電通の「闇」

電通 安倍政権を支えます
政治献金  当然 見返りはいただきます
「官民癒着」

マスコミ 電通広告に依存  広告主をお守りします 
テレビ 新聞 「電通疑惑」 続報はありません

庶民に顔を見せない 表に出ない 電通
私利私欲  利権政治の片割れ 陽にさらそう
 


電通2年ぶり黒字国民より省益が大事首相のコロナ対策コロナ給付金/電通政権と電通の深い関係電通の新規入札不参加給付金事業の執行体制持続化給付金疑惑政権支持率アップに励む電通電通クロスブレイン電通の1000万円還流問題日本を牛耳る電通の正体電通のための東京五輪持続化給付金説明会持続化給付金癒着疑惑電通と官僚の癒着サービスデザイン推進協議会吉村維新に騙されるな給付金2次補正電通社員の下請け圧力持続化給付金事務事業について経産省と電通の闇電通中抜き問題電通「癒着と中抜き」20億円中抜き霞が関丸投げ委託電通内閣官房に天上がり3年で経産省事業42件電通委託電通公共政策部電通の闇文春砲大スクープ政府広報費も半分が電通幽霊法人疑惑電通の棚ぼたビジネスNHK持続化給付金に食らいつく給付の再委託NHKの安倍政権忖度メディアが報じない安倍政権と電通の癒着万能の神「閣議決定」・・・
昔話 / 電通と博報堂電通の正体ワセダクロニクル電通ブラック企業大賞受賞文春が東京五輪スキャンダル暴露大手マスコミは電通疑惑を報じないマスメディアは電通の暗躍を報道しない・・・
 
 
 

 

ネコババ政治
テレビ 電通手配のCMで食べています
NHK 政権の広報です
新聞 波風立てないムラ社会 電通手配の広告掲載
6月上旬2週間で終戦 
テレビ 新聞 電通関連報道 消える
経済産業省が電通に変わって 言い訳HP
「本事業の執行体制等については、サービスデザイン推進協議会のホームページ等において御説明しております。」
 
 

 

日本 本来のマスコミ 絶滅しました
7月に入り 不思議 ネット上からも関連情報 激減
やはり 文春新潮頼み 
 
 

 

●電通の“2年ぶり黒字”に「安倍政権が仕事回した」「血税中抜きで儲けた」 8/15 
実際「官公庁・団体」の売上が873億円と倍増
中小・個人事業者向けの「持続化給付金」再委託の“丸投げ”“中抜き”が大きな問題となった電通だが、その電通グループが昨日13日、2020年6月中間連結決算を発表し、ネット上で再び怒りの声が高まっている。というのも、「純損益157億円で2年ぶりの黒字」だったからだ。
前年同期は12億円の赤字だった上、今年は新型コロナの影響を受けただけではなく東京五輪の延期によって広告が大きく落ち込んだはずなのに、赤字ではなく157億円の黒字──。しかも、会見をおこなった曽我有信・取締役CFOは、〈不要不急の出張や交際費の削減、執行役員の報酬減額などのコストコントロールを実施したことで増益となったと説明した〉(ロイター13日付)というのだ。
コスト削減で赤字から黒字……!? こうした報道を受けて、ネット上では「持続化給付金」の中抜き問題が再燃し、〈コスト削減?安倍政権からの持続化給付金の「中抜き」で丸儲けしただけやろ〉〈血税をたっぷり不正にパクっての黒字でしょ。持続化給付金の手数料とか〉といった意見が噴出。映画評論家の町山智浩氏も、こうツイートした。
〈コロナであらゆる産業が赤字を出しているなか、電通だけが黒字を出したのは政府が仕事を回したから。それは税金です。しかも電通自身はただ受注するだけでごっそり中抜きする。〉
しかも、こうした「政府が仕事を回したから」「中抜きで儲けただけ」というツッコミは、正鵠を射るものだ。
実際、電通グループが昨日公表した「2020年度 第2四半期 連結決算概況」のなかにある「業種別売上高の状況」を確認すると、2020年1−6月でダントツに売上高を伸ばしているのは「官公庁・団体」で、その金額は873億1400万円。前年同期比で、なんと99.9%増となっているのだ。
その他の業種は、ほとんどがマイナスか微増だから、「官公庁・団体」の大幅増分がなかったら、電通は数百億円の赤字になっていたということになる。しかも、このうちのかなりの部分は、まさに安倍政権による補助金事業の中抜きだ。
「持続化給付金」事業では、経産省は電通のダミー法人と思われる「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」に769億円で業務委託し、同協議会は749億円で電通に再委託、そこから電通は電通ライブや電通テックといった子会社5社へ645億円で外注していたことがわかっている。その電通子会社からさらにパソナや大日本印刷、トランスコスモス、イベント会社のテー・オー・ダブリュー(TOW)などに外注されているため、電通グループ全体の儲けがいくらになるのかは不明だが、このようなかたちで政府の事業を電通が請け負っているのだから、驚異的に売上高を伸ばしている理由もよくわかるというものだ。
しかも、問題は「持続化給付金」だけではない。たとえば、今年9月からはじまる総務省の「マイナポイント」事業では、サービスデザイン協議会設立時の代表理事と同一人物が代表理事を務める「一般社団法人環境共創イニシアチブ」を通じ、一部業務を電通が再委託。電通への再委託額は約139億7000万円にものぼっている。
さらに、消費税の税率10%引き上げに伴って経産省が開始したキャッシュレス決済のポイント還元事業でも、「一般社団法人キャッシュレス推進協議会」が2019・20年度に計339億円で事務を受託し、電通が307億円で再委託している。
ようするに、このような政府とベッタリの蜜月関係によって、電通はコロナ禍でも肥え太り、2年ぶりの黒字を叩き出したのである。
電通の榑谷典洋・取締役副社長執行役員は6月8日に開いた会見で、「持続化給付金」事業での最終的な利益について「我々が通常実施する業務と比較すると、低い営業利益になる。不当な利益を狙うのはルール上、不可能な構造だ」(朝日新聞デジタル6月29日付)などと語っていたが、何をか言わんや。その上、「コストコントロールを実施して増益」と説明するとは、ふざけるな、という話だろう。
経産省の家賃支援給付金事業めぐる下請けへの圧力問題の回答を拒否した電通
だが、電通はこれだけ儲けておきながら、経産省の「家賃支援給付金」事業をめぐってライバル会社の“妨害工作”をおこなっていたことまでわかっている。「文春デジタル」によると、「持続化給付金」事業で電通子会社から外注を請け負っているTOWの社員が5月24日、同事業事務局のSlack内で、下請け企業の担当者にこんな文面を一斉送信していたというのだ。
〈今後電通がある理由で受託に乗り出さないコロナ対策支援策があります。具体的には家賃補助の給付事業です。この話は電通がやりたくない、かつ中企庁もいろんなところに相談をして全て断られ、最終的に博報堂が受注の可能性があるものになりそうです。〉
〈そのため、電通傘下で本事業にかかわった会社が、この博報堂受託事業に協力をした場合、給付金、補助金のノウハウ流出ととらえ言葉を選らばないと出禁レベルの対応をするとなりました。〉
〈当然ですが弊社が協力をお願いした皆様にもすいませんが、強制的にお願いしたい次第です。〉
「博報堂には協力したら出禁」「強制的にお願いしたい」──あまりにも露骨な恫喝だが、この圧力をかけるための文面は、電通の「持続化給付金」事業を担当していた管理職の社員がTOWの社員に発言し、それをTOWの社員がまとめ、下請け企業の担当者に送っていたのである(朝日新聞デジタル6月29日付)。
この恫喝メッセージが送信された2日前である5月22日には、決算行政監視委員会で立憲民主党の川内博史衆院議員が「持続化給付金」の電通再委託問題をはじめて指摘、追及をおこなっており、それを受けて電通は〈受託に乗り出さない〉と判断した可能性が高いだろう。
自分たちに疑惑追及の手が伸びそうだと察知した途端に、博報堂の仕事を妨げようと恫喝をかける──。しかも、この「家賃支援給付金」事業の入札では、評価指標の「等級」で博報堂がAだったにもかかわらず、Cだったリクルートが落札。ここでも経産省と電通の癒着関係が影響を及ぼした可能性があるのだ。
経産省を筆頭とする官公庁との深い関係によって巨額の税金が電通に流れているのではないかという疑惑のみならず、その関係が他の事業にまで不正を生み出しているのではないか。こうした疑念を持たれるのは当然の話だが、しかし、電通は“下請け企業への恫喝メッセージ”問題が発覚しても、当該社員の処分を発表しただけで、会見を開いて説明することさえおこなわなかったのだ。
しかも、昨日の決算にかんする会見でも、この問題について質問も飛んだが、曽我取締役CFOはその質問を遮ったという(朝日新聞デジタル13日付)。さらに、〈会見後に担当者は「私たちは再委託先。協議会や経産省に問いあわせてほしい」と話した〉というのである。
恫喝メッセージを送りつけて圧力をかけるというコンプライアンスもへったくれもないことをやっておきながら、それどころか独占禁止法違反にあたるのではないかという指摘まであるというのに、質問を遮り、挙げ句「私たちは再委託先。経産省に問い合わせろ」とは……。
政府広報費だけでも6年で218億円を稼いでいた電通 安倍政権が政府広報費を倍増
自分たちの問題を「政府に訊け」と言い放つほど、どうしてこれほどまでに電通は強気なのか。無論、その強気さは、安倍政権との癒着が背景にある。
本サイトではたびたび言及してきたが、安倍政権下では官庁の補助金事業だけではなく、「政府広報」でも電通への依存が急増。民主党政権時は事業仕分けによって約41億円にまで削減された「政府広報費」は、第二次安倍政権発足以降はどんどん増額され、2020年度は約85億円と倍以上になっているのだが、その多くが電通に流れている。実際、政府から電通に支払われた「政府広報費」は、以下の通りだ。
2013年度/約17億7200万円
2014年度/約30億8700万円
2015年度/約35億6300万円
(2016年度は不明)
2017年度/約43億2200万円
2018年度/約50億7200万円
2019年度/約40億6100万円
2016年度が不明であるにもかかわらず、その額はなんと、約218億7700万円──。ようするに、安倍政権は政権PRのために国民の税金からなる政府広報費を倍増させてきただけではなく、その金の大半を電通に流していたのである。
さらに先月には、内閣官房におかれた4人の「広報調査員」のうち1人が電通からの受け入れであることが発覚、しかも前任者も電通社員だった。公募はかたちだけで、広報調査員には「電通枠」があり、ずっと電通から派遣されてきた可能性が高い。
だが、安倍政権がここまで電通を厚遇し、その金をいろんなかたちで流しているのはなぜか。政治評論家がこう語る。
「電通はいまや、“安倍政権の情報操作部隊”というべき存在です。自民党の選挙CM、広報はもちろん、ネットのSEO 対策、情報操作なども多くは電通にやらせている。つまり、こうした一体関係の見返りとして、政府事業で巨額の利益を電通に配分しているのではないか」
自民党のネット情報操作「T2プロジェクト」も電通 沖縄知事選でもSNS対策
実際、電通が長きにわたり自民党の選挙広報をほぼ独占状態で引き受けてきたことは有名だが、第二次安倍政権発足以降、その関係はただのクライアントと広告代理店のレベルではなくなった。いまでは、ネットのSEO 対策(検索エンジン最適化)、政権批判の監視やメディア、野党への匿名攻撃などまで請け負うなど、“安倍政権の情報操作部隊”というべき存在になっている。
はじまりは2013年の参院選挙だ。自民党はネット対策の特別チーム「Truth Team」(T2)を立ち上げ、専門の業者に委託するかたちでツイッターやブログの書き込みなどを24間監視。自民党に不利な情報があれば管理人に削除要請したり、スキャンダルなどネガティブな情報が検索エンジンに引っかかりにくくさせるための「逆SEO」までおこなった。
じつはこのT2という自民党のネット対策プロジェクトは、電通からの提案で始まったものだったことがわかっているのだ。
「自民党が次の総選挙で政権返り咲きする可能性が高くなった2012年夏頃から、電通が自民党に提案する形で、本格的なネット対策が始まったと聞いている」(自民党関係者)
実際、当時、自民党のデータ分析を担当していた小口日出彦氏は著書『情報参謀』(講談社)のなかで〈T2の元請けは電通だった〉と明かしている。
しかも、本サイトの取材で、この「T2」はいまも毎年、自民党から電通に発注されつづけていることがわかった。さらに、選挙や対立する政治課題が持ち上がったときは、特別な指示を出して、SNS監視や対策を電通にやらせているという。
「たとえば、先の沖縄県知事選挙でも、電通が請け負って子会社の電通デジタルなどがSNS対策をやっていた。あのときは、玉城デニー知事をめぐってさまざまなデマ情報が拡散したが、これらのなかにも電通が仕掛けたものがいくつもある」(前出・自民党関係者)
政府の補助金事業大量受注は自民党の選挙対策、ネット対策の見返りか
新型コロナでも、電通がネット対策に動いている。3月に内閣官房のTwitterアカウントが『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)を名指しして報道を否定したのは、電通とは関係なく、国際感染症対策調整室が発信したもののようだが、それとは別に、電通の子会社である電通デジタルが自民党のコロナ特設サイトを立ち上げ。あたかも対策が自民党の手柄であるかのようなPRをおこなっているのだ。
しかし、不可解なことがある。これだけいろんなかたちで電通が安倍政権・自民党の情報操作に関わっているのに、その発注金額がたいしたことがないことだ。たとえば、2018年分の政治資金収支報告書によると、自民党本部が「宣伝広報費」として電通ならびにその支社に支出した金額は合計6億1909万9607円。もちろんこれは別名目で支出していたり、ダミー会社を間に挟んでいた可能性もあるが、仕事量と比べると、この金額は安すぎるだろう。
そして、今年「持続化給付金」をめぐる巨額発注が発覚したことで、政界関係者の間では、ある疑惑がささやかれている。それは「電通に自民党の選挙対策や政権のネット対策を安価でやらせる見返りに、政府の補助金事業や政府広報で巨額の発注をしているのではないか」という疑惑だ。
今回の電通の決算で「官公庁・団体」の売上高が驚異的に伸びていることからも、この疑惑はさらに裏付けられたのではないか。
いずれにしても、巨大広告代理店に政権や自民党の広報、ネット情報操作をやらせ、一方で政府の税金を使った公的事業で甘い汁を吸わせるというのは、政治的公正さを著しく欠いた行政の私物化、不正行為としか言いようがない。しかも、その癒着にわれわれの巨額の税金が横流しされているのだ。
「持続化給付金」再委託や「家賃支援給付金」をめぐる恫喝メッセージ問題など、電通と政府の癒着問題にはいまだに不明な点が多い。そもそも、新型コロナの感染拡大でも国会を開かないという異常事態となっているが、これは本来、電通の代表者が参考人として出席した上での国会追及が必要な問題であることを、あらためて指摘しておきたい。 

 

●「国民より省益が大事」安倍政権の景気対策が決定的にズレている 8/11 
内閣支持率は「過去最低」にまで低下
NHKが8月8日から3日間行った世論調査では、新型コロナへのこれまでの政府の対応について、「まったく評価しない」(16%)と「あまり評価しない」(42%)が過半数を突破、「大いに評価する」とした人は4%にとどまった。「ある程度評価する」(34%)を合わせても、批判的な声に及ばなかった。こうした対策への批判もあって、内閣支持率は34%と第2次安倍内閣発足以降、最低水準に低下。「指示しない」と答えた人が47%に達した。高い支持率を維持してきた安倍内閣の足元が大きく揺らいでいる。
「アベノマスク」と揶揄(やゆ)された全戸2枚のマスク配布、右往左往の挙げ句に決定した国民ひとり10万円の定額給付金、中小企業や小規模事業者に対する「持続化給付金」そして「家賃補助」、東京都発着を除外して前倒しで実施を決めた「Go To トラベル」。いずれもことごとく批判を浴びる結果になった。
国民の「期待」と政府の「政策目的」がズレている
なぜか。それは政策目的と政策が合致していないからだ。言い換えれば、国民の「期待」と政府の「政策目的」が決定的にズレている。
端的な例が6月末で打ち切られた「キャッシュレス決済によるポイント還元」だ。その政策目的は、2019年10月の消費税率引き上げによる消費の下支えだった。
終了間際の6月11日時点での加盟店登録店は115万店。2019年10月1日〜2020年3月16日の対象決済金額は7兆2000億円で、消費者に還元された金額は2980億円にのぼった。
当初予算では還元分として1800億円を見込んでいたが、すぐに不足となり、2019年度の補正予算で1500億円を補充。4月には2020年度の補正予算でも755億円を追加計上した。予算を大幅に上回ったということは、当初見込んでいた以上の政策効果があったということだろう。
それにも関わらず、政府はあっさり6月末でキャンペーンを終了してしまった。しかも、新型コロナによる緊急事態宣言を解除、消費を支える政策が必要な時に、打ち切ったのである。延長すべきだという議論はほとんどなされなかった。
不思議である。消費を下支えする効果は乏しいという判断なのか。消費増税の影響は吸収されたから、もはや不要になったという理屈なのか。
経産省の目的は「消費の下支え」ではない
このキャンペーンを所管していた経済産業省は、クレジットカードや電子マネーなど、キャッシュレス化の普及拡大を目指している。消費増税後の反動減対策として売り込んだものの、経産省からすれば、それは「建前」で、本当の「政策目的」はクレジットカードなどの普及向上、利用向上にあったはずだ。
このキャンペーンは、還元額は当初予想より多かったが、キャッシュレス決済の普及という観点では今ひとつだった。もともとカードやポイント決済を行っていた若者世代の利用が多く、高齢者へのカード普及は思ったほど進まなかった。経産省が継続を強く主張しなかったのは、そんなところに理由がありそうだ。もともと消費の下支えのための政策だとは思っていなかったのだろう。
総務省が狙う“二匹目のドジョウ”
6月末時点で、経産省がご執心だったのは、企業に直接助成金をばらまける持続化給付金。6月にはその委託事業を受託した一般社団法人が、電通に再委託していた事が表面化。経産省と電通の“癒着”が疑われる事態になっていた。そんなドタバタもあったためか、あっさりとポイント還元事業は終了したのだ。
本来ならば、1回作った還元の仕組みを利用するほうが、新しい経済対策を始めるよりもコストもかからず、迅速に実施できるはずだが、国民生活より省益が優先ということなのだろうか。
それに代わってスタートしたのが、総務省の「マイナポイント」だ。紐付けたクレジットカードなどで買い物をすると、上限5000円分のポイントがもらえるというものだ。
もちろんこれは景気対策ではない。国民に不評で一向に普及が進まないマイナンバーカードを普及させるのが政策目的だ。マイナポイントの「お得感」を出すためには、経産省のポイント還元キャンペーンは邪魔という事だろう。経産省から総務省に「釣り場」を譲るかのように交代した。狙いはともかく利用が予想以上だった経産省のキャンペーンの“二匹目のドジョウ”を総務省が狙っているのは明らかだ。
「27.8%減」以上の大打撃を被っている業界もある
内閣府が8月17日に発表した4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値は、予想されたこととはいえ、衝撃的な数値だった。物価変動の影響を除いた実質の季節調整値は、1〜3月期と比べて7.8%減だった。年率換算すると27.8%のマイナスで、リーマンショック直後の2009年1〜3月期の年率マイナス17.8%をはるかに上回り、戦後最大の落ち込みとなった。
27.8%減という数字は、4〜6月期の3カ月が1年続くと仮定した場合の数字で、最終的に2020年暦年や2020年度の年間のマイナスがそこまで大きくなることはないとみられる。政府は7月30日に「年央試算」を公表したが、それによると2020年度の成長率は「マイナス4.5%程度」。リーマンショック時の2008年度の実質マイナス3.5%(名目はマイナス4.1%)よりも影響は大きいと見ているわけだが、せいぜい0%から2%程度の成長しかしてこなかった日本経済からすればただ事ではない。それでもこの見通しは「甘い」という声が上がる。
注意が必要なのはGDPは全体の平均値だということだ。新型コロナ下でも業績を伸ばし設備投資を増やしている企業もある。一方で、GDPの数字とはケタ違いの大打撃を被っている業界もある。旅行業や宿泊業、飲食業など、4月、5月は営業休止で売り上げがほとんどゼロになり、6月の再開後も昨年の半分以下というところが少なくない。
なぜ国交省は「Go To トラベル」の実施を急いだのか
旅行業者の監督官庁である国土交通省が「Go To トラベル」の前倒しにこだわったのも、こうした業界の惨状を放っておけなくなったからだ。もちろん政治家も選挙区の事業者からの悲鳴を聞き、役所の尻をたたいた。東京都民を除外して「不公平だ」という声があがっても、後戻りしなかったのはこのためだ。
だが、この「Go To トラベル」も政策目的とタイミングが大きくズレていた。もともと「Go To トラベル」を立案した段階では、新型コロナが終息した後の、景気回復を後押しする政策だったはずだ。人の移動を活発化させ、景気を一気に元に戻すことが政策目的だった。
ところが、事業者が苦しいからといって、新型コロナが完全に収まっていない段階で、実施に踏み切った。人を動かせば新型コロナ蔓延が日本全国に広がることは初めから想定された。つまり、もともとの政策目的とは違ったタイミングで実施に踏み切ってしまったのだ。これも、国交省が経済対策や感染症対策は自分たちの業務ではないと思っているからで、管轄する事業者をどう救うかだけが先行してしまった結果とみていいだろう。
このままではコロナ不況の「第二波」がくる
マスク配布はともかく、定額給付金や持続化給付金の「政策目的」は、資金繰り破綻を防ぐことだった。売り上げが「消えた」中で、迫る月末の支払いを賄うキャッシュが必要だったのだ。だから「公平さ」を度外視してでも、「早く」配る必要があったのだ。事業者から「遅い」という批判が上がったのはこのためだ。
批判は浴びたものの、こうした給付金支給で、事業者の破綻が激増することを防げたのも事実だろう。東京都など自治体の休業補償も「金額が少ない」といった批判はあったものの、「つなぎ」の役には立っている。
問題は、これからだ。GDPの数字は前の3カ月との比較なので、まがりなりにも事業を再開したところが多い7〜9月は、4〜6月に比べて大きなプラスになることは確実だ。だが、それは一種の数字のマジックで、回復過程に入ったという話ではない。発表される11月中旬は、年末賞与の大幅なカットや残業代の削減、あるいはリストラなどが表面化し、国民の景況感はさらに厳しさを増しているに違いない。放っておけば、消費がさらに激減して、コロナ不況の「第二波」が襲うことになりかねない。
そうした経済の底割れを防ぐには、年末年始の需要期の消費を喚起するための政策を打つことだ。その具体策や予算、規制改革を決めるには早いうちに国会を召集して法律を通す必要がある。その原案を作るのは今だ。安倍首相も政治家も霞が関の官僚たちも、夏休みをとっている場合ではない。 

 

●安倍首相のコロナ対策は“電通生かし”か? 8/6 
日本最大の広告代理店・電通。“殺人的な業務強度”で日本で社会問題にもなったこの会社が新型コロナウイルス感染症が流行している局面で再び世論の口の端に挙がった。安倍晋三政権が推進中の新型コロナ関連の経済対策の相当な部分が電通と関連しているという疑惑が提起されたからだ。
現在、日本政府は新型コロナ流行の余波で売り上げが急減した中小・自営業者に最大で200万円の資金を支援する、いわゆる“持続化給付金”支援事業を施行中だ。日本政府はこの事業の支援対象選定などの業務を『サービスデザイン推進協議会』という民間団体に委託したのだが、最近この団体の実態が電通の“幽霊法人”だという主張が提起され論争が起こった。
電通の職員だったAさんが2016年に設立した同協議会が経済産業省から持続化給付金事業を受注した金額は769億円。しかし協議会は749億円を支払って同事業を電通に任せ、電通は再び関連広告制作を含めた細部業務を子会社に任せて645億円を支払った。下請けおよび再下請け過程だけで事業費用の124億円が“蒸発”してしまったのだ。
電通はこれに先立って日本政府が新型コロナ関連の景気活性化のために推進中の『Go To』キャンペーンの民間事業者としても有力視されていた。しかし、“持続化給付金”関連の論争が浮上したことで結局日本政府は『Go To』キャンペーンの事業者再公募を実施しなければならなかった。
実は、電通が日本の政界、特に自民党と関係を結んできたのは昨日今日のことではない。1950年代から自民党の選挙公報戦略の樹立や広告制作などを引き受けてきたからだ。
安倍首相の昭恵夫人も過去に電通で勤務していた経歴があり、何故か2012年末の安倍首相の総理再就任後には毎年欠かさず電通出身者が内閣官房傘下の「内閣広報室」で勤務してきた。内閣広報室は首相官邸のインターネット広報などを担当する部署だ。
しかも、今年7月に開催予定だった東京オリンピックも電通が誘致準備段階から参加した結果物の1つだ。
電通専務出身の高橋治之 東京オリンピック組織委員会理事は2013年に誘致戦で誘致委員会のコンサルタントを務め、国際オリンピック委員会(ICO)関係者にデジタルカメラや腕時計などを贈り、直接“ロビー活動”を行ったことで知られている。オリンピックの日本マーケティング権とアジアマーケティング権を独占している電通は当時、“社運をかけて”東京オリンピック誘致に乗り込んできたと言われている。
しかし、予想外の新型コロナ流行で東京オリンピックが来年に1年延期されたうえ、中止になる可能性まで言われながら、最近日本では電通が“直撃打”を受けるとの見通しが出ている。
内田樹 神戸女学院大学名誉教授は6月、ウェブマガジン「ニュースソクラ」とのインタビューで「(オリンピックが中止になれば)電通が倒産するという話が聞こえる」とし、“持続化給付金”関連の疑惑も結局は電通の資金難から始まった可能性が高いとも主張した。
このような中、最近日本では連日1000人台を行き来する新型コロナの新規感染者が報告されている状況だ。1日の平均新規感染者数はすでに4月の緊急事態宣言発令当時を上回っている。
しかし、安倍首相はこの日、記者と談話する席でも新型コロナの拡散について「すぐに“緊急事態宣言”をしなければならない状況ではない」とし、防疫と景気活性化対策を並行するという立場を再度明らかにした。
安倍総理は重症患者数が4月よりも少ない上、新型コロナ患者用の病床も十分に確保しているという点をその理由に挙げたが、それよりは内田教授が指摘したように電通問題など他の“大人の事情”があるのではないかとの見方が多い。 

 

●「コロナ給付金」見えない下請け実態 電通関与になお不透明感 7/28 
新型コロナウイルスで打撃を受けた中小企業への支援策として、国内最大の広告代理店、電通(4324.T)が関わる経済産業省の「持続化給付金」の実施を巡り、不透明な業務委託や運営実態に批判が広がっている。電通は今月22日、事態を収拾するため、同省の新規事業は当面受託しないなどの対応策を発表した。しかし、事業の全容が公表される可能性は低く、不透明感の払しょくは難しい情勢だ。
同給付金は総額2兆円を超す予算を投じ、新型コロナの打撃を受けた中小企業の経営を支援することが目的。今年4月に給付業務を受託した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」(サ協、東京・築地)は、電通など3社が2016年に設立した非営利の民間団体だ。同年には経産省から「おもてなし規格認証」事業の運営などを受注、翌年にはIT導入支援補助金事業を請け負った。
今回の給付金事業では、同協議会は受託総額769億円の大半にあたる749億円の事業を電通に再委託し、申請書類の審査からウェブサイトの立ち上げや受付コールセンターの設立まで実際の業務のほとんどを任せた。電通はさらにグループ会社を通じ、業務を数十に上る他の企業に外注した。
経産省によると、業務の委託先は契約額1億円以上の企業だけでも電通を含めて63社ある。このうち社名が公表されているのは14社。残る49社の社名は明らかにされていない。サ協の資料によると、企業の社名や下請け額などが公表されていない外注分は少なくとも約260億円あり、全体の3分の1に達していることがわかった。
同省関係者によると、委託先は少なくとも5次下請けまで広がっており、事業の実施体制は極めて広範囲に細分化されている。
<首相は「ルールにのっとった選考」>
政府はなぜ同補助金の給付業務を電通と結びつきの強いサ協に委託したのか、その業務はどこに外注され、受注資金はどのように使われたのか──不透明な事業の実態に対し、中小企業や野党議員からは疑問の声が挙がっている。
電通は歴史的に自民党とのつながりが深い企業だ。長年、同党の政治活動に協力し、1964年の東京五輪ではPR活動などにも積極的に携わった。電通は近年、スポーツ関連事業に力を入れ、1年延期された2020年東京五輪の招致に向けマーケティングを担当、国内企業から過去最高となる約31億ドルのスポンサー料を集める上で大きな貢献をしている。
同社は2016年5月、人材派遣大手パソナ(2168.T)、ITサービス請負大手トランスコスモス(9715.T)とサ協を設立。理事のうち3人は電通のグループ会社出身で、従業員も数人出向している。
今回の事業でサ協を選定したことについて、政府側は「ルールにのっとったプロセスを経て決定された」(安倍首相の6月の国会答弁)と繰り返す。経産省・中小企業庁の担当者はロイターの取材に対し、委託先は一般競争入札で選定し、総合的に評価したとしている。
経産省によると、入札ではコンサルティング会社のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーがサ協と受注を争った。このとき、デロイトが経産省側と面談したのは2回、そのうち1回は電話だった。一方、サ協は3回の直接面談を行っており、電通関係者も出席した。経産省は、適切な手続きを踏んだとしている。
デロイトの広報担当者は、この入札手続きについてコメントしなかった。
<ほぼすべての業務を下請けに>
業務に携わっている企業を一部しか公表していないことについて経産省は、日本の情報公開法の下では当該企業に競争上マイナスの影響が想定される場合は開示する必要がない、と説明している。
サ協によると、電通からの最大の外注先はイベント子会社の電通ライブで、約596億円で契約を結んだ。そこからさらに10社以上が業務を受託、うち4社の名前が公表されている。
こうした業務の分散について、電通の広報担当者はロイターにメールで回答し、「不透明という認識は全くない」と明言。「全国各地に申請サポートセンターを設置するなど、1万人以上の体制で業務を推進しなければならない」、「そもそも1社で対応できるようなレベルの公共事業ではないと考えていた」と、複数の企業が関与する必要性を強調した。
同社は6月に行った会見で、自社が元請けにならなかったことについて、サ協にはIT導入支援補助金事業などの業務を受託した実績があるためだと説明。また、給付金の振り込み通知はがきの名義が電通になっていると受け取った側が混乱する可能性がある、との理由もあったという。
さらに電通はロイターに対し、経理部門から「自社のバランスシートに影響に加え、通常の業務が滞る可能性がある」との指摘があったため、自らが主導しないことを決めたとも説明した。
電通とともにサ協に役員を送っているトランスコスモスとパソナはロイターの問い合わせに対し、ともに「当社が回答する立場にない」として、同事業についてのコメントを控えている。
ロイターはサ協に、持続化給付金事業の入札に元請けとして参加した理由を尋ねた。サ協は過去に政府から事業を受託した経験を踏まえ、「当協議会が幹事社となることが適切であると判断した」とメールで回答した。今回の事業のためにスタッフを雇い、銀行を通じて振り込み作業を支援した、という。
サ協のオフィスがあるのは、ペルシャ絨毯の店を1階に構える東京・築地の雑居ビル。社内では数人の従業員が明るい蛍光灯の下でノートパソコンに向かって作業していた。デスクやクローゼットもまばらでガランとしたこの1室が、中小企業支援事業の全体を統括している。経産省の担当者よると、サ協は企業との調整、政府との連絡役をしているという。  
●電通という会社 7/27 
一般的には、電通は広告会社だと思われている。マスメディアの広告やCMを取り仕切る最大手の会社であるのは間違いないが、それだけではない。そんなことを多くの人たちに気づかせたのが、コロナ禍での中小企業向け対策である「持続化給付金」事業を、国から委託されたことだった。しかも、直接入札したのが実体のない「サービスデザイン推進協議会」で、電通に再委託して中抜きを行ったから、強い批判を受けることになった。コロナ対策については「go to キャンペーン」も強行されたし、2次の「持続化給付金」もあるが、批判を浴びて、電通は応募をやめるようだ。
電通は日本最大手で世界第5位の広告代理店である。ウィキペディアによれば、1901年に「日本広告」という名で設立され、1907年に通信業務を加えて「日本電報通信社」(電通)になった。満州国で「満州国通信社」を創設して国策会社となったが、戦後は広告業務に限定した会社として再出発をした。テレビの普及とともに企業は急成長し、1984年のロス五輪以降スポーツイベント等に業務を拡大して現在に至っている。コロナで延期になった東京五輪についても、国や都の命を受けて開催権獲得に強い力を発揮したと言われている。
現在では電通は広告会社ではなく、さまざまなイベントを企画し実行する会社であり、国から委託されるさまざまな業務を引き受けて、下請けの会社に再委託する会社になっている。経済産業省や総務省などとの関係を強くし、また内閣府にも深く入り込んで、この国の政策やその宣伝方法、あるいは世論の操作や政権批判に対する情報監視の役も担っているようである。過労死事件などが起きて、その企業体質が問題にされたりもしたが、国との強い関係が変わっていないことは、今回の業務委託でも明らかである。何しろ官僚の天下りは、他社の追随を許さないほどなのである。
電通が国の政策に大きく関わっている例としては、原発行政とその宣伝が上げられる。このコラムでも本間龍の『原発広告』を取り上げたことがある。原発広告は3.11前までに総額で4兆円以上が使われ、安全神話の造成とメディアの懐柔という役割を果たしてきた。この本には、そのような実体について、メディアがほとんど批判してこなかった経緯が詳しく書かれている。この国と電通とメディアの関係は、延期になった東京オリンピックでも変わらない。主要な新聞やテレビはオリンピックを協賛しているから、そこにある問題を面と向かって取り上げて批判することなどできないのである。
内田樹がTwitterで「『電通は五輪延期と裏金疑惑の訴追で経営危機に瀕するのではないか』ということは新聞読んでれば誰でも推察することだし、『その場合何が起きるのか』は多くの人が知りたいことだと思うけれど、この主題についてはすべてのメディアが完全黙秘していますね。」と書いて、「メディアを久しく支配してきた巨大広告代理店が経営危機でメディアの現場をグリップできなくなった場合に『何が起きるか』ということに僕は興味があるんですけれど、誰かシミュレーションしてくれないかな。」と続けている。
全く同感だが、どうせなら、オリンピックが中止になり、安倍政権が倒れたらどうなるかまで予測したくなる。電通と日本とどっちが先につぶれるか。悪い冗談ではないことが恐ろしいのである。  

 

●安倍政権と電通の「深い関係」 内閣広報室、9年連続採用はなぜ? 7/24 
首相官邸のインターネット発信などを担う内閣官房の「内閣広報室」が9年連続で広告大手・電通から1〜2人を受け入れている。2012年12月に発足した第2次安倍政権では、一貫して電通が官邸の情報発信にかかわってきたことになる。電通はなぜ、官邸とここまで「深い関係」になったのだろうか?
政府が毎年10月現在(14年までは8月現在)のデータを公表している資料「民間から国への職員の受け入れ状況」によると、内閣広報室は08〜10年、ヤフーとシーエー・モバイルから各1人の計2人を受け入れていた。
民主党政権だった11年には広告大手の博報堂2人、ヤフー1人、日産自動車1人の計4人と増えた。当時の政府関係者は「仙谷由人官房長官(故人)が『政府広報に民間の専門家を入れるべきだ』と主張し、博報堂などが入った」と振り返る。さらに政権末期の12年、民間からの受け入れを一気に10人に増やし、広告大手からは博報堂2人に加え、電通1人が新たに採用された。
ところが、第2次安倍政権発足後の13年には博報堂が外れ、電通は2人に増えた。内閣広報室はその後も毎年10人前後を民間から受け入れており、電通からは毎年1〜2人を採用している。一方、ライバルの博報堂は第2次安倍政権で採用されたデータがない(ただし、グループ関連会社の「博報堂DYキャプコ」は18、19年に採用された)。
現在、電通からはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)運営を担う非常勤職員「広報調査員」1人を公募で受け入れている。採用予定期間は今年4月1日から2年間で、前任者も電通からの受け入れだった。近年はとりわけSNS発信に電通が深く関わっているようだ。
しかし、なぜ内閣広報室は9年間も電通からの受け入れを続けているのか。事実上の電通枠ではないのか。この点について内閣広報室は「結果としてたまたま続いているだけで電通枠というものはない」とコメント。さらに(1)電通から受け入れた職員は9年間で計何人で、どんな仕事をしてきたのか(2)常勤か非常勤か(3)政府が職員受け入れを巡り電通に打診または要請したことはあるか――との質問に対しては「職員の個人情報にかかわるので、お答えすることは差し控える」と回答した。
一方、電通広報は9年間で何人が採用されたかなどについて「内閣広報室の人事に関することであるため、同室までお問い合わせいただきますよう、よろしくお願い申し上げます」と文書で回答した。
電通からの受け入れが始まった12年ごろは何があったのか。政治とメディアに詳しい東工大リベラルアーツ研究教育院の西田亮介准教授(社会学)は「電通は古くから自民党との関係性を保ってきましたが、とりわけ13年の公選法改正に向けて、ネット選挙対策なども電通が自民党の広報にコミットしていたとみられます。一方、当時の民主党の広報には博報堂がコミットしており、民主党政権の政府広報に博報堂の方が採用された際にも『癒着ではないか』との指摘はありました。日本の場合、一般に政府・与党の距離が近いので、政党の広報を請け負っている広告代理店に政府広報もやらせたいというのはあるのでしょう」と語った。
さらに「ただし、9年連続採用は露骨ですね。政府の事業をアウトソーシングすると、国民から資金の流れが不透明になり妥当性の検証もしにくくなります。実際、(持続化給付金事務事業を電通に97%再委託した)サービスデザイン推進協議会にしても再委託の先のお金の流れが出てこないなど、透明性が落ちています。多用は好ましくない」と指摘し、「電通の社員が9年間、どういう経緯と選考過程で政府に来ていたのかは明らかにされるべきです。公募だったのか、電通ありきで人事交流していたのか、内閣広報室は公開すべきだ。個人情報だから非公開とのことですが、職員個人ではなく採用枠について聞いているので、非常勤かどうかすら明らかにしないのはおかしい」と政府の対応に疑問を投げかけた。やはり、政府にはもう少し透明性を高めてほしいものだ。  

 

●電通、経産省の新規入札に当面不参加 批判かわす狙いか 7/23 
政府の事業の民間委託をめぐり、広告大手電通は22日、経済産業省が委託先を選ぶ入札に当面参加しないと発表した。グループの子会社を含め再委託での参加などもしないという。
電通は持続化給付金の手続き業務を、一般社団法人サービスデザイン推進協議会から再委託されている。これについて野党などから、協議会は電通が実質的に運営しており再委託するための「トンネル団体」になっているなどと追及されていた。電通が再委託された業務をさらにグループ会社に外注していたことも、「中抜き」につながると批判されている。
電通は22日ホームページに、受託業務における取引方法について見直すとの文書を掲載した。社内の取引委員会のもとに事務局を置いて検討するという。見直しが完了するまでは、「経産省が実施する新規事業の公示案件への応札は控える」としている。
「Go To キャンペーン」を含め政府の事業の民間委託が注目されるなか、電通としては野党などの追及や批判をかわす狙いがありそうだ。
経産省は手続き業務について、 ・・・ 
●経産省事業の新規入札見送り 「持続化給付金」批判で―電通 7/23 
電通は23日までに、経済産業省が実施する新規事業への入札を当面見送ると発表した。新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた中小事業者を支援する経産省「持続化給付金」事業を請け負った経緯が不透明だとの批判を踏まえた。
電通は既に国の受託業務の在り方を見直すため社内に事務局を設置。取引形態の審査や業務プロセスの管理など執行の適正化に取り組んでいる。電通は「見直し作業が完了するまで控える」と説明しており、民間委託の透明性向上策を年内にまとめる経産省有識者検討会の結論が出るまでは入札しない見通しだ。 
●電通、経産省事業を受託しない方針 持続化給付金委託問題で批判受け  7/23 
国の持続化給付金の不透明な業務に対する批判を受け、広告大手の電通は22日、当面の間、経済産業省の新規事業を受託しないことを発表した。同社から外注を重ねる業務などについて社内で見直しを行うため。28日に競争入札が締め切られる2020年度第2次補正予算分の給付金事務委託にも参加しない。
1次補正分の給付金事業では、経産省から直接受注した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会(サ協)」に隠れる形で、電通に事業の大部分が再委託されている。電通からは子会社5社などに外注が重ねられるなど、事業に関与する企業は判明分だけで63社に上り、予算の無駄につながる疑念がある。
同社から外注を繰り返す不透明な事業の流れについて検証するため、電通は法務や経理担当の幹部ら5人でつくる事務局を社内に設けた。検証結果が出るまで、子会社などグループ全体で、再委託・外注先となることを含めて経産省の事業を受託しない。一方、すでに業務が進行している1次補正分の給付金事業については業務を続ける。
電通広報部は「事業体制のあり方を検証して改善につなげたい」とするが、検証結果を公表するかどうかは未定。電通が設立に関与し、同社に給付金事業をほぼ丸投げしていたサ協は「今後の方針については理事会などで協議し、適切に対応したい」として、2次補正分の事務委託に応札するかどうかを明らかにしなかった。 

 

●持続化給付金事業の執行体制等について 経済産業省 7/20現在 
持続化給付金事業の執行体制等について
持続化給付金の執行については、一般競争入札の結果、事務局業務を一般社団法人サービスデザイン推進協議会に委託しております。
本事業の執行体制等については、サービスデザイン推進協議会のホームページ等において御説明しております。
なお、本事業に要した経費については、事業を実施した後、中小企業庁が実際にかかった経費を確認する確定検査を実施し、精算することとなるため、現時点において契約額の全てが事業者に払われているという事実はございません。
執行体制等についてのよくあるご質問(Q&A)
Q 持続化給付金事業の再委託先である電通は、なぜ直接事業を受けないのですか。
A .6月8日に行われた、一般社団法人サービスデザイン推進協議会と株式会社電通の共同の記者会見において、
1 同協議会に各社のノウハウが集まり、過去にも同じ体制で様々な受注経験があること、また、中立性などを考えても、同協議会が受託者となる判断を行ったほうが良いと考えたこと
2 電通としても、給付金全体が巨額の預かり金となるため、経理面から会社として受けない 判断を行ったと説明がありました。
・経済産業省としては、一般競争入札において、民間事業者により提案された履行体制を含め全体として今回の事業をやり遂げるに最適であると判断して、同協議会を採択したものであります。Q.一般社団法人サービスデザイン推進協議会は、実態がない組織なのですか。A.同協議会は、経済のサービス化などの経済・社会環境の変化を踏まえ、新たなサービスデザインとその市場創造を進めていくことを目的として、2016年に設立された団体です。
・同協議会は、サービス産業の生産性向上などの観点から、民間サービスや市場の調査・分析、コンサルティング業務を行うほか、中小・小規模事業者のIT導入を支援する「IT導入補助金」の電子申請の受付けや審査等を行う補助金事務局を担うなど、電子申請による補助金 執行のノウハウを有している団体と承知しております。
・本事業でも、全体の工程管理業務や振込関連業務を担当しており、実際に申請開始後、1日もシステムが止まることなく申請・給付を継続し、既に230万件以上の事業者に、約2兆円を超える給付金をお届けしております。
Q 一般社団法人サービスデザイン推進協議会への委託によって、事業費の中抜きが行われているのではないですか。
A 同協議会には現在21名のスタッフがおり、今回の持続化給付金事業においては、全体の工程管理業務や振込関連業務を担当しており、事業開始時点では、総額18.1億円(税抜)の事業費を想定しております。
・事業費の主な内訳は、1振込手数料:約15.6億円、2人件費:約1.2億円、3振込業務に係る専門人材の確保等:約0.7億円、4人員の旅費や事務補助要員の人件費、消耗品の購入費や事務機器のリース料等の事務経費:約0.6億円を計上しております。
・事業費の大半は、事業者の皆様へ給付金をお届けするための振込手数料であり、その他の費用も事業の工程管理など必要な作業とそれに伴う人件費です。
・また、これらの費用については、事業終了後の確定検査において、例えば、人件費であれば業務日誌等、外注費であれば仕様書・納品書など証ひょう書類をチェックし、適切な会計処理がなされているかを確認の上、必要な金額のみを支払うこととなっており、中抜きとの指摘は当たらないと考えております。
Q 持続化給付金事業は、事業の多重構造など不透明な点があり、経済産業省は事業全体を管理できていないのではないですか。
A 今回の持続化給付金事業については、コロナ感染症が拡大する中で、三密を避けながら、200万を超える事業者に給付金を届ける前例のない事業であり、一社が単独で実施するのは困難な事業でもあります。
・今回、サービスデザイン推進協議会がコンソーシアム形式で、多くの事業者が強みを持ち寄り、役割分担をする執行体制で事業を行っております。
・まだ未給付の方々もいらっしゃることは申し訳ありませんが、既に230万件以上の事業者の方々に給付金をお届けしている実績もあり、この執行体制が問題とは考えておりません。
・事業の透明性を確保するため、事業終了後に証ひょう書類を厳格に確認して精算する仕組みでありますが、国民の皆様のご懸念を払拭するために、1使途が不明なお金は一切支払わず、2これまでの支出の妥当性を確保するためにも、6月29日に中間検査に着手しました。 

 

●「持続化給付金」 疑惑の裏で蠢く“経産省出身”官邸官僚  7/18 
「持続化給付金」の事業は、得体の知れない社団法人に丸投げされた。電通との癒着など、現在、槍玉に挙げられているのは中小企業庁の前田長官。だが、前田長官はスケープゴートに過ぎない。この中抜きシステムを作ったのは、誰だ?
20億円を中抜き
政府の持続化給付金に対する事業者の怒りが収まらない。名称通り、中小零細企業や個人事業主がコロナ禍に事業を続けられるようにする支援策だ。前年から売上げの半減した個人事業主に最大100万円、企業向けに最大200万円を給付する。
政府はそのため2兆3176億円を2020年度の第1次補正予算で計上。第2弾としてこれまで対象外だった今年創業の会社等へも支援を拡大し、1兆9400億円の予算を積み増した。4兆円を超える大盤振る舞いへの期待は高い。
ところが、5月1日に申請の受付けを始めた肝心の現金が、ひと月経っても届かない。そこから騒動に火がつき、わかりにくい事業そのものの仕組みに対する不評を買った。
そんな折に飛びだしたのが、持続化給付金事業の受け皿となった「サービスデザイン推進協議会」(以下サービス協議会)なる一般社団法人の存在だ。持続化給付金を配る経済産業省の外局である中小企業庁が、その事務手続きを得体の知れない社団法人に任せている。表向きコンサルティング会社「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー」と2社で争う競争入札の形をとり、サービス協議会が事務作業の費用として769億円で事業を受託した。だが、受注の経緯がいかにも胡散臭い。デロイト社は単なるアテ馬ではないかと疑念を呼んだ。
4兆円を超える給付事業の受け皿となったサービス協議会には、広告代理店の電通、人材派遣業のパソナ、コールセンターのトランスコスモスの重役が代表理事に名を連ねている。実態は電通が設立したと言っていい。オフィスには常勤社員も見あたらない。おまけに委託額の769億円の97%にあたる749億円を電通に再委託する丸投げぶりだ。事業はそこからパソナなどに再々委託されている。
つまり実体のない法人が給付事業の受注額から20億円を中抜きしているのだ。まるで公共事業を丸投げするトンネル会社のシステムではないか。普通に考えればそうなる。そこでやり玉にあげられたのが、経産官僚の前田泰宏(56)である。
安倍政権では、首相や官房長官の側近である官邸官僚が絶大な権勢を振るってきた。その親玉が首相の政務秘書官と補佐官を兼務する今井尚哉(61)なのは、誰もが認めるところだ。経産省出身の今井は、産業政策局長の新原浩朗(60)や首相事務秘書官の佐伯耕三(45)といった後輩官僚たちを従え、自らの政策を実現する。経産内閣と呼ばれて久しい安倍政権は、いまや経産省出身の官邸官僚が操る傀儡内閣とまで揶揄されるほどだ。
経産幹部の意外な感想
そんな官邸官僚たちの独断専行は、昨今のコロナ対策でもますます顕著になっている。唐突な小中高全国一斉休校にはじまり、ようやく国民に行きわたったアベノマスク、所帯単位への30万円から全国民10万円に切り替わった給付金……。今井・新原・佐伯という経産出身の官邸官僚ラインが指令し、霞が関の官僚を動かしてきた。が、彼らの政策は外してばかりだ。
トンネル会社を使った持続化給付金事業もまた、その典型といえる。「経産の官邸官僚による新たな失政か」とばかりに、野党やマスコミが囃し立ててきた。批判を要約すると次のような塩梅だ。
「持続化給付金事業を受注した“幽霊法人”の背後には、中小企業庁長官の前田と電通の癒着がある」
「サービス協議会の業務執行理事である元電通の平川健司は、3年前に前田が企画した米国研修ツアーに参加するほどの間柄」
前田は米テキサス州で開かれる「サウス・バイ・サウス・ウエスト」(S×SW)のイベント視察に出張した際、「前田ハウス」と称した宿舎でパーティーを開いた。その前田と元電通の平川の関係について6月11日の参院予算委員会で前田自身が答弁に立った。
「ホテルの外にあるコーヒーのバーみたいなところで(平川と)お話しした記憶がある。それからパーティーの席でも、一度だと思うが、参加されたのではないか」
前田が立憲民主党副代表の蓮舫の質問に答えると、蓮舫が歯切れよく責め立てた。
「たまたま平川さんと、ホテルのコーヒーバーで会って、たまたまパーティーで会って、偶然だという説明に、国民は納得しますか」
実際、政府がコロナ禍のドサクサに紛れ、血税を使って電通に儲けさせている構図がうかがえる。だが、その実、よくよく騒動を振り返ると、どうも様子が異なるのだ。経産省のある幹部は次のような意外な感想を漏らした。
「報道や国会を見ていて、『あれ、前田さんはいつから電通と近くなったのかな』と不思議に感じました。彼は電通と激しく対立してきましたし、それどころか安倍政権とはそりが合わない。だから妙なんです」
学生時代に漫才コンビ
前田自身は資源エネルギー庁にいたこともある。省内でエネルギー畑を歩んできた今井の後輩官僚にあたり、いっしょに仕事をしてきた時期もある。経産官僚がこう続ける。
「前田さんは省内でずっと大言壮語していましたが、今井さんは指示を確実に実行する新原タイプが好みで、反論すると嫌がるから、あまりいい関係ではないでしょう。前田さんは村田(成二元事務次官)に気に入られていて、最近は安藤(久佳現事務次官)の覚えがめでたい。テキサスの出張も前田さんらしい、と思いますが、国会会期中に部下を連れて訪米ができるのは安藤さんが認めているから」
前田は経産省内で異端、異能と呼ばれてきた。親分肌の前田を慕う前田チルドレンのような後輩官僚が大勢いるが、いわゆる官邸官僚ではなく、その対極に位置するという。
兵庫県出身の前田はイベント好きで知られる。関西弁で話し、東大時代には「浪速お達者クラブ」という同好会を立ち上げ、地方のイベントを企画してきた。友人の1人が話す。
「入省試験でも、学生時代のイベント体験が受けたそうです。東大時代には関西出身の友人と漫才コンビを組んでいたとか。相方はテレビ局に入り、偉くなっているそうです」
軽いノリのタイプらしい。それもあってか、経産OBの古賀茂明の前田に対する評価はあまり高くない。
「安倍政権では規制緩和をやる気がなく、経産省は仕事がありません。だけど規制緩和を進める先進的な役所のイメージを保たなければならない。前田君を見ていると、自分を大きく見せるのは得意だけど、本当に勝負できる人間ではない気がします。前田ハウスなんかもそう。前田君は面白い人間で非常に目端がきいている。S×SWは星の数ほどある米国のイベント中でも最先端のビジネスカンファレンスの1つです。次官の安藤君は慎重派タイプで、自分にないものを補ってくれるから前田君を重宝しているんじゃないかな」 

 

●安倍政権の支持率アップに励む電通と“経産トリオ” 7/14 
改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、経済再生担当大臣の西村康稔が新型コロナウイルス感染症対策本部の副本部長に就任した裏には、経産官僚の先輩である首相補佐官の今井尚哉の後押しがあった。その今井を中心に、経産省の経済産業政策局長である新原浩朗と首相事務担当秘書官の佐伯耕三を加えた経産官僚トリオ≠ェ、多くのコロナの政策を立案してきたといえる。西村は厚労大臣に代わり経産トリオが担ぎやすい神輿のような存在かもしれない。既報の通り、そのコロナ対策の第一弾が小中高の学校の全国一斉休校である。この全国一斉休校を発案したのが、今井と佐伯だとされる。
2月27日、午前中に文科省で事務次官の藤原誠の報告を受けた文科大臣の萩生田光一が藤原を伴って午後1時半に官邸に出向いて反対の意向を示し、説明を求めた。文科省の懸念は休校中の母親の勤務補償はどうするのか、という点だったが、「春休みの前倒しだから(必要ない)」と押し切った。この間、首相の女房役である官房長官の菅義偉も蚊帳の外だ。
「責任はこちらでとりますから、大丈夫です」
今井は官邸に駆け付けた萩生田たちを前にそう胸をたたいたという。
「根拠を示さず、感染者がゼロの自治体もあるのにそもそも全国一斉に休校する意味はあるのか」「高齢者に重篤傾向が高いのに子供を休ませる必要があるのか」
案の定、休校の発表と同時に、母親たちから不安の声が殺到し、対策本部は右往左往する。その後、若年層のコロナ感染が増えたため、母親たちの声はなんとなくかき消されてしまった感がある。が、実際は想定外の非難に官邸は右往左往した。
経産トリオによるコロナ対策の第二弾がアベノマスクと安倍首相と星野源とのコラボ動画発信だ。いずれも発案者は昨今ことに首相が信をおく佐伯だという。第二次安倍政権の発足以来、官邸はソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を駆使した支持率アップに励んできた。そこで電通が貢献してきた。官邸でSNSに携わる職員は10人ほどおり、そのなかでも「広報調査員」なる肩書の職員がツイッターやインスタグラム、LINEやフェイスブック、ユーチューブ、メールマガジンの管理、運営を担ってきた。そこに電通の社員が出向し、安倍政権のPR戦略を練ってきた。なぜか官邸側は星野とのコラボ動画について広報調査員はかかわっていないと否定するが、電通の出向者はそれだけではない。内閣官房の「情報通信技術総合戦略室」(IT総合戦略室)に2人、「まち・ひと・しごと創生本部事務局」に3人を送り出している。ちなみにIT総合戦略室への派遣社員は新型コロナウイルス感染症対策推進室の勤務を兼ね、うち1人は広報担当補佐官の任にある。つまりアベノマスクや首相動画の発表をどのように効果的にするか、そこに電通の社員たちが深くかかわってきたのは間違いない。官邸官僚でいえば、今井の先輩にあたる首相補佐官の長谷川榮一が広報担当として首相自身の記者会見を取り仕切り、電通社員がその下準備をしてきたわけだ。
電通が官邸のIT戦略を担うようになったのは小泉純一郎政権時代からだとされる。が、自民党政権との関係でいえば、もっと古い。古参の元経産官僚が解説した。
「古く自民党政権の広告代理店といえば、中曽根康弘総理が使っていた東急エージェンシーが始まりでしょうか。(1981年から93年まで)東急の社長だった前野徹氏が読売新聞政治部記者だった時代からの縁で中曽根先生のPRを任された。皺の寄らないよう背広の生地にオモリを入れたり、海軍にいたからホテルで泳ぐところをニュースに出したり、座禅をやらせたり」
自民党のPRは中曽根から竹下登へ政権が代わる過程で電通に移ったという。
「竹下先生が田中派を割って経世会を立ち上げたときに支えたのが電通でした。成田豊専務が経世会向けのドリームチームをつくり、コピーライターからクリエイター、ブランディングプロデューサーにいたるまで、すべて竹下先生に張り付く体制を敷いていました。竹下先生の背広がダブルなのは電通の指南で、記者会見では台を置き、カメラを下から撮らせる。電通はそこから自民党べったりで、小泉総理や安倍総理の広報はその延長なんです」
ところが民主党政権時代になると、ライバルの博報堂が選挙広報や党の宣伝活動を引き受け、電通は遠ざけられた。そこで第二次安倍政権になって必死に巻き返し、昨今の官邸との蜜月に発展していったという。
コロナ対策として打ち出した個人事業主や中小企業向けの持続化給付金事業では、電通と経産省が一体となって設立した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」問題がクローズアップされた。実態の伴わないダミー法人が持続化給付金の事務手続きを769億円で受託し、手数料を中抜き≠オて電通に丸投げしていた、いわゆるトンネル会社の疑いが浮上して大騒ぎになったのは周知の通りだ。
そこでは真っ先に取引の決裁責任者である中小企業庁長官の前田泰宏がやり玉に挙がった。だが、その実、電通との関係でいえば、前田ではなく、むしろ新原のほうが近い。前田と新原は犬猿の仲だともいわれる。 

 

●ブレインパッドが電通グループと新会社「電通クロスブレイン」設立で基本合意 7/13 
ビッグデータ活用・デジタルマーケティングサービス事業のブレインパッドは、電通グループと共同出資する新会社「電通クロスブレイン」の設立に関して基本合意した、と7月10日発表した。契約を結んだ。電通クロスブレインは、マーケティング分野のデータ収集、蓄積、分析と、分析結果に基づく施策の立案、実行の支援・代行を手掛ける。
ビッグデータを利活用する技術が発展・普及する一方、企業は、広告宣伝から接客までさまざまなビッグデータを統合的に生かす人材が不足。データに基づくマーケティングがなかなか進まないことから、電通クロスブレインを立ち上げて支援に乗り出すことにした。資本金は3億円で、電通グループが66.6%、ブレインパッドが33.4%出資する。
ブレインパッドは、データを活用したマーケティング戦略の立案から実行まで一貫して支援する体制を迅速に強化するには、電通の持株会社の電通グループと提携することが有益と判断した。新会社は、電通グループ各社のマーケティング戦略立案力、実行力と、 データ活用を強みとするブレインパッドが持つデータ分析力の融合を進めていく。 

 

●電通は回答拒否 “1000万円還流”問題またしても隠蔽工作が発覚 7/8 
「週刊文春」7月2日発売号が報じた、電通が幽霊法人トップに1000万円を“還流”していた疑惑をめぐって、電通が支払い契約の“隠蔽工作”を行っていた疑いがあることが、「週刊文春」の取材でわかった。今年6月、電通側から幽霊法人トップである赤池学氏に対し、支払い名目から「代表理事」の表記を外す旨を事後的に打診していた。
電通の“トンネル法人”として批判を浴びた「サービスデザイン推進協議会(サ協)」と「環境共創イニシアチブ(SII)」。SIIの現・代表理事である赤池学氏は、サ協の代表理事も設立時から2年間務めていた。
「電通は赤池氏とコンサル契約を結び、トンネル法人の代表理事としての報酬を『国プロジェクト事業開発アドバイザリーフィー』の名目で年間1000万円ほど肩代わりしていました。同氏がサ協の代表を降りてからも、SII代表理事に関して報酬を支払い続けています。今年4月には、電通は赤池氏側との契約の名目を『アドバイザリー』から『SII代表理事』へと一本化したようです」(電通関係者)
その後、持続化給付金事業の再委託問題が報じられ、電通は対応に追われることになった。
「電通サイドは『リスク広報チーム』を作り、国会や関係省庁、マスコミに働きかけていました。サ協やSIIの代表理事についても無償と説明し、肩代わりの事実を隠していたのです。ただでさえ幽霊法人と批判を受けているのに、もし契約の存在が発覚すれば追及が強まることは明白。そこで、電通は赤池氏側に『4月まで遡って契約書を修正し、電通へのアドバイザリー名目だけに再変更したい』と打診したのです」(同前)
実際に赤池氏と連絡を取ったのは、元電通社員でSIIの業務執行理事である田中哲史氏だったという。
「電通と赤池氏側との契約になっているにも関わらず、電通を退職している田中氏が、電通側の担当局長の指令を受けて動いたと聞いています。電通は、自らの手を汚さないかたちで隠蔽しようとしたのです」(同前)
田中氏は、「週刊文春」の取材に事実関係を認めた。
「電通の局長より、代理として契約について(赤池氏に)連絡をいれて欲しい旨の電話依頼を受けました。組織改編に伴い社内手続きに行き違いがあったため、契約内容を前年通りに戻したいとのことでした」
赤池氏、電通に質問状を送ったが回答はなかった。
今回の電通が関係する民間委託事業を巡っては、想定問答メールなど隠蔽工作を疑われる動きが多発している。
コロナ対策では、巨額の給付金や助成金が民間事業者を通して給付されるが、原資は国民の血税だけに、不透明な形で還流がないかなど、さらなる検証が求められることになりそうだ。
7月9日(木)発売の「週刊文春」では、電通による隠蔽工作の詳細に加え、電通の“官公庁ビジネス”が成立した背景や、そのキーマンの存在についても詳報する。 

 

●官邸SNS運営からTVニュース買い切りも。日本を牛耳る電通の正体 7/7 
毎日新聞が3日、「首相官邸ネット発信「中の人」は電通マン 前任者も 政権のSNS戦略と深いかかわり」と題した記事を公開しました。以前からそのような噂は出ていたものの、首相官邸のSNSの運営に大手広告代理店「電通」の社員が一部関わっていたことが大手紙で報じられたことに衝撃が走っています。コンサルタントの今市太郎さんは自身のメルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』で、電通と官邸の蜜月を疑いつつ、意外にも知られていないテレビ番組と電通の「買い切り枠」という暗部についても暴露しています。
首相官邸のSNS運営を電通マンが担当? 安倍「謀略志向」政権の中身がまた露呈
つい先日、持続化給付金の支給に関するアウトソーシングの業務委託を、電通などが引き受けているのは業者採用要件から考えても全くおかしいという内容のメルマガを配信させていただいたばかりですが、今度は毎日新聞が首相官邸のSNS運用を担う内閣官房広報調査員のうちの1人を、またしても電通から受け入れていると報じ、安倍政権のネット情報発信に関して電通が深く関わっていることが明るみに出ました。
前々から、首相官邸が電通を使ってSNSによるコミュニケーションコントロールをしているという噂は常にあったわけですが、一応公募の形をとっているものの、すでに前任者にも電通の出身者がおり、電通枠が常態化していることは、どうやら間違いのない状況のようです。
妙に経済産業省の新旧役人が関わって、猛烈にバイアスがかかっているこの政権が、新型コロナ禍に関しては何も収束に向けての政策を打ち出すことができず、思考停止の放置プレー状態に陥っていることは、すでに多くの国民も気がついていると思います。しかし、政策ではなく政権に都合の悪い情報を排除し、SNSのコミュニケーション上だけ調子のいいイメージ醸成をはかろうとするのは完全に間違った政権運営であり、誤解を恐れずに言えば、とんでもない「謀略政権」であることすら疑わざるを得ません。
こうした問題は一見、個人投資家の投資活動とはなんの関係もないことのように感じますが、実は国や政権が自らにとって都合の悪い情報、経済指標などを開示しなかったり、デフォルメするようなことがあっては、我々はまともな投資行動を実現することなどまったくできないわけですから、実は非常に大きな関係のあるエリアと言えるのです。
足元では安倍政権の支持率はどんどん下落していますが、とにかく出てくる話、出てくる話ろくなものではなく、まったく容認できない状況に陥りつつあります。歴代の自民党政権も決して褒められたものではありませんが、今のこの政権は酷さにも磨きがかかっており、劣化のレベルは比較しようもない状況に陥りつつあります。
先般の、持続化給付金の「中抜き」業務委託を巡ってだけでも、なぜ電通が関与しなくてはならないのかという疑問の声は大きくなるばかりで、経産省の役人と電通による合法的な税金搾取を許せない、電通に何らかの不買運動をすべきであるといった意見も多くネットで見られるようになっています。しかし、広告代理店はクライアント、スポンサーの広告出稿の枠を抑えて掲載、オンエアするのが大きな収益源ですから、最終消費財を販売しているわけではなく、不買運動というのは実はきわめて難しいものがあるのもまた事実です。
電通の「買いきり枠」番組を一切見ないのがお勧め
こうなると、電通に抗議する方法は何もないのかと諦めてしまうことになりますが、それでも一つ効果的な方法があるとすれば、電通が保有する、いわゆる「買い切り枠」の番組を一切見ないという選択肢があります。
この買い切り枠というのは、80年代ごろまでは在阪民放各局に特定スポンサーが一社提供する一社枠というものが多く存在していたことから、ゴールデン、プライムといった夜の主要時間帯は「電通買切り枠」といった番組が驚くほど多かったものですが、最近ではそうしたスポンサーも激減していることから、かなり少なくなっているのが実情です。
それでも今もいくつかの有名番組、ニュースなどが「電通の買いきり枠」として存在しています。
あの報道ステーションも「買い切り」枠
テレビ朝日系の夜9時54分から帯番組となっているニュースショーの報道ステーションは、1985年に久米宏がキャスターでスタートした「ニュースステーション」の後番組ですが、この枠が月-金ベルトの枠としてスタートした時点から、全国ネットの放送部分はすべて電通が買い切りをしています。つまり、スポンサーがつかなくても電通がカネを払う枠としてスタートしたわけです。
当時のテレ朝は、夜10時台は系列局の朝日放送が制作するドラマの視聴率が高かったものの、それ以外の番組は鳴かず飛ばすで、起死回生の策として編成が持ち出してきたのが夜10時台のニュースショーということだったのです。しかし、本当にスポンサーがつくかどうかわからないときにすべて買い切りにすることで番組を支えたのが電通で、この番組は電通なしにはスタートできなかったと言っても過言ではありません。
しかし、公共性、中立性の高いニュースを特定の代理店が買切りするというのは、スポンサーの選定に大きな影響を与えることになるわけですから、当時、民放他社の報道部門の責任者は、自局ではあり得ない判断であると強く批難していたことを思い出します。
もちろん、局側にスポンサー選択の最終権限があることは間違いありませんが、これだけの金額を買い切りしている電通に、スポンサー選定のイニシアチブがあることは明らかで、2011年の東日本大震災後の報道ステーションにおける原発報道を巡って、電通が局に横やりを入れてきたのは記憶に新しいところです。
本来、番組提供するスポンサーが報道の中身に口出すなどということはあり得ないのですが、電通だけの買い切り枠ともなれば、こうした歪んだ状況も実現しやすくなるというわけです。
テレビ東京「WBS」「モーサテ」も残念ながら電通の買切り枠
電通が番組開始の当初から一貫して買い切りとしていることで有名なのが、テレビ東京の夜の経済ニュース「ワールドビジネスサテライト」通称・WBS、ならびに朝の「モーニングサテライト」通称・モーサテの枠です。
この二つの枠も、月-金ベルトで電通を通してしか番組提供することはできません。こちらも電通仕切りなので、ある意味なんでもありの提供形式で、本来は1番組中同業者のスポンサーが複数入ることなどはあり得ませんが、「モーサテ」を見ていますと、混在状態で典型的な「買い切り枠の掟破り」が公然と実現していることがわかります。
もちろん、提供するスポンサーがそれで納得すれば仕方ないことですが、経済ニュースといっても証券、金融業界のSell Sideにとって不都合な内容をニュースにするはずもなく、視聴にはそれなりの注意が必要であることは間違いありません。個人投資家の方は熱心にこの2番組を視聴されているかと思いますが、私はまったく見ていないのが実情です。
テレビ番組というのは、制作費、電波料、ネット費という3つの料金合計から生成されており、制作費はその名の通り番組制作費であり、ネット費は地方局へのネットの提供料の分け前負担ということになり、電波費がいわゆる番組提供料の根幹をなすものです。
テレビ放送の場合には、スポットという必要量だけを各局から買い付ける方法もありますが、視聴率が悪くなりますと視聴率に一定単価をかけて金額を算定するテレビスポットの価格も下がることになりますし、前述の電波料にも視聴率はそれなりの影響を与えることになります。
こうした、電通買い切り枠に対する視聴拒否というのが効力を発揮するためには、とにかく視聴率がガタ落ちになり、スポンサーが離反するというところまで時間をかけて行う必要があるのは確かですが、確実にダメージを与えることになるのは間違いありません。
ニュースというと、とかく局制作で中立性があるものと信じられていますが、実は様々な形で電通が関与し、影響を与えているということはしっかり理解しておきたいところです。
この手の話は、既存のメディアでは全く触れられませんが、実はこうした構造を持っているものなのです。この構造を知っていると、もう地上波のニュースなど見たいとは全く思わないのが、私の個人的な気分です。 

 

●誰が都知事になっても「電通のための東京五輪」は中止だ! 7/5 
7月5日投開票の都知事選。「東京五輪開催」が争点になっているが、当方新型コロナ騒動≠ェ起こる前から東京五輪に反対だった。カネ、カネ、カネ......の五輪商業主義が気に入らないからだ。
1984年のロサンゼルス開催の頃から、五輪は「完全民営化」という謳(うた)い文句の下で「商業主義の奴隷」になってしまった。
この大会、テレビ放映権料とスポンサー企業からの巨額な協賛金が大会総収入の55%(入場料収入はたった18%)。2億jを上回る黒字が出て、60%が米国オリンピック委員会に分配された。五輪は儲(もう)かる!
プロ選手の参加が認められ、企業スポンサーが解禁。選手は大企業の広告塔になった。
五輪は巨額の富を生む! そこで、各地で激しい招致合戦。日本もマドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)などと戦い、安倍晋三首相が「福島の状況はコントロールされている」と噓(うそ)をついて誘致を勝ち取った。
でも、大会の運営は巨額の資金を提供する米国テレビネットワークの言いなり。サッカーの欧州チャンピオンズリーグや米プロフットボールリーグの開催時期を避けるため、ネットワークは「夏の五輪」を主張し、東京は開催時期を猛暑の7〜8月にするしかなかった。

世界中、新型コロナが爆発的な広がりを見せている。というのに五輪商業主義者≠ヘ来年7月の開催!を主張している。でも、これは無理だろう。
ワクチン開発が間に合うのか?経済がボロボロになった国が選手を送るだろうか? 東京五輪自体が感染者を増やす危険もある。
一日も早く「中止」を決めるべきだ。
だというのに、都知事選でハッキリ「中止」を主張する向きは少数派? 小池現知事は強行派だ。なぜだろう?
日本一の広告代理店「電通」の存在を無視できないのだ。事前イベント、スポンサー集め、民放各局の調整......さまざまの権限を独り占めしている。スポットCMで莫大(ばくだい)な利益を上げる目算だった。
大きな声では言えないが、誘致のためのロビー工作でも「重要な役割」を果たした!と関係者は自慢する。
どうやら、東京は「電通の、電通による、電通のための五輪」ではあるまいか? そんな気がする。
この際「電通」には泣いてもらいたい。知事選が終われば(誰が新知事になっても)多分「中止」を宣言するだろう。
2024年五輪の開催国フランスもコロナ不況の資金難に苦しんでいる。「24年日仏合同開催」という選択もあるんだから。 
●「電通と安倍政権〜持続化給付金に群がる金の亡者〜」 7/5 
取るに足らない盗人が有罪判決を受け、重大な犯罪者が保護される日本
2013年の秋に日本各地で公開され話題となり、2015年にはアンコールで再び全国で上映されたインディーズ映画があった。インドネシア・ジャカルタのパンクバンド、MARJINALに迫ったドキュメンタリー映画『マージナル=ジャカルタ・パンク』である。インドネシアのスハルト独裁政権時代に、学生運動で知り合ったマイクとボブが、インドネシアに革命を起こすために人々の心に伝える手段として結成されたパンクバンドがMARJINALである。  
「HUKUM RIMBA」の歌詞より抜粋。
法は深い闇の谷間に葬られている 正義を反映していない 弁護士、陪審員、裁判官と検察官 みんな一つのことだけで判断を下す…金! 法はコントロールされている 金を有する者たちによって 法はもてあそばれている 権力を公使する者によって 取るに足らない盗人が有罪判決を受け 重大な犯罪者は保護される 正義はどこにあるのか 階級が見えるか 権力者が常に支配し 弱者は常に惨めであることを強いられている  
2020年1月に初のコロナ感染者を出し、政府の杜撰すぎる対応により2月以降感染が拡大され続け、保障の全く行き届かない緊急事態宣言や自粛要請のおかげで国民の生活がひっ迫する中、6月になってもまだ10万円の給付金すら国民には届いていない。3カ月間の保障が10万円という信じられない政策であるが、個人事業主には最大200万円まで給付される持続化給付金制度というものもある。しかし複雑な手続きと、前年度対象月の50%以下の収入という条件により給付を受けられない個人事業主が多く存在する。子どもが学校へ行き、都内の賃貸に住んでいる家族の世帯主の収入が、月30万円から16万円に減っても給付はされない。ここまで追い詰められている国民を尻目に、持続化給付金事業は796億円の契約額で経産省の内局により創設された官製の組織であり、ほとんど実態がないと言われる「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」に委託している。そして持続化給付金事業は、この協議会から電通に再委託され、電通からさらに子会社へ委託され、電通と子会社は委託金から107.5億円を中抜きしていることがわかり、波紋を広げている。
電通といえば、東京オリンピック招致委員会から約9億円の資金を受け取りIOC委員にロビー活動を行ない、東京オリンピックを招致したとしてフランス捜査当局が調べている元専務の高橋治之がいた会社であり、テレビを牛耳る日本最大手の広告代理店である。国民には10万円すら届かないどころか、税金が搾取される構図が暴かれた。オリンピックも給付金も国民のためではない。金に群がる政府と電通、大企業だけのものだ。もう国民は充分すぎるほどに被害を被った。取るに足らない盗人が有罪判決を受け、重大な犯罪者が保護される安倍政権を終了させなければ、弱者(国民)は常に惨めであることを強いられる。
インドネシアでパンクといえばこのバンドであり、ストリートチルドレンから大人まで、インドネシアのパンクスなら知らない者はいないMARJINAL。ギターボーカルのマイクとベースボーカルのボブの2人により、1996年に結成。 

 

●持続化給付金、説明会に13社 競争入札の可能性―経産省 7/4 
経済産業省が3日実施した「持続化給付金」に関する入札予備調査の説明会に13社が参加したことが分かった。関係者が明らかにした。この事業を受託し、実態が不透明と批判された一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」以外の業者も関心を示し、競争入札となる可能性が出てきた。
協議会は2020年度第1次補正予算分の事業を受託し、電通に再委託。電通は子会社などに外注を繰り返し、税金の使い道が不透明だとの批判を浴びた。経産省は2次補正分については、予備調査を実施し、事業を申請書類の審査と給付金の振り込みに分割して発注する方式に改めた。3日の説明会には重複する企業を含め、審査業務に10社、振り込み業務に9社が参加した。
この事業は1次補正分の委託費が最大769億円、2次補正分が最大計850億円と巨額で、受注できる企業が限られる。事業を切れ目なく続ける必要もあり、2次補正分についても協議会以外の業者が受注するのは難しいとの見方が強かった。  

 

●「持続化給付金」癒着疑惑の前田長官 妻も電通と“三密” 7/3 
新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」で広告代理店の電通との癒着が取り沙汰される前田泰宏中小企業庁長官。もっとも、母体の経産省で目下、話題になっているのは妻の存在なのだという。
「実は、前田さんの奥様は、伊奈友子さんという経産省の官僚なんです。上智大学を卒業し、1997年に国家公務員II種で入省した、いわゆるノンキャリア組。省内では旧姓で通しています」(経産省関係者)
ノンキャリアの中では出世頭だといい、
「中小企業庁の調査室長、経産省の消費経済企画室長などを歴任。現在は内閣官房に出向し、内閣広報室の企画官に任じられている」
実績も、長官の妻に相応しい華やかさ。
「2012年には、女性経営者を応援する『ものづくりなでしこ』という団体を始動。パーティーには安倍総理も出席していました」
この団体の設立には、夫の前田氏も関わっていたというから、夫婦仲はたいそう良好なよう。しかし、
「気になるのは、電通と仲が良いところまで、ご主人とそっくりなところ。例えば、12年に電通など5社が主催した『いいね! JAPANソーシャルアワード』では伊奈さんが選考委員になっています。さらに、彼女も関わったことがある中小企業支援事業の『ミラサポ』は、電通が中心となって運営。ただし、予算に見合う実績を上げられておらず、電通など大企業を潤すためだけの事業と批判されていました」
前田夫妻に電通、三者蜜月の“三蜜”か。しかも、
「アメリカで“意見交換”のパーティーを開いて問題視される前田さんですが、伊奈さんも六本木などで開かれる起業家のパーティーでよく目撃されていました」
密室に集まる者たちの密かなる密接交際。これもまたよろしからぬ三密だ。 

 

●電通と政府・官僚が癒着した理由とは? 7/2 
国の持続化給付金支援事業において、電通やパソナが設立していた社団法人「サービスデザイン推進協議会」が受託した事業費769億円の97%、749億円を電通に再委託し、電通はさらに自分の子会社に再々委託していたことが、東京新聞の報道で明らかになった。電通は全く同様のやり方で総務省の「マイナポイント事業」も受注していて、電通と官庁の癒着構造が、想像以上に深くなっていたことが明らかになってきた。
この問題の発覚以来、私の所には新聞社を含む多くのメディアが取材に来たが、異口同音に「なぜ広告代理店の電通がこのような事業を受注するのか」と聞いてくる。今回はその構造を解説する。
持続化給付金でバレた中抜きシステム
一連の報道でもっとも世間の耳目を引いたのは、なんと言っても電通の荒稼ぎぶりであった。まず、自らが設立した社団法人が受託し、そのまま電通に再委託したのだが、その際になんと20億円を差し引いていた。後に、そのうち15億円は振込手数料であると弁明したが、それを証明する書類はなく、真偽を測ることはできない。また、もしそうであったとしても、実態がなく社員数すら分からない団体が、いきなり5億円を抜いた事実は変わらない。報道各社がこれを「中抜き」と報じたため、その後はこの言葉が一気に広まった。
「サービスデザイン推進協議会」から749億円で再委託を受けた電通は、さらにイベント領域を担当する「電通ライブ」などの子会社5社に709億円で全事業を再々委託した。この時点で、「管理・運営費」として38億円が電通本社に入っている。そして、電通の子会社は、さらにパソナ・大日本印刷・トランスコスモスなどに事業を外注(再々々委託)したが、その金額はいずれも公表されていない。
「管理・運営費」というのは、電通や博報堂の見積もりに必ず登場するマージンのようなもので、細々とした見積もり項目を足し上げた小計金額に、電通の場合は最低20%以上を掛けて総合計金額とする。この事案で言えば749億円の20%は149億円だから、38億の中抜きは少なく見えるが、もちろんこれはトリックである。電通全体の収益は再々々委託までの間にどれくらい中抜きをしているかで計るべきで、合計すれば、恐らく限りなく20%に近い金額になるだろう。
断っておくが、この管理・運営費というのは電通以外のすべての広告会社でも適用している概念で、それ自体は悪いものではない。だが今回は国民の税金を使った事業であり、しかも全体で1500億円にも及ぶ巨額案件の中から、電通が、いとも簡単に数十億円単位を抜き去っている事実が批判を浴びたのだ。
電通側から見れば、あくまで彼らの商慣習の中でやっているのであり、なぜ批判を受けるのかまったく理解できていないだろうが、彼らの常識は世間の非常識である。だが、なぜ広告代理店ふぜいがこのような国家事業を受注できたのか。
電通はすでに広告会社ではない
この件が明らかになって以来、私のところに複数の報道機関や雑誌メディアなどから取材や問い合わせが相次いだ。なぜこのような問題が起きたのかという質問と共に、多かったのは「なぜ広告代理店がこういう仕事を受注するのか」という質問だった。
電通と言えば、2018年の連結売上高5兆3572億円(日本の会計基準に換算)で、国内2位の博報堂の売り上げ1兆4456億円を遙かに凌駕する、広告業界における巨人である。そのため、メディアでは「広告代理店大手」「広告業界最大手」などと紹介されることが多い。無論それは間違っていないのだが、実は肝心の電通自身は、もはや自らを「広告代理店」どころか「広告会社」とすら考えていないのだ。私がまだ博報堂にいたころ(15年前)もうすでに、両社は自らを「広告代理店」とは呼ばなくなっていた。
なぜなら「代理店」という呼び名は、スポンサー企業の代理だけやっているという印象が強く、創造的な仕事をしているように聞こえないから、という理由からだったが、電通はその後、広告会社という呼び名すら名乗らなくなり、現在では「ソリューション提案企業」という概念で自らを表現することが多い。
電通のホームページを見ると、事業内容を『「Integrated Communication Design」を事業領域としたコミュニケーション関連の統合的ソリューションの提供、経営・事業コンサルティングなど』としている。英語と横文字ばかりで分かりにくいが、ソリューションとは「解決」「回答」と言う意味の英語であり、電通はあらゆる事業分野でそのソリューション(解決策)を提供する企業である、と宣言しているのだ。そこには当然広告も入るが、紹介文には広告の文字すらない。
今回の給付金事業は、「事業の告知」と「実際の給付」という二つの柱で成り立っている。事業告知は、全国紙・ローカル紙全紙で30段(2ページ)の告知広告が3〜4回掲載された。給付金事業は日本全国で行われる国家事業であり、その存在と実施を全国民に知らせる必要があるからだ。この広告掲載も電通が受注した。
現在日本には70を超える新聞社があるが、その全紙に1ページの広告を掲載するだけでも、約2億円の掲載料が発生する。つまり、今回この新聞告知だけでも、7〜8億円の広告費が発生している。これはまさしく広告会社の担当領分であり、こうした広告掲載のマージンは大体15〜20%程度だから、電通にとって、これだけでも1億円を超える収入になったはずだ。
そして昔であれば、こうした広告分野だけが電通の取り分であったのだが、現在は広告以外の事業でも積極的に受注する企業に変貌している。だから今回は、実際の給付分野も担当したのだ。
際限のない巨大化による電通の「ブラックホール化」
この給付金事業での騒ぎが発端となり、総務省の「マイナポイント事業」でも全く同じ構図で電通に業務委託されていたことが発覚した(後述)。いったいなぜこのようなことが起きているのか。それは、とにかく事業実施を急ぎたい官庁側と、電通の何でも受注してやろうという、あくなき強欲(拡張)姿勢が見事にマッチングした事に拠っている。
今回給付金事業は、コロナ禍の緊急事態において政府が決断したものだが、担当官庁の経産省にはこうした大規模給付の経験がなく、当然人員もいないので、最初から民間業者に任せるしかなかった。
こうしたときに頼りになるのが、常日頃から政府系広報や事業を担当している、電通や博報堂である。彼らは大きなイベントの設営・運営経験が豊富であり、他の様々な企業との協働実績もあり、どの企業がどんな仕事を得意かよく知っている。とりわけ電通は、東京オリンピックや昨年のラグビーワルドカップなど、数万単位の人が動く巨大イベントの運営ノウハウを持っており、告知から集客、運営まで一気通貫で作業が出来る。今回の給付金事業も、全国民に告知をし、給付希望者にアクセスさせ、その人にお金を振り込むという作業は、言い換えれば巨大なイベント実施と同じなのだ。
そして、電通は各省庁からの業務を受注するために、今回の「サービスデザイン推進協議会」のようなトンネル団体を数多く作っている。この社団法人はすでに5年前から存在していて、経産省の業務を受注してきた。そして今回初めて、総額1500億円(第二次補正予算分含む)にも上る巨額案件を受注したのだ。
この団体に実態が無いことはすでに様々な報道で明らかだが、常日頃から官僚を接待して気脈を通じ、こうした受け皿をあらかじめ作っておいて将来の案件受注に備えておくという、ある意味投資的なやり方は、電通の独壇場だ。単年度売り上げを重視し、政官界との繋がりが薄い博報堂には、こうしたシステムを作ることさえ難しい。
そして、こうした受注システム構築の基礎となるのが、役人の天下りである。しんぶん赤旗の報道によれば、2009年からの10年間で、11人の役職付き公務員と1人の特別国家公務員が電通に天下りしている。内訳は財務省、総務省、経産省、国土交通省、警察庁など幅広く、有名どころでは、元総務省事務次官で18年に電通に入社し、現在は電通グループ副社長の櫻井俊氏は、人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔の父親である。
こうして元事務次官クラスを顧問などとして続々と雇い入れれば、彼らの出身官庁と太いパイプを作ることも容易になる。電通はそうした準備を怠らないのだ。そうして作った人脈をフルに活かし、トンネル会社を配置して電通の社名が目立たぬようにして、政府や中央官庁の業務を数多く受注してきた。だから今回の持続化給付金の一件は、あくまで氷山の一角に過ぎない。
官にとってあまりにも便利な電通は、どんどん官庁関係の仕事を吸収し、もはやブラックホールのような存在になっている。今回の持続化給付金の件は国会で野党に厳しく追及されたが、入札資料は全て黒塗りだし、「サービスデザイン推進協議会」の過去の業務内容詳細も、すべて黒塗りで第三者はチェック出来ない。つまり、一旦委託してしまえば、どれだけの金額が中抜きされているのか、当事者以外にはまったくチェックできないのだ。これではまるで、何でも吸収するが中が見えない、巨大なブラックホールではないか。
私は以前、農水省や厚労省の課長級に対してインタビューした際、「なぜ中央官庁の業務はデンパク(電通や博報堂)の大手に集中するのか。民業支援のためには、中堅や小さくても力のありそうな企業に任せる姿勢も大事なのではないか」と問うたことがある。
すると彼らは異口同音に「私たちが使うのは全て国民から預かった税金だ。だから事業が失敗したり、委託した業者が途中で倒産して赤字が発生するなどの不測の事態は、絶対に避けなければならない。そうなると結局、何があっても最後まで業務を全うでき、保証力のある電通や博報堂に発注が集中してしまうのだ」と語っていた。
さらに、官庁関係がデンパクを重宝する決定的な理由がもう一つある。それは、デンパクを指揮系統のとりまとめ役(仕切り役)にすれば、業務の異なる複数業者にいちいち説明する手間が省け、自分たちは楽ができるからだ。
極端に言えば、事業概要を電通の担当者1人に説明して金を渡せば、あとは電通が必要なスタッフを集め、孫請け・ひ孫請けなどの組織構築を全部やってくれて、予算内で粛々と業務を遂行してくれる。その間、委託側は詳細を知らなくても事業は完遂される。今回の件が発覚し、野党による追及を受けた経産省側が、最初はこの業務の組織構造を知らず、まったく答弁できなかったことが、このことを証明している。
官庁側のこうした「リスクを嫌い、なるべく早く業務を発注して、後はお任せにしたい姿勢」が、デンパクへの業務委託集中を生み、中でも電通の巨大化を生んでいるのだ。
総務省でも似た案件、他社排除も明らかに
そして、経産省以外でも、電通と官庁の癒着が明らかになった。マイナンバーカードを使ってポイントを還元する総務省の「マイナポイント」事業で、一般社団法人「環境共創イニシアチブ」を通じて、一部の事業が電通に再委託されていたことが判明した。
また、「週刊文春」(文藝春秋)6月18日発売号は、電通の「下請け圧力問題」を報じた。下請けのイベント企画会社TOW(電通を通じて給付金事業を受託)を通じ、電通の意向として、国の給付金事業などでライバルの博報堂に協力しないよう、下請けを「恫喝」していたメールを入手。その全文を本誌とネットに掲載したのだ。
これは、電通が請け負わない中小企業庁の「家賃補助給付事業」を博報堂が受注しそう(実際はリクルートが受注した)なので、その際、電通傘下で持続化給付金事業を請け負った企業は、秘密保持の観点から博報堂と仕事をするな、と言っているもので、完全に独占禁止法に抵触するような事案である。
入札段階、途中段階、終了後の徹底的な透明化が必要
以上のように、中央官庁と電通の癒着、もたれあいは深く、大きく進行していた。だが今回の給付金事業で中抜き体質が国会で追及されても、政府は合法との見解を繰り返すばかりだ。だが、民間同士の事業ならいざ知らず、国民の税金で行う事業で平然と巨額の中抜きが行われ、第三者が検証出来ない今の構造は、明らかにおかしい。
官庁が今の規模を維持する限り、民間に予算を与えて事業を行う案件は、今後も増えていくだろう。それなら、入札段階からすべての業務手順をガラス張りにして、入札の公平性、事業内容と実施価格の適正を後に検証できるようにしていかなければ、国民の理解は得られない。きちんとルールを決めれば、電通もそれを守らざるを得ない。秋の臨時国会で、野党はこのルール作りを最優先にするべきだ。 
●日本最大のフィクサー企業「電通」の研究 7/2 
フィクサーとは、「(公正ではないやり方で)陰で仲介・調停することで報酬を受け取る黒幕的人物」(『広辞苑』)のことだ。さらに黒幕とは、「陰にあって画策したり指図したりする人」(同)をいう。日本最大のフィクサーを生業としているのが、国内最大手の広告代理店企業、(株)電通である。黒幕は、陰にあってこその黒幕だ。だが「上手の手から水が漏る」ということか、その所業が表に出てくることがある。
持続化給付金事業を受注した「協議会」の背景
新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が半減した中小企業などを支援する持続化給付金の再委託問題は、事業を国から受注した一般社団法人サービスデザイン協議会(以下、協議会)が「トンネル会社」の可能性があると報じられたことが発端だった。
協議会は2016年に電通が中心になって設立。電話番号は7月時点で公表されておらず、法律で義務づけられている決算公告の開示も怠っていた。その協議会が、経産省の外局にあたる中小企業庁から持続化給付金事業を769億円で受託し、受託費の97%にあたる749億円で電通に丸ごと再委託。電通はさらに電通ライブなど子会社5社に外注していた。こうした実態が『週刊文春』などの報道で明らかになると、にわかに協議会の実態に注目が集まっている。
かつて公共事業「丸投げ」の対象は独立行政法人だったが、天下りの温床と批判されたことで新たな隠れ蓑が必要になり、役所主導で作られた社団法人が急増したとされる。いびつな利害関係を隠す目的で編み出したのが、トンネル会社を経由させる奇策だった。本来なら官から民に直接発注して競争入札すれば済むことだが、そうするといつも同じ顔触れが受注していることがわかってまずい。批判をかわすために、金の流れを浄化する「別の顔」(トンネル会社)が必要になったのだ
平川氏は、電通から協議会に送り込まれた“黒幕”
6月8日、笠原英一・アジア太平洋マーケティング研究所所長が、協議会の代表理事を退任した。「持続化給付金事業については一切知らない。電通に聞いてほしい」と言い、「お飾り」であったことを認めて、笠原氏は辞めた。
これを受けて、協議会を“隠れ蓑”にしていた電通が前面に出てこざるを得なくなった。同日、協議会側が事情を説明するために記者会見を開いた。席に現れたのは、大久保裕一氏、榑谷(くれたに)典洋氏、平川健司氏の電通出身の3名だ。新しく協議会の代表理事に就任する大久保氏は、電通の執行役員。榑谷氏は、電通の取締役副社長執行役員(COO)。平川氏は、協議会の業務執行理事だ。
注目すべき人物は、平川氏だ。協議会の設立時に、電通のプラットフォーム・ビジネス局事業企画部長から協議会の理事に就任した。19年6月に電通を退職した後も、引き続き、協議会の業務執行役員を務め、給付金事業の実務を仕切ってきた。
平川氏が、「陰にあって画策したり指図したりする」“黒幕”として電通が送り込んだ人物であることが明らかになった。陰にあった平川氏は、どのような画策をしたのだろうか。その一端が暴かれた。
米テキサス州の「前田ハウス」で連日の宴
6月11日発売の『週刊文春』は、持続化給付金を担当する中小企業庁の前田泰宏長官が経産省大臣官房審議官だった17年当時に米テキサス州のイベントに参加した際、近くのアパートを借りて「前田ハウス」と名付けて、パーティーを開き、そこに平川健司氏が同席していたと報じた。
この報道を受けて、11日の参院委員会では、立憲民主党の蓮舫氏が報道の真偽を前田氏に問うた。「パーティーは毎日(開かれていて)、関係者との意見交換はそこでやっていた」と前田氏は釈明し、平川氏がパーティーに参加していたことや、別の場所でも平川氏と会っていたことを認めた。
朝日新聞デジタル(6月12日付)は、委員会で明らかになった点をこう報じた。
「前田氏は15年から大臣官房審議官として協議会と関わるサービス業を所管する商務情報政策局を担当していた。前田氏と平川氏は、その前から交流を始めたという。協議会は平川氏ら電通が中心となって16年に設立され、設立当日に経産省が公募した事業をその後受注した。その後も経産省発注の事業を次々と引き受け、これまでに計14件約1,576億円分を請け負い、その5割にあたる808億円分が電通などに再委託されている」
なんていうことはない。前田氏と平川氏、つまり経産省と電通が結託した“出来レース”だったのだ。電通から送り込まれた黒幕の仕事を、平川氏は完璧にこなしたことになる。だが、米テキサス州の「前田ハウス」での乱痴気パーティーを腹に据えかねる出席者がいたのだろう。週刊文春へのタレコミで、癒着が暴露されてしまった。
総務省も、マイナンバーポイント還元事業を電通に再委託
電通“黒幕”の仕事は、それだけではなかった。マイナンバーカードを使ったポイント還元事業の事務を総務省から受託した「(一社)環境共創イニシアチブ」(以下、環境共創)は、実務の多くを電通に再委託していた。
総務省によると、この事業で環境共創に支払われる金額は350億円。そのうちキャッシュレス決済事業者などへの補助金193億円をのぞくと、157億円が残る。このうち電通への再委託額は約9割の約140億円に上る。さらに、電通はグループ企業の電通ライブに実務を丸投げ。電通ライブからは、業務を外注していた。
環境共創は、2011年2月に設立された。それまで省エネ関連事業を経産省から受注していた(独)が、民主党政権の事業仕分けにより受注できなくなったからだ。そこで、経産省と電通が組んで、受け皿の環境共創をつくった。経産省によると、環境共創は同省から過去3年間に受託した事業のうち、35件の計160億円分を電通に再委託していた。環境共創は、事業を電通に丸投げするための“トンネル会社”だったのだ。
電通のオリンピック利権の独り占め
フィクサー企業、電通の最大の仕事が、東京五輪・パラリンピックである。電通は国際オリンピック委員会(IOC)をはじめ、国際サッカー連盟(FIFA)や国際陸上競技連盟(現・ワールドアスレティックス)、国際水泳連盟などと密接な関係を保っている。とりわけ、史上初の民間運営方式で行われた1984年のロサンゼルス五輪以降、関連団体と太いパイプを築いてきた。
東京五輪の招致段階から、電通は大きく関与してきた。招致活動中の2009年3月に、当時の石原慎太郎・東京都知事は、招致活動の基礎調査などの特命随意契約を電通と結んだ。電通は単なる広告代理店ではなく、複数の企業・団体による共同体(コンソーシアム)の司令塔の役割をはたした。
東京五輪では、電通は国内外の企業約80社と総額3,500億円に上るスポンサー契約を成立させた。大規模なスポンサー集めを素人集団の組織委員会ができるわけがなく、電通に頼りきった。
組織委員会は、開会式・閉会式の企画、運営、出演者の調整や、聖火ランナーも電通に業務委託した。東京五輪のために、政府や都から巨大な資金が電通に流れた。東京五輪を裏で仕切ってきた電通は、オリンピック利権を独り占めしたのだ。
東京五輪の招致疑惑
フィクサー稼業の電通の最大の汚点は、東京五輪招致に関する疑惑だ。世界陸連前会長でIOC委員だったミラン・ディアク氏(セネガル)は、東京五輪誘致の不正疑惑により、フランス検察当局の捜査を受けている。
東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の理事長を務めた日本オリンピック委員会(JOC)前会長・竹田恒和氏は、18年に仏当局から事情聴取を受けた。東京五輪開催の実現を確約するために2億5,000万円を支払ったという疑惑のためだ。竹田氏は、19年6月にJOC会長を辞任。トカゲのしっぽ切りならぬ、頭のすげ替えで幕引きを図ろうとした。
だが疑惑の火種は、その後も燻り続けた。ロイター通信は3月31日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事で、電通元専務の高橋治之氏が、13年の招致成功までに820万ドル(約9億円)を東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会から受け取っていたと報じた。高橋氏は、国際オリンピック委員会委員らにロビー活動を行っていた。
ロイターの取材に対して、ロビー活動の一環として、デジタルカメラやセイコー社の腕時計をディアク氏に渡したことを高橋氏は認めた。しかし、「手ぶらでは行かない。それが常識だ」と述べ、国際オリンピック委員会の規定に反しておらず、良好な関係を築くための贈り物だとした。
不正疑惑のキーマンは元電通専務の高橋治之氏
高橋治之氏が、五輪の招致不正疑惑のキーマンである。高橋氏は、バブルの時代に「環太平洋のリゾート王」と呼ばれたイ・アイ・イ・インターナショナル総帥だった故・高橋治則氏の実兄だ。イ・アイ・イに巨額の融資をした日本長期信用銀行(現・新生銀行)の経営が破綻したため、治則氏は「長銀を潰した男」の異名をとる。
電通の第9代社長の故・成田豊氏の側近として、高橋氏は頭角を現した。1981年に、電通取締役になった成田氏は、海外のスポーツにビジネスチャンスを見出した。
転機は、84年のロサンゼルス五輪でスポーツに商業主義が持ち込まれたことだった。やがて巨大スポーツ利権ができた時代に合わせて、オリンピックだけでなくサッカーのワールドカップやF1などでも、放映権の卸売とスポンサー集めによる巨大なスポーツビジネスを成田氏は確立した。その実績が評価されて、成田氏は93年に電通の社長に就任した。「電通の天皇」と呼ばれるほどの権勢を誇った。
成田氏のもとで、30代のころから世界のスポーツ機関とわたりあい、数千億円規模ともいわれる放映権料の取引の最前線に立ってきた人物が、高橋治之氏である。電通のスポーツ利権を牛耳り、飛ぶ鳥を落とす勢いで出世階段を駆け上がり、専務取締役にまで上り詰めた。2009年に電通を退社して顧問になっても、海外がらみのスポーツ利権には必ず名前が出てくる。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事に名を連ねた。
黒幕の高橋氏が、姿を現した時
新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪の「危機」が起こり、“黒幕”だった高橋氏がついに表に出てきた。高橋氏は3月11日、米ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に応じ、新型コロナウイルスの世界拡大を受け、「今夏の東京五輪の開催が難しい場合は、大会を1〜2年後に延期することが選択肢になる」という見解を示した。
総理大臣や東京都知事でもない、一介の組織委員会の理事が、東京五輪の延期という重大な事柄をマスコミに公表する。東京五輪のキーマンだと知っているマスコミは、高橋氏の取材に殺到した。だが、事情を知らない一般人は、「この人は一体何者か」と呆気にとられていた。組織委員会のトップにも関わらず、ないがしろにされた会長・森喜朗氏が、「大事な時期に軽率なことをおっしゃった」と報道陣に不快感を示したことも無理はないだろう。
東京五輪招致から深く関わってきた高橋氏にとって、東京五輪は最後の大仕事だ。コロナ禍に居ても立っても居られなかったようだ。本来は影にかくれて画策することを本分とする“黒幕”が、姿を現した瞬間だった。
不磨の大典『鬼十則』が行動原理
広告会社の電通は、いかにしてフィクサー企業に大化けしたのだろうか。かの有名な不磨の大典『鬼十則』が、推進力になってきた。電通「鬼十則」は次の10項目(原文はカタカナ)である。
1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきではない。
2.仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものではない。
3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4.難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは・・・。
6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらない。
9.頭は常に「全回転」、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10.摩擦を恐れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
「鬼十則」とは、4代目社長で「広告の鬼」「電通中興の祖」と呼ばれる故・吉田秀雄氏が1951年に定めた10カ条である。吉田氏の最大の仕事は、民放ラジオ放送の立ち上げだ。吉田氏がお膳立てした民放ラジオは51年9月、名古屋市の中部日本放送(株)を皮切りに放送を開始した。当時、地方新聞社が民放ラジオ局を開局のために「人材援助」を求めてくれば、優秀な社員から次々と出向させて、出資にも応じた。民放ラジオ局の仕事を得るための実践論が、『鬼十則』である。
民法ラジオ開局時の吉田氏の先行投資は、テレビ時代に花開いた。「時間を売る」電波媒体を握った電通は、広告業界首位を不動のものにした。役所の仕事を請け負うようになっても、同じスタイルを踏襲した。裏方を送り込んで組織を舞台裏から仕切るのが、フィクサー企業電通のお家芸なのだ。
大マスコミにとって電通は最大のタブー
持続化給付金再委託問題、東京五輪の招致不正問題で、電通が一連の疑惑の中心にいることはわかっていても、マスコミが電通を追求することはない。広告収入に依存するマスコミにとって、電通は最大のタブーだからだ。電通には、クライアントに都合の悪い報道をコントロールする「裏の顔」がある。
企業は、自社のイメージダウンになる記事を差し止めたいが、めったなことで実現することはない。そこで、企業は電通にお願いする。電通マンは東奔西走し、差し止めが不可能なら、社名をイニシャルにしたり、見出しや広告から社名を消したりということを、マスコミの編集幹部に会って頼む。「記事の揉み消し業」も、電通の裏の仕事だ。
マスコミは、「電通の闇」を取り上げることはない。現場の記者がやりたいと考えても、営業から「待った」がかかるからだ。電通は、クライアントの広告をストップできる力をもつ。兵糧攻めに遭わないために、マスコミは「電通の闇」の報道を自主規制している。
電通は政界にウイングを伸ばし、政権与党である自民党の選挙向けの政党PRを一手に引き受けた。経産省や総務省の仕事も請け負っている。フィクサーを生業とする電通は、政官財界に隠然たる力をもつ「モンスター」に大化けしたのである。 

 

●文書入手・実名証言 電通が幽霊法人トップに1000万円を“還流”の疑い 7/1 
「週刊文春」5月28日発売号が報じた、持続化給付金事業を電通の“幽霊法人”である一般社団法人「サービスデザイン推進協議会(以下、サ協)」が受託していた問題。これまで、社団法人であるサ協は利益を出すための法人ではなく、代表理事も無給と説明してきたが、電通が設立時の代表理事に対し、「サ協案件」等の名目で約1000万円を支払っていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。
この代表理事は、赤池学氏。サ協設立時から2年にわたり代表理事を務め、株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所(UDI)所長も務めている。
電通関係者が証言する。
「赤池氏は一般社団法人『環境共創イニシアチブ』(SII)の代表理事も務めていますが、このSIIとサ協に関する報酬を電通が肩代わりする形で、赤池氏側に年間1千万円ほどの支払いをしていました。民間同士の契約にすることで、国の事業に義務付けられる審査の目から逃れられる。外部からのチェックが不可能な“裏金”といえます」
赤池氏が所長を務めるUDIの代表取締役CEOの竹腰稔氏が、「週刊文春」の取材に応じ、実名で次のように証言する。
「弊社において、取材があっても『何も知らない』で押し通すという指示が通達されましたが、包み隠さず話すべきだと思ったのです。サ協代表理事が『無償だった』という説明は正しくありません。弊社から電通に提出された過去の精算見積書を見ると、実際に報酬が支払われていたことが分かります」
竹腰氏が示した2枚の見積書の件名は〈国プロジェクト事業開発〉。2017年9月30日付と2018年3月7日付の半年分ずつで、どちらも金額は〈¥5,400,000〉、一枚目の項目欄には以下のように並んでいる。
〈サービスデザイン推進協議会案件(ビジネスクリエーションセンター:平川健司様)4/26, 4/27, 6/15〉
〈環境共創イニシアチブ案件〉
支払い名目は〈国プロジェクト事業開発アドバイザリーフィー〉となっており、サ協が受注している国の事業に関して、代表理事の赤池氏に報酬が支払われていたことが読み取れる。
2017年当時、サ協は経産省から「おもてなし規格認証事業」(4680万円)や「IT導入支援事業」(約100憶円)といった民間委託事業を請け負っていた。日付はミーティングが実施された日、ビジネスクリエーションセンターは、サ協業務執行理事である平川氏が当時所属していた電通の部署である。
サ協とSIIは、共に国から巨額の事業を受注し、その多くが電通に再委託されたことで、「中抜き」や「丸投げ」との批判を浴びている。
赤池氏を直撃すると、「支払いは間違いなく貰っていますが、そこに協議会の費目が入っていたかどうか分からない。愛知万博とかでは、もっとすごい額を請求していますよ。電通が見積書の内容を決めていましたから、そちらを取材してください」と答えた。
電通に質問状を送ったが回答はなかった。
これまで、電通や経産省は「サ協が受託することによる不当な利益は生じない」と繰り返し強調。サ協やUDIも、これまで「代表理事の対価は無報酬」とカネの流れを否定してきた。巨額の公費を受注した社団法人のトップに、再委託を受けた電通が約1000万円を支払った疑いが浮上したことで、国から受託した事業の収益が還流している疑惑が浮上した。また、持続化給付金事業でもこうした〈アドバイザリーフィー〉が発生していないのか、電通や経産省の説明が求められることになりそうだ。  

 

●吉村維新に騙されるな!吉本と電通が作り出す虚像。安倍官邸との利権構造 6/30 
新大阪駅の土産物店で「吉村知事グッズ」が陳列されていると聞いて、ビックリするやら、呆れるやら、悲しいやら...。この状況に至ったのは関西マスコミの責任が大きい。以下その構造について「路上のラジオ」ファンクラブニュースに記事を書いた。
なぜ「吉村人気」が高まるのか?吉本と電通を使ったマスコミ宣伝に騙されるな
みなさんは「クールジャパン機構」という名前を聞いたことがありますか?英語でクールは「カッコイイ」。日本の文化、伝統芸能、観光地や名産品などを外国に宣伝してインバウンド、つまり観光客を増やそうという名目で作られた官民組織です。この組織はJT(日本たばこ産業)やNTTなど公的機関を民営化してその株式を政府が運用して得た利益が投入されています。なので最大株主は麻生太郎財務大臣です。
問題はここから。我々の税金を原資にした組織が、吉本興業に多額の出資をしているのです。
まず、大阪城公園の木々を伐採して、次々と3つの劇場が建てられました。これはMBS、ABC、関テレ、読売放送、電通、吉本などの子会社「クールジャパンパーク大阪」が12億円の融資を受けて建てたもの。で、やっていることは「吉本お笑い劇場」。インバウンド観光客の増加とは関係ありません。
次に吉本と電通がYDクリエイションという子会社を作り、そこに50億円が出資されています。これは海外で映像コンテンツを作る人たちに出資しようというもの。アニメや映画などを外国で作る人や団体に出資するのであれば、直接「クールジャパン機構」がやればいい。なんで吉本と電通を介するのか?これは吉本にとっては、公金を使って「負けても損しない投資」になりますね。そして教育コンテンツを配信する「ラフ&ピースマザー、パワードバイNTT」。吉本と NTTが沖縄に設立。この新会社に100億円が出資されています。何をするのかというとスマホで勉強ができるソフトを作る。例えばセミやトンボにスマホを近づけると、画面に名前や特徴が出てくるというもの。なぜこれが必要なのか、なぜ沖縄に作ったのか、なぜこの会社に公金が融資されるのか。
その答えは安倍首相と吉本の異常な関係。2019年4月、なんと安倍首相が吉本新喜劇に登場。お返しに6月、吉本の芸人が首相官邸を訪問。こうしたことはあっという間にテレビで報道され、SNSなどネットで拡散し、結局は安倍首相の人気が上がる。吉本の芸人さんたちは「安倍政権の広告塔」になっています。
吉本の大崎会長は、基地跡地利用懇談会のメンバー。世界一危険な普天間基地が移転されると、そこにカジノを含むIR施設を作ろうという目論見があったようです。IRの収益の70%以上はカジノですが、そこには会議場、ホテル、劇場が建てられます。その運営を吉本に任せようということでしょう。
吉本の芸人さんの中には、ダウンタウンの松本人志さんのように安倍首相と会食する人や、たむらけんじさんのように「都構想に反対する人は気色悪い」と維新べったりの人が目立ちます。
吉本興業と大阪市は「包括連携協定」を結びました。「24区住みたい芸人」は、吉本の芸人を北区や福島区、住吉区などに住ませて、街ネタをツイッターなどで発信する取り組みです。(M1優勝のミルクボーイも住みたい芸人として駆り出されている)。露骨なのが選挙協力。堺市長選挙で未知やすえさんが堺市に入り、維新の候補者である永藤英機氏の応援に立ち、「藤永さんをよろしく」と連呼。候補者とのつながりで自主的に応援するなら名前は間違えません。会社命令でやらされているのです。
なぜ吉本はこんなに維新の会に肩入れするのか?
それはズバリ、カジノと万博。吉本にとっても電通にとっても、オリンピックと万博は金のなる木。そして夢洲にカジノが来れば、半永久的に劇場の売上収入が保証されます。CMに芸人さんも大挙して出場するでしょう。
さらに問題なのは憲法改悪。安倍首相がこのまま暴走し、改憲発議を行えば、60日から180日以内に国民投票です。官邸側は人気芸人を使って改憲キャンペーン。吉本側は自民党の金(原資は政党助成金という税金)で作ったCMで大儲け。もちろん、今秋実施される大阪都構想の是非を問う住民投票にも芸人たちが駆り出されていき、テレビでは「いっぺんやってみたらええねん」「大阪を元気にするのは都構想や」などとヨイショ発言を繰り返すでしょう。
つまり、安倍官邸、維新の会、吉本興業、電通は憲法改悪、カジノ、都構想でつながっているのです。「今だけ、金だけ、自分だけ」の利権集団に騙されないようにしましょう。
この記事を書いたのが今年1月。その後コロナで吉村知事人気が急上昇。保健所や病院、公衆衛生研究所をリストラしてきたのは維新なのに。もう少しまともな報道番組がないと、有権者はずっと騙されるのだ。オリンピック、万博でメディアも儲かる。だからその推進者が美化される。ここに気がつかないとずっと騙され続ける。 
●持続化給付金事業は元電通社員・平川健司氏が「仕切った」!!  6/30 
フィクサーとは、「(公正ではないやり方で)陰で仲介・調停することで報酬を受け取る黒幕的人物」(『広辞苑』)のことだ。さらに黒幕とは、「陰にあって画策したり指図したりする人」(同)をいう。
日本最大のフィクサーを生業としているのが、国内最大手の広告代理店企業、(株)電通である。黒幕は、陰にあってこその黒幕だ。だが「上手の手から水が漏る」ということか、その所業が表に出てくることがある。
持続化給付金事業を受注した「協議会」の背景
新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が半減した中小企業などを支援する持続化給付金の再委託問題は、事業を国から受注した一般社団法人サービスデザイン協議会(以下、協議会)が「トンネル会社」の可能性があると報じられたことが発端だった。
協議会は2016年に電通が中心になって設立。電話番号は7月時点で公表されておらず、法律で義務づけられている決算公告の開示も怠っていた。その協議会が、経産省の外局にあたる中小企業庁から持続化給付金事業を769億円で受託し、受託費の97%にあたる749億円で電通に丸ごと再委託。電通はさらに電通ライブなど子会社5社に外注していた。こうした実態が『週刊文春』などの報道で明らかになると、にわかに協議会の実態に注目が集まっている。
かつて公共事業「丸投げ」の対象は独立行政法人だったが、天下りの温床と批判されたことで新たな隠れ蓑が必要になり、役所主導で作られた社団法人が急増したとされる。いびつな利害関係を隠す目的で編み出したのが、トンネル会社を経由させる奇策だった。本来なら官から民に直接発注して競争入札すれば済むことだが、そうするといつも同じ顔触れが受注していることがわかってまずい。批判をかわすために、金の流れを浄化する「別の顔」(トンネル会社)が必要になったのだ
平川氏は、電通から協議会に送り込まれた“黒幕”
6月8日、笠原英一・アジア太平洋マーケティング研究所所長が、協議会の代表理事を退任した。「持続化給付金事業については一切知らない。電通に聞いてほしい」と言い、「お飾り」であったことを認めて、笠原氏は辞めた。
これを受けて、協議会を“隠れ蓑”にしていた電通が前面に出てこざるを得なくなった。同日、協議会側が事情を説明するために記者会見を開いた。席に現れたのは、大久保裕一氏、榑谷(くれたに)典洋氏、平川健司氏の電通出身の3名だ。新しく協議会の代表理事に就任する大久保氏は、電通の執行役員。榑谷氏は、電通の取締役副社長執行役員(COO)。平川氏は、協議会の業務執行理事だ。
注目すべき人物は、平川氏だ。協議会の設立時に、電通のプラットフォーム・ビジネス局事業企画部長から協議会の理事に就任した。19年6月に電通を退職した後も、引き続き、協議会の業務執行役員を務め、給付金事業の実務を仕切ってきた。
平川氏が、「陰にあって画策したり指図したりする」“黒幕”として電通が送り込んだ人物であることが明らかになった。陰にあった平川氏は、どのような画策をしたのだろうか。その一端が暴かれた。
米テキサス州の「前田ハウス」で連日の宴
6月11日発売の『週刊文春』は、持続化給付金を担当する中小企業庁の前田泰宏長官が経産省大臣官房審議官だった17年当時に米テキサス州のイベントに参加した際、近くのアパートを借りて「前田ハウス」と名付けて、パーティーを開き、そこに平川健司氏が同席していたと報じた。
この報道を受けて、11日の参院委員会では、立憲民主党の蓮舫氏が報道の真偽を前田氏に問うた。「パーティーは毎日(開かれていて)、関係者との意見交換はそこでやっていた」と前田氏は釈明し、平川氏がパーティーに参加していたことや、別の場所でも平川氏と会っていたことを認めた。
朝日新聞デジタル(6月12日付)は、委員会で明らかになった点をこう報じた。
「前田氏は15年から大臣官房審議官として協議会と関わるサービス業を所管する商務情報政策局を担当していた。前田氏と平川氏は、その前から交流を始めたという。協議会は平川氏ら電通が中心となって16年に設立され、設立当日に経産省が公募した事業をその後受注した。その後も経産省発注の事業を次々と引き受け、これまでに計14件約1,576億円分を請け負い、その5割にあたる808億円分が電通などに再委託されている」
なんていうことはない。前田氏と平川氏、つまり経産省と電通が結託した“出来レース”だったのだ。電通から送り込まれた黒幕の仕事を、平川氏は完璧にこなしたことになる。だが、米テキサス州の「前田ハウス」での乱痴気パーティーを腹に据えかねる出席者がいたのだろう。週刊文春へのタレコミで、癒着が暴露されてしまった。 

 

●持続化給付金 2次補正分 委託見直し事業分割へ 6/26 
不透明だという指摘が出ている持続化給付金について、経済産業省は第2次補正予算分の委託を見直し、事業を分割する方針を固めました。
持続化給付金は、支給対象の拡大などに伴って、第2次補正予算で民間への委託費として850億円が計上されています。
これについて、経済産業省は委託の枠組みを見直し、大きく、申請書類の審査と給付金の振り込みに、事業を分割する方針を固めました。
そして、2つに分割した事業それぞれについて、公募に応じる民間の事業者がいるかどうか調べる入札可能性調査を行う予定です。
ただし、新たな事業者が現れなければ現在の委託先の一般社団法人、サービスデザイン推進協議会に引き続き委託することになるとしています。
持続化給付金をめぐっては、大手広告会社の電通など多くの企業に対して再委託や外注が重ねられ、実態が不透明だという指摘が出ていて、経済産業省は民間への委託の在り方について見直しの検討を始めています。 

 

●電通社員の下請け圧力関与問題でさらなる調査求める 6/24 
衆院経済産業委員会で24日閉会中審査が開かれ、共同会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」から大串博志、斉木武志、山崎誠、川内博史各議員が質問に立ち、持続化給付金や家賃支援給付金事業等について質問しました。
大串議員は質疑の冒頭、「新型コロナウイルス対策を国民の皆さんの協力を得ながら進めていくためには政府への信頼を欠くことはできない」との問題意識のもと、前法務大臣の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員が逮捕された公職選挙法違反(買収)事件に言及。自民党から交付された1億5000万円のうち1億2千万円は政党交付金が原資と判明していることから、税金を原資として違法な資金提供が行われたのではないかと西村官房副長官にただしました。自民党席からは「コロナ対策ではない」「理事会の合意事項だ」などと怒号が飛び、公明党の富田茂之委員長はたびたび質問を遮り議事を止めましたが、大串議員は「政府への信頼の問題だ」と反論。自民党の二階幹事長が23日の記者会見で、1億5千万円の使途について「党として支出した先がどうなったか細かく追及しておらず、承知していない」と述べたことを受け、二階幹事長の従来の説明や、それを引用し「党本部で事後的に各支部の支出をチェックしている」とした安倍総理の18日の記者会見での発言、参院決算委員会での岡田官房副長官の答弁と異なることから、この点について説明を求めました。西村官房副長官は「(二階幹事長の発言は)承知していないので答弁できない」と答弁を避けました。
その上で、「家賃支援給付金」事業をめぐり、大手広告代理店・電通が下請け企業に対し、別の広告大手に協力しないよう求める発言をした問題を取り上げ、「他の支援業務を妨げようとしているのであればとんでもない。事実であれば独占禁止法に抵触することになる」と事実関係を確認。梶山経産大臣は、サービスデザイン推進協議会から実施したヒアリングによれば、5月23日に持続化給付金事業において全体の管理・調整を担当していた電通社員から個人として不適切な発言があったことは事実だと認めた上で、「組織的な圧力ではなかったと聞いている」と答弁。大串議員が「『組織性がない』と確認した客観的事実はどこにあるのか」と迫ると、梶原経産大臣、前田中小企業長官は明確な説明はせずに、「不適切な問題発言があった電通社員はすでに処分され、電通として再発防止に向けたコンプライアンス協議を実施している。今回の件をもって事業遂行に特段の影響はない」「追加の調査予定はない」などと強弁しました。大串議員は、他の下請け企業に対する圧力があった可能性もあり、事業を担わせるべきか判断する必要があると述べ、調査に消極的な経産省に対し、「電通を庇おう、庇おうとしている。経産省自体が癒着しているのではないかという疑念が残る」と指摘しました。
山崎議員は、持続化給付金事務事業に63社もが関わるなか、業務の履行体制がしっかりしておらず、個人情報等取扱業務の再委託に係わる承認について、本来提出が求められている情報取扱者名簿と情報管理体制図を把握できていないことを問題視。「事前に報告せずに個人情報をいじることはできない。それがルールなのに守れていない事実は重い。もし、個人情報が流出するようなことが起これば全部業務が止まってしまう。いま給付を待っている方がたくさんいらっしゃる。事業をやめなければいけないと思っている人たちにどういう責任を取るつもりなのか」と訴え、参画しているすべての企業と、どういう個人情報にかかわる取り決めの文書を交わし、作業実施者の実態を把握しているのかについて、書面での提出を求めました。
川内議員は、「家賃支援給付金」事業をめぐる電通社員から下請け企業への圧力メールについて、経産省が、サービスデザイン推進協議会から「削除されている」と聞いていると説明していることに、「コンプライアンスの観点から証拠をすべて残す必要があるということで開発されたソフト(を使用している)。官を欺くものではないか」と批判。「われわれとしては、持続化給付金の事業は進めてもらわなければいけないが、事務は効率化し、コストダウンしなければならない。行われていることには法的適合性、コンプライアンスを守ってもらわなければいけない。独禁法違反の疑いがあることには、詳細に調査しなければ家賃支援給付金をはじめ、今後のさまざまな給付金事業に影響が出る可能性がある」と指摘。「独占禁止法で禁じられている、優越的地位の濫用にあたり、独占禁止法違反であると思慮する。組織的なものか否か、どこまでの範囲でこのようなことが行われていたのか、公正取引委員会としてしっかりと調査をすべきだと申告するのでお受けいただきたい」と述べました。これに対し公正取引委員会審査局長は、「申告として受付、独占禁止法の規定に基づき適切に対処してまいりたい」と応じました。 

 

●今後の持続化給付金事務事業について 6/23 
   一般社団法人サービスデザイン推進協議会
本日、経済産業大臣から、持続化給付金の給付額が第一次補正予算で措置された予算額に達した以降も、第二次補正予算を活用し、本年4月に当協議会が受託した持続化給付金事務事業の中で、給付金の給付を継続するとの表明がございました。
これに従い、当協議会としては、本年4月に締結した給付金事務事業委託契約に基づき、同契約の範囲内で、第二次補正予算で措置された給付金の一部について、持続化給付金事務事業の執行に当たらせていただきます。なお、第一次補正予算に基づく現行の委託契約について、中小企業庁に対して同契約に規定されたもの以外の新たな委託費(第二次補正予算の事務費にかかる費用)を請求させていただく予定はございません。
今後も引き続き、委託事業の趣旨に沿って、一件一件誠実に、そして迅速・安全・確実に、申請された事業者様に給付金をお届けできるよう尽力してまいりたいと考えております。ご関係の皆様におかれましては、引き続きご理解とご協力を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。
   以上  
●安倍政権に激震、河井夫妻逮捕を上回る「給付金スキャンダル」の破壊力 6/23 
首相“直撃”の相次ぐ不祥事、 揺らぐ政権基盤
「桜を見る会」や「検察人事」で揺れた安倍政権だが、現職国会議員の「河井克行・案里夫妻の逮捕」という不祥事にまたもや見舞われた。
側近だった克行議員を法相に任命したのは安倍晋三首相だったし、公職選挙法違反(買収)の容疑がかけられている案里議員の参院選出馬を強引に進めたのも首相と菅官房長官だった。
政権直撃のスキャンダルが相次ぐ中で、とりわけ致命傷になりそうなのが、新型コロナウイルス対策の給付金をめぐる“税金横流し”の疑惑だ。
過去、「森友・加計問題」などの不祥事が起きると、経済や雇用の好況をアピールすることで支持率回復につなげ求心力を維持してきたが、“給付金スキャンダル”はアベノミクスのど真ん中を直撃したものだからだ。
持続化給付金の委託で「中抜き」や横流しの疑惑
問題になっているのは、売り上げが急減した中小企業などに最大200万円を出す「持続化給付金」。コロナ禍を受けた緊急経済対策の柱の1つだが、申請受け付けや審査といった手続き業務はまとめて民間に委託している。
それを769億円で受注したのは、一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ推協)だった。
ところが、業務の大半は749億円で広告大手の電通に再委託されていたのだ。さらに電通からも業務が子会社5社に割り振られ、人材派遣大手のパソナや、ITサービス大手のトランスコスモスなどにも外注されていた。
サ推協は2016年、電通、パソナ、トランスコスモスの3社でつくった団体だ。
電通やパソナがじかに請け負わず、団体や子会社を挟むのは、なぜなのか。再委託や外注のたびにお金が「中抜き」されているのではないのか。
サ推協は法律で定められた決算公告を一度もしていなかった。
先週までの国会は、この問題で大荒れだった。
なぜ政府は、このような団体に巨額の公的業務をまかせたのか。769億円の出どころは、国民が納めた税金だ。本来ならもっと安い価格でできるはずなのに、税金がムダづかいされているのではないのか。一部の企業に横流しされているのではないか――。
予算委員会で、野党側はこぞって政府を攻め立てた。
立憲民主党の枝野幸男代表は「電通ダミー法人とでもいうような法人による丸投げ、中抜きという疑惑」だと断じ、同党の蓮舫氏も「こんな団体に大切な税金を渡して、適正ですか」と迫った。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「四重塔、五重塔ぐらいになっている。国のチェックがいき届きにくくなる」と指摘し、何回もの再委託や外注を厳しく批判した。
これに対し、安倍首相は、あとで精査して実際にかかった費用だけを渡す「清算払い」のため、税金のムダづかいは起きないと反論した。769億円はあくまで見込みで、このまま払うか決まっていないというわけだ。
さらに「中抜きという、それも言葉づかいとしてどうなのか」とも反発した。
再委託や外注の不透明、全容を把握できていない経産省
だが、質疑や経産省の担当職員からのヒアリングで、驚くべき事実が浮かんできた。
どの作業にどんな企業がかかわっているのかといった業務の全容を、担当する経済産業省が把握できていなかったのだ。
野党議員が調べた外注先の企業名について、梶山弘志経産相は「初めて聞いた」と答えるしかなかった。
「何次下請けまであるのか」「委託先との契約書を出してほしい」と、経産省の担当者に求めても、明確な答えはないままだった。
手続き業務には、申請の受け付けや書類のチェックによる審査、問い合わせへの対応、お金の振り込みなど、多くの作業がある。どこの作業をどの企業が請け負っているのかもわかっていない役所が、それぞれの作業でムダに税金が使われていないかを精査できるのか。そんな疑念が、かえって深まった。
野党側が色めき立つのも無理はない。この問題は「税金のムダづかい」にとどまらず、安倍政権の暗部を象徴するスキャンダルへと発展しつつある。
政権に及ぼすダメージは「桜を見る会」や「検察人事」「河井夫妻逮捕」よりはるかに大きい。
コロナ対策でも「お友達重視」 「談合まがい」の入札
その理由は主に2つある。
1つは、安倍政権の特質でもある「お友達優遇」が色濃く出ている点だ。
経産省は、委託先を決める際に入札をしている。参加を検討したのは、サ推協のほか、世界的なコンサルティング会社のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーと、まだ名前が明らかになっていない1社。
サ推協が競り勝ったわけだが、入札前に経産省はサ推協の関係者と3回も面談していて、その場に電通と電通子会社の社員も同席していた。経産省はほかの2社とも入札前に接触していたものの、それぞれ面談は1回しただけだった。
「出来レースだ。談合まがいじゃないか」(立憲民主党の大串博志氏)との野党側の追及に、経産省は反証できないでいる。入札は形だけで、初めからサ推協にやらせると決めていたのではという疑いが拭えないのだ。
電通は選挙で自民党のポスターを手がけるなど、もともと同党に太いパイプを持つ。
安倍首相夫人の昭恵さんは、電通に勤務した経験がある。また、サ推協の設立にかかわったパソナグループの会長を務めるのは、安倍首相が官房副長官や長官として支えた小泉政権で経済閣僚を務めた竹中平蔵氏だ。
サ推協から電通と電通子会社を介して業務を割り振られたイベント会社のテー・オー・ダブリューも、首相補佐官と内閣広報官をしている経産省の長谷川栄一氏を顧問に迎えていた時期がある。
長谷川氏は第1次安倍政権で内閣広報官を務めるなど、古くからの首相側近として知られている。
政権と近しい企業が、おいしい仕事を優先的に割り当てられ、うまい汁を吸っているのではないか。コロナ禍のもとで収入が減ったり営業自粛を強いられたりしてきた多くの人たちにはそう映り、強い批判を招く結果になったといえる。
安倍政権の「お友達優遇」は、森友・加計学園をめぐる疑惑以来、与党内も含めて批判をされてきた。
だが、モリカケ問題は、国有地売却や獣医学部開設など個別案件をめぐるものだったのに対し、給付金スキャンダルは安倍政権の経済政策の在り方への不信感を抱かせるものだ。
事業者に届かない給付、原因の解明進まず、倒産や失業
政権にとってより痛手なのは、もう1つの理由のほうだろう。
それは「業務の目詰まり」である。持続化給付金を申請してもなかなか入金されず、そのせいで事業をあきらめたり失業したりする人たちが続出している。
給付金は5月1日から申請できるようになった。オンラインでの手続きが原則で、経産省は入金までの目安を「2週間」と公表している。
安倍首相は5月4日、緊急事態宣言の延長を受けて開いた記者会見の冒頭で「最速で8月に入金する」と言い間違えて、慌てて会見中に「5月8日」と自ら訂正して「スピード感を持った支援」を強調してみせた。
ところが、申請から2週間どころか1カ月たってもお金が届かないケースが相次いだ。
経産省によると、5月1〜11日の申請者のうち約5万人が、1カ月後も入金されていなかったという。新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査や、「アベノマスク」の全世帯配布でも見られた目詰まりが、ここでも起きたのだ。
深刻なのは、どの作業で何によって目詰まりしているのかを、政府が申請者に対してきちんと説明できていないことだ。
大阪市内で飲食店を営む60歳代の女性は、5月初旬に申請を済ませた。だが2週間が過ぎても入金はなく、5月末になって「持続化給付金事務局」から突然に電子メールが届いた。
「軽微な不備について事務局において修正を行っております」とあった。
何が不備なのかは書いていない。こちらの申請の仕方が悪かったのか、それとも事務局側のミスやシステムの不具合なのか。そして入金はいつごろになりそうなのか。
いろいろ聞きたかったのに、問い合わせ先の電話番号はなく、メールには「ご返信いただいても回答はいたしかねます」とある。
「生活がかかっているのに、まるでひとごとだ」と女性は憤る。
コロナ禍の経済対策では、厚生労働省が担当する雇用調整助成金でも目詰まりが起きているが、原因はほぼ見えている。
厚労省は申請時の書類の多さや記入の難しさを認めて、簡略化に踏み切った。オンライン申請システムで起きた不具合については、委託先の富士通側による開発ミスの可能性が高い。
ところが、持続化給付金では、こうした原因の解明が一向に進まない。
業務の再委託や外注がくり返され、電通や電通子会社の先にも多くの企業が連なっているからだ。
企業間の情報共有のハードルは高く、責任の所在もあいまいになりがちで、経産省はどこで何が起きているかを把握できないでいる。そのため改善策もとりづらく、入金の遅れがなかなか解消されない。
5月上旬に申請した人たちの多くは、政府のいう「2週間」を信じ、家賃などの支払いが集中する月末までにお金がもらえると想定していたはずだ。
それなのに入金はなく、廃業や閉店を決めた人もいたとみられる。地域で長く愛されてきた零細企業や老舗がいま、次々と姿を消しつつある。
「安全網」整備後回しのツケ、アベノミクスの欠陥を象徴
安倍政権がこれまで数々のスキャンダルを乗りこえられたのは、アベノミクスがまがりなりにも「結果」を出していたからだ。
安倍氏が首相に返り咲いた2012年末から7年間で、表向き、失業率は大きく改善した。折から円高局面の転換が始まっていたことに加えて異次元の金融緩和策で円安・株高が加速、大手輸出企業を中心に企業業績は復調し、多くの雇用が生まれた。
安倍首相はその成果を、選挙の応援演説などでたびたび誇ってきた。
グローバル経済のもとでは、先進国の雇用は不安定化する。国民の関心は雇用にあり、支持率にも直結すると、政治家として感じとっていたのだろう。
大方の予想を覆して米国民がトランプ氏を大統領に選び、英国民がEU離脱を決めたのも、背景には雇用危機があった。
コロナ禍に直面しても、安倍首相は雇用に強いこだわりを見せてきた。会見でも、「事業と雇用を守り抜く」などとくり返し発言している。
しかしいま急速に進むのは、仕事の蒸発と雇用の悪化だ。
派遣社員などの非正規雇用が次々と切り捨てられ、中小企業では倒産や解雇が広がるが、給付金の遅れに象徴されるように政府の対策は後手に回っている。
アベノミクスは大企業を支えることで経済を成長させ、仕事と雇用を増やす政策だった。それにとらわれ、経済が悪くなったときの安全網づくりを後回しにしてきたツケが、一気に出始めている。
近しい企業への政策の丸投げで目詰まりが起こり、結局は仕事と雇用が失われていく。持続化給付金の顛末は、アベノミクスの「失敗」を象徴しているかのようだ。
うみを出し切れるのか「Go To キャンペーン」でも同じ疑惑
疑惑が払しょくされていないにもかかわらず、政府・与党は国会を17日に閉じた。国会を延長すれば、野党に追及され、国民の不信感がいっそう強まって支持率低下に歯止めが利かなくなるという思惑もあったのだろう。
だが、持続化給付金をめぐる議論は収まるどころか、むしろ縦横に広がりつつある。
「縦」でいえば、サ推協が過去にも経産省から計14件、約1600億円分もの業務を受注し、多くを電通に再委託していたことが発覚した。そこでも税金のムダづかいがなかったか調査を求める動きが出ている。
「横」では、同じコロナ対策で掲げられた消費喚起策「Go To キャンペーン」の事務局業務についても3000億円超で丸ごと民間委託することに疑問の声が出て、政府は業務の分割を決めた。
そして持続化給付金そのものへの疑念も、さらに深まりつつある。経産省側の責任者である前田泰宏・中小企業庁長官と、電通出身のサ推協幹部がもともと知り合いだったことが判明。経産省と電通の「癒着」や、電通側による下請けへの「圧力」も疑われ始めている。
危機感を強めた梶山経産相は、審査を担う要員を増やすなどして業務の目詰まりの解消を急ぐとともに、委託・外注先での業務の行われ方や経費の是非について今月中にも「中間検査」すると表明した。
外部の専門家に協力してもらい、税金のムダづかいや横流しがないかも調べるという。
だがアリバイづくりのための小手先だけの検査なら、国民の批判はかえって強まり政権の命取りになるだろう。支持率に敏感な安倍首相とその側近たちなら、それはよくわかっているはずだ。
政権が自らの失政に向き合い、うみを出し切れるのか。国民はそこを注視している。 
●電通社員が下請け圧力に関与 経産省、委託先から報告  6/23 
経済産業省は23日、新型コロナウイルス対策の「家賃支援給付金」の事業委託を巡って電通の取引先が下請け会社に圧力をかけ、電通社員も関与していたと明らかにした。電通が設立に関わり、別の給付金事業を受託している一般社団法人サービスデザイン推進協議会から報告を受けたという。同日の野党合同ヒアリングで説明した。
経産省によると、電通社員はイベント会社「テー・オー・ダブリュー」(TOW、東京)に対し、家賃支援給付金事業について電通以外の会社に協力しないよう口頭で圧力をかけた。TOWはこの意向に沿い、複数の下請け業者に要請。TOWが使ったオンライン上の連絡用ツールの内容は削除され、経産省は直接確認していないとした。
家賃支援給付金は、新型コロナの影響で売り上げが落ち込んだ中小企業などの家賃負担を軽減するため、最大600万円を支給する制度。7月に受け付けを始める見通しで、事務事業はリクルート(東京)が受託した。
サービスデザイン推進協議会は、中小企業などの経営を支援する「持続化給付金」事業を請け負い、電通に再委託した。電通側は同事業の一部をTOWに外注している。電通は今月17日に社員の処分を発表した。 
●給付金、電通が下請け圧力に関与 経産省、委託先から報告 6/23 
経済産業省は23日、新型コロナウイルス対策の「家賃支援給付金」の事業委託を巡って電通の取引先が下請け会社に圧力をかけ、電通社員も関与していたと明らかにした。電通が設立に関わり、別の給付金事業を受託している一般社団法人サービスデザイン推進協議会から報告を受けたという。同日の野党合同ヒアリングで説明した。
経産省によると、電通社員はイベント会社「テー・オー・ダブリュー」(TOW、東京)に対し、家賃支援給付金事業について電通以外の会社に協力しないよう口頭で圧力をかけた。TOWはこの意向に沿い、複数の下請け業者に要請した。 

 

●古賀茂明氏が経産省と電通の闇をズバリ指摘 6/21 
元経産官僚の古賀茂明氏が日刊ゲンダイのYouTube公式チャンネル「ワンポイント日刊ゲンダイ」(6月20日公開)に登場。中小企業や個人事業主を支援する「持続化給付金」事業をめぐる経産省と電通の闇に迫った。
経産省の中枢を歩んだ古賀氏だからこそ分かる両者の異常な関係。キーワードは「チャラ男」だという。どういうことなのか。
「経産省と電通。ひと言で言うと、『チャラ男とチャラ男の蜜月関係』です。電通は広告やイベントを扱っていますが、どちらも中身がなくてもあるように見せたり、大したことがなくても面白そうに見せる、これが仕事。お祭り屋さんです。一方、経産省は実は、最近ほとんどまともな仕事をしていない。かつては自動車や電力など官民一体となって日本の産業を支えてきたけれど、産業政策で経産省はもはや必要なくなってしまった。そこで何かでっち上げなければと『○○補助金』などを作るのですが、中身がないから立派に見せるのが大変。そこに電通が知恵を出して助けてくれるのです。いまや経産省と電通は一体なんです」
中身がないものを“お化粧”した事業の失敗例が、「クールジャパン」や「プレミアムフライデー」である。今回問題になっている電通が設立に関わった“トンネル団体”、一般社団法人「サービスデザイン推進協議会(サ推協)」が受託した「おもてなし規格認証」もその一例だ。
そして“チャラ男”の代表格が「持続化給付金」事業を担当する中小企業庁のトップ、前田泰宏長官だという。米国テキサス州への出張の際、「前田ハウス」と名付けたアパートでパーティーを開いていた渦中の人だ。電通出身で現在、サ推協の業務執行理事である平川健司氏との親密な関係も疑われている。
「僕らの頃は毎年、25人くらいが上級職の事務官として入省しましたが、そのうち3〜4人がチャラ男なんです。合コンやパーティーをやったりして。だけど、若いうちは『仕方ないな』で済むのですが、課長や部長など偉くなるにつれ、真面目になっていくものです。ところが、前田くんは若い頃と変わらない。しかも役職が上に行けば行くほど、みんなが『前田さん、前田さん』と寄ってくるので、さらに舞い上がっていく。電通がまたそういうことがうまい」
そんな経産省と電通に加え、安倍内閣がチャラ男であることも、不幸に拍車を掛ける。
「安倍首相はいろんなタレントと会った写真を出したり、『桜を見る会』にも芸能人ばかり呼んでPRする。だから経産省が『プレミアムフライデー』などのアイデアを持って行くと、『それはいいな』と飛びつく。つまり、安倍内閣は見かけ重視でパフォーマンスが大事。それをお膳立てしてくれる役所が経産省で、そうした中身のない人たちを支えるのが電通なんです。経産省、電通、安倍内閣と3つのチャラ男が重なって、たまたま問題が噴出したのが持続化給付金事業ですが、基本、日本の今の政治は『3チャラ政治』なんです。これを続けていたら、本当に日本は滅びますよ」 
●持続化給付金 ”電通下請け恫喝”メッセージを全文公開 6/21 
経産省の民間委託事業をめぐって、「週刊文春」6月18日発売号で報じた電通の「下請け圧力問題」。「週刊文春」は、持続化給付金事業の下請け企業が、電通の意向として、ライバル会社の博報堂に協力しないよう下請けを”恫喝”するメッセージ全文を入手した。
メッセージは、株式会社テー・オー・ダブリュー(TOW)の担当者が、複数の下請け企業に対して送ったもの。イベント企画会社であるTOWは、電通を通して、今回の持続化給付金事業の一部を請け負っている。
メッセージは5月24日、持続化給付金事務局のSlack内でTOWの責任者から一斉送信された。その文面は〈*責任者の方以外社外秘でお願いします〉という注意書きの後、次のように言及する(以下原文ママ)。
〈今後電通がある理由で受託に乗り出さないコロナ対策支援策があります。具体的には家賃補助の給付事業です。この話は電通がやりたくない、かつ中企庁(編集部注・中小企業庁)もいろんなところに相談をして全て断られ、最終的に博報堂が受注の可能性があるものになりそうです〉
「家賃補助の給付事業」とは、売り上げが減った中小事業者へ家賃を給付する家賃支援給付金事業のこと。メッセージの送信日は同事業の公示日より前で、電通の競合他社への警戒ぶりが窺える。文面はこう続く。
〈そのため、電通傘下で本事業にかかわった会社が、この博報堂受託事業に協力をした場合、給付金、補助金のノウハウ流出ととらえ言葉を選らばないと出禁レベルの対応をするとなりました。対象はこのリストに載っている各社の皆様にご協力をお願いできればと思います。TOWとしても長年の関係と信頼があるうえで、今回の仕事をいただいているため、当然ですが弊社が協力をお願いした皆様にもすいませんが、強制的にお願いしたい次第です〉
さらに、〈支部のプロダクションの皆様にはリーダーからご説明いただきたく、末端の人材派遣会社などは受けざるお願いこともあると思いますが、もしそんな声が聞こえてきたら報告をいただければと思います。よろしくお願いいたします〉と違反者の“密告”まで要求している。
「つまり、持続化給付金事業を電通から請け負っていた会社が博報堂に協力した場合は、今後一切仕事を回さないと脅迫している。このメッセージは電通の指令のもと送られ、それを受けた各エリアの担当者たちが各県のプロダクション等に伝達する流れです。結局、家賃支援給付金事業は942億円でリクルートが受託することになりましたが、電通によって公正な競争が阻害され続けてきた証拠に他なりません」
小誌は、本件について、事実確認の質問状を送ったが、電通から回答はなかった。しかし、「週刊文春」の発売日前日の6月17日夜、ホームページに「当社社員が受発注関係にある協力会社の従業員に対し、業務にまつわる不適切な発言を行ったことが判明いたしました」と発表。また個別の問い合わせには「回答は差し控えさせていただきたい」とし、説明を拒んでいる。TOWからの回答はなかった。
関係者によれば、今回のメッセージは、電通社員の意向を受けて、下請けのTOWが発信したものと見られる。競争相手と取引しないよう圧力をかける行為は、独占禁止法に抵触する恐れもある。
持続化給付金事業を巡っては、発注した中小企業庁のトップ・前田泰宏長官と電通が設立したサービスデザイン推進協議会との”癒着”が論議を呼んでいる。経産省が、こうした委託先への不適切行為に対し、どのように対処するのか、注目される。 

 

●電通「中抜き」問題と官僚天下り問題との深い関係 6/18 
20億円もの税金が「中抜き」された疑いのある、持続化給付金事業の委託問題。その説明の説得力のなさに納税者の怒りは高まるばかりですが、そもそもなぜ我が国では、このような杜撰な対応がまかり通るのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、もはや「国が主導しているとも言える腐敗の構造」を暴いています。
持続化給付金は天下りの温床
前号では、「新型コロナ対策では、アビガンがなかなか承認されなかったり、世界で大活躍している日本企業製のPCR検査機器が日本国内では使用不可になっていたりなどの不可解な点が多々ある」「それは厚生労働省の官僚たちが自分たちの権威と利権を守るために、日本の優れた医療資源を承認しないのだ」ということを述べました。今回は、その官僚たちの天下り事情についてお話したいと思います。
昨今、持続化給付金の中抜き問題が大きくクローズアップされています。この問題も、実は官僚の天下りと大きく関係しています。なので、持続化給付金に絡めて官僚の天下り事情をご説明したいと思います。
持続化給付金というのは、新型コロナにより経営が悪化した中小企業に、悪化状況に応じて現金を給付するという事業です。中小法人で最高200万円、個人事業者で最高100万円が支給されます。経営悪化している事業者は多いので給付の総額は膨大になると見込まれ、事務委託費だけで769億円もの予算が組まれています。
この持続化給付金の事業が、「サービスデザイン推進協議会」という団体に769億円という巨額な費用で事務委託され、その委託費は20億円抜かれた後さらに電通などに再委託されていた、それが発覚し問題となったというわけです。
冒頭に述べましたように持続化給付金の委託においての「中抜き問題」も、官僚の天下りが大きく関係しているのです。持続化給付金の委託を受けた「サービスデザイン推進協議会」という団体は、実は天下りの巣窟なのです。
サービスデザイン推進協議会の理事の中には、天下り官僚はいません。さすがに、国から莫大な委託費を受け取っている団体に、天下り官僚などがいれば世間から叩かれるのはわかっているので、官僚たちはそんなヘマはしないのです。
が、サービスデザイン推進協議会に名を連ねている企業が、天下りの代表的な受け入れ先なのです。
サービスデザイン推進協議会は、電通、パソナ、トランスコスモスなどによってつくられた団体です。
電通は昨年も元総務省事務次官の桜井俊を取締役に受け入れるなど、官僚の天下り先として非常に有名な企業です。
またパソナという会社は人材派遣業であり、小泉内閣の経済政策を一手に引き受けていた竹中平蔵氏を会長に迎え、官僚の再就職業務(つまりは天下りのあっせん業務)なども行っていた「天下りの総本山」というような会社なのです。
サービスデザイン推進協議会の理事として名を連ねている「日本生産性本部」という公益法人も、天下りの総本部のような法人です。日本生産性本部とは、労働問題などを研究するシンクタンクですが、国から莫大な補助金をもらっています。そして、この日本生産性本部は、大量の天下り官僚を受け入れており、国会などで何度も批判を浴びて、その都度規模を縮小されるのですが、いつの間にか復活して肥大化するというゾンビのような集団なのです。
このように電通、パソナ、日本生産性本部は、日本の天下りを象徴するような存在なのです。彼らが中心になってつくられた「サービスデザイン推進協議会」が、どういうものなのか、赤ん坊でもわかるはずです。
そもそもなぜ給付金業務を民間に委託するのか?
持続化給付金に関しては、「そもそもなぜ国の事業である給付金業務を民間企業に委託するのか?」という大きな疑問があるはずです。
こういう国の業務を民間企業に委託すると、個人データを民間企業に流すことになり、様々な問題が生じるのです。特に、今回の持続化給付金などはそうです。持続化給付金というのは、経営状態が悪化した事業者が申し込むものです。当然のことながら申請する際には、経営内容を記した書類を提出しなければなりません。電通やパソナなどは、日本全国の「経営が悪化した事業者」のデータを入手できるわけです。国の委託業務を受けた企業には一応、守秘義務がありますが、取得したデータをこっそり使っても、外部からはばれようがありません。
また電通やパソナは、持続化給付金業務に適しているとは決して言えません。彼らは各事業者の経営データを持っているわけではないので、もし事業者が本当は給付対象者ではないのに、適当に資料を作成して申請しても、それを見破る術がありません。おそらく、相当な数の「不正受給」が発生しているはずです。
国には大量の公務員がいるわけですし、国が自分でやろうと思えばやれるはずなのです。というより、本来、国がやらなければならない業務なのです。
しかも、国にはそれだけの人員がいるのです。百歩譲って、経済産業省にはその能力がないとしても、国家公務員全体を使えば簡単に可能なのです。
たとえば、国税庁を利用すれば、電通やパソナなどの委託するよりはるかに安全でスムーズに業務が行えたはずなのです。国税は日常的に税金や還付金の振り込みを行なっているので、各事業者の銀行口座なども把握しており、支給もスムーズに行えるのです。
また国税庁はもともと各事業者の経営データなどは持っていますので、申請内容をスピーディーにチェックできますし、不正の申請を見破ることも可能です。
国税庁には全国で5万人の職員がいます。現在は国家の一大事なのですから、そのうち5,000人を新型コロナ給付金業務に割いたとしても、まったく不自然ではないはずです。国税職員5,000人が一人あたり1日20件の審査業務をすれば、1日で10万件の給付金支給が可能になるのです。
国税庁の仕事の3〜4割は税務調査であり、税務調査というのは削減しようと思えばいくらでも削減できるのです。また最近は新型コロナの影響で税務調査はあまりできていないはずです。不要不急の外出の自粛要請がでているとき、国税もそうそう税務調査に行くわけにはきませんし、経営が悪化している事業者が多いので、こんなときに税務調査を行うと国民に反感を買うのです。つまり、国税庁から人員を何割かほかの業務にあたらせることなど、まったく造作ないのです。
しかも、彼らは国家公務員なので、事務委託費などまったく不要です。つまり、電通などがうけとった769億円の事務委託費は、本来まったく不要なものだったのです。
が、官庁には、そういう発想は絶対に出てこないのです。給付金は経済産業省が主導で行われることになっており、「経済産業省の縄張り」となっているのです。これを国税庁に依頼すると、自分の縄張りを他省庁に取られることになりますので絶対にやらないのです。
「国の業務委託」は官僚の利権の温床
本来、国がやるべき仕事を別の団体に委託し利権を確保するという手法は官僚の常とう手段でもあります。
今回の持続化給付金の委託問題については、新型コロナという世界的な災厄でのことであり、世間が関心を持っていたので「発覚」ということになりましたが、国の事業ではまだ発覚していない「委託問題」が腐るほどあるのです。
たとえば、「国民年金基金連合」という団体があります。これは、自営業者向けの公的年金である「国民年金基金」を取り仕切る団体です。そもそも、自営業者の公的年金を扱うのならば、厚生労働省が直接行えばいいはずです。
なのに、なぜ「国民年金基金連合」という団体をかませるかというと、天下り先を確保するためなのです。そして、この「国民年金基金連合」は、「国民年金基金」だけではなく「確定拠出年金」にも携わるという形を取り、国民の社会保険料から手数料という名目で莫大なピンハネをしているのです。現在、国のあらゆる業務に関して、こういう利権が張り巡らされているのです。
「官僚を優遇する企業に国の美味しい仕事を与える」というわかりやすい腐敗の構造。実は現在の日本はこういうのばっかりなのです。元官僚として、筆者はこういうのを嫌というほど見てきました。こんなひどい状態なのに、日本はよく国として成り立っているなと思うほどです。おそらくその他大勢の国民が、必死で頑張っているから、日本は崩壊せずに持ちこたえているのです。
しかしこんなに腐敗した構造では、社会がまともに維持されるはずはないのです。我々の生活にも影響は出始めています。
日本人の多くは、日本の社会インフラは世界の最先端だと思っています。が、それはバブル期くらいまでのことであり、昨今では世界的に大きく遅れをとっているのです。
今回の新型コロナ禍により、「日本は集中治療室(ICU)が先進国の中で著しく少ない」ということが取り沙汰されました。が、少ないのは集中治療室だけではありません。日本では、国公立病院が異常に少ないのです。日本の病床数の約80%は民間病院にあり国公立病院の病床は約20%しかありません。これは先進国としては異常なことです。イギリス、ドイツ、フランスなどの先進国ではほとんどが病床の半分以上が国公立病院なのです。
国公立病院が少ないと、必然的に新型コロナなどの感染症患者を受け入れてくれる病院が少なくなってしまいます。こういう患者が入ってくると、ほかの患者が来なくなるので民間病院は受け入れたがらないのです。だから日本では新型コロナ患者が増えればすぐに医療崩壊する危険がありました。そのためPCR検査を極力減らして「患者をいなかったことにする」という姑息な手段を取ったのです。
日本の社会インフラがボロボロなのは、医療だけではありません。教育もそうです。新型コロナ禍により、学校の現場ではオンライン授業を行なおうとしました。が、教育現場でのIT化が遅れていたため、小中学校でのオンライン授業は非常に困難を極めました。小学校でのパソコンの普及率は、OECDの中で日本は最下位なのです。日本では少子高齢化で、子供が少なくなっているにも関わらず、この体たらくなのです。
他にも日本の社会インフラが遅れている部分は数え上げればきりがありません。しかも、社会にとって根幹となるインフラ整備がお粗末なのです。たとえば、日本の地方都市の下水普及率はアフリカ並みなのです。下水というのは近代的な生活を送る上で基本中の基本のインフラです。それがまだ50%以下しか普及していない地域がざらにあるのです。
また電柱の地中化率も、先進国で最悪レベルです。日本人は、町中に電柱があることを当たり前のように思っていますが、先進国では、電線は地中に埋められているのです。
地震や台風などの災害の多い日本こそ、電線の地中化を先駆けてやらなければならないはずなのに、です。
日本は予算が少ないわけではありません。日本は世界最大といっていいほどの公共事業大国であり、GDPに占める公共事業費の割合は先進国では断トツの1位を長年続けてきたのです。「莫大な公共事業費を一体なにに使ったのだ?」「公共事業大国の下水普及率が途上国並みってどういうこと?」ということです。
それもこれも、税金がいたるところで官僚たちによって中抜きされ、まともに社会のために使われていないからなのです。それが、今回の新型コロナ禍であぶりだされてきたのです。 
●持続化給付金だけじゃない、日本の至る所にちらつく「竹中平蔵氏の影」 6/18 
規制緩和の先に利益がある
国の持続化給付金に関する経産省の委託費をめぐり、一般社団法人「デザインサービス協議会」から広告代理店大手・電通へ、さらに電通から人材派遣大手・パソナなどへ業務が何重にも外注されていたことが指摘され、問題となっている。
「新型コロナ禍で生まれた利権にまで食い込んでいるとは……彼の常套手段とはいえ、呆れてしまう」
さる政府関係者がこう述べるのは、かねて「政商」あるいは「レントシーカー」と指摘されてきたパソナグループ会長・竹中平蔵氏を指してのことだ。
「レントシーカー」とは、政府や役所に働きかけ、法や制度、政策を自らに都合のいいように変更させて、利益を得る者のことをいう。
竹中氏は、東洋大学教授、慶應義塾大学名誉教授といった学識者の肩書に加えて、パソナグループ取締役会長、オリックス社外取締役など企業人としての肩書を持つ。その一方で、安倍政権の成長戦略のアドバイザーとして未来投資会議、国家戦略特別区域諮問会議において民間議員の肩書も持っており、規制緩和や民間委託を推進する立場にある。
竹中氏が旗振り役となって規制緩和を推し進めた先に、竹中氏の利益があるという、いわばマッチポンプ的な構図が出来上がっているのだ。
外国人労働者の拡充にも…
前出の政府関係者によれば、竹中氏の「利権への関与」は近年だけでも枚挙に暇がない。順を追って挙げてゆこう。
まずは、外国人労働者にかかわる事業だ。
2018年12月8日、入管法が改正され(正式には「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」)、これにより外国人労働者の受け入れが大幅に拡大されるとともに、それにかかわる業務も拡充される運びになった。
改正を主導したのは、国家戦略特区諮問会議。前述の通り、同会議の議員のひとりである竹中氏は、入管法改正を「きわめて重要」な規制緩和だとして、早期の実現を主張していた。
一方、2019年4月の改正法施行に先立つ同年2月、竹中氏が会長を務める人材派遣大手のパソナグループは、外国人労働者をサポートする「外国籍人材定着支援サービス」を開始すると発表した。これは、日本で働こうとする外国人に、在留資格や就労ビザ取得などの事務手続きに関する説明や代行取次、日本語学習、日本のビジネスマナー講習、さらには新生活開始のための諸手続きの支援などを行う事業だ。
もし入管法改正、外国人労働者受け入れの拡大がなかったら、果たしてパソナはこのタイミングで、このような事業に乗り出していただろうか。竹中氏が規制緩和を推進し、それによって生まれたビジネスチャンスに、竹中氏自身が経営に関わる企業がいち早く参入してくる――この「丸儲け」のしくみが、いまや日本の至るところに存在する。
水道事業の民営化にも…
次に触れたいのが水道事業だ。2019年12月25日、水道法が改正された(正式には「水道法の一部を改正する法律」)。これについても、竹中氏の数年がかりの関与が見てとれる。
たとえば2013年4月。竹中氏は産業競争力会議(現・未来投資会議)において、「インフラの運営権を民間に売却して、その運営を民間に任せる。世界を見渡してみれば、港湾であれ空港であれ、インフラを運営する世界的企業が存在します」と発言している。
翌2014年5月には、産業競争力会議と経済財政諮問会議(内閣府に設置)の合同会議の場で、『コンセッション制度(注・所有権はそのままに、運営権だけ民間に売却すること)の利活用を通じた成長戦略の加速』という資料を配付。さらに2016年10月、未来投資会議において、「(『水メジャー』と呼ばれる世界的な水処理企業である)ヴェオリアは世界数十カ国で水道事業をやっている。ヴェオリアは日本に進出しようとしているけれども、日本にそういう企業がない」と、外資系企業が日本の水道事業に参入することに、エールを贈るかのような発言までしていた。
さらなる梃入れもあった。竹中氏は水道事業の民間委託を広げる目的で、自らの「名代」を補佐官として菅義偉官房長官のもとに送り込んだと永田町では噂された。PFI(Private Finance Initiative:民間資金を利用して公共施設などを整備すること)に通じる、コンサルタントの福田隆之氏のことだ。同氏は、ヴェオリアからの接待疑惑が報じられる中、2018年11月に辞任したが、改正法そのものは無事、成立した。
なお、竹中氏が社外取締役を務めるオリックスは、2017年5月に設立された「浜松ウォーターシンフォニー」なる会社にヴェオリアとともに出資している。同社は2018年4月、コンセッション方式を採用した浜松市の下水道事業を受注している。
そしてオリンピックにも…
三つ目がオリンピックだ。
会計検査院は2019年12月、東京オリンピック・パラリンピックの関連事業に対する国の支出がすでに1兆600億円に達しているとの集計結果を公表したが、この事業にもパソナグループは手を伸ばしている。
パソナグループの中核企業・パソナは、会計検査院の発表の直前にあたる同年11月、「組織委員会運営スタッフ」を募集した。求人誌に掲載された情報によれば、時給1600円以上の有償のアルバイト・スタッフで、募集人数は2000人。10月には大会組織委員会が、20万人もの応募があった「ボランティア・スタッフ」のうち12万人を不採用としたばかりであった。
これに関しては、竹中氏が政権のアドバイザーとしてあからさまな介入を行った形跡はない。しかし、ならばなぜ、膨れ上がる五輪費用の削減に目が向けられる中、余分な出費までしてパソナを潤わせるのか。
ちなみに、有償のスタッフの任期は2月から9月の約240日間。日給およそ1万3000円として、1日当たり2600万円の出費。総費用は60億円以上にも上る。これにパソナへの手数料――委託費が加算される。
そして、今回の持続化給付金に関する騒動で、国民の目に触れなかった利権漁りの一つがまた明らかになったわけである。
「持続化給付金」だけではなさそうだ
一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」は、2016年5月、パソナの他に大手広告代理店の電通、IT企業のトランス・コスモスなどよって設立されたが、その直後から経産省から多くの委託事業を受注していた。
同年8月に「サービス産業海外展開基盤整備事業」を4680万円で受託したのをはじめ、2017年には「IT導入補助金事業」を100億円で、また「IT導入支援事業」を499億円で請け負っている。
さらに2018年「IT導入補助金事業」で100億円、2019年には「事業継承補助金」などで54億円の受注がある。これらの事業の多くが、電通グループやパソナなどに再委託されていることも確認されている。
そして、今年5月、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業などへの緊急経済対策の目玉の一つとして支給が決定され「持続化給付金」の手続き業務を769億円で受託。20億円を中抜きし、749億円で電通に丸投げしていた。今後もほかの手続き事業を受注する予定だとされている。
このほかにも、現在進行中のものがあるという。空港事業だ。
竹中氏は現在、未来投資会議の分科会である「構造改革徹底推進会合・第4次産業革命会合」会長でもあり、公共施設のコンセッション政策のとりまとめも行っている。全国各地の空港もその対象に含まれているが、今年1月に開かれた会合で、竹中氏は各空港の財務状況を分析した資料を開示するよう、国交省に強硬に求めたという。
竹中氏が社外取締役を務めるオリックスは、関西国際空港の運営に参入している。そのため、国交省は利益相反の観点から当初、難色を示したものの、最終的には折れざるを得なかった。
竹中氏の頭には、今後の空港事業の入札があったとみられる。
「竹中氏については『政商』や『レントシーカー』『利益相反』との批判が常につきまとうが、批判だけではこうした行為を止めることはできない。そろそろ法律で規制することを考える時ではないか」(前出・政府関係者)
政治の世界を跋扈し、そこで生み出した果実を自らの経営する企業に食わせる――「規制緩和」の流行が生み出したこのやり口を、このまま野放しにしてよいのだろうか。 
●電通が社員を処分 委託事業に関連か 経産省確認へ 6/18 
大手広告会社の電通は、社員が取引先に対して不適切な発言をしたとして社内処分を行ったと発表しました。経済産業省は、処分は国からの委託事業に関係しているとみて事実関係を確認する必要があるとして、近く電通から事情を聴くことにしています。
電通は、社員が取引先の従業員に対して、業務にまつわる不適切な発言を行ったとして、社内処分を行ったと発表しました。外部の弁護士による調査の結果、直ちに法令に違反するような発言とは認められないとしながらも、不適切な発言の内容や処分の程度については明らかにしないとしています。
しかし、経済産業省は今回の処分は国からの委託事業に関係しているとみて事実関係などを確認するため、近く電通から事情を聴くことにしています。
一方、18日、野党議員が経済産業省に対して行った持続化給付金に関するヒアリングの中で、電通社員による取引先への不適切な発言は優越的な地位の乱用にあたり、独占禁止法に違反するおそれがあるのではないかという指摘も出されました。  

 

●電通委託の闇、「癒着と中抜き」のコロナ対策では経済再生はほど遠い 6/17 
「疑惑」残したままの補正予算、予備費10兆円は“憲法違反”
新型コロナウイルス問題の追加支援策を盛り込んだ今年度第2次補正予算が成立したが、半分の使途が定かでない10兆円もの巨額予備費が計上され、また第1次補正予算(第1次の緊急経済対策)で盛り込まれた持続化給付金の不透明な民間委託問題への十分な説明もされないままだった。
感染拡大防止の営業自粛などで売り上げや収入が激減した事業者や個人を支えることに主眼を置いたはずの対策だが、役所と癒着した一部の企業のピンハネによる税金無駄遣いの疑念が残る。
こうしたことが横行するのでは経済再生は程遠い。
財政民主主義の破壊は議会制度の否定
6月12日に成立した総額31.9兆円の第2次補正予算は、2つの意味で財政民主主義を形骸化させるものだ。
1つは、議会が使途を決めずに使える予備費の金額があまりに巨額だからだ。同じ自然災害や大きな不況の時と比べても、額が異常に大きい。
たとえば、リーマンショック時の予備費はおよそ1兆円だった。あるいは、東日本大震災が起きた際の、2011年の第2次補正での予備費でも8000億円だった。10兆円の予備費が、いかに巨額かがわかる。
予算や課税に関する法律は国民の代表である国会で決めることになっている。政府は予備費を政府の裁量で支出できるとしているが、こんな巨額を政府が議会のチェックなしに勝手に使えるとしたら、それは後進国の独裁政権と同じである。
野党の猛反発もあって、政府は半分の5兆円については、雇用調整助成金など雇用維持や生活支援に1兆円程度、持続化給付金など事業継続に2兆円程度、医療提供体制の強化に2兆円程度を充てるという大まかな方向は示したが、残る5兆円は不測の事態に「迅速に対応する」としただけだ。
憲法83条では、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と規定されている。1215年のマグナカルタや1628年の権利の請願を引くまでもなく、財政民主主義こそが議会制度(国会)の起源である。
予備費10兆円は国民から徴収した税金である以上、国会の議論と議決なしに政府が勝手に使えるものではない。
国会軽視と言わざるを得ないうちの1つは、第2次補正予算の審議の過程で、持続化給付金などのコロナ対策で極めて不明朗な予算の使い方が露呈したにもかかわらず、十分な説明もされず、何も正されないままに国会が閉じられようとしていることだ。
今国会では、政権との距離が近いとされた前東京高検検事長を検察トップに据える思惑で、検察幹部の定年延長を盛り込んだ検察庁法改正案を強引に成立させようとしたものの、野党や世論の反発で見送らざるを得なかったばかりだった。
それに懲りるふうもなく今度は、財政民主主義と議会制度を形骸化しようというのである。
持続化給付金民間委託の「闇」、トンネル団体とピンハネの疑惑
とりわけ持続化給付金の民間委託をめぐる問題は、完全に違法ではないとしても、極めて悪質で脱法的な要素が強い。
政府の事業を民間に委託すること自体は、行政のスリム化や効率化の観点からすべて否定されるものではない。だが、巨額の税金が使われる以上、十分な情報公開や透明性が必要十分条件だ。
だが持続化給付金の場合、委託関係が意図的とも思えるぐらいに幾重にもできていて、会計監査がしにくいようにできている。
持続化給付金の手続き業務を受注した「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」は事業費769億円の3%(約20億円)を抜いたうえで、委託費の約97%に当たる約749億円で電通に再委託し、電通は、さらにグループ会社5社に外注し、さらにそこから人材派遣大手のパソナやITのトランスコスモス、大日本印刷、さらにはイベント会社のテー・オー・ダブリューなどに業務が外注された。
「再々々々委託」である。ここまで外注を繰り返す必要性があったのだろうか。
電通側は自らは一般管理費として10%を得ると説明しているが、電通子会社やパソナなどは同じように利益を得ることになっているのだろうか。
梶山経産相はイベント会社などへの再々々々委託は知らなかったと国会で答弁したが、どうしてこうした何重もの委託が行われることになったのか、経費の実態はどうなっているのか、改めて調べ国民に説明すべきだ。
受託団体であるサービスデザイン推進協議会の職員21人は、協議会を設置した広告大手の電通やパソナ、ITサービス業のトランスコスモスなどからの出向者で占められている。サービスデザイン推進協議会は実態としてはトンネル団体だということになる。
持続化給付金事業を委託した経産省の前田泰宏中小企業庁長官が、これら「民間業者」とかかわりを持っていたことも暴露されている。
大臣官房審議官時代に、民間業者と米テキサス州へ視察旅行をし、知人が借りたアパートに複数人数で4日間宿泊、「前田ハウス」と称して飲食パーティーをしていた。その中に、電通社員でサービスデザイン推進協議会に出向していた平川健司業務執行理事も参加していた。
電通は経産省の“下請け機関”、自民党の選挙広告も請け負う
サービスデザイン推進協議会はこれまでにIT導入支援など、経産省の14事業を受託したが、その事業の多くも電通などに再委託されている。
また総務省から受託した「環境共創イニシアチブ」が「キャッシュレスポイント還元事業」を約140億円で電通に事業を再委託している。またサービスデザイン推進協議会が受注した家賃支援給付は約942億円でリクルートに再委託されている。
ちなみに、サービスデザイン推進協議会が入居する都内のビルは、「商店街まちづくり」「中心市街地活性化」「農商工連携等によるグローバルバリューチェーン構築」「小売事業者・ふるさと名物開発等支援」「商店街・まちなかインバウンド促進支援」「中心市街地再生」という電通が経産省から受けた受託事業6つの事務局があり、一部は1つのオフィスに同居していることがわかっている。
経産省と電通は、恒常的な「癒着」関係であるといえるだろう。
電通と自民党との関係も疑念を抱かせるものだ。電通は自民党の有力政治家に献金をしており、選挙広告では自民党は顧客関係に当たる。
実際、電通は、自民党の選挙広告を引き受けており、さらに安倍晋三首相の政党支部に40万円(2011〜14年)、二階俊博自民党幹事長に40万円(11〜14年)、高村正彦前副総裁、小池百合子都知事らに10万〜40万円の献金を出している。
経産省出身の首相秘書官らがさまざまな政策に影響力を持ち「経産内閣」とやゆされる安倍政権のさまざまな事業を電通など一部の企業が請け負う背景にこうした政治献金の影響はないのかどうか。
電通は自らの社員を出向させているサービスデザイン推進協議会を通じて、「再々々々委託」といった手の込んだ形をとって、「癒着」関係を隠そうとしているのではという疑念が消えない。
不透明な会計、事業者に届かない給付金
実際、委託関係を繰り返す度に、幾重にも中抜き(ピンハネ)をしても、形式上では「合法的」である。だが持続化給付金の委託が問題なのは、給付の対象者がコロナ倒産に脅かされている中小零細事業者らが多いことだ。
実際に、6月5日時点でも、新型コロナウイルスの影響で解雇や雇い止め(見込みを含む)にあった働き手が2万933人(厚労省調べ)いる。6月12日現在、「新型コロナ」関連の経営破綻(負債1000万円以上)は全国で244件に達している(東京商工リサーチ調べ)。
今なお持続化給付金が申請をしても届いていなという声が絶えない。業務の再委託や外注が繰り返されていることが給付の滞る原因になってはいないのか。
いくつもの委託関係を重ねることで会計は不透明になるが、支払われているのは国民の税金である。
サービスデザイン推進協議会は、2016年の設立以来、法律で定められている決算公告を一度も出していなかった。電通も委託総額の半分超になるという相談者会場の賃料や人件費は非公表のままで受注したことが判明している。
これでは、国会もきちんとチェックできないで、使い放題になっていると言ってよい。
こうした構図は、第1次補正予算に盛り込まれた「Go Toキャンペーン」事業や、第2次補正予算の予備費で使われるという持続化給付金の2兆円も同じだ。
多くの中小零細事業者がコロナ禍で困っているときにおいしい仕事を得て、表現が悪いが、火事場泥棒みたいだと言われても仕方ないだろう。
年初には、安倍首相が来年9月の任期切れを控え、憲法改正に向けて政治基盤を盤石にするために秋以降には総選挙に打って出るという観測があった。もし新型コロナウイルスが何とか収まって総選挙を行った場合、こうしたコロナ対策名目の給付金などは税金を使った選挙向けのバラマキ資金のようになってしまうだろう。
森友問題や加計学園問題や桜を見る会で表面化した「国家の私物化」が、全国規模で行われることになる。
遅れたままの検査・監視体制、バラマキを続けるしかなく
一方で、第2次補正予算でも、徹底的な検査体制や抗ウイルス剤や免疫制御剤などの薬を使った治療法が確立されるめどは立っていない。
新型コロナの抜本対策がなければ、外出自粛を含めて経済活動が制約され、景気回復はずっとできず、10兆円の予備費を使ってズルズルと給付金を出し続けることになってしまう。
抜本的な新型コロナ対策を最優先で取り組むように発想を転換すべきである。
新型コロナウイルスが厄介なのは、無症状でも感染させることであり、ウイルスはしつこくて、もし重症化すると、免疫暴走(サインカイトストーム)を引き起こして死に至らしめることがある。
これまで安倍晋三首相と小池百合子東京都知事はクルーズ船で多くの感染者を出した失敗をしながら、東京オリンピックへの影響や医療崩壊が現実になることを恐れたかのように、PCR検査の実施数を抑えるなど、後手後手に回って失敗を重ねてきた。
いまだに感染は止まらず、死者数が925人(6月15日、クルーズ船を含まず)に達し、死亡率は人口100万人当たり7人で、東アジアでは死亡率が一番高くなっている。
東大先端研など5大学の研究機関などが連携して東京都内の居住者に行った精密抗体検査による測定では、新型コロナに感染した者は、5月1日の検査では500人のうち3人、5月25日の検査では500人中4人だった。感染者の合計は7人で陽性率は0.7%だ。
単純計算すると、東京全体では10万人弱が感染したことになる。公式報告の10倍以上である。
新型コロナは無症状の感染者まで検査で見つけ出し、治療に取り組むなかで、有効な治療法がわかり、またさまざまな風邪とコロナの交差感染の感染歴がわかり、重症化しないケースもわかってくるだろう。
こうした精密抗体検査で無症状者を検出でき、症状のある者はPCR検査も組み合わせて、初めて感染を封じ込めることができるのである。
会社や学校、警察・消防を含む自治体職員、病院や高齢者施設なら清掃、食事、リネンなどまで、健康診断のように全員精密抗体検査をやっていくのである。その経費は10兆円予備費の何十分の一でできるはずだ。
今はいったん感染者数が減っているが、日本の場合、世界と比べてPCR検査の実施数が圧倒的に少なく、ひたすらステイホームで自粛させても、「隠れ感染」がジワジワ増えていくので、感染はなかなか収束できないでいる。
一方で休業要請と外出自粛が長引くと、人々は経済で生きていけなくなる。だが自粛を解除すると、また感染がジワジワ増えてウイルスで生きていけなくなる。
ウイルスか経済かというジレンマにはまってしまうと、いつまでたっても新型コロナウイルスを封じ込められない。そして、ひたすら癒着とピンハネを伴う給付のバラマキを続けるしかなくなってしまうのである。 
●「前田ハウス」幕引きはかる 電通関係者とのパーティー「倫理法に違反せず」  6/17 
経済産業省の外局である中小企業庁の前田泰宏長官が米国で開いたパーティーに電通関係者が出席していた問題で、同省は「法に違反していない」として前田氏を処分しない考えを示した。ただ、この関係者が理事を務める一般社団法人は持続化給付金事業のほか、パーティー開催前後に同省の事業を4件受注している。調査もせずに幕引きを図るのは早計ではないか。
「今となっては軽率だと思うが、そういう名称になった。ちょっと反省している」。十二日の衆院経済産業委員会で、前田氏はこう釈明した。
前田氏が弁解するのは、米テキサス州で知人が借りたアパートの一室が「前田ハウス」と名付けられたこと。経産委でのやりとりによると二〇一七年三月、現地であった世界最大級のビジネスイベントを公務で訪れた際、前田氏はここに寝泊まり。夜は酒食を伴う百人規模のパーティーを開き、当時電通の社員で、以前から知り合いだった平川健司氏も参加した。
平川氏は一六年五月以降、電通などが設立した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会(サ協)」の理事も務めている。サ協は一六年六月〜一八年二月、経産省から「おもてなし規格認証事業」など総額六百億円に上る四つの事業を受注している。発注者はいずれも、同省商務情報政策局サービス政策課。前田氏はこの間、同局担当の大臣官房審議官に就いていた。
持続化給付金も前田氏がトップの中小企業庁が発注しており、疑念がふくらんでいる。にもかかわらず梶山弘志経産相は十二日の経産委で「誤解を受けるような行動は軽率」としながらも「国家公務員倫理規程には違反しないと聞いている」とし、法的な問題はないとの認識を明らかにした。
国家公務員倫理法は、利害関係者との付き合いに厳しい基準を設けている。同法の倫理規程では、金銭や物品の贈与、接待を受けるのは禁止。割り勘でもゴルフ、旅行は許されない。「一般の人が見れば、職務の執行の公正さに疑問を持つ」(国家公務員倫理審査会のホームページ)からだ。
元経産官僚の古賀茂明氏は、前田氏の担当部署の事業をサ協が受注していることから「平川氏は紛れもなく利害関係者」と指摘。倫理規程にパーティー禁止の文言はないものの「公務員が、利害関係者が参加するパーティーを自ら開くような行為は許されない」(古賀氏)。
同法ができたのは、一九九八年の旧大蔵省の接待汚職事件がきっかけ。国民の信頼回復には既存の措置だけでは不十分との理由からだった。今回も国と電通など一部企業の蜜月ぶりが次々に明らかになり、国民の信頼は失われつつある。
元厚生労働官僚の中野雅至・神戸学院大教授(行政学)は「法に反しないと言い切るのなら国は徹底的に調査し、疑念を晴らさないといけない」と強調する。
古賀氏も「前田氏と平川氏の関係だけでなく、経産省と電通の癒着の構造まであぶり出すべきだろう。そうしないと持続化給付金のような重要事業がうまく進まなくなり、社会の混乱を招く」と語った。 
●安倍政権が「国会閉じるな」の声を無視して強行閉会!  6/17 
電通疑惑、イージス・アショア問題にフタ、今後は杜撰なコロナ対策も放置状態に
新型コロナという「100年に一度の国難」(安倍首相)の只中にあるというのに、国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会を、与党は明日、閉会させる見込みだ。
東日本大震災があった2011年、民主党政権は通常国会を8月31日まで延長し、9月と10〜12月に臨時国会を召集したが、新型コロナ対応にあたるいま、1年を通して審議がおこなわれるよう国会を開けておくことは当たり前の話だ。
しかし、安倍首相にはその「当たり前」が通用しない。安倍首相自身が「夏になったからと言って安心できない」などと第2波を懸念しているというのにどうして国会を閉じるのか、その理由はただひとつ、「追及を受けたくない」からだ。
世論調査では軒並み内閣支持率が下落しているが、これまでも安倍首相は国会閉会によって追及から逃げることで低下した支持率を持ち直させ、森友・加計疑惑や「桜を見る会」問題を有耶無耶にしてきた。今回も同じように、新型コロナ対応の追及を封じ込めようというわけだ。
実際、いま国会が閉じてしまえば、追及がおこなえなくなる問題は山のようにある。
そのひとつが、電通への再委託が問題となっている「持続化給付金」だ。事務を受託したサービスデザイン推進協議会をめぐっては入札に参加したデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社のほうが応札額が低かったことや、第二次補正予算に盛り込まれた「家賃支援給付金」でも支給事務をリクルートに約942億円という巨額で委託することが判明するなど、追及・検証が必要な問題が数々出てきている。
だが、さらに重要なのは、「申請から支給まで2週間程度」と謳われていた「持続化給付金」が、2週間以上経っても支払われていない人が数多くいるということだ。しかも、申請開始の5月1日から11日のあいだに申請を受け付けた約77万件のうち、約5万件が1カ月経っても支給されていないというのである(6月12日時点)。
中小・零細企業にとって「命綱」であるこの給付金が1カ月経っても支給されない──。申請しているこの約5万件の事業者、そして雇用されている人たちのことを考えれば、どうしてこんなことになっているのか、安倍首相にはしっかり国民に説明する必要がある。
だが、安倍首相は15日の参院決算委員会で「この1カ月間で150万件に支払いをしている」「現場がぼーっとしていて何もやっていないのではまったくない」などと主張。挙げ句、5月1日に申請した人たちにまだ支給されていない問題について、こんなことを言い出したのだ。
「申請する方もですね、人間ですから、これ、何にもまったく問題がなくて、受ける側がですね、受ける側が、全然、これ怠慢でですね、できてないというのでは、これは、これは明確に申し上げなきゃいけないんですが、それではないんですよ。そこをはっきり申し上げておきたいと思います。それはやはり、書類のなかにですね、さまざまな課題や、課題というか問題があったのは事実なんですよ」
「申請者に連絡を取ったら、また、なかなか(連絡が)つかなくなってしまった、あるいはまたですね、申請しても『こうこうこうしてください』と言っても、なかなかそうなってないのもあるんですよ、正直に申し上げまして」
「一人ひとり、相当ていねいに、これ、やっているんで、残ったのは少しですから。でも、それ以外は、これだけ進んでいるんですから、そこはですね、一生懸命やってるっていうことは評価もしていただきたいし、すべてがですね、経産省側の手落ちで、ということでもないわけであります」
少なくとも約5万件もの事業者が1カ月も支給されないままにあることを「残ったのは少し」と発言すること自体が信じられないが、もっと酷いことに、申請者に対して「提出してきた書類に問題があった」「連絡がつかなくなった」「指示しても指示通りにしてこない」など一方的に文句をつけ、「経産省は一生懸命やっている。経産省は悪くない」と主張したのである。
国会で繰り広げられた、この絶句するような安倍首相の答弁。だが、重要なのは、国会は野党による追及によって安倍首相のこうした姿勢をあぶり出し、メディアがそれを報じ、国民が批判の声をあげて問いただすことができるということだ。その機会が奪われるということは、独断専行の安倍首相の暴走や怠慢を直接、追及する場を失うということなのである。
実際、一律10万円給付にしても、国民が批判の声をあげた結果、安倍首相を方針転換させることができたが、いまだに全世帯の4割程度にしか給付されていない状況にある。さらに、10兆円という前代未聞の予備費がまたも隠れ蓑を通じて電通のような安倍政権に近い大企業に流れる可能性だって十分にある。今後、国会が開かれなければ、こうした問題を安倍首相に直接追及することができるのは、安倍首相の気分で開催が決まる記者会見くらいになってしまうのだ。
国民の命・生活を守るための議論より自己保身を優先し、逃げることを「恥」とも感じていない安倍首相。しかも、ここにきて河野太郎防衛相がイージス・アショアの配備計画の停止を表明したが、停止の理由であるブースターの落下地点の問題はこれまでさんざん指摘され、一方で政府は「安全に配備・運用できる」と説明してきたものだ。当然、その説明の食い違いについて徹底追及されなければならないが、肝心の国会は閉会してしまう。つまり、追及を避けるために閉会直前のタイミングを狙って配備計画停止を打ち出したのではないか。
繰り返すが、このまま国会を閉じるということは、新型コロナの感染が再び拡大したときに新たな補正予算や立法を伴う対策や、またその追及もできず、これまでよりももっと杜撰な対応がとられかねないという危険な問題を孕んだものだ。立憲民主党と国民民主、共産、社民の野党4党は年末までの国会延長を要求、閉会日となる明日にも国会に延長動議を提出するとし、Twitter上では「#国会延長を求めます」「#国会を止めるな」というハッシュタグが生まれている。国民から背を向けようという安倍首相のトンズラを、けっして許すわけにはいかない。 
●中小企業庁長官がコメント“250万円振り込みない” 6/17 
前田中小企業庁長官が視察先のアメリカで宿泊したシェアハウスをめぐり、文春オンラインが「250万円を振り込んだ」などと話す音声データを公開し、国会での説明と食い違うと報じました。これに対して経済産業省は「250万円を振り込んだ事実はない」などとする前田長官のコメントを発表しました。
公開されたのは「アパートを貸し切った」とか「250万円振り込んだ」などと話す前田長官のものとされる音声データです。
前田長官が3年前に視察先のアメリカで宿泊し、企業関係者らとパーティーを開いたシェアハウスをめぐっては、先週の国会で前田長官が「知人が借りたもので、分担金としてほかの参加者と同じ21万円を支払った」などと答弁していて、併せて配信された記事では、国会での説明と食い違うと指摘しています。
これに対して、経済産業省は17日夜、前田長官のコメントを発表し「アパートの手配や企画・実行していたのは知人であり、私がアパートを貸し切ったり、250万円を振り込んだとの事実はありません」としています。
そのうえで「音声は私が友人に対し、冗談半分で大げさに発言したものだと思う」とし、実際に支払ったのは21万円のみで、知人の手元にある記録で確認できるとしています。
シェアハウスでのパーティーには、持続化給付金の事業を委託された社団法人の幹部も同席していたことが批判され、前田長官は陳謝していました。  

 

●20億円「中抜き」、再委託連発…安倍政権“身内”への利益誘導疑惑が噴出 6/16 
持続化給付金事業の委託をめぐって、安倍政権による“身内”への利益誘導があったのではないかとの疑念が噴出している。同様の疑念は、「アベノマスク」や「お肉券」「お魚券」でも浮上してきた。AERA 2020年6月22日号では、コロナ禍の不自然な事業委託に迫った。

新型コロナウイルスへの対策で今、「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」に注目が集まっている。
「こざかしいですが、国も電通の名前を出したくなかったんじゃないですか。みなさん『悪魔の組織』だと思っているし。持続化給付金のサイトはミスだらけって言われていますが、それでも時間がない中で形にする会社は他にないじゃないですか」
大手広告会社、電通の社員がこう話す。同社は協議会の設立にかかわり、持続化給付金の事業をほぼそのまま再委託されていた。
「電通に直接委託しない理由はあるのか」
「トンネル法人ではないのか」
噴出する疑念。この契約のあり方に、ある官僚はこう述べた。
「個人的には、こんな契約はナシですね。国は、ぬるすぎる」
持続化給付金の事務を経済産業省から委託されたこの協議会は、電通のほか、政府と太いパイプがある竹中平蔵氏が会長を務める人材派遣大手のパソナ、ITサービス大手トランスコスモスなどが2016年に設立。給付金の事務手続きでは、769億円で請けた業務の大部分を電通に749億円で再委託したことがわかっている。
協議会はこれまでに経産省の事業を14件(総額約1600億円)受託。電話番号も公表されず、都内の事務所にはスタッフもいない。法で義務づけられた決算公告もされていなかった。
実態さえわかりにくい法人だけに疑念が浮かび、電通と協議会は8日に会見を開いた。
「説明責任を果たしてこなかったことを深く反省する」
協議会の代表理事に就いた電通グループ執行役員の大久保裕一氏が謝罪したが、電通の榑谷(くれたに)典洋・取締役副社長執行役員は、電通側にとってはうまみのある商売ではないことを強調した。
「通常実施する業務と比較すると、低い営業利益になる」
協議会をめぐっては、20億円の「中抜き」疑惑や、再委託、再々委託を繰り返す構図も明らかになっている。委託を繰り返せば費用は膨らむ。税金の無駄遣いはないか。国会で追及が進むが、政府は予定通り6月17日には閉会させるつもりだ。
コロナ禍では、他にも疑念が浮上してきた。自民党の部会が当初打ち出して頓挫した「お肉券」や「お魚券」では、特定業界での利権の構図が露骨にうかがえた。「アベノマスク」を受注していた福島市の商社、ユースビオが布マスクに関する事業の実績がないと指摘されていることなどでも、不自然さを感じざるを得ない。 
●持続化給付金2兆円超支給 1次枠 まもなく使い切る 6/16 
中小企業などへの「持続化給付金」は、これまでの支給額が合わせて2兆円を超えました。第1次補正予算の予算枠をまもなく使い切る見通しで、政府は引き続き第2次補正予算で計上された追加の予算枠を使って、早期の支給を目指すとしています。
持続化給付金は、新型コロナウイルスの影響で売り上げが50%以上減った中小企業や個人事業主に対して最大200万円を支給するものです。
これまでに206万件余りの申請があり、このうち151万件余りに支給を行ったということで、支給した金額は合わせて2兆円を超えました。
持続化給付金は第1次補正予算で委託費を除いておよそ2兆2000億円が計上されていましたが、支給開始から1か月余りで予算枠を使い切る見通しとなりました。
このため政府は、先週成立したばかりの第2次補正予算で計上した1兆9400億円の追加の予算枠を使って早期の支給を目指すとしています。
また追加の予算枠には、ことし創業した事業者などを新たに支給対象に加える分も含まれ、システムの整備や審査体制を拡充する必要があることから、経済産業省は委託先を選定する手続きも進めることにしています。 

 

●元経産省職員が解説「霞が関が"丸投げ委託"を続ける根本原因」  6/15 
6月11日発売の週刊文春は、持続化給付金事務事業を担当する中小企業庁の前田泰宏長官が2017年、アメリカで開いたパーティーに、この事業の委託先であるサービスデザイン推進協議会の業務執行理事を務める平川健司氏(当時・電通社員)が出席していたと報じた。
前田長官は当時、大臣官房審議官という幹部の立場にあった。米テキサス州で開かれた企業関連のイベントに参加し、近くのアパートを借りて平川氏らとパーティーを開いたという。前田長官は11日、参院予算員会に出席して事実関係を認めた。
持続化給付金事務事業をめぐっては、事業者に対する入札前のヒアリングを行った点にも批判が集まっている。入札前の経済産業省担当者と、入札関係者との面談時間は、サービスデザイン推進協議会は3回で3時間に対して、デロイトトーマツフィナンシャルアドバイザリー合同会社は1回で1時間だったことも報じられた。
経済産業省のルールでは、事前接触の際は各社に同等の時間を提供するよう求めているが、徹底されていなかった。
こうした報道が出れば、委託先との親密さが疑われ、国民の不信を招くのは避けられない。しかし、問題の根源は、委託事業の実施にチェック機能が働いていないことにあり、今後は外部有識者によるチェックが可能な体制を整備していく必要がある。
そもそも何故、持続化給付金事務事業は委託事業だったのか。国の事業には大きく分けて、1直轄事業、2独立行政法人が実施、3地方自治体が実施、4補助金事業、5委託事業の5つのやり方がある。しかし、経済産業省は5委託事業という選択しかできなかった事情があると筆者はみている。
第1は、国が直轄で事業を扱うケースである。持続化給付金事務事業の場合、中小企業庁が自ら行うか、地方局である各経済産業局が行うやり方である。しかし、日本全国の売上減少の中小企業が対象になり得る。5月1日と2日に申請された件数だけでも約28万7000件もあり、人員上の制約からとても捌ききれない。
第2は、独立行政法人が実施するケースである。具体的には、中小企業基盤整備機構が行うやり方である。しかし、中小企業基盤整備機構自身が、中小企業経営力強化支援ファンドの立ち上げなど、新型コロナウイルス対策の事業を別途扱う事情から、難しかったとみられる。
第3は、地方自治体が国の事業を実施するケースである。国が本来、果たすべき役割の事業を地方自治体が担うものである。例えば、中小企業が国の保証付き融資を受けられるセーフティネット保証の認定事務は、市区町村の商工担当課が実施している。
今回の場合、市区町村ではセーフティネット保証の認定急増が予想されたことに加え、定額給付金の支給作業が新たに加わったため、持続化給付金事務事業を依頼することは不可能だったとみられる。
第4は、補助金事業である。これは、国自身が窓口になるケースと、地方自治体も折半するケースとがあるが、そもそも、支給対象者である中小企業に補助すべき事業が存在しないので、制度としてそぐわない。
上記の4つのやり方は、いずれも持続化給付金事務事業の委託には不適切、あるいはなじまないものだったことがお分かりいただけただろう。そして、経済産業省に残された選択は、第5、委託事業ということになる。
委託事業の場合、委託先と契約を結べば良いだけである。入札方式と随意契約方式とがあるが、随意契約方式は、特定の先と契約できることから批判の的になりやすいため、入札方式を選んだと思われる。
しかし、入札方式でも批判を浴びているのは、これまでの報道の通りである。委託金額769億円という金額の大きさと、その後の電通への再委託が749億円と、受託先が事業を一部しか行っていないためである。再委託に関する制約はなく、経済産業省側に大きな裁量があったことがこの問題の背景にあると言える。
また、サービスデザイン推進協議会の実績作りが必要だった可能性がある。委託事業の場合、単年度で事業が終わってしまう。ある年度に委託事業があったとしても、翌年度に同じ事業が実施されるかどうかは不明なのである。事業が終わってしまうと、委託先は、新たな仕事を確保する必要がある。協議会を起ち上げた以上、協議会自体を持続化させる必要があるのである。
サービスデザイン推進協議会は、設立以降、経済産業省の事業を立て続けに受託している。過去の受託実績が豊富な組織であれば不自然ではないが、設立年の浅い組織が受託できるのは、経済産業省側の何らかの意図が働いていた可能性がある。
また、新型コロナウイルス対応のために過去最大級の景気対策が必要だったことが、結果的にこの委託事業の設立を容易にしてしまった可能性がある。景気対策の金額を増やすために、新規事業を作らなければならなかった、ということである。新規事業を立ち上げて実施すれば、景気対策に取り組んでいる姿勢をアピールしやすい。
こうした不透明な委託事業をなくし、国民に理解を得られるためにはどうすべきか。経済産業省はすでに「外部有識者による検査実施」を打ち出し、透明性をアピールしている。通常は担当者レベルで実施するものであることから異例の対応である。
しかし、サービスデザイン推進協議会の業務執行理事と中小企業庁長官の関係性が週刊文春で報じられており、これだけでは国民の疑念を晴らすのは難しいだろう。
今後、最も起こり得る事態は「中小企業庁長官の辞任」である。そもそも6月末から7月頭にかけては例年、幹部クラスの人事異動の時期である。通常の人事異動として処理してしまえば、話をうやむやに済ますことができてしまうだろう。
いずれの選択肢も不十分な対応であり、国民の理解は得られそうにない。筆者は、委託事業の根本的な問題解決こそ先行して行うべきと考えている。聡明な読者がお気づきの通り、委託事業の取り扱いに全く制限がかかっていないことが最大の原因である。そこにメスを入れなければ、この問題は再び繰り返されることになる。
これは経済産業省だけの問題ではない。中央省庁をみても、制限のない省庁が多いため、最終的には、国全体で再委託制限の統一ルールを設ける必要があるだろう。これにより、資金使途がある程度は制限できるようになるだろう。
また、委託事業のこまめな報告制度の導入も必要だろう。理由としては、委託先が何をやっているかを国がチェックできるように制度化しないと、経済産業省側では実態を把握できないためである。
どの委託事業でも基本的に国から随時、報告は求めているが、今回のケースでは、経産省側が委託の実態を把握したのは支給開始から1カ月後だったようである。申請件数、支払い件数、未処理件数を集計させて週次で報告させて、公表するなどの対応が必要だろう。これにより、報告が遅い委託先には、委託費を支給しないなどの対応も可能になる。
補助金制度の場合、補助金等適正化法が適用され、どの企業を採択するかは、審査基準を設けて外部有識者による審査会を開き、採択される。審査基準は補助金制度の担当者で原案を作るが、審査会では担当者は事務局に過ぎないため、担当部署の恣意的な判断は入りにくい。
しかし、委託事業の場合には、外部の有識者による審査会を開く必要はない。民間の契約と基本的には同じだからである。入札方式の場合、基準は示す必要はあるものの、どこを採択するかは行政上層部の意向が働きやすい。特定の上層部の恣意的判断を避けるには、委託事業についても、外部の有識者による審査会制度を義務化すれば、恣意的な判断はある程度は防止できるのではないか。
これまで述べてきたように、委託事業の問題は持続化給付金事務事業だけでの問題ではなく、経済産業省だけの問題でもない。中央省庁全体の問題である。再委託制限の統一ルールが存在しない現状からは、先ずは中央政府自身が主導して統一ルールを制定することが必要となろう。また、委託先の選定についても、外部有識者による審査会制度の義務化を中央省庁の統一ルールとして導入することが重要と筆者は考える。 

 

●電通 内閣官房に“天上がり” 新型コロナ対策本部にも 6/13 
持続化給付金の事務事業の大部分を一般社団法人サービスデザイン推進協議会から再委託を受けた電通が内閣官房に職員4人を出向させていることが12日、分かりました。うち2人は安倍晋三首相が本部長の新型コロナウイルス感染症対策本部で事務局員をしています。民間大企業から官庁に出向する“天上がり”は、官業癒着を招くと批判を受けています。
同日、開かれた野党合同ヒアリングで判明したもの。
内閣官房が提出した資料によると、電通の職員は計4人で、▽新型コロナウイルス感染症対策本部事務局員が2人▽まち・ひと・しごと創生本部に1人▽内閣広報室1人―となっています。
新型コロナ対策本部は、政府の対策を決める“本丸”です。事務局員は政策立案に関わる可能性もあり、重要な情報に接することができる立場です。
持続化給付金事務事業では電通などで構成する同協議会が769億円で受注。うち97%にあたる749億円で電通に再委託されており、事実上の「丸投げ」です。
入札経過も不透明で、同協議会は発注者の国側と入札公告前に複数回面談したことが分かっています。面談には電通と同社から595・7億円で外注をうけた子会社の電通ライブも同席。電通ありきの入札だった疑いが指摘されています。 
●電通が省エネ事業でも再委託で受注 法人設立に経産省が関与か 6/13 
広告大手の電通が、持続化給付金事業を受託した「サービスデザイン推進協議会」(サ協)以外にも、経済産業省の事業を受託した別の一般社団法人の構成企業に名を連ねていたことが分かった。この法人の代表理事はサ協の設立時の代表理事と同一人物で、事業を電通に再委託する手法も同じ。定款の作成者名も経産省内部の部局で、サ協と同様、経産省が設立に関与したことをうかがわせる状況となっている。
電通が設立していたサ協とは別の法人は、一般社団法人「環境共創イニシアチブ」。信用調査会社によると、電通が省エネに関する国の補助金交付事業を手掛けるため、グループ企業やエネルギー団体とともに2011年に設立した。構成する企業は電通、電通ライブ、電通国際情報サービス、トランスコスモス、大日本印刷など。給付金事業に関わる企業が名を連ねた。
梶山弘志経産相の12日の国会答弁によると、17〜19年度の三年で、「環境共創」が国から受託し電通に再委託した事業は計35件、160億円。答弁によると、同様に国から受託し電通に再委託した一般社団法人は、ほかにサ協と「キャッシュレス推進協議会」の二団体があり、受託した事業は三団体合計で計42件、403億円に上った。
環境共創は、新型コロナウイルス収束後の国内消費の喚起を狙う「Go To キャンペーン」の公募前のヒアリングも複数回受けていた。
13年当時の環境共創の定款をインターネットで調べると、作成者名は経産省の「情報システム厚生課」だった。タイトルは「補助金執行一般社団法人(仮称)定款(案)」で、作成者、タイトルともサ協の定款と同じだった。
環境共創の業務執行理事は定款について「なぜそうなっているかは分からない。調べたい」と話した。電通との関係に関しては「コールセンターやホームページの立ち上げなどを外注している。設立に経産省は関係していない」とした。  
●給付金事業委託 疑念は深まるばかりだ 6/13 
新型コロナ対策のための持続化給付金事業を巡り疑念が噴出している。対策自体は必要不可欠だが、所管する経済産業省の体制や運営はずさん極まる。予算執行の自覚を欠いているのではないか。
持続化給付金事業のための予算はきのう成立した2020年度第二次補正予算にも盛り込まれた。一次補正と合わせて1600億円以上の予算規模だ。
この事業を担当する経産省中小企業庁の前田泰宏長官は2017年、イベント出席のため米テキサス州に出張。その際、会場近くのアパートでパーティーを開き、そこに電通社員が参加していた。その社員は現在、事業を請け負った一般社団法人サービスデザイン推進協議会理事を務める。
一連の事実関係は経産省側も認めている。ところが梶山弘志経産相は国会答弁や会見で「国家公務員倫理法上の問題はないとの報告を受けた」と述べた。処分を行わない方針も示している。
この問題についての綿密な調査は行われていないはずだ。にもかかわらず、問題視しない姿勢を早々と示したことは理解に苦しむ。
持続化給付金事業を巡り、何重にも及ぶ外注の連鎖など経産相も把握しきれない実態が浮かび上がっている。入札の際、企業の規模や事業への対応力を示す資格の等級が上だった業者が落とされ、同協議会に決まった、との指摘もある。協議会は法律が義務づける決算公告もしていなかった。
一方、給付対象である中小企業の経営や個人事業主の生活は悪化の一途をたどっている。審査の遅れを訴える声も相次いでいる。
業者との密接な関係が、入札の公平性に影響することはなかったのか。対応力を考慮しないずさんな委託が、給付の遅れを招いたのではないか。
事業の陣頭指揮を執る官僚が国民の疑念を招く行為をしていたことは見過ごせない。実態を徹底解明した上で、処分を判断するのが筋だ。疑念が残る以上、いったん職務を外れるべきではないか。
新型コロナ対策の巨額予算の財源は税金と、財政上リスクがある国債だ。国民がその予算執行を認めるのは、公平な仕組みで窮地に陥る人々に予算が届く前提があるからだが、疑念を招く今回の行為で、前提は崩れつつある。
疑念が残る以上、不問に付すわけにはいかない。政府は第三者による調査で実態を明らかにし、国民に説明すべきだ。それが事業継続の大前提である。  

 

●電通、3年で経産省事業42件 団体通じ請け負い 6/12 
経済産業省は12日の衆院経済産業委員会で、電通が一般社団法人を通じ、経産省が関わる事業の事務の委託や再委託を受けた事業数が、2019年度までの3年間で42件に上ると明らかにした。電通の請負額は計403億円という。
サービスデザイン推進協議会(東京)からは、6件で計62億円の事務事業を請け負っていた。20年度第1次補正予算で、同協議会は新型コロナウイルス対策の持続化給付金事業の事務を769億円で受託し、電通に749億円で再委託した。
ほかに、キャッシュレス決済のポイント還元事業事務局のキャッシュレス推進協議会(同)が電通に委託した事務が181億円だった。 
●「何が不備?」説明すらなし 持続化給付金、審査不透明 5回申請も「×」 6/12 
国会で委託先や事業費の不透明さが指摘されている新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」。最大200万円を支給する経済産業省の事業だが、熊本県内では、手続きを支援する「申請サポート会場」のスタッフが身分を明かさず、運営が不透明なばかりか、誰が最終審査しているのかも分からず、早期支給を切望する事業者に不信感が広がっている。
「1カ月以上かけて計5回も申請したが、具体的に何が『不備』なのかさえ教えてもらえない」。経営コンサルタントの男性(64)=熊本市中央区=は、いら立ちを隠さない。
企業の社員研修などを請け負ってきたが、コロナ禍で軒並み中止。2月の売り上げは昨年の146万円から60万円に減り、給付金支給条件を満たした。
初回の申請は、受け付け開始直後の5月2日。スマートフォンで確定申告や売上帳簿など必要書類を撮影して送信。3日後、「内容に不備」とメールで連絡があり、書類の内容や写真の撮り方を見直してさらに2回申請したが、いずれも数日後に「不備」とされた。
途方に暮れ、5月26日、熊本市中央区の熊本商工会議所6階に設けられた申請サポート会場を予約して訪問。2月の売り上げを帳簿ではなく、用意された紙に手書きした以外は「問題ない」として、担当者が代行申請したが「不備」となった。
6月7日に再訪。「申請者カルテ」「補助シート」という書類に、今まで申請した内容を再び書かされ、担当者がパソコンに入力した。不信感を募らせていた男性は、会場の責任者と名乗る男性に「担当者が受理した旨を一筆書いてほしい」と願い出たが、「あくまで電子申請の支援。受理を保証する権限はない」。11日現在も結果は届いていない。
熊本市の会場が開設されたのは5月12日。熊本商工会議所は「会場を提供しているだけで、運営は事業を受託した別の事業者が行っている」と話す。
事業は、経産省から一般社団法人を経由して大手広告会社の電通へ再委託され、電通からさらに外注されている。6月11日、会場にいた委託先の関係者という男性は熊日の取材に対し、「約10人のスタッフで、パソコンなどでうまく申請できない人の代行をしている」と答えた。
その場で、県内の全8会場の統括責任者に連絡を取ってもらったが、「混乱を避けるため、事業者名や業種、数など一切答えられない。個人の名刺や身分証明書も見せられない」とした。
熊日のSNSこちら編集局には「手順に沿って何度申請しても受理されない」「申請から3週間、何の音沙汰もない」「相談電話がつながらない」といった声が寄せられた。
所管する中小企業庁は11日も「担当者が不在」と繰り返した。経営コンサルタントの男性は「多くの人が事業継続の瀬戸際なのに、公金を使った国の事業としてあまりにずさんだ」と語気を強めた。 

 

●持続化給付金委託法人の入居ビル、まるで「電通公共政策部」  6/11 
持続化給付金の業務が活動実態の乏しい一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」に外部委託され、大部分が広告大手の電通に再委託された問題で、同協議会が入居する東京都内のビルに、電通が経済産業省から受託した事業の事務局が他に六つ入居していることが判明した。6事業の電通への支払額は約16億円にのぼり、このビルが電通が請け負った経産省関連業務の集約拠点になっていた。野党は「ビルは事実上の『電通公共政策部』。経産省と電通の関係の深さを示すものだ」と批判している。
協議会は、東京メトロ日比谷線・築地駅から徒歩3分、道路を隔てて築地場外市場を望む9階建てオフィスビルの2階に入居している。入り口には、メールアドレスとコールセンターの電話番号とともに「持続化給付金事業へのご対応はできかねます」と書かれた紙が張られている。協議会の総会があった8日に訪れたが、フロアの明かりは薄暗く、カーテンが閉められ呼び鈴もないため、中の様子をうかがうことはできない。
この2階の約240平方メートルのフロアには、協議会とともに、「商店街まちづくり」「中心市街地活性化」の2事業の事務局の看板が掲げられている。さらに3階に上がってみると、「農商工連携等によるグローバルバリューチェーン構築」「小売事業者・ふるさと名物開発等支援」「商店街・まちなかインバウンド促進支援」「中心市街地再生」という4事業の事務局の看板も出ている。いずれも似たような趣旨の事業名だ。一体、何の事務局なのか。
実はこれらの6事業は、2013〜18年度にいずれも ・・・  
●安倍首相の会見で手を挙げつづけても、質問できるまで7年3カ月かかる  6/11 
NHKなら手を挙げなくても指される
安倍首相の記者会見では内閣広報官が質問者を指名する。だが「打ち合わせ」をしていない質問者は原則として指されない。フリー記者の畠山理仁氏は、第2次安倍政権の発足以後、会見で手を挙げつづけたが、指されるまで7年3カ月かかった。畠山氏は「コロナ禍で会見が変わり、ようやく私も指されたが、このままでいいのだろうか」という——。
なぜか窓口はすべて「官邸報道室」
首相官邸における首相会見を考える上で、もうひとつ重大な指摘をする。前編でも述べたように、首相会見の主催者は内閣記者会である。しかし、事前登録者リストへの登録申請はもちろん、毎回の会見への参加申込も、窓口はすべて「官邸報道室」になっている。
内閣記者会は会見の主催者でありながら、姿を見せない。記者会見に誰が参加するか、誰が質問するかも、すべて官邸報道室にお任せになっている。これでは「権力側と共犯関係にある」と言われても無理はない。
現在、首相会見の司会進行を担当しているのは長谷川榮一内閣広報官だ。質問は「一問一答」だから、首相が曖昧な答えをしても「更問(さらとい・追加質問)」ができない。だから首相の「言いっぱなし」を許すことになる。これでは記者会見ではなく、単なる記者発表だ。内閣記者会は主催者でありながら、それを許したままである。
インターネット上で、「記者クラブは厳しい質問をしない」という評価を目にすることも少なくない。しかし、私は現場にいる者として、この点は明確に否定しておきたい。
内閣記者会の記者も、厳しい質問をしている。しかし、それでも十分な答えを引き出せているとは言えない。それは、内閣記者会が主催者でありながら、官邸側が主張する「一問一答ルール」を認めてしまっているからだ。
安倍官邸と記者クラブの「一問一答ルール」
会見の主催者であるならば、なぜ「追加質問」を認める運用にしないのだろうか。質問者を指名する内閣広報官になぜ、「公平な会見運用」を強く求めないのだろうか。
内閣広報官の進行に不満があるならば、主催者である内閣記者会が主導権を握り、厳しい質問をする記者をどんどん指名してもよいはずだ。
しかし、内閣記者会はそれをしない。これでは国民から「軸足をどこに置いているのかわからない」と言われても仕方がない。現在、首相会見の主導権は、完全に官邸側=権力者側に握られている。
「いやいや、そんなことはない。官僚は公平に記者会見を運用している」
そんな主張をする人もいるかもしれない。しかし、私は次の事実を提示したい。
2015年9月25日に行われた安倍首相記者会見では、世にも奇妙なことが起きている。この日の会見終了予定時刻が迫る中、最後の質問をしようと手を挙げていたのは、ほとんどが「記者クラブ以外」の記者だった。しかし、長谷川榮一内閣広報官は「記者クラブ以外の記者」の挙手が目に入っていたにもかかわらず、そのすべてを“黙殺”した。
驚くのはここからだ。なんと! 長谷川榮一広報官は、1ミリも手を挙げていない内閣記者会所属の記者(NHKの原記者)を指名したのである。突然指名された記者は「えっ!? 私?」と困惑の色を浮かべながらも、事前に用意していたと思われる質問を読み上げた。
それを受けた安倍首相は、想定問答にあったと思われる回答を淡々と読み上げて会見は終了した。
7年3カ月も無視され続けたフリー記者
これでもまだ不十分だという人もいるかもしれない。それでは次の事実はどうだろうか。首相会見が「内閣記者会以外の記者」にも一部オープン化されたのは、2010年3月26日の鳩山由紀夫首相会見が最初である。私もこの時から首相会見に参加し始めた。
この鳩山会見では、フリーランスの上杉隆記者が指名された(上杉記者は「謝辞」を述べるだけで質問はしなかった)。続く菅直人政権、野田佳彦政権では、私を含む複数のフリーランス記者が質問者として指名された。
しかし、2012年12月26日に第2次安倍政権が発足してからというもの、フリーランスの記者は長きにわたって質問者として指名されることがなくなった。いくら会見に出席して手を挙げても当ててもらえない。その期間は、なんと7年3カ月近く続いていた。
先に述べたように、記者クラブの幹事社は事前に質問内容を官邸側に通告している。それ以外の記者については定かではないため、記者会見が「完全な出来レース」と言い切ることはできない。
とはいえ、今年3月19日に丸山穂高衆議院議員が提出した質問主意書に対して、政府は3月31日に次のような答弁書を返している。
「記者会見において正確な情報発信を行うため、普段から記者の関心を政府職員が聞くなど、政府として可能な範囲の情報収集は行っている」
つまり、内閣記者会の記者がする質問に対しては、あらかじめ想定問答を準備していると考えていい。一方で、私のようなフリーランスの記者の多くは質問の事前通告をしていない。関心についての聞き取り調査も行われていない。
これらの事実から、容易に想像できることがある。質問者を指名する内閣広報官に「そもそも最初からフリーランスに当てる気がなかった」という疑惑だ。もし、そうでなければ、7年3カ月もの長きにわたって、「フリーランスの記者が全く当たらない」という異常事態が続くことは考えにくいだろう。
新型コロナウイルスが生んだ変化
ここまで私は首相会見の主催者である内閣記者会が、主導権を官邸側に奪われている実態を書いてきた。しかし、今年に入ってから、首相会見には大きな変化が起きている。
その発端となったのは、2月29日に行われた記者会見だ。この日の記者会見は、新型コロナウイルスに関する政府対応を説明する初めての首相会見だった。
冒頭の19分間、安倍首相は従来の会見と同じようにプロンプター(透明な板に原稿を映し出す装置)に映し出された「冒頭発言」を読み上げた。プロンプターがあるために、首相はカメラ目線で国民に向けた演説をすることができる。テレビ画面の向こう側にいる視聴者は「力強い」と感じたかもしれない。
私は首相がプロンプターを使うことは否定しない。私が問題だと思うのは、首相が「官僚の作文」を読まされていることだ。
これは5月4日の首相会見で、安倍首相が持続化給付金の入金開始日を「8月」と読み間違えたことからも推察できる。この時、会見を中継していたNHKのテロップには「8日」と表示されていた。
そもそも首相が自分で考えた原稿であれば、政権のアピールポイントである持続化給付金の開始日時を大きく間違えることはないだろう。
江川紹子記者「まだ聞きたいことがあります」の衝撃
少し話がそれてしまった。再び2月29日の会見に時を戻そう。
私はこの首相会見をネットで見ていた。そして、冒頭発言後の「演出」にも、ある種の「嫌らしさ」を感じていた。
首相の冒頭発言が終わると同時に、演台の両脇に設置されたプロンプターの板が下げられたからだ。これを見ると「質疑応答はガチンコで行われる」という印象を抱く演出だ。
しかし、現場の記者は知っている。プロンプターが下がっても、首相の演台には小型のモニターが埋め込まれている。首相の手元には想定問答が書かれているファイルもある。だから幹事社からの質問に回答する際、首相は何度も演台のファイルに目を落とす。
会見時間が35分を越えたところで、長谷川榮一内閣広報官は次のように述べて会見を打ち切ろうとした。
「予定しておりました時間を経過いたしましたので、以上をもちまして記者会見を終わらせていただきます」
異変が起きたのはこのときだ。この日の会見に参加していたフリーランスの江川紹子記者が、「まだ聞きたいことがあります」と声を上げたのだ。
この様子はNHKの中継でも流れている。しかし、安倍首相は江川氏の問いかけに答えることなく会見場を後にした。次の予定が入っていないのに会見を打ち切り、私邸に帰ってしまったことも後から判明した。
オープンな記者会見を求める声の高まり
江川氏がこの顛末をTwitterに書き込むと、すぐに大きな反響が寄せられた。これを受けてインターネット上では「安倍首相にオープンな記者会見」を求める署名活動も始まった。
この署名への賛同者は見る見るうちに増え、6月3日現在、4万3000人を超えようとしている。官邸はSNSやインターネット上の反応にも敏感だ。そのため、ここで首相会見の運用が大きく変わることになった。
新型コロナウイルスに関する記者会見は、2月29日の会見以降、3月14日、3月28日、4月7日、4月17日、5月4日、5月14日、5月25日の計7回開かれている。
フリーランスの記者は安倍政権下の7年2カ月以上、一度も質問者として指名されてこなかった。しかし、2月末に江川氏が声を上げてからは、毎回、必ず一人はフリーランスの記者が指名されるようになったのだ。
私も4月17日の記者会見で、安倍政権下で初めて質問する機会を得た。私はたった一度の質問機会を手にするまでに、7年3カ月以上もかかった。もっとも残念なことは、その機会が会見の主催者たる内閣記者会の主導によってもたらされたものではなかったことだ。
記者クラブが「国民共通の敵」になる日
私は質問者として指名された場合に備え、2つの質問を用意していた。一つは自分の専門分野である「選挙」に関する質問。もう一つは「記者クラブ問題」に関する質問だ。
いつものように、私は質問の事前通告はしていない。また、万が一長谷川榮一内閣広報官に指名された場合にも、「一問一答のルール」を盾に阻まれないよう、続けざまに2つの要素をまるで「一問」であるかのように質問することを決めていた。私の記者会見での質疑応答は、官邸ホームページに記録が残っている。
本稿のテーマに沿って、ここでは選挙に関する質疑は省略する。私が「記者クラブ問題」について行った質問要旨は次の通りだ。
「総理は常々、国民に丁寧な説明をすると発言しているが、首相会見は参加する記者が限定され、質問の数も限られている。このような記者会見を可能にする現在の記者クラブ制度について、どう考えているか。今後、よりオープンな記者会見を開く考えがあるか」
私の質問を聞く間、安倍首相は時折、笑みを浮かべていた。そして、記者クラブに関する問いにはこう答えた。
「記者クラブの在り方というのは、これは正に私が申し上げることではないかもしれません。それはまた、正に時代の流れの中において、今までのメディアが全てカバーしているのかと言えば、そうではない時代になり始めましたよね。ですから、その中でどう考えるかということについては、正に皆様方に議論をしていただきたいなと思います。ただ、自民党政権の中において、こうした形で御質問を頂いたのは初めてのことだろうと思います。こうした形で、できる限り皆さんの機会も確保していきたい」
私自身も首相会見の共犯者になった
安倍首相が答え終わった時、私は追加質問をするために声を上げた。
「日本記者クラブでの会見に応じる考えはあるか」と問いかけたのだ。
安倍首相は就任以来、日本記者クラブが呼びかける記者会見に応じていない。日本記者クラブの会見にフリーランスの記者は出席できないが、それでも官邸での会見よりは多様な記者が出席できる。せめてその記者会見に応じるかどうか、言質を取ろうと思ったのだ。
しかし、私の質問は長谷川榮一内閣広報官によって遮られた。
「すみません。後の、他の皆さんが御質問を希望されているので、他の方に譲りたいと思います」
首相の言質を取れなかったことで、私自身も首相会見の共犯者になった。「こうした形で、できる限りみなさんの機会も確保していきたい」という、首相の「言いっぱなし」を許してしまったからである。
それでもまだ、私は記者側が巻き返せる希望がわずかにあると考える。「会見の主催者は内閣記者会」という「建前」は、いまも温存されているからだ。
内閣記者会のみなさんには、よく考えてほしい。今、世間のメディア不信や記者クラブ批判がやまない理由がどこにあるのかを。
私は世間に「記者クラブ廃止論」があることを十分承知している。記者クラブ問題に関する安倍首相の回答があった後も、記者クラブが行動していないことも知っている。正直なところ、「情けない」と思っている。
それでもなお、私自身は「記者クラブ廃止論」に与することを躊躇している。なぜなら、理想のゴールは「記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解」ですでに示されているからだ。
求められる記者クラブの変革
一番の問題は、内閣記者会が理想に近づくための行動を起こさないことだ。このままでは、私もまもなく「記者クラブ廃止論」を唱えることになるだろう。
記者同士の対立で得をするのは、一体誰なのか。記者であればわかるはずだ。
今はまだ、形だけとはいえ「主催権」が残っている。すでに徳俵に足がかかった状態だが、まだ間に合うかもしれない。
しかし、内閣記者会が行動せず、多くの人が「記者クラブは権力側と共犯関係にある」と認識した時、記者クラブメディアは死を迎える。このまま権力の広報機関として「同化」する道を選べば、記者クラブは「国民共通の敵」となるからだ。 

 

●電通の闇ーー品格なき会社に未来はあるか? 6/10 
今回の「持続化給付金事業」の受託に際しての電通のやり方はひどすぎる。俗にいう「ピンハネ」を専らの業務とするのであろうか?電通という広告代理店がここまで力をつけた理由は、1広告業界のガリバーであるがゆえに、新聞やテレビへの広告掲載に絶対的な力を振るう。会社の上層部に品格がなければ社員も業界NO1を鼻にかけ、下請けに対してたかりまがいのことをしているという。2自民党や安倍政権への食い込みが半端ではない。もう大部分の人忘れているだろうが、安倍昭恵氏は電通の社員だった。
従業員に対するパワハラやセクハラは日常茶飯事である。女子社員の過労死問題で大騒ぎになったから少しは反省しているのだろうが。会社上層部に「利益」のみしか頭になく、社員を人間扱いしないことなど、明らかに「品格無き」会社と言って良い。
地道な努力を怠った電通に頭の痛い問題が、1東京五輪の広報・プロモーション活動を一手に担ってきたが、中止の可能性がささやかれる。2海外子会社(電通イージス・ネットワーク)の経営不振。701億円の暖簾減損を余儀なくされ、19年12月に上場来初の赤字。(808億円の最終損失)
電通にとって新型コロナ過は格好の美味しいネタだったわけで、上場企業としては極めて品の無い食いつき方をしてしまった。マスコミの方も今まで広告掲載をネタにされて、言いたいことも言えなかった「うっぷん」を晴らすかのように電通叩き。もっともおっかなびっくりなんだろうが。
「電通」と言えば、何となく格好の良い会社で通っているが、実態は前近代的な古い会社だったということか。  

 

●なぜ週刊文春だけに日本を揺るがすスキャンダルが集まるのか  6/9 
これほどスクープを放つ週刊誌は見たことがない
文春砲から次々に繰り出される大スクープが、安倍政権を崩壊寸前にまで追い込んでいる。
3月18日に発売された3月26日号は、相澤冬樹大阪日日新聞記者(元NHK記者)の「妻は佐川元理財局長と国を提訴へ 森友自殺<財務省>職員遺書全文公開『すべて佐川局長の指示です』」を掲載し、森友学園問題は逃げ切ったと思っていた安倍晋三首相と妻・昭恵の心胆を寒からしめた。
5月21日に発売した5月28日号では、「現場スクープ撮 黒川弘務検事長は接待賭けマージャン常習犯 5月1日、産経記者の自宅で“3密”6時間半」を掲載した。発売前日の文春オンラインで概要の速報を流すと、黒川は発売と同時に即、辞任したのである。
無理やり黒川を検事総長に据えようとしていた安倍首相には、取り返しのつかない痛手となった。文春によると、2つの号はともに一時完売したそうである。
新型コロナウイルス感染への対策でも、ミスを重ねる安倍政権は、文春のスクープと相まって、ついに支持率が一時20%台へと急落し、政権存続も危ぶまれる事態に追い込まれたのである。
私は講談社という出版社で月刊誌や週刊誌に携わり、定年後も、毎週、ほとんどの週刊誌に目を通しているが、これほどの大スクープを次から次へと放つ週刊誌はこれまで見たことがない。
なぜこれだけの大スクープを一週刊誌がものにすることができるのか。その理由を、私なりに考えてみたい。
創刊時は小説やコラムが充実した「サロン雑誌」だった
私が講談社に入社したのは1970年。出版社系週刊誌初となる週刊新潮が創刊されたのが1956年で、その3年後に週刊文春と週刊現代(講談社)が出ているから、新潮が出てから14年がたっていた。 前年の1969年には、週刊現代元編集長と記者たちを引き抜いて週刊ポスト(小学館)が創刊された。
当時はすでに新聞社系の週刊誌、週刊朝日、週刊読売、サンデー毎日などは、出版社系週刊誌の競争相手ではなかった。
当時の色分けは、新潮は事件ものに強く、警察への食い込み方は、私から見てもすごいものがあった。現代はサラリーマンのための週刊誌をコンセプトに、政治から芸能、グラビアまで幅広い「幕の内弁当スタイル」。
文春は、国民雑誌といわれていた文藝春秋の弟分で、小説やコラムなどの読み物が充実した、いい方は悪いかもしれないが、品のいい「サロン雑誌」だった。勢いが一番あったのはポストだった。一番遅れて創刊されたため、話題をつくり知名度を上げていかなければと考えたのだろう。文字通り湯水のごとくカネを使って、スクープをものにしていた。
当時吹き荒れていた「プロ野球の黒い霧」スキャンダルではキーマンの永易将之(西鉄ライオンズ=当時)の手記を取るために、彼を九州から東京までタクシーに乗せて連れてきたという話も業界の大きな話題になった。
女優が自らのSEX遍歴を赤裸々に語る「衝撃の告白」も大きな話題を呼んだ。当時の部数でいえば、現代とポストが上位争いをして、次に新潮、文春という順ではなかったか。
文春・新潮と現代・ポストの違いとは
新潮は、沖縄返還時の日米間の密約公電を報じた毎日新聞・西山太吉記者と“情を通じ”て、当該の機密文書を渡した外務省女性事務官との不倫をスクープしたり、共産党の宮本顕治委員長を批判したナンバー2袴田里見副委員長の手記を掲載したりと、超ド級のスクープを放ち、われわれ同業者の度肝を抜いた。
スクープを日々競い合っていたのは、現代とポストであった。それは編集部の構成が新潮、文春とは大きく違っていたからである。
新潮と文春は、フリーの記者は抱えずに(フリーの記者も社員化していた)、編集部員が取材からまとめまでをやっていた。
現代、ポストは、編集部員のほかに多くの専属記者を抱えていた。多いときは80人ぐらいいたのではないか。その多くは、学生運動や安保闘争にのめり込み、大学を退学、中退した者たちであった。
編集者と記者数人が班となり、編集者が取材テーマを記者に投げ、彼らが取材先に飛んで、それをデータ原稿にまとめる。データを読み込んだ編集者がレジメをつくり、アンカーマンというまとめ屋に頼むというシステムである。編集者が原稿を書くことはほとんどなかった。
新潮、文春が少数精鋭方式だとすれば、現代とポストは人海戦術方式といっていいだろう。何でもいいからスクープを取って来いと、編集長に檄げきを飛ばされ、仕方なく街へ出て、人と会い、浴びるほど酒を呑み、寝言にもスクープをくれと叫ぶほどだった。私も、スクープを追いかけて毎晩夜の巷ちまたをほっつき歩いたが、スクープとは全く無縁だった。
約20年前にも高検検事長のスキャンダルが
「噂の真相」(以後「噂真」)という月刊誌を岡留安則が創刊したのは1979年である。初めは出版界などマスコミの噂話を載せていた業界誌だったが、そのうち、大手週刊誌ではやれないさまざまな情報が「噂真」に流れ始めたのである。
岡留編集長のやり方が功を奏してきたのだ。彼は、入ってきた情報はすべて誌面に載せると公言していた。事実、真偽の分からない情報でも、ページの両端に一行情報として掲載したのである。その後、ネットが普及してくると、誌面に入りきらない情報をそこにも載せた。
私は岡留にいったことがある。いくら一行でも、名誉棄損で訴えられるから止めたほうがいいと。しかし、彼は載せ続け、1999年、当時の東京高検検事長で将来の検事総長間違いないといわれていた則定衛の女性スキャンダルをものにし、朝日新聞が、「噂真」によればと一面で報じたのである。
則定は辞任するが、歴史は繰り返す、今回の黒川弘務のケースとよく似ている。
それを機に、「噂真」は評価も部数も伸ばし、部数的には文藝春秋の次といわれるまでになったのである。だが、知名度が上がれば、名誉棄損などで訴えられることも多くなるのは必然である。機を見るに敏な岡留は、2004年、「噂真」が絶頂の時に休刊を決断するのである。
噂の段階から追及するのが週刊誌の強み
いつの時代もスキャンダルのネタは尽きない。さまざまな意図を持って、スキャンダルをメディアに持ち込む人間はいる。だが、新聞は、確たる裏付けがなければなかなか飛びついてはくれない。
1989年、リクルート事件の責任をとって竹下登首相が辞任した後を受けて、宇野宗佑が首相に就任した。宇野夫妻が笑顔で映るテレビを見て、以前、宇野から「30万円でオレの女になれ」といわれた神楽坂の元芸者が激怒する。「こんな人間が首相なんて許せない」と、新聞社に宇野との愛人関係を暴露したいと電話するのだが、朝日新聞や読売新聞は、彼女の話を聞いてくれなかった。
ようやく毎日新聞が、「それならサンデー毎日がいい」と、編集部に回し、当時の鳥越俊太郎編集長がやると決断した。発売後、外国の新聞が取り上げ、大スキャンダルになり、宇野はわずか69日で辞任に追い込まれてしまった。
週刊誌の強みは噂の段階から追及していくことである。新聞やテレビは、事件化し、警察などが発表しないと書かない。そのために勇み足も多くなり、告訴されることも多いのだが、噂の中にも、幾ばくかの真実がある。
文春の名を知らしめた「疑惑の銃弾」(1984年)という連載があった。夫が妻を殺して保険金を受け取ろうとしたのではないかという疑惑であった。結局、男は逮捕されたが、妻殺しでは一審有罪、二審で逆転無罪となった。
件くだんの男は、その後、報道機関を名誉棄損で訴え、多くのところはカネを払って和解した。
ビートたけし軍団による「FRIDAY襲撃事件」
名編集者といわれた新潮社の斎藤十一が写真週刊誌FOCUSを創刊したのは1981年だった。続いてFRIDAYが講談社から出され、文春からEmma、小学館からTOUCHが出て、写真週刊誌ブームが起きる。
特にFRIDAYは芸能人たちのスキャンダルを得意とし、いくつもの張り込み班を組織して、カネも人も大量につぎ込み、毎週のように隠し撮り写真を掲載して部数を伸ばした。FOCUSも負けじと隠し撮りに力を入れFF戦争といわれた。だが、ビートたけし軍団がFRIDAYの編集部を襲い、副編集長にケガを負わせる障害事件が起き、写真週刊誌の取材に対する批判が巻き起こった。
それを機に、写真誌は急激に部数を落とし、当時500万部といわれていた写真誌も次々に休刊してしまった。現在、FRIDAYとFLASHだけが残っているが、両誌合わせても約14万部である。
売れなければ、無駄の多い張り込み取材に人もカネもつぎ込むわけにはいかない。
さらに、1997年をピークに、週刊誌の部数も下がり続け、現代、ポスト、新潮は実売20万部前後、文春も30万部を切っている。ネットの発達により、週刊誌がスクープした記事も、アッという間にネット上で拡散してしまうため、スクープ=部数増とはいかなくなった。
現代とポストはカネのかかる事件物やスクープ競争から手を引き、高齢者向けの病気、年金、相続というテーマに絞った誌面作りに方向転換してしまったのである。
2012年、文春編集長が「スクープに絞る」と宣言
そんな中、2012年4月に週刊文春編集長に就いた新谷学は、「うちはスクープに絞る」と宣言した。以前、私がエルネオスという月刊誌で、新谷編集長をインタビューしたことがある。そこで彼はこういっている。
「文春は少なくともロス疑惑報道の頃からスクープ、スキャンダルがわれわれの最大の武器であるというところについては、今に至るまで大きく変わっていません。それが結果的に文春の特徴を際立たせる結果になって、あっと驚くスクープが時には飛び出す雑誌であるという存在が注目を浴びていると思うんです。
どういうターゲットを選ぶかということに関しては、思いついたものをやっているだけですよ。例えば宮崎さん(謙介元衆議院議員)という人の育休不倫がありましたけど、あの人はもともと女性の噂が多い人ではあったんです。ただ小物ですよね。ところが育休宣言をしたことによって、俄然、脚光を浴びた。
いったいどんな人間なんだ。この人には女の話がいろいろあったから、もう一回きちんと調べたらおもしろいかもしれないとデスクと話して、取材を始めたら間もなくして現場から、地元の京都で不倫をしているという話が上がってきました。すぐ張り込めと指示したら、三日で撮れたんです」
なぜスキャンダルは週刊文春に集まるのか
黒川弘務東京高検検事長の「賭け麻雀」スクープは、文春によれば、文春オンラインにある情報提供サイト「文春リークス」に、産経新聞の人間が情報を寄せ、それをもとに取材を始め、現場を特定して写真を撮ったという。
新谷編集長の志を継いで現在の加藤晃彦編集長もその路線を突っ走っている。古巣である現代の“惨状”を見ている私には、文春の頑張りがうらやましくてならない。
だが、先ほども触れたように、いつの時代もスキャンダルはあるのだ。だが今は「噂真」はない。写真週刊誌もかつてのようにスキャンダルを毎号追っかけるようなことはできない。ポストは知らないが、現代にスキャンダルを持ち込んでも、かわいそうないい方になるが、そうしたネタを扱える編集者も、取材できる記者もほとんどいなくなってしまっているはずだ。かくして、スキャンダルネタを持っている人間は、文春か、時々新潮に、持ち込むということになる。
もちろん、文春には、持ち込まれたスキャンダルの真偽を見分ける編集者や、そのネタをもとに、裏を取り、ファクトを積み重ね、ものにする取材力のある記者がいるからできることは間違いない。
もう一つは「書き手を大切にすること」
それと今一つ文春の強みは、書き手を大切にすることである。文春を舞台に大きく成長した書き手を幾人も知っている。
自殺した近畿財務局職員の遺書をスクープした元NHK記者の相澤冬樹は、NHKを辞めたいきさつを書いた本を文藝春秋から出している。本を出しただけではなく、その後のフォローもしていなくては、ネタを持っていこうとは思わないだろう。
昔、私の現役時代は、作家やノンフィクション作家たちとの付き合いは、今よりももっと密であったと思う。書き手が困窮していれば、社と話を付けて前借をしてあげたりすることは日常的にやっていた。
だが今は、本を出すことが決まっていても、前借はほとんど断られる。私がいた頃の出版界は右肩上がりが続いていたが、大手出版社でも、マンガを除いては、ほとんどが赤字という雑誌群を抱えていては、余裕がないことは理解できる。
だが、出版という仕事は、書き手あってのものである。時には、書き手の生き死にに関わることもある。書き手の一人や二人の面倒を見られなくて、何の出版か。
文春のスクープ話から脱線したが、週刊誌が本来の役割を忘れ、現代のように、紙代や印刷代を節約するために月3回刊という変則的な出版形態になっていく中、何が何でも「スクープ命」と突き進んでいくのは、オールド週刊誌OBにはうれしい限りである。
だが好事魔多し。かつて週刊新潮がやった「赤報隊大誤報」(2009年2月5日号)のような間違いを犯さないでくれることを願う。文春がこければ、すべての週刊誌が消えてなくなることもあるのだから。 
●さらに強まる電通支配 法令違反どこ吹く風 6/9 
記者会見に登壇した電通幹部と電通OBは皆、仕立てのいいスーツを着ていた。田中は映画俳優の記者会見にも出たことがあるが、電通マンの方が上等だ。
コロナ禍のため経営難に陥っている事業者に持続化給付金が届かない問題。経産省から事業を委託された「サービスデザイン推進協議会(サ推協)」と、事業を再委託された電通が、8日夕、記者会見を開いた。
登壇者は全部で4人。電通が2人、サ推協が2人だ。といってもサ推協の大久保裕一・共同代表理事は電通グループの執行役員。平川健司・業務執行理事は去年6月まで現役の電通社員だった。
大久保代表理事は、8日付で、笠原英一代表理事が退任したことに伴う新任だ。マーケティング研究者の笠原前代表理事に代わる大久保代表理事は電通グループの執行役員。
サ推協に対する電通の支配体制が強化されたに過ぎない。当然のごとくサ推協は経産省とズブズブの関係になる。
「社団法人のサ推協は法律で義務付けられている決算公告を設立4年間で一度も出していない」・・・対政府ヒアリングで野党は経産省を追及してきた。
8日の記者会見で、田中が平川理事にこの件を質問すると、平川理事は「本来やるべき決算公告がなされていなかった」と、意外にもあっさりと認めた。
田中が「法令違反ですね」と畳みかけると理事は「申し訳ございません」。
テレビ局の記者は受付初日の5月1日にトラブルが集中していることを質問した。無難と言えば無難な問いだ。
平川理事は「収入が50%以上減っていることをチェックするためのやりとりで時間がかかっている」とした。
明らかに嘘だ。給付金が手元に届いていない申請者の圧倒的多くは不備メールも来ず、ほったらかしにされているのが現実だ。
だが、TV局の記者はそこを突っ込むこともしなかった。
法令違反を犯し続ける社団法人がなぜ巨額の事業を受注できるのか。
電通支配の社団法人がまず受注し、電通に再委託し、電通は自らの関連会社に外注し、電通の関連会社はまた電通の関連会社に再外注する…
サ推協が経産省から委託された事業費は769億円。官僚出身のある野党議員は、100〜120億円が電通によって中抜きされているのではないか、と見る。
下請けに出される度、作業も遅れて責任があいまいになる。
国民が苦しむ分、電通が儲かる仕組みがある。 

 

●ポイント還元事業でも電通に307 億円、倍増の政府広報費も半分が電通… 6/8 
安倍首相が新型コロナ対策として第一次補正予算で約1.7兆円も計上した「Go Toキャンペーン」にキナ臭い動きが出てきた。「Go To」の事務委託費が上限3095億円にもなるとして批判が高まっていたが、政府は事務局事業者の公募締め切り日である8日を待たずに募集をいったん中止し、事業者公募を観光や飲食といった分野ごとに担当省庁が個別に委託先の公募をやり直すと決めたのだ。
中小・個人事業者向けの「持続化給付金」で“再委託で電通に丸投げ”の事実が発覚し問題となっている最中に、突然の公募取りやめ──。本サイトでは既報で「Go To」事業も委託先は「すでに電通で決まっている」という噂が広告業界で広がっていることを紹介したが、この噂どおり、「Go To」の事務局委託は電通で決定していたものの、批判の高まりを受けて白紙に戻したということではないのか。
しかも、政府と電通の“癒着”疑惑はまったく晴れていない。まず「持続化給付金」事業ではさらに電通グループが給付金をめちゃくちゃな規模で食い物にしている構図が明らかになった。この事業では経済産業省が事務業務を電通のダミー法人と思われる一般社団法人サービス推進協議会に769億円で委託し、サービスデザイン推進協議会がそのうち749億円を電通に再委託していた。ところが、電通は自分たちではほとんど何もやらず、事業の大半を外注。「管理・運営費」として104億円の金を中抜きしていたのだ。しかも電通はさらに、電通ライブ、電通デジタル、電通などの子会社5社に外注。そこからまたパソナなどに外注されておりその金額が公表されていないため正確な総額はわかっていないが、わかっているだけでも少なくとも約154億円が電通グループに流れる仕組みになっているのだ。
これは、新型コロナで国民の逼迫する生活を救うための給付金を悪用して、電通グループに利益が転がり込むようにスキームがつくられていたということではないか。
しかも、政府事業の電通への不信な金と仕事の流れは、持続化給付金だけではない。問題となっているサービスデザイン推進協議会は、持続化給付金以外に13件もの事業を経産省から受託し、そのうち6件を電通グループに再委託していたことが判明している。 また、サービスデザイン推進協議会以外でも、電通は安倍政権下で山ほど政府の給付・補助金事業を受注してきた。そのことを象徴するのが、サービスデザイン推進協議会が入居する雑居ビルの問題だ。
サービスデザイン推進協議会は電通本社にほど近い中央区築地の雑居ビルに実態のほとんどない事務所を置いているが、この雑居ビルには、多くの政府の補助金事業の事務局が入っている。
たとえば、サービスデザイン推進協議会と同じフロア(2階)に「商店街まちづくり事業事務局」。3階には「中心市街地再生事業事務局」「農商工連携等によるグローバルバリューチェーン構築事業事務局」「小売・ふるさと名物開発応援事業事務局」「商店街インバウンド促進支援事業事務局」……。
実はここに名前を挙げた事業は、すべて電通がその事務局を請け負っているのだ。
さらに、安倍政権が総額約7750億円もの予算を計上してきたキャッシュレス決済還元事業でも「持続化給付金」と同じ構図の問題が浮上している。6日付の朝日新聞によると、キャッシュレス決済のポイント還元事業の事務局を政府から受託した「一般社団法人キャッシュレス推進協議会」は、受託費の約93%にあたる約316億円で電通や野村総合研究所などに事業の大半を再委託。なかでも電通の再委託費は約307億円にものぼるという。
じつはこの「キャッシュレス推進協議会」については、3日の衆院経産委員会でも問題となっていた。中小企業庁側は同協議会について「協議会の職員は16人。事務局として港区新橋に6フロア200人の体制を組んでいる」と説明。しかし、立憲民主党の川内博史衆院議員の調査によると、その新橋にある協議会の所在地は10平米くらいの大きさしかなく机が最大4つしか置けないレンタルオフィス。その上、同協議会もやはりサービスデザイン推進協議会と同様、法律で義務づけられている決算公告をおこなっていないことが判明している。
安倍政権で民主党時代より倍増、83億円に膨れた政府広報予算! その半分が電通に
いったいなぜ、政府の補助金事業を広告代理店である電通がことごとく受けているのか。理由の一つとしてあがっているのが、元電通社員 A氏と経産省や中小企業庁の癒着だ。
「A氏は元電通社員ということになっているが、完全に電通の代理人。このA氏が旧知の中小企業庁長官・前田泰宏氏と組んで、経産省関係の補助金事業を電通に流すというスキームをつくったといわれています」(全国紙・政治部記者)
しかし、この問題にはもっと大きな背景がある。それは、電通と安倍政権、自民党との癒着関係だ。実際、安倍政権下では経産省の補助金事業だけでなく他省庁の補助金事業、さらには「政府広報」でも電通への依存が急増している。
政府広報とは、内閣府政府広報室が手がける政府広報、すなわち宣伝、PR活動のこと。テレビCMや新聞・雑誌の広告、ラジオ番組、ネットなどのメディアを使い、国家の“考え”を国民に広く伝えるというものだ。
この予算が第二次安倍政権発足以降、どんどん増額され、2014年度には約65億円、2015年度には約83億円にまで膨れ上がった。事業仕分けによって政府広報費を削減した民主党政権時が約41億円だったから、この数字はその倍以上となる。
そして、この80億円を超える費用の約半分が、なんと電通に流れているのである。
その証拠もある。2016年、当時「生活の党と山本太郎となかまたち」に所属していた山本太郎参院議員は「安倍政権における政府広報費」にかんする質問主意書を提出。この質問主意書で山本氏は、政府広報費の約9割以上の金額を占める「啓発広報費」のうち積算内訳で約9割9分を占めているのが「雑役務費」だとし、電通にこの「雑役務費」がいくら支出されているかを質問。すると、政府の答弁書で驚きの金額が明かされたのだ。
なんと、「啓発広報費」の「雑役務費」として電通に支出されていた金額は、2013年度が約17億7248万2000円、2014年度が約30億8738万6000円、2015年度が約35億6348万6000円。さらに、全体のうち電通に支出された割合は、2013年度が約42%、2014年度が約50%、2015年度が約47%にものぼっていたのである。
ようするに、安倍政権は政権PRのために国民の税金からなる政府広報費を倍増させてきただけではなく、その金の大半を電通に流していたのである。
自民党ネット対策の特別チーム「T2」も毎年電通が受注! 沖縄知事選のSNS対策も
安倍政権がここまで電通を厚遇し、その金をいろんなかたちで流しているのはなぜか。政治評論家がこう語る。
「電通はいまや、“安倍政権の情報操作部隊”というべき存在です。自民党の選挙CM、広報はもちろん、ネットのSEO 対策、情報操作なども多くは電通にやらせている。つまり、こうした一体関係の見返りとして、政府事業で巨額の利益を電通に配分しているのではないか」
実際、電通が長きにわたり自民党の選挙広報をほぼ独占状態で引き受けてきたことは有名だが、第二次安倍政権発足以降、その関係はただのクライアントと広告代理店のレベルではなくなっている。
自民党は下野以降、インターネットを使った情報戦略に力を注いだが、それを選挙に取り入れたのは電通だ。たとえば、社会学者・西田亮介氏の著書『メディアと自民党』(角川新書)によれば、2013年のネット選挙解禁も電通の主導だったという。
〈自民党のネット選挙の分析に携わったIT系のある人物は、自民党のネット選挙対応の案件について、最初にコンタクトがあったのは2012年7月頃だったと振り返っている。ただし、そのコンタクトは自民党から直接行われたものではなく、電通から来たという。〉
また、2013年の総選挙で自民党はネット対策の特別チーム「Truth Team」(T2)を立ち上げ、専門の業者に委託するかたちでTwitterやブログの書き込みなどを24間監視。自民党に不利な情報があれば管理人に削除要請したり、スキャンダルなどネガティブな情報が検索エンジンに引っかかりにくくさせるための「逆SEO」(検索エンジン最適化)までおこなったが、当時、自民党のデータ分析を担当していた小口日出彦氏は著書『情報参謀』(講談社)のなかで〈T2の元請けは電通だった〉と明かしている。
今回、本サイトは自民党の広報戦略に詳しい党関係者に取材したのだが、この関係者によると、ネット対策のT2はいまも毎年、電通に発注しているという。
「ほかにも、大きな選挙や対立する政治課題が持ち上がったときは、SNS分析や対策などを電通にやらせている。たとえば、先の沖縄県知事選挙でも、電通が請け負って電通デジタルなどがSNS対策をやっていた。あのときは、玉城デニー知事をめぐってさまざまなデマ情報が拡散したが、これらのなかにも電通が仕掛けたものがいくつもあるはずだ。新型コロナでも、自民党の特設サイトをつくらせて、コロナ対策を自分たちの手柄にするような情報を発信している」
電通は自民党の政治資金団体に合計3600万円の献金、安倍首相にも政治献金
しかし、不可解なことがある。これだけいろんなかたちで電通が安倍政権・自民党の情報操作に関わっているのに、その発注金額がたいしたことがないことだ。たとえば、2018年分の政治資金収支報告書によると、自民党本部が「宣伝広報費」として電通ならびにその支社に支出した金額は合計6億1909万9607円。仕事量と比べると、この金額は安すぎるだろう。
もちろんこれは別名目で支出していたり、ダミー会社を間に挟んでいた可能性もあるが、今回、持続化給付金をめぐる巨額発注が発覚したことで、政界関係者の間では、ある疑惑がささやかれている。それは「電通に自民党の選挙対策や情報操作を安価でやらせる見返りに、政府の補助金事業や政府広報で巨額の発注をしているのではないか」という疑惑だ。
金額についてはもう少し検証は必要だが、いずれにしても、政権や自民党の広報、ネット情報操作をやらせている広告代理店に、一方で政府の税金を使った公的事業で甘い汁を吸わせるというのは、政治的公正さを著しく欠いた行政の私物化、不正行為としかいいようがない。
しかも、5日付のしんぶん赤旗によれば、電通は自民党に政治献金までしていた。電通が自民党の政治資金団体「国民政治協会」にも毎年献金をおこない、その額は安倍政権下の2012〜2018年の合計で3600万円になること、さらに安倍首相が支部長を務める「自由民主党山口県第四選挙区支部」に2011年と2013年、2014年に各10万円ずつを献金していると伝えた。
まさに「ズブズブ」としか言いようのない、安倍政権と電通の関係。しかも、その癒着にわれわれの巨額の税金が横流しされているのだ。しかし、マスコミ、特にテレビは黒川弘務検事長の賭けマージャン問題のときと打って変わって、メディアタブーの電通がかかわっていることに恐れをなし、この不正をほとんど掘り下げて報道しようとしない。この状況をみていると、この国のほんとうの巨悪はこれからも温存され続けるのではないか。そんな気がしてならない。 
●自民は電通から巨額献金 安倍首相ら“重鎮”政党支部に寄付 6/8 
新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」事業を受託した「サービスデザイン推進協議会(サ推協)」が、事業の大部分を広告大手・電通に再委託していた問題が炎上中だ。
“トンネル法人”と指摘されるサ推協が経産省から受託した事務費は769億円。大半が電通とその関連会社に再委託され、批判が集中している。「電通ありきの政策」と問題視されているが、ナント、安倍自民が渦中の電通から巨額の献金を受け取っていることが分かった。
献金を受領していたのは、安倍首相をはじめとした自民党の重鎮が代表を務める政党支部だ。安倍の支部は2011〜14年に計40万円、二階俊博幹事長が代表を務める支部も、11〜14年に計40万円の寄付を受けている。他にも、高村正彦前副総裁、小池百合子都知事、林芳正元農相、野田聖子衆院議員ら、党の要職を務めてきた“お歴々”が代表の支部が10万〜40万円の寄付を受けている。
自民党の政治資金団体「国民政治協会」にも、電通から巨額の資金が渡っている。今月5日付の「しんぶん赤旗」によると、国民政治協会は第2次安倍政権が発足した12年から18年までの7年間で、計3600万円もの寄付を電通から受領。毎年の寄付額は、480万〜720万円に上る。
もちろん、企業や団体が政党に寄付すること自体、法的な問題はない。しかし、電通は今回の持続化給付金事業にかかる総額769億円の事務費のうち、97%に当たる749億円を再委託費として受けている。構図としては、政府から受注した事業の利益の一部が安倍自民に流れる形になっている。政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。
「電通としては、利益を見込めると考えたから、自民党に寄付し続けてきたのでしょう。党も定期的に寄付してくれる電通を大事にしてきた。企業・団体献金の制度自体を見直さないと、国民の政治不信はなくならないでしょう」
なぜ、持続化給付金事業を“トンネル法人”が受託し、電通に再委託されたのか。安倍政権は国民に全て明らかにすべきだ。 

 

●持続化給付金問題「幽霊法人」疑惑の噴飯実態 6/7 
事務所のあるビルの2階は薄暗く、人の気配がない。入り口に設置してあるインターホンは応答せず、扉をノックしても無反応。壁には「現在リモートワーク中です」と書かれた紙が貼られ、連絡先としてメールアドレスが記されているだけ。ガラス窓もなく、外から中の様子はまったくうかがえない状態だ。
「ペーパーカンパニーの典型のようだ……」
国民民主党の渡辺周議員はインターホンの受話器を降ろすと、こうつぶやいた。
6月1日、渡辺氏ら5人の野党議員が向かったのは、東京・築地にある9階建てのビルだ。その2階にあるのが「一般社団法人サービスデザイン推進協議会(以下、サービス協議会)」。新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少した中小企業に支給する政府の「持続化給付金事業」を、769億円で受託した団体だ。
「この『サービス協議会』が、国会で問題視されています。769億円のうち749億円が、電通に再委託されていたんです。野党は差額の20億円が、国の事業を請け負うために『中抜き』されたのではと追及。安倍晋三首相は『15億円以上は銀行に(給付金の振り込み)手数料として払っている』とし、カネの流れは適正という認識を示しています。
問題はそれだけではありません。それまで『サービス協議会』には公式ホームページがなかったのに、非難の声が高まると『リニューアル』として急きょ公開。書かれているのは事業と法人概要だけで、電話番号もわかりません。実態が把握できない団体に、なぜ国の大事な事業を任せたのかと野党は批判を強めています」(全国紙政治部記者)
実際に野党議員が「サービス協議会」に足を運ぶと、冒頭のようにもぬけの殻。活動している様子は、うかがえなかった。前出の渡辺議員は訪問後、報道陣にこう語っている。
「(管轄する)中小企業庁には、先週の金曜日(5月30日)に行くと伝えておりました。その後、連絡があり『職員はリモートで仕事をしているので誰もおりません』と、釈明めいたものはございましたけど。
外からは(事務所の)中も見えませんし、呼び鈴は外されている。この団体を間に噛ませずに直接電通に委託をしていれば、20億円のコストの節約できたんです。どうして再委託という面倒な手続きをしてまで、この団体に発注しないといけなかったのか。国民の血税をムダにしたのではないか。そもそも、なんでこんな幽霊法人が必要なのか。厳しく追求していきたい」
コロナ不況への経済対策を取り仕切るのは、経済産業省だ。裏にどんなカラクリがあるのだろうか。経産省のOBを取材した、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。
「OBによると、経産省は一般的な公共事業などと違って経済活動分野で無から有を作り出す役所だと。法律を作り、許認可の仕組みを作り、それを仕切る法人なども作る。そして時には法人が天下り先にもなるというわけです。そこには利権が生まれることも当然あります。
今回の社団法人も、一旦受注し人件費や手数料を抜き、電通やその関連会社に仕事を割り振っていた。『サービス協議会』は過去4年間で、経産省から14件の事業1600億円を受託していたと言われています。しかも、『サービス協議会』は国から受けた事業に義務付けられている内容の公告をなんと4年間一度もやっていない。職員も事務所にいるかいないか、電話番号すらハッキリしない。おカネを回して、これは何かあるなと思われても当然です。
今回は、コロナ禍で苦しんでいる人たちを助けるための事業です。仮に100歩譲って20億円が正当な事務経費だとしても、それをできる限り絞ってその分を明日の支払いに困る自営業者や零細企業のオーナーに支給すべきでしょう。『サービス協議会』を迂回させる必要がどこにあるのか。政府はいろいろと理由を述べているけど、国民を納得させるような説明はできていません。
持続化給付金に限らず、コロナに関する給付金にはスピードと透明性が求められます。経産省では『緊急時だから直接発注しよう、20億円について迂回して中抜き批判も出るから今回は例外的にやろう』となぜ誰も言わなかったのか。疑問が残ります」
コロナの影響で疲弊した中小企業で働く人々の生活を、安倍首相はどう認識しているのだろう。 

 

●海外メディアが「棚ぼた」批判! 電通の「支援金ビジネス」に世界が注目? 6/6 
安倍晋三首相が「世界で最も手厚い支援」と胸を張ったコロナ不況への緊急経済対策。なかでも、中小企業向けの「持続化給付金」の支給をめぐって、大手広告会社の電通の動向に注目が集まっています。
約2兆3000億円の予算がついた大型事業を委託された一般社団法人が、実体のない「トンネル会社」だったことが判明! しかも、受注金の97%が電通に再委託されていることから、海外メディアは「電通は『棚ぼた』式に大金を手に入れた!」と報じました。
ロイター通信、安倍首相のコロナ対策を「下手くそ」と批判
「総力を挙げて、スピード感を持って支援を届ける」
そんな安倍首相の力強いメッセージとは裏腹に、不評を買っていた「持続化給付金」。新型コロナウイルスの影響で売上高が大きく減った中小企業などに最大200万円を支給する「看板政策」でしたが、入金が遅れるなどのトラブルが相次いでいました。
「いつまでたっても支援金が届かない」とイライラが募るなか、なんと給付作業を国が業務委託している法人が、電通とパソナの「トンネル法人」だったことがわかり、海外メディアも大きく取り上げました。
Japan's Dentsu gets $700 mln windfall from gov't SME aid scheme (日本の電通は、政府の中小企業支援策で700万ドルの大金を棚ぼた式に手に入れた:ロイター通信)
windfall:思いがけない大きな収入、棚ぼた式に手に入った大金
SME(small and medium-size(d) enterpriseの略:中小企業
「windfall」は、「wind」風が吹いて「fall」落ちる、という意味。努力していないのにどこかから風が吹いて果実が落ちてきた、つまり「棚からぼた餅」というニュアンスです。
実際、「トンネル会社」とされる「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」が政府から受注した769億円のうち、97%に当たる749億円が電通に「再委託」として支払われていました。
それだけではありません。そもそも、「トンネル会社」の設立にも電通が関わっていたことから、
「初めから電通ありきの政策だ」
「安倍首相のお友達会社で税金を分け合っている」
と批判されているのです。
ロイター通信は、「windfall」(棚からぼた餅)というインパクトのあるワードを用いて、「電通は何もしないで大金を手に入れた」というニュアンスを伝えることに成功しています。
さらに、不透明なスキームの追求は、「コロナ対策が『clumsy』(下手くそ、不器用)だと批判されて、安倍晋三首相の支持率が下がっている中で起きている」と、失策続きの安倍政権にとって、新たな打撃となることも示唆しています。
コロナ禍に便乗した「棚ぼた商売」の香りがプンプンするこのニュース。世界各国のメディアも相次いで報じました。
電通は、東京五輪の延期で儲けを「粉砕された」
それにしても、海外メディアはなぜ、電通の「棚ぼた商売」に注目するのでしょうか?
ロイター通信は日本における電通の存在を、「広告会社の域を超えて、ケタ外れに大きな役割を果たしている」と解説しています。
Dentsu plays an outsized role in Japan beyond its dominance of the advertising industry, including providing services to the government. (電通は広告産業での圧倒的な立場を越えて、政府へのサービス提供などケタ外れに大きな役割を果たしている)
そして、ケタ外れの影響力を持つ電通が、東京五輪の延期によって巨大な損害を被ったと指摘しているのです。
Dentsu's Olympic year torpedoed by coronavirus outbreak (電通の「五輪イヤー」は、コロナウイルスの襲来でぶち壊しになった)
「torpedo」は「魚雷」です。この場合は、「魚雷」を打ち込まれたように「粉砕された」「ぶち壊された」という意味になります。東京五輪での「儲け」をあてにしていた電通が、コロナ禍による延期で「ぶち壊しにされた」というのです。
実際、電通グループが2020年度の業績予想を取り下げると発表したことは、国際的にも大きなニュースになりました。新型コロナウイルスの影響で大幅な収益減少が想定され、特に、第2四半期にあたる4月から6月にかけてが「年間を通して最も厳しい」としています。この「最も厳しい」時期に「支援金ビジネス」で大金が転がり込むとしたら、「棚からぼた餅」であろうことは容易に想像がつきます。
東京五輪延期の損失を補うために、私たちの税金が大量投下されているとしたら、お門違いも甚だしいところです。支援金支給の裏でうごめく利権ビジネス。もし、東京五輪が予定どおり開催されていたとしたら、いったいどれだけの「利権」が発生していたのでしょうか――。海外メディアが電通に注目するポイントは、このあたりにあるのかもしれません。
それでは、「今週のニュースな英語」は、「windfall」(棚からぼた餅)を取り上げます。
It is a windfall (それは、棚からぼた餅だね)
It is a windfall gain (それは、棚ぼた式の利益だね)
This product earns windfall profits (この商品は棚ぼた式の利益を稼いだ)
I got a big windfall (思いがけない大金を得た)
見方を変えれば、コロナ禍のおかげで「利権」にどっぷりと浸かった安倍政権の実態が浮き彫りになったとも言えます。税金の使い道に関心を持つ人が増えて、好き放題にやってきた政治にブレーキをかけることができたら、私たちにとって「windfall」(思わぬ利益)ではないでしょうか。 

 

●NHK、持続化給付金に食らいつく 6/5 
江戸時代のどこぞの大藩の悪徳家老あるいはお代官さま並みの悪行・腐敗がまかり通っています。先般のマスクをめぐる不明朗な発注の真相は究明されず、費用も466億円の高額が世論の非難を浴びたせいで256億円と言い直しているようです。民の非常時につけ込んで身内の金儲けの機会とさせてしまう。いつもの安倍氏のやり口です。ここから官邸政治家への「キックバック」が転がり込んでくるのでしょう。原資は税金です。税金を自分の懐に入れるというずるがしこい仕掛けを数年前から編み出していたといいますから、「金に執着する人間」の強欲さは並々ならぬものと思っています。
そして、こうした機会に必ず顔をだすのが、金儲け機会を絶対に見逃さない竹中平蔵氏のリソナです。伝えられる所では、金儲け機会は座して待つのではなく、自ら動いて造るのだそうで、今般の「持続化給付金」も経済産業省の高級官僚と竹中氏によってつくりあげられた仕掛けであるともいいます。仕掛けの杜撰さにもかかわらず、それがばれないと高をくくっていたんですな。民は安く見られたもんです。
官邸とそれに群がる悪徳商人の動きを支えているのが電通です。電通がでてきた日にゃ、さしもの民間報道機関、TV,大手新聞の関連報道は腰を引き気味です。なんといったってメディアの命綱である広告を握っているからです。こうなると、頼るは民から「視聴料」と称して金をむしりとっているNHKに「真実の報道」を期待するしかありません。ところが、そのNHKの無様な醜態には言葉がありません。以下の記事で記者が怒っています。
「NHKの安倍政権忖度が再びヒドい状況に! 持続化給付金の電通疑惑をスルーし続け『日曜討論』で野党排除、黒川検事長の問題でも… NHKが持続化給付金疑惑をスルー ・・・ 」
中小・個人事業者向けの「持続化給付金」の給付作業を、政府が実体の掴めない電通の“トンネル法人”に769億円で委託しているという問題。巨額の予算が電通やパソナといった安倍政権に近い大企業に流れているだけではなく、さらにはこのトンネル法人が“中抜き”した数億円もの金が経産省や政治家に還流しているのではないかという疑惑もあり、一大疑惑に発展する様相を呈している。
昨日6月1日、本サイトでも報じたように、“電通タブー”のせいか、この問題をワイドショーはほとんど報じず。一方、先週から取り上げていたTBSを除く局のニュース番組も、昨夕からようやく取り上げはじめたが(それでも電通とは名指しせず「大手広告代理店」などと伝えているが)、そんななかでも無視を決め込んでいたのが、「アベさまの」NHKだ。
実際、NHKの看板報道番組である『ニュース7』と『ニュースウオッチ9』(以下、『NW9』)は、昨晩、元AKB48の渡辺麻友が芸能界を引退したニュースは伝えたというのに、この「持続化給付金」問題を一切取り上げなかったのだ。
しかも、本日2日になって遅れに遅れるかたちで取り上げたものの、正午のニュースでは、梶山弘志経産相が電通に再委託されたことを「問題ない」と言い張ったことをメインにして伝えたのである。
民放のように電通に広告を依存していないというのに、なかなか取り上げなかった上、問題点を掘り下げることもなく政府の言い分を垂れ流す──。本日の『ニュース7』や『NW9』では詳しく報じるようになってはいたが、ここまで「持続化給付金」問題をNHKが取り上げなかったのは、新型コロナ対応で批判が高まっている安倍政権にさらなる大打撃を与えかねないため“忖度”してきた、ということだろう。
だが、こうしたNHKの政権擁護の姿勢が、もっと露骨なかたちで表れている例がある。じつは、与野党の議員が意見を戦わせてきた討論番組『NHK日曜討論』が、この1カ月間、西村康稔コロナ担当相と加藤勝信厚労相を出演させつづけている一方、野党議員を一度も出演させていないとしてSNS上で話題になっているのだ。
そして、本サイトでも確認してみたが、たしかに5月3日放送回で各党幹部が出演して以降、「政府と専門家による討論」「政府や経済界・労働界などが討論」などとし、加藤厚労相か西村コロナ担当相は毎週出演しながら、一度も野党議員が出演していなかった。
そもそも『日曜討論』は毎回、与野党の議員が出演する討論番組ではないが、政府の新型コロナ対応が問われるなかで1カ月にもわたって与野党討論がないのは、あきらかにおかしい。
実際、『日曜討論』では、WHOが「緊急事態」を宣言して以降、新型コロナの問題をテーマにして定期的に与野党討論を放送。たとえば、2月は4回の放送があったが、うち2回は加藤厚労相と専門家のみの出演だったものの、残り2回は与野党の政策責任者が顔を揃えていた。3月も5回の放送のうち、3.11を控えた8日放送回は新型コロナと東日本大震災の2本立てで加藤厚労相と田中和コ復興相、専門家の出演だったが、ほかの4回はすべて与野党の議員で討論。4月も4回の放送のうち2回は与野党議員による討論がおこなわれていた。
それが5月3日放送回を最後に、野党議員を一切出演させず、新型コロナ対応にあたる大臣と専門家による討論だけを放送する──。野党の政府に対する対立意見や批判的検証が取り上げられないまま政権与党の大臣だけが一方的に主張するのは、「放送の不偏不党」「政治的公平」に欠けると言わざるを得ないだろう。
しかし、5月3日まではかろうじて野党議員の出演があったというのに、なぜNHKはそれ以降、なくしてしまったのか。ここでひとつ思い当たることといえば、この1カ月間は検察庁法改正案と黒川弘務・前東京地検検事長の“賭けマージャン”問題で野党による追及が強まり、世論の反発も高まっていったという事実だ。 
●黒川検事長賭け麻雀問題でNHKが見せた安倍政権への露骨なアシスト 6/5 
そしてこの間、検察庁法改正案と黒川氏の定年延長問題についてのNHKの放送姿勢は、あまりにも酷いものだった。
たとえば、検察庁法改正案が衆院内閣委員会で審議入りした5月8日、『NW9』は審議入りしたことさえもスルー。『ニュース7』は法改正に反対する有志の弁護士でつくる団体がオンラインで記者会見を開いたこと、1500人もの弁護士が団体の活動に賛同していることを伝えたのだが、なぜかテロップは「“弁護士1500人が賛同”」という混乱を招くような表現になっていた。
だが、8日に審議入りしたことを受けて、有名人を含む多くの市民による「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけた“Twitterデモ”が勃発。さすがにこれを無視することはできなかったのか、10、11日には『ニュース7』や『NW9』でも紹介。しかし12日の『ニュース7』では「“疑惑隠しで改正 指摘あたらず”」というテロップまで出して安倍首相の主張をメインに報道。『NW9』にいたっては問題を取り上げることさえしなかった。
また、翌13日は『ニュース7』も『NW9』も衆議院内閣委員会の審議を取り上げたが、野党が森雅子法相の出席を求めて質疑の途中で退席したことを伝える一方で、内閣委員会の委員で自民党所属の泉田裕彦衆院議員がTwitterに〈強行採決は自殺行為〉〈与党の理事に強行採決なら退席する旨伝えました〉と投稿したことで自民党が泉田議員を内閣委員から外すという暴挙に出たことは伝えられることはなかった。
さらに、15日には検察庁法改正に反対する松尾邦弘・元検事総長ら検察OBが意見書を法務省に提出したが、〈ルイ14世の言葉として伝えられる「朕は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿とさせる〉などと安倍首相を痛烈に批判したことは報じられず、「改正案 きょうの採決見送り」「検察庁法改正案 与野党が対立」などと政局の話に矮小化させてしまったのだ。
無論、黒川氏の“賭けマージャン”問題での訓告という甘い処分が下された問題についても、安倍官邸が法務・検察の懲戒処分という提案を蹴ったという疑惑や、政権の責任を掘り下げるような報道は一切皆無。SNS上でこれまでにないほどに検察庁法改正案をめぐる安倍政権の対応に注目が注がれようと、NHKは“忖度”報道を繰り返したのである。
そして、同時にこの期間、『日曜討論』という野党が与党に対して追及をおこなう場から排除されているという事実──。ようするに、NHKはあらかじめ検察庁法改正案や黒川問題を追及する声が出ることを、野党議員を出演させないことで封じ込めたのではないか。
そもそもNHKは、新型コロナにかんする総理会見でも第1回目から、記者が挙手していても会見を打ち切って質問に答えるよう求める声が記者からあがる前に生放送を打ち切り、岩田明子記者の解説を垂れ流すという安倍首相のアシストをつづけている。その上、新型コロナ対応への不満が高まるなかで、野党が政府に対立意見をぶつけ検証する場さえなくしてしまうとは……。NHKがこの“忖度”をいつまでつづける気なのか。視聴者による監視が必要だ。 

 

●給付の再委託 不透明な実態、説明を 6/4 
新型コロナウイルスで打撃を受けた中小企業などに最大200万円を支給する国の「持続化給付金」を巡り、事業の不透明さが、にわかに問題になっている。
野党は、実体に乏しい団体が受注し、団体に関係する企業に再委託していることを疑問視し、国会で追及している。
もとより巨額の事業費は公金である。公正さがゆがめられるのは許されない。
苦境にある中小企業や個人事業主、フリーランスに迅速、的確に給付金を届けるのは、国の責務だ。国会で国民が納得できる説明をしなければ、事業への信頼を失うと心得るべきだ。
問題の団体は、2016年に設立された一般社団法人のサービスデザイン推進協議会(東京)。8人の理事は非常勤で、常勤はいない。職員はわずか21人という。
野党議員が「謎の団体」と呼ぶのも分かる。そんな協議会が、なぜ、769億円という巨額事業を受注できたのか。さらに、この事業を749億円で広告代理店の電通に再委託したのは、なぜか。
初めから電通に委託すればいいではないか。梶山弘志経済産業相は、過去に事業を担った電通が国の補助金の振り込み元になり、問い合わせが集中したからと説明する。その程度の理由なのか。
一連の流れをみると、一般競争入札で受託した協議会が、給付金申請受け付けから審査までの管理や運営を電通に再委託、さらに電通は人材派遣会社やIT大手企業にコールセンター業務などを外注している。
これら3社は、協議会設立に関わったとされ、理事も出している。協議会の職員には3社の出向者がいる。不審に感じて当然だ。
大きな事業では再委託は一般的に行われ、それ自体は問題ではないという。しかし、かつて厚生労働省が発注した情報処理会社の再委託先から多くの入力ミスが見つかるなど、不祥事が起きているのも事実だ。
管理が行き届かない恐れを指摘されている。営利目的の民間が介在することで、公金の無駄遣いにつながらないか懸念もある。
協議会は、今回も含め経産省の事業14件を受託している。同省OBはおらず、天下り先ではないというが、受託実績から親密な関係を想像してもおかしくない。
単なる受注、再委託の不透明さにとどまらず、もっと大きな疑問が浮かんでくる。巨額の公金が投入されるコロナ対策だけに、厳しい目を向ける必要がある。 

 

●NHKの安倍政権忖度が再びヒドい状況に!  6/3 
中小・個人事業者向けの「持続化給付金」の給付作業を、政府が実体の掴めない電通の“トンネル法人”に769億円で委託しているという問題。巨額の予算が電通やパソナといった安倍政権に近い大企業に流れているだけではなく、さらにはこのトンネル法人が“中抜き”した数億円もの金が経産省や政治家に還流しているのではないかという疑惑もあり、一大疑惑に発展する様相を呈している。
昨日6月1日、本サイトでも報じたように、“電通タブー”のせいか、この問題をワイドショーはほとんど報じず。一方、先週から取り上げていたTBSを除く局のニュース番組も、昨夕からようやく取り上げはじめたが(それでも電通とは名指しせず「大手広告代理店」などと伝えているが)、そんななかでも無視を決め込んでいたのが、「アベさまの」NHKだ。
実際、NHKの看板報道番組である『ニュース7』と『ニュースウオッチ9』(以下、『NW9』)は、昨晩、元AKB48の渡辺麻友が芸能界を引退したニュースは伝えたというのに、この「持続化給付金」問題を一切取り上げなかったのだ。
しかも、本日2日になって遅れに遅れるかたちで取り上げたものの、正午のニュースでは、梶山弘志経産相が電通に再委託されたことを「問題ない」と言い張ったことをメインにして伝えたのである。
民放のように電通に広告を依存していないというのに、なかなか取り上げなかった上、問題点を掘り下げることもなく政府の言い分を垂れ流す−−。本日の『ニュース7』や『NW9』では詳しく報じるようになってはいたが、ここまで「持続化給付金」問題をNHKが取り上げなかったのは、新型コロナ対応で批判が高まっている安倍政権にさらなる大打撃を与えかねないため“忖度”してきた、ということだろう。
だが、こうしたNHKの政権擁護の姿勢が、もっと露骨なかたちで表れている例がある。じつは、与野党の議員が意見を戦わせてきた討論番組『NHK日曜討論』が、この1カ月間、西村康稔コロナ担当相と加藤勝信厚労相を出演させつづけている一方、野党議員を一度も出演させていないとしてSNS上で話題になっているのだ。
そして、本サイトでも確認してみたが、たしかに5月3日放送回で各党幹部が出演して以降、「政府と専門家による討論」「政府や経済界・労働界などが討論」などとし、加藤厚労相か西村コロナ担当相は毎週出演しながら、一度も野党議員が出演していなかった。
そもそも『日曜討論』は毎回、与野党の議員が出演する討論番組ではないが、政府の新型コロナ対応が問われるなかで1カ月にもわたって与野党討論がないのは、あきらかにおかしい。
実際、『日曜討論』では、WHOが「緊急事態」を宣言して以降、新型コロナの問題をテーマにして定期的に与野党討論を放送。たとえば、2月は4回の放送があったが、うち2回は加藤厚労相と専門家のみの出演だったものの、残り2回は与野党の政策責任者が顔を揃えていた。3月も5回の放送のうち、3.11を控えた8日放送回は新型コロナと東日本大震災の2本立てで加藤厚労相と田中和コ復興相、専門家の出演だったが、ほかの4回はすべて与野党の議員で討論。4月も4回の放送のうち2回は与野党議員による討論がおこなわれていた。
それが5月3日放送回を最後に、野党議員を一切出演させず、新型コロナ対応にあたる大臣と専門家による討論だけを放送する−−。野党の政府に対する対立意見や批判的検証が取り上げられないまま政権与党の大臣だけが一方的に主張するのは、「放送の不偏不党」「政治的公平」に欠けると言わざるを得ないだろう。
しかし、5月3日まではかろうじて野党議員の出演があったというのに、なぜNHKはそれ以降、なくしてしまったのか。ここでひとつ思い当たることといえば、この1カ月間は検察庁法改正案と黒川弘務・前東京地検検事長の“賭けマージャン”問題で野党による追及が強まり、世論の反発も高まっていったという事実だ。 

 

●メディアが報じない安倍政権と電通の癒着!  6/2 
持続化給付金をめぐり、事業を受託した一般社団法人の不透明な実態が大きな問題となっている。
新型コロナウイルスの影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少した事業者に対して、中小企業には最大200万円、フリーランスを含む個人事業者には同100万円を上限に現金を支給する制度で、予算額は約2兆3000億円。
中小企業庁のホームページでは、持続化給付金の事業を受託したのは、「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」(以下、同協議会)で、契約額は769億円となっている。
同協議会は2016年に電通とパソナ、トランスコスモスによって設立。登記簿に記載された所在地は東京・築地のオフィスビルだが、この問題を追及している立憲民主党の川内博史衆院議員が同協議会を訪ねたところ、ドアに「リモートワーク中」という張り紙が貼られており、“誰もいなかった”という。このため、同協議会の実態は“幽霊会社”であり、電通への“トンネル会社”ではないかという疑惑が噴出した。
持続化給付金は150万件に支給する予定となっており、契約額769億円で換算すると同協議会に払われる1件あたりの手数料は単純計算で5万円を超えることになり、川内議員は「法外な手数料だ」と指摘した。
同議員は政府に対して、再委託費の内訳について情報開示を求めたところ、中小企業庁の那須野太・事業環境部長は「電通に再委託している」こと明らかにした。なんと、契約額769億円の97%にあたる749億円が電通に再委託されていた。
結局、持続化給付金については、実務を行っているのは電通であり、同協議会は電通がこの事業を受託するための“トンネル会社”だったのではないか、との疑惑が深まった。
ある広告代理店関係者は、「電通は2015年に発生した新入社員の高橋まつりさんが過労により自殺した事件で、労働基準監督署から労働基準法違反で書類送検され、罰金刑を受けている。この事件がきっかけで“働き方改革”が推進されるようになったほど、世の中に大きな衝撃を与えた。この事件で電通は公共事業の入札停止処分を受けた。処分期間は終わったとは言え、公共事業を電通に委託するのは問題視される可能性があり、トンネル会社を使う方法を取ったのではないか」との見方をしている。
その上、川口議員によると、持続化給付金が組み込まれた第1次補正予算が閣議決定されたのは4月7日なのに、その前日の6日には同協議会が「jizokuka-kyufu.jp」(持続化給付.jp)というドメインを取得していたというのだ。
こうした状況から同協議会と通商産業省の間には、何らかの“癒着”があるのではないかという疑惑まで浮上している。新型コロナウイルスの関連では、布製マスク(いわゆるアベノマスク)の配布でも、特定業者との癒着疑惑が浮上するなどの問題が発生している。
新型コロナウイルスによって、国民生活が危機に瀕している時に、こうした国民を救うための施策において不透明な取引が行われ、利益供与のような行為が罷り通ることは、断じて黙認してはならない。徹底的に究明して、事実関係を明らかにすべきだろう。
それにつけても、筆者が理解できないのは、川内議員が同協議会の問題について取り上げたのは、5月22日の衆議院決算行政監視委員会だ。これだけ大きな問題にも関わらず、この問題を報道したのはNHKニュースだけだった。その後、「週刊文春」(文藝春秋)がこの問題を取り上げると同時に、新聞各紙が取り上げ始める。
なぜ、新聞各紙やテレビのニュース番組では当初、この問題を黙認したのだろうか。そこには、電通に対する配慮があったのではないか。特に、居酒屋などを引き合いに出し、連日のように新型コロナウイルスの感染拡大防止のための休業要請による経営危機を取り上げ、持続化給付金を話題としている“ワイドショー”では、この問題にまったく触れていないのは何故なのだろうか。
黒川弘務検事長の接待麻雀問題といい、報道側の姿勢も問われているのではないか。 

 

●万能の神「閣議決定」の上を行く電通、パソナ 6/1 
コロナ禍で経営危機に陥った個人事業者や中小企業に最高100万〜200万円支給する「持続化給付金事業」。
事業を請け負った幽霊法人の「サービスデザイン推進協議会」は、「持続化給付金事業」が4月7日に閣議決定される前日にHPのドメインを取得していたことが分かった。
立憲民主党の川内博史議員の追及に対して経産省中小企業庁の那須野太・事業環境部長が認めた(衆院決算行政監視委員会=5月22日)。
「サービスデザイン推進協議会」は、電通とパソナとトランスコスモスが設立した一般社団法人。
これまで閣議決定は森羅万象を司る万能の神だった—
日本語を満足に知らない安倍首相が発した「そもそも」の意味をめぐって、広辞苑の解釈さえも変えた。
検察庁法もお構いなしに、安倍首相にとって都合のいい検事長の定年を延長させた。
竹中平蔵氏が会長を務めるパソナとメディアを支配する電通が絡んだ事業は、この閣議決定をも左右できるのである。
事業を経産省から委託された「サービスデザイン推進協議会」をきょう、野党議員が訪問した。オフィスは電通村ともいわれる築地の一角にあった。
電灯も点いておらず、ひと気もない。インターフォンもない。先週、川内議員が訪問した時にはあった呼び鈴のボタンもなくなっている・・・まさしく幽霊法人の名にふさわしい風情だった。
野党議員は訪問後、経産省から国会内で事情を聴いた。
パソナと電通などが設立した「サービスデザイン推進協議会」は、通産省から769億円で持続化給付金事業を委託され、749億円で電通に再委託した。
電通はパソナやトランスコスモスに再々委託した。
野党議員は「再々委託した金額はいくらなのか?」と聴いたが、経産官僚は「すぐには分からない」と かわした。
公金が食い物にされる時、金の流れが決まって複雑かつ不透明になる。
閣議決定の上を行くパソナと電通は、生きるか死ぬかの瀬戸際にある事業主の苦悶など、知る由もないかのように涼しい顔だ。 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 

 

●昔話

 

●電通・博報堂の良いところ・悪いところ 2019/7 
「1クリック10円? そんな仕事ができるかよ。俺たちいくらの仕事をしてると思ってるんだ!」。
私は、大声で罵倒された。2004年のことだ。電通の人だったか、博報堂の人だったか、ここでは秘密にしておこう。私の仕事人生のなかで、忘れられない屈辱的な言葉だった。マス広告の感覚では、ネット広告の仕事は単価が安く、電通や博報堂の正社員がやる仕事ではない、と。
当時の私は、検索連動型広告の売り子として仕事をしていた。電通や博報堂の人に「ネット広告やデジタルマーケティングに興味を持ってもらいたい」と、いつも思っていた。そのため、仕事のストレスが溜まっていたと思う。というのは、基本的に、電通や博報堂の正社員からは、一部の人を除いて、まともに相手にされなかった。
ところで、念のため、言っておくが、電通も博報堂も、頭も性格もいい人が多い。Googleも優秀な人材が多かったが、お世辞でもゴマスリでもなく、電通・博報堂にも多い。なので、私を罵倒する言葉を吐かせたのは、私の態度に問題があった。「総合広告代理店を自負するなら、ネット広告でもトップになるべきだ。いまのままでは、電通も博報堂も、マス専業代理店だ!」。 そんな挑発をして、喧嘩することもよくあった。 「電通・博報堂が本気になれば、もっと売れるのに」と、怒りをぶつけていた(彼らとの衝突や摩擦を通じて、多くのことを学び、結果的に、私は育てていただいた。いまとなっては、電通・博報堂の懐の深さに感謝している)。
保守化する代理店の人たち
なぜ、こんな昔話をするのか。というのは、最近、この2004年当時のことを思い出させる出来事があったからだ。
GDPRや情報銀行、個人情報関連の動きに絡んで、私は最近、ネット広告代理店の人たちが保守化したと思っている。まるで、昔の、2004年当時の、電通や博報堂のようだな、と一瞬思った。つまり、既存のビジネスに固執し、明日のことは考えていないように見えたのだ。
私はGDPRや情報銀行のことを、この1年ぐらい、何度か記事で取り上げている。それに関してネット広告代理店の人から、このように言われた。
「有園さん、あんまりGDPRや情報銀行について、書かないでくださいよ。ネット広告市場が縮小したら困るじゃないですか!」。
たとえば、ネット業界は、消費者の知らないところで個人データを収集し、勝手にビジネスに使って莫大なお金を稼いでいるのではないか? そんな印象が広まって、NHKの「ネット広告の闇」みたいな番組が批判的な世論を形成し、広告主が出稿を控えたら、自分たちの既存のビジネスが縮小してしまう。それは困る。つまり、一番大事なのは、保身であり、いまの既存のネット広告ビジネスなのだ。既存のビジネスを優先し、固執する姿勢が、昔の電通・博報堂と同じだと思った。
「YouTubeは、違法動画ばっかり。電通では扱えないよ」。
2007年だったか? テレビ番組の違法アップロードが絶えなかったYouTube。既存のテレビ局との関係を考えると、その動画広告を、電通が積極的に扱うことはできない。テレビ局からクレームが来るだろうと。既存ビジネスを守ることが重要で、新しいYouTube広告は後回しにする。将来的にテレビ市場を脅かすかもしれないが、テレビ局との関係上、保身に徹する。そんな印象だった。
「スマートフォンは普及しないと思うよ。日本ではガラケーが強いからね」。
たしか、2009年だった。D2C(株式会社ディーツーコミュニケーションズ)の人から言われた言葉だ。私がGoogleを退職し、スマホのアドネットワーク会社「AdMob(アドモブ:AdMobはその後、Googleが買収)」に営業責任者として転職した時のことだ。D2Cは、ドコモなどガラケーの広告商品(既存ビジネス)をメインで扱っていた。だから、スマホには否定的にみえた。当時、一番積極的に売ってくれたのは、サイバーエージェントだった。
ネット広告でも既得権益が
サイバーエージェントに代表されるネット広告代理店のほとんどが、私の知る限り、新しいことに積極的だ。創造的破壊の担い手となり推進していく集団だと思っていた。
それが、既存のネット広告を脅かすようなGDPRや情報銀行、個人情報保護などの話になると、ネット広告代理店のなかにも、保守化する人が出てくる。もちろん、既存のネット広告が彼らの生活の糧。守りたい気持ちは、理解できる。
日経新聞に「個人情報に『利用停止権』検討 保護法改正へ」という記事が出ているように、個人情報・データの「利用停止権」「開示請求権」などを、2020年の個人情報保護法改正で導入するかもしれない。
また、ネット広告技術で普通に流通しているクッキーや識別IDなども、個人情報扱いにすべきという意見もある。このネット広告技術に関して、イギリスは厳しい認識を持っているようで、「ネット広告の根幹技術に違法の疑い、英規制当局が指摘」と、MIT Technology Reviewに掲載されている。
このような動きのなかで、電通グループの株式会社マイデータ・インテリジェンスが「情報銀行トライアル企画」を実施する。7月3日に発表があった。簡潔にいえば、生活者に許諾・同意を得たうえで、個人情報・データをビジネスに活用し、何らかの便益を生活者にも還元していく。新しいビジネスモデルが簡単に軌道に乗るとは思わない。だが、既存のネット広告の仕事は、遅かれ早かれ、作り変えなければならない。私はそう思っているので、マイデータ・インテリジェンスの立ち上げの時期から、支援させてもらっている。
既存のネット広告ビジネスに依存する人は、個人情報保護法改正やマイデータ・インテリジェンスの動きが気に入らないらしく、水面下で抵抗勢力になっているらしい。もちろん、ネット広告代理店のなかにも、前向きに取り組む人がいるのは知っている。だが、業界の平均年齢も高くなったし、やっぱり、保守化するんだなぁ、と。まるで、ネット広告の普及に抵抗していた、昔の電通・博報堂(一部の人たち)を見るようだと思った。
「1クリック10円? そんな仕事ができるかよ」という言葉の背後には、新しい変化に抵抗する人間の弱さや保身があると思った。それと同質の気配を纏っている人が、ネット広告代理店にも出てきたように思う。日本でも、テレビ広告と互角の規模まで市場が成長し、そこでの既得権益に依存して生きる人たちがいるということだ。新しいビジネスに挑むリスクをとるよりは、既存のネット広告を守って生きた方が楽なのだ。
「脱皮できない蛇は滅びる」
だが、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェがいうように、「脱皮できない蛇は滅びる」。
もちろん、私自身も、脱皮するのは楽ではない。あまりに速いデジタル業界の流れに抵抗してしまうこともあるし、新しい事業に恐怖を感じ、保身に走ることもある。そういうときは、ドラッカーの著作に手を伸ばす。『ドラッカー名著集5 イノベーションと企業家精神』のなかで、彼はこう書いている。
「既存の企業が企業家精神を発揮するには、自らの製品とサービスが競争相手によって陳腐化させられるのを待たず、自ら進んで陳腐化させていかなければならない。新しい事業の中に、脅威ではなく機会を見出すようマネジメントしなければならない。今日とは違う明日をつくり出す製品、サービス、プロセス、技術のために、今日仕事をしなければならない」
ありがたいことに、私は約20年、電通・博報堂から仕事を頂いてきた。それをいま振り返って感じるのは、大企業なのに、電通も博報堂も、新しい事業にもそれなりに積極的で、個々の社員が企業家精神を発揮しやすいように、マネジメントしているのではないか、ということだ。だからこそ、長年、広告業界のトップに君臨しているのだと思う。
だが、デジタル領域だけでいえば、電通・博報堂の40代以上の正社員の多くがネット広告の現場を経験していない。子会社や関連企業に任せてきたからだ。そのため、今後、大量にリストラになるのではないかと心配だ。テレビ広告市場の縮小が現実となり、利益を維持するにはコストカットが必要になる。
ただ、これは、電通・博報堂に特有の課題ではない。日経の記事「早期退職はや8000人、18年の倍 次見据える中高年」が指摘するように、「団塊ジュニア世代が50歳に近づき『多くの企業で中高年がボリュームコストになっている』(日本総合研究所の山田久主席研究員)」という。つまり、日本経済全体の課題である。この記事のなかで、デジタル対応のために若手が必要だと書かれている。電通・博報堂も例外ではなく、もっと多くのデジタルネイティブな若手が必要なのだ。
そして、私も今年で50歳なので他人事ではない。私も含む40代以上の世代は、できるだけ早く、活躍の場や事業の実権を若手に譲り、若手に古い固定観念を押し付けるのではなく、必要に応じて求められれば支援するぐらいがいい。それが、日本経済のためであり、広告業界のためであり、電通・博報堂のためだと思う。終身雇用の幻想を追いかけて、若い人たちのお荷物になるのは避けたいところだ。
今日とは違う明日を作る
さて、話を戻そう。Googleなどにいた自分から見ると、電通・博報堂のデジタルトランスフォーメーションは、動きが遅くてイラッとすることも多かった。だが、いま振り返って、もし仮に、私が電通や博報堂の人間であれば、テレビなど既存ビジネスをできるだけ長く延命させつつ、同時に、新しい事業の創出に取り組むはずだ。そう考えれば、昔は、イライラすることが多かったが、それは自分の視野が狭かっただけだとも言える。
電通や博報堂が、これまで業界を牽引してきた理由に、既存事業と新規事業のバランスの取り方があるように思えてならない。それは、もしかしたら、それほど戦略的にやっているわけでもないかもしれないが、それでも、私のようなネット広告しか知らない人間は、彼らから学ぶことが多いように感じる。実際に、いつの間にか、彼らにとって新しい領域であったネット広告でも、優秀なスタッフを揃えてしまった(まだ、充分ではないと思うが)。
昔はデジタルに遅れていると言われていたが、いまでは、決してそんなことはない。つまり、彼らは彼らのペースで時間をかけてバランスを取りながら、人材を入れ替えてきたのではないか。
今後、GDPR、個人情報保護法改正、情報銀行などの影響で、既存のネット広告の合法性(違法性)が問題になるかもしれない。イギリスのように、既存のネット広告技術の違法性が指摘され、万が一、既存ビジネスができなくなったら、ネット広告だけに依存する代理店はどうするのか。
個人情報保護法改正や情報銀行の流れに対して、ネット広告業界が抵抗勢力になっても未来はない。クッキーや識別IDを個人情報扱いしないように、政府関係者に陳情している人や、できるだけ消費者の許諾・同意なしで済ませられるように、GDPR的な法改正に反対している企業・団体もあると聞く。「いちいち個人の同意をとっていたら、経済効率が悪化して、中国に勝てない。中国のように同意なしで信用スコアとかやったほうがいい」と。しかし、それでは危ない。
「ヤフー、『信用スコア』炎上で損ねた信用」という日経の記事にもあるが、サービス開始前に「個人情報が勝手に外部に提供される」という事実無根の憶測がネット上で広まってしまった、Yahoo!の信用スコア事業のケースのように、プライバシーや人権よりもビジネスの方が大事だという印象をもたれると、ユーザーに拒絶される。この件に関して、同社の川邊健太郎社長は、「全てはヤフーの説明がヘタ過ぎることに問題があり」とTwitterで釈明しているが、そもそも、個別に具体的な説明を受けたと感じている人は私の周囲にはひとりもいない。GDPRや個人情報保護法改正の影響で、個人情報・データはユーザーのものであって、その主導権がユーザーにあるという思想が普及しつつある。その環境変化を、もし、川邊社長が理解しているならば、このような発言はできないはずだ。ユーザーに対して具体的にサービス内容を説明し、個別に許諾を取らない限り、信用スコアというビジネスにはリスクがある。現行法的に問題ないとしても、炎上する可能性はあった訳だ。
「全てはヤフーの説明がヘタ過ぎることに問題があり、ソーシャル上で誤解を生じさせまくってて本当に申し訳ないのですが、、正確にはこの記事にある通りですので、どうぞ正しい理解を賜れますと幸いです。」— KAWABE Kentaro 2019年 信用スコア事業に関する川邊社長のツイート
もちろん、そのリスクを覚悟して、チャレンジしたのかもしれない。ただ、今回の失敗によって、今後の個人データ関連ビジネスの導入ハードルが上がった可能性も否定できず、見方によっては、業界全体に、いや、日本経済全体にとっても、マイナスだったとも言える。ただし、私は、新しいことにトライしたYahoo! Japanの姿勢はとても素晴らしいと思っている。今回の件を他山の石として、プラスに転じていきたい。
要するに、プライバシーや人権よりもビジネスを優先する姿勢は、改めて行くべきだろうし、陳情活動までして既存ビジネスに依存、保身に徹するのも、醜悪である。
ドラッカーのいうように、今日とは違う明日を作るために仕事をしたいところだ。できれば、既存のネット広告が陳腐化し、あるいは、法律によって破壊されてしまう前に、自ら進んで破壊する準備をしていく必要がある。陳腐化ならまだいいが、そもそも、違法なら、ビジネスできないかもしれない。
広告ビジネスを作り替える
電通グループのマイデータ・インテリジェンスが「情報銀行トライアル企画」を実施するのは、そのような事態への対応を進めているのだと思う。
一方で、グループ内の電通デジタルという会社が、既存ネット広告事業を担う。つまり、既存ネット広告事業も推進しつつ、並行して、個人情報保護法改正などを睨んで、ネット広告市場のリニューアルにも備え、さらに、伝統的なマス広告市場の延命措置を講じていく。既存事業と新規事業のバランスを、彼らなりに考えているのではないか。
ネット広告業界も、同じような対応をした方がいい。つまり、ネット広告のビジネスモデルが法的に破壊されてしまう事態に備えて準備をしておく。NHK「ネット広告の闇」で取り上げられるまでもなく、業界の人間なら、何が悪いか、わかっているはずだ。個人情報保護法改正をきっかけにして、今後、ほかの問題が指摘される可能性もある。
既存ビジネスの闇に目を閉ざし、新しい流れの抵抗勢力になるのではなく、「今日とは違う明日をつくり出す製品、サービス、プロセス、技術のために、今日仕事をしなければならない」。ネット広告業界の保守化によって、将来もっとも苦しむのは、業界内の一般社員だと思う。保守化するのではなく、ネット広告のビジネスモデルを作り替えるという気概を持って、業界全体で進んでいくべきときではないのか。私は、そう思っている。 

 

●日本のマスコミの支配者 電通の正体 2017/6 
電通の成田豊 最高顧問に韓国政府から勲章が贈られる
日本最大の広告代理店、電通の成田豊最高顧問(79)が韓国政府から修交勲章光化章を贈られた。30年にわたる韓日文化交流事業を積極的に後援した功労だ。権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日大使が24日に駐日韓国大使館に成田顧問を招いて勲章を授与した。修交勲章光化章は国権伸長や友邦との親善など国益増進に寄与した人に授与されるもので、外国人に贈られる最高等級の勲章だ。
勲章を授与された成田顧問は、「韓国の国歌であるムクゲの花言葉は尊敬だと聞いた。互いに尊敬する心を忘れないことこそ未来の両国民を強く結びつける基本だと確信する」と感想を述べた。また「韓国は私が生まれ青少年時代を送ったところで、一度も忘れたことはない」と話した。
1929年に忠清南道天安(チュンチョンナムド・チョナン)で生まれ、中学3年を終えるまで韓国で少年期を送った成田顧問は、鉄道業に従事する父親とともにソウルをはじめ各地で生活した。「いまでも夏には北漢山(プッカンサン)に登り、冬には漢江(ハンガン)でスケートをしたことをはっきりと覚えている」と振り返った。
成田顧問は88年のソウルオリンピックと93年の大田万博開催当時に協賛企業募集に寄与したほか、韓国が遅れて招致に乗り出した2002年のサッカー・ワールドカップと関連しても両国の友好増進に向け韓日共同開催を主導した。2005年からはソウルで毎年韓日サッカー大会を開催するなど多彩な韓日文化交流事業も主導してきた。昨年9月にソウルで開かれた韓日交流おまつりでは日本側実行委員長を務め行事を成功裏に進める実践力も誇示した。
成田顧問は本業の広告分野でも韓日協力を主導した。97年に国内の広告会社のフェニックスコミュニケーションズと共同で韓日フォーラムを開催し、国内広告業界・メディアとの連係を図った。2006年には韓日など8カ国・地域で構成されたアジア広告業協会を設立し初代会長に就任した。2007年の第4回アジア広告業協会総会の済州島(チェジュド)での開催も成田顧問が主導した。金浦(キムポ)空港と羽田空港を結ぶシャトル便の就航も成田顧問の寄与が大きく作用した。
勲章授与式後に権大使が開催したレセプションには森喜朗もと首相ら日本の著名人が多く出席した。
韓流ブームの仕掛人は電通 
マスメディアが外部や内部の様々な思惑と目的を持った様々な勢力に利用されて来たのは、紛れもない事実である。また、社会に常に関わるマスメディアとしては、実際には当然のことである。メディアというものは、むしろそういうものだということを、私たちの認識の出発点にしなければならない。
しかし、近年のメディアにおける大衆意識操作の動きは、目に余るものがある。戦後六十年、これまでも、国内の「古典的な」反日サヨクが、メディアに入り込み、様々反日的な工作や番組制作を行ってきた。朝日新聞の反日的報道やTBSのニュース23、テレビ朝日の報道ステーション、田原総一郎のサンデープロジェクトなどは、その典型である。
特に近年は、団塊の世代以下の年齢層が、テレビ映像メディアの政策現場の中心的存在となり始めている。この世代は、当然、まっさらな形で日教組全盛のころの戦後教育を全身に浴び、「洗脳」されて育ってきている世代である。「みんな仲良く、喧嘩をせずに、話し合いで解決しましょう、話し合えばきっと理解し合えます」と骨の髄まで、能天気で危険な左翼教育を受けてきたのである。
従って、我が日本国が北朝鮮による拉致など、易々と行われる恐るべきスパイ天国であり、各国の諜報員が跋扈する激しい情報戦争の戦場あることなど、彼らには全く意識も理解もされていないのだ。その無警戒、無抵抗状態のマスメディアにとって、最近、危険な兆候として感じられるのが、外国勢力によるマスメディアへの浸透と工作活動の活発化である。
お隣の韓国は、北朝鮮より経済力では十倍の経済力を有しているが、近年北の情報工作によってすっかり親北朝鮮の国となり、日米韓同盟を離れて、中国と北朝鮮に接近しようとしている。これと同様な情報工作活動が、マスメディアを通して、我が国でも行われているのではないかと、私は心配している。
はっきり言っておきたい。あの韓流ブームとやらは、明らかに、意図的に計画され、実行されたものである。多分、電通が仕掛けたものだと思われるが、その背後に何が存在するのか、何が目的なのか、私には断定する材料がない。しかし、テレビに長年関わってきた経験から分かっていることがある。テレビ番組は、ドラマを含め、ほぼ一年前には番組編成が企画され決定される。昨年韓流ドラマ番組が、NHKから民放キー局全てにわたって一斉に横並びで放送され始めた。この状況は明らかに、一昨年以上前から計画され、昨年の秋にピークを迎えるように、仕組まれ、実行されたものと断言してよいと思う。
また、普通、各テレビ局は番組の視聴率を争うわけであるから、全く同種類の韓国のテレビ番組を一斉に横並び放映するなど、考えられない。この「異常事態」は、直接的には、テレビ局全てに影響力を持つ大手広告代理店「電通」によって仕掛けられたものだろうが、誰かが、または何らかの集団が、意図的、計画的に、電通にこのプランを依頼したはずなのである。
特定は出来ないが、韓流ブーム最盛期の頃、つまり昨年秋から年末頃だろうが、国会に提出されようとした法案が「在日外国人地方参政権」法案と、「人権擁護法案」であった。
無論、私の立場はこれらの法案に反対である。だからこそ、この法案を成立させるため、日本国民の間に、法案を受け入れる環境作りを狙った計画が、極めて戦略的に、巧妙な計画性をもって実行されているという事実、これを見逃してはならないと思う。
電通に葬られた日本外国特派員協会会長の言葉
電通は、日本の全テレビ・コマーシャルの三分の一の直接責任者であり、ゴールデンタイムのスポンサーの割り振りに関して実質的に独占的決定権を持つ。午後七時〜十一時の時間帯の番組にコマーシャルを出したい広告主は、電通を通すしかない。スポンサーの選定と放送番組の内容の大部分を電通が握ってるからだ。
このような状況下では、電通に気をかけて扱ってもらえることが一種の特権となり、立場が逆転して広告主が電通の指示に従うことになる。その結果電通の影響力は日本のテレビ文化の内容まで左右し、世界中どこにも類例が見られないほど、強力なマスメディアを通しての社会統制力になっている。
新しい雑誌は、電通が一人前の広告媒体として認めるまでテスト期間を設けられ、その間は無料で広告を掲載するよう言われる。もし電通の要請に応じなければ、逆に足を引っ張られ広告主が落ちてしまう。それほどの力が電通にはある。
また逆に電通は自社の子会社のみならず大手新聞社、全国・地方テレビ局、その他マスメディア関連会社に社長やトップクラスの役員として人材を供給する。多数の子会社や下請け会社を通じて行使する統制力については、いうまでもないだろう。約120の映像プロダクション、400以上のグラフィックアートスタジオがその傘下にある。
他の国では広告代理店は仲介業者である。日本では広告主がどのような広告をどこに出すべきかまで電通が決めることが多い。商業テレビが主要産業になってるもう一つの国、アメリカでは、番組がどのていど商業的に成功しているかを評価するのは、独立した視聴率調査会社である。日本ではこの機関も電通の手に握られているのである。電通は企業の不祥事を世に知らせたりその後でもみ消したりする手が使えるので、大企業を脅かすことができる立場にある。また、電通は仕事の上で知った不正行為を当局に通告するという噂があるので、企業は代理店を変えることもできない。
一九三六年から四五年まで独占的な政治の宣伝機関だった同盟通信社と一体だったこと、また、どちらも戦時中の同盟通信社の末裔である共同通信社と時事通信社という日本の二大通信社と、非常に緊密な関係があることにも起因する。このつながりは株式の相互持合いによって強化されている。共同が扱うニュースについては、つねに電通に情報が入る。
メディアを通じて日本を支配する電通の闇
国民の多くは電通の存在を知らない
広告を打たなければ死活問題である企業が、限られたCM枠を独占支配する電通に対して屈従・隷従せざるをえない構造は知られていない。戦後の日本でなぜ、左翼・反日系の番組に、大企業が嫌々ながらに資金提供をさせられてきたのか?だれもがまず感じるであろう疑問の答えは、じつはこの構造にあった。
電通は単体では、現存する世界最大の広告会社である
電通はグループ・系列でも、広告代理店としては世界第五位にランクされている(これは多国籍広告グループが現在世界の主流となっているため、実質的には世界最大)日本での業界シェアは25パーセント。これはスーパーの折込チラシまでを含めた数字なので圧倒的なシェアある。他の大手広告代理店もおおむね電通に追従的である。設立にあたって、電通に指示を仰いだ大手広告会社も存在する。広告業協会の会長・理事長は電通トップが歴任する事が慣例化している。
電通のもう一つの側面としては、兄弟会社の共同通信や時事通信とともに、新聞や雑誌も支配・統括することがあげられる。かつて同じ会社であり、分割された後の現在も、株の持ち合い等で事実上の連携をとっている共同通信・時事通信とともに、わが国日本のテレビ・新聞・雑誌から映画・音楽まで大衆文化全般を支配する「情報の中央銀行」 としての顔を持っているのである。
現在進行中 / 電通・マスメディアによる日本人の男女を離間させる謀略・移民による日本民族の衰退計画
日本人の男女を不仲にさせ、分断させる活動 ・男叩き、女叩きを意識的に煽り、日本人の男女で対立させる方向に仕向ける
日本人の異性に興味を持たせない / 日本人同士で恋愛させない / 日本人同士で結婚させない / 日本人の男女間で子供を生ませない / 日本人同士で結婚していたら離婚させる方向に仕向ける(免罪DV、熟年離婚)
平行して純粋な日本人以外との恋愛を炊きつける動き
在日韓国人、韓国人と日本人のカップル推奨 / 日本人っぽく見えるアジア系ハーフと日本人カップルの推奨 / 上記以外の外国人と日本人のカップル推奨
コメント
以前からネット上では、電通が韓流ブームを捏造している、電通がマスコミを通じて様々な反日的な工作活動を行っている、ということは囁かれていた。今回、電通のトップが韓国政府から正式に勲章を授与されたことで、これらのことが名実ともに証明された訳である。また電通は日本の代表的な二つの通信社も支配下においており、ニュースの配信も自由にコントロールしている。マスコミによる狂信的な麻生叩き、自民叩きも、電通が一枚噛んでいることは間違いなく、むしろ電通の関与なくしてあれほどの情報統制は不可能だろう。
NHKはGHQの占領時代にGHQの検閲官が駐在していた影響で、もともと反日左翼が多く、また、電通と共同出資で子会社を設立しており、韓国関連コンテンツの購入がらみで様々な利権があるとも言われている。匿名のソースにも関わらず、お澄まし顔で偏向ニュースを垂れ流すなど、最近のNHKの報道ぶりも目に余るものがあり、公共放送といえども反日勢力の支配下にあることはもはや歴然としている。
インターネットの普及で、ようやく電通及びマスコミの情報支配の体制に穴が開いたのであり、まさしく蟻の一穴ではあるが、段々と穴が広がり、堤防の決壊もあながち夢では無くなってきた。本来、これほど強大な広告代理店は独占禁止法で取り締まるべきだと思うが、なぜか政府は沈黙を保っている。政治家の子弟が電通に多く採用されているのは有名な事実だが、だからといって電通をこのまま放置していれば、国が滅びかねない状況だ。
マスコミが潰れれば、当然、その奥にいる電通にも大きな痛手となる。不況でテレビや新聞のスポンサー離れが加速しているのも福音だろう。今は状況を見守るしかないが、不況が転じて日本の浄化に発展すれば幸いだ。メディアの巧妙な情報支配体制が崩壊しない限り、日本の夜明けは見えて来ない。ここ数年が日本再生の正念場になることは、まず間違いないだろう。 

 

●電通「買われた記事」問題をスクープ ワセダクロニクルとは 2017/2 
ネット上に突如現われた大企業と大メディアに関する「スクープ」に、動揺が広がっている。記事を配信したのは「ワセダクロニクル」なる媒体だった。所属するジャーナリストは“無給”、学生も参加しているという謎のジャーナリズム集団は、いったい何者なのか。
無名のネットメディア、「ワセダクロニクル」が2月1日に公開した記事のタイトルは〈買われた記事 電通グループからの「成功報酬」〉。これはワセダクロニクルによる最初の配信記事である。
記事では、大手広告代理店・電通の子会社から、大手通信社・共同通信の子会社に55万円が支払われたという内部文書をもとに、製薬会社の宣伝になる記事が共同通信から配信され、地方紙に掲載されるまでの経緯が明かされていた。
ネット社会では、固定ユーザーのいない無名メディアの記事など黙殺されるのが常だが、このニュースはツイッターやフェイスブックで瞬く間に拡散され、他のネットニュースが次々と後追いする事態となった。
ところが、その衝撃に比して、既存メディアの反応は薄かった。テレビで取り上げた局はNHKのみ。新聞でも毎日新聞が小さく取り上げた程度だった。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏も、この現象に注目した一人だ。
「私自身、この記事に大きな衝撃を受けましたし、記事を読んだ人の多くは、“これって氷山の一角じゃないの?”と感じたのではないでしょうか。奇異なのは、医薬品という命に関わる問題に関する報道で、しかも大企業と大メディアという錚々たる顔ぶれが登場しているのに、テレビや新聞が見て見ぬふりをしているということでした」
ワセダクロニクルの編集長を務める渡辺周氏は、昨年3月までは朝日新聞の記者で、原発事故に関する長期連載「プロメテウスの罠」取材チームの主要メンバーだった。退社後に、早稲田大学ジャーナリズム研究所に設けられた調査報道プロジェクトの発信媒体「ワセダクロニクル」の編集長に就いたという。渡辺氏が言う。
「編集部にはフリーのジャーナリストやエンジニアも含めて10人ほどいます。それにジャーナリスト志望の早稲田大学や他大学の学生が20人ほど参加していますが、私を含めメンバーは現状、無給です。利害関係から独立するために、広告を取らず、調査報道を支える人たちからの寄付金で運営しようと考えているからです」
ホームページでは、〈政府や大企業といった大きな権力を持つ組織の不正や腐敗を自力で取材し公表する〉とし、〈取材にあたっては、公益性(公共の利益)があると判断した場合はあらゆる手段を排除しません〉と宣言している。
発足から約1年、約10か月の取材期間を経て用意された創刊特集が、「買われた記事」だった。
「ほかにも複数、並行して取材している記事があります。我々が今回提起した問題に、自ら斬り込んでいく大手メディアは皆無です。大手メディアとも連携してこの問題を深く掘り下げたいと考えているのですが、現実は難しいですね(苦笑)」(同前)  

 

●電通のブラック企業大賞受賞をNHKが異例の報道、民放との際立つ差 2016/12 
12月23日、今年のブラック企業大賞に電通が選定された。ブラック企業大賞とは、過労死問題に取り組む弁護士やNPO、ジャーナリストなどが中心となって、その年に労務問題等で話題になった企業を選ぶもので、今年で5回目となる。初回は東電、昨年はセブンイレブンジャパンが大賞に選ばれていた。
毎年ネットなどではそれなりに話題になっていたのだが、大手メディアはあまり報じていなかった。ところが今年はなんとNHKが速報を流し、さらに夜7時のニュースでも大々的に取り上げるという異例の展開となった。ブラック企業大賞実行委員会の弁護士らの間でも驚きの声が上がっている。
NHKが昼12時、夜7時のニュースで取り上げる意味は非常に大きい。注目度が非常に大きいだけでなく、そこで扱われたネタは、その後の時間帯のニュースや、様々な番組で繰り返し取り上げられるからだ。
しかもそれらのほとんど全てが全国放送だから、その拡散力は民放の比ではない。さらにNHKは25日、自殺した高橋まつりさんの母親の手記も夜7時のニュース等で大々的に報じた。この原稿を書いている26日夕方のニュース番組でもコーナーを作って報じている。イメージ悪化に歯止めをかけたい電通にとっては大打撃であり、NHKがここまで一企業に関するニュースを継続して報道するのは極めて異例だ。
電通タブーの消滅
そしてここまでNHKが突っ走ると、いまだに電通に対して尻込みしている民放各社の弱腰ぶりが逆にあぶり出されてくる。現に、NHK以外で電通のブラック企業大賞受賞を報じたのは、読売テレビ(日テレ系)のニュースなどごく僅かだった。NHKの独走が話題になればなるほど、同時に民放の弱腰もクローズアップされるのだから、民放の経営陣も頭が痛いだろう。
今回の一連の電通事件関連の報道で、活字メディアにおける「電通コード(電通について報じてはならないとする暗黙の了解)」はほぼ消滅した。11月7日の電通に対する強制捜査は朝日や毎日、読売など全国紙全紙が一面トップ扱いで報じていたし、その後も各紙が続報を掲載し続けた。
電通には弱いと言われていた週刊誌などの紙メディアも、講談社系の週刊現代やフライデーは数回にわたって追究記事を掲載。AERA、週刊朝日、サンデー毎日、文藝春秋、週刊文春なども記事を掲載した。
CM依存の民放各社の弱腰ぶり
それに比べると、電波メディアの弱腰ぶりはいまだに目立っている。強制捜査はさすがに報じたが、いわゆる事実報道だけで、論評や後追い取材は一切ない。昼のワイドショーや夜のニュース番組でも、司会やコメンテーターが電通ネタで議論した例はほとんど無い。
小池都知事による豊洲問題やオリンピック施設問題を取り上げるのはまだ分かるが、自国ではない韓国大統領問題を連日のように取り上げるのに、自国で大きな注目を集めている電通問題を全く取り上げないのはどうみても不自然だ。やはり放送業界における「電通コード」はまだ強固に残っているといえるだろう。
確かに、スポット、タイムCMの3割以上を電通に頼っている民放各社は、地方系列局を含めれば年間数百億円のCM放送料が電通を経由してくるため、極力同社の機嫌を損ねたくない。その金額は雑誌や新聞メディアとは比較にならないほど大きいため、呪縛の度合いが何倍も大きいのだ。
しかし、ネットのニュースサイト、まとめサイトでは電通批判記事がガンガン掲載されているのに、まるでそれを無視するかのように放送しないのは明らかに目立つ。
それでもやらないのは、究極的に民放という組織は視聴者ではなく、カネを払ってくれる広告代理店とスポンサーだけをみている、ということの証明でもある。政権批判もせず、大企業批判もせず、そして電通批判もしない。民放には報道部門など無いも同然である。
高いジャーナリズム性を発揮したNHK
電通事件報道でのNHKの突出ぶりは、民放の弱腰ゆえに競合がいないというのもあるが、そもそもNHK社会部は昨年から過労死問題を重点テーマとして取材しており、電通はその線上に突如出現した巨大な「クジラ」だった。
売上高2兆円を超す国内最大の広告代理店で業界トップ企業が実はとんでもない人権蹂躙企業だった、というのは、ジャーナリズムに関わる者なら誰しも強い関心を抱く対象だろう。そしてNHKは、民放のように収入源を電通に頼らないで済む、国内唯一の存在だったのだ。
電通は1月早々にも予想される労働局の書類送検を何とか軽くしようと、矢継ぎ早の改革を打ち出している。1月には全社員の1割にあたる600人以上の人事異動を行い、人手の足りない部門・部署に人員を配置して平準化を行おうとしているし、他にも労務専門の担当者を各部門に配置するとか、全社の有給取得率を50%以上に設定するなど、必死の様相である。
しかし、この年末のNHKによる2発の「報道パンチ」はその努力を吹き飛ばす威力だった。ネット上はそのニュースで溢れ、一時沈静化に向かっていた電通の極悪イメージはもはや修正不能な域に達したと言える。
背景に電通に対する記者の反発
ではなぜNHKはこのタイミングでここまで大きく報じたのか。1つ考えられるのは、電通の傲慢さに対する意趣返しという面がある。これはどのメディアの記者や編集者に聞いても同じだが、電通広報の取材に対する態度が極めて悪いという。質問に対してあやふやな回答に終始する、まともに回答しない、挙げ句の果てには何度聞いても回答さえ寄越さない等、とにかく不祥事を起こした企業の対応ではない、というのだ。
しかしそうなるとさらに徹底追及してやろうと反発するのが記者という生き物である。電通はジャーナリズムへの対応を完全に誤っているとしかいいようがない。
そしてさらに、電通は11月7日の強制捜査日にNHKのインタビューに応じた社員を12月に入り戒告処分にするという暴挙を行った。「自浄作用がない会社だと思う」という至極まっとうな感想を述べただけの社員を特定し、戒告という厳罰に処したのだ。
最初のニュース映像でモザイクがかかっていなかったために特定されたのだが、この処分に対してはNHKの記者でなくとも強い違和感を感じる人が殆どだろう。外向きには様々な改革を打ち出しても、中身はまったく変わらない傲慢な体質が透けて見える。
つまりNHKは、この電通の傲慢さに対して強烈なしっぺ返しを食らわしたと言えるだろう。電通の取材軽視、恐怖による社内統制はあまりにも高くついた。NHKは来年も電通報道の手綱を緩めないだろう。 

 

●文春が東京五輪の衝撃スキャンダル暴露!  2016/6 
電通元専務に招致委員会から巨額の金、JOC竹田会長も電通と癒着
東京五輪招致委員会が開催権を獲得するために2億3千万円の裏金をばらまいていたことが発覚した、東京五輪賄賂問題。本サイトでは先日、その中心的役割を演じていたのが巨大広告代理店・電通と、その電通の元専務で、現在、五輪組織委員会理事を務める高橋治之氏であることを指摘した。
高橋氏は長年、日本のスポーツマーケティングや世界的スポーツ大会を仕切り、スポーツ利権に深く食い込んできた人物。昨年5月のFIFA(国際サッカー連盟)賄賂疑惑でも名前が浮上し、キックバックの疑惑まで指摘されていた。
そして、今回の五輪招致でも、JOCと電通、そして招致委員会から2億3千万円を受け取って、賄賂工作請け負ったコンサルタント・ブラックタイディングス社(IOC委員ラミン・ディアク氏の息子のパパマッサタ・ディアク氏の関連会社)をつなぐ役割を演じたと言われている。
もっとも、その高橋氏は最近、「週刊現代」に登場して疑惑を否定、他のマスコミでは電通タブーによって、疑惑どころか、その存在すら報じられない状態が続いていた。
ところが、そんな中、明日発売の「週刊文春」が高橋氏と電通の五輪賄賂疑惑に関し、決定的な記事を掲載しているという情報が飛び込んできた。
「記事には電通、そして高橋氏が今回の賄賂問題の本丸であるIOC委員のラミン・ディアク氏をいかに"取り込んだか"の詳細が記されています。それだけでなく招致委員会から高橋氏の会社に巨額の金が渡ったという疑惑すら指摘されている。高橋氏が代表をつとめるコンサルティング会社の売り上げが、ある時期に倍以上の15億円にも跳ね上がったのですが、それは高橋氏が招致委員会のスペシャルアドバイザーとして関わるようになった以降のこと。記事には招致委員会から高橋氏のもとに巨額の金が流れていると指摘しているのです」(記事内容を知る出版関係者)
2億3千万円どころか、それ以上の金が高橋氏に渡っていた−−−−。そんな衝撃な事実が明らかにされるとなれば、今後大きな問題に発展する可能性は高い。
また記事には、現在でも電通の執行役員をつとめる人物の関与や、JOCの最高責任者で、賄賂疑惑への関与も指摘されている竹田恒和会長が経営する旅行会社と電通の癒着なども記されているという。
今回の賄賂疑惑に関して、これまでメディアはタブーに縛られ"電通の関与"という事実に触れることさえできなかったが、その中で、文春がここまで踏み込んだというのは称賛に値する。あとは、今回の「週刊文春」報道を受けて、他のメディアがどう動くか。
今後の展開がどうなるかはまだわからないが、明日発売の「週刊文春」を読む前に、東京五輪招致をめぐる電通と高橋氏の疑惑を追及した本サイトの記事を読んで、問題の本質を理解してほしい。
東京五輪の裏金=賄賂疑惑はやはり「電通」が仕掛人だった!
逃げる電通に、追いかけない日本のマスコミ──。いつもながらのそういう構図ということか。
英紙「ガーディアン」5月11日付電子版が報じた、2020年東京五輪を巡って招致委員側が巨額の「裏金=賄賂」を渡していた疑惑。五輪開催地は2013年9月に東京に決まったが、招致委員会側は決定前後の7月と10月に2回にわけて、ブラックタイディングス社(以下、BT社=シンガポール)の口座に合計約2億3000万円を振り込んでいた。これが開催地決定の票の"買収"にあたると疑われている。ガーディアンの報道直後、フランス検察当局は問題の金銭授受を確認したと発表した。
現在、日本のマスコミはこのBT社の所在地がアパートの一室であることからペーパーカンパニーではないかと報じているが、しかし一方で、ガーディアンが指摘していた、BT社のある重大な事実についてはほとんど触れようとしない。
それは、大手広告代理店・電通が、BT社の代表で口座の持ち主であるイアン・タン・トン・ハンという人物と、非常に密に関係していることだ。
ガーディアンによれば、ハン氏は、国際陸上競技連盟(IAAF)のマーケティングや商標権の配分などを行うアスリート・マネージメント・アンド・サービシズ(以下、AMS=スイス)に雇われたコンサルタントだった。そして、AMSは電通関連会社の子会社だというのだ。
つまり、疑惑の「裏金」は招致委員会から、他ならぬ"電通の関係者"に渡されたものだったのだ。16日の国会で、参考人として招致された竹田恒和JOC会長(招致委員会理事長)は、BT社から「売り込みがあった」と述べ、こう証言した。
「そして、株式会社電通さんにその実績を確認しましたところ、(BT社は)十分に業務ができる、実績があるということを伺い、事務局で判断したという報告を受けています」
ようするに、BT社、つまり電通の子会社のコンサルタントであるハン氏を招致委員会に推薦したのも、やはり電通だったのである。
そして、ガーディアンによれば、ハン氏は、国際陸連前会長のラミン・ディアク氏(セネガル出身)の息子であるパパマッサタ・ディアク氏の親友だという。ディアク親子は五輪開催地の選考及び投票に強い影響力をもっており、国際オリンピック委員会(IOC)委員を兼任していたラミン氏は「アフリカ票」の取りまとめ役。つまり、招致委員会→BT社のハン氏(電通の紹介)→パパマッサタ氏→ラミン氏と金が渡り、開催地票の操作につながったと見られているのである。
竹田恒和会長は国会で、BT社への2億3000万円の支払いを「票獲得に欠かせなかった」とする一方、ディアク親子と関係が深いこと、ペーパーカンパニーであることは「知らなかった」という。白々しいにもほどがあるが、百歩譲って招致委員会がハン氏とディアク親子の関係を認識していなかったにせよ、招致委側にハン氏を紹介した電通がこの事実を熟知していたことを疑う余地はないだろう。
ところが、日本の大マスコミは、この五輪招致「裏金」疑惑と電通のただならぬ関係を、ほとんど詳細に報じようとしないのだ。事実、ガーディアンが11日に「裏金」疑惑を報じた際も、そこにはしっかりと電通の関与が疑われると書かれていたが、当初、日本のテレビも新聞も、電通の名前を完全にネグっていた。
だが、電通の関与を強く疑わせるのは、ハン氏が電通の子会社のコンサルタントであったことだけではない。実は、今話題になっているガーディアンの記事が出る約3カ月前、すでに、国内メディアがこの五輪招致「裏金」疑惑と電通の関与を報じ、さらに、"電通側の窓口"となった日本人の名前を名指ししていたのだ。
それが、月刊誌「FACTA」3月号(2月20日発売)のスクープ記事「東京五輪招致で電通『買収』疑惑」である。署名はガーディアンの記事と同じ、オーウェン・ギブソン記者。「FACTA」とガーディアンは協力してこの疑惑を取材していた。
そして、「FACTA」が実名で報じた"電通側の窓口"こそ、大会組織委員会の理事である高橋治之氏(株式会社コモンズ会長)だ。高橋氏は電通の元専務で、国際サッカー連盟(FIFA)との交渉役を務めて数々の大イベントを日本側から仕切ってきた"豪腕"。FIFAのゼップ・ブラッター会長とも長年親交があることで知られる。
「FACTA」は記事のなかで、電通が国際的なスポーツマーケティグを掌握してきた歴史を解説しているが、そこに、インターナショナル・スポーツ・アンド・レジャー(以下ISL)という名前が登場する。これは、1982年に電通とアディダスが資本金を折半して設立し、2001年に破綻したマーケティング会社だ。ISLはFIFAのマーケティング権を一手に担っていたが、FIFA名誉会長や理事などへの多額の賄賂を送っていたことが明らかになっている。電通とISL、そしてラミン氏が会長を務めていた国際陸連との関係性について、「FACTA」はこのように書いている。
〈電通が陸連のマーケティング権を独占したのはISLが破綻した01年から。この契約で電通をサポートし支援するのは、IOC本部のあるスイスのルツェルンに本拠を置くアスレチック・マネージメント&サービシズ(AMS)であり、かつてのISL幹部がスタッフに横滑りしている。〉
前述のとおり、AMSとは招致委が2億3000万円を支払ったハン氏がコンサルタントを務める電通の子会社のことだ。「FACTA」は、前述の元電通専務・高橋氏を〈ISLと電通をつなぐスポーツ利権の仕切り役〉として、一見バラバラに見える五輪(招致委)、国際陸連(ディアク親子)、AMS(ハン氏及びBT社)における〈複雑な相関図の接点〉だと指摘。さらに、高橋氏が〈アフリカ票が確保できたのは自分のおかげと豪語したと言われている〉などと記述している。
これらの件について、「FACTA」は電通に質問状を送付、コーポレート・コミュニケーション局広報部長から回答を得ている。その一部が同誌発行人・阿部重夫氏のブログに掲載されている(「FACTA」電子版2月24日、25日付)。そこで「FACTA」は、〈FIFAへの資金ルートだった ISL破綻後も、IAAFと電通の関係をつないできたのは元専務の高橋治之氏(五輪組織委理事、コモンズ会長)と言われていますが、事実でしょうか〉〈高橋氏が東京招致にあたり「(アフリカの)40票は自分が取ってきた」と豪語したと伝わっています。電通が高橋氏のコネクションを頼り、親しいディアク氏に説得させてアフリカ票を東京に投じさせたとも言われますが、事実ですか〉などと質問しているのだが、電通側の回答はともに〈第三者に関するご質問につきましては、当社は回答する立場にございません〉というもの。
見てのとおり、電通は疑惑に対してまともにとり合おうとしていない。だが少なくとも、ラミン氏が会長を務めていた国際陸連とBT社(ハン氏)の関係を知っていなければ、招致委に「アフリカ票」獲得のため推薦したことつじつまが合わないだろう。また、高橋氏がスポーツマーケティング界の重鎮であり、元電通の人間として組織委という利権構造の中核に入っていることはれっきとした事実だ。仮にハン氏を招致委に紹介したのが高橋氏だったとしても、なんら不思議ではないだろう。
それに、電通はただでさえ相次ぐ五輪問題の"裏の戦犯"。昨年の五輪エンブレム「盗用」問題では、電通から出向しエンブレムの審査・制作を担当した2名が原案を勝手に2度も修正していたことが判明。また、最終的に「白紙撤回」となった新国立競技場のザハ・ハディド氏案の存続を森喜朗組織委会長がゴネ続けていたのは、「FACTA」14年11月号によれば〈閉会式の巨大な屋根をつけたいから〉で、その実現のため森氏をせっついた一人が、やはり高橋元電通専務だという。真相は不明だが、森氏がのちに「生牡蠣がドロッと垂れたみたいで嫌だった」などとのたまっていたことを考えると、電通がコンサート会場などへの転用を皮算用し、森氏に耳打ちしていたという線もさもありなん、ではある。
いずれにせよ、五輪招致「裏金」問題におけるガーディアンと「FACTA」の報道を踏まえると、今回の"2億3000万円"は、電通が長年耕してきた利権構造の内側で、最初から最後まで制御されていた可能性はかなり高いように思える。安倍首相の例の掛け声と同じで、むしろ、「アンダーコントロール」状態で「汚染」はどんどん進んで行ったのだ。
だが、こうした背景が少しずつ明らかになりつつあるなかでも、日本のマスコミが電通の疑惑を追及する望みは薄いだろう。繰り返すが、ガーディアンが11日に「裏金」疑惑を報じた際も、記事にはしっかりと電通の関与が疑われると書かれていたにもかかわらず、日本のテレビも新聞も、電通の名前を完全にネグっていた。そもそも前述のとおり、これを国内で報じた「FACTA」の記事が出たのは2月20日。同誌はリークネタを得意とする財界誌であり、マスコミがこの記事の存在を知らなかったはずはない。にもかかわらず、それから3カ月間に渡って、連中は電通の疑惑に沈黙し続けていた。
いうまでもなく、その理由は電通がマスコミに共通する"最大のタブー"だからだ。また新聞にかんしては今年1月、朝日、毎日、日経、読売の4社がJOCと最大15億円の「オフィシャルパートナー」契約を締結している。その交渉の間に入ったのも、もちろん電通だ。本サイトは以前、この"新聞の五輪スポンサー化"を報じた際、「今後は新聞が五輪不祥事を報じられなくなる」と指摘していたが、まさに予見したとおりの結果になったわけだ。
やはり、逃げの一手を図っている電通を日本の大マスコミが調査報道で追いかけるという展開は期待できない。だが「FACTA」は今月発売の6月号で電通の疑惑について続報を出すともいわれるし、ガーディアンもこのまま黙ってはいないだろう。そして今後、フランス検察当局の捜査が進み、五輪開催地選出の不正に電通が深く関与していた新証拠がでてくる可能性もある。
そのとき、日本の新聞やテレビはどうするか。本サイトでは、マスコミと電通の動向も含めて、五輪招致「裏金」疑惑の行方をレポートしていきたい。 

 

●なぜ大手マスコミは「電通の疑惑」を報じないのか 東京五輪の裏金問題 2016/5 
少し前、ネット上で「マスコミの電通への配慮がハンパない」なんて声がちょこちょこみられた。
5月11日、英・ガーディアン紙が東京五輪の裏金疑惑を報じ、大手広告代理店・電通の関与も指摘していたのだが、国内の主要なテレビ・新聞がこの第一報を紹介する際、きれいさっぱり「電通」がカットされていたからだ。
なかでも注目を集めたのが、ガーディアン紙が公表した「2つの図」の扱いだ。1つは全体をざっくりと説明した人的相関図。これには電通は登場しない。しかし、もう1つの「裏金」がIOC幹部にたどりついた流れを説明した図には、しっかりと「Dentsu marketing company」という文字がある。
テレビ朝日の情報番組で、人的相関図は引用されたが、資金の流れを解説した図は最後まで画面に現われなかった。こちらは電通の顔色をうかがうあまり、引っ込めたというのだ。
日本のマスコミには、菊、鶴、菱、荊、桜に並ぶ「電通タブー」がある――というのはネット上ではわりと「常識」のように語られている。
ご存じのように、電通は単体で世界最大の広告代理店。「報道」だ「ジャーナリズム」だと大仰に構えたところで、広告費に依存せねばならぬテレビ・新聞にとって、もみ手して接しなくてはいけない相手だというのは、業界外の人間でもなんとなく想像がつくからだ。
そういう世の認識を踏まえれば、電通からのホットラインを受け、マスコミ幹部が「ガーディアンのヤツ? ああ、大丈夫、大丈夫、報道局に言ってスルーさせとくわ」なんてネグったのでは、と勘ぐる声があちこちから噴出するのもよく分かる。
ただ、個人的には今回の報道を「電通タブー」として片付けるのはあまりピンときていない。1つには、「マスコミの電通隠しだ!」とワーワー騒がれているまさにそのとき、スポーツニッポンやら日刊スポーツというスポーツ紙は、特にイキッた感じもなく自然体で「電通」の名を報じている点だ。
「英紙ガーディアンは11日、東京側が同口座に約130万ユーロ(約1億6000万円)を振り込んだ疑いがあると報じ、国際陸連とマーケティング契約を結んでいる広告代理店電通の関与疑惑も指摘。電通側は報道を否定している。(スポーツニッポン2016年5月12日)」
スポニチは毎日新聞、日刊スポーツは朝日新聞のグループ会社だ。こういうとこまで封じてこその「メディア支配」じゃないのかしら、という素朴な疑問が浮かぶ。だが、そんなツッコミどころより、なによりも今回における「電通タブー」が眉唾だと思うのは、マスコミの報道がこれっぽっちも「配慮」になっていないことが大きい。
ガーディアン報道を取り上げたのはスポーツ紙だけではない。BuzzFeedなどのネットメディアもごく普通に報じているし、ガーディアン紙とともに共同調査を行い、既に今年2月に『東京五輪招致で電通「買収」疑惑』といち早く報じているFACTAも公式サイトなどでしっかりと「追撃」している。
こういう状況下で、テレビと新聞が不自然に「電通」をスルーすれば、その「奇行」に注目が集まる。つまり、かえって「悪目立ち」をしてしまうのだ。中国共産党のマスコミ統制が、自国民のみならず世界中に知れ渡っているように、ネット全盛の時代、テレビや新聞の口を封じることは逆効果なのだ。
これは企業のリスクコミュニケーションをちょっとでもかじった者ならば、誰でも知っている基本中のキだ。電通ほどの世界的広告代理店が、「テレビ・新聞は黙らせといたから安心だわい、ガハハハ」なんて昭和の企業小説に出てくるフィクサーのような「モミ消し」を平成の世に行うだろうか。
行うわけがない。
もし仮に、電通がテレビ・新聞を完全にコントロールできるというのなら、あのような不自然な報道スタイルにはならない。スポニチや日刊スポーツが「電通タブーに切り込んだぞ!」なんて称賛の声があがっていないことからも分かるように、ストレートにサクッと報じられたほうが世の関心を集めず、「得策」だからだ。
そうなってくると、新たな疑問が浮かぶ。なぜ大手マスコミは「電通」の名を伏せたのか。
テレビ・新聞からしても、「広告で首根っこをつかまれているんだろ」と叩かれる。電通にとっても「悪目立ち」をする。関係各位にダメージを与えるような報道スタイルを、なぜテレビ・新聞はそろいもそろって選んだのか。バカなのか。
いや、バカではない。実はこれこそがテレビ・新聞を蝕んでいる「電通タブー」よりも深刻な病の症状なのだ。それを説明していくうえで格好の事例がある。「ヤクザ・オリンピック」だ。
2014年2月、米・ニュースメディア『デイリービースト』と『週刊文春』がそろって、日本オリンピック委員会(JOC)の副会長を務める日本大学の田中英壽理事長が暴力団トップと一緒に並んでる写真を報道した。JOCの有力者がこんな「黒い交際」をしているわけだから、東京五輪は反社会勢力が裏で暗躍する「ヤクザ・オリンピック」になるのは間違いない、なんて調子で批判したのだ。
これに反応したのは、ネットと日刊ゲンダイぐらいで、テレビや新聞は報道があったことすら知らないかのように沈黙を守った。
まさかマスコミには「電通タブー」だけではなく、「日大タブー」もあるのか――なんて思わないでほしい。このとき、マスコミの記者たちは「当局が動くまで静観」というスタンスを貫いていたのだ。
実は『デイリービースト』と『文春砲』が報じる前から、日大・田中理事長の「疑惑」というのは、記者たちの間でわりと有名な話だった。
日大前理事長時代、学内の特別調査委員会でも不透明なカネの流れが追及されており、一部メディアが厳しく指摘していた。急先鋒はおなじみのFACTAで、山口百恵の赤いシリーズさながら、「黒い交際」「黒い別荘」と1年以上にわたってキャンペーンを展開していた。
当時、テレビや新聞の暴力団や特捜部の担当記者たちと別件の情報交換でよく会っていた。世間話で、「田中理事長の件、なんで参戦しないの?」と尋ねると、彼らは決まってこう答えたものだ。
「はじけてくれないと難しいですね。いつはじけてもいいように材料集めはしているんですけど」
「はじける」というのは事件記者の用語で、「事件化」を意味する。つまり、「疑惑」に対して捜査当局や文科省などがオフィシャルに動きをみせた段階で、一斉に報道解禁をする準備を進めているのだ。
このようにマスコミ記者が「Xデー」をみすえて静観するうちに、次の「疑惑」が出た。2014年10月、米VICE誌が「日本でいま最も危険で、最も代償の高くつく写真」として、田中理事長と六代目山口組の司忍組長とのツーショットを報じたのである。
だが、これもマスコミはスルー。結局、彼らが「疑惑」を報道したのはそこからさらに半年経過した2015年4月だった。そう聞くと、そのタイミングでいよいよ捜査当局が動いたのか思うかもしれないが、そうではない。
実はこのとき、衆院文部科学委員会で下村博文文科相(当時)が、田中理事長の「疑惑」について問われ、「JOCおよび日大に対して責任ある調査を行い、その結果を報告するよう伝えた」と回答した。つまり、文科相という「公人」が「疑惑」に言及したことでマスコミ側は「はじけた」とみなし、報道が解禁されたのである。
なぜ延々とこのような話をしたのかというと、実はマスコミの「報道する・しない」の決定権は、自分たちが持っていないことをご理解いただきたかったのだ。公的機関が動けば報じるし、彼らが静観をすれば、そんな事実などまるでハナから存在しないかのように黙殺する。
そのようなマスコミの性質をふまえると、今回の不可解な報道がよく分かる。
実は、テレビ・新聞が「電通」を隠したと叩かれた翌日、『朝日新聞』は「2.2億円、正当性を主張」という見出しとともに、米ガーディアン報道を引用し、電通の広報担当者の否定コメントを掲載している。なぜ1日で急に「電通」が登場したのかというと、JOCの竹田恒和会長という「公人」が、「疑惑」について公式に言及をしたからだ。
5月23日日現在、マスコミ各社はごく自然に「電通」の名を出しているが、これは5月16日の衆院予算委員会に参考人で出席した竹田会長が「疑惑」について質問攻めにあったことが大きい。田中理事長の「疑惑」同様、国会の場で語られるということは「はじけた」という認識になるからだ。
つまり、東京五輪裏金疑惑でマスコミが当初「電通」の名を伏せたのは「電通タブー」などではなく、単に捜査当局や公人が公式に「疑惑」について言及していなかった段階がゆえの「自主規制」だったのだ。
「なんだよ、電通の圧力じゃねえのか」という落胆の声が聞こえてきそうだが、個人的に「電通タブー」であってくれたほうが良かったと思っている。
電通のような民間企業の顔色をうかがって「忖度(そんたく)」しているというのなら、これは「カネ」の問題なので、報道機関が広告依存を解消するなどまだ問題の解決しようがある。しかし、公的機関への「依存体質」はちょっとやそっとでは解決できないからだ。
捜査当局、公人が言及しない「疑惑」を報じない、ということは裏を返せば、日本のマスコミの報道スタンスというのは、実は国会、役所、警察などの公的機関がイニシアティブを握っているということになる。つまり、今回の「電通カット」報道というのは、日本のテレビ・新聞が、英・ガーディアンやFACTAという調査報道に力を注ぐジャーナリストの見解よりも、公的機関の見方にお伺いをたてているという「情けない現実」をものの見事に浮き上がらせてしまったのだ。
聞いたこともあるだろうが、日本のマスコミ記者は“ふりだし”から、「夜討ち朝駆け」という警察幹部の自宅まわりを行う。これは情報源として親密な関係を構築する狙いもあるが、事件報道を行う際、担当記者としていつでも「裏取り」ができる体制を作ることが目的だ。
これは記者の「基本」とされる。警察官僚、高級官僚、国会議員、派閥の領袖……このような公人に携帯ひとつで「裏取り」ができるというのが優秀な記者である。言い換えれば、「いかに素早く公人や公的機関におうかがいをたてられるのか」がキモになっているのだ。
想像して欲しい。このような「ジャーナリスト教育」を30年近く施された人が巨大企業のトップになったらどうなるかを。政治家、高級官僚、警察官僚と「ポン友」として仲良く酒を酌み交わす間柄になれるのは間違いない。だが、権力の不正を暴くことができるのか。英・ガーディアンやFACTAのような地をはうような調査報道はできるのか。
東京五輪の不正疑惑を報じたのは英・ガーディアンとFACTAだ。甘利明前経済再生相のURをめぐる口利き疑惑、舛添東京都知事の政治資金の使い方問題はご存じ、週刊文春だ。
これらの媒体の記事を読めば分かると思うが、彼らの「裏取り」というのは、当事者に直撃をしたり、質問状などを送りつけたりするが、自分たちの取材や調査結果に自信をもっていれば、公人・公的機関がどんなに否定をしても、「疑惑」として世に出す。
実はこれこそがテレビ・新聞が文春やFACTAのような「調査報道」ができない最大の理由だ。
「疑惑」はマスコミの情報網にも引っかかる。しかし、「いかに素早く公人や公的機関におうかがいをたてられるのか」というのを体に叩き込まれているので、自前で「裏取り」ができない。ミスをすれば、企業人としての未来も閉ざされる。ゆえに知っていても目を閉じる。文春が報じた田中角栄の「カネ」の問題を、新聞記者の多くが知っていたにもかかわらず黙認していたように。
かくして、政府や役所、捜査機関が動いたものを報じるか、彼らからの「リーク」に依存するという今のマスコミの「報道スタイル」が確立されていったというわけだ。
マスコミ幹部は、報道が「萎縮している」とか「権力に忖度している」して、高市総務相や安倍首相を「犯人」だと吊るし上げる。その一方で、気の抜けたサイダーみたいな報道が出ると、マスコミは電通などの「タブー」を恐れている、みたいな論調もちょこちょこ出てくる。
正しい部分もあるのだろうが、「本当にそれだけなのか」と首をかしげる。あいつが悪い、こいつのせいだ、と常に原因をよそに求めているが、実は一番の問題は「自分」にあるのではないかと思う。
なぜFACTAや文春のような「調査報道」ができないのか。なぜ奥歯にものがつまったような言い方でしかニュースを報じられないのか。果たしていったい誰に気をつかっているのか。それは本当に安倍首相や官邸だけなのか――。
いい加減そろそろ我が身を振り返る時期にさしかかかっているのではないだろうか。 

 

●マスメディアは絶対に報道しない「電通」というオバケ代理店の暗躍  2007/4 
先日久しぶりに旧友I氏と会食しました。彼は男子高時代、一緒に授業をさぼり喫茶店や雀荘で遊んだりした私の悪友でして、まあ30年来の腐れ縁というやつであります。今ではおたがい40代のオヤジでありまして社会的にもそれぞれしかるべき地位を与えられる身分になっております。高校時代は一緒に授業をさぼったたりしてた決して優等生とは言えない私たちでしたが、なぜかI氏は卑怯(?)なことに真面目に勉強しなくとも成績が良く、有名大学に進学後、今では日本経済新聞の役職記者なのであります。で久しぶりに会食したのですが、渡された名刺を見てまた驚いたのでありますが、役職がまた昇格しているのであります、相変わらずずるい男だ(苦笑)。
朝日であれ産経であれTVにしろ、基本的に日本のマスメディアには批判的に対峙することをモットーとしている当ブログですが、マスメディアの内情については、このI氏と某民放キー局の政治部の友人からの直接の聞き取り情報がとても勉強になっております。そして久しぶりにあったI氏からとても興味深い話をもらいました。
彼の話に寄れば現在の日本のマスコミの最大のタブーは「天皇」でも「やくざ」でも「在日」でも「部落」でも「創価」でもない、それは「電通」という一民間会社の暗躍である、とのことなのであります。「広告代理店『電通』の批判記事を書けないという点だけは、朝日も読売も産経も日経も全国紙だけでなくもちろん地方紙も日本中の新聞は全紙共通している」というわけです。
新聞がこの体たらくですから番組制作までたっぷり「電通」にしきられているTV局が「電通」批判などできるはずもないのだそうであります。電通社内には「新聞局」や「TV局」といった担当メディアごとにセクションが分かれています、そして彼らはメディア媒体のそれぞれの特性に合わせたしっかりとした広告ビジネスを確立しています。
ですから、TVであれ新聞であれ日本の広告収入に頼る商業メディアの場合、主要スポンサーとのチャネルを事実上独占している大手広告代理店、中でも「電通」というオバケ代理店のご機嫌を損ねてしまうとそれこそ商売に直結してしまう大変な事態に陥ってしまうことになるのであります。
「電通」という一民間会社の暗躍の例えばと言う例をI氏に尋ねたら、「「あるある大辞典」の捏造報道も、メディアは相変わらず関テレと下請け会社の制作姿勢批判に集中しているが、本当の問題は、そんな捏造番組に平気でカネを出してきたスポンサー「花王」と代理店「電通」の悪意満々の胡散臭い捏造番組利用・関わりにある」
I氏は、捏造報道だけでなく番組で宣伝されるネタは、数ヶ月も前にそのネタに関わる製造業や流通業界にリークされ放送日には商流が準備されているのはTV局制作関係者には「常識」なのであり、通常そういったビジネスを仕切るのにスポンサー企業や電通を無視してはTV局単体では何もできやしないのだそうです。
「「あるある」で本当に報道されてまずいのは捏造の事実じゃない、実は捏造してなくてもある種の情報提供番組はどこでも電通が巧みに仕掛けた視聴者には知らされていない裏のカラクリがあることの方なんだ」
I氏は言い切ります。
情報提供番組で取り上げるネタをスポンサーが電通を通して干渉し強要してくることは常態化しているし、ときには電通自らが仕込んでネタをTV局に提案することも珍しくはないというのであります。
特にひどいのは休日の昼間などに放映されている芸能人がおのぼり気分で海外旅行や温泉旅行するいわゆる「旅行番組」なのであります。
電通は番組の企画の段階から深く関わり、番組で何をあるいはどこを視聴者に「宣伝」するか入念にかつ主体的に参加していきます。
そしてときに番組スポンサーを巻き込みながら、二重三重に金儲けをする仕組み作りにいそしみます。
例えば制作費1億円の番組では、基本的には番組制作費の20%前後2000万円を代理店マージンとして搾取して、それにとどまらず電通はさらにいろいろな個別宣伝のミニビジネスも展開していくのであります。
I氏は実にリアルな話を私にしてくれました。
「東北地方のある温泉地の老舗旅館が客足が伸びないために、思い切って高額ではあるが東京キー局でCMを流すことを決めた。そこでCM制作を担当した「電通マン」は、その旅館に「ただのスポットCMを垂れ流すより、同じお金で芸能人を尋ねさせ、「温泉」につかり「食事」を堪能させる旅行番組を放映したほうが宣伝効果があると逆提案した。その提案に公告には素人の旅館側は飛びついた。ここからがそのやり手電通マンのすごいところだ。その地域の他の企業や団体をリサーチし、番組で芸能人にどこを回らしていけばいいかを企画し、その老舗旅館以外にも観光協会やいくつかのスポンサーを確保する。あわせて次になじみのTV局に旅番組の企画を提案する。その提案時には、なんと老舗旅館や観光協会などではなく、別に番組スポンサー(大手旅行代理店などいくつかのスポンサー)を用意していたのだ。TV局側では、電通が番組企画を提案したときには、すでに番組のスポンサー候補まで用意され番組のあらすじまで決まっていたのである。TV局側は電通のシナリオの通り芸能人を用意し、決められたレストランで食事をさせ、決められた宿で宿泊させるのである。この番組の制作を通じて、電通は老舗旅館とかの個別スポンサーにはTV局を通さずマージンを取得し、それとは別に大手スポンサーからの番組制作費を20%前後搾取したのである。この主の番組作りは残念ながら我が日経系列のテレビ東京が最も電通のカモになっているのだ。」
実に巧みなビジネス展開でありすごい企画力であります。もちろん各ビジネスに違法性がなければ、これをもって電通の批判などできないでしょう。しかし、旅番組などはまだ実害がないからいいでしょうが、「電通」の場合、何が問題と言えば「あるある」のような健康情報番組やときに「時事関係報道制作」にまでそのビジネス上の影響力を駆使して「捏造」まがいの番組によるネタの宣伝に深く関わっていることなのです。視聴者は番組に「事実」を求めますが、広告代理店である「電通」は事実などには無頓着なのです。重要なことは「いかに」「効果的な」「宣伝をして」マージンを得るか、その一点だけで番組の制作に関わるのです。
今日では政党も広告代理店を活用して政党イメージを「効果的に宣伝」することに必死なのであります。I氏曰く、今日「電通」は政府中枢にも深く食い込み得意の公告ビジネスで巨額の利益をむさぼっています。電通の「官庁プロジェクト」では近年、年間約35億円もの政府公報予算を獲得してきました。年間約35億円の政府公報予算、すなわちこれ税金であります。
マスメディアは絶対に報道しない「電通」というオバケ代理店の暗躍でありますが、私たち国民は彼らの暗躍をあなどってはいけません。問題はメディアだけではない広がりを持っています。国民は政治や報道に「事実」を求めますが、オバケ代理店「電通」は事実などには無頓着なのです。彼らにとって重要なのは「宣伝」なのであります。 
 
 

 



2020/7