やがて退会した。だが、脱会後も苦悩の連続だったという。
「正直、教会から出た後の世界は全然楽しくなかったです。教会以外のコミュニティがなかったので両親を含む全ての人間関係を失い、孤独に苦しむ日々でした」
統一教会2世のなかには、教団に疑問を持ちながらも、脱会という道を選ばない人もいる。現役の2世信者であるBさん(20代男性)が語る。
「親は子供の幸せを思って信仰を強いている。だから、教会から離れるためには親との関係を捨てる覚悟が必要になります。そこまでの覚悟ができず、消極的に教会に留まる人は多いのです」
Bさんは、2世であるがゆえに恋愛すらもできなかったと振り返る。
「合同結婚式で結婚した統一教会信者の子供は『祝福2世』と呼ばれ、2世同士でしか恋愛・結婚が原則認められません。教義的には、1世同士の結婚で”血を清めた”のに”悪魔の血”を混ぜるのは罪だ、ということです。恋愛感情自体に罪の意識を感じる場合もあり、経済的な困難と並ぶ、2世の二大問題です」
自分自身や両親が信者でなくても、身内に信者がいるだけで家庭が崩壊するケースもある。統一教会「3世」のCさん(20代女性)が語る。
「私は母方の祖母だけが信者でした。祖母が家族に内緒で高額献金を繰り返していたことが原因で、母と叔父の間で刃傷沙太が起きたこともありました。2世である母は、日常的にストレスが存在する家庭で育ちました。結果、母は精神が安定せず、私に対しても虐待を繰り返した。自分自身を守るためには家族と縁を切らざるを得ませんでした」
統一教会に詳しいジャーナリストの有田芳生(よしふ)氏(70)は、こう警鐘を鳴らす。
「高額な献金による貧困と恋愛の制限など2世問題は根が深い。山上容疑者の家庭は特別なものではなく、表に出ていないだけで同じような家庭はたくさんあるんです。政治や行政が真剣に彼らをケアするシステムを作ることが求められています」
悲惨な2世を増やし続ける統一教会が掲げる”真(まこと)の家庭”とは何なのだろうか。
送検される山上容疑者。母が統一教会にのめり込み献金総額は1億円超に。教会への恨みが事件の引き金になった。
●政治家と旧統一教会 「ヒートアップすると山上容疑者の目論見通りになっちゃう」 8/8
社会学者の古市憲寿氏(37)が8日、フジテレビの情報番組「めざまし8(エイト)」(月〜金曜前8・00)に出演。政治家と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係について言及した。
番組では自民党の福田達夫総務会長が「何が問題か、僕はよく分からない」と発言したことや、現役閣僚として末松信介文部科学相、岸信夫防衛相、萩生田光一経済産業相、二之湯智国家公安委員長らが次々と旧統一教会と関わりを指摘されていると伝えた。
古市氏は「政治家って本当に票集めのためだったら何でもする人たちだと思う。だから当然、宗教とも付き合うし、ほかのいろんな組織とも付き合うと思うんです」と指摘。そのうえで「ただやっぱり思うのは、この1カ月間、一部凄い報道がヒートアップして旧統一教会批判が起こってますけど、もちろん旧統一教会の批判すべきところは批判すべきだし、犯罪行為に対しても犯罪行為だと糾弾することは必要だと思うんですけど、あまりにヒートアップし過ぎちゃうと、山上容疑者の目論見通りになっちゃうんじゃないかなという懸念があるんですね」とコメント。
「1カ月前に報道が出始めた段階では、山上容疑者自身がある種、陰謀論に染まっていて、安倍さんが旧統一教会の関係性が凄い深いっていうことを思って犯行に及んだって思ってたんですけど、そうじゃなくて、容疑者の供述によれば、むしろ安倍さんと旧統一教会の距離があることが分かっていて、むしろ誰を狙えば旧統一教会の問題を日本中が注目してくれるだろうってことを凄い考えた上で凶行に及んだ」と自らの受け止めを話した。
そして「だからある種まんまとわれわれがそれに乗せられているっていうか、乗せられすぎちゃうと同じようなことを考えてる第二の容疑者、例えば個人的に不満を持っている宗教組織や会社があった場合に、こういうことをすれば世間の注目を集められるんだって思っちゃって、第二、第三の事件が起きるって凄いリスキーだと思う。ヒートアップし過ぎないで糾弾するってことが凄い大事かなって思う」と自身の考えを述べた。
●旧統一教会は大打撃…「安倍元首相銃撃事件」以降に被害相談爆増 8/8
「家族が入信し、20年間諦めていたが、事件をきっかけに相談しようと思った」「山上容疑者と自分の境遇が重なった」──。
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)を巡る相談が、民間団体「全国統一協会(教会)被害者家族の会」と「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)に多数寄せられているという。
家族の会への相談は、安倍元首相の銃撃事件以降、前月の8件から91件に急増。実に11倍だ。全国弁連には1日20〜30件の相談がある。内容は、旧統一教会の信者家族による脱会相談がほとんどだが、なかには「家族が5億円以上献金した」と話す親族や「献金を取り戻したい」という脱会者もいた。
全国弁連事務局長の川井康雄弁護士がこう言う。
「集計はこれからですが、相談件数が爆発的に増えたのは事実です。被害者本人からのものもあれば、家族からの相談も結構多く、信者を親に持つ信仰2世からの相談もあります。さすがに献金額5億円以上は多い方ですが、億単位は珍しくはありません。むしろ比較的多い方です」
旧統一教会は2015年、世界平和統一家庭連合に名称を変更。これをきっかけに信者が増え、霊感商法や献金の強要などの被害が広がったと指摘されている。
「彼らにとっては『正体隠し』がキモです。家庭連合を知らない人がほとんどでしたから。銃撃事件を機に『家庭連合=統一教会』というのが相当浸透したので、やりにくくなった。今後、旧統一教会であると素性を明かして伝道してくれればいいが、果たして、それで入信する人がいるかどうか。そういう意味では、打撃は打撃です。我々からすれば、さらに名称が変更されない限り、当面は、新たな被害は抑止されるのではないかと期待しているところです」(前出の川井弁護士)
被害相談が急増していることについて、世界平和統一家庭連合は「非常に心を痛めております。今後、しっかりと状況を重く捉えて、対応にあたりたいと思います」(広報部)と回答した。
創設以来の危機であることは間違いない。
●名称変更問題 末松文科相「審議会にはかる案件ではない」元次官主張に反論 8/8
統一教会から世界平和統一家庭連合に名称が変更された経緯をめぐって、前川・元事務次官が、政治的な圧力があったとの趣旨の発言をしていることをめぐって、末松文部科学大臣が、きょうの閣議後の記者会見で反論した。
前川・元次官は、2015年、旧統一教会が名称変更を申請したことについて、申請内容に実態が伴っていない場合、宗教法人審議会にはかる選択肢もあったと指摘しているとされる。
この点について、末松大臣は、記者会見で、「実態が変わっていないことを理由に受理しないことは考えにくい。要件を備えていることを確認し、決定した。審議会にはかる案件ではない」などと反論した。
●有田芳生氏「統一教会は毎月1億円の『対策費』で『政治の力』に頼った」 8/8
統一教会(現・世界平和統一家庭連合)をめぐり、一体どんな「政治の力」が働いたのか──。教団の実態を暴き、社会問題化の端緒を開いたジャーナリストの発言に各方面で衝撃が走っている。統一教会との距離を見誤り、凶弾に倒れた安倍元首相の負の遺産は「内閣の最重要課題」だったはずの北朝鮮拉致問題もまたしかりだ。統一教会、そして拉致問題。この間、何が起きていたのか。渦中の人に改めて聞いた。
──教団をめぐる約30年前の刑事摘発の動きについて、「政治の力」が阻止したという趣旨の発言をされました。1980〜90年代の社会問題化、オウム真理教に対する95年の宗教法人解散命令、96年の改正宗教法人法施行、2007〜10年に相次いだ霊感商法摘発。いくつか波がありながら、教団は事実上、野放しにされてきた。なぜ追い詰められなかったのでしょうか。
順を追って説明すると、95年3月にオウムが地下鉄サリン事件を引き起こしたことなどで、当時の警察庁最高幹部や警視庁公安部幹部と情報交換する関係ができました。間もなく教祖・麻原彰晃が逮捕・起訴され、局面は捜査から公判へと移った。そうした中、警視庁幹部から「統一教会についてレクチャーしてほしい」と呼ばれたのです。「集まっている人間がどこの誰かは聞かないでほしい」との条件付きで。霊感商法から赤報隊事件まで1時間ほど話した後、幹部ら3人で食事をした。「今日の集まりは何だったんですか」と聞くと「オウムの次は統一教会を摘発する予定だ」と。「何から入るんですか」と重ねると、「経済問題だ」と返ってきた。
──いまだ続く霊感商法も大問題ですが、70年代には教団幹部が正規手続きを経ず、数億円の小切手を韓国に持ち出した神戸事件(証拠不十分により無罪)がありました。
入り口は霊感商法なのか、海外送金なのか。そこはハッキリしなかったけれども、カネの問題から入るとは言っていましたね。
「有田さんには税金かけたなあ」と
──しかし、当局に表立った動きはありませんでした。文化庁は統一教会に対する解散請求を議論したものの、断念。一方の教団は97年以降、名称変更を求め続け、第2次安倍政権下の15年に認証されました。
05年に警視庁の幹部らと居酒屋で飲む機会があった。「10年経った今だからこそ話せることを教えてください」と言うと、最初に返ってきたのは「有田さんには税金かけたなあ」と。
──どういうことですか?
当時、テレビ出演した僕の発言を公安部がチェックし、危ういことを言ったと判断すると、尾行をつけていたと言うんです。朝から晩まで、僕が帰宅するまで。1日延べ50人態勢だったと。全然気づかなかった。たまに行きつけの居酒屋に顔を出したこともあった。「そういう時はどうしてたんですか?」と聞くと、「近くにいたよ」って。
──それだけ教団の動きを警戒していたんですね。
ただ、肝心なところは語らず、「政治の力ですよ」と言われた。要するに、政治家から圧力を受けて統一教会本体の摘発はやめたと。ですが、公安部は重点対象を絞り込み、リスト化していた。幹部の名前や住所のほか、運転免許証や前科の有無、活動歴など幅広く調べ上げていた。統一教会は間違いなくターゲットだった。推測にはなりますが、警察官僚出身の有力議員が動いたからコトが起きなかったのか。
「空白の30年」が安倍元首相の銃撃につながった
──刑事裁判で教団の組織的犯行が認定された09年の新世事件(特定商取引法違反)では横やりが入り、松濤本部は家宅捜索を免れたとされます。
「いよいよ来たか」と思ったんですけどね。宗教法人格の認証が取り消されて当然なのですから、統一教会が「政治の力」に頼ったとしか考えられない。統一教会の内部文書のひとつに、毎月の海外送金や国内経費を項目ごとにまとめたものがある。07年は「PRチーム」に毎月500万円。国会議員に対するロビー活動向け予算です。それに対し、「対策」は毎月およそ1億円。警察に影響力を持つ国会議員に対するロビー活動と裁判に向けた経費です。07年1月9000万円、2月1億円、3月1億円、4月1億円、5月8000万円……。
──摘発が加速していた時期ですね。
松濤本部、つまり統一教会本体に捜査の手が迫らないよう手を打っていたということ。統一教会関連の報道があふれたのが92〜93年。95年のサリン事件発生で「カルト=オウム」の図式が出来上がり、統一教会への関心が薄れ、僕が言うところの「空白の30年」が生まれてしまった。この間、ノーマークだった統一教会は政治家にさらに接近、浸透。霊感商法も献金集めも続けていた。政治やメディアが統一教会をチェックしてこなかったツケが銃撃事件という形で噴き出してしまった。オウム事件もそうですが、銃撃は日本の歴史に刻まれる事件。統一教会はこれまでにない最大の危機に直面している。かなり動揺していると聞きます。
──岸田自民党は銃撃事件を「民主主義への挑戦」と強調し、教団の存在や関わりをうやむやにしようとしています。
安倍さんの決定的ミスは統一教会の関連団体のイベントにビデオメッセージを送り、(教祖の妻の)韓鶴子総裁に「敬意を表します」と言ったばかりか、「家庭の価値」に2回も言及し、「高く評価」したことです。母親の法外な献金によって家庭が崩壊した山上徹也容疑者からすれば、「何を言っているんだ」となるでしょう。もっとも、統一教会の影響力については冷静に評価すべきです。過小評価も過大評価もいけない。等身大の統一教会を見なければ。宗教保守の中で特異なのは事実です。68年設立の政治団体「国際勝共連合」を通じて政治家に近づき、主に自民党に対して伝統的にロビー活動を展開し、秘書などを無償で差し出すなどして助けを求める関係をつくり上げてきた。自民党からすれば、支援してくれる上、タダ働きをいとわない組織。持ちつ持たれつの関係が続いてきた。ですが、第2次安倍政権以降の自民党、ひいては日本の政界が牛耳られているかのように見るのは、統一教会を大きくとらえすぎている。
──アベ政治を振り返ると、拉致問題はむしろ解決から遠のきました。新著「北朝鮮 拉致問題」(集英社新書)では、〈拉致被害者に対する聞き取り〉と題した政府の極秘文書(04年作成)をひもとき、安倍政権の取り組みを批判的に検証されています。官邸外交が問題だったと。
小泉元首相の電撃訪朝を受け、拉致被害者5人が帰国したのは02年10月。まもなく20年が経とうとしています。当時の背景を説明すると、外務省の田中均アジア大洋州局長が、小泉首相にアジアで唯一残った北朝鮮との国交正常化の実現を提案。北朝鮮側のいわゆる「ミスターX」と極秘交渉を1年間重ねて初の日朝首脳会談を実施し、日朝平壌宣言、被害者帰国につなげた。外務省主導のオーソドックスな外交、質の高い「ヒューミント」に基づいた外交によって果実を得たのです。一方、安倍政権は外交経験の乏しい官邸外交にシフトし、後退させてしまった。
──政府の極秘文書が生かされなかったとも指摘されています。
あの文書は、拉致の実相を被害者の証言によって明らかにした資料的価値の高いもの。安倍さんも「全文、何回も読んでいる」と国会答弁していた。安倍さんは拉致被害者が現実にどういう状況に置かれていたかを理解していたと思います。にもかかわらず、事態は動かなかった。端的に言えば、政権基盤の強化に拉致問題を利用したのです。
──14年5月のストックホルム合意あたりまでは前進しているように見えました。
決定的だったのが14年秋から15年にかけての動きでした。ストックホルム合意に基づき、外務省が北朝鮮側と交渉する中で、認定拉致被害者の田中実さんと特定失踪者の金田龍光さんの生存情報がもたらされた。2人とも結婚し、家庭を持っていると。田中さんの結婚相手は日本人で、息子が日本風の名前だということも分かってきた。そうした情報が盛り込まれた中間報告を受け取り、現地に職員を派遣して田中さんらに聞き取れば、奥さんが被害者なのかも含め、拉致問題をめぐる新たな情報を収集できた。解明に向けた重要な手掛かりをみすみす捨ててしまったのです。
──「中間報告を受け取れば幕引きされる」とアナウンスされたものですが、象徴的な存在である横田めぐみさんらの生存情報が含まれていなかったためとも聞きます。
そういうことです。世論が納得しない、政権への打撃になると判断したのです。ボールは日本側にある。北朝鮮側は朝鮮学校の授業料無償化外しや朝鮮総連幹部の再入国禁止などの改善を求めている。日本側の動きが局面打開のカギなのです。政権は代わった。日朝平壌宣言、ストックホルム合意に立ち返り、外務省主導のオーソドックスな外交で再始動する必要があります。
●国連など統一教会から巨額寄付受領の団体に絶縁迫れ  8/8
岸田総理は来日中の国連事務総長に、国連と統一教会とのズブズブの関係解消を迫るべきだ。統一教会の資金の流れ先に、なぜ日本のマスコミは批判の矢を向けないのか? 天皇陛下と国連事務総長は会見されるらしいがこれもよろしくない。
いま日本で議論されているのは、この宗教団体の信者の支持を受けた政治家が、教団関連の平和運動などの集会に出たり、挨拶を寄せていたことらしい。
しかし、不思議なことに、この平和運動の資金が流れている世界の政治家や各種団体に対して批判はほとんどされていない。集会に出たりして金をもらっていたより、集会に出ただけとか挨拶寄せただけのほうが集中的に批判されているのだからおかしな話だ。ウクライナでも統一教会は勢力をかなりもっており、ウクライナ支援にも熱心だ。
日本での無理な金集めの動機のかなりの部分は、アメリカや国連でのこうした活動をするための原資とするためである。だとすれば、資金の流れている先を止めたら霊感商法など不規則な金集めも経ること間違いないのである。
だとすれば、日本政府としてもマスコミにしても、日本での活動に問題があり、そこで得た資金がこうした平和運動に使われているので、ここから講演料や寄付を受けたり、活動を後援したりしないように要請したら良いではないか。
おりしも、国連のグテーレス総長も来日中で、なんと、8日には天皇陛下におめにかかるそうだ。国連と統一教会は、まさにズブズブだ。とくに潘基文前国連事務総長は、鮮鶴平和賞とかいうのを創立者(文鮮明夫人)特別表彰とかいうかたちで、受けて100万ドルもらったり、カンボジアのフンセン首相とともに、今年の二月、天宙平和連合(UPF)の「ワールドサミット2022・韓半島(朝鮮半島)平和サミット」の共同組織委員長を勤めているまさに広告塔的存在だ。
鮮鶴賞はいわば統一教会版ノーベル賞だが、その受賞は以下の通り。この人たちにも絶縁と賞金の返還でも求めたら良い。
•第1回(2015年8月28日)受賞者:インドのM・ビジェイ・グプタ博士と、アノテ・トン大統領(当時、キリバス) 最初のテーマは「海」
•第2回(2017年)受賞者:サキーナ・ヤクービ博士、ジーノ・ストラーダ博士
•第3回(2019年2月9日)受賞者:アキンウミ・アデシナ博士と、女性人権活動家のワリス・ディリー女史 第3回テーマは「アフリカの人権と開発」
•第4回(2020年2月5日)受賞者:マッキー・サル大統領と、ムニブ・A・ユナン司教、及び創設者特別賞として潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長
•第5回(2022年2月12日)受賞者:サラ・ギルバート博士とGaviアライアンス(Gavi, the Vaccine Alliance=ワクチンと予防接種) 創設者特別功労賞には、カンボジアのフンセン首相
●旧統一教会報道で評価される「ミヤネ屋」維新や立民も忖度なしで≠フ注文 8/8
安倍晋三元首相が銃撃され、死亡した事件から1か月。山上徹也容疑者の供述で政界と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係に注目が集まる中、報道するテレビ局の評価が真っ二つに分かれている。
この問題について及び腰と言われるNHKに加え、当初は乗り気だったテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」も旧統一教会に詳しい有田芳生氏が出演後、扱いが激減。一部では自民党大物議員の圧力があったとも報じられている。
一方で積極的に報じているのが、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」とTBS系「ゴゴスマ〜GoGo Smile」だ。同問題に詳しい有田氏や紀藤正樹弁護士、ジャーナリストの鈴木エイト氏らが出演して問題点を説明。「これまで一切の関係を持っていないと確認できた」「何が問題か分からない」などとしらばっくれる自民党に鋭く切り込んでいる。
中でも「ミヤネ屋」のスタンスに対してはネット上で評価する声が目立ち、実業家のひろゆき氏も絶賛。視聴率もアップしている。
テレビ局関係者は「『ミヤネ屋』は大阪・読売テレビ、『ゴゴスマ』は名古屋のCBCテレビ制作なのが大きいのでは。国会がある東京のキー局は自民党や政権に忖度して、どうしてもやりづらいから」と指摘する。
ただ忖度は大阪にもあるようで…。府政関係者は「旧統一教会の報道では、『ミヤネ屋』の姿勢は素晴らしいが、読売テレビは自民だけでなく維新や立民も全部やってほしい」と話す。
維新は先日、所属議員と旧統一教会との関係を調査、発表したが、同関係者は「内容的にはお得意の『やってる感』アピールで薄っぺらい」と一蹴。こう続ける。
「一連の問題で松井一郎代表、馬場伸幸共同代表、藤田文武幹事長、足立康史衆院議員などの幹部クラスが旧統一教会とズブズブなのが知られている。読売テレビは足立氏にこそ直撃していましたが、2年前の吉村洋文知事のイソジン会見≠竢報番組に何度も出演させるなど、維新に近いと言われています。今後、どこまで掘り下げられるか」
お手並み拝見だ。 
●山上容疑者は「管理する人にはおとなしく、同僚らには上から目線」 人物像 8/8
安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃されて死亡した事件は8日で発生から1カ月となった。殺人容疑で送検された無職山上徹也容疑者(41=鑑定留置中)が事件前まで山上容疑者が派遣社員として勤務していた京都府内の工場の責任者も取材に応じ、新たな人物像を明かした。
京都府内の工場の責任者は、この1カ月で社員らの新たな証言から浮かび上がった山上徹也容疑者(41)の人物像について「現場の同僚らには上から目線で、かなりプライドが高かったようだ」と話した。
山上容疑者は20年10月からは派遣社員として工場に勤務。フォークリフトの免許を持ち、荷物の搬入作業に従事していた。事件前の5月中旬まで1年7カ月勤務した。事件後、山上容疑者と仕事で接することが多かった社員が奈良県警の任意の事情聴取を受け、新たな言動がわかった。
今年1月、山上容疑者はトラックへ荷物を積み込む際、「このやり方でも崩れない」と緩衝材を挟む作業を勝手に省いた。女性ドライバーは「荷物を傷めるので、緩衝材はいる」と抗議したが、譲らず、激しい口論に。最後はドライバーに「何を言うてんねん、おばはん!」と語気を荒らげたという。
荷積み作業では、積み込む前に荷物を確認し、積み込んだ後も数え直す。「子どもではあるまいしかもしれないが、危険回避のための手順です」と責任者。今年3月、50代の同僚の男性社員が積み込み後、再確認しない山上容疑者に「ちゃんと数えてや」と指摘すると、「積み込む前にオレが数えたのが、信じられないのか」と抗議。「決まりやからな」と返すと、「ほな。おまえがやれや!」と口論になった。
「管理する内勤の人に対しては、おとなしく、同じ現場の人にはけっこう当たりが強く、上から目線だったようです」。山上容疑者は奈良県内で有数の進学校として知られる県立高校を卒業したが、母親による巨額の献金で生活苦に陥り、大学進学を諦めた。責任者はこの1カ月で新たに分かった言動から「かなりプライドが高かったようだ」と話した。
●容疑者、伯父や妹に謝罪の言葉 母親は「統一教会に申し訳ない」 8/8
安倍晋三元首相の銃撃事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検、鑑定留置中=が「(事件を起こし)伯父や妹に申し訳ない」という趣旨の話をしていることが、関係者への取材で分かった。一方、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)へ多額の献金を重ね、一家が困窮する原因となった母親に対しては、謝罪の言葉は確認されていない。
「息子が大変な事件を起こした。家庭連合に申し訳ない」。山上容疑者の逮捕後、妹とともに伯父(77)のもとに身を寄せた母親は、捜査当局の事情聴取にそう口にしたという。
伯父によると、母親が入信したのは平成3年ごろ。2千万円、3千万円、さらに1千万円と高額の献金を重ねていった。原資は、自殺した山上容疑者の父親の生命保険金。山上容疑者はこの時期について、ツイッターに《オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた》と投稿していた。
その後も母親は「1回何十万円という献金」(伯父)を繰り返し、一家は困窮を深めた。山上容疑者が高校生の頃には、1歳上の兄から伯父に「食べる物がない」と連絡が入ったこともあった。母親は相続した会社の土地や建物も売却し、伯父は「献金が1億円以上というのは確証がある」と強調する。
多感な時期のつらい経験は、強い恨みへと変わっていった。捜査関係者によると、山上容疑者は逮捕直後から奈良県警の調べで、旧統一教会に対する恨みに繰り返し言及。「自分の人生がこうなったのは母親のせいだ」とも供述した。また、事件を起こしたことについて、伯父や妹に弁護士を通じて謝罪の言葉はあったが、母親に対してはなかったという。
一方、憔悴(しょうすい)しているという母親は今も、家庭連合の経典を手に日々を過ごしているという。
●安倍元首相銃撃から1カ月 カルトの定義、国葬、政局、ほとぼり冷めれば幕引き 8/8
安倍晋三元首相(享年67)が7月8日に奈良県内で参議院議員選挙の応援演説中に銃撃され、死亡するという衝撃の事件から8日で1か月を迎える。この間、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)の供述から、犯行動機の背景としてクローズアップされた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党議員をはじめとする政界との関係などについて、テレビのワイドショーや報道番組、ネットや紙媒体で連日報じられているが、一方で非公開の場で論じ合う機会も設けられている。その中で、7月下旬に都内で行なわれたイベントを取材した。
記者が足を運んだのは、ジャーナリストの深月ユリア氏が運営する深月事務所主催のシンポジウム。同氏が司会を務め、「新聞記者」「報道現場」などの著書で知られる東京新聞社会部記者の望月衣塑子氏、オカルト的ニュース配信サイト「TOCANA(トカナ)」の元編集長でライターの角由紀子氏、松下政経塾一期生で国連NGOに平和大使としても参加した光寿院住職の酒生文弥氏が登壇した。それぞれの専門分野から、銃撃事件の背景、容疑者の供述から浮上したカルト宗教、政界の動きなどについて語り合った。
酒生氏は自身が会頭を務める在日本ルーマニア商工会議所の設立に関連して安倍元首相と接点があった。「私は安倍さんと5回会っています。在日本ルーマニア商工会議所の設立を認めてくれたのが安倍さんであり、個人としては素晴らしい方で、その人が凶弾に倒れたことは非常に残念です」とした上で、「今回、『銃撃事件』などと報じられているが、これは公人を殺害したという定義において、はっきり『暗殺』と言った方がいいと私は思います」との見解を語った。
その上で、酒生氏は「山上容疑者の供述について、母親の入信によって家庭が崩壊し、(関係があったとされる)公人に対する恨みによる復讐をはらしたという内容が報じられているが、不自然なことも多く、今後も議論を要する。『ジョーカー』という映画があって、『バットマン』に出て来る悪役がなぜあのようになったのかという背景を描く作品でしたが、人間は疎外され、孤独になると、獣になるということ。容疑者の心にどれだけ深い闇があったのか、それはまだ分からない」と問題提起した。
さらに、宗教家である酒生氏は「カルトと宗教は峻別すべき」と訴えた。同氏はカルトの定義として「1・精神の不安定化(洗脳、マインとコントロール)、2・法外な金銭的要求(多額な寄付金)、3・住み慣れた生活環境からの断絶(監禁、出家など)、4・肉体的保全の損傷(暴力、精神的な暴力も含む)、5・子どもの囲い込み(洗脳教育)、6・反社会的な言説、7・公秩序のかく乱、8・裁判沙汰の多さ、9・従来の経済回路からの逸脱、例えば宗教団体のグループ企業化、10・公権力への浸透の試み」という10項目を挙げ、「カルトとは洗脳されて個人を崇拝し、自分の人生をなくすこと」と指摘した。
角氏は「今回の事件ではいろんな物事が絡み合って起きてしまった。これはオカルトの話になるんですけど、明治維新から(第二次世界大戦での日本の)敗戦まで77年、その敗戦から今年で77年なんです」と指摘。酒生氏は「7」という数字に込められた意味を踏まえて「それって偶然ではないと思います」と興味を示した。
望月氏は事件の背景や、旧統一教会と自民党との関係について、戦後の原点となる時期から現在に至るまでの流れを解説し、一連の報道の経緯やメディアの在り方、取材現場で体感した政治家の素顔などを報告。今後の政局については「求心力のある安倍さんがこういう形で亡くなったので、四十九日を過ぎたら、永田町的には派閥間の動きが活発化してくるのではないかと思います」と推測した。
賛否両論となっている安倍氏の国葬について、深月氏は「賛成でも反対でもいいですけど、人任せにはしないで自分で考えましょうということ。主権者は我々ですから」と主張。さらに、深月氏が自民党と宗教団体の関係について「絡んだ議員を外す動きになるのか、ほとぼりが冷めるまで待って幕引きか?」と酒生氏に問うと、同氏は「結論から言うと、後者でしょう」と即答した。
これまで、大きく報じられてきた社会問題に共通して感じることは「のど元過ぎれば熱さ忘れる」。ニュースとして消費されて終了なのか、政治や社会の在り方を考える次代への課題として語り継がれるのか。その岐路にあることを、会場の熱気の中で感じた。
●霊感商法被害、3万人の1千億円超を確認 8/8
安倍晋三元首相の銃撃事件では、山上徹也容疑者の供述内容から、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)による霊感商法に注目が集まった。霊感商法は事件化などによって被害人数は減少したものの、いまもなお続いており昨年は約3億円の被害が確認された。
不安をあおり、壺(つぼ)や置物などに超自然的な霊力があるように思わせ、不当に高い値段で売り込む霊感商法。昭和60年ごろから社会問題化し、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、旧統一教会による霊感商法の被害は62年には約164億円にのぼった。
同会の渡辺博弁護士によると、霊感商法を行っている団体は他にも存在するものの、全国で大規模に行っているのは旧統一教会だという。平成21年には不安をあおり高額の印鑑を購入させたとして、警視庁公安部が特定商取引法違反の疑いで、旧統一教会と密接な関係にあった印鑑販売会社社長らを逮捕。これ以降、大々的な勧誘は鳴りを潜めたものの、同会が確認した被害はこれまでに3万人以上、1237億円以上にも及ぶ。
渡辺弁護士によると、何らかの方法で身内に不幸があった人などを探し自宅に訪問するなどして勧誘。その際はアンケートなどとして身元を偽り、被害者の話を親身に聞くことで信用を得る。最初は不安をあおるような話をせず、信用を獲得した段階で占い師などを紹介。事前に被害者から聞き取った情報をもとに話を進めながら「先祖が地獄で助けを求めている」「子供や孫に悪い因縁が及ぶ」などと話すという。
かつては壺などがよく販売されていたが21年の摘発を受けて、近年は「一番大切なものをささげることで悪い因縁を断ち切ることができる」などといって資産を取り上げる「浄財」が多いとされる。
平成30年の消費者契約法改正で、霊感商法は最大5年を期限に取り消し権を行使できる。しかし渡辺弁護士は「旧統一教会と正体を明かされても、その段階で被害者はすっかり信者になっていて訴えない」と指摘。取り消し権を行使できても、教団側が拒絶した場合は裁判をすることになり、被害者が霊感商法であることを証明しなくてはならない。
渡辺弁護士は「お金を払う前に家族や知人に相談し、見知らぬ人にはむやみに個人情報を明かさないといった対策が必要だ」と注意を呼びかけた。
●旧統一教会の名称変更 “教会側から違法性指摘” 末松文科相  8/8
旧統一教会の名称変更を文化庁が認証した経緯について、末松文部科学大臣は、教会側から、形式上の要件を満たしている申請を受理しなければ、法律違反に当たる可能性があるという指摘が出されていたことを明らかにしました。
旧統一教会をめぐって文化庁は、平成9年に教会側から名称変更の相談を受け、その後申請は行われなかったものの、18年後の平成27年に申請を受理し「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認証しました。
これについて、末松文部科学大臣は記者会見で「形式上の要件に適合する場合は受理する必要がある。担当者に確認したところ、当時、旧統一教会側から『申請を受理しないのはおかしいのではないか』という違法性の指摘があった。教会側の弁護士が言っているという話だった」と述べました。
また、形式上の要件が整っていたとしても申請を認証せず、文部科学大臣の諮問機関である「宗教法人審議会」で判断すべきだったという指摘が出ていることについて、末松大臣は「申請の内容が要件を備えていることを確認して認証を決定したと認識していて、宗教法人審議会にかける案件ではなかった」と述べました。
●名称変更の申請前、旧統一教会側が文化庁に「不受理の違法性」伝える 8/8
旧統一教会が2015年、現在の「世界平和統一家庭連合」に名称を変更した経緯について、末松信介文部科学相は8日の記者会見で、変更申請前に教団側から「文化庁が申請を受理しないことの違法性について指摘があった」と明らかにした。教団側が「弁護士に確認した」として同庁に伝えたという。同庁宗務課によると、当時の担当者が指摘を記憶していたというが、日付は不明という。
末松文科相は名称変更について、憲法が保障する信教の自由に配慮し、申請書に形式上の不備がなければ受理し、認める制度だと改めて強調。こうした制度の趣旨を踏まえ、教団側は弁護士と相談の上、「申請を受理しないことはおかしいのではないか」と主張し、違法性を指摘したという。
その上で末松文科相は、変更を認めたのは教団側の指摘とは関係がなく、「手続きに沿ったもので、何らの問題もない」との認識を改めて示した。
教団の名称変更をめぐっては、元文科省幹部が1997年に教団から相談を受けたが、「名前を変えることは正体隠しにつながる」などとして申請を断ったと証言。形式上の要件ではなく、「(教団の)実態が変わっていない」ことなどを理由にしたと話している。
教団は取材に「相手があることなので、回答は控える」としている。
●山口環境相、旧統一教会に昨年2件祝電「今後は出さない、気を付ける」 8/8
山口壮環境相は8日の閣議後の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係イベントに、昨年2件の祝電を送っていたことを明かした。山口氏は「ピースロードという夏のイベントとクリスマスのイベントで、依頼を受けて祝電を出した」と説明。その上で、改めて「今後は祝電を出さない。気を付けます」と強調した。
5日の会見で山口氏が「(祝電を)頼まれたら全部出している。よほどおかしい団体でなければ」と発言したことに関し、当時は世界平和統一家庭連合についておかしな団体という認識はなかったかと問われると、「今後は気を付けたいと思う」とだけ答えた。
5日の「頼まれたら全部出す」という山口氏の発言を受け、ツイッターでは「#山口環境大臣に祝電を頼もう」のハッシュタグがトレンド入り。「誰にでも祝電を出すそうです」などと皮肉交じりのコメントが寄せられた。このことについて、山口氏は「色々な考え方があるとは思うが、過去に(世界平和統一家庭連合に)祝電を出したことが確認されたので、今後は出しません」と、歯切れの悪い回答に終始した。
●「国がカルト対策を」 旧統一教会めぐり専門家―安倍氏銃撃1カ月 8/8
安倍晋三元首相への銃撃事件を機に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関わりが大きな注目を集めている。事件から1カ月を前に、マインドコントロールやカルト問題に詳しい立正大の西田公昭教授(社会心理学)が取材に応じ、「国がカルト対策に乗り出すべきだ」と訴えた。
逮捕された無職山上徹也容疑者(41)は奈良県警の調べに「母親が旧統一教会に多額の献金をして、家庭が崩壊した」などと供述しており、教会への恨みが事件につながったとみられている。
西田教授によると、旧統一教会では全財産を創始者の故文鮮明氏にささげることが神の意思とされた。「そうしなければ自分も家族も救われない」と刷り込まれ、信者は「一族全体の幸、不幸は自分に懸かっている」とのプレッシャーや恐怖に駆られるという。
1980年代以降は、信者による霊感商法や合同結婚式をめぐって多数の訴訟が起こされるなど、旧統一教会は大きな社会問題となった。しかし、95年にオウム真理教による地下鉄サリン事件が起きると、世間では「破壊的カルト=オウム」のイメージが定着。旧統一教会の問題は陰に隠れて報道されなくなったが、教会は活動を続け、政権との関係を深めていったと指摘する。
山上容疑者のような「2世」の問題も深刻だという。親から教団の教えを強要されて自由を奪われたり、家庭が献金で困窮して十分な教育を受けられなかったりすることもある。2世の権利を守るためには児童相談所やシェルターの権限強化、大学卒業までの経済的支援、カウンセラーや精神保健福祉士らによる心理的支援などが必要だという。
ただ、根本的に重要なのは「カルト団体の活動そのものを制止すること」だと西田教授は強調する。海外では特定の団体をカルトと認定し、その思想を子どもに教えること自体を違法とする国もある。西田教授は、政治家が旧統一教会との関係を見直すべきだとした上で、「信教の自由と違い、カルトの自由はないということを国が掲げていかないといけない」と訴えた。
●茂木幹事長、旧統一教会と「今後は関係持たないのが基本」…自民議員通達  8/8
自民党の茂木幹事長は8日の記者会見で、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)について「これからは関係を持たないことが基本だ」と述べ、関係を断つよう自民議員に求めた。茂木氏は、旧統一教会との関係の点検と見直しを求める通達を、近く所属議員に出すことも明らかにした。
●茂木氏「今後は関係持たない」 “統一教会”と自民党議員 8/8
自民党の茂木幹事長は、旧統一協会と党所属議員について、「これからは関係を持たないことが基本だ」と述べた。
自民党・茂木幹事長「わが党の国会議員には、政治家としての自覚を持って、点検を行い、見直すということですから、これからは関係を持たないことが基本だと」
これに先立ち、岸田首相は、自民党の役員会に出席し、旧統一教会との関係について、党所属国会議員に対し、「それぞれ点検し、適正に見直してもらいたい」と指示していた。
●“統一教会”県内関連団体幹部が語ったのは 8/8
霊感商法などが社会問題化したいわゆる“統一教会”をめぐり、富山県内の関連団体幹部が先週、KNBのインタビューに応じました。教団は、なぜ政治家と関わりを持とうとするのか、前回に続き詳しくお伝えします。
県平和大使協議会 鴨野守事務局長「自分たちが信ずるその先生を通じて、ただもちろんその業界側の分野の業界だけというだけじゃなくて、その方が地域の代表として選ばれることがその地域をより良くしていくんだという、そういう思いから私は選挙協力をしているというふうに思います」
今月5日、KNBのインタビューに応じたのは、“統一教会”の関連団体、県平和大使協議会の鴨野守事務局長(66)です。
“統一教会”中枢で広報局長を務めたこともあります。
連日、“統一教会”と政治家の関わりについて報道される中、自ら説明したいと取材に応じました。
一貫して保守である自民党を応援してきたと語ったうえ、おととしの知事選では、支援した新田知事に直接挨拶したと明らかにしました。
鴨野守事務局長「応援したらどうかという話が固まった時に、その遊説、演説中に全部終わった合間ですね、ご挨拶に行った記憶がありますね」「選挙の年の春頃だったんじゃないかなと思いますね」
鴨野事務局長をめぐっては、田畑裕明衆議院議員への選挙支援をしていたほか、県議会議員や富山市議会議員との関わりがあったことがわかっています。
関わりを続ける背景には、教団の主張を浸透させる意図があったとみられます。
そのひとつにあるのが「家庭観」です。鴨野事務局長は、LGBTQと呼ばれる性的少数者への考えを例に挙げ、結婚して子どもを持ち、女性が家を守る伝統的な家庭像を重要視する教団の考えを語りました。
鴨野守事務局長「私たちが例えば家庭教育とかそういうことに対してこうあってほしいというものがございます。ざっくばらんに言えばLGBTQの条例、これが地域社会に、県民にとってより幸せな環境を作るかということに大変懐疑的な立場でございます」「日本において、同性婚については阻止すべきであるという立場であります。で、そのことを先生方に言う機会もあります」
数家キャスター「働きかけはしているということですね」
「その働きかけを私は否定しません。でも一方で、LGBTQの方々が野党の議員や自民党の先生に、高校の校則なくしてよ、とか、制服何とかしてよ、とか、いろいろ訴えて、そして議会でこのことを知事に話してよ、という人もいます。ですからそういう中で、どのどれを選択するか、それは先生方の見識です。ですから、それを私たちはどうこうその先生型を動かす、そんな失礼なことはあり得ないです」
鴨野事務局長は、教団をめぐる連日の報道に対し、信教の自由を主張する一方、現在も教団が多額の献金などのトラブルを指摘されていることについては話す立場ではないとしてコメントを避けました。
「それを今わたし、平和大使協議会の事務局長という立場でインタビューを受けた私に、こうあのボールを投げられても、ちょっと私としてはなかなかあの教団を代表したりする立場でもございませんので」
鴨野事務局長は、政治家への働きかけは否定しませんでしたが、影響は小さく限定的だと繰り返し主張しました。しかし、政治家が教団から選挙協力を受けてきたことで、政治活動への影響がなかったと言い切れるのでしょうか。取材を続けます。
●“元参院議員 旧統一教会の友好団体から支援” 事務所元職員 8/8
長野県出身の自民党の元参議院議員、宮島喜文氏が「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の友好団体から選挙で支援を受けていたことが議員事務所の元職員への取材でわかりました。
これは宮島氏の議員事務所の元職員が、本人の代理として取材に応じて明らかにしました。
長野県立の病院の副院長などを経て、日本臨床衛生検査技師会の会長を務めている宮島氏は、2016年の参議院選挙で、自民党から比例代表で立候補し、12万票あまりを獲得して初当選しました。
元職員によりますと、この選挙で旧統一教会の友好団体、「世界平和連合」の支援を受けたということです。
宮島氏は、別の国会議員から、選挙で支援してもらえる団体として紹介を受け、協力を依頼したということです。
このときの経緯について、元職員は「選挙や政界についてまったくの素人ばかりでどうしたものかと思案していたので、非常に心強かったことを覚えている」と話しました。
この団体の支援による得票数は把握していないとしていますが、当選後、定期的に連絡が来るようになり、宮島氏は旧統一教会の関係者が集まるイベントやセミナーに参加してあいさつをしたり、祝電を送ったりしたということです。
一方、元職員によりますと、宮島氏は、ことしの参議院選挙で再選を目指していましたが、所属していた派閥から前回のような選挙協力は難しいと言われたことや、支持基盤の技師会が新型コロナの対応に追われていたことなどから、自民党の公認を辞退し立候補を断念したということです。
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会や友好団体との関わりについて、NHKが県関係の国会議員11人に取材したところ、4人の議員が催しに出席したり祝電を送ったりしていたことが分かりました。
NHKは、県関係の国会議員11人に「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会や友好団体と関わりがあるかどうか議員本人や事務所に取材しました。
その結果、4人が友好団体の催しに出席したり、祝電を送ったりしていたと回答しました。
自民党では衆議院長野1区の若林健太議員が、去年、旧統一教会の関係者から長野市でのイベントへの出席依頼を受けて、あいさつをしたということです。
衆議院長野3区の井出庸生議員は去年、友好団体が行った催しにメッセージを送ったとしています。
衆議院比例北陸信越ブロックの務台俊介議員は、少なくとも2016年に安曇野市で行われた旧統一教会の友好団体のイベントであいさつをしていました。
立憲民主党では、衆議院比例北陸信越ブロックの篠原孝議員が、2004年に旧統一教会の友好団体が長野市で行った催しに祝電を送ったということです。
一方、衆議院長野2区の下条みつ議員は、「インターネット上で、落選していた時期に団体と関わりのあるイベントに祝文を送ったと書かれているが、記憶や記録がなく、100パーセントなかったとは言い切れない」としています。
このほかの6人は集会に出席したり、祝電を送ったりしたことはないとしています。
「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会は、選挙での支援について、「特定の政党ならびに特定の候補者を組織的に応援することはありません。ほかの友好団体においてはその限りではございません。なお、信徒個人が思想信条の自由によって行う、個人的な政治活動については把握することができません」とコメントしています。
●旧統一教会に「機械的に祝電」発言でSNSに依頼続出…内閣大幅改造へ 8/8
内閣改造、党役員人事が10日に迫っています。岸田総理が閣僚に旧統一教会との関係を点検し、見直すよう指示を出すなか、閣僚については半分以上を交代させる大幅改造となる見通しです。
新しい顔ぶれをどうするのか。その焦点の一つが旧統一教会との関係です。
松野官房長官:「本日の閣僚懇談会において、各閣僚に対してこの問題に関して国民に疑念を持たれることのないよう、政治家としての責任において当該団体との関係をそれぞれ点検し、厳正に見直しを行うよう私から指示を行いました」
これは岸田総理の指示を受けた発言。先月末の時点では。
岸田総理大臣:「社会的に問題になっている団体との関係については政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明していくことは大事だと思っています」
しかしその後、空気が変わったようです。何しろ次々と旧統一教会との関係が明らかになるからです。旧統一教会系のイベントに祝電を出していたことが分かった山口環境大臣は5日。
山口環境大臣:「なんか2、3祝電、こういうのってどこでもそうだと思いますけど、色々なところから頼まれたら全部出しますね。だからそんななかで機械的に出したようですけれど、全く意識はありません」
「頼まれたら、どこへでも機械的に祝電を出す」この発言を受け、ツイッターでは「山口環境大臣に祝電を頼もう」というハッシュタグがトレンド入り。
山口大臣に祝電を依頼する投稿であふれました。8日、改めて見解を問われた山口大臣は。
山口環境大臣:「過去に祝電を出したことがあったと確認されたので、今後は出しません」
もう機械的には出さないようです。
山口環境大臣:「(Q.大臣の認識としては旧統一教会はおかしい団体ではない?)事実を把握しましたので、今後は気を付けたいと思います」「(Q.旧統一教会の霊感商法の問題はかなり前から起きていて、全国で救済の訴訟も起きていたが)今回、事実を把握したので今後は気を付けたいと思います」
内閣改造は当初、来月上旬との見方もありましたが、急きょ、10日へと前倒しになりました。
この前倒しを巡り、永田町では先週末、「(旧)統一教会の問題が蔓延(まんえん)していて、お盆期間中もこの報道で満載になる可能性が大きい。この状況が続けば、秋の臨時国会前に内閣支持率に大きな影響を与えることが懸念される」「(旧)統一教会に関係した議員は内閣・党役員人事では外すとなってくると、人事の対象となる適任者が限定される。さらには清和会は被弾している議員が多いので、苦もなく清和会外し・弱体化ができる」などの臆測が駆け巡りました。
清和会、党内最大派閥の安倍派です。
旧統一教会との関係が明らかになった自民党議員の多くは安倍派。
閣僚でも関係が明らかになった7人のうち、3人は安倍派です。
このうち、健康面でも不安視される安倍元総理の実の弟、岸防衛大臣は交代させる見通しです。
一方、萩生田経産大臣は8日の閣議後会見で異例の発言をしました。
萩生田経産大臣:「私がやりたいとかじゃなくて、こんな大変なことを人が代わって大丈夫なのかという思いがありますので、当然、継続してやっていくことが望ましいのではないかと私は僭越(せんえつ)ながら思っていますし、一部報道で(内閣の)骨格は維持すると出ていて、俺は骨格じゃなかったのかという、こんな思いもございます」
残留への強い思いをにじませる発言です。通常は…。
金子総務大臣:「内閣改造につきましては総理の専権事項」
山口環境大臣:「内閣改造というのは総理の専権事項ですから」
8日午後、自民党は臨時の役員会と総務会を開き、内閣改造と役員人事を岸田総理に一任しました。
萩生田大臣を巡っては、高市政調会長の後任への起用が検討されています。
●信者、マニュアルで勧誘活動 「統一教会」の名称隠し  8/8
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者が1980〜90年代に教団名や教義を隠して勧誘するマニュアルを作成して活動していたことが分かった。安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)の母親が教団に入会した時期と重なる。容疑者は母親が教団に多額の献金をして家庭が崩壊したとして恨みを募らせたとされる。事件は8日で発生から1カ月。鑑定留置などの捜査では家庭崩壊の経緯解明も焦点となりそうだ。
教団側の霊感商法を巡る90年代前半の訴訟で証拠提出された80〜90年代の「伝道マニュアル」を共同通信は複数入手。識者は「内容は今も受け継がれている」と指摘する。
●「自民党の先生方は噛みつかなきゃいけない」旧統一教会元会長の助言 8/8
旧統一教会、世界平和統一家庭連合への過度な献金で家庭が崩壊した容疑者が、教団への恨みを、教団に友好的なメッセージを送った安倍元総理に向けたとされるこの事件。全国で政治家と旧統 一教会との関係の検証が進んでいます。県内でもまた、政治家と旧統一教会との関係が浮き彫りになりつつあります。
ジャーナリスト 鈴木エイトさん「この問題の根底に全て通じるんですが被害者を軽視してきた。被害者を無視してきた政治家側の問題。そこに焦点が絞られると思うんです」
旧統一教会、世界平和統一家庭連合の問題をこう指摘するのは、ジャーナリストの鈴木エイトさん。
鈴木エイトさん「政治家の側が、このカルト団体による被害にちゃんと目を向けていたら、ここまでの事件は起こらなかったのではないか」
全国霊感商法対策弁護士連絡会の調べによると、 1987年以降、旧統一教会・家庭連合に関する被害 総額は少なくとも1237億円以上。去年だけでも3億 3千万円あまりの被害額があるとされ、被害は過去 のものとは言えません。
鈴木エイトさん「やはり金銭的な被害も含めて (旧)統一教会はかなり他のカルトと指摘されるような団体より群を抜いて被害の金額も大きい実際に韓国 合同結婚式などで韓国へ嫁いだ人を はじめそういう人権侵害、その子供たちの被害 2世3世の被害もかなり顕著である」 県内ではかつて、36人が霊感商法被害を訴え、最初の被害から20年あまりをかけて被害額を取り戻した1999年和解の集団訴訟や、県内の教団幹部らによる献金勧誘の違法性が問われた裁判で、2012年、3億9千万円の返金を命じる判決が確定したケースがありました。
こうした背景があるなか、安倍元総理銃撃事件をきっかけに、全国で、政治家と家庭連合との関係が改めて問われています。
前宜野湾市長 佐喜眞淳さん「私が例えば金銭のやり取りとか 宗教の広告塔とか、そういうことがなかったということ含めて反省をしてるところでありますから、お詫びを申し上げたいと思います」
前の宜野湾市長、佐喜真淳さんは3年前、家庭連合の関連団体が台湾で開いた「祝福式」に出席したことを認めました。報道各社に出した文書では「信者でも会員でもない」と説明しています。
鈴木さんは、家庭連合と関係を持つ政治家に広く当てはまるとして次のように指摘します。
鈴木エイトさん「その理念にどっぷり浸かってそっちになびいているというよりは、 支援をしてくれる団体の一つとしてお付き合いをしている それがある程度発覚したとしても 別に大した騒ぎにはなってこなかったし 便利 な存在としてうまく付き合って割り切って付き合って いたのかなと」
県知事選に立候補する佐喜真さん。選挙は来月に迫るなか、他の立候補予定者にも説明が求められました。
元衆議院議員 下地幹郎さん「私は統一教会とは関係はありません」
90年代から衆議員としての活動経験がある下地幹郎さんは、関係を否定。
玉城デニー知事「件の関係する団体とは一切、関わり関連はありません」
2002年から政治家に転身した玉城デニー知事も一 切の関係を否定しています。
RBCでは、家庭連合や関連団体の様々なイベントに複数の政治家が参加したことを示す写真や映像をインターネット上で多数確認しました。見つかった映像のうち一昨年のイベントでは、旧統一教会の会長だった人物が、県内の自民党議員にこう助言を送っていました。
旧統一協会 徳野元会長「自民党の議員の先生方はやっぱりかみついてかなきゃいけない。玉城さん中国問題どう考えてんだ、このようにして次の知事選におきましてはこの問題を 1つの彼らのアキレス腱と思って...」
政治家と家庭連合の関係づくりは近年、ある目的を持って活発化していると、ジャーナリストの鈴木さんは指摘します。
鈴木エイトさん「ここ近年やっているのが家庭教育支援法案、こういう中央での法律の制定を求める意見書を各地方議会で採択させて中央に提出させる策動をやってる」
これは、家庭連合のWEBサイト。結婚・家庭に関する教団の価値観を説明しています。
『夫婦となり、家庭を築くことを通して初めて人生の目的を達成し、幸せになることができる』
教団のこのような考え方は、県内で開かれたイベントの写真を見る限り、同性婚に対する拒否感を隠さず、非科学的な説明も交えながら参加者に訴えられてきたとみられます。
『同性婚容認の風潮は、キリスト教的社会の倫理道徳から見て、明らかに背徳行為へと暴走している』
『男同士、女同士の親を持って、子どもが立派に成長すると考えることはできない』
鈴木エイトさん「2016年ぐらいからはですね、実際にその議員を韓国とかへ連れていって 3日間とか2日間とかの合宿に参加をさせて 原理教育統一教会の教育をすり込んでいき その国の政策なりに反映させようとしている形跡もあります。教団側の出版物にその旨が掲載されてるんです」
RBCでは家庭連合の那覇市の拠点に複数回、電話取材を試みましたが、繋がらず、活動の狙いと実態を聞くことはできませんでした。
鈴木エイトさん「またほとぼりが冷めたらまた手伝ってもらおうとかそう思ってる政治家がいてもおかしくはないんですよね。旧統一教会側だけを悪者として切り捨てることが果たしていいことなのか、そこにちゃんと共存共栄関係にあった政治家側の責任をしっかり問わないまま 教団と関係を断ち切るそこだけで許してしまってはこの問題の根本的な解決・検証にはならないと思います」
隠されていた被害が表面化する流れのなかで、歪んだ関係を解明しないまま幕引きを図るのかそれとも政治家自ら過去を検証していくのか、今後の対応に引き続き注目していく必要があります 。

 

●「あそこから行けた」 背後の手薄な警護確認 山上容疑者供述 8/9
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、山上徹也容疑者(41)が「あそこ(安倍氏の背後)から行けたのでやった」などと供述していることが8日、捜査関係者への取材で分かった。山上容疑者は現場に赴いて背後の警護が手薄だと確認できたから銃撃に及んだことになる。事件は8日で1カ月。警護態勢の甘さは容疑者の供述からも改めて浮かび上がった。
安倍氏は7月8日、ガードレールに四方を囲まれた狭いエリアで演説中に山上容疑者に手製の銃で撃たれた。警察庁によると、ガードレール内には、警視庁のSPを含め4人の警護員が配置されていた。
奈良県警が作成した警護計画では、4人のうち1人はガードレールの外側で安倍氏の後方を警戒することになっていたが、警護員の安全確保のためガードレール内に配置を変更。安倍氏前方の聴衆が増えてきたことなどから位置を変更した警護員は安倍氏前方に警戒方向を変えていたという。
その結果、現場には警護員4人を含む十数人の警察官がいたが、後方を警戒する警護員は誰もいなくなり、1発目が発射されるまで山上容疑者に気づいた者はいなかった。
捜査関係者によると、山上容疑者は事前に足を運んで下見をしていた状況や、地図上などで現場を調べた形跡は確認できなかったが、演説開始の少なくとも1時間半前には現場付近に到着していたとみられる。
警察当局は、山上容疑者は現場に到着後に背後の警護が手薄だった状況を把握して犯行に及んだとみており、山上容疑者も県警の調べにそうした供述をしているという。
山上容疑者は事件前日の7日に岡山市内で行われた安倍氏の演説でも犯行の機会をうかがっていたことが分かっているが、会場の警備態勢が厳しかったことから犯行を断念していた。
安倍氏の警護警備を巡っては、警察庁が問題点を洗い出す「検証・見直しチーム」を立ち上げ、現場の警護員から事情を聴くなど調査も進めている。チームは8月中にも検証結果をまとめる方針。
●旧統一教会「霊感商法」を追及した記者への非道な抗議と嫌がらせ電話の中身 8/9
7月8日に安倍晋三元首相銃撃事件が起こってから1カ月が経った。逮捕された山上徹也容疑者の動機について、犯行直後は「母親が“ある宗教団体”にのめり込んで多額の寄付をしたことで家庭が崩壊。恨みがあったと供述した」などと報じられた。その後、同月11日に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が会見を開くまで宗教の団体名を報じるマスコミはほとんどなかった。なぜ、多くの報道機関は旧統一教会の名前を出すことを躊躇したのか? その理由について、1980年代に「朝日ジャーナル」で霊感商法を鋭く追及した元朝日新聞記者、藤森研さんが実体験をもとに語った。
7月29日、全国霊感商法対策弁護士連絡会は日本外国特派員協会で会見を開いた。代表世話人の山口広弁護士は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題について、メディアをこう批判した。
「私はもう日本のテレビと新聞はレベルダウンが著しいと思っています。なんですか! 『特定の宗教団体』としか言わないじゃないですか。月曜日(7月11日)に、Unification Church(旧統一教会)が記者会見するまで、もうとっくに外国の新聞ではUnification Churchの問題を言ってますよ。あるいはネットにはたくさん流れてますよ。(中略)本当に悲しいですよ」
確かに事件翌日、旧統一教会とのつながりを報じたのはブルームバーグやBBCなどの海外メディアが多かった。日本のメディアでは「現代ビジネス」がいち早く安倍氏と旧統一教会の接点を書いた。しかし、日本の大手マスコミの動きは鈍かった。
これについて藤森研さんは、「非常に歯がゆいというか、違和感を覚えました」と語った。
犯罪すれすれの抗議
藤森さんはこの事件が起きた際、安倍元首相の死に対して謹慎が求められたような、内向きの空気をまず全般的にメディアに感じたという。
「一例を挙げれば、ほぼすべてのテレビのコメンテーターは『とても許されないことですが』と、免罪符の言葉を口にしてから、事件についてこわごわと話し始めた。つまり、その背景についてぐいぐいと迫っていく気持ちが萎縮していた。それが特定宗教の団体名を出さないことに直接結びついたかどうかは別にして、一種の萎縮の空気をすべての報道に感じました」
さらに藤森さんは、「これは推測ですが」と、前置きしたうえで、こう語った。
「まだ教団と山上容疑者との関係が確定していないにもかかわらず旧統一教会の名前を出すことで、彼らから抗議されることを恐れたのでしょう」
報道機関が抗議を受けるのは日常茶飯事である。ある意味、抗議慣れしているメディアが、なぜなのか?
「かつて、旧統一教会について批判的な記事を書いて、表立って抗議されたことはたくさんありました。それでも言うことを聞かないと、教団は『裏の手』も大変熱心に使う。旧統一教会がそういう団体であることをメディアによっては認識しているわけです」
旧統一教会が80年代ごろからメディアに対して行ったのは、「抗議」などという生易しいものではなかった。会社への直接抗議にとどまらず、記者本人の家に押しかけたり、家族の生活を脅かしたりするなど、犯罪すれすれの行為を組織的に行ってきた。そんなこともあって各メディアは腰が引けたのではないか、と藤森さんは推測する。
記者の家を見張る信者
1980年代、旧統一教会が印鑑や壺(つぼ)などを高額な値段で売りつける「霊感商法」が社会問題となった。そのきっかけとなったのが1986年に「朝日ジャーナル」で藤森さんらが始めた霊感商法追及キャンペーンだった。
「それまでは『開運商法』などと呼ばれていたんです。こんなにひどいことをやっているのに『開運』はないだろう、と。そこで、仲間とも相談して、追及キャンペーンでは『霊感商法』と名づけました」
「朝日ジャーナル」は断続的に旧統一教会を批判する記事を掲載してきた。それに対して旧統一教会は「信者が勝手に行っていることで、教会は関係ない」として編集部に抗議した。しかし、抗議の“効果”がないとわかると、教団は次第に記者本人や家族を標的にするようになった。
「86年12月ごろ、霊感商法追及キャンペーンを始めてすぐのころでした。当時、僕は東京・三鷹の借家に住んでいた。家主の息子が『未明から変なワンボックスカーが向かいに停まっている。中には屈強な若者が何人か乗っていてこちらをずっと見ているよ』って、知らせてくれた。それが嫌がらせ、個人攻撃の始まりでした」
休日、家にいると嫌がらせ電話がかかってきた。
「『この世界で飯を食えなくしてやるからな』とか、いろいろなことを言うわけです。それから、なぜか娘の名前を知っていた。『〇〇ちゃん、元気? ふふふ』。心配になって、下校時に迎えに行った。そんな電話がじゃんじゃん続いた」
「サタン」と呼ばれて
のちに脱会信者から話を聞くと、「僕は彼らの中では『サタン』と呼ばれていたようです。そりゃサタンが気を悪くするよと、冗談を言ったものですが」。
「仲間に嫌がらせ電話について相談すると、受話器録音装置を持って、駆けつけてくれた。それで『さあ、証拠をとっているからどんどん言え』って言ったら、無言電話に変わった。それでも1日100本以上かかってくる。仕方ないので、電話機を布団蒸しにした」
こんなこともあった。
最初はワゴン車の中にいた男たち。だが次第に家の入り口をうろつくようになった。
「あまりにもひどいので、こちらも攻勢に出ることにしました。カメラを持って出て行って、証拠を収集するからと言って、バチバチ写した。そうしたら、50メートルくらい離れた公園から見張るようになった」
ある日、その見張りを巻いてそっと横から近づき、腕をつかむと大騒ぎになった。
「男は『藤森さん、何するんだよ! 警察呼ぶぞ』って言うから『いい考えだ、一緒に行こう』と、駅前の交番に向かって歩いていった。途中、『電話させてください』って言うから、公衆電話で立ち止まったら、電話かけるふりして突然100メートル11秒ぐらいの感じで逃げていった」
87年半ばになると新聞やテレビも霊感商法追及キャンペーンを始め、大々的に報じられるようになった。
「このとき報じたメディアも統一教会から抗議を受けているはずです」と、藤森さんは言う。
秋になると、国会でも霊感商法が問題視され、旧統一教会は次第に霊感商法から手を引くようになる。
オウム真理教と重なる手口
藤森さんによると、旧統一教会の活動は大きく、三つの時期に分かれると言う。
「60年代、70年代は宗教団体であることを隠して大学生らを勧誘して洗脳し、信者にしていった。これが原理運動で、いわば『人の収奪』です。80年代は霊感商法による『金の収奪』の時期です。それでメディアは大騒ぎをするし、警察も乗り出してきたので、彼らは90年代から『内向』の時期に入るんです。それが今に至るまでずっと続いている」
内向の初期である90年代にはタレントの桜田淳子や山崎浩子らの『合同結婚式』がワイドショーで取り上げられたが、それらは教団を追及、糾弾するという姿勢では報道されなかった、と藤森さんの目には映った。
「内向の時期に入った彼らが何をやったかというと、真面目な善男善女を洗脳して『かたい信者』にしてしまうんです。教団に引っ張り込む騙しの手口はそれほど変わらないんですが、信者として『もう大丈夫だな』と判断したところで、全財産を献財させる」
そのやり口は、かつてオウム真理教が信者に対して行ったことと、ある面ではよく似ていると藤森さんは言い、こう続ける。
「今回の(安倍元首相銃撃)事件でぼくがハッとしたのは、山上容疑者のような『2世』の問題です。それまでまったく気がつかなかった」
霊感商法が下火になったとき、旧統一教会に対する追及を止めたことに対して「あれでよかったのかな、という思いをいま持っていることは事実です」と吐露する。
「原理運動や霊感商法のときは、被害者がやがて加害者になった――そういう構造だったんです。ところが2世は純粋な被害者です。教団に洗脳された親のもとで育った子どもたちがあんな苦労してるなんて、思いもしなかった。この2世の問題を放置してきた社会やメディアも、ある意味、加害者側にいると思います。そのことを今回の事件で一番強く感じています」
瞬間風速で終わらせない
最後に、7月11日に旧統一教会が会見を開いて以降、マスコミの報道姿勢についてはどう感じているのか?
「この問題を瞬間風速、一過性で終わらせるのではなくて、きちんと伝えようとする姿勢が伝わってきます。おせじではなくて、本当にそう感じています。特に日本テレビが頑張っている。『情報ライブ ミヤネ屋』とか。それからTBS、テレビ朝日も頑張っている。でも、なんといっても偉いのは、ジャーナリストの鈴木エイトさんです。彼は、このような事態にならない間も1人で取材を続けてきた。その姿を見ていると、ウォッチし続けることはつくづく大切だと改めて思う。敬意を持って彼を迎え入れ、伝えようとする番組の姿勢も立派だと思います」
●山上容疑者、旧統一教会への議員「お墨付き」に憤り…安倍氏銃撃1か月 8/9
安倍晋三・元首相(67)が銃撃され死亡した事件は8日、発生から1か月を迎えた。山上徹也容疑者(41)の供述などから、事件の背景の一端が浮かび上がってきた。社会が問われたものを考える。
入信した母親が多額の献金を重ねて破産し、生活に困窮したという山上容疑者。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を恨んでいたのに、なぜ安倍氏に銃口を向けたのか。
その動機を読み解く手がかりが、3年近く前のツイッターの投稿にあった。
安倍内閣に旧統一教会と接点がある政治家が多数いる――。
2019年9月、そんな内容の記事が夕刊紙のウェブサイトに掲載された。この1か月後、記事を自身のアカウントでリツイート(転載)していたのが山上容疑者だった。
記事では、14年以降に旧統一教会の関連団体の集会に参加した自民党国会議員らの名が列挙されていた。山上容疑者は20年も、別の複数のネットメディアによる同趣旨の記事をツイッターに投稿して紹介。この頃、すでに旧統一教会と一部の議員の関係を認識し、関心を寄せていたことがうかがえる。
山上容疑者は事件直前、旧統一教会を批判していたルポライターに安倍氏殺害を示唆する手紙を送り、安倍氏を「本来の敵ではない」「最も影響力のあるシンパの一人に過ぎない」と記していた。諸沢英道・常磐大元学長(犯罪心理学)は「政治家が教会にお墨付きを与えているという憤りが、動機の背景にあった可能性がある」とみる。
事件後、旧統一教会と議員の関わりが次々と表面化した。事件を起こせば、教会、そして議員らに世論の批判が集まる――。そんな思惑があったのだろうか。
旧統一教会は、古くから保守系の政治家と友好的な間柄だったが、より接近を図ったきっかけは09年の事件だったと、霊感商法の被害者救済に取り組んできた渡辺博弁護士は指摘する。
この年、「先祖が地獄で苦しんでいる」と不安をあおって高額の印鑑を売ったとして信者らが警察に逮捕され、批判が強まった。渡辺弁護士は「教会内部で『摘発されたのは、政治家との結びつきが十分ではなかったからだ』という声が上がった」と明かす。
旧統一教会の機関誌に、ある幹部の発言が記されている。17年1月に開かれた内部の集会で語った内容だ。
「後援会の結成を通じて多くの議員を支援した」「セミナーなどで数多くの議員を教育した」
この幹部は実績を強調し、より議員を「教育」し、教会の目指す方向に政策を推進させると語っていた。
こうした関係が教会の「権威付け」になり、信者の引き留めや意識高揚につながった側面もあった。
近畿地方の20歳代の男性は、昔から信者の父親に連れられて集会に参加してきたが、18年頃から議員の参加者が増え、父親は「やはり私たちは正しい」と満足そうに話したという。
30歳代の女性は幼い頃、入信した両親が多額の献金をして生活が困窮した。母親から閣僚経験者の名前をよく聞かされ、数年前には教会の関連団体の機関誌の表紙に、安倍氏の写真が掲載されているのを見た。
信者を親に持つ苦しさを社会に訴えたい気持ちもあったが、「政権が教会とつながっているのなら、声を上げても聞いてもらえないだろう」と思って諦めた。
議員が旧統一教会と関わることをためらわなくなった背景には、教会に対する有権者の警戒心の低下がある、との指摘もある。
全国霊感商法対策弁護士連絡会に寄せられた被害相談は、09年までの5年間は5163件(計約172億円)だったが、昨年までの5年間は564件(計約54億円)。依然として深刻な実態はあるものの件数は減っており、事件前は社会的関心も低かった。
自民党の茂木幹事長は8日、自民議員に関係を断つよう求めた。事件を教訓に政治に何が求められるのか。
塚田穂高・上越教育大准教授(宗教社会学)は「宗教団体が理念に基づいて政治に働きかけることはあり、それ自体に問題はない」としたうえで「旧統一教会は長年、多数の被害を出し、今も献金で困窮する人がいることを忘れてはならない。政治家が安易に付き合うことが、被害者や家族を傷つけるという認識を持つべきだ」と強調する。
岩井奉信・日大名誉教授(政治学)は「現在の教会を巡って、どんな問題があるのか実態を把握する必要がある。過度な献金で生活が破綻することを防ぐ法整備、被害を吸い上げる相談体制の見直しも検討すべきだ」と指摘する。
●旧統一教会と安倍氏の闇 古賀茂明 8/9
「自民党として組織的関係がないことを既にしっかりと確認をしております」7月26日、自民党 の茂木敏充幹事長が、自民党と旧統一教会(以下、教会と呼ぶ)との関係について、こう断言する映像がテレビやネットで流れた。
そのわずか2日後、これを全面否定するようなニュースが報じられた。
「安倍さんが、『統一教会に頼んでちょっと足りないんだウチが』と言ったら『わかりました、そしたらちょっと頼んでアレ(支援)しましょう』ということで」
これは、伊達忠一元参議院議長の言葉だ(HTBの放送)。安倍さんとはもちろん、安倍晋三元首相のこと。伊達氏が2016年の参議院選挙で支援していた宮島喜文候補の得票が当選ラインに届かない状況だったので、安倍首相(当時)に頼んだら、安倍氏が教会の票を上積みしてくれたということを意味する。その結果、宮島氏は当選した。少なくとも、このケースでは、時の総理が、教会の票を割り振る役割をしていたということになる。
伊達氏は当時、細田派(現安倍派)に所属し、当選した宮島氏も同派に入会した。少なくとも、当時の細田派と統一教会は、組織的に結びついていた。そして安倍氏がそのトップとして君臨していたわけだ。
実は、それから6年後の今年、参議院選挙で奇妙なことが起きた。統一教会のおかげで当選したという宮島議員が、一度自民党の公認を受けたのに、なぜか、これを選挙前に辞退したのだ。極めて異例である。前出の伊達氏によれば、安倍氏から、今回の選挙では、教会の票を井上義行候補に割り振るので、宮島氏には回せないと言われ、それでは当選は難しいということで宮島氏が(表向き)自ら公認を辞退。立候補も取りやめたという。井上氏は、第一次安倍政権で安倍氏の秘書官を務めた人物だが、党内の評判はすこぶる悪い。しかし、安倍氏は、身内を優先して現職の宮島氏を切った。なんとも自分勝手な振舞いではないか。
安倍派のある議員に電話で話を聞くと、統一教会は、安倍派に限らず幅広く国会議員の選挙のボランティアをしているという。ただで一生懸命やってくれるので、誰も断る人はいない。しかし、組織的な票の割り振りまでやってくれるわけではない。
自民党の支持団体は、概ね派閥ごとの縄張りがあり、参議院選挙の場合は、ある団体が、常に同じ派閥を応援するケースや、3年ごとに二つの派閥を交替で応援するケースなどがある。統一教会は、安倍派の団体という仕切りで、参議院選挙では常に安倍氏の差配で教会側が票を割り当てることになっているという話だった。
自民党と教会の癒着の歴史は古い。しかし、今日のように、大手を振ってイベントに参加するなどの行為が横行したのは、時の総理がこの団体との関係を隠さず大っぴらにそれを宣伝する行為をしたことの影響が大きいようだ。ある議員は、総理が表で親密にしていて、選挙の応援までしてくれる団体から案内が来れば、これを断る方が難しい、問題があると知っていても、総理がやってるから大丈夫だろうという安心感もあったと語った。
これでも、岸田文雄首相は、安倍氏の国葬を強行するというのだろうか。 
●山上徹也容疑者の母親「会見開きたい」と周囲に話す… 8/9
安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件で、逮捕された男の母親が記者会見を開く意向を示していることが関係者への取材で分かりました。
7月8日、奈良市で安倍元総理が銃撃され死亡した事件で、山上徹也容疑者(41)が逮捕・送検されました。山上容疑者は取り調べに対し「母親が旧統一教会にはまり、多額の献金をして破産した」、「教会を恨んでいて、安倍元総理は教会と繋がりがあると思い狙った」などと供述しているということですが、関係者によりますと、山上容疑者の母親が周囲に「記者会見を開きたい」と話しているということです。
内容は、安倍元総理やその親族への謝罪、旧統一教会への献金や家族についてとみられますが、時期や実際に開かれるかも未定ということです。
●山上容疑者の母親は会見で何を語るのか 「大阪の支援者」のもとで過ごす今 8/9
安倍晋三元首相(享年67)を銃撃して逮捕された山上徹也容疑者(41)の母親が、近く会見を開く予定だという。母親のA子さんは事件以降、山上容疑者の伯父宅に身を寄せていたが、8月7日になって出ていったことが明らかになった。
「伯父の家を出ていくにあたって、A子さんは『謝罪会見を開きたい』と話していたそうです。現状については『大阪の支援者のところにいる』と家族に電話で伝えています。この支援者というのは、旧統一教会からA子さんに5000万円が返金された際の手続きを手伝った人物です」(全国紙記者)
山上容疑者は「母親が宗教団体に多額の献金をして破産した。家庭を崩壊させた団体を恨んでいた」と供述している。宗教団体「統一教会」(現・「世界平和統一家庭連合」)に対する恨みが発端となり、元首相を銃撃するという凶行へと繋がったようだ。山上容疑者のTwitterアカウント(現在はTwitter社により凍結)にも〈オレは母を信じたかった〉〈何故に母は兄のため、オレを生贄にしようとするか 〉など母親への愛憎がつづられていた。
A子さんは息子が事件を起こしたあとも旧統一教会を熱心に信じている。
「A子さんはかなり落ち込んだ様子で、周囲に『申し訳ない』と話してはいるものの、あくまで『旧統一教会に迷惑をかけて申し訳ない』という感情が強いようです。事件後も身を寄せていた伯父宅にも教典を持参していたらしく彼女の信仰心は今も変わりがないのでしょう」(前出・全国紙記者)
A子さんは一体どのような母親だったのか。山上容疑者の兄の知人が振り返る。
「子どもの頃、何度も遊びに行きました。お母さんはお菓子やジュースを出してくれて、物静かで優しい印象でした。それよりも強く記憶に残っているのは、家の中の至るところにお札が貼ってあったこと。玄関にも、リビングの壁にもです。子ども心に、違和感をもったことを覚えています」
A子さんが宗教に引きつけられた背景には、育児の悩みや自身の持病があったようだ。
「山上容疑者の兄は、幼い頃に頭をけがした影響で、うまく言葉が出てこなかったり、走ったりするときに体のバランスを取りにくいといった後遺症があったんです。お母さんは、けがや後遺症のことを気にしていたんだと思います。そのうえ自分も持病があって……そういったことが重なって、宗教に傾倒していったのかもしれません」(前出・山上容疑者の兄の友人)
A子さんが今も変わらず旧統一教会を信仰し続けていることは、多くのメディアで報じられている通りだ。だからこそ、近く会見を開くつもりだとの報道に対しても〈ただ団体をかばうような内容に終始するのではないか〉と危惧する声が寄せられている。
なお、旧統一教会は8月10日に都内で会見を開くことを発表した。団体をめぐる報道や、教団が受けた被害などについて説明するという。A子さんの会見もあわせて、世間の注目が集まる。
●会見意向の山上の母親「被害者として悪用されているという姿がさらされる…」 8/9
9日放送の日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」では、安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者の母親が「近く謝罪会見を開きたい。世間に謝りたい」と話し、自宅を出たことを速報した。
支援者の庇護のもと大阪市内のホテルにいるとされる母親について、コメンテーターで出演の野村修也・中大法科大学院教授は「今、非常に旧統一教会に対する世間の批判が集中してますよね。それを何らかの形で元に戻そうという力がもし働いていて、利用されているんだとすれば、やはり、この母親がまた、さらに被害者として悪用されているという姿がさらされるということになるんじゃないかなと思います」と話した。
●旧統一教会会長と新田知事 おととしの知事選前に面談 後援会事務所で 富山 8/9
富山県の新田知事は9日の記者会見で、おととしの知事選の前に旧統一教会、世界平和統一家庭連合の当時の会長と富山市の後援会事務所で面談したことを明らかにしました。
新田知事は2020年8月1日に世界平和統一家庭連合の当時の会長である徳野英治氏と富山市内の後援会事務所で面談し、新田知事からは立候補の決意の表明、政策について話したということです。
具体的な選挙支援については、後援会入会申し込み者の紹介、選挙期間中に選挙事務所の電話から後援会入会者に対しての電話作戦のほか、滑川市や富山市など合わせて3か所で演説する機会を設けてもらったとしています。
徳野英治氏は富山大学出身で、2009年に統一教会が警視庁に霊感商法で摘発されたときの会長で引責辞任していました。その後、統一教会が世界平和統一家庭連合に名称変更される前にも会長となり、おととし10月に交代していました。
●練馬区が登録の清掃ボランティア、旧統一教会の関連団体だった 8/9
立憲民主党の山岸一生衆議院議員が2022年8月8日、旧統一教会の関連団体が昨年度に東京都練馬区から支援を受けていたと公表した。
区はJ-CASTニュースの取材に事実関係を認め、4月までに制度設計を見直したと明かす。
山岸氏は8日にブログとツイッターで、練馬区への聞き取りで判明したとして情報公開した。主な内容は次の通り。
旧統一教会の関連団体が昨年度、区が指定する環境美化活動団体に登録され、清掃用具の支援を受けていた。「後ろ盾」を得たこの団体は、区立施設にチラシを置くなどしたため、問題視した区が今年度の登録を見送った。
山岸氏は「これが、旧統一教会の『典型的な手口』です」と警鐘を鳴らす。
「『練馬区・地域の環境美化を行うグループ』という、"誰も反対しない、一見もっともな地域活動"を通じて、『練馬区役所』という公的機関につながりを得る。いったん『練馬区役所』という公的機関と接点ができたら、さも『練馬区役所』という公的機関・お役所の『お墨付き』があるかのように振る舞い、活動を宣伝」
さらには、団体の活動に自民党の政治家が参加した記録 があるとし、「練馬区の担当者も対応に苦慮されたでしょう。今年度の登録を見送った裏には、練馬区の担当者の的確な判断がありました」としている。
区の環境部美化啓発係は9日、J-CASTニュースの取材に、山岸氏の発信内容を認めた。昨年度に初めて登録したという。
問題に気づいた区は今年3月、団体の代表と面会して「支援できない」旨を伝えた。
「(この団体が)コンサートなどの活動をする際、『練馬区長に承認された美化活動団体です』とチラシに銘打ち、活動をあたかも区が支援しているような表現を始めたため、制度の趣旨に合わず調査をしました。すると、旧統一教会の関連団体だと認識したため、本年度の登録はお断りしました」
今年度から新たに登録要件を設けた。「特定の政治上の主義および宗教の教義を推進し、支持し、またはこれに反対することを主な目的としない団体であること」「(これらに該当する)団体の下部組織、関連組織ではないこと」などの項目がある。
●統一教会 コンプライアンス宣言後も年間600億円の献金集め 8/9
2009年に「コンプライアンス宣言」を行い、信者たちが法令を遵守し、公序良俗に反する行いが無いように教団が責任を持って指導する姿勢を打ち出した統一教会(現・世界平和統一家庭連合)。しかし、それ以降も変わらず多額の献金を集めていたことが、元「週刊文春」記者でフリーライターの石井謙一郎氏が入手した内部資料によってわかった。
ここに掲載するのは、2012年1月5日に開かれた、統一教会の「全国責任者会議」で配られた「復興局報告」と題する資料の一部である。
表紙を除いて15ページあるこの資料は、2009年から2011年までの日本人信者の献金の報告だ。作成したのは統一教会の復興局という部署。統一教会において復興とは、献金を意味する。以下、詳しく解説していこう。
目標を達成した教会がいくつあったかを示したランキング
表(1)は、2011年末における地区別献金のランキングだ。この頃、統一教会の組織は、北海道から九州まで12の地区(JK)に分けられ、その下に64の教区(KYK)があり、287の教会(CH)があった。
   表(1)2011年末における地区別献金ランキング
左側の表でランキングされているB%とは、地区や教区から本部へ送金される金額の目標に対する達成率。1位になっている第10地区は、四国のことで、最下位の第9地区は京阪神だ。
一番右は、目標の100%以上を達成した教会が、地区ごとにいくつあったかを示している。企業が、営業所のセールス実績を競わせているようにも見える
表(2)は2009年から2011年にかけての、年度ごとの献金額と支出の内訳を比較している。「年度別TD推移」の「TD」とは「Thanks Donation=感謝献金」の略だ。なお、以下に記す金額は、表内の2011年のものである。
   表(2)2009〜2011年の献金額と支出の内訳
「コンプライアンス宣言」以後の3年間にも、約600億円ずつの献金を集めていた
まず、左上の表は信者からの集金の内訳だ。
・TD in――感謝献金。498億円。
・KI――個人や金融機関からの「借り入れ」を示す。目標額の献金ができない場合、信者は借り入れをしてノルマを果たすことがある。32億円。
・1/10 収入の10%の献金で、31億円。
TD、KI、1/10、その他を合計した額がDで、集金の総額を示す。2011年の総額は、実に594億円に達している。
一方、左下の表は支出の内訳だ。
・KH――「経費」。人件費を含む運営費のこと。196億円。
・HS――上の表の借り入れに対する「返済」。105億円。「KI」に対する比率の高さから、多額の借金を抱えていることがわかる。
・HK――法的な問題が生じて支払った「返金」。訴訟や、弁護士からの返金請求に応じて払った額で、21億円。
以上の3つや、他の支出を除いた金額が、左下の表のTDで、本部へ送られる金額を示す。295億円。
右側の棒グラフは各年の合計額で、折れ線グラフは比率の推移を表している。
以上を読み解くと、2009年の「コンプライアンス宣言」以後の3年間にも、約600億円ずつの献金を集めていたことがわかる。
「当法人が作成した資料ではありません。」と統一教会側は回答
しかも資料にある献金額は、末端の教会から教区を通して本部へ送られる、いわば“正規ルート”のお金。下火になったとはいえ霊感商法の売上は、別にある。
この「復興局報告」の内容について統一教会に問うと、「当法人が作成した資料ではありません。また、当法人が『全国の地区や教会を献金額によってランキングしている』といった事実はありません」と答えた。
また、2009年のコンプライアンス宣言以降も多額の献金を集めている実態については、「当法人は収益事業を行っておらず、世界宣教の支援や信徒らの教化育成、教会運営などは全て信徒からの個人献金によって支えられていますので、これら活動のための献金を信徒に奨励することがあったとしても、問題があるとは考えていません」と回答した。
統一教会の本質は改まったといえるのか
しかし現役の信者は、こう打ち明ける。
「献金はノルマです。それぞれの信者がいくら献金したか記録されていて、不払い分は払い終えるまで追及される。今はみんな金欠病なので、過去に遡ってノルマをこなしている状態です」
統一教会の本質は改まったといえるのか、今後の活動を注視する必要がある。
●荻原市長が旧統一教会関連団体にビデオメッセージ送る 長野 8/9
長野市の荻原健司市長は9日の会見で、世界平和統一家庭連合=旧統一教会の関連団体の会合に向けて、今年1月下旬にビデオメッセージを送ったことを明かしました。当時を振り返り「慎重に判断すべきだった」としています。
長野市・荻原市長「長野県平和大使協議会長野支部という団体の皆さんからの依頼でした。旧統一教会の関連団体という認識は持っていました」
長野市の荻原市長は今年1月下旬に、旧統一教会の関連団体が市内で開いた会合に向けて、祝福するビデオメッセージを送ったと話しました。秘書課に依頼があり、最終的に市長が判断したということです。
荻原市長「今の状況を考えますと当時私がメッセージを送ったという判断につきましてはもう少し慎重に判断すべきではあったと考えています」
金銭の授受はなく、今後は接点を持つべきではないとしています。
●旧統一教会と関係認めた7人は外れる 第2次岸田改造内閣10日発足 8/9
岸田文雄首相(自民党総裁)は10日、第2次岸田改造内閣を発足させる。同日中に党役員人事も行う。首相は9日の長崎市での記者会見で「新たな体制で喫緊の課題への対応、政策実現に向け全神経を集中させていきたい」と述べた。内閣改造では、高市早苗政調会長(61)=無派閥=を経済安保担当相、河野太郎広報本部長(59)=麻生派=をデジタル担当相で起用する。党役員人事では、萩生田光一経済産業相(58)=安倍派=を政調会長に充て、党四役として初登用する。
自民党は10日午前の臨時総務会で新執行部を正式決定。その後、第2次岸田内閣は臨時閣議で辞表を取りまとめる。与党党首会談の後に組閣本部が設置され、皇居での閣僚認証式を経て同日中に新内閣が発足する。
首相は会見で「難局突破のために政府・与党の結束が重要で、内閣改造はこの認識のもとで行う」と説明。新型コロナウイルスの感染拡大や物価高などを挙げ「喫緊の課題を乗り越えていくためには政治、行政の空白は一切許されない」と述べた。
初入閣では、寺田稔首相補佐官(64)=岸田派=を総務相▽葉梨康弘政調会長代理(62)=岸田派=を法相▽永岡桂子副幹事長(68)=麻生派=を文部科学相▽野村哲郎党参院議員副会長(78)=茂木派=を農相▽西村明宏元官房副長官(62)=安倍派=を環境相▽岡田直樹参院国対委員長(60)=安倍派=を地方創生担当兼万博担当兼沖縄・北方担当相▽谷公一元副復興相(70)=二階派=を国家公安委員長兼防災担当相▽小倉将信党青年局長(41)=二階派=を少子化担当相▽秋葉賢也元首相補佐官(60)=茂木派=を復興相――にそれぞれ充てる。
厚生労働相に加藤勝信前官房長官(66)=茂木派、防衛相に浜田靖一氏(66)=無派閥=を再登用し、経済産業相に西村康稔前経済再生担当相(59)=安倍派=を起用する。
松野博一官房長官(59)=安倍派、林芳正外相(61)=岸田派、鈴木俊一財務相(69)=麻生派、斉藤鉄夫国土交通相(70)=公明党、山際大志郎経済再生担当相(53)=麻生派=は再任させる。
党役員人事では、萩生田氏に加え、森山裕総務会長代行(77)=森山派=を選対委員長に起用する。遠藤利明選対委員長(72)=無派閥=は総務会長に横滑りさせる。麻生太郎副総裁(81)=麻生派、茂木敏充幹事長(66)=茂木派、高木毅国対委員長(66)=安倍派、小渕優子組織運動本部長(48)=茂木派=は続投する。広報本部長に石田真敏元総務相(70)=岸田派=を充てる。
首相は現閣僚や新閣僚らに宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係の有無を点検し結果を公表するよう求めており、9日の会見で「自ら点検し、厳正に見直していただくことが、新閣僚、党役員においても前提となる」と述べた。現閣僚のうち、旧統一教会や関連団体との「関係」を認めた7人は交代となる。
●恐ろしい真実。統一教会が日本人女性を韓国人と結婚させる「本当の理由」 8/9
安倍元首相の銃殺事件の犯人が語った犯行動機から大きな批判を浴びることになった旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)。今回のメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』では、この宗教の実態について詳しく語られた一冊を紹介しています。そこに書かれていた、統一教会「合同結婚式」の恐ろしい真実とは?
「統一教会」の教えの内容、勧誘方法、セミナーの内容、営業トークマニュアルから、会員へのインタビューと幅広く調査した内容となっています。
「統一教会」の教義は、キリスト教をベースとしながら、文鮮明がメシアであり、人々に「祝福」を与えるというものです。祝福とは教祖が配偶者を決めて信者同士が結婚するというものです。このような異様な教義のため、キリスト教各教派からは異端とみなされています。
韓国は神の国であり、地上天国を建設した後に、世界の中心になり、世界の言語は韓国語になる。そして日本は、韓国を植民地とした罪深い国家であり、韓国民に対して贖罪しなくてはならないとしています。
日本での統一教会の宣教は、キリスト教が一般的でないためうまくいきませんでした。結局、1960年代から若者をターゲットとした反共的な政治運動としてメンバーを集め、そのメンバーを統一教会員とすることで勢力を拡大させたのです。政権与党の政治家の庇護を受けたのも事実のようです。
日本の統一教会は…宣教の対象を若者に絞り込むことにした。1964年に小宮山嘉一を会長として全国大学連合原理研究会が創立され、大学生・青年の伝道が活発化した(p89)
1980年代に入ると日本の統一教会は、活動資金を調達するために該当や個別訪問で姓名判断を行い、先祖の供養や悪霊を解くといった名目で高額の印鑑、数珠、壺を売りつけ霊感商法として問題となりました。
1990年代半ばになると、日本の統一教会の幹部が韓国人に置き換えられ、日本の統一教会信者に対する献金の要請が激化ました。当時のビデオでは、韓国の幹部が日本の教会員に対して全財産を自らはき出すだけでなく、はき出す人を連れてこいと檄を飛ばしていたという。
合同結婚式も2000年代まで行われており、日本の女性信者6,000〜7,000人が韓国人に嫁いだという。
日本は韓国を植民地とした罪深い国家であり、韓国への贖罪として金を支払わなくてはならず、韓国の花嫁不足問題の解消のために女性を提供しなくてはならないということなのでしょう。
不思議に思うのは、霊感商法で金を巻き上げているのは日本だけで、韓国、米国ではそれほど悪評がないことです。つまり、霊感商法は金を巻き上げるために日本だけで行われているのです。
統一教会の勧誘方法は、プログラム化されており、正体を隠して手相・姓名判断を受けさせ、商品を買わせるマニュアル。その後のビデオセミナー、宿泊セミナーでの教化も組織化されていることがわかります。
日本を罪深い国とし、罪悪感を利用して20歳前後の若者をターゲットに洗脳し、年間数百から数千億円の金を吐き出させ、7,000人もの日本人女性を知らない男性と結婚させるたことに、怒りの気持ちがわいてきました。金を奪うだけでなく、関係した人の人生まで奪っているのです。
そして韓国人の男性と結婚した日本の女性が、貧しい生活の中で暴力を振るわれたりしても、それに耐えることで、罪深い日本人として救われると思い込まされているという。抜け出せないように仕組まれているのです。
洗脳の技術は良い方向に使えば、強力なプラスに作用しますが、統一教会のように使えば、人を自分の思うとおりに動かせることに恐怖を感じました。
●自民党と旧統一教会「関係ない」から一転…茂木幹事長“手のひら返し”発言 8/9
自民党の茂木敏充幹事長が8日、臨時の党役員会後に行った記者会見に、SNSで怒りの声が相次いでいる。
茂木幹事長は旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)との関係について、関係を見直すことを所属議員に通知すると明らかにし、旧統一教会と「これからは関係を持たないということが基本だ」と発言したからだ。
《【関係】を持ってたんじゃないか。お前(茂木)は嘘つきなんだよ。》《しかし、茂木は「関係ない」って突っ撥ねてたの、今更どう説明するんだよ。この男こそアウトだ!》《つい先日「一切関係がない」と、言ってた。舌の乾かぬうちに……の、お手本。》《「基本」てことは、「例外」もあるってことやんwww》などといった具合で、茂木幹事長の発言がさらなる怒りを呼んでいる状況だ。
茂木幹事長は約1週間前、8月2日の記者会見では、自民党と旧統一教会について「これまで一切の関係を持っていないと確認できた」と述べていた。
さらに、同4日には立憲民主党の西村智奈美幹事長が、旧統一教会をめぐる被害についての「国会調査委」の設置を茂木幹事長に拒否されたと明かしている。
このことにも、《何の調査も総括もせず逃げるように言われても信用できない。「来年度の桜を見る会はやりません」で終わらせようとしたのと一緒。説明責任を果たせ》といった厳しい声が相次いでいる。

 

●なぜSPは山上徹也容疑者を撃たなかったのか? 8/10
なぜ、安倍晋三元首相を護っていた警察の「警護員」は、背後がガラ空きであることに気づかなかったのか?
どうして、犯人を射撃しなかったのか?
多くの専門家の方々がメディアでそうした疑念を口にしている。
しかし、そこには「警護」という世界の専門家の姿がほとんどない。
「警護」専門家たちの“秘められた声”に迫る
「警護」は、大きな枠組みで言えば警備警察のひとつの部門である。警備警察には機動隊を運用する「警備実施(けいびじっし)」、皇室関係者を護衛する「警衛(けいえい)」などがあり、それぞれで極めて独自性の強い技能と経験値が要求される。
「警護」もまさしくその一つで、その世界にいる者や経験者しか理解できない部分が多い。
今回、麻生幾氏は安倍元首相の警護の背景事情に迫ったレポートを「文藝春秋」に寄稿。
「現役の警護員」たちの“秘められた声”を伝えることで、語られていない事件の真相を浮き彫りにしている。
守られなかった「3つのマニュアル」
多くの「ベテラン警護員」が真っ先に口にしたのは次の言葉だった。
「日本警察の『警護』には3つの『マニュアル』がある。『警護要則』、『警護細則』、そして『警護措置マニュアル』(以下、総合して「マニュアル」と略)がそれらだ。
しかし、今回の奈良県警の警護員たちはこれら『マニュアル』の重要部分をいずれも守っていなかった」
「現役の警護員」たちが指摘したのは、「基本体形」という配置であり、「警護対象者」(安倍元首相)との「距離」である。
それらが「マニュアル」から逸脱していたと言及した。
警視庁での研修を受けていなかった
では、奈良県警の警護レベルにはどんな問題があったのか?
全国の道府県警察本部(以下、全国警察)の警護員たちを指揮する幹部は、1年間におよぶ警視庁警護課での研修を受けることを警察庁から強く促進されている。
しかし、今回の現場にいた警護員たちには“ある問題”があった。
警察庁は、全国警察に対し、その研修を受けるため警護担当の幹部こそ積極的に「入校」するよう強く奨励している。しかし、今回の現場では、ある重要な警護員が「入校」していなかったのである。
また、東京から安倍氏に同行してきた警視庁SPにも、警護員OBは疑問を投げかけている。奈良県警の警護員たちの力量を分かっていながら、経験を積んだSPはなぜ指導をできなかったのか──。
「マニュアル」では「選挙警護」という専門項目を作っている。そこでは、地元の選挙支援組織との対処について、事細かく「教養」(きょうよう)していた。だが、安倍氏の警護の現場では、それが遵守されなかった可能性が高い。
「LO」(ローン・オフェンダー)の極秘データベース
しかしその一方で、道府県警察の警護員たちには不幸な「ある事情」があったことも、「現役の警護員」たちは苦渋の表情を浮かべながら語ったという。
これらの事実により、警護員たちの教養に腐心してきた警察庁を大きな衝撃が襲った。
だがその一方で、犯人の人定ができた瞬間、警察庁のある部署で係官たちは、急いで立ち上げたコンピュータにかじりついた。係官が見つめたものは「LO」(ローン・オフェンダー)と密かに称された極秘のデータベースだった──。
そこでは、対象者を危険レベルが高い順に、A、B、Cとランク付けするだけでなく、それぞれに対する対処方法を詳細に指示しているのである──。
では、山上容疑者は「LO」データベースに登録されていたのか? ・・・
●15時から始まる「統一教会」反論会見の内容は “宗教弾圧”を国連へ訴える? 8/10
本日午後3時から日本外国特派員協会で統一教会(世界平和統一家庭連合)の会見が開かれる。教団に詳しい関係者によると「韓国の本部から反論せよとの指示があった。“宗教弾圧”として国連へ訴える動きもある」とのこと。この一カ月の報道に対して本格的な反論を行うようだ。「教団への批判報道を強めている情報番組『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系/読売テレビ制作)を意識して会見時間を設定したのでは」との憶測も流れている。
満席で出席できない
出席者は田中富広会長と法務課長の2人。「デイリー新潮」は会見情報が流れた9日午後3時すぎ、主催者の日本外国特派員協会に電話したが「あっという間に満席になったので参加できない」と言われた。現場は会場に入れないメディア関係者が溢れて混乱することも予想される。
「韓国の本部で実権を握る尹煐鎬(ユン・ヨンホ)世界本部長が、日本における教団への報道に対し『宗教弾圧だ』と怒りを強めているとのこと。国連へ訴えるよう指示したとの話もあります」(教団に詳しい関係者)
9日には山上徹也容疑者(41)の母親が「会見して皆さんに謝りたい」と話していることも親族によって明らかにされた。母親は事件後も教団への信仰を続けているとされ、「会長の会見とリンクした動きなのではないか。会見場に母親が現れるのではないか」(同)といったウワサも飛び交っている。
圧力にひるんだ「モーニングショー」
教団の反撃がいよいよ始まったようにも見えるが、この間も水面下で教団はテレビ局に対して“圧力”をかけ続けてきたという。
「7月中旬ころ、教団は民放各局に一方的な報道を慎むよう文書で抗議をしています」
こう明かすのは某民放関係者である。
「7月末には、『当法人の著作物である映像等を無断使用することは絶対にしないで下さい』との警告も行われました。各社は政治家と教団の癒着を教団関係メディアである『PeaceTV』などの映像を精査しながら報道してきたのですが、『著作権法違反』『今後は法的手段を講ずる』と警告されたことで、使用しづらくなってしまった。当初、ジャーナリストで前参議院議員の有田芳生氏などをスタジオに呼んで統一教会と自民党の癒着を報道し続けてきたテレ朝の『羽鳥慎一モーニングショー』は、7月下旬以降、あからさまに教団報道を控えるようになっています」
生中継に備える「ミヤネ屋」
一方で、ひるまず報道を続けているのが『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)『ゴゴスマ』(TBS系)である。両番組で、教団批判の急先鋒となっている紀藤正樹弁護士の奪い合いまで起きているというのだ。まさに今日の会見は両番組の放送時間のど真ん中。
「教団はミヤネ屋を相当敵視しており、あえてこの時間帯を選んできたのではないかとも言われています」(前出・民放関係者)
対するミヤネ屋も生中継の準備を進めているというが、
「宗教団体の見解を生放送でそのまま垂れ流すことにならないよう気を配りながらの放送になると思います。スタジオに反教団のパネリストを配置するなどの担保も当然ですが、不測の事態に備えて数秒ディレイして中継することになると思います」(ミヤネ屋関係者)
襲撃事件から一カ月経って迎える大きな山場。教団幹部がどんな言葉を発するのかに注目したい。
●旧統一教会イベント 土井、桜井氏が参加認める 宮城国会議員アンケート 8/10
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家との関わりが問題視される中、河北新報社は9日までに、宮城県関係の国会議員13人を対象にアンケートを実施した。全員から回答が寄せられ、自民党の2人が関連団体のイベントへの参加を認めた。うち1人は別のイベントへのビデオメッセージを送り、過去の選挙で自主的な支援を受けたことも明らかにした。
土井亨氏「選挙で支援も」 / 桜井充氏「医師の立場で」
アンケートは7月下旬〜8月上旬に実施。旧統一教会や関連団体による(1)主催イベントへの参加(2)主催イベントへの祝電やメッセージの送付(3)政治献金(4)選挙協力−など6項目について文書で見解を求めた。
イベントへの参加を認めたのは、いずれも自民の土井亨氏(衆院宮城1区)と桜井充氏(参院宮城選挙区)。
土井氏は2017年7月の「ピース・ロード2017『東北実行委員長』」を務めたとし「単純に友好団体との認識で、世界平和のため世界的な行動イベントということで引き受けた」と説明。桜井氏は「関連団体の会合で、医師としての立場から家族のことについて話をした」と答えた。
土井氏は21年4月のイベントにビデオメッセージを送ったとし、選挙支援に関しては「自主的に支援をいただけるということだったので、内容などはお任せしていた」と回答。「私の不徳の致すところで、今後しっかりと対応し、全てお断りしたいと考えている」と見直す考えを示した。
伊藤信太郎氏「問い合わせには回答していない」
(1)〜(4)の質問を巡り、自民の伊藤信太郎氏(衆院宮城4区)は「相手方のあることなので、個別の問い合わせには回答していない」と記した。他の与野党10人は、関係性を否定した。
アンケートでは政治と宗教の在り方も尋ねた。特定の宗教団体と関係を築くことに慎重な姿勢を求める回答が目立った。
自民の小野寺五典氏(衆院宮城6区)は「社会的に問題が指摘される団体との関係は厳正かつ慎重な対応をするべきだ」と強調。日本維新の会の早坂敦氏(衆院比例東北)は「社会的問題をはらむ特定宗教をはじめ、トラブル団体が政治の意思決定に深く関わることは望ましくない」と指摘した。
立憲民主党の石垣のり子氏(参院宮城選挙区)は「政治家をはじめとする公職者が(旧統一教会と)何らかの接点を持つことは言語道断。関係を清算できないのであれば、政界から引退すべきだ」と主張した。
他に回答したのは立民の鎌田さゆり(衆院宮城2区)、自民の西村明宏(衆院宮城3区)、立民の安住淳(衆院宮城5区)、自民の秋葉賢也(衆院比例東北)、立民の岡本章子(同)、公明党の庄子賢一(同)、自民の和田政宗(参院比例)の各氏。
●旧統一教会系の新聞で語った13人の国会議員 8/10
日刊紙「世界日報」でインタビュー・座談会が掲載された国会議員は過去5年間で13人。そのうち5人は「旧統一教会と関係が深い新聞とは知らなかった」と取材に回答しました。
安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、宗教団体「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と政治とのつながりが注目されている。ハフポスト日本版では、旧統一教会系の新聞「世界日報」について調査した。
過去5年間にインタビューもしくは座談会が掲載された現職の国会議員を調べたところ、少なくとも13人いることが確認できた。調べたのは2017年7月〜2022年6月の紙面。2022年までに辞職・落選した元議員は除いた。
この13人に取材を受けた経緯などを質問したところ、8月9日までに6人が回答。このうちインタビューの存在を否定した馬場伸幸氏以外の5人が、「旧統一教会と深い関係がある新聞とは知らなかった」という趣旨のコメントをした。
しかし、政治家のインタビュー記事が世界日報に掲載されると、旧統一教会系の団体から「アプローチしてもいい人と認識される可能性」があると専門家は指摘している。
最多は自民党の10人。国民2人、維新1人と続く。憲法改正をテーマにした記事が約半数
「世界日報」への登場回数が最多だったのは、日本維新の会の馬場伸幸共同代表で3回。自民党の中谷元(なかたに・げん)総理補佐官と細野豪志氏、国民民主党の玉木雄一郎代表の3人が2回ずつ出ていた。
その他の9人の議員は全員自民党で掲載1回。衆院議長の細田博之氏や、前官房長官の加藤勝信氏といった大物議員のほか、旧統一教会のイベントで韓鶴子総裁を「マザームーン」と讃えたと報じられた山本朋広氏の名前もあった。
2022年現在の所属政党別にみると自民党が10人で最多。国民2人、維新1人と続いた。立憲民主党、公明党、日本共産党などの議員は見当たらなかった。なお今回の集計からは、時事通信社による政治家インタビューで、世界日報に配信・掲載された記事は除外している。
インタビュー・座談会のうち約半数は、憲法改正の推進をテーマにしたもの。そのほか「台湾有事」や「敵基地攻撃能力」などの防衛に関するテーマが目立った。
世界日報の目的は「日本の政界・財界・言論界に食い込んでいく」こと。勤務経験がある仲正昌樹教授が指摘
多くの国会議員が取材に応じる「世界日報」とはどんな新聞なのか。かつて世界日報の記者だった金沢大学法学類教授の仲正昌樹(なかまさ・まさき)教授に取材した。
仲正教授は東京大学1年生だった1981年、旧統一教会に入信。1990年から世界日報の記者となり、92年に退社するのと同時に教団からも脱会した。11年半の入信生活を振り返った「統一教会と私」(論創社)という本も出版している。仲正教授は世界日報について、自身の経験を踏まえて以下のように話した。
「旧統一教会が、世界日報を財政や編集メンバーの面で支えているのは確かです。ただし『機関紙ではない』と、私がいた頃から強調していました。旧統一教会の機関紙には『中和新聞』があり、教義や教祖の動向を伝えています。一方で、世界日報には旧統一教会に関する記事はほとんど載らず、むしろ産経新聞のような一般的な保守系の新聞に近い記事が多い。事前知識がない限りは、数カ月購読したとしても旧統一教会系の新聞だとは、なかなか気づかないでしょう」
世界日報の販売店は首都圏に限られているため、「旧統一教会の全国の信者が読んでいる」という性質の新聞ではなかったという。また、信者以外の読者も多かった。教義を伝えないにも関わらず、なぜ教団はお金のかかる日刊紙発行を支えているのだろうか。
「世界日報の主なターゲットは、自民党を中心とする保守系の政治家、それに保守系の言論人・財界人でした。そういう人たちとうまくやっていくために、世界日報が媒介になるということでした。旧統一教会の中でも、教義を伝えない世界日報の発行を疑問視する声もありました。それでも発行を続けているのは、教祖や幹部の意向として、日本の政界・財界・言論界に食い込んでいくためには『やっぱり新聞が必要だ』ということでしょう。浸透していくためには『機関紙じゃ駄目だ』ということだと思います」
仲正教授は、政治家にとっても世界日報の存在はメリットが大きかったと指摘する。保守派の中でも特に過激な意見を載せる場として伝統的に利用されてきたという。
「自民党の非常に保守的なタカ派の議員がいたとして、その人が保守派の中でも特に過激な意見を持っていたとします。産経新聞ですら『先生ちょっと』って言われるような意見でも、世界日報だったら『先生ぜひおっしゃってください』と紙面に出すことができる。一度記事が出ると、政治家は『私は新聞でこういうこと言ったんだ』と支持者にアピールできる。そうした場として利用されていた方も多かったと思います」
ただし注意しなければいけない点があるという。仲正教授は、世界日報の紙面に出た政治家が「旧統一教会との関係が深い」とまでは言い切れないと指摘した。
「少なくとも在籍当時の感覚としては『旧統一教会が背後にいる』ということは、ほとんどの議員は知っていました。『この新聞の名前が分からない』となったら当然、秘書たちに調べさせますからね。ただ、過去に大物議員たちもインタビューで登場しているし『紙面に出たとしても問題視されない』という風に思ったのではないでしょうか」
その上で、世界日報にインタビュー等が掲載されることの効果として、旧統一教会の関連団体から「自分たちがアプローチしていい人」とみなされる目安になると分析した。
「正確な位置づけがあるわけではないですが、世界日報にインタビュー等が載ることで、国際勝共連合や天宙平和連合(UPF)といった旧統一教会系の団体が『自分たちがアプローチしてもいい人なんだなっていう一つの目安』にはなると思います。『旧統一教会系の団体と関わることにアレルギーがない人』と認識される可能性があるということですね」
過去5年間に世界日報に掲載された国会議員のインタビュー・座談会
01.逢沢一郎(自民) / 2018年12月11日「アフリカ開発と日本 投資や消費に高まる関心」
02.江島潔(自民) / 2020年7月20日「商業捕鯨再開1年と課題 拡大へ新国際組織も視野」
03.衛藤征士郎(自民) / 2020年10月7日「年内に党改憲原案を起草 来年通常国会に法律案提出」
04.加藤勝信(自民) / 2018年10月24日「臨時国会にどう臨む 審査会で党改憲案の議論を」
05.榛葉賀津也(国民) / 2022年1月1日「2022年憲法改正 わが党はこう挑む」
06.玉木雄一郎(国民) / 2020年11月12日「本格改憲案示し議論深める」 / 2022年3月9日「トリガー条項 国民目線で政治判断を」
07.中谷元(自民) / 2018年1月3日「新春政治座談会 『待ったなし!憲法改正』」 / 2020年7月10日「『イージス・アショア』断念 総合ミサイル防衛体制強化を」
08.西銘恒三郎(自民) / 2019年3月12日「辺野古移設の原点 普天間返還で県民投票を」
09.馬場伸幸(維新) / 2018年1月3日「新春政治座談会 『待ったなし!憲法改正』」 / 2020年1月3日「新春インタビュー 2020年どうなる憲法改正」 / 2022年1月1日「2022年憲法改正 わが党はこう挑む」
10.古屋圭司(自民) / 2022年1月1日「2022年憲法改正 わが党はこう挑む」
11.細田博之(自民) / 2020年1月3日「新春インタビュー 2020年どうなる憲法改正」
12.細野豪志(現在は自民、掲載当時は希望の党と無所属) / 2018年1月3日「新春政治座談会 「待ったなし!憲法改正」 / 2021年3月16日「危機管理の教訓 最悪の事態想定し対策を」
13.山本朋広(自民) / 2019年1月3日「新春座談会 インド太平洋構想と日本の安保戦略」
13人の国会議員に質問状を送ったところ、回答は6人。その内容は?
ハフポスト日本版では、今回の調査で該当した13人の国会議員に対して、世界日報と旧統一教会に関する質問状を送った。質問の内容は以下の通り。
Q1. 世界日報のインタビュー・座談会に応じたのは、どういう経緯からでしょうか?
Q2. 世界日報が旧統一教会と関係が深いメディアと知った上で、インタビュー・座談会に応じましたか?
Q3.世界日報にインタビュー・座談会が掲載されたことで、旧統一教会から「自分たちに友好的な政治家」とみなされた可能性があります。そのように旧統一教会から認識されたとしても問題ないでしょうか?
Q4.旧統一教会及びその関連団体のイベントに登壇したり、メッセージを送ったことはありましたか?
Q5.旧統一教会及びその関連団体から、政治活動・選挙に関する支援を受けたことはありましたか?
これに対して、期限の8月9日までに回答があったのは6人だった。各議員の回答を五十音順に掲載する(敬称略)。
   衛藤征士郎(自民)
A1.当時、自民党憲法改正推進本部長として、憲法改正についてのインタビューの要請があれば、全てのメディアに対応した。
A2.世界日報が旧統一教会と深い関係があるとの認識はなかった。
A3.職責上、インタビューに対応しただけで、一方的に思い込まれても迷惑である。
A4.イベント登壇、メッセージ送る等、一切無し。
A5.政治活動、選挙に関する支援を受けたことは無い。
   榛葉賀津也(国民)
A1.各党幹事長横並びで憲法問題のインタビューということだったので。
A2.関係が深いという認識はありませんでした。
A3.その様な認識はありません。
A4.ありません。
A5.ありません。
   玉木雄一郎(国民民主)
A1.メディアからの取材については、我が党の主張をできるだけ多くの人に知ってもらうため、メディアを問わず、都合がつく限り受けるようにしています。本件も世界日報だから受けたわけではありません。党本部の了解も得ています。
A2. 恥ずかしながら、そのような認識はありませんでした。
A3. これまでにも幅広いメディアからの取材依頼に都合がつく限り受けるようにしています。本件も世界日報だから受けたわけではありません。旧統一教会において、報道されているようないわゆる霊感商法や寄付の強要といった問題が続いているとすれば看過できないことであり、宗教をまといながら、反社会的な活動を行うことは許されません。今後当該メディアの取材を受けることは控えたいと思います。フランスの反セクト法の制定過程なども参考に、宗教団体と反社会的団体を区別する基準を法整備も含めて明確にした上で、反社会的団体に対して政治家が支持を表明したり、広告塔に使われたりするようなことがないようにします。国民民主党は調査会を立ち上げて対策を検討します。
A4.ありません。
A5.ありません。
   馬場伸幸(維新)
・過去に世界女性連合の会合に地元の方の紹介で数回出席したことはあります。メッセージ等は送っていません。インタビューもありません。
・日本維新の会は特定の宗教団体はもちろん企業・団体献金も全面禁止を求めています。宗教団体などの寄付金に対して所得に対して上限を設ける法案を国会に提出を視野に検討しています。会に提出を視野に検討しています。
   古屋圭司(自民)
A1.超党派による憲法のインタビュー企画です。憲法実現本部宛に依頼があり受けました。
A2.世界日報との関係は承知してませんでした。
A3.憲法の取材として受けましたので認識されても困ります。
A4.安保岐阜県大会に祝電を送りました。
A5.最初の選挙で支援ありましたが、それ以降はありません。
   細野豪志(自民)
可能な限り、メディアの取材を原則受けています。世界日報が旧統一教会系新聞であることは認識していませんでした。旧統一教会及びその関連団体のイベントに出席したことはなく、選挙で応援を受けたこともありません。
   
このほか、2議員から取材拒否の意向が伝えられた。加藤勝信氏は「今回は回答しない」と国会事務所のスタッフが発言した。山本朋広氏からは「日ごろより、多くの個人、企業や各種団体とおつきあいをしているところであり、様々なご連絡やご案内をいただいております。相手方もあることですのでお答えを差し控えさせていただきます」との文章が送付された。
逢沢一郎氏、江島潔氏、中谷元氏、西銘恒三郎氏、細田博之氏からは回答がなかった。
●旧統一教会系イベント 小林経済安保相が記念撮影 「肯定発言していない」  8/10
衆院千葉2区(千葉市花見川区、習志野市、八千代市)選出の小林鷹之経済安全保障担当相が昨年七月、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体が共催したイベントに出席した際、参加者らと記念撮影をした写真を本紙が入手した。小林氏は九日、本紙の取材に対し「写真は他の会であいさつする場合と同様、参加者の依頼に応じて撮影したと思う」と回答した。
イベントは、二〇二一年七月三十一日、小林氏の地元の八千代市で開会式が行われた「ピースロード2021in千葉」。イベントのウェブサイトなどによると、旧統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」が共催に名を連ねる。若者らが自転車に乗って世界平和と連帯の必要性を訴えるプロジェクトだ。
小林氏は今月五日の記者会見で、このイベントに出席し、あいさつしたと明かした上で「地元の依頼に対応したが、その団体が現在指摘されている問題があることは知らなかった」と説明。旧統一教会側からの選挙支援や献金などは受けていないと明言していた。
開会式に出た男性によると、イベントには約八十人が参加。ほとんどが旧統一教会の信者だったという。小林氏は開会式の中盤で来賓として二分間ほどあいさつ。その後、参加者が自転車で出発する前に、小林氏が全体での記念撮影に応じたという。
また、男性は、小林氏があいさつの中で旧統一教会の教義に共感を示すような発言をしたと語る。それに対し、小林氏は「一言一句は覚えていないが、発言はしていないと思う。旧統一教会の教えを存じ上げないので、それを肯定するような発言はしていない」と答えた。
●旧統一教会・田中富広会長会見 「政治的介入や不正はない」 8/10
安倍元総理が銃撃されて亡くなってから、ひと月あまり。きょう午後3時から、旧・統一教会の田中富広会長らが、日本外国特派員協会で記者会見を開きました。その記者会見の全容をお伝えします。
田中富広 世界平和統一家庭連合会長
山田達也 世界平和統一家庭連合法務局長の2人が登壇
「全国の教会に殺すぞと叫ぶ脅し」被害訴え 「重く受け止めお詫び」も
〇司会 コロナのせいで30人しか入れなくてすみません。ウェブサイトの質問フォームで質問してくれてOKです。田中さんが15〜20分しゃべります。16時きっかりに終わります。延長なしです。
〇田中会長 皆さんこんにちは。私は宗教法人世界平和統一家庭連合会長の田中富広でございます。本日は外国特派員協会にお招きいただきまして、心から感謝申し上げます。ただいまから、本日の会見文を読み上げさせていただきます。2022年7月8日、安倍晋三元首相が凶弾に倒れられました。日本国内では勿論のこと、世界中でご生前の業績がたたえられ、世界の指導者、各国首脳からも惜しまれながら、たくさんの追悼の言葉が寄せられました。心から元首相のご冥福をお祈りいたします。犯人とされる容疑者が、当法人・家庭連合への恨みを動機として行動に出たという報道に触れ、私どももとても心重く受け止めております。社会の皆さまにも、様々にお騒がせしていることに、深くお詫び申し上げます。
――ここで田中会長らが起立し深く頭を下げる――
いまだ容疑者の犯行に及んだ動機の詳細に関しては、捜査本部からも正式に発表されておらず、私どもも、現在なお捜査本部からの要請を受けて、全面的に協力させていただいているところであります。安倍元首相の国葬が9月27日と発表されておりますので、当法人もその日に向け喪に服し、全ての教会員がご冥福をお祈りするとともに、神様のまことの愛による、暴力の無い世界平和が実現するよう、祈りと精誠を捧げる期間を過ごしております。さて、安倍元首相が凶弾に倒れられた直後から、容疑者の犯行動機が、当法人の信者である母親の献金によるものであると、未だ確定もしない情報から、昨今の当法人に対する過剰なメディア報道によって、当法人の信徒から様々な被害が報告されております。全国の教会に「殺すぞ」と叫ぶ脅しや、脅迫電話、街宣車での大音量による罵声。そして、集会妨害。一般信徒の自宅にまで夜に朝に押しかけての、メディアからの過剰取材。さらには、信徒の子どもたちが、学校やサークルで受ける、いじめによる登校拒否。あるいは、信仰を理由に、会社を辞めるよう追い詰められたり、家庭内では、離婚状を突きつけられた家庭もございます。法人の責任ある者として、喪に服する期間として、このまま黙することが良き選択なのか。呻吟する期間を過ごしてまいりましたが、昨今の報道の中には、見過ごすことのできない、ひどい内容も多々あり、本日の会見の場を持たせていただくことといたしました。振り返って、私どもの法人にとって、13年前の2009年が大きな分岐点でした。一部信徒の経済活動が、刑事事件として検挙され、それに関して当法人の地方施設などに、警察の家宅捜査が入るという事態となり、当時の当法人会長が、世間を騒がせた道義的責任を取って、辞任いたしました。それ以降、信者が経営する会社での物販活動のあり方に対する基本的な指導、財産に比しての高額な献金が行われないよう、徹底した努力を重ね、今日に至っております。
霊感商法「過去も現在も行ったことはない」
一方で、民事訴訟に関しては、着実に数が減ってきているとはいえ、ゼロになったわけではありません。残念ながら、信仰が薄れることによって、一度捧げた献金を返してほしいと要請してくるケースもございます。こうした要請には個別に適切に対応を重ねてまいりました。メディアに出てくる弁護士団体は、相談のあった当法人にまつわる案件の全てを、「被害」と断定して集計発表していますが、その内容は実に不正確であり、不公正です。こちらの図をご覧ください。
――といってフリップを出す――
裁判においては、1998年(ピーク)においては、係争中の案件が78件ありましたが、2022年の訴訟継続中の件数は5件です。また、通知書件数は、この10年で10分の1に減りました。もちろん各事案には丁寧に対応させていただいております。各報道機関は、全国霊感商法対策弁護士連絡会が発表する被害とする数字が、正しいか否かぜひ検証していただきたいと願っております。それが、社会的責任を持つ報道機関の責務ではないでしょうか?
さらに、一部メディアでは30年以上前にレッテルを貼った霊感商法なるものが、今も変わらず行われていると発信し続けています。しかしながら、いわゆる霊感商法なるものを、過去においても、現在も当法人が行ったことはありませんし、信徒らに対しては、特に2009年以降、当法人は、社会的、法的に問題と指摘される行為をしないよう、コンプライアンスの徹底に努めております。そもそも、既に報じられていますように、安倍政権時代の2018年に、消費者契約法の改正で、霊感商法の言葉も盛り込まれて、霊感商法と認定されたものは、いつでも取り消すことができるようになっています。しかしながら、上記コンプライアンスの徹底により、霊感商法と称される類のものは、当法人の信徒において行われていませんし、被害報告もありません。2014年以降、当法人は消費者センターから当法人に関する何らかの相談があった場合には連絡をもらうようにしていましたが、記録にあるこの年以降においては、消費者センターから相談を受けたという報告は一件もございません。
名称変更=“正体隠し”を否定 政治的介入も否定
当法人の名称変更に対しても、ゆがんだ憶測や悪意に基づきメディア報道がなされております。「悪いイメージを隠すために名称変更をした」と、いわば正体隠しの手段として、名称を変更したかのように報じられております。これに関しては、既に私たちの見解を日本のメディア関係者にはお伝えしましたが、残念ながら、マスコミはその一部だけを切り取り、名称変更に至る事実経緯および当法人の意向を正しく報道することはありませんでした。元より、文鮮明総裁が1954年に、世界基督教統一神霊協会を創設された当初より、この看板を下ろすことができる日が来ることを願い、当時からこれを予言しておられました。
文氏は、全ての宗教が和合を統一できるように、超宗教の活動に投入し続けてこられ、それゆえに、会の名称も教会の「教」ではなく、協力の「協」を使用して出発いたしました。そして、1997年にいよいよその時を迎え、文氏は全世界的に「世界平和統一家庭連合」の名称を使用するように願われ、全世界の教会に向けてメッセージを発せられました。それを受けて、世界の統一教会は一斉に名称を変更いたしました。その時以来、日本においても担当省庁に名称変更の相談を重ね、2015年になって、正規の手続きに従って、名称変更に至る、関わる、規則変更の認証審査を行い、2015年8月26日に、正式に認証を受けて、名称を変更するに至りました。この名称変更の、当法人規則認証に関する政治的圧力や介入があったかのような一方的な憶測報道がなされていますが、事実ではありません。
確かに、当初当法人が名称変更の相談を持ちかけた当時の文化庁、いわゆる主務官庁は、名称変更に難色を示し、規則変更認証申請をしないよう、当法人を説得してきました。しかしながら、宗教法人がいかなる名称を名乗るかは、信教の自由により、憲法上保障されており、法律上、宗教法人の名称変更に関わる規則変更認証は、法律の定める形式的要件と手続きを踏めば、変更しようとする事項が、法令に反するなどの例外的な事由がない限り、主務官庁は、これを認証すべき義務を負わされています。
――通訳と思われる女性から田中会長へ、スピーチが30分経過したので終わりにするよう、促されるが――
したがって、仮に当法人が形式的要件を充足する規則変更認証申請書を提出すれば、主務官庁としては、これを認証すべき義務を負わされていますので、これを認証する他はありませんでした。しかしながら、当法人は主務官庁を相手に紛争をおこすことは避けるべきと判断し、この時は引き下がりました。
「田中会長、スピーチを終わらせて」「全部させてください」
当法人はその後、何度も主務官庁に名称変更の相談を重ねましたが、同庁の対応が変わらなかったため、2015年に提出の際には、当法人は主務官庁が規則変更認証申請を拒絶する以上、訴訟もやむを得ないと決意し、別紙の法律専門家による意見書を添えて、その旨、主務官庁に意思表示をしました。これを受けて、主務官庁は、当法人の名称変更に関わる規則変更認証申請を受理し、認証となりました。以上が事実であり、本件認証は純粋な法律問題として、適法に処理されたものであり、そこには、何らの政治的介入や不正はありません。
なお、担当省庁には事前相談の段階で、名称変更しても1年間は「世界平和統一家庭連合」の名称とともに、旧世界基督教統一神霊協会、いわゆる旧統一教会の名称を併記して、社会に広く周知することをお伝えし、実際にこれを実行いたしました。したがって、一部のマスコミが述べる、世間の批判をかわすために、いわば正体隠しとして名称を変えたかのように批判することは、事実無根の的外れな憶測であり、決めつけにすぎません。またかつて、信徒らが自主的に運営する受講施設において、一部信徒らが、教会名を事前に伝えていなかった事例があり、それを「正体隠し伝道である」と指摘されましたので、2009年以降、当初から教会名を名乗るよう指導を徹底して改善を図ってまいりました。今では、所属信徒らも強く自覚して取り組んでおります。「正体を隠しての伝道」というレッテル貼りは、多くの友好団体にまで波及し、全ての友好団体が旧統一教会の伝道の為のダミー団体であるかのように強引に結びつけ、今も批判の対象とされています。
〇司会 田中会長、そろそろスピーチ終わりにしていただいて・・・
〇田中会長 全部させてください。全ての友好団体は当法人の宗教活動と異なる明確なミッション、ビジョンを掲げて活動しており、それぞれの友好団体が、その目的を共に志す。国内外の指導者の皆様と共に、世界規模の平和構築に向けて、独立した活動を展開しております。そのような理念に多くの社会の指導者の皆様も賛同されてきました。各友好団体のその活動の歴史と、今日(こんにち)の実績を見れば、その目的が一宗教団体の会員や、資金獲得などのためではないことが、良識ある皆様には、自ずと判断がつくことかと思います。家庭連合の会員が、奉仕精神に基づいて、ボランティア活動したら、それも会員獲得のためであると決め付け、公共機関に寄付をしたら、それも怪しい寄付であるとレッテルを貼るなど、横暴なメディア報道がエスカレートしており、まさにヘイトスピーチ、人権侵害と言わざるを得ません。家庭連合の会員も、日本の国民として、一般社会で働き、税金を払い、法を遵守して、社会の一員として、1人の人間として社会的責任を果たして生きています。心無いメディアのフェイクニュース・暴言が宗教的差別を助長するヘイトスピーチとして、個人の人権を傷つけ、ひいては信教の自由を侵害していることを強く訴えたいと思います。
「祝福結婚」は“強制ではない” 離婚率は2%以下と主張
批判は若い青年男女の結婚にまで及びます。好きでもない人と無理やり結婚させられると、宗教二世問題との括りで、批判が拡大されています。それも実態とは大きく異なります。文鮮明総裁が逝去されて以降、成年男女の結婚は、父母や先輩の紹介で出会いの場が準備され、一定のお付き合いの時間を経て、互いの同意のもとに、祝福結婚式に臨んでいます。祝福結婚が男女の意に反して強制されることは絶対にありません。かつては尊敬する文鮮明総裁ご夫妻に、永遠のパートナーの紹介を受けておりましたが、このときも、祝福結婚への参加者は自ら望んでパートナーの紹介を受けることを希望していました。そして現在は、その祝福結婚のパートナーとの出会いも大きく変わっています。ぜひ、当法人のホームページをご覧ください。メディアでは、元教会員ばかりの話が紹介されますが、元教会員の否定的な言葉だけ取り上げ、信仰生活を通して、自らの研鑽に努める現役信者の肯定的な言葉には、一切耳を貸さないのはなぜなのでしょうか?そもそも、家庭連合の祝福結婚式に参加して、結婚手続きをされたカップルの離婚率は、残念ながら皆無ではありませんが、2%以下であり、多くのカップルは、幸福、円満に過ごしております。今日の日本の離婚率35%に比較したら圧倒的に少ないことがわかります。当法人の信者は、かつて拉致監禁、脱会強要という違法な人権侵害の被害に遭ってきました。信仰生活をしている信者を無理やり拉致し、監禁したのです。その数は、1966年以降、総計4300件を超えており、中には12年5か月監禁され続けて逃げ出してきたケースもあれば、監禁場所での自殺者も出ています。また多くの被害者は、今日もPTSDを発症し、日常生活に苦悩を抱えております。この問題は既に2014年に、国連自由権規約人権委員会で取り上げられ、日本政府に対する勧告がなされております。また、アメリカの国務省が、信教の自由に関する世界各国の状況をまとめた。国際宗教自由報告書にも、この問題が何度も取り上げられております。
来たる8月12日、韓国ソウルにおきまして、世界指導者および宗教指導者が集い、「サミット2022リーダーシップカンファレンス」が開催されます。宗教の自由と、普遍的な人権に焦点を当てて、当法人が被った拉致監禁被害についても、議題となる予定です。今日の、異常な宗教迫害ともいえる偏向報道がきっかけとなって、ヘイト感情が誘発され、当法人信者に対して、身体的危害が加えられたり、暴力行為による新たな被害が発生することを真剣に危惧するものです。
〇司会 よろしいですか?田中さん、そろそろ・・・
〇田中会長 一部メディアは、家庭連合は、オウム真理教と同じ、暴力団と同じと、犯罪集団のように報道して、視聴者の不安や恐怖、偏見を煽っています。しかし、言うまでもなく、当法人が殺人や暴力を実行し、助長したという事実・事件は皆無であります。既に何度かメディアの皆様にお願いしたことですが、報道に際しては、正確、公正、客観的な取り扱いの上、事実に反する内容、憶測に基づいた内容を報道することのないように、重ねて要請いたします。以上です。ありがとうございました。
質疑応答「政治家との距離」「日本は国際的な資金源か」
――開始から47分程度で質疑応答に――
〇記者 冒頭の謝罪の意味を説明してください。
〇田中会長 主に今日の報道が、2009年以前の私たちのいわゆる負の部分がクローズアップされて報道されております。そのことが今日においても、メディアを騒がせ、そして多くの混乱をまねいているということに対する謝罪です。このたびの容疑者の動機に関わる内容は、もちろん家庭連合が重く関わっていれば、私達自らもしっかりと受け止め姿勢を持っておりますが、これに関しては正式に警察発表があった上で、改めて私達の姿勢を示したいと思います。今日の会見の趣旨は、むしろ、当法人の信徒たちの命の危険と、そして、私達の取り組みが、もし、より変化を求められるならば、多くの方々の意見も受け止めて、より良い法人のあり方に向かって、変化はなお続けたいと思っておりますので、その表明でもあります。
〇記者 オンラインで6名の記者から同じ質問があったので司会者から質問します。岸田総理が自民党の党員や閣僚に対し教団と距離を置くように、縁を切るように指示しているとされているが、なぜそのような指示が行われるのか。理由があるのか。また指示についてどう思うか。
〇田中会長 日本は宗教団体、並びにそこに所属する信徒の者たちも国の政治に関わり選挙に関わっていくことは国民の義務であると理解しておりますし、憲法で保障されていると思います。このたびの政権の判断が、どのような深い意図があって判断されているかまでは、私達が言及する立場ではありませんが、当法人との関わり方が、強く判断の基準に定められたと言うならば、それはすごく残念なことであり、さらには多くの今日のメディア報道を通じながら、その心にその報道に入れる世論に対しての気遣いもまた介入していたというふうに否定することはできないと思いますので、その点においては、誠に遺憾に思っております。
〇記者 教団の構造、日本が国際的な資金源であるという話があるがそれは本当か?本当であれば、それはどのような考えが元になっているのか。教えの中で日本が韓国をサポートしていかなければならないという状況があるのか。教会の教えなどについて教えてください。
〇田中会長 世界的な活動の資金が日本が全て背負っているという事実ではありません。ただ、日本の法人が、全世界に宣教師を派遣していることは事実です。今日まで長い年月をかけて、たくさんの宣教師が世界に行き、そしてその国の多くの国民に対し教義を広め、また伝道活動も進めてきました。その中では、共産主義政権で命を失った宣教師たちもおります。当法人が、世界に献金を送っていることは事実です。それは世界宣教費として法の基準に基づき、そしてまた、その宣教費用も所轄庁あるいは、税務署にしっかりと手続きをし、書類を提出して進めております。そういう中で、世界に活動が活性・活発すればするほどに、また献金も世界宣教費として送ってまいりましたので、そのことを理解しておいていただければいいかというふうに思います。
〇記者 日本からの収入は世界の何パーセント?
〇田中会長 それは日本法人ではわからないですね。
「創設以来、共産主義に明確に対峙してきた」
〇記者 今まで家庭連合やその関連団体が日本の政治にどのような形で影響を与えてきたか。例えば社会的なイシューに関して、例えばLGBTや夫婦別姓、あるいは政治的な問題、憲法改正などに影響を与えたことはあるのか。
〇田中会長 影響を与えてきたかということは、これは客観的にむしろ多くの皆様方に判断していただいた方がいいかと思っておりますが、政治に友好団体が強く姿勢を持って関わってきたことは事実です。それは、政治工作のために関わってきたとか、あるいは脱税や霊感商法の批判から逃れるために関わってきたということではありません。私たちの法人並びに多くの友好団体は創設以来、共産主義というものに対して明確に対峙してきました。従って、多くの民主主義を守ろうとする同志たちと共に、あるいは友好団体と共に、私達はこの日本のあるべき姿に向かって、常に考えながら今日まで方向を共に歩んできました。今メディアで、私達の友好団体と、あるいは当法人と政治家が関わったか関わらないかが問題視されておりますが、むしろ私達から見れば、共産主義問題に対して明確に姿勢を持っている政治家の皆さんとは、ともにより良き国づくりに向かって手を合わせてきたと思っております。それは日本国内のみならず、世界的なネットワークの中で、コミュニズムに対して共産主義に対して取り組みを連携を取りながら進めております。そういう意味で、多くの政治家の皆さま方が同じ平和世界を構築すると。ならばこのコミュニズムとの対峙する姿勢とともに、私達は一緒に、よりよき国作りをしていきたいという志でおります。以上です。
〇記者 自民党の政治家との関係の質問です。 選挙、例えば7月の参議院選挙などで家庭連合や関連団体が特定の政治家が当選するための積極的な連携はあったか。
〇田中会長 この辺は私たちの法人とそれから友好団体、それぞれにおいて関わり方は異なると思います。先ほども申し上げましたように、当会員の信徒たちは宗教団体に所属しておりますが、国民の一員として国政のあり方に積極的に関わり、そして選挙にも積極的に行くように指導はしております。ただ、私たちの法人が特定の党と関係を持つ、あるいは特定の党のみを応援するという態度はとっておりません。選挙に関しては、平和連合という友好団体がございますので、平和連合の方がむしろ国政と関わっている度合いが大きいので、そこから願われる内容に信徒たちも応えていくように努めていると思います。ただ先ほども申し上げましたように、私たちの基本姿勢は共産主義と対峙して進めております。従ってその視点から言うと、自民党の議員の方々がより多く接点を持つことがあるんではないかと思いますが、自民党のみならずコミュニズムに明確な姿勢を示す議員の皆様とはそれぞれの場で関係性があったというふうに思います。それは政治工作という意味合いではなくて、むしろこの国をどういう国にしたいのか、よりよき国作りに向かって、共に志を1つにしていこうという姿勢の中からの交わりです。これからも私たち、あるいは友好団体はこの視点は一致していくことになるかと思います。この度の一連の報道で、私達の法人、あるいは友好団体との関係性が問われることになっておりますが、そういう視点から見つめ直していただければ、より関わりが違った角度から見えてくるんじゃないかというふうに考えております。以上です。
〇記者 とはいえ、自民党が百人単位で教会および友好団体との関係を指摘されていると思うのですけれど、これはそれぞれの友好団体が独自の判断で個別に関係を開拓したのか、それとも教会の中央をとしてそういうことを手広くやれと指示が出て、あるいはそういう方針のもとで行われたことだったのでしょうか?
〇田中会長 おそらく100名と言われましたが全ての議員の先生方は地方基盤を持っておられるはずです。その地方での私どもが活動している内容が各地方によって異なりますので、その内容と共鳴する議員の先生方との交わり方があったと思いますので、おそらく交流があった、あるいは関係があったとしても関わり方は皆さん違うはずです。以上です。
――会見開始から1時間12分ほど経過―― 
田中会長ら退席  
●「会見質疑」 弁護士が反論「組織ぐるみの資金集めやめていない」 8/10
宗教法人・世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)が8月10日、日本外国特派員協会(東京・丸の内)で記者会見を開いた。
登壇した世界平和統一家庭連合の田中富広会長は、問題視されている信者による献金について「2009年を分岐点に、財産に比して高額な献金がなされない努力をしている」などと主張した。
一方で、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の代表世話人を務める山口広弁護士は、Business Insider Japanの取材に対し「(2009年以降も)組織ぐるみの資金集めをやめるということは言っていない。(献金)達成のために手段を選ばずやらざるを得ない実態はいつまでも続いている」と反論した。
全国弁連・山口弁護士「事実をごまかしている」
1時間の予定だった記者会見は、田中氏による冒頭の発言時間が予定の30分を超過。
モデレーターが質疑に移ろうとしたのを静止しながら、約40分に渡り発言を続け、会見時間は10分程度延長になった。
会見で田中氏は信者による多額の献金が問題視されていることについて、「(旧統一教会にとっては)2009年が大きな分岐点」だったと話した。
「一部信徒の経済活動が刑事事件として検挙され、それに関して当法人の地方施設などに警察の家宅捜査が入るという事態となり、当時の当法人会長が、世間を騒がせた道義的責任を取って、辞任いたしました」(田中会長)
その後は「財産に比しての高額な献金が行われないよう努力を重ね、今日に至っている」とした。
この発言に対して、全国弁連の代表世話人・山口弁護士は、Business Insider Japanの取材に対して、「『一部の信徒の経済活動に問題があった』という言い方は、組織ぐるみで資金集めをやってきたという事実をごまかしている」と指摘する。
「資金集めは、文鮮明(ムン・ソンミョン)教祖自らの指示で『いつまでにいくら』という指示が繰り返し出ていた。その達成のため、手段を選ばずやらざるを得ないという実態はいつまでも続いている。2009年以前の活動について『悔い改めて、非常にまずいことをやってきた、一切こういう形の資金活動についてはやめます』ということは内部的にも全く言っていない」(山口氏)
実際、訴訟件数が減ったのは間違いないが……
また会見で田中氏は、係属中の裁判件数について、1998年の78件から2022年の5件に減少したとフリップを見せながら説明した。
その上で、「メディアに出てくる弁護士団体は、相談のあった当法人にまつわる案件の全てを、被害と断定して集計発表していますが、その内容は実に不正確であり、不公正です」と反論した。
先述の全国弁連・山口氏は、「実際訴訟件数や、損害賠償請求の件数が減っているのは間違いない」と認めるが、その理由は「統一教会の活動力が減退したことと、被害者の年齢が高齢化してきたことによるもの」だと話す。
「弁護士から見るとなかなか損害賠償請求までできる事件ではなかったり、家族からの相談だったりすることも多い。あえて訴訟をするところまで至らないが、それでも相談はあるので、こういう被害を件数として(数えている)」
なお、全国弁連の弁護士らが7月29日の会見で配布した資料によると、霊感商法の被害相談件数は2021年だけで47件、被害金額は約3億3000万円となっている。
   以下、記者会見での質疑の内容を全文掲載する。
謝罪理由は「多くの混乱を招いたこと」
―― 冒頭で謝罪があったが、その後40分、何も悪いことをしてないと。謝罪の意味を説明していただけますか。
主に今日(こんにち)の報道が2009年以前の、私たちのいわゆる負の部分がクローズアップされて報道されております。そのことが今日においても、メディアを騒がせ、そして多くの混乱を招いているということに対する謝罪です。
このたびの容疑者の動機に関わる内容は、家庭連合が重く関わっていれば、私たち自らもしっかりと受け止める姿勢を持っております。
これに関しては正式に警察発表があった上で、改めて私たちの姿勢を示したいと思います。
今日の会見の趣旨は、むしろ当法人の信徒たちの命の危険と、そして私たちの取り組みが、もしより変化を求められるならば、多くの方々の意見も受け止めて、より良い法人のあり方に向かって変化はなお続けたいと思っておりますので、その表明でもあります。
岸田首相の指示「誠に遺憾」
―― 岸田(文雄)総理から自民党の党員や政府メンバーに対し、教団から距離を置くよう指示をされていると言われている。なぜそのような指示が行われるのか、どういうような理由があるのか、その指示についてどう思うか。
日本は宗教団体並びにそこに所属する信徒も国の政治に関わり、選挙に関わっていくことは、国民の義務であると理解しておりますし、憲法で保障されていると思います。
このたびの政権の判断が、どのような深い意図があって判断されているかまでは、私たちが言及する立場ではありませんが、当法人との関わり方が、強く判断の基準に定められた。
それはすごく残念なことであり、さらには今日のメディア報道に揺れる世論に対しての気づかいもまた介入していたと否定することはできないと思いますので、その点においては、誠に遺憾に思っております。
日本は資金源?「世界における割合は分からない」
―― 多くの専門家、弁護士などの話では、世界的に日本が資金源になっているような話がありますが、それがは本当か。またそうであれば、どのような考えを元にしているのか。例えば教えの中で、日本は韓国をサポートしていなければいけないような状況があるのか。
世界的な活動の資金を、日本が全て背負っているというのは事実ではありません。
ただ日本の法人が、全世界に宣教師を派遣していることは事実です。今日まで長い年月をかけてたくさんの宣教師が世界に行き、そしてその国の多くの国民に対し、教義を広め、また伝道活動も進めてきました。
その中では、共産主義政権で命を失った宣教師たちもおります。当法人が世界に献金を送っていることは事実です。それは世界宣教費として法の基準に基づき、そしてまたその宣教費用も所轄署、税務署にしっかりと手続きをし、書類を提出して進めております。
そういう中で、世界に活動が活性化すればするほどに、また献金も世界宣教費として送って参りましたので、そのことを理解していただければいいかと思います。
―― 日本からの収入全体、世界グローバルの全体の何割か、そういう数字など出していただけるのはありますか。
それは日本法人ではわからないですね。
性的マイノリティの権利など政治への関わりは?
―― 世界平和統一家庭連合もしくはその関連団体などが、日本の政治にどのような形で影響を今まで与えてきたのか。例えば社会的なテーマ、性的マイノリティの権利や、夫婦別姓問題、もしくは政治的な憲法改正などという問題で影響を与えてきたというようなことがあるのか。もしあればどのような形のものか。
影響を与えてきたかということは、客観的にむしろ多くの皆様方に判断していただいた方がいいかと思っておりますが、政治に友好団体が強く、姿勢を持って関わってきたことは事実です。
それは政治工作のために関わってきたとか、あるいは脱税や霊感商法の批判から逃れるために関わってきたということではありません。
私たちの法人並びに多くの友好団体は、創設以来、共産主義というものに対して明確に対峙してきました。
したがって多くの民主主義を守ろうとする同志たちと共に、あるいは、友好団体と共に、私たちはこの日本のあるべき姿に向かって、常に考えながら、今日まで方向を共に歩んできました。
今メディアで私たちの友好団体と、あるいは当法人と政治家が関わったか関わらないかが問題視されておりますが、むしろ私たちから見れば、共産主義問題に対して、明確に姿勢を持っている政治家の皆さんとはともに、より良い国作りに向かって手を合わせてきたと思っております。
それは日本国内のみならず世界的なネットワークの中で、コミュニズムに対して、共産主義に対して取り組みを連携をとりながら進めております。
そういう意味で、多くの政治家の皆様方が、同じ平和世界を構築するならば、このコミュニズムとの対峙する姿勢とともに、私たちは一緒により良い国作りをしていきたいという志でおります。
「特定の政党のみを応援はない」
―― 政治家や自民党の政治家との関係について。日本の選挙、例えば最近の参議院選などで家庭連合もしくは関連団体友好団体などは、特定の政治家、特定の自民党全体もしくは特定の政治家と、積極的な連携などというものは具体的にあるか。例えば同じような立場の政治家が当選されるために、具体的な連携協力などはあったのか?
この辺は、私たちの法人と、友好団体それぞれにおいて関わり方は異なると思います。
先ほども申し上げましたように、会員の信徒たちは宗教団体に所属しておりますが、国民の1人として国政のあり方に積極的に関わり、そして選挙にも積極的にも行くように指導はしております。
ただ私たちの法人が、特定の政党と関係を持つ、あるいは特定の党のみを応援するという態度はとっておりません。
選挙に関しては、(天宙)平和連合という友好団体がございます。天宙平和連合の方が、むしろ国政と関わっている度合いが大きいので、そこから願われる内容に信徒たちも応えていくように努めていると思います。
ただ先ほども申し上げましたように、私たちの基本姿勢は共産主義と対峙して進めております。その視点から言うと、自民党の議員の方々がより多く接点を持つことがあるんではないかと思いますが、自民党のみならず、コミュニズムに対して明確に姿勢を示す議員の皆様方とは、それぞれの場で関係性があったというふうに思います。
それは政治工作という意味合いではなくて、むしろこの国をどういう国にしたいのか、より良き国作りに向かって共に志を一つにしていこうという姿勢の中の交わりです。
これからも私たち、あるいは友好団体は、この視点は一致していくことになるかと思います。
この度の一連の報道で、私たちの法人、あるいは友好団体との関係性が問われることになっておりますが、そういう視点から見つめ直していただければ、より関わりが違った角度から見えてくるんじゃないかというふうに考えております。
政治家との関わり「地域によって違う」
―― 自民党が100人単位で教会およびその友好団体との間の関係が指摘されている。それぞれの友好団体はそれぞれの教会が独自の判断で個別にそういうその関係を開拓したのか?それともその教会の中央として、手広くやれという指示が出て、そういう方針のもとでその行われたことだったのか?
今100名と言われましたが、全ての議員の先生方は、地方基盤を持っておられるはずです。
その地方での私どもが活動している内容が、各地方によって異なりますので、その内容と共鳴する議員の先生方との交わり方があったと思いますので、おそらく交流があったと、あるいは関係があったとしても関わり方は皆さん違うはずです。
●旧統一教会が開いた会見 「一方的に自分たちの言い分だけを伝える」 8/10
8月10日、「世界平和統一家庭連合=旧統一教会」が、およそ1カ月ぶりに会見を開きました。
会見の中身、献金の実態や政治家との関係などについて、旧統一教会の問題に長年、取り組んでいる全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士に聞きました。
献金の実態、政治家との関係について注目が集まっていましたが、旧統一教会の田中富広会長が一番言いたかったのは、ここだったのではないかと思われます。
田中富広会長「メディアの報道にはひどい内容も多々あり、『殺すぞ』という脅迫電話など信徒たちの“命の危険”がある。私たちの取り組みに変化が求められるのであれば、意見を受け止めよりよい法人に変化したい」
こちらについてどう思われますか?
紀藤正樹弁護士「今日の会見は全体を通じて一方的な感じがしました。この内容が本当なら、一つずつが事件ですよね。一つずつの事件として最寄りの警察に相談してもらいたいし、場合によっては我々にも相談してもらいたいと思います。根拠があるかは分かりません」
一方的な誹謗中傷はよくないですが、このタイミングでこの話か、という印象を持った方もいるかもしれません。今日は海外メディアの日本特派員に向けての会見で、めどは1時間と言われていましたが、50分近くスピーチされて質疑応答の時間は30分ありませんでした。
政治家との関係については、こういった発言でした。
田中富広会長「政治に強く関わってきたのは事実です。それは政治工作、脱税、霊感商法の批判から逃れるためではない。共産主義と対峙(たいじ)し、民主主義を守ろうとする同志たちと日本のあるべき姿に向かい歩んできた」
あくまで政策実現、よりよい世界の実現のためだったという話でしたが、こちらについてはいかがですか?
紀藤正樹弁護士「結局統一教会の活動と政界との関わりについては、個々の信者が自発的な意思でやったと、推奨はしているけど個々の信者の意思だと言われると、実態と全く異なるわけです。コンプライアンスと言われるが、そのためには教団内で何が行われてるかを調査して、それを評価してはじめて成り立つ。今日の全体の会見からは、自分たちの教団内で何が起きているかを誠実に調査するといった話が全くなく、一方的に自分たちの言い分だけを伝えていて非常に残念でした」
紀藤弁護士は被害者の話を聞かれる立場だと思いますが、実態として、旧統一教会が「半共産主義」という側面で自民党と近しい関係にあった側面が強いのか、政治工作の側面が強いのか、感覚としてはいかがですか。
紀藤正樹弁護士「両方の側面があると思います。政治の側からの接近も、統一教会側からの接近も。『反共』と言いますが、『男女共同参画』やパートナーシップ制度、LGBTの法律制定などに、基本的に統一教会は反対です。『反共』には限りません。そこも一方的です」
そんな中、たまたまなのか、同日に内閣改造が行われました。こちらについてはどう思われますか?
紀藤正樹弁護士「今回の改造を見ると、『電報を打った人は外す』という岸田首相の強い意思を感じます。コンプライアンスで分かるじゃないかと。一方、イベントに参加した人や会費を払ったという人は残している。相手が正体を隠して近付いたため、統一教会か分からなかった可能性があるから。そこは説明してくださいよ、ということだと思います」
統一教会側が政治家に近付くことに関しては法律で縛ることはできないので、政治家側が気を付けなければならないのでしょうか。
紀藤正樹弁護士「本来はコンプライアンスを政治家の方で持たなければならないですよね、反社会的な宗教団体との関わりをどう持つかっていう話ですから。身体検査はある程度しているはずですが、問題は『お金を払った』か『お金を受け取ったか』です。これは全然違います。『お金を受け取った』となると、それは被害者のお金が入っている可能性が高い。こちらとしては『返してください』となる。会費を払った人、イベントに参加した人は『どうしてお金を払ったんですか?統一教会だと分かった上ですか?』ということを説明してほしいですが、今日の政治家の会見を見る限り説明は果たされていないと感じました」
また、献金について田中会長は、「2009年以降、財産に比して高額な献金が行われないよう努力を重ね今日に至る、弁護士団体の被害報告は不正確である」と、コンプライアンスを守るようになったと強調していますが、こちらについてはいかがですか?
紀藤正樹弁護士「不誠実だなとつくづく思います。彼らは自分たちのところに来ている相談の金額を分かっているはず。お金だけではなく“家族破壊”もあるはずなのに全く触れず、霊感商法にだけ触れている。しかも霊感商法はやってないと言っている。もし霊感商法をやっていないのであれば、どうしてコンプライアンスなんて話になるのか。その論理も分かりません。結局彼らは、世間から言われたからやっているように見えるだけ。山上容疑者の件も、始まりは1990年代の事件なんです。過去の被害に向き合っていないのに、今は未来に向けて努力していますと言われても、誠実さを欠くとしか言いようがない」
今日の会見では、質疑応答の時間がほとんどなく、山上容疑者の件に関しての質問ができませんでした。
刑事や民事に関わるようなトラブルは、数としては減っているという話もありましたが、実態としてはいかがですか?
紀藤正樹弁護士「実態は変わっていないという印象です。件数は減ったけど、それぞれの事案を見ると実態は変わってない。報道後は相談件数が増えている状態です。メディアが報じないから減ったように見えていただけかもしれない」
全体を通しての印象は?
紀藤正樹弁護士「元信者に話を聞くと、統一教会の信者は『ファンタジーの世界で生きている』と。社会的に許容されるものや常識からずれている。ずれ方が大きくなると霊感商法になるんですが。記者会見の設定日もおかしいですよね。世間を騒がせてお詫びするのであれば、組閣の日は外すはず。国際的な記者会見の常識からしても、30分会見、30分質疑と指定されているのにそれを守らないことが国際ルールに反している。時間厳守は基本的な決まりなので、守らないということが驚きでした」
●安倍氏銃撃事件 山上容疑者「鑑定留置」のナゼ 8/10
鑑定留置のため、奈良県警奈良西署から移送される山上徹也容疑者=7月25日(永田直也撮影)
安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件では、検察側の請求に基づいて裁判所は、逮捕された無職、山上徹也容疑者(41)を約4カ月間、鑑定留置することを認めた。
鑑定留置は、事件当時の刑事責任能力の有無などを調べるため、容疑者や被告を病院などに留置する刑事訴訟法上の手続き。
山上容疑者は、警察の調べに対し、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への恨みや、幹部の殺害を計画していたと暴露する一方、安倍氏銃撃は「政治信条への恨みではない」と述べたとされる。動機と犯行の因果関係が十分とはいえず、捜査機関の内部でも犯行時の精神状態を問う向きがあったことから、検察側としては鑑定で刑事責任能力の存在を立証し、確実に有罪に持ち込む狙いがある。
鑑定留置には2つのパターンがあり、逮捕から起訴までの間に検察側が裁判所に請求、もしくは起訴後に裁判所が弁護側の請求や自らの職権で鑑定する。
鑑定留置が始まると、精神科医が数カ月に及ぶ鑑定を実施する。善悪を判断する能力などを失った「心神喪失」や、その能力が著しく減退した「心神耗弱」と判断されると、刑事責任を問えず不起訴や、起訴されても刑の減軽が見込まれる。
衆人環視下での銃撃のため、犯人性や殺意の有無が法廷で争われる可能性は極めて低く、最終的な争点は刑事責任能力の有無に絞られるとの見方が強い。
ただ起訴されれば殺人罪が適用され、裁判員裁判の対象となる。そうなると、国民から選ばれた裁判員が公判に参加し、プロの裁判官とともに有罪か無罪かを判断、有罪であれば量刑を決める。
社会的な注目度の高さも手伝って、検察内部で「一般の国民が理解、納得できる手続きを踏み、起訴、不起訴の判断を丁寧に説明しなければならない」とされたことが、鑑定の実施に結びついた。
鑑定留置の期間は11月29日まで。延長はあり得るものの、その結果が今後の捜査、公判に大きな影響を及ぼすことは間違いない。
●旧統一教会と「関係」の7閣僚を交代 萩生田氏は自民政調会長に 8/10
岸田文雄首相は10日の内閣改造で、現閣僚のうち、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や関連団体との「関係」を認めた7人を交代させる。
交代するのは、岸信夫防衛相、末松信介文部科学相、二之湯智国家公安委員長、小林鷹之経済安全保障担当相、野田聖子地方創生担当相、山口壮環境相、萩生田光一経済産業相。このうち萩生田氏は自民党政調会長として起用する。
岸氏は選挙支援を旧統一教会から受けていたと明言。末松氏は教会関係者が自身のパーティー券を購入したと明らかにした。二之湯氏は関連団体のイベントの実行委員長を務めたと説明している。萩生田、小林両氏は関連団体のイベントであいさつし、野田、山口両氏は祝電を送ったと明らかにした。
首相は内閣改造にあたり、新閣僚と再任される閣僚に対して旧統一教会との関係の有無を点検し結果を公表するよう指示する考えを表明しており、9日の記者会見では「自ら点検し、厳正に見直していただくことが、新閣僚、党役員においても前提となる」と述べた。
●山際経済再生相、旧統一教会との関係認める 再任前に首相に説明せず 8/10
第2次岸田改造内閣で再任が決まった山際大志郎経済再生担当相は10日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体への会費1万円の支出と、教会関連イベントへの参加があったと公表した。再任の内定前に岸田文雄首相に説明していなかったことも明らかにした。内閣改造では、旧統一教会との関係を認めた山際氏以外の7閣僚はいずれも交代する。
山際氏は会見で「私自身が旧統一教会や関連団体と関係があるわけではない」と強調。近年は関連団体のイベント出席などはないとして、「反省すべきは反省し、疑念を持たれることのないよう今後とも社会的に問題があると指摘される団体等との関係は持たないように慎重に行動していく」と述べた。
山際氏によると、会費の支払いは2013年で、旧統一教会の関連団体「平和大使協議会」に対する支出。金額は1万円で政治資金収支報告書に記載されている。山際氏は「ほぼ10年前で事務所にはその時の記録は何も残っていない」とし、支出の意図については「不明と言わざるをえない」と述べた。イベント出席は、18年10月の関連団体が主催したセミナーへの出席だった。旧統一教会との関係を認識していたかについては「私には分からない」と述べるにとどめ、内閣改造前に首相に事実関係を連絡したかを問われると、「私自身が首相に直接何かを説明するということはしていない」と答えた。
選挙での支援に関しては「非常に多くの支援者やボランティアにお手伝いを頂いているため、一人一人のバックグラウンドを細かく把握しているわけではない」と説明した。
●寺田稔氏、旧統一教会関連団体会合に会費2万円 8/10
総務相への起用が決まった寺田稔首相補佐官は10日、記者団に、2018年の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体の会合に会費2万円を支払っていたと明らかにした。会合には出席しなかった。寺田氏は「組織、団体としての旧統一教会とは何ら関わりがない」と強調。「(旧統一教会の)関係団体であることは知るすべもなかった」と説明した上で「以後はしっかりと気をつけて、社会的に問題のある団体等と関係を持たないようにしたい」と述べた。
●厚労相起用の加藤勝信氏、旧統一教会関連団体に「会費」3万円 8/10
厚生労働相への起用が決まった加藤勝信氏は10日、2014年と16年に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体に「会費」として計3万円を支出したと認めた。
記者団に「秘書が代理で懇親会費を持参した」と話した。
●初入閣の西村明宏環境相 旧統一教会と関係の会合で「代表世話人」 8/10
初入閣した西村明宏環境相は10日夜の就任記者会見で、2019年に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が指摘される会合の代表世話人を務めたことを明らかにした。一方、出席したかについては「記録が残っておらず、確認できない」と述べた。
西村氏によると、会合は19年に仙台市内で開催。今回、外部からの指摘を受けて調べた結果、旧統一教会の関連団体の幹部が講師として招かれていたことが分かったとしている。
西村氏は「『著名な保守系識者の皆様が安全保障のフォーラムを開催するので協力してほしい』と自民党宮城県連に案内があった。当時県連会長をしており、宮城県代表世話人になった。旧統一教会(の関係会合)という認識はまったくなかった」と説明。そのうえで「旧統一教会と特別な関係は持っていない。政治献金や選挙支援を受けたこともない」と強調した。
今後については「社会的問題が指摘されている旧統一教会とは一切関係を持たない。疑念を持たれることがないよう、適切に対応していきたい」と述べた。
●高市氏、旧統一教会系の月刊誌で対談 「関わり知らず」 8/10
高市早苗・経済安全保障担当相は10日夜の就任記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)系の月刊誌に自身の対談記事が掲載されていたことを明らかにした。高市氏は「旧統一教会と関わりがある雑誌だとは知らなかった」と釈明した。
高市氏によると2001年3月、旧統一教会と関係が深いとされる世界日報社が発行する月刊誌に、政治評論家(故人)らとの対談記事が掲載されていた。毎日新聞などの取材を受け、国会図書館からコピーを取り寄せて確認したという。
●少なくとも5閣僚 旧統一教会の関連会合に会費など 8/10
第2次岸田改造内閣の閣僚は10日、宗教団体の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を説明した。少なくとも5閣僚が関連団体の会合で会費を支払うなど関わりがあったと明らかにした。
加藤勝信厚生労働相は旧統一教会の関連団体が開いた2014、16両年の会合にそれぞれ会費1万5千円を支出したと明らかにした。秘書が関連団体の会合に出席したこともあると言及した。「関連が疑われる団体との関係はきっぱりと整理していきたい」と語った。
山際大志郎経済財政・再生相は記者会見で18年に関連団体のイベントに出て、13年には関連団体の会合に会費1万円を払ったと話した。「反省すべきは反省し、社会的に問題がある団体との関係は持たないよう行動する」と強調した。
寺田稔総務相は関連があると知らず、同教会系の政治団体の会合に18年、会費2万円を支払ったと説明した。岡田直樹地方創生相は地元秘書の記憶として、関連団体の行事にメッセージを出し地元の会合にも秘書が出席したと述べた。
西村明宏環境相は旧統一教会との関係が指摘された会合について「宮城県支部連合会に案内があり世話人になった」と明かした。会合に出席したかは「記憶がない」という。
加藤氏のほか、林芳正外相や高市早苗経済安全保障相は過去に旧統一教会と関係が深いとされる機関の取材を受けたと公表した。
松野博一官房長官は木原誠二官房副長官の地元秘書が関連団体の会合に出たことがあると発表した。
●統一教会との関与が示された議員ら 8/10
7月8日、奈良市内で街頭演説をおこなっていた安倍晋三元首相が銃撃・殺害された事件に端を発して、政界と旧統一教会の関係に注目が集まっている。
改造岸田内閣
現職国会議員らの統一教会への関与が次々と明らかになる中、岸田首相は8月10日に内閣改造を実施する。岸田首相は「当該団体との関係について自ら点検し厳正に見直して頂くことが、新閣僚あるいは党役員等においても前提となる」と明らかにして、この問題を念頭に内閣改造に着手することを明らかにしている。現時点で予想されている閣僚人事および統一教会との関係については、以下の通り。
寺田稔(総務大臣)
寺田稔氏は2018年、旧統一教会の関連団体の会合に会費2万円を支払っていたと明らかにしている。結果的に、同会合への出席はなかったものの、今後は社会的に問題となる団体と付き合わないようにすると述べている。
加藤勝信(厚生労働大臣)
菅政権下で官房長官を務めていた加藤氏は、2014年、2016年の2回に渡って、自身が代表の自由民主党岡山県第5選挙区支部から統一教会の関連団体に複数回にわたって会費を支払っていた。政治資金収支報告書から判明したもので、同支部は2014年3月13日と2016年3月27日に「会費」名目で、それぞれ1万5,000円を旧統一教会系の関連団体である世界平和女性連合に支出している。世界平和女性連合は、1992年に旧統一教会総裁の文鮮明氏と韓鶴子氏によって創設された。
西村明宏(環境大臣)
具体的な報道・資料などは確認できないものの、ジャーナリスト鈴木エイト氏の調査に基づくリストには、旧統一教会と関係のある国会議員として挙げられている。
山際大志郎(経済再生担当・スタートアップ担当大臣)
山際大志郎経済再生担当は、2011年11月に開催された旧統一教会の関連団体である国際勝共連合らがが後援した集会「アジアと日本の平和と安全を守る全国大会」に参加。2013年には、旧統一教会の関連団体である平和大使協議会に会費1万円を支払っている。
高市早苗(経済安全保障担当大臣)
高市早苗経済安保担当大臣は、統一教会の関連団体である天宙平和連合の行事に祝電を送っていたと報じられている。
松野博一(官房長官)
松野博一官房長官は3日、首相や官房長官の旧統一教会との関係について「総理や私の個々の政治活動に関わることであり、政府として会見の場でコメントすることは差し控えさせていただきたい」と発言。同日、同氏の事務所は松野氏と統一教会について選挙支援や関連イベントの出席など接点がないと明らかにしている。
葉梨康弘(法務大臣)・永岡桂子(文部科学大臣)
統一教会との関与については「ない」と明言。
林芳正(外務大臣)
「何ら関わりがない」と発言。
鈴木俊一(財務大臣)
「一切ない」と発言。
その他
野村哲郎(農林水産大臣)・西村康稔(経済産業大臣)・斉藤鉄夫(国土交通大臣)・浜田靖一(防衛大臣)・河野太郎(デジタル担当大臣)・秋葉賢也(復興大臣)・谷公一(国家公安委員長)・小倉将信(少子化担当大臣)・岡田直樹(地方創生担当大臣)の各氏については、いずれも統一教会との関与について報道・発言などは確認されていない。
菅義偉(元首相)
2017年5月12日、官房長官(当時)を務めていた菅氏は、統一教会の金起勲(キム・ギフン)北米大陸会長らを、首相官邸に招待したことが報じられている。金会長は、同教会のネット番組の中で「最終日には菅義偉官房長官が首相官邸に私どもを招待してくれた」と発言している。
麻生太郎(元首相)
2011年5月11日、麻生氏は安倍晋三氏らとともに、旧統一教会系の米紙ワシントン・タイムズに全面意見広告を出稿している(広告内容は、米軍のトモダチ作戦へのお礼)。同紙は読者も限られるため、事実上の寄付の面も否定できないという指摘がある。
萩生田光一(政調会長)
新たに政調会長となった前経済産業大臣の萩生田氏は、党総裁特別補佐を務めていた2014年10月に、都内で開催された日本統一教会会長・徳野英治氏の講演会で来賓挨拶をおこなっている。また、自身が関連する政治団体から「会費」などの名目で旧統一教会の関連団体に数万円を支出している。
岸信夫(防衛大臣)
防衛大臣の岸氏は、7月26日の会見で、旧統一教会関係者が自身の選挙を支援していたことを認めた。会見では「電話作戦など、ボランティアでお手伝いをいただいたケースはあると思う」などと説明した。岸氏は、7月8日に銃撃されて死去した安倍晋三氏の実弟でもある。
末松信介(文部科学大臣)
文部科学大臣の末松氏は、7月22日の会見で、旧統一教会の関連団体との関係について「パーティー券購入の事実がある」と明らかにした。末松氏の事務所によると、2020〜2021年にかけて、教団側の関係者2人が政治資金パーティー券を1枚ずつ、計4万円分購入したという。
野田聖子(少子化担当大臣)
野田聖子少子化担当大臣は8月2日の会見で、2019年に岐阜県内で開かれた旧統一教会の関連団体が共催した会議に祝電を送ったり、野田氏の代理として秘書が出席したりしたことがあると明かした。野田氏は「旧統一教会とは距離を置いていたが、共催だったので見過ごしてしまった」と説明している。
●旧統一教会との決別アピールするはずが…新閣僚5人に接点発覚 8/10
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治のつながりに厳しい視線が向けられる中、第2次岸田改造内閣が10日、発足した。
教団を巡って接点のあった閣僚7人を交代させ、19閣僚中14人を入れ替え。9人を初入閣させるという大幅な組み替えとなったが、早くも山際大志郎経済再生担当相ら少なくとも5閣僚が旧統一教会との関わりが判明。体制刷新で急落する政権支持率に歯止めをかけるつもりが、嵐の船出となった。
旧統一教会との決別をアピールするはずの第2次岸田改造内閣は初日からつまずいた。首相は会見で「国民の疑念を払しょくするため組閣にあたり、閣僚に対して政治家の責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果も踏まえて厳正に見直すことを厳命し、それを了解した者のみ任命した」と明言した。旧統一教会との関係を断つことがテーマで、関係を認めた萩生田光一経産相ら7閣僚を交代させた。だが、少なくとも新閣僚5人に接点があったことが発覚した。
この日、山際経済再生担当相は閣議後の会見で、同氏の資金管理団体が2013年に教団の関連団体に会費1万円を支出し、18年に関連団体主催のイベントに出席したことを認めた。それでも、「いずれも通常の政治活動の一環だったと認識している」と開き直り、この程度なら“乗り越えられる”認識を示した。岸田首相は旧統一教会を巡る問題について、自主的な「身体検査」をクリアして公表することを閣僚起用の条件とした。山際氏は教団との関係について首相に直接、説明していないという。
自民党議員を中心に旧統一教会の関係性が続々と判明し、首相は世論の反発を抑え、政権運営を安定させるために各派閥に配慮した人事を前倒しした。実際7月30、31両日の共同通信世論調査で内閣支持率は参院選直後の前回調査から12・2ポイント急落して51・0%。教団と政界の関わりによって逆風が強まっていた。
それでも、リセット人事でも山際氏に加え、加藤勝信厚労相、寺田稔法相は教団の関連団体に会費を支払ったことがあり、西村明宏環境相は会合に出席。岡田直樹地方創生兼沖縄北方担当相は、関連団体の行事に、地元秘書が出席したことがあると説明するなど収拾が付かない状態だ。メンツをつぶされた首相が、ずさんな点検と報告を怠った新閣僚を、どう対処するのか注目される。
党内からは「なぜここまで内閣改造を急いだのか分からない」(閣僚経験議員)と個人に丸投げした点検を含めて疑念の声が上がっている。改造内閣は船出から、いきなり荒波にさらされた。支持率急落に歯止めをかけるはずのテコ入れだったが、自民党議員と教団の幅広いつながりが一層浮き彫りになった。
派閥バランス / 留任を含む閣僚経験者10人に対し、初入閣は9人。首相を除く内閣の顔触れを派閥別で見ると安倍派、麻生派各4人 、茂木派、岸田派各3人、二階派2人。これに無派閥2人と公明党1人を加え、計19人。

 

●旧統一教会・田中会長、名称変更に「政治介入や不正なかった」… 8/11
安倍晋三・元首相(67)が銃撃されて死亡した事件で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長が10日、東京都の日本外国特派員協会で記者会見した。2015年に統一教会から名称変更が認証された経緯について、難色を示す文化庁に、訴訟を辞さない意向を伝えていたことを明らかにし、「政治介入や不正はなかった」と説明した。
田中会長は会見の冒頭、「容疑者の動機が家庭連合への恨みであるという報道を重く受け止め、社会をお騒がせしたことを深くおわびする」と、事件後初めて謝罪の言葉を口にした。
名称変更について田中会長は「文化庁に何度も相談したが、対応が変わらず、訴訟もやむを得ないと決意し、専門家の意見書を付けて意思表示すると受理された」と説明。「『正体隠し』という批判は事実無根の決めつけ」と主張した。
政治との関係については「友好団体が強く関わってきたことは事実」とした上で、「宗教法人として、特定の党のみを応援するという態度は取っていない」と主張。「共産主義と 対峙たいじ し、民主主義を守ろうとする同志と歩んできた。その視点から自民党議員と接点を持つことがあった」と述べた。
岸田首相が新閣僚らに同連合との関係を断つよう求めたことについては「報道に揺れる世論への気遣いがあったことは否定できず、遺憾に思っている」とした。
同連合を巡っては、1980年代以降、霊感商法が社会問題となり、信者が逮捕される事件も起きた。しかし、田中会長は「当法人が霊感商法を行ったことは過去も現在もない」と述べ、献金などを巡って裁判中の事案は1998年の78件から今年は5件に減少したと強調。2009年の「コンプライアンス宣言」以降、「社会的、法的に問題がある行動をしないよう信者に指導を徹底している」と述べた。
これに対し、同連合による被害救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は、昨年までの5年間に564件の相談が寄せられ、被害は今も続いているとしている。
連絡会の紀藤正樹弁護士は「会長の発言は実態とかけ離れ、被害に誠実に向き合う姿勢が感じられない。旧統一教会の問題には、家庭崩壊の被害もあるが、そのことに全く触れていない。謝罪の言葉を口にしたが、何への謝罪かわからず、体質は変わっていない」と批判した。
●「無駄や矛盾が多く残念だった」旧統一教会の記者会見に参加した特派員 8/11
10日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長が日本外国特派員協会で2度目となる会見を開いた。
会見では、予定時間を超える田中会長の発言に、司会を務めた神保哲生氏が3度にわたり制止する場面も見られた。仏紙「リベラシオン」特派員の西村カリン氏は「本来の記者会見の目的とはかけ離れた状況になってしまって、本当にがっかりしている」と話す。
「まず、冒頭発言が逐次通訳も含め40分と長すぎた。我々記者としては、自分の知りたいことを直接質問できることが大事だ。質問したい気持ちがどんどん強くなって、我慢できない状況だった。質疑応答の時間は20分しかなく、無駄が多かった。山上容疑者本人の家庭についての質問もできなかったし、家族の主張に対して、どう応えたのか、といった説明もなかったのは残念だった」(西村氏)。
また、田中会長の発言の大部分はメディア報道への批判に割かれた。
「山上容疑者には過去数十年にわたる教団への恨み、怒りがあったと報じられているし、なぜそうなったのかを理解させるため、過去のことを報じることは必要だ。フランスもそうだが、海外では90年代に様々な問題があったことは知られていない。また、私は独自に教団への取材も行ったが、強調されたのは“友好団体は政治的な活動をしているが、自分たちは全くやっていない”ということだった。しかし今日の会見では、やっぱり反共産主義的な立場であるということをハッキリと言っていた。政治的な活動はしていないが、反共産主義の活動はしているというのは矛盾だと思う。これは宗教ではなく、政治ではないかと思った」(西村氏)。
田中会長の発言の後に質問に立った西村氏は「(冒頭の謝罪の後は)何も悪いことはしていないという、意味のことを長いこと言っていた。謝罪の意味は?」と質問。これに田中会長は「2009年以降の、いわゆる負の部分がクローズアップされて報道されております。そのことが今日においてもメディアを騒がせ、そして多くの混乱を招いているということに対する謝罪です」と答えている。
この回答についても西村氏は「やはり謝罪の意味は未だによくわからない。これも矛盾だと思う。そもそも海外マスコミ向けの会見だったとしたら謝罪の意味はあるのだろうか。海外と日本とでは謝罪の意味が違うし、読者も混乱すると思う。おそらく海外メディアは謝罪の部分をそれほど重視せず、政治的な状況の部分などの方を記事にするのではないか。私であっても、日本メディアのように謝罪したことを“速報”として出すことはないだろう。また、国内マスコミにも向けられた会見だったとしても、やはり謝罪したのは疑問だ」と批判した。
会見を全て見ていたという脳科学者の茂木健一郎氏は「日本社会からどういう風に見られているか、皆が素朴な疑問を抱いていることをどう思っているのか、肝心なことは教えてくれず残念だったし、あまりに一方的でがっかりした。また、山上容疑者の家庭に自分たちが影響を与えてしまっているということについての自省の念が感じられなかった」とコメント。
さらに元日本経済新聞記者で作家の鈴木涼美氏は「もちろん信者の子どもがいじめられるなど、個人攻撃をするのは不当だし、今まで報道されてこなかったことにはメディアの怠慢もあると思う。ただ、前回の記者会見では被害者を取材してきたフリージャーナリストなどがシャットアウトされていて、“会見をやった”という既成事実のためにやったように思えた。改善をして、今はやましいことがないというのであれば、もっと情報公開すべきだと思うし、それが無く不可解な点が多いからこそ憶測のような報道になってしまう部分もあると思う」と話した。
一方、同じく会見を見ていたというパックンは「西村カリンさんの言う通り、全くもって消化不良だった」としつつも、「メディアが聞き入れるべき点もあるのではないかと思った。バランスの取れている報道ばかりではないし、過去に起きたことが現在も続いているという印象を受けかねないものもあると思う。安倍元総理が殺されたショックの矛先が、山上容疑者ではなく教団に向けられているようにも見える」との見方を示していた。 
●旧統一教会・田中会長の会見は「独演のような会見でした。なんのため・・・」 8/11
11日放送の日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」(月〜金曜・午後1時55分)では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長が10日に都内で記者会見したことを報じた。
スタジオでは、会見の時間は1時間10分で45分が田中氏自身の主張で質疑応答は25分だったことを伝えた。
宮根誠司キャスターは「40分間、独演のような会見でした。これが、なんのための会見だったのか」と、まずコメント。「過去も現在も霊感商法はないんだとおっしゃった。名称変更に政治家(の関与)はないんだとおっしゃった。3度、そろそろいいでしょうと言われても、まだしゃべらせて下さいと(田中氏は)おっしゃった」と、会見を振り返った。
●旧統一教会・田中会長の会見に「血の通わない計算に基づいた体質を感じた」 8/11
11日放送のTBS系情報番組「ゴゴスマ」(月〜金曜・午後1時55分)では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長が10日に都内で記者会見したことを報じた。
スタジオでは、会見の時間は1時間10分で45分が田中氏自身の主張で質疑応答は25分だったことを伝えた。
コメンテーターで出演の前宮崎県知事でタレントの東国原英夫氏は「僕は1回目も2回目(の会見)も体質的には変わってないなという印象でした」とまずコメント。
「大体、発言時間とかのルールを守らない。それ自体に不信感を持ちますね」と続けると「教団の内容、宗教法人の内容というよりも記者会見のあり方、やり方ですよね。僕はこういう体質なんだなと言うのを、なんとなく印象を持ちましたね。自分らを正当化するのはいいんですけど、それによって血の通わない、言質を取られないというか、そういう計算に基づいた体質、何かちょっと、一般国民から壁があるような感じを私は受けました」と話していた。
●東国原英夫氏 “ブレーンに旧統一教会系”の指摘に反論 8/11
元宮崎県知事で政治評論家の東国原英夫氏が11日、ツイッターを更新。SNS上で広がっている“ブレーンに旧統一教会”との指摘を反論した。
SNS上で広がっているのは政治アナリストの渡瀬裕哉氏との関係。渡瀬氏は2019年に旧統一教会系の米紙「ワシントン・タイムズ」の日本版ウェブサイト「ワシントン・タイムズ・ジャパン」のエグゼクティブ・ディレクターに就任。こうした経緯から東国原氏との関係が取り沙汰されているのだ。
この情報について東国原氏は「巷間、僕のブレーンに『旧統一教会と関係がある者』がいるという指摘・批判?がある。何度も言うが、渡瀬君の活動について全く関知していない」と反論。
さらに「渡瀬君は過去2回程、僕の選挙に関わってくれた。その後は早稲田系の勉強会やTV番組等で一緒だった。この数年、コロナ等も有り渡瀬君とは関係していない」と渡瀬氏との関係の詳細を明かしている。
●旧統一教会との関係絶つべきだが84% 8/11
共同通信社の全国緊急電話世論調査によると、政治家が旧統一教会や関連団体と関係を絶つべきだと思うとの回答は84.7%だった。
●安倍氏国葬「反対」47%=旧統一教会解明「必要」77%―時事世論調査 8/11
時事通信の8月の世論調査で、故安倍晋三元首相の葬儀を全額国費で負担する「国葬」として実施することに対する賛否を尋ねたところ、反対は47.3%で、賛成は30.5%だった。
●旧統一教会関わり説明不足89% 内閣支持は微増、54%に 8/11
共同通信社が第2次岸田改造内閣発足を受けて10、11両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党国会議員との関わりについて、自民党や党所属議員の「説明が不足している」との回答が89.5%に上った。「十分に説明している」は6.9%にとどまった。岸田内閣の支持率は54.1%で、昨年10月の内閣発足以来最低となった7月30、31両日の前回調査から3.1ポイント増えた。不支持率は28.2%だった。
●世良公則「看過できず法的対応とる」 旧統一教会との事実無根投稿に怒り 8/11
歌手の世良公則(66)が11日、自身のツイッターを更新。自身についてかき込まれたツイートを引用し、「このような事実無根のツイートが掲載されており、看過できずオフィシャルで法的対応をとるよう判断し、当該者に対し通達致しました」と報告した。
看過できないとした投稿には、世良が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の「会合で演奏」「会合の華やかな写真を掲載」などと記述。これに対し、事務所のツイッターが「掲載されている内容は全て虚偽であり、このような事実は一切ございません。世良公則の名誉及び信用を著しく毀損する行為と弊社では判断いたしました。よって警察に通報させて頂きます」と返信した。
さらに、「火のない所に何とかと申しますが事実無根で有ると良いですね」とのコメントに対しても、世良は「火のないところに煙を立てている事を問題視しております 煽り扇動するような誤解を招く表現は謹んで頂きたい」と不快感を示した。
●旧統一教会70分会見“制止無視”も 紀藤弁護士「被害と向き合っていない」 8/11
8月11日、2度目の会見を行った世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。約1時間10分に及んだ会見で田中会長は、何度か司会者に制止されたにもかかわらず、主張を続ける場面も見られました。
旧統一教会の問題に長年取り組んでいる、全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士は、会見をどう見たのか?めざまし8はお話を伺いました。
会見の内訳は?紀藤弁護士「一方的な会見」
世界平和統一家庭連合の田中会長による会見、通訳も含めて合計で約1時間10分でした。スピーチが冒頭45分、質疑応答25分。めざまし8が「どこに」時間を使ったか、内訳を確認したところ、
・政治家との関係 約9分10秒
・メディア批判 約11分30秒
・団体の名称変更について 約12分30秒
・高額献金、霊感商法について 約9分10秒 (※残りはその他の話題)
というものでした。紀藤弁護士は、会見を見た率直な感想をこう述べました。
紀藤正樹弁護士: 率直に言うと、被害に向き合っていないと思いましたね。時間(の使い方)を見ても、被害者に対する謝罪ないしは、被害者に対する思いみたいなものは感じられなかったし。今回の会見の目的を、自分たちの信徒とか、教会が被害を受けていると冒頭に言っていましたけども、具体的な内容も明らかにされていませんので、人が見えないというか、具体的な被害者、自分たちの信徒、人が見えない会見。つまり、一方的な自分たちの団体の言い分だけを伝える会見という印象を、強く受けました。
「団体の言い分を伝える会見」と読み解く紀藤弁護士。
教会と政治との関わりは?新たに7人の閣僚が関係認める
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の会見と日を同じくして、発足された第二次岸田改造内閣。閣僚19人のうち、留任はわずか5人。初入閣は9人という顔ぶれです。この中で、11日新たに7人の大臣が旧統一教会との関係を明らかにしました。
7人の教会と関係があった大臣を外して、新たに改造内閣をつくったその日のうちに判明した、新たな教会との関係。岸田首相は「関係を絶つことを了承した人のみを登用した」としていました。
政治家と旧統一教会との関わりを、紀藤弁護士はどう見ているのでしょうか?
紀藤正樹弁護士: 想像以上に、今回の入閣組も含めて旧統一教会の浸透度が深いのだなと言う風に、改めて思わされたんですけども。それにしても、しっかり点検して説明をうるということが尽くされていればいいんですけども、昨日の(閣僚の)会見を拝見しているとそれぞれの大臣の“トーン”が違う感じがするんですよね。しっかりと説明している人と、そうではない人がいて、やはりしっかりきちっと説明してくれないと、我々から見たら判断材料になりませんし。むしろ岸田さんが言っている通り、丁寧に説明していただく時間をとっていただきたいなと思います。
丁寧な説明のための時間が必要だと言う紀藤弁護士。
紀藤正樹弁護士: 自民党はまだ旧統一教会に対する調査を、党としてやっていないんですよね。
だから我々、全国霊感商法対策弁護士連絡会のメンバーをよんでいただいて、旧統一教会がどんな組織かということも、しっかり自民党の中で検討会を開いてほしいと思います。
さらに、政治家との関係について“危うい”ポイントを指摘します。
紀藤正樹弁護士: 新人議員だったら(選挙活動のボランティア等に対する)見返りを求めないということは言えるんですけども、次第に「この議員はつかえる」ということになれば、やはり広告塔として使えるとして、「世界日報」の取材から入り、そして「世界日報」で対談し、そして関連団体のイベントに来てもらい、だんだん広告塔として使われて、信者の士気だったり、あるいは旧統一教会は“ちゃんとした団体なんだ”というところで、“利用”されていくという関係があるんですね。それから、当然対談なんかを繰り返してやっていると、人間的にも付き合いができるわけですよ。ですから、安倍元首相がイベントでビデオメッセージを送ったときも、これまで旧統一教会側が築いた人間関係とか、貢献が評価されたという形で。人間関係を築かれてしまうとなかなか断りにくいという面もあると思うんですね。ですから、これはやはり“持ちつ持たれつ”の関係があるわけで。
「人間関係」の構築から「断れない関係」ができてしまうことへの、危険を語る紀藤弁護士。
これからの政治 紀藤弁護士「基準作り」の議論必要
紀藤正樹弁護士: 政治家は“反社チェック”はするわけです。それから、外国人献金という問題があるので、外国人の献金をどう処理するか、外国法人からの献金をどう処理するかと言うことについては、これは日本の政治が影響を受ける可能性がありますから、政治資金規正法で規制されていますから、その辺のチェックもやっているわけですよ。だから結局“基準作り”なんですよ。つまり、宗教団体だからとか言うことではなくて、「反社会的宗教団体」あるいは「外国発の宗教団体」とどう関係していくのかと言うことは、これは日本の政治のあり方、形を考える上でとても重大な課題なんですね。今回突きつけられたと思うんです。ですから、まさに基準作りを、これは自民党だけでもできない、野党だけでもできない話なんですね、だから超党派で政治とか、政治と人の関係をちゃんと議論していただかないといけないのですけれど、まだ自民党は「点検」の段階なんですよ。階段で言うと、一歩もまだ踏み出していないんですよ。点検と調査は「当たり前」の前提なんですね。これからどうやって、仕組みを作るか、基準を作るか、基準を作らないと、個々の議員も決められませんから。やはり、基準を作る問題を、これから具体的に考えていっていただきたいなと、つくづく思いますけども。
旧統一教会「不正確であり不公正」会見内で“弁護士団体”を批判
会見の中で田中会長は、「弁護士団体は相談のあった当法人にまつわる案件のすべてを、被害と断定して集計発表していますが、その内容は実に不正確であり不公平です」と、ある意味で全国霊感商法対策弁護士連絡会を名指しで批判しました。
これについて紀藤弁護士は…
紀藤正樹弁護士: 我々は一度も“断定”したことはないんです。これ「被害の相談」と言っているんですよ。被害相談があって、それを集計しているわけであって、その相談集計の中から、当然交渉すべき案件、訴訟するべき案件を切り分けますから、これは被害相談の中に、旧統一教会の被害が紛れ込んでいるという意味で、実相を表しているんです。被害相談が増えると言うことは、それが全部被害と言っているわけではなくて、相談件数が増えるわけだから、当然その相談件数が増えると言うことは、おそらく旧統一教会の被害が、増えたり減ったりするわけですけども、その内容の実相を表しているということで、しかもメディアの報道があれば、被害相談が増えるんですね。現実に我々、2021年から比べると圧倒的に増えているわけですね。そうするとこの被害相談というのは、あくまでも「形」、表層部分であって、表層部分を“嘘”と断定するのは、正直言ってやめていただきたいと思います。こういうところも「被害に向き合っていない」証拠ですよね。もう少し、被害者がいて、生身の人間が被害を訴えていると言うことの現実感を持っていただきたいなと思います。
旧統一教会の主張との隔たり
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は、係属中の裁判件数は1998年に78件、今年は5件と20年あまりで20分の1になっていると主張しています。これに対し、全国霊感商法対策弁護士連絡会がこれまでに確認した被害は、人数にして3万人以上、被害金額は1237億円以上。さらに、襲撃事件以降、被害の相談は増えていると言うことです。
紀藤正樹弁護士: この数字は一方的に旧統一教会が発表しているだけなんですけども、我々が裁判を起こしているのは、確かに今5件なんですよ。だけど、この5件という数字が少ないというのは意図的な“コントラスト効果”なんですね。コントラスト効果というのも、マインドコントロールのひとつなんですけども、5件でも多いですよね?1つの宗教法人に5件も裁判が続いているということ事態、異常な話であって、その5件をどう解決していくかを全く話をしないわけですよ。つまり自分たちはコンプライアンスとか言いながら、じゃあ5件の裁判がどういう内容で、自分たちはどういう解決をしていって、どう旧統一教会の問題を収束していくか、自分たちが起こした結果をどう解決していくかを、全く言わないんですね。ただ、78件が5件に減りましたと言って、一見コントラストがありますから、少なく減ったように見えますけども、5件自体が多いという感覚が全くないのだなと思わされます。
紀藤弁護士は、旧統一教会の「被害」への向き合い方にも苦言を呈します。
紀藤正樹弁護士: (会見でも触れていた)信者の人が(今回の襲撃に関する報道を受けて)被害を受けていたということがありますよね? この内容が本当だったら、普通は警察案件ですよね? 警察案件になっているものを、旧統一教会が具体的に信者を守るために何をしたかと言わないんですよね。ですから、私は「被害」というものに、誠実に向き合っていないと思うんです。個々の信徒の問題も含めて、自分たちが生み出した、自分たちの活動から生み出されたものが、批判を受けたら、自分たちが被害に遭った、それは法人の被害は言うんだけども、個々の信徒の被害に具体的に向き合わないし、現実の金銭被害のある、霊感商法の被害者にも向き合わないんですね。だから、私は人が見えない会見だと思うので、非常にそういう意味で不誠実だなという風に思っております。
会見を見て…紀藤弁護士の感じたこととは
紀藤正樹弁護士: 形式的な会見で一方的な言い分を伝えただけで、制止を振り切って40分間続けたと言うことで。事前に時間は分かっている訳ですので、原稿を作っている以上、30分以内に終わるような原稿を作ればいいのであって、一方的な言い分に終始したという会見だったと思います。
●橋下徹氏 旧統一教会へ反セクト法適用に警鐘「個別法で徹底対処すべき」 8/11
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏が11日、ツイッターを更新し、旧統一教会規制≠ノついて持論を展開した。
安倍晋三元首相が山上徹也容疑者に銃撃されて以降、同容疑者の動機になった旧統一教会に関する議論が連日繰り広げられている。
フランスのカルト規制い当たる反セクト法をお手本≠ニする意見も多く飛んでいるが、橋下氏は前日10日、ツイッターで「日本は法治国家である以上、旧統一教会に対しては法律でもって厳しく対処していくべき。悪人に対しても法で対処することが近代国家、法治国家の最低条件。法を無視して感情で対処することを認めると、そのような国家の法無視の態度は国民に跳ね返ってくる。安倍さんの国葬もその典型」と警鐘を鳴らした。
この日も「フランスでも反セクト法については批判的意見も多い。適用にも消極的。欧州人権裁判所でも批判されるだろう、と。旧統一教会については個別法で対処していくべき。法が足りないなら個別的に法を追加していくべき。まずは献金の上限規制から」と提言。
続けて「フランスの反セクト法は厳密には反セクト『的』『行為規制』法。日本でもこの議論は散々やって、結局、日本には破壊活動防止法、オウムに適用する団体規制法、暴力団対策基本法、組織的犯罪処罰法までだろうとなった。日本ではそれを超える反カルト法ではなく、個別法で徹底対処すべき」と主張した。
橋下氏と言えば、同様の持論を8日放送の日本テレビ系「ミヤネ屋」で披露した際、紀藤正樹弁護士から「40年前の議論を蒸し返している」と言われ「基本的には信教の自由には立ち入らない。諸外国の常識で、カルト規制法もそう。そしてカルト規制法は団体規制なので、宗教団体に限らない」と反論された。
最適な解決策は依然として見えない――。

 

●旧統一教会1億円訴訟#Fめた! 「第2の山上徹也」生みかねない体質 8/12
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が10日に開いた会見が波紋を呼んでいる。田中富広会長が「霊感商法を行ったこともなく、民事訴訟は激減し、結婚した信者の離婚率は2%以下で多くのカップルが幸福円満に過ごしている」と主張したからだ。ところが訴訟は激減しても、約1億円もの損害賠償を求められたケースはあった。第2の山上≠ェ生まれかねない、その実態とは――。
旧統一教会の田中会長は会見で司会の制止を振り切り、予定時間を10分以上オーバーして独演会≠展開した。
要約すると内容は主に以下の5項目。1信者からの民事訴訟は激減した2霊感商法は宗教法人として過去も現在も行ったことはない3教団の名称変更は旧統一教会の正体隠しではない4フェイクニュースで信者の人権や信教の自由が侵害されている5結婚した信者の離婚率は2%以下だった。
旧統一教会を連日厳しく批判している日本テレビ系「ミヤネ屋」は11日の放送で、MCでフリーアナウンサーの宮根誠司が「40分間、独演のような会見でした。なんのための会見だったのか」と首をひねった。
会見で注目を集めた一つが、1信者からの民事訴訟は激減した――だ。田中会長は、信者から献金の返還を求めて旧統一教会が提訴された民事訴訟について、係争中の件数はピークの1998年に78件あったが、2022年は5件にまで減ったなどと力説。フリップでも示し「この20年余りで約20分の1に!」と「!」を用いて強調したうえ、「各事案に丁寧に対応させていただいています」と語った。
ただ、「この20年余り」の訴訟を個別に精査すると、約1億円もの損害賠償を求められたケースがあった。
埼玉県の70代女性は16年、高額献金や霊感商法で8200万円の被害を受けたと主張し、旧統一教会と信者を相手取り、被害額や慰謝料など約1億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。被害額8200万円の主な内訳は、聖本1700万円、壺(つぼ)250万円、像120万円、高麗人参茶30万円。関係者は「埼玉の女性は家族が自殺しており、ここを信者に付け込まれ、約20年にわたり高額献金や霊感商法で被害を受けたと主張したんです」と話す。
ここで思い出されるのが安倍晋三元首相銃撃事件だ。山上徹也容疑者は、父が自殺した後、母が旧統一教会に入信し、総額1億円を献金した。
「埼玉の女性と山上容疑者の母は入信の経緯が似ている。かたや8200万円の被害、かたや1億円の献金と貢いだ額も近いです」(前出関係者)
埼玉の女性の訴訟は双方が代理人弁護士を立てて争ったが、「最終的に和解が成立しました」(同)。旧統一教会の担当者も「和解が成立したと聞いております」と回答した。
とはいえ、旧統一教会は過去に1億円超の損害賠償の支払いを命じられた判決が出ており、現在は信者からの訴訟は激減したとしても、近年も高額な損害賠償を求められる訴訟は起きている。
「高額献金の被害を恨んで事件を起こす第2の山上≠ェ現れないためにも、周囲の支えが必要です」と前出関係者は訴えた。
●「手製銃で要人襲撃」全国の警察が想定せず、「ネットに製法」軽視…検証  8/12
安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件で、警察庁は、全国の警察がこれまで手製銃による要人襲撃を想定していなかったと、月内にまとめる警護の検証結果に盛り込む方針を固めた。インターネット上で銃の作り方などの有害情報を容易に入手できることへの意識が希薄だったとして、対応の強化を検討している。
手製銃などの製造が広がれば、人を傷つける銃器犯罪が増え、要人警護だけでなく治安全般に影響が出かねない。警察庁は、有害サイトへの対応や、火薬の原料となる薬品の管理強化などについて、所管省庁などと協議していく考えだ。
警察の銃撃対策は従来、暴力団や右翼の構成員など組織に属する人物が既製の拳銃を使うケースを想定していた。だが、安倍氏を銃撃した無職の山上徹也容疑者(41)(鑑定留置中)は、ネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で銃の作り方を学び、火薬もネットで購入した薬品をもとに自作したと供述した。
警察庁はこうした点を重視し、これまでの要人警護の想定や担当者の認識を確認した。その結果、ネットに氾濫する情報をもとに誰でも銃などの武器を作れてしまうことへの意識が薄く、手製銃による要人襲撃を想定していなかったことが判明した。
●旧統一教会の名称変更問題、行政を歪めたのは誰!? 8/12
旧世界基督教統一神霊協会(統一教会)が2015年、世界平和統一家庭連合に名称を変更した経緯などについて、野党が前川喜平元文部科学事務次官の合同ヒアリングを行った。前川氏は名称変更について「何らかの政治的な力が働いた」と発言したというが、適切な行政手続きとはどのようなものか。
宗教法人法での手続きを復習しておこう。設立について「宗教法人を設立しようとする者は(中略)規則を作成し(中略)所轄庁の認証を受けなければならない」(12条)と認証主義だ。これは、NPO法人と同じ形式で、行政の裁量はかなり少ない。
認証された規則のなかに名称がある。規則に基づき宗教法人登記をするが、その名称変更など登記内容に変更があった場合には、変更登記をし(53条)、所轄庁へ届け出なければならない(9条)とある。
宗教法人の名称変更は認証手続きでの「届け出」なので裁量の余地はない。
1993年に制定された行政手続法では、「事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする」(37条)とされ、役所側に届け出受理を拒む権限はない。なお、添付書類で軽微なミスがあっても本書類ではなく不受理とはいかない。
97年当時、前川氏は受理しなかったとされているが、その報道通りなら行政手続法との関係はどうなっていたのか。宗教法人側に頼んで届け出をしなかった可能性もある。その場合は文科省の行政指導となるが、行政手続法では法令の根拠や原則的に文書によって行政指導しなければならない。そうした適切な手続きはあったのだろうか。
届け出をさせないのはまずい。そうした権限は文科省にはないし、届け出により不利益を被る可能性を言っていれば、行政手続法に抵触しかねない。
いずれにしても97年の文科省の対応そのものが適法がどうかがまず問われるべきだ。もしそれが違法であれば、「行政が歪(ゆが)められた」との見方もできる。その後、名称変更が受理されたのは「歪められた行政が正された」という言い方もできるだろう。
この構図は「加計学園問題」と全く同じだ。その時も、獣医学部の新設申請を受け付けないという営業の自由を保障する憲法に対する違反にもなるような歪んだ行政について、安倍晋三政権で新設申請を認めるとの正しい行政をしたら、マスコミのバッシングがあった。
長年マスコミは疑惑を訴えながら、安倍政権で何の違法行為も出てこなかった。
そういえば、加計問題の発端は、文科省による文書のリークだった。その文書を意図的に一部のみ掲載した新聞もあったが、政権誹謗(ひぼう)の悪意なしとはいえないものだった。
適切な行政手続きとは簡単で、法律どおりに行うことだ。それが官僚の裁量をなくすので、政治介在もなく、国民にとって望ましいものだ。
宗教法人による霊感商法などの行為については、安倍政権でやったような訴訟特例や消費者契約法改正などで対処すべきだろう。一部官僚による裁量を許して、歪んだ行政を行ってはいけない。 
●山上徹也容疑者「減刑署名」が6000人突破 感情論から自民党の責任論へ 8/12
7月8日に発生した安倍晋三元首相の銃撃事件。逮捕された山上徹也容疑者の“減刑”を求める署名活動の勢いが止まらない。
7月15日に署名サイト「Change.org」で始まった、この活動。署名活動を立ち上げたとされる人物は、同サイトで山上容疑者について《過酷な生育歴を鑑みての温情》《本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事》を理由に、山上容疑者への減刑を「検察庁長官殿」に求めている。
8月12日18時時点で、賛同者は6000人を超えており、目標とされる7500人を達成しそうな勢いだ。
この署名活動が始まった当初は、同サイトに寄せられるコメントの多くは、山上容疑者へのセンチメンタルな“同情”が多かった。
《山上さんは悪徳宗教に家庭を破壊された被害者です》《ニュースを見るたびに切なくなります。今からでも幸せになってほしいです。》《人は環境で変わることができるはず。誰にも変わる環境と機会が必要で、それは彼に与えられるべきです》
たしかに、事件直後から山上容疑者の“過酷な生育歴”は明らかになっている。
「幼くして父親を亡くし、母親は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信後、多額の献金で、自己破産。それでも献金を続けていたといいます。山上容疑者は大学進学も断念し、3年間の海上自衛隊勤務を経て、アルバイトや派遣社員を転々としてきました」(社会部記者)
しかし時間が経つにつれ、自民党と旧統一教会の密接すぎる関係が明るみに出て、メディアは厳しく追及するようになった。山上容疑者を“擁護”する声も、単なる“感情論”から、自民党の責任を問うものに変化している。
《この人の行動は統一教会の存在を浮き彫りにした。この事件がなければ、その存在を知る人は今ほどには確実にいなかったはず》《人で無しの自民党政治が産み落とした犠牲者の代表として、彼の残した功績は大きい》《山上氏は、殺人罪を犯したが、多くの人を救ったと同時に社会の卑劣な部分にメスを入れたという功績もあるため、無罪でも良いとまで思ってしまう》《山上さんが裁かれるなら統一教会に与した全政治家も裁かれるべきです》
「山上容疑者の犯行がきっかけとなって、旧統一教会の抱える問題に注目が集まったことは間違いありません。しかし、暗殺事件が起きてしまったのは事実。
さらにいえば、山上容疑者の犯行動機に関してはまだ、捜査の途中です。11月29日まで精神鑑定がおこなわれることになっていますし、“減刑”について議論をするのは時期尚早です。
あまりに旧統一教会に“ヘイト”が向きすぎて、暗殺事件を軽視し、過激な自民党批判に目が向けられるのは、別の意味で危険な風潮です」(前出・社会部記者)
犯した罪は、償わなければならない。ひとりひとりの冷静な判断が必要だ。
●銃撃事件で浮き彫りになった“宗教2世”の苦悩 多額献金で家庭は困窮 8/12
安倍元総理が銃撃された事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)。母親が信者で多額の献金をしていたことから、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に、長年恨みを持っていたとみられています。同じく信者の親から生まれた“宗教2世”は事件のことをどう受け止めているのか、取材しました。
自分以外の家族は信者
「両親が信者で、その子どもでした」
関東地方に住む、嘉陽田(かようだ)恵利さん(20代)。両親に兄と姉がいますが、自分以外の家族はみな、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者でした。
「兄は同じ2世同士で結婚して暮らしています」「当時は合同結婚式だったんですけれども、現在はマッチングサイトのようなもので自分が希望すれば結婚ができるという形です」
旧統一教会によりますと、信者同士の間に生まれた子どもは、教会に“届け”を出すことで信者の1人に数えられます。高校を卒業したあとに、信者を続けるかどうか、自ら選択するといいます。
嘉陽田さんは、小学生のころまでは教会に通っていました。
しかし、そのまま信者にならなかったのは、両親の言葉への違和感でした。
「(母が)『うちなんて全然献金していない方なのよ。私のお客さんは何十億も献金してるのよ』っていうんですね。“お客さん”ってなんだろうと。教会って商売なんだって思いました」
信者に共通する特有の心理 「だから家庭が崩壊する」
信者を「お客さん」と呼び、競うように高額の献金をしていたという両親。そんな中、父親は数年前に脱会したといいます。
「私の父は、はっきり言ってだまされたと言っています。全財産をなくして、年金も払ってなくて」
“全財産をなくす”ほどの献金。そこには信者に共通するある特有の心理が・・・。
「(献金の)強制なんてないんです。(信者は)望んで献金してるんですよ。だから家庭が崩壊するんですよ」
安倍元総理を銃撃し、殺害したとして逮捕され、現在、鑑定留置されている山上徹也容疑者(41)。母親は旧統一教会の信者で、その供述から、教会への強い恨みがうかがえます。
「母親が(旧)統一教会に入会し、多額のお金を振り込んだ影響で破産したのがそもそもの元凶です。そのころから恨んでいました」
両親が旧統一教会の信者だった嘉陽田さんも、決して裕福な生活ではなかったといいます。
「私の家庭はすごく貧乏だったんですね。私は父の収入がないからボロボロのランドセルで、みんなはピカピカのランドセルで学校通ってる(と思っていた)。いつも、我慢ばかりでした」
嘉陽田さんは当時、生活が苦しい理由が信仰によるものだと分からなかったといいます。
しかし、安倍元総理の銃撃事件が起きたあとに、改めて両親に話を聞くと、数百万円するつぼなどを買っていたことがわかりました。
「私の家族がどんどん崩壊していったんですね。それで私は死を決断しました。自殺しようとしたんです」
銃撃事件で明らかになった、両親の献金の実態。娘の自殺未遂をきっかけに、母親は旧統一教会を辞める決意をしたといいます。しかし、嘉陽田さんは、母親の信仰心は、今でも消えていないのではないかと、疑問を抱いています。
「自分の考えを持って自分の意思でやってることだから、そう簡単に覆すことはできないんですね。私達のような2世が、どこに頼っていいのか、誰に頼っていいのか、わからない」
合同結婚式をした両親の間に生まれた“宗教2世“の葛藤
旧統一教会によりますと、1990年代、多くの信者が「合同結婚式」で家庭を持ちました。最も多い年には、1年で36万組(1995年)が結婚したといいます。その夫婦の間に生まれた子どもの多くが今、大人になり、“宗教2世”として信仰に葛藤を抱える人たちは少なくありません。
中部地方の大学に通う男性も、両親が旧統一教会の信者です。
「生まれたときから『あなたは“神の子なんだよ”』と教えられて育てられ、“信仰していくことが絶対なんだ。それが僕に与えられた使命なんだ”と思っていました」
男性は数年前まで、毎週教会に通う熱心な信者でした。しかし新型コロナの影響で、教会に通う回数が減り、信仰を見つめ直したといいます。
「例えば災害が起きると、“神様は人間の世界に干渉できない存在だから、本当は助けたくても助けられない”みたいな話になっているんですけど、一方で、神様に出会えるようにということを求めているので、本来は干渉しないはずなのに、干渉を求めているのがおかしいと(思うようになり)、だんだんと教義の矛盾に“おかしいな”と向き合うようになった」
教えに疑問を抱くようになった男性は教会に行かなくなり、現在、信者としての活動はしていません。息子が信仰から離れたことに両親は悲しんだといいます。
「泣いてましたね。親は教会の教えを守ることが僕たちの幸せにつながるし、世界にとってもいいことだという考え方なので 『どうしてそういうこと言うの』と」
自宅にあった白い壺 旧統一教会「過度な献金控えるよう全国の教会に通達している」
さらに男性は、銃撃事件をきっかけにした旧統一教会の報道を見て、自身の家庭にも、その影響が及んでいたことに気付きます。
「白い壺とか、経典とか、“いい霊が入る”とされる家の模型が結構実家にあって、実家にあるものだけで、1000万くらいいくんじゃないかな。“うちは貧しい、お金がない”と、常々言われていたんで、悔しいというか許せないというか、色んな感情が混ざって表現しにくい」
旧統一教会は「2009年以降はコンプライアンスを徹底し、変わる努力をしている」として、信者に過度な献金をさせないよう、全国の教会に通達しているといいます。
困窮する信者家族 容疑者の境遇「重なるところがある」
一方で、山上徹也容疑者の母親は、旧統一教会から5000万円が返金されたといいますが、それまでにおよそ1億円を献金し、自己破産をしたとされます。
山上容疑者のことをよく知る伯父は、母親の献金の影響で、一家の生活は相当困窮していたといいます。 
「(自衛隊にいた頃)徹也が自殺未遂をした。教会によって、兄と妹が生活が困窮しているわけですよね。そこへ自分の死亡保険金を渡したいと、私は本人から聞いた」
山上容疑者の境遇を聞いて、両親が信者の大学生の男性は、自身と“重なる部分“があるといいます。
「事件自体はやってはいけないことなので 犯行自体は肯定しちゃいけないが、境遇を聞いて同情というか、かわいそうだなというふうには思いますね」
朝日放送テレビは旧統一教会への取材で、多額の献金で信者の家庭が困窮した場合に、歯止めをかける制度のようなものはないのか、問い合わせをしました。
すると、「全国すべての教会(286か所)に、信者とその家族が相談できる担当者を置き、生活に支障が出ている家庭には、献金をやめて家庭を優先するよう伝えている」との回答がありました。
「先祖が苦しんでいる」といわれ母親は入会 直後から始まった献金
大阪府内に住む、仲本さん(仮名・55)。一昨年に亡くなった母親が通っていたという旧統一教会の建物に案内してもらいました。
「どういう活動をしているのか、集会に私も2回くらい参加したことがあります。“母親が今まで献金したお金を返してほしい”と抗議に来たこともあります」
仲本さんの母親(当時81)が、旧統一教会に入会したのは2008年、68歳のころ。父親と夫が相次いで亡くなり、1人で暮らすようになった直後でした。
「大阪の梅田で、外国人の若い女性から、『手相の勉強をしているので、手相を見せてくれませんか』と話しかけられたのがきっかけと聞いています。『もっと詳しいお話ができるからついてきてくれませんか』ということで、統一教会の事務所みたいなところへ連れていかれて、『先祖が苦しんでいるんじゃないですかね』と話されたと聞いています」
仲本さんの母親は、入会した直後から、献金や関連商品の購入を始めていました。
1冊“430万円”の経典に仏像...
「『天聖経』という本なんですけど、何種類かあるようなんです。これも買わされて、これも買わされて。母親のメモに(1冊につき)“430万円払った”という記録があった」
「(母の自宅に)教祖夫妻の大きな写真とか、仏像だとか、変なおかしいものがいっぱいありまして、1年ぐらいの間に母親の証券会社の口座から2000万円近くのお金が銀行口座に入金されていて、入金されたら、すぐその日に全部引き出されてたんです」
返金求めて裁判 「高額献金に歯止め必要」
仲本さんは、旧統一教会で、母親が所属していたグループの信者を相手に損害賠償を求めて大阪地裁に訴えを起こし、今も裁判は続いています。信者は、仲本さんの母親が自ら進んで献金をしていたと主張。母親が教会で書いたという文書にも、そうした言葉が書き連ねてありました。
「家族に後で訴えられても、母が“信仰を持って自ら献金したもの”と、言い訳はつくようにしてるんじゃないかなと思いますね。日本は『信教の自由』というものがありますけれども、高額の献金については、何か歯止めが必要だと思う」
信仰をやめない親 葛藤する信者の子
「信教の自由」の影で、見過ごされてきた「宗教2世」の存在。信者の子どもたちは、今も葛藤しています。
家族に影響が出ても、信仰をやめない親。
山上容疑者の母親も、銃撃事件の後、友人に「安倍元総理に謝罪したい」と伝えたものの、「今後も信仰を続けたい」と、明かしたといいます。

 

●山上母からカネを巻き上げた統一教会の「女霊能師」の素顔と手口 8/13
関西一円で巨額の寄付を集める
「あの女霊能師にやられて、私は高額の壺やペンダントなどを購入し、膨大な寄付もしてきました。その総額は3500万円ほどになります。
山上容疑者の母親が旧統一教会に寄付したうち、2000万円程度はあの女がかかわっています。関西地方の旧統一教会で霊感商法に携わる人物のなかでも、最も悪質な人だと思っています」
こう話すのは、数年前まで旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に在籍していた元信者のAさんだ。Aさんは、山上徹也容疑者の母親とも旧知の関係にある。Aさんの自宅の居間には、今も旧統一教会で買わされた壺、ペンダント、指輪などが埃をかぶったままほったらかしになっている。
安倍晋三元首相の射殺事件を引き起こした山上徹也容疑者は、いま精神鑑定留置となっている。山上容疑者は、母親が旧統一教会に1億円以上の寄付などをさせられ、家庭崩壊に追い込まれたことが動機だと説明しているという。
山上容疑者の母親が寄付を余儀なくされた「霊能師」なる女性が、旧統一教会に存在することが「現代ビジネス」の取材でわかった。
この東山美奈子氏(仮名)は、大阪府東大阪市の旧統一教会に所属し、霊感商法関連の裁判資料の組織図では「先生」と位置付けられている。だがその実態は関西一円で「霊能師」として振る舞い、巨額の寄付を集めている中心人物なのだという。
「信者を恐怖のどん底まで突き落とさんばかりに畏怖させて、最後に登板するリリーフエースが東山さんでした。寄付をするという言質を取り、高額な契約書にサインさせる統一教会の切り札的人物でした」(Aさん)
全国霊感商法対策弁護士連絡会の加納雄二弁護士(大阪弁護士会)は、この東山氏を裁判所で尋問した経験がある。加納弁護士もこう証言する。
「私は東山氏が関係した10人以上の被害者の案件を手掛けてきました。東山氏は一見するとただのおばさんですが、旧統一教会のモンスターです。口八丁手八丁で、悩みを抱える相手に付け込んで不安に陥らせることに長けている。30年以上にわたって『霊能師』としてカネを信者から旧統一教会の壺や多宝塔を強引に買わせ、資産を寄付させている。総額ですか? 何億なんてものじゃない。30億円は行くでしょうし、100億円くらいあってもおかしくない」
床に倒れ込んで悶絶
冒頭の元信者・Aさんは、25年ほど前、繁華街で声をかけられて旧統一教会に入信した。
「最初はアンケートだと言って呼び止められたんです。手相の話になって『近くにいい先生が見てくれるから』と連れていかれました。その後、ビデオセンターという統一教会の拠点でいろいろなビデオを見せられ、やがて入信しました」
入信したAさんがずっと気にしていたのは、かつて授かった子どもを1人、幼い頃に亡くしたことだった。Aさんを勧誘した信者は「素晴らしい先生がいるから見てもらおう」と誘った。東大阪市の旧統一教会でAさんに向き合ったのが、東山氏だった。
「霊界で子供が苦しんでいる。私にはよく見える」「ご先祖の色情因縁が、苦しみの理由だ」「救ってあげられるのは、あなただけ」
Aさんに向かって矢継ぎ早に語った東山氏は、気がつくと床に倒れこんだ。
「うう、苦しい」そう言って悶絶しはじめたのだという。
東山氏はさらにこう言った。
「霊界のお子さんは崖っぷちだ。今は私がなんとか抑えている。最後はあなたが助けるしかない。今度はあなたの命が危なくなる。霊界解放が必要だ」
「Aさんの一家が絶家(やがて途絶える)になる」
床に伏せたまま東山氏は言葉を継いだ。
「ご先祖様が献金を待っているのが見える」「現金があるなら、清めなければならない」
恐怖のどん底に突き落とされたAさんが回想する。
「いま寄付しないと、亡くなった子どもが霊界でさらに苦しむ。私の命も奪われてしまうと思って、その場で寄付を約束しました」
献金マニュアルを入手
東山氏は当初、寄付の額は2100万円だと言ったが、Aさんにすぐに用意できる額ではなかった。すると額は530万円に「減額」された。翌日、旧統一教会の別の信者に言われるまま、Aさんは銀行に電話をさせられた。その上で現金を引き出し、東山氏に手渡すことになった。
受け取りの際に、東山氏はロウソクの灯った暗い部屋で、現金に塩をふって「お清めを」と語った。その姿はさながら「霊能師」のようだったという。
「今思えば、最初に2100万円というのは、入信前にアンケートなどで財産なども聞かれて、そこに書いた内容をもとにしているのです。私は3000万円近い預金や株などの資産があったので、そこから東山氏は2100万円という額を決めたのでしょう。530万円の寄付の後も、100万円するペンダントや壺を買えば、亡くなった息子が無事天国に無事行けると言われ、けっきょく2100万円を支払うことになりました。その後も、自宅には200万円の現金が残っていましたが、それも東山氏が『清めましょう』と言うので預けると、半年以上も棚ざらしされた挙げ句、最後は献金としてとられました。東山氏にはいつも口にする決め台詞があって、それは『霊界解放』という言葉でした」(Aさん)
「現代ビジネス」は旧統一教会が使用していたアンケートやマニュアルも入手した。ただのアンケートのはずなのに、《経済力》という項目には、
《1. 多宝塔を買える(540以上、1000以上) 2. 300以上動かせる 9. 退職金あり》
と相手の懐具合を値踏みする記述がある。数字は当然「万」の単位であろう。
また《霊界を変える》というマニュアルを見ると、《トークで大方の経済力把握》と、信者からカネを奪うことを優先させる記述が目立つ。
「時の人」と呼ばれていた山上徹也の母
山上徹也容疑者の母親が寄付を余儀なくされた「霊能師」なる女性が、旧統一教会に存在することがわかった。
この東山美奈子氏(仮名)は、大阪府東大阪市の旧統一教会に所属し、組織図では「先生」と位置付けられている。だがその実態は関西一円で「霊能師」として振る舞い、巨額の寄付を集めている中心人物なのだという。前篇に引き続き、この東山氏の実態を明かそう。
Aさんは熱心な信者となった。白いバンに乗って3〜4人でスルメの干物の行商にも参加した。これは旧統一教会で「マイクロ」と呼ばれる活動だ。
街頭では信者の勧誘にもたずさわり、東山氏のような「霊能師」のサポート役もしたこともあった。Aさんが振りかえる。
「東山氏が信者を口説き、その最後に献金を求めるタイミングで、近くにいる私が加勢しました。『私も530万円献金をして霊界の子どもを救った』『定期預金を解約して天にささげた』……そうやって合いの手を入れ、断れないように仕向ける役割だったのです」
最後に寄付を決断させるのは旧統一教会内では「クロージング」と呼ばれており、その手法はマニュアルにも掲載されている。
しかし、Aさんは旧統一教会が手段をいとわずにカネ集めに狂奔する姿に、だんだん疑問を持ち始めた。献金のマニュアルの存在も知った。旧統一教会に献金を続け、自己破産する実例もたくさん見てきて、やがて旧統一教会を脱会した。Aさんが知っている自己破産の実例の一人こそ、山上徹也容疑者の母親である。
「あのお母さんには、私も何度か会っています。お金を持っている信者のことを、旧統一教会は『時の人』と呼び、他の信者より優遇して献金を出させようとしていました。だから、山上容疑者のお母さんも、幹部は『時の人』と読んで丁寧な対応をしていました。早々に東山氏が登場し、多額の献金を出すように仕向けたのだと思います」(Aさん)
旧統一教会は記者会見で、「2009年からコンプライアンスを徹底させ、それ以降はトラブルはない」と断言している。
「北朝鮮がサリンをまく」
だが、全国霊感商法対策弁護士連絡会の加納雄二弁護士(大阪弁護士会)が担当した霊感商法被害は2011年から2016年にかけてのものだ。Aさんと同じように、東山氏によって1千万円近い寄付をさせられていた女性・Bさんのケースを見てみよう。
Bさんは、東山氏の「霊能師」ぶりを詳細にメモしていた。Bさんの了解のもとに、それを引用する。
《家系図を作り(東山氏が)色情因縁の強い家系だと言いました》《あなたを中心人物として先祖を救わなければならない。先祖代々の供養をしないと不幸が家族、子孫に及ぶ》
そう言われたBさんが恐怖におびえると、東山氏はこう畳みかけたという。
《先祖が霊界で苦しんでいる。寄付されば解放される》《災いが広がらないようにするには、献金しなさい》
東山氏は他の信者も呼び、Aさんと同様の手口でBさんを囲むようにして、断われない状況を作って、献金を約束させたという。このときBさんは、現金250万円を差し出すことを余儀なくされた。
Bさんの被害金一覧表を丹念に読み込んでいくと、2012年には《北朝鮮がサリンをまく準備をしているので、止めるために献金が必要》と荒唐無稽なウソを信じさせ、Bさんに52万円を寄付させている。
2013年になるとBさんは、旧統一教会の創始者・文鮮明氏の体液が入っているという「聖酒式」を飲む儀式に誘われた。
《聖酒を飲まないと天国に入れません》《聖酒を飲めば、生まれながらに持っている罪を取り除いてもらえる》
こう言って献金を求められたBさんは、40万円を白い封筒に入れ「感謝献金」と書いて差し出した。
2011年から2016年まで、5年間で旧統一教会がBさんから引き出した献金総額は936万円あまりになった。
記者は東山氏の自宅に向かった
その後、脱会したBさんとは係争になったが、東大阪市の旧統一教会は「回答書」という書面で、こう記している。
《(Bさんは)熱心な信者。「畏怖、困惑し、献金を強いられること」や「詐欺、脅迫」は確認できません》
しかし、過去の判例から加納弁護士が「訴訟をすれば満額の被害回復が可能」と指摘した途端、旧統一教会は「550万円を22回にして支払う」と支払い義務を認めたという。合意書が交わされたのは、2016年12月のことだった。
山上容疑者の母親だけでなく、多数の信者に献金を迫った東山氏は、過去に霊感商法被害の民事裁判で何度も証言台に立っている。「現代ビジネス」は、その記録も入手した。
法廷では、自らを「霊能師」であることは否定しながら「家系図の先生という人もいます」と東山氏は語ったうえ、こう証言している。
「霊界解放の話はしました。本当にお金だけが霊界解放かといえば、一切そうではない」「献金の効果は具体的には言っていない」
あくまで、信者自身の意思による寄付だと主張したのだ。だが、このときの判決では被害者の主張が認められている。
旧統一教会が訴訟で非を認め、元信者に返金した裁判も見てきた加納弁護士は、「霊能師」である東山氏が言葉巧みにカネ集めをしてきた実態をこう話す。
「2と1は旧統一教会にとって原理数などと呼び、好まれているものでした。だから2100万円という寄付額だった被害者を複数知っています。Aさんの場合は530万円でしたが、これも5に3をプラスすれば8だから『末広がりで霊界から救い出す』などと東山氏はいい加減なことを言って出させていた。東山氏が『霊界』を舞台装置にして被害者を混乱させたうえ、正常な判断をできなくさせて、一気にカネを出させる話術は驚くべきものです。いま思えば、ウソばかりでとんでもないものだったのです」
「現代ビジネス」は、女霊能師と言われた東山氏の見解を問うべく、その自宅を訪ねた。事前の取材によれば現在80歳くらいだが、まだ元気だと関係者から聞いていた。自宅のインターホンを押し、旧統一教会のこと、さらに「女霊能師」のことを聞きたいと記者は問うた。すると、まくし立てるような怒声がインターホン越しに響いた。
「まだいい加減なことをやっているのですか? そんなもの(注・霊能)あると本当に思いますか。私たちも困っているんですよ!」
一方的にインターホンは切られた。
旧統一教会は、8月10日の記者会見で「いわゆる霊感商法なるものを、過去においても現在も当法人は行っていない」と説明。この種の寄付について、あくまで自由意志でのものだったと主張している。だが刑事事件では有罪判決が出て、民事訴訟でも多数が敗訴している。今回の一連の証言を見るかぎり、言い逃れは通じないのではないか。 
●三浦マイルド 山上容疑者支援に警鐘「第二の山上が生まれてしまう」 8/13
お笑い芸人の三浦マイルドが、安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者にシンパシーを感じる人に警鐘を鳴らした。
三浦は13日にツイッターを更新。山上容疑者と2019年に公開された映画「ジョーカー」の主人公の共通点を考察するニュース記事を引用し、次のようにつぶやいた。
「山上がジョーカーに自分を重ねた可能性は考えられます。山上を支援や擁護してしまうと、山上に自分を重ねる第二の山上が生まれてしまう。殺人を美化してはいけません」
山上容疑者は閉鎖されたツイッターで過去に「ジョーカーは何故(なぜ)ジョーカーに変貌(へんぼう)したのか。何に絶望したのか。何を笑うのか」と投稿していた。
三浦のツイートに対し、フォロワーからは「JOKER観た犯罪者を美化するな、では再犯防止にならないし、解決しない」という指摘も飛んだが、三浦は「もちろん、それだけでは解決しませんが、先ずは声をあげる事が、啓発や行動に繋がっていくのだと思います」と回答。
別のフォロワーの「なんならジョーカーの発禁でもハリウッドに訴えたら?」という意見にも「作品の検閲や規制を呼びかけてるわけではありませんし、もちろん自由ですよ。貴方も自由。そして私も自由」と冷静に返した。

 

●関口宏 政治の意向で旧統一教会の捜査ストップに「何か大きな力が・・・」 8/14
ジャーナリストの青木理氏が14日に「サンデーモーニング」(TBS)に出演し、旧統一教会と政治家のつながりについて言及した。
青木氏は旧統一教会による霊感商法や高額の寄付について「なぜ、もっと警察だったりが捜査しなかったのか。僕の取材だと政治の意向によってそれが止められたんだという話もあるんですよね。もし、その段階(90年代)で警察がきちんと捜査をしていればその時点で被害は止まったかもしれない。それがなぜ止まったのか。きちんと解明されないといけない」と話した。
メディアの報道が旧統一教会の会合の出席、祝電を送っていたことへの追及が中心になっていると指摘。「もちろん大切なんですけど。もうちょっと大きな目で見るとそもそも共産主義、反共と言いながら政治と結びついた背景には何があったのかという問題とか。警察の捜査がなぜ止まったのか。もう少し視野を広げて追及していかないといけないテーマがまだたくさんあるなと感じてます」と話した。
司会の関口宏が「何か大きな力が動いてますよねぇ」と感想を述べると青木氏も「そうですね」と同意していた。 
●鈴木エイト氏 山上容疑者の母に韓国の旧統一教会が接触 8/14
ジャーナリストで作家の鈴木エイト氏が14日、TBS系「サンデージャポン」に生出演。安倍元首相が銃撃され死亡した事件で、殺人容疑で逮捕された山上徹也容疑者の母親が会見を開く意向を示していたことについて、コメントした。
番組では、山上容疑者の叔父を取材。旧統一教会の韓国の教団関係者が、山上容疑者の母親に接触していたことを報じた。山上容疑者の母親は今月7日、身を寄せていた叔父の家から出て行ったが、その際、記者会見を開きたいという話をしていたという。
鈴木氏は「明らかに韓国の教団本部の方からコントロールをしようとして、人を派遣したのだろう。教団側は2度会見を開いているけど、ことごとく裏目に出ている。(母親に)会見をさせて、教団側への批判報道をやめさせるなどの何かしらの意図があると思う」と述べた。
さらに「教団に反対するような人から離したい。もしもこのまま母親のマインドコントロールが解けて、教団の批判を始めることは最低限避けたいのかなと思う」と話した。
また12日には、旧統一教会の友好団体「天宙平和連合」が、韓国・ソウルで世界の平和などについて話し合う大規模なイベントを開催。イベントの映像を見た鈴木氏は「教団側は日本からのお金で成り立っている。今回のイベントは大規模ではあるが、この程度のことは定期的にやっている」と指摘。
続けて「今回注目すべきは日本から行っていないこと。これまでだと日本の参院議長、元防衛庁長官であるとかそういう人が出ていたけど、今回は呼べなかったのではないか。日本からだとさすがに批判を浴びるのかなと」と分析した。
●「アレフから娘を取り戻したかった」と元妻を惨殺した男 “父親の真実”とは 8/14
山上徹也容疑者(41)による安倍晋三元首相銃撃事件の波紋は、いまだ収まる気配を見せない。そして、彼の母親が旧統一教会に億単位の献金を行い、一家が経済的困窮に陥ったことが報じられて以降、一部の新興宗教と“信者の家族”の問題が大きくクローズアップされている。以下に取り上げる事件も、同様の“闇”を抱えていたことは間違いない。その“男”は、宗教団体の呪縛から家族を救い出そうとして事件を起こしたと主張する。だが、のちに開かれた裁判員裁判で明らかになったのは、男の家族が宗教を頼った原因が、他ならぬ彼自身の過去の行いにあったという事実だった。公判を傍聴したノンフィクションライター・高橋ユキ氏が事件の真相を振り返る。
「娘を返せ!!」
2010年11月下旬の早朝、埼玉県八潮市のショッピングセンター駐輪場に、男の怒声が鳴り響いた。現場に居合わせた通勤途中の女性が目にしたのは、声の主である男が、中年女性を執拗に刺し続ける凄惨な光景だった。目撃者の110番通報を受けて駆けつけた警察官は、まもなく刃渡り20センチの柳刃包丁を持った男を発見。男が女性を刺したことを認めたため、殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。女性は出血性ショックで約1時間後に死亡している。犯人と被害者は“元夫婦”だった。
逮捕された西村三郎(当時70)は、犯行時と同じく、取調べでも「娘を取り戻すためにやった」と供述している。実は、元妻のAさん(当時63)は子どもたちと共に、オウム真理教の後継団体・アレフに入信しており、居住地も同団体の関連施設にあった。西村は信者となった長女と次女を脱会させるため、住んでいた福岡県から上京し、事件を起こす数日前から関連施設を監視していたという。「元妻が信者になり、家族がバラバラになった。(元妻が)死ねば、子どもたちが目を覚ましてくれると思った」。西村は取調べでこうも述べている。元妻を殺すことで、娘たちが宗教の呪縛から解放され、自分のところに戻ってくると考えて凶行に及んだわけだ。
弁護人「いま、かつての奥さんに思うことはありますか?」
西村「……複雑な思いですけど、5人の子をもうけた仲ですから、いま思いますに、宗教さえやめてくれたら……幸せな老後を送れたと思います」
「オウム真理教を刺してるんだ」
銃刀法違反と殺人の罪で起訴された西村に対する裁判員裁判は、2011年5月にさいたま地裁(大熊一之裁判長)で開かれた。起訴事実を認めていた西村には、かつての妻・Aさんとの間に、アレフ信者となった長女、次女を含めて5人の子がいた。そもそも、Aさんは1987年頃にオウム真理教へと入信。その数年後、夫婦の離婚が成立した。Aさんは西村の反対を押し切り、子どもを連れて教団施設に出入りしていたという。検察側は、西村がこうした経緯から「元妻を恨み、元妻さえいなければ長女らが教団を脱退すると思った」と指摘している。
西村はかつて教団の関連施設に張り込むなどして子どもを探し出し、オウム真理教から家族を奪還するため精力的に働きかけを行ってきたという。当時の様子を本人が振り返った手記も過去に出版されている。さらに、事件前にも「何としてでも解決しなければ」などと手記をまとめていた。そこには、事件前年に西村が大腸がんの摘出手術を受けたことも触れられており、「先の短い親の人生よりも娘達の将来の方が大切」とも記されていた。
娘を救い出すための行動は、西村にとってあくまでも“正義”の行いだった。西村のなかで新興宗教と同化した元妻は、悪そのものだったようだ。被告人質問で犯行について弁護人に尋ねられると、
弁護人「奥さんにかわいそうなことをしたという気持ちは?」
西村「そこもちょっと複雑な気持ちです。宗教さえしてなければ、孫に囲まれて暮らしてた。そういう意味で不幸だと」と、殺害してもなおAさんへの憎しみが消えない様子をにじませた。西村に対して検察官も続けて尋ねる。
検察官「『宗教さえしてなかったら』って言いますが、なぜ自分が悪いことをしたという言葉がストレートに出てこないんですか?」
西村「私自身、家内を4回……8回以上刺してた……」
検察官「『Aを刺してるんじゃない、オウム真理教を刺してるんだ』とも言っていましたが、いまだからこそ、元奥さんのことを考えようという気にはなりませんか?」
西村「……」
家族を“鎖”で繋いで奪還
このように、彼は自分の行いについて問われると、質問そのものに真正面から回答せず、ずれた話をすることがたびたびあった。そして時折、答えに窮した。
この被告人質問の直前に行われていたのは、西村とAさんの長女、次女、そして、入信していない長男に対する証人尋問だった。彼らは西村がAさん、さらには子どもたちに対して暴力を振るっていたと証言している。
次女「母は、1回目に家を出る前まで、父から毎日暴力を振るわれていました。私も父から暴力を振るわれていました」
長女「うちの家庭は母が全部受け止めていた。父に殴られても口答えをしたことがない。もともと出家するために家を出たわけじゃないんで」
長男「しつけは厳しいものでした。手を挙げることもありました。男のきょうだいだけでなく、女のきょうだいにも……尻を手で叩く、ゲンコツで殴るなど……。納得できない理由で殴られたことはあります。オウムをやめさせようとする父が母に振るう暴力、それが姉達には頭に焼き付いているのだと思います」
また、長男と同じく入信していない次男が家を離れたのも、西村の暴力が原因のひとつだったという。加えて、西村が家族を奪還する際、彼らを“鎖”で繋いで北海道から福岡まで車で移動したといい、「これが一番怖かった」と次女は明かした。
「洗脳されとるからです」
検察官はこうした子どもたちの証言を西村に問いただす。
検察官「Aさんが子どもを連れて施設に入った際、あなたが抗議して子どもを取り戻してますが、その後まず長女、次に次女があなたのもとを離れて母のところへ行きましたね。これは何故だと思いますか? 長女も次女もあなたの暴力が原因だと言っていましたが」
西村「それは違います。それはもう、洗脳されとるからです」
検察官「ところが、次男もあなたの元を離れたのは『暴力が怖かったから』だと言っています。彼は宗教はやっていませんよね」
西村「次男は優しい男で……しょっちゅう、警察沙汰になって私から怒られてました……万引きはするわ……で、謝りに行きました……」
検察官「つまり次男が家を出たのはあなたの暴力が原因ではないと?」
西村「……いや、それもあると思いますが、そればかりじゃない……」
検察官「長女も次女も長男も、あなたの暴力が怖かったと証言しているんです。それを受け止める気はないんですか?」
西村「それは思いますが、私は加減を心得てて、しつけの範囲と……」
子どもとの話し合いの直前に事件を起こした
奪還の際に家族を鎖で繋いで移動したことや、その際に子らの前でAさんに苛烈な暴力を加えたこと、家族が尿意を催しても鎖を外さなかったことについても西村は「一度逃げ出して大変だったんです!」「しょうがなかった」などと、自分の“正義”を主張し続ける。
検察官「なぜ最初に謝らないんですか?」
西村「トイレに連れていくわけにいきませんから!」
検察官「そういう平行線だから家族もあなたと会話できなかったんじゃないですか?」
西村「私にはチャンスがなかった……」
検察官「いろいろと経緯があるのはわかりますが、そこから事件まで20年以上ありますね。その中でちゃんと、子どもに与えたショックを考えて、謝ることはできたんじゃないですか?」
西村「そこは反省するところです。でもふたりは私が、福岡の教会に行った時にニコニコとして私のところにきた…ハッと思った……それで私の作った『だご汁』を持たせて食べさせた……」
幾度問いただされても、西村は決して自分の“暴力”について詫びることはなく、家族の“良かった頃”を語り続ける。公判は独演会のような状態となり、裁判長に静止されることも一度だけではなかった。また、事件前には三女が、西村と長女らとの話し合いの機会を持たせようと、食事会を計画していたという。日取りも決まっていたが、この直前に、西村は事件を起こしている。
「母が妊娠中も手をあげていた」
論告弁論の前に、長女と次女の記した書面が読み上げられた。
<昔から父は都合の悪いことを責任転嫁してきた。家族への、特に母への暴力がひどく、気に入らないことは全部『お前のせいだ』と、母が妊娠中にも手をあげていた。髪を掴んだり唾を吐いたり、馬乗りになったり……暴力をやめてほしいと言っても聞いてくれなかった。母は、父の仕事がうまくいかなくなったときも我慢して、きつい姑にも耐え、5人の子を『1人にしたらかわいそう』といつも一緒に過ごさせてくれた。母や私たちが信者であることから、父に同情的な判決が出ることを恐れている。父の暴力がなければ教団に匿ってもらう必要もなかった>(長女の記した書面)
<父と住んでいる頃の母が笑っている姿を見たことがない。暴力が酷く、一緒に逃げて、教団に保護されながら暮らすようになった。子供の頃の暴力の記憶は、父が母を跪かせて『よく見ておけ』と言いながら母を殴っていたこと……。父は事実を捻じ曲げて話す。報道により、父に同情が集まり、軽い刑になるのでは。今回のことも、父は全く悪くないと考えているかもしれません。心から反省してほしい>(次女の記した書面)
検察官は「何度も執拗に刺した悪質な犯行。結果は取り返しがつかず重大。離婚し縁が切れていた元夫からの攻撃に必死で抵抗し、命乞いをしたが刺された、その恐怖や無念さは想像に固くない。家族連れが集まるショッピングモールでの犯行。目撃者のひとりは精神科に通うほどに犯行態様は凄惨だった」として懲役15年を求刑した。
判決では「子供たちと教団との関係を断絶させたいとの思いは認められるが、犯行が正当化されるはずはない」として懲役13年が言い渡されている。これを不服として西村は控訴、そして上告したが、いずれも棄却され、2012年に確定している。
●旧統一教会に「解散命令」は出るのか…「弱みを握られている政治家は・・・ 8/14
旧統一教会問題を率先して取り上げている『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)。8月12日の放送回では、全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士らが出演し、「宗教法人法」に基づく「解散命令」について扱われた。
番組では、これまでの旧統一教会の活動は、同法第81条が定める「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」および「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」をした可能性があり、解散命令を出せるのではないかとの問題提起がなされた。
解散命令については、これまでも紀藤弁護士をはじめ多くの専門家がしばしば触れてきた。
だが、10日におこなわれた永岡桂子文部科学大臣の就任会見では、「旧統一教会の宗教法人格の剥奪もしくは解散命令を考えていないのか?」と記者から質問された大臣は、「憲法でも保障される信教の自由がある」としたうえで、「(宗教法人法は)宗教法人が自由で自主的な活動をする基礎を確保することを目的としており、宗教法人の規制や取り締まりを目的としていない」と語った。さらに、「宗教法人法には手をつけず、何か社会的に問題が起こった団体に対して被害の救済をするのがよい」とも語っている。
行政は腰が引けているようだが、そもそも、なぜ霊感商法で騒がれた時代に、旧統一教会に解散命令が出なかったのか。長年にわたって教会の問題を取材・追及してきた鈴木エイト氏は、このような見解を述べる。
「私は旧統一教会に解散命令が出されるべきだと思っています。被害は数千億円規模に及んでいますから、当然、命令の対象になりえます。
とはいえ、世間一般の認識はそこまで至ってなかった。オウム真理教のようにテロ事件を起こしたわけでもなく、社会も政治家もメディアも、それほど悪質ではないだろうという認識でした。そこへ安倍晋三元首相の銃撃事件が起こり、高額な献金問題がクローズアップされ、ようやく問題の深刻さが伝わり始めました。全国霊感商法対策弁護士連絡会や我々は被害について知っていたし、解散命令を出されてもおかしくないと思っていましたが、社会でコンセンサスが生まれなかったんです。
自戒を込めて言うと、私たちは問題を発信し続けてきましたし、当事者も声を上げていましたが、これほどの問題に発展するとは誰も予想していませんでした。政治家を殺そうとまで思いつめるとは想像もできなかった。1992年に3万双(組)、1995年に36万双の合同結婚式がおこなわれ、二世問題が爆発するだろうという認識はありましたが、このような暗殺事件の萌芽があったとは読み切れませんでした。
いま、ようやく野党が中心になって被害者救済に動き始めましたが、被害は信者だけでなく家族にまで及び、家庭が崩壊して子供たちが犠牲になる構図があるわけですから、もっと早く救済されてしかるべきでした。政治家に対して統一教会と付き合う危険性をきちんと理解してもらえなかったと、紀藤弁護士も言っていました」
社会の木鐸であるべきメディアはなぜ報じてこなかったのか。
「やはり宗教団体はアンタッチャブルな存在でした。ここ十数年は、教団名を出して報道することも避けられてきた。カルトという言葉も使えなかったんです。報じればクレームが来るため、メディアも面倒なものには触れたくないと自主規制してきたのです。結果、社会が問題の存在自体を認識できなかった。そのツケがついに回ってきたのです。
政治家は統一教会がどんな団体か知っていましたが、大した問題は生じないだろうと高を括っていた。無償で選挙協力してくれる教会を、多くの政治家が利用したし、使わないと損だと考えていた。なのに、こういう団体と関係をもってはならないという社会のコンセンサスが生まれた途端、トカゲのしっぽ切りが始まりました。教会の悪質性もさることながら、そういう団体と懇意にしていた政治家も、教会に責任を押しつけて逃げることはできないでしょう」
連日の報道で、教会への批判的な世論が大勢となれば、与党も動かざるを得ないのではないか。
「解散命令が出る可能性はあり、世の中の趨勢はそっちに向かうと思います。ただ、どこかでブレーキがかかる可能性がある。それはまさに、政治家が教会に弱みを握られているから。教団を追いこむと、深い付き合いをしていた証拠が出され、裏で動いていた金の問題も明るみに出る。証拠を掴まれている政治家は、なんとか教会を生きながらえさせる方向へ動くのではないか。岸田首相率いる宏池会が、安倍派の清和会にどこまで踏み込めるかにかかっているでしょう。
聞いたところによると、韓国の本部は、追及のほとぼりが冷めるのを待って幕引きを図る姿勢のようです。でも、その目論見を実現させてはいけない。国葬までは社会の関心は続くでしょうが、ほかに大きな事件が起きたり、問題の目新しさがなくなって人々の注意が向かなくなるのが心配です。メディアの使命が問われています」
被害は信者そして家族と、世代を超えて及ぶ。その認識を社会で定着させ、風化させないよう、関心を維持することが不可欠だ。
●行政との関係も相次ぎ判明 旧統一教会、補助金や後援 三重 8/14
安倍晋三元首相が銃撃を受けて死去した事件をきっかけに政治家と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が浮上する中、行政も旧統一教会の関連団体との関係が相次いで判明している。イベントに補助金や後援を出したりしていたほか、行政と協力して事業に取り組む団体として登録しているケースも。県や市は「旧統一教会と団体の関係を把握するのが難しい」と、対応に悩む。
四日市市は令和2年11月に市文化会館で開かれたイベント「ファイト三重! 県民まつり」に約59万円の補助金を交付したが、このイベントを主催する実行委員会には旧統一教会の関連団体が関与していた。
市によると、実行委員は旧統一教会の関連団体とされる「三重県平和大使協議会」のメンバーらが務めていたという。また、市は補助金の交付に加え、このイベントを県と共に後援していた。
津市は「世界平和女性連合三重第一連合会」が事務局を務める実行委が昨年7月に開いた「第20回留学生日本語弁論三重県大会」に約13万円を補助した。先月9日に開かれた大会への補助金交付も決めているという。
県でも、この団体との関係が浮上。県の男女共同参画センターが、協力して男女共同参画の取り組みを進める「登録団体」として認定し、ホームページで活動を紹介していることが今月に入って明らかになった。
四日市市、津市、県は取材に対し、補助や後援などを出すに当たっての審査で「宗教的活動がないこと」を定めた基準を満たしていたと主張。いずれも「当時の判断に誤りはなかった」との認識だった。
また、担当者らは「旧統一教会の関連団体だとは知らなかった」と説明。津市の担当者は補助の申請があった当時、団体の定款を提出させるなどして確認したが、それでも関連団体とは気付かなかったという。
一方、四日市市にはイベントの前、旧統一教会と実行委に関与する団体の関係を指摘する情報が外部から寄せられた。ただ、職員が会場で宗教的な活動がないことを確認した上で補助金の支出を決めたという。
県や両市の担当者は「関連があるかどうかの線引きが難しい」(四日市市政策推進課)などと、旧統一教会の関連団体と判断する難しさも訴える。警察などの行政機関が認定しているわけではないからだ。
一見勝之知事は9日の定例記者会見で「霊感商法をやっているような団体に後援は出さない方が良い。どのような形で排除できるかを考えたい」とし、基準を検討するよう総務部に指示する考えを示した。
一方で「県独自に(後援の可否を)判断するのは難しい。県の調査能力では無理だと思う」と説明する場面も。「国に後援が適切でない団体をガイドラインのように出してもらうのが一番良い」と語った。
●江川紹子さん 旧統一教会と政治の問題で「虚偽弁明の議員は退場を」と 8/14
ジャーナリストの江川紹子さん(64)が、13日夜に自身のツイッターを更新。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治をめぐる問題について2つのポイントで私見を述べた。
第1のポイントとして「選挙にボランティアとして押しかけられ断りきれなかったり、そうと知らずに祝電1回打っちゃったのと、イベントでスピーチまで行ったのとは全然違う。関係の濃淡は大事」と指摘。
さらに「国民への説明はさらに重要。自らの地位を守るために黙っていたり、虚偽の弁明した議員は退場願いたい」と、旧統一教会との関わりについて弁明が相次ぐ与野党の議員に、厳しくクギを刺した。
●桜田淳子と旧統一教会の45年…全盛期の19歳で入信、34歳で合同結婚式へ 8/14
松田聖子や郷ひろみのように、いまなお熱い声援を浴び続けるスターはほんのひと握り。星の数ほど現れ消えていったアイドルたちの光と影。第1回は、本人不在のまま、いま再び脚光を浴びる桜田淳子だ。
韓国ソウルのオリンピックスタジアムで晴れやかな笑顔をふりまくウエディング衣装姿の桜田淳子。隣には新体操のスター山崎浩子の姿も……。
1992(平成4)年8月25日に行われた統一教会の合同結婚式。当時、桜田淳子、34歳。
合同結婚式の写真は日本のテレビで何度も取り上げられ、誰もが画面にクギ付けになった。
「♪ようこそここへ クッククック──」。ショートカットに帽子姿の桜田淳子が歌う「わたしの青い鳥」を口ずさみながら育った世代には、とりわけ忘れられない30年前の衝撃的な光景だった。
何が衝撃的か──よりによって霊感商法で「反社会的」のレッテルを貼られた旧統一教会の信者だったこと、相手は教祖が勝手に決める見ず知らずの男性、さらに何百・何千組のカップルに交ざって集団結婚式を挙げる……。
「われらがアイドル淳子ちゃんはどうなっちゃったんだ!」
往年のファンは???ばかり。腰を抜かさんばかりに驚いたものだった。
レコード売り上げ600万枚
1992年7月、結婚相手の東伸行氏と会見する桜田淳子(C)日刊ゲンダイ
秋田生まれ。同学年の森昌子に刺激され、日本テレビの人気番組「スター誕生!」に挑戦。決戦大会では史上最高の25社からプラカードがあがって14歳で歌手デビューした。作詞・阿久悠、作曲・中村泰士のコンビによる「わたしの青い鳥」はじめ「夏にご用心」「気まぐれヴィーナス」「サンタモニカの風」などが次々とヒット。70年代を代表するトップアイドルのひとりにのし上がった。レコード売り上げは累計で600万枚といわれる。
しかし、後々の記者会見での弁によれば、この人気絶頂期の19歳のときに、すでに旧統一教会に入信していたというのだ。
「もともと桜田の姉が信者だったことがきっかけだそうですが、ずっと隠されていた。芸能関係者も入信のことは初耳だった。感づいていたのは、マネジャーや所属事務所サンミュージックの社長らごく一部なのでは。でも、桜田の場合、そう言われてみれば、納得できることも多い。20代になってからもずっと、結婚はおろか、浮いたウワサも流れなかったですからね」(芸能ジャーナリスト)
“花の中3トリオ”の山口百恵は21歳で、森昌子も27歳で結婚した。
それに対して、いつまでも独身で清純イメージだった桜田淳子。だが、その裏には旧統一教会の強い縛りがあったということだ。教祖が決める相手以外は、サタン(悪魔)なんだと信じていたのだろう。
では、教祖・文鮮明の導き通りに合同結婚式を挙げた彼女は幸福になったのだろうか?
34歳から30年間、旧統一教会の広告塔としての生き方
旧統一教会の信者であると会見でカミングアウトし、ソウルの合同結婚式に参加した桜田淳子。当時34歳。当然のようにテレビのワイドショーに追いかけまわされ、仕事はなくなり、表舞台から消えた。
「1992年の合同結婚式は、桜田淳子のほかに新体操界のスター山崎浩子や人気テレビコメンテーターだった飯干景子も参加するということで、結婚式の2カ月前からすごい騒ぎだった。しかし、飯干景子が親族に説得されて脱会したり、山崎も結婚式のあとに失踪・脱会の騒動となり、むしろ統一教会にとっては大誤算。勢力拡大の一大PRイベントのはずが、ミソをつけてしまった。桜田淳子も旧統一教会の“広告塔”扱いされ、身を潜めるしかなかった」(芸能ジャーナリスト)
しかし、桜田淳子にとっては、すべて覚悟のうえ、想定内のことだったのだろう。
教祖・文鮮明が選んだ結婚相手の東伸行さんと一度は会見(東京・赤坂のTBS内)に臨んだ桜田だが、婚姻後はさっさと芸能界から身を引いてしまった。
旦那の東さんは、福井・敦賀で「敦賀撚糸」という工場を経営していた。桜田は居を福井に移し、立て続けに3児をもうける。育児の合間には旧統一教会の集会で講演活動──。そんなママ兼広告塔の桜田の姿を撮ろうと、福井に通い続けるカメラマンもいたが、一度も取材に応えていない。
合同結婚式から8年後の2000年、敦賀撚糸は廃業。東さんの実家がある兵庫県西宮に引っ越したが、その後、上京して都内の高級マンションに移ったことがわかった。
その資金や生活費などはどうしていたのか。旧統一教会からの広告塔代か、それとも桜田の蓄えなのか。不明のままだ。
“3人娘”の森昌子は日刊ゲンダイにこう語っていた
桜田が一度だけマスコミの前に姿を現したのは13年5月のこと。デビューから所属していたサンミュージックの相沢秀禎会長が83歳で亡くなったときだ。通夜に参列した桜田は、遺影に向かって「来ましたよ」と声をかけたという。
「騒動が落ち着いたあと、桜田淳子の復帰の話は何度かありました。なつかしのヒット曲のようなテレビ番組ですね。でも相沢会長は、統一教会を脱会しないと無理だと言い、それで復帰番組は実現しなかった」(民放関係者)
16年に、日刊ゲンダイは森昌子に取材する機会があり、その際、桜田と連絡を取り合っているか聞いてみた。
森昌子は「私が病気のとき、淳ぺいから留守電が入っていたことがあった」と語った。だが、桜田と会うのはリスクを伴うだけに、気軽に会うことはできないようだった。
「スター誕生」から歌手デビューした桜田は64歳。来年がデビュー50年目になる。その大半を旧統一教会の広告塔として過ごし、脱会もしないのだから、組織内での生活はそれなりに居心地がよかったのかもしれない。
しかし、安倍元首相の銃撃事件で再び糾弾されている旧統一教会。ますます姿を現しにくくなった桜田の組織内での役割は維持できるのか、最大の修羅場を迎えているといえる。
●旧統一教会の関連イベントに参加 中谷真一衆議員が経産副大臣に就任 8/14
経済産業副大臣に就任した山梨1区選出の中谷真一衆議員が、過去に旧統一教会の関連イベントに参加していたことを明らかにしました。山梨1区選出の中谷衆議員は12日の第2次岸田改造内閣の人事で、経済産業副大臣に就任することが決まりました。こうした中、中谷さんは今年4月、山梨県内で開かれた旧統一教会の関連団体が協賛するイベントであいさつしたことを明らかにしました。中谷さんは取材に「団体とは今後、一切関係を断つ」と話しています。
●106人の政治家が旧統一教会と接点があったアンケート結果に驚き… 8/14
俳優の東山紀之が14日、MCを務めるテレビ朝日系「サンデーLIVE!!」(日曜・午前5時50分)にスタジオ生出演した。
番組では世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を巡り、関連団体のイベントに出席したり、選挙協力を受けたりした議員が106人に上ったとのアンケート結果について紹介した。
この結果に東山は「これほどまでにいたのかと思うんですね」と話し、これにコメンテーターで弁護士の野村修也氏は政治家と様々な団体との関係で「反社会的な活動で糾弾されているような団体との関係はかなり慎重でなければいけないということが今回の教訓だと思うんですね」などと指摘した。これに東山は「今、きちっとしておかないと日本の国家の信頼とか尊厳とか傷つけられます。また、忘れた頃に同じ事になる可能性もあります」とコメントしていた。 
●手荷物検査はしていなかった…なぜ凶行は岡山では起きなかったのか 8/14
安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件から、8月8日で1カ月。逮捕された男は、犯行前日に安倍元首相を襲う目的で岡山を訪れていたことがわかっている。なぜ岡山では犯行が行われなかったのか、犯行前日の動きを検証した。
なぜ凶行は岡山で起きなかったのか
安倍元首相が7月8日、奈良市で応援演説中に銃で撃たれ死亡した事件で、警察は、奈良市の無職、山上徹也容疑者(41)を殺人の疑いで調べている。 
犯行の前日、山上容疑者は、安倍元首相を襲う目的で演説予定だった「岡山に行った」と話し、「遊説先を確認して、つけ回していた」と供述している。演説が行われる約1時間半前、会場近くの防犯カメラには、山上容疑者とみられる人物の姿が映っていた。
捜査関係者によると、山上容疑者は「岡山には3発発射できる銃を持って行った」と供述しているという。ではなぜ、岡山では犯行が行われなかったのだろうか?
この日の演説会では、会場の入口が新型コロナウイルス対策として1つに制限されていて、入口や受付周辺では、警察が頻繁に巡回などの警備をしていたという。
会場には定員を上回る約2,000人が訪れていて、演説会を開いた事務所は、受付で来場者に名前や住所などを書くよう求めていたが、手荷物検査はしていなかった。
山上容疑者は、「手荷物検査などがあって、武器を持って近づけなかった」と供述している。警察の警備や入口や受付周辺に大勢の人がいたことなどから、手荷物検査をしていると考え、会場に入るのを諦めたのではないかと危機管理にくわしい専門家は話す。
日本大学 危機管理学部・福田充教授: 岡山の選挙の演説会の会場の警備自体は、選挙前の要人が演説会をするときの警備体制と比べると一般的なものだったと思う。銃撃を成功させるためには、あらゆるリスクを排除しないといけない。ひょっとしてこれだけ混雑しているということは、受付で何かいろいろ記入させられているのか、手荷物チェックがあるかもしれないと容疑者が考えた可能性がある。もっと良い状況にある別の日に、もう1回再チャレンジしようという判断が、容疑者の中で働いたのでは
「要人警護にコストをかける必要性」
会が始まる30分前の午後6時半ごろに会場に到着した安倍元首相。東京からのSPも含め、複数人の警察官が周囲を警備していたという。
福田充教授: 安倍元首相が車から降りたあと、すぐ入口のところに入ることができる。襲撃できるタイミングを作らせていないので、そこの警備は非常に良くできていたのでは
安倍元首相は約10分の演説を終え、午後7時10分には会場をあとにした。それから約1時間後、会場から駅に向かう山上容疑者とみられる人物の姿が映っていた。その日のうちに奈良市に戻った山上容疑者は、翌日、凶行に及ぶことになる。
岡山県警は、今回の事案について「要人警護は、その時々の情勢をふまえて、警察本部長の指揮のもと、関係警察署と連携し、所要の体制で行っています」としたうえで、「引き続き、警護対象者の身辺の安全確保に万全を期して参ります」とコメントしている。
首相経験者が白昼に銃撃されるという衝撃的な事件は、今後の警察の警備体制に大きな影響を与えると福田教授は言う。
福田充教授: 政府や自治体、公的機関が行っている危機管理や安全管理にコストをかけないということが、日本では長い間ずっと続いてきた。今後の要人警護を見直して、そこにコストをかけないといけないという改革は、警察をはじめ、政府の諸機関の中で、いろいろ検討されて、結論が導き出される可能性が高いのでは
●「献金の報告会」を録音か“教団幹部の音声”を入手 「ノルマ示した証拠」 8/14
番組では旧統一教会の教団幹部とされる人物が献金について話す音声を入手。その実態に迫りました。
「献金の報告会」“教団幹部の音声”入手
今回、番組ではある音声を入手しました。
音声は2013年、全国の教会長を集めた「献金の報告会」の様子を録音したもの。
旧統一教会幹部のものとみられる音声「勝利(献金目標を達成)したところがあまりにも多くて表彰準備するときも大変でした。今まで一番、お金を現場に賞金としてみなさんに配りました。」
教団は献金の目標を達成した教会長らに対し、賞金を出していたともとれるような発言も。さらに。
旧統一教会幹部のものとみられる音声「今、皆さんの113の教会が年間目標を勝利いたしました。一旦、年間勝利していますので、この牧会者(教会長)、その婦人部長、皆が『今後、11月12月のK(献金)の目標に対してどうするんだ』と、大変心配していらっしゃいますが、(目標額)100%を超えたところの分は2014年にそのままカウントして評価してやりますので、皆さん11月12月も、本当にしっかり頑張ってほしいなと思います。」
献金の目標を早めに達成しても成果は次の年に繰り越せると言って、教団幹部は教会長らに奮起を促します。
旧統一教会幹部のものとみられる音声「最近お母さま(韓鶴子氏)が新しい「天聖経」「平和経」、出版された本に対して韓国の食口(信者)たちにも12月までに全て完読しなさいという指示が出されまして、日本はもちろんTD(特別献金)の摂理がありますけれども日本も全食口に対して“贈呈”しないといけないのではないかと。」
“贈呈”とはそのままの意味ではないと、ジャーナリストの鈴木エイトさんは指摘します。
ジャーナリスト 鈴木エイト氏「“贈呈”というとあたかも何かをもらえるみたいな感じですけれども「天生経」を贈呈するために献金をしなさいという指示ですよね。」
旧統一教会幹部のものとみられる音声「それで今、40K(40万円)勝利した方が3万6260家庭が現在あります。3万6260家庭に総会長の大きな計らいのもとにですね、さっそく一旦、とりあえず140K勝利(140万円の献金達成)しなくても一旦とりあえず現場に(本を)全部“贈呈”するようになりました。これからですねTD(特別献金)の摂理のために頑張ってくださいませ。」
鈴木エイト氏「140万円献金してなくてもとりあえず、40K勝利した人=40万円献金した人に「天聖経」を授けるといっています。だから(後から)140万円を納めてくださいねって発破をかけてる。明らかな献金ノルマを示した証拠の音声だと思いますね」
これまで「ノルマ」を否定し続けてきた教団。番組が入手した音声をもとに、「目標を設定し献金を集めていたのか」と尋ねると、文書でこう回答しました。
「(勝利とは)信徒様からの感謝の証としての献金が適切に捧げられたかに関する年間目標が法人「全体」として成し遂げられたという意味です。もちろん強制ではありません。完全にノルマではないと説明できますが、なにか?」
“教団幹部の音声”入手 献金の実態は
元二世信者「(教会に)献金した人の名前がずらりと並んでいて、選挙に当選したときに花とかつけるじゃないですか。そういう感じで」
こう証言するのは、両親が合同結婚式で知り合ったという元二世信者です。
元二世信者「壷も家にあります。少なくとも4つはありました。(家に)置いてある教会のグッズを見る限り、3000万円以上は献金しているんじゃないかな」
自宅には一冊数百万するといわれる、本が5冊も。さらに、国民証なるものまで…
元二世信者「経済状況は良くなかったですね。小学生の時とか、すごいひどくて、私の母親も自己破産していたみたいで。親の銀行口座を銀行についていったときに見たら、110円とかしかなかったりとか」
少しずつ教団に対し疑問をもち、脱会したそうです。
元二世信者「もう本当にむかつくし、報道とか見ていても、もうなんだろう…怒りしかないです。30年くらい前からもう反社会的な団体だって言われていたじゃないですか。霊感商法とか、合同結婚式とか、なんであの時にもうちょっと規制しなかったのか。一度全体的に政治の世界を精査して清算してほしいなって思います」
●「論点のすり替え…同情を引き姑息」 『旧統一教会』の会見と祝福2世の苦悩 8/14
8月10日に行われた旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の会見。田中富広会長は会見で、「過去に霊感商法は行ったことはない」「祝福結婚のカップルは円満である」などと発言しました。旧統一教会を長年取材する鈴木エイト氏は12日のMBSテレビ『よんチャンTV』で、会見について「論点のすり替え」「同情を引く姑息な作戦だ」と述べました。また、霊感商法について「組織ぐるみで行われていて、献金をさせた見返りに教義などを提供する商品を介在させない霊感商法に移行している」とも話しました。また、両親も信者で合同結婚式で出会い生まれたいわゆる“祝福2世”について「恋愛などが抑えつけられる」「疑問を持っても親に逆らえないことも」あると、苦悩についても解説しました。
岸田改造内閣でも接点が判明「深い付き合いだと断ち切るのは難しい」
(8月10日に内閣改造が行われましたが、岸田改造内閣で7人の閣僚が接点があったということを認めています。どんどん政府側の人間に接点が増えてきているなという印象あります。そんな中、旧統一教会と政治家との関係が根深いんだなというのを感じますが、どう思われますか?)
「あらゆるところに旧統一教会側が触手を伸ばしている証左だと思います」
(完全に断ち切るというのは大変なことでしょうか?)
「付き合いの浅い人は関係を立ち切ることはできると思うんですが、深い付き合いでいろんな協力関係にある人というのは簡単に断ち切ることは難しいと思います」
田中会長の会見「世間の同情引こうと…論点すり替え」
(8月10日に行われた旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合・田中富広会長の会見。田中会長は『過剰な報道により教会側が被害を受けている』『高額な献金を行わないよう徹底している』『霊感商法なるものは、過去も現在も行ったことがない』という主張でした。これらの主張に関してですが、エイトさんによりますと、教会側が被害を受けているということに関しては『論点のすり替えだ』『同情を引く姑息な作戦だ』と見ていらっしゃるんですね?)
「明らかにメディアの報道で行き過ぎたものってなかったと思うんですよね。そんな中で、行動によって教会員がこんな被害を受けているという、そういう世間の同情を引こうというのが非常に姑息なものを感じました」
(田中会長の言葉を聞くと、旧統一教会側が被害者だと言わんばかりの感じのように受け止められましたが?)
「そうですよね。何かこれだけ多くの被害を与えてきた団体が、なぜ自分たちが被害者なんだというふうに論点のすり替えができるのか、そのズレというのが教団のおかしさであると思います」
(高額な献金を行わないよう徹底ということなんですが、エイトさんは高額な献金ノルマは課してきたと、これは事実であるということなんですね?)
「本当にどの口が言っているんだと思いましたけれども、当然、2005年のコンプライアンスの徹底とか、2010年、2011年あたりで信者に年間600万円総額の献金ノルマが課されていたんですね。実際、その経費を引いて300億円近くが毎年、韓国の教祖一族に送られていたという内部文書がちゃんと残っています。そんなところから、高額な献金ノルマをエンドレスに課してきたにもかかわらず、そういうところを隠して、自分たちは高額な献金を求めていないと嘘をついている。そういうところに全く誠実さが感じられませんでした」
「霊感商法は商品を介在させない手法へ…非常に巧妙さを増してきている」
(霊感商法なるものは『過去も現在も行ったことがない』と主張しています。これに関しては、組織ぐるみの霊感商法、現在は商品を介在させない霊感商法へ移行している、その形が変わってるだけだよと、そういうことなんですか?)
「実際に2009年の民事裁判で高度な組織、伝道と一体となった組織的な活動と認定されています。しかし、2010年以降は確かに商品と引き換えの消費者契約として、高額な壺を買わせるとか、そういう商品と引き換えにお金をいただくみたいな形は実際取っていないんですよ。高額な献金を課して、例えばこの時期だと、430万円の教典のセットとか言っていたんですが、献金した人、家庭に箱を授けるみたいな、献金と引き換えという形ではないんです。騙して連れてきた受講生に『家系図の講座を行います』って形で受講料として20倍を請求すると。家系図自体は受講生に渡すのではなくビデオセンターが常に預かっているという。霊界の家、善霊堂というものを献金の代わりに授けるみたいな、消費者契約法の消費契約として取り締まれないような形を今もやっているので、そのあたり非常に巧妙さが増してきたなと感じます」
(売買契約じゃないと取り締まられないということなんですか?)
「例えば契約書があるわけではない。以前は100万円の絵画を買わせる時には契約書、領収書があったんですよ。今はそういうのがなく、献金の見返りとして何かを授けるみたいなやり方の場合、それをどこまで消費者契約って形で消費生活センターとかが扱えるのか、まず非常に難しいかなと思うんですよね」
祝福2世の苦悩…「疑問を持っても親の意向に逆らえない」
(そして、旧統一教会の2世信者についてです。いわゆる「祝福2世」は、両親が合同結婚式で出会って誕生した子どものことで、エイトさんによりますと、祝福2世は、教会内で大切に扱われると。しかし、『恋愛など抑えつけられる』『疑問を持っても親の意向に逆らえない』などの苦悩があるということなんですね?)
「自由に人を好きになるような気持ちって普通に誰もが持つじゃないですか。そういう自然な感情までも抑えつけられてしまうと、当然いろんな抑圧を受けて精神的にダメージを受けたりとかは当然起こりうるですよね。もちろん従順な2世信者も大勢いるんですけれども、どこかで何か疑問を感じている人もやっぱり多いです。あとは純粋な親子の関係に第三者という宗教団体、別の第三者がいることによって、親と団体の関係、本人と親の関係、本人と団体の関係者の3者の関係になるので、そこでひずみが出てくると思うんですよね」
脱会は「大人になり、経済的に自立できるまでは厳しい」「親に逆らうと…学費すら出してもらえない」
(2世信者の脱会については、エイトさんによりますと、『大人になり、経済的に自立できるまで難しい』と。やはり経済的な部分が大きいんですか?)
「そうですよね。例えば中学生、高校生とかも当然疑問を持つ子も多いんですけど、その時に親に逆らってしまうと、学費すら出してもらえないとか、いきなり生活自体が成り立たなくなってしまうんです。そういう気持ちを持っていてもそれを抑えつけて、表面上は付き合っていかなければいけないであるとか、非常に抑圧されてしまうってことがありますよね」
(本来だったら親に相談したいところなんだけども、それができないという状況がある。カウンセラーなどに相談しても、宗教がらみの問題は断られるケースが多いと。やはり普通のそのカウンセラーではなかなか対応してもらえないという現実があるんですね?)
「そうですね。例えばスクールカウンセラーに相談したとしても、親とちゃんと話し合いなさいって終わっちゃったりするんですよ。そうなると、相談した結果、絶望してしまうんですよね。せっかく勇気を出して相談したのに『そんなことしか言ってもらえないのか』ってなっちゃうんです。相談を受ける側も、こういうカルト問題、カルトみたいな団体の場合にはどういう背景があってどういうことに悩みがあって、どうすれば解決に向かえるのかってことをちゃんとまず学んでほしいです。相談を受ける側がちゃんとした知識を持って解決策を持っていないと、本当の救いにはならないんですよ。実際に社会福祉士の僕の知り合いで相談にあたってる人は一緒に付いて行って生活保護の申請を助けてあげたりとか、学費でも進学するにあたって、貧困で親が出してくれないケースであれば、返還しないで済むような奨学金の受け方とかをケアしてあげたり、そういう活動をしている方がいらっしゃるので、そういう活動をしてる人に繋げられるような、そういうシステムを作っていきたいなと思います」
●高市氏が謝罪 旧統一教会系誌で約20年前に対談「大好きな先生のお誘い」 8/15
高市早苗経済安全保障担当相が14日夜、ツイッターに連続投稿し、旧統一教会系誌で約20年前に対談が掲載されたことについて謝罪した。
10日の会見で、2001年に、教会と関係が深いとされる月刊誌「ビューポイント」で政治評論家らと対談したことがあると公表。新聞社からの問い合わせで調査し、判明したと報告していた。投稿では「当時は知るすべもありませんでしたが、21年前に接点があった事実は変わりません」として謝罪。「大好きだった評論家の細川隆一郎先生からのお誘いで喜んで参加した対談でした」ともつづった。

 

●旧統一教会名称変更 下村元文部科学大臣の関わりは? 8/15
名称変更の経緯は
旧統一教会のように、複数の都道府県で宗教活動用の施設を持つ宗教団体が名称を変更するには、文部科学大臣宛てで文化庁に申請を行い、認証を得る必要があります。
文化庁は、出された申請が法律などに適合しているかを審査し、認証するか、しないかを決定します。
文化庁によりますと、旧統一教会からは1997年以降、「世界平和統一家庭連合」への名称の変更について複数回、相談を受けていたということです。
そうした動きを受けて、全国霊感商法対策弁護士連絡会は、統一教会が関係する霊感商法や献金の強要などのトラブルが相次いでいるとして、名称変更を認めないように繰り返し求めていました。
2015年3月に文化庁などに送った申し入れ書では「宗教団体であることさえ判らない名称で、宗教の勧誘であることに気づかないように仕組んでいる」などと訴えていました。
その3か月後、最初の相談からは18年後の2015年6月、旧統一教会は文化庁に名称変更についての正式な申請を初めて出し、文化庁は2か月後の2015年8月に認証を決定しました。
文化庁によりますと、名称変更の手続きは通常、部長の決裁で済むので大臣に報告しませんが、旧統一教会から申請を受けたときは、担当者が当時の下村文部科学大臣に報告したということです。
また、申請が認められる前の2013年から2014年にかけて、旧統一教会と関わりがある世界日報社の月刊誌でインタビューなどに応じていたほか、2016年には下村氏が代表の政党支部が、世界日報社の社長から6万円の献金を受けていました。
川井弁護士「隠して教義を広げることに拍車」
名称変更を認めないように申し入れをしていた全国霊感商法対策弁護士連絡会の川井康雄弁護士は7月29日の記者会見で「統一教会であることや宗教団体ということを隠して教義を広げ、信者にするという方法を取っていたが、それに拍車をかけたのが名称変更だった。私たちは名称変更の5か月くらい前に文化庁に認めないよう申し入れをしたが、結局、認めてしまった」と話しています。
旧統一教会 “創立当時から今の名称考えた”
一連の経緯について「世界平和統一家庭連合」は、これまでの声明の中で「創始者は統一教会の創立当時から、今の名称を使用することを考えておられた。“世間の批判をかわすため”に名称を変えたかのような批判は、事実無根の的外れな憶測、決めつけにすぎません」とコメントしています。
また、「世界平和統一家庭連合」の田中富広会長は、8月10日の記者会見で、2015年に現在の名称に変更した際に、政治的介入があったのではないかなどと指摘されていることについて「文化庁に何度も相談を重ねたが、対応が変わらなかったので、申請を拒絶するなら訴訟もやむをえないと決意し、法律の専門家による意見書を添えて意思表示をした」と述べ、適法に処理され、政治的介入や不正はなかったと主張しました。
下村氏 自身の関与を否定も「責任感じる」
当時、文部科学大臣だった自民党の下村博文氏は、8月3日、記者団に対し「文化庁の担当者から『旧統一教会から18年間にわたって名称変更の要望があり、今回、初めて申請書類が上がってきた』と報告を受けていた。なぜ、それまで申請がなかったのかは、文化庁の当事者に説明してもらいたい」と述べました。
そのうえで「文化庁の担当者からは『申請に対応しないと行政上の不作為になる可能性がある』と説明もあったと思う。私が『申請を受理しろ』などと言ったことはなかった」と述べ、自身の関与を改めて否定しました。
そして「旧統一教会との関わりあいはない。関連団体と言われる『世界日報』の社長から2016年に6万円の献金を受けたことはあるが、認証問題とは全く関係ない。旧統一教会との関係は、関連団体も含めて、政治家は襟を正しながら距離を置くことが必要だ」と述べました。
さらに8月4日には、名称変更により、霊感商法や献金の強要などの被害が広がったのではないかと指摘されていることについて「教会が名称変更によって新たな信者や国民に迷惑をかけるようなことをするとは想像できなかったが、結果論として問題が出てきているとしたら、今となっては責任を感じる」と述べました。
また、名称変更を認証した際の文化庁の文書などが、一部黒塗りで野党の議員に開示されたことについて「私が黒塗りにさせたような報道があるが、そんなことはありえない。非常に迷惑で、ぜひ黒塗りをなくして出してほしいと文化庁に話をした」と反論しました。
そのうえで、下村氏は「私自身、教会と関係はなかったが、関係団体の『世界日報』などの取材を受けたことはあった。今後は、関係団体を含め一切の関係は断つと明言したい」と主張しました。
末松前文科相「当時の下村大臣 政治的判断せず」
末松前文部科学大臣は、8月5日の記者会見で「宗教法人法上、申請を受理するにあたって、形式上の要件以外を理由として拒むことは、行政上の不作為として違法性を問われるおそれがあると認識している」と述べました。
そのうえで、1997年・平成9年に教会側から名称変更の相談があったものの、2015年・平成27年になって申請を受理したことについて「平成9年の相談は、結果として申請書の提出がなく平成27年まで申請してこなかった。平成27年に申請書が出された理由は承知していない」としています。
そして、当時の下村大臣に対し、申請を受理する前と認証の決定前に担当者から報告が行われたことを明らかにしたうえで「社会的に注目度の高い法人だったので報告したもので、文部科学大臣が、政治的な判断を行ったものではない。当時の文化部長から確認しているが、下村氏から何ら指示などはなかった」と述べました。
名称変更を認証した際の文化庁の文書などが、一部黒塗りで野党の議員に開示されたことについては「変更理由に関する情報は、当該法人、および所轄庁以外が知りえないものなので、公にすることで当該法人などの権利、競争上の地位、その他、正当な利益を害するおそれがあるものに該当するものとして、不開示としている」と説明しました。
さらに8月8日の記者会見では、末松前文部科学大臣は「形式上の要件に適合する場合は受理する必要がある。担当者に確認したところ、当時、旧統一教会側から『申請を受理しないのはおかしいのではないか』という違法性の指摘があった。教会側の弁護士が言っているという話だった」と述べました。
前川元文科次官「下村氏の意思が働いていた」
立憲民主党や共産党、れいわ新選組などは、8月5日、前川喜平・元文部科学事務次官からヒアリングを行いました。
この中で前川氏は、1997年に旧統一教会側から名称変更の相談が寄せられた際、担当の文化庁宗務課長として、部下の職員から報告を受けていたと説明しました。
その上で「宗務課の中で議論した結果、実態が変わっていないのに名前だけ変えることはできないとして、認証できないと伝え、『申請は出さないでください』という対応をした。相手も納得していたと記憶している」と述べました。
そして前川氏は、18年後の2015年に文部科学審議官を務めていた際、当時の宗務課長から教会側が申請した名称変更を認めることにしたと説明を受け、認証すべきでないという考えを伝えたと明らかにしました。
この時の経緯について前川氏は「『認証できないから申請を受理しない』という方針を一転し、受理して認証したので、前例を踏襲する役所の仕事からすると、何らか外部からの力が働いたとしか考えられない」と指摘しました。
また前川氏は、下村氏が担当者から報告を受けたものの、判断には関与していないと説明していることについて「下村大臣まで話が上がっていたのは、判断や指示を仰いだことと同義だ。『イエス』か『ノー』か、どちらか言ったはずで、結果を見れば『イエス』と言っているはずだ。下村氏の意思が働いていたことは100%間違いないと思っている」と述べました。
立民 泉代表「名称変更時 下村氏のやり取り解明を」
旧統一教会の名称変更を認証した際の文化庁の文書などが、一部黒塗りで野党の議員に開示されたことについて、立憲民主党の泉代表は8月5日の記者会見で「下村元文部科学大臣もおかしいというふうに言っていて、文部科学省が改めて問われている。下村元大臣が、名称の変更時にどうやり取りしたのかも、当然解明されなければならない」と述べました。
そのうえで「自民党には旧統一教会と関係を持ってきた議員が多数おり、文化庁や文部科学省にアプローチした議員がいるのかどうか、調査すべきだ」と述べました。
●法的根拠なき「国葬」「統一教会の排除」、空気で押し切る岸田首相の恐ろしさ 8/15
第2次岸田改造内閣が10日に発足した。
その直後の記者会見で、岸田文雄首相はあえて「いわゆる旧統一教会に関連する問題について申し上げます」と言及して、こう述べている。
「国民の皆さんの疑念を払拭するため、今回の内閣改造に当たり、私から閣僚に対しては、政治家としての責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果を踏まえて厳正に見直すことを言明し、それを了解した者のみを任命いたしました」
信教の自由については憲法上保障がなされていることや、しかしながら、社会的に問題が指摘されている団体との関係については、国民に疑念を持たれるようなことがないよう注意しなければならないことを前提としての発言だったが、要するに、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と、距離を置くように、縁を切るように指示して、受け入れた者だけを閣僚に任命した、ということのようだ。「関係を点検」「厳正に見直す」とは、そういうことだ。
しかし、これは「法の支配」における明らかな憲法違反だ。
「社会的に問題が指摘されている」統一教会だって国が認証した宗教法人
そこで、まずは現状を整理してみる。
名称変更が認められて「世界平和統一家庭連合」となった統一教会は、日本の宗教法人法によって認証された宗教法人だ。宗教団体の公益目的を保護するために、法によって法人格を認めるとする宗教法人法の意義からすれば、国が公益目的の宗教団体としてお墨付きを与えている。
戦後施行された日本国憲法においては、「宗教の自由」「思想、良心の自由」はそれぞれ第20条、第19条で保障されている。
国が認める宗教団体であればなおさらのこと、時の政権がある特定の宗教団体を名指しして、「社会的に問題が指摘されている」というだけで、法的根拠もなく、「関係を点検」して「厳正に見直す」などあってはならないはずだ。まして、距離を置くこと、縁を切る、というようなことを指示、通達しているとすれば、宗教や思想の自由を侵している。政権による「宗教弾圧」であり、「政教分離」の原則にも反する。
現職の閣僚が、ある宗教の信者であることを理由に、無視したり、日本人でありながら公益の受益者から外したりすることは、許されるはずもない。お前はクリスチャンだから相手にしない、創価学会の会員とは口をきかない、などと言えるはずもない。宗教法人の認証の有無にかかわらず、個人の信条に介入するのなら「宗教弾圧」を通り越した、戦前の「思想統制」に等しい。
「空気」で押し切る岸田首相の空恐ろしさ
あらためて、日本国憲法にはこうある。
第14条 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
少なくとも統一教会の信者は、日本国民でありながら、信者であることを理由に、これから政治的に差別されることになる。
また、新たに閣僚になる相手には、首相自らが特定団体との関係を見直すことを迫り、それを了解した者のみを任命したことを明言している。つまり、閣僚になりたいのなら、関係を見直せ、と踏み絵を迫ったことになる。ここでも、閣僚としての個人の信条を侵していることになる。
とはいえ、ここで話を複雑にさせるのは、統一教会が宗教法人でありながら、反社会的な組織としての性質を持つことだ。
すでに30年も以前から、いわゆる霊感商法や合同結婚式が社会問題化し、高額献金や資金集め、布教過程などを、違法とする司法判断が積み重なっていて、いまもあとを絶たない。国民の多くがそれを知っているからこそ、反社会的な団体としての側面から、政権与党との浅からぬ関係を批判して、見直しを迫る。岸田首相がその声を無視できなかったこともある。
しかし、前述のように統一教会は、国が認証した宗教法人である。公益目的を保護するために、法によって法人格を付与され、税制上の優遇など手厚く保護された宗教団体である。ここに反社会性との齟齬と混乱が生じて、「法の支配」からすれば、明らかな憲法違反の発言も看過されてしまう。
そうであるなら、「指定暴力団」のように、反社会性を明確にする法整備や制度上の措置を、まずとるべきだった。明確な法的根拠もないまま、特定の宗教団体との関係を見直すと内閣が主張すれば、憲法違反にあたることは目に見えている。
こうした「曖昧」こそが、岸田政権の最大の特徴だ。そして、その曖昧さや、いい加減ぶりを「空気」で押し切ってしまうところに、怖さがある。
コロナ対策も国葬も「新しい資本主義」も曖昧なまま押し切る腹積もり
たとえば、新型コロナウイルス対策にしても、同じことが言える。2年前に国内で感染がはじまって以来の過去最高の新規感染者を記録している「第7波」の渦中にありながら、岸田政権はこれまでのような行動制限をとっていない。そのまま、3年ぶりに行動制限のない「お盆休み」に突入した。もはや、季節性のインフルエンザと同じような感覚に国民の意識も変わってきている。
政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志が、新規感染者の全数把握の中止や一般外来での受診体制の拡充などを政府に提言したのは、今月2日のことだった。感染者の急増に、これまで通りの措置をとっていたのでは、医療機関や保健所を逼迫させる一方で、現実的ではないことが前提としてある。
欧米では入国制限を廃止する国が相次いでいる。それでも日本は、1日2万人の入国上限措置や、入国前の陰性証明書を求めるなど厳格な対応を続ける。ところが、日本国内の感染者が主要国を上回る事態に、意味があるのか、諸外国からも批判を呼ぶ。にもかかわらず10日の記者会見で岸田首相は、「他の主要7カ国(G7)諸国並みに円滑な入国が可能となるよう緩和の方向で進めていきたい」と、具体的判断を先送りにしている。
安倍晋三元首相の「国葬」にしてもそうだ。9月27日に行うことを早くも閣議決定したものの、その法的根拠も明らかになっていない。費用も予備費で賄うとするが、そこにも疑問の声があがる。国会での議論も皆無だ。どこか「空気」だけが先行して押し切ろうとする。
まして政権が掲げる「新しい資本主義」こそ、曖昧なままだ。
こうした曖昧さが、世論調査の結果にも表れている。従来なら内閣改造後に増進するはずの支持率も、報道各社による世論調査で、軒並み伸び悩んでいる。改造した内閣を「支持する」「支持しない」では、共同通信が54.1%(前回調査比+3.1)、28.2%(−1.3)、日本経済新聞では57%(−1)、35%(+3)、読売新聞では51%(−6)、34%(+2)で、読売の支持率は過去最低を、不支持は過去最高をそれぞれ記録している。
統一教会との関係については、読売が「十分だと思わない」が55%、日経の「懸念が払拭されていない」が76%、共同の「説明が不足」が89.5%と、極めて高い数字を示している。
国葬については、共同の同じ調査で、首相の説明に「納得できない」の回答は56.0%で、「納得できる」の42.5%を上回っている。内閣改造前の8月の調査でも、時事通信の国葬に「反対」が47.3%で、「賛成」の30.5%を上回り、読売では「評価する」49%、「評価しない」46%と世論が拮抗している。
「空気だけで突き進むと破滅する」は敗戦で得た教訓ではなかったのか
統一教会との関係と人事については、自民党内からも首相の曖昧さに不満が漏れる。たとえば、岸信夫前防衛大臣が在職中に統一教会の関係者らから選挙の支援を受けていたことを認めて、体調不良を理由に交代したにもかかわらず、首相は国家安全保障担当の首相補佐官に任命している。教団の関連会合であいさつしたという萩生田光一前経済産業大臣は、自民党の政調会長の要職に就いた。基準が曖昧な上に、就任した新閣僚から統一教会との関連を認める“告白”も相次ぐ。
法的根拠もないまま、時の内閣が特定の宗教団体との関係に言及する異常事態。しかも首相が教団との関係を見直すように閣僚に踏み絵を迫る。政教分離に反するどころか、戦前の「思想統制」に等しい。
そこに横たわる曖昧さと空気の政治。前提事実と根拠を欠いたまま、負けるはずがないという「空気」だけで戦争に突き進んだ戦前を彷彿とさせる。
あの敗戦の日から77年。曖昧を空気で押し流す政治は、戦後の日本が培ってきた自由と民主主義、「法の支配」をも破壊させかねない。それだけに、いまの岸田政権は恐ろしい。
●「朝日ジャーナル」が報じた旧統一教会「霊感商法」の実態 8/15
安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の「霊感商法」の実態が注目されている。だが、それらは35年前、「朝日ジャーナル」が徹底的なキャンペーン報道で迫ったテーマだった。霊感商法の手口や原価などを振り返る。
旧統一教会による霊感商法の実態をいち早く社会に知らしめたのは、朝日新聞社が発行していた週刊誌「朝日ジャーナル」(1992年休刊)だった。86年12月5日号で「豊田商事をしのぐ冷血の手口 霊感商法の巨大な被害」とのタイトルで始まった追及キャンペーンは、およそ1年間で10回にわたって続けられた。当時、「開運商法」などと呼ばれていた行為に霊感商法という呼称を定着させたのも同誌だ。
霊感商法の一般的な手口は、街頭や戸別訪問などで「手相を見てあげます」「姓名判断をしましょう」などと言って接近し、象牙の印鑑を売る。だが、印鑑は入り口に過ぎず、「占いの偉い先生が特別に見てくれる」などと誘い、「霊場」と呼ばれるマンションの一室や、展示会に連れ出す。先生は「悪霊がついている」などと不安をあおり、法外な値段で壺や多宝塔を売り込むというものだ。
86年12月5日号で紹介されたケースを紹介する。北九州市に住むB子さん(60)の被害金額は、3700万円に上った。
<B子さんにとってこたえたのは、「お宅は絶家の家系です」といわれたことだった。息子の命が危ないといわれた。それは本当かもしれないと、彼女は思った。一九七七年三月、同市の公務員五人が火事で殉職した。B子さんの夫もその一人だった。夫の非業の最期が、息子の姿に重なってみえた。もうひとつ、彼女が震えあがったことがある。「焼け死んだ人は、霊界で痛みが三○倍になる」と聞かされたことだ。八四年七月下旬、B子さん宅を増田都子という女性が訪れ、手相をみた。このとき印鑑を三万円で買った>
その後、霊場に連れていかれ、600万円の多宝塔を押しつけられ、高麗人参1ダースを96万円で契約。さらに、先生(霊能者)から3千万円を神に捧げるよう促された。
<三千万円を受領した後、先生は「霊薬と壺をあげましょう」といって、「高麗人参三四三個」「高麗大理石三個」預かりという保管書を発行してくれた。つまりB子さんに三千万円を献金させたあと、人参、壺の正常な売買があったように偽装したのである>
当時、取材班の一人だった藤森研・元朝日新聞編集委員が説明する。
「霊感商法の手口について、脱会者に何人も会って聞いています。印鑑の販売員たちは客の家族構成や預貯金など身辺情報を巧みに聞き出し、先生に事前に伝えてある。だから初対面でもお見通しなのです」
霊場で先生は「ご先祖様に祈って聞いてきます」などと言って中座する。別室で先生は「タワー長」と呼ばれる上司に客の状況を報告し、説得のための言葉や、出させる金額を相談しているのだ。一方、被害者について藤森氏はこう語る。
「40代、50代の女性が多かった。夫に先立たれるなど不幸や不安の最中に訪問を受けるケースが目立った。被害者に会うことが長期間にわたる取材のパッション(情熱)になっていきました」
霊感商法を警察が摘発し、統一教会との関係をあぶり出した事例もある。
83年に青森県で50歳の女性に対し、「亡夫の霊」「水子の霊」が出たと脅した霊感商法グループのA(36)、B子(31)、C(31)の3人が有罪となった恐喝事件だ。87年1月30日号で詳しく報じているが、手口のひどさが際立つ。
被害者は青森県内に住むP子さん。農家に嫁いだが生計は苦しく、2児をもうけた後は、中絶をくり返さざるを得なかった。前夫はがんで亡くなり、6年後に再婚した現在の夫も交通事故で脳挫傷を負い、言語障害の後遺症のため仕事ができなくなった。
82年秋、自宅に「グリーンヘルス」という会社の印鑑販売員がやってきて「私の会社の印を使えば運が開ける」などと言った。P子さんは印鑑3本セットと実印を購入。販売員は2時間ほどいて、P子さんの身の上話を聞いて帰っていった。
83年7月、Aから電話があり、「前に印鑑を買ってもらったグリーンヘルスの者だ。先生があなたの先祖を拝んだら、悪い霊がいっぱいついていた」などと言われ、先生に会うよう執拗に勧められた。夫とともに連れていかれたのはホテルの一室。和室に祭壇が飾られ、壺が置かれていた。
先生役のB子は「あなたが堕ろした子どもや病死した前夫が成仏できずに苦しんでいる」「全財産を投げ出して成仏させないと不幸が続く」などと脅し、財産を問いただしてきた。P子さんは夫の交通傷害保険として1200万円が入り、預金してあると打ち明けた。
先生は「全部出しなさい。そうすれば霊を成仏させてやる」と迫った。
<いつ入室したのか、一人の男がいて、どなり声をあげて暴れ始めた。「前夫の霊が乗り移った」と。この男がCである。Cは室内を走り回り、「みな殺しにするぞ。成仏させてくれるのか、くれないのか」とわめきながらP子さんに何度もまとわりついた。押し倒し、殴りかかる。Aがそのたびに引き離す役回りをした。夫もまとわりつかれたが抵抗できなかった。P子さんは気味悪さと恐ろしさで体がふるえた>
P子さんと夫は、午前10時半ごろから午後8時ごろまでホテルの一室に監禁され、脅され続けた。
<「長時間にわたって、部屋の中で責められ、疲れきっていた」P子さんは、とうとううなずいてしまった。翌日、Aらに銀行に連れて行かれ、定期預金を解約して一二○○万円を渡した。なぜかそれから二、三日のうちに、Aが頼みもしない「一和高麗人参濃縮液」三ダースを自宅に置いて行った。P子さんは、八月二日、警察へ届け出た>
84年1月、青森地裁弘前支部でA、B子、Cの3被告にそれぞれ懲役2年6カ月、執行猶予5年の判決が言い渡された。
警察がA宅を捜索したところ、統一教会の教理解説書『原理講論』や、国際勝共連合の機関誌「世界思想」などが見つかった。B子宅の洋服タンスの中には教団の創始者である文鮮明氏の写真があったとされる。
「被疑者と統一教会とのつながりについて」と題する警察捜査報告書(83年11月27日付)には、次のように記されていた。
<Aが所属するグリーンヘルスという会社は、世界基督教統一神霊協会(統一教会)および主義思想を同じくする、異名同体の国際勝共連合の思想教育を受けた者の集りであることは本年一一月一五日に被疑者宅を捜索した際、同所で事情聴取したH(三一)、M(三七)、N(三一)らの申し立てから、明らか>
霊感商法の商品は、統一教会の本部がある韓国でつくられていた。当時、壺や多宝塔の製造元だったのは「一信石材工芸」、高麗人参濃縮液を製造していたのは「一和」。ともに統一教会の関連企業だった。前出の藤森氏は渡韓し、両社の本社や工場などを訪れた。
「壺などの原価がわかったことが大きな成果だった」と藤森氏は語る。
一信石材工芸の事業報告書によると、86年の販売実績は花瓶が2万3900個で約33億、石塔が2454個で約72億ウォン。ほぼすべてが輸出されていた。その多くが日本向けと見られている。
当時、1ウォン=0.2円(現在は0.1円)で1個あたりの平均価格を計算すると、壺が約3万円、石塔が60万円程度。一方、86年に神奈川県消費生活課がまとめた被害の実態によれば、霊感商法による1個あたりの平均購入額は、壺147万円、多宝塔911万円。法外な値段で売りつけていたことが実証された。
高麗人参濃縮液は、一和本社内の売店で1瓶買うと、30グラム入りで6100ウォン(約1200円)。日本の霊感商法では300グラム入りがだいたい8万円で売られており、6〜7倍の価格になる(87年3月27日号)。
ちなみに、キャンペーン報道が続いていた87年春、朝日ジャーナルの編集長は筑紫哲也氏から伊藤正孝氏に交代した。筑紫氏は同年4月10日号の巻頭コラム「多事争論」で、こう警告している。
<「霊感商法」についての本誌の“突出報道”に対して相手方が社に行った激しい抗議のなかに、私のような人物を編集長に据えておく非を責める文言があったが、私が去ってもさして何も変わらないことをやがて悟ることになるだろう>
●玉川徹氏 旧統一教会の金の流れ指摘「日本から巻き上げて世界で使ってる」 8/15
テレビ朝日の玉川徹氏が15日、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)に出演。番組では世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の特集をした。
玉川氏は「構図としては日本から金を巻き上げて、それを世界で使うっていうことですよね。日本は韓国に対して尽くすべき国だっていうことが教義の根本にあるわけでしょ。だからこそ日本の多くの善良な人たちが家庭を破壊され、反社会的なことを行い、そうやって集めた金が世界の統一教会に使われる」と旧統一教会の金の流れを指摘した。
その上で旧統一教会の目的についても触れた。「世界統一ってことでしょ。教祖のもとに世界を統一するために日本の善良な人たちが犠牲になって尽くしている。子供のころ、世界征服をたくらむアニメとか特撮がいっぱいあった。そういう構図にそっくり」と苦笑した。
また、日本の保守政治家にも疑問を呈した。旧統一教会と接点がある政治家はほとんどが保守政治家だとし、「統一教会の教義はある種、反日や日本を下に見るところのある宗教団体ですよってことを知らないでやっていたらあまりにも無知。知っててやっていたら『保守政治家って何ですか』って思う」と首を傾げた。
●岸田新内閣“統一教会汚染”にダンマリの傲岸不遜 閣僚軒並み「無回答」 8/15
このままウヤムヤにする気か──。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)を巡って、共同通信が全国会議員(712人)に実施したアンケートで、「関係がある」と答えた議員が106人、うち82人が自民党議員だったが、見過ごせないのは、岸田首相や麻生副総裁ら一部の幹部が調査に「無回答」だったこと。他の閣僚もマトモに説明する気がないようで、SNSでは「フザケルナ」と炎上している。
共同通信は先月27日に各国会議員事務所に質問状を配布し、メールアドレスが判明している事務所にはメールも送信。今月5日の回答期限まで1週間以上あったにもかかわらず、答えないなどあり得ないことだ。特に岸田氏は改造人事の際に、「(教団との)関係を点検し、見直すことを厳命し、それを了承した者のみを(閣僚に)任命した」と言っていた。自ら率先して回答してしかるべきだろう。
さらに許しがたいのは、10日の内閣改造直後に教団との関係を認めた7閣僚が、共同通信のアンケートには「分からない」「答えられない」などと、事実関係を曖昧にしていたことだ。加藤勝信厚労相と山際大志郎経済再生相はアンケートに「分からない、答えられない」と回答していたのに、10日になって関連団体との接点を認めたのだ。他の5閣僚もアンケートでは教団との関係を明らかにしていなかった。
加藤氏、山際氏の2人は、14日のNHK「日曜討論」でもナメた態度を見せていた。
山際氏は、司会者に「教団や関連団体との関係は何が問題なのか」と問われたのに、「問題があるといわれている団体との付き合いは避けなくてはいけない」「これから先はお付き合いしないことをお示しするのが大切だ」と正面から答えなかった。
「統一教会の関連団体に会費を払っていた。教団の活動にお墨付きを与えたのでは」と聞かれた加藤氏に至っては、あろうことかキレ気味に苦笑いを浮かべ、「関連団体の会費ではなく、関連団体が主催する懇親会にたまたまご案内いただいたので、懇親会費を払った」と論点ずらしの“ご飯論法”である。さすがにSNSでは〈悪知恵が半端ない〉〈それこそ『会費』ですけど〉と批判が噴出している。
国民の大半が自民党議員と旧統一教会の関係について不信感を抱いているのに、岸田首相本人は無回答で閣僚もハッキリと答えないなど、あまりにも不遜だ。政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「統一教会と自民党の癒着問題は、岸田首相が公安に『関係がある議員名簿を出せ』と指示すれば、解明できるはずです。それをしないばかりか、通信社の調査にすら回答しないのは、後ろめたいことがあるからではないか。ちょうど岸田首相は地元・広島の教団幹部と並ぶ写真がSNSに上がり、問題視されています。下手に追及されたくないから、後ろ向きなのではないかと勘繰ってしまいます。いずれにせよ、加藤、山際両氏の発言からも分かるように、自民党は『もう教団とは付き合わないんだからいいでしょ』と軽く考えているとしか思えません」
岸田首相は14日、夫人と共に都内のゴルフレッスンスタジオを訪問。約1時間半も練習で汗を流したというが、スイングチェックの前にやることがあるはずだ。
●旧統一教会の意図は政権与党への食い込みか 自民80人以上接点… 8/15
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と国会議員との関わりが自民党議員だけで80人以上判明した中、イベントに宗教色を薄めて呼び込んだり、政治とのつながりを求める旧統一教会側の手口や意図も併せて明らかになってきている。
2017年7月、教団の関連団体が開催した「ピースロード2017」は、世界平和などを目指して参加者が自転車で走る催しとして、7議員が出席やメッセージの送付をしていた。ほかにも、新型コロナウイルス収束を願う集いや家庭教育の大切さを考えるフォーラム、安全保障の講演会など、議員が出席したり祝電を送ったりした催しは多種多様。「ごみ拾いのイベント」というのもあった。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士によると、元幹部信者は「議員に自分たちのために動いてくれるようにする。だから第1党である自民党がターゲットになる」と話していたという。教団側には政権与党に食い込みを図りたい意図があり、自民党議員らが格好のターゲットになっている構図が見られる。岸田文雄首相は、党国会議員に旧統一教会との関係見直しを指示しているが、今後は議員側も慎重な見極めが必要になりそうだ。  
●議員の「関係断つ」覚悟も…旧統一教会の“変わらぬ姿勢” 8/15
「政策断行内閣」と銘打たれた岸田新内閣。野党からは“統一教会隠し失敗内閣”と揶揄されるなど、統一教会と閣僚の接点が次々と明らかになっている。
「政治に友好団体が強く姿勢をもって関わってきたことは事実」(世界平和統一家庭連合・田中富広会長)
2度目の会見で政治との関わりについて言及した旧統一教会、現世界平和統一家庭連合の田中会長。岸田新内閣の閣僚も、過去の関係について次々と明らかにした。新内閣でも、7人が「旧統一教会との接点があった」と説明した。
「国民の皆さんの疑念を払拭するため、政治家としての責任においてそれぞれ当該団体との関係を点検し、その結果を踏まえて厳正に見直すことを厳命し、それを了解した者のみを任命した」(岸田文雄総理大臣)
岸田総理は、宗教団体に法令から逸脱する行為があれば厳正に対処するとした上で、「旧統一教会が不当に自民党の政策に影響を与えたとは認識していない」と強調した。
なぜ旧統一教会は政治との関わりを持つようになったのか。世界平和統一家庭連合の田中会長は、こう説明する。
「私たちの法人ならびに多くの友好団体は創設以来、共産主義というものに対して明確に対峙してきた。共産主義問題に対して明確な姿勢を持っている政治家の皆さんとは、共に良き国づくりに向かって手を合わせてきたと思っている」
所属議員と教会との関わりについて、自民党の茂木幹事長は8日に「今後は関係を絶つ」と話していた。一方で、田中会長は旧統一教会が今後も政治に関わる姿勢を見せている。
「私たちの基本姿勢は、共産主義と対峙して進めている。その視点から言うと、自民党の議員の方々はより多く接点を持つことがあるのではないかと思う。自民党のみならず、コミュニズム(共産主義)に対して明確に姿勢を示す議員の皆様方とは、それぞれの場で関係性があったと思う。これからも私たち、あるいは友好団体はこの視点は一致していくことになると思う」
このニュースについて、『ABEMAヒルズ』コメンテーターでノンフィクションライターの石戸諭氏に話を聞いた。
――石戸さん、この問題をリセットするのは難しいのでしょうか?
「リセットするどころか、ますます問題が錯綜している。自民党サイドが関係を断つことを公式に宣言する、それも岸田総理が絶つことをはっきり明言するしかゴールがないのではないか」
――田中会長は会見で、旧統一教会が今後も政治に関わる姿勢を示しました。会見についてはどう見ましたか?
「正直、意味のない会見だった。公式の見解を繰り返したばかりで、逆効果だったと思う。そんな中で、僕びっくりしたのは『共産主義』という言葉が出てきたこと。冷戦が崩壊して何十年も経っている中で、日本で現実に革命が起きて、共産主義がやってくると思っている人はいないだろう。その中で、共産主義が敵だと認識している人がいることにまず驚いた。この時代に『共産主義と対峙するんだ』と言われても、何と戦っているのかという感じがする。共産主義がいいと思っている人たちもほとんどいなくなってきている中で、日本共産党ですら近い将来に『共産主義がやってくる』とも言っていない時代になっている。そうした中で何と手を取り合っていくのかが、さっぱりわからない。この状況でいくら旧統一教会が『接点を持ちたい』と言ったところで、大多数の支援者も社会も許さなくなっていくし、(接点ができても)すぐばれるだろう。そうなれば、政治家に付き合うメリットがほとんどなくなってくる。彼らが望んでも、いずれ何も持てなくなるのではないか」 
●旧統一教会と自身の関係「首相は認識」=山際再生相 8/15
山際大志郎経済再生相は15日の会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自身の関係について、岸田文雄首相は「認識していると私は理解している」と述べた。
報道によると、山際再生相は10日の記者会見で、旧統一教会の関連団体への会費1万円の支出と、教会関連イベントへの参加があったと公表したが、第2次岸田改造内閣での再任内定前には岸田首相に説明していなかったことも明らかにした。
10日の内閣改造では、統一教会と関係のある閣僚の多くが交代した。
山際氏は15日の会見で、10日の会見について「言葉足らずだったかもしれない。首相とは日頃からさまざまな案件で密にコミュニケーションを取っているが、ひとつひとつどのような案件に関して、どのようなタイミングでどうコミュニケーションを取っているかに関して言及は差し控えるという趣旨で言ったつもり」と釈明した。
その上で「当然今回の案件(旧統一教会との関係)についても、首相は認識していると私は理解している」と述べた。 

 

●「国会議員が旧統一教会と接点、8割自民」という“圧倒的数字” 8/16
お盆明けには「旧統一教会と政治」の話題が収まると思ったか、岸田首相は8月10日に内閣改造と自民党の役員人事をおこなった。空気を入れ換えてきた。
すると……。
『副大臣ら54人中19人が旧統一教会と接点 閣僚合わせ計26人に』(毎日新聞デジタル8月12日 )
何も変わらなかった。むしろ続々と増えているではないか。もしかして岸田首相は「集団免疫」を狙っているのだろうか?
酷くてずさんだが「その酷さに次第に慣れさせる」という手法はここ歴代の政権が続けてきたことだ。しかし岸田首相の狙いは外れた。読売新聞の緊急世論調査では「内閣支持下落51%」となり過去最低(8月12日)。旧統一教会への対応は「不十分」が55%。
「国会議員106人が旧統一教会と接点」
さらに共同通信の議員アンケートによれば「国会議員106人が旧統一教会と接点、8割自民」という。自民党の圧倒的な数字に感心するが、野党もいる。この際、合同結婚式にならって合同説明式を国会で開催すれば盛り上がりそう。
ところが8月3日に召集された臨時国会は、問題が山積しているにもかかわらず3日で閉じてしまった。 どうしても議論を避けたかったのか。そういえば今年初めに通常国会が始まる前にも岸田首相は議論を呼びそうな法案を避けた。そうして7月の参院選まで波風立たせない作戦をとった。岸田首相は国会嫌いなのだろうか? ちょっと心配だ。
ここでいくつかの地方紙に載っていたコラムを紹介する。旧統一教会問題に詳しい有田芳生氏は、95年にオウム真理教の次に統一教会を摘発の対象にしていると警視庁幹部から聞いた。その10年後、摘発できなかった理由について「政治の力だよ」と言われたという(信濃毎日新聞7月30日)。選挙協力とかの話もいいが、この点こそ知りたいではないか。
一方で有田氏は「もっとも、統一教会の影響力については冷静に評価すべきです。過小評価も過大評価もいけない」「日本の政界が牛耳られているかのように見るのは、統一教会を大きくとらえすぎている」とも述べている。
この冷静な見方は我々にも必要だ。でないとすぐに「自民党=旧統一教会」という陰謀論に陥ってしまう危険がある。ヘンな言い方だが自民党はもっとしたたかで狡猾なはずだ。
たとえば6月に自民党国会議員らが参加した「神道政治連盟国会議員懇談会」で、LGBTなど性的少数者への差別を含む冊子が配られた問題があった。あれも宗教系の団体をお得意先にしていた例である。選挙で手を結べば、あのような価値観ですらまかり通る可能性が高いのだ。票をもらえれば、どことも組む。自民党が各方面の「太い客」を相手にする姿が見えてくる。
「容疑者の目論みどおりに」という声もあるが
ここからわかることがある。選挙の投票率が低いほど、選挙結果は特定の組織や団体の意向が反映される可能性が高い。そうならないためにも、私たちは選挙に行ったほうがいい。だから旧統一教会と政治の報道は「自分のため」に知っておくべきなのだ。
旧統一教会と政治の報道について「容疑者の目論みどおりになってしまう」というコメンテーターもいたが、報道は引き続きやるべきだ。実態を明らかにすることで、旧統一教会関連の悲劇や事件が今後起きないようにするため。ましてや政治家が襲われるなどという理不尽を無くすため。この件を知っておくことで選挙の自由度を高めるため。だからどんどんメディアは報道し検証してほしい。
その一方で、旧統一教会問題では次のことも頭に入れておきたい。
カルトからの脱会支援活動を続けている真宗大谷派の僧侶、瓜生崇さんはマスコミの責任を強調していた。
「全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)や日本脱カルト協会が継続して旧統一教会の問題に取り組んできたのに、マスコミ各社は無視し続けた。抗議や訴訟を恐れていたのでしょう。もしメディアが継続的に問題を明らかにしていたなら、旧統一教会もあそこまで暴走しなかったかもしれません」(毎日新聞デジタル8月14日)
なぜフジテレビは統一教会を報じないのか
旧統一教会とマスコミといえば、こんな記事もあった。
『日テレ高視聴率でもフジが統一教会を報じない理由』(週刊文春8月18・25日号)
フジテレビが殆どこの問題を報じない理由を複数のフジ局員が明かしている。フジサンケイグループの代表を務める日枝久氏が安倍晋三元首相と親しかったからという証言のほか、私が注目したのは「政治部内の体制の問題」というもの。
「政治部には2年前まで安倍氏の甥・岸信千世氏(現防衛相秘書官)がいた一方で、最近は外部スタッフの採用が目立ち、疑惑を追及するような取材経験が乏しい。安倍氏周辺への忖度と、取材力の低下が相俟って、教団関連の報道が殆ど出てこないのです」(フジ局員)
忖度という理由もアレだが、取材力の低下という理由が本当ならこんな切ないことはない。テレビ局の報道についてしみじみしてしまう。
各局の選挙報道は及び腰だった
さて、この記事では日テレやTBSは頑張っていると書かれているが、私が思い出すのは参院選前の報道のこと。選挙期間中は腰が引けたように各局の選挙報道は少なかった。
放送法第4条は、放送番組の編集は「政治的に公平であること」とあるが、思い出すのは2014年。衆院選前に自民党が放送局に文書を送って報道の「公平中立」を求めたことがあった。
私は「政治的に公平であること」とは一分一秒の量の公平ではなく「事実に対してフェアであること」でよいと思うのだが、自民党の文書が効いたのだろう。あれから選挙期間中の報道は少なくなった。
そう考えると現在のテレビは「宗教」より「政治」、選挙期間中の政権チェック報道のほうがタブーになっているのだろうか。なんだかすごい事態です。
●下地幹郎氏、旧統一教会の関連団体と2001年に接点 集会に出席 8/16
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家を巡る問題で、教団との関わりを否定していた前衆院議員の下地幹郎氏(61)が、2001年に関連団体の集会に出席していたことが15日までに、分かった。下地氏は本紙の取材に「21年前のことで覚えていないが、当時は自民党の国会議員で、それで招かれたのかもしれない。現在は全く関わりはない」と強調した。
下地氏が出席したのは世界平和連合沖縄県連合会の設立準備会とみられる。当時の様子を撮影したとみられる写真について、演台に立つ人物が自身であることを認めた。下地氏の後方の横断幕には「世界平和と日本の未来を拓(ひら)く」などと表記され、主催欄に「世界平和連合沖縄県連合会設立準備会」と記されている。
下地氏は、これまで関与はないと公表してきた根拠について「21年前の件で覚えていなかった」とし、「この問題については今後もしっかり調査する」と主張。現在の政治活動や政策への影響については「当然ない」と強調した。 
●旧統一教会による組織浸食を『キリスト新聞』編集長が明かす 8/16
安倍晋三元首相の銃撃事件を受けて、厳しい追及を受ける旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と自民党議員の密接すぎる関係。
信仰があるわけでもない議員たちが、旧統一教会と次々関係を持つに至った理由の一つは、“選挙支援” だったことが明らかになってきている。
「選挙は、短期間に大量の人員が必要で、しかもそのほとんどをボランティアでまかなう必要があります。そんななか、人を出してくれる旧統一教会はありがたい存在でしょう。もちろん、何万かの “信者票” を当てにしている議員もいます」(社会部記者)
一方、旧統一教会は、見返りとして議員にイベントに出席してもらったり、祝電をもらったりすることで自分たちを “正当化” できる。
「すでに獲得した信者はもちろん、新しく信者を勧誘する際にも、『自民党に認められた団体』としてアピールすることができます。こうした “お墨付き” が有利に働くのは間違いないでしょう」(同)
だが、“お墨付き” に利用されてきたのは、政治家だけではなかった。
「今はあまり打ち出していませんが、『キリスト教』を利用された過去もあるんです」
こう語るのは、『キリスト新聞』の編集長・松谷信司氏だ。『キリスト新聞』は、1946年に創刊したキリスト教系専門紙だ。
「文化庁が発行している『宗教年鑑』では、旧統一教会は、キリスト教系に分類されています。同書は、エホバの証人やモルモン教についてもキリスト教に分類しているわけですが……。そして、私たちが発行している『キリスト教年鑑』でも、1988年までキリスト教の一宗派として掲載していました」
『キリスト教年鑑』とは、キリスト新聞社が1948年から発行する日本で唯一のキリスト教の総合年鑑。教会や団体、福祉施設から国内名簿まで幅広く網羅的に掲載されている。
「『キリスト教年鑑』に掲載されるということは、彼らにとってお墨付きをもらえていることと一緒でした。キリスト教の一宗派であると “偽装” することで、信者を獲得することができますからね。
また、うちの会社も、経済的に一部依存していました。幹部クラスの方が『キリスト新聞』を大量に購入してくれていたのです。そして、『キリスト新聞』と一緒に、彼らが発行する『世界日報』などを挟み込んで信者に配っていたそうです。こうすれば、単なるキリスト教の一宗派に見えますよね」
『キリスト教年鑑』は、関連団体を可能な限り調査収集して記載することを目的としているが、1989年版以降、旧統一教会の名前は消えることになった。
「教会関係者から『載せるな』と猛抗議が来たんですよ。実際、日本キリスト教協議会、日本福音連盟、日本カトリック教会など、プロテスタント、カトリックに関係なく、日本にあるほとんどの団体は、その当時すでに『統一協会はキリスト教会ではない』という趣旨の声明を出していました。そこで私たちも慎重に検討し、外したのです。
キリスト教に興味のある方が勧誘されてしまうケースが多かったので、その当時から統一教会からの脱会運動をされる牧師の方は多かった。その影響で、元統一教会信者だというキリスト教関係者の方はけっこういらっしゃるんです。
だから、今こそ、キリスト教関係者は旧統一教会についてきちんと声をあげるべきだと思います」
既存団体の “権威” を利用して自身の正当化を図る。まさに政治家と同じケースだが、キリスト教は1980年代中ごろには、その関係を “清算” できていた。はたして自民党は、旧統一教会と関係を断つのだろうか。
●旧統一教会との関係「調査必要ない」 岸田改造内閣で接点少なくとも29人 8/16
閣僚らと旧統一教会の関係が次々に判明するなか、政府は15日、閣僚らと旧統一教会の関係は「調査を行う必要はない」とする答弁書を閣議決定しました。問題が泥沼化するなか、岸田総理大臣は16日から夏休みに入っています。
16日、岸田総理の姿はゴルフ場にありました。
岸田文雄総理大臣:「(Q.プレーはどうですか?)まずまず。出だしはパー3つでした。ご覧の通りここ(5番ホール)はだいぶたたきました」
16日から6日間の夏休みです。
しかし頭を悩ませる課題は山積しています。
その一つが、旧統一教会の問題。
山田美樹新環境副大臣:「今懸念となっているかと思います、いわゆる旧統一教会との関係につきましては今年の6月13日に開催された日本・世界平和議員連合懇談会総会につきまして、これは地元支援者のお誘いがありまして、冒頭のみ出席を致しました」
隣に座る小林新環境副大臣も。
小林茂樹新環境副大臣:「サイクルイベント『ピースロード・イン・奈良』に関わって参りました。2019年から2021年都合3回でありますが、この3回のイベントに実行委員長として参加をして参りました」
小林副大臣は、旧統一教会と関連しているとは認識していなかったとしています。
環境省では大臣、副大臣、政務官の政務三役5人のうち4人が関係を認めています。
柳本顕新環境政務官:「2017年4月に勝共UNITE関西フォーラムという学生の集会への出席、また今年に入ってからはWFWP世界平和女性連合の30周年の会がございまして、3月には東京で、5月には大阪で、その会に出席を致しました」
大臣・副大臣・政務官で、旧統一教会との接点を持っていたのは少なくとも29人に上ります。
総務省では。
中川貴元新総務政務官:「愛知県下で行われた、いわゆるフォーラムの会合に参加しておりました」
この日、新型コロナへの感染で欠席した国光新総務政務官も祝電を送っていたことを認めています。
一方。
杉田水脈新総務政務官:「関係団体を含め旧統一教会からの金銭的な支援や人的な支援等を受けたことは一切ありません」
杉田新総務政務官は6年前、「統一教会の信者に支援、協力頂くのは問題ない」とツイッターに投稿しています。
杉田水脈新総務政務官:「(Q.この投稿のように支援を受けることは問題ないとの考えを今も持っているか?)きょうは総務省の会見の場でありますから、個人の投稿についてのコメントは差し控えさせて頂きます」
杉田政務官を巡っては2016年にニューヨークの教団施設で講演し、2019年に熊本県内で関連団体が主催するシンポジウムでも講演したと指摘されています。
杉田水脈新総務政務官:「まず2016年のニューヨークでの講演について。講演の依頼を受けて招かれた会場がどのような施設であるか当時は存じ上げず、どのような経緯でその会場が使用されたのかについては一切把握をしておりません。また、続きまして2019年の熊本での講演でございますが、当該講演会の主催団体が旧統一教会の関連団体とは存じ上げておりませんし、また現在におきましても、関連団体であったという事実は確認できておりません」「(Q.今の2件については、確認が取れていない、それ以上の確認は取らないということ?)確認といいますか、これ以上何を調べればいいのか。その団体が関係団体であるかが逆に誰が定義をされるんですかね」
岸田総理が夏休みに入る前日の15日、政府は、閣僚ら政務三役と旧統一教会との関係について「個人の政治活動に関するものであり、調査を行う必要はない」とする答弁書を閣議決定しています。
立憲民主党の小西洋之参議院議員の質問主意書に答えたものです。

 

●自民・萩生田氏と生稲氏 参院選選挙運動中に旧統一教会の関連施設を訪問 8/17
自民党の萩生田政調会長が今年の参議院選挙で初当選した生稲晃子氏とともに旧統一教会の関連施設を訪問していたことが分かりました。
生稲氏の事務所によりますと、萩生田氏と生稲氏は6月、東京・八王子市内にある旧統一教会、現在の世界平和統一家庭連合の関連施設を訪問しました。当時、生稲氏は7月10日の参議院選挙の投開票に向けて街頭活動などを展開していました。
当日は別の場所で演説を行っていましたが、演説を聞いた人から「他にも仲間が集まっているので、お話を聞かせてもらいたい」と依頼を受け、萩生田氏とともに施設を訪問したということです。
生稲氏の事務所は「新人の立場ですので、より多くの方に政策を聞いていただきたいという思いでスタッフが判断しました」としたうえで、この件以外に生稲氏が教団や関連施設へ訪問したことはないとしています。
一方、萩生田氏は今月2日の会見で過去に教団主催のイベントであいさつしたことは認めていましたが、「地元の皆さんのなかに関係者がいたのかもしれないという認識です」などと述べ、教団側と知ったうえで関係を持ったわけではないとの立場を示していました。
また、今回の件については公表していませんでした。
●旧統一教会をたたけば全てが終わるのか? 8/17
安倍晋三元首相銃撃事件の衝撃は、「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と、誰が・いつ・どう関係したか」という魔女狩りにすり替わり、それも8月10日の内閣改造で一段落した。
しかしそれでは何も学ばないことになる。事件が意味するものは何なのか、政治システムと外交面から吟味してみよう。
あの事件は、戦前の日本で起きた首相・有力政治家の暗殺とは違う。戦前は、日本の行く末に大げさな使命感を持った連中が暗殺に走ったが、今回は個人、そしてその家族の生活を破壊された恨みが山上徹也容疑者を突き動かした。
しかし、旧統一教会の幹部ではなく自民党で旧統一教会の窓口だったとされる安倍元首相を撃ったことで、山上は日本の民主主義体制の暗部を白日の下にさらした。
旧統一教会に限らず、モラルや法に反する団体でも、政治家に票と運動員を提供することでお目こぼしを受けて繁栄し続けることができる。政党のトップに立つ者は、配下の議員たちとそれら団体の関係を取り持つことで権力を維持し、自分の政策を実現していける。
そしてここには、韓国への辛めの対応を主張する自民党の議員たちが、ほかならぬ韓国で発祥した旧統一教会の支援を受け、教団は日本人から資金を巻き上げるというねじれた構造も垣間見える。この構造のしわ寄せで家庭を破壊された者が、構造の頂点に立つ政治家を殺す。
ここでは山上も安倍元首相も体制の被害者に見える。安倍氏は私益のためというより、以前から続く利権構造の中で振られた役割を、清濁併せのむことで果たしていただけなのだから。銃撃事件はギリシャ悲劇のように、大きな運命にもてあそばれて滅んでいく人間たちの物語なのだ。
だが1つ分からないことがある。旧統一教会たたきの論理を突き詰めるなら、安倍元首相の責任も問われるべきだし、国葬の是非も吟味されるべきではないか。
旧統一教会への恨みを安倍元首相に向けるのは論理の飛躍だということで容疑者の山上は精神鑑定中だそうだが、それならば「旧統一教会と関係を持った者は全てバツ。しかし安倍元首相の国葬は不問」という論理も、鑑定を必要とするのでないか?
一方で、銃撃事件を機に自民党の最大派閥である安倍派の弱体化がささやかれるが、それが外交に及ぼす影響はどうか。
645年の蘇我入鹿の暗殺など、奈良周辺で起きた事件は日本政治を変えてきた。入鹿暗殺は外交路線の硬化、唐に対抗した朝鮮半島への介入、そして白村江の戦いでの大敗という結果を生んだ。今回は右派系の声を代表している安倍派が力を失い、穏健系の岸田派が外交・防衛政策の主導権を握る。
核廃絶などの穏健路線は、平時にはいいことだが乱世では危険を招く。「台湾の有事は日本の有事」という安倍元首相の言葉は前のめりにすぎると思うが(台湾に自衛隊の出動を期待させてしまう)、ペロシ米下院議長の台湾訪問後に中国軍が示した行動への対応は日本の無力さを切実に感じさせた。
中国軍が台湾を封鎖する際には、台湾至近の与那国島などを必ず制圧しようとする。今のままでは台湾支援はおろか、日本は自国領である南西諸島の防衛さえおぼつかない。
排他的経済水域(EEZ)にミサイルを撃ち込まれても口先の抗議をするだけだった。むやみに衝突するのは避けるべきだが、中国に警告を発するカードは準備しておくべきだ。
旧統一教会の問題は論理がいろいろひっくり返っていて真面目に考えれば考えるほど混乱する。せめて外交・防衛問題では正常な論理が通るようであってほしい。
●自民党関係者が語る「安倍元首相が統一教会との関係を“党公認”状態に」 8/17
「すべて選挙応援に収れんします。安倍さんは、自民党総裁として、選挙に勝つための、支援組織の一つとして位置づけていたのでしょう。特に参議院の比例区は、雲をつかむような選挙。1万でも2万でも候補者にとってはのどから手が出るほど票が欲しいのです」
国会議員が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と関係を築くメリットを、前参議院議員で統一教会に詳しいジャーナリストの有田芳生さんがこう語る。
統一教会の組織票の投票先を決めていたのは安倍晋三元首相(享年67)だったという。伊達忠一元参議院議長(83)は北海道テレビの取材に対し、2016年の参院選挙で比例区から出馬した宮島喜文氏(71)に統一教会の票を回すように安倍氏に依頼。宮島氏は12万2833票を獲得して当選したが、6万人の信者がいるとされる統一教会の票の存在は大きかったとみられる。
さらに、今年7月の参院選において伊達氏は、ふたたび宮島氏に統一教会の票を回すように安倍氏に口利きを頼んだが、井上義行氏を支援することを理由に断られたという。宮島氏は当選の見込みなしとして出馬を断念、井上氏は当選を果たしている。
選挙経験が豊富な、ある自民党関係者はこう語る。
「支持母体が弱い議員にとっては頼みの綱になりますし、安倍さんにとっても党内で影響力を強めることができます。複数の議員が統一教会と関係を深めたのも、助けてくれるならばなんでもお願いしたいという思いがあったからでしょう」
安倍氏が統一教会との関係を“党公認”状態に
自民党関係者は「票以上に影響があるのは、無償ボランティアの派遣」だという。
「告示期間で使える資金は1500万円から2000万円などと決まっています。ところがカラー印刷のポスターや名刺は、ほとんどゴミになってしまうんですが(笑)、地元のミニ会合などでは何百枚も配り、数百万円かかります。さらに選挙管理委員会に届出したスタッフの給与、選挙カーの手配などで活動資金はなくなり、ボランティア全員の弁当を満足に配ることもできないのが現状。それでも、選挙スタッフの仕事は多忙です。
たとえば『◯◯氏、来たる』のような、大物政治家の応援演説を知らせる立て看板も、電柱にくくりつけます。本当は違反で警察に黙認してもらっているので、演説が終わればすぐに撤去しなくてはなりません。
ポスターが剥がれ落ちたりすると、有権者からクレームの電話がかかってくるので、雨や風の翌日は、朝4時、5時に見回らなければならないんです。こうした条件で働いてくれるスタッフなんて、そうそう見つかりません」
宗教的な動機を背景に非常に勤勉に働く統一教会から派遣されたスタッフは選挙戦の大きな戦力になったという。しかし、そんなありがたい存在だとしても、統一教会は霊感商法や合同結婚式などで社会問題になってきた団体だ。
「かつては統一教会の行事への出席は躊躇されるものでした。ところが、自民党総裁で首相の立場でもあった安倍さんが教団との関係を深めたことで状況は一変。安倍派の議員を中心に、堂々と名前を出して祝電を送り、イベントに参加するようになっていったのです」(自民党関係者)
統一教会の霊感商法の被害額は35年で1237億円、直近5年でも54億円。だが、そんな団体との交際は、もはや“党公認”状態といってもよかった。
「党のトップの安倍さんが堂々とやっているから、議員たちが統一教会との関係を広げることに、党として誰も忠告できなくなったのです」(自民党関係者)
●“ダミー会社”通じて買い取り 旧統一教会の大阪の拠点はもともと市の施設 8/17
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と、政治や行政との関係が取り沙汰されているが、大阪市が所有していた施設を旧統一教会が“ダミー会社”を通じて2011年に買い取り、拠点施設にしていた。当時、市議会などでも指摘されていたが、市は「当時は問題なかった」としている。
日本一の高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)から地下鉄で1駅。幹線道路から路地を入ると、閑静な住宅街にれんが色を基調とした6階建ての建物が立っている。最上階はドーム形の豪華な造りだ。
入り口には、大きな表札のような置物があり、「世界平和統一家庭連合 大阪家庭教会」という文字と、同施設のシンボルマークがついている。
旧統一教会を20年近く信仰し、この建物に出入りしていたこともあるという元信者によれば、
「中は入り口に旧統一教会の創始者、文鮮明の大きな写真が飾られ、3階には立派な礼拝堂がありました。日曜日には信者が集い、祈りがささげられます。他の地域の教会は雑居ビルや民家というところもありますが、大阪家庭教会はすごく豪華です。渋谷(東京都)にある本部の次くらいに立派じゃないかと思います」とのこと。
これだけの土地と建物を、旧統一教会はいつ、どうやって手に入れたのか。不動産登記を閲覧すると、興味深い内容が書かれていた。
1996年に完成した建物は、地上6階、地下1階、延べ床面積は約3300平方メートル。そして、登記の冒頭には「公立学校用地」とある。この建物は、かつて大阪市教職員互助組合の「阪南パラドーム」という研修や福利厚生の施設だったのだ。
50年以上、近所に住んでいるという男性は、「(売却するという話が出た)当時、税金で作った学校の先生の施設を、『統一教会という怪しいところに売ったらアカン』と、反対の声が出ていた。署名も5千人以上集まり、『統一教会反対』などの看板を立てた住民もいたが、大阪市は聞く耳を持たなかった」と当時を振り返り、憤慨する。
大阪市教育委員会によれば、「20年ほど前に、市の財政を改善するための無駄の見直しがありました。必要性がない施設などの処分を検討する委員会が設置され、阪南パラドームも対象となりました。あまり利用がなかったからと推測されます。それを一般競争入札に付したところ、民間企業が落札し、そのまま売却となりました」と説明する。
つまり、ぜいたくな施設で職員厚遇といった批判を受け、2006年に廃止。その後、一般競争入札の流れになった。
大阪市の資料や不動産登記などによれば、08年3月に7億5千万円でY社に売られた。阪南パラドームの総工費は約20億円と大阪市議会には出ており、半額以下での売却だった。その4カ月後には賃貸で旧統一教会が入居、11年に旧統一教会へ売却されている。
Y社の商業登記を確認すると、目的欄には毛皮、宝石、インテリア、呉服、絵画の販売と記されている。
前出の地元住民の記憶では、当初はY社の看板がかかっていたという。
「会社なのに、社員らしい人はまばら。日曜日になると大勢の人がやってくる。貼りだされたポスターなどから、旧統一教会ではないかとうわさになったのです。気がつくと、Y社が旧統一教会に貸していた」
全国霊感商法対策弁護士連絡会の加納雄二弁護士は、Y社の商業登記を見ながら、「Y社は旧統一教会のダミー会社の疑いが極めて濃い。登記の役員欄から旧統一教会の信者、関係者である人物が何人も入っています」と指摘する。加納弁護士が、そのことを示す書類を見せてくれた。
霊感商法で信者からペンダントを58万円で買わされたという被害者の代理人として、被害額を取り戻すための交渉をした際、返済するのは旧統一教会ではなく、信者のA氏が社長を務める会社がすることで合意。書類にサインした会社のA社長は、Y社の商業登記でも役員となっていた。
当時、施設の周辺住民から、退去を求める陳情書が市議会に提出されており、議会でもこの件について、旧統一教会と関係のある会社に市有財産を売却するのは問題ではないかと、論議されたことがある。
08年10月に開かれた議会の委員会で質問に立った田中ひろき市議は、「教育委員会の阪南パラドームの土地が建物つきで一般競争入札に付されて、Y社という会社が落札して売却先となった。この会社が現在、建物を統一教会に貸していることが判明し、近隣の住民の方が大変不安に感じ、大阪市が統一教会を退去させるよう指導してほしい、ということがその陳情書には書かれてあったわけです」などと指摘した。
さらに、「所有権がY社に移ってから1カ月後に、Y社は事業目的に、不動産の売買、賃貸、仲介及び管理と貸し会場の経営を追加していた」として、「これは初めから出来レースというか、ぐるだったのではないかと。地域住民が不安に思うのも仕方がないと感じるわけです。高値であれば少々チェックが甘くても売却すればいいという状況に今なってるとは思うんですけれども、市長自身、どう思われますか」などと述べ、Y社への売却について追及した。
加納弁護士ら弁護士連絡会も、「かねて自治体に、旧統一教会やそのダミー会社との関係を断つように申し入れをしていた」などとして、民間会社との売買契約を解除するよう大阪市に申し入れた。
その点について、改めて市に聞くと、「一般競争入札の参加資格などは教育委員会とは別の部署でチェックします。そこで問題がないとの判断だったのでY社が落札となりました。Y社の役員欄を確認すれば、旧統一教会との関連性がわかった、とのご指摘ですが、当時はそういうルールは大阪市になかったようです」と繰り返した。大阪市の話では、手続き上、問題はないのかもしれない。
しかし、田中市議は、「Y社は、落札するとすぐに、不動産賃貸業などを登記に加えた。最初から、旧統一教会の施設にする目的で落札したのは明らか。大阪市は市有財産を売却するなら、もっと厳しくチェックすべきではなかったのか。周辺では、今も不安に感じている住民がいる。そこに、安倍元首相の事件です。より不安になりますよ」と話し、現在も反社会的な活動の拠点になってはいないか、との不安が拭えないという。
加納弁護士がこう指摘する。
「旧統一教会が、何億円もする施設を買えたというのは、刑事事件にもなっている霊感商法や、信者にうそを言って献金させたカネがあるからです。登記を見ると抵当権の設定もないので、旧統一教会は現金で買っていると見られます。市民の貴重な税金で造った施設が旧統一教会に激安で渡っているのではないか。その施設がまた、強引な献金、霊感商法の舞台となりかねない。行政の責任は軽くない」
市民の財産を売却する際は、細心の注意を払う必要があるはずだ。今後に向けて改善策を講じてほしい。
●旧統一教会系と歩んだ安倍氏「3代」…スパイ防止法を巡る歴史 8/17
続々と明るみに出る国会議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係。ただ、そもそもの話をお忘れではないか。安倍晋三元首相のケースだ。読み解くカギになるのが、いわゆる「スパイ防止法」。法制定を巡る経過をたどると、祖父の岸信介元首相、父の安倍晋太郎元外相、そして当人までの3代にわたり、教団系の政治団体「国際勝共連合」と共同歩調を取った過去が浮かんできた。政権中枢が絡んだ闇の深さこそ、目を向けるべきだ。
岸信介氏「あるときは内密に…」
「岸元首相は、本連合設立当初から勝共運動に理解を示し、陰に陽に支援、助言を行ってきた」
勝共連合の機関紙「思想新聞」の1987年8月16日付1面には、同月7日に亡くなった信介氏の評伝が掲載され、先の一文がつづられた。広辞苑によると、「陰に陽に」とは「あるときは内密に、あるときは公然と」の意。親密ぶりがうかがえる。評伝はこう続く。「スパイ防止法制定運動の先頭に立ってきた…」
この法律は、防衛と外交の機密情報を外国勢力に漏らせば厳罰を下す内容だ。信介氏は並々ならぬ思いを持っていたようだ。
57年に首相として訪米した際、米側から秘密保護に関する新法制定の要請を受けて「いずれ立法措置を」と応じていた。晩年の84年に「スパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会」が発足すると、会長に就いた。
岸氏、勝共連合、そしてCIA
勝共連合の「本気度」もすさまじかった。思想新聞によれば、78年には「3000万人署名」を行い、久保木修己会長は元検事総長や元最高裁判事、元韓国大使らとともに79年発足の「スパイ防止法制定促進国民会議」に参加。以後、勝共連合は全都道府県に下部組織をつくり、地方議会への請願運動を展開した。
思想新聞も連日、「国会への圧力を強めていこう」などと喧伝けんでん。87年の元日紙面では漫画で同法を解説しており、左派と想定した人物を博士風の男性が論破する流れになっていた。
日本のトップだった信介氏、韓国発祥の教団の流れをくむ勝共連合。スパイ防止法を求めたのはなぜか。
「根本的にはCIA(米中央情報局)」と話し始めたのは、御年89歳の政治評論家、森田実さんだ。「アメリカの政策は今も昔も変わらない。反共で韓国と日本の手を結ばせ、アジアを分断しながら戦いを挑ませる手法だ」
信介氏は「米共和党に最も近い人物」といい、旧ソ連と向き合う上で「日本の関連法制では整備が不十分という米側の意向をくもうとした」。勝共連合の方は「権力や金のために日本に食い込むには米側に取り入るのが一番早かった」。
晋太郎氏「自信たっぷりの笑顔で…」
スパイ防止法を巡り、勝共連合と共同歩調を取ったのは晋太郎氏もだった。
85年6月に自民党議員が法案を提出した時には外相で、このころの参院外務委員会では「審議について関心を持っている。そういう方向を打ち出すことも理解できる」と踏み込んだ。
思想新聞を読むと、勝共連合関連の会合に党代表や来賓として再三参加しており、「自信たっぷりの笑顔で『スパイ防止法成立に積極的に取り組みたい』と述べました」と報じられた。
その晋太郎氏は韓国と深い縁を持っていたようだ。
「安倍三代」の著者でジャーナリストの青木理氏によると、晋太郎氏の地元、山口県下関市は古くから朝鮮半島との交流の要衝だった。釜山行きのフェリーが行き交い、今も韓国との玄関口。在日コリアンが多く暮らし、地元の有力な韓国系の実業家も晋太郎氏を支援してきた。
全ては朝鮮半島との関係の中に
青木氏は「勝共連合の結び付きと土地柄は切り離して考えるべきだ」と念押ししつつ、「時代背景もあり、反共というイデオロギーを核に岸さんと旧統一教会が結び付き、晋太郎氏もそのまま引き継いだ事実は間違いない。戦前から戦中、戦後に続く朝鮮半島との関係の中に全てはある」と指摘する。
晋太郎氏は1991年に亡くなった。信介氏の時と同じように、思想新聞は1面で評伝を掲載した。やはり、この言葉で悼んだ。
「安倍氏はまた、故岸信介元首相や福田元首相と同様、陰に陽に本連合に対し支援、助言を行ってきた」
85年提案のスパイ防止法案は野党の強い反発などもあり、このころに成立することはなかった。
「世界情勢は成立へと推し進める流れになかった」。政治評論家の小林吉弥氏はそう話す。冷戦の終結や旧ソ連の崩壊があり「急いで成立させる必要性は薄れた」。信介氏が87年、晋太郎氏も91年と相次いで亡くなり、旗振り役が消えたのも一因という。
晋太郎氏に関しては、力を振るいにくい状況もあった。「外相こそ務めたが、当時首相だった中曽根康弘氏とは党総裁選で競った間。田中派に担がれた中曽根政権で、福田派の晋太郎氏はさほど重きを置かれず、政権中枢と距離があった」(小林氏)
晋三氏の登場と「特定秘密保護法」
晋太郎氏の死から15年たった2006年、晋三氏は首相に就いた。思想新聞はここぞとばかりに「スパイ防止法制定急げ」「法の再上程を」と必要性を訴える見出しを付けた。
安倍晋三政権は07年、海上自衛隊の情報流出疑惑を機に、「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を米国と結んだ。米国と協定を交わした国が秘密軍事情報を共有する際、米国と同レベルの秘密保護が求められる。
短命の第1次政権後、晋三氏は12年末に返り咲いた。翌13年7月の参院選で衆参ねじれ国会が解消したのを受け、力に任せた政権運営を展開。衆参両院で採決を強行して成立させたのが「特定秘密保護法」だ。
防衛や外交の機密情報の漏洩ろうえいを厳罰化する同法は当時、スパイ防止法との類似点が指摘された。知る権利を侵す危うさをはらむが、思想新聞は「安保体制が大きく前進した」と持ち上げた。その一方、諜報ちょうほう活動をより強く取り締まる内容を盛り込んだスパイ防止法を制定するよう促した。
「教団系は自民党のいたるところに」
「晋三氏が秘密保護法を成立させたがったのは祖父、信介氏への思いの強さ、教団との関係性からかもしれない」
旧統一教会に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏はそう推し量る。
ただ、教団と必ずしも考えが完全一致していないとも。「秘密保護法は政府が探られたくないことを追及されないようにした。一方、教団がスパイ防止法で求めるのはより踏み込んだ内容。両者の関係はまだ分からないことが多い。さらなる解明が必要だ」と語る。
名古屋学院大の飯島滋明教授(憲法学)は、晋三氏が対米関係を考え、秘密保護法制定に動いたとみる。「スパイ防止法も秘密保護法も、政府による情報隠しを可能にし、戦争できる国づくりのための法。一気に進めると反発が大きいので、規制できる言動の範囲が限られる秘密保護法を足掛かりとしたのだろう」
共同歩調が浮き彫りになった安倍家と教団系の過去。右派色の強い教団と一国の首相との関わりに、飯島氏は警鐘を鳴らす。
「スパイ防止法が制定されれば、情報の入手はさらに制約される。基地監視はスパイ活動とされ、反基地運動が抑え込まれかねない。教団は自民党のいたるところに食い込んでいる。たださなければ、過去と似た動きが繰り返される」

陰に陽に勝共連合を支援したという晋太郎氏。死去から2年後、同じ山口県の選挙区から立候補したのが晋三氏だ。東京育ちで、選挙区との関わりは希薄。初当選を支えたのは父と縁深い面々だろう。では、勝共連合はどうか。恩返しのごとく、陰に陽に動いたのか。どうにも気になる。 
●「あなたまさか旧統一教会と関係ありませんよね」 社会が踏み絵を迫る 8/17
隠れキリシタン末裔の怒り
親の墓参りにもろくに行かない不届き者なので、他人様がどんな宗教を信じようが関心がない。だから安倍元首相の銃撃犯の供述が旧統一教会への怨恨と報道されたことで、今や日本中が旧統一協会及びそれに関わった政治家をバッシングしているのを見て何だか変だなと思った。
長崎県の黒田成彦・平戸市長は「長崎新聞から統一教会との関係を尋ねるアンケートが届いた」とTwitterに投稿した。黒田氏は「(関係は)ないと答えるがまるで江戸期のキリシタン弾圧の踏み絵のようだ。隠れキリシタンの末裔である私は遺伝子的にこのような踏み絵行為は気持ち悪い」と極めてまっとうな指摘をしている。
「何だか変だな」と思ったのはこれだった。私たちは今、メディア、いや社会から踏み絵を迫られている。これは気持ち悪いことではないか。
共同通信が国会議員712人に旧統一教会への関与を聞いたところ、106人が関連団体へのイベント出席や選挙協力を受けていた事を認めた。岸田首相は先日の内閣改造で前内閣の全閣僚、新閣僚の全メンバーに、教会と関与があったかどうかを点検し、厳正に対処することを約束させた。
この措置が甘すぎるという批判があるわけだが、だったら関与がある人は全員辞めてもらったらどうか。あるいは与野党で106人が関与しているのだから全員が責任を取ったらどうか。議員辞職して解散総選挙をするというのも一つの手だろう。だがそんなことを言う人は与党はもちろん野党にもメディアにもいない。
「宗教国会」を開きますか?
問題は政治が宗教を特別扱いしたかどうかなのだが、今のところそのような「証拠」は見られない。一時、政治が名称変更を無理に許したと言う人がいたが、名称の変更を許可しない方が違法だという指摘に納得した。
この旧統一教会問題は国会の閉会中審査や10月の臨時国会で焦点になりそうなのだが、立憲の蓮舫氏は「『焦点になりそう』ではなく、『焦点にする』です」とTwitterに投稿している。
焦点にするのは賛成なのだが、もしやるなら他の宗教団体についても取り上げなければいけない。山上容疑者の母親が教会に1億円のお布施を払ったのがダメなのなら1000万でもダメなのか。100万ならいいのか。そもそもお布施の額を政治家や他人が決めていいのか。
旧統一教会の人が議員秘書だったという批判があるが、秘書を雇う時にその人の宗教を聞いてもいいのか。それは信教の自由に反するのではないか。あるいは宗教法人はなぜ無税なのか、など根本的な議論も必要だ。宗教のことを話し合うならフェアにやらなければいけない。そうすると次の臨時国会は「宗教国会」になってしまうのだがみんな本当にそれを望んでいるのならやったらどうか。
●“活動報告書”が示す痕跡、旧統一教会関連団体が公共施設で「大会」〜福岡 8/17
旧統一教会の関連団体とされる「世界平和女性連合」がイベントなどのために福岡市の複数の公共施設を頻繁に使用していることが分かりました。
「旧統一教会の関連団体とは知らなかった」とする福岡市のチェック体制について、霊感商法の問題に詳しい弁護士は対応の甘さを指摘しています。
「草の根ボランティア活動」をうたう福岡支部
旧統一教会=世界平和統一家庭連合の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が1992年に創設したNGO世界平和女性連合。その支部が福岡市にもあります。
九州北部豪雨の被災地などで生活必需品や食料品を詰めた「愛の福袋」を手渡しするなどの女性の特性を生かした草の根のボランティア活動を行っているとうたっています。
霊感商法問題に詳しい紀藤弁護士「世界平和女性連合は、旧統一教会の活動のいわば婦人部隊として中核的な組織なんです。勧誘されて、そして旧統一教会に入って高額な被害にあったという人もいます」
「活動報告書」で判明、公共施設の利用
RKBは世界平和女性連合福岡の2015年から2020年の活動報告書を入手しました。
報告書によると、アフリカ・ルワンダを支援するためのバザーや留学生の日本語弁論大会などと題する多くのイベントで福岡市の公共施設が定期的に利用されていたことがわかります。
2016年3月に「あいれふ」で行われた講演会で講師を務めた青津和代氏は、旧統一教会の政治団体国際勝共連合の幹部とされる人物です。
紀藤弁護士「青津和代氏は旧統一教会の古参信者で、選挙対策を担う重要なセクションにいます」
また、同じく2016年3月にさざんぴあ博多で行われた支部長・教育部会議では、旧統一教会の信仰教育についての本を出版した前田千代子氏が講師を務めています。
紀藤弁護士「悩んでる落ち込んでる信者を再洗脳するために中央修練所に送り込むという旧統一教会の中での教育的な役割を担うセクションの中での幹部の1人。ちなみに前田千代子さんは光言社というところから本を出してますけど光言社自体が旧統一教会系の出版社で、これも調べればすぐわかります」
ほかにも、世界平和女性連合は2016年4月からNPO・ボランティア交流センター「あすみん」の登録団体となり、自己抑制教育勉強会や集会などで使用しています。
ネット検索でわかる「行政は調査不足」
施設の利用にあたっては「営利活動・宗教活動・政治活動および選挙活動を目的としない」とされていて、事前に内容が審査されます。
福岡市の担当者は「世界平和女性連合が旧統一教会の関連団体とは知らなかった」「申請内容に問題はなかった」と話しています。
紀藤弁護士「単純な調査不足だと思いますね。インターネットで検索すれば簡単に世界平和女性連合が旧統一教会系の団体であることはすぐに分かる。公的な団体が場所を貸すと、これは被害の拡大に行政が加担したということも当然考えられる」
市民活動を装い布教?福岡市が調査へ
こうした事態を受け15日、市民団体が福岡市に対し要望書を提出しました。世界平和女性連合を「あすみん」の登録団体から解除するよう求めています。
人権問題を考える会・近藤将勝代表「表向きは宗教活動ではないんですけど、布教活動を前提とした活動である可能性が非常に高くて、まず団体登録を取り消していただきたい」
ボランティアなどの市民活動を隠れみのに布教や政治活動が行われていなかったのか。福岡市は事実関係を調査・確認し適切に対応するとしています。
RKB毎日放送からのご報告
去年3月、福岡県糸島市で「SDGsイノベーション」と題するイベントが行われ、RKB毎日放送も後援しました。主催者である「YSP福岡=世界平和青年学生連合・福岡支部」からの依頼を受けたものですが、この団体は、旧統一教会の関連団体だったことが外部からの指摘で判明しました。RKB毎日放送は、当時、旧統一教会の関連団体との認識はありませんでしたが、今後はより慎重に対応してまいります。番組では、旧統一教会の問題について、引き続き取材を進めていきます。
●統一教会だけではない宗教2世問題 エホバの証人、幸福の科学、創価学会 8/17
安倍晋三元首相の殺害事件で逮捕された山上徹也容疑者は、自身の母親が信者である統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に深い恨みを抱いていた。そして彼のような、いわゆる「宗教2世」に注目が集まっている。以前から当事者や支援者、研究者の間で議論されてきた、統一教会以外の宗教団体も含めた「2世問題」とは何なのか、改めて整理したい。
統一教会の2世問題
統一教会の田中富広会長は、7月11日の記者会見で、山上容疑者の母親が信者であることを認めたが、山上容疑者については「会員」ではなかったとしている。一方、後日行われた統一教会の礼拝では、山上容疑者が2、3度、施設に赴いて教えに触れたことがあると説明した。
実際、宗教2世は、正式な信者になるか否かは関係なく、親の信仰の影響を受ける。統一教会2世のA子さんは、こう語る。
「子供は親がいなければ生きていけません。親から信仰を求められれば、逆らうことなどできないのです。それに私は、親に幸せになって欲しいという思いもあったので従いました。私と違い、親の求めに逆らって早くに家を出たきょうだいもいました。入信しなくても、やはり人生は大きく影響を受けます」
Aさんは合同結婚式で結婚し、子供もできた。しかし、夫のDVや借金のために離婚。統一教会の信仰も捨てた。生活保護の受給期間を経て、いまは仕事に就いている。
「私の母は、私の子供(母親から見て孫)に信仰を持たせようとしてきました。子供を守るために、親と縁を切らざるを得ませんでした」(Aさん)
統一教会では、合同結婚式で「祝福」を受けた夫婦の間に生まれた子供には「原罪」がないとされる。また「教えに反して罪を犯せば、代々の子孫までもが地獄で苦しみ続けたり自分や家族が不幸に見舞われたりする」かのような教えで、信者に不安や恐怖と表裏一体の「熱心な信仰」を煽る。追い込まれた親たちが、献金だけではなく子供や孫など、立場が弱くコントロールしやすい相手を巻き込むのだ。
かねてより問題視されてきたテーマ
宗教2世問題は統一教会に限らない。以前からエホバの証人(ものみの塔聖書冊子協会)における虐待も問題視されてきた。
輸血の拒否、学校教育での剣道や柔道といった武道の授業の受講拒否、運動会の騎馬戦など「戦い」に関わるものへの参加禁止。クリスマスその他の行事への参加や、国家・校歌を歌うことも禁じられる。言いつけを守らない場合は親からムチで打たれる。
かつては大学などの高等教育への進学も禁じられていた。高卒で信者が経営する企業に就職し、労働は週3日で残りは伝道活動、といった生活スタイルに入る2世もいる。自由な恋愛もできない。
教えに反した行動や言動をとると、場合によっては未成年でも「排斥」等の処分がある。排斥になると、親でも接触を拒む。親子関係が断絶させられてしまうのだ。
排斥されたにせよ、自ら信仰を捨てたにせよ、教団を離れれば社会経験が乏しい大人として一般社会に出ることになる。
子供の学歴まで囲い込む宗教団体
幸福の科学では、日常生活上の特殊な戒律や、暴力やネグレクトを推奨する教義はない。しかし、教団施設内の学習塾、幸福の科学学園(中学・高校)、大学としての認可を得ていないハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)で、組織的に2世信者を囲い込む。
学園では、歴史の授業ですら「坂本龍馬の過去世は劉備玄徳」「シュメール文明の王は宇宙人の指導を受けていた」といった類の、教祖の「霊言」に基づく歴史観を教える。教育基本法によって学校による政治教育や政治活動は禁じられているのに、同学園では幸福実現党を支持する授業もある。
卒業生たちは、多い年には8割もHSUへ“進学”する。中には有名大学の入試に合格したものの、それを蹴ってHSUに行く人もいる。
自ら不合理な選択をさせる
教団から、2世が親や教団から、こうした進路を強要されたり婉曲な圧力を受けたりするケースも稀にあるが、全体的には幸福の科学学園では多くの2世が自ら望んでこうした進路を選んでいるように見える。親と教団から、そうすることが素晴らしいのだと教育された結果だ。
だが、一定の年齢になると、自身の境遇に苦悩するようになる2世もいる。HSUは大学ではないから、「卒業」後の就職も一般の新卒者のようにはいかないためだ。
創価学会の場合、教義や団体の性格からいって、系列の学校の実情は幸福の科学と同一視はできない。教義や団体への批判はあるとしても、過去世や宇宙人を云々する幸福の科学ほど世界観が浮世離れしているわけではない。仮に学校で教義を教えたとしても、創価学会の場合はそこまで突拍子もない教育にはならないだろう。エホバの証人のような、子供の生命や健康に直結する戒律等があるわけでもない。しかしそれでも、2世問題はある。
熱心に勤行(お題目を唱えること)をすれば功徳があるとされる反面、教えに反すれば「バチ」が当たるという考えも強調される。不安や恐怖が表裏一体の状況も生まれやすい。他宗・他教を邪宗・邪教として否定する教えを刷り込まれた2世の中には、「神社の鳥居をくぐると頭痛がする」ようになり、修学旅行も満足に楽しめなかったという人もいる。幹部の子供が意思に反して創価大学への進学を強要される等の例も聞く。
2世たちが口にする「信仰の強要」という言葉には、こうした要素も多分に含まれている。法律用語のような意味合いの「強要」だけでは理解できないのだ。
問題は、子供を不合理な選択に向かわせたり追い詰めたりする宗教団体や親のあり方だ。少なくとも、これほど広範囲に問題を生んでいる現状を「しつけ」「教育」「親の養育権や信教の自由」の名の下に、社会の側が黙認・公認していいはずがない。
社会の側の課題も
2世たちは、信仰ゆえに幼少期にいじめにあう経験もしている。もっとも、彼らをいじめるのは子供ばかりではない。
前述の幸福の科学学園のケースでは、履歴書に「幸福の科学学園卒」と記される。卒業後に一般の大学に入り信仰を捨てた2世ですら、バイトの面接や就職活動で企業側の担当者からからかわれた経験を語るケースがある。大学の教員から他の学生たちの前で、ネタとして暴露されたという2世(その時点ですでに脱会済みだった)もいる。
信仰を捨てた2世のみならず現役の信者に対しても、信仰を理由としたいじめは差別以外の何物でもない。
学歴の問題や精神的ダメージ等、直接の原因は2世ごとに多様だが、生活の糧を得ることにも苦労するケースも珍しくない。さしあたって重要なのが、生活保護制度の拡充や、親に住民票を閲覧させないようにする制度(DV被害者等を想定した支援制度)などだ。
私自身もある2世の手続きに付き添ったことがある。その時は窓口の担当者が非常に丁寧に応じてくれた。しかし人づてに聞く話では、別の自治体で「親と話し合ってみて」などと言われ断られたケースもある。信仰を強要する親から逃れて人生を立て直そうとしている2世に対して、こんな残酷な「無茶振り」はない。こうした対応も、2世たちの孤立感を深めてしまう。
宗教2世問題を、一種の虐待として理解できない役所の問題もあるが、そもそも全国共通の明確なガイドライン等もない。
宗教2世たちに苦痛を与え人生を狂わせているのは、直接には親や宗教だ。しかし社会の側にも、いくつもの課題があることを知っておくべきだろう。
●韓国の旧統一教会が大規模抗議集会へ 在韓日本人ら4000人参集 8/17
韓国の旧統一教会は18日、ソウルで“大規模な抗議集会”を開くと発表しました。
旧統一教会=世界平和統一家庭連合は18日午後2時からソウルで抗議集会とデモ行進を実施すると発表しました。
デモは市内中心部や日本大使館前などで行われるとみられ、韓国在住の日本人ら4000人余りが集まるとしています。
目的については「安倍元総理の逝去についての立場や、宗教弾圧・拉致監禁を巡る日本メディアに対する立場を明らかにするため」などと主張しています。
●旧統一教会系に会費6万円 自民萩生田氏、継続的な関係か 8/17
自民党の萩生田光一政調会長の資金管理団体「はぎうだ光一後援会」が2012年と14年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体に会費を支出していたことが17日、分かった。萩生田氏が代表を務める自民党東京都第24選挙区支部も15、17両年に同様の名目で支払い、いずれも3月で計6万円を支出していた。教団関連団体との継続的な関係性を疑わせる支出が明らかになった。
萩生田氏は、死去した安倍晋三元首相の最側近として知られる。今月の内閣改造・党役員人事で経済産業相から党要職の政調会長に就任しており、説明責任が問われそうだ。
●半島ルートが存在か。統一教会問題で語られぬ岸家と北朝鮮の関係 8/17
連日メディアを賑わせている旧統一教会問題。しかし、そこでは最も重要な論点に触れられていないという意見も上がっています。今回のメルマガ『 モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版) 』では著者でジャーナリストの伊東森さんが、かつてマスコミが旧統一協会をタブー視していた実態と、警察庁の強制捜査が政治家による圧力で縮小されたという証言を紹介。さらに旧統一教会問題を語る際に避けて通れないはずの「北朝鮮利権」について解説しています。
統一教会、会見で開き直る その会見は教団の常套手段 統一教会は「日本のタブー」のひとつ 北朝鮮問題とも関係か
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)が10日午後、1カ月ぶりとなる会見を日本外国特派員協会で開いた。ただ、約1時間15分の時間のなかで、田中富弘会長は司会の静止に3度応じず、主張を続けるのみ。
会見の冒頭、田中富弘会長は、「2022年7月8日、安倍晋三元首相が凶弾に倒れられた。犯人とされる容疑者が当法人・家庭連合への恨みを動機として行動に出たという報道に触れ、私どももとても心重く受け止めている。社会の皆さまにも様々にお騒がせしていることに深くお詫び申し上げる」と頭を下げる。
しかし、その後は、「過剰なメディア報道によって、当法人の信徒から様々な被害が報告されている」「一部メディアが発信しつづけている霊感商法なるものは、過去にも現在にも行ったことはない」「名称変更の認証に関する政治的圧力や介入、不正があったかのような一方的な憶測報道がなされているが、事実ではない」「当法人が殺人や暴力を実行し、助長したという事実・事件は皆無だ。事実に反する内容、憶測に基づいた内容を報道することのないように要請する」と、繰り返しメディアの報道姿勢を批判。その姿は、かつて統一教会側が繰り返してきたメデャイア批判の“テンプレート”と何ら変わりはかった。
   目次
•日本のタブー 「電通、創価学会、朝鮮総連、ディズニー、ジャニーズ、食品環境ホルモン、コンビニ弁当、統一教会」
•ある信者の主張からみる、統一教会の“常套手段”
•自民党と統一教会 最重要論点は「北朝鮮利権」か
日本のタブー 「電通、創価学会、朝鮮総連、ディズニー、ジャニーズ、食品環境ホルモン、コンビニ弁当、統一教会」
会見の姿からは、かつてのメディアを“恫喝”していた統一教会の姿がよみがえる。メディアにはさまざまな“タブー”が存在するが、統一教会もその一つだった。
「2006年、ある情報番組の出演で、一般ニュースにコメントする仕事の際、制作サイドから『これらを口にするときは内容に気をつけてほしい』と渡されたリストがあった。そこには広告代理店の電通、創価学会、朝鮮総連、ディズニー、ジャニーズ、食品環境ホルモン、コンビニ弁当など、多数のワードが並び、そこに統一教会もあった」(片岡亮(*1)2022年8月2日)
警察による統一教会への本格的な追及が始まったのは2005年ごろとされる。しかし、
「警視庁は当初、統一教会の松濤本部までガサ入れする方針だったのに、警察庁出身の自民党有力議員から圧力がかかり、強制捜査は渋谷教会などにとどまった。この話はいろんなところから何回も聞きました」(山口広(「全国霊感商法対策弁護士連絡会」代表世話人)日刊ゲンダイデジタル(*2)2022年8月1日)
だという。
ある信者の主張からみる、統一教会の“常套手段”
ある統一教会信者が書いたと思われるブログがある。そこには、まずこのサイトを作ったきっかけとして、統一教会に反対している友人から「なぜ 統一教会をやめないの?」と聞かれました。
なぜやめないのか。言われてみると、確かに。他人から見ると不思議なのでしょうね。
洗脳されているのか、脅迫されているのか、頭がおかしいのか。
そのように見えるようです。
私は、一瞬考えましたが、やはり、“好き”なのです。
統一教会や、統一原理(文鮮明先生の教え)が、ものすごく好きなのです。
友人に「統一教会が好きなんだ。」と言ったら、びっくりしていました。
友人は、「統一教会をやめると地獄に行くなどと、脅迫されているのかと思った。」と言っていました。
信仰の自由が保障されている日本で、脅迫などで30年以上も信仰を強要することなど不可能です。
そして、30年以上も脅迫され続けているとしたら、精神病になってしまうのではないでしょうか?
世の中の人たちは、このように誤解しているのだな。。と感じました。
とある。
またサイトには、統一教会会員が キリスト教牧師の指導の下 拉致 監禁されています。
と書かれてある。要は、「自分たちの信仰が(外部の人間により)失われている」という主張は、ある意味、統一教会の常套手段なのだ。
自民党と統一教会 最重要論点は「北朝鮮利権」か
連日報道される統一教会問題であるが、あまりそこで論じられないのが北朝鮮についての論点だ。
統一教会の創始者・文鮮明氏は、そもそも現在の北朝鮮の平安北道の出身。
1954年に韓国で教団を創設し信者を増やしてきた一方、1991年に北朝鮮側の招聘により、北朝鮮を電撃訪問。文氏は当時の主席である金日成と会談し、南北の離散家族を探す事業の推進などで合意した(*3)。
その後、金正日、金正恩氏らと良好な関係を築く。一方、北朝鮮側も、統一教会の資金力に加え、米共和党へのコネクションを利用する思惑もあった。
山口大学の纐纈厚名誉教授(政治学)は東京新聞の取材に対し、「岸(信夫)氏や兄の安倍氏の選挙区がある山口県は、朝鮮半島に近い。岸一族はさまざまな『半島ルート』を持っている」(中山岳・中沢佳子 2022年7月30日)と指摘。
実際、2002年の拉致被害者5人の一時帰国に当時、官房副長官として小泉純一郎首相と同行したのは、安倍晋三氏であった。
また、安倍氏の選挙区には米軍と海上自衛隊が共同使用する岩国基地がある岩国市も含まれる。
「教団側が(選挙の際に)電話作戦をしたのなら、岸氏の事務所から支持者名簿が教団に渡っていないか。それかどこまで流れたのか、検証しなくては」(纐纈氏、中山岳・中沢佳子 2022年7月30日)とした。
●河野太郎大臣が旧統一教会問題斬り込み「得意のスタンドプレー」 8/17
17日のTBS「ひるおび!」では、河野太郎消費者担当相が就任会見でさっそく、旧統一教会を巡る霊感商法の被害対応に関して、消費者庁に霊感商法の検討会設置を表明し、設置指示したことを取り上げた。
番組では、政府としては法務相主宰で「旧統一教会問題関係省庁連絡会議」を発足すると説明。TBSスペシャルコメンテーターの星浩氏は、河野氏の動きを「得意のスタンドプレー」とし、「消費者庁は日常業務で霊感商法だとか法外献金の問題などをやれるわけですから、とりたてて検討会を立ち上げる必要はない」と述べた。
「官邸の方も普通、屋上屋のようなことになり、びっくりしますよね」と語った。
司会の恵俊彰が「いま政治と旧統一教会の距離感が問われている中で、向き合っていることのアピールということですか」と聞くと、星氏は「その意味合いがほとんど全てでしょうね。既存組織で十分対応できて、クレームの窓口もある」と語った。
●自民党・生稲晃子参議院議員 旧統一教会系施設への訪問認める  8/17
7月の参議院選挙で初当選した自民党の生稲晃子参院議員は8月17日コメントを発表し、6月に旧統一教会の関連施設を訪問したことを認めた。
生稲氏の事務所は17日、旧統一教会との関係を巡り「6月に指摘されている団体の関連施設に萩生田光一議員と伺った事は事実だ」とするコメントを発表した。
その上で「当時演説を聞いている方から『他にも仲間が集まっているのでお話を聞かせてもらいたい』との依頼があり、新人の立場なので、より多くの方に政策を聞いていただきたいという思いで、スタッフが判断した」と訪問の経緯を説明した。
一方で、「生稲本人は今まで指摘されている団体及び関連団体との関わりは一切ないし、この件以外に指摘団体及び関連施設へ訪問した事もない。
今後は、指摘団体との関わりがないよう慎重に行動するとともに、スタッフの認識も含め徹底していきたいと考えている」と強調した。
●安倍元首相国葬で「黙とう要請」「ギャンブル中止」になるの? 猛批判 8/17
9月27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬は、まだまだ未定な部分が多いようだ。8月17日、時事通信が「国民の黙とう『検討中』 公営賭博中止『未定』―追悼呼び掛け、政府手探り・安倍氏国葬」という記事を配信。国葬まで1カ月半しかないにもかかわらず、葬儀の具体的な内容があまり詰められていない様子が明らかになった。
記事によると、企業や学校などに対し、追悼のため弔旗掲揚や葬儀中の黙とうを要請するかどうかについて、「葬儀の在り方は現在検討しているところであり、現時点でお答えすることは困難」と記すにとどめ、国葬当日に競馬・競輪といった公営ギャンブルの中止を求めるかどうかについて「現時点では決定していない」と回答した。
戦後に「国葬」がおこなわれたのは、1967年10月31日、東京・千代田区の日本武道館で執りおこなわれた吉田茂元首相のみだ。
『国葬の成立 明治国家と「功臣」の死』(勉誠出版)の著者で、国葬研究の第一人者である中央大学文学部の宮間純一教授は、本誌の取材にこう語っていた。
「1967年の吉田茂元首相の国葬の際には、弔旗を掲げること、黙とうを実施することが要請され、官公庁・公立学校はできるだけ半休することとなりました。
また、官公庁は公の行事や儀式、その他歌舞音曲をともなう行事は差し控え、民間企業や一般国民にも自粛するように『お願い』が出されています。弔意の表明を『強制』することはできませんから、今回もなんらかの要請があっても『お願い』になると思います」
1975年6月に日本武道館でおこなわれた佐藤栄作元首相の国民葬でも黙とうの要請があったという。
「佐藤氏の郷里・山口県の教育委員会が、(1)各学校は弔旗を掲げること、(2)教職員、生徒は黙とうすること、という通達を出しました。
これを受けて、ある小学校では校長が全校朝会で、佐藤氏の業績と国民葬の意義を説明し、通達に従うことを決めたところ『個人の思想的自由を侵害する』と山口県教組から抗議を受けています。
今回も政府は『弔意を示すことは任意だ』と言うでしょうが、受け止める側がそうだとは限りません。黙とうを強制した・しないで、身近な人間関係のなかでトラブルが起きる可能性があります」(同)
黙とうを要請する可能性、また公営ギャンブルを中止する可能性が報じられると、ネット上では批判の声が巻き起こった。
《統一教会の件自体何も進展してないし、むしろ解決する気もないんだし 一番関わってた人に黙祷なんて出来ないわ》《旧統一教会の件を自民党含む日本政府がちゃんと回答改善せん現状でなんで黙とうを日本国民全員が強要されなあかんの?》《そもそも国葬自体、統一教会問題を徹底的に調べて潔白を証明してからじゃないと賛成できない》《手探りで国葬やるくらいならしっかり練った上で来年でええと思う 黙祷の強制とかギャンブル停止とかおかしいやろ》
政府は8月15日、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と閣僚ら政務三役の関係について「個人の政治活動に関するもので、調査を行う必要はない」とする答弁書を閣議決定した。いまのままで、黙とうをお願いされても、心から黙とうする気になれる人は少ないかもしれない。

 

●対カルト、日本はどう向き合うべきか。アメリカは市民活動、フランスは法規制… 8/18
多額の献金によるトラブルや家族の断絶を引き起こすなど、反社会的な性格を持った一部の宗教団体は「カルト」と呼ばれている。
安倍晋三元首相銃撃事件では、山上徹也容疑者(41)が凶行に及んだ動機について、母親がはまり込んだ世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みだったことが指摘されている。勧誘方法や集金システムが問題視され、元信者から起こされた訴訟にも相次ぎ敗訴してきた旧統一教会だが、これまで規制は加えられてこなかった。
宗教観や歴史は国ごとに異なり一筋縄ではいかないカルト対策だが、カルト問題を研究している北海道大大学院の桜井義秀教授や、宗教と政治の関係に詳しい東京大伊達聖伸教授への取材などから、フランスとアメリカの状況を紹介し、日本が取り得べき方向性についてまとめてみたい。(共同通信=水谷茜)
900人以上の死
伊達教授によれば、20世紀後半になると、欧米では日曜礼拝など、通うのが当たり前とされていた教会から距離を取る人が出始めた。さらに急速な近代化に疑問を持ち、自然回帰の志向を持つ人たちの一部が、新しい宗教によりどころを求めた。
桜井教授の著書「カルト問題と公共性」によると、欧米の人々がカルトに目を向ける大きなきっかけになったのが、1978年に南米北部のガイアナで起きた事件だった。
教団は70年にアメリカで作られた「人民寺院」。元々プロテスタントの牧師だった教祖ジム・ジョーンズが社会主義に傾倒し、独自の宗教観を創り上げた。しかし、報道などで実態が知られるにつれ、国内で摩擦やいざこざを生じるようになった。ジョーンズは北ガイアナに作った村「ジョーンズタウン」で、革命的自殺と称して、多数の子供を含む900人以上の集団自殺(一部は他殺)を引き起こした。
勢いを失う市民活動
それでは、米国ではカルトにどう向き合ってきたのだろうか。桜井教授によると、市民運動が大きな役割を果たしてきたという。信教の自由が保障されている米国では、市民が自由に社会活動を行う中で自然と秩序が生まれていくとの考えがベースにある。行政は宗教団体に介入しない。自由競争が優れたものを生み出すという米国式の価値観のもとでは、伝統的な宗教も新宗教も対等な扱いが求められる。
一方で1980年代になると、新宗教の実態が報道などで明るみに出て、入信した子供を取り返そうとする親たちによる草の根運動が盛り上がった。反カルトの動きも組織化されていった。
信者の脱会の取り組みやカルト批判が盛んになった一方で、当のカルトから「信者をカルトから引き離して隔離し、洗脳から解放する強引な℃阮@が取られている。人権侵害だ」などと非難され、損害賠償訴訟を起こされる事例も相次いだ。最も有力な反カルトのグループは100万ドル以上の賠償を命じられ、破産した。
ただ、こうしたカウンターの動きにより、「アメリカの反カルト運動では脱会カウンセリングが難しくなった。多文化主義の社会なので、反カルト運動も宗教に対する不寛容として批判にさらされてしまう」と、桜井教授は指摘する。
信教の自由VS精神の自由
フランスはアメリカと対照的で、反セクト法を備える。フランスではカルトのことを、セクトと呼ぶ。海外から流入する新宗教によって信者が精神操作を受けているのではないかと疑ったフランスでは、議会が1995年にカルトに関する踏み込んだ報告書をまとめた。
セクトの定義として、(信者に)法外な金銭的要求をする/反社会的な説教/裁判沙汰が多い/行政への進出を企てる、など10の基準を示したのだ。
報告書は危険視する団体を100以上名指ししたことでも注目された。この中に旧統一教会も含まれる。一方で報告書は、「信教の自由」を侵害するとして、専門家や他国からは批判を受けた。
カルト対策を取る際、常に立ちはだかるのが信教の自由の壁だ。そこで、信教の自由に対抗して「精神の自由」を掲げた。精神の自由とは、個人の自由意志が守られている状況を指し、桜井教授は「他人から見ても『(当人が)自由に考えられる中で、その宗教を信じている』かどうかが大事であるとの発想に基づく」とした上で「精神の自由の方が信教の自由より普遍的と考えられているので、精神の自由を守る国家が宗教に介入することができると考えられている」と解説する。
一方、伊達教授は背景に政治と宗教の歴史的な関係性が影響していると指摘する。フランスはかつてカトリックが国教で、宗教が国の主権をも脅かしかねないと懸念され、1905年の政教分離法で政治権力は宗教的な権威から距離を置くことが定められた。
こうした経緯から、伊達教授は「政治的な権力を構成する一人一人の市民が自分の判断で思考し、宗教的な自立性を持つことが重視されている」と話す。個人より団体の利益を重視する傾向を持つセクトは、精神の自由と対立する存在なのだという。
フランス議会はさらに2001年、違法行為があった場合に直接関わった人物を罰するだけでなく、法人の解散まで命じられる「セクト規制法」を成立させた。95年に名指しされた団体で解散に追い込まれた例はないが、桜井教授は「国として、セクトに対する強い意志を示した象徴的な法律だ」と評価する。
曖昧な宗教観でカルトに立ち向かう
カルトを規制する法がなく、宗教に対する国民認識も曖昧な日本では、どのような対策が考えられるだろうか。
戦前の日本は1925年に成立した治安維持法などに基づき、反体制の団体・活動家などを国が強権で取り締まった。加えて宗教団体へも介入、規制した。19世紀末に始まった神道系の新宗教を例に取れば、信徒を増やす中で、二度にわたり当局から激しい弾圧を受け、多くが投獄されるなどし壊滅的な打撃を受けた。
桜井教授によると、その反省から戦後は公権力の行使は抑制的となり、現在も宗教団体を監視したり統制したりする権限を持つ役所はなく、法律もない。そのため、フランスのように法でカルト規制に取り組むことは難しい、と指摘する。
唯一の例外はオウム真理教だ。14人が死亡、6000人以上が被害を受けた1995年の地下鉄サリン事件を始め、弁護士一家殺害事件など数々の事件を引き起こして教団幹部13人の死刑が執行された。
宗教法人法に基づいて東京都知事が東京地裁に解散命令の請求を行い、最高裁で解散が決定し、アレフやひかりの輪などの後継団体に対しては、団体規制法に基づく観察処分が現在も続いている。
桜井教授は、日本人が宗教批判をタブー視する傾向にあることがカルト対策を考える上で壁になっている、と指摘する。欧米では生活の中に宗教が身近にあり、「正統な宗教」を明確に捉えることができるのに対し、日本では「宗教に対する心構えなど家庭でも教育でも教えらておらず、宗教が『敬して遠ざけられる』一方である」(桜井教授)。そのために、カルト問題も認識しづらくなっているのだという。
「困難はあるが…」としつつも、桜井教授は「日本社会がカルトに対して無力ということではない」とも強調する。例えば、カルトは大学生への勧誘活動などが問題視されているが、今回の安倍元首相銃撃事件の報道をきっかけとしてカルトの実態に社会が関心を持ち、入信者や献金が減れば、教団の力は衰える。さらに「カルトと関わりのある政治家を選ばないことで、教団は味方を失う」とも指摘する。
桜井教授は「『国が、行政が』と言うのではなく、市民一人一人が社会をつくる気概と宗教リテラシーを持って、カルト問題に臨んでほしい」と語った。
●桜田淳子デビュー50周年 旧統一教会「広告塔ではない」主張も空気一変 8/18
歌手の桜田淳子(64)のメモリアルイヤーに暗雲が垂れ込めている。安倍晋三元首相の銃撃事件に端を発した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる一連の騒動は広がるばかり。そんな中、懸念されているのが、来年デビュー50周年を迎える桜田の動向だ。かねて旧統一教会の広告塔≠ニ位置づけられ、40周年イベントでも物議を醸しただけに、全国霊感商法対策弁護士連絡会も警戒を強めている――。
「花の中三トリオのうち、森昌子、山口百恵は芸能活動を終了していますが、終了宣言していない桜田だけは現役≠ナすからね。ファンも喜ぶことでしょう。デビュー40周年をやったのに、区切りの50周年をやらないのは逆に不自然ですよ」
そう話すのは桜田の関係者だ。
1973年に「天使も夢見る」でデビューした桜田は、またたく間にトップアイドルになった。8枚目のシングル「はじめての出来事」でオリコンチャート1位を獲得すると「十七の夏」「わたしの青い鳥」「サンタモニカの風」などヒット曲を量産。役者としても才能を開花させ、映画「スプーン一杯の幸せ」を皮切りに主演作を次々こなし、80年の舞台「アニーよ銃をとれ」で女優の地位を不動のものとした。
ところが、そんなトップアイドルの芸能人生が暗転したのは92年。自身が旧統一教会の信者だと明かした上で、合同結婚式に参加したから世間は仰天した。
「当時からすでに旧統一教会の霊感商法が社会問題になっていました。にもかかわらず、スターの桜田が現役信者として合同結婚式に参加したため大騒ぎになりましたね」(ワイドショー関係者)
婚姻後、散発的にマスコミをにぎわせることはあったものの、桜田は芸能界とは一線を引いていた。ところが2013年5月に、かつて所属していたサンミュージック会長の通夜に参列。16年半ぶりに公の場に姿を現すと、同年11月にデビュー40周年イベントを東京・銀座博品館劇場で行ったのだ。
イベント関係者は「お客を前にステージに立つのは何といっても22年ぶり。往年のファンだけではなく、クリス松村や太川陽介が見に来るなど大盛況に終わりました。桜田さんの持ち歌には、故阿久悠さんの名曲もいっぱいある。(50周年の)メモリアルコンサートを手掛けたい芸能関係者はいっぱいいるはず」と話す。
だが、桜田が旧統一教会の事実上の広告塔≠務めてきたのは周知の通りだ。入信の動機付けや、信者間の士気の高揚に全く役立たなかったとは考えにくい。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の山口広弁護士も警戒を強める。
「50周年なんて断じて許されませんよ。実際、教団内で歌をうたったこともありますし、桜田さんの影響は本当に大きいんです。だからこそ、我々は40周年の時にも会見を開き、抗議声明を発表したんですから」
現在バッシングの渦中にある旧統一教会だが、桜田が50周年コンサートを開催すれば、世間に信認された≠ニ誤解を与える恐れもある。
では、家庭連合はどう考えているのか。
まず、桜田の芸能活動については「当法人が一信者である桜田淳子様の芸能活動に関与することは一切ございません」と無関係を強調。教団施設内や主催イベントで歌唱したことについては「桜田淳子様のご好意で過去に一度だけあったと記憶しております」と認めた。ただ「当法人が桜田淳子様を広告塔として扱った事は過去から現在に至るまで一度も御座いません」と否定した。
物議を醸しそうな来年の50周年。桜田は公の場に姿を現すのだろうか。
●生稲晃子氏の旧統一教会施設訪問「しっかりとご自身で説明をされた方が」  8/18
元衆院議員の金子恵美氏(44)が18日、フジテレビ「めざまし8」(月〜金曜前8・00)に出演。元「おニャン子クラブ」メンバーで自民党の生稲晃子参院議員(54=党居選挙区)が6月に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連施設を、当時、経済産業相だった自民党の萩生田光一政調会長(58=衆院東京24区)と共に訪れていたことが判明したことに言及した。
生稲氏の事務所が17日、明らかにした。生稲氏の演説を聞いた関係者から「他にも仲間が集まっているので話を聞かせてほしい」と依頼され、スタッフの判断として訪れたという。萩生田氏は党東京都連会長を務めており、生稲氏が初当選した7月10日投開票の参院選に向けて支援を要請したとみられる。
MCの谷原章介が「議員になられました、生稲さん。今回、発表されたコメントというのは、あくまで事務所サイドが、スタッフの判断で、ということでした。これはやっぱりご自身の口で釈明なり説明するべきですかね?」と聞くと、金子氏は「選挙期間中のことに関しては、先ほど言ったように陣営とか選対の方で動いているところがあるんですけれども、今回、当選して現職の議員として説明責任を求められているのであれば、そのことも含めて、選挙の時にどうだったかということも調べた上で、しっかりとご自身で説明をされた方が皆さんの疑念を払しょくできるんではないかと私は思います」と話した。
●萩生田氏 旧統一教会施設訪問 「何かを依頼した事実なし」 8/18
自民党の萩生田政調会長は、参議院選挙直前に、生稲晃子氏とともに旧統一教会の関連施設を訪れたことについて、「何かを依頼した事実はありません」と文書で説明した。
萩生田氏の事務所からの回答によると、参議院選挙直前の2022年6月18日、八王子市で行われた生稲氏の街頭演説の直後に聴衆から、「近くで仲間が集まっているので、話を聞かせてもらえないか」との申し出があり、2人で教団の関連施設を訪れたという。
萩生田氏側は、「(生稲)候補者も不慣れなこともあったため同行しました。現場でそれぞれ短い演説を行いました」と説明したうえで、「何かを依頼した事実はありません」とコメントしている。
●NHK“橋渡し”に利用された? 旧統一教会トップが放送センターで義援金手渡し 8/18
<日本統一教会の梶栗玄太郎会長は3月31日午前、東日本大震災の被災者のため、NHKに義援金1292万4054円を持参しました。(中略)義援金は、梶栗会長が東京・渋谷のNHK放送センターを訪れ、社会福祉法人中央共同募金会に手渡しました。担当者は「わざわざお出でいただき、ありがとうございます」と述べ、丁重に受け取りました>
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のウェブサイト「家庭連合 NEWS ARCHIVES」(2011年3月31日)と「UPeace」には、中央共同募金会(赤い羽根共同募金)の担当者とみられる男性3人が旧統一教会の会長と会長夫人、総務局長の3人に対し、頭を下げる写真とともに、こんな記事が掲載されている。
寄付は全国の信者だけでなく、一般からのものも含まれているという。
「当時の事情は分かりませんが、おそらく一般からの寄付は義援金にしたいという趣旨をもって、バザーなどを開催して集めたものだと思います」(世界平和統一家庭連合広報部)
義援金を手渡した梶栗玄太郎氏は09年、旧統一教会の第12代会長に就任。教団の草創期から関わってきた中心的人物だ。同年、教団の組織的犯行が認定された「新世事件」により、当時の徳野英治会長が引責辞任。代わって会長に就いたのが、梶栗氏だった。以降、全国各地で元信者による裁判が次々行われ、献金勧誘行為や霊感商法の手口による販売行為の違法性が認められている。
そんな中、旧統一教会はNHKを通じて約1300万円もの義援金を寄付していた。中央共同募金会に経緯を聞いた。
NHKに質問状を送ると…
「当時、中央共同募金会が東日本大震災の義援金受付窓口をしており、NHKは義援金を呼び掛ける団体の1つでした。NHKから話があり、放送センターまで受け取りにうかがったのだと思います。義援金を受け取ったのは事実です」(広報担当者)
サイトを見る限り、NHKは義援金授受にあたり、全面協力したように見える。しかもNHKは組織犯罪が認定された宗教団体のトップを「NHK放送センター」という本部に招き入れ、「橋渡し役」を担っただけでなく、現金受け渡しのために部屋まで用意していたように映る。
日刊ゲンダイはNHK広報局に「記事に掲載されている写真はNHK放送センター内の部屋か」「NHKは統一教会が中央共同募金会に寄付をするために、写真の部屋を貸したのか」「どういう経緯で日本統一教会からNHKに話があり、なぜNHK放送センターで受け渡しが行われたのか」という質問書を送った。
これに対し、NHK広報局は「東日本大震災では、NHK放送センター内にも義援金の受付窓口が設置されました。義援金の受け付け自体は、中央共同募金会が主体で行っています。以上です」と文書で回答した。
霊感商法や合同結婚式が社会問題化した旧統一教会の実態を当時、公共放送が知らなかったとは信じがたい。「皆さまのNHK」が旧統一教会の「宣伝」や「布教活動」に使われていたとしたら、大問題だろう。 
●旧統一教会をめぐる問題 来月から集中的に相談受け付けへ  8/18
旧統一教会をめぐる、いわゆる霊感商法などの問題について、政府は、被害者救済などに関係省庁で連携して取り組む初めての会合を開き、来月から1か月程度、相談を集中的に受け付ける強化期間を実施することを決めました。旧統一教会をめぐっては、自民党の萩生田政調会長が記者団の質問に答えるなど、18日もさまざまな発言や動きがありました。
“被害者の救済に政府が連携して取り組む”
旧統一教会をめぐる、いわゆる霊感商法などの問題について、政府は18日午後、法務省や警察庁、消費者庁などが被害者救済などに連携して取り組む「旧統一教会問題関係省庁連絡会議」の初めての会合を開きました。会合の最後に葉梨法務大臣は、「相談内容に応じて適切な対応を行うため、各省庁が持つ相談窓口の役割や対応可能な事項を整理するという認識を共有した」と述べました。そのうえで、来月初めから1か月間程度、被害にあった人たちからの相談を集中的に受け付ける強化期間を設けることを明らかにしました。葉梨大臣は、「この取り組みは、救いを求める声を吸い上げ、救済につなげるうえで極めて重要なものだ。関係省庁の皆様方には万全の体制により、スピード感を持って取り組んでいもらいたい」と述べました。政府は、この期間中に東京都内の1か所に相談窓口の拠点を設けて関係省庁の職員を集め、全国からの相談対応にあたることにしています。
旧統一教会めぐる相談や支援を行う夫婦の訴え
旧統一教会の元信者や、その家族などが運営している民間の団体、「統一教会被害者家族の会」は専門的な知識を持ったカウンセラーの育成や相談窓口の必要性を訴えています。「統一教会被害者家族の会」は2003年から旧統一教会をめぐる金銭トラブルや脱会に関する相談支援を行っていて、団体の立ち上げに携わった夫婦が取材に応じました。
元信者の女性が語る “きっかけはママ友”の声かけ
元信者の60代の女性は25年前、息子が通っていた中学校の“ママ友”から「家系図を学ぶ講習会がある」と声をかけられ、旧統一教会の関連施設に通うようになりました。関連施設とは知らされないまま週に3回ほどのペースで通い、映像を見ながら先祖に対する供養や理想の母親としての姿について教え込まれたといいます。旧統一教会だと知ったのは、施設に通い始めてから1年ほどたったときでしたが、すでに興味を持って学んでいたため、「やめようと思えばいつでもやめられるからもう少し勉強しよう」と考え、そのまま続けることにしました。その後、高額の印鑑を買ったり、韓国にある関連施設に通ったりして、関わりを深くしていったということです。
夫が語る “脱会させる難しさ”
一方、女性の夫は急に優しくなったという妻の変化に気付きましたが、旧統一教会の関連施設に通っていることはわからなかったといいます。妻は、教会の信者から、家族には教会の話をしないよう口止めされていたからです。ある日、妻のかばんの中から旧統一教会に関する本をたまたま見つけ、入信に気付いた夫は、家族を脱会させたい人たちが集まるグループに参加し、その方法を教わりましたが、最初は夫婦げんかが絶えなかったといいます。ただ、妻のことを否定せずに入信した理由などを丁寧に聞き取っていくことで、およそ1年半かけて脱会させることができたということです。
“カウンセラーの育成 相談窓口の設置が必要”
夫婦はその後、自分たちのように苦しんだ人たちを支えたいと、仲間と一緒に支援団体を立ち上げました。妻は元信者として、夫は元信者の家族としての経験を踏まえて家族らの相談に乗り、必要があれば弁護士やカウンセラーを紹介しています。夫婦は、民間団体の支援だけでは限界があると感じていて、国に対しては「経済的な支援のほかにも、宗教2世の自立支援なども必要になってくる。被害に遭っている人は自分から被害者だと言えない精神状態の人も多い。そういう方を見つけ出せるような体制を整えてほしい」と話しました。そのうえで、「旧統一教会に関する専門的な知識を持つカウンセラーを育成したり、相談から支援まで完結できる窓口を設置したりする必要がある」と話しました。
支援団体には金銭トラブルなどの相談が急増
安倍元総理大臣が銃で撃たれて死亡した事件の後「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の元信者や家族の支援をしている団体には、金銭トラブルなどの相談が急増しています。安倍元総理大臣の事件が起きる前、旧統一教会の元信者や家族の支援活動をしている「全国霊感商法対策弁護士連絡会」には、1か月に1、2件程度の相談が寄せられていましたが、事件以降の7月8日から8月9日までの、およそ1か月間には100件余り相次ぎ、相談が急増しました。相談の内容の多くが金銭トラブルに関するもので、「過去にした献金を返してもらいたい」というものや、「遺産相続を話し合う親族の中に信者がいて、どう使われるか心配だ」というものもあるということです。一方、「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会は高額の献金をめぐる金銭トラブルについて8月10日の記者会見で、「2009年に一部の信徒が検挙されて以降、社会的、法的に問題になる行為をしないようコンプライアンスの徹底に努めてきた。1998年に係争中の民事訴訟は78件あったが、ことしは5件に減っている」と説明しています。
世界平和統一家庭連合 「宗教弾圧」と主張
また、「世界平和統一家庭連合」は18日、首都ソウルで集会を開き、旧統一教会をめぐる日本メディアの報道を批判し、「宗教弾圧だ」などと主張しました。韓国の首都ソウルの中心部では18日午後、旧統一教会、今の「世界平和統一家庭連合」が主催する集会が開かれ、韓国在住の日本人を中心に大勢の信者が参加しました。警察関係者によりますと、3000人余りが集まったということで、集会では冒頭、安倍元総理大臣が銃撃されて死亡した事件を受けて全員で黙とうをささげました。続いて、事件以降、旧統一教会をめぐって、日本のメディアがコメンテーターを使ってわい曲した報道を行っていると批判し「宗教弾圧であり、信仰の自由を尊重すべきだ」などと主張しました。
政務三役73人の約4割が旧統一教会と接点
旧統一教会との関係をめぐっては、第2次岸田改造内閣の閣僚・副大臣・政務官の政務三役73人について、NHKのまとめでは、これまでに少なくとも32人、およそ4割に何らかの接点があったことが分かっています。このうち、第2次岸田改造内閣の閣僚で旧統一教会の関連団体などと接点があったことを認めているのは、寺田総務大臣、葉梨法務大臣、林外務大臣、加藤厚生労働大臣、西村環境大臣、山際経済再生担当大臣、高市経済安全保障担当大臣、岡田地方創生担当大臣の8人です。
萩生田政務調査会長「思い足りず反省」
さらに自民党の萩生田政務調査会長が、参議院選挙の公示直前の6月中旬、旧統一教会の関連施設を訪問していたことについて、記者団の取材に応じ、「教会の社会的な問題は今はないと認識していたが、いまだに苦しんでいる方がいることに思いが足りず、反省している」と述べました。自民党の萩生田政務調査会長は、先月の参議院選挙で初当選した自民党の生稲晃子議員とともに、選挙の公示直前の6月18日、「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の関連施設を訪れていたことが明らかになりました。萩生田氏は18日午後、自民党本部で記者団の取材に応じ、旧統一教会との関わりについて、「地元の支援者のなかに『世界平和女性連合』の会員がいて、その縁でつきあいが始まった。『世界平和統一家庭連合』と名称が非常に似ているが、旧統一教会との関係はあえて触れなかった」と述べました。そして、生稲氏と関連施設を訪問したことについては、「私が了解して訪問した。私は『女性連合』の皆さんの集まりだという認識で行ったが、生稲氏は知らなかったと思う」と述べました。そのうえで、「私自身は、旧統一教会の昭和の時代の社会的な問題は、承知をしていたが、その後、悪い噂を聞くこともなかったし、かつての社会的な問題は、今はないという認識をしていたが、いまだ、いろんなことで苦しんでいる方がいらっしゃることには少し思いが足りなかったと反省している」と述べました。そのうえで、「今後は一線を画し、政務調査会長として、宗教法人の在り方などをめぐる政府の動きと連携しながら、しっかり見守っていきたい」と述べました。
生稲参議院議員「教会の関連施設と知らなかった」
また、自民党の生稲晃子参議院議員も18日、記者団の取材に応じ、当時は教会の関連施設とは知らなかったと説明しました。生稲議員は18日昼すぎ、自民党本部で記者団の取材に応じ「旧統一教会の関連施設だったとわかったのは、岸田総裁の指示を受けて調べた結果で、最近のことだった」と述べ、訪問当時は、教会の関連施設とは知らなかったと説明しました。また、施設で行った演説については、「自分が街頭演説でいつも話をしていたことを話したと記憶している」と述べました。そのうえで「これからは国会議員として、一つ一つ、しっかり慎重に把握して行動していく」と述べました。
旧統一教会の名称変更 野党が合同ヒアリング
野党側も追及を強めています。旧統一教会の名称変更が行われた経緯をめぐり、立憲民主党や共産党などが18日、合同でヒアリングを行いました。旧統一教会をめぐって文化庁は、平成27年に「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認証し、専門家などからは名称変更により、霊感商法や献金の強要などの被害が広がったのではないかという指摘が出ています。ヒアリングで議員からは、「名称を変えることで『正体隠し』がやりやすくなり、人をだますことにつながった」として、審査を厳正に行う必要があったという指摘が出されました。また、宗教法人の設立の審査基準では、法令違反の行為が疑われる団体には、布教の方法に詐欺的・脅迫的な手段を用いていないかなどを調査すると規定されていることを踏まえ、今回の名称変更でも、そうした調査を行うべきだったのではないかという意見も出されました。これに対し、文化庁の担当者は、「名称変更の審査基準では、設立時と同様の調査を行うことは求められておらず、名称変更自体は人をだます行為にはつながらない」などとして、形式上の要件を満たしている場合には申請を拒むことはできないと改めて説明しました。
●萩生田政調会長 “旧統一教会関連施設訪問も依頼の事実ない” 8/18
自民党の生稲晃子参議院議員が、先の参議院選挙の前に旧統一教会の関連施設を訪れていたことをめぐり、萩生田政務調査会長は、同行したことを認めたうえで教会側に何かを依頼した事実はないとしています。
先月の参議院選挙で初当選した自民党の生稲晃子議員は、「デイリー新潮」の報道を受け、ことし6月、当時、経済産業大臣だった萩生田政務調査会長とともに旧統一教会の関連施設を訪れていたことを明らかにしました。
萩生田氏の事務所は、17日夜にNHKの取材に書面で回答し「生稲氏との街頭演説の終了後、聴衆から『近くで仲間が集まっているので話を聞かせてほしい』と申し出があり、スタッフが調整したと聞いた。スタッフが預かった名刺に『世界平和女性連合』とあったと聞き、生稲氏も不慣れなこともあり同行した」などと事実関係を認めました。
そのうえで「現場で生稲氏とそれぞれ短い演説を行ったが、教会側に何かを依頼した事実はない」としています。
一方「デイリー新潮」が、萩生田氏が衆議院選挙で落選していた期間中に、教会の施設を月に1、2回訪ね、信者を前に演説を行ったなどと報じたことについては「そのような事実はない」としています。
また、2014年に教会のイベントで来賓あいさつをしたとする報道については「地元の支援者から『人が集まるので顔を出して』と口頭で頼まれ、詳細を確認せずに出席した。会場に行くまでイベントの内容や主催者を知らなかった」としています。
自民党の萩生田政務調査会長は18日午後、国会内で、記者団から「説明はしないのか」と問われたのに対し「いま整理している」とだけ述べました。
公明党の北側副代表は記者会見で「社会的な問題があると指摘されている団体との関係は、われわれ政治家としては慎重でなければいけない。萩生田氏の話については、ご本人が国民に対してしっかり説明していただければと思っている」と述べました。
●萩生田氏、旧統一教会の関連施設「訪問、私が了解」 会費支払いも認める  8/18
自民党の萩生田光一政調会長は18日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係について党本部で記者団の取材に応じた。
自らの資金管理団体などが旧統一教会の関連団体「世界平和女性連合」に会費を支出していたと報じられていることについて「ボランティア支援のためのチャリティーパーティーへの参加費として支払った」と事実関係を認め、教団側と今後の関係について「活動は一線を画す」と語った。
萩生田氏と記者団とのやりとりは以下の通り。
Q 6月に八王子市内にある旧統一教会系の施設を訪れたと生稲晃子参院議員は説明している。八王子には施設が2カ所あるが、施設は八王子家庭教会か。また行く前に旧統一教会系の施設だという認識はあったか。
A まず冒頭ですね、私自身この団体とのお付き合いのあり方について説明したいと思います。
地元の支援者の中にですね、ボランティア活動を熱心にやってる皆さんがいらっしゃって、そのご縁で、皆さん方とのお付き合いが始まりました。
今回ですね、正直申し上げて、統一教会の昭和の時代の関連商法のことなどは承知をしておりましたが、その後、悪い噂を聞くこともなかったですし、そういった報道、接する機会もなかったもんですから。
正直申し上げてその団体と統一教会の関係っていうのは名称は非常に似てますので、そういう思いはあったんですけれども、あえて触れなかったというのが正直なところです。その関係者のご縁で今回、今ご指摘の施設を訪問することになりました。名前ちょっとわからないんですけど、八王子の子安町にある施設でありまして、そこを生稲さんと訪問しました。
午前中、生稲さんが皆さんの問いかけに答えられたと聞きましたけれど、生稲さん、初めての選挙で、もう正直申し上げて、どういう活動をしていいかわからない中で、現場での問い合わせがありましたので、お邪魔することは私が了解して行きました。
ですから、生稲さん自身はその施設のことですとか、どういう方が集まってるかっていうのは、私自身は、女性連合の皆さんお集まりだという認識できましたけれども、生稲さんは存じ上げなかったと思います。
Q バーベキューや礼拝にも参加されていたという報道がある。事実関係は。
A これ新潮さんの記事の中にですね、2009年から12年の間に、毎月2回教会を訪れて、私が講演をしたり、青年部の皆さんに説教してたと書いてあるんですけど、こういう事実は全くありません。
それから、ジャージ姿でバーベキューに参加して親しみを感じたって言っていただいた方がいらっしゃるんですけど。申し訳ないんですけど、ジャージ姿でも背広姿でも、バーベキューに参加したことはございません。ちょっとこれは記事が多分誤解に基づいてるものだと思うんで、取材先にもう一度確認して欲しいということを回答した次第です。
Q 後援会と第24選挙区支部が、世界平和女性連合に合わせて4回にわたり、会費を支出しているとの報道がある。その経緯や理由をお聞かせください。また、今まで萩生田政調会長自身が旧統一会系の団体から選挙で何らかの支援を受けたことはあるかないか。
A 先ほど申し上げた、世界平和女性の皆さんの活動に、私も一定理解をし、また応援をしてました。様々なボランティア活動をしておりまして、特に地元、大学の都市でありますので、東南アジアの留学生、女性留学生の支援のボランティアなどをしておりましたのでそういったボランティア支援のためのチャリティーパーティーがあるということでそこに参加費という形でお支払いをした、こういう経緯がございます。
団体からですね、財政的な支援とか寄付とかは一切ございません。
Q 選挙のボランティアなどの支援などもないか。
A 週刊誌の中にですね、関連団体に要請して毎日、選挙事務所にそのスタッフの方がいらっしゃったという報道もあったんですけど、それ私全く承知してませんし、私からそういうお願いをしたこともございません。
Q 岸田総理は旧統一教会系の団体との関係を点検し、しっかりとチェックするように、と言っていますが、今後政調会長自身は団体とはどのような関係を。
A 冒頭申し上げた通りですね、女性連合というボランティア団体を通じてのご縁でありましたけれども、私自身は旧統一教会の、かつてのですね、社会的な問題については今そういうことはないっていう認識をしてたんですが、今回改めて安倍総理が殺害をされ、山上容疑者の発言から、教会がクローズアップされてですね、いまだ、いろんなことで苦しんでらっしゃる方がいらっしゃる、このことには少し思いが足りなかったというふうに反省をしております。
したがって、過日の記者会見でも申し上げましたけれども、ここは活動は一線を画してですね、そして政調会長ですから宗教法人のあり方ですとか、そういったものを政府でも動きがあると思いますので、連携をしながら、しっかり見守っていきたいなと思います。
Q 信者たちから、電話かけやポスター貼りなど、萩生田さんの選挙を支援した、という証言があるが事実か。
A 多くの人に支えられて選挙やるもんですから、どういう形でボランティアの人たちがお手伝いいただくか、ちょっと私はわかりません。ですから、もしかしたらご支援いただいてる方の中にそういう方がいらっしゃったってことは否定できないかもしれませんが、私はわかりません、それは。
●政府、旧統一教会問題連絡会議の初会合 9月初旬から相談集中期間 8/18
政府は18日、旧統一教会(現:世界平和統一家庭連合)問題を巡る関係省庁連絡会議を開催し、9月初旬から相談集中強化期間を設けることを決めた。期間は1カ月程度を想定。悪質商法など旧統一教会に対する相談を幅広く受け付け、救済に結び付けていく。
同会議は、葉梨康弘法相(議長)のほか、法務事務次官、内閣官房孤独・孤立対策担当室長、警察庁生活安全局長、消費者庁次長、法務省人権擁護局長らで構成する。関係省庁間で情報を共有するとともに、被害者への救済機関等のあっせんなど関係省庁による連携した対応を検討する。
安倍晋三元首相の銃殺事件以降、旧統一教会と政治家との接点が次々と明らかになっている。岸田文雄首相は法相をはじめとする関係閣僚に対し、悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済に連携してあたるよう指示していた。
●旧統一教会と日本会議、「野合」の運動史…「とりあえず共闘」の打算  8/18
自民党右派を中心とする政界に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が浸透していた問題では、一つの素朴な疑問が浮かぶ。政界の右派のみならず、それを支える日本最大の右派改憲団体、日本会議なども同教会と「蜜月」関係を築いてきたことだ。日本の右派と同教会は戦前の日本のアジア侵略をめぐる歴史認識では全く相いれない立場だ。「反共」が共通項とはいえ、なぜ数十年にわたって協調してきたのか。(論説委員・田原牧)
「ジェンダー・フリー」を標的に
蜜月の象徴的な場面があった。2000年代前半に全国で吹き荒れた「ジェンダーフリー・バッシング」だ。ジェンダー概念や性教育などが標的とされた。
鹿児島県議会でも03年7月、「ジェンダー・フリー教育を行わないよう求める陳情」が採択された。
提出団体の代表は歴史教科書批判の右派団体の事務局長で、陳情の紹介者は自民党の県議だった。
この県議は当時、取材に1冊の冊子を示して「この内容に沿って県議会で質問した」と明かした。
「これがジェンダー・フリーの正体だ」と題された冊子の発行元は、日本会議のシンクタンク的存在である日本政策研究センター。
冒頭に「暴力革命は不可能になった代わりに、共産主義者は別の方法で必ず日本解体を目指す(略)ジェンダー・フリーによる性別秩序の解体という事態とは、まさしくこの『暴力革命』を代替する『別の手段』の一つなのです」と記されていた。
酷似した論理展開
旧統一教会も当時、バッシングに狂奔していた。関連団体「国際勝共連合(勝共連合)」の同年の運動方針「内外情勢の展望」には「共産主義者は青少年の堕落を誘うべく過激な性教育論を学校に持ち込んで(略)」とあった。
右派は復古的な家父長制の尊重、同教会は教義に沿った「純潔教育」が主張の根底にあったが、その論理の展開は酷似していた。
当時、国会でバッシングの急先鋒せんぽうだった山谷えり子氏(現・自民党参院議員)も旧統一教会の関連新聞「世界日報」の紙面に再三登場する一方、事務所のニュースレターには日本会議系団体が推奨する性教育批判の論文を紹介しており、双方に「配慮」していた。
しかし、不可解なのは歴史認識では対立するはずの両者の協調関係だ。
不可解な協調関係
日本会議は右派団体の連合体だが、天皇主義の宗教団体「生長の家」の元信者らが中枢を担ってきた。生長の家は1983年以降に自民党と距離を置くようになったが、元信者らの現役時代には「靖国神社の国家護持」を掲げ、「自虐史観の克服」を訴えていた。
一方、韓国が本拠である旧統一教会は、戦前の日本のアジア侵略に対し「日本の国家的悔い改めが必要」「日本という国の存在が人類全体にとってプラスなのか?マイナスなのか?」(関連団体「全国大学連合原理研究会」の青少年問題研究報告書2005)という立場だ。
にもかかわらず、両者の協調は長い。日本会議は97年に設立されたが、その準備過程ともいえる70年代後半の元号法制化運動では、熊本県で生長の家政治連合(生政連)と勝共連合などが協力し、法制化推進のための県民会議を結成している。
生政連が支援母体で、総務庁長官を務めた自民党議員、玉置和郎氏は勝共連合の顧問でもあった。
この協調関係は右派系文化人らの動きからも明らかだ。日本会議と関係する大学教授らは同教会系の団体「世界戦略総合研究所」でしばしば講演していた。彼らは同教会の関連団体「世界平和教授アカデミー」の機関誌にも執筆している。
右翼陣営の一部を激怒させた「事件」
では、日本の右派や民族派はこぞって、こうした旧統一教会側との関係を持っていたのだろうか。必ずしもそうではない。
勝共連合設立に向け、旧統一教会創立者の文鮮明氏と笹川良一氏、白井為雄氏(児玉誉士夫氏の代理)、畑時夫氏ら右翼の実力者らは67年、山梨県本栖湖畔で会合を開いたが、赤尾敏氏(大日本愛国党総裁)らは呼ばれなかった。
赤尾氏はその後、週刊誌で「あんなの(勝共連合)反動的ブルジョア反共運動だ。(略)現体制の擁護じゃないか」と批判した。
さらに右翼陣営の一部を激怒させる事件が起きた。世界日報元編集長の副島嘉和氏と元幹部の井上博明氏が月刊「文芸春秋」84年7月号に執筆した旧統一教会の内部告発である。副島氏らは編集方針の違いから解任され、同教会からも脱会していた。
記事の中で、副島氏らは旧統一教会には文鮮明氏と家族を前に主要国の元首たちがひざまずく儀式があり、天皇陛下の役を日本の旧統一教会会長が担っていると暴露した。この記事が出版される直前、副島氏は何者かに刃物で襲われ、重体に陥っている。
事件後、民族派団体「一水会」の代表だった鈴木邦男氏は「『彼らは反共だから味方ではないか』と言っていた右翼の人々も、これを読んだら、とてもそんなことはいえないはずだ。実際、『許せない』『こんな反日集団は敵だ』と激高していた人が多くいた。僕としても前から、その性格は漠然と知っていたが(略)愕然がくぜんとする思いだった」と週刊誌に寄稿している。
カネと動員力の「血盟」
だが、そうした批判が後に日本会議を設立する人びとに響くことはなかった。
それはなぜなのか。
ある右翼関係者は「日本会議を切り回す生長の家の元信者と原理研は『戦友』だから」と説明した。
60年代末に学園闘争が盛んだった時代、長崎大などで民族派学生運動を担っていた元信者らと旧統一教会の学生(原理研)らは全共闘系の学生らとの衝突で、ともに闘った間柄だった。その「血盟」が続いているという解釈だ。
一方、一水会の現代表である木村三浩氏は「勝共はカネも動員力もある。そして『反左翼』でとりあえず共闘する。同床異夢でも、安倍政権を支えることで一致していた」と話す。いわば、打算による野合だ。
加えて「勝共の初代会長は立正佼成会出身の人物。『日本の統一教会と韓国のそれとは違う』と説明した可能性がある」と語る。
実益のための利用だとすれば、自民党などの一部議員たちが、選挙などに無償で提供される労働力ほしさから、旧統一教会と関係を結んだことと大差はない。
協調関係をどう正当化? 沈黙する右派文化人
しかし、教会側にも利用する意図がある。相手が議員の場合、官憲からの組織防衛とともに、政策面への影響も狙ってきた。旧統一教会の月刊誌「世界家庭」(2017年3月号)には関連団体の総会長が活動方針の一つとして「議員教育の推進」を掲げている。
「こちら特報部」が指摘したように、少なくとも自民党の改憲たたき台案(18年)は、その前年に勝共連合が公開した改憲案と内容がほぼ一致している。
日本人信者を食い物にした資金が、旧統一教会から北朝鮮の現体制に流れていた構図がある。旧統一教会の教典「原理講論」では、朝鮮半島における日本帝国主義の「虐殺」「殺戮さつりく」が説かれている。反共で一致するにせよ、旧統一教会との協調を日本会議などはどう正当化するのか。
旧統一教会問題が再燃して以来、日本会議系の右派文化人らは総じて口を閉ざしている。そうした沈黙自体が旧統一教会による右派工作の産物の一つといえそうだ。

原理講論は、旧統一教会の会員向けホームページで読める。それによれば、「日本はサタン側の国家」で「あらゆる民族はこの祖国語(韓国語)を使用せざるを得なくなる」のだという。こんな教団側と共闘してきた右派が、他者を「反日」だと攻撃する資格は全くないと思うのだが。
●山際経済再生相 旧統一教会とズブズブ!はるばる“ネパール詣で”の過去 8/18
“後出しジャンケン”じゃ済まされない。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との関わりをゴマカし、留任した山際経済再生相はやっぱり教団とズブズブのようだ。旧統一教会の関連団体が主催するイベントに出席するため、5000キロ以上も離れたネパールまで飛んでいたことが判明。道理で歯切れが悪いわけだ。この男はトコトン信用できない。岸田首相は頬かむりを続けるのか。
岸田首相が内閣改造を表明したのは6日。旧統一教会をめぐっては「新たに指名する閣僚だけでなく現閣僚、副大臣なども含め、関係をそれぞれ点検し、結果を明らかにし、適正な形に見直すことを指示したい」と言っていた。
結果、教団との関係を認めた7人が交代したが、山際氏の往生際の悪さは群を抜いていた。2日の会見では「お答えは差し控えたい」、8日も「きちっと点検をさせていただいた上で、適切に対応してまいりたい」と言葉を濁し、ゼロ回答。口を割ったのは、留任が確定した10日だった。
「私自身が旧統一教会や関連団体と関係があるわけではありません」と前置きし、こう説明した。
「事務所で調べましたところ、2018年10月のアフリカビジョンセミナーへの出席、13年に関連団体への会費支出について確認がされた。確認ができたのはこの2つです」
くだんのアフリカビジョンセミナーは、旧統一教会の関連団体「UPF」(天宙平和連合)から派生した「平和大使協議会」が横浜市で主催したイベント。
山際氏は「私は長くアフリカ関連の政治的な仕事というものを務め、19年にTICAD(アフリカ開発会議)がありました。アフリカ関連のイベントが各地で行われていた時期だと思うんです」「アフリカに深く関連してきた身として、そのことで出席を決断したんだと思います」などと、ぐだぐだ釈明。国際会議の延長線上と強調したわけだが、はるばるネパールまで出向いたのはどういう了見だったのか。
国際指導者会議でスピーチ
旧統一教会の関連媒体ワシントン・タイムズが編集した「ILC2016」(16年11月30日発行)には、山際氏のスピーチがこう紹介されている。
〈見ず知らずの者同士が一堂に会し、それぞれの国や世界が抱える多くの課題に挑戦することは素晴らしいことです──。7月28日から31日までネパールのカトマンズで開催された国際指導者会議にて、日本の国会議員山際大志郎氏〉
UPFが16年に主催した「ILC国際指導者会議」に出席していたというのだ。この会議にはタイの国会議員も参加していて、タイ議会にプログラムを提出。それには「未来の世代のためにより良い世界を」と題したセッションのスピーカーとして、「日本の衆議院議員 山際大志郎氏」と記載があった。
一体どういうことなのか。非同盟中立を外交方針とし、世界最貧国に数えられるネパールで国際会議が開かれることはまずない。山際事務所に質問状を送付し、事実関係や経緯の説明などを求めたところ、「現在確認中です」との回答だった。いい加減、洗いざらい白状し、首も洗って待っていたらどうか。仮病を使うにはまだ若い。
●旧統一教会の名称変更、「詐欺的行為」は調査せず 野党に文化庁説明 8/18
「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」が2015年に名称を変更したことについて追及する野党の合同ヒアリングが18日、国会内であった。新しい宗教法人の認証時と名称などの変更時では審査内容が違うことについて、野党議員から疑問視する声があがった。
この日のヒアリングで、文化庁宗務課の担当者は宗教法人法の審査基準について説明。宗教法人として新しく認証する場合は「布教方法に、社会的に相当と認められる範囲を逸脱した詐欺的、脅迫的手段を用いていないかの調査を行う」と定められている一方、名称を含む変更の場合は「宗教法人法の根拠となる条文が違う」として、詐欺的な行為をしているかの確認などは求められていない現状を明らかにした。
それについて立憲民主党の小西洋之参院議員は「設立の時に調査を行うと定められているなら、名称変更の際にも調査を行う必要があったのでは」と指摘。文化庁の担当者は「基本的に設立の時に宗教団体性を認めて認証しているということ」と述べるにとどめた。
また、当時の名称変更の経緯や関係書類については「確認を進めている」と答えた。
●旧統一教会の名称変更 野党「正体隠し」指摘に国は「拒めず」  8/18
旧統一教会の名称変更が行われた経緯をめぐり、立憲民主党や共産党などが合同でヒアリングを行いました。「名称変更により団体の『正体隠し』を助長したのではないか」と指摘したのに対し、文化庁は形式上の要件を満たしていれば申請を拒むことはできないと説明しました。
旧統一教会をめぐって文化庁は、平成27年に「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認証し、専門家などからは名称変更により、霊感商法や献金の強要などの被害が広がったのではないかという指摘が出ています。
この問題をめぐり、立憲民主党や共産党などが合同で文化庁の担当者からヒアリングを行いました。
この中で議員からは「名称を変えることで『正体隠し』がやりやすくなり、人をだますことにつながった」として、審査を厳正に行う必要があったという指摘が出されました。
また宗教法人の設立の審査基準では、法令違反の行為が疑われる団体には布教の方法に詐欺的・脅迫的な手段を用いていないかなどを調査すると規定されていることを踏まえ、今回の名称変更でもそうした調査を行うべきだったのではないかという意見も出されました。
これに対し文化庁の担当者は「名称変更の審査基準では設立時と同様の調査を行うことは求められておらず、名称変更自体は人をだます行為にはつながらない」などとして、形式上の要件を満たしている場合には申請を拒むことはできないと改めて説明しました。
●旧統一教会関連団体から推薦状 国場議員と古謝氏に 8/18
自民党の国場幸之助衆院議員と参院選で自民党の公認候補だった古謝玄太さんがそれぞれの選挙の際に、旧統一教会の関連団体、世界平和連合から推薦を受けていたことがわかりました。
旧統一教会の関連団体世界平和連合は結婚と家庭の価値を守ることなどを掲げ設立された団体で、旧統一教会の創始者文鮮明氏が総裁を務めました。
自民党の国場幸之助衆院議員のフェイスブックには去年10月に行われた衆院選で国場議員を日本の政治を担う候補者として認めるとしたこの団体からの推薦状が掲載されていました。
また自民党公認で先月、参院選に出馬し落選した古謝玄太さんのホームぺージにも推薦状が掲載されていました。
JNNの取材に対し国場議員から回答はなく、フェイスブックの掲載ぺージは既に削除されています。また古謝さんは「RBCの指摘で初めて知った」と話していて、自身の把握していないところで推薦があったと強調しました。
●国交省 副大臣と政務官 旧統一教会関係イベントに参加や祝電  8/18
旧統一教会との関係をめぐって、国土交通省の2人の副大臣と2人の政務官はそれぞれ、関係するイベントに参加したり祝電を送ったりしていたことを明らかにしました。
豊田俊郎 副大臣の事務所によりますと、2017年に旧統一教会が関係するイベントに来賓として参加をしたということです。
また、石井浩郎 副大臣の事務所によりますと、2016年の選挙前と2022年に旧統一教会が関係する会合であいさつをしたことがあったということです。
古川康 国土交通政務官の事務所によりますと、2015年から2019年にかけて、複数回、旧統一教会が関係する会合に、本人が出席したりメッセージを送ったりしていたということです。
清水真人 国土交通政務官の事務所によりますと、2020年に旧統一教会の関係団体が後援する新年会のイベントに祝電を送ったということです。
いずれの事務所も「今後は旧統一教会を含めて、社会的に問題が指摘されるような組織や団体とは一切、関係を持たないようにする」などとコメントしています。

 

●旧統一教会がソウルで大規模デモ、日本での「偏向報道」に抗議 8/19
安倍晋三元首相の銃撃事件以来、日本で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する偏向報道が続いているとして、同団体の信者など数千人が18日、韓国ソウル市内で抗議デモを行った。
参加者らは「宗教弾圧を許すな」「ヘイトスピーチをやめろ」などと、韓国語や日本語で書かれたプラカードを掲げて市内を行進した。
安倍元首相を殺害したとして逮捕された山上徹也容疑者は、母親が旧統一教会に多額の寄付を行っため家庭が崩壊し、同団体への恨みを募らせていたという。報道などによると、元首相が同団体と深いつながりがあると思い、犯行につながったと伝えられている。
旧統一教会は救世主を自称する故・文鮮明氏によって、1950年代に韓国で設立された。集団結婚式などで知られる同団体は、資金集めをめぐってたびたび批判を受けてきた。同教会はそうした見方を否定し、正当な宗教活動だと主張している。
●旧統一教会問題で政府・与党 臨時国会の早期召集 応じない構え  8/19
旧統一教会をめぐり、野党側が臨時国会の召集を求めたのに対し、政府・与党は早期の召集には応じない構えで、引き続き、教会側との関係があった議員がみずから説明し、関係を見直すことで対応していくことにしています。
旧統一教会をめぐっては、今月10日に発足した第2次岸田改造内閣の政務三役73人について、NHKのまとめでは、およそ4割にあたる少なくとも32人が、関連団体に会費を支出するなど、何らかの接点があったことが分かっています。
また、自民党の萩生田政務調査会長は、経済産業大臣だったことし6月、参議院選挙の公示前に、生稲晃子議員とともに教会の関連施設を訪れていたことが明らかになり、「教会の社会的な問題は今はないと認識していたが、いまだに苦しんでいる方がいることに思いが足りず反省している」と述べました。
こうした中、立憲民主党など野党側は、閣僚と旧統一教会の関係について、政府の姿勢をただす必要があるとして、18日、憲法の規定に基づき、臨時国会の早期の召集を求める要求書を衆参両院の議長に提出しました。
立憲民主党の馬淵国会対策委員長は「旧統一教会問題はさまざまな政治家の関与が取り沙汰され、国民への説明責任を果たすのが岸田総理大臣の役割だ」と述べ、早期に召集して十分な審議が必要だという考えを示しました。
これに対し、自民党の高木国会対策委員長は「召集に関しては政府が判断することだ」と述べるにとどめました。
政府・与党は、早期の召集には応じない構えで、引き続き、教会側との関係があった議員がみずから説明し、関係を見直すことで対応していくことにしています。 
●「海外メディアは忖度しない」は本当か?──注意すべきは「情報源」 8/19
7月8日、奈良市で安倍晋三元首相が銃撃された事件は、世界中のマスコミにとって実に大きなニュースだった。現場にいたNHK記者のおかげで、私のスマートフォンにも速報が届いた。私はフランスの公共ラジオ放送局「ラジオ・フランス」の特派員として、直ちに国際編集部に連絡した。
「まだ情報が少ないけれど、日本のメディアによると安倍元首相が銃撃されたらしい」
その後、「心肺停止状態とも報道されている」とも伝えた。残念なことに約5時間半後、安倍元首相の死亡が確認された。
われわれ日本にいる外国特派員が選挙取材で地方に行くことは少なく、今回も現場に特派員はいなかった。そんなときは日本のメディアの情報に頼ることになる。私もいくつかの理由から、奈良には行かなかった。
やがて、その場で逮捕された山上徹也容疑者に関する報道が始まった。特に注目されたのは本人の動機だ。言うまでもなく記者が本人に聞くことはできないから、全ては警察からの情報に基づく。夕方頃から日本のメディアは次のように報じた。
「『特定の宗教団体に恨む気持ちがあった。安倍元首相が(その団体に)近いので狙った』という趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材でわかった」(朝日新聞)
その日、外国メディアは日本での報道に基づいて記事を書いた。ほとんどの場合、警察は外国記者には話をしないからだ。
大手メディアは「特定の宗教団体」の名称を報道しなかった。ただ、SNSなど一部で「統一教会」という情報が流れた。それでも、私はその情報を使うことはできないと判断した。自分で直接確かめようがなかったからだ。情報源の信憑性を確認できず、証言や証拠もなかった。
もし警察が「特定の宗教団体とは世界平和統一家庭連合(旧統一教会)だ」と日本のメディアに言ったなら、なぜそれが報道されなかったかが大きな問題になる。ただ警察が知らせなかった場合、名称を報じなかった判断は正しいと私は思う。
それでも、複数の外国メディアは早い段階で「統一教会」と報じ、それを見た一部の日本人は「外国メディアのほうが忖度せずに事実を書いている」とSNSに投稿し始めた。
しかしそれら外国の記事をきちんと読めば、独自取材ではなく、日本のオンラインメディアや雑誌、SNSなどの情報に基づいて書かれた内容だと分かる。
問題は、外国メディアが「統一教会」とした際の情報源だ。もちろん、情報源は容疑者ではない。警察は外国記者の取材に応じず情報を提供しないので、警察の回答に基づくものではないのもほぼ確実だ。
「外国メディアのほうが良い」と日本人は思いがちだ。だが、一概にそうとも言えない。注意すべきなのは情報そのものだけでなく、情報源だ。自分で確認できなくても構わない、「すごい」と思われる情報なら間違って伝えても構わない、と考える外国メディアもある。
その場合はどうでもいい情報を利用して、ガンガン書く。今回も「容疑者は自衛官時代に手製銃の作り方を学んだ」とか「容疑者は宗教団体幹部を待っていたが来なかったので、安倍を殺すことをその場で決めた」という報道があった。
どこまで証拠を押さえ、責任を持って報じるかは、それぞれの媒体の判断だ。今回のような事件の場合、情報が多すぎるので、整理した上で落ち着いた形で報道することが望ましい。
特に外国記者は一般的に、情報を確認したり証言や証拠を集めるのに日本の記者より時間がかかるから、他媒体との競争は無視し、必要な時間をかけて正確な情報を出すことが最も重要だ。
速報性よりも、確認できた正しい情報を重視する。それが報道の基礎だ。報道する人はその姿勢を忘れるべきではない。
●民主党政権でも、統一教会への捜査が止まった 8/19
統一教会問題を長年追及するフリーライターの鈴木エイト氏にインタビューした。取材当初は街頭でのキャッチセールス的な勧誘に興味を持っただけだったというが、取材をすすめるうちに政治と統一教会の深い闇に突き当たったという。その闇とは何だったのか? (聞き手は角田裕育)
――2009年ごろ統一教会は「コンプライアンスを徹底した」と言っているが、どう変わったのか?
鈴木 念書や喜んで献金している様子を撮影するなど脱会した信者からの返金請求があった場合に、教団が有利になるような証拠を残すようになった。商品を直接介在させた霊感商法をやめ、献金収奪型に移行したため、警察の検挙も2010年以降はなくなった。
――長いこと教団を取材して嫌がらせなどはなかったか?
鈴木 尾行は随分前からあったし、宅配を装い「住所がわからないので」と言ってきて電話で住所を聞き出されたことはあったが、教団内で指名手配された以外、たいしたことはなかった。
――韓国に嫁いだ日本人女性の実体はどうなのか? ずいぶん、悲惨だと聞いたが。
鈴木 元女性信者の教会員になら話を聞いたことがあるが、古い情報はよく知らない。
――嫁不足の農家に嫁がされると聞いているが・・・。
鈴木 そのようなことは言っていた。
――取材をしたきっかけは?
鈴木 最初は街頭で「手相占いの勉強をやっています」と声をかける勧誘活動に興味を持った。
――「手相占いの勉強をやってます」というのは、私も新宿や渋谷などで声を掛けられた。「人生の転換期にある」と言われたのを覚えている。ついていくとどうなるのか?
鈴木 ビデオセンターに行ったのち、2ヶ月ぐらい合宿に連れていかれ、原理の教理などを叩き込まられる。
――元信者の多田文明氏が、「最初はバレーボールに誘われた」と言っていたが典型なのか?
鈴木 そういうケースもあるかもしれない。
――政治との関係はいつ関心を持ったのか?
鈴木 政治との関係は2010年に松戸市議選挙に信者の候補が無所属で出馬したりしたことからだ。結果は落選だったが。
――政治との関係を調べてどうか?
鈴木 共存共栄になっている人とそうでない人がいると思う。祝電を出す程度と、選挙手伝いや政治献金の見返りを求めている人とでは違う。
――名称変更は「見返り」と言えるか?
鈴木 そうと言える。
――警察に圧力をかけたりとか?
鈴木 それもそうだ。
――2009年の民主党政権時代はどうだったか? 自民党政権ではなくなったせいもあり、「09年にコンプライアンスを強化した」と言ったと思ったが。
鈴木 民主党政権にも幅広くアプローチをしていた。警察にも影響力を持っていたと思われる。09年に警視庁が教団本部に手入れをしようとしたが、政権からの警察への圧力で止まったと思われる出来事があった。
――もしや、○○代議士では(警察庁に影響力をもつ議員)?
鈴木 そうかもしれない。
――しかし、こんな日本人に害を与える教団と何故、岸信介がくっついたのか?
鈴木 金より思想の方が大きいと思う。「反共の同志」という。それに当初は、霊感商法などはなかったので、あくどい教団という認識ではなかったんだろうと思う。
――エイトさんが『日刊ゲンダイ』に発表した政治家以外に、教団と関係のある政治家はいるか?
鈴木 いると思う。
――派閥で言うと清和会以外に多いところは?
鈴木 無派閥が非常に多い。それ以外もある。
――呆れたのは、稲田朋美(安倍派)や野田聖子(無派閥)、石破茂(石破派)といったクリスチャン議員が統一教会に関わっていたことだが。
鈴木 そういう人たちは、何か便宜や利益供与をするとか深い関係ではなかったと思う。
――金銭のやりとりが具体的にあった議員はわかるか?
鈴木 リストにあげた中で政治献金のやり取りがあった議員はあげた。
――それ以外はわからないか? キャッシュ・オン・デリバリイ(現金の受け渡し)で領収書は一切不要の金を受け取っていた人は?
鈴木 そこはわからない。闇だ。
――私の住む兵庫の末松信介文部科学大臣はパーティー券を購入してもらっていた。彼の秘書官から話を聞いたが、「世界平和連合の方だと思っていたからお付き合いした。統一教会の人と知らなかった」と言っている。そんなことは有り得るのか?
鈴木 政治家の世界では勝共連合と世界平和連合は統一教会と別だという認識なのだろう。しかし、関連団体ということは有名だ。
――末松事務所が知らずに付き合っていた可能性はあるか?
鈴木 知らないわけがない。知っていたが、誰も言えなかったということだろう。
――政界では世界平和連合が統一教会系というのは常識のように思う。
鈴木 その通りだ。しかし、政治団体と宗教団体は別という認識なのだろう。
―― つまり末松事務所は「統一教会系だったとは知らない」という嘘をついているというわけだ。                 
――今回の事件を契機にエイトさん自身もわかってきたことが多いと思うが、統一教会の権力に対する影響力はどうなのか?
鈴木 実はたいしたことがないと思う。たいしたことがない団体なのに、影響力があったように思われていると思う。その程度の団体がこれだけ世の中にはびこり、「わけのわからないカルト教団が政治を操っている」という認識はちょっと違うと思う。
――意外とエイトさんの見方は大きな影響力はないということか。今のマスコミ報道は「すごい黒幕」みたいな報道だが。
鈴木 そういう意図をもっているメディアは少ないのではないか、報道の受け止め方の問題だと思う。
●大阪維新の元大阪市議長、旧統一教会との関係申告せず 党調査に 8/19
地域政党・大阪維新の会に所属する大内啓治・大阪市議(71)=6期、元市議会議長=が宗教団体「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の関連団体の行事に参加していたにもかかわらず、党の調査には伏せていたことが判明した。大内氏は19日、毎日新聞の取材に事実関係を認め、「政治家として便宜を図ったり広告塔になったりしていたわけではないので、報告しなかった」と弁明した。
大内氏によると、大学在学中に統一教会に入信したが、政治家になる前に退会した。一方で市議になってからも関連団体の会合に複数回出席し、参加費を支払っていた。寄付は受けていないという。
大阪維新では安倍晋三元首相が銃撃された事件を受け、所属する首長・議員の全員を対象に旧統一教会との関係の有無を調べた。ただし、調査は自己申告制で、会合への参加など関係があったと申し出た16人に大内氏は含まれていなかった。横山英幸幹事長は「本人から説明を受け、口頭注意した。きちんと事実関係を確認したい」と話した。
大内氏は1999年に初当選。自民党所属だったが2010年に離党して大阪維新入りした。11〜12年には市議会議長を務めた。
●旧統一教会総裁を「マザームーン」と呼んだ理由 自民・山本議員が回答 8/19
旧統一教会の韓鶴子総裁を「マザームーン」と最大級の賛辞を込めて呼んでいた自民党の山本朋広衆院議員がその理由を答えました。
自民党 山本朋広 元防衛副大臣(2017年)「マザームーンにさきほど、カーネーションの花束をプレゼントさせていただきました」
韓鶴子総裁を「マザームーン」と呼んだ理由について山本議員はJNNの質問状に対し、「お付き合いもなく、韓鶴子(かん つるこ)さんだと思っていた」「『かん つるこさん』と呼ぶ人は誰一人おらず名前を言い間違えるのは大変失礼になるので悩んでいたところ、関係者が教えてくれたのが『マザームーン』でした」などと説明しました。
また、「旧統一教会との関係はありませんし、信者でもありません。旧統一教会と向き合う考えはありません」としています。
●公明も旧統一教会系雑誌に記事 党幹部が取材応じる 8/19
公明党の高木陽介選対委員長と佐藤茂樹国対委員長が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と関係が深いとされる月刊誌のインタビューを受け、記事に掲載されていたことが分かった。党が19日、報道各社にコメントで発表した。いずれも各党が横並びで取材を受けた中で、インタビューに応じたとした。
石井啓一幹事長は5日の時点で、行事への参加など教団や関連団体と関わりがあった党所属国会議員は1人だけだと説明していた。党はコメントで「両名とも当時、旧統一教会系の雑誌だとの認識はなかったとはいえ、接点も持ったことを反省している」と記した。
●自民党と“統一教会”との関係 「関係を断ち切れないのが今の与党」野党追及 8/19
自民党の萩生田政調会長が18日に「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”との関係を明かした事を巡り、野党が追及を強めています。立憲民主党の泉代表は「関係を断ち切れないのが今の与党」と批判しました。
18日、自民党の萩生田政調会長は「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”との関係を明かしました。
自民党 萩生田政調会長(18日)「世界平和女性連合の皆さんの活動に私も一定理解をし、また応援していました」
これまで、日本テレビの取材で2014年以降4件の関連団体への支出がわかっていましたが、萩生田氏側は2012年にも2件の支出があったことを新たに報告しました。少なくとも10年前から、関連団体とのつきあいがあることがわかりました。
――二度と関係は築かない?
自民党 萩生田政調会長(18日)「はい。あの――適切な対応をしていきたいと思っています」
萩生田氏は、今後は「適切な対応をする」と述べるにとどめました。これについて、19日に野党は――
立憲民主党 泉代表「『今後関係を絶ちますか』と聞かれれば、『絶ちます』と言えばいいのに、『適切に対応する』という言葉でやり過ごしている。この関係を断ち切れないのが、今の与党ではないか」
岸田首相が指示した点検や見直しについて、立憲民主党の泉代表は「曖昧で効果がない」などと批判しました。
そして、19日に行われた国会の閉会中審査で、野党は政治と教団の問題を国会で初めて追及しました。
立憲民主党 柚木道義議員「(政務三役で)約4割が統一教会と接点があるというのは、その1人として加藤大臣、これさすがに多すぎませんか」
加藤厚労相「これは基本的に総理等々でご判断。あのーどう言うんですかね。指名をしていくというか、お決めになっているわけでありますので、それに対して私からコメントするのは差し控えたいと思います」
加藤厚労相は、教団の関連団体の会合に会費を支払ったことを認めています。
立憲民主党 長妻昭議員「統一教会の関連団体とわかった上での話なのかどうか」
加藤厚労相「ちょっと事務所の判断なんですが、その段階でどこまで統一教会との関係を意識していたのか、必ずしも定かではありません」
加藤厚労相は、会費を支払ったのは事務所で、教団との関係を意識していたかはわからないとしました。
共産党 宮本徹議員「統一教会の被害の継続や被害の拡大。こういうことにつながった可能性があると、こういう認識はございますか」
加藤厚労相「被害の拡大うんぬんっていう、そこはちょっと具体的にですね、なかなか申し上げにくいと思いますが。至らない点があったということ、その点はしっかり踏まえながら、今後こうした団体との関係はきっちりと整理をしていきたい」
19日、休暇先から永田町に戻った岸田首相は、新たな課題にどう対処するのでしょうか。
●萩生田氏「統一教会の反社会性をご理解いただいてない」適切に対処に疑問 8/19
長年、統一教会の問題に取り組む紀藤正樹弁護士が19日、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」に出演。自民党の萩生田光一政調会長に対して「統一教会の反社会性をまだご理解いただいていないのかな」と批判した。
ミヤネ屋では、自民党政治家と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関係性について連日、鋭く切り込んでいるが、この日も紀藤弁護士と統一教会の問題を20年以上報じてきたジャーナリストの鈴木エイト氏が出演した。
萩生田氏は、6月に生稲晃子参院議員(当時は立候補予定者)と関連施設を訪れたことを18日になって認めた。今後について問われ「適切に対応する」とコメントした。
紀藤氏はこの言葉遣いに着目。「政府の中でも実態にご理解いただいていないのでは。統一教会に対して、反社会性をどこまで理解しているか」と問い、「理解していれば、おのずから『決別宣言』になる。岸田首相はご理解いただいている。それで結果的に『決別してください』という話になって、それは本当に感謝している」と岸田文雄首相を評価した。
その上で「統一教会の反社会性が分かったら『厳正に対処する』というコメントになると思う。昨日(18日)の萩生田さんは『決別宣言』と『厳正な対処』がはっきりしない。反社会性のご理解がいただいてないのかな」と疑問視した。
●東大生の旧統一教会2世信者が語っていた 「家庭連合は間違っていない」 8/19
安倍晋三・元首相の銃撃事件を機に、自民党と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関係がクローズアップされている。その中で見逃せないのが、「UNITE(ユナイト)」の存在だ。2015年、安倍政権が推進した安保法制に反対するデモが国会を取り囲み、支持率は急落、若者に抗議活動を呼びかける学生組織SEALDs(シールズ)がマスメディアの脚光を浴びた。その頃、そうした流れに対抗して現役東大生4人が結成したのが「国際勝共連合 大学生遊説隊 UNITE」だ。創設メンバーの4人は全員、旧統一教会の2世信者だ。ジャーナリストの西谷格氏が、彼らに取材したときのエピソードを明かす。
2016年7月某日、私(筆者)は旧統一教会に所属する2人の男性2世信者と、都内ホテルの喫茶ラウンジで向かい合っていた。2人は安倍政権の安保政策を支持するデモなどの政治運動を行なう統一教会系の学生団体「UNITE」(2017年に「勝共UNITE」と改称)の中心メンバーで、団体の設立経緯や活動内容を聞くのが取材の目的だった。
2人は当時、東京大学に通う大学3年生だった。時間通りに待ち合わせ場所に現れ、ニッコリと柔和な笑みを浮かべてこちらに挨拶した。やや地味だが真面目そうな印象で、特別変わった様子は見られなかった。
当時、安保法制をめぐって学生団体「SEALDs」が注目を集めていた。UNITE設立の経緯について聞くと、社会問題について研究やディスカッションを行う東大のサークルがあったと言い、こう説明した。
「勝共連合の勉強会に参加して、一緒に演説もさせて頂いた。『だったら学生でやってみてもいいんじゃないか』っていうことで、やらせて頂いたんです」
サークル名については、「名前はちょっと控えておきますね」と明言を避けた。もしかしたら、統一教会系のサークルだったのかもしれない。設立の際に勝共連合から何らかの推奨や指導があったのかと訊いても、あくまで「学生が自主的に始めた」という説明だった。
――勝共連合から作ろうと言われたのではなく、自主的に作ったんですか?
「そうですね。友達の女性がですね、何かできることないかってことでオファーしたんです」
当時、メンバーは全国に約400人いて、毎月2回ほど街頭演説をしているとのことだった。ところどころ、統一教会との関係をぼかすような話し方をしていたのが印象に残っている。例えば、「メンバーはほとんど統一教会か?」と訊くと、
「そういうメンバーもいるし、そうじゃないメンバーもいます。割合は分からないです」と返された。以下のようなやり取りもあった。
――ほかにはどんな活動をしていますか?
「この前は高校生を50人を対象に講演会をやらせてもらいました」
――その高校生はどうやって集めたんですか?
「なんとか集めました」
――家庭連合が中心ですか?
「そうですね、家庭連合で」
繰り返し尋ねないと「家庭連合(=旧統一教会)」という団体名が出て来ないのだ。
「迫害もあるでしょうけれど……」
個人的な目標は憲法改正と言い、その理由は次のように語った。時に難しい言い回しをしていたが、「人とのつながり」や「助け合い」を実感できる世の中にしたいという思いが根底にあったようだ。
「普段大学で生活していて思うんですけど、みんな個人主義なのかなって。社会問題とか高齢化とか、どこか他人事なのかな。それをちょっと変えたい」
個人主義に反対し、家族や家庭、共同体に重きを置いた社会を目指していた。
「国民一人一人が、自分のことしか考えられなくなっているんじゃないか。自分の社会や会社、国っていうのは、自分の家みたいなものじゃないですか。もっと公的意識を持てる人たちになっていきたい」
また、女性の社会進出については否定的に見ていた。
「女性っていうのは、家庭での役割もある。女性に訊いてみると、仕事もしたいけど家庭と両立させたいって言っている。それを無視して『どんどん社会進出していきましょう』っていうのは、ちょっとあれかなって」
統一教会の信者は「純潔を守る」ため、結婚するまで性交経験は持たないという。彼氏や彼女を作っている人は「いない」と明言していた。
統一教会に対する否定的な報道について問うと、こう語っていた。
「批判があることは、もちろん知っています。ただ、お父さんお母さんから色々話を聞くと、結構デマが多い。自分にとって、家庭連合はまさに自分のアイデンティティーなんです。家庭連合の主張が間違っていたら、自分のアイデンティティーの否定にもなるので、真剣にならざるを得ない。検討した結果、間違っていないという確信が自分のなかにはあります」
もう一人は、開祖の故・文鮮明氏に対する憧れのような言葉を口にした。
「国際勝共連合の創設者でもある文鮮明先生がいらっしゃる。平和世界実現に向かって、あの人は人生を捧げたんだろうな。世界が少しでも平和に向かっていくなら、自分も同じようにその道を行きたいって思うんです。もちろん迫害もあるでしょうけれど、それでも行きたいよなーって思います」
統一教会への思いを語る場面では、子供のようにキラキラと目を輝かせていた。統一教会の負の部分が一掃され、取材に応じてくれた2世信者たちが平穏に暮らせるようになることを願っている。
●久しぶりの国会論戦でも追及 “改造内閣は旧統一教会政権” 8/19
国会では、岸田改造内閣の発足後初めての論戦が交わされた。本来のテーマは、「コロナ対策」。しかし...
立憲民主党・早稲田夕季議員「まず大臣に“統一教会”との関係について、お伺いいたします」
共産党・宮本徹議員「大臣は“統一教会”のどこが問題だとお考えなんですか?」
加藤厚労相に対し、旧統一教会問題についての質問が相次いだ。
立憲民主党・柚木道義議員「“統一教会”と何らかの接点が明らかになったのが、加藤大臣をはじめ4割ですよ。第2次岸田改造内閣というのは、“統一教会政権”じゃないですか」
加藤厚労相「それに対して、私からコメントするのは差し控えたいと思いますが...」
一方、夏休み中の岸田首相。
静岡・三島市のうなぎ店で昼食をとる前には、伊豆の国市の土産物店へ。
2泊3日の静養を終えた岸田首相は、19日午後2時半過ぎ、首相公邸へと戻った。
こうした中、旧統一教会との新たな接点が浮上したのが、大臣の続投決定後、いわゆる「後出し」で関係を公表した、山際経済再生相。
インターネット上で公開されていた、2019年10月に、東京都内のホテルで行われた会合の様子。
南米パラグアイの開拓事業20周年を祝う記念式典。
パンフレットの後援者の欄には、旧統一教会の現在の教団名「世界平和統一家庭連合」とある。
この式典の来賓あいさつに名前があったのが、山際大臣。
当日の会場内を写した画像には、壇上に立つ山際大臣とみられる人物が写っていた。
プログラムの案内文には、教団創設者・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏と妻の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁の名前も確認できる、この式典。
山際大臣は、先週の会見で「近年は、関連団体のイベントに出席していない」と発言していた。
山際経済再生相「近年は、関連団体のイベント出席などの関係は持っていないものの、慎重に行動してまいります」
今回明らかになった式典が行われたのは、2019年。後出しで関係を表明した2018年のイベントよりも、あとに行われていた。
この点について、山際大臣の事務所に聞くと、「事務所で調べたところ、ご指摘のイベントに出席したことを示すような資料がなかったため、当該イベントの出席は確認ができておりませんでした」と回答した。
19日、ウェブサイトを確認したところ、この式典の様子を掲載していたページは削除されていた。
教団との関係について、山際氏の地元、神奈川・川崎市の支援者からは、気になる証言が聞かれた。
山際大臣の地元支援者「選挙のスタッフが、“統一教会”の会員ではないかということはいわれてましたね」
そこで取材班は、川崎市の教団関連施設へ。
山際大臣と継続的な関わりがあったのか取材を試みたが、話を聞くことはできなかった。
過去の選挙での応援について、山際大臣の事務所に質問状を送ったところ、このような回答があった。
山際経済再生相の事務所の回答「地元の多数の支援者がボランティアでお手伝いいただきました。その中には、ご質問の宗教に関係している人もいるかもしれませんが、特に確認したことはありませんので、わかりません」
そのうえで、「今後は当該団体とは一切関係を持たない」としている。
教団との今後の関わりをめぐっては、萩生田政調会長が示した姿勢に、批判が集まった。
立憲民主党・泉代表「萩生田政調会長も適切に対応するだとか、そういう曖昧なことしか言わないわけですね」
6月に生稲参院議員とともに、地元、東京・八王子市内の関連施設を訪問していた萩生田氏。
自民党・萩生田政調会長(18日)「(二度と関係は築かない?)はい、あのう...適切な対応をしていきたいと思っています」
教団との今後について、18日、関係を断つとは明言せず、「適切に対応していく」と述べるにとどめた。
立憲民主党・泉代表「『今後関係を断ちますか?』と聞かれれば、『(関係を)断ちます』と言えばいいのに、適切に対応するという言葉でやりすごしている。よっぽど選挙の応援が欲しいのか、この関係を断ち切れないのが、今の与党ではないかと思います」
松野官房長官も、教団との関係を明らかにした新閣僚の今後について、同じ表現をしていた。
松野官房長官「それぞれの責任において、適切な対応が行われるものと考えています」
●旧統一教会に宗教法人の資格があるのか吟味を 8/19
安倍晋三元首相の殺害について、早急にひとつの正しい解釈を求めるより、様々な受け止め方を見聞きし、幅と深みのある理解にたどり着くことができればと考えている。既に、有識者のコメントが幾つも発信されているのはありがたいことである。ただ、政治的、社会的影響の大きさゆえ、案外、殺人事件としての地に足の着いた検討や意見が不足しているように思う。
私は、殺人事件を犯罪学から研究する者として、結論を急ぐことなく、この事件を殺人事件と政治テロ・暗殺として見た場合、どのように特徴づけられるか、考察し、議論の素材として提供してみたい。
殺人事件としての特徴
最初にすべき検討は、殺人事件として何が特徴か明らかにすることである。結論を先取りしておけば、実は、この事件は、殺人事件に見られる一般的特徴をことごとく備える。その意味では「普通」の事件である。
日本の殺人事件は、過半が家族内、身内で起きる。今回なら、山上徹也被疑者が、恨んでいるという母を殺害するパターンである。父も兄も自殺しているが、これは一つ間違えば、家庭崩壊の元になった母を、父や兄が殺害していたかもしれないとみてよいであろう。だが、山上被疑者も、父、兄と同様、母は殺せなかった。むしろ、母も世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者と見えていた。そのため攻撃対象は、旧統一教会となったということであろう。
問題は、旧統一教会への復讐(ふくしゅう)・反撃が、なぜ安倍元首相になったかである。殺人事件としての基本的なことを飛ばして、安倍元首相や旧統一教会の話を始めるひとが多いが、その割には旧統一教会についての認識が甘い。私は、何十年も以前から悪質商法(『現代のエスプリ 悪質商法』参照)という広い枠組みで、カルトを犯罪として研究し、実際にそれらと戦ってきた。悪質商法と呼ぶよりマルチ商法、ネズミ講の類という方が分かりやすいかもしれない。具体的には朝日ソーラーやら日本アムウェイ問題である(以下の概略を参照)。
   朝日ソーラー問題
訪問販売で高額の太陽熱温水器等を、強引な販売手法で売りつけ、1997年には国民生活センターから問題企業として社名公表された。
   日本アムウェイ問題
様々な商品を、マルチ商法的な手法で販売している問題点を、国民生活センターが指摘し、メディアにも大きく取り上げられた。
そのため、旧統一教会と戦う紀藤正樹弁護士とは、当時から親交がある。カルトの説明は簡単ではなく、だからこそ多くの人がひっかかる。本当に理解するには、ご自身で何冊も書籍を読んでいただくしかないが、カルトと戦ってきたものの共通認識だけ紹介しておきたい。以下、カルトについての一般論である。
検挙されにくいカルト主導者
宗教団体を名乗っていてもマルチ商法でも同じだが、勧誘されて信者となった者は、目を輝かせて活動し、自分の周りの者を引き込む。自分も被害者だが、加害者でもあるというのが、カルト信者の悲劇である。目が覚めたとき、自分の加害性に気づき、自分にとって大事な人や家族を、どれだけ苦しめたかわかるため、自殺に至ることがある。山上被疑者の家族だけでなく、大量の自殺者を出しており、大量殺人者と比較すべきであるほど悲惨な結末を生み出している。
もちろん、カルトはオウム真理教のように本当に大量殺人することもあるのだが、「賢い」連中は、手をかけない。つまり、刑法上、凶悪犯罪になりにくい。もし、犯罪者の内心まで立ち入ってみたら、カルトの幹部ほど悪い犯罪者あるいは、反社会的な人は他にいないというのが、カルト研究者の共通認識である。一般に反社会的勢力と呼ばれる人たちは、彼らと比較すれば稚拙な暴力を振るうので犯罪者として検挙されやすく、カルトの主導者は、そう簡単に検挙されないという認識である。
なぜ騙されるのか
カルトの問題で、多くの人が理解できないのは、なぜ騙(だま)されるのかである。この疑問は、しばしば、騙された側に責任があるのではという連想につながり、カルト対策がおろそかになる。
カルトと戦ってきたものの共通認識は、基本的に狙われたら、ほとんどの人が勧誘されてしまうというほどカルト側は巧みな勧誘技術を持っているというものである。集会などに、のこのこついて行ったらもうダメである。見事な勧誘マニュアルがあることが確認されているが、そこから、後の分析に必要になる重要な2点だけ述べておこう。
第1点は、証明できないうえ、ウソくさく思われるのでカルト啓蒙(けいもう)書では省かれる内容である。この見事な勧誘方法というより、洗脳方法を作ったのは、おそらくCIA(米中央情報局)だということである。
CIAに言わせると、毛沢東が、元中国の幹部たちを共産主義者に心を入れ替えさせる清風運動を成功させたのに脅威をいだき、それを洗脳と呼んで研究せざるを得なかったということである。世界中の多くの若者が共産主義に魅了されていた時代があったことを想起しなければならない。それに対抗する研究成果、対共産主義の逆洗脳方法は、洗脳方法そのものであり、これがCIAの外部に持ち出され、カルト集団が使っていると推察されている。騙す側は、信仰者ではなく、科学的な方法論によって洗脳するのである。
第2点は、勧誘の際に、警戒心を解かせ、信用力を上げるために、広告塔を用いることが常道となっていることである。朝日ソーラーのときは俳優の西田敏行をCMに起用していた。有名なカルトであるサイエントロジーの広告塔にされたとしてトム・クルーズが批判されたこともある。このような広告塔になる人物は、勧誘マニュアルの幾つかの手法のひとつの典型的な道具であり、広告塔の意思とは関係なく、見事に活用されて被害拡大につながっている。広告塔とされた人物は、本人は軽い気持ちで使われている場合もある。
旧統一教会の広告塔こそ安倍元首相
例からわかるように、広告塔に最適なのは、いわゆる「おひとがよい」キャラクターの人物である。カルト集団にとっては、ビデオレターひとつで十二分である。ここでは、カルトが活動するためには手ごろな広告塔が必要不可欠なことを理解していただければよい。
そして、旧統一教会の日本における広告塔こそ安倍元首相であった。広告塔なのであるから資料は山ほどある。よくぞ、マスメディアはこれを全て無視してきたものである。
これらを踏まえると、結論は簡単である。
旧統一教会に大きなダメージを与えたかったら、広告塔の安倍元首相を亡き者にすることは、組織の急所をつく極めて有効な手段であり、完璧に論理的整合性がある行為とみえる。より精密に分析すれば、もし山上被疑者が、旧統一教会についての十分な知識を持っていたのであれば、そのとおりである。精神鑑定でぜひとも確認してほしい。
殺人者は一日では誕生しない
殺人事件の他の特徴についても述べておこう。殺しの動機は、簡潔に整理すれば、怨(うら)み、金目当て、動機不明(通り魔等)の3種。加害者と被害者の関係に注目すれば、順次、愛憎が深い関係、金を持っている情報のみあればよい知り合い、見知らぬ他人となる。
今回の事件は、深い関係(家族)のネジレ型になる。深い人間関係がある場合、加害者は相対的に弱者で、怨みを抱かれた、あるいは抱かせた被害者は、相対的に強者である。この強弱は、腕力も社会的な強弱も両方含む。強い方は、反撃のおそれがないので、殺す必然性はなく、毎日相手を攻撃あるいはいたぶればよい。弱者は、反撃が怖く、反撃できずに貯(た)めに貯めた怨念で一息に殺す。これが殺人事件の典型的な構図である。この特徴は、今回も典型的にあてはまる。
ここで非常に大事な点に触れなければならない。実際の怨みによる殺人事件を検討すれば、長年に渡って痛めつけられてきた加害者への同情を禁じ得ないケースに出くわすことは事実である。しかし、多数の殺人事件を比較して、その最大の特徴は、殺人既遂は、実行が極めてむずかしいということである。
殺す気になったり、殺すぞと発言したりする状態までは、人間の攻撃性からしてたやすく到達する。しかし、ナイフで刺しても、そこで少しでもひるめば怪我(けが)で済む。具体的な細かな行為、武器の使い方など検討すればわかることだが、たとえ、挑みかかっても滅多(めった)なことでは殺しきれない。犯罪学者から見て、最も単純化して説明すれば、殺せる人と殺せない人がいる。殺人者の成育史を研究すれば、殺人者は一日では誕生しないことがわかる。山上被疑者がやったことは、運悪く死亡した傷害致死事件ではなく、文句なしに殺人である。
人を殺してもよい理由などどこにもない
刑法の考え方は明確で、たとえ被害者が、いかに酷(ひど)い人物、嫌われ者どころか、極悪人でさえ、それを「殺したるもの」は殺人者である。逆に、現実には珍しいケースだが、被害者が尊敬をあつめる人物であったとしても、それも重大な考慮事項ではない。安倍元首相の功罪についての評価と切り離して刑事裁判は行われるべきである。
宗教二世としての被疑者の生い立ちのみ、量刑のさいに考慮されるべきである。ここで今確認したことは、刑法学を学んだ者にはイロハなのだが、かなり知識があるはずの方々が、誤解されているように感じるので確認させていただいた。誰を殺しても、殺人は殺人であり、殺害者には重い責任がある。犯人の英雄視は論外である。政治テロとしての考察で、この点は再言及する。
殺人事件は、どうしても加害者に注目が集まりがちだが、近年犯罪被害者学も発展してきている。殺人事件は、被害者が加害者を、不用意な言葉、侮辱的な言葉で怒らせたり、先に殴ったり、恨まれたりして起きる。そのため、初期に被害者学は、犯罪の原因として被害者を研究し始めた。
しかし、丁寧に分析すれば、被害者に、犯罪の責任は全くない。人を殺してもよい理由などどこにもない。今回の事件でも、確かに安倍元首相が旧統一教会の広告塔になったことは不用意なことではあるが、彼に殺人事件の責任はゼロである。ただ、安倍元首相は、事件の原因となることをしたのも事実である。刑法理論ではなく、因果という意味では、無縁とはいえない。この部分が実は、ある文脈で重要であることについて、本稿の最後に触れたい。
政治テロとしての検討
さて、いよいよ政治テロとして、今回の事件を検討してみよう。
基本に戻れば、政治権力者の殺害は、正当化しようとすれば抵抗権の行使しかない。悪政への抵抗としての最後の手段としての暴力の正当化である。ところが、今回は、なんと国政選挙の直前である。国民は、政権を倒す適切な手段を与えられており、抵抗権を持ち出すのは、最も不適切な状況であった。
山上被疑者は、安倍元首相を殺害した影響など「どうでもよかった。知ったことではない。」といった発言をしている。この殺害は政治権力をめぐる行為ではなかった。山上被疑者は、反政府勢力ではなく、投票に行かない選挙無関心派であった。この部分の重要性には、寺島実郎が、朝日新聞のインタビュー(「新次元のテロと民主主義 『多くの予備軍』とは 寺島実郎さんに聞く」、2022年7月22日)で的確に指摘している。今回の事件は、これまで蓄積された政治テロについての研究からは、容易に分析できない。政治権力者の暗殺だから民主主義への攻撃であるという理解は、ことを単純化し過ぎた、誤った見方である。
ただし、典型的な政治テロ事件というのも、背後の組織はともかく、実行犯についてよく調べてみれば、異なった様相が見えてくる。アメリカ犯罪学会のテロリズム部会に私が、参加したさい、報告者であったMI5(英国機密諜報〈ちょうほう〉部)の部長は、政治テロの実行犯の成育歴を検討すれば、それは殺人犯そのものであると指摘していた。そのうえで、政治テロを防ぐには、一般市民が巻き込まれて亡くなっても、そこで犯行をやめない犯罪者の発生を無くさなければならない。英国の対テロ研究所の3分の1が犯罪学者だが、この比率は、大幅に上げるべきだと主張していた。私には、全く賛同できる提案である。
欧米諸国の対テロは、ひたすら武装強化と厳重警戒に陥りやすい。一般の犯罪対策も同様である。しかし、統計が明らかにしてくれるように、欧米先進国は、厳罰と厳重警戒をしながら、犯罪の発生率は、日本と比較すれば桁違いに多い。一般市民を犯罪から守るという点では欧米先進国の政策は失敗している。誤解されているが、刑事司法の人権侵害も日本より遥(はる)かに酷い。冤罪(えんざい)事件も桁違いに多いどころか、最近では対テロを正当化理由にして拷問さえできるほどである。欧米のほうが日本より民主的で人権擁護していることを前提に語る学者が多くいるが、少なくとも刑事司法においては、実態は逆である。
私は、もちろん、日本に西洋型の民主主義も人権意識も、根付いていないと考えている点では同じだが、日本には古くからある別の方法があると考えている。伝染病のコロナ対策でも、日本の狭義の政策は、世界のどこの国と比較しても酷かったが、結果は、素晴らしかった。以上のようなことを前提に、安倍元首相殺害に話を戻そう。私が検討したいのは、あの、あまりにも緩い警護のことである。
欧米諸国の要人警護
私は、フランスのミッテラン大統領の警護部隊が、どう選ばれ訓練されて配備されているかの特集番組を、パリ在住中に見る機会があった。その後、アメリカの要人警護についてもFBI(連邦捜査局)の担当官から話を聞くなど一定の情報は保持している。こと要人警護に関しては、欧米諸国は、しっかりしたノウハウを持っており、この方面では日本より成功している。
ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されたと反論する方もおられるかもしれないが、実行犯とされたオズワルドはダミーで、本当の実行者はFBIだと私は考えているし、これは珍しい考え方ではない。警護のやり方以前に、人員の選別、訓練、配置、しっかりした指揮官と指揮系統が必要であり、すごいものである。付近のビルの上、雑踏の中にも必ず人員がいる。ドローン攻撃対策班も必須である。
トランプ前大統領と北朝鮮の金総書記がシンガポールで会談したとき、シンガポールで警護にあたったのはグルカ兵である。彼らは、多くの国の要人警護を請け合い、傭兵(ようへい)として世界を転戦し、民間軍事会社でも働いている。銃撃戦や白兵戦の実戦経験豊富である。警察庁が、警護の再検討中だが、全然レベルが違うことを認識しておかなければならない。
日本には法律以前の災害時の掟がある
ここから、全くオリジナルな私の見方を披露したい。日本の歴史上、たくさん起きた暗殺事件を振り返り、その特徴を見てみるとよい。飛鳥時代(645年)に蘇我入鹿が暗殺された政変「乙巳の変(いっしのへん)」以降、「桜田門外の変(江戸幕府の大老井伊直弼を水戸の浪士らが暗殺)」や「虎ノ門事件(摂政時代の昭和天皇が1923〈大正12〉年12月、無政府主義者に狙撃された)」など、政権の最も大切な権力者たちが、常に、おざなりの警護で被害者を出している。そして興味深いことに、それを改めたことがない。
今回も、欧米やシンガポールのような本格的な要人警護の仕組みは導入されないと私は予想している。私の説は、古来日本では、権力者はガチガチに警護を固めることは禁忌されているというものである。「権力者よ、そんなに怖がらなければならないほど、あなたは嫌われ、怨まれているのですか」ということである。
根拠は次の事実である。欧米では、大災害などで治安当局が機能しなくなったさい、力で抑えられていたものがあふれて暴動を引き起こす。これに対し、地震や台風が頻繁に来る日本では、その打撃の直後に全く警察力が失われた時でも、社会の治安は完璧であり、暴力団まで協力する。法律以前の掟(おきて)があることがここに確認できると私は考えている。その大災害直後、警察力が失われたときこそ、誰にも怨まれずに暮らしてきたことに安堵(あんど)する民がいる。
古の掟を守り、起きた悲劇
そのことを前提とした場合、安倍元首相の殺害は、どういう事件と受け止めるべきであろうか。西洋からの借り物の民主主義や刑法の考え方の応用を離れて、日本神話や昔話的な隠喩を使って考察してみよう。
権力を自分ひとりに集中さすことに成功した人物がいた。その権力者は、小さな石ころを蹴落とした。本人は小さいことと思ったようだが、その影響を増幅して利用する人たちのせいで大きな落石群となり、それに踏みつぶされた人たちがでた。家族を失った、その生き残りのひとりが、その権力者に復讐し権力者を殺害しましたとさ。
責任から逃れられることと因果から逃れられるかは別のはなしである。
もう1点注目すべきことがある。桜を見る会の顛末(てんまつ)である。アベノミクスの功罪はわからなくとも、これが選挙民の買収であることは、ほとんどの国民が理解している。それなのに逮捕されなかった。それどころか検察権力を、自分の思うままにしかねないほど安倍元首相は権力集中に成功していた。しかし、今にして思えば、桜を見る会の件で逮捕されていれば、今回の悲劇は避けられた。
最後に、まとめてみよう。他人の怨みを買いながら「成功」し、ガチガチに近辺を守り通すことは禁忌されているという古(いにしえ)の掟があると述べた。実に興味深いことに、安倍元首相は、この掟を破ったから罰されたのではなく、この掟に従って殺害された。要人警護を緩めることによって、庶民の怨みをかった権力者は排除されるという、日本の古来引き継がれる仕組みが作動した。
今後の在り方
ある殺人犯の調査で尋ねたところ、使用人たちを酷く虐待し続けていた雇用側の夫婦を、残虐な仕方で殺害した使用人は、「自分がやらなくても誰かがやった」と答えている。山上被疑者ひとりのことより、元旧統一教会の被害者全てに注目することが肝要である。実に悲惨な状況が放置されてきたままである。
マスメディアがようやく、旧統一教会について報道しはじめた。自民党と旧統一教会の関係に焦点をあてたり、政治と宗教の問題にしたりする構成のものがあるが、方向違いである。自民党は政権党だから狙われただけで、野党議員も狙われたらひとたまりもなかったであろう。
旧統一教会による被害者救済を考える際、被害者は加害者でもあるため、視点によっては悪魔に見えたりするが、事態を単純化してはならない。電報を打ったり、屋外でのツーショットなどはもちろん多少のかかわりがあったりしても、問題点に気づいたので今後一切、旧統一教会の活動を支援しないし、自分も支援されないことを明言していただければ十分である。むろん、安倍元首相のように、政治家が積極的に旧統一教会を利用した次元までいくものは政治責任を問われるべきである。
宗教法人としての認可取り消しを
それ以外は、政治家をターゲットにするのではなく、全ての元凶となった旧統一教会について全力で取り組むべきである。私の認識では、旧統一教会は、宗教を装う悪質商法組織である。最近数年の活動については、私も調査不足なので、少し留保を置いておく慎重さは必要だと考えるが、そもそも、旧統一教会に宗教法人としての名称変更を認めた妥当性どころか、宗教法人としての資格があるのか吟味しなおすべきである。初めはともかく途中で変質し、もはや宗教ではなく科学的な洗脳手法を用いて集金する詐欺集団である疑いがある。精査して、宗教法人としての認可取り消しを検討したうえ、オウム真理教同様に解散命令を出すことを視野にいれる必要があると考えている。旧統一教会は、私の予想では、解散命令が出されたとしても、消滅などしない手ごわい相手である。
●元信者が“選挙協力”明かす 朝から晩まで「逆らうと地獄」 8/19
旧統一教会の元信者が、過酷ともいえる選挙協力の実態を明かした。
旧統一教会の信者だった、30代の男性。手にしているピンクの宝石は、およそ145万円で、教団に買わされたものだという。
“統一教会”の元信者「これを買わないと、この先、不幸になると。恐怖で買いました」
高額な献金や霊感商法が、社会問題となった旧統一教会。
安倍元首相の銃撃事件をきっかけに、政治家との関係が、次々と明らかになっている。
FNNの取材に応じた元信者の男性は、旧統一教会による選挙協力にも、参加した経験があるという。
“統一教会”の元信者「ポスター貼りをしたりですとか、ビラを配ったりとか、街頭演説をしているときに、周りの観客の水増しを行ったりしていた」
男性は、選挙期間中、文字通り朝から晩まで選挙活動を手伝わされたと話す。
“統一教会”の元信者「報酬は、まったくありません。無報酬です。幹部に逆らうと地獄に落ちるという教えがありますので、命令されたら、従うしかないんです」
男性が明かした、選挙協力の実態。なぜ旧統一教会は、選挙協力に熱心なのだろうか。
“統一教会”の元信者「“統一教会”は、選挙活動をすることで、政治家と仲良くなろうとしている。政治家に影響力を持つことによって、自分たちにとって、都合の良い国にしようとしている」
男性が信者となったのは、2006年。
入会1年目に145万円の宝石、そして2年目には81万円の着物を買わされた。いずれも、36回のローン払い。
“統一教会”の元信者「苦しかったですね。ローンだけじゃなくて、別で献金を払うんですよ。給料は、ほとんど残らないですね」
2013年に脱会するまで、献金や物品の購入に、500万円を費やした。
男性は、旧統一教会との関係が取りざたされる政治家に対し、「きっぱりと縁を切ってほしい」と訴えている。

 

●旧統一教会がソウルで「日本メディアの偏向報道」にデモ抗議 8/20
「宗教弾圧、歪曲報道を中断しろ!」
壇上からこう声があがり、シュプレヒコールが続いていく。その声は最初こそ小さかったが、次第に大きくなっていった。壇場下には信者が持つ「世界平和統一家庭連合に対する日本の言論の歪曲・偏向報道抗議集会及び平和行進」と韓国語と日本語で書かれた横断幕が揺れていた。
韓国に嫁いだ日本人信徒による抗議デモが発生
8月18日午後2時。ソウル市内中心部で「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)が「在韓日本人の安倍首相逝去への立場を明らかにする 宗教弾圧の拉致監禁と日本メディアに対する私たちの立場」を掲げ、大規模な抗議デモを行った。主催者は、「世界平和統一家庭連合 在韓日本信徒メディア被害対策委員会」とある。参加したのは、合同結婚式で韓国に嫁ぎ、韓国全国に住む日本人女性や2世など4000人(主催者側発表、警察発表では3500人あまり)で、幼い子どもの手を引く母親もいた。
デモが行われた場所は観光の名所、朝鮮時代の王宮・景福宮前の幅広の歩道。壁の向こう側には朝鮮時代の王室の遺物が収集、展示されている国立古宮博物館がある。
観光ガイドを手にした観光客が写真を撮る景福宮光化門の左手から蛍光色が目立つ、反射ベストをつけた人たちがデモ参加者を囲うようにずらりと並び、歩行者を誘導していた。20代の若者のようにも見える。皆同じ姿だったため、遠目に見た時はセキュリティかと思ったが、「信者ですか? それともセキュリティのアルバイトですか?」と日本語で訊いてみた。しかし、困ったような目つきで何も言わない。韓国語で再度訊くとただ困ったような目つきで黙礼された。足下にはペットボトルがあった。
「日本での宗教の自由が守られるようにしてほしい」
日本語と韓国語で書かれたプラカードには、「家庭連合に対する偏向報道を許すな!」「家庭連合に対するヘイトスピーチをやめよ!」「拉致監禁、強制改宗を許すな!」「普遍的人権、信仰の自由を尊重せよ!」などの文言が並んでいる。デモの人々の傍らを、韓服を着た外国人観光客が、「思ったより軽いかも」、「歩くのがたいへん」などと楽しそうに話しながら通り過ぎていく。
壇上からは、対策委員長の日本人女性が「安倍晋三元首相の銃撃事件について警察の調査がまだ続いているにもかかわらず、容疑者の犯行動機が『家庭連合への恨み』という不正確な情報により歪曲報道が続いている」とし、「これを先導し、信者を拉致・監禁し脱退するよう説得しようとする専門家と、これに協力するキリスト教牧師、共産主義の左派系弁護士を強く糾弾します」と声を上げた。
副委員長の日本人女性も「日本のメディアは事実と関係のない刺激的な偏向報道を止めて、日本での宗教の自由が守られるようにしてほしい」とつなげ、親族に脱退を迫られたという信者は、親族の協力者である牧師に監禁されたと涙ながらに訴えた。
そして、日本人の母親と韓国人の父親の間に生まれたという男性信者は、「日本にいる友人から会社を解雇されたと連絡が来た。理由は統一教会だからと。こんなことがあっていいのか」と叫んでいた。
日本メディアへの抗議を韓国で行う理由
1時間ほど集会を行った後は景福宮から徒歩15分ほどにある東和免税店の入っている建物までの行進が始まった。蛇腹のように続く長い列には驚いたが、デモの多い韓国にあっては見慣れた光景。デモには特に目を留めず、新しくできた光化門広場で思い思い写真を撮ったり、休んでいる人が目についた。
行進に沿って歩道を歩いて行くと、被っていた紙製の白色と水色のサンバイザーを手にした信者たちが引き返してきた。訊くと、「戻れっていわれて」と言う。引き返してきた信者に、どうして日本メディアへの抗議を韓国で行ったのか、訊いてみた。
答えのほとんどは「よく分からない」「他の人に訊いて」だったが、ひとりの信者はこう話した。
「日本には行けないから、日本の信徒の代わりにしたのよ」
どこに住んでいるのか、いつ頃から韓国に来たのかなども聞いてみたが、皆慌ただしく去って行った。
駐韓日本大使館前でもデモを行うという話もあり、「●△■教会がやるって言っていたと思うけど、今頃やっているんじゃない」と信者の一人が言うので行ってみたが、建設中の日本大使館前には誰もいなかった。
企画したのは日本人信者と主張
18日のデモの主催者側にあらためてデモの目的と、なぜ日本で行わなかったのかなどについて問い合わせた。デモの前には韓鶴子総裁が激励したことが日本のメディア(フジテレビ、TBSなど)により報じられたが、アン・ホヨル本部長はこう話した。
「今回のデモは韓国人に嫁いで韓国に住んでいる日本人信者が企画した行事です。7000人くらいます。目的は日本メディアの偏向報道だけでなく、信仰・宗教の自由があるのに拉致・監禁して改宗をせまる人権蹂躙などについて訴えたものだと聞いています。
信仰や宗教の自由があるのに拉致・監禁して、献金の返還訴訟までしている。献金というのは本人が宗教的信仰心を持って、その時感じる感情や宗教が持つ特性や文化によってするものです。献金返金訴訟なんて他の国では聞いたことがありません。
場所の選定についてはよく分かりません。たくさんの日本メディアからインタビュー申請が来ましたが、一切受けないと言っています。私は分かりませんが、日本のメディアは(旧統一教会に)反対する人たちの話しかとりあげていないと日本信者は言っていました」
安倍元首相の銃撃事件によるマイナスイメージに強い危機感か
旧統一教会は韓国では「異端」とされるが、そうした異端カルト宗教についてよく知る、タク・チイル釜山チャンシン大学教授は今回のデモについてこう分析する。
「今回のデモと8月11日から15日まで行われたワールドサミットに米国・共和党の重鎮を招待したことはとても意外なことで、韓鶴子の危機感の現れ、今の深刻な状況を転換させようという意図があったと思います。
現在、旧統一教会は、韓鶴子の『世界平和統一家庭連合』と7男などの『サンクチュアリ教会』、3男の『GPF(グローバルピースフェスティバル財団)』間で創始者の文鮮明亡き後の権力闘争が続いていますが、そこへ起きた安倍元首相の銃撃事件は韓鶴子の『世界平和統一家庭連合』と関係があり、それにより権力闘争へマイナスの影響を及ぼしているのは事実。
旧統一教会は統一グループといわれる企業型の組織でもある。大学から平昌リゾート、高麗人参の一和など手広くビジネスを展開していて不動産も保有している。霊感商法は日本をメインとして行われた資金確保の方法だった。
それだけでなく、これからの教会の行方についても韓鶴子は日本の今の状況を深刻に受け止めていて、この危機を変えたいという思いから、今回のデモを行ったのでしょう」
韓国でこのデモについて報じたのは、ポータルサイトで検索した限りだが、「世界日報」だけだった。
●生稲晃子氏、“統一教会関連施設”訪問のウラ側 8/20
8月16日の「デイリー新潮」が、先の参議院選挙の前に、生稲晃子議員が萩生田光一政務調査会長とともに旧統一教会の関連施設を訪れていたことを報じると、彼女の行動を問題視する声が噴出。生稲氏の事務所は17日、「今年6月に、ご指摘の団体の関連施設に萩生田氏とうかがったことは事実」とのコメントを発表した。改めて、この問題の全容を振り返りたい。
今回の内閣改造と自民党役員人事は、タイミングがまず異例だった。
「なにしろお盆直前でしたからね。議員はこの時期恒例の地元回りができなくなり、官庁の役人もせっかくの夏休みの予定をキャンセルしなければならなくなった。“なぜこんな時期に”と各所で不満の声が上がりました」(政治部デスク)
誰あろう安倍晋三元総理も生前、「参院選後の改造と役員人事は、今の閣僚がお盆休みにお国入りした後にしてほしい」と岸田文雄総理に伝え、話は“9月人事“でまとまっていた。
この構想を一変させたのがまさに、安倍氏を斃(たお)した銃弾だった。
「山上徹也容疑者の動機や供述が報じられ、統一教会と政治の関係が耳目を集め、閣僚や党三役も教会との関係が連日取り沙汰されるようになった。そこへコロナの感染急拡大も相まって、支持率は急落。焦った岸田総理はムードチェンジのために人事カードを切るしかなかったのです」(同)
本人は「してやったり」
岸田総理は、特に教会との関係の濃さが指摘された安倍氏の実弟・岸信夫氏を防衛相から外すことを決め、他にも教会の関係団体から献金を受領していたり、団体の催しに出席していたりといった事実を認めた閣僚も差し替え、19閣僚中じつに7名が“統一教会絡み“で交代することに。
また、自民党議員と教会との関わりについて「何が問題か分からない」などと発言してひんしゅくを買った福田達夫氏も党総務会長のポストから外すなど、広範にわたってメスを入れ、脱教会の姿勢をアピールしてみせたのである。
中でも総理が神経を使ったのは、経済産業相だった萩生田光一氏の処遇だ。
萩生田氏は自民党最大派閥で97人の衆参議員を擁する安倍派=清和会の大幹部にして安倍氏の跡目を争う渦中の人物。このたび党三役の政調会長に就いたわけだが、これはご本人にとっては“してやったり”、野望への大いなる一歩を踏み出した形なのだという。
先のデスクが続ける。
「清和会の次期会長を決めるにあたって、派閥の元オーナーで御年85歳の森喜朗氏の意向は無視できません。その森氏が今月12日、お膝元・石川県の地元紙『北國新聞』のインタビューで会長候補の名前を挙げました。58歳の萩生田氏、59歳の松野博一官房長官、そして今回、新たに経産相に就任した同じく59歳の西村康稔氏の3人でした」
統一教会との関係は“意図せざるもの”と弁明したが…
とりわけ萩生田氏と西村氏は“我こそは”の思いが強いとされるが、
「萩生田氏は政調会長を引き受ける際、経産相の後任に西村氏を推薦しました。そこには二つの狙いがあったといわれます。まず、ポストを西村氏に“譲る”形になるため、先輩格として振る舞える。次に、清和会事務総長として派閥内での影響力拡大をもくろむ西村氏を閣内に押し込むことで“閥務“から引き剥がせる。つまりは勢いを削げる」(同)
なるほど、萩生田氏による西村氏の推挙は、まさに一石二鳥の一挙両得。総理もまた、政局回しに長け、保守色が濃い萩生田氏の抜擢により、亡き安倍氏の穴を埋めつつ、清和会のグリップも期待する――。
かくて萩生田氏は次期会長の最右翼に躍り出て、混乱を見せた今般の人事でひとり“焼け太り”のうまみを享受したのだった。
ただ一方で、氏もまた統一教会との仲について釈明を強いられている。
2014年10月、地盤とする東京・八王子市の芸術文化会館大ホールで統一教会の「祝福原理大復興会」が開催された際、そこに自民党総裁特別補佐の立場で出席、来賓あいさつをしたことが明らかになったが、ご本人は経産相在任中の閣議後会見(8月2日)で、
「承知の上で(統一教会と)お付き合いをしているというのではなくてですね、自分なりに、地元のみなさん(とお付き合いする中)で、その中にそういう関係者がいたのかもしれない、そういう認識です」
などと弁明。カルト教団との関係は意図せざるものだった、そうとは知らなかったと主張したのである。
“ビデオは回すな!”
だが、これはまったくもって疑わしい。統一教会の関係者は憤懣やるかたない表情でこう語るのだ。
「萩生田さんは統一教会との過去の付き合いについて、まるで知らないうちに接点を持ってしまったかのように説明していますが、実情は違います」
萩生田氏は09年、自民党が下野するきっかけとなる衆院選で落選し、12年まで3年間、浪人生活を余儀なくされているが、
「ちょうどその間、月に1〜2回のペースで八王子市内の教会施設を訪ねてくれました。その施設は3階が講堂になっており、そこに数十人の信者を集めて演説をなさっていたのです」
話は続く。
「特に水曜日は大切な日で、教会長が青年・学生部にあたる『成和部』で若い信者を相手に説教します。萩生田さんがその説教の後に何度も登壇して話されていたのを覚えています。具体的な文言までは記憶していませんが、“あなたたちのおかげで自民党は成り立っています。私たちを当選させてください”とか、そんな内容だったと思います」
そして、萩生田氏の演説の場では“ある特別なお触れ”が出されたそうだ。
「萩生田さんがみんなの前で演説する場合、教会長や青年部長ら幹部が”ビデオは回さないように”と信者たちに指示していました」
どうやら証拠を残さぬように、という意図らしい。
信者たちからすれば“家族”同然
「萩生田さんは12年の衆院選で返り咲いてからは、小さな集会にあまり顔を出されなくなり、選挙前のよほど大きな集まりやイベントでしか姿を見かけなくなりました。でも、今さら統一教会との関係を一切なきものにしようだなんて、人間として薄情すぎやしませんか。以前は、礼拝を兼ねた日曜日のバーベキュー大会にジャージ姿で駆け付けてくれたりもしてたんです。萩生田さんが来ると、やっぱりその場がパッと盛り上がるし、みんなそうやって楽しく過ごした時間を覚えています。信者たちからすれば“家族”同然だと思っていたんですから」
地元八王子の政界関係者も、次のように証言する。
「東京都議選に際して、八王子市選挙区で出馬した候補が統一教会の施設で演説しました。その時も萩生田さんは同席して応援弁士を務めていましたし、萩生田さんも自身の選挙では、統一教会の施設で演説会を開いていました」
奥さん同伴で教会のクリスマス会に参加
さらに、こう語る。
「毎年、クリスマスイブの前後に八王子市内の宴会場で、統一教会の関連団体である『世界平和女性連合』の主催によるクリスマス会が開かれます。信者たちはお酒を飲めないので、アルコール抜きの“赤ワインのような飲み物”を口にするのですが、萩生田さんの秘書は必ず出席していました。ご本人も奥さんと何度か顔を出していたはずです」
八王子市政に通じるさる人物も補足して言う。
「萩生田氏が統一教会と付き合っていたのは事実です。はっきりと覚えているのは、12年と14年の総選挙の時のこと。少なくともこの2回の選挙では、スタッフの中に教会の信者がいました」
信者たちは選対メンバーに表立って名を連ねるのでなく、もっぱら“裏選対”の要員として働いていた。
「40代後半のスポーツ刈りで、目のパッチリした男性がリーダー。彼も含めて常に計3人くらいのグループが連日、選挙の現場にいる。彼らは自分たちのことを“国際勝共連合です”って説明していましたね。ポスターを貼ったり、ビラをポスティングしたり、演説会があれば賑やかしのためにそこに来たりと、本当にいろいろな形で選挙の手伝いをしていました。これぞ“兵隊”って感じでしたね」
閣僚ら27名に統一教会との関係が
とどのつまり、ご本人が仰るような「承知の上でお付き合いをしているというのではなくて」うんぬんの弁は、虚偽であったと考えるほかあるまい。
目下、岸田総理はあたかも綱紀粛正を図るべく、議員個々においては教会との関係を自ら点検し、これを正直に申告するよう求める体裁をとっている。
「現状では新内閣の閣僚8名に加え、副大臣・政務官19名、計27名が教会のイベントに参加したり、祝電を送ったりしたなどという接点を認めています」(政治部記者)
だが、ここにも欺瞞(ぎまん)や茶番の臭いが強く漂う。萩生田氏の例に見るように、仮に議員本人が真実を申告しなかったなら、はなから綱紀粛正も何もないからだ。
とりわけ悪質なのが、経済再生担当相のポストに引き続きとどまった御年53の若手、山際大志郎氏である。
山際氏は教団や関連団体との関係について“黙秘”を続け、しかし経済再生相の留任が決まるや一転、教会の友好団体に会費を支出し、団体主催のイベントで来賓としてあいさつしたことなどを認めたのだ。
「山際は総理の顔に泥を塗り、背任行為を働いたも同然。もともと親分の麻生さんは彼の留任を望まなかったのに、自民党神奈川県連で彼の後見役をつとめる甘利明さん(前幹事長)が官邸まで出向き、総理に続投を要請した。総理は甘利さんの顔を立てたつもりだった」(閣僚経験者)
だとすれば、有力者への忖度(そんたく)が、教会色の払拭を阻んだことにもなるだろう。
「(教会の施設に)立ち寄らせていただきました」と回答
さらに、看過できない事実がある。
7月の参院選。東京選挙区では元おニャン子クラブのメンバー・生稲晃子氏が初当選を果たした。彼女の擁立工作を主導した萩生田氏は選挙中、生稲氏を伴って八王子市内の統一教会関連施設を訪ね、支援を要請していたというのである。
生稲氏の事務所の回答。
「八王子での演説終了後、演説を聞いていた方から、“ここに来られなかった仲間が近くにいるので生稲さんのお話を直接聞かせてもらいたい”とのお話しがあり、スタッフが相談をして次の日程への移動の合間に(教会の施設に)立ち寄らせていただきました。その際に(演説の)現場にいらっしゃったご地元の萩生田先生に同行していただきました」
今も続く政界への浸透工作
統一教会は、注目度が高いという意味で前途有望な新人にまでツバをつけようとしていたわけだ。政界への浸透工作は続いていると見るべきなのである。
萩生田氏は生稲氏とともに施設に立ち寄ったことを認めたうえで、自身と教会の関係については、
「選挙の際、当方から支援依頼をしたことはなく、選挙戦のお手伝いをしていただいた事実はありません。旧統一教会が主催する礼拝やバーベキューに参加した事実はございません」
自浄作用などと言いつつ、人事をかきまわしてむしろ濁るばかりの岸田政権。これを真の泥沼という。
●中曽根康隆氏、清水真人氏、中曽根弘文氏が旧統一教会と接点 8/20
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家との関係を巡り、本紙が群馬県関係の国会議員10人を対象としたアンケートで、自民党の中曽根康隆氏(衆院1区)は県内の旧統一教会の教会で選挙支援を求めてあいさつしていたことが分かった。中曽根氏と、自民党の清水真人氏(参院群馬)は旧統一教会の関連イベントに祝電を送ってもいた。ともに同党の井野俊郎(衆院2区)、笹川博義(衆院3区)の2氏は回答しなかった。県内12市の市長に対しても同様のアンケートを実施した結果、全員が「関係はない」と回答した。
アンケートは1旧統一教会や関連団体関係者との面会や、主催集会への出席、祝電を送るなどの関わりの有無2自身の選挙活動の手伝いや、票の取りまとめの有無―について質問した。
中曽根康隆氏 教会で選挙支援のあいさつ
中曽根氏は1に「ある」と回答。2021年9月、前橋と高崎の両市にある教会2カ所であった「中曽根康隆衆院議員を励ます会」の会合に出席し、関係者を前にあいさつした。
また、20年1月19日、前橋市であった関連団体主催のイベント「孝情ファミリー大新年会IN群馬」に秘書が代理出席し、祝電を送った。中曽根氏は「今後、旧統一教会や関連団体などの主催行事の参加や祝電は一切断る」とコメントした。
清水真人氏 関連団体主催の新年会に事務所が祝電
清水氏も1に「ある」と回答。同じ新年会に対し、地元事務所から祝電を出した。また21年5月、東京都内で関連団体が関わる議員向け研修会で秘書が受付で名刺を渡し、資料を受け取った。会場には入らなかった。いずれも清水氏本人は詳細を確認していなかったという。
清水氏は「旧統一教会との関係はなく、今後も持つつもりはない。秘書や事務所スタッフとも認識を共有し、同様なことがないよう努める」とコメントした。
この新年会には、旧統一教会の幹部も出席。当時県議会議長だった自民党の狩野浩志県議(前橋市区)は来賓としてあいさつしている。
中曽根弘文氏 関係会社発行の月刊誌から取材
また同党の中曽根弘文氏(参院群馬)は、1について「その他」とした上で、03年に、旧統一教会の関係会社が発行する月刊誌「Viewpoint」から教育基本法改正に関する取材を受け、記事が掲載された。取材を受けた経緯は「不明」とし、「旧統一教会との関係性は理解しておらず、多くの取材の一つとして受けた。同教会の活動にお墨付きを与えるようなものではない」としている。
井野俊郎氏、笹川博義氏は回答せず
笹川氏の事務所はアンケートについて「回答はない」と返答。回答しない理由については明確にしなかった。井野氏の事務所は「調査中」として、締め切りまでに回答しなかった。
ともに同党の福田達夫(衆院4区)、小渕優子(同5区)、尾身朝子(同比例北関東)、羽生田俊(参院比例)、公明党の福重隆浩(衆院比例北関東)の5氏は12とも「なし」と回答した。福重氏は「一般常識として、政治家は社会的な問題やトラブルを抱える団体との接触を控えるべきだ」と見解を記した。
政治家が「反社会的団体」を宣伝
九州大法学部の南野森しげる教授(憲法学)の話 旧統一教会は他の宗教とは全く異質だ。裁判所は、刑事や民事で同教会の違法行為や不法行為を繰り返し認定している。ここまで数多く認定されている宗教法人はほかにはなく、「信教の自由」を隠れみのにした「反社会的団体」と評価せざるを得ない。
旧統一教会を巡っては、多くの被害者がいる。法外な高額商品を買わされるだけでなく、家や土地を取られ、財産を身ぐるみはがされ、家庭崩壊する例もあるなど、度を越している。
そうした団体と政治家が関係を持つと、一般市民からは「まともな団体」と思われ、イメージアップにつながってしまう。政治家は反社会的団体の宣伝に使われてはいけない。関わった政治家は認識が甘過ぎる。今後、関係を一切断つことが必要だ。
群馬県知事「関係一切ない」
群馬県の山本一太知事は10日の定例会見で、旧統一教会との関係について「一切ありません」と全面的に否定した。
その上で「接近を試みられた事例」として、参院議員だった2015年に出席した「日英有識者フォーラム」で、後援していた関連団体「平和大使協議会」の幹部らと写真撮影をしたことを明かした。「他の出席者とともに撮影したので、強く拒否しなかった。違和感を覚えたので、当時のブログにもそう書いた」と説明した。
●生稲晃子に高市早苗も…統一教会問題の釈明で疑問視される政治家たち 8/20
「まったく見てなかったんですね。だから(統一教会の関連施設とは)知りませんでした」
8月18日、囲み会見でそう弁明した自民党の生稲晃子参院議員(54)。参院選目前の6月に、萩生田光一政調会長(58)とともに統一教会(世界平和統一家庭連合)の関連施設を訪問していた。
生稲議員は<演説をお聞きの人より、他にも仲間が集まっているのでお話を聞かせてもらいたいとのご依頼があり>(事務所コメント)、スタッフの判断で施設を訪問。岸田首相の指示で統一教会とのつながりを調べているときに、同施設が統一教会の関連のものだと初めて分かったと主張している。政治部記者はこう嘆息する。
「選挙戦前の1分1秒が惜しいときに、何の下調べもせず、どこの団体のものかわからない施設に行くわけがないでしょう。仮に、訪問先が暴力団の関連施設だったらどうするんですか。統一教会の施設だとわかっていたに決まっている」
もっとひどいのが、一緒に施設を訪問した萩生田議員の弁明だ。萩生田氏は統一教会との関係を認めたうえで、「昭和の時代の関連商法のことなどは承知をしておりましたが、その後悪い噂を聞くこともなかったですし、そういった報道に接する機会もなかったもんですから」(8月18日会見より)と言い放った。
「統一教会の問題がもっとも報じられたのは『昭和の時代』ではなく、平成です。近年も、判決が出るたびに霊感商法の問題はたびたび報じられてきましたし、国会の質疑でも取り上げられています。萩生田さんは新聞もとらず、国会の答弁も聞いていなかったということでしょうか」(前出・政治部記者)
いま、統一教会との関係を突っ込まれた政治家がこのような非常識な弁明で逃げることが常態化している。
「いわば『バカのふり』ですよ。関係を否定するには証拠や証言がそろいすぎている。かといって、知ってて関係を結んだとなると道義的な責任が出てくる。だから、自分が関わった団体が統一教会の関連団体と知らなかったことにしたり、そもそも統一教会が問題のある団体だと知らなかったふりをしているのです」(衆議院議員秘書)
高市早苗氏も非合理な弁明
たとえば、総務大臣政務官に抜擢された自民党の杉田水脈衆議員議員(55)。2016年に米国の教団関連施設で講演、2019年にも講師として参加した熊本県での講演会の主催者の一人が統一教会の信者だったことが指摘されている。しかし、いずれも「知らなかった」と弁明した。
「米国までいくのに、どういう団体や施設での講演であるかを調べないはずがない。熊本県の関連組織だって、すでにネット上では統一教会との関係が指摘されていました。本人も、事務所の人間も、パソコンやスマホも持ってなかったのでしょうか」(前出・政治部記者)
さらに、統一教会と関係が深い世界日報社が発行していた月刊誌「ビューポイント」で、2001年に対談を行っていたことが発覚した高市早苗経済安全保障担当大臣(61)。
《日本で一部の情報検索サービスが開始されたのは、2001年の対談の5年前ですが、事務所では未だ利用していませんでした。スマホが初めて米国で販売されたのは、対談の6年後。今ほど手軽に様々な活字媒体の背景を調べることは困難な時代でした》
そうツイッターで弁明している。週刊誌のベテラン記者はこう首をかしげる。
「もともと高市さんはキャスターとして活動していたメディアの人です。世界日報社が“統一教会関連”なのは業界の常識でしたし、調べようと思えば知り合いのメディアの人間にでも聞けばすぐにわかったこと。20年前のことなんですから、こんな変な弁明をするより、『当時は認識が甘かった』と言われた方がよっぽど腑に落ちます」
本当に知らないなら政治家として不適当
ほかにも複数の自民党議員が非常識な弁明で追及を逃げている。だが、「究極の『バカのふり』は日本維新の会の松井一郎大阪市長かもしれない」(前出・政治部記者)という。
松井氏は、過去に統一教会の関連団体である国際勝共連合の集会に参加していたことを認めたうえで、「勝共連合という団体があったことをはじめて知った」と言い放った。
「松井さんは日本維新の会の代表でもあるわけです。国政にかかわる人間が、50年以上にわたり日本の政治に関与してきた国際勝共連合の存在を知らないはずがない。さらに、松井さんの父で、大阪府議会議員だった松井良夫さんは政界のフィクサーといわれた笹川良一さんの付き人をやっていました。国際勝共連合の初代名誉会長はその笹川さんです。知らなかったというのはあまりに無理がある」(前出・政治部記者)
統一教会についての追及をかわそうとする政治家たち。最後に、前出・衆議院議員秘書はいう。
「“ググったり”、人に聞けばすぐにわかる情報を調べる能力もない、秘書に調べさせることもできないなら、それは著しく能力が低いということですから、今すぐ国会議員や首長をお辞めになった方が日本のためです。『バカのふり』で追及をかわそうとしているのなら、それは倫理的に政治家の資質がない。いずれにせよ、政治家をお辞めになるべきでは?」
●杉田水脈議員「御社が統一教会と関係ない証明は?」 “謎問答”が返ってきた 8/20
「過去に多様性を否定したこともなく、ある性的マイノリティの方々を差別したこともない」「岸田政権が目指す方向性と、政務官として何一つずれている部分はない」
こう語ったのは、先日の内閣改造で総務大臣政務官に就任した自民党の杉田水脈議員(55)。
これは、15日に行われた政務官の就任会見で、岸田政権が掲げる「多様性が尊重される社会」について問われた際のものだ。
雑誌『新潮45』’18年8月号への寄稿の中で、LGBTのカップルに対して《彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです》と記し、批判が殺到。杉田氏は「不適切な記述であった」と釈明したが撤回はせず、雑誌は後に休刊となった。
その他にも、‘14年10月の国会では「日本で女性が輝けなくなったのは、冷戦後、男女共同参画の名のもと、伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等を目指してきたことに起因します。男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想です」と発言。
’15年6月に配信されたネット番組で「思春期の子供に“同性愛者も堂々と胸を張って生きましょう”と教育したら正常に戻れなくなる」とも発言するなど、これまで何度も舌禍を招いてきた。
そのため政務官という要職に就いたことで、過去の発言が改めて疑問視されることに。Twitterでは「#杉田水脈氏の総務政務官起用に抗議します」というハッシュタグがトレンド入りする事態にもなっている。
こうした発言がありながら冒頭のように、“多様性を否定したことがない”とした杉田氏。
そこで本誌は、杉田議員に就任会見、および波紋を呼んだ過去の発言についての見解を尋ねることにした。
「ちなみに光文社さんは統一教会と関係はないんですか?」
19日、杉田議員の国会事務所に電話し、担当者に「政務官の就任会見での発言について、いくつか質問したいことがあります」と伝えると、質問票の送信先を聞き終えた後、担当者は突然こう切り出した。
「ちなみに御社は統一教会と関係はないんですか?」「関係ないと、どうやって証明されますか?」「『統一教会と関係のあるメディアからは取材を受けるな』と言われているので、こちらも安心して答えるわけにはいかないので。“関係ない”ということを証明していただかないと」
16年8月にニューヨークで統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)の教団施設で講演、19年4月に講師として参加した熊本県での講演会の主催者の1人が統一教会の信者だったことが指摘されている杉田氏。
杉田氏は会見で、19年の講演について「主催団体が関連団体とは知らず、現在も確認できていない。(主催団体の)役員の1人が教団関係者との指摘はあるが、講演当時は知らなかった」と説明。「関連団体というのかどうかは誰も確認できない。定義がわからないので、これ以上のことは申し上げられない」と答えたが、その姿に「開き直りだ」といった批判が殺到していた。
そんな会見を逆手に取るかたちで、本誌の質問に“謎問答”を返して正面から答えなかった杉田議員。各所で舌禍を招き続けるなか、その“慎重さ”はもっと別のところに必要なのでは……。
●広島市のサイトに旧統一教会の友好団体を掲載 8/20
広島市が、市内の市民団体の活動情報を集めたウェブサイトに、宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の友好団体を掲載していることが19日、分かった。国際・社会貢献を目的とするボランティア団体として紹介。市は「関係団体かどうかを含めて情報を整理し、今後の対応を検討する」としている。
友好団体は2017年2月に設立された「世界平和青年学生連合 西広島連合会」(中区)。市が管理・運営する「ひろしま情報a―ネット」に、地域でのボランティア清掃の写真や、会費千〜2千円などの入会条件、連絡先を付けて載せている。
市や広島平和文化センター(中区)によると、同団体は19年6月、センターが事務局を務める市内の国際交流団体のネットワークに加入。ウェブサイトへの掲載を求めたという。
センターは「当時の担当者は旧統一教会関係の団体と認識していたが、国際交流や環境保全といった活動目的での申請だったので排除できないと判断した」と説明している。
●岸田首相「反日カルト」と決別し、統一教会への資金の流れを解明せよ 8/20
国葬儀決定と内閣改造という二つの過ち
安倍元首相殺害事件から1か月余が経過した。
殺害事件に端を発した旧統一教会の反社会的活動や自民党を中心とする政治家との関係性に関する批判は、連日、マスコミでも大きく取り上げられ、大きな社会問題になっている。
岸田文雄首相は、大幅な内閣支持率の低下に狼狽したのか、当初、9月だと言われていた参院選後の内閣改造・党役員人事を、急遽前倒しして8月10日に行ったが、改造内閣発足直後から、新閣僚や副大臣、政務官の統一教会との関わりが次々と明らかになっている。
経済再生担当大臣に留任した山際大志郎氏が、組閣後の記者会見で統一教会との関係を岸田首相に報告せず、組閣に臨んでいたことが明らかになって批判に晒されるなど、統一教会との関係の説明に関する「不誠実な態度」が問題にされる議員も少なくない。政府、自民党にとって、「統一教会問題」は一向に収まる兆しは見えず、一方、岸田内閣が、閣議決定した「安倍元首相国葬」に対しても、安倍氏自身が統一教会への関与の中心だったことが明らかになったこともあって、世論調査では反対が賛成を大きく上回っている。
こうした中、岸田首相は、8月16日から22日まで、家族とともに休暇をとるということで、「1年半ぶりのゴルフ」を楽しむ様子がテレビで報じられていた。
昨年10月に、総理大臣に就任した岸田首相は、自らも「聞く力」を強調しているように、自らの考えによる決断をあまり行わず、行っても他人の意見を聞いて修正するという柔軟な対応を行うことに特色があった。それが、それまでの安倍、菅政権と比較して、「批判」「反発」を受けず、高い支持率を維持することにつながってきた。
首相就任直後の昨年10月の総選挙で、野党側の「自滅」もあって、議席減を最小限にとどめ、その後も、首相としての決断と実行を求められる局面が、それ程多くなかったため、これまで、概ね「流れに委ねること」でやってこられた。
しかし、安倍元首相殺害事件で、政権や自民党をめぐる政治情勢は激変した。
ここで、岸田首相は、自ら二つの「決断と実行」を行った。一つが、殺害事件後間もなく、安倍元首相の「国葬儀」を閣議決定したこと、もう一つが、統一教会問題での閣僚や自民党への批判の高まりを受けて、9月と予想されていた内閣改造を、急遽前倒しして、新内閣を発足させたことだ。
しかし、この二つの決断は、いずれも最悪だった。それによって、岸田内閣は、重大な危機に瀕することになりかねない。
「統一教会問題」については、マスコミの報道が過熱、それによって世の中の関心が高まり、視聴率がとれるので、テレビで取り上げられ、関心が一層高まるという、自民党にとって「負のスパイラル」に入っており、9月27日の安倍氏の国葬に向けて、自民党や党所属議員に対する批判はとどまるとは思えない。当初はネット署名から始まった「国葬反対」の声も、街頭デモも行われるなど、一層高まっていくことは必至だ。
こうした状況において、「安倍支持者」「現政権支持者」の側から、統一教会と政治との関係を問題にすることへの批判として主張されるのが、「犯人の思う壺」論だ。
成り立たない「思う壺」論
山上徹也容疑者は、母親が統一教会に入信してのめり込み、高額の献金で破産し家庭崩壊に至ったことで恨みを抱き、同教団とつながりがあると思った安倍氏を襲撃したと供述していると報じられたが、その後明らかになったツイッターのアカウントの内容では、山上容疑者は、思想的には、むしろ「ネトウヨ」に近く、「反安倍論者」の安倍氏批判の影響を受けたとは考え難いとことがわかった。
事件直後のように「安倍批判」が安倍氏殺害事件の原因であるかのような「暴論」を述べることもできなくなった「安倍支持者」側は、「統一教会問題」や政治家との関係を問題にすること自体に対して、「山上容疑者の思う壺」、『テロに「意味」を与えるマスコミはテロリストの共犯者』などと反発している。
しかし、そもそも、事前の意思連絡がない「共犯者」というのはあり得ない。せいぜい事後的な「加担者」と言えるかどうかだが、本件ではそれを問題にして統一教会批判を控えるべきとの理屈は成り立たない。
山上容疑者の殺人行為を機に、「統一教会問題」が世の中で大きく取り上げられるようになったからと言って、犯行は決して正当化されるものではなく、その刑事責任に応じて厳罰が科されることで、同種犯罪、模倣犯の抑止が図られる。そのことと、この事件を機に、カルト的宗教団体である旧統一教会の活動やその被害、政治家の関わり等に注目し、社会としてどう対応すべきかを議論することとは、別の問題だ。
これまでも被害救済活動をしてきた弁護士等から、政治家が旧統一教会に関わることで「お墨付き」を与えることが被害を拡大しているとの指摘があったのに、取り上げて来なかったマスコミが、事件を機に、ようやくそのことに気付いて、取り上げるのが遅きに失しているのであり、それを「犯人の思う壺」だからやるべきではない、というのは、むしろ「旧統一教会」側の「思う壺」だ。
旧統一教会に対する「カルト批判」が不当で、政治家が関わることも、選挙で応援を受けることも問題はないと考えるのであれば、そのように具体的に指摘して反論すればよい。
「安倍支持者」だった人達の「犯人の思う壺」論の多くは、安倍晋三氏という政治的支柱を失ったことへの感情的な反発であり、「統一教会問題」を沈静化させる理屈にはなり得ない。
しかし、一方で、これだけ大きな社会問題にもなっている「統一教会問題」とは、いったいどういう問題なのか、法的にはどう評価されるのか、その本質はどこにあるのか、政治家が関わることにどのような問題があるのか、ということについては、明確にされていないように思える。
統一教会の何が問題なのか、岸田首相は述べていない
岸田首相は、内閣改造後の記者会見で、「国民の皆さんの疑念を払拭するため、今回の内閣改造に当たり、私から閣僚に対しては、政治家としての責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果を踏まえて厳正に見直すことを言明し、それを了解した者のみを任命いたしました」と述べた。
「関係を点検し、その結果を踏まえて厳正に見直す」という言葉がどういう意味なのか、明確ではないが、事実上、岸田内閣の構成員は、今後、「旧統一教会」とは一切関わらない、という方針を示したものと見られている。
岸田首相は、自民党総裁でもあるのであるから、このような方針は、自民党議員全体に対しても向けられているとみてよいであろう。
しかし、なぜ自民党は、「統一教会」と絶縁するのか、「統一教会」の何がどう問題なのか、ということについては、岸田首相も、「党として組織的な関係はなかった」と述べる茂木幹事長も、何も述べていない。その点が不明なままでは、閣僚個人としても、何をどう厳正に見直すのかわからず、「適切に対応」しようがない。
ここで、改めて、「統一教会」と政治との関係に関して、何が、どう問題なのかを、根本から考えてみる必要がある。
「統一教会と政治」4つの問題
「統一教会」に関する問題は、以下の4つに整理することができる。
(1)1990年代に、霊感商法、合同結婚式等で問題となった信者の財産、生活、家族関係等に著しい深刻な被害をもたらした「統一教会」の「カルト性」「反社会性」の問題。
(2)統一教会が名称を変更した現在の「世界平和統一家庭連合」という宗教団体の「カルト性」「反社会性」の問題である。それは、教団での献金等の実態が、1990年代の「カルト団体性」と実質的に異なるのか、それとも変わっていないのか。
(3)「統一教会」の献金の大部分が日本人の信者から収奪されるものであり、それが統一教会の世界での活動資金の原資になっているという「日本人からの収奪性」の問題。
(4)統一協会の教義の「反日カルト性」の問題。エバの国である日本は、神の国側の韓国をアダムとするためにサタンを切り離さねばならず、日本が韓国にした歴史的な「罪滅ぼし」をするために、信者が、お金を集めて教祖の文鮮明に捧げなければならないというのが、「反日カルト」としての統一教会の教義だ。
(1)と(2)が「統一教会」という宗教団体の一般的な性格の問題であるのに対して、(3)と(4)は、日本の国、社会と「統一教会」という宗教団体との関係に関わる問題である。
現教団の「反社会性」の法的認定は容易ではない
(1)については、教団側は、「当法人は、過去も現在も霊感商法など行っていない」などと述べるなどして、「法人としてのカルト性」を否定しているようだが、国内での多くの裁判例もあり、この点には、ほぼ争いの余地はない。
しかし、(2)について、問題の性格が若干異なる。教団側は、記者会見で、2009年に、当時の法人会長が、記者会見して声明文を発表してコンプライアンスを強調し、それ以降、コンプライアンスの徹底を進めてきたので、訴訟も激減している、などと説明している。
これに対して、統一教会を長年取材してきた鈴木エイト氏は、「訴訟になりにくいような外形を整えただけで、信者からの献金の実態は変わっていない」と述べており、被害対策弁護団も、同様の捉え方をしている。
教団側が強調する「コンプライアンス」は、単なる「言い訳コンプライアンス」に過ぎず、実態は変わっていないものと思えるが、それにしても、そのように「霊感商法」との批判を免れるように外形を整えられた信者からの献金名目での収奪を、ただちに「カルト」「反社会的集団」と認めることができるのか、宗教法人法による認証取消や解散命令の対象なのかどうか、法的には微妙な面があることは否定できない。
現在の教団も「カルト性」「反社会性」は変わっていない、と批判し、被害の救済を訴えることはできるが、現時点で、法的に「反社会的団体」「カルト団体」と認定することは必ずしも容易ではない。
そうだとすると、現在の旧統一教会の「カルト団体性」を根拠に、内閣から、統一教会と関わりを持つ議員を排除することも法的には微妙な問題を孕んでいる。旧統一教会も、国から宗教法人として認証を受けている団体であり、その宗教団体としての存在を国として否定できない以上、その団体と関わらないことを条件に閣僚に任命するという上記の岸田首相のやり方は、江戸時代にキリシタンに対して行われた「踏み絵」による弾圧と同じだとの批判に対して、どう反論するのだろうか。
このように考えると、岸田首相が、示している方針どおりに、内閣や自民党議員から旧統一教会との関係を排除していく理由に関して、むしろ重要なのは、(3)(4)の「日本の国、社会と統一教会の関係」と言うべきであろう。
問題の核心は「反日カルト」性
「統一教会」の教義は、その根本に反日思想がある。日本人の自虐史観によって罪責感を与え、「罪滅ぼし」の意識を利用して日本人に破滅的な高額献金をさせ、それを資金に統一教会が世界的な活動を行ってきたとすれば、それは、日本人にとって、国家の尊厳にも関わる問題であり、日本の社会にとって許容できないものである。とりわけ、日本の戦後教育を自虐史観と批判し、韓国の対日要求に対しても毅然たる態度をとるべきと主張してきた保守政治家にとっては、絶対的に許容できないもののはずだ。
そういう意味で、岸田首相が、統一教会問題に対して、まず行うべきことは、(4)に関して、自民党総裁として、反日カルトの教義を持つ旧統一教会とその関連団体との訣別を宣言することである。それは、首相としての行政判断ではなく、「政治家としての政治判断」として行うべきことだ。
そして、次に、(3)の点に関して、旧統一教会の教義に基づき、実際に、日本の信者からの高額献金となって韓国統一教会に収奪されているという「反日カルト性」についての事実面の裏付けをとることだ。
宗教法人法には、1996年の改正で、宗教法人に、財産目録及び収支計算書、貸借対照表等を事務所に備付け、毎年、所轄庁に提出することが義務付けられた。そして、所轄庁は、宗教法人について、公益事業以外の事業の停止命令や認証の取消、解散命令の事由に該当する疑いがあると認める場合には、宗教法人審議会の意見を聞いた上で、当該宗教法人の業務又は事業の管理運営に関する事項に関し、当該宗教法人に対し報告を求め、又は当該職員に当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に対し質問させることができるとされている。
収支計算書が正確に記載されているものであれば、旧統一教会が日本人信者に行われている献金の総額も把握できるはずだ。
また、報道に出てくる元信者の証言等によれば、信者が多額の献金を現金で韓国に持参していたとのことであり、それが申告されていないとすると、「100万円以上の現金の無届けの海外持出」ということになり、外為法違反の疑いがある。信者の出入国記録と銀行口座の入出金を照合すれば、具体的な嫌疑が生じる可能性もある。
これらの事実を調査にするために、まず考えられるのは、宗教法人法に基づく報告徴求、質問権の活用だ。
しかし、現行法の報告徴求、質問権が行使できるのは、宗教団体の認証の要件のうち「当該団体が宗教団体であること」を欠いた場合や、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」などの解散命令の事由がある場合に限定されている。実際上、これらの権限を活用するのは、かなり困難だ(同改正の際は、当時野党であった創価学会と関係の深い公明党が「宗教弾圧のおそれ」を理由に強く反対したため、権限行使が厳しく制限されたとされている)。
宗教法人法に基づく権限の活用が困難なのであれば、自民党内に、弁護士等で構成する調査チームを組織して、上記のような高額献金の実態や外為法違反の疑い等について任意調査を実施することも考えられる。
「反日カルト」との政治的訣別と「反日カルト性」の裏付けのための事実調査を行うことは「統一教会問題」の速やかな解決のための唯一の手段である。
しかし、そこには、もう一つ難問が待ち受けている。
小林よしのり氏が親安倍派に贈った言葉
それは、「反日カルト」と手を組んだ政治家の安倍晋三元首相の「国葬」を行うことの是非だ。【ゴーマニズム宣言】【天皇論】等で知られる保守派論客の漫画家・評論家の小林よしのり氏が、安倍政権について、《安倍晋三が「戦後レジームからの脱却」を掲げながら、それを全てベタ降りした》と評した上で、次のように述べている【統一協会から目をそらす「安倍マンセー派」に小林よしのり氏が“贈る言葉”】。
偉大なる指導者、安倍晋三様、ありがとう!
あなたこそが、日本の宝でした!
朝日新聞を始めとする、これまでいくつもの政権を潰してきた反日マスコミに打ち勝って、史上最長の政権を築いたその栄光は決して消えません!
反日マスコミに勝つために、より強力な反日カルトと手を組むなんて、こんな大胆な逆転の発想があろうとは、さすがとしか言いようがありません!
政権を獲得し、これを維持するためなら、反日・反社カルトに国民を売ってもかまわないとは、ものすごい覚悟でした!だからこそ、どんなに不祥事を起こしても選挙となれば無敵だったわけです。こんなことが野党にできるわけがありません!この「売国力」こそが、誰にも及ばない安倍さんの並外れた力量だったのです!
安倍さんが目指した「美しい国」とは、かつて朝鮮を侵略したことを真摯に反省し、その贖罪のためにどこまでもお金を貢ぎ続ける国だったとは、思いもしませんでした!
普通はこんなことが明らかになったら、保守や右派の人たちから「裏切りだ!」と非難の嵐が巻き起こるはずなのに、安倍さんに対してだけは絶対にそれが起こりません。この人徳のすばらしさ!いい信者…じゃなくて、支持者に支えられて、最高の政治生活ができて、さぞ幸せなことだったでしょう!
志半ばで凶弾に斃れたことは不幸ではありましたが、これだけ立派な業績を残されたことですから、きっとその魂は文鮮明の待つ霊界に迎えられ、天国に行けることでしょう。統一協会の信者やその家族がどれだけ地獄を見ていようとも!
安倍さんはこれから国葬で送られます。これだけ国を売りまくって国葬をしてもらえるなんて、まさに前代未聞の偉業です。
岸田首相が、「反日カルト」である旧統一教会との政治的訣別を宣言した場合、その反日カルトと手を組むことの中心となり、国際行事でリモート演説を行って広告塔としての役割を果たしていた安倍晋三氏の政治家としての評価の問題に直面する。それは、既に閣議決定している国葬の実施の是非の重大な疑問を生じさせることになる。
岸田首相は、国葬を行う理由として「安倍元首相が憲政史上最長の8年8か月にわたり総理大臣の重責を担ったこと」「内政や外交で大きな実績を残したこと」「海外から多くの弔意が届いていること」などを挙げている。
しかし、「憲政史上最長の8年8か月にわたる総理大臣在任」は、小林氏が言うように、政権を獲得し、これを維持するためなら、反日カルトと手を組むことも厭わないという姿勢で選挙に臨み勝利し続けてきたことによるものだった。
また、「海外からの多くの弔意」というのも、単に、「安倍元首相が、選挙応援演説中に暗殺された」との報道を受け、政治的テロの犠牲になったとの認識によるものが大部分であろう。
安倍元首相は、「反日カルト」の関連団体の国際行事でトランプ前米国大統領とともにリモート演説を行うなど、その「最も影響力のあるシンパ」であったことが、殺害の動機につながったこと、そして、日本の与党自民党は、安倍氏が広告塔にもなった「反日カルト」と訣別したことを知れば、海外からの安倍氏の評価も影響を受けるのではないのだろうか。
国葬実施の正当性はもうない
岸田首相が挙げた安倍元首相の国葬実施の理由は、ほとんど正当性を失っている。
岸田首相統が、統一教会問題について、何がどう問題なのかを明らかにすることもせず、議員個人の対応に委ねる状況が続けば、混乱はさらに長引き、自民党に対する信頼は大きく損なわれかねない。そうした中で、安倍元首相の国葬の実施を強行しようとすれば、国葬への反対の声が一層大きくなり、政権が危機的な事態に追い込まれることは避けられない。
岸田首相が行うべきことは、「反日カルト」との政治的訣別宣言と、それを裏付ける事実に関する調査を行うこと、そして、安倍元首相の国葬実施の再検討である。
そして、現行の宗教法人法の改正によって、上記の報告徴求、質問の要件を拡大することも検討すべきである。96年改正の際に報告、質問権の導入に強く反対した公明党も、統一教会への批判が高まっている現状では、強く反対することはできないのではないだろうか。
今日(8月19日)、テレビのワイドショーで、萩生田政調会長が、参院選の最中に、教団関連施設を生稲晃子候補と訪問していたことが、厳しく批判されている。国会の閉会中審査では、加藤勝信厚労大臣が、統一教会問題で野党から厳しく追及されている。岸田首相は、依然として「家族と休暇中」だ。このような「統一教会問題」をめぐる状況は、テレビでご覧になっているのだろうか。
岸田首相は、初めてその首相としての真価を問われている。
●野党、閉会中審査で「旧統一教会」接点追及…政務三役31人に接点  8/20
内閣改造後初めての国会論戦となった19日の衆院厚生労働委員会の閉会中審査で、野党は、加藤厚労相が認めた「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の関連団体との接点を追及した。野党は攻勢を強め、臨時国会の早期召集も引き続き求めていく構えだ。
「支援者から誘われれば、どんな会合の会費も支払うのか」「会費の支払いが(同連合の)活動にお墨付きを与えたのではないか」
この日の委員会で質問に立った立憲民主党の早稲田夕季氏は、加藤氏をこう攻め立てた。加藤氏は「政治家として疑惑を持たれないよう、今後、そうしたことがないように判断する」などと釈明に追われた。
委員会では早稲田氏のほか、立民の長妻昭、柚木道義両氏と共産の宮本徹氏の計4氏が加藤氏と同連合の過去の関係を繰り返し取り上げた。
加藤氏は内閣改造当日の10日の記者会見などで、2014年と16年に関連団体に懇親会費として計3万円を支出したことなどを認め、「(関係を)整理する」と明言している。
野党でも同連合との接点が明らかになった議員が出ている。それでも批判の手を緩めないのは、自民党の閣僚ら政務三役を含む議員と同連合の接点が次々と浮上し、有権者の目が厳しさを増していると考えたためだ。
読売新聞の取材では、第2次岸田改造内閣の政務三役計73人のうち、少なくとも閣僚8人、副大臣11人、政務官12人の計31人に同連合と何らかの接点があったことがわかっている。読売新聞社が10〜11日に実施した緊急全国世論調査では、内閣支持率が5〜7日に実施した前回調査から6ポイント下落。岸田首相が新閣僚らに同連合との関係見直しを求めたことについて、十分な対応だと「思わない」と回答した人は55%に上った。
立民の泉代表は19日の記者会見で、「統一教会に依存してきた議員たちによる『統一教会内閣』と言ってもいい」と批判した。臨時国会の早期召集を求め、「政府は国会を開かずにやり過ごそうとしている」とも語った。野党は臨時国会で、安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)や物価高騰についても政府をただしたい考えだ。
一方、政府・与党は、一連の問題の審議は衆参両院の各委員会の閉会中審査で対応する方針だ。公明党の石井幹事長は19日の記者会見で「必要性があり、与野党で合意ができれば閉会中審査を行う。そうした場で議論することになる」と述べた。
衆院厚労委 主なやりとり
19日に行われた衆院厚生労働委員会の主なやりとりは次の通り。
   コロナ感染状況
佐々木紀氏(自民) 現在の新型コロナウイルスの感染状況をどう評価するか。
加藤厚生労働相 病床使用率は全国的に増加あるいは高止まりし、医療提供体制に大きな負荷が生じている。死亡者数はこれまでの最高値を超えてさらに増加することも懸念される。
   感染者の全数把握
池下卓氏(維新) 全数把握(の制度)は崩壊している。第7波の収束を待たずに結論を出すべきだ。
加藤氏 感染者数が増加して医療現場が厳しい状況にあることを踏まえ、スピード感を持って結論を出していきたい。
   旧統一教会
長妻昭氏(立民) 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関連団体の懇親会に会費を支払ったのは、関連団体と分かった上でのことか。
加藤氏 事務所の判断だが、どこまで関係を意識していたのか必ずしも定かではない。
早稲田夕季氏(立民) 会費の支払いが活動にお墨付きを与えたのではないか。
加藤氏 政治家として疑惑を持たれないよう、今後、そうしたことがないように判断する。 

 

●旧統一教会との関係“閣僚らが絶つよう徹底が重要” 岸田首相  8/22
旧統一教会との関係をめぐって、岸田総理大臣は22日夜、政府が疑念を持たれないよう、閣僚らが関係を絶つよう徹底していくことが重要だという認識を示しました。
岸田総理大臣は、新型コロナに感染したため、22日夜、オンラインで取材に応じました。
この中で、旧統一教会と閣僚らとの関係が明らかになっていることについて「一人一人の事情はさまざまなので、それぞれの責任で明らかにし、説明することが基本だ」と述べました。
そのうえで「政府が疑念を持たれることがないよう、過去の説明をしっかりしたうえで、これから、こうした団体との関係は絶っていただくよう徹底していくことが重要だ」と述べました。
また、人事をやり直す考えはないかと問われ「経歴、あるいは能力、さまざまな点を考慮して人選を行った」と述べました。
一方、いわゆる霊感商法などによる被害者の救済については「困っている方に対し、しっかりとした相談体制や救済体制を用意していくことが重要だ。有識者の意見も聞きながら、政府の対応を考えていきたい」と述べ、さらなる対応の強化を図っていく考えを示しました。
●旧統一教会の高額献金、返金請求放棄させる「合意書」… 8/22
安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の「霊感商法」や「高額献金」に批判が集まっている。同連合は「コンプライアンス宣言」を出した2009年以降、法令順守を徹底してきたとし、問題は過去のことだと強調している。しかし、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、今も元信者らから多くの相談が寄せられているとし、「形を変えて、被害は続いている」と反論している。
コンプライアンス宣言後も138億円分の相談
今月10日、銃撃事件後2度目の記者会見を開いた家庭連合の田中富広会長。冒頭の約40分間、一方的に文書を読み上げる形で強調したのは活動の正当性だった。
旧統一教会は1980年代以降、不安をあおって高額な 壺つぼ や印鑑などを売りつける霊感商法が社会問題となり、2009年に印鑑販売会社社長の信者が逮捕された。この事件を機に、コンプライアンス宣言を出し、当時の会長が辞任した。
田中会長は09年を「分岐点」とし、「信徒に社会的に問題となる行為をしないよう指導してきた」と主張。民事訴訟が減少していると強調し、霊感商法については「過去も現在も当法人が行ったことはない」と言い切る場面もあった。
この主張に、全国弁連は真っ向から反論している。
全国弁連によると、全国の消費者センターに寄せられたものを含め、霊感商法や高額献金に関する被害相談は1987〜2021年に3万4537件約1237億円分に上る。09年の宣言後は減っているが、10〜21年でも2875件約138億円分の相談があった。銃撃事件以降、月数件程度だった相談件数が、1か月で100件を超えたという。
全国弁連は「被害が表面化しないよう巧妙になっている」と指摘する。
「返金請求しない」約束する姿撮影も
東日本に住む60歳代の女性は、夫と子どもを亡くし、趣味を通じて出会った女性信者から「先祖の因縁が原因」と不安をあおられ、13年に旧統一教会に入信した。生命保険を取り崩すなどして600万円以上を献金したが、経典を強引に買わされたことに納得できず、15年に約200万円の返金を求めた。
その際、交わした「合意書」には「ほかに債権債務のないことを確認する」と書かれ、女性は言われるままに署名し、返金された。
女性はその後、脱会し、全国弁連に相談して経典代以外の献金の返金を求めて17年4月に東京地裁に提訴した。裁判で、家庭連合側は合意書を根拠に返金義務はないと主張した。しかし、20年2月の地裁判決は「(合意書は)何の説明もなく請求権を放棄させるもので、公序良俗に反しており、無効」と退け、ほぼ全額の返金を認め、確定した。
全国弁連によると、こうした合意書が目立つようになったのは09年の宣言以降。合意書に加え、信者が返金を求めないことを約束する様子を家庭連合側がカメラで撮影するケースもあるという。
全国弁連の佐々木大介弁護士は「返金請求を困難にさせる狙いなのは明らか」とし、「不安をあおって献金を求める体質は変わっていない」と語気を強める。
家庭連合は読売新聞の取材に「合意書は09年の宣言前から交わしていた。後でトラブルにならないよう記録に残すためだ」と話した。
「全国統一協会(教会)被害者家族の会」にも、家族の脱会支援などを求める相談が急増している。21年度は56件だったが、7月は1か月間で94件に達し、8月は100件超の勢いだ。「事件をきっかけに相談した」という声が多く、信者の両親から生まれた「2世」からの相談も目立つという。
国も9月初めから1か月間を「集中強化期間」とし、家庭連合に関する相談に対応することを決めた。
家族の会の担当者は「被害に遭っていると言いたくても家族との関係などを考えて言えない人も多い。手厚い支援が必要だ」と話している。
山上容疑者も母とともに署名
合意書は、逮捕された山上徹也容疑者(41)(殺人容疑で送検)の母親(69)とも結ばれていた。
親族によると、母親は自宅を売却するなどして総額約1億円を献金し、2002年に破産。親族が旧統一教会側と協議し、05年から返金されるようになった。
合意書は、コンプライアンス宣言の2か月後にあたる09年5月に作成された。その時点で返金済みだった1760万円を含めて14年10月までに計5000万円を返金する内容で、「ほかに債権債務がないことを相互に確認する」との文言があった。母親のほかに、山上容疑者の署名もあった。
家庭連合は取材に「和解の際に債権債務がないことなどを確認する条項を入れるのは一般的にある」とした。
●安倍さんは旧統一教会の広告塔だった  8/22
お盆の13日、テレビのニュース番組で、安倍元首相の顔が大きくクローズアップされて出てきた。韓国ソウルからだ。報道によれば、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体「天宙平和連合」が12日、ソウルで世界の平和などについて話し合う国際会議を開いた。その中で安倍さんの追悼が行われ、参加者が壇上に設けられたテーブルに花を手向けていた。
アメリカのトランプ前大統領もビデオメッセージを寄せ、「安倍氏は偉大な人物だった」と話していた。安倍さんは昨年、この団体の集会にビデオメッセージを送っており、銃撃事件の犯人もこの映像を見ていると伝えられている。
私はこのニュースを見て、安倍さんは統一教会の広告塔だった、持ちつ持たれつの関係だったんだ、と確信した。家庭連合の田中会長はその前々日の記者会見で、「私たちは共産主義と対峙(たいじ)しており、自民党の議員の方々とより多くの接点を持つ。より良き国づくりに向かって手を合わせてきた」と述べ、私の推測と符合する。
先月8日の奈良県内での山上某による安倍元首相銃撃事件は、我が国の社会を震撼させ、新聞、テレビ、雑誌などで連日報道され、それらは嫌でも耳目に届いてくる。そして、忘れていた統一教会や原理研究会、霊感商法、合同結婚式などの事柄を思い出させてくれている。
おびただしい報道の中で私が特に関心を持ったのは、週刊『AERA』にジャーナリストの青木理さんが寄せた記事だ。彼はテレビでも同じようなことを語っている。
「通信社の記者として公安警察を担当していた90年代、公安警察が統一教会への組織的捜査に乗り出すという情報を得たが、その動きがパタリと止まった。警察幹部に聞くと『政治の意向だ』と言われた。早い段階で教会に捜査のメスが入れば、被害は広がらなかったし、今回の事件も起きなかったかもしれない。統一教会と怪しげな蜜月を続けた政治の不作為、不適切な影響力の行使によって被害を拡大させた政治の責任が問われる」(8・15−22合併号)。そうだったんだ。
親分がそうだから、皆「イケイケどんどん」
もう一つは、教会の名称変更だ。統一教会は、そのやり方が以前から反社会的だと問題になっており、高額な献金や霊感商法などで被害も多く出、警察もマークしていた。1997年に教会は名称変更を文化庁に出したが、当時文化庁の宗務課長で、後に文部科学省事務次官になった前川喜平さんの手で阻まれた。
それから18年後の2015年。宗教法人の規則の変更は文化部長が決裁し、事務次官や文科大臣にまでは行かない。ところが、当時審議官だった前川さんのところを通り、下村大臣に報告、説明されたと前川さんは語っている。
このとき、全国霊感商法対策弁護士連絡会は文化庁に名称変更を認めないように求めていた。しかし、変更は認められた。平和、家庭という表現からは、旧統一教会とのつながりは連想されない。前川さんは、この話は間違いなく下村大臣から安倍首相のところまで行っている、と話している。
安倍さんがメッセージを送り、選挙でも票を振り分ける。親分がそうだから、皆「イケイケどんどん」。怖いもの知らずの政治が安倍派を中心に続けられてきたのだ。報道では、今回の岸田改造内閣のメンバーも旧統一教会と関わった人が多いとか。どうする、岸田さん? あなたは共同通信のアンケートに答えていないようだが。
●旧統一教会と『宗教2世』問題 8/22
安倍元総理大臣が銃撃され死亡した事件。逮捕された容疑者は母親が入信した「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会への恨みを募らせた末に、事件を引き起こしたとみられます。事件を正当化することは到底できません。しかし、容疑者のように特定の信仰を持つ親の子供「宗教2世」の問題が、知られるようになりました。この「宗教2世」問題、その背景と必要な対策は何か。今回は私が話を聞いた当事者の声をできるだけ紹介し、求められる取り組みを伝えます。
山上容疑者と事件の背景
殺人の疑いで逮捕された山上徹也容疑者は、現在刑事責任能力を調べる精神鑑定が行われています。これまでの調べに、「母親が多額の献金をするなどして、家庭生活がめちゃくちゃになった」などと供述しています。容疑者の親族によりますと、母親が平成3年に旧統一教会に入信し、死亡した父親の保険金など合わせて1億円を献金したということです。
旧統一教会と『宗教2世』
不安をあおって、高額な献金をさせることや、高額な物品を売りつける「霊感商法」は、これまでも社会問題になっています。「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は「多くの家庭が崩壊に追い込まれた」と話します。これに対し田中富広会長は8月10日の会見で「いわゆる霊感商法なるものを過去も現在も当法人が行ったことはない」と話しました。ただ、高額の献金をめぐっては一昨年・2020年も東京地裁で、元信者が不安をあおられて献金したことを違法とする判決が出たうえ、教団の使用者責任も認定しました。この裁判は最高裁まで争われましたが、判断は確定しています。違法行為と組織的な責任を認める司法判断はすでに、いくつも積み重なっています。何も責任がないとは、到底言えません。
事件の後、「宗教2世」という言葉が広く知られるようになりました。その定義は「特定の信仰・信念を持つ親・家族とその宗教的集団の元で、その教えの影響を受けて育った子ども世代」とされます(上越教育大学 塚田穂高准教授「小説・映画「星の子」が描く宗教・家族・学校」(上越教育大学研究紀要 第41巻第2号より))。もともとは、旧統一教会に限定したものではありません。ただ、今回私は旧統一教会の“2世”の声を何人も聞いてきました。「宗教2世」の問題とは何か。その一部を紹介します。
『宗教2世』問題1 その根深さ
40代の女性、冠木結心さん。母親が熱心な信者で、自分も高校時代に入信、多額の献金で生活が厳しく、進学をあきらめて働き、21歳の時、教団が決めた相手と“合同結婚式”に参加します。しかし暴力を振るわれるなどして離婚し、その後教団を離れました。進学も結婚も自分の意志では許されない。親の支配から抜け出すことは困難だったと言います。彼女は高校の時、「子供にとって、親の助けがないと生きられない年齢で、親を拒絶して生きるのは難しい。信じなければご飯をあげないと言われたら、生きていくすべを失う」と思ったそうです。この問題、親も「自分が正しい」と信じているところに深刻さがあります。「これはあなたの幸せのためだ」と繰り返されれば、子供が拒否することはさらに難しくなるでしょう。
幼少期から信仰が続く事例もあります。
40代の女性、Pulmoさんは、生まれた時から両親が信者でした。テレビも漫画も禁止。友人の誕生日会も参加できず、学校行事であっても異性と手をつなぐことも、会話することも禁じられます。親は教団のため数か月姿を消すこともあり、“ネグレクト”を受けることもあったといいます。彼女は親から「外の人間は“サタン”だ。逆らうと地獄に落ちる」と言われてきたそうです。「社会の規律と、教団の規律があまりに違うことにずっと悩んできた」と話していました。
「宗教2世」の問題は、このように幼い時から親に繰り返し教え込まれる。学校でも孤立してしまう。親を信じる・あるいは信じるふりをしないと生きていけない。そしてこの日常を何年、時には何十年と強いられ続けることにあります。この状態から自ら脱するのがいかに困難か。私は話を聞くほど、置かれた境遇の厳しさを感じました。
教団のコメント
教団はどう受け止めているのか。広報担当者は取材にこうコメントしました。
「『宗教二世』を抱えるご家庭に寄り添い、心に傷を負われた二世信徒に対して、心からの謝罪を行っております。当法人は2009年のコンプライアンス宣言を契機として、過去の行き過ぎた活動を反省し、すべての信徒が満足することのできる教会づくりを目指して、鋭意努力を続けています」などということです。
『宗教2世』問題2 社会復帰の困難さ
もう1つの問題は仮に脱会できても社会復帰が難しいことです。
多くの場合、信者である親と縁を切ることになります。親族と断絶しているケースも少なくありません。しかし、就職する時も、部屋を借りる時も保証人などが求められます。行政の支援は、例えば生活保護や住まいの提供、など、基本的には今ある貧困対策やDV対策である程度対応できるということです。ところが、自治体の窓口に助けを求めても、ある人は「行政は宗教問題には介入できない」と言われたといいます。「家族のことはまず家族で話し合って」と言われたという人もいました。親から逃れるため、転居先の住民票が閲覧できないように申請しても「それは親子の問題だ」と門前払いを受けた人もいたということです。
いずれも、あまりに理解のない対応です。
政府の対策『これから整理』
先週木曜日(8月18日)、旧統一教会に関する政府の会議が開かれ、集中的に相談対応を強化することを決めました。ただその対象は「霊感商法の被害など」となっています。今回紹介した「宗教2世」への支援について事務局の法務省は18日の記者への説明の場で「これから整理する」としただけで、具体的には触れていません。自身も「宗教2世」で、京都府立大学の横道誠准教授は「旧統一教会に限定せず、宗教2世への国の総合的な支援が必要だ」と指摘します。横道さん自身も、オンラインで自助グループを作っているほか、民間の支援組織もありますが、国による専門の相談窓口はありません。政府は会議の中でこの点も急いで検討が求められます。また、自治体も認識を改める必要があります。「宗教や家族の問題」と及び腰になるのではなく、担当者の研修などを通じて「宗教的虐待」が存在することなど、特別な事情を理解して、窓口を訪れた人を必要な生活支援へつなげていくことが求められます。
1日も早い支援を
こうした議論では「親にも信教の自由がある」という言葉を聞きます。
ただ横道准教授は、「宗教2世問題とは、まさに信教の自由が侵されている問題だ。子供の信教の自由が蹂躙されているのに、そのことに目を閉じ、耳をふさいできたのではないか」と指摘します。親が自分の意志で特定の宗教を信じるのは自由です。しかしそれは、子供を抑圧する理由にはなりません。信教の自由があるからこそ、旧統一教会に限らず「宗教2世」問題への支援がいま、必要なのではないでしょうか。
社会から切り離された世界で生きることを強いられ、強いストレスを受け続けて、精神的に追い込まれた人も多くいます。また取材をすると、進学することも職業的なスキルを身につけることもできなかった人が少なくありません。そうした彼らが社会に戻り、人生を途中から取り戻すことがどれだけ大変か。その困難な道のりを考えた時、これまであまりに長く放置されてきた、この問題への1日も早い取り組みが、いまこそ求められます。

 

●旧統一教会施設の自民党議員ポスターにぼかし追加 Google 8/23
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の施設に貼られた、自民党議員の選挙ポスターの画像にぼかしが入っている――。Google ストリートビューの修正が「謎の力」「政治の力」などと波紋を広げています。
物議を醸したのは福島県にある「世界平和統一家庭連合 いわき家庭教会」に貼られた、元法務大臣で、内閣総理大臣補佐官(女性活躍担当)の参議院議員・森雅子さんの選挙ポスターです。8月7日時点では選挙ポスターの顔の部分にしかぼかしが入っていませんでしたが、8月17日に選挙ポスター全体にぼかしが入っていることが指摘されていました。
編集部でも2019年7月に撮影されたストリートビューを見たところ、左側と右側の画角では選挙ポスター全体にぼかし加工が施されていることが確認できました。
一方で、正面からの画角では選挙ポスターの上部にある「森」の文字などが修正されずに、そのまま写されています。
また、旧統一教会の他施設でも同様の指摘が見られます。岩手県にある「世界平和統一家庭連合 一関家庭教会」に貼られた、元防衛大臣の衆議院議員・小野寺五典さんと、元内閣府大臣政務官の衆議院議員・藤原崇さんの選挙ポスター全体にも、以前は見られなかったぼかしが入っているというのです。
同じく編集部でも2021年5月に撮影されたストリートビューを見たところ、選挙ポスター全体にぼかし加工が施されていることが確認できました。
Googleからは回答得られず
なぜ、このような修正が加えられたのでしょうか? 編集部ではGoogleに「なぜ選挙ポスターに修正を加えたのか? 自主的な判断なのか、要望を受けたものなのか?」「いつごろ修正をしたのか?」と問い合わせましたが、回答は得られませんでした。
公式サイトによると、ストリートビューでは画像のなかから識別可能な人の顔やナンバープレートに自動でぼかし加工を施しています。追加でぼかし加工が必要な場合は、「問題の報告」からリクエストを送れる仕組みです。
選挙ポスターにぼかし加工を施したのはGoogleの自主的な判断なのか、それとも自民党や議員側、旧統一教会側、その他の勢力による“リクエスト”を受けたものなのか――。SNS上では「政治の力」「自民党ってこういう事は仕事早いな」など自民党による要望を受けたものと考察する声のほか、「Googleって、政治の影響を受けちゃうんだ」など運用上の問題点を指摘する声も見られました。
森雅子さんと藤原崇さん、旧統一教会関連のイベント登壇を認める
ところで、今回、渦中の自民党議員3人と旧統一教会に接点はあるのでしょうか?
森雅子さんは旧統一教会の施設に自身の選挙ポスターが掲示されていたという指摘を受け、Facebookで「2019年7月撮影のGoogleストリートビューで旧統一教会建物内に私の選挙ポスターが貼られている様子が写っているとのご指摘をいただき、皆様に大変ご心配をおかけしております」とコメント。
続けて、「その時期は3年前の私の参議院選挙の時期にあたります。私の選挙事務所では、旧統一教会の関係者と認識せずにポスターをお渡ししてしまったものと思われます。今後はより一層厳しくチェックをしてまいります。もとより、旧統一教会から政治献金なども一切受け取っておりません。政府内に霊感商法についての検討会等も立ち上がりました。問題となっている被害の実態を解明し、違法行為については厳しく対処し取り締まっていくべきと考えています」と述べています。
一方で、デイリー新潮の報道では、森雅子さんは2018年に福島県郡山市で開催された旧統一教会主催のイベントに登壇したり、いわき市の旧統一教会の施設で演説をしたりしていたことが明らかになっています。事務所はこれらを事実と認め、「名前が違っていたので、旧統一教会と同じ団体だと気付きませんでした。認識が甘かったと反省しております」と弁明しました。なお、朝日新聞が実施したアンケートでは、「(遊説で訪れたかどうかは)調査中」と回答しています。
小野寺五典さんは河北新報が実施したアンケートのなかで、「社会的に問題が指摘される団体との関係は厳正かつ慎重な対応をするべきだ」と述べています。
藤原崇さんは2021年に、旧統一教会関連が開いた会合に出席したことを認め、「地元の人から参加してほしいと要請があり出席した。バックボーンがそう(旧統一教会関係)と認識していなかったことは軽率だった」などと釈明しました。一方で、旧統一教会や関係団体からの献金や選挙での支援については「組織的にはなかった」とし、今後は「基本的には関わりを持たない」と話しています。

 

●自民 茂木幹事長 旧統一教会めぐる党の方針 公明に理解求める  8/24
旧統一教会との関係をめぐり、自民党の茂木幹事長は公明党の幹部に対し、今後は所属議員が関係を持たないことを基本とするなど、党の方針を説明して理解を求めました。
旧統一教会をめぐっては、自民党幹部らとの関係が相次いで明らかになっていることから、公明党の山口代表は23日、国民の不信や疑念を招かないよう今後の対応を明確にするよう、政府・自民党に求めました。
自民党の茂木幹事長は24日、東京都内で公明党の石井幹事長らと会談し、党所属の国会議員で旧統一教会や関連団体との関係が明らかになった場合には、真摯(しんし)に説明する考えを伝えました。
そのうえで、今後は旧統一教会などとの関係を持たないことを基本として、各種会合に出席するかどうかは議員本人が事前にチェックして決めることを徹底させるなど、党の方針を説明して理解を求めました。
一方、同席した公明党の佐藤国会対策委員長は、政府の「国家安全保障戦略」などの改定に向けて、24日から党内での議論を本格的に始めることを伝えました。
●旧統一教会の文化庁聴取記録なし 9回分作成せず 8/24
宗教法人を所管する文化庁が1998〜2009年に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から活動状況を9回聴取した際、会議資料や報告書を作成していなかったことが24日、訴訟資料から分かった。文化庁は「記録を残すかどうか法的根拠はなくケース・バイ・ケース」と説明しているが、教団と所管庁との関係性に疑問は残る。訴訟で原告側代理人を務めた弁護士は「行政として継続的に対応するには適切な記録保管が重要だ」としている。
訴訟は元信者が09年、教団側と国に献金の返還などを求めて起こした。
23日に開かれた野党からのヒアリングで、文化庁は聴取記録の有無を明言していなかった。
●安倍派の元大臣に疑惑! 所轄だった文化庁で旧統一教会の「聴取とりやめ」 8/24
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党、とりわけ清和会(安倍派)との関係はズブズブを通り越している。警視庁が教団施設にガサ入れし、その反社会性が浮き彫りになる中、宗務行政を担う文化庁は元信者による教団や国を相手取った民事訴訟を理由に、長年続けてきた教団への聴取をとりやめ、警戒を緩めていたことも判明。当時の所轄大臣は安倍派の塩谷立文科相だった。
問題の訴訟は2009年4月、鳥取地裁米子支部に提起された。元信者の70代女性が献金の返還を求め、旧統一教会などを提訴。教団の活動を放置したとして国にも賠償を求めた初めてのケースだった。反社会的教団と国が被告席で並ぶ異様な裁判となった。
国側が裁判所に提出した宗務課長名の報告書や準備書面によると、文化庁は1998年1月から09年4月にかけて旧統一教会に対し、少なくとも9回の聴取を実施。97年に名称変更の事前相談を受け、断って以降の動きだ。
報告書などで文化庁は「統一教会及びその信者による伝道活動、霊感商法、献金献身の強要等」が指摘されているとし、「問題意識は、そのような指摘が出始めて以来、常に持っていた」と説明。「憲法上及び宗教法人法上許容される範囲内で統一教会に対する何らかの対応が必要である」とも踏み込んでいた。
「無用の誤解を避けるため」
教団への警戒は当然だ。提訴直前の09年2月には教団の関連企業「新世」が摘発。11月の判決で霊感商法が組織的犯罪だと認定された。それなのに文化庁は「訴訟が提起されて以降は、無用の誤解を避けるため」とし、聴取をパッタリ行わなくなったのだ。全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の代表世話人の山口広弁護士が言う。
「当時の文化庁担当者も、教団幹部と接触を持つことは誤解を招きかねないと言っていましたが、宗務行政と国賠訴訟は別物。誤解の生じようがない環境で聴取を続ければいい。私どもはそう申し入れをしたんです。むしろ、教団に対する監視を強めるべき時期でしたから」
当時は麻生政権で政権交代前夜だった。自民が下野すれば教団は従来の庇護を期待できないと懸念していただろう。文科行政トップは安倍派の塩谷氏だっただけに、駆け込みで教団を聴取からリリースしたのではないかと勘繰りたくなる。
被告人席で旧統一教会と国が横並び
原告側代理人を務めた全国弁連の勝俣彰仁弁護士によると、裁判所は原告が高齢であることを考慮し、被害回復を含めた教団との和解を勧告。国にも「従前の宗務行政の適法性や妥当性に対する疑問の余地がないわけではない」としながらも、「今後適切な宗務行政がなされることを期待する」と和解への参加を求めた。
14年7月にまとめられた和解調書には「国は宗教法人法の趣旨にのっとり、裁判所からの和解の提案を受けて、今後とも、適切にその業務を行っていくことを確認する」と記載された。
「裁判所は和解勧告にあたり、国側が判決にこだわれば不作為を認定し、違法と判断する可能性を示唆しました。和解調書の作成で国側が譲らなかったのが〈今後とも〉の文言追加です。これまでも十分に業務を遂行してきたというニュアンスを残したかったのでしょう。しかし、この8年間、適切な対応が取られたとは言えない。国、および文化庁は原告との約束を守っていません」(勝俣彰仁弁護士)
和解から1年後の15年8月、旧統一教会は悲願の名称変更を認証された。和解も改称も、第2次安倍政権下、下村文科相の時代だ。
塩谷氏も下村氏も今や主なき安倍派の会長代理で派閥幹部。一体どれほど融通してきたのだろうか。安倍派の疑惑は底なしだ。

 

●旧統一教会の選挙支援「この先生が当選すると“摂理”が進む」 8/25
世界平和統一家庭連合=旧統一教会と政治との関わりが、連日、明らかになっていますが、道内でも組織的な選挙支援は30年以上前からあった。道内の元信者が明かす、その実態です。
元信者の女性(50代)「(自民党に投票しなさいと?)そうですね。そうすることが、正しいというふうに当時は信じていました」
こう話すのは、道内に住む元信者の女性です。女性は1988年、札幌で18歳の時に勧誘を受け、およそ2年半、入信していました。教団での活動は、高額品の販売や勧誘活動など、多岐にわたったといいます。
元信者の女性(50代)「最初は伝道機動隊という部署にいて、その次にアラスカ隊っていう部署に配属されて、そこが当時の(旧統一教会の)久保木会長の直属の部署だというふうに言われていて」
90年、女性は教団の初代会長直属の部署に所属。そこで指示されたのは…
元信者の女性(50代)「あなたたちの今回の使命は、山梨県知事選挙ですと言われて、山梨県の温泉地に144名の統一教会員が集められて、自民党の議員を応援するという活動をさせられてました。そこでは統一教会員であるということは隠しなさいと言われて、自分がボランティアで個人的にやっていると言いなさいと」
91年1月、山梨県知事選挙。教団は当時、「政界のドン」と言われた自民党・金丸信(かねまる・しん)元副総裁が力を入れていた候補者を支援したといいます。
元信者の女性(50代)「(有権者を)一軒一軒訪問して、個票に名前を書いていただいて応援していただくという活動。選挙違反なので、ともすれば捕まると。捕まったときに統一教会員であることを隠しなさいと言われて活動していました」
有権者への戸別訪問や、署名を集めることは、公職選挙法違反に当たる行為。元信者の女性は、旧統一教会による政治家との組織的な選挙活動が、当時、既にあったと話します。
元信者の女性(50代)「私が所属したときは、(旧統一教会内は)もう自民党一色の時代だったと思います。常に自民党のこの先生は『みことば』を受け入れているので、この先生が当選することで摂理(統一運動)が進むからと、だから応援しましょうと」
当時、旧統一教会の組織的な支援はあったのか。教団が選挙支援した候補者の男性は、取材に対し、30年以上前のことで記憶がないが、「少なくとも教団と接触したことはない」と答えました。一方、教団は…
世界平和統一家庭連合の回答「当法人が各種選挙において、特定の政党や候補者を支援した事実はありませんので、ご質問にある事例については全く承知していません」
教団と政治家との関わりについて、旧統一教会を研究する北大の櫻井教授はこう指摘します。
北海道大学大学院 櫻井義秀 教授(宗教社会学)「(選挙活動を支援することで)地方で布教勧誘活動をやるときに権威づけにもなる。政治家っていうのは広告塔になるだけでなくて、統一教会の活動を後押ししている。いわば様々な被害を拡大してる」
政治家が選挙支援を受けることと引き換えに、教団の活動にお墨付きを与える。その結果、高額献金などの被害が続いた可能性があるのです。
●大阪 豊中市 旧統一教会関連団体をパートナーとして登録 8/25
大阪・豊中市が持続可能なまちづくりに連携して取り組むパートナーとして、旧統一教会の関連団体を登録していたことが市への取材で分かりました。
市は「旧統一教会について社会問題となる中で市民を不安にさせている」として、団体にパートナー活動の自粛を求めたということです。
豊中市は国連が定める「SDGs」=持続可能な開発目標に積極的に取り組んでいて、去年、市と連携して取り組む団体をパートナーとして登録する制度を始めました。
これまでに102の団体が登録されていて、登録団体は、市のホームページに活動内容を掲載したり専用のロゴを使ったりしてアピールでき、イメージや信頼を高めることができるといいます。
「宗教的目的を有する活動」については禁止していますが、市によりますと、旧統一教会の関連団体、「世界平和青年学生連合」(YSP)の支部が登録されていることが市への取材で分かりました。
市が、聞き取りを行ったところ、団体は、「子ども向けのイベントを行っただけで、宗教活動は行っていない」と説明したということです。
市によりますと、これまでに市民から問い合わせが1件ありましたが、トラブルは把握していないということです。
市は「登録の段階では関連団体と知らなかった。旧統一教会について社会問題となる中で市民を不安にさせている」として、当面は、団体に対してパートナーとしての活動の自粛を求めたほか、市と連携した活動はしないとしています。
世界平和統一家庭連合、旧統一教会は「ボランティアを中心に活動している友好団体の1つと認識している。詳細は分からない」とコメントしています。
●旧統一教会問題 実効性欠く政府の対応  8/25
政府が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)による霊感商法の相談や被害者救済のための関係省庁連絡会議を設けた。しかし宗教法人の解散命令を請求できる文化庁は加わらず、閣僚らと教団の不透明な関係も放置されたままだ。
多岐にわたる教団の問題に実効性ある対応ができるのか。教団と政治との関係に不信を募らす世論をかわす「アリバイづくり」と批判されても仕方があるまい。
十八日の初会合には法務省、警察庁、消費者庁、内閣官房が参加し、九月に「相談集中強化期間」を設けることを決めた。
ただ、連絡会議を主宰する葉梨康弘法相が就任後、教団の関連団体が発行する月刊誌のインタビューに応じていたことを認めるなど、改造内閣で教団との接点が明らかになった閣僚は八人に上る。岸田文雄首相の後援者らと関連団体の関係も報じられており、政権が本気で教団と向き合う気があるのか疑われても仕方がない。
また、河野太郎消費者担当相は就任会見で、霊感商法対策検討会の設置を表明したが、教団は二〇〇九年の霊感商法摘発以来、資金獲得の軸足を信者からの高額な献金に移している。消費者トラブルを対象とする消費者庁の取り組みにはおのずから限界がある。
親が信者による影響で進学機会を奪われたり、友人関係が制限される「宗教二世」の人権問題も深刻になっているが、連絡会議には子どもに関連する厚生労働省や文部科学省が入っていない。
なにより文化庁がなぜ加わっていないか。現状では解散命令請求を検討していないためとしているが、連絡会議に加わることは所管省庁として当然ではないのか。
旧統一教会がもたらした問題は強引な信者獲得や集団結婚、家庭崩壊など多岐にわたる。連絡会議の構成からは、旧統一教会の問題を霊感商法被害の救済に矮小(わいしょう)化しようとしているようにも映る。
首相は「政府が疑念を持たれないように、こうした団体との関係を断つように徹底する」と述べたが、問われるのは具体策だ。教団の政治への影響力を徹底的に除かねば、どんな取り組みも信頼性を欠き、国民から信用されまい。
野党側は臨時国会の召集を要求した。教団と政治との関係を検証するには国会の場がふさわしい。首相は早期の国会召集に向けて指導力を発揮すべきである。

 

●岸田首相、モニター前ぶらさがり会見で露呈した旧統一教会問題 動揺と無策 8/26
臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、支持率が急落した第2次岸田改造内閣について。
「極めて、珍しいことが起きました」、22日のテレビ朝日のあるニュース番組から、こんなナレーションが流れてきた。何がそんなに珍しいのかと聞き耳を立てると、岸田文雄首相が10日に行った会見シーンに切り替わった。「皆様の期待に応える有事の内閣を速やかに整えていくため、内閣改造を断行致しました」。
続くナレーションは「通常、内閣改造を行えば、支持率が上がるものですが…」と、当惑気味なトーンに変わった。各メディアが行った世論調査の結果、内閣を改造したにも関わらず、岸田内閣の支持率が急落したのだ。通常では起こらないはずのことが起こったというのだが、これこそ”有事の内閣”と岸田首相がネーミングしただけのことがある。国民の期待にはまだ応えていないが、失望には応えたらしい。
報道各社による新聞やネットの記事では、有事の内閣という表現に対し「有事に対応する内閣」や「有事に備えた内閣」と親切に言葉を補っていた。行間を読まずとも、首相が言いたかったことはそうだとわかっているが、字面通りに捉えると、今まさに、内閣で起きていることを予知するようなネーミングではないか。
この支持率急落に松野博一官房長官は「世論調査の数字に一喜一憂しませんが」と淡々と述べ、国民の声を真摯に生かしていくと、22日の会見で無表情のまま発言した。岸田内閣のナンバー2である官房長官が世論の声や民意を置き去りにするような発言に、話を聞かないのかとネットでは批判が起きた。敢えてこんな発言をした裏には、下がり続ける数字を、実はとても気にしているという心理が隠れているような気もする。
極めて珍しいことは他にも起こった。さすが有事の内閣である。岸田首相が新型コロナウイルスに感染したのだ。日本の首相として感染したのは初。それも6日間の夏休みを終え、ゴルフや温泉でリフレッシュし、翌日に公務復帰を控えた最終日に感染が判明。改造内閣で再スタートを切るはずが、なんとも言えないタイミングである。
そのため、珍しい光景を見ることできた。22日に行われた首相のオンライン会見である。どんな会見が行われるのかと思っていたら、まさかのモニター前ぶらさがり会見だ。設置されたモニターに現れた岸田首相の前に、報道各社の記者たちが両側に密に並び、順番にマイクの前に立ち質問していたのだ。これで記者たちが着席していたら、ドラマや映画でよく見るような映像でしかない。
ところが、首相は自身の感染を想定し、「官邸と公邸の間に光ファイバーによる専用会議システムを整備させ、万一に備えてきた」と、ちょっと自慢気に述べていた。これまで光ファイバーもつながっていなかったのか? これをオンライン会見と言うのかと首を傾げたが、現場の記者たちは誰もそこには突っ込まなかった。通常のぶら下がり会見とはやや様相が違ったようだ。岸田首相は用意した書面を読み上げていた。
オンライン会見では岸田首相の表情や仕草がよくわかる。コロナ感染についての質問と旧統一教会に関する質問では、声も仕草も表情も明らかに違うのだ。コロナ感染では、落ち着いた様子で書面を読み上げていたが、質問が旧統一教会に関するものになった途端、「あー」「うー」「えー」「あのー」「その」が多くなり、明らかに戸惑った印象だ。どの書面を読み上げてよいのかわからないのか、あっちこっちページをめくる。尻をもぞもぞと動かし、机の上に組んだ手や指がせわしなく動き落ち着かない。
「国民からの様々な指摘は真摯に受け止めていかなければならない」と述べつつも、視線を下に向けたまま、声がどんどん小さくなっていく。できれば触れたくない話題なのだろう、そんな心の動きを印象づけるような声だった。問題のある団体への立法を含めた取り組みについて聞かれても、被害を受けた個人への相談体制などに話をとどめ、取り組みに関する具体的な言及はなかった。
旧統一教会と何らかの関係があったという閣僚がボロボロ出ているが、岸田首相も松野官房長官も「国民に疑念を持たれることがないよう十分に注意しなければならない」と述べるだけだ。すでに多くの国民が疑念を抱き、支持が急落している。内閣にとっては有事が起きているはすだが、各議員に対し、関係の点検と厳正な見直しを求めるだけで「こうした団体との関係については関係を断っていただくよう、徹底していくことが重要」と歯切れがいいのか悪いのかはっきりしない表現に終始する。
メディアによると、岸田首相はこれまで2度の国政選挙を乗り越えてきた強運の持ち主だそうだ。運を引き寄せる力があるのかもしれない。有事の内閣も、その名の通り有事を引き寄せているようだ。
●安倍元首相の国葬 旧統一教会によるPR利用を懸念「国民の被害が大きく・・」 8/26
津田塾大教授で哲学者の萱野稔人氏が26日、日本テレビ系「情報ライブミヤネ屋」(月〜金曜後1・55)に生出演し、安倍晋三元首相(享年67)の国葬開催について私見を語った。
安倍元首相は先月8日、奈良市内での応援演説中に、背後から銃撃されて死亡した。山上徹也容疑者(41)=鑑定留置中=は母が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の熱心な信者で、安倍元首相が教団と関わりがあったとして犯行に及んだことを供述している。
そんな中での国葬実施に、萱野氏は「やるのであれば、旧統一教会と与党との関係をしっかり清算してほしいなと思う」と述べた。「国葬をやることによって、これが旧統一教会に利用されてしまうんじゃないかという懸念がやっぱりある。“これだけの国葬を行うような大政治家から、私たち(教団)は常にメッセージを受けていたんだ”と」と、国葬実施が教団へのPRになってしまう可能性を指摘。「それこそ、国民の被害がまた大きくなってしまうんじゃないかという懸念があります」とも話した。
一方で政府はこの日、安倍元首相の国葬を閣議決定。海外からの要人も含め、参列者は最大で6000人程度を見込んでいる。萱野氏は「国民の中には、安倍総理の演説を護衛できなかった警察にちゃんと護衛できるのか?という疑念がどうしてもまだあります」と説明。「やるのであれば、本当にどんなミスも許されない状況で臨んで欲しい」と力を込めた。
●なぜ国有地が旧統一教会の拠点に? 鹿児島県の元農水省関連施設 8/26
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、大阪市所有の施設を“ダミー会社”を通じて買い取り、拠点の施設にしていたことをAERAdot.で報じたが、鹿児島県でも信者を通じて国有地を手に入れた形になっている施設があることがわかった。そして、この鹿児島を地盤とする自民党の国会議員が、旧統一教会関連の会合に出席したり、イベントの顧問に名を連ねていたこともわかった。
「昔、農林水産省の関連施設があったはず。それが7、8年前に売りに出されていました。そこに旧統一教会がきたので驚きました」
地元の近隣住民がそう話す建物は、鹿児島県姶良市にあった農水省の施設。そこが旧統一教会の施設になったのは2017年のことだったという。
自治体が所有する施設が旧統一教会の施設に替わった例では、大阪市が総工費20億円をかけたドーム形の豪華施設が、ダミー会社を通じて旧統一教会に渡ったことをAERAdot.で報じた(“ダミー会社”通じて買い取り 旧統一教会の大阪の拠点はもともと市の施設 住民「今も不安」)
今回は国が所管していた土地と建物が、旧統一教会に渡ったというのだ。
その土地を不動産登記で確認すると、1978年に農水省が土地を取得し、79年に2階建て(延べ床面積約620平方メートル)の施設を建設したことがわかる。
農水省の担当者によると、「かつて農水省の福岡食糧事務所関連の分室がありました。施設が古くなり、任務を終えたとして2014年に九州財務局が一般競争入札を実施しました」とのこと。
不動産登記を見ると、14年11月に鹿児島県内に住む会社経営の男性(Aさん)が、土地と建物を購入していた。そして17年9月に旧統一教会に転売。現在、「霧島家庭教会」となっており、インターネットの「世界平和統一家庭連合 地方教会ポータルサイト」でも紹介されている。
Aさんに、土地・建物の購入、旧統一教会への売却の経緯などについて尋ねた。
「私が建築関係の仕事をしているので、学習塾をしたいという友人から、適した不動産がないか相談されていました。当時、国有地の一般競争入札という案内の看板を見たのがきっかけです。ここがいいのではないかと相談し、入札して買いました」
不動産登記には「極度額4000万円」とあり、Aさんが金融機関から借り入れていることがわかる。
「入札時点で、建物はかなり古い物件とされていました。リフォーム費用も必要だとして4千万円を借りたのかと思う。農水省から買ったのはそれよりも安い金額だったはずです。その後、友人の事情で学習塾の計画が白紙になり、知人を通じて旧統一教会に売却しました」
農水省は、旧統一教会へ国有地が転売されたことについて、どう考えているのだろうか。
担当者は、「一般競争入札ですので、一般的には暴力団などでなければどなたでも参加できます。特に(転売禁止などの)条項もなかったと思います。今、旧統一教会の教会だ、と言われても……」との回答を繰り返した。
Aさんに旧統一教会との関係などについて聞くと、「それを言う必要があるのか!」などと立腹し、明確な回答は避けた。
ただ、2017年1月の「VISION2020」という旧統一教会のニュースレターにこんな内容の記事が出ていた。
「地区認定神氏族メシヤ家庭教会認定式」が同月に開かれ、Aさんと妻の名前も掲載され、Aさんは認定式の最後に「感無量であり、氏族復帰、地域発展に寄与していきます」などと抱負を述べた、と報じられている。
一方、Aさんは経営していた建設会社の関係で、地元の業界団体の役員などに名を連ねている「名士」でもある。
鹿児島県を地盤とする自民党の保岡宏武衆院議員とも親交があるのか、20年7月に事務所を訪問している写真が保岡議員のホームページに掲載されていた。
宏武氏は保岡興治元法相(故人)を父に持ち、その秘書を18年務めて政界入りした。
興治氏は法相だった00年8月、参院決算委員会で、野党からの質問に答える形で、当時の大臣秘書官が旧統一教会の信者で、合同結婚式に参加していたことを認めた。その秘書官は以前から興治氏の政策秘書なども務めていたという。
そして、宏武氏も旧統一教会の関連団体である「日韓トンネル推進鹿児島県民会議」の「平和大使協議会 セミナー」など旧統一教会の関連団体の会合に出席したり、ピースロード(旧統一教会の創始者・文鮮明氏が提案したプロジェクト)の顧問に名前を連ねたりするなど、旧統一教会とは親密な関係性であることがうかがえる。
そこで、宏武氏の事務所に質問状を送ったところ、メールで回答があった。
Aさんがホームページに記載されていたことについては、「●●(Aさんと妻の名前)さんご夫妻に事務所を訪ねていただいた際の事務所来訪者としてブログに記載した。夫妻が旧統一教会霧島家庭教会の信者との紹介はしておらず、ご夫妻が旧統一教会信者との認識はなかった」。
宏武氏と旧統一教会関連団体との関係性については、「2019年、2020年の『日韓トンネル推進鹿児島県民会議』、2021年の『平和大使 協議会セミナー』につき調査したところ、スケジュール表に上がっており、出席した可能性が高い。ピースロードの顧問については、報道により調査した結果、案内状に実行委員会顧問の記載があったことを確認しているが、保岡本人、並びに主要なスタッフに顧問を引き受けた記憶がなく、引き続き事実関係を調査している」としている。
Aさんが国有地を購入したことや、献金、パーティー券購入の有無などについては、「Aさんの国有地購入について、全く認識はない。私自身がAさんからの依頼などを受けたこともない。政治資金の提供、パーティー券の購入をうけているとの認識は無い。そうした事実があるかさらに調査中」と回答した。
安倍晋三元首相の銃撃事件以降、旧統一教会の「反社会性」などが大きく報道されるなか、霧島家庭教会がある地元でも、不安視する声は出ている。
元東京地検検事の郷原信郎弁護士は、「国有地や地方自治体の不動産が旧統一教会に渡るというのはコンプライアンス上、あってはならない。政治家、特に自民党と旧統一教会が緊密な関係にあることで、役人もコンプライアンスが甘くなっているのではないか。前例主義にとらわれ、“事なかれ”で旧統一教会問題が出ることをためらい、拡大させている感がある。まずは政治家がけじめをつけて、旧統一教会との関係を断ち切ることだ。旧統一教会に国有地が渡るなどということを防ぐには大事なことだ」と指摘する。
大阪の例も含め、旧統一教会が関係者を仲介して公の土地・建物を購入し、拠点を置いた結果、地元住民の不安につながったとあれば、国や自治体側も「知らん顔」はできないはずだ。
●旧統一教会による「もう一つの拉致」事件を忘れてはいけない 8/26
旧統一教会と保守政治家たちとの関係が次々に明らかになるなか、内閣改造に踏み切った岸田文雄首相。しかし、内閣の支持率は急落した。保守政治家は旧統一教会との関係をなぜ絶とうとしないのか。自らの選挙で妨害を受けたことがきっかけで、旧統一教会の活動を批判的に検証してきた元足利市長の大豆生田実氏が、問題の本質をえぐりとるー。
ソウルで巻き起こった旧統一教会デモ
安倍元首相の銃撃事件に端を発した旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)批判は、まさにパンドラの箱を開けたように、彼らと関係を持つ保守政治家への厳しい視線を呼び起こしています。
一方で、韓国の旧統一教会本部は問題の本質を改めるどころか、身勝手な主張を展開し始めました。
8月18日、韓国で行われた旧統一教会のデモは私たち日本人の感情を逆なでするものでした。ソウル市内に現れた約4000人の信者が持つプラカードや肩にかけられたタスキには、日本語で「人権弾圧を許すな」「信教の自由を妨害するな」と書かれ、「歪曲報道・宗教弾圧」とシュプレヒコールが繰り返されたといいます。
そしてその中に、合同結婚式で韓国の男性と結婚した日本人妻が多数含まれていたという報道に私は愕然としました。
さらに、登壇した旧統一教会のトップである韓鶴子総裁が「日本のいまの状況も、時を経れば、過ぎていく」などと発言したということです。
約30年前に社会問題化した日本における旧統一教会について、この十数年、政府もメディアも本質的な対策や報道を行いませんでした。その間に憎悪を膨らませた山上徹也容疑者が、安倍晋三元首相の銃殺事件を引き起こしたことを、旧統一教会はこれほどまでに軽く見ているのかと唖然とさせられます。
我々はもう一度、旧統一教会のなんたるかを深く知る必要があるのではないでしょうか。
そして、なによりも選挙支援という弱みを握られ、日本人の被害から目を背けてきた保守政治家に今一度、この問題を捉えなおしていただきたいと強く願います。
韓国に連れ去られた日本人妻たち
前回寄稿した「元足利市長の私が体験した『旧統一教会』の選挙妨害とその全手口」で、私が立候補した2001年足利市長選挙における旧統一教会の不当な選挙妨害についてお伝えしました。
それ以来、私は旧統一教会の政治への関与と信者によるいびつな選挙支援や、何よりその資金力について問題意識を持ち、旧統一教会の問題を詳しく調べるようになりました。そこで目の当たりにしたのは、マインドコントロールの恐ろしさでした。それは今回のソウルでのデモに参加した旧統一教会信者の日本人女性たちも無縁ではありません。
実際に韓国に嫁いだ日本人女性の具体的な事例を紹介しましょう。
1968年生まれのA子さんは、21歳の時、突然、自宅に旧統一教会の信者Bが正体を隠して訪れ、「手相を見せてください」と言われます。それをきっかけに、たびたびBと会うようになりました。
当時、A子さんは父と姉の3人くらし、母親を若くして亡くしていました。こうした家庭の事情を話すと、Bは「それは先祖の因縁」だとか「このままだと家が途絶える」などと言い、A子さんは恐怖心から言われるがままに数珠を購入させられます。これをきっかけにセミナーやバーベキューなどの催しに参加するようになり、すっかり旧統一教会の教えの虜となってしまいました。
韓国人の夫は旧統一教会に10万円を支払った・・・
信者となってからはA子さん自身も訪問販売や伝道活動を積極的に行うようになり、ついに1995年、ソウルオリンピックスタジアムで行われた36万組の合同結婚式に参加するために、渡韓しました。
相手の韓国人男性は慶尚南道に住む農家の方で、驚くべきことに、旧統一教会の信者ではなかったそうです。
A子さんは、日本で旧統一教会から「韓国の男性は、日本人の男性より罪がない」とか、「日本は戦前に朝鮮半島で悪いことをしたので、日本人は韓国人に尽くさなければならない」などと散々言われていました。
また、言葉もわからないまま不安だらけでしたが、合同結婚式での祝福という旧統一教会で最も大事な行事に参加できるという喜びもあり、写真でしか見たことがなかった韓国人男性に嫁ぐことにしたそうです。
こうして韓国の片田舎での生活が始まります。
後にA子さんはその男性の親が、息子の嫁探しのために韓国の旧統一教会に10万円支払って日本人女性を嫁がせるように依頼していたことを知り、強い違和感を覚えたそうです。
片や、A子さんの家族にとってはたまりません。マインドコントロールされた娘が突然韓国に渡り、見ず知らずの韓国人男性と結婚させられてしまったのですから。そして、転機は結婚してから約2年後に訪れます。
長女が誕生し育児に励んでいたA子さんは、どうしても日本食が食べたくなり、子供を連れて日本の実家に里帰りした時に、脱会カウンセラーから説得を受けました。
半年以上もの話し合いを要しましたが、A子さんはついに旧統一教会からの脱会を決意しました。現在、長女は日本人として成人になり、平穏な日々を送っています。
今、A子さんは当時を振り返り、「旧統一教会のマインドコントロールがなければ、韓国に嫁ぐことは絶対になかった」と話しています。
「言葉によるもうひとつの拉致」
こうした日本人女性信者を合同結婚式に参加させて韓国に嫁がせるといった旧統一教会の行為は、「言葉によるもうひとつの拉致」だと私は捉えています。
ご承知のとおり、「拉致問題」といえば、真っ先に北朝鮮による日本人の拉致が頭に浮かびます。遡ること1970年代から1980年代にかけ、多くの日本人が北朝鮮によって拉致されたことが明らかとなり、以来、拉致被害者家族らの救出に向けた様々な取り組みが行われてきました。
いわゆる小泉訪朝(2002年9月と2004年5月)によって、計13人の拉致被害者とその家族が24年ぶりに帰国できました。しかしながら、警察庁によると、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者がまだ871人もいらっしゃるとのことです。
拉致被害者の家族の皆様をはじめ、国や心ある多くの方々の努力にもかかわらず、依然として道は遠いままであり、拉致問題の根本解決に向けた継続的な取り組みが必要だと痛感します。
一方、旧統一教会の「言葉によるもうひとつの拉致」ともいえるマインドコントロールによって韓国に渡ったとされる日本人は推定で7000人にも上るといわれています。
北朝鮮の拉致と旧統一教会による拉致の比較表
北朝鮮の「力による拉致」と、旧統一教会の「言葉によるもうひとつの拉致」。
日本国にとってどちらも同じくらい大事な問題です。
これに対し、「旧統一教会の信者については、自らの意志で合同結婚式に参加し、韓国の男性に嫁ぐことにしたのだから、仕方がないではないか」という反論が聞こえてきそうです。
しかし、彼女たちがマインドコントロールされ、主体的な意思決定ができなくなっている現状を考えれば、娘を一刻も早く日本に取り戻したいという家族の思いは、北朝鮮の拉致被害者の家族の方々と同じなのです。
残念ながら、この問題に関しては、北朝鮮の拉致問題のような政府による対応は今のところ取られていません。それどころか、旧統一教会は日本の政治の中枢を担ってきた保守政治家に選挙を通じて取り入り、自らの組織の保全に成功してきたのです。
そして、保守守政治家と旧統一教会のいびつな関係は、何より「霊感商法」という極めて犯罪性の高い行動を野放しにしてきたことにも特に色濃く反映されていると思います。
「40年で2兆円」とも言われる被害総額
霊感商法とは、ご案内のとおり、先祖の因縁を指摘して不安を覚えた人に壺や絵画などを法外な値段で売りさばき、善良な日本人の富を簒奪するものです。
旧統一教会による霊感商法の違法性を指摘し続けている「全国霊感商法対策弁護士連絡会」に所属する弁護士や消費生活センターに寄せられた旧統一教会に関する相談は、令和3年(2021年)12月までの34年間に3万4537件、被害総額は約1237億円にも上ります。
しかし、相談されずに放置されているものも含めれば、これは氷山の一角と言うべきでしょう。40年以上にわたり旧統一教会の脱会カウンセラーを担ってきた方の話では、富の簒奪は「2兆円はくだらない」とのことです。これが旧統一教会の被害を目の当たりにしてきた方々の実感であり、危機感なのです。
こうした旧統一教会による富の簒奪は、世界広しといえども日本のみであるということも特筆すべきことです。
保守政治家の矜持はどこに?
以上、縷々述べましたが、このような具体的な問題点を旧統一教会との関係を指摘される政治家たちは本当に知らないのでしょうか。
自民党の衆議院議員には、旧統一教会の韓鶴子総裁を最大限の賛辞である「マザームーン」と呼んでいた方もいるようです。また、前国家公安委員長は、旧統一教会系のイベントで実行委員長を務めていました。
旧統一教会と自民党の国会議員らは「日本・世界平和議員連合懇談会(平和議連)」を作っており、その会長代行の衆議院議員は旧統一教会について「何が問題なのかわからない」と語っています。
さらには、新しい自民党の政調会長は旧統一教会との関係については今後適切に対応するとのことで、縁を切ると明言することはありませんでした。
保守政治家の矜持はどこにいったのでしょう? 
どうか、自分たちが旧統一教会の広告塔として利用され、結果的に被害を拡大させてしまっているという事実をもっと厳粛に受け止めていただきたいものです。ことは国民の生命と財産にかかわる国益なのですから。
まだ遅くはありません。
旧統一教会も認めているキリストと並び称される三大聖人のひとりである孔子も語っているではありませんか。
「過ちては改むるに憚ること勿れ」と。
●旧統一教会の教えはブラック企業と同じ…人を「献金する信者」に変える3原則  8/26
旧統一教会の信者はなぜ多額の献金をしてしまうのか。北海道大学大学院文学研究科教授の櫻井義秀さんは「信者たちは自分で考え、判断することを悪とみなすようにマインド・コントロールされている。これは戦前の軍隊や、ブラック企業など、一般社会でも見られる手法だ」という――。
「子供や孫が泣いている姿」でマインド・コントロールが解ける
Aさんは2003年に旧統一教会を脱会した。きっかけは家族の説得であった。
Aさんの子供達は、多額の献金がなされている事実を知り、旧統一教会をやめて元の母親に戻ってほしいと真剣な話し合いを持った。
次男の「仕事を辞めてもいいのでじっくり話したい」という並々ならぬ決意を感じて、Aさんは子供達と数日間話し合いを行い、旧統一教会の実態を知らされたのである。
その間、子供達は話し合いに専念するために孫3人をよそに預けていた。
Aさんと子供達との話し合いが終わり、連れてこられた孫達が親にすがりついて泣いている様を見て、Aさんは孫達に寂しい思いをさせてしまった自分の姿が客観的に見えたという。
つまり、自分は子供達、孫達のためによかれと思ってやってきたことだったが、そうではなかったのではないか。これほどまで子供や孫達を悲しませてしまった自分の愚かさと申し訳なさに涙し、その瞬間に旧統一教会のおかしさが分かったと語る。
教団から追放後「暴漢に襲われる」
一般的に、旧統一教会信徒が脱会する道筋は大きくわけて3つある。
第一に自主脱会。教団への疑念が脹らみ継続しがたくなるもので、入信初期に辞めるパターンが多い。
第二に教団からの追放。旧統一教会の日刊紙「世界日報」の編集局長であった副島嘉和は、本部との路線対立から解任され信者の籍を抹消された後、『文藝春秋』(1984年7月号)に旧統一教会の暴露記事を掲載した。その直後、暴漢に襲われ重傷を負ったが、このようなケースは稀である。
第三に、Aさんのように家族の話し合いにより認識の枠組みや生活態度が旧統一教会モードから現実生活のモードに一変するというパターンである。俗にマインド・コントロールが解けるともいい、長期間信者であった人が辞めるケースとしては一番多い。
マインド・コントロールの3つの原則
ところで、旧統一教会の元信者が語るところでは、次のようなコントロールがある。
   1カイン―アベルの原則
創世記によると、カインが兄、アベルが弟で、2人はアダムとエバの息子達であるが、神はカインの献げものよりもアベルの献げものを取られたのでカインは怒ってアベルを殺してしまう。
この物語から旧統一教会では、神に嘉よみされたアベルにカインは従うべきという一般則を作る。これが組織内ではアベルは上司(信仰上の先輩)、カインは部下(信仰上の後輩)に相当するという。
したがって、信仰共同体の組織は下位のものが上位のものに道徳的に逆らえないピラミッド的なものとなる。最上位には文鮮明がいる。社会関係のコントロールである。
   2アダム―エバの原則
先に女性が堕落して男性を誘ったということから、女性は男性に献身的であるべきという一般則を作る。これが国家間に適応されると先に述べたアダム国家(韓国)−エバ国家(日本)の図式となり、日本が韓国に仕えるのは当然なのだということにもなる。
また、堕落は男女の間違いから始まったことなので、信徒同士男女間の密な関係は禁じられ、再臨主たる文鮮明を仲介しない男女関係は全て不義なるものとされる。
祝福後の家庭にも再臨主が介在し、夫婦間の愛情よりも再臨主への信仰の方が強いのである。性愛と結婚のコントロールである。
   3ほうれんそうの原則
報告、連絡、相談を縮めたものである。自分の行為は全て上司に報告し、信徒同士連絡を密に行い、自己判断の必要がある場面では全て相談する。
旧統一教会の信徒は自己の裁量で行動することは殆どなく、組織的な判断や指令を優先する信仰実践の毎日である。これは行動のコントロールである。
旧統一教会の手法は「一般社会にも見られる」
このような123のコントロール下では、自己の認識や判断よりも、再臨主の教えや教団組織の方針を優先するよう、旧統一教会信徒としての人格が形作られている。
もちろん、2は旧統一教会特有の傾向であるが、13の組織的統制は一般社会でも見られる。
閉鎖性が強く、権威主義的な組織に属していると、自分で考え判断することが悪いという価値観を持たされ、ついには自分で判断するよりも上位者に判断を委ねること自体が善であり、模範的(信仰的ないしは忠実)であると思いこまされる。
戦前の軍隊がそうであったし、現在もこのような組織的統制によって社員に違法すれすれの営業をやらせるような会社がある。
いったん、このような組織に身を投じてしまうと認識の枠組みがいつの間にか変わってしまい、自分で自分の判断を縛ってしまうようになる。
マインド・コントロールとは常に誰かから監視され、遠隔操作されているようなものではなく、自縄自縛の状態なのである。
だから、Aさんが信徒であった間になした旧統一教会への献金も、Aさんを勧誘し、献金を勧めた信徒達の行為も、外形的には自律的行為とみなせるものである。
しかし、そうした行為を真に自律的なものとみなしてよいのかどうか。
どのような経緯でそのような行為が生み出されたのかをも総合的に考察したうえで、私たちは社会的判断、常識的判断を下してよいのではないかと思う。
この点を、Aさんの裁判に関して、再度考察してみよう。
マインド・コントロール下でも「信者が自発的に献金した」
被告である旧統一教会は、原告が商品の購入や献金を信者として自発的に行ったと主張し、原告と関わりがあった現役の信者にその旨証言させた。
原告側の弁護士は、原告女性が、旧統一教会員の巧みな勧誘にのせられて信者にさせられ、金を出させられたと主張した。
判決では、旧統一教会側の勧誘行為には違法性があり、初期の商品購入や献金は強いられたものであると認定し、この女性が旧統一教会を辞める直前の献金行為にも強制を認めた。
しかし、12年近くの信者生活の中間で買った品物や献金は、信者として自発的に行ったものだとみなされたのである。
賠償が認められなかった半分の2億数千万円が該当する。
原告を、違法な勧誘により畏怖困惑させて信者にしたのは許し難いとする一方で、どのような経緯であれ、信者となって進んで献金したものに違法性はない、という裁判所の判断は、素人目にも矛盾している。
つまり、入信前に、先祖がうかばれない、霊のたたりなどの心理的圧力を受けて原告が入信したことを、裁判所は事実と認定した。
だから、入信前後の物品購入・献金は違法な勧誘と教え込みの結果、自らの意志に反してお金を出させられたものと判断したのである。
裁判所が認めた「違法な心理的圧力」
ところが、信者となってから12年余り、原告は教団から過度な献金要請を受けずとも、請われるままに献金した。
少なくとも激しく抵抗した経緯が認められないので、これらの献金は自由意志による宗教行為と裁判所は考えたのである。
しかし、これでよいのだろうか。
いったん信者になれば信じ切っているのだから、抵抗するわけがない。おかしいな、変だぞと思い、こんな金は出せないと抵抗したら、その時点で教団を辞めている。
原告は教団を辞める直前にそのような心境になり、献金要請に抵抗を示し、ついにおかしさに気づき脱会したのである。
裁判所は原告が教団に疑念をいだいた経緯を認め、この間の献金は違法な心理的圧力によるものだと断じた。
「領収書を残すな」旧統一教会の驚くべき誡め
ところで、心理的圧力の有無は、原告側が論証するしかない。
旧統一教会は、献金させたという事実すら、進んで認めたわけではなかった。
そもそも献金の際に、教団は領収書や受取書を発行していない。献金の記録を残すような行為は非信仰的であるとして、誡いましめられた、と原告はいう。
したがって、弁護士は、原告の預金通帳を調べて、生活上不必要で不自然な出金の記録から献金相当額を割り出し、原告の記憶に基づいて献金を強要された事実を確定していったのである。
こうして確定された物品購入や献金は計40回余に及び、総額5億円以上に達した。
裁判所は献金1回ごとに、原告と被告、関係者の証言から心理的圧力の有無を調べた。必要な手続きだ。しかし、その年に70歳になる原告には厳しい審理だった。
考えてみてほしい。詳細なメモや記録なしに、12年にわたる40回の行為を正確に思い出せるだろうか。
現役バリバリのサラリーマンでも、自筆の手帳や職場の記録なしで、数年間に行った出張の様子を、年月日、行き先、宿泊ホテルを含めて想起できるだろうか。
あるいは議事録なしに、誰がどのような発言をどのような調子で行ったか、といった会議の次第を想起できるだろうか。
古い記憶を消してメモリーを空けておいてこそ、頭が働くのではないか。
原告に、信者であった期間の全般にわたって鮮明な記憶を求めるのは酷だ。
筆者は、これまで20人以上の旧統一教会元信徒の方に聞き取り調査を行っているが、彼らが比較的明確に回想できるのは、入信前後から旧統一教会員としての自覚を深めるまでの期間と、宗教活動に疑問を抱き脱会して、その後社会復帰するまでの期間である。
「旧統一教会への損害賠償請求」難しい理由
先ほど述べたように、旧統一教会信者は特殊な言語と論理でコミュニケーションを行い、生活のスケジュールと人事には殆ど自由裁量の余地がない(幹部は別として末端信者ほど)。
つまり、およそ自分で勝手に考える余地もなければ、その必要もない。
それに心地よさを感じる信者と、理不尽さや居心地の悪さを感じる信者双方があるが、どちらもルーティーン化された日常生活と宗教生活に関わるところの記憶は曖昧あいまいである。
元信徒の人達が損害賠償請求の裁判を起こす際に記憶だけに頼ると、必ずこの問題に直面する。
青年期に活動した元信者ですらこうなのだから、中高年の人達の困難さは相当なものだ。
もっと言えば、被害を受けた人達の記憶ですらこのように曖昧になっているのだから、加害の側にあって霊能師の役割を演じて何十人、何百人相手に因縁の話を説いてきた旧統一教会信徒の記憶も実に曖昧なものである。パターン化されると個別の出来事に対する記憶がぼやけ、そこで味わった感情の動きに鈍感になるのである。
「違法な献金」警察はなぜ見逃しているのか
見方を変えれば、このような裁判は教団にとって実に有利である。
教団は、加害側・被害側双方の信者にも記録を残させない。どちらの証言にも曖昧性が残る。
旧統一教会は仮に損害賠償を求める裁判を起こされても、証拠不十分で返還が認められない分が相当出てくるのであるから、慰謝料を払っても取り得である。
しかも、旧統一教会による違法な献金強要訴訟に典型的であるが、個々の判例では教団による組織的献金要請のシステムや勧誘者のマニュアルまであることが確認されている。
にもかかわらず、組織本体に対する警察の取り締まりがない。
訴えられて負けたときだけ賠償金を支払えばいいということになれば、泣き寝入りする被害者も少なくないのだから、違法であっても儲かる商売となる。そのことを分かってやっているのが、旧統一教会とはいえないか。
どうして、このような理不尽なことが許されているのかと、読者は怪訝に思われるだろうし、被害者は憤怒に堪えないだろう。
ここには、法の支配だけでは解決できない問題がある。
●自民党の旧統一教会アンケートに苦言「きっと不徹底な内容で終わる」 8/26
ジャーナリストの有田芳生氏が26日、ツイッターを更新。自民党が党所属の国会議員に向けて始めた、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係をめぐるアンケート調査にダメ出し≠オた。
自民党はこの日、茂木敏充幹事長名で教団との関係についてアンケート調査を開始。調査用紙には「会合への祝電・メッセージ等の送付」や「広報紙誌へのインタビューや対談記事などの掲載」「旧統一教会関連団体の会合への出席」「選挙におけるボランティア支援」の有無など8項目にわたり確認することになっている。
この用紙の画像を添付した有田氏は「自民党の文書。締め切りは9月2日。この調査をする信者秘書たちがいる。教団と関係を持たないことを基本方針とするなら、組織が派遣した秘書はどうするんだろうか」と疑問を呈し「きっと不徹底な内容で終わるだろう」と断じた。
この投稿をジャーナリストの江川紹子氏は引用し「『秘書の派遣・受け入れ』という項目はないのね」と同じくツッコミを入れていた。
●旧統一教会はFIFAともズブズブ 元ナンバー2が要職に入り込み人脈構築 8/26
サッカー界への影響力が指摘されている旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が、国際サッカー連盟(FIFA)にも深く食い込んでいたことを現地メディアが伝えた。
旧統一教会は欧州や日本から強豪クラブを招いて国際大会「ピースカップ」を開催するなどサッカー界との蜜月関係も指摘されている中、韓国紙「新東亜」はナンバー2だったとされる郭錠煥(カク・ジョンファン)氏のサッカー界への影響力を改めて報道。郭氏が務めた多くの要職を紹介する中で「韓国プロサッカー連盟会長や、国際サッカー連盟(FIFA)の戦略委員も歴任した」と伝えた。
FIFAの戦略委員会は世界のサッカー界の重鎮によって構成され、ゼップ・ブラッター会長の時代には自身のほか当時欧州サッカー連盟(UEFA)会長を務めていたミシェル・プラティニ氏や、2010年南アフリカW杯でスペイン代表を率いて初優勝に導いたビセンテ・デルボスケ氏らなどが入っていたことがある。郭氏はその要職を務め、FIFA内部でも幹部や重鎮たちとのコネクションを構築していったとみられている。
旧統一教会では、創始者の文鮮明氏が機関誌で「オリンピックも、FIFA(国際サッカー連盟)も、サッカー競技も、私の手で消化(支配)するでしょう」と過去に宣言しており、サッカー界の支配≠目論んでいたと指摘されている。こうした背景もあり、郭氏がFIFAの中枢に食い込みズブズブの関係を築こうと目論んでいたようだ。
旧統一教会とFIFAとのただならぬ関係は波紋を広げそうだ。
●旧統一教会との接点、自民が所属の全国会議員に調査… 8/26
自民党は25日、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と同党議員の接点が相次いで明らかになっている問題を受け、党に所属する全国会議員を対象に同連合や関連団体との接点の有無を調査する方針を固めた。結果がまとまり次第、公表する方向で検討している。
複数の党幹部が明らかにした。調査は茂木幹事長名によるアンケート形式で行う。同連合や関連団体が関わる会合への出席や祝電などの送付、選挙応援、献金などについて有無や回数の回答を求める。茂木氏のもとで回答を集約する。調査後に新たな接点が判明した場合は、党に報告を求める。
自民は9日に所属議員に同連合との関係の点検と見直しを指示。22日には、茂木氏が党の「ガバナンスコード」(統治指針)に所属議員が問題のある団体と関係を持たないことを明記すると表明した。
だが、党への批判は収まらず、岸田首相(自民党総裁)は24日、「もう一段踏み込んだ、国民の不信を 払拭ふっしょく する方策について、必要な指示をする」と述べていた。全議員を調査し、結果を公表することで事態の沈静化を図りたい考えだ。

 

●和解後に調書を訂正、その翌年に旧統一教会の名称変更を認めた…文化庁 8/27
「従前の宗務行政の適法性・妥当性に疑問の余地がないわけではない」。2014年、鳥取地裁米子支部がこんな和解調書を決定した。文化庁のこれまでの旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)への対応を批判する内容だ。しかし、国側は猛反発し、この部分をばっさり削除した「更正調書」を裁判所に作らせていた。同庁は、この和解の翌年に、旧統一教会の名称変更を認めた。浮かぶのは、文化庁の不可解な対応の甘さばかりだ。
国側から裁判所に強い要求
「被告国においても、従前の宗務行政の適法性・妥当性に対する疑問の余地がないわけではないことや、今後適切な宗務行政がなされることを期待する」
2014年7月10日、鳥取地裁米子支部が作成した民事裁判の和解調書に、裁判長が国の旧統一教会への対応を非難する文言が記された。しかし、この和解調書は翌月5日に「更正調書」として訂正されることになる。訂正後の調書では、この裁判長の文言が丸々、削除されてしまった。
この裁判に原告側弁護団のメンバーとして関わった勝俣彰仁弁護士は「普通だったらありえない。この文言は和解の場で裁判長が口頭で述べたものをそのまま載せただけ。事実に間違いがあるわけではなく、被告側からの不当な削除要求だった」と振り返る。
和解は7月10日で成立しているにもかかわらず、勝俣弁護士によると、この調書が関係者に配られた後、被告側から裁判所に対して、文言を削除するよう強い要求があり、裁判所が応じたのだという。
勝俣弁護士はこの対応に納得していないが、「原告が高齢だったので被害弁償を優先し和解に応じた。裁判所が示した事実はあるので、しぶしぶ承知した」と訂正に応じた理由を語る。
和解文書が2通に「国のおかしさ浮き彫り」
この裁判は、中国地方に住む高齢女性が、旧統一教会の霊感商法や献金強要などによって受けた損害賠償などを求めた訴訟で、09年に提訴した。国が教団に対して宗教法人法上求められる措置を適切に行っていなかったとして、国の「行政不作為」も問うた。旧統一教会の問題に関連して国賠訴訟を起こした初めての事例だとされる。
和解は成立しているので、訂正されたとはいえ、当初の調書も記録として残る。訂正後の調書と合わせ、和解に関する文書が最終的に2通残ることになった。勝俣弁護士は「国は文字として残したくなかったのかもしれないが、逆に2通の記録が残ることになった。その事実が国や旧統一教会のやり方のおかしさを浮き彫りにしているのではないか」と話す。
「国の責任追及する」途端に示談金上積み
国と旧統一教会が関係する損害賠償を巡っては、他にも不可解な例がある。
08年、千葉県の女性が献金した約2億2000万円の損害賠償を求めていたところ、教団側は献金額を上回る2億3000万円を支払う内容で示談に応じた。
06年に賠償を求めた当初、教団側は約1億3000万円を提示していたが、被害額と隔たりがあるため、女性側が「国の責任も追及する」との訴状案を送付すると、教団側は歩み寄り、献金額を上回る額で合意に至った。
女性側の代理人を務めた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の紀藤正樹弁護士は「そのころは、教団の勧誘の違法性などを認める最高裁判決が出そろった時期と重なる。解散命令が出されるといったことを恐れて、国が相手となる訴訟が起きるのはまずいと思ったのかもしれない」と、教団側の対応が変わった背景を推測する。
●永岡桂子文科相は所轄大臣として旧統一教会に一切切り込まない 8/27
永岡桂子文科相(茨城・衆院6回・68歳)
政権が統一教会問題で大揺れの中、宗教法人を所轄する文科省のトップに就任。麻生派の“待機組”から順送りで初入閣し、教団の生殺与奪権を握る重要な立場としては軽量感が否めない。
現時点で教団との関係は「ない」と答えているが、厳正に対処する意欲も「ない」。就任会見では教団の名称変更を巡る政治介入疑惑について「適切に対応してきたと聞いている」と、早々に「問題なし」の立場を表明。解散命令の是非を問われても、「宗教の自由を守る宗教法人法には手を付けない」と語り、一切切り込もうとしない。教団との関係を断ち切る覚悟のない現政権を象徴する新閣僚だ。
“無勝”から汚名返上
衆院議員だった夫の洋治氏が2005年、当初は反対を約束した郵政民営化法案に賛成票を投じた後に自殺。急逝から1週間後に当時の小泉首相が衆院を解散、夫の四十九日を待たずに出馬表明した。弔い選挙の初立候補時から選挙区で立ちふさがってきたのが、中村喜四郎元建設相だ。“無敗の男”に5連敗し、比例復活に甘んじてきたが、昨秋の衆院選で初勝利。“無勝”の汚名を返上した。
主婦として2人の娘を育てた経験から、教育や食の安全への関心が高い。
「ひとり親家庭への支援には熱心です。党内の女性議員らと議員立法に携わり、ひとり親の税負担を軽減する『寡婦控除』に未婚者を加える税制改正を実現させました」(自民党関係者)
選択的夫婦別姓制度には「若い世代のために必要。子供の名前をどうするかなどの議論をしっかりすべき」との立場だが、岸田首相が呼びかけ人の推進議連には不参加。女性宮家創設に反対し、男系継承に固執する保守派の顔も併せ持つ。
父親は資産家のお嬢さま
東京・代々木生まれ。父親は飼料会社の経営者で、新宿にビルを所有する資産家。本人も中学から大学までを学習院で過ごし、卒業後は就職せず、2年ほど家事手伝い。78年に農水省のキャリア官僚だった洋治氏と見合い結婚した。
地元・古河市の評判は「可もなく不可もなく」。むしろ「圏央道のインターを引っ張ってきた中村さんと違って、地元に何も実績を残していない」(市政関係者)と「不可」の声も目立つ。
「ただ、面倒見のいい親分肌の“肝っ玉母さん”のように振る舞うので、自民党の女性支援者には人気がある」(茨城県政関係者)
タイに住む孫たちとオンラインで顔を合わせるのが、今の楽しみだ。
●合同結婚式の実態「政治家は人権無視の教団にお墨付きを与えてきた」 8/27
フリーアナウンサー膳場貴子(47)が27日、TBS系「報道特集」(土曜後5・30)に生出演し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と接点を持つ政治家たちに私見を語った。
番組では、教団の合同結婚式に出席した経験のある女性の元信者5人に、膳場アナがインタビュー取材した模様を放送した。ある元信者は「(合同結婚式を)祝福と言うんですけど、“それを受けないと本当の意味で天国に入れない”という教えをその後、学んでいく。それを受けることが目標になっていく」と説明。参加費用は140万円だったといい、美術品などを高価で買わされた金額が、実績として献金額に加算されていく仕組みだったという。
結婚相手は教団側に決められるといい、元信者は「タイプじゃなかったので、えっ?と正直思いました。でもこの人が選ばれた相対者だから、そういう気持ちは持っちゃいけないと。でも正直、葛藤してました」と打ち明けた。
人権を無視したかのような教団の決まりごとに、膳場アナは「焦点となった合同結婚式ですけど、この教団の人権侵害の最たる例だなと思いました」と指摘。「教団はカルト的な思考回路によって、信者がつらさを感じない状態に仕立てた上で、見知らぬ人との結婚によって、心身ともにリスクを負わせるわけです。人によっては取り返しが付かないほどの、人生を破壊されたケースもあります」と訴えた。
日本では多くの政治家が教団との接点を取りざたされている。膳場アナは「旧統一教会と深い関わり合いを持ってきた政治家というのは、そうした人権を無視する教団と関わって、お墨付きを与えてきたんだということをあらためて申し上げておきたいと思います」と伝えた。
●旧統一教会報道、専門家の“ダブスタ”で流れが一変?『ミヤネ屋』 8/27
安倍晋三元首相の四十九日が25日、昭恵夫人や弟の岸信夫首相補佐官ら親族のみでしめやかに行われたが、安倍元首相の殺害をきっかけに始まった旧統一教会を巡る騒動は、一向に収束に向かう見通しが立たない。
連日、政治家と旧統一教会のかかわりを伝えるニュースが流れているが、ここ数日、ネットで“ダブスタ”を指摘されているのは、旧統一教会の被害者問題に長年にわたって取り組み、問題追及の急先鋒として毎日のようにテレビに出演している紀藤正樹弁護士。
紀藤弁護士“ダブスタ”指摘される
紀藤弁護士が指摘されているのは、8月11日と25日のツイートの矛盾だ。
自民党の高市早苗経済安全保障担当相が、21年前に旧統一教会の関連企業の世界日報社が発行する月刊誌の対談記事に登場したことについて、高市氏が「対談掲載誌が旧統一教会関連団体の媒体だとは、当時は知るすべもありませんでしたが、21年前に接点があった事実は変わりません」とツイートした。これに対して、8月11日に紀藤弁護士は次のようにツイートしていた。
「世界日報が統一教会系と知らなかったという言い分は政治家としてさすがに無理がないか」
「世界日報が統一教会系と知らなかったという言い分は政治家としてさすがに無理がないか>高市氏によると2001年3月、統一教会と関係が深いとされる世界日報社が発行する月刊誌に政治評論家(故人)らとの対談記事が掲載/ 高市氏、旧統一教会系の月刊誌で対談 「関わり知らず」」
このツイートから2週間、25日の紀藤弁護士は次のような投稿をして注目された。
「そろそろ政治家と統一教会との関係の濃淡/線引きの基準を作るべき時期ではないか。個別取材ではなく記者会見で世界日報から取材を受けて記事になった程度は避けようがなく問題ないと思います。超党派で基準作りをするなら協力したい。」
「そろそろ政治家と統一教会との関係の濃淡/線引きの基準を作るべき時期ではないか。個別取材ではなく記者会見で世界日報から取材を受けて記事になった程度は避けようがなく問題ないと思います。超党派で基準作りをするなら協力したい>紀藤正樹弁護士、超党派での基準作成求める」
このツイートには、次のようなコメントが寄せられていた。
「統一教会と立憲民主党の議員との関係がバレだしてから、こんなこと言うようになってきたな。っていうか、法律でも何でもない「濃淡の線引き」って何なんだよ?」
「少しでも関与があったら猛烈批判してた御仁が、野党サイドで関与者が出てきた途端に「そろそろ超党派で濃淡/線引き」「協力したい」とか言い出してアレ過ぎる」
「自民党議員はひたすら批判していたのに、立憲議員の旧統一教会の繋がりが明らかになったらいきなりこれ。」
ツイッターユーザーの指摘通り、自民党に加えて立憲民主党の中でも、旧統一教会と接点があった議員が多数見つかりだしている。
立民は23日、岡田克也元外相、枝野幸男前代表、安住淳元財務相、福田昭夫衆院議員など、新たに7人が旧統一教会と接点があったことを明らかにした。岡田氏、枝野氏、安住氏、福田氏はともに、「世界日報」にインタビューが掲載されていた。毎日新聞によると、西村智奈美幹事長は記者会見で「全ての人が旧統一教会との関係(がある団体)だと認識していなかった」と述べた。
江川紹子氏のツイートも物議
また、神奈川新聞の記者だった80年代から統一教会を取材してきた、ジャーナリストの江川紹子氏の発言もネット民の話題を呼んでいる。江川氏は25日、報道機関が統一教会と濃厚なかかわりがあった場合の対応について、次のようにツイートした。
「言うまでもない話。事実を調査し、問題点を分析し、統一教会との関係を知って濃厚な関わりがあった場合などは適宜処分を行い、再発防止策を整え、それらを公表したうえで謝罪し、報道機関としての役割を果たしていく。ほかに考えられます?」
「言うまでもない話。事実を調査し、問題点を分析し、統一教会との関係を知って濃厚な関わりがあった場合などは適宜処分を行い、再発防止策を整え、それらを公表したうえで謝罪し、報道機関としての役割を果たしていく。ほかに考えられます?」
このツイートには、
「政治家には、インタビューに応じてるだけでも問題だというのにメディアがとなるとダブスタを言ういつもの」
「どうやら江川紹子氏にとって(自民党の)政治家は嘘つきだが身内のマスコミは純真無垢ただうっかり統一教会に関わってしまったと考えてるらしい。美しいダブスタ。」
「当初は「知らずに接点を持っただけでカルトのお仲間」だと魔女狩りを楽しんでいたくせに、自分の仲間や身内に関与が明らかになった途端ずいぶん慎重になりましたねぇ?」
といった感想が寄せられていた。
このように、国民の一部には、自民党と比べて野党やマスコミが旧統一教会との関係が発覚したときの批判が手ぬるいとの声を上げだした人も出ている。そうした中、旧統一教会が、マスコミに“爆弾”を落とした。
旧統一教会信徒が『24時間テレビ』ボランティア
25日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は、公式サイトで「異常な過熱報道に対する注意喚起(2)」と題した文書を公開。参加ボランティア団体として「世界基督教統一神霊協会・能登教会」を紹介する2014年の『24時間テレビ』のテロップ画像とともに、コメントを発表した。
「現在、民放の雄と言われる日本テレビが、同社ネットワークの総力を挙げて毎年取り組んでいる「24時間テレビ」ですが、当法人の女性信徒がボランティアスタッフとして7年間にもわたって関わり、番組ボランティアをまとめる中心的な立場で活躍していたことが分かりました。」
「この調査結果からも分かるとおり、現在、特定の報道機関が「反社会的団体」であるかのように報じている当法人および当法人信徒が、安倍元首相銃撃事件が起こるまでは多くの報道機関から確かな信頼を受けて、番組づくりに協力し、密接に関わってきたことは疑いようのない事実です。」
日本テレビは連日、『ミヤネ屋』をはじめとした各番組で、政治家と旧統一教会とのかかわりを猛追及していることで、このところ評価を上げている。それだけに今回、旧統一教会は日テレに的を絞って攻撃してきたのだろう。ただ、日テレはスポーツ紙などの取材に事実関係を否定、全面対決の様相を濃くしている。
日本テレビと旧統一教会の“サバイバルマッチ”、今後どう展開していくかはネットではますます関心を集めそうだ。
●「24時間テレビ」に旧統一教会信者 7年間ボランティアとして関わる  8/27
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が26日までに、日本テレビの「24時間テレビ」に教団の女性信者がボランティアとして7年間関わっていたことを公表した。教団は21日に「過熱報道に対する注意喚起」として、これまでに関わりのあった報道機関を調査して公表していくとしていた。その第1弾として公表したとみられる。同局の夏の恒例特番「24時間テレビ」は、27日に放送が始まる。
教団の公式サイトによると、女性信者は番組ボランティアをまとめる中心的な立場で活動していたという。2014年の番組テロップで、参加ボランティア団体として「世界基督教統一神霊協会・能登教会」と紹介されている画像も掲載した。
日本テレビは26日、公式サイトに「現時点で把握している事実関係」を公表。テロップはテレビ金沢がローカルエリアで放送したものと説明。ボランティアについては「一般的に、参加される方の個人的な思想・信条について確認することはいたしません」としている。
《テレビ金沢が声明》テレビ金沢は26日夜、公式サイトで声明を発表。掲載されたテレビ画像について「弊社が2014年7月27日に放送したCMの一部画面を切り取って掲載されたもので、参加ボランティア団体を紹介する画像ではありません」とした。同年、番組は8月30〜31日に放送。当該CMは、7月26〜31日に番組を応援する石川県内の企業・団体を募り、紹介したものの一つと説明した。
●被害者家族の会が相談会 旧統一教会、銃撃事件後初 8/27
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に関する脱会相談などを受け付けている民間団体「全国統一協会(教会)被害者家族の会」は27日、東京都内で相談会を開いた。信者の家族や「新興宗教2世」ら30人以上が参加し、スタッフや弁護士らがアドバイスをした。会によると、相談会は定期的に開催しているが、今回は7月に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件以降、初めての開催となった。
自身も娘を脱会させた経験を持つ神保広次会長(81)は「マインドコントロールを解くのは時間がかかり難しい。経験を共有して生かしていってほしい」と話した。
●旧統一教会めぐる問題 被害者家族の会が東京で相談会  8/27
旧統一教会の元信者や信者の家族などを対象にした相談会が東京で開かれました。
これは旧統一教会の元信者やその家族などが運営している「統一教会被害者家族の会」が開いたもので、27日は信者の家族や元信者などおよそ30人が参加しました。
この団体では、2003年から旧統一教会をめぐる金銭トラブルや脱会に関する相談支援を行っていて、ふだんは電話やメールで受け付けていますが、年に数回、対面での相談会も開催しています。
事件のあと、相談が急増しているということで団体の副会長は「事件を風化させず、旧統一教会の被害を少しでも減らしていきたい」とあいさつしました。
相談会では、参加者から、信者の母親がこれ以上献金しないためにはどうすればいいかとか、周囲に悩みを相談できる人がいないといった質問や相談が寄せられていました。
「統一教会被害者家族の会」の副会長は「長い時間はかかるが、必ず解決できるので1人で抱え込まずに今回のような相談会を利用してもらいたい」と話していました。
一方、旧統一教会、「世界平和統一家庭連合」は、これまでの会見の中で「信徒らに対しては、特に2009年以降、社会的、法的に問題と指摘される行為をしないようコンプライアンスの徹底に努めている」と説明しています。
母親が信者の30代女性 “時間かかっても脱会させたい”
相談会に参加した30代の女性は、数年前に母親が旧統一教会の信者だと父親から知らされました。
母親は家のお金を何度も献金していて、今回の事件をきっかけに脱会してもらいたいと考えていますが、母親は聞く耳を持たず、苦しんでいるといいます。
相談会のあと、女性は「これ以上母親が献金しないよう脱会させたいがどうすればいいか分からず悩んでいます。きょうは元信者から脱会の方法を聞くことができてとても勉強になりました。時間はかかると思うが、母親を脱会させられるよう継続していきたい」と話していました。
元信者の20代男性 “悩みやを1人で抱え込まないようしたい”
相談会に参加した元信者の20代の男性です。
両親が「合同結婚式」に参加した宗教2世で、物心がついたころから20年近く教会の施設に通っていました。
自分の貯金を親に勝手におろされ献金されたこともあるということです。
男性によりますと、7年ほど前に、同じ教会に通っていた信者の家族が亡くなった際に、教会側から「祈りのため」として高額の金銭を要求されたという話を聞いて、疑問を持ち、通わなくなったといいます。
しかし教会の教えに背く行動を取ることに罪悪感をおぼえる状態が続き、一時、病院に通っていたということです。
その後、症状は落ち着いていましたが、今回の事件で容疑者が自分と同じ2世だったことを知り、現在、不眠などに悩まされているといいます。
男性は教会に通っていたことを話せる人が周囲にいないということで、「相談できる人がおらず、悩みや不安をずっと1人で抱えてきた。これからは無理のない範囲で、宗教2世のコミュニティーなどに参加して1人で抱え込まないようにしたい」と話していました。

 

●旧統一教会と自民党の関係 「秘書がかなり送り込まれているという話も…」 8/28
TBSの松原耕二キャスターが28日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・00)に出演。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との関係について言及した。
番組では、旧統一教会との接点が取りざたされている山際大志郎経済再生担当相の釈明などを伝えた。山際氏は16、19年に教団関係のイベントに参加していたと報じられると、「当時の資料を発見することができなかった。私自身も明確に覚えていない」と、資料の有無を理由に釈明。「報道を見る限り、私が出席したと考えるのは自然」と微妙な言い回しで認めた。
松原氏は「党の調査というのも正直ズレてるというか、遅いと思う。私の担当する番組でも、もう全国会議員向けにアンケートをして3週間前に公表したんですね。今求められているのは、広さではなくて深さになってきている。秘書がかなり送り込まれているという話もある。秘書が送り込まれてると何が起きるかって、情報が洩れるわけですよね。こんなことを含めて本当にこんなことまで明らかにできるのか。これまで出ているものを繰り返すだけでは、もう今やる意味は全くないわけですよね」と自身の考えを述べた。
●元幹部「ゴールは”完全支配”」知られざる旧統一教会と歴代大統領との関係 8/28
アメリカ統一教会の元幹部が語る 歴代大統領との関係とは?
今週も次々と明らかになった旧統一教会と政治の関係。旧統一教会は、日本のみならず、アメリカ政治にも深く入り込んでいます。
「私が1970年に韓国で(創始者の)文鮮明に会った時、『君の仕事は議会にロビー活動することだ』と言われました」
こう話すのは、1960年代から70年代にかけて、アメリカ統一教会の幹部だったアレン・ウッドさんです。
アメリカ統一教会の元幹部 アレン・ウッドさん:「旧統一教会はワシントン・タイムズを創刊しました。共和党寄りの保守系新聞です。ワシントン・タイムズは、文氏による、権力獲得戦略の中で最も成功したものでしょう」
自ら創刊した新聞を使い、共和党との関係を強めていったと指摘します。旧統一教会の関連団体が今月、ソウルで開いたイベントにはアメリカのポンペオ前国務長官の姿もありました。さらに…
「世界平和のために尽力されている“マザームーン”、韓鶴子総裁に感謝します。彼女はすばらしい女性です」(トランプ前大統領のビデオメッセージ)
トランプ前大統領がビデオメッセージで、教団トップの韓鶴子総裁を称賛。共和党との繋がりが深いことがうかがえます。
アメリカ統一教会の元幹部 アレン・ウッドさん:「統一教会は(元大統領の)レーガン氏、ブッシュ親子、トランプ氏の選挙を支援しました。ブッシュ氏(父)は『統一教会の支援がなければ大統領になれなかった』と公言しています。戸別訪問の支援では、スタッフの移動や食事、住居などの費用すべてを統一教会が支払う。文氏は『我々の教えによって心をつかむことができないなら金で買収するから問題ない』と言っていました」
なぜこうまでして政治に食い込もうとするのでしょうか。
アメリカ統一教会の元幹部 アレン・ウッドさん:「旧統一教会のゴールは『完全支配』です。世界の政治・宗教・経済を完全にコントロールすることです。(ゴールにたどり着くために)なんでもやるというメソッドなのです」
傘下の企業 SUSHI業界に”不可欠な存在”
こうした目的と共通点があるのでしょうか。教団がアメリカで力を注いだのは、ビジネスでした。その代表的な例が、日本人の国民食「寿司」。ワシントンにある寿司店でも仕入れる魚の6割を教団の傘下にある企業に頼っているといいます。
ワシントンにある寿司店の店主:「やはり日本語が通じるのと、価格的にもすごい安いというか良心的ですよね。魚の扱いでも、すごくきれいに包装して、動かないようにしてくれる。(この企業はアメリカの寿司文化の普及に)一役どころじゃないんじゃないですか。三役くらい買っているのではないか」
ワシントンで寿司を扱うほとんどの店が、この企業から仕入れをしているということです。一体どのような企業なのでしょうか。
「NY市から車で40分ほどの場所にあり、豊洲市場から魚の空輸を手掛けるなど、アメリカで寿司店に欠かせない存在だということです」(ANNアメリカ総局 中丸徹総局長)
ニューヨークタイムズによると、グループ全体でアメリカとカナダ、8300の店に鮮魚を卸していて、多くの都市の寿司店の7割から8割の供給を担っているといいます。売り上げは年間5億ドル(約690億円)以上にのぼります。また、創業当初について、ロサンゼルスタイムズは「ビジネスの立ち上げ資金の一部は統一教会からきている」と指摘しています。
一方、アメリカの、ある寿司店は企業と旧統一教会の関係についてこう話します。
アメリカの寿司店の店主:「別に勧誘されるわけでもないし、こちらとしては一業者に過ぎないし、選択肢が他にないから頼らざるを得ない」
現在の教団との関係などについて、メールや電話などで取材を申し込みましたが、現時点で回答は得られていません。
●森首相補佐官「旧統一教会」との関係ウヤムヤの白々しさ… 8/28
安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに表面化した、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題。高額献金と並ぶ旧統一教会の問題の1つとして指摘されている霊感商法に、政府が切り込む動きがようやく出てきた。
29日に実施されるのが、霊感商法などの悪質商法の対策検討会(検討会の様子は消費者庁YouTubeチャンネルでライブ配信予定)。
「霊感商法などに関する消費者庁のこれまでの対応をしっかりと検証して頂いて、被害の未然防止、被害の救済、事業者への対応について最近の動向を踏まえて議論して頂きたい。スピード感をもってやっていただきたい」 
こう話した河野太郎消費者相は、検討会の委員に旧統一教会の被害者救済に長年取り組んできた紀藤正樹弁護士などを起用。旧統一教会の問題に及び腰な自民党に対して、河野消費者相は霊感商法対策に積極的だ。
弁護士として消費者被害を救済?
その一方で、2012年の第2次安倍内閣時に同じ消費者相だったのが、現首相補佐官(女性活躍担当)の森まさこ参院議員。
森議員は弁護士時代に消費者被害の救済に取り組んできたと公言している。だが90年代以降、日本での霊感商法による被害拡大が明らかになっていたにもかかわらず、森議員は今年に入ってからも旧統一教会と関係していた国会議員の1人として知られているのだ。
安倍元首相銃撃事件後、森議員の選挙区、福島県いわき市にある旧統一教会の支部、いわき家庭教会に森議員のポスターが貼られていたことが、グーグルストリートビューによって明らかになっている。
これについて森議員はSNSで、《統一教会の関係者と認識せずにポスターをお渡ししてしまった》と弁明。しかし、地元では18年に旧統一教会のイベント(福島教区「東日本大震災 福島復興三千名祈願祭」)に登壇、演説するほか、19年に旧統一教会の施設で信者を前に演説をし、選挙への支援を訴えていたこともわかっている。
22年3月には、旧統一教会の関連団体「世界平和女性連合」の創立30周年記念総会に祝電を出していたため、“知れぬ存ぜぬ”というスタンスの森議員に、ネット上などでは《白々しい》《消費者被害が指摘されている団体に何度も行脚してるなんて、弁護士としての資質も疑われる》といった声があがっている。
旧統一教会の問題に対照的な2人の自民党議員。河野消費者相は今回を契機に、これまでのように霊感商法などの問題をウヤムヤにせず、正面突破することができるのか。
●関口宏、政治家と旧統一教会との関係を「何かはっきりしない…」 8/28
TBS系「サンデーモーニング」(日曜・午前8時)は28日、政治家と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係について特集した。
その中で山際大志郎経済再生担当相が25日の記者会見で、旧統一教会の関連団体が16年にネパールで開かれたイベントや、19年に都内ホテルでの会合に出席したとの報道を新たに認めたことを伝えた。
また、スタジオでは今回の問題で自民党が26日にすべての所属国会議員に教団側の会合出席や選挙支援を受けたことがあるかなど8項目のアンケートを配布。教団との関係が深いと判断された場合は氏名を公表することを伝えた。
司会の関口宏は政治家と教団の関係に「何かはっきりしない。でも何か関係は結構、深いところでつながっている。何がそうさせているのか。よく私にはわかりませんが」とコメントしていた。
●太田光、自民党の旧統一教会の関係調査で岸田首相に疑問 8/28
TBS系「サンデー・ジャポン」(日曜・午前9時54分)は28日、政治家と旧統一教会との関係について特集した。
番組では今回の問題で自民党が26日にすべての所属国会議員に教団側の会合出席や選挙支援を受けたことがあるかなど8項目のアンケートを配布。教団との関係が深いと判断された場合は氏名を公表することを伝えた。
スタジオでは、こうした調査を受け出演者が旧統一教会と政治家とのかかわりについて議論。その中でMCで「爆笑問題」の太田光は「今、この場でもいわゆる統一教会との関係があったことはいけないことだという前提になっているけど」とした上で「とにかく関係を絶つんだって岸田さんも言っている。だけどこれってじゃあ統一教会は反社だっていうことを確定するんですか?って僕は岸田さんに聞きたいんです」と明かした。
続けて「だって今の段階では宗教法人で認められた宗教なわけで。このまま関係、どんどん調査していきますってまるで暴力団との関係と同じですよね。この先に行くと反社であるっていうふうにみんながこうやって思うわけじゃないですか。そうするとその信者たちは、まるで暴力団の組員のように見られちゃう。その人たちは、何の悪意もなくただ信じてやっている人たちはいっぱいいるわけですよね。その人たちはどうやって救済する?すごい偏見な目で見られちゃうわけで」と指摘していた。
さらに「岸田さんは旧統一教会をどういう団体だと思っているのか、まず明確に説明しないと他の議員もみんな混乱する」とコメントしていた。その上で関係のあった政治家へ「自分たちは、今まで関わってきたけど本当に正直に言うならば、ここは反社じゃないからいいじゃないかっていうべきなんだ。そこの議論はみんなしないと。統一教会のもちろん霊感商法やなんかあるそれは商法的には間違っているかもしれないけど、教え自体が間違っているとは誰も言えないわけで、人が信じているものを。それがバァっと盛り上がっちゃうわけじゃないですか。そこが危険な気がしている」と明かしていた。
●旧統一教会は「ミヤネ屋を止める!」と“宣戦布告” 8/28
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)とメディアの攻防が熾烈を極めている。政治家との繋がりや信徒から集めた多額の献金実態などに迫るメディアに対し、協会側がここに来て反撃態勢に移りつつある。そのターゲットに据えられたのは“統一教会批判”で名を上げた宮根誠司アナ(59)が司会を務める情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」という。
8月25日、旧統一教会が【異常な過熱報道に対する注意喚起(2)】と題するプレスリリースを発表した。
そのなかで27日から放映中の今年で45回目となる『24時間テレビ』(日本テレビ系)の名前を挙げて、<当法人の女性信徒がボランティアスタッフとして7年間にもわたって関わり、番組ボランティアをまとめる中心的な立場で活躍していた>と記し、協会側が<番組作りに協力し、密接に関わってきたことは疑いようのない事実>と主張。
また同リリースには、一連の“偏向”報道によって<当法人信徒(20代後半・女性)による自殺未遂>まで起こったとして、事態の重大性を強調。その上で、<特定の報道機関による(中略)憶測に基づく偏向報道の停止を強く要求します>と警告した。
実はこのタイミングでのリリース発表は入念に計画されたものであり、同時に「ある特定の番組」を念頭に書かれたものだったという。
「ミヤネ屋を何としても止める」
リリース作成に関わった教会関係者がこう証言する。
「24時間テレビの放映直前に公表したのは『ミヤネ屋』の報道を何としても止めたかったからです。ミヤネ屋は大阪の読売テレビ制作の番組ですが、日テレ系列のネットワーク局が流すことで全国放映されている。だからミヤネ屋の過剰なバッシングを止めるには“上部組織”に当たる日テレに訴えるしかないと判断した。日テレが総力を挙げて毎年取り組んでいる看板番組の24時間テレビに私たちがいかに深く関わってきたかの一端を示すことで、日テレにミヤネ屋の行き過ぎた報道を諫めてもらうなど、報道機関としてあるべき対応を求めたのです」
つまり今回のリリースは日テレに宛てられたものという。すでに協会側は読売テレビなど制作サイドと報道のあり方についてやり取りしたが、ミヤネ屋側は報道内容や姿勢に自信を見せ、話は平行線に終わった経緯があるという。
協会側が「脅威」に感じるのも頷ける。旧統一教会問題に鋭く斬り込んで以降、ミヤネ屋の視聴率は絶好調で、SNSなどでの評価もうなぎ上り。いまや“統一教会の闇を暴くメディアの急先鋒”として不動の地位を築いている。
さらに協会関係者はこう続ける。
「そもそも、私たちはミヤネ屋に出てくる元信者や関係者なる人物らの素性そのものに疑念の目を向けている。実際、インタビューなどで流される“協会叩き”に使われたエピソードには信憑性がないものが含まれているとして、現在調査しているところ。いまだミヤネ屋だけが、こちらの言い分に耳を傾けることなく“歪曲報道”を繰り返している現状を前に、何とかしなければならないとの危機感からリリース発表に至ったのです」(同)
一方の日テレ関係者は、自分たちの所業を棚に上げての“口撃”に呆れ顔でこう話す。
「リリースは読みましたが、局内は“放っておけ”との雰囲気。ヘタに相手にすると向こうの思うツボで、24時間テレビにも傷がつくだけ。旧統一教会の問題を追及する意義は明らかであるため、“暴露”を装った布教と組織引き締め策の一環と見ています。いずれにせよ、ミヤネ屋を止めたいなら、ウチじゃなく(制作会社の)大阪読売に言うべき話。やっていることがピント外れで正直、意味不明です」
場外乱闘の様相を見せ始めたミヤネ屋とのバトルだが、旧統一教会は「日テレとの関係」の前に、みずから明らかにすべき事柄があるはずだ。 
  
 
 

 

 

 

●事件 海外報道
 
 
●ドイツ・メルケル前首相「恐ろしい暗殺計画に驚愕」 安倍元総理銃撃され死亡 7/8
安倍元総理の銃撃事件について、ドイツ・メルケル前首相が自身のホームページにコメントを寄せました。
「かつての長年の同僚である安倍晋三氏に対する恐ろしい暗殺計画の知らせに接し、非常に驚愕しています。私たちは緊密にお互いに信頼を寄せて協力し合ってきました。私は安倍氏と一緒に仕事をするのが楽しみでした。私の気持ちは安倍氏、安倍夫人、そして彼の家族と共にあります」としています。
●トランプ前米大統領 「晋三と彼の美しい家族に全ての祈りをささげる」 7/8
自民党の安倍晋三元首相(67)が8日午前、奈良市内で参院選の応援演説をしていた際に、男から襲われた。
ドナルド・トランプ前米大統領(76)は自身が創設したソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」の公式アカウントで、安倍氏が銃撃された件についてコメントを発表した。
「真の偉大な男でリーダーだった、日本の安倍晋三元首相が、銃撃に遭い、深刻な状況にあるという、本当に壊滅的なニュースが流れた。彼は私にとって真の友人で、米国にとって実に重要な人物だ。彼を愛し、称賛する素晴らしい日本国民にとって、大きな打撃だろう。我々は、晋三と彼の美しい家族に全ての祈りをささげています」
トランプ氏は安倍氏の昭恵夫人にも気遣いを忘れなかった。
●カナダ・トルドー首相「信じられないほど衝撃的、カナダは親友を失った」 7/8
カナダのトルドー首相はツイッターで、「安倍晋三元首相の暗殺は信じられないほど衝撃的で私は深く悲しんでいます。世界は偉大なビジョンをもった人物を亡くしカナダは親友を失いました」と哀悼の意を示しました。
そして、「昭恵夫人や日本の人々がこの喪失を悼んでいることと思います。あなたがいなくなると寂しいです」などとコメントしています。
●「安倍元総理が演説中に倒れた」 韓国、中国メディアも速報で報じる 7/8
演説中に安倍元総理が銃撃されたことについて、海外メディアも速報で伝えています。
安倍元総理が銃撃されたことについて韓国のメディアは、日本メディアを引用する形で速報で伝えています。各テレビ局は繰り返しこのニュースを報じています。
中国国営の中央テレビもスマートフォン向けアプリなどを通じ、日本メディアの報道を引用する形で「安倍元総理が演説中に倒れた」と速報。
また、中国版ツイッターの「ウェイボ」では検索ランキングの1位となるなど中国国内で大きく注目されています。
また、欧米メディアも安倍総理が銃撃されたことを速報で伝えています。
安倍元総理大臣の銃撃についてアメリカのブルームバーグ通信は、日本は主要経済国の中で最も厳しい銃規制がとられている国であり、銃撃は「まれだ」と速報で伝えました。
また、安倍氏について「日本がデフレのサイクルから脱出するのを助け、国の唯一の軍事同盟に疑問を呈するトランプ政権に耐え、彼が就任した数十年で最も敵対的だった最大の貿易相手国である中国との関係を改善するために力を注いだ」と評価。
「安倍氏は、前例のない金融緩和と規制改革を通じて日本の低迷する経済を復活させる計画において最もよく知られていた」などと報じました。
●「日本の政界に衝撃」ロシアでも相次いで速報 安倍元首相銃撃 7/8
安倍晋三元首相が銃撃された事件について、インドネシアで開かれている主要20カ国・地域(G20)外相会合に出席中のロシアのラブロフ外相は記者団に「会合の中でこのことを知った。日本の同僚に同情の言葉を表明して演説を始める最初の一人となった」と述べた。ロシアのガルージン駐日大使はフェイスブックに「元総理大臣への蛮行を厳しく非難する」と投稿し、安倍氏の回復を祈った。
ロシアメディアは、日本メディアを引用する形で事件の詳細を「暗殺の企て」として相次いで速報した。タス通信は「日本の政界は事件に衝撃を受けている。主要政党は事件を非難する声明を出している」と伝えた。
●プーチン大統領 「この素晴らしい人物についての素晴らしい記憶は彼を知る全ての人の胸に残ります」 7/8
安倍元総理の死亡を受けて、ロシア大統領府はプーチン大統領の弔電を発表した。
プーチン大統領は弔電で「犯罪者の手によって、長年にわたって日本政府を率い、両国の関係の発展に尽くした卓越した政治家の命が奪われました。私は晋三と定期的に接触する中で、彼の素晴らしい性格とプロとしての仕事の質が発揮されるのを目にしてきました。この素晴らしい人物についての素晴らしい記憶は彼を知る全ての人の胸に残ります。」と安倍元総理を偲ぶとともに、その功績を讃えた。
●安倍元総理銃撃事件に台湾も衝撃 市民「力を貸してくれた」 7/8
安倍元総理が襲撃された事件は台湾でも大きく報じられ、市民に衝撃が広がっています。
事件は、台湾メディアでもトップニュースで取り上げられました。
また、ANNの取材に応じた台北市民は「元総理が撃たれるなんてショックでした」「安倍総理は新型コロナの感染が拡大した期間に台湾に力を貸してくれた」などと答えました。
安倍元総理は、去年台湾で開かれたシンポジウムにオンラインで登壇し「台湾有事は日本有事だ」と発言するなど台湾への支持を強く表明していました。
●戦前には現職首相暗殺、首脳狙うテロ海外でも 7/8
国内では過去にも現役首相ら大物政治家らが襲撃され命を落とす事件が起きている。
戦前では1921年、「平民宰相」と呼ばれ初の本格的政党内閣を結成した原敬首相が東京駅で刃物で刺され、死亡した。
30年には浜口雄幸首相が東京駅で狙撃された。浜口首相が敢行したロンドン海軍軍縮条約調印などに反発する右翼青年に銃撃され、翌年死亡した。
32年には犬養毅首相が海軍青年将校に射殺された「五・一五事件」が起きた。36年の「二・二六事件」では、陸軍青年将校らが首相官邸などを襲撃し、斎藤実内大臣、高橋是清蔵相らを殺害。一連の事件で軍国主義が強まり、日本は戦争への道を突き進んでいった。
戦後は60年に浅沼稲次郎社会党委員長が日比谷公会堂(東京・千代田)で演説中に右翼少年に胸を刺され、死亡した。同年、安倍晋三元首相の祖父、岸信介首相も首相官邸のレセプション会場でももをナイフで刺され重傷を負った。
1990年に本島等長崎市長が市役所前で右翼の男に銃撃され重傷を負った。92年には金丸信・自民党副総裁が講演会で銃撃され、細川護熙前首相(当時)も94年に東京都新宿区のホテルで男に銃撃されたが、いずれも無事だった。
2002年10月には石井紘基衆院議員が都内の自宅前で右翼団体代表の男に刺殺された。07年4月には伊藤一長・長崎市長が市長選のさなか、JR長崎駅前で暴力団の男に狙撃され、翌日死亡した。
世界でも政治家を標的としたテロや暗殺が繰り返されてきた。第2次世界大戦以降、少なくとも20人程度の首脳や首脳経験者が過激派や敵対勢力などによって暗殺されている。
米国では1963年にケネディ大統領が遊説先のテキサス州ダラスでパレード中に狙撃され死亡した。68年には、弟のロバート・ケネディ上院議員も大統領予備選の遊説中に銃弾に倒れた。
81年にはレーガン大統領がワシントン市内で演説後、ホテルの車寄せで銃撃される暗殺未遂事件が起きた。胸部に銃弾が命中し緊急の摘出手術を受け、一命を取り留めた。
インドでは親子2代続けて暗殺事件に倒れた。インドで初代首相ネールの長女インディラ・ガンジー首相が84年に警護隊員によって射殺された。インディラ・ガンジーの長男のラジブ・ガンジー元首相も91年、遊説中に爆弾テロで死亡した。
英国では2021年に、与党・保守党の下院議員が選挙区内の教会で刺殺された。16年には、労働党の下院議員が欧州連合(EU)離脱を問う国民投票のキャンペーン中に襲われて死亡する事件が起きた。
首脳暗殺事件がジェノサイド(民族大量虐殺)に発展した事例もある。1994年にルワンダのハビャリマナ大統領とブルンジのヌタリャミラ大統領を乗せた航空機が撃墜され、両首脳は死亡した。
撃墜をきっかけに政治的緊張が高まりルワンダ政府軍や同国の多数派を占めるフツ族の強硬派民兵組織が、少数派のツチ族ならびにフツ族の穏健派を虐殺するに至った。
●安倍氏が銃撃で死亡、この衝撃は日本を永遠に変えるか 7/8
安倍晋三元首相(67)が8日午前11時半ごろ、奈良市で街頭演説中に銃で撃たれ、午後5時過ぎに死亡が確認された。第一報が報じられて以来、私のもとには友人・知人から次々とメッセージが流れ込んだ。日本でこんなことが起きるなんて、いったい何事か。誰もが同じ思いで当惑していた。
私もかなり同じ思いだ。この国に暮らしていると、暴力事件についてあまり考えないのが、普通のことになっていく。
しかも、この暴力事件の被害者はよりによって、安倍氏だ。なおさら衝撃が深まる。
安倍氏はもはや日本の総理大臣ではないが、今でも日本社会の大きな影響力を持つ有名人だ。過去30年の日本の政治家で最も有名な人物だと言えるかもしれない。
いったい誰が安倍氏を殺そうなどと思うのか。いったいなぜ? 
似た事件というとほかに何があてはまるのか、考えている。地元の人たちに同じくらい衝撃を与えた、政治的暴力事件は。思いつくのは、1986年に起きたスウェーデンのオロフ・パルメ首相殺害くらいだ。
この国の人たちは暴力事件のことを考えずに日々を過ごしている。決して誇張してそう言っているわけではない。
確かに、ヤクザはいる。悪名高い日本の暴力団だ。しかし、普通の人はほとんどめったに暴力団に接しない。暴力団の側も、銃の違法所持に対する罰則があまりに厳しいため、銃をあまり使いたがらない。
日本で銃を手に入れるのは、非常に困難だ。犯罪歴があってはだめだし、講習の受講は必須で、精神科医の診断書の提出が求められる。警察による広範な身辺調査では、警官が近隣住民に免許申請者について聞き取りもする。
その結果、この国では銃による犯罪はほとんど存在しない。銃による年間死亡件数は平均して、10件未満だ。2017年は3件だけだった。
それだけに、銃撃犯と、使われた武器に、注目が集まっているのは、不思議なことではない。
いったい何者なのか。銃はどこで手に入れたのか。日本のメディアは、41歳の元海上自衛隊員だと伝えている。
しかし、勤務期間はわずか3年だったという。男が使った銃も、特に奇妙だ。事件直後に現場の路上に放置された凶器の写真を見ると、手製の武器のように見える。金属パイプを2本、黒い粘着テープでグルグル巻きにしてある。何か手製の引き金のようなものも見える。インターネットからダウンロードした設計図をもとに作ったかのような印象だ。
それではこれは、政治的な意図による攻撃だったのだろうか。それとも、有名人を撃って有名になりたい、妄想の世界に生きる人間の犯行だったのか。今のところは、分からない。
日本でも、政治家の暗殺は繰り返されてきた。特に有名なのは、1960年の浅沼稲次郎氏暗殺だ。日本社会党の委員長だった浅沼氏は選挙前の演説会で、演説中に突然壇上に上がって来た狂信的な右翼主義者に、日本刀で腹部を刺され、死亡した。今も日本に極右はいるが、右派ナショナリストの安倍氏をねらうとは思い難い。
他方、この国では近年、別の種類の犯罪が繰り返されるようになっている。目立たず物静かで孤独な男性が、誰かや何かに恨みを募らせ、暴力に至るタイプの犯罪だ。
2019年には、京都市のアニメ製作会社「京都アニメーション」が男に放火され、36人が犠牲になった。被告は警察に、「京アニに小説を盗まれた」と逮捕直後に供述していたという。
2008年には、世間に恨みを抱く若い男が東京・秋葉原で、トラックで歩行者を次々とはねた後、周囲の通行人を次々に刺した。7人が死亡、10人が重軽傷を負った。
犯行前、男はオンラインの掲示板に「秋葉原で人を殺します」と投稿。「友達できない」、「不細工な私の命の価値はゴミ以下」などとも書いていた。
安倍氏を撃った男の動機が、どちらの部類にあてはまるのかはまだはっきりしない。しかし、この暗殺が日本を変えるのは確かなことのように思える。
日本はとても安全な国なので、この国の警備体制は緩やかだ。今回のような選挙戦の最中、政治家は文字通り街角に立ち、演説をし、買い物客や通行人と握手をする。
安倍氏を撃った男はおそらくだからこそ、元首相に近寄ることができた。そして、寄せ集めの部品で作った武器を発射できたのだろう。
これは今日を境に、変わるに違いない。

 

●安倍元首相「暗殺」と一面で報じた米メディア 同盟国アメリカの受け止め 7/9
安倍晋三元首相が亡くなった。
筆者は米東部時間7日の午後10時半すぎ、ふと見たツイッターで「Shinzo Abe」という文字がトレンド2位にあることに気づいた。タイトルを見ると「Japan’s former prime minister Shinzo Abe shot during campaign…」と書かれてあった。‘shot’という文字が目に飛び込んできたが「shot(銃撃)?」と、やや頭が混乱した。アメリカ全土では銃撃や乱射の事件が多発しているが、日本でshotとは? まさか…と思いながらクリックしたが、その「まさか」が起こっていた。
そこには、安倍元首相が何者かに撃たれたという速報やツイートが続々と流れていた。ほどなくして、日本好きの友人からもメッセージが届いた。彼はNHK Worldを観ていたら速報に切り替わり、事件を知ったという。日本であまり起こらない大事件にショックを受けているようだった。
翌朝目覚めた筆者は、祈る気持ちでツイッターを開いたら‘Rest In Peace’がトレンド入りして、安倍氏の死を知った。ニュースフィードの一面は、その一報で溢れていた。ツイッターではほかにも「RIP Abe」「PM Abe」がトレンドワードになり、「Japan」がアメリカのトレンド1位となった。
アメリカの同盟国である日本のリーダーとして長きにわたり友好関係を構築、尽力してきた人物の、しかも選挙活動中の殺害事件は、止まぬ銃犯罪に頭を悩ませ、同じく民主主義を重んじるアメリカ社会をも大きく震撼させた。
日系アメリカ人の友人には聞かずとも、筆者の下にこのようなメッセージが来た。「PM Shinzo Abeの暗殺というショッキングなニュースを今しがた、CBSやCNNで知ったわ」「とてもひどい、悲しいこと!」「銃の写真はハンドメイドに見えるわね。日本で銃の購入は非常に困難だから、自分で作ったんでしょうね」「日本は犯罪率が低く、特に銃を使った暴力事件数は少ないって聞いているから、本当にショッキング」。
米メディアは軒並み「暗殺」と報じる
友人が言った‘Assassination’。暗殺というこの言葉でNBC、FOX、CNN、NPR、ニューヨークタイムズ、ワシントンポストなど各主要メディアが殺害事件を報じている。意味を広辞苑で調べると「ひそかにねらって人を殺すこと。多く、政治的に対立している要人を殺すこと」とある。英語の意味をケンブリッジ辞書を引くと、同様に「有名な人や重要な人を殺害すること。特に政治的な理由もしくは金銭と引き換えに」とある。
まだ容疑者の動機については捜査の段階で不明だが、「政治信条に対する恨みではない」とする日本の報道もある一方、何らかの理由で「殺そうと思って狙った」と殺害の意思があったことも示されている。動機の解明が待たれる。
多くの記事は、安倍氏を紹介する枕詞として「日本でもっとも長く務めた首相」という言葉を使っている。日本の首相は頻繁に変わるという印象がアメリカにはあり、ヨーロッパやカナダなどの近隣国のリーダーに比べて知名度が上がらないことが多いが、安倍氏は8年8ヵ月もの間、日米の友好関係に貢献してきた人物として、一般市民の間でも割と知名度が高い方だと思う(辞任後も今だに筆者は『同じ苗字だね』と指摘されることが多いなどから、知名度の高さを肌感覚で感じてきた)。
安倍氏の逝去を報じたニューヨークタイムズは、「アベノミクスによって経済の立て直しに貢献したが、戦後の平和主義を貫いてきた日本の軍備を正常化するという彼にとってもっとも重要だった目標には達しなかった」と報じた。また「戦争犯罪で訴えられた祖父を含む、厳格なナショナリストの政治家一族に生まれ、連続でもっとも長く務め上げ日本をリードし、歴史を作った」とも評された。
USAトゥデイは「日本経済の再建に貢献したが、タカ派の軍事思想でリベラル派の逆鱗に触れたリーダーとして、二極化した遺産を残した人物」として、その死を悼んだ。
日本でめったに起きない銃撃事件が発生し、日本社会に与える影響についてフォーカスした記事も散見される。
「銃規制が厳しいことで知られる日本は、世界でもっとも殺人率が低い国の1つ。AP通信によると、人口が1億2500万人以上にも拘らず、日本は昨年、銃による犯罪件数がわずか10件だった」(USAトゥデイ)
「この暗殺は、銃のほぼない日本に衝撃を与えた」「日本ではどんな形態の暴力も(アメリカに比べて)珍しく、銃による暴力はほとんどない(に等しい)。銃の関連事件の死者は昨年は1人だけで、17年以降も14人。1億2500万人が住む国としては非常に少ない数字」。よって「政治イベントでの警察の警備は手薄く、選挙期間中、有権者は国のトップと交流する機会がたくさんある」(ニューヨークタイムズ)
ニューヨークポストは安倍氏が凶弾に倒れる瞬間を左斜め前から捉えた動画を掲載し、「警備が誰も安倍氏の後ろを見ていない。悲劇的。彼はいい人だった」「とてもショック。悲しいことに、私たちは愛すべき世界のリーダーを失った」とする一般の人々のツイートを紹介した。
アメリカの要人の警備は厳しい。屋外での選挙活動では、囲いを設け、来場者の身体検査と持ち物検査を徹底している。オーサーコメント
米要人も次々に哀悼の意
バイデン大統領は8日、日本の元リーダーの死に哀悼の意を表した。
「友人の安倍晋三元首相が射殺されたというニュースを聞き、私は愕然とし、憤慨し、深く悲しんでいる。 彼は私たちの人々(2国間の国民)の友情のチャンピオンだった(友情の証という意)。米国はこの悲しみの時に、日本と共にある」
安倍氏と言えば長い在任中、国際舞台で元大統領のトランプ氏やオバマ氏とも深い関係性を築いたことで知られる。
世界的リーダー同士で、安倍氏とは一貫して緊密な関係を築き維持してきた数少ない1人と言われることが多いトランプ元大統領。安倍氏の訃報に際し、自身のソーシャルメディア、TRUTH Socialで、このように表明した。
心肺停止が伝えられたアメリカ時間昨夜の時点:「本当に素晴らしい人物でありリーダーである安倍晋三前首相が銃撃され、非常に深刻な状態だというとんでもないニュース。彼は私の真の友人であり、さらに重要なことはアメリカにとってもかけがえのない友人だった。これは、彼を賞賛する日本の素晴らしい人々にとって大きな打撃だ。晋三と彼の美しい家族のために私たちは皆祈っている!」
アメリカ時間翌朝、死去の報に際して:「世界にとって本当に悪いニュース!安倍晋三元首相が亡くなった。彼は暗殺された。捕まった殺害者は迅速かつ厳しく処罰されますように。安倍晋三が本当に素晴らしい人物であり素晴らしいリーダーだったことを真に知っている者はそんなにいないが、歴史がそれを教えてくれるだろう。彼はほかに類を見ないユニファイア(人々を統一するリーダー)で、何よりも彼の壮大な国、日本を愛し、大切にした男だった。安倍晋三(の死)は大いに惜しまれるだろう。彼のような人物はもう二度と現れないだろう!ドナルド・J・トランプ大統領」
こちらには現在、6万を超える「いいね」が寄せられている。
大統領時代には安倍氏と広島や真珠湾の追悼イベントを共に表敬訪問したオバマ氏も、安倍氏の死を悼んだ。
「友人であり長年のパートナーである安倍晋三が暗殺されたことにショックを受け悲しんでいる。安倍元首相は、彼が仕えた国、日本と日米両国の同盟のため、並大抵ではない献身をした」「同盟を強化するために我々が行ったこと、広島と真珠湾を共に訪れた感動的な体験、そして彼と妻の安倍昭恵氏が私と妻のミシェルに示した優しさを、私はいつまでも忘れない」「ミシェルと私から、痛ましい出来事に非常に心を痛めている日本の人々に向け、心から哀悼の意を表明する」
●米紙が伝えた「銃のない日本」で起きた暗殺の衝撃  7/9
安倍晋三元首相が西日本で選挙演説中に暗殺された事件に関してとりわけ理解したがいのは、銃が使用されたことだ。銃器の購入・所持に関する最も厳しい法律を持つこの国において、銃犯罪は極めてまれである。
日本ではいかなる形の暴力も珍しいが、銃暴力はほとんど起こらない。2021年全体で銃関連の死亡者はたった1人だ。2017年以降では銃関連の死亡者は14人で、人口1億2500万人の国としては極めて低い数字である。
東京に住むデザイナーの井上エリカさん(25才)は、銃暴力が起きたなんて信じられないと、皆と共通の反応を示した。「銃が使われたと聞いて混乱しました」と彼女は言う。「銃?日本で?」
銃器所持のハードルはとてつもなく高い
日本の銃刀法では、原則として国内での銃器所持は禁止されている。狩猟に使用される銃は例外だが、免許取得の手続きは時間と費用がかかるため、取得する人はほとんどいない。
銃器を購入するためには、銃の安全講習から始まり、年3回実施される筆記試験に合格するまでの12段階をパスする必要がある。また、銃購入者が心身ともに健康であるという医師の診断書が必要だ。さらに、広範囲の身辺調査と、銃器・弾薬の保管に必要な銃器庫・弾薬庫の警察による検査が行われる。
7月8日まで、政治的な殺人事件などというものは遠い昔の遺物のように思われていたため、その銃撃事件はなおさら衝撃的だった。
日本の政治が穏やかであることはよく知られており、怒りが高まることはめったにない。議会での議論は通常、猫なで声や見せかけの怒りを超えることはなく、政治的プロパガンダを鳴らしながら黒いバンで定期的に街を徘徊する極右団体でさえ、治安への脅威というよりは厄介者とみなされているのだ。
政治的なイベントにおける警察の警護は手薄であり、選挙期間中は有権者が国のトップリーダーたちと交流する機会がたくさんある。動画には、8日の銃撃犯と思われる人物が前首相の近くを妨害されることなく歩き、手製の銃を発砲する様子が映っていた。
日本の地元警察は、銃撃に使われた手製の銃は長さ約40センチ、高さ約20センチであると発表した。また、容疑者の自宅を捜索したところ、数丁の手製の銃を押収したという。
銃の権利が常に議論の対象となっているアメリカとは異なり、日本の政界で銃器が議論されることはほとんどない。大量殺人は、まれに発生するものの、通常は銃が使われることはない。その代わり、犯人は放火や刺殺という手段をとる。
日本人には銃事件が理解できない
ここ数週間、日本のメディアは不信感と混乱をまじえてアメリカでの銃乱射事件の多発を見てきた。テキサス州ユバルディの小学校で起きた乱射事件の後、日本で2番目に発行部数の多い朝日新聞は、アメリカを「銃社会」と呼ぶ社説を掲載し、さらに別の悲劇によって教室が「銃乱射地帯」と化したと報じた。
日本で有名な週刊誌であり、ウェブサイトも展開とする東洋経済は昨年1月6日の国会議事堂襲撃事件の後に『日本人には理解できない米議事堂襲撃の裏側、なぜ米国の「銃所有」は譲れない権利なのか?』という記事を掲載した。
ジャーナリストの津山恵子氏はその記事の中で、「日本人には、アメリカでこんなに犠牲者がいても、なぜ銃の所持を維持しているのか、理解しかねる」と述べている。
警察官は銃器を携帯しているものの、ほとんどの日本人は日常生活で銃に遭遇することがない。そして、安倍元首相の銃撃事件が起こるまで、日本では銃乱射事件による感情的・政治的余波(アメリカではおなじみの儀式となっていることである)をほとんど経験したことがなかった。
警察庁の発表によると、2021年に日本で起きた発砲事件のうち、死傷者や物的損害をもたらしたものは10件だった。そのうち1人が死亡し、4人が負傷した。この数字には事故や自殺は含まれていない。
日本で認可されている約19万2000丁の銃器のほとんどは、散弾銃と猟銃である。これに対し、ほとんどの銃器が登録されていないアメリカでは、民間人が所持している銃の数は4億丁近くと推定されている。
第二次世界大戦前の数年間は、激動する日本政治において政治家の暗殺が常態化していた。しかしそれ以降、殺害された政治家はごくわずかであり、しかもそのほとんどにおいて銃は使われていない。
国政レベルの政治家殺害事件は、1960年に17歳の極端な国家主義者が社会党の浅沼稲次郎党首を刺殺して以来である。
その同じ年、別の国粋主義者が安倍元首相の祖父であり当時の岸信介首相を襲った。岸首相は脚を繰り返し刺され、病院へ運ばれた。
もはや安全で平和な日本ではない
近年、日本ではほとんど見られない政治暴力は、組織的な犯罪もしくは右翼グループとの関連性がしばしば指摘されている。2007年、当時の伊藤一長長崎市長は暴力団員により射殺された。
ジャーナリストもしばしば標的とされている。1987年、左翼寄りの朝日新聞社の記者が殺害されているが、この事件は韓国人に批判的な右翼グループが関係していた。
不満を持つ者たちは時に、自ら命を絶ち、国民の同情を買うことにより、抗議を示している。最もよく知られているところでは、小説家の三島由紀夫が少人数の右翼兵グループを率いてクーデターに失敗した末、1970年に割腹自殺を行った。
コロンビア大学で日本政治を専門とするジェラルド・カーティス名誉教授は、安倍元首相殺害は日本の政治全体に影響を及ぼすだろうと述べている。
「日本人を震撼させ、もはや、第二次世界大戦後保ってきた安全で平和な日本ではないとの見方を強めることは間違いなく、新たに直面する現実の脅威に対処するよう変化せざるを得ないだろう」とメールで回答があった。「問題は、日本のリーダーたちがそれにいかに応えるかだ」。
●英メディア「安倍氏銃撃で日本は永遠に変わる」 7/9
安倍晋三元首相が演説中に銃で撃たれた7月8日午後11時半過ぎは、イギリスでは午前3時半頃に当たる。攻撃から3時間弱の午前6時少し前、イギリスのBBCはニュースサイト上に常時情報をアップデートしていくコーナーを設置した。
長期政権を維持した安倍氏は大物政治家として国際社会でも名を知られている。BBCの特設コーナーは演説中の銃撃という衝撃的な事件を刻々と伝えていった。
高級紙タイムズや経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のウェブサイトは現場からの写真を使い、トップの位置に銃撃報道を置いた。FTは当初、撃たれて路上に横たわる安倍氏の顔が見える画像を使っていたが、ある読者が記事の下のコメント欄に「顔が見えるような画像を使う意味はない。外すべき」と書くと、まもなくして別の画像に差し替えられた。
BBCやガーディアン紙はウェブサイトのトップがイギリスの政界の話で、2番手の位置で銃撃事件を扱った。
なぜ日本で銃殺事件が起きるのかに注目
FTやタイムズのコメント欄を見ていると、「なんて悲しいニュースだ」「銃を使ったこんな事件が発生するとは信じられない」などのコメントが多い。少しでも日本を知っている人は日本が治安上安全な国であることが頭にインプットされているので、「信じられない」という思いを抱くのだろう。
この点について分析コラムを書いたのが、BBCのルパート・ウイングフィールド=ヘインズ東京特派員だ。「安倍晋三ーー日本を永遠に変えてしまうかもしれない、衝撃的な死」と題する記事の中で、「こんなことが日本で起きるなんて、一体どういうことか」という疑問を自分自身が抱いたという。
「日本では暴力的な犯罪が発生する可能性はあまり想定されていない」。というのも、銃の所持が「極めて難しい」からだ。所持するには犯罪歴がないこと、研修を受けていることなど数々の条件が付き、障壁が高い。結果として「銃を使った犯罪がほとんどない」。銃を使った犯罪による死は「年間10件もない」。
特派員の関心は犯罪の動機に向かう。「かつては日本でも政治家の暗殺事件があった」。1960年、日本社会党の浅沼稲次郎委員長が日比谷公会堂での演説中に右翼団体の団体員に刺されて即死した事件があった。「しかし、安倍氏は右派系国家主義の政治家であったから、右翼思想の青年の攻撃対象にはならないだろう」。
近年、日本で目立つのが「静かで、孤独の男性が誰かあるいは何かに憤りを感じて、殺傷事件を起こす例だ」。2019年の京都アニメーション放火殺人事件は「自分の作品を盗んだ」と主張する男性が犯行者で、2008年の秋葉原通り魔事件では、「誰も友達がいない」「自分は無視されている」と感じた男性が引き起こした、と指摘する。
実行犯の動機は何にしろ、安全であるがために警備が緩かった日本は変わらざるを得ないだろう、と特派員は予測する。
日本では選挙戦で政治家が通りに立って演説を行い、通行人と握手する。今回の事件でも、攻撃者は政治家の近くに位置し、自家製の武器を使うことができた。「今日の事件で、警備体制は変わらざるを得なくなるに違いない」。
イギリスでも議員は被害にあってきた
20世紀以降、イギリスの政治家で殺害された例を振り返ってみると、1990年代まではイギリス領北アイルランドでイギリスからの独立を求めて武力闘争を行った「アイルランド共和軍(IRA)」やその分派によるテロ事件があった。1979年、1984年、1990年に発生し、いずれも保守党議員が殺害された。宿泊先のホテルや車に仕掛けられた爆弾が命を奪った。
2000年代になると、特定の場所での殺傷・殺害事件が発生してくる。下院議員が地元選挙区の有権者と直接顔を合わせ、生活の悩み事などを聞く「サージェリー」と呼ばれる対話会合の場所やその近辺だ。
2000年、リベラル系野党・自由民主党のニック・ジョーンズ議員が南西部グロスタシャーの事務所で対話会を開いていると、男性が刀を手にして入ってきて、議員に傷を負わせようとした。議員は手と腕への負傷で終わったが、かばおうとした事務所職員の男性が刺し傷を負って死亡した。男は傷害罪で刑務所に入るところをジョーンズ議員が救ったことがあったが、精神を病んでいたという。
2010年、労働党議員スティーブン・ティムス氏がロンドン東部の選挙区内の対話会の外で一人の女性が議員に握手をしようと近寄り、議員の腹部を台所で使うナイフで2度刺した。議員は重傷を負ったが、命は取り留めた。女性はイスラム過激主義に心酔し、イラク戦争(2003年)開戦を支持した議員に対し、抗議の殺生を試みた。
人々の記憶にまだ強く残っているのが、2016年6月の労働党議員ジョー・コックス氏の殺害だ。この時、欧州連合(EU)からの離脱の是非について、数日後に国民投票が行われることになっており、離脱か残留かで国民の意見は二手に分かれていた。
コックス議員はEU残留派だった。イングランド北部バーストルの地元選挙区で対話会に向かう途中、極右主義に傾倒する離脱支持の男性に銃撃され、死亡した。
そして昨年10月、今度は保守党議員デービッド・エイメス氏が犠牲になった。イングランド地方南部エセックスの地元選挙区で行われる対話会の場所に入っていくと、中にいたイスラム過激主義を信奉する男性に複数回刺され、死亡した。
政治家の警備はどうなっているのか
イギリスでは、選挙戦になると、候補者は選挙地区を訪れ、路上で有権者と会話をするのが通例だが、事務所の職員や秘書、警備担当者などの数人に囲まれている。地元選挙事務所で対話会を行う際にもスタッフが一緒にいるが、議員は警備担当者を連れてきたがらない。有権者が相談事をする際に警備担当者がいては「邪魔になる」と考えるからだ。
対話会に参加する際には特に警備チェックは行われてこなかった。ふらっと訪れて、自分たちを代表する議員と直接会話ができる貴重な機会である。有権者と顔を合わせ、率直な会話をする対話会こそが「民主主義の基本を成す」と議員たちは考えている。
しかし、2016年のコックス議員の銃撃死は政界に大きな衝撃を与えた。「民主主義は維持したい、対話会参加の垣根はできうる限り低くしておきたい」という思いと、「でも、怖い・殺されたら困る」という気持ちとの兼ね合いを考えざるを得ない。
コックス議員、そしてエイメス議員の殺害事件以降、議員の身辺警護は強化されることになった。政府は選挙事務所や自宅に警報や監視カメラを設置する、対話会では参加を予約制にするなどを推奨している。
600余人の下院議員が身辺警護に使う経費は、かつては微々たるものだったが、2019年度では330万ポンド(約5億円)まで急激に増えた。それでも、残念ながらエイメス議員の命は守れなかった。
首相が記者会見をするときはどうなのか
イギリスのボリス・ジョンソン首相は7日、首相官邸前で与党保守党の党首を辞任する意向を表明した。
イギリスでは、首相が辞任表明をするとき、必ず踏襲される流れがある。まず官邸の中に入るドアの前に演台を置き、これと向かい合うように報道陣を並ばせる。あらかじめ決められた時間になると、ドアを開けて中から出てくる首相が演台まで数歩歩く。そこで辞任表明の演説をするのである。
官邸の建物のドア前には、許可がない限り、一般市民が行くことができないようになっている。官邸に向かう道路には門があり、つねに数人の警官が陣取っている。門の外には市民が立ち並ぶことができるので、ジョンソン氏の辞任表明のときにはたくさんの人がスマートフォンを片手に集まっていた。
警備担当者が何人いても、監視カメラがあっても、一定の時間に首相が特定の位置に立つことがあらかじめわかっているので、安全保障の面からは決して100%安心な状態ではない。しかし、首相の生の演説の声やその姿の一部でも見える場所に一般市民が立てるようにしておくことで、政治が(少なくともある程度は)国民に開かれていることを示すことができる。
政治の場をいかに国民に開かれた状態にしながら、政治家の命も同時に守るのか。イギリスでも永遠の課題となっている。
●安倍元首相銃撃事件 欧州メディアはどう報じたか 7/9
安倍晋三元首相が襲撃された7月8日、欧州各国のメディアがこぞって速報を流した。主要紙は、ウェブ版でトップ扱いし、事件現場の写真を掲載しながら、大々的に報じた。ニュース専門番組は、プーチン大統領が行った下院幹部に向けた演説をトップに流し、安倍元首相の事件は、2番手か3番手に扱いにするなど、局による報じ方に差があった。 
フランスのルモンド紙は8日(以下、全紙同日)、「安倍晋三元首相、銃弾を浴び、危篤状態」と見出しに掲げたが、数十分後には死亡の記事に差し替えている。フィガロ紙は、「安倍晋三元首相、襲撃され死亡」と報じた。
同国のリベラシオン紙は、「安倍晋三元首相、選挙運動の最中に殺害される」との見出しを付け、安倍元首相が地面に倒れている写真を掲載。記事の後半は、「日本では、銃器のライセンス取得には長期間を要し、複雑だ。銃撃による年間の死者数も、極めて低い」と締め括っている。
スペインEFE通信は、「シンゾウ・アベとは何者か。パールハーバーに戻った日本のリーダー」という見出しを掲げた。
英国のガーディアン紙は、どこよりも早く日本の銃器規制について、長い記事を掲載。日本は世界でも「ガン・バイオレンス」の割合が低く、今回の事件は「極めて稀な暴力行為」だと報じた。
武器所持率の低さに注目
ドイツの公共放送「DW」は、日本の襲撃事件を大きく取り上げている。スタジオと中継がつながっていたソニア・ブラシュカ記者は、「日本では、心肺機能停止という言葉を使い、死という表現を一旦避けることが多い」と指摘した。
また、海外メディアの多くは、2年前に首相の座を降りた安倍元首相が、選挙キャンペーンで何をしていたのか、という疑問を抱いているようだった。ブラシュカ記者は、「体調不良のために職を続けられず、辞職したものの、政界のキーパーソンとして動いていた。自民党の選挙運動のサポートを彼が行うことは、大きな意味があった」と述べた。
スタジオにいたDWのキャスターが「日本は暴力や銃撃事件は非常に稀だと聞くが、それは正しいか」と問いかけると、ブラシュカ記者は、次のように答えた。
「日本での銃撃事件は、一般的には反社会的勢力のメンバーによるもので、それ以外の銃撃事件は極めて稀。容疑者が使用した武器も自家製のもので、購入した武器ではなかった」
スペインの民放「テレシンコ」は、英国のジョンソン首相辞任のニュースの前に、安倍元首相の事件を約3分間にわたって報じた。キャスターが「世界で殺人事件がもっとも低い国のひとつ」と述べ、「就任期間が短い政府で、安倍氏は9年間にわたって偉業を成し遂げた」とも言及した。
また、スペインの民放「ラ・セクスタ」は、ニュース番組直後の調査番組「ラ・セクスタ・クラべ」で、容疑者が使用した武器について解説。その後、人口100人あたりの日本の武器所持率を米国のそれと比較。日本は0.25人であるのに対し、米国は120人というデータをスタジオの大画面スクリーンで紹介した。
早かったティックトック
視聴率27.5%を誇るフランスの民放「TF1」のプライムタイムニュースは、南仏で起きている山火事被害をトップで扱い、番組中盤に安倍元首相のニュースを報じた。容疑者の男性については、「動機が極端に狂っている。安倍氏に対する憎悪はなかった」などと説明し、「日本は、武器に対する規制がとりわけ厳しい」との情報も付け足した。
中でも、フランスのニュース専門番組「フランスアンフォ」に登場したジャーナリストのフロランス・トマゾ氏の解説は、日本の現状を的確に分析していた。
「銃器は、この島国ではほぼ出回っておらず、銃による死者は、年間10人以下に留まる。日本は至って平和な国で、暴力で訴えることはなく、暴力を使う者たちは弾圧される。重大殺人事件の犯人は、時には死刑を言い渡され、昨年12月には3人が処刑されている。また、2007年に長崎で起きた市長射殺事件でも、犯人は無期懲役になったが、日本でこのような事件は極めて珍しい」
既存のメディア以外にも、情報はソーシャルメディア(SNS)でも流れていた。ツイッターやインスタグラムを始め、ショート動画アプリ「ティックトック」でも、安倍元首相が襲撃されるシーンをすばやくアップする外国人ユーザーたちがいた。
韓国、タイ、ベトナム、メキシコなど、複数の国のユーザーたちが、彼らの母国語を使い、独自解説を行う動画も多く視聴されていた。特に、襲撃の映像流出は、ティックトックが早かった。
世界の首脳が発信した追悼の言葉
襲撃の直後、海外の首脳も、迅速な対応を見せた。
米国のバイデン大統領は、事件の報告を受け、ワシントンの日本大使公邸に足を運んだ。「唖然とし、怒っている」「深く悲しんでいる。暴力は容認できない」との声明を発表している。
ドイツのショルツ首相は、「衝撃と深い悲しみを感じている」とツイッターに投稿。同国のメルケル前首相は、「長年の付き合いだった同僚のシンゾウ・アベが酷い攻撃を受けたニュースを知り、震えた」と綴っている。
フランスのマクロン大統領は、安倍氏の死亡が確認される前の段階で、「シンゾウ・アベが犠牲となった憎き攻撃に深い衝撃を受けている」、「フランスは日本国民とともにいる」と同じくツイッター上で追悼の意を表した。
イタリアのドラギ首相もツイッター上で、「イタリアは、この悲劇に立ちはだかるアベ氏の関係者と日本国民に寄り添いたい」と述べている。
多くの首脳がSNSを通じて、追悼の意を伝える中、ロシアのプーチン大統領は、安倍元首相の母と昭恵夫人に弔電を送っている。共同通信によると、同大統領は、「傑出した政治家」と安倍元首相を評価し、「彼の記憶はいつまでも心に残るだろう」と悼んでいる。
正確に伝えた特派員の日本像
今回の襲撃事件で顕著だったことは、SNSを通じた情報の速さに加え、海外メディアのプロたちが、日本の状況を正確に見極めていたことだ。「日本の銃規制は厳格であり、銃撃事件は極めて稀である」といった表現が頻用され、日本の治安を不安視する声は、今のところヨーロッパメディアでは耳にしない。
日本に駐在する各国の特派員が、日本での実生活を通し、安全な国であることを肌感覚で理解しているからに他ならない。一国の元首相が銃弾を浴び、死亡するという事件自体は衝撃だが、それでも日本が安全な国であるというイメージを的確に報じ、解説することができるのかは、彼ら特派員の「日本像」と深く結びついている。
その意味においては、日本の歴史に刻まれた「安倍晋三銃撃事件」は、ヨーロッパ各国では、正しく伝えられたと考えていい。
●政治家を狙った“凶行”過去に何度も…安倍祖父も右翼活動家に刺され重傷 7/9
安倍元首相(67)が演説中に銃で撃たれ、死亡が確認されました。政治家を狙った凶行は、2007年に選挙活動中だった当時の長崎市長が銃で撃たれ死亡するなど、過去に何度も起きています。安倍元首相の祖父にあたる岸信介元首相も、かつて右翼活動家に刺され、重傷を負っていました。
8日午前11時半ごろ、奈良市・大和西大寺駅のロータリーで、安倍元首相は参院選の応援演説に入っていました。演説に集まっていた聴衆に、「みなさんこんにちは、安倍晋三でございます。大変お忙しい、平日のお昼間に足を運んでいただきまして、まことにありがとうございました」とあいさつしていた直後、銃弾に倒れました。
こうした政治家を狙った事件は、いまから20年前の2002年10月にもありました。東京・世田谷区の住宅街で、民主党の石井紘基議員が、自宅前で右翼団体代表の男に刃物で刺されて死亡しました。
目撃者「『なんだ、なんだ』って声と奥さまの『助けて』っていうのと、悲鳴に近い『救急車まだなの』って」
2007年4月、長崎市でも、伊藤一長市長(当時)が、山口組系暴力団幹部の男に銃撃され、翌日、死亡しました。市長が襲われたのは、4期目を目指した選挙戦の最中、演説を終えた直後でした。
目撃者(当時)「後ろから『パーン』って音がして、タイヤがパンクしたのかなと、振り向いたら人が倒れてて」
別の目撃者(当時)「『撃たれた』『発砲事件、発砲事件』って(人が)集まってきたので」
伊藤市長は、至近距離で背後から2発撃たれました。容疑者は20発の弾を所持していたといいます。
この事件を受け、当時の安倍元首相は次のようにコメントしていました。
安倍首相(当時)「このように選挙期間中、選挙運動中の凶行というのは、民主主義に対する挑戦であり、断じて許すわけにはいかないと思います。こうした暴力を、断固として撲滅していかないといけない」
1992年3月には、自民党の金丸信副総裁(当時)が狙われました。
栃木・足利市にある施設で演説を終え、拍手の直後、銃声が3度、鳴り響きました。金丸氏にケガはなく、発砲した男はその場で逮捕されました。
1994年5月には、細川護熙元首相がいた東京・新宿区にあるホテルのロビーで、右翼団体のメンバーが天井に向けて発砲しました。細川元首相にケガはありませんでした。
安倍元首相に祖父にあたる岸信介元首相も、1960年に首相官邸で右翼活動家に刺され、重傷を負いましたが、一命をとりとめていました。
自民党・加藤紘一元幹事長は、2006年に山形・鶴岡市にある実家と事務所を全焼させられました。政治的立場をめぐる発言が関係していたといいます。
自民党 加藤紘一・元幹事長(当時)「所属団体の名前などを聞くと、歴史観や靖国(やすくに)とかそういう関連の人かなと思わざるを得ません。言論の場所で、お互い議論したいと思います」
政治家が狙われることに憤りを示していた安倍元首相は、8日の演説中に銃撃され、67歳で亡くなりました。
●安倍晋三元首相の急逝で懸念される「最大派閥・清和会」の行く末 7/9
直ぐに頭を過ったのは
7月10日投開票の第26回参院選は、報道各社の終盤情勢調査通り、自民党勝利で決することに疑いの余地はない。
問題は参院選後の岸田文雄政権の先行きである。『文藝春秋』(8月号)に興味深い記事が掲載されている。朝日新聞の曽我豪編集委員の「岸田首相に『語る口』はあるか―『黄金の三年間』という言葉こそが政党政治の劣化を物語っている」である。
《「聞く耳」を標榜し、「検討する」を連発する首相にすれば、自民党つまり「我々」を主語とするのは、調整型の手法の結果かもしれない。「一強」体制の元で強硬姿勢が目立った安倍晋三、菅義偉両政権との違いが、現段階までの世論の好感を呼んだ可能性もあろう。だが「歴史を画する課題」に「挑戦する」と言うのなら、国民・有権者が審判を下すうえで一番知りたい情報は、危機に臨む首相の「私の決心」ではないのか》と曽我氏は言う。
筆者は6月中旬、曽我氏と長時間酒食を交えて話す機会があった。その折に、同氏は記事中でも使っている「我々という一人称複数形」「一人称単数形である私」を頻繁に口にした。要するに、岸田氏は主語の使い方を、自民党の派閥・宏池会領袖の先達である池田勇人、宮澤喜一両元首相に倣って「我々」ではなく「私」でもって、山積する課題に対処すべきだと言っているのだ。
この指摘に得心する。確かに60年前の1962年7月の参院選で池田首相は「所得倍増」など経済優先主義で自民党勝利に導き、翌年11月の衆院選でも勝った。30年前の92年6月に宮澤首相は国連平和維持活動(PKO)協力法案を参院本会議で可決・成立させた。同首相は最側近の加藤紘一官房長官の反対を押し切って衆参院採決を強行したとされる。
池田、宮澤両氏はいずれもが「我々」よりも「私」を優先しての政治決断を行っているのだ。それでも、病魔に冒された池田氏は64年夏季東京五輪後の同11月に退陣した。首相在任期間は4年4カ月(1575日)だった。一方、短命政権(1年9カ月)に終わった宮澤氏は自民党内権力闘争により93年6月に内閣不信任決議案が可決され、7月の総選挙で同党は敗北・下野した。
では、岸田氏は主語「私」として何を成し遂げようとしているのか。宏池会のDNA「軽武装・経済重視」を色濃く継承している同首相は自らこそが憲法改正を実現できるのだとの意欲を抱いているのは明らかである。
憲法改正の自民党案4項目のうちで自衛隊の明記(条文の新設)と緊急事態の条項(同)だけは是非とも実現したいと首相周辺は筆者に語る。中国による東・南シナ海、インド太平洋地域での活発な海洋進出やロシアのウクライナ侵略など日本を取り巻く厳しい環境からも必須というのである。
と、ここまで綴ってきたところ(8日午後0時過ぎ)、安倍晋三元首相が参院選遊説先・奈良市で銃撃されたと衝撃のニュースが飛び込んできた。直ぐに頭を過ったのはロナルド・レーガン米大統領暗殺未遂事件である。1981年3月30日、ワシントンDCでレーガン氏は狙撃されたが、シークレットサービスが身を挺して守り一命を取り留めたのだ(当該のシークレットサービスと警官1人が死亡)。翻って我がSPはどうだったのか。戦後、我が国では現・元首相の暗殺は発生していない。正直、米国で頻発する銃撃事件は他人事のように思っていた。が、それが我が身の事となったのだ。
安倍氏亡き後の自民党内政局に与える影響
奇しくも7日午後、筆者は安倍、菅政権下で主要ポストを歴任した安全保障専門家と懇談した。その際、先のG7(主要7カ国)ドイツ・エルマウサミット、続くNATO(北大西洋条約機構)スペイン・マドリード首脳会合に関すること、さらに最近の安倍氏の際立つメディア露出、安倍氏と岸田首相の距離感、安倍氏の岸田政権誕生時の首相人事への不満までが話題となった。
山上徹也容疑者は「安倍元首相に対して不満があり殺そうと思って狙った。元首相の政治信条への恨みではない」と供述しており、確信犯である。そして安倍氏は同日午後5時3分亡くなった。元海上自衛隊員ということから、その背景に関心が集まっている。だが、本稿執筆時点では軽々な事は言えない。
ただ、安倍氏亡き後の自民党内政局に与える影響だが、懸念されるのは最大派閥・清和会の次期会長次第では派閥再編の動きのトリガー(引き金)となって、岸田首相の政権運営に支障を来すことである。首相周りには危機管理マインドがある木原誠二官房副長官(政務)を始め、栗生俊一官房副長官(事務)、秋葉剛男国家安全保障局長、嶋田隆首相首席秘書官などがいるので、この危機を何とか打開してくれるはずだ。

 

 
 
 

 

 

 

●事件 関連諸話
 
 
●安倍元首相、銃撃を招いた日本型ポピュリズム社会 7/11
安倍晋三元首相襲撃の第1報に接したのは、自宅の近くの電車の駅だった。スマホを見て、嫌な予感に襲われた。原敬、浜口雄幸、犬養毅と、実に3人もの首相が殺された「戦前」が戻ってきたか、と思ったからだ。
広がる格差や政党政治の混迷、列強諸国の内向き傾向など、この頃の日本、そして世界は戦前の状況によく似ている。誤った思い込みから、国の首長あるいは元首長を殺そうとする人間はどの国にもいるのだが、日本でもそうした人間が何かやらかすと危ないなと思っていたところで今回の痛ましい事件が起きた。
1921年の原敬暗殺、30年の浜口雄幸襲撃はいずれも一匹狼的な犯人によるものだった。以後、32年の五・一五事件の犬養毅、36年の二・二六事件における岡田啓介首相暗殺未遂(岡田の義理の弟を誤認して殺害している)になると、暗殺というよりは軍内部の跳ね上がり分子によるクーデターに近いものとなる。犬養暗殺以降は軍部が自らの台頭を背景とし、政治家たちを震え上がらせて軍国主義への扉を開いた。
今回の襲撃事件の容疑者である山上徹也も、海上自衛隊に在籍したことがある。だが彼は日本でのレジーム・チェンジを狙ったのではなく、海自には3年間の任期制採用をされただけだ。
事前に多数の銃砲を手作りし、安倍元首相の遊説日程が直前に長野から奈良へ急きょ変わった情報も短時間でキャッチ。演説場所に正確に現れたことなどから単独犯行ではないと思わせるものもあるが、クーデターもどきではない。山上は集団安全保障問題や、アベノミクスの正当性云々からは距離を置き、自分に身近な思想団体の問題で頭がいっぱいのようだ。
これは、どっぷりとした安定感(自分が何をやっても日本という社会・経済は安泰なのだという甘え)につかった日本型ポピュリズム社会の産物なのだろう。ポピュリズム社会で政治家は歴史に名を遺せない。一時的に人気を博しても、次の局面では忘れ去られる。おそらく安倍元首相も、同じ目に遭うのだろう。
しかし安倍元首相は、そうなるには惜しい、本当に「華」のある政治家だった。戦前の近衛文麿と同じように、3回目の首相就任も十分あり得る気配を漂わせていた。筆者は、「モリ・カケ」問題や「桜を見る会」問題への対応で彼に対する思いが冷めたが、その功績に対する尊敬の念は変わらない。
安倍元首相ほど、「沈んでしまった日本を再び持ち上げる」ということを意識し、明確な目標に据え、それに向かって力強く、かつ巧妙、長期に仕事を進めた政治家は日本にいないだろう。今でも忘れないのは、2012年12月に彼が首相として再登場し日本再生を打ち上げると、翌13年5月に英エコノミスト誌がスーパーマンに扮した格好で飛来する彼のイラストを表紙にしたことだ。
丁々発止の外交で存在感
以後、実に8年弱にわたって、筆者は「しかるべき人物が首相の座に座っている日本」を堪能することができた。首相には外国で日本のイメージを高めるような見栄えのいい、そして外国の首脳の懐に飛び込んで丁々発止の外交ができる利発さが求められる。
「外交」の大半は、実は日本の国内で方針を固める際の調整なのだが、こういうとき諸方に人脈を持ち、説得力と腕力を持つ首相がいることは本当に心強い。
安倍元首相の功績は、使い古された言葉だが、「枚挙にいとまがない」。何といっても、13年7月の参議院選挙で勝利して以降、長期にわたり安定した政治・経済の枠組みを提供したことが挙げられる。
そして、アベノミクスによるデフレ傾向の抑制。バラク・オバマ元米大統領やドナルド・トランプ前米大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、インドのナレンドラ・モディ首相などの懐に飛び込んでの対大国外交。
中国と韓国に対しては筋を通したが、かといって不要な対立は避ける現実的な外交。TPP(環太平洋経済連携協定)からアメリカが離脱したときに一部の先進国をねじ伏せて成立にこぎ着けた矜持と粘りと剛腕──。
19年、大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)で、両脇にトランプと中国の習近平(シー・チンピン)国家主席を並べて議長席に座った安倍元首相は、あるべき日本外交の姿をこの上ないほど世界に印象付けた。
悲願だった憲法改正は達成できなかったが、安倍元首相は安保関連法案の成立で日本の安全保障問題を不毛な「神学論争」から解き放った。革命的な業績はなかったが、革命は今の日本に必要ない。時代が求める改革は、きちんとやり遂げている。
2度にわたる消費税引き上げもそれに入るだろう。安倍元首相の死去は、今後の日本の政治・経済にどういう影響を与えるだろう。
まず内政では、94人と自民党で最大の人数を擁する安倍派の解体が始まる。彼に代わる有力者は見当たらないし、有能な若手も全員を結集するのは無理だろう。参院選後は国政選挙を3年間はやらなくてもいい稀有な安定期に差し掛かるので、自民党は安心して派閥の再編成にふけることになる。しかしそれは、岸田首相を引きずり降ろす政局の方向には動くまい。
アベノミクスからの脱出の過程が重要に
経済では、アベノミクスの生みの親が亡くなったことで、日銀の黒田東彦総裁の続ける金融大緩和や長期金利抑制のための日銀による国債大量買い入れは、その後ろ盾を失ったものと見なされるだろう。
今回の銃撃事件の報とともに円相場が急上昇して株価が急落したことがその予兆である。アベノミクスからの脱出の過程をうまくコントロールしないと、円高とインフレ高進という奇妙な(そして最悪の)混合現象が現れるだろう。
元首相が暗殺の対象となり、それがかくも大きな衝撃を日本や世界に与えているのは、アベノミクスの形で安倍晋三がまだ日本の基調を定めていたからだ。
彼が残した問題は、アベノミクスだけではない。「世界で埋没した日本の地位を引き上げる」という仕事は残っている。米政治の先行きが読めない不安定な世界で、民主主義・自由貿易の枠組みを守っていく仕事も残っている。
安倍元首相が大きく進めた官邸主導の政治は、官僚側の忖度を呼び、やる気のある青年たちを公務員職から遠ざける結果を生んでいる。ロシアとの北方領土問題では、米ロが対立する環境の中で不可能な前進を高望みして、不要で有害な譲歩を繰り返した。こうしたことを起こさないためには、何をどうしたらいいのか。
そして、これは首相がどうすることのできるものでもないが、いつまで続くか分からない安定にどっぷりとつかって活力を欠き、元首相の暗殺さえも風俗問題であるかのように忘れてしまうだろう日本の社会。われわれはもっと危機感と責任感を持って、子供や孫、そして自分たちのために、もっとましな日本を遺すべきだと思う。日本にはそうなるだけの力がある。
安倍元首相、長い間本当にご苦労さまでした。首相の考えたこと、成し遂げたことが、きちんと、つまり特定の政治勢力に利用される形でなく、記録に残され、後世に伝えられることを望みたい。 
●小沢一郎氏「自民党の長期政権が招いた事件」 安倍元首相銃撃で持論 7/8
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は8日、岩手県奥州市で参院選候補者の応援演説をした際、安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件について「自民党の長期政権が招いた事件と言わざるを得ない」と語った。
小沢氏はまず「大変残念だ。お悔やみ申し上げる」と述べた。そのうえで、「安倍さんの個人的な批判をするものではないが、自民党の長期政権が社会をゆがめ、格差を拡大し、国民の政治不信を招いた。その政治不信の中から、過激な者が銃撃暗殺に走った」と発言した。
さらに「日本の戦前の歴史も、世界の歴史でも、社会が不安定になると、このような血なまぐさい事件が必ず起きる。端的に言えば、自民党の長期政権が招いた事件だと言わざるを得ない」と続けた。
演説後に記者団に発言の真意を尋ねられた小沢氏は「社会が安定して良い政治が行われていれば、こんな過激な事件は起きない。だけど、自民党が長期政権の中でおごり高ぶり、勝手なことをやった」「結局、自分たちの政策の過ちが日本社会をゆがめ、結果として自分に跳ね返ったということ」などと説明した。
一方で「安倍さん個人を批判しているわけではない」とも述べた。
●安倍元首相への憎悪を煽った候補者の公認取り消しを  7/8
かつて石井紘基代議士が暗殺されたときに小泉首相の冷淡さに腹が立った。そんな意味で、安倍氏も特別に長崎市長暗殺事件など政治家襲撃事件に厳しく戦ったわけでなかったとからといって、あたかも安倍氏にも責任の一端があるように言う人がいる。
しかし、この事件は、マスコミと野党の一部の心ない政治家、一部有識者などが「反安倍ならなんでも無罪」という風潮を創りだし、その空気が引き起こしたという点で全く違うのだ。このことは、何時間か前に「安倍狙撃事件の犯人は『反アベ無罪』を煽った空気だ」で私が書いたことだ。
実際に、とくに立憲民主党にいえることだが、 今回の参議院議員選挙候補者のなかで、過去に聴くに堪えないことをいって安倍氏への憎悪を煽った人たちがいる。それも一人や二人ではない。
立憲民主党の泉代表に提案したいのは、全議員の過去の発言をチェックし、必要以上に反安倍憎悪をかき立てた議員の公認を土曜日中に取り消すべきだ。そうしないと、立憲民主党の大敗は間違いないし、当選しても問題にし続けられるだろう。
もちろん、それは、抽象的な反安倍でなくあくどく憎悪を具体的にかき立てていた発言や行動があった人たちだけである。正々堂々たる政策批判はなんの問題もない。
そんなことをFacebookに書いたら、「事件直後の犯人探しは、過剰な反応の応酬になりやすく、新たな事件を引き起こすきっかけにならないか心配だ」というコメントを寄越した人がいる。
しかし、テロに繋がるような言動をした候補者が当選する以上にテロを擁護することはないのではないか。
今回の候補者でないが、小沢一郎氏の発言はひどい。毎日新聞によれば、8日、岩手県奥州市で行われた参院選の応援演説で、「端的に言えば、自民党の長期政権が招いた事件と言わざるを得ない」と述べ、演説後、記者団に発言の真意を問われ「社会が安定して良い政治が行われていれば、こんな過激な事件は起きない。自民党がおごり高ぶり、勝手なことをやった結果だ」といったらしい。
高い支持率のもとに6回の国政選挙で連勝した総理に社会が安定して良い政治が行われていなかったというのは、安倍氏でなく、国民と民主主義に対して失礼だ。
長期政権といっても7年半など世界的には長期政権のうちに入らない。アメリカ大統領だって、2期8年が標準だ。
警備については、安倍氏がもっとも狙われている政治家だというにもかかわらず、警察はあまりにも粗末。奈良県警は地方の警察の中で、要人警備にはもっともノウハウを持っているところのひとつだ。なにしろ、天皇陛下はじめ皇室の警護が多いのである。
死去の発表も、NHKが「自民党幹部の話」として死去を報じ、病院による記者会見も物理的な準備も説明もお粗末。安倍元首相への敬意がまるで感じられない。狙撃されて以来、時間は6時間もあったのに、最初は死亡時間も話さないお粗末。ちょっと信じがたい弛みぶりだ。
野党党首では、意外にも山本太郎と福島瑞穂がきちんと筋の通ったことを言っていた。事件を引き起こした原因をつくったという点は別だが。
犯人に裏がないかは、じっくり調べるべきだろう。宗教団体幹部も狙ったといっても、安倍元首相と一緒にということだから、そこはたいして重要な点ではあるまい。
●安倍狙撃事件の犯人は「反アベ無罪」を煽った空気だ  7/8
安倍元首相の無事を祈るが、いわゆる特定傾向のマスコミや悪質な曲学阿世の徒と戦い扇動にあって倒された。ウクライナも含めて世界が平和のために最も必要とする偉人の無事を祈る。
安倍元首相狙撃事件の犯人がいかなる人物かは、あまり重要でない。そもそも、テロに甘い日本の社会風土が糾弾されるべきであるが、安倍晋三氏については、特定のマスコミや「有識者」といわれる人々が、テロ教唆と言われても仕方ないような言動、報道を繰り返し、暗殺されても仕方ないという空気をつくりだしたことが事件を引き起こしたのであって、犯人が左派でも右派でも個人的な恨みをもった人であろうが、精神に障害を抱えた人であってもそれが許されると思わせた人たちが責められるべきである。
その意味で、犯人像がわかるまで政治的議論をすべきでないというのは間違っている。
「安倍をたたき切れ」といったのもいた。国会で狂ったように憎悪を煽った議員もいた。ヒトラーにいわれなくたとえた市民運動家と称する人もいた。暗殺教唆をした覚えのある人々はどう償うのか?
モリカケサクラなど過去の政治家とスキャンダルと桁がいくつも違うし、私服を肥やしたわけでない些事で執拗に憎悪を煽られた。
今回の参議院選挙でも血塗られた言動をした何人かを当選させたら日本の恥だ(与党、野党という問題でなく個人の言動が厳しく洗われるべきだ)。
ウクライナ紛争からみでも、プーチン大統領の暗殺を願うような論説を、立派な肩書きを持った人たちが平気でしているが、それらの言動もテロに対する感覚をマヒさせたといえる。
また、私のFacebook「奈良県警の警備体制に北海道警の選挙妨害排除を違法とした地裁判決が影響している可能性は極めて高いと思います」と言うコメントをいただいた方あり。
日本の癌の一つは司法である。司法で、個別事件における独立性は大事だが、検察幹部人事はどこの国でも行政の権限だし、最高裁裁判官任命も政治を通じた国民の意思によって行われるのが民主主義なのに日本ではそれがないから唯我独尊になる。
原発をめぐるトンデモ判決もそうだし、フランスから誘拐犯として国際手配されている母親に親権を認めた裁判所もそうだし、司法官が法務省の行政すら支配して共同親権を認めないのも同根だ。
●「ナショナリズムの旗振った安倍氏を、元自衛官がなぜ」 青木理さん 7/8
安倍晋三元首相が銃撃され亡くなった事件をどう受け止めるか。識者らに聞いた。
ジャーナリストの青木理さんの話
戦後最長の政権を成し遂げ、現在も政界に大きな影響力を持つ安倍晋三元首相が元自衛官に撃たれたのは衝撃的で、日本政治史に特筆される重大事件です。人の命を、しかも民主的手続きを経て選ばれた元総理、政治家の命を暴力によって奪うのは、元首相の政治思想や政治姿勢への評価とはもちろん関係なく、断じて許すべきではありません。
あらゆる事件やテロには社会的、政治的背景があります。日本はこの数十年、経済は長期低迷から脱せず、格差や貧困が広がり、将来への展望を描けない焦燥感を抱えた時代でした。政治がこれに十分対処したとは到底言えず、多くの人びとが政治に失望し、諦めのような感情を抱いているでしょう。こうした閉塞(へいそく)感や不安感、不満が強ければ強いほど、治安が悪化し、政治に対するテロが起きてしまうのは内外の歴史が教えてくれるところです。
だからこの国が一層危うい方向に向かってしまうことを強く懸念します。戦前の5・15事件や2・26事件を想起させるような元自衛官による犯行である点にも危惧を覚えます。昨年亡くなった作家の半藤一利さんは、社会が戦争に向かっていく兆候の一つとして「テロの実行が始まる」ことを挙げていました。容疑者の動機や背後関係はまだはっきりしませんが、ナショナリズムや愛国主義の旗を振ってきた安倍元首相が、元自衛官の凶弾に襲われたのはなぜか。その動機や背景の解明を急ぐと同時に、事件の要因となった課題の解決に全力を傾ける必要があると感じています。

 

●安倍元首相 国の借金1000兆円「心配しないで」 2022/6/4
安倍元首相は4日、京都市内で講演し、積極財政などを打ち出した安倍政権時代の経済政策「アベノミクス」の成果を強調し、国の借金が1000兆円を超えても「心配しないでほしい」と述べた。
政府が7日の閣議決定を目指す「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針」をめぐり、自民党内では、財政再建派と積極財政派の間で、「アベノミクス」の評価が争点になっていた。
安倍元首相は講演で、2012年の政権発足当時を振り返り、「デフレ不況に落ち込んだ状況を変える方法として、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、成長戦略のアベノミクスを行った」と述べた。
そして、「まずは大胆な金融政策。黒田総裁が来て日本銀行も頑張ってくれた。比ゆ的に言えば、頑張って輪転機をまわした。20円で1万円札が刷れる。その結果、完全デフレ脱却ではないが、デフレからインフレに変えることができた」と述べた。
さらに、将来税金で返済する必要のある国の借金、長期債務残高が1000兆円を超えていることについて、「確かに政府は1000兆円の借金があるが、半分は(国債として)日銀に買って持ってもらっている。政府は日本銀行の株の55%を持っている。だから、私は(日銀は政府の)子会社みたいなものだと言った」と述べた。
そして、「日本の国債は十分な信用があるから、心配しないでほしい」と強調した。

 

●赤木雅子さんの覚悟「夫婦そろって日本に殺された。でも私はまだ生きている」 5/27
「これが日本だよ。司法は正義の体現が目的ではないのさ。司法を使って治安を守り、体制を守る。そのためには正義や真実は二の次なんだよね」
国と闘い続けたベテランからメール
そんなメールが赤木雅子さんに届いた。財務省の公文書改ざん事件で夫の赤木俊夫さんを亡くし、真実を知りたいと裁判を起こした雅子さん。ところが去年12月、国との裁判が“認諾”という異例の手続きで強制的に終わらせられた上、5月25日、元財務省理財局長・佐川宣寿氏との裁判でも、佐川氏や財務官僚ら5人の証人尋問の申請がすべて大阪地裁で退けられた。この裁判で真実を解明する道は事実上閉ざされてしまった。
その翌朝、事態を知ってメールを送ってきたその人は、桜井昌司さん(75)。強盗殺人の濡れ衣を着せられ、無実の罪で獄中29年間の末、再審(=裁判のやり直し)で無罪を勝ち取り、国などの責任を問う国家賠償訴訟でも勝訴。地名をとって「布川事件」として知られる。
赤木雅子さんとは共通の知人を介して知り合い、意気投合して信頼関係を深めてきた。国を相手に闘い続けてきたベテランだからこそ、重みのある言葉が続く。
「でも、雅子さんの闘いは無じゃないからね。その司法のウロンさを社会に知らしめ、日本を覚醒させる声になっているし、これで声を上げるのを止めないでしょ? ならば、その正義と真実を求める行動は、必ず人に届き、目的を実現させるはず。これに屈しないでやってね」
雅子さんはすぐに返事を返した。
「ありがとうございます。『これが日本だよ』って。そうなんだなあって、その日本に殺されたんだなあって、夫婦そろって日本に殺されたんだなあって思います」
夫の俊夫さんは、財務省近畿財務局で森友学園との土地取引をめぐる公文書の改ざんに反対して組織内で孤立し、見放された状況で命を絶った。いわば「日本」にそっぽを向かれて殺されたようなものだ。
そして雅子さんは、なぜ夫が命を絶つところまで追い込まれたのか、真実を知りたいと裁判を起こしたけれども、国も佐川氏も裁判でほとんど何も語らず、裁判所も証人尋問を認めなかった。雅子さんは、今度は自分が日本に相手にしてもらえなくなったと痛感した。「私はいま、日本に殺されかけています」と。だけど、希望は捨てていない。桜井さんへの返事につづった。
「でも、私はまだ生きています。朝からご飯をモリモリいただきました。この裁判は終わりますが、何ができるか(弁護士の)先生方と相談して闘い続けます」
これに桜井さんがすかさず返事を送ってきた。伝えたかったのは「社会に訴える」ことの大切さだ。布川事件を最終的に勝利に導いた恩人と桜井さんが感謝する柴田五郎弁護士(故人)は、初めて面会で会った時、「この事件は裁判だけでは勝てない。社会に訴えろ」と告げたという。
実際その通りだったと桜井さんは感じている。裁判は法廷内で闘うのはもちろんだが、それだけではない。最後は社会的な支援も得たから裁判にも勝てた、というのが実感だという。
「雅子さんも同じだよ。最後は世論だからね。正義と真実の声は強いから、その力を信じて闘うようにね」
その通りだと雅子さんも感じる。夫、俊夫さんが改ざん指示のメールなどを記録に残していた、いわゆる「赤木ファイル」が裁判で開示されたのも、世論の後押しがあったからだろう。これからも真実を知りたいと闘い続けるためには、ますます世間の共感と支援が必要になる。
もちろん、25日の法廷で起きたこと、証人尋問がすべて却下されたのは悔しいし、クヨクヨする気持ちがないと言えばウソになる。でも、この事態を前向きにとらえるようにしたい。自分を変えて何かを始めなければ。雅子さんは、これから何ができるかを考えている。そして今、強く願っていることは……。
「あの裁判官が、尋問しときゃよかったって後悔するような世の中にならないかなあ」 

 

●2019年被害額は11億円。「統一教会」名前を変えて若者をだましている 2022/5/11
霊感商法などで1987年から2019年までに1224億円余りもの被害を生んだとされる統一教会。その悪名をごまかすためか、2015年に世界平和統一家庭連合(家庭連合)に改名し、2019年も被害額は11億円にのぼっています。この統一教会の問題はマスコミであまり報道されませんが、その背景について紹介するのは、メルマガ『佐高信の筆刀両断』著者で評論家の佐高信さんです。佐高さんは、フリーライターのいのうえせつこさんによる菅政権時の閣僚9人が統一教会に近いとする記述を引くなど、自民党と統一教会(現家庭連合)の深いつながりを明らかにしています。
こども家庭庁設置法案なるものが、いま、国会で審議されている。野党はこれに反対すると「子育て支援に反対していると思われる」と及び腰らしい。しかし、国が家庭や子育てに口を出すことそのものが問題であることにどうして気がつかないのか。
もう15年以上続けている『俳句界』の対談で、有田芳生に出てもらったのは、統一教会がまだ生きていることを批判したかったからである。
先日、マンションの郵便受けに「ハッピーFamily講演会」のチラシが入っていた。「家庭の絆を深める為に」という見出しに、「『どうしたら幸せになれるか?』をテーマに、幸せのヒントを、ご提案する講演会です。どなたでも、お気軽にご参加下さい」と書かれている。
主催が「世界平和統一家庭連合」。つまり統一教会である。略称、家庭連合で、現在も霊感商法や合同結婚式をやっている。“親泣かせの原理運動”といわれたが、なくなってはいないのである。
有田はこれを取り上げ、闘ってきた。有田はいま、立憲民主党の参議院議員だが、2010年に民主党から出た時は、統一教会が「自民党の山谷えり子議員を応援しましょう。彼女を当選させることが、有田退治になります」と文書で指示を出したという。
有田によれば、純潔教育を唱え、夫婦別姓は家庭を壊すと主張している。特に選挙の時は、自民党を中心とした保守系の候補者の応援を無償でする。かつて、田中秀征がそれを断ったら、いきなり、選挙区のほとんどの家に「田中は容共だ」というビラをまかれたと聞いた。そうした声を背景にした「こども家庭庁」であることを忘れてはならないだろう。
いのうえせつこの『新宗教の現在地』(花伝社)には、菅義偉内閣の閣僚21名の中で次の9名が統一教会に近しいと書いてある。菅はもちろん、副総理の麻生太郎、総務大臣の武田良太、文部科学大臣の萩生田光一、防衛大臣の岸信夫、官房長官の加藤勝信、復興大臣の平沢勝栄、国家公安委員長の小此木八郎、デジタル改革担当の平井卓也。
いのうえは「これでは、現在も起こっている統一教会による霊感商法などについて、マスコミ報道されないのも無理はない」と嘆いているが、彼女が問題にして、『神奈川新聞』が2020年6月27日に、統一教会が公的施設を利用していることを取り上げた。
統一教会の霊感商法による被害は2019年でも79件、計11億円にのぼっている。また、2021年2月に韓国で行われた合同結婚式には、多くの日本人が参加したという。
統一教会は渋谷区松濤に本部を構え、「世界平和」から「家庭」にポイントを置き換えて、若者をだまし続けている。そして、それを黙認し、バックアップしているのが自民党なのである。 

 

●「朝日新聞こそが社会正義を…」自称・安倍元首相の「顧問」記者 2022/4/12
大変だ! 新聞好きとして大興奮してしまう「事件」が勃発した。朝日新聞の峯村健司記者をめぐる発表です。それは4月7日(木)の朝日新聞に掲載された。
『本社編集員の処分決定 公表前の誌面要求「報道倫理に反する」』
い、いったい何が起きた?
《朝日新聞社は6日、外交や米国・中国を専門分野とする編集委員の峯村健司記者(47)を停職1カ月とする懲戒処分を決めた。編集委員の職も解く。安倍晋三元首相が週刊ダイヤモンドのインタビュー取材を受けた後、ダイヤモンド編集部の副編集長に公表前の誌面を見せるように要求した峯村記者の行為について、報道倫理に反し、極めて不適切だと判断した。》
ん? なんで朝日の記者と安倍元首相が連携しているの? なんで他社の記事に口出ししようとしたの? もう一度じっくり読む。すると朝日記者(峯村健司氏)が他誌に対して公表前の記事(ゲラ)を見せろと要求したのだという。その理由は……。
「安倍(元)総理がインタビューの中身を心配されている。私が全ての顧問を引き受けている」
エ―――!
朝日は“高級な背広を着たプライド高めのおじさん”
峯村記者は「とりあえず、ゲラ(誌面)を見せてください」「ゴーサインは私が決める」などと語ったという。ああ、他媒体への振る舞いがエラそうですごすぎる。ワクワクしちゃう。
ここまで興奮するのは理由がある。私は以前から新聞の読み方として「新聞の擬人化」を提案していた。ときに小難しく思える新聞もわかりやすくなって楽しくなるからだ。
朝日新聞は“高級な背広を着たプライド高めのおじさん”と例えた。朝日は「新聞は社会の木鐸である」という言葉をいまも信じて正義を追求している。その一方で「大朝日」のプライドも見え隠れし、それが鼻持ちならないと他紙や週刊誌の格好のツッコミ対象となる。擬人化するなら、高級な背広を着てハイヤーで取材に行き、社会正義を訴えるプライド高めのおじさん。
もちろんこれはあくまで見立て遊びだ。そのあと実際に取材等で会った朝日記者たちは真面目でエラそうな人はいなかった。「おじさん」として見立てたが、そもそも女性記者も多い。でも社説とかの“大御所”からはなんだかエラそうなおじさんという雰囲気が漂うのである。
渦中の記者が「反論」を公開
そして今回である。当事者の峯村記者が「朝日新聞社による不公正な処分についての見解」として noteに公開 した。これを読んだらさらに興奮したのだ。
《私は3月10日、A記者に電話をして、事実確認を徹底するように助言をしました。A記者からは「安倍氏に取材したのをどうして知っているのか」「ゲラをチェックするというのは編集権の侵害だ」などと強く反発されましたが、私も重大な誤報を回避する使命感をもって、粘り強く説得しました。》
ほらほら、「助言」とか「説得」とか行間にいちいちときめく。この様子をダイヤモンド側から見るとこうなる。「威圧的な言動で社員に強い精神的ストレスをもたらした」(朝日新聞4月7日)。そりゃそうだ。
介入した理由は「誤報を防ぐため」
あと峯村記者の文章で面白いのは《「ゲラをチェックするというのは編集権の侵害だ」などと強く反発されましたが》と普通に書いていることだ。自分で書いていておかしいと思わなかったのだろうか。安倍元首相の「顧問」という立場は、それだけ記者としての倫理的感覚を麻痺させてしまうものなのか。
峯村記者は介入した理由を「誤報を防ぐため」と書いている。
《安倍氏から「先ほど週刊ダイヤモンドから取材を受けた。ニュークリアシェアリング(核兵器の共有)についてのインタビューを受けたのだが、酷い事実誤認に基づく質問があり、誤報になることを心配している」と相談を受けました。》
だから自分が動いたのだと。
週刊ダイヤモンドに関して言えば、もし安倍氏へのインタビューがとんちんかんなものであれば批判を受けるのはダイヤモンド社とインタビューした記者だ。世に出た時点で論評される。だからダイヤモンドも看板を背負って記事を出す。そこに他紙(朝日)の記者が「ゴーサインは私が決める」とか「誤報を防ぐ」とか介入してくるのはあり得ない。
なぜこんな行動をしてしまうのか。峯村記者の文章の最後のほうに答えがあった。
《私は1997年の就職活動の時から「朝日新聞こそが社会正義を実現できる」と信じて入社、四半世紀にわたって朝日新聞社および日本、世界の平和や正義のために身を粉にして尽くしてきたと自負しています。》
出ました社会正義! イヨッ、朝日新聞!
それにしても私が定義した擬人化そのままではないか。「新聞は社会の木鐸である」という言葉をいまも信じて正義を追求する姿勢。その一方で「大朝日」のプライドも見え隠れする鼻持ちならなさ。まさかここまで証明してくれるとは! 私が興奮するワケをおわかりいただけただろうか。
正義のつもりでも、傲慢にしか見えない
この騒動から教訓として生かせることは何か。それは、自分では正義のつもりでも周囲からは傲慢にしか見えていないという可能性である。
今回の件は「朝日の正義、良心」の誤用のほか、権威へのうっとりも大きい。記者が安倍元首相の「顧問」と名乗っているのだ(本人もnoteで認めている)。権威を背にして他者(社)にエラそうに振舞う。これは政治家と新聞記者の近さどころではない。ただの取り巻きに見える。
そんな自分の振る舞いを「誤報」というパワーワードを使用して訴えているのも読みどころ。朝日嫌いの人々に対しての目くばせにもなっている。《今、現実に誤報を食い止めることができるのは自分しかいない、という使命感も感じました。この時、私の頭によぎったのが、朝日新聞による慰安婦報道です。誤った証言に基づいた報道が国内外に広まり、結果として日本の国益を大きく損なった誤報でした。》と、慰安婦報道の過去にもつないでいた。さすがの文章術である。
「朝日嫌い」の人たちが峯村記者を擁護
だからだろうか、面白い現象だと思うのはふだん朝日嫌いっぽい方の一部に峯村氏への同情が見受けられることだ。たとえば産経ニュースのアカウントがこの件を報道したところ、「峯村氏のnoteを読んだのか」的なリプライが散見された。
これは非常に面白い。だって自分たちが嫌ってきた「エラそうな朝日」に対して全力の擁護になってしまっているからだ。
今回の問題は朝日が好きか嫌いかで立場が異なる代物ではない。徹底して朝日新聞の問題でありジャーナリズムの話である。もし峯村氏の介入に理解を示すなら、今後も朝日はエラそうでよいということになり、社会正義を掲げていれば新聞記者の傲慢な振る舞いも認めるということである。それはおかしい。正義や良心の名の下に政治家の御用聞きのように立ち回る記者がいたという事実について、皆でもっと驚くべきだ。
安倍さん、大チャンス到来です
朝日はこの件について徹底して検証して報道しなくてはいけない。なんなら峯村氏を紙面に登場させ、社内の記者たちと意見をたたかわせるべきだ。それが読者への説明だろう。2年前に文春のスクープで朝日と産経の記者が黒川東京高検検事長とマージャンしていた問題があった。私は賭けマージャンに参加していた記者の言い分も読みたかった。あのとき感じたことを拙著から抜粋する。
《実は文春の記事には「黒川氏は昔から、産経や朝日はもちろん、他メディアの記者ともしばしば賭けマージャンに興じてきた」という記述もあった。つまり、記者と取材対象(権力者)の近さ問題はそのまま「新聞論」になるはずだった。しかし朝日も産経も他紙も今回そこまで論じるものはなかった。重要なお題を読み逃したと思えて残念でならなかった。》(『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!』)
あのとき徹底的に新聞論をやればよかったと思ったが、今回もそのチャンスである。
あと安倍さんは何で黙っているのだろう。「顧問」を騙られているのですよ。今こそ憎き朝日に最大の攻撃ができます。朝日の記者が自分の顧問だといい加減なことを言っている、まさに“捏造”だと。安倍さん、大チャンス到来です。
それともやはり便利なお友達なのだろうか。

 

●岸田よ、ただで済むと思うな…孤立する「安倍晋三」の最後の闘い 2021/12/22
飼い犬に手を噛まれるとは、このことだ—。'21年を振り返り、安倍晋三元総理は怒りを噛み締めているに違いない。
「岸田さんは言うことを聞くと思っていたのに、『高市早苗幹事長・萩生田光一官房長官』の提案は蹴られ、親の代から犬猿の仲の福田達夫を総務会長にされ、さらに地元のライバル・林芳正を外相に登用された。安倍さんにとっては腸が煮え繰り返る人事の連続だった」(自民党安倍派議員)
さらに岸田文雄総理は、安倍氏が盤石と信じていた「A・A」の盟友関係にまで手を突っ込んだ。岸田派の議員が語る。
「世間では岸田ブレーンは木原誠二(官房副長官)と村井英樹(総理補佐官)と言われていますが、本丸は麻生(太郎副総裁)さんなんです。麻生さんは安倍シンパだったはずなのに、最近『大宏池会も悪くねぇな』と態度を豹変させている。そこへ岸田さんが急接近した」
大宏池会、すなわち岸田・麻生同盟が成った暁には、安倍派に肩を並べる一大勢力となる。一転して安倍氏のほうが孤立してしまいかねない。
'22年こそ、岸田を完膚なきまでに叩き潰す。落ち目が明らかな安倍氏は、「最後っ屁」のごとく攻勢に出ている。まずは政権運営の妨害だ。
「財務省の意を汲む財政再建派の総理を牽制するため、『財政政策検討本部』を設けて安倍さん自ら最高顧問に就いた。他にも北京五輪ボイコット、憲法改正と口を挟みまくりで、まるで小舅のよう」(自民党中堅議員)
合間を縫って、麻生氏への日参にも余念がない。12月初旬には「隠し球」を同伴していたことが、党内で話題となった。
「懇意のNHK記者・岩田明子さんです。岩田さんはこのところ頻繁に安倍事務所を訪れていて、麻生さんの事務所にも二人連れで出入りしていた。何か番組をやらせるのか、それとも岩田さん本人を選挙に出すのか」(同前)
敗れた者が消える、安倍氏と岸田総理の最終戦争がまもなく始まる。 

 

●着々と政権基盤を固める岸田首相に、安倍元首相が反撃! 2021/12/19
自信を深めた岸田首相、安倍元首相に大胆に挑む
毎日新聞が12月18日に行った世論調査によれば、岸田内閣の支持率は前月から6ポイント増の54%で、不支持率は36%と7ポイント減少した。新型コロナウイルス感染症対策についても、「評価する」との回答は46%で、「評価しない」の26%を引き離している。「議席数激減か」と危ぶまれた衆議院選も絶対安定多数を維持でき、岸田文雄首相は大いに自信を深めているのではないか。その証拠が12月6日に開かれた清和研のパーティーだ。
安倍晋三元首相の会長就任の披露も兼ねたこのパーティーで、岸田首相は来賓として挨拶。財政規律を重視する故・福田赳夫首相が池田内閣の所得倍増計画に反対するために1962年に党風刷新連盟を結成し、それが清和研の源流となったことを紹介した。いわば「宏池会と清和研は、もともとは敵同士」と宣言したに等しい。岸田首相はまた、グラスゴーで行われたCOP26会議で、ある首脳から「シンゾーから(国政選挙で)6連勝した秘訣を教わった」と言われたことを述べ、「自分はまだ教わっていない」とさりげなく安倍元首相との距離を示してもいる。
梯子を外された恨みからアンチ安倍へ?
かつてはポスト安倍の最有力候補とされ、安倍元首相からの禅譲を期待した岸田首相だが、2020年の総裁選では菅義偉官房長官(当時)にその座を奪われ、2021年の総裁選では安倍元首相の応援を高市早苗元総務大臣にかっさらわれた。しかも2020年4月には、新型コロナウイルス感染症対策の現金給付について、政調会長だった岸田首相は所得制限の下での30万円給付をとりまとめ、いったんは安倍元首相の同意を得たが、急転直下に反故にされ、恥をかかされてもいる。
その時の“恨み”を晴らすように今、岸田首相は「アンチ安倍」路線を進んでいる。そのひとつが幹事長に転身した茂木敏充外務大臣の後任に、林芳正元農水大臣を任命したことだ。
火ぶたを切った“山口戦争”
1995年の参議院選で当選した林氏は、当選5回の大ベテラン。衆議院議員のキャリアに換算すれば11回当選組に相当する。2021年8月に議員辞職し、10月の衆議院選では山口県3区から出馬して当選した。2012年9月の総裁選に出馬したこともあるが、この時に「衆議院議員でなければ総理大臣になれない」ことを痛感し、衆議院転出を狙っていた。
そしてこの林氏が安倍元首相の最大のライバルになるかもしれない。衆議院は次の選挙までに10増10減の区割り変更を行わなければならず、山口県も4議席から3議席に減らされる。この時に焦点になるのが、隣接する林氏の3区と安倍元首相の4区で、4区の大票田である下関市は代々林家の影響が強く、山口合同ガスやサンデン交通などを抑えており、林氏も国会議員になる前にこれら企業に在籍した。
新たな選挙区については、2022年の参議院選前に発表される予定だが、ここに来て細田博之衆議院議長らから「3増3減」案が出始めた。山口県は当然除外されている。
これについては「細田氏が安倍元首相の生殺与奪の権利を得るためだ」との説もあるが、むしろ細田派から安倍派になった清和研の融和を狙ったものではなかったか。しかし清和研に所属の福田達夫総務会長は「政治家の側から言うべきではない」と3増3減案に釘を刺す。
ここで重要なのは、当選4回の福田氏を総務会長に抜擢した岸田首相の思惑だ。そもそも清和研は前に述べたように、福田氏の祖父の赳夫氏が創設したもので、“本流”は安倍元首相ではなく福田氏だ。中国との距離においても、宏池会の岸田首相、日中議連会長だった林氏や祖父が日中平和友好条約を調印した福田氏はほぼ同じで、安倍元首相と対極的と言えるだろう。
総裁選では中国に強気の姿勢を見せたものの……
実際に対中政策については、両者はまったく対極的だ。安倍元首相は12月1日に開催された台湾のシンクタンクのオンライン会議で、「台湾有事は日本の有事」と断言。14日の日米台のシンクタンクが共催したシンポジウムでも、中国を名指しして牽制した。
一方で岸田首相は、総裁選ではウイグルなどで行われている中国による人権弾圧に対する国会での非難決議に賛成し、人権担当の首相補佐官を設置することを明言。しかし首相になると「日本版マグニツキ―法」制定を見送り、2022年2月の冬季北京オリンピックにも曖昧な内容の外交ボイコットでお茶を濁そうとしている。高市政調会長らが推し進めようとしていた対中非難決議も、自民党内で茂木幹事長にあっさりと却下された。11月に平成研会長に就任し、将来の首相を狙う茂木氏にとって、もともと中国は遠い国ではない上、国民の要求が多い対中非難決議よりも岸田首相の意向を慮る方が得策と思えたのではなかったか。
さらに岸田首相が外国を慮るシーンが12月15日の衆議院予算委員会で見ることができた。「自分の国は自分で守るということを根幹に考えなければならないのではないか」との国民民主党の前原誠司氏の質問に対し、岸田首相は「どの国であっても、1国だけで地域の平和を守れない」とはずし正面から答えなかったのだ。
55.7兆円という史上最大の補正予算を通して、12月21日に臨時国会は幕を閉じる。だがその水面下では、覇権をめぐって岸田対安倍、あるいは親中派対日本独立派の闘いが繰り広げられるに違いない。2022年には参議院選が行われるが、衆議院選は遅ければ2025年。その間に岸田首相がどのように政権地盤をいっそう固め、後継者を育成するともに、キングメーカーの道を開いていくか。いずれにしろ、永田町はますます流動化していく。

 

●岸田体制に潜む「安倍排除」の萌芽 本当に「安倍の傀儡」か? 2021/10/3
岸田総裁誕生
河野太郎氏、岸田文雄氏、高市早苗氏、野田聖子氏の4名が熱戦を繰り広げた自民党総裁選は、9月29日の党大会で岸田氏が選出された。岸田氏は1回目の投票で議員票146票、党員換算票110票の計256票を獲得し、議員票が86票と伸び悩んだ河野氏の255票を抑えて1位となった。そして上位2名による決戦投票では、河野氏が都道府県票を39票獲得したものの、議員票が131票と伸び悩み、議員票249票と都道府県票8票を獲得した岸田氏が勝利した。
総裁選は9月17日に告示されたが、実際の戦いは選挙日程が公表された8月26日に始まった。この日の午後に岸田氏が出馬表明し、「党役員の任期は1期1年3期まで」としたため、二階俊博前幹事長が激怒。支持率低下の不利な状況を衆議院解散で一変しようとした菅義偉首相が解散権を封じられるなど、永田町は一気に「自民党政局」に染められた。
安倍氏の暗躍
中でも注目されたのが、安倍晋三前首相の動きだ。昨年8月に首相を辞任した時は、官房長官だった菅氏と二階氏に先んじられ、後継指名を封じられた。かねてから安倍氏の“本命”は岸田氏と言われていたが、その応援もままならなかった。
だが今回は違う。そもそも安倍氏の本命は思想の面で一致する高市氏だった。高市氏は8月に文藝春秋に「政権構想」を発表。「美しく、強く、成長する国へ。」を9月初旬に出版した。いずれも春頃から準備しなくては実現が難しいものだ。そして高市氏の総裁選出馬を最初に報じたのが、安倍氏に近いとされる元TBS記者の山口敬之氏。総裁選に高市氏が名乗り上げるまでのストーリーが綺麗に作られている。
総裁選に入ると、票の引き剥がしが凄まじいものだった。主なターゲットになったのが、安倍氏にとって古巣になる細田派だ。首相在任中は派閥を離れていた安倍氏だが、いずれは細田派に戻って会長に就任することになっている。実は今年1月にも復帰するはずだったが、日大事件などでとん挫したと言われた。
だが細田派内では、町村派時代に派閥を離脱した高市氏への投票を拒む者も少なくなく、表向きは自由投票とされていたが、当初の割り振りは岸田票が多かった。たとえば参議院では、35人中の30人が岸田で5人が高市と決められたという。
しかし結果は大きく浸食された。高市陣営のある議員は「参議院では26名を引きはがした」と胸を張ったが、これには安倍氏と自民党参議院幹事長を務める世耕弘成氏の激しい攻防戦が存在した。抵抗する世耕氏に、安倍氏は世耕氏が切望する衆議院和歌山3区への転出を阻むことまで持ち出したという噂まで流れたのだ。
「撃ち方止め」の現実は?
そして27日頃には動きが止まる。その理由として日刊ゲンダイは9月28日号で、「高市肩入れ一転 停戦指令」と報じた。高市氏支持が広がり過ぎて、岸田氏が3位になれば、決選投票は河野対高市となり、河野勝利になる可能性が出てきたことを理由にしている。
一方で26日のフジテレビの番組では、解説者が「河野陣営が票の一部を高市氏にまわして、高市氏を2位にする動きがある」と紹介。これに河野氏が「フェイクニュースだ」と激怒した。
現実には個人票はともかく組織票の掘り起こしに苦慮する河野氏側から高市氏側に票を回すのはありえず、またそれまでなりふりかまわず票を剥がしてきた安倍氏がいきなり「撃ち方止め」も説得力はない。むしろここで総裁選の混乱ぶりを収めるべく、“長老”が出てきたことに注目すべきだろう。
たとえば9月27日には伊吹文明氏の仲介によって二階氏と岸田氏が面会しており、関係が修復された。そして世耕氏が安倍氏に迫られた件は、清和研の長老である森喜朗氏に届いているはずだ。だからこそ、3回生の福田達夫氏の総務会長抜擢が実現したのだろう。
清和研の本流は福田家
細田派である清和政策研究会は岸派の十日会をその前身とするゆえに、安倍氏の祖父である故・岸信介元首相を始祖と解する向きもある。しかし戦後から赤坂で料亭「佳境亭」を経営し、田中角栄や三木武夫といったそうそうたる大物政治家を顧客とした故・山上磨智子さんは、筆者にこう教えてくれたことがある。
「現在の派閥の基礎を作ったのは佐藤栄作さん。佐藤さんは次の時代も考えて、田中(角栄)さんには竹下(登)さん、福田(赳夫)さんには安倍(晋太郎)さん、三木(武夫)さんには河本(敏夫)さんを付けました。これが派閥の始まりです」
要するに清和研のオーナーは福田家であり、その“嫡男”は福田氏ということだ。2012年に初当選の福田氏は現在54歳。これまでのポストは2017年8月に防衛大臣政務官兼内閣府大臣政務官くらいで、御曹司にすれば目立たなかったが、今回の総裁選では同期の武部新氏らと「党風一新の会」を立ち上げ、代表世話人に就任した。同会のメンバーは90人ほどと言われているが、ある自民党関係者は「実際にはもっと多い。あえて匿名希望の会員を入れると、140名ほどにのぼる」と述べる。もしそうなら、最大派閥の細田派よりも多くなり、党内最大の勢力となる。
その福田氏は総裁選後のぶら下がりで「1回目も2回目も、投票したのは岸田さん」と述べた。よって福田氏の総務会長抜擢は、党も派閥も支配しようとする安倍氏に対する強烈なパンチであると筆者は見ている。
幹事長ポスト、官房長官ポストを取り逃がす
また党の要となる幹事長や官邸のまとめ役の官房長官のポストについても、安倍氏を封じ込めようとする岸田氏の意思が伺える。
幹事長には総裁選でいち早く岸田氏支持を打ち出した甘利氏が就任したが、安倍氏は高市氏を押し込もうとしていたという。幹事長は300億円とも言われる党の資金を動かし、公認権などを掌握する。その権限をあますことなく行使したのが故・田中角栄元首相と二階氏で、その暗躍振りは周知の事実。ましてや11月に行われると見込まれる衆議院選や来年の参議院選を控え、公認権は絶大な威力を発揮する。キングメーカーとして君臨するには、欠かせない権限だ。
官房長官についても、総裁選で高市氏に投じた萩生田光一氏の就任が一部で報じられたが、松野博一氏に決着した。このように明確な“安倍離れ”ではないが、岸田氏は微妙な点で安倍氏と距離をとっているといえる。
しかも右腕とする総理の政務秘書官に就任するのは、岸田氏の開成高校の後輩で経済産業省事務次官だった嶋田隆氏。その評価は安倍政権で政務秘書官を務めた今井尚哉氏を上回る。
岸田政権は10月4日に発足するが、初めから高支持率は期待できないにしても、堅実に政治を進めていくのではないか。総裁選では「いろいろな人の声を聞く」と何度も述べた岸田首相には、是非その声を生かした政治の実現を期待したい。 

 

●安倍晋三が「統一教会」イベントでトランプと共演!  2021/9/14
自民党総裁選でナチス本賞賛の高市早苗氏の支持に回った安倍晋三・前首相。その狙いは総選挙に向けての極右支持層固めと自身の存在感PRだと見られているが、ここにきて、さらに露骨な言動に出た。
というのも、統一教会系の団体が開催したイベントに、安倍前首相はなんとビデオメッセージを送ったからだ。
そのイベントとは、12日にオンラインで開催された「THINK TANK 2022希望の前進大会」で、あのカルト宗教団体・統一教会(現在は世界平和統一家庭連合と改称。以下、統一教会)と天宙平和連合(UPF)が共同開催(「WoW!Korea」13日付)。UPFは2005年に統一教会の開祖である文鮮明(故人)と、その妻で現在の統一教会実質トップである韓鶴子が創設した団体だ。
そして、このバリバリの統一教会系イベントにビデオで登場した安倍前首相は、約5分間にわたってスピーチ。開口一番、にこやかにこう挨拶したのだ。
「ご出席のみなさま、日本国・前内閣総理大臣の安倍晋三です。UPFの主催の下、より良い世界実現のための対話と諸問題の平和的解決のために、およそ150カ国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で世界平和を共に牽引してきた盟友のトランプ大統領とともに演説する機会をいただいたことを、光栄に思います」
「今日に至るまでUPFと共に世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、みなさまに敬意を表します」
このスピーチの模様はまたたく間にネット上で拡散されたが、曲がりなりにも昨年まで総理大臣を務めていた人物が、堂々と統一教会の実質トップに敬意を表するとは、驚かずにいられないだろう。
実際、安倍前首相と統一教会は切ってもきれない親密な関係にあり、安倍前首相の祖父・岸信介が統一教会と政界をつなぐ役割を果たした「国際勝共連合」の設立に関与していたことは有名な話。さらに、安倍前首相自身も官房長官時代の2006年にはUPFの合同結婚を兼ねた集会に祝電を送ったことが発覚。全国霊感商法対策弁護士連絡会が「統一教会の活動にお墨付きを与える遺憾な行動だ」として安倍氏に公開質問状を出すなど問題となっている。
だが、このとき安倍氏は「私人の立場で地元事務所から『官房長官』の肩書で祝電を送ったとの報告を受けている。誤解を招きかねない対応であるので、担当者によく注意した」などと釈明。ところが、今回は「第90・96〜98代内閣総理大臣」として祝電どころか自らスピーチをおこなったのである。
さらに、あらためて安倍前首相と統一教会の深い関係を印象づけたのは、今回のイベントで安倍前首相の前にスピーチをおこなったのがドナルド・トランプ前大統領だったこと。というのも、トランプ氏が大統領に就任する前に安倍前首相は異例の“会談”をいち早く実現したが、このとき会談を仲介・お膳立てしたのも統一教会だと言われているからだ。
もはや、統一教会との結びつきを隠そうともしない安倍前首相──。そして、この露骨な行動が総選挙に向けた運動なのは間違いない。
そもそも、安倍政権が発足して以降、統一教会と自民党との協力関係も非常に活発になっている。2013年の参院選では、安倍首相が強く推していた同郷の北村経夫・参院議員を当選させるために統一教会が露骨な選挙支援をおこない、2014年には日本統一教会の徳野英治会長の特別講演で安倍首相の側近である萩生田光一官房副長官(現・文科相)が来賓の挨拶をしている。ほかにも、衛藤晟一・前少子化担当相や稲田朋美・元防衛相など安倍首相の側近議員の多くが統一教会系のイベントで講演をおこなっている。
しかも、統一教会による選挙協力は、こうした表立ったものだけではない。
いま、『ひるおび!』(TBS)のレギュラーコメンテーターである八代英輝弁護士が「共産党はまだ『暴力的な革命』というものを、党の要綱として廃止してませんから」「よくそういうところと組もうという話になるな、というのは個人的には感じますね」などとデマに基づいて野党共闘を攻撃したことが大きな批判を浴びているが、統一教会も同じ手口で共産党・野党共闘潰しに動いているのだ。
最近、「JAPAN Guardians」なる団体が、総選挙を控えて「えっ? 日本共産党って警察庁や公安調査庁からマークされてる政党なの!?」と書かれたチラシを作成し、配布。そこには〈政府も「共産党は破防法対象団体」と閣議決定〉と記述されている。これは八代弁護士のデマ発言ならびに「私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたもの」という釈明とまったく一緒の主張だが、このチラシは最後に〈共産党は「普通の政党」でないことは明らかでしょう。野党を支持する皆様も共産党との“共闘”を本気で支持しますか?〉と畳み掛けている。
また、この「JAPAN Guardians」は、2019年の参院選前にも「『令和』を批判する日本共産党にNO」と題したチラシを各地で配布していた。
そして、この「JAPAN Guardians」なる団体こそ統一教会の別働隊なのだ。実際、「JAPAN Guardians」のHPのアカウントは、安保法制に反対する学生団体・SEALDsに対抗するかたちで安倍政権や改憲支持の活動をおこなってきた国際勝共連合の学生部隊「勝共 UNITE」(旧・国際勝共連合 大学生遊説隊 UNITE)や「国際勝共連合オピニオンサイトRASINBAN」と同一であるとしんぶん赤旗が報道。さらに、〈3つのHPにアクセスした利用者の動向を確認する解析サービスも同一のアカウントから行われており、ジャパン・ガーディアンズのHPが勝共連合関連団体のHPと同一の人物か組織によって管理されていることが確認〉されたというのである。
総選挙を控え、野党共闘潰しのためにデマを書き立てたチラシを配布する。このように自民党を利する働きをしていることを考えれば、安倍前首相が統一教会のイベントでスピーチをおこなうのも“選挙運動”の一環なのだろう。
しかも、問題なのは、安倍前首相はこうした統一教会による選挙協力に利用しているだけではなく、その政策もほとんど一体化しているという点だ。
たとえば、勝共連合が掲げる〈自主憲法制定運動〉については、〈「人権」の過剰を是正し「義務」を示す〉〈「家族条項」をもる〉〈9条を改め軍事力の保持を明記する〉との見出しが踊り、教育分野についても〈改正教育基本法に基づいた教育の再生〉〈日教組による偏向教育を正せ〉〈愛国心と家庭教育の充実〉と、完全に安倍前首相の言うことなすことと同一なのだが、一方、安倍前首相は今回のスピーチで、このように語って統一教会を褒め上げていた。
「UPFの平和ビジョンにおいて、家庭の価値を強調する点を高く評価いたします。世界人権宣言にあるように、家庭は社会の自然かつ基礎的集団単位としての普遍的価値を持っているのです。偏った価値観を社会革命運動として展開する動きに警戒しましょう」
周知のように、統一教会は同性婚などを敵視するゴリゴリの保守的家族観を有しているが、ようするに安倍前首相はその統一教会の家族観を称賛し、憲法に保障された「個人の尊重」に基づいて同性婚や夫婦別姓の実現を求める声を「偏った価値観の社会革命運動」だと非難、「警戒せよ」と呼びかけたのである。
さすがは下野時代に「夫婦別姓は家族の解体を意味する」「夫婦別姓は左翼的かつ共産主義のドグマ(教義)」などと主張していただけあるが、このように、女性や性的マイノリティの権利を毀損する思想に共鳴し、共有することを隠そうともしない安倍前首相には、もはやぞっとするほかない。
しかし、もっと背筋が凍るのは、次期総理大臣を決めることになる自民党総裁選においてもこの思想が共有されている、ということだ。
実際、安倍前首相が支持に回っている選択的夫婦別姓反対派の急先鋒である高市早苗氏はともかくとして、岸田文雄氏は選択的夫婦別姓制度の早期実現を目指す議員連盟に参加していたはずなのに、総裁選で安倍前首相に尻尾を振るために「引き続き議論をしなければならない」などと後ろ向きな発言をおこなう始末。安倍前首相と面会したあとに原発再稼働容認や女系天皇の否定を口にするなど変節ぶりを見せた河野太郎氏も、昨年12月には選択的夫婦別姓制度導入について「党議拘束外して議論を」と発言していたというのに出馬表明会見や政策パンフレットではその是非に触れなかった。
つまり、前首相がカルト宗教団体のイベントで平然とスピーチをおこなうという問題だけではなく、前首相がその団体と極右思想で共鳴し合い、その思想が次期首相を決める総裁選でも“踏み絵”となっているのである。
本格的な野党共闘に乗り出した立憲民主党の枝野幸男代表は総選挙での公約に選択的夫婦別姓の制度化や性的マイノリティ平等法の成立などを掲げ、「自民党内は強硬な反対論が大方を占めており、誰が総裁になろうとできない。政権を代えないといけない」と述べたが、まさしくそのとおり。安倍前首相が幅を利かせるかぎり、この異常な人権後進国の状況からは脱することはできないのである。 

 

●統一教会と自民党を結ぶ「票とカネ」 2021/5/16
統一教会(家庭連合/現名称・天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)主催の各地イベントに自民党議員が参加しているという記事をよく見かけます。日本会議や神道政治連盟もしかり、保守系シンクタンクといえばそうなのでしょうが、政教分離が憲法にある状況で、政党と宗教との関係をどう説明するのでしょうか。
あの統一教会が組織再編で名称変更「天の父母様聖会」へ
世界基督教統一神霊協会(統一協会)……文鮮明氏により韓国で生まれた宗教団体が日本で注目を浴びたのは、「霊感商法」が社会問題になったことと、あの大規模な合同結婚式の様子がテレビに映し出されたことでしょう。
当時、日本の有名芸能人も参加した合同結婚式のインパクトは、とても大きかったですね。
統一協会は1954年、韓国ソウルで創設。活動国は現在194カ国に上り、日本では1959年から活動を始め、1964年に東京都知事の認証で宗教法人となりました。
1964の日本で宗教法人の認可を受けたときの初代会長は、元立正佼成会信者の久保修己氏で、「原理研究会」という、文鮮明が提唱する“統一原理”を研究する非営利団体が、全国大学で学生伝道をはじめました。
2015年に、文鮮明の妻である韓鶴子氏が総裁となって、名前も「世界平和統一家族連合(略称:家庭連合)」に変わっています。
この名称変更時には、献金や勧誘活動について使用者責任を問う司法判断があったことを受け、「今後このような問題を問われることのないよう、日本社会と国家からより信頼を受けることができるように、宗教法人として適正な管理運営に努めてまいります」とコメントをしています。
そしてさらに、「天の父母様聖会」に名称変更することになっています。
キリスト教系の新興宗教団体に分類されることもあるようですが、日本のキリスト教会では、カトリックもプロテスタントもキリスト教の一教派とは認めてはいません。
自民党と関係が深い? 巨大な資金力で韓国では財閥に
何と言っても「資金力」は大事です。
世界基督教統一神霊協会の財産を管理するため1963年に世界基督教統一神霊協会維持財団が設立され、そのもとに多くの企業を擁しています。
韓国では財閥の1つとみなされ、系列企業は「統一教グループ」と呼ばれ、宗教としてより統一系企業の方が有名で、文鮮明氏は事業家としてのイメージが強いようです。
文鮮明氏の親族がそれらの企業の幹部になっていることもある。
この統一協会が政治と関わるものとして、1968年に、文鮮明氏が岸信介氏の協力を得て反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立させました。
この「国際勝共連合」の名誉会長が笹川良一氏であるところに、右翼色が強く感じられますね。
自民党と統一教会の関係を強く匂わせるのは、やはり岸信介氏を通した関係があるからではないでしょうか。
特に岸信介氏の流れを汲む「清和会(現細田派)」グループの議員が、統一教会(家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)主催の集会などに姿を表すのも、両者の深い関係を表しているように思えます。
特に、歴代の清和会会長と統一教会の蜜月は、噂の種は絶えません。
「反共産主義」で日本の政治に関与
「勝共連合」は、機関紙として『国際勝共新聞』・『思想新聞』、月刊誌『世界思想』を発行、関連会社の「世界日報社」が日刊新聞、『世界日報』を発行しています。
統一教会(家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)と政治を語る上で、文鮮明-岸信介の「国際勝共連合」の思想を見る必要があるようです。
共産党と共産主義の欺瞞と間違いを明らかにする……。創設直後から、大学、労働組合、一般人を対象とした反共講演会を開催してきました。学生を中心とした遊説隊による街宣活動、台湾・フィリピン・韓国などと交流して、PL教団青年部など宗教団体に働きかけも行ってきました。
「反共産主義」というところで見れば、保守政党との親和性が高いことが伺えます。となると、いまの共産党を巻き込んだ野党共闘は、絶対に許せないのでしょうかね。
確かに、立憲民主党の支持母体である「連合」には、いまだに強い共産党へのアレルギーがあります。
先の衆参補欠選挙においても、共産党の人たちと、同じ壇上に立つことを連合は極端に嫌っていました。立憲民主党議員にも、共産党議員と横並びに立ってテレビなどに映ることを避けるように要請していたようです。
安倍前総理を輩出した「清和会」に近い思想
国際勝共連合の運動方針には「共産主義の脅威から我が国を守る」とありますが、その他にも
・ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止
・「選択的」夫婦別姓に潜む共産主義の索道を阻止
・男女共同参画基本法の改廃
・憲法改正
・緊急事態宣言基本法の制定
・スパイ防止法の制定
・日本版NSC(国家安全保障会議)の設置
・集団的自衛権の行使容認
・非核三原則の改廃
・武器輸出三原則の改廃
・防衛産業を成長戦略に盛込む
・宇宙の軍事利用を促進
などなど、安倍前総理を輩出した「清和会」に実に近い思想となっています。日本会議や神道政治連盟にも通じるところがあります。
おそらく国会議員の中には、日本会議、神道政治連盟、国際勝共連合(統一教会:家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)どれとも接点がある人も、保守勢力にはいると思います。
ネット上では、統一教会(家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)主催の各地イベントに、自民党議員が参加しているという記事をよく見かけます。
また統一教会(家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)関連の企業も多くあり、表向きではわからないまでも、国会議員が間接的に関係している現状もあるように思われます。
菅政権との関係
日本会議や神道政治連盟もそうですが、保守系シンクタンクといえばそうなのでしょうが、政教分離が憲法にある状況で、政党と宗教との関係をどう説明するのでしょうか。
現菅政権下では、閣僚の中に、統一教会(家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)系と思われる人が9人います。安倍政権下では11人でした。大臣以外の役職者や党4役まで広げると15人になります。
あくまでも数字からの印象ですが、菅義偉総理大臣よりも、安倍晋三前総理大臣のほうが、統一教会(家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)との関係は強いのでしょうかね。
ちなみに菅政権になって、日本会議及び神道政治連盟に関わる閣僚や役職者の数は、安倍政権時よりも増えています。
日本会議の主張、神道政治連盟の主張、統一教会(家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)の主張……今の政権と深く関わっているこれらの団体側から今の政権を見れば、どうしても選択的夫婦別姓が認められる社会が、同性婚を容認する社会が訪れるとは、とても思えないのですがね。
社会のこういった問題よりも、経済優先、安全保障に積極的な姿勢を好む人達にとっては、今の政権を支持したいということなのでしょう。
それが、いわゆる「組織票」の本質なのかもしれません。
日本の政治は変わるか?マスコミが作る「組織票 vs 浮動票」の構図
昨今、選挙において、マスコミがそういう構図を作っているのかもしれませんが、「組織票vs浮動票」「コアな政党支持者層vs無党派層」の対立構造が見て取れます。そういう言い方をすれば、労働組合もしかりです。
一人ひとりが自分の意見をしっかりと持ち、「あれは良いけどこれはダメ」という部分をしっかりと意識することです。そして「ダメ」というところに重きを置き、利益誘導を重視しない姿勢で選挙に臨むべきなのかもしれません。
その政治家の思想を、その考えに至る背景も含め、しっかりと政治家を見ることが大事なのではないでしょうか。
間違っても雰囲気で、イケメンとか美人とか、若いとか女性だとか、はっきりと物を言うだとか、そんなことで投票しないでほしいものです。候補者が、どのような考えと理念、信念があるかを知るようにしましょう。 
 
 

 



2022/7-