一事が万事 「桜を見る会」に見る忖度メディア

一事が万事  「桜を見る会」の幕引き
安倍一強 最長政権記録の更新中
内閣の体質・体制の表れ

忖度メディア 見ざる聞かざる言わざる
1月に入って関連報道は「ゼロ」
 


一事が万事「桜を見る会」問題1問題2・・・
「桜を見る会」諸話
   2019/5・・・11/15〜12/1〜12/15〜1/1〜1/15〜・・・ 
 
 
 

 

●忖度メディア
「目に見える」 事実を報道しています
面倒なこと 見に行きません
以下の続報 あっという間になくなりました
「桜を見る会」名簿  内閣府は治外法権 
「公文書」 すぐに廃棄 PCデータはゴミ箱 
内閣人事局の顔色を窺う お役人
不都合なこと 忘れる 記憶がなくなる 文書を作らない
作った文書は 用済み後 即刻廃棄 シュレッダー 
政策 
言葉遊び 中身なし
「アベノミクス・三本の矢」 「全世代型社会保障」 「地方創生」 「一億総活躍社会」 「女性活躍」 「人づくり革命」 「外交 」 「安保戦略」
大臣の不祥事
任命責任  説明責任 「遺憾」です
森友・ 加計学園問題
「遺憾」です
「100年安心」と「老後2000万円必要」
麻生金融相 金融庁報告書を受領拒否 
 
 

 

 
 
 

 

●一事が万事
1
一つのことを見れば、他のすべてのことが推測できるということ。また、一つの小さなことに見られる傾向が、他のすべてのことに現れるということ。物事は、些細なことから万事が同じ調子だと見られやすいものであり、多くあまり良くない一面を見て他の場合も悪いはずだと推測する場合に使われる。
2
「一つの事柄を見れば、他のすべての事柄が推測できること」です。わずか一つの事柄の調子が他のすべての事柄に現れること、一つのことを見るだけで全てが分かるさまを表します。「一事」は「一つの事柄」、「万事」は「全ての事柄」を表します。「人は一つのものを見て、他のものも同様だと判断する」という考えから「一事が万事」という言葉ができました。古来から、日本や中国では見た目で人を判断していました。立場が上の人は、偉い人に見られえるように振る舞うことが求められていました。現代でも、一つの要素から、その人の性格や物事に対しての姿勢を見極めることがあります。
3
「一つのことを見れば、他の全ての部分も推測できる」です。つまり「人々の言動やある一端をみて、他人の全てのことをを推測できる」という意味です。また、「一つのことに対して見受けられる傾向が、他の全てのことに対しても現れる」と意味もあります。たとえば、破れた服を着ていれば生活全体もだらしがない、職場で発言が少ないと性格全体も暗い、というようにです。語源や由来はとくにありませんが、人がものごとを見定める傾向になぞらえた言葉となります。人は他人の些細な言動や態度から、「全て(万事)も同じ様子である」と主観的に判断しやすいものです。人が持つものごとの見方や判断基準の傾向を説いた言葉が「一事が万事」であると考えられます。
4
一つの行いの様子で、その人のすべての行いが想像できるという意味のことわざです。「一事が万事」の一事とは「一つのこと」で、万事とは「すべてのこと」を意味する言葉です。例えば、その人の身だしなみを見てだらしないと感じたとき、きっと部屋も散らかっているんだろうと推測した場合が「一事が万事」の状況です。通常は、目に付く良くない事柄に用いる「マイナスイメージを持つことわざ」です。生活態度や口調などを注意するときや、皮肉を込めるときに使うことが多いので、使う相手や状況には十分注意が必要となります。古くから日本や中国では、見た目で人を判断する傾向がありました。「外見から見てとれる様子が、その人の全てのことに通ずる」傾向を重んじていたので、立場が上になればなるほど偉人である振る舞いを求められていました。そういったことから「一事が万事」の意味である、 一つのことが良ければ他の全ても良し、一つのことが悪ければ他の全ても悪し、になったのです。
5
一つの事柄を見れば、他のすべての事柄まで推測できるということを意味することわざです。言い方を変えると、「一つの小さなことに見られる傾向が、他のすべてのことにおいても現れる」ということです。このことわざは、よい意味でも悪い意味でも使われることわざですが、実際に使用されている例を見ると否定的な意味で使われることがほとんどです。また、多くの場面において、人間に対して使われることわざです。人間は、私生活の面から仕事の面までさまざまな側面を持っています。さらに、その人の私生活を構成する要素も細かく分けることができます。例えば、言葉遣いや服装などです。その人間のことを知りたいと思う時、その人が持つあらゆる面を総合的に判断することが最も理想的です。たとえば、その人の挨拶(あいさつ)から言葉遣い、服装、性格、仕事に対して取り組む姿勢などです。これらを総合的に判断すれば、その人のことをある程度深くまで知ることはできるはずです。しかし、あらゆる面を見ることは非常に時間も手間もかかることは容易に想像がつくと思います。「一事が万事」は、その人を総合的に判断しようとする姿勢を否定することわざです。人間が持つあらゆる面の一つだけでも見れば、他の全てのことまで推測することができるという意味であるのが「一事が万事」です。たとえば、その人が挨拶をしない人であったら、常識が無い人間だと判断し、あらゆる面において否定的に捉えるというイメージです。他によくある例としては、服装がだらしない人や、髪に寝ぐせがついたままの人を否定的に捉えることなどがあります。前述したように、人間に対して使われることが多いですが、人以外のあらゆるものに対しても使われます。たとえば、ある商品の包装の丁寧さから、その商品を製造する企業全体のことを推測したり、道路にごみが散乱しているか否かから、その町の風紀を推測したりです。以上のように、人の性格や生活態度の悪い点、ある物の欠点が目についた時に、他の面も同様に悪いはずだと推測する際に使うことわざです。そして基本的に、批判や皮肉の意味が込められています。ただ、冒頭で述べたように、よい意味として使われることもあるという点は押さえておくべきです。
6
一つのことからほかのことが推測できるということ。一つのことを見れば他のすべてのことがわかるということ。一つの小さなことに見られる傾向や様子がほかのすべてのことにも当てはまるということ。物事は小さなこと、些細なことから他のすべてのことが同じだと推測されるということで、それは外見や発言、行動など多岐にわたります。例えば外見でその人の人となりを判断するというのは日本や中国に限らず古来から行われてきました。そのため権力者は威風堂々と見られるような風貌をしていることが求められたのです。かの豊臣秀吉も体が小さく威厳が感じられない風貌であったことを気にしており、特に初見の相手と出会うときは付け髭をつけていたと言われています。また、己の性格や主張をするために奇抜な服装をしたりするものもいました。かれらは「傾奇者」と呼ばれ、周囲の人はその風貌からその人のことを判断したのです。それは現代でも同様で、自分というものを理解してもらうため、自分を主張するために外見を着飾る人はそれによって、どういう人かを判断されます。また、ある事柄に対して心無い発言をしたりすれば、その発言によって人間性を判断されることになります。もしみんなからおとなしいと思われている女性などが誰も見ていないと思って足で扉を蹴って開けていたりすると、本当はそういう人だと思われるでしょう。このように、何か一つの事柄からその人すべてを判断するというのが「一事が万事」なのです。  
 
 

 

 
 
 

 

●「桜を見る会」問題 1 
総理大臣主催の桜を見る会をめぐる一連の問題。2019年5月に表面化した。この項目では、第二次安倍政権および鳩山政権において問題視されている公職選挙法違反等の指摘、与野党の動静等について扱う。
背景
2019年4月13日に開催された桜を見る会について、当初の予算の三倍となる約5200万円に上っていたことが衆院決算行政監視委員会(同年5月13日)で明らかとなり、問題視された。
第二次安倍政権における2019年以前の5年間、支出は毎回設定されている予算額を超過。金額・参加者共に毎年増え続け、2019年度の参加者は約1万8000人となった。なお、予算額は毎年1766万6000円となっている(実際の支出額ではない)。
内閣府担当者は「準備、設営に最低限必要」「テロ対策強化や参加者数に応じた飲食提供など」と説明。宮本徹議員は参加者の増加が主な原因であると指摘した。
5月22日、内閣府井野官房長は招待者の内訳については「開催が終わったので破棄した」と述べ、具体的な言及を拒んだ。
一方、保守系の文化人ら(百田尚樹、有本香、ケント・ギルバート等)や自民党関係者や後援会の参加が多数確認されたことから、以前から安倍首相らに私物化されていたのではないかとの批判が広がっている。
問題点の概要
桜を見る会に関しては複数の問題点が指摘されている。以下に概要を示す。
1. 支援者の招待
「各界で功労・功績のあった方々を慰労する」という趣旨の会に政治家が支援者を招待していたという疑惑がある。安倍総理や安倍昭恵夫人、自民党関係者、自民党議員(2019年7月参院選での改選議員)などが招待枠を持っていたとされる。野党の追及本部は支援者の買収による公職選挙法違反の疑いがあるとしている。 2018年は自民党総裁選があり例年は幹事長等のみだが自民党所属の京都府議会議員と滋賀県議会議員全員に招待状が来ていて「総裁選で安倍さんに投票してほしいと受けとった。同僚議員も皆そう話していた」「いきなり招待状が届いて驚いた。総裁選で支持者のとりまとめを期待する意図が透けて見えた」。2019年は例年通りだった。
2. 参加者・支出額の増加
招待客の数・支出額ともに第二次安倍政権下では年々増加。2019年度に至っては予算の三倍にも費用が膨らんだことから、私物化したのではないかと野党が指摘している。 また、反社会的勢力 (反社) が来場していた可能性が指摘され、セキュリティについても問題視されている。
3. 招待名簿データの廃棄
招待客名簿データについて、野党議員が質問をすると通知した約一時間後にシュレッダーにかけられていることから、意図的に廃棄したのではないかという指摘もなされている。野党議員や識者から行政文書・公文書の管理が都合良く行われていると問題視する声が上がっている。個人情報を持っていると危ないという体制なら、個人情報を扱うに値しないようなレベルの管理しかできない政府と言っているに等しい。
4. 安倍首相等、関係者の発言
安倍晋三首相、菅義偉官房長官、内閣府の担当者等の答弁や発言が度々食い違っており、虚偽答弁や隠蔽をしているとの批判がある]。
主な問題点
私物化
税金を使った支援者への接待 / 桜を見る会には安倍後援会関係者が850人招待されており、後援会関係者による前夜祭の明細書をホテル側が公開しない点が野党側の反発を招いた。一部では公職選挙法違反を指摘する声もある。
安倍昭恵夫人の関与 / 招待者の総理枠の中には昭恵枠があったとの指摘が一部であがっていて、共産党は7年で143名だったとの推計を行った。桜を見る会で出される食事について、総理夫人である昭恵と親しい人物の会社が7年続けて受注していた。
答弁内容の虚偽など
安倍晋三内閣総理大臣 / 招待者名簿をシュレッダーで廃棄した問題で、安倍が障害者職員の勤務シフトの問題だと国会で発言し、反発を招いた。
菅義偉官房長官 / 政権の屋台骨で鉄の壁ともいわれる菅であるが、安倍首相サイドの招待への関与を否定する長官の答弁を、大西内閣審議官が 「安倍事務所におきまして幅広く参加者を募るプロセスの中で夫人からの推薦もあったとのことでございます。」と否定するといったちぐはぐさも目立つようになった。シュレッダー処理で破棄されたとされる招待者名簿が、電子データとして残っているのではないかという指摘に「削除したデータについては復元をすることはできないと聞いています」と答弁したが、現在の技術からいって疑問だとの声も現役官僚からあがった。
反社会的勢力の参加
12月10日、反社の定義について「その形態が多様でありまたその時々の社会情勢に応じて変化し得るものであることからあらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難であると考えている」などと閣議決定した。
ジャパンライフとの関連 / ジャパンライフは業態的には経済産業省の所管であるため、元特許庁長官などの天下り先として知られている。また監視する立場の消費者庁からの天下りも問題視されている。首相の安倍晋三は、ジャパンライフの会長と個人的関係はないとの答弁を行っている。一方、いわゆる総理枠とされる招待者に対して付されていたという指摘が一部であがっている「60」という番号(国立公文書館に保管されていた平成17年度のリストで「60」は「内閣総理大臣(当時は小泉純一郎)招待枠」であることが確認された)が会長に付されていたかどうかが、国会の議論の焦点の一つとなった。 
 
 

 

●「桜を見る会」問題 2
●概要
背景
2019年4月13日に開催された桜を見る会について、当初の予算の三倍となる約5200万円に上っていたことが衆院決算行政監視委員会(同年5月13日)で明らかとなり、問題視された。
第二次安倍政権における2019年以前の5年間、支出は毎回設定されている予算額を超過。金額・参加者共に毎年増え続け、2019年度の参加者は約1万8000人となった。なお、予算額は毎年1766万6000円となっている(実際の支出額ではない)。
“東京新聞:「桜を見る会」に5200万円、予算の3倍 安倍政権、5年で参加者4500人増:政治(TOKYO Web)”
内閣府担当者は「準備、設営に最低限必要」「テロ対策強化や参加者数に応じた飲食提供など」と説明。宮本徹議員は参加者の増加が主な原因であると指摘した。5月22日、内閣府井野官房長は招待者の内訳については「開催が終わったので破棄した」と述べ、具体的な言及を拒んだ。
“安倍首相主催「桜を見る会」招待者 数千人超過/「資料は破棄」内閣府が答弁/宮本議員追及”. しんぶん赤旗. (2019年5月22日)
一方、保守系の文化人ら(百田尚樹、有本香、ケント・ギルバート等)や自民党関係者や後援会の参加が多数確認されたことから、以前から安倍首相らに私物化されていたのではないかとの批判が広がっている。
“予算の3倍に膨張”桜を見る会”の政治利用 安倍首相を”忖度”する官僚の仕業か”. プレジデントオンライン. (2019-05-17)
問題の焦点
1.支援者の招待
「各界で功労・功績のあった方々を慰労する」という趣旨の会に政治家が支援者を招待していたという疑惑がある。安倍総理や安倍昭恵夫人、自民党関係者、自民党議員(2019年7月参院選での改選議員)などが招待枠を持っていたとされる。野党の追及本部は支援者の買収による公職選挙法違反の疑いがあるとしている。
2.参加者・支出額の増加
招待客の数・支出額ともに第二次安倍政権下では年々増加。2019年度に至っては予算の三倍にも費用が膨らんだことから、私物化したのではないかと野党が指摘している。 また、反社会的勢力が来場していた可能性が指摘され、セキュリティについても問題視されている。
3.招待名簿データの廃棄・隠蔽
招待客名簿データについて、野党議員が質問をすると通知した約一時間後にシュレッダーにかけられていることから、意図的に廃棄したのではないかという指摘もなされている。野党議員や識者から行政文書・公文書の管理が都合良く行われていると問題視する声が上がっている。
4.安倍首相等、関係者の発言
安倍晋三首相、菅義偉官房長官、内閣府の担当者等の答弁や発言が度々食い違っており、虚偽答弁や隠蔽をしているとの批判がある。
公職選挙法違反
桜を見る会は「各界で功労・功績のあった方々を慰労する」という趣旨の行事である。本来「功労・功績」の対象にならない後援会関係者を政治家が招待することは、公職選挙法の禁ずる「財産上の利益を供与した」こととなるおそれがある(買収)。また「目的外の支出」として財政法に抵触するおそれがあると指摘されている。
   供応接待
公職選挙法(以下「公選法」)221条では「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき」には3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処すると規定している。また、公選法139条では、選挙運動に関していかなる名義であっても飲食物を提供する行為を原則として禁止しており、「桜を見る会」にて後援会関係者が飲食をしたことが事実であるとすれば、この条文にも抵触するおそれがある。
安倍首相は、招待者は最終的に内閣官房・内閣府で取りまとめていることを根拠に「公選法に抵触するとの指摘は当たらない」と述べている。 一方、共産党の田村智子議員は、安倍首相が自身の後援会から多くの招待客を招いていることについて「選挙への貢献に感謝し、支持拡大を期待したのではないか。公選法は供応接待を買収行為として禁じている。首相と自民党がやってきたことは税金を使った事実上の買収行為」との認識を示している。
   開園時間前の入場
首相動静によれば「午前7時49分から同8時31分まで、昭恵夫人とともに警視庁幹部、前田晋太郎山口県下関市長、地元の後援会関係者らと写真撮影」とある。新宿御苑の本来の開園時間より早く後援会関係者を入場させていることとなる(本来は有料)。
安倍晋三事務所
桜を見る会をめぐっては、首相は当初「招待者の取りまとめなどには関与していない」と答弁していたが、その後、安倍晋三事務所名で「桜を見る会」を含むツアーの案内文書が地元有権者に届いていたことなどが発覚した。同会の前日に開かれた「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」に約850人の後援会関係者が参加したことも明らかになった。同会では首相の地元の銘酒「獺祭」が振る舞われたことから、首相が自身の事務所名義で地元有権者に供応接待を行ったと野党や有識者は指摘している。
自民党党本部からの招待枠
自民党の世耕弘成参院幹事長は、2019年7月に行われた参院選で改選を迎える自民党所属の参院議員に対し「友人や知人、後援会関係者など4組まで招待できる」とした案内状を送付していたことを認めている。党内部文書から明らかになった事実に記者会見で回答した。菅義偉官房長官が明らかにしたところによれば、2019年の「桜を見る会」招待客の推薦枠に関し、自民党関係者の推薦が約6,000人、安倍晋三首相が約1,000人だった。後援会関係者らの招待は、前項の通り「財産上の利益を供与した」こととなるおそれがある。
11月21日、森まさこ法務大臣は「自民党の参議院の事務局から4人推薦するよう言われて4人推薦した」と述べている。森大臣は2019年7月参院選の改選議員。
その他の招待枠について
菅義偉官房長官は、11月20日の衆院内閣委員会で、招待者約15,000人のうち、約6,000人は各省庁推薦の各界功労者や各国大使、国会議員、勲章受章者が占めていたと説明した。残る9,000人は自民党関係者であり「各界の功労者」より自民党関係者が多い会であったことが分かる。大西証史内閣審議官は衆院内閣委員会で、安倍晋三事務所の推薦の中には、安倍昭恵首相夫人による推薦もあったと答弁している(後述)。
●私物化
多くのヒアリングや調査、取材で自民党関係者が招待されていたことが判明している。本来の会の目的は「各界の功労者を労う」であるが、私物化であると同時に背任罪に当たるのではないかとの指摘も出ている。 首相の地元後援会関係者や政治家、その支援者らが多数出席しており、飲食を含む接待が行われた。
自民党の二階俊博幹事長は「議員が選挙区の皆さんに配慮するのは当然だ」と語り、自民党関係者の招待を否定していない。自身については招待したかどうか思い出せないとした。 国民民主党の原口一博国対委員長は「安倍政権は権力の私物化が目に余る」と批判している。日本共産党の志位和夫委員長は背任罪の可能性もあると指摘している。
税金を使った支援者への接待
第二次安倍政権以降、参加者及び支出額はいずれも年々増加している。19年度の支出額は予算の3倍となる5518万7000円に達した。また、首相の地元山口県からの出席者に関して地元の県議(当時)のブログに「10メートル歩いたら山口県の人に出会う」と書かれており(現在は削除)、安倍首相の招待枠などが発覚(前述)している。
各所にて後援会の祭りではないかとの批判も受けている。2018年4月に都内で開かれた研修会に参加した自民党地方議員の内、希望者がその翌日の桜を見る会に参加した。この会の5か月後には総裁選挙が控えており、党員票固めとの指摘がなされている。
経済学者で嘉悦大学教授の高橋洋一は「一人当たり3000円程度だ。予算の多くは警備や会場費用に当てられるので、お土産代1000円というのは社会的儀礼の範囲」と問題視することに疑義を呈している一方で、千葉商科大准教授の田中信一郎は、税金は国民全体の福祉や公益のために使われるものであり「首相個人の支援者を多数招待したとなると、首相が税金を自分の財布にしたようなもの」と批判している。
安倍昭恵夫人の関与
2019年11月20日、衆議院内閣府委員会において日本共産党の宮本徹議員は「昭恵氏が校長を務めるUZUの学校で学んでいる方々」「昭恵氏が名誉会長を務めるスキーイベントの関係者」「昭恵氏の農業仲間」「日本酒をつくるグループ」など昭恵夫人関係団体の関係者が桜を見る会に参加したことを指摘。菅官房長官はその存在を否定したが、直後に大西証史内閣審議官が「夫人からのご推薦もあった」と昭恵夫人枠の存在を認めている。 これにより、首相からの推薦枠1000人程度の中に昭恵夫人の推薦枠も含まれていたことが判明した。
2013年から2019年までの間に昭恵夫人の関係する団体について、少なくとも143人が招待されていると共産党の清水忠史衆院議員が言及している。内閣府は推薦はあったと認めているものの、143人については「昭恵氏が招待したのか判断がつきかねる」としている。
昭恵夫人については私人であり、出席は公務補助であるとの閣議決定がなされた。昭恵夫人が私人であると閣議決定されたのは2017年3月に続いて2度目。昭恵氏が推薦した人数や「私人」が推薦できる法的根拠について、政府は「お答えは困難」とした。
その後、昭恵夫人と半グレグループのリーダーが桜を見る会で握手をしている写真が一部写真週刊誌で報じられた。
●答弁内容の虚偽など
桜を見る会問題では、関係者の発言・答弁、証拠提出が虚偽や隠蔽であるとの指摘を受けている。主な発言者、問題視されている内容は以下の通り。
安倍晋三内閣総理大臣
安倍首相は11月8日の参院予算委員会において桜を見る会の招待者の取りまとめへの関与を否定。しかし地元有権者に安倍首相の事務所名で案内状が届いていたことが発覚した。
11月20日の参院本会議において、「事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」と答弁が変容し、さらには首相事務所が参加希望者を募る際、昭恵首相夫人による推薦もあったとされた。
桜を見る会の招待枠について、安倍首相の地元である山口県下関市の住民からは「首相の選挙に功労があった人が招待されたのだろう」「首相枠が優遇されすぎている」との声が上がっている。
菅義偉官房長官
1月18日の記者会見において菅義偉官房長官は桜を見る会に推薦した人数を数十人と発言。11月20日には推薦した人数を数百人と発言を変遷させた。
衆院内閣委員会において宮本徹議員が、首相夫人である安倍昭恵の招待枠の有無を質問。菅官房長官は「ない」と答弁したが、同日中に大西証史内閣審議官は「安倍事務所において幅広く参加希望者を募るプロセスで、夫人からのご推薦もあった」と招待枠の存在を認めた。
ジャパンライフ元会長の元に送られた桜を見る会の受付票の通し番号「60」は首相や官房長官からの推薦者を示していることを内閣府は否定せず、事実上認めた。
内閣府
立憲民主党衆議院議員の初鹿明博が提出した質問主意書の答弁書において、政府は桜を見る会の参加者の名簿は作成していないと回答。
しかし名簿は参加者の名簿としてではなく推薦者の名簿として存在していたことが明らかとなった。
   招待者名簿
5月21日の財務金融委員会において「桜を見る会の資料は一年未満の文書で整理して開催が終わり次第破棄をした」と答弁した。6月7日、日本共産党の宮本徹衆議院議員に質問主意書において訂正の必要性を問われたが、政府答弁書では財務金融委員会への答弁は桜を見る会の招待者名簿について答えたものであり、各府省庁から内閣に対して提出された招待者推薦名簿についての答弁ではないと訂正を拒否した。
11月22日に政府は各省庁が作成した2019年の推薦者名簿を参院予算委員会の理事懇談会に提出した。推薦者名簿は「公務員」「功績者」「特別」に分類され「功績者」の大半および「特別」の全てが黒塗りとなっている。
首相ら政治関係の名簿に関しては廃棄済みとして公表されなかった。その後、2014年から2018年までの過去6年分が推薦名簿が一部を除いてほぼ全てが黒塗りされて国会に提出された。
   招待枠について
自民党は桜を見る会の3ヶ月後に行われる2019年参議院選挙において改選を迎えた所属議員に、後援会関係者らを4組まで招待できると記した案内状を送付していたことが発覚。世耕参院幹事長は非改選議員より改選議員に多く割り当てることが慣例化していると発言。
各界で功労・功績のあった方々を慰労するの桜を見る会に、安倍首相が地元支持者を多数招待された問題について自民党の二階幹事長は地元支持者の参加は当然との認識を示した。
その他
   世耕弘成議員
桜を見る会の問題が紛糾すると世耕参院幹事長は自身のホームページから桜を見る会の写真を削除した。世耕議員は報道陣に講演会メンバーの顔が写っているからだと削除理由を説明したが、他の会合での画像は現在も残っており矛盾が生じている。
世耕議員だけに限らず、桜を見る会に参加した他の国会議員や安倍首相の地元である山口県の県議会議員が桜を見る会のブログ投稿を削除している。
   三原じゅん子議員
三原じゅん子議員の母と叔母が桜を見る会に参加したことに対し、玉川徹と青木理はどのような功労があるのかと疑問視した。三原じゅん子議員はTwitterにおいて内閣府のルールに則って招待された人が出席したに過ぎず許しがたい侮辱であり厳重に抗議すると発信。母と叔母についても招待を取り決めたのは内閣府であって自分が決めたわけではないと説明をした。
●反社会的勢力の参加
11月21日の参院内閣委員会で、立憲民主の杉尾秀哉議員が、反社会勢力や半グレ組織と言われるグループのメンバーの一人と、菅長官のツーショット写真がネットに出回っていることを指摘。
安倍昭恵首相夫人と半グレグループのリーダーであるA氏との写真も確認されており、「桜を見る会」へ参加が半グレグループの営業に利用されている可能性も示唆されている。
これに対し菅義偉官房長官は11月22日の記者会見で、桜を見る会に反社会的な勢力が出席し、テロ対策が不十分だったのではないかとの質問に対し「結果として、そういう方が入っていたということは、そう言われてもやむを得ない」と話した。
また、80年代より国会でも問題視されたマルチ商法の会社、ジャパンライフが、消費者庁より行政指導を受けた2014年の翌年にも「桜を見る会」に招待されていたことも明らかとなっている。政府は10月15日ではセキュリティー対策について、予算増加の理由の一つにテロ対策の強化を上げているが、その後の調査で本人確認は行っておらず、第三者がノーチェックで入ることが出来る可能性も明らかとなった。
その後政府は12月10日、「反社会的勢力」を「あらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難」とする答弁書を閣議決定したが、法務省が2007年に出した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」 では、暴力団排除意識の高い企業であったとしても、暴力団関係企業等と知らずに結果的に経済取引を行ってしまう可能性があることから、反社会的勢力との関係遮断のための取組みをより一層推進する必要があるとしており、全国の都道府県でも暴力団排除条例が施行されている中、日本語学者の飯間浩明氏はこの閣議決定に対し「社会の共通認識となった指針がある一方で、定義ができないという閣議決定が出てしまうと社会に混乱を招くことになる」と指摘している。
ジャパンライフとの関連
上述の通り2015年の桜を見る会にはマルチ商法として問題視されている企業ジャパンライフの山口隆祥元会長も招待されており、ジャパンライフの各地のセミナーで招待状の画像が使用され、顧客の信頼を高めるために利用されていたことが明らかになった。
安倍総理の答弁との矛盾
安倍晋三首相は、11月8日の参院予算員会にて「招待者のとりまとめには関与していない」と答弁したものの、20日の参院本会議では一転、自身が招待者推薦に関与していたことを認めている。
12月9日の記者会見ではジャパンライフ元会長の山口氏との関係を聞かれ「個人的な関係は一切ない」と述べた。しかし、1984年に自身の父親である安倍晋太郎の外相外遊時には山口氏と共にニューヨークへ同行していたことが明らかになった。
安倍首相は記者のぶら下がり会見で「国会から求められれば出て行って説明するのは当然のことだ」と述べたが、野党が首相出席の集中審議を求めても与党は応じなかった。
●名簿データの破棄
2019年度の桜を見る会の招待者名簿は2019年12月現在、全容が明らかになっていない。 この名簿の内容次第で前項目で挙げた公職選挙法違反、虚偽答弁、私物化などの指摘が妥当かどうかの重要な証拠となり得る。逆に招待者名簿の内容に問題がなければ公職選挙法違反等の指摘は当たらないことになる。
招待者名簿の破棄
2019年5月21日に宮本徹議員が質問した際、内閣府の答弁ではすでに招待者名簿は廃棄されていたとの内容であった。しかし、11月になり名簿廃棄日程は宮本議員が質問を通知したのと同日の5月9日、提出から一時間後であることが確認された。
これを受け、与党サイドの公明党石田祝稔政調会長も「(同日に破棄されているのは)そろいすぎているのではないか」と述べるなど批判が噴出。恣意的なタイミングで質問からの追及を避けるために名簿データを廃棄したのではないかとの疑念が強まった。
また、5月21日時点では名簿データはサーバ上に保管されていたにも関わらず、内閣府は電子データを出すことをしていなかったことが判明した。名簿の文書が破棄されたことに関して、内閣官房・内閣府の該当の文書保存期間は一年未満、遅滞なく破棄するとされている。これは各省庁と比較しても期間が短く「政治関係の推薦枠」のみが即廃棄される規定となっていることが明らかとなっている。
ルポライターの明石昇二郎は「安倍政権の勝手な都合でいつ処分してもいいものだと、安倍政権においては規定している」と指摘、「傍若無人な規定」と批判している。
シュレッダー問題
名簿データ廃棄の日程が共産党の宮本徹議員が資料要求をした5月9日であったことを受け、その理由について、内閣府はシュレッダーを利用できたのが最も早くてその日だったと説明。
安倍首相は12月3日の参院本会議で5月9日の廃棄になった理由を「シュレッダーの空き状況や、担当である障害者の短時間勤務職員の勤務時間などとの調整を行った結果」と述べた。これに対しインターネット上では批判が殺到し「障害者のせいにしているように聞こえてなりません」「障害者を身近に持つ身としては涙が出てきました」等のコメントが寄せられた。
舩後(ふなご)靖彦参院議員は廃棄をめぐり、安倍首相が障害者雇用に触れたことを「障害者雇用のために破棄に時間がかかった理由のように語られるのは不適切」「非常勤職員の弱い立場を利用したとも受け止められる内容」と批判している。
宮本徹議員は「障害者雇用職員のせいで廃棄が遅れたというなら、なぜ別の担当者が廃棄したであろう電子データは4月ではなく、紙の名簿に近いタイミングで廃棄されたというのか」と疑義を呈し、証拠が一切示されていないことを批判している。
文書保存期間について
内閣官房   1年未満
内閣府    各部局が定める基準に沿って保存
サーバ問題
内閣府はシュレッダーでの招待者名簿文書の破棄が行われた5月9日と前後して、電子データも5月7から9日の間に一括保存しているサーバーから削除されたとした。しかし、電子データの削除後も最大8週間保管しているとされていることが明らかとなり、宮本徹議員の質問時(5月21日)に「名簿データは廃棄済み」とされていたが、実際にはバックアップされたデータが存在していたことが判明。公文書の復元は内閣府が「個別の判断」で行うため、招待者名簿を復元することは5月21日時点で可能であったとの見方が強い。宮本は「バックアップはいつでも取り出せたはずだ」と一連の対応を批判した。
12月2日、安倍総理は参議院本会議で「内閣府が採用しているシステムは、個々の端末ではなくサーバーでデータを保存するシンクライアント方式」と述べた。「バックアップデータの保管期間をおいた後は復元が不可能である」と報告を受けたとしている。
一方、12月3日の野党追及本部では、石垣のりこ議員が「災害対策などで遠隔地に別のサーバーがあり、データが保存されている」として「シンクライアント方式ならば、逆にデータは残っている」と真っ向から安倍の発言を否定した。
電子データの取扱いについて元公文書管理委員会委員長代理の三宅弘弁護士は「国権の最高機関である国会から資料要求をされた内閣府は、宮本氏に『バックアップデータがある』と答えるべきだった。災害などの場合だけ行政文書として復元するという解釈は論理として破綻している」と与党と政府の対応を批判。
第二次安倍政権下では「ない」とされてきた公文書が後になって存在していたケースもある。加計学園問題、自衛隊の日報問題では政府が一旦破棄したデータが後に見つかり、国会に提出されるなどしている。
SNSでは「『できない』と『しない』は違う」、「可能か不可能か以前に復元しないという意思」、「説明責任を果たさないという宣言」といった反応がある。
12月10日、中谷一馬議員の質問主意書に対し政府は、名簿データについて「復元することは考えていない」と記した答弁書を閣議決定した。
行政文書の定義
菅義偉官房長官は2019年12月4日の記者会見で、桜を見る会の招待者名簿を記録した電子データについて、同年5月に国会で資料要求があった時点で、バックアップデータが残っていたことを認めている。一方で「バックアップデータは行政文書ではない」「行政文書でないものについては対応しない」とし、原本となる紙媒体や電子データが廃棄され行政文書が存在しなくなったとして、国会議員の資料要求に応じる必要はなかったとの認識を示した。また政府は、名簿の電子データについて「復元することは考えていない」とする答弁書(2019年12月10日付)を閣議決定した。
一方、小泉内閣が2001年と02年に閣議決定した答弁書では、国会議員の資料要求では行政文書が存在しなくても新たに作成して対応することがあると明記。情報公開法が定める個人情報などの不開示情報に当たるかどうかを参考にしつつ「可能な限り協力する」と国会側の要求に積極的に応じる姿勢を示していた。
公文書管理法のガイドライン改定(2017年12月)に携わった元公文書管理委員会委員長代理の三宅弘弁護士は「原本の紙媒体や電子データがなくなった時点で、バックアップデータが法律上の行政文書になる」と述べている。
招待者の情報について
本項目では招待者の情報に関連した問題点について記す。
   60番台問題
ジャパンライフ山口隆祥元会長の招待状に付された。「60」マルチ商法が問題視されている企業ジャパンライフは、山口隆祥元会長宛ての招待状を顧客の信頼を高めるために利用していたことが明らかになっている。招待状には「60-2357」という番号が記載されており、数字が何を意味するものなのか議論の的となっている。
招待状の通し番号「60〜63」は「総理・長官等推薦者」内閣府が提出した2015年の桜を見る会の「仕様書(案)」には、「総理・長官等推薦者」の横に「60〜63」と記載され、首相や昭恵夫人の推薦枠だった可能性が指摘されていた。政府は当初この書類について認めていなかったが「仕様書(案)」は内閣府が作成した資料だと2019年11月29日、初めて認めた。招待状の通し番号「60〜63」は「総理・長官等推薦者」であったことが判明した。
また、2019年12月3日放送の羽鳥慎一モーニングショーでは「60」番台の招待状の写真をSNSに投稿した19人のうち6人が、安倍昭恵首相夫人との写真を投稿していたと報じた。さらに、2年連続で「60」番台の招待状が届いた種苗店「野口のタネ」の野口薫は「昭恵夫人以外に政治関係者との接点がない」と証言している。
   招待者名簿公開に関する議論
政府側は招待者リストの公開について個人情報を理由に拒み、「招待されたかどうかということは、これは個人に関する情報でございまして、お答えを従来から差し控えさせていただいている」との答弁を繰り返している。また2019年12月2日に国会に提出された各府省庁に残る推薦者名簿は大半が黒塗りにされていた。
個人情報の取り扱いに関して総務省の資料では、本人の利益や社会公共の利益がある場合等には行政機関が個人情報を目的外に利用・提供可能としている。
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第8条第2項では「本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき」に保有個人情報の提供が可能としている。
さらに、内閣府でも男女共同参画局を中心に複数の表彰や賞の授与について、その対象者の名簿等、公表されること自体が名誉にあたる個人情報を広く公開している。
一方で、宮内庁主催の園遊会では招待者を公表している。名簿が報道機関に提供され、新聞に氏名と肩書が掲載されるため、扱いが異なると指摘されている。
文科省など他の省庁からの「桜を見る会」への推薦は「栄典対象」などの扱いで、名簿は10年クラスの保存文書の扱いであるのに対して、内閣官房の「招待者名簿」だけは、個人情報として直ちに廃棄されている点も議論の的となっている。
   過去の名簿の扱い
国立公文書館には昭和31年と32年の招待者名簿が保存されている。保存期間は「永久」と明記され、参加者の実名は黒塗りされることなく全て公開されている。
●問題の経過
2019年5月以降の国会質疑等を通して問題が明らかになった経緯を記載する。
宮本議員の国会質問(5月13日)
5月13日の衆院決算行政監視委員会にて、日本共産党の宮本徹議員は桜を見る会の2018年の支出額は予算額の約3倍にのぼることを追及。「参加者が膨らみ、予算にない支出が増えている。国民の理解は得られない」と宮本議員は批判。招待の基準も不透明だと批判していたが、5月21日、宮本徹議員による質問に対し内閣府は衆院財務金融委員会で、招待者数は約1万人を「目安」としながら数千人規模で超過していると明らかにした。 質問に対して井野官房長は、開催要項では約10,000人でありながら実際の人数は15,000人を超えていたことを認め、「各府省庁からの意見等を踏まえ、内閣官房、内閣府で最終的に取りまとめている。結果的に増えた」と説明した。どの省庁で招待人数が増えているのかは明らかにせず、「今年の資料も、すでに開催が終わったので破棄した」と述べた。
初鹿議員の国会質問(10月15日)
10月4日、初鹿明博議員が桜を見る会に関する質問主意書を提出。
来年度概算要求において予算額が前年度の三倍の額で要求された理由、参加者一人当たり金額の妥当性、国の予算を使い内閣総理大臣が主催する「桜を見る会」を開催する必要性があるのか、今後も開催する場合、税金を費やして開催する意義や必要性についての政府見解について問い質した。内閣府は、テロ対策の強化や混雑緩和のための措置など実態に合わせた経費を計上したと答弁。「内閣総理大臣が各界において功績、功労のあった方々を招き、日頃の御苦労を慰労するとともに、親しく懇談する内閣の公的行事として開催している」とし、意義があると回答している。その後政府は「内閣の公的行事であり、意義あるものと考えている」とする答弁書を閣議決定した。
田村議員の国会質問(11月8日)
11月8日、共産党の田村智子議員の質問により、桜を見る会への社会的関心が一気に高まることとなった。田村議員は、自民党の山口県議が2014年のブログに「私の後援会女性部の7名と同行した。首相には今後も桜を見る会に下関の皆さんを招いてほしい」と記していることを挙げ、同会が「各界の功労者」を慰労する場ではなく、地元後援会をじめとした自民党関係者の親睦の場になってはいないかと問い質した。また、複数の後援会会員が首相の地元事務所から同会を含むツアーの案内が届けられたという証言があると指摘した。首相は「個人情報のため回答を差し控える」としたが、もし田村議員の指摘の通りであれば公職選挙法違反が疑われることとなり、メディアの関心も高まった。
共産党は5月9日に同会の招待者名簿の提出を要求していたが、内閣府では資料要求のあった9日に資料を廃棄していたことが明らかになり、批判の声があがった。
翌年度の桜を見る会中止決定(11月13日)
菅義偉官房長官は13日、2020年の「桜を見る会」開催中止を発表。 また、安倍晋三首相は記者団に「私の判断で中止することにした」と説明した。
野党合同追及本部の発足(11月25日)
11月25日、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社会保障を立て直す国民会議、社会民主党、れいわ新選組、沖縄の風、碧水会の野党国会議員計76人が参加する「総理主催『桜を見る会』追及本部」が発足。 安倍晋三首相の後援会を探る「山口・下関ルート」、前夜祭会場の「ホテルルート」、首相夫人の関与を調べる「昭恵夫人ルート」など、8班に分かれての調査が行われることとなった。
臨時国会閉会
12月9日、臨時国会は閉会した。野党は会期40日間の延長を申し入れたが与党は応じていない。二階俊博幹事長は「(首相は)十分説明、答弁していると思う」と述べたが、地元山口県下関市でも「納得できない」と批判の声が上がっている。12月9日に行われたNHK世論調査によると、安倍総理大臣の説明に「あまり納得できない」が30%、「まったく納得できない」が41%となっている。 
 

 

 
  
 

 

●「桜を見る会」 諸話
 
 

 

●橋下徹 「野党大騒ぎ "桜を見る会" 真の問題点」 2019/11
「説明には納得できないが、政権を倒すほどではない」
春の公的行事である首相主催の「桜を見る会」をめぐって、野党やメディアが大騒ぎしている。
まあ、野党は数打ちゃ当たるの様相で手あたり次第に安倍さんを批判しているけど、世論調査における内閣支持率は、数ポイントほどの減になっているものの、内閣が倒れるような減少幅ではない。
もちろん、安倍さんの説明には「納得できない」が70%程度になっているが、他方、桜を見る会を廃止にするかどうかは賛否が拮抗している。それでいて、内閣支持率は50%弱と内閣が倒れるようなものではなく、野党の支持率が急上昇しているわけでもない。
メディアは、安倍さんの説明に「納得できない」という世論調査の数字ばかりを強調するが、内閣支持率の減少幅がそれほどでもないことには言及しない。中には、なぜ内閣支持率が下がらないのか、これは国民の判断がおかしいんだ、と国民をバカにしたようなコメントをするものもある。
世論調査の結果を見て、僕は日本国民の絶妙な政治感覚というものを痛切に感じるし、ほんと日本国民って賢明だな、とつくづく感心する。だから、僕は賛否が激しく分かれる政治課題について、最後の最後は選挙で決めるべきだし、憲法改正も国民投票で決めるべきだと強く思う。
桜を見る会に関する安倍さんの説明には納得できない。でも、安倍政権が変わるほどのことでもない。的確な追及ができずに大騒ぎしている現在の野党を見ると、国民のこの感覚は極めて賢明で、合理的だと思う。
野党は「不正」と「不適切」を分けて追及すべき
では、安倍さんの事務所ないしは後援会が主催した「桜を見る会前夜祭」はどうか?
参加者は5000円の参加費を払ったという。
まず、5000円以上の料理がしっかり出ていて、にもかかわらず、参加者には5000円しか徴収していなければ、これは公職選挙法違反の疑いが出る。
他方、ホテル側が特別なサービスを提供したということであれば、それはホテルから安倍さん側への寄附にあたるが、企業の政治家個人への寄附は認められていない。そうすると、こちらは政治資金規正法違反の疑いが出る。仮に政党支部への寄附ということであれば政治資金収支報告書への未記載となり、安倍さん側も同法違反の疑いが出る。
野党は、この点で安倍さんを徹底追及するなら、しっかりと裏取りをすべきだ。安倍さんが差額を補填したのか、ホテルが特別のサービスを提供したのか。裏取りがないままに、なんとなく怪しいという感覚だけで追及すると、結局のところ森友学園問題や加計学園問題と同じ様相を呈し、多くの有権者はついてこないだろう。
だから、野党が森友学園問題や加計学園問題であれだけ大騒ぎしたのに、野党の支持率は伸びていない。「安倍政権憎し」の有権者からは支持されるのだろうが、政権交代を実現するには、その程度の支持では足りず、「安倍政権憎し」ではない多くの有権者の支持も得なければならない。今の野党に欠けているのはこの戦略だ。
まず野党は、不正の話と不適切な話を分けなければならない。不正の話は、政権を倒すことにつながり得る話だ。その代わり、それなりの裏付けも必要になる。
他方、不適切な話は政権を倒すことにはつながらない。ゆえに裏付けもそれほど要らない。ただし、これは政権の姿勢を正す効果が期待でき、襟を正すことをしっかり政権に促して、それに相応しい新ルールや新制度を提案していけば、すぐに野党の支持率が急上昇することはないかもしれないが、じわじわと野党への信頼が厚くなっていくことは間違いないだろう。
今の野党は、裏付けもないのに、不正の話に持ち込んで政権を倒しにいこうとするから、国民がついてこないんだ。不正の裏付けがなければ、不適切な話として、政権を倒すとういよりも政権の襟を正す雰囲気で政権に迫らなければならない。ただちに政権を倒すことにはつながらないが、そのような野党の姿勢は着実に有権者からの信頼を勝ち取るはずだ。
これらは不正を糾弾し政権交代を迫るものではなく、不適切を改めるための提案というものだ。このような政治家の襟を正す細かなルールの制定は、有権者にしっかり響くと思うね。まあ、野党がこれくらい厳格に政治家の襟を正す新ルールを提案するなら、企業団体献金を禁止したり、領収書抜きの年間1200万円の経費である文書通信交通滞在費を改めたりする新ルールを提案して成立させてほしいよ。こういう肝心なことについては、野党はやらないんだよね。
安倍首相側は「ホテルの明細書」は出すべきだ
安倍さんも、政治行政をよりよいものにしていくために、野党に対して応じるべきところは応じるべきだ。
一つは、ホテルの明細書の提出だ。
今回の安倍さんの前夜祭においても、ホテルは赤字営業はできないから、何らかの試算をやっているはずで、もし安倍事務所ないしは後援会がその明細書を持っていないというのであれば、安倍さんは、ホテルから明細書を出してもらうようにホテルに働きかけをすべきだ。
野党はこの点を確認すべきである。
安倍さん側が参加者から参加費用を徴収し、参加者に対して領収書を交付する。安倍さん側がホテルにパーティー費用を払い、ホテルから明細と領収証をもらう。そしてこのお金のやり取りは全て政治資金収支報告書に記載する。
これが政治家が後援会行事を行うときのあるべき姿だ。
野党はまずは自ら裏付けをとる努力をし、裏付けがとれれば不正を糾弾し、場合によっては政権を倒す追い込みをかける。裏付けが乏しければ、政権を倒す追い込みではなく、襟を正す提案をしていく。これが有権者の支持を広く得るための野党の戦略だと思う。そしてこんなことよりも、政権が倒れるかもしれないほど重大な問題は、役所による招待客名簿の文書廃棄と、それを正当化するための文書廃棄ルールの事後的な変更の方なんだよ。  
 
 
 

 

2019/5
●予算の3倍に膨張"桜を見る会"の政治利用  5/13
「安倍首相の、安倍首相による、安倍首相のための会」
毎年4月の土曜日に東京・新宿御苑で首相主催の「桜を見る会」が行われる。各界で功労のあった人や著名人を招き、桜をめでながら和やかに飲食し懇談する会で、テレビニュースなどで見たことのある人も多いことだろう。今年は4月13日に行われた。
ただ、この会が最近「安倍晋三首相の、安倍晋三首相による、安倍晋三首相のための会」の様相を強めている。経費は国費で賄われるのだが、その額も急増中。事前に定められた予算の3倍にも上るというのだから、ただごとではない。
IKKOさんと「どんだけー」をするサービスも
「昨年は残念ながら桜を見る会ではなくて、葉桜を見る会となってしまいましたが、今日はお天気も良くて、八重桜がこのように咲き誇っている。本当にすばらしい一日となりました」
会の冒頭、主催者である安倍氏は、参加者を前にして満面の笑みを浮かべながらスピーチした。2012年暮れに首相に返り咲いてから7回目の春。安倍氏は2006年から07年秋にかけても1年間首相を務めているので「桜を見る会」を主催するのは8回目になる。
「平成を 名残惜しむか 八重桜」
「新しき 御代(みよ)寿(ことほ)ぎて 八重桜」
安倍氏は例年以上に上機嫌で、迫ってきた改元を意識した2首を詠んだ。その後、来客と懇談し写真撮影をして回った。ヘアメイクアーティストでタレントのIKKOさんとの撮影の際は、2人で「どんだけー」をするサービスも。周囲の笑いを誘った。
「安倍氏が『応援団』ばかり招待したのではないか」
今回の「桜を見る会」では、ネットメディアで、少しざわつくことがあった。テレビカメラに収まる参加者の顔触れを見ると、保守系のコメンテーター、文化人らの姿が目立ったのだ。タレントのケント・ギルバート氏、作家の百田尚樹氏、ジャーナリストの有本香氏らが出席。安倍氏も彼らのグループの前に来て「(右寄りの)皆さんが左側に陣取っているが面白い」などとジョークを交えて談笑した。
このため「安倍氏が『応援団』ばかり招待したのではないか」との観測が広がった。
招待の基準については5月13日、衆院の決算行政監視委員会で共産党の宮本徹氏が質問。菅義偉官房長官は「各界において功労、功績のあった方々をお招きしている。各省からの意見を踏まえて、幅広く招待させていただいている」と答弁している。
具体的な人選の手順は明らかにはなっていないが、安倍氏の「お友達」や「応援団」ばかり招待しているわけではないのは事実だ。例えばメディアでは、安倍氏に批判的な論調の多い朝日、毎日、東京などの新聞社の幹部にも招待状は届いている。批判的なメディアは出席率は低く「お友達」や「応援団」の出席率が高い、ということなのかもしれない。
経費は5年間で2000万円以上も跳ね上がっている
13日の決算行政監視委員会では、驚くべく事実が次々に明らかになった。安倍氏が首相官邸に返り咲いてから「桜を見る会」が急速に規模が大きくなっているのだ。
まず参加者数。従来は1万人前後で推移していたようだが、第2次安倍政権になってから右肩上がりになり、今年は1万8200人まで膨らんだ。
さらに問題なのは経費だ。記録が残っている過去5年分を調べると、2014年が3005万3000円、15年が3841万7000円、16年が4639万1000円、17年が4725万円、18年が5229万円となっている。少なくとも14年から18年までの5年間で2000万円以上跳ね上がっている。
今年の分はまだ確定していないが、参加者が増えたことを考えると昨年よりもさらに増える可能性が高い。 

 

●5月13日の決算行政監視委員会の質問 5/14
5月13日、衆院決算行政監視委員会で総理主催桜を見る会の支出膨張をとりあげて追及したことが各紙で報道されました。
・東京新聞 「桜を見る会」に5200万円、予算の3倍 安倍政権、5年で参加者4500人増
・日刊ゲンダイ 姑息な安倍首相「桜を見る会」こっそり経費3倍の後ろ暗さ
・プレジデント・オンライン 予算の3倍に膨張”桜を見る会”の政治利用安倍首相を”忖度”する官僚の仕業か
・毎日新聞 「桜を見る会」安倍政権で拡大 支出は当初予算の3倍 「政権近い人招待」と批判も
「首相が各界の著名人らを招いて毎年四月に東京・新宿御苑で開く「桜を見る会」の費用が、二〇一八年度は予算の三倍となる約五千二百万円に上ったことが、十三日の衆院決算行政監視委員会で明らかになった。第二次安倍政権の過去五年間、同じ額の予算を計上しているが、実際の支出は毎回、予算を上回り、増え続けている。参加者の増加が主な原因だ。会の予算は、一四年度以降は毎年度千七百六十万円余。支出は一四年度の約三千万円から年々増加。参加者も一四年度の約一万三千七百人から、一八年度は約一万七千五百人に増えた。本年度は四月十三日に開かれ、参加者は約一万八千二百人に膨らんだ。支出は確定していない。費用は、会場設営や警備費、飲食費に充てられる。内閣府の担当者は同委員会で予算額について「準備、設営に最低限必要となる経費」と説明。その上で「実際は金属探知機などのテロ対策強化や参加者数に応じた飲食提供など、予算額を上回る経費がかかる」と語った。不足分は内閣府の「一般共通経費」で賄うとした。共産党の宮本徹氏の質問に答えた。本年度は作家の百田尚樹氏やタレントのケント・ギルバート氏らが招待された。宮本氏は委員会で「参加者が膨らみ、予算にない支出が増えている。国民の理解は得られない」と批判した。 (村上一樹)」 東京新聞
「毎年4月に開催される首相主催の「桜を見る会」。著名人を自分のシンパに囲い込もうということなのか。13日国会で、第2次安倍政権以降、会の規模が拡大し続け、姑息な不明瞭会計を行っていたことがバレた。招待客は以前は、1万人前後だったが、安倍政権発足後の2013年以降、うなぎ上り(別表)。今年は、約1万8200人もが参加し、歌舞伎俳優の市川猿之助や子役の寺田心のほか、作家の百田尚樹や竹田恒泰ら“安倍応援団”の姿もあった。13日の衆院決算行政監察委で宮本徹議員(共産)は「政権に近い人たちをどんどん呼んで、“予算にもない支出”がどんどん増えている」と批判、費用のカラクリを暴いた。
桜を見る会の支出は、13年3500万円、14年3000万円、15年3800万円、16年4600万円、17年4700万円、18年5200万円だ。人数が増えれば、費用も増えるのは当然で、今年は未確定だが、昨年以上の支出が濃厚だ。ところが、なぜか予算上は、13年以降、毎年1700万円台と横ばいなのだ。内閣官房総務課の担当者は日刊ゲンダイの取材に、「このご時世、単純に予算を増やすわけにはいきません。支出が増えても内閣府の“共通経費”でまかなえているので、『桜を見る会』としての名目上の予算は増やしていません」と回答。まるで“やりくり上手”だと言わんばかりだが、予算と実際の費用に3倍もの乖離があるのでは、国民をダマしていることにならないか。立正大客員教授の浦野広明氏(税法)が言う。
姑息な不明瞭会計
「会計の“明瞭性の原則”にもとるやり方でほめられるものではない。毎年、確実に予算をオーバーしている。必要性のある支出なら、〈桜を見る会〉として堂々と予算を増やせばいい。やりくりでつじつまを合わそうとするのは、安倍首相の人気取りのための支出に後ろ暗さがあるのではないか。また、国会は、決算より予算の議論が中心。国会のチェックを警戒して、予算はいじりたくなかった面もあるでしょう」どこまでもズルい政権だ。」(「日刊ゲンダイ」)
「「安倍首相の、安倍首相による、安倍首相のための会」 毎年4月の土曜日に東京・新宿御苑で首相主催の「桜を見る会」が行われる。各界で功労のあった人や著名人を招き、桜をめでながら和やかに飲食し懇談する会で、テレビニュースなどで見たことのある人も多いことだろう。今年は4月13日に行われた。ただ、この会が最近「安倍晋三首相の、安倍晋三首相による、安倍晋三首相のための会」の様相を強めている。経費は国費で賄われるのだが、その額も急増中。事前に定められた予算の3倍にも上るというのだから、ただごとではない。「昨年は残念ながら桜を見る会ではなくて、葉桜を見る会となってしまいましたが、今日はお天気も良くて、八重桜がこのように咲き誇っている。本当にすばらしい一日となりました」会の冒頭、主催者である安倍氏は、参加者を前にして満面の笑みを浮かべながらスピーチした。2012年暮れに首相に返り咲いてから7回目の春。安倍氏は2006年から07年秋にかけても1年間首相を務めているので「桜を見る会」を主催するのは8回目になる。
「平成を 名残惜しむか 八重桜」 「新しき 御代(みよ)寿(ことほ)ぎて 八重桜」
安倍氏は例年以上に上機嫌で、迫ってきた改元を意識した2首を詠んだ。その後、来客と懇談し写真撮影をして回った。ヘアメイクアーティストでタレントのIKKOさんとの撮影の際は、2人で「どんだけー」をするサービスも。周囲の笑いを誘った。
安倍氏が『応援団』ばかり招待したのではないか」今回の「桜を見る会」では、ネットメディアで、少しざわつくことがあった。テレビカメラに収まる参加者の顔触れを見ると、保守系のコメンテーター、文化人らの姿が目立ったのだ。タレントのケント・ギルバート氏、作家の百田尚樹氏、ジャーナリストの有本香氏らが出席。安倍氏も彼らのグループの前に来て「(右寄りの)皆さんが左側に陣取っているが面白い」などとジョークを交えて談笑した。
このため「安倍氏が『応援団』ばかり招待したのではないか」との観測が広がった。
招待の基準については5月13日、衆院の決算行政監視委員会で共産党の宮本徹氏が質問。菅義偉官房長官は「各界において功労、功績のあった方々をお招きしている。各省からの意見を踏まえて、幅広く招待させていただいている」と答弁している。
具体的な人選の手順は明らかにはなっていないが、安倍氏の「お友達」や「応援団」ばかり招待しているわけではないのは事実だ。例えばメディアでは、安倍氏に批判的な論調の多い朝日、毎日、東京などの新聞社の幹部にも招待状は届いている。批判的なメディアは出席率は低く「お友達」や「応援団」の出席率が高い、ということなのかもしれない。
経費は5年間で2000万円以上も跳ね上がっている13日の決算行政監視委員会では、驚くべく事実が次々に明らかになった。安倍氏が首相官邸に返り咲いてから「桜を見る会」が急速に規模が大きくなっているのだ。
まず参加者数。従来は1万人前後で推移していたようだが、第2次安倍政権になってから右肩上がりになり、今年は1万8200人まで膨らんだ。
さらに問題なのは経費だ。記録が残っている過去5年分を調べると、2014年が3005万3000円、15年が3841万7000円、16年が4639万1000円、17年が4725万円、18年が5229万円となっている。少なくとも14年から18年までの5年間で2000万円以上跳ね上がっている。
今年の分はまだ確定していないが、参加者が増えたことを考えると昨年よりもさらに増える可能性が高い。
最初から「予算内に収まらない」を承知の予算か最も重大なのは「桜を見る会」のために確保された予算の額と実際に使った額の乖離だ。
毎年の予算額は13年が1718万円。14年から19年までは1766万円で、ほとんど変化ない。昨年は1766万円の予算で5229万円使ったのだから、結果として予算として確保した額の約3倍のカネを使ったことになる。
本来であれば、支出はあらかじめ決められた予算の範囲内に収めるのが常識だ。状況の変化などによって、予算内に収まらないことはあるだろうが、「3倍」は異常としか言いようがない。
今年の「桜を見る会」の契約状況をみると、会場等設営業務の契約額は1814万4000円。飲食物関係の契約額は2191万3232円。この2つを足しただけで約4000万円になる。主要2項目の契約段階で予算額を大幅にオーバーしているのだ。過去に使った実績も無視して、最初から「予算内に収まらない」のを承知の上で予算を組んだ可能性が高い。
「一般共通経費」というイレギュラーな形で捻出  予算をオーバーした部分については内閣府の「一般共通経費」を充てているという。使途が分かりにくい別の「財布」を使って「桜を見る会」の経費があてがわれているということのようだ。
自ら主催する会合の出席者が増え、額も膨らむ。そして正式に多くの予算を組むこともなく「一般共通経費」というイレギュラーな形で捻出をする……。
このような細かな方針まで安倍氏が指示しているということはないだろう。恐らく、安倍氏を喜ばせるために官僚たちが気を回して少しずつ派手にしているのだろう。
そう考えると、「桜を見る会」の急膨張は、安倍氏の意向を官僚たちが必死に忖度して、出来上がっているといえるのではないか。現在の「安倍1強」体制の集大成ということだろうか。」 

 

●「桜を見る会」に5200万円、予算の3倍 安倍政権、5年で参加者4500人増 5/14
首相が各界の著名人らを招いて毎年四月に東京・新宿御苑で開く「桜を見る会」の費用が、二〇一八年度は予算の三倍となる約五千二百万円に上ったことが、十三日の衆院決算行政監視委員会で明らかになった。第二次安倍政権の過去五年間、同じ額の予算を計上しているが、実際の支出は毎回、予算を上回り、増え続けている。参加者の増加が主な原因だ。
会の予算は、一四年度以降は毎年度千七百六十万円余。支出は一四年度の約三千万円から年々増加。参加者も一四年度の約一万三千七百人から、一八年度は約一万七千五百人に増えた。本年度は四月十三日に開かれ、参加者は約一万八千二百人に膨らんだ。支出は確定していない。
費用は、会場設営や警備費、飲食費に充てられる。内閣府の担当者は同委員会で予算額について「準備、設営に最低限必要となる経費」と説明。その上で「実際は金属探知機などのテロ対策強化や参加者数に応じた飲食提供など、予算額を上回る経費がかかる」と語った。不足分は内閣府の「一般共通経費」で賄うとした。共産党の宮本徹氏の質問に答えた。本年度は作家の百田尚樹氏やタレントのケント・ギルバート氏らが招待された。
宮本氏は委員会で「参加者が膨らみ、予算にない支出が増えている。国民の理解は得られない」と批判した。 
 
 

 

 
 
 

 

2019/11
●「桜を見る会」中止に騙されるな! 安倍首相“アウト”公選法違反を告発 11/21
“安倍1強”の傍若無人もここに極まれりだ。安倍晋三首相主催の「桜を見る会」で、安倍首相が地元の後援者を多数招いていた問題が拡大の一途をたどっている。多額の税金が投入される公的行事を地元後援者の接待に使ったとして、公職選挙法などに抵触する疑いまで指摘される。
政府は招待基準などを見直すことを理由に来年度の「桜を見る会」の開催中止を決め、早期の幕引きを図ろうとしている。だが、内閣官房関係者は緊迫感を漂わせながらこう語る。
「これまでの問題とは明らかに次元が違います。森友・加計は官僚の忖度(そんたく)の問題でもあったが、今回は安倍事務所が直接絡んでいる。官邸や党内は相当の危機感を募らせ、ヤバイという声が出ています。今回の件で安倍さんが報道陣のぶら下がり取材に応じるとは思いませんでした」
11月15日は普段とは違う異例のぶら下がり取材となった。政治部記者はこう言う。
「いつもは問いかけに一言二言だけ答えて通り過ぎるのですが、今回は20分以上いました。やたらと『次の質問どうぞ』と言っていたのが面白かったですね。かなり焦っているのは間違いありません」
桜を見る会は1952年に始まり、毎年4月ごろに東京・新宿御苑で開かれる。皇族や各国の駐日大使、国会議員や中央省庁幹部らが参加するほか、各省庁が推薦する形で各界の功労者たちが招待されてきた。今回、国会議員の推薦枠があることが明らかになったが、安倍首相はこの枠を利用し、会を「後援会活動」に使ったのである。
参加者や支出額は、安倍政権下で年々増え続けてきた。招待者数の目安は1万人とされているにもかかわらず、2014年度の約1万3700人から、今年度には約1万8200人にまで増加。この間、予算は1767万円で固定されていたが、実際の支出額は毎年のように大幅にオーバー。14年度は約3千万円だったのが、今年度には約5500万円まで膨れ上がった。
会に参加した山口県周南市の藤井律子市長がつづったブログが国会でも取り上げられ、失笑を買った。
<たくさんの方との出会いの中で、片山さつき先生とも久しぶりの再会を果たしました。「今日は、山口県からたくさんの人が来てくださっているわね〜。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ!」と、いつものように元気よくお声をかけていただきました>
招待者には総理「枠」ばかりか、閣議決定で私人とされた昭恵夫人の「枠」まであったことが明らかになっている。SNS上には、会の写真とともに「安倍昭恵さん、お招きありがとうございました!」などと記載された投稿も見つかる。
11月8日の参院予算委員会で今回の問題を取り上げた田村智子議員(共産)がこう語る。
「招待客を取りまとめる内閣官房は、人数制限もしなければ、どういう人物を招待するのかチェックすら行っていませんでした。会は園遊会と同様に、各界の功労者をねぎらう栄典です。安倍首相はその公的行事を私物化し、わが身が危なくなると今度は突然中止を決めたのです。秘書に責任を押しつけてトカゲの尻尾切りをするという話はよく聞きますが、伝統ある公的行事をトカゲの尻尾切りにする総理大臣なんて聞いたことがありません」
しかも、内閣府は招待者名簿を「保存期間1年未満の文書だった」として、恣意的に廃棄した可能性まで出てきた。森友・加計問題と同様に、公文書管理の不適切さも問われるだろう。
安倍首相の公私混同ぶりに、国民の不満がたまっているが、疑惑の“本丸”は会の前日に催された前夜祭だ。高級ホテル「ニューオータニ」の宴会場で立食形式で行われたという。参加者のブログには「下関市・長門市そして山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティーが開かれました」との記述もある。
前夜祭では高級店の料理なども振る舞われたが、会費は5千円。野党議員から安すぎるのではないかと疑問視されているのだ。
ホテルの広報担当者に確認すると、「立食のパーティープランでご用意しているのは、お一人1万1千円が基本です。お料理のグレードや量によって、1万3500円、1万6千円の3パターンがあるだけです」と答える一方で、「料金についてはご要望を伺ってご提案することもあります」とも付け加えた。
前夜祭は2013年から開催されてきた。不可解なのは安倍首相が代表の政党支部や、後援会など政治団体の政治資金収支報告書に、前夜祭の収支に関する記載がないことだ。
「政治とカネ」の問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、告発も辞さない構えだ。
「料理だけでなく会場費も相当高いはずで、一人5千円の会費でペイできるはずがありません。支出のほうが2、3倍くらい多くなると考えられます。そうなると差額分が寄付行為となり、公選法違反になります」
14年には、支持者を招待した観劇ツアーをめぐり収支の虚偽記載が明らかとなり、小渕優子元経産相が辞任に追い込まれた。
「収支報告書に書けなかったのです。では今回、赤字を補てんしたのはだれなのか。安倍さん本人か政治団体のどちらかだろうと思います。そうすると、裏金を持っていることにもなってしまいます」(上脇氏)
安倍首相は15日夜、前夜祭の費用について、報道陣に次のように説明した。
「価格設定が安すぎるのではないかという指摘があるが、5千円という会費は、大多数がホテルの宿泊者だという事情を踏まえ、ホテル側が設定した価格だ」
だが、前出・田村議員はこう反論する。
「ホテル主催のディナーショーならば、参加者はホテルに支払うでしょう。そうではない。会場の案内板には『安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭』と書かれています。どういう料理にするのかなど、だれがホテル側と相談したのか。今年は歌手の方を呼んでいますし、その手配や支払いはどうしたのか。すべてがクエスチョンマークです」
今国会は菅原一秀前経産相と、河井克行前法相の妻である参院議員に公選法違反疑惑が浮上し、2閣僚が事実上の更迭となった。また、萩生田光一文部科学相は英語の民間試験をめぐって「身の丈に合わせてがんばって」などと教育格差を助長するかのような発言をするなど、安倍内閣の失態が相次いだ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が厳しい口調で語る。
「今回、一般の市民の怒りが収まらないのは、桜を見る会が『お友だち』だけを優遇する場になっているからです。『身の丈』発言とも重なり、選民意識の表れとも受け取れます。経済格差など自分の努力だけではどうしようもない立場の人々をさげすみ、こういうところに呼ばれるのが“上級国民”だと言わんばかりです。そういう会を中止するというのだから、何かうしろめたいことがあるのを事実上認めたということじゃないですか。これはアウトですよ」
安倍首相は相変わらず逃げの一手。説明をあいまいにして問題が沈静化するのを待つのは、今やこの政権の「お家芸」だ。たまには自ら国会に出て、集中審議に応じてもらいたいものだ。 

 

●疑惑が晴れぬ「桜を見る会」首相が自ら掘った「二つの墓穴」 11/27
季節外れの「桜」を巡る問題は、バカ騒ぎと捉えられても仕方がない。だが、予断を許さない状況が続いているのは、桜を見る会の「前夜祭」についてだ。
そのためか、返り血覚悟で攻勢を強める野党側に対し、安倍首相は今月15日、突然、記者団を前に21分間の釈明を行った。官邸での囲み取材に21分間もの長時間を割くのは極めて異例のことである。
「森友や加計における“忖度”とは違って、今回は首相を直撃する疑惑。取材に応じたのは危機感の表れでしょう。しかも、官邸側は“途中で記者の質問を遮るな”と周囲に指示していた。要は、この会見で問題を幕引きにしたい、と。ただ、予告なしで喫緊の課題をぶつけてくるのはさすがに大人げないと思いました」(政治部デスク)
今年の桜を見る会の前日、都内のホテルニューオータニでは「前夜祭」が開催され、安倍首相の地元・山口県下関市などから後援会関係者ら約800人が参加した。会費は1人につき5千円である。
最大の問題は、ニューオータニのパーティープランが最低価格でも1万1千円のところ、なぜ半額以下の会費で前夜祭が開けたのか、という点だ。
ちなみに、甘党で知られる菅官房長官の好物はこのホテルに入るレストラン「SATSUKI」のパンケーキで、お値段は3千円以上。それと比べると、やはり5千円は“破格”の値段に思える。
この点、ニューオータニの広報担当者は、「1万1千円はあくまでも基本的なお勧めプランのなかで最も安い価格設定ということです。人数や料理などに応じてそれを下回るお見積もりを出すことも有り得ます」と弁明するが、「会費だけでは赤字で、安倍首相側が差額分を補填していたとすれば、公職選挙法第199条の2に規定された“公職の候補者等の寄附の禁止”に違反することになります。ホテル側から見積書が出てこない限り、安倍首相が疑惑を払拭することは難しいのではないか」とは、政治資金問題に詳しい日本大学法学部の岩井奉信教授である。
確かに、一般的な感覚からすると一流ホテルがここまで大幅な値引きに応じるとは考えづらい。
だが、「永田町の常識」は少々異なるようだ。自民党関係者が明かす。
「政治資金パーティーで用意する料理は、参加人数の6〜7掛けに抑えるのが一般的。小洒落たオードブルの代わりにサンドイッチや唐揚げといった軽食を増やせば割安になるのも事実です。とはいえ、ニューオータニで5千円の会費はさすがに“格安”だと思います」
やはり、これだけで疑惑が晴れたとは言い難い。
先述した首相の会見も9割方は前夜祭に関する釈明に費やされたが、「その会見で安倍首相は、自ら“二つの墓穴”を掘ってしまったと言えます」そう断じるのは、神戸学院大学法学部の上脇博之教授である。まず1点目に挙げるのは、この発言だ。
〈夕食会場の入口の受付にて、安倍事務所職員が1人5千円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に、集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で、参加者からホテル側への支払いがなされた〉
上脇教授が続けるには、「もちろん、招待客が直接ホテルに会費を支払っていれば問題はありません。ただ、この発言は政治団体がホテルと招待客の間に介在していたと認めたようなもの。しかも、会場を予約したのは事務所か後援会以外に考えられないため、政治団体とホテルとの商取引と捉えるべきでしょう。仮にそうでなくとも、事務所が一旦、現金を受けとったのなら政治資金収支報告書に記載がないとおかしい。政治資金規正法の不記載罪に該当すれば、5年以下の禁錮または100万円以下の罰金となります」
桜を見る会の「前夜祭」は第2次安倍政権が発足した直後から毎年行われてきた。かつて前夜祭に出席した下関市の商工会関係者は、「参加者がまだ500〜600人程度の頃から会費は5千円だった。当時も会場の入口で安倍事務所の人に会費を払いました」と振り返る。しかし、現在公開されている安倍首相関連の政治団体の収支報告書には、前夜祭に関する記載は見当たらないのだ。
「不記載罪の公訴時効は5年で、過去に遡って告発ができます。長年に亘って不記載が続いていたとなれば、形式上のミスではなく、常習的で悪質と判断されてもおかしくありません」
そう語る上脇教授が第2の「墓穴」と指摘するのは、〈夕食会の価格設定が安過ぎるのではないかという指摘がございます。そういう報道もありますが、参加者1人5千円という会費については、これは正に大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情等を踏まえ、ホテル側が設定した価格である、との報告を受けております〉との発言である。
「ホテル側が事情を踏まえて料金を値引いたとなれば、首相側は価格分以上のサービスを提供されたに等しい。この差額分は“寄附”に当たる可能性があります」(同)
総務省作成の資料では、物品やサービスの無償提供は、〈金額に換算して「寄附」として(収支報告書の)収入に計上〉すべしと記されている。そうしなければ、〈政治資金規正法の収支の公開や授受の規制といった基本理念を没却しかねない〉からだ。
「安倍首相の政治団体がホテルと結託して有権者に寄附を行っていたら、公職選挙法が禁じる寄附行為に当たり、両者は共犯となる。また、ホテルが政治団体に寄附したと考えると、収支報告書への不記載が問題になります。同時に、これは政治資金規正法が禁じる“企業献金”に該当する危険性も出てくる」(同)
物証が乏しいなか、こうした疑惑の数々が間違いなく罪に問えるとは言い切れない。しかし、野党側は「追及本部」まで立ち上げて、安倍首相を追い込もうと息巻いている。そうしたなか、チラつき始めたのは「解散」の2文字だ。
先の自民党関係者が続ける。
「首相は会見で明らかに感情的になっていた。“国会から求められれば、説明責任を果たすのは当然のこと”などと発言したのはどう考えても勇み足。官邸としては、予算委での集中審議には一切応じない構えです。今月20日に桂太郎元首相を抜いて、安倍首相の在任期間が歴代最長になるものの、この快挙にも水を差された格好。台風の被害を受けて一度は下火になった年明け解散説も、再び燻りはじめている。最大の波乱要因は、批判の集中砲火を浴びる首相の苛立ちにあります」
長期政権の緩みを指摘され、〈より緊張感を持って進んでいきたい〉と答えた安倍首相は、しかし、同じ会見で墓穴を掘った。
念願の「桂超え」を果たしたのであれば、蟻の穴から堤も崩れる、ことを改めて認識すべきだろう。 

 

●安倍政権とメディア幹部の「癒着」に怒り、記者達から非難轟々 11/28
「桜を見る会」に後援団体関係者らを組織的に呼び寄せ、飲み食いさせるなど、安倍政権の政治の私物化が問題となっている中、内閣記者会加盟報道各社のキャップは、今月20日、都内の中華料理店で、安倍晋三首相と懇談した。これに対し、ネット上では、権力とメディアの癒着であると、批判が相次いでいる。新聞労連の南彰委員長も「市民に信頼される報道を目指して頑張っている記者の心を折れさせていくメディアの上層部の意識って何なんだ」と憤りをあらわにした。筆者が南氏に聞いたところ、現場の記者達も、メディア幹部と首相との馴れ合いに強く憤っていると言う。
「このタイミングで」「一体何をしているのか」と批判
今月20日付の時事通信「首相動静」によると、同日の晩、安倍首相は、都内の中国料理店で内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談したという。「桜を見る会」の件で安倍首相への批判が強まっている中での懇談に、ネット上では「このタイミングで?」「これも『桜を見る会』と同じくらい問題じゃないの?」と非難轟々。メディア関係者らも苦言を呈している。
米紙ニューヨーク・タイムスの元東京支局長で、ジャーナリストのマーティン・ファクラー氏は「信じられない。桜を見る会が批判されている最中に、内閣記者クラブのキャップ(リーダー的な記者)が今夜、安倍総理と会食したそうである。メディアの信頼性を考えていないよね」とツイート。
東京新聞の望月衣塑子記者も、「『首相は何も悪くない。一体何が問題なのか』と首相を持ち上げる記者もいたとか」「現場が取材で奮闘してる最中に一体何をしてるのか」と怒りのツイート。
筆者が注目したのは、新聞労連の南彰委員長のツイートだ。南委員長は「全国の記者からやり場のない怒りの連絡が1日中押し寄せる」という。
懇談に現場の記者達から怒りの声
首相とメディア幹部の懇談について、どのような意見が現場の記者からよせられているのか。筆者が南委員長に問い合わせると、以下のような意見があったとの回答を得たので紹介しよう。
・「あんな立ち話のぶら下がりでお茶を濁されているときに、悔しくないのか。飯食っている場合じゃないだろ」
・「首相は超余裕でニヤニヤする始末で馬鹿じゃないのか」
・「なんで各社の政治部長は止めないのか。1社が行かないと言い出すだけでも雰囲気が変わるはずなのに」
・「首相が疑惑の渦中にあって、政権の屋台骨が揺らいでいるまさにこの瞬間に、各社の官邸キャップが首相とメシを食うとは一体どうなっているのか。オフレコの会食の誘いなんか断固拒否し、『会見を開け』と要求するのがスジだ」
・「権力機構が腐っているときに、ジャーナリズムまで信用を失ってしまったらこの国は終わる。何だかもうやりきれない」
・「現場の総理番は、総理を取り巻く首相秘書官ににらまれながらも、総理に立ち止まるよう質問をぶつけたりしている。そうやって疑惑を説明させようと必死にやっているときに、よりによって官邸キャップがそろって懇談するなんて本当に泣けてくる。こんなことをしていたら信頼されるはずがない(※涙声)」
・「番記者ならともかく、疑惑の最中にキャップ連中呼び出されて飯とか喰ったら飼い慣らされてるように見えるの、なんで社の上層部はわかんないのかな?メディアの信頼は失墜する。ほんと、ふざけるな」
権力に忖度するメディア上層部による言論封殺
筆者も仕事柄、大手メディアの記者らと接することがよくあるのでわかるのだが、記者達も、読者や視聴者のメディア不信を痛感しているし、思い悩んでいるところもある。ジャーナリストとしての社会的責任を全うしようとしている、真面目な記者達も少なくない。一方、日本の「報道の自由」を脅かしているのは、安倍政権のメディアへの圧力だけではなく、政権に忖度し、記者達の報道に介入しようとするメディア上層部の振る舞いなのだ。
メディア上層部の政権との癒着については、2016年4月に来日、日本での「表現の自由」を調査したデビット・ケイ国連特別報告者も、その報告書の中で言及している。
「訪問中に特別報告者が面会した多くのジャーナリストは,報道を政府の政策上の意向に合わせるための政府による干渉があり,またそれが(メディア)経営により助長されている旨説明した。特別報告者は,政府指導者とメディア幹部の間の不適切な緊密性についての不満の声を聞いた 」:デビット・ケイ訪日報告書
記者達からの訴えに、当初、ケイ特別報告者は「それは日本のメディア内部の問題ではないか。私は、権力による表現の自由への圧力について調査しに来たのだが…」と、大いに困惑していたが、それは当然だ。「権力の監視」がジャーナリズムの重要な役割として広く認識されている米国の出身であるケイ特別報告者にとって、主要先進国の一員であり民主主義国家を標榜する日本で、まるで独裁政権下の官製メディアのような自主規制があることは、奇異に映ったのであろう。
だが、上記の報告書で言及したように、「政府指導者とメディア幹部の間の不適切な緊密性」が、日本の報道の自由を妨げる、特有かつ深刻な問題であることをケイ特別報告者も認めたかたちだ。
メディア上層部はジャーナリズムを問い直せ
何のためのメディアなのか。民主主義社会におけるジャーナリズムの役割とは一体何か。以前、筆者はフランスのメディアで働く友人にこう聞かれたことがある。「なんで日本のメディア幹部達は首相と一緒に御飯食べるの?」「フランスでも、たまにそういうのいるけど、恥知らずと軽蔑されるよ」。全く、友人の言う通りだ。日本のメディア上層部は本当に危機感が足らない。メディアと政権が癒着しているからこそ、数々の疑惑や不祥事を抱えながらも、安倍政権が「憲政史上最長の政権」となったのではないか?各メディア上層部は、今回の懇談に対する、現場の記者達の怒りの声に耳をかたむけ、日本のメディアのあり方を問い直すべきだろう。 
 

 

 
 
 

 

2019/12
●「桜を見る会」は疑惑だらけ、長期政権の病は想像以上に深刻だ 12/2
私物化や首相後援会による地元招待者への寄付疑惑が表面化した桜を見る会問題は、安倍首相自身や昭恵夫人が招待者選定に関与していたことが明らかになり、「安倍問題」の様相だ。
桜を見る会の来年の中止を決めて「早期幕引き」しようとしてきた首相だが、自らを直撃する公選法違反などの疑惑が膨らむ中で逃げ道がなくなってきた。
自民党内は「様子見」の状況だが、求心力を失いレームダック化していく瀬戸際だ。起死回生を狙って、来年の通常国会で衆院解散にうってでることも現実味をもって語られている。
狂った「早期幕引き」シナリオ 招待者選定で「関与」認めた首相
「私自身も意見を言うことがあった」と、招待者選定での関与を参院本会議の答弁で認めた11月20日は、首相にとっては通算の首相在職日数が計2887日になり、憲政史上最長となった「記念の日」だった。だが、長期政権の弊害を象徴する事態への関与を認めざるを得なくなり、夜に記者団のぶら下がり会見に応じた表情は暗かった。桜を見る会の問題が「税金の無駄遣い」と、国会などで追及され始めた当初、政府は各界で功労、功績のあった人を招いての長年の慣行とし、首相も11月8日の国会答弁では「招待者のとりまとめなどには関与していない」としていた。だが安倍事務所が事務局となる形で、後援会関係者ら、招待される地元有権者を対象に、桜を見る会に合わせ前日の夕食会を盛り込んだツアーを行っていたことなどが明らかになると、13日、政府は急きょ桜を見る会の来年の中止を発表。首相自身も、官邸でのぶら下がり会見に立て続けに応じ、早期の幕引きを図ろうとした。国会の予算委員会などで追及されるのを避け、「説明責任」を果たした形を作ろうとしたようだが、首相の説明でむしろ、ほころびが広がりシナリオは大きく狂うことになった。
「首相枠」「与党枠」などが過半  昭恵首相夫人も推薦
桜を見る会が、首相らの選挙区向けサービスの道具になっている実態は、菅官房長官が20日に明らかにした今年の招待者の内訳でも浮き彫りになった。約1万5000人という招待者のうち、安倍首相の推薦が約1000人のほか、麻生副総理や菅官房長官、官房副長官が約1000人、自民党関係者の推薦が約6000人。半分以上を政権中枢と与党の推薦者が占め、政府は、「首相枠」や「与党枠」の存在を認めた。一方で、各界で功績・功労があった人として、各省庁が推薦した功労者や各国大使、勲章受章者らは6000人程度という「本末転倒」ぶりだ。だが菅長官の説明についても、野党の調査で信ぴょう性が揺らいでいる。2014年の場合、参加者に招待状を送る業者向けに、内閣府が作成したとされる「仕様書」には、「総理と(官房)長官等推薦者3400人」「与党推薦者2900人」と、記されていることがわかった。14年に比べると、政府が説明した今年の招待者は、首相推薦が大幅に減り、代わりに与党推薦が倍以上に膨らんでいる。「政府説明は、首相の推薦者のかなりの部分を与党の推薦者の中に入れ込んで、首相の推薦者を過小に見せようとしたのではないか」(共産党・田村智子参議院議員)との疑念が浮上している。さらに「首相枠」で、マルチ商法で破綻し特定商取引法違反容疑で捜査を受けた企業の元会長ら、「反社会勢力」が招待されていた疑惑も出ている。首相夫人の関与についても、「安倍事務所で参加希望者を募る過程で夫人からの推薦もあったのは事実」と、認めた。昭恵夫人は、国有地の不透明な売却が批判された森友学園問題で、同学園が新設予定の小学校の名誉校長になり、昭恵夫人付きの政府職員が値引きなどを財務省に問い合わせていたことが批判された。政府は、昭恵氏について「公人ではなく私人」との答弁書を閣議決定し、夫人の国会招致を阻んできた経緯がある。私人のはずの昭恵夫人が首相主催の公的行事の招待者の選定にかかわっていたことになる。
夕食会の「補助」はあったのか 公選法や政治資金規正法に抵触
「私物化」に加え、公選法違反などに抵触する可能性がある資金面での不透明も払拭されていない。安倍事務所が「桜を見る会」の招待者に対して、前夜に都内の一流ホテルで開いていた夕食会では、「1人5000円」の会費が徴収された。だがこのホテルで立食形式のパーティーをする場合、「1人1万1000円(宴会場使用料、税、サービス料込み)」とされ、野党側の照会にもホテル側はそう回答している。ツアーは「安倍晋三後援会」名義で参加を呼び掛けていることから、会費に対して実際の料金との差額分を後援会が「補助」した疑惑がくすぶる。公職選挙法(199条の2)で禁じられている「寄付行為」にあたる可能性がある。首相の説明では、夕食会を含め、旅費や宿泊費などは自己負担で各参加者が旅行代理店に支払い、夕食会の費用は、会場の入り口受付で安倍事務所職員が集金し、ホテル名義の領収書をその場で手渡した。ホテルへの支払いは受付終了後、すべての現金をホテル側に渡すという形で行ったという。首相は料金について、「大多数がホテルの宿泊者という事情を踏まえてホテル側が設定した価格」と語り、会費の補填を否定するが、参加者数や徴収した会費の総額を示す明細書はないという。政治資金収支報告書への記載についても、「後援会や安倍事務所としての収入や支出はなく、収支報告書に記載する必要はない」としている。だが元東京地検検事の郷原信郎弁護士は、「夕食会がホテル主体で行われたかのような首相の説明には、いくつかの疑問点がある」と話す。会費の補填について、安倍事務所側が「1人5000円」ではホテル側への支払いが足りないことがわかっていて、それを補填するために想定参加者数を水増しして、実際の参加者の支払いとの差額を負担した可能性があるとみる。「そもそも一流ホテルが代金を受け取る前に領収書だけを発行することはあり得ない。ホテル名義の領収書が渡されたのなら、事前に安倍事務所の職員から、想定参加者数をもとにその領収書の額面に見合う金がホテル側に支払われたはずだ」その場合は、ホテルへの支払いは後援会の「支出」として、参加者から受領した会費は「収入」として、後援会の収支報告書に記載する必要があると話す。また「参加者個人とホテル側の間で費用をやりとりした場合には、首相夫妻や事務所の関係者も会費を支払う義務が生じる」。未払いならその金額分の飲食が無償でホテル側から提供されたことになり、一方で払っていた場合には、首相側の収支報告書に支出を記載しないと、政治資金規正法に抵触するという。
閣僚は「しっぽ切り」でしのいだが 「疑惑」にこたえる立場に
一方でホテル側の「値引き」の背景に、夕食会費用を安く請け負う対価として、首相サイドの別の催しなどの仕事を回してもらうといった動機があったのでは、との声もある。即位の礼に関する一連の宴席が開かれるなかで、10月23日にこのホテルでは、夕食会の会場と同じ場所で来日した外国首脳を招いた首相夫妻主催の晩さん会が開かれ、その費用は1億7200万円だったという。一連の疑問に対し、ホテル側は、「料金は、顧客によってさまざまな要望や条件があるので一概には言えない。条件によって料金が変わるかどうかも言えない」という。ただ、夕食会費用など、取引の内容を記録した明細書は保管しており、「主催者の要望があれば再発行をする」という。9月に発足した安倍改造内閣では、公設秘書が有権者らに香典やメロンなどを配った疑惑が報じられた菅原一秀経産相が、また妻の河井案里参議院議員が選挙運動でウグイス嬢に規定の金額以上の日当を払った問題で河井克行法相が、10月下旬に相次いで辞任したばかり。第2次安倍政権以降では、関連政治団体が寄付金や観劇会の収入を過小に計上した政治資金規正法違反問題で小渕優子経産相が辞任したのを皮切りに、健康が理由の1人を除き計9人が金をめぐる問題や「失言」などで、辞任してきた。その都度、安倍首相は任命責任を指摘されながら、疑惑の説明責任を閣僚に求め、「トカゲのしっぽ切り」で政権を維持してきたが、今回は自らの疑惑に対して、説明責任どころか、「潔白」を証明する必要が出てきた。
予算を上回る支出、常態化  膨張を隠してきた?内閣府
問題の深刻さを感じさせるのは、安倍長期政権のもとでさんざん指摘されてきた「忖度」や官僚組織の「弛緩」への疑念、が桜を見る会の問題でも垣間見られることだ。毎年度、予算を大幅に上回る支出が常態化しながら、どこもストップをかけようとしなかったこともその一つ。桜を見る会の参加者数は、安倍政権になって年々増え続け、14年の1万3700人から19年は1万8200人。支出額も14年の3005万円が5519万円に増えてきた。だが内閣府は予算要求の際、参加者数を8000人と実態より大幅に少なく見積もり、15年度以降の予算計上額は1767万円とずっと同じだ。予算を超えた分は、「庁費」と呼ぶ、さまざまな事務費をまかなう会計課所管の一般共通経費から融通してきており、「毎年の桜を見る会の参加人数が読めない状況で、最低限の人数を前提にして予算要求をしてきた結果」という。だが、前年の状況から判断すれば、ある時期からは参加人数が増えるのは予想できたはずで、政治の要求に受け身で応じながら、桜を見る会の予算を庁費にもぐりこませて、増額を目立たないようにしてきたのが真相ではないのか。今年の場合も、内閣府は予算案の審議中に、予算の前提を大幅に上回る1万8000人前後の参加者を想定して飲食物提供などの業務の入札を公告し、予算が成立した数日後、予算の倍以上の額で業者と契約していた。「桜を見る会が4月に開催されることを考えると、予算成立前の発注はやむを得ず、また国会の査定や議決対象になっているのは、内閣府全体の一般共通経費などの大きな支出項目で、法律的には問題はない」と、政府は説明する。だが、予算審議中にその予算を大幅に上回る発注をするのは、国会軽視でもあり、長年、繰り返してきたことで感覚がまひした結果だろう。「支出が予算を上回るのはわかってはいたが、内閣府が自分たちの経費を削ってまかなうと言うわけだし、財政事情が厳しいときにこちらから予算を増やせとも言えない」と、予算査定をしてきた財務省は言う。だが、不透明な予算支出を黙認してきたことへの批判は免れない。この数年の予算編成では社会保障費の自然増をいくらに抑えられるか、と血眼になり、また医療などの自己負担引き上げの必要性を訴えてきた。その最中に、額は少ないとはいえ、首相や与党には大甘な支出が行われていたことに、納得する国民はいないのではないか。
資料要求受けた日に「名簿廃棄」 森友問題と同じ構図
内閣府は、野党から招待者数や支出額などを記録した文書の公表を求められると、「5月9日にシュレッダーで廃棄した」と説明している。その日は、共産党の宮本徹衆議院議員が、数日後に国会の委員会で質問するために招待者の推移や予算額、参加者が増えている理由について資料要求をした日だった。内閣府側は、連休前から廃棄を準備していたが、シュレッダー利用の予約が重なり、たまたま連休後の9日になったと説明する。だが、宮本議員は「廃棄のタイミングがあまりにもドンピシャリだ。首相の関係のことはわかりませんと言うために、廃棄したとしか考えられない」と話す。11月26日には、野党議員らが名簿を裁断したとする大型シュレッダーを視察、約1万5000人分の招待者名簿に相当する枚数の用紙を投入すると、34秒で裁断された。各局の使用が重なり、大量の廃棄があったからという内閣府の説明はいかにも苦しい状況だ。見る会の招待者名簿などの文書保存期間は麻生政権時代には3年だったが、安倍政権になって1年になり、さらに去年4月から「1年未満」になった。今年4月の見る会の関連文書では、各省庁の推薦者についての文書は残っているが、「首相枠」や「与党枠」の推薦を所管する内閣官房(総務官室)だけはすでに廃棄したという。「1年未満というのは、役所の判断次第でいつでも廃棄できるというのと同じ」と宮本議員は言う。政権に配慮し政権に都合の悪い情報を国民から隠そうとしたのでは、との疑いが消えない。仮にそうだとしたら、森友学園への国有地売却問題で、「私や妻が関与していれば首相も国会議員も辞める」と発言した首相の国会答弁の後に、財務省が公文書の廃棄や改ざんを始めたのとまったく同じだ。政権への「忖度」があれだけ批判を受けたにもかかわらず、改まらないどころか、学んだのは「資料の廃棄」だけ、ということになる。  

 

●「桜を見る会」7つの疑惑、モリカケ化が止まらない 12/3
首相主催の「桜を見る会」は、いまや単なる安倍晋三政権批判ありきの「政治ゲーム」と化している。ゲームの主要プレーヤーは、一部メディアや立憲民主党、日本共産党などの野党の大半であり、さらに「反権力」「反安倍」を信奉する識者が相乗りしている。
この方々の発想は簡単で、「箸が転んでも安倍政権批判」とでもいうべきスタンスであり、論理の跳躍、ゴールポスト(論点)の移動などはお手のものである。
10月の消費税率の引き上げ実施前には、「国会が再開されれば、最大論点として戦う」とあれだけ公言していたのだが、その主張は後退している。元々、消費増税や経済問題で、現政権に本気で対決するよりも、テレビや新聞で受けのいい話題に食いつくことで、内閣支持率の低下を狙う方が割のいい戦略に見えるのだろう。
確かに、森友・加計学園問題と同様に、報道されればされるほど支持率は低下の傾向を示す。ただし、テレビなどで取り上げられなくなると再び回復するかもしれない。
これは支持と不支持を決める人たちの、近視眼的な行動によるものだろう。近視眼的になるのは、やはり報道の在り方に大きな責任がある。
今まで「桜を見る会」に関する「疑惑」は主要なものでも6点、細かいものを足すと十数件に及び、五月雨式に報道されている。その顛末(てんまつ)がどうなったのか、そしてそれが本当の疑惑なのか、道義的な問題なのか、法的な問題なのかをいちいちチェックしていったら、さすがに時間の制約のある一般の人では情報処理が難しくなるだろう。
同様の状況はモリカケ問題でも起きていた。このため、多くの人たちが「なんか安倍政権は怪しい」「安倍政権は支離滅裂だ」と思うのも無理のない側面がある。
われわれはみんな限定された合理性の中で生きていて、場当たり的、つまり近視眼的に自分を納得させてしまうのだ。だがそれゆえ、マスコミの責任もまた大きい。
それでは、筆者が気付いた「桜を見る会」の主な「疑惑」を整理してみよう。
(1)「桜を見る会」には、後援会や支援者、さらには社会貢献が不明な人が増えており、「私的な催し」と批判されるほど税金の使途としておかしな点がある。
(1)に対して批判の側面が出るのは、もっともである。ただし、安倍内閣だけが後援会や「議員枠」などで招待客を募っていたわけではなく、民主党政権を含む歴代の内閣が同様の運営を行っていた。この批判を受け、政府は来年の会中止を即時に決め、招待客の基準もより明確にするという。通常の合理的判断ならば、この問題はこれで基本的に終焉(しゅうえん)するはずだったが、そうはならなかった。いわゆる「モリカケ化」の始まりである。もちろんその風潮を、筆者は批判的に見ているのは言うまでもない。
(2)「桜を見る会」前日に行われた安倍首相の後援会関係者が集まる夕食会(前夜祭)で、ホテルニューオータニ(東京都千代田区)が設定した1人当たりの会費5千円は安すぎる。有権者に対し、安倍首相側が利益供与した公職選挙法違反の疑いがある。
いつの間にか、「桜を見る会」からゴールポストが移動している。(2)については、ホテルの設定価格としては特段に不思議なものではない、というのが社会的常識であろう。パーティー形式についても、それまでの顧客との信頼関係などでどうにでもなる。ちなみに産経新聞などの報道では、立憲民主党の安住淳国対委員長の資金管理団体が、やはりニューオータニで前記の夕食会に近い料金で朝食セミナーを開催しているという。もちろん、このセミナーは適法に行われており、何の問題もない。ならば、なぜ安倍首相関係のパーティーだけが疑惑の標的にされるのだろうか。その答えはやはり「安倍政権批判ありき」なのだろう。ちなみに、作家の門田隆将氏はツイッターで、「立憲・安住淳氏の“会費2万円で原価1739円のオータニパーティー”報道以来、桜を見る会の報道が激減」しているとインターネット上の情報を活用して投稿している。もちろん、安住氏にも安倍首相にもこの設定価格で何の疑惑もないことは明瞭だが、マスコミがその報道姿勢から明らかにこのネタが使えないと判断したのではないだろうか。マスコミの報道姿勢に関する疑惑はますます深まったと言わざるを得ない。
(3)上記夕食会において「領収書がないのはおかしい」疑惑。
これについては、報道で既にホテルから領収書が発行されていることが分かっている。
(4)安倍首相の政治資金収支報告書に、夕食会の収支記載がないのはおかしい。
この「疑惑」は簡単で、直接ホテル側に会の参加者が料金を払い、安倍事務所が介在していないためである。単に事務所のスタッフがホテルの領収書を手渡しただけのようだ。これをおかしいと指摘する専門家も少数いるが、もし「おかしい」のであれば、「お金のやり取りには直接介在していないが、手渡しでホテルの領収書を代わりに事務所が渡した場合でも、政治資金収支報告書に記載する」と法改正すべきだろう。ただ個人的意見を述べれば、あまりに些末(さまつ)すぎて法改正の時間の無駄にも思える。
(5)ホテルの明細書がないのは不自然なので、ホテルニューオータニの責任者を国会に参考人で招致すべきだ。
パーティーなどで明細書を発行しない場合もあるのではないか。顧客との信頼関係など、それこそケース・バイ・ケースだろう。そもそも価格設定が不適切だという話から、明細書や領収書問題が出てきたのではないか。(2)で書いたように、価格設定自体に不自然なものは特にない。個人的には、ニューオータニもとんだとばっちりを受けているとしか思えない。
(6)「桜を見る会」に反社会的勢力が招かれていた問題と、行政処分や特定商取引法違反容疑で家宅捜索を受けた「ジャパンライフ」元会長が招かれていた問題。
今度はまた「桜を見る会」に戻ってきた。そもそも報道などで暗に示される「反社勢力」がよく分からないという問題も指摘されている。今後、なにかしら具体的に出てくるのかもしれないが、現状ではよく分からないとしか言いようがない。それはさておき、現在最も話題になっているのが、主に高齢者を対象にしたマルチ商法を展開して消費者に大きな損失を与え、経営破綻したジャパンライフの元会長を、2015年の会に招いたことだろう。ただし報道によれば、特定商取引法違反で消費者庁から最初の業務停止命令を受けたのは2016年で、さらに家宅捜索が入ったのは2019年4月である。未来を正確に予測して、招待客をいちいち選別しなければならないとなると、政府もなかなか大変である。なお、14年に書面の不記載で行政指導を受けたことが問題視されているが、もし行政指導された企業を招待しないのであれば、マスコミ各社も該当するのではないだろうか。また、ジャパンライフの広告に「桜を見る会」の招待状が利用されたり、加藤勝信厚生労働相とジャパンライフ元会長が食事したり、ホテルでジャーナリストや政治家を参加者に毎月懇談会を開催していたことが報道されている。ただし、朝日新聞はこれらの動きを安倍首相の責任問題にしたいらしいが、さすがにそれは筋違いであろう。宣伝に悪用したジャパンライフの問題が優先的にあるのではないか。懇親会に呼ばれたメンバーには、テレビ朝日『報道ステーション』コメンテーターの後藤健次氏や、NHK解説委員長(当時)の島田敏男氏、毎日新聞特別編集委員(当時)の岸井成格(しげただ)氏(故人)といったジャーナリストが名を連ねている。また、同社顧問には朝日新聞元政治部長の橘優氏が就いていた。朝日新聞では、このジャパンライフの宣伝活動を批判しているのだが、安倍首相や自民党議員に特に焦点を当てているようである。自社の元社員の責任などもあるだろうし、他のジャーナリストたちも体よく宣伝として利用されていたのだろう。だが、安倍政権批判ありきの前ではそういう指摘は通用しないのかもしれない。ちなみに、ジャパンライフの広告は行政処分後もマスコミ掲載されていたというが、もちろんこの指摘も通じない。安倍首相の「責任」だけが取りざたされるのである。
(7)内閣府が招待客の名簿などをシュレッダーで廃棄処理したことに関し、「タイミングが怪しい」「隠蔽(いんぺい)だ」問題。
野党の大半が参加した内閣府のシュレッダー見学報道には、あきれたの一言だった。野党側は、今年5月9日に国会で名簿の存在について質問した直後に、資料がシュレッダーにかけられたことを「疑惑」として騒いでいた。しかし実際には、国会質問前の4月22日に処分の予約が入っていた。国会質疑とは全く関係ないどころか、単に仕事の都合でしかない。
このようにいろいろ列挙したが、一つ言えるのは、無責任な「疑惑」自体こそシュレッダーにかけるべきである。経済や安全保障といった重要問題で、与野党の本格的な攻防を見てみたい、いつもそう願っている。  

 

●桜を見る会で露呈した政治劣化と安倍政権の行く末 12/8
拡大出席者が撮影した「桜を見る会」前日の夕食会の様子。安倍晋三首相と妻昭恵氏(左から2人目)らがグラスを手にマイクの前に立っている=2017年4月14日、東京都千代田区のホテルニューオータニ
安倍晋三首相が主催する「桜を見る会」をめぐってさまざまな疑問がわき起こり、政権が苦境に追い込まれている。政府・与党は、12月9日の臨時国会の閉会で野党の攻勢も収まると期待しているが、メディアも含めて疑惑の追及は続く気配だ。
このままだと、年明けの通常国会も「桜国会」となるのはさけられず、歴代最長を誇る安倍政権は大きく揺らいでいる。政局は「ポスト安倍」に向けてじわりと動き出した。今回の問題があぶり出した政治の劣化をまとめつつ、今後の展望を考えてみたい。
共産党議員の暴露を機に始まった本格追及
「桜を見る会」については、かねて1700万円ほどの予算なのに5000万円を超える支出が続き、参加者も安倍政権以前の1万人程度から1万8000人ほどに増えていると、野党議員から指摘されていた。
今回、本格的な追及が始まったのは、11月8日の参院予算委員会で共産党の田村智子参院議員が、安倍首相の後援会員の約850人が参加していることを暴露、会の私物化ではないかと批判してからだ。「桜を見る会」の開催要項には、各国の大使、官公庁の幹部、都道府県代表者らに加え「各界で功績、功労のあった人」を招くことになっている。約850人の後援会員が「功績、功労のあった人」とはいえないのは明らかだ。
さらに、安倍首相の山口県下関市の地元事務所が、後援会員を対象に東京の観光旅行を募集。そのなかに「桜を見る会」が組み込まれており、前日にはホテル・ニューオータニで「前夜祭」が催されていたことも明らかになった。会費が5000円。「通常なら1万円以上なのに安すぎる。安倍事務所が補填(ほてん)していれば、地元有権者への寄付行為に当たり、公職選挙法違反だ」という指摘が相次いだ。
安倍首相の説明後も止まらない疑惑
相次ぐ追及に対し、安倍首相は急きょ、記者団に説明。@「桜を見る会」の参加者が増え、多くの後援会員を招いたことは反省し見直すAニューオータニの前夜祭が5000円となったのはホテル側の判断であり、多くの人がホテルに宿泊することが考慮された。事務所から補填はしておらず、公選法違反には当たらない――などと述べた。そのうえで、2020年(来年)の「桜を見る会」は中止して、会のあり方を抜本的に見直すことを決めた。
それでも、疑惑追及は止まらない。マルチ商法で多くの被害者を出し、経営破綻した「ジャパンライフ」の山口隆祥元会長に招待状が出されていたことも判明した。
ジャパンライフは、虚偽広告などで2014年に消費者庁から行政指導を受けていたが、15年春の「桜を見る会」に招待され、招待状をもとに安倍首相と山口元会長との親密さをPRするチラシを作成し、勧誘に使っていた。野党側は「この招待状がマルチ商法の被害をいっそう拡大した」と指摘している。
さらに、野党側は「桜を見る会」には反社会勢力が参加し、菅義偉官房長官らと写真を撮っていたと追及。参加者の名簿などを公表するよう実務を担当した内閣府に迫った。しかし内閣府は、招待者名簿は5月にシュレッダーで破棄したと説明。招待者の詳細は明らかにされないままだ。
変わっていない安倍政権の体質
一連の疑惑追及で明らかになった問題点は、
@税金で運営されている国の行事に招待される人が恣意(しい)的に選ばれ、とりわけ、安倍首相の後援者が多く含まれているのは公私混同、行事の私物化ではないか
Aジャパンライフのように招待状が悪用されたのもずさんな人選によるものではないか
B前夜祭が割安で開催されてきたのは公選法違反ではないか
C招待者名簿などが恣意的に破棄されているのは、公文書管理法に反するのではないか――などである。
安倍政権は以前にも、森友学園に国有地を売却する際の関連文書をめぐり、財務省が安倍首相の夫人・昭恵氏などに関連する部分を削除し、厳しい批判を浴びている。また、安倍首相の“盟友”である加計孝太郎氏が理事長を務めていた加計学園の獣医学部新設をめぐっても、学部設置の規制緩和などで特別扱いがあったのではないかという疑惑が指摘された。
安倍首相は「深く反省する」という釈明を繰り返したが、「桜を見る会」の問題で、またもや「権力の私物化」や「ずさんな公文書の扱い」が露呈したかたちだ。安倍政権の体質は変わっていないとの見方が、野党ばかりでなく、与党内にも広がっている。
首相官邸を直撃する問題
森友学園問題は国有財産を管理する財務省、加計学園問題は大学設置の許認可権を持つ文部科学省がそれぞれ担当し、安倍首相や菅官房長官は直接責任をとる立場ではなかったが、「桜を見る会」はまさに首相官邸を直撃している。
そもそも首相主催の催しであり、事務局は首相・官房長官直結の内閣府だ。安倍首相の推薦枠は1000人もいたとされ、その選定のずさんさが問題となっている。公文書管理が恣意的だったのも内閣府だ。
7年前の政権発足以来、文字どおり“屋台骨”として官邸を支えてきた菅義偉官房長官は、連日の記者会見で記者から厳しい質問を受け、答えに詰まって官僚からメモを受け取るシーンが多くなった。安倍首相枠で山口ジャパンライフ元会長が招待された経緯などは、菅氏が答えられる範疇(はんちゅう)を超えているし、内閣府による招待者名簿の破棄は説明がつかない点が多く、菅氏も対応に苦慮している。災害対応や閣僚の辞任などの危機管理で手腕を発揮してきた菅氏の弱体化は、安倍政権全体の失速につながっている。
一方、降って湧いた疑惑の追及を続ける野党は勢いづいている。国会での質問や政府への合同ヒアリングなどで連携を強めている。立憲民主党と国民民主党との合流のメドが立たないなか、「桜疑惑」が野党共闘を加速している格好だ。
臨時国会閉幕で関心が薄れる?
この「桜政局」は今後、どんな展開をたどるだろうか。ここでは三つの可能性をあげておこう。
第一は、臨時国会の閉幕とともに桜問題への関心が薄れ、年明けの通常国会では大きなテーマにならないという展開である。政府・与党の狙いもそこにある。
安倍政権としては、通常国会で大規模な景気対策のための2019年度補正予算案を速やかに可決、成立させ、20年度予算案も3月末までには成立させたい考えだ。関連法案の審議を経て、7月から東京五輪・パラリンピックとなれば、政権の勢いも回復するだろうと期待している。
その後、21年秋の衆院議員の任期切れをにらみ、衆院の解散・総選挙に踏み切るタイミングを探り、総選挙で勝利すれば、21年秋の自民党総裁任期を控え、「総裁4選」の可能性も出てくるという楽観論も、安倍首相の周辺にはある。
政権が行き詰まり衆院解散か退陣?
拡大参院本会議で答弁する安倍晋三首相=2019年12月2日
とはいえ、桜問題の根は深く、簡単には乗り切れそうにない。そこで、浮上する第二のシナリオは、この問題が燃え続け、安倍政権が行き詰まるという展開である。 ・・・ 

 

●“二つの戦略”で「桜を見る会」問題から逃げる 12/10
「モリカケ問題」の教訓が生きた? 
「桜を見る会」問題で、安倍政権は野党の追及をかわし逃げ切りを図る。柱となるのは二つの戦略。モリカケ問題で得た「教訓」が元になっているという。AERA 2019年12月16日号では、二つの戦略について政府関係者に取材した。
桜を見る会をめぐり、政府の支離滅裂が止まらない。5日には、菅義偉官房長官が記者会見で火だるまになった。発端は、野党議員が資料請求した直後に内閣府が破棄した出席者名簿。実際にはまだバックアップデータが残っていたのに、国会答弁ではそのことを明かさなかった。菅氏はその理由について、こう言い放ったのだ。
「バックアップデータは行政文書ではない」
「(国会議員からの資料請求は)対象が行政文書であることが前提だ」
記者側は猛反発した。
──公文書管理法のガイドライン改定に携わった専門家から、「組織が作成・管理に当たっている以上、行政文書である」との批判が出ている。指摘をどうとらえるのか。
「内閣府から、バックアップファイルは、一般職員が業務に使用できるものでないことから組織共用性を欠いており、行政文書には該当しないと説明を受けている」
──共産党議員の資料要求の際に、バックアップデータの存在を知らせなかったのはなぜか。
「繰り返しになってしまうが、招待者名簿はあらかじめ決められたルール等、手続きに従って廃棄している。かつ、バックアップファイルは一般職員が業務に使用できるものではないことから、組織共用性を欠いており、行政文書に該当しないという認識のもとに、適切に対応したものだったと思う」
菅氏はこの日、事務方が何度も差し入れるペーパーを読み上げ続けた。普段は余裕たっぷりで会見を仕切る菅氏の目が、終始泳いでいるようだったと出席した記者の一人は証言する。
このやり取りを見た、ある自民党関係者は言う。
「あの菅さんが、該当しないと断定せず、『該当しないと説明を受けている』と発言の責任を事務方に転嫁するような曖昧な発言をした。これは、よっぽど追い詰められているな」
安倍政権が重視するのは、「桜を見る会」の問題を第2の「モリカケ問題」にしないこと。そのための戦略は、大きく分けて二つあるという。
一つ目は、「安倍首相を矢面に立たせないこと」だ。今回、安倍首相は普段は行わないぶら下がり会見に応じ、国会の要請があれば、いつでも説明する用意があると印象づけた。しかし、実際には野党が首相出席の集中審議を求めても、与党がそれに応じることはなかった。政府関係者はこう証言する。
「モリカケが長期化したのは、疑惑の当事者である安倍首相が当初、国会で『私や妻がこの認可、あるいは国有地払い下げに関わっていたのであれば、私は総理大臣を辞める』などと発言してしまったことが原因だった。安倍首相は、とくに昭恵さんが関わる問題に関しては躍起になって自ら弁明しようとするが、すればするほど傷が深くなる。一番いいのは、首相出席の集中審議を開催しないことだ」
その半面、この戦略には安倍首相の代わりに、矢面に立つポジションが必要となる。それが菅官房長官だった。対メディアという意味でも、官房長官会見は、1日2回、毎日、開催されている。主催は「記者クラブ」とはいえ、会見を仕切るのは実質、官邸。しかも菅氏は日本最長の政権を支え続ける辣腕だ。
「あとは時間稼ぎですよ。連日、この問題をやっていれば、必ず、他にも重要な法案があるだろう、と、野党やマスコミの攻勢にうんざりする世論が広がる。その上で、野党が審議を欠席しようものなら好都合。逆にそれが野党にとって痛手になる」(前出の政府関係者)
二つ目の教訓は「内部文書の流出を防ぐこと」だ。モリカケの時、政権を揺るがしたのは野党の追及よりも、むしろ、その都度、政権の内部からメディアに流出した内部文書だった。いま、流出を防止することに、とくに首相周辺は躍起になっているという。ある自民党幹部はモリカケ問題をこう分析する。
「財務省の佐川宣寿理財局長が、ないと断言した森友学園と財務省とのやりとりを示す文書。そして、加計問題をめぐっては『総理のご意向』を書かれた内部文書がリークによって表沙汰になり、これは詰んだなと思った。ないと言い続けてきた文書が出てきたんだから。今回の件でも、破棄したとされている名簿が、何らかの形で出てきたら大変なことになる。官邸はそればかり気にしているはずです」

「桜を見る会」をめぐって顕著なのは、安倍政権を支える与党議員からの援護射撃が少ない点だと、ある野党幹部は言う。
「本来であれば、もっと野党に対する攻撃が、与党の個別の議員から飛び出してもいいはず。それが出ないのは、『シュレッダーにかけたのは予定通り』『データは復元できない』『バックアップデータは公文書にあたらない』といった官邸の説明に、腹の中では納得していないから。そればかりか、そんな馬鹿なと思っているからですよ」
官邸が「桜を見る会」をめぐる問題を沈静化できないのは、会への招待者を含め関係者があまりにも多く、モリカケのときのような官邸主導の事実上の隠蔽工作が不可能だからだ。
そこで、安倍政権が選択したのが、日米貿易協定などの重要課題さえも早々と処理して、会期を延長せず臨時国会を閉じて「逃げ切り」を図る戦法だ。政府関係者はこう本音を漏らす。
「新しい爆弾が飛び出さない限り、逃げ切れるだろう。この問題をきっかけに、安倍首相が、来年の通常国会の冒頭に解散に打って出る可能性はほぼない」
一方の野党は問題発覚後、立憲民主党や共産党などが合同の追及チームを結成。その後、問題が拡大するとみるや、これまでにない大規模な野党合同の追及本部を設置して共闘する体制を固めた。ある野党の幹部は、モリカケ問題への対応を念頭にこう話す。
「今回は、桜を見る会に関する資料を独自に入手した共産党がカギだった。いつもは、野党内にも共産党アレルギーの濃淡があるため、国会で野党がひとつになって政府を追及するには時間がかかるが、今回はほぼ独自情報は共産党頼りだった」
その一方、立憲民主党と国民民主党は解散総選挙を念頭に、両党が一つになる方向での話し合いを水面下で進めている。対等な「合併」なのか、野党第1党の立憲民主党に国民民主党が「吸収」される格好なのか。その主導権争いが、問題追及と同時並行で行われていたのも事実だ。
参院選で躍進したれいわ新選組代表の山本太郎氏は、早々とその主導権争いに見切りをつけ、次の総選挙では全ての選挙区で独自候補を擁立する方向に舵を切った。山本氏が事実上、立憲民主党を見限ったのだと関係者は言う。
「確かに桜を見る会は大問題だけれども、それは解散総選挙の大義にはならない。結局、野党の旗印は消費税しかないと山本氏は考えている。山本氏は本来、消費税廃止を主張しているのに、野党共闘のため5%にするとまで譲歩した。にもかかわらず連合の顔色を窺い、乗ってこなかった枝野幸男代表では、政権交代はおろか、現状以上の議席確保も難しいと判断した」
とはいえ、桜を見る会の問題は、国会が閉じたとしても首相の説明責任がなくなるものではない。朝日新聞の投稿欄にこんな投稿があった。
「内閣府 ない、かくす、と聞こえる」。問題が沈静化する気配はない。 

 

●「桜を見る会」問題が象徴する安倍政権の体質 12/11
またもや首相が逃げ切ったという感じの臨時国会の幕切れとなった。
安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に関する野党の追及に、菅義偉官房長官や官僚らが矛盾だらけの説明を繰り返す一方、安倍首相はまともに対応しようとはしなかった。国会が閉幕した12月9日の記者会見も、「招待者の基準が曖昧であり、結果として招待者の数が膨れ上がってしまった」などとひとごとのような説明に終始した。
この間、日米貿易協定などの重要政策の審議は国民の視野から遠のいてしまった。自らの関与が疑われている問題について誠実に説明しようとしない安倍首相の倫理観の欠如した姿勢は、「森友・加計問題」以降繰り返されているが、今やそれが政界と官界にまで拡散している。
桜を見る会に対する安倍首相の説明回避の姿勢は徹底していた。不都合な事実関係が次々と表面化すると、首相官邸で記者団に一方的に説明する「ぶら下がり」を数回行い、それを免罪符だと考えたのか、予算委員会は結局開かれなかった。代わりに説明役を引き受けたのは内閣府の官僚や菅官房長官だったが、その説明も新たな事実を前に矛盾だらけとなっていった。
廃棄した出席者名簿がバックアップデータとして残っていた事実が出ると、菅官房長官は「バックアップデータは行政文書に該当しないことから、情報公開請求の対象にはならないと聞いている」と説明するしかなかった。記者からの質問に答えられないため、繰り返し秘書官に説明を求める菅長官のやる気のなさそうな映像が、安倍政権の体質を象徴していた。
国会審議では政権の成果を強調し、都合のいい主張を繰り返す。野党の追及には時に自席からヤジまで飛ばす。ところが不都合な事実が表面化すると、委員会出席を拒否し、普段はやらない「ぶら下がり」で一方的に話す。このような安倍首相の対応には、国民にきちんと説明しようという責任感は見られない。
9日の記者会見でも、問題なのは「招待者の基準が曖昧」だったことであり、自分の責任で見直すとして、自らの関与や後援会のかかわり方など問題とされている点については何も触れなかった。
首相の代わりに説明役を担わされた閣僚や官僚は、事実関係を明らかにすることよりも、安倍首相を傷つけないことを重視し、場当たり的につじつまを合わせようと無理な理屈を作り上げていった。そして、この理屈が破綻すると、知らぬ存ぜぬを通すしかなくなる。こうした光景に倫理感のかけらも感じることはできない。
同じことは安倍政権でこれまで何度も繰り返されてきた。森友・加計問題が沸騰した2017年は、財務省の局長による公文書の改ざんや虚偽答弁まで明らかになった。中央省庁の局長が首相を守るために公務員としての最低限の矜持であるべき倫理観まで放棄した。そして、これだけの重い事実が明らかになったにもかかわらず、上司である麻生太郎財務相は責任も取らないまま今も財務相を続けている。
野党が憲法の規定に基づいて臨時国会召集を要求すると、外交日程などを理由に拒否し続け、あげくに9月に臨時国会を召集すると、委員会審議などしないまま、いきなり冒頭で衆院を解散してしまった。安倍首相は自分に不都合なことを国会で追及されることがどうしてもいやなようだ。
国会は、首相がやったことが犯罪であるかどうかを調べ判断するような場ではない。それは捜査機関の仕事である。国会の果たすべき役割は、国政が公正、公平に行われているかチェックすることである。予算の編成や執行、あるいは政策などが特定の人たちの利益になるよう恣意的に作られたりしていないか、執行されていないかなどをチェックするのである。
憲法には、内閣は行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負うと書かれている。内閣の行政運営について国会が問題ありと判断すれば、最終的手段として不信任決議を行うことができる。しかし、いきなりそこまでやらなくても日常的には、国会が本会議や委員会などの場で説明を求めたり改善を要求し、首相以下内閣のメンバーがそれにきちんと対応すればよい。内閣と国会があらゆることで対立したのでは国政は滞ってしまい、経済も社会も混乱する。
つまり、首相が国会の場できちんと説明し、問題があれば謝罪するなり改善するなりしていけばいいのである。それが議院内閣制の根幹である。ところが、安倍首相は明確な根拠を示さないまま自らの正当性を主張し、あとは頬かむりして時間が過ぎるのを待つということを繰り返している。これでは政権の透明性は失われ、国民の目の届かないところで限られた人たちだけの判断で、重要な事柄が決められてしまっているのではないかという疑念がわいてくる。
より深刻な問題は、「安倍一強」と言われる政治状況の中で首相のこうした姿勢が、政界や官界にも広がっていることだ。
桜を見る会のような問題が表面化しても、安倍首相は非を認めず、説明もしない。代わりに対応する官僚は、首相の対応に合わせて答弁したり、つじつまを合わせるための理屈を作り出さなければならなくなる。その結果、前述のように首相を守るために公文書を書き換えるというような行為も出てくるのである。逆に首相の対応には問題があったなどと正論を主張すれば、つぶされてしまいかねない。こんな空気が官僚機構の中に広がっているのだ。
むろん、多くの官僚が私欲を捨ててまじめに仕事をしていることは事実である。桜を見る会についても、複数の中央省庁幹部が、官庁に割り振られた招待者の推薦名簿については、「OBで叙勲などを受けた人を対象に厳格に選んでいる。恣意的に招待するなどということはありえない」と話してくれた。しかし、首相官邸主導の下で物事が決められていく中、官僚の行動様式に変化が生まれていることも事実である。
政界も同じである。政治資金をめぐる問題で辞任した菅原一秀前経済産業相や河井克行前法相とその妻の参院議員は、結局、国会開会中には姿を現さないままに終わった。彼らも何の説明もする気がないようだ。時間が経てばほとぼりが冷めるとでも思っているのであろう。
悪い冗談のような話だが、安倍首相は2018年4月、国家公務員合同初任研修の開講式で国家公務員になったばかりの若者を前に、「国民の信頼を得て負託に応えるべく、高い倫理観の下、細心の心持ちで仕事に臨んでほしい」と訓示している。首相が言うように私益を追求するのではなく、公益の実現が使命である公務員や国会議員に、倫理観は最低限、必要なものである。
ところが長期政権の下で、「首相に逆らうわけにはいかない」「いうことを聞いておけば守られる」という忖度の空気が広がれば、行政における恣意性が高まり、その結果、公平さ、公正さが損なわれ、不平等が生まれかねない。そうなると官僚機構のみならず統治システム全体に対する国民の不信感が拡大していく。そして、一度壊れた倫理観を修復することは容易ではない。 

 

●「桜を見る会&森友学園」疑惑も本質は同じ。要は忖度! 12/11
「桜を見る会」疑惑が次々と浮上し、安倍内閣に厳しい目が向けられている。本年11月に憲政史上最長在任の首相となった安倍晋三氏という存在が、「安倍一強」と呼ばれた強引な政権の瓦解が、今、始まったのだろうか……。ジャーナリスト・田原総一朗氏と『「安倍晋三」大研究』の著者で東京新聞記者・望月衣塑子氏の二人が、「安倍政権の正体」を暴く!
森友学園疑惑を再検証して分かる、「桜を見る会」問題の本質
望月・・・森友学園疑惑(下段【注】参照)は、どう思われますか?今年10月に、検察側は籠池夫妻どちらにも懲役7年を求刑しました。そして「桜を見る会」の件を見ていると、モリカケ問題と同じようなことが、次々と明らかになってきています。
田原・・・これは望月さんに聞きたい。それに、『「安倍晋三」大研究』では、籠池夫妻が釈放された半年後の2018年12月に、釈放後夫妻では初のインタビューもしている。籠池さんは、安倍さんの大応援団だったはずなのに、どういう理由で、いつから敵になったのか?
望月・・・最初は自分を支援してくれた“縁故者”だった籠池さんが、“敵”に変わったのは、2017年3月23日に国会での証人喚問に立った時だと思います。嘘がつけない場で、籠池さんは、昭恵夫人を介して安倍首相から、寄付金100万円を受け取ったことを証言しました。安倍首相はのちに、テレビの番組で籠池さんのことを「籠池さんは詐欺を働く人間。昭恵も騙された」とも発言しています。
田原・・・何で安倍さんが籠池さんのことを、「詐欺を働く人だ」とまで言うのか?自民党は大反対だったが、野党は籠池さんを国会に参考人として招致したいと再三求めた。ここから驚天動地で、国会招致から証人喚問になった。なぜ、出頭拒否が出来ない虚偽答弁を行うと処罰される証人喚問になったのか?安倍さんがそう証人喚問にしろと言ったのか?
望月・・・安倍首相自身が、そのような要求をしたかどうかは分かりません。安倍首相は2月17日には籠池さんのことを「教育に対する熱意が素晴らしい」「私の考えに共鳴している人」だと言っていたのに、同月24日には「非常にしつこい人」「教育者としていかがなものか」と否定する方向へと変わっています。また、証人喚問前には、安倍事務所の初村秘書から「昭恵夫人の名誉校長の称号を外してくれ」と電話があったといいます。
【注】 「森友学園疑惑」は、もともと豊中市議の木村真さんの疑問がきっかけで始まった。朝日新聞が2月9日に、約8億円の値引きを1面トップでスクープ。その後、2月17日の衆議院予算委員会で安倍首相が「私や妻が関係していたら、首相も国会議員も辞める」と述べたことで、騒ぎは加熱。昭恵夫人がその学園の名誉校長だと出たあたりから、猛烈な批判が集中し始めた。昭恵さんは、名誉校長を突如辞任。そして夫妻は、2月20日に酒井弁護士経由で、財務省・佐川理財局長からの“身を隠せ”という指示もあったと籠池夫妻は話している。また、同月22日には内閣府で、佐川理財局長らによる官房長官会議が開かれ、財務省から出てきた一連の文書を確認。ここで財務省の文書改ざんが決まり、始まったといわれている。さらにその後、籠池さんが100万円寄付の話をし、郵便局の振替受領票がその傍証として示され、これも大きな注目を集める。が、首相側は全面否定。そして結局、3月23日、籠池さんは出頭拒否出来ない国会の証人喚問に立った。
田原・・・しかし、それにしてもなぜ8億数千万もの値引きとなったのか?
望月・・・値引きの根拠は、廃材ゴミでした。学園の土地の地下約3・8メートルより深い位置にあるゴミの撤去費用ということでしたが、このゴミが実はなかった。
田原・・・なぜ「ない」のに、「ある」ということが通ったのか?
望月・・・要は、安倍首相案件だからです。籠池夫妻と安倍昭恵夫人の繋がりが見えたことで、地元の近畿財務局を始め、土地を所有する国交省、近畿財務局を含めた財務省、学園を認可する大阪府など、官僚たちが「忖度」して、この件がスムーズに進むよう便宜を図った。
田原・・・安倍首相が「下げろ」と言ったのか?
望月・・・安倍首相は、直接言っていないと思います。
田原・・・それでは安倍昭恵夫人が言ったわけ?
望月・・・昭恵さんも言ってないと思います。
田原・・・僕は、この問題を一番深く取材したのは「朝日新聞」の大阪社会部だと思う。その中でも一番、深く長く取材した人物に「なぜ、8億円下げたのか?」と聞いた。それから、菅野完氏にも聞いたんだが……。しかし、経産省の文書改ざんにしても、国有地の約8億円の値引きにしても、今回の「桜を見る会」と同じで、理由やその経緯が、はっきりしないことばかりだ。森友学園疑惑では特に、なぜ文書を改ざんしなければならなかったのか、この点をうやむやにしないで欲しい。
望月・・・そうですね。その点に凝縮されていますね。
田原・・・僕も取材したいけれど……。
望月・・・世の中の人も忘れてはいないのです。絶対に封印させてはいけないと思っています(【補足】参照)。
【補足】 籠池夫妻が本年10月31日、特派員記者クラブで記者会見を行った。10月の論告求刑公判で「検察が籠池夫妻に懲役7年を求刑したこと」を受けての会見だった。記者の質問に答える形で、籠池さんは、「2017年4月に瑞穂の國記念小學院の開校には、安倍夫妻が来ることが決まっていた」と話し、それに間に合わせるべく建設は急ぎ進められたという。そうした中で、工事関係者のキアラ設計、藤原工業側の主導で全てが進んでいったと主張している。また、別の取材の時には、元大阪府議の人物が籠池夫妻に、キアラ設計と藤原工業という会社を紹介したという経緯も話している。同記者会見で籠池氏は、「森友学園は今、民事再生中です。しかし管財人が破産の方向で進めようとしているのです。森友学園がなくなれば、2回にわたる家宅捜索で押収された膨大な資料を、検察は返却する必要もなくなるのです。財務省や昭恵夫人、政治家との関わりが分かる証拠書類が闇に葬られる……」と主張している。
国際舞台で日本の政治家が発言出来ない理由
田原・・・トランプ大統領が、「ニューヨークタイムズ」と「ワシントンポスト」の記事をフェイクニュースだと言った。それがきっかけで、ニューヨークタイムズとワシントンポストはどんどん部数を伸ばした。日本の場合、東京新聞が頑張っても部数が伸びない。「安倍新聞」と揶揄される「産経新聞」も伸びてない。この間、朝日新聞の幹部に、「最近の朝日はつまらないね」と言ったら、「部数が伸びてないから、取材費を落としている。それと、働き方改革で取材が出来ていない」ということだった。
望月・・・いまの新聞記者は、かつてに比べて大人しくなったと思われますか?
田原・・・そういう意味では望月さんは貴重な存在。こんなうるさい人はあまりいない。でも、日本の他の新聞記者はなぜ、おとなしくなったのか?
望月・・・アメリカでは、先生が言ったことをまず疑い、その上で「議論を始めましょう」となります。日本では、そういうことが小中高では教えられない。大学の先生が色々話した後、「みんなどう思う?」と聞いても、答えてくれないそうです。自分たちの中で何がよくて何が悪いか分からないまま、疑問の目を育てないまま、小中高時代を過ごしてしまうわけです。だから考えたり、発信したりする力は低下するばかりです。
田原・・・宮澤喜一さんが、先進国首脳会議や国際会議で日本の政治家は発言しないと指摘していた。「なぜ、しないのか?」と聞くと、「英語が話せないからだ」と言っていたが、それは「違う」と思う。日本の教育が悪い。特に、小中高が良くない。教師は、生徒に正解のある問題しか聞かない。正解を答えないと生徒は怒られるんだよ。だから政治家も正解を答えないといけない。先進国首脳会議やG7に、正解なんてあるわけがない。アメリカやヨーロッパでは正解のない問題を生徒に提示している。イマジネーションやディスカッションを重視して、こうしたことをするわけだ。日本は正解を求めてばかりだから、いつまで経っても西欧の人たちから相手にされない。意見表明がないから、“不思議の国の人たち”としか見えないからね。
望月・・・今、政府が進めている、英語の民間試験導入などのそもそもの下地になるものは、アベノミクスの第三の矢「成長戦略」を議論するために設けられた「産業競争力会議」にあったという指摘があります。つまり、産業界のニーズのために大学改革や高校教育の改革を行おうとしている。
「官房長官を記者みんながボイコットすればいいだけだ!」
田原・・・望月さんが官邸から怒られても、記者仲間は望月さんの味方しないよね。どうしてそんなにだらしないのか。官房長官を「ボイコットする」とみんなで決めればいい。
望月・・・それができない……。
田原・・・どうして、そんなにだらしないんだ。
望月・・・安倍長期政権の威力に新聞記者は屈しているということなのかもしれません。
田原・・・違うと思う。ただ、記者たちは一切取材拒否すればいいんだ。そうしたら、官邸の方が、「頼むから取材してくれ」となるんだ。
望月・・・新聞記者の多くは、官邸に取り込まれてしまった、ということになるのかもしれません。
田原・・・ストライキできないのか……。民主党政権はなぜ潰れたか。潰したのは検察だった。言い換えると、検察が小沢一郎を潰した。西松建設事件で。小沢のトップ秘書を逮捕し禁錮3年執行猶予5の判決が下されたが、小沢本人は結局、不起訴処分。それで今度は陸山会事件。世田谷・深沢の土地購入をめぐる資金疑惑でまた逮捕。マスコミはみんな「小沢が悪い」と、ワッーと一斉に叩いた。そのとき、ある新聞の幹部に、「この情報は全部検察から出てるはず。なぜ、検察からの情報と書かないのか」と言った。そしたら、「書いたら出入り禁止になる」。しかし、もっと悪いのは民主党議員までが、「小沢が悪い」と言い出したこと。結局、民主党はそれで分裂した。あの時、望月さんは?
望月・・・特捜担当で、小沢さんの案件は取材していました。
田原・・・それで、「小沢は悪くない」と書いた?
望月・・・いえ、書いていません。
田原・・・僕は、「小沢は悪くない」と言ってた。ロッキード事件以後、検察は色々と検挙摘発したけれど、リクルート事件などは絶対、冤罪。鈴木宗男事件も、ホリエモンのライブドア事件と、検察の強権捜査が続いた。僕は堀江貴文さんも冤罪だと見ている。逮捕される前の日まで僕は彼と対談していたんだ。彼が「フジテレビ」を買収した時、マスコミは全部アンチ堀江になったけど、僕は堀江支持だった。この問題が決着し、彼が衆議院選挙に出たタイミングで検察が逮捕。容疑は証券取引法違反だった。結局は部下の役員たちが堀江さんの名前で粉飾決算をしていたことが分かって、無罪を主張したが、堀江さんは懲役2年6カ月の有罪判決。粉飾をしたのだから、会社の代表である堀江さんに確かに責任はあるけれど、色々考えると本当は執行猶予だったと思う。そこで、重要なのがジャーナリズム。新聞とテレビの役割は大きい。しっかりしてもらわないと困るんだよね。
望月・・・ネット時代と言われていますが、真相を掘り起こしていくのがジャーナリズムだと思っています。例えば森友学園疑惑を掘り起こしたのは、社会部の記者たちですが、そもそもの端緒は、豊中市議の木村真さんが地道な調査の中で怪しい土地の売却や、値引きの経緯を発掘したことです。それをもとに記者たちが取材しました。こういう調査報道では、オールドジャーナリズムといわれる新聞にはいまだ強さがあると思います。新しいメディアは、読みやすさはありますが、十分な調査報道が出来るだけの人や、お金が足らないという事情もあるでしょうね。例えば「毎日新聞」が続けている「公文書クライシス」、東京新聞も「税を追う」という特集キャンペーンを張っています。じっくり時間をかけて、細かく取材ができる体制があるのは新聞だし、雑誌ジャーナリズムの力でもあると思います。こうしたものがないと政権の暴走を許すことになってしまうと考えています。
田原・・・東京新聞の望月さんには、徹底的に森友学園疑惑をやって欲しい!この問題が始まった時から追って、籠池夫妻にもインタビューもしているんだから。頼んだよ! 

 

●海外メディアに変化?「安倍スキャンダル」はこれからが「満開」 12/13
数々の疑惑が噴出した「桜を見る会」の真相が見えないまま、臨時国会が閉会になりました。
与党側からは、「逃げ切った!」 「これで、『桜問題』はすぐに忘れられるだろう」 といった安堵の声も聞こえるようですが、果たして世間の反応はどうでしょうか? 海外の報道を見る限り、「安倍スキャンダル」は、まだまだ忘れられる気配はなさそうです。
空気が一変した「シュレッダー発言」
海外メディアは「桜を見る会」にこれまでも関心を示していましたが、空気が一変したのは安倍晋三首相の「あの」国会答弁でした。
招待者名簿を内閣府が廃棄していた問題で、担当職員が「障害者雇用」であると言及。名簿廃棄と障害者雇用を関連付けた「配慮を欠いた発言」だと国内でも非難を浴びましたが、これを海外メディアが大きく取り上げたからです。
The strange tale of Japan's prime minister, official documents and a very large shredder (公文書と巨大シュレッダー、日本の首相の奇妙な話:The Washington Post)
Japan PM Slammed for Revealing Operator of Document Shredder in Scandal Was Disabled (日本の首相が、スキャンダルになっている書類の廃棄を障害者が担当したと明かして、強く非難されている:The New York Times) be slammed:強く非難される
私も安倍首相の国会答弁を聞いて、驚きのあまりひっくり返りそうになりましたが、あの発言は完全にNGでしょう。担当者が「障害者雇用」であることはまったく問題の本質と関係ありません。「海外だったらボコボコに叩かれるだろうな」と思っていたら、案の定、複数の海外メディアが即座に反応しました。
人権問題により敏感な海外メディアが、障害者を差別するような安倍首相の発言を問題視したのは当然でしょう。
なかには、「最悪の言い訳」と強く非難した記事もありました。「言ってはいけないこと」の一線を越えた発言だと受け止められたようです。
安倍スキャンダルは「おいしいネタ」が満載!
海外メディアの報道を見る限り、「桜を見る会」は忘れられるどころかより厳しいトーンで報じられています。なかでも皮肉たっぷりなのが、フランスのAFP通信の報道です。
Cherry blossoms prompt full-blown scandal for Japan's PM (「桜」が日本の首相のスキャンダルを「満開」にした) prompt:刺激する、促す full-blown:満開の
「桜を見る会」が「It might be the most Japanese of political scandals」(日本最大の政治スキャンダルになるかもしれない)と示しつつ、その理由を「It has plenty of juicy elements」 (「おいしいネタ」がてんこ盛り)だと分析しています。
「juicy」は、日本語でも飲み物や食べ物が「ジューシー」だという意味で使いますが、「興味をそそる」とか「ビジネスのうまみがある」といった意味もあります。ここでは、「おいしいネタ」というニュアンスでしょうか。
しかも、「おいしいネタ」として、「マフィアと疑われる人たちが出席していた」「証拠が消える」「障害者雇用をめぐる安倍首相の失言」をあげています。世間の関心を引く「ネタ」が次から次へと出てくるので、もっと大きなスキャンダルに発展する可能性があると示唆しているのでしょうが、それにしても容赦のないストレートな表現です。
ほかのメディアも、安倍首相の支持率が低下し始めたことや、首相の4選を望まないといったアンケート結果を報じています。
Japan Cherry Blossom Scandal Starts to Drag Down Abe Support  (日本の「桜を見る会」スキャンダルが、安倍首相の支持率を落とし始めた:Bloomberg)
As scandal simmers, majority of Japan firms want PM Abe to finish term  (スキャンダルがくすぶっているなか、日本企業の大多数が安倍首相の4選を望まない: Reuters)   simmer:くすぶる
こうして見ると、海外メディアでは、「桜を見る会」については「スキャンダル」だという認識がすっかり定着しているようです。AFPが指摘するように、「マフィア」や「シュレッダー」など、万人の関心をそそる「おいしいネタ」が次々と飛び出してきますから、まだまだ忘れられることはなさそう。海外メディアのストレートな報道、これからも追っかけていきたいと思います。 

 

●なぜ「桜を見る会」問題は社会を1ミリも動かさないのか 12/14
一体、この1カ月間は何だったのか――。臨時国会が閉会した12月9日、記者会見の場に立った安倍首相は、野党に追及されている「桜を見る会」問題について、これまで通りの説明を改めて繰り返した。
「公費を使う以上、これまでの運用を大いに反省し、今後、私自身の責任において全般的な見直しを行っていく」
一方の野党も、11月8日の共産党・田村智子参院議員の質問にはじまり、舌鋒鋭く政権を批判、メディアを巻き込んで議論を大いに盛り上げたが、次の一手を打ち出せない。与野党ともに自らの主張を繰り返すばかりで、議論が空転し続けたようにも見える。
「『この騒動は何だったのか』と、国民が思うのも無理はありません。騒がしかっただけで、実は1ミリも社会が動かない。この状態は、この数年の日本社会の言論状況を象徴しています」
そう語るのは日本大学危機管理学部教授で、日本思想史が専門の先崎彰容氏だ。
「SNSが普及し自分の意見を簡単に表明できる時代になって、情報にアクセスできるまでの時間、意見を表明するまでの時間がどんどん短くなっている。その結果、今、私たち国民をふくめ、メディアも深い議論をせず、いかに素早く反応できるかだけが問われるようになってしまった。
すると、口にするのは『意見』ではなく、単なる感情的な好悪にすぎなくなる。今の日本は不祥事が起こると、国民もメディアも『感情』を意見と勘違いしてしまうのです。でも、結局は『好き嫌い』の話ですから、議論はかみ合いません。一見、話し合っているように見えても、みんな“撃ちたい方向に銃を撃っている”だけで、話はかみ合わない。
さらに、どちらにも与しない『無党派層』にとっては、感情的な『お決まりの意見』にしか聞こえませんから既視感しかなく、そのまま数週間もすれば、次の話題に移ってしまうのです」
安倍政権が憲政史上最長になった理由
『違和感の正体』『バッシング論』(ともに新潮新書)などの著作で、社会批評を手掛けた先崎氏は、憲政史上最長の在任日数になった安倍政権を生み出した言論状況について、次のように分析する。
「1990年代にインターネットが世の中に広がり、2000年代に携帯電話が、2010年代に入るとスマートフォンやSNSが広まっていった。第2次安倍政権が成立したのは2012年12月。まさにネット社会が定着して、世の中が『好き嫌い』の感情を表出する時代になったタイミングです。
何かスキャンダルが起こっても、頭を伏せて銃撃戦がやむのを待っていれば、自然に話題が次へと移っていった。もちろん政権内部の権力基盤を強化し、中心メンバーが結束して政権を運営している安倍政権特有の強さもありますが、この時流に乗ったという側面は大きいと思います。『桜を見る会』の一件もその流れに乗っているのです」
「国民」へのすり寄りが透けてみえる
ただ、「桜を見る会」をめぐる野党の追及はやり過ごせても、イメージダウンは森友学園や加計学園をめぐる疑惑より大きいのではないかと、先崎氏は指摘する。
「今回の事態は、政治の世界で『間違った大衆化』が進んだ帰結のように思います。たとえば、ネットで『桜を見る会』に関連した写真を探せば、総理大臣という権力のトップにいる人間が、芸能人と馴れ馴れしくヘラヘラしている写真が次々に目に飛び込んできます。
芸能人と接触すればイメージアップできる、政権に親しみを持ってもらえると思い込んでいる。こうした総理の『国民』イメージは、完全に市井の私たち『国民』の常識から外れている。
たとえば、これらの写真を地方で生活している人が見たらどう思うでしょうか。『政治家は口では偉そうなことを言いながら、都会ではテレビに出ている連中と適当につるんでいるんだな』としか感じません。白けてしまうのです。
5月に投稿された人気グループ『TOKIO』との会食風景をはじめ、総理は最近、公式SNSに次々と有名人と映る写真を投稿していますが、人気者に乗っかってイメージアップを狙ったのに、結果として総理大臣がもつべき権威を投げ捨てている。国民への影響という意味では、マルチ商法の『ジャパンライフ』の元会長との関係より、このイメージ戦略の失敗の方が大きい。森友学園や加計学園の問題に比べても、そもそもスキャンダルとしての緊張感すらないだけに、後々響くような気がしています」
   TOKIOとの会食風景を紹介する安倍首相のTwitter
   TOKIOの皆さんと再会しました。
   福島 復興のために頑張ってくださっています。
   話に花が咲き、本当に楽しいひとときを過ごすことができました!
   — 安倍晋三 (@AbeShinzo) May 12, 2019
この「間違った大衆化」という問題は、野党にも言えることだという。
「名簿を破棄したとされるシュレッダーを取り囲んだり、野党合同ヒアリングで官僚を追及したりしている野党議員の姿を見ていると、『こういう画を国民は喜ぶのだろう』という下心が見えてしまっている。以前に国会で『自民党感じ悪いよね』という品のないプラカードを掲げた野党議員と一緒で、『こうやれば国民にすり寄れる』と思っているのが透けて見えて、国民はバカにされているように感じてしまうのです。
国民は同じ時期に、天皇陛下の即位に伴う儀式もみています。厳粛な雰囲気の中で行われた一連の儀式に、日本の文化の厚みを感じたと思います。それに比べてあまりにも緊張感のない政治の光景に、多くの人は『与党にも野党にも乗れない』という違和感を持つのではないでしょうか」
水戸学の大家が記した日本人への“処方箋”
国会が「言論の府」としての機能を取り戻すには、何が必要なのだろうか。先崎氏は、歴史の中にそのヒントを見出す。
「日本の歴史上、今日のように情勢が一気に変化し、社会が動揺したのが幕末。志士たちに読まれた著作に『新論』というのがあります。水戸学の思想家、会沢正志斎(あいざわ・せいしさい、1782-1863)が書いたこの本は、大きく言えば2つの部分に分けられる。激変した当時の国際情勢について書いてあるのですが、実はそれは著作の後半に置かれている。
では前半は何が書かれていたのか。答えは『日本はどういう国であるか、あるべきか』という大方針でした。つまり現状を分析する前に、『そもそも国家の機軸とは何か』に立ち返ることで、当時の知識人たちは、それぞれの政治行動の指針を得たのです。
今の日本社会で行われているのは、“煮詰まった会議”みたいなものです。みんなが言いたいことを言い合って、何を軸に話し合っているのか分からない。だから、議論に順位付けできず、気付いたら本筋から離れて些末な議論をしている。
『新論』で幕末の志士が原点に立ち戻ったように、国会で本当に話し合うべき国事とは何なのか、原点に立ち戻ってもらいたいと思います。未来の子どもたちが、過去最長の在任期間を更新した前後にその首相が何をしていたか調べたら、『シュレッダーをかけた、かけないで揉めていた』というのでは、あまりに悲しいですから」 

 

●桜を見る会問題、国会審議に占める割合はわずか 12/20
長引かせたのは誠実な回答から逃げ、嘘をつく政権与党
桜を見る会問題が長引いたのはなぜか
桜を見る会問題が長引く原因になった出来事は、4つある。  
1つ目は、11月8日参議院予算委員会での安倍首相の答弁だ。「桜を見る会の参加者が毎年増加しているのは、安倍首相や与党議員の後援会の支援者を呼んでいるからでは?」と共産党の田村智子議員に追求されると、安倍首相は「お答えを差し控える」を連発するとともに、「私は、主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取りまとめ等には関与していないわけであります」と発言した。  
しかしその後の報道で、「桜を見る会」が組み込まれた観光ツアーへの参加を、安倍晋三首相事務所の名義で地元の有権者へ案内する文書が明らかになるなど、8日の首相の答弁と相反する事実が次々に明るみになった。  
その結果11月20日の参議院本会議で、安倍首相は「(招待者選定について)私の事務所が内閣官房の推薦依頼を受け、参加希望者を募ってきた。私自身も事務所から相談を受ければ意見を言うこともあった」と自らの関与を認めた。  
8日に答弁で安倍首相が、虚偽の答弁をせずに最初から関与を認めていれば、その間の安倍首相による関与を証明する審議もいらず、大幅に時間を省略できたはずだ。  
2つ目は、「首相枠、政治枠」の存在を隠すために、安倍政権で要職につく議員たちが行なった不誠実な答弁の数々だ。例えば萩生田光一文科相は、11月13日の文部科学委員会で桜を見る会に自身の後援会の人間が出席していたことについて追求されると「私が主体的に呼ぶということは仕組み上できませんので、私がお招きした事実はございません」と発言。同日午前の会見で、菅官房長官も「首相枠、政治枠という特別なものはありません」と発言。  
しかし同日午後の会見で、午前から一転し菅官房長官は、政治家への推薦依頼を認めた。  
またしても、政権メンバーの国会を軽視した不誠実な答弁により、貴重な審議時間が無駄に使われた。これまでに多くの嘘をついてきたため、現在の安倍政権は嘘をつくことに抵抗を感じなくなってしまったのかもしれない。  
3つ目は、公文書である招待者名簿を廃棄したことだ。確かに名簿は、内閣府において保存1年未満の文書だった。しかし、共産党議員からの資料要求の1時間後に廃棄処分を開始したのはあまりにも不自然で情報隠蔽だと疑われても仕方がない。  
さらに情報隠蔽だと批判を受けると、12月2日の参議院本会議で安倍首相は「シュレッダーの空き状況や、担当である障害者雇用の短時間勤務職員の勤務時間などとの調整を行った結果、使用予定日が5月9日となった」と答弁したが、わざわざ障害者の職員と公表する必要はないし、責任をその職員に押し付けていると多くの批判が噴出した。  
名簿の文書と電子データを廃棄したために、ジャパンライフの元社長や反社会的勢力などを誰がどのような経緯で招待したのかわからないままだ。  
4つ目は、与党が首相出席の集中審議の開催を拒否したことだ。安倍首相は15日に記者団へ対し、野党が求める予算委員会の集中審議について「国会から求められれば、出て行って説明するのは当然のことだ」と力強く語っていたが、26日の与野党協議で、与党が首相出席の集中審議の開催を拒否したため実現しなかった。首相が国会の場から逃げ回ったために、この問題へ対する十分な追求及び検証はされることがなく、国会は閉会された。  
上記のように、第200回国会を振り返ってみると、桜を見る会問題を長引かせたのは、安倍首相を筆頭にした現政権の面々だったことがわかる。
不誠実な対応を生業とし長期政権を築いた安倍晋三
本記事の検証によって、桜を見る会問題へ対する現政権のあまりに酷すぎる対応の数々が浮かび上がってきた。  
首相や大臣は、国民のためではなく自身や自身の仲間のために保身へ走り、それのためならば国会や記者会見の場でさえ平気で嘘をつく。  
こんな彼らを「長期政権の驕り緩み」と評する人がいるが、私は同意できない。  
現政権の不誠実な対応は、長期政権故に生まれた驕りなどではなく、むしろ彼らはこれを生業とし長期政権を築いてきた。モリカケ問題や南スーダン・イラク日報の隠蔽、統計データの改ざんなどなど、である。  
そのため現在では、嘘をつくことや保身に走ることへ感覚が麻痺し、平気で国民を欺く。そして、不祥事が起きても反省や改善も見られない。最早、自民党内部に自浄作用を期待することもできないことは明らかだ。 

 

●「桜を見る会」問題で安倍首相が犯した最大のミス 12/24
法律違反かどうかが問題なのではない
10月4日に召集された臨時国会は、桜を見る会の問題に終始した。結局、野党は安倍首相に対する不信任決議案を提出できず、安倍首相は一問一答の国会質疑に応じないまま、臨時国会は閉幕した。
出席者名簿は野党が追及した日にシュレッダー破棄され、安倍首相の地元後援会の人々を多数招待。さらには、反社会的勢力とみられる人々が出席していたり、会計が不明瞭であることなど、疑惑は山積みで、深刻な問題だ。
これらの疑惑が真実であるか否か、また、安倍首相がなんらかの法律違反を犯したか否か、というポイントも確かに重要だ。しかし、仮に疑惑が全て真実ではなく、安倍首相が法律違反を一切犯していなかったとしても、やはり大問題である。安倍首相が「李下に冠を正さず」を実行できていなかったからだ。
「李下に冠を正さず」とは、李(すもも)の木の下で、冠をかぶり直せば、すももを盗んだと疑われるので、君子はそれをすべきでないという教えだ。「李下に冠を正さず」の教えは、今日では通用しなくなってしまっているのではないか。
新入行員さえ「李下に冠を正さず」を実行する
国のトップであれ、企業のトップであれ、組織の長たるもの、高いレベルの倫理観が求められる。組織の長だけではない。他の組織の命運を左右する機関に従事する人々にも、法律や常識にとどまらない高い規範が要求される。
社会人になって3年目に、私は保険会社から都市銀行に出向した。その初日に、銀行で上司になる管理職から訓示されたことが、今でも忘れられない。「銀行員には、お取引先の企業や顧客の模範になる振る舞いが要求される。大切な財産を預けてもよいと思っていただける、信用できる人でなければならない。信用できないかもしれないと思われてしまうだけでも、銀行員としての資格を失う」というものだった。
具体的には、「銀行を出て自宅に帰るときには、できるだけ手ぶらであること」「電車に乗るときは、両手でつり革をつかむこと」という一例が挙げられた。書類を持ち帰ったら紛失するおそれがあるかもしれない。両手でつり革をつかまなければ、痴漢に間違われるかもしれない。実際に書類を紛失したか、痴漢をしたかが問題ではなく、紛失するかもしれない、間違われるかもしれないことをしないというルールなわけだ。
これらは法律で決められていることではないし、常識であるとも言えない。しかし、法律や常識よりも高いレベルの行動を銀行員は実施している。新入行員さえ実施している「李下に冠を正さず」を、国のトップが実施できないはずがあるまい。
問題ある上司の部下が不適切事例を引き起こす
国内外企業の人事部長を務めている時代には、社員の不適切事例に直面せざるを得ない場面が幾度となくあった。書類の紛失、会社資産の私的利用、不適切な経費支出などをしてしまった社員には、業界や会社や職位が異なっていても、明らかな共通項が2つあった。
1つは、不適切事例を起こす社員は、モチベーションレベルが低いということだ。モチベーションレベルが低い理由はさまざまだ。上司と合わない、仕事が気に入らない、会社の考え方に納得できない…などだが、モチベーションレベルが下がることで、会社や他のメンバー、取引先に被害や不利益を与えることに対する感覚が著しく鈍る。
こんな会社の書類は大事に扱う必要はない、私利私欲のために仕事を利用してしまおう、会社の経費を流用してしまおうと、言動に歯止めがかからなくなってしまうのだ。
不適切事例を起こす社員のもう1つの共通項は、上司や、直接の上司でなくても、いわば上司層の人が、程度の大小はあっても、同様の行動を行っているということが多いということだ。
銀座で1000万円もの経費を使って接待をした、自分の知り合いの会社を取引先にした、縁故入社を推薦した――これらの不正行為に手を染めた人物の部下は、自分が経費を私的流用しても、似たようなことを上司がやっているのだからおとがめがないに違いない、発覚しても上司から叱責されることはないだろうと考えてしまう。
上司が行っていることは、法律違反や就業規則違反ではないかもしれない。しかし、間違いなく「李下に冠を正さず」にはあたらない。それが、部下に対するけん制機能を働かせなくさせてしまう。ひいては、統治機能が発揮できなくなってしまうのだ。
何百人、何千人という部下の全てを変えることは一朝一夕にはいかない。それよりも、上司1人が、「李下に冠を正さず」という考え方にのっとって行動することの方がたやすい。それができない上司であれば配置転換すればよい。
時の首相が「李下に冠を正さず」という教えを体現できているか否かは、行政全体の統治を左右するような、極めて重要な問題だ。 
 

 

 
 
 

 

2020/1
●桜を見る会があぶり出した憲法改正より大切なこと 1/3
「桜を見る会」の議論は無駄ではない
2020(令和2)年がはじまりました。年が改まると、前年のことをさっぱりと“流して”しまうのが日本人。昨年、世間を騒がせた「桜を見る会」を巡る関心も、一段落している感があります。
安倍晋三総理は、昨年12月の国会閉幕後の講演会で、「桜を見る会」の問題に自ら触れ、「3年ほどの間、国会で政策論争以外の話に多くの審議時間が割かれてしまっていることを申し訳なく思っている」とし、夏の参院選で憲法改正論議を望む民意が示されたとの認識を示したうえで、「憲法審査会でそれに応え得るような中身の議論が行われることを期待したい」と述べました。「桜を見る会」の議論は国にとって「無駄」であり、憲法改正の議論こそが国にとって「有意義」であるとの首相の意思がにじんでいます(詳しくはこちら)。
しかし、私は以前の論考で書いた通り「桜を見る会」の議論は、この政権の隠されていた様々な側面をあぶり出した、極めて有意義なものであったと思っています。そして、そのあぶり出された事実の一つに、顕著な「法と言葉の軽視」があり、それは憲法改正にも関わることですので、本稿ではこれについて、あらためて論じたいと思います。
法や言葉が突如、「定義不明」「解釈変更」に
まず、今般の「桜を見る会」を巡って、政府からなされた「法、言葉」について不可解な説明、答弁を列挙してみましょう。
1 野党議員が5月9日に「桜を見る会」の内閣府の招待者名簿の提出を求めた2時間後にシュレッダーで廃棄されたが、その後8週間、LAN上にバックアップデータが残っていたにもかかわらず、政府は5月21日に国会で招待者名簿について「破棄していた。」と説明した。提出しなかった理由について問われた政府は、「行政文書のバックアップデータは行政文書でない。」と回答した(朝日新聞デジタル2019年12月4日)。
2 「桜を見る会」に反社会的勢力が出席しことが疑われたことから、野党議員が反社会的勢力の定義を問う質問主意書を提出したところ、「反社会的勢力」を「あらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難」とする答弁書を閣議決定した(朝日新聞デジタル2019年12月10日)。
3 野党が「桜を見る会」についての集中審議のために、参議院規則第38条2「委員の三分の一から要求があったときは、委員長は、委員会を開かなければならない」に基づき、11月22日に委員の3分の1以上に当たる15名の開催要求書を参議院議長に手渡したが、「時期の定めがない」としてこれに応じず、国会閉会日の12月9日に残余案件の継続審議を決めるわずか2分の委員会を開いたことをもって「委員会を開いた」とした(東京新聞ウェブ2019年12月7日)
4 「桜を見る会」への推薦基準として、内閣府は各省庁に対し、「褒章の受章者や各界功績者」などと具体的に示していたが、安倍総理の事務所が地元支援者の参加を募った際はこの様な基準は示されておらず、事実上フリーパスだった(ヤフーニュース2019年11月26日)。これについて野党が12月17日のヒアリング説明を求めると、中井亨・内閣官房参事官が「『功労功績』といった定義は中々難しい」と発言した。
5 野党議員が、昭恵夫人の出席する「行事」における公用車の使用についてたずねたところ、「(質問の)意味するところが明らかではない」として応えなかった。記者会見において公用車について尋ねられると、「公用車の定義はさまざま」とした(朝日新聞デジタル2019年12月17日)。
「桜を見る会」が問題として大きく取り上げられたわずか2カ月ほどで、「行政文書」「反社会的勢力」「委員会を開く」「功労功績」「公用車」という常識的にはその意味が明確で、定義に困るようなものではなかった法や言葉が、突如「定義不明」とされたり、従前の定義から突如その意味を変更されたりするといった「解釈変更」をされたのです。
「バックアップは行政文書ではない」は非常識
それでは、上記の政府の突然の「解釈変更」は、はたして妥当なものなのか。それぞれについて見てみましょう。
まず、「バックアップは行政文書でない」です。行政文書は、「公文書管理等に関する法律」、通称「公文書管理法」において、以下の用に定められています。
「公文書管理法 第2条4項
この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)を含む。第十九条を除き、以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」
この条文を見る限り、「桜を見る会」の招待者名簿のサーバーのバックアップデータは、内閣府の職員が職務上作成した電磁的記録であり、内閣府において組織的に用いるものとして内閣府が保有しているものですから、当然「行政文書」に当たるとしか考えられませんし、実際多くの人がそう思ってきました。
ところが、政府はこれを、「バックアップデータを管理する職員『しか』用いないから、組織的に用いるものではない(組織共用性がない)。」として、公用文書でないとしたのです。
しかし、一般に広く「行政文書」として認められている審議会の報告書や審議会における討論資料なども、ほとんどの場合はその審議会の中でしか使われません。「特定の職員しか使わないものは、組織的に用いるものではない。」などと言ったら、省庁で使われている文書のほとんど全ては行政文書でなくなってしまいます。政府のこの「解釈変更」は、余りに非常識なものと言わざるを得ません。
「反社会的勢力」の定義はある
次に、「反社会的勢力をあらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難」ですが、こちらは第1次安倍内閣時の2007年に犯罪対策閣僚会議幹事会申合せにおいて策定された「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」において、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義されています(詳しくはこちら)。
この定義を基に国交省は売買契約・賃貸借契約で用いるモデル条項を広く公表していますので(詳しくはこちら)、ご自身の売買契約書・賃貸借契約書で「反社会的勢力排除条項」を見たことがある人も多いでしょう(ただし、モデル条項は反社会的勢力を「暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又 はその構成員」と狭く定義しています)。
上記の通り定義に広い、狭いはあるものの、2007年から10年以上も国内で幅広く使われてきた「反社会的勢力」の定義をいきなり「定義困難」とする「解釈変更」もまた、極めて非常識なものと言わざるを得ません。
「委員会を開く」については、参議院規則第38条2「委員の三分の一から要求があったときは、委員長は、委員会を開かなければならない」とされている以上、速やかに日程を調整して1週間程度で開催すべきというのが常識的解釈でしょう。にもかかわらず、「規則には時期は定められていない」として20日近くも委員会を開催せず、国会閉会日に残余案件の継続審議を決めるわずかか2分の委員会を開いたことをもって、「委員会を開いた」としたことは、正に非常識な「解釈変更」と言わざるを得ません。
「功労・功績」「公用車」に至っては、その定義が難しいと考える人は極めて限られており、政府がこれを「定義困難」とすることは、ただ単に不可解で非常識としか言いようがありません。
法律には解釈の余地があるが……
ただし、この様な「非常識」な政府の解釈変更がすべて完全な誤りと断定できるかというと、それは必ずしもそうとは言えません。 ・・・  
●「森友」国有地売却問題、国が全面敗訴。裁判で認められた違法性 1/9
「森友学園」への国有地売却問題について、売却額を当初非開示とした国の対応は違法として、大阪府豊中市議が国に損害賠償11万円を求めた訴訟で、国が全面敗訴したと毎日新聞、東京新聞、共同通信、朝日新聞などが報じた。
一審の大阪地方裁判所に続き、国の違法性が認められ、賠償額は増額。請求全額の支払いを命じたという。国は上告しなかった。
昨年12月17日に行われた高裁判決では、「財務省近畿財務局は職務上の注意義務を尽くさず、漫然と非開示の判断をした」と指摘。一審では、国に3万3千円の損害賠償を求められた。
しかし、土地の埋設ごみなどを記載した契約条項の非開示については、「保護者に心理的嫌悪感を与える」として適法とされていた。今回の裁判では、この契約条項の非開示についても違法と判断された。
朝日新聞によると、森友学園は2013年9月、「日本初、日本唯一の神道の小学校」の建設をめざし、土地取得の要望を財務局に提出。当初、資金繰りに余裕がなかった森友学園側は、当面土地を借り、その後購入という異例の契約を要請した。
翌年、当時の籠池理事長から安倍昭恵氏と現地で撮影した写真を見せられ、「良い土地だから話を進めてほしい」と言われたと財務局が聞かされたという。そして、その35日後、財務局から森友学園に「協力する」と伝えられ、2015年4月には、財務省本省の理財局も異例の契約を認めたのだ。
森友学園は2015年3月には、「土地が軟弱地盤」だと主張し、財務局が予定していた年約3300万円から貸付料を減らすよう要求。「軟弱な地盤であるとは思えない」と地質調査会社の見解があったが、5月に年約2730万円で契約を結んだ。
もともとこの土地には浅いところに汚染土やコンクリートがらがあるといわれており、除去工事が必要だった。約1億3千万円を森友学園が立て替え、工事が行われたが、2016年には「新たなごみが見つかった」とし、撤去費を差し引いた額で土地を購入したいと申し出た。当初の鑑定価格は9億5600万円だったが、最終的には1億3400万円で売却した。
   
学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡り売却額を当初非開示とした国の処分は違法として、豊中市議が国に11万円の損害賠償を求めた訴訟で、全額の支払いを命じ国が全面敗訴した大阪高裁判決が確定した。国側が上告しなかった。上告しなかったとは、もう一件落着、逃げ切ったと思っているのか。
国が上告しなかったってことは、地中にごみがあるから森友学園に売る土地をお値引きしたのは国が我ら国民に詐欺を働いたってことでよいの?それいまさら認めるの?
国の全面敗訴 が確定しました。「いつまでやっているんだ森友問題」ではなく「いつまで隠しているつもりなんだ森友問題」であります。政府は説明責任と出処進退を明確にしてください(怒)
森友訴訟、国の全面敗訴が確定 共同通信 まさにこれこそ風化させてはいけない事件。
やっと一定の結論が出ましたね。こういう風な結論が大事だと思います。政争の具にしてはダメです。 / 森友訴訟、国の全面敗訴が確定 国有地売却額非開示で (共同通信) 

 

●「桜を見る会」報道が消えた裏で“ヤバい不正”が次々発覚! 1/11
年頭会見でも安倍首相が自ら一切言及せず無視した「桜を見る会」問題。テレビでも取り上げられることがほとんどなくなったが、ここにきて重大な問題を菅義偉官房長官が認めざるを得なくなった。招待者名簿について、菅官房長官は「ルールに基づいて適切に保存・廃棄している」と説明してきたが、内閣府が「保存期間1年の行政文書」と述べてきた2013〜17年度の招待者名簿が、行政文書ファイル管理簿にも廃棄簿にも記載せず、さらに廃棄前に義務づけられている首相の同意手続きもなかったことが発覚したのだ。
ようするに、公文書管理のルールをことごとく破った違法行為がおこなわれていたわけだが、当初は「省令違反のようなもの」などと言い張っていた菅官房長官も、10日の会見でようやく「公文書管理法の関連規定、内閣府の文書管理規則に違反する対応だった」と違法行為であることを認めたのだ。
言っておくが、これは森友公文書改ざん問題につづく公文書管理のあり方、国民の知る権利を根底から揺るがす国家的犯罪だ。菅官房長官は違法性を認めながらも「事務的な記載漏れ」などと宣っているが、たんに管理が杜撰だったのではなく、安倍政権による意図的な隠蔽であることは疑いようもない。
ここまでくると、いかに安倍政権下の招待者名簿の中身が「ヤバい」ものなのか、おのずとはっきりしたようなものだが、その「ヤバい」理由のひとつが、またも判明した。
それは、2018年開催の「桜を見る会」が、安倍首相の総裁選運動に利用されていた、という疑惑だ。
通常、地方議員の「桜を見る会」の招待は、道府県連の幹部クラスしか招待されないというが、なぜか2018年は一般の地方議員も招待されていた。そこにはカラクリがあり、じつはこの年、自民党は「桜を見る会」の前日に、港区のザ・プリンスパークタワー東京の宴会場で「都道府県議会研修会」なる催しをはじめて開催。ここに地方議員約800人が招待されており、これが翌日の「桜を見る会」とセットになっていたのではないかと指摘されてきたのだ。
実際、2018年の「桜を見る会」開催からしばらく経った同年5月4日、読売新聞朝刊に掲載された「揺らぐ1強」という連載記事では、こんなふうに記述されていた。
〈葉桜を眺めながら、自民党衆院議員の一人は思った。「これは党総裁選を意識した地方の『党員票』対策の一環なんだな」4月21日、東京の新宿御苑で開かれた安倍首相主催の「桜を見る会」。毎年、多くの芸能人やスポーツ選手らが招かれ、華やかなムードに包まれる。すでに桜が散っていた今年は、地方議員の姿が目立った。北関東の党県連関係者は「県連幹事長ら幹部に加えて、今年は一般の県議まで首相から招待状が届いた」と驚いたように語る。党員とじかに接する都道府県議らの政権評価は、総裁選の党員票に影響を与える。前日には、都内のホテルで、約800人の地方議員を集めた党主催の研修会が開かれた。安倍は財務省などを巡る一連の不祥事を陳謝。党の顧問弁護士も登壇し、森友学園の国有地売却問題を巡り、「安倍昭恵さんが関係したとの報道があるが、事実と違う」と火消しした。〉
しかし、一体どれくらいの地方議員が「桜を見る会」に参加していたのかは不明だったのだが、この疑問に迫ったのが「しんぶん赤旗日曜版」1月12日号。同紙では、直接取材や地方議員のSNS・ブログなどを調査、2018年の「桜を見る会」に参加していたことが確認できた自民党地方議員の数が121人にものぼることを伝えたのだ。
無論、今回判明した「桜を見る会」に参加した地方議員121人という数は氷山の一角にすぎない。というのも、昨年12月14日付けの毎日新聞の調査結果では、京都、福島、滋賀という3府県では、〈府県連所属のほぼ全府県会議員が招待されていた〉といい、〈大阪や岐阜で「研修会に出席すれば『見る会』に出られた」との回答があった〉〈「希望すれば見る会に出席できる」「奥様も一緒に」と呼び掛けていた〉とも報告されているからだ。しかも、この2018年が「特例」だったことは明らかで、しんぶん赤旗の取材に対し、ある大分県議は「招待されたのは18年だけ」と証言している。
さらに、この年の「桜を見る会」前後の安倍首相の「必死ぶり」は、首相動静からもありありと浮かび上がってくる。
じつは研修会の前日である4月19日の午前中、安倍首相はアメリカ・フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘で日米首脳会談をおこなった。安倍首相は同日午後にアメリカを飛び立ち、20日16時13分に羽田空港に到着。すると、その足で研修会がおこなわれたザ・プリンスパークタワー東京に直行し、講演。懇親会にもしっかり出席すると、そのあとはホテルニューオータニに向かい、今度は安倍晋三後援会主催の「桜を見る会前夜祭」に出席。しかも、その後は虎ノ門にあるホテル・アンダーズ東京のバーに出向き、自民党の北村経夫参院議員や山口県議らと懇談し、翌21日は「桜を見る会」が開会されてもいない朝7時49分から新宿御苑で地元・山口県の後援会関係者らと写真撮影をおこなっている。
まさに大車輪の“私的”な活動のための過密スケジュールだが、じつはこの20日夜に、安倍首相は北村議員や山口県議らに「9月もあるのでよろしく」と語っているのだ。この発言は、それまで安倍首相が9月の総裁選への出馬について明言していなかったことから「3選に意欲か」と報じられた。
ようするに、安倍首相は明確に、総裁選の選挙運動として研修会を開催して地方議員を都内に招待し、「桜を見る会」を接待の場として大々的に活用したのである。
それを裏付けるように、しんぶん赤旗によると、総裁選で安倍首相と戦った石破茂議員の地元・鳥取県の議員で「桜を見る会」に参加した者は確認できなかったという。あまりに露骨な話ではないか。
2019年の「桜を見る会」をめぐっては、安倍自民党が7月の参院選で改選を迎えた党所属の参院議員に、後援会関係者らを「4組までご招待いただけます」と記載した案内状を1月に送っていたことが判明しているが、これは税金を使った「桜を見る会」という公的イベントを、組織的に選挙運動に利用していたという公職選挙法違反にあたる事前運動の決定的な証拠であり、れっきとした有権者買収だ。そして、まったく同じように、2018年には総裁選の選挙運動として、国民の税金で地方議員を接待していたのである。安倍首相の「私物化」の極みではないか。
しかも、問題は研修会のほうにもある。前述した読売新聞が伝えていたように、問題の研修会では〈党の顧問弁護士が森友問題への首相や昭恵夫人の関与を火消しするような発言をし〉たといい(前出・しんぶん赤旗)、さらには、あの小川榮太郎氏による陰謀論本『徹底検証「森友・加計事件」 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)まで配られた。総裁選で地方の票の行方に神経をとがらせていた安倍陣営が、1票でも多く地方議員の票を掻き集めるべく、懸命に「モリカケは陰謀だ」と“洗脳”しようとしていたことがうかがえるだろう。
だが、問題なのは、「桜を見る会」と研修会の開催日をどうやって決めたのか、ということだ。しんぶん赤旗によると、この研修会を取り仕切ったのは総裁選で安倍陣営の事務局長を務めた、当時自民党幹事長代行だった萩生田光一文科相。萩生田氏は自身のブログで「桜を見る会」開催日の決め方について、〈毎年、総理官邸と幹事長室で開催日を調整する〉(2019年4月19日付)と綴っているのだ。
主催は総理大臣とはいえ、この公的行事を取り仕切っているのは内閣府だ。それなのに、官邸と自民党がその開催日を決定しているとは、一体どういうことなのか。これは安倍政権下での「桜を見る会」が安倍自民党によって私物化されてきたことを象徴する何よりもの証拠だと言えよう。ちなみに、自民党の研修会の開催日が発表されたのは、2018年の「桜を見る会」開催日発表の3日後にあたる1月29日。総裁選対策として研修会と「桜を見る会」をセットにしたことは、これで明々白々だろう。
参院選のために税金で有権者を買収し、さらには自分の総裁3選のために税金で地方議員を接待していた──。20日からはじまる通常国会での追及が必要だ。 
●なぜ「桜を見る会」問題は社会を1ミリも動かさないのか 12/14
一体、この1カ月間は何だったのか――。臨時国会が閉会した12月9日、記者会見の場に立った安倍首相は、野党に追及されている「桜を見る会」問題について、これまで通りの説明を改めて繰り返した。
「公費を使う以上、これまでの運用を大いに反省し、今後、私自身の責任において全般的な見直しを行っていく」
一方の野党も、11月8日の共産党・田村智子参院議員の質問にはじまり、舌鋒鋭く政権を批判、メディアを巻き込んで議論を大いに盛り上げたが、次の一手を打ち出せない。与野党ともに自らの主張を繰り返すばかりで、議論が空転し続けたようにも見える。
「『この騒動は何だったのか』と、国民が思うのも無理はありません。騒がしかっただけで、実は1ミリも社会が動かない。この状態は、この数年の日本社会の言論状況を象徴しています」
そう語るのは日本大学危機管理学部教授で、日本思想史が専門の先崎彰容氏だ。
「SNSが普及し自分の意見を簡単に表明できる時代になって、情報にアクセスできるまでの時間、意見を表明するまでの時間がどんどん短くなっている。その結果、今、私たち国民をふくめ、メディアも深い議論をせず、いかに素早く反応できるかだけが問われるようになってしまった。
すると、口にするのは『意見』ではなく、単なる感情的な好悪にすぎなくなる。今の日本は不祥事が起こると、国民もメディアも『感情』を意見と勘違いしてしまうのです。でも、結局は『好き嫌い』の話ですから、議論はかみ合いません。一見、話し合っているように見えても、みんな“撃ちたい方向に銃を撃っている”だけで、話はかみ合わない。
さらに、どちらにも与しない『無党派層』にとっては、感情的な『お決まりの意見』にしか聞こえませんから既視感しかなく、そのまま数週間もすれば、次の話題に移ってしまうのです」
安倍政権が憲政史上最長になった理由
『違和感の正体』『バッシング論』(ともに新潮新書)などの著作で、社会批評を手掛けた先崎氏は、憲政史上最長の在任日数になった安倍政権を生み出した言論状況について、次のように分析する。
「1990年代にインターネットが世の中に広がり、2000年代に携帯電話が、2010年代に入るとスマートフォンやSNSが広まっていった。第2次安倍政権が成立したのは2012年12月。まさにネット社会が定着して、世の中が『好き嫌い』の感情を表出する時代になったタイミングです。
何かスキャンダルが起こっても、頭を伏せて銃撃戦がやむのを待っていれば、自然に話題が次へと移っていった。もちろん政権内部の権力基盤を強化し、中心メンバーが結束して政権を運営している安倍政権特有の強さもありますが、この時流に乗ったという側面は大きいと思います。『桜を見る会』の一件もその流れに乗っているのです」
「国民」へのすり寄りが透けてみえる
ただ、「桜を見る会」をめぐる野党の追及はやり過ごせても、イメージダウンは森友学園や加計学園をめぐる疑惑より大きいのではないかと、先崎氏は指摘する。
「今回の事態は、政治の世界で『間違った大衆化』が進んだ帰結のように思います。たとえば、ネットで『桜を見る会』に関連した写真を探せば、総理大臣という権力のトップにいる人間が、芸能人と馴れ馴れしくヘラヘラしている写真が次々に目に飛び込んできます。
芸能人と接触すればイメージアップできる、政権に親しみを持ってもらえると思い込んでいる。こうした総理の『国民』イメージは、完全に市井の私たち『国民』の常識から外れている。
たとえば、これらの写真を地方で生活している人が見たらどう思うでしょうか。『政治家は口では偉そうなことを言いながら、都会ではテレビに出ている連中と適当につるんでいるんだな』としか感じません。白けてしまうのです。
5月に投稿された人気グループ『TOKIO』との会食風景をはじめ、総理は最近、公式SNSに次々と有名人と映る写真を投稿していますが、人気者に乗っかってイメージアップを狙ったのに、結果として総理大臣がもつべき権威を投げ捨てている。国民への影響という意味では、マルチ商法の『ジャパンライフ』の元会長との関係より、このイメージ戦略の失敗の方が大きい。森友学園や加計学園の問題に比べても、そもそもスキャンダルとしての緊張感すらないだけに、後々響くような気がしています」
   TOKIOとの会食風景を紹介する安倍首相のTwitter
   TOKIOの皆さんと再会しました。
   福島 復興のために頑張ってくださっています。
   話に花が咲き、本当に楽しいひとときを過ごすことができました!
   — 安倍晋三 (@AbeShinzo) May 12, 2019
この「間違った大衆化」という問題は、野党にも言えることだという。
「名簿を破棄したとされるシュレッダーを取り囲んだり、野党合同ヒアリングで官僚を追及したりしている野党議員の姿を見ていると、『こういう画を国民は喜ぶのだろう』という下心が見えてしまっている。以前に国会で『自民党感じ悪いよね』という品のないプラカードを掲げた野党議員と一緒で、『こうやれば国民にすり寄れる』と思っているのが透けて見えて、国民はバカにされているように感じてしまうのです。
国民は同じ時期に、天皇陛下の即位に伴う儀式もみています。厳粛な雰囲気の中で行われた一連の儀式に、日本の文化の厚みを感じたと思います。それに比べてあまりにも緊張感のない政治の光景に、多くの人は『与党にも野党にも乗れない』という違和感を持つのではないでしょうか」
水戸学の大家が記した日本人への“処方箋”
国会が「言論の府」としての機能を取り戻すには、何が必要なのだろうか。先崎氏は、歴史の中にそのヒントを見出す。
「日本の歴史上、今日のように情勢が一気に変化し、社会が動揺したのが幕末。志士たちに読まれた著作に『新論』というのがあります。水戸学の思想家、会沢正志斎(あいざわ・せいしさい、1782-1863)が書いたこの本は、大きく言えば2つの部分に分けられる。激変した当時の国際情勢について書いてあるのですが、実はそれは著作の後半に置かれている。
では前半は何が書かれていたのか。答えは『日本はどういう国であるか、あるべきか』という大方針でした。つまり現状を分析する前に、『そもそも国家の機軸とは何か』に立ち返ることで、当時の知識人たちは、それぞれの政治行動の指針を得たのです。
今の日本社会で行われているのは、“煮詰まった会議”みたいなものです。みんなが言いたいことを言い合って、何を軸に話し合っているのか分からない。だから、議論に順位付けできず、気付いたら本筋から離れて些末な議論をしている。
『新論』で幕末の志士が原点に立ち戻ったように、国会で本当に話し合うべき国事とは何なのか、原点に立ち戻ってもらいたいと思います。未来の子どもたちが、過去最長の在任期間を更新した前後にその首相が何をしていたか調べたら、『シュレッダーをかけた、かけないで揉めていた』というのでは、あまりに悲しいですから」 

 

●桜見る会名簿不記載 法治国家の対応ではない 1/14
日本は本当に法治国家なのかと疑わざるを得ない。
菅義偉官房長官は10日の記者会見で、首相主催の「桜を見る会」の招待者名簿を「行政文書ファイル管理簿」に記載していなかった内閣府の対応は公文書管理法違反に当たると認めた。菅氏はよく「わが国は法治国家だ」と口にする。名簿の取り扱いについても「適切」と強弁してきた。
だが違法行為が明確である以上、原因を究明し責任の所在を明らかにした上で抜本的な再発防止策を示すべきだ。国民への説明責任を果たさなければならない。それが本来の法治国家の在り方である。
公文書管理法は第1条で行政機関の文書について「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付け、将来の国民への説明責任を果たすよう求めている。
今回、名簿を管理簿に記載しなかった内閣府は公文書管理法の所管官庁だ。ずさんの極みと言うほかない。名簿を破棄した際には、首相と協議して同意を得ると定めた同法の「事前同意」の手続きも踏まなかった。これまで内閣府の担当者が名簿を「破棄した」と答弁した時点でバックアップデータが残っていたことも判明している。
政府は森友・加計学園問題で批判を受け、2017年に行政文書管理のガイドラインを改正し、行政の意思決定過程や事業の検証に必要な文書の保存期間を原則1年以上にすると決めた。一方で内閣府は名簿の保存期間を内規で1年未満と定め、廃棄の理由を「会の終了で使用目的を終えた。膨大な個人情報の適切な管理も難しい」と説明した。
しかし2万人程度の個人情報は役所では珍しくない。他省庁は名簿を3〜10年保存している。内閣府が管理簿に記載しなかった2013年〜17年度の期間、桜を見る会への参加者や支出は膨らんだ。名簿は貴重な税金の使い道を検証するために必要な文書だ。
税金で開催した行事は国民に説明責任を果たすため検証可能にするのは行政として当然だ。それができないのは民主主義の根幹に関わる危機的事態と言える。名簿管理のずさんさからすると、意図的に検証できないようにしていると疑われても仕方がない。
桜を見る会を巡っては、預託商法などが問題視された「ジャパンライフ」元会長を首相推薦枠で招待したり反社会的勢力が参加したりした疑惑がある。安倍晋三首相の地元の有権者が多く招かれたことや、前夜の夕食会の会計処理について公選法や政治資金規正法に違反する可能性も指摘されている。
こうした疑惑につながる実態を覆い隠すために文書管理をおろそかにしているのなら日本はもはや法治国家とは言えない。共同通信が今月実施した世論調査では疑惑に関し首相は十分説明していると思わないとの回答が86・4%に上った。首相は数々の疑惑に対しきちんと説明すべきだ。 

 

●桜見る会名簿の再調査否定、菅氏 1/14
菅義偉官房長官は14日の記者会見で、首相主催の「桜を見る会」を巡り、廃棄したと説明している招待者名簿の存否を再調査する必要はないと明言した。「これまでの調査で既に廃棄したということであり、再調査は考えていない」と述べた。関係者の処分については「適切に対応している」として具体的に言及しなかった。
桜を見る会の文書管理を巡っては、2013〜17年度分の招待者名簿を公文書管理法が義務付けている「行政文書ファイル管理簿」への記載を怠った問題を菅氏自らが同法違反に当たると認めるなど、ずさんな実態が相次いで明らかになっている。 

 

●桜を見る会を問う市民集会 諏訪 1/14
安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の問題を考える市民集会「『桜』私物化とことん追及!日本列島怒り満開!」が十一日、諏訪市内で開かれ、共産党の田村智子参院議員が問題点を解説した=写真。
田村議員は、桜を見る会の支出は予算を無視して毎年増え続けていると指摘。二〇一六年は参院選対策で参加者を急増させたとし、「税金を使って後援会をもてなした。総理大臣の座に居座るために公的行事を最大限利用した」と批判した。招待客名簿の廃棄も「ありえないこと。廃棄したという扱いにしてしまっている」と強い疑念を示し、「政府が今、壊れている」と訴えた。
集会には約二百人が参加。主催した市民団体の毛利正道弁護士は「私利私欲の政治を打開するために、共に闘う決意を新たにしたい」と賛同を呼び掛けた。 

 

●安倍政権、桜を見る会問題&IR汚職でも絶対的安泰に… 1/14
立憲民主党と国民民主党の合流協議が難航している。1月20日に召集される通常国会までに結論が出るとみられてきたが、10日の党首会談で合意に至らず、会談後、立憲民主の枝野幸男代表は、「それぞれの党内協議に付すことで一致した」と語るにとどめた。相変わらずのグダグダに、「旧民主党以来の『決められない政治』が続いている」と揶揄される始末だ。
ここまで引っ張っている原因は、国民民主が立憲民主のスタンスを読み違えたことにある。立憲民主は「吸収合併」、国民民主は「対等合併」を主張しているとされるが、両党間には支持率で大きな差があり、立憲民主に国民民主が事実上吸収されるのは仕方がない状況。とはいえ、国民民主の玉木雄一郎代表は、新党ともいえるような緩やかな合流が可能で、党名も変更するものだと思っていた。
ところが、立憲民主は頑なだった。枝野氏は年明けの1月5日、島根県の出雲大社を参拝後、記者団に対し「新党をつくるつもりは100%ない」と明言。表立ってのこの発言は決定打だった。
枝野氏は昨年12月6日に国民民主や社民党に対し党の合併を呼びかけた際、「合流」や「吸収」などの言葉を避けて「立憲民主党とともに行動してほしい」という文言を使い、合流後の党名などに柔軟性があるのかと見られた。枝野氏が硬化したのには、立憲民主の“影のドン”の存在がある。
「立憲民主は枝野党。枝野さんが決めたことには福山哲郎幹事長以下、執行部でさえ誰も文句が言えない。2017年の総選挙で、小池百合子氏の『希望の党』から排除された人たちがつくった政党であり、あの時、枝野さんが立ち上がらなければ、現在所属する議員たちは救われていなかった。そんななかで枝野さんが唯一といっていいほど気を遣っているのが赤松広隆衆議院副議長。その赤松さんが強硬で、国民民主に対しては『こっちに入りたいのなら、頭下げたら入れてやる』みたいな考えなのです」(立憲民主関係者)
赤松氏は、枝野氏が国民民主に合併を呼びかける直前の昨年11月下旬、自らが主催する政策グループ「サンクチュアリ」の会合で、党同士の統合に否定的な見解を示すこんな発言をしていたという。
「昔の民主党に戻るだけという批判を呼ぶようなことはすべきではない。初心を貫いて我が道を行くという枝野代表の本来の路線を維持すべきだ」
サンクチュアリは立憲民主の議員が約30人所属する党内最大の派閥といっていい。つまり立憲民主内の「国民民主、何するものぞ」という空気を代表しているのが赤松氏ということでもある。そして1月5日、地元名古屋の会合での年頭挨拶で、赤松氏はこう言って枝野氏に釘を刺し、国民民主をコケにした。
「この間も、枝野代表に言いました。忘れちゃいかん3つの原則があると。1つは立憲民主党という名前だけは絶対に変えちゃいかん。2つ目は基本の政策は絶対に変えちゃダメだ。3つ目は、代表は枝野でいいからその代わり、党が一緒になったから幹事長をよこせとか、政調会長、国対委員長をよこせとか言ってくるかもしれないが、骨格の人事は絶対に変えちゃダメだ。その3条件で党の合併協議はやりなさい。ただ、向こうも何もないとかわいそうですから、玉木も代表代行ぐらいで、ちょっと横に置くぐらいのかたちで最後は決着をつけたらどうかと、きつく言っておきました」
前述した枝野氏の「新党は100%ない」発言に、こうした赤松氏の姿勢が影響しているのは想像に難くない。
「両党の合併については、もともとは玉木さんが主張していて、枝野さんが長く難色を示していた。その枝野さんが『やろう』と呼びかけたのだから、今回はまとまると思ったし、支持者らもみな期待したと思う。『桜を見る会』の問題で安倍晋三首相の政治の私物化が極まり、秋元司衆議院議員が逮捕されたIR汚職で自民党の利権政治が浮き彫りになっている。内閣支持率が下がって国民も安倍政権に嫌気がさしてきているのに、結局野党がまとまれないのでは国民から呆れられてしまう」(国民民主関係者)
80歳の二階俊博自民党幹事長や79歳の麻生太郎財務相ら「老害」が目立つが、野党も71歳の人物に牛耳られているようでは、安倍政権は安泰、ということか。 

 

●内閣府、推薦部局隠し国会に提出 「桜を見る会」名簿で 1/14
菅義偉官房長官は14日の記者会見で、昨年11月に内閣府が「桜を見る会」の推薦者名簿を国会に提出した際、一部に推薦した部局名を隠す加工をしていたと明らかにした。「極めて不適切な対応だ。このような行為を厳に慎むよう内閣府に徹底した」と述べた。
政府は昨年11月22日に各府省庁が作成した推薦者名簿を参院予算委員会の理事懇談会に提出。その中で内閣府は「内閣官房内閣総務官室」の部局名の記載を消していた。2日前の衆院内閣委員会で、政府側が内閣総務官室の推薦名簿は廃棄済みと答弁していたため、整合性を取るための加工とみられる。
菅氏は「特定の記載を消して、その旨を(国会に)説明しなかった」と釈明。加工の判断をしたのは内閣府人事課の事務方だとした。
また、内閣府が2013〜17年度分の招待者名簿について公文書管理法で義務付けられた「行政文書ファイル管理簿」に記載していなかった問題に関し、菅氏は民主党政権だった11、12両年の対応を引き継いだのが原因だったと説明した。「11、12年も記載せずに破棄していた。その取り扱いが漫然と引き継がれたようだ」と語った。 

 

●官房長官 「桜を見る会」未記載問題 チェック体制強化指示  1/15
「桜を見る会」の招待者名簿を行政文書の管理簿に記載していなかった問題で、菅官房長官は午後の記者会見で、内閣府で文書管理に関する指導や監督が十分行われていなかったとして、内部のチェック体制を強化するよう指示したことを明らかにしました。
この中で、菅官房長官は「文書管理者である課長が、文書管理をしっかり指導監督すべきだったが、十分ではなかった」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「内閣府に、直ちに内部のチェック体制を見直すように指示した。それぞれの課の中でのダブルチェック、さらに文書管理者である課長クラスによる厳重なチェックが必要だと考えている」と述べました。
また、菅官房長官は、みずからの責任について問われたのに対し「内閣府設置法では総理大臣の命を受けて、官房長官が内閣府の事務を統括することになっていて、そういう意味では私自身が担当だ。責任については文書管理法上の規定がすべてだ」と述べるにとどめました。  
●野党、菅長官に辞任要求 桜見る会の公文書管理問題「看過できず」  1/15
立憲民主党の安住淳国対委員長は15日、首相主催の「桜を見る会」をめぐる問題で、招待者名簿の取り扱いで公文書管理法違反があったことを認めた菅義偉官房長官について、野党合同で辞任を求める意向を表明した。国会内で記者団に「政府の責任者がみずから公文書管理に違反する行為を行い、それを認めたとなれば看過できない。責任を取るべきだ」と強調した。
安住氏は「国民の財産である公文書を時の最高権力者がみずから破棄する。またそういう組織が日本の真ん中にあることは許しがたい」とも語った。辞任要求は「予算委員会で徹底的にやる」と述べ、国会で厳しく追及する姿勢をみせた。 

 

●「桜を見る会」の名簿 政府説明は破綻している 1/15
安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡って新たな問題点が次々に浮上している。政府が釈明するほど矛盾が広がる状態が依然として続いており、もはやその説明は破綻を来していると言っていい。
一連の疑惑は昨年5月、共産党議員が資料要求した直後に招待者名簿が廃棄されたことが焦点の一つだった。これに加え、昨春だけでなく、過去の名簿に関しても不可解な対応が明らかになってきている。
内閣府は、安倍首相の再登板後、2017年度までの5年間、招待者名簿は文書の管理簿に記載せず、廃棄した記録も残してこなかったという。これは政府が自ら定めた公文書管理のルールに明らかに反する。
菅義偉官房長官は違法性を認めながらも、当初は「事務的な記載漏れ」と釈明。「5年も続けて、そんな単純なミスをするだろうか」との疑問が上がると、「漫然と前政権を踏襲した」などと説明を変えた。
しかし旧民主党政権に責任転嫁するかのような説明も説得力には乏しい。経緯に関して、再調査して精査するのは当然だ。
いずれにせよ重大なのは、これまで「適切だ」と繰り返してきた対応の誤りを認めた点だ。記録がなければ名簿を本当に廃棄したのかどうかさえ裏付けできない。政府は招待者が急増した点に対し、「既に名簿を廃棄したので分からない」と明確な回答を拒んできた。その弁明が根底から揺らいでいるということだ。
結局、首相との関わりを否定しようと、その場しのぎのような説明を重ねてきたからではないのか。
名簿以外でも、「桜を見る会」で飲食提供する業者が入札前に内閣府と打ち合わせをしていた事実も明らかになった。業者は首相の妻昭恵氏と親しいから優遇されていたのではないかという疑問も消えない。
首相は先日のNHKインタビューで「反省し、全般的な見直しを行わなければならない。公文書管理を徹底していかなければならない」と語った。だが、なぜこんな事態に陥ったか。肝心な点には口を閉ざしたままだ。
税金の私物化が指摘されるこの問題は、通常国会では引き続き大きなテーマとなる。首相はまず当事者意識を持つことだ。 

 

●「桜を見る会」はトコトン追求すべき案件だ 1/15
<菅義偉官房長官は14日午前の閣議後会見で、「桜を見る会」の2013〜17年度の5年分の招待者名簿が残っているかどうか再調査する考えを明らかにした。名簿の取り扱いで公文書管理法違反が明らかになっており、「できるだけ精査し、対応する」と述べた。
菅氏はこれまで、名簿は「ルールに基づいて適切に保存・廃棄している」と説明。「廃棄済み」として、野党などが求める再調査について否定的な考えを示してきた。だが、保存期間など名簿の取り扱いを記す「管理簿」に未記載だったほか、廃棄した日などを記した記録もないことなどが相次いで発覚。14日の会見で、再調査するかどうかを記者団から問われ、「(調査)して、対応するということだ」と話し、姿勢を一転させた。
未記載が5年続いた理由を問われると、菅氏は、民主党政権時代の11、12年度の招待者名簿(いずれも会は中止)も「管理簿」に未記載だったことを明らかにし、「その取り扱いを前例として、漫然と13年度以降も後任に引き継がれていた」と釈明した>(以上「朝日新聞」より引用)
言論界には「桜を見る会」の追求よりも、もっと重要な審議すべき案件がある、それを審議しないで「桜を見る会」のことばかりにかまける野党は政治を蔑ろにしている、という論調が一部にみられるが、飛んでもないことだ。なぜなら「桜を見る会」の疑惑は日本の行政の根幹にかかわるからだ。「桜を見る会」の5千万円台の予算規模を掲げて、国家予算100兆円と比較すれば誤差の範囲だ、という愚かな発言をする評論家すらいるようだが、一般労働者の平均年収が412万円だとしたら、12人分以上の年収を半日の行事で消費する一大国家行事だ。しかも総理大臣主催という、行政府の長の名の「会」であれば、招待されるのはそれ相当の「名誉」でもあるはずだ。
分かり切ったことだが、再度申し上げる。「桜を見る会」は安倍晋三個人が自腹で開催する個人的な「会」ではない。それなら政治家として選挙区の有権者を800人以上も招待していることから公職選挙法上失職となる違反行為だ。それが総理大臣・安倍晋三が主宰するから、「桜を見る会」に選挙区の後援会員を800人も招待しようが公職選挙法に問われない。それなら公的な行事として内閣府の官僚各位は公的行事の記録をキチンと保存する義務がある。
日本の行政は律令制度が確立されて以来、千数百年も「文書主義」を採っている。すべての行政に関する会議も布告も結果も文書に残し、後々検証可能にしておくことが義務とされてきた。だから国会や地方自治体の本会議での会議ではすべての議案とその内容を一々事務局なり担当部署が読み上げて「議事録」として残す。もちろん起案した当局にも同じ文言の「文書」が残っている。その両建ての記録の存在により行政が公的なものとなり、公的なものとして執行されるのだ。
そうした手続きを無視して、招待客名簿を破棄したとは公務員による「公文書記録破棄」という公務員法に定める公文書棄損の犯罪に当たる。内閣府の職員は公務員として遵守すべき「公務員法」よりも、招待客名簿を破棄することにより安倍官邸の不都合な真実を隠蔽する方を選択した。それは紛れもない公務員法違反だ。しかも、これが最初ではない。「モリ カケ」疑惑でも公文書の改竄と隠蔽が行われた。その陰で近畿財務局の職員が自殺までしている。加計疑惑では大学行政が官邸の私的判断により歪められた疑いが極めて濃厚だ。しかし検察当局は無視し沈黙を貫いている。これほど腐り切った検察は前代未聞ではないか。
もちろん防衛庁の「日報」隠蔽問題も忘れてはならない。サマワから日々送られる業務日報を破棄したと防衛省は当初回答していた。しかし、そんなことは大嘘だ、というのは常識でも解ることだ。なぜなら「日報」は日々の業務報告と同時にサマワで活動している自衛隊の正当性の根拠となる活動報告でもあるからだ。当然、帰国した後にサマワでの案件が審議される事態になった場合に、防衛省や派遣された部隊の正当性と確実な業務遂行の証拠となる「日報」はなくてはならない。だから「日報」を破棄したとの答弁は答弁者を罰するに値する大嘘だった。それも安倍官邸を不都合な真実から守るための虚偽答弁だったことになる。つまり日本は虚偽答弁をして、安倍官邸を国民の追求から守れば、その公務員は行政の最高機関・官邸の覚え目出度く出世する、という「何処の未開な国の行政か」と驚くべき事態が次々と起きている。
強姦の嫌疑のあるジャーナリストが逮捕直前に逮捕を免れ、当時の官邸詰めの警察官僚が近く「栄転」するとの週刊誌報道があるが、実に安倍官邸のあり様が分かり易い案件だ。こうした数々の事態が暴露されても、安倍自公亡国政権の支持率が半数近いとは天地がひっくり返るほど、日本国民の倫理観が狂ってしまったとしか思えない。腐った林檎は一日も早く取り除くべきだ。そうしなければ次々と腐っていく。官邸の凄まじい腐敗臭は国会にまで及んで、IR中国ルートに群がった面々が検察の事情聴取に引っ張り出されている。検察も捜査対象が安倍官邸以外なら、どうやら何とか重い腰を上げて働くようだ。
だが、それで数々の安倍官邸案件をスルーしてきたことへ辻褄合わせにならないことは肝に銘じておくべきだ。検察への、とりわけ特捜部に対する国民の信頼感は地に墜ちている。GHQの特命により「赤狩り機関」として設立された特捜部は日本国憲法を順守する機関ではなく、未だに米国様の権益を守るために機能しているようだ。安倍官邸の数々の疑惑にも拘らず、検察巣が動かないのはなぜか。そろそろ日本国民も日本という国に巣食っているGHQの亡霊たちの存在に気付き始めたようだ。いつまでも恣意的な国策捜査が許されると思っていたら大間違いだ。日本の司法当局が「桜を見る会」にいかに対処するのか、それともこれまでの数々の安倍官邸疑惑と同様にスルーするのか、見識ある国民はジッと観察している。 

 

●忖度続く!「桜」で推薦部局の一部加工し、隠す 1/15
菅義偉官房長官は14日の記者会見で、内閣府が「桜を見る会」の推薦者名簿を昨年11月、国会に提出する際、推薦部局名の一部を隠す加工があったことを認めた。
参院予算委員会理事懇談会に提出の際、内閣府は「内閣官房内閣総務官室」の部局名の記載を消去していた。20日召集の通常国会で野党が追及する。また官僚が国民を見ず、官邸を見て「忖度行政」しているのではとの批判が強まりそう。
菅官房長官は「きわめて不適切な対応で、このような行為を厳に慎むよう内閣府に対し徹底した」と述べた。
また菅官房長官はこれまで「廃棄した」と説明してきた「招待者名簿」の存否についても精査し、調査していると明らかにした。
招待者名簿を巡っては2013年度〜17年度について、行政ファイル管理簿に記載していないこともわかり、菅官房長官は10日の会見で、公文書管理法違反にあたることを認めた。再発防止には担当者並びに管理責任者に対し厳正な処分と再発防止策の徹底が求められている。菅官房長官は「内閣府において関係者に対し厳正に対処すると思っている」とした。 

 

●菅官房長官、民主党に責任なすりつけ…「桜を見る会」名簿問題で“迷走”  1/15
菅義偉官房長官は14日の記者会見で、内閣府が「桜を見る会」の2013〜17年度の招待者名簿を、適正に管理していなかった問題について、民主党政権の対応を引き継いだのが原因と説明した。
招待者名簿は、公文書管理法で「行政文書ファイル管理簿」に記載が義務付けられているが、これを怠っていた。菅氏は「(民主党政権の)11、12年も記載せずに破棄していた。その取り扱いが漫然と引き継がれたようだ」と述べ、「事務的な記載漏れ」としてきた従来の説明を覆した。
ちなみに民主党政権で「桜を見る会」が開催されたのは10年の1度だけ。責任転嫁するような発言に、記者が「民主党政権にも責任があるという考えか」と問いただすと、消え入りそうな声で「(民主党)政権自体に責任があるとは申し上げていない」と答弁した。
午前の会見では、廃棄したと説明してきた招待者名簿の有無を再調査する意向を示したが、午後には「これまでの調査で既に廃棄したということであり、再調査は考えていない」と一変。大きく発言がぶれ、一貫性がみられない場面があった。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は、菅氏の答弁について「菅氏は安倍首相の前で“武蔵坊弁慶”のように立ちはだかり、野党の追及の矢を受け続けてきた。だが自身の求心力の低下もあって“もたない”と感じ始めた可能性がある」と指摘した。  

 

●見たくない真実と安心できる嘘、真実に勝る虚言 1/15
吐くように嘘をつく安倍晋三には見飽きているが、内閣支持率は一向に下がる気配がない。国民は真実を見たくないのである。「原発の放射性物質はコントロール下にある」という嘘が典型である。「辺野古の珊瑚は移設してある」と埋め立てにゴーを出したが、実際は数万ある株のうち7株程度を研究用に移設しただけである。誰にでもわかる嘘であるが、メディアをはじめとして、これらは心地よい嘘であるのか、正面から批判はない。
腹心の友加計孝太郎が、長年の悲願の獣医学部の建設を知らなかったとは恐れ入った。文科省で必要ないといわれ、内閣府下の特区で審議させた張本人、責任者である。周辺が忖度してくれたが、関係者は誰もが知る嘘である。「私たち夫婦が関係していたら国会議員も辞めます」言った森友学園に関しては深くかかわっていたことがすっかりわかってきている。しかし、安倍晋三は辞めることなどない。
そもそもTPP参入反対の公約はあっさり反古にし、原発はいつの間にかベースロード電源などと言葉を変えて再稼働する。
安倍の経済政策などは、データーそのものに疑義がある。政策評価の高いデーターを恣意的に引用する。何時まで経っても2%のデフレが達成できない8年も経過しているのにである。安保関連法(戦争法)も虚言や起こり得ないこと根拠にしている。
これ等の集大成といえるのが、桜を見る会である。虚偽が明らかにならないように公文書を廃棄する。公文書を隠ぺいするし、調査もしない。誰が見ても明らかな事実を否定する。
国権の最高の場所で虚偽が横行する。為政者たちには心地良いのであろうか、真実に虚言が勝る。虚偽が未来を作ってゆく。異様な国家に安倍晋三は変えてしまった。 

 

●安倍首相を告発「桜を見る会」疑惑 捜査開始で官邸窮地か 1/15
安倍政権への“包囲網”が狭まっている。神戸学院大教授の上脇博之氏(憲法学)らが14日、「桜を見る会」をめぐり国に財産上の損害を与えたとして、背任容疑で安倍首相に対する告発状を東京地検に提出したのだ。いよいよ捜査が動きだし、政府が「廃棄した」と言い張っている招待者名簿が表に出てくるかもしれない。
上脇教授らはきのう都内で会見し、桜疑惑について「見過ごすわけにはいかない」と強調。安倍首相が2015〜19年の桜を見る会に地元後援会や与党議員、妻・昭恵夫人らの利益を図る目的で招待者枠1万人を超える人数を招待し、約1700万円の予算を2000万〜3700万円超過して国に財産上の損害を与えたと訴えた。
告発代理人の阪口徳雄弁護士も会見で「政府は招待者名簿はないと言っているが、参加した人数は明らかにしている」「実は、名簿は存在するのではないか」などと指摘。「告発を受け、捜査することになると、検察は政府の担当者にヒアリングすることになる。名簿をオープンにすることができる可能性があると考えています」とも説明した。
政府は桜を見る会の招待者名簿について「廃棄した」の一点張りだが、捜査が始まれば名簿があるかないかハッキリする。
菅官房長官はきのう午前の会見で名簿が残されている可能性を問われ「できるだけ精査して対応している」と発言。「調査しない」との態度を一転させたのかと思いきや、午後の会見で「再調査しない」と言い出した。動揺しているのがアリアリだった。
菅氏の支離滅裂ぶりはそれだけじゃない。午前の会見で、内閣府が13〜17年度分の招待者名簿について公文書管理法で定められた「行政文書ファイル管理簿」に記載していなかった違法行為を追及されると、「(民主党政権時代の)11年と12年は開催直前に桜を見る会が中止になり、管理簿に掲載すべきだった招待者名簿を掲載せずに廃棄した。その取り扱いが前例として13年以降も漫然と後任に引き継がれた」などと言い訳。
当時の民主党政権も管理簿に記載していない、民主党のやり方を踏襲した、と自分たちの違法行為の責任をなすり付けた。しかし、11年も12年も「桜を見る会」は開催されていない。税金で有権者に供応した安倍政権とは事情がまったく違う。「悪夢」だった民主党政権の前例を踏襲している矛盾にもダンマリだった。
検察の捜査が官邸を追い込むか。  

 

●桜見る会、名簿加工の説明に疑問 1/16
野党は16日、首相主催「桜を見る会」の追及本部会合を国会内で開いた。内閣府が部局名を隠す加工をして推薦者名簿を国会に提出した問題を巡り、実際の推薦部局と異なる記述を消すためだったとする説明に関し「証拠がなく信用できない」と疑問が集中した。関係者の処分を求める声も相次いだ。
会合に出席した内閣府の酒田元洋総務課長は、内閣府人事課が推薦したのに名簿を持ち込んだ「内閣官房内閣総務官室」との記述が残っていたため、昨年11月21日に人事課長の判断で記述を消し、翌22日に国会へ提出したと釈明した。 

 

●憲法学者らが安倍首相を背任の疑いで告発 1/16
 NHKの記事タイトルには「安倍首相」の文字無し・・・ 桜を見る会
桜を見る会問題で憲法学者らが安倍晋三首相を背任の疑いで告発したところ、それを取り上げたNHKの記事タイトルに「安倍首相」の名前が無かったとして物議を醸しています。
これは1月14日に憲法学者らが13人が「桜を見る会の問題は予算の私物化だ」として、告発状を東京地検に提出したというニュースです。朝日新聞などは「憲法学者ら、首相を背任の疑いで告発 桜を見る会めぐり」というようなタイトルで大々的に取り上げていますが、NHKは「桜を見る会 憲法学者ら『国に損害』背任の疑いで告発状提出」と報道。
タイトルに「安倍晋三」や「首相」の文字は一切なく、一覧を眺めるだけには安倍首相が告発されたとは分かり難いタイトルになっていました。
このようなNHKの記事にネット上では、「安倍政権への忖度だ!」「こんなタイトルで分かるわけがない」「主語を入れない意味は?」などと疑問や批判のコメントが多数投稿されています。NHKは過去にも何度か政権に忖度したと思われる記事を投稿していますが、ここまで明確に主語がないのはちょっとめずらしいと言えるでしょう。
首相主催の「桜を見る会」をめぐり、憲法学者ら13人が14日、安倍晋三首相の背任の疑いでの告発状を東京地検に提出した。安倍首相が自身の後援会員や妻・昭恵氏の推薦者、自民党関係者らを多く招いた結果、「予算規模が拡大し、国に損害を与えた」としている。
安倍首相に対して 告発状が出されたのに なぜタイトルに “安倍首相”の主語が無いのか
政府広報のニュースでは クドいぐらいに“安倍首相”が タイトルに入るのに…
これほどの一大事を ニュースウォッチ9でも 全然やらなかった… 使えない公共放送NHK
結局、総理は国民の税金を自分の小遣い程度にしか考えていないということ。口止めして証拠を消せば、ばれないと。何と醜く愚かで幼稚なのか。問題は、国民がそれでも笑っていれば、いよいよこの国も危ういということである。それが戦後日本の帰結なら、あまりに悲劇的である。
これはもう明らかに忖度。いや、直接スガか誰かが電話で指図したのでは?
人事権を抑えている以上、安倍自身が不利になることは有りえないことを十分に把握してるから「任命責任は私にある」とだけ言って火の気が収まるのを待つ。安倍政権を忖度する司法となり、メディアまでが忖度しているのは、内閣の人事権が物を言ってるからである。
NHKは劣化が甚だしい N国じゃなく、安倍政権がNHKをぶっ壊した
肝心の主語がなし! 忖度ニューすですね。 こんなんばっか。 先が思いやられる。 

 

●第28回党大会 第一決議案についての中央委員会報告 1/16
私は、大会第一決議案・政治任務についての中央委員会報告をおこないます。
決議案は、第1章で、日本の政治を変える「二つの大仕事」として、市民と野党の共闘を発展させるとともに、日本共産党の躍進に取り組むことを提起しました。全党討論では、これが積極的に受け止められ、いかにしてこの「二大目標」を達成するのかが深められました。
わけても、日本共産党を躍進させることが、市民と野党の共闘を発展させ、野党連合政権を実現するためにも、綱領が示した民主的改革を実現し、日本政治のゆがみを根本からただすためにも、決定的な保障となることに、確信が広がりました。
そして、「党を躍進させることは、わが党が担う独自の任務であり、どんな情勢のもとでも、いついかなる時も成しとげなければならない、わが党の独自の国民に対する責任である」という決議案の提起が、自らの課題として真剣に受け止められ、それぞれの党組織の課題に引き寄せられ、議論されたことは、とても重要なことでした。
私の報告は、全党討論を踏まえて解明が必要な問題や、その後の情勢の進展に即して補強が必要な問題を中心に行います。
1、究極のモラル破壊の政治と、市民と野党の共闘の前進について
最初に、「究極のモラル破壊の政治と、市民と野党の共闘の前進について」述べます。
市民と野党の共闘の前途について、第27回大会前の全党討論では、「野党共闘はうまくいくのだろうか」という声が各地で出されましたが、今回の全党討論では4年半の共闘の発展を踏まえて、共闘の力への深い確信、その前途への希望が広がっていることが特徴です。
安倍政治に対決する野党共闘の新たな前進について
まず、安倍政治に対決する野党共闘の新たな前進について、述べます。
第一決議案の第2章では、日本社会を根底から破壊する戦後最悪の安倍政権について6点で論じましたが、決議案の発表後に、「強権とウソと偽りと忖度(そんたく)の、究極のモラル破壊の政治」の異常な害悪が、「桜を見る会」での国政の私物化や、カジノ利権をめぐる自民党現職議員の逮捕などによって一気に噴き出しました。「桜を見る会」の問題には、国政の私物化、情報の隠ぺいなど、あらゆる政治モラルの崩壊が凝縮され、国民の怒りが沸騰しています。
こうした激動の情勢のもとで、野党の国会共闘が大きな力を発揮しています。
「桜を見る会」疑惑の始まりは「しんぶん赤旗」のスクープと、国会での共産党の追及でしたが、野党共同の取り組みに発展したことにより、マスメディアも大きく報道し、国政の大問題となりました。野党が一体となって「追及本部」を立ち上げ、合同ヒアリングをくりかえして追及し、安倍政権を断崖絶壁まで追いつめています。
安倍政権が強権的にすすめた、大学入試への英語民間試験や、国語・数学の記述式問題の導入を、高校生・受験生、教育関係者と野党の共同したたたかいで、導入見送りに追い込んだことも、国会共闘の大きな成果でした。
カジノ利権の問題も、野党が結束して汚職の徹底究明を求めるとともに、カジノ法の廃止を求めるたたかいを開始しています。
決議案発表直後の高知県知事選挙では、共産党県委員の松本顕治さんを「オール野党」の候補者としてたたかい、全野党の党首と、55人の、元職を含む各党国会議員が松本候補を応援し、大善戦、大健闘の結果となりました。
昨年の参議院選挙で、3選挙区5県で共産党擁立候補での一本化が実現したことに続き、野党の共闘が、お互いに支援しあう共闘へと本格的に踏み出す、画期的な取り組みになったことを、大きな確信にしようではありませんか。松本顕治さんと高知県党と、全党のみなさんの、お互いの大奮闘に拍手を送ろうではありませんか。
「安倍政治からの転換の三つの方向」にそった、野党連合政権実現への動き
決議案発表後、野党連合政権に向けた各党間の協議が前進しています。昨年8月に志位和夫委員長が呼びかけた党首会談が、立憲民主党、国民民主党、社会民主党、れいわ新選組との間で実現し、安倍政権を倒し、政権を代え、立憲主義を取りもどすことで基本的に一致しました。
政権の問題が、共闘の焦点の一つとなってきたことは、重要な前進です。
さらに、決議案で提起した、「安倍政治からの転換の三つの方向((1)憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する(2)格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治にきりかえる(3)多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築く)」に、党内外で共感が広がりました。
「市民連合」呼びかけ人の中野晃一さんは、「しんぶん赤旗」での志位委員長との新春対談で、「三つの方向」について、「市民連合が13項目を提示したときのエッセンスがそこにある」と語りました。
野党各党の幹部からも歓迎の声が寄せられ、国民民主党との党首会談では、「三つの方向での政権交代を図るために協力する」ことで合意しました。
この三つの方向は当たり前のことを述べているようですが、どれも安倍政治が根こそぎ破壊してきたものです。だからこそ安倍政治の転換の方向を明確に示すものとなっています。
これを共闘の理念にすえ、政権をともにつくる意思を確認し、政権が実行する政策を練り上げ、不一致点に政権がどう対応するかを話し合えば、連合政権の合意をつくりあげることは十分に可能です。
安倍政権を徹底的に追及し、日本の政治に民主主義をとりもどすとともに、国民に希望あるメッセージを届けましょう。日本共産党は、明日に希望を持てるような政権の選択肢をつくるために、知恵と力をつくす決意です。
この4年半の取り組みで、野党共闘は着実に前進してきました。そのことは、さきほどの野党各党代表とゲストの心のこもったあいさつにはっきりと示されていました。ここで一段と魅力ある力強い取り組みへの飛躍をかちとることが強く求められています。
安倍政権を倒し、野党連合政権に道を開く大義あるたたかいに、大志をもってのぞもうではありませんか。
野党連合政権への道を開く、国民のたたかい
市民と野党の共闘の最大の推進力はなにか。それは、草の根からの国民の運動です。
その点で、全国革新懇は、大きな役割を果たしています。昨年10月の全国革新懇全国交流会は、共闘の到達点を確認しあい、野党連合政権実現へ熱気あふれるものになりました。地域革新懇をはじめ、各地の共闘組織が、市民と野党を交えての討論会や意見交換会を活発に行っています。
「野党は共闘」「野党は連合政権」の世論と運動が全国津々浦々に広がるよう、私たちも共に力を尽くす決意です。
さまざまな運動でも、過去の行きがかりを超えた共同が発展しています。
世界の平和運動のリーダーが昨年9月、原水爆禁止世界大会inニューヨークの開催を呼びかけました。日本からは被団協(日本原水爆被害者団体協議会)、原水協(原水爆禁止日本協議会)、原水禁(原水爆禁止日本国民会議)の代表らが、呼びかけ人に名を連ねました。この3団体が共同して国際的な行動を呼びかけたのは、初めてのことです。
市民と野党の共闘を、新しい市民運動とともに、「総がかり行動実行委員会」が土台で支えていることは、統一戦線の今後の発展にとっても重要です。「総がかり行動実行委員会」は、「総評センター」を前身とする平和フォーラムを中心とした潮流と全労連が、過去の経緯を乗り越えて、2014年12月に安倍暴走政治に対抗して結成した画期的な共闘組織であり、市民と野党の共同の取り組みを物心両面で支えてきました。
こうした取り組みを通じて、労働組合間での要求・政策課題の一致点も広がっています。高度プロフェッショナル制度=残業代ゼロ制度反対ですべての労働団体が一致し、最低賃金引き上げでも、共通する方向の目標を掲げてたたかっています。
思想・信条の違いをこえ、労働者、国民の要求にもとづいて団結した組織である労働組合が、切実な要求の実現をめざし、ナショナルセンターの違いをこえた共同で、「政治を変え、職場を変える」たたかいに取り組むことには、きわめて大きな意義があります。
この間の全国各地での市民と野党の共闘の中で、全労連の大奮闘とともに、連合のみなさんとの共同が、かつてなく広がっていることも、重要なことです。日本共産党は連合のみなさんに、共同のいっそうの発展を呼びかけるものであります。
2、安倍自民党政治を終わらせ、新しい政治への道を開くたたかい
次に、「安倍自民党政治を終わらせ、新しい政治への道を開くたたかい」について報告します。
安倍政権の行きづまりは、内政でも、外交でもきわめて深刻になっています。
わが党は、景気が悪化しているもとで消費税を増税することは自滅行為だと批判してきましたが、増税後の経済指標を見ると、警告通りの事態が進行しています。
外交では、米国にもロシアにも中国にも、言うべきことを言わない大国の覇権主義への屈従外交の破綻が顕著になっています。
「桜を見る会」をはじめとする政治モラルの大崩壊が、内閣支持率を急降下させています。
この政権が一日でも長く延命することが、日本にとっての最大の不幸にほかなりません。
日本共産党は、安倍内閣のすみやかな総辞職を求めてたたかうことを表明するものです。
第一決議案では第2章と第3章で、現在の内外情勢をふまえ、安倍政権を倒して新しい政治をつくるための、野党連合政権の課題と日本共産党ならではの取り組みについて、それぞれ論じました。
ここでは、その全体をたたかいの課題としてまとめて報告します。
消費税5%への減税で、国民のくらしを守り、日本経済を立て直す
最初に、消費税5%への減税で、国民のくらしを守り、日本経済を立て直すたたかいです。
昨年10月の消費税増税が、新たな大不況をつくりつつあります。家計消費は2カ月連続マイナス、景気動向指数は4カ月連続「悪化」、日銀短観は6年9カ月ぶりの悪化です。中小業者は、増税による消費の低迷、大手との値引き競争、複数税率による事務負担の増加、「ポイント還元」の重荷など、三重、四重の打撃をこうむっています。
まさに、安倍大失政であり、その責任は重大だと言わねばなりません。
政府は、昨年12月に総額26兆円、財政支出13兆円もの「景気対策」を発表しました。しかし、消費税増税で景気を悪化させ、景気対策と称して「ばらまき」を行い「借金」を増やしていくのは、悪循環の極みです。これでは景気もくらしも良くなりません。財政を悪化させるだけの、愚策中の愚策といわねばなりません。
消費税増税がくらしを直撃して景気を悪化させたのですから、これを打開するには消費税減税がもっとも確かな対策です。安倍政権は7年間に、消費税を2倍に増税し、13兆円もの負担増を家計と消費に押しつけました。
景気対策というなら、安倍政権以前の5%に戻さなければなりません。
日本共産党は、消費税の廃止を目標とし、緊急要求として5%への減税が野党の共通政策になるよう全力をあげます。
野党は、昨年の参院選で、「景気を悪化させる」として消費税の10%への増税に反対しました。この公約を踏まえ、10%増税の深刻な打撃が明らかになってきているもとで、5%への減税に踏み込むことを、野党各党のみなさんに強く呼びかけるものです。
くらしに希望がもてる政治への改革をすすめる
くらしに希望がもてる政治にするためには、消費税減税とともに、社会保障の拡充、8時間働けばふつうにくらせる社会、教育と子育て支援など、国民のくらしを支える政治への転換を同時にすすめる必要があります。
くらしを支える社会保障に
社会保障への国民の要求は切実です。自公政権は、「社会保障のため」と言って消費税増税を押しつけてきましたが、実際には大増税とともに「年金も医療も介護も生活保護も改悪の連続で、7年間で合計4・3兆円もの負担増と給付削減が行われた」(決議案)のです。これが、消費税増税とともに、くらしを押しつぶす大きな要因となりました。
そのうえ、安倍政権は、「全世代型社会保障改革」の名で、年金・医療・介護などの連続改悪に踏み出そうとしています。
日本共産党は、「マクロ経済スライド」を廃止し「減らない年金」にする、高すぎる国保料(税)の抜本的な引き下げ、介護保険の負担増とサービス切り捨てをやめさせ安心できる介護制度にする、障害者福祉の充実と65歳以上の介護保険優先原則の廃止――など、社会保障の大改悪に反対し、拡充へと切り替えるために、切実な要求をかかげてたたかいます。
安倍政権の連続改悪に対して、これまで政府を支持してきた有識者や、医療・介護の関係団体からも、「このままでは日本の社会保障の土台が壊れる」という警鐘が鳴らされ、反対の声が広がっていることは重要です。
改悪を中止させ、拡充へと切り替える、幅広い共同を追求していこうではありませんか。
8時間働けばふつうにくらせる社会に
賃上げと安定した雇用、長時間労働の是正など、8時間働けばふつうにくらせる社会にすることは、人間らしい生活をという希望にこたえ、持続可能な経済社会へと向かうために、どうしても必要です。
安倍首相は「賃上げ」をうたいながら、実際はどうだったか。
正反対に、第2次安倍政権のもとで、実質賃金は年間18万円も低下しました。
最低賃金は、昨年の引き上げでも、全国平均で時給901円にすぎません。17県では、いまだ700円台にとどまっています。全労連は「ただちに1000円、すみやかに1500円」をかかげた運動をすすめています。連合は、今年の春闘要求で、1100円以上(企業内最賃)への引き上げをかかげました。労働組合運動が最低賃金の大幅引き上げの要求をかかげてたたかうことは、すべての労働者の賃金を底上げするうえでも、きわめて重要です。
最低賃金の大幅引き上げと全国一律最賃制を求めるたたかいは、保守の立場の人たちも含めて、大きなうねりとなって広がっています。最低賃金引き上げのための中小企業への抜本的な支援を要求し、さらに共同を広げて実現しようではありませんか。
安倍首相は「非正規という言葉をこの国から一掃する」といいながら、実際はどうか。
政府は、フリーランスなど非正規雇用ですらない「雇用関係によらない」働かせ方を拡大しようとしています。労災も有給休暇もなく、最低賃金も適用されず、解雇も自由という、労働者としての権利ゼロの働かせ方を押しつけようとしているのです。
こうした最悪の雇用破壊と賃下げ攻撃を許さないたたかいに全力をあげるとともに、労働者派遣法の抜本改正などで、「雇用は正社員が当たり前」の社会を実現しましょう。
悲惨な過労自殺が大きな社会問題となりました。しかし、高橋まつりさんの過労自殺を引き起こした電通が、またもや「違法残業」で労基署の是正勧告を受けるなど、財界・大企業には長時間労働による被害への反省が、全くありません。
その根底には、安倍政権が、残業規制は「骨抜き」にし、高度プロフェッショナル制度=残業代ゼロ制度を導入するなど、長時間労働の規制に背を向け、逆にそれを拡大しているという問題があります。断じて許すわけにはいきません。
教職員の異常な長時間労働の問題でも、安倍政権は是正するどころか、昨年の臨時国会で、「1年単位の変形労働時間制」を公立学校の教員に適用可能とする法案を強行しました。しかし、多くの教職員や市民が声をあげる中で、野党各党も反対するようになりました。今後、各地の自治体で制度の実施を許さないたたかいが重要になっています。
民間でも、公務でも、どの職場でも、長時間労働の解決のために、まともな法規制と必要な増員を要求してたたかいぬこうではありませんか。
お金の心配なく、学び、子育てができる社会に
子育て、教育の負担軽減は、家計を応援するとともに、貧困から子どもを守り、教育の機会を保障するなど、子どもの権利を守る上でも、少子化対策としても、きわめて重要です。
ところが、昨年のOECD(経済協力開発機構)の発表によれば、日本は、教育への公的支出が先進35カ国で最低であり、この恥ずかしい政治を変えることは、待ったなしの課題になっています。
高すぎる大学の学費を抜本的に値下げし本格的な給付奨学金をつくる、学校給食の無償化をはじめ、義務教育で残されている教育費負担をなくす、認可保育所を大量に増設し、保育水準を確保しながら待機児童を解消するなど、お金の心配なく、学び、子育てができる社会を実現するために、力をあわせましょう。
「消費税に頼らない別の道」―日本共産党の財源提案
くらし・家計応援の政治に切り替えてこそ、経済も立て直すことができます。そのためには、消費税減税と社会保障、教育、福祉の充実とともに、日本経済の主役である中小企業や、日本の基幹的生産部門としての農林漁業を支援することなど、くらしと営業を支える政策を同時にすすめる必要があります。
自民党政治は、「社会保障の削減か、それとも消費税増税か」と国民に希望のない選択を迫りながら、実際には、消費税増税と、社会保障や教育予算削減の両方を押しつけてきました。
それに対して、日本共産党は「消費税に頼らない別の道」で消費税減税とくらし応援の政治を実現する財源をつくることを具体的に提案しています。
税金はアベノミクスでうるおった富裕層と巨額の内部留保を抱える大企業からとる。これが当たり前ではないでしょうか。
能力に応じた負担を求めて財源をつくり、その財源で消費税減税と、家計を温める政策を同時にすすめて、格差と貧困を是正してこそ、経済と財政のほんとうの好循環が実現します。
なお、この問題に関連して、決議案でも述べていますが、日本共産党は、赤字国債の乱発と日本銀行による直接引き受けなど、野放図な借金を消費税減税などの財源とすることには賛同できないことをあらためて表明しておきます。
消費税に頼らずに、くらしを応援する政治を実現することこそ、希望ある道であることを、正面から訴えてたたかおうではありませんか。
原発再稼働ストップ、原発ゼロをめざすたたかい
安倍政権は、国民の強い反対を押し切って、原発の再稼働をすすめてきました。しかし、その原発推進政策は、深刻な行き詰まりに直面しています。
東京電力福島第1原発事故から9年目を迎えますが、いまだに多くの人たちが原発の被害に苦しみつづけ、廃炉・汚染水対策など事故収束のメドすらたっていません。核燃料サイクルも破綻し、使用済み核燃料は、処理の見通しもなく増え続けています。
昨年、関西電力の会長、社長らが、福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていたことが明らかになり、原発事業への国民の不信と怒りは、いっそう大きくなっています。
さらに、再稼働した原発が、「安全対策の遅れ」から、次々と再停止に追い込まれようとしています。原発へのテロが起きた際の対策のための施設(特重施設)が期限以内に完成しないためです。このことは、原子力規制委員会でさえ、もはや見過ごすことができず、すでに再稼働した原発も、今後、次々に運転停止が命じられる可能性が高くなっています。
電力11社が見積もっている追加の「安全対策費」は5兆4000億円で、さらに膨らむことが見込まれますが、その「対策」なるものが、どのくらい有効であるかも定かではありません。しかも、そのための巨額の投資は、まるごと電力消費者の負担になってしまいます。
原発再稼働の押しつけは完全に行き詰まりました。原発再稼働を中止し、停止した原発はそのまま廃炉にし、「原発ゼロの日本」をかならず実現しようではありませんか。
安倍9条改憲発議を阻止し、「戦争する国」づくり、米軍基地強化を許さない
安倍首相は、改憲勢力の議席を改憲発議に必要な3分の2割れに追い込んだ、昨年の参院選での民意を無視して、性懲りもなく、自身の任期中の改憲に執念を燃やしています。数を頼んでの強行のたくらみをいささかも軽視することなく、市民と野党の共闘で、この野望を完全に打ち砕かなければなりません。
年明けから「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が新たに、「改憲発議に反対する全国緊急署名」を呼びかけています。この署名に、全力をあげて取り組みましょう。
安倍政権の「戦争する国」づくりを許さない
日米新ガイドラインと安保法制=戦争法のもとで、日本が、海外でアメリカとともに戦争する危険性が、かつてなく大きくなっています。
年明けに米軍がイラン革命防衛隊司令官を空爆で殺害しました。日本共産党は、トランプ政権による国連憲章と国際法に違反した先制攻撃を厳しく非難します。そもそもイランとの緊張激化の引き金を引いたのは、アメリカのイラン核合意からの一方的離脱です。トランプ政権に対し軍事力行使をやめ、核合意にただちに復帰することを強く求めるものです。
安倍政権が強行した自衛隊の中東沖への派兵は、無謀で、危険きわまりないものです。
自衛隊派兵はただちに中止すべきです。いま日本政府がなすべきは、トランプ米大統領に対してイラン核合意への復帰を説く真剣な外交努力です。
日本の役割は何か。それは断じて、「海外で米国と肩を並べて戦争する国づくり」ではありません。憲法9条をいかした平和外交で、アジアと世界の平和と安定に貢献する国づくりこそ、日本にしかできない、かけがえのない役割ではありませんか。
そのためにも、安保法制=戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回することは、いよいよ急務であることをあらためて強調するものです。
沖縄の新基地建設を許さず、米軍基地のない日本をめざすたたかい
日米安保条約のもとで、沖縄をはじめ全国に131もの米軍基地が置かれ、住民は日常的に米軍による事件・事故の危険にさらされています。そのうえ安倍政権は、沖縄・辺野古に新たな米軍海兵隊の巨大基地を建設し、世界への「殴り込み」の一大拠点として固定化・強化しようとしています。
しかし、沖縄県民がくりかえし示してきた圧倒的な、「新基地建設ノー」の審判を一顧だにせず、辺野古の海へ土砂投入を強行するような国が、いったい民主主義の国といえるのか。安倍自公政権に民主主義を名乗る資格はありません。
さらに、安倍政権は当初5年としていた工期を9年3カ月、費用を9300億円とする見通しを示しましたが、これにとどまる保証はまったくありません。大浦湾の超軟弱地盤改良のための設計変更には、玉城デニー知事の承認が必要ですが、知事は絶対に新基地をつくらせないと明言しています。
辺野古新基地建設は、政治的にも技術的にも完全に行き詰まりました。
新基地建設の断念を求める「オール沖縄」のたたかいに連帯し、基地のない沖縄を実現しましょう。
そのためにも6月の沖縄県議選はきわめて重要です。総力をあげようではありませんか。
米軍の横暴勝手を許している、屈辱的な日米地位協定の見直しも、独立国として当然の要求であり、抜本的な改定を要求してたたかっていきます。
日米安保条約を廃棄し、日米友好条約で日米新時代を切り開く
安倍政権の「戦争する国」づくりと米軍基地強化の根本には日米安保条約があります。そして、トランプ政権は、日本をより深い従属のもとに置こうとしています。
トランプ米大統領は、日米安保条約が「一方的で不公平だ」「日本が攻撃されれば、米国は日本のためにたたかう。しかし、米国が攻撃されても日本はたたかう必要がない」などといいます。
しかし、日本に駐留する米軍は、海兵遠征軍、空母打撃群など、日本の防衛とは無関係の、干渉と介入を専門とする「殴り込み」部隊であり、ベトナム侵略戦争、イラク侵略戦争など、日本が米国の無法な戦争の根拠地とされ、戦争に協力させられてきたのが、厳然たる歴史的事実です。
だいたい、「一方的」で「不公平」な負担を強いられているのは米国ではなく、日本ではありませんか。
日本政府が負担してきた在日米軍駐留経費は、「思いやり予算」に米軍再編関連経費やSACO経費を合わせると、78年以降の43年間で実に10兆円にのぼります。世界での米軍駐留経費全体に占める日本の負担は、他の同盟国の合計を上回る、桁違いのものです。
あまりにも行き過ぎた「思いやり」だと言わねばなりません。
そのうえ、トランプ大統領いいなりの米国製兵器の「爆買い」による大軍拡が、国民のくらしも憲法も押しつぶしています。
20年度予算案で軍事費は6年連続で過去最高を更新し、5兆3千億円を超えました。「いずも」型護衛艦を空母化する経費を計上し、長距離巡航ミサイルを導入することなどは、「攻撃的兵器の保有は、いかなる場合も許されない」としてきた憲法上の立場を蹂躙(じゅうりん)し、自衛隊を軍事力の点でも、海外で武力行使する軍隊へ変貌させるものにほかなりません。
今年は、1960年に日米安保条約が改定されてから60年目となりますが、この条約を背骨とした「異常なアメリカいいなり政治」と国民との矛盾が噴出し、それが、「アメリカ・ファースト」のトランプ政権の下で、ますます害悪をあらわにしています。
日米安保条約を廃棄して、独立・平和・中立の日本をつくり、米国とは対等・平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶことにこそ、日本の未来があります。
日本共産党は、その旗を高く掲げてたたかいます。お互いに力を合わせようではありませんか。
自然災害から国民の命と財産を守る政治の実現を
自然災害から国民の命と財産を守ることは、決議案第4章でふれたように、日本の政治の重要な使命です。この間あいついだ災害の中で、わが党は、被災者の苦しみに心を寄せ、国会議員や地方議員と、党支部や地方党機関が、「住民を誰ひとりとして取り残さない」という決意で力を合わせ、被災者支援、救援と復興のために全力をあげてきました。
「住民の苦しみあるところ共産党あり」の立党の原点にたって、引き続き力をつくすことを、心から呼びかけるものです。
3、総選挙での勝利・躍進にむけた活動について
つづいて、「総選挙での勝利・躍進にむけた活動について」述べます。
総選挙にむけた「二大目標」をどう統一的に追求するか
第一決議案では、市民と野党の共闘の勝利と日本共産党の躍進をかちとることを「二大目標」とし、二つを一体のものとして取り組もうと呼びかけました。
全党討論では、「二大目標」をどうやって統一的に追求するのかをめぐって、「共産党独自の主張をすると共闘の足並みを乱すのではないか」「共闘しながら党の躍進が果たせるのか、心配だ」などの質問も出され、活発で前向きの議論が行われました。
もちろん、この二大目標を実現するためには、第二決議案が提起しているように、大前提となる根本的課題として、政治任務と党の自力とのギャップを、どうしても克服しなければなりません。
同時に、第一決議案の報告では、討論を踏まえて、次の三つの取り組みを強化し、「二大目標」の統一的追求を成功させることを呼びかけます。
第一は、何よりも、わが党が共闘に真剣かつ誠実に取り組むことです。
この4年半、どんな困難があっても、政治の大局にたって市民と野党の共闘に取り組んできたことが、幅広い市民の中にわが党への信頼を広げていることは間違いありません。
市民と野党の共闘の発展のために揺るがず、誠実に、力をつくそうではありませんか。
第二に、共闘に全力をあげつつ、党の独自の主張を堂々とつらぬくことです。
決議案第3章が示したわが党の「二重の役割」――つまり、直面する緊急の政治課題で共同のたたかいを発展させ、市民と野党の共闘を発展させるとともに、自民党政治のゆがみをただす根本的改革の展望を明らかにし、国民の多数派をつくっていくという二重の役割を発揮することは、共闘の前進にとっても、党の躍進にとっても、きわめて重要な意義を持っています。
たとえば、安保法制の危険性や、民意を無視した沖縄新基地建設反対などについては野党の共通認識になりつつありますが、これを本当に正そうとすれば、その道をはばむ日米安保条約とぶつからざるを得ません。日本共産党が、安保条約第10条に基づく米国への通告で安保条約を廃棄し、日米友好条約に切り替えるという“切り札”を示していることを、共闘を発展させる中でも、正面から訴える努力が必要になってきます。
野党が一致している、くらし応援の政策でも、それを実行しようとすれば、財源を消費税に頼るのか、それとも富裕層・大企業に応分の負担を求めるのかという問題にぶつかり、財界中心政治からの脱却が問われてきます。この点でも、わが党は「消費税に頼らない別の道」という、道理ある答えを持っています。
内政でも外交でも、直面する課題を実行しようとすれば、「アメリカいいなり」「財界中心」という「二つのゆがみ」にぶつかること、そして日本共産党が、そのゆがみをただす改革の展望を示す党であることを、共闘に力をつくすことと一体におおいに語っていきましょう。
市民と野党の共闘の一致点で団結してたたかうことと、各党が独自の主張を行うことは決して矛盾しません。それぞれは別の党であるから、独自の政策を持つのは当然です。違いがあってもお互いに尊重し、リスペクト(尊敬)して、一致点でしっかり協力するという「多様性の中の統一」こそが、一番強い力を発揮する。これが、この間の共闘の4年半で、私たちが学んだ大きな教訓です。
この教訓を糧にして、がんばり抜こうではありませんか。
第三に、日本改革の展望や未来社会論など、党綱領の全体を語っていくことです。
共闘の姿勢を支える統一戦線の方針も、21世紀の世界の平和と進歩に貢献する政策と立場も、ジェンダー平等や気候変動抑制など新しい重要な課題も、資本主義を乗りこえる未来社会の展望も、この大会で一部改定される党綱領が、新鮮かつ骨太に示しています。
この全体像を語ることが、日本共産党を躍進させるうえでの決定打となります。
共闘の時代に党躍進をかちとるためには、「他に入れるところがないから共産党」という「消極的支持」にとどまらず、「共産党だから支持する」という積極的支持者をどれだけ増やしていくかが勝負です。決議案の全党討論では、このことが綱領一部改定案の意義と重ねられ、正面から受け止められました。
一部改定される綱領を力に、党の綱領、理念、歴史をまるごと語り、積極的支持者を増やす取り組みに、ありとあらゆる力をつくそうではありませんか。
新しい可能性、条件をくみつくし、「850万票、15%以上」の目標に挑戦を
全党討論のなかでは、「850万票、15%以上」という比例目標が「ほんとうにできるのだろうか」という率直な声も出されました。
なぜ、「850万票、15%以上」か。この目標は、当面する総選挙で、市民と野党の共闘の勝利とともに、「比例を軸に」党の躍進をかちとり、野党連合政権への道を開く意義があります。さらに、党綱領が掲げた民主的改革を実現する意義を持っています。
そして、この目標には十分な現実性、可能性があることも強調したいと思います。
一つは、情勢がもつ新しい可能性です。市民と野党の共闘の深化のなかで、党と国民との関係に大きな前向きの変化が起こっています。さまざまな課題で運動に取り組む人々にも、若い世代のなかにも、わが党への新しい期待と注目が広がっています。
いま一つは、日本共産党がもつ主体的条件の発展です。党綱領の一部改定案は、すでに大きな注目と影響を広げ、他党の関係者や市民運動の方々からも評価を受けています。国際的視野で日本の政治変革の道すじを示す、綱領の一部改定案を全党員が身につけ語り広げれば、巨大な力を発揮することは間違いありません。
これらの可能性、条件をくみつくし、積極的支持者を広げ、第二決議案が提起している党建設の目標をやりぬき、「850万票、15%以上」の目標に正面から挑戦することを、全党のみなさんに心から呼びかけるものです。
ただちに総選挙にむけた活動に踏み出そう
解散・総選挙の時期は流動的ですが、いつ解散となっても「二つの大仕事」を達成できるように、ただちに総選挙にむけた活動に踏み出すことを訴えます。
比例代表選挙では、すでに24人の候補者を発表していますが、「850万票、15%以上」、全国11ブロックのすべてで議席獲得と議席増をかちとるために、各ブロックの政治目標にみあう候補者の決定を急ぎます。小選挙区とともに、女性候補の半数擁立を目標とします。
小選挙区では、野党の選挙協力を成功させるとともに、党の大幅議席増をめざします。小選挙区候補者の擁立にあたっては、与野党の得票が競り合っている選挙区を中心に、野党統一候補擁立の協議をすすめていきます。わが党候補が必勝を期す選挙区は、他党に対し野党統一候補とするように交渉します。その他の選挙区でも、現行の非民主的な選挙制度のもとでは、比例代表での党躍進のためには一定数の候補者を擁立することが絶対に必要であることを、あらためて強調したいと思います。
以上の考え方をもとに、すみやかに候補者の擁立をはかっていきます。
すべての党組織が、「850万票、15%以上」にみあう得票目標と支持拡大目標を決定し、「比例を軸」に、決議案が提起している七つの選挙方針を具体化し、大量政治宣伝や対話・支持拡大に踏み出そうではありませんか。
積極的支持者の拡大は、選挙戦が始まってからでは間に合いません。「毎日が選挙戦」の構えで、今から日本共産党を語る一大運動として、「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」や双方向の「街角トーク」を全国津々浦々で開催し、SNSも活用し、日本共産党を丸ごと語りぬきましょう。
とくに、今度こそ「対話・支持拡大の遅れ」を繰り返さないことを訴えます。
総選挙勝利にむけて、ただちに対話・支持拡大に踏み出し、その結果を台帳・名簿に反映させ、生きた名簿として日常不断に活用しましょう。
なによりも、積極的支持者を増やす主体である党員、党のもっとも親しい友人である「しんぶん赤旗」読者の拡大をすすめることに、全力をあげましょう。
後援会活動の強化について
全党討論では、後援会活動の現状を見直す議論が行われ、「総選挙にむけて、後援会を大きく発展させよう」と、活動強化にむけた取り組みがはじまっています。
いま、支部に対応する単位後援会は支部数の55%、会員数は全国で340万人です。
これを「850万票、15%以上」の得票獲得にふさわしく、400万から500万の後援会をめざしていきましょう。
具体的には、すべての支部が、対応する後援会を確立・日常化し、後援会ニュースなどを通じた、心かよう結びつきをつよめていきましょう。職場と分野別の後援会も確立し、支持者みんなが立ち上がる選挙にしましょう。その際、いまわが党に新しい注目を寄せ、応援しようという人々が、参加しやすい後援会活動へと思い切って改善していくことに、知恵と力をそそぐことを呼びかけます。
全党討議では、「なぜ個人後援会を提起したのか」「どのような考え方でつくるのか」といった疑問や質問が寄せられました。
決議案で、個人後援会を必要に応じてつくることを提起したのは、市民と野党の共闘の広がりのなかでの党と有権者の関係の変化に対応したものです。
この間の一連の選挙で、他党支持層や保守・無党派層の立場の人たちとも、選挙を一緒にたたかう経験が広がっています。幅広い人々の中で、党候補を自発的に応援する多彩な活動もうまれています。
こうしたもとで、後援会活動を、広範な人たちが参加しやすい活動へ、いっそう改善・発展させる必要があると考えた提案です。
これは、どの選挙区でも一律に「個人後援会」をつくるということではありません。「比例を軸に」をつらぬき、「日本共産党後援会」としての活動を選挙戦の基本としつつ、「必要に応じて」つくるという提起です。
国政選挙だけではなく、地方選挙でも、条件と必要性に応じてつくることにします。
もちろん、このことによって、いささかも、「比例を軸に」の大方針を弱めてはなりません。「日本共産党後援会」を「個人後援会」におきかえようという提案でもありません。
「必要に応じて」とはどういう手続きが必要なのかという質問も寄せられました。
これは、候補者などの個人の判断にまかされるものではありません。後援会の皆さんとよく相談し、最終的にはその選挙に責任をもつ党機関が判断して決めることにします。
実際の活動では、党候補を応援してくださっている方々の意見をよく聞き、創意性を発揮していただくようにしましょう。もちろん、個人後援会に参加する人にも、比例は日本共産党への支持を広めていただくように、働きかけていきましょう。
一つ一つの中間地方選挙で勝利し、総選挙必勝にむけて党躍進の流れをつくろう
報告の最後に、中間地方選挙の取り組みについて述べます。
一つ一つの中間地方選挙で、党の上げ潮の流れをつくりだしてこそ、国政選挙での躍進の道が開かれます。
その点で、この間の中間地方選挙で、従来の枠をこえた攻勢的な宣伝組織活動と、無党派層や保守の方々を含む他党支持層との協力・共同を大きく広げて、勝利した経験が生まれていることは貴重なことです。
しかし全体としては、議席も得票も後退傾向にあることを直視しなければなりません。
地方議員数は、党大会議案を発表して以降、7議席後退し、昨年末で2662人となっており、得票も前回比で93・2%にとどまっています。
根本的な要因は、党の積極的支持者を増やす日常不断の取り組みの弱さと、党の自力の後退にありますが、直接的には、宣伝・組織活動が従来よりも狭い活動にとどまったり、候補者決定の遅れなど選挙準備の立ち遅れによる失敗もあります。
現有議席を持ちながら後継候補が立てられず議席を失った自治体や、そのことで新たな党議席空白となった自治体も少なくありません。
力以上の候補者擁立による共倒れや、情勢判断の甘さからせり負けたこともあります。
一つ一つの中間選挙で勝利するためには、早くから候補者を決め、候補者を先頭にした日常的な選挙準備に計画的・系統的に取り組むことが不可欠です。
地方党機関は、早い時期から個別の選挙の状況をリアルにつかみ援助をすすめましょう。
中央も地方党組織と一体に、中間選挙勝利に向けた取り組みをつよめる決意です。
今年(2020年)は、国政にも重大な影響を与える東京都知事選が6月18日告示、7月5日投票で、京都市長選挙は大会直後の1月19日告示、2月2日投票で、そして6月には沖縄県議選もたたかわれます。
全党の同志のみなさん。
全国の力を集めて、かならず勝利をかちとろうではありませんか。
草の根から、市民と野党の共闘を広げましょう。強大な党をつくり、積極的支持者を増やして日本共産党躍進の流れをつくりましょう。党創立100周年に向けて、野党連合政権への道を力をあわせて切り開こうではありませんか。
以上をもって、第一決議案の中央委員会報告を終わります。  

 

●アベトモ山口敬之氏逮捕を止めた中村格氏が「ご褒美」警察庁次長に就任 1/16
伊藤詩織さん事件で、山口敬之氏の逮捕状を直前にストップさせた「官邸の忠犬」中村格氏が警察庁次長に就任することが明らかになりました。「警察庁次長」は警察庁長官の補佐ですが、実際の権限は警視総監を含めた全国の警察に及び、警視総監よりも「階級は下だが、実質的な権限は上」、そして事実上「警察庁次長は次の警察庁長官となるべき者のポスト」なのだそうです。
リテラの記事では、安倍政権の意のままに動く中村氏の悪行の数々を並べていますが、表に出ているだけでも、山口敬之氏逮捕の取りやめを指示した件、「報道ステーション」へ恫喝をかけ古賀茂明氏を降板させた件、安倍首相の秘書の息子のケンカに仰々しく捜査一課の捜査員を呼び出し、相手方を無理やり逮捕させた件、準強制性交容疑で刑事告訴された自民党の田端毅前衆院議員の捜査を封じた件など、「警察権力の私物化」し放題です。
これまででもこの調子ですから、今後さらなる権力を手にした警察庁ナンバー2の中村氏が安倍政権に批判的な報道や思想信条を徹底的に取り締まり、アベトモに対しては超法規的に優遇することは容易に想像できます。
こんなヤクザな社会など真っ平御免、前川氏のツイートにあるように「自公政権が続いていれば」の悪い夢に終わらせなければ。  
〈あなたのような素敵な女性が半裸で…〉 2017/5/25
山口敬之が被害女性に宛てた弁明メール
「週刊新潮」が報じた〈「警視庁刑事部長」が握り潰した「安倍総理」ベッタリ記者の「準強姦逮捕状」〉。売れっ子だった山口敬之・元TBSワシントン支局長(51)の立場から見て、記事を「好事魔多し」などと評するムキもあるようだが、異議申し立てをしておかねばなるまい。当時の中村格(いたる)・警視庁刑事部長が管轄署である高輪署の捜査を邪魔せず逮捕状を握り潰さなければ、山口氏を一躍スターダムに押し上げた『総理』出版(16年6月)も、その後のコメンテーター活動もありはしなかったのだから。
その中村氏ご当人について、さる警察庁関係者によると、
「あれほど自分のことが大きく報道されると思っておらず、結構落ち込んでいたそうです。“有名になると、いろいろ狙われる”とも愚痴っているとか」
といった反応が聞こえてきたし、彼よりも先輩のキャリア連中のなかには、
「“捜査にかかわることはコメントできないと言うべきだったが、マスコミ対応に慣れていると自負している分、自分が決裁したと言って墓穴を掘ったね”などと冷徹な評価を下す人もいます」(同)
中村氏が「(逮捕は必要ないと)私が判断した」と本誌(「週刊新潮」)の取材に答えたものだから、新聞・テレビの記者はその真偽のほどを本誌発売後、探りに行っている。そのあらましについて、事情を知る記者に語ってもらうと、
「“記事の件は、あまりまともだと思わない方がいい。なんで2年前の話が今ごろ出てくるのか、不自然でしょ。女も就職の世話をしてほしいという思惑があったから飲みに行ったのであって所詮男女の揉め事。彼女は2軒目にも同行しているんだしさ。その就職の話が結局うまくいかなかったこととか、最近、山口さんがテレビによく出ているからという、そういうことも(告白の)背景にあるんじゃないの”と、中村さんはこんな感じの話しぶりだったそうです」
“物言い”は身内にも及び、
「“高輪署の捜査のまま行ったら誤認逮捕だったかもしれない。自分は逃げも隠れもしないし、判断は的確”とも強調していましたよ」(同)
煎じ詰めると、はしご酒をしたらレイプされても仕方ないとも取れる発言で、法律の問題が男女といういわば文学にすり替わっている。
被害女性はこう話す。
「不起訴という結論が出るまで1年半かかりました。その後、検察審査会の準備を進める中で、週刊新潮さんから取材を受け、こうしてお話しさせていただくことになったのです」
次に、将来の警察庁長官の呼び声高い中村氏を直撃すると、
「(私が彼女に非があると言ったというのは)ありえません、そんなこと! 署の捜査が杜撰だったというか……まあ、あの“個別具体”の事件なんで。明日、ちゃんとお答えしますから」
などとし、後に広報を通じ、被害女性を誹謗中傷したり署の捜査を非難したことは断じてないと回答した。
積み上げてきた高輪署の捜査をちゃぶ台返しした時点で“ザル”扱いをしたに等しいわけだが、実際どうだったのか。まず、2人をホテルまで連れて行くことになったタクシー運転手が、
「(女性から)“近くの駅で降ろしてくれ”って言われたんです。で、降りるのはどの辺にしますかと聞いたら、男の人が“とりあえず駅はあれだからホテル行って。都ホテル”と。(ホテルに着いても)なかなか降りず、結局は抱きかかえて降ろされていた。(後部座席が)汚れているんじゃないかと見たら、後ろのマットに吐瀉物が。消化されない状態でドバッと、お鮨の臭いがして。そんなに未消化で残るのって珍しいなと思ったものです」
と語る中身には真率な響きがあるし、その後の動きについては監視カメラの映像が捕捉している。これを見た、彼女との交際が7〜8年になるという知人は、
「山口がタクシーから降りて、ちょっと時間が経ち、中から彼女を引きずり出すシーンと2人がロビーを通過していく場面です。山口が抱きかかえる感じで、彼女の身体が曲がっているというか、力が全く入っていないのを引きずって行くように。私はそんな彼女を一度も見たことがありません」
と明言し、こう継ぐ。
「彼女自身は酔ってもそういう風にならないし、かなりの量を飲んでも大丈夫。ほとんど面識のない人(山口氏とは3度目)と仕事の場でのお酒であれほどになってしまうというのは薬以外にないと思う。彼女は“近くの駅で降ろして”と話しているから運転手にとって『意識がない人』という認識はない。けれど彼女にはその部分の記憶がまるでない。もう想像しただけでぞっとします」
その一方で、事件後に山口氏が被害女性に宛てたメールから概略を引用すると、
〈私は私のスーツケースの中やパソコンに吐きかけられたゲロを袋に片付けて濡れタオルで拭いて、トイレにあなたを見に行くと、あなたは自分がトイレの床に吐いたゲロの上で寝込んでいた。私はあなたをゲロから剥がして、あなたを部屋に移してベッドに寝かした。トイレに戻って吐き散らかされたゲロをシャワーで洗い流して、部屋に戻るとあなたはすでにいびきをかいて寝ていた。私はあなたの髪の毛などについた嘔吐臭が耐えられなかったので別のベッドで寝ました〉
その後、
〈あなたは私の寝ていたベッドに入ってきた。その時はあなたは「飲み過ぎちゃった」などと普通に話をした。だから、意識不明のあなたに私が勝手に行為に及んだというのは全く事実と違います。あなたのような素敵な女性が半裸でベッドに入ってきて、そういうことになってしまった〉
しかしホテルの関係者は、
「客室に2つあったベッドのうち1つしか使われた形跡がなかった。しかも、そのベッドには血痕がついていた」
と証言しているというのだ。果たして、ベッドは2つとも使われたのだろうか。
山口氏にはこの点や避妊具なしの性交について質しているが、それには答えようとせず、
「法に触れる事は一切していない。法に触れる事をしていないので起訴を恐れる必要も意図も全くなく、その通り不起訴という結論が出ている」
という弁明を続けているが、本当に起訴を恐れることはなかったのか。
というのも、彼の代理人弁護士が示談を求める姿勢を見せていたことがわかっているからだ。そこから窺えるのは山口氏側が起訴を避けたかったという点だ。親告罪である準強姦罪は被害届を取り下げさえすれば訴訟条件を欠くので起訴できなくなる。その撤回のため、カネをチラつかせた時期があったということになる。このあたりの“心模様”について、強姦事件に詳しい三平聡史弁護士に解説してもらうと、
「裁判になって日々多大な時間と労力をかけ、それでも勝てなかった場合は準強姦で有罪判決になり、前科がつきます。勝って無罪になっても、家庭や職を失うこともありますし、成功報酬とそれまでの裁判費用で結構な額がかかります。男性は、強姦だと言われて思い当たる節が少しでもあるのであれば、できるだけ早く・安く問題を解決するために示談の交渉をしたいと思うのが普通でしょう」
そして、こう付け足す。
「準強姦で訴える場合、女性側は心神喪失で抵抗できない状態にあるという前提なので、“拒否したのに無理やりされた”などとはっきり証言はできない。裏返すと、男性側の反論の余地が大きくなるわけです。時間もお金も労力もかけるメリットが女性側には皆無なので、準強姦の訴えがデタラメだというのはほとんどないと思います」
最後に、被害女性の知人の言葉を再び引こう。
「彼女は事件翌日の昼間に予定は何もなかった。なのに、早朝に独りでまるで逃げるようにしてホテルを出て行く映像が確認できます。山口が同意の上だと言うのなら、彼女はなんでそう振る舞わなきゃならなかったんでしょうか」 
現場ホテルのドアマンが目撃した山口敬之の「連れ込み現場」 12/26
準強姦逮捕状が握り潰されて4年半。安倍官邸と次期警察庁長官を援軍とする総理ベッタリ記者とのレイプ裁判は長く苦しいものだった。が、その過程で闇に葬られた「ドアマンの供述調書」が浮かび上がってきた。それこそが控訴審のカギを握っているのである。
世の中で怖いものの通り相場は地震雷火事親父だが、親父の権威失墜を踏まえて更に当世風に言えば、最後の4文字は「安倍官邸」となるだろうか。
去る12月18日の10時30分、東京地裁709号法廷。時の宰相とそれにかしずく官邸官僚トップを巻き込んだ裁判に審判が下った。
安倍総理に深く食い込み、全幅の信頼を得ていた“総理ベッタリ記者”こと山口敬之(のりゆき)・元TBSワシントン支局長(53)、そして彼に「レイプされた」と主張するジャーナリスト伊藤詩織さん(30)との間で係争中の損害賠償訴訟の判決が言い渡されたのだ。
山口記者は、今年2月、詩織さんを相手取り、「名誉を毀損し、プライバシーを侵害した」として、1億3千万円の損害賠償を求めた。詩織さんは2017年9月、「支局長の立場に乗じ、就職斡旋をチラつかせ、レイプした」と、山口記者に1100万円の損害賠償を請求していたから、彼は「反訴」したことになる。
12月18日に東京地裁が下した判決は、山口記者は詩織さんに対し、330万円の金員を支払えというもの。詩織さんの全面的な勝訴であるが、会見で山口記者は控訴の意向を示している。だから、2020年以降に両者は、東京高裁で更なるお上の裁きを待つことになる。
その控訴審の帰趨を決するのが、ある陳述書の存在である。
陳述書の作成者の氏名を明かすことはできないが、事件のあった東京・白金のシェラトン都ホテルに勤務し、事件当夜の15年4月3日、ドアマンとしてエントランスに立っていた人物である。
陳述書の提出日は19年10月23日。準強姦発生から実に4年半の歳月が流れている。なぜ、これだけの時間を要したのだろうか。
ドアマンは、その理由について、〈裁判所から何の連絡もないまま、もうすぐ(本件の民事裁判が)結審するというニュースを知り、このままでは私の見たことや私の調書の存在は表に出ることなく葬り去られてしまうと考え、9月末に伊藤詩織さんを支える会に連絡をし、ようやく伊藤さんの代理人に連絡が取れ〉たからだと綴っている。
もっとも、裁判は10月7日に結審してしまっていたため、詩織さん側は弁論再開の手続きを求めたが、認められなかった。つまり、今回の裁判官の判断に、作成されたドアマンの陳述書は宙に浮き、1フレーズも考慮されていない。
ではここで、事件当日から係争に至る経緯を駆け足で振り返っておこう。
15年4月3日、TBSのワシントン支局長だった山口記者が一時帰国した折、ニューヨークで知り合い、TBSに働き口を求めていた詩織さんと会食した。山口記者のホームグラウンドである東京・恵比寿で2軒目までハシゴしたところから意識を失った彼女は、その後タクシーに乗せられた。タクシーはシェラトン都ホテルへ。山口記者の部屋に連れ込まれ、翌日未明、性行為の最中に目が覚めた。
4月30日に警視庁高輪署が詩織さんからの刑事告訴状を受理。捜査を進めた結果、裁判所から準強姦(当時)容疑で逮捕状が発布された。6月8日、アメリカから日本に帰国するタイミングで山口記者を逮捕すべく署員らは成田空港でスタンバイした。しかし、その直前に逮捕は中止。捜査員は目の前を行く山口記者をただ見つめることしかできなかった。中止の命令は、当時の警視庁刑事部長で現・警察庁ナンバー3、官房長の中村格(いたる)氏によるもので、彼自身、「(逮捕は必要ないと)私が決裁した」と本誌(「週刊新潮」)の取材で認めている。
中村氏は菅義偉官房長官の秘書官を長らく務め、その絶大な信頼を得てきた。ベッタリ記者逮捕の中止を命令する一方、安倍総理元秘書の子息による単なるゲームセンターでのケンカに捜査1課を投入し、相手を逮捕するという離れ業もやってのけたのは本誌既報(19年11月28日号)の通りだ。官邸絡みのトラブルシューター・守護神・番犬たる部長。その命を受け、捜査の仕切り直しを担った警視庁本部からの書類送検を受けた東京地検は、ほぼ1年後の16年7月に不起訴と判断。詩織さんは17年5月、検察審査会に審査申し立てを行なったものの、9月に「不起訴相当」の議決が出ている。
高輪署からドアマンに、「本件で話を聞きたい」とアプローチがあったのは、事件から少し経った頃だった。まだ逮捕状は握り潰されていないどころか、むろん出ていないし、中村部長も気付いていない。やってきたのは高輪署の強行犯係の刑事ら2人だった。社内の人間からその要請を聞かされたドアマンは最初、何のことだか思い当たるフシがなく、「記憶力があまり良い方とは言えず、思い出せる自信がない」と思ったという。
捜査員はドアマンのところへやってくる前に、山口記者と詩織さんをホテルまで乗せてきたタクシー運転手から話を聞いていた。当の運転手は、「僕よりもホテルのドアマンさんの方が話を聞いているんじゃないですか」と告げたというのだ。
そんなやりとりを聞きながら、ドアマンの頭に当日の光景が生々しく蘇ってきた。聞かれもしないのに山口記者の風采を話し出した彼に捜査員は虚を衝かれたことだろう。「記憶力があまり良い方とは言えない」彼がどうして「15年4月3日のこと」を詳細に覚えているのか。それは、「ドアマン生活の中でも忘れられない出来事だったから」だ。
では、ドアマンの「私の見たこと」や「私の調書」について述べていこう。
2人が乗ったタクシーがホテルの玄関前に滑り込んできた時、日本のドアマンなら誰もがそうするように、彼もまた後部座席の左側のドアの方へ出向いた。陳述書にはこうある。
〈その時に手前に座っていた男性と目が合い、怖い印象を受けました。そして、奥に座った女性に腕を引っ張るようにして降りるように促していた〉
遠のく意識の中でも詩織さんは懸命に運転手へ「近くの駅まで」と言ったが、山口記者は「部屋を取ってある」と返し、タクシーは彼の指示に従ってここまでやってきたのだ。
〈女性の方は(中略)「そうじするの、そうじするの、私が汚しちゃったんだから、綺麗にするの」という様なことを言っていました。当初、何となく幼児の片言みたいに聞こえ、「何があったのかな」と思っていたら、車内の運転席の後ろの床に吐しゃ物がありました〉
車内で戻してしまったのだ。それから、山口記者は詩織さんの腕を引っ張って、無理やり車外へ連れ出そうという動きを取る。
〈女性は左側のドアから降ろされる時、降りるのを拒むような素振りをしました。「綺麗にしなきゃ、綺麗にしなきゃ」とまだ言っていたので、座席にとどまって車内を掃除しようとしていたのか、あるいはそれを口実に逃げようとしているのか、と思いました。それを、男性が腕をつかんで「いいから」と言いました〉
車寄せからホテルのエントランスまでの僅か10メートルほどの距離も詩織さんには遠すぎたようで、
〈足元がフラフラで、自分では歩けず、しっかりした意識の無い、へべれけの、完全に酩酊されている状態でした。「綺麗にしなきゃ、綺麗にしなきゃ」という様な言葉を言っていましたが、そのままホテル入口へ引っ張られ、「うわーん」と泣き声のような声を上げたのを覚えています〉
むろん、ドアマンがこのことを刑事に話している際に、男女が何者であるか、刑事が何の捜査をしているのかは知る由もない。だから、本誌がこの件を記事にし、詩織さんが記者会見をする17年5月になって初めて、あれは〈この事件だったのか〉と気付き、ドアマンは会見を通して素面の詩織さんを初めて“目撃”することになる。
〈まるで別人でした。自分では歩けないから、男性が手を強引に引っ張ってホテルの玄関に入って行きました。私はそれを唖然として見送りました〉
まさに我を失ったこの状態について、詩織さんは「デートレイプドラッグを山口記者に何らかの形で飲まされた可能性」とかねて主張し、山口記者はこれを全否定している。今となっては残念ながらこれを調べる術はないが、尋常ではない前後不覚ぶりだったことが陳述書を通じて浮き彫りになってくるのだ。
正体を失った詩織さんとは対照的な山口記者の横柄な態度もドアマンには強く印象に残っている。
〈驚いたのが、男性がタクシーの運転手さんに一言の謝罪も無く、女性に対して言った「いいから」という言葉以外は無言で立ち去ったことでした。「え、何もしないで行ってしまうのか」と驚きあきれ、こういう場合、たいていは、運転手さんにクリーニング代のチップくらい渡すものなのに、運転手さんはかわいそうだな、今日はもう仕事にならないだろうな、と思ったのです〉
世界に冠たるホテルチェーンの、経験豊かなドアマンの目を射たのは、山口記者の振る舞いのみならず、「吐しゃ物」にも及んでおり、
〈吐しゃ物はたいてい、周囲に広がっていくものなんです。ところが、その時の吐しゃ物は客席の足元に敷かれたフットマットの上に、こんもりと固形に近い形でありました。「へえ、珍しいな」と思い、せめて散らばらなくて運転手さんのためには良かったな、と思いました〉
改めて、この日のことを詳細に記憶しているのは、
〈男性(山口記者)の運転手さんへの態度がひどいと憤りを感じたこと、女性の「綺麗にするの、綺麗にするの」というセリフを言って逃げようとする素振りをしていたこと、その声のトーンが何となく奇妙に感じられたこと、女性がその言葉を口実に相手の男性を拒否しているように見えたこと、さらに車外に出た後に女性が泣き声のような声をあげたことが、ものすごく印象的に残ったから〉
だとし、
〈客観的に見て、これは女性が不本意に連れ込まれていると確信しました〉
と答えた。それを受け、
〈捜査員は、「これだけはっきりした証言なら行けるな」と2人で話し、「じゃあ、次回は調書を取らして下さい」「ああ、わかりました」というやり取りをしました〉
そして後日――。改めてやってきた捜査員の手で、ドアマンの供述調書は作成されたのである。
「これだけはっきりした証言」に基づいた調書のはずが、山口記者が逮捕されることはなかった。警視庁から東京地検へ本件が書類送検される際にはこの調書も含まれており、担当検事もこれを見ている。しかし、検察官自らドアマンから事情を聞いて、それを調書にした形跡は見当たらず、検察は不起訴と判断した。その後、詩織さんは検察審査会に審査を申し立てるのだが、これも「不起訴相当」の議決が下る。それは、これからも刑事裁判が開かれることはないとの宣告であり、検察が証拠とどう向き合ったのかを我々は知る術がなくなってしまった。
ともすれば、ドアマンが、〈このままでは私の見たことや私の調書の存在は表に出ることなく〉と言うように、闇から闇へ葬られていた可能性が高いのだ。 
元TBS記者の山口敬之さんが控訴。伊藤詩織さんとの裁判で 1/7
元TBS記者の山口敬之さんが1月6日、ジャーナリストの伊藤詩織さんに「合意がないまま性行為をした」として慰謝料330万円の支払いを命じた東京地裁の判決を不服として、東京高裁に控訴した。
伊藤さんは2017年、就職相談のために食事をした山口さんから性暴力を受け、重大な肉体的・精神的苦痛を被ったとして、慰謝料1100万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。
2019年12月18日に言い渡された東京地裁の判決では、山口さんの行為について、「酩酊状態にあって意識のない原告に対し、合意のないまま本件行為に及んだ事実」と「意識を回復して性行為を拒絶したあとも原告の体を押さえつけて性行為を継続しようとした事実」が認められるとして、不法行為と認定。
山口さんは、伊藤さんから名誉を毀損されたことで社会的信用や仕事を失ったとして、慰謝料1億3000万円などを求めて反訴したが、判決で棄却された。
判決日に都内で会見した山口さんは、「法に触れる行為は一切していない」として控訴する意向を示していた。
これまでの経緯
2015年4月3日 伊藤詩織さんと元TBS記者・山口敬之さんが恵比寿で食事後、港区内のホテルへ行く
2015年4月30日 警視庁高輪署が準強姦容疑(当時)で伊藤さんの告訴状を受理
2016年7月22日 東京地検が嫌疑不十分で不起訴決定
2017年5月18日 「週刊新潮」で記事化
2017年5月29日 伊藤さんが検察審査会に不服申し立て。同日、司法記者クラブで「詩織」の実名で記者会見
2017年9月22日 検察審査会は「不起訴を覆すだけの理由がない」として「不起訴相当」と議決
2017年9月28日 「望まない性行為で精神的苦痛を受けた」として、伊藤さんが山口さんを相手に1100万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こす
2017年10月18日 伊藤さんが著書「Black Box」を出版
2017年10月24日 伊藤さんが日本外国特派員協会で会見
2019年2月 山口さんが伊藤さんを相手に慰謝料1億3000万円と謝罪広告の掲載を求めて反訴
2019年7月8日 口頭弁論(伊藤さん、山口さんが出廷)
2019年10月7日 結審
2019年12月18日 判決言い渡し。東京地裁の鈴木昭洋裁判長は山口さんに慰謝料約330万円の支払いを命じ、山口さん側の請求は棄却した。同日、山口さんは記者会見し、控訴する意向を表明 
伊藤詩織さんの美貌はなにを意味するのか 1/8
ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が、山口敬之元TBSワシントン支局長(53)から性暴力を受けたと訴えている損害賠償請求裁判の一審は、伊藤さん側の勝ち、山口さん側に330万円の支払いが命じられた。
今後も二審三審と裁判は続くだろうが、今回の一審の勝訴は大きな意味がある。人々の酒が入った上でのセックスへの意識が変わるだろうからだ。取材をしていても、女性が仕事上のつきあいで酒を飲み、酔った状態で不本意な性交渉を持ってしまった経験をたびたび聞いてきた。大半の女性にとっては、恋人や夫以外の男性と性交渉を持つことは、取り返しのつかないことだ。それが原因で退職をする女性も多くみてきた。
今までも多くの女性が同じような被害にあってきたが、今回、伊藤詩織さんは勇敢にも告発した。なぜ、伊藤さんの告発や裁判が注目を集めるか? それを通して、ふたつのことを考えたい。実名報道の意義と、伊藤さんの美貌の意味だ。
2019年7月18日に起きた京都アニメーション放火殺人事件では実名報道の是非が話題になった。一記者として実名報道のいいか悪いかという意見はない。だが、あの騒動をみていて、批判する側に違和感があった。たとえばだ。ある人気ユーチューバーは「実名報道されると、それを元にして、週刊誌や新聞の記者たちが被害者宅に押し寄せる。許可もとらずにカメラを向けて、写真を撮ったり」という旨を動画上で発言した。
私は個人的にこのユーチューバーの動画をよく見ているだけに、かなり驚いた。記者たちは実名報道がされる前から被害者の名前を知っている。だから、実名報道をみて、遺族の元に行くということはありえない。また、今時、許可もとらずにカメラを向けて写真を撮るとも考えにくい。なぜなら、そんな写真は使用できないし、先方から会社にクレームがくるからだ。
事件取材では被害者の遺族のインタビューを掲載したいとどこのメディアも考える。そのためには、遺族との信頼関係を築くのが重要だから、乱暴なことをするわけがない。ある有名雑誌は取材依頼の手紙を編集者が手書きで書く。それを郵便で遺族の元に送る。これによって、この雑誌は多くの遺族のインタビューを得てきた。また、あるテレビの情報番組のディレクターは、「遺族の方にいかに誠意を伝えるかだ」と事件取材の心得を語っていた。
正直いって、テレビにしろ、週刊誌にしろ、数字が獲れるのは、事件よりも、小室圭さんの今≠竚|能スキャンダルだ。だが、いたましい事件が起きたら、手間や費用をかけて取材し、報じるのは、そこに報道の意義があるからだ。そして、なぜ、実名報道をするか。それは実名を出した方が記事に説得力が出て、いたましい事件が読者の記憶に残るからだと判断するからだ。
この実名報道の意義への反論も多くある。私も数年前に自分で追っていた事件で、ある著名なジャーナリストが書いた記事に被害者の名前が実名で掲載されているのをみて、「問題では?」と思ったこともあった。ただ、一方で、伊藤詩織さんの訴えをみていると、実名は強いということを痛感させられた。性暴力被害の訴えを報じる記事はたくさんある。
フォトジャーナリストが複数の女性に性交渉を強要していた問題も報じられているし、また、去年、伊藤忠商事の子会社の女性社員が、出向先の伊藤忠商事で、セクハラ被害にあったことを訴える記事も出た。この伊藤忠の記事は、男性社員と被害者が旅館で二人っきりになるように、他の社員も協力しているというインパクトが強い内容だった。しかし、匿名の告発だと、内容が強烈な場合、なんだか、漫画を読んでいるような気分になり、リアリティに欠けるようにも感じる。
ところが伊藤さんは実名かつ顔出しだ。伊藤さんの訴えに関する報道には真実味があるようにも思える。伊藤さんの勇気ある告発のおかげで、今後、日本人の性暴力への認識は変わるはずだ。・・・ 
「山口敬之」準強姦逮捕状握り潰し 中村格氏が「警察長官」に王手という悲劇 1/12
“官邸ベッタリ記者”山口敬之氏の準強姦逮捕状を握り潰した人物として、週刊新潮は当時の警視庁刑事部長・中村格の関与をたびたび報じてきた。
また、本誌からの取材依頼メールを受けた山口氏が〈北村さま、週刊新潮より質問状が来ました…〉と、本誌編集部に“誤返信”したのも既報のとおり。この北村さまについて、後に山口氏は“相談相手の民間人”と説明したが、当時の内閣情報官の名は北村滋氏だった。伊藤詩織さん事件に登場する人物たちの明日は――。
2019年12月26日の「首相動静」欄に、こんな文言が掲載された。
「警察庁の栗生俊一長官、松本光弘次長、北村博文交通局長、大石吉彦警備局長、警視庁の三浦正充警視総監、斉藤実副総監と会食」
特捜部が政治家を逮捕する一方で警察幹部と……とか、北村は北村でも滋さんの方じゃないんだとか……いろいろな議論が飛び交ったが、さる官邸関係者によると、
「首相が警察幹部を労った、いわゆる“お疲れ様会”ですね。すでに官邸には、新しい長官と総監の人事が伝えられています」
順当に行けば、1月のどこかの閣議で人事が了承されることになる。
具体的には、栗生俊一長官が退任し、その後に松本光弘次長が、三浦正充警視総監が退任し、斉藤実警視庁副総監が、それぞれ新たに就任する。両者の人事は同時ではなく少しずれる可能性はある。そして、この会食の場にはいなかったあの中村格官房長が警察庁ナンバー2である次長の席に就任予定なのだが、そこに触れる前に、長官人事について説明しておこう。
栗生氏は2018年1月に就任し、任期は2年ということになる。就任前にはパチンコ業者からの付け届けを示唆する怪文書が出回ったこともあった。2017年12月19日配信記事「警察庁幹部がパチンコ業者から付け届け!?“告発”の裏で繰り広げられる人事の暗闘」では名を伏せて報じられているが、このときターゲットになったのが、長官就任前の栗生氏だった。
「栗生さんは最終的には官房副長官のポストに就きたいと思っている。このポストは長らく内閣情報官を務め、国家安全保障局長に就いた北村滋さんも関心を示している。栗生さんは昭和56年入庁で、北村さんは55年入庁。1年違いの二人は犬猿の仲なんですよ」(同)
その栗生氏の跡を襲う松本氏は、警察庁外事情報部長時代には『グローバル・ジハード』(講談社)という書籍を上梓し、その後、警備局長→官房長→次長と順調に出世すごろくのマスを進んできた。もっとも、さる警察庁関係者によると、
「警察庁出身で官邸を仕切る杉田さん(和博官房副長官)が『松本長官』には難色を示してきました。ウマが合わないと言ってしまえばそれまでですが、杉田さん好みの報告の仕方があって、松本さんはそれに馴染まなかったことが確かにありましたね。ただ、仮に松本さんが退任、あるいは総監に就いた場合、栗生さんが3年目に突入することになる。“いつまでやるんだ!!”って声はかなり聞こえてきていました。オリパラ警備で何かあったら最低でも長官・総監のどちらかは詰め腹を切らされますから、なかなかつらい役回りとも言えますね」
そして、次長に就任する中村格氏である。
2019年12月18日、ジャーナリスト・伊藤詩織さん(30)が元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)を訴えた民事訴訟で判決が下り、結果は詩織さんが勝訴した。そもそもの原因は、2015年4月4日未明、山口氏による準強姦事案が発生したことにある。警視庁高輪署が逮捕状を持って成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていたところ、その直前に逮捕は中止。捜査員は目の前を行く山口記者をただ見つめることしかできなかった。中止の命令は、当時の警視庁刑事部長だった中村氏によるもので、彼自身、「(逮捕は必要ないと)私が決裁した」と週刊新潮の取材に認めている。
中村氏は菅義偉官房長官の秘書官を長らく務め、その絶大な信頼を得てきた。山口氏逮捕の中止命令をする一方、安倍首相元秘書の子息による単なるゲームセンターでのケンカに捜査一課を投入し、相手を逮捕するという離れ業もやってのけたのは「週刊新潮」が報じた通り。官邸絡みのトラブルシューター・守護神・番犬たる部長が、いよいよ警察庁長官の座に手をかけたということになる。
準強姦逮捕状の握り潰しが露見した当時、国会議員だった元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、その頃から捜査の大きな問題点を指摘していた。
「この事件では、そもそも逮捕状が出ていたのに、当時の刑事部長が途中で捜査を止めてしまうというまったく異例の判断がされました。そのことが起点となり、法治国家としてはあるまじきその後の流れができてしまったのだと考えています。というのも、刑事事件の捜査においては、強制捜査の有無が証拠の集まり方を左右することになるからです。被疑者が逮捕されていないのに、被疑者と親しかったり、利害関係を有している関係者が、捜査に積極的に協力することは、はっきり言ってあまりありません。やはり被疑者を逮捕してはじめて、関係者たちはことの重大さに気づき、捜査にきちんと協力するようになるものなのです」(週刊新潮19年12月26日号に寄せたコメント)
法治国家としてあるまじきその後の流れを警察トップが作ってしまったのだとしたら、「警察いらない」ってことになりはしないだろうか。 
山口敬之氏の逮捕を中止した中村元刑事部長が警察庁長官目前… 1/12
ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の山口敬之氏から性暴力被害を受けたとして損害賠償を求めていた民事裁判について、2019年12月18日東京地裁709号法廷で判決が下った。「支局長の立場に乗じ、就職斡旋をチラつかせ、性暴行をはたらいた」とする詩織さんの主張が認められ、330万円の損害賠償の支払いを山口氏に命じた。一方、山口氏は「伊藤さんの記者会見での発言などで社会的信用を奪われた」として詩織さんに慰謝料を支払うように求める反訴を行っていたが、これは棄却された。
シェラトン都ホテルで、詩織さんが山口氏に暴行されたのは、2015年4月4日未明。詩織さんからの刑事告発状を受理した警視庁高輪署は捜査を進め、裁判所からの逮捕状の発布を受けて、6月8日、アメリカから帰国する山口氏を逮捕すべく、成田空港で張り込んでいた。しかし、当時の警視庁刑事部長の中村格氏から逮捕中止の命令が入った。捜査員たちは通り過ぎていく山口氏を、ただ呆然と見送るしかなかった。
裁判所が発布した逮捕状に関して、たとえ幹部であろうと警察がその執行を止めるなど、通常はありえない。もちろん、別の証拠が出て来て逮捕状発布の条件が変わったなどの例外はあるが、この件に関してはそうではない。中村氏本人が逮捕中止に関して「私が決裁した」と「週刊新潮」(新潮社)の取材に答えているから、これは動かぬ事実だろう。
山口氏には安倍晋三総理に関する『総理』『暗闘』(いずれも幻冬舎)の著書があり、総理に直接電話で話ができる記者であった。『総理』は2016年6月9日、『暗闘』は2017年1月27日に発刊されている。逮捕されていれば、どちらも世に出ていなかった可能性が高い。
本来は、他人の心情を推し量ることを指した「忖度」が、ここ10年、自分の身分を守るために上位者の意向を窺って行動するという意味に変わってしまった。
中村氏は逮捕中止の後、組織犯罪対策部長兼生活安全局付兼刑事局付兼官房付、総括審議官兼警備局付と出世を続け、現在は警察庁長官官房長、次は警察庁長官の椅子が待っていると言われている。書類送検を受けた東京地検は、16年7月に不起訴処分とした。中村氏と同様の原理で動いたのだろう。
全国29万人の警察官のほとんどは、犯罪を抑止し、起きてしまった犯罪に対しては、加害者を捕らえるべく、地を這うように職務に従事している。それを尻目に、警察幹部たる中村氏は、官邸お抱え記者とも言われた山口氏を守るために、性暴力被害を握りつぶした。
マスメディアでは、伊藤詩織さんvs.山口敬之氏の構図で語られがちなこの裁判だが、詩織さんが闘っているのは、国家権力の腐敗である。
司法の世界にも忖度はある。福井地裁で14年に大飯原発差し止め判決を出し、15年に高浜原発差し止め判決を出した樋口英明裁判長は、名古屋家裁に異動させられた。もちろん家裁の判事は重要な仕事だが、樋口裁判長の経歴から考えれば極めて異例だ。どちらの判決も大阪地裁で覆った。国策に沿わない判決は上級審で覆され、判決を下した裁判官は家裁に回されたり、全国の地裁を転々とさせられたり、出世コースから外される。
日本国憲法第76条3項には「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」と裁判官の独立が書かれている。もちろんこの通りに判決を出すことはできる。だが、その後どうなっても知らないよ、というのが現実だ。最高裁判所事務総局が人事権を握っているからだ。長期的な視点に立てば裁判官の独立などはなく、他の多くの憲法の条文と同じく第76条は空文化している。裁判官のほとんどは「判例タイムス」に載る最高裁判決や最高裁判所事務総局見解を目を皿にして読み、その意向を汲んで出世を目指しているのだ。
鈴木昭洋裁判長は「酩酊(めいてい)状態で意識のない伊藤さんに合意のないまま性行為に及んだ」として山口氏に損害賠償の支払いを命じた。証拠を精査し法理に則った、良心に従った判決である。
控訴した山口氏は、記者会見で以下のように語った。
「本当に性被害に遭った方は、『伊藤さんが本当のことを言っていない。こういう記者会見の場で笑ったり、上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは絶対にない』と証言しているんですね。今、伊藤さんは世界中で露出をして本当の性被害者として扱われている。本当の性被害にあった方が、嘘つきだと言って出られなくなるのならば、残念だなと思います」
ここに山口氏の本音が露呈している。まさか詩織さんが名前や顔を出して告発してくるとは思わなかったという自分の誤算を、あからさまに語っているのだ。確かに、性犯罪の被害に遭った女性は、二次被害を恐れて沈黙するか、告発する場合でも名前も顔を出さない場合がほとんどだ。詩織さんのように、山口氏の記者会見にまで参加する被害者は前例がない。
2019年、リチウムイオン二次電池の開発で吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞した。人類の大多数はノーベル賞に値する発明などしない。だからといって、発明をする人間などいないとは言えない。2019年10月12日、ケニアのエリウド・キプチョゲ選手は、ウィーンで行われたINEOS社主催の特別レースで、1時間59分40秒というタイムを記録した。フルマラソンを2時間以内で走る人類は彼以外にはいない。だからといって2時間以内で走る人類はいないとは言えない。
当たり前のことだが、大多数がそうだから、そういうことはありえないというのは、なんの論証にもならない。今まで知られていなかった事実、今まで信じられていたことを覆す事実を探し出してくることは、ジャーナリストの重要な仕事だ。イギリスの作家、ジャーナリストのジョージ・オーウェルは、「ジャーナリズムとは報じられたくないことを報じることだ。それ以外のものは広報にすぎない」という言葉を残している。山口氏は果たして、ジャーナリストと呼べる存在だったのだろうか。
自分と飲んでいた女性がまともに歩けないほどの酩酊状態に陥ったら、ほとんどの男性は彼女を病院や自宅に送る。そんな女性をホテルに連れ込んで性暴力を加えるということは考えられない。だからといって、そういう男性がこの世に1人もいないとは言えない。
詩織さんの訴えは第三者の証言でも裏付けられており、一方、山口氏は自身の供述が食い違ってしまっている。そうしたことを見て、鈴木裁判長は厳正に判決を下した。
良心に従った判決も上級審で覆される場合がある。この裁判の行方はどうなるのだろうか。裁判官は法廷に出された証拠にのみ基づいて判決を下すのが建前。だが実際には上位者への忖度も行われるし、世論も気にするものである。
メディアに居場所がなくなった山口氏は、安倍政権としては用済みの存在である。そして安倍政権そのものも、急速に求心力を失っている。世論は圧倒的に伊藤詩織さんを支持している。そう考えると、上級審でも同様の判決が出るのではないだろうか。 
山口敬之逮捕を握り潰した中村格が警察庁ナンバー2に! 1/15
『報ステ』に圧力、安倍秘書の息子の喧嘩にまで介入した“官邸の忠犬”
ついに、あの“官邸の忠犬” “政権の爪牙”が警察庁ナンバー2の座に就く。昨日14日、警察庁長官に松本光弘次長、警視総監に斉藤実副総監が昇格する人事が閣議で承認されたが、同時に警察庁次長に中村格官房長が就くことがわかったからだ。
次長というと長官のたんなる補佐役のように受け取られがちだが、実際にはその権力は絶大で、指揮監督は全国におよび、事実上、警視総監以上の権限をもつ。しかも、予算をはじめ人事や政策立案まで握るポジションであり、さらに出世コースとしては次期長官が約束されたも同然だ。
そのポストに官邸の忠犬たる中村氏が就く──。この人事に、憤りを覚える人はきっと多いはずだ。
というのも、中村氏といえば、昨年12月に東京地裁で勝訴した伊藤詩織さん事件で山口敬之氏の逮捕を潰した最重要キーマンだからだ。
あらためて振り返ると、元TBS記者で「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」と呼ばれていた山口敬之氏から性暴力を振るわれたという伊藤さんの相談を受け捜査を担当していた高輪署の捜査員が、2015年6月8日、逮捕状を持って成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていた。ところが、この逮捕直前に上層部からストップがかかった。この逮捕取りやめを指示したのが、当時、警視庁刑事部長だった中村氏だった。実際、山口氏の逮捕を取りやめるよう指示したことについて、本人が「週刊新潮」(新潮社)の直撃に対し、「(逮捕は必要ないと)私が決裁した」と認めているのである。
伊藤さんの著書『Black Box』(文藝春秋)には、伊藤さんが直接、中村氏への取材を二度試みたくだりが出てくるのだが、それによれば、中村氏は一切の説明をせずに逃げたのだという。
〈出勤途中の中村氏に対し、「お話をさせて下さい」と声をかけようとしたところ、彼はすごい勢いで逃げた。人生で警察を追いかけることがあるとは思わなかった。
私はただ、答えが欲しいのだ。中村氏にはぜひ、「私のした判断は間違いではなかった。なぜなら……」ときちんと説明して頂きたい。なぜ元警視庁刑事部長の立場で、当時の自分の判断について説明ができず、質問から逃げるばかりなのだろうか?〉(『Black Box』より)
結果的に事件は2015年8月に書類送検され、山口氏は翌年7月22日付けで嫌疑不十分で不起訴処分に。逮捕寸前まで行った事件が、このように中村氏の逮捕取りやめ指示によって“ブラックボックス”のなかに押し込められてしまったのである。
そして、この中村氏による逮捕取りやめ指示の背景にあるとみられてきたのが、中村氏と菅義偉官房長官の関係だ。中村氏は第二次安倍政権発足時に菅官房長官の秘書官をつとめており、“菅の懐刀”と言われてきた。
その深い関係を象徴するのが、『報道ステーション』(テレビ朝日)の古賀茂明降板事件だ。2015年、IS人質事件に関してレギュラーコメンテーターだった古賀氏は安倍首相が「『イスラム国』と戦う周辺国に2億ドル出します」と宣戦布告とも取られかねない発言をおこなったことを批判。さらに「まぁ私だったら“I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要があるんじゃないかと思いましたね」と発言した。
この発言に官邸は大激怒。本サイトでも当時伝えているが、「菅官房長官の秘書官」が番組編集長に電話をかけまくり、編集長が出ないと今度はショートメールで「古賀は万死に値する」という、恫喝をかけた。その「菅官房長官の秘書官」が中村格氏だったのである。
古賀氏は著書『日本中枢の狂謀』(講談社)のなかで、この『報ステ』に恫喝メールを送った「菅官房長官の秘書官」が中村氏であることを明かし、こう綴っている。
〈一月二三日の最初の「I am not ABE」発言の直後、なんと番組放送中に、まず中村格官房長官秘書官(当時)から、報道局ニュースセンター編集長の中村直樹氏に電話があったという。たまたま中村編集長が電話を取り損ねると、今度はショートメールが入った。テレ朝関係者に聞いた話では、その内容は「古賀は万死に値する」といったような、強烈な内容だったそうだ。〉
〈報道によると、この日、菅官房長官は、秘書官と一緒に官邸で番組を見ていたそうだ。その真偽はさておき、仮に直接聞いていなくても、私の発言を知れば、菅官房長官が激怒することは容易に推測できる。
秘書官としては、アリバイ作りのためにも、すぐに抗議しておかなければならない。それが秘書官の務めだ。そこで、とにかく放送中にアクションを起こしたことを菅官房長官に示すため、ショートメールを送ったのではないか、といわれている。〉
つまり、菅官房長官によるメディア圧力の実行部隊として中村氏は動いてきた人物でもあるのだ。その後、中村氏は警視庁刑事部長として伊藤さんの事件の逮捕状を握り潰したわけだが、この一件にとどまらず、中村氏は安倍政権の“秘密警察”と化してきた。
たとえば、中村氏がやはり刑事部長だった2015年、中村氏の指示により、安倍首相の秘書の息子が被害者となったゲームセンターでの喧嘩になんと凶悪犯罪を扱う捜査一課が投入され、強引に容疑者逮捕に及んだと昨年11月に「週刊新潮」が報道。記事によると、事情聴取で被害者の父親が「安倍総理の秘書をしていた」と話し、その報告書が本部に上げられたため中村部長が大騒ぎ。〈被害者は安倍(晋三)総理の秘書の息子さんなんだ。すぐに逮捕して欲しい〉と捜査一課長に精鋭を招集させた。そして、当時は東京・三鷹の小学校教諭の男性が児童に対する強制わいせつなどの疑いで逮捕されメディアでも大きく報じられたのだが、その捜査が大詰めを迎えていたときに釣宏志・捜査一課長が捜査員を呼び出し、こう命じたのだという。
〈三鷹をちょっと止めて別の件をやって欲しいんだ。世田谷署管内のゲームセンターで子供が殴られた。すぐやってくれ。(加害者を)3日で逮捕しろ。これは中村刑事部長のご下命だ〉
また、中村氏をめぐっては、昨年2月に刑事告訴され議員辞職した自民党の田畑毅・前衆院議員(のちに書類送検、不起訴)の問題でも、捜査の指揮を執った愛知県警本部長を警察庁に呼んで慎重捜査を厳命したと噂され、「田畑氏が刑事告訴された2月上旬以降、警察庁の中村格官房長が頻繁に官邸を訪ねている」とも報じられた。
安倍首相にベッタリの記者の逮捕取りやめを指示しただけではなく、政権に打撃を与える議員の事件への介入まで……。まさに“安倍官邸の忠犬”と呼ぶにふさわしい中村氏だが、問題なのは、今後、警察庁次長として権力を増大させた中村氏による“政権の秘密警察化”がさらにエスカレートすることは目に見えているということだ。
前述したように、中村氏は菅官房長官の秘書官時代に『報ステ』に圧力をかけた張本人だったわけだが、警察庁ナンバー2という立場から社会部にも睨みをきかせることができる。つまり、官邸が政治部に圧力をかけているのと同様、中村氏の権限で社会部の報道にまで介入することもできると言っていい。
さらに、一般市民への圧力も強まるはずだ。すでに昨年7月の参院選時には北海道札幌市で安倍首相の街頭演説中に「安倍やめろ!」とヤジを飛ばした市民が警察に取り押さえられ強制排除されるといった問題が起こり、この1月9日には、12日の“安倍やめろデモ”の運転手として東京都公安委員会に届出をしていた男性が「車庫飛ばし」という微罪で逮捕され、実名報道されるという事件が起きている。
中村次長の下で、こうした戦前の言論弾圧さながらの警察による違法捜査が頻発するだろう。
忠臣が論功行賞を得て、ますます安倍首相による「警察権力の私物化」が進んでゆく──。それは安倍首相を批判する行為自体が取り締まり対象となりうるという、恐怖の世界のはじまりなのである。 

 

●「桜を見る会」改ざんされたのは首相推薦名簿を出す部局名 1/16
文書管理法違反である文書管理簿への不記載、こちらの問題が大きくて、なかなかスポットが当たらない問題だが、内閣府官僚の「国会軽視」という意味からも、大問題な案件がある。これが報道記事だ。
「《推薦部局消して国会提出 桜を見る会名簿 官房長官「不適切」》
政府は昨年11月22日、参院予算委員会の理事懇談会に各省庁が保管していた約4千人分の推薦者名簿を提出した。問題の名簿はこのうち内閣府の提出分。国会提出名簿では、ある1人の「功績者」について氏名と役職が黒塗りされ、推薦部局名が空欄になっていたが、東京新聞が情報公開請求で得た名簿には推薦部局として「内閣官房内閣総務官室」とあった。 (2020年1月14日北海道新聞)」
「黒塗り」の公開というのはよく見るのだが、これはなんと「白塗り」である。つまり「伏せた」ということをも隠している。立派な改ざんに当たる。これは、11月に野党が求めた「各省庁からの推薦名簿」の一部で、内閣府が一省庁として提出したものだ。その名簿には、一名だけ名前は黒塗りで《推薦部局》内総(内閣官房内閣総務官室)とあったのだが、その「内総」の文字がホワイトで塗られていたのだ。部局名をなぜそこまで隠す必要があったのかは、よく分からない。
ヒアリングでは、このホワイトがかかっていない名簿の提出を求めた。

酒田総務課長「すみません、間に会っておりません。」
山井議員「は?間に合っておりませんて・・これ一枚なんだから。東京新聞が情報開示請求をして出した資料ですよ。間に合ってないって・・東京新聞に出したんだから、あるでしょ?」
酒田総務課長「それは・・はぁ・・ございます。」
山井議員「それを出してください。」
酒田総務課長「直前だったものですから、間にあってございません。」
山井議員「間に合っておりませんじゃなくて、あるんだったら私たちに出してくださいと言ってるんです。間に合わないって・・?意味が分かんない、あるんでしょ?」
酒田総務課長「意思決定というか・・情報流通が間に合わなかったということで・・」
山井議員「情報流通?私が12時に電話したら1時には出しますって、担当課が仰ってましたよ。官房長の決裁が取れてないのか・・この場に出せない理由は何なんですか?」
酒田総務課長「直前だったので、どういったものをどうやってお出しするのか・・」 

この人たちはいったい何がしたいのか?すでに新聞社に情報開示した書類を野党議員に見せるのに、「意思決定」って、何の意思決定だ?
「山井議員「直前てね、11時前に連絡して、11時半に山井の事務所に持ってきてくださいと言ってるわけですよ。持っていきます、と言うから11時半から待ってたんですよ。それが12時過ぎても来ない。で、電話で担当者としゃべったら、今からは間に合わないが、1時にはお出ししますから待っててください、というから、じゃ待ってますよ、と。で、いま2時。直前なんかじゃないですよ。」 」
驚いた、内閣府の役人は黒岩議員に続き、山井議員までスッポカシを食らわせたのか。どこまでナメてるんだ。
「宮本議員「これ、内閣官房内閣総務官室のものは何にもありません、と私たちはずっと説明を受けてきたわけですよ。こういう推薦者がね、政治家枠と別にあることも、私たちは何ひとつ知らされてこなかった。本当に、国会騙しですよ。これ、私は改ざんだと思いますけれど、消した理由はなんなんですか?」 酒田総務課長「最終的には内閣府人事課からまとめて推薦すると決めたので、つまり官邸事務所と書いたままお出しすると分かりにくいかと(以下略)」 宮本議員「却って分かんないでしょ。」 」
これに関して参考になる過去の新聞記事があるので紹介する。
「安倍晋三首相主催の「桜を見る会」参加者の推薦人名簿について、首相の推薦が含まれる部局だけが、文書保存期間を1年未満として破棄していたことが明らかになりました。(中略) 担当者によると、首相の推薦を含むのは内閣官房内閣総務官室。この部局の推薦名簿だけが保存期間1年未満として破棄されています。これに対し、内閣府内の部局は1年以上の保存期間を設けています。 (2019年11月29日赤旗新聞)」
宮本議員の言う「内閣官房内閣総務官室のものは何にもありません、と私たちはずっと説明を受けてきた」とはこのことだ。つまり、一省庁として内閣府から出た推薦名簿に「内閣官房内閣総務官室」の部局名があれば、一年未満で捨てたはずの名簿が、「あるじゃねえか」ということになってしまうからだ。しかもそれは、「首相の推薦が含まれる部局」なのである。これは、首相が推薦した「ヤバい名前?」のある名簿が出てくる可能性が一層濃くなった。  

 

●桜を見る会文書 取り扱いに抗議 長崎県報道機関OBら声明 1/16
首相主催の「桜を見る会」招待者名簿を巡る政府の行政文書の不適切な取り扱いについて、報道機関OBらでつくる「言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会」は15日、安倍政権に抗議する声明を発表した。
声明文では招待者名簿の廃棄問題のほか、2018に森友学園への国有地売却を巡り、財務省が決裁文書を改ざんしたことや、17〜18年の防衛省の日報隠蔽(いんぺい)問題などにも触れ「民主主義の根幹といえる『情報の適切な開示』をないがしろにし続けている」と批判。
同会の関口達夫事務局長は「公文書は政策決定の経過が分かる財産。明らかにする義務があるのに、国民の知る権利が無視されている」と話した。
同日、声明文は首相官邸に郵送した。 

 

●朝番組キャスターが武田教授を名指し批判。環境問題の深すぎる闇 1/17
先日掲載の「武田教授が明かす、個人レベルの節約が環境破壊を早めている証拠」では、「節約しているという人は、実はエネルギーを2倍消費している」と断言した中部大学教授の武田邦彦さん。今回武田さんはメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で、自身の研究により明らかになった数々の「環境問題のウソ」を改めて明らかにするともに、「リサイクルを実施した方が資源をより多く使うことになる」といった真実が伝えられない理由を記しています。
どうなったゴミ問題。「あと8年で廃棄物貯蔵所が溢れる」に踊らされた人々
1990年、バブルの崩壊とともに環境問題が日本社会の大きな話題になった。その原因は、不思議なことに環境が悪化していたのではなく、将来、悪化するだろうということだった。このまま進めば、ゴミは8年後にあふれ、ダイオキシンで多くの人が死に、環境ホルモンで男性が女性化し、石油が枯渇し、そして温暖化ガスで地球に住めなくなる…というものだった。
その頃、ちょうど筆者は大学に移った時で、リサイクルにしてもダイオキシンにしてもすべて科学的な課題だったので、一つ一つ、計算したり調査をしたりした。
リサイクルは有効なのか、ダイオキシンは毒物なのか、環境ホルモンというのは存在するのか、石油は枯渇するか、さらに温暖化するのか、などを科学的に研究した。その結果、リサイクルは天然資源を使うのに比較して最低でも3.5倍の資源を使う(リサイクルすればするほど資源の枯渇が早くなる)、ダイオキシンはほぼ毒性がない、環境ホルモンはでっち上げである。石油は約4,000年分ぐらいある、そして温暖化は今でも議論がなくならない。
しかし、日本社会の多くの人は環境問題が本当であり、取り組むべきと考え、政府は膨大な予算を投入し、大学の研究ですら環境問題が主力になった。ちょうど、タイミングが悪かったこともあった。1990年から「役に立つ研究」が叫ばれ、政府が気に入る研究しかできなくなった(見かけ上は東大の先生が研究テーマを選定したが、実際は官僚が決めていた)。御用学者が激増し、朝日新聞は途中で寝がえり、NHKは毎日のように放送し、時にはヤラセをやった。
日本の学者のモラル不足と学力不足が重なった。ゴミ問題では学者が「あと8年で廃棄物貯蔵所が溢れる」という計算結果を出し、マスコミはそのまま報道した。当時、筆者が同じ計算をしたら150年程度は持つという結果になった。これはモラル不足の例であった。
日本人は金になるのであれば誠実さや礼節を捨て去る民族に成り下がったのか
リサイクルが資源の節約になるかを筆者が計算したら逆になった。でも多くの廃棄物の専門家はリサイクルは資源の節約になると発表した。これはエントロピー計算や資源の本質を知らない学者の学力不足だった。
ダイオキシンはデータがないのにあるようなウソをついた例であり、環境ホルモンは科学研究の経験のないアメリカの女性学者の妄想だった。石油の枯渇は石油価格を高く維持したい欧米の石油会社の推定をマスコミが取り上げ、資源はまだあると発言する学者を「モラルが足りない」と道徳的に批判した。
その頃、筆者は「環境問題は科学の問題である。もし問題があれば科学的に正しい方法で防ぐ必要がある。ケガをして血を流しているといっても、腕から血が出ているのに脚に包帯を巻いてもダメだ」と言い、懸命に本を書いて科学的結論を社会に訴えたが、1:300と言われ、反対勢力に押されて潰されてしまった。
当時、地上波の有名キャスターが、筆者が私立大学の教授だったこともあり、「私立の先生が売名のためにおかしなことを言っている」と朝の番組で名指しで批判した。学問的な反論が許されない社会の雰囲気だった。
筆者はと言えば、中心的に活動していた高分子学会で、「リサイクルをした方が資源を多く使う」という学術発表(発表名はもっと学術的だが)をしたら会場から「売国奴!」と罵倒され、学会の持続性社会特集号に「高分子では持続性社会は自動的に達成される」という趣旨の論文を提出したら、「持続性社会が破綻するという内容の論文しか受理しない」とされた。資源系の学会では筆者の「石油は枯渇しない」という発表に対し、座長が「この発表では質疑応答はしません。次の方」という方法をとって学会の議論を封殺した。
2001年、東大医学部の教授だった和田先生は学士会報に「ダイオキシンが猛毒という間違いは科学が社会に負けた例である」という趣旨の論文を書かれた。科学的には猛毒ではないダイオキシンを猛毒にし、それを御用学者とマスコミが支援して猛毒になり、さらに『ダイオキシンの夏』という映画が作られ、文部省推薦になって小学校などで放映された。
まるでナチスの時の民族論文(ユダヤ人排斥)やスターリン時代のソ連のようだ。それが30年間にわたり日本を席巻したのだから、社会の道徳が廃れ、科学は衰退し、会社では不祥事が連発するはずである。真面目で正直で努力する日本の学会は社会的な圧力で崩壊してしまった。
学問を尊敬し、世界でもまれに見る真面目さを持っていた日本社会はどうしてしまったのだろうか?お金になると思えば、学問も、誠実も、礼儀も、環境も、日本の将来もすべて捨て去る社会が平成の時代だった。日本人はこれを真正面から考え、不真面目な泥沼から立ち上がる必要がある。  

 

●田村智子議員「桜」質疑はどう組み立てられたか? 1/17
国会PVが赤旗日曜版編集長を直撃
国会パブリックビューイングは1月6日に、「しんぶん赤旗」日曜版・山本豊彦編集長にお話を伺った。
「桜を見る会」をめぐる追及の発端となった日本共産党・田村智子議員の昨年11月8日の質疑は、昨年10月13日の「しんぶん赤旗」日曜版のスクープの情報をもとにしている。「桜を見る会」が後援会行事とセットで後援会関係者を幅広く招待していたことを報じたそのスクープは、どのように準備されたのか。それを伺うのが対談の目的だった。
対談の様子は上記の映像と文字起こしで公開しているが、3回にわたり記事でその内容を紹介しつつ考察しておきたい。今回は、昨年10月13日の「しんぶん赤旗」日曜版のスクープに言及する前提として、昨年11月8日の参議院予算委員会における田村智子議員の質疑の巧みな組み立てに注目する。
確かな証拠・証言で外堀を埋めていく質疑
田村智子議員は、上記の昨年10月13日の日曜版スクープで取り上げられた情報をもとに、昨年11月8日の参議院予算委員会の30分の質疑を組み立てた。国会パブリックビューイングでは昨年12月24日にこの質疑を6つのパートに分けてスライドで説明を加えながら新宿西口地下の街頭上映で紹介し、上映後に田村議員本人をゲストに迎えてお話を伺った。
実際の質疑は、国会会議録検索システムから確認することができる。筆者のnoteでも、ヤジを含めた文字起こしを公開している。
以下、12月24日の街頭上映で切り分けた次の6つのパートの順に、質疑の組み立てを確認していきたい。 Part1:データから近年の「桜を見る会」の変質を指摘 Part2:国会議員のブログから後援会関係者の大量招待を指摘 Part3:安倍事務所が「桜を見る会」の参加者を募集 Part4:税金を使った公的行事 Part5:「安倍晋三後援会」主催による前夜祭とセット Part6:開門前に後援会関係者が会場に  
いずれのパートも、確かな証拠・証言に基づいて質疑が組み立てられている点が特徴だ。また、その証拠・証言が、相手の出方を見ながら順次開示されていき、答弁を覆す反証を示すことを繰り返すものであったこと、そして、じわじわと外堀を埋めていき、安倍首相本人の問題へと迫っていくものだったことが注目される。またこの質疑はわかりやすく整理されており、見ているだけで問題のありかが理解できる優れたものだった。日本共産党はみずからのYouTubeチャンネルにおいて、同日のうちにこの田村智子議員の質疑を切り取って紹介している。1月14日現在、その視聴数は29万回を超えている。
質疑の翌日の11月9日には、立憲民主党の枝野幸男代表が「党派を超えて、数年に一度の素晴らしい質疑だったと思います」とツイートし、多くの方にご覧いただきたいと勧めていた。
党派を超えて、数年に一度の素晴らしい質疑だったと思います。少し長いかもしれませんが、やり取りに引き込まれて、あっという間に感じます。多くの方にご覧いただきたいとお願いします。
Part1:データから近年の「桜を見る会」の変質を指摘
では、具体的に順に質疑を見ていこう。パートPart1では田村議員は、政府が提供したデータをもとに質疑を行う。その前に 「安倍内閣のモラルハザードが問われていますが、私は総理自身の問題を質問いたします」 と、テーマが明確にされていることにも注目したい。
田村議員はまず、「桜を見る会」の支出(予算および支出額)と参加者数の推移をパネルで示し、なぜこんなに参加者と支出額を増やしてきたのかと問うた。
これに対し、大塚幸寛内閣府大臣官房長は、「テロ対策の強化」などと答弁。さらに招待客が増えている理由としては、「各界において功績・功労のあった方々」を「各省庁からの意見等を踏まえ幅広く招待」しており、「そうした結果」として招待者・参加者が増えていると答弁。
この答弁を受けると、田村議員は支出内訳のパネルを提示。飲食物提供に一番経費がかかっていることを指摘したうえで、一人ひとりの招待者に送る案内状の支出も2.5倍に増えていることに注目を促した。
そのうえで、内閣官房内閣府が発出した開催要領をパネルで提示。皇族や各国大使、議会関係や地方議会関係、行政関係、この辺りは2000人くらいでほぼ固定的だという内閣府の説明を紹介し、増えたのは最後の「その他各界の代表者等」だろうとの見方を示したうえで、「その『等』を含めて、これはどういう方々で、一体どうやって招待する人を決めるんですか」と問うた。
すると、大塚官房長は「何か特定の分野ですとかカテゴリーを想定しているものではございません」と答弁するに至った。
こうやって「建前」を答弁させたあとで、「しんぶん赤旗」日曜版が集めた証拠・証言をもとにした質疑に踏み込んでいった。
Part2:国会議員のブログから後援会関係者の大量招待を指摘
Part2でまず紹介されたのは、議員がブログなどネットで公開している内容だ。これは、「しんぶん赤旗」日曜版の昨年10月13日のスクープで取り上げられたものであり、日曜版の若手記者らがネット検索で集めたものだった。
稲田朋美議員の「日々の活動報告」(2014年4月12日)には、「地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、大変思い出深い会になりました」との記載。世耕弘成議員の後援会ニュース(2016年新年号)には、桜を見る会にて、地元女性支援グループの皆さんと、との写真。松本純衆院議員の「国会奮戦記」(2013年4月20日)には、「役職ごとに案内状が割り当てられます」「選挙のウグイス嬢の皆様を始め後援会の皆様と参加いたしました」との記載。萩生田光一文部科学大臣の「はぎうだ光一の永田町見聞録」(2014年4月18日:当時は自民党総裁特別補佐)には「今年は平素ご面倒をかけている常任幹事会の皆様をご夫婦でお招きしました」との記載。
これらを紹介したうえで、田村議員は萩生田大臣に、「『常任幹事会の皆様』とはどういう方で、どの府省が推薦したのか」と問うた。
萩生田大臣は「桜を見る会については、各界において功績・功労のある方々を各省庁からの意見等を踏まえ幅広く招待しているものと承知しており」と、用意された答弁書を棒読み。田村議員が「いやいやいやいや…」とのけぞる様子を見せ、蓮舫議員ら野党の理事たちが委員長席に詰め寄って速記が止まったあとにも、 「自分の知り合いの方をのべつ幕なし呼べるという仕組みになっておりません」 と、さも知り合いを呼べる仕組みはないかのような答弁を続けた。しかし、「常任幹事」とはどういう方かという質疑だとの野党側からの指摘を受けて、 「常任幹事の中に(笑)、そういう各種団体の長の方がいらっしゃって、その方たちがお招きをされたと承知をしております。まあ私が主催者じゃないのに何かお招きしたというのはちょっと僣越な言い回しだなと思います」 と答弁。「常任幹事の中に」と語るところでは、「何を難癖をつけているんだ」と言わんばかりの笑いを交えた。
このように、あえて馬鹿にするような笑いを答弁に交えることは、安倍首相にも大臣たちにも、しばしばみられる光景だ。そして、常任幹事だから呼ばれたのではなく、たまたま各種団体の長を兼ねていたから招待されたものであるかのような答弁を行った。
実際にはその後、野党の追及を受けて11月20日に菅官房長官が首相枠や与党議員枠の存在を認めることとなる。したがって萩生田大臣についても常任幹事の方を実際に「お招き」したものだったことが明らかになるのだが、そのような招待を否定するような答弁をこの時点で引き出しておいたことには意味がある。「こんなふうに言い逃れをするのだな」ということが、見ている私たちにわかるからだ。
田村議員は常任幹事とは後援会の常任幹事であることを萩生田大臣に認めさせたうえで、 「総理、つまり、自民党の閣僚や議員の皆さんは、後援会、支援者の招待枠、これ自民党の中で割り振っているということじゃないんですか。これ、総理でなきゃ答えられない。総理、お答えください。総理でなきゃ答えられない、総理でなきゃ答えられないですよ」 と、官僚に答弁させるのではなく、安倍首相自身の答弁を迫った。
安倍首相は、「桜を見る会については、各界において功績・功労のあった方々を各省庁からの意見等を踏まえ幅広く招待をしております。招待者については、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめをしているものと承知をしております。私は、主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取りまとめ等には関与していないわけであります」 と、あたかも自分は招待者の人選には関与していないかのように答弁した。
これもやはり、このように言質を取っておいたことには意味がある。その後の野党の追及により、11月20日の参議院本会議では安倍首相は 「私自身も事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」 と、推薦プロセスへの関与を認めることになるからだ。
「招待者等の取りまとめ等」には関与していないと答弁しておきながら、「推薦者について意見を言うことあった」と後で説明を変える。そして、最初の説明も虚偽答弁ではないと言い張る。国会で政府側がいかに不誠実な答弁を繰り返しているかが、こうやってわかりやすく可視化されていったのが、「桜を見る会」問題の特徴だと言える。
Part3:安倍事務所が「桜を見る会」の参加者を募集
上記に見たように、自分は招待者の人選には関与していないかのような安倍首相の答弁を得たうえで、Part3では田村議員はいよいよ、安倍首相本人の問題に切り込んでいく。安倍事務所が後援会関係者に対し、「桜を見る会」への参加を募っていたこと明らかにしていくのだ。
まず紹介したのは下関市選出の友田有・山口県議会議員のブログ。「後援会女性部の7名の会員の方と同行」し、「早朝7時30分にホテルを出発し貸切りバスで新宿御苑に向かい、到着するとすぐに安倍首相夫妻との写真撮影会」があったとの内容を紹介し、安倍首相自身も後援会関係者を多数招待しているのではと問うが、安倍首相は萩生田大臣と同様に、 「例えば地元において自治会等々で、あるいはPTA等で役員をされている方々もおられるわけでございますから、当然そういう方々とこれは後援会に入っている方々がこれは重複することも当然あるわけでございまして、そういう中で招待されているものと承知をしております」 と答弁。このように「言い訳」をさせた上で、より核心に踏み込んでいった。
なお、この時点で、大塚官房長からは推薦者・招待者に関し、「一連の書類につきましては、保存期間一年未満の文書として終了後遅滞なく廃棄する取扱いとしている」との答弁を得ている。
この段階に至って初めて田村議員が紹介したのが、安倍首相の地元・下関市の後援会関係者の方に「しんぶん赤旗」日曜版が現地取材を行って得た証言だ。2019年の参加者の証言として、 「2月頃、下関市の安倍事務所から、桜を見る会に行きませんかと案内が来た、名前や住所などの必要事項を紙に書いて安倍事務所に送り返すと、内閣府から桜を見る会の招待状が届いた、安倍政権になってから毎年参加している、下関からは毎年数百人が上京する」 と紹介された。
安倍事務所が参加者を募り、内閣府から招待状が届くのであれば、安倍事務所が招待のプロセスに関与したことは否定しようがない。それに対し安倍首相は 「これは、先ほど赤旗の取材に私の後援者が答えたということは、私も寡聞にして存じ上げないんですが。 そこで、今、もう既に申し上げておりますように、個別の方については、招待されたかを含め個人に関する情報であるため回答を差し控えさせているというのが従来からの政府の立場でございます」 と答弁する。
「赤旗の取材に私の後援者が答えたということは、私も寡聞にして存じ上げないんですが」というのは、「そんなことするわけがないだろう」という印象を与えて、証言の信憑性を疑わせる作戦だったのかもしれない。しかし、実際に「しんぶん赤旗」日曜版は、現地取材で複数の方からそのような証言を得ていた。なぜそのような証言を得ることができたのかは、次回の記事で紹介したい。
Part4:税金を使った公的行事
Part4は、ここまでのまとめだ。Part3の最後で、上述の安倍首相の答弁に対し田村議員は、 「これね、開催要領の逸脱が疑われているんですよ。各界を代表する、功労・功績があった方を、府省がとりまとめて招待するんですよ。これ以外ないんですよ」 と指摘していた。開催要領に従えば功績・功労がある人が招待されるのが「桜を見る会」であるのに、証言によれば、安倍事務所が後援会関係者の参加を募っていたことのおかしさを指摘したのだ。その上でここで田村議員は次のように指摘した。
「これね、今、後ろ(野党議員)からもありました。税金を使った公的行事なんですよ。(「そうだ!」) 誰でも参加できるわけじゃないんですよ。(「そうだ!」) だから、招待範囲も人数も、開催要領を閣議に配って、それで府省からの推薦で、功労・功績が 認められる方を招待するんですよ。 そしたらね、当然、それぞれの方にどのような功労・功績があるのか、これ、説明できなきゃおかしいですよ。 (「そうだ!」) それが、桜を見る会なんじゃないんですか、総理。総理、お答えくださいよ。そういうものでしょ。」
しかし、田村議員が安倍首相に答弁を求めているにもかかわらず、大塚房長が手を挙げた模様で、金子原二郎予算委員長は「大塚官房長」と指名する。それに対し、田村智子議員は、「あなた(大塚官房長)、もういい、もういい、もういい。手、あげないで」と強くそれを制し、安倍首相に答弁を求めた。
安倍首相は答弁に立ったが、 「先ほど来、答弁をさせていただいておりますようにですね、桜を見る会については、 昭和27年以来、内閣総理大臣が、各界において功績・功労があった方々をお招きをし、日頃の労苦をですね、日頃の労苦を慰労するため、開催をしているものでございます。で、先ほど来、申し上げておりますようにですね、個々の方々につきましてはですね、個人情報であるため、回答を控えさせていただいているということでございます」 と、あらかじめ用意した答弁書に目を落として棒読みするのみで、まったく説明責任を果たそうとしなかった。
そしてこれ以降、安倍首相も大塚官房長も、招待者については「個人に関する情報」や「セキュリティ」を理由として具体的な説明を拒否し、「功績・功労」というそれまでの説明の言葉は口にしなくなった。
Part5:「安倍晋三後援会」主催による前夜祭とセット
Part5になると、田村議員はさらに踏み込み、「桜を見る会」の前日に毎年行われている「安倍晋三後援会」主催の前夜祭と税金を使った公的行事である「桜を見る会」が、後援会旅行の中で「セット」であったことを示していく。
ここで再び用いられるのは、「しんぶん赤旗」日曜版の若手記者らがネットから集めた情報だ。
藤井律子・山口県周南市長(当時は県議)の2018年5月4日のブログには、「今日は山口県からたくさんの人が来てくださっているわね、10メートル歩いたら山口県の人に出会うわよ」という片山さつき議員の語りが紹介されている。さらに前述の友田県議のブログには、前日の早朝に飛行機で上京し、夜には、ANAのインターコンチネンタルホテルの大広間において、下関市、長門市、そして山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティーが行なわれ、翌朝7時30分にホテルを出発し貸切りバスで新宿御苑にと続いていたことが紹介される。吉田真次・下関市議会議員の2019年のブログにも同様の記載がある。
これらを紹介したうえで、田村議員は安倍首相に、 「桜を見る会は、安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭とセットで、総理が後援会や支援者、山口県の関係者の御苦労を慰労し親睦を深める、そういう行事になっているんじゃないですか」 と問うた。
しかし安倍首相は「個々の個人名等々については、お答えは差し控えさせていただきたい」と答えるのみ。
そこで田村議員はさらに、大手メディアが把握して公表している「首相動静」を紹介する。この3年間は「桜を見る会」の前日には、ホテルニューオータニの宴会場で安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭に出席とあること、それ以前も、ホテルや名称は異なるものの、必ず前日夜は後援会の方々と懇親会、宴会に安倍首相は夫婦で出席していることを指摘する。
そして、防府市ライオンズクラブの会報への寄稿から、2019年の前夜祭の参加者は約850人で、翌朝に貸切りバス17台で新宿御苑に移動していることが紹介され、前夜祭と「桜を見る会」がセットで安倍総理の後援会の一大行事になっていることを指摘した。
これに対し安倍首相は、前夜の懇親会に出席していることは事実と認めつつ、上京の費用は各自が負担し、「ホテルとの関係においても、それはホテルに直接払込みをしている」と答弁している。これは前夜祭の費用の記載が後援会事務所の報告書にないという政治資金規正法にかかわる問題となっていくのだが、その点はここでは省略する。
Part6:開門前に後援会関係者が会場に
Part6は最後のパートだ。前夜祭と「桜を見る会」が後援会関係者を招待するセットのプログラムであることを田村議員はさらに証拠をもとに指摘していく。ポイントは、開門前に後援会関係者が新宿御苑にバスで入り、安倍首相と写真撮影していたという事実だ。明らかな「特別扱い」と言える。
大手メディアが公表している「首相動静」によれば、2019年は、午前7時48分に安倍首相は夫妻で新宿御苑に到着し、7時49分に昭恵夫人とともに地元の後援会関係者らと写真撮影していること、毎年、午前8時前に地元後援会関係者らと写真撮影されていることを指摘した上で、田村議員は、「桜を見る会」の開門及び受付時間は午前8時30分だと指摘し、「まさに後援会活動そのものじゃないですか」と指摘する。
ここはぜひ映像をご確認いただきたいが(前述した2019年12月24日の国会パブリックビューイング緊急街頭上映の映像では42分18秒より)、安倍首相は大塚官房長のほうを4度にわたり指差しして、答弁させようとする。蓮舫議員ら野党の理事たちが「それはダメ」と委員長席に駆け寄るが、先に大塚官房長が答弁してから安倍首相が答弁すると押し切る。
しかし大塚官房長の答弁は、桜を見る会の開園時間が午前8時半から午前10時30分の間の随時入園参観だというもの。全く答えになっていない。そのうえで安倍首相が答弁に立つが、 「招待者の、そのそれぞれの受付時間の対応に関するこの情報につきましては、これはセキュリティに関することであるため回答を差し控えさせていただきたい」 と、「セキュリティ」を理由に答弁を拒否する。なぜ安倍首相が後援会の関係者と一緒に写真を撮っているのかと問われても 「これについては、どういう形で私が動くかということにも関わってまいりますので、セキュリティに関わることでございますので回答を控えさせていただきたい」 と、またしても「セキュリティ」を理由に答弁を拒否した。
そのあとが見ものだ。田村議員はその「セキュリティ」という言い訳を、こう覆す。
「しんぶん赤旗の取材で、下関市の後援会の男性、到着すると、安倍事務所の秘書らがバスの座席を回って入場のための受付票を回収する、その秘書が受付を済ませ参加者用のリボンを配る、まとめてのチェックインで手荷物検査はなかった。何がテロ対策を強めたですか」 「開門前に手荷物検査もしないで大量に入ったら、それこそセキュリティ上の問題じゃないですか」  
なかなか痛快な展開だ。
質問時間の終わりが迫る中で、田村議員はこう質疑を締めくくっている。
「桜を見る会は参加費無料なんですよ。会場内でも無料で樽酒その他のアルコール、オードブルやお菓子、お土産を振る舞うんですよ。これを政治家が自分のお金でやったら明らかに公職選挙法違反。そういうことをあなたは公的行事で税金を利用して行っているんですよ。これだけの重大問題だと……まさにモラルハザードは安倍総理が起こしていると、このことを指摘して、質問を終わります」
答弁を見越して質疑を構成
いかがだろうか。冒頭に示したように、立憲民主党の枝野幸男代表が「党派を超えて、数年に一度の素晴らしい質疑だったと思います」と評したことも、納得いただけるだろう。
安倍首相らは「功績・功労」「名簿は廃棄」「個人に関する情報」「セキュリティ」等の説明によって田村議員の追及をかわそうという作戦だったのだろうが、田村議員は、証拠・証言をつきつけることによって、安倍首相らが言い逃れに終始していることを浮き彫りにさせた。
この田村智子議員の質疑は昨年10月13日の「しんぶん赤旗」日曜版のスクープ記事の情報をもとにしたものだったが、そこで得られていたすべての情報を最初から提示して質疑を行ったわけではない。最初は萩生田大臣が後援会関係者を「お招き」していたことを問い、次に安倍首相に、自民党の中で招待者を割り振っていたのではないかと問い、「招待者の取りまとめ等には関与していない」という言質を得た上で、安倍事務所が参加者を募集していたという証言をつきつけていった。次第に外堀を埋めていく、組み立ての巧みな質疑だった。
この質疑の組み立ては、「しんぶん赤旗」日曜版の山本豊彦編集長によれば、田村議員が秘書や事務所スタッフらとよく議論をして準備したものだそうだ。安倍首相が出席する参議院の予算委員会であり、NHKのテレビ中継も入っていた。
山本編集長は、1月6日の筆者との対談でこう語っている。 「やっぱり国会質問っていうのは、国民の前で、特に今回なんかテレビの中継をやっていましたから、きちんと今の安倍政権の実態を示すっていう非常に重要な国会議員の場なんで、特に国会質問っていうのは非常に準備して」  
そして、その準備段階では、証拠・証言を集めるだけではなく、相手の出方を見通していかに質疑を組み立てるということも重要だった。山本編集長はこう語る。 「国会質問をする際に、よーく準備をするっていうことはどういうことかというと、相手が必ず、まあ、こう言ったらこう反論してくるっていうのが、やっぱりこう、きちんとレクとか聞いてるとわかるんですよね。だから、それを覆す材料を持って、質問する。よく、質問自身を準備しないと、いい材料があっても、なかなかうまくいかない、その辺が非常に大事なのかと」
「レク」とは、事前に官僚に関連質問を行い、説明を求めることだ。国会答弁と同様に、官僚が率直に質問に答えるわけではないのだが、国会でもこう答えるだろう、ということが、そのレクによって予想できるようになる。それをもとに、質疑の組み立てを準備したということだ。
それによってこの質疑を聞く私たちは、だんだん真相が明かされていく面白さを味わうことができ、また、「功績・功労」や「個人に関する情報」「セキュリティ」といった説明が、いかに空疎で不誠実な説明であるかを聞きながら理解することができたわけだ。
「しんぶん赤旗」日曜版は、どのように問いを立てたのか
以上、まずは昨年11月30日の参議院予算委員会における田村智子議員の30分にわたる質疑そのものの内容と組み立てを確認した。次回は、ではこの質疑で紹介された参加者のブログなどのネット情報や現地の関係者の証言はいかにして得られたのかを見ていきたい。
その際に重要なのは、後援会関係者が「桜を見る会」を見る会に大挙して参加していたということに、そもそもなぜ山本編集長が問題意識をもてたか、という点だ。
実は、「桜を見る会」の支出額と参加者数が膨張していたことは、昨年4月16日の東京新聞「こちら特報部」が取り上げており、その記事をもとに日本共産党の宮本徹議員が昨年5月13日と5月21日に国会で質疑を行っている。昨年の名簿が廃棄されたのは、宮本議員が質疑に向けて資料要求を行った5月9日当日のことだった。
しかし、この昨年4月と5月の段階では、「桜を見る会」への安倍首相の後援会関係者の大量招待という問題は、論点として浮かび上がってきていなかった。これは、山本編集長が、疑問をもち、取材をしていく中で、つかんでいった論点だった。そのことを次回は紹介していきたい。
また、1月6日の対談時には私は気づいていなかったことだが、安倍首相らは昨年11月8日の田村議員の質疑に臨む際に、当然、昨年10月13日の「しんぶん赤旗」日曜版がスクープを打ったことは知っていたはずだ。質疑の場になって初めて、ネットの証拠や現地の証言が紹介されたわけではない。
にもかかわらず、質疑の最初の方では、「各界において功績・功労のあった方々を各省庁からの意見等を踏まえて幅広く招待しております」などと、安倍首相も萩生田文部科学大臣も大塚官房長も繰り返していた。それはなぜか。
山本編集長によれば、昨年10月13日に「しんぶん赤旗」日曜版がスクープを打ち、大手紙に「ぜひ、一緒にやろうよ」と呼びかけたにもかかわらず、なかなか大手紙は載ってこず、どこも取り上げなかったという。 「今回はね、私たちはそれなりにこう、苦労して、それなりに渾身のスクープとして出したんですけれど、全く相手にされず、非常にがっくりきましてですね。だから官邸なんかも、あんまり各紙もやんないからと、あんまり危機感がなかったんですよね」 と山本編集長は対談で語った。
このように大手紙が後追いしなかったことから、官邸は緊張感をもっていなかったというのが山本編集長の見立てだ。
つまりここには、なぜ大手紙は「しんぶん赤旗」日曜版のスクープを見ても問題意識を持てなかったのか、という問題が存在する。この点については、第3回の記事でとりあげたい。 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 

 



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