戦士 小池百合子

コロナ危機
感染爆発 医療崩壊
東京アラート

「Go To」 安倍政権と喧嘩 
「Go To」 東京除外

コロナ第二波 到来
 


 
 

 

●コロナ危機で総理への道が見えた小池百合子、「無能確定」の安倍晋三  4/16 
「これほど無能な人間を他に知りません」
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う初の「緊急事態宣言」は、この国のリーダーたちの手腕を浮き彫りにすることに繫がった。政権奪還から7年半もの長期政権を築いてきた安倍晋三首相には、初動の遅れや国民の不安に寄り添わない政策に批判が集まり、内閣支持率が低下。一方で、強力なリーダーシップと国民目線で「命を守る」と発信し続ける東京都の小池百合子知事や大阪府の吉村洋文知事には、インターネット上で賛美する声が相次いでいる。コロナ危機で現れた国民が求めるリーダー像、その違いを追った。
「これほど無神経な人間を他に知りません」(映画監督の白石和彌氏)、「止められる気骨のあるスタッフはいなかったのかな」(作家の辻仁成氏)。4月7日の緊急事態宣言後初めての週明けを迎えた13日、テレビでは朝の情報番組から昼のワイドショーまで安倍首相の公式ツイッターへの批判が相次いだ。歌手・星野源氏の曲「うちで踊ろう」とともに優雅にくつろぐ様子を投稿した首相のコラボ動画には芸能界も厳しく反応し、「空気を読むことができなかったということ」(落語家の立川志らく氏)、「ちょっとバカにされている気がする」(お笑い芸人の加藤浩次氏)などの批判が渦巻いた。
安倍に置き去りにされた、全国民
史上最長となった安倍政権は、「3本の矢」に代表される景気浮揚策や強硬な外交・安全保障政策などによって保守層を中心に「安倍信者」を生み、高い支持率を維持してきた。だが、コロナ危機到来後の言動には「信者」の失望感も強く、もはや「大宰相」の姿はそこにはない。ウイルス拡大の震源地となった中国や感染急拡大が見られた韓国からの入国制限は3月5日まで遅れ、欧米並みの強いリーダーシップを国民が求めていたタイミングで首相が発信したのは「1世帯に布マスク2枚の配布」。緊急経済対策に盛り込まれた「1世帯あたり30万円給付」「中小企業200万円、個人事業主100万円を支給」も要件が厳格すぎると批判され、ほとんどの国民は置き去りになる「温度感」の違いが現表れている。
産経新聞社とFNNが4月11、12両日に実施した世論調査では、新型コロナをめぐる政府の対応を「評価しない」が一気に25.1ポイント増えて64.0%に上った。全国紙政治部記者が解説する。「首相は人と人との接触を『極力8割』抑制すると呼び掛け、接客を伴う飲食店への出入り自粛を強く要請したが、休業に伴う補償はしないと繰り返している。しかし、出歩く人が少なくなれば飲食店の客も売り上げも減るわけで、閉店するかどうかの判断を店側に丸投げするのは無責任だ」。共同通信社による世論調査(4月10−13日)では国が損失補償すべきとの回答は8割を超えた。
株を上げた、小池都知事と吉村府知事
コロナ危機で安倍政権の脆弱性が露呈した一方で、国民が求めている強いリーダー像と重なっているのが小池都知事と吉村府知事だ。
「都民の命にかかわる問題であり、医療現場は逼迫している。待つことはできない」「危機管理の要諦は最初に大きく構えて、状況が良くなれば緩和していく。様子を見てから広げていくべきではない」(小池氏)
「府民の命を守るために、ガッとみんなで自粛して抑え込むのが重要だ」「新型コロナウイルス対策特別措置法自体が欠陥だらけで、国会議員はちゃんと仕事しろよと思っている」(吉村氏)
2人の知事が発信するメッセージは明快で、国が1カ月間の緊急事態宣言の期間(5月6日まで)のうち、半分の2週間をつかって「外出自粛の効果を見極める」とした点や、特措法に基づく知事の権限が不明瞭な点に疑問を投げかけ、「命ファースト」でスピード感のある対策を講じるべきと訴え続けた。
東京都と大阪府は、まだ国民のコロナウイルスへの危機感があまりなかった1月24日にいち早く対策本部を設置し、海外からの帰国者対応や感染拡大防止策などの検討を重ねてきた。人口が多く、公共交通機関が張り巡らされ、近隣自治体から通勤・通学者らが集まる大都市のため感染者数は多いが、「海外のように医療崩壊させることなく、時に国を牽引するリーダーに共感する人々は多い」(自民党中堅議員)。
小池百合子総理、爆誕か
首相が記者会見などで国民にメッセージを発する頻度が少ない一方で、2人は連日のようにメディアを通じて外出自粛や医療体制の状況などを伝えており、その疲労感は誰の目にも明らかだ。ツイッターでは「#百合子がんばれ」「#吉村寝ろ」がトレンド入りして話題になった。
そんな中、首都圏を中心に小池都知事のリーダーシップに注目が集まっているのを背景に、ある自民党関係者は「コロナの終わり方次第では、“小池百合子総理”が現実になるかもしれない」と危機感を募らせる。2017年の衆議院選挙で希望の党代表として大敗した小池都知事は当時、(女性の活躍を阻む)「ガラスの天井」よりも厚くて硬いであろう「鉄の天井を知った」などと発言。女性初の総理大臣への野望はこれまで、常に持ってきた。
さて、小池都知事と吉村府知事は、世論調査で8割が求めていた国の緊急事態宣言を政府が速やかに出すよう要請し、小池都知事は特措法に基づく施設の使用制限の要請に難色を示していた政府に何度も直談し、宣言対象の7都府県知事が休業要請できるよう牽引した。
知事の権限・責任の範囲において国との調整など不要だ
「なぜ小池都知事が違うことをやるのか理解できない」と批判しながら、一転して東京都に足並みをそろえた神奈川県の黒岩祐治知事や、大阪・兵庫間の往来自粛を呼び掛けた吉村府知事に「大阪はいつも大げさ」と不快感を示した兵庫県の井戸敏三知事とは、その「危機感」も「発信力」も雲泥の差がある。
休業要請をめぐっては、政府の対策本部が3月28日付の「基本的対処方針」で、蔓延防止策として都道府県が「地域での感染状況を踏まえて、的確に打ち出す」としていたものの、4月7日に急遽改正。「都道府県は、国に協議の上、必要に応じ専門家の意見も聞きつつ、外出の自粛等の協力の要請の効果を見極めた上で行う」と緊急事態下としては不可解な文言で、自治体の権限を大幅に縛ったことが現場の混乱につながった。
元大阪府知事の橋下徹氏は4月7日、ツイッターを更新し「緊急事態のときほど、各組織の権限・責任の明確化、指揮命令系統の明確化が重要だ。だから法の適用が必要だった。東京都も大阪府も、知事の権限・責任の範囲において国との調整など不要だ。緊急事態なのだから。各々権限と責任の範囲で行動すべきだ」と指摘している。
相変わらずの田崎史郎の“ウルトラC”安倍擁護に冷笑
安倍首相による緊急事態宣言には、日本経済への打撃を考慮した経済産業省や財務省から猛反対があり、発出が遅れることにつながった。休業要請に伴う「補償」に後ろ向きな経産省OBの著名人らは、休業要請とセットで「感染拡大防止協力金」を手当てすると発表した小池都知事を繰り返し批判。ワイドショーでは、安倍政権に近いとされる政治評論家の田崎史郎氏が「吉村知事、発言のブレがちょっと激しすぎる。それぐらいブレる方に権限を与えたらどうなるのかと不安を持つ」と批判したり、首相による緊急事態宣言が遅れた理由を小池都知事に責任転嫁したりして「炎上」を招いているが、ポジショントークとも受け取れる主張への共感は広がってはいない。
かつては、テレビや新聞などで評論家やジャーナリストらが批判を集中すれば、牙を向けられたリーダーの好感度は大きく低下した。だが、SNSなどネットを情報の収集・発信ツールにする人が増えた今では、その影響も薄れてきている。今回のコロナ危機下で見られている変化を民放記者は自虐的に解説した。「外出自粛や在宅勤務の急増で、首相や知事たちによる記者会見の生中継を家で見る人が多くなった。この『見える化』が自分自身で真贋を調べる時間の増加につながり、政治的スタンスから執拗に『政敵』を攻撃する発言が嫌われている一方で、不安を抱く国民の心理に寄り添う首長には共感が集まっている」。第1次安倍政権時には「KY=空気が読めない」という言葉が流行ったが、危機下のリーダーたちには国民の「空気」を読むことも必要のようだ。 
  
 

 

●戦慄100人超え “小池ファースト”が招く感染爆発&医療崩壊 7/3 
都内で新たに107人の感染者が確認された2日、小池知事が臨時会見。「都内は『感染拡大要警戒』の段階にある」と語り、「夜の繁華街」への外出を控えるよう呼び掛けた。会見を見た西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「都知事選の投開票日までは大ごとにしたくなかったようですが、さすがに100人を超える事態に何も言わないわけにはいかなかったのでしょう。取り急ぎ、発信しておいたという印象で、中身は薄い。3月の『感染爆発 重大局面』『ロックダウン』や、先月の『東京アラート』を経験している都民にとっては、『要警戒』では弱いメッセージに聞こえてしまう。せめて、『3ケタの感染者が続けば、再び外出自粛や休業を要請せざるを得ない』くらいは言わないと。本気で何とかしようと思っているのか疑問です。そもそも、注意喚起があまりにも遅い。この間、感染拡大を進行させてしまったのではないか」
厚労省は直近1週間の人口10万人当たりの感染者数2・5人超えで、社会への協力要請を呼び掛けるよう都道府県に「指標」を示している。東京は先月29日に2・61人に達し、1日まで3日連続、指標超え。2日は、とうとう3・26人に跳ね上がり、ようやく注意喚起したのである。
政府専門家会議が先月19日に公表した試算によると、都が2・5人超えの翌日に警戒を呼び掛ければ、22日後(ピーク時)の入院患者数は1523人。呼び掛けが3日後に遅れれば1947人、7日後では3183人に膨れ上がるという。
医療体制の認識も危ない。「新たなモニタリング指標」以降、都は医療体制を加味しながら、感染状況を見るスタンスに変えている。2日も、病床の確保など不十分だった3〜4月の頃との違いをやたらと強調していた。
1日時点の都の入院患者は280人。現状、1000床で対応し、さらに、3000床、4000床確保の見通しも想定している。しかし、専門家会議の第2波を想定した試算によれば、高齢者を中心に感染が広がるなど悪条件が重なるケースでは、ピーク時に東京で9000人の入院が見込まれている。都の病床はあっという間に不足するのだ。
第2波のウイルスは、第1波よりも人に病気を起こさせる能力が高いとされる。今、都が直面している感染拡大や来るべく第2波へのかじ取りを小池知事に任せていいのだろうか。 
●都庁職員も知らない…小池知事“お得意ボード”作製者は誰だ 7/3 
2日の緊急会見でも、お得意の“フリップ芸”を披露した小池都知事。これまでも「感染爆発 重大局面」「ウィズ コロナ宣言」「“夜の街”要注意」など、ここぞの場面ではフリップボードを次々掲げてきた。まるで「伝家のボード」だが、都庁職員すら誰がどのように作っているのか分からないというから驚きだ。
作製過程を確かめるため、2日の会見後、日刊ゲンダイ記者はひとまず報道課を訪れた。ボードの作製者やフレーズの考案者を聞くと、「その都度、担当部局の職員が作製している」(女性職員)とのこと。2日のボードについては、「福祉保健局が作製したのではないか」(前出の女性職員)と、首をかしげながら答えた。
そこで、今度は福祉保健局総務課へ。女性職員が「ちょっと、いろんな人に聞いてきます」と対応したものの、誰も作製者や考案者はハッキリと分からない様子。結局、男性課長が「フリップの言葉は、知事と職員が会見前の打ち合わせで考えているのではないか」「正直、誰がどういう経緯で(フリップを)作っているのか、知事に近い人に聞かないと分からない」――と自信なさげに語った。
都庁の誰も、どう作ったか分からないナゾのフリップ。情報公開は「東京大改革の一丁目一番地」じゃなかった?  
 
 

 

●都職員“小池怨嗟”の声 愚策「東京アラート」後は役割放棄 7/4 
「東京アラートを制定した際、小池知事は積極的に関わったのに、先月30日に発表した新たな7つのモニタリングには関与せず、最後に了承しただけでした」――ため息交じりに話すのは東京都のある職員だ。
新型コロナウイルスの感染拡大防止に飽きたのか、やる気を失っているのか、都知事選に集中したいのか。あるいは全てが当てはまるのか……。いずれにせよ、もはや小池知事は都のトップとしての役割を放棄しているようだ。
「知事は1週間以内に、病床の確保レベルを最大3000床の『レベル2』に上げる準備を進めるよう指示しましたが、そう簡単にできる話ではないんです」
そう打ち明けるのは、福祉保健局の幹部職員である。こう続けた。
「春先の感染ピーク時には、3000床を確保するまでに、約1カ月を要しました。まず民間の医療機関は感染者を受け入れると、一般の外来診療に支障が出て経営難に陥りかねない。だから、なかなか要請しづらい。どうしても感染症指定医療機関の大半を占める都立・公社病院頼みとなりがち。そこで病床を確保できても感染リスクがあるため、医療スタッフを揃えるのも一苦労。スピード対応したくても、厳しいのが実情です」
現場の痛みを知らないし、知ろうともしないトップの下で働く職員たちは不幸だ。
「そもそも、東京アラートの発動に意味はあったのか。大阪府の吉村知事に刺激され、都独自の警戒基準を設けましたが、解除後にあっさり撤廃。東京アラートの明確な数値基準が、『新モニタリングには数値基準がない』と批判を招く要因にもなっています。東京アラートのインパクトが強烈すぎて、今後の感染防止策の邪魔になりかねません」(東京都コロナ対策本部の関係者)
都職員から湧き上がる小池知事への怨嗟の声。やる気も深い考えもない思い付き知事なんて「辞めちまえ!」が、彼らの本音ではないか。  
●小池都知事の無策が招く第2波襲来 専門家に懸念も他人事 7/4 
都内の新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからなくなってきた。3日の新たな感染者は124人に上り、2日連続の100人超え。専門家から「第2波襲来」を懸念する声が上がっているのに、定例会見に臨んだ小池都知事は「お尻が決まっているので」と約40分で切り上げ、まるで他人事だった。
都内の新規感染者は5月25日の緊急事態宣言解除後、徐々に増加。25日は8人だったが、先月下旬には連日60人程度に膨らみ、2日に100人を突破した。潜伏期間を考慮すれば、先月11日の「東京アラート」解除後の感染者増は疑いようがない。
この先、感染者数はどうなっていくのか。少なくともこの先10日ほどは同水準が続く可能性が大だ。しかし、小池知事は感染拡大を「積極的な検査の結果」と片付け、休業の再要請についても「国の再度の緊急事態宣言が行われた場合には、改めて専門家のみなさま方のご意見を踏まえた上で判断することが必要」と政府に丸投げ。緊急事態宣言下で「社長だと思っていたら、天の声がいろいろ聞こえてきて、中間管理職になった」と強い権限を求めていたのがウソのようだ。
手を打とうとしない小池知事に対して、さすがに他の自治体からも批判の声が上がっている。
島根県の丸山知事は、「具体的な注意や要請が示されるかと思ったが、期待を裏切られる結果になった」「島根には情報がない。都が国民に情報提供すべきだ」と苦言を呈している。小池都政が具体的な対策を打ち出さないから、都民の不安も募る一方だ。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。
「小池知事は『感染防止徹底宣言ステッカー』の張ってあるお店を選ぶようにとか、都の取り組みは宣伝するけれども、その効果については説明しないし、どこで感染が広がっているかという肝心な情報も開示しない。その上、十把ひとからげに『夜街注意』と言い続けるのは、東京を単なる選挙区、票田としか見ていないからではないか。一つ一つの街、そこにある営みに思いが至らないから、積極策を講じずにお任せでいられるのでしょう」
だいたい、いま怖いのは小池知事がヤリ玉に挙げる「夜の街」よりも、「感染経路不明」が急増している状況だ。2日は新規感染者107人中45人、3日も40人に上る。
都の新型コロナ対策ブレーンのひとりである国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、衝撃的な数字を挙げている。
小池知事と並んだ2日の臨時記者会見で、都内の「感染経路不明者」は、1日までの1週間で前週比約1・5倍の1日平均27・1人に急増したと指摘。このペースが続けば4週間後に約6倍、1日当たり160人に増えるとの推計を出し、「10日続けば1600人の新入院患者が生じる。さらに4週間同じ状況が続くと40倍になる。かなりの数だ」と言っていた。
小池知事が対策を打たないのは、もう都に財源がないためだとか、東京アラートを解除した責任を問われるから、といった解説が流れている。女帝に都政を担わせた代償は間もなく分かる。 
 
 

 

●小池再選を生んだメディアの忖度気質 7/6 
午後8時の時報と同時に「小池百合子再選、圧勝」とテレビは型どおりに報じた。だが、圧勝というには熱の感じられない選挙ではなかったか。都民の大半が無関心、あるいは背を向けていたように思う。
理由のひとつは選挙報道にあるのだろう。もちろんコロナの影響は大きい。だが、むしろコロナが政治利用されたと感じられてならない。小池都知事は「コロナ対策にまい進する」というポーズを常に取り、テレビ討論会への参加に消極的だったとされる。結果的にテレビ局は、討論会そのものを一度も開かなかった。なぜ、残りの候補者だけで討論会をし、報じなかったのか。
一方で、現役の都知事である小池氏の会見は毎日のように、テレビで取り上げられていた。不公平であろう。小池氏がテレビ討論を嫌がったのであれば、その真の理由は、他候補からの厳しい質問に答える自信がなかったからではないか。他候補はテレビを通じて自己を主張する貴重な機会を小池氏とテレビ局によって奪われてしまったと言っていい。テレビ界出身の小池氏はメディア操作に長けており、また、テレビ局は常に現役の知事に対して忖度をする。前回は朝から晩まで延々と、ワイドショーで都知事選を報じ続けていた。こんなにも選挙報道に落差があっていいのだろうか。
今後の4年間、都政のかじ取りは並大抵ではないはずだ。1兆円あった都の貯金にあたる財政調整基金は、小池都政下でほぼ使い果たした。
高齢化と税収減が予測される中、財源もなく、どうやってコロナ対策やオリンピックの延期開催を進めていくのか。小池氏は財政を立て直す努力をせず、任期半ばで口実を見つけて、都政を投げ出してしまうのではないだろうか。彼女には国政への未練がある。
4年前、小池氏は自民党を敵として戦い、それこそ圧勝して都知事となった。ところが、その後、彼女は自民党の大幹部である二階俊博幹事長にすり寄り、自民党が対抗馬を立てないように根回しをして、今回の勝利を手に入れた。その過程では二階氏の顔を立てるために都が備蓄してきた33万着もの防護服を中国に寄付している。都内の病院では防護服が不足し、その結果、医療関係者が感染の危機にさらされた。自分の政治生命を都民の生命よりも優先する彼女の「自分ファースト」は今後も続くことだろう。
都民は今後、厳しい目で監視しつつ、彼女を選んだのは自分たちであるという事実もまた、決して忘れてはならないと思う。 
 
 

 

●埼玉県あっという間に医療崩壊の危機…小池氏再選の大迷惑 7/7 
6日の新規コロナ感染者は、都内で5日連続3ケタとなる102人、全国で176人が確認された。そんな中、6日、専門家会議に代わる分科会が初会合を開催。感染対策の徹底を前提に、予定通り今月10日からイベント開催の条件を緩和する方針を示した。重症者が少なく、医療体制が逼迫していないことなどから、4月の緊急事態宣言の頃と現在では状況が異なるとの認識で一致したという。
西村コロナ担当相や小池都知事は「医療提供体制の確保」をやたらと強調する。小池知事は都内の病床を現在の1000床から、4000床まで段階的に確保することにしている。都の入院患者は今月1日時点で280人だったが、5日は369人と着実に増えているものの、病床に「余裕あり」というのだ。
しかし、東京由来の感染が少なくない埼玉県に目を向けるとビックリだ。
埼玉の入院患者は、ピークだった4月30日の286人から先月19日には19人まで減っていた。ところが、そこから反転。今月5日は、前日から15人も増え、130人になった。
もともと埼玉は病床が不足気味。最新の病床の見通しについて県はこう話す。
「感染拡大を踏まえて、現行の240床から600床を確保するように調整しています。埼玉県で東京由来の感染が増えても、東京の病床を融通してもらうことは考えていません」(医療整備課)
小池知事がいくら「東京の4000床」を強調しても、お隣の埼玉は増やしてもたったの600床。すでに2割が埋まり、都からの融通もない。
先月19日公表の専門家会議の第2波シミュレーションによると、埼玉の入院患者数は、感染が生産年齢人口(15〜64歳)中心で1351人、高齢者中心なら5293人だ。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。
「今のように、都が医療体制の確保を理由に感染防止対策に消極的な状況が続けば、隣県である埼玉の感染は拡大し、600床はあっという間に埋まるでしょう。埼玉は軽症者を受け入れるホテルなど宿泊施設も圧倒的に少ない。埼玉は医療崩壊に陥る恐れがあります。そもそも、首都圏は一体化しています。都の4000床だけをみて『大丈夫だ』と議論するのはまったく意味がありません」
都の「4000床」を強調する小池知事には、埼玉の病床不足は眼中にない。小池知事の再選は埼玉県民にとって大迷惑だろう。 
 
 

 

●小池知事が安倍政権にケンカ売る「Go To」狙い撃ちの計算 7/8 
都知事選で歴代2位となる366万票を得て勢いづく“女帝”小池都知事が、早速、安倍政権にケンカを吹っ掛け、物議を醸している。
都内で1日当たりの感染者が連日100人を超える中、小池知事は都外への移動自粛を呼び掛けている。それに対して、菅官房長官は7日、会見で「一律に移動自粛を要請する必要があるとは考えていない」と、小池知事の自粛呼びかけを否定。西村経済再生相が、こうした政府見解を小池知事に伝達したという。
その西村大臣も6日、BSフジの番組で「国の方針としては県をまたぐ移動は自由にしている」とチクリ。菅長官、西村大臣は、政府と真逆の見解を示す小池知事を苦々しく思っているという。
「政府は今月10日にイベント開催制限や県をまたぐ移動についても緩和する方針です。予定通りに制限を緩和し、看板政策の国内消費喚起事業『Go Toキャンペーン』を滞りなく実施していきたいと考えている。『県境またぐな』という小池知事の発言は政府の考えと逆行している。官邸周辺は『小池知事が余計なことを言っている』『騒いで足並みを乱す気か』とカンカンになっています」(官邸事情通)
一方の小池知事サイドは、政府の「Go Toキャンペーン」を批判しても、国民の支持は得られると踏んでいるようだ。
「Go Toキャンペーンは、事業総額1兆6794億円のうち事務委託費が3095億円と高額で、国会で野党の追及の的になっている。東京で感染が拡大する中、『そんなことやっている場合か』と感じる国民も多い。2期目開始早々、求心力アップを狙いたい小池知事が今後、批判の対象にする可能性があります」(永田町関係者)
しかし、両者のケンカに対し、さすがに野党からも「国と都の方針がバラバラだ」と批判が噴出している。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「感染症対策は科学や医学に基づくものであり、国と都で方針が割れるのは不自然なことです。結局、国政への野心があるという小池知事と、経済対策を進めたい国の引っ張り合いになっているのでしょう。最終的に混乱するのは国民です。国と都は思惑を捨て、冷静な議論をすべきです」
ケンカしている間に第2波到来なんてことになれば、目も当てられない。 
●小池知事が“ケンカ上等”で吹っかける 安倍政権「Go To」狙い撃ちの皮算用 7/8 
都知事選で歴代2位となる366万票を得て勢いづく“女帝”小池都知事が、早速、安倍政権にケンカを吹っ掛け、物議を醸している。
都内で1日当たりの感染者が連日100人を超える中、小池知事は都外への移動自粛を呼び掛けている。それに対して、菅官房長官は7日、会見で「一律に移動自粛を要請する必要があるとは考えていない」と、小池知事の自粛呼びかけを否定。西村経済再生相が、こうした政府見解を小池知事に伝達したという。
その西村大臣も6日、BSフジの番組で「国の方針としては県をまたぐ移動は自由にしている」とチクリ。菅長官、西村大臣は、政府と真逆の見解を示す小池知事を苦々しく思っているという。
「政府は今月10日にイベント開催制限や県をまたぐ移動についても緩和する方針です。予定通りに制限を緩和し、看板政策の国内消費喚起事業『Go Toキャンペーン』を滞りなく実施していきたいと考えている。『県境またぐな』という小池知事の発言は政府の考えと逆行している。官邸周辺は『小池知事が余計なことを言っている』『騒いで足並みを乱す気か』とカンカンになっています」(官邸事情通)
一方の小池知事サイドは、政府の「Go Toキャンペーン」を批判しても、国民の支持は得られると踏んでいるようだ。
「Go Toキャンペーンは、事業総額1兆6794億円のうち事務委託費が3095億円と高額で、国会で野党の追及の的になっている。東京で感染が拡大する中、『そんなことやっている場合か』と感じる国民も多い。2期目開始早々、求心力アップを狙いたい小池知事が今後、批判の対象にする可能性があります」(永田町関係者)
しかし、両者のケンカに対し、さすがに野党からも「国と都の方針がバラバラだ」と批判が噴出している。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「感染症対策は科学や医学に基づくものであり、国と都で方針が割れるのは不自然なことです。結局、国政への野心があるという小池知事と、経済対策を進めたい国の引っ張り合いになっているのでしょう。最終的に混乱するのは国民です。国と都は思惑を捨て、冷静な議論をすべきです」
ケンカしている間に第2波到来なんてことになれば、目も当てられない。 
 
 

 

●“ゴマカシ説明”連発の小池都知事が招く感染爆発と医療崩壊 7/11 
10日、都内で新たに243人の新型コロナウイルス感染者が確認され、2日連続過去最多を更新した。午後2時から会見した小池都知事は最新情報を知りながら、積極的に情報公開しようとせず、記者から質問されてようやく「243人」と口にした。感染の実態に正面から向き合おうとしない小池都知事の説明にはゴマカシがいくつも隠れている。
小池都知事は「夜の街」を元凶のように繰り返している。確かに、10日の感染者のうち110人は夜の街関連だが、約100人は感染経路が不明だ。今や、会社や学校、家庭で感染が広がり始めている。それに、20〜30代の若者の感染ばかりを強調しているが、実際には40〜50代の感染もジワジワ増えている。幅広い場所、年代で市中感染が拡大しているのは明らかだ。
小池都知事は「1日当たり3000人を超えるPCR検査が実施されていることなどから陽性者が増えている」とも語っている。しかし、陽性者急増の理由は、検査の充実ではない。感染が拡大しているからだ。それは陽性率(検査数に占める陽性者の割合)が物語る。
5月末ごろの陽性率は1%前後だったが、7月9日の陽性率は5.8%。検査数は5月末ごろは1000人程度だったが、9日は2445人(1週間平均)と2.5倍に増えている。一般的に検査件数が増えると陽性率は下がるといわれてきた。ところが、母数が増えているのに陽性率が約6倍に跳ね上がっているのだ。
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「かなり市中感染が広がりつつあるということです。ここで手を打たないと危ない。ところがきのうから、イベント開催の制限緩和に踏み切りました。矛盾していますよ」
小池都知事はやたらと、医療提供体制の整備を強調している。
10日も「要は、いかにして医療崩壊を招くことがないようにするのか」と強調していた。都は、入院病床を1000床確保済みで、この先、3000床、4000床の確保計画を示しているが、すでに病床は火の車だ。
7月1日の入院者数は280人だったが、10日時点で487人。現在、都が確保している1000床はすぐに埋まる可能性がある。軽症者の入院が増えつつあるのだ。理由は、軽症者の受け入れ先の確保に失敗したからだ。
都は軽症者を受け入れるため、5つのホテルと契約していた。ところが、このホテルとの契約が切れ、軽症者を隔離する場所を失い始めているのだ。
東京都感染症対策課の担当者が言う。
「5つのうち3つが6月末で契約が終了し、1つが7月末で契約終了します。残り1つは9月末までの契約ですが、かなり埋まっている。そこで、新たなホテルの確保に動いています。16日までに1つメドが立っています」
ギリギリの自転車操業なのだ。
「感染者が日に日に増える中、軽症者の入院が続けばあっという間に満床になる恐れがあります。6月の時点で感染者数が減少に向かっていたから契約を終了させたのでしょうが、せめて2〜3のホテルは継続して確保しておくべきでした。都の対応は理解に苦しみます」(中原英臣氏)
都知事選に気を取られ、小池都知事はホテルの確保を怠ったのか。感染爆発、医療崩壊はすぐそこだ。  
 
 

 

●小池都政に隠蔽発覚「コロナ感染予測文書」を破棄していた 7/13 
都内の新型コロナウイルス感染者は、12日も200人を突破し206人だった。4日連続で200人を上回ってしまった。小池都政の無策によって、感染者がどんどん増えている状況だ。
その小池都政が、感染者を予測した重大文書を破棄していたことが発覚した。感染予測を隠蔽しようとしたのは明らかだ。12日付の東京新聞がスクープしている。
東京都が破棄したのは、3月中旬、厚労省クラスター対策班の押谷仁東北大教授が提出した2通の文書だ。押谷教授は、3月17、19、21日と3回にわたって感染者を予測した文書を都に提出している。ちょうど、3月20日から3連休があり、人の移動による感染拡大が心配されていた時期だった。東京都は、このうち17日と19日の文書を破棄しているのだ。
押谷教授は17日の文書では、現状のままでは2週間後に都内の感染者は1万7000人に増えると予測。その後、都が提出した情報をもとに精査し、19日の文書では3000人と予測。さらに都と意見交換した後、21日の文書では320人と予測している。実際には、4月2〜8日の感染者は777人と、320人の倍以上だった。
しかし、小池知事は3連休中の感染拡大が懸念され、事前に感染予測まで受け取っていたのに、都民に警告を発することもなく予測を黙殺。連休が終わった23日(月)、ようやく「21日文書」だけを発表している。午前中に安倍首相が、五輪延期を容認した直後だった。しかも、17日と19日の文書を破棄していたのだから悪質である。
4月以降、都内で感染者が爆発的に増えたのは、3月20日からの3連休に警戒が緩み、外出する人が増えたからだ。もし、連休前に小池知事が感染予測を明らかにし、外出自粛を要請していれば、感染拡大は防げた可能性がある。
連休前に感染予測を公表しなかったのは、東京オリンピックが中止になるのを恐れたためだろう。中止論が高まっていたタイミングだった。この調子では、ほかにも重大な情報を隠蔽し、文書を破棄している可能性がある。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「小池さんは、情報公開を一丁目一番地に掲げていたはずです。なのに、公文書を破棄とは呆れます。都合が悪い文書は破棄とは、安倍首相と同じ発想です。公文書は都民の知的財産ですよ。捨てられたら、政策が正しかったのか後から検証もできない。文書が17日付なのも都合が悪かったのでしょう。連休の3日前に都民に警告することができたからです。感染者予測の破棄は、小池さんのコロナ対策を象徴しています」
小池都政では、あっと言う間に感染者は300人を突破してしまいかねない。 
 
 

 

●コロナを「東京問題」にしてGoTo強行の安倍政権 7/14 
一方、小池知事と東京都は専門家の感染拡大予測メールを破棄した事実が発覚
東京では感染拡大が続いているというのに何ら手立てを講じようとしない東京都と安倍政権が、互いに責任をなすりつけ合う醜態を晒している。
菅義偉官房長官は11日に北海道でおこなわれた講演会で「この問題は圧倒的に“東京問題”と言っても過言ではない。東京中心の問題になってきている」と発言。これに対して小池百合子東京都知事は本日、「GoToキャンペーンが始まろうとしているなかで、(感染対策との)整合性をどう取っていくのかというのは、むしろ国の問題だ」と反論した。
まさに「目くそ鼻くそを笑う」とはこのことだ。「東京問題」などと言うのなら国は緊急事態宣言を再発出するなどの対策を早急に打つべきだが、安倍政権はむしろ往来を推奨する「Go Toキャンペーン」を大幅に前倒しして実施するという常軌を逸した行動に出ているし、一方、小池都知事は政府と同様に「夜の街」を連呼してきた挙げ句、10日の会見では「“新しい日常”は自分たちでつくっていくんだと、それを世界のモデルにするぐらいの思いでやっていただきたい」などと責任を都民に被せた。
この国の首都が感染拡大の中心地となっているのに、国の問題として捉えようとしない政権幹部と、都民に責任を丸投げする都知事……。だが、安倍政権と小池都知事はいま現在も、ある一点において一蓮托生の関係であることに違いはない。それは「何が何でも東京五輪を開催する」ということだ。
実際、ここにきて、安倍首相と小池都知事が「東京五輪開催」という目標のもとに、いかに市民の健康と安全を後回しにしてきたか、その事実が次々とあきらかになっている。
たとえば、小池都知事をめぐっては、感染が拡大した今年3月に厚労省クラスター対策班メンバーから示された感染状況の予測文書を、なんと2つも廃棄していたことが発覚した。
これは12日付の東京新聞がスクープしたもので、記事によると、クラスター対策班メンバーで専門家会議メンバーでもあった押谷仁・東北大学教授は、まず3月17日に、感染者数は〈現状の対策のままだと2週間後に都内で約1万7000人に増える〉と予測した文書を東京都の担当部長らに渡したという。さらに19日にも、押谷氏は都から得た情報をもとに精査した感染者数約3000人とする予測を担当部長にメールで送ったという。
だが、この2つの感染者数の予測を小池都知事は無視。押谷氏は21日に、再精査した〈4月2〜8日の感染者は320人〉という予測文書を渡したが、小池都知事は23日になってはじめて緊急記者会見を開いて、この21日の再精査の結果だけを公表、「感染者が増加する見通しがあり、医療体制をしっかり準備していく」と述べたのだった。
そして、この小池都知事が無視した2つの予測文書について、東京新聞が情報公開請求をおこなったところ、なんとすでに廃棄したとして、「21日文書」以外は〈不存在〉とした、というのである。
その廃棄理由もすごい。まず17日の文書について、都の吉田道彦・感染症危機管理担当部長は「あやふやな試算だったので押谷氏との会議後、すぐに廃棄した」と説明。さらに19日の文書については、「6月、メールの容量がいっぱいだったので削除した」と回答しているのだ。
出所不明の怪文書ならいざ知らず、これは曲がりなりにも政府の専門家会議メンバーから示された予測が書かれたものであり、どう考えても保存すべき公文書だ。それを「あやふやな試算だったからすぐに廃棄した」「メール容量がいっぱいだったから削除した」とは……。これでは東京都の対応を検証することも不可能になってしまうではないか。
東京都の「メールいっぱいだから削除」 警告を無視した小池百合子の責任逃れ
しかし、さらに問題なのは、小池都知事が専門家からの“警告”を無視していたという事実だ。
4月6日の会見では、3月21日に専門家から示された予測をどうしてすぐに公表しなかったのかと日刊ゲンダイの記者が追及したが、それに対して小池都知事は「最初1万7000という数字が出たり、その次3000が出て、その翌日300になっていたりと、数字が大きく揺れているところもございました」と回答。この発言について、吉田担当部長は東京新聞の取材に対し、「21日の文書を知事に説明した時、それまでの押谷氏とのやりとりも口頭で報告した」と述べている。
つまり、吉田担当部長の説明では、小池都知事が17日や19日の予測を知ったのは21日だったということになるわけだが、政府の専門家会議メンバーから直々に示された衝撃的な予測をすぐに都知事に伝えなかったということが事実ならば、行政の組織体制として大問題だ。だが、このような重大事を担当部長が事後報告で済ませるということは、まず考えられない。
実際、17日と同時期である18日には、大阪府がクラスター対策班の西浦博・北海道大学教授等が作成した緊急対策の提案書を入手、そこには大阪府・兵庫県の3月28日〜4月3日の患者は3374人にまで増加すると書かれており、この資料を根拠にして吉村洋文・大阪府知事は19日に「大阪・兵庫間の往来自粛」を打ち出した。クラスター対策班の提案では〈大阪府・兵庫県内外の不要不急な往来の自粛〉だったにもかかわらず大阪・兵庫間の往来自粛に勝手に限定するなど、吉村知事の対応はまったく意味をなさないものだったが、少なくとも感染者数の予測がされたこの文書は府の対策本部にも資料として出され、府知事も把握していたのである。
普通に考えれば、東京都も専門家会議メンバーから示された衝撃的な感染者数の予測について、担当者は直ちに都知事に報告をおこなったはずだ。しかし、その数字を突きつけられても、小池都知事は何らアクションを起こさなかった。その責任を追及されるのを避けるために、これら予測文書を「すぐに廃棄した」「削除した」などと言い張っているのではないのか。
そして、もっとも重要なのは、なぜこのような予測がもたらされながら、小池都知事は無視しつづけ、3月23日になって21日に示された予測を公表したのか、という点だ。本サイトでも繰り返し言及しているように、小池都知事が新型コロナにかんしてはじめて緊急記者会見を開いたこの3月23日というのは、東京五輪の開催延期が決定する前日。19日にIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長が「違うシナリオ」と延期を示唆、22日には東京五輪大会組織委員会の森喜朗会長とバッハ会長の電話会談によって東京五輪の中止回避・延期決定が確定的となっており、それを受けて小池都知事は積極的に会見を開くようになって、「感染爆発の重大局面」だの「ロックダウン」だの言い始めたというわけだ。
つまり、東京五輪を優先させた結果、専門家による感染者数の予測は公表されることも、危機感をもって対策が講じられることもなく、都民の安全と健康は置き去りにされてしまったのである。
東京五輪のために感染拡大の危険性を無視したのは安倍政権も同じだ!
だが、これは政府、安倍政権の対応にしても同じだ。たとえば、3月初旬にはすでにイタリアなどで感染が拡大していたが、政府が欧州など38カ国からの入国者に自宅待機を要請するなどの入国制限措置をとったのは3月21日。そして、ここにも東京五輪の影響があった。というのも、東京五輪のための聖火が日本に到着したのは、入国制限措置をとる前日、20日のことだったからだ。当時、安倍首相が公明党幹部と面会した際の発言を、西日本新聞(6月25日付)はこう伝えている。
「聖火が到着しさえすれば、延期になっても日本開催は揺るがない。日本に聖火が着くことこそが重要なんだ」
聖火にそこまで意味があるのか不明だが、たしかに当時日本は聖火に異常なまでに固執していた。コロナ感染拡大のため、ギリシャ国内での聖火リレーは中止され、またギリシャ側の入国制限により聖火引き継ぎ式に出席予定だった森会長やレスリングの吉田沙保里選手らのギリシャ入りを断念したにもかかわらず、日本側はたまたまギリシャ在住だった元オリンピック日本代表選手を急遽かり出してまで、引き継ぎ式をゴリ押し。
西日本新聞では、大会組織委員会幹部が「IOCメンバーで最も多いのが欧州出身者。無理に日本でやる必要はないという雰囲気が漂い始めていた」という当時の空気について証言しているが、これはようするに、「五輪開催最優先」で欧州を刺激しないよう聖火の到着を待ち入国制限などの措置がとられたということではないか。実際、欧州21カ国を入国拒否の対象としたのは、開催延期が決定した24日から3日後の27日のことだった。
最初から国民の安全そっちのけで、「東京五輪ありき」で歩調を合わせ、必要なコロナ対策を講じなかった安倍政権と小池都知事。いま責任を押し付け合いながらも、この“共犯関係”はなんら変わらない。だからこそ、安倍政権は「東京問題」と言いながらも東京都に緊急事態宣言を再発出しようとはせず、小池都知事も「国の問題だ」と言いながら宣言再発出の要請などはまったく口にしない。それは経済最優先の姿勢だけではなく、「早々に感染対策に失敗した東京」という印象が五輪開催に影響を与えることを恐れているからではないのか。
そして、こうしているあいだにも、国と都の無策によって危機的状況はどんどん進行している。またも安倍政権と小池都知事が市民を危険に晒そうとしている、その事実だけは忘れてはならない。 
 
 

 

●「都民、国民に説明を」 GoTo東京除外で―小池都知事 7/16 
東京都の小池百合子知事は16日、旅行需要喚起策「Go To トラベル」キャンペーンで、政府が東京発着を対象外とする方針を決めたことについて「国の方でよく判断されたことかと思う。一方で国として都民、国民に対しての説明が求められるのではないか」と述べた。都庁内で記者団の取材に応じた。
国から事前の説明はなかったといい、東京除外の判断の妥当性を問われると「それはよく国が考えたことだと思う」と繰り返した。
小池氏はこれに先立つ都の公式動画配信で「まずは都内の(新型コロナウイルスの)感染を抑え込む」と強調。「その上で安心して観光ができる状態にしていく必要がある」と話した。
15日の記者会見では、キャンペーンに関して都内の感染状況を踏まえ「実施の時期や方法などは改めてよくお考えいただきたい」と語っていた。  
●政府「GoTo」東京発着は除外 ―安倍首相「状況踏まえ判断」 7/16 
政府は16日、国内旅行代金の一部を補助する「Go To トラベル」キャンペーンについて、東京発着を対象外とする方針を決めた。感染流入を懸念する地方の声に配慮し、全国一律で実施する予定を変更。同日開催した新型コロナウイルス感染症対策分科会(会長・尾身茂地域医療機能推進機構理事長)に提示し、了承を得た。
政府は当初、キャンペーンを22日から全国で実施する構えだった。しかし、東京都の小池百合子知事や大阪府の吉村洋文知事らから再考を求める声が上がったこともあり軌道修正した。東京が除外されたことでキャンペーンの経済効果が限定的になるのは必至だ。
東京では再び感染者が増加傾向にあり、16日は1日当たりで過去最多となる286人の感染が確認された。安倍晋三首相は首相官邸で記者団に「現下の感染状況を踏まえ、こういう判断になった」と説明した。
東京都を目的地とする旅行や都内の旅行、都内居住者の旅行は当面、補助対象から除外。その他に関しては、宿泊業者と旅行者に感染防止策の徹底を求めた上で、予定通り22日から実施する。
分科会では、出席者から「東京だけ除外するのはちょっと違和感がある」との意見が出たが、最終的に了承された。今回のキャンペーンを「『新しい生活様式』に基づく旅の在り方を国民に周知する契機にしてほしい」と提言。風邪の症状がある際の旅行は控え、若者・高齢者の団体旅行、大人数の宴会を伴う旅行も「控えることが望ましい」との見解を示した。  
●安倍政権「Go Toキャンペーン」に知事たちが反乱! 7/16 
2020年7月22日から政府が始めようとしている観光支援策「Go Toトラベル」キャンペーンに地方や医療界から猛反発が起こっている。
東京などの首都圏や、大阪などの近畿圏で続く新型コロナウイルスの感染を、旅行者が地方に拡散せることを恐れる知事らが多いのだ。
ツイッターでは「♯Go Toキャンペーンを中止してください」というハッシュタグが登場して、トレンド入りした。これほど猛反発が起こっているのに、なぜ政府は強行しようとするのか。主要紙の論調から読み解くと――。
青森県むつ市長「国や県が何をやろうが、市には市民を守る責務がある」
7月14日〜15日付の主要新聞の報道を総合すると、「Go Toキャンペーン」に反発する各自治体の首長の反応は、次のとおりだ。
「Go Toキャンペーン」政策を一番痛烈に批判したのは宮下宗一郎・青森県むつ市長だ。2014年6月、前市長だった父親の急逝を受けて市長選に初当選したが、前職は国土交通省の課長補佐だから、「Go Toキャンペーン」の推進役である古巣に先頭を切って叛旗を翻した形だ。
宮下市長は7月13日に、記者会見でこう訴えた。
「人が動かなければ、ウイルスは動かない。ところが、Go Toキャンペーンは人を動かす。今まで我慢してきたことが水泡に帰す。これまでは天災だと言ってこられたが、これで感染が拡大すればもう人災になる」
そして今月下旬の4連休に向け、むつ市内のキャンプ場など観光施設を閉鎖する方向で検討すると明かした。市内には感染症に対応できる病院が1か所しかなく、ベッドも4床だけ。それゆえ、こう宣言したのだった。
「国や県がどういうキャンペーンをやろうが、市役所には市と市民を守る責務がある。来るリスクがあるなら、閉じるしかない。法的にできることは最大限やります」
菅義偉官房長官から「(東京の感染拡大は)圧倒的に『東京問題』だ。北海道は知事と市長が連携によって、大部分を封じ込めている」と、暗に東京都の知事と23区長の連携不足を批判された東京都の小池百合子知事も「Go Toキャンペーン」について、こう皮肉を効かせた。
「Go Toキャンペーンが始まろうとする中で、(感染拡大防止と経済再開という)冷房と暖房の両方をかけるようなことだ。国として整合性をどうとっていくのか。どう対応するのか。むしろ国の問題だ」
このほか、各県知事からこうした批判や苦言が相次いだ。
吉村美栄子・山形県知事は、
「首都圏の感染状況と九州の豪雨災害を考えると、この時期に全国一斉にスタートするのはいかがなものかと思っている。手放しで喜べない。感染状況を見ながら、近隣地域の誘客から段階的に範囲を広げるのが望ましく、地域の実情に合ったやり方を地方に任せてもらいたい」
と、全国一律ではなく、地方の権限に委ねてほしいと訴えた。
村井嘉浩・宮城県知事も、
「こんなに早くスタートすると思っていなかった。非常に戸惑っている。宮城、東北が頑張っても、日本全体で取り組まなければ感染者を抑えることは難しい。人の往来で感染者が増える可能性はある」
と感染の地方への広がりを心配し、鳥取県の平井伸治知事も、
「感染が急拡大している地域の人の観光を奨励すべきなのか」
と疑問を投げかけた。
吉村洋文・大阪府知事は、
「社会経済の活性化のために必要ということはわかるが、全国的なキャンペーンは今の時期にやるべきではない。やるとしても、東京なら関東圏で、関東圏の人たちが東京から神奈川に行くとか。それぞれの府県の近隣圏、エリアを小さい単位から始めて、そして感染の様子を見ながら、全国に広げていくのがいいと思う」
と、まずは近隣県ごとから始めていくべきだとした。
さらに、豪雨の被災地の蒲島郁夫・熊本県知事も、
「(豪雨災害の支援ボランティアを県民に限定していることを念頭に)まず観光も県民に来ていただきたい。一方を抑えると経済的なものが止まる。大きくオープンすると感染拡大の可能性も高くなる。ベストバランスを国民全体で守ってキャンペーンにつなげてほしい」
と、県外から感染者が入ってくることに警戒した。避難所では、感染防止にために「3密」にならないよう苦心している真っ最中だからだ。
「東京の業者が潤うだけで、地方の観光地にはプラスにならない」
主要紙の社説も、こうした知事たちの声と同様に全国一律の「Go Toキャンペーン」開始に反対しているところが多い。
毎日新聞社説(7月14日付)「Go Toトラベル 全国一斉の実施は不安だ」は、こう指摘する。
「政府の感染症対策分科会は、県境をまたいだ観光振興については徐々に進めるよう進言している。首都圏と近畿圏との往来には、とりわけ注意が必要だ。全国一斉ではなく、段階的に進めるべきだ。この事業はそもそも、感染収束後の経済対策として計画された。コロナ禍は長期に及ぶ可能性がある。感染対策に十分目配りし、柔軟に対応することが重要だ」
本来、感染収束後にやるべき経済対策ではないか、感染が収束したといえる状況か、というわけだ。
産経新聞社説(7月14日付)「Go Toトラベル 首都圏の対象除外考えよ」は、もっと厳しく批判する。
「首都圏を中心に感染者が急増しており、東京などの自治体は抑え込みに懸命に取り組んでいる最中だ。そうした時期に全国規模で国内旅行を後押しする政策は適切と言えない。首都圏からの旅行者は当面、除外するなど、段階的な対応を検討するべきだ」
観光業者は、どう思っているのだろうか。各新聞とも観光業界の反応を特集しているが、「もろ手を挙げて大歓迎」という声は少ない。「客足が戻らないと大変なことになる」と歓迎する一方で、「観光客のせいで感染者が増えては元も子もなくなる」という不安とが相半ばする声が大半だ。
そんな中で、朝日新聞(7月15日付)「Go To戸惑う観光業者『地方の救済になるか疑問』岩崎芳太郎・鹿児島商工会議所会頭」が興味深いインタービューを載せている。
鹿児島商工会議所の会頭で、ホテルやバスなどの事業を展開している岩崎芳太郎氏が、「Go Toキャンペーンは東京近辺の一部の業者が潤うだけで、地方の観光地にはプラスにならない」というのだ。岩崎氏はこう語る。
「地方の観光業のために真の救済になるのか疑問だ。助ける必要のない人たちがいっぱい得をして、本当に助ける必要がある人が助からない可能性もあります」
その理由として、「旅行の需要は心理面に左右される」という。地方の観光地で最もカネを使ってくれるのは、東京などの大都市圏から来る人たちだ。しかし、この(感染拡大の)状況で、わざわざ遠くの観光地まで足を運ぶだろうか? 首都圏の人なら、東京ディズニーリゾートに泊まったり、箱根や熱海に行ったりするのではないかと、岩崎氏は分析する。
「このまま続けたら、得をするところと、しないところですごい差がつきます。東京のホテルが都民向けにお得なプランを打ち出したら、鹿児島の私たちは勝ち目ない。せめて23日からの4連休や、お盆、お正月は対象から外すべきです。8月から始めるのでも早いと思っていたのに、まさか前倒しされるとは。国は巨額のお金を使ってGDP(国内総生産)を押し上げ、経済指標をよく見せたいのでしょう」
困っている人にきちんとお金が行き渡る、実際の運用面を考えるべきだと指摘するのだった。  
 
 

 

●GoToキャンペーン「東京外し」は菅官房長官の小池都知事イジメか?  7/17 
政府は2020年7月16日、22日から開始する「GoToトラベル」キャンペーンの対象から東京都を外すと突然発表した。推進役の国土交通省の担当者たちさえ「寝耳に水」というあわただしさだった。
折も折、同日に東京都の新型コロナウイルスの感染者は296人に達し、過去最多となった。医療界やネットの声では「延期すべきだ」という声が高まっている。
突然の「東京外し」の裏には何が起こったのか? 主要メディアから読み解くと――。
突然の「東京外し」は国土交通省も寝耳に水
7月16日午後の突然の「東京除外」方針の発表。お膝元の国土交通省の担当者たちも寝耳に水だったようだ。テレビ朝日(7月16日付)「急転直下のGoTo見直し 国交省は寝耳に水の大混乱」によると、経済部の延増惇記者が内閣府前から、こう報告した。
「国土交通省内でも衝撃が広がっています。まさにもう寝耳に水だと。急転直下で東京都除外が決まった形でして、本当に今、省内では大混乱が起きています。なぜこうなったかといいますと、もともと皆さん、観光を救うんだ、予定どおり絶対に進めるんだと、かなり国交省内は強気の姿勢でした。観光業界からも助けてほしいと、このままだと破綻のラッシュが続くという声が上がっていて、それを受けて7月22日へ前倒しを決めたわけです」
延増惇記者は、さらにこう続けた。
「......ですが、大消費地の東京からお客さんが呼び込めないということで、非常に困惑した声が観光業界から上がっています。運用方法の最新の情報ですが、都外の人が免許証を提示して都民じゃないことを証明する必要があります。すでに都民で予約をしている人は補償がないということです」
スタジオから、
「ちょっと待ってください。もう飛行機や新幹線、ホテルを予約してしまった都民、それから全国の人々も多いと思いますが、キャンセル代金がどうなるかなど、まったく決まっていないということですか?」
という質問が飛ぶと、延増惇記者はこう答えたのだった。
「国交省の幹部によりますと、その補償はしないということです。すでに予約をしている人は補償なしということになります」
混乱ぶりが伝わってくる中継だったが、いったいなぜ、急転直下、「東京都の除外」が決まったのか。
菅房長官VS小池都知事の「子どものケンカ」
主要紙の報道をまとめると、政府の菅義偉官房長官VS東京都の小池百合子知事の「子どものケンカ」のようなお粗末なバトルが原因らしい。
毎日新聞(7月17日)「『都除外』GoTo迷走 政府、見通し甘さ露呈」は、こう内幕を暴露する。
「もともと与党内では『都は全然仕事をしないで国に文句を言っているだけだから外せばいい』(幹部)という不満が漏れていた。『東京除外』の理由について官邸幹部は『全国一律でいいと思ったが、都知事があれだけ(都外への外出を控えていただきたいと)言うから。政治的な判断だ』と小池氏の批判を考慮したと明かした」
しかし、政府にとっても苦渋の判断だったことは間違いない。毎日新聞はこう続ける。
「『東京除外』は政権への一層の逆風を招く危険性もある。自民党閣僚経験者は『都民だって税金を払っている。心情的にも都民が何と言うか』と都民の反発を懸念した」
朝日新聞(7月17日付)「GoTo先走った末 与党も慎重論、突然の東京外し」では、埼玉、千葉、神奈川の首都3県や大阪府などにも感染が拡大しているのに、なぜ東京だけが除外されたのかについて、やはり菅官房長官VS小池都知事のバトルがあったと説明する。
「菅官房長官は『圧倒的に東京問題と言っても過言でないほど、東京中心の問題になっている』と述べ、都のコロナ対策を当てこすった。一方、小池都知事はこれに対して、『(GoToキャンペーンと感染防止の)整合性を国としてどう取っていくのか』と皮肉った。国交省の幹部の一人は『官邸対小池知事になっている。ケンカをしている場合ではない』とため息を漏らした」
そして、神奈川県や千葉県が対象外にならなかったのは、両県とも菅氏の影響力が強く(編集部注:菅氏の選挙区は横浜市)、菅氏の働きかけがあったとみられるという。
フジテレビの情報番組「とくダネ!」(7月17日)に出演した政治ジャーナリストの田崎史郎氏によると、政府内では当初、東京だけを除外する案と、東京・埼玉・千葉・神奈川の首都圏と大阪を対象にする案の2つがあった。しかし、東京都の感染者数が増加していることや、何より小池都知事自身が「都外への移動を控えましょう」と呼びかけていることが決め手となり、「東京外し」が決まったという。 

 
 

 

●「Go To」東京排除で遺恨勃発! 安倍首相「効果落ちるが安心感に」 7/18 
政府は観光支援事業「Go To トラベル」から、東京都発着の旅行や、東京都在住者の旅行を除外することを決めた。小池百合子知事率いる東京都では16日、新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多の286人に達するなど、感染拡大に歯止めがきかないからだ。年間消費額約27兆円、生産波及効果55兆円。従業者数800万人超という観光産業を守るためにも、「東京外し=窮余の策」といえそうだが、東京都側は政府から事前に説明がなかったとして不快感を持っているとされる。もともと、菅義偉官房長官は感染者増加を「東京問題」と言い放つなど、官邸と東京都はギクシャクしていた。今後、さらに遺恨が深まることになりそうだ。
「仕方がない。東京都が外れると(経済)効果が落ちるが、安心感につながる」
安倍晋三首相は16日夕、「Go To」担当である赤羽一嘉国交相らと見直し方針を確認した後、周囲にこう語った。
西村康稔経済再生担当相は、「東京外し」の方針を了承した新型コロナ対策分科会後の記者会見で、「東京が感染の震源地だ」と理由を説明した。
新型コロナウイルスの「感染防止」を徹底しながら、「経済再生」を目指す「Go To」事業。短縮される夏休みの時期に合わせて来週22日開始に前倒しされたが、東京都知事選(5日投開票)終了と合わせるように、東京中心に感染者の再拡大が進んだ。
16日の国内感染者数は612人で、5月25日の緊急事態宣言解除後で最も多くなった。600人を超えるのは4月11日以来。過去最多286人の東京都のほか、大阪府は66人、埼玉県49人、神奈川県48人、千葉県32人と、いずれも宣言解除後の最多となった。兵庫県は17人、京都府は13人、奈良県7人の感染が確認された。
PCR検査が増えている背景もあるが、地方の首長からは「この時期のスタートはいかがなものか」(山形県の吉村美栄子知事)、「感染が拡大すれば人災以外の何物でもない。市民の我慢をぶち壊すのか」(青森県むつ市の宮下宗一郎市長)などと不安や批判が殺到している。
特に、東京都では、小劇場やホストクラブなどで、クラスターが発生して、全国各地に感染者が広がっていた。与党内からも「東京などについては実施を慎重に対応してほしい」(公明党の山口那津男代表)との声が上がり、最終的に「東京外し」が決まった。
政府としては、日本の人口の10%超である東京都が外れるのは、観光支援事業としては痛い。期待する経済効果も完全には望めないが、「苦肉の策」として決めた。感染が落ち着けば、東京都も対象とする方針だ。
ただ、東京都は報道前に、この決定を知らされなかった。
小池氏は16日夕、報道陣の取材に「都民、国民への説明が求められるのではないでしょうか」「国がよーく、ご判断したことだと思う」と不信感をあらわにした。都の幹部も「政府による都への嫌がらせとしか思えない」と語った。
「東京都=感染震源地」という意識が伝わってこないが、これには「官邸と東京都の因縁」という背景がある。
官邸で観光振興の旗振り役を担ってきた菅長官は11日、北海道千歳市での講演で、感染者の増加について、「圧倒的に『東京問題』と言っても過言ではないほど、東京中心の問題になっている」と、暗に東京都を批判した。
これに対し、小池氏は13日、「逆に圧倒的に検査数が多いのが東京だ」と反発したうえで、政府が「Go To」を推進していることに触れ、「冷房と暖房の両方をかけることにどう対応すればいいのか。整合性を取るのは国の問題だ」などと皮肉った。
これ以外にも、官邸と東京都は「情報共有」や「軽症者を受け入れるホテルの確保問題」「陽性者の連絡問題」などでもギクシャクしていた。
注目の「Go To」は22日にスタートする。同日以降の宿泊、日帰り旅行は代金から35%分が割り引かれる。宿泊施設では、検温や本人確認、共用施設の人数・時間制限といった対策が義務付けられる。
経済界は「東京外し」について、容認する声がある。
ANAホールディングスの片野坂真哉社長は「熟慮されての決断ではないか。観光旅行業界として感染防止の努力をして、東京も含めた(支援が行われる)時が来るよう願っている」と指摘した。
三井住友フィナンシャルグループの太田純社長は「判断には一定の理解を示す」「経済効果と感染リスクのバランスを、どう取るかだ。地方の経済は疲弊しているので何か別の対策が必要だ」と語った。
「官邸と東京都」の遺恨は続きそうだ。 
●都で自宅療養急増…コロナ「家庭内クラスター」連鎖の恐怖 7/18 
17日、都内で新たに293人の新型コロナウイルス感染者が確認され、2日連続、過去最多を更新してしまった。すでに都内の入院病床や宿泊施設は逼迫している。懸念されているのは“自宅療養”する感染者が急増していることだ。この先、家庭内感染があちこちで発生しかねない。
小池都知事は「医療提供体制の確保」を繰り返し強調しているが、内実はかなりタイトだ。
7日、現状1000床から3000床への病床確保の指示が出されたが、現在、確保できているのは約1500床程度にとどまっている。17日時点の入院患者は836人。すでに半分以上が埋まっている状態だ。
軽症者を受け入れるホテルはもっとひどい。ピーク時には5施設、約1150人分あったが、小池氏が知事選にうつつを抜かしている間に、契約切れが続出。現在、利用できるのは、八王子市のホテル100人分と、16日から入所が始まった豊島区のホテルの110人分のみ。17日時点の「宿泊療養」は107人。まさに自転車操業である。
病床とホテルがタイトな結果、自宅療養が急増している。今月1日時点では46人だったが、16日時点ではナント240人。わずか2週間あまりで、5倍以上に膨れ上がっているのだ。さらに、「入院・療養等調整中」が515人もいる。このうち、自宅療養となる患者も相当数いるはずだ。
都のモニタリング会議のメンバーで東京都医師会の猪口正孝副会長は15日の会見で、医療体制に危機感を示したうえで、「無症状、軽症の患者を、医療機関や宿泊療養だけでなくて、場合によっては自宅療養も考えなくてはいけない」と漏らしている。
しかし、自宅療養は家庭内感染に直結する。中国・武漢では1月中旬に医療機関がパンクし、軽症者は自宅療養となった。すると、家庭内感染が拡大し、感染者は1日当たり数十人から数百人に急増した。この時期のクラスター感染の約8割は、家庭内だった。イタリアの感染拡大も軽症者の自宅療養が大きな原因だった。
東京都福祉保健局の担当者も、「現在はホテルのキャパシティーの問題もあり、契約切り替えの過渡期なので自宅療養が増えています。本来、感染者は他人にうつさないためにも入院するか、ホテルなどの療養施設に入居してもらうのが原則です。自宅療養では、家族を感染させてしまう心配もあります」と家庭内の感染リスクを認めている。
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「家庭内でも陽性家族と距離を取って感染を防げる、というのは“言うはやすし”です。現実的には無理です。また、病院やホテルと違い、医療従事者がそばにいないので、対応が後手になるリスクがあります。4月に埼玉県で自宅療養していた軽症者が急変し、死亡したケースがありました。以前と比べ、ホテルも利用客が戻りつつある。ホテルの確保が難しいのなら、都の施設を活用するなどして、極力、自宅療養をなくすように努めるべきです」
今の勢いで自宅療養が増えれば、武漢やイタリアの二の舞いだ。  
 
 

 

●“GO TO トラブル”の舞台裏解説「政府の小池知事への怒りは凄まじい」 7/20 
ジャーナリストの門田隆将氏(62)が20日、ツイッターで東京都・小池百合子知事の対応に疑問の声を上げた。門田氏は「GO TO トラベル」の東京排除での小池都知事の反応について政府側が不信感を抱いているという。 
門田氏は一連の東京排除となった“GO TO トラブル”騒動について「政府の小池知事への怒りは凄まじい。“GO TO トラベル”をあれだけ批判していたのにいざ除外されると“聞いていない”と。政府は“電話に出ないから副知事に説明した”。誰もが女帝に困り果てている」とその舞台裏を解説している。 
●小池知事「GoTo」で政府と泥仕合も都議会からは“逃亡”の愚 7/20 
政府の「Go To トラベル」キャンペーンを巡り、「都民、国民に対しての説明が求められるのではないか」とクギを刺していた小池都知事。政府の説明責任を問うていたのに、自分は都議会に出て来ようとしないのだからアキれてしまう。
17日、都知事選後初めての議会となる都議会臨時会が開会。都は新型コロナウイルス感染対策費として総額約3132億円の補正予算案を提出した。
問題は、この補正審議に小池知事が出席しようとしないこと。知事与党の都民ファーストの会(都F)都議が委員長を務める議会運営委員会は10日、小池知事が出席しない常任委員会だけで予算質疑を行うことを提案。共産党都議団が17日の臨時会で、小池知事に答弁を求めるため特別委員会設置の動議を提出したものの、都F、自民党、公明党の反対多数で否決された。このままでは、小池知事が会期中に答弁に立たないという異常事態になってしまうのだ。
共産党都議で同党都議団政調委員長の白石民男氏がこう言う。
「臨時会とはいえ、小池知事は2期目をスタートさせた直後であり、政治姿勢やコロナ感染拡大の現状をどう捉えているかなど、都民に説明すべきことがたくさんあります。知事自らが『質疑したい』と言えば都議会与党が反対する理由はありません。矢面に立ちたくないのか、議会に出て来たくないのがアリアリです」
今回の補正予算の財源は主に、国の交付金。都の貯金である「財政調整基金」は温存されるため、議運は「知事が出てこなくてもいい」と判断したという。
「都内の新規感染者は300人に迫る勢いで急増しています。知事自ら感染防止策を都民に説明するのが本来あるべき姿です。議会に出てこないのは都民へ語るべき具体策がない証左です」(白石民男氏)
小池知事は都議会から逃げている一方、政府に対しては、やたら勇ましい。感染が拡大する中、「Go To トラベル」を強行する政府を「冷房と暖房をかけることにどう対応すればいいのか」と当てこすり、政府が東京を除外したことについて「『よーく』ご判断されたことなんだろうと思います」と皮肉っていた。
政府と泥仕合を演じているヒマがあるなら、都民に具体策を「よーく」説明してもらいたい。 
●東京の新たな感染者188人……なぜ政府は緊急事態宣言を出したくないのか 7/20 
7月19日、東京都内で新たに188人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、4日ぶりに200人を下回った。そうしたなか、キャスターの辛坊治郎は16日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、新型コロナウイルス感染症対策への国と東京都の温度差について、自身の分析を論じた。
総理大臣の権限がほぼゼロの緊急事態宣言
東京都の小池都知事が7月15日に会見し、新型コロナウイルスの都内の警戒レベルを、最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げたことを発表した。
辛坊)なぜ政府は緊急事態宣言をあまり出したくないのか。前回、緊急事態宣言を出した経緯から考えますと、政府の本音は出したくはなかった。やはり学者や東京都知事、マスコミにも煽られ出さざるを得なかったという部分があります。そもそも緊急事態宣言を政府が出したくない理由ですよね。
ひとつは緊急事態宣言というのは名前は仰々しいですが、総理大臣ができる権限というのは、時間、地域を決めて知事に指示をするというだけで、何ができるのかという具体的な権限がゼロに近いです。現実に総理大臣の権限がゼロなのに、宣言だけ出させられ責任を取らされるのはいやだよな。というのが本音としてあります。いまの法律上の新型インフルエンザの特措法による緊急事態宣言というのが、あまりに力がなさすぎなので、こんなものを出しても出さなくてもたいして関係ないのではないのかというのが本音の部分であります。これは、これからお話しする本題とは別の前段としてあります。
興奮状態になった知事やマスコミに煽られて緊急事態宣言を出した政府
辛坊)では、本題の話ですが、政府が新型コロナウイルス感染症について本音ではどう思っているのか。知事は普段は目立たないのでこうしたときこそ出番だと、前面に出ていきますね。学者も感染症学者といのは、一生のうちにこうして頑張れるチャンスが一回あるかどうかです。私たちの出番だと思った部分があるのでしょう。ある意味、人によっては暴走してしまった人もいますし、冷静な人もいます。しかし、どの感染症学者にとっても一生に一度あるかないかの見せ場が回ってきたので、興奮状態になってしまった。知事やマスコミも興奮状態になってしまったのです。そして、政府は煽られ宣言は実行力があまりないと思いながらもそうなれば緊急事態宣言を出さざるを得ないですよね。しかし、大阪大学の教授が検証したように緊急事態宣言を出しても出さなくても関係はなかった。実際の感染者数は緊急事態宣言を出したからといって、大幅に下がったということはなかったということがありますね。
誰も気が付いていない異常事態〜下がっている死亡率は“見かけ上”のもの
辛坊)誰も気が付いていないことをひとつ言います。見かけ上の死亡率はどんどんと下がっています。死亡率はどのように計算するのかというと、分母はPCR検査で明らかになっている陽性者です。分子は死者ですので、現在はほとんど増えていない状況のなかで分母の感染者がどんどんと増えています。私がこのあいだ計算してみましたら、この1ヵ月弱の間に5%を超えていた日本の死亡率が4%くらいまで落ちてきています。また私が衝撃を受けたのですが、このまま何もしなければ40万人が亡くなるといった方がいますよね。その方が最近の新聞のインタビューに答えていまして、日本での死亡率、欧米での死亡率もほぼ同じということを発言していました。私はなにを根拠にそのようなことがいえるのかと驚きました。死亡率というのは感染者の数が正確にわからなければ出せません。見かけ上の死亡率というのは、分母を判明している感染者数、分子を死者です。ヨーロッパはたしかに、スペイン、イタリアあたりの軒並み10%を超える死亡率のところがあります。ドイツでも5%です。日本はついこの間まで2万人弱が感染者で、1000人弱ほどが死亡者でした。ですので、2万人分の1000イコール約5%という数字でした。ところが現在、上の分子が変わらないのに、分母がどんどんと大きくなっている状況ですので、刻々と死亡率が下がっています。40万人が亡くなるという根拠はおそらく先ほど述べた日本の死亡率を前提にしていると思います。ところが日本の死亡率は2月3月4月あたりでPCR検査はほとんどしていませんでした。感染者数というのはごく一部しか把握していませんので、それを分母にして死亡率を出す。それが本当の死亡率なはずがありません。反対に感染者数がものすごく増えてくることによって、見かけ上の死亡率がどんどんと下がっているという、異常事態にもなっています。
では、どのくらいの死亡率なのか。このまま若い人の感染がどんどんと広がっていき、PCR検査の感染者数だけが上がっていくと。最終的に極端な数字の例でいうとシンガポールが現在、約4万7000人。人口の1%くらいが感染しています。そして亡くなっている方が27人で、1000人に1人も亡くなっていません。ではなぜなのかというと、2つの考え方があります。もともとそうした病気なのではないかという考え方の一方で、シンガポールの感染者というのは移民の若い人が多いのです。移民の若い人を労働力として使っていて、その人がタコ部屋のような場所で働いておりそこで集団感染が起きている。そして、4万5000人以上の感染者が出ていますが死者が27人しかいないのは、若い人が中心にシンガポールは感染が広がっているからなのではないのか、という見方があります。そういう背景だとしても、若い人の死亡率は1000人に1人なのだなということがわかります。
高齢者に支えられている政権は、高齢者を敵に回したくないが
辛坊)そしてここから先です。ここから先は政治の世界と、学者の世界で異なるところなのですが、1000人に1人が死ぬということをやはり防がなくてはならないという論は当然ありますよね。高齢者はもっと亡くなっているだろうというのはおっしゃる通りです。同時に、それを防ぐために社会経済全体を止めるべきかという議論もあります。結局、これを判断するのは政治です。政治というのは我々民主主義の社会では国民が選んだ政権が決めますので、そこから先は国民の判断なのです。いろいろなことを言う人がいますが、実態は何なのか、この病気はどのくらい恐ろしいのか、という客観的な事実と、対策を取ったときに結果として何が起こるのかという、比較衡量に応じて対策を取らなければなりません。しかし、どうも一方の意見がこの国では暴走しがちです。そうした状況のなかで、高齢の方、とくに80歳以上の方の死亡率についてはいちばん最初のWHOの発表によれば15%ほど。7人に1人は亡くなる可能性があります。ならばどうするのか。そうしたことに当然なっていきます。
高齢者に支えられている政権としては、高齢者も敵に回したくはありません。高齢者がばたばた亡くなるという事態は避けたいのです。このまま、若い人の感染が広がっていく、それが高齢者まで広がるとなると高齢者がどんどんと亡くなる可能性がないとは言えません。ただ、高齢者が重症化して死亡するリスクがどのくらいなのかというのを考えたときに、どうも日本において重症化リスクというのと死亡リスクというのは、医者の努力によってかなり下がってきているのではないのか。いろいろなことがわかってきました。医療技術の向上が素晴らしいです。
そうしたことで救命率が劇的に上がってきている。そうした部分を考えると、重症化している人もそんなには多くありませんが、ICUにきちんといれて酸素投入、人工呼吸ECMOをサイントカインストーム対策、血栓症対策というのをきちんとできるような医療体制さえ整っていれば高齢者でもそう簡単には死なないというのがだいぶ見えてきた段階で、それが見えなかった段階と同じように社会全体の動きを止めなくてもよいのではないのか。若い人でも重症化する例はまれにありますが、シンガポールの例を見ても1000人に1人もいない。高齢者の場合、重症化する人はいますが、重症化しても今のプロセスを辿っていけば、そんなに簡単には死なないという状況になったときに、以前と同じような社会全体の動きを止めることが果たして正当なのだろうか。
救命率が劇的に上がってきているなら「緊急事態宣言」ではないという流れ
辛坊)というのを考えたときに、知事の皆さんは毎日毎日、感染者数が何百人と大騒ぎしますが、本質はそこではありません。やはり重症化した人をきちんと救えるような医療体制が継続できているのか、どうなのかというのが、話の本体なのではないのかということです。そうしたところから、緊急事態宣言は「そういうタイミングではないでしょう」という流れになっているということです。
飯田浩司アナウンサー)そうですよね。一歩進めば年代別にここまでの社会活動ができますというような指針を示すこともできる。ただ、それをやると高齢者に対しての差別だということにもなりかねないので政治の世界ではなかなかできない。
辛坊)スウェーデンではこれが極端です。社会的コンセンサスが取れているところがすごいと思うのが、どんな病気になっても80歳になるとICUに入れてもらえません。自動的に80歳になると寿命ですということになる。日本でそのようなことをしてみたら、とんでもない騒ぎになりますが、一方でスウェーデンにおける政権支持率が非常に高いというのはどういうことなのでしょうか。日本の状況はマスコミのせいなのではないのかな、というのも考えなくもありません。 
 
 

 

●小池都知事、不要不急の外出自粛を 4連休、都民に要請 7/21 
東京都の小池百合子知事は21日、都内で記者団に対し、23〜26日の4連休は不要不急の外出を控えるよう都民に呼び掛ける考えを示した。西村康稔経済再生担当相と新型コロナウイルス対策について会談した後、述べた。
小池知事は、「重症者が増えている。特に(重症化リスクの高い)高齢の方や、既往症のある方は外出をお控えいただくことが重要と考えている」と強調。22日に専門家を交えた会議で感染状況や医療提供体制について分析した上で、正式に要請すると表明した。  
●小池知事の逆鱗に触れると排除以外に生き延びる道なし 7/21 
東京都の監理団体である「公益財団法人東京都環境公社」の澤章理事長(61)が7月末で退任する。澤氏は1986年、東京都庁入都。総務局人事部人事課長、知事本局計画調整部長を経て、中央卸売市場次長として築地市場の豊洲移転に携わった。2019年に都庁を退職して現職に就任。都OBは65歳まで関連団体で勤務するのが慣例で、理事長就任から、わずか1年で退任するという極めて異例の人事が行われた背景には、小池知事による事実上の“クビ宣告”があったとみられている。“都庁の半沢直樹”とでも呼ぶべき渦中の澤氏が小池都政の実相を改めて振り返った。
小池知事が366万票で再選を果たして始まった7月の第2週、都庁では早くも幹部人事が動き始めていた。
昨年3月に都を定年退職した私はこの1年、OB人事の枠の中で生計を立てていたが、今月10日、突如、T副知事から呼び出しを受けた。都庁第1庁舎6階の副知事室にわざわざ出向くのは、懲戒処分か異動内示を受ける時と相場は決まっていた。
ついに来たか、と直感した通り、T副知事からは7月末で現職(公益財団法人東京都環境公社理事長)を退くように通告された。それは8月から無職になることを意味していた。
事の発端は今年3月に出版した1冊の本だ。『築地と豊洲「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』(都政新報社)は、私が東京都中央卸売市場次長として築地市場の豊洲市場への移転問題にかかわった1年半の体験をもとに小池知事の肉声を交えて騒動の経緯をつづったものである。
週刊誌では暴露本、告発本のレッテルを張られたが、本人としては至ってまじめに(多少の皮肉と自虐を込めて)都庁内部のドタバタ劇を記述したつもりである。
発売直後から妙な噂が聞こえてきた。
「知事サイドは、幹部職員に『あの本を読ませるな』と下令しているようだ」
「都庁に出入りするメディアに対しては『あの本を書評などで取り上げるな』とお触れを出しているらしい」
実際、現役時代に見知っていた記者たちに「『築地と豊洲』をよろしく」と手あたり次第連絡しまくったのだが、ものの見事にガン無視された。
ある全国紙の記者からは「ちょっと今、うちでは無理です。小池派で売ってますから」と苦しい(?)胸の内を明かされもした。都庁第1庁舎2階の書店では局地的なベストセラーになったものの、ある時期、店頭から本が消えた。カウンターで問い合わせると、レジの後ろからそっと取り出してくれたなどという話も聞いた。まるで発禁本の扱いである。
「築地と豊洲」が小池知事にとってそれほどの「破壊力」を持っていたとしたら、作者冥利に尽きるじゃないかとほくそ笑んだが、それで終わるわけがなかった。
小池知事の逆鱗に1度触れた者は排除されるほかに生き延びる道はないのだ。これまでの経験則では、すぐには切り捨てず、しばらく生かしておいて、ほとぼりが冷めたころにバッサリというケースが多かった。私の場合、それは「都知事選が終わるまで」ということだったのだろう。
さて、T副知事からの退任通告である。「個人の言活動と理事長の職を結び付けて処分されるのはおかしい」と食い下がる私に対して、T副知事は「いやいや、そういうことではなくて、常識ってことですよ」と言い放った。常識? 訳が分からない。「ですから、局長まで務めた人間が備えている社会常識、良識ですよ」。その後、何を聞いても「常識」の一点張りで埒が明かない。つまり私は非常識な人間だからクビになったということだ。
だが待てよ。私は盗撮を犯したのでも公金を横領したわけでもない。個人的に本を出版して週刊誌の取材に応じただけである。常識・非常識などという曖昧模糊とした理由で「クビ」を切られるなんて、「おいおい都庁はいつから国家安全法下の香港になったんだよ」と思わず心の中で叫んでしまった。と同時に、都庁官僚組織のケツの穴の小ささに呆れかえった。
いの一番にやるべきは、共働きの妻の説得だ。「だから言ったじゃない!」と叱責されるかと思ったが、「仕方ないわね。こうなるってわかってたんでしょ。仕事探してよ」とこれまでで一番優しい言葉をかけてくれた。
・・・ そんなことはどうでもいい。7月13日、都庁では幹部人事の異動が発令された。その中に不可解な異動があった。福祉保健局長が交通局長に異動。外部から見ればどうってことのない横転人事である。だが、都庁関係者の間には衝撃が走った。福祉保険局長とは新型コロナウイルスの拡大防止の最前線で奮闘してきた局長である。その指揮官をコロナ再拡大のこの局面で取り換えるとはどういうことだ。以前から福祉保健局長と小池知事はウマが合わないとか、局長の進言、直言を知事は快く思っていないなど、不協和音を感じさせる噂が流れていた。それにしても、気に入らなければ人形の首を挿げ替えるように役人を扱う小池知事のやり方は2期目に入っても微動だにしないらしい。再び恐怖政治の4年間がはじまったのである。 ・・・  
●再選の5日後に粛清人事 小池都知事は“怖い人”を敵に回した 7/21 
東京都が監督する東京都環境公社の理事長が今月31日、退任する。同13日に再選されたばかりだった。わずか18日でのクビの異常さは、都知事選で大勝した小池百合子都知事の“威光”が、隅々にまで及ぶことを意味する。
退任するのは、中央卸売市場次長として築地市場の豊洲移転を見届け、小池氏のしたたかな市場利用を軽妙かつ辛辣な筆致で「築地と豊洲」(都政新報社)に書き残した澤章氏である。昨年、都庁を退職して、都の外郭団体である環境公社の理事長に就いていた。
1986年、都庁に入り、鈴木俊一、青島幸男、石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一、小池百合子と歴代知事に仕え、「主」に合わせる都官僚の遊泳術と触れてはならないタブーは知り尽くしている。告発書を出した段階で、粛清人事を繰り返してきた小池氏の報復は予想できた。だが、いかにも早い。
退任を告げたのは、多羅尾光睦副知事だ。都庁の自室に呼びつけ、「公務員として、都庁を辞めて、すぐに(『築地と豊洲』で)内部情報を明らかにするのは常識外れ」を理由に、7月末のクビを告げた。都知事選の5日後だった。その時は頭に血が上ったものの、澤氏は今、むしろすがすがしいという。
「局長経験者の常識、といったつまらないことを気にしなくて済みます。都政内部の動きは国政以上に見えにくい。外から眺めるのと内から体感するのではまるで違います。コロナ禍で小池知事の動静に注目が集まるなか、その違いをしっかりと伝えたい」
「築地と豊洲」は、残されるべきノンフィクションである。2016年8月、初入庁した小池氏が、最初に宣言したのは「市場移転の見直し」だった。それが、小池氏が主張するように、反対派や都民の「安全安心」の不安を解消するためなら、結果的に2年遅れたことも納得できる。しかし、澤氏が時系列で克明に明かすのは、見直し作業を通じて都議会自民党など反小池派に打撃を与え、都政を完全に牛耳ろうとする小池氏の野望だった。
それは、翌年の都議会での私兵集団「都民ファーストの会」の大勝につながり、国政に進出して「希望の党」の設立へと続く。が、「酷薄な排除の論理」で小池バブルははじけ、総選挙で希望の党は結果を残せず、やがて消滅。マスメディアが小池氏のもとを離れると、安全も安心も得られていないのに豊洲移転を決行した。
その野望を内から痛打した澤氏は、小池氏には目障りだろう。都庁の書店から「築地と豊洲」は消え、「読むな」という都庁職員への指示、「書評でとり上げないように」という都庁記者クラブへの要請が出された。それは、「小池氏が直」というより官僚の忖度だろう。多羅尾副知事は「(退任は)誰が決めたのか」という問いに「都の決定だ」と答えている。そんな官僚のごまかしを誰より知る澤氏は、今後、「都政ウオッチャー」になるという。小池氏は怖い人を完全なる敵にまわした――。 
 
 

 

●小池都知事、警視庁にコロナ対策要請 「夜の街」立ち入り検討 7/22 
東京都の小池百合子知事は22日、警視庁本部を訪れ、斉藤実警視総監と面会し、新型コロナウイルス感染拡大防止への協力を要請した。小池氏はこの後の記者会見で「警視庁と都庁が連携し、風俗営業の店に対する感染予防策の徹底を図ると話してきた」と説明。感染者が相次ぐ「夜の街」関連の店舗への立ち入りを含め対策を検討する。
夜の街をめぐっては、菅義偉官房長官が「風営法に基づく立ち入りの機会に警察が感染防止対策の徹底の呼び掛けを行う」と発言。小池氏は会見で「風営法を根拠に感染症対策をするものではない」とした上で、「方法は検討中だが、主要な繁華街を手始めに速やかに実施する」と述べた。 
●小池東京都知事、4連休の外出自粛呼び掛け−第2波の心構えで 7/22 
東京都の小池百合子都知事は22日の記者会見で、新型コロナウイルス感染者が増加傾向にある現状は流行の第2波という心構えで一層の警戒が必要だとの考えを明らかにした。23日からの4連休は「外出をできるだけ控えてほしい」と都民に呼び掛けた。同日の新規感染者数は238人で累計で1万人を超えた。NHKによると、全国では747人の感染発表があり、1日当たりで過去最多となった。
小池氏は、4連休は感染拡大を食い止めるために「重要な期間」と指摘。高齢者など重症者リスクが高い人については、特に注意を促した。飲食店などの事業者には、感染拡大防止の徹底を宣言するステッカーを7月末までに掲示するよう求め、都民にはガイドラインを守らない店の利用は回避するよう要請した。
外出を控えてほしいとの呼び掛けについては、特措法24条に基づく要請には当たらないとの認識を示した。都は小池知事の記者会見に先立ち、モニタリング会議を開催。感染状況の警戒レベルについて、4段階のうち最も深刻な「感染が拡大していると思われる」の判断を維持した。
国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、中高年層への感染拡大や高齢者の家庭内感染も見られていると指摘。感染者数が多い新宿、世田谷、港区などに加えて、隣接する渋谷区などへも感染が拡大しているとの認識も示した。
医療体制については、4段階のうち2番目に深刻な「体制強化が必要」との判断を据え置いたものの、杏林大学の山口芳裕教授は、政府が示している東京の医療体制がひっ迫していないという見解は「誤りだ」と強調。病床拡大には、入院患者の移動などに2週間以上が必要などとして、最も深刻なレベルではないが、「何とか踏ん張っている」状況だとの強い危機感を示した。
山口氏は、医療体制が最悪レベルではないとの評価が、「皆さん遊びましょう、旅しましょうという根拠に使われないことを切に願う」とも語った。菅義偉官房長官は22日午後の記者会見で医療体制について、入院患者数は増加傾向にあるものの、重症者は14人であるなど「ひっ迫している状況にはない」と述べた。
都内の新規感染者数は、16日から3日連続で280人を超え、17日は過去最多の293人となった。19、20日はそれぞれ188人、168人で200人を下回った。21日は237人で、累計9816人だった。
大阪府は22日、新たに121人の感染が確認されたと発表した。1日当たりの感染者数としては、過去最多となる。吉村洋文知事は記者会見で、感染者数を見ると「第2波に入ってきている」とした上で、医療体制は「第1波のようなひっ迫した状態ではない」との認識を示した。NHKによると、愛知県や埼玉県でも過去最多の感染者が確認された。
感染が拡大する中、政府は同日、観光支援事業「Go Toトラベル」を東京発着の旅行を除外して開始した。安倍晋三首相は感染予防策を徹底した上で、「慎重に経済活動を再開していく方針に変わりはない」と記者団に語った。
菅官房長官も同日の会見で、同事業は経済の段階的再開の一環と強調。「地方の経済状況は極めて厳しい」として、事業を進める考えを改めて示した。今後の東京都の扱いを含め、感染状況を踏まえて必要に応じて専門家と相談して運用していくとも述べた。大阪府の除外は考えていないと語った。
安倍首相は22日夕の新型コロナウイルス感染症対策本部で、現在の水際対策を維持しつつ、「国際的な往来を順次進めていくことも重要」だとして、感染状況が落ち着いている東アジアと東南アジア12カ国・地域の間で、ビジネス上必要な人材の往来再開に向け、新たに協議を進めていくことを明らかにした。
対策本部の資料によると、ビジネス人材の往来再開に向けた協議対象は中国や韓国、台湾が含まれている。対象となっていない国との間でも、短期間、少人数に限定した往来の枠組みを導入するという。
安倍首相はまた、許可を取って出国した外国人についても、再入国を段階的に認める方針を示した。今後は、来年の東京五輪・パラリンピックの開催に向けて、アスリートや大会関係者などの入国に向けた措置も検討する。  
政府は同日午後、新型コロナウイルス感染症対策分科会を開き、8月1日からのイベントに関する入場制限の緩和について専門家の意見を聞いた。西村康稔経済再生担当相は終了後の記者会見で、専門家からは現在の制限を当面維持すべきだとの意見があったと説明。現在の制限を「8月末まで維持することとしつつ、今後の感染状況に応じて適宜専門家に意見を聞きながら判断していきたい」と述べた。
現在は定員の50%か5000人の少ない方を上限としているが、うち5000人制限を8月1日から撤廃する方針だった。Jリーグは20日、感染症対応のガイドラインを変更し、5000人制限を同月10日まで延長すると発表した。 
●小池百合子氏は「火消し役」、職場にもいる評価が高いけど厄介な人たち 7/22 
今回の東京都知事選でも圧勝した小池百合子氏。新型コロナウイルス対策や学歴詐称問題など、最近は何かと話題の小池氏だが、一連の発言やその後の物事の進め方を見ていると、どこの会社にでもおそらくいるであろう「火消し役」と呼ばれるリーダーの存在を想起してしまう。火消し役は、マネジメント層の評価は著しく高いが、現場の人々から見るとかなり厄介な側面を持つ。
小池百合子氏を見て思う、職場で「火消し役」と呼ばれる人の存在
周知の通り、7月5日に投開票された東京都知事選は過去最多の22人の候補によって戦われたが、「信任投票」と揶揄(やゆ)されたとおり、現職の小池百合子氏の圧勝に終わった。
小池百合子氏のこれまでの発言や振る舞いについては、豊洲市場移転時の土壌汚染の件や新型コロナでいち早く感染爆発・重大局面として庶民の耳目を集めるやり方が「最初に恐怖に訴えかける手法」などといわれている。また、東京アラートやウィズコロナなどカタカナを使った分かりやすい表現にも特色があるという。
小池百合子氏の政治家としての手腕や功績について、本稿で述べるつもりはないが、私は小池百合子氏の一連の発言やその後の物事の進め方を見ていると、どうしても想起せざるを得ない存在がいる。
それは、どこの会社にでもおそらくいるであろう「火消し役」と呼ばれる人たちである。
火消し役は、プロジェクトがうまく進行しなかったり、業務が著しく停滞したりするとその場を収拾してうまく軌道に乗るまでの旗振り役を務める。
その役回りについては、そのままそのプロジェクトのリーダーとして活動をするか、また次の作業に移るかなど、ケース・バイ・ケースだろうが、多くの場合、社内で同様の「火事」が起きると再び請われて火消し役を務めるような人材である。
そして、当然のことながら社内、特にマネジメント層の評価は著しく高い。皆さんの周りを見渡しても思い当たる人物がいるのではないだろうか。
「凡庸なリーダー」や「一般的なリーダー」は、うまくいっているプロジェクトや仕事は切り盛りすることができるが、ひとたびトラブルが発生すると立ちすくんでしまう。
火消し役が「一般的なリーダー」と異なるのは、その名の通り、とにかくトラブルが出た場合、その大小にかかわらず沈静化できる手腕にある。
腕の立つ火消し役は、皆、全く同じ手法を取る
実は、腕の立つ火消し役は皆、全く同じ手法を取る。
第一に「現状の問題点」を洗いざらいあぶり出す。
プロジェクトの火消しの場合には、まずはプロジェクト管理の問題点として「進捗管理」や「課題管理」など、「見える化」しやすい部分から着手する。
「実際の進捗と報告されている進捗が異なる」 「進捗管理されていない作業があり、その部分がひどく遅れている」 「課題管理表に記載されていない課題がある」 「重大な課題が納期を過ぎても完了されていない」 「見落としているリスクがある」 などなど……。
労務管理もこうしたトラブルプロジェクトの場合、「例外なく多大な残業が発生しており、36協定上の問題がある」など、コンプライアンス上の重大課題がある。
さらに、コストも残業の発生などが原因で、その時点までに本来使ってよいコストを莫大に超過している。万が一、消費したコスト実績が予定通りだったとしても、火消し役は、「もし成果物が予定通りに作成されていれば、予定コストを大幅に超過していた」とすることを忘れない。
これら課題の数々を速やかにマネジメントに報告し、彼らに「危ないとは思っていたが、まさかこれほどとは…」と思わせる。
現状を総否定して、恐怖心をあおる手法が似ている?
こうした火消し役による現状を総否定してマネジメント層の恐怖心をあおる手法が、小池百合子氏の手法と似ていると私は思うのである。
こうなると既存のリーダーや主だったチームのサブリードなどプロジェクトを管理する役割のメンバーは立つ瀬が全くなくなってしまうが、火消し役はその点には全く情状酌量しない。
現状のリーダーシップを少しでも肯定してしまうと「火消し役」としての自分の価値が相対的に下がってしまうからだ。また、自分が火消し役としてリーダーに就任した場合には、現職のリーダーやプロジェクト管理チームは総取り替えする腹積もりなのだから、彼らにはどう思われようとかまわないのである。
一方で、プロジェクトの成果物を作成するメンバーには最大限の配慮をする。
彼らにそっぽを向かれると成果物が作れず、今後のプロジェクトが立ち行かなくなってしまうからだ。なので、よほどの場合を除き、成果物の品質が低いことはメンバーのせいにはせず、レビューをするリーダーやプロジェクト管理チームに責任があるとする。
火消し役はコストが増えても気にしない理由
次に、火消し役が取り組むのはプロジェクト完了までの工数やコストの再見積もりとスケジュールの再立案だ。
このとき、コストは当初のコストの2倍になろうと3倍になろうと意に介さない。
なぜなら、火消し役が入った時点で既に予定コストを大幅に超過しているからだ。また、必要なコストが仮に2倍とした場合に、火消し役がマネジメントに申告するのは概ね2.2〜2.5倍だ。プロジェクトが完了したときに実際に使ったコストを当初の2倍に収めて、残りの0.2〜0.5分は余りを出すことでマネジメントからより高い評価を得るためだ。
スケジュールは、当初のスケジュールを順守することが多いが、スケジュール順守のためにリスクの高い作業を削り、より確実な成果に絞り込むことを忘れない。
こうした無茶な交渉をマネジメントに納得させるには「最初の恐怖心」に訴える手法が極めて有効なのである。
そうして、トラブルの多いプロジェクトを「ブラックホール」とか「炎上プロジェクト」と名付けて、いかに大変な状況なのか誰が聞いても一瞬で分かるようにし、また、その火消しをすることがどれだけ大変なのか印象付ける。
この点もまた、小池百合子氏のネーミングのやり口を彷彿させるのである。
厄介事の尻拭いは「素直に引き取っては損」という考え方
他人がしでかした厄介事の尻拭いをしなければならないときは、素直に引き取っては損である。そこには有効な戦術があるし、その戦術を駆使する火消し役の手腕は見事である。
要するに、火消し役と呼ばれる人々は、「見せかけ」や「説得」のテクニックに、ずば抜けて長けているのだ。
しかし、真に有能なリーダーとは、最初から必要なコストとスケジュールをマネジメント層に説得することができる人であろう。
もし、あなたが真の有能なリーダーを目指すならば、どうすべきか?
仮に必要なコストが150だった場合、マネジメントからの押し付けで100として始めてしまい失敗し、火消しに頼ることで200を会社に使わせるよりは、当初から150で説得し将来会社に損をさせるであろう50をセーブできた方がはるかに有能であることは明らかだ。もしくは、予算が100しかないならば、成果の範囲を100でできる「質と量」に限定することだ。 
●また始まった小池都知事vs.菅官房長官 「Go To」で都民トバッチリ 7/22 
「Go To トラベルキャンペーン」をめぐり様々な思惑が入り乱れている。国、地方、観光業界……。まずは菅義偉官房長官と小池百合子東京都知事の因縁から。
「国がよーくご判断されたことなんでしょう」
7月16日夜、小池氏は記者団の取材に対し、Go Toの対象から急遽、東京が外されたことについて皮肉ともとれる答え方をした。
もともと政府は22日から全国一律で始めるとしていたが、その間に東京では感染者数が大幅に増加。小池氏は再考を求めていたが、これに対し菅氏は「(延期は)全く考えていない」と真っ向から否定していた。
菅氏の小池氏嫌いは有名だ。2016年に小池氏が知事になって以降、「小池さんは自分が目立つことしか考えない」「小池都政なんてパフォーマンスだけ」などと周囲に語ってきた。とはいえ、今回は「小池憎し」でGo Toを進めているわけではないようだ。
菅氏は観光政策の旗振り役の一人。IRに力を入れ、東京五輪も観光業界の意向をくみながら取り組んできた。しかし、コロナ禍で五輪は延期、外国人観光客も消え、観光業界は大打撃を受けている。永田町に詳しい経済団体幹部は言う。
「菅さんの思い入れが強かった。22日に早めたのも連休前に旅行需要を喚起するためです。自分たちの仲間にお金を突っ込むことが先行している。国民は、いつまでキャンペーンが続くのか、どうやって利用するのかもはっきりと理解してないのに突き進んでいるのはそのためです」
自民党の二階俊博幹事長の存在も見え隠れする。二階氏は運輸相(現国土交通相)、経済産業相を歴任し、観光業界のドンとも言われる。Go Toの事務局を務める団体の一つである全国旅行業協会の会長でもある。別の経済団体幹部は「二階さんのメンツにかけて強力に推進していたのでしょう」と話す。
地方からも声があがる。九州の商工会議所会頭は、北海道や沖縄、福岡、京都といった、これまでも“強者”とされてきた観光地が勝つような仕組みになっているという。
「当初は予算を地域ごとに割り振るような話もあったが、なくなってしまった。これでは大きな観光地以外の地域に勝ち目はないですよ。政府はGDPのV字回復だけを考えて、広く地域を支援するところまで考えが及んでいない」
青森県むつ市の宮下宗一郎市長は「感染者がV字に増加する」と声を荒らげる。市には感染症病床が4床しかなく、軽症者を受け入れる施設もない。高齢化率も高く、感染者を入れるわけにはいかないというのだ。
「現状では、Go Toは感染者をどれだけ受け入れられるかで恩恵の不平等が生じる。いまやるべきではない」(宮下市長)
一方、元観光庁長官で大阪観光局理事長の溝畑宏氏は、Go To推進の立場だ。サービス業の中小企業は壊滅的状況にあり、感染拡大防止と経済再生を同時に進めなくてはならないという。
「旅行者、観光関係者、地域住民がやるべき対策を取りながら経済を動かしていく。医療体制の問題などで来てほしくない、というのであれば、各地域で判断してそう言えばいいと思います。むつ市は『不平等』と言うのではなく、観光ではない他の産業でもうければいい。それを考えるのが首長の仕事だと思います」
様々な議論が巻き起こるGo To。はたして国民はどう動くのだろうか。 
  
 

 

●東京都で新たに366人の新型コロナ感染確認、過去最多−小池知事 7/23 
東京都内で23日、新たに366人の新型コロナウイルスの感染者が確認されたと小池百合子知事が記者団に明らかにした。1日当たりの感染者としては過去最多で、300人以上となるのは初めてだ。
小池知事は、300人以上の感染確認は「非常に大きい数字」であり、感染拡大防止への協力をさらに求める必要があるとの「警告」だと指摘。都民に対し、再び経済活動にブレーキを掛けることを避けるため、「できれば外出を控えてほしい」と改めて呼びかけた。感染者のうち、20−30代が6割だが、40−50代にも拡大しており、地域的にも23区内だけではなく多摩地域にも広がっているという。検査数は過去最多の約5000件だった。
「夜の街」対策として24日夜、警視庁と連携し、新宿区歌舞伎町と豊島区池袋で風営法による店舗への立ち入り調査を実施することも明らかにした。警察の調査に都の職員が同行し、感染拡大防止のガイドラインを守っているかなどを確認する。
都内の新規感染者数は、18日までに3日連続で280人を超え、17日は過去最多の293人となった。19、20日はそれぞれ188人、168人で200人を下回った。21日は237人、22日は238人で再び200人超となった。感染者数は22日時点で累計1万人を超えた。
東京都は22日のモニタリング会議で、感染状況の警戒レベルについて、4段階のうち最も深刻な「感染が拡大していると思われる」の判断を維持。小池知事は、流行の第2波との心構えで一層の警戒が必要だとして、23日からの4連休は「外出をできるだけ控えてほしい」と呼び掛けている。
22日は埼玉県で、過去最多となる62人の新規感染者が確認された。神奈川県は68人、千葉県は40人で、高い水準が続いている。大阪府でも121人と過去最多の感染が確認された。NHKによると、全国では795人の感染発表があり、1日当たりで最も多かった。  
●東京都 新たに366人感染確認 300人以上は初 新型コロナ  7/23 
東京都によりますと、23日、都内で新たに366人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたということです。都内で1日の感染の確認が300人以上となるのは初めてです。また、100人以上は15日連続です。
都内では、今月2日に107人となり2か月ぶりに100人を超えたあと、100人や200人を超える日が相次いでいました。そして、17日には、それまでで最も多い293人に上っていました。これで都内で感染が確認されたのは合わせて1万420人になりました。
東京都では感染の再拡大に伴って入院患者の数も増え続けています。都の発表によりますと新型コロナウイルスの入院患者は、22日の時点で916人となりました。
都は2400床のベッドを確保しているとしていて、数字の上ではまだ半数以上が空いていることになります。しかし患者の数は1週間前と比べて195人、1.27倍に増加し、今月1日と比べると636人、3.27倍に増えています。また、重症の患者は23日の時点で21人と、1週間前より14人増え、3倍となっています。
22日開かれた東京都の会議では現場の医療関係者から、「東京の医療がひっ迫していないというのは誤りだ」という指摘が出ています。
入院患者の増加は東京だけでなく、全国でも起きています。厚生労働省のまとめによりますと、全国の新型コロナウイルスの入院患者は今月1日には696人だったのに対し、今月15日は1717人と2.5倍に増えています。
確保しているベッド数は1万9496床と、こちらも数字のうえではひっ迫した状況にはなっていませんが、患者の増加が続いていることで医療現場の警戒感は高まっています。 
 
 

 

●東京都 新たに260人感染確認 200人超は4日連続 新型コロナ  7/24 
東京都は24日、都内で新たに260人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。一日の感染の確認が200人を超えるのは4日連続です。
東京都は24日、都内で新たに10歳未満から90代の男女合わせて260人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。
一日の感染の確認が200人を超えるのは4日連続で、100人以上は16日連続になりました。
260人のうち、20代と30代は合わせて186人で全体の71%余りを占め、40代と50代は合わせて55人で全体のおよそ21%となっています。
また、260人のうち、40%に当たる104人はこれまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、60%に当たる残りの156人はこれまでのところ感染経路が分かっていないということです。
260人のうち最も多いのがホストクラブやフィリピンパブなど夜間に営業する接待を伴う飲食店の従業員や客で、36人でした。このうち新宿エリアは24人だということです。
次いで、家庭内が25人、職場内が13人、会食による感染が10人などとなっています。
これで都内で感染が確認されたのは合わせて1万680人になりました。
24日に死亡が確認された人はいませんでした。
都内で24日までに感染が確認された1万680人のうち、入院中の人は23日より76人増えて1040人です。
このうち、重症の人は16人で23日から5人減り、自宅で療養している人は23日より3人減って389人、都が用意した3つのホテルで療養している軽症や無症状の人は23日より3人減って165人です。
3つのホテルで合わせて480人程度の受け入れ能力があり、都は今月中にホテルをさらに3つ確保する方針です。
医療機関への入院と、ホテルや自宅での療養のどちらを選ぶか調整中の人は845人で、23日より128人増えました。
すでに退院した人や自宅などでの療養が終わった人は7914人です。
東京都の担当者は24日、入院中の人が1040人となり、1000人を超えたのは5月17日以来2か月以上ぶりとなったことを明らかにしたうえで「比較的症状の軽い人が多いとはいえ、日々感染者が増えているので危機感を持っている。先回りで病床の確保に努めているが、入院が必要な人が確実に入院できるように緊張感をもって対応している」と話していました。
また、都内で感染が確認された人が4日連続で200人を超えていることを受けて「この連休中はできるだけ外出を控えるなど、感染を広めることがないよう努めてほしい」と呼びかけていました。 
 
 

 

●東京都、25日の新型コロナウイルス新規感染295人 5日連続で200人超える 7/25 
東京都の小池知事は25日、都内で新たに295人の新型コロナウイルス陽性者が確認されたと発表した。
陽性者が200人を超えるのは5日連続、100人を超えるのはこれで17日連続となる。7月に入って200人を超えるのは12回目となり、7月の合計では4750人と感染拡大に歯止めがかからない状態だ。
この日確認された陽性者のうち、20代と30代は合わせて185人で全体の63%、40代と50代は75人で25%を占めるほか、70代が6人、80代と90代が各1人となっており、高齢者にも感染が広がっている。また感染経路が不明な人は165人で54%にのぼっている。
これで都内で確認された陽性者の合計は10975人。緊急事態宣言が解除された5月25日以降の累計は5830人と累計の半数を超えている。
東京都では4月17日に206人の感染確認をピークに、徐々に新規陽性者が減り続け、5月23日には新規陽性者が2人まで減少。感染拡大の抑え込みに成功したかに見えたが、その後、新規陽性者が増加。7月に入ってからは連日100人以上の、感染拡大が続いている。感染者が2人と最少だった5月23日以降の累計では5846人となっている。  
●東京都 新たに295人感染確認 200人超は5日連続 新型コロナ  7/25 
東京都は25日、都内で新たに295人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。1日の感染の確認が200人を超えるのは5日連続です。また、都は、感染が確認された1人が死亡したことを明らかにしました。
東京都は25日、都内で新たに10歳未満から90代までの男女合わせて295人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。
1日の感染の確認が200人を超えるのは5日連続で、100人以上は17日連続になりました。
295人のうち、およそ63%にあたる合わせて185人が20代と30代で、およそ25%にあたる合わせて75人が40代と50代となっています。
また、全体のおよそ44%にあたる130人は、これまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、およそ56%にあたる残りの165人はこれまでのところ感染経路がわかっていないということです。
295人のうち、ホストクラブやガールズバーなど夜間に営業する接待を伴う飲食店の従業員や客が49人でした。このうち新宿エリアは26人だということです。このほか、家庭内が40人、職場内が14人、会食による感染が11人などとなっています。重症の人はいませんでした。
これで都内で感染が確認されたのは合わせて1万975人になりました。
一方、都は、感染が確認された80代の女性1人が死亡したことを明らかにしました。これで都内で死亡が確認されたのは合わせて328人になりました。
小池知事は25日夕方、「感染予防を徹底してもらうことに尽きる。4連休の最中だが、特に高齢の方、既往症や持病のある方々などはできれば、できるだけ外出を控えてもらいたい」と改めて呼びかけました。
東京都によりますと、都内で25日までに感染が確認された1万975人のうち、入院中の人は24日より65人増えて1105人となっています。このうち重症の人は24日と同じで16人でした。
また、自宅で療養している人は、24日より15人増えて404人です。
さらに、都が用意した3つのホテルで療養している軽症や無症状の人は、24日より8人減って157人です。
この3つのホテルでは合わせて480人程度を受け入れることができますが、都は今月中にホテルをさらに3つ確保する方針です。
また、医療機関への入院と、ホテルや自宅での療養のどちらを選ぶか調整中の人は1015人で、24日より170人増えました。
一方、すでに退院した人や自宅などでの療養が終わった人は、7966人となっています。
東京都内で25日、新たに295人の感染が確認されたことについて、都の担当者は、「前の日と比べて増えた、減ったと一喜一憂すべきではないが、感染者数が高い水準で推移している事実を重く受け止めている。連日、劇的に増加し続けているわけではないと思うので、ここが一つのふんばりどころではないか。都民には、感染防止に向けた『新しい日常』の取り組みなどを心がけてもらいたい」と話しています。
また、25日の時点で入院中の人が1105人と24日に続いて1000人を超えていることについては、「感染者数がこれだけ増えると、軽症の人が以前と比べて多いとはいえ、入院する人が増えるのは致し方ないことだと思う。病院の確保などに努めて、手遅れになることなく対策を進めていきたい」と話しています。 
●東京都で新たに295人感染 200人超は5日連続  7/25 
東京都の小池百合子知事は25日、都庁で記者団に対し、新型コロナウイルスの感染者が新たに295人確認されたと明らかにした。1日あたりの新規感染者が200人を超えるのは5日連続で、100人超は17日連続。都内の感染者は累計で1万975人となった。
都内では23日に過去最多となる366人の新規感染が確認され、25日は2番目に多い水準となった。新たに1人の死亡が確認され、累計では328人となった。
25日に確認された295人のうち、20〜30代が185人で、40〜50代が75人、60代以上が15人だった。感染経路が不明なのは165人。
都は感染状況の警戒度を4段階の指標で最も深刻な「感染が拡大している」に位置付けている。小池知事は都民に対し、連休中はできるだけ外出を控えるよう呼び掛けている。 
 
 

 

●感染者試算「1万7000人」が「320人」に 破棄された2つの数字  7/26 
国際オリンピック委員会(IOC)がまだ、東京五輪・パラリンピックの開催方針を示していた3月17日。厚生労働省のクラスター(感染者集団)対策班に参加する東北大教授の押谷仁(61)は、東京都内の感染情報が集まる新宿区の都健康安全研究センターを訪ねた。新型コロナウイルスに感染した欧米からの帰国者が増えつつあり、危機感を強めていた。
信じ難い数字に都「再試算を」
「参考です」と2枚の紙を差し出す押谷。所長の吉村和久らは「1万7000人」の数字が目に入った。都内の新規感染者数は1日10人前後だったが、このままでは2週間後からの7日間でそこまで増える、という試算だった。押谷は「早いうちに手を打たないと大変なことになる」と訴えた。吉村は信じ難いと思った。同席した担当部長の吉田道彦は「詳しいデータを渡すので再試算してください」と求める。2日後、押谷から「3000人」との新たな試算がメールで届く。5分の1以下に減ったが、それでも危機的な数字に変わりはなかった。
新たに「3000人」試算、念押すと…
試算の根拠があいまいだった場合、病床確保などで現場の負担が増す。「多い数字は対策上、好ましくない」と考えた吉田は「これで大丈夫ですか」と何度も念を押す。21日、押谷から最終的に届いた数字は「320人」に減っていた。吉田は3つの試算を知事の小池百合子(68)に報告。小池は23日に「320人」だけを公表する。一転して、小池が強い危機感を訴えるのは25日。五輪の延期が決まった翌日だった。
大阪府はすぐ対応
厚生労働省のクラスター(感染者集団)対策班に参加する東北大教授の押谷仁(61)が、「1万7000人」との感染予測文書を東京都に提供した翌日の3月18日。対策班は、大阪府にも予測文書を示した。何も対策を打たないと、大阪府、兵庫県の全域で感染者は3374人に増える、という内容だ。20日からの3連休を前に、府知事の吉村洋文(45)は危機感を強め、すぐに対応する。19日に「大阪、兵庫間の不要不急の往来を控えてほしい」と呼び掛け、翌日に予測文書を公表する。吉村が往来自粛を呼び掛けた19日、押谷は感染予測の新たな試算として、都に「3000人」をメールで送る。この日、政府専門家会議副座長の尾身茂(71)は、東京や大阪などの大都市で「オーバーシュート(爆発的な感染拡大)を伴う大規模な流行につながりかねない」と表明していた。押谷は都担当部長の吉田道彦から予測の正確性を何度も念押しされ、21日に「320人」との最終予測を示す。3種類とも報告を受けた都知事の小池百合子(68)は、数字の開きに「えーっ」と驚いた。3連休明けの23日、小池は320人の数字だけを公表する。
五輪中止の阻止が重要課題
東京五輪・パラリンピックの準備を続けてきた都にとって、中止の阻止は重要課題だった。一方で、欧州を中心に感染は拡大。開催の旗を降ろさない国際オリンピック委員会(IOC)の方針に、海外の選手らから「健康を脅かしたいのか」「無神経で無責任」と批判も出ていた。3種類の予測は都庁内で議論される。都幹部らは、感染情報に過敏な小池の様子をそばで見ていた。東京で感染が拡大すれば、さらに大きな問題となるが、1つだけを信じると外れた場合のリスクが大きい。「感染者数の推移をみて判断する」。それが小池ら都幹部の共通認識になる。
五輪延期決定で対策の前面に
24日、五輪の延期が決まる。翌日、都内の新規感染者数は41人と、前日の17人から倍以上に増えた。「延期」と「倍増」は小池の背中を押すのに十分だった。「私が会見する」と対策の前面に出る。25日夜の緊急会見では「感染爆発 重大局面」のボードを掲げてみせた。週末・夜間の外出自粛や在宅勤務も訴える。「手をよく洗ってください」と呼び掛けた1週間前とは、まるで切迫感が違っていた。「五輪の延期が決まるまでは『感染爆発』なんて言葉を使うのは難しかった。明らかにフェーズ(局面)が変わった」。都幹部はそう思った。自粛を強く呼び掛けるなどの対策後、都内の新規感染者数は4月2〜8日の7日間で777人となった。「対策を取らなければ320人」という試算は、結果的に過小な数字だったとみられる。
ほかの2つの試算は、都が「誤ったデータだ」などとして廃棄したことが、後に本紙の報道で判明する。報道後、小池は廃棄した試算を取り寄せて公表すると表明した。 
●都の重症者10日で4倍に急増 小池知事の無策で迫る「医療パニック」 7/26 
24日、都内で新たに260人の新型コロナウイルス感染者が確認され、4日連続の200人超となった。これまで小池都知事は、「夜の街」を強調し、若者が中心で重症者が少ないことを理由に「以前とは違う」と繰り返してきた。ところが、ここにきて、感染は幅広い年代に広がり、重症者数も急増している。医療パニックが近づいている。
23日、過去最多の366人の感染が確認された東京都。夜の街関連は47人、家庭や職場など夜の街以外が94人。感染経路不明は225人だった。20〜30代が232人と6割超を占めるが、40〜50代も2割(74人)に上る。
都内の感染拡大は、もはや「夜の街」「若者」の問題ではなくなっている。
すでに重症者は急増している。今月12日は5人だったが、23日には21人とわずか10日間で4倍に増えている。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。
「国や都は、感染者が増えても『重症者は少ない』との認識ですが、タイムラグに過ぎません。通常、感染者数が増えて、およそ1カ月ほど遅れて、重症者数に反映されていきますからね。今の感染拡大のペースからすると、今後、重症者ひいては死亡者はどんどん増えていく可能性があります」
確保病床わずか100
都は重症者用の病床を100確保しているが、あっと言う間に満床になる恐れがある。さらに300床の確保を計画しているが、「ベッドが確保できても、スタッフまで揃えられるのか。例えば、コロナの患者は、通常の患者の1・5倍の看護師が必要です」(医療関係者)という。マンパワーが必要なのだ。コロナの通常病床も2700床の目標に対し、2400床どまりとなっている。小池知事は医療提供体制も「以前とは違う」と強調していたが、こんなに“脆弱”なのだ。
陽性率 危険水域7%に迫る
検査人数に対する陽性者数の割合を示す陽性率も危険水域だ。一般的に、陽性率が低ければ、十分な検査が行われ、早期発見、早期治療ができているとされる。実際、中国、韓国、台湾、豪州などでは2%以下で死亡者の減少傾向がみられた。逆に、7%を超えた欧米では、死者が急増したケースもあった。都の直近1週間平均の陽性率は、5月末ごろは1%前後だったが、21日現在で6・7%と7%に迫っている。
「陽性率の上昇は、検査件数が少なく、実態を把握できていない表れです。感染を抑え込んだ中国、韓国、シンガポールなどは無症状のスプレッダーを発見するため、数十万規模のPCR検査を実施しました。それをせずに、日本だけが抑えられるわけがありません」(上昌広氏)
一時、1日800人近くの死者を出していたニューヨーク州は、1日7万件の検査体制を整備。誰でも無料で回数制限なく検査を受けられるようにし、早期の発見、隔離、治療を徹底した。その結果、ニューヨーク市では今月になって死亡者ゼロを記録している。感染者数人の日も出てきた。
医療現場がパニックに陥るのは時間の問題かもしれない。 
 
 

 

●「コロナ第2波」日本に決定的に足りない対応策 7/27 
梅雨のさなか、寒暖差が激しい日々が続いている。体調を崩す人も多く、その際に新型コロナウイルスの感染を心配されるケースが多いだろう。そういうときはどうすればいいのだろうか。最近、筆者が経験した事例をベースに議論したい。
筆者が主宰する医療ガバナンス研究所は、常勤・非常勤のスタッフ10人程度の小規模な組織だ。彼らに加え、医師・看護師たち、あるいは学生が出入りする。
コロナ流行以来、在宅勤務を取り入れた。週に数回、研究所に通勤し、残りは在宅だ。がん経験者や糖尿病・高血圧などの持病を有する職員もいるため、感染対策を優先した。
医学生が39℃の発熱
ある火曜日の夜、スタッフから「昨日(月曜日)から研究所に来ている医学生のA君が39℃の発熱をしたそうです」と連絡があった。
スタッフも私もコロナ感染が頭をよぎった。狭い研究所に一緒にいるし、月曜の夜はA君を歓迎するため、スタッフ3人と学生2人(A君を含む)とともに最寄りのインド料理屋でささやかな歓迎会を開いた。もし、A君がコロナに感染していたら、誰もが濃厚接触者ということになる。
A君は健康な若者だ。万が一、コロナに感染しても、重篤化あるいは死亡することはないだろう。身勝手な話だが、A君の容態よりも、研究所内での集団感染や持病を有する職員が感染し、重篤化することが脳裏をよぎった。
われわれの研究所では、インターンをする学生とはLINEで頻繁にやりとりをすることにしている。私はすぐにA君にLINEを送った。
彼からは「だるくて死にそうです。1人で心細かったです」と返事がきた。彼は発熱した夜に地元の病院を受診し、PCR検査を受けていた。扁桃腺が腫れているため、扁桃腺炎と診断され、抗生剤が処方されていた。
それからが長かった。翌朝、スタッフからは「私も微熱がある」と連絡が来た。最近、がんの手術をしたスタッフだ。コロナに感染し、重篤化することが心配だったのだろう。
もっとも、その可能性は低い。なぜなら、コロナの潜伏期は5〜6日程度もあるからだ。月曜日にインターンを始めた学生からうつったとしても、水曜日の朝に発熱はしない。このスタッフはコロナに、それだけ敏感になっているのだろう。私も例外でない。何となくだるい気がして、体温を測った。36.4℃だった。
水曜日の昼頃、A君にLINEで連絡したところ、「37.5℃まで下がって、少し楽になった」と返事があった。解熱剤の影響もあるだろうが、これはいい徴候だ。発症翌日に解熱するのはコロナでは早すぎる。抗生剤が効いたのだろう。主治医の見立てどおり、コロナではなく、扁桃腺炎の可能性が高い。
ただ、それでも安心はできなかった。コロナはどんな臨床像も取りうる。万が一、PCR検査が陽性だった場合に備え、予定を調整した。面談者には「学生が発熱し、コロナの可能性がゼロではない」と伝え、3メートル程度の距離をとって話をした。
その日は体に熱がこもる感じがして、何度も体温を測った。36.5℃程度だったが、1回だけ37.1℃を記録した。体温計も時に測定誤差が出るのを初めて知った。
A君から「PCR検査が陰性でした」とLINEが入ったのは、木曜日の午後だった。本人も安堵しただろうが、私も胸をなで下ろした。彼の発熱を知ってから、44時間後のことだった。
クラスターと認定されれば風評被害も
この間、いろいろなことを考えた。私は51歳、自分が罹患しても、おそらく命を落とすことはない。ただ、私やスタッフは「濃厚接触者」だ。もしA君がコロナに感染していれば、うつっていてもおかしくない。集団感染でクラスターと認定される可能性もある。メディアで報じられれば、風評被害も被るだろう。
コロナは感染者だけでなく、周囲にもさまざまな影響を与える。医師ではなく、濃厚接触者の立場になれば、コロナ対策の見え方も変わってくる。そして、早急に改善すべき点が多々あることを痛感する。
私が感じた最大の問題は検査してから結果がわかるまで時間がかかりすぎることだ。現在、医療機関でコロナのPCR検査を受けた際、陽性の場合には48時間以内に結果を伝えることになっているそうだ。A君は陰性だったが、44時間を要した。
実はPCR検査自体には、そんなに時間はかからない。流行当初、5時間程度を要していた検査時間は、今や1時間程度まで短縮している。7月23日には、神奈川県衛生研究所と理化学研究所が共同開発したスマートアンプ法を用いたPCR検査では、検査全体で1時間程度しかかからない。
コロナのパンデミックによりPCR市場は急拡大している。世界中で技術革新が進行中だ。英科学誌『ネイチャー』は7月17日号で、「パンデミックを終焉させることに役立つ新しいコロナウイルス検査の爆発的な発展」という記事を掲載した。この記事では、PCR法やその亜型であるLAMP法の発展だけでなく、遺伝子編集技術であるCRISPR法を用いた新法の開発が進んでいることなどを紹介している。
このあたりの技術進歩は日進月歩だから、コロナの流行が収まる頃には、検査方法は今とはまったく違っていてもおかしくない。病院や介護施設に入るとき、入り口で唾液を出して検査をして、陰性の人だけが入場を許されるようになっているかもしれない。要する時間が数分程度なら、十分実用化できる。
あるいは、コンビニなどでPCR検査をうけ、「陰性確認証明書」を発行してもらうようになっているかもしれない。
実は、このような流れは世界で始まっている。アメリカのプロバスケットボールリーグNBAは毎日、野球のメジャーリーグは隔日、サッカーの英プレミアリーグと独ブンデスリーガは週に2回、PCR検査を受けることが義務づけられている。
このような状況はプロスポーツだけではない。7月20日、中国政府は中国に向かう航空機に搭乗する人にPCR検査を義務づけると発表したし、ハーバード大学などアメリカの大学は、9月からの大学再開に備え、週に2回検査をすることを検討している。
PCR検査の限界
もちろん、PCR検査には問題がある。それは感度が低いことだ。ある程度体内でウイルスが増殖しないと陽性にならないのだ。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが5月13日に、アメリカの科学会誌に発表した研究によると、コロナに暴露された日の感度は0%、つまり誰も陽性にならないが、その後、4日後の発症時では62%、その3日後には80%に上昇する。
これなら、いったん陰性結果が出ても、日を改めてPCR検査を繰り返せば、見落としを減らすことができる。季節性インフルエンザの診療でやられている方法だ。初回は陰性でも、2回目の抗原検査で陽性となるという患者は珍しくない。このやり方がコロナ対策でもコンセンサスになりつつある。英科学誌『ネイチャー』は7月9日号に「コロナの検査は感度より頻度が重要」という記事を掲載している。この記事では、無症状の人に対しても毎週PCR検査を実施することを推奨している。
この状況は日本とは対照的だ。日本のPCRの検査能力は1日当たり約3万2000件で、抗原検査を加えても約5万8000件だ。これは海外と比べると圧倒的に少ないし、現時点で抗原検査に過剰な期待は抱かないほうがいい。なぜなら、抗原検査の唾液サンプルでの有用性は十分に検証されていないからだ。
国際医療福祉大学の研究チームが7月7日にアメリカ『臨床微生物学誌(Journal of Clinical Microbiology)』に発表した研究によると、唾液抗原検査の感度はわずかに12%だった。
この研究には103人のコロナ感染患者が登録されたが、88人が症候性で、無症候性つまりウイルス量が少ないと考えられる感染者は15人にすぎなかった。ある程度体内でウイルスが増殖した状態でも唾液抗原検査は陽性にならないことになる。現時点で抗原検査に唾液を用いるのは難しい。
そうなるとPCR検査に頼るしかないが、日本の検査能力は、中国の1日378万件、アメリカの50万件はもちろん、ドイツの18万件、フランスの10万件を大きく下回る。この検査能力の低さが、A君が検査を受けてから結果を知るまでに2日間も待たねばならなかった理由だ。検査体制が貧弱なため、検査を待つ検体が「渋滞」しているのだ。
これこそ、日本が第2波の抑制に失敗した原因だ。社会活動を再開すれば、感染者が増加するのは日本に限った話ではない。レムデシビル、デキサメタゾン以外の治療薬、ワクチンが開発されていない現状では、感染者を早期に診断し、隔離(自宅、ホテルを含む)するしか方法がない。そのためにはPCR検査体制の整備が重要だ。
世界は、どのような対応をとっているだろう。中国・北京市では、市内の食品卸売市場「新発地市場」で感染者が確認された6月11日以降、検査の規模を拡大し、1日当たり100万を超えるサンプルを処理した。
北京市の発表によると、感染発覚以降、7月3日までに合計1005万9000人にPCR検査を実施し、335人の感染が確認されている。北京市の人口は約2000万人だから、およそ半数が検査を受け、陽性率は0.003%だ。7月4日、終息宣言が出ている。
感染拡大が続くアメリカでも対応は変わらない。ニューヨーク州は7月1日に配信したメールマガジンで、「すべてのニューヨーク州民は州内に存在する750カ所程度の検査センターで、無料で検査を受けることができる」とアナウンスしている。ニューヨーク州の人口は約1950万人。人口2.6万人当たり1カ所のPCR検査センターが存在することになる。
日本ではPCR否定の声が小さくない
ところが、このことは日本国内ではほとんど報じられない。PCR検査の必要性を否定する報道まであり、感染症の専門家による発信もある。
彼らの主張でユニークなのは、PCR検査は擬陽性が多いと強調することだ。尾身茂・コロナ感染症対策分科会会長は、擬陽性を1%として議論を進めている。
いったい、どういうことだろうか。感染率が1%の1000人の集団を、感度(検出率)70%のPCR検査でスクリーニングするとしてご説明しよう。
この集団の本来の感染者は10人だ。ただ、検査の感度が70%だから、診断されるのは7人になる。つまり、3人を見落とす。これは前述したとおり、PCR法の限界だ。
一方、擬陽性が1%出るため、本来感染していない990人のうち1%が誤って陽性と判断されてしまう。その数、9.9人だ。この結果、陽性と判断されるのは16.9人だが、このうち本当の陽性は7人、つまり陽性と判断される人のうちの約4割ということになる。陽性と判断されても、半分以上は間違いだ。この理屈を聞けば、厚労省や尾身氏らの主張はもっともらしく聞こえる。
では、どうして世界でPCRの活用が進んでいるのだろう。擬陽性を我慢して、とにかくスクリーニングしているのだろうか。そうではない。実はPCRはほとんど擬陽性を生じない。コロナは環境中に存在しないし、適切にプライマーをセットすれば、ヒトの遺伝子と交叉反応することはないからだ。
さらに、国立感染症研究所の方法は、2種類の遺伝子配列を増幅させる「マルチプレックスreal-time PCR」という方法だから、誤って別の配列が増幅される確率は1%どころでなく、限りなく0に近い。だからこそ、世界は繰り返し検査をして、感染者の見落としを減らそうとするのだ。
実は、PCRの精度に関する見解の相違が、コロナウイルス対策に決定的な影響を与えている。PCRの擬陽性が問題となるなら、事前確率が高い、つまり大部分が感染していると予想される集団にしか使えないからだ。事前確率が50%、つまり、コロナ感染が限りなく疑わしいケースにPCR検査を実施した場合、詳細は省くが、擬陽性の確率は1.4%だ。一方、0.1%の感染者しかいない集団の場合には擬陽性率は93%になる。
無症候の人の感染確率は低い
一般的に無症候の人の感染確率は低い。7月16日、政府のコロナ感染症対策分科会は、無症状の人に対するPCR検査について、公費で行う行政検査の対象にしない方針で合意、政府に提言している。尾身会長は、7月17日日に配信されたウェブメディアのインタビュー「必要なのは、全ての無症状者への徹底的なPCR検査ではない。尾身会長『100%の安心は残念ながら、ない』」(BuzzFeedNews)に登場し、検査の拡大に反対している。
このことが日本の新型コロナウイルス対策を大きく歪めていると私は考えている。中国やアメリカでPCR検査数が多いのは、無症状の人が多く含まれているからだ。これはPCRの精度の評価が日本とは違うからだ。擬陽性がなければ、どんなに事前確率が低い集団にPCRをかけても、問題は生じない。ところが1%も擬陽性が起こるという立場に立てば、無症状者にスクリーニングすれば、大量に擬陽性を作り出して、社会を大混乱に陥れる。
実は、世界で議論される無症状者の中には、医療従事者や介護従事者はもちろん、保育士や教員、警察官などのエッセンシャルワーカーが含まれる。
医療従事者や介護従事者が感染すれば、患者や入居者にうつす。高齢で持病を抱える彼らは致死率が高い。第1波では永寿総合病院(東京都台東区)などの院内感染で大勢が亡くなった。院内にコロナウイルスを持ち込んだのは、医療従事者や出入りの業者だろう。彼らがPCR検査をしていれば亡くならずに済んだかもしれない。
ここで話をA君に戻そう。彼は医学生だ。コロナが流行している現在、多くの医学部は実習を控えているが、いつまでも実習なしでは済まないだろう。実習先で患者にうつさないためには、定期的にPCR検査を受けるのが望ましい。ハーバード大学は医学部でなくても、週に2回のPCRを検討している。日本とはあまりにも状況が違う。
もし、A君が週に2回の頻度でPCR検査を受けていれば、彼も私もこんなに心配することはなかった。前日あるいは前々日のPCR検査が陰性なら、彼が発熱してもコロナの可能性は低いと判断できたからだ。
もちろん、私は日本全国の医師や医学生全員が定期的にPCR検査を受けるようにしろと言っているわけではない。岩手県のような感染者がいないところでは必要はない。ただ、東京など一部の地域は危険だ。医療従事者が定期的にPCR検査を受けなければ、第2波でも院内感染が多発するのは避けられない。すでに京都市立病院や鹿児島県与論町の総合病院で院内感染が報告されている。
社会的弱者への対応も重要
ケアすべきはエッセンシャルワーカーだけではない。社会的弱者への対応も重要だ。彼らは感染しやすく、彼らの健康を守るだけでなく、周囲に拡散させないためにも早期に適切な対応が必要だ。
3月27日〜4月15日にかけて、アメリカの疾病対策センター(CDC)が、シアトル、ボストン、アトランタなどの19施設の入居者1192人、職員313人をPCR法で調べたところ、入所者の25%、職員の11%で感染が確認された。
欧米の医学誌は社会的弱者へのケアに力を注いでいる。アメリカ国立医学図書館データベース(Pub Med)を「ホームレス」と「コロナ」で検索すると、39報の論文がヒットしたが(2020年7月23日現在)、すべてが欧米で、アジアからの報告はない。
社会的弱者はホームレスだけではない。性労働者もそうだ。差別の対象となり、感染が拡大しやすい。今回の歌舞伎町での感染拡大を「夜の街」と評するようなものだ。
感染者は「被害者」なのに、「犯罪者」のように扱われてしまう。英『ランセット』誌は7月4日号で「性労働者をコロナ対策で忘れてはならない」という論考を掲載している。一方、日本の状況はお寒い限りだ。新聞データベース『日経テレコン』で「コロナ」「セックスワーカー」あるいは「性労働者」で検索したところ、主要全国紙5紙に掲載された記事は朝日新聞の2つだけだ。あまりにも弱者に厳しい社会と言わざるをえない。
これは今に始まった話ではない。日本の感染対策の宿痾(しゅくあ)といっていい。コロナ対策は感染症法に基づいて実施されている。この法律では、感染拡大を防ぐため、感染者が確認されれば、濃厚接触者を探し出し、検査を受けさせることが規定されている。積極的疫学調査といい、実施するのは感染研と保健所、地方衛生研究所だ。その費用は公費で賄われる。
実は、この仕組みは一般の保険診療とはまったく異なる。保険診療では、医師が必要と判断すれば、その検査を実施することができ、費用は保険および自己負担で支払われる。コロナ流行当初、PCR検査の基準を「37.5度4日間」と定義して、多くの「PCR難民」を生み出したのは、そもそも積極的疫学調査が国内の感染者を診療するために設計されたものではないからだ。
明治に作られた伝染病予防法に始まる国家が感染者を見つけ、隔離するという思想に基づくものだ。1974年に野村芳太郎監督が映画化したハンセン病患者親子の悲哀を描いた松本清張の名作『砂の器』の世界と同じである。当時、伝染病対策を担当したのは内務省の衛生警察だ。感染者を強制隔離し、自宅を封鎖した。この考え方が今も生きている。
クラスターの「予防」には無頓着
従来の感染症法対策は、クラスターが発生すれば、徹底的に「治療」するが、クラスターの「予防」には無頓着だった。諸外国が重視する院内感染防止のため医師や看護師、あるいは介護士や、社会的弱者としてホームレスなどへの対応が感染症法で規定されておらず、公費で検査費用を負担できない。
この結果、PCR検査数は伸び悩み、コロナ感染は拡大した。真夏の北半球で、コロナ感染が拡大している先進国はアメリカ以外には日本くらいだ。欧州やカナダ、さらに韓国や中国は抑制に成功している。
第2波を抑制するには早急に感染症法を改正する必要がある。そうしなければ、公費で検査ができない。予算措置でやれる範囲は限られている。ところが、厚労省にその気はなさそうだ。無症状者への検査は不要としているのは前述のとおりだ。これでは日本はいつまでも感染症後進国のままだ。いまこそ、国民目線で感染症対策を見直したほうがいい。オープンな議論が欠かせない。
A君も2日間のインターンだったが、自分なりに考えるきっかけとなったらしい。高熱で病院を受診した際、「PCRを繰り返し受けさせてほしい」と訴えたそうだ。もちろん、感度が低いからだ。主治医からは「規則でできない」と言われたそうだ。A君はめげない。新学期が始まると、学内でPCR検査のあり方を議論する。このような人材が蓄積すれば、日本の感染症対策は変わる。コロナが、そのきっかけになればと願っている。 
●コロナ「第二波」封じ込めは、「再び休業補償」以外に道はない 7/27 
まさに今、起こっている
新型コロナウイルスの感染者は、東京だけでなく他の道府県でも増え続けている。7月26日には、福岡、熊本、兵庫で過去最多の感染者数を記録したという。今、まさに日本は感染「第二波」の真っ只中にあるのだ。
下図は、新規国内感染者の推移をまとめたものである。これを見れば、第二波が到来していることは誰の目にも明らかだろう。
感染者数が急増する中で、全国で深刻な医療崩壊はしていないようなのがせめてもの救いだ。もちろん、今後とも国民は細心の注意が必要である。
日本の現状を踏まえ、世界の「コロナ対策」は今どうなっているのか。第一波での世界の対応、集団免疫戦略(放置路線)や財政出動について基本的な数字を抑えながら、国際比較をして、今後の問題を考えたい。
どの国も大きな問題意識として掲げているが、コロナ防止策と経済も両立をどのように取るかだ。ところが、それ以前に世界のコロナはまったく終息の気配はまったく見えていない。
世界主要国の新規感染者数の推移は、下表のとおりだ。縦軸は対数目盛であり、1つ上がるごとに一桁違う。これは直線で上がっていても、指数関数的に上がるという意味になるので、読むときに注意が必要だ。比例的に増加する場合は、対数目盛では増加額が低減していく。
北南アメリカは壊滅的な状況であり、感染拡大が続いており、今は200人(百万人当たり、以下同じ)を超えている。欧州も、一時は100人に達しようとしていたが、今では落ち着いて10人程度の状況だ。その一方で、アジア・オセアニアは最近じわじわと増え始めている。ただし、インドはかつての欧州のような状況になりつつある。
これとまったく同じようにリンクするのが、死者数だ。
国内では重症化率や実行再生産数などが注目されているが、現時点で断言できるのは、患者数が増えれば死者数も増加するという、至極当たり前の関連性だ。
次に、コロナの新規感染者数および新規死亡者数について、五大陸別に見たグラフは、以下の2つの図表のとおりだ。
これらのグラフを見ても、日本の数値が比較的抑えられているのがわかるだろう。国内では第二波と騒がれるものの、それはむしろ感染者が減ってきた欧州並みの水準だ。ただ、その理由が「三密」の回避が国民に膾炙したこと、従来からのマスク習慣やきれい好きな国民性などの要素によるものなのかはわからない。
ところで、コロナでは、自粛という社会的な縛りもあり、経済活動が大きく低下した。あくまで結果論だが、筆者は経済活動の低下がコロナ感染の拡大防止に貢献したのではないかと思っている。
もっとも、現在言われているような、他都府県への移動の自粛は、ちょっとやり過ぎであり、社会的な距離を保ちつつであれば、仮に県外へ移動することがあったとしても、コロナを拡大させるリスクは少ないだろうと筆者は考えている。
いずれにしても、政府が経済活動の自粛をいうためには、ある程度の休業補償、経済補償その他の財政出動がなければ、国民としては我慢ならないだろう。逆に言えば、休業補償、経済補償を含めたコロナ対策での財政出動こそ、各国がどのようにコロナ対策に取り組んでいるのか、ある程度わかる。
ここで、コロナ対策と経済活動の両立という場合、ときどき財政出動を伴わずに使われることがある。極端な例であるが、集団免疫戦略を主張する論者には、財政出動をしないで済むという安直な考えを持ち出すケースもある。
ウイルスはひそかに感染し、人の免疫系が対応できる前にウイルスは自己増殖する。だから、人間は初めてかかる感染症で苦しむことになる。しかし、2度目ではそうならない。そのような理屈で、多くの人が免疫を持てばいいという考えが集団免疫である。
集団免疫を達成できる免疫獲得者の割合は人口のおよそ40〜60%だといわれているが、モデルによっては20%でもいうものもある。確かなことは今の段階ではよくわからない。
集団免疫戦略は、極端にいえば、みんなを感染させれば、生き残った人はもう罹らないというものだ。その過程で、医療崩壊が起こり、多くの人が亡くなるのも、放置されることが前提だ。
ただし、放置戦略なので、経済は壊れないというのが「うたい文句」だった。経済を壊すと、失業が高まり、その結果として自殺者も増えるので、死者数だけを気にするならば、放置戦略も一理あるという説明する人もいた。
後段の「経済を壊すと、失業が高まり、その結果として自殺者も増える」といのは、これまでの本コラムで筆者も主張している。もっとも、経済を壊さないために、筆者は休業補償や経済補償などの財政支出を強調しており、集団免疫戦略(放置路線)を主張したことはない。
世界では、ある意味で、コロナの社会実験を行う国もある。実際に、集団免疫戦略をとったのは、イギリスとスウェーデンだ。
イギリスは集団免疫戦略をとったが、その後撤回している。先日、イギリスのジョンソン首相もコロナウイルスへの初動の対応について「理解していなかった」と誤りを認めた。
スウェーデンも、ロベーン首相は6月半ばで「成否を判断するのは時期尚早だ」と発言しつつも、担当責任者は「改善の余地があったのは明らか」としている。
イギリスとスウェーデンを、EU、デンマーク、ノルウェー、フィンランドと比較してみると、イギリスとスウェーデンの新規感染者数や死亡者数は悪いのは一目瞭然だ。
といっても、もし、イギリスとスウェーデンの経済パフォーマンスがいいのなら、集団免疫戦略にも一理はあった。しかし、それも、欧州やデンマーク、ノルウェー、フィンランドと比較してみると、それほどの効果があったとはいえない。
そもそも、コロナのおかげで経済がよくなった国など存在せず、どの国も同じように経済悪化している(下図)のは言うまでもないことだ。このような世界規模の経済危機では、多少無理して経済活動しても、焼け石に水になるのだ。
そうであれば、少なくとも新規感染者数と死者数を減らすように、ある程度経済活動を自粛したほうがいいとなる。しかし、その場合、経済を極端に壊さないために、休業補償や経済補償などの財政支出をケチらないで出すほうがいい。
コロナショックに対して、各国とものショックに応じて、財政出動をしている(下図)。コロナによるGDPの落ち込みが酷いほど、財政支出をするという当然の関係が出ている。
実は、集団免疫戦略路線を歩んだイギリスとイギリスとスウェーデンも、そこそこ財政出動している。集団免疫の失敗ばかりが取り上げられがちだが、この点についてはきちんと押さえておかなければならない。
なお、日本は、財政出動では、平均的な赤線の上側に位置して、かなり頑張っているといえる。先進国、G20諸国では、GDP比でみると、ニュージーランド、アメリカに次いで第3位だ。この財政支出は、融資などを除いた、いわゆる「真水」に相当する額である。
こうして考えてみると、コロナ封じ込めと経済政策は、世界によって思った以上にばらつきがあることがわかる。
財政出動の上位国は、コロナ拡散防止のパフォーマンスがいい、と断言できないのはアメリカなどの例外もあるからだ。北米、南米においては、経済政策ではなくコロナ対策自体にかかるおカネがあまりにも大きすぎて、結果として財政支出が増えている可能性もある。
なお、これも本コラムで強調してきたが、財政出動しても、中央銀行と協力すれば、将来世代への付け回しにならないので、心配無用だ。これは、インフレターゲットを設定するなど、市場の調整機能を持っている中央銀行を有している国であれば、日本に限らずどこでも共通する話だ。
日本のやり方は、そこそこの財政出動をして多くの人の不満を爆発させないようにして、社会的な自粛でコロナ対策をしているようにみえる。
そうであれば、結局迷走しきりの「Go Toキャンペーン」などを無理して実施せずに、休業補償や経済補償で対処しておけば、第二波も第一波のように対処できるだろう。このキャンペーンが裏目に出ないよう、今はもう祈るしかない。 
●安倍首相の「検査能力にはまだ余裕」発言に疑問 7/27 
27日放送のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」では、24日に東京で新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多の366人が確認されるなど、6日連続で200人を超えたことを報じた。
元国立感染症研究所研究員で白鴎大教授の岡田晴恵氏は、安倍晋三首相が「検査能力にはまだ余裕がある」などと話したことに「総理が政府が厚労相がどこを目指しているかということです」と疑問を呈し「私が目指しているところは玉川さんと一緒だと思うんですけど、ニューヨークのように検査数を増やして陽性者と陰性者を分けて」とPCR検査を大幅に増やすべきだと主張。
その上で、「東京や全国を救っていきたいという思いだとすると、圧倒的に検査数が足らないわけです。どこを目指して政策を打っていくのか、ここが非常に不安なんだと思うんですね」とコメントした。  
●新型コロナ第2波は現実、政治家は封鎖望まず−あくまで「最終手段」 7/27 
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、休業や航空機の運航停止、外出制限といった対応を取ることは、最初の経験として十分厳しいものだった。それをもう一度行う必要があるとの考えは、世界の指導者が検討さえ望まないことだ。
イタリアからニュージーランドまで、ウイルスをいかにうまく抑制できているかに関わらず、感染拡大の新たな波が来る可能性が高く、ダメージを緩和する政策手段が限られていることを各国政府は認識しており、市町村や地域に限定した隔離で感染を十分抑止できることを願っている。
ロックダウン(都市封鎖)に消極的だったジョンソン英首相は自身の感染で集中治療室での闘病を余儀なくされた。それでも再度のロックダウンという考えを嫌がる首相は、核抑止力に例えて「もちろんそれを使いたくはない」と述べた。フランスのカステックス首相も「経済的にも社会的にも存続できない」と一蹴した。
一つのミスでウイルスの危険に再びさらされると警告するニュージーランドのアーダーン首相にとっても、全国規模の封鎖に戻ることは「最終手段」だろう。
世界経済が大恐慌以来最悪のリセッション(景気後退)に見舞われ、トランプ米大統領が再選を目指す11月の大統領選を控えて、有権者は不安な状態に置かれている。不安が怒りや不満に形を変える中で、あらゆる政治家が苦痛を増やす方向ではなく、緩和する方策を探っている。
米国の政治学者で「歴史の終わり」の著者フランシス・フクヤマ氏は「集団的自己犠牲の英雄的行為を人々に一定期間命じることは可能だが、永遠にはできない。感染の長期化や深刻な失業、長引くリセッション、前例のない債務負担は、政治的反発につながる緊張を必然的に生じさせる。ただそれが誰に向けられるかは、まだはっきり分からない」と指摘した。 
●「割を食うのは国民ばかり」政府と東京都との"GoTo"バトルの行く末  7/27 
安倍政権が行う新型コロナ対応の中で、旅行などへの需要喚起策「Go Toキャンペーン」は、最も評判の悪い施策となってしまったようだ。観光業界などの支援のためとはいえ、感染急拡大の中で、あえて国民を全国に拡散させる政策は、あまりにタイミングが悪い。
しかも問題は、政府と東京都のいがみ合いの結果、政府の方針が歪んでいるように国民に見えることだ。その裏には小池百合子東京都知事のしたたかな計算も働く。
菅義偉官房長官と小池百合子東京都知事のバトルは、すっかりおなじみになった。口火を切ったのは菅氏。7月11日、北海道千歳市での講演で「この問題は圧倒的に東京問題といっても過言ではない」と発言。これに対し、小池氏は13日、都庁で記者団に対し「Go Toキャンペーンは国として整合性をどうとっていくのか。むしろ国の問題だ」と反論。国と首都のバトルが表面化した。
22日にスタートした「Go To」トラベルの対象から東京都だけが除外されたことから「官邸が小池氏に対する意趣返しをした」という見方が、さらに広がった。感染者が日々、過去最多を更新する東京都を除外するという判断は、妥当ではある。ただし、神奈川や埼玉や大阪はOKで東京は除外という説明は、つきにくい。だから「意趣返し」という見方が消えない。
一連の「菅・小池バトル」はどちらかというと菅氏の対応が「おとなげない」と映り、小池氏の方に同情が集まっているようだ。感染者の拡大も、全国に広がっており「東京問題」ではなくなっている。しかし、菅氏にも言い分はある。
7月20日前後、小池氏は午前中にマスコミの前で感染者数について語ることが多かった。しかも確定値ではなく、おおよその数を語る。これは、感染者がどんどん増えている実態を昼のニュースでアピールして「それでも『Go To』を強行するつもり?」と迫る意味合いがあると首相官邸側は受け止めている。東京都の感染者が多い時は、早めに報道される傾向があることに疑問を持っていた人がいたかもしれないが、こういうからくりもあるようだ。
政府のスポークスマンでもある菅氏は、小池氏の言動を完全な「嫌がらせ」とみている。だから「おとなげない」発言にもなる。
19日、フジテレビの報道番組に出演した時、菅氏は、東京だけ「Go To」から除外されたことを質問されると「都の財源があるのだから東京都でやればいい」と突き放した。どちらが正しいかはさておき、まさに国難という時期に、実に見苦しいせめぎ合いをしているのは間違いない。
ここで思い出してほしいことがある。7月5日に行われた東京都知事選だ。
この選挙では、再選を目指した小池氏が全体の6割近い得票率で、宇都宮健児氏、山本太郎氏らを蹴散らした。小池氏は表面上、どの政党からも支援を受けなかったが、実態は自民党、公明党の与党が支援して当選したことは誰もがみとめるところだ。自民党の二階俊博幹事長は昨年から小池氏の支援を公言してはばからなかったし、公明党は都議会でも小池氏と共同歩調をとってきている。
実際、選挙の2日後の7日、安倍晋三首相は、都知事選と、4つの選挙区で行われた都議補選で全勝したのを踏まえて「勝利は大きな励みとなる」と発言している。
都民の中には、自公両党に支援されていることを理由に、小池氏に1票を投じた人も少なからずいたはずだ。そういう人たちは、まさか選挙が終わったら数日で角を突き合わせるとは思わない。今起きている国対政府の不毛なバトルは都民に対する背信行為でもある。
都知事選の枠組みという意味では、公明党の小池氏の関係も微妙になっている。「Go To」トラベルの所管大臣である赤羽一嘉国土交通相は公明党所属。「今やる時か」「なぜ前倒しするのか」「制度があいまいだ」などの批判を一身に浴びた。政府側は、その赤羽氏に配慮する形で、全国一律での導入方針を土壇場で転換し、東京を除外した。その結果、小池氏と公明党の関係にも、すきま風が吹き始めているというのだ。
国民の生命に直結するコロナ対応に、政局を持ち込まないでほしい。これが国民の偽らざる心境だろう。
最後に「自公」VS小池氏という構図が今後、どういう展開になるのか占っておきたい。来年7月に東京都議選が行われる。前回の2017年の都議選では、人気絶頂だった小池氏が率いる「都民ファーストの会」が圧勝。現有の6から55に伸ばす歴史的な大躍進を遂げ、自民党は大敗した。
来年の都議選では、さすがに「都民ファースト」は議席を減らし、自民党が盛り返すとの見方が大勢だ。だからこそ小池氏は都知事選で自民党との関係修復をはかり、都議会の運営に支障をきたさないようにしようとした経緯がある。
しかし、ここへ来て小池氏は戦略を変えつつあるのではないか。都知事選では予想以上の得票で圧勝できた。彼女は、自民党のおかげで勝ったとは微塵みじんも思っていないはずだ。そして、都知事選後の政府・自民党とのバトルでは自分の方に世論がついていると考えているだろう。
だとすれば、もう一度「都民ファースト」の陣形を立て直し、来年の都議選では自民党との全面対決の構図をつくり、最終決戦を目指すという選択肢が見えてくる。さらにその先には、小池氏の国政復帰というシナリオも見えてくるだろう。最近の小池氏への政府への敵対的な姿勢は、このシナリオを意識したものではないか。
それは、政局としては実に見応えのある展開ではある。しかし、来年まで政府と首都がコロナ対応を巡り対立しつづけるということになれば、それは国民にとって不幸なことだ。 
 
 

 

●日本、オーストラリア、スペイン、イスラエルで新型コロナの第二波か  7/28 
新型コロナウイルス・パンデミックで、日本だけでなく、スペインやオーストラリア、イスラエルでも第二波が広がり始めています。南米はパンデミックの新たなエピセンター(発生源)と化し、感染者は世界中で約1665万人、死者は65万6600人に達しています。
世界保健機関(WHO)でコロナ対策のテクニカルリーダーを務めるマリア・ヴァン・ケルコフ氏は27日の記者会見でこう話しました。
「多くの国々は真の危機に瀕しており、激しい感染を経験している。最初のピークをすでに経験した国の多くは感染率を低く抑えている。しかし、いくつかの国で感染者が再び増えている。特定地域で、またナイトクラブなど特定業種でクラスターやアウトブレイクが発生している」
新型コロナウイルスのホットスポットは「3つの密(密閉・密集・密接)」の条件がそろうナイトクラブやパブ、低賃金労働者が密閉空間に長時間にわたって密集する宿舎や工場というのは世界共通です。
イギリスでは7月10日からスペイン、フランス、ドイツ、イタリア、日本など59カ国から帰国しても2週間の自己隔離が必要でなくなりました。
「ホリデー解禁」に喜んだのもつかの間、スペインで第二波発生の恐れが高まったことから26日から、同国からの帰国者と渡航者を対象に2週間の自己隔離を再実施することに。
スペインはイギリス人にとって人気の渡航先で、すでに飛行機やホテルを予約していたカップルや家族はかんかん。スペインのペドロ・サンチェス首相も「スペインのほとんど地域を訪れる観光客はイギリスより新型コロナウイルスに感染するリスクは小さい」と反論しました。
第一波を乗り切り国家緊急事態を解除したスペインですが、バルセロナやサラゴサ、マドリードで感染者が急増。バルセロナのあるカタルーニャ州政府は2週間にわたってナイトクラブや深夜バーを閉鎖しました。スペイン軍も感染が広がらないよう早期追跡システムを稼働中です。
7月23日には1日の新規感染者が2600人を超え、感染しても無症状か軽症の若者の間で「ステルス感染」が広がり、家にウイルスを持ち帰って世帯内で高齢者に感染を拡大させているようです。
ベルギーでも第一波は通り越したものの、7月26日の新規感染者は528人を記録しました。新型コロナウイルスは人が感染を広げます。経済が再開され、人と人との接触回数が増えれば、どうしても第二波、第三波が広がるリスクが再燃してきます。
オーストラリアは第一波の抑制に成功した国の一つとして称賛されましたが、7月に入ってから第二波に襲われています。早期の国境閉鎖、社会的距離、濃厚接触者の追跡、新規感染者の隔離が抑制のカギとされましたが、根絶できなかったことで第二波を許してしまいました。
新型コロナウイルスをニュージーランドのように根絶できなければ、閉鎖・距離・追跡・隔離を緩めたとたん、感染者が再び増えるのは避けようがありません。日本でも感染者が増えたのは閉鎖・距離・追跡・隔離を緩めたからです。
しかし実際にロンドンで都市封鎖を経験した筆者から見ると、感染を恐れて家の中に閉じこもり続けるのはもう限界でしょう。人と会って食事や会話を楽しんだり、どこかに出かけて息抜きしたりしなければ心の健康は保てません。政府が打てる緊急経済対策ももう限界です。
主要国で旅行や観光が国内総生産(GDP)に占める割合は下のグラフの通りです。スペインやオーストラリアはGDPのそれぞれ14.3%、10.8%を旅行や観光に依存しており、パンデミックで人の動きが完全にシャットアウトされてしまうと大打撃を受けてしまいます。
日本の旅行や観光への依存度は7%。訪日外客数は今年上半期、前年同期比で70%も減り16万7650人。6月だけでは実に98%も減って1630人です。国境を閉じたまま、旅行や観光の需要を刺激するために考案されたのが総額約1兆7000億円の「Go Toトラベル」キャンペーンでした。
しかし7月に入って東京都内の感染者が増え、7月23日には1日の新規感染者366人を記録しました。「Go Toトラベル」キャンペーンは小池百合子都知事に「冷房と暖房の両方をかけるよう」と皮肉られる始末。
日本では新規感染者数で見た第二波の山はPCR検査の数が増えたこともあって第一波より大きくなっています。
しかし感染拡大にブレーキをかけながら経済再開のアクセルを踏まなければならないのが今、私たちが置かれている現実です。新規感染者数ではなく、感染者病床の空き具合、重症患者の状況を見ながら、だましだまし第二波に備えるしかないようです。  
●日仏、コロナ第二波の共通点と相違点 7/28 
第二波が来つつある日本とフランスですが、これは世界的にも言えることかもしれませんが、20代、30代の若者の感染者が多いのが目立っています。ロックダウンの後、フランスも若年層に感染者が広がりを見せました。理由は二ヶ月に及ぶ外出制限のせいで、解除後、これまでにないくらい、若い世代が弾けてしまったことが挙げられます。昨夜のBFMTVなどでも、マレ地区やサンマルタン運河沿いの人気の地域で若者たちが集合し、大きな音楽をかけて踊り騒ぐ光景が放映されいました。このような状態がロックダウン解除後、パリ市内そこかしこで、散見されています。その結果、当然のことながら、感染が拡大し、ロックダウン解除時期には激減していた感染者数が急増。先々週までフランス全土で500人程度だった感染者数が、先週あたりから千人を超えています。実効再生産数も危険水域の1を超えたので、マクロン政権は公共施設のでマスク着用を義務化しました。(現在、フランスと日本の実効再選算数はほぼ同じ)
その後、若者たちが家にウイルスを運び、40代、50代の世代がここ最近では増えています。この傾向は日本と非常によく似ています。では、どのようにこれに対処していくのか、昨夜、有識者による討論会が行われました。その中の一人が語った意見に多くの大人たちが賛同する一幕が印象的でした。
「この若い連中を止めることはできない。若者は仲間と集まり、恋をし、青春を謳歌する生き物なのだ。過酷なロックダウンを2ヶ月も経験させたので、これ以上、法律で家に閉じ込めるのは可哀想だし、たぶん、それは不可能というものだ。ならば、そういうものだと理解した上で、大人たちは感染しないように、対策を練っていくしかない。自分の子供たちであろうと、無症状感染者である可能性があるので、家庭内であっても、重症化する恐れのある世代の大人たちは極力マスクなどをして接するか、もう暫く接しないか、選択する必要がある」
フランスでは第二波は避けられないというのが現在のもっぱらの意見となっています。政府はコロナウイルスを抑え込む政策を出していますが、日本との相違点は、PCR検査の数でしょう。人口が日本の約半分のフランスですが、PCR検査は一週間で70万件行われています。しかも、ここ最近では、セーヌ川河畔のケと呼ばれる遊歩道などでも無料の検査所が出来、散歩をしながら、抗体検査、PCR検査を受けられるようになりました。日本の検査数と感染者の数から割り出す陽性率が物凄く高いことが気がかりです。もしも、PCR検査をフランス並みに増やし、一週間で140万件のテストを行った場合、とうぜん、感染者数、陽性率はあがることが予想されます。しかし、EU各国政府はPCR検査を増やして実態を掴んでいくことが第二波に備える一番重要事項である、と考えているのです。 
  
 

 

●ひっ迫する都内保健所「追跡調査は限界」 東京... 8/13 
「『保健所から電話あると言われたのに、全然電話無いんだけど』と言われるが、陽性者が多いので全然追いつかない」(品川区保健所保健予防課 鷹箸右子課長)
そう語るのは、品川区保健所で新型コロナ対応にあたる部署のトップ、鷹箸右子課長。この保健所で最も多忙を極める1人です。
この日、まず向かったのは感染者が確認された品川区内の福祉施設でした。
「あの白い棟が建物なので」(保健所職員)
「こっちではなくあっち?」(品川区保健所保健予防課 鷹箸右子課長)
濃厚接触者を確認し、PCR検査のための検体採取を行うのは、保健所の業務。ただこれは医療行為にあたるため、医師免許を持つ鷹箸課長ら限られた職員にしかできません。
日々、増え続ける感染者。さらに今、保健所を悩ませているのが、都内で961人にまで増えた入院や療養先が「調整中」の感染者です。
鷹箸課長は“システム上の問題”を指摘します。
「発生届が出てくるのがすごく遅い。夜8時とかにようやく出そろうので」(品川区保健所保健予防課 鷹箸右子課長)
医療機関などで陽性が判明した場合、その結果は「発生届」として保健所にファックスで送られます。保健所に届くのは、ほとんどの場合、診療時間が終わった夕方から夜にかけて。保健所が陽性者から聞き取りをするのは、翌日以降となることも多いのです。さらに感染者にもそれぞれの事情が。
「症状をお伺い致しまして、ホテルか入院かの調整をさせていただきます。今そうしたら、車内にいるということですか」(保健所職員)
この日連絡をとった男性は39度以上の発熱があり、同居する妻と2人の幼い子どもへの感染をおそれ車の中で電話をしていました。
「調整してまいりますが、本日の移動にはおそらくならないと思いますので」(保健所職員)
感染者の増加を受け、品川区保健所では現在、軽症者や無症状者については、受け入れ先の調整を東京都に依頼しています。受け入れ先が決まるまでは1日から2日。こうして「調整中」とされる患者は日々増えていくのです。
受け入れに時間がかかれば、感染が広がるリスクは増していきます。鷹箸課長は、保健所が徹底的な追跡調査で感染拡大を防いできた手法は、「限界に来ている」と訴えます。
「最近出てくる感染者の特徴というのは、一人の方が普通に生活している中で職場や会食など広がっているので、もう感染リンクを追って検査をするのは無理なのではないか。今後の(感染拡大の)想定がどこまで広がるか分からない。この体制で本当に足りるのか」(品川区保健所保健予防課 鷹箸右子課長) 
 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 
 
 
  
 


2020/7