都議選 民意の発露

都議選
衆院総選挙 前哨戦

6月  安倍前首相 殆どの派閥議連の最高顧問に就任
死んだ御神を 担ぎだす
民を忘れた自民党

筋違いですが 
都議会からも 自民党 抹消しましょう
 


5/316/66/76/86/96/156/166/176/186/196/24・・・
都議選 / 6/256/266/276/286/296/307/17/27/37/47/57/6・・・
政党公約 / 都民ファーストの会自民党公明党共産党生活者ネットワーク・・・
都議選2021都議選の歴史・・・
 
 
 

 

詭弁 御神の祟り
万一 都議会の自民党議席が増えれば
「私の都政とのかかわりも 正しく評価されました」
宣うのでしょうか
 
 
 
 

 

●立憲「東京五輪は延期か中止」 都議選公約を発表 5/31
立憲民主党東京都連は31日、都議選(6月25日告示、7月4日投開票)の公約を発表した。開会まで2カ月を切った東京五輪・パラリンピックについて「延期か中止」を訴えると表明。「新型コロナウイルス対策にヒト・モノ・カネを集中する」と明記した。
長妻昭都連会長は、都庁での記者会見で「コロナ禍による医療と生活の崩壊を食い止めなければならない」と強調。「感染拡大の不安を払拭(ふっしょく)できない限り五輪は延期か中止すべきだ」と述べた。
東京五輪をめぐっては、すでに共産党が「中止」を都議選の重点公約として発表している。小池百合子知事が特別顧問を務める最大会派「都民ファーストの会」は28日、「再度の延期も含むあらゆる選択肢を視野に入れるべきだ」との談話を公表。これに関し、小池氏は同日の記者会見で、参加選手への影響を考慮し「(再延期は)基本的に難しいと思う」と話した。
一方、自民、公明両党はまだ都議選の公約を発表していない。3月に都議会での再連携を表明した際の政策協定書には「準備を着実に進め、開催と成功を目指す」と記載していた。
 
 
 

 

●自民の7月都議選公約案 6/6
自民党が7月4日投開票の東京都議選で訴える公約案が6日、判明した。新型コロナウイルス感染収束までの措置として「個人都民税を20%」「事業所税を50%」減税と明記。「都内経済の維持と回復を後押しする」と強調した。東京五輪・パラリンピックの開催可否に関する言及は避けた。
公約案は「命を守る。東京を動かす」とのキャッチコピーを掲げた。新型コロナワクチンの接種加速に向け「区市町村を支援し、国との連携を強化」と表明。子育て支援では、不妊治療の自己負担ゼロなどを実現するとした。
五輪開催は「安全なTOKYO2020オリンピック・パラリンピック」と表記したのみだった。
  

 

●公明「五輪、公約にせず」 都議選、政治利用の禁止を理由に  6/7
都議会公明党は7日、都議選に向けた公約を発表した。当面のコロナ対策として大規模会場での20代へのワクチン接種推進を掲げた。そのほか、子育てや教育の充実など、全世代の安全・安心を目指す重点政策「チャレンジ8」をアピールした。
都庁で中嶋義雄団長、東村邦浩幹事長らが会見。コロナ対策ではほかに「繁華街でPCR検査を集中実施する」と訴えた。
今後4年間で取り組む重点政策として、(1)第2子の保育料無償化(2)高校3年までの医療費無償化(4)都立病院にがん治療の重粒子線治療導入(5)駅ホームドアの整備拡大(6)高速道路上の料金所撤廃(7)動物愛護センターの新設(8)地下調節池の整備促進―を公約した。
東京五輪・パラリンピック開催の是非については東村氏が「政治利用は五輪憲章で禁じられ、公約には掲げない」としつつも「開催に当たっては徹底した感染防止対策をした上で、都民に十分な説明をするべきだ」と述べた。

●自民 都議選公約案はまさかの“五輪隠し”…開催可否、立場を明示せず  6/7
自民党が7月4日投開票の東京都議選で訴える公約案が6日、判明した。新型コロナウイルスの収束が見えない影響で東京五輪・パラリンピックの開催可否が争点化する中、このトピックについては「安全なTOKYO2020オリンピック・パラリンピック」と表記したのみ。自民党や都連としての立場は明示しなかった。
関心が日に日に高まる東京五輪の開催可否問題。各会派は都議選をにらんで立場を相次いで表明。共産党は中止、立憲民主党も延期か中止を盛り込んだ公約を発表。知事与党で最大会派の都民ファーストの会までもが無観客か再延期を視野に入れるよう訴えている。
これに対して自民は、2日の都議会で所属都議が小池百合子知事に向かって「関係者が一枚岩となり最後の総仕上げに取り組むべき」と大会推進の立場を強調。政権与党としても菅義偉首相が「安全、安心な大会を実現することにより、希望と勇気を世界中にお届けできるものと考えている」と述べるなど、開催を推し進めてきた。公約案で“五輪隠し”が浮き彫りとなり、都政関係者は「中止論が根強い現状では、開催推進を前面に押し出すことは選挙で逆風になりかねない」との見方を示した。
自民がもう一つ警戒する“風”は「小池旋風」の再来だ。自民は2017年の前回都議選で23議席の歴史的惨敗。小池氏とは今回、開催推進の立場で一致するなど関係修復の動きは続く。小池氏は、都民ファを全面支援するとの立場を表明していない。ただ、ひとたび小池氏が動きだせば、自公に批判的な保守層の票が都民ファに流れる恐れがある。「小池氏は動くか、全く動かないかのどちらかだ」と、自民幹部は警戒感を強めている。
《キャッチコピーは「命を守る」》“五輪隠し”の公約案には「命を守る。東京を動かす」とのキャッチコピーを掲げた。新型コロナ感染収束までの措置として「個人都民税を20%」「事業所税を50%」減税と明記。「都内経済の維持と回復を後押しする」と強調している。 
 

 

●自民党 都議選公約 6/8
7月4日に投開票が行われる東京都議会議員選挙に向け、自民党が選挙公約を発表し、個人都民税の20%減税を盛り込みました。
都議会自民党・山崎一輝幹事長「コロナを収束させてしっかり都民生活や経済再生、これをさらに加速をさせていく」
自民党の公約では、新型コロナウイルスの感染収束まで、個人都民税の20%減税と事業所税を50%減税することを打ち出し、「都民に還元することで、コロナ禍を乗り切りたい」と訴えました。一方で、賛否が分かれている東京オリンピックについては、公約に盛り込まず、「政府のルールにのっとって、しっかり前に進めていく責任がある。中止や延期は考えていない」と説明しました。

●自民「五輪開催」触れず 都議選公約、減税主張 6/8
東京都議会自民党は8日、都庁で記者会見を開き、都議選(25日告示、7月4日投開票)の公約を発表した。新型コロナウイルス感染が収束するまでの間、個人都民税を20%、事業所税を50%それぞれ減税するなど16項目を列挙。東京五輪・パラリンピックに関しては、近く観客数などが決まる見通しであることを理由に公約で触れなかった。山崎一輝幹事長は「現時点で中止や延期は考えていない」と述べた。
山崎氏は、小池百合子知事の都政運営について「(コロナ対策などで)しっかりスクラムを組んで前に進めてきたが、是々非々で提言も伝えている」と説明。選挙戦で小池氏に応援を求めるかは明言を避けた。
 

 

●自民党の都議選公約 五輪開催に触れず「前に進めていく責任」 6/9
都議会自民党は8日、都議選に向けた公約を発表した。新型コロナで打撃を受けた経済を再生するとして個人都民税の20%、事業所税の50%減税を目玉に掲げた。一方、東京五輪・パラリンピック開催の是非については触れなかった。
山崎一輝幹事長、高島直樹・都連幹事長らが記者会見した。都道府県で最も低いとされる都民の可処分所得を増やすため、夫婦・子ども2人の世帯(給与収入700万円)で年間2万3900円の減税案をまとめた。
コロナ対策では、国との連携強化で区市町村のワクチン接種を支援することを強く訴えた。多摩地区には都独自の接種センターを設ける。
災害対策や子育て支援なども含め16項目に及ぶ公約では五輪・パラ大会に触れなかったことについて、山崎幹事長は「国のルールにのっとって前に進めていく責任があり、現時点で中止、延期は考えていない。都議選の争点にはならないと思っている」と話した。
 

 

●都民ファ公約に「五輪無観客」 主要会派、割れる対応―都議選 6/15
東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は15日、都議選(25日告示、7月4日投開票)の公約を発表した。東京五輪・パラリンピックの対応では、無観客での開催を明記し、開催の是非を公約に盛り込まなかった自民、公明両党とは一線を画した。また、新型コロナウイルスワクチン接種の加速化なども掲げた。
荒木千陽代表は記者会見で、第1党の維持を目指す考えを示し、「小池都政をしっかりと支えていく」と強調。一方、小池氏が都議選で都民ファを応援するかどうかについては明言を避けた。
東京五輪をめぐり、自公両党は会見などで感染対策を徹底した上での開催を求めている。一方、共産党は「中止」、立憲民主党は「延期か中止」をそれぞれ公約に掲げた。

●都民ファが都議選の公約発表 東京五輪「無観客開催を」 6/15
地域政党「都民ファーストの会」は15日、都議選の公約を発表した。東京五輪・パラリンピックについては「あらゆる事態を想定すべきだ。国が有観客を強行開催するならば、最低でも無観客を求める」とした。
荒木千陽代表、小山有彦代表代行が都庁で会見。最重点の政策として経済活動の再開に向けて一刻も早くワクチン接種を進める▽年間約7600億円の都税の返還を国に求め、コロナ禍の生活支援として、世帯年収に応じて年間最大15万円の給付に充てる▽学生の貧困対策として月額3000円の携帯電話料金の補助を行う―などを掲げた。
国などが観客を入れて開催する方針を決めた場合の対応を問われ、小山氏は「無観客開催をあらゆる手段で求めていきたい」と説明。感染状況によっては再延期を求めるという。
特別顧問を務める小池百合子知事の応援について、荒木氏は「最善の戦いができるように、小池知事としっかり協議して決めたい」と述べ、明言を避けた。
 

 

●「都民ファースト」無観客開催公約で小池都知事「突き放しているような感じ」 6/16
政治ジャーナリストの田崎史郎氏が16日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月〜金曜・午前8時)にスタジオ生出演した。
番組では、東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が15日、都議選(25日告示、7月4日投開票)の公約を発表し、東京五輪・パラリンピックでは、無観客での開催を明記したことを報じた。
この公約に小池氏は「特別顧問というよりもみなさん、いろんな声があるのは承知している。調整会議など6月のできるだけ早い時期に決めていくことになろうかと思う」と述べた。
田崎氏は、小池氏の発言に「ちょっと突き放しているような感じを受けます。都民ファーストと同じ意見ではないということを言おうとしているんじゃないかと思います」と指摘した。「実際に小池さんの最近の言動等を見てますと、政府、組織委員会と一体。菅総理と同じ船を乗っている感じを受けます」とし、都民ファーストとは「ここは、都議選が行われても距離をとり続けるんだろうと見られます」と解説していた。
 

 

●都議選、各党の公約出そろう 6/17
25日告示、7月4日投開票の東京都議選で、各政党の公約が出そろった。新型コロナウイルス対策や介護・福祉、災害対策など生活に密着した内容のほか、7月23日開幕の東京五輪・パラリンピックに関する公約を掲げる政党もある。各党の主な公約を紹介する。
小池百合子知事が特別顧問を務める都民ファーストの会は、九つのテーマから成る公約集を作成した。新型コロナの変異株流入を防ぐための水際対策強化や、大都市と地方の税収の格差をならす「偏在是正」で失われた都税を取り戻すことなどを主張。その上で、世帯年収に応じて年間最大15万円の給付金を支給し、学生に月3千円の携帯電話料金を助成するとした。荒木千陽代表は「古い都議会に戻すわけにはいかない」と言及。現在と同じ「最大会派」を得ることが勝敗ラインだとの考えを述べた。
自民党が前面に掲げたのは減税だ。個人都民税を20%、事業所税を50%減税すると明記し、都民税は夫婦と子ども2人のモデル世帯(給与収入700万円)で年額2万3900円▽事業所税は5千平方メートルの工場がある会社で年額150万円などとする試算も提示。「都民の可処分所得を向上させ、事業者再建を支援していく」としている。一方、五輪は公約に盛り込んでいない。都議会の山崎一輝幹事長は「中止、延期は考えていない」としつつ「都議選前に観客の問題が正式発表になる。争点にはならない」と説明する。
公明党も五輪については「徹底した感染防止対策」を求めるスタンスとしているが、同じく公約には盛り込まなかった。都議会の東村邦浩幹事長は7日の会見で「五輪憲章で五輪の政治利用は禁止されており、書き込むと憲章に引っかかってしまう」と説明した。軸足を置いたのは新型コロナ対策や福祉分野の助成強化だ。都の大規模ワクチン接種会場で20代を優先させることや、多数の飲食店がある繁華街での集中的なPCR検査、現在半額となっている第2子の0〜2歳児保育料の無償化などを「公約の顔」とした。
先陣を切って「五輪中止」を公約に明記したのは共産党だ。今夏の大会開催は見送り、新型コロナ対策に集中するよう国や都に求めるとした。このほか、PCR検査の拡充、都立・公社病院の独立行政法人化の中止、性的少数者のカップルの「パートナーシップ制度」の導入などを明記。いずれもこれまで都議会で訴えてきた問題だ。超党派の議員連盟が発足した羽田空港新飛行ルートについても中止を掲げた。田辺良彦・都委員長は5月の会見で「ケアに手厚い東京をつくる」と決意を述べた。
立憲民主党は五輪の開催可否について、「感染拡大の懸念を払拭(ふっしょく)できない限り、延期か中止」と訴える。「コロナ危機から脱するために、リスクを排し、あらゆる資源をコロナ対策に集中する時」として、五輪に関する公約を「都議選の大きな旗印」(長妻昭・都連会長)と位置づける。そのほか、新型コロナ対策として、感染の繰り返しを封じ込めることで、生活と経済を再生させると主張。迅速なワクチン接種の推進、積極的なPCR検査、10万円以上の定額給付金の実現などを公約集に盛り込んだ。
日本維新の会は「東京版レスキュープラン」と銘打ち、2兆円規模の財政出動によって、都独自の持続化給付金や家賃支援給付金の実現を強調。五輪については「政局にはしない」としつつ、「開催する場合は選手や関係者の隔離など対策の厳格化を図る」とした。
地域政党「東京・生活者ネットワーク」は、都議選政策として、新型コロナの自宅療養者に食事・生活必需品の配達員を派遣するほか、失業や収入減で困っている人に迅速に生活給付金を支給すると訴える。子どもの虐待・貧困対策や介護・福祉にも力を入れる。

●2021都議選が実質スタート、東京五輪開催の是非など争点 6/17
通常国会が6月16日に閉幕し、与野党は“選挙モード”に突入した。7月に都議選が行われ、その後の9月には衆院総選挙が行われる見通し。前哨戦となる都議選は前回、小池百合子都知事が“小池旋風”を巻き起こし、知事率いる地域政党「都民ファーストの会」が大勝したが、今回はそこまでのブームは見込みにくい。前回惨敗を喫した東京都議会自民党は第一会派復帰を虎視眈々と狙っており、各選挙区で激しい選挙戦が繰り広げられそうだ。都議選は6月25日告示、7月4日投票。
都民ファーストは政権への挑発も
「ふるくておそい頼れない国を はやくてあたらしい頼れる東京が動かす」。小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会は6月15日に公表した都議選の公約に、菅政権への挑発ともとれる刺激的なキャッチフレーズを掲げた。都議会の定数は127で、最大会派は都民ファーストの会で46議席。国政与党の自民党が25、公明党が23議席で続き、国政野党の共産党が18、立憲民主党が7議席などとなっている。各党が掲げている公約で最も注目は直後に控える東京オリンピック・パラリンピックについてだ。都民ファーストの会は、公約に「国が強行開催するならば最低でも無観客を強く求める」と明記。共産党は「中止」、立憲民主党は「延期か中止」を掲げ、開催を推進する立場の自民党と公明党は公約で開催の是非には触れなかった。
五輪開催への影響は?
新型コロナウイルス感染が続いているなかでの五輪開催には国内でも否定的な意見が根強いが、菅義偉首相は6/11〜6/13にイギリスで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)で開催への決意を改めて表明。各国も開催を支持し、6月15日には国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ調整委員長が来日するなど政府も関係機関も開催に向けて突き進んでいる。ここまでくると中止や延期、という選択肢はなさそうだ。観客数の上限についても政府や関係機関が6月中に判断する方針で、7月4日に投票される都議選の結果が反映されるわけではない。それでも開催都市の住民である都民の意思が選挙で示されることには意義があるし、選挙期間中に何度か行われる情勢調査の内容次第では政府や関係機関の判断に影響を与える可能性もある。
狙うは主導権奪還、自公あわせて80人超を擁立
東京五輪以外では、都民ファーストの会は公約にコロナ禍での生活支援として「世帯年収に応じた年間最大15万円の給付」や学生の貧困対策として「携帯電話料金の実質無償化(月額3000円の補助)」、子育ての家庭負担軽減策として「出産への10万円相当の支援」などを盛り込んだ。女性知事が率いる政党だけに、女性活躍や子育て支援に関する政策が目立つ。都民ファーストの現有議席は46だが、同水準の47人を擁立して第一会派死守を目指す。一方の自民党は「命を守る。東京を動かす。」がキャッチフレーズで、新型コロナワクチン接種の加速化を冒頭に掲げたほか、災害対策や子育て支援、中小企業対策などを総花的に盛り込んだ。特徴的なのは新型コロナ対応として「減税」を盛り込んだこと。感染が収束するまで個人都民税を20%、事業所税を50%減税するとした。自民党が「減税」に言及するのは珍しいが、都政では「野党」の立場であることから有権者受けの良い政策を盛り込んだようだ。公明党は2016年の小池知事初当選時から知事に協力姿勢を見せており、前回都議選前には自公連携を解消し、都民ファーストと選挙協力して23人の候補者全員を当選させた。国政と都政でねじれ現象が生じていたが、今回は「国政との連動が必要」として自公連携を復活。自民とともに都民ファーストに挑むこととした。公約には「第2子の保育料無償化」や「高校3年生までの医療費無償化」など8つの政策目標を掲げた。自民党の現有議席は25だが、2倍以上となる60人の立候補を予定。都民ファーストを上回る第一会派を狙い、23人を擁立予定の公明党とともに都議会の主導権奪還を目指す。
五輪「中止」の共産党、立憲は33人を擁立
共産党は公約に「コロナ危機をのりこえ、安心と希望の政治を東京から」とのキャッチフレーズを掲げ、主要政党で唯一東京五輪の「中止」を明記。新型コロナで休業を余儀なくされている事業者への補償の拡充やPCR検査の拡大を盛り込んだ。現有議席は19だが、33人を擁立して議席の上積みを目指す。
国政で野党第一党の立憲民主党は前回2017年の都議選後に結党しており、現有議席は7人にとどまる。今回の都議選では「コロナ対策にヒト・モノ・カネの集中を。」とのキャッチフレーズを掲げ、低所得者支援や貧困・格差解消、雇用確保などを手厚く盛り込んだ。現有議席を大幅に上回る33人(推薦含む)を擁立し、都民ファーストと自公の間で埋もれている現状を打破、存在感の発揮を目指す。共産党と立憲民主党は選挙区のすみわけを図り、共倒れを防ぐ。
このほか、日本維新の会(現有議席1)や国民民主党(同0)、れいわ新撰組(同0)も候補者を立てる予定だ。
9月の衆院選に向けて注目集まる
永田町では「小池知事が『東京五輪の中止』を公約に掲げて都議選を戦う」との見立てが根強かったが、ここにきて「延期は難しい」と明言しており、その可能性は消えたもよう。となると都民ファーストの会と自民党とのガチンコ勝負になるが、小池旋風の去った都民ファーストも、国政で政権支持率が低迷している自民党も決め手に欠ける。都民ファーストの会が第一会派を維持して小池知事が引き続き円滑に都政を率いるか、それとも自公が主導権を奪取して知事の政策運営に影響力を強めるか。直後には衆院選を控えるだけに、都民以外からも都議選の行方に注目が集まりそうだ。
 

 

●「共産 VS 自公都ファ」 公約で鮮明 6/18
コロナ禍での五輪
共産 中止決断し命守れ / 自公ダンマリ 都ファ陳情に反対
新型コロナ感染のリスクを高める東京五輪・パラリンピックをどうするのか―。都議選の大争点です。
日本共産党は東京五輪・パラリンピックについて、志位和夫委員長が1月の国会で今年夏の開催中止をいち早く提起。共産党都議団は繰り返し中止を要求し、大きな国民の世論となりました。公約でも「今夏の東京五輪の中止をただちに決断し、コロナ対策に全力集中を」と正面から争点に突き出しています。
五輪開催に批判と不安を持ちながらも「中止は難しいのでは」との声も一部にあります。日本共産党は「五輪開催が近づけば近づくほど国民との矛盾は広がり、激化せざるをえない」「五輪は自然現象ではない。政治が中止の決断をすれば、いつであれ中止することができる」と訴えています。
これに対し自民党は都議選政策パンフレットで五輪について具体的には何も述べていません。8日の政策発表時の会見で自民・山崎一輝都議会幹事長は、五輪に触れなかったことを問われると「都議選の争点にはならない」と苦しい言い訳。一方で「中止、延期は考えていない」と語っており実施ありきの立場です。
公明党も、発表した重点政策に記述はありません。政策に盛り込まなかった理由は「五輪憲章で政治利用が禁止されている。あえて(公約に)書いていない」(7日、東村邦浩・都議会公明党幹事長)と発言。一方で、山口那津男代表が、五輪中止論は「非現実的」と攻撃を始めるなど、五輪問題をさっそく「政治利用」する支離滅裂ぶりです。
都民ファーストの会は五輪について、公約では「命と暮らしを守り抜くことを最優先」としつつも「中止」を明記せず。「国が有観客での開催を強行する場合『無観客』での開催を強く求める」として、開催都市でありながら国に責任を押し付ける姿勢です。
東京維新の会は都議選マニフェストで「(五輪)開催可否についてはワクチン接種や国内感染状況など客観的指標に基づき判断する」としていますが、その「指標」は同マニフェストで示しておらず不明瞭です。
都議会では7日に本会議で、都民からの五輪中止を求める陳情が採決されましたが、同陳情に賛成の立場は日本共産党と立憲民主党など。自民、公明、都民ファースト、維新は反対し、同陳情を不採択としています。
都立・公社病院の独法化
共産 医療切り捨て反対 / 自公ダンマリ 都ファ推進
新型コロナウイルスの感染に歯止めがかからない中、都内のコロナ病床の4割近くを確保するなど対策の先頭に立っている都立8病院・公社6病院を、もうけを優先する独立行政法人(独法化)にしてよいのかが問われています。
3月の都議会では、独法化中止を求める都民約3万人の請願を自民、公明、都ファなどが不採択にしました。共産党は採択を主張しました。
共産党は、独法化目的が年間400億円の都から都立病院への財政支出、100億円の都保健医療公社への支出の削減にあると告発。独法化で、行政が責任を果たすべき感染症医療や小児・周産期医療、災害医療など不採算の「行政的医療」が切り捨てられると批判し、独法化中止と都立・公社病院の拡充を訴えています。
これに対して、都民ファーストの会は「都立・公社病院の独法化を通じた地域医療・災害医療・感染症医療の強化」と政策で明記し、事態をあべこべに描いています。同党都議は都立病院に対する都の財政投入を「一層の経営改善が必要不可欠」(2019年6月の本会議で成清梨沙子都議)と問題視していました。
自民党と公明党は政策で独法化に触れていません。しかし、自民党は今年3月の予算特別委員会で「独法化後は人材の柔軟な確保などたくさんのメリットがある」(三宅正彦都議)と独法化を賛美。
公明党も昨年3月の厚生委員会では「都民の理解と納得が得られるよう、引き続き課題について検討を行うこと」(小林健二都議)として独法化を進める立場です。
自民・公明・都ファはコロナ対策としてワクチン接種加速などに触れていますが、コロナ対策の先頭に立つ都立・公社病院を独法化するという矛盾した態度です。
羽田新ルート・外環道
共産 住民に危険、撤回を / 自民推進 都ファ・公明ダンマリ
都心を旅客機が低空飛行する羽田新飛行ルート、地盤沈下や陥没を引き起こした東京外環道の地下トンネル工事―。小池知事が「稼ぐ東京」の名で進める大型開発が都民の暮らしの安全を脅かしています。
共産党は、住民から「家の中で窓を閉めていても、響く轟音(ごうおん)で休まらない」「落下物が心配」と怒りが上がっていると告発し、住民とともに羽田新ルートの撤回を要求。事業費が1メートル1・5億円に膨れ上がり、住民に危険をもたらしている外環道計画でも中止を求めて運動、都議会でも追及しています。
自民党は、都議選公約で「羽田空港の機能強化」「(外環道を含む)三環状などの環状道路の整備促進」を掲げ推進の立場を明瞭に。都議会でも「羽田空港の機能強化は必要不可欠」(19年9月の本会議で菅野弘一都議)としてきました。
都ファ、公明党は都議選公約では羽田新ルート、外環道に直接触れていませんが、両党とも外環道については推進の立場。羽田新ルートについては、自民党とともに「再検討」を求める都民の請願を不採択にしてきました。
都ファは公約で「国際ビジネス拠点の形成に資する都市再生の推進」と大型開発をあおり、外環道については都議会で「非常に効果のある事業だ」(昨年11月の環境・建設委員会で村松一希都議)と質問しています。
公明党は羽田新ルートに「都民の安全・安心に十分な対策を国に求める」(今年3月の都市整備委員会)とするだけ。外環道についても「渋滞解消や防災性の向上、地域の安全性の確保などに資する重要な道路」(昨年11月の環境・建設委員会で野上純子都議)と質問しています。
維新 何でも民営化 都営住宅まで売却
東京維新の会(日本維新の会東京総支部)は都議選マニフェストで「都営住宅は全て民間売却又は民間委託」と書き、都民の願いに背を向けています。
収入が少ない人のためのセーフティーネットである「都営住宅」は、石原都政以来22年間、新規増設がゼロで応募は高倍率になっており増設こそ求められています。
維新は公約で「余分な事業は民間に任せてスリム化」と記述し、多くの事業の民営化を掲げています。
都民の生命にかかわる水道事業も民営化。都営地下鉄や都営バスなどの都営交通も民営化です。民営化すれば、利益が最優先となり、都民の暮らしや権利を守る施策が切り捨てられていく危険があります。
 

 

●各党の公約、割れる五輪開催の立場 透ける思惑 6/19
次期衆院選の前哨戦にも位置づけられる東京都議選(6月25日告示、7月4日投開票)が迫る中、主要政党の選挙公約は東京五輪・パラリンピックをめぐり立場の違いが鮮明になっている。明記を避ける自民、公明両党に対し、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は無観客開催、共産党は大会中止を主張。新型コロナウイルス禍での大会開催をめぐり、賛否が割れる世論や小池氏の出方を意識した各党の思惑が見え隠れする。
「都議選の前に、東京五輪・パラリンピックの会場の観客数の問題が正式に発表になるという観点から、公約には含まれていない」
都議会自民党の山崎一輝幹事長は今月8日、都庁で都議選に向けた選挙公約を発表した記者会見で、東京大会を明記しなかった理由をこう説明した。
都議会で5年ぶりに連携を復活させた公明党も公約に盛り込むことを見送った。都議会公明党の東村邦浩幹事長は「五輪憲章で政治利用が禁止されているため、(大会開催については)公約に盛り込まない」と述べた。
会場の観客数の上限は、21日に開催する大会組織委員会や政府、東京都、国際オリンピック委員会(IOC)などによる5者協議で決まる見通しだ。
自民党は正式決定がない段階では、選挙の争点になじまない−との理由で公約に盛り込まなかったが、額面通りに受け取る向きは少ない。山崎氏は大会開催について「現時点では中止、延期は考えていない」と述べれば、公明党幹部も「5者協議が開催されるということは基本的に大会は開催する方向だ」と語る。
それでも開催を公約に入れない背景には、明記すれば、開催に批判的な有権者の票が共産党などに流れるかもしれないとの警戒感があるようだ。与党関係者は「新型コロナのワクチン接種は進みつつあるが、感染拡大に対する不安は根強い。大会開催を公約に明記できる段階ではない」と指摘する。別の関係者も「飲食店に営業時間短縮を求めているのに、五輪開催を公約に掲げたら反発は必至。選挙戦に大きく影響する」と打ち明ける。
しかも、新型コロナ対策をめぐり「後手」と批判される菅義偉政権への風当たりは強く、「逆風選挙」との声もある自民、公明両党にとって都議選で都議会(定数127)の過半数にあたる64議席を獲得できるか微妙との危機感もある。
 

 

●オリパラとIR・カジノで割れる支持層、政党支持では自民が突出 6/24
25日に告示される東京都議会議員選挙では、前回2017年の同選挙で躍進した都民ファーストの会(2021年4月20日現在46議席)と大幅に議席を減らした自民党(同25議席)、両党の議席数がどのように変化するか注目されています。政治山では6月15日から20日にかけて、都内在住の18歳以上の男女を対象にインターネット意識調査を実施し、507人から回答を得ました。今回はその概要をお届けします。
政党別では自民が突出、立憲、共産が続く
はじめに、現時点でどの政党の候補者に投票しようと考えているか尋ねると、自民党が14.4%と最も多く、立憲民主党が6.1%、日本共産党が5.5%と続きました。一方、現有議席数では最大の都民ファーストの会は3.4%にとどまりました。
こちらの内訳を性別から見てみると、自民支持は女性(7.7%)よりも男性(21.4%)の方が高く、立憲支持と都ファ支持も男性の方がやや高い傾向がうかがえました。反対に公明支持層は女性(5.4%)の方が男性(1.6%)よりも高く、共産支持と維新支持も女性の方がやや高い傾向が見られました。
オリパラとIR・カジノは中止撤退が多数
次に、都議選の重要テーマについて、優先すべき課題を3つまで上げてもらいました。最も関心が高いのは「新型コロナ感染症への対策」で64.3%、次いで「五輪・パラリンピックの中止」31.2%、そして「待機児童解消と子育て環境の整備」21.7%、「防犯・防災対策の推進」18.1%、「五輪・パラリンピックの実施」15.6%と続きました。
こちらの内訳を年代別に見てみると、「新型コロナ感染症への対策」への関心は50代、「五輪・パラリンピックの中止」は60代以上が最も高く、「待機児童解消と子育て環境の整備」には10代から30代が高い関心を示しました。また「IR・カジノ誘致の撤退」には60代以上が高い関心を示し、反対に「IR・カジノ誘致の推進」には30代がやや高い関心を示しました。
オリパラとIR推進派は自民・維新を支持
続いて、政党支持と重要テーマをかけ合わせてみると、自民支持層は受動喫煙防止や子育て支援、防犯防災対策への関心が高く、立憲支持層はコロナ対策と行革への関心の高さがうかがえました。
共産支持層はオリパラ中止への関心が極めて高く、IR・カジノにも反対する人が多数を占めました。また、維新支持層は行革への関心が高く、自民と維新の支持層だけは、オリパラ実施が中止を上回りました。
7月5日の投票に向けて、いよいよ本格的な選挙戦がスタートします。4年間の実績を問われるのは、現職の議員だけでなく、都民一人ひとりの政治への関わり方でもあります。築地市場の豊洲への移転、待機児童の解消、受動喫煙防止など、当時関心の高かった政策課題のその後はどうなっているのか、新型コロナ感染症という新たな課題にどのように向き合うのか、選挙を通じて地域の課題を見つめなおし、次の4年間を共に歩むことのできる候補者を選びましょう。 
 

 

 

●都議選2021 6/25-7/4
 
 

 

●江東区  定員 4 / 立候補者 8人
共産   畔上三和子  現| 65歳   当選:3回  元江東区議会議員
公明   細田勇     現| 60歳   当選:1回  元江東区議会議員
都民   白戸太朗   現| 54歳   当選:1回  トライアスロン関連会社社長
自民   山崎一輝   現| 48歳   当選:3回  東京都議会自民党幹事長
自民   高橋恵海   新| 52歳   元江東区議会議員
テ改   藤川広明   新| 48歳   ビル管理会社社員
維新   清水良平   新| 43歳   NPO法人理事
立民   高野勇斗   新| 38歳   推薦:ネット / 宿泊施設運営会社社長  

●「言及なし」「中止・延期を」 五輪公約、各党で違い―都議選 6/25
各党が東京都議選に向けて発表した公約では、新型コロナウイルスの収束が見通せない中、来月の東京五輪へのスタンスの違いが表れた。自民、公明両党は公約の中で五輪に言及していないのに対し、共産、立憲民主両党などは中止や延期を求める考えを明確にした。
都議会第1党の地域政党「都民ファーストの会」は、「都民の命と暮らしを守り抜くことを最優先に、あらゆる選択肢を視野」に入れる姿勢を公約に明記。開催の場合は最低でも無観客とすることを求めた。これに関連し、開催の準備に当たってきた小池百合子知事は、大会5者協議で「観客上限1万人」に同意。「状況に応じて、無観客も検討する必要がある」との認識も示したが、特別顧問を務める同会と距離ができている。
国政与党として五輪を推進している自公両党。公約での言及はないものの、都議会自民党の山崎一輝幹事長は「国のルールにのっとって、われわれはしっかりと前に進めていく大きな責任がある」と強調した。都議会公明党の東村邦浩幹事長は「都や政府が感染防止対策を徹底し、医療提供体制を強化した上で、都民、国民にしっかり説明すべきだ」と訴えた。
これに対して、共産は公約で「今夏の五輪中止の決断を直ちに下し、都のあらゆる力をコロナ対策に全力を集中することを強く求める」と主張。立民は「感染拡大の懸念を払拭(ふっしょく)できない限り、延期できなければ中止するしかない」と指摘した。地域政党「東京・生活者ネットワーク」は中止を求める声明を発表している。
このほか、日本維新の会は、ワクチン接種や国内の感染状況などの客観的指標に基づき開催の可否を判断することを提起。国民民主党は「開催の是非で政争をすべきではない」と表明している。

●小池チルドレン「生みの親」頼れず 25日都議選告示「都民ファ」旋風どこへ…  6/25
秋までに行われる総選挙の前哨戦と位置付けられている東京都議選(7月4日投開票)が25日に告示される。焦点は小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が第1党を維持できるか、自民党がその座を奪還し公明党と合わせ過半数を確保できるかだ。鍵を握る小池氏は対応を明らかにしないまま、過労で入院。それでも、各党はその動向に神経をとがらせている。
「私は都民ファーストの生みの親」。小池氏がよく口にするフレーズだ。都議会閉会日の今月7日、都議選への対応を問われた際にも言及した。
前回都議選に都民ファ代表として臨んだ小池氏は自民党との対決姿勢を前面に出し、追加公認を含め55人が当選して圧勝。うち39人が新人で文字通り、小池チルドレンだ。自民党は57議席から過去最低の23議席に沈んだ。
それだけに小池氏の動向に関心が集まるが、これまで何度聞かれても「改革派にはエール」などとけむに巻き都民ファ支援を明言することはなかった。
こうした中、自民党による調査結果が出回った。現有46議席の都民ファは最悪1桁。同党関係者は「風に乗って当選したチルドレンにもかかわらず“次”を見据えた活動をおろそかにしてきた候補もいる」と小池氏頼みから抜け出せない現状を憂え「このままでは看板が消える」と話した。
わらにもすがりたい都民ファが期待するのが1月の千代田区長選の再現。都民ファ推薦候補が自民・公明両党推薦候補らを破り初当選。勝因は街頭演説などで複数回応援に入った小池氏の集票力。この時も直前まで対応を明らかにしなかった。
しかし、小池氏側と距離が近い自民党関係者は「入院がなくても動きづらい」と指摘。新型コロナウイルス対策で都財政はひっ迫し、国の支援、政権与党との連携は不可欠で「国との関係を考え、コロナ下でもあり街頭演説での都民ファ全面支援は難しい」とした。
さらに、自民党と前回都議選で都民ファを支援した公明党による3月の選挙協力締結に触れ、小池氏の関心事は確実視される「自公で過半数」の一点だと断言。「都民ファが1桁でも2桁でも、過半数を抑えられることに変わりはない。ならば、対都議会の観点から、わざわざ自民党を刺激する必要はない」と静観の理由を解説した。
自民党は過去に弓を引いた相手。国政復帰を視野に入れた際、二階俊博幹事長とのパイプがあるとはいえ、同党との距離の取り方は難しく、状況を複雑にしている側面もある。
小池氏は都民ファ候補の事務所開きに激励のビデオメッセージを寄せているが、永田町では、親としてしてあげられるのはその肉声使用を認めるぐらいではとも言われている。
7日の「生みの親」発言の際、「コロナに対してはオール東京」とも話した小池氏。親の庇護を失ったチルドレンは自力ではい上がるしかない。 

●安倍前首相が東京都議選で自民候補応援 「こんな人」発言の前回は惨敗 6/25
安倍晋三前首相(66)が25日、首相退任後、初めて選挙応援でマイクを握り、自民党候補を激励した。
東京都議選告示のこの日、荒川区の尾久八幡神社で行われた崎山知尚前都議の出陣式に参加。境内の“特設ステージ”に立つと、強い雨が約1時間降り続いていた空を見上げ「雨も晴れてきましたね。私は日本で3本の指に入る晴れ男と言われています」と晴れやかな笑顔を見せた。
7月23日に開会式を迎える東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの成功も誓った。「いよいよ迫ってきました」と前振り後、集まった高齢者たちに向けて「皆さま1964年のオリンピック、パラリンピックは覚えていますか? 生まれていない方も多いかと思いますが…」。約300人の聴衆の笑いを誘った。
さらに「当時、私はまだ、かわいい小学生。かわいいかどうかは議論があるかと思いますが」と自虐的に話すと笑いが起こった。
「あの時の感動、日本選手の活躍、試合を通して未来を見た夢や希望、勇気。あの瞬間を今の子どもたちにも経験してもらいたい。そんな思いで8年前、誘致に全力を尽くしました。おかげさまで誘致はした」と冗舌に語ったうえで「でもコロナ下にあって成功させていく、これは大変です。何とか成功させることが世界に希望につながっていく、勇気を与えることになるんだろうと思っている。もちろん感染症にしっかり目を凝らしながら、みんなが安心出来る、安全な大会にしていかなくてはいけない」。観覧者からは拍手も沸き起こった。
前回17年の都議選を振り返った時だけは表情が引き締まった。「4年前、残念ながら我が党は惨敗をしました。当時、総裁であった私にとって痛恨の極みでありました」。森友学園、加計学園、豊田真由子衆議院議員の暴言暴行、稲田朋美防衛相の自衛隊発言など、問題が相次いでいた中での都議選だった。7月2日の最終日に、JR秋葉原駅前で街頭演説に立った安倍氏の言葉を打ち消すかのような「安倍ヤメロ〜」などの怒号も飛んだ。安倍氏も「演説を邪魔するような行為を自民党は絶対しません。こんな人たちに負けるわけにはいかない」などと応戦したことから「こんな人たち」発言に有権者の不信が募った。
「崎山議員のように経験があって有能な議員を落としてしまった。崎山さん、荒川区の皆さまに対して、本当に申し訳ない気持ち。もう1度、経済対策が必要。経済再生していくように、東京都議と手を組んで、安心出来る、活力のある日本を復活させていきましょう」と力を込めた。 

●小池知事の過労「自分でまいた種」 麻生財務相、都議選の応援演説で  6/25
麻生太郎財務相は25日、過労で静養している東京都の小池百合子知事について「自分でまいた種でしょうが」と述べた。同日告示された東京都議選で、青梅市選挙区の自民党新人候補の応援演説をした際の発言。
麻生氏は、小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会を「代表の国会議員がいないから(国に)話が通じない」と指摘。「従って知事が自分でやる。過労で倒れた。同情してる人もいるかもしれんけど、(小池氏が)そういう組織にしたんだから」と批判し、都議について「自民党とつながってる人がいなきゃ話がつながらない。一番上が国会であるならば」と強調した。
応援演説が行われた青梅市内の沿道には多くの聴衆が詰めかけた。同市選挙区には都民ファの現職も出馬し、1議席を争う。

●新型コロナ対策と五輪・パラ対応が争点…東京都議選告示  6/25
東京都議選(7月4日投開票)が25日、告示された。午後1時現在、定数127に対し、267人が立候補を届け出た。秋までに行われる衆院選の前哨戦として注目される今回選は、選挙協力を復活させて過半数の議席確保を目指す自民党と公明党と、都議会第1党の地域政党・都民ファーストの会とが争う展開となる。
今回選の争点は、新型コロナウイルスへの対策と、開幕まで1か月を切った東京五輪・パラリンピックへの対応だ。東京五輪は最大1万人の観客を入れて開催する方針が決まったが、今後の感染状況次第では無観客も検討するとされている。感染のリバウンド(再拡大)が懸念される中、選挙戦の行方も左右しそうだ。
立候補の受け付けは午前8時半から全42選挙区の選挙管理委員会で始まった。候補者は前回2017年選の259人を上回っている。主要各党の公認候補の内訳は、都民ファーストの会47人、自民党60人、公明党23人、共産党31人、立憲民主党28人、日本維新の会13人、東京・生活者ネットワーク3人、国民民主党4人、古い政党から国民を守る党2人、れいわ新選組3人となっている。このほか諸派・無所属は53人。
改選前の議席数(欠員1)は、都民ファ46人、自民25人、公明23人、共産18人、立民7人、維新1人、ネット1人などとなっている。
前回選が初陣の都民ファは、当時代表だった小池知事の全面支援を受け、勢いに乗った。公認・推薦候補計55人を当選させ、都議会第1党となった。今回選でも小池知事の動向が注目されるが、小池知事は22日に過度の疲労で都内の病院に入院し、週内の公務をキャンセル。各候補者はこれまでの知事との連携をアピールして支持拡大を図る。
前回選で23議席と歴史的惨敗を喫した自民は、昨年7月の都議補選で4戦全勝を果たしており、今回選は第1党奪還を最低ラインとしている。自民と公明は前回選でたもとを分かっていたが、今回選では協力が復活。自公で過半数を狙う。
共産と立民は一部選挙区で候補者調整に成功し、現有議席からの上積みを目指す。両党の協力が衆院選での野党共闘につながるかも注目される。現有1議席にとどまる維新も東京での勢力拡大を図っているほか、国民や古国党、れいわなども都議会での議席獲得を目指す。社民党は候補者を擁立しない。
24日現在の都内の選挙人名簿登録者数は1151万3990人。

●首都の未来、各党が訴え コロナ禍の東京都議選始まる 6/25
東京都議選が25日告示され、党首らが各地で第一声をあげた。新型コロナウイルスの感染再拡大の兆しが見えつつある中、どの政党、どの候補者に首都の未来を託すべきなのか。9日間の選挙戦が始まった。投開票日は7月4日。
都民ファーストの会・荒木千陽代表
古い議会を新しくしようと4年前、小池百合子都知事に賛同し改革に取り組んだ。200億円の政党復活予算を廃止し、女性や子育て政策、議員専用車の削減も実現してきた。改革の灯火を消してはならない。国は新型コロナウイルスの水際対策に失敗し、ワクチンの確保でも世界に後れを取った。本当に何をやっているのかと言いたい。古くて頼れない国に都民の命や生活を任せるわけにはいかない。党名の通り、都民を第一に考え、冷え込んだ経済を再生し、命と生活を守っていく覚悟だ。(中野区の選挙事務所)
自民党・菅義偉総裁
コロナ禍の選挙戦。東京は予断を許さない、極めて厳しい状況にある。ワクチン接種に全力(を挙げ)、国民の安心安全を何としても確保したい。東京五輪まで1カ月を切った。最優先は安全、安心。万全の準備のなかで大会を進めたい。コロナ禍に直面している時だからこそ世界が団結し、人類の努力と英知で難局を乗り越えていく大会にしたい。4年前の雪辱を期すため地域に足を運び、歯を食いしばってきた。現場を熟知する自民の候補者だからこそ政策を実現できる。(千代田区の自民党本部)
公明党・山口那津男代表
東京都にコロナの対応策を公明党が次々と提案をし、ほとんど実現した。こういうことができるのは公明党しかいない。国政、都政、市区町村政のネットワークを生かした結果だ。都民ファは国会議員がゼロ、国政と連携することもできない。立憲や共産は、ワクチンについて、承認に日本人のデータが必要だと言った。そのために3カ月、承認が世界から遅れた。それなのに、ワクチン接種が始まると政府の取り組みは遅い、失政だと批判するのは天につばする行為だ。(調布市のつつじケ丘駅前)
共産党・志位和夫委員長
深刻なコロナ危機が続くもとでの選挙となった。都民に苦しい自粛に次ぐ自粛を求めざるを得なくなっている。やるべきことを怠ってきた政治の責任。菅政権と小池都政による人災ではないか。五輪パラリンピックを開催していいのか。都議選の大争点になっている。五輪は自然災害ではない。人間が行うイベントだ。政治が決断すればいつでも中止できる。五輪を中止し、命を守れ。都議選の結果は国政に大きな影響を与える。都議選での共産党の躍進で菅政権にさよならの審判をくだそう。(新宿区の新宿駅西口)
立憲民主党・枝野幸男代表
私たちの国はどこかで道を誤った。新型コロナの感染が拡大したこの1年半の話ではない。改革だ、競争だ、自己責任だ、役所は小さければ小さいほどいい、どこかで行き過ぎたのではないか。なぜ病院に入れない人が出てくるのか。明日の暮らしにも困る人が出てくるのか。誰にでも自分の力だけではどうにもならない時がある。衆院選で変えなきゃいけない。その前に、国の政治を変えることと同じぐらい、東京都民の暮らしを守る政治をつくるチャンスが今日から始まった。(武蔵野市の吉祥寺駅前)
日本維新の会・片山虎之助共同代表
都議選は特に重要な選挙だ。すぐ後にある衆院選の前哨戦だ。国会では、自民党とも仲良くするが、反対の時は必ず提案する。言ったことは必ずやる。国政と都政を連動してやっていくために、この選挙でぜひ押し上げていただきたい。(大田区の蒲田駅前)
東京・生活者ネットワーク・山内玲子代表
一部の政治家や有力者がものごとを決める政治に決別するチャンスだ。コロナ禍での五輪の開催は、即刻中止を求める。貧困と格差の深刻さもコロナ禍で改めてわかった。非正規雇用の4分の3は女性。ジェンダー平等で政治を変える。(国立市の国立駅前)
国民民主党・玉木雄一郎代表
経済と感染対策の両立を図るモデルを東京から発信する。五輪はステージ4に入ったら無観客を即断すべきだ。(世田谷区)
れいわ新選組・山本太郎代表
今、五輪を開催するのはリスクだ。五輪は一部の者に金を横流しするだけ。都民の命と健康を守る。(足立区の北千住駅前)
古い政党から国民を守る党・立花孝志党首
小さな声を拾い集め、聞くだけじゃなくてフィードバックする。少数派の声を大事にして税金を使う。(大田区の蒲田駅前)

●東京都議選が告示 42選挙区に271人が立候補 9日間の選挙戦に  6/25
任期満了に伴う東京都議会議員選挙が25日、告示され、来月4日の投票日に向けて9日間の選挙戦に入りました。秋までに行われる衆議院選挙の前哨戦とも言われる今回の選挙に各党とも国政選挙並みの態勢で臨んでいて、都民ファーストの会が第1党を維持できるかや、選挙協力を行う自民党と公明党で過半数を獲得できるかが焦点となります。
任期満了に伴う東京都議会議員選挙は25日、告示され、午後5時で立候補の受け付けが締め切られた結果、42の選挙区の127の定員に対して271人が立候補しました。
このうち都議会や国会に議席を持つ政党や政治団体の公認候補は、都民ファーストの会が47人、自民党が60人、公明党が23人、共産党が31人、立憲民主党が28人、日本維新の会が13人、東京・生活者ネットワークが3人、国民民主党が4人、れいわ新選組が3人、古い政党から国民を守る党が2人となっています。このほかに、諸派や無所属の57人が立候補しています。
今回の選挙は、10月に任期満了を迎える衆議院選挙の前哨戦とも言われていて、各党とも国政選挙並みの態勢で臨んでいます。小池知事が特別顧問を務める都民ファーストの会が第1党を維持できるかや、自民党と公明党が合わせて過半数の議席を獲得できるかが焦点となります。
4年前の前回、小池知事が代表を務めていた都民ファーストの会は公明党と選挙協力を行いましたが、今回は、自民党と公明党が選挙協力を結んで臨みます。また、今回、共産党と立憲民主党は候補者を競合させないため一部の選挙区ですみ分けを行っていて、議席の上積みをねらいます。都内の新型コロナウイルスの感染状況は再拡大の予兆が見られると指摘される中、選挙戦では、コロナ対策のほか、東京オリンピックへの対応などをめぐって論戦が繰り広げられる見通しです。東京都議会議員選挙は9日間の選挙戦を経て、来月4日に投票が行われ、即日開票されます。
小平市選挙区では2人の新人の無投票での当選が決まりました。無投票での当選が決まったのは立憲民主党の新人で、東京・生活者ネットワークと、社民党が推薦する元小平市議会議員の竹井庸子氏(55)と、自民党の新人で、公明党が推薦する元小平市議会議員の磯山亮氏(41)の2人です。東京都選挙管理委員会によりますと、都議会議員選挙での無投票当選は昭和38年に八王子市で無投票となって以来、58年ぶりだということです。

●東京都議選の争点 「コロナ対策・対応」が70% NHKアンケート  6/25
東京都議会議員選挙に立候補を予定している人に対するNHKのアンケートで、今回の最大の争点は何か尋ねたところ、70%の人が「新型コロナウイルスの対策・対応」と回答しました。
今回の東京都議会議員選挙でNHKは、立候補を予定している260人余りにアンケートを行い、これまでに254人から回答が寄せられました。
このなかで、選挙の最大の争点は何だと思うか8つの選択肢を挙げて尋ねたところ、「新型コロナウイルスの対策・対応」が70%と最も多くなりました。
次いで、「小池知事の評価」が10%、「東京オリンピック・パラリンピックの在り方」と「少子高齢化の対策など福祉政策」がそれぞれ4%、「首都直下地震の対策」が1%、「いずれもあてはまらない」が10%、「回答しない」が1%でした。
東京都内で24日確認された新型コロナウイルスの新たな感染者は570人で、2日連続で前の週の同じ曜日から100人余り増加し、東京オリンピックの開幕を前に感染の再拡大が懸念されています。
このため、今回の選挙では、新型コロナウイルス対策や、感染拡大の影響を受けている人たちへの支援策、それにオリンピック・パラリンピックの在り方など幅広いテーマをめぐって、論戦が交わされる見通しです。

●都議選の投票前に知っておきたい7つの数字。都の予算15.2兆円? 6/25
東京都議選(定数127)が6月25日に告示され、7月4日の投開票に向けて127議席を争う9日間の選挙戦がはじまる。現在、都議会の最大勢力は小池百合子知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」(都ファ)。前回は公明党との選挙協力もあり、過半数を獲得した。ところが、今回は自民党と公明党の協力関係が復活。小池知事が過労で入院し、選挙戦への影響も懸念される中、知事与党である都ファが過半数を維持するか注目される。さらに新型コロナ禍への対策はもちろん「定員50%・1万人以下」の観客で開催されることになった東京五輪・パラリンピックへの各党の姿勢も注目だ。政治とは、市民から集めた税金の使い道を決めることが大きな役割の一つだ。一般会計と特別会計を合わせた都の全体予算は約15.2兆円、経済規模(GDP)は約107兆円。どちらも一国に匹敵する莫大なものだ。自分が支払った税金がどのように使われてきたのか、そして、今後どう使われるのか。それを有権者が見極めるのも選挙の意義だ。新型コロナ対策や、コロナ禍での東京五輪・パラリンピックの費用で、都の財政は逼迫。加えて首都での戦いは国政への影響も大きい。各党とも年内に実施される「衆院選の前哨戦」と位置づけ、国政選挙並みの体制だ。都議選で有権者が投じる一票の重みは、否応なしに増す。2021年度の予算案概要などをもとに、都議選前に東京都の“お財布事情”にまつわる7つの数字をおさえておこう。
1:都の全体予算は約15.2兆円
東京都の2021年度の全体予算(全28会計)は15兆1579億円。都はノルウェー(18.5兆円、2019年)やスウェーデン(14.6兆円)などの国家予算並みの規模としている。このうち「一般会計」が7兆4250億円、都営住宅の管理など特定の目的に使う「特別会計」が5兆8317億円。上下水道、電車、バスなど独立採算制の「公営企業会計」が1兆9012億円になる。なお2020年度の全体予算(全28会計)は15兆4522億円。「一般会計」が7兆3540億円、「特別会計」が6兆134億円、「公営企業会計」が2兆848億円だった。
2:一般歳出は5兆6122億円
予算のうちメインの使いみちが「一般歳出」の5兆6122億円だ。都税などを原資に、福祉や教育、防犯・防災対策など行政サービスに広く使われる。このうち人件費や庁舎管理費など行政サービスを維持するための「経常経費」は4兆6719億円(前年度+4.2%)。新規事業は過去最高の430件にのぼる。一方、道路の整備費や学校の建設費、豪⾬対策や震災対策などにも用いられる「投資的経費」は、幹線道路の整備に伴う⽤地取得費が減ったことで1兆493億円から9403億円(前年度⽐−10.4%)となった。
<2021年度予算の「7つの柱」と主な新規・拡充事業>
1.「人」が輝く、誰もがいきいきと活躍できる都市(7292億円)
2.世界⼀安全・安⼼、便利で快適な都市(7251億円)
3.⽇本の発展を牽引し、将来にわたって世界をリードする東京(4178億円)
4.美しく、魅⼒溢れる都市(1156億円)
5.「スマート東京」の実現(224億円)
6.東京2020⼤会の開催とレガシーの創出(4028億円)
7.多摩・島しょの振興(2629億円)
<目的別で歳出内訳を見ると…>
•福祉と保健(1兆2975億円) / 「東京都出産応援事業〜コロナに負けない︕〜」の開始、保育従事職員の宿舎借り上げ⽀援事業の拡充などで1.4%増。
•教育と⽂化(1兆1680億円) / 都⽴学校の増改修の減などにより3.4%減。
•労働と経済(5333億円) / 新型コロナ対応に係る中⼩企業制度融資の増額、多摩産業交流センター施設の整備などで20.8%増。
•生活環境(1993億円) / ZEV導⼊促進事業などが増となる⼀⽅、⾃家消費プランの補助上限額の⾒直しなどで17.2%の減。
•都市の整備(8286億円) / 幹線道路の整備に伴う⽤地取得費の減額などで4.6%減。
•警察と消防(9032億円) / ⾏政⼿続等のデジタルシフトを推進する⼀⽅、警察・消防施設の整備費減などで2.0%減。
•企画・総務(6824億円) / ⼤会の延期や感染症対策の実施などによる、東京2020⼤会開催経費の増などで19.3%増。
3:都税収入は5兆450億円
都の収入にあたる税収(都税)は5兆450億円。前年度に⽐べて3996億円減った(前年比-7.3%)。都税の減収は9年ぶりだ。都税収⼊は固定資産税・都市計画税が増えたが、新型コロナ禍で企業収益の悪化。都税の柱である法人2税(法人住民税と法人事業税)が減少し、これが影響しているようだ。都の歳入の約7割は地方税(都税)で、その根幹は企業などからの法人2税だ。景気が悪化すれば収入が下振れする可能性がある。石原都政時代には、リーマン・ショックの影響で1年間に1兆円も税収が減ったことがある。
4:都債、コロナ影響除けば「リーマンショック後と同水準」
都債の発行額は前年度に⽐べて3792億円増の5876億円となった。新型コロナ対策への充当分(861億円)を除くとリーマンショック後と同水準となっている。加えて、都では合計1000億円程度のESG債(グリーンボンド、ソーシャルボンド)を発行している。グリーンボンド100億円増額の合計400億円は、河川護岸や調節池の整備や再生可能エネルギーの導入に。ソーシャルボンド約600億円は新型コロナ禍で苦しむ中⼩企業向けの制度融資の預託金や特別⽀援学校の整備に用いる予定だ。財政が債権にどの程度依存しているかの指標「起債依存度」は7.9%で、前年度に⽐べて5.1ポイント増加。ただ、都は「国(40.9%)や地⽅(12.5%)と⽐べて、引き続き低い⽔準を維持している」と説明している。
5:コロナで激減の「貯金」の財政調整基金、年度末の残高見込みは2837億円
都は不況や災害に備えて、2019年度末までに貯金にあたる「財政調整基金」として9345億円億円を積み立ててきたが、都はコロナ対策の相次いで補正予算を計上。財政調整基金はその財源に充てられ、2020年5月時点では500億円まで減った。都は2021年1月下旬の2021年度予算案を公表時点で、年度末の財政調整基金の残高見込みを1859億円としていた。ところが3度目の緊急事態宣言に伴う協力金などコロナ対策費用で一時は「21億円」の見通しに。2020年度末の残高見込みと比べて「99%減」の数字は都民に衝撃を与えた。その後、中小企業向け制度融資の預託金の一部が戻るなどの要因で上方修正。6月16日に都が発表した「令和2年度一般会計決算(見込み)」によると、2021年度末の財政調整基金残高見込みは2837億円となった。ただ、今後も新型コロナ対策費用がかさめば財政調整基金が原資になることは確実。都は今後も財源確保が課題となりそうだ。
6:新型コロナ対策費、2019〜2021年度で総額3兆円超に
都はこれまで幾度となく補正予算などを編成し、総額3兆円を超える新型コロナウイルス感染症対策費を投じてきた。主なものは以下の通り。
・中小企業制度融資等(9634億円)
・時短営業に係る協力金を含む感染拡大防止協力金(9304億円)
・患者受入に向けた空床確保料の補助(2602億円)
・生活福祉資金貸付事業補助(2518億円)
・医療従事者等への慰労金の支給(953億円)
7:東京五輪・パラの都負担額は約1兆4500億円
開会まで1カ月を切った東京オリンピック・パラリンピックへの費用負担も重くのしかかる。都の予算案によると、東京五輪・パラリンピック大会における都の負担額は約1兆4500億円。このうち「⼤会経費」として恒久施設の整備や輸送・セキュリティなどで7170億円、既存体育施設の改修やインフラ整備など「⼤会関連経費」が7349億円にのぼる。
東京オリンピック・パラリンピックの開会まで1カ月を切った中、緊急事態宣言は「まん延防止等重点措置」に切り替わったが、都内の新規感染者数(1週間平均)は6月24日に対前週比で113.8%となり、リバウンドが警戒されている。ポスト東京五輪、そしてポストコロナを見据えた都民の選択は——。投開票は7月4日。9日間の選挙戦に注目だ。
 
 
 

 

●都議選で掲げるコロナ支援策 自民は「自助」含み、立民は「補償」強調 6/26
次期衆院選の前哨戦と位置付けられる東京都議選が25日告示され、9日間の選挙戦の火ぶたが切られた。最大の争点の1つは新型コロナウイルス対策。国政政党は秋までに行われる政権選択の戦いをにらみ、幅広い支援策を並べた。それぞれの公約は、出口の見えない新型コロナの感染拡大で傷ついた都民生活や事業活動を立ち直らせる「東京再生」の見取り図となる。重点の置き方は党によって異なり、衆院選に向けた論戦を先取りする内容となった。
「与党の責務」強調
「コロナ禍の中の選挙戦。国民の命と暮らしを守る、これが与党の責務だ」 自民党本部で開かれた党都連出陣式に駆けつけた菅義偉首相(党総裁)はこう強調し、ワクチン接種の加速化を通じて早期収束につなげる考えを示した。自民党が力点を置くのは、生活の立て直しや事業の継続・再建を後押しする政策だ。都民向けには中間層を念頭に個人都民税20%減を打ち出し、女性や高齢者を対象とした就労支援補助、生活困窮者のための臨時雇用創出なども掲げた。企業に対する事業所税50%減や新規事業の設備投資支援なども、自分で働いて自分の力を強くするためのもの。「まずは自分でやってみる」と語る首相の持論の「自助」とつながる。公明党は、政府のワクチン政策について「接種に大きく道を開いてきた」(山口那津男代表)と主張。国の経済対策で足りない部分は都独自に実施すると「重点政策」に明記した。
野党は「直接給付」中心
一方、国政野党側は直接給付を中心に据える。コロナ禍で傷ついた家計や店舗を直接支える考えからだ。立憲民主党は、1人当たり10万円以上の定額給付金の再支給や、税を負担していない人にも恩恵が及ぶ「給付付き税額控除」の導入、コロナ対策に協力した飲食店などの減収額に応じた補償の実施を訴える。現在、店舗の休業や営業時間短縮に伴って支払われるのは「お礼程度」ともいわれる協力金だ。立民の枝野幸男代表はこの日の演説で、コロナ禍を「自分の力だけではどうにもならない危機」と表現し、「公助」の取り組みを広げる必要性を強調した。共産党も、緊急事態宣言などで間接的に影響を受ける事業者も含めた幅広い支援などを約束。日本維新の会は営業停止命令などの私権制限に「事業規模に見合った」損失補償を義務付けるとした。国民民主党は子育て世帯の公共交通利用の無料化を提案。れいわ新選組は、中小企業などに対してコロナ前の事業収入と比べたマイナス分を補填ほてんすると掲げた。
独自色に腐心
他の党も、公約の差別化に躍起だ。地域政党では、都民ファーストの会が学生の貧困対策で携帯電話料金の月3000円補助などを盛り込んだ。東京・生活者ネットワークは民間住宅の借り上げによる生活基盤の確保などを掲げた。国政政党の「古い政党から国民を守る党」は、しがらみのない政治などを訴える。

●都議選目前での「小池入院」見殺しにされる都民ファ 6/26
都議会選挙が6月25日に告示された。7月4日に投票が行われる。首都の議会の構成を決める重要な選挙である。秋に控えた衆議院選挙の前哨戦でもあり、日本の政治の行方にも大きな影響を及ぼす。
ところが選挙戦開始の直前の22日夜、小池百合子都知事は過労のために静養すると発表した。27日まで公務を離れ、その間、多羅尾光睦副知事が職務を代行するという。健康上のことなので致し方ないが、このタイミングでの静養については様々な憶測が飛んでいる。
「素人集団の最大会派」都民ファにすり寄って権力にありついた公明
その憶測の背景には、幾つかの政治的要因が重なりあっている。4年前の都議会選挙は、小池都知事が空騒ぎして大騒動に発展させた豊洲市場移転問題で無知なマスコミや大衆が扇動され、その結果、小池「私党」の「都民ファーストの会」が大勝し第一党となり、自民党が大惨敗を喫した。
都民ファーストの会が勝つことを見越した公明党は、それまでの盟友である自民党を弊衣の如く捨てて、この小池党と選挙協力をした。そして、目論見通り選挙後に与党の座に滑り込んだのみならず、都民ファーストの会の半数にも満たない議席しか持たないのに、与党の主導権を握り、与党の甘い汁を吸い続けてきた。都民ファーストは議席数は多くても素人集団で、都政には無知だからである。
1兆円あった都の「貯金」、瞬く間に“消失”
約1兆円もあった財政調整基金などの「貯金」が瞬く間に無くなったのは、主としてコロナ対策のためであるが、公明党の要求に応えるために大盤振る舞いしたことがあることも忘れてはならない。その意味で、都議会を支配する地位にいた公明党の責任は重い。
この党は、あくまでも権力志向であり、そうなった1つの原因は、特に地方自治体においては議会で警察委員会を牛耳ることによる旨みを味わってきたことにある。
今回の小池都知事のコロナ対策は、お世辞にも褒められたものではない。パフォーマンスのみで、実効性のある対策はとらず、飲食店などに対する指示も朝令暮改である。今回、緊急事態宣言がまん延防止等重点措置に移行するに当たって、多くの飲食店が都による規制を守らない姿勢に転じたのには理由があるのである。都民の多くが失望し、小池支持率は低下している。
都知事の失政は、与党をリードする公明党の責任でもあるが、それは棚に上げて、都民ファーストの敗北が確実視される中で、公明党はあっさりと都民ファーストの会を捨て、今度は自民党と握手した。その結果、自民党は現有の25議席を倍増させる勢いである。コロナ下で全国から創価学会員を動員できないこともあって、公明党は現有議席を減らす可能性もある。しかし、自民党大勝の予想が当たれば、都議会では第一党とともに二人三脚で動けることには変わりない。
小池氏の目にはもう「国政復帰」「総理への道」しか映っていない
自公の政策協定の裏には、小池都知事の方針転換もある。コロナ対策についても、彼女は国と対立を繰り返してきた。パフォーマンス優先で、首相よりも自分が目立つことばかりを考えている。彼女のマスコミ向けの勇み足で、何度も政府は有効な対策を打つタイミングを逸してきたのである。首相官邸が怒るのは当然であるが、「ジジイ殺し」の特技を持つ小池都知事は、自民党の二階俊博幹事長に接近し、支援を乞うたのである。
財政面でも、都の「貯金」を直ぐに食い尽くしてしまったために、もはや国に頼るしかなくなったのだ。そこで、小池都知事は、私党である都民ファーストの会を捨てても、自公連立政権と手打ちをしたほうが賢明だという判断をしたのである。
公明党が、その考えに従って握手する相手を自民党に変えたので、都議会選挙の結果など何も心配しなくてよいことになる。第一党の自民党と公明党とが過半数を制して与党となれば、都政運営には何の問題もなくなる。もともと、公約などを掲げても、「ペットの殺処分ゼロ」くらいしか実現できない程度である。情報公開の約束など、実現できないところか、むしろ情報隠匿に走っているくらいだから、小池氏にしてみれば何の問題もないのである。
哀れなのはバタバタと討ち死にする都民ファーストの会の議員であるが、小池人気にあやかって当選しただけのことであり、自業自得である。小池都知事は、その敗北に憐憫の情を催すような柔な政治家ではない。
彼女の最終目的は国政復帰であり、総理の座を狙うことである。討ち死にする都民ファーストの会などに関わっている暇はない。過労をおしてでも応援に駆けつけるメリットは何もないのである。それよりも、動かないことで自民党に恩を売り、国政復帰への道を確保したほうがよい。
利用できる者は利用し、使い途がなくなったら見向きもしないのが、彼女の政治家としての特質であり、ある意味でマキャベリズムを体現した政治家の典型である。捨てる相手は、細川護熙、小沢一郎、小泉純一郎、そして今度は二階俊博なのだろうか。
いずれにしても、秋に予想される衆議院選挙の結果、国会議員も新旧交代が起こるであろうし、いつまでも二階俊博、麻生太郎といった長老が支配しているわけではない。しかも、最近の政治家の質の劣化は甚だしい。小池百合子が国会議員に返り咲いて活躍できる余地はある。
「二元代表制」を叫ぶ都議会の病理と腐敗
国政だと、衆議院選挙で大敗すれば、内閣は吹き飛ぶ。それは議院内閣制だからである。これに対して、都政は大統領制である。アメリカのように三権分立である。私の経験からすれば、アメリカの大統領制よりも、議会は独立性が強く、都知事を利用するだけで、遙かに勝手気ままな行動をする。
知事の人気が高いと、すり寄って知事側近であるかのように振る舞い、選挙の道具にする。しかし、ひとたび知事の人気が陰り始めると、さっさと袖にする。その典型が公明党であり、裏切りも平気である。
しかも、都議会議員は「二元代表制」という言葉を声高に叫ぶ。つまり、「知事と同じように、自分たちも有権者に直接選ばれた代表なのだ、だから知事と同等の権力を持っているのだ」と豪語するのである。「同等」どころか、何回も当選した議員は、長くても3期12年程度の在任期間の知事よりも長期間公職に就いているという優越感を持っている。そこから来るのは、「知事は利用すべき対象であり、邪魔になれば捨てれば良い」といった奢りである。
知事選と都議会選は別物であり、後者で勝ちさえすれば良いというのである。予算案にしても議会の承認がいるし、条例も議会が反対すれば可決されない。そこで、知事の目の届かないところで、都議会議員たちは都庁の役人を呼びつけ、様々な要求を出したり、陳情したりする。とりわけ、議会の多数派に属する議員の力は絶大である。
そこで、長年第一党の地位にあった自民党では、内田茂議員(現在は引退)のようなフィクサー的なドンが誕生するのである。潤沢な税収のある東京都では、官僚機構を意のままに動かせれば、配分できる利権は山ほどある。それが、政治資金や票に変わっていく。役人にしても、自らの好む方向に議会が舵を切ってくれれば万々歳である。
こうして、政官業の癒着が生まれるのである。東京都は、財政規模から言えば、世界で中程度の国家と同じであり、配分すべきパイは山ほどある。したがって、都議会第一党、そしてそれと協力する公明党のような政党にとって、旨みがあるのである。地方自治体と言っても、首都であり、しかも地方交付税交付金も受け取らない裕福な大都市である。
自公で牛耳るようならまた旧態依然の都議会に
自民党が何としても第一党の地位を取り戻したいと思うのは当然である。小池都政になり、前回の都議会選挙で自民党が弱小な野党に成り下がったことは、ある意味で改革の糸口を切り開くことに繋がる可能性があったのである。しかし、小池都知事が実際に行ったのは、パフォーマンスで自分が目立つことばかりであり、改革前進どころか、逆に後退してしまっている。
そういう状況下で、都議会がまた自民党と公明党の連合軍に牛耳られることになれば、私が都知事に就任した際に目の当たりにした旧態依然とした状態に戻ってしまうのではなかろうか。
国会議員として、また大臣として国政の場に身を置いた経験からすると、都議会は冬眠しているようなものである。国会の衆参両院での予算委員会での激しい攻防を経験したので、都議会でも同じだと緊張して臨んだが、質問と答弁が事前に調整され、すべてが予定調和であった。元気になるのは、知事の不祥事を追及する時だけで、政策論議などはほとんどない。都知事の私が、事前に用意された答弁書以上のことをアドリブで付け加えようものなら、閉会時間が遅れるからと苦情が出る。国会のような丁々発止の激論など期待できないのである。
これが、世界第三位のGDPを誇る国の首都における議会の実態である。これでは、東京が世界一の都市になることはできまい。

●都議選 都民ファースト焦りの色 立共選挙協力 公明は自民と 6/26
次期衆院選の前哨戦となる今回の東京都議選は、国政与党の自民党と公明党が5年ぶりに選挙協力を復活させた。衆院選での連携にも万全を期す構えで、菅義偉(すが・よしひで)政権に対する批判票の取り込みを狙う立憲民主党と共産党も候補者の一本化を進めた。対する地域政党「都民ファーストの会」は前回、小池百合子知事が巻き起こした「小池旋風」に乗り、都議会第1党に躍り出たものの、今回は小池氏の支援が見通せず、焦りを募らせる。
「今回の選挙戦は市民と野党の共闘が深化した戦いだ。どうか支援の輪を広げてほしい」
都議選が告示された25日、墨田区内の街頭で共産新人の応援弁士としてマイクを握ったのは、次期衆院選で同区を含む東京14区から出馬を予定する立民の元衆院議員の男性だった。男性は共産新人への支持を訴えると、集まった有権者らに頭を下げて回った。
都議選の墨田区選挙区(定数3)では共産のほか、自公や都民ファなどが候補を擁立したが、立民は見送った。「立共」の共闘が自公への不満の受け皿となることで、議席が近づくと踏むからだ。
もちろん、数カ月以内に迫る衆院選をにらんだ判断でもある。当初、衆院東京14区で出馬の準備を進めていた共産新人が今年3月、都議選の候補に回ったのは「阿吽(あうん)の呼吸」(共産関係者)とされ、立民側は「都議選で応援してくれれば、衆院選でお返ししますよということ」(都連幹部)と受け止めている。
表立った共産との連携は、立民の最大の支持団体「連合」の反発を招きかねないが、立民関係者は「都内では連合よりも共産の組織票のほうが期待できる」と心中を明かす。今回、定数が1〜3人の選挙区の大半で候補者の一本化が進んだのはそのためだ。
4年前、自民との対決姿勢を鮮明にした小池氏が都民ファの代表として選挙戦の先頭に立ち、都民ファが安倍晋三政権(当時)への批判票を一手に取り込んだ。だが、今回は現政権への不満を抱える支持者が立民や共産に流れるとの指摘もある。
前回都議選で都民ファと連携した公明は今回、自民との選挙協力に戻った。公明候補が立たない選挙区では、支持母体である創価学会を中心にした強固な組織票が自民候補に回ることになり、都民ファにとってはこれも脅威となる。
都民ファは同党特別顧問を務める小池氏の全面支援求めてきたが、小池氏は記者会見で「改革を続ける方々にエールを送っていきたい」と繰り返し、態度を明確にしてこなかった。そのまま22日には、過度の疲労から静養に入り、応援の見通しは立っていない。
小池氏にとって、都議選で自民が巻き返す可能性を考えれば、都民ファへの全面的な肩入れは得策ではない。都民ファ幹部は「今回も応援してもらえる」と小池氏の復帰後の支援に期待をつなぐが、自民都連関係者は「選挙戦で『風』がどう吹くのかを見極めているのだろう」と突き放した。

●東京都議選、感染防止にピリピリ 手袋でビラ配布、ネット配信… 6/26
東京都議選(7月4日投開票)は26日、告示後初めての週末を迎えた。コロナ禍で初の都議選ということで、候補者らは有権者と一定の距離を保ちながら訴えるなど、感染防止に配慮しながらの舌戦が展開された。
23区内で立候補した女性候補者は橋の上から、川を航行する船の乗客に向けて手を振り、距離を取って支持を訴えた。陣営の担当者は「コロナ禍なので、密を作らないための工夫の一つ」と明かす。27日は逆に、候補者自身が船に乗り込み、岸辺の有権者に向けて演説するという。
23区内の男性候補者の陣営は、候補者が街頭演説するにあたり、スタッフが「密の回避にご協力をお願いいたします」「SOCIAL DISTANCE(ソーシャルディスタンス)」と記された案内を掲げた。候補者以外も同じマイクを握るため、その都度消毒していた。
多摩地域で立候補した女性候補者は街頭演説しながら、ライブ配信も行った。大物国会議員が応援に来訪し、「少しでも密を避けるための工夫」として活用した。
陣営は、告示前から動画投稿サイト「ユーチューブ」に1日数本のオリジナル動画を配信するなど、ネットを通じた知名度向上を図ってきた。陣営幹部は「密になる場所に行くことを心配する人もいるので、屋外でもネット配信は有効な手段」と話した。
多数の人に訴えるため、候補者の演説場所は必然的に人の流れの多い駅などになる。多摩地域の男性候補者は駅前で「従来通り」の演説を行ったが、マスクをしたまま新型コロナ対策に関する主張を展開した。陣営スタッフも手袋でビラを手渡すなど配慮していた。 

●「小池旋風」後の政局凝縮 都議選の象徴、中野区を歩く 6/26
25日に東京都議選が告示された。4年前、自民党と対峙(たいじ)し、街頭演説を繰り返した小池百合子知事が一転して沈黙を保つ中、今回の都議選では、「知事与党」が各選挙区で対決する。野党勢力は候補者を一本化して共闘で挑む。その構図を象徴する中野区(定数3)を歩いた。
小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」から立候補したのは、党代表を務める現職の荒木千陽氏(39)。25日昼、中野駅前で「私の心には小池知事がいます。ここにいるつもりで街頭演説をさせて頂いております」とアピールしてみせた。
荒木氏は、小池氏の衆院議員時代に秘書を6年務めた「側近中の側近」(都民ファ都議)だ。選挙事務所の入り口には、小池氏のポスターが10枚以上貼られ、党の宣伝カーでは事前収録した小池氏の音声を流す。陣営関係者は「小池氏の知名度に全面的に乗っかる必要がある」と語る。
「小池旋風」が巻き起こった前回、都民ファはほぼ全ての選挙区でトップ当選を果たした。中野区では、荒木氏が4万4千票を獲得し、次点に2万票差をつけた。
だが今回、都民ファは厳しい戦いを強いられる。
要因の一つが2017年10月の衆院選だ。小池氏は都議選での勢いに乗り、希望の党を結党したが惨敗を喫した。小池氏への批判が都民ファにも影響し、その後の地方選でも勢力をわずかに拡大するのみだった。ある都議は「都民ファは衆院選からずっと低迷したままで、話題にもならなくなった。常に動向が報じられる国政政党に比べて、地方政党はすぐに忘れ去られる」と振り返る。
そして、迎えた都民ファにとって2度目の都議選。昨夏の都知事選で自民の実質的な支援を受けた小池氏は今回、都民ファへの支持を明確にしないまま告示を迎えた。別の都民ファの都議は「荒木さんには踏ん張ってもらわないといけない」。
都民ファとともに知事与党を担った公明党も厳しい選挙戦を強いられている。
前回は、国政で連立政権を組む自民とたもとを分かち、都民ファと選挙協力した。今回は自民と協力して都議選に臨むが、移動や外出の自粛が求められるコロナ禍で支持母体・創価学会の活動に制約がある中、1993年以降続けてきた全員当選に危機感を抱く。
公明が最も厳しい選挙区の一つに位置づけるのが中野区だ。現職の高倉良生氏(64)は各地で街頭演説をこなす。25日午後に応援に入った山口那津男代表は「国会議員がいない政党では、国政と連携できない。東京と国とのネットワークを生かした政策実現が公明党にはできる」と訴え、都民ファを牽制(けんせい)した。
自民は小池氏との関係を修復して迎えた今回、元区議で新顔の出井良輔氏(48)を擁立した。前回は小池氏が都知事に就任した際に記念撮影を拒んだ現職議長が落選。過去最少の当選者数に終わった歴史的大敗の象徴となった。25日には茂木敏充外相や地元選出の衆院議員が続々と応援に入り、「議席を奪還しなければいけない」と訴えた。
国政野党は共闘を進める。
「無駄を切り、医療介護や子育て、教育を拡充するために財源を使うべきだ。そのためにも、今のイエスマン都議会を変えていく」
立憲民主党の現職、西沢圭太氏(42)は、25日午前に開かれた出陣式でそう声を張り上げた。集まった聴衆の中には、共産党の支持者の姿も見られた。80代の女性は「いつもなら共産の候補に投票するが、野党はバラバラにやってたら勝てない。西沢氏は医療や福祉の充実を訴えてくれているので、今回は立憲に入れたい」
立憲と共産は今秋の衆院選も見据え、定数が1〜2の選挙区を中心に候補者を調整。定数3の中野区でも西沢氏での一本化に成功した。共産関係者は「過去に現職がいた選挙区なので、独自の候補者を擁立したい思いもあった。だが衆院選も見据えて共闘を大きな流れにするために決断した」と明かす。
このほか中野区では、無所属新顔の沢口祐司氏(66)も立候補した。 
 
 
 

 

●「怪情報」も飛んだ小池百合子都知事が短期決戦・東京都議選「陰の主役」 6/27
注目選挙がめじろ押しの2021年、その1つである東京都議選が告示された。都政、ひいては国政の今後の情勢がどうなるのか、動向が鍵を握る小池百合子知事が、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックやコロナ禍の対応に追われる中、過度の疲労を理由に公務をキャンセルして静養に入ることが、告示3日前に発表された。小池氏不在の中、何となく静かな幕開けとなった。
それでも、「実はもう退院しているらしい」「候補者の活動をこっそり見に行っているらしい」など、小池氏に関する真偽不明の“怪情報”が飛んだ、などの話も耳にした。正式な公務復帰の日程は、まだ発表されていない。おひざ元の議会の議員を決める選挙ではあるが、公務に戻っても候補者の応援に入るのかどうかも含めて、見通せないことが多い。
静養入りの際、小池氏に20年近く寄り添ったメスのヨークシャテリア、愛犬の「そう」ちゃんを少し前に亡くしていたという情報を耳にした。小池氏を知る人は「そうちゃんは、肉親同然だった」と話す。
2016年7月25日、小池氏が初めて出馬した東京都知事選の投票まで1週間を切った日、国会議員時代の選挙区でもある練馬区の私鉄駅前で演説した後、小池氏がスタッフに抱かれたそうちゃんのもとにやってきたシーンに遭遇した。それまで多くの人の前で演説し、どこか気張った様子だった小池氏の表情の緊張感が、一気にほどけた様子を覚えている。都知事就任後もSNSの投稿に登場していた愛犬との別れが、疲労のピークに重なっていたことになる。
政治家はなかなか、自分から自分の病気を公にしたがらない。立場が上の人になればなるほど仕事にも影響があるし、健康問題が「政治生命」にリンクして語られるためだと、かつて教わった。時代も変わって最近は公表するケースも増えたが、以前、取材を申し込んでいた議員の取材先に指定されたのは、入院先の病院の個室だった。それも、退院を翌日に控えた日。情報のコントロールも含めて、ここまで気を使うんだと実感した経験がある。
小池氏の今回のケースは、東京大会の開催都市トップで、新型コロナ対策が日々、待ったなしの状況にあることを考えれば、公表せざるを得ない状況だった。次はいつ、仕事に復帰するのか、都議選に関わるのか関わらないのか。小池氏の言動が選挙戦の行方を左右しかねないと多くの陣営が認識しており、もう1つの関心事となっている。
麻生太郎財務相が、小池氏の静養を「自分でまいた種でしょうが」と、都議選の応援演説中に発言したとして物議を醸しているが、5年前の都知事選でも、対立候補の応援に入った石原慎太郎氏が小池氏を「厚化粧の女」などと発言し、小池氏が「今日は薄化粧で来ました」などと反撃する出来事があった。今回、小池氏は応じることはあるのだろうか。
自治体議員の選挙は、国政選挙や知事選よりも期間が短い、短期決戦だ。都議選の現場では「『見えない小池さん』と戦っている感じ」という声も聞いた。「陰の主役」が不在のまま、早くも中盤戦だ。

●選管、制度利用呼び掛け コロナ療養者の郵便投票―東京都議選 6/27
通常国会で成立した特例法に基づき、新型コロナウイルスの感染により自宅などで療養中の有権者らが郵便投票できる制度が東京都議選(7月4日投開票)に初適用された。利用するには今月30日午後5時までに、郵送などで住んでいる市区町村の選挙管理委員会に申し込む必要があり、都選管の担当者は「選挙まで時間はないが、必要な人に情報を届けたい」と語り、利用を呼び掛けている。
対象として、保健所から外出自粛を要請され、自宅やホテルで療養する人などを想定。海外から帰国し、経過観察のため宿泊施設に滞在する人も含む。
市区町村選管は申し込みを受け、投票用紙や専用封筒、ファスナー付き透明ケースなどを送付。記入済み投票用紙は専用封筒と透明ケースに入れた上で、同居人らを通じて7月4日の投票終了までの返送を求める。
都選管は感染対策として、療養者らが申し込みのための請求書や投票用紙を準備する際、手洗いやアルコール消毒を必ず行い、できる限りマスクや使い捨てビニール手袋を着用するよう要請。また、投票用紙を入れる透明ケースなどは表面をアルコール消毒してポストに投函(とうかん)することを促している。
市区町村選管は保健所と連携し、本人から同意を得た上で療養者らに制度を案内。港区選管の担当者は「保健所も多忙と聞いている。保健所の業務に支障が出ない範囲で、一人でも多くの人に投票してもらいたい」と話す。

●小池都知事が不在の「東京都議選」…公明党が大後悔し、共産党が高笑い 6/27
いよいよ東京都議選が6月25日に始まった。42選挙区127議席を巡って271名が立候補し、9日間の戦いの火ぶたが切られた。
今回の都議選は10月21日に任期満了を迎える衆議院選挙を占う前哨戦と位置づけられるが、注目すべきはそれだけではない。都知事選直前に入院した小池百合子都知事の影響力はどうなるか。下馬評では「自民党躍進」、「都民ファーストの会の凋落」などが話題になっているが、本当にそうなるのかが興味深い。
また躍進すると言われる共産党や、「1963年に都政に進出して以来、最大の危機にある」と言われている公明党にも注視したい。
さて初日の6月25日は、10時から西新宿で行われた日本共産党の街宣、12時から目黒区・自由が丘で行われた公明党の街宣を取材した。国政であれ地方選挙であれ、共産党はいつも第一声を新宿で上げるため、定点観測にはもってこいだ。
公明党の場合、苦戦区については公明新聞がひときわ強調して報じるが、今回の都議選では北多摩3区、目黒区、中野区、豊島区が該当。実際に選挙戦初日、山口那津男代表はこれら4つの選挙区に応援に入った。
「今日からいよいよ都議会議員選挙がこの自由が丘駅頭で、斉藤泰宏、目黒区は斉藤泰宏、公明党の大事な大事な実力派であります。斉藤泰宏をはじめ、23名の候補を擁立いたしました。なにとぞ皆さまのお力で目黒、斉藤泰宏を勝たせていただけますよう、宜しくお願い申し上げます」
80名ほど集まった駅前ロータリーに、山口代表の声が響く。山口代表といえば、「なっちゃんです!」の“つかみ”で演説し、集まった支持者たちを熱狂させることで有名だ。
前回の都議選では、国領駅前で“最後の訴え”を行った。山口代表は「国領駅頭のみなさん、こんばんは!」と応援で陽に焼けた顔をほころばせ、左手を挙げて「なっちゃんです!」と大きくアピールした。昨年の「大阪都構想」の是非を問う住民投票でも大阪維新の会の応援に駆け付け、「大阪のみなさん、こんにちは! なっちゃんです」と有権者に笑顔を向けていた。
しかし今回はそれがない。うっかりと忘れてたのなら、余裕がないということだ。あるいはそれを封印しなくてはならないほど、厳しい選挙だということかもしれない。
そもそも公明党にとって、前回の都議選が楽勝すぎたのだ。2016年7月の都知事選では自民党が擁立した増田寛也氏を応援した公明党だったが、小池知事が当選した後は都議会で与党に転じている。当時の小池知事は人気絶頂で、2017年2月には千代田区長選では多選と高齢を批判された石川雅己区長(当時)を圧勝させ、5回目の当選に導いた。
都議会公明党はそのような小池知事と連携すべく、同年年3月に都民ファーストの会と選挙協力を約束し、政策協定をも締結。これにより同年年7月の都議選では小池知事の積極的な応援を得て、都議会公明党は擁立した23名全員が当選を果たした。この公明党完勝に対する小池知事の寄与は非常に大きい。
しかし同年10月に小池知事が希望の党を結党し、国政との「二足のわらじ」を履こうとした頃から、公明党は小池知事に疑念を抱き始め、連携を解消するに至っている。都議会公明党それ以降、小池都政とは「是々非々」というスタンスをとるが、11月14日に都内ホテルで都民ファーストの会が最初に開いたパーティーには公明党の議員はひとりも姿を見せなかった。
もっともこれを「都議会公明党の突然の変心」あるいは「裏切り」と解すべきではない。そもそも両者は最初から、長く付き合えるはずがなかったのだ。
都議会公明党の東村邦浩幹事長は3月28日の公明新聞で、議会運営などについて両党の幹事長同志で合意しても、都民ファーストの会の内部でなし崩しにされてきたこと、さらに都民ファーストの会は8人もの離党者を出し、会派としてまとまりがないことなどを述べ立てているが、要するに「都民ファーストの会は政党としての体をなしていない」と断言しているに等しい。
そもそも“小池百合子”自身が劇薬なのだ。服用した当初は抜群の効果を感じても、じわじわと後遺症に悩まされることになる。そういう意味で公明党は、前回の都議選で手を出してはならないものを使ってしまったということになる。
3月に政策協定を結んだ自民党にしても、選挙区で競合するために全面的に頼ることができない。たとえば定数3の目黒区は、もともと旧民主系の勢力が強い地盤である上に、自民党は2名の元職を擁立している。
にもかかわらず自民党と選挙協力している関係上、思い切った自民党批判はできない。賛否が分かれる東京オリンピックパラリンピック開催の是非も重要な争点であるが、国政では与党でいる以上、それを封印せざるを得ない。
一方で今回の都議選をまたとないチャンスと受け止めているのが共産党だ。前回の都議選で都民ファーストの会が獲得した票の多くがもし小池知事に愛想を尽かし、菅義偉首相にうんざりするなら、共産党の議席増は夢ではない。しかも共産党は2013年の都議選で8議席から17議席に倍増させ、2017年には19議席を獲得した。国政においても、共産党の協力なくして野党が躍進できないという自負がある。
コロナ禍にうんざりしている有権者にとっては、安定性を求めて自民党に入れるか、思い切った変化を求めるかという選択になるだろうが、それを上手く乗り切れる者こそ、都議選の勝利者に違いない。

●都議選と天気 4日(日)はくもりで、気温も高い予想 6/27
7月4日(日)は都議選の投開票日。最新の週間天気予報によると、くもりで降水確率は40%、予想最高気温は29度となっている。天気と投票率の関係ではくもりの日が高く、猛暑は投票意識に水を差すようだ。
投票率と天気
都議会議員選挙が今のように梅雨の時期に行われるようになったのは昭和40年(1965年)からです。これまで14回実施され、投開票日が雨となったのはそのうちの6回(約4割)と多い。ただ、いずれも大雨ではなく、梅雨特有のシトシト雨やにわか雨でした。投票率と天気の関わりは以前から言われていて、雨の日は投票所への足が遠のき、一方で晴れてもレジャーや買い物に行きがち。投票率が高くなりやすいのはくもりの日というわけです。1965年以降の都議選の投票率をみると、1977年(昭和52年)の65.17%をピークに低くなり、今は50%前後となっています。1997年(平成9年)には最低の40.8%を記録しました。梅雨時の選挙なので、すっきりしない天気が大半ですが、最近の傾向としては雨の日に比べて、くもりの方が投票率は高いようです。
猛暑が影響も
もうひとつ、気温についても調べてみました。この時期は日が長く、日差しも強い。過去最低の投票率となった1997年7月6日は記録的な暑さでした。以前にもこの日の天気を記事にしましたが、午前中から強い日差しとなった東京は昼前に、最高気温35.8度を記録、天気ノートには「真夏の日差し、猛暑」とあります。梅雨時なので、くもったり、雨が降ったりすれば、気温はあまり上がりません。でも、時には猛烈な暑さが投票所への足を妨げることがあるようです。
梅雨らしい空模様に
さて、一週間後に迫った都議選の投開票日(7月4日)の天気はどうなるのでしょう。予想天気図を作成してみると、梅雨前線が中国大陸から本州の南にかけてのびています。27日午前11時発表の週間天気予報によれば、4日(日)の東京の予報はくもりで、降水確率は40%です。そして、予想最高気温は29度とやや高めで、日が差せば32度くらいまで上がる可能性があります。前回(2017年7月2日)と同じような天気になるかもしれません。天気が雨でも、晴れでも、くもりでも、一人一人が意思表示することの大切さを思います。

●自公、過半数獲得の勢い 都民ファースト伸び悩み 6/27
東京都議選(7月4日投開票)について、毎日新聞は26日に都内の有権者を対象にインターネット調査を実施し、取材内容を加味し情勢を探った。定数127に対し、自民党は議席を大きく伸ばすとみられ、選挙協力を結ぶ公明党と合わせて過半数(64議席)の獲得をうかがう勢いだ。小池百合子知事が特別顧問の地域政党「都民ファーストの会」は伸び悩み、第1党を維持するのが難しい情勢とみられる。
今回の調査では、各選挙区で5割前後が投票態度を明らかにしておらず、情勢は変わる可能性がある。
調査は毎日新聞とTBSテレビ、社会調査研究センターが共同で実施した。NTTドコモの携帯ユーザーを中心とする都内在住者から無作為に抽出した対象者にメールで協力を依頼し、2万1000人から有効回答を得た。都議選の選挙区は42で、無投票当選が決まった小平市選挙区は調査対象から外した。
都民フは議席を現有45議席から減らし、最大でも22前後にとどまる可能性がある。前回選で躍進の原動力になった小池氏が支持を明らかにしておらず、過労により静養中であることも影響している可能性がある。
自民は獲得議席が50を超える可能性も出ている。前回選で複数候補を擁立して共倒れした選挙区でも、今回は支持を広げつつある。現有23議席の公明は全員当選を目指すものの、一部選挙区では苦戦している模様だ。
共産党は立憲民主党と一部選挙区で候補者を一本化する野党共闘を展開。政権批判票を取り込み、現有18議席からの上積みも視野に入っている。立憲は現職がおおむね安定した戦いを繰り広げ、元職や新人も一部優勢で、議席を現有の8から倍増させる可能性も出ている。
政党別の支持率は、自民19%、都民フ、立憲各6%、公明5%▽共産4%、日本維新の会3%、れいわ新選組2%――などだった。

●茂木外相の街頭演説が不審物騒動で中止になり騒然… 6/27
東京都議選が火ぶたを切り、自民党からは安倍晋三前首相、河野太郎ワクチン担当相、丸川珠代五輪担当相ら大物議員たちが国政選挙並みの総力体制で連日、各選挙区の自民党候補の応援に入っている。
各陣営の応援合戦がヒートアップする中、現職閣僚が応援に入った街頭演説が「不審物予告」で急きょ、中止される騒動まで勃発。「密」過ぎる都議選をルポした。
告示2日目の6月26日、目黒区の自民党候補の鈴木隆道氏はTwitterでこうつぶやいた。
「中目黒駅で消防出動があり、急きょ、茂木大臣との街頭演説会を中止させていただきました。代わりに中目黒銀座商店街の皆さまにご挨拶に上がらせていただきました」
鈴木氏の応援に入った茂木敏充外相が行う予定だった中目黒駅前での街頭演説。その直前に消防車がけたたましいサイレントを鳴らしながらやってきたという。鈴木候補の選対事務所関係者は経緯をこう説明する。
「茂木大臣との街頭演説会はこの日、2カ所で予定していました。午後1時30分からの目黒駅前での演説会は予定通りに実施されました。次に午後2時から中目黒駅前で演説会の予定が入っていたのですが、ちょうど演説会場のあたりに消防車が入って来たんです」
いったい、何があったのか。AERAdot.編集部が東京消防庁に問い合わせたところ、こう回答があった。
「駅構内に不審なものがあると、119番通報があったんです。現場に行ったのですが、何もなかった」
鈴木氏の選対事務所ではこう説明する。
「中目黒の駅は騒然としておりましたし、そんなところで演説をするということはさすがにできませんでしたので中止とさせていただきました」
しかし、 茂木外相は不審物騒動にも怯まず、午後2時半からもう一人の目黒区内の自民党候補、栗山芳士氏の応援演説をしていた。
実は目黒区では熾烈な戦いが繰り広げられている。定数3に対し、7人が立候補。現職の都民ファ、公明、共産の3人に、4年前の都議選で議席を失った自民から2人が立候補したことが熾烈な争いに拍車をかけている。
「自民党候補は2人なのに、鈴木氏の選挙ポスターには『自民党・目黒唯一の候補者』と記載されており、これに栗山陣営が猛反発。同じ党の候補でありながら一発触発のムードになっています」(地元自民党関係者)
鈴木氏の選対事務所関係者がこう話す。
「定数3人に対して、自民党候補が2人立つというのは厳しい状況になるから、前々から1人に絞ろうと議論してきました。最終的に目黒総支部の決定として鈴木を推薦し、上部組織に対して公認申請をしたという経緯です。栗山さんはそれでも立候補したいと言って、自民党東京都連に申し込みました。目黒自民党として公認しているのはあくまでも鈴木一人。栗山さんは自民党東京都連が公認を出した候補です」
都議選前の情勢調査では、自民党が48〜55議席を取り戻すと予測されている。
「だけど、目黒区の状況からすると、自民2人が当選するというのはきわめて厳しい状況。お互いががんばればがんばるほど、共倒れしかねない」(自民党関係者)
「不審物騒動」は都議選と何らかの関係があるのか。あるいは単なる愉快犯なのか。真相は「藪の中」だという
自民党の勢い余って、「密」もアチコチで発生しているようだ。
アイドルグループ「SPEED」の元メンバーで自民党の今井絵理子参院議員も告示日から走り回り、26日には墨田区の川松真一朗候補の応援に訪れた。
今井議員は「顔がみえるマスク」をして演説に立ち、「政治を変えていこう」などと得意の手話を交え演説。すると、今井氏とツーショット写真に収まりたい多くの人が行列を作った。
記者が今井議員に「透明マスクの着け心地」を直撃すると、「くもってない? ちょっとくもってますか?」と逆質問された。「それほどくもってません」と答えると、透明マスクにしている理由を語り始めた。
「聴覚障害の方々が、選挙応援中にいらっしゃるので、それで口の動きや表情が読み取れるように、透明マスクにしています。全然、息苦しくないです。ちょっとファンデーションが付くかな…」
ユニチャームの製品だという。値段を尋ねると、「1400円くらい。でも、これ洗って使えます」
今井氏はあちこちの選挙区から来てくれと、オファーされるなど引く手あまたの人気ぶり。
「できるだけ、お声をかけていただいたところは足を運びたいなと思います。頑張ります」と笑顔で答えた。
目前に迫った東京五輪・パラリンピックの顔、丸川珠代五輪相も都内を飛び回っている。26日には足立区の自民党候補、高島直樹氏の演説会に訪れ、激励した。会場には500人ほどがギッシリと集まり、かなり「密」な状態だった。
進行役のスタッフは状況が露出するのを気にしてなのか、「写真や動画は個人で保存されるのであれば問題ないですが、インターネットやSNSに掲載をするのは、お控えいただきたい」と注意のアナウンスをしていた。
丸川大臣はこう熱弁をふるった。
(前回の選挙で)60人いた仲間が23人になってしまった。落選した数の方がうんと多かったんです。どうかみなさんの力で高島直樹を当選させてください。お願いします」
丸川大臣は高島氏と肩を抱き合い、腰に手を回して投票をアピールするサービスぶりだった。
告示日(25日)も安倍前首相はじめ、大物たちがフル稼働した。記者は大田区で応援演説を終えた石破茂元幹事長に「自民党は勝てそうなんですか」と直撃した。
「わからん、わからん。きょうは蒲田と大森をまわってここに来た。今回は八王子だろうが八丈島だろうが、あっちゃこっちゃ行きます」
いま、テレビに出ずっぱりの河野大臣も練馬区内で行われた出陣式に駆けつけていた。こちらの会場もかなり「密」状態。河野大臣は黒マスクに「厚生労働省の新型コロナワクチンコールセンター」の電話番号を縫いつけて登壇した。「こういうコロナ禍での今までとは違った選挙戦です。なかなか今までとは同じ選挙というわけには行きません。ぜひ、みなさん携帯電話を使っていただきたい」
こう言うと、真っ先に退席した河野大臣。同じ会場でスピーチした下村博文・自民党政調会長に戦況について尋ねた。
「まぁ、前回は悪かったから、前回よりはね…」と4年前よりは手応えを感じているようだ。
文京区で行われた自民現職の出陣式には片山さつき参院議員、衛藤晟一元一億総活躍相らが応援に駆けつけた。フェイスシールドをした片山さつき議員は大きな身振り手振りで熱弁をふるっていた。
都議選でオーバーヒートし、新型コロナウイルスが感染拡大しないようくれぐれも「密」にはご注意いただきたい。

●選挙サンデー舌戦熱く 都議選期間中唯一の日曜日 6/27
東京都議選(7月4日投開票)の期間中、唯一の日曜日となった27日、各陣営は主要駅前などに繰り出した。新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置の発令中のため、感染防止に気を使いながら候補者らは熱く支持を訴えた。
ある党の候補者は「都政を前進させ、大きく変えていく」と絶叫。聴衆から「頑張れ」と歓声が上がると、ガッツポーズで応えた。応援に来た党幹部も「まだ当選ラインが見えていない。どうか勝たせてください」と声を張り上げた。
会場には多くの聴衆が集まり、陣営はマスク着用や間隔を空けるよう何度もアナウンス。演説者が交代する際、マイクをアルコール消毒する姿も見られた。
 
 
 

 

●小池都知事が静養延長、都議選・五輪前に不在−コロナも増加傾向 6/28
東京都は27日、過度の疲労により公務を離れている小池百合子知事が、静養期間を数日間延長すると発表した。7月4日に投開票が迫る都議選の世論調査では、知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が大幅に議席を失う可能性が伝えられている。
都の発表によると、医師の判断により静養期間を延長する。静養は22日夜に発表され、多羅尾光睦副知事が代理を務めていた。
加藤勝信官房長官は28日の記者会見で、「しっかりと静養し公務に復帰することを願っている」と語った。新型コロナウイルス対策については、副知事と「しっかりとした連携を図っている」と述べた。
共同通信が25−27日に実施した世論調査では、都議選の投票先は自民党が最多で3割を占め、第1党を奪還する勢いだ。公明党や共産党、都民ファーストの会が2番手を争う。情勢取材を加味すると、現有最多の46議席を持つ都民ファは大幅に後退する可能性があるという。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京では7月11日までまん延防止等重点措置を適用しているが、27日の感染者数は386人(前日534人)、直近7日間移動平均は前週比で123.0%になるなど増加傾向がみられている。東京五輪は7月23日に開幕する。
菅義偉首相は28日午前、羽田空港で水際対策の状況を視察後、「高い警戒感を持って感染対策に当たっていかなければならない」と記者団に語った。感染状況を注視し「必要であれば機動的な対応もしていきたい」とも話した。

●自民・公明で過半数獲得の勢い・・・都議選JNN調査 6/28
秋までに行われる衆議院議員選挙の前哨戦とされる東京都議会議員選挙について、自民党と公明党が過半数を獲得する勢いであることがJNNなどが行ったインターネット調査でわかりました。
調査は都内の有権者を対象にご覧の方法で行い、2万1000人から回答を得ました。
それによりますと、4年前に歴史的惨敗を喫した自民党は改選前から大幅に増やし、49議席前後となる見通しです。選挙協力する公明党とあわせて過半数の64を超える議席をうかがう情勢です。
一方、4年前は小池知事が選挙戦の前面に立ち圧勝した都民ファーストの会は、20議席前後にとどまる見通しです。
小池知事に批判的な立憲民主党と共産党は選挙区をすみ分けた結果、立憲民主党は議席を倍増、共産党も現有議席を上回る勢いです。
ただ52%の人はまだ投票先を決めていないと答えていて、今後、大きく情勢が変わる可能性があります。

●与野党幹部、舌戦に熱 都議選唯一の選挙サンデー 6/28
東京都議選(7月4日投開票)の選挙期間中唯一の日曜日となった27日、与野党幹部は都内各地でマイクを握り、支持を呼び掛けた。各党とも今秋行われる見通しの衆院選の前哨戦と位置付けており、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」発令中にもかかわらず、舌戦は熱を帯びた。
自民党の加藤勝信官房長官は吉祥寺駅で演説し、菅義偉首相が重視するコロナのワクチン接種について「実際は100万回どころではなく、たぶん120万を超える接種が全国で毎日行われている」と説明。「それが安心と安全につながる。経済にも大きなプラスになる」とアピールした。
立憲民主党の枝野幸男代表は八王子駅で街頭に立ち、「日本は先進国の一角。その首都で(コロナ患者の一部が)まともな医療も受けられず亡くなっている」と指摘。「これを止めるため、政治を根っこから変えよう。競争だ、自己責任だとあおってきた政治を変えていこう」と訴えた。
政党同士の批判合戦も激しさを増した。公明党の山口那津男代表は池袋駅で「(ワクチンを)無料で接種するための第3次補正予算に反対した政党がある。共産党だ。責任感が貫かれていない」と指弾した。
攻撃を受けた共産党の志位和夫委員長は自由が丘駅で、東京五輪中止を求める立場から「公明党代表は都議選第一声で五輪(の是非)に一言も触れなかった。この大問題にだんまりを決め込むのはあまりに無責任だ」とやり返した。
地域政党「都民ファーストの会」の荒木千陽代表は東中野駅で、都議会第1党の勢力維持に向けて「都民の命と暮らしを守るため、国に忖度(そんたく)しない都民の代弁者が絶対に必要だ」と力説。国民民主党など他党の幹部も各地で支持を訴えた。

●コロナ、五輪、小池都政 東京都議選のポイントは 6/28
6月25日告示、7月4日に投開票される東京都議会選挙。前回は小池百合子都知事が立ち上げた「都民ファーストの会」が圧勝し、「小池フィーバー」を巻き起こしました。コロナ対策やワクチン、オリンピック開催の是非など、多くの課題を抱える今回の都議選。私たちは何に注目し、どのように投票する政党を選べばいいのでしょうか。『つながるつなげる日本政治』(弘文堂)の編著者で神奈川大学教授の大川千寿さんに解説してもらいました。

編集部(以下、――) 今回の東京都議会選挙はさまざまな課題がある中での重要な選挙ですが、有権者はどのような点に注目したらいいのでしょうか。
大川 世論では新型コロナウイルスへの対応や東京オリンピック・パラリンピックの開催是非が論点になっていますよね。しかし、コロナに埋もれている、あるいはコロナから派生した個別の課題も実は多くあります。大きな問題で見えにくくなっている論点にも目を向け、各政党がそれらに対しどのような公約を発表しているのかも投票する政党を見定めるポイントになります。
―― 東京都が抱えているコロナに関連した個別の課題とは、具体的にどのようなものでしょうか。
大川 例えば人口について。 コロナの長期化により、人口増に歯止めがかかりました。2020年は8月から12月にかけ5カ月続けて人口が減り 、さらに今年2月には24年8カ月ぶりに人口が前年同月を下回ったのです。こうした流れの中、少子高齢化もより大きな課題になります。東京都の出生率は全国で最も低く、高齢化率は高まっている状態。若いカップルや夫婦に対する出産費用の補助や福祉分野に対する助成金といった公約は投票の重要な指標になります。
―― つい目の前の大きな問題に注目しがちですが、さまざまな視点で各政党の動向を追うことが重要ですね。
大川 東京都は日本のエンジン役。つまり日本の政治・経済の中心にあり、「日本を今後どうすべきか」という大きな問題にも関わってきます。そのため東京都民はもちろん、関東近辺、地方に住む人たちも、それぞれの目線で東京都議会選挙の動きを注目してほしいですね。
―― 東京都は日本の政治・経済の中心とのことですが、今回の都議選は年内に行われる衆議院議員選挙にどのような影響を与えると考えられますか。
大川 やはり(都議選でも論点となっている)東京オリンピックの存在が大きいと思います。菅義偉首相は就任会見でコロナ対策を最重要としながらも、待機児童問題や外交問題などさまざまな課題に取り組みたいと話しています。要するにせっかく首相になったからには、少しでも長く政権の座にとどまりたいと考えているはず。先日、東京オリンピックに対して「安全安心の大会の実現は可能」と発言して批判を浴びましたが、無事に開催して日本中が東京オリンピックで盛り上がれば、衆院選に向けて支持率を上げ、選挙でよい結果を出せるだろうと考えているのではと思います。
―― 東京オリンピックは開催する方向で進んでいますよね。
大川 先日英国で開かれたG7サミットで、菅首相は主要国の首脳から開催の支持を得たという報道もあり、大会開催に向けた準備は着々と進んでいます。ただし、変異ウイルスの感染状況によっては中止になる可能性もゼロではないと思います。もし直前に中止を発表したら「場当たり主義だ」と一定数の批判は浴びますが、「国民のためにリーダーシップをとった」という肯定的な意見も集まるかもしれません。つまり東京オリンピックを開催してもしなくても、政権や自民党の支持率が上がるというシナリオを菅首相なりに準備しているのだと思います。とはいえ、シナリオ通りになるかは分かりません。
―― 4年前の都議選では都民ファーストの会が圧勝し、第1党に。自民党は歴史的大敗を喫しました。しかし現在、小池都知事は都民ファーストの会からは一歩引いた立ち位置にあります。
大川 一般的に都知事の政治的影響力はとても大きいですが、都議選の結果がその力を左右する面もあります。首長と議会は地方政治の車の両輪なのです。だからこそ、小池都知事はどの党を応援するかまだ明言せず、様子をうかがっている状況です。二階俊博自民党幹事長と小池都知事の関係性がよく、小池氏はもともと自民党所属だったので、今回は自民党に近づくのではという見方がある一方、コロナ対策で自民党への風当たりが強くなっているので、やはり都民ファーストの会に肩入れするのでは、ともいわれています。ただ、前回と比べ都民ファーストの会には勢いがなく、支持するメリットが今のところ小さいので、状況を見極めて判断するのではないでしょうか。
―― 2017年に行われた都議選の投票率は51.28%。今回はコロナという身近な課題が焦点ということもあり、前回より投票率が上がる可能性はあるのでしょうか。
大川 前回は都民ファーストの会が「東京大改革」と銘打つなど勢いがあり、「東京の政治が大きく動くのでは」と期待して投票した人が多くいました。実際に、前々回より投票率は上がっています。しかし今回は、「東京都議選の結果で何が変わるのか」「有権者にどのような影響があるのか」が見えにくいので投票率が上がるとは言い切れません。報道機関でもコロナや東京オリンピックが大きく取り上げられ、都議選を単体で扱っているところが少ないのも事実です。だからこそ、それぞれの視点で各政党や菅首相、小池都知事の動向に注目してほしいです。僕が学生たちに政治を教える上で伝えているのは、「数分でもいいから、周りの人と政治について話をしてほしい」ということ。会話をすることは、注目されている大きなトピックスだけでなく、個々が持つ課題を知り、自分にはない視点や気付きを得る機会になります。都議選は4年に一度の貴重な機会。たった一票ですが、先ほど話した通り、その結果は国政、今年の衆院選にも影響を与えるでしょう。都と国のリーダーシップをどの政党に託したいのか。自分たちの声を届けるために、ぜひ選挙へ足を運んでほしいです。

●自民党の慢心…都議選に勝っても菅政権「没落ルート」が浮上のワケ 6/28
菅政権の「まさか」とは?
先週の本コラム〈菅政権、実は「次の成功」を確信している「シンプルな理由」があった〉では、内閣支持率が新型コロナ感染状況に大いに関係があること、ワクチン接種が急ピッチですすんでいるので、10月の総選挙では菅政権が勝つ可能性を指摘した。
もっとも、勝負事には「まさか」もある。そのことを考えて、今回は菅政権の「勝ちシナリオ」の落し穴を指摘しておこう。
まず第一に、先週も触れたが、東京オリパラで想定外の大事態が起こる可能性がある。ただし、想定外なので、これを事前に想定するのは難しい。
次に、新型コロナの感染者が東京ではやや増加しているが、内訳を見ると若者が中心であり、重症化患者はそれほど増えていない。ということは、見かけ上、新規感染者は増加するが、医療逼迫になる可能性は今のところ少ない。
問題なのは医療崩壊であり、もともと日本の感染者数は少ないので、医療崩壊になるような状況ではなかった。これは、今後感染者が多少増えても、基本的にはこれまで通りだろう。
その上で、自民党の慢心のほうが、筆者にはリスクが大きいと思う。
まず、先の国会において、対中非難決議が国会決議できなかった。もちろん、全会一致という国会慣行があったのは一つの要因だったが、筆者はある当関係者から聞いたこととして、自民党内でまとめられなかったということだ。
この話については、公明党も乗り気ではなかったが、なにより自民党内でまとまらないと公明党に対しても交渉もできない。立憲や共産が反対していれば、決議できない理由もできただろうが、「そうではないのが困ったことだ」とこぼしていたように見える。
都民ファ惨敗は決定的だ
自民党内で親中といわれている人たちのためだったのだが、これは自民党のコアは保守層にはすこぶる評判が悪い。コアの保守層は多少のことでは自民党を捨てないが、今回の事件はかなり影響するだろうとの言う見立てもある。この挽回のためには、解散がでるだろう9月の臨時国会で議決するしか他に方法はないだろう。
慢心ということでは、7月4日投開票の東京都議選で、自民党は圧勝する可能性が高い。これも慢心につながるおそれがある。
今の都議会勢力は、都民ファースト46、自民25、公明23、共産18、立民7、東京みらい3、東京維新1、その他4の計127。都民ファーストは1ケタに激減するだろうから、自民倍増以上は確実だ。
都民ファーストの事実上のトップである小池百合子都知事が、6月22日(火)夜、過度の過労で静養すると発表した。25日(金)告示という選挙戦初日にも出てこず、28日(月)以降数日間は医師の判断により静養を続けることになった。
なお、小池都知事には、秋の総選挙時に、東京9区で国政復帰するという噂も永田町にはまことしやかにささやかれている。東京選挙区では、15区で秋元司衆院議員が収賄罪などにより、自民党を離党したが総選挙には出馬するだろう。
9区では、菅原一秀衆院議員が選挙区民の買収で自民党離党、衆院議員辞職したが、公民権停止され、秋の総選挙には出馬できない。小池都知事はその後釜を狙っているといわれている。秋元議員も小池都知事も、ともに二階幹事長がバックといわれる。
こうした噂が永田町で駆け巡っていることもあり、政治家の過労で静養という話は、かなり複雑で額面通りに受け取れないというの政治の常識だ。
ただし、これで、都民ファーストの惨敗は決定的だ。4年前、小池旋風で一躍第一党になったが、公約はほとんどできなかった。しかも、今回の都議選公約には「国が強行開催すれば」とか書かれているが、国は主催者でないことを忘れているほど低レベルだ。これでは惨敗もやむを得ないだろう。
オリパラが盛り上がらないと…
立民、共産もそれなりの漁夫の利を得るが、自民党が都議会第一党に返り咲くので、それが慢心につながるおそれがある。なお、東京9区、15区もともに親中の二階派が裏にいるというのも、対中非難決議が国会議決できなかったことも思い出されて、自民党に有利にならないという見立ても可能だ。
次の、東京オリパラがあまり盛り上がらないおそれもある。新型コロナ感染者で医療崩壊にならなくても、オリパラが盛り上がらないと内閣支持率へは悪影響だろう。
そこで、最近気になっているのが、24日(木)の宮内庁長官発言だ。
各紙を見ておこう。
朝日新聞 / 「陛下は開催で感染拡大しないか懸念と拝察」宮内庁長官
毎日新聞 / 宮内庁長官「陛下は五輪開催を懸念と拝察」 感染拡大防止を要請
読売新聞 / 「天皇陛下が五輪で感染拡大を懸念」宮内庁長官が受け止め
日経新聞 / 五輪で感染拡大「陛下が懸念と拝察」 宮内庁長官
産経新聞 / 五輪開催「陛下がご心配と拝察」宮内庁長官
筆者は、実際に宮内庁長官がどのように記者会見したのかを知りたくて、宮内庁ホームページなどを探したが、全文を探し出せなかった。これは、今回の話ではないが、情報公開の在り方としてそもそも問題だ。場合によっては、いいように新聞に切り取られかねない。
「再延長」の意見は弱まっている…?
今回の場合、各紙に概要などと記されたもので判断せざるを得ないが、あくまでも宮内庁長官の意見であり、陛下から直接のお言葉ではないと宮内庁長官も言っている。
政府も、宮内庁長官の意見であり、問題ないとしている。しかし、このタイミングで、東京都議選で争点になっている政治案件に関わることを宮内庁長官が話すのはいかがなものか。
立民・安住氏は「宮内庁長官の意見と思う国民いない」と言い、早速政治利用している。
元総理の鳩山由紀夫氏も、ツイッターで「陛下はご自分が述べると影響が大き過ぎるから長官に言わせたのだ。陛下のお考えを忖度すべきだ」と、「政治利用」としか見えない言動を示している。
いうまでもなく、憲法において天皇は内閣の助言と承認による一定の国事行為しか許されていない。このことから、陛下が自ら政治的な発言を行うはずない。
オリパラの開催が政治問題化していることを陛下は知っているはずなので、宮内庁長官のいうとおり、陛下が直接お言葉を述べるはずない。宮内庁長官が自らの意見をいうことはギリギリ問題ないだろうが、陛下を「拝察」というのは余計なひとことだ。
案の定、宮内庁長官発言は東京オリパラ開催に消極的な政治勢力に利用されている。
もっとも、今のところ、東京オリパラ開催への悪影響はそれほど出ていないだろう。というのは、この週末25〜27日に日経新聞が行った世論調査では、観客入り妥当22%、無観客で実施33%、再延長または中止は37%だった。
1ヵ月前の同新聞の調査では、観客入り妥当17%、無観客で実施16%、再延長または中止62%(再延長22%、中止40%)だったのに比較し、観客入りまたは無観客で実施は33%から55%へと増加し、再延長または中止は62%から37%へと減少し、いい方向になっているからだ。 

●自民・公明で過半数獲得の勢い・・・都議選JNN調査 6/28
秋までに行われる衆議院議員選挙の前哨戦とされる東京都議会議員選挙について、自民党と公明党が過半数を獲得する勢いであることがJNNなどが行ったインターネット調査でわかりました。調査は都内の有権者を対象にご覧の方法で行い、2万1000人から回答を得ました。
それによりますと、4年前に歴史的惨敗を喫した自民党は改選前から大幅に増やし、49議席前後となる見通しです。選挙協力する公明党とあわせて過半数の64を超える議席をうかがう情勢です。一方、4年前は小池知事が選挙戦の前面に立ち圧勝した都民ファーストの会は、20議席前後にとどまる見通しです。
小池知事に批判的な立憲民主党と共産党は選挙区をすみ分けた結果、立憲民主党は議席を倍増、共産党も現有議席を上回る勢いです。
ただ52%の人はまだ投票先を決めていないと答えていて、今後、大きく情勢が変わる可能性があります。

●都議選唯一の選挙サンデー 各党幹部の街頭演説の中身は 6/28
東京都議選(7月4日投開票)で期間中唯一の「選挙サンデー」となった27日、主要政党の幹部らが次々と街頭演説に立った。新型コロナウイルスにどう対応するのか。目前に迫る東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの是非は。舌戦が繰り広げられた。
「政府の水際対策が遅れたあおりを都民が受けている」。小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の荒木千陽代表は、中野区内の演説で政府の新型コロナ対応を批判した。公約で「無観客開催」を掲げるオリ・パラについては、「小池知事は政府や国際オリンピック委員会(IOC)にも物申せる存在だ」とアピール。党として、引き続き小池知事を支えていく姿勢を訴えた。
自民党は加藤勝信官房長官が武蔵野市内で街頭演説した。五輪には触れず、7月末までに終わらせるとした高齢者のワクチン接種について、「『できるはずがない』と厳しい批判をいただいたが、すべての市町村で終わる見通しがついてきた」と訴えた。コロナ禍の失業者らの「孤立と孤独」にも触れ、「都や市と連携をしながら、一人ひとりに手が届いていく仕組み、社会を作っていこうではありませんか」と呼びかけた。
自民党と選挙協力する公明党の山口那津男代表は、墨田区内の演説では、オリ・パラには触れなかった。コロナのワクチン接種を政府に働きかけてきたとし、「ワクチンを手に入れ、無料で早く接種するという道を開き、推し進めてきた。まさに公明党の実績だ」とアピール。接種による健康被害への救済措置があることや、企業・大学での職域接種が進んでいることに触れ「(接種の)加速度を増していきたい」と語った。
目黒区で、演説した共産党の志位和夫委員長は、五輪に触れない国政与党の姿勢について、「だんまりを決め込むのはあまりに無責任」と批判。「きっぱり中止を」と訴え、学校連携の観戦チケットについても「『子どもたちを動員するな』の声を広げよう」と呼びかけた。新型コロナの感染拡大は「菅政権と小池都政による人災」と指摘し、大規模な無料PCR検査とワクチンの迅速接種、給付金の拡充などを強調した。
一部選挙区で共産と共闘する立憲民主党の枝野幸男代表は、あきる野市で演説。「政治の一番の役割は国民の命を守ること。それが首都、東京でできていない。それを仕方ないことだと許すのか」と訴えた。長引く休業・時短要請で飲食店などへの負担が続いているとし、「自己責任ではどうにもならない時がある。それを支えるのが政治の役割。命や商売を守れない都政を変えていこう」と支持を呼びかけた。

●小池都知事が静養延長、都議選・五輪前に不在−コロナも増加傾向 6/28
東京都は27日、過度の疲労により公務を離れている小池百合子知事が、静養期間を数日間延長すると発表した。7月4日に投開票が迫る都議選の世論調査では、知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が大幅に議席を失う可能性が伝えられている。
都の発表によると、医師の判断により静養期間を延長する。静養は22日夜に発表され、多羅尾光睦副知事が代理を務めていた。
加藤勝信官房長官は28日の記者会見で、「しっかりと静養し公務に復帰することを願っている」と語った。新型コロナウイルス対策については、副知事と「しっかりとした連携を図っている」と述べた。
共同通信が25−27日に実施した世論調査では、都議選の投票先は自民党が最多で3割を占め、第1党を奪還する勢いだ。公明党や共産党、都民ファーストの会が2番手を争う。情勢取材を加味すると、現有最多の46議席を持つ都民ファは大幅に後退する可能性があるという。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京では7月11日までまん延防止等重点措置を適用しているが、27日の感染者数は386人(前日534人)、直近7日間移動平均は前週比で123.0%になるなど増加傾向がみられている。東京五輪は7月23日に開幕する。
菅義偉首相は28日午前、羽田空港で水際対策の状況を視察後、「高い警戒感を持って感染対策に当たっていかなければならない」と記者団に語った。感染状況を注視し「必要であれば機動的な対応もしていきたい」とも話した。

●根強い小池都知事の人気、五輪批判層の支持で都民ファに勢い… 6/28
読売新聞社が東京都議選(定数127)を前に都民を対象に行った世論調査では、投票先の政党として自民党を挙げた人が最も多かったものの、割合は下がった。一方、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党・都民ファーストの会が、東京五輪の有観客開催に批判的な層などを取り込み、勢いを増している。
調査結果について、自民党の野田聖子幹事長代行は27日、「政治とカネ」の問題で離党した秋元司衆院議員、菅原一秀・前経済産業相がともに東京選出だったことが影響している可能性があると指摘。その上で、「首都では、地方以上に政治とカネの問題が響きやすい面がある。逆風に負けず、自民、公明両党での過半数の議席確保に向け、しっかり取り組みたい」と述べた。
今回の調査では、東京五輪について観客数を制限して開催することを「評価しない」としたのは57%で、「評価する」は35%。評価しない理由は「新型コロナの感染拡大が不安」が95%で最も多く、「感染対策について国や都の説明が不十分」(84%)と続いた。評価しないとした人のうち、都議選の投票先で最多となったのは都民ファの16%で、自民党(15%)を上回った。
有観客開催に前向きな自民、公明両党に対し、都民ファは無観客開催を都議選の公約に掲げている。今回の調査結果について、都民ファの荒木千陽代表は27日夜、「我々が消滅すれば都民を第一に考える党がなくなってしまう。4年前のしがらみのある議会に戻してはいけないと、都民が思い始めているのだろう」と話した。
公務を離れている都民ファ特別顧問の小池知事の支持率は59%で、前回調査(5月28〜30日)の57%から、ほぼ横ばいだった。前回は知事支持層の投票先で最も多かったのは自民の29%で、都民ファは19%にとどまっていたが、今回は都民ファ26%、自民26%と並んだ。
ただ、都の新型コロナ対策については「評価する」(48%)と「評価しない」(45%)が 拮抗きっこう した。
国政で野党第1党の立憲民主党の割合は、前回調査と同じ8%で変わらなかった。立民都連会長の長妻昭衆院議員は27日、「我々は大幅に議席を伸ばす目標を掲げているが、調査結果は非常に厳しい。投票先を迷っている有権者から期待してもらえるよう、政策を訴えるしかない」と語った。

●東京のくらしを知る8つのデータ…都議選前に押さえておきたい 6/28
6月25日に公示された東京都議会議員選挙では、新型コロナ対策や東京五輪の対応といった直近の課題が論点に挙げられている。しかし、日々の生活は五輪やコロナだけではない。4年前の都議選から「東京都の生活」はどう変わったのだろう。東京都や国の統計データを基に「東京都の現在地」を見ていこう。
1. 東京の人口は1400万人の大台も、高齢化率は過去最高
6月25日に発表された2020年10月1日段階での国勢調査の速報では、全国の人口は1億2622万7000人と、2015年の国勢調査から約87万人減少していた。
一方で、東京都はこの間、全国で最も人口の増加率が高く、同速報では、1406万5000人と全国の11.1%を占めている。
人口が増加し続けている東京だが、高齢化も進んでいる。
2021年1月の段階で、老年人口(65歳以上)が人口総数に占める割合は22.67%。昭和32年の調査開始以来、過去最高を記録している。人口ピラミッドを見ても、これから先、高齢化がますます加速していくことは免れない。
2019年の東京都の出生総数は、10万1818人。合計特殊出生率は1.15だった。出生数、合計特殊出生率ともに、2000年代では2015年〜2016年をピークに、ここ数年で低下が続いている。
2019年における全国の合計特殊出生率の1.36と比較すると、東京都は全国的に見ても出生率が低い。また、厚生労働省が発表している2020年の人口動態統計では、東京都の合計特殊出生率は速報値で1.13とさらに低下していた。
2. 待機児童の数は年々、減っている
子育てをする環境整備の必要性という意味で考えると、都内の保育所の定員は堅調に増加している。小池百合子都知事が掲げていた「待機児童数ゼロ」の公約はいまだ果たされていないものの、2021年4月の段階で待機児童が1000人を下回る見込みが報じられた。
3. 外国人人口は右肩上がりだったが……
東京都には、2021年1月の段階で約55万人の外国人が東京に居住している。東京都の人口1400万人のうち、約4%に相当する。
外国人人口は2013年頃を機に、毎年約5万人ずつ増加していた。ただし、2021年1月の調査時には前年比で約5万人減となっている。
4. 倒産件数はコロナ禍でも実は「微減」。コロナ関連倒産は増加傾向
負債額1000万円以上の企業に限った統計ではあるものの、2020年の全国の倒産数は7773件、うち東京都の倒産数は1392件だった。2020年はコロナ禍で多くの企業が疲弊した1年だったものの、倒産件数はここ5年で全国、東京都ともに最も少ない結果となっている。
帝国データバンクの報告によると、2020年は全国での飲食業の倒産が過去最多の780件。全体の倒産数自体は減ったものの、影響を受けやすい業態に偏りが見られている。
負債額1000万円以上の企業を対象にしている都の統計では、コロナ関連倒産の数自体は全体のうち20%弱の201件。
ただし、帝国データバンクの報告では、負債額1000万円以下の企業も含めると、2020年2月から2021年6月までの間に、東京では383件の企業がコロナ関連倒産をしていた。全国で見ると、2021年になってからコロナ関連倒産の数が加速している。
2020年は耐えしのげた事業者も、2021年1月からの度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの制限によって一気に体力が尽きている可能性がある。
5. コロナ禍では失業者数は増加
2020年の7月〜9月には、前年同期比で約60%増(約11万人増)となる約29万人が完全失業者となっていた。うち男性は5万人(前年同期比45.0%増)、女性は6万人(同84.5%増)と、特に女性の失業が目立っている。
2020年7月〜9月の東京の完全失業率は約3.5%と全国と比較しても高い水準となっていた。
最新の統計である2021年(令和3年)1月〜3月期では、完全失業率は一度低下しているものの、完全失業者数は約23万人(男性:約13万6000人、女性:約9万2000人)。
性別・年代別にみると、最も完全失業率が高いのは男性の15〜24歳(完全失業率は8.3%)、女性では25〜34歳(3.3%)。いずれも、コロナ禍で若者の失業が目立っている状況が現れているといえるだろう。
上述した通り、2021年になってからコロナ関連倒産が加速していることを考えると、雇用問題は今後、より深刻化していくことが想定される。
6. 収入は基本横ばい。コロナ禍では減少傾向に
東京都の労働者一人あたりの平均月収・労働時間はともに全国平均を上回っているが、ここ数年はずっと横ばいだ。
2019年の平均月収は41.5万円。コロナ禍となった2020年は、所定外労働時間の減少などの影響もあり、全国的に収入が前年と比較すると減っている。
産業別に見ると、金融業と宿泊・飲食業の給与格差が激しい。
この差は、産業形態に応じて一般労働者とパートタイム労働者割合が大きく違うことが要因の一つとなっている。2019年の東京都の一般労働者の平均月収は、約52万円。パートタイム労働者の平均月収は11万円だった。
7. コロナ禍で、都民のエンゲル係数が上昇?
都民の収入や支出はどう変わっていったのか。
「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告によると、2人以上世帯の中でも勤労者世帯(共働きなど)のひと月あたりの収入は70万円を超えた。(※調査では単身世帯を除いていることに注意)
一方、消費支出は前年比で微減している。
2人以上の全世帯の消費動向の変化を見ると、10年前、20年前と比べて全支出のうち食費の割合が23.7%から28.2%と、4.5%も上昇している。コロナ禍の生活スタイルとして、食にお金をかけるようになった側面もあるかも知れないが、エンゲル係数(消費支出全体における飲食費の割合)は2020年以前から微増を続けている。
なお、コロナ禍となった2020年の消費に絞ってみると、2019年と比較して被服・教養娯楽にかける支出が大きく減少。全国と比べて都民は住居や教育にお金を注いでる傾向にあった。
8. 選挙権を持つのは満18歳以上の約1150万人
都民約1400万人中、選挙権を有する18歳以上の人数は約1150万人。
2017年7月に実施された都議会議員選挙では、全体の投票率は51.28%だった。
ただし、年齢別の投票率を見ると、50代以上が全体投票率を上回っている一方で、19歳〜30代前半までの年代で投票率が40%を下回っていた。若い世代の投票率では、唯一18歳の投票率が46.43%と比較的高い水準となったものの、21歳〜24歳の年代に至っては全世代で最低となる、投票率25.32%だった。
 
  
  

 

●東京都議会議員選挙・最新議席予測 終盤情勢と衆院選への影響を考える 6/29
6月25日告示、7月4日投開票の東京都議会議員選挙が始まりました。都民ファーストの会の劣勢が伝えられる中、22日には小池百合子東京都知事が過度の疲労により静養が必要になったと発表され、入院。27日には、入院を継続して数日間程度公務を外れるとの追加発表もあり、「百合子不在」での選挙戦も今日29日で折り返しを迎えます。
筆者は、独自の取材ならびに現場でのヒアリングをもとに情勢分析を行っていますが、告示後の各陣営の動きなども反映させた最新の党派別獲得議席予測を行いました。
告示後の情勢をもとにした最新獲得議席予測
各種情勢調査ならびに現場取材などの情報をもとに筆者が予測した議席数は上記図表の通りで、都民ファーストの会が12、自民党が47、公明党が20、共産党が21、立憲民主党が21、日本維新の会が1、東京・生活者ネットワークが3、国民民主党が0、れいわ新選組が0、古い政党から国民を守る党が0、無所属・諸派が2となりました。
都民ファーストの会は現有議席を大きく減らす可能性が極めて高くなっています。定数1〜2の選挙区では非常に厳しい結果となることが想定されるほか、定数の多い選挙区においても都民ファーストの会の候補者が複数いる場合は共倒れの可能性もあるなど、議席の大幅減は避けられない見通しです。一方、「都民ファーストの会」設立以前から現職都議であった議席や、特にこの4年間で政治活動を拡大していたことで話題の一部議員の議席は守られる見込みです。
一方、自民党は議席を大幅に増やし、都議会第一党となる見込みが強くなっています。前回は複数候補を擁立し共倒れとなった選挙区についても、今回は概ね議席獲得となるでしょう。ただし、一部の選挙区においては引き続き複数候補の擁立によって票が分散し、片方の候補者が当落線上という状況もあるほか、定数1の選挙区においても議席奪還が厳しいとみられる選挙区がいくつかあります。
公明党は、現有議席から議席が減る可能性が出てきました。既に党機関紙の公明新聞では、豊島区と中野区を最重点選挙区として取り扱うなど、危機感をあらわにしています。衆院選直前という時期柄もあり、特に衆院選前哨戦と位置づけられたことにより与野党対決の構図となっていて、かつ都民ファーストの会の候補者も十分に強い選挙区では、公明党候補者が厳しい選挙を強いられています。過去3回の都議選でいずれも現有23議席を死守してきた公明党にとっては正念場です。
共産党は現有議席から上積みを狙える状況となってきました。立憲民主党との野党共闘が概ね東京全域で構築できたことにより、選挙区調整によって議席が増える傾向といえるでしょう。また、前回都議選では都民ファーストの会の爆発的人気により、共産党候補者が煽りを受けて次点となるケースもありましたが、今回は票が散る傾向になることも強みとなっています。
立憲民主党も大幅に議席を増やす勢いです。特に、共産党との野党共闘により候補者調整が行われた選挙区においては与野党それぞれの候補者が議席を分かち合うケースも多く見られます。特に「衆院選前哨戦」と位置づけて野党共闘の実質的体制の構築が完成している選挙区においては、与党候補者を上回る票が出る可能性もあります。
日本維新の会は、現有1議席の維持となる見込みです。党所属国会議員による応援は増えているものの、全国的知名度のある吉村大阪府知事や松井大阪市長はコロナ禍の影響もあり東京入りを控えている様子です。擁立候補者も多くないことから、定数の多い選挙区で現有議席を確保する見込みです。
地域政党の東京・生活者ネットワークは、議席を増やす勢いです。今回の都議選では候補者を3人擁立していますが、立憲民主党との推薦関係もあり、いずれの選挙区でも堅調な動きとなっています。
国民民主党は、今回の都議選では厳しい戦いを強いられそうです。今回の東京都議選では、候補者を4人しか擁立できなかったほか、都議選告示直前には、衆院東京ブロックで出馬予定だった山尾志桜里衆院議員の出馬取りやめ・政界引退が報じられました。
れいわ新選組も候補者を3人擁立しましたが、いずれも厳しい選挙戦となっています。知名度の高い山本太郎代表による街頭演説も、コロナ禍で従来ほどの効果を発揮できておらず、衆院選に向けての東京の素地固めとなるかどうかは未知数です。
古い政党から国民を守る党(28日付で「嵐の党」に名称変更)も、都議選に複数人の候補者を擁立していますが、厳しい選挙戦となっています。
そのほか、諸派・無所属で複数の候補者が立候補をしていますが、ここまで述べてきた政党による推薦を得た無所属候補が複数、当選圏内と見込まれています。
衆院選への影響は
上記に述べたように、東京都議会議員選挙は議席の構図が大きく変わる可能性が高まっています。自民・公明で都議会過半数を獲得できるかどうかが焦点となりますが、都議会過半数を獲得できれば、小池百合子東京都知事は都政運営において自公と協調路線を共にする可能性が高いと言われており、今後の都政運営にも注目が集まります。
さらに、この東京都議選は、秋までには行われる衆院選の前哨戦と位置づけられていることにも注意が必要です。国政政党を持たない都民ファーストの会が与野党の衆院選前哨戦の中で埋没しつつありますが、衆院選が「政権選択選挙」と呼ばれるように、(自民対立憲もしくは共産という)与野党対立構図がこの東京都議選の選挙区でも数多く見られました。自民党が議席としては躍進する勢いではありますが、野党側も一定の議席増が見込まれます。特に、衆院小選挙区で与野党が激戦となっている東京18区の武蔵野市、小金井市は定数1を与野党候補者が激戦と言われているなど、衆院選への影響が必至です。
自民党にとってはこの議席増を武器に、衆院選に向けてさらに選挙戦を加速することが想定されます。野党側は野党共闘が一定の成果を収められれば、この野党共闘の枠組みを衆院選に転用するための動きを加速することになるでしょう。日本維新の会や国民民主党、れいわ新選組は衆院東京ブロックでの議席獲得に向けて、活動方針を転換することも想定されます。
いずれにせよ、衆院選への影響が避けられない東京都議会議員選挙も投開票日まであと5日。激戦となっている注目選挙区を中心に目が離せません。

●東京都議選、自民最多の18.4% 都民ファ上昇 都民意識調査 6/29
東京新聞が実施した都内有権者の意識調査で、7月4日投開票の東京都議選の現時点での投票先を聞いたところ、自民党が18・4%と最も多かった。前回調査(5月22、23日)の19・3%から微減で、小池百合子知事が特別顧問を務める都民ファーストの会は13・9%で前回の9・6%から4・3ポイント上昇した。
自民は依然優位に立って都議会第一党をうかがうが、他党も一定の支持を得ているほか「わからない」とした回答が2割を占めている。新型コロナウイルスの感染状況や「過度の疲労」を理由に静養中の小池知事が今後どう動くか不透明なこともあり、情勢は流動的だ。
投票先で多かったのは、自民に次いで共産党の15・7%(前回12・9%)。立憲民主党は13・6%(同14%)で都民ファとほぼ同じだった。都民ファは都議選にあたって小池知事との関係があらためて注目されたことや、露出が増えたことなどから、認知度が上がったとみられる。公明党は6・5%(同3・4%)。「わからない」としたのは、前回の30%から10ポイント近く下がって20・6%だった。
投票に行く(期日前投票済みを含む)と答えたのは、「必ず」「たぶん」の合計で90・8%となり前回より5・7ポイント上昇した。
小池知事の評価は、「大いに」と「ある程度」を合わせて「評価する」が54・1%。一方、新型コロナウイルス対策で都が実施した事業者への休業・営業時間短縮要請などの評価については、「大いに」と「ある程度」の「評価する」は44・8%にとどまった。「まったく」と「あまり」を合わせた「評価しない」が49・8%で、前回同様の傾向だった。
菅義偉内閣を「支持する」との回答は21・6%、「支持しない」は59・5%だった。
調査詳報 五輪開催、都の時短要請、どう考えますか
問1 あなたは東京オリンピック・パラリンピックの開催について、どう考えますか。
観客を制限して開催するべきだ 23.8(17.3) / 無観客で開催するべきだ 25.3(11.0) / 中止するべきだ 42.4(60.2) / わからない・どちらともいえない 8.4(11.5)
問2 五輪・パラリンピックについて菅義偉首相は「国民の命や健康を守り、安全安心の大会を実現することは可能」と説明しています。この説明に納得できますか。
納得できる 15.5(13.2) / 納得できない 65.2(67.2) / どちらともいえない 19.3(19.6)
問3 政府や大会組織委員会は観客を会場定員の50%以内、上限1万人で開催するとしています。あなたは五輪開催で新型コロナウイルスの感染が拡大する不安を感じますか。
不安を感じる 79.8  / 不安を感じない 12.2 / わからない 7.9
問4 政府や大会組織委員会は、国際オリンピック委員会やスポンサー企業の関係者は観客上限1万人の別枠として会場に入れると言っています。あなたはこの決定に納得できますか。
納得できる 15.9 / 納得できない 69.9 / どちらともいえない 14.2
問5 あなたはワクチン接種が順調だと思いますか。
順調だ 14.9(4.1) / どちらかといえば順調だ 27.4(13.9) / あまり順調でない 32.8(35.3) / 全く順調ではない 19.9(43.2) / わからない 5.1(3.5)
問6 あなたは東京都の休業・時短、外出自粛の要請を評価しますか、評価しませんか。
大いに評価する 10.8(9.4) / ある程度評価する 34.0(36.9) / あまり評価しない 28.9(28.6) / 全く評価しない 20.9(21.1) / わからない 5.5(4.0)
問7 あなたは小池百合子知事を評価しますか、評価しませんか。
大いに評価する 13.4(11.4) / ある程度評価する 40.7(41.4) / あまり評価しない 22.3(22.5) / 全く評価しない 19.6(20.7) / わからない 4.0(4.0)
問8 7月4日には東京都議会議員選挙が行われます。あなたは投票に行きますか、行きませんか。
必ず行く、期日前投票に行った 72.7(65.6) / たぶん行く 18.1(19.5) / たぶん行かない 3.9(5.9) / 行かない 2.0(4.5) / わからない 3.4(4.5)
問9 もし今、都議選で投票するとしたら、どの政党・政治団体の候補者に投票しようと思いますか。
都民ファーストの会 13.9(9.6) / 自民党 18.4(19.3) / 公明党 6.5(3.4) / 共産党 15.7(12.9) / 立憲民主党 13.6(14.0) / 生活者ネットワーク 1.8(1.6) / 日本維新の会 4.1(3.4) / 国民民主党 0.9(0.5) / 嵐の党 0.3(0.5) / れいわ新選組 1.7(2.0) / その他の政党・政治団体 2.7(2.8) / わからない 20.6(30.0)
問10 あなたは菅内閣を支持しますか、支持しませんか。
支持する 21.6(16.1) / 支持しない 59.5(64.4) / わからない 18.9(19.5)
問11 あなたは国の政治において、普段どの政党を支持していますか。
支持する政党はない 44.3(46.2) / 自民党 23.6(24.8) / 立憲民主党 10.6(11.3) / 公明党 4.8(2.7) / 共産党 7.4(7.0) / 日本維新の会 2.3(1.4) / 国民民主党 0.7(0.2) / 社民党 0.7(0.9) / 嵐の党 0.3(0.2) / れいわ新選組 1.7(1.7) / わからない 3.6(3.6)
*数字は%。かっこ内は前回調査。

●小池知事の都政運営「低評価」が最多 都議選候補者調査 6/29
朝日新聞東京総局は、津田塾大学総合政策学部の中條美和准教授のセミナーと共同で、都議選候補者を対象にしたアンケート調査を実施し、25日までに248人から回答を得た。小池百合子知事の都政運営や、都の新型コロナウイルス対策について5段階評価(最高が5、最低が1)で聞いたところ、いずれも「1」の回答が最多だった。
小池知事の都政運営全般をどう評価するかの質問には235人が回答。「1」が62人、「2」が46人、「3」が53人、「4」が48人、「5」が26人だった。コロナ対策の質問には205人が回答。「1」が67人、「2」が51人で、低評価の割合は都政運営の質問より高かった。「3」は15人、「4」は61人、「5」は11人だった。
政党別では、共産と、れいわが両質問とも全員「1」の評価。立憲は、コロナ対策の問いに全員が「1」か「2」だった。
一方、小池知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は、いずれの質問にも全員が「5」か「4」。公明も23人中21人が「4」で、2人が「3」だった。自民は、コロナ対策の質問は無回答が目立ち、都政運営の質問は「3」が最多で、「2」「1」が続き、「5」と「4」はいなかった。
東京オリンピック(五輪)・パラリンピックについては、「都が開催の判断基準などの考え方を説明してきたと思うか」を5段階評価で聞いた。すると、回答した201人中107人は最低の「1」。「2」の47人を含めると77%が低評価だった。「5」か「4」は34人いたが、うち33人は都民ファだった。
コロナ対策として飲食店への酒類の提供中止や営業時間の短縮要請が行われた影響で、都内各地で増加した「路上飲み」。その規制への賛否を聞くと、賛成37%(68人)、反対が63%(115人)。公明と都民ファに賛成が目立った。外出自粛の呼びかけに強制力を持たせることの賛否は賛成22%(40人)、反対78%(141人)だった。
一方、選択的夫婦別姓制度の導入については、賛成179人、反対15人。賛成が9割超という圧倒的な結果となった。自民はアンケートに応じた50人中、この項目に答えたのは、賛成を選んだ3人だけで、残り47人は無回答だった。

●丸川五輪相かすれ声 都議選応援、多忙からの疲れも 6/29
丸川珠代五輪相(50)が29日、閣議後の会見冒頭で「ちょっと聞きづらい声で申し訳ございません」と、かすれた声であいさつした。
丸川氏は開幕まで1カ月を切った東京五輪(オリンピック)の準備だけでなく、最近は東京都議選の自民党候補の応援にも回っている。丸川氏は元アナウンサーだけに、いつもはよく通る声で会見を行っている。珍しいかすれ声は、多忙からの疲れとみられる。
一方、五輪主催都市の東京都の小池百合子知事(68)は現在も疲労から休養が続いている。

●都議選「脅威だが復帰を」 維新松井代表が小池知事にエール 6/29
日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は29日、7月4日投開票の東京都議選にからみ、過労で静養している小池百合子知事について、「『小池劇場』は脅威だが、早く健康を取り戻して、投票率を上げるためにもどんどん表に出てきてもらいたい」とエールを送った。市役所で記者団に答えた。
地域政党「都民ファーストの会」の特別顧問を務めている小池氏は、過度の疲労のため静養が必要として今月23日以降登庁していない。都内の病院に入院中で、27日には入院期間を延長することが発表された。
松井氏は小池氏に関して「あれだけのパワーを持っており、選挙の盛り上がりを大きく左右すると思っている」と言及。体調を気遣い、「週末には華々しく復帰してほしい」と述べた。

●二階氏が都議選候補を激励 静養中の小池氏には気遣い 6/29
自民党の二階俊博幹事長が29日、東京都議選(7月4日投開票)の応援活動を始めた。同日は公認候補者を激励するため、都内3カ所の選挙事務所を訪問。自民、公明両党で過半数を獲得し、秋に迫る衆院選への弾みにしたい考えだ。
二階氏は足立と江東、千代田の各選挙区の自民候補の事務所を訪れた。千代田の自民新人には「みんなの力を借りて最後まで頑張れ」と激励した。これに先立つ記者会見では「最後まで党一丸となって、全力を尽くして戦い抜いていきたい」と語った。
一方、議席を争う地域政党「都民ファーストの会」は、特別顧問を務める小池百合子知事が過労で静養中だ。小池氏と交流がある二階氏は会見で、「ゆっくり静養されて、改めて東京都のリーダーとしてご活躍頂きたい」と気遣った。 

●都議選はなぜ7月?  6/29
東京都議選が、7月4日に投開票される。同時期に大きな選挙がなく、有権者に風の変化に敏感な浮動層が多いため「国政を占うバロメーター」として、地方選では異例の注目を浴びるのが通例だが、そもそも、なぜ、都議選は「7月選挙」となったのだろうか。
昔「伏魔殿」と呼ばれていたから
普段は超高層ビルの姿をしているが、有事となればロボットに変身して人々を脅威から守ってくれる。東京の都市伝説として語り継がれる「都庁ロボ」は、同人誌マンガの鉄板ネタだ。
都庁舎を設計したのは、戦後建築界の巨人、丹下健三。メカニックな外観の面白さに目を取られていると気が付かないが、ここには民主主義を機能させるさまざまなメッセージが込められている。
知事が率いる行政組織が入る本庁舎と、監視する議会が入る棟には「距離」がある。二つの建物の間は「都民広場」で、議会棟の中心にある丸窓は本庁舎の知事室付近にある丸窓と同じ高さで向かい合う。住民の直接選挙で別々に選ばれた首長と議員が、対等な関係にある「二元代表制」の理念が視覚的に感じられる。
一九九一年に新宿に移転する前の都庁は、丸の内の東京国際フォーラムが立つ場所にあった。不名誉な愛称が流行語となったことがある。魔物がすむという意味の「伏魔殿」−。
都議会の議長選を巡り汚職事件があった。「都議の頭、利権にマヒ」「議長選 一票の相場は20万円」。六五年の東京新聞の連載記事「暴露された“伏魔殿”の正体」は、おどろおどろしい見出しが並ぶ。
都議会では歴代議長が改選されるたびに汚職のうわさが流れた。都議たちは「議長選にからむ金銭の授受は事件にならない」とささやきあっていた。記事では、不正が生まれる背景に、高額な交際費や、海外旅行に行ける特権、選挙で有利になる肩書が手に入ることを挙げている。
十七人もの自民党都議が起訴された事件で「議会を解散して出直せ」という声が沸騰した。当時の法律は地方議会の解散は住民の直接請求(リコール)か不信任議決を受けた首長による対抗措置に限っていた。世論に押され、地方議会が自らの議決で解散できる特例法が国会で成立。都議会は六月、二年の任期を残して解散した。
七月の出直し選挙では、社会党が初めての第一党に躍進。前年に結党したばかりの公明が第三党の座を確保し、民社党が初議席を得た。二年後の知事選での美濃部亮吉氏の当選で全国に広がる革新首長のブーム、国政の多党分立時代の到来を先取りした。
都議選が統一地方選から外れて知事選と別々に行われるようになり、時期の違いが選挙で反映される「民意」にズレをもたらした。
知事と議会に、独特の緊張関係が生まれるようになった。六九年の都議選は美濃部氏を支える社会党が惨敗、自民が第一党に復帰。知事は七九年に三期で退くまで、議会対策に悩まされた。九五年に知事に当選した青島幸男氏の時代は「オール野党」と呼ばれた。石原慎太郎氏は政党の推薦なしで三百万票を獲得して再選した二〇〇三年の選挙の後、自民との確執が激しくなり、〇五年、側近の副知事の更迭に追い込まれた。
小池百合子知事が一六年の当選後、当時第一党の自民と攻防を繰り広げていたことは記憶に新しい。最近は衝突が見られなくなっていたが、それは健全な二元代表制の姿なのかどうか。都議選では首長と議会の関係のあり方についても論戦が期待される。
「黒い霧」も先取り
ほとんどの道府県議会選挙は4年に1度、4月の統一地方選で行われている。都議選のように、統一地方選と時期がズレているのは茨城、沖縄、岩手、宮城、福島の5県。茨城県は、都議会と同様に汚職事件を受けて1966年に議会が自主解散したため。沖縄県は72年の本土復帰に伴う。岩手、宮城、福島県は2011年4月に予定していた選挙を、東日本大震災の影響で秋に時期を遅らせた。
都議会の汚職事件は、松本清張のノンフィクション作品「日本の黒い霧」にちなみ「黒い霧事件」、自主解散は「黒い霧解散」と呼ばれた。
汚職事件で国会議員が逮捕されたり、閣僚が自分の選挙区の駅に急行が停車するよう国鉄に圧力をかけたりするなどの政界不祥事が相次ぎ国会が混乱し、66年に佐藤栄作首相が衆院を解散したのも「黒い霧解散」と呼ばれたが、1年前の都議会の解散の方が「元祖・黒い霧」だ。その後、著名選手の関与でプロ野球界を揺るがした八百長スキャンダルも「黒い霧事件」と呼ばれた。

●小池知事の誤算。「都民ファースト」への裏切りで消えた首相の座 6/29
「女帝」が狙い定めていた日本初の女性首相の座ですが、どうやらそれは儚い夢と終わる可能性が高いようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、都議選での「都民ファーストの会」への支持を明言しないまま休養に入った小池都知事の「裏切り行為」が、自らの首相への道を断つことになったと指摘。さらに津田さんは、コロナ対策や五輪開催に関して希望的な観測でギャンブルばかりを打つ菅首相に対して、「リーダー失格」との厳しい評価を下しています。
頓挫した小池百合子都知事「自民“復党”で首相の座」計画
東京、神奈川、千葉、埼玉などの首都圏が感染拡大になっている。他地域は感染縮小になっている。再度、首都圏だけ緊急事態宣言を出す可能性が出てきた。
そして、ワクチン接種は、現状では1日100万回以上の接種であるが、ワクチン在庫の関係から、これ以上の接種拡大はできないと、河野ワクチン担当相はいう。1日150万回が限度だと。
このため、職域接種の新規申し込みを中止した。これにより、五輪までに国民全体への接種割合は30%以下である確率が増した。
そして、この感染拡大時に東京都議会選挙が行われる。投票日は7月4日であるが、小池都知事の過労からの入院で、小池都知事の応援が期待できない都民ファーストの会の苦戦も予想できる。しかし、自民党は前回大負けしたので、議席増にはなるが、期待値ほどには増えないような気がする。
そして、都民ファーストの会を応援しない小池都知事が、自民党からの国政復帰を狙っているとすると、辻褄があうことになる。この裏切りで小池さんの首相への道はなくなったと思う。しかし、もし、都民ファーストの会への応援をすると、国政復帰時に自民党からの出馬ができなくなる。
小池さんに優秀な戦略家がついていないことで、女性首相候補としての小池アクターをうまく日本の国は、使えなかったことになる。もったいない気もするが、どうしようもない。小池さんが戦略家のいうことを聞かないからの可能性もあるからだ。
元に戻ると、専門家の7月上旬感染ピーク説は、実現しそうである。そして、尾身会長の提言は正しいことが証明される。この状況を天皇陛下もご心配しているようだ。
それに逆らって観客動員する五輪後には、感染者数は大幅な増加となるので、それを織り込む必要になってきた。このため、五輪直前まで緊急事態宣言を出した方が良いし、五輪後も緊急事態宣言を出して、衆議院選挙までの時期、感染者数の増加を抑えていくことである。抑えた後に衆議院選挙をした方が良い。それと、やっと、ボランティア全員のワクチン接種を行うとした。
希望的な観測を行う菅首相のギャンブルは、負けであるが、大負けしない対策が必要になっている。安部前首相も助け舟を出して、「自公で過半数なら勝ちである」というが、このレベルで抑える必要が出ている。
しかし、なぜ、希望的な観測を何回も行うのであろうか不思議な感じである。首相の取り巻きに戦略家がいない。または、菅首相が戦略家を嫌っているからだとみる。その意味からリーダー失格だ。しかし、リーダー合格の国会議員がいるのかどうかも定かではないことも確かである。
今回の選挙で、野党は候補者一本化したら、政権を取れる可能性も出てきた。自民党のギャンブルは失敗することが現時点で見え始めている。しかし、政権奪取後の共産党の処遇が問題になりそうな気配であり、連合がそっぽを向いたら、野党も選挙で勝つことは不可能になる。
安部前首相も「ポスト菅」を真剣に検討し始めているようだ。どの候補でも菅さんよりはましな気がする。そして、次の首相は、安部さん再登場のつなぎ役である。 
 
  
 

 

●小池知事が退院 選挙戦から“一定の距離” 6/30
東京都は、先週22日に過度の疲労と診断され、都内の病院に入院していた小池知事が30日、退院したと発表しました。東京都によりますと、小池知事は30日に退院し、当面はテレワークで公務にあたるということです。
小池知事は書面で、「新型コロナ対策の只中、東京オリンピック、パラリンピックの直前という大切な時期に公務を離れ、ご心配、ご迷惑をおかけしたことを心よりお詫びします。体調も幾分か回復しました。医師の判断により、当面の間、テレワークで公務を行い、早期に体調を全快させ、体調管理に努めていきます」とコメントしています。
また、都議会議員選挙にも触れ、「改革を続け伝統を守る皆様にエールを送る」としましたが、特定の政党名は出さず、選挙戦からは一定の距離を置く形となっています。

●「大切な時期に公務離れ、おわび」過労入院の小池知事退院… 6/30
東京都は30日、過度の疲労で入院していた小池百合子知事が同日朝に退院したと発表した。小池知事は7月1日から当面の間、医師の判断に基づき、在宅で公務に当たるという。
小池知事は今月22日、過度の疲労による体調不良を訴え、都内の病院に入院。都などによると、28日頃の公務復帰を目指していたが、十分に疲労が取れずに微熱が続くなどしていたため、入院期間を延長していた。
この日、小池知事は「新型コロナウイルス対策の 只ただ 中、東京オリンピック・パラリンピックの直前という大切な時期に公務を離れ、多くの方々に心配、迷惑をおかけしたことをおわび申し上げる」などとするコメントを文書で発表した。7月4日に投開票される東京都議選についても言及し、「都政の課題が山積する中、改革を続け、伝統を守る皆様にエールを送る」とした。

●自公、過半数うかがう 都民ファは議席減か―都議選終盤情勢 6/30
任期満了に伴う東京都議選(定数127、7月4日投開票)について、時事通信社は選挙区の取材などを通じて終盤情勢を探った。自民党は都議会第1党を奪還する勢いを見せ、選挙協力を復活した公明党と合わせて、過半数の64議席をうかがう。一方、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は、議席を減らす見通しだ。
4年前の都議選で追加公認を含めて55議席を獲得し、第1党となった都民ファは47人の公認候補を擁立。しかし、躍進の原動力となった小池知事は過労で静養しており、応援入りは見通せない状況。選挙経験が少ない1回生が多く、現有の46議席から大きく減る可能性がある。
自民は、無投票当選が決まった小平市選挙区を含む全42選挙区で計60人を公認。前回は23議席と歴史的大敗を喫したが、公明と連携して組織戦を展開。改選前の25議席から大幅に増やしそうだ。23人を立てた公明は8回連続の全員当選を目指すが、一部選挙区は激戦となっている。
立憲民主党は28人が立候補。1、2人区を中心に、共産党と候補者を一本化したことで、政権批判票の受け皿として現有7議席から増やす公算が大きい。31人を擁立した共産も支持層に支えられ、堅調な戦いを進めている。
このほか、日本維新の会や地域政党「東京・生活者ネットワーク」、国民民主党なども都議会での勢力確保を目指している。

●葛飾に独立系候補の「レジェンド」ら集結 4年前の「あの人」にあこがれて? 6/30
国政も占う首都決戦として各党が多彩な主張を訴える東京都議選(7月4日投開票)では、既成政党に属さない独立系候補たちもユニークな運動を展開している。なかでもにぎやかなのが23区の東端、葛飾区。諸派・無所属候補が7人も集結し、定数4を13人で争う乱戦となっている。
「若者に投票に行ってほしい。そんな思いで葛飾にやってきました」。JR金町駅前でピエロ風の白塗りメークの男性が演説をしていた。「愛の力党」の河合悠祐さん(40)。話しぶりも主張も至ってきまじめだ。LGBTなど性的少数者への差別撤廃を公約の柱とする。
3月に挑戦した千葉県知事選では、SNSによる「空中戦」に力を入れたが、結果を分析すると、有権者と直接触れあった地域で得票が伸びていた。「地道な努力が票になる」と、今回は積極的に街に出る。
千葉県知事選で、河合さんと共に落選した後藤輝樹さん(38)も出馬した。2度の都知事選や港、千代田区長選など数多くの選挙歴で知られる「独立系のレジェンド」は今回、「SDGs党」を立ち上げた。「供託金撤廃による真の普通選挙の実現」などが公約。「あれもこれも規制する世界のなかで普通のことを普通に言いたいだけ」と、ラップで思いの丈を歌い上げていた。
「つばさの党」の根本良輔さん(27)は、これが選挙初挑戦。「今こそ若者が立ち上がる時です」。コロナワクチンの接種リスクを強調し、「重い副反応に苦しむ若者がいることも知ってほしい」と訴える。
ほかにも選挙公報に「NHK無料化!」と掲げる「テレビ改革党」の高橋淳也さん(41)さん、「当選したらすぐ辞めます!」と公約する「議席を減らします党」の黒瀬信明さん(36)らが立候補している。
ある候補の演説を聴いていた、板橋区の大学生秋本祐希さん(21)は「売名行為だと批判する人もいるが、投票率が低い若者にリーチしている。選挙への関心を高める社会的な意義はある」と独立系候補の戦いを好意的に受け止めていた。
都議選は、都内に居住実態があればどの選挙区からでも立候補できる。独立系候補は、なぜ都心から離れた葛飾区に集まったのか。
4年前の都議選で「NHKをぶっ壊す」と葛飾から立候補したNHKから国民を守る党(現・嵐の党)の立花孝志党首の存在が大きい。立花氏は、都議選の2年後の参院選で旧N国党から比例当選し、国政進出を果たした。
河合さんは「ビクトリーロードをつくった」。根本さんも「彼が開けた風穴を広げなければ」と背中を追う。視野の先にあるのは、23区の区議選で唯一統一地方選から外れ、都議選の4カ月後に行われる葛飾区議選(定数40)だ。
立花氏は、都議選で落ちた後、区議選で当選、そして国政進出を果たしている。「ビクトリーロード」の足掛かりとしたのが前回都議選だったのだ。河合さんは「(都議選の60万円の供託金は)顔見せのためのコスト」、根本さんも「都議選で顔を覚えてもらえれば」と真の狙いが区議選にあることを隠さない。後藤さんもSNSで区議選が「本丸」と明かした。
次期衆院選の前哨戦として都議選が熱を帯びる中、首都の東端では区議選に照準を定めた「もう一つの前哨戦」も繰り広げられていた。

●「なぜ都議選ではなく韓国大統領選の特集なんだろう」 6/30
立憲民主党の蓮舫議員(53)が30日、ツイッターで情報番組におけるの東京都議会選(7月4日投開票)の扱いに疑問を呈した。
蓮舫議員は「素朴な疑問」と前置きした上で「ワイドショー、情報番組はなぜ、今行われている都議選ではなく韓国大統領選の特集なんだろう」と投稿した。
現在ワイドショーなどでは来年3月の大統領選をめぐる特集に組まれている。特に文在寅(ムンジェイン)政権と対立した前検事総長の尹錫悦(ユンソクヨル)氏が出馬を宣言したことで盛り上がりを見せている。同氏は野党勢力の中で非常に高い支持を得ている。
ワイドショーなどでは都議会選の露出は少なく、投開票を控え、今週末、盛り上がりを見せるのか。

●「自分で生きるしかない」「公平じゃない」 歌舞伎町の人々が思うこと 6/30
政府や自治体による新型コロナウイルスの感染対策で、飲食店が苦境にあえいでいる。中でも東京都新宿区の歌舞伎町は、感染拡大の象徴のように言われたこともあった。出口の見えない営業自粛要請は、この街で働く人たちを追い詰めている。7月4日投開票の都議会議員選挙に何を思うか、聞いて歩いた。(中村真暁)
都議選告示日の6月25日は、3度目の緊急事態宣言が解除されて初の金曜日。宣言解除後も飲食店の営業を午後8時までとする都の要請は続く。午後9時、要請に従わず営業中のホストクラブの客引きをしていた男性に聞くと「コロナ前に比べたら(人は)全然いない」。外国人観光客でにぎわった有名レストランの看板は外されていた。空き店舗も目につく。
歌舞伎町でホストクラブ6店の運営などをする「NEW GENERATION GROUPニュージェネレーショングループ」の桑田龍征オーナー(35)は都議選に関心がある。「コロナ禍を通じ、政治家がいかに影響力を持っているかを実感した。若者が選んだ人に、政治家になってもらいたい」と願う。
桑田オーナーは歌舞伎町が「夜の街」と呼ばれたことで、「スケープゴートにされた」と感じている。ホストは個人事業主で、企業が従業員に支払う休業手当の一部を公的に助成する「雇用調整助成金」などの対象にならない。店は昨年4月に全店休業した際、2000万円の損失を出したという。昨年6月から深夜営業を続ける理由に「国が助けてくれないなら、自分で生きるしかない。生きるか死ぬかをてんびんにかけた結果だ」と説明した。
ガールズバーに立ち寄ると「店を閉めても損するだけ。公平じゃない」と、20代の女性スタッフがぼやく。店は、3月まで続いた2度目の緊急事態宣言までは要請に従ったが、スタッフの生活を支えるには限界だった。その後、明け方までの通常営業に踏み切ったが、客足は戻らない。売り上げは月300万円も減った。東京五輪・パラリンピックの開催が近づくが、「観光客が来ないなら関心はない」と言う。
6月から酒を出して営業している別の酒場の30代の代表者は「都からの協力金は家賃や光熱費などの支払いにも追いつかなかった」。生活に困って「パパ活」を始める女性スタッフが現れたことに胸を痛めたといい、「スタッフの生活を守ることが最優先だ」と話した。

●公明、野党攻撃に躍起 都議選で全員当選危ぶむ 6/30
7月4日投開票の東京都議選を「最重要の政治決戦」と位置付ける公明党が、選挙戦でなりふり構わぬ野党攻撃を展開している。新型コロナウイルスの感染拡大で得意とする組織戦術が思うに任せず、1993年から続いてきた「全員当選」が途切れかねないと危ぶんでいるためだ。
29日、JR八王子駅北口。マイクを握った公明党の山口那津男代表は、ワクチン接種が出遅れたのは立憲民主党が事前のデータ収集に固執したためだとして「政府の責任だと追及するのは天に唾するような主張だ」と批判。共産党も同様にワクチン承認を遅らせたと矛先を向け、「筋が通らない人たちに都政を任せられない」と訴えた。
公明党が64年の結党以来、国政選挙並みに力を入れてきたのが都議選だ。支持母体の創価学会のお膝元であることに加え、50年代に都議選で初の議席を獲得し、政界進出の足掛かりとなった歴史があるからだ。93年以降は毎回23〜25人を擁立し、7回連続で1敗もしていない。
公明党は今回、定数127に23人を擁立。しかし、党幹部は「今回は危ない。いつもは粘りで何とかなるが、希望が全然見えない」と表情を曇らせる。党関係者は「3〜4人落とせば代表交代を求める声が出る」と悲壮感を漂わせた。
幹部らが苦戦を認めるのは、支持者の高齢化で組織の地力が落ちている上、コロナ禍で人海戦術やミニ集会が厳しく制約されていることが大きい。2017年の前回は選挙協力の相手を地域政党「都民ファーストの会」に乗り換えた経緯があり、今回「復縁」した自民党との間にしこりが残ることも不安要因だ。
立民、共産両党が一部選挙区で候補者を一本化したことも、公明党を脅かす。公明党が街頭演説などで両党をやり玉に挙げ、「天皇制と安全保障政策で水と油の関係」(石井啓一幹事長)とくさびを打ち込もうとしているのも危機感の表れだ。
前回連携した都民ファにも容赦がない。山口氏は29日の演説で「頼りない。分裂気味で、しっかり団結して小池百合子都知事を支える力がない」とこき下ろした。
野党も反撃に出ている。立民の福山哲郎幹事長は29日の記者会見で「ワクチンの遅れを野党のせいだと言うのは責任逃れ」と逆襲。共産党の小池晃書記局長は足立区内の演説で「公明党は与党なんだから、体たらくを反省すべきだ。野党を攻撃している場合じゃない」とやり返した。

●立憲は衆院選で勝てるのか?都議選にみる野党共闘の奇妙な構図。 6/30
秋の衆院選で政権交代は起こるのか。野党の支持率を見る限り、その見込みは極めて薄いと言わざるを得ない。しかし、野党各党が一枚岩になって挑めば、巨大自民党に一矢報いる可能性はある。7月4日投開票の東京都議選は、その試金石でもあるが、立憲民主党と共産党の共闘に、連合と公明党がくさびを打つという奇妙な構図となっている。
野党共闘に「妨害」と「逆流」
「秋の総選挙を前に、いま野党共闘への『妨害』と『逆流』が起こっています。これをはねのけて、共闘を前に進める最大の力は、この台東区での勝利です」
都議選の告示直後の6月26日。台東区のJR上野駅近くの街頭で、共産党の小池晃書記長の訴えが響いた。
誰が共闘を「妨害」しているのか。具体名は出さなかったが、立憲を支援する労働組合の中央組織「連合」を指していることは明らかだ。
立憲と共産は共倒れを防ぐため、定数1〜2の選挙区を中心に候補者を一本化。台東区では共産の候補者に統一し、地元の立憲の国会議員らもこの日、小池氏より先に応援演説に駆けつけた。
ところが、小池氏が演説を始めたころには、ひっそりと姿を消していた。陣営関係者は「共産党幹部と一緒に並んだら、連合東京に怒られるからだ」と事情を明かす。
連合東京が6月1日付で出した事務局長談話には、「共産党と与しないこと。違反行為がある場合には推薦等の支援を取り消すことになっている」とわざわざ書かれている。衆院選も同様の方針で、連合の支援が欲しい立憲の国会議員らは表だって共産候補を応援できない状況だ。
「共産アレルギー」と野党連合政権
連合の「共産アレルギー」は根深いものがある。共産党系労組の全労連と激しく対立してきた歴史があり、連合の神津里季生会長は6月下旬の講演で「共産は民主主義のルールにのっとって物事を進める組織と言えない」と痛烈に批判した。
共産党も連合が支援する旧民主党と長く対峙してきたが、安全保障法制が成立した2015年に共闘路線へ転換。一緒に政権交代を果たし、「野党連合政権」の樹立を目指す方針を打ち出した。
野党第1党とはいえ、組織が脆弱な立憲にとって、全国に地盤がある共産の「選挙協力」はありがたい。両党の共闘はここ数年、各地の知事選や国政選挙で一定の成果を挙げてきた。
この間、両党の接近を黙認してきた連合だが、旧民主勢力の離合集散によって連合傘下の産別組合が振り回され、組織は弱体化していた。ここにきて「反共産」や「原発ゼロへの反対」を強調するのは、電力総連や電機連合など連合内の「右派」勢力への配慮という側面がある。
連合の対応には、野党共闘を期待する人たちから、SNS上で批判の声も挙がっている。
タレントの松尾貴史さんがツイッターで「連合は、もう害悪でしかない。」とつぶやくと、6月末時点で6700を超える「いいね」がつけられた。
公明も野党共闘を牽制。背景に都議選の苦戦
両党の関係を引き裂こうとしているのは、連合だけではない。
公明党の石井啓一幹事長は6月中旬の記者会見で、立憲と共産について「天皇制や安全保障政策で『水と油』の関係にありながら協力をすることが、国民の理解を得られるのか甚だ疑問だ」と批判した。連合と似通う主張だが、発言の背後には都議選への危機感がある。
公明は全国から応援を集めて支持者を掘り起こす「人海戦術」を得意とするが、コロナ禍で思うように進んでいないのが現状だ。1993年以降、都議選で候補者全員が当選を果たしてきた連勝記録が、28年ぶりに止まる可能性も出てきている。
選挙前の都議会の議席数は、都民ファースト46、自民25、公明23、共産18、立憲7。立憲と共産の共闘が奏功すれば、公明は勢力を逆転される恐れがある。
5月には党のホームページにこんな文章を載せている。
「共産が、野党連合政権に向けた重要なステップと位置付ける都議選での共闘は、単なる『地方選での協力』という域にとどまらず『社会主義・共産主義革命戦略への片棒担ぎ』となってしまう可能性がある」「共産票が欲しい現場では、共産に蝕まれ始めているのが現状らしい」
実際、立憲と共産の政策は、どれほどの隔たりがあるのか。
コロナ対策での補償の充実や、ジェンダー平等など多様性の尊重、東京オリパラの中止・延期、さらに消費税率の引き下げなど、目の前の課題に対する政策に大きな違いはないように見える。一方で、自衛隊や日米安保、天皇制に対する考え方、さらに社会主義・共産主義といった目指す国家像に及ぶと、距離は一気に広がる。
共産の志位和夫委員長は、そうした相違点は「野党連合政権に持ち込まない」と理解を求めているが、立憲内や一部の支持者に残る「共産アレルギー」は払拭しきれていない。
立憲の枝野幸男代表は6月17日、共産との関係について「理念に違っている部分があるので連立政権は考えていない」と明言。一方で、「共有する政策もある。パーシャル(部分的)な連携や候補者の一本化について努力していきたい」とも語った。
連合の支援をつなぎとめながら、共産から選挙協力を引きだすという、「いいとこ取り」の戦略だ。
果たして、秋の衆院選までその微妙なバランスを保ち続けることができるのか。都議選の結果や、その後の立憲の対応次第では、共産の不満が健在化する恐れもあり、難しい舵取りが続く。 

●「投票に行かないZ世代」その理由は 6/30
東京都議会議員選挙の投票日が7月4日に迫っています。TOKYO MX「news TOKYO FLAG」では1990年代中盤から2000年代生まれの世代、いわゆる「Z世代」と呼ばれる若者と選挙の関わり方についてシリーズでお伝えしています。第3回のテーマは「投票に行かないZ世代」です。
なぜ若い世代の投票率は低いのでしょうか。Z世代50人に聞いてみると、さまざまな意見がある中、2番目に多かったのが「1票で現状は変わらないのでは」という、選挙に対する諦めの声です。
一方、およそ1割の人が理由として挙げたのが「情報が入ってこないから」でした。これは“SNS中心の生活をする”Z世代ならではの理由かもしれません。大学生からは「自分から選挙の情報を取りに行かないと受動的には来ない。今、テレビ離れしていると思うので、SNSを使ってもう少し広めていったらいいのでは」「ツイッターやインスタグラムなどスマホで見るものが中心なので、SNSでもっと『選挙ありますよ』と発信してほしい」といった意見もありました。
また、政策や投票のやり方が難しいからという意見があった一方、「政治や選挙について教えてくれる環境が少なかったから」という意見もありました。街のZ世代からは「政治を習う機会も少なく、理解していない人もいる。政治を結構難しく考えてしまう」「自分たちの未来を考える機会も危機感も足りない。教えてくれる環境がないというのもあると思う」という声も上がりました。
そして今回、最も多かったのが「興味がないから」という答えでした。これは全体の40%を超えました。Z世代の若者からは「シンプルに興味がない」「選挙に出ている人たちは、僕たちと近い年齢ではないと思うから」「若い人は面白いものには食い付くけど、政治ってそこまで楽しいコンテンツではない。若者受けする、とっつきやすくするのが一番いいと思う。情報がこれだけ多い世の中で、若い子が面白いものに興味を持つのは当たり前」「前の都知事が東京都のお金を使っちゃったじゃないですか。そういうことがあると信頼がなくなる。『選んで失敗した』と思いたくない(から、興味もなくなっていく)」などといった声も聞かれました。

●小池都知事が退院、都議選へのコメントは全方位外交? 6/30
東京都は30日、過労で静養していた小池百合子知事が退院し、当面はテレワークで公務に当たると発表した。小池氏は同日出したコメントで、どの党を後押しするか注目される都議選(7月4日投開票)について「改革を続け、伝統を守る皆さまに、エールを送ります」とだけ言及。全方位外交のような表現に、さまざまな見方が飛び交っている。
コメントで小池氏は、公務離脱を陳謝した上で「引き続き安静の上、体調管理に努める」と説明。選挙戦への関わり方は明言せず、特別顧問を務める都民ファーストの会に肩入れするような表現も見られなかった。
都民ファ幹部は「回復を心から祈っている」と小池氏を気遣い、期待していた支援が明言されなかったものの「われわれは小池知事と共にこの選挙を戦っている」と一体感を強調した。
前回選での小池知事との対立を経て関係修復した自民党は、都連幹部が「コメントの『伝統を守る皆さま』とはうちと公明党のことだろう。都民ファだけの応援をすることはないはずだ」とみる。一方で公明担当者は「テレワークであっても発信は可能。都民ファの主張である『東京五輪の無観客開催』などに言及すれば、追い風になりかねない。何か爪痕を残すのが小池流」と警戒する。
一方の野党側。共産党陣営スタッフは「新型コロナウイルス対応に全力を尽くすなど知事の役割を果たすべきだ」と動向にクギを刺す。立憲民主党関係者は「もし知事が都民ファ支援に動けば注目が集まり、われわれには不利だ」としつつ「もうこの(終盤の)段階では動かなそう」。日本維新の会幹部は「都民ファが見捨てられたのは明らか。都民ファと当落を競っているうちとしては、率直にありがたい」と語った。
小池知事は22日に過度の疲労で都内の病院へ入院。多羅尾光睦たらおみつちか副知事が職務を代行していた。

●小池都知事 都民ファ候補者に檄文¢翌チていた! 6/30
30日に退院した小池百合子東京都知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」の候補者に檄文を送っていた。小池氏が都民ファを見捨てたとの観測も流れているが、見捨てていなかったということなのか。
尾島紘平候補は同日、ツイッターで小池氏のメッセージを紹介。内容は「中盤戦に入りました 連日、フルに活動しておられる様子、たのもしく思います 肝心な時にご心配かけて申し訳ありません 都民が見ています! 都民がついています! ゴールめざしてがんばりましょう」と直筆で書かれていた。
尾島氏は「『小池知事は都民ファーストの会を見捨てて逃げた』というデマが流されていますが、それは敵陣営の戦略であり願望です。『小池知事はこれからも都民ファーストの会とともに戦う』が正解です」とツイートしている。
党本部から各候補にメールで届いているということで、候補者全員に送られているとみられる。実際にほかの候補者も小池氏からメッセージが届いたとツイッターで報告している。
選挙戦最終日までに小池氏が応援演説をすることはあるのだろうか。

●土菅戦争、三つどもえ再び…因縁対決の2区 6/30
4日投開票の東京都議選では、「因縁」を背負った対決となる選挙区も注目されている。衆院東京18区でかつて激突した立憲民主党の菅(かん)直人元首相と自民党の土屋正忠元衆院議員の代理戦争となる武蔵野市選挙区、そして4年前の前回選と同じ顔ぶれによる三つどもえの戦いとなった文京区選挙区。各候補が議席確保に向け、熾烈な戦いを展開している。
代理戦争
緊急事態宣言の解除後、初めて迎えた6月27日の日曜日。武蔵野市のJR吉祥寺駅前は多くの市民らでにぎわっていた。
「都知事に追随するだけでは都政はよくならない。弱い人の思いをくみ取り、しっかり提案のできる候補者を議会に送り込んでほしい」
初当選を目指す立民新人の女性の傍らで蓮舫代表代行が熱弁をふるうと、買い物客らは足を止め、耳を傾けた。
立民にとって、菅氏のお膝元である武蔵野市は落とせない選挙区の筆頭だ。菅氏は自ら選対本部長に就き、新人女性を支援する。
一方で自民は、同市長を22年間務めた土屋氏の娘が出馬した。土屋氏も有権者に娘の出馬を直接アピールするなど選挙活動をバックアップする。
同市を含む衆院東京18区で5回対決した菅氏と土屋氏の戦いは「土菅(どかん)戦争」と称された。自民関係者は「元首相の壁は大きい」と話すが、「『土屋正忠』のブランドを生かせば勝機はある」と意気込む。
「都民ファーストの会の不安定要素が脅威」と話すのは立民関係者。前回は小池百合子知事が巻き起こした「小池旋風」で、自民への批判票の多くが都民ファに流れたとされるからだ。今回、都民ファ現職は無観客が前提ではあるものの東京五輪の開催には肯定的で、延期か中止を掲げる立民とはスタンスが異なる。
「今度こそ」
2つの議席を3人で争う文京区選挙区は、4年前と全く同じ顔ぶれだ。
「接戦になると思うが、今度こそ負けるわけにはいかない。五輪中止の声を届けて命を守る東京をつくりたい」。リベンジに燃える共産新人の女性は意気込みを口にした。
前回選は涙をのんだが、過去の都議選で党が獲得してきた2万票を大きく上回る約2万6千票をたたき出した。「当時の民進党などが応援してくれたことで、野党共闘の流れが生まれた効果は大きかった」と党関係者は振り返る。
前回選で当落線上の争いを経験し、5期目を目指す自民の現職は、同区議会で第2会派となる共産の勢いも念頭に「前回選で取られた自民の票を取り戻すことがテーマだ」と強調する。「地域密着の政治を掲げる都民ファには文京区議がいない」と、地元住民の声に耳を傾けてきた実績を武器に票の奪還を目指す。
「今後も小池都政の改革を進めなければならない」と住民へ訴えるのは、前回大勝した都民ファ現職だ。この4年間、都議会第1党として待機児童の削減や受動喫煙対策などを小池氏と一緒に実現させてきた功績をアピールする。しかし今回は党の特別顧問でもある小池氏の応援は見通せず、通りかかった知人に「お願いしますよ、厳しいから」と漏らす場面もあった。
 
  
 

 

●公明 都議選「全員当選」に不安 組織戦低調 7/1
公明党が国政選挙並みに重視する東京都議選(4日投開票)に危機感を強めている。新型コロナウイルスの影響で得意の組織戦は封じられ、立憲民主、共産両党の連携なども不安要素としてのしかかる。平成5年から続く「全員当選」が途切れれば、次期衆院選への勢いもそがれかねない。
「公明党の実力は都議会と国会の連携をいかした政策実現力にある」。山口那津男代表は1日、JR蒲田駅前でマイクを握り、聴衆にこう訴えた。演説後、記者団に「手応えを感じつつあるが、接戦がなお続く。全員当選を勝ち取れるよう全力を振り絞ってがんばりたい」と答えた。
公明にとって都議会は政界進出の足掛かりとなった舞台だ。前身の公明政治連盟が昭和38年の都議選で17議席に躍進。勢いに乗じる形で翌39年に国政政党としての公明党が誕生した。都内には支持母体である創価学会総本部(新宿区信濃町)や創価大学(八王子市)など重要拠点もあり、都議選は常勝を義務づけられている。
実際、戦績は圧巻だ。落選者が出たのは平成元年が最後で、その後は7回の都議選で全員当選を果たしている。今回も現有議席と同数の23人を立てた。
ただ、山口氏が「異例」と繰り返すようにコロナ禍の今回は事情が異なる。創価学会員が大挙して東京へ支援に入る得意の地上戦は使えない。支持を広げるためのミニ集会も低調で、党幹部は「活動を通じて徐々にエンジンをかけていくのが公明の選挙だが、今回は通用しない」と語る。山口氏や石井啓一幹事長ら党幹部が激戦区を精力的に回るが、「動員」もかけられず盛り上がりはいま一つだ。
取り巻く情勢も厳しい。公明は前回都議選で敵対した自民との協力を復活させたが、公明候補が立つ選挙区には自民候補もいて、恩恵はない。自民は惨敗を喫した前回から議席を伸ばす見込みで、公明は圧迫されているのが現実だ。さらに立民と共産は一部選挙区で候補を一本化して立ちはだかる。公明幹部は「厳しい、厳しいと毎回言っているが、今回は本当に厳しい」と語る。

●都議選 主要政党の公約まとめ 「コロナ」「五輪」「経済」「社会保障」は? 7/1
東京都議会選挙が7月4日に投開票されます。新型コロナウイルスの感染再拡大の兆候がみられる中、9日間と短い選挙戦も終盤戦に突入しています。各党は街頭での演説のほか、ホームページで公約や政策集を発表しています。それらをもとに、コロナ対策や東京五輪への対応、経済や社会保障など個別の政策についてまとめました。
都民ファーストの会
都民ファーストの会は「ふるくておそい(頼れない)国を はやくてあたらしい(頼れる)東京が動かす」と題した9項目の政策集を作成。3つの柱として、(1)「爆速」ワクチン接種で経済活動再開へ(2)都民を守る「都民ファーストケア」(3)東京オリパラ大会は最低でも「無観客」――を掲げている。具体的に(1)では、大規模接種施設をはじめ都の施設を徹底活用したワクチン接種の推進や、変異株対策として水際対策の徹底をうたった。(2)では、約7600億円の都税を国に返還を求めるとし、世帯年収に応じて年間最大15万円の給付金を支給すると主張。学生の貧困対策として携帯電話料金を月額3000円補助するとしている。(3)の東京五輪・パラリンピックについては、「あらゆる選択肢を視野」に、国が有観客開催を強行する場合は「無観客」での開催を求めるとした。
自民党
自民党は「命を守る。東京を動かす」と題した政策パンフレットで、16のテーマを列記した。まず訴えたのは、コロナ対策として「ワクチン接種の加速化」だ。国との連携を強めて、高齢者への7月末までの接種完了を目指す。またコロナ禍で経営が厳しくなった事業者には都独自の支援や融資制度の充実に取り組むとしている。とりわけ強く打ち出したのが減税だ。減税で経済を再生させるとして、▽個人都民税の20%減税▽事業所税の50%減税を盛り込んだ。それぞれ家計で自由に使えるお金、企業が独自の取り組みに使えるお金を増やすことを狙う。3つ目のテーマとしては、首都直下地震や豪雨などの災害に強い街づくりを挙げたが、都議選向けの政策パンフレットには、国政で菅政権が「安心安全な大会」実現を目指す東京五輪・パラリンピックについての記載はない。
公明党
公明党は「東京の未来を開く! 全世代の安全・安心をめざすチャレンジ8」と題する8つの政策目標を掲げている。そのうち(1)第2子の保育料無償化(2)高校3年生までの医療費無償化(3)肺炎球菌ワクチン無償化――など子育てや高齢者医療に関する「3つの無償化」が軸。(1)について、2歳までの保育料は第2子が半額、第3子は無償化が2019年に実現した実績を掲げ、今後は第2子の無償化に挑むとした。(2)では、都内の全区市町村で高校3年生までの医療費を無償化するとしたが、所得制限は設ける。(3)は、高齢者の肺炎を予防する肺炎球菌ワクチンの接種について、2500円の助成は既に実現したとして、さらに無償化を目指す。国政では自民党と連立政権を組むが、自民党と同じく、政策目標の中で東京五輪・パラリンピックに関する記載はない。
共産党
共産党は「コロナ危機をのりこえ、安心と希望の政治を東京から」と題する重点公約をまとめた。まず「今夏の東京五輪の中止をただちに決断し、コロナ対策に全力集中を」と訴えた。持てる力をコロナ収束に集中するよう求めている。科学に基づいたコロナ抑制を掲げ、PCRなどの検査を「いつでも、だれでも、無料で」受けられるよう繁華街や駅に検査スポットを設置することや、都の検査能力を1日20万件以上に倍増させるとした。またコロナ患者を受け入れている都立・公社病院の独立行政法人化を中止し、拡充させるとした。「ケア」に手厚い東京へのチェンジを掲げ、中小企業や小規模事業者に対する十分な補償への支援、雇用対策として社会保険料の雇用者負担への助成を行うとした。そのほか、羽田空港の新ルートの撤回や東京外環道の工事中止を求めるとしている。
立憲民主党
立憲民主党は、9つのテーマにまたがる「都議選政策2021」で、「貧困・格差の解消」を最初に取り上げた。そのうち「子育て支援」では、都独自の給付型奨学金の実施・拡充や、小・中学校の給食費の無償化を盛り込んだ。「雇用の確保」については、2万人超の雇用を創出すると明記。就職難の「コロナ世代」が生まれないよう企業に指導・要請を強化し、「氷河期世代」のトライアル雇用などで就労支援を行うとしている。2つ目に掲げたコロナ対策では、「zeroコロナ戦略への転換」を打ち出した。保健所の体制強化を挙げ、区の枠を超えた連携などで補完体制を構築するとした。また積極的なPCR検査で隠れたクラスターをあぶり出すことも目指す。東京五輪については、コロナ感染拡大の懸念が払拭できない限り「延期か中止」を掲げ、コロナ対策にヒト・モノ・カネを集中すべきとした。
東京・生活者ネットワーク
東京・生活者ネットワークは「いまこそ東京を生活のまちに」と題する選挙政策を作成。「必要なのは住まいと職、医療・介護・教育の充実です」と訴えた。コロナ対策を最初に挙げ、▽専門家チームをつくって医療崩壊を防ぐ▽心配にすぐ対応できるPCR検査体制をつくる▽自宅療養者に食事・生活必需品配達員を派遣することなどを列記している。子ども政策では、東京都こども基本条例を生かした政治や政策の実現や、子どものSOSを受け止めるオンブズパーソン制度の制定、超高齢社会に向けては、介護従事者を支えるケアラー支援条例の制定や、住居シェアで若者と高齢者が支え合うコミュニティづくりを盛り込んだ。東京五輪・パラリンピックへの対応に関する記載はない。
東京維新の会
東京維新の会は「『コロナ敗戦』から立ち上がる 維新八策」と題する都議選マニフェストを作成した。区市町村や事業者・都民に対し2兆円規模の大胆な経済対策を実行すると明記。都庁をデジタル空間に移転する「バーチャル都庁」構想を打ち出し、財源確保のため、一時的な都債発行後に東京メトロ株や都庁第2庁舎の売却・事業民営化などを行うとしている。コロナ対策では、科学的根拠のない休業要請や不十分な金銭補償は見直すとし、「営業停止命令と補償・罰則はセットで」行うべきと訴えた。東京五輪・パラリンピックについては、開催する場合は、選手や関係者の隔離など対策を厳格に実施し、開催しない場合には「延期」を目指して協議を進めるとした。
国民民主党
国民民主党は、8項目からなる「東京政策2021」の中で、コロナ対策として、まず「頻回検査とデジタル健康証明」を打ち出している。病院の機能に応じた役割分担や経営支援で病床を確保。各家庭に簡易抗原検査キットを無料配布し、ワクチン接種や検査陰性に対してデジタル健康証明を発行して経済を止めない仕組みを構築するとした。事業者支援では、デジタル申請を充実させ、審査過程が分かりやすくスピード感を重視した支援を実現する。「誰一人孤立しない、させない東京の実現」も掲げ、子育て家庭に対して子どもと保護者の地下鉄やバスなど交通機関や動物園・公園利用料を無料にすることを盛り込んだ。東京五輪・パラリンピックへの対応に関する記載はない。
れいわ新選組
れいわ新選組は「れいわの政策2021」をまとめ、冒頭で「東京五輪中止は当たり前」と断じた。五輪に注ぐすべてのリソースをコロナ対策に振り向けるべきだとし、新型コロナを「災害指定」することを訴えている。この災害指定によって、▽自宅待機を求めること▽自粛ではなく事実上のロックダウン▽コロナ被災者への生活必需品、住居、金銭の支援――などが法的に可能になると主張する。また、都民一人ひとりに10万円を支給することや、度重なる「補償なき自粛」で疲弊した中小企業や個人事業主に損失補償することも盛り込んだ。感染対策では、下水PCR検査の大規模・継続的な実施で感染を早期察知し、都の1日当たりの最大検査能力を最低でも50万件に引き上げるとした。
嵐の党
「嵐の党」は、都議選告示後に「古い政党から国民を守る党」から党名を変えた政党だ。もともとは旧「NHKから国民を守る党」であり、2019年参院選で政党要件を満たしてから今回で4回目の党名変更になる。同党はホームページ上に公約や政策集を公開していないが、前党名時代に出した「東京都議会議員選挙出馬に伴う党声明の発表について」とのリリース(資料)に、「真の民主主義における都民の民意が反映された、無駄なお金をかけない、楽しく長く続けられる政治活動の実現を目指すべく、来る東京都議会議員選挙に挑戦いたします」と記している。

●横一線の大接戦 議席なんとしても 小池書記局長が三多摩で訴え 7/1
最終盤に入った東京都議選で、日本共産党の小池晃書記局長は30日、いずれも横一線の大接戦となっている北多摩4区、北多摩1区、日野市を駆け抜け、3候補を何としても押し上げ、五輪中止や都立・公社病院独立行政法人化の阻止を実現して「ケアに手厚い東京をつくろう」と訴えました。「独法化を許せば、大阪のように大変なことになる。絶対負けられない」(68歳女性)など必勝への決意が語られました。
北多摩4、北多摩1の両区で「選挙公報を見ましたか」と切り出した小池氏。地域でかけがえのない役割を果たす多摩北部医療センターの独法化や五輪について、共産党以外の候補者は一言も触れていないと指摘。保健所の拡充をめぐっては、日野市も含めて共産党の3候補以外は誰も触れていないと述べ、「五輪中止を求め、独法化反対・保健所拡充を唯一掲げる共産党の躍進で、コロナ対策に本気で取り組み、命を守る都政にしよう」と力を込めました。
北多摩4
北多摩4区(清瀬市、東久留米市)は定数2を3人で競う「超大激戦」。東久留米市で原のり子候補は、コロナ禍で障害者や家族、青年の苦境に接してきたと語り、「再び押し上げていただき、『命を守る当たり前の政治を』の声を大きく上げよう」と訴え。小池氏は、「ゆずれない いのち・くらし・人権」を信念とする原候補を、立憲民主党の国会議員や社民党都連、緑の党が推薦していると述べ、「共産党だけの原さんではない。『市民の命綱』の議席を必ず守ろう」と強調。2人の子を育てる女性が応援しました。
北多摩1
北多摩1区(東村山市、東大和市、武蔵村山市)は定数3を5人で争う大激戦。東大和市で尾崎あや子候補は「都立・公社病院を守り、地域に保健所を復活させ、ケアに手厚い東京へ頑張りぬく」と訴えました。小池氏は、2期8年の質問回数は都議会トップクラスだと紹介し「命の多摩格差を許さない、保健所復活の願いは尾崎さんへ。宝の議席を守り抜かせて」と力説。中野志乃夫・東大和市議(会派「やまとみどり」)が応援しました。
日野市
日野市は定数2を現職2人と争う大激戦。清水とし子候補は「元副市長の汚職問題を都議会から徹底追及したい。定数2で勝ち、政治は変えられると示そう」と訴え。小池氏は、立民、社民の国会議員や新社会党が応援するなど「市民と野党の共同が粘り強く、力強く発展している。清水候補を今度こそ必ず都議会へ送ろう」と強調。汚職究明を掲げ4月の市長選で大健闘した、あるが精一前市議と、山口俊樹弁護士が応援演説しました。

●都議選投票率アップへ 選管はSNS駆使 市民団体は飲食割引 7/1
4日投開票の都議選で、投票率アップを目指した取り組みが官民で広がっている。都議選の投票率は近年、40〜50%台にとどまっており、都選挙管理委員会はSNS(会員制交流サイト)などで若年層への啓発活動に注力。市民グループは投票後に飲食店などで割引を受けられるイベントなどを展開し、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ地域経済の活性化も図りたい考えだ。(永井大輔)
都議選の投票率は平成29年の前回が51・28%。小池百合子知事を中心とした「都民ファーストの会」と自民党の戦いが話題を集め、前々回(25年)の43・50%から上昇した。今回は、新型コロナ対策や東京五輪・パラリンピック開催の是非など身近な話題が争点となっている。
「昨年の都知事選では若年層の投票率が上がった。新型コロナなど社会情勢に合わせ、若者の関心が高まっているかもしれない」。都選管の担当者は、さらなる投票率アップを図るには、若年層に対する啓発活動が鍵を握ると指摘する。
そこで都選管は今回、感染症対策として街頭イベントは避け、SNSなどウェブを積極的に活用。約100万人の登録者を持つ若手ユーチューバー「ねお」さんのチャンネルで、ねおさんがタレントのデーブ・スペクターさんに都議選などについて質問する動画を公開している。また、ファッション誌「メンズノンノ」などのモデルが都議選について語る記事を同誌のサイトに掲載。選管の担当者は「都議選が若者の目に触れるよう意識した」と話す。
一方、市民側も、都議選の投票済み証明書などを持参すれば、加盟店ごとに割引を受けられる「センキョ割」を繰り広げる。運営団体「選挙割協会」の代表理事、佐藤章太郎さん(48)は「投票率向上に加え、新型コロナの影響を受けた飲食店などの支援にもつなげたい」と意気込む。
センキョ割は平成24年の衆院選からスタート。今回の都議選では学生約40人が電話やSNSなどで加盟店の拡大に努め、都内約200店舗が参加予定という。割引の提供期間は投開票日から2週間程度になる。
世田谷区のハンバーガーショップ「ヴィレッジヴァンガードダイナー 下北沢店」では、一部ドリンクの100円割引を実施する。松尾愛美店長(32)は「今回が初参加。コロナ禍でどれだけ効果があるか期待している」と話す。
佐藤さんは「割引はただのきっかけ。センキョ割を通して、有権者の社会参加意識の向上を目指したい」と力を込めた。 

●ジェンダー政策でみる都議選。夫婦別姓、LGBT法案、クオータ制の賛否は? 7/1
7月4日に投開票される東京都議会議員選挙。大きな争点となっているのは新型コロナ対策や東京五輪への対応ですが、注目したいのが「ジェンダー政策」です。夫婦同姓を定めた民法などの規定を最高裁が「合憲」と判断したことで注目を集めた「選択的夫婦別姓」、自民党が国会への提出を見送った「LGBT理解増進法案」、そして男女の候補者を均等にすることを求める「クオータ制」—— 。2021年に入ってから、ジェンダーギャップや性的マイノリティに関する政策・法案が多く話題に上がっています。
Business Insider Japanでは、都議選に候補者を擁立している全政党に一斉アンケートを実施。改めて、各政党の「ジェンダー政策」にフォーカスを当てて、回答をまとめてみました。
1. 選択的夫婦別姓
2021年6月、夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定が、最高裁判所大法廷で「合憲」だと示されました。大法廷はその判断理由として、選択的夫婦別姓制度が導入されるか否かは国会での議論に委ねられるべきだ、と改めて指摘しました。
「選択的夫婦別姓の導入についてどう思うか?」との質問に対する回答は、自民党以外のすべての党が「賛成」の立場です。
「現在、国政での議論が活発に行われています。その意義や必要性、家族生活、社会生活、子ども世代への影響等について、慎重に議論を深めるべきと考えます」(自民党)
「若い世代を中心に選択的夫婦別姓に賛成する世論も高まっていることから、すぐにでも導入するべきと考えます」(生活者ネットワーク)
「現状では、事実上女性に姓の変更を強いており、女性の個人の尊厳がないがしろにされている状況です」(れいわ新選組)
2. クオータ制
今回のアンケートで最も大きな違いが出たのが、特定の割合の議席や候補者を男女に割り当てる「クオータ制」への考え方でした。大前提として、日本は女性の政治参画が極めて遅れています。2021年3月に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数」の政治分野で、156カ国中、日本は147位です。また、国会議員(衆議院)における女性議員の割合も、世界193カ国中で日本は166位と、非常に低い位置にあります。こうした中、6月には政治分野でのジェンダーギャップ解消を目的とした「候補者男女均等法」が改正されました。同法は政党に対し、男女の候補者をできる限り均等にすることを求めています。ただし、その数値目標を義務化することは見送られました。
アンケートの結果、クオータ制の法制化に消極的なのは「自民党」と「嵐の党」の2党でした。
自民党は「一律に数値目標を義務化するよりも、保育・介護基盤の充実、働き方改革の推進等の環境整備を行い、男女共同参画型社会への相互理解を促進すべきと考えます」と、数値化より優先すべきものがあると表明。
公明党は、議論自体の重要性は認めるものの「女性議員が少ない構造的要因」を解決することが先だ、との考えを示しました。
なお、政府は「2020年代の可能な限り早期に」女性リーダー比率を3割にすることを目標に掲げています。しかし、クオータ制導入に消極的な回答をしたすべての党が、今回の都議選の女性候補者比率で3割を割り込む結果になりました。
3. LGBTQの権利
性的マイノリティ(LGBTQ)への施策はどうでしょうか。東京都議会は6月、同性パートナーシップ制度を求める請願を全会一致で採択しました。その一方で、多様性を掲げた東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、与野党が今国会での成立を目指していた「LGBT理解増進法」は自民党が党内の反発で一転、国会提出が見送られました。
アンケートの結果でも、自民党以外のすべての党が「LGBT理解増進法(差別禁止法)」の早急な法制化を目指す、と回答しました。
「自民党の反対によりLGBT差別禁止法の成立が先送りされたことは、きわめて遺憾です。与党の責任放棄であり、差別に対する認識の欠如が鋭く問われると考えます」(共産党)
「同性パートナーシップ制度について、都民ファーストの会の都議会議員は請願紹介議員となり『採択』のために奮闘しましたが、『採択』に反対する会派があり、その結果として『趣旨採択』となったことを付け加えておきます」(都民ファースト)
「今後、東京都の行政現場において、どのような配慮や工夫が可能であるかについて個別具体的に検討し、必要な取組を慎重に行うべきです。また、その状況等も踏まえて、引き続き国政での法制化への議論を深めていく必要があると考えています」(自民党)
4. 「女性不況」に子どもの貧困……対策は?
アンケートでは、コロナ禍で女性の失業者・休職者数が男性と比較して大幅に高い「女性不況」や、シングルマザー家庭の多いひとり親世帯の半数が陥っているとの厚労省データもある「子どもの貧困」への具体策についても尋ねています。
すべての政党が政策をアピールする中「経済政策に関しては、なかなか差別化がしづらい」と指摘するのが、 若者の声を政治に反映させることを目指す団体「日本若者協議会」代表理事の室橋祐貴さんです。
「コロナ禍の協力金などで財源が枯渇する中、掲げられたマニフェストを本当に実現できるのか?も考える必要があります。例えば、共産党が掲げる『学生応援給付金』や『都立大学の授業料無償化』はなかなか難しいのではないでしょうか」
自民党が肝入り政策として掲げている「個人都民税・20%、事業所税・50%」の減税についても「都の財政が逼迫する中で本当に実現できるのか?は疑問が残る」と室橋さん。また、都民税の減税による影響が大きいのは富裕層であり、弱者や困窮者支援からはズレる、という点も指摘します。
5. 「都民ファーストの4年間」への評価は?
最後に忘れてはならないのが、今回の都議選は2017年に「小池旋風」を巻き起こし、現有議席のもっとも多い「都民ファーストの会」の都政を評価する選挙になる、ということです。室橋さんは、都民ファーストの会が都政を率いた4年間について「コロナ対策や東京五輪・パラリンピック対応の迷走でネガティブな印象になってしまった」ことは指摘しつつ、女性や子どもに関する政策では、以下の実績は評価できる、とします。
•受動喫煙防止条例(2020年4月から原則屋内禁煙に)
•待機児童数の減少(2017年の8586人から約9割減少)
•多子世帯への授業料支援
•ソーシャルファーム(ひとり親・障害者・引きこもり経験者などの就労困難者をサポートしながら、全従業員の20%以上雇用する社会的企業)の促進
•性教育の推進
「都民ファーストは女性議員比率も高く(約3割)、創設者である小池都知事も女性。そうした背景が、積極的な女性支援策につながっているのではないでしょうか」(室橋さん)
またとりわけ、子どもの権利を守ることに関しては、2021年3月に全会派一致で可決した「東京都こども基本条例」が画期的だった、と評価します。同条例は、公明党が自民党や維新の党を巻き込んで主導し、共産党や都民ファーストの会が「共闘」するかたちで成立したことがポイントだったといいます。
「女性や子どもの権利を守ることに関しては、共産党・公明党が突出してテーマに掲げ、都民ファーストがそれに追随するかたちで多くの政策を推進させてきた印象です。そうした中で、自民党が第1党に戻って果たしていいのか?とは問わねばならないでしょう」(室橋さん)

●都民ファと小池知事の近さ 都議選で問われる二元代表制 7/1
7月4日投開票の東京都議選では、都議会が知事の政治決定をチェックする「二元代表制」のあり方も問われる。この4年、都議会で最大会派だったのは、小池百合子知事が結党した地域政党・都民ファーストの会。首長が政党を立ち上げて議会で多数派をつくる手法は首長肝いりの政策が実現しやすくなる半面、緊張関係を保つべき議会が首長と一体化する側面もある。都議会はどうだったのか。
6月25日の告示日。ある都民ファ候補の第一声は、小池知事との距離感を象徴していた。「私たち都民ファが小池知事の与党」
小池知事は前回の都議選で、「古い議会はいらない」と連呼して都民ファを大勝に導いた。都民ファの後押しを受けた小池知事は都議選後、都議会自民党で異論の強かった受動喫煙防止条例を成立させた。都民ファ側からコロナ禍の中で出産した家庭への10万円相当の上乗せ支援を都に要望し、実現させたこともあった。
一方、国会議員の中から首相を選ぶ「議院内閣制」と違い、地方自治体は首長と議員が別々の直接選挙で有権者から選ばれる二元代表制だ。地方議員には本来、首長を選挙で支援したか否かにかかわらず、首長を監視する役割が求められる。
都議会ではかつて、当時の最大会派だった自民が、石原慎太郎知事や猪瀬直樹知事と時に衝突。猪瀬知事が医療法人から金銭を受け取った問題では、自民などが百条委員会で追及する構えを見せ、猪瀬知事は辞任に追い込まれた。
だが、この4年間で、都民ファが小池知事を議会で追及したことはなかった。都民ファ代表の荒木千陽都議は15日の公約発表の会見で「小池知事とは信頼関係がある上で、時にはぶつかり合いながら我々の要望を通してもらった。一番考えなければいけないのは、結果として都民のためになっているかどうかではないか」と強調した。
ある都民ファの都議によると ・・・

●小池百合子都知事 「ザワつく!金曜日」都民ファへの応援演説はあるか 7/1
過労のため先月22日に入院し、30日に退院した小池百合子東京都知事(68)が、都議会議員選挙(4日投開票)に向けて動いた! 小池氏は退院直後、すぐさま「都民ファーストの会」の候補者たちに“檄文”を送付。「小池氏が都民ファを見捨てた」との臆測があったが、必ずしもそういうわけではなさそう。ただ実際に応援演説に駆けつけるかは、まだ不透明だ。
都民ファの尾島紘平候補によると、“檄文”は30日午後、スマホにメールで届いたという。「これは小池氏の筆跡です。本人が書いたのでしょう」と尾島氏は言う。
メールには、こう書かれていた。
「中盤戦に入りました 連日、フルに活動しておられる様子、たのもしく思います 肝心な時にご心配かけて申し訳ありません 都民が見ています! 都民がついています! ゴールめざしてがんばりましょう」
平慶翔候補もツイッターで公開しているが、宛名が違うだけで中身は同じだ。都民ファ候補、すべてに送られているのだろう。尾島氏は「直筆のメッセージが届いたことで、各陣営は元気が出たのではないか」と語った。
“檄文”を送るのに先駆けて、小池氏は退院に際してのコメントを発表していた。
しばらくはテレワークで公務にあたるとし、「都議会の皆様におかれましても、都議会議員選挙の最中という大事な時期に御心配をおかけし、申し訳ございませんでした。新型コロナウイルス対策をはじめ都政の諸課題が山積する中、改革を続け、伝統を守る皆様に、エールを送ります」。ただ特定の政党名は出していなかった。
それだけに「小池氏が都民ファを見捨てた」という臆測が出るのも無理からぬことではあった。小池氏が静養して以来、情報戦がすさまじく、国政復帰説や重病説、仮病説に早期退院説までが飛び交った。
都民ファ関係者は「都政の課題が山積しているのに国政復帰はないでしょう」と指摘する。とはいえ“一寸先は闇”というのが政界だ。「都民ファを見捨てた」との臆測を吹き飛ばすにはメッセージを送付するだけではなく、実際に姿を見せて都民ファを応援するかどうかが注目される。
選挙戦は3日に最終日を迎える。「公務をテレワークでやると宣言した以上、そう簡単に演説に顔を出すわけにはいかない。筋が通らないことになってしまう。応援演説を行うかどうかを占うのは、金曜日の定例会見に小池氏が出席するかどうか。2日に小池氏が定例会見を行えば、テレワーク終了を意味する。翌3日の最終日に、応援演説を行うことはあり得るかもしれない」(前出の関係者)
ギリギリまで予断を許さない状況だ。

●質問1回で年収1300万円?… 都議会議員の活動実態 7/1
1100万超の有権者をかかえる東京都の都議会議員選挙が6月25日に告示され、投票日は7月4日だ。定数127議席を271人の立候補者が争う。前回は小池百合子知事率いる「都民ファーストの会」と自民党都連との対立や、築地市場の豊洲移転問題の行方など話題が尽きなかった。
その4年後となる今回の都議選。やはり、多くの都民が気になるのは都民ファーストの勢いだろう。しかし、国政選挙に比べて日頃の選挙民の関心は薄く、地方議会の活動や議員の仕事ぶりはあまり知られていない。そこで、都民ファーストの動向についてふれたうえで、普段の都議会・都議の活動内容について考えてみたい。
離党者が相次いだ都民ファースト
都民ファーストは、2016年に知事に初当選した小池氏が立ち上げ、17年1月に地域政党としての活動を始めた。同年7月の前回都議選で大会派だった自民党と戦って大勝し、追加公認を含めて55議席を得た。しかし、その後、計8名が離党した(うち石毛しげる氏は除名処分)。
今年の2月19日の記者会見で小池都知事(現在、都民ファースト特別顧問)は「離党等をされた方々というのは、よく有権者が見ているということも確認されたほうがよろしいかと思う」と発言し、党内の引き締めを図っている。
都議会の構成は、勢力順に都民ファースト46、自民25、公明23、共産18、立民7…と続いており、都民ファーストは現在も最大勢力だ(数字は都議会広報課公表資料)。今回の選挙では、前回、小池知事率いる都民ファーストと選挙協力した公明党が自民党と協力関係を復活させた。都民ファーストと自民党・公明党の勢力争いとともに、共産党や立憲民主党などの議席の行方も注目される。
地方議会の定数は地方自治法の規定に基づいて各自治体の条例で決められている。現在の東京都議会の定数は127。選挙区は42ある。選挙区は市区等の行政区分を原則としているために人口差が大きく、各選挙区の定数は、1名から8名の選挙区までさまざまだが、人口が少ない選挙区よりも多い選挙区の方が定数が少ない「逆転現象」があり、選挙区の定数を4増4減することで是正されるとみられていた。
しかし、結局、都民ファーストと自民、公明の三会派による提案で、今回は特に開きのある練馬、太田両区のみの定数改正で1増1減にとどまった。
都議会の権限と議員の報酬
そもそも都議会とは何なのだろうか。東京都の組織は議決機関としての議会と、執行機関としての知事とそのもとの部局に大別される。議会は都民の総意を都政に反映させる重要な役割を担っているとされる。議会を構成する議員も執行機関の長である知事も、直接住民により選出されるのが特徴だ。
議会の主な権限として以下のものがある。
・ 議決権(条例の制定・改廃、予算の議決、決算の認定など)
・ 選挙権(議長、副議長、選挙管理委員などの選挙)
・ 行政事務の検査・調査権(都の事務の管理、議決の執行及び出納についての検査)
・ 意見書の提出権(都の公益に関する事件に、国会や関係行政庁に意見書を提出)
・ 同意権(知事が副知事、監査委員、公安委員会委員等を選任・任命する時の同意)
・ 不信任議決権(議会と知事の間で意見の対立が生じた場合の知事の不信任議決)
こうした活動のために、都議会は、年4回定期的に開かれる定例会と必要に応じて開かれる臨時会とがあり、いずれも知事が招集する。会議には全議員が出席して開かれる本会議と各委員会がある。現在、都議会には文教委員会など9つの常任委員会があり、議員は、いずれか1つの委員会の委員となり、任期は1年だ。
都議の議員報酬はいくらなのだろうか。小池氏が都知事になって知事給与を条例により半額の1448万円とした。それまでは、都議の年収は約1715万円にのぼり、議長には約2133万円が支払われた。しかし、これでは都議の年収が知事を上回ってしまうので、それを避けようと2017年に全会一致で「身を切る決断」をして2割削減し、年収は都議が1372万円、議長は1706万円となっている。
報酬のほかに、「第2の報酬」ともいわれる政務活動費(政活費)も交付される。月額60万円だが、報酬カットと同様に政活費も減額され、現在は月50万円になった。それでも一人あたり年600万円の政活費が各会派に支払われる。政活費は調査・研究に使うのが本来の役割で、都議会を含め全国の地方議会で不適切な使用がたびたび問題となっている。
また、議会に出るたびに自宅からの距離に応じて支給される「費用弁済」というものもある。本会議や委員会に出席する際の交通費などとして支払われるもので、一日当たり23区と島しょ部選出議員には10000円、それ以外は12000円が支払われる制度だ。しかし、これも報酬削減とともに廃止(島しょ部の議員には特例で支給)された。
議員はどんな仕事をしているのか?
(1)条例を作るのが仕事のはずだが…
議会のもっとも重要な任務は、国の法律にあたる条例の制定等だろう。しかし、興味深いことにあまり条例を作っていないのだ。
都議会では(他の地方議会も同様だが)、知事が提案して制定される条例が多く、議員が提案する「議員提案条例」はほとんどない。地方自治法は、定数の12分の1以上の賛成で議員が提案できると定めるが、例えば、令和3年第1回定例会をみると、提出議案のうち、条例案は知事提出49件で、議員提出は7件だ。
しかも議員提出条例案には政策条例といわれる施策を定める条例の他に組織や報酬規定等に関する条例案が含まれることが多く、また、肝心の政策条例は否決されることが多い。
知事提案議案もほとんどが原案どおり可決しており、議会が本当に機能しているのか疑問に感じる。ただし、変化はある。2000年以降の17年間で政策条例が成立したのは1本だけだったが、前回の都議選があった2017年7月以降は4本あり、これは評価できよう。
(2)議会での質問
国会でも議員の活動の指標として話題になる議会での質問回数。都議会はどうだろうか。
高橋亮平氏(日本政治教育センター代表理事)は本年2月17日に「任期中1度も質問していないオールゼロ議員13人は誰?」という調査結果を公表している(yahoo news掲載)。前回の選挙で選ばれた都議の3年半の期間(任期4年)中のデータとして、平均質問回数は3.3回であり、都議会議員は「1年に1回質問するだけの簡単なお仕事なのか?」と疑問を投げかけた。
そして、総質問回数ゼロ議員一覧(2017年第3回定例〜2020年第4回定例)を掲載し、「任期中1度も質問していないオールゼロ議員13人は自民7名、都民ファースト4名、公明2名」であるとした。ただし、委員会での質問はカウントされていない。
一方で、過去には都庁職員が議員のために議会質問を作るなれあいの慣習があることが報じられた(2017年2月18日付朝日新聞)。質問回数だけでは議員の質を評価することは困難だ。
(3)議会以外には何をしているのか
そもそも定例会は年4回あるが、あわせて80日ほどしかない。それに臨時会がある場合も多いが、年間で数日程度だ。議会がないときに都議は何をしているのだろうか?
2017年の選挙で都議に初当選した鈴木邦和氏が当選して11か月後に「政治家は本当に忙しいのか−全日程を分類」というタイトルの情報をネットで出している。自らの11ヶ月間のスケジュールを集計すると、総計は3139時間となり、それを分類したのだという。結果は以下の通りだ。
   議会・公務・・・13.1%
   政策調査・・・・23.8%
   党務・選挙・・・17.1%
   地元活動・・・・13.6%
   広報・広聴・・・14.7%
   メール・電話・・17.7%
「議会・公務」はまさに議会での質問やそのための調査活動ということだろう。ここには東京都や地元自治体の公的行事への出席、審議会の委員の仕事などを加えているという。
「政策調査」は議会の質問を作る上での調査・研究等の時間としている。中身としては都庁職員との意見交換、勉強会、有識者ヒアリング、文献調査、視察などをあげている。議会開催日以外の議員の重要な仕事だろう。ただし、掛けた時間に対してどんな成果=政策を実現できたのかという点が重要で、鈴木氏は、ただ漫然と勉強会や視察をしていては意味がないとしている。
「地元活動」は、議員の仕事として賛否が分かれるとし、この内訳は、新年会・総会、地元行事、報告会、陳情対応、駅立ちなどだという。政策のための活動なのか、選挙のための活動なのかはたしかに判断は難しい。地方議員には公設秘書の制度がなく、地元活動により議員本来の仕事が疎かになるという状況になり得るようだ。
(4)都庁の審議会委員になる都議
通常、官庁と同様に、自治体も政策決定や遂行にあたり審議会を設けている。筆者はいままでいくつかの地方自治体の消費者行政の審議会委員を務めたが、東京都の審議会の委員構成に違和感を覚えた。審議会に都議会議員が数名入っていたのだ。
官庁の審議会で国会議員が委員になるなど考えられない。2017年頃に東京新聞がこの問題を継続して報道した。都の審議会の3割に都議が委員として就任しており、首都圏の一都六県でもっとも割合が高いという。全国でみると13の県議会では原則禁止だ。
いくつかの都の審議会事務局に理由を問い合わせたが、条例で通常定める「学識経験者」として慣習的に入れているようだ。議会人として政策を提案したり、都政をチェックするのが議員の役割なのに、都庁内の審議会の委員になるのは制度的におかしいだろう。
しかも審議会の委員には一回2万円程度の報酬が支払われるが、議員報酬を受け取っている議員にも同額の委員報酬が支払われている。
都議を審議会委員に入れる理由を都庁OB等に聞いてみたが、審議会を経て都議会に出される条例などの知事提案議案をスムーズに通過させてもらう意図があるようだ。東京新聞2017年9月21日付記事では、「もたれ合いが常態化している」とし、都議の「肩書と報酬もらえる」、都幹部の「議案否決避ける保険」という本音を紹介している。
問われる都議会の存在意義
都議会に対してネガティブな記述をしたが、議会の存在意義が目立つ事案もある。知事の不祥事追及の場面だ。例えば2016年に政治資金の公私混同疑惑が浮上し、都民の批判が集中した舛添知事。進退問題で抵抗した舛添氏だったが、決断に追い込んだのは都議会だ。野党だけでなく与党の公明、頼みの自民も不信任決議案の提出に同調して全会一致での不信任案提出が決まり、舛添氏は知事を辞職した。
しかし、都議会が地方議会の本旨に沿って十分な役割を果たしているとは感じられない。定数是正も中途半端だ。今回、東京新聞の前述記事を執筆した記者に取材した際の「選挙のたびに政党や議員は『議会改革』というが、身内にとことん甘い」という言葉が印象に残った。
「この程度の政治、この程度の国民」という言葉がある。政治家が職務を果たさなかったり、不祥事を起こすのは、選挙民がそうした政治家を選んでいるからであり、選挙民がしっかりしなければならないという意味だ。日頃の政治への関心も必要だが、選挙は最大の選挙民としての権利行使のチャンスだ。1400万人の都民の生活や将来に影響を及ぼす都議会議員選挙への関心が高まることを願う。
 
  
 

 

●訴え届かぬタワマン 都議選で最低投票率、富裕層多い街 7/2
東京タワーや六本木ヒルズがそびえ、タワーマンションや高級飲食店、ブランドショップがひしめく街・東京都港区。平均所得が日本一高い一方で、都議選の投票率は都内で最下位が続く。「政治に頼らない」富裕層が多い街で、候補者は何を訴えているのか。
都議選が始まって3日目の日曜日。立憲民主党の男性候補は、表参道駅近くの選挙事務所の外壁に次々と犬や猫の名前を記したポスターを貼りだした。捨てられるなどして保護された動物の新たな飼い主を募集する公告だ。記載のQRコードを読み込むと保護団体と連絡が取れる。「動物殺処分ゼロを目指す取り組みです」
この候補者が前面に押し出すキャッチフレーズは、「人間とペットの生命を大切にする」。都によると、港区内の犬の登録数は1万666匹で世帯数に占める割合は7・2%。同じ都心部の千代田区(4・5%)や中央区(6・5%)より高い。候補者自身、保護された犬の飼い主で、保護された動物と飼い主とのマッチング活動に携わってきた。
港区という選挙区について、この候補者は「町会や各種団体が少なくなり、組織より個人が際立つようになってきた」と分析する。ペットに関わる政策は都政に関心の低い個人を振り向かせる重要な柱だという。「犬猫を飼っている方の代弁者となり、動物虐待防止に向けて都の具体策を引き出していく」と訴える。
区内には新橋や浜松町など昔から住む人たちが多い地域もある。自民党の男性候補はその一角に選挙事務所を構えた。伝統的な地域のつながりを大切に組織や団体の票固めを進める。
駅前でも演説する。平日朝の白金台駅では地元選出の国会議員や区議と並んで「コロナ禍の支援を政府と連携して進める」とアピール。減税や子どもがボールで遊べる場所の整備を訴える。ただ、演説に足を止めてくれる人はまばらだ。「地元の議会活動より国政や世界情勢への関心が高い。それがこの区の特徴」と言う。
港区の都議選投票率は1997年以降、常に都内で最下位だ。前回2017年は都全体で51・28%に対し、港区は44・35%。同年の衆院選は7ポイント以上高い52・24%だったことは「地元より国政」の傾向を示している。
投票率が最下位になった時期は、区の人口が急激に増え始めた時期と重なる。60年に26万人だった人口は不動産の高騰を背景に96年には15万人を割ったが、97年以降は増加傾向に。タワーマンションの建設が相次ぎ、現在は25万人を超えている。特に14歳までの年少人口の割合が増加した。
この自民候補は大都会ゆえに「風」に影響されやすく、訴えを届けにくい有権者が増えたと感じるという。「一番難しいのがタワマン。玄関はおろか集合ポストの敷地にも入れない」
共産党の男性候補も「タワマンの人たちの意見を聞くことができない」のが悩みの種だ。一軒家や低層のマンションが多いエリアでは街頭から、五輪中止や都心上空を通る羽田空港新ルートの中止を呼びかけ「都民の命を守る」と訴える。共産は97年の都議選を最後に港区で議席を獲得できていない。区民の年間所得が全国の市区町村でトップの平均1163万円の街で「根を下ろして活動する党としてはまだ発展途上だ」と陣営幹部は言う。「共感できる政策を提案、発信していかなければならない」。
都民ファーストの会の女性候補はタワマンに住んでいる人を「クールな層」と呼ぶ。「街頭演説に足を止めたり、候補者と握手を交わしたりはしない人たち」と分析。「候補者のバックボーンとストーリーにシンパシーを寄せてもらえるか」が重要と考え、選挙チラシのプロフィルには「民放テレビ局に勤務し二人の息子を育てた」と記す。
選挙期間中は精力的に区内を回るが、もともと街頭演説の集票効果には懐疑的だ。港区の昼間人口は約94万人と在住人口の3・8倍。街を行き交う人たちは「非有権者」の場合も多い。
重視するのはSNSで知りあった人たちとのつながりだ。コロナ禍で打撃を受けた飲食店やエンターテインメント業界の人たちに連絡を取ってアプローチし、支援の必要性を訴える。
こうした人たちを小池百合子知事のもとへ連れて行き直接窮状を訴える機会を作ったこともアピールポイントだ。「都政のことなんて考えたことがなかった」。そんな若者世代のDJや、ロック歌手が選挙の応援に駆けつけている。

●都議選応援で大人気「安倍前首相」 総選挙後「菅退陣」で再々登板も 7/2
ワクチン接種が進み、東京オリンピック・パラリンピックでの熱狂に国民の目を釘付けにすれば、これまでの失政への冷たい視線を和らぐだろう。そこで解散総選挙に持ち込めば自民党総裁選はナシになって、晴れて本格政権に持ち込める……。そんな青写真を描くのが菅義偉首相だが、総選挙で議席をかなり減らせば総辞職は不可避となって総裁選への出馬を余儀なくされる。永田町ではそのボーダーラインと「ネクスト菅」を探る動きが始まっており、有力な候補として安倍晋三前首相の名が上がり始めている。
「9月9日に臨時国会を召集して冒頭で衆院を解散、投開票は10月3日になるとか、9月16日解散で10月10日投開票といったスケジュールが取りざたされています。いずれにせよ、自民党総裁選前のタイミングになるはずです」 と政治部デスク。
「現在の自公の勢力は306。選挙でそれ以上議席数を伸ばすことはまずできないでしょうが、勝敗ラインとして『30減』までは許容されるのではないかという見方が出ています。これは、衆議院のすべての常任委員会で委員長ポストを独占し、かつ各委員会で過半数の委員を与党が確保できる状態を指す「絶対安定多数」のレベルにあります。ただ、これが『35減』になると、“菅さんでいいのか、続けさせるべきではない?”といった声が上がる可能性があります。となると、菅政権は退陣し、自民党総裁選が始まることになります」
総裁選は国政選挙と違って、金銭の授受を取り締まる法律が厳密にはないから、札束が飛び交う「仁義なき戦い」だ。いささか古いたとえになるが、総裁選は候補2派からカネをもらう議員が「ニッカ」、3重取りは「サントリー」、全陣営からの場合は「オールドパー」と呼ばれるなど、「ザ・金権選挙」となってきた。現代でもカネの部分はともかく、派閥の論理むき出しの「はないちもんめ」「仲間外れ」が平然と行われる。
ここからは、菅首相が総選挙で勝敗ラインを勝ち取れずに退陣を表明し、後継候補を総裁選で選ぶことになったと仮定して話を進めよう。現時点での各派閥勢力は以下の通りだ。
・細田派96 派閥ボス:細田博之元官房長官 ・麻生派55 同:麻生太郎財務相 ・竹下派52 同:竹下亘元総務会長 ・岸田派47 同:岸田文雄元政調会長 ・二階派47 同:不在 ・石破派17 同:不在 ・石原派10 同:石原伸晃元幹事長 ・無派閥63
・計335
「総裁選には地方の声をより多く盛り込む選挙のやり方もありますが、今回はそれを排除し、純粋に議員票だけで見てみましょう。安倍さんが所属する細田派と麻生さんの麻生派は2人の盟友関係から基本的には一枚岩で、それだけで全議員の45%を占めます。そこに岸田派を加えれば過半数を取ってしまう。後継候補として岸田さんでまとまるなら話が早いということになるでしょう」
しかし、コトはそう単純に進まない部分がある。かねて指摘されてきた岸田氏の不人気だ。
「総裁選が近づくと、“次の総理総裁にふさわしいのは誰?”というアンケートが行われますが、決まって岸田さんは最下位争いをしてしまいます。国民的人気がないということですから、せっかく総裁・首相に選んでも早晩、政権が頓挫しかねないとなると、『岸田回避』という動きが出てくることになるでしょう」
とはいえ、細田、麻生両派が自派から出してまとまる候補がいるというわけではないから、こちらも話は単純ではない。
「細田派の候補でいうと第一は萩生田(光一)文科相ということになりますが、57歳と若く派内がまとまるのは難しそう。麻生派でいうと河野(太郎)ワクチン担当相ですが、安倍さんは河野さんを嫌っているし、そもそも麻生派内にもアンチ河野がいて、とてもまとまるとは思えません。ということで、派閥外から候補を探ることになるわけです」
そこで候補となりそうなのが、加藤勝信官房長官、茂木敏充外相。いずれも竹下派所属だ。
「二人とも“政治家になったからには総理総裁を目指さないということはない”と、まぁまどろっこしい言い方ですが、意欲は十分。第3派閥ですから、上位2派閥の支持を得なければ総裁選当選はもちろん、その後の政権運営は不安定になる。加藤さんの義母・睦子さんは安倍さんの母・洋子さんと昵懇で、勝信氏を首相にという思いを伝えてきました。茂木さんはと言うと、“冷たい”とか“怖い、パワハラ気味”といった評価を払拭するため、派内の若手に積極的に声をかけ、親身に相談に乗ってきたと言われています」
加藤氏には二階派からもアプローチがあるという。では、この2人のどちらかで決まりかというと、さにあらず。
「岸田さん同様、“次の総理総裁にふさわしいのは誰?”を聞いて回ると、2人は上位には出てこない。国民的な人気が全くないのです。決定力を欠く3人を尻目にジリジリ存在感を高めているのが安倍さんです」
昨年9月に突如、病気を理由に首相の座を退いた安倍氏。その後、主催した「桜を見る会」前夜祭を巡る収支が安倍氏の関連政治団体の政治資金収支報告書に記載されていない問題で、東京地検特捜部による捜査を受けた。安倍氏は嫌疑不十分で不起訴処分、前夜祭を主催した政治団体代表の公設第1秘書が政治資金規正法違反(不記載)罪で略式起訴された。
「安倍さんの不起訴は不当だということで検察審査会に審査が申し立てられていますが、安倍さんは年明け以降、政治活動を再開させてきました。7月4日に投開票となる都議選では応援要請が相次ぎ、実際、多くの聴衆が詰め掛け、その反応はすこぶる良いようです。安倍さんは首相時代、演説の際に熱狂的な応援の一方で侮蔑の視線も数多く浴びてきた経験があり、現役政治家として、応援演説の手応えを最もよく知る人物だと言っていい。その安倍さんが自身の人気を改めて認識しているということで、再々登板の可能性が日を追うごとに高まっていると見ています」
総選挙で与党が35以上議席を減らすと、政局が起こって前首相が浮上してくるというシナリオは果たして……。

●衆院選占う都議選は自民優勢、野党は政権批判票に狙い−4日投開票 7/2
東京都議選(4日投開票)は、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が後退し、自民党がリードする展開になっている。立憲民主、共産両党も政権批判票を取り込もうと選挙協力を進めており、衆院選を占う試金石として政府の経済政策に影響を与えるとの指摘もある。  
告示日の6月25日には、菅義偉首相が自民党本部の出陣式でマイクを握り、政策を実現できるのは「政府と一体となって進めていく自民党の候補者だ」と支援を求めた。立憲の枝野幸男代表も同日街頭に立ち、菅政権の新型コロナウイルス対応を批判し、「この秋までにある衆院選で変えなければならない」と訴えた。
小池知事は告示3日前の22日夜、過度の疲労を理由に静養を発表し入院。30日に退院したが当面公務はテレワークで、選挙戦にも姿は見せていない。4日の記者会見で都民ファを支援するのか問われた際には「改革を目指す方々にエールを送っていきたい」と述べ、明言を避けていた。
共同通信が25−27日に実施した世論調査では、投票先の政党として自民を挙げた人が31.8%で最も多く、第1党の奪還をうかがう。公明14.1%、共産13.1%、都民ファ12.1%、立憲民主7.1%の順で、都民ファは大幅に後退する可能性があるという。
23日に開幕が迫る東京五輪については、観客を入れての開催に前向きな自民・公明両党は公約に具体的な記載はなく、大きな議論にはなっていない。都民ファは公約として「無観客」での開催、共産党は開催中止、立憲民主党は感染拡大の懸念が払しょくできない限りは延期か中止するよう求めている。
都議選後には衆院選を控え、与党内ではコロナ対応のための経済対策や補正予算の編成に向けた動きも今後、本格化する。自民党内の一部には追加の国債発行による大型経済対策の編成を求める動きがある。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、自民が都議会で議席を増やせば、衆院選を前に「政府の経済対策が大型化し、国債が増発されるという心配は今のところする必要はなさそうだ」との考えを示した。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「市場は先行きが不透明か見通しやすくなるのかで動く」として、自民が圧勝すれば政権の安定につながるとみて株価にはプラスの材料になると話す。野党が議席を増やすと市場は衆院選で与党の得票が減ると捉え「相場が下落するかもしれない」との見通しも示した。
第2次安倍晋三前政権の発足から半年後に行われた2013年の都議選では自民が大勝し、アベノミクスが進むとの期待感が強まったことから週明けの相場で円売りが進み、TOPIXも一時前週末比1%を超える上げとなった。自民は1カ月後の参院選でも勝利し、長期政権への基盤を固めた。
17年の前回選挙では、小池知事が立ち上げた都民ファが都議会第1党に躍進。自民党は議席を57から23まで減らし大敗した。勢いに乗った小池氏は「希望の党」を結党し、3カ月後の衆院選で多数の候補者を擁立したが惨敗した。
都民ファからは離党者が相次ぎ、4月20日現在の会派所属議員は46議席。うち1人は無所属で立候補した。
前回選挙で激しく対立した小池氏と自民党との距離感には、4年間で変化が出ている。自民は昨年、2年連続で反対してきた当初予算の採決で賛成に回ったほか、小池氏が再選を果たした知事選では対立候補の擁立を見送った。
日本大学大学院の岩井奉信講師は、ここ1、2年の都政運営を見ると知事は「すでに軸足を自民、公明に移している」と指摘。都議会の勢力図が変わっても「小池知事の都政運営に大きな支障があるものではない」と分析する。一方で、自公にとって今回の選挙は「菅政権の支持率が低いことがネック」となり、一定の批判票が野党勢力に流れる苦しい戦いでもあるという。

●「コロナ対応優先」の首相、都議選応援ゼロはヤジ懸念? 7/2
4日に投開票される東京都議選で、菅義偉首相(自民党総裁)が一度も応援演説に入っていない。コロナ対策をとりながら街頭演説に臨んでいる野党党首らの姿とは対照的だ。政権与党は、首相は新型コロナ対応を優先させているというが、首都決戦での与党トップの「不在」をいぶかる声も出ている。
加藤勝信官房長官は1日の記者会見で、首相が都議選の応援に入っていない理由について「新型コロナ対策をはじめ様々な公務がまず優先で、日程上可能かどうかなどの観点で判断される」と説明した。
今回の都議選で、首相がマイクを握ったのは告示日の6月25日、自民党本部前での第一声のみだ。党関係者らを前に「現場を熟知する自民党の候補者だからこそ、政策を実現できるのではないか」と訴えた。その後は一度も応援演説などには行っていない。公明党の山口那津男代表や立憲民主党の枝野幸男代表、共産党の志位和夫委員長らが応援に駆けつける中で、首相は「沈黙」を続ける。
首相は、政権与党が全敗した ・・・

●「1人区」が勝敗左右 投票率も注目―都議選のポイント 7/2
東京都議選(定数127、42選挙区)の投開票日が4日に迫った。4年前の前回選で歴史的大敗を喫した自民党が、公明党と合わせて過半数を獲得できるかが焦点。小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が、第1党の勢力を維持できるのかも注目される。勝敗のカギを握る「1人区」や投票率など、選挙戦のポイントをまとめた。
〔1人区〕過去の都議選を見ると、千代田区や武蔵野市など七つの1人区の結果が選挙戦全体の傾向を反映するケースが多く、「勝敗を左右する」とされてきた。2017年は、小池知事が率いた都民ファと自民の候補が激突。島部を除く6選挙区を都民ファが制し、都議会第1党に躍り出た。一方、13年の選挙では自民が7選挙区を独占し、擁立した59人全員が当選した。
今回は、島部を除く6選挙区で都民ファと自民が対決。立憲民主党など両党以外の候補も議席獲得を狙う。
〔投票率〕投票率の過去最高は1959年の70.13%で、最低は97年の40.80%。前回は、都民ファと自民の対立構図が有権者の関心を呼び、過去2番目に低かった13年(43.50%)を大きく上回る51.28%だった。
投票率が高い場合は浮動票の獲得を狙う政党、低いと組織票を持つ政党がそれぞれ有利と言われる。無党派層の投票が勝敗に大きな影響を与える中、投票率も焦点となる。
〔女性議員〕今回立候補した271人のうち、女性として届け出たのは74人で、4年前の65人を上回り過去最多を更新した。当選者数もこれまでで最も多かった前回の36人を上回るか注目される。

●東京都議選、1人区で火花 第1党争いを左右 各党、幹部投入 7/2
東京都議選で七つある1人区で、各政党が激しい戦いを展開している。都議選では1人区で勝利を重ねた政党が選挙全体を制してきた歴史があり、各党も幹部を投入するなど力を入れている。
銀座や築地がある中央区選挙区(定数1)。都民ファーストの会、自民党、立憲民主党に加え、都内で勢力拡大を目指す日本維新の会の4新人が名乗りを上げた。
「私たち、もう40ね」。タワーマンションが建ち並ぶ地域の公園で29日、都民フの池辺愛氏(40)は隣に立つお笑いタレント時代の相方の女性に話しかけ、子育ての苦労話を始めた。選挙期間中は連日、相方と一緒に子連れが多い公園やスーパーを回って、会話風の「演説」をしている。「女性有権者から応援すると声をいただく」と手応えを感じる。
若い世代の声を都政に届けようと立候補した維新の岸野智康氏(26)。選挙カーをほとんど使わずに、歩きながら「今の都政を変えないといけない」と呼びかける。財政政策を書き込んだチラシを受け取る人は多く、「都政や都民フに対する憤り、国政の自民への憤りを感じる」という。
「大事な議席を任せられるのは、石島さんしかいない」。岸田文雄元外相がマイクで訴えるそばで、自民の石島秀起氏(61)は険しい表情を見せた。区議7期の経験を引っさげて臨んだ前回選、「小池旋風」に屈した。「血のにじむような4年間」(陣営関係者)を経て、「必ず選挙を勝ち抜く」と意気込む。
立憲の松田朝子氏(61)は新型コロナウイルス対策で銀座の飲食店が打撃を受けたことが立候補を決めるきっかけになった。旅行ライターとして世界を旅してきた経歴があり、長妻昭副代表が応援に入るなど支援を受ける。党の公認は6月と遅かったが、陣営幹部は「時代を作るという思いで戦う」と話している。
都議選では、1人区の勝敗が第1党争いを左右してきた。2009年は民主党(当時)やその支援を受ける無所属の候補が6勝し、最大会派に躍進した。逆に13年は政権を奪還して勢いに乗る自民が7勝し、第1党の座を奪い返した。17年は小池百合子知事が率いる都民フが島部を除いて6勝し、全体でも追加公認を含めて55人が当選する圧勝につながっている。
都議選は選挙区ごとに定数が1〜8まで分かれている。都政関係者は「定数が複数なら政党が当選を分け合うことが多いが、1人区では差が付く」と話す。無党派層が多い東京では、1人区の勝敗が政治の「風」を読む指標になるともされる。
今回の都議選では、1人区は6選挙区で都民フと自民が対決し、このうち5選挙区では共闘を進める野党系候補も絡んだ混戦模様になっている。「1人区で勝てなければ第1党になれない。絶対に勝つ」。政党幹部は力を込めた。

●「心配おかけした」退院した小池都知事、2週間ぶり会見 7/2
過度の疲労を理由に一時入院していた東京都の小池百合子知事が2日、都庁で2週間ぶりの定例会見に臨んだ。4日に投開票される都議選について、「都民ファーストの会にエールを送っている」と述べた。
都議選への対応を問われた小池知事は、「改革を続けるとともに江戸の伝統を守る方と共鳴し、東京を高めていくことは極めて重要」と説明。都民ファについては、「特別顧問を務めているので頑張ってもらいたいと率直に、当然のこととして思っている」としたうえで、「ポスターとかチラシに(顔写真)さんざん出ていますし、エールを送っているところだ」と話した。
東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの観客に関しては、6月21日にあった政府や国際オリンピック委員会(IOC)などとの5者協議で「状況に応じ、無観客も含めて対応を検討する必要がある」と発言したことを引き合いに、「これからも感染状況を注視しながら、無観客も軸として考える必要があるのではないか」と述べた。
一方、体調不良で入院していたことについては、「多くの方々に心配、ご迷惑をおかけした」と陳謝。「引き続き総力をあげて山積する課題に取り組む」と述べた。また、新型コロナの検査を受けた結果、陰性だったことも明かした。

●小池都知事 都議選中の都民ファにエール 7/2
小池百合子東京都知事が2日、定例記者会見で現在行われている都議会選挙(4日投開票)に言及。小池氏が特別顧問を務める「都民ファーストの会」にエールを送った。
小池氏は「ご承知のように都民ファの特別顧問をしているので、当然頑張ってもらいたい。率直に当然のこととしてそう思っている」と明言した。「今回は選挙戦に直接加わっていませんが、街頭演説であるとかコロナの中で非常にやりづらい選挙。ただ、私は東京大改革を担ってきた都民ファの皆さんには、散々チラシとかポスターとかに出ていますけど、エールを送っているところ。都として安定的に大胆に進めていくためにも、多くの皆さんに頑張ってほしい」とも述べた。
都議選で都民ファは東京五輪の無観客開催を公約に掲げている。小池氏は感染状況が急激に変化した場合は「どのような形がいいのか。無観客を軸に考えていくことも必要ではないか」と語った。

●行き詰まる小池都政 国政転身ならば「降臨」する選挙区はどこになるのか 7/2
「過労で倒れた」と言われたら、批難しづらいよね。東京都知事の小池百合子さんのことなんですよ。先般コロナワクチンを受けておられたので一時的な体調不良なら早く快癒してねと思います。身体が資本の政治家ですから、健康第一。アンパンでも食べて元気百倍となっていただければと思います。
「東京オリパラ中止ならず」「都ファ大苦戦」と相次ぐ都政行き詰まり
もちろん、小池百合子さんが過労になったよという話も分からんでもありません。目の前の東京オリンピックは、本来ホスト都市の知事であるにもかかわらず小池百合子さんを外して話が進んで見事に行き詰まりました。3月ぐらいまでは小池百合子さんはオリンピック開催中止を決断するタイミングを計っているという観測が流れ、実際そのような話を都庁内で調査させたようですが、関係者が小池さんを羽交い絞めにして「何らかの形で開催に合意」という道筋になったという逸話まで出たのはいい思い出です。
同じく目前に控える東京都議会選挙も、小池百合子さんが主体として結党に絡み顧問になっている都民ファーストの会が大苦戦予想で、これまた行き詰まりました。前回は「小池百合子旋風」といって多くの1年生都議を輩出したはずの都民ファーストは、まるでマンボウの産卵のようにほとんどが稚魚のまま政治家としての死を迎えようとしています。
コロナ対策の目立つ機会も失策、問題は山積み
さらに、東京では目下、デルタ株と呼ばれる感染力の極めて強いコロナ変異ウイルスの感染者が増加に転じ、小池百合子さんが積極的に取り組んできたコロナ対策が完全に行き詰まりました。それも、9,000億円以上あった東京都の貯金を休業要請などコロナ対策費用でほとんど吐き出してしまい、困っている事業者に対する支援金の給付が遅れているだけでなく財源不足で政府と東京都の間でどっちが払うかで殴り合いになっています。コロナ対策でアテクシ小池がオホホと目立つ機会を得たはずが、やったことが概ね失政だったためにどうにもならなくなってしまいました。
要するに、昨年7月5日に2期目の東京都知事に就任してみたものの、小池百合子さんは五輪も都議選もコロナ対策もやることなすこと全部うまくいかず、1期目の公約であった「7つのゼロ」も実現には程遠くて、都知事としての職責をうまく果たせなかった、というのが小池さんが過労に至った最大の理由でしょう。
これから長期にわたって都民全体の高齢化や少子化対策、湾岸VS三多摩の貧富の格差問題、老朽化した交通インフラや上下水道の更新、止まらない通勤ラッシュに開かない踏切、西部の人口減少にともなう空き家問題などなど、問題は山積です。今後、東京の高齢化率がもっとも高くなる2050年代に向けて東京のレガシーを策定し、長期のビジョンに立って東京をどうしていきたいかという話もそこそこに、虎の子であった東京都のお金を全部使っちゃったぞというのが小池都政なわけですね。
「政治家として最後の挑戦」について
でも、俺たちの小池百合子はたぶん次なる手を考えています。おそらく、もう東京都知事として東京都の施政に力を尽くすことには関心を失っているのか、小池さんの有力な支持者に対して(入院する直前まで)「政治家として最後の挑戦」についてお話しされていました。おそらくは、来たる解散総選挙か衆議院の任期満了にともなう選挙が予想される9月末から11月に向けて、電撃的な自民党復党と国政復帰を考えているのでしょう。
それどころか、9月5日の東京オリンピック・パラリンピックの閉幕までに菅義偉政権の支持率が上がらず解散を打てないようであれば、9月末に予定される自民党総裁選の延期を行わず小池百合子アテクシ最強の自民党総裁選出馬のシナリオすら囁かれる始末です。普通の知事の支持率はおおむね7割ぐらいが平均のところ、57%ぐらいとやや低迷している東京都において、もう小池百合子さんにやれることはそれほど残っていません。
辛気臭くて不人気な菅義偉さんを前に立てて向かい風の不利ななか自民党が衆議院選挙に打って出て30議席近く失ってギリギリ弱小連立政権にしがみつくよりは、我ら選挙互助会文句あるかの掛け声とともに非常に高い国民的知名度(だけ)はある小池百合子新総裁をカシラに「日本憲政史初の女性総理の実現を目指す」と号して選挙戦を戦い抜くのだと言われれば何となく勝てそうな気がします。少なくとも、トップに菅義偉さんを置くよりは。
それもあって、自民党幹事長の二階俊博さんとの深い関係を軸に会合を重ねたり、小池さんとゆかりの深い野党関係者とも連絡を取り合って、都知事後釜問題も含め病室から電話で調整中といったところでありましょうか。
女帝・小池百合子が降臨するべき選挙区はどこか?
そんな女帝・小池百合子大先生が降臨するべき選挙区はどこか。その前哨戦となる東京都都議会選挙の投開票日が7月4日に迫るなか、小池百合子さんが自民党総裁、日本憲政史初の女性首相・総理大臣を目指し戴冠する聖地はいずこになるのでしょう。
プロ泣かせの都市型選挙区・東京1区
ご存じ我らが東京1区。千代田区全域と港区新宿区の一部が混ざっていて、次々回衆議院選挙10増10減ではほぼ千代田区(と一部港区)となると目される面白選挙区です。もともとは自民党きっての政策通・与謝野馨さんを選出した、日本の中枢の割に富裕層と公営住宅に囲まれ液状化現象もかくやと言うほど揺れ動く選挙民に翻弄される選挙のプロ泣かせの都市型選挙区であります。何より、住民がまばらに住んでいる上に、京浜東北線や南北線では大量の埼玉県民が、千代田線では大勢の足立区民が、つくばエクスプレスでは千葉県民や茨城県民がやってくることで昼間と夜の人口が20倍違うという特性が選挙戦をややこしくしています。ガチの千代田区民はどこに住んでるの。
ちょっと前は都民ファーストが小池旋風で推した俺たちの石川雅己さんが千代田区長だったものの、例のタワマン事業協力者住戸問題で嫌疑をかけられ百条委員会マターに。追って就任した千代田区長・樋口「警視総監の息子」高顕さんを推すにあたり、自民党都連がこれへの支持を巡ってドン・内田茂さんの女婿内田直之さんが謀反。大分裂するぐらい地盤が緩いのも記憶に新しいことです。内田直之さん、どのツラ下げて自民党公認で都議選に出馬しているの?
そんな小池百合子さん介入の地である東京1区では、民主党代表としては存在感の極めて薄かった海江田万里さんが出馬し、よりによって与謝野馨さん引退後の基盤を引き継いだ山田美樹さんに2012年衆院選で負けて比例復活するという屈辱を味わいました。次の2017年選挙では小選挙区当選して雪辱を果たしましたが、ここに山田美樹国替えからの小池百合子降臨でもあろうものなら、比例復活もままならず海江田万里さんは吹き飛ぶこと必至でしょう。年齢を考えてもそのまま後進に道を譲って引退もちらつく展開になっています。
練馬区民のための練馬区の選挙区・東京9区
東京23区内で唯一近郊型(都市と農村の特性両方を持つ)選挙区という練馬区一部が区域の東京9区。次々回衆議院選挙10増10減後も練馬区であり続ける、練馬区民による練馬区民のための練馬区の選挙区です。練馬区には約74万人が住んでいて、都内随一のキャベツ、トマトを産出して地域付加価値に寄与しています。古来、自民党公認でガッツ石松が立候補してしまったという黒歴史が練馬区民の脳裏に刻まれておるのがトリビアです。
なにぶん今回は派手に事件を起こした元自民党・菅原一秀さんが前職として無所属出馬を予定しているらしく、ここに前回参議院選挙東京選挙区では2万8000票あまり足りなくて落選した立憲・山岸一生さんが出馬を予定して、もう何だか勝ったような雰囲気で浮かれているというムカつく選挙区に小池百合子さん降臨でゴチャゴチャになる展開が期待されます。
いやー、立憲・山岸一生さん、もうこれは楽勝だろと思ってたところに隕石落下のように小池百合子さんが来てトリプルスコアで負けて惜敗率下がって比例復活も大変という図式になったりすると面白いんですけどね。菅原一秀さんは仮に出てもたいした票は取らなさそうなので、東京比例票のことを考えると小池百合子出馬効果がもっとも高くなるのは東京9区と見られます。小池百合子さんが出るだけで議席1個だけでなく東京都比例の椅子も2つ3つもらえるという美味しい展開に。
豊島区の過半と練馬区、新宿区、中野区の一部を寄せ集め・東京10区
俺たちの女帝・小池百合子が小泉郵政解散で寝返った小林興起さんへの「刺客」として国替えして以来の聖地となっている東京10区。豊島区の過半に練馬区、新宿区、中野区のあまりを寄せ集めた、比較的左翼・革新勢力が強いはずの地盤です。次々回10増10減ではほぼ練馬区で再編されるか、練馬区と中野区の面白プレイスが合体した選挙区になるかが注目される選挙区であります。
もしも小林興起さんへの刺客に杉本彩さんが起用されていたら、いまごろ東京都知事は杉本彩さんになっていたかもしれないわけで、それを考えると運命というものは怖ろしいと思わずにはいられません。都知事選出馬で補欠選挙に勝利したのは、みんな大好き若狭勝さん。その後、「希望の党」の人身御供で夜空に輝く星となり、代わりに自民党比例区から転身した鈴木隼人さんが勝って2選という流れです。
3選を狙う鈴木隼人さんは経産省出身の官僚派ということを考えると本来なら地盤固めのためにも温存を考えたいところ、小池百合子領ど真ん中であることも考えると鈴木さんを国替えで9区かどっかに移ってもらい、どうせ10増10減でゴチャゴチャになるから我慢してよという流れになるのでしょうか。東京も次の次は25選挙区から30選挙区に、さらにその次はさらに3議席ぐらい増えて33議席になって区割りし直される運命にありますので、どこから出ても勝手に国替えになってしまうんですよ。地盤とか気にしなくていいんじゃないですかね、しらないけど。
ちなみに小池百合子さんの都知事支持率は、東京都全域で練馬区がもっとも高く80%台半ば、次いで豊島区も8割ちょいになっています。ただ、そんな小池さんをかつて「大年増の厚化粧」と批判した石原慎太郎さんも都知事時代に90%近い空前の知事支持率を出したのも豊島区や練馬区なので、単に長いものに巻かれたいだけという噂もあります。
どこから出てもおそらく小池百合子圧勝
このように、おそらく東京都選挙区ではどこで出てもおそらく小池百合子圧勝で、これだけ都政を滅茶苦茶にしていたとしても人気があるとはこういうことだという選挙の侘び寂びを感じさせる事例になっているのですが、やはり自民党総裁にでもなって、比例リストに入らず小選挙区一本で「不退転の覚悟で国政復帰するのよ、オホホホ」とか言われると東京都民はコロッとやられるのは間違いありません。怖しい。ああ怖しい。何より、小選挙区で絶対勝つので地方で応援演説やりまくれば、自民党はかなりの負けを現段階で予測しているところを一気にひっくり返せる算段になります。
何より、次の次の選挙では10増10減で東京選挙区は25区から30区に、地方は10減と大幅な地殻変動があるだけでなく、さらに次の国勢調査がいまの人口推計のままでいけばさらに8増8減から13増13減まであり得るという、人口集中の都市型選挙と同時に地方の過疎化が進んでしまうことになります。自民党に限らず、都市型選挙、ネット選挙への戦術組み換えは必須であるところ、いままでのテレビ主導の選挙対策では駄目になっていくことは間違いありません。ネット選挙全盛の時代が来るとも言われますが、これからの都市型選挙はむしろ街頭演説や商店街練り歩きといった定番に加えて選挙期間以外にどれだけ選挙民にアピールできたかが勝負になってくるでしょう。
さらに、東京、愛知、福岡と経済的に成功した都市部と、大阪(近畿)、宮城、広島と地盤沈下が覆い隠せない都市部とで優劣がこれからはっきりする状況で、どのようにして日本の社会、経済を切り盛りしていくのかが非常に強く問われる時代がやってきます。そういう新しい状況に対応するためのリーダーとして菅義偉が相応しいのか小池百合子なのかという、いま私たち日本人の目の前にとんでもなく重大な罰ゲーム選択が待ち構えていることは覚悟しておくべきでしょう。
風を読み、人気を呼び、根無し草なのに上昇気流に乗り続ける
もちろん、小池百合子さんというのは「孤独な女帝」なのであり、派閥を持てず、資金的にもたいしたことがありません。ただひたすらに風を読み、人気を呼び、根無し草なのに上昇気流に乗り続けることで、今回の決断でついに女性総理の座に手が届くかもしれないというチャレンジになります。小池百合子さんを近くで見ていると、権勢をふるう女帝としての側面よりも、五穀豊穣のために天気や空気を操る巫女のような振る舞いが多いようにすら思うのです。それだけ、派閥を作ったり組織を意識して番頭を置き、政治には必要なお金を適切に集めたり配ったりする技法にはまったく欠けている政治家が小池百合子なのだとも言えます。
他方、先日ついに日本最高級の報道機関である東京スポーツが、小池百合子さんの有力なスポンサーの一人と目されていた太陽光発電会社「テクノシステム」の詐欺事件で舞台となったSBIグループ子会社の問題を報じてしまいました。東スポ報道によると「『特捜部は生田容疑者側から献金を受けていた複数の政治家へのカネの流れを把握。週刊文春が報じた小池氏の“金庫番”の男性がテクノ社の最高顧問のような役割をしていた件にも関心を寄せている』と捜査関係者は話している」とのことなので、伝言ゲームが高度過ぎて訳が分かりませんが凄いことになりそうな気もします。小泉純一郎・進次郎さんの話だけじゃなかったんですね。
こうなると、菅義偉さんとしては感染症でも経済対策でもいいから理由をつけて是が非でも9月末の総裁選を後ろに延ばし、自分の顔で解散か任期満了に伴う衆議院選挙に持ち込まないといけませんので、さてどうするのかといったところでしょう。
そうこうしているうちに、小池百合子さんが無事過労から退院してこられましたが、都議会選挙にはあまり顔を出さない方針であると堂々と言いやがりました。小池チルドレンであったはずの都民ファースト、けっこう大変なことになるかもしれませんが、彼女にとってはお荷物なんだよ、ということでしょうか。自民党総裁を狙うのであれば。

●4日に迫る都議選の投開票、争点はコロナ・五輪だけではないはず… 7/2
4年前、都民ファーストの会を率いて旋風を巻き起こした小池都知事が休養から復帰する中、127の議席をめぐる選挙戦が最終盤を迎えている東京都議会議員選挙。秋に控える衆議院選挙の“前哨戦”とも位置づけられることから、各党、さらにメディアも新型コロナウイルス対策や、東京オリンピック・パラリンピックの開催の賛否に関する議論が前面に出がちだ。
1日の『ABEMA Prime』に出演したフリーアナウンサーの柴田阿弥は「コロナ対策もそうだが、都議会議員の任期は4年もあるのに、開会式まであと20日ほどという、目先のオリンピックを選挙の争点にすべきなのか気になる」と話す。
「4年前の選挙の時には何が議論されていたかといえば、豊洲市場の問題だ。メディアも取り上げ、ワーっと盛り上がったが、その後、豊洲市場の話をしている人は誰もいないのではないか。選挙の直前だけ争点化され、その後は忘れてしまうみたいなことが繰り返されている感じがする。コロナ対策もオリンピックも重要だが、都だけではなんともし難い部分も大きいし、向こう4年間で何をするのかをちゃんと考えないといけない。その意味で今回の選挙は4年間の小池都政への評価ということになるが、今年は公明党が提案した、子どもの権利を守ろうという“こども基本条例案”に自民や維新、さらに都民ファ、共産なども賛同し、全会派一致で採択されるなど、実は画期的なことも起きている」。
選挙コンサルティング会社「ジャッグジャパン」代表で今回の都議選の獲得議席予測もしている大濱崎卓真氏も「選挙コンサルタントとして様々な選挙に関わっているが、やはり大事な政策の上にコロナ対策が覆いかぶさってしまっている状態だ。ワクチン接種も進む中、もうちょっと未来志向でコロナ後の政策についての議論ができるといいなと思っている。オリンピックについても、そのイベントとしての規模を考えれば、都民にとっては重要なテーマだ。ただ、その後の3年11カ月をどうするのかも考えなければならないし、維新などは“争点にすべきではない”と主張している」とコメント。
その上で「こども基本条例の話は私も関心を持って見ていたが、今回の選挙で公明党は大きく実績としてアピールしている。最終的には全会一致だったが、都民ファーストが対案を作るなどの紆余曲折もあった。そうした部分も含め、実は各党が選挙戦で訴えているのも耳にする」と指摘した。
では、ひとり親家庭への支援や子どもの貧困対策、若者支援について、各党はどのように考えているのだろうか。
西山氏が「例えば日本共産党はコロナ禍対策の一環として、“学生応援給付金”として、全員に一次給付金3万円を配るということを公約に掲げている。都民ファは携帯の実質無償化、嵐の党もスマホ購入費や通信量の補助を打ち出している。インパクトは大きいと思うし、若者の投票率が上がると良いとは思うが、実現できるのか、ということは気になる」と話すと、EXITの兼近大樹は「デジタル格差が教育格差に繋がっていると聞くし、若者は嬉しいと思う」。
また、西山氏が「各党によって差が大きく出た」と話すのが、「クオータ制」へのスタンスだ。「日本社会は女性リーダー比率が低いという現状がある中、6月には候補者男女均等法が改正され、男女の議席の比率をなるべく一緒にしようということになった。今回の都議選は、その直後の選挙だ。多くの党が賛成する中、自民、公明、嵐はクオータ制が導入すべきではないとしている」(西山氏)。また、株式会社カルモニー代表の岩澤直美氏は「現職の3割が女性である都民ファーストが大敗すると、また都議会全体の女性の議席がだいぶ減ってしまうということにもなるということだ」と苦笑した。
さらに“衆院選の前哨戦”という点も踏まえ西山氏が取り上げたのが、選択的夫婦別姓だ。
「都議会で変えられる問題ではないが、6月には最高裁が選択的夫婦別姓を認めないとする民法の規定を合憲と判断している。“あとは国会で議論してくださいね”という話だが、やはり自民は都議会においてもかなり慎重な姿勢を示していることがわかった。世論調査では20〜30代の7割ぐらいが賛成しているが、やはり高齢者層に大きな支持基盤があることからも、なかなか言いづらいのではないか」(西山氏)。
大濱崎氏も「最高裁の判断の直前、自民党内でも議論されたが、やはり決着がつかなかった。党内でも色んな意見がある中で、都議会自民党が立場を表明してしまうことによって失われる票、衆院選へのダメージが必ず出てくる。意志決定できていないのに、ここで変な表明をしないでくれというのが党本部の願いでもあると思う」と話していた。

●目指すまちの将来像は? 都議選公約 各党比較  7/2
4日投開票の東京都議選では、新型コロナウイルスで疲弊した首都・東京をどう再生させ、その先にどんな都市を実現するのかも焦点の一つだ。各党の公約や政策集、本紙アンケートなどを分析。重視する分野や特色ある政策などから浮かび上がった各党の特徴的な「東京の将来像」を比較した。
都民ファーストの会は、経済、教育、福祉、防災など多くの分野でデジタルの活用を推進。最先端技術で新しい東京の姿を描き出そうとしている。
これに対し、自民党は脱炭素社会に向けて「世界一環境に優しい」都市を提唱。国際金融都市の実現とともに、東京のさらなる発展を打ち出す。
公明党が掲げるのは「福祉先進都市」の実現だ。子育て支援や高齢者医療、バリアフリーの促進などで「全世代の安全・安心を目指す」と訴える。
「ケアに手厚い」東京を訴えるのは共産党。大型開発などを中止し、都民の医療や介護、障害者福祉、保育が充実した都市の実現を目指す。
立憲民主党は、貧困・格差解消や子育て支援、ジェンダー平等などを重視。多様性を認め合い、互いに支え合う「共生社会」の実現を目指すとしている。
日本維新の会は経済復活と行政スリム化。東京・生活者ネットワークは、職場と住居が近い「生活のまち」。国民民主党は、再挑戦が可能な社会。れいわ新選組は、市民参加と循環型都市の実現を掲げる。嵐の党は「夢のある」都市。
都の推計では、都内人口は2025年をピークに減少。60年には1200万人を下回る見通しだ。人口減少時代にどんな姿の東京をつくり上げていくのか、長期的な視点が問われている。

●大阪府の吉村洋文知事が東京都議選最終日に維新の候補者を応援へ 7/2
大阪府の吉村洋文知事が、東京都議選(4日投開票)の選挙戦最終日となる3日、都議選に出馬している日本維新の会の候補者の応援に入る方向で、最終調整されていることが2日、関係者への取材で分かった。世田谷区など複数の激戦区になるとみられ、松井一郎大阪市長も同様に応援に入る方向。
吉村氏は日本維新の会副代表を務めている。また、維新は関西が基盤だが、都議選での議席獲得による東京でのさらなる勢力拡大を目指している。
吉村氏は2日、東京都内で河野太郎行革担当相に面会し、新型コロナウイルスワクチンの自治体への安定的な供給を要望するなどした。

●都議選に向け要確認!コロナ、オリパラ、子育て…各党の公約は? 7/2
TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。6月25日(金)放送の「フラトピ!」では、東京都議会議員選挙の争点、各会派の主張を紹介しました。
都議選の大きな争点「コロナ対応」、各党の政策は?
今回の東京都議会議員選挙(都議選)もさまざまな争点があるなかで、注目すべきポイントは「新型コロナウイルスへの対応」、「東京オリンピック・パラリンピック」、「子育て・教育」の3つ。そこで各会派の主張をまとめます。
まずは「新型コロナウイルスへの対応」について。「都民ファーストの会」は大規模ワクチン接種体制を整備し、爆速でワクチン接種を進めるとし、さらには世帯年収に応じた年間最大15万円の給付。一方、「自民党」は7月末までに高齢者へのワクチン接種完了を目指し、コロナ収束まで個人都民税20%減税。そして、「公明党」は都が設置の大規模ワクチン接種会場で20代からワクチン接種をするとし、さらには高齢者施設や障害者施設に続き、繁華街での集中PCR検査を行うとも。
また、「共産党」は1日20万件以上の大規模検査の実施と医療従事者への支援を強化し、コロナ病床を確保。「立憲民主党」は保健所への応援体制を強化と1人あたり10万円以上の定額給付金を国に求めるとしています。
その他、「生活者ネット」はすぐに対応可能なPCR検査体制と医療崩壊を防ぐ専門家チームの構築。「東京維新の会」はワクチン接種を含む医療体制の強化と営業停止命令を活用し、補償・罰則はセットで行うとしています。「自由を守る会」は、かかりつけ医と都立・大病院連携強化による希望する全世代へのワクチン接種推進と地域医療の拡充。
「国民民主党」は各家庭に簡易抗原検査キットを無料配布。そして、ワクチン接種や検査陰性に対してデジタル健康証明の発行を行い、経済を止めない仕組みを作るとしています。「古い政党から国民を守る党」はワクチン接種を大至急進められるよう計画するとともに国産ワクチンや治療薬の開発支援の強化。そして「れいわ新選組」はコロナを災害指定し、幅広い支援を柔軟化。さらには都民1人あたり10万円を支給するとしています。
こうした各党の姿勢に対し、株式会社PoliPoli代表の伊藤和真さんは「経済対策」と「コロナ禍の選挙」の2つのポイントを主張。都民の関心はコロナと経済対策に集まるなか、コロナ対策はワクチンやPCR検査など各党そこまで大きな違いがないものの、経済対策はそれぞれ異なるため「そこで自分がいいなと思う政党に投票するのもいい」と伊藤さん。
また、今回はコロナ禍ということで候補者もリアルな活動があまりできず、ネットで政策を打ち出すなど、これまでの選挙と違うことが話題になっていると言います。
オリンピックは開催!? 中止!?
続いては「東京オリンピック・パラリンピック」について。「都民ファーストの会」は最低でも無観客ですが、「自民党」と「公明党」は公約で触れず。そして、「共産党」は今夏は中止、「立憲民主党」は延期か中止。
また、「生活者ネット」と「国民民主党」も公約で触れず、「東京維新の会」は政局にしないとする一方で、「自由を守る会」と「れいわ新選組」は中止。「古い政党から国民を守る党」は都民の命とくらし最優先としています。
オリンピックに関して伊藤さんは、「そもそもオリンピックのビジョンってなに?」と疑問を呈し、現状では「全員が自己ベスト」、「多様性と調和」、「未来への継承」の3つが掲げられていますが、「そういうことを改めてみんなで考えることが大事ではないか」と提起。
「子育て・教育」各党の政策をチェック
最後は「子育て・教育」について。「都民ファーストの会」は出産へ10万円相当の支援。「自民党」は不妊治療の自己負担ゼロ。「公明党」は第2子の保育料無償化。「共産党」は妊婦検診・出産費用の無料化。「立憲民主党」は教育予算を拡充としています。
さらに、「生活者ネット」は子どもの権利条約を作るとし、「東京維新の会」は高校・大学1年間授業料免除。「自由を守る会」は教育改革、子ども子育て支援。「国民民主党」は公共交通機関の親子無料。「古い政党から国民を守る党」は学生の携帯料金実質無料化。「れいわ新選組」は保育職の処遇改善を掲げています。
各会派、以上のような主張をしていますが、ここからどう投票に繋げるべきか。伊藤さんは「忙しい日々のなかで全ての政策を見るのは無理だと思うので、自分が興味のあるところだけでもいいから見ればいい。そのなかで一番いいところを選ぶ。何よりカジュアルに投票することが大事」と言います。
その他にも、例えば候補者のSNSを見るのも判断基準の1つ。さらに、伊藤さんがおすすめしていたのは「自分の選挙区の候補者のSNSにメッセージを送ること」。政策に関する質問を送ってみると案外返事があると言い、「その回答をもとに投票すると、自分の1票の価値も大きくなる」と話していました。
なお、東京都議会議員選挙の投票日は7月4日(日)となっています。

●菅義偉首相、異例の都議選の街頭応援ゼロ 2回の“麻生超え” 7/2
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック後に行われる見通しの総選挙の前哨戦であるにもかかわらず、「選挙の顔」となる菅義偉首相が都議選の応援に立っていない。
首相(自民党総裁)が1度も都議選の応援に入らないのは05年の小泉純一郎首相以来、16年ぶりになるが、05年は自民党が二分された郵政民営化法案審議で国会が延長されており、国会閉幕中にもかかわらず、街頭に立たないのは極めて異例だ。
菅首相は告示日の6月25日、党本部で行われた都議選対策本部出陣式であいさつした。しかし、その後は羽田での空港検疫の視察、森田健作前千葉県知事がパーソナリティーを務めるラジオ番組の収録、小学生5人が死傷した千葉県八街市の交通事故現場の視察のため、外出したほかは官邸にこもっている。
過去の都議選を見ると、01年は人気絶頂だった小泉氏が13カ所で街頭演説し、約10万人を集めた。09年の麻生太郎首相は“麻生降ろし”が広がる中での選挙となり、期間中、イタリアでサミットも行われたが、2カ所で街頭に立った。13年の安倍晋三首相も期間中に英国でサミットがあったが、帰国後、3日間で12カ所に応援に入っている。安倍氏は加計問題で「総理のご意向」と記された文書が文科省で見つかり、苦境にあった17年の都議選でも屋内3カ所で演説し、最終日にはJR秋葉原駅前で街頭に立っている。
自民党都連に「要請を控えているのか」と聞くと、「お願いはしている。官邸の判断」と話す。菅首相は4月の衆参補選・再選挙でも1度も応援に入っておらず、政治家なのに街頭演説が嫌いなのかと臆測を呼びそうだ。加藤勝信官房長官は「公務優先」と説明している。
 
 
 

 

●小池都知事が東京都議選初応援!都民ファーストの会候補 演説はせず 7/3
東京都の小池百合子知事は3日午前、選挙戦最終日となった東京都議選(4日投開票)で、特別顧問を務める都民ファーストの会の候補者の応援に、電撃的にサプライズ参戦した。選挙戦最終日になって、選挙応援を「解禁」した格好だ。
小池氏は午前10時半ごろ、東京都中野区の都民ファ候補者の事務所前に、ガラス張りの選挙カーに乗って登場した。都民ファのイメージカラー、緑のジャケットに同色の手袋で、声援に応えた。
街頭演説には立たず、候補者と手を取り合いながら商店街を練り歩いた。
10分ほどで再び選挙カーに乗り込み、次の候補者の選挙区に向かった。小池氏は病み上がりの状態だが、関係者によると体調をみながらではあるが、この日、10カ所以上の激戦区に入る見通しだという。
小池氏はこれまで、都議選で都民ファ候補者の応援に入るかどうか、明言してこなかった。2日の定例会見でも「東京大改革を担ってくれた皆さんにエールを送っている」「安定的に、大胆に(東京大改革を)進めていくために、多くの皆様方に頑張っていただきたい」と、述べるにとどめていた。
今回の都議選で都民ファ候補は、複数の選挙区で自民、公明両党など主要政党の候補者と議席を争う激戦になっている。定数3議席を5人が争う中野区も、同様の構図の大激戦区だ。
一方で、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックや新型コロナウイルス対応では、自民、公明両党、菅政権との協力が欠かせないことから、小池氏の都民ファ候補応援は、与党や菅政権を刺激しかねない。そのため小池氏は、都議選での応援には入らないとみられていた。
小池氏は、「過度の疲労」で先月22日、都内の病院に入院。同30日に退院し、テレワークで公務に復帰。2日には都庁に10日ぶりに登庁し、2週間ぶりの定例会見に臨んだ。

●東京都議選 あす投開票 各党が最後の訴え 7/3
任期満了に伴う東京都議選は4日の投開票を前に最後の訴えが続けられています。
今回の都議選では42の選挙区で127の議席を巡って271人が立候補しています。
秋にも行われる衆院選の前哨戦として各党とも国政選挙並みの支援態勢で臨んでいます。
選挙戦は3日が最終日で、都内で再び感染が拡大するなか、新型コロナの対策やオリンピックへの対応などを巡って論戦が繰り広げられています。
焦点は、小池知事が特別顧問を務める都民ファーストの会が第1党を維持できるか、自民党と公明党が過半数に達するかどうかです。
4日に投票が行われ、即日開票されます。

●あす投開票 小平市を除く41選挙区で  7/3
東京都議選(定数127)は4日に投開票される。前回2017年選で惨敗した自民党が、公明党との選挙協力により第1党を奪還できるのか、地域政党・都民ファーストの会が勢力を維持できるのかが注目点だ。
全42選挙区のうち、無投票となった小平市選挙区(定数2)を除く41選挙区の候補者は269人。主要政党の内訳は、都民ファーストの会47人、自民党59人、公明党23人、共産党31人、立憲民主党27人、日本維新の会13人、東京・生活者ネットワーク3人。都議会に議席のない国民民主党や嵐の党、れいわ新選組も、それぞれ4人、2人、3人の公認候補を擁立している。

●都議選「沈黙の首相」 コロナ、五輪批判警戒?「かえってマイナス」 7/3
4日に投開票される東京都議選を巡り、自民党候補者の応援演説に閣僚が次々と入る中、菅義偉首相が沈黙を保っている。表向きの理由は「公務の優先」だが、新型コロナウイルス対策や東京五輪・パラリンピック対応で厳しい逆風にさらされており、首相が応援に入れば逆効果になると懸念する声もある。衆院選を控え、首相の「選挙の顔」が不安視されている。
「ぜひともよろしくお願いします」。2日夕、公務を終えた加藤勝信官房長官は都議選候補の応援に駆けつけ、都内3カ所を回った。一方、首相は官邸を出た後、自身の事務所に立ち寄り議員宿舎に帰った。
今回の都議選は、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」から自民党がどれだけ議席を取り返せるかが焦点だ。自民選対幹部は「第1党を奪還できる」と自信を見せる。
だが、首相が都議選でマイクを握ったのは告示日の6月25日、党本部前の第一声だけ。都連関係者は「首相が応援に来れば世論の批判が盛り上がり、かえってマイナスになりかねない」と明かす。報道各社の世論調査では6月の内閣支持率は政権発足以来最低水準にある。ワクチン接種の加速も「期待していた効果はない」(党幹部)。そもそも首相への応援依頼がなかったとみられ、不人気ぶりを懸念する声もある。
一方、露出を控えるのは首相の戦略との見方も。首相が街頭に立てば小池氏との対立構図となりかねず、自民関係者は「五輪を控え(2人の)協力関係にひびが入りかねない。2人は舌戦を避けたい思惑がある」と明かす。

●コロナ禍の東京都議選、投票率の行方は? 前回は51.28%  7/3
4日投開票の都議選(定数127)は、コロナ禍で選挙運動が制約される中、投票率の行方が注目される。各党は4年前の前回(51・28%)並みか、それを下回るとみる。投票率が1%動けば11万5000票が増減するだけに、各陣営は無党派層の取り込みなど支持獲得に躍起だ。
「『ブーム』がないと選挙に行かない人は多い。投票率は前回より落ちる」。小池知事が特別顧問を務める最大会派・都民ファーストの会の幹部は厳しい表情だ。前回は自民党との対決が注目されたが、今回は自民と知事が関係修復したという事情もある。
自民陣営は「都民それぞれにコロナ対策への期待や思いがある」とし、50%程度と予測。低投票率なら組織票を持つ政党が強いが「コロナで票を十分に固め切れていない」と警戒も。公明党関係者は「衆院選を見据え各党が激しく争っており、支持者も熱心に参加するはずだ」と、前回を超える50%台前半とみる。
浮動票を狙う政党は高い投票率が有利になるが、立憲民主党陣営は「コロナで投票所から足が遠のく」と懸念。共産党の担当者は「東京五輪の中止を望む都民の受け皿に」と期待する。東京・生活者ネット、日本維新の会、嵐の党、れいわ新選組の各陣営は、50%を切るとの見方だ。
都選挙管理委員会の担当者は「西東京市長選や目黒区長選はコロナ禍でも投票率が上がった。今の社会への思いを投票という形でぶつけてほしい」と話した。 

●吉村府知事 都議選で応援入りも…痛烈「大阪で仕事せえ!」のヤジ 7/3
日本維新の会の副代表で、大阪府の吉村洋文知事(46)が3日、都議選(4日投開票)で維新の候補者の応援で各地を回った。維新は次期衆院選を見越し、都議選に攻勢をかけているとあって、吉村氏の東京での人気度が問われる選挙となっている。
吉村氏は練馬駅前で行われた若旅啓太氏(31)の街頭演説会に登壇。昨年の大阪都構想の住民投票否決やコロナ対策で、大阪での吉村人気は陰りが出てきたといわれるが、東京ではめったに見られないレアキャラ≠セ。
テレビでの露出も多く、名前は浸透しているとあって、演説会開始前から一目見ようと200人以上の聴衆が集まった。吉村氏が登場した際には黄色い声が飛ぶ場面もあった。
マイクを握った吉村氏は、都議選で自民党が第1党に返り咲く情勢に「また古い政治に戻ってしまいますよ」とけん制。返す刀で小池百合子都知事(68)が特別顧問を務める都民ファーストの会には「僕も4年前、都民ファーストに期待したが、東京大改革できましたか? 変わっていません。議員公用車の削減すらできなかった」とバッサリと切って捨てた。
次期衆院選で、関東圏にも多くの候補者を送り出す構えの維新は、都議選を足掛かりに首都攻略≠ノ本腰を入れている。
演説途中には「大阪で仕事せえ!」とのヤジも飛んだが、吉村氏は「大阪の知事として、東京ばっかりにお願いするんじゃなく、日本を代表する都市にしようと無我夢中にやっています。首都・東京を成長して、大阪も成長して、日本全体を成長していく」と力を込めた。
吉村氏は「都議会に維新の議員はいない。今回の選挙で維新の議員は生まれないんじゃないかといわれている。都政東京都政で行われていること、都議会で行われているおかしなことをどんどん告げ口していく。できなかったら(当選した都議を)クビにしてください。一度チャンスを与えてください」と訴えた。

●小池劇場健在 都議選最終日に都民ファの応援入りでもみくちゃに 7/3
先月22日に過労で入院し、2日に都庁での公務を復帰したばかりの小池百合子都知事が3日午前、都議選(4日投開票)で初となる応援入りした。
小池氏が足を運んだのは中野駅前で演説していた荒木ちはる氏(39)。都民ファーストの会代表を務めるが、それ以上に長年小池氏の秘書を務めた最側近である。
小池氏は金魚鉢といわれる全面ガラス張り選挙カーで、駅前に到着。車から降りた後はSPに警護されていたが、すぐに報道陣と聴衆でもみくちゃになるもほほえみながら、手を振り続けた。
そのまま駅前の荒木氏の事務所を激励したが、特に言葉は発することはなく、報道陣の写真撮影に応じたのみ。再び、もみくちゃになりながら荒木氏と選挙カーに乗り込み、中野駅を後にした。
定数3の中野区は激戦区で、荒木氏は自ら当落選上と悲壮感たっぷり。「小池都知事にご心配いただき、応援いただけるとのこと」とマイクを握っていたが、小池氏が姿を現した時には涙していた。

●都議選、4日投開票 五輪とコロナに首都の審判 7/3
次期衆院選を占う東京都議選(定数127)が4日に投開票される。選挙協力を結ぶ自民党と公明党による過半数獲得の成否が焦点。政府や都の新型コロナウイルス対策や東京五輪・パラリンピックの在り方に対する開催都市の審判が注目を集めそうだ。
各党は衆院選を見据えた選挙戦を展開し、党首クラスを応援に次々と投入している。自公はワクチンの接種拡大や国政との連携を強調。立憲民主党は政権の新型コロナ対策を批判し、共産党は東京大会の中止を訴える。
2017年の前回選で大勝した地域政党「都民ファーストの会」は、特別顧問を務める小池百合子知事が告示直前の6月22日に過労で入院。退院後の今月2日に開いた記者会見では「当然頑張ってもらいたい。『東京大改革』を担ってきた都民ファにエールを送る」と配慮を見せた。だが万全な状態ではなく、街頭演説などの直接的な支援のめどは立っていない。
42選挙区に271人が立候補。党派別内訳は都民ファ47(現有議席46)、自民60(同25)、公明23(同23)、共産31(同18)、立民28(同7)、東京・生活者ネットワーク3(同1)、日本維新の会13(同1)。現有議席のない政党は国民民主党4、嵐の党(告示後に古い政党から国民を守る党から改称)2、れいわ新選組3。うち定数2の小平市では自民と立民の各1人が既に無投票当選した。
6月24日時点の選挙人名簿登録者数は1151万3990人。前回の投票率は51.28%だった。

●小池都知事「倒れても本望」自民など戦々恐々 都民ファーストに追い風  7/3
過度の疲労で先月末まで静養していた東京都の小池百合子知事が2日、復帰後初の定例会見を行い「どこかでバタッと倒れるかもしれないが、それも本望だと思ってやり抜いていきたい」と本格復帰に意欲を示した。
小池氏が登庁するのは10日ぶり。会見を巡っては退院後の安静が必要として中止予定だったが、小池氏の意向で一転して開催となった。会見場は普段の会見室ではなく、移動の負担を考慮して知事室と同じフロアにある大部屋が選ばれた。
マスクに防災服で臨んだ小池氏は会見の冒頭、「体調を崩して多くの方々にご心配、ご迷惑をおかけしました」と陳謝。顔色は優れず、声も弱々しい、時折せき込んだり息苦しそうな様子を見せたりした。入院の経緯は「課題の大きさ、毎日迫り来る新しい事象を抱える中で体力が十分でなかった」と述べた。医師から「これ以上続けるのは難しい」とドクターストップがかかり入院したという。新型コロナの検査も受け陰性だったとした。
東京五輪の観客数問題を問われると「感染状況を注視しながら無観客も軸として考える必要があるのではないか」と言及。あす4日投開票の都議選については先月25日の告示後静観してきたが、この日は苦戦を強いられる都民ファーストの会に対して特別顧問の立場から「当然のことながら頑張ってもらいたい」とエールを送った。約35分間の会見では話していくうちに徐々に声に張りが出て声量も増すなど、いつもの“小池節”の勢いを取り戻していった。
先月22日に倒れてから支持率も尻上がりとなっている。しかも自身だけでなく都民ファに同情票も流れて都政関係者を驚かせている。小池氏の入院後、都庁には連日100件ほどのペースで激励の電話が寄せられ、これまでに計1000件前後になっているという。「今日の知事の会見中にも電話が鳴りっ放しでした。“戻ってきてくれて安心した”“都民のために頑張ってほしい”という好意的な意見が9割以上」(都政策企画局)ということからも、急きょ開いた会見で“風速”がさらに増したことは確かだ。
3日は選挙戦最終日。都民ファ候補が応援演説を待ち望む一方、自民をはじめとした他陣営は女帝の動向に戦々恐々。コロナや五輪に並び、その存在自体が都議選にどのような影響を与えるかが焦点となっている。

●雨の中 最後のお願い 東京都議選  7/3
東京都議会議員選挙は、投開票日を4日に控え、各党最後の訴えをしている。
都民ファーストの会・荒木ちはる代表「皆さまと一緒に進める改革都政なのか、しがらみの政治にまた戻してしまうのか、この選択の選挙であります。都民ファーストの会、消滅させないでいただきたい」
自民党・下村博文政調会長「コロナで困っている方々に対する、しっかりとした、区からも都からも、国からもバックアップをすることが一番大切なこと」
公明党・山口那津男代表「ポストコロナの時代を見据えて、コロナの感染で傷んだ日本の経済、東京の経済、さらに私たちの暮らし、これを大きく立て直していかなければならない」
共産党・志位和夫委員長「菅首相と小池知事が、何がなんでもオリンピックやるっていうんだったら、都民の意思を示そうじゃありませんか。あしたの都議選で、審判を下そうではありませんか」
立憲民主党・枝野幸男代表「商売続けられるかどうか困っている、明日の暮らしに困っている、そういう人たちのところを最優先にできていないのが、今の東京都政であることを、ぜひ皆さんに知っていただきたい」
日本維新の会・松井一郎代表「医療福祉教育、これを心配することなく受けられる、生活ができる、そんな日本をつくるためには、東京大改革が必要なんですよ」
東京・生活者ネットワーク・山内れい子共同代表「もう諦めたくない。踏みつぶされても、踏みつぶされても、立ち上がって市民の声を上げる、市民の自治を、この東京から進めていきたいんです」
このほか、国民民主党は「政策提案型、改革中道の現実的な正直な政治を推進する」、れいわ新選組は「緊急事態宣言にするなら、1人10万円の給付金をセットにしていく」、嵐の党は「少数派の声を大切にする。少数派が迫害されない政治を行っていく」など、10月に任期満了を迎える衆議院選挙の前哨戦として、各党とも国政選挙並みの態勢で臨んだ。
任期満了にともなう都議選は、定数127議席で、4年前の前回に圧勝した「都民ファーストの会」は、どこまで議席を維持できるのか、国政与党の自民党と公明党が過半数を獲得するかが注目される。
都議選は、4日の投票で即日開票される。

●与野党 幹部ら投入…衆院選見据え 総力戦  7/3
東京都議選(4日投開票)は最終盤を迎え、各党は幹部や閣僚経験者らを投入して総力戦を繰り広げている。自民党は都議会(定数127)の第1党に返り咲き、公明党と合わせて過半数の議席獲得を目指す。公明、立憲民主、共産各党による第2党の座をめぐる争いも激しさを増している。
自民党は2日、安倍前首相や麻生副総理兼財務相、河野行政・規制改革相らが応援に入った。
「前回、自民党は大敗した。党総裁だった私の責任だ。大変申し訳ない」。安倍氏は大田区のJR大森駅前で、傘の花を咲かせた聴衆に4年前のおわびから始めた。自民は前回選で過去最低の23議席に沈み、地域政党「都民ファーストの会」に第1党の座を奪われた。今回は公明との選挙協力も復活しており、衆院選に弾みをつけたい考えだ。
公明は、1993年から続く全員当選が至上命令だ。コロナ禍で支持母体・創価学会の活動が制約され、23人全員当選を死守できるかの瀬戸際に立っている。山口代表はこの日、都内6か所で街頭演説を重ねた。中野区のJR東中野駅前では「大激戦で当選圏が見えていない。あと一歩、もう一押し、勝たせてください」と声を張り上げた。
立民と共産は、一部の選挙区で候補者をすみ分け、ともに党勢拡大につなげようとしている。
立民の枝野代表は渋谷区のJR恵比寿駅で、小池百合子都知事との対決姿勢を強調し、「知事に見えていない現実を伝えるのが都議の仕事だ。知事に拍手喝采するだけの都議なら、何人いても意味がない」と訴えた。蓮舫代表代行や辻元清美副代表らも各地で演説した。28人の公認候補全員の当選を目標に掲げ、20議席の大台をうかがう。
共産は、現有18議席を最低ラインとし、上積みを狙う。志位委員長は調布市内でマイクを握り、「都議選は国の政治にも大きな影響を与える。菅政権にサヨナラの審判を下し、衆院選では野党共闘を成功させ、政権交代を実現させよう」と呼びかけた。
 
 
 

 

7/4 小雨
自公 共産 以外の残り
都民ファーストの会 1票入れました
どんな人物か知りません
街頭演説していたのでしょうか
党派別当選者
   自民   33
   都民   31
   公明   23
   共産   19
   立民   15
   維新     1
   ネット    1
   無・他      4
江東区
   白戸太朗   都民   45,614票
   山崎一輝   自民   37,970票
   細田勇     公明   36,533票
   畔上三和子  共産   29,804票
   ○柿沢幸絵   無(都)  25,908票
   ○高橋恵海   自民   21,059票
   ○大澤昇     民進    15,409票
   ○古賀美子     無     3,171票
   ○表奈就子   幸福     1,403票 
 
  
 

 

●東京都議選、自公で過半数届かず 7/4
東京都議選(定数127)は4日投開票され、自民党が現有議席を上回る33議席を得て第1党となった。一方、自民は選挙協力を結ぶ公明党と合わせて過半数の獲得を目指したが、届かなかった。小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は31議席で、現有45から後退した。都議選の結果は秋までに実施される衆院選にも影響する可能性がある。投票率は42・39%で前回(51・28%)を下回った。
自民の今回の獲得議席は、民主党(当時)に敗れて政権交代につながった2009年の都議選の38に届かなかった。毎日新聞の6月26日の情勢調査では、自民は獲得議席が50を超える可能性も出ていた。しかし都民フの追い上げの影響などによってそれを下回り、自民と都民フが競り合う展開となった。
自民党の山口泰明選対委員長は「自公で過半数を割ったことについては、しっかりと受け止め、何が足りなかったのか分析して来る衆院選に臨まなければならない」と述べた。
一方、今回の都議選では女性候補41人の当選が確実となっており、過去最多となった。
都議選は42選挙区に271人が立候補し、新型コロナウイルス対策や東京オリンピック・パラリンピックのあり方が主な争点になった。
自民は小池氏と全面対決した末に議席を減らした前回選を踏まえ、昨年7月の都知事選で独自候補擁立を見送り、対決を避ける姿勢に転換。前回選で都民フと連携した公明党とも選挙協力を結んで準備を進めた。連日のように党幹部や閣僚が応援に入り、国政選挙並みの態勢で臨んだ。
都民フは今回、小池氏不在で選挙戦に挑んだ。現職の約7割は「小池旋風」が吹いた前回選で初当選した議員。選挙戦では小池氏と同じ緑をシンボルカラーにしながら、小池氏とのつながりを前面に出した。告示後は、リードしていた自民との差を徐々に詰めていった。
23人を擁立した公明は8回連続で全員当選を果たした。選挙期間中は山口那津男代表ら幹部が連日、街頭で支持を訴えた。
共産党と立憲民主党は、1、2人区を中心に候補者を一本化する「野党共闘」が実現。共産はいち早く五輪中止を明確に打ち出し、新型コロナが拡大する中での大会開催に不安を抱く層への支持拡大を図った。立憲は得票を伸ばして議席を現有の8から増やした。ただし、共産との関係に支持団体の連合が拒否感を示しており、衆院選に向けて懸念も残っている。
 
 
 
 

 

●自公、過半数届かず 菅政権に打撃―自民、都民ファと僅差で第1党― 7/5
衆院選の前哨戦となる東京都議選(定数127)が4日、投開票された。前回大敗した自民党は都議会第1党に返り咲いたものの伸び悩み、公明党と合わせて56議席と過半数(64)に届かなかった。小池百合子知事が特別顧問を務め、現在最大勢力を有する地域政党「都民ファーストの会」は議席を減らし、自民と僅差で第2党となった。立憲民主党と共産党は現有議席を上回った。
秋までに衆院選を控える中、自公は目標としていた過半数を獲得できず、菅政権に打撃となった。一方、議会の勢力が分散することで、小池氏の都政のかじ取りは難しくなりそうだ。
党派別当選者は自民33人、公明23人、都民ファ31人、立民15人、共産19人など。
都議選の投票率は42.39%で、前回(51.28%)を下回った。新型コロナウイルス対策のほか、感染拡大が懸念される中での五輪開催や観客入りの是非をめぐって論戦が交わされた。
全42選挙区に60人を擁立した自民は、前回選で都民ファと組んだ公明との選挙協力を復活。党幹部や閣僚を投入するなど組織的な選挙戦を展開した。現有25議席から上積みしたものの、過去2番目に少ない33議席にとどまった。23人を公認した公明は、8回連続の全員当選を果たした。
都民ファは現有46議席に対し、47人を立てた。4年前とは異なり公明の協力がない中での戦いとなったが、過労で入院した小池氏は選挙戦最終日に選挙区へ出向き、てこ入れした。
31人を擁立した共産と28人を公認した立民は、五輪の中止・延期を訴えた。主に1、2人区で候補者調整をして、都議選に臨んだ。
このほか、日本維新の会と地域政党「東京・生活者ネットワーク」はそれぞれ1議席を獲得した。

●議席、予想外に伸び悩み 当確には大きな拍手―都議選・自民 7/5
東京都議選の開票センターが設けられた東京・永田町の自民党本部。歴史的大敗を喫した前回から一転して自民優勢と報じられていたが、議席は思うように伸びなかった。辛うじて第1党に浮上したものの、党幹部らの表情はさえなかった。
午後9時すぎ、丸川珠代五輪担当相らと共に姿を見せた鴨下一郎都連会長は、テレビ各社のインタビューに応じ、「候補者が4年間有権者と接してきた結果が必ず評価されると確信している」と強調した。
会場には候補者の氏名が並ぶ白いボードが用意された。当選確実が伝えられるたびにバラの花が付けられ、大きな拍手に包まれたが、午後10時を過ぎてもその数はまばら。日付が変わる頃には接戦区での当確が一気に増えたが、都連幹事長の高島直樹都議は「今回の結果を厳粛に受け止め、次のステップに向けてスタートしたい」と述べた。

●自民、衆院選へ危機感 コロナ・五輪対応に反発 7/5
自民党は4日の東京都議選で、公明党と合わせて過半数奪還を目指したが伸び悩んだ。
新型コロナウイルス感染対策や東京五輪をめぐる菅政権の対応への反発があるとみられ、秋までにある衆院選に向け危機感を強めている。
「このままでは衆院選も厳しい」。党幹部の一人は4日夜、衆院選への焦りを隠さなかった。山口泰明選対委員長は党本部で記者団に「残念。どこが足らなかったのか精査し、衆院選に臨んでいかなければいけない」と語った。
伸び悩みの要因は、菅政権のコロナ・五輪対応だ。東京都の新規感染者数が選挙期間中も前週の同じ曜日を上回り続ける中、菅政権は五輪の開催と有観客にこだわった。「切り札」のはずのワクチン接種をめぐる混乱も明らかになった。
党関係者は「都民ファーストの会を引き離せないのは、都民ファが無観客開催を公約に掲げたから。都民は五輪に敏感だ。怖がっている」と指摘した。公明党の石井啓一幹事長は4日夜のNHK番組で「政府は無観客も真剣に検討してほしい」と求めた。
前回の2017年は、小池百合子都知事が都民ファを率いて旋風を巻き起こし、自民党は過去最低の23議席に沈む歴史的大敗を喫した。このため、同党は知事選での支援などを通じて小池氏に接近。小池氏から「少なくとも敵対しない」との感触を得ていた。
都民ファと前回組んだ公明党との選挙協力も復活。自民党内では選挙戦当初から「前回23議席の倍増は固い」との楽観論も飛び交っていた。
過労を理由に入院していた小池氏が都民ファを激励したのは選挙戦最終日。党関係者は「小池氏への同情票もあった」と語った。
菅義偉首相は4日、選挙プランナーの三浦博史氏と首相公邸で意見交換。席上、「結構、都民ファが取るみたいだね」と語ったという。選挙期間中、首相は告示日の出陣式を除いて演説のマイクを握らなかった。自民党は4月の衆参3選挙でも全敗しており、党内では「首相の下で衆院選を戦うのは不安だ」(岸田派中堅)と、「選挙の顔」としての首相に懸念を示す声も漏れた。
一方、立憲民主党と共産党は今回、1〜2人区を中心に候補者を「すみ分け」。立民が共産候補を、共産が立民候補を応援するケースもあった。共産党の志位和夫委員長は4日夜のNHK番組で「かなり効果を挙げ、共闘が進んだ。総選挙につなげたい」と述べ、5日以降、衆院選協力の協議加速を立憲に働き掛ける考えを示した。
ただ、両党が選挙協力を深めることに、立民の支持団体である連合は反発している。国民民主党も反共産の立場。衆院選は今秋に迫っており、立民は難しいかじ取りを迫られそうだ。福山哲郎幹事長は5日未明、記者団に「まずは国民、社民両党と(協議を)やる。その後、共産党とどのような形でやれるか調整したい」と述べるにとどめた。 

●東京都議選 女性の当選、過去最多の41人 自民・公明は女性の割合低く  7/5
7月4日に投開票された東京都議選で、女性の当選者は41人となり、過去最多を更新した。当選者のうち女性が占める割合は、32%となった。女性の立候補者は77人で過去最多だった前回の65人を12人上回っていた。
政党別では、上位から共産14人、都民ファーストの会12人、自民と立憲民主がそれぞれ4人と続いた。政党ごとの当選者占める女性の割合は、ネット100%(当選1人)、共産74%、都民ファ39%、立民27%となった。一方で、政権与党の自民は12%、公明は13%と低かった。
男女平等度の指標となる「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本の順位が低迷するのは、政治分野の遅れが一因だと指摘されている。2021年版の政治参画分野で、日本は156カ国中147位と異例の低さとなっている。  

●自民党惨敗 やっぱり出た「安倍&麻生W戦犯」説 7/5
自民党は都議選で33議席と都民ファの31議席を上回り、何とか第1党に返り咲いた。しかし公明党の23議席と合わせても、勝敗ラインとした過半数に届かず、政権には大きな打撃となりそうだ。敗因≠ヘ多数上がるものの、次期衆院選へ向け厳しい見通しとなってきた。
都議選に60人の候補者を立候補させた自民党は当初、50議席を見込める状況で、楽観論も出ていた。ところが告示日に麻生太郎財務相(80)が、入院した小池知事を「自分でまいたタネでしょう」と皮肉る発言でひんしゅくを買った。
さらに選挙終盤には安倍晋三前首相(66)が月刊誌の対談で「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、五輪の開催に反対している」と寄せたことが報じられ、ネット上で炎上する騒動もあった。
ただ元首相2人の発言はネット中心で、批判も限定的だったとみられる。自民党内では「小池知事にやられた」と、入院して都議選にはノータッチとみられた小池知事が選挙終盤で公務復帰し、最終日には酸素ボンベを傍らに置き、都民ファの応援回りをした姿に相当の同情票が入ったとみている。
また迫る東京五輪・パラリンピックでもいまだ開催に反対・再延期の声が4割に上り、無観客での開催を望む声が多い中、菅義偉首相(72)は観客の扱いについて、いまだに決断できないまま。
ワクチン不足による接種遅れも追い打ちをかけ、「自民党大勝での慢心」を心配した有権者からお灸を据えられたとの分析もある。
都議選に勝利し、五輪成功を経て衆院選へのVロードを描いていた菅首相だが、ダブル元首相の舌禍に加えて小池劇場にしてやられたことで、軌道修正を余儀なくされそうだ。

●都議選“小池劇場”から一夜 コロナで菅政権 厳しい審判  7/5
小池都知事の存在感が際立った東京都議選から一夜。
都民から厳しい審判を突き付けられた菅政権は、今後、オリンピックでより厳しい対応を迫られるとみられる。
東京都議会選挙から一夜明け、早速、この人が動き出した。
5日午後、自民党本部で二階幹事長と会談した東京都の小池知事。
コロナ対策や今後の都議会運営などについて意見を交わしたとみられる。
東京都・小池知事「コロナの情勢や経済の問題について、オール東京で進めていこうと。(都議選についての話は?)特にこれという話はなかった」
コロナ禍で行われ、4日に投開票された東京都議会選挙では、小池知事が最高顧問を務める都民ファーストの会が予想を上回る31議席を獲得した。
激戦区の千代田区から出馬した平慶翔都議(33)も当選を勝ち取った1人。
姉は女優の平愛梨さん。義理の兄はサッカー日本代表の長友佑都選手。
選挙戦最終日には、小池知事も応援に入った。
都民ファーストの会・平慶翔都議「大変な体調の中で公務が終わったあとに来てくれました。本当に感謝の一言です、本当にありがたかったと思ってます」
一方、自民党は都議会第1党を奪回したものの、目標としていた自民・公明での過半数獲得には及ばなかった。
都民からの厳しい審判を突きつけられた菅首相は5日、「自公で過半数(の議席獲得)を実現できなかったことは、謙虚に受け止めさせていただきたい」と述べた。
60代 都民「(ワクチンの)数が足りないとか、(予約を)ストップするとか、ああいうのは混乱する。いま一番上の方は信頼をなくしている」
菅政権のコロナ対策を疑問視する声は、与党内からも相次いでいる。
自民党閣僚経験者「ワクチンの混乱、菅さんの支持率、そこに小池さんの風が吹いた」
与党幹部「自民党の敗因は、オリンピックとワクチンの遅れ。菅総理の指導力のなさは目を覆うばかりだ」
首都決戦を終えた東京都では、5日、新たに342人の感染が確認された。
6月28日から25人増え、前の週の同じ曜日を上回るのは16日連続。
政府内には、6日後に期限が迫る「まん延防止措置」の期間を最長で1カ月程度延長する案が浮上している。

●都議選の自公過半数割れ、五輪無観客に現実味 政権運営厳しく 7/5
4日に投開票が行われた東京都議選で自民・公明両党は目標としていた過半数の議席を獲得できなかった。五輪無観客を訴えた都民ファーストが善戦したことから、与党幹部からも無観客を望む声が出ており、8日にも開かれる5者協議での観客上限判断に影響を与えそうだ。党内調査を大幅に下回る結果となったことに自民党は危機感を強めており、ワクチン問題も再燃するなか、菅政権は難しい政権運営を迫られそうだ。
<自民は事実上の敗北、五輪無観客に支持>
東京都議選は、自民党が選挙前の25議席から33議席に大幅に議席を伸ばしたが、過去2番目の低水準に留まった。自公でも56議席にとどまり、過半数の64議席を獲得する見通しを示していた自民党の内部調査や報道各社の世論調査の数字に届かなかった。公明党は全23候補が議席を獲得しており、自民党内では事実上の敗北と受け止められている。
菅義偉首相は5日、官邸で「自公で過半数を実現できなかったことは謙虚に受け止めたい」と述べた。「要因はいろいろあろうかと思うが、(自民党)都連と党本部が連携して、冷静に分析し次に備えたい」と語った。
敗因について、ある自民党幹部は、告示前に過労で入院した小池百合子都知事に対する「同情票と、都民ファーストが五輪無観客を打ち出したことが浮動層を動かした」と指摘。自民の調査では浮動票を測り切れなかったと分析する。自民党の内部調査では、自民は45─53議席、都民ファーストは5─16議席などと見られていた。五輪無観客路線が一定の支持を得た格好で、「五輪は無観客の流れ。まずは飲食店の営業時間が終了した後の夜間の無観客は必要」と同幹部は指摘する。
実際、4日のNHK番組で、自民党の鴨下一郎・東京都連会長は「五輪はこれからの感染状況のなかで無観客の選択もあるのだろう」と発言。公明党の石井啓一幹事長は「政府は無観客も真剣に検討してほしい」と求めた。
加藤勝信官房長官は5日の記者会見で、「そうした声も聞きながら五輪観客は(8日予定の政府や東京都、国際オリンピック委員会などによる)5者協議で判断されることになる」と述べた。
<解散は補正後か>
都議選の衆院選への影響については見極めが難しい。都民ファーストの議席数は31と自民想定や世論調査の予想を大きく上回ったものの、選挙前の45議席と比べれば大幅減だ。都民ファーストは国政政党でないため、小池人気の衆院選に対する直接の影響は見えない。都議選で共に議席を伸ばした共産党と立憲民主党は、選挙協力が奏功した格好。衆院選に向けても協力が加速する公算が大きいが、自公政権を揺るがすインパクトを予想する声は現時点で少ない。
その中で注目されるのが菅首相の政権運営だ。「感染拡大やワクチン不足などの悪材料で、時間がたつほど状況は悪くなる」(与党関係者)ため、菅首相はパラリンピックが閉会する9月5日以降、早期に臨時国会を開き、補正予算を成立させて、衆院解散に踏み切るとの見方が与党内で出ている。
すでに補正予算は20─30兆円程度必要との声が与党内では浮上している。ただ9月に成立しても「国民が恩恵を享受するのに時間がかかれば(衆院)選挙への影響は未知数」(与党関係者)との声も出ている。
<コロナ次第で菅おろしも、有力候補不在>
長引くコロナ禍で自民党に対する世論の受け止めは厳しい。今年4月に行われた3つの国政選挙で自民党は「全敗」した。今回の都議選でも、多くの選挙区で自公候補が最下位を奪い合った格好で、立憲民主党関係者は「自民党の不人気は想像以上だった」と指摘する。
さらに足もとではワクチンの供給不足問題が再燃している。政府は6月末、職域接種の新規受付を一時停止。自治体向けワクチンも、供給量が希望量の3分の1にとどまり、希望量の配送ができないと、河野太郎担当相が2日の記者会見で述べている。
政治とメディア論に詳しい立教大の砂川浩慶教授は「無観客五輪で日本人の金メダルが多数出ても、菅首相の支持率回復に寄与するとは考えにくい」とみる。4月の国政選挙に次ぐ都議選の敗北で菅首相では選挙は戦えないという声が出てくる可能性も否定できず、「コロナ感染が今後さらに悪化する場合、自民党内で菅おろしが始まる可能性があるが、代わりの有力な首相候補も見当たらない」(砂川教授)とみる。
「(衆院選で)自民党の議席減が30程度でとどまれば菅首相は続投する」(自民党幹部)というのが現在の相場観だ。

●「オリンピック中止」掲げた政党の議席数は? 都議選を読み解く 7/5
東京都議選(7月4日投開票・定数127)は自民党が33議席を獲得し、前々回(2013年)以来となる第1党を奪還した。だが、選挙協力を組んだ公明党が守った23議席と合わせても「56議席」で過半数(64議席)には届かなかった。一方で、小池都政“与党”の「都民ファーストの会」は45議席から31議席となるも第2党の座を確保。自民党との差はわずか2議席と、何とか踏みとどまった。以下、6つのポイントで今回の都議選を振り返って見よう。
1 自民、第1党奪還も過半数ならず
今回の都議選は10月に任期満了を迎える衆院総選挙の「前哨戦」とも言われ、各党とも国政選挙並の態勢で戦った。前回(2017年)の選挙で惨敗した都議会自民党は、今回60人の候補を擁立した。前回は都民ファーストの支援にまわった公明党との選挙協力も復活。国政与党の「自民・公明で都議会の過半数」を目指した。ところが、自民が獲得できたのは33議席。第1党を奪還し8議席を積み増したが、自民党にとって過去2番目に少ない数だ。告示後の調査では「自公、過半数獲得の勢い」(毎日新聞)など一部報道では勢いが伝えられたが、自民候補者のうち当選したのは55%にとどまる。
伸び悩みの背景には、複数議席の選挙区での敗北が影響している。たとえば足立区(定数6)や練馬区(定数7)、八王子市(定数5)ではそれぞれ2議席を獲得するも、目黒区(定数3)・品川区(定数4)では2人を擁立したがいずれも落選して「共倒れ」に。大田区でも3人中2人が落選した。NHKによると自民党の山口泰明選対委員長は4日午後10時半すぎ、党本部で記者団に対し、自民・公明両党で過半数に届かないことが確実になったことについて「どこが足りなかったのか精査して、今後の衆議院選挙に臨まなければならない」と述べた。第1党となっても、いまいち喜べない。単独はおろか、自民・公明でも過半数に届かなかったことから「微妙な勝利」というのが正直なところのようだ。
2 都民ファーストは14議席減も「第2党」に
2017年に“小池旋風”で圧勝した地域政党「都民ファーストの会」は改選前の45議席から31議席に減らした。だが、当初一部で伝えられていた「惨敗」は回避。なんとか持ちこたえた。党の創設者で顧問でもある小池百合子知事は前回選挙とは異なり、都ファ支持を公の場で表明することは少なかった。都議選の主役を演じることを、あえて意図的に避けていたように映った。その小池知事は都知事選の告示直前に「過労」で入院。選挙の「顔」が不在のまま選挙戦に突入したことも、都ファの議席減につながったと見える。
小池知事は退院後の7月2日、一度中止が決まっていた定例会見を一転して開催。「倒れても本望」と粉骨砕身ぶりをアピールし、選挙最終日の3日には、党代表の荒木千陽氏(中野区)や板橋区から国替えした平慶翔氏(千代田区)などの選挙事務所に激励に駆けつけた。3日夕方、千代田区内に置かれた平氏の選挙事務所。平氏は小池氏からの激励を「満身創痍の中、駆けつけてくれた」とマイクで有権者に訴えた。小池氏は支持者にグータッチをしながら練り歩いたが、平氏に身体を支えられながら歩く場面も。小池氏はマイクを握らず、「金魚鉢」と呼ばれるガラス張りの選挙カーに候補者と同乗して手を振るなどにとどめていた。
朝日新聞の世論調査(6/27、28実施)によると、小池知事の支持率は57%。コロナ対策も有権者の半分以上が小池知事を評価していると答えたが、これがそのまま「都民ファースト支持」に必ずしも繋がらなかった現状が選挙結果から見て取れる。自民と都ファ以外を見てみよう。公明党は一部で苦戦を伝えられながらも現有の23議席を死守した。共産党は18議席から19議席に。共産と一部で候補者一本化で調整した立憲民主は8議席から15議席へと躍進。いずれも小池知事への批判票、無党派の自民党への批判票が流れたと見える。生活者ネットも「会派発祥の地」北多摩2区(国分寺市、国立市)で1議席を確保。ネットは議員在任は3期12年をルールとしており、今回は新人が議席を受け継いだ。維新も大田区で新人が当選。積み増しはできなかったが現有1議席を維持した。国民民主党、れいわ新選組、嵐の党は議席を獲得できなかった。
3 7つの「一人区」は都ファが3勝、自民は2勝
都議選の趨勢を占う上で注目されるのが激戦区、特に7つある定数1の一人区だ。これまでの歴史をみると、一人区を制した党が都議会で主導権を握るケースが見られた。都民ファーストは、千代田区・青梅市・昭島市の3選挙区で議席を獲得した。注目区の一つが千代田区だ。ここはかつて「都議会のドン」と呼ばれた都議会自民党の重鎮・内田茂氏の地元。前回では「小池旋風」の中心となり、都民ファーストの樋口高顕氏が勝利した。今回、自民からは内田氏の娘婿・内田直之氏が出馬。対する都ファは、1月に都議から千代田区長に“鞍替え”した樋口氏の後継として現職の平慶翔氏を擁立。樋口区長と都議会同期だった平氏を板橋区から国替えさせ、迎え撃った。結果は平氏が勝利。千代田区議を3期10年務めた内田氏は及ばなかった。
千代田区同様、事実上の都ファ vs. 自民の対決構図となった青梅市・昭島市でも都ファが勝利した。小金井市も野党が相乗りで支援した無所属候補が勝利した。一方、第1党となった自民党が勝利したのは中央区と島しょ部の2つのみだった。朝日新聞の出口調査によると、無党派層(全体の23%)の投票先は都民ファーストが前回からは減らしながらも25%と最多。自民支持層でも都ファへの一定の支持があった。自民党支持者や公明党支持者の中には自民党出身で女性初の都知事となった小池氏を支持する人が一定数いる。自民党が第1党となりながらも一人区で破れたり、いくつかの複数人区で共倒れした展開には、国政与党である自民党への忌避感が見て取れる。都民ファーストは都議会での存在感を一定程度は確保できた。一方、自民党は「優勢」が伝えられながらも目論見通りには議席を伸ばせず、年内に実施される衆院選に向けて戦略の立て直しが迫られそうだ。
4 オリンピックへの姿勢と獲得議席の関係は……
今回の都議選では、7月23日に開幕する東京オリンピックへの対応も争点の一つとされた。このうち「中止」もしくは「延期」のように、オリンピック開催に否定的な会派(共産・立民・ネット)は127議席中35議席となった(※改選前は共産・立民・ネットで27議席だった)。自民・公明はマニフェストの中でオリンピックには触れておらず、都民ファーストは「無観客」での開催を主張した。
5 女性は過去最多41人が当選、比率は32%
今回の都議会議員選挙では、史上最多となる76人の女性候補が立候補。このうち当選したのは41人で、前回選挙を5人上回り過去最多となった。定数127のうち女性議員は32%となった。2021年3月に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数」の政治分野では、日本は156カ国中147位。国会議員(衆院)における女性議員の割合も、世界193カ国中で日本は166位と、非常に低い位置にある。なお、Business Insider Japanが投票日前に実施したアンケートでは、特定の割合の議席や候補者を男女に割り当てる「クオータ制」の法制化に消極的なのは「自民党」と「嵐の党」の2党だった。
6 投票率は過去2番目の低さ
最後に、今回の都議選の投票率を見てみよう。東京都選挙管理委員会によると確定投票率は42.39%。過去2番目に低い投票率となった。
「選挙の終わり」は「次の4年間のはじまり」だ
現在、東京都でのコロナ禍はなおも収まらず、第5波が心配されている。目の前には東京オリンピックも迫っている。「開催か、中止か」の議論は、いつの間にか「観客を入れるか、入れないか」にすり替わり、開催自体は既定路線となってしまった。財政問題も懸案だ。一般会計と特別会計を合わせた2020年度の全体予算(全28会計)は15兆4522億円。ノルウェー(16兆4656億円、2019年)やスウェーデン(12兆1984億円、2020年)などの国家予算並みの規模に相当する。一方で都の収入にあたる税収(都税)は5兆450億円。前年度に⽐べて3996億円減った(前年比-7.3%)。都税の減収は9年ぶりだ。都は不況や災害に備えて、2019年度末までに貯金にあたる「財政調整基金」として9345億円を積み立ててきたが、都はコロナ対策で相次いで補正予算を計上した。財政調整基金はその財源に充てられ、2020年5月時点では500億円まで減った。6月16日に都が発表した「令和2年度一般会計決算(見込み)」によると、2021年度末の財政調整基金残高見込みは2837億円となった。今後も新型コロナ対策費用がかさめば財政調整基金が原資になることは確実。都は今後も財源確保が課題となりそうだ。都議会では6月、「同性パートナーシップ制度」を求める請願を全会一致で採択しており、小池知事も導入を検討する意向を示している。新たな都議会が、同制度を創設できるかも注目される。都選挙管理委員会の都議選公式サイトには、全ての選挙区の候補者の公約を記した、選挙公報が掲載されている。これらは今のうちに手元に残しておこう。そして4年後、私たちが選んだ都議会議員がそこに書かれている仕事をどのぐらい成したのかを図るリトマス試験紙としよう。
選挙の終わりは、次の4年間のはじまりだ。

●自民伸び悩んだ都議会選、健在なり!「小池劇場」 7/5
首都東京の政治の枠組みを決める都議会議員選挙が7月4日、投開票された。4年前に惨敗した自民党が第1党の座を奪還したが、議席数は伸び悩み、候補者全員が当選した政権与党・公明党との合計でも目標の過半数に届かなかった。
一方、小池百合子都知事を支える地域政党・都民ファ―ストの会は予想を超える粘りをみせ、自民とわずか2議席差の第2党。選挙協力した共産、立憲民主はそろって議席を伸ばし、都議会での影響力を拡大した。
都議選で自民は「事実上の敗北」
告示前の情勢調査などで「自民圧勝・都民ファ惨敗」との予測を覆す結果となったのは、東京でのコロナ感染再拡大と東京五輪・パラリンピック開催への都民の不安や不満が原因とみられる。特に、五輪の有観客開催に突き進んだ菅義偉首相への批判や反発が、自民の伸び悩みにつながったのは否定できない。
同時に、告示直前に過労で入院したが、選挙終盤で公務に復帰した小池知事の動向も有権者の投票行動に影響を与えたのは間違いない。小池氏は3日の最終日に都民ファ候補の応援に駆け付ける「サプライズ演出」を行い、「小池マジック」の健在ぶりも見せつけた。
五輪開催に向け、菅首相は8日の政府対策本部で東京など首都圏に発令中のまん延防止等重点措置を1カ月程度延長することを決断。その直後にも国際オリンピック委員会(IOC)や五輪組織委員会などとの5者協議で「一部無観客開催」を決めるとみられている。
しかし、今回の都民の審判を受けて「安全・安心の五輪開催」を繰り返す菅首相への批判拡大は避けられない。自民党内では「都議選は事実上の敗北」(選対幹部)として、次期衆院選への危機感を募らす議員も多い。今後の政局の展開次第では菅政権が窮地に追い込まれる可能性も少なくない。
今回の都議選(定数127)は5日未明に全議席が確定した。選挙結果は自民33(改選前25)、都民ファ31(同46)、公明23(同23)、共産19(同18)、立憲民主15(同7)、維新1(同1)、生活者ネットワーク1(同1)、無所属4(同5)だった。
自民は第1党を奪還したが、当初想定していた50議席超の圧勝から程遠く、過去2番目に少ない議席数にとどまった。公明の山口那津男代表が「奇跡的な達成」と喜んだ自公合計の議席過半数には8議席も足りなかった。
都民ファーストは第1党を争い、大健闘
これとは対照的に、前回都議選で小池旋風に乗って55議席獲得と大勝した都民ファは、その後の党内分裂などで党勢が急低下。事前情勢調査では1桁台の惨敗も予測されたが、自民と第1党を争う31議席と予想をはるかに上回る健闘ぶりを見せた。
また、次期衆院選もにらんで一部選挙区などで共闘関係を構築した共産、立憲両党は、共産が1議席、立憲が8議席を上積み。両党幹部は「衆院選勝利への手がかりをつかめた」(立憲幹部)と胸を張った。
一方、首都圏での勢力拡大を狙った維新は、改選前と同じ1議席にとどまり、「東京の壁の厚さを思い知らされた結果」(幹部)となった。国政で主要野党の一角である国民民主は議席を獲得できず、衆院選への不安が拡大した。
選挙結果に影響があるとして注目された投票率は前回を8.89ポイント下回る42.39%で、過去2番目の低投票率だった。この点、「都政での争点に乏しく、しかもコロナ禍での外出自粛が有権者の投票意欲を削いだ結果」(都選管関係者)との指摘もある。
コロナ感染と五輪開催に都民の注目が集まる中、都議選をめぐるメディアの報道量も前回とは様変わりの少なさだった。選挙戦終盤には神奈川、静岡両県での集中豪雨による大規模土砂崩れなどが発生し、テレビ各局が選挙戦最終日の模様をほとんど報道しなかったことが、「低投票率の最大の原因」(選挙アナリスト)との見方も多い。
これまでの都議選では低投票率は「組織政党に有利」(同)とみられてきた。「今回は過去に例のない苦戦」と危機感を強めていた公明が至上命題の全員当選を果たしたのは、創価学会という強固な組織票がもたらした結果で、共産党の議席増も同様とみられている。
しかし、強大な組織と資金力を持つ自民に低投票率の恩恵は少なかった。前回と同様、無党派層に焦点を絞った空中戦に挑んだ都民ファが予想以上の議席を獲得したのは、「小池マジックに加え、菅政権のコロナや五輪の対応への不満のマグマが爆発した結果」(同)と指摘する向きが多い。
仮に、豪雨災害や東京でのコロナ感染再拡大がなければ、最終日には各新聞も「都議選明日投票」を1面トップ級で報じ、各テレビ局も「小池氏の都民ファ候補支援などを大きく取り上げたはず」(民放幹部)だ。その場合「自民は第1党奪還すら危うかった」(選挙アナリスト)との見方も出る。
菅政権で続く地方選での自民退潮
そもそも年初以来、菅政権下での地方選では自民の退潮が続いていた。政権発足後初の国政選挙だった4月下旬の参院広島選挙区などのトリプル選は自民が全敗した。さらに大型地方選の千葉県や静岡県の知事選でも自民候補が惨敗した。今回の都議選での自民伸び悩みも、「その延長線上の結果」(自民選対)であることは間違いない。
最大の要因は「菅政権への国民の不信感拡大」(自民長老)とみられる。都議選の最中に各種メディアが実施した都民を対象にした世論調査でも内閣支持率は20%台前半で、全国規模の調査より格段に低かった。
4年前の前回都議選で歴史的惨敗を喫した自民は、今回は「国政選挙に直結する大事な選挙」(菅首相)として総力戦を展開した。ただ、「自民の顔」であるはずの菅首相は告示日に自民党本部の集会で演説しただけで、コロナや五輪への対応を理由に街頭演説は見送った。
前回都議選では選挙戦最終日の街頭演説で聴衆の激しいヤジにいら立った当時の安倍晋三首相が、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言し、それが自民劣勢を加速させた経緯がある。しかも、今回は自民各候補が「首相の応援演説で票が減るのでは」(新人候補)との不安を漏らしていたことも「菅隠し」につながったとされる。
その一方で、麻生太郎副総理財務相が政権を代表する形で積極的に街頭演説を展開した。告示日の演説では、過労で休養中の小池知事について「自分で撒いた種でしょうが」と発言して大炎上。自民党の二階俊博幹事長が「(発言は)問題外でコメントしない」と苦々し気に語ったことも、自民候補の足を引っ張る結果となった。
菅首相は投票が進む4日午後には親しい選挙プランナーと会談し、各メディアの出口調査の結果も踏まえ、「結構、都民ファが取るみたいだね」と他人事のように語ったとされる。その後、菅首相は自民党本部に顔を出すこともなく、午後6時前には都内の宿舎に戻った。
菅首相は「謙虚に受け止める」
開票から一夜明けた5日午前に官邸で記者団のインタビューに応じた菅首相は、「自公で過半数を取れなかったことは謙虚に受け止める」と神妙な表情で語った。小池知事が支援した都民ファが公約に五輪無観客を掲げたことについても、「選挙の結果にかかわらず、最終的には5者協議で決まる」と従来の立場を強調しただけだった。
菅首相周辺は投開票を前に「自民圧勝を前提に『勝利談話』を用意していた」とされるが、「結果的に幻の談話に終わった」とみられている。
今回の都議選結果を受けて、自民党内には「地方選挙と国政選挙は別」(自民執行部)との指摘があるが、「菅首相のもとで衆院選を戦うのは危険だ」(若手)との声も広がる。菅首相が「切り札」とするワクチン接種も、供給不足での混乱が目立っている。
五輪開幕前後からのコロナ・五輪政局の展開次第で「菅首相が選挙の顔にふさわしいかどうかが決まる」(閣僚経験者)ことになりそうだ。

●落選の自民候補「大変な逆風」 安倍氏らも応援入ったが 7/5
4日に投開票された東京都議選。4年前に主役となった小池百合子知事が最終盤まで動かず、都民ファーストの会は議席を減らした。一方、自民党もコロナ禍での政権批判が直撃し、厳しい結果を突きつけられた。
4日投開票された東京都議選で、自民党本部の開票センターでは4日夜、緊張した雰囲気に包まれ、都連の鴨下一郎会長や丸川珠代五輪相が、当選確実と伝えられた党公認候補者名の書かれたボードに花を付けた。
町田市では、自民党新顔の元Jリーガー、星大輔氏(40)が初当選。「不安で眠れない日々が続いたが、当選させていただき感謝します。今日からがキックオフです」と喜んだ。
自民は今回、新型コロナウイルスの収束に向けた対策を前面に掲げながら選挙戦を展開。安倍晋三前首相や、政府内でワクチンの調整を担う河野太郎行政改革相らが地元首長らとともに連日、応援に入り、ワクチン接種の実績などをアピールした。
公認候補60人のうち40人台半ばまでは早い段階で当選が堅いとみていた。ところが、コロナの感染状況が悪化の一途をたどり、自公での過半数獲得の勢いは減速していった。
荒川区では、自民前職の崎山知尚氏(55)が返り咲きを図ったが、果たせなかった。記者に「国政の影響があるか」と問われると、「分析できていないので何ともいえない」と話した。
千代田区では、自民新顔の内田直之氏(57)が苦杯をなめた。「大変残念。コロナのワクチン確保や五輪・パラリンピックの開催など、大変な逆風のなか、支えていただき感謝します」と支持者に頭を下げた。「都議会のドン」と呼ばれた義父の内田茂・元自民都連幹事長も見守っていたが、直之氏の敗戦の弁が終わると、支持者に「ありがとうございました」と一礼し、周囲に支えられながら事務所をあとにした。

●「政権への不満、ここまでとは…」 都議選苦戦の自民候補 7/5
参院広島補選、静岡知事選など就任以来、敗北続きの菅義偉首相(衆院神奈川2区)は、今秋にも予定される衆院選の前哨戦とされた東京都議選でも苦戦した。自民党内からは「このままの体制で衆院選を戦えるのか」(閣僚経験者)との懸念の声も漏れる。逆風に直面した候補者らからは「説明不足が致命的だった」との戒めも聞かれた。
「私たちは人の痛みが分かります。田中さんも私も悔しい思いを重ねてここまで来た」。コロナ禍で行われた都議選終盤の3日、品川区の武蔵小山駅前で返り咲きで4期目を目指す田中たけし氏の街頭演説会があった。地元の参院広島補選で苦杯を喫した岸田文雄前政調会長が雨中で拳を握りしめ、声を枯らした。
定数4の品川区では前回選挙で都民ファーストの会の2新人が当選。田中氏が議席を失って自民の空白区となった。今回は丸川珠代東京五輪・パラリンピック担当相、下村博文政調会長ら閣僚や党幹部が続々と応援入り。しかし捲土重来(けんどちょうらい)はならず、田中氏と新人の公認候補が共倒れした。
同氏は横浜市にある桐蔭学園高校の卒業生。菅首相地元の学校出身であることをチラシなどに明記した。選挙戦では「批判を含め総理へのさまざまな反響を肌身で感じた」という。

●都議選一夜明けで自民・二階幹事長と会談した小池都知事を痛烈批判  7/5
元東京都知事の舛添要一さん(72)が5日、自身のツイッターに投稿。東京都議選から一夜明けた同日、小池百合子都知事が自民党の二階俊博幹事長と会談したことについて「非常識だ」と痛烈に批判した。
「自民党を袖にして都民ファーストの会を応援したことをご破算にする『ジジ殺し』」とジャブを入れてから続けた。
「敗北した自民党候補のことを考えれば、幹事長は面会を拒否すべきである。利用されるだけで、何のメリットもない」と自民への見方を示し、「ただ裏心が見え見えなのが、彼女の田舎芝居の限界だ」とストレートパンチをぶちかました。
都議選で小池都知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」は議席を減らしながらも自民に次ぐ第2党に踏みとどまった。自民は議席を増やしたものの期待以上には伸ばせなかった。
 
 
 

 

●自民の「敗北」 為すべきことの徹底図れ 7/6
衆院選の前哨戦として注目された東京都議選で自民党は33議席を得て第一党を奪還した。ただし、分水嶺(ぶんすいれい)とされた自民と公明党を合わせて過半数に達する目標は大きく下回った。公明は候補者全員が当選を果たしたのだから、実質的には自民の「敗北」である。
菅義偉首相は都議選の結果について「自公で過半数を実現できなかったことは謙虚に受け止めたい」と述べた。秋までに行われる衆院選に向け、都民の不満や批判を国民全体の声と受け止めて大いに反省すべきだろう。
直接の敗因は、政府の新型コロナウイルスへの対応と、開幕が間近に迫った東京五輪開催への忌避感だった。菅首相が「切り札」とするワクチンは承認手続きが国際社会に後れをとり、号令一下、ようやく進んできた接種も配送の不備や供給不足で滞っている。
都内で2回の接種を終えたのは3日現在で全世代の約8%にすぎない。緊急事態宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置は延期や再発令を繰り返し、支援金支給の遅れや、酒を飲めたり飲めなかったりの連続に、多くの人が嫌気がさしている。
新型コロナ対応への不満は、五輪批判に直結した。議席を伸ばした共産党は「五輪中止」を、立憲民主党は「中止か延期」を主張した。予想に反して善戦した都民ファーストは公約に「無観客による開催」を盛り込んでいた。特別顧問を務める小池百合子都知事が有観客による開催を目指しているにもかかわらず、だ。
自公両党は公約で五輪開催の是非には触れず、選挙戦では感染対策を徹底した上で開催すべきだと主張してきた。
この分かりにくさが、五輪への嫌悪感を助長したと反省すべきである。政府・与党が五輪の魅力を十分に発信することができていれば、結果は違ったはずだ。
新疆ウイグル自治区や香港などでの深刻な人権侵害問題を抱える中国共産党の創建100年に自民は二階俊博幹事長名で祝賀のメッセージを送った。
こうした姿勢に保守層が反発を強めたことも、過去2番目に低い42・39%という投票率に表れたのではないか。
政府・与党が出直すために為(な)すべきことは何か。ワクチン接種を進め、五輪・パラリンピックを成功させ、自身の立ち位置を再確認し、徹底することである。

●「このまま行くと、衆院選は危ない」都議選で自民党が惨敗した“本当の理由” 7/6
東京都議選ですが、翌日(7月5日)の新聞に多かった見出しはこちらです。
『勝者なき 首都決戦』(日経)
『勝者なき選挙戦』(朝日)
『揺れる民意 勝者不在』(東京)
NHKの朝のニュースでも「勝者なき」と解説していました。どうやら都議選の結果を「勝者不在」というのがトレンドみたいです。でも本当にそうだろうか?
唯一ポジティブな見出しがつかなかった政党は…
実は、各政党についてのポジティブな見出しは結構あったのだ。
『都民フ、議席減も「善戦」』(日経)
『公明、全員当選に手応え』(産経)
『立憲・共産 共闘手応え』(毎日)
などなどたくさん。バカ勝ちした党はなかったものの、都民ファースト・公明・立憲・共産についてはポジティブな見出しや評価も結構あったのである。
しかし一党だけなかなかポジティブな見出しがみつからない政党がありました。薄々気がついた方もいるでしょうが自民党です。
『国政で批判 自民伸びず』(読売)、『自民想定外の失速』(毎日)、『接種混乱・政治とカネ・五輪…政権不信』(朝日)……。
第一党になったのに「勝った空気」がない自民党
さらに政府与党の声を各紙で追うと、
「予想外の結果だ。このまま行くと、衆院選は危ない」(執行部の一人・読売)
「大敗北だ。言葉もない」(閣僚の一人・朝日)
いかがでしょうか。僅差で第一党になった自民党には勝った空気がないのである。菅首相は周囲に「何とか50議席取れればいい」と勝利の手応えを語っていたそうですが(読売7月5日)、実際は33議席だった。これは民主党に政権交代された2009年の38議席を下回る。
つまり、今回の都議選は「自民党だけが思いのほか負けた」と読めるのだが、違うのだろうか?
これを「勝者不在」と文学的に言ってやった感を漂わせ、うっとりしてる感じの報道って何でしょうか。そりゃNHKは菅さんに強く言えないでしょうが新聞はそのまま書いてもよかったのでは。
さて都議選の期間中、しみじみ感じたのが「オヤジジャーナルと政治家・小池百合子の相性の良さ」です。
※私は夕刊紙、タブロイド紙、一般紙の政治面を「おじさんがつくっておじさんが読む」オヤジジャーナルと呼んでいます。子どもの頃から大好物です。
「また小池が!?」と嬉ションするおじさんたち
まず、小池氏の休養が発表された翌日(6/23)の夕刊紙。キヨスク広告を並べてみよう。
『突然の休養 広がる疑心暗鬼』(日刊ゲンダイ)
『本当の症状と入院憶測』(夕刊フジ)
『上野動物園パンダ双子誕生』(東スポ)
ゲンダイもフジもとにかく疑っていたのである。東スポの広告はパンダだったが『都議選前に疲労ダウン 小池一気総理狙いも』という記事をちゃんと載せていた。このまま退任して国政に二階氏が担ぎ出すのでは?と。
私がここでお伝えしたいのはオヤジジャーナルがとても嬉しそうだったことだ。
もちろんそれは入院のことではなく「また小池が何か仕掛けてきたのか⁉」という勘繰りができて嬉しそうだったのである。
「疑心暗鬼」や「憶測」という文字はそのままオヤジジャーナルの嬉ションだと思っていい。政局記事に結び付けることができて嬉しさのあまりオシッコを漏らしているのだ。私もそんな興奮状態をみかけて嬉ション状態であった。
もっといえば、おじさんが好きな戦国武将の覇権争いや騙し合いの構図を今、十分に提供してくれるのが小池氏なのである。もはや唯一無二の存在。以前に産経新聞が小池氏のことを「政局の鬼」と書いて素敵なフレーズだと思ったが逆に言えば小池氏にはそれしかない。オヤジジャーナル道を生きている。
一般紙の政治面もいかに今回の都議選報道で小池氏と相性が良かったか。
「小池は動かない」という政局記事がまん延した結果…
毎日新聞(6月24日)は「休養明けですぐに選挙応援はできないだろう。選挙期間中は休むのではないか」という「自民重鎮」のコメントを載せていた。
朝日新聞(6月26日)は「都議選で小池氏は動かない」との見方を載せていた。理由の一つに「小池氏に常につきまとうのが、秋の衆院選を機に国政復帰を目指すとの見立てだ」と。ここらへんの憶測(嬉ション)はタブロイド紙と変わらない。
読売新聞(6月29日)は『小池氏 いつ静養明け』。まるで今年の梅雨明けはいつ?みたいな感じです。
記事を読むと与野党は《「小池人気」は根強く、動き方によっては情勢を一変しかねないとみている》。あ、やっぱり台風警戒の記事だった。
さてこうなると何が起きるのか。「小池は動かない」という政局記事が選挙期間中にまん延したのである。皆がそうだと何となく信じているときがいちばんサプライズが起きやすい。
その結果……。
『小池氏、最終日に都民ファ激励』(朝日7月5日)
『「不在」小池氏 終盤動く』(毎日7月5日)
ああ、この展開。またおじさんたちが嬉ションしちゃう。オヤジジャーナルと戦国武将みたいな権謀術数を駆使する小池氏はもうトムとジェリーみたいな関係だ。
“オリンピックおじさん”の不人気が露わに
面白かったのはこの見出し。
『「小池氏にやられた」「大敗北」都議選、自公失速の内幕』(朝日新聞デジタル7月4日)
記事のタイトルは「小池氏にやられた」という自民党議員の声だが、しかし本当にそうか。本音は「菅氏にやられた」ではないか?
菅首相の説明しない態度、五輪が始まれば国民は感動してすべて忘れるみたいな態度、これらが都議選にさえ反映されたとも言える。
ただでさえ、《政府関係者は「首相が街頭に入っても、人気がなくて人が集まらないかもしれない」と漏らした》(毎日7月5日)という状況であった。
今回、想像以上の不人気が露わになったオリンピックおじさん。
オヤジジャーナルがちょっとざわついてきました。

●都議選「敗北」に自民動揺 菅首相の解散戦略に影響か 7/6
菅義偉首相が「国政選挙に直結する大事な選挙」と位置付けた東京都議選で、自民党は過去2番目に少ない33議席に終わった。
8議席増やしたものの、「敗北」との受け止めが党内に広がり、秋までにある衆院選を前に、首相の求心力低下は避けられそうにない。東京五輪・パラリンピックの成功を弾みに衆院選に勝利するとの首相の解散戦略に影響するとの見方も出てきた。
都議選から一夜明けた5日、首相は「自公で過半数を実現できなかったことは謙虚に受け止める」と記者団に表明。この後、首相官邸で面会した自民党の下村博文政調会長に「厳しかった。ワクチン接種の遅れがあった」と敗因に言及した。
事前の情勢調査で自民党は堅調とされ、公明党と合わせて過半数(64議席)どころか、「自民だけで50に届くかもしれない」との声すら出ていた。33議席は「惨敗」とされた前回2017年こそ上回ったものの、旧民主党に政権交代を許した09年衆院選前の38議席にも及ばなかった。
党幹部は敗因について「有権者は新型コロナウイルスとワクチン、五輪に不安と関心がある。その答えを提供できなかった」と悔やむ。緊急事態宣言が解除された6月21日以降、首都圏を中心に感染が再拡大。首相がワクチン接種の大号令をかけながら供給は停滞し、「安全・安心」の裏付けを示せないまま有観客での五輪開催にこだわったことが、都民の反発を買ったとみられる。
衆院選に向け、党内には厳しい情勢分析が広がる。閣僚経験者は「浮動票は目下、反自民だ。苦しい」と漏らし、党幹部も政権への根強い不満が「底流にある」と認めた。
首相はパラリンピック閉幕後の9月に衆院を解散、総選挙に勝利して党総裁選を無風で乗り切る青写真を描いているとみられている。だが、4月の衆参3選挙や各地の知事選で敗戦が続き、今回の都議選で「菅首相では選挙の顔にはならない」との危機感が衆院議員の間で強まりそうだ。「五輪開催で感染爆発を起こせば首相の責任問題になる」。党関係者はコロナ対応の不手際で首相退陣もあり得ると警告する。
山口泰明選対委員長は4日夜、衆院選の勝敗ラインについて「与党過半数」と発言した。公明党が現有29議席を維持した場合、自民党は70議席余り減らしてもクリアできる低いハードルで、党関係者は「そんな結果で首相続投は許されない」と疑問を呈す。来年夏には参院選も行われる。ある閣僚は「『衆院選の前に総裁選をやれ』という声が出てくるかもしれない」との観測を示した。
◇小池氏動向にも関心
小池百合子知事の動向にも関心が集まる。小池氏は過度の疲労を理由に入院・休養したが、都議選のさなかに復帰し、投開票前日の3日には特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」候補を激励。都民ファが事前の予測を大幅に超える31議席を獲得した背景に「小池氏への同情票がある」とみる向きは少なくない。
小池氏をめぐり、五輪を終えれば国政復帰を目指すとの臆測が与野党にくすぶる。その小池氏は5日、自民党本部で二階俊博幹事長と面会。この後、記者団から国政復帰について問われ、「そういう意思を一度も言ったことがない」と述べるにとどめた。 
 
 
 
 
 
 
 

 

●2021都議選 政党公約 約
 
 

 

●都民ファーストの会
3つの柱
1 「爆速」ワクチン接種で経済活動再開へ
2 都民を守る「都民ファースト・ケア」
3 あらゆる事態を想定すべき国が強行開催するならば東京オリパラ大会は最低でも「無観客」
1 「爆速」ワクチン接種で経済活動再開へ
1400万都民を守る「爆速」ワクチン接種計画
大規模接種施設はじめ都の施設を徹底活用
国産ワクチン・治療薬の開発支援強化
世界的ワクチン獲得競争の遅れを取り戻し加速へ
水際対策の強化
水際対策の徹底で変異ウイルスを防ぎ、都民の命を守る
2 都民を守る「都民ファースト・ケア」
国に奪われている都税を取り戻し「東京コロナ・ケア」を実現
国に年間約 7600 億円の都税の返還を求め、世帯年収に応じた年間最大15万円の給付でコロナ禍の都民生活を強力支援!
「いつでも・どこでも・誰でも」健康チェック
「おうちでドック」等の自宅検査キットを活用した、がん・生活習慣病等の健康診断
未来を担う学生の携帯電話料金の実質無償化
未来の日本・東京を担う学生の貧困対策として固定費用となっている携帯電話料金を実質無償化(月額3000円の補助)
3 都民の命とくらしを最優先にした東京オリンピック・パラリンピック大会
都民の皆様の命と暮らしを守り抜くことを最優先に、あらゆる選択肢を視野
国が有観客での開催を強行する場合「無観客」での開催を強く求める
4 東京版「所得向上計画」
あたらしい豊かなくらし
在宅での健康管理支援・子育ての家計負担の軽減
東京版ニューディールを加速
雇用就労・スキルアップ支援で所得向上
ポストコロナの成長産業支援
5 「シン・トギカイ」で動かす議会へ
報酬2割カット継続
議会基本条例の制定
「デモテック」推進 / 理事会議論公開で脱「密室」政治 / 議員年金復活に反対
女性候補者比率約4割達成!
都政改革の断行
聖域なきムダの削減 / 都庁組織再編 / 外郭団体の統廃合
6 デジタル・ファーストで「くらし大改革」
行政手続きのオンライン化
都手続・区市町村手続の支援 / 納税など都庁キャッシュレス化の推進
学生 / デジタル教科書 / 学習用端末
働き世代 / テレワーク経費 / 時短・スマート家電
シニア / 介護・健康・見守り家電 / 使い方支援
生活困窮家庭 / 端末・Wi-Fiルーター
障がい者 / 意思疎通・生活サポート
7 都民が輝けば東京が輝く 東京が輝けば日本が輝く
子育ての家計負担の軽減
出産への10万円相当の支援 / 保育費・給食費・私学授業料の第2子以降の負担軽減
子どもの権利の尊重
「お元気高齢者」でChoju! シニアのフレイル対策支援
共生社会の実現
ダイバーシティ東京の実現
8 女性の多様な生き方の実現
保育・学童の待機児童ゼロへ!
都内の保育待機児童数はこの4年間で約9割減少
家庭内ジェンダー平等の推進
スマート家電で家事育児時間を短縮! / 男性の家事・育児参画支援
女性の家庭と仕事の両立支援
女性の再就職・キャリアアップ支援
女性が健康で輝き続ける社会
女性の権利擁護・生理の貧困解消・フェムテックへの支援
9 しなやかな東京強靭化計画で成長と発展へ
再生可能エネルギー・環境減税の強化
東京の地域経済力の強化
災害対策・国防の強化
多摩・島しょ振興の強化  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 

 

●自民党
本日、都議会自民党は2021年版政策集を発表し、記者会見を行いました。 6/8
「命を守る。東京を動かす。」をスローガンに、感染防止対策、ワクチン接種、減税による生活・経済の再生、首都直下地震など自然災害への備えなど、都民の命を守る政策と、子育て、教育、健康長寿、障害者・児対策から中小企業支援、雇用対策、観光振興、農林水産業振興そして環境、国際金融、情報化推進など、未来に向けて東京を動かす政策を発表しました。 
都議会自民党 重要施策
「責任ある政治」を貫き、東京の未来を切り拓きます。
災害に強い安全な東京
大地震や津波、豪雨等に打ち勝つ強靭な都市へ/ 木造住宅密集地域の不燃化・無電柱化を推進
都民のいのちと健康を守る 安心都市・東京
いつでも誰もが医療を受けられる安心社会へ/犯罪 をなくす、美しく安全なまちづくり/地域での見守 り・防犯活動を支援
高齢者や障害者に やさしい東京
「健康寿命」を 80 歳まで延伸/障害者グループ ホームや通所施設などを積極的に整備
日本の将来を担う 子育て世代にやさしい東京
結婚・妊娠・出産・育児・教育への切れ目ない支援 /待機児童ゼロ/女性がいきいきと活躍できる社会
後世に誇れる クリーンで美しい東京
経済成長を支え、環境にやさしいエネルギー政策/ 水と緑に囲まれた潤いを実感できる魅力的な都市へ
力強い経済で 日本をリードする東京
商店街の元気で地域を活性化/地産地消を推進/ 新規雇用創出
若者が夢と希望を 持てる教育都市・東京
知・徳・体の基礎的な力を全ての子供が習得/非正 規から正規雇用へのキャリアアップを積極的に支援
ヒトとモノの流れが スムーズに行きかう首都圏
三環状道路(圏央道、外環道、中央環状)をはじめ 道路ネットワー クを重点整備/鉄道の連続立体交 差化等によりスムーズで安全な道路交通へ
すべての都民を元気にする スポーツ文化都市・東京
誰もがスポーツを楽しみ健康を実感できる都市を実 現/障害者も身近にスポーツを楽しめる環境を整備
魅力あふれる多摩・島しょ
いつでも誰もが医療を受けられる多摩の産業集積を活かし、地域経済を活性化/ 豊かな観光資源をフル活用した観光振興策を展開  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 

 

●公明党
―――東京の未来を開く!全世代の安全・安心をめざす チャレンジ8 ―――
都議会公明党は、3つの無償化を含む政策目標「チャレンジ8」の実現に挑戦します。
1 第2子の保育料無償化 / 2歳までの保育料は公明の推進で第2子半額、第3子無償化を実現(2019年10月)。今後は第2子も無償化します!
2 高校3年生までの医療費無償化 / 子ども医療費の助成について、全国屈指の水準をめざし、都内全ての区市町村で高校3年生まで無償にします(所得制限あり)。
3 肺炎球菌ワクチン無償化 / 高齢者の肺炎を予防する肺炎球菌ワクチン。公明が接種費用への2500円助成を実現。さらに無償化をめざします。
4 がん治療に重粒子線 / 副作用が少ない「重粒子線治療」を都内で初めて都立病院に導入し、働きながらの、がん治療を支援します。
5 駅ホームドアの整備 / 利用者10万人以下で視覚障がい者の利用が多い駅へ、ホームドアを優先的に整備します。
6 高速道路上の料金所撤廃 / 渋滞の要因と指摘されている都内の高速道路上の料金所7カ所(永福、三鷹、錦糸町など)を順次、撤廃します。
7 保護付き動物愛護センター / 動物保護のシェルター(避難所)を併設した「東京都動物愛護センター」を新たに設置します。
8 豪雨に備える地下調節池  / 環状七号線の地下に、豪雨に備え国内最大級の地下調節池を設置するとともに、都内9カ所に調節池などを新設します。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 

 

●日本共産党 
1.安心と希望の新しい政治を、日本共産党の躍進で
東京都議会議員選挙が6月25日告示、7月4日投開票でおこなわれます。都議選は、都政の今後を左右する、都民の選択の機会です。小池都知事と、これに付き従っている自民党、公明党、都民ファーストの会による都政(小池・自公ファ都政)に対して審判を下し、日本共産党の躍進で、都民の願いが届く都政・都議会をつくりましょう。首都の政治決戦である都議選は、国政にも大きな影響を及ぼします。菅・自公政権にも審判を下す絶好の機会です。それは、市民と野党の共闘を発展させ、政権交代、野党連合政権樹立を促進する大きな力になります。そのカギを握るのは、都議会野党第一党の日本共産党の躍進です。日本共産党はこの都議選で、前回獲得した19議席を必ず確保し、さらに躍進をめざします。首都・東京から日本の政治を変えるため、日本共産党を躍進させてください。
今夏の東京五輪の中止をただちに決断し、コロナ対策に全力集中を
新型コロナウイルスの感染拡大が国内的にも国際的にも続いています。日本共産党都議団は、1月26日、小池都知事に対して、3つの理由をあげて、今年の夏の東京オリンピックを中止しコロナ収束に集中することを求めました。それから3カ月半、変異株の流行も深刻さを増しているもとで、五輪開催がコロナ対策と両立しないことが、いよいよ明らかになっています。第1の理由は、ワクチンが間に合わないことです。国際的にもワクチン格差が大きな問題となっていますが、開催国・日本の接種率が人口比で世界116位(5月12日現在)と非常に遅れており、国内外ともに開催の条件がなくなっています。第2に、フェアな大会にならないことです。世界の感染状況は、インド、ヨーロッパの一部、南米などでも非常に深刻であり、全世界のアスリートが同じ条件でフェアに競い合う五輪にならないことは明らかです。第3に、医療従事者を東京五輪のために医療現場から引きはがし集めることに、現実性がないことです。五輪組織委員会などが看護師500人、スポーツドクター200人の動員、30の指定病院の確保を要請していることは、コロナのもとで大変な負荷がかかっている日本の医療体制に、さらなる負荷を強いるものです。この立場から、共産党都議団は、議会の場や申入れなどで、今夏の五輪中止をただちに決断することを、くりかえし求めてきました。菅政権と小池都政が「開催ありき」で、コロナ対策をさんざん歪めてきた責任は重大です。都議会の自民、公明、都ファは、コロナ禍の続く昨年10月の本会議で、あえて五輪開催に「全力で取り組んでいく」との決議を強行しました。小池都知事は、コロナ感染拡大の第4波に直面して「東京に来ないで」と言いながら、五輪については「東京に来て」という、矛盾した態度をとっています。菅首相は「開催権限は国際オリンピック委員会(IOC)が持っている」として、開催国の首相として国民の命をコロナ感染拡大から守る責任感のまったく欠落した態度を続けています。東京都が都内の公私立幼稚園から高校までの子ども81万人を五輪観戦に動員する計画であることも明るみに出ました。子どもたちの命まで危険にさらすとは、何を考えているのでしょうか。東京都が開催都市として、今夏の五輪中止の決断をただちに下し、関係諸機関との協議に入ること、東京都のあらゆる力をコロナ対策に集中することを、日本共産党はひきつづき強く求めます。
新型コロナから命と暮らしを守る日本共産党の提案
全国でも、東京でも、感染拡大が深刻化しているのは、政府と都がやるべきことをやってこなかった結果であり、菅・自公政権と小池・自公ファ都政が招いた人災です。その根底には、科学を無視し、国民に自己責任をおしつけるという致命的な弱点があります。いま政治がなすべきこととして、日本共産党は、次の対策が緊急に、徹底的に実行されるよう、全力をあげています。第一に、コロナを封じ込めるために、無症状者からの感染を防ぐPCRなどの大規模な検査をおこなうことです。医療機関、高齢者施設、障害福祉施設、職場や学校、保育園等での週1回程度の検査、感染が広がりやすい場所、人が集まる場所(繁華街、駅、大学など)での無症状者への検査、変異株の全数検査などを、飛躍的に拡充させ、実行することです。第二に、ワクチンにかかわる正確でわかりやすい情報を国民・都民に提供しつつ、接種を希望者全員に、安全に、迅速に、確実にゆきわたらせるよう責任をはたすことです。第三に、3度にわたる緊急事態宣言を含め長期にわたるコロナ禍によって危機に陥っている中小企業、芸術・文化関係のみなさんに、事業を続けられる十分な補償を行うこと、生活困窮者への緊急の支援をおこなうこと、「人流」抑制を求めることに見合った生活保障をおこなうことです。第四に、すべての医療機関への減収補てんに踏み切り、病床を確保するためにあらゆる手だてをとることです。都立・公社病院の「独立行政法人化」は中止することです。
検査について / 無症状者が感染を広げる特徴のある新型コロナを封じ込め、医療崩壊を防ぐためには、幅広い検査で感染者を把握し保護することがイロハのイです。ワクチン接種の普及と並行して、検査の徹底が必要です。日本共産党は、国にも都にも、PCR検査を思い切って増やせと、一貫して求め続けてきました。ようやく菅政権も「検査の拡大が必要だ」と言うようになりましたが、検査拡充の規模とスピードは、依然としてきわめて不十分です。小池都知事も、共産党都議団が「検査が少なすぎると思わないか」「増やすべきだ」と求めるのに対し、「必要な検査はやっている」「国の考え方にもとづきやっている」と答え、検査を拡大することに背を向け続けてきました。小池都政与党の都議会自民党は、本会議や予算特別委員会でも、検査拡充を求める質問がほとんどありません。その小池都政も、ついに4月、高齢者・障害者施設等に「週1回」の検査を実施する予算を計上しました。しかし、東京の検査数は、7日間平均で、1月のピーク時でも1日約1万2千件ときわめて不十分で、その後は減少して2月末から3月中旬頃まで7千件前後で推移し、その中で感染の再拡大が生じました。変異株検査の実施割合も、5月6日時点で約40%という少なさです。本気の大規模検査へ、抜本的に変えなければなりません。
補償について / 自粛・休業・時短要請は、補償とセットでおこなってこそ、感染拡大防止を徹底することができ、営業・雇用・生活を守ることができます。日本共産党はこのことを一貫して主張し、求め続けてきました。これにより「協力金」の支給などが、きわめて不十分ながらおこなわれました。しかし、菅政権は、中小企業にとって「命綱」となってきた持続化給付金と家賃支援給付金を、1回こっきりで打ち切りました。小池都政は4月の補正予算で感染拡大防止協力金を計上しましたが、その98%は国からの財源によるものです。共産党都議団はこうした都の姿勢を批判し、3度目の緊急事態宣言発出にさいしての補正予算には、かろうじて「休業依頼に応えた事業者への支援金」という都の独自施策が計上されました。しかし、対象業種が線引きされ、その額も極めて不十分なものです。一方で、小池都政がやったことと言えば、4つの店舗への罰則適用申請です。小池知事は記者会見で、さらに罰則をおこなうことも示唆しています。補償もせずに罰則で強制することは、感染症対策としても政治の姿勢としても間違っています。47都道府県で最も財政力があり、独自に財源をつくって補償を行う条件が一番あるのが東京都です。共産党都議団は、都独自に協力金の対象を広げ、自粛の影響を受ける関連業種の全体に対してしっかりと協力金を出すことを強く求めています。
医療について / 菅政権は、直接のコロナ対応をおこなっていない医療機関への減収補てんを拒み続けるとともに、コロナ対応の医療機関への支援も滞っています。それどころか、医療破壊を進める2つの法案ー高齢者医療費2倍化法案と病床削減推進法案ーを、いまの国会で自民、公明などとともに強行しようとしています。とくに病床削減については、政府は全国436の公立・公的病院の統廃合のリストをつくって、「さあ削れ」と号令をかけています。その中には、東京の9つの病院ー都立神経病院、区立台東病院、町立八丈病院、九段坂病院、済生会向島病院、東京大学医科研附属病院、奥多摩病院、東京城東病院、村山医療センターが含まれています。いずれも専門分野や地域でかけがえのない役割を果たしている病院です。医療切り捨てという点では、小池都政も同じです。8つの都立病院と、都立に準ずる6つの公社病院のすべてを「独立行政法人化」(独法化)し、行政が責任をはたすべき不採算医療を切り捨てていく政策を、強引に推進しようとしています。自民、公明、都ファがこれを後押ししています。コロナ病床の確保が切実に求められているときに、統廃合や独法化を進めるというのは、とんでもない逆行ではないでしょうか。
都民のみなさん / コロナ危機打開のための日本共産党の提案は、多くの科学者の知見とも、医療や営業の現場の声とも、内外の世論とも合致する、緊急で不可欠のものです。都民の声を菅政権と小池都政に突き付け、一刻も早く実現させようではありませんか。そのためにも、日本共産党を伸ばしてくださるよう、心からお願いいたします。
菅・自公政権の腐敗・強権・冷酷政治に、都議選で審判を
コロナ禍から国民の命と暮らしを守るために政治が全力をあげなければならないときに、菅・自公政権は、無為無策で後手後手です。その一方で、何をやっているでしょうか。菅首相の長男もかかわった接待疑惑の究明に背を向け、ウソと忖度をはびこらせ、政治モラルを崩壊させました。「森友・加計」「桜を見る会」疑惑などの政治の私物化は未解明です。金権腐敗体質は、4月の3つの国政選挙(衆院北海道2区と参院長野選挙区の補欠選挙、参院広島選挙区の再選挙)で、きびしい審判を受けました。一方、菅政権と自民党、公明党は、75歳以上の高齢者370万人の医療費窓口負担を2倍に引き上げる法案を強行しました。コロナによる受診控えが問題になっているなかで、追い打ちをかけるとは、あまりに冷たい政治です。さらに菅政権と自民党、公明党は、憲法改定手続きを定めた国民投票法改定案を強行して、9条を改悪し、日本をアメリカと肩を並べて「戦争する国」に変える道へ、踏み出そうとしています。彼らがコロナ危機にかこつけて導入しようとしている「緊急事態条項」は、憲法を停止し独裁国家をつくる恐るべき内容です。こんな政治を、続けさせてはなりません。きたる都議会議員選挙では、首都東京から、金権腐敗、強権的で冷酷な菅・自公政権に、きびしい審判を下しましょう。
首都・東京の政治決戦は、日本の政治の行方を大きく左右します / 2013年の都議選での日本共産党躍進は、直後の参議院選挙に波及して連続躍進となり、14年の総選挙での躍進につながりました。こうした一連の躍進を土台に、日本共産党は15年の安保法制=戦争法反対のたたかいのなかで、立憲主義を取り戻す野党の連合政権を提唱し、選挙協力、国会での共闘を、実際に発展させることができました。その意味で、13年の都議選躍進は、「市民と野党の共闘」への道を開く歴史的な勝利だったといえます。
都民のみなさん / 来る都議選で、都議会野党第1党の日本共産党を、前回、前々回に続いて、三たび躍進させてください。そして、市民と野党の共闘を発展させ、続く総選挙で、政権交代を実現し、新しい政権ー野党連合政権をつくろうではありませんか。
4つのチェンジで、安心と希望の新しい政治を東京から
日本共産党東京都委員会は、東京都政については、次の「4つのチェンジ」で、安心と希望の新しい政治を東京からつくろう、と呼びかけます。
   (1)医療・介護・障害福祉・保育――「ケア」に手厚い東京を
第一のチェンジは、コロナ危機で浮き彫りになった都政のゆがみをただし、医療・介護・障害福祉・保育など「ケア」に手厚い東京をつくろうということです。
都立・公社病院の「独立行政法人化」――感染症医療など不採算の部門は切り捨てられる / これまでの都政は、どうだったでしょう。都立病院を16カ所から8カ所に半分にしてしまいました。保健所も71カ所から31カ所に、半分以下に減らされてしまいました。その結果が、現在の医療と保健所の逼迫・疲弊です。医療と公衆衛生をないがしろにしてきた都政のゆがみが、コロナで噴き出しています。その時に、いま小池都政がやろうとしていることは、都立病院、公社病院の「独立行政法人化」です。都立病院は感染症医療、災害医療、難病医療、小児特殊医療、周産期医療、救急医療、障害者医療、島しょ医療などの行政的医療を基本的役割としています。たとえ不採算であっても都民の命を守るために必要な医療をしっかり提供するというのが、都立病院の役割です。それを「独立行政法人化」する目的は、都から都立病院への財政支出約400億円、公社への約100億円を削ることです。そうなれば不採算の部門は切り捨てられ、行政的医療は提供できなくなってしまいます。人手もコストもかかるコロナ対応は、不採算の部門として真っ先に切り捨てられてしまいます。いま、すべての都立・公社病院がコロナ患者を受け入れています。都はコロナ対応の病床を約5千600床確保したとし、そのうちの2千床は都立・公社病院です。東京におけるコロナ対応病床の4割近くを担い、都民の命綱となっているのが、都立・公社病院です。
「医療ツーリズム」――海外の富裕層のために医療資源を優先的に振り向ける / 「独法化」によって「稼ぎ」の悪い医療分野を切り捨てて、「稼ぎ」の良い分野に集中する。その行き着く先が「医療ツーリズム」(医療観光)です。都が「独法化」後の都の医療を検討した文書には、「外国人受け入れ態勢の強化により東京の稼ぐ力を牽引」、「医療ツーリズムへの対応」と書いてあります。 日本を訪れる外国人富裕層向けの医療です。都民の命を守る行政的医療を切り捨てる一方で、海外の富裕層のための医療に力を入れるとは、邪道中の邪道ではないでしょうか。自民、公明、都民ファーストは、都立病院「独法化」に反対する都民の請願を不採択にし、「独法化」を推進しています。日本共産党の躍進で、「独法化」中止、都立・公社病院拡充をかちとろうではありませんか。減らされてきた保健所の常勤職員を増やし、保健所の増設をはかりましょう。
コロナ禍の教訓を活かし、「ケア」に手厚い東京へチェンジを! / コロナ危機は、社会的・経済的立場の弱い人たちを、より困難にし、貧困と格差を広げています。中小・零細企業の廃業・倒産、非正規雇用労働者の失業、女性の自殺の増加など、深刻な被害をもたらしています。感染症の流行や災害が起こったとき、国民の生命と財産・くらしを守ること、さらに、日ごろからこうした事態を深刻化させない仕組みを整えておくこと、誰もが取り残されることなく健康で文化的な生活を送ることができるように支えること、それが政治の役割です。子育て支援、教育、高齢者や障がい者の福祉、生活支援など、ケアに手厚い政治。雇用と営業をしっかりささえる政治。災害から都民の安全を守る政治。こうした方向へ、都政を進めていきます。
   (2)「稼ぐ東京」=大企業のもうけ第一の都政から、福祉と暮らし第一の都政に
第二のチェンジは、「稼ぐ東京」の名による大企業のもうけ第一の都政から、福祉と暮らし第一の都政に、切り替えることです。小池知事は、昨年9月、2期目の所信表明演説で、「稼ぐ東京」を「東京大改革の第一の柱」にすると宣言しました。「稼ぐ」といっても都民の「稼ぎ」ではなく、大企業の「稼ぎ」を応援し、多国籍企業を東京に誘致する話です。東京都は、羽田の新ルート、東京外かく環状道路(外環道)をあげています。
羽田新ルート――「五輪」「外国人観光客」のためという理屈は成り立たない / 昨年3月から、住宅と都市機能が密集する都心部の上空を超低空で飛行する羽田新飛行ルートの本格運航が始まりました。「家の中で窓を閉めていても響くごう音で心が休まらない」、「お庭で遊んでいた園児が騒音におびえて泣きだした」、「落下物が不安」など、怒りと不安の声が広がっています。小池知事は新ルート計画を了承し、自民、公明、都民ファーストはこれを推進しました。しかし、この計画は破綻してしまっています。国土交通省は、羽田新ルートは、「五輪のための羽田増便」、「外国人観光客呼び込み」のためだと説明しました。しかし、コロナで、そんな理屈はもはや成り立たなくなっています。危険きわまる羽田新ルートは撤回させましょう。
東京外環道――「地上への影響は生じない」との言い訳が崩壊した / 東京外環道は、工事の開始時には事業費が1メートル1億円でした。現在、練馬―世田谷区間の工事を強行していますが、難工事で2兆3500億円に膨らみ、1メートル1.5億円にのぼります。小池都知事と自民、公明、都民ファーストは、羽田空港までの延長を求めています。そのようなことをすれば、整備費はさらに3兆円もかかります。コロナのもと、巨大道路だけは別会計でお金を注ぎ続けていいでしょうか。問題は巨額の費用だけではありません。昨年10月、調布市の住宅街で道路陥没が起こり、地下空洞も相次いで発見されました。住民の命にかかわる深刻な事態です。政府の有識者会議は、外環道の地下トンネル工事が陥没の原因である可能性が高いと認めました。外環道の地下トンネル工事は、「40メートル以下の深い地下での工事は住民の同意なく行える」とする大深度地下使用法にもとづいて進められてきました。この法律に対し、日本共産党は「たとえ大深度でも住民の生命に損害を及ぼす恐れがある」と強く反対しました。都議会でも、国内外の各地で地下トンネル工事によって地盤沈下や陥没事故が生じたことを示して、建設中止を要求しました。政府は「地上への影響は生じない」と言い張って外環道の工事を進めてきましたが、道路陥没とともにこの言い訳は崩壊しました。その大深度法でさえ、国と都道府県に、安全確保、地盤状況の情報収集・提供などを求める規定があり、外環道建設はこれに照らしても違法工事です。きっぱり中止し、お金があるならコロナ対策に充てよーこの声を日本共産党に託してください。
カジノ誘致――世界で廃れつつあるカジノを成長戦略にすえる愚かな政治 / 東京都は石原都政の「お台場にカジノを」の構想いらい、カジノ誘致に延々と「調査・研究」費を投じ続け、自民、公明、都民ファーストはその旗振りをやってきました。しかし、コロナで世界中のカジノは閉鎖と撤退に追い込まれています。北海道は断念、千葉市も見送りを決め、横浜と大阪では大反対運動が起こっています。世界でも国内でも廃れつつあるカジノを、この期に及んで「成長戦略」に据えるほど愚かな政治はありません。日本共産党の躍進で、「カジノはいらない」というきっぱりとした審判を下しましょう。
都民の暮らし・福祉おきざりから、自治体本来の役割「住民福祉の増進」へのチェンジを! / 小池都政の「稼ぐ東京」は、すでに破綻が明らかなものばかりです。そもそも自治体の仕事は、大企業の「稼ぎ」の応援ではありません。「住民福祉の増進」こそ、自治体の仕事です。小池・自公ファ都政は、この肝心な仕事を置き去りにしているのです。大型開発のほとんどは、コロナ危機のもとで不要不急の事業ですが、今年度予算でも、大型開発優先が続いています。外環道、まちの分断・立ち退きなど住民の反対がつよい特定整備路線などの大型幹線道路建設だけでも、900億円もの巨額が計上されています。一方で、小池都政は、認可保育園などの「保育サービス」整備目標を、これまでの年間2万1000人分から、2020年度からの計画案では1万4000人に引き下げてしまいました。認可保育園増設の予算は、20年度には10億円減、今年度はさらに40億円もの大幅減です。自民、公明、都民ファーストも、認可保育園を増やすことを求める都民の請願に、くりかえし反対してきました。東京の特別養護老人ホームの待機者は3万人と高止まりしており、特養ホーム、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホームなどの介護施設の高齢者人口あたりの定員数は、東京がいずれも全国最低水準です。ところが今年度予算では、これらの介護施設と障害者(児)施設の整備予算が、のきなみ大幅減額です。都営住宅は超高倍率にもかかわらず、石原都政以来22年間、新規建設ゼロが続いています。高すぎる国民健康保険料(税)の負担軽減を求める都民の声に対して、自民、公明、都ファは背を向け、値上げに賛成しています。子どもの均等割の負担軽減のための財政支出は、区長会も市長会も全国知事会も求めていることですが、都議会の自民党は「税金で賄えるというのは無責任のそしりを逃れられず制度を破壊する行為」(19年11月29日の厚生委員会)と、口を極めて非難する有様です。もう、こんな都政はチェンジしましょう。日本共産党は、外環道などの巨大開発の無駄遣いにメスを入れ、義務教育の学校給食費の無料化、高すぎる国民健康保険料(税)の引き下げ、補聴器購入への補助、都営住宅増設など「住民福祉の増進」という自治体本来の仕事に力を注ぐ都政をつくるために、全力をあげます。
   (3)ジェンダー平等を進め、個人の尊厳を大切にする東京を
第三のチェンジは、ジェンダー平等を進め、個人の尊厳を大切にする東京をつくることです。コロナ危機のもと、非正規で働く多くの女性が、困窮に陥っています。DVや虐待が深刻化しています。「ジェンダー不平等・日本」の矛盾が噴き出しています。日本のジェンダーギャップ指数は、世界156カ国中120位、先進国(G7)では最悪(2021年度、世界経済フォーラム調査)、まさに「ジェンダー後進国」です。こうしたなかで、ジェンダー平等を求めるうねりが巻き起こっています。多くの女性が自らの経験と重ね合わせて声をあげ、社会を大きく動かしています。
都議会の政党と議員が問われています――女性比率72%の共産党都議団、いっそうの努力を / 都政では、石原慎太郎知事時代に女性蔑視発言が繰り返され、自民党都議による性教育への攻撃もおこなわれました。2014年には、質問中の女性議員に対し自民都議が「早く結婚した方がいい」とセクハラやじを飛ばし、大問題になりました。現在、自民党都議の全員が「日本会議」の地方議員団体の会員です。「日本会議」は選択的夫婦別姓に反対して署名運動までおこなっている団体です。戦前の日本と侵略戦争を賛美し、日本国憲法を敵視している勢力です。大切な都政をまかせるわけにはいきません。日本共産党は「ジェンダー平等社会をつくる」ことを党の綱領に明記している党です。共産党都議団は、現在18人中13人が女性議員、72%で、都議会の主要政党の中で抜群の高さです。個人の尊厳を大切にする新しい東京をつくるために、さらに自己研鑽を重ね、役割を発揮していく決意です。
「ジェンダー平等推進局」の設置、憲法の人権保障をすべての都民に! / 日本共産党は、都政の中にジェンダー平等を推進する体制を確立・強化し、女性相談事業、DVや性犯罪からの救援などを拡充します。都として「選択的夫婦別姓制度」を国に求めます。「パートナーシップ制度」を都として実施します。ジェンダー平等社会をつくることは、誰もが個人として尊重され、多様性が尊重される社会をつくることに通じます。共産党都議団は都議会での議論を通じて、都の「人権条例」を、憲法の遵守と「憲法の人権の理念にもとづいて」の文言を含む条例、すべての人の性的指向・性自認に由来する差別を許さない条例へと、充実させることができました。具体化・実質化は、これからの課題です。日本共産党は、ひきつづき、日本国憲法の平和と民主主義、基本的人権の条項が都政のあらゆる場面で全面的に実施されるよう、全力をあげます。子どもの権利を守り、すべての子どもを尊重する教育を実現させます。文化・芸術、スポーツを、人間が生きていくのに必要不可欠なものとして大事にする東京をめざします。東京に住むすべての外国人の人権を守ります。ご一緒に力を合わせましょう。
   (4)オスプレイ、低空飛行――米軍の無法やめさせ、平和な東京をつくろう
第四のチェンジは、平和な東京をつくることです。首都の空を、米軍機がわがもの顔で飛び回っている状態を、なくさなければなりません。
オスプレイ――横田基地が特殊作戦の出撃拠点に / 2018年、米軍横田基地に米空軍のオスプレイが5機配備され、さらに10機に増やされようとしています。米空軍のオスプレイは、敵地に低空で侵入する特殊作戦を任務としているため、基地周辺では夜間の飛行訓練が急増し、危険なパラシュート降下訓練も行われています。機体に備えられた機関銃の銃口を市民に向けたままの飛行を繰り返しています。
米軍機の低空飛行――都心上空を米軍が勝手に訓練空域に / 米軍ヘリコプターによる都心上空での低空飛行が常態化しています。東京都庁45階の展望台からほぼ水平方向に撮影された写真によって、約200メートルの高さで飛んでいることがわかります。日本の航空法は、住宅密集地では300メートル以上の飛行を義務づけているのに、米軍機はお構いなしです。日米地位協定によって航空法の適用を除外されているからです。しかも、米軍が都心上空を訓練空域に設定していたことが、米軍資料で明らかになりました。日本政府は抗議一つしようとしません。こんな姿勢で独立国と言えるでしょうか。小池都知事の姿勢も同じです。共産党都議団が低空飛行の事実を突き付けても、「安全保障は国の専管事項」と繰り返すだけです。都庁の目の前で繰り広げられている米軍機の無法に対して、知らんふりを決め込んでいるようでは、知事失格ではないでしょうか。
独立国といえる日本・東京を。「憲法9条、平和を守れ!」の声を! / 横田基地が「空輸拠点」に加え「特殊作戦の出撃拠点」にされるのを許すわけにはいきません。オスプレイは、沖縄にも首都圏にも、日本の空のどこにもいらない。この声を広げようではありませんか。米軍機の無法な低空訓練はやめさせましょう。米軍に異常な特権を与えている日米地位協定を抜本改正させましょう。日本共産党は、「アメリカ言いなり」政治の大本にある日米安保条約を廃棄して、対等・平等の立場に立った日米友好条約を結び、本当の独立国といえる日本をつくることをめざしている党です。戦前・戦後ひとすじに反戦平和を貫いてきた党です。「憲法9条、平和を守れ!」ーこの声を日本共産党に託してください。
都民のために働く都議会へ、民主的で活力ある議会運営に力を尽くす / 都議会が都民の代表機関として、積極的役割を発揮することが、いまこそ求められています。共産党都議団は、とくにコロナ危機が重大化している昨年から今年にかけて、臨時都議会の開催、会期延長、閉会中審査、特別委員会設置などの要求・提案を、他の会派とも共同でくりかえしてきました。小池都知事が、都民の権利と利益に直接かかわる条例改正や補正予算を「専決処分」で決めるという、議会軽視、非民主的都政運営をくりかえしているもとで、都議会と政党の側が、議会の積極的な役割発揮と民主的運営に努めることが、いっそう重要になっています。日本共産党は、この立場でひきつづき力を尽くします。
本当の対決構図は、“日本共産党対自民・公明・都民ファースト”
こんどの都議選の対決構図は明瞭です。一部メディアは、「自民・公明対都民ファースト」といいますが、どの問題をとっても、自民、公明、都民ファーストの間には政治的立場の違いはありません。そろって小池都政を推進してきました。本当の対決の構図は、“日本共産党対自民・公明・都民ファースト”です。日本共産党の躍進で、自民、公明、都民ファーストに厳しい審判を下し、安心と希望の新しい都政をつくろうではありませんか。
2.都政を動かしてきた野党第一党・共産党都議団
国会100議席相当の都議会野党第1党として都政を動かしてきました / 日本共産党は、前々回2013年の都議選で8人から17人当選へ、前回17年は19人当選へと、連続躍進をかちとらせていただきました。現在18議席、国会(衆議院+参議院)でいえば100議席にあたる力を持つ、都議会野党第1党です。この力で、都民のみなさんの運動と力をあわせて、たくさんの成果をあげてきました。
ダントツの条例提案、質問回数 / 都民の切実な声や実態、綿密な調査・研究などにもとづく議会質問や、条例提案、文書質問などを重ねてきました。条例提案は、17年都議選以降だけでも28回(17年7月〜21年3月)で、年4回の定例議会にほぼ毎回提出しており、提出数は都議会のすべての会派の中でダントツです。他会派との共同提案も意欲的に追求しています。おもな条例案には、学校給食費助成条例、シルバーパス条例改正、18歳までの子ども医療費助成条例、学校体育館クーラー設置条例、マタニティパス交付条例、国民健康保険子ども均等割保険料ゼロ円条例、私立高校入学金無料化条例などで、都民の切実な要求を実現するためのものです。いずれも自民党、公明党、都民ファーストの会などの反対で否決されていますが、その後の都の施策に前向きの影響を与え、知事提案の条例や予算などの形で実現したものもあり、都政を動かしています。知事への予算要望、随時の申し入れ・政策提案にも積極的に取り組んでいます。質問回数は、前回都議選以降の17年第3回定例会から20年第4回定例会までの代表質問、一般質問と、20年第3回定例会までの文書質問の合計で、ベスト10の中に日本共産党の都議が6人入っており、ダントツの最多会派となっています(Yahooニュース21年2月17日付に掲載された高橋亮平氏(日本政治教育センター代表理事、メルカリ社長室政策企画参事)の集計から)。
財源も示して提案 / 共産党都議団は、これらの施策の財源も示して提案しています。都の予算規模は総額15兆円を超え、ノルウェーやスウェーデンの国家予算に匹敵します。この財政力を活かせば実現できます。共産党都議団は、予算組み替え動議を毎年提出し、今年度でいえば一般会計予算のわずか2.3パーセントの組み替え(不要不急の大型開発などを見直し、くらし・福祉・教育などの財源を確保する)で、77項目の都民の切実な願いに応えられることを現実的・具体的に示しています。こうした予算組み替え提案を毎年おこなっているのは、都議会では日本共産党だけです。
連続躍進で都政と都議会に画期的な変化をつくりだしてきた / 共産党都議団が連続躍進するもとで、1これまではなかなか動かなかったことを動かして都民の願いを実現し、2都政でとりあげられてこなかった問題にも光をあてて、都政と都議会に画期的な変化をつくりだしてきました。きたる都議選で日本共産党をさらに躍進させ、都民のみなさんの願いの実現へ、もっともっと働かせてください。
   (1)動かなかったことを動かして、都民の願い実現へ前進させました
認可保育園1.7倍化をもたらした日本共産党の都議選連続躍進 / 東京の認可保育園数は、1967年から79年の革新都政の12年間に838カ所増やしましたが、自公都政になりピッタリと増加が止まりました。認可保育園増設に冷淡な姿勢をとったからです。ある自民党議員は認可保育園増設を「おとぎ話」とののしりました。この状況を変えたのが、2013年都議選での日本共産党躍進でした。これ以降の7年間で1410カ所増、革新都政の時期を上回る認可保育園を増やしています。2013年の躍進で条例提案権を回復した共産党都議団がまず提出したのは、認可保育園をつくるときの土地代を補助する条例案でした。自民、公明は「パフォーマンス」と攻撃して否決しました。しかし、この条例案が契機になって、都政は認可保育園増設の方向にかじを切りました。一貫した共産党都議団のがんばりで、都の保育所予算は13年以降6倍になり、施設数は1.7倍になりました
すべての学校の体育館にエアコン設置の道が / 学校の教室にエアコンをつけることは、長年にわたり自民党などが「教育に無用」と反対してきたために阻まれていました。しかし、猛暑の激化と都民世論の高まり、日本共産党都議団のねばりづよい要求に押されて、普通教室から特別教室へと設置が進み、体育館への設置が課題となっていました。災害レベルの猛暑となった2018年7月、共産党都議団は、いちはやく都知事に対し、学校体育館の冷房化をはじめとする「熱中症対策に関する緊急申し入れ」を行い、同年9月の定例会に「小中学校体育館等の冷房化補助条例」を提案しました。代表質問でも補正予算を求め、次の定例会で可決されました。翌19年度の本予算にも計上され、エアコン設置が進んでいます。
公社住宅、都営住宅の修繕費の居住者負担軽減に風穴が / 東京都住宅供給公社住宅と都営住宅の居住者は、部屋の中の修繕費用のほとんどを自己負担させられてきました。共産党都議団は、居住者の負担軽減を一貫して求めてきました。2017年末から、公社の一般賃貸住宅の浴槽と風呂釜の修理・取り替えの費用が、居住者負担から公社負担に変えられました。これは、都が、浴室は家主負担だが浴槽は居住者負担だと区分けしていたのに対し、共産党都議団が「浴槽のない浴室などありえるのか」と追及したことから実現したものです。公社住宅の浴槽・風呂釜は、この4年間に5000件以上で新しいものに交換されました。19年度の大幅見直しでは、畳床、ふすまの骨組み、天井や壁の部分塗りかえ、ビニールクロスの部分張りかえが公社負担になり、居住者負担が34項目から11項目に減りました。さらに共産党都議団のねばりづよい要求によって、都営住宅についても20年度から、浴槽・風呂釜の都負担での取り替えが試行され、今年度も予算を増額して続いています。都営住宅の共用部分の電気代についても、居住者の負担軽減をかちとりました。
台風・水害など防災対策、安全・安心のまちづくりでも、都政を動かす / 共産党都議団は、2019年の台風被害、豪雨災害の現地調査にもとづく対策を7度にわたって都知事に申し入れ、議会でも提案してきました。長年にわたり国まかせで進まなかった荒川堤防の鉄道橋梁対策を、都を動かして始動させるなど、重要な前進がありました。今年度予算では、住宅耐震改修補助の上限額引き上げ、水害対策の河川監視カメラ設置、多摩河川の治水能力強化、東部低地帯における堤防・水門等の耐震・耐水対策などが増額され、避難所における感染症対策物資購入費補助が新設されました。デイタイム救急隊もふくめ救急車4台、救急隊員が24人増えました。利用者10万人未満の駅も含めたホームドアの整備促進を働きかけてきましたが、今年度予算で補助予算が1割増となり、都営浅草線のホームドア整備も推進されることになりました。
多摩地域の共産党都議1→4議席への躍進を背景に、格差解消の位置づけ高まる / 小池知事が「多摩格差ゼロ」の公約を投げ捨てるなかで、党都議団は多摩格差ゼロに向けてとりくんできました。市町村の一般財源を補完する市町村総合交付金は、2017年度に500億円から毎年増額し、2021年度には585億円まで増やすことができました。日本共産党の多摩地域選出の都議が、2009年当選1人から、13年当選2人、現在4人へと倍加していることが大きな力になっています。また、新型コロナ対策でも、100億円の交付金(東京都市町村新型コロナウイルス感染症緊急対策特別交付金/4月補正)を実現しました。これを財源にして、各自治体が独自の家賃補助や児童育成手当の増額など、施策を前進させました。
中小企業・小規模企業振興条例がついに制定 / 日本共産党が長年にわたり提起してきた中小・小規模企業振興の基本条例の制定が、ついに実現しました。党都議団が17年11月の委員会で「都道府県で条例がないのは東京、佐賀、高知の3都県だけ」と知事に迫り、ようやく18年第4回定例会に知事が提案したものです。その後の論戦を通じて、党都議団の提案も反映され、小規模企業支援にも活かせる条例になりました。翌年の予算で、地域金融機関による事業承継事業が新たに実施され、多摩地域での創業支援拠点の整備・運営も始まりました。
政務活動費の使途の改善ー都議の豪華海外「視察」おこなわせず。飲食への使用禁止をルール化 / 政務活動費は、都議会議員が都政の調査や政策立案などを遂行するために都民の税金から支給される大切な経費です。共産党都議団は、その使途の領収書を自主公開するとともに、適正化を他党に呼びかけ一貫して努力してきました。これが他党も動かし、飲食への使用禁止がルール化されました。また、自民党、公明党などの都議がくりかえしてきた「豪華海外旅行」というべき海外視察について、共産党都議団は実態を調査・告発し、中止・廃止をきびしく求めてきました。こうしたたたかいが広範な都民の世論と結んで力となり、海外視察は前回都議選以降は、1回もおこなわれていません。
   (2)都政でとりあげられてこなかった問題に光をあて、変化を起こしました
補聴器購入費助成を提案し実現 / 65歳以上の高齢者の半数は加齢性の難聴と推定され、聞こえにくくなってきたら補聴器をなるべく早く使い始めることが、生活の質を良くすると言われています。しかし、党都議団の調査によると、平均購入価格は27万円ときわめて高価です。党都議団は、この問題を「聞こえのバリアフリー」として重視し、2012年に「難聴者の支援に関する提言」を発表。19年3月の議会で、補聴器購入費助成など利用促進対策の拡充を提案し、都も「聞こえの支援など、高齢者を支える区市町村の取り組みを支援していく」と答弁しました。その後、都の補助制度(補助率1/2)が周知され、各区市町村の共産党議員団も積極的にとりくむなかで、高齢者への補聴器の支給や購入費補助をおこなう区市町村(単独補助、年齢制限ない自治体を含む)は、18年度の9区から21年度には14区1村に増えました。党都議団は、21年第1回定例会に、都の補助制度を拡充し、1台あたり(片耳)5万円、両耳で10万円を都が補助する補聴器購入費補助条例案を提出しました。自民、公明、都ファなどの反対で否決されましたが、ひきつづき実現をめざしています。
居場所のない若い女性への支援のとりくみが前進。痴漢被害の実態と対策を初めて全面的にとりあげる / 共産党都議団は、2016年第1回定例会で、虐待や生活困窮などで居場所のない女子中高生など若い女性が、街をさまよい、性的搾取の被害にあっている実態を、都議会としては初めて告発し、対策を訴えました。18年度から「若年被害女性等支援モデル事業」が開始され、今年度から本格実施となり、予算も3倍に増えています。また、日本共産党東京都委員会のジェンダー平等委員会は、昨年8月〜11月、痴漢の実態のアンケート活動にとりくみ、1435人から「生活範囲のすべてで何度も何度も何度も遭った」などの痛切な被害の状況が寄せられました。この調査結果をもとに、2月の都議会でこの問題を全面的にとりあげ、「痴漢ゼロの東京」をめざして都のとりくみの抜本的強化を求めました。この質問は大きな反響を呼び、週刊誌でも3ページにわたる特集記事が掲載されました(4月20日発売の『週刊女性』)。共産党都議団はインタビューの中で「痴漢は性暴力であり、性犯罪です。にもかかわらず、日本社会での扱いは軽く、日々加害がくり返されています」と訴えています。
校則問題ー高校生の運動とむすんで是正がすすむ / 共産党都議団は、多くの中学生、高校生らが疑問に感じている理不尽な校則の問題を、繰り返しとりあげてきました。都議会で、都立高校のツーブロックの髪形を禁止する校則や、髪の色が明るかったり、くせ毛などの場合の「地毛証明書」提出について問題提起しました。質問は、新聞やテレビ番組で大きく報道されました。質問の動画が650万回再生されるなどの大きな反響もありました。こうした追及のなかで、都教育委員会は、子どもの権利や意見を尊重することは「学校教育においても同様に重要」と答弁しました。「すべての教育活動は生徒の人権の尊重を基本として行う」「生来の頭髪を一律に黒染めするような指導は行わない」などの「通知」を出しました。改善への一歩前進です。共産党都議団の質問の動画を見た都立高校生が、学校と交渉して、ツーブロック禁止の校則をあらためさせるという動きが起こっています。高校生が主権者として、自らの権利を守る運動を起こしていることは、素晴らしいことです。2013年と17年の都議選で連続躍進させていただいた日本共産党都議団は、都民の願いを実現する大きな役割をはたしてきました。こんどの都議選で野党第一党の共産党の議席をさらに増やせば、いっそう多くの願いを実現することができます。そのために、ぜひお力を貸してください。
3.日本共産党の重点公約 ――都民を支えるあたたかい都政に
[1]科学にもとづきコロナを抑止
1今夏の五輪は中止しコロナ対策に集中 / ▽開催都市として、この夏の東京オリンピック・パラリンピック大会は中止を決断し、コロナ収束のために持てる力を集中するよう強く求めます。
21日20万件以上の大規模検査を実施 / ▽新型コロナの市中感染を抑えるためのPCRなどの検査を、「いつでも、だれでも、何度でも、無料で」受けられるようにします。繁華街や駅などに「検査スポット」を設置します。▽施設や学校・大学、職場、医療機関などのクラスター発生を抑えるための集中的・定期的な「社会的検査」を、大幅に増やします。▽1日最大9万7千件の都の検査能力をさらに強化し、1日20万件以上に引き上げます。▽感染が拡大している地域では、在勤者や在住者全員を対象にした集中的な検査を実施します。▽変異株検査は、陽性者の全数検査を実施します。▽「東京都健康安全研究センター(地方衛生研究所)」の検査体制を拡充し、多摩地域などに増設します。
3希望する都民全員への早期のワクチン接種を推進 / ▽ワクチン接種と、大規模検査などの感染抑止対策を、同時並行で進めます。▽希望する医療従事者と都民全員が早期にワクチンの2回接種を受けることができるよう、情報の開示と周知、ワクチン確保、接種体制を強化します。▽伊豆諸島の各町村および小笠原村においては、高齢者だけでなく全住民を対象にしたワクチン接種を一斉におこないます。限られた医療従事者しかいない離島の町村のために、臨時の接種体制を都として確保します。▽国内のワクチン開発を支援します。
4医療機関・従事者への支援を強化しコロナ病床を確保 / ▽都内医療機関の減収を補うための財政支援、医療従事者に対する慰労金や手当を拡充・増額し、コロナ患者を受け入れていない医療機関・従事者も対象にします。▽コロナ病床確保の補助金を増額・拡充し、コロナ患者を受け入れる医療機関・医療従事者への支援を強化します。▽病床削減政策を転換し、地域医療の充実に必要な病院を増設します。
[2]コロナ危機から都民のくらしを守る
1中小企業・小規模事業者への十分な補償にむけ支援を強化 / ▽全国の倒産件数の4分の1が東京です。コロナ危機による営業損失は事業者の自己責任ではありません。直接・間接の影響を受けているすべての事業者への十分な補償にむけ支援を強化します。▽都の協力金は、対象事業者をひろげ、日割でも実施するよう改善し、増額・拡充します。手続きを簡素化し、迅速に支給できるようにします。▽営業が継続できるよう支援する「中小企業応援金」や、「家賃支援給付金」を、都独自に実施します。▽コロナ対策緊急融資の返済猶予期間を延長します。▽コロナ対策、誘客促進のための「商店リフォーム助成」を実施します。▽「ものづくり」事業者の事業継続への支援を強化します。▽「中小企業・小規模企業振興条例」をコロナ対策に生かします。
2雇用を守る / ▽都内のコロナ失業者が2万人を超えました。失業者を生まない雇用対策として、中小企業・小規模事業者の社会保険料雇用者負担への助成を実施します。▽「雇用調整助成金」を都独自に拡充します。前倒し貸し付けを行います。▽失業者、非正規雇用労働者等に対する職業訓練を、抜本的に拡充します。▽都の最低賃金を、時給1500円に速やかに引き上げるよう求めます。東京都と契約関係にある労働者には時給1500円以上にします。▽東京都との契約関係にある労働者の待遇を保障する、「公契約条例」を制定します。
3生活困窮者、ひとり親家庭や学生への支援を強化 / ▽生活困窮者への「定額給付金」を都独自に実施します。▽生活保護制度の活用を推進します。生活保護申請の「扶養照会」は本人の同意なしには行いません。▽ひとり親家庭に対する「児童育成手当」を増額します。▽ひとり親家庭に対する食料支援を、昨年度に続き再度行い、拡充します。学生に対する食料支援を都として実施します。▽食料支援に取り組む団体を支援します。▽都内の大学等で学ぶ学生への、1人3万円の「学生応援給付金」を実施します。▽都立大学の学費を半額にします。▽「若者・学生政策推進局」を設置します。▽大学等や各地の若者サポートステーション等と連携して、オンライン授業の長期化などにともなう心身の健康や生活の相談体制を強化します。
[3]貧困・格差を是正し、ケアに手厚い東京に
1都立・公社病院の「独立行政法人化」を中止 / ▽都立病院・公社病院に対する都の財政支援を削減し、感染症や救急医療など不採算の行政的医療の後退、経営効率・収益重視の「儲ける医療」につながる「独立行政法人化」を中止します。▽都立病院は直営で拡充します。▽公社病院は都立直営に移行することをふくめ、地域住民の意見も聞いて都が責任をもって拡充します。▽多摩地域に不足しているNICUや産科を、「多摩北部医療センター」に設置します。
2保健所を増設・拡充 / ▽多摩地域の都の保健所を、段階的に現在の5カ所から15カ所へ、3倍に増やします。▽感染経路の調査、療養者への相談支援等が十分に行えるよう、保健師、トレーサーなどの体制を拡充します。▽23区の保健所への都の支援を強化します。▽「公衆衛生医師」の不足打開へ、養成・確保を強化します。
3誰ひとり取り残さない――高齢者や障害者を大事にする東京、生きづらさに寄り添う東京に / ▽高齢者の補聴器購入費への助成制度を実施します。▽シルバーパスは1000円パスに加え3000円パスを発行し、費用負担を軽減します。東京メトロ、多摩都市モノレールや都県境を越えるバス路線など利用できる交通機関を拡大します。多摩都市モノレールの通学定期を値下げします。▽コミュニティバスをはじめ、地域公共交通への支援を拡充します。▽都内区市のすべての鉄道駅にホームドアを整備し、「ホーム転落事故ゼロ」をめざします。▽鉄道駅へのエレベータ・エスカレータの設置を促進します。▽「踏切ゼロ」を推進します。▽信号機を増やし、安心して歩ける道・まちづくりを進めます。▽高齢者の肺炎球菌ワクチン接種費用を無料化します。▽「孤独死ゼロ」をめざします。▽障害者医療費助成の対象者を、軽度の知的・精神・身体障害者にひろげます。▽心身障害者福祉手当の対象者を、精神障害者、難病患者にひろげます。▽息の長いひきこもり支援、居場所支援を進めます。▽自殺総合対策を抜本的に強化します。
4子どもの貧困対策・子育て支援を強化 / ▽「妊婦健診・出産費用」、「国民健康保険料(税)の子どもの均等割」、「保育園の第2子の保育料」、「小中学校の給食費」、「18歳までの医療費」を無料化します。▽私立高校の入学金、施設費など授業料以外の負担軽減を進めます。
5待機児童・特養ホーム待機者ゼロへ、保育・介護を充実 / ▽「隠れ待機児童」も含めた待機児童ゼロへ、4年間で7万人分の認可保育園・公立保育園を増設するとともに、保育の質の充実を進めます。▽園庭のある保育園を増やします。▽特別養護老人ホームの待機者ゼロへ、用地費助成を実施し、4年間で1万人分増設します。▽「ケアラー支援条例」を制定します。「ヤングケアラーへの支援のあり方検討会」を設置し、教育・相談などの総合的支援策を検討し具体化します。▽介護職員、保育士、障害者施設職員の賃金引き上げのため、都の補助を拡充します。
6住まいの確保を、都民の権利として保障 / ▽都営住宅を、4年間で2万戸増設します。▽UR住宅や民間賃貸住宅を活用した「借り上げ都営住宅」をつくります。▽「住居確保支援給付金」を、都独自に、支給期間の制限撤廃、支給上限額の引き上げなど拡充し、継続して実施します。▽住宅に困窮している人や若者を対象に、最大月3万円の家賃助成を行います。
7がん患者への支援を強化 / ▽「がん対策推進条例」を制定します。▽がん患者の就労支援を強化します。▽AYA世代の専用病床を増やし、相談支援事業を実施します。
8たばこによる健康被害から都民を守る / ▽「受動喫煙防止条例」を改正し、屋内全面禁煙化を促進します。受動喫煙防止対策に取り組む事業者への支援を強化します。▽禁煙治療への都の補助を拡充します。
9多摩格差解消、多摩・島しょ振興を推進 / ▽「多摩格差解消」を都政の重点課題に位置づけて、取り組みを強化します。▽「市町村総合交付金」の増額・拡充をはじめ、市町村に対する財政支援を強化します。▽島しょの住民が、島しょ地域外の医療機関に通院するためにかかる交通費・宿泊費等に対する補助を行います。
[4]大企業のもうけ優先の政策を転換し、持続可能な東京に
1不要不急の大型開発などの見直しで、福祉・くらしの財源を確保 / ▽住民の反対の強い「都市計画道路」をはじめ、不要不急の大型開発を思い切って見直します。▽日本共産党都議団として「予算組み替え提案」を毎年行い、福祉・くらし充実のための具体的な財源対策を、都民のみなさんに示します。
2「3つの大問題」をきっぱり中止 / ▽大型旅客機が都心上空を低空飛行する「羽田新ルート」を中止します。▽重大な陥没・空洞事故を起こした、東京外かく環状道路(外環)の工事を中止します。東名以南への延伸の検討も中止します。▽カジノ・IR誘致の検討を中止します。
3上下水道は直営を守る / ▽都民のライフラインである上下水道は直営を守り、民間委託拡大や民営化に反対します。
4温室効果ガス排出ゼロの東京を、2050年までに実現 / ▽温室効果ガスの排出量を増加させる巨大ビル建設を中止します。▽温室効果ガス排出量の多い大企業に対し、都独自に「炭素税」を超過課税します。▽都有施設は率先して、温室効果ガス排出ゼロを実現します。▽住宅の太陽光発電設置、しゃ熱性能向上に対する助成制度を拡充します。
5首都直下地震、激じん化する風水害から都民の生命・財産を守る / ▽住宅耐震改修助成を、使いやすく、都民と区市の費用負担が軽い制度に拡充します。▽震災時の「通電火災」を防止するため、住宅への「感震ブレーカー」を無料で設置できるよう全額助成します。▽震災時の延焼防止を口実にして大型道路を建設する「特定整備路線」は、住民参加で中止を含め抜本的に見直します。▽「無電柱化」を促進します。▽多摩川や荒川などの堤防を補強し、「河川監視カメラ」を増設します。▽河川の「しゅんせつ」を、定期的計画的に実施します。▽行政の防災無線を室内で聞くことができる「戸別受信機」(防災ラジオ)を、無料交付します。▽災害時の避難所の数を大幅に増やすとともに、一人あたり面積、あたたかい食事提供など人間としての尊厳を守ることができるよう、国際的な「スフィア基準」にもとづいて質の充実を進めます。▽障害者や介護を必要とする高齢者が身近な地域で、適切なケアを受けて避難できるよう「福祉避難所」を増設・拡充します。▽ペットと同行して避難できる環境整備を進めます。
6都市農業を振興し、生産緑地を保全 / ▽東京農業の新たな担い手を育成する「東京農業アカデミー」を拡充し、現在の定員5人を、段階的に増やします。▽農地・生産緑地の保全事業を拡充します。「体験型農園」を支援します。▽地元農産物を使った学校給食への支援を強化します。▽農産物を加工して農家の収益を増やす「6次産業化」支援を拡充します。
[5]ジェンダー平等を推進し、多様性と個人の尊厳を大事にする東京に
1ジェンダー平等を、全庁をあげて推進 / ▽「ジェンダー平等推進局」を設置します。▽東京都の女性管理職の割合を、50%をめざし計画的に引き上げます。▽婦人相談員(女性相談員)の処遇を改善して増員し、女性相談事業を拡充します。婦人保護施設を利用しやすくします。▽「DV相談支援センター」を増やし、体制を強化します。▽「若年被害女性等支援事業」を拡充します。▽生理用品の無償配布をはじめ、「生理の貧困」をなくす総合対策を実施します。▽「選択的夫婦別姓制度」の実現を、国に求めます。
2性犯罪被害者支援を強化し性犯罪を根絶 / ▽性犯罪被害者支援の「ワンストップ支援センター」を体制強化します。▽「痴漢ゼロの東京」をめざして、都の対策を強化します。▽都営新宿線以外の都営地下鉄にも女性専用車両を導入します。
3性に関する人権と健康を保障し、性の多様性を尊重 / ▽「パートナーシップ制度」を都として実施します。▽国際的な到達点を踏まえた性教育の充実を進めます。
4子どもの権利を守り、児童虐待対策を強化 / ▽児童福祉司・児童心理司を増やし、児童相談所の体制を強化します。▽特別区の児童相談所への支援を強化し、多摩地域に都の児童相談所を増やします。▽児童養護施設、里親制度などの社会的養護の整備・拡充を進めます。▽「こども基本条例」をよりよいものにするため、3年後に、子どもの意見を聞いて見直します。▽「子ども食堂」への支援を強化します。
5すべての子どもを尊重する教育に / ▽小中学校の35人学級を、国制度を前倒しにして全学年で実施し、さらに都独自に30人学級を推進します。▽頭髪や服装をはじめとする不合理な校則の見直しを、子どもの権利保障の立場から、生徒の参加で進めることを呼びかけます。▽夜間定時制高校の廃止計画を中止し、拡充します。▽特別支援学校を増設し、教室不足を解消するとともに、大規模すぎる学校をなくし、障害児の教育保障を強化します。▽小中学校の特別支援学級、特別支援教室への支援を強化します。▽夜間中学や、外国籍の子どもを対象とする日本語学級を増やします。▽学校体育館へのエアコン設置、学校のトイレの洋式化を促進します。▽不登校の子どもたちの居場所を支援します。
6文化・芸術、スポーツを大事にする東京に / ▽「アートにエールを!東京プロジェクト」を発展させ、「使途を問わない(前提条件を付けない)特別給付制度」を実施するなど、フリーランスの個人をふくめた文化・芸術関係者・団体への支援を強化します。▽稽古場や道具を保管する倉庫などの固定費への支援をはじめ、文化・芸術にたずさわる幅広い方への支援を実施します。▽「文化芸術復興基金」を都として創設します。▽若者の美術館入館料を無料や半額にします。学校での文化芸術鑑賞を充実させます。▽障害のある・なしにかかわらず利用できる公立スポーツ施設を増やします。▽「スポーツ振興条例」を制定します。
7ヘイトスピーチを根絶 / ▽都の「人権条例」にもとづくヘイトスピーチ規制の執行状況を検証し、より実効性が確保できるよう、必要な見直しを行います。
[6]米軍の無法をやめさせ、平和な東京に
1横田基地など都内8カ所の米軍基地の撤去を推進 / ▽横田基地に配備されたオスプレイと特殊作戦部隊の撤去を求めます。オスプレイと特殊作戦部隊の増強は認めません。▽米軍ヘリの都心上空などの低空飛行は全面中止を求めます。特別区長会と連携して実態調査を行います。▽横田基地、赤坂プレスセンター、大和田通信基地、多摩サービス補助施設など都内8カ所の米軍基地の整理・縮小・撤去を進めます。
2憲法9条を守り活かし、平和を世界に発信 / ▽東京大空襲の惨禍と平和の大切さを次世代に伝える「平和祈念館」を設置します。▽都が収集し保管している東京大空襲の遺品、証言動画の公開を進めます。▽「東京都非核平和都市宣言」を行います。▽核兵器禁止条約の批准を国に求めます。
[7]自公・都ファによる古い議会を新しく―よく議論して決定する開かれた都議会に
1チェック機能と政策提案を強化 / ▽十分に議論して決定することができるよう、議会の開催日程を増やします。▽参考人質疑や公聴会を、積極的に活用します。▽「議員提出条例」や「委員会提出条例」を重視し、大事にします。
2「議会基本条例」を制定し、多様な意見を大事にする都議会に / ▽実効性のある「議会基本条例」を、すべての都議会議員と都民参加で、十分な議論をつくして制定します。▽議会運営委員会の理事会を公開します。▽知事と一問一答で質疑する「予算特別委員会」を常設にします。▽一人会派・少数会派の質問権の保障を強化します。▽請願・陳情の提出理由を、提出した人が議会で直接説明できるようにします。▽請願・陳情の採決結果、会派ごとの態度を公開するように改善します。▽子ども議会・若者学生議会を開きます。▽傍聴しやすい都議会に改善します。▽ネット中継を、より使いやすものに改善します。
3議会経費の節約を推進 / ▽都議会議員報酬の削減を今後も継続します。▽都議会の会派による多額の経費をかけた海外調査は、今後も中止します。
    以上  
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 

 

●東京・生活者ネットワーク
東京都で活動する地域政党・政治団体である。略称ネット、生ネ。また、頭の「東京・」が省かれた形である「生活者ネットワーク」、「生活者ネット」とも呼ばれる。東京都内の生活クラブ生活協同組合の代理人運動部門である。
1977年、東京都練馬区で生活者ネットの前身である「グループ生活者」が結成され、現在に至る。
市民の政治改革を目的におく生活者ネットの独自ルールの1つに、議員の「ローテーション」(交代)があり、所属議員の任期は原則2期、最長3期までと定めている。これにより特権化を防ぎ、広範囲に参加者を求めることを目的としている。ただこの「ローテーション」は必ずしも円滑に機能してはおらず、選挙前に現職が離党して再度立候補し当選する一方で、公認候補が落選する例も出ている。
基本方針・路線は神奈川ネットワーク運動などに類似する。国政では緑の党グリーンズジャパン・立憲民主党を支持する。かつては民主党を支持していたが2001年以降「非拘束名簿」が導入された比例区については、制度の改悪であるとして態度表明をしていない。 自治体議会では、立憲民主党や社民党と統一会派を組むこともある。世田谷区、小平市、武蔵野市などでは、区・市長与党的立場に立っている。
構成員は女性が中心で、所属都議会議員および区・市議会議員も全員が女性である。なお、各区・市の生活者ネットの支部組織はそれぞれ「○○・生活者ネットワーク」(○○の部分に区や市の名前が入る)と称する。現在議席を持っていない区や市においても、これらの支部組織が残っている場合もある。
沿革​
1977年、東京都練馬区で生活者ネットの前身であるグループ生活者が結成された。
1985年、都議選に挑戦した北多摩第2区(国立市・国分寺市・小金井市:当時)で、初の都議誕生。
1989年、東京都に食品安全条例を求める直接請求運動を市民団体とともに全都で展開。55万筆を集めた市民立法による条例案は否決されたが、これを機に東京都の食品安全行政は大きく前進。都の消費生活条例に「都民の権利」明記、食品安全対策基本指針の策定などを実現し、後の東京都食品安全条例(2004年制定)へとこぎつける牽引車の役割を果した。
1991年東京都知事選挙では都議会で会派を組む日本社会党の推薦候補大原光憲を支援したが供託金没収の憂き目となった。社会党都議団は同選挙で現職として再選した鈴木俊一と政策協定を結んだ。
1993年、政党内の右傾化に反発した福士敬子(杉並区議会議員)らが離脱し「自治市民'93」を結成(福士は1999年から都議)。
1995年東京都知事選挙では鈴木後継で与野党相乗りの石原信雄を社会党が推薦した事に反発、自主投票。都議会会派も独立。同選挙で当選した青島幸男とは比較的良好な関係だった。
1995年、第17回参議院議員通常選挙で初めて国政候補者への推薦・支持を表明。東京都選挙区の新党さきがけ新人中村敦夫と無所属(社会党推薦)新人鈴木喜久子を推薦、無所属新人で(数ヵ月後に市民リーグを結成し代表委員となる)海江田万里が擁立に尽力し二院クラブからも推薦された見城美枝子支持。
1996年、第41回衆議院議員総選挙で結党間もない民主党を支援。
1999年、元代表の上原公子が国立市長選挙で当選し、国立市長に就任。
1999年東京都知事選挙では(青島から後継指名を受ける)民主党都連初代会長鳩山邦夫を全面的に支援、生活者ネット前代表で前々年まで北多摩第2区選出都議を連続3期12年務めた池田敦子が副知事候補だった。同選挙で初当選した石原慎太郎が再選を目指す2003年東京都知事選挙では樋口恵子、2007年東京都知事選挙では浅野史郎と民主党系候補を支援。2004年狛江市長選では、自民などと相乗りで河西信美を推薦。
2007年4月、東京都知事選挙において浅野史郎を支援するも落選。都議会補欠選挙世田谷区選挙区において1議席獲得し、4議席となった。
2007年の第21回参議院議員通常選挙において、前代表である大河原雅子(元都議会議員)が民主党公認候補として、東京都選挙区から立候補しトップ当選。間接的に国政に議席を持つことになった。
2009年7月12日の東京都議会議員選挙では、選挙協力した民主党が躍進した煽りを受ける形で議席を減らし、2議席(他推薦で1議席)となった。
同年の第45回衆議院議員総選挙では、小選挙区17名・比例単独1名(石毛^子)の民主党公認候補に加え、民主党候補との選挙区調整で鞍替えした保坂展人(東京都第8区、重複立候補、社民党公認)と有田芳生(東京都第11区、重複立候補、新党日本公認)を推薦・支援した。しかし推薦した民主党小選挙区候補は東京17区早川久美子を除き全員勝利(早川は比例復活、石毛も当選)したのに対し、保坂・有田は小選挙区で敗北、比例でも所属政党が議席を得られず当選させる事は出来なかった。
2011年4月、東京都知事選挙は協力関係にある民主党が推薦候補者擁立を見送ったため自主投票。
2012年12月、第46回衆議院議員総選挙でも民主党を支援したが惨敗。同日投開票となった東京都知事選挙では宇都宮健児を支持するも落選。
2013年6月の東京都議会議員選挙では現職2名のほか新人1名が当選し3議席となった。
2013年7月の第23回参議院議員通常選挙において、緑の党グリーンズジャパンと政策協定を結び公認候補予定者2名を推薦することを決定した。推薦した候補予定者はいずれも緑の党グリーンズジャパン公認のすぐろ奈緒(全国比例)と田口まゆ(全国比例)である。また東京都選挙区では民主党の公認を取り消され無所属で立候補した大河原を支援した。いずれも落選した。
2014年1月、同年2月の東京都知事選挙については「脱原発」を掲げる候補が複数名名乗りを上げたため、前回の都知事選で支持した宇都宮健児を党としては支援せず、自主投票となった。しかし都議会議員3名は独自に細川護煕を支援した。両名とも落選した。
2017年7月の東京都議会議員選挙では、小池百合子都知事率いる都民ファーストの会と政策協定を締結し、生活者ネットの公認候補山内玲子(現職、北多摩第2選挙区)を都民ファーストが推薦することでも合意した。選挙では山内ら4名を擁立したが、都民ファーストが55議席を得て躍進する中で埋没し、山内のみの当選に留まった。当選した山内は日本共産党の支持も受けていた。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 
 

 

●都議選2021
東京都議会議員選挙2021 告示日6月25日/投票日7月4日
都議会の議員数と選挙区は?
地方議会の定数は、地方自治法の規定に基づき、各自治体の条例で決められている。現在の東京都議会の定数は127。選挙区は42。各選挙区の議員数は、最も少ない「1」の選挙区から、最も多い「8」の選挙区までさまざまだ。前回の選挙で、2増2減の定数是正が行われ、町田市と北多摩3で、それぞれ議員数が1増加した一方、中野区と北区でそれぞれ1削減された。さらに今回は、1増1減で、練馬区で1増加、大田区で1削減された。
複数の自治体で構成される選挙区の内訳は以下のとおり。西多摩(福生市、羽村市、あきる野市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町)、南多摩(多摩市、稲城市)、北多摩1(東村山市、東大和市、武蔵村山市)、北多摩2(国分寺市、国立市)、北多摩3(調布市、狛江市)、北多摩4(清瀬市、東久留米市)、島部(大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村)
選挙前の勢力は?焦点は?
6月15日現在の選挙前勢力は、都民45、自民25、公明23、共産18、立民8、維新1、ネット1、無所属5(欠員1)。今回の選挙は、前回、小池知事率いる都民ファーストの会と選挙協力した公明党が自民党と協力関係を復活。都民ファーストの会と自民党・公明党の勢力が争う構図となる。共産党や立憲民主党などの議席の行方も注目。
今回投票できるのは?
2016年の公職選挙法の改正で、選挙権が得られる年齢が、20歳から18歳に引き下げられた(2016年6月19日施行)。7月4日に投票が行われる今回の都議会議員選挙で投票できるのは、2003年7月5日生まれの人まで。なお、法律では、誕生日の前日に満年齢となるため、投票日の翌日が誕生日の人まで選挙権がある。都議会議員選挙については都内に3か月以上居住していることが条件となるため、都外から引っ越してきて間もない人は投票できないが、都内で転居した場合には以前の選挙区で投票できる場合もある。
都議選 なぜこの時期に?
多くの道府県議会の議員選挙は、「統一地方選挙」の1つとして、4年に1度、4月に行われている(前回は2019年4月)。しかし、都議会は、1965年(昭和40年)、当時の議員が絡んだ汚職事件を受けて任期途中で解散され、同年7月に選挙が行われた。その後はこの時期に選挙が行われている。都道府県の議会の解散は、このときの都議会が初めてだった。このほか、統一地方選挙から外れた時期に選挙が実施されている県議会は、茨城県(汚職事件を受けて解散)、沖縄県(日本への復帰に伴って実施)、それに東日本大震災の影響で実施時期が遅れた岩手県、宮城県、福島県。過去の都議会議員選挙では、その後行われた国政選挙の結果に大きな影響を与えたケースもある。最近の都議会議員選挙と、その年に行われた衆議院選挙、参議院選挙を振り返ってみた。
都議選の投票率 高い回は 低い回は
1947年(昭和22年)に行われた第1回の選挙から前回2017年(平成29年)の第19回の選挙までのうち、最も投票率が高かったのは1959年(昭和34年)の70.13%。最も低かったのは1997年(平成9年)の40.80%。また、前回2017年の都議会議員選挙の投票率を区市町村別に見ると、最も高い利島村は84%を超えた一方、最も低い瑞穂町は半分近い42%台だった。特別区で最も高かったのは北区、市部では国分寺市だった。  
 
 

 

 
 
  
 

 

●都議選の歴史(平成以降)
2021 自民 33 都民 31 公明 23 共産 19 立民 15 ネット 1 維新 1
2017 都民 55 自民 23 公明 23 共産 19 民進 5 ネット 1 維新 1
2013 自民 59 公明 23 共産 17 民主 15 みんな 7 ネット 3 維新 2
2009 民主 54 自民 38 公明 23 共産   8 ネット 2
2005 自民 48 民主 35 公明 23 共産 13 ネット 3
2001 自民 53 公明 23 民主 22 共産 15 ネット 6
1997 自民 54 共産 26 公明 24 民主 12 ネット 2 民社 1
1993 自民 44 公明 25 日本新 20 社会 14 共産 13 ネット 3 民社 2
1989 自民 43 社会 29 公明 26 共産 14 民社 3  
2017年
第19回 2017年(平成29年)7月2日投票
都民ファーストの会が55議席を獲得し圧勝 自民党は大敗
有権者数11,081,157 / 投票率51.28%
当時の知事と状況は? / 小池知事率いる都民ファーストの会が、追加公認を含めて55議席を獲得して圧勝、都議会第1党に躍進した。23人全員が当選した公明党などを加えた小池知事を支持する勢力が過半数を大きく上回った。自民党は、選挙前より半分以上減らして23議席にとどまり大敗した。共産党は選挙前より2議席増やした。
10月の衆院選では? / 第48回衆院選2017年10月22日 自民党は、単独で選挙前の284議席を確保するとともに、公明党と合わせて、憲法改正の発議に必要な、全議席の3分の2を上回る313議席を獲得して圧勝した。野党側は、立憲民主党が選挙前の3倍を超える55議席を獲得して躍進した。一方、小池知事が立ち上げた希望の党は、選挙前を7下回る50議席にとどまり、都議選で自民党を大敗に追い込んだ状況には持ち込めなかった。
2013年
第18回 2013年(平成25年)6月23日投票
自民党が第1党に返り咲き 民主党大敗 共産党躍進
有権者数10,589,228 / 投票率43.50%
当時の知事と状況は? / 国政で自民党が政権を奪還してから半年後に行われた選挙。自民党は59人の候補者全員が当選し、都議会第1党に返り咲いた。民主党は、議席を選挙前の3分の1近くに減らして大敗し、第4党に後退した。共産党は議席を大幅に増やして躍進した。
直後の参院選では? / 第23回参院選2013年7月21日 自民党の政権奪還後、初の全国規模の国政選挙。自民党は今の選挙制度で最多の65議席を獲得し大勝。自民・公明両党で76議席を獲得し、衆参のねじれが3年ぶりに解消された。一方、民主党は結党以来最も少ない17議席にとどまり大敗した。共産党は12年ぶりに選挙区で議席を獲得するなど、非改選を合わせて11議席を確保した。
2009年
第17回 2009年(平成21年)7月12日投票
民主党大勝 初の都議会第1党に 自民党は44年ぶりに第1党の座失う
有権者数10,469,729 / 投票率54.49%
当時の知事と状況は? / 民主党が選挙前から20議席増やして大勝し、初の都議会第1党に躍進。自民党は、10議席減らして過去最低に並ぶ38議席となり、全員当選した公明党と合わせても都議会過半数を割り込み大敗を喫した。自民党が第1党の座を失うのは44年ぶり。共産党は5議席減らした。
直後の衆院選では? / 第45回衆院選2009年8月30日 自民・公明両党が政権を継続するのか、民主党を中心とする野党勢力が政権交代を実現するのかが最大の焦点となった。結果は、民主党が1つの政党が獲得した議席としては戦後最多となる308議席を獲得して圧勝。自民党は119議席、公明党は21議席と大敗。政権交代が実現し、民主党・社民党・国民新党による非自民の連立政権が発足した。
2005年
第16回 2005年(平成17年)7月3日投票
自民党、都議会第1党維持も議席減らす 民主党は第2党に躍進
有権者数10,082,864 / 投票率43.99%
当時の知事と状況は? / 自民党は都議会第1党を維持したものの、議席を減らし50を割り込んだ。一方、民主党は二大政党化の流れを受けて議席を大幅に増やし第2党に躍進した。公明党は全員当選。共産党は2議席減らした。
直後の衆院選では? / 第44回衆院選2005年9月11日 参議院での郵政民営化関連法案否決を受けた、いわゆる「郵政解散」。小泉政権の継続か政権交代か、また、郵政民営化の是非が焦点に。結果、自民党が296議席、与党で327議席の圧勝。民主党は113議席と選挙前から大きく減らし、岡田代表が辞任。
2001年
第15回 2001年(平成13年)6月24日投票
自民党、50議席上回り勝利 共産党は議席減らす
有権者数9,709,557 / 投票率50.08%
当時の知事と状況は? / 小泉内閣発足から2か月、参院選まで1か月という中で行われた。高い内閣支持率を背景に自民党は目標だった50議席を上回って勝利。得票率も平成に入って最も高くなった。公明党は全員が当選。共産党は議席を大幅に減らした。社民党が議席を失った。
直後の参院選では? / 第19回参院選2001年7月29日 小泉政権にとって初めての国政選挙。70%を超える驚異的な内閣支持率を追い風に、自民・公明・保守の与党3党は選挙前の議席を上回り過半数を確保。一方、野党側では、民主・自由両党は議席を伸ばしたが、共産党は減らし、社民党は過去最低に。
1997年
第14回 1997年(平成9年)7月6日投票
自民党、復調54議席 共産党が過去最多 都議会第2党に
有権者数9,393,311 / 投票率40.80%
当時の知事と状況は? / 直近に国政選挙の予定もなく争点が見えにくい選挙となった。自民党は54議席を獲得し復調。他党をオール与党と批判した共産党が過去最多の議席を獲得して第2党となった。新進党は議席を失った。投票率は過去最低を記録した。
1993年
第13回 1993年(平成5年)6月27日投票
日本新党が20議席で大躍進 社会党、大幅に議席減らす
有権者数9,140,458 / 投票率51.43%
当時の知事と状況は? / 都議選の告示日に衆議院が解散し、総選挙の前哨戦となった。前年に結党した日本新党が都議会に20議席を得て大躍進。前回大敗した自民党の党勢は回復せず、社会党は選挙前から大幅に議席を減らし第4党となった。
直後の衆院選では? / 第40回衆院選1993年7月18日 野党側提出の内閣不信任案が、竹下派から分かれた羽田派の同調で可決され、衆議院が解散。解散後、自民党は分裂。選挙は、自民党は選挙前の議席を確保したものの、過半数には届かず。社会党も惨敗。3つの新党は議席を伸ばす。選挙後、日本新党の細川代表を首班とする非自民の連立政権が発足。
1989年
第12回 1989年(平成元年)7月2日投票
自民党、選挙前から20減で大敗 社会党は躍進
有権者数8,820,228 / 投票率58.74%
当時の知事と状況は? / この年の4月からスタートした消費税やリクルート事件などが争点になった。自民党が選挙前議席から20減らして大敗。一方、社会党は躍進し、公認候補だけで18議席増やした。
直後の参院選では? / 第15回参院選1989年7月23日 消費税・リクルート・農政批判。3点セットの「逆風」で自民党が大敗。歴史的な与野党逆転に。「追風」の社会党は大勝、あおりで公明党、共産党、民社党は議席減。マドンナ旋風で女性当選者が倍増。宇野内閣が退陣、海部内閣へ。  

 

 
 
 

 



2021/6-7