QUAD

「平和と安定」 人類の夢

国々の集まり たった4ヶ国でも 本音の衝突
「ロシア・中国」 国名が表記できない共同声明
何のための集まり ・・・

礼節を重んじ 定期的なご挨拶 お付き合いです

 


 
●日米豪印首脳の共同声明要旨 5/24
日米豪印首脳の共同声明の要旨は次の通り。
【平和と安定】
ウクライナにおける紛争及び進行中の悲劇的な人道的危機に対するそれぞれの対応について議論し、インド太平洋への影響を評価した。地域における平和と安定を維持するという強い決意を改めて表明した。国際秩序の中心は国連憲章を含む国際法及び全ての国家の主権と領土一体性の尊重であることを明確に強調した。全ての国が、国際法に従って紛争の平和的解決を追求しなければならないことを強調した。東シナ海及び南シナ海におけるものを含むルールに基づく海洋秩序に対する挑戦に対抗するため、国際法の順守並びに航行及び上空飛行の自由の維持を擁護する。現状を変更し、地域の緊張を高めるあらゆる威圧的、挑発的または一方的な行動に強く反対する。国連安保理決議に従った朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、日本人拉致問題の即時の解決の必要性を再確認する。深刻な人道的苦痛を引き起こし、地域の安定に課題をもたらしたミャンマーの危機を引き続き深く懸念する。
【新型コロナウイルス感染症】
新型コロナウイルス感染症への対応のための国際的な取り組みを主導してきており、今後も主導していく。新型コロナワクチンの世界的な供給が大幅に拡大したことを踏まえ、安全で、有効で、入手可能な価格であり、品質が保証された新型コロナワクチンを、必要とされる時に必要な場所へ提供し続けていく。
【インフラ】
インド太平洋地域の生産性及び繁栄を促進するために不可欠なインフラに関する協力を深化させるとの共通のコミットメントを再確認した。次の5年間に、インド太平洋地域において500億ドル以上のインフラ支援及び投資を行うことを目指す。
【気候】
気候変動への対処が緊急に必要であることを認識し、パリ協定を着実に実施し、COP26の成果を実現していく。「日米豪印気候変動適応・緩和パッケージ(Q-CHAMP)」を立ち上げる。
【重要・新興技術】
地域の繁栄及び安全保障を強化するため、重要・新興技術を活用することに引き続き注力する。グローバルな半導体サプライチェーン(供給網)における能力及び脆弱性をマッピングし、多様で競争力のある半導体市場を実現するため、補完的な強みを一層活用することを決定した。
【宇宙】
地球観測衛星データ及びアプリケーションへの公共アクセス向上に努める。地球観測に基づいたモニタリング及び持続可能な発展枠組みを作るために協働する。各国の衛星データ資源へのリンクを集めた「日米豪印衛星データポータル」を提供するとともに、宇宙からの民間地球観測データの共有に努める。
【海洋状況把握及び人道支援・災害救援】
地域のパートナーと協働し人道及び自然災害に対応し、違法漁業と戦うために設計された、新しい海洋状況把握イニシアチブである「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」を歓迎する。「インド太平洋地域における日米豪印HADR(人道支援・災害救援)パートナーシップ」の立ち上げを発表する。本パートナーシップはインド太平洋地域における災害に効果的に対応するための協力体制を更に強化するものである。
【結語】
自由で開かれたインド太平洋に対する共通のビジョンを持って、再び基本的な価値及び原則の重要性を強調し、地域に具体的な結果をもたらすためにたゆまぬ努力をすることにコミットする。首脳級及び外相級による定例会合を含め、4カ国の活動を定例化する。次回の対面での首脳会合を、2023年に豪州の主催により開催することで一致する。 
 
●日米豪印首脳会合 5/24
5月24日、日米豪印首脳会合を開催。会合の主な成果は以下のとおり。​
地域情勢・国際情勢に関する率直な意見交換​
対面形式であることを活かし、ウクライナ情勢がインド太平洋地域に及ぼす影響を含む地域情勢・国際情勢に関して率直な意見交換を実施。力による一方的な現状変更をいかなる地域においても、とりわけインド太平洋地域で許してはならないことを確認。
実践的協力の一層の推進​
日米豪印は地域に具体的な利益をもたらすことにコミットしており、インド太平洋地域諸国が、新型コロナ、気候変動、インフラといった様々な喫緊の課題に直面する中で、幅広い分野で実践的協力を更に進め、地域をより強靱なものとすることの重要性で一致。
引き続き緊密な連携を確認​
2023年に豪州で、次回日米豪印首脳会合を開催することで一致し、首脳間、外相間での定期的な会合の開催を含め、引き続き4か国で緊密に連携していくことを確認。
 
 
 
 
●日米豪印首脳会合共同声明
本日、我々、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相、インドのナレンドラ・モディ首相、日本の岸田文雄首相、米国のジョー・バイデン大統領は、東京に集まり、包括的で強靭な、自由で開かれたインド太平洋への揺るがないコミットメントを新たにする。
1年と少し前、首脳は初めて顔を合わせた。深刻な世界規模での困難の時代に、4か国が地域に具体的な利益をもたらすことにコミットした善を推進する力であることを示すため、本日、東京において、我々は4回目、そして対面では2回目となる会合を開催する。最初の協力の年において、我々は前向きで実践的なアジェンダへの4か国の献身を表明した。2年目には、我々はこの約束を果たし、21世紀においてこの地域をより強靭なものにすることにコミットしている。
新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行が依然として世界中で人的及び経済的苦痛を与え、国家間で一方的な行動を取る傾向が呈され、ウクライナでの悲劇的な紛争が激しさを増す中、我々は揺るがない。我々は、自由、法の支配、民主的価値、主権及び領土一体性、武力による威嚇又は武力の行使や現状を変更しようとするいかなる一方的な試みに訴えることなく紛争を平和的に解決すること、航行及び上空飛行の自由といった、いずれもインド太平洋地域及び世界の平和、安定及び繁栄に不可欠である原則を強く支持する。我々は、地域内外でこれらの原則を促進するため、断固として共に行動し続ける。我々は、各国がいかなる形態によっても軍事、経済、及び政治的に威圧されることのない、国際的なルールに基づく秩序を支持するという我々の決意を再確認する。
   平和と安定
我々は、ウクライナにおける紛争及び進行中の悲劇的な人道的危機に対するそれぞれの対応について議論し、そのインド太平洋への影響を評価した。4か国の首脳は、地域における平和と安定を維持するという我々の強い決意を改めて表明した。我々は、国際秩序の中心は国連憲章を含む国際法及び全ての国家の主権と領土一体性の尊重であることを明確に強調した。我々はまた、全ての国が、国際法に従って紛争の平和的解決を追求しなければならないことを強調した。
4か国は、自由で開かれたインド太平洋のビジョンを共有する地域のパートナーとの協力にコミットしている。我々は、ASEANの一体性と中心性、そして「インド太平洋に関するASEANアウトルック」の実践的な実施に対する揺るぎない支持を再確認する。我々は、2021年9月に発表された欧州連合のインド太平洋における協力のためのEU共同コミュニケーション及び欧州のインド太平洋地域への関与強化を歓迎する。我々は、東シナ海及び南シナ海におけるものを含む、ルールに基づく海洋秩序に対する挑戦に対抗するため、国際法(特に国連海洋法条約(UNCLOS)に反映されたもの)の遵守並びに航行及び上空飛行の自由の維持を擁護する。我々は、係争のある地形の軍事化、海上保安機関の船舶及び海上民兵の危険な使用、並びに他国の海上資源開発活動を妨害する試みなど、現状を変更し、地域の緊張を高めようとするあらゆる威圧的、挑発的又は一方的な行動に強く反対する。
我々は、太平洋島嶼国の経済状況を向上させ、健康インフラ及び環境強靭性を強化し、海上安全保障を改善するとともに漁業を維持し、持続可能なインフラを提供し、教育機会を強化し、この地域に特に深刻な課題をもたらす気候変動の影響を緩和させ、及び適応するため、個別に、及び集団的に、太平洋島嶼国との協力を更に強化する。我々は、太平洋島嶼国のパートナーのニーズに対応するために協力することにコミットする。我々は、太平洋諸島フォーラムの一体性及び太平洋の地域的安全保障枠組みへの支持を再確認した。
我々は、多国間システムの改革と強靭性向上のための共通の優先事項を強化する国連を含む多国間システムでの協力について、我々及びパートナーとの間で深化させる。個別に、及び共同して、我々は、この地域が包摂的で、開かれ、かつ、普遍的なルール及び規範で統治されることを確保しつつ、今日の課題に対応していく。
我々は、国連安保理決議に従った朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、また、日本人拉致問題の即時の解決の必要性を再確認する。我々はまた、国連安保理決議に違反した、度重なる大陸間弾道ミサイル実験を含む不安定化をもたらす北朝鮮の複数の大陸間弾道ミサイル実験を含む弾道ミサイル開発及び発射を非難し、国際社会に対し、これらの決議を完全に履行するよう求める。我々は、北朝鮮に対し、国連安保理決議の下での全ての義務に従い、挑発行為を控えるとともに、実質的な対話に取り組むよう求める。
我々は、深刻な人道的苦痛を引き起こし、地域の安定に課題をもたらしたミャンマーの危機を引き続き深く懸念する。我々は、ミャンマーにおける暴力の即時停止、外国人を含む全ての政治的被拘束者の解放、建設的な対話への関与、人道アクセス、及び民主主義の早期回復を引き続き求める。我々は、ミャンマーにおける解決策を模索するASEAN主導の取組に対する支持を再確認し、ASEAN議長特使の役割を歓迎する。我々はさらに、ASEANの5つのコンセンサスの早期実施を求める。
我々は、あらゆる形態及び主張によるテロと暴力的過激主義を明確に非難し、いかなる理由であれ、テロ行為を正当化することはできないことを改めて表明する。我々は、テロリストの代理人の利用を非難し、国境を越える攻撃を含むテロ攻撃を開始又は計画するために使用され得るいかなる後方的、財政的、軍事的なテロ組織への支援も否定することの重要性を強調する。我々は、11月26日のムンバイ及びパタンコート襲撃を含むテロ攻撃を改めて非難する。また、我々は、アフガニスタンの領域がいかなる国への脅迫若しくは攻撃、テロリストの保護若しくは訓練、又はテロ行為の計画若しくは財政的支援に使用されることが二度と無いよう要請する国連安保理決議第2593号を再確認する。我々は、全ての国が、FATF(金融活動作業部会)勧告に従い、資金洗浄対策についての国際基準を遵守し、テロリズムへの資金提供と戦うことの重要性を強調する。我々は、世界的なテロとの戦いにおいて、安保理決議第1267号に従って指定された個人及び団体を含む全てのテロ組織に対して協調した行動をとることを再確認する。
   新型コロナウイルス感染症と世界健康安全保障
2年以上にわたり、世界は新型コロナウイルス感染症の壊滅的な影響、すなわち地域社会、市民、医療従事者及び保健システム並びに経済への影響と闘ってきた。日米豪印は、より良い健康安全保障の構築と保健システムの強化を視野に、新型コロナウイルス感染症への対応のための国際的な取組を主導してきており、今後も主導していく。我々は、新たな変異株に備え、ワクチン、検査、治療、その他の医療物資を最もリスクの高い人々に届けることに重点を置き、ウイルスに先んじるために我々の集団的対策を講じることにコミットする。
現在までに、日米豪印はCOVAXファシリティの途上国向け枠組み(AMC)に合計約52億米ドルのプレッジを表明しており、これはドナー国政府によるプレッジ総額の約40%にあたる。我々は、インド太平洋への少なくとも2億6500万回分の供与を含め、6億7000万回分以上のワクチンを現物供与してきたことを誇りに思う。新型コロナワクチンの世界的な供給が大幅に拡大したことを踏まえ、我々は、安全で、有効で、入手可能な価格であり、品質が保証された新型コロナウイルスのワクチンを、必要とされる時に必要な場所へ提供し続けていく。
我々は、日米豪印ワクチンパートナーシップの下、インドのバイオロジカルE社におけるジョンソン・エンド・ジョンソン社製のワクチンの生産拡大が進展していることを歓迎する。持続可能な製造能力は、新型コロナウイルス感染症や将来のパンデミックとの闘いにおいて長期的な利益をもたらす。この点、我々は、前述のインドにおけるワクチンに関するWHO緊急使用リスト(EUL)承認を楽しみにしている。我々は、日米豪印による、WHOに承認されたインド産ワクチンのカンボジア及びタイへの供与を、日米豪印のその他のワクチン関連支援とともに、我々の協力の具体的な成果の一例として祝福する。
我々は、新型コロナウイルス感染症への対応と将来の健康危機に対する備えの両方に、引き続き取り組んでいく。我々は、世界115か国以上で20億ドル以上の規模で展開されているラスト・マイル支援を通じてワクチン接種を加速し、また今週、世界保健総会において開催される4か国合同のイベントを通じてワクチン忌避にも対処していく。我々は、新型コロナウイルス感染症に関する「グローバル行動計画:COVID-19 Pandemic Prioritized Global Action Plan for Enhanced Engagement(GAP)」やCOVAXワクチン・デリバリー・パートナーシップなどを通じて、我々の取組を連携させていく。我々は、米国が共催し、日米豪印も参加した第2回「新型コロナ・サミット」が、32億ドルの資金と政策的コミットメントを集め、成功したことを歓迎する。我々は、インド太平洋地域における経済社会再活性化のための支援を強化する。
長期的には、我々は、財務及び保健の連携を促進すること及び現在進行中の臨床試験及びゲノム・サーベイランス等を通じた科学技術協力を強化することを含め、より良い健康安全保障を構築するために、グローバルヘルス・アーキテクチャー及びパンデミックへの予防・備え・対応(PPR)を強化する。既存の日米豪印の協力関係を基礎として、我々は、パンデミックに発展する潜在性を有する新規及び新興の病原体の早期発見及びモニタリング能力を向上させ、エピデミック及びパンデミックに対する強靱性を高めるよう取り組む。感染症を予防し及び封じ込めるための新しいワクチンの開発のために、日米豪印は、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)の次期増資期間に対し、合計で約5億2400万ドルをコミットしており、これは公的ドナーによる拠出総額の約50%を占める。
我々は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)フレンズ・グループのメンバーとして、2023年に開催される国連総会UHCハイレベル会合に向けて、PPRの強化及びUHCの推進のため、グローバルヘルス・アーキテクチャーの更なる強化及び改革にあたり国際的なリーダーシップを発揮することにコミットする。
   インフラ
我々は、インド太平洋地域の生産性及び繁栄を促進するために不可欠なインフラに関する協力を深化させるとの共通のコミットメントを再確認した。我々は、また、多くの国々でパンデミックにより悪化した債務問題に対処することへのコミットメントを共有する。
日米豪印は、地域へのインフラの供給を促進するため、数十年にわたる技術と経験を結集する。我々は、資金ギャップを橋渡しする公的及び民間投資を動員するため、パートナー及び地域と共に緊密に取り組むことにコミットする。これを達成するため、日米豪印は、次の5年間に、インド太平洋地域において500億米ドル以上のインフラ支援及び投資を行うことを目指す。
我々は、G20の「共通枠組」の下で、また、複数の二国間及び多数国間の能力構築支援から成る「クアッド債務管理リソースポータル(英文)」を通じたものを含め、関係する国々の財務当局と緊密に連携して債務の持続可能性及び透明性を促進することにより、債務問題に対処する必要がある国々の能力強化に取り組んでいく。
我々は、また、日米豪印首脳会合のマージンでの4か国の開発金融機関の会合を歓迎する。我々は、インド太平洋地域のより良い連結のため、我々の手段と専門性を結び付けるべく、専門家及び地域と共に、並びに相互に緊密に連携している。
我々は、地域における持続可能で包摂的な成長に貢献するため、「インド太平洋に関するASEANアウトルック」を含め、地域の優先事項を反映した、地域・デジタル連結性、クリーンエネルギー及びエネルギー関連施設における災害強靱性を含む気候変動に対する強靱性といった特定分野における協力を更に深め、相互補完的な行動を追求していく。
   気候
IPCCの最新の報告書で強調されているように、気候変動への対処が緊急に必要であることを認識し、我々は、パリ協定を着実に実施し、COP26の成果を実現していく。そのために、インド太平洋地域における重要なステークホルダーに働きかけるとともに、官民の気候資金の動員や、研究、開発、及び革新的技術の展開の促進を通じてなど、地域のパートナーによる気候行動を支援し、強化し、推進することを含め、国際的な野心を高める取組を加速させる。
本日、我々は、緩和と適応の2つをテーマとする、「日米豪印気候変動適応・緩和パッケージ(Q-CHAMP)」を立ち上げる。Q-CHAMPは、日米豪印気候作業部会の下で、現在進行している以下の活動を含む。すなわち、日米豪印各国の意見を基にして共通のグリーン回廊の枠組みを目指すグリーンな海運・港湾、クリーン水素及び天然ガス部門におけるメタン排出に関するクリーンエネルギー協力、シドニー・エネルギー・フォーラムの貢献を歓迎しつつの、クリーンエネルギー・サプライチェーンの強化、太平洋島嶼国との連携戦略策定に向けた気候・情報サービス、災害に強靭なインフラのためのコアリション(CDRI)を通じた取組など災害と気候変動に強靭なインフラを含む防災である。また、Q-CHAMPの範囲には、クリーン燃料アンモニア、CCUS/カーボンリサイクル、パリ協定第6条に基づく高い十全性のある炭素市場を推進するための協力と能力構築支援、気候に優しい農業、地方自治体の気候行動に関する知見共有、生態系を活用した適応策など、新たな協力も含まれる。Q-CHAMPを具体化するため、我々は4か国間及びインド太平洋地域の気候行動を支援するにあたり、我々のプログラムを拡大していくことにコミットする。我々は、気候変動が太平洋島嶼国にもたらす甚大な課題を認識する。
我々は、豪州の新政権による2050年までにネット・ゼロを達成するための法案の可決、新規の野心的な国が決定する貢献の提出を通じたものを含む、気候変動に関するより強力な行動へのコミットメントを歓迎する。
   サイバーセキュリティ
高度なサイバー脅威が存在し、ますますデジタル化する世界において、我々は、サイバーセキュリティを強化するために共同のアプローチをとることが急務であることを認識する。自由で開かれたインド太平洋という日米豪印のリーダーのビジョンを実現するために、我々は、脅威情報の共有を通じて各国の重要インフラ防護を強化すること、デジタル対応の製品・サービスのサプライチェーンにおける潜在的リスクを特定・評価すること、及びソフトウェア開発エコシステム全体を強化して全てのユーザーが便益を感じられるよう我々の共同の購買力を活かして政府調達における基本的なソフトウェアセキュリティ基準を整合させることにコミットする。日米豪印パートナーは、日米豪印サイバーセキュリティ・パートナーシップの下、インド太平洋地域における能力構築プログラムについて協調し、日米豪印各国、インド太平洋地域及びそれ以外の地域の一人一人のインターネットユーザーがサイバー脅威からより防御できるよう、初めて日米豪印サイバーセキュリティ・デイを開始する予定である。
   重要・新興技術
日米豪印は、地域の繁栄及び安全保障を強化するため、重要・新興技術を活用することに引き続き注力する。我々は、5G及びビヨンド5Gの分野において、電気通信サプライヤーの多様性に関するプラハ提案を歓迎しつつ、5Gサプライヤー多様化及びオープンRANに関する新たな協力覚書の署名を通じ、相互運用性及び安全性を推進していく。我々は、また、オープンRANトラック1.5イベントを通じたものを含め、産業界との関与を深めており、地域におけるオープンで安全な電気通信技術の実装に関して協働する方法を探求している。
我々は、グローバルな半導体サプライチェーンにおける日米豪印の能力及び脆弱性をマッピングし、多様で競争力のある半導体市場を実現するため、我々の補完的な強みを一層活用することを決定した。この日米豪印首脳会合の機会に発表した、重要技術サプライチェーンに関する原則の共通声明は、地域への様々なリスクに対する我々の強靱性を向上させるための協力基盤を提供し、半導体及びその他の重要技術に関する我々の協力を推進するものである。国際電気通信連合の電気通信標準化部門といった国際標準化機関における我々の協力は、大きな進展を見せており、我々は、新たな国際標準協力ネットワーク(ISCN)を通じ、このような協力を強化することを期待する。この協力は、地域における技術開発が、我々の共有する民主的な価値に導かれることを確保することに資するものである。我々は、バイオ技術に関するこれまでの深まった議論に続き、マッピング及びそれに対応するトラック1.5の取組を通じ、また、将来的には量子技術にも焦点を当て、技術動向調査における協力を引き続き強化する。我々は、重要・新興技術のための資本を拡充するため、産業界のパートナーとのネットワーク構築のためのフォーラムを開催する。
   日米豪印フェローシップ
我々は、人と人との結びつきが日米豪印の礎(いしずえ)であることを認識し、現在応募受付を行っている日米豪印フェローシップの正式な創設を歓迎する。日米豪印フェローシップは、毎年、日米豪印各国の学生100名が米国におけるSTEM分野の大学院の学位取得を目指すためのもので、シュミット財団によって運営される。日米豪印フェロー第一期生は2023年第3四半期に学業を開始する予定であり、我々は、最先端の研究とイノベーションにおいて我々4か国を牽引することになるSTEM分野の才能ある次世代の人材を共に育成することを楽しみにしている。
   宇宙
宇宙関連のアプリケーション及びテクノロジーもまた、気候変動、防災及び災害対応並びに海洋及び海洋資源の持続可能な利用といった共通の課題への対応に貢献可能である。日米豪印パートナーそれぞれは、地球観測衛星データ及びアプリケーションへの公共アクセス向上に努める。我々は、地球観測に基づいたモニタリング及び持続可能な発展枠組みを作るために協働する。我々は、我々の各国の衛星データ資源へのリンクを集めた「日米豪印衛星データポータル(英文)」を提供するとともに、宇宙からの民間地球観測データの共有に努める。我々は、地球観測分野におけるものを含む宇宙アプリケーションの開発のために協働し、地域諸国に対し、豪雨に対応するための宇宙能力の活用に係る提携に関するものを含む能力構築支援を提供する。我々はまた、宇宙の持続可能な利用のための規則、規範、ガイドライン及び原則について協議し、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)の宇宙活動の長期持続可能性ガイドラインに関連して行うものを含む共同ワークショップを通じて、地域諸国に対する支援を提供する。
   海洋状況把握及び人道支援・災害救援
我々は、地域のパートナーと協働し、人道及び自然災害に対応し、違法漁業と戦うために設計された、新しい海洋状況把握イニシアティブである「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」を歓迎する。IPMDAは、技術と訓練を提供することで、我々の海や海洋の安定及び繁栄を促進すべく強化・共有化された海洋状況把握を支援するため、インド太平洋諸国及びインド洋、東南アジア、及び太平洋諸島の地域情報融合センターを支援し、これらと協議しながら取り組んでいく。IPMDAは、日米豪印が掲げる「地域をより安定させ繁栄させるために役立つ具体的な成果に向けた我々の共同の努力の促進」を体現している。
 2022年3月3日の首脳テレビ会議でのコミットメントを具現化するため、本日、我々は「インド太平洋地域における日米豪印HADR(人道支援・災害救援)パートナーシップ」の立ち上げを発表する。本パートナーシップはインド太平洋地域における災害に効果的に対応するための協力体制を更に強化するものである。
   結語
本日、自由で開かれたインド太平洋に対する共通のビジョンを持って、我々は再び基本的な価値及び原則の重要性を強調し、地域に具体的な結果をもたらすためにたゆまぬ努力をすることにコミットする。その中で、我々は、首脳級及び外相級による定例会合を含め、4か国の活動を定例化する。我々は、次回の対面での首脳会合を、2023年に豪州の主催により開催することで一致する。 
 
●日米豪印クアッド首脳会合終わる 協議の成果 共同声明で発表へ  5/24
日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合は午後0時半すぎに終了しました。冒頭、岸田総理大臣は、ウクライナ情勢などを踏まえ「法の支配に基づく国際秩序を根底から揺るがす事態が起きた」と述べ、インド太平洋地域で同様の事態を起こさないよう4か国で連携して対応していく考えを示しました。
会合には、岸田総理大臣、アメリカのバイデン大統領、23日就任したばかりのオーストラリアのアルバニージー首相、インドのモディ首相の4か国の首脳が参加しました。
冒頭、岸田総理大臣は「去年9月の会合以降、われわれが重視する法の支配に基づく国際秩序を根底から揺るがす事態が起きた。ロシアによるウクライナ侵略は国連憲章でもうたわれている諸原則への真っ向からの挑戦でインド太平洋地域で同じようなことを起こしてはいけない」と述べました。
そのうえで「こうした厳しい情勢の中だからこそ、われわれが一堂に会して4か国の連帯と『自由で開かれたインド太平洋』という共通のビジョンへの強固なコミットメントを国際社会に示す意義は極めて大きい」と述べました。
また岸田総理大臣は「地域諸国とともに歩むことなしに、日米豪印協力の成功はありえない。ASEAN、南アジア、太平洋島しょ国といった地域諸国の声にしっかりと耳を傾け、地域が直面する喫緊の課題の解決に資するような協力を一層進めていく必要がある」と述べました。
会合では、ウクライナ情勢のほか、海洋進出の動きを強める中国などを念頭に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携、経済を含めた幅広い分野の協力の在り方をめぐって協議が行われました。
このあと岸田総理大臣は、バイデン大統領らとのワーキングランチを経て、議長国として記者会見し、議論の内容を発表することにしています。
また協議の成果が共同声明として発表される見通しです。
共同声明には、自由で開かれたインド太平洋への4か国の強固な関与を確認し、自由や法の支配に加え、主権と領土の一体性などの原則を強く支持するとともに、こうした原則を、ほかの地域でも推進する立場が盛り込まれる方向です。
そのうえで、地域情勢に関して、中国が海洋進出の動きを強めていることを念頭に、ルールに基づく海洋秩序への挑戦に対抗し、国際法を順守する重要性を明記することが検討されています。
また、北朝鮮をめぐって、朝鮮半島の非核化や、拉致問題の即時解決の必要性を確認し、情勢の不安定化をもたらす核・ミサイル開発を非難する見通しです。
このほか、インド太平洋地域での実践的な協力の在り方も盛り込まれ、気候変動問題に対応する新たな枠組みの立ち上げに加え宇宙分野では、日米豪印4か国の衛星データを各国に提供するなど、協力の仕組みの創設などが明記される見通しです。
オーストラリアのアルバニージー首相は、来年のクアッドの首脳会合がオーストラリアで開催されることを明らかにしました。
クアッドの首脳会合のあと記者団の取材に応じたアルバニージー首相は「来年、オーストラリアでバイデン大統領、モディ首相、岸田総理大臣を迎えることを楽しみにしている」と述べました。
米豪印首脳の発言
   バイデン大統領 “クアッドを土台に連携を深めるべき”
アメリカのバイデン大統領は、「ロシアはウクライナの文化を消滅させようとしている」とプーチン大統領を強く非難しました。
そのうえで「ロシアによるウクライナへの侵攻は、インド太平洋戦略の重要性を高めただけだ」と述べて、ウクライナ危機は、みずからのインド太平洋戦略を推し進める理由にしかならないと強調しました。
背景には、アメリカが、対ロシアと中国の二正面の対応を迫られていることでアジア地域への関与が弱まることへの懸念が生じていることがあり、ウクライナ危機が起きたからこそ、中国の覇権主義的な動きに対抗するため、クアッドを土台に連携を深めるべきだと訴えました。
   アルバニージー首相「政権交代後も変わらない」
オーストラリアのアルバニージー首相は、就任直後の最初の活動としてクアッドに参加できることを名誉に思うとしたうえで「オーストラリアは政権が交代したが、われわれはクアッドに関与する姿勢は変わっていないし、これからも変わらない」と強調しました。
これはみずからの労働党がかつては中国寄りとも言われる姿勢をとってきたことで、オーストラリアの中国への対抗姿勢に変化が現れるのか、注目されていることを意識した発言で、新政権も、クアッドを基盤に地域の安定と発展に寄与したいという姿勢を明確に打ち出しました。
   モディ首相「クアッドは平和と安定を確保するもの」
インドのモディ首相は「クアッドの取り組みはインド太平洋地域の平和と安定を確保するものだ」と述べて、クアッドの重要性を強調しました。
インドは特定の勢力にもくみしない「戦略的自立性」を基本とした外交姿勢をとっていますが、そのインドにおいても、クアッドの重要性は増しているという認識を示しました。 
 
●バイデン大統領来日 クアッド首脳会合 5/25
就任後初めて日本を訪問しているアメリカのバイデン大統領。滞在3日目の24日は日米豪印の4か国の枠組み、クアッドの首脳会合に参加しました。バイデン大統領の最新情報を速報でお伝えします。
   バイデン大統領 クアッド首脳会合に出席へ
バイデン大統領は24日午前、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国でつくる枠組み、クアッドの首脳会合に出席します。会合では新型コロナウイルス対策や気候変動への対応などが議題となる見通しで、バイデン大統領は23日記者会見で、「民主主義の国どうしの連携によって大きな成果を上げることを世界に示す。インド太平洋地域の未来に向けた前向きなビジョンを前進させるための機会に感謝する」と述べ期待感を示しました。
岸田首相 官邸に入る(24日 8:15すぎ)
日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合に臨む岸田総理大臣は、午前8時15分すぎに総理大臣官邸に入りました。岸田総理大臣はこのあと閣議などを経て、首脳会合に臨みます。
   オーストラリア アルバニージー首相 官邸に入る
オーストラリアのアルバニージー首相は、日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合に出席するため、午前10時すぎに総理大臣官邸に入りました。
インド モディ首相 官邸に入る(24日 10:00すぎ)
インドのモディ首相は、日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合に出席するため、午前10時すぎに総理大臣官邸に入りました。
バイデン大統領がホテルを出発(24日 10:23)
バイデン大統領は午前10時23分に宿泊先の東京・港区のホテルを車で出ました。このあと総理大臣官邸で行われる日米豪印4か国の枠組みクアッド首脳会合に臨む予定です。
バイデン大統領 官邸に入る(24日 10:30ごろ)
アメリカのバイデン大統領は、日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合に出席するため、午前10時半ごろ総理大臣官邸に入りました。
クアッド首脳会合 始まる(24日 10:30すぎ)
日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合はさきほど午前10時半すぎに始まりました。中国などを念頭に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携などをめぐって協議が行われます。
   岸田首相 クアッド首脳会合 冒頭発言
「昨年来、バイデン大統領のリーダーシップにより、4か国の首脳はたびたび会合の機会を持ってきた。本年、日本がバトンを受け継ぎ東京で首脳会合を実現できたことを大変うれしく思っている」「去年9月の会合以降、われわれが重視する法の支配に基づく国際秩序を根底から揺るがす事態が起きた。ロシアによるウクライナ侵略は国連憲章でもうたわれている諸原則への真っ向からの挑戦でインド太平洋地域で同じようなことを起こしてはいけない」「こうした厳しい情勢の中だからこそ、われわれが一堂に会して4か国の連帯と『自由で開かれたインド太平洋』という共通のビジョンへの強固なコミットメントを国際社会に示す意義は極めて大きい」「本日は対面であることを生かして、国際情勢や地域情勢について率直な意見交換を行うことを楽しみにしている。同時に地域諸国とともに歩むことなしに、日米豪印協力の成功はあり得ない。ASEAN、南アジア、太平洋島しょ国といった地域諸国の声にしっかりと耳を傾け、地域が直面する喫緊の課題の解決に資するような協力をいっそう進めていく必要がある」「会合ではこれまで進めてきた幅広い分野の実践的協力の具体的進展を確認するとともに地域の気候変動対策の支援、海洋状況把握、人道支援、災害救援といった新たな分野での協力についても議論したい」
   オーストラリア アルバニージー首相 冒頭発言
「首相就任への祝意をありがとうございます。首相として初めて日本でのこのような重要な会合に出席できることを光栄に思う」「クアッド各国が自由で開かれた、強靭なインド太平洋地域のためにこれまで達成してきたこと、そして気候変動や地域の安全保障などの大きな課題にともに取り組んできたことの成果を認めたいと思う」「オーストラリアの新政権は、クアッドと連携し、気候変動対策や、より強く強靭なインド太平洋地域を作り上げることを優先する」「私たちの連携は、民主主義、法の支配、そして平和に暮らす権利という共通の価値観に基づいている」「インド太平洋地域の構造が変わり、不確実性を増す世界の課題と脅威に対処し、より強く、連携したインド太平洋地域を作り上げるために、クアッドの連携がこれまで以上に必要となっている」「オーストラリアは政権が交代したが、われわれはクアッドへの関与する姿勢は変わっていないし、これからも変わらない。そしてASEANを重視し、関与する姿勢も変わらない」「私の政権は気候変動対策に力を入れ、地域のパートナーたちへの支援を拡大させる。気候変動は太平洋地域の島しょ国にとって経済、安全保障の面で最大の課題だ」
   インド モディ首相 冒頭発言
「クアッドは世界において重要な位置を占めている」「クアッドの信頼と決意は民主主義に新たな強さをもたらしている」「現在、われわれはすべての国の協力で自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて進んでいる」
   バイデン大統領 冒頭発言
「クアッドのリーダーたちは1年と少し前にはじめて会合した。私たちのパートナーシップは目標を達成するための中心にあり、そして私たちの継続的な協力の基盤として、大変重要だ」「アメリカはインド太平洋地域にとって、強く、持続的なパートナーでなければならない」「中国の指導者からなぜインド太平洋地域にこだわるのかと聞かれたことがあったが、それは私たちは同じ地域を共有し、深く関わっているからだ」「岸田総理大臣がこのような会合の開催のために発揮してくれた並外れたリーダーシップを称賛したい。そして、モディ首相による民主主義の実現に向けた尽力を感謝したい。なぜなら、この会合は専制主義に対抗して、いかに民主主義を実現していくかについて議論するものだからだ。また、アルバニージー首相の初めてのクアッドへの参加を歓迎する。就任後すぐに参加してくれたことを感謝したい」「ロシアのウクライナに対する残酷な戦争は、人道的な惨事を引き起こし、無実の市民が殺害され、多くの人々が国内外への避難を余儀なくされている」「これはヨーロッパだけでなく、世界全体で取り組むべき課題だ。プーチン大統領は、あらゆる学校や教会、それに博物館を攻撃し、ウクライナの文化を消し去ろうとしている」「アメリカはインド太平洋地域の1つの勢力として、仲間の民主主義国家とともに、私たちが共有する価値観とビジョンを守っていく。ロシアが軍事侵攻を始める前に私の政権は自由で開かれた、安全で強じんなインド太平洋地域を推し進める戦略を発表したが、ロシアによるウクライナへの侵攻は、こうした目標の重要性を高めた」「国際秩序、領土の一体性、主権、国際法、それに人権の基本原則は必ず守られなければならない。それは世界のどこで侵害されてもだ。クアッドには、地域の平和と安定の維持、パンデミックへの対応、気候危機、それに未来の技術がわれわれの価値観に基づいて管理されるようにするといった多くの仕事が残されている」「われわれは地域のための仕事を成し遂げることを目指していて、ともに作り上げてきているものを誇らしく思う。われわれの重要なパートナーシップが長年にわたって繁栄することを期待している」
クアッド首脳会合 終わる(24日 12:30すぎ)
日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合は午後0時半すぎに終了しました。
日米豪印4か国の首脳 総理大臣公邸へ歩いて移動(24日 13:00前)
日米豪印4か国の首脳は、クアッドの首脳会合を終え、昼食をともにしながら意見を交わす「ワーキングランチ」に臨むため、午後1時前、官邸から、隣接する総理大臣公邸へ歩いて移動しました。
「ワーキングランチ」始まる(24日 13:00ごろ)
日米豪印4か国の首脳が昼食をともにしながら意見を交わす「ワーキングランチ」は午後1時ごろから総理大臣公邸で始まりました。
「ワーキングランチ」終わる(24日 14:00前)
日米豪印4か国の首脳が昼食をともにしながら意見を交わす「ワーキングランチ」は午後2時前終了しました。
   来年のクアッド首脳会合 オーストラリアで開催へ
オーストラリアのアルバニージー首相は、2023年のクアッドの首脳会合がオーストラリアで開催されることを明らかにしました。24日東京で行われたクアッドの首脳会合のあと記者団の取材に応じたアルバニージー首相は「来年、オーストラリアでバイデン大統領、モディ首相、岸田総理大臣を迎えることを楽しみにしている」と述べました。
   クアッド首脳会合終え 岸田首相会見
日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合を終えた岸田総理大臣は記者会見しました。ロシアによる軍事侵攻が続く中、中国などを念頭に、力による一方的な現状変更をいかなる地域でも許してはならないという認識を共有したと強調し、4か国のさらなる連携強化を図る考えを示しました。
   バイデン大統領「台湾について 政策全く変わっていない」
アメリカのバイデン大統領は、台湾有事の際、台湾防衛のために軍事的に関与する考えをきのう示したことについて記者団から改めて問われ、対応をあらかじめ明確にしないことで、中国の行動を抑止する戦略に変わりはないとしたうえで「台湾についての政策は全く変わっていない」と強調しました。
バイデン大統領 総理大臣公邸を出発(24日 16:05)
バイデン大統領は午後4時5分に総理大臣公邸を出発しました。このあと宿泊先のホテルで大使館の職員と懇談することになっています。
バイデン大統領 宿泊先ホテルに入る(24日 16:08)
バイデン大統領は午後4時8分に宿泊先の東京・港区のホテルに車で入りました。このあと、ホテル内でアメリカ大使館の職員と懇談することになっています。
   バイデン大統領 印豪首相と相次いで会談
アメリカのバイデン大統領は日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合のあとインドのモディ首相とオーストラリアのアルバニージー首相と相次いで会談し、連携を呼びかけました。
   米豪首脳会談 豪首相「地域の安全保障に重要な役割」
アメリカのバイデン大統領と初めてとなる首脳会談に臨んだオーストラリアのアルバニージー首相は、冒頭で「私の政権はアメリカとの同盟関係を重視していく。私たち両国は地域の安全保障のために非常に重要な役割を果たしてきた。私たちの友情をさらに強化していきたい」と述べました。
   米印首脳会談 インド首相「同じ価値観持ち 共通の利益守る」
アメリカのバイデン大統領との首脳会談に臨んだインドのモディ首相は、冒頭で「私たちはインド太平洋地域について同じ価値観を持ち、共通の利益を守るため取り組んでいく。クアッドとIPEFはそれに弾みをつけるものだ。インドとアメリカの友情が世界の平和と安定につながると確信している」と述べました。
日豪首脳会談 始まる(24日 17:00前)
岸田総理大臣とオーストラリアのアルバニージー首相との首脳会談が、午後5時前、東京・港区の迎賓館で始まりました。
バイデン大統領 宿泊先ホテルを出発(24日 17:16)
バイデン大統領は午後5時16分に宿泊先の東京・港区のホテルを車で出ました。このあと港区のアメリカ軍基地「ハーディー・バラックス」でヘリコプターに乗り込み、横田基地へ向かうことになっています。
   豪首相「ソロモン諸島について議論」
クアッドの首脳会合のあとオーストラリアのアルバニージー首相は、記者団に対し「オーストラリアの新しい首相として、気候変動に対する新たな政権の方針を説明し、各国から歓迎を受けた。気候変動は環境や経済だけでなく、国の安全保障のためにも重要だ」と述べ、新政権として気候変動対策を重視する考えを各国と共有したことを明らかにしました。またアルバニージー首相は「中国が太平洋地域で影響力を拡大させようとしている問題も含め、ソロモン諸島について議論した」と述べ、南太平洋のソロモン諸島が4月、中国と結んだ安全保障に関する協定について、各国と議論したことを明らかにしました。そのうえで「中国が明らかに影響力を拡大させようとする中、この地域で共有する価値観をどのように推し進めていくことができるか話し合った」と述べ、中国に対抗するためにもインド太平洋地域でクアッドの連携が重要だとの認識を示しました。
バイデン大統領 ハーディー・バラックスに到着(17:30ごろ)
バイデン大統領は、午後5時半ごろ、東京・港区のアメリカ軍基地「ハーディー・バラックス」に到着しました。このあと、ヘリコプターでアメリカ軍横田基地に向かう予定です。
バイデン大統領 ハーディー・バラックスを出発(24日 17:35)
バイデン大統領は、午後5時35分、東京・港区のアメリカ軍基地「ハーディー・バラックス」をヘリコプターで出発しました。このあと、アメリカ軍横田基地に向かうことになっています。
   クアッド首脳会合 共同声明を発表
日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合のあと共同声明が発表されました。中国を念頭に、現状を変更し、地域の緊張を高めるあらゆる威圧的で一方的な行動に強く反対するとしています。共同声明では、4か国の首脳が「包括的で強じんな自由で開かれたインド太平洋」への揺るがない関与を新たにすると表明した上で、深刻な世界規模での困難の時代に4か国が「善を推進する力」であることを示すとしています。そして、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアを名指しした形での非難を避ける一方、◇自由や法の支配、◇主権と領土の一体性、◇武力による威嚇や行使、◇現状を変更しようとするいかなる一方的な試みに訴えることなく紛争を平和的に解決することなどインド太平洋地域や世界の平和、安定、繁栄に不可欠な原則を強く支持するとしています。
日豪首脳会談終わる(24日 18:00すぎ)
岸田総理大臣とオーストラリアのアルバニージー新首相との首脳会談は、1時間あまり行われ、午後6時すぎに終了しました。会談では、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携などをめぐり意見が交わされたものとみられます。アルバニージー首相は、冒頭で「私たちは、自由で開かれた平和なインド太平洋地域を維持していくという価値観を共有し、防衛や安全保障の分野での連携を強化している」と述べました。そして、今後さらに協力を進めたい分野として 、LNG=液化天然ガスや、製造の過程で二酸化炭素を出さない「グリーン水素」、それにオーストラリアが導入を検討している高速鉄道を挙げました。そのうえで「オーストラリアでは、政権が変わったが、外交政策の基本姿勢は変わらない。私たちは共通の利益のある分野でさらなる連携を続けていく」と述べました。
バイデン大統領 米軍横田基地に到着(24日 18:05ごろ)
バイデン大統領を乗せたヘリコプターは午後6時5分ごろ、東京のアメリカ軍横田基地に到着しました。このあと、大統領専用機で横田基地を出発し、帰国の途につきます。
バイデン大統領 米軍基地を出発 帰国の途に(24日 18:00すぎ)
日本を訪れていたアメリカのバイデン大統領は一連の日程を終え、先ほど午後6時すぎ、大統領専用機で東京のアメリカ軍横田基地を出発し、帰国の途につきました。
日印首脳会談始まる(24日 18:30前)
岸田総理大臣とインドのモディ首相との首脳会談が、午後6時半前、東京・港区の迎賓館で始まりました。
   バイデン大統領 拉致被害者の家族との面会について投稿
バイデン大統領はけさ、ツイッターに、北朝鮮に拉致された被害者の家族と面会したことについて投稿しました。この中で、大統領は「きのう、数十年前に北朝鮮に拉致された人たちの家族に会った。話を聞いて胸が張り裂ける思いだ。北朝鮮に対し、この歴史的な過ちをただし、いまだ行方がわかっていない12人の日本人について全容を明らかにするよう求める」としています。きのうの面会のあと被害者の家族が行った記者会見では、バイデン大統領がいすに座っていた横田めぐみさんの母親の早紀江さんにひざをついて語りかけたことや、出席したすべての家族に直接、ことばをかけたことが明らかになっています。
   菅 前首相「対面で会議できたこと よかった」
去年9月に総理大臣としてワシントンで開かれたクアッドの首脳会合に出席した自民党の菅・前総理大臣は東京都内のホテルでインドのモディ首相と会談したあと記者団に対し、「今回のクアッドが非常にうまくいったという報告を受けた。ロシアがウクライナに侵攻している状況の中で、それを一刻も早くやめさせなければならないというのは一緒だと思うので、対面で会議をできたことはよかった」と述べました。また、菅氏はモディ首相との会談では、日本とインドの観光振興などをめぐって意見を交わしたと説明しました。
   安倍 元首相「タイミングも意義も極めてよかった」
東京都内でインドのモディ首相と会談し、総理大臣在任中に日米豪印4か国の連携強化にともに取り組んできた自民党の安倍・元総理大臣は記者団に対し、「ロシアによるウクライナへの侵略を受け、インド太平洋地域の民主主義国家である4か国が日本に集まり、世界に向けて、地域の平和と安定に責任を果たしていく意思を示したことは、タイミングも意義も極めてよかった」と述べました。
日印首脳会談終わる(24日 19:30ごろ)
岸田総理大臣とインドのモディ首相との首脳会談は、午後6時半ごろから1時間あまり行われ、午後7時半ごろ終了しました。両首脳は、厳しい国際情勢の中、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取り組みを促進していくことが重要だという認識で一致したほか、新たな経済連携IPEF=インド太平洋経済枠組みを、地域に実体的な利益をもたらす枠組みとするべく連携していくことを確認しました。また、二国間関係をめぐっては、延期となっている初の戦闘機の共同訓練の早期実施に向けて調整を進めていくことで一致したほか、両国の外務・防衛の閣僚協議「2プラス2」を早期に開催することも確認しました。また、経済安全保障分野での共通の課題への取り組みを強化していくことを確認しました。会談のあと、両首脳はおよそ1時間、夕食会を行いました。
中国外務省 北京の日本大使館に強い不満伝える(24日夜)
中国外務省は、日米首脳会談や、日米豪印4か国の枠組み、クアッドの首脳会合の内容をめぐって、中国に関わる誤った言動などがあったとして、幹部が24日夜、北京にある日本大使館の志水史雄特命全権公使と緊急に面会し、強い不満と深刻な懸念を伝えたと発表しました。これに対して日本側は、中国側の申し入れは受け入れられないと反論したうえで、一方的な中国側の行動に懸念を表明し、適切な行動を強く求めたということです。 
 
●QUAD クアッド 1
[クアッド] 日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国で安全保障や経済を協議する枠組み。首脳や外相の会合がある。英語で「4つの」を意味する「Quad(クアッド)」との通称が定着した。4カ国はインド洋と太平洋を囲むように位置し、自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観をもつ。
中国が経済だけでなく軍事面でも力を増し、積極的に海洋進出するなど脅威になっていることに対応する。4カ国の軍事・防衛費の合計は中国の4倍弱、名目国内総生産(GDP)は2倍ほど。北大西洋条約機構(NATO)のような軍事同盟ではないものの、過去に4カ国で合同軍事演習も実施した。
クアッドの構想は安倍晋三首相が2006年に4カ国で戦略対話を訴えたのを契機に膨らんだ。第2次安倍政権発足後、17年に局長級会合、19年に外相会談を開き、21年3月に初めてオンラインで首脳協議が実現した。22年前半に対面による首脳会議を東京で開く予定だ。
「クアッド」(Quad)は、「Quadrilateral Security Dialogue(4カ国安全保障対話)」の略。  
 
●QUAD クアッド 2
クアッドとは
クアッドは、自由や民主主義、法の支配といった基本的価値を共有する日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国の枠組みです。2004年のインドネシア、スマトラ島沖の巨大地震と津波の被害に対する国際社会の支援を4か国が主導したことをきっかけに、2019年に初めての外相会合が開かれました。
中国が覇権主義的な動きを強めていることもあって、バイデン大統領はこの枠組みを重視。去年3月にはオンライン形式で、その半年後には対面での首脳会合が開かれました。対面での会合はそれ以来で2回目となります。
一方、4か国の動きについて、中国外務省の報道官は「クアッドは時代遅れの冷戦思考に満ちており、軍事的な対抗の色彩が強く、時代の流れに逆行し、人々の支持を得られない」とけん制しています。
5月24日 東京で開催
今回のクアッド首脳会合は5月24日に東京で開催されます。
これを前に総理大臣官邸のホームページに開設された特設サイトでは、クアッドの首脳がこれまでに対面で1回、オンラインで2回開いた会合の内容や、それぞれの会合で出された共同声明などが紹介されています。
内閣広報室によりますと、国内で開かれる国際会議で総理大臣官邸のホームページに特設サイトを立ち上げたのは、G7=主要7か国とG20=主要20か国の首脳会議以外では初めてだということです。
警視庁は都内の各地で警戒を強化しています。
19日は会場や大使館の周辺などで車両検問を行いました。
警視庁は、クアッドの首脳会合が開かれる24日にかけて、検問の実施場所を増やすなど警戒をさらに強化することにしています。
今回の首脳会合の焦点は
今回の首脳会合で、4か国は、幅広い分野での連携を強化する方針で一致する見通しです。これまで、ワクチンをはじめとする新型コロナ対策、気候変動、宇宙、サイバー、インフラ、重要・新興技術の6分野で作業部会を立ち上げていて、それぞれの進捗状況を確認し、さらなる協力に向けた話し合いが行われるものとみられます。
地域情勢をめぐっても意見が交わされ、覇権主義的な動きを強める中国などを念頭に、法の支配に基づく国際秩序を維持するとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取り組みをいっそう推進していく方針を確認する見通しです。
さらに、弾道ミサイルの発射を繰り返し、長距離弾道ミサイルの発射や核実験に踏み切る可能性が指摘されている北朝鮮への対応でも、連携を確認するものとみられます。
一方、ウクライナ情勢をめぐっては、人道支援のあり方などについて意見が交わされる見通しです。岸田総理大臣は、3億ドルの追加の借款など日本の対応を説明し、G7=主要7か国などと連携しながらウクライナへの支援を継続する方針を強調することにしています。ただ、インドは、ロシアと伝統的な友好関係にあり、国連でのロシアに対する非難決議案の採決でも棄権するなど、ウクライナ情勢をめぐる立場が異なっています。このためロシアによるウクライナへの軍事侵攻も念頭に世界のいかなる地域でも力による一方的な現状変更は認められないという認識を共有できるかが焦点の1つとなります。
共同声明で中国念頭に海洋秩序への挑戦に対抗を明記へ
今回のクアッド首脳会合では、議論の成果を盛り込んだ共同声明が発表される見通しです。自由で開かれたインド太平洋への強固な関与を確認し、中国を念頭に、ルールに基づく海洋秩序への挑戦に対抗していく方針を明記する方向で調整が進められています。
共同声明には、自由で開かれたインド太平洋への4か国の強固な関与を確認し、自由や法の支配に加え、主権と領土の一体性などの原則を強く支持するとともに、これらの原則をほかの地域でも推進する立場が盛り込まれる方向です。
そのうえで、地域情勢に関して、中国が海洋進出の動きを強めていることを念頭に、ルールに基づく海洋秩序への挑戦に対抗し、国際法を順守する重要性を明記することが検討されています。
また北朝鮮をめぐって、朝鮮半島の非核化や、拉致問題の即時解決の必要性を確認し、情勢の不安定化をもたらす核・ミサイル開発を非難する見通しです。
共同声明ではインド太平洋地域での協力の在り方も盛り込まれ、今後5年間でインフラ整備へのさらなる支援や投資を行う方針や、気候変動問題に対応する新たな枠組みの立ち上げ、それに日米豪印4か国の衛星データを各国に提供するなど宇宙分野の協力の仕組みの創設などが盛り込まれる見通しです。
オーストラリアと日本の関係は
日本とオーストラリアは、中国による覇権主義的な行為や海洋進出の脅威に対する懸念を共有し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指しています。
このため、防衛技術の共同研究や、自衛隊とオーストラリア軍による共同訓練などを通じ、安全保障面での連携を加速してきました。
ことし1月に、両国の首脳は、共同訓練の際に互いに部隊を派遣しやすいよう、法的地位や手続きなどをあらかじめ取り決めておく「円滑化協定」に署名しました。
さらに、両政府は、サイバーや宇宙分野といった、より幅広い防衛分野や、サプライチェーンを含めた経済安全保障面まで連携を広げるための新たな共同宣言の発出に向け、作業を進めています。
一方、中国は先月、南太平洋のソロモン諸島と安全保障に関する協定を結び、インド太平洋地域への影響力を強めようとする動きを見せていて、日本としては、日豪両国の結束をさらに強固にしたい考えです。
労働党アルバニージー党首が首相就任 クアッド会合出席へ
オーストラリアで21日行われた総選挙で、議会下院で第1党となる見通しになった労働党のアルバニージー党首が23日、連邦総督の前で宣誓を行い、首相に就任しました。
21日の選挙の開票作業はまだ続いていますが、公共放送のABCなど地元メディアはアルバニージー氏率いる労働党が下院で第1党となることが確実になったとしていて、オーストラリアでは9年ぶりに政権が交代し、労働党政権が発足することになりました。
首相に就任したアルバニージー氏はこのあと日本に向かい、24日、東京で行われる日本、アメリカ、オーストラリアそれにインドの4か国の枠組み「クアッド」の首脳会合に出席する予定です。
インドと日本の関係は
日本は、14億近い人口を擁し、経済成長を続けるアジアの大国、インドを特別な戦略的パートナーと位置づけています。首脳による相互往来も10年以上続いています。
モディ首相の今回の日本訪問は、ことし3月の岸田総理大臣のインド訪問を受ける形となり、首相としての来日は、5回目です。
日本は、インドとの間で、経済や開発面での結びつきだけにとどまらず、中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指して、外務・防衛の閣僚協議「2プラス2」を設けるなど、安全保障面での協力強化も図っています。
また、ウクライナ情勢をめぐっても、自由や民主主義などの価値観を共有するパートナーとして、2国間やクアッドなどを通じ、連携を強めたい考えです。
ただ、ウクライナ情勢をめぐっては、両国の立場が異なることから、今回、どのようなやりとりが交わされるかも注目されます。
去年のクアッドは
去年のクアッド首脳会合は9月25日にアメリカの首都ワシントンのホワイトハウスで開かれ、日本から菅総理大臣(当時)、アメリカのバイデン大統領、オーストラリアのモリソン首相、インドのモディ首相が出席しました。対面で行われるのはこのときが初めてでした。
4人の首脳は覇権主義的な行動を強める中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて基本的価値を共有する4か国のコミットメントを再確認し、引き続きさまざまなパートナーとの連携を広げ、具体的な協力を積み上げていくことで一致しました。
また新型コロナウイルス対策で、ワクチンの生産拡大やインド太平洋地域への供給を含め協力していくことを確認しました。
さらに、インフラや宇宙、サイバー、クリーンエネルギーなどの分野でも協力を強化していくことで一致し、高速大容量の5Gなどの重要技術についても技術の設計や開発、利用などの原則に関する声明を採択し、連携をさらに強化することになりました。
一方、気候変動の問題で菅総理大臣は、アメリカが主導する「メタン」の世界的な排出量を削減する取り組みへの参加を表明しました。
そして、4人の首脳は協力のさらなる発展に向けて首脳会合を毎年行うことで合意しました。
東シナ海や南シナ海の情勢をめぐり、菅総理大臣は中国を念頭に、力を背景とした現状変更の試みに深刻な懸念を表明し、4人の首脳は国際法をはじめとするルールに基づく海洋秩序への挑戦に対応するため、連携していくことを確認しました。
菅総理大臣は香港や新疆ウイグル自治区の状況に懸念を表明したほか、台湾をめぐる問題についても「台湾海峡の平和と安定は重要だ」とする日本の立場を伝えました。
北朝鮮に対しては、4人の首脳は国連安保理決議の義務に従い、挑発行動を控えるとともに、実質的な対話を行うよう求めることで一致しました。
さらに、中国や台湾がTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入を申請したことを踏まえ、インド太平洋地域の今後の国際秩序の在り方をめぐっても意見を交わしました。
一方、菅総理大臣は首脳会合の冒頭、アメリカが東京電力福島第一原子力発電所の事故のあとから続けていた日本の食品の輸入規制を撤廃したことについて「東日本大震災の復興を後押しする大きな一歩だ」と述べ、バイデン大統領に謝意を伝えました。
そして首脳会合のあと、議論の成果を盛り込んだ共同声明などが発表されました。 
 
●日米豪印「クアッド」首脳会談、ウクライナ戦争や中国への懸念に言及 5/24
日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国からなる「クアッド」は24日、東京で首脳会談(サミット)を行った。新型コロナウイルスのパンデミックやウクライナでの戦争で世界が揺らぐ中、「自由で開かれたインド太平洋への揺るがないコミットメント」を共同声明で表明した。
アメリカのジョー・バイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻によって世界は「共有する歴史において暗い時代を生きている」と語った。その上で、国際秩序を守る重要性が増していると述べた。
日本の岸田文雄首相もこれに呼応し、アジアで同様の侵攻があってはならないと述べた。
クアッド首脳会談は、バイデン大統領の就任後初の訪日に合わせて開催された。バイデン氏、岸田首相、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相、インドのナレンドラ・モディ首相が出席した。
会談では、中国のインド太平洋地域での影響力拡大などを含む安全保障や経済上の懸念が話し合われた。一方で、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる意見の不一致も見られた。
バイデン氏は23日の岸田首相との共同記者会見でも、中国が台湾をめぐって「危険をもてあそんでいる」と警告するとともに、台湾が攻撃された場合は防衛のために軍事介入すると明言した。
これは、アメリカの長年の政策と矛盾する方針のようにみえるが、ホワイトハウスは、これまでの政策から離れたわけではないと主張した。
サミットの冒頭でバイデン氏は、今回の会談のテーマは「民主主義対独裁主義であり、我々は成果を出さなければならない」と話した。
また、ロシアがウクライナで穀物の輸出を妨げ、世界的な食糧危機が悪化している状況を受け、ウクライナでの戦争は「世界のあらゆる地域に影響を及ぼすだろう」と述べた。
その上で、アメリカは同盟国と協力して世界的な対応を主導すると約束。世界の国際秩序と主権を、「どこで侵害されたかにかかわらず」守り、インド太平洋地域における「強力かつ永続的なパートナー」であり続けるという決意をあらためて表明した。
岸田首相は会談後、「インドも参加する形で」クアッド4カ国が法の支配や主権、領土の一体性の重要性について合意したと説明。「力による一方的な現状変更」を許してはならないと述べた。
インドはクアッドの中で唯一、ロシアの侵攻を直接的に非難することを拒否している。
共同声明では、インド太平洋地域での新たな海洋状況把握イニシアティブを発表したほか、次の5年間に、500億ドル(6兆3700億円)以上のインフラ支援及び投資を行うと述べた。
また、気候変動やサイバーセキュリティーへの取り組み、重要・新興技術の促進、4カ国によるフェローシップ制度の創設、宇宙開発支援なども盛り込まれた。
クアッドとは? なぜ中国を懸念?
「クアッド」(Quad)は、「Quadrilateral Security Dialogue(4カ国安全保障対話)」の略。2004年のスマトラ島沖大地震で津波が発生したことを受け、協力して人道・災害支援を行ったことがきっかけで始まった。その後、有名無実化していたが、2017年後半に復活した。
それから2年もたっていないが、4カ国の首脳が集ったのは今回で4回目となった。昨年9月に米ワシントンでサミットを開催したほか、バーチャル会議を2回行っている。
アナリストらは、ここ数年で、クアッド各国と中国との二国間関係が徐々に低下していることが、このグループに弾みをつけているようだとみている。
中国は、インド洋や南シナ海で複数の国と海洋紛争を抱えているほか、インドとは国境で争っている。そのためこの地域では、自己主張を強める中国への不快感が高まっている。
オーストラリアは、中国政府の海軍強化のための多額の投資や、ソロモン諸島と安全保障協定に懸念を示している。日本は、領海内への中国海軍の日常的な「侵入」に警戒を強めている。
バイデン大統領は23日、アジア太平洋地域の成長促進を目的とした、アメリカ主導の「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を発表。これにはクアッドの3カ国を含む、アジアを中心とした13カ国が参加している。
アメリカのジーナ・レモンド商務長官は、IPEFについて、「中国のアプローチの代わりとなるもの」を提供すると説明。貿易、サプライチェーン、クリーンエネルギー、インフラ、税務、腐敗防止などの分野で基準を設けるという。
アメリカはドナルド・トランプ前政権時代の2017年、地域貿易協定である環太平洋パートナーシップ(TPP)から突然離脱した。IPEFは、アメリカがインド太平洋に再関与するための方策と広く受け止められている。 
 
●対中包囲網「大きな意義」と岸田首相強調 インドに配慮、ロシア名指しせず  5/24
日本と米国、オーストラリア、インドの4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会合が24日、首相官邸で開かれた。インド太平洋地域で軍事的な緊張をもたらしている中国をにらんで「現状を変更し、地域の緊張を高めようとする威圧的、挑発的、一方的な行動に強く反対する」とする共同声明を発表。ロシアのウクライナ侵攻に関しては、軍事的なつながりが深いインドに配慮し、直接的な非難を避けた。(山口哲人)
共同声明では、中国の海洋進出や東・南シナ海での軍事拠点化を念頭に、法の支配、民主的価値、航行・上空飛行の自由などを列挙した上で「いずれもインド太平洋地域及び世界の平和、安定などに不可欠な原則」と明記。力による一方的な現状変更を許さないという認識で一致した。
議長を務めた岸田文雄首相は記者会見で「特定の国を対象にしたものではない」としつつも、中国に対抗する内容の共同声明について「4カ国の首脳がメッセージを一致して世界に発信できたことは大きな意義がある」と述べ、対中包囲網の成果を強調した。
会合には首相のほか、バイデン米大統領、オーストラリアのアルバニージー、インドのモディ両首相が出席。発展途上国が抱える中国からの過剰債務問題を踏まえ、「債務の持続可能性と透明性を促進することにより、問題に対処する必要がある国々の能力強化に取り組む」と確認。中国が経済的な影響力を強めるのを防ぐ狙いで、インド太平洋地域のインフラ整備で今後5年間に500億j(約6兆3800億円)以上の支援や投資をする方針を共有した。
ウクライナについては「悲劇的な紛争が激しさを増す」と表現し、人道危機が進行中だという認識も示したが、ロシアへの名指し批判をしなかった。核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対しては、挑発行為を控えて実質的な対話に応じるよう求めた。
対中抑止政策を巡っては、バイデン氏が23日の記者会見で、台湾有事への軍事介入について「それがわれわれの約束だ」と明言。米軍の対応を明確にしない「あいまい戦略」の修正を示唆している。  
 
●中国に対抗、6兆円インフラ支援 5/24
日本、米国、オーストラリア、インドは24日、4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会合を首相官邸で開催した。「自由で開かれたインド太平洋」実現に向け、今後5年間で同地域のインフラ整備に500億ドル(約6兆3800億円)以上の支援や投資を目指す方針で合意。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」をにらみ、債務問題に直面する発展途上国を支援、中国に対抗する姿勢を示した。一方、共同声明ではウクライナ侵攻を続けるロシアへの名指し批判をしなかった。
ウクライナでの「悲劇的な紛争」と表現し、主権や領土一体性の尊重、平和的解決の重要性を強調するにとどめた。 
 
●“インドも”ウクライナ侵攻を懸念…QUAD首脳会合の成果強調 岸田総理 5/24
日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4カ国による枠組み『QUAD(クアッド)』の首脳会合が24日、東京都内で開かれ、中国への対応などで緊密に連携していくと一致しました。
対面では2回目となるQUAD首脳会談ですが、今回はタイミング的に特別な意味を持ちます。
岸田総理:「昨年9月の会合以降、我々が重視する法の支配に基づく国際秩序を、根底から揺るがす事態が起きました。ロシアによるウクライナ侵略は、国連憲章でもうたわれている諸原則への真っ向からの挑戦です」
アメリカ、バイデン大統領:「国際秩序の基本原則、領土保全、国家の主権、国際法、そして人権は常に守られなければなりません」
軍事大国ロシアによる隣国への侵略。同じことをインド太平洋地域では起こさせないというメッセージを、4カ国共同で出すことが、今回の会談の重要な目的です。そのためか、会合の成果について、岸田総理はこう強調しました。
岸田総理:「“インドも参加”する形で、ウクライナでの悲惨な紛争について懸念を表明し、法の支配や主権および領土一体性などの諸原則は、いかなる地域においても守らなければならない、こうしたことを確認しました」
“インドと足並みがそろった”この事実こそがQUAD最大の意義といっても過言ではありません。
インド、モディ首相:「私たちは民主主義、自由、法の支配の価値観を共有しています。この枠組みが継続的にますます強く、効果的になっていると感じています」
QUADは、民主主義という“共通の価値観”をもつ4カ国が“共通の課題”に連携して対応していくための枠組みです。4カ国共通の課題は、海洋進出を進める中国。インドも国境紛争をかかえ、当事国ではありますが、他の3カ国とは事情が違います。
長年、ロシアと友好関係にあるインドにとって、中国は友達の友達のような存在です。経済的な結びつきも強く、中国とはつかず離れずの関係を続けることがインドの外交方針でした。
インド、モディ首相(2015年):「中国とインドはともに問題を解決するだけでなく、世界的な問題の解決の手助けができる」
そんななか起きたウクライナ侵攻。日米豪の3カ国は、インドをこちら側に引き込むチャンスだと考えました。
日本政府関係者:「ロシアと深い関係を続けていても良いことがないというのは、インドも分かっている。その時に我々(日米豪)がいると伝えておくだけでも大きな意味がある」
インドにとってQUADは、どんな意味を持つのでしょうか。
インド外交に詳しい防衛大学校、伊藤融教授:「『もし中国が我々インドに対して軍事攻勢を仕掛けてくるのであれば、もっと我々はQUADの連携を強めるかもしれないぞ』と見せることで、中国から譲歩を引き出す思惑もある。QUADを一つのカードとして、インドは外交上使っている。インドは冷戦時代に、ソ連とアメリカの軍事ブロックのどちらにも入らない“非同盟”のポジションを取ってきた。自分たちの独立、国家として自立性を維持するための戦略。しかしながら、QUADという緩やかな形での枠組み、連携を政治・経済・海洋の安全保障等での枠組みに関与することで、中国をけん制するという意図がある」
中国にとって捨て置ける話ではありません。先週、QUADに先んじるかのように、中国・ロシア・インドなどによる枠組みBRICS(ブリックス)の外相会議を開催。加盟国をさらに増やしていくという共同声明も出されました。
さらに24日、中国政府は、王毅外相が26日から、太平洋の島嶼国8カ国を歴訪することを突如、発表しました。歴訪国の1つ、ソロモン諸島は、台湾と断交し、中国と国交を樹立した国です。
千々岩森生中国総局長:「王毅外相の8カ国歴訪は、QUADへの対抗策。中国政府内でよく聞くキーワードが“アジア版NATO”。中国はインド太平洋地域でNATOのような枠組みが作られて“中国包囲網”が構築されないか神経をとがらせている。また、インドは中国にとっても難敵。中国はQUADへのインドの参加を苦々しく思いつつも、それでも強い批判は避けて、インドへの気遣いすら感じられる」
 
●QUAD首脳会合開催、「自由で開かれたインド太平洋」構築へ 5/24
日米豪印4カ国の協力の枠組み「QUAD(クアッド)」の首脳会合が24日、東京の首相官邸で行われた。各国首脳は互いの関係を称賛するとともに、「自由で開かれたインド太平洋」を築くという目標について改めて確認した。
米国のバイデン大統領は会合の冒頭、ロシアによるウクライナ侵攻を非難し、米国としてウクライナ政府を支援する姿勢を改めて示した。
そのうえで、ウクライナでの戦争は人道上の大災害を引き起こしたと指摘。ロシア軍がウクライナの学校や教会、博物館を標的にしていることに触れ、ロシアのプーチン大統領は「文化の根絶を図っている」と警告した。
21日の総選挙を制し、23日に就任宣誓を済ませたばかりのアルバニージー豪首相は、新政権の優先事項がQUADの政策課題に沿ったものであると強調。具体的には気候変動への取り組み、より強大かつ強靱(きょうじん)なインド太平洋地域の構築を挙げた。
岸田文雄首相は、会合の焦点としてウクライナでの戦争に言及。法に基づく国際秩序が根底から揺るがされたと危機感を示すとともに、同様の事象を決してインド太平洋地域で起こしてはならないと強調した。
モディ印首相はウクライナでの戦争には触れず、新型コロナウイルスワクチンの供給や気候問題対策、サプライチェーン(供給網)の強靭化といった分野での「相互協力」の重要性を語った。同氏はこれまでのところ、ロシアの侵攻に対する非難や制裁の実施を拒否している。
この後、4首脳は4カ国の学生を対象とする教育プログラムやワクチン供給での提携、宇宙を基点にした地球観測データの共有など数々の新構想を明らかにした。このうちデータ共有には、米国のプログラムによる海洋・大気のモニタリング、洪水マッピングなどのデータが含まれる。 
 
●日米豪印会談 重層的な協力担う日本の役割  5/25
朝鮮半島から日本、インド太平洋に及ぶ広大な地域の安全保障などの課題について、関係国の首脳が協力体制を確認したことを歓迎したい。
一連の主要な会談が東京を舞台に開かれたことが示すように、重層的な協力の中核として日本が果たす役割は大きい。
日米豪印4か国の枠組み「クアッド」の首脳会談は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、様々な分野で協力を進めることで合意した。
対面での首脳会談は、昨年9月以来2回目だ。豪州のアルバニージー新首相も、前政権の方針を踏襲して出席した。
岸田首相は「ロシアによるウクライナ侵略は、国連憲章の諸原則への真っ向からの挑戦だ。インド太平洋で同じようなことを起こしてはならない」と語った。
共同声明では、ウクライナ危機について、国家主権と領土の一体性の重要性を指摘したうえで、「全ての国が国際法に従って紛争の平和的解決を追求しなければならない」と強調した。
ロシアを名指しで非難しなかったのは、伝統的に友好関係を保ってきたインドに配慮したものだ。インドは今回も先進7か国(G7)と一線を画し、直接のロシア批判を避けている。
ただ、国際情勢が不安定化するのはインドにもマイナスとなる。G7が主導する対露制裁の抜け穴とならないよう、日本は粘り強く働きかけを続けるべきだ。
中国は東・南シナ海で覇権主義的な行動を強め、 島嶼とうしょ 国などへの影響力も拡大している。
共同声明が「ルールに基づく海洋秩序に対する挑戦に対抗する」として、国際法の順守や航行・上空飛行の自由の維持を強調したのは、中国への 牽制けんせい となろう。
4か国は、東南アジアなどを想定し、インフラ分野で500億ドル以上の支援を目指すことを打ち出した。援助に関する日本の知見を生かし、質の高いインフラ整備を進めることが大切だ。
中国との競争が激化している先端技術についても、高速・大容量通信規格「5G」に関して4か国の協力を深めていく方針だ。
4か国は既に感染症対策や防災などで途上国支援に取り組んでいる。さらに協力できる分野を広げ、他国の発展に貢献することがインド太平洋の安定につながろう。
英国やフランス、ドイツなどもこの地域への関心を高めている。欧州とも意思疎通を図り、具体的な成果を積み上げたい。 
 
●対ロシアでは温度差くっきり 日米豪印首脳会合 「中国包囲網」強調の陰で  5/25
24日に開かれた日本、米国、オーストラリア、インドの協力枠組み「クアッド」首脳会合の共同声明は、力による一方的な現状変更への非難や、東・南シナ海を含む航行の自由に対する挑戦に対抗することを明記し、中国を強く警戒する内容になった。岸田文雄首相は4カ国の足並みがそろったことを自賛したが、ウクライナ侵攻を続けるロシアとの距離感では温度差も見えた。
「極めて大きな意義」
「力による一方的な現状変更を、いかなる地域でも許してはならない。自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、力を尽くしていくとの4人のコミットメント(関与)を力強く発信できたことは極めて大きな意義がある」
岸田首相は議長国として臨んだ首脳会合後の記者会見で成果を繰り返し強調した。共同声明では中国の名指しこそ避けたが、法の支配や民主的価値などがインド太平洋地域の平和と安定に不可欠な原則であることへの「強い支持」を表明。軍事力を背景に中国が海洋進出を活発化させる「東・南シナ海」を指し、ルールに基づく海洋秩序への挑戦に対抗すると打ち出した。
日米両国は23日の首脳会談でも、同盟強化を通じた中国抑止の姿勢を鮮明にした。オーストラリアとインドを加えた枠組みで「中国包囲網」を印象づけた。バイデン米大統領は首脳会合で「中国の指導者から『なぜ(バイデン氏は米国が)インド太平洋の大国と言うのか』と聞かれたが、実際に太平洋に面している。だから皆さんと連携してきた」とアピールした。
深入り避けるインドの「中立外交」
一致点を見いだしづらいのが対ロシア。特に、歴史的に友好関係を保つインドには違いがある。首脳会合の冒頭発言で、岸田首相とバイデン氏がロシアのウクライナ侵攻を批判したのに対し、インドのモディ首相は一切触れず、共同声明も「ウクライナでの悲劇的な紛争が激しさを増す中、われわれは揺るがない」などの表現にとどまった。
インドのクワトラ外務次官は首脳会合に先立つ記者会見で、ウクライナ侵攻に関し「われわれの立場は明確で、何度も繰り返し述べてきた」と強調。即時停戦と対話は求めるが、深入りを避ける姿勢を説明した。現地メディアが報じた。
インドは非同盟中立の立場だが、冷戦期の旧ソ連時代から武器調達などを通じ、安全保障分野でロシアと深い関係を築いてきた。国境紛争がある隣国パキスタン、約3400キロの国境を接する中国をにらんだ外交戦略を最優先に位置付けており、過去には緊張が高まった際にロシアを後ろ盾にしてきた。国連の非難決議や制裁で米欧と協調せず、むしろロシアからの原油輸入量は3、4月だけで昨年1年間を上回った。
国際関係論を専門とするインド・サウスアジアン大のラジェンドラ・ハルシェ客員教授は取材に「中国と向き合うため、大国の力関係や地理的状況を考慮し、国益をはかるインドの『中立外交』は妥当だ。遠く離れた西側諸国がインドの危機に即時対処するのは難しく、ロシアと友好関係を維持するのは、これまでの外交路線の延長にすぎない」と語った。
岸田首相も会見で「歴史的な経緯や地理的状況に鑑み、立場が完全に一致しないこともあるのは当然だ」と認めざるを得なかった。 
 
●QUAD関連話題
●バイデン氏、台湾の防衛を明言 米方針に変化か 2022/5/23
ジョー・バイデン米大統領は23日、日本での記者会見で、中国が台湾をめぐって「危険をもてあそんでいる」と警告するとともに、台湾が攻撃された場合は防衛のために軍事介入すると明言した。
バイデン氏は、米大統領になって初めてアジアを歴訪中で、地域の同盟国を訪れている。この日は東京で岸田文雄首相と会談した後、共同記者会見に臨んだ。
バイデン氏は東アジア地域の問題をめぐり、アメリカの長年の政策と矛盾する方針を示したように見えた。だが、ホワイトハウスは、これまでの政策から離れたわけではないと主張した。
バイデン氏はまた、台湾と、ロシアによるウクライナ侵攻を並列に置いた。中国はこれに怒り、強く非難した。
中国は台湾を、本土と再統一されなければならない分離された省とみなしている。
バイデン氏の発言
バイデン氏は会見で、中国と台湾の状況を、ロシアによるウクライナ侵攻と直接結びつけて発言。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領について、「ウクライナのアイデンティティーを消滅」させようとしていると述べた。
そして、ウクライナとロシアが最終的に和解し、制裁が続かなかった場合には、「台湾を武力で奪おうとすることの代償について、中国にどのようなシグナルを送るのか」と述べた。
また、中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入したとの報告が増えていることに関し、「中国軍機は現在、すぐそばを飛行し、あらゆる演習を行っており、すでに危険をもてあそんでいる」とした。
さらに、「それ(中国による侵攻)は起こらないし、試みられることもないだろうと予想している」とした。しかし同時に、「その種の行動が長期的な不支持につながることを、世界がどれだけ強く明確に示すか」にかかっていると付け加えた。
ロシアによるウクライナ侵攻では軍事行動はしなかったのに、中国が台湾を侵攻した場合は軍事的に台湾を守るのかと単刀直入に聞かれると、バイデン氏は、「そうだ(中略)それが私たちの約束だ」と答えた。
「武力で奪うことができるという考えは(中略)単純に適切ではない。それは地域全体を混乱させ、ウクライナで起きたのと似たような行動となるだろう」
ただバイデン氏は、アメリカの台湾政策は「変わっていない」と前置きした。ホワイトハウス報道官は素早く、この部分を強調した。
アメリカの曖昧戦略
中国が攻撃してきた場合、米国は台湾を守るとバイデン氏が明確にしたのは、ここ数カ月で2回目。米政権のトーンが変わったと見られている。
アメリカは中国と台湾の問題について、「戦略的曖昧さ」として知られる政策を取っている。これまでは、台湾侵攻のような状況でどのような対応をするか曖昧にしてきた。
アメリカは、台湾と正式な外交関係はないものの、兵器を輸出している。一方で中国とは正式な外交関係を維持しており、中国政府は1つしかないとする中国の「1つの中国」の立場を認めている。
中国外務省の汪文斌報道官は、「台湾は中国の不可分の領土だ」とし、譲歩の余地はないと主張。
「台湾問題とウクライナ問題は根本的に違う。それらを比較するのはばかげている。中国はアメリカに対し、『1つの中国』の原則を守るよう再度強く要求する」と述べた。 
 
●バイデン大統領 なぜいま日本に?  2022/5/21
アメリカのバイデン大統領が5月22日から24日にかけて日本を訪問します。2021年1月に就任してから初めてのアジア訪問です。いま、日本を訪問するねらいはどこにあるのでしょうか?そして、今回はなぜ、中国には行かないのでしょうか?
日本訪問の最大のねらいは?
ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が続く中でも、アメリカのインド太平洋地域への関与は揺るがないと明確に示すことにあります。ウクライナ危機で、アメリカ政府は、ヨーロッパ諸国などとともにロシアに強力な経済制裁を科し、ウクライナに多額の軍事支援をすることに力を注いできました。このことによって、中国が軍事力を背景に影響力を増すインド太平洋地域へのアメリカの関与が後回しになったり弱まったりするのではないかという懸念が関係国の間に生じていることが背景にあります。そのためにバイデン大統領は今回、日本と韓国という、信頼を置く東アジアの同盟国に足を運び、強固な同盟関係や、地域の安全保障への一貫した関与をアピールしたい考えです。
中国には今回、行かないのはなぜ?
それには深いわけがあります。まず、今世紀に入ってからのアメリカ大統領の初の日本訪問をおさらいします。意外かもしれませんが、アメリカ大統領が初の日本訪問と合わせて中国に行かないのは、この20年余りで初めてです。ブッシュ大統領の前のクリントン大統領は、1998年に中国に9日間滞在したのにもかかわらず、日本には立ち寄らず、「ジャパン・パッシング(Passing)」とやゆされたことすらありました。それと比べると、時代は大きく変わりました。その理由をひも解くには、次の米中関係の年表を見れば一目瞭然です。ニクソン大統領の訪中を境に、米中は接近していき、天安門事件を経て、アメリカは中国に関与することで、中国を国際ルールに従わせ、ともに発展しようと試みました。ところが習近平指導部の発足と相前後して、中国は軍事拡張と言論統制を一段と強めます。アメリカは中国が戦後の国際秩序に挑戦していると受け止めるようになりました。トランプ前政権は当初は中国に融和的な姿勢もとりましたが、途中から対中強硬姿勢を一気に強めました。バイデン政権はそれを踏襲。中国を「最大の競合国」と位置づけ、米中が対抗し合う時代に突入。「新冷戦」とも呼ばれるようになりました。アメリカ国内の中国に対する世論も悪化していて、バイデン大統領としてはいま、中国に足を運べば、支持を失いかねない状況なのです。
バイデン大統領は日本で何をしたいの?
中国の台頭と、アメリカの相対的な国力の低下もあって、アメリカの日本に対する期待は増しています。岸田総理大臣との首脳会談では、台湾有事の可能性も念頭に、安全保障分野での連携強化を図りたい考えです。それとともに、バイデン大統領は、アメリカの「核の傘」を含む「拡大抑止」が、強固で十分であることを再確認する方針です。
「拡大抑止」って何?
「拡大抑止」は今回の首脳会談のキーワードです。「拡大抑止」とは、同盟国に対する攻撃を自国への攻撃と見なし、もし攻撃したら報復することをあらかじめ宣言することで、相手国に攻撃を思いとどまらせるという考え方です。自国の抑止力を同盟国にも提供する形になるので、「拡大抑止」と言います。バイデン大統領としては、日本と韓国で「拡大抑止」を再確認することで、地域で広がる安全保障上の懸念の払拭(ふっしょく)をはかるとともに、中国や、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮をけん制するねらいがあります。また、「拡大抑止」の再確認は、中国軍による軍事的な圧力にさらされている台湾に対する、アメリカのメッセージになるとも考えています。
台湾へのメッセージにもなるの?
はい。実は、アメリカは台湾有事の際の対応の仕方は明確にしていません。アメリカは、台湾に対しては「あいまい戦略」と言って、中国が軍事力を駆使して台湾統一を図った場合の対応をあらかじめ明確にしないことで、中国の行動を抑止すると同時に、台湾が独立へとかじを切らないようにする戦略をとっています。そのことが、地域の安定につながると考えているからです。しかし、台湾では、アメリカがウクライナに軍を派遣しないことを早々に宣言し、外からの軍事支援に徹しているのを見て、台湾有事の際にアメリカが支援してくれないのではないかと考えている人が増えているという世論調査の結果も出ています。このためバイデン大統領が、今回、台湾と中国の「目と鼻の先」の日本で「拡大抑止」を再確認することには、そうした台湾の人たちに力強いメッセージを送るねらいもあるのです。
日米豪印のクアッド首脳会合のねらいは?
日米首脳会談の翌日、24日に行われる日米豪印の4か国からなるクアッドの首脳会合のいちばんのねらいは、インドとの関係の深化です。インドは武器の購入などを通じて歴史的にロシアとの関係が強く、ウクライナ危機を受けて、クアッドの枠組みでロシアへの圧力強化を打ち出そうとすると、インドは賛同しづらいという事情があります。このため、クアッド首脳会合では、中国を念頭に、コロナや気候変動対策、宇宙協力など4か国が一致して取り組みやすい分野で、関係をさらに深めることで、中国への圧力を強めたい考えです。
最近よく聞く「IPEF」も大事なの?
そのとおり。バイデン大統領の日本訪問の、隠れたもう一つのねらいは、そのIPEF=インド太平洋経済枠組みの東京での発表です。IPEFは「アイペフ」と読みます。Indo-Pacific Economic Frameworkの頭文字をとった新たな経済連携で、トランプ前政権時にアメリカが離脱したTPP=環太平洋パートナーシップ協定に代わる枠組みとして、バイデン政権が提唱しました。サプライチェーン=供給網の構築や国境を越えたデータ管理などで中国に対抗していくのがねらいです。ところがアメリカが参加を期待するASEAN=東南アジア諸国連合の国々の反応がいまひとつです。ASEAN諸国のなかには、アメリカの「本気度」に対する懐疑的な見方や、経済的結び付きの強い中国との関係悪化を懸念する声が少なくないからです。さらに、関税の引き下げといった目に見えるメリットが感じられないことへの不満もあります。このためバイデン大統領は今回、ASEAN諸国の間で信頼度の高い日本の後押しを受ける形で、IPEFの立ち上げに向けた協議の開始を東京で発表することで、スタートダッシュを図りたい考えです。IPEFの具体的な中身のほか、何か国が参加するのかが注目されています。 
 
●中国、ソロモン諸島と安保協定を計画 オーストラリア「裏庭」に足がかり 2022/3/30
先週後半、中国と太平洋の小国の間の安全保障協定案が、太平洋全域に衝撃を与えた。
流出した草案では、中国はソロモン諸島に軍部隊を配備し、海軍基地を設置する可能性もあるとなっていた。
これに警戒を最も強めたのが、ソロモン諸島の南に位置するオーストラリアだ。同国は、アメリカ、イギリスと構築した新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」において、太平洋地域の基盤となっている。
オーストラリア国際問題研究所のアラン・ギンジェル教授は、「この協定の詳細はまだ不明だ。しかし、心配されている軍事基地より小規模だとしても、中国にとって初の太平洋における足がかりとなるだろう」と話す。
ソロモン諸島とオーストラリアは長年、互いに関係を築いてきた。第2次世界大戦後、オーストラリアはソロモン諸島にとって最大の援助国となっており、開発パートナーでもある。そしてこれまで、安全保障上の唯一のパートナーとなってきた。
豪政府は不意を突かれて動揺したと、アナリストたちはみている。ただ、警告がなかったわけではない。豪政府は5年前、中国が「裏庭」に侵入していると感じていた。ソロモン諸島は当時、中国の融資や経済投資を促進していた。
それを受けて豪政府は「ステップアップ」政策で対抗した。「太平洋ファミリー」に注意を向け直し、援助を増やした。
だが、中国がオーストラリアと並んで安全保障パートナーとなったことは、豪政府の関与政策の失敗を明らかにしていると、アナリストらは話す。
前出のギンジェル教授は、「このようなことが起こらないようにすることが目的だったはずだ。はっきりしているのは、これがオーストラリア外交の失敗だということだ」と言う。
オーストラリアにとっての大問題というだけではない。半年前に発表されたばかりにのオーカスには、中国のインド太平洋地域における野心に対抗する目的がある。アメリカなど西側同盟の各国は、同地域が潜在的な紛争地域になることへの懸念を表明している。
何が話し合われているのか
ソロモン諸島のマナセ・ソガヴァレ首相は、中国との間で既存インフラや他のビジネスでの投資に加え、安全保障を追求する自国の権利を断固として擁護している。
「地政学的な権力争いに巻き込まれるつもりはまったくありません、議長」と、同首相は29日に議会で宣言。ソロモン諸島が「どちらかにつく」こともないとした。
流出した草案が最終的なものなのか、ソガヴァレ氏は明確にしていない。それでも、草案の内容は非常に幅広く包括的だったため、すぐに警戒心をかき立てた。
草案には、中国が海軍の艦船を「立ち寄りと移行」のために島々に派遣できる条項がある。このことが、軍事基地が作られることへの懸念を高めている。
草案はまた、中国の国民と事業を保護するためのソロモン諸島への軍隊の配備を中国に許可。ソロモン諸島は中国に対し、「警察、武装警察、軍人、その他の法執行および武装勢力」の派遣を要請できるとしている。
オーストラリアのローウィー研究所の太平洋諸島地域アナリスト、ミハイ・ソラ氏は、「中国があらゆる種類の人員を派遣する可能性があるのに、(中略)派遣の範囲や軍隊の権限が明確にされていない」と述べた。
ソロモン諸島にとっての唯一の、もう一方の安全保障協定であるオーストラリアとの協定と比べ、今回の草案ははるかに広い範囲をカバーしている。
オーストラリアとの協定は、主に平和維持に関するものだ。オーストラリアはソロモン諸島から要請があった場合、軍部隊を急派できる。ソロモン諸島は長く、暴力的な政情不安の歴史をもつ。
昨年、ソロモン諸島の首都ホニアラで大規模な暴動が発生した際には、この協定が再び適用され、オーストラリアが軍を派遣した。ニュージーランド、フィジー、バヌアツも軍を送り込んだ。
中国の「戦略な切り込み」
中国との安全保障協定案は、この地域のバランスを変える可能性がある。
「安全保障協定は文言以上の意義がある。国同士の緊密さ、協力関係、信頼を暗に示している」とソラ氏は言う。
太平洋における中国の軍事的存在感は、何十年にもわたって地域で享受されてきた「穏やかな」環境を完全に打ち壊すことになる。そうした環境は現在、オーストラリア、ニュージーランド、太平洋諸島フォーラムの各国が集団で保っている。
オーストラリアは、「この地域の安定と安全が損なわれる」可能性について懸念を表明。ニュージーランドは、「地域の潜在的な軍事化」に反対している。
アナリストらは、オーストラリアのすぐ近くまで迫っている中国について、恐れるべきは侵略ではないとしている。それよりも、中国による情報収集や監視の強化など、直近の短期的な懸念があるという。
南太平洋の足がかりとなる小規模の中国軍の存在ですら、オーストラリアには懸案であり、軍事資源の流出につながる可能性がある。
「ソロモン諸島にある中国基地が紛争の際にどんな貢献をするのかという問題ではない。そんな次元の話ではまったくない」とソラ氏は話した。
「ある地域に軍事的な存在感が確立すれば、その地域は排除され、他の国からのアクセスも排除されてしまう」
最悪のシナリオは、南シナ海の力学の緊張がエスカレートすることだと、ソラ氏は述べた。中国はすでに、領有権が争われている海域で人工島を建設し、そこに軍事施設を設置。他国の海軍や空軍の通行を拒否している。
「オーストラリアと他の太平洋諸国はこれまで、太平洋の穏やかな海域にあって、自由な移動を享受してきた」
「この協定は、その競争に明確かつ厳しい戦略的な切り込みを入れてきた」 
 
●中国の「漁船」船団が南シナ海に集結 フィリピンが非難 2021/3/22
フィリピン政府は21日、南シナ海の領海に約220隻の中国の船が集結し、主権が侵害されているとして、船団を撤退させるよう中国に求めた。
フィリピンのデルフィン・ロレンザーナ国防相は、中国船がフィリピンの海洋権益を侵していると主張。
「中国に対し、こうした侵入をやめ、私たちの海洋権益を侵し、領海を侵害している船を直ちに引き上げるよう求める」と述べた。
また中国について、「関係海域を軍事化する挑発行為」をみせていると非難した。
フィリピン政府は、漁船は漁をしているようには見えず、中国の海上民兵が乗船しているとしている。
一方、中国当局は外国メディアのコメント取材にすぐには応じなかった。
中国の主張
今回の現場海域をめぐっては、中国が90%以上の領有権を主張しているが、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は5年前、その主張を退けた。
中国の領有権の主張に対しては、フィリピンのほか、ブルネイ、マレーシア、台湾、ヴェトナムも争っている。この問題では近年、緊張が高まっている。
中国はこの海域「九段線」と呼び、人工島の建設やパトロールをすることで、領有権に関する自らの主張を強化しようとしている。軍事的な存在感を強める一方で、平和的な意図に基づく行動であるとの姿勢を保ち続けている。
漁船の船団を使って領有権を主張していると報じられていることに対しては、目立った反応は示していない。
フィリピンの立場
フィリピンの海上保安当局が公表した写真では、南シナ海のサンゴ礁・牛軛礁(フィリピン名はジュリアン・フェリペ礁)周辺に今月7日、多数の中国船が停泊していた。
同サンゴ礁はフィリピンの排他的経済水域にあると、フィリピン政府側は20日、説明した。
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2年前、AP通信の取材で、海域の主権に関して中国に対抗姿勢を示さないことについて、次のように皮肉を述べた。
「習(近平・中国国家主席)が『魚を取る』と言えば、誰が止められるというのか?」、「中国の漁師たちを追いやろうと思って海軍を送り込めば、誰も生きては帰れない」。 
 
 
 
 
 
 
 
 


2022/5