天変地異 大雨

天変地異

大雨 豪雨 土砂降り
ざんざん降り ・ ざあざあ降り ・ ザーザー降り ・ 本降り
降りしきる雨 ・ 篠突く雨 ・ 滝のような雨 ・ バケツをひっくり返したような雨 ・ 横なぐりの雨
猛烈な雨 ・ 激しい雨 ・ 強い雨 ・ 大粒の雨
 


線状降水帯九州豪雨・・・
熊本県長崎県福岡県佐賀県大分県鹿児島県宮崎県・・・
山口県愛媛県広島県島根県・・・
静岡県岐阜県愛知県長野県・・・
 
 
 

 

線状降水帯 
●線状降水帯 
「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50〜300 km程度、幅20〜50 km程度の強い降水をともなう雨域」(気象庁が天気予報等で用いる予報用語)である。日本では、集中豪雨発生時に線状の降水域がしばしばみられることが1990年代から指摘されていた。気象研究所の津口・加藤(2014)は、1995年-2009年の4月-11月の期間を対象として、日本で起きた集中豪雨事例を客観的に抽出し降水域の形状についての統計解析を行ったところ、台風によるものを除いて、約3分の2の事例で線状降水帯が発生していることが明らかにされた。近年では、平成24年7月九州北部豪雨、平成25年8月秋田・岩手豪雨、平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害、平成27年9月関東・東北豪雨、平成29年7月九州北部豪雨、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)、令和2年7月豪雨で発生した。この用語が頻繁に用いられるようになったのは、平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害以降とみられる。
線状降水帯の実体は複数の積乱雲の集合体であり、メソ対流系の一種とされる。「線状降水帯-積乱雲群-積乱雲」の階層構造をもつ事例もある。
局地的な集中豪雨などの原因になっていると見られる。気象庁気象研究所によるレーダー観測の分析では、1995年〜2006年に発生した台風以外の豪雨261件のうち、約6割(168件)は線状降水帯に起因していた。日本全国で発生し、九州と四国に多い。発生メカニズムは解明しきれていないものの、発生しやすい4条件として「雲の元となる暖かく湿った空気の流入」「その空気が山や冷たい前線とぶつかるなどして上昇」「積乱雲を生みやすい不安定な大気状況」「積乱雲を流しては生む一定方向の風」が挙げられている。
中緯度の線状降水帯については内部構造により、スコールライン型、バックビルディング型、バックアンドサイドビルディング型に分類される。  
●線状降水帯の停滞が豪雨災害を引き起こす 7/6 
2020年7月4日未明から朝にかけて、熊本県や鹿児島県では、数十年に一度のこれまで経験したことのないような大雨となり、気象庁は大雨特別警報を発表しました。雨量は24時間で400mm以上となる地点が複数あり、球磨川の氾濫によって熊本県の人吉市や球磨村などで広く浸水したり、土砂崩れが起こるなど7月5日の時点で既に大きな被害が生じています。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々及び関係者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
梅雨前線に伴う大雨特別警報が出た近年の豪雨としては、平成29年7月の「九州北部豪雨」、平成30年7月の「西日本豪雨」があり、いずれも「線状降水帯の停滞」が大きな原因となっています。
本コラムでは、線状降水帯がなぜ「数十年に一度」クラスの大雨をもたらすのか、について概説します。
線状降水帯とは何か?
線状降水帯とは、積乱雲が20〜50kmの幅で長く連なりおよそ100km以上の長さに伸びた結果、降雨域が線状に細長く伸びて見えるものを指します。降雨強度や幅、長さについて厳密な数値的定義があるわけではありませんが、たとえば時間雨量30mm以上の降雨強度(バケツを引っくり返したようだと感じ、寝ている人の大半が気づき、道路が川のようになる激しい雨)が、「線状に100km以上伸びている降水帯」として見ると、誰でも降水分布データから見つけることができるはずです。
なぜ線状に降水帯が連なるのか?
強い雨をもたらす積乱雲は、実は一つ一つは、寿命が1時間程度で大きさも10q四方がせいぜいです。従って、積乱雲がたまたま一つできただけで、豪雨災害にまで結びつくことは基本的にありません。次々にたくさんの積乱雲が同じ場所ででき続け、それが同じ経路で移動しながら発達した結果として、「線状降水帯」になります。では、なぜ、積乱雲が同じ線に沿って列をなし、降水域が線状になるのでしょうか?
図1に示すように、「線状降水帯」の中で積乱雲の列が維持される仕組みは、「バックビルディング(後方形成)」とよばれます。列をなした積乱雲を横から見た場合に、積乱雲が発生した地点を「後ろ(図の左側)」とし、移動して発達した先の地点を「前(図の右側)」とすると、新しい積乱雲が後方で発生し続ければ、前方の積乱雲が衰弱して雨が弱まりかけても、常に後方から次の積乱雲がまた強い雨を降らせる、という積乱雲の世代交代が維持されます。このような積乱雲の「バックビルディング(後方形成)」が起こる条件が整うと、線状降水帯が長時間維持されることになります。
   図1 バックビルディング(後方形成)の模式図
図2で、具体的に熊本南部で7月4日未明に大雨がもたらされた際の気象庁レーダーによる降水強度分布を見てみましょう。梅雨前線は、おおよそ北緯32度の緯線に沿って停滞しており、太平洋高気圧からの湿った西南西風と黄海高気圧(黄海の冷たい海面水温で冷やされて形成される高気圧)からの冷たい西北西風がぶつかって収束する線上では、継続的に上昇気流が生じています。
その上昇流によって積乱雲はどこでも発生できる状況ではありますが、より水蒸気が多く供給される東シナ海上で発生し始めるので、熊本県の200〜300km西の海上で強い降水域がポツポツと散在して現れているのが分かります。それらがほぼ東に進みながらより強い降水域へとまとまっていき、線状降水帯となります。このような西側(後方)で次々に新しい積乱雲が生じ、発達しながら東へ進むというサイクルが10時間前後維持されていました。
単純に見積もれば、時間雨量50mmが10時間積み上がっていくと、すなわち総降水量500mmとなり、各地点で24時間雨量400mm超という値がおおよそこの線状降水帯の停滞で説明されます。
   図2 熊本県南部で豪雨が発生していた際の降水強度分布(mm/h)
なぜ線状降水帯が南北移動しなかったのか?
   図3 気象庁による熊本県南部で豪雨が発生していた際の地上天気図
線状降水帯が、同じ緯度で停滞し続ければその停滞時間の長さだけ降水量が積み上がり、豪雨となる、ということがお分かりいただけたでしょうか?しかし、どんなに強い線状降水帯が形成されたとしても、短時間で異なる場所へ移動している場合は、総降水量は大きくなりません。従って総降水量がなぜ増えたのかを考える上では、「同じ緯度で停滞し続けてしまうのはなぜなのか?」ということが重要な問題になります。
図3は、熊本県南部で豪雨が発生していた際の地上天気図です。黄海からの冷たい空気の流れと太平洋南方から暖かく湿った空気の流れが、梅雨前線を南北方向に挟んで2つの高気圧によってもたらされています。九州付近の1004hPaの等圧線に注目すると、ほとんど緯線に沿うような東西方向に伸びていて、太平洋高気圧は多少東に移動しても南側の気圧配置がほとんど変わらない状況だと言えます。
一方で、梅雨前線の北側の黄海高気圧は、黄海の冷たい海面水温によって冷やされて形成されているので、もともと位置が固定されて動きにくい性質を持ちます。このように、梅雨前線を挟んだ2つの高気圧による気圧配置を広い視野で見てみると、東西方向へ多少のずれがあっても、梅雨前線の南北方向の位置がほとんど変わらない状況であることが分かります。
したがって、東シナ海から九州、西日本にかけての広い範囲で見たときに、南北の高気圧の位置関係は7月3日から4日にかけてほとんど変化せず、梅雨前線の位置は固定されてしまいました。このような広範囲で見渡した際の条件が変わらない中で、線状降水帯がバックビルディングによって維持されると、強雨域の南北方向の位置が固定されてしまいます。
なぜ九州なのか?
7月5日15時ごろまで梅雨前線は、西日本の太平洋側にかけて東西に伸びている状況が続いていました。それによって九州以外の地域でも雨量は多くなりましたが、やはり九州での雨量は他地域に比べて抜きん出ています。
図3の天気図でもう一つ注目すべき特徴は、九州北東部に解析されている小さな低気圧(メソ低気圧)です。「メソ」はギリシャ語由来による「中間」という意味の接頭語で、気象学では1kmから1,000kmくらいまでの水平スケールをメソスケールと呼び、通常の低気圧よりも小さな低気圧のことです。東西に伸びる梅雨前線は、西でも東でも同じ条件が整っているわけではありません。東西に伸びる前線上をひっそりと東へ進んでいるこのメソ低気圧は、大雨の発生において非常に重要な特徴の一つです。
太平洋高気圧から流れ込む暖かく湿った空気は、メソ低気圧の西側でより強く加速されるため、九州付近における時間あたりの水蒸気の供給量が著しく増大していると考えられます。これに加えて、東シナ海南部は、黒潮の流路上で25度以上の高い海面水温により、地表付近の水蒸気の絶対量が非常に多くなります。
「地表風速がメソ低気圧の西側で著しく増大する」ということが、もともと水蒸気の絶対量が多い九州西方の海上に対して作用すると、積乱雲の発生数が多くなっても長時間の水蒸気供給が可能となり、線状降水帯が持続しやすくなります。
こうした条件は、他の地域でも揃うことが有りえますが、九州西部において豪雨の頻度が高いのは、やはり条件が揃いやすいということによります。
雨はまだまだ続いております。他の地域の方も含めまして、引き続きご注意くださいますようお願い申し上げます。 
●氾濫した球磨川の流量、過去最大か 線状降水帯が広範囲に 熊本豪雨 7/10 
熊本県南地域の記録的豪雨による球磨川氾濫について、熊本大大学院先端科学研究部の大本照憲教授(河川工学)は9日、猛烈な雨を降らせる「線状降水帯」が東西方向に形成され、川辺川を含む球磨川流域と広範囲にわたって重なったことで、「流下能力を大幅に超える大量の雨水が球磨川に流れ込んだ」との見方を明らかにした。
大規模に浸水した人吉市街地のピーク流量は今後解析するが、「(戦後最大とされる)1965年水害の毎秒5700トンをはるかに上回る可能性が高い」としている。国土交通省八代河川国道事務所によると、現在の流下能力は毎秒3600トン。
球磨川流域では、3日夜から4日朝にかけて各地点で観測史上最大を更新する記録的な豪雨となった。堤防11カ所で越水したほか、球磨村との境界に近い人吉市中神町の2カ所で堤防が計40メートルにわたり決壊した。
大本教授は当時の降雨について「(線状降水帯にすっぽり覆われたことで)球磨川流域全体でほぼ同じ時間帯に大量の雨が降るという、まれな状況だった」と分析。人吉市街地の浸水は最大4・3メートルと65年より2メートル以上深くなっており、「65年以降の堤防整備などで球磨川の流下能力が向上していることを考慮すると、過去に例のない流量だったのは明らかだ」と話す。
特別養護老人ホームの入所者14人が犠牲となった球磨村渡地区については「急勾配を下り加速した激流に完全にのみ込まれた状態。流木や土砂も被害を増大させた」として、付近の山腹崩壊にも着目する。
大本教授は、公益社団法人土木学会(本部・東京)水工学委員会が結成した九州南部豪雨災害調査団の団長。調査団は今後、気象データや流域の被害状況などから球磨川の当時の最大流量を割り出し、大規模な浸水被害が発生したメカニズムを解明する。 
●線状降水帯による大雨で各地に被害…経済損失と今後求められる措置とは? 7/10 
経済損失、保険金支払いは年々増加
九州や中部地方の豪雨被災地を再び襲う大雨。広い範囲で12日ごろまで降り続く見込みで、さらなる被害に厳重な警戒が必要となっている。豪雨被害の経済損失や今後求められる措置などについて、エコノミストで企業ファイナンスを研究している崔真淑さんにオンラインで話を聞いた。
三田友梨佳キャスター / 崔さん、今後も大雨が続くと言うことで被害の拡大が心配されますね?
エコノミスト・崔真淑コメンテーター / そうですね。私も岐阜県に身内が居るということもあり、非常に心配しています。今回の九州と中部地方をおそった大豪雨。まだ影響がどれくらいになるのか定かではありませんが、過去を振り返ってみますと、例えば災害に対して支払われた保険金額で一番大きかったものは2018年関西をおそった台風21号で約1兆678億円。そして2019年の台風19号と台風15号は合わせて約1兆円規模と非常に被害が大きいものとなっています。実は世界を見渡しても経済損失であるとか保険金の支払い金額は年々増えていると指摘するデータもあります。経済損失という視点で考えてみると九州には自動車メーカーの工場も多く、トヨタの工場が停止するなどの影響も出ています。さらには新型コロナウイルスの影響によって経済損失が約35兆円、今回のこの災害が昨年と同じレベルであれば約40兆円規模、東京の経済規模の約半分が損失するかもしれないという懸念が出ています。
三田 / そうした中でどのような備えが必要になってくると思われますか?
危機に対する3つの提言
崔真淑 / 私は、「ナショナル・レジリエンス」=国全体の回復力というまさに危機に対しての回復を早める措置が必要かと思っています。特にこの10年前から比べると感染症や災害、また金融危機といった想定外のものが頻度高く出てきていると言われています。そこで3つ提言したいと思います。
1つ目は個人。災害マップや食品の備蓄
2つ目は企業。従業員の帰路の確保や工場が停止したときのバックアップ体制
3つ目は国。水の備蓄、治水、インフラ投資。とにかく回復を早めるため金融制度などの意思決定を早めること。この辺りが求められていると考えています。
三田 / そうですね。自然災害に負けない国作りに関しては官民一体となって徹底的に向き合っていく必要がありそうです。気象庁によりますとこの大雨は少なくとも12日まで続く恐れがあるということです。今も避難されている方がたくさんいらっしゃいます。疲れもたまっていると思いますが、どうか気持ちを強く持って安全なところで過ごしていただきたいと思います。  
 
 

 

九州豪雨
●福岡・佐賀・長崎に大雨特別警報 熊本の死者49人に  7/6 
活発化した梅雨前線の影響で九州北部では記録的な大雨となり、気象庁は6日、福岡、佐賀、長崎の3県に大雨特別警報を発表した。大雨は7日にかけて続く恐れがあり、気象庁は土砂災害や河川の氾濫などに最大級の警戒を求めた。
気象庁のレーダー解析によると、佐賀県鹿島市や長崎県大村市などで、6日午後3時半ごろまでの1時間に約110ミリの猛烈な雨が降ったとみられる。発達した雨雲が連なって局地的豪雨をもたらす「線状降水帯」が形成されたとみられる。この日午前には九州南部も記録的大雨に見舞われ、鹿児島県鹿屋市では1時間に109.5ミリの雨を記録した。
熊本県によると、4日までに同県南部を襲った豪雨で、県内で計49人の死亡が確認された。ほかに1人が心肺停止状態、11人が行方不明となっている。6日午後3時時点で球磨村などで計2647世帯が孤立している。災害現場で生存率が下がる目安の一つとされる「発生後72時間」が迫る中、警察や消防、自衛隊は懸命に行方不明者の捜索を続けた。
気象庁によると、対馬海峡付近にある梅雨前線は7日にかけて停滞する見込み。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んで大気の状態が非常に不安定となり、九州北部では7日にかけて大雨が続く恐れがある。
気象庁は6日に臨時記者会見を開き「長崎、佐賀、福岡3県は土砂災害や洪水の危険度が高まっており、最大級の警戒が必要だ」と呼び掛けた。
7日午後6時までの24時間予想雨量は多いところで九州北部300ミリ、東海250ミリ、九州南部、中国200ミリ、近畿、北陸、関東甲信180ミリ、四国150ミリ、東北100ミリ。
8日午後6時までの48時間予想雨量は東海350〜450ミリ、九州北部300〜400ミリ、九州南部、関東甲信250〜350ミリ、四国、中国、近畿200〜300ミリ、北陸150〜250ミリ、東北100〜150ミリ。 
●福岡・佐賀・長崎に大雨特別警報 氾濫など危険性極めて高い  7/7 
活発な前線の影響で、九州北部を中心に発達した雨雲が流れ込み、局地的に激しい雨が降っていて、大分県では筑後川が氾濫しました。大雨の特別警報が出されている福岡県と佐賀県、長崎県では、記録的な大雨で川の氾濫や土砂災害の危険性が極めて高い状態が続き、引き続き最大級の警戒が必要です。避難場所など安全な場所で過ごしてください。
気象庁によりますと、活発な前線の影響で西日本と東日本の広い範囲で大気の状態が不安定になり、この時間は、九州北部を中心に発達した雨雲が流れ込んでいます。
レーダーによる解析では午前6時までの1時間に、熊本県小国町付近、大分県日田市の中津江付近と天瀬付近、大分県玖珠町付近では、いずれもおよそ110ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、気象庁は「記録的短時間大雨情報」を発表しました。
また、午前10時までの1時間には、愛媛県東温市上林で46.5ミリ、福岡県添田町で42ミリ、熊本県南阿蘇村で36.5ミリの激しい雨が降りました。
午前10時までの48時間の雨量は、大分県日田市の椿ヶ鼻で623ミリ、福岡県大牟田市で507ミリと、いずれも観測史上最も多くなっています。
この大雨で、大分県や福岡県を流れる筑後川は大分県日田市で氾濫が発生し、国土交通省と気象庁は午前8時半すぎ、「氾濫発生情報」を発表しました。
気象庁は、記録的な大雨で土砂災害や浸水などによる重大な災害が発生している可能性が極めて高くなっているとして、福岡県と佐賀県、長崎県のいずれも複数の市や町に大雨の特別警報を発表していて、最大級の警戒を呼びかけています。
引き続き避難場所など安全な場所で過ごしてください。
ただ、状況が悪化するなどして避難場所までの移動が危険な場合には、近くの頑丈な建物の高い階や、崖や斜面と反対側の部屋に移動するなど、少しでも命が助かる可能性が高い行動を取るようにしてください。
これまでの雨で土砂災害の危険性が非常に高まり、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、愛媛県、奈良県、岐阜県、静岡県、長野県では「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。
また、福岡県、佐賀県、大分県、熊本県、山口県では、「氾濫危険水位」を超えている川があります。
今後の見通し
前線は今後も停滞し活発な状態が続く見込みで、西日本から東北の広い範囲で、局地的に雷を伴って非常に激しい雨が降るおそれがあります。
8日朝までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで、九州北部で250ミリ、四国、中国地方、東海で200ミリ、九州南部、関東甲信で180ミリ、近畿、北陸で150ミリ、東北で100ミリと予想されています。
また、9日朝までの48時間の雨量は、東海で300ミリから400ミリ、九州北部で250ミリから350ミリ、九州南部、四国、中国地方、近畿、関東甲信で200ミリから300ミリ、北陸で150ミリから250ミリ、東北で100ミリから200ミリと予想されています。
現在、大雨の特別警報が出されている地域のほか、4日に豪雨に襲われた熊本県の被災地や、6日に記録的な大雨となった九州南部などでも再び大雨となるおそれがあります。
地盤が緩み、川の堤防が傷んだ場所では災害の危険性が非常に高くなっていて、気象庁は土砂災害や川の氾濫、低い土地の浸水に厳重に警戒するよう呼びかけています。
大雨特別警報が発表された地域
大雨特別警報が発表された地域は、長崎県と佐賀県、福岡県の以下の市や町です。
長崎県では、長崎市、長与町、時津町、諌早市、大村市、西海市/江島・平島を除く、東彼杵町です。
佐賀県では、武雄市、白石町、鹿島市、嬉野市、太良町です。
福岡県では、大牟田市、八女市、みやま市、広川町です。
「大雨特別警報」とは
大雨の特別警報は、土砂災害や浸水など、重大な災害が発生している危険性が、極めて高いときに発表されます。
5段階の警戒レベルのうち最も高い「レベル5」にあたる情報で、数十年に1度しかないような、いわば「緊急事態」であることを示す最大級の警報です。
特別警報が出た地域の方は、少しでも命が助かる可能性が高い行動をとってください。避難勧告や避難指示など自治体が発表する情報に注意して周りの状況をよく確認し、安全な場所に避難する必要があります。
ただ、激しい雨が降り続いているため、土砂災害や川の氾濫が発生していたり、浸水が広がっていたりする地域では、外に出て避難すると、かえって危険な場合があります。
周りの状況をよく確認し、外に出ることが難しい場合には無理に避難せず、建物の2階以上に上がったり、崩れるおそれがある斜面から離れた部屋に移ったりして、建物の中のできるだけ安全な場所で身を守ってください。
また、特別警報が出ていない地域でも、すでに大雨や洪水の警報が出ている場合には、今後、状況が悪化して、重大な災害が発生するおそれもあります。
特別警報以外の警報が出ている地域の方も、天候の変化や、避難勧告や避難指示といった自治体からの情報に注意して安全な場所に避難しておくなど、早めに安全を確保してください。
過去の大雨特別警報
特別警報は、気象庁が7年前の平成25年8月に導入しました。初めて特別警報が発表されたのは、導入した翌月の平成25年9月で、台風の影響で記録的な大雨となった滋賀県と京都府、それに福井県に大雨特別警報が出されました。
平成27年9月の「関東・東北豪雨」では、栃木県と茨城県、それに宮城県に大雨特別警報が出ました。関東や東北に「線状降水帯」と呼ばれる発達した帯状の積乱雲がかかり続け、記録的な大雨となって、茨城県の鬼怒川の堤防が決壊するなどの大規模な浸水被害が出ました。
平成29年7月の「九州北部豪雨」では、福岡県と大分県に大雨特別警報が発表され、猛烈な雨によって中小河川の氾濫や土砂崩れなどの被害が出ました。
おととし7月の「西日本豪雨」では、停滞した前線の影響で長時間雨が降り続き、全国の合わせて11の府県に大雨特別警報が発表されました。
また、去年10月、東日本や東北に甚大な被害をもたらした台風19号では、一連の大雨としては最も多い合わせて13の都と県に発表されました。
そして、今月4日には、熊本県と鹿児島県に大雨特別警報が発表されました。 
●九州豪雨、福岡など北部に被害拡大 7/7 
停滞する梅雨前線の影響で九州は7月7日も北部を中心に猛烈な雨が降った。気象庁は福岡、佐賀、長崎3県の一部自治体への大雨特別警報を警報に切り替え、引き続き警戒を呼び掛けた。大分県日田市では筑後川が氾濫。熊本、大分県境の下筌(しもうけ)ダムは基準水位を越え、緊急放流に踏み切った。福岡県で初めて死者1人を確認。大牟田市では避難所が周辺の冠水で孤立し、県は陸上自衛隊に災害派遣を要請した。
熊本県ではこれまでに全県で49人が死亡、4人が心肺停止。行方不明者11人の捜索が続いた。
武田良太防災担当相は九州の豪雨について行政上の特例措置を通じて被災者を救済する特定非常災害の指定を検討すると明らかにした。
福岡県によると、死亡したのは大牟田市の女性(87)。6日夜に冠水した自宅で見つかり、病院で死亡が確認された。同市で冠水した避難所は2カ所で、7日午前4時の時点で計200人以上が身を寄せていたという。
筑後川の氾濫を受け、福岡管区気象台と国土交通省は午前8時35分、大雨・洪水警戒レベルで最高のレベル5に当たる氾濫発生情報を発表した。
熊本県では山間部で多くの集落が孤立し、インフラが断絶。県などが住民を避難所に運んだ。北部の山鹿市では道路脇の田んぼに落ちた車の中から高齢の男女2人が心肺停止状態で見つかった。
総務省消防庁によると、7日午前5時現在、避難指示の対象は九州全体(宮崎県を除く)で計約60万1771世帯、計約131万9306人。
気象庁によると、東シナ海から東北に延びる梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み、前線活動が活発化している。
7日は熊本県南小国町で1時間に82・0ミリ、大分県日田市で80・5ミリの猛烈な雨を観測。24時間降水量は大分県日田市、福岡県大牟田市、熊本県山鹿市、長崎市でそれぞれ400ミリを超えた。
8日午前6時までの24時間予想雨量は多い地域で九州北部250ミリ、四国、中国、東海200ミリ、九州南部、関東甲信180ミリ、近畿、北陸150ミリ、東北100ミリ。 
●岐阜県と長野県に大雨特別警報 引き続き最大級の警戒を  7/8 
活発な前線の影響で、東日本を中心に断続的に激しい雨が降り、大雨の特別警報が発表されている岐阜県と長野県では平年の7月1か月分を大きく上回る大雨となり、岐阜県では飛騨川が氾濫しました。各地で土砂災害も相次いでいて、引き続き最大級の警戒が必要です。雨が弱まったとしても警戒を緩めず、避難場所など安全な場所で過ごしてください。
気象庁によりますと、九州から東北にかかる前線の活動が活発になり、関東甲信や東北などで雨雲が発達しています。
午前11時までの1時間には福島県富岡町で40ミリ、栃木県塩谷町で39ミリの激しい雨が降りました。
各地で雨量が増え、今月3日の降り始めから8日午前10時までの雨量は、長野県の御嶽山で870.5ミリ、阿智村浪合で473.5ミリ、上高地で464.5ミリ、岐阜県の下呂市萩原で740ミリ、高山市久々野で628.5ミリなどとなっています。
わずか数日のあいだに平年の7月1か月分を上回る大雨となっています。
気象庁は8日朝、岐阜県と長野県の複数の市町村に大雨の特別警報を発表しました。
飛騨川は岐阜県下呂市で氾濫し、周辺の自治体でも浸水の被害が発生しています。
岐阜県と長野県では、数十年に一度のこれまで経験したことのないような大雨となっています。
特別警報は、5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる情報で、土砂崩れや浸水などによる重大な災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況です。
気象庁は周囲の状況を確認し、避難場所までの移動が危険な場合には近くの頑丈な建物に移動したり、外に出るのがすでに危険な場合は建物の2階以上で崖や斜面と反対側の部屋に移動したりするなど、少しでも命が助かる可能性が高い行動を取るよう呼びかけています。
広範囲で川の水位高い 土砂災害の危険性も
九州から東北にかけての広い範囲で川の水位が高い状態が続き、福岡県と滋賀県、岐阜県、長野県では、「氾濫危険水位」を超えている川があります。
また、土砂災害の危険性も非常に高くなっていて、福岡県と熊本県、大分県、鹿児島県、愛媛県、奈良県、岐阜県、静岡県、長野県、福島県では「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。
今後の見通し
前線は、このあとも停滞するため、西日本から東北ではあすにかけて局地的に、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。
9日朝までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで東海で300ミリ、九州南部と近畿で200ミリ、関東甲信で180ミリ、四国で150ミリ、北陸で100ミリと予想されています。
また、10日朝までの48時間の雨量は、東海で350ミリから450ミリ、近畿で250ミリから350ミリ、九州南部で200ミリから400ミリ、四国と関東甲信で200ミリから300ミリ、九州北部で150ミリから250ミリ、北陸と東北で100ミリから150ミリと予想されています。
豪雨による大きな被害が出た九州の各地では今のところ雨がやんだり弱まったりしていますが、地盤が緩み、川の堤防が傷んだ場所があるなど災害の危険性が引き続き非常に高い状態になっています。
特別警報が発表されていない地域でも土砂災害や川の氾濫、低い土地の浸水に厳重な警戒が必要です。 
●豪雨 岐阜、長野でも 飛騨川氾濫 九州は被害拡大 7/9 
活発な梅雨前線による大雨は西日本から東日本に広がり、8日は岐阜県と長野県でも記録的な豪雨となった。両県には一時、大雨特別警報が出され、岐阜県下呂市では飛騨川が氾濫。水田への土砂の流入など農業被害も出ている。九州でも氾濫や浸水で、農地の冠水被害が広がった。
「経験ない雨」農地のむ 岐阜・下呂市
岐阜県では7、8の両日、飛騨地域を中心に大雨が降った。24時間雨量では下呂市、高山市の4地点で観測史上最多を記録した。
「70年以上、生きてきて最も強い雨だった」。下呂市羽根地区では飛騨川支流から水や土砂があふれ、家屋と農地をのみ込んだ。熊崎實さん(76)の自宅と水田も被害を受け、8日は土砂の撤去作業に追われた。
熊崎さんによると、7日午後7〜9時ごろに集中的に降った大雨で、水路の合流部分に石や流木が詰まり、あふれた。水は膝上に達し、作業場にあった米袋は移して無事だったが、自宅前の稲は土砂をかぶって倒れた。今は中干しの時期。「毎年のように各地で災害があり怖い。どうしようもない」と漏らす。
さらに上流では、家屋の2階部分まで土砂で埋もれた場所もあった。
下呂市を管内に持つJAひだでは、道路の通行止めで職員が各支店に行けず、23の支店やAコープ、営農センターなどが営業を休止した。(古田島知則)
冠水また… 収穫期直撃 福岡・JAくるめ
梅雨前線による豪雨被害は九州北部にも広がった。福岡県のJAくるめ管内では、5日から降り続いた雨で多くの農地に冠水被害が発生した。水は8日午後になっても引いていない。水害に遭うのは3年連続で、立て続けの被害に、被災した農家は深く落胆する。
久留米市のキュウリ農家・八尋義文さん(53)は8日、膝まで水にぬれて冠水したハウスに近づいた。2018年には西日本豪雨に、昨夏も豪雨や台風に見舞われた。だが被害は「今回が一番ひどい」と言う。50アールの畑は全て水に覆われ、被害額は1000万円近くと見積もる。
無策ではなかった。雨が強まった5日午後、ハウス入り口に土のうを積み、水の侵入を防ごうとした。だが、6日も強い雨が降り、水は想定を上回ってあふれた。ハウスは70センチの高さまで水がたまり、キュウリは株ごと駄目になった。9月まで続くはずだった出荷は諦めるしかない。今後、土壌消毒・土壌診断をして10月に再定植するが、減収は避けられない。
八尋さんの長男・正伸さん(26)は「就農して4、5年たつが、毎年のように豪雨がある」と嘆く。「作付けの仕方を変える必要がある。周辺のキュウリ農家は梅雨明けの8、9月定植に変えた人も多い」と話す。
被害は筑後川流域を中心に久留米市の広範囲で起きた。レタス農家の秋山智彦さん(57)は自身の被害は免れたが、「ひどい状況だ」と悲しむ。一帯は、作物が見えなくなるまで冠水したキュウリや電照菊などのハウスが無残に並ぶ。秋山さんは「今が収穫時期だったろうに。本当に心配だ」と仲間を気遣った。 
●京都縦貫道 IC近くで土砂崩れ 車3台流され2人けが  7/9 
9日朝、京都市西京区の京都縦貫自動車道で、料金所の近くの斜面が崩れ、道路に流れ込んできた土砂に走行中の車3台が押し流されました。警察によりますと、車に乗っていた男性2人が軽いけがをしたということです。
9日午前7時半ごろ、京都市西京区の京都縦貫自動車道の沓掛インターチェンジの料金所の近くで、「車が土砂に埋まっている」と消防に通報がありました。
警察によりますと、道路沿いの斜面が幅およそ30メートル、高さおよそ20メートルにわたって崩れて道路に土砂が流れ込み、料金所に向かって走行していた乗用車2台とトラックの合わせて3台が押し流されたということです。
このうち乗用車2台は横転し、運転していた36歳と31歳の男性が足や腕に軽いけがをしました。トラックの運転手にけがはないということです。
警察によりますと、巻き込まれた車の運転手の1人は「土砂が流れてきたのがわかり、ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しているということです。
京都市では、土砂崩れが起きた午前7時半までの1時間に37ミリの激しい雨が降っていました。
西日本高速道路は沓掛インターチェンジの上りの出口と下りの入り口を閉鎖し、土砂を取り除く準備を進めていますが、復旧のめどはたっていないということです。
NHKのヘリコプターの映像では、道路脇の斜面が大きく崩落し、茶色い山肌があらわになっています。
3台の車のうち、1台は道路に大量に流れ込んだ土砂とガードレールの間に挟まれるように止まっていて、もう1台の車も路上で横倒しの状態になっていました。 
●病院や高齢者施設などの被害(午前11時)  7/9 
厚生労働省の9日午前11時現在のまとめによりますと、熊本県、福岡県、鹿児島県、大分県の少なくとも8か所の病院で、浸水、停電、断水などの被害が出ています。給水車を出したり周辺の施設で患者の受け入れを進めたりして、対応しているということです。
熊本県内の30か所の高齢者施設で、浸水、停電、断水などの被害が確認されています。このうち球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」では14人が死亡しました。福岡県では40か所、長崎県では4か所、大分県では3か所の高齢者施設で、浸水、停電、断水などの被害が確認されています。岐阜県でも1か所で浸水の被害が出ているということです。
障害者施設では、熊本県芦北町で4か所、福岡県大牟田市で1か所、鹿児島県薩摩川内市で1か所、浸水の被害が確認されています。
保育所など子ども関係の施設では、熊本県で18か所、福岡県で3か所、大分県、佐賀県、鹿児島県で、それぞれ1か所で浸水や断水などの被害が確認されています。
医師や看護師らで作る災害派遣チーム「DMAT」の101チームが、熊本県を中心に医療現場の支援などにあたっています。 
●福岡 大牟田 浸水による災害廃棄物の受け入れ始まる  7/9 
広い範囲で浸水被害が出た福岡県大牟田市では、被災した住民からの災害廃棄物の受け入れを始めました。
大牟田市は市内の3か所に、水につかった家具や家電、畳などの災害廃棄物の仮置き場を設置しました。
このうち、手鎌北町公園では午前9時前から受け入れが始まり、軽トラックの荷台に廃棄物を載せた住民などが次々に訪れました。
そして可燃物や不燃物などに分けたうえで、仮置き場の中の決められた場所に大きな棚や家電などを降ろしていきました。中には、野球部のチームの記念写真や泥まみれになった子ども用の自転車などもありました。
食品加工業の58歳の男性は「自宅や作業場にあったものすべてが水につかりました。早く捨てないと先に進めず、思い出にひたる暇もありません。片づけを手伝ってくれる人たちには感謝しかないです」と話していました。
大牟田市では旧船津中学校跡地と宮浦公園でも、午前9時から午後4時まで当面、災害廃棄物を受け入れています。 
●金融機関が大雨の被災者や企業に支援制度開始  7/9 
金融機関は、九州や岐阜県、長野県の大雨で被害を受けた個人や企業向けに特別な金利で融資をするなど被災者向けの支援制度を始めています。
大手銀行では三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行が、被災した人を対象に住宅を建て直したり、リフォームしたりする際の資金を通常より低い金利で貸し出すほか、生産設備などに被害が出た企業や個人事業主にも低い金利で融資することにしています。
地方銀行では、福岡市の福岡銀行が住宅のリフォームや車のローンを特別な金利で取り扱うほか、信用保証協会と連携して企業の運転資金や設備の復旧資金を低い金利で貸し出します。
このほか西日本シティ銀行、長崎市の十八銀行が、住宅のリフォームや車のローンなどをそれぞれ特別な金利で取り扱うほか、熊本市の肥後銀行と鹿児島市の南日本銀行も住宅ローンなどの借り入れ条件の見直しの相談に応じるとしています。
保険会社も保険料の支払いを猶予します。
大手損害保険各社は、災害救助法が適用された地域の契約者を対象に任意の自動車保険や火災保険、それに自賠責保険の保険料の支払いを最長で6か月猶予します。
生命保険各社も保険料の支払いを最長で6か月猶予するほか、保険証券などがない場合でも、保険金や給付金を受け取ることができるよう対応しています。  
●豪雨被害 熊本中心に66人死亡 16人不明  7/10 
今回の記録的な豪雨で、これまでに熊本県を中心に66人が死亡し、16人が行方不明となっています。また、家族や知人と連絡が取れないという人が人吉市だけで40人いて、市が避難所の名簿の照合を行うなど所在の確認を進めています。NHKが全国各地の放送局を通じてまとめた情報は以下のとおりです。
熊本県
球磨村の渡地区で特別養護老人ホーム「千寿園」があふれた川の水につかり、14人が死亡しました。球磨村ではほかに5人が死亡し、村内の死者は合わせて19人です。人吉市で19人、芦北町で10人、八代市で6人、山鹿市で2人、津奈木町で1人が死亡しました。このほか、豪雨で流されて海で見つかった人が3人です。熊本県内の死者は合わせて60人です。
行方が分からなくなっている人は、球磨村で5人、津奈木町で2人、八代市で2人、芦北町で1人の、合わせて10人です。
今も家族や知人と連絡が取れないという連絡も寄せられ、広い範囲で浸水した人吉市によりますと、8日から10日朝7時までに、合わせて40人について問い合わせが市にあったということです。
人吉市が避難所の名簿の照合を行うとともに、警察や消防、自衛隊などが所在の確認を進めています。
九州の他県
九州ではこのほか、福岡県大牟田市で80代の男女2人が死亡し、大分県由布市で、車に乗っていて花合野川に流されたとみられる80代の女性が遺体で見つかりました。
女性のほかにも家族3人が川に流されたということで、大分県内では由布市と日田市で合わせて5人が行方不明です。
鹿児島県南さつま市では新聞配達をしていた60代の男性が行方不明となっています。
愛媛県
伊方町の80代の女性が水路で見つかり、死亡が確認されました。西条市で7日、79歳の男性が用水路で死亡しているのが見つかり、愛媛県内で死亡したのは2人となりました。
静岡県
川根本町で6日、停電の復旧作業に当たっていた作業員が、倒れた木を撤去していた際に木が当たって死亡しました。
今回の記録的な豪雨ではまだ被害が把握できていないところもあり、警察や消防、自衛隊などは10日も捜索を続けて被害の確認を進めることにしています。 
●豪雨被害 住宅浸水が1万1000棟以上 熊本と福岡が中心  7/11 
NHKが各地の放送局を通じてまとめたところ、住宅の床上浸水と床下浸水の被害は10日午後6時現在、熊本県と福岡県を中心に、1万1000棟以上にのぼっています。
このうち熊本県では、床上浸水が4580棟、床下浸水が1641棟の合わせて6221棟、福岡県では、床上浸水が1456棟、床下浸水が3445棟の合わせて4901棟となっています。  
●静岡 熊本で断続的に激しい雨 土砂災害などに厳重警戒  7/12 
活発な前線の影響で、静岡県や熊本県で断続的に激しい雨が降り、洪水や土砂災害の危険性が非常に高くなっています。これから東海や関東でも雨が強まり、局地的に非常に激しい雨が降る見込みで、土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒し、早めに安全を確保するようにしてください。
気象庁によりますと、活発な前線と、日本海にある低気圧の影響で西日本から東北にかけての広い範囲で大気の状態が不安定になり、熊本県に加え東海や関東南部、東北北部でも局地的に雨雲が発達しています。
11日午後11時半までの1時間には神奈川県海老名市で50.5ミリの非常に激しい雨を観測したほか、11日午後11時までの1時間には、▽国土交通省が静岡県裾野市に設置した雨量計で50ミリの非常に激しい雨を、▽熊本県高森町に設置した雨量計で37ミリの激しい雨を観測しました。
11日午後11時までの24時間に降った雨の量は、いずれも多いところで、熊本県で350ミリを超えたほか、長野県で210ミリを超え、宮崎県でも200ミリ近くとなり、再び大雨となっています。
これまでの雨で神奈川県と熊本県では「氾濫危険水位」を超えている川があります。
また、静岡県、岐阜県、長野県、熊本県、佐賀県、大分県、宮崎県、徳島県、青森県、岩手県、それに神奈川県では「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があり、各地で洪水や土砂災害の危険性が非常に高くなっています。
今後の雨の見通しです。前線がゆっくりと南下し、東北には低気圧が近づくため、九州や東海、関東ではこれから明け方にかけて、東北では昼すぎにかけて雷を伴って激しい雨が降る見込みです。
特に東海と関東ではこのあと数時間、局地的に1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。
12日夕方までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで九州北部で150ミリ、東北で120ミリ、東海と近畿で100ミリと予想されています。
記録的な豪雨の被害を受けた地域では、地盤が緩み川の堤防が傷んだ場所があるなど災害の危険性が非常に高い状態が続いています。
気象庁は、土砂災害や川の氾濫、低い土地の浸水に厳重に警戒し、落雷や竜巻などの激しい突風にも十分注意するよう呼びかけています。
西日本と東日本では低気圧の接近や前線の北上に伴って、13日以降も大雨となるおそれがあります。
今回の一連の豪雨では、短時間のうちに状況が急激に悪化するケースが相次いでいます。今後、いったん雨が弱まったりやんだりしても油断することなく、早めに安全を確保するようにしてください。 
●西〜東日本 再び大雨のおそれ 土砂災害など警戒 7/13 
前線と低気圧の影響で九州北部や中国地方では激しい雨が降っています。西日本と東日本では14日にかけて、局地的に雷を伴って非常に激しい雨が降り、記録的な豪雨となった九州や東海などでは再び大雨となるおそれがあります。土砂災害などに引き続き警戒を続けてください。
気象庁によりますと、西日本から伊豆諸島付近に伸びる前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んで大気の状態が不安定になり、九州北部や中国地方で雨雲が発達しています。
午後10時20分までの1時間に、長崎県壱岐市で、県が設置した雨量計で35ミリの激しい雨を観測し、午後10時までの1時間に、山口県宇部市に県が設置した雨量計で29ミリの強い雨を観測しました。
これまでの雨で、広島県では氾濫危険水位を超えている川があります。
山口県では土砂災害の危険性が非常に高くなり、土砂災害警戒情報が発表されている地域があります。
前線上にある低気圧が日本海を東へ進み、西日本では14日にかけて、東日本でも14日、大雨となるおそれがあります。
記録的な豪雨となった九州北部ではこれから、東海では14日未明から、局地的に雷を伴って非常激しい雨が降り、特に記録的な豪雨となった熊本県では1時間に70ミリの非常に激しい雨が降るおそれがあります。
14日夕方までの24時間に降る雨の量はいずれも多いところで、東海で250ミリ、九州北部と四国で200ミリ、北陸で180ミリ、九州南部、中国地方、近畿、関東甲信で150ミリと予想されています。
雨は15日にかけて続くおそれがあり、15日夕方までの48時間では、東海で250〜350ミリ、九州北部と四国で200〜250ミリ、北陸で180〜200ミリ、九州南部、中国地方、近畿、関東甲信で150〜200ミリの雨が降る見込みです。
記録的な豪雨となった九州や東海などの被災地では地盤が緩み川の堤防が傷んだ場所があり、少ない雨でも災害が発生する危険性が高くなっています。
気象庁は、土砂災害、川の増水、低い土地の浸水に警戒するとともに、落雷や竜巻などの突風にも十分注意するよう呼びかけています。
早めの避難が重要ですが、夜間は周囲の状況を把握しづらく、避難場所までの移動が危険な場合には、近くの頑丈な建物や建物の高い階で崖や斜面と反対側の部屋に移動するなどして安全を確保してください。  
●中国地方で大雨被害 島根・江の川が氾濫 7/14 
梅雨前線の影響で、中国地方各地で14日早朝までに局地的に非常に激しい雨が降った。島根県江津(ごうつ)市では江(ごう)の川が2カ所で氾濫し、同市や同県美郷町で避難指示が出された。また、広島県内では東広島市で土砂崩れが発生し親子2人が行方不明となるなど、土砂災害が相次いだ。
島根県や国土交通省浜田河川国道事務所によると、同県西部を流れる江の川が同日午前9時半ごろ、下流域の江津市川平町と同市桜江町田津で氾濫した。道路や農地の冠水が確認されている。江津市によると、浸水被害の有無を確認中で、流域の地区などに避難指示を出し、警戒を呼びかけている。また美郷町では午前10時現在、江の川沿いの1749世帯3619人に避難指示が出された。
広島県警などによると、14日午前6時ごろ、東広島市河内町宇山にある2階建て住宅の裏山が崩れ、1階部分に土砂が流入した。住人の女性(84)と息子(55)の計2人と連絡が取れなくなっており、警察と消防が捜索している。土砂崩れの発生当時、大雨警報が発令されていた。
また、広島県北広島町戸谷では13日午後9時ごろ、走行中の軽乗用車が大雨で陥没したとみられる農道の穴に転落、運転していた50代の男性会社員が胸を打撲する軽傷を負った。このほか、同県庄原市比和町古頃でも斜面が崩れ、市道を塞いだ。雨の影響で、14日午前5時半現在、広島市安佐北区などの9203世帯(2万46人)を対象に避難指示が発令された。
広島地方気象台によると、降り始め(12日午後3時)から14日午前5時までの各地の降水量は、島根県浜田市弥栄町で174ミリ、北広島町都志見で210・5ミリなど。同気象台は、河川の氾濫や土砂災害への警戒を呼びかけている。 
 
 
 

 

熊本県
●熊本豪雨の降水量の特徴と今後の見通しについて(速報) 7/6 
7月3日(金)から4日(土)にかけての熊本県南部を中心とする豪雨により被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
西日本から東日本に停滞する梅雨前線の影響により、7月3日(金)から4日(土)にかけて熊本県を中心に記録的な豪雨となり、河川の氾濫や堤防の決壊、土砂崩れなどが発生、熊本県と鹿児島県では大雨特別警報が発表されました。7月3日(金)から4日(土)にかけての降水量は、熊本県水俣市513.0ミリ、球磨郡湯前町の湯前横谷497.0ミリ、人吉市420.0ミリと、いずれも平年の1か月降水量に相当する量となりました。
日本気象協会は大規模な氾濫、浸水被害が発生した球磨川を対象に、国土交通省解析雨量を分析して、今回の豪雨の特徴をまとめましたので、7月6日(月)16時現在の防災レポート(速報)としてご報告します。
1. 6時間、12時間雨量で近年の記録を大幅に上回る雨量
7月3日(金)0時から4日(土)24時にかけての3時間、6時間、12時間、24時間、48時間の各雨量および土壌雨量指数(土砂災害危険度を表す指標)の最大値を図1に示します。球磨川流域を含む熊本県南部では、6時間雨量最大値で200〜500ミリ、12時間雨量で300〜600ミリの雨量、24時間雨量で400〜600ミリ超となりました。
   図1 7月3日(金)0時〜7月4日(土)24時の各指標最大値
また、これまでの観測データの既往最大値(過去の最大値)を100%として、今回の各時間雨量最大値との比較を行ったところ、ほとんどの降雨継続時間の雨量で既往最大を超過する100%以上の範囲が球磨川流域と重なることがわかりました(図2)。とりわけ、6時間雨量や12時間雨量では、既往最大比が150%以上となっている領域が見られ、記録的な雨量であったことがわかります。
   図2 7月3日(金)0時〜7月4日(土)24時の各指標最大値の既往最大比
日本気象協会が静岡大学牛山素行教授との共同研究で調査した、平成30(2018)年7月豪雨時の降水量と犠牲者の発生の関係(※)によると、既往最大比150%前後から犠牲者の発生数が急増する可能性が示されており、今回の豪雨災害でも同様に多数の犠牲者が発生することが懸念されます。
2. 計画規模をはるかに上回る雨量
国土交通省解析雨量から、球磨川の横石地点(熊本県八代市)と人吉地点(人吉市)の上流の流域平均降雨量2)を算定し、計画規模雨量3)や想定最大規模雨量4)と比較を行いました(図3)。その結果、横石地点では、河川整備の目標となる計画規模の138%に相当する361.4ミリの降雨量となっていて、国土交通省において公表している想定し得る最大規模(想定最大規模)の降雨量にも匹敵する雨量となっていたことがわかりました。
   図3 球磨川の横石地点(熊本県八代市)と人吉地点(人吉市)の上流域を対象とした今次豪雨での12時間雨量最大値(流域内平均値)と計画規模及び想定最大規模との比較
3. 今後の雨の見通し(7月6日16時現在)
8日(水)にかけて大雨が長期化する恐れがあります。九州から東北にかけて局地的に激しい雨や非常に激しい雨が降るでしょう。雨雲が発達しながら次々と流れ込み、局地的には猛烈な雨が降る恐れもあります。
3日(金)からの大雨により、九州ではすでに球磨川や本城川で氾濫したり、土砂災害が発生したりするなど大きな災害が起こっています。今は災害の起こっていない地域でも、土砂災害や浸水、洪水の危険度が非常に高まっている所があります。また、中国地方から東海でも地盤の緩んでいる所や増水している河川があります。
梅雨前線による大雨が今後も長時間続き、新たな災害が起こる恐れがあります。土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒して下さい。また、竜巻などの激しい突風や落雷に注意が必要です。今後もこまめに気象情報や自治体から出される避難情報を確認し、適切な行動をとるようにして下さい。
●球磨川流域で被害広がる…熊本豪雨・死者49人 7/6 
記録的な豪雨で川の氾濫や土砂崩れが相次いだ熊本県で6日夕方、球磨村の特別養護老人ホーム『千寿園』で心肺停止の状態で見つかった14人の死亡が確認されました。熊本県での死者は合わせて49人に上り、1人が心肺停止、11人が行方不明となっています。球磨川の流域では広い範囲が水に浸かり、道路の寸断や橋が崩れたりして、現在も孤立している地域があります。国土交通省によりますと、球磨川が流れる八代市や球磨村など少なくとも11カ所で氾濫し、人吉市の堤防が決壊したことが確認されています。
決壊現場のすぐ近くで撮影された映像には、4日午前7時半ごろに、堤防からすでに水があふれ始めている様子が映っていました。その後も、球磨川を流れる水の勢いは収まらず、滝のように住宅街へと流れ込みました。動画を撮影した四元竜一さんは友人の会社が現場近くにあり、その様子を見に来た際、撮影を始めたといいます。
動画を撮影した四元竜一さん:「動画をスマホで撮影してて、見る見るうちに水が増えてきて、このままだと逃げれなくなると身の危険を感じて、撮影をやめて車まで走って逃げた。生きた心地がしないというか、逃げることに必死」
逃げる途中で轟音が聞こえ、四元さんは堤防が決壊したと感じたそうです。それから2時間後の午前9時半ごろに戻ってみると、辺りは一面の泥の海と化していました。
動画を撮影した四元竜一さん:「本当に10分、15分遅かったら危なかったかも。もしかしたら被害に遭っていたかもしれない」
人吉市は九州の小京都とも呼ばれ、温泉と川下りで有名な観光地です。人吉市で113年続く、老舗のうなぎ店『上村うなぎ屋』にも、2階まで濁流が押し寄せました。新型コロナウイルスの影響で減った客足が戻りつつある矢先に起きた豪雨災害で、店の姿は変わり果ててしまいました。
上村うなぎ屋3代目・上村由紀穂さん(70):「2月あたりからぐっと落ちた。もう人が街歩いてないですもん。大変ですね、ほんと」
上村さんには、このほかにも心配なことがありました。持病の薬が水に浸かってしまったのです。しかし、薬を処方してもらう、かかりつけの病院や薬局も片付けに追われていました。
辻循環器内科・宮原祥子事務長:「全部、水に浸かってしまって。カルテも医療機械もレントゲンも、水に浸かってしまった。何もできない。患者さんたちには、もう迷惑かけてるんですけど、もうこの状態じゃどうにもならないですね」
再開のめどは立たず、かかりつけの患者には、別の病院を紹介して対応しているといいます。
険しい山間部を縫うように流れる球磨川流域では、これまでも梅雨や台風の季節に多くの水害が起きていて、地理的特徴が指摘されています。球磨川には、人吉盆地を抜けて再び山間部に入って行くところに、川幅が急に狭くなる『狭窄(きょうさく)部』があります。狭窄部は大雨になると水位が上がるのが特徴で、国土地理院は、狭窄部での水深が一時8〜9メートルに達していたと推定しています。専門家は、狭窄部も含めて「複数の洪水が重なった」と指摘しています。
九州大学工学研究院・島谷幸宏教授:「千寿園みたいに合流点の水位が上がって、バックウォーターの影響を受けて氾濫したところ。狭い狭窄部といわれる所での水害。上流からたくさんの水が流れてきたということで『流下能力』川が洪水を流す能力を超えた水が来たので、人吉盆地で大規模な氾濫が起きた。3つくらいのタイプの洪水があった。色々な災害の複合的な災害」 
●八千代座や杖立温泉旅館が浸水 大雨被害、熊本県北でも 7/9 
7日から大雨に見舞われた熊本県北地域で、8日も被害が相次いだ。山鹿市の国指定重要文化財の芝居小屋「八千代座」では、舞台下の奈落[ならく]が約20センチ浸水。地下水位が上昇し、地面がむき出しの奈落の底から染み出したとみられる。
指定管理を請け負う同市地域振興公社の職員が8日午前8時半ごろ気付き、排水作業に追われた。建物への影響はないという。
奈落は舞台下の土を突き固め、周囲を石垣で覆った地下にある。同公社の石橋和幸文化施設管理係長(55)は「豪雨で地下水位が上昇したのではないか。こんなことは初めて」と驚いていた。
小国町や南小国町では、8日未明の大雨で各地で土砂崩れが発生。国道212号は3カ所で一時通行止めとなり、国道387号は大分県との県境付近など2カ所で不通となっている。
小国町の杖立温泉では、7日に杖立川の増水で床上浸水した旅館・葉隠館が再び床上浸水。経営する権藤芳春さん(69)は「日付が変わったころから一気に増水した。片付けが大変で、人手がほしい」と、玄関に流れ込んだ泥をかき出した。  産山村田尻の池山水源では、増水による濁流や流木で遊歩道に通じる橋の欄干が押し流され、村は水源への立ち入りを禁止した。水源に被害はない。近くの飲食店「がまだす堂」のスタッフは、店の周辺にも達した泥や流木の撤去作業に追われた。 
●氾濫した球磨川の流量、過去最大か 線状降水帯が広範囲に 熊本豪雨 7/10 
熊本県南地域の記録的豪雨による球磨川氾濫について、熊本大大学院先端科学研究部の大本照憲教授(河川工学)は9日、猛烈な雨を降らせる「線状降水帯」が東西方向に形成され、川辺川を含む球磨川流域と広範囲にわたって重なったことで、「流下能力を大幅に超える大量の雨水が球磨川に流れ込んだ」との見方を明らかにした。
大規模に浸水した人吉市街地のピーク流量は今後解析するが、「(戦後最大とされる)1965年水害の毎秒5700トンをはるかに上回る可能性が高い」としている。国土交通省八代河川国道事務所によると、現在の流下能力は毎秒3600トン。
球磨川流域では、3日夜から4日朝にかけて各地点で観測史上最大を更新する記録的な豪雨となった。堤防11カ所で越水したほか、球磨村との境界に近い人吉市中神町の2カ所で堤防が計40メートルにわたり決壊した。
大本教授は当時の降雨について「(線状降水帯にすっぽり覆われたことで)球磨川流域全体でほぼ同じ時間帯に大量の雨が降るという、まれな状況だった」と分析。人吉市街地の浸水は最大4・3メートルと65年より2メートル以上深くなっており、「65年以降の堤防整備などで球磨川の流下能力が向上していることを考慮すると、過去に例のない流量だったのは明らかだ」と話す。
特別養護老人ホームの入所者14人が犠牲となった球磨村渡地区については「急勾配を下り加速した激流に完全にのみ込まれた状態。流木や土砂も被害を増大させた」として、付近の山腹崩壊にも着目する。
大本教授は、公益社団法人土木学会(本部・東京)水工学委員会が結成した九州南部豪雨災害調査団の団長。調査団は今後、気象データや流域の被害状況などから球磨川の当時の最大流量を割り出し、大規模な浸水被害が発生したメカニズムを解明する。 
●熊本県 土砂崩れや浸水被害の住宅6200棟以上に  7/10 
熊本県によりますと、記録的な豪雨による土砂崩れや河川の氾濫などで浸水被害にあった住宅は、床上床下含めて6200棟以上に上っています。調査が進んでいない地域もあり、今後さらに増える見込みです。
熊本県によりますと、9日午後1時の時点で確認された住宅被害は、全壊が芦北町や相良村などで合わせて23棟。半壊は芦北町や津奈木町などで合わせて14棟。一部損壊は津奈木町や相良村などで合わせて45棟です。
また、床上浸水は人吉市で3700棟余りに上り、このほか芦北町や八代市などと合わせると4580棟です。
県によりますと、床上浸水は今後の調査次第では全壊や半壊になる可能性もあるということです。
床下浸水は、人吉市や芦北町、天草市などを中心に合わせて1641棟となっています。
県によりますと、被害の報告は相次いでいますが、調査が終わっておらず全容が把握できていない自治体もあり、今後さらに増える見込みだということです。 
●「想定外の雨量」に対応できず 球磨川3市町村、行動計画生かせず 7/11 
記録的豪雨で甚大な被害が出た球磨川流域の自治体のうち、熊本県球磨村、人吉市、八代市は防災意識が高く、ゲリラ豪雨時に自治体が取るべき行動を時系列で事前に定めた「タイムライン」(TL)を県内で先行導入した先進地だった。それでも「想定外の雨量」に対応できず、早期に避難情報を出した球磨村でも多くの人が犠牲になった。発生から11日で1週間。自治体の対応だけでなく、住民の危機意識をどう高めるか、課題を突き付けている。
「注意は必要だが、球磨川は氾濫しないだろう」。3日午後4時、雨に備え、TLを導入する3市村のテレビ会議に参加した八代市の中武裕厳危機管理監は、気象庁側の説明を聞いてそう思ったという。翌4日午後6時までの県内の24時間降水量は、最大200ミリと予想されていた。
異変を感じたのは日付が変わってから。4日午前3時22分、球磨川の水位がTLで定めた基準値を超えた。市役所鏡支所で警戒していた中武さんは、自衛隊や消防と連絡を取り合い、防災無線での注意呼び掛けを職員に指示した。
午前3時39分、市内で1時間120ミリの猛烈な雨が観測され、記録的短時間大雨情報が出た。「なんで雨雲が通り抜けないんだ」。インターネットで雨雲の動きを注視していた中武さんは、周囲にこぼした。
午前4時50分、気象庁から最大級の警戒を呼び掛ける大雨特別警報が出される。その頃には球磨川の水位が増え、1時間で1メートル上昇した。暗い時間帯のため避難情報を出せず、TLで定めた通りに職員を動かすことはできなかった。
「4カ所冠水しました」「土砂崩れが2カ所発生」。次々と報告が入る中、午前6時40分、回線が雨の影響で切断され、ネットが突然使えなくなった。「テレビの情報しかなく、頭が真っ白になりました」。避難指示を出せたのは午前9時50分のこと。「雨の予測は本当に難しい。3日の夕方に避難所を開設していれば…」。中武さんは自らの判断を悔やむ。
球磨川が氾濫し始めたのは午前5時55分。八代市内では6人が亡くなり、2人が行方不明になった。

山手にあり、災害時に集落が孤立しやすい球磨村は普段から早め早めの避難情報の発信を心掛けていた。今回も大雨警報が出る4時間以上前、3日午後5時に「避難準備・高齢者等避難開始」を出し、午後10時20分には避難勧告に切り替えた。上流の人吉市も、避難勧告を出したのは日付が変わる前の午後11時だった。
夕方から夜にかけて断続的に出された自治体の呼び掛けに、どれだけの住民が応えられたのか。球磨村では、球磨川の濁流で水没した特別養護老人ホーム「千寿園」の入所者を含め20人が亡くなった。人吉市では19人が犠牲になった。常識で計れない大雨が相次ぐ中、TLを策定するだけでは被害は抑えられない。
球磨村のTL策定にも関わった東京大の松尾一郎客員教授(防災行動学)は「自治体が住民に早期避難を呼び掛けるためにTLは有効だが、住民の危機意識を高めることも忘れてはならない。人間は一人では逃げずに、家族や近所の人たちと一緒に避難する傾向がある。地域ごとにTLを策定する必要がある」と言う。
既に実践する自治体もある。2011年に台風12号によって熊野川が氾濫した三重県紀宝町では、11地区に「コミュニティタイムライン」を導入している。自主防災組織のメンバーや民生委員、消防団員らで、避難のタイミングや災害時の行動を協議。町は住民が希望する場所に水位計や雨量計を設け、観測値をチェックできるタブレット端末を配って活動を支えている。
同町の新元明生危機管理監は「住民が主体的に行動して身を守るようになった。いくら行政が避難情報を出しても、判断するのは住民自身。人命を守るには、当事者意識を高めないといけない」と語った。
タイムライン(TL)
最大規模の災害を事前に想定し、自治体や防災機関などの「誰が」「いつ」「何をするか」の3要素を時系列で整理した行動計画。2012年に米国でハリケーン「サンディ」が上陸した際、州政府がタイムライン(TL)に従って避難勧告を出し、犠牲者を出さなかったことで注目された。国の直轄河川流域では全734市町村が導入済み。都道府県管轄の中小河川流域では、全国の819市町村が策定しているが、九州の策定率は40・2%にとどまり、全国平均の69・4%を下回っている。 
 
 
 

 

長崎県
●佐世保 72時間雨量445ミリ 観測史上最大 崖崩れ相次ぐ 6/27 
梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で長崎県内は27日、大気の状態が不安定となり、佐世保市では午後9時までの72時間雨量が同地点としては観測史上最大の445ミリを記録した。県などによると、同9時現在、市内3カ所で崖崩れが発生したほか、高齢女性1人がけがをした。
長崎地方気象台によると、午後5時までの1時間最大降水量は、佐世保74ミリ、芦辺47ミリ、雲仙岳34ミリ−など。佐世保市と北松佐々町に一時、土砂災害警戒情報が発表された。
佐世保市内では小島町で民家そばの崖が幅3メートル、高さ10メートルにわたって崩れるなど、同9時現在、崖崩れ3件が発生。白南風町では、90代女性が自宅のブロック塀に手を置いた際に塀が崩れて転倒、軽症を負った。
一方、25日の大雨で市道に23メートルのひび割れが発生した御船町の4世帯5人が住む区域について同市は27日、崩落の恐れがあるとして警戒区域に設定。復旧工事が完了するまで立ち入りを制限した。
JR九州は佐世保線と長崎線などの一部区間で一時運転を見合わせた。気象台は引き続き土砂災害への警戒を呼び掛けている。 
●長崎県内6日明け方から大雨のおそれ 7/5 
長崎県内では梅雨前線によって6日明け方から局地的に雷をともなった大雨となる恐れがあります。土砂災害や低い土地の浸水河川の増水や氾濫に警戒が必要です。長崎地方気象台によりますと、九州南部付近に停滞している梅雨前線は、活発な状態のまま5日夜から6日にかけて九州北部付近まで北上し、7日にかけて停滞する見込みです。長崎県内では6日明け方から局地的に雷を伴った激しい雨や非常に激しい雨が降り大雨となるおそれがあります。6日に予想される1時間の雨量はいずれも多い所で60ミリ。6日午後6時までの24時間にいずれも多い所で南部と北部・五島で200ミリ、壱岐・対馬で120ミリの雨が降ると予想されています。7日にかけて土砂災害、低い土地の浸水河川の増水や氾濫などに注意が必要です。 
●土砂災害警戒情報 7/6 
長崎地方気象台は午後2時30分、東彼杵町と波佐見町に土砂災害警戒情報を発表しました。これは5段階の警戒レベルのうち上から2番目のレベル4に相当します。
降り続く大雨のため、警戒対象の地域では土砂災害の危険性が高まっています。崖の近くなど土砂災害の発生しやすい地区に住んでいる人は早めの避難を心掛けるとともに自治体から発表される避難勧告などの情報に注意してください。
東彼杵町と波佐見町のほか、これまでに長与町と時津町、長崎市と江島、平島を除く西海市、宇久地域を除く佐世保市、諌早市、大村市に土砂災害警戒情報が発表されています。 
●大村市で川の水が溢れる 7/6 
大村市役所によりますと、大村市内の4つの川が水が岸にあふれだしている「越水」の状態になっています。
越水しているのは大村市の内田川(うちだがわ)、郡川(こおりがわ)、藤の川(ふじのがわ)針生川(はりおがわ)です。
大村市によりますと、市内4つの川で岸に水があふれ出している「越水」状態になっています。
この後、さらに水が増えるおそれがあります。増水した川には近づかないようにしてください。  
●長崎県内に大雨特別警報 大村で1時間雨量94.5ミリ 河川氾濫 2000人避難 7/6 
対馬海峡に停滞する梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で大気の状態が不安定となり、長崎県内は6日、各地で非常に激しい雨が降った。気象庁は同日、県南・県北の4市3町に警戒レベル5相当の大雨特別警報を今年初めて発表。大村では観測地点の史上最大となる1時間降水量94.5ミリを記録した。
特別警報の対象は、長崎市、諫早市、大村市、西海市、西彼長与町、西彼時津町、東彼東彼杵町。県内での特別警報発表は昨年8月28日以来、4度目。
大村市の5河川が氾濫・越水し、県内唯一の1級河川である諫早市の本明川は氾濫危険水位を超した。
気象庁はレーダー解析の結果、6日午後9時現在、大村市付近の同日午後3時20分ごろまでの1時間と東彼杵町付近の同日午後3時半までの1時間にそれぞれ約110ミリの猛烈な雨が降ったとみられる「記録的短時間大雨情報」を発表。発達した雨雲が連なり局地的豪雨をもたらす「線状降水帯」が形成された可能性があるとしている。
長崎地方気象台によると、大村では6日午後3時17分までの1時間降水量94.5ミリを観測し、同地点で観測が始まった1976年以降で最大を更新した。
県災害対策本部によると6日午後7時現在で、長崎市の一部、大村市、江島・平島を除く西海市、東彼杵町に避難指示が出され、佐世保市(宇久地域を除く)や諫早市など2市2町に避難勧告を発令。避難準備情報を含め県内計約56万世帯が避難対象となる中、207カ所に1026世帯1977人が避難した。人的被害は確認されていない。
空の便では長崎空港発着便でオリエンタルエアブリッジ(ORC)が全便欠航。JRでは午前10時以降の博多−長崎の特急「かもめ」が全便運休するなど交通にも乱れが出た。
県は同日夕、災害対策本部会議を開き状況を確認。中村法道知事は「河川の水位の上昇や、崖崩れが起きている地域もある。県民には、まず命を守る行動をとってほしい」と呼び掛けた。
同気象台は、7日午後6時までの24時間雨量は県南部300ミリ、県北部と五島250ミリと予想している。 
●大雨 県内の被害状況(13時) 7/7 
午後1時までに県内で確認された被害の状況です。
【住宅などの被害】
長崎県と各市や町によりますと、長崎市西小島1丁目でがけ崩れのため、アパートの1階部分に土砂が流れ込む被害が出ました。
佐世保市大黒町でも、がけ崩れのために青果店や空き屋が入っている建物に土砂が流れ込み、全壊しました。
大村市では6日、郡川や小規模な川から水があふれました。
このため、今富町で3か所、富の原で2か所、杭出津で2か所、木場で1か所の合わせて8か所で浸水被害の情報があり、住宅の被害状況について市が調査を進めているということです。
また、時津町でも住宅が水につかったという情報があり、被害状況について町が調査を進めているということです。
【がけ崩れ】
このほかにも、長崎市と佐世保市、大村市、松浦市、西海市、東彼杵町、佐々町で土砂崩れが起きたということです。
【人的被害】
一方、県内ではこれまでにけが人は確認されていないということです。  
●国道が水没、住民絶句 長崎県内大雨 各地で崖や路肩崩れる 7/7 
長崎県内で大雨特別警報が発表された6日、記録的豪雨を観測した大村市など各地で冠水や崖崩れなどの被害が出た。大村市では郡川や内田川など5河川が氾濫・越水した。久原2丁目の与崎交差点付近は冠水し、同市と諫早方面を結ぶ大動脈の国道34号は全面通行止めに。水かさが増して運転者が脱出したとみられ、残された車が水に漬かった。
大村市は午後4時半に市災害対策本部を設置。避難所の福重出張所では1階が一時浸水した。竹松出張所などは避難者が多く、受け入れを中断した。市内の小中学校は7日の臨時休校を決めた。午後7時現在で避難者は404人。市内の自動車販売店の男性(61)は「25年くらいここで営業しているが、こんなことは初めて」と不安げに語った。
県内唯一の1級河川、諫早市の本明川は午後4時10分、氾濫危険水位(3・7メートル)を超す3・79メートルを観測した。国土交通省長崎河川国道事務所によると、氾濫危険水位を超えたのは1982年の長崎大水害以来。決壊や越水の報告は入っておらず、人的被害もない。避難所を訪れた60代女性は「夜半になるにつれて雨がひどくなると聞いているので心配」と口にした。
長崎市多以良町では高さ約30メートル、幅約15メートルにわたって崖崩れが発生。同市西小島1丁目ではアパートの土台が高さ約5メートル、幅約6メートルにわたって崩れた。住民の女性(68)は「家に帰りたいが、もう住めないかも」。
西彼時津町から長崎市琴海方面へ向かう国道は山手から流れ落ちたり側溝からあふれたりした雨水が道路を覆った。時津署によると、同市西海町の交差点付近が冠水。迂回(うかい)路は渋滞が発生した。下校中だった県立高2年の女子生徒(16)は「川も増水している。怖い」と話した。西海署などによると、西海市内では2カ所の道路冠水、3カ所の崖崩れを確認した。
佐世保市では相浦川が一時避難判断水位に。同市鹿子前町の市道は一時通行止めとなった。東彼東彼杵町の彼杵川は午後1時20分に氾濫危険水位を超えた。 
●大村では川の護岸が決壊 7/7 
きのう時間雨量94.5ミリを記録した大村市では、川の護岸が200メートルにわたって決壊し周辺の地域が冠水するなど県内各地で被害が確認されています。大村市を流れる郡川の支流佐奈川内川では川の護岸が長さおよそ200mに渡って決壊しています。周辺の今富町では川からあふれ出た水が周辺に広がり広い範囲で冠水したほかビニールハウスが倒壊する被害が出ました。観葉植物を育てている農家では押し寄せた水でハウスの9割が被害を受けました。葉タバコ農家では収穫直前の20アールの畑が全て水につかりました。このほか市内では床上と床下浸水が4箇所確認されています。市内の作業場では床上まで水が上がりけさから排水作業に追われていました。大村市の園田市長はきょう午後、現地を訪れ被害状況の確認にあたりました。県内では人的被害は確認されていないものの少なくともがけ崩れが25か所道路の冠水やのり面の崩れが8か所通行止めなど交通規制が11か所で行われ農作物や農業用施設の被害が24件確認されています。 
●長崎県内 大雨の被害が明らかに 7/8 
今回の記録的な大雨の影響で県内では土砂崩れや冠水の被害が相次いでいます。長崎市三重町では昨夜、山の斜面が高さ20メートル幅10メートルに渡って崩れふもとに建っていた近くの旅館が所有するプレハブ倉庫が倒壊しました。付近に住んでいた10世帯30人は警察などの呼びかけで避難しけが人はいませんでした。大村市では堤防がおよそ200mに渡って決壊した佐奈河内川周辺で田んぼ一面が石や土砂で覆われるなど農業用施設への被害が50件にのぼっています。きょうは中村知事が大村市を訪れ被害状況を視察しました。このほか県内では崖崩れが31箇所床上・床下浸水が少なくとも63件発生しています。JRでは長崎本線の喜々津ー浦上間大村線の早岐ー諫早間で終日運転を見合わせています。JR九州によりますと明日以降の復旧の目処については未定だということです。 
●長崎 対馬 男性1人行方不明 記録的な豪雨が原因か  7/10 
長崎県の対馬市消防本部によりますと、10日午前11時ごろ、「対馬市美津島町に住む50代の男性が田んぼのポンプを見に行った後に連絡が取れなくなっている」と知り合いの男性から通報があったということです。
その後も、男性とは連絡が取れず、警察と消防は川に落ちた可能性もあるとみて、付近の川を中心に行方を捜しましたが、川の流れが激しいため10日の活動を午後4時で打ち切りました。
警察と消防は、11日は午前10時から行方を捜すことにしています。 
●豪雨被害「原城跡」で土砂崩れる 7/10 
世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の1つ南島原市の「原城跡」で、今回の記録的な豪雨によるとみられる影響で、これまでに18か所ののり面が崩れているのがわかりました。
南島原市教育委員会によりますと、今回の記録的な豪雨によるとみられる影響で、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の1つ「原城跡」で、今月6日から10日までにのり面18か所が崩れたということです。
このうち、最も被害が大きかったのは二ノ丸付近ののり面で、高さおよそ15メートル、幅およそ25メートルにわたって土砂が崩れました。
また、三ノ丸付近でも、高さおよそ8メートル、幅およそ10メートルにわたって土砂が崩れました。
市によりますと、崩れた土砂の中に遺物とみられるものはなかったということです。
南島原市では状況の把握を進めるとともに、土砂が崩れた場所などにはブルーシートをかぶせて応急的な措置をする一方で、今後、文化庁や県、専門家に相談しながら本格的な復旧を検討することにしています。 
●佐世保市斜面崩れる恐れ警戒区域拡大 7/10 
先月末の大雨で斜面が崩れ警戒区域が設定されている佐世保市の住宅地では今回の雨で災害発生の危険が高まったとして警戒区域が拡大され9日新たに4世帯6人が避難しました。警戒区域が追加設定されたのは佐世保市御船町の斜面の住宅地で9日夕方から新たに民家4棟への立ち入りが制限されました。この住宅地では、先月末の大雨で裏手の斜面が崩れはじめたため先月27日、市が警戒区域を設定していました。今月に入っても佐世保市では500ミリを超す雨が降り続いており災害発生の危険が高まったとして警戒区域の範囲が拡大されました。現在あわせて8世帯11人が避難しています。このほか佐世保市では小川内町の妙観寺峠付近で大規模な地滑りが発生しており警察や消防が被害状況などを確認しています。 
 
 
 

 

福岡県
●福岡 久留米 市内の広範囲で浸水被害  7/8 
福岡県内で最も多くの住宅被害が出ている久留米市では、筑後川の沿岸を中心に、住宅地や田畑の広い範囲が水につかっています。
県の災害対策本部によりますと、8日午前6時現在で、県内では593件の住宅被害が報告され、その9割を久留米市が占めています。
NHKが8日午前7時半ごろ、久留米市の上空から撮影した映像では、筑後川の沿岸にある住宅地や田畑の広い範囲が水につかっているのが分かります。
このうち、筑後川の沿岸部にある久留米市城島町のリハビリ施設では建物の1階や周囲の道路がすべて水につかっていました。
このほか田畑や農業用のハウスも広い範囲が水につかり、被害が出ているとみられます。
福岡県久留米市東合川では、大雨の影響で道路が広範囲にわたって水につかりました。
NHKが許可を得て、近くの建物の屋上から撮影した映像では、道路が100メートル以上にわたって水につかっている様子や、2台の車が水につかって動かせなくなっている様子などが確認できます。
付近は通行止めとなっていて、「通行止め」と書かれた掲示板が軽トラックの上に置かれ、警察などが車を誘導したり、冠水している付近を確認したりしている様子などもみられました。
また、住民たちがひざ下くらいまで冠水した道路を水をかきわけながら歩いている様子もみられます。
現場は久留米インターチェンジからすぐの、商業施設などが建ち並ぶ地域です。
近くに住む50歳の男性は、「おととい夕方くらいまでに道路が水につかり、きのう、さらに水かさが増えました。もうあと何時間かしたら水は引くと思います。商売されているところはかなり大変だと思います」と話していました。 
●福岡・大牟田市、雨強まり道路冠水も 7/10 
前回の大雨で水位が非常に増した福岡県大牟田町の諏訪川の近くからの報告です。
雨は非常に小さな雨粒が風にあおられて横から吹きつけるように降っている状態です。ただ、30分ほど前までは目が開けられないほどの猛烈な雨が降りました。また、私の目の前を流れる諏訪川は水位を増して川の流れも非常に速くなっています。
こちら大牟田市では、この1週間ですでに梅雨の時期の総雨量を上回る800ミリの雨が降っています。10日も午後2時ごろから急速に雨足が強まり、道路は瞬く間に水に浸かりました。
「地域の方が道路に立ち、やってくる車に引き返すよう合図を出しています」(記者)
大牟田市は、道路の冠水によって、歩いて最寄りの避難場所に向かえなくなった人のために、シャトルバスを運行するなどの対応に追われました。
これまでの雨で、福岡県では2人が死亡、住宅の被害は5000件に迫ろうとしていて、道路の損壊なども432件に上っています。毎日、毎晩出される警報に住民の疲労も色濃くなっています。 
●大雨冠水の爪痕大きく 機材故障、商品廃棄も 7/10 
各地で大雨被害に見舞われた福岡県筑後地区では9日、昼頃から降り始めた雨が次第に強まる中、住民たちが後片付けに追われていた。大牟田市では災害廃棄物の受け入れも始まった。
広範囲が冠水した久留米市城島町は、田畑や道路から水が引いた。筑後川沿いの「庄分酢」(大川市)の城島工場では、従業員らが清掃や片付けを急いでいた。商品は難を逃れたが、瓶詰め用のラインが浸水で故障した。営業課長の松尾一博さん(44)は「夏場にかけて出荷のピークを迎える。ラインが動かないと、すぐに在庫がなくなる」と不安を漏らした。
2018年の西日本豪雨に続いて浸水した久留米市東合川のスーパー「ジョイント久留米店」。事前に入り口や非常口に止水板や土のうを置いたが、排水口や建物の隙間から浸水し約60センチの高さまで漬かった。店内の商品約3万点はほぼ全て廃棄し、当面休業する。
冠水被害は同市北野町にも及んだ。北野町今山の男性(43)方は、6日夜に床上浸水が始まり、8日夜になってようやく水が引いた。1年前に転居してきたばかりだが、浸水被害は2度目。男性は「今はごみ出しと掃除で会社にも行けない」と疲れた表情で話した。
一方、大規模冠水で一時孤立状態になった大牟田市の三川地区では、市消防本部が前日に続いて戸別訪問による安否確認を実施。新たな人的被害は確認されなかった。10日も継続する。
市は9日、災害廃棄物を受け入れる仮置き場を、市内3カ所に開設した。周辺道路には被災者のトラックの長い列ができた。柳川市が職員4人を派遣し、仮置き場の受け付けや分別作業を手伝うという。
一方、JAくるめによると、管内の筑後川流域ではほぼ全域で露地やハウス栽培の野菜に冠水による被害があり、JAふくおか八女でも、果樹園に土砂が流れ込むなどの被害が報告されているという。 
●「もうやめてくれ」4年続けて農地の被害を受けた農家は…福岡  7/10 
市内の広い範囲が水につかった福岡県久留米市では、4年連続で農地が泥水につかり、大きな被害を受けた農家の男性が厳しい現状を訴えています。
久留米市は野菜を中心に農業が盛んですが、今回の豪雨では広い範囲で田畑が水につかり、大きな被害を受けました。
このうち久留米市北野町の香月勝昭さん(41)は3.5ヘクタールの農地でパクチーを生産しています。今回の豪雨で76棟の農業用ハウス、すべてが泥水につかりパクチーが出荷できなくなりました。被害額は少なくとも1000万円にのぼるとみられています。
香月さんが今月8日にドローンで撮影した動画では一面が水につかり、農地と道路の境目が見えなくなっています。香月さんの農地が水につかる被害は4年連続です。
この一帯には筑後川に流れ込む支流の陣屋川が流れています。大雨で筑後川の水位があがると、支流への逆流を防ぐために水門が閉じられますが、支流の水があふれ、周囲が水につかる被害が続いているということです。香月さんは去年までの浸水被害を受け、水を防ぐブロック塀をあらかじめかさあげしていましたが、今回はそれを上回る水が流れ込みました。
香月さんは「毎年の被害でもうやめてくれという気持ちです。筑後川が大雨を受けきれていないので、抜本的な改修が必要ではないか」と話していました。
さらに、泥水につかった農地は乾燥させたあと消毒する必要があり、再び農産物を収穫できるまでに少なくとも3か月はかかります。香月さんの農地では従業員など9人が働いていて、厳しい経営を迫られるとしています。今回は新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んでいた外食向けの野菜の需要が戻り始めたやさきの被害でした。
香月さんは「新型コロナウイルスと豪雨のダブルパンチの被害から農家が前を向けるよう、行政には次の作付けのための支援をお願いしたい」と話していました。 
 
 
 

 

佐賀県
●佐賀県内全域に警報 土砂崩れや増水に厳重警戒(7月6日14時半現在) 7/6 
佐賀県内は6日、梅雨前線の影響で強い雨が降り続き、佐賀地方気象台は県内全域に大雨警報と洪水警報を出し、土砂災害や河川の氾濫などに厳重な警戒を呼び掛けている。
唐津市、伊万里市、多久市、武雄市、鹿島市、嬉野市、大町町、江北町、有田町、白石町、太良町に土砂災害警戒情報が出ており、江北町、基山町、鳥栖市、鹿島市、太良町、玄海町、みやき町、伊万里市、武雄市、嬉野市、上峰町、佐賀市が避難準備情報を出し、高齢者などに早めの避難を呼び掛けている。県災害情報連絡室によると、正午時点で伊万里市の1世帯1人が自主避難している。
佐賀地方気象台によると、6日正午までの1時間に佐賀市川副で45・5ミリ、佐賀市北山で35・5ミリ、佐賀で28・0ミリの雨量を観測した。気象台は6日から7日にかけて予想される1時間雨量を、いずれも多いところで50ミリ、7日午前6時までの24時間雨量を250ミリとしており、低い土地の浸水や河川の増水に警戒するよう呼び掛けている。
JR九州によると、大雨の影響で午前10時2分から運転を見合わせていた長崎線の肥前浜―多良駅間の上下線は午後2時20分に運転を再開した。筑肥線の山本―伊万里駅間は上下線で運転見合わせており、唐津線の久保田―唐津駅間の上下線は徐行規制の影響で遅れが発生している。
NEXCO西日本によると、大雨の影響で鳥栖IC―東脊振IC間が通行止めになっている。 
●嬉野市、全域の9807世帯に避難指示 7/6 
大雨の影響で土砂災害、河川の氾濫などの恐れが高まったとして、嬉野市は全域の9807世帯、2万6078人に避難指示を出した。太良町は全域の3197世帯、8604人に避難勧告を出した。 
●猛烈な雨、土砂警戒 「1人だと怖い」不安募る 県内6市町に大雨特別警報 7/7 
猛烈な雨が降り続き、6日夕には佐賀市など6市町に大雨特別警報が発令された佐賀県内。昨年8月の「佐賀豪雨」の記憶も新しく、自宅に押し寄せる大量の雨水や土砂災害を恐れ、多くの住民が避難所に身を寄せた。各自治体は、通常の避難所運営だけでなく、新型コロナウイルスへの感染予防対策もあり、難しい対応に追われた。
6日午後4時15分、県庁で開かれた災害警戒本部会議。佐賀地方気象台の職員が「特別警報を検討している」と話した矢先、携帯電話が鳴った。「今、情報が入った。16時半、特別警報の発表が確定した」。佐賀、武雄、鹿島、嬉野の4市、杵島郡白石町、藤津郡太良町の2町が対象になり、昨年8月28日の佐賀豪雨以来の発令になった。
これを受け、佐賀市は対策会議を急きょ開催。土砂災害の恐れがある市北部の5地区に出した避難勧告を、市内全域に拡大した。富士小など山間部の9小中学校は7日を臨時休校にすることも決め、担当者は「避難所の準備、関係者への連絡でばたばたしている」と話した。
金立町の金立公民館には3世帯3人(午後6時現在)が避難した。昨年の佐賀豪雨では泥が玄関先まで流入したという大門地区の女性(21)は「土砂崩れが起きそうで避難した。まさか2年連続で大雨になるなんて。近くの道路がまだ復旧していないのに」と不安げな表情を浮かべた。
同様に大雨特別警報が発令された太良町。各地で土砂崩れが相次ぎ、避難所6カ所を開設した。このうち町福祉保健施設「しおさい館」では新型コロナ対策として受付で検温、消毒を実施した。一方、しおさい館への避難者は193人(午後7時現在)で、密集などの「3密対策」には難しい課題が残った。
母親(76)と一緒に避難した宮崎みどりさん(49)=糸岐=は「玄関から水が入ってきた。雨が降り続いたらと思うと…」。1人暮らしの90代女性は、自宅前の道が川のようになったと明かし「区長さんに連れてきてもらった。1人だと怖いから」とおびえていた。 
●土砂災害、路面冠水で通行止めも(7月7日9時30分現在) 7/7 
路面冠水、土砂災害などのため、国道444号線巌橋(鹿島市山浦・中木庭ダム上流)−長崎県境、204号(伊万里市東山代町)楠久津交差点周辺、県道・江口東尾線(三養基郡みやき町江口)江口橋−コスモス館南交差点などで通行止めになっている。 
●県内大雨、警戒続く 太良町の土砂崩れで2人けが 7/7 
停滞する梅雨前線の影響で、佐賀県内は7日も大雨に見舞われた。気象庁は同日午前11時40分までに、佐賀、嬉野、武雄、鹿島の4市と杵島郡白石町、藤津郡太良町に出していた大雨特別警報を警報に切り替えたが、佐賀地方気象台は8日明け方にかけて、局地的に雷を伴った非常に激しい雨が断続的に降る恐れがあるとして、引き続き警戒を呼び掛けている。太良町では6日夕、住宅裏山の土砂崩れで2人がけがをした。
佐賀地方気象台によると、佐賀空港で7日午前7時20分までの24時間雨量が315・5ミリ、鳥栖市で同日午後10時までの72時間雨量が470ミリといずれも観測史上最多になり、佐賀市駅前中央でも同日午後10時までの48時間雨量が387ミリで、7月の観測史上最多を更新した。5日午後4時からの48時間雨量は、鳥栖市402ミリ、佐賀空港380・5ミリ、嬉野市345ミリなど。
県内では7日午後9時現在、11市町で17万5435世帯42万6443人に避難勧告が出されており、避難所は全20市町134カ所で開設され、361世帯556人が避難している。
JR九州は、博多と長崎、佐世保を結ぶ特急を終日運休し、筑肥線の山本−伊万里駅間、唐津線の久保田−唐津駅間も終日運転を見合わせた。高速道路では、長崎自動車道の鳥栖JCT−長崎ICが上下線で通行止め。佐賀と福岡を結ぶ高速バスも終日運転を見合わせた。
県内の公立学校では、県立学校34校、市町立の小学校102校、中学校48校、義務教育学校2校が臨時休校した。
県東部を流れる筑後川は7日午前8時半すぎ、大分県日田市で氾濫した。国土交通省筑後川河川事務所は、下流域でも警戒を呼び掛けている。
県などによると、6日午後4時半ごろ、太良町糸岐で住宅の裏山が崩れ、この家に住む80代の夫婦が頭や足にけがをした。2人は鹿島市内の病院に搬送され、命に別状はないという。
6日午後3時すぎには、鹿島市山浦の白鳥尾地区で土砂崩れがあり、民家1軒が倒壊。住民2人は避難して無事だった。同日午後2時半ごろ、太良町の広域農道(多良岳オレンジ海道)では高さ約8メートルから土砂が崩落し、約40メートルにわたって広がった。トラック1台が巻き込まれたが、40代男性運転手にけがはなかった。
8日に予想される1時間雨量は、多いところで50ミリ、7日午後6時からの24時間雨量は150ミリとしている。 
●佐賀県内大雨、峠越す JRは運休など乱れ続く 7/8 
佐賀県内は8日、梅雨前線が九州南部まで南下し、激しい雨が降る恐れはなくなった。これまでの記録的な大雨で地盤が非常に緩んでおり、佐賀地方気象台は引き続き土砂災害への警戒を呼び掛けている。
5日午後4時の降り始めから8日午前5時までの雨量は、鳥栖が504ミリ、佐賀空港477・5ミリ、嬉野442・5ミリ。全20市町に出されていた大雨警報は8日午前11時17分に注意報に切り替わった。
県によると、8日午前9時半現在、鹿島市、基山町、太良町に避難勧告が出ており、全20市町で224世帯344人が避難している。
8日午前6時半現在、鹿島市山浦で土砂崩れにより民家1棟が全壊。鹿島市と鳥栖市轟木で床上浸水が計4件、鹿島市と佐賀市で床下浸水が計37件あった。
西松浦郡有田町にある国の重要文化財の旧田代家西洋館は、建物西側のしっくいの壁の一部が崩落したことを7日、町職員が確認した。同館は土日祝日などに公開しているが、建物の中には影響がないとして、予定通り公開を続ける。
県教育委員会によると、小城、太良、唐津工の3県立高と、千代田東部小、千代田中が8日を臨時休校とした。
JR九州によると、8日正午現在、特急「かもめ」は一部を除いて始発から運休、特急「ハウステンボス」は終日運休する。特急「みどり」は本数を減らして運転している。長崎線の肥前鹿島―諫早間、筑肥線の山本―伊万里間は始発から上下線で運転を見合わせている。松浦鉄道は始発から全線で通常運転している。
高速道路は午前7時すぎ、長崎道の鳥栖ジャンクション(JCT)―長崎インターチェンジ(IC)間、西九州道の武雄JCT―佐世保中央IC間の通行止めが解除された。 
●県内再び激しい雨 鳥栖、唐津市は10日休校決定 7/9 
佐賀県と佐賀地方気象台は9日午後3時35分までに、鹿島、嬉野、武雄の3市と藤津郡太良町、杵島郡白石町に土砂災害警戒情報を出した。降り続く大雨のため、命に危険が及ぶ土砂災害がいつ発生してもおかしくない非常に危険な状況で、がけの近くや谷の出口などに住んでいる人は、市町から発令される避難勧告などの情報に注意し、安全な場所への速やかな避難を呼び掛けている。
また、JR九州は大雨の影響で長崎線の肥前鹿島―長崎駅間の上下線で運転を見合わせている。博多と長崎を結ぶ特急かもめは運休している。
10日が大雨になるとの予報を受け、鳥栖市教育委員会は9日午前、市内12小中学校を10日は臨時休校にすることを決めた。9日午前10時の段階で、各校から保護者にメールで通知を出した。
終日激しい雨が降るという予報を受け、登校、下校時の安全が確保できないうえ、いったん登校させると早めに帰宅させるための時間帯も見つけられないと判断した。放課後児童クラブも終日開催しない。
唐津市も10日は市立全51小中学校と1幼稚園を臨時休校にすることを決めた。 
●国重文のしっくい一部崩落 嬉野市の「西岡家住宅」 7/11 
佐賀県内を襲った大雨の影響で、嬉野市塩田町にある国重要文化財「西岡家住宅」のしっくいの一部が崩落していることが確認された。
塩田津町並み保存会の杉光敬一郎理事長らが7日に確認した。保存会によると、崩れたのは軒の一部で縦10センチ、横30センチ。管理する市教委は、昨年からひび割れが確認されていたことから、雨に伴う強風によって崩れたと推定している。 
●嬉野で空き家と倉庫全壊 大雨で土砂崩れ発生 10日午後 7/11 
佐賀県嬉野市嬉野町下野で10日午後6時ごろ大雨によって土砂崩れが発生、空き家と倉庫が全壊した。土砂は近くの住宅まで押し寄せたが、大きな被害はなかった。けが人はいなかった。
杵藤地区消防本部によると、土砂は高さ約50メートルから崩落し、幅約30メートルにわたって広がった。土砂が住宅の目の前まで迫った女性(41)は「子どもとご飯を食べていたところ午後6時過ぎに土砂が崩れた。一瞬の出来事で恐怖を感じた。命があってよかった」と振り返った。 
●アスパラ、19ヘクタール水没 佐賀県内農業被害広がる 7/11 
九州各地に大きな被害をもたらした豪雨の影響で、佐賀県内各地の農作物にも被害が出ている。収穫期を迎えているアスパラガスや小ネギなどが水に漬かり、花き栽培のハウスは損壊したほか、水稲約850ヘクタールが冠水・浸水した。県内の農産物は、主力のタマネギが新型コロナウイルスの影響で価格が大幅に落ち込んだばかりで、農家からは降り続く雨に悲鳴が上がった。
JA佐賀中央会が県内のJAを通してまとめた9日午後3時現在の被害状況によると、JAさが管内で水稲653ヘクタールが水没し、200ヘクタールが浸水した。土砂の流入も約8・5ヘクタールあった。
地域別では、水没は武雄市と神埼市千代田町が各200ヘクタール、佐賀市東与賀町が100ヘクタール、嬉野市86ヘクタール、神埼市神埼町が67ヘクタールだった。浸水は全て鹿島市。土砂流入は、鹿島市5ヘクタール、藤津郡太良町3ヘクタールなど。
また、アスパラガスは水没が約19ヘクタール、浸水は約30ヘクタール。鳥栖市、三養基郡みやき町、神埼市、鹿島市などで被害が目立つ。トマトや小ネギも1ヘクタール以上、浸水した。
JAからつやJA伊万里などでは、農作物の大きな被害は報告されていない。
みやき町の「エムズ・グリーン」では、ハウスのアスパラガス約7千平方メートルが浸水し“全滅”した。水は深い所で約70センチに達し、丸3日間、引かなかったという。アスパラガスは水が畝を超すと品質維持のため、1週間の出荷停止となる。5月には新型コロナウイルスの影響でタマネギの売り上げが大幅に落ち込んでおり、松永淳代表は「アスパラで取り戻すつもりだったのに、また、土作りから…」と唇をかんだ。
神埼市千代田町の黒津地区で小ネギ農家を営む野中孝博さん(55)もビニールハウス16棟が冠水した。小ネギはこれから高単価の出荷期に差し掛かるといい「悪天候が続くので土が乾くのにも時間がかかり、種まきなど次の作業に取りかかれない」と話した。
太良町伊福では、ユリ農家「明日香園」のハウスの接地面が約30メートルに渡って崩れ、一部は住宅へ流れ込んだ。山口秀行代表は「もう取り壊すしかないだろう」と肩を落とした。 
 
 
 

 

大分県
●大分でも記録的大雨 全域に警報 被害全容つかめず 7/7 
筑後川が氾濫した大分県では、日田市と玖珠町で記録的短時間大雨情報が出されました。日田市天瀬町で70代女性が川に流されたとの情報があります。
筑後川の中流にあたる日田市の三隈川沿いに来ています。7日午前8時半ごろ、ここから2キロほど下流で氾濫が発生しました。付近の住民約30人が取り残されているということで消防による救助活動が行われています。さらに、天瀬町で「70代の女性が川に流された」と女性の夫から110番通報がありました。現在、警察や消防が捜索を続けています。
大分県内では、日田市と玖珠町も午前6時に1時間110ミリの記録的短時間大雨情報が出されました。中津市を流れる山国川も氾濫危険情報が発表されています。現在、14の市町村に土砂災害警戒情報が、県内全域には大雨、洪水警報が発表されています。日田市と九重町には避難指示も出されています。県内各地で土砂崩れや床上、床下浸水の報告が入っていますが、被害の全容はまだ分かっていない状況です。 
●大雨で土砂崩れ相次ぐ ダムの「緊急放流」も 大分  7/7 
今回の大雨により、大分市内でも土砂崩れが起きました。消防によりますと大分市神崎では斜面が幅20メートル、高さ30メートルにわたって崩れました。近くの住宅にいた人は事前に避難していてけが人はいないということです。周辺に住む人は「避難するときに家の前に泥水が流れ込んでいて、これはやばいと思った」と話していました。午後6時現在、大分市や別府市、日田市など大分県内14の市町村に土砂災害警戒情報が発表されています。また、日田市と熊本県にまたがる津江川の下筌ダムでは午前10時半から「緊急放流」が行われています。下流には松原ダムがあるため、すぐに影響はありませんが、管理事務所はダムに近づかないよう呼びかけています。 
●大分川氾濫、5人不明 久留米・城島は全域が冠水 九州大雨被害続く 7/8 
梅雨前線の影響で、九州は7日夜から8日朝にかけても猛烈な雨が降り、大分県内で河川の氾濫が相次ぎ、同県由布市で5人が行方不明となった。福岡県久留米市では城島町一帯が冠水。総務省消防庁によると8日午前5時半現在、福岡、長崎、熊本、大分、鹿児島県の56万2647世帯122万1324人に避難指示が出ている。
気象庁によると、大分県竹田市と豊後大野市、熊本県高森町で8日未明に1時間の雨量が100ミリを超えたとみられ、「記録的短時間大雨情報」が出された。7日夜から8日未明にかけて1時間雨量は、鹿児島県鹿屋市81ミリ、大分県日田市40ミリ、同県由布市54ミリ、久留米市24ミリ−など。
国土交通省は8日午前0時40分に、大分県由布市の大分川が氾濫したと発表。同県によると、大分川支流近くで午前0時すぎ、避難しようとしていた4人乗りの車が流されたとの119番があり、警察などが現在捜索に当たっている。
同市挾間町でも1人が行方不明になっている。県などによると、7日夜に車で外出した40代男性が行方不明となっており、大雨による川の氾濫に巻き込まれたとみられている。
同県竹田市直入町では午前5時20分ごろ、民家の裏山が崩れたと近隣住民から119番があった。土砂が民家に流入し、80代のきょうだいが一時閉じ込められたが、約2時間後に2人とも救出された。
7日に筑後川が氾濫した日田市では、8日未明に同じ箇所が氾濫し、市営住宅などが浸水した。
県内では8日午前7時現在、住宅被害6件、土砂崩れ4件が発生し、日田市などで約4700戸で停電している。日田市などで54世帯129人が孤立状態にあるという。
一方、久留米市では7日夜から筑後川支流の複数箇所で水があふれ、城島町の住宅地や田園地帯一帯が水に漬かった。市によると、筑後川の水位が高くなったため、支流で内水氾濫が起きたとみられる。市内では8日午前9時現在、計304世帯674人が避難している。
福岡市内では崖崩れが11件発生しているが、人的被害は確認されていない。
九州自動車道では南関−植木で通行止めが続いた。JR九州によると、九州新幹線の熊本−鹿児島中央は本数を減らして運行。久大線の久留米−日田などは始発から運転を見合わせた。西日本鉄道天神大牟田線の西鉄柳川−大牟田、甘木線全線も始発から運休した。 
●「どうして何度も」大分で再び豪雨、復旧へ歩み出す矢先 7/8 
九州で続く豪雨は被害をさらに広げた。8日未明にかけて再び雨が激しくなった大分県では、日田市の筑後川の上中流部が7日に続いて氾濫(はんらん)するなど、各地で浸水や土砂災害が相次いだ。由布市では複数の人が行方不明になっている。
気象庁によると、玖珠(くす)町玖珠では午前1時40分までの24時間雨量で310・0ミリを観測するなど、県内2カ所で観測史上最大を更新した。由布市湯布院など3カ所で7月の雨量としては最大となった。
由布市湯布院町では8日午前0時ごろ、「川に車が流されて、木の上に1人が登って助けを求めている」と119番通報があった。
市消防本部によると、助けを求めている女性から連絡を受けた女性の親戚が通報した。車には、助けを求めた女性のほかに3人が乗っていたという。消防本部などが4人を捜している。
大分川が氾濫した同市挟間町では、40代男性が行方不明になっている。7日夜からコインランドリーに出かけたまま自宅に戻らず、家族が8日朝、県警に捜索願を出した。
竹田市直入町上田北では8日午前5時半ごろ、民家の裏山が崩れた。この家に住む80代の姉弟が流れ込んだ土砂に生き埋めになったが、午前7時半までに消防に救助された。2人とも意識はあるという。
筑後川と支流が合流する日田市中心部。同市北友田3丁目で川沿いの2階建て住宅に住む山崎ひとみさん(60)は8日朝、泥水が残る自宅をのぞいて肩を落とした。筑後川は2日続けて氾濫し、自宅の中はひざの高さまで浸水した。
親戚に手伝ってもらって半日かけて床の掃除を終えたばかり。親戚宅で一晩過ごしたが、「夜中の警報が心配で眠れなかった」。一夜明け、外に出していた家具は跡形もなく流されていた。「どうして何度もつらい思いをしなければいけないのか。体力的にも精神的にも疲れました」
近くのアパート1階で一人で暮らす藤田いつみさん(57)は、知人らと泥をかぶった家具を運び出していた。7日の豪雨ではテレビなどが壊れたが、「掃除すれば、まだまだ住めるはずだった」。8日朝、避難先から戻ると、冷蔵庫もタンスも倒れ、中に入っていたものが散乱していた。
「昨日の雨で覚悟はしてたけど、これじゃ暮らしていけない。雨が怖くてしかたない」
日田市の天ケ瀬温泉街では8日朝、道路が大きく陥没し、流された車が横たわっていた。創業190年の旅館「天龍荘」の前には10メートル超の流木2本が流れ着き、7日にいったん掃除した1階ロビーが再び泥だらけに。「どうしたもんかな。さすがに意欲がわかない」。社長の大庭龍一さん(68)は力なくつぶやいた。 
●大分県内、土砂崩れや浸水被害相次ぐ 7/8 
九重町の宝泉寺温泉でも温泉街を流れる町田川があふれ、一部の旅館が浸水。町道が崩れた場所もあった。武石耕一郎さん(56)の飲食店では調理場の業務用冷蔵庫などが倒れた。「雨が上がらないと片付けもできない。この夏はもう仕事にならないね」 下流にある「旅館福元屋」は、川べりに石で組んだ名物の温泉で通路や階段が流された。岐部栄作社長(59)は「経験のない水の流れだった。これからどうしたらいいか…、参ったね」とつぶやいた。
九重町後野上の町保健福祉センターには最大61人が身を寄せた。地元住民に加え、国道210号で足止めされたドライバーも。福岡市のトラック運転手、森下富夫さん(60)は同町内で土砂崩れ現場に行き当たり、右往左往。行く手を3度阻まれた。土砂が崩れる瞬間も目撃。「元々崩れていた箇所に、さらに杉の木ごと赤土が滑り落ちた。ぞっとした」。7日午前6時半ごろ、警察に救助を求め、立ち往生した他のドライバーらと一緒に助けを待った。「トラックは置いたまま。いつ帰れるだろうか」と途方に暮れていた。
九重町右田のJR豊後中村駅周辺では、野上川が増水し、民家1軒が流され、土砂の流入や浸水被害が相次いだ。野上川そばの会社員日野孝次さん(50)方も床上まで浸水した。「朝方にだんだんと水位が上がり、父と妻、子どもと一緒に2階に避難した。近所の家が崩れ、濁流に流されている車もあった。生まれてからここに住み、初めて体験した恐怖。まさかという気持ち。まずは普段の生活に戻すため、片付けないと」と肩を落とした。
玖珠町では7日、戸畑を中心に360世帯が断水した(午後5時半現在)。玖珠川の増水で町道に架かる下泊里橋が流失。橋の側面に取り付けた水道管も流された。同所の北山田小で給水を受けた農業続木繁敏さん(79)は「早急に給水車を手配してくれて助かった。仲間の水田が流されたと聞いた。助け合っていきたい」と話した。
杵築市鴨川では7日午前、溝井川が越水。周辺の水田や畑(約1・5ヘクタール)が浸水した。近くの農業宇都宮敬さん(69)は「こんな事態は15年ほどなかった。せっかく田植えをしたのに、苗はどうなるのだろうか」と心配した。
7日午前10時50分ごろ、別府市荘園の民家で、50代男性が高さ約3メートルの屋根から転落し、市内の病院に運ばれた。男性は腰の痛みを訴えている。市によると、男性は知人方の雨漏りを修繕するため屋根に上っていた。  
●玖珠川、三隈川が氾濫 久大線の鉄橋流失、日田市の女性流され不明 7/8 
活発な梅雨前線の影響で大分県内は7日も大雨が続き、西部を中心に川の氾濫や土砂崩れが相次いだ。日田市天瀬町赤岩では玖珠川沿いの民家に水が流れ込み、70代女性が流されて行方不明になった。別府市では50代男性が屋根から落ちてけが。日田市友田では筑後川(三隈川)があふれ市営住宅などが浸水。九重町右田では野上川が増水し、川に架かるJR久大線豊後中村―野矢間の鉄橋が流失した。
県西部は2012年7月の大分県豪雨、17年7月の福岡・大分豪雨でも洪水や土砂災害が起きた。梅雨に大きな水害に見舞われたのはこの10年間で3度目。
気象庁は午前6時15分、日田市中津江、同市天瀬、玖珠町の各地点で1時間に約110ミリの猛烈な雨が降った可能性があるとして、記録的短時間大雨情報を出した。24時間雨量の最大値(午後9時時点)は、日田市椿ケ鼻 497ミリ、玖珠 308・5ミリ、中津 253・5ミリ、杵築 252・5ミリ。いずれも観測史上、最も多かった。
県は午前8時半、広瀬勝貞知事を本部長とする災害対策本部を設置した。午前10時半、陸上自衛隊西部方面隊第4師団に災害派遣を要請した。県などによると、浸水や土砂災害による建物被害は日田、九重、玖珠など7市町で63棟以上(午後7時半時点)。
のり面の崩壊などによる道路の通行止めも各地で発生。県内の一般道は午後7時半時点で少なくとも92カ所が全面通行止めになっている。
孤立地域は日田市前津江町曽家など7地域で少なくとも計23世帯54人が集落に残っており、消防や陸自が救出に向かっている。全員無事という。他にも日田、九重両市町の2地域が孤立し、7日中に解消した。
午後10時までに日田、九重など7市町が9万5526世帯21万1967人に避難指示・勧告を出した。自主避難を含め、日田、中津、玖珠など11市町で最大680世帯1217人が公民館などに身を寄せた。
広瀬知事は同日午後の定例会見で、人命第一で対応に当たると強調。県民に対しては、新型コロナウイルスの感染対策に留意しながら「避難すべきときは避難してもらいたい」と呼び掛けた。
大分地方気象台によると、8日の県内は天気が回復に向かう。雨は朝まで残るが、次第に曇りになる見込み。  
●由布市で5人不明、1遺体発見 大分川が氾濫 7/9 
活発な梅雨前線の影響で大分県内は7日夜から8日未明にかけて再び大雨に見舞われ、中部や西部を中心に被害が広がった。由布市挾間町下市では大分川が氾濫。同市内は男女5人が行方不明になり、女性1人が遺体で見つかった。日田市友田では三隈川(筑後川)が2日続けてあふれ、泥水が街を覆った。竹田市直入町上田北では土砂崩れで民家2棟が押しつぶされ、住民2人がけがをした。国土交通省によると、大分川水系での大規模な洪水は2004年10月の台風23号以来。
県や由布市などによると8日午前0時5分ごろ、同市湯布院町下湯平の花合野(かごの)川(大分川支流)で「3人が乗った車が流された。もう1人も木に登って助けを求めている」と親族から119番があった。4人の行方が分からず、県警や消防などが捜索している。
約15キロ離れた同市挾間町谷で午後1時すぎ、大分川沿いの雑木林に1人の遺体があるのを通行人が見つけた。県警によると、女性で年齢は不明。災害に巻き込まれたとみて死因や身元を調べている。
他にも同町で午前3時40分ごろ、「男性が車でコインランドリーに出掛けたまま戻らない」と家族から大分南署に通報があった。連絡が取れていないという。
県のまとめ(午後7時半現在)では、7日からの豪雨で由布、九重、日田など5市町で民家11棟が全半壊するなどした。住宅などへの浸水は少なくとも112棟。道路が崩れたり、断水などの被害も相次いだ。
日田市上津江町山中地区など3地域で11世帯20人が孤立状態となっている。8日は日田、中津、由布、大分など12市町で最大706世帯1331人が公民館などに避難した。
大分地方気象台によると、8日午後6時半までの24時間雨量は、日田市椿ケ鼻 179・5ミリ、湯布院 149・5ミリ、耶馬渓 139・5ミリ―など。大分市は122・5ミリだった。
9日は梅雨前線が再び北上し、県内は午後から雷を伴って激しい雨が降る見通し。1時間当たりの降水量は多い所で、中部、西部、南部 40ミリ、北部 30ミリ―の予想。気象台は「これまでの雨で地盤が緩んでおり、土砂災害に警戒してほしい」と呼び掛けている。
県は被害の大きい日田、由布、九重、玖珠の4市町に災害救助法の適用を決めた。避難所の設置、住宅の応急修理などの費用を県と国が負担する。  
●大分川沿い 豪雨被害相次ぐ 7/9 
今回の豪雨で氾濫した大分川。その川に沿った形で通っている由布市内の国道210号では多くの場所で被害が発生しています。
一級河川の大分川。きのう未明、由布市内で氾濫発生情報が発表されました。大分市を起点に県西部へと延びる国道210号。由布市内の大分川沿いの地域ではさまざまな被害が出ていました。由布市庄内町櫟木では下を流れる川の水で押し流されたのかJR久大本線の線路がむき出しになっていました。庄内町の小野屋駅付近では住民が土砂の片付け作業に追われていました。新竜橋は欄干が半分以上なくなり大きな流木がひっかかったままに…橋のそばでは軽自動車がコンクリートの壁に乗り上げていました。橋の向こうにあった空き家も流されてしまったそうです。雨がひどくなったことからおととい、近くの住民は川の水が堤防を越える前に避難所に避難。きのうの朝帰ってみると水が道路や家の玄関に流れ込み流木や土砂が多く残っていたといいます。対岸にある障害児の放課後デイサービス施設では川沿いの建物の基礎部分がなくなっていました。4人が乗った車が流された由布市湯布院町の花合野川。ガードレールが流された辺りには柚子や桜の木があったといいます。しかし、取材に行ってみるとそれらは流されてほとんどが無くなっていました。 
●大分 大雨被害に悲しみ広がる 7/10 
大分県由布市では8日未明、家族4人が乗った車が豪雨で増水した川に流されました。
およそ15キロ下流にある雑木林で8日、遺体が発見され、9日、由布市の旅館業・渡邊登志美さん(81)と確認されました。
「家族みんな優しくて、聞いてびっくりした」(渡邊さんの知人)
「地元の人たちでバーを経営しているが、飲みに来てくれて千鳥足で帰ったりして、おもしろい人だった」
由布市では、渡邊さんの娘の由美さん(51)と知己さん(54)夫婦、それに孫の健太さん(28)の行方がわかっていません。
このほか、大分県内では日田市で女性が玖珠川に流されるなど、合わせて5人が現在も行方不明になっていて、警察などが10日朝から捜索を続けています。 
●記録的な豪雨被害の大分 行方不明5人の捜索続く  7/11 
今回の記録的な豪雨で、大分県内では5人が行方不明になっています。11日も警察と消防による捜索が続けられ、関係者からは無事を祈る声があがっています。
このうち、由布市内では今月8日、車が川に流され、乗っていた4人のうち3人の行方が分からなくなっています。
捜索は、10日からの雨で増水した川にできるだけ近づかないように行われ、警察官は堤防の上から目視で手がかりを捜していました。
捜索が長期化する中、行方不明になっている人の関係者からは無事を祈る声があがっています。行方が分かっていない、由布市にある「湯平温泉」で老舗旅館を経営する渡邊健太さん(28)は、観光案内所に設置する温泉街のマスコットキャラクターのパネルを作り、若い世代を呼び込むのに貢献していたということです。
「湯平温泉旅館組合」の新開勝組合長は「口かずが少なく黙々と仕事をするまじめな人で、好きなアニメを使って全国に湯平温泉をPRしようと、僕らには考えもつかないことを発案してくれてとても貴重な存在です。無事に戻ってきてほしいです」と話しています。 
 
 
 

 

鹿児島県
●6日の大雨 鹿屋市で91棟浸水被害 新聞配達男性の捜索続く 鹿児島  7/7 
6日の大雨で浸水などの被害があった鹿児島県鹿屋市では、7日朝から後片付けが行われています。
6日の大雨で、鹿屋市では7日午前時点で91棟の家屋の床上・床下浸水の被害が報告されていて、今後さらに増える見込みです。
広い範囲で床上浸水があった鹿屋市新川町では、朝から住民らが後片付けに追われていました。腰の高さまで浸水したという塗料店では、使えなくなったペンキを処分する作業が続けられていました。
一方、6日から行方不明となっている南さつま市金峰町の新聞配達員の男性(63)について、警察と消防は川に流された可能性もあるとみて合同で捜索を続けています。
また、鹿児島市によりますと、6日午後1時すぎ、鹿児島市小山田町で70代の男性が土砂崩れに足を取られて骨折していたということです。 
●養鰻池に土砂、水田浸食…大雨で農林水産業被害相次ぐ 鹿児島県 7/9 
3日からの大雨で、鹿児島県内の水田や果樹園、ウナギの養殖池などでも、崖崩れや土砂流入などの被害が相次いだ。
鹿屋市祓川町の肝属川周辺では堤防が決壊して水田に川の水が流れ込み、約300平方メートルがえぐり取られた。田植えが済んだばかりの駒路弘志さん(60)は「(河川管理者に)せめて土のうを積んでもらわないと、残った田も崩れてしまう」と一刻も早い復旧を訴えた。
さつま町中津川の花卉(かき)農家の今村耕一さん(70)は、葉物のアイビーを育てるビニールハウスが土砂崩れで一部押しつぶされた。泥水が入り込み、3分の1程度は出荷できない見込みだ。
コロナで出荷量が落ち込んだところに、水害が追い打ちをかけた。「秋には需要が戻るかもしれないと頑張ってきたのに。復旧させたいが、先が見通せず頭が痛い」と話す。
志布志市有明の楠田淡水では、崖崩れで24カ所ある養鰻(ようまん)池の半分以上に土砂が流入し、水を入れ替えるポンプ室も倒壊した。土用の丑(うし)の日向けに約12トンを出荷予定だったが「餌を与えられず、十分に育つかどうか」と楠田和也社長(31)。「コロナが一時収まり、出荷態勢も整った矢先だけに残念」と肩を落とす。
県によると、8日午後3時現在、伊佐市、薩摩川内市、出水市などの水田54.4ヘクタールに土砂が流入するなどし、伊佐市のカボチャと根深ネギの計12.6ヘクタール、南さつま市の葉タバコ1ヘクタールが冠水。出水市では甘夏の果樹園計50アールに土砂が流入し倒木したほか、鶏舎が浸水しブロイラーのひな1800羽が死んだ。
伊佐市とさつま町ではハウス計4棟に土砂が流入。長島町では林道ののり面・路肩崩壊が17件、南九州市、鹿児島市、薩摩川内市などでは林地計8カ所が崩壊、出水市の治山施設4カ所が被害を受けた。
水産業では、薩摩川内市の手打漁港で背後の斜面が崩れ、土砂除去に110万円を見込む。被害額は調査中で、今後も増える可能性がある。 
●大雨の爪痕 土砂崩れ被害のウナギ養殖場は・・・ 鹿児島・志布志市  7/10 
連日の大雨が県内各地に爪痕を残す中、7月6日、土砂崩れの被害を受けた志布志市のウナギの養殖場では、10日も土砂の片付けに追われています。
7月6日の午前9時すぎ、志布志市有明町にある楠田淡水のウナギ養殖場の防犯カメラの映像です。
トラックが立ち去った次の瞬間… 養殖場の隣のがけが崩れ、土砂が流れ込んできました。当時、現場にいた従業員は間一髪で逃げ出し、けがはなかったということです。土砂崩れの爪痕が残る養殖場では、10日も土砂の片付けが続いています。建物や設備の被害額は1000万円以上にものぼるとみられています。
「こちらには養殖場の池の水を交換する装置があったのですが、土砂崩れによって流されています。さらに漏電の危険があるということからこれ以上の作業ができなくなっています」
7月21日の「土用の丑の日」を前に、1年で最大のかき入れ時を襲った今回の土砂災害に、楠田淡水社長は… 「結構大きい水路があったが、土砂崩れによってすべて埋まってしまった。土砂が場内の方に流れてきたので、雑木が倒れてきてこのハウスを突き破ってしまった。エサやりもできない、出荷もできないで、現場は大混乱してます」 楠田淡水では、16日の出荷予定は変わらないということですが、今回の土砂災害を受けて出荷量は例年の半分ほどになるということです。 
 
 
 

 

宮崎県
●宮崎25市町村に大雨警報 西米良で路肩決壊 7/5 
九州南部に激しい雨が降った4日、宮崎県内では串間市を除く25市町村に大雨警報や洪水警報が出たほか、宮崎市や都城市など14市町村に一時、土砂災害警戒情報が発令された。県によると、西米良村板谷で国道219号の路肩が決壊し、当分の間、通行止めになるという。
宮崎市高岡町、高鍋町、木城町の計662世帯、1629人に避難勧告が出され、一ツ瀬川が一部氾濫(はんらん)した西米良村と木城町で計28世帯、61人が一時避難した。
宮崎地方気象台によると、4日午後0時20分までの48時間降水量は、西米良村で410ミリ、えびの市で399ミリ、日南市深瀬で354ミリ、宮崎市田野で260ミリ。椎葉村は330ミリで観測史上最大を記録した。
4日正午すぎには宮崎市などで晴れ間が広がったが、県内は5日から再び雨になる模様。これまでの大雨で地盤が緩んでおり、気象台や県は、引き続き土砂災害への厳重な警戒を呼びかけている。 
●各地の被害状況 宮崎県日南市 7/6 
宮崎県日南市では、深瀬で3日の降り始めからの雨量が700ミリを超え、市内を流れる広渡川や酒谷川が、一時、氾濫危険水位を超えました。
日南市は一時1万2052世帯、2万3722人に避難勧告が発令。午後3時半までに7世帯9人が避難しました。
(避難した人)「前回の避難時に早めに来てくださいと言われたので、早めに来たんですよ。10年ぶりくらい、こんなこと。雨が降るっていうのは。雨怖いわ。」
また、日南市酒谷の国道222号線では土砂崩れが発生。道の駅酒谷付近から上新村トンネルの間が全面通行止めとなっており、復旧作業が進められています。 
●各地の被害状況 宮崎県串間市 7/6 
6日朝、記録的短時間大雨情報が発表された宮崎県串間市では、市内2カ所で川が氾濫し、道路や田んぼが一時冠水しました。
串間市付近では、午前7時10分までの1時間におよそ120ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、気象台が記録的短時間大雨情報を発表しました。串間市は、午前6時55分に本城地区の一部に避難指示を発令、午前7時半ごろには、本城川が氾濫し、周辺の道路や田んぼが一時冠水しました。
(藤崎祐貴 キャスター)「この水路は普段ほとんど水は流れていないということですが、大雨の影響で増水して溢れ出し、この辺りまで駐車場が冠水したということです。」
この大雨で、本城地区では、老人ホームの入居者と職員合わせて33人が避難所に避難しました。また、串間市によりますと、市木地区の石原川も午前8時ごろに氾濫したということです。
串間市では、雨が上がった後も冠水したままの道路もあり、床下浸水など住宅への被害が出ていないか、把握を進めています。 
●宮崎県南部 各地で記録的大雨 総雨量900ミリ超 7/8 
7月8日の宮崎県内は梅雨前線の南下に伴い南部を中心に大雨となりました。日南市深瀬で降り始めからの雨量が900ミリを超えた他、串間市では3時間雨量が7月の観測史上最大となるなど記録的大雨となりました。
8日の宮崎県内は、九州を南下した梅雨前線の影響で、南部平野部を中心に局地的に非常に激しい雨が降りました。1時間の雨量は日南市深瀬で58.5ミリ、串間市で50.5ミリを観測、串間市では、3時間雨量が112.5ミリを記録、7月の観測史上最大となりました。
串間市の大矢取地区では、これまでの大雨の影響で裏山が崩れ大量の土砂が民家へと流れ込みました。
日南市深瀬では3日の降り始めからの雨量が、7月の平年雨量の2倍以上にあたる912ミリに達しました。梅雨前線は九州南部に停滞していて、これから9日にかけ再び北上する見込みです。宮崎県内では、引き続き大雨による土砂災害などに警戒が必要です。 
●宮崎県 JRの運転見合わせ続く 大雨の影響 7/8 
連日降り続く大雨の影響で、宮崎県内の鉄道は各路線で運転見合わせが続いています。
JR九州によりますと、日南線は南郷〜志布志で土砂崩れが3カ所発生し線路を塞いだため、運転を見合わせています。また、日豊本線が西都城〜国分(鹿児島)間、吉都線が全線で運転を見合わせています。(7月8日午後17時現在)  
 
 
 

 

山口県 
●県内大雨に警戒 7/6 
県内は大気が非常に不安定な状態で大雨となるおそれがあり土砂災害や河川の増水、氾濫に警戒が必要です。6日午前の下松市内です。ときおり地面をたたきつけるように雨が強く降りました。九州北部にある梅雨前線は6日夜にかけて対馬海峡付近にまで北上し、停滞する見込みです。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、大気の状態が非常に不安定となり前線の活動が活発な状態が続きます。このため7日明け方にかけて、局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降るおそれがあります。多いところで1時間に50ミリ、7日朝までの24時間で180ミリの雨が予想されています。交通にも影響が出ていてJRでは山陽線の一部や岩徳線の全線で順次運転を見合わせる計画です。日正午現在、山口県中部などに大雨警報が発表されています。土砂災害や河川の増水、氾濫に警戒が必要です。 
●周防大島町で住宅浸水などの被害 7/8 
大雨の影響で、周防大島町では町の東側の地区を中心に、住宅が水につかったり道路が通行できなくなったりする被害が出ています。町によりますと、床上浸水と床下浸水がそれぞれ1棟ずつあったということですが、これまでのところ、けが人の情報はないということです。このうち、神浦地区の住宅は、近くの水路からあふれた水に床上までつかり、広い範囲が泥をかぶったほか、ボイラーが水につかって故障したということです。
当時住宅にいた70代の女性は、「過去にこのような被害はなく、生きた心地がしなかった。自然災害は恐ろしい」と話していました。また、町内では道路にも土砂が流れ込むなどして通行できなくなる被害が出ています。
このうち、神浦地区と森地区の間の国道437号では、路面が10メートルほどにわたり流れ込んだ土砂に覆われていて、作業員が重機を使って取り除いていました。また、海沿いを走る県道351号でも、3か所であわせて30メートルほどにわたり土砂が流れ込んでいて、3つの集落への行き来ができなくなっているということです。
管理する県は復旧を急いでいますが、道が狭く大型の機械が入れないため、土砂の撤去に数日かかる可能性があるとしています。これについて村岡知事は、8日の記者会見で県の職員を派遣して状況の確認を進めているとした上で、「住民が孤立しているような状態が生じていれば、通行できるようにしなければならない。現状を把握して速やかに対応していく」と述べました。
周防大島町の東和地区に住む80代の男性は、「夜は寝ていて気付かなかったが、朝、見てみると玄関先まで水につかり、外に置いていた長靴が畑まで流されていた。これから雨には気をつけたい」と話していました。また、同じ地区に住む50代の女性は「午前1時から2時ごろにかけて急に雷や雨の音がひどくなり、避難の呼びかけを聞いても外に出るのが怖くて、家に残っていた。自宅に被害はなかったが、畑が池のようになってしまった。このようなことは初めてです」と話していました。 
●大雨で崖崩れや陥没多発 山口県内 7/8 
梅雨前線の影響で8日明け方ごろまで降り続いた大雨で、山口県内では東部を中心に崖崩れや陥没のため道路の通行止めが相次いだ。中でも周防大島町は未明の1時間雨量が72ミリと観測史上最大を記録した。
下関地方気象台によると、断続的に降り続いた5日夕からの降水量は、周防大島町安下庄363ミリ、岩国市玖珂300ミリ、周南市和田292ミリなど。周防大島町では平年の7月の月間雨量を3日間だけで上回った。
同町では国道や県道で10カ所以上、町道も多くで崖崩れや陥没が発生。東側の地域では三つある幹線の全てが土砂や倒木で寸断され往来できず、雨振地区の約20世帯が孤立。島東端の伊保田地区の実家に向かった団体職員西山喬さん(42)=平野=は「親の手助けをしたかったのだが」と通行止め区間で引き返した。
このほか、岩国市由宇町の由宇川沿いの市道が約80メートルにわたって陥没。上関町では県道沿いの電柱が倒れ、路面も陥没し通行止めとなった。柳井市の平郡島では少なくとも家屋10棟が床下浸水した。
また、大雨のため運休していた鉄道各線や通行止めの高速道路は8日正午までに平常に。JR岩徳線は一部区間で斜面の崩落の恐れがあるため全線で終日運休となった。
下関地方気象台によると、県内では10日から13日にかけて再び梅雨前線に伴う雨が降る見通し。これまでの雨で土中の水分量が増えており、土砂災害への注意を呼び掛けている。 
●大雨被害の周防大島町で復旧作業続く 7/9 
8日までの大雨で土砂災害など大きな被害を受けた周防大島では復旧作業が続いています。 島の道路が寸断され現在も孤立している地区へは船で食料が送られました。
芝田 正広記者 「周防大島町のを走る国道437号で。す今日も朝から復旧作業が行われています。この先も複数の場所で土砂崩れが起きています」 午前9時半、島の環状道路では復旧作業が続いていました。 周防大島町では8日午前0時41分までの1時間で72ミリもの非常に激しい雨を観測。いたるところで土砂災害が発生し、県道や国道など現在も通行ができななっている道路もあります。 9日に通行できる道でも道路が一部陥没、山側から多くの水が流れていました。 店の前にまだ泥が残る神浦地区の中川鮮魚店では店の中まで水がが入りました。
中川鮮魚店の中川正和さん 「一日掃除ですよね、店の中とこっちと両方でくたびれましたわ」 電気は止まらなかったため魚や貝は無事でしたが、新型コロナ影響下での災害と苦難が続きます。
中川正和さん 「踏んだり蹴ったり。いいですけどね、ぼちぼちやらにゃあ、私らもいいかげん歳ですから」
芝田 正広記者 「こちらの住宅では床の上まで水につか、り畳の張り替えを行っています」 周防大島町ではこれまでに分かっているだけで床上浸水が8軒、床下浸水が108軒を確認しています。
住民 「まさか(床の)上にまで上がるとは思わんかった。畳の…びっくりした」 女性は岐阜県から夫婦で帰省していたときに災害にあったそうです。
住民 「勝手口の方に行ってみたら水がどんどんどんどん入ってるでしょ。畳が見たら押し上げられていて下から(水)でね」Q、昨日はどこで寝た?「親戚の家」 そして現在も道路が通行止めとなり孤立しているのが島の東部にある雨振地区。きょうは雨振地区の自治会長が町が準備した食糧などを船で取りに来ました。
雨降地区の自治会長 「助かります。田舎の家って食糧とか在庫を持ってるんですけど、それがなくなったとき、最後の砦というか、安心して生活できます」 雨振地区の自治会長は現在のところライフラインに問題がないといいますが、消防車や救急車が来られないのが心配だとしています。 
●秋田県の新城川や山口県の錦川「氾濫危険水位」超え 7/11 
秋田県を流れる雄物川水系新城川や山口県を流れる錦川では氾濫危険水位を超えています。増水している河川には近づかないで下さい。
きょう11日も梅雨前線の活動が活発な状態が続いています。九州から東北にかけて所々に活発な雨雲がかかり、増水している河川があります。13時現在も秋田県を流れる雄物川水系新城川や山口県を流れる錦川では氾濫危険水位を超えています。増水している河川には近づかないで下さい。
秋田県では、13時現在も所々に雨雲がかかっています。あす12日にかけても大気の不安定な状態が続くでしょう。雷を伴って1時間に30ミリの激しい雨が降り、さらに雨量が増える恐れがあります。河川の増水だけでなく、これまでの雨で地盤の緩んでいる所もあります。土砂災害、河川の増水や氾濫、低い土地の浸水に警戒して下さい。
山口県では13時現在は雨がやんでいますが、夕方以降は次第に雨が降るでしょう。引き続き、土砂災害に警戒し、河川の増水、落雷や突風に注意して下さい。 
●山口県内の大雨警報すべて解除 7/12 
下関地方気象台は、12日午前4時17分、岩国市、光市、柳井市、周防大島町、上関町、田布施町、それに平生町に出していた大雨警報を解除しました。
これで山口県内に出されていた大雨警報は、すべて解除されました。  
 
 
 

 

愛媛県 
●あす4日にかけ大雨の恐れ 7/3 
松山地方気象台は2日午後4時42分、大雨に関する県気象情報を出した。県内では3日夕方から4日にかけて局地的に雷を伴った激しい雨が降り、大雨となる恐れがある。南予を中心に土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水に注意・警戒が必要。
3日朝、東シナ海に低気圧が発生する見込みで、梅雨前線上を東進して4日朝に四国付近に達する見込み。前線の活動が予想以上に活発化した場合は警報級の大雨となる可能性もある。
3日に予想される1時間降水量は多い所で東中予25ミリ、南予30ミリ。3日午後6時までの24時間降水量は東中予50ミリ、南予60ミリ。3日午後6時からの24時間降水量は100〜150ミリ。 
●県内、大雨警戒を 南予南部に警報 7/6 
松山地方気象台は5日午後4時47分、大雨に関する県気象情報を出した。県内では6、7の両日に大雨となる見込み。土砂災害、低地の浸水、河川の増水に注意や警戒が必要。
梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み、前線の活動が活発となる。これまでの大雨で地盤が緩んでいる場所があるため、南予を中心に少しの雨でも土砂災害が起こりやすくなっており、6日未明から7日にかけて警戒が必要。
南予は6日夕にかけて、東中予は6日昼すぎにかけて局地的に激しい雨が降りそう。梅雨前線は8日ごろまで本州付近に停滞するため大雨が続く恐れもある。
6日に予想される1時間降水量は多い所で東中予30ミリ、南予40ミリ。6日午後6時までの24時間降水量は東中予200ミリ、南予220ミリ、7日午後6時までの48時間降水量は東中予200〜300ミリ、南予300〜400ミリ。
松山地方気象台は5日午後9時8分、南予南部に大雨警報と雷注意報、東中予に雷注意報、南予北部に大雨雷注意報を出した。 
●愛媛 大雨の被害か 2人が死亡 それぞれ水路で見つかる  7/9 
9日朝、愛媛県伊方町で80代の女性が水路で倒れているのが見つかり、警察によりますと、死亡が確認されました。県内では西条市で7日、79歳の男性が用水路で死亡しているのが見つかっていて、県によりますと、いずれも今回の大雨で被害に遭ったとみられるということです。
愛媛県と伊方町によりますと、9日午前7時すぎ、伊方町大江に住む80代の女性の行方がわからなくなったと、近所の住民から警察に通報がありました。警察などが行方を探したところ、およそ1時間後に自宅近くの幅40センチ、深さ50センチほどの水路で倒れているのが見つかりました。警察によりますと、その後、死亡が確認されたということで、警察は死因などを調べています。
愛媛県内では7日午後、西条市の用水路で79歳の男性が死亡しているのが見つかっていて、県によりますと、いずれも今回の大雨で被害に遭ったとみられるということです。
また県によりますと、大雨との関連は不明ですが、7日の朝、伊予市の80代の女性が家族に「水を見に行く」と言って外出したまま行方がわからなくなっているということで、警察や消防が捜索を続けています。 
●80代女性が水路で死亡 大雨との関連調査(愛媛) 7/9 
愛媛県伊方町は9日、同町大江の無職の80代女性が自宅近くの水路で9日午前8時20分に心肺停止の状態で見つかったと発表した。その後、死亡が確認された。町は大雨災害との関連を調べる。 
●愛媛県内土砂災害相次ぐ 住宅に土砂流入、孤立集落も 7/9 
西日本に停滞した梅雨前線の影響で、8日の愛媛県内は未明から朝にかけ大雨が降り、土砂災害などの被害が相次いだ。松山市では県の工事現場で土砂崩れが発生し、近くの住宅に土砂が流入。伊予市山間部では市道が寸断され十数世帯が孤立状態となっている。松山地方気象台によると、梅雨前線は9日に再び四国付近に北上して活動が活発になる。3日からの大雨で地盤が緩んでおり10日にかけて土砂災害や河川の増水、低地の浸水に警戒が必要。気象台は8日午後6時26分、県内に大雨警報を出した。
伊予市によると、唐川地区の長崎谷集落入り口付近で、斜面が高さ30メートルほど崩れて市道をふさぎ、車が通行できなくなっている。市は8日から迂回(うかい)路設置工事を開始し、1週間ほどで完成予定だが、9日以降に降雨が予測されるため長引く見込み。松山市高浜町2丁目では8日未明、県の砂防堰堤(えんてい)設置工事現場にある斜面が崩れ、木造2階建ての住宅に土砂が流入した。
雨の影響で、JR四国は松山―宇和島間の特急列車など管内で上下線104本を運休または部分運休とし、約4500人に影響が出た。予讃線の五十崎―喜多山間では7日夜に土砂が流入しており、9日も松山―宇和島の特急列車と、内子―伊予大洲の普通列車が終日運休となる予定。8日午後6時現在、大雨の影響で県道19カ所が交通規制されている。
小中学校と県立学校283校が臨時休校とし、116校が始業時刻を変更した。四国電力送配電によると、風雨や落雷により8日未明から早朝にかけて、松山、宇和島、伊方の3市町の計約1200戸で停電が発生した。
気象台によると、5日午後5時の降り始めから8日午後4時までの降水量は西予市宇和で364・0ミリ、松山で299・5ミリ、伊予市中山で289・0ミリ。9日に予想される1時間降水量は多いところで東予25ミリ、中予30ミリ、南予40ミリ。9日午後6時までに予想される24時間降水量は東中予70ミリ。南予150ミリ。 
●土砂崩れで伊予市唐川地区の集落孤立 7/9 
梅雨前線の大雨による土砂崩れで、愛媛県伊予市唐川地区・長崎谷集落の14世帯25人が孤立状態となっている。集落には高齢者も多いだけに住民は「生活が大変で、病気の人や介護が必要な人もいるので心配」と不安を募らせており、一日も早い復旧を願っている。
住民によると、7日午前9時半ごろに消防団から土砂崩れがあったと連絡があった。住民は、通行止め区間を迂回(うかい)するように続く数十センチ幅の川沿いの擁壁の上を歩いて集落外に出て、通院や通勤、買い物をしているという。
伊予市土木管理課などによると、迂回路の設置は1週間ほどかかる見込みだが、今後の雨の状況でスケジュールは変わる可能性があるという。 
●伊予市の孤立集落に迂回路 救急車両通行可能に 7/12 
梅雨前線の影響で県内は11日も雨が降った。松山地方気象台は愛媛県内に大雨警報を出し、これまでの雨で地盤が緩んでいる所があるとして土砂災害への警戒を呼び掛けた。土砂崩れで7日から孤立が続いていた伊予市唐川地区の長崎谷集落は、迂回(うかい)路が完成し車両通行が可能になった。雨は12日に小康状態となる見込みだが、13日に再び大雨になる恐れがある。 
●土砂災害 迫る危険 長雨 西日本豪雨と類似 7/12 
降り続く大雨の影響で県内各地で地盤が緩み、山間部などで土砂災害が起き始めている。2018年の西日本豪雨では長雨後の集中豪雨により宇和島市吉田地域などで土砂崩れが相次ぎ、甚大な被害が出た。松山地方気象台などは長雨の状況が2年前と似ていると懸念、一層の警戒と早めの避難を呼び掛けている。
「長雨で地中に水がたまっていて、いつ、どこで土砂災害が起きてもおかしくない状態」。愛媛大防災情報研究センターの二神透副センター長は現状の危うさを語り、西日本豪雨災害との類似点を指摘する。
土砂災害の発生には地形や地質などのほか、降水量が大きく影響する。西日本豪雨では6月末から県内で断続的に雨が降り続き、土壌中に水がたまっていった。気象台の調べでは18年6月30日〜7月6日の1週間の宇和島の降水量は7月の月降水量の平年値(237・2ミリ)に迫る計221・5ミリとなっていた。
そこに同7日の集中豪雨が襲った。「何とか持ちこたえていた傾斜地に大雨が降り、大規模災害につながった」(二神副センター長)。この日の降水量は186・5ミリに達し、宇和島市吉田地域ではかんきつ園地などの急傾斜地が多数崩落。多くの命が奪われた。土砂災害警戒区域ではない場所でも被害が出た。
今年の梅雨も2年前とよく似た長雨が続いている。気象台によると、西予市宇和では6月30日〜7月10日の降水量が634・0ミリ。4〜10日の1週間では530・0ミリに達した。西日本豪雨災害発生直前の宇和島の1週間降水量を大きく上回り、7月の平年値の倍近い。
他にも中南予では降水量の多い地域が目立ち、11日午後3時現在、人的被害はないが27件(松山市14、今治市7、大洲市2など)の土砂災害発生が確認された。
予報では12日は明け方まで雨が強く、その後は次第に小康状態になるものの、13日は再び大雨になる恐れがある。同じ場所に雨雲が停滞し予想以上に発達した場合は危険度がさらに高まる。住んでいる市や町に土砂災害警戒情報(避難が必要な警戒レベル4相当)が出た場合、山際は極めて危険な状態と考えられる。
気象台の橋口清調査官は「今回は降りやんでいる時もあったので現時点では大規模な被害はないが、土砂災害の危険度は依然高い」と警鐘を鳴らす。二神副センター長は「住んでいる場所が土砂災害警戒区域や土砂災害危険箇所なのかどうかを確認しておくことが大切。早めに安全な場所に避難を」と訴えている。 
 
 
 

 

広島県 
●広島県内、大雨で土砂崩れや冠水 休校や授業打ち切り 7/6 
5日夜から降り続いた大雨の影響で6日、広島市内や近郊で土砂崩れや冠水などの被害が相次いだ。広島県内の公立小中高校などは広島市など4市の89校が休校し、13市町の計202校が授業を打ち切った。
6日未明、広島市東区戸坂くるめ木で、民家の裏庭のブロック塀と石垣が高さ約3メートル、幅約8メートルにわたって崩れた。住人の男性(49)は「ドーンと車が衝突したような音がし、外に出ると崩れていた。これからまだ雨が降りそうなので心配だ」と表情を曇らせた。
府中町では午後3時45分ごろ、八幡2丁目の町道ののり面が崩れていると住民から町に連絡があった。町は崩れた幅約1メートル、高さ約4メートルにブルーシートを掛けて応急処置した。同4時5分ごろには、桜ケ丘で住宅の裏山が崩れているとの連絡が町に入った。いずれもけが人はいないという。
河川の護岸も一部で崩れた。午後2時20分ごろ、東区馬木2丁目の大谷川で左岸に積まれた土のうが流された。県西部建設事務所によると、現場は2年前の西日本豪雨で崩れ、復旧工事までの応急措置として土のうを設置していた。同事務所は「水位が引いて安全が確認でき次第、再び土のうを積んで復旧工事に当たる」としている。
県警によると、午後6時15分現在、県内では国道、県道、高速道路の計44カ所が通行止め。大半は雨量が規制値に達したためという。のり面崩落や道路冠水などで約30件の通報が入っている。
県教委のまとめでは、休校したのは小学校が広島市内の60校、中学校が同市内の23校、高校は広島、呉、廿日市、尾道市の計5校、特別支援学校は広島市内の1校。授業の打ち切りは県西部を中心に小学校129校、中学校36校、高校34校、特別支援学校3校に上った。私立校も9校が休校し、36校が授業を打ち切った。 
●広島県内 8日にかけて大雨の恐れ  7/6 
広島県内は、梅雨前線の影響で断続的に激しい雨が降っていて8日にかけて大雨となる恐れがあります。気象台では土砂災害や河川の増水などに注意を呼びかけています。
広島地方気象台によりますと梅雨前線が西日本付近に停滞し、中国地方には暖かく湿った空気が流れ込んでいるため、大気の状態が不安定となっています。県内では現在、雨は小康状態となっていますが、これから6日夜にかけて局地的に雷を伴った激しい雨が降る見込みで、6日午前6時から7日午前6時までの24時間の降水量は、南部、北部ともに多い所で160ミリと予想されています。
広島市などに現在「大雨警報」が出ていて、おととしの豪雨災害の被災地となった東区の福木小学校と安芸区の畑賀小学校には避難所が開設されています。さらに、この大雨の影響で広島市立の小学校60校、中学校3校などが休校になっています。 
●広島県内に大雨 広島市・廿日市市 土砂災害警戒情報 7/6 
広島県内は、断続的に雨が降り続いています。広島市と廿日市市には、土砂災害警戒情報が出されています。土砂災害の危険のある場所にいる方は、安全な場所に避難してください。
活発な前線の影響で、広島県内では断続的に強い雨が降り続いています。
広島市中区では、24時間の雨量が170ミリを超えているほか、場所によって100ミリを超える大雨となっています。
広島市と廿日市市では、土砂災害の危険度が非常に高くなっていて、土砂災害警戒情報が出されています。山沿いや、谷の出口、斜面の近くなどにいる人は、安全な場所に避難してください。
避難に関する情報も出ています。広島市の広い地域に避難指示や避難勧告。また、大竹市や廿日市市の一部地域にも、避難勧告や避難指示がでています。お住いの場所の避難に関する情報には、十分に注意してください。
この大雨で、がけ崩れや冠水などの被害が、県内各地で相次いでいます。
消防によりますと、午後2時半ころ、広島市西区己斐西町で、「がけ崩れが起きている」と消防に通報がありました。大雨で民家の敷地内の地盤がずれ、下に位置する民家の壁に土砂が迫っているということです。この民家には人はおらず、人的な被害はないということです。
また、午後2時15分ころ、広島市東区馬木で、「川の岸が崩れている」と消防に通報がありました。幅4m長さ4mに渡り護岸が崩れたということです。こちらも、人的被害はないということです。
広島市中区白島や西区大宮など各地で道路に水があふれ、冠水しています。 
●長引く大雨、道路崩落 広島県内で相次ぐ被害 7/7 
5日から降り続く大雨のため、広島市などで道路崩落などの被害が相次いだ。東区で7日、県道の路面が崩れ、バイクの男性が転倒してけがをした。公立学校の休校は県西部を中心に17市町計423校に上り、前日の6日(4市計89校)から拡大した。
7日午前4時50分ごろ、東区温品4丁目の県道広島中島線で「陥没した道路でバイクが転倒した」と通行人から119番があった。広島東署によると、片側1車線の県道が長さ約10メートル、深さ約1・5メートルにわたって崩落。そばを流れる府中大川の増水の影響とみられるという。男性は背中や腰を打って病院に搬送された。
安佐北区白木町の県道東広島白木線では、関川沿いの路面が長さ23メートル、幅3メートルにわたって崩れた。管理する市によると、6日夜、区役所職員が見つけた。当面、全面通行止めにする。現場は2018年7月の西日本豪雨や今年6月18日の大雨でも崩れ、市は6日午後3時から一帯を通行止めにしていた。
県警交通規制課によると、県内では7日午後5時現在、広島市内などの9カ所で土砂崩れや冠水、道路陥没、路肩崩壊が発生し、通行止めなどの規制をしている。雨量が規制値に達した県道、市道などの64カ所でも通行止めとなっている。また県警危機管理課によると、同4時半現在、道路冠水や倒木など約70件の通報があったという。
一方、西区井口台の北側の渓流で6日夜、土石流が発生。砂防ダム1基が受け止め、住宅被害はなかった。市は下流の土砂災害警戒区域(772戸)の住民に避難指示を出した。国土交通省広島西部山系砂防事務所によると、渓流上部に不安定な土砂は見られないという。
県教委によると、公立学校の休校の内訳は小学247校、中学132校、高校32校、特別支援学校12校。ほかに始業時間繰り下げが5校、授業打ち切りが14校。全810校のうち442校に影響が出た。県学事課によると、私立の小中学、高校も68校のうち41校が休校した。 
●激しい雨による被害 各地で 7/8 
今月5日から8日朝にかけて局地的に降った激しい雨の影響で、広島県内では各地で被害が出ています。
このうち、広島市安佐北区口田南では川沿いにある市道が長さ3メートル、幅1メートル50センチにわたり深さ2メートル以上、陥没しているのが見つかりました。
陥没した付近には住宅がありますが、影響はなく、けが人などもいません。
現場付近は通行できなくなっていて、市は陥没した部分に砂利や土を埋めるなどの応急措置を行うことにしています。
一方、消防によりますと、広島市安佐北区深川では大雨の影響で倒れたとみられる樹木が道路をふさいでいるのが見つかりました。
このほか、各地で道路が陥没したり法面が崩れたりする被害が出ています。
雨のピークは過ぎましたが、これまでの雨で地盤が緩んでいる所があるため、気象台は引き続き土砂災害に警戒するよう呼びかけています。
一方、県内では7日に広島市東区の県道を走っていたバイクが雨で崩れたと見られる路肩に転落し乗っていた男性が意識不明の重体となる事故がありました。  
●砂防ダムが土石流食い止め 広島市西区井口台の住民、満杯土砂の撤去求める 7/8 
高さ9メートルの砂防ダムが、山際にある住宅地の被害を食い止めた。大雨の影響で6日夜、土石流が発生した広島市西区井口台。住民は「早めの避難」の必要性をあらためてかみしめるとともに、満杯になったダムの土砂や流木の早期撤去を求めている。
住宅地背後の山は山頂付近から崩れ、山肌には土石流の爪痕が生々しく残る。1200立方メートルの容量がある砂防ダムは土砂や流木で埋まっていた。今も水の流出が続き、雨の激しさを物語る。
住宅地の土砂災害警戒区域には772戸があり、市は一時、大雨・洪水警戒レベル4の避難指示(緊急)を出した。井口台3丁目町内会によると、20世帯52人が避難。原保彦会長(72)は「災害の少なかった地域だが、危険と隣り合わせであると再認識した。早めの避難につなげたい」と話した。
砂防ダムそばのマンションの住人の中には、避難指示の解除後も自主的に避難した人もいた。マンションに住む団体役員城納一昭さん(72)は「西日本豪雨を思うと、砂防ダムを乗り越える災害はいつ発生してもおかしくない」と強調。今後、住民同士で防災対策を検討するという。
国土交通省広島西部山系砂防事務所は、現場には不安定な土砂が残っていないことを確認。同規模の土石流が起きる可能性は低いが、降雨次第で崩落が続く恐れがあるとする。
ダムが土砂などで埋まっていることに不安を訴える住民もいる。同事務所は9日以降に土砂などの撤去作業をする。「今後も雨が予報されており、十分に警戒してほしい」と呼び掛ける。 
●広島県内各地で土砂崩れや道路崩落 7/14 
広島県内では、13日から14日未明にかけての大雨で、各地で土砂崩れや道路の崩落などの被害が相次いだ。県によると、広島市と北広島町で各1人がけが。東広島市では民家の裏山が崩れ、住民2人が巻き込まれたとの情報がある。
東広島市危機管理課などによると、14日午前6時ごろ、同市河内町宇山で「土砂崩れが発生した」と市消防局に通報があった。民家の住民とみられる2人と連絡が取れないという。
13日午後9時半ごろ、広島市西区田方1丁目の市道草津沼田道路の上りで、30代男性のバイクが陥没した穴にはまって転倒した。広島西署によると、男性は頭の骨を折るなどして重傷。道路には直径80センチ、深さ5センチ程度の陥没が2カ所あったという。
同日午後9時5分ごろ、北広島町戸谷の芸北広域農道の一部が崩れ、走行していた軽自動車が崖下に約12メートル転落。運転していた50代の男性がけがをした。山県署によると、農道は片側1車線で、長さ約10メートル、幅約6メートルにわたって崩れた。町が通行止めにしている。
また、14日午前0時ごろ、広島市佐伯区五日市町石内の梶毛ダム近くののり面が崩れ、片側1車線の市道に土砂が流れ込んだ。区が通行止めにしている。 
 
 
 

 

島根県
●島根 江の川で氾濫発生 江津市川平地区と桜江町田津地区付近  7/14 
島根県によりますと、県西部を流れる江の川は江津市の川平地区と桜江町田津地区付近で、氾濫が発生したということです。浜田河川国道事務所と気象台は5段階の警戒レベルのうち、最も高いレベル5にあたる氾濫発生情報を発表して、最大級の警戒を呼びかけています。
国土交通省中国地方整備局によりますと、氾濫が発生したのは島根県を流れる江の川下流にあたる江津市の桜江町田津と、江津市の川平地区の2か所です。付近の集落は比較的高い位置にあるということで、午前10時半時点で住宅が水につかっている情報はないということです。また川平地区では、詳しい情報は入ってきていないとうことで、中国地方整備局は流域の住民に安全を確保するよう呼びかけています。国土交通省浜田河川国道事務所によりますと、江の川で氾濫が発生した2か所では、14日朝7時ごろ、川を見回っていた地元の業者が、水があふれているのを見つけたということです。周辺は堤防が無く、田畑が多い場所だということで、今のところ、住宅が浸水したという情報は入っていないということです。
島根県の江津邑智消防組合によりますと、氾濫が発生している江の川沿いの美郷町で「住宅に取り残された」という通報があり、浸水した住宅で70代の男性の救助活動を行っているということです。また、江津市や川本町、美郷町で住宅が浸水したという通報が相次いでいるいうことです。
島根県江津市によりますと、氾濫が発生した川平地区では、避難所となっている松平地域防災拠点施設の周辺の道路が冠水し、避難している住民8人と市の職員2人が、移動できない状況になっているということです。施設が浸水するような状況ではないということで、市は水が引くまで、その場で待機するよう指示しているということです。
江の川に面した島根県江津市桜江町の川から数百メートルほど離れた高台に住む80代の女性によりますと、午前9時ごろから川の水が増水したあと、まもなく川沿いの国道が冠水し、通れなくなったということです。女性によりますと、周辺は、2年前の西日本豪雨の際にも冠水したということで「今は雨がやんで静かですが、畑や田んぼも水につかっていて茶色い水が波打っています。これからまた雨が降るとさらに増水するのでまだ不安です」と話していました。
江の川を管理する国土交通省によりますと、比較的、上流にあたる広島県内では、氾濫危険水位は超えているものの水位は下がり始めているということですが、下流部にあたる島根県内では、水位が上がり続けているということです。下流部では、昼すぎにかけて水位が上がる見込みで、その後も、夕方ごろまでは氾濫危険水位を超えた状態が続く見通しだということです。国土交通省によりますと、江津市で氾濫が発生した場所では田畑が水につかったという情報が入っていて、今後、浸水の範囲が広がる可能性があるほか、別の場所でも氾濫のおそれがあるということです。下流部には住宅地もあり、引き続き、警戒を続けてほしいとしています。国土交通省のホームページによりますと、江の川は、広島県の山間部が源流で、その後、島根県に入り、島根県江津市で日本海に流れ込む全長200キロ近くの中国地方最大の河川です。 
●島根・江の川で氾濫 3200世帯6千人に避難指示 7/14 
島根県の国土交通省浜田河川国道事務所と松江地方気象台は14日、島根県内を流れる江(ごう)の川下流で氾濫(はんらん)が発生した、と発表した。江津市の川平地区と桜江町田津地区を流れる2カ所のいずれも左岸で氾濫した。市は同日午前10時までに、市内8地区約3200世帯の約6千人を対象に避難指示を出した。氾濫による人的被害は確認されていないという。
県警江津署によると、江津市桜江町の道路の一部が冠水。同事務所によると、氾濫現場の周辺は2年前の西日本豪雨の際も浸水被害が出た地域だという。
江津市桜江町田津地区の80代男性の自宅に駆けつけた男性の長男の妻によれば、「氾濫した川の水が目の前の畑まできている」。近くの大貫橋が冠水して渡れなくなっているという。
同地区の住民の女性(62)によると、14日未明から早朝にかけて激しい雨が降り、江の川からあふれた水は川沿いを走る旧JR三江線付近まで押し寄せ、川近くの家屋の中には床下浸水の被害も出ている。住民の一部は高台に避難しているといい、この女性は「九州で豪雨被害が出たばかり。今後水かさが増えないか不安で、これ以上被害が出なければいいが」と話した。
川平町南川上の江津川平郵便局は、避難指示を受けて午前10時半ごろに局を閉めた。周囲に氾濫の水は迫っていないが、安全が確保できるうちに局員は帰宅するという。 
 
 
 

 

静岡県 
●静岡県内 大雨で土砂崩れ発生 7/2 
6月30日から降り続いた大雨により県内各地で土砂崩れが発生した。3日からは再び雨になる予報で気象台は土砂災害などに警戒するよう呼び掛けている。
1日までの大雨から一転。2日の県内は晴天に恵まれたが、午前9時ごろ、西伊豆町仁科の国道136号線で土砂崩れが発生した。この場所は今年4月にも約30mに渡り土砂が崩れ応急対策として仮設の防護柵を設置していた。西伊豆町では1日夜から未明にかけて土砂災害警戒情報が出されていた。国道は現在も通行止めになっていて3日の正午の復旧を予定している。そのため西伊豆町では帰宅できなくなった学生や町民らを地元の漁船を使って迂回させた。
静岡地方気象台によると6月30日の降り始めからの雨量は伊豆市天城山で407ミリ静岡市井川で352ミリ御殿場市で341.5ミリだった。また県によると県内では計6カ所で土砂崩れが起きた。県内は3日から再び雨になる予報。気象台はすでに地盤が緩んでいるところもあり引き続き土砂災害などに警戒するよう呼び掛けている。 
●三峰川の堤防一部欠損 上伊那も大雨被害 7/2 
上伊那地方は活発な梅雨前線の影響で6月30日から7月1日未明にかけて大雨となった。各地で河川が増水し、伊那市美篶下県の天竜川水系三峰川右岸では堤防が約200メートルにわたって欠損したほか、飯島町では農業用水があふれ、畑の土手の一部が崩れる被害が出た。現場では付近の道路を通行止めにして応急工事や土砂の撤去などを行っている。
国土交通省天竜川上流河川事務所や伊那市によると、三峰川の堤防欠損は1日午前8時前、住民から「堤防が一部無くなっている」と市に通報があった。現場は複合福祉施設みぶの里近くの市道三峰川右岸土地改良幹線(通称ナイスロード)南側。上流からの水の流れが堤防付近の土を削り、堤防上にある芹沢河原7号線(通称サイクリングジョギングロード)が流失した。
三峰川と市道は通常10メートル以上離れているが、堤防欠損により、川の流れは市道まで約3メートルに迫っている。国交省は欠損場所にコンクリートブロックを積み上げ、元の堤防の高さに戻す応急工事に入った。これに伴い、現場付近の市道は昼夜通行止めとなる。国交省は現段階で「応急工事は2日ほど要す」と見込む。
一方、飯島町では6月30日午後6時ごろ、赤坂地区で農業用水があふれ、畑の土手の一部が崩落し、付近にある住宅の玄関先まで土砂が流れ込んだ。通報を受けた町は土のうを積むなどの対応をした。さらに、翌7月1日朝には同町与田切公園オートキャンプ場脇の農業用水に落石があるのを地元の住民が確認したという。
このほか、雨の影響でJR飯田線は1日朝から静岡県の中部天竜駅―駒ケ根駅間で終日運転を見合わせた。 
●県内全域に大雨 平年の1カ月分上回る地点も 土砂災害に厳重な警戒を 7/6 
梅雨前線の影響で静岡県内全域に大雨警報が出ています。
すでに平年の1ヵ月分を超える雨を観測している場所もあり、土砂災害に厳重な警戒が必要です。
6日の県内は活発な梅雨前線の影響で大気の状態が非常に不安定となり、現在、全域に大雨警報が出され、東部では洪水警報も出ています。
沼津市の香貫山では雨の影響とみられる土砂崩れが起き、付近の住民が避難所へと避難をしています。
また、富士宮市や裾野市の一部の地区では、土砂災害や浸水の警戒のため避難勧告が出ています。
気象台によりますと、7月の降水量の平年値が出せる25地点のうち、19地点では平年の1カ月分をすでに上回る雨の量を観測しているということです。
静岡地方気象台・松本守統括予報官 「(これまでの雨で)たっぷりと地中の中に(水が)しみ込んでいる。(1時間に)50ミリの激しい雨も断続的に予想されていますし、またそのような状況下にありますので、(土砂災害の危険は)いつそのような状況になるかなってもおかしくないような状況」
気象台は長引く雨による土砂災害への厳重な警戒とともに、河川の増水や浸水に警戒するよう呼び掛けています。  
●「まずい、まずい、まずい…」土砂崩れを撮影 男性が見た瞬間 浜松市 7/7 
停滞する梅雨前線の影響で、静岡県内は大雨が続いています。各地で土砂崩れが起きているほか、川根本町では停電の復旧作業をしていた男性が倒木に当たり死亡しました。
「(ザーッ)あら!まずい、まずい、まずい、まずい」
7日午前7時頃、浜松市浜北区堀谷で撮影された土砂崩れの映像。通勤途中に撮影した男性は・・・
動画を撮影した森努さん 「最初は石がポロポロ落ちてくる感じだったんです。中から泥水がずっと出てきまして、山全体がガッと滑り落ちるという感じ。何も考えられないです。手前の部分までヒビが入ってましたので、もしそこが崩壊したら車ごとつぶされちゃうなと思って、それで下がりました」
また6日、川根本町の土砂崩れ現場で停電の復旧作業中に切った木が当たって、配電作業員の男性が死亡しました。
県内各地で大雨警報が続いているほか、午後4時現在、静岡市や浜松市など4666世帯に避難勧告が出されていて、気象台は土砂災害に厳重に警戒するよう呼びかけています。  
●あす9日昼過ぎ再び雨強まる  7/8 
ずっと雨が続いていますが、静岡県内では8日朝7時以降は非常に激しい降り方になり、活発な雨雲が通り抜けていきました。
【8日朝の強い雨】
雨に加えて強い風、嵐のようでした。暖かく湿った空気が勢いよく流れ込み、静岡の最大瞬間風速は16.8メートルでした。降り始めからの雨量は山間部で600ミリを超えました。また佐久間・御殿場では、月の雨量がすでに7月としては観測史上もっとも多くなっています。8日間で過去の記録を塗りかえてしまいました。さて、県内でも雨が強まった時間、岐阜県・長野県には一時「大雨特別警報」が発表されました。静岡県でもその可能性があるのか気になりますが、今のところ、特別警報の発表に至る雨にはならない見通しです。
【警戒レベル】
大雨特別警報、これは警戒レベル5に相当する情報でした。警戒レベルについて、今一度、確認しておきましょう。各市町や気象台から出る情報にレベルをつけることで、今何をすべきかわかりやすくしたものです。5は既に災害が発生している、あるいは発生している可能性が極めて高いときです。特別警報は5に相当します。この段階では、もう逃げられないと考えてください。レベル5になるのを、つまり特別警報が出るのを待っていてはいけません。4のうちに、危険な場所にいる人は全員が避難を完了しておくことが大切です。
【土砂災害警戒情報】 
午後6時現在発表されているのが、土砂災害警戒情報です。富士宮市では土砂災害がいつ発生してもおかしくない非常に危険な状況が続いています。その他の地域は、8日雨が小康状態となったことで解除されましたが、大雨警報は発表されたままです。雨が降り続いていたため、少しの雨でも危険度が高まりますので警戒を続けてください。
【これからの雨の予想】
日中は、雨の中心は海の上でしたが、この後は再び雨の領域が北に上がってきます。雨が強まる所もあるでしょう。その後も降ったりやんだりが続き、8日朝ほどではないもののあす9日の昼過ぎにかけては雨が強く降る所が多くなりそうです。その後夕方にかけては弱まりそうです。このあと24時間に降る雨の量は、いずれも多い所で西部と中部は180ミリ、東部、伊豆は150ミリとなる見込みです。9日も大雨に警戒が必要になりそうです。
【週間予報】
この先も雨の降る日が続きそうです。前線の活動が活発な状態が、あす9日まで続きますので、一旦あすまで大雨に警戒が必要です。その後は前線の活動は弱まりますが、雨は降ったりやんだり続く見通しで、しばらくは、雨の降り方に注意が必要になりそうです。  
●静岡県内・大雨続く 大井川で新たな護岸損傷も 7/8 
停滞する梅雨前線の影響で静岡県内は大雨が続いています。
大井川では護岸の一部が崩れるなど、災害の危険度が高い状態が続くとみて警戒を呼び掛けています。
8日の県内は引き続き大気の状態が非常に不安定で、西部・中部・東部に大雨警報が、浜松市や富士宮市には避難勧告が出されています。
1日から8日正午までに降った雨の量は、ほぼすべての観測地点で平年7月の1カ月間に降る雨の量を上回っていて、井川や御殿場では2倍を超えています。
降り続く雨の影響で、大井川では8日午後2カ所目となる護岸の損傷が見つかりました。
壊れた部分は長さ50メートルにわたり、河川事務所の職員が応急対応にあたっています。
原崎瞳記者 「天竜川は現在、氾濫注意水位に達していて、河川敷の草木の所にまで茶色い川の水が迫っています」
また、天竜川では7日夜一時水位は下がりましたが、上流部での雨などが流れ込み下流では再び上昇しています。
気象台はこれまでの雨で災害の危険性が高まっているとして、土砂災害への厳重な警戒と河川の氾濫に警戒するよう呼び掛けています。 
●大雨7日目 生活にも影響徐々に 静岡県 7/9 
県内では9日時点で大雨が7日間続いていて、引き続き土砂災害に警戒が必要な状況。この長雨は生活にも影響を及ぼしそうだ。
気象台によると県内は9日、大気の状態が不安定で浜松市春野では1時間に66ミリの非常に激しい雨が降った。
降り始めからの総雨量は川根本町で720ミリ、静岡市井川で704ミリとなっていて、9日午後6時時点で4つの地域で土砂災害警戒情報が出されている。
また8日、浜松市では農作業小屋が吹き飛ばされる「突風被害」もあった。気象台は10日以降も大雨となる恐れがあると話していて竜巻などの激しい突風や落雷にも注意するよう呼びかけている。
長雨は野菜にも影響を及ぼし始めている。静岡市の中央卸売市場では野菜全体の入荷が1割ほど減少し、価格にも影響が出ているという。
特に大雨の被害が出ている鹿児島産のカボチャやオクラの入荷が大幅に減っているという。
今後も悪天候が続けばカビなどによって野菜が病気になることもあり、入荷量や価格にも大きく影響が出る可能性があるという。
一方、太陽が出ない日が続く中、多くの人が利用しているのがコインランドリー。
静岡市内のコインランドリーではここ数日の雨の影響で利用客が増えているという。両替機の小銭の補充も普段は一週間に1回の所、数日に1回行うようになったという。 
●沼津で土砂崩れ、車などに倒木 静岡県内大雨、浸水警戒 7/11 
梅雨前線の影響で、静岡県内は10日も断続的に雨が降った。沼津市では土砂崩れが発生し車などが巻き込まれた。県内は前線が接近・通過する11日昼前から12日午前中にかけて局地的に非常に激しい雨となる見込みで、静岡地方気象台は土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水に警戒を呼び掛けている。
同気象台によると、降り始めの9日午前0時から10日午後5時までの降水量は、浜松市天竜区春野町162・5ミリ、静岡市葵区井川109・5ミリ、川根本町104・0ミリなど。南伊豆町と松崎町には土砂災害警戒情報も発令された。
沼津市西浦木負では同日午前11時40分ごろ、土砂崩れが発生した。建設会社の敷地に土砂がなだれ込み、物置や重機、乗用車に倒木などがかぶさった。敷地内は当時無人で、けが人はいなかった。
11日に予想される1時間降水量は、県内の多い所で50ミリ。同日午後6時までの24時間予想雨量は、いずれも多い所で中部と西部が150ミリ、東部と伊豆が120ミリ。県危機管理部は「長雨が続き、県内は全域で土砂災害が起きやすい状態になっている」と一層の警戒を促している。  
●「滝のような雨と雷」伊豆で大雨 降り続く雨で地盤緩む 土砂災害に警戒を 7/12 
静岡県内では11日夜から12日未明にかけ、雷を伴った非常に激しい雨が降りました。これまでの雨で地盤が緩んでいるところもあり、土砂災害に警戒が必要です。
川船昌雄記者「午前1時前です。滝のような雨と雷が鳴りやみません」
梅雨前線の通過で県内では、12日未明にかけ雷を伴った非常に激しい雨が降り、伊豆市湯ヶ島で1時間に66ミリ、土肥で60ミリを観測しました。
東部、伊豆5市4町で土砂災害警戒情報が発表されましたが、現在は全て解除されています。
12日も午後からところによっては雨となる見込みで、気象台は土砂災害や河川の増水、低い土地への浸水などに警戒を呼びかけています。  
 
 
 

 

岐阜県 
●岐阜県に一時大雨特別警報 東海各地で被害相次ぐ 7/7 
8日午前7時半、気象庁は岐阜県と長野県に大雨特別警報を発表しました。午前11時40分に大雨特別警報から大雨警報に切り替わりました。気象庁は、大雨は峠を越えましたが、木曽川水系飛騨川では氾濫している所があるため、洪水への一層の警戒が必要、土砂災害にも厳重に警戒するよう呼びかけています。
降りはじめからの雨量が岐阜県下呂市の萩原町で740.0ミリ(8日午後3時現在)と記録的な雨量となった岐阜県。
朝6時ごろの高山市。町の中心を流れる宮川は、普段とは全く違う光景。茶色に濁ったものすごい勢いの濁流が。
別の場所にある橋には流木がひっかかり、川の横にある家屋は浸水していました。「上流から流れて来る流木が詰まって、こんな状態です。ゆうべはこんなにひどくなかったです」(近所の住民)
岐阜県下呂市の飛騨川は午前1時に氾濫危険水位を超え午前7時10分に氾濫しました。午後1時現在で、床上・床下浸水は82戸。土砂崩れで道が通れず孤立状態となっているのは2地区515世帯、1453人におよんでいます。
午前7時半、気象庁が会見を行いました。「岐阜県と長野県の市町村に大雨特別警報を発表しました。警戒レベル5に相当する状況」(気象庁会見)
時間がたつにつれて各地の被害が明らかになってきました。愛知県新城市の各所で土砂崩れや倒木、落石が合計33件発生。
土砂崩れによる通行止めも3か所で起きているとみられています。土砂崩れが起きた新城市作手の市道では。「きのうはこのあたりはこういうふうに道路が川になっていた。川じゃない、ここの道です」(住民)
岐阜県の飛騨川沿いにある川辺町。民家のすぐ脇には、すざましい量の濁流が押し寄せ、川べりがえぐられています。
普段は穏やかな飛騨川。その風景が一変していました。その20キロ上流にある岐阜県白川町。
飛騨川の水量が多く、支流の白川の水が行き場を失っていました。
カーブミラーの上の部分まで押し寄せた川の水。かろうじて浮いているプロパンガスのボンベ。
大雨の前の川辺町の写真と比べてみると、完全に水につかってしまいました。
午前11時。再び気象庁が会見。「岐阜県と長野県では、このままの状況が続けば、発表している大雨特別警報は警報に切り替える見込みです」(気象庁会見) 午前11時40分。大雨特別警報は大雨警報に切り替わりました。
その頃、岐阜県白川町の飛騨川。水位が橋に迫っていました。「岐阜県白川町の住宅です。床下浸水をしている影響で、いろんなものが流されています」(記者) 「普段は何もないですね。駐車場になっているのでここら辺でバーベキューができます」(被害にあった住民)
岐阜県高山市久々野町では、巨大な岩が崩れ落ち、のり面は一部土色に。崩れ落ちた土砂が道路の片側をふさいでいました。
相次いだのは、“土砂崩れ”です。高山市滝町では住宅を巻き込む土砂崩れが発生。
「ヘリコプターが落ちるようなギューという音だよ。むちゃくちゃになって、下の方へ流れていった」(住民)
さらにこちらの住宅では。「九死に一生を得た。誰もけがなかった、それが一番ですね」(住民)  自宅を仕事場としても使っていて、当時事務員1人がいましたが、幸いけがはありませんでした。
そして土砂崩れの影響で、道路が通行できない場所も。高山市によりますと、午後2時40分時点で659世帯、1416人が孤立しているということです。
岐阜県下呂市でも大きな被害が。増水した飛騨川の影響で、歩道が大きく崩れていました。
下呂市では、午前7時10分ごろ、萩原町中呂で飛騨川が氾濫。水が流れ出た場所では、午後に大きな土のうを詰む作業が行われていました。
川のすぐ近くの家を訪ねてみると、
記者 「線が残っていますね」
住民 「(水が)ここまで来ました」
水は、家の中まで流れ込んでいました。午後1時現在、下呂市では床上浸水が22棟、床下浸水が60棟の被害が出ています。  
●下呂、高山市などで浸水被害 2200人が孤立 7/8 
活発な前線の影響で東海3県では大気が非常に不安定な状態が続き、7日夜から8日朝にかけて岐阜県内は大雨となった。岐阜地方気象台は8日朝、大雨・洪水警戒レベルで最も高い5に当たる大雨特別警報を下呂、高山など6市に発表し、雨のピークを過ぎたとして同日正午前に各地を大雨警報に切り替えた。下呂、高山の両市を中心に住宅への浸水や土砂災害などが確認されている。
古田肇知事は同日午前の災害対策本部員会議で「過去最大限の緊張感を持ち、迅速、的確に対応に当たってほしい」とテレビ会議でつないだ市町村長らに指示。災害救助法の適用を視野に国と協議していることを明らかにした。
県によると、下呂市萩原町中呂の飛騨川が氾濫し、住宅に浸水被害が出た。同町古関の国道257号では土砂流出があり、道路が寸断された。高山市滝町では、民家に土砂が流入した。下呂、高山の両市では少なくとも9カ所、計約800世帯約2200人が孤立している。いずれもけが人などは確認されていない。
郡上市八幡町の長良川では一時、氾濫危険水位を超えた。県は各地の被害情報の確認を急いでいる。
鉄道は午前9時現在、JR高山線の岐阜―猪谷、樽見鉄道の神海―樽見、明知鉄道の全線、長良川鉄道の美濃太田―北濃でいずれも運休している。道路は、少なくとも県内31路線34カ所で雨量による全面通行止めを実施している。
岐阜地方気象台は、8日夕方まで土砂災害に、夜遅くまで河川の氾濫への警戒を呼び掛けている。 
●大雨の影響で岐阜県を中心に避難指示や避難勧告 下呂市などで浸水被害 7/8 
午後6時45分現在、岐阜県高山市の全域と、下呂市の全域、郡上市の一部の地域に避難指示がでています。 また避難勧告は、岐阜県の中津川市、川辺町、七宗町、愛知県豊田市などの地域で出ています。
続いて被害状況です。岐阜県内では、下呂市などで28棟が床上浸水、140棟が床下浸水しました。また、孤立した地域も出ています。
岐阜県の下呂市小坂町長瀬や、高山市朝日町西洞など17地区、1586世帯3984人が、この大雨による県道の通行止めなどで孤立しています。 
●大雨で岐阜県で道路寸断や家屋浸水のなど被害 人的被害は確認されず 7/8 
大雨特別警報が出ていた岐阜県では、家屋の浸水や土砂崩れの被害が出ましたが、今のところ人的被害は確認されていません。
岐阜県は記録的な大雨の影響で8日朝、飛騨川が氾濫し、下呂市小坂町の国道41号で道路ののり面が崩落しました。
岐阜県内ではこれまでに床上浸水が32棟、床下浸水が147棟確認され、下呂市や高山市の一部の地区で約1500世帯が孤立状態となっています。8日午後8時現在、人的被害は確認されていません。
岐阜県の雨は今、小康状態ですが、9日再び強く降る恐れがあり、気象台などがひきつづき警戒を呼び掛けています。 
●岐阜県大雨特別警報は大雨警報に 下呂市では飛騨川が氾濫 7/8 
大雨特別警報が出ていた岐阜県では、下呂市で飛騨川が氾濫し浸水被害や土砂崩れの被害が出ています。
気象台などによりますと、岐阜県下呂市萩原町・中呂付近で飛騨川が氾濫したということです。
下呂市によりますと、午前7時現在で、床上浸水が1件、床下浸水が14件発生しています。
市内の馬瀬地区では、土砂崩れで道路がふさがれ400世帯あまりが孤立状態になっているということです。
市内の避難所には694世帯1581人が避難しています。
岐阜県では、下呂市と高山市の全域と郡上市、中津川市、美濃市の一部で大雨警戒レベル4の避難指示が出ています。(午前11時半現在)
午前11時40分に、岐阜県に出ていた大雨特別警報は大雨警報に切り替わりました。 
●岐阜・飛騨川が氾濫、下呂・高山で1419人孤立 7/8 
大雨特別警報が発表された岐阜県では8日朝、下呂市萩原町中呂で飛騨川が氾濫した。市内の広い範囲が水につかり、午後1時現在、82棟が浸水している。白川町でも、飛騨川の支流である白川などがあふれ、26棟で浸水被害が出ている。
山の斜面から流れ出る水で寸断された国道41号線(8日午前11時20分、岐阜県下呂市で)=佐藤俊和撮影山の斜面から流れ出る水で寸断された国道41号線(8日午前11時20分、岐阜県下呂市で)=佐藤俊和撮影
同県内では正午現在、冠水や倒木などで下呂市小坂町と高山市朝日町の計509世帯1419人が孤立。高山市朝日町西洞では住宅1棟に土砂が流入し、住人3人が取り残されたが、けがはないという。
長野県では、松本市で上高地につながる国道158号が土砂でふさがれ、宿泊施設や観光施設などの従業員や宿泊客計308人が孤立した。
岐阜県では午前10時半現在、下呂市や高山市など6市で計8万8289世帯21万9064人、長野県では長野市や上松町、阿南町、下條村の4市町村の計2856世帯6359人に避難指示が出ている。 
●岐阜・長野で4300人孤立 中部でも豪雨被害、9日以降も大雨警戒  7/9 
梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、中部地方は八日、各地で大雨となった。岐阜県では下呂市や高山市で道路が寸断されるなどし約四千人が孤立。長野県でも観光地の上高地につながる国道で土砂崩れが起き、宿泊客ら三百人以上が孤立している。岐阜、長野両県に一時、大雨特別警報が出され、その後解除されたが、気象庁は九日以降も大雨を予想。これまでの雨で地盤が緩んでいる所もあり、引き続き厳重な警戒を呼び掛けている。
岐阜県では下呂市萩原町の飛騨川と、白川町河岐の白川と飛騨川の合流地点で氾濫が発生した。同県は大雨特別警報が出された下呂、高山、中津川など六市に対し、災害救助法の適用を決めた。六市ではピーク時に計二十一万九千人に避難指示が出た。八日午後十一時半現在、下呂市など四市町で百九十六人が避難している。けが人は見つかっていない。
下呂市小坂町で、飛騨川沿いの国道41号が約三百メートルにわたって崩落したほか、道路の崩壊や冠水などが相次ぎ、高山、下呂、郡上の三市の計十七集落で約四千人が孤立。九日にはいずれも解消される見通し。  ・・・ 
●岐阜・長野、大雨で深刻な被害 7/9 
停滞している梅雨前線の影響で、8日、岐阜県と長野県は記録的な大雨に見舞われ、川の氾濫や土砂崩れなど深刻な被害が相次ぎました。
活発な梅雨前線の影響で、岐阜県では記録的な大雨となり、8日午前6時半ごろに気象庁が大雨特別警報を発表。昼前に警報に切り替えられましたが、飛騨川が氾濫し、下呂市などで32棟が床上浸水、150棟が床下浸水しました。
「(こんなに増水することは)めったにない」(浸水した地域の住民)
「今までと違う大雨。(普段は)静かな川だけど、こうなるとは」(浸水した地域の住民)
東海地方では9日も激しい雨が降る見込みで、気象台は引き続き土砂災害に厳重な警戒を呼びかけています。
記録的な大雨によって、長野県松本市では、市街地から上高地へと通じる国道158号の3か所で土砂崩れが発生しました。
このうち2か所の土砂は、すでに取り除かれましたが、観光客やホテルの従業員などおよそ300人がいまも孤立状態となっていて、県が復旧作業を続けています。
一方、去年の台風19号で被災した長野市の千曲川では、支流との合流点で水があふれ、河川敷のリンゴ畑や田んぼが再び浸水する被害が出ました。 
●大雨、岐阜で大きな被害 長良川鵜飼の警備船2隻流失  7/9 
活発な梅雨前線の影響で岐阜県内では8日、激しい雨が降り、中津川、恵那、郡上、高山、飛驒、下呂の6市に大雨特別警報が出された。県内の約8万2000世帯、約20万4000人に避難指示がでたが、けが人は確認されていない。岐阜地方気象台によると、前線が活発な状態は続くと見込まれ、9日も多い所で1時間に30ミリほどの雨が降る恐れがある。
高山市では滝町の民家や、朝日町西洞でも住宅に土砂が流れ込んだが、消防が住人を救助するなどした。各地で土砂崩れが発生しているが、けが人は確認されていない。県によると高山、下呂、郡上の3市の17地区1586世帯3984人が一時、孤立状態になり、一部の地区では8日午後3時現在、孤立状態が続いている。
下呂市では萩原町中呂の飛驒川が氾濫し、少なくとも民家4棟が床下浸水した。このほか白川町の白川など計6河川で氾濫。県内12世帯で床上浸水、42世帯で床下浸水した。
岐阜市内の長良川も増水し、同市長良橋付近では水位が最大19メートルまで上昇。長良川鵜飼(うかい)の鵜飼い観覧船乗り場は水没し、係留していた警備船2隻が流失した。1階の駐車場が冠水した長良川観光ホテル石金(岐阜市)の永瀬洋平専務(36)は「改めて川の恐ろしさを感じた。コロナ禍で減った予約がやっと増えてきたところだったのに」と今後の影響を心配していた。  
●大雨被害で一時は約4000人が孤立状態 岐阜県 7/9 
8日、大雨で浸水被害や土砂災害が起きた岐阜県では、土砂が道路などに流入し、一時は計約4000人が孤立状態になりました。
高山市で孤立状態となったのは、高山市朝日町や奥飛騨温泉郷などで、716世帯1581人。
下呂市小坂町では、川沿いの道路が崩落し、409世帯1150人が孤立状態となりました。また、同市馬瀬地区全域では、8日午後3時の時点で275世帯793人が孤立状態になりました。
郡上市の明宝小川地区でも186世帯460人が孤立し、岐阜県内では一時、計約4000人が孤立状態になりました。 
●飛騨川が氾濫 7/9 
岐阜県高山、下呂両市によると、9日午前8時現在、両市で905世帯2229人が孤立している。午前10時20分現在、11市町で計188棟の床上・床下浸水が確認され、うち飛騨川が氾濫した下呂市では112棟に及んでいる。人的被害は確認されていない。長野県のまとめでは、9日午前7時半現在、重傷者1人、9市町村で18棟の床下浸水が確認されている。土砂崩れなどが発生した景勝地の上高地につながる国道158号は仮復旧作業が終わり、観光客らの孤立状態が解消した。 
●岐阜の浸水被害、200棟超 避難所住民から長期化憂う声  7/10 
大雨の被害を受けた岐阜県は10日、床上・床下浸水の被害が同日朝時点で11市町の計235棟に上ると明らかにした。岐阜県の孤立状態はすべて解消されたが、今後も雨予報が続き、避難所に身を寄せる住民からは長期化を憂う声が聞かれた。
県によると、浸水被害を受けたのは下呂市の149棟、白川町の28棟など。
下呂市萩原町の避難所では10日朝、住民が市職員に交通状況や今後の天候を尋ねていた。同町の男性会社員(49)は「会社の寮が土砂崩れにのまれるかもしれない。雨が続くようなら長期避難も覚悟している」と険しい表情を見せた。 
●岐阜・長野950人なお孤立 10日も大雨か土砂災害に警戒  7/10 
梅雨前線による記録的な大雨の影響で河川の氾濫や土砂崩れが相次いだ岐阜、長野両県では九日、約九百五十人の孤立が続いた。十日午後からは再び大雨が予想され、気象庁は土砂災害への注意を呼び掛けている。
岐阜県では、高山市で朝日町西洞など三地区の三十四人、下呂市で小坂町湯屋など三地区の六百五十人がなおも孤立したまま。下呂市の萩原町、小坂町、馬瀬の三地区と、郡上市大和町島の一部集落では避難指示が続き、午後十一時時点の避難者は下呂市で十五人、高山市で二十三人、郡上市で三十三人いる。
住宅被害は下呂市など三市町で半壊七棟、一部損壊が八百津町など三市町で計六十二棟。床上浸水が岐阜市など四市町で三十五棟、床下浸水は各務原市など十一市町で百六十六棟に上る。中部電力によると、九日午後十一時時点で、高山市や下呂市などの六百九十戸が停電している。
長野県では、上高地に向かう松本市の国道158号の通行止めで孤立して ・・・  
●大雨影響 温泉街の宿泊施設でキャンセル相次ぐ 岐阜 下呂  7/11 
今回の大雨の影響で、岐阜県下呂市の温泉街の宿泊施設では予約のキャンセルが相次ぎ、地域の観光産業が大きな打撃を受けています。
年間100万人以上が訪れる岐阜県下呂市中心部の温泉街には40余りの宿泊施設があり、今回の大雨では温泉街付近では被害はなかったものの宿泊の予約のキャンセルが相次いでいます。
温泉街の中心部にある旅館の1つでも、今月7日から11日までに、インターネットなどを通じておよそ50件のキャンセルがあったということです。
この旅館は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ことし4月から5月までの2か月間、休業などで通常どおりの営業ができませんでした。
先月から本格的に営業を再開し、今月に入ってようやく去年の同じ時期の8割程度まで客足が戻ってきたところだったということです。
温泉旅館「木曽屋」の神田哲夫社長は「新型コロナウイルスもまだ客足に影響を与えているのに、大雨でさらにキャンセルが相次ぎ大変な痛手だと感じています。まだ雨も降り続いているうえ、このままでは、今月22日から始まる国のGo Toキャンペーンの恩恵も受けられるか分からず、今後が不安です」と話していました。 
●岐阜 瑞浪 “樹齢1000年超” 神社のご神木倒壊 復旧作業行う  7/12 
11日夜、大雨の影響で樹齢が1000年を超える神社のご神木の杉が倒れた岐阜県瑞浪市では、12日朝から、神社の前の県道で倒れた杉を取り除くなどの作業が行われています。
瑞浪市大湫の「神明神社」では、11日夜、ご神木で県の天然記念物に指定されている杉が根元から倒れ、隣の住宅の屋根が壊れるなどの被害が出ました。
杉は、樹齢1300年とも言われ、高さは40メートル、幹は太いところで11メートルありました。
市教育委員会によりますと、旧中山道の大湫宿として知られるこの地区のシンボル的な存在だったということです。
現場には、12日朝から作業員が出て、神社の前の県道をふさいだ部分を切り取って道路脇に寄せたり、垂れ下がった電線を修復したりしていました。
神社の氏子総代の吉野信幸さんは、「地元の誇りだった杉が倒れてしまい、とても残念です」と話していました。
気象庁によりますと、木が倒れた付近では、隣の恵那市に雨量計があり、午前8時までの24時間に降った雨の量は130.5ミリの大雨となっています。気象庁はこれまでの雨で地盤が緩んでいるとして土砂災害に警戒をするよう呼びかけています。 
●中津川の中央道で土砂崩れ、4台乗り上げ 上り線通行止め  7/12 
11日午後8時20分ごろ、岐阜県中津川市中津川の中央自動車道上り線で、土砂崩れが起きていると、中日本高速道路に通報があった。同県警高速隊によると、大型トラックや乗用車など4台が土砂に乗り上げたが、乗っていた計5人にけがはなかった。
現場は中津川インターチェンジ(IC)から東に約5キロの地点で、のり面が崩れ、幅約5メートル、長さ約10メートルにわたり土砂が流出した。
この影響で同日午後8時40分ごろから、上り線の中津川IC―飯田山本IC間が通行止めとなった。
同日午後8時55分ごろには、同県瑞浪市釜戸町の国道19号で、「土砂が崩れて国道をふさいでいる」と通行人から110番があった。
多治見署によると、通り掛かった車2台が巻き込まれたが、乗っていた計5人にけがはなかった。土砂は道路脇ののり面から崩れ、幅約30メートルにわたって道路をふさいだ。  
 
 
 

 

愛知県 
●名古屋市の水害につながる洪水予報河川 
洪水予報河川とは、河川の増水や氾濫など水防活動の判断材料や市民の避難行動の指針を目的に、国土交通省や都道府県と気象庁が手を結び指定した河川の水位や流量などの洪水に関する予報を発表しています。名古屋市では庄内川・矢田川・新川・天白川・日光川の5つの河川を洪水予報河川と認定。愛知県洪水浸水想定区域図に基づいてこれらの河川が氾濫した場合、どこが浸水被害を受けるのか紹介します。
庄内川
庄内川が氾濫すると北区、守山区、港区、東区、西区、中川区、熱田区、中区、昭和区、千種区が被害を受けると想定しています。(指定の前提となる降雨 庄内川流域の24時間総雨量が376o)
矢田川
庄内川水系である矢田川が氾濫すると最大規模で千種区、東区、北区、西区、中村区、港区、熱田区、中川区、守山区が被害を受けると想定しています。(指定の前提となる降雨 庄内川流域の24時間総雨量が578o)
新川
庄内川水系である新川が氾濫すると最大規模で守山区、港区、中川区、中村区、西区、北区が被害を受けると想定しています。(指定の前提となる降雨 新川流域の24時間総雨量が751o)
天白川
天白川が氾濫すると港区、南区、緑区、天白区が被害を受けると想定しています。(指定の前提となる降雨 天白川流域の24時間総雨量が423o)
日光川
日光川が氾濫すると港区、中川区が被害を受けると想定しています。(指定の前提となる降雨 日光川流域の24時間総雨量が342o) 
●大雨、県内でも被害 3市に避難勧告  7/9 
八日にかけて降った大雨で、県内では岡崎、豊田、瀬戸の三市で避難勧告が出たほか、各地で床下浸水や土砂崩れ、突風などによる被害が出た。愛知環状鉄道は豊田市内で線路に土砂が流れ込み、一部区間で運休が続いた。学校は山間地を中心に小中学校と高校、特別支援学校を合わせて百七校が休校となった。
気象庁によると、八日朝までの二十四時間に豊田市稲武で一〇〇ミリ、一宮市で七九ミリ、名古屋市で六八・五ミリの雨が降った。
県によると、岡崎など三市の避難勧告のほか、新城市や東栄町などで避難準備・高齢者避難開始情報が出され、最大で六十一人が避難所に身を寄せた。
奥三河地方では六日から断続的に土砂崩れなどが続いた。土砂崩れや倒木が八日午後五時十五分までに五十二件発生した新城市では、作手高松で河川が土砂崩れでせき止められ、隣接する市道が流れ込んだ水で冠水した。
一方、東栄町足込と同町振草の県道二カ所では路肩が陥落し、大型車の通行が規制されている。豊根村三沢でも県道一カ所が通行止めとなっている。
安城市では八日朝、冠水した道路で立ち往生す ・・・ 
●大雨で被害相次ぐ 安城や一宮など 15棟床下浸水 7/9 
停滞する梅雨前線の影響で県内は8日、広い範囲で雨が降り続き、各地で道路が崩落するなどの被害が出た。
名古屋地方気象台によると、3日の降り始めから8日午後5時までに豊根村498・0ミリ、新城市350・5ミリ、豊田市316ミリ――など各地で300ミリを超える雨量を記録した。岡崎市、瀬戸市、犬山市、豊田市西・東部には一時、土砂災害警戒情報が発表された。豊田市は一部地域 ・・・ 
 
 
 

 

長野県 
●4日にかけて大雨の恐れ 土砂災害や河川の増水に警戒を 長野  7/3 
梅雨前線が北上し、長野県内は3日夜から4日にかけて再び大雨になる恐れがあります。
3日正午前の長野市の様子です。梅雨前線が関東まで北上し、4日は低気圧が東日本を通過する見込みです。
前線や低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、県内は次第に雨となり、特に4日未明から明け方にかけて1時間に30ミリ以上の激しい雨が降る恐れがあります。
4日朝6時までの24時間に予想される雨の量は、いずれも多い所で100ミリとなっています。
長野地方気象台は、4日にかけ、土砂災害や浸水、河川の増水などに注意・警戒するよう呼びかけています。 
●長野・岐阜県境で地震 4月下旬からの一連の地震187回に  7/5 
長野・岐阜県境で5日未明から朝にかけて最大震度3を観測する地震が2回ありました。
震源はいずれも長野県境の岐阜県飛騨地方です。
午前4時10分の揺れは、マグニチュード4.4と推定され、高山市奥飛騨温泉郷栃尾で震度3、県内では長野市中条や松本市安曇で震度2を観測しました。
その後の7時1分ごろの地震では高山市奥飛騨温泉郷栃尾で震度3、県内は小川村高府で震度2を観測しました。
県境では8時26分にも震度1の地震があり、4月下旬から続く一連の地震は187回となりました。6月に入ってから回数は減少傾向ですが、気象台は引き続き注意を呼びかけています。 
●長野県南部を中心に大雨の恐れ 7/6 
停滞する梅雨前線は、あす7日にかけ次第に北上する見込みです。長野県内では南部を中心に再び大雨が予想され、気象台が警戒を呼びかけています。
きょうは南の太平洋高気圧が強まり梅雨前線はあすにかけ日本海から東北地方に北上する見込みです。前線に向かって湿った空気が流れ込むため、県内ではあすにかけいずれも多い所で南部では1時間に40ミリの「激しい雨」、北部と中部では1時間に25ミリの「強い雨」が予想されます。
あす朝6時までの24時間の予想降水量はいずれも多い所で南部200ミリ。北部と中部は120ミリとなっています。
これまでの雨で地盤が緩んでいるため、中南部ではあすにかけ土砂災害に警戒してください。
また、あす朝6時からの24時間で南部では100ミリから200ミリ。北部と中部では100ミリから150ミリの雨が降る見込みで、県内全域で土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水に注意・警戒が必要です。
なお、JR飯田線は雨量が規制値に達したため、愛知県の大海駅と天龍村の平岡駅の間で運転を見合わせています。 
●7月6日からの大雨について 7/8 
県民の皆様へ 
本日8日、午前6時43分に、県内14市町村に大雨特別警報が発表されました。
大雨特別警報が出されている市町村では、これまでに経験のないような大雨となっております。特に土砂災害警戒区域などでは、何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高く、警戒レベル5に相当する状況です。自宅の少しでも安全な部屋や、すぐ近くに安全な建物があれば、そこに移動するなど、命を守るための最善の行動をとってください。
また、これまでの降雨により、県内の広い範囲で災害発生の危険性が非常に高まっております。県民の皆様には、避難勧告等市町村の指示に従い、避難所や親戚・友人宅など、最寄りの安全な場所への避難を行うなど適切な対応をお願いします。
高齢者や障がいのある方が利用されている要配慮者利用施設におかれましては、早期の安全確保を図るようお願いします。
テレビ、ラジオなど最新の気象情報に耳を傾け、市町村等から発信される情報に十分注意を払い、ご自身やご家族の命を守るための最善の行動をお願いします。 
●長野県中南部の「大雨特別警報」「警報」に切り替え 7/8 
長野県の中南部に発令された「大雨特別警報」は、午前11時40分ころ「警報」に切り替えられました。ただ、土砂災害や河川の氾濫には今後も警戒が必要です。
「特別警報」は、けさ6時40分ころ松本地域と乗鞍上高地、南部の15市町村に出され、気象庁が最大級の警戒を呼びかけました。現在も、長野や松本など39の地域に「土砂災害警戒情報」が出されていて、引き続き警戒が必要です。
梅雨前線の停滞は続くため、今後も局地的な激しい雨に警戒してください。降り始めからけさ7時までの降水量は御嶽山839ミリ。阿智村浪合451.5ミリ。上高地446.5ミリなど、すでに平年の7月ひと月分の量を超えています。
川の氾濫も心配されます。犀川は安曇野市の陸郷と長野市の弘崎、木曽川は南木曽町で氾濫の恐れがある「氾濫危険水位」を超えています。
県によりますと、大きな被害は報告されていませんが、国道の土砂崩落などで上高地で観光客ら30人余りが孤立状態になっているということです。
梅雨前線の停滞はあすまで続く見込みで、あす朝6時までの24時間に南部で180ミリ、北部中部で120ミリ。さらに、その先の24時間で全県で150ミリが予想されます。 
●土砂崩落相次ぐ…上高地300人余り孤立 7/8 
長野県内では大雨の影響で各地で土砂崩落などが発生し、道路が寸断され、孤立している地域もあります。上高地では宿泊客や宿泊施設の従業員ら300人余りが孤立状態となっています。
「山の斜面が崩れ、道路が寸断されています」
松本市街地から上高地につながる国道158号線は、3カ所で土砂崩落が発生。松本市安曇支所の近くで通行止めになりました。
「孤立した上高地の上空です。河童橋の上では人の歩いている姿が確認できます」
上高地では7日のうちにバスでおよそ80人が麓に下りていましたが、松本市によりますと8日現在も、宿泊客34人、宿泊施設の従業員274人が孤立状態になっています。
県松本建設事務所によりますと、復旧の見通しはたっていないということです。ただ、ライフラインはつながっていて、食料も数日分はあるということです。
旅館「中の湯温泉」・小林清二代表 「電気ついてますし、電話もつながります。これ以上、梓川の水かさが増すといろいろいけないことが起きるので、ほどほどの雨で収まってくれればと願っている」 上高地一帯では、4月下旬から付近を震源とする地震が相次いでいて、今後の雨とともに地震発生も心配しています。
また、長野市信州新町でも、国道19号から集落に入る県道や市道が相次いで崩落し、一時36世帯62人が孤立しましたが、午後6時現在は解消したということです。 
●町の中を濁流が...木曽川 長野・木曽町  7/8 
気象庁は8日午前、岐阜県と長野県に出していた「大雨特別警報」を「警報」に切り替えたが、大雨による土砂災害の危険は続いている。
8日午前11時半現在の長野・木曽町は雨がやんでいる。
しかし木曽川では、8日朝に「氾濫危険水位」を超え、今も濁った水が音を立てて流れている。
雨は朝方は非常に激しく、目を開けていられないほどで、山側の斜面に近い建物の階段では、まるで滝のように雨が流れていた。
木曽町全域の1万人余りを対象にした避難勧告は現在も続いている。
また、県内各地で土砂災害警戒情報が出ていて、松本市の上高地近くの国道では、土砂崩落が起き、宿泊客など、30人余りが孤立しているという。
気象庁は8日午前、岐阜県と長野県に出していた「大雨特別警報」を「警報」に切り替えたが、引き続き、警戒が必要。 
●長野県 大雨 1人大けが 18棟で床下浸水被害  7/9 
今回の大雨を受けた長野県の災害対策本部会議が開かれ、これまでに県内で1人が大けがをしたほか、合わせて18棟の住宅で床下浸水の被害がでたことなどが報告されました。
長野県は9日午前、今回の大雨に関する3回目の対策本部会議を開き、県の担当者が、9日朝の時点での被害状況を報告しました。
この中で人的被害については8日、飯綱町で土のうを積む作業をしていて川に落ちた男性が、あばらの骨を折る大けがをしていたことが報告されました。
また、住宅への被害では、飯田市などで合わせて18棟の住宅に床下浸水の被害が出たということです。
さらに、9日午前7時半の時点で、松本市の上高地や奈川それに木曽町と大鹿村の一部の、合わせて4か所の集落が孤立した状態となっていることも報告されました。
阿部知事は「人的被害、住宅の被害も報告されており、一部の地域では孤立した状況にもなっている。引き続き住民の命と財産を守るため、関係機関と連携して万全な対応を進めてもらいたい」と指示しました。 
●木曽町で孤立続く… 一時断水も 記録的な大雨 各地で土砂崩落 7/10 
今回の大雨の影響で各地で土砂崩落が発生しています。長野県木曽町では孤立した集落や断水が続いた集落もあります。
10日も南部や県の西側を中心に雨が続きました。土石流発生の恐れがあるとして中川村の2世帯に避難指示が出ていましたが、解除されました。
木曽町では、3世帯6人が現在も孤立状態となっています。
農家の中村好昭さん 「ためておいたんだけど、いよいよなくなりそうで…」 木曽町日義の砂ヶ瀬地区では、取水施設が近くの川の氾濫で故障し、8日から13世帯で断水状態となりました。役場の支所に水をもらいにきたのは、農家の中村好昭さんです。「また降り続くらしいので、いつまでか先が見えないので」 自宅へ戻り、蛇口をひねると…。「もういこれで止まると思う」 中村さんの自宅では、タンクにたまっていた分がまだ蛇口から少し出ていますが、これもいつまで続くかわからない状況でした。「いつになるか心配で…復旧が」 これまではバケツなどに水をためてしのいでいましたが、まもなく底をつきそうでした。「きのうは湯を沸かしたのを足して、ぬるま湯にして過ごした(体を洗った)けど、きょうはもったいないから温泉に行こうかな」 村によりますと、さきほど復旧したということですが、取水施設につながる村道が崩落し重機が入れなかったため時間がかかったということです。
11日以降も雨が降りつづく予想で、住民も不安が募っています。 
●長野県 南部中心に土砂崩れ相次ぐ 集落孤立や断水などの被害  7/12 
大雨の影響で、長野県内では11日夜から12日朝にかけて南部を中心に土砂崩れが相次ぎ、集落の孤立や断水の被害も出ています。
このうち、喬木村では、大規模な土砂崩れの影響で県道が通行止めになり、村によりますと、大島地区の36世帯64人が孤立状態になっているということです。
住民たちと連絡はとれていて、電気や水は使えているほか、今のところ体調を崩している人もいないということです。
長野県飯田建設事務所によりますと、崩れた土砂の規模は高さおよそ60メートル、幅およそ80メートルに上るとみられるということです。
建設事務所では土砂の撤去作業を進めていますが、復旧の見通しは立っておらず、う回路として、仮設の道路を作ることも検討しているということです。
また、阿智村では、村道の一部が壊れ、水道管が破損したため、11日夜から36世帯が断水しました。
断水は12日午後1時半に解消されましたが、道路の復旧の見通しは立っていないということです。
このほか、豊丘村では男性1人が土砂崩れに巻き込まれてけがをしたほか、木祖村では、住宅の床下浸水や、土砂が流出して複数の道路が通行止めになるなどの被害が出ています。 
●河川増水で木祖村などで一時、避難指示 住民が不安な一夜 7/12 
長野県内は11日夜から南部を中心に激しく雨が降り、河川の増水で木祖村と木曽町で一時、避難指示が出され、住民は避難所で不安な一夜を過ごしました。
木曽地域は11日夜から激しく雨が降り、木曽川が氾濫危険水位に達したことなどから木祖村、木曽町で一時、避難指示が発令されました。木祖村では支流や側溝から水があふれるなどし、3棟で床下浸水の被害ありました。
避難した木祖村の住民:「怖いですよ。避難するの、ずっと木祖村住んでるけど初めてです」
長野地方気象台によりますと、3日の降り始めから12日午前11時までの降水量は王滝村御嶽山1237.0ミリ、阿智村浪合634.5ミリ、木曽町開田高原603.5ミリなどとなっています。 
●土砂崩落で一時、土石流発生の恐れ 道路寸断で集落36世帯が孤立 7/12 
長野県喬木村で土砂崩落が発生し、道路が寸断され、集落が孤立していることがわかりました。
喬木村では昨夜からの大雨で加々須川沿いで土砂崩落が発生。土石流発生の恐れがあるとして、12日朝、下流の集落に避難指示が発令されました。その後、危険性が低くなったとして解除されましたが、崩落で道路が寸断され、大島地区36世帯が孤立状態になっていることがわかりました。
ライフラインに問題はないということですが、孤立解消には数日かかる可能性があり、役場職員が山道を歩いて地区に入り、問題がないか確認する予定です。 
●土砂崩落に巻き込まれ男性重傷 7/12 
長野県豊丘村で12日未明、土砂崩落が発生し、男性が巻き込まれて大けがをしました。
警察によりますと、12日午前1時ごろ、豊丘村神稲で土砂崩落があり、現場を見に行った近くに住む自営業の男性(58)が、さらに発生した崩落に巻き込まれ、牛草川に転落しました。男性は30メートルほど流されましたが、消防に救助され、足の骨を折る大けがをしたということです。
男性を最初に発見した息子は「(発見時)川の中に半分、つかった状態だった。『助けてくれ』『寒い』などと話していて、意識はしっかりしていた」と話しています。 
 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 
 

 



2020/7