安倍総理応援演説 主張を聞こう

参院選挙 安倍総理応援演説  主張を聞く

キャッチコピー風 中身のないお題目 政策羅列
野党の揚げ足取り 扱き下ろし
不利なこと至言したくないこと 理解します
とは言えその発言 総理の矜持も品もない

真摯愚直に 民のレベルに配慮か
低俗で くだけ過ぎ
 


選挙総括7/22〜・与党野党選挙諸話敗戦の弁
選挙結果れいわN国投票日7/217/207/197/187/177/167/157/147/137/127/117/107/97/87/77/67/5
党首の第一声政党公約7/47/37/27/1・・・7月以前
勝てば官軍嘘も方便トップの矜持嘘も方便1嘘2嘘3嘘4嘘5
 
 
 
 
  

 

選挙総括
改憲勢力3分の2割り込む 7/22
21日投票が行われた参議院選挙で、自民・公明両党は、改選議席の過半数を上回る71議席を獲得して勝利し、安倍総理大臣は引き続き安定した基盤のもと政権運営にあたることになります。ただ、自民・公明両党と日本維新の会をあわせた憲法改正に前向きな勢力は、85議席に届かず、憲法改正の発議に必要な参議院全体の3分の2を維持できませんでした。これに対して野党側は、焦点の全国32の1人区で前回並みの10議席を獲得し、候補者の一本化が一定の成果をあげたとしています。
参議院選挙は、選挙区と比例代表を合わせた124の改選議席すべてが決まりました。
各党の獲得議席は
自民党は選挙区38、比例代表19の合わせて57議席で、前回3年前の56議席を上回りました。
立憲民主党は選挙区9、比例代表8の合わせて17議席で、改選前の9議席から大きく議席を伸ばしました。
国民民主党は選挙区3、比例代表3の合わせて6議席を獲得しました。
公明党は選挙区7、比例代表7の合わせて14議席で、前回3年前と並び、過去最多となりました。
共産党は選挙区3、比例代表4の合わせて7議席でした。
日本維新の会は選挙区5、比例代表5の合わせて10議席で改選前の7議席を上回りました。
社民党は比例代表で1議席、
初めて国政選挙に臨んだれいわ新選組は比例代表で2議席を獲得しました。
NHKから国民を守る党は、比例代表で1議席を獲得しました。
無所属は9議席となっています。
この結果、自民・公明両党は改選議席の過半数にあたる63議席を上回る71議席を獲得し、勝利しました。ただ自民・公明両党と日本維新の会を合わせた憲法改正に前向きな勢力の合計は81議席で、非改選の79議席を合わせても改正の発議に必要な参議院全体の3分の2にあたる164議席には届かず、3分の2を維持できませんでした。
安倍総理大臣は、NHKの開票速報番組で「国民から『安定した政治基盤のもとにしっかりと政策を進め、そのもとで外交を展開し、国益を守れ』という判断をしてもらったと思っている。しっかりと期待に応えていきたい」と述べました。
また、憲法改正について「改憲に必要な3分の2の多数は、これから憲法審査会における議論を通じて形成していきたい」と述べました。
一方、選挙戦で焦点となっていた全国32の1人区は、自民党が22議席、野党の統一候補が10議席を獲得しました。野党側は東北や新潟、大分などで接戦を制して前回3年前並みの議席を獲得し、候補者の一本化が一定の成果をあげたとしています。
また、日本維新の会は、全国の地域政党などとも連携して支持の掘り起こしを図った結果、東京と神奈川の選挙区で初めて議席を獲得するなど、地盤とする関西以外にも支持を広げました。
一方、総務省のまとめによりますと、選挙区の投票率は、48.80%と、50%を下回り、平成7年の44.52%に次いで、国政選挙としては、戦後2番目に低くなりました。  
政権を取る気がない野党第一党は没落する 7/25
参議院選挙が終わった。自民党が政権復帰して以来続いている一強多弱の構造は変化していないが、今回の結果は自民党・立憲民主党双方にとって満足がいくものではなかっただろう。
まず自民党であるが、大勝した2013年の65議席には届かずとも、自民・公明・維新のいわゆる「改憲勢力」と改憲に好意的な無所属議員で非改選議席も合わせて全体の2/3を確保したかったはずである。しかし結果はそれを4議席下回り、改憲手続きの見通しがより一層不透明になったと言える。安倍首相としては国民民主党を念頭に一部議員の取り込みを狙っているようだが、これまでの例を見る限り5人以上を一気に取り込むことはかなり難しい。仮に国民民主党が改憲議論に応じたとしたらそれは同党の分裂に直結するだろうが、そんなに簡単に実現するような話ではない。
言うまでもなく改憲は安倍道理の悲願である。前回2016年の参議院選挙で初めて改憲を容認する勢力が衆参両院で2/3を超えたが、そもそも日本の参議院の選挙制度は単独の政党で過半数を維持することさえ難しい構造になっている。参院選において、連続して自身に好意的な勢力が2/3今日の議席数を維持することなど困難であることは分かっていたはずだ。彼の立場に立てば、それならばなぜ安保法制をゴリ押しした時のように改憲手続きもゴリ押ししようとしなかったのか理解に苦しむ所である。もっとも、違憲な安保法制をゴリ押ししなければ、共産党を含む野党共闘も実現しなかった可能性が高く、野党は今よりももっと弱くなっていたかもしれない。それを考えれば、今回の選挙結果が最終的に安倍氏に改憲を断念させる原因になった場合、因果応報ということになろう。
さて一方、野党第一党の立憲民主党であるが、改選議席の8議席の倍を超える17議席を確保したが高揚感とは程遠い状況にある。今回の選挙結果に関しては、元々の改選議席が少なくさらに2017年の衆議院選挙での比例得票率19.9%を下回る15.8%の比例得票率しか残せなかったことは、野党第一党としては自民党に対抗できるレベルにはないことを示したと言える。また、山本太郎氏率いるれいわ新選組が2議席を獲得した以上に強烈な印象を残したことは、同党にとって脅威だろう。
個人的には山本太郎氏が消費税廃止を訴えていることに関しては反対である。消費税自体は景気の状態に税収が左右されにくく一人あたりの税収に関しても地域間格差が少ないという点で良い性質を持っていると考えている。いわゆる逆進性の問題に関しても、複数税率ではなく消費税還付を行えばよいと考えている。しかしながら、メッセージの分かりやすさと代替財源に関して(うさん臭さを感じさせつつも)これまで共産党や社民党が主張してきたものよりも具体的であるという点で、れいわ新選組が支持を集める可能性はかなりあると思う。民進党の末期に共産党がかつての民主党支持者から多くの票を奪ったものの、立憲民主党結党後にその多くが同党に流れたことがあった。これを思い出せば、左寄りの中道左派有権者の支持がれいわ新選組に流れていく可能性は十分あると言えよう。
立憲民主党への熱気が冷めた理由としては、どの政策を一番中心に考えているのか分かりにくかったことと、有権者から野党第一党としてのリーダーシップを発揮してこなかったと認識されたからであろう。本気で政権を取る気ならば参院選の前に野党の共通公約の叩き台を提示すべきだったし、仮に叩き台として提示したエネルギー政策に対して国民民主党が飲めなかったとしても、それは同党への支持低下にはつながらなかっただろう。国民民主党の自壊を待ちながら自身の勢力を拡大させようとしている印象を(山本太郎氏も含む)有権者に与えたことはかなりのマイナスになったと思う。
立憲民主党は政策のプライオリティを明確化させることと政権構想を示すことが重要である。山本氏は、目玉政策を脱原発から消費財廃止にシフトしたように思われるが、消費税廃止立憲民主党にとって飲める話ではないだろうし、もしそれを飲んだら真ん中よりの中道左派層からの支持を失うだろう。私は、立憲民主党の公約の中心ははやり脱原発の実現であるべきだと考える。脱原発でどのようにして経済成長を実現していくのかを中心の議題にさせなければ、枝野氏よりも大衆アピール力がある山本氏にかなりの支持が奪われるだろう。傍から見れば無謀にも見えるが、山本氏は「政権を取りに行く」、「総理大臣を目指す」と公言している。枝野氏は、選挙特番で「今回の5党1会派の枠組みをいかし、こういう連立政権を組みますという姿を私の責任でしっかりと示していく」と述べた。5党1会派に対して早急に政権構想を示さなければ立憲民主党は政権を取る気がないと思われ、早くも旧社会党の二の舞になる可能性がある。 
各党神奈川県代表、参院選を総括 7/24
21日に投開票された参院選。この選挙結果を受けて主要各党の県組織が県庁でそれぞれ記者会見を行い、2週間以上にわたった4議席をめぐる各党の熾烈(しれつ)な選挙戦を振り返った。大勝した自民県連は「(得票の)91万は大きな数。県民の思いに応えていきたい」、立憲民主県連は「序盤で気の緩みがあった」とそれぞれ総括するなど、各党が今後に向けた思いを新たにした。統一地方選と参院選が重なる12年に一度の「亥年選挙」が幕を閉じ、各党は一時期解散風が強まっていた衆院選に向けて、緊張感を高めている。
「トップ当選を目標としてきた。2期目の仕事をしっかりとやってもらいたい」。再選を果たした自民現職の島村大氏について、県連の小此木八郎会長はこう背中を押した。目標の100万票に達しなかったことについては「自民支持者でも他党に投票した人もいる。6年前は自民が政権復帰した直後。今回とは期待の違いがあった」と話した。年内との見方もある衆院解散・総選挙については「いつあるか分からない。緊張感を持っていく」と述べるにとどめた。
「4月の統一選で当選した68人の地方議員と支援団体が一体化し、県内各地で取り組んだ成果だ」と胸を張るのは、立民県連の青柳陽一郎幹事長。立民は現職の牧山弘恵氏が約46万票を獲得した6年前の参院選よりも、約28万票上積みした。青柳幹事長は「選択的夫婦別姓など、若者の心に響く政策を打ち出すことができた」と勝因を分析した。衆院選について「県内の空白区については、全て埋めていく方針。まずは候補の発掘が課題だ」と意気込んだ。
再選を果たした公明現職の佐々木さやか氏について、県本部の上田勇代表は「国会で6年間、仕事をしてきた実績を有権者に示し、差別化を図ることで手応えを感じた」と振り返った。「街頭では有権者とのふれあいを重視したことで人柄が伝わり、得票率が伸びた」と分析した。衆院選に向けては「常在戦場。自公で政権を安定させることを念頭に、態勢を固めていく」と引き締めた。
維新現職の松沢成文氏は、選挙戦序盤の世論調査で苦戦が報じられたが、票を伸ばして挽回したことについて、県総支部の串田誠一代表は「若い有権者への認知がだんだんと広まり、手応えが強まっていった」と松沢氏の“手腕”に納得の表情を見せた。県内での組織力が弱いなかで、「維新としての戦いが認められた」と笑顔を見せた。
一方で、議席獲得がならなかった政党からは、反省や課題が聞かれた。
21年ぶりの議席奪還がかなわなかった共産県委員会の田母神悟委員長は、結果について「健闘したといえる」としたうえで、「3年前に比べて10万票の上積みができたことは、一部の無党派層を取り込めたといえる。全体の無党派層にどう食い込んでいくのかは、今後の課題だ」と結果を冷静に受け止めた。
「俳優出身の候補」という乃木涼介氏の魅力を前面に押し出した戦術をとったが、及ばなかった国民民主。県連の後藤祐一代表代行は、敗因を「党自体の知名度が足りていない部分もあった」と分析した。国民は春の統一選で現職議員が相次いで落選。「統一選で多くの仲間を失った。衆院選で党勢を回復する」とし、当初衆参同日選に向けて、野党間で議論を進めていた選挙区での統一候補擁立について、「変わらず進めていく」とした。
6月上旬に候補者を立てた社民県連合の金子豊貴男幹事長は「出遅れが響き、残念な結果になった」と深いため息をついた。「支持層の労組は立民・国民を推薦していて手遅れとなるなど、支援団体対策が弱くなった」と分析。一方、選挙戦を通して、「愛川町や清川村などもくまなく回ることができた」と話し、今後の選挙戦に期待感を示した。 
参院選〜組織票の限界を見た 7/23
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月22日)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。今回の参議院選挙で、これまでの選挙とは違う側面が出て来たことについて解説した。
今回の参議院選挙で自民公明両党、それに日本維新の会の改憲勢力は国会発議に必要な3分の2以上の議席を3年ぶりに失った。一方、投票率は過去2番目に低い48.80%。れいわ新選組やNHKから国民を守る党、いわゆるN国党は初めて当選者を出し、政党要件を満たしたということも報じられている。この選挙結果、リスナーはどう見るのか? 意見を広く紹介して行く。
組織的な運営が機能しなくなっている
飯田  いろいろな論点がありましたが、愛知県知多郡からいただきました“ことゆうパパ”さん、35歳の方です。「参院選、与党勝ち切れずという印象です。東北で弱かったですね。しかし野党も国民民主党の比例代表の礒崎氏が当選しましたが、自動車総連の推薦で当確がこんなに遅れるとは。国民の弱さと労連の弱さ、両方が見えた結果だと思いました」。
須田  労組、組織票は1つの大きな塊だったはずなのですが、なかでもいちばん組織数のある自動車総連に限界が見えて来たのかなと思います。あるいは労働組合の締め付け、組織的な運営が機能しなくなっていて、組合員ではあるけれども違った人に投票しているケースが出ているのか。この辺は、労組も全部チェックした方がいいかもしれません。
飯田  愛知にお住まいということで、当然トヨタ自動車という大きな会社がある。その労組という身近なところから“ことゆうパパ”さんもメールをくださったと思うのですが、取材してみると「選挙のときに頼りになるのは、日教組と自治労だけなのだ」と、企業系は締め付けの部分が難しく、全員が全員というわけには行かないところがあるようです。
須田  今回の参議院選挙で大きな特徴の1つを挙げるとすると、もともと参議院は衆議院と違って、かつては組織票の勝負だったのですよ。ところがそれが通用しなくなって来ている。それがはっきりとしたのが、今回の選挙だったのではないでしょうか。もう1つは、先ほども取り上げた武見敬三さん。本来なら医師会がバックについているのですから、もっと票を上積みしてもよかったはずなのですが、今回はギリギリ。このあたりも組織力の弱さが見えて来たのかなと思います。
飯田  たびたび引き合いに出されますが、広島で落選した溝手顕正さん。県連を挙げてのバックアップということで言うと、組織は締め付けるわけですよね。
須田  今回は党本部から、横から手を突っ込まれたので少し違うのですが、広島の件で言うと与党側の驕りがあった。あまりにも野党が弱いから、自民党のなかで内ゲバが始まってしまったのかな。前回の統一地方選挙も含めて、選挙区内での与党側の驕りが目についたなと思います。
政治的恩恵を失った東北の自民党離れ
飯田  与党が1人区で負けた東北、こちらは岩手の“べがった”さんからメールをいただいています。「自公の与党が勝ったけれど、東北は野党が4つ取れたのはどうしてなのでしょうか。あと、選挙特番で宮城の石垣のりこさんの紹介で、FM仙台と紹介していましたが、地元では『Date fm』と呼ばれているので違和感を感じました」。社名はFM仙台ですけれど、呼称としてDate fmと。例としてはTOKYO FMと言っているけれども、TFMと呼ばれているのと同じようなものだそうです。
須田  先ほどの組織票のようですが、農協はかつては自民党の集票マシーンでした。その農協自体が、必ずしも自民党を推しているわけではないというところになって来たのかなと思います。
飯田  個別で農家に対して所得補償を旧民主党が主張し、それを原動力にして政権交代まで行ったとも言われています。あのぐらいから変わって来たのでしょうか?
須田  そうですね、あれが大きなターニングポイントとなりました。東北の農家には、米価が所得収入に直結するのです。これをかつての自民党は右肩上がりで上げて来た。昔はベトコン議員というような、米価を上げることだけを使命とした国会議員がいたのです。でもいまやそんな時代ではなく、マーケットメカニズムによって決まるような形で、政治的な恩恵はない。殆どが米作農家ですから、その収入が増えて行かない、むしろ減って行く。さらには後継者難ということで、農家農民の自民党離れというものも1つ伺えるのではないでしょうか。
飯田  比例代表はまさに組織票だと先ほどおっしゃいましたけれど、野党は労組がバックで、一方で自民党は特にそうですが、各業界団体がバックにいる。農政連が推している候補で、確か山田俊男さんがそうだと思うのですが、今回は21万6623票。いちばん取った郵政から出ている柘植芳文さんが60万あまりを取っているわけで、そう考えると農政連の力も落ちて来ているのかなと思いますが。
須田  どんどん落ちていますよね。ですから農協改革に乗り出して反発も受けた。その一方で、農協自体の力も落ちているところが大きくあるのではないですか。農協の力とは何かと言うと、地元に対する影響力です。そういう点で落ちて来たのかなと思います。
飯田  結局その意味では、いままでだったらメスを入れようとすると「選挙で落ちるかもしれない」と思っていたのが、それほどの抵抗もないから「やれる!」ということになって来ているのでしょうか?
衰えが見えるのは公明党もしかり
須田  比例区だけの問題ではないのです。特に参議院の選挙区における候補者は、後援会組織や支援団体を持っているわけではありませんから、衆議院の議員とは若干色合いが違います。そうすると、組織の票が底だまりからどんどん上積みされて行って、浮動票を幾分取り入れて当選というパターンを描きます。でもいまは、底だまりの部分が消えてなくなっている状況です。東北の1人区で勝ち切ることができないのは、そこに理由があるのです。これは衆議院選挙にも影響して来ます。衆議院議員だって自前の後援会組織はあっても、一方で決め手にはならないものの、組織票をドンドン積み上げるという選挙戦をやるわけですから。今回の組織の力の衰えというものは、衆議院選挙にも大きな影を落とすことになるのではないでしょうか。
飯田  衆議院選挙の場合、1〜2万票の差が大きく左右する。そうするとますます公明党頼りとなる。今回、公明党は議席を伸ばす一方で、自民党は議席を減らした。これは公明党の発言力がますます強くなるということでしょうか?
須田  ただ公明党も支援団体の高齢化によって、なかなか選挙戦が、かつてのような一枚岩でワークしているわけではありません。後援会組織である創価学会、これがF戦略をとって、一枚岩となって圧倒的に応援して行くというやり方をとっていたものが、ここ最近衰えているかなという感じがします。
飯田)今回は重点にした兵庫が、最後の最後に取りました。まだ組織が動いている部分があるけれども、小選挙区の衆議院選挙では一部の有力議員でも落としたと。神奈川などでも例がありました。
須田  兵庫は大阪と並んで常勝関西と言われているところですから、もっと楽々と当選しなければダメですよ。そういう意味では、兵庫は神戸市役所の前にデカい創価学会の建物がありますから、それだけ大きな力を持っていたはずなのですよ。それがあのタイミングでの当選ですから、私は非常に強い違和感を覚えました。 
 7/22〜

 

与党
自民「1人区」10敗 安倍・菅氏がテコ入れしたのに 7/23
参院選で与野党が総力を挙げた全国に32ある改選数1の「1人区」で、安倍晋三首相と菅義偉官房長官がテコ入れを図った選挙区では自民党候補が軒並み苦杯をなめた。岸田文雄政調会長率いる岸田派現職も計4人が落選。「ポスト安倍」候補としての先行きに暗雲が忍び寄る結果となった。
首相は22日午後、自民党本部で開いた記者会見で胸を張った。
「衆院も合わせれば(自民党総裁に返り咲いた2012年以来)6回連続、国政選挙で国民の皆さまから強い支持を頂くことができました」
確かに与党は改選議席の過半数を確保したが、首相周辺からは「素直に喜べる感じではない」との声が漏れる。自民党内で「5敗程度」との予測もあった1人区で、前回参院選の11敗と同程度の10敗を喫したためだ。小選挙区制の衆院選でも野党が候補者を一本化すれば、激戦は必至。自民党内からも苦戦した東北を念頭に、「構造的な問題がないのか検証したほうがいい」との指摘が出ている。
とくに首相と菅氏は今回、「選挙の顔」として、そろって官邸を「不在」にしてまで1人区を重点的に歩いた。首相は演説で「『自民党を倒す』ということだけで統一している。でも倒れた後に何をするか決まっていない」などと野党統一候補を批判し続けた。
選挙戦残り1週間を切った15日夜には、自民党本部で党幹部と協議。「首相が行って勝てる可能性があるところに行く」(首相周辺)として、翌16日以降は、接戦とみなした新潟、山形、宮城、三重、滋賀、青森、岩手、秋田の8選挙区に再び入った。「現在まだ残念ながら2位」「野党統一候補に絶対に負けるわけにはいかない」などと声をからした。
菅氏も新潟、山形、宮城、岩手、秋田の5選挙区に複数回入った。出身県で、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画が争点となった秋田選挙区には、最終日の20日、時間帯をかえて、首相と菅氏がそろって入った。だが、結果は2万票以上の差で自民現職が敗北した。
両氏のどちらかが入った13の1人区の結果は、4勝9敗。うち、首相が2度も足を踏み入れた8選挙区は2勝6敗だった。菅氏は22日の記者会見で、1人区での敗北について問われると、「僅差(きんさ)の選挙区があったが、個々の選挙区の結果についてコメントは控えたい」と述べるにとどめた。 
安倍首相の記者会見要旨 7/22
安定した政治基盤のうえに新しい令和の時代の国づくりを進めよと国民の力強い信任を得た。働く意欲をそぐことがないよう在職老齢年金のあり方を見直す。世界経済の先行きに不透明感があるが、景気の下振れリスクには躊躇(ちゅうちょ)することなく機動的かつ万全の対策を講じる。
憲法改正も大きな争点だった。少なくとも議論はすべきだ、これが国民の審判だ。野党は民意を正面から受け止めてもらいたい。憲法審査会の場で活発な議論をさせてほしい。与野党の枠を超えて(国会で)3分の2の賛同が得られる改正案を練り上げたい。自民案だけにとらわれることなく柔軟な議論をする。
――2020年に改正憲法を施行させる目標に変わりないか。
議論に一石を投じる思いで述べたが、今もその思いに変わりない。スケジュールありきではなく、まずは憲法審査会で各党・各会派がしっかりと議論してほしい。
――内閣改造・自民党役員人事のイメージや臨時国会召集の時期は。
臨時国会は8月1日に召集する。人事は全くの白紙でこれからゆっくりと考えていきたい。麻生太郎副総理・財務相や菅義偉官房長官は内閣の重要な柱として支えてもらってきた。二階俊博幹事長は甘利明選対委員長と共に選挙を担いでもらった。感謝している。
――21年9月までの3期目の党総裁任期を最後とする考えか。
4選は全く考えていない。
――任期中に衆院解散に踏み切る考えは。
全く考えていないが、今後、あらゆる選択肢を排除することなく、まずは選挙で約束したことを実行していきたい。
――日韓関係をどう前進させるか。
日韓請求権協定に違反する行為を韓国が一方的に行い、国交正常化の基礎となった国際条約を守っていない。まずは約束を守ってほしい。
――米国がホルムズ海峡の船舶の安全確保へ結成を呼びかけている有志連合にどう対応するか。
中東の平和と安定はエネルギー安全保障上、死活的に重要だ。まずは米国の考え方も詳細に詰めていかなければならない。緊張緩和に向けて日本は日本でできる努力をしていきたい。 
総理 「国民からの力強い信任をいただいたことに、厚く厚くお礼を申し上げる」 7/22
NHKによると、安倍首相は参院選を受けて「連立与党で71議席、改選議席の過半数を大きく上回る議席をいただいた。『安定した政治基盤の上に新しい令和の時代の国づくりをしっかりと進めよ』と国民からの力強い信任をいただいたことに、厚く厚くお礼を申し上げる」と述べた。
また安倍氏は「わが党としても前回、3年前の参議院選挙を上回る議席をいただいた。参議院選挙で3回連続これだけの議席を得ることができたのは大平、中曽根総裁以来だ」と強調し、「衆議院選挙もあわせれば6回連続国政選挙において、国民から自民党への強い支持をいただくことができた。本当に身の引き締まる思いだ。自民党の総力を結集し、党一丸となって令和日本の新たな国づくりを力強く進めていかなければならない」と述べた。  
安倍首相会見 「議論を、それが国民の審判」 7/23
自民党総裁の安倍晋三首相は二十二日、参院選の投開票を受け、党本部で記者会見した。与党と日本維新の会などの改憲勢力が三分の二を割り込んだことを踏まえ、与野党に幅広い憲法論議を呼び掛けた。憲法九条に自衛隊を明記する党改憲案については「この案だけにとらわれることなく、柔軟な議論を行っていく」と述べた。改憲発議に向け「衆参両院の第一党として強いリーダーシップを発揮する決意だ」と強調した。
首相は、選挙戦で憲法論議の是非を争点に掲げ、自民、公明の与党が改選過半数を獲得したことに触れ「少なくとも議論は行うべきだ。それが国民の審判だ」と強調した。野党に「この民意を正面から受け止めてほしい」と求めた。
改憲勢力の三分の二割れを受け「与野党の枠を超えて三分の二の賛同が得られる案を練り上げたい」と表明した。「国民民主党の中には議論すべきだと考える方々がたくさんいる」と重ねて期待感を示した。
次期参院議長を選ぶ臨時国会については、八月一日に召集すると明言した。
参院選は二十二日、改選百二十四議席が確定した。自民が五十七議席を獲得。公明は十四議席で、非拘束名簿式導入後の最多議席に並んだ。与党は改選前の七十七議席は下回った。
与党と維新は計八十一議席で、非改選を含めた改憲勢力は百六十議席となり、三分の二に四議席届かなかった。自民は単独では非改選を含めて百十三議席となり、過半数を失った。
野党では、立憲民主党が改選九議席から倍近くの十七議席を獲得した。国民は二減の六議席、維新は三増の十議席。共産党は一減の七議席、社民党は改選前と同じ一議席だった。
比例代表では、れいわ新選組が二議席、NHKから国民を守る党が一議席を得た。政党要件を満たさない諸派が比例で議席を得たのは現行制度では初めて。
三十二の改選一人区では立民、国民、共産、社民の野党四党が擁立した統一候補が十議席を得た。二〇一六年の前回参院選の十一議席には届かなかった。選挙区の投票率は48・80%。過去最低だった一九九五年の44・52%に次いで低かった。  
過半数確保も・・・ 首相会見、憲法改正「賛同得られる改正案を」 7/22
与党側が改選議席の過半数を確保した参議院選挙。安倍総理は早速、憲法改正について野党側に議論を促しました。
参議院選挙から一夜明け、自民党本部で記者会見した安倍総理。
「国民の皆さまからの力強い信任をいただいたことに、厚く厚く御礼を申し上げます」(安倍首相)
自民・公明の与党は、124の改選議席の過半数63を上回る71議席を獲得しました。野党側は、立憲民主が改選議席の倍増に迫る17議席となりましたが、国民民主は改選議席を下回りました。
「ちょうど良かったと思うよ。あまり勝ちすぎてもね」(自民党幹部)
与党内には安堵感も漂っていますが、安倍総理が目指す憲法改正については、日本維新の会を加えても、国会発議に必要な「3分の2」の議席を確保するには至りませんでした。安倍総理は、憲法改正について「少なくとも議論は行うべきというのが国民の審判」と訴え、野党側に改憲案をとりまとめるための国会審議への参加を求めました。
「衆参両院で3分の2というハードルは極めて高いものだが、与野党の枠を超えて3分の2の賛同が得られる改正案を練り上げていきたい」(安倍首相)
安倍総理は、自衛隊を憲法に明記するなどとした自民党の改憲案にこだわらず、他党と議論していく考えを示しました。  
菅官房長官、参院議席数は「国民の声に耳を傾けた結果」 7/22
参院選の投開票から一夜明けた22日、安倍政権が再始動した。菅義偉官房長官は午前の記者会見で、自民、公明両党の議席数が改選議席(124)の過半数を得た結果について、「経済の再生、外交・安全保障の再構築など、一つ一つの課題に国民の声に耳を傾けながら取り組んだ結果だと思う」と述べた。
安倍晋三首相は選挙戦を通じて憲法改正に向けた議論の是非を訴えてきたが、与党と日本維新の会などによる「改憲勢力」で国会での改憲発議に必要な「3分の2」には届かなかった。菅氏は「憲法審査会で与野党問わず、各党もそれぞれの考え方を示した上で建設的な議論を行い、国民的議論につなげることが大事だ」との見解を示した。
自民は全国32の1人区で22勝10敗と勝ち越したものの、秋田や山形、新潟などの接戦区で現職が野党統一候補の新顔に相次いで競り負けた。菅氏は「今後とも一つ一つ国民の皆さんの声に耳を傾けながら、政策を遂行していきたい」と述べるにとどめた。
選挙結果を受け、自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長は同日午前、国会内で会談した。自民の森山裕国対委員長は会談後、「自公の連立に一定の評価を頂いたのはありがたい、と総括した」と記者団に語った。8月1日召集で調整している臨時国会の日程について、今月29日に衆参の議院運営委員会の理事会で協議する考えも示した。
首相(自民党総裁)は22日午後、首相官邸で公明党の山口那津男代表と会談。その後、記者会見を行う。 
自公勝利、改選過半数 改憲3分の2届かず 2番目の低投票率、50%割れ 7/22
第25回参院選は21日、投票が行われ、即日開票された。与党の自民、公明両党で計71議席以上を確保し、自民幹部が「勝敗ライン」とした改選議席の過半数にあたる63議席を超えた。憲法改正に前向きな日本維新の会を加えた「改憲勢力」では、改憲の国会発議に必要な参院定数(245)の「3分の2」の164議席は維持できなかった。投票率(選挙区)は毎日新聞の集計によると全国平均48・84%で、過去最低だった1995年の44・52%に次ぐ低い水準となる見通し。 
自民、参院議長に山東氏で調整 7/22
自民党は22日、参院選を受けた新しい参院議長に山東昭子元副議長(77)=比例代表、麻生派=を起用する方向で調整に入った。複数の党幹部が明らかにした。山東氏に決まれば、参院では2004年に就任した扇千景氏に次ぐ女性議長となる。安倍晋三首相は22日、党本部で記者会見し、9月の方向で調整している内閣改造・党役員人事について「全く白紙だ。今からゆっくり考えたい」と述べるにとどめた。
首相は、新議長選出の臨時国会を8月1日に召集する方針を明言した。参院議長は選挙で第1党を維持した自民党から選出する。  
女性当選者28人、過去最多に並ぶ 政府目標には届かず 7/22
参院選の女性当選者数は、選挙区18人、比例代表10人の計28人で、過去最多の前回2016年と同数となった。立候補した女性は104人で当選率は26・9%。前回を下回った。当選者全体に占める女性の比率は22・6%だった。
政党に男女の候補者数を均等にするよう促す「政治分野の男女共同参画推進法」の成立後、初めての大型国政選挙。「指導的地位に占める女性の割合」を2020年までに30%にするとの政府目標には届かなかった。
秋田と愛媛両県選挙管理委員会によると、両選挙区で戦後女性参院議員が誕生したのは初めて。 
岸田氏、ポスト安倍へ痛手 お膝元・広島で重鎮落とす 7/22
自民党の岸田文雄政調会長はお膝元の参院選広島選挙区(改選数2)で、岸田派(宏池会)重鎮・溝手顕正元国家公安委員長を落とした。広島は池田勇人元首相以来の宏池会の牙城。てこ入れを図ってきただけに「ポスト安倍」を狙う岸田氏には大きな痛手となった。
自民党は党本部主導で2人目の公認、河井案里氏も擁立した。党県連は反発し溝手氏支援に注力したが、菅義偉官房長官や党幹部らが河井氏を援護。溝手氏は、野党系無所属現職を含む三つどもえを勝ち抜けなかった。  
公明党 選挙総括 7/22
一夜明け、参議院選挙の結果が判明。
公明党は選挙区7議席、比例区で7議席の14議席を獲得し、改選前11議席から3議席増となり、非改選14議席と合わせ28議席となり、過去最高の議席数となりました。全国的に投票率が低迷する中で、非常に厳しい内容でありますが、議席増となったことは非常にうれしく、応援頂きましたすべての皆様に感謝申し上げます。
得票数や得票率などしっかりと選挙総括して次に備えなくてはなりません。何が良かったのか?何が悪かったのか?これを整理して自分自身の活動に役立てていきたいと思います。
北海道選挙区では自民が2議席、立憲民主が1議席。比例の北海道関連では、自民党の北海道重点候補であった橋本聖子候補も当選。そして日本維新の会から比例で立候補した鈴木宗男新党大地代表も維新の中ではダントツの得票で当選となりました。釧路有縁の国会議員が3人となりちょっと驚いてます。
さて、選挙速報番組や新聞、ネットニュースを見ていてどうも違和感があったのは、「改憲勢力3分の2」という言葉。憲法改正の議論はどの条文をどのように改正するのか?具体的な議論は全くと言っていいほどされていない中、改憲勢力という言葉だけでグループ分けするのは少々乱暴ですね。自民党は草案があって、自衛隊の明記を含む9条の改正を党内で議論されているようですし、公明党は9条の改正は必要と考えておらず、今の時代に見合った環境権などの新たな条項を加える加憲の立場です。
改憲という言葉だけでくくるのはやはり乱暴です。憲法審査会でしっかり議論を進めていった先に、国民の皆さんにお示しできる改正案が出来上がっていくのでしょう。今後の憲法審査会に注視しましょう。 
自民党と公明党の共依存関係 7/24
今回の参議院選挙で顕著だったのは、公明党が攻撃の対象になったことだ。
公明党は、この攻撃をよく凌ぎ切ったと思う。
これで維新からも攻撃されるようになったら相当のダメージになっただろうな、と思うが、どうやら大阪の維新とは手打ちをしたようだから、党勢に陰りを示すようなことはなかった。しかし、公明の物言いが実に慎重になったことは明らかである。
れいわ新選組の野原氏が東京選挙区から立候補し、公明党に真正面からガチンコ勝負を挑んできたことが大きかったと思う。野原氏は創価学会壮年部であることを堂々と掲げ、公明党も創価学会の執行部も散々に批判していた。いわゆる無党派層の方々は、宗教色が色濃くついている候補者は敬遠しがちで、野原氏は6年前に山本太郎氏が獲得した60数万票をそのまま承継することは出来なかったが、それでも公明党やその支持者の方々には野原氏の存在は脅威だったはずである。
公明党や創価学会の執行部の方々が必死だった、ということは想像に難くない。多分、自民党の支持者の票のいくばくかは公明党に流れたはずである。
これまでは、自民党が公明党の組織票に支えられている、という評価がもっぱらだったが、実は公明党も自民党の組織票に支えられている側面がある、ということだ。
自民党と公明党の共依存関係が、いつまで続くか。
今回の参議院選挙では特に緩みや変調は見られなかったが、この先、何があるか分からない。 
100万票も減らした「公明党」 「れいわ」に奪われたか「創価学会」 7/24
「選挙をやると功徳が出る」とは、かつて「池上彰の参院選ライブ」(テレビ東京)で、インタビューされた支持母体の創価学会員が残した名言だ。
令和初の国政選挙となった第25回参院選は、自民党が改選前から9議席を減らした57席に。一方、自民にと連立を組む公明党は、改選前より3議席を増やして14議席を獲得した。さすがの結束力である。
だが、比例区の得票を見ると、あろうことか前回の参院選よりも103万票も減っている。これは、一体どうしたことか――。
今回、公明党が獲得した比例区の得票数は653万63356票である。前回の第24回参院選(2016年7月10日投票)は757万2960票、〆て103万6624票が減ったことになる。
ちなみに自民党の得票は1771万票で、前回から240万票減らしている。似たようなものに映るかもしれないが、公明党はこれまで、強固な学会という組織票に支えられ、何が起ころうと揺らぐものではなかったのだ。過去の比例区での得票を見てみよう。
600万票台となったのは、実に27年ぶりのことなのである。
今回、公明党の選挙にとって強敵が出現した。党代表の山口那津男氏(67)を擁する東京選挙区には、れいわ新選組から現役の創価学会員・野原吉正氏(59)が「ガチで闘う」と立候補。れいわの代表である山本太郎氏(44)は「公明党から票を奪う!」と公言していた。
東京選挙区の野原氏も比例区の山本氏も当選は叶わなかったが、「山本太郎」と記名された票は、実に99万票もあった。公明党は彼らに票を奪われたのだろうか。創価学会に詳しい宗教学者の島田裕巳氏に聞いてみた。
島田  まあ、今回は投票率が24年ぶりに40%台と低迷しましたからね。いくら創価学会に支えられているといえども仕方がないと思いますよ。
――投票率が低くなればなるほど、相対的に有利になると言われたのが、信者数827万世帯(2007年時点での公称)を誇る学会票ではなかったか。
島田  いえ、最近はそうでもなくなってきています。827万世帯というのは、信者の証しとして授与された御本尊の数ですからね、途中で信仰をやめてしまった世帯もカウントされています。私は信者の実数は約280万人と見ています。ですから、投票率が低い中にあって、信者の2・5倍近くになる650万票を集めているのですから、まだまだ大したものですよ。
――学会員が知り合いに電話するなどして公明党議員への投票を呼びかける、いわゆるF(フレンド)票のおかげか。
島田  そうです。でもね、これまでF票集めを熱心にやって来たのは創価学会の婦人部でしたが、高齢化が進んでいます。定年退職した男性信者の壮年部が代わりを務めるようになっていますが、婦人部ほどの選挙への慣れがない。若い学会員となると、選挙にはあまり関心を持っていないのは、創価学会といえども一緒です。
――れいわ新選組から出馬した野原氏に代表されるように、安保法案賛成に回った公明党は、平和の党ではなくなったと、反発している信者も出たのではないだろうか。実際、640万票しか獲れなかった1992年の参院選は、前年に湾岸戦争が起こり、選挙直前にはPKO法案に公明党が賛成。このときも反発した学会員が多かったとの声もある。
島田  いえ、あまり政策的な問題は関係ないと思います。野原さんも30万票に届きませんでしたからね。山本さんにもまだ、学会から票を奪うまでの力はないでしょう。
――やはり政策よりも、選挙をやると功徳になる、という信仰が優先するのか……。
島田  今回、創価学会の機関誌である聖教新聞には、選挙期間中に安倍晋三首相(64)はじめ、菅義偉官房長官(70)、二階俊博幹事長(80)が、公明党議員と並んだ写真が掲載されていました。これまでなかったことですから、学会員としては、まるで公明党が自民党の一派閥に成り下がったような印象を受けたかもしれません。
――確かに投票日である21日の聖教新聞には、公明党候補者の手を握って応援演説をする安倍首相の写真、17日には同様に菅官房長官と二階幹事長の写真が掲載され、山口代表の写真はその下に掲載されている。こうなると誰が公明党のトップか分からない。かつてなら池田大作名誉会長(91)が「大勝利!」と一喝すれば済んでいたものだが、10年近く表舞台に姿を現していない。
島田  代われる人がいませんからね。いまや池田名誉会長に直接会ったことのない信者も増えています。
――支持母体が弱体化すれば、公明党も必然的に弱体化ということか。
島田  今後、急激に票を失うとは思いませんが、徐々に減らしていくでしょうね。かつて信者を増やした高度経済成長期の60年代とは状況が違い、入会する人も減り、信者は高齢化が進んでいます。今後は構造的に学会員の数は減って行かざるを得ません。でも、議員の数はなるべく減らさない方向なので、これまで選挙で培った選挙のノウハウを活かして何とかやっていくしかないということでしょう。  
参院選結果、経団連会長「大いに歓迎」 7/22
21日投開票の参院選を受け、経済界から政策の着実な実行を期待する声が広がった。経団連の中西宏明会長は「自民・公明両党による安定した政治の態勢が継続する結果となったことを大いに歓迎する」とのコメントを公表した。「(先端技術で社会の課題を解決する)ソサエティー5.0の実現を中心とする成長戦略を強力に実行していただきたい」と要望した。
中西氏はコメントで「経済成長との両立を図りつつ、抜本的な社会保障制度改革や財政健全化をはじめとする経済構造改革、エネルギー・環境政策を推進することも求められる」と注文した。中西氏はリンパ腫の治療のため入院中で、秋ごろの復帰を目指している。
日本商工会議所の三村明夫会頭も「政権与党としてのこれまでの実績と安定性といった点が、国民による一定以上の信任と評価を得た結果だ」と評価。経済同友会の桜田謙悟代表幹事も「安倍首相の安定した政権運営に対し国民から一定の評価を得たものと受け止めている」とした。  
参院選受け「政策実行に期待」 業界団体の首脳ら 7/22
参院選の結果を受けて22日、業界団体や企業から米中貿易戦争への「外交での万全の対応」や、イノベーション推進を求める声が挙がった。
日本鉄鋼連盟(東京・中央)の北野嘉久会長は「安倍内閣が推進してきた経済政策(アベノミクス)について国民が一定の評価をし、今後の実行への期待を反映したもの」とのコメントを発表した。その上で、米中貿易戦争で経済のリスクが増大しているとして「諸外国との適切な外交にも万全を」と対応を求めた。
富士通の時田隆仁社長は「長期政権が築いた基盤を活かしてほしい」と述べ、「人工知能や(次世代の高速通信)5Gなどのイノベーションの社会実装」が推進されることに期待した。データ流通の国際ルール作りでリーダーシップを発揮してほしいとも訴える。
日本建設業連合会(同)の山内隆司会長は「大規模災害の復興や防災・減災、国土強靱(きょうじん)化、国民生活の社会資本整備を着実に進めてほしい」と話した。
選挙制度に対する要望も聞かれた。経済同友会の桜田謙悟代表幹事は今回の参院選で選挙区の投票率が1995年以来24年ぶりに50%を割り込む低さになったことに対し、記者会見で「極めて憂慮し危機感を持った」と述べた。投票率を高める策としてインターネット投票の導入を提案した。  
参院選結果、海外の反応 7/22
選挙から一夜開けて、海外の反応です。
アメリカは、国務省がJNNの取材に対し、「同盟国であり友人である日本政府と共に仕事を続けていくことを楽しみにしている」とコメントしました。さらに、「我々の同盟の基盤は共有する民主的価値への積極的な取り組みであり、日米両国の同盟関係は政治の枠を超えて両国で幅広い支持を得ている」と強調しました。
韓国では、新聞各紙が一面で結果を掲載し、改憲勢力が3分の2を確保できなかったことも伝えています。一方で、日本の輸出規制強化に触れ、「今回の選挙結果を大義名分にして、”韓国たたき”から引かない見通しだ」と保守系の中央日報が報じるなど、与党が「勝利した」として韓国に対して強い姿勢で臨むことを警戒する論調が目立っています。
中国は国営の新華社通信が22日朝、今回の参議院選挙について、「憲法改正に前向きな勢力が、全議席の3分の2に届かなかった」との見出しで報じました。その上で、「安倍総理は参院選の勝敗ラインを過半数の確保と表明していたが、最大の焦点は憲法改正に必要な3分の2に届くかどうかだった」と指摘。中国は、日本との関係改善を進めるものの、憲法改正には神経を尖らせていて、改憲勢力が3分の2の議席を確保できなかったことを歓迎しているとみられます。  
「輸出規制強化か」韓国メディア 参院選受け警戒 7/22
参議院選挙で与党が改選議席の過半数を確保したことを受け、22日の韓国メディアは「安倍総理は韓国たたきをやめない見通しだ」などと報じ、輸出規制の長期化や強化に警戒を強めています。
韓国の大手紙「東亜日報」は朝刊で「参院選に勝った安倍氏、『韓国が答えを持ってこい』」という見出しで「安倍総理大臣が参院選直後に徴用工問題の解決策を求め、韓国を圧迫した」と伝えました。また、「中央日報」は「安倍総理と自民党が韓国と日本の葛藤を選挙に利用した」とし、韓国への輸出規制問題が日本で大きく報じられたことで、消費税増税など与党が不利になる争点がかすんだという見方を示しました。また、「韓国への輸出規制拡大などをそのまま推し進める可能性が高い」と分析し、警戒感を一段と強めています。  

 

野党
揺らぐ「枝野1強」=参院選結果受け−立憲 7/26
先の参院選で、立憲民主党が事前に予想されたほど伸びなかったことを受け、党内で執行部の責任を指摘する声が出始めた。結党から1年9カ月、枝野幸男代表の「1強」とも言われた体制に揺らぎが生じている。
立憲は参院選で、改選9議席を17議席に伸ばした。枝野氏は25日の常任幹事会で「奮闘をいただき議席倍増という結果を出させてもらった」と評価。「衆院選でしっかり政権の選択肢を示していけるよう、さらに努力しないといけない」と強調した。
ただ、京都、大阪両選挙区では共産党にも後れを取り、議席を獲得できなかった。比例代表は公明党より1議席多い8議席にとどまり、「目玉候補」として擁立した元アイドルら14人が落選。事前の情勢報道では20議席台も予想されたのに対し、物足りない結果に終わった。
党の新鮮味が薄れ、「消費税廃止」など明確な主張を掲げたれいわ新選組に政権批判票を奪われたのが理由とみられる。党関係者は「2年前の追い風は消えた」と嘆いた。
山内康一政調会長代理は23日付のブログで、参院選を「事実上の敗北」と総括。「政権獲得にはほど遠いという現実を直視し、真剣に党内で議論する必要がある」と記し、選挙戦略を早急に見直すよう執行部に求めた。
静岡選挙区では、国民民主党幹部に「刺客」候補を送り、立憲幹部が連日応援に入った。これには同党内から「私怨(しえん)で対抗馬を立てるべきでなかった」(中堅)と疑問の声が出ている。
選挙を終えて これからの立憲は? 7/25
7月21日に参議院選挙の投開票が行われ、新たな参議院の議員構成が決まった。この結果をどうみるか。これから必要なことはなにか?
自民が退潮気味だが受け皿は?
今回の結果で与党側は、全体の定数は3議席増えたが自民党は、改選議席66から9議席減らし57と単独過半数を失った。公明党は、3増やし14だが比例票で見ると自民党は前回参院選の約2011万票から減らし役1800票。公明党も約757万票から約600万票と減らした。
野党は、立憲民主党が改選9から倍近くの8議席を増やし17。維新は7から3議席増え10。国民民主党は2減の6。共産党は1減の7。
自民党の退潮傾向は見え、立憲民主党に伸びが見えたように見えるが、立憲民主党の比例票は二年前の衆院選の1108万票から800万票へと減らしている。
ともに減らしているが、国会の勢力図は大きくは変わらなかったといえる。
一方で「れいわ新選組」が2議席になり、「NHKから国民を守る党」が1議席を得た。維新も議席数を増やしている。この結果をどう見ればいいのか?
かくたる根拠はないが、安倍政権の支持理由としてNHK世論調査で1位になる理由は「他の内閣より良さそうだから」であり、この理由から有権者の政権批判票が、政策ではなく何かをやってくれそう、既存政党とは違うといったイメージにより流れたのではないかと思えてならない。
本来であれば、立憲民主党が政権への不満の受け皿になるべきだが、すべてを受入れられていないと思えてならない。比例票が減ったことへの危機感を持つことも必要だ。このことが、立憲民主党の今後の大きなな課題と言える。
東京選挙区で見えたこと
東京選挙区でも同様だろう。
東京選挙区では6人の定数に立憲民主党が2名を出したが、結果的には維新のおときた氏が当選し2名の当選とはならなかった。立憲民主党の戦術に評価は分かれるかもしれないが、このことは別として、政権批判票が立憲民主党に回らずおときた氏へ、上記の理由から流れたのではないだろうか。
立憲民主党からは二人が立候補したが、塩村候補が当選、山岸候補が惜敗する結果となったのは、戦術の評価は別として、出馬の出足が遅れ満足な準備期間がなかったことで本来の魅力を伝えきれなかったことが大きいと感じている。いろいろな人に話を伺うと、時間が足りず、山岸候補も魅力を伝え切れなかったと異口同音だった。
さらに加え2年前にあった立憲民主党への追い風がなくなっていたこと、低投票率でもあり、積み上げる票も少なかったのもひとつの敗因だろう。
ただ、ボランティアの方々が山岸選挙には多数参加され、電話かけや街宣の企画などを担ってもらっていた。無所属の候補の場合は、多いが政党候補の選挙にこれほどまで入ることはあまり例がないのではないか。選挙は政党や支援団体がやるものといったこれまでの常識を変えていくきっかけになりそうで、立憲民主党にとっては今後のヒントなると考えている。
新しい酒は新しい革袋に盛れ
立憲民主党の中心となる国会議員には、政権を担った経験があることから、実現できそうにないことぶち上げて人気を得ることができないのだろう。それは否定しないし必要なことだ。
となれば、立憲民主党は新たな段階に進むしかないのだろう。それも既存のメンバーだけで考えていては同じことの繰り返しになりかねない。上記の選挙に参加したボランティアの方々、パートナーズ、研究者などもっと幅広く協力を仰ぎ、こうでなければならない、選挙戦術は決まっているといった先入観、ドミナントロジックを打ち破るしかない。
「新しい酒は新しい革袋に盛れ」ということわざがある。古い酒を捨てることまでは必要ないが、まずは新たな酒をもっと増やすこと、このことが次へのステップにつながるにちがいない。
パートナーズ制度は不満足
少し前の話になるが6月24日に立憲民主党東京都連合主催のパートナーズ集会が後楽園ホールで開催された。このプログラムのなかに「聞きにくいことをあえて枝野代表に聞く」というコーナーがあり、会場参加に今のパートナーズ制度に満足しているか? の問いかけがあった。
参加者にボードが配られ、満足していれば青色の面を示し、満足していなければ白面を出して答えるもので、その結果はおよそ8割が満足していない、との表示だった。
枝野代表はこの結果について、私も白を出す。こんなに青があることにびっくりした。うれしいし、ありがたい。試行錯誤を始めて1年、我々もどうしたら良いか分からない。どうしたら良いか、ここから考えて行きたいと話していた。
この間、多くのパートナーズの方々と話す機会が川名は多かったのだが、立憲民主党をこうしたらもっと良くなる、一緒にやっていきたいとの声を多く聞いた。その声を受け止め現実化していくことが、今だからこそ必要だ。その具体策を考えていくことが新しい政治につながるように思えてならない。やるのは今からだ。
顔色冴えぬ立民・枝野代表 参院選終え党内から不満 7/25
21日投開票の参院選で議席を「倍増」させた立憲民主党の枝野幸男代表の顔色がさえない。枝野氏ら幹部が推した目玉候補が相次ぎ落選し、比例代表の得票数も平成29年の衆院選に比べ激減したからだ。強さが「張り子の虎」だったことが露呈した今、党内で枝野氏への不満がくすぶり始めた。
「参院選では議席倍増という結果が出た。衆参両院ともに野党第一党として、さらに大きな責任を負うことになった」
枝野氏は25日の常任幹事会で、参院の勢力が改選前の9議席から17議席に伸びたとして胸を張った。とはいえ、トップの「勝利宣言」とは裏腹に出席者の表情は総じて暗かった。
それもそのはず。党幹部は投開票日直前、「選挙区・比例代表合計で20議席は固い」と踏んでいたが、蓋を開ければ、有名弁護士や元アイドルら目玉候補は軒並み落選。比例得票数も29年衆院選の約1100万から約316万減の約791万に落ち込み、与党の土台は揺らぎもしなかった。
立憲民主党は29年衆院選での比例得票数と、野党で最も高い政党支持率を売りに勢力拡大を図ってきた。それだけに、中堅は「幹部は比例得票数が800万を下回ったことに衝撃を受けている。政党の地力がバレて、枝野氏の求心力は落ちていくだろう」と解説した。若手も「お偉いさん方は認めたくないだろうが、今回の参院選は明らかに負けだ」と強調した。
野党の主役の座は、初の国政選挙で約228万の比例票をたたき出した山本太郎代表率いる「れいわ新選組」に奪われつつある。山本氏は21日深夜の記者会見で「他の野党と手を組まなければ政権交代までいけない。力を合わせていく必要がある」と述べた。
枝野氏は選挙前まで党勢拡大を優先し、野党が一つの政党にまとまることに否定的だった。しかし、参院選での伸び悩みやれいわの躍進、国民民主党系無所属を含めれば勢力を維持したともいえる国民民主の粘りを目の当たりにし、独自路線からの転換を迫られる可能性もある。  
国民・玉木氏、続投で調整 参院選結果を評価 7/22
国民民主党は22日、党本部で執行役員会を開き、改選8議席を下回り、6議席にとどまった参院選結果について協議した。岩手、愛媛など6選挙区で当選した国民系無所属候補を含めれば改選議席を上回ったことを評価。玉木雄一郎代表ら現執行部が続投する方向で調整する方針だ。社民党も比例代表の得票率が2%以上になり、公選法上の政党要件を満たしたとして又市征治党首ら現体制を維持する。
国民の役員会では、地方組織の幹部を集めて選挙結果を総括する機会を近く設けることも申し合わせた。役員会に先立ち、玉木氏は東京都内で連合の神津里季生会長と会談。組織内候補の落選などを謝罪した。 
国民民主党 玉木雄一郎代表 7/22
安倍総理が記者会見で今回の参院選の結果について「大きな信任を得た」と発言したことについて、自民党は議席と比例票ともに前回に比べて減らしたことを指摘した上で、「アベノミクスへの不満を表した結果だった」と述べた。また、野党連携について、国民民主党と立憲民主党の比例票の合計が前回(民進党)とほぼ同じだったとし、「野党がバラバラのままでは、与党を利するだけ。体力を失って、政権交代は夢のまた夢となる。衆院選を見据えて、政権を目指す体制をつくっていかなければいけない。枝野さん(立憲民主党代表)とよくコミュニケーションしていく」と野党連携を強化する必要性を語った。
安倍総理が記者会見で与野党に衆参両院の憲法審査会で改憲議論を進めるよう呼び掛けたことについての見解を問われると、「憲法の議論は積極的に取り組んでいくが、まずは国民民主党が提出している、CM規制などを盛り込んだ国民投票法改正案への対案を速やかに議論していきたい」と述べた。
また、今後の国会運営について、「選挙中に国民が議論をする国会を求めていると感じた。議論をしない国会を改めていかないといけない」と述べた。 
参議院選挙結果について志位委員長が記者会見 7/22
日本共産党の志位和夫委員長は21日午後11時55分ごろから記者会見し、次のように述べました。
一、まず今度の参議院選挙において、ご支持いただいた有権者のみなさん、日夜を分かたぬ奮闘をしていただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに心からの感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
一、日本共産党の結果は、開票の途中ですが、選挙区については東京、京都と、二つの現職区で議席を守ることができたことはたいへん大事な成果だと思います。加えて埼玉で、21年ぶりに議席を得ることができました。これもうれしいことです。大阪はたいへん残念な結果ですが、辰巳孝太郎さんを先頭に素晴らしいたたかいをやったと考えております。頑張られたみなさん、そして、ご支援いただいたみなさんに心から感謝を申し上げたいと思っています。ぜひ、大阪では次は巻き返していきたいと決意をしているところです。全体として選挙区選挙は健闘と言っていいのではないかと考えています。比例選挙の方はいま開票中ですので、結果を期待して見ていきたいと考えています。
一、今度の選挙で、私たちは、もう一つ大きな課題として、市民と野党の共闘の勝利ということにとりくんできました。32の1人区のすべてで野党統一候補を実現し、勝利をめざしてたたかいました。結果として、10の選挙区で野党統一候補の勝利を得ることができました。10選挙区での勝利というのは、私は、たいへんに大きな成果と言っていいと考えております。
一、そういいますのは、今度の改選で野党が現有議席を持っているのは2選挙区しかありません。そういうもとで、10に増やしました。これは共闘の成果以外の何ものでもありません。2議席から10議席に増やしたことは、躍進といってもいい大きな成果で、まさに共闘の力が発揮された選挙になったと思います。
一、ぜひ、共闘のたたかいを通じてつくられたさまざまな信頼関係、新しいきずな、新しい友人を大切にして、次の総選挙につなげていきたいと決意しています。
一、改憲勢力に3分の2議席を取らせなかったことは、大きな成果です。これは野党共闘なしにはなしえなかったことです。  
社民、政党要件を維持 参院選比例で得票率2%以上獲得 7/22
社民党は、比例代表で得票率2%以上の得票を獲得し、政党要件を維持した。2016年参院選で落選した吉田忠智前党首が比例で返り咲いたが、獲得議席は一つにとどまった。
公職選挙法で政党として認められるには、現職国会議員5人以上▽直近の衆院選か参院選で全国の得票率2%以上――のいずれかを満たす必要がある。社民の国会議員は衆参2人ずつの計4人。参院選には選挙区と比例代表で計7人を擁立したが、改選を迎えた又市征治党首は立候補しなかった。このため、政党要件維持には、2人以上の当選か、得票率が2%に届くことが必要だった。
社民は16年の参院選で比例の得票率が2・74%に達し、政党要件を維持した。ただ、17年衆院選の得票率は1・69%。今回の参院選は比例の得票率2%を「最低限の目標」に設定していた。 
れいわ、N国が政党に 7/22
21日投開票の参院選で、国政初挑戦の「れいわ新選組」「NHKから国民を守る党」の両政治団体が公職選挙法と政党助成法上の政党要件を満たした。比例代表で2議席を獲得したれいわは、得票率2%以上を記録。1議席のN国は選挙区で擁立した候補者の得票率が2%を超えた。
政党になると、議員数や国政選挙での得票に応じて政党助成金が交付されるほか、衆院選で小選挙区と比例の重複立候補が可能になるなど選挙運動上の利点がある。  
既成政党が届かない人たち れいわ熱烈支持はなぜ? 7/20
参院選(21日投開票)で、既存の野党各党の手が届かなくなった有権者の存在が注目を集めている。「与党の姿勢や政策には賛成できないが、いまの野党の訴えにも共感できない」という人たちで、「れいわ新選組」のような諸派を熱烈に支持する現象が起きているのだ。
「与党は好きじゃない。野党は…」
15日夕、東京・JR吉祥寺駅前。立憲民主党の新人候補がマイクを握り、「当たり前の政治を取り戻したい」などと訴えていた。70人ほどの聴衆は真剣に耳を傾けていたが、商店街を歩く人たちの大半は足を止めることなく、素通りした。「熱心な支持者が盛り上がっているだけ、という感じがする。与党は好きじゃないけど、今の野党に世の中を変える力があるとは思えないよね」。離れた場所から演説をながめていた東京都武蔵野市の無職男性(70)はつぶやく。
毎日新聞が6月15、16両日に行った世論調査では「支持政党なし」は44%を占める。自民党の政党支持率29%に対し、立憲民主党や共産党など各野党の支持率は軒並み10%未満。勢力を拡大するには、無党派層を取り込むことが欠かせない。
野党に危機感「侵食されている」
ところが今回の参院選では、無党派層の一部が既存の野党ではなく、「れいわ新選組」や「NHKから国民を守る党」などの諸派に流れつつあり、野党各党とも神経をとがらせる。
立憲幹部は「特に東京では相当、れいわに侵食されている」と危機感を募らせる。実際、この幹部の支持者の中にも「申し訳ないけど、今回はれいわを応援したい」と断ってきたケースがあるという。別の立憲関係者も「日本維新の会、共産党、社民党などほかの野党の票も奪っている」と分析している。
共産党候補の陣営責任者は「有権者の中では、民主党政権が行き詰まったことへの印象が非常に強い。当時、政権に入っていなかった私たちでさえ野党だというだけで『政権を任せるのはちょっと……』と思われている」とため息をつく。こうした見方は与党も共通しており、自民党幹部は「支持層が安定している与党よりも、野党の票が相当、れいわなどに流れている」とみる。
野党の主張「エリートが考えた政策」
2017年衆院選では、誕生したばかりの立憲が躍進した。当時、立憲を「この党こそ私たちの代表だ」と熱心に支援したという東京都台東区の男性会社員(40)は今回、れいわに共鳴するという。男性は今の野党の主張について「エリートたちが考えた政策という感じがするんですよね。高学歴、高収入の人たちが『教えてあげるよ』と言ってるみたいに感じる」と語る。
男性は上司のパワハラ被害により会社を辞めた経験を持つ。「今の野党からは『上から目線』の雰囲気を感じてしまう。今まで政治にスルー(無視)されてきたと感じる人たちは、そういうことに敏感なんですよ」
無党派層が多いとされる30〜40代は「就職氷河期世代」(ロストジェネレーション)と呼ばれ、今の政治に不満を抱く人も少なくない。こうした有権者層に、インターネットなどを使い徐々に浸透しているのも諸派の特徴だ。中でも「れいわ」は、4月の旗揚げから今月半ばまでに3億円以上の寄付を集めた。ホームページには「れいわ新選組は、ロスジェネを含む、全ての人々の暮らしを底上げします!」とうたい、現状に不満を抱く有権者の共感を呼ぼうとしている。
れいわ、公約に「消費税廃止」
15日夜、新宿駅西口のれいわの街頭演説。代表の山本太郎参院議員の熱弁に1000人近くが耳を傾けた。東京都稲城市の男子大学生(4年)は大学の講義で山本氏の活動を知り、この日はツイッターで演説会の場所を確認して1人で演説を聴きに来た。山本氏が演説で「奨学金の返済に不安を抱える学生たち」や「住居費を用意できずに1人暮らしができない人たち」に触れるたび「自分の話をしてくれていると感じる」という。紅潮した顔で「他にも政党があるのは知っているけれど、山本さんは僕のために本気で戦ってくれそうだなと思った」と語った。
れいわは、最低賃金を1500円に引き上げる▽555万人分の奨学金の返済を国が肩代わり▽雇用の安定化のため公務員を増やす――などを掲げる。最低賃金1500円は共産、社民両党、奨学金免除も立憲や国民民主党の「給付型奨学金の拡充」など野党各党の政策に共通する。
最大の違いは、野党各党とも消費税率10%への引き上げには反対姿勢を示す中、れいわが「消費税の廃止」を打ち出したことだ。物価を下げ、実質賃金を上昇させ、景気回復をさせると掲げる。山本氏は「消費税の廃止」と「奨学金の肩代わり」には29兆円の財源が必要だとし、もうかっている企業から法人税を多く取ったり、収入の多い人から所得税を多く取ったりすることでまかなえると主張する。
「欧米のポピュリズム戦略に類似」
立命館大の山本圭准教授(政治思想史)は「『持てる者』と『持たざる者』の対立を強調するのは、欧米で急速に支持が広がった左派ポピュリズムの戦略と似ています」と指摘する。
実際、左派ポピュリズムの代表格とされる米民主党の大統領候補の1人、バーニー・サンダース上院議員は株取引などに税金をかけ、その税収で奨学金の返済を全額免除すべきだと訴え、一定の支持を集めている。山本准教授は「経済格差が深刻になればなるほど、こうした主張が説得力を持つようになる。れいわが注目されるのは、日本の格差がそれだけ広がってきたからなのかもしれません」と話す。
消費税については、旧民主党と自民、公明両党が12年、安定的な社会保障財源を確保するため、税率5%から10%への段階的な引き上げを決めた。れいわが主張する消費税廃止に対しては、少子高齢化が進む状況を踏まえ、各党とも懐疑的で、野党議員は「受けのいい政策を並べて訴えるのはどうかと思う」と不満を漏らす。また、法人税や所得税の増税で企業や資産が海外に逃げてしまい、結果的に国内の雇用などに悪影響を及ぼしかねないとの指摘もある。山本准教授は「ポピュリズムの意義は、従来の政治や経済に対する見方を問い直すような選択肢を示すこと。消費税はなくせるんだという大胆な発想をれいわは政策として掲げた。その結果、経済政策の面で存在感を示すことができた」と話す。
旧民主党の分裂により誕生した立憲や国民と、社民党は政権を担った経験から現実路線を重視せざるをえない。そうした姿勢に一部の有権者が離れ、各党が決して掲げない政策で耳目を集める諸派が新たな受け皿となりつつある――という構図のようだ。ただ、かつても「新党ブーム」はあったが、確固たる基盤を築けないまま消滅したり、大政党に吸収されたりするケースは目立った。エリート層への反発や経済格差の拡大を追い風に新たな勢力は根付くのか。それとも既存野党が息を吹き返すのか。参院選は、一つの分岐点となるかもしれない。 

 

選挙諸話
日本を動かす自民「組織票」の正体 2017/10
戦後2番目に低い投票率となった今回の選挙では、いわゆる組織票が明暗を分けました。ではこの組織票とは具体的には何なのでしょうか?その正体を考えます。
投票率が低いほど組織票が有利に
解散の大儀がない、疑惑隠しだ…など様々な批判を受けながら行われた衆院選挙は、結局は自民党が改選前とほぼ同じ安定多数、自公あわせて2/3以上の議席を確保しました。
今回の選挙の最終投票率は53.68%で、戦後最低を記録した前回の選挙に次いで、2番目に低い投票率となっています。
投票率が下がると、組織票を味方にした勢力は有利となります。組織に属さない票(いわゆる浮動票)が少ない中でも、組織票はどんなことがあっても必ず投票に行き、一定の得票となるからです。
ここに、政権不支持率が支持率を上回っても、選挙では自民党が多数の票が取れる理由が隠されていると思われます。
では、この組織票とは具体的には一体何なのでしょうか?その正体の一片をご紹介しましょう。
現場サイドから見える組織票
私のブログに、ある投稿がありました。その記事のテーマが、まさに「政権不支持率が高いのに、与党の議席獲得数が多いのはなぜか」というテーマだったのですが、そこに読者からコメントを寄せていただいたので、まずはそれをご紹介します。
「地元では、子供たちのスポーツ団体が加入する○○協議会の理事等を自民党の市議会議員がつとめています。自民党議員に投票するようにと、各団体に働きかけがあり、監督さんからお母さんたちに説明があります。そして○○さんが勝たないとグランドの割り当てが無くなるんだって!とお母さんたちの間で話がまとまります。地域の福祉協議会では、各地区の役員が会議名目で召集され、翌年度以降の市からの予算について説明があり、自民党の○○さんがご尽力下さいますと説明があります。」
これ、すごい生情報でしょう。そして、こんな情報もあります。
「日刊ゲンダイは、選挙の現場では自民党に冷たい風が吹いている、と書いている。確かに街頭では自民が勝てるような空気はほとんどない。が、自民が圧倒的に強い保守王国・九州で、その秘密の一端を聞いた。選挙期間中、仕事は午前中だけ、午後は従業員全員電話がけで自民党候補を推す会社がある、という。話をしてくれた方の友人が勤めている会社で、会社の名前まで聞いた。会社ぐるみで、自民党候補の応援。もちろんこれは本人の自発的意思ではないし、業務の一部としてやらされていて、給与も支払われているのだから、公職選挙法違反だと思われる。こんなことが、あちこちで行われていて、不正が日常化しているため、感覚が鈍磨している可能性がある。「選挙とはそういうものなんだ」と。だから「選挙の現場」は、街頭だけとは限らない。会社の中もまた「選挙の現場」になっている。しかも「密室」だ。自民党は組織票で固めている、とよく言われる。しかし、組織票の実態とは、このような有無を言わせない不正と半強制の塊なのではないか。職がなくなるのが怖い、仲間外れにされるのが怖い。そんな不安心理に漬け込む卑劣なやり方である。」
前者のコメントは、地方議員が国政をサポートするという典型例で、国政で勝つには地方組織がしっかりすることが重要だということの一端を示しています。地方議員は祭りやイベントにこまめに参加し、地域の利益のために国会議員を利用しますが、持ちつ持たれつの関係なわけです。
いっぽう後者はまさに「組織票」の実態を表しています。どちらも生々しい現実なのです。
業界票・組合票・宗教票には勝てない?
選挙は「業界票・労働組合票・宗教票」で決まると言われています。一般の人が投票しても何も変わらないという嘆きはよくわかります。
「業界票・労働組合票・宗教票」は、自分たちの利益しか考えていません。しかし、これら組織票の効力を薄めるには、投票率を上げることしかないのです。浮動票、すなわち組織に属していない票を増やすことです。
かつて森喜朗元総理が選挙期間中に「無党派層は寝ていてくれたほうが良い」と発言したのは、紛れもない本音です。投票においてネット活用の効率化が進まない理由も、このあたりにあるのではと勘ぐりたくなりますね。
二世議員はなぜ強いのか?
これはよくマスコミでも言われていますが、各選挙区で当選者が1人しか選ばれない小選挙区制度が、政党得票数とは関係のない選挙結果を生み出すと言われています。その結果が、自民党圧勝を招いたという人もいます。
確かに、小選挙区制度は「どちらかがましかを選ぶ究極の地獄の選択」と言った人もいるほどです。でも、もう少しこの部分を掘り下げてみましょう。これは、なぜ二世議員は強いのかにも関係してきます。
選挙は「地盤・看板・鞄」が大事だと言われます。地盤・看板はわかりますよね。3つ目の鞄とは選挙資金のことです。
そして、ここで最も重要なのは地盤を持っているかどうかです。その地盤を守っているのが、地元で選挙対策本部長と呼ばれる有力者で、たいていの場合、先代からスライドして、そのまま二世議員にも就くことになり、これが二世議員にとっては何よりも宝なのです。
かつての中選挙区制度においては、政党で選ぶのではなく、候補者の名前で選ぶ選挙でした。しかし今は政党で選挙が決まります。
候補者にとって、選挙運動という面では、中選挙区制よりも小選挙区制のほうが楽でしょうね。中選挙区制度では、地元密着度がより重要になってきます。だからお金が要ります。すごくお金がかかるのです。
以前に自民党の石破茂氏が、「お金がかかりすぎて、二度と中選挙区制度は嫌だ」と言っていたインタビュー記事を思い出します。中選挙区で戦っていた地元有力者の選挙運動は、それはそれは気配りの運動で、有権者への配慮は半端ないものでした。
小渕恵三元総理の娘の優子氏が、群馬選挙区の有権者を歌舞伎見学バスツアーに招待したことが問題視されたことがありました。そのことで経済産業大臣を辞任することになったのですが、地元有権者に「候補者の名前」を書いてもらうためには、そこまでしなければならないということです。小渕優子氏の地元選対委員長はお父様から仕えた人で、中選挙区制度の選挙を戦い抜いてきた人です。
なにせ小渕恵三元総理の選挙区には、中曽根康弘元総理、福田赳夫元総理という自民党の重鎮と、さらに山口鶴男元社会党書記長という大物が勢ぞろいしていて、その中で生き残りをかけて必死にドブ板作戦を繰り広げてきた選挙参謀なわけです。そういう人が、自民党候補者の選挙対策本部長を務めています。
これは、離合集散を重ねる野党議員スタッフには到底できない芸当です。これが自民党議員の強さ、言い換えれば議員自身ではなく議員を支える組織の強さなのでしょう。
組織票に勝つには「投票率を上げる」しかない
ここまで組織票の表と裏を見てきましたが、このような環境で野党が自民党に勝つには、もう空中戦しかありません。「風」を起こして勝利を掴むしかないのです。
民主党が政権をとった選挙も「風」のおかげでしたよね。そこに小沢一郎氏の自民党流選挙運動が加わって、民主党は勝てたのです。風を起こし、その風が組織票に勝つには、投票率が高くないとダメなのです。
今の選挙は、始まる前にすでに決着がついているのかもしれません。今回の選挙結果を見ると、そう感じざるを得ませんね。政権不支持率が高いのに、なぜ与党が過半数の議席を確保できるのか…その答えが見えた気がしませんか? 
国民は安倍晋三首相を信任などしていない 7/25
「国民からの力強い信任が得られた」と豪語
参院選は投開票翌日の7月22日、全ての当選者が確定した。自民、公明の与党は改選定数124の過半数を上回る71議席を得た。これで非改選を含めた与党の議席は141となり、定数245の過半数も超えた。
今回の選挙は、年金問題や消費増税の是非、憲法改正に向けた議論の有無などを争点に、これまでの安倍政権の在り方や成果を問うものだった。
参院選の結果を受け、安倍晋三首相は7月22日の記者会見で「国民からの力強い信任が得られた」と豪語したが、果たしてそうだろうか。
6年前の圧勝65議席には全く届かない
安倍首相が総裁として率いる自民党は、今回改選で57議席を確保し、2016年参院選の56議席を1議席上回ったものの、圧勝した2013年の65議席には及ばなかった。しかも宮城、滋賀、大分など8つの選挙区では現職が落選している。
選挙結果から分かるのは、決して有権者は安倍政権を信任などしていない、ということである。国民は安倍首相に対し、「大丈夫なのか」と疑問符を付けたのである。そこを安倍首相は理解すべきである。
選挙の結果を謙虚に受け止め、まずは「安倍1強」から生まれる驕りや傲慢さを反省しない限り、国民の支持は得られないだろう。
長期政権ゆえの慢心や驕りに厳しい視線
ここで7月23日付の読売新聞の社説を見てみよう。
「与党は、改選定数の半数を超え、一定の信任を得た形だ。だが、個別の選挙区を見ると、自民党は必ずしも盤石とは言えない」
安倍政権を擁護してきた読売社説らしく、表現は「必ずしも盤石とは言えない」と抑え気味ではあるが、国民の強い信任を獲得したわけではないことを指摘している。沙鴎一歩の指摘と同じとみていいだろう。
読売社説は「慢心」と「驕り」の問題にも言及し、安倍政権に忠告する。
「32ある1人区のうち、岩手、秋田、新潟などで競り負けた。防衛省の不手際や副大臣の失言などが響いたとみられる。長期政権ゆえの慢心や驕りに有権者は厳しい視線を注いでいる」
見出しも「安倍内閣再始動 慢心を排し政策課題に臨め」である。
アベノミクスは富める者だけを富ませた
「安倍首相は記者会見し『令和の国づくりを進めていく』と強調した。自民党総裁の任期は残り2年余りだ。惰性に陥ることなく、政策で成果を出す必要がある」
「日本丸」の舵をとって大波を乗り越えていくのが、首相の役目である。政策で成果を上げるのは当然だ。安倍首相の強調する「令和の国づくり」とは、具体的に何を指すのか。聞こえのよい言葉だけが先走るようでは情けない。
読売社説は内政の舵とりをこう主張する。
「大切なのは、公約で掲げた『強い経済』を実感できる形にすることだ。景気は回復しているが、家計が潤い、消費が伸びる経済の好循環は生まれていない」
街中の大衆酒場は客の少なさに悲鳴を上げている。沙鴎一歩には強い経済などほど遠いと感じられる。アベノミクスは富める者だけを富ませた。いつになったら、富まざる人々が裕福になるのだろうか。その兆しはみえない。
憲法を改正すると、日本の国はどれだけ良くなるのか
さらに読売社説は「消費税率の引き上げで、社会保障の安定財源を確保し、将来不安を払拭することも肝要である」と指摘する。だが、消費税を引き上げれば、生活苦にあえぐ人々をさらに苦しめることになる。軽減税率など一時しのぎに過ぎない。読売社説は私たち国民に背を向け、安倍政権を後押ししようとしている。
読売社説は後半で「参院選で、与党と、日本維新の会などの改憲勢力は、憲法改正の国会発議に必要な3分の2の議席を維持できなかった」と憲法改正の議論について書く。
「首相は憲法に関し、『議論は行うべきだというのが国民の審判だ』と語り、野党に建設的な議論を呼びかけた。改正のスケジュールにはこだわらない考えを示した。与野党は衆参両院の憲法審査会を早期に再開すべきである」
読売社説は憲法改正の議論が進まないことに異を唱え、苛立つ。
安倍首相は参院選の結果を「国民からの力強い信任を得た」と強調し、秋の臨時国会で憲法改正論議を求めていく考えを示している。しかし、憲法9条への自衛隊の明記など、自民党の改憲案のように憲法を改正すると、日本の国はどれだけ良くなるのだろうか。
朝日は「与野党ともに敗北を喫した」と指摘する
7月24日付の朝日新聞の社説は「与野党ともに敗北を喫した。そう言われても仕方あるまい」と投票率の低さを指摘する。
「48.80%。今回の参院選の投票率は5割を切り、1995年の44.52%に次ぐ、戦後2番目の低さとなった」
「候補者すべての得票の合計を棄権が上回ったことになる。議会が民意を正当に反映しているか疑われかねない」
「戦後2番目の低さ」「得票の合計を棄権が上回る」というのは、国民が政治に期待していない表れなのか。それとも安倍政権を見限っているのだろうか。
安倍政権嫌いの朝日社説は「自民党は選挙区の改選数74のうち5割にあたる38議席を獲得した。しかし、棄権した人を含む有権者全体に対する絶対得票率は2割を切っている」と指摘し、こう主張する。
「安倍首相は『国民の皆さまからの力強い信任をいただいた』と胸を張るが、与党、野党の別なく、代議制民主主義の基盤を掘り崩す深刻な事態と受け止めるべきだ」
いまの国会は民意を反映しているとはいえない。民主主義の在り方が問われている。
低投票率には「民主党の失敗」が尾を引いている
朝日社説はさらにこう書いている。
「投票しても政治は変わらない。投票したい候補者や政党がない。そもそも、政治に関心がない……。棄権の理由はさまざまだろう。なかには、現状維持でいいので、わざわざ投票に行くまでもないと判断した人もいるかもしれない」
「まず問われるべきは、有権者を引きつけることができなかった政党、政治家の責任だ」
「政党と政治家の責任を問うべし」という主張には賛成である。そもそも自民・公明という与党に、野党が太刀打ちできないところに大きな問題がある。それが分かっているから投票に行かない有権者が多いのだろう。
もっと言えば、自民勢力を抑えて政権を握ったあの民主党の失敗が尾を引いていると思う。民主党政権が誕生したとき、沙鴎一歩はアメリカのような2大政党が政策を競い合うことを期待した。だが、その期待はあえなく崩れ去ってしまった。
与党に反対するだけでは、国民の支持は得られない
「『安倍1強』のもと、多様な民意に向き合おうとしない強引な政権運営が続いていることと無縁ではないだろう」
「強引な政権運営」という書き方は、安倍首相を嫌う朝日社説らしい。ただし、安倍政権を擁護してきた読売社説も「長期政権ゆえの慢心や驕りに有権者は厳しい視線を注いでいる」と戒めている。そのことを安倍首相はしっかりと心に留めるべきである。
「今回の参院選にあたっても、国会の論戦を回避し、『老後2千万円報告書』など不都合な現実にはふたをした。『安定か、混乱か』と、6年以上前の民主党政権をあげつらい、重要な政策課題について国民に問いかける姿勢は乏しかった」
選挙戦で重要な政策課題について訴えなかったから投票率が低くなった、というのが朝日社説の論理だろう。それもある。ただ、最大の問題は野党の力不足だろう。全国32の1人区すべてに統一候補を立てたが、明確な争点をアピールできなかった。朝日社説は「より多くの有権者を糾合するうねりは起こせなかった」と指摘している。
沙鴎一歩は実力のある2つの大きな政党が交互に政権を握って国を動かす。そんな2大政党による国家運営を望んでいる。そのためには、いまの野党では力不足だ。
遅くとも2021年秋までには必ず衆院選がある。与党に反対するだけでは、国民の支持は得られない。いまの野党は安倍政権を攻撃するだけでなく、次の選挙に備えて魅力的な政策を準備するべきだろう。 
参院選静岡選挙区 当選2氏、一夜明け重責に決意 7/22
参院選の投開票から一夜明けた22日、3選を果たした自民党の牧野京夫氏(60)と、4選を決めた国民民主党の榛葉賀津也氏(52)は国政への決意を新たにした。ともに参院ではベテラン議員として各党の中心的役割を担う存在になりそうだ。
牧野氏は午前9時すぎに静岡市駿河区の事務所に姿を見せた。未明に自宅に帰り、同僚の参院議員の選挙結果を確認して就寝は午前2時ごろ。昨夜から今朝にかけて同僚議員や支援者からのお祝いの電話やメールが相次ぎ、対応したという。
目標とした前回6年前の自身の得票(約63万票)を下回ったことについては、野党有力2候補への注目が高かった点や低投票率が影響したと分析したが「いろいろな人が支援してくれ、踏みとどまることができた」と振り返った。自民党全体の選挙結果は「厳しい」と受け止め、3期目に向け「しっかりと責任を持って務める」と気を引き締めた。
立憲民主党新人との激戦を制し、議席を守った榛葉氏は午前6時すぎ、地元のJR掛川駅前に立ち「無事4期目の当選を果たすことができた。初心に戻って頑張る」と有権者にお礼を述べた。
掛川、菊川、磐田市など衆院静岡3区の市では、出馬した5候補の中でトップの得票だった。取材に「本当にありがたい。党派を超えて地元の榛葉を大切にしようと動いてくれたからだ」と答えた。全国では立民が躍進し、国民は改選前より議席を減らしたが「公認候補ではないが、広島県や岩手県など五つ以上の選挙区で国民系の無所属が当選できた。決して負けではない」と強調した。  
2019年参議院選挙の結果を受けて 7/22
2019年参議院選挙の結果ですが、現時点でおおかたの議席が決まりました。
何よりも、改憲勢力の議席が減少し、参議院で3分の2を割り込んだということが何よりも素晴らしい結果となりました。
なのに安倍氏には、天から「改憲」の声が聞こえてきているようです。
「安倍首相、憲法改正「『議論すべき』という国民の審判」」「改選議席の過半数を得ることができた。結果として(憲法改正の)議論をすべきではないかという国民の審判だったのだろう。私の使命として、残された任期の中で当然挑んでいきたいと考えている。」
3分の2を割り込んでいるにも関わらず、この発想はおかしい。
というよりも、それ以前に安倍自民党は、この参議院選挙の中でどれほど改憲を訴えたのでしょうか。
北海道選挙区の候補者は2人とも当選しましたが、選挙期間終了前の報道ではありますが、憲法についての訴えは全くゼロです。
北海道選挙管理委員会が発行する公報においても自民党候補者や自民党の改憲に関する訴えは、1人の自民党候補の「憲法議論の加速」の一言のみです。ここで言っているのは議論だけです。
「自民党の公約 選挙公報に憲法、改憲の文字なし 改憲反対は野党(維新を除く)へ」
他の地域でも似たり寄ったりでしょう。自民党候補者が改憲について選挙期間中に封印するのは常套手段だからです。
これで改憲をテーマにした、それで過半数を確保できたなんて言うのは詭弁の類です。自民党は改憲について訴えていないんです。
改憲は白紙です。
安倍氏の4選もなくなりました。改憲を言い続けることで自民党内の求心力を維持しようとする手法ですが、もうほころびだらけです。
野党間の選挙協力は、1人区では大いに威力を発揮しました。当初の見込みを超えて10選挙区で野党候補が勝利したことは素晴らしい成果です。
数合わせという批判は当たりません。大枠において政策は一致しているからです。
投票日の前日に自民党が出した声明はこれ。
「第25回参議院議員通常選挙投票日を迎えるにあたって 党声明」「政策も、理念も一致せず、ただ選挙目当てのみで共闘する政党には日本の未来を託すわけにはまいりません。」
一致しているんですよ。自民党やその指示者にはわからないのかもしれませんが、大枠で一致している以上、それで十分なんです。安保条約や自衛隊、天皇制など全く争点ではなく、争点でないということも含めて一致できていれば有権者にとっては野合でもなんでもなく、むしろ一本化することこそ、その野党各党の責任なのです。
「野党が一本化することが野合という批判はあたらない バラバラな方が困る 候補の一本化は各野党の責務」
自民党やその支持者たちが「野合」と批判するのは、候補者を一本化されると困るから、ただそれだけです。
むしろ、野党支持者が不満に思うのは、1人区のみでしか候補者の調整ができなかったことではないでしょうか。
兵庫と大阪の結果が一番、それを物語っています。
大阪では立憲が、兵庫では共産党が候補を下げていれば、それぞれが1議席を確保できただけでなく、与党の議席が2つも減ったという結果です。
北海道でも残念ながら定数3のうち与党が2議席となりましたが、野党候補が3人もの「乱立」になれば、そうした結果になるのも目に見えていました。
もとより選挙区に候補を立てないことによる選挙活動の制約の問題もあり、単純に候補を下げればいいということにはならない事情があることも承知はしていますが、しかし、有権者からみれば分かりづらい構図です。
やはり最大限、野党が躍進できるように調整すべきところです。
ところで共産党の選挙でも公認にこだわったところと無所属で出したところでは選挙協力に与えた影響は少なくなかったのではないでしょうか。
高知・徳島選挙区は、共産党の候補でありながら、無所属として他の野党の協力を得てかなり大きな得票を得ています。
   自民党 253,883
   共産党(無所属) 201,820
福井選挙区と比べれば大きな教訓ではないでしょうか。
   自民党 195,515
   共産党(公認)77,377
もともと高知・徳島選挙区は自民党が重点区にしていたところではありますが、こうした選挙協力では共産党候補でも十分に当選の見込みがあるように思います。
「共産党が要求をエスカレートさせている これでは選挙協力が壊れる 共産党に自重を求める」
山本太郎さんの政党が躍進しています。
政党要件を満たさない山本太郎さんのれいわ新撰組が2人も当選させたというのは既成政党への不満ということになるのでしょう。もちろん、これだけで大きな野党は作れないとは思いますが、学ぶべきものが多いのですから、野党間の確執で自滅することなく、来たるべき衆議院選挙に備えてもらいたいと思います。 
政権運営は謙虚、丁寧に 改憲派3分の2割れ 7/22
有権者は政治の安定を望んだが、改憲勢力に発議可能な議席を与えなかった。安倍晋三首相は強引な改憲でなく、謙虚で丁寧な政権運営に徹するべきだ。
自民党総裁の安倍首相には厳しい戦いだったに違いない。今回の参院選は大勝した二〇一三年の前々回からの議席減をどこまで食い止められるかが焦点だった。
与党は首相が設定した勝敗ライン「非改選も含めた過半数」を超え、改選だけで過半数を獲得。一二年に党総裁に返り咲いた安倍氏は国政選挙六連勝となったが、与党と日本維新の会などを合わせた改憲勢力は改正発議に必要な三分の二を参院で割り込んだ。
白紙委任状は与えない
首相は選挙戦で「最大の争点は安定した政治の下で新しい時代への改革を前に進めるのか、それとも再びあの混迷の時代へと逆戻りするのかだ」と繰り返し訴えた。
首相は第一次内閣当時、〇七年参院選で惨敗。「ねじれ国会」による混迷を経て民主党に政権交代した。苦い思い出に違いない。
有権者は与党に改選過半数を与え、非改選と合わせて政治の安定を優先させた。とはいえ、今の安倍政権の政策や政治姿勢のすべてを是とし、白紙委任状を与えたわけではないことを、首相はあらためて肝に銘じるべきだ。
自民党総裁としての任期は二一年九月まで。連続四期目の総裁続投がなければ最後の参院選だ。
首相が今回、改憲を正面に掲げて選挙戦に臨んだのも、二〇年の改正憲法施行という自らの目標達成を視野に入れたのだろう。
憲法九条への自衛隊明記など改憲を目指す四項目に言及し、「憲法の議論すらしない政党を選ぶのか、国民にしっかりと自分たちの考えを示し、議論を進める政党や候補者を選ぶのか。それを決める選挙だ」と繰り返し訴えた。
改憲以外に課題が山積
憲法九六条には改正手続きが明記されており、改憲自体は否定されないが、改憲しなければ国民の生命や権利、財産が損なわれる切羽詰まった状況ではない。有権者が参院で改憲勢力に三分の二を与えなかったことがそれを示す。
自民党が条文イメージを提示した四項目は自衛隊の明記、緊急事態対応、(参院選での)合区解消・地方公共団体、教育充実だが、これらは現行憲法の下、法律での対応が可能なものばかりで、改憲が不可欠とは言い難い。
首相は参院選結果を受けて「三分の二の多数は、これから憲法審査会の議論を通じて形成していきたい」と、改憲を目指す姿勢に変わりないことを強調した。議論を強引に進めるのなら、改憲ありきとのそしりは免れまい。
改憲よりも喫緊の課題は山積している。例えば少子高齢化の中、経済的繁栄や暮らしをどう維持するのか。支え手の減少が避けられない年金制度をどう維持していくのか、膨らむ国・地方の借金をどう減らしていくのか、などだ。
これらはいずれも困難な課題である。痛みを伴う政策には国民の理解が必要だし、政策を安定的に遂行するには、与野党を超えて政治力を結集する必要がある。
衆参での与党多数という政治的資産は、緊急性に欠ける改憲などではなく、こうした難しい政治課題にこそ振り向けるべきだ。優先順位を間違えてはならない。
十七日間の選挙戦を振り返ると、建設的な政策論議というよりは対立する政党や候補をののしったり、さげすむ場面が目立った。
特に首相は、立憲民主、国民民主両党などに分かれた旧民主党勢力を「毎年首相が代わり、不安定な政治、決められない政治の下で重要課題は先送りされた。あの時代に逆戻りをさせてはならない」と繰り返し攻撃した。
選挙だから舌鋒(ぜっぽう)が鋭くなるのは仕方ないにしても、政治指導者が敵対勢力を執拗(しつよう)に攻撃し、分断をあおるような手法の危うさに、そろそろ気付くべきではないか。
低投票率の背景には、有権者がそうした不毛なののしり合いを嫌気した面もあるのではないか。
参院選後の臨時国会は八月一日に召集の見込みだが、本格的な論戦は秋に持ち越される。
三権分立を機能させよ
私たちは、国会が行政監視や国政の調査機能を果たしていないと指摘してきた。三権分立の機能不全であり、その原因は主として行政府である首相官邸への過度の権限、権力集中と、安倍政権による強引な政権、国会運営にある。
有権者は参院選で政治の安定を選択したが、首相はこれ以上、三権分立の機能不全に拍車を掛けるような振る舞いをすべきでない。
政権批判が強まるたびに、首相は「今後、慎重に謙虚、丁寧に政権運営に当たっていきたい」と繰り返してきた。いま一度、その言葉を思い起こすべきである。 
自公勝利という審判 「安定」の内実が問われる 7/22
12年に1度、統一地方選と参院選が重なる「亥年(いどし)選挙」。前回の亥年の参院選で与野党逆転を喫し、1年で政権の座を去った安倍首相にとっては雪辱を果たしたことになるのだろう。
きのう投開票された参院選は、自民、公明の与党が改選議席の過半数を上回り、勝利した。日本維新の会を加えた改憲に前向きな勢力は、国会発議に必要な3分の2を維持することはできなかった。
首相が訴えた「政治の安定」は、ひとまず有権者に支持された形だが、「1強」による長期政権のおごりと緩みは誰の目にも明らかになっている。
首相は自ら緊張感をもち、野党に投票した有権者も意識して、丁寧な合意形成に努めなければ、国民の重い負託には応えられないと肝に銘じるべきだ。
「緊張」求める民意も
国会での論戦は極力避け、野党に得点を与えない。切れ目のない首脳外交を展開し、世論の注目を一方的に集める――。それが今回の参院選に臨む、政権与党の戦略ではなかったか。
行政監視の主舞台となる予算委員会は、野党の要求も国会の規則も無視して、4月以降1度も開かなかった。老後の備えに2千万円が必要とした金融庁審議会の報告書が選挙戦に不利とみるや、受け取りを拒み、年金論議の基礎となる財政検証の公表も選挙後となった。
新天皇即位後、初の国賓としてトランプ米大統領を招き、国技館での大相撲観戦などで蜜月をアピール。例年、G7サミットの後に開かれるG20サミットは、参院選の公示直前に大阪で開催した。
首相は衆参合わせて計6回の国政選挙に連続して勝利した。しかし、今回の参院選の投票率は24年ぶりに50%を切り、過去2番目の低さとなる見通しだ。その支持の内実はどこまで強固といえるだろうか。
朝日新聞の世論調査では、首相支持の理由で一番多いのは「他よりよさそう」で、政策や首相個人への評価を常に大きく上回っている。
参院選期間中の調査で、今の日本政治にとってより重要なことを尋ねたところ、「野党がもっと力を持つ」を挙げた人は43%で、「与党が安定した力を持つ」の36%を上回った。
政治に緊張が必要だと考えている人は決して少数派ではない。獲得議席の数だけを絶対視するのではなく、複雑な民意をくみ取る努力が求められる。
改憲支持と言えるか
首相は今回の選挙で、憲法論議の是非を争点に据えた。「憲法について議論する政党」が選ばれたとして、改憲論議を加速する可能性がある。
改憲勢力は3分の2に届かなかったが、首相は昨晩のテレビ局のインタビューで、野党の国民民主党の名前を挙げ、議論に前向きな議員に協力を呼びかけていく考えを示した。
しかし、有権者が一票に託す思いはさまざまであり、今回の選挙結果をもって改憲にゴーサインが出たと受け止めるのは乱暴に過ぎる。
思い起こすべきは、3年前の参院選だ。改憲勢力が衆参両院で3分の2に達したにもかかわらず、その後、改憲機運は高まらなかった。
自民、公明、維新の3党をひとくくりに改憲勢力としても、それぞれの思惑や重視する項目は異なっている。いま改憲論議を進めることに、世論の強い後押しがあるわけでもない。
選挙戦中の本紙の世論調査では、改憲勢力が3分の2以上を「占めない方がよい」が40%、「占めた方がよい」が37%と拮抗(きっこう)した。
首相はきのう、憲法改正について、再来年秋までの自民党総裁の残り任期中に「なんとか実現したい」と語ったが、内政・外交とも難題が目白押しのなか、首相個人の思い入れで強引に議論を進めることは、社会に深刻な亀裂をもたらすだけだ。
先送りのツケ一気に
参院選が終われば、首相は「封印」してきた難題にいや応なく向き合わねばならない。
ひとつは、参院選で争点となった老後の不安への対応である。新しい財政検証を踏まえ、年金を含む社会保障の給付と負担の全体像をどう描くのか。
首相は選挙中、10月に10%となる消費税について「今後10年間ぐらいは上げる必要はない」と語ったが、本当にそれで必要な財源をまかなえるのか。説得力のある説明が求められる。
トランプ大統領がツイッターに「(成果の)多くは7月の選挙後まで待つことになるだろう」と投稿した日米貿易交渉の行方も焦点だ。
農産物の関税引き下げについて、日本側は環太平洋経済連携協定(TPP)の範囲内にとどめたい考えだが、米側の要求は見通せない。首相が誇る首脳間の親密な関係だけで乗り切れるものではない。
中東のホルムズ海峡などで船舶の安全を守る米国主導の「有志連合」への参加問題も、日本の戦後外交の岐路ともなりうる重いテーマだ。
民主主義における選挙は、勝者への白紙委任ではない。野党や国民との対話や議論抜きに、国の針路を正しく定めることはできないはずだ。 
立憲民主が躍進も〜この程度では政権交代は望めない 7/22
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月22日)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。また立憲民主党の長妻昭選対委員長が電話で出演。21日投開票が行われた参議院選を振り返った。
単独過半数を維持できなかった与党〜立憲民主党は17議席を確保
21日投票が行われた参議院選挙は、自民公明両党で71議席を確保。目標としていた改選過半数を上回り、非改選議席の70議席と合わせ、参院過半数の123議席を大幅に超えた。ただ自民党単独では改選議席を下回る57議席となり、単独過半数を維持できなかった一方、公明党は議席を14に伸ばしている。また立憲民主党は17議席を確保。改選前の9議席から議席を大きく伸ばした。
飯田  改選1人区が32。これが参院選の勝敗を大きく左右すると言われていて、自民党が22勝10敗。前回の参院選の21勝を上回ったということになります。さはさりながら、事前に激戦が予想されていたところは少し落としています。
須田  11の選挙区を激戦区に指定していて、そのうち1つしか取れなかったということは、結果だけ見ると、自民党、与党はきつかったのではないかと思います。
国会議員の数をいかに増やして行くかが課題の立憲民主党
飯田  1人区に関しては野党共闘ということがあって、それ以外でも立憲民主は躍進したと伝えられています。そこでこの時間は、立憲民主党の長妻昭選対委員長に結果について伺って行こうと思います。大躍進とも言われていますが、いかがですか?
長妻  現有議席から倍増近くにはなりましたけれども、関西を中心とした複数区で、東京も含めて、もうちょっとというところもありましたので、ここは少し残念です。
飯田  大阪の亀石倫子さん、東京の山岸一生さんというところは、あと少しだったという選対委員長としての口惜しさがありますか?
長妻  はい。
飯田  例えば年金の問題などをアピールされましたが、特に大都市の無党派層相手に、手応えはありましたか?
長妻  私や枝野代表が回って年金の話をすると、非常に手応えを感じましたが、やはり地方自治体議員の数や国会議員の数、そういう日常活動の差が最後の微妙な票に影響を与えたのではないかと思っています。
飯田  組織というところでは、まだまだ党として固めきれていないところがあったということでしょうか?
長妻  我が党も結党からまだ2年弱でございます。やはり国会議員の数が自民党に比べて圧倒的に少ないということもありますので、それはこれからの課題だと思います。
飯田  スタジオには須田慎一郎さんもいらっしゃいます。
須田  須田慎一郎です、よろしくお願いします。今回の野党共闘についてなのですが、1人区では実現しました。複数区と比例区ではバラバラに戦った。今回の野党共闘に関しての総括、評価はいかがだったでしょうか?
長妻  1人区で野党が複数出ては話になりません。そこをきちっと32の選挙区全部で一本化できました。複数区についても戦略的に、あるいは比例区についても野党が切磋琢磨して全体のパイを広げました。例えば広島のような2人区、複数区では一本化してトップ当選することもできました。
須田  ただ、広島の場合は敵失と言うべきでしょうか、自民党が2人も立てて来たからだという見方もできるのですが、いかがでしょうか?
長妻  当初の世論調査などでは自民党2議席、ほぼ確実であると出す新聞社もありましたから、最後に巻き返したのではないかと思います。
国民投票法のなかでCM規制がないということを変える議論をまずはすべき
飯田  これからの国会運営等々、憲法改正というところが今回もクローズアップされています。立憲民主党としては、与党側がむしろ議論に乗って来ないのだということをおっしゃっています。今後はどう対応して行きますか?
長妻  乗って来ないということではなくて、特に憲法審査会で、国会で国民投票法という国民投票の法律のなかでCM規制がない、つまりお金の上限がない青天井であることは、いくら何でもマズいので、そこを変える議論をしましょうと言っているのですが、なかなか前に進んでいない。私たちからするとそこが苛立たしいところではあります。
須田  その部分は、憲法の中身の議論と平行して行くわけにはいかないのでしょうか?
長妻  これは結局平行してやると、国民投票法を改正しないでそのまま突っ切るということもありうることです。国民投票法の議論は、そんなに時間がかからなくてもできますから、きちっと誠意をもって、まずそれからだということを私たちは申し上げています。
須田  そこがクリアできれば、いつでも議論の土俵に乗るということになりますか?
長妻)そうですね、国民投票法をまずキチンとクリアして行くことが前提です。それと私たちは結局、立憲主義、国家権力にタガをはめるのが憲法だということで、例えば解散権の制約であるとか、そういうことの議論までは拒んでいませんので、まず国民投票法をキチッとけりをつける。怖いですよ、CMのお金の上限がまったくないということですから。資金力によって日本の国の将来が決まるのはおかしいのではないかということで、申し上げています。
飯田  立憲民主党の選対委員長、長妻昭さんとつなぎました。躍進はしたけれども取りこぼしもあったという部分では、口惜しさも滲み出ていました。
立憲民主党が躍進ということは買いかぶりすぎ〜政権交代までは望めない
須田  ただ、躍進というのは買いかぶりすぎだと思いますよ。だってスタート台が低い、議席が少ないわけですから。本来でしたら次の衆議院選挙で政権選択の受け皿を手にすることが野党の役割であるのだけれど、参議院でこの体たらくでは、次の衆議院選挙だって結果的に野党が勝ったところで……、ということになるのではないでしょうか。
飯田  要するに政権交代までは望めないと。
須田  望めないということになると思います。
まずは日本国内で安全保障についての議論を始めるべき
飯田  今回の参院選でなかなか争点になりづらく、しかし重要な安全保障について、安倍首相は自民党総裁としてさまざまなメディアのインタビューに答えています。ホルムズ海峡のイランとの関係について、アメリカが言っている有志連合構想については、まずは話を聞いてみたい。一方で、イランとの友好関係も日本の財産であるということもおっしゃっています。
須田  アメリカの話を聞いてみてということではなくて、自分の国のタンカーを、船舶をどう守るのか。アメリカがやれと言っているからやるのではなく、そう言う要請がなくてもどうやって守って行くのかというところを、やはり日本国内できちんと議論すべきではないかなと思います。
飯田  主権国家としては、まずそれが最低限の責任であると。
須田  そうですね。だから主権という意味では、国益というところにもつながって行きますから、まさにそこがリスクにさらされているだけに、自分たちの憲法の制約でそれができないということはどう考えてもおかしい。
飯田  ホルムズ海峡は、日本に来る原油の8割が通る。まさにこれは生命線。  
参議院選挙〜与党過半数確保も改憲勢力2/3に届かなかった理由 7/22
与党過半数確保も改憲発議に必要な85議席に届かず
21日に行われた参議院選挙で、自民公明両党は71議席と改選議席の過半数を確保した。一方、憲法改正の発議に必要な非改選議席と合わせ2/3である85議席には届かない結果となった。
飯田  ツイッターなどでもご意見をいただいています。“まおしー”さんからツイッターです。改憲要件について、「複数人区で自民党が3議席目を獲りに来ていない時点で、やっぱり戦略目標は自公で過半数だったように思われますが、須田さんのお考えはいかがでしょうか」と頂きました。
須田  安倍さん的にはそうだったかもしれないけれど、有権者や自民党サイドとしては、憲法改正の議論を前に進めて行くため、実現性を持たせて行くためにも85議席、これは自公と維新も含めての数字ですが、ここは1つ心理的な目標数値だったと私は思います。そこに届かなかったというところを考えてみると、秋以降の国会運営をどうやって行くのかなと。いくら憲法審査会が開けると言ってみたところで、国会発議について展望が開けるかどうかがポイントになって来ると思います。
飯田  今後、どうやって多数派工作をやって行くかというところが見ものになって来ると思います。
安倍総理の4選は難しいか
須田  改選数66で、獲った議席は56ですから、落とした議席が10あるわけです。2桁になった。このあたりの総括をどうするのか。これまで安倍さんというと、国政選挙を連戦連勝で求心力を保って来て、総裁3選を実現したわけです。昨日(21日)は4選と言う話も幹事長の方から出ていましたけれど、10議席を落としたということは、4選にはクエスチョンが付いて来るのかなと思います。
飯田  比例代表がまだ出てなかったところがあって、先ほど1つ出て来て19になったので、自民党は57になったということです。いずれにせよ9落としたということです。
昨日の特別番組のなかでも須田さんが指摘されていた、自民党のいわゆる重点区、東北を中心とした1人区、あるいは滋賀、大分、新潟、激戦区と言われたこの辺りは落としました。
競っているところで勝ち切ることができなかった自民党
須田  競っているところで勝ち切ることができなかったというところ、競り負けてしまったところが、今回の自民党の選挙戦において最大のポイントなのかなと。なぜ勝ち切ることができなかったかが、反省点として挙げられるところだと思います。何が悪かったのかという部分。
飯田  それから、複数区でも改選2議席で2人立てた広島。ここは野党に1議席取られて、参議院議員会長もやった溝手顕正さんが落ちてしまいました。
須田  昨日も甘利明選対委員長が番組に出演して、その辺については忸怩たる思いがあるという感じで。
飯田  苦笑いという感じでした。
須田  そういうニュアンスでの発言でしたが、これで2人勝っていれば話は別なのです。しかし1勝1敗になってしまったことで、選挙後の禍根を残すのかなと思います。
飯田  広島と言うと、県連の会長は岸田文雄さん。県連を挙げて応援したのは、どちらかと言えば溝手さんだったでしょう。
須田  ですから、当選された方は党本部しか応援していなかったということです。
飯田  元県議で自民党新人の河井案里さんが初当選しました。
須田  ということはポスト安倍という意味で、岸田さんの求心力が後どうなって行くのか。党本部と官邸とで交渉して、一本化できなかったという点で、岸田さんに対する不信感が出て来るのかもしれない。
飯田  それから東京選挙区6人目、ギリギリのところで自民党は2人目の武見敬三さんが勝ちましたが、かなりもつれました。
須田  その辺も非常に象徴的な勝利だと思います。つまり武見さんは組織票、丸川さんは浮動票という形で棲み分けができましたが、組織票だけでは勝ち切ることができない難しい選挙になって来たと思います。今回はギリギリでした。  
「マンガ候補」と「パチンコ候補」 7/22
さて開票から一夜あけて、今回参院選は与党が改選議席の過半は獲得したものの、改憲推進派が必要とする参院議席数の三分の二には届かずと、関東圏における維新の躍進、れいわ/N国という2大泡沫政党の躍進という小波乱はあったものの、大勢の部分においてはあまり驚きのない選挙結果になりました。一方で、実は私が個人的に注目していた2人の候補が好対照の結果を残し、非常に興味深いと思っています。それが、マンガ/アニメ業界の担いだ山田太郎氏とパチンコ/パチスロ業界の担いだ尾立源幸氏の両名であります。
山田氏と尾立氏は、今回の参院選において自民党が戦略的に野党系からの票の取り込みを狙って担いだ比例代表候補です。山田氏はみんなの党出身の元参院議員で、2016年の参院選で約29万票もの大量得票をしたのにも関わらず落選、長らく在野で政治浪人をされていた人物。対する尾立氏は旧民主党にて参議院議員を2期つとめましたが、同じく2016年の参院選で敗退し、こちらも同様に政治浪人をされていました。この両氏が2019年の参院選において、与党・自民党の公認候補として指名されたわけで、業界は騒然となったわけですが、実はこの両氏は特別なミッションを受けて、自民党入りを許された存在でありました。
山田氏が与えられたミッションは、同氏がかつてより票田としていた「表現の自由」を訴えるマンガ/アニメ系の支持層を自民党に引き込むこと。一方で、尾立氏はこれまた伝統的に主に旧民主党系の票田とされてきたパチンコ/パチスロ業界の支持層を自民党に引き込むこと。要は、自民党による「野党崩し」の鉄砲玉的な存在として、特別に自民党への入党が認められた、とも言えるでしょう。
一方、選挙戦序盤から着実に支持層の票の積み上げに成功した山田太郎氏に対して、選挙用に設けたtwitterアカウントを閉鎖されるなどトラブルの絶えなかった尾立源幸氏。結果は山田氏が自民党比例候補中2位にあたる約54万票を獲得して参議院議員に返り咲いたのに対して、尾立氏がたったの9万票という大方の予想を大きく下回る得票しか獲得できず落選するという、好対照な結果となりました。以下、両者の選挙戦において何がこの様な大きな差を生んだのかを纏めてみようと思います。
1 テーマを横に向かって広げた山田氏とそれに失敗した尾立氏
今回、山田氏を担いだマンガ/アニメ系の支持層、「マンガ/アニメ系」というと何となく聞こえは良いですが、そもそもこの層は2010年に東京都議会に上程された青少年健全育成条例に反対するなど、いわゆる「エロ/グロ」系を含む同人マンガ等の愛好家を中心として形成された支持層です。そういう意味では山田氏の政策テーマは必ずしも「世間受けが良い」テーマから始まったワケではないのですが、山田氏およびその支持者界隈はこれを「表現の自由」もしくは「表現規制反対」というより一般的に認知されている価値観に置き換える事に成功し、広く一般的な「マンガ/アニメ系」のファン、もしくはそこと緩やかに連携する各分野のいわゆる「オタク層」の獲得に成功しました。
一方、パチンコ/パチスロ業界の支援を受けた尾立氏ですが、専用サイトを設置しパチンコ業界向けの公約を掲げるなどパチンコ業界へのメッセージの強い打ち出しは初期から行っていましたが、あくまで「パチンコ業界」の中での運動に始終し、そのテーマを横に広げることに失敗したのが実態。例えば、同氏は選挙序盤から現在のパチンコ産業における規制強化の波を「日本にカジノを入れたい為にパチンコ業界がスケープゴートされている」などという主張を展開、本来は味方になってくれるかもしれない隣接業種であるカジノ業界に槍を向けるなど、その政治主張を先鋭化させました。こういう政治主張を先鋭化する手法は、業界内での求心力を高める方策にはなるかもしれませんが、残念ながら業界の外側の広い支持を集めることは無理。山田氏のように、広く横に連携する業界からの支援を受けることは出来ませんでした。
2 業界コミットを示した山田氏とそれに失敗した尾立氏
山田氏の当選確実が報じられた後、同氏に関する論評に以下のようなものがありました。
このコメントはまさに仰る通りであって、今回山田氏が獲得した全国比例第2位の集票を行った「マンガ/アニメ」票というのは、有力な圧力団体の一つとして自民党は勿論のこと、山田氏自身にも「クサビ」となって機能することとなります。山田氏に対する選挙キャンペーンは当初より、このことを明確に意識して支援を広げていったもので、例えば山田氏は投票日前に自身のtwitterに以下のようなメッセージを投稿し、そして今回見事に目標の53万票を超える支持をあつめました。
一方、尾立氏はどうか。実は尾立氏は、選挙戦の序盤から自身の公式サイトに「猟友会の仲間へ」「税理士の先生方へ」「公認会計士の先生方へ」などと、複数の支援組織を並べました。この辺の支持層は民主党時代から尾立氏が抱えていた票田であり、この票田で当選することが出来ないことは既に2016年の参院選において立証済み、かつ自民党側には既にそれら団体支持を受けている議員が居るわけですが、今回、尾立氏は党籍が変わっても「かつての票田」を捨てきれなかった。対して、新たに自民党執行部よりミッションを受けたパチンコ業界向けには公式サイトに一切のメッセージを示しませんでした。以下は同氏の公式サイトから。
一方で、尾立氏はパチンコ産業向けには公式選挙サイトとは「別の」特設サイトを開設。Twitterアカウントもその他の業界向けの公式とは別に、パチンコ業向けのアカウントを作成して別運用するなど、当初からパチンコ業界をその他業界と分離する選挙戦略を取りってきました。勿論、様々な選挙戦略上の都合でそういう運用となったのでしょうが、公式とは別の「裏の顔」のごとくパチンコ業界を扱う候補者が業界へのコミットを示せるわけもなく、twitter上では当初から業界関係者による「利用されているだけ」というコメントが後を絶たなかったのが実態。その後、同氏のパチンコ産業向けのtwitterアカウントが凍結されてしまった事により、やっと公式アカウント上とパチンコ向けアカウントの統合が図られましたが「時既に遅し」であったとしか言い様がないでしょう。
3 何よりも政治コミットの歴史が違った
山田氏が抱える「マンガ/アニメ」系の支持層は元々は政治参加を積極的にするタイプの層ではなく、どちらかというと政治から距離を置きたがるタイプの人間が多い業界です。しかし、その業界において今回ここまで広く政治参加が広がったのは、先にもあげた2010年の青少年健全育成条例案など、長きに亘る行政による業界制限の動きと、それに反対する業界運動の歴史がありました。また山田氏自身も2009年に29万票を集めながらも惨敗し、政治浪人をしていた間も含めて自身が同人誌即売会に参加して「表現規制の反対」を訴えるなどの活動を続けて来ました。今回の大量得票はその様な氏と関係者が続けて来た、業界やファン全般に対する政治的啓蒙活動が実を結んだ結果であるといえるでしょう。
対する尾立氏の、というかパチンコ業界の政治参加の歴史は本当に浅いのが実態です。ともすれば「パチンコマネーが政治を牛耳っている」などと嘯かれがちな業界では有りますが、実態としてはせいぜい政治家に小遣いをせびられる「スネ夫」的なポジションでしかなく、所管官庁である警察との関係を重視するあまり(重視せざるを得ないあまり)業界として政治活動をするなどということは戦後のパチンコ史の中でも今回がほぼ初体験でありました。そのパチンコ業界が急に動き出したのが、今年の1月、自民党幹事長名で尾立候補の支援要請が正式に送られてきたタイミングであって、実際は今回の選挙まで半年程度の政治運動しかなかったのが実情です。当然ながらこの様な短期間で業界全体に政治参加の意義が広まるわけもなく、業界の中で「自身の持つ一票が自分の生活や労働環境にどう影響を与えるのか」が浸透しなかったのが実態。
その結果、関連業界まで合わせれば推計26万人の産業人口があり、家族票まで含めればその2〜3倍の集票力がある/更にはその背後に約900万人のパチンコ消費者層の票田があるのではないかと、当初自民党選対本部から期待された業界票も、フタを開けてみれば完全にカラ振り状態。尾立氏が元々持っていた微々たる基礎票と合わせて9万票の得票しかできなかった現実は、その背景に必ずしも利害が一致しない業界人同士の関係が存在する分を差し引いたとしても、業界の集票力のなさと、政治的未熟さを逆の意味で見せ付けるには十分な結果を残したと言えるでしょう。
4 パチンコ業界の政治運動の未来
さて、パチンコ業界にとっては今回の選挙結果はなんら言い訳の立たない大惨劇ともいえる状態で、その結果を真正面から受け止めるしかないのが実情でありますが、問題はここから先に業界で予想される苦難の道であります。先述の通りパチンコ業界は、これまで所管官庁である警察庁に慮って政治運動を控えて来たという歴史がある中で、今回、血気盛んに尾立氏の支援に回ったことはクーデター的に一種の「業界革命」を起こそうとした状態であるわけです。そして、その革命が失敗に終わった今、当然ながらお上からの「粛清」が始まるわけであります。
勿論、如何に警察庁と言えども近代国家たる我が国の公官庁が、首謀者を並べてギロチンショーを開催するなどというあからさまな粛清行為をするとは思わないですが、今後の非公式な官庁協議の場では「選挙結果は残念でしたね(ニッコリ」くらいの皮肉は言われ、関係者一同が脂汗を流さなければならないシチュエーションも出てくるワケで、業界にとってはなかなかのイバラの道が予想されるわけです。
とはいえ一度ルビコン川を渡ってしまった業界としては「えろうスンマセン」とスゴスゴと帰ってくるワケにも行かないわけで、個人的には今回の尾立氏擁立の圧倒的な失敗を受けて「どうせ政治なんて」などと政治無関心に陥って欲しくはない。今回の失敗を正面から受け止めた上で、不足したものを正しく分析し、次に活かして欲しい気持ちで一杯なわけですが、所管官庁からの強いプレッシャーが予想される中で、今後の業界論議はどの様に進むのでしょうか。
いずれにせよ、関係者の皆様方におかれましてはまずゆっくりお風呂に浸かり、しっかりと睡眠をとった上で今回の敗戦を超えた先の「業界の未来」について論議を再開して頂ければ幸いです。お疲れ様でした。  

 

敗戦の弁
敗戦の弁 7/22
安倍政権の信を問う第23回参議院選挙が21日、投開票された。自民党は選挙区、比例区ともに改選前の議席数を上回り、公明党とあわせて、全議席の過半数の議席を獲得。衆参のねじれが解消した。参院選で落選した候補者たちは何を語ったのか。その言葉を紹介する。
東京選挙区
6月の都議選での惨敗を受け、現職2人の候補者を一本化した民主党。大河原雅子氏の公認を取り消して鈴木寛氏に絞ったが、鈴木氏は3選を逃した。民主は、結党以来初めて東京選挙区での議席を失った。
無所属で立候補した大河原雅子氏は、トップ当選だった前回と一転、厳しい選挙戦となった。
候補者選びが難航していたみんなの党からは、公示の約2週間前に桐島ローランド氏が立候補を表明。渡辺喜美・党代表や母で作家の桐島洋子氏も応援に駆けつけたが、およばなかった。
民主現職・鈴木寛氏
大変厳しい結果だったと思いますし、一緒に頑張って下さったみなさんに申し訳ない気持ちでいっぱいです。(敗因は)いま結果が出たところで分からない。民主党に対して逆風の中、素晴らしいチームで、日本一のチームだったと思います。すごくうれしく思うし、みんなと闘えたこと誇りに思う。結果としては、有権者の皆さんに東京選挙区の議席を託す人としてふさわしいと思ってもらえなかった。誰かと比べるという話ではない。首都東京で、民主党、民主主義を守るという意義付けを守れなかったことは残念、申し訳なかった。東京の中で、一人ひとりの人生や命が大切だという主張をしてきた。議席を守れなかったことは大変残念。ネット選挙については、有利とか不利とかでなく、国民のみなさんが、この国の社会のこと、将来のこと、議論していただく、そのきっかけになったこと、私はよかったと思う。双方向型の熟議をする、民主主義をつくるためのその第一歩、そういうネット選挙の歴史は作れたと思う。12年前も教育は票にならないと言われ続けて、でも教育をやらなきゃ意味がないと思ってやり続けた。今回もひとづくり。それは私のライフワーク。結果は結果として、私の使命をやりつづける。
無所属現職・大河原雅子氏
「公示2日前の、候補者調整はやはり理不尽。せめて半年前だったら」「民主への逆風は誰がやっても止められない」
みんな新顔・桐島ローランド氏
「準備期間が短く、力不足だった。大切な東京で議席を落としたことに責任を感じている」。一方で「ぜひ次につなげたい」と述べ、政治活動を続けることに意欲を示した。
長崎選挙区
民主党が衆参6議席を独占していた「民主王国」で現職の大久保潔重氏が議席を失った。
民主現職・大久保潔重氏
「4年前、民主党政権への期待が大きかった分、失望も大きかったし、その逆風をはね返す力が私になかった。しかし、暑い中、連日ご支援いただいた大勢の方々のご恩に応える責任が私にはあります」「敗因はもちろん私の力不足ですが、長崎でも民主党に対する拒否感をはっきりと感じました。最大の理由は菅直人元首相でしょう。あの人が首相になったことが民主党にとって最悪だった…」「菅さんが首相就任直後に消費増税を言い出し、そのせいで22年の参院選に負けた。にもかかわらず首相に居座り、TPP参加など公約にもないことを何の根回しも何の党内議論もなく言い出し、混乱を招いた。さらに東日本大震災でもひどい対応で批判を浴びた。首相にすべきではなかった。心からそう思います」
新潟選挙区
生活の党の代表代行として小沢一郎代表を支えてきた森ゆうこ氏も落選となった。
生活現職・森ゆうこ氏
「(小沢代表の政治資金をめぐる)一連の事件で失った小沢代表や党への信用を取り戻せなかった」と肩を落とした。森氏は「あと一歩だったが私の力不足」と頭を下げ、「多勢に無勢、全県に手が回らなかった」と敗因を述べた。
「改めて、草の根の、手作りの選挙で12年間しがらみができなかったということで、県民のみなさんの草の根のネットワークで応援をいただいて、あと一歩のところまでたどりついたと思っております。開票結果すべてみてみないとわからないのですが、各地区それぞれ手応えはあったのすが力およばずで、大変申し訳なく思っております。すべて私の力不足。ご期待期に答えられず申し訳ないです。」
石川選挙区
野田政権時代に防衛相を務め、現職の党参院幹事長を務める一川保夫氏。自民新顔の山田修路氏に敗れた。
民主現職・一川保夫氏
報道陣に「これから有権者がマイナスを実感する」とぶぜんとした表情で語った。結果については「自民(の国会議員)だけでいいのか。有権者の判断基準が分からない」。今後については「経験を伝達しながら政治活動したい」と話した。
宮城選挙区
民主党、自民党、みんなの党、共産党、諸派から5人が立ち、2議席を争う激戦となった。自民現職の愛知治郎氏、みんな新顔の和田政宗氏が当選を決め、民主党結党メンバーで党副代表の岡崎トミ子氏が議席を失った。
民主現職・岡崎トミ子氏
「暮らしを守る力になる決意で戦ったが、私の訴えが、少し足りなかった。悔やまれてならない」。
島根選挙区
島根選挙区(改選定数1)では、再選を目指したみどりの風現職で党幹事長の亀井亜紀子氏が、自民党新人で元県議の島田三郎氏に敗れた。
みどり現職・亀井亜紀子氏
本当に皆様にお世話になりました。私の選挙のために寝る間を惜しんで、連日ご自分の生活とかお仕事をそっちのけで、私のことを応援してくださった方がたくさんいらっしゃいます。それらの方々に本当に感謝を申し上げます。善意のかたがたに囲まれて、今回選挙をさせていただいて、その方々のお気持ちに答えることは勝つことだけだったんですけれども、勝てなかったのは私の力不足だと思います。申し訳ありませんでした。
三重選挙区
岡田克也前副総理のおひざ元の三重選挙区(改選数1)で、4選を目指した民主現職の高橋千秋氏(56)が、自民の新人・吉川有美氏(39)に敗れた。
民主現職・高橋千秋氏
ただ今三重県のすべての開票が終了しました。17日間に渡る選挙戦がこれですべて終わったことになります。最終の得票数は317,261票でした。これだけたくさんの方に支えられましたが、国政に声をあげることはかないませんでした。皆様の期待に応えることができず、ただただ悔しい限りです。しかし、今までずっと私を支援していただき、心から応援をしていただいた皆様の想いは決して忘れません。3期13年仕事をさせていただいた経験は一生忘れることはありません。今まで支えていただき、本当にありがとうございました。
沖縄選挙区
米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、自民党本部が「辺野古移設推進」を参院選公約に明記したのにに対して、県連は「県外移設」を主張した。自民新人の安里政晃氏は、知名度の高い現職にいま一歩及ばなかった。
自民新人・安里政晃氏
「支援いただいたが、不徳のいたすところで本当に申し訳ない」 那覇市内の選挙事務所で選対本部長の仲井真弘多知事(73)らとともに開票報道を注視していた自民新人、安里政晃氏(45)は、集まった支持者に深々と頭を下げた。
岩手選挙区
「小沢王国」と名高い岩手選挙区(改選数1)では、無所属で現職の前復興相・平野達男氏が3選を決めた。岩手は、平野氏と生活新人の関根敏伸氏(57)、民主新人の吉田晴美氏(41)という、小沢氏に関係のある勢力がぶつかり合った。
生活・関根敏伸氏
「このような結果になってしまったことに対して、心からお詫び申し上げます。結果については県民の意志が表明された結果ですので厳粛に受け止めたいと思っておりますし、一にも二にも、私の力量が足りなかったと認識しております。」
大阪選挙区
大阪選挙区(改選定数4)では、2007年の参院選において全国最多の128万票を得て当選した民主党現職の梅村聡氏(38)が大きく票を減らし、再選はならなかった。大阪選挙区は今回から改選数が3から4に増えた中での敗北であった。
民主現職・梅村聡氏
「社会保障が重要だと訴え続けたが、争点にならず浸透できなかった」と肩を落とした。梅村氏は支持団体の連合大阪に加え、内科医としての経験などから医師会が応援。選挙区ただ一人の現職としての実績をアピールしたが支持は広がらなかった。  
塚田さん、深々謝罪 「石崎問題」が追い打ち 7/22
21日に投開票された参院選新潟選挙区は、野党統一候補で無所属新人の打越さく良(ら)さん(51)が県外出身の知名度不足をはねのけ、満開の笑顔を咲かせた。自民党現職の塚田一郎さん(55)は失言問題の影響を払拭(ふっしょく)し切れず「全て私の責任」と深々と頭を下げた。
「全て私の不徳の致すところ。おわび申し上げます」。塚田さんは午後11時前、顔を真っ赤にしながら敗戦の弁を述べた。
新潟市中央区のホテルでは約300人の支持者が集まり、開票の経過を伝えるテレビ画面を見守った。各社の出口調査などで「やや劣勢」の分析が報じられた午後8時段階からぴりぴりとした雰囲気に包まれた。
開票状況は一進一退。支援した花角英世知事が会場に訪れると拍手が湧いた。一方で、選対本部長で自民党県連会長の高鳥修一衆院議員は「公務」を理由に姿を見せぬままだった。午後10時前に打越さんの当確が伝えられると、会場からは「えーっ。駄目なのか…」と落胆の声が上がった。
道路整備を巡る「忖度」発言で全国注視の選挙区となった。発言には、自民党や友党の公明党の関係者からも批判と失望の声が相次いだ。「マイナスからのスタート」(選対幹部)となり、おわび行脚を重ねながらの厳しい戦いとなった。
自民党本部は安倍晋三首相ら幹部を連日送り込み、手厚い支援態勢を敷いたが、塚田さん本人のマイナスイメージを拭い去るまでのパワーはなかった。さらに終盤戦のタイミングで新潟市出身で自民の石崎徹衆院議員=比例北陸信越=による秘書への暴行疑惑が明るみになった。「残り数日という時に大きなマイナスになった」。選対本部長代行で県連筆頭副会長の柄沢正三県議は敗因の一つに挙げた。
会場には塚田さんとともに選挙戦で奔走した妻志保さんも出席。壇上では終始無言のまま目を潤ませた。
参院新潟選挙区は非改選を含む2議席を野党系が独占することになった。今後について塚田さんは、報道陣に対し「白紙の状態。ただ、支持を頂いた人に何らかの形で恩返ししたい」と述べ、政界引退せずに捲土(けんど)重来を期したい意向をにじませた。 
参院選宮城 愛知氏痛恨 3代続いた議席失う 7/22
21日投開票された参院選は、全国的に与党が堅調さを見せる中、東北6選挙区(改選数各1)で自民党は2勝4敗に終わり、現職候補の多くが急ごしらえの野党統一候補の前に苦杯をなめた。党幹部らを投入した徹底的な組織戦は不発。吉報を受け取った選挙区は青森と福島にとどまり、岩手、宮城ではそれぞれ4選を阻まれた。
3期18年の自民党現職が準備期間3カ月足らずの新人に屈した。党本部と地方組織を挙げての総力戦は不発に終わった。
宮城選挙区で4選を逃した愛知治郎さん(50)は「不徳の致すところ。結果を出すことができず申し訳ない」と、仙台市青葉区の事務所で頭を下げた。
祖父で元蔵相の故揆一氏、父で元防衛庁長官の和男氏と共に60年余りほぼ途切れることなく守り続けてきた「愛知家の議席」が消えた。自民は2016年参院選に続く敗戦で選挙区議席を失った。
祖父、父から受け継いだ頼りの後援会組織は高齢化が進んでいた。動きの鈍い陣営内に党県連が入っても「古参の会員が船頭となっていたため、序盤は組織が一枚岩になれなかった」(党関係者)。
見かねた党本部は幹部級を次々に投入。安倍晋三首相が2度、菅義偉官房長官は3度応援に入った。終盤になって持ち前の組織力が発揮されたが、議席には届かなかった。2だった改選数が減り、1議席を巡る初めての戦いだった。「本当なら横綱相撲で勝つべき選挙だった。総括が必要だ」と自民県議。愛知さんと党にとって痛恨の結果となった。 
選挙区
青森 滝沢さん猛追かわす 小田切さん「力足りず」
青森選挙区は、自民党現職の滝沢求さん(60)が野党統一候補で立憲民主党新人の小田切達さん(61)に激しく追い上げられたものの、議席を死守した。
「県民一人一人の声にしっかりと向き合っていく」。青森市の事務所で支援者らに決意を語った。6年前の初当選時は、野党の候補者が乱立したこともあり、圧勝で議席を得た。今回は野党統一候補との事実上の一騎打ち。心の中には常に危機感があった。街頭では「厳しい選挙戦。力を貸してほしい」と繰り返した。自民県連も所属県議らに票固めに努めるよう再三にわたって指示。強固な組織が一丸となって、最後まで気を緩めることなく駆け抜けた。4月の県議選から活動を本格化させ、参院選が終わるまでに県内を隅々まで歩き回った。有権者の声を胸に刻み「より元気でより強い青森県づくりに取り組む」と思いを強くする。
各野党や連合、無所属の元衆院議員らと共闘態勢を構築し、急速な追い上げを見せた小田切さん。静まり返った青森市の事務所で「力不足で目的は達成できなかった」と頭を下げた。相手候補の背中は確実に捉えていた。演説では政権批判に徹し「まっとうな政治を」と強調。最低賃金の引き上げや憲法改正反対、原発ゼロを公約に掲げて支持を広げていった。野党勢力の結集を図りながら立民本部も大物弁士を続々投入。枝野幸男代表も2度にわたって青森県入りしたが、苦杯を喫した。
岩手 平野氏 敗戦の弁 7/22
参議院選挙・岩手選挙区で落選が確実になった自民党の現職で、民主党政権時代、復興大臣の経験がある平野達男さんは、「私なりに手応えを感じた部分もあったが訴えに対する気持ちを十分伝えられなかったのかもしれない」と選挙戦を振り返りました。そのうえで、「必死の思いで訴えて、大きな支持をいただきましたが、わたしの努力不足で不徳のいたすところで、本当に申し訳ございません」と述べました。
静岡 徳川宗家19代目・家広氏、敗戦の弁「力不足だった」 7/23
静岡選挙区(改選数2)で現職2人に挑んだ“初陣”は黒星となった。徳川宗家19代目で評論家の立憲民主党新人、徳川家広氏(54)は沈痛な面持ちで、静岡市葵区の記者会見場に姿を現した。「力不足だった」。悔しさをにじませながら敗戦の弁を語った。半袖の白ワイシャツにスラックス姿の徳川氏は「残念。1票を投じた有権者におわびを申し上げたい」と落ち着いた様子で謝罪。「支えてくださった皆さんは限界以上のことをした。後悔は全くない」とはっきりとした口調で支援者らをねぎらった。立民は静岡を「最重点区」と位置付け、枝野幸男代表や蓮舫氏ら党幹部が連日、応援に入った。「何度も駆け付けていただき感無量」と感謝の言葉を述べた。会見場には支持者約30人のほか、報道陣約40人が詰め掛け、注目の高さがうかがえた。一部の報道機関が現職2人の当選確実を報じたのは午後8時すぎ。「えー」と落胆の声が上がったが、すぐに静まり返り、会場は重苦しい雰囲気に包まれた。
静岡 「力不足だった」落選の鈴木氏 7/22
参院選静岡選挙区で落選した共産党新人の鈴木千佳氏(48)は21日夜、静岡市葵区の事務所で「唯一の女性候補として多くのみなさんの支援、支持をいただいた。思いに応えられず、申し訳ない」と敗戦の弁を述べた。安倍政権との対決姿勢と、若者や子育て世代への生活支援を前面に押し出したが、支持が広がらず「力不足だった。定数2でも議席が取れる党にしなければならない」と肩を落とした。
新潟 「忖度発言」の塚田一郎に新潟県民“良識のレッドカード” 7/22
下関と北九州を結ぶ「安倍・麻生道路」をめぐる「忖度発言」で国交副大臣を辞任した自民現職塚田一郎氏(新潟・55歳・自民)は、野党統一候補で無所属新人の打越さく良氏(同・51歳・無所属)に敗れた。「忖度議員は絶対に落選させない」と自民は総力戦を展開した。安倍首相は2回新潟入り。ラストサンデーの14日には小泉進次郎が新潟駅南口で「一度の失敗で再起できない社会でいいのか」と妙な理屈で塚田氏の再起を訴えていた。打越は、北海道出身の落下傘候補で、知名度ゼロからの出発だったが、塚田氏に4万票以上の大差をつけた。新潟県民の良識が示された。
愛知 共産党・新人の須山初美さん 7/22
改選数4の愛知選挙区で、共産党の新人として立候補した須山初美さん(40)は、他候補の当選が確実になったことを受け、敗戦の弁を述べました。須山さんは、会社員時代の経験を踏まえてハラスメント防止などを訴えて選挙戦を戦いました。支援者に対し、須山さんは「お金の心配なく学び、子育てできる社会などの掲げた公約を実現するためにこれからも全力をあげていく」と話しました。
愛知 「戦いはここまでではありません」維新・新人の岬麻紀さん 7/22
改選数4の愛知選挙区で、維新の会の新人として立候補した岬麻紀さん(50)は、他候補の当選が確実になったことを受け、敗戦の弁を述べました。岬さんは、維新の会の公認のほかに、河村たかし名古屋市長が代表を務める「減税日本」からも支援を受けて選挙戦を戦いました。インタビューで岬さんは、「戦いはここまでではありませんので、これからを見据えて前向きに進んでいきたい」などと話しました。
三重 「野党統一候補が失敗だったと思っていない」 無所属・新人の芳野正英 7/22
改選数1の三重選挙区で、野党統一候補として無所属で立候補した芳野正英さん(44)は、自民党・現職の吉川有美さんの当選が確実となったことを受け、敗戦の弁を述べました。芳野さんは、野党統一候補として各党の協力を得たほか、有力議員の岡田克也衆院議員と二人三脚で約200回の演説会を積み重ねて支持を呼びかけるなどして選挙戦を戦いました。インタビューで芳野さんは、「野党統一候補としての取り組みが決して失敗だったとは思っておりません。私自身の知名度不足だった。」と敗因を分析しています。
大阪 立憲新人・亀石倫子氏 「強い組織を持つ人が勝つ」と恨み節 7/21
大阪選挙区(定員4)に挑んだ、立憲民主党の新人で“美しすぎる弁護士”こと亀石倫子氏(45)は涙を飲んだ。テレビのニュースで務めるコメンテーターとしての知名度、奈良県警GPS捜査憲法違反事件の主任弁護人としての経歴などを武器に挑んだが、結果的に票は伸びなかった。落胆を隠さず、敗因について「強い組織を持つ人が勝つんじゃないかと思う」と“恨み節”も。同席した党の府総支部連合会代表を務める辻元清美衆院議員も「責任を痛感」と語り、表情は厳しかった。
香川 野党統一の新人・尾田美和子氏 敗戦の弁 7/21
21日に投票が行われた参議院選挙・香川選挙区は、自民党現職の三宅伸吾さん(57)が再選を決めました。野党統一候補として、無所属で立候補した尾田美和子さん(46)は及びませんでした。「厳しい結果だなと受け止めています。自身の力不足、準備不足があり、皆さまに大変ご迷惑をおかけしたと思っております。現場力という言葉を掲げ、多くの皆さまに、これまで聞くことがなかった現場の声を聞いてまいりましたので、それを今後生かして、それがまた政治にどのように生かせるか考えながら私も取り組みを行っていきたい」 尾田さんは4年前、高松市で西陣織のベビーシューズなど伝統工芸品を用いた製品の企画・開発会社を起業。売り上げの低迷や後継者不足に悩む地方の中小企業のための経済政策を行いたいと、出馬を決めました。そして4月下旬に立憲民主党、国民民主党、社民党、共産党香川県委員会の推薦を受けた「野党統一候補」として無所属で立候補を表明。選挙期間中には各党の応援を受け、国民民主党代表で、香川2区選出の玉木雄一郎衆院議員も3回、応援に駆けつけていました。
沖縄 「全ては自分の力不足」 自民新人・安里繁信氏 7/21
任期満了に伴う第25回参院選は21日投開票が行われ、4人の候補者が1議席を争った沖縄選挙区では自民新人でシンバホールディングス前会長の安里繁信氏(49)=公明、維新推薦=が落選した。落選を受けた安里氏の一問一答は以下の通り。−選挙選を終えての感想はどうか。「全ては自分の力不足。多くの方に支えられ、感謝に尽きる選挙戦だった。いろいろな所で、沖縄の政治を変えてほしいという熱量はすごく感じた」−敗因は何だと思うか。「きちんと分析しないといけないが、最後までやりきったという達成感と充実感はある」−辺野古の賛否を示さなかった影響はどうか。「分析は必要だが、今でも答えは変わらない。民意と法律上の瑕疵(かし)はないという相矛盾した事実が、今日までこの問題を解決できない本質だと思っている。二つの事実の真ん中から答えを見つけていくという考え方には変わりはない」−今後の政治活動についてはどう考えているか。「自分一人では決められない。後援会、家族としっかり話し合っていきたい。落ち着いたら判断したい」 
比例区
自民 「自らの力不足、時間も足りず」比嘉氏、敗戦の弁 7/22
参院選比例代表に立候補していた自民党新人で前衆院議員の比嘉奈津美氏(60)は22日午前6時すぎ、落選が確実となった。比嘉氏は、沖縄県歯科医師連盟理事長を経て2012年衆院選で沖縄3区から初当選し、環境政務官などを歴任。17年衆院選で、自由党幹事長だった玉城デニー氏(現知事)に敗れた。今選挙では、日本歯科医師連盟(日歯連)の支援を受けていた。次点で落選となった比嘉氏は22日、都内で記者会見し、党の公認決定が4月だったことを念頭に「期間が短かったとはいえ、私の力不足」と頭を下げた。今後の政治活動については「ゆっくり考えたい」と述べるにとどめた。
自民 丸山和也弁護士が敗戦の弁 7/23
7月21日に行われた参議院議員選挙では、山本太郎氏が立ち上げた「れいわ新選組」が2議席を獲得し躍進、鈴木宗男氏の国政返り咲き、野党統一候補の善戦、といったいくつものドラマが生まれた。その裏で、ひっそりと落選してしまったのが、自民党の比例代表で出馬していた丸山和也氏である。丸山氏は弁護士として、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)に2000年から出演し、ユーモアのあるキャラクターで人気タレントの仲間入りを果たす。2005年には、『24時間テレビ:愛は地球を救う』(同)のチャリティマラソンランナーも務めた。2007年にその知名度を活かし、参議院議員選挙に自民党の公認を受けて、比例代表で出馬し当選。以降も『行列〜』には準レギュラー的な出演を続けていた。『行列〜』からは、大阪市長、大阪府知事などを歴任した橋下徹氏も輩出している。だが最近は、丸山氏の知名度も下がりつつあったのかもしれない。今回は当選に届かなかった。
丸山氏は落選を受けて、7月22日に更新したツイッターで、「応援してくれた皆さんの期待に沿う結果を出す事が出来ず申し訳なく思います」と陳謝し、3つの敗因を挙げ、その一つとして「同じ丸山姓の議員による北方領土に関する問題発言の被害を受けたこと」と記した。これは、前日本維新の会の丸山穂高衆議院議員の問題発言を受けてのことだろう。実際、同じ丸山姓ということで勘違いされ、自身にクレームが来たこともあったようだ。だが、この発言に丸山穂高議員は、すかさず噛みつき、「丸山先生、お気持ちお察しします。ただ、そのように選挙結果を他人のせいにされるのは如何なものかと」と皮肉った。ただ、挑発的な物言いではなく、丸山和也氏も、この発言を受けて、「選挙を含め何事も基本は自己責任。その通りと思います。他人のせいにするなど考えてもいませんよ」とツイートしている。今回は一瞬の緊張感は走ったものの、東国原英夫氏や上西小百合氏との間で巻き起こったような、泥沼の罵詈雑言バトルにはならかったようだ。ただ、ネット上では「丸山穂高ってどんだけエゴサしてんだよ」「落選しても絡まれる丸山弁護士はかわいそうかも」といった同情気味の声が聞かれた。誰にでも噛み付く丸山穂高氏のキャラクターは、これからさらに暴走する可能性がありそうだ。
自民 栃木県関係の候補 角田氏は落選 7/23
参院選比例代表で県内に事務所を構えた元宇都宮市議で自民党新人の角田充由(かくたみつよし)氏(44)は22日早朝、落選が決まった。自民が比例で獲得したのは19議席。角田氏の得票は7万5241票で、自民が比例に擁立した33人中で28位。19位の最下位当選者とは約5万6千票差だった。22日午前5時5分、落選が確実になったことを受け、選対幹部が事務所で支持者に頭を下げた。角田氏は約4時間後、事務所に姿を見せて支持者に結果を報告し「自分なりに精いっぱいやってやり残したことはないが、力不足だった」と敗戦の弁を述べた。政治活動は今後も続けるという。
自民 井上氏 「力不足で結果が出なかった」 7/22
参院選比例代表に出馬した自民党元職の井上義行氏(56)は落選した。地元の小田原市内で開票結果を待ち続けたが敗色が濃厚となり、夜が明けた22日午前6時20分ごろ、支持者ら約80人を前に「力不足で結果が出なかった」と沈痛な表情で頭を下げた。6年前の参院選比例代表でみんなの党から初当選。同党解党後は日本を元気にする会を経て、第1次安倍内閣で首相秘書官を務めた縁もあり自民党会派入りした。今年6月に議員辞職し、自民党公認で2度目の当選を目指した。6年前より個人得票数を大幅に伸ばしたが議席には届かなかった。井上氏は記者団に対し、「結果が出たばかり。今後はまだ白紙の状態」と説明。以前挑戦した衆院17区での出馬については「考えられない」と否定。他党にも移らず「今後も自民党員として戦っていくつもり」と話した。
立憲民主党 市井紗耶香氏 「残念で悔しい思いでいっぱい」 7/24
参院選に立憲民主党比例代表として立候補し、落選した元モーニング娘。の市井紗耶香氏(35)が23日、ツイッターに、コメントを投稿した。市井氏はこれまで選挙結果を受けての会見などは行っていなかった。この日、ツイッターで「今回挑戦した参議院議員選挙では、残念ながら力及ばず、次点惜敗となりました」と報告。「とても残念で悔しい思いでいっぱいですが、私が全国で訴えてきたように、子育て世代の声が政治にスピード感を持って反映されることを願ってやみません」と記した。「前を向いて進んでいきます。ご支援いただき、本当にありがとうございました」としている。  

 

参院選 党派別獲得議席数 (改選定数124)
自民党     57  -9  議席
立憲民主党   17   8
公明党     14   3
日本維新の会  10   3
共産党      7  -1
国民民主党    6  -2
社民党      1   -
諸派      12   6
( 改選定数は3増の124 公示前の欠員は5 ) 
参院選比例区 選挙結果
政党名           得票数  得票率 獲得議席数
自民党          17,712,125  35.3%  19
立憲民主党        7,917,494  15.8%   8
公明党          6,536,174  13.0%   7
日本維新の会       4,907,582  9.8%   5
共産党          4,483,361  8.9%   4
国民民主党        3,481,143  6.9%   3
れいわ新選組       2,280,695  4.5%   2
社民党          1,045,981  2.0%   1
NHKから国民を守る党   987,888  1.9%   1
安楽死制度を考える会    269,059  0.5%   -
幸福実現党         202,278  0.4%   -
オリーブの木        167,894  0.3%   -
労働の解放を目指す労働者党  80,057  0.1%   -  
東京都選挙区 選挙結果
丸川珠代    1,143,458  自由民主党
山口那津男    815,445  公明党
吉良佳子     706,532  日本共産党
塩村文夏     688,234  立憲民主党
音喜多駿     526,575  日本維新の会
武見敬三     525,302  自由民主党
 山岸一生     496,347
 野原善正     214,438  
れいわ新選組
 水野素子     186,667
 大橋昌信     129,628  
NHKから国民を守る党
 野末陳平      91,194
 朝倉玲子      86,355
 七海ひろこ     34,121
 佐藤均       26,958
 横山昌弘      23,582
 溝口晃一      18,123
 森純        15,475
 関口安弘      9,686
 西野貞吉      9,562
 大塚紀久雄     3,586 

 

れいわ新選組
れいわ新選組・旗揚げ
2019年4月1日、参議院議員の山本太郎が、同年夏の参院選に自身を含め複数候補の擁立を目指し設立。10日に結党記者会見を行い党の理念や政策を発表した。
政策としては、「消費税の廃止」を前面に押し出し、「法人税への累進制導入」及び「新規国債の増発」による財源確保を訴える。また、「辺野古基地の建設反対」、「原発の即時禁止」、「最低賃金1500円」(政府保証あり)、「奨学金チャラ」、「動物愛護」などを掲げる。平和安全法制、テロ等準備罪、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、特定秘密の保護に関する法律など安倍内閣下で成立・改正された法律の多くを「トンデモ法」と位置づけ、その見直し・廃止を主張している。
財源の「新規国債の増発」についてはMMT(現代貨幣理論)に基づいた主張をしている。
団体名は新元号・令和が発表された日に届け出たことから命名され、「新撰組」でなく「新選組」としたことは「新しい時代に新しく選ばれる政党になるため」と説明している。ロゴは、新選組の隊旗を模倣したピンク色の旗のイラストに「れいわ」、その下に手書き文字で「新選組」とあり、その右横に猫の肉球がデザインされている。最下部には、ローマ字で「REIWA SHINSENGUMI」と書かれたものと、ひらがなで「れいわしんせんぐみ」と書かれたものがある。
設立時点では山本は自由党を離党しておらず、記者会見では4月下旬離党予定と説明した(自由党は4月26日に国民民主党に吸収される形で解散。ただし山本自身は任期中の会派離脱は行わず、所属会派としては任期満了まで国民民主党・新緑風会に所属)。選挙資金は寄付で集める。
代表の山本は重度身体障害者、性的少数者、派遣労働者、コンビニ加盟店ユニオンの労働運動家、公明党の方針に異を唱える創価学会員など、社会的弱者を中心に参院選候補者を公示日前日までに9人擁立した(後述)。そして山本自身は東京都選挙区から比例区に移り、かつ比例区特定枠に重度身体障害者2名を選ぶことよって背水の陣を敷いた。理念が共通すれば、党派を超えて地方の他党候補者の応援演説に入るなど、異色の街宣活動の模様はSNSや動画投稿サイトなどを通じて拡散され、フォロワー数、登録者数は連日増え続けている。寄付金も7月11日に3億円を超えた。
話題性に事欠かない状況であるにもかかわらず、政党要件を満たした政党でないいわゆる「諸派」であることから投開票日前日まで国内のテレビ・大手新聞はほとんど取り上げなかった。7月13日発売の週刊誌が「テレビ・新聞が黙殺する山本太郎とれいわ新選組」と題する記事を載せ、現状を報じると、わずかにテレビ朝日が7月15日朝の情報番組で野原善正(東京都選挙区)の公明党批判などを紹介した。7月17日、ロイターは、重度身体障害者が比例区特定枠に擁立されたことに注目し、これを記事にした。
「日本では身体障害者は陰で生きることが常に望ましいとされてきた。今回、2人の重度障害者が立候補したこときわめてまれなことである。彼らの立候補は、これまでの日本の国民の態度を変えさせんとする明確なサインであり、メッセージである。」
7月18日には毎日新聞が「メディアもあまり報じない山本太郎さん率いる政治団体『れいわ新選組』」という前置きから始まる記事を、7月20日には東洋経済オンラインが「大手メディアが無視する『れいわフィーバー』」と題する記事を配信した。選挙戦後半、れいわ新選組は「放送禁止物体」と自ら称するまでになった。  
決意
日本を守る、とは、あなたを守ることから始まる。
あなたを守るとは、 あなたが明日の生活を心配せず、人間の尊厳を失わず、胸を張って人生を歩めるよう全力を尽くす政治の上に成り立つ。
あなたに降りかかる不条理に対して、全力でその最前に立つ。何度でもやり直せる社会を構築するために。
20年のデフレで困窮する人々、ロスジェネを含む人々の生活を根底から底上げ。中卒、高卒、非正規や無職、障害や難病を抱えていても、将来に不安を抱えることなく暮らせる社会を作る。
私たちがお仕えするのは、この国に生きる全ての人々。
それが、私たち「れいわ新選組」の使命である。  
政策
消費税は廃止
物価の強制的な引上げ、消費税をゼロに。初年度、物価が5%以上下がり、実質賃金は上昇、景気回復へ。参議院調査情報担当室の試算では、消費税ゼロにした6年後には、1人あたり賃金が44万円アップします。
安い家賃の住まい/敷金・礼金などの初期費用や家賃、高くないですか?
空き家、中古マンション、団地を活用し、全ての世代が初期費用なし、安い家賃で住める公的住宅を拡充します。
奨学金チャラ
555万人を奨学金徳政令で救います。返済に充てる予定のお金は、必要な消費に廻していただきます。
全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」
最賃1500円でも月収では24万円程度。決して高すぎる賃金ではありません。現状が酷いだけなのです。これまで政治主導で壊してきた労働環境や処遇を改善するためには、賃金の最低水準を強制的に引き上げる必要があります。中小零細企業に影響がない様に、不足分は国が補填。最賃との整合性をかんがみ、生活保護基準も引き上げます。 年収200万円以下世帯をゼロに。地方活性、景気回復、東京一極集中是正の切り札です。
公務員を増やします/保育、介護、障害者介助、事故原発作業員など公務員化
「公務員の数を減らせ」という政治家もいますが、実際は世界から見て日本は公務員の数が少なく、現場は過酷です。1万人あたりの公務員数をみると日本は、英国の約3分の1、米国の約2分の1です。公務員を増やす。安定雇用も経済政策です。
一次産業戸別所得補償
食糧安全保障は国を守る上で最重要事項。あまりに低くすぎる食料自給率を100%目指し大改革。第1次産業に就けば安定した生活が送れるよう政府が戸別に所得補償します。
災害に備える
防災庁を創設。実際に復旧・復興に取り組んだNPOなどの方々も雇用し、そのノウハウを蓄積、有事に備えます。災害時、実態に合った最大限の取り組みを、国として行える組織作りを始めます。
コンクリートも人も/〜本当の国土強靭化、ニューデイールを〜
公共事業のより大きな枠組み「公共投資」でみると、橋本総理から小泉総理までの10年の間に予算は半減。何かと悪者にされる公共事業・公共投資ですが、雇用や防災を考えれば必要不可欠。防災対策だけでなく水道、鉄道などの公共性の高いものは国が主導し、積極的に支出します。
お金配ります/〜デフレ脱却給付金・デフレ時のみ時期をみて〜
この政策ならば、確実にデフレ脱却は出来ます。一人あたり月3万円を給付。二人ならば月6万円、4人ならば月12万円。インフレ率2%に到達した際には、給付金は終了、次にデフレ期に入った際にまた再開します。
財源はどうするの?/〜デフレ期にしかできない・財政金融政策〜
日本総貧困化を防ぐためには、まとまった財源が必要です。財源は税収、が一般的ですが、私は、デフレ期には別の財源も活用します。新規国債の発行です。確実に足りない分野と人々に大胆に、財政出動を行い、生活を支え積極的に経済をまわします。経済成長すれば当然、税収は増えます。国債発行は無限ではありません、リミットがあります。インフレ目標2%に到達するまで、です。到達後、金融引き締めで増税まで必要な場合には、税の基本(応能負担)に還ります。法人税にも累進性を導入します。
真の独立国家を目指します〜地位協定の改定を〜
沖縄・辺野古基地建設は中止。普天間即時の運用停止。在沖海兵隊にはカリフォルニア等への移転をお願いし、これまでの駐留経費と同等の費用を日本側で持つことを前提に、米国側と再交渉。沖縄の民意を尊重します。費用負担が厳しければ、必要分の米国債売却を検討。対等な同盟関係を築けるよう、真正面から取り組みます。
「トンデモ法」一括見直し・廃止
TPP協定、PFI法、水道法、カジノ法、漁業法、入管法、種子法、特定秘密保護法、国家戦略特別区域法、所得税法等の一部を改正する法律、派遣法、安全保障関連法、刑訴法、テロ等準備罪など
原発即時禁止・被曝させない 〜エネルギーの主力は火力〜
この先、南海トラフ、東海地震、首都圏直下などの大地震がくると言われるなか、原発は安全を保てるのか?その答え合わせは大地震の後になります。つまり、その大バクチに負けた際の費用負担は皆さんの税金です。 事故が起これば、国土を半永久的に汚染し、人々の生業を奪う発電からは撤退。国の積極的投資で日本の廃炉技術を世界最先端に。エネルギーの主力は火力。自然エネも拡大します。東電原発事故による被災者・被害者への支援の継続、拡充を
障がい者への「合理的配慮」を徹底、障がい者福祉と介護保険の統合路線は見直し
障がいを持つ方々は、社会生活を送る上で様々なバリアに直面しています。障がい者が社会生活を送りやすいようにする「合理的配慮」を受ける権利が障害者権利条約、そして障害者差別解消法で求められています。障がいの度合いや種類はさまざまです。障がい者の立場に立った合理的配慮を更に徹底させます。また、とりわけ重度障がい者の方を苦しめているのは、現在の障害者総合支援法の第7条にある、「介護保険優先原則」です。この条文のせいで、それまでの充実した重度訪問介護などのサービスが利用できず、65歳になると利用時には原則一割負担を求められるうえ、サービスの幅も狭い介護保険の利用が求められています。障がい者の生活に不自由を強いる、障がい者福祉と介護保険の統合路線は見直していきます。
DV問題/被害者支援と加害者対策、防止教育を基本とし、DV・虐待のない社会の実現へ。DVによる暴力の定義と保護対象を拡大/〜生活の本拠を共にしていないデートDV被害者も保護対象に〜
国連の「女性に対するあらゆる形態の暴力の撤廃に関する宣言」には、暴力とは家庭内もしくは地域社会で起こり、国家によって容認されてきた身体的、性的、心理的暴力であると明確に定義。DVは、年齢や性別、結婚しているかどうか、同棲しているかどうかなど、その関係や形態に関わりなく、親密な相手に対してチカラと権力を使って優位に立ち、支配する関係を作り、それを維持するために繰り返し行う虐待行為だと考えられ、そのように定義されている国もあることを考えると、現行のDV防止法では被害者の保護が網羅できているとは言えません。生活の本拠を共にしていないデートDV被害者も保護対象に加えます。
• DV被害者(こどもも含む)の心身の安全確保、心理的ケア、生活支援等を拡充
• 加害者の更生教育、受け皿としての加害者プログラムを全国に
• 学校におけるDV・デートDV防止教育を義務化
児童相談所問題/家庭裁判所の判断と、里親・特別養子縁組制度の拡充/社会的養護下にあった子どもたちの独り立ちが不利にならない施策を
児童相談所で働く職員の不足、質の向上ももちろんですが、保護するかどうかの判断を、ほぼ児童相談所だけで行うことは、子どもの将来にとって必ずしもプラスにはなりません。海外では、保護するかどうかの判断を児相的なものだけでなく、第三者(司法など)が介入、判断に中立性を持たせます。家庭裁判所の職員を増員するとともに、一時保護後の子どもの行き先については、裁判所が中立に判断する方法を用います。国際人権規約では、 社会的養護下にある子どもを施設に収容するのは「最終手段」と定められており、拡大家族による養育や養子縁組・里親養育が多くを占めます。それが、その子どもの最善の利益にならないと判断される場合に初めて、施設養育という最終手段を用いる、とされています。一方、日本では、ほとんどの子ども(平成29年度は全体の約87%)が、乳児院や児童養護施設などに入所しているのが現状。未だに施設ありきで社会的養護を推し進めています。加えて、里親になる要件について、これまで事実上除外されていた単身者や同性カップルなどにも広げ、里親への研修、サポート、処遇を大幅に改善します。虐待の数をカバーできるだけの人材の確保、具体的な体制や政策の整備、さらには、施設の不足や里親の不足。この状況を是正することなくして、「悲劇」が繰り返されるだけ子どもたちを守ることはできません。さらに社会的養護下にある者の高校・大学等への進学で必要な授業料や諸経費、また運転免許取得費用等、自立を支えるための経済的支援を強化し、独り立ちした後も、賃貸契約や雇用契約はもちろん携帯電話契約等、生活に欠かせない契約について、継続的に子どもの保証人ないし保護者を務める人を指定したり、こうした契約で親権者の有無が障害とならないよう措置を講じます。またこの保証人の利用等については、必要に応じて退所後のいかなる時点においても可能とします。
動物愛護/ペットショップでの生体販売禁止。 ブリーダーからの直接譲渡や、保護犬猫の譲渡を促進。 動物実験の削減を強化、義務化。 畜産動物のアニマルウェルフェアを世界レベルに。
依然として動物虐待や劣悪飼育といった問題が後を絶たない現状を改善するため、最低限の飼育環境・設備の基準を定め、立入を義務化。実験動物使用数の削減を義務と強化。畜産業においても動物福祉が守られるよう国際的な基準を踏まえた飼育や処分方法に関する基準を定める。犬猫殺処分ゼロに向け自治体による引き取り・収容・殺処分を改善します。  
山本太郎、れいわ…左派ポピュリズムの衝撃とどう向き合うか? 7/22
日本政治に左派ポピュリズム政党が誕生した。7月21日の参院選は日本においても、欧州で吹き荒れるポピュリズムの風が吹くという結果になった。山本太郎、「れいわ新選組」である。比例での得票率は4・6%に達し、既成野党への不満の受け皿となり、政党要件を満たした。大事な点は彼らの主張は、欧米の左派ポピュリズムそのものということだ。
れいわの衝撃
7月4日の新宿駅西口地下から、「旋風」が起きそうな予感は漂っていた。ニューズウィーク日本版の取材で訪れた私は、予想以上の熱量だったとメモを取っている。山本太郎は参加者の前で声を張り上げる。
「いまの政治はみなさんへの裏切りだ。20年以上続くデフレ、異常ですよ。物価が下がり続け、消費が失われ、投資が失われ、需要が失われ続け、国が衰退している。デフレを続けてきたのは自民党の経済政策の誤りの連続でしょ」
「生活が苦しいのは、あなたのせいにされていませんか?努力が足りなかったからじゃないか?違いますよ。間違った経済政策のせいですよ。消費税は増税じゃない、腰が引けた野党が言う凍結でもない。減税、ゼロしかないじゃないですか」
「ないところから税金をとるな。金持ちから取れ。誰もが自信を持てない世の中になっている。自分が生きていていいのかと思ってしまうのはどうしてですか?あなたには力がある。諦める前に、チャンスをください」
そして、彼は何度も「選挙はおもしろくないといけない」と繰り返した。難病患者が国会に行くというストーリー、沖縄の創価学会員が東京で公明党代表に挑戦するというストーリーも「おもしろく」演出することに長けていた。
全国各地を周り、他の野党候補も積極的に応援しながら、自身への票を掘り起こした。朝日新聞の出口調査によると、応援先の野党支持層から一定数が「れいわ」に流れていることがわかる。
盛り上がりは7月19日の新橋、7月20日の新宿で最高潮に達したといっていいだろう。ミュージシャンや著名人が応援に駆けつけた。結果的に、与党支持層は切り崩せなかったが、野党の不満はすくい上げた。
上と下の対決
ポイントは最初から最後まで、安倍政権、そして野党の緊縮財政志向を徹底的に批判することに多くの時間を割いたことだろう。デフレを糾弾し、「上」から金を取り、「下」にもっとよこせと訴える。そして、「あなた」に呼びかけ自己責任は無いと言い切る。元俳優、バラエティでも活躍したタレントになって演説のスタイルも巧みだった。
時に明確な批判対象を設定し、言葉には他の政治家にはない「本音」―と受け取れるような言葉−を盛り込む。先に参照した出口調査によると、40代以下を主要な支持層として取り付けたという。個別の政策はともかく、権威に立ち向かう姿を応援したいという層もいたことは間違いない。
山本の政策は徹底的な反緊縮と減税である。平たく言えば、デフレ脱却のために、消費税を廃止し、国はもっとお金をかけて財政出動せよというものだ。彼の著作などによると、金融緩和にも肯定的な左派系の経済学者として有名な松尾匡・立命館大教授に学んだことが転機になっている。
欧州の左派ポピュリズム政党
一連の主張やスタイルは数年前から欧州を席巻している左派ポピュリズムのそれである。政治学者の吉田徹・北海道大教授は「欧州で台頭する左右ポピュリズムを分かつもの」(週刊エコノミスト、2017年2月7日号)でこのように分析している。
「左派ポピュリズムおいては財政主権や再分配、右派ポピュリズムにおいては国民主権や反グローバル化が唱えられる。こうした主張は、08年のリーマン・ショックと続く10年のユーロ危機を経て、既成政党批判と反緊縮財政、金融・財政主権の回復、場合によってはユーロ圏からの離脱という政策・言説でもって、両極ポピュリズムは共通の立場をとることになる。このような政治的主張は、格差や貧困の進展、労働市場からはじかれ、没落の恐怖におびえる高齢者や中間層、高い失業率にあえぐ若年労働者層の支持を集めることになる」
「左派ポピュリズムと右派ポピュリズムを分け隔てる最大の違いは、個人やマイノリティーの自己決定権を認めた上で『開かれた社会』を認めるか、反対に家父長主義的で権威主義的、伝統的な共同体や家族が個人よりも優先されるような『閉じられた社会』が実現されるべきと考えるかどうかにある」
要するに左派ポピュリズムには経済的な格差への不満を吸収するだけでなく、価値観を体現する政党という性格がある。「れいわ」が難病患者を優先的に当選させたことは、まさにマイノリティーの自己決定権を認めるという価値観を体現するものと言える。
問われているのは野党
日本において左派ポピュリズム政党が誕生した背景は、欧州のそれと同じものだろう。問題を突きつけられているのは、既存のリベラル系の野党だ。立憲民主党は議席数を伸ばしたとはいえ、政権交代の選択肢とはおよそ言えない。比例で当選したのも労働組合系の候補者が上位を占め、都市部の選挙区を含め注目を集めた目玉候補は軒並み落選した。共産党は支持層の一部が「れいわ」に流れている。これがなぜかを分析しないと、与党支持層、投票に行っていない人たちからの票の掘り起こしにもつながらない。
山本自身は落選したが、私がニューズウィーク日本版で予想した通り、次の衆院選への出馬を宣言した。一度吹いたポピュリズムの風は当分、止みそうもない。 
れいわ新選組・山本太郎氏 次なる野望は衆院選でロンブー淳擁立 7/23
21日の参院選で山本太郎代表(44)率いる「れいわ新選組」が比例代表で2議席を得た。政党要件を満たさない団体が比例で議席を得たのは、2001年に非拘束名簿式を導入して以降初めて。東京選挙区から転出した山本氏は再選ならずバッジを失ったが、政党要件を満たす最低ノルマを達成し、既にその目は衆院選に。“相棒”に見据えるのが、「ロンドンブーツ1号2号」のタレント・田村淳(45)だ。
山本氏は個人で党内1位になる約99万票(22日朝時点)を獲得した。だが、れいわは筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の船後靖彦氏(61)、重度障害のある木村英子氏(54)を優先当選させる特別枠を用いていたため、山本氏は3番手扱いで当選には届かなかった。
それでも、都内の開票所で支援者を前に「一切後悔はない。(選挙前には)東京で1議席しかなかったのが、2議席になって、国政政党になるなんて、何の悪い冗談ですか! そこの党の代表の山本太郎です」としてやったりの笑顔だ。
期間中、山本氏はスポーツ紙やネットメディア以外で扱われることはほとんどなかった。テレビや一般紙は公職選挙法で政党要件を満たさない政治団体の候補者は諸派扱い。各局の開票番組でようやく“解禁”となった山本氏は「スタジオで、れいわは台風の目と言っていましたが、地上波では、はじめまして」と皮肉たっぷりに“第一声”をお見舞いしてみせた。
今後議員バッジは外れるが、国政政党の代表となったことで、むしろフリーハンドになるとも。日本維新の会の松井一郎代表(55=大阪市長)が国会議員でなくとも党首討論に出ているように山本氏も今後、テレビや討論会だけでなく、国会対策での与野党交渉の場にも出席権利を得る。「タブーなしでいきたい」と自由党共同代表時代にはセーブしていた発言も今後はお構いなしで放つ構えだ。
発信を高めると同時に次なる狙いは2年以内に行われる衆院選。「一番話題性を呼んだり、最大化できる形にしたい」と山本氏による与党大物議員の選挙区への殴り込みはもちろん、さらなる仕掛けを描いている。
今回、拉致被害者家族連絡会元副代表の蓮池透氏(64)や「女性装」で知られる東大教授の安冨歩氏(56)ら個性派を擁立し、街頭演説での応援には「X JAPAN」のSUGIZO(50)や元文科次官の前川喜平氏(64)らが駆けつけた。自らの人脈で、候補者発掘に動いていたが、衆院選に温存している“大物”がいるのだ。
「著名系では作家やミュージシャン、さらに名前が挙がっていたのは田村淳でした。ただ、淳は相方・田村亮の闇営業騒動で出馬どころでなくなってしまった。淳が東京選挙区から出て、山本太郎代表と“二枚看板”になる構想は幻に終わったが、衆院選でも誘うことになるでしょう。淳の出身地は安倍首相の地盤の下関ですからね。面白いことになりますよ」(れいわ関係者)
淳は政治・社会問題に歯に衣着せぬ発言で、これまでも出馬のウワサが絶えなかったが、具体性を欠いていた。山本氏とは波長が合ったということか。淳は亮の問題で関係各所へのフォローに回っていた選挙中の最中にもツイッターで「メディアが全ての政党を平等に報道してくれないと選ぶ側は選択肢が増えないと思いませんか?」と“放送禁止”と化したれいわを援護射撃していた。
参院選で4億円を超える募金も集め、今後は国政政党となったことで年2億円超が見込まれる政党交付金も入ってくる。6年前の初当選時には「政権を取る」と叫び、完全にイロモノ扱いされていた山本氏だが、いまや政権与党も無視できない“モンスター”に化けようとしている。  

 

NHKから国民を守る党 
元日本放送協会(NHK)職員でインターネットテレビ「立花孝志ひとり放送局」代表取締役社長の立花孝志が2013年6月17日に「NHK受信料不払い党」の設立を届出、7月23日に現在の党名に変更した。同年9月の大阪府摂津市議会議員選挙を皮切りに各種地方自治体選挙に候補者を擁立。
2015年4月に立花が千葉県船橋市議会に当選(保守系会派「研政会」に所属)したことで議席を得た。第24回参議院議員通常選挙では三宅博(おおさか維新の会)を支持した。2016年東京都知事選挙に立花が立候補(これにより船橋市議を失職)し、NHK放送センターで収録された政見放送でNHKの現状を批判、「NHKをぶっ壊す!」と連呼し注目を呼ぶが落選した。
東京や大阪など大都市圏のベッドタウンといった住民の流入や流出が激しい自治体を中心に候補者を擁立する傾向にあり、立花は新聞の取材において、集金に困っている一人暮らしの学生や社会人が多そうな自治体や『浮動票』の確保を目的として過去にみんなの党が議席を持っていた選挙区を立候補者擁立の指標にしていると説明している。
2019年の統一地方選挙においては首都圏・関西のベッドタウンを中心として47人が立候補し、26人が当選。そのうち特別区議会は行われた20区議会全員に候補を出し17人を当選させている。
4月下旬から5月上旬にかけて「『NHKは朝鮮人や帰化人に支配されており、そのため偏向報道が行われている』(杉並区議・佐々木千夏の発言)など党の政策にそぐわない偏った思想を主張するようになった(具体的には、グロービートジャパン(らあめん花月嵐など)・日本平和神軍などの中杉弘の人脈)」「参院選への選挙資金として課せられた130万円を支払う意思がない」として5名の地方議員を除名処分とした。
第25回参議院議員通常選挙については2019年4月26日、東京都庁で記者会見を行い党公認候補者を擁立することを発表した。当初発表では比例区に立花孝志と他1名、東京都選挙区に大橋昌信と他6名、埼玉県選挙区に1名の計10名だったが、その後公認候補者を大きく増やし、比例区4名、選挙区37名の計41名が立候補することとなった。比例区においては支持政党なしの佐野秀光も立候補することで合意をしていたが、実現には至らなかった(佐野は安楽死制度を考える会より独自に立候補)。立花と大橋以外の地方議会議員経験者としては、元江戸川区議会議員の田中健が茨城県選挙区より、元富士見市議会議員の石川新一郎が徳島県・高知県選挙区より立候補している。開票の結果、NHKから国民を守る党は比例区において1議席を獲得し、党代表の立花が当選した。選挙区においては37名全員が与野党候補に遠く及ばず落選したものの、選挙区においての得票率2%を達成したことにより、公職選挙法と政党助成法上における政党要件を満たした。  
「次の衆院選までにYouTubeの再生回数がどれだけ伸びるかだ」 7/21
議席を獲得する見通しとなり、当選の可能が出てきた「NHKから国民を守る党」の立花孝志代表がAbemaTV『アベマ選挙SP〜民主主義オワコン危機〜』に生出演した。
立花氏は選挙戦について振り返り、「ワン・イシューの沖縄の住民投票を参考に、NHKの事以外を言わなくても、"怒りのバロメーター"だけでどれだけ行けるのかと考えた。結果としては十分満足だ。政党要件を満たさないと選挙は勝てない。"諸派"とまとめられ、"NHKから国民を守る党"という名前も出ない。全国比例で2%を超えるのは難しい壁だが、たとえば幸福実現党さんが前回1.7%獲得されていらっしゃるので、多分大丈夫だろうと。だからたとえ議席が取れなくても、とにかく2%を取りに行くということに終始した。そのために、人と金を10日ほどでかき集めた。選挙資金1億5000万円のうち、1億円は貸していただいた。政党交付金がもらえれば、そこから返す予定だ。こうした戦略をYouTubeで説明したところ、統一地方選での実績による信頼も相当あったと思うし、1億円を超えた」と明かした。
自民党の平将明衆議院議員は「端末も多様になり、見ている側としても放送と通信の垣根がなくなってきたので、我々も放送法を改正しようとしている。スクランブルの議論なども出てくると思うし、そこは自民党は柔軟だ」とコメント、元産経新聞政治部長の石橋文登氏は「国民的に大きな問題だが、これまで与党も野党もNHKを敵に回したくないから腰が引けていたと思うし、そもそも今回の参院選が盛り上がらなかったのも、与野党争点を消していたからではないか。与野党ともに反省しないといけないと思うし、国民民主党がスクランブルに賛成だと言っていれば、もっと獲得票数も増えたかもしれない」と指摘。
これに対し、元NHK記者で国民民主党の関健一郎衆議院議員が「私のところにも、あの政権放送を見てN国に投票したという電話があった。ただ、元NHKのジャーナリストとして言いたいのは、国民の生命と財産を守ることに寄与しないといけない。そこでスクランブルをかけてしまえば、受信料を払ってない人が災害時に命の危険に関わるような情報を取れないことになる。それでいいとは言えない」と問いかけると、「全てにスクランブルをかけろと言っているわけではない。放送番組には報道、教育、文化、娯楽の分野があるが、緊急なものについては直ちに外せばいいし、教育や福祉の番組についてまでスクランブルをかける必要はないと思っている」と反論した。
さらに最終的な目標について立花氏は「NHKには愛情を込めて仕事をしてほしい。政治勢力として伸びたいというわけではなく、NHK受信料の集金の被害が無くなっていけばいいということなので、うちの人気が下がるというのはむしろ良いこと。スクランブが実現すれば辞めるので、ぜひ話し合いをさせていただきたい」、さらに国会議員になった場合については「NHKがルールを遵守していないことを徹底的に追及していきたい。他の政策については、インターネットで賛否を問えるシステムが構築できるまでは棄権をし、その後は世論に合わせて議決権を行使していく。現在、YouTubeの動画再生回数はトータルで500万超えたが、問題は次の衆院選までにどれだけ回るかだ。今は注目を集めるために、ふざけながら真面目なことをやっている。次回はバシッとしたものを出したいと思う」と話した。  
『NHKから国民を守る党』はなぜ議席を得たのか? 7/22
私は、いま、この国で異常なことが起こっていると思う。驚天動地の驚きである。
何よりもそれは、『NHKから国民を守る党』(以下N国、N国党)が参議院(全国比例)で1議席を獲得したことだ。当選したのは代表の立花孝志氏(51歳)。元船橋市議、前葛飾区議で、今次同党の全国比例で個人票を11万票以上を獲得している。N国党全体では約90万票以上を獲得し、社民党に次ぐ。
誰もが、N国党の政見放送でぶっ飛んだだろう。「NHKをぶっ壊す!」「不倫で、路上で、カーセックスですよ!」「さぁ、皆さん(NHK職員)もご一緒に!って言うわけないか(笑)」…もうただただ爆笑である。「普通」の人は、この政見放送を見て「爆笑しすぎてこれはヤバ過ぎる」と思い、そのまま放置する。N国は泡沫政治団体として、参議院では黙殺される―。
だれもがそう考えていた。私もそう考えていた。既存メディアも、一部を除くネットメディアもそう高をくくって黙殺していた。ところが、N国は最後の比例代表の1議席に滑り込んだ。いま、この国で異常なことが起こっていると思う。…泡沫じゃん。誰がどう考えても。いや、そもそもギャグじゃん。みんなそう思うが、そうではなかった。なぜN国は議席を得たのだろうか?
1 私と立花氏の邂逅〜1
順序を追って書く。私が立花孝志氏に最初に会ったのは、確か2011年。今から約8年前である。この時、立花氏は会社経営者のような立場で、自分で自分を撮影した手作りの動画で、NHK集金員を玄関先(事務所前)で撃退したり、それと前後して「NHKがいかに悪の組織であるか」という様なことを元NHK職員として「告発」するユーチューブ動画を作っていた。
更に、「NHKの内部告発」という内容で、週刊誌などにコメントが幾つか掲載されていた。しかし、総じて当時の氏は今でいうところのユーチューバーの走りである。
そんな彼となぜ私が邂逅したのかというと、同年、当時CS放送局であった(現在ではCS放送事業から撤退)日本文化チャンネル桜(東京都渋谷区)が主催するCSの討論番組に同席(共演)したことがきっかけだ。なぜ日本文化チャンネル桜は立花氏を討論番組に呼んだのか。
それは単純な話で、当時日本文化チャンネル桜はNHKに対して集団訴訟を行っており、NHKと法的にも、思想的にも鋭敏に対立した関係にあったからだ。だから同じくNHKを敵視する立花氏を「同胞」として迎えたわけである。
この日本文化チャンネル桜によるNHK集団訴訟は、2009年4月5日に、NHK総合で放送された『NHKスペシャル・ジャパンデビュー”アジアの一等国”』の内容に著しい偏向と事実誤認があるとして、日本文化チャンネル桜が盛んにCS番組内で呼びかけ、合計1万人強の原告団を結成してNHKを相手取り提訴したものだ。
なぜ日本文化チャンネル桜は『ジャパンデビュー”アジアの一等国”』を訴えたのかというと、日本が戦前、台湾を植民地統治していた時代、現地住民を苛烈に差別していた、という内容が気にくわないというものだ。簡単に言ってしまえば。そして日本文化チャンネル桜は、当時NHKで放送された戦前台湾に居住していた少数民族を取材し、『NHKの当該番組は、祖先と台湾人を陥れる反日プロパガンダだ!』と大々的に気勢を上げた。
結果、日本文化チャンネル桜を中心とする原告団はこの裁判に完全敗北した。無様な訴因を構築して喰ってかかったが、裁判官から門前払いされるような格好で、この裁判は終わった。
終わったのだが、日本文化チャンネル桜にとってNHKは仇敵であり続けたので、この時期、日本文化チャンネル桜が立花氏を局の看板番組ともいえる討論番組に招聘したのは当然といえば当然の理屈である。
2 私と立花氏の邂逅〜2
立花氏は、とにかく喋りがうまく、頭の回転が速い、という第一印象を持った。その内容が本当かどうかわからないが、「元NHK職員」として「NHKの内部告発」をしゃべる様子はそこら辺の素人ではなかった。だが、それだけだった。
立花氏は徹頭徹尾NHKを呪詛するが、それ以外の、所謂「保守派」が定石とする、嫌韓や反中、さらに憲法改正や靖国神社公式参拝問題、および種々の歴史(修正主義的)問題にはほとんど言及しなかった。というよりも、そういったことには関心が無いようであった。とにかく徹頭徹尾、立花氏の論点は「NHKがいかに悪の組織であるか」から出発して、「よってNHK受信料を払う必要はない(―そしてNHK受信料解約の方法教授)」という結論だけであった。
その後、私は2012年夏ごろより、或るネット右翼系の雑誌編集長になる。雇われ編集長だが、版元の強い意向により立花氏を取材することになった。「反NHK特集」の中で、立花氏のインタビューを入れたい、ということであった。私の記憶では、この時が私と立花氏の二回目の邂逅である。より正確に言えば、東京東部にある立花氏の事務所に直接行こうと思ったが、先方が「多忙」(だったと思う)の理由で電話取材になった。しかしそれは正確には電話取材ではなく、スカイプを使ったテレビ電話取材だった。
私は立花氏から、「可能であれば憲法改正や嫌韓など、保守派やネット右翼層が好む他分野の話題」を引き出し、そのインタビューに含意しようと思った(そのほうが、インタビュー内容に縦深が出ると思ったからである)が、立花氏はNHK以外のことにはほぼ一切喋らず、やはり最初から最後まで徹底的にNHKへの呪詛をまくしたてた。というよりも、それ以外にはあまり関心が無いようだった。立花氏の、よく言えば究極的な、悪く言えば異様とも言えるNHKへの執着と敵愾心は、2012年の段階で全く揺るがないものであった。
だからこそ、立花氏は、日本文化チャンネル桜によるNHK集団訴訟がしりすぼみに終わり、所謂「保守派とネット右翼」の攻撃の矛先がNHKから朝日新聞や沖縄に向かうにつれ、急速に「保守界隈」「保守論壇」から遠ざかっていった感がある。
3 もはや「古典」だった「NHKをぶっ壊す」
だから、「NHKをぶっ壊す」という現在のN国の象徴的フレーズは、実は10年近く前から、「NHKを反日放送局と呪詛する保守派やネット右翼」においては、すでに集団訴訟を起こすほどにまで発展していた「古典的なメディア呪詛」の一種であり、別段立花氏が考案した新しい世界観では無い。
その後、所謂「NHKを反日放送局と呪詛する保守派やネット右翼」は、その矛先をフジテレビや電通、花王、ロート製薬など民間会社に向け、やがて前述NHK訴訟がチャンネル桜側の完全敗北に終わると、NHKへの潜在的な敵意を内包したまま、その攻撃の前衛は朝日新聞やTBS、やがて故・翁長沖縄県知事や沖縄の基地反対派に向けられていくことはすでに簡潔に述べた。
つまり私は何が言いたいのかというと「NHKをぶっ壊す」という主張自体、所謂「保守派やネット右翼」にとってはすでに現在「古典」となっている、ということである。その「古典的フレーズ」をN国は執拗に繰り返す。これは「現在の保守派やネット右翼の主流」とは異質のものだ。
ネット右翼の現在の「トレンド」で言うなら、嫌韓や反中である。「保守派やネット右翼」は、NHKに対する反抗心は持っているとはいえ、その度合いは10年弱前から明らかに減衰している。
2010年前後と違い、NHKの番組に対して「偏向だ!反日だ!受信料を払わない!」と呪詛するネット右翼は、そんなに多くはない。むしろNHKは現在、反政権思考の人々や、政治的左派から「政権忖度だ!」として攻撃にあっている。NHKはもはや、ネット右翼の攻撃の対象ですらないのだ。それをいうのなら、その攻撃の度合いは、朝日新聞や東京新聞に対する方が100倍濃密であろう。
4 旧「次世代の党」との対比
2014年衆院選挙時に維新から分派する形で「次世代の党」が誕生すると、「保守界隈」「保守論壇」はその総力を以て全身全霊で同党を応援した。「保守界隈」「保守論壇」に寄生するネット右翼は、「小選挙区は自民、比例は次世代」がキャッチフレーズになってネット上に一大旋風を巻き起こした。結果、「次世代の党」はこの時、比例ブロック合計で141万票を獲得したが比例はゼロ。わずかに小選挙区で2議席にとどまって壊滅した。
しかし今回、N国による「NHKをぶっ壊す」という主張自体が「保守派やネット右翼」にとってトレンドではなく、古典としてはるか昔に消費されつくしたものであり、「保守界隈」「保守論壇」は「次世代の党」の時とは違って、N国を応援することはなかった。
試しに『正論』『WILL』『HANADA』『VOICE』などの右派系雑誌を見てみるとよい。2014年にはあれだけあふれた(当時、『HANADA』は存在しなかったが)旧次世代の党への応援と違って、N国への援護射撃は皆無に近いのである。
つまり『NHKから国民を守る党』はネット右翼政党でないし、「保守派やネット右翼」のトレンドをトレースしているわけでもない。愚直なまでにNHKへの呪詛を言い続ける。とにかく徹底的に首尾一貫したNHKへの呪詛。―なぜこの党が、参院で1議席を得たのだろうか?そもそも、N国とは何なのだろうか?
5 ネット右翼の古参兵たち
私にとってN国党の正体が明瞭に見えはじめたのは、2019年4月に行われた統一地方選挙における同党の「躍進」である(―当然もうこの段階では、何年も立花氏に会っていない)。同選挙でN国は地方議会に20議席以上を確保した。そしてその候補者は、「ああっ、懐かしい!」と私が思わず叫んでしまうような、2010年前後にネット世界のみでちょっとした有名人であった人々の顔ぶれであったことだ。
元在特会”在日特権を許さない市民の会”会員で「徳島県教祖襲撃事件(2010年―徳島県教育委員会が反日組織であるとして、事実上の在特会の関西支部”チーム関西”が同会の建物に不法侵入して職員らに危害を受けた事件)」で起訴された関係者。同じく2010年〜11年ごろ、今でいうユーチューバーとして嫌韓・ヘイトを垂れ流していた動画主(ただし、ニコニコ動画やニコニコ生放送を含む)。「アイヌなんかもういない」と発言して自民党札幌市連を除名されて落選した元札幌市議、などなど。
私にとって「見知った顔」がたくさんあった。むろん、全く知らない顔ぶれもあったが。つまり彼らの正体というのは、「2010年〜11年前後」という、ネット右翼の最盛期に、「保守論壇」には相手にされないが、動画を通じて「ネットではちょっとした有名人」だった、狭い右派社会における「ネット右翼の古参兵たち」なのである。
彼らは、おおむね2013年以降は徐々にだが確実に忘れ去られた存在であった。しかし、後年立花氏に「拾われた」のである。それはおそらく、立花氏がそのNHK呪詛というオピニオンを発露する道具として使い続けた「ネット動画の世界」でかつて目立っていたからだ。いや、立花氏が働きかけたのか、候補者から立花氏にコンタクトしたのかは不明だ。が、彼らは「今日的なネット右翼の世界」ですら、ロートルとして記憶の片隅に追いやられていた、「往時のネット右翼たち」であり、ネット右翼の古参兵たちなのである。
先に私は、『NHKから国民を守る党』はネット右翼政党ではない、と書いた。正確に言うと、「その内実は、10年近く前に隆盛したネット右翼の古参兵」である。
しかし、問題は、彼らに1票を、そして1議席を与えたのは、果たしてネット右翼なのか?ということだ。
6 ノリで投票する「政治的非常識層」
繰り返し書いたように、N国が徹頭徹尾主張する「NHKをぶっ壊す」という主張は、すでに「保守派やネット右翼」にとっては古典であり、今さら言われたところで心には響かない。NHKに対する怒りはもはやそんなに無い。よって当然投票にはつながらない。「保守派やネット右翼」は今次順当に自民党と書いたはずだ。
またしても繰り返すように、旧次世代の党と違って、N国は「保守論壇」からも「保守界隈」からもほとんど一切、援護射撃を受けていないのだ。ということは、N国に魅了される人々は何なのかというと、雑駁に言えば「2010年〜2011年前後」という、ネット右翼の黄金期に、立花氏をはじめとして彼らを「動画の中で」強烈に記憶していた古参兵が半分とみる。
しかしそれだけでは議席に届かない。もう半分は、N国候補らの政見放送をみて、思想もなく、主義もなく、主張もなく、思慮もなく「あはっ、なんか面白ーい!」という、限りなく無色透明の、「政治的非常識層」である。彼らには右か左か、右翼か左翼かという区別は当てはまらない。
N国党の政見放送を見て、「ただただ爆笑して泡沫と笑う」人々は、少なくとも「政治的常識層」である。泡沫に入れても死に票になるだけで意味がない、という判断ができる時点で政治的常識人だ。そういった人々―つまり、投票所にいるはずの、常識を持った人々が急速に消え去り、あるいは彼らの常識という足腰が急激に萎えた結果こそが、N国の1議席である。
つまりはこれらは、馬鹿げていて下品で粗野な動画を見て本気で笑う、というユーチューブ動画の視聴行為の延長版だ。動画の中で馬鹿なことをする人。動画の中で非常識で警察沙汰になるようなことをする人。そしてそれらを本気で支持したり支援したりするファン。そして動画の中の世界をこの世のすべてだと思っている人。全部つながっているのではないか、と私は思う。
7 マック赤坂氏の先行事例
その兆候は、N国が初めてではない。おりしもN国が全国的な耳目を集めるきっかけとなった2019年4月の統一地方選挙で、「スマイル党」のマック赤坂氏が港区議に当選したことだ。マック赤坂氏は善良な人だとは思うが、到底政治家としての適正はない。
その理由は、様々な理屈を駆使する必要もなく、私たちが当たり前に保持するコモンセンス、つまり皮膚感覚での常識としてあった「政治的常識」に立脚している。
マック赤坂氏は2007年の港区議会議員にも出馬している。その時の得票はたった179票。しかし2019年には1,144票を獲得。しかも、立候補者54人中30番目での当選。
この12年間で、「ただただ爆笑して泡沫と笑う」ことが「暗黙のマナー」であった、この国の有権者の「政治的常識」が崩壊し、カメラの前で馬鹿な格好をして面白いことを言う人を、「あはっ、なんか面白ーい!」という感覚だけで、実際に票を投じる人が港区だけで約1,000人増えたのである。これの国政拡大版が、N国支持者のもう半分の実相なのではないか。
つまり「政治的常識」が存在しない、思想もなく、主義もなく、主張もなく、思慮もなく、そして知性も教養もない、漠然とした「政治的非常識層」が、N国支持者のもう半分だと考えると、この国全体の、統計でも、データでも、試験でも測ることのできない、どうしよもなく後戻りのできない不可逆的な常識の溶融が進んでいると考えるよりほかない。
そう考えると私は、慄然と肌に粟を感じる。この国全体の骨格が溶けていくような、そういった恐怖を感じる。NHKが好きだとか、嫌いだとか、もうそんなことは関係がない。だって「保守派やネット右翼」のトレンドの中で、NHK攻撃はとうの昔に終わっているからだ。
私たちは今、「政治的非常識層」という新しい人種―そしてそれはたぶん、日本人全体の常識や知性が、どんよりと溶融する恐怖と共に―存在することを、眼前に見せつけられている。 
N国議席獲得で古谷経衡氏が指摘「常識が溶けていく恐怖」 7/23
参院選で、「NHKから国民を守る党(N国)」が比例で1議席獲得。「NHKをぶっ壊す!」でお馴染みの立花孝志代表が初当選したことに衝撃が走っている。
N国は受信料を払わなければNHKを視聴できないスクランブル放送の実現をひたすら訴え、比例区で98万票を獲得。得票率2%を超え、政党要件を満たした。
この結果はまず、NHKへの不満がいかに多いかの証左だ。投票2日前の19日には、NHK「あさイチ」に久米宏氏がゲスト出演。「人事と予算で国家に首根っこを握られている放送局があってはならない」と批判する場面がまたたく間にSNS上に拡散したが、図らずもN国への“援護射撃”となった。
ただ、“泡沫”扱いで黙殺されていたN国が議席を勝ち得た理由はそれだけではない。「日本人の知性の底が抜けてしまったのではないか」と指摘するのは文筆家の古谷経衡氏だ。こう続ける。
「『NHKをぶっ壊す!』との訴えは、実はネトウヨ界隈で10年前にもてはやされ、とっくに終わった主張です。N国票のうち熱心な支持者と昔を懐かしむネトウヨを合わせても4割程度でしょう。残り6割は『オモシロければいいじゃん』で投票するリテラシーの低い有権者です」
立花代表は政見放送で、3年前に写真週刊誌がスッパ抜いたNHKアナ同士の不倫報道を蒸し返し、「路上カーセックス」を連呼。この政見放送がユーチューブに転載されると、300万回以上再生され話題となった。
「過激動画がネット上に氾濫する今の時代、これまでなら『爆笑泡沫候補』とあしらわれてきた人にも『オモシロければいい』と考え、一票を投じる人が増えてしまった。日本全体で常識が溶けていくような恐怖を覚えます」(古谷経衡氏)
知性を失った“令和のエエじゃないか”に支持された議員が、今後は国政にはびこるかもしれない。 
 7/21

 

東京都選挙区 立候補者   名前 / 年齢 / 政党 / 新旧 / 当選回数 / 略歴
武見敬三 / 67 / 自由民主党 / 現 / 4回 / 党国際保健戦略特別委員長〈元〉厚労副大臣・外務政務次官▽慶大院
山口那津男 / 67 / 公明党 / 現 / 3回 / 党代表・弁護士〈元〉参院行政監視委員長・衆院議員・防衛政務次官▽東大
丸川珠代 / 48 / 自由民主党 / 現 / 2回 / 〈元〉五輪相・環境相・厚労政務官・テレビ朝日アナウンサー▽東大
吉良佳子 / 36 / 日本共産党 / 現 / 1回 / 党中央委員〈元〉党都職員・印刷会社員▽早大
○野末陳平 / 87 / 無所属 / 元 / 4回 / ゴルフ場会社会長〈元〉大正大教授・参院大蔵委員長・タレント▽早大
○溝口晃一 / 50 / オリーブの木 / 新 / ・ / オリーブの木政調会長・写真家・情報公開おおた代表▽産業能率大
○森純 / 71 / 無所属 / 新 / ・ / 〈元〉会社員▽大阪市大
○山岸一生 / 37 / 立憲民主党 / 新 / ・ / 〈元〉朝日新聞記者▽東大
○塩村文夏 / 41 / 立憲民主党 / 新 / ・ / 〈元〉東京都議会議員▽共立女子短期大学
○水野素子 / 49 / 国民民主党 / 新 / ・ / 宇宙航空研究開発機構調査国際部参事▽東大
○関口安弘 / 67 / 無所属 / 新 / ・ / 建物管理業〈元〉航空自衛官▽明大中退
○佐藤均 / 48 / 安楽死制度を考える会 / 新 / ・ / 安楽死党都副代表・登記情報会社役員〈元〉日興証券社員▽日大
○朝倉玲子 / 60 / 社会民主党 / 新 / ・ / 労組書記長〈元〉東京全労協常任幹事・東京地裁労働審判員▽東洋大
○音喜多駿 / 35 / 日本維新の会 / 新 / ・ / あたらしい党代表〈元〉都議・都民ファ都議団幹事長・化粧品会社員▽早大
○七海ひろこ / 34 / 幸福実現党 / 新 / ・ / 幸福実現党都代表・党広報本部長〈元〉NTTデータ社員▽慶大
○横山昌弘 / 76 / 安楽死制度を考える会 / 新 / ・ / 安楽死党員・防水工事会社長・保護司〈元〉小金井市議▽東京学芸大
○野原善正 / 59 / れいわ新選組 / 新 / ・ / 〈元〉学習塾非常勤講師▽琉球大院
○西野貞吉 / 83 / 無所属 / 新 / ・ / 〈元〉タクシー運転手・陸上自衛官
○大橋昌信 / 43 / NHKから国民を守る党 / 新 / ・ / N国党員〈元〉朝霞市議・配送会社員▽千葉県沼南高
○大塚紀久雄 / 78 / 日本無党派党 / 新 / ・ / 貸事務所業・日本無党派党代表〈元〉印刷紙器会社代表社員▽明学大 
勝てば官軍負ければ賊軍 
嘘も方便 
 
安倍首相の街頭演説で170センチの巨大立札が50枚以上も登場 7/21
参院選投開票日前日の7月20日、安倍晋三首相は千葉県市川市と東京・秋葉原で最後の街頭演説を行った。15日には演説中に首相へヤジを飛ばした市民を北海道警が取り押さえたこともあり、現場はピリピリムード。一方、聴衆を集めるためか大量の告知看板も登場した。
「投入した警官は数百人規模。制服警官が目立つが、実は私服警官のほうが多い。首相にヤジを飛ばす聴衆がいたとしても、ウチらは北海道警のように排除はしません。ただし、すぐさま複数の捜査員がその人間の元へ駆け寄る体制はとっています」(千葉県警関係者)
身動きが取れないほどの聴衆が集まったJR市川駅前に安倍首相が現れたのは午後6時前。だが、その3時間以上前から周辺には多くの警察官が配置され、国道から駅に向かう交差点には不審車の侵入を防ぐバリケードも置かれた。
首相は演説なかで改憲への意欲にも触れつつ、多くの時間を年金、雇用対策などで自民党がいかに功績を上げてきたかをPRした。次に民主党政権時代を批判し、最後は「昔の恋人と一緒に投票を」と今回の選挙戦で使っているお決まりのフレーズで話を終えると、聴衆の列を回って握手を求めた。
一方、市川駅の周辺には「内閣総理大臣安倍晋三来る!」などと赤字で書かれた告知看板が大量に登場した。
公職選挙法では、ポスターや立札などを使う際の細かい使用規定がある。演説会場から離れた場所に掲示する立札は最大2枚まで。大きさは縦150センチ、横40センチを超えないもので、なおかつ選挙管理委員会が交付する証票を表示する必要がある。
ところがこの日、電柱にくくりつけられていた立札のサイズは縦が約170センチメートルで、証票はどこにもつけられていなかった。
しかも、数は2枚どころではない。1本の電柱の裏表に1枚ずつ張り合わせるように付けられたものが、国道14号線沿いに約50メートル間隔で並び、その距離は1キロメートルに達した。市川駅前も含めれば、立札の数は軽く50枚を超える。
市川市の選挙管理委員会に尋ねると、「違反かどうかは取り締まり権限のある警察が総合的に判断するが、場所を確認の上、警察へ情報提供する」
続いて千葉県警市川署に聞くと、「立札の場所を確認の上、厳正に対処する」と回答。だが、「その立札が良いか悪いかや、処理結果についてはお答えできない」とのことだった。
現場を警備する警官たちの目の前にも立札は置かれていたが、首相の演説が終わっても結局、そのままだった。
首相へのヤジに過敏に反応した道警の対応には、与党内からもやりすぎではないかと疑問の声が出ている。今回も、疑問に対応しなければ、政権への忖度(そんたく)と感じる国民もいるはずだ。 
 7/20

 

安倍首相「締め演説」は秋葉原 警察官目立ち物々しい雰囲気 7/20
17日間に及ぶ選挙戦最終日の20日。安倍晋三首相が今回の参院選も締めの舞台に選んだ東京・秋葉原には、政権に批判的な聴衆のヤジを警戒してか警察官の姿が目立ち、首相が登壇した選挙カーの周囲を鉄柵で囲うなど物々しい雰囲気に。支持者が「安倍首相を応援しよう」と記したボードを掲げる一方、一部の聴衆からは「安倍辞めろ」とのコールも上がった。
首相の街頭演説を巡っては、15日に札幌市で「安倍辞めろ」などとヤジを飛ばした聴衆を北海道警の警察官が強制的に移動させ、対応が問題視されている。 
安倍総裁 「不安定な政治に逆戻りするわけにはいかない」 7/20
安倍晋三首相(自民党総裁)は20日夜、恒例の東京・秋葉原で参院選(21日投開票)の最後の街頭演説に臨んだ。首相は第1次政権時に惨敗した平成19年の参院選や、その後に誕生した民主党政権を振り返って「政治は安定を失い、経済は低迷した。令和の時代を迎え、逆戻りするわけにはいかない」と訴えた。
首相は、選挙戦の争点となった年金問題をめぐる野党の姿勢について「具体的な提案をせず、不安ばかりをあおっている」と批判した。その上で第2次政権以降の経済政策により「雇用を380万人増やし、(年金の)支え手が増えたことで年金の保険料収入も増えた」と強調し、「強い経済をつくれば年金の基盤は確かなものにできる。年金の給付額を増やしていくこともできる」と呼びかけた。
さらに、野党共闘について「共産党は自衛隊は憲法違反と言っているが、立憲民主党の枝野幸男代表は合憲だと言っている。こんな違いがあってよいのか」と指摘した。そして「(立憲は)自民党さえ倒せればよく、大切な憲法を脇に置いている。これが立憲主義なのか。名前を返上した方がよい」と強調した。 
安倍首相「勇気百倍」秋葉原で選挙遊説フィナーレ 7/20
第25回参院選は20日、選挙戦最終日を迎え、各党党首、候補者は最後のお願いに声をからした。「ヤジ対策」から、演説会場の情報が事前にほとんど公開されない「ステルス」遊説が続いた安倍晋三首相は、選挙遊説の聖地で、鬼門でもある東京・秋葉原でフィナーレ。声援と怒号が飛び交った。既成政党への不信感から、口コミで有権者の支持を増やした政治団体「れいわ新選組」の山本太郎代表は新宿で選挙戦を打ち上げた。
首相は20日、秋田、千葉、埼玉を回って東京に戻り、選挙遊説の定番・秋葉原に登場した。12年衆院選以降、連勝する国政選挙で必ず訪れる聖地だが、17年都議選の応援で、自身に批判的なやじに反応し、批判を浴びた鬼門でもある。昨年の党総裁選遊説でも、やじや怒号が飛びかった。
自民党はこの日、批判的な声を警戒し、大規模な動員を敢行。選挙カー前のエリアは、胸に黄色のシールをつけた「支持派」ががっちり固めた。その外側で、批判的なグループが「辞めろ」と大きな声で叫んだが、各所に大音響のスピーカーが配置され、首相も声を振り絞り“対抗”した。
首相は演説で、立憲民主党を名指しし「自衛隊を憲法違反という共産党といっしょにやっている」と指摘するなど、野党の選挙協力を徹底的にこき下ろした。立民の名前を「民主党」と言い間違えてきたことにも触れ「(選挙で)毎回毎回、党名を替えないでほしい。悪いのは党名ではない。自分たちなんですよ!」とののしり「負けるわけにいかない」と、対抗心をむき出しにした。
この日の聴衆は1万人以上(主催者発表)。首相は「これまでで最高。勇気百倍です」と笑顔をみせた。党本部は参院選期間中、ホームページに掲載する幹部遊説に首相の日程を載せない「ステルス作戦」を徹底。首相サイドがかなり神経質になっていることをうかがわせたが、最後のアキバも党の「組織力」で、批判の声を封じるような格好になった。 
あす投開票 1人区 激戦大詰め 与野党 「一騎打ち」 7/20
参院選は21日の投開票日に向けて、大詰めを迎えた。改選議席数1で、農村部も多い「1人区」は事実上の与野党一騎打ちの構図。中でも岩手、新潟両選挙区では接戦が続く。農業地帯を意識し、各候補者は農政もアピール。輸出拡大などを主張する与党に対し、野党は戸別所得補償制度などを打ち出す。与野党幹部も続々と現地入りしており、議席獲得への戦いは激しさを増している。
岩手
4選を目指す自民党の平野達男氏は19日、応援に駆け付けた安倍晋三首相と共に、岩手県花巻市などで支持を訴えた。専門分野の農政を踏まえ「農林水産などの政策に取り組むため、皆さんの力を貸してほしい」と強調。選挙戦では、輸出拡大による農業の成長産業化などを提起している。
岩手は、国民民主党の小沢一郎氏が強固な地盤を持ち、自民党にとっては激戦区の一つ。安倍首相の現地入りは2回目。二階俊博幹事長も応援に入るなど総力を挙げる。
同日の応援演説で安倍首相は「農業は国の基。高く海外に輸出し、農家の手取りを増やすことが大切」と強調。平野氏とともに海外への販路開拓の重要性を訴えた。
平野氏は、各地の演説で和牛やリンゴなどの県特産を挙げて「後継者不足が言われるが、岩手はもっと力を出せる」と農業票獲得に力を入れる。
「持続可能な農業、東日本大震災の復興へ、希望の一票を背負わせてほしい」と訴えるのは、無所属新人で野党統一候補の横沢高徳氏。兼業農家出身の元パラリンピック選手で、21年前の事故以来、車椅子生活を続ける。選挙戦でも、車椅子から声を張り上げる。
接戦が続く対立候補は農政通だが「農業への思いは人一倍強い」と強調。18日は水田地帯の遠野市などで演説を重ねた。国民民主党の玉木雄一郎代表が応援に駆け付け「今の政治は米政策含め、持続可能な農業のためになっていない」と指摘。横沢氏と家族農業の重要性などを訴えた。
大船渡市での演説会には農家や地域住民ら約200人が参加した。「バリアフリー化の視点で見える課題を解決したい」と訴えると、「そうだ」の声と拍手が巻き起こった。
NHKから国民を守る党から梶谷秀一氏が立候補している。
新潟
3選を目指す自民党の塚田一郎氏は、稲作地帯を多く抱える新潟県だけに農業票の獲得を重視。道路整備を巡る自身の“忖度(そんたく)発言”の謝罪をしながら、米の輸出をはじめ農政の訴えに力を入れる。
「ご迷惑をおかけした」。450人が集まった18日の柏崎市での個人演説会は謝罪から始まった。その上で水田農業の将来像などに言及した。
中国への県産米の輸出再開を踏まえ「中国の米の需要量は日本の20倍。高くてもおいしいコシヒカリが食べたいという人がいる」と説明。安倍政権が推進する農産物の輸出拡大の重要性を改めて強調した。
新潟を激戦区と位置付ける自民党は、安倍首相と菅義偉官房長官が既に2回現地入りした。閣僚や党幹部が相次いで応援に訪れており、議席確保に執念を燃やす。
無所属新人で野党統一候補の弁護士、打越さく良氏は19日、新潟市内で街頭演説を重ねた。選挙戦が終盤に入る中、「接戦だが、相手候補に追い付いていない。どうか勝たせてください」と訴えた。
弁護士として貧困問題などに携わってきた経歴を踏まえ「アベノミクスの下でひどくなった貧困、格差、不平等と徹底的に戦う」と強調した。
農業分野では戸別所得補償制度の復活などを掲げる。公示日以降、中山間地域や家族農業など、多様な担い手を守ることができていないと安倍政権の農政を問題視。政策転換を訴えている。
21日の投開票日に向けて、選挙期間の折り返しとなった12日は、立憲民主党の枝野幸男代表が現地入り。終盤に向けての支持拡大を呼び掛けた。
NHKから国民を守る党から小島糾史氏が立候補している。  
改憲勢力、85議席で3分の2=参院選、注目の数字 7/20
21日投開票の参院選は、安倍晋三首相(自民党総裁)の今後の政権運営を左右する。目標とする2020年の改正憲法施行へ、改憲に前向きな勢力が国会発議に必要な3分の2を維持できるかが焦点。与党が改選議席の過半数に達するかや、野党が3年前の戦績を超えられるかも注目される。
今回の参院選は124議席で争われ、非改選を合わせた定数は245。改憲の国会発議に必要な3分の2は164となる。自民、公明両党と日本維新の会に、改憲に賛同する無所属議員を加えた「改憲勢力」の非改選議席は計79のため、自公維で85議席を獲得すれば改憲ラインに達する。
自民党は大勝した13年参院選の当選組が改選を迎えるため、議席維持は高いハードル。ただ、現在の情勢は、全体の勝敗を左右する改選数1の「1人区」や改選数2以上の「複数区」、比例代表ともに堅調だ。公明、維新も改選議席を上回る勢いで、3党で85に到達する可能性は捨てきれない。
首相は選挙戦で「議論する政党か、審議を拒否する政党かを選ぶ選挙だ」などと繰り返し主張。改憲ラインに届かなくても、議論に前向きな国民民主党を切り崩す構えだ。
改選過半数は63
首相は勝敗ラインについて、非改選を含めて過半数(123)が確保できる与党53議席と設定している。公明党が目標とする13議席を獲得すると仮定すれば、自民党は40議席でクリアできる計算。だが、改選議席を20以上減らせば「党内から批判が上がる」(閣僚経験者)のは必至とみられる。
これに対し、二階俊博幹事長は改選過半数の63が「最低の目標」と指摘。首相側近の萩生田光一幹事長代行や公明党も同調する。自民党が50議席を超えれば、首相は求心力を保てそうだ。自民党単独で過半数を維持するには67議席が必要で、執行部からは「不可能」との声が出ている。
野党、1人区11勝が目安
立憲民主、国民、共産、社民の主要野党は、32ある1人区全てで統一候補を擁立した。立憲の枝野幸男代表は「全員当選を目指す」と勝敗ラインを明示していないが、同党幹部は「前回より一つでも多く取りたい」と語る。今回と同様に共闘した16年参院選では11勝21敗と一定の成果を挙げており、この数字が目安となりそうだ。 
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安倍首相、改憲・共闘批判に力=野党は年金と消費税−党首の訴え 7/19
21日投開票の参院選に向けた各党党首の演説には頻繁に言及する「定番」がある。安倍晋三首相(自民党総裁)は宿願の憲法改正を訴え、野党共闘を批判。主要野党は、老後資金不足問題で不安が広がる年金制度と、10月に予定される消費税増税の見直しで対抗している。
「未来に向かって議論する政党か、野党のように責任を放棄する政党かを決める選挙だ」。首相は19日、青森県弘前市の街頭でこう強調した。
首相は今回、改憲論議の是非を争点に掲げる。参院選で勝利して改憲への反対姿勢を強める主要野党に議論を迫る展開を描いている。
首相は、立憲民主党が合憲とする自衛隊を、共産党は違憲だと主張していると指摘。「政策はバラバラ。あの(民主党政権)時代に戻ってしまう」と共闘への疑念をあおろうとしている。
年金をめぐっては、老後資金問題に直接触れず、年金積立金の運用益が53兆円に上るとしてアベノミクスの成果を誇示。有権者の不安を打ち消そうと「強い経済で年金の財政基盤を強くし、年金額を増やせる」と強調する。消費税に関しても「低年金の方に10月から年最高6万円を給付する」とアピールするが、税率引き上げは語らない。
一方、首相は農業政策には踏み込まない。19日も「青森と言えばリンゴ。輸出は4倍に増えた」と話した程度だった。参院選後にヤマ場を迎える日米貿易交渉をめぐり、首相がトランプ大統領に農産品での譲歩を「密約」したともささやかれ、農業の発言には慎重になっているとみられる。
公明党の山口那津男代表は消費税増税への理解を促すことに重点を置く。安定財源を確保し、教育無償化や全世代型社会保障を実現すると主張。19日は、増税に併せて導入される軽減税率に関し「生活減税と言ってもおかしくない」と述べた。
これに対し、主要野党は参院選を「増税に対する国民投票」(立憲幹部)と位置付け、増税の凍結・中止で足並みをそろえる。アベノミクスによって貧富の格差が広がったと分析。街頭では大企業や富裕層への課税強化を唱え、不公平感を抱く国民心理に訴える。
年金不安の再燃を踏まえ、2007年参院選で野党を大勝に導いた「消えた年金記録」問題の再現も狙う。立憲の枝野幸男代表は19日、仙台市の街頭で「年金だけで老後は大丈夫なのか、多くの皆さんが不安を抱えている」と強調した。ただ、年金の給付水準を自動的に抑制する仕組みの「マクロ経済スライド」をめぐり、理解を示す立憲と、廃止を求める共産、社民の違いも露呈した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、アベノミクス下で「賃金は増えていない」とし、「家計第一の新しい経済政策」を訴えている。
首相が目指す改憲は、共産、社民両党が「海外で無制限の武力行使が可能になる」(志位和夫共産党委員長)と非難し、改憲発議阻止を訴える一方、立憲、国民両党は深入りを避けている。
野党共闘と一線を画す日本維新の会の松井一郎代表は、行財政の「身を切る改革」を前面に打ち出している。  
新潟選挙区で、安倍首相と枝野代表の対照的な“応援演説バトル” 7/19
被災地支援、観光対策を訴えた安倍首相
参議院選挙新潟選挙区では、「忖度道路」発言で国交副大臣を辞任した現職の塚田一郎候補と、「脱・忖度政治」を訴える野党統一候補の打越さくら氏が激突し、全国有数の激戦区となっている。与野党幹部が続々と応援に駆けつけ、安倍首相と枝野代表の“応援演説バトル”も繰り広げられた。
先陣を切って現地入りをしたのは安倍首相。告示翌日(7月5日)に山形沖地震の被災地・村上市に入り、ライフラインの復旧などに取り組むことを約束し、温泉地での宿泊キャンセルが相次いでいることを受けて観光消費への割引対策実施も表明。その直後に安倍首相は塚田氏への支持を訴えた。
「(山形沖地震の)発災後、塚田さん、大活躍です。やはり新潟で生まれ、育ち、そして、やがては新潟の土になっていく。誰よりも新潟を愛する男、塚田一郎。本当に頑張ってくれたと思います。でもこの選挙、大変厳しい戦いであります。相手候補、いきなり県外からやって来て。塚田さんは新潟で生まれ育って、新潟のために頑張りたいという思いでこの選挙に出ている。一方、相手の候補は議員になるために新潟に来た人物なのです。どっちが皆さん、新潟のためになるのでしょうか(聴衆から「塚田さん!」と言う声)。そうなのです。でも厳しい戦いなのです。皆さんのお力を塚田一郎に結集をしていただくようによろしくお願いいたします」
「アベノミクスの成果」を強調
まさに、安倍首相は震災復興対策を“人質”に塚田氏への投票要請をした形だ。6月29日には、土地改良事業(農業土木)予算を増額させた二階幹事長が、事業関係者を前に「選挙で頑張ったところには予算をつける」と発言している。国家予算を選挙対策費として使う、利益誘導選挙を実践していたのだ。
続いて安倍首相は、6年半のアベノミクスの数字を以下のように列挙した。
・ 380万人の雇用を創出
・ 6年連続の過去最高の賃上げ
・ 外国人観光客4倍増で3000万人
・ 農林水産物輸出が9000億円
・ 有効求人倍率が全国で1倍を突破
ただし、この主張については、
・ 雇用創出の内訳のうち55%が非正規労働で、ワーキングプア層が多いとみられること
・ 6年連続の賃上げというがこれは春闘実績で物価上昇を加味した実質賃金では低下していること
・ 外国人観光客増は円安誘導による「爆買い」的なアジア圏からの観光客が中心で、主力層の中韓への外交の行方次第では伸び悩むことが予想されること
・ 有効求人倍率は団塊世代の退職など生産年齢人口の減少が主因であり、雇用増も引退した高齢者の短時間労働者が多いこと
などは各紙でもファクトチェックされている。

安倍首相は、年金問題について次のように訴えた。
「年金においても、この参議院選挙、大きな議論になっています。野党は財源についてまったくお話をされていない。具体的でないことしか言っていません。不安ばかり、煽っている。年金は皆さんの大切な老後の生活の柱です。しかし、その財源は現役世代の保険料の負担と、そして税金であります。この負担を上げることなく、年金額を上げることはできません。残念ながら打ち出の小槌はないのです。そうなると、私たちは財源をつけて厳しい方々に政治の光をあてています。例えば、低年金の人たちに対して、この消費税を活用して、年最大で6万円の給付金を10月から行います。また介護保険料を払っていらっしゃる方がたくさんいると思いますが、これは10月から負担を3分の2に縮小してまいります。私たちはできること、財源を見据えてしっかりと行ってまいりたいと思います」
またいつもの民主党政権時代批判
さらに、雇用創出について触れながら年金問題につなげてもいた。
「この6年間、私たちの経済政策で新たに380万人の方々が仕事についた。働き始めたのです。その結果、支え手が、保険料を払っている方が約400万人増えたのです。ということはそれだけ、保険料収入が皆さん、減らずに増えてきた。そして6年連続、今世紀に入って過去最高の賃上げが続いた結果、やっぱり保険料収入も増えますよね、給料が上がったわけですから。そして、この4月、皆さんの年金、増やすことができた。そして年金を株式市場で運用をしています。民主党政権時代は株価の平均が1万円を大きく割っていた。でも今、2万円を越えていますね。その結果、運用益が44兆円になったのです。民主党政権時代の10倍です。皆さんの年金の財政の基盤を厚くしています。年金の財政をしっかりと確保していく。それは強い経済を作っていくことによって、十分に可能であることも申し上げたいと思います」
農業政策についても同じ調子だった。
「農業においては例えば、農林水産物の輸出額がある。連続6年間で過去最高を記録して絶好調です。9000億円になりました。(第二次安倍政権が)スタートして倍になった。新潟県のおコメ、輸出が10倍に増えています」
最後に「あの時代に逆戻りするわけにはいかない」と強調、再び塚田氏への支持を呼びかけた。
「12年前の参院議員選挙、私が自民党の総理総裁の時、自民党は惨敗しました。国会は捩れて政治は安定を失い、あの民主党政権が誕生した。決められない政治、バラバラ、経済は低迷した。(中略)あの時代、悔やんでも悔やみきれないではありませんか。あの時代に逆戻りするわけにはいかない。どうか、そのためにも塚田一郎を勝たせていただきたいと思います」
「株価は倍に、貿易は黒字なのに国民の暮らしは良くなっていない」と枝野代表
安倍首相が新潟入りした7日後の7月12日、立憲民主党の枝野幸男代表が新潟県長岡市で打越さくら候補の応援縁説をした。安倍首相が「政治の安定」を強調したのを受けて枝野氏は「安倍忖度政治からの変化」を呼びかけていた。
「安倍さんは『この選挙で問われるのは政治の安定だ』と。いや、文書が改竄される、隠蔽される、ごまかされる。こんな政治を安定させていいのですか。強い者に、総理官邸に、忖度ばかりをする政治を安定させていいのですか。この6年どうですか。そして長岡に暮らす、新潟に暮らす皆さんの暮らしはこの6年、良くなってきましたか。(「良くなっていない!」の声)良くなっていない政治を安定させたらダメじゃないですか。おかしいのですよ。株価は倍になっているのですよ。日本の企業収益、大きな企業の儲けは過去最高になっているのです。だから一部はたしかに安倍さんのおかげで潤っているのです。でも、それはごくごく一部ではないですか。例えば、新潟県に、長岡市にその恩恵はどれくらい来ているのですか。平成の30年間を見てみても実は、日本の国は豊かになっています。実は国内の景気は悪いけれども、外国との取引ではずっと黒字を積み重ねてきた。外国との取引で黒字を積み重ねてきたことは、国としての日本は豊かになっているはずなのです。それなのに、皆さんがその実感を得られていないとすれば、どこが悪いのですか。政治がおかしいのではないですか。自分の身近な強い者、豊かな者、そうした人の声しか入らない。だから強い者、豊かな者をより強く豊かにする政策しか進められていない。その結果のしわ寄せを皆さんが受けているのではないでしょうか、皆さん。豊かな国のはずなのに、この国で子育てをもっと安心してできないとおかしいのですよ。政治の流れ、政策の流れを変えましょうよ。一人一人の暮らしを支えるところに政治の支点を置き換えていけば、必ずこの国は良くなる。長岡も新潟も良くなります」
農業、介護、保育への予算拡充を訴えた
農業政策では、民主党政権時代の戸別所得補償制度の復活を訴えた。
「農業は単なる金儲け、単なる国際競争ですか。土地を守り、水を守り、緑を守り、そして国民の安心安全な食を支えているじゃないですか。その農業を安定して営めない国に未来があるはずがありません。しっかりと戸別所得補償制度で、農業と農家をしっかりとしていきましょう」
続いて枝野氏は、都市と地方の格差拡大を招いたアベノミクスから、草の根経済への転換を訴えた。
「介護職員の皆さん、保育士さん。『少子高齢化が問題』と言われながらも、低賃金で重労働、人手不足。そして都市と地方の格差がどんどん広がっている。先日、青森の保育所に行ったら、保育士の方が資格を取っても首都圏の保育所にどんどん取られてしまう。新潟もそうじゃないですか。今は保育士さん、次が介護職員さん、看護士さんです。財政力のある中央が、都市が、その財政力を背景に、人手不足の分野に『お金をもっと出すから来てください』と言って。高齢者は地方にいる。地方でも子育てができないといけないのです。医療や介護や保育や、日本中どこに住んでいてもしっかりとしたサービスを受けられないとならない。それなのに財政力のある都市に、どんどん人が引っ張られる。若い人は取られるわ、高齢者の介護は任せられるわ、こんな国でいいのですか。しっかりと、こうした仕事を支えていく。そのための予算はもっと国が拡充をして、地方にそのお金をしっかりと流していこうじゃありませんか。農業や介護や保育は、必ずその土地と結びつかないとできない仕事です。そうした皆さんの所得を底上げして、そうした皆さまが地域でお買い物をすることで、地域の経済が回り始めるのではないですか。そういう草の根からの、一人一人の家計からの経済へと切り替えていけば、もっともっとこの国は良くなる。皆さんがもっと豊かさを実感できる国に、この選挙を通じて変えて行こうじゃありませんか」
上のほう、強い者ばかり見ている“忖度政治”を終わらせる
そして最後にこう結んだ。
「まさに(与党は)上のほう、強い者ばかり見ている、その原形の忖度政治の象徴として新潟が注目をされています。一方の打越さくらさんは、一番厳しい立場にある人たちを支える弁護士を一生懸命やってきた。どちらが、あなたの側に寄り添える政治家なのか。答えははっきりしているのではありませんか」
枝野氏は最後に立憲民主党誕生当時の決め台詞「あなたの力が必要です」を連呼、演説を締めた。
「この選挙を勝ち抜くためにはあなたの力が必要です。あなたの力が必要です。あなたの力が必要です。ぜひ、皆さんの力を結集して長岡から新潟から、一人一人が真の豊かさを実感できる新しい時代を切り開いていきましょう」
参院選新潟選挙区で、対照的な応援演説を行った安倍首相と枝野代表。どちらに軍配が上がるのだろうか。  
参院選三重選挙区 首相再び、吉川氏応援 芳野氏は鈴鹿に遊説集中 7/19
安倍晋三首相は18日、参院選三重選挙区(改選数1)に立候補する自民党現職、吉川有美氏(45)の応援で来県し、四日市市内で街頭演説。「吉川をもう一度勝たせてほしい」と訴えた。一方、野党統一候補で無所属新人の芳野正英氏(44)は、報道各社が「吉川氏の優位」と伝える鈴鹿市内に集中して遊説を展開。「鈴鹿で勝てば必ず逆転できる」と支持を求めた。
安倍首相の来県は四日の公示後、二度目。伊勢、松阪、鈴鹿、桑名の4市を巡った12日とは対照的に、今回は四日市市に絞った。四日市市の情勢が厳しいと判断し、てこ入れを図る狙いがあったとみられる。
安倍首相は正午ごろ、同市諏訪栄町の近鉄四日市駅前で開かれた吉川氏の街頭演説に出席。約千人(主催者発表)の聴衆に「大変な激戦となっている。まさに横一線の戦い」と情勢の厳しさを強調した。
その上で「共産党は、自衛隊を解消すると言っている。対抗馬は、その共産党に応援されている」と芳野氏を批判。「災害のときにどうするのか。そんな候補者に負けるわけにはいかない」と語気を強めた。
演説後は吉川氏とともに商店街を練り歩き、通行人とハイタッチした。地元の若者とラーメン店で昼食を取った後、吉川氏と諏訪神社を参拝して必勝を祈願。滋賀県近江八幡市に向かった。
芳野氏はこの日、鈴鹿市内を選挙カーでくまなく巡った。午前8時ごろから午後6時前まで、駅前や住宅地、神社など約20カ所を訪れ、中川正春衆院議員や地元選出の県議らと演説に立った。
芳野氏は同市一ノ宮町の都波岐神社前で「経済の効率だけを求める政治を変えないと、格差が拡大して地域に住み続けることができなくなる。格差をなくし、福祉を充実させて暮らしを守る」と決意を語った。
その上で、報道各社の選挙情勢で芳野氏の厳しさが伝えられていることから「現職の相手候補に一歩足りない。残り3日、皆さんの力で声を広めていただき、あと一歩を押し上げてほしい」と支持を訴えた。
同市自由が丘二丁目の公園で応援演説した藤田宜三県議は、芳野氏を「衆院議員の秘書として政治の世界を歩いてきた。即戦力になる」と評価。「とにもかくにも国政に送ってほしい」と住民らに支援を求めた。 
なぜ安倍首相は「憲法改正」を正面からうたうようになったのか〜田原総一朗 7/19
参議院選挙の投開票が7月21日に実施される。各政党の党首らが全国の街頭で演説を繰り返すなど、激しい選挙戦が展開されている。ジャーナリストの田原総一朗さんは今回の参院選でどこに注目しているのか。話を聞いた。
これまでの選挙と違う安倍首相の演説
第2次安倍政権が2012年12月に誕生したときから数えて、国政選挙は6回目になる。今回の参院選は、これまでの5回と全く違う。それは、自民党総裁である安倍首相の言動だ。
これまでの選挙で、安倍首相は「経済政策」を前面に打ち出す戦略を取っていた。「アベノミクス」や「異次元の金融緩和」などのキャッチフレーズを使い、経済への貢献をアピールしていた。
実際の安倍政権は、特定秘密保護法や安保法制、共謀罪など安全保障に関わる重要な法案を成立させてきたが、選挙になると、それについては一切言わなかった。安倍首相の悲願である憲法改正についても選挙では触れなかった。
ところが、今回の参院選は様相が違う。安倍首相は街頭演説で「憲法改正」を真正面からうたい、「安全保障」について堂々と持論を述べている。これまでの選挙とは違うのだ。
なぜか。それは「世の中が大きく変わった」と安倍首相自身が考えているからだろう。
これまでの日本では、昭和の戦争に対する反省から「戦争反対」「反戦平和」が大きな潮流だった。
この反戦平和の中心に存在する代表格が朝日新聞と言えるが、ここへきて「朝日新聞批判」が言いやすくなった。書店に行くと、『新聞という病』(門田隆将)や『朝日ぎらい』(橘玲)といった本が並んでいる。
また、日本という国の歴史はいかに素晴らしいのかを語っている『日本国紀』(百田尚樹)が65万部のベストセラーになっている。これまで、昭和の敗戦体験から「日本はいかに間違ってきたか」という言説が広く浸透してきたことからすると、隔世の感がある。
背景には、日本の国民の多くが「戦争を知らない世代」となったことがある。この国は「いい国」だと思いたい。いい国と呼べるためには、強い国のほうがいい。そう考える人が増えているということだ。
世論調査を見ても、安倍内閣に対する批判が強いのは70代以上で、30代以下は安倍支持が多いという傾向が出ている。
安倍首相もそのような「変化」に気づいたのだろう。そこで、今回の参院選では「憲法改正」を正面からうたうようになったのだ。
意外なのは、「憲法改正」を前面に打ち出した安倍首相に対する批判がそれほど強くないことだ。実は、現在の野党の中に「真の護憲派」がほとんどいないと言える。立憲民主党の枝野代表も、安倍首相と方向性は違うが、憲法改正の必要性を否定しているわけではない。
このような状況を背景に、安倍首相は選挙戦でも「憲法改正」を正面から口にするようになった。
悲願の憲法改正は実現するか?
では、参院選の後、安倍首相は念願の憲法改正を実現できるかと言えば、それは難しいだろう。
憲法改正のためには、まず国会議員の3分の2以上の賛成による発議が必要だ。自民・公明の与党議員に加え、憲法改正に積極的な維新が同調すれば、3分の2以上を超えるという見方があるが、公明党の本音は憲法改正に反対のはずだ。そうなると、安倍内閣での憲法改正は難しいのではないか。
そもそも、本気で憲法改正を実現したいのならば、安倍首相だけでなく、自民党の候補者たちがそれぞれの選挙区で「憲法改正」に関する持論を語るべきだ。「憲法を改正したら、この国のここがよくなる」というメリットを正面から口にするべきだ。
しかし、僕が見る限り、自民党の議員たちは憲法改正の議論から逃げている。議員たちが憲法改正から逃げていては、国民が賛成するわけがない。  
反安倍リベラルの正体:「民主党的なもの」との決別を 7/19
他人より優位に立ちたいだけ
国政選挙が近くなるとまたぞろ「保守」「リベラル」の論争が盛んになる。2017年の衆議院議員選挙の際には「保守」について語られたが、今回はどちらかと言えば「リベラル」について語られている。
特に「反安倍」を標榜するリベラルは「何故、リベラルが支持されないのか」と自問自答しており、それについてはこのアゴラでも取り上げられた。
では何故、リベラルが世論から支持されず安倍政権に国政選挙で敗北し続けているのだろうか。その答えは簡単だ。リベラルではないからだ。「反安倍」リベラルの正体はリベラル用語を振りかざして他人を攻撃する「こんな人たち」に過ぎない。
彼(女)らにとってリベラル用語は他人より優位に立つための道具であり、俗っぽく言えば「水戸黄門の印籠」である。
時代が時代ならば、例えば1930年代の日本やドイツに「こんな人たち」がいたならば、彼(女)らは「国体」や「人種」について熱弁していたに違いない。
現代の「こんな人たち」は自らが優位に立つために物事を「被害者/加害者」「弱者/強者」の二項対立の図式にあてはめ彼(女)らが考える「被害者」「弱者」への同調を強制する。
同調を強制するのだから「こんな人たち」が唱えるリベラルな社会では個人の意見は尊重されない。常に「こんな人たち」を意識して生活しなくてはならない。
「こんな人たち」が唱えるリベラルな社会とは個性豊かな社会ではなく「リベラルであること」が強制される画一的な社会であり、そこに自由などない。
悲しいことに今「こんな人たち」が跋扈できる環境が整っている。
SNSの爆発的発展によって最悪な意味での「類は友を呼ぶ」現象が成立し自己抑制に課題がある者同士が交流できるようになった。
控えめに言って彼(女)らは少数派だが行動力があり、また、SNSを通じて多数を動員し特定個人をピンポイントで攻撃する。
リベラル用語を振り回す「こんな人たち」はともすれば日本の自由・民主主義社会をあらぬ方向に導く恐れがある。
「こんな人たち」という絶妙な表現
周知のとおり「こんな人たち」とは2017年の都議会選挙の応援演説の際に安倍首相が演説妨害者に対して放った言葉である。
演説全体を聞けば侮蔑を意図して発言したわけではないことは明らかだが、反安倍、特に朝日新聞は得意になってこの言葉を引用して安倍首相による「国民の分断」とか「政権党の度量」云々を強調している。
完全なるミスリード、フェイクニュースの類だが朝日新聞は「利用できる」と思ったのだろう。そして得意になって引用している朝日新聞もまた「こんな人たち」と言わざるを得ない。もう報道機関であることを辞めたのだろう。
この朝日新聞による安倍批判の一環としての「こんな人たち」の強調がどれほど効果があるのかわからないが、筆者は「反安倍」リベラルを現す言葉として「こんな人たち」は絶妙な表現だと考える。
演説妨害者に対して放たれた「こんな人たち」だが真面目に考えれば彼(女)らの活動は犯罪であり、何よりも反民主的行為に他ならず「日本版突撃隊」とか「全体主義者」と批判する方が適切である。しかし、どうだろうか。仮に安倍首相が演説妨害者に対して「日本版突撃隊」とか「全体主義者」と批判したら、演説妨害者は案外、気分を良くして舞い上がってしまうのではないか。
これは不良少年が「お前はヤクザみたいだ」と批判されたら「自分はヤクザと同じくらい強くて恐れられている」と勘違いし増長してしまう心理と同じである。
「こんな人たち」はリベラルを自称しているがリベラルな社会を建設する能力などなく「リベラルの敵」と対決することで自らのリベラル性を証明する。
だから「リベラルの敵」たる安倍首相当人から批判されることは彼(女)らにとって自らがリベラルであることの最高級の証明に他ならない。ましてや歴史的存在に例えられて批判されれば、それはもはや「活力」である。
しかし、安倍首相の口から出てきた言葉は「こんな人たち」であり、そこに品性はなくだからと言って下品でもない。平凡さに滑稽さが加わったような言葉であり「反安倍」リベラルから放たれる嫌悪感とくだらなさを一言で絶妙に表現していると言えないか。
「民主党的なもの」との決別を
今「こんな人たち」が野党の周辺を衛星のように回り、機会をうかがい野党を跳躍台にして国政に介入しようしていることは否定できまい。
野党は「こんな人たち」の跳躍台の役割を果たすことがないことを証明するためにも安倍首相に対する演説妨害に対して非難声明を出すとか、思い切って与野党共同の非難声明を発表することも提言すべきではないか。この場合、野党第一党の立憲民主党の責任は大きい。
しかし、残念なことにそれは期待できない。立憲民主党の枝野代表は、安倍首相を意識して「『こんな人たち』に集まっていただいています」と演説したほどだし、選挙妨害も積極的に非難していない。
立憲民主党の「こんな人たち」への奇妙な態度・姿勢は同党の党是である「立憲主義の回復」に疑念を抱かせるものである。
立憲民主党が政権与党になり「立憲主義が回復される」と「こんな人たち」が我が物顔で闊歩する社会がやってくるのではないか。
枝野代表を批判すればたちどころに朝日新聞を始めとしたリベラル系メディアの記者が予告なし自宅や職場に大挙して押し寄せて「取材」の名目で威圧してきて親族・友人関係が破壊されてしまう、あるいは地域社会から孤立してしまうのではないかと不安を抱いてしまうのが筆者の噓偽りなき本音である。
さて、立憲民主党だが、よく見れば菅直人内閣の主要メンバーで運営されており、民主党左派と言ったほうが正確である。そして「民主党」と表現出来る限り立憲民主党にも「こんな人たち」と同様の滑稽さがある。まさか「民主党は滑稽な存在ではない」という者はいないだろう。
要するに立憲民主党と「こんな人たち」は同根・同類であり活動場所が国会の「内と外」の違いに過ぎない。そしてこの両者をまとめて表現するならば「民主党的なもの」である。
もはや民主党は存在しないが「民主党的なもの」は存在している。立憲民主党と「こんな人たち」がそれであり、両者は隙あらば日本の民主主義を混乱させようとしている。
この「民主党的なもの」がある限り日本の民主主義は動揺し、外交・安全保障・内政の全ての政策分野で膨大な時間を浪費されるだけである。だから日本の未来は「民主党的なもの」から離脱した先にある。
2019年は民主党政権誕生から10年を迎える。数字として切りも良く、民主党政権を思い出すのにちょうど良い。そこで民主党政権時代、安倍首相の言葉を借りるならば「悪夢」を思い出しながら参議院議員選挙を通じて「民主党的なもの」との決別を図るべきである。  
安倍首相の演説をヤジった人を警察が強制排除 職権乱用で刑事告発 7/19
札幌市中央区で7月15日に行われた安倍晋三首相の参院選の街頭演説の際、演説中にヤジを飛ばした市民を北海道警の警官が取り押さえ、演説現場から排除したことが波紋を広げている。SNSなどでは「言論封殺」「意見表明の自由を侵害している」などと炎上。
北海道警の警官らによる市民への排除、拘束が特別公務員職権濫用罪(刑法194条)と公務員職権濫用罪(刑法193条)に該当するとして、東京都在住の男性が19日までに札幌地検に刑事告発したことがわかった。
選挙演説のヤジに対する強制排除、拘束という前代未聞の事件。最初に排除された男性市民は安倍首相から20mほど離れたところから、「安倍やめろ、帰れ」と叫んだところ、警官が突進。男性を取り囲んで、その場から排除した。その後、女性市民に対して警官は2時間以上も尾行、つきまとったという。
また「増税反対」と叫ぶ女性も、後方から警官が抱きかかえるように聴衆から引き離された。最初に排除された男性はインターネットのサイトに、その時の模様をこう書いている。
<ものすごい速度で警察が駆けつけ、あっという間に体の自由が奪われ、強制的に後方に排除されてしまった>
北海道道警のあるOBはこう話す。
「首相の選挙演説というのは、警備ランクでは最重要なもの。警備の中で市民を引き離したりするのは、『お願い』『ご理解』と言われている。だが、今回は引き離し、拘束しているんでしょう。予め、ヤジを飛ばしそうな人に目星をつけてマークしていたはず。それでなきゃ、すぐにたくさんの警官が駆けつけられません。首相の選挙演説ですから、道警だけでは判断できない。警察庁などから指示があったんじゃないのかな」
告発した男性は本誌にこう語った。
「選挙演説にヤジを言っただけで、排除、拘束というのは意見表明すら許さないという安倍政権の意思かと感じました。選挙演説でのヤジだけで、警官がこのような行動に出て、拘束までした。実質的には逮捕と同じじゃないか。法的に問題があると、警察ではなく、検察に告発することにしました」 
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首相が東北2巡目 激戦の宮城、山形てこ入れ 危機感あらわ野党批判 7/18
21日に投開票が迫る参院選で、自民党総裁の安倍晋三首相は17日、野党統一候補との競り合いが続く宮城、山形両選挙区の自民現職の応援に入った。首相の東北てこ入れは2巡目。全国で与党優勢が伝えられる中、東北の激戦区を転戦した首相は危機感をあらわにし、災害対応の実績や野党批判を繰り返した。
安倍首相は同日昼、山形市役所前で街頭演説を実施。山形選挙区を「最大の激戦区」とあおり「相手候補の背中がようやく間近に見えてきた。あと4日間で逆転勝利に導こう」と声を張り上げた。
新潟・山形地震が18日で発生から1カ月になることを念頭に、両県で導入した宿泊費補助制度に言及。働き掛けたのが山形選挙区の自民現職だと強調し「こういった大変な仕事をしっかり実行している」と持ち上げてみせた。
遠藤利明元五輪相(衆院山形1区)もマイクを握り、15日深夜に甘利明党選挙対策委員長から電話で首相の山形入りを告げられたことを明かした。「総理が『何としても勝たせたい』と足を運んだのが山形だ」と声を張り上げ、約2000人の聴衆に訴えた。
その後、宮城に入った首相は多賀城、大崎、石巻3市でマイクを取った。石巻市の大型商業施設前では約1000人の聴衆を前に「現段階で現職は2位。(改選数が1になった)宮城では1位にならないといけない。逆転まであと一歩だ」とまくし立てた。
2011年の東日本大震災時、自民が野党として震災対応に当たったことを引き合いに「あの悔しさが原点だ」と強調。現職候補がみなし仮設住居を巡る法整備を実現させたとし「現場主義を貫いてきた。本当に努力し、復興を支えてきたのが現職だ」とアピールした。
JR多賀城駅前での演説では野党共闘に言及。「できもしない約束を並べることは簡単だ」と批判。旧民主党政権を引き合いに「令和の時代に東京五輪・パラリンピックを控える中、あの時代に逆戻りするわけにはいかない」とボルテージを上げた。  
安倍首相が激戦新潟で“安倍麻生道路”忖度発言の塚田一郎候補を大応援! 7/18
「令和を忖度政治の時代するのか」が問われているように見えるのが、参院選新潟選挙区(改選1)。“安倍麻生忖度道路”発言で国交副大臣を辞任した現職の塚田一郎候補と、脱・忖度政治を訴える野党統一候補の打越さく良候補が激突する注目選挙区だが、「忖度議員は絶対に落選させない」と言わんばかりの安倍政権の姿勢が伝わってくるのだ。
告示日(4日)とその翌日(5日)には、忖度された側の麻生太郎・財務大臣(自民党副総裁)と安倍首相が駆け付けたかと思うと、翌々日(6日)には政権ナンバー2の菅官房長官、そしてラストサンデー(14日)には人気抜群の小泉進次郎・厚労部会長が応援演説をしたのだ。
自民党大物議員の連日の新潟入りにも驚くが、なりふり構わぬ応援演説にもビックリ仰天だ。5日の街宣で安倍首相がまず訪れたのは、山形県沖地震被災地の新潟県村上市。そしてライフライン復旧などの震災復興に取り組むことを約束、市内の温泉地で宿泊キャンセルが相次いでいることを受けて宿泊代や観光消費への割引対策実施を表明した直後、「皆さんの力を塚田一郎に結集をしていただくようによろしくお願いします」と訴えたのだ。
国家予算の私物化(選挙対策への流用)ではないか。国政選挙とは関係なしに実施すべき震災復興対策を“人質”にして、自民党公認候補への投票を呼び掛けたからだ。
16日にも安倍首相は2回目の新潟入りをして4カ所で応援演説。ここでは、山形県沖地震に伴う宿泊キャンセルが県内全域に及んでいると強調した上で、先の割引対策実施を紹介、その直後に塚田氏への支持を訴えた。
参院選向け集会で「選挙で頑張ったところには予算をつける」と発言した二階俊博幹事長と安倍首相がぴったりと重なり合う。「全国土地改良事業団体連合会」会長の二階氏は、民主党政権が戸別所得補償制度導入で減らした「土地改良事業」(農業土木事業)予算を、第二次安倍政権下で増やした“剛腕利益誘導型族議員”だが、重要な選挙での得意技は、農業土木予算増の恩恵を受ける土地改良区関係者に自民系候補への投票を呼び掛けることだ。これを今回の参院選でも実践、6月29日の徳島での発言を毎日新聞が「二階幹事長「選挙やってくれたら予算つけるのは当たり前」」と題して報じたのだが、その6日後に二階氏を直撃して「選挙応援と予算が一体の発言を撤回しないのか」と聞いたが、「そんなことはない」と拒否した。
土地改良事業費と震災復興費の違いはあるが、国家予算を私物化して選挙対策に流用、自民党支援者に優先的に回す姿勢は、二階氏も安倍首相も同じといえるのだ。
ちなみに“安倍麻生道路”(下関北九州道路=第二関門橋)に関する忖度発言が塚田氏の口から飛び出したのも、福岡県知事選の集会。「麻生氏も推す安倍政権とパイプのある自民党推薦候補が当選すると、地元が切望する『下関北九州道路』が進みますよ」という主旨の利益誘導発言だったのだ。下関市が選挙区の安倍首相と、北九州市が中選挙区時代の選挙区だった麻生大臣を忖度した塚田氏もまた、選挙応援と予算付けの一体化を当然とする古き自民党利益誘導政治の継承者のようにみえるのだ。
5日と16日に新潟入りした安倍首相は両日とも、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が塚田氏の応援演説に駆け付けたことを紹介。5日の応援演説では、櫻井氏について「辛口で滅多に人を褒めない」「基本的に国会議員の選挙応援はしない」と強調、「その櫻井さんが拉致問題の解決する上においては、『塚田一郎は絶対に必要だ』という思いで、この前、新潟に来てくれた」と続けた。
しかし、櫻井氏が新潟市の集会で塚田氏への支持を訴えたのは6月25日で、公選法に抵触の恐れもある“フェイク発言”をしたことはリテラの記事ですでに紹介した通り。打越氏が自衛隊解消や天皇制廃止を訴えているかのような虚偽の発言を櫻井氏はしたのだが、打越氏は「専門家でないので自衛隊解消や天皇制廃止を訴えてはいない。公約にもしていない」と事実無根と否定。そこで、7月14日に新潟県上越市で2回目の応援演説をした櫻井氏を直撃、「打越氏が自衛隊解消をいつ言ったのか」「ジャーナリストが嘘を言っていいのか」と聞くと、「『共産党が』と言った」と答えた。
先のリテラの記事で問題にした櫻井氏が口にした打越氏発言(自衛隊解消と天皇制廃止)は、6月25日の集会における同氏の応援演説を録音・活字化したものだが、そのことを櫻井氏は忘れてしまったようなのだ。打越氏が言っていないことをまるで事実であるかのようにでっち上げて、それを指摘されると共産党の発言とすり替える櫻井氏は、「ジャーナリストの肩書きを使ってた煽動型選挙運動家」と呼ばれても仕方がないのではないか。
そんな櫻井氏の応援演説を日本国の最高権力者である安倍首相が紹介、塚田氏の支持を呼びかけてもいた。16日の街宣でも安倍首相は、櫻井氏の過去2回の応援演説を紹介したのに続いて「(投開票日前日の)20日にも櫻井さんは新潟に来る」と3回目の新潟入りを予告したのだ。「安倍首相は『法律違反疑惑など関係ない。勝てば官軍だ』という考えなのか」という疑問が湧いてきたのはこのためだ。
6日に新潟入りして塚田氏支持を訴えた菅義偉官房長官も櫻井氏の応援演説を紹介、首相と足並みを揃えた。「令和おじさん」として人気急上昇の菅氏は、安倍首相の令和命名の思いを「国民の皆様は生まれながらにして持っている小さなつぼみを大きく花咲かせられる時代をつくっていきたい」と紹介してもいたので、街宣後に直撃では「令和は忖度(議員を増やすため)の時代ですか」と声をかけたが、一言も反論しないまま新幹線に乗り込んだ。
一方の北海道・旭川出身の打越氏は「新潟生まれ、新潟育ち」を強調する塚田陣営に対抗すべく、人権派弁護士として弱者救済に取り組んできた実績をアピールした上で、中央や官邸のほうを向く忖度議員よりも県民に寄り添えると切り返し、安倍政治との政策の違いも訴えていた。
消費増税反対はもちろん、「本気の原発ゼロ」を掲げて原発再稼動に反対。「中央から押し付けられた最たるものが柏崎刈羽原発。再生可能エネルギーの利用促進で地域経済が発展する可能性がある」と訴え、県内を回るなかで耳にした戸別所得補償制度復活を望む農家の声も紹介。二階幹事長主導で土地改良事業費が増額されたために廃止された戸別所得補償制度復活も、目玉政策のひとつとして強調していたのだ。
12日には立憲民主党の枝野幸男代表が駆けつけて「隠蔽・改竄の安倍忖度政治を安定させていいのか」と応援演説をすると、14日にも地元選出の野党国会議員が勢揃いをして脱・忖度政治を訴えた。
「令和の時代に忖度政治を続けるのか否か」が争点に急浮上した新潟選挙区の結果が注目される。 
池上彰 参院選特番 7回目“池上無双”にも自信「新機軸打ち出したい」 7/18
ジャーナリストの池上彰氏(68)が18日、東京・六本木のテレビ東京で、自身がメーンキャスターを務める21日投開票の参議院選挙特番「TXN衆院選SP 池上彰の参院選ライブ」(後7・50〜同11・46)に向け、パートナーである同局の大江麻理子キャスター(40)らと報道陣の取材に応じた。
「池上彰の○○選ライブ」として定着した同局の選挙特番は、10年の参院選、12年の衆院選、13年の参院選、14年の都知事選と衆院選、16年の参院選と都知事選、17年の衆議院で放送され、今回で7度目。「池上無双」とも評される池上氏の政治家への中継インタビューや候補者の細かすぎるプロフィルなどが独自の切り口が話題を呼び、これまでに菊池寛賞、ギャラクシー賞などを受賞。回を追うごとに注目度が増し、平均視聴率は13年7月の参院選(9・7%)、14年12月の衆院選(10・1%)、16年7月の参院選(10・7%)、17年10月の衆院選(9・8%)で民放1位を獲得している(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
池上氏は「また選挙特番をやることになりました。テレビ東京は常に新しいことをやるという伝統がある。選挙特番においてもテレビ東京がまたこんなことをやるのかというのと新機軸で打ち出していきたい」とあいさつ。池上氏とタッグを組んで7回目の選挙特番なる大江キャスターも「毎回、隣で池上さんが中継先の政治家の皆さんに鋭い質問をするのをハラハラドキドキしてながら見守っている状況。今回もどんな質問、やり取りが飛び出すのか、心から楽しみにしております。守りではなく、常にチャレンジの姿勢を貫くテレビ東京の選挙特番にご注目いただければ」と意気込んだ。
今回新たに登場するVチューバー「イケガミ君」をはじめ、さまざまな新企画が用意されている。これまでの6回の選挙特番を振り返り、池上氏は「6回目やった時にだいたいやり尽くしたかなと思った」と本音もポロリ。「そしたら、こんなのもありますってスタッフから出てきて。Vチューバ—ももちろん、私のアイデアで出てきたわけではなく…」と新企画についても言及。候補者の“面白プロフィル”は番組の目玉の1つだが、「候補者の“面白プロフィル”は、テレビ東京が最初にやったんです。そしたら、次から他の局が同じようなことをやるようになってしまって、そこで差が出ないイメージがある」とボヤキ節。それでも「 他の局が同じようなことをやるんだったら次の攻めをやろうと。違う手法で(やろうと)」と前を向き、「政治家が普段偉そうなこと言ってるけど、いろいろな政策を語っているけど、こういう人間味があるんだってことをわかってもらえる新手法を開発したしました。現時点ではなかなか言えないんですけど、そうか、この手法があったのかという手法を出すことにしています。非常に面白いものになっていると、自画自賛なんですけど、当日を楽しみしていただきたい。面白くてためになるということ」と期待をあおった。
大江キャスターも「その新手法は隠し玉。最初に聞いた時はひっくり返りそうになるぐらい驚いた、そんなことするんですか?と」と苦笑。「政治に本当されたような 面白くもあるんだけど、すごく政治って何だろうと、これからの日本ってどんな形になるんだろうって、しっかりと考えられる4時間になると思う」と自信をのぞかせた。
池上氏、大江キャスターのほか、俳優の峰竜太(67)、女優の宮崎美子(60)、お笑い芸人のカンニング竹山(48)、小島瑠璃子(25)らが出演する。  
インスタで若者を取り込め、安倍首相は動画投稿でアピール−参院選 7/18
参院選(21日投開票)へ向け、各党は街頭演説や政見放送といった従来の手法に加え、ソーシャルメディアなどインターネットを活用した選挙運動も積極的に展開している。2013年の参院選で解禁されてから6年。安倍晋三首相(自民党総裁)が若者に人気の写真共有アプリ「インスタグラム」に毎日の活動を動画で投稿するなど各党はさまざまな手法を駆使して支持層の拡大を図っている。
岩手県でおいしいお茶をいただき「ほっと」一息−。12日、安倍首相のインスタグラムに「拝啓あべのめし!」と銘打った動画が配信された。岩手県を訪れた際、選挙応援の合間に訪れた販売店で日本茶をすする場面を映している。香川県では飲食店でうどんを完食する場面、大分県では温泉の蒸気で食材を温める「地獄蒸し」体験など各地で撮影した短時間の動画を連日投稿した。
首相は12年に政権復帰する前からフェイスブックやツイッターなど会員制交流サイト(SNS)での発信を始めていた。インスタグラムへのデビューは「インスタ映え」が新語・流行語大賞を取った17年12月。その後、外遊の機会に各国リーダーとの写真を投稿、トランプ米大統領が5月に来日した際はツーショットの自撮り写真を載せて話題になった。フォロワーも41万人を超え、今回、初めて国政選挙での活用となった。
朝日新聞が6月に実施した世論調査では、安倍内閣の支持率は全体で45%だったが、29歳以下では52%と他の世代よりも高い。総務省の2018年の調査によるとインスタグラムは20代の52.8パーセントが利用しており、若者向けの発信媒体となる。
上智大学国際教養学部の中野晃一教授は「欧米では若者はリベラルで権力者に対して批判的とのイメージがあるが、日本では少々違う」と解説する。雇用環境の改善や過去6年以上にわたって政権の座にある安倍首相のイメージもあり、「自民党は若者へのアピールに自信を持ち始めている」と述べた。
インスタグラムを利用し始めた安倍首相の狙いについては「将来、憲法改正となった時にどのような宣伝運動が有力か。その実験台として今使っているのかもしれない」と分析。国民投票が実施された場合の戦略を探っているのではとの見方を示した。
ハッシュタッグ
インスタに限らず、SNSで投稿をカテゴライズして不特定多数の人が検索しやすいようにするハッシュタグの活用も目立つ。立憲民主党は参院選で「#令和デモクラシー」とハッシュタグを付けたスローガンを掲げ、ツイッターなどを通じて世論に訴えている。自民党はウェブサイトに「#自民党2019 新世代」と名付けたユーチューブ動画を掲載した。10代の男女がそれぞれ将来への希望を語る中、安倍首相が「未来をつくりたい」とコメントする内容だ。
このほか、国民民主党も玉木雄一郎代表が以前から「永田町のユーチューバー」を宣言するなど動画を積極配信。公明、共産、日本維新の会、社民の各党もネットを通じた運動を展開中だ。
各党のネットを使った若者向けのアピールも実際の投票行動に結びつくかは不透明だ。総務省の統計によると20代の投票率は過去5回の参院選すべてでどの世代よりも一番低く、30パーセント台で横ばいが続いている。 
小沢一郎氏、安倍政権の対応批判「平気でうそつく」 7/18
国民民主党の小沢一郎衆院議員は17日、党推薦候補の応援のため来県し、郡山市で演説した。
小沢氏は「安倍政権は一体国民に何をしてきたのか。アベノミクスというでたらめな金融財政政策をし、何か起こると平気でうそをつく」などと述べ、安倍首相の内政、外交両面での対応を批判。「安倍政権は一日も早く変えなければならない」と強調した。  
自民、公明支持層を注視 野党系、無党派に力点 7/18
改選2議席を7人で争う参院選広島選挙区で、候補者による支持の奪い合いは21日の投開票に向けて最終盤に入った。初の2議席独占を目指す自民党の2陣営は、連立を組む公明党幹部が街頭演説で片方に肩入れしたとも取れる発言をしたのを受け、公明党支持層の動きに神経をとがらせる。野党系の候補者2人は「自民党1強」態勢への批判を強め、「1議席は野党に」と無党派層の取り込みに懸命だ。
「なぜそんな言い方になるのか」。自民党現職の溝手顕正氏(76)=公明推薦=の陣営に緊張が走った。17日午前、公示後に初めて広島県入りした公明党の山口那津男代表の発言が瞬く間に伝わる。広島市安佐南区での街頭演説で、溝手氏を「盤石の地盤がある」と持ち上げた後、「どうか新人を押し上げてほしい」と支持者たちに呼び掛けた。
新人は自民党の河井案里氏(45)=公明推薦=を指す。終盤戦に入った広島選挙区の争いは、無所属現職の森本真治氏(46)=立憲民主、国民民主、社民推薦=を含めた3人による三つどもえの様相を色濃くしている。河井氏の陣営は「これまでの発言から、配慮してもらったのだろう。公明票が取り込めるのであれば大きい」と受け止める。
県内で公明党を支持する票は「最大で20万票」(党県本部幹部)とされる。混戦が続く中、自民党の2陣営は「どれだけ取り込めるかが勝敗を大きく左右する」とみて、公明党支持層へのアピールを強める。
河井氏は序盤から街頭演説などで、比例代表では公明党に協力するよう呼び掛けてきた。中四国地方を地盤とし、比例代表で戦う公明党現職の名前も繰り返し紹介。安倍晋三首相(山口4区)の応援を得た中区での14日の街頭演説は「公明党の先生にも力を貸してほしい」と締めくくった。
その効果もあってか、中国新聞社の14〜16日の電話世論調査によると、河井氏は公明党支持層の支持が5割を超えた。溝手氏は2割強と大きく水をあけられ、陣営は危機感を強める。公明党県本部の幹部は「支持者は2人のどちらがいいかを見定めている。街頭の振る舞いが浸透しているのだろう」と分析する。
溝手氏の陣営は中盤以降、公明党との連携を強める。18日夜の中区での決起大会では、自民党県連の宮沢洋一会長(参院広島)が「公明党との連立を頭に入れて比例代表の投票先を決めてほしい」と強調。溝手氏は連立政権に触れ「安定した経済運営がわれわれの生活を支えている」と訴えた。
野党系の候補者2人は自民党による2議席独占を阻もうと、「非自民」の立場や政策を前面に打ち出す。それぞれが地盤とする野党の支持層固めに加え、長期にわたる安倍政権への批判が一定にあるとみて、投票先を探る無党派層への浸透に活路を求める。
沖縄県の玉城デニー知事が18日、中区の街頭に姿を見せた。前知事の死去に伴う昨年9月の知事選で、自民、公明両党などが推薦する前宜野湾市長たちを破って初当選した。全国の知事の中でも「非自民の象徴」(国民民主党広島県連幹部)と言える存在だ。
玉城知事が応援のマイクを握ったのは森本氏。「私は沖縄から平和の思いを訴えている。広島も平和の思いを一つにしよう」と呼び掛けた。森本氏も「被爆地広島の思いを大切に、憲法9条を守り抜く」と呼応。終了後には「自民党の2人との違いを前面に出し、支持を広げたい」と話した。
共産党新人の高見篤己氏(67)は18日、広島市内を選挙カーで巡り、「減らない年金」の実現や消費税率の10%への引き上げ中止などの党政策を主張。自民党が参院選で公約する改憲案も批判した。陣営は「党支持層の確実な取り込みに加え、他党の支持層の掘り起こしも進めたい」とする。
広島選挙区には、諸派の「労働の解放をめざす労働者党」党支部長で新人の泉安政氏(66)、無所属新人で開業医の玉田憲勲氏(61)、諸派の「NHKから国民を守る党」党員で新人の加陽輝実氏(69)も立っている。  
 7/17

 

安倍首相、トランプ氏を連日称賛=差別的発言は触れず 7/17
安倍晋三首相が参院選の応援演説で、トランプ米大統領を「聞き上手」などと連日称賛している。一般に知られていない横顔を明かし、親密な関係をアピールする狙いとみられる。ただ、トランプ氏は差別的発言で米国内外の非難を浴びており、野党からは首相を批判する声も上がっている。
「トランプ氏は型破り。しかし、意外と人の話を聞く」。首相は17日の山形市での演説で、お決まりのフレーズで聴衆を沸かせた。6月の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で環境問題をめぐって説得した際、トランプ氏が「分かった、シンゾー」と折れたと披露するのが定番だ。
16日の新潟県柏崎市での演説では、5月に国賓として来日したトランプ氏が、拉致被害者家族の横田早紀江さんに「(娘の)めぐみさんと必ず会わせる」と約束したと紹介。「意外と優しい人だ」と持ち上げた。
首相には、有権者に安倍外交を印象付ける意図があるようだ。だが、トランプ氏は米国外にルーツを持つ女性野党議員らを念頭に「米国から出て行っていい」と発言し、16日に米下院で非難決議が可決されたばかり。批判は英国やニュージーランドの首脳からも上がっている。
首相は17日までの演説でトランプ氏の問題発言に触れていない。国民民主党の玉木雄一郎代表は同日、記者団に「だめなものはだめと明確に伝えるのが真の同盟国ではないか」と首相の姿勢を非難した。  
東北は依然苦戦…安倍首相「応援演説」激戦区は13勝14敗も 7/17
終盤戦に入った参院選。3連休の情勢調査を受け、自民党は15日最終の「重点区」を指定、安倍首相ら幹部がテコ入れする選挙区を検討したようだ。「メディアの議席予想は甘い。選挙区のデータも自民党候補の数字が良く出過ぎて、陣営が緩んでいる」(自民党ベテラン議員)と、危機感を強めているという。
4日の公示以降、安倍首相が応援演説に入った27人の現在の情勢は別表の通り(政治評論家・野上忠興氏の分析などを参考に日刊ゲンダイが予想)。党のトップは戦況の厳しい選挙区に行くのが常とはいえ、当選圏内と優勢は13人。当落線上が6人で劣勢が8人、つまり最悪14敗の可能性もあるということだ。
鬼門の東北は依然、苦戦中。最終の4日間で安倍首相は宮城、岩手、青森、秋田を回り、2度目の遊説を行う予定だ。山形に行かないのは、諦めたからなのか。
「東北6県は福島と青森が優勢で、自民は2勝4敗という見通しですが、接戦から抜け出した福島と対照的に、公示前から調子のよかった青森は陣営が緩み切っていて、懸念が増しているようです。下手すると1勝5敗もあり得ますよ」(野上忠興氏)
その他の1人区については、自民は長野と沖縄に続き、愛媛でも白旗を揚げた様子。一方で、「三重で自民が追い上げてきている。地元の岡田克也衆院議員の影響力が低下しているのではないか」(自民党関係者)という見方もある。
複数区については、北海道、千葉、東京は2人目が当落線上。2人擁立した広島での2議席独占も厳しそうだ(7ページに「激戦区ルポ」)。
「2人目については、北海道で赤信号がともった。千葉も取りこぼすかもしれない」(前出の自民党関係者)
劣勢8人のうちの3人が、岸田派に所属する現職だ。
「3人とも落とせば、岸田政調会長は肩身が狭い。求心力の低下は否めない」(前出の自民党ベテラン議員)という声も聞こえる。
“忖度”候補を新潟で抱える麻生派も東京と千葉の2人目を落とせば3敗だ。  
首相演説に「安倍辞めろ」とやじ 北海道警、聴衆を排除 7/17
参院選の応援のため札幌市で15日に行われた安倍晋三首相(自民党総裁)の街頭演説中にやじを飛ばした聴衆を北海道警の警察官が取り押さえ、現場から排除していたことが分かった。
首相は15日夕、JR札幌駅前で参院選の自民党公認候補の選挙カーに登壇し、応援演説した。近くで「安倍辞めろ」「増税反対」などと叫んだ人たちを警察官が現場から引き離した。
首相の演説にはやじや妨害行為が相次いでおり、騒ぐ聴衆にスマートフォンを壊される被害なども発生している。
西村康稔官房副長官は17日の記者会見で「現場の状況など詳しくは承知していない」とした上で「公職選挙法の規定に基づき適切に判断されるべきだ」と述べるにとどめた。公選法は演説妨害を「選挙の自由妨害」として刑事罰の対象にしており、集団で演説が聞き取れないほどの妨害行為を行った場合は同法が適用される可能性がある。
国民民主党の玉木雄一郎代表は17日、川崎市での街頭演説で「文句を言う人を権力を使って排除することが当たり前になれば怖くて声を上げられなくなる」と批判した。  
かみ合わぬ改憲論議=野党、首相の土俵に乗らず 7/17
21日投開票の参院選で、安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法改正の必要性を繰り返し訴えている。世論の関心を喚起し、足踏み状態が続く国会の議論を後押しさせる狙いがある。ただ、野党は同じ土俵には乗らない構えで、消費税増税や年金制度改革などの主張を重視。改憲をめぐる与野党の論戦は、かみ合わぬままだ。
「自民党は憲法に『自衛隊』をしっかり明記する」。首相は17日、山形市で街頭演説し、9条改正を目指す考えを重ねて強調。「未来に向かって議論を進める政党を選ぶのか、責任を放棄して議論しない政党を選ぶのか」と聴衆に問い掛けた。
2012年に党総裁へ復帰して以降、首相が国政選挙に臨むのは6回目。改憲をここまで前面に押し出すのは今回が初めてだ。
背景には国会で改憲論議が遅々として進まないことへのいら立ちがある。首相が目指す20年の改正憲法施行には、今秋以降の国会で発議に向けた議論の進展が急務。参院選の争点に掲げて勝利すれば、首相は世論の「信を得た」と主張し、野党に対応を迫るとみられる。
だが、野党の多くは選挙戦で、憲法にほとんど触れていない。立憲民主党の枝野幸男代表は17日、大分県別府市で記者団に「有権者は暮らしを守ることに圧倒的な関心を持っており、憲法に対する関心は高くない」と述べ、首相の思惑に取り合わない姿勢を鮮明にした。
国民民主党の玉木雄一郎代表も17日、川崎市での街頭演説で、憲法には一切言及しなかった。改憲を党是とする日本維新の会は旗印である「身を切る改革」の訴えを優先。共産、社民両党だけが「憲法を守る」と訴える程度だ。
一方、連立を組む公明党は「加憲」の立場だが、9条改正には慎重だ。山口那津男代表は16日のBS番組で、改憲について「争点として問うには熟度が浅い」と素っ気なく語った。  
自民党内からも批判の声 安倍首相「フェアな精神」忘れトランプ流を貫く? 7/17
敵を見つけて叩き、国民の愛国心を煽る。選挙のためとも思わざるを得ない韓国への強硬姿勢や、討論会での議論をはぐらかす安倍首相の姿が「安倍のトランプ化」と揶揄されている。野党のみならず自民党のベテラン議員からも「情けない」と批判の声が上がる。
7月3日。日本記者クラブで参院選に向け主要7党の代表による党首討論会が開かれた。そこで「原発の新増設」「選択的夫婦別姓」がテーマになった。
司会者が「原発の新増設を認めない方は挙手を」と7党首にたずねると、安倍首相だけが賛成の挙手をしなかった。続けて、司会者が「選択的夫婦別姓を認める方は挙手を」と続けると、今度も、安倍首相だけが賛成の挙手をしなかった。司会者がその真意を質すと、安倍首相はやや声を荒らげて言った。
「政策的な議論をしなければならない。政治はイエスかノーかではない」
「今の段階で答えられなくても直ちにノーではない。印象操作をするのはやめてほしい」
一瞬、会場に白けた空気が広がった。選択的夫婦別姓の議論については、ネット討論会でも、立憲民主党の枝野幸男代表から聞かれ、安倍首相は、
「いわば夫婦別姓の問題ではなくて、しっかりと経済を成長させ、みんなが活躍できる社会を作っていくことではないか」
と、質問をはぐらかした。司会者が「『選択的夫婦別姓はいらない』というご返答でよろしいでしょうか」と聞くと、
「いわば経済成長とは関わりがないというふうに考えています」
と、明言を避けた。
TBS「ニュース23」での党首討論では、司会を遮り持論を延々と語る場面もあった。
「選挙戦を前にちょっと刺激的な資料が出回っている」
そう言って司会の小川彩佳キャスターが持ち出したのは、「フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識」という冊子。これは、自民党本部が参院選を前に党所属の国会議員に「演説用資料」として配布したものだ。野党の党首を醜く描いたイラストがずらりと並び、ネットに氾濫するデマ情報がオンパレードの内容だ。
「これ国会議員に20部ずつ配られているということですが、ご覧になられたことありますか」
ニュースアンカーの星浩さんの質問に対しては、あいまいな答えに終始した。
「あの、党本部でですね、いろんな冊子を配っていますが、あの、私、いちいちそれを見ておりませんので、まったく知らないんですが。無責任だと言えば、無責任だと思いますよ」
自分に都合の悪い質問に関しては、真正面から答えず、その質問の手法に疑問を呈し、メディアの印象操作と言う。トランプ大統領が、自分を批判した媒体の記者を名指しして「フェイクニュース」と決めつけ、激しい口調で恫喝する姿勢と重なる。
とりわけ姑息と批判が噴出したのが「民主党の枝野さん」と、野党第1党の立憲民主党の党首である枝野幸男代表を揶揄した安倍首相の選挙応援演説だ。この言い間違えは2日にわたり計8回。ある野党幹部は悪質な言い間違えで確信犯だと断じる。
「国会でも民主党政権時の悪夢と連呼するのが、安倍首相の十八番でした。ただ、この『民主党の』という言い方は、明らかに有権者が党名を書いて投票する比例代表を意識した発言。つまり、民主党と書いても立憲民主党の票にならない。選挙妨害だ、と批判されて当然です」
選挙妨害をメディアに指摘された安倍首相は、
「どんどん変わるから覚えるのが大変」
と、反論。もちろん謝罪はなかった。この相手を嘲笑し、意見の違う相手とは真正面から議論をしない姿勢もトランプ流に通じる。
自民党内のベテラン議員からは情けないと声があがる。
「かつての自民党が大切にしてきたのは、フェアな精神。派閥同士の議論でも、他党の議員に対しても、正々堂々と議論を戦わせる。党内であれば、議論を経て最終的な結論が出たならば、その時はノーサイドで一致団結する。この善良な政治風土を壊したのは、米国ではトランプ大統領であり、日本では安倍首相だ」  
自民・三原じゅん子氏、怒鳴る男性の“選挙妨害”にも動じず… 7/17
自民党の三原じゅん子女性局長は16日夕、参院選の応援のため、東京都墨田区の東京スカイツリー前などで演説した。100人弱の人々が、三原氏の熱弁に聞き入っていたが、中年男性が大声で騒いで、演説を妨害した。今回の選挙では、安倍晋三首相(自民党総裁)の演説への集団ヤジも相次いでいる。悪質な行為は、公職選挙法第225条(選挙の自由妨害罪)に抵触する可能性もありそうだ。
「今回の参院選は、何としても『衆参のねじれ』をつくらない。とにかく、『安定した政治』を継続することが、私たちに課せられた使命だと思っております」
三原氏は小雨降るなか、白いワンピース姿で、こう訴えた。
多くの聴衆は演説中、拍手したり、うなずいたりしていたが、途中から「うるさい!」「うるさい!」などと怒鳴り声が何度も聞こえきた。見ると、三原氏の後方に停めた車の中から、50歳ぐらいの男性が、がなり立てている。
正直、うるさいのは男性の方で、演説が聞き取れない。
だが、三原氏はかつて、人気テレビドラマ「3年B組金八先生」で、ツッパリ少女「山田麗子」を演じた元女優。動じもせず、くるりと振り返って男性を見つめ、「ありがとうございます!」と言い切った。
その迫力に驚いたのか、男性の車は走り去った。
三原氏への演説妨害は他にもある。
自民党が公示前の2日、新宿駅西口で行った街頭演説でも、三原氏の演説は集団で妨害された。この時も三原氏は「いろんな意見を聞かせていただくのが民主主義。ありがたい」と応じている。
安倍首相の問責決議案への反対討論(6月24日)で、三原氏が「恥を知りなさい!」と野党を批判したことが影響しているのだろうか。
演説後、三原氏に選挙妨害について聞いた。
「私はまったく気にならない。むしろ、違う意見の方々と大いに議論したいと思っている。ツイッターで意見を述べてくれるのも大歓迎。そうやって、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)して、いい日本をつくっていけるなら、素晴らしいことではないかしら」  
 7/16

 

ヤジの市民を道警が排除 安倍首相の街頭演説中 7/16
15日に札幌市中央区であった安倍晋三首相の参院選の街頭演説の際、演説中にヤジを飛ばした市民を北海道警の警官が取り押さえ、演説現場から排除した。道警警備部は取材に対して「トラブル防止と、公職選挙法の『選挙の自由妨害』違反になるおそれがある事案について、警察官が声かけした」と説明。だが現場では、警察官は声かけすることなく市民を取り押さえていた。
安倍首相はJR札幌駅前で同日午後4時40分ごろ、選挙カーに登壇。自民党公認候補の応援演説を始めた直後、道路を隔てて約20メートル離れた位置にいた聴衆の男性1人が「安倍やめろ、帰れ」などと連呼し始めた。これに対し、警備していた制服、私服の警官5、6人が男性を取り囲み、服や体をつかんで数十メートル後方へ移動させた。また年金問題にふれた首相に対して「増税反対」と叫んだ女性1人も、警官5、6人に取り囲まれ、腕をつかまれて後方へ移動させられた。いずれのヤジでも、演説が中断することはなかった。現場では、多くの報道陣が取材していた。
公選法は「選挙の自由妨害」の一つとして「演説妨害」を挙げる。選挙の「演説妨害」について、1948年の最高裁判決は「聴衆がこれを聞き取ることを不可能または困難ならしめるような所為」としている。
松宮孝明・立命館大法科大学院教授(刑法)は「判例上、演説妨害といえるのは、その場で暴れて注目を集めたり、街宣車で大音響を立てたりする行為で、雑踏のなかの誰かが肉声でヤジを飛ばす行為は含まれない」と話す。むしろ連れ去った警察官の行為について「刑法の特別公務員職権乱用罪にあたる可能性もある」と指摘。「警察の政治的中立を疑われても仕方がない」と話した。 
安倍首相が上越市のかに池公園で街頭演説 7/16
安倍晋三首相が2019年7月16日、参議院新潟選挙区の自民公認候補の応援に新潟県上越市を訪れ、下門前のかに池公園で演説した。
安倍首相はこの日、上越市、柏崎市、小千谷市、南魚沼市の4市で応援演説を行う予定で本県を訪れ、同市で口火を切った。安倍首相の同市での街頭演説は、2017年10月の衆院選以来。午後1時30分ごろからの街頭演説には約2000人(主催者発表)の支持者や聴衆が集まり、大小の無数の日の丸の国旗が会場にはためいた。
安倍首相は、6月の山形、新潟地震で影響を受けている観光への支援策として、旅行会社を通じて申し込んだツアー料金のうち1人あたり3000円を国が補助する制度を取り上げ、「お父さんお母さん、子ども2人で1万2000円の割り引き。(上越市大潟区の)鵜の浜温泉に行って一家みんなで肌をつるつるにしようじゃありませんか。日本中から上越にやってくるそういう機会にしたい」と述べた。
インバウンドついては、6年間で海外からのスキー客が年間22万人増加したことを紹介し、「私が子どもの頃、初めてスキーをしたのは上越なんです。笹団子とか笹寿司を食べてもらってお土産いっぱい買ってもらおうじゃありませんか」と、新潟の名物も取り上げて観光政策の重要性を語った。
このほか、拉致問題、日米同盟、年金、雇用、中小企業支援など6年間の実績を強調。年金については「野党は財源も示さず具体的な提案もせず不安ばかりあおっている」と批判し、アベノミクスの成果を強調した。自衛隊の明記を目指す憲法改正については「未来に向かって真面目にまっすぐに憲法について議論していく候補者や政党を選ぶのか、国会議員の責任を放置して全く議論しない候補者や政党かを決めていただく選挙でもある」と訴えた。
演説を終えた安倍首相は、聴衆とハイタッチをして車に乗り込んだ。  
党首ら激戦区てこ入れ 首相「野党共闘は無責任」 立・国「政権慢心」批判 7/16
参院選(21日投開票)は16日、終盤戦に入り、各党党首らは激戦区を中心にてこ入れを図った。安倍晋三首相(自民党総裁)は公示後、2度目となる新潟を訪れ、野党共闘を「無責任だ」と指摘。立憲民主党の枝野幸男、国民民主党の玉木雄一郎両代表は、両党推薦の無所属候補を応援するため広島で、安倍長期政権の「慢心」を批判し、野党への支持を求めた。
首相は新潟県上越市などで街頭演説。情勢分析を踏まえ「あと少しで相手の背中がつかめる。新潟の勝利が政治の安定につながる」と訴えた。民主党政権で政治が混乱した結果、経済が冷え込んだとして「令和を迎えた今、あの時代に逆戻りするわけにはいかない」と主張した。
岐阜市で比例代表候補の応援演説に立った公明党の山口那津男代表は「結果が大事だ。無責任な政党や口先だけの政治家に絶対負けてはならない」と強調した。
枝野、玉木両氏が入った広島選挙区(改選数2)は2人の自民候補が議席を独占する可能性がある。枝野氏は演説で、自衛隊の日報隠蔽や老後資金2千万円問題などの政府対応を問題視。「こんな政治を安定させていいのか。1人は首相におかしいと言える政治家を出すべきだ」と危機感をあらわにした。
玉木氏も広島県大竹市の演説会で「1強状態で最後は数の力で押し切ればいいという慢心とおごりがある。当たり前のルールが曲げられた」と語った。
共産党の小池晃書記局長は東京都内で「大企業、富裕層、米軍への思いやりをやめ、庶民、高齢者、子育て世代への思いやりの政治を実現しよう」と述べた。日本維新の会の松井一郎代表は大阪市で「メタボな役所から筋肉質な役所につくり替える」と行政改革を訴えた。
社民党の福島瑞穂副党首は熊本市で憲法9条改正や消費税増税を挙げ「暴走する政権をストップさせる」と意気込んだ。  
改憲発議へ野党切り崩しも=3分の2維持なら首相強気に 7/16
21日投開票の参院選は、安倍晋三首相の宿願である憲法改正の行方を左右する。自民、公明両党と日本維新の会などの「改憲勢力」が、国会発議に必要な3分の2ラインを維持するかが焦点。結果次第で、国会論議に前向きな国民民主党を切り崩す動きも出そうだ。参院選後の動きを探った。
選挙後の参院定数は245。3分の2は164議席だ。改憲勢力の非改選数は自民56、公明14、維新6、無所属3の計79のため、今回の参院選で3分の2を握るには現有議席並みの85議席が必要となる。
3分の2超…改憲シフト
「問われているのは憲法を議論する政党を選ぶか、議論すら拒否する政党を選ぶかだ」。首相は街頭演説でこう繰り返し、改憲論議を進めることの是非に重心を置いて争点としている。自民党総裁として残り2年余りの任期中、政権のレームダック(死に体)化を防ぐには、党是とする改憲を旗印に掲げ続ける必要があるとも判断するためだ。
改憲勢力が85を超えれば、首相が「国民の信任を得た」と一段と強気に出るのは間違いない。選挙後の内閣改造・自民党役員人事で「改憲シフトを強化する」(周辺)と予想する向きもある。
停滞する国会の憲法審査会も再始動させる見通しだ。手始めに、国民投票の利便性向上を図る国民投票法改正案を秋の臨時国会で成立させ、その後、自民党がまとめた憲法9条への自衛隊明記など4項目の改憲案を提示。発議をにらんだ改憲論議の土俵を整えようとするとみられる。
3分の2割れ…多数派工作
もっとも、既存の改憲勢力だけで3分の2を押さえることは高いハードルだ。自民党幹部も「自公維で3分の2は簡単ではない」と語る。ただ、それに迫る議席を得ることができれば、首相は野党を巻き込んだ多数派工作に乗り出す構えだ。
その際、念頭にあるのは改憲に前向きな議員を多く抱える国民民主だ。首相は周辺に「全員でなくても構わない」と指摘。同党の一部を取り込むことで3分の2を確保できれば発議に道筋を付けられると期待する。自民党の萩生田光一幹事長代行は16日、「この選挙で与党に一定の支持があった場合、民意を受けて(野党は)しっかり議論を進めてほしい」と記者団に強調した。
公明には9条改正を中心に慎重論が根強い。このため、同党が賛同しやすいよう「幅広い合意による発議」の形をつくろうと、3分の2を上回った場合でも切り崩しに出る可能性がある。
改憲勢力後退…求心力低下も
改憲勢力が3分の2を大幅に下回っても、与党が改選議席の過半数さえ維持できれば、首相が引き続き主導権を握る構図が大きく変化することはなさそうだ。
ただ、首相が目指す2020年の新憲法施行は難しくなる。現時点で首相は党総裁任期の満了を迎える21年9月まで続投できるが、改憲の機運が下がることで政権の求心力が徐々に失われるパターンも想定される。  
 7/15

 

 
 7/14

 

憲法改正の訴え封印=安倍首相、公明候補の応援で 7/14
安倍晋三首相は14日、神戸、名古屋両市でそれぞれ自民党と公明党の参院選候補者の応援演説に相次いで立った。首相は公明候補2人の応援の際、普段は柱の一つにする憲法改正の訴えを封印。改憲に慎重な同党への配慮をにじませた。
首相の演説は、トランプ米大統領との親密さを序盤に強調し、9条への自衛隊明記の訴えにつなげるのがお決まりのパターン。しかし、14日に公明候補と街頭に並んだ時は「米大統領と信頼関係をつくることは首相の最低限の責任だ」などといつも通り主張したものの、改憲は飛ばし、年金の話題に移った。
神戸、名古屋とも直前に近くで開かれた自民候補の街頭演説会では「私たちは憲法に自衛隊を明記する。この選挙で問われるのは、議論を進める政党を選ぶか全く審議すらしない政党を選ぶかだ」などと力説していた。首相は11日に福岡市で行った公明候補の応援演説でも改憲に触れなかった。  
安倍首相は1人区、野党は複数区へ 参院選へ週末各党必死てこ入れ 7/14
参院選は13日、公示後2度目の週末を迎えた。
安倍晋三首相(64、自民党総裁)は与野党候補が激戦を演じる改選1人区の青森、秋田両県に入り、教育無償化などの子育て支援策に積極的に取り組んできたと訴えた。
安倍政権批判を展開する野党は静岡や広島など複数区でてこ入れを強化。立憲民主党の枝野幸男代表(55)は静岡市で「確保すべきは老後の安心だ」と力説した。
首相は青森市での街頭演説で子育て支援策に触れ、「53万人分の保育施設を既に整備した。待機児童ゼロを必ず実現する」と強調した。枝野氏が保育士の賃金を増やすと主張していることには「民主党政権時代の3年間は保育士の待遇はマイナスだった。出来もしないことを約束するのは簡単だ」と批判した。
また、枝野氏は静岡市での街頭演説で、老後資金2000万円問題を巡り金融庁金融審議会報告書を受け取らなかった政府対応を念頭に「高齢者は心配しているのに隠した」と非難した。
広島市入りした国民民主党の玉木雄一郎代表(50)は「教育費の負担を大幅に下げたい」として、児童手当の拡充に取り組む考えを示した。  
安倍首相来県、2陣営は 7/14
自民党現職・滝沢求候補(60)=公明党推薦=の応援で13日、来県した安倍晋三首相。青森市での街頭演説会では、集まった大勢の人を前に、野党批判を交えながら安倍政権6年半の実績を並べた。選挙戦折り返しでの強力な「援護射撃」に、滝沢陣営は「一般の人にも訴えが届いた」とし、後半戦へ気を引き締めた。一方、立憲民主党新人・小田切達(さとる)候補(61)=社民党推薦=を支援する野党各党は、首相の批判に反発を強めた。
「具体的な提案がなく、無責任」。安倍首相は憲法改正や年金問題に触れ、野党の姿勢に矛先を向けた。隣に立った滝沢候補の手を取り「滝沢さんは6年間、立派に仕事をしてきた。新時代を滝沢さんとつくっていく」と、大勢の聴衆に支持を呼び掛けた。
党県第1選挙区選対本部長の津島淳衆院議員は「普段、自民の集会に来る人とは違う一般の人たちに、われわれの訴えを聞いてもらえた。陣営にとっても気持ちの引き締めになる」と満足げ。「以前は『選挙は最後3日が勝負』と言われたが、今は期日前投票があり、期間中は全力で疾走しなければ。この時期に首相が青森県入りしたことは大きい」と述べた。
一方、小田切陣営は安倍首相の野党批判に反発。取材に対し、立民県連の山内崇代表は「6年半も政権を担当していながら、まだそのレベルの話か。われわれは立憲主義の下、政策協定を結んでしっかり結束している」と強調した。
社民党県連の三上武志代表は「旧民主党政権をいつまでもなじって自らの優位性を示すとは、一大勢力を持つ政党が落ちたものだ」と語った。共産党県委員会の畑中孝之委員長は「アベノミクスの成果を強調しているが、県民の生活の実感とはかけ離れている。そのことが一層鮮明になった」と話した。
国民民主党県連の田名部匡代代表は、選挙戦が後半に入ったタイミングで首相が来県したのは「ここまで(野党などが)力を結集して良い戦いをしているということ」と述べ、自民党が危機感を覚えているとの見方を示した。  
選挙戦最後の日曜、消費税で論戦 野党「暮らし破壊」批判 7/14
参院選(21日投開票)の選挙戦で最後の日曜となった14日、与野党党首が消費税率10%への引き上げの是非などを巡り都市部を中心に論戦を展開した。残り1週間、堅調な戦いを進めたい安倍晋三首相(自民党総裁)は、社会保障財源のため必要だとして増税に理解を求めた。野党は「暮らしが壊される」(枝野幸男立憲民主党代表)と批判。安倍政権の政治姿勢についても厳しく追及した。
首相は、自民による改選2議席独占を目指す広島県に入った。広島市で街頭演説し、消費税収を財源に低年金者への給付を拡充すると説明。経済面の実績として「6年連続で高い水準の賃上げが続いた」と強調した。
枝野氏は神戸市の街頭演説で「皆さんの暮らしは良くなっているのか。経済、消費をこれ以上冷え込ませたらとんでもないことになる」と増税方針を非難した。所得を増やし、家計を底上げすると主張した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は福岡市で、安倍政権が予算委員会の開催要求に応じず、老後資金2千万円問題の報告書受け取りを拒んだことなどを列挙。「都合の悪いことをなきものにしている。ルールを守る政治を取り戻す」と訴えた。
公明党の山口那津男代表は東京都江東区で、増税に伴い幼児教育・保育の無償化を実現すると表明。軽減税率も取り上げ「食料品や飲み物に適用される。いわば生活減税だ」とアピールした。
共産党の志位和夫委員長は大阪市で、8%への引き上げ時の痛みが残っているとして「10%は必ず止めよう」と呼び掛けた。日本維新の会の松井一郎代表は川崎市で「政治家優遇を見直せば増税は必要ない」と述べ、身を切る改革を提唱した。
社民党の又市征治党首は、富山県氷見市で公示後初めて演説。「消費税率を上げれば、生活は間違いなく悪化する」と警鐘を鳴らした。又市氏は5月にがんの手術を受けており、体調が万全ではないとしていた。 
 7/13

 

 
 7/12

 

改憲、今度は積極発信 首相、参院選公示後初の九州入り 7/12
安倍晋三首相(自民党総裁)は11日、参院選公示後初めて九州入りし、大分、福岡両県で自民候補らへの支持を呼び掛けた。報道各社の序盤情勢調査で好調な滑り出しを見せたことを受け、持論の憲法改正を前面に出して聴衆にアピール。「審議を拒否してばかり」と野党批判を展開した。
「私たちは憲法論議に終止符を打つため、憲法に自衛隊を明記する」
この日午後、大分市中心部の商店街の広場に集まった約2500人(陣営発表)を前に、首相は力強く訴えた。
大分選挙区(改選数1)は事実上、自民現職と無所属新人の野党統一候補との与野党対決。2016年の前回選挙は、九州の1人区で唯一自民が敗北した「激戦区」とあって、野党批判ではボルテージを上げて訴えかけた。「共産党は自衛隊は違憲、解消すると言っている。共産党に応援されている相手候補に負けるわけにはいかない」
首相は16年参院選や17年衆院選では、宿願であるはずの憲法改正に具体的に触れず、「争点隠し」という批判を浴びた。一転、今回は街頭演説で積極的に発信し、野党批判の材料にもしている。
衆参とも憲法改正の国会発議に必要な3分の2以上の議席を「改憲勢力」で占めながら、憲法審査会の議論は停滞したまま。情勢調査で与党優勢との結果を踏まえ、争点に掲げて参院選に勝つことで論議を加速させたい考えがにじむ。
同日夕、福岡市・天神の市役所前では、福岡選挙区(改選数3)の自民現職と並んで広報車の上に立ち、「未来に向かって堂々と議論を進めていく候補者や政党を選ぶのか、審議を拒否する候補者や政党を選ぶのかを決める選挙だ」と絶叫。首相の投げ掛けに、日の丸の旗を振ったり拍手したりして応える人もいた。
首相は今回の選挙戦で初めて、連立政権を組む公明党の候補の応援にも駆け付けた。市役所前から約200メートル離れた公園で開かれた公明新人候補(自民推薦)の集会では連立の意義を強調する一方、公明の山口那津男代表が憲法の争点化に疑問を呈していることに配慮してか、憲法改正には言及しなかった。
大勢の聴衆が詰め掛けた天神周辺では「がんばれ! 安倍さん」という横断幕が登場。「安倍辞めろ」「頑張って」の両方の声が飛んだ。  
 7/11

 

 
 7/10

 

遊説周知 首相「トラウマ」 やじに反論 批判浴びた過去 7/10
参院選での党首らによる遊説日程を巡り、各党の対応が分かれている。自民党の安倍晋三首相(党総裁)は二〇一七年の衆院選に続き、やじや妨害を警戒し直前まで非公表。過去にやじに反論した姿が繰り返し報道された「トラウマ」(周辺)が背景にありそうだ。野党は「支持基盤の見劣りをカバー」(幹部)しようと、数日前から周知を図り盛り上げを狙う。
「安倍辞めろ」。七日、東京・JR中野駅前。首相が応援演説のため姿を現すと、「国難はオマエ」などと書かれたプラカードを手にした聴衆の一部からやじが起きた。演説後、首相は側近に「あの人たちも変わらないね」とこぼしたが、やじに反応しなかったことに周囲は「よく耐えてくれた」と安堵(あんど)した。
首相には苦い記憶がある。一七年七月、東京都議選での演説時に「こんな人たちに負けるわけにいかない」とやじに反論した場面がテレビで繰り返し放映された。国会で野党の追及を受け「不徳の致すところだし大変残念だ」と釈明に追い込まれた経緯がある。同年十月の衆院選では一時、日程を非公表とした。
今回の参院選も自民党幹部の日程は数日前に公表しているが、総裁日程は当日朝に報道機関に発表し、ホームページには掲載していない。
聴衆を多く集めたい候補者側は悩ましい。中野駅前の演説も候補者陣営が新聞広告などで事前に周知。広告を見た首相側近は陣営を注意したが、反対派が集まる結果となった。首相が八日に訪れた岩手県では、候補者が事前にツイッターで遊説日程を掲載したが、混乱はなかった。
一方、自民党を除く六党は前日までに党首らの日程を公表している。立憲民主党の枝野幸男代表は記者団に「誰に投票するか決めていない不特定多数の方に支持を呼び掛けるのが選挙だ。首相はそういう選挙をしようと思っていないのだろう」と語った。
与党に比べ動員力が乏しいという野党の事情も見え隠れする。国民民主党が七日に秋葉原で開催した玉木雄一郎代表のトークイベントの聴衆は約二十人にとどまった。選対幹部は「民進党分裂で組織が小さくなり、早めに周知しないと人が集まらない」と打ち明ける。演説の妨害を受けたこともある共産党の小池晃書記局長は「首相は正面から政策を語り、審判を仰ぐ覚悟も自信もないのだろう。よほどやじが怖いのでは」と皮肉った。
自民党の萩生田光一幹事長代行は九日、参院選で安倍晋三首相(党総裁)の遊説日程を党ホームページで事前に公表していない理由について「あらかじめ公表すると、組織的に演説を妨害する人もいて、まじめに演説を聴きたくて集まった人たちに迷惑をかける」と説明した。党本部で記者団の質問に答えた。
萩生田氏は、七日に東京・JR中野駅前で行われた首相遊説について、自民党候補が事前に告知したため「そういう方たちが大挙してお見えになり、会場が混沌(こんとん)として『話が聞けない』という苦情もあった」と指摘。「(首相を)批判する権利はあるのだろうが、演説会は候補者の政策を聴いてもらうためにやっている。選挙妨害と思われるような行動は厳に慎んでほしい」とも話した。
首相の公務日程が直前まで決まらないとも説明し、「残念だが、この(事前に公表しない)スタイルでしばらく続けてみたい」と理解を求めた。 
党首は何が言いたいの? 分析してみた 7/10
ここに散りばめられた言葉。各党の党首が参議院選挙の応援演説で使った言葉です。党首は党の顔。何を訴えるかは票に直結するので、練りに練って街頭演説に臨みます。党首演説を見ると選挙全体が見えてくるかも…
演説に党首の「色」が!
参院選序盤の7月4日と6日。各党首が2日間の演説で語った膨大な言葉を、私たちは一言一句逃さず収集しました。その言葉、実に6万8000字。それをカラフルに色分けしたのが、この「ワードクラウド」。文字が大きいほど、多く使われた言葉です。
これは安倍さんが先月のG20など外交実績を紹介するくだりで登場します。トランプ大統領と個人的な親密さを強調して、強固な日米同盟をアピールしています。何回もゴルフに行ったエピソードを持ち出し、「ゴルフばかりしていると批判されるが、世界で一番忙しい大統領の時間を独占している」と語っています。
安倍さんは、演説の中で民主党政権時代との比較をよくします。年金の運用益や有効求人倍率などの数字を比べて、今のほうが良くなっているという主張をしています。
「あの民主党政権時代に逆戻りさせるわけにはいかない」というのが決めぜりふ。さらに、「民主党の枝野さん、あ、すいません。立憲民主党でした。毎回毎回党名が変わるから覚えるのが大変だ」と皮肉交じりの言い方をすることもあり、枝野さんは「一種の選挙妨害だ」とあきれ顔です。
枝野さんは「一人一人が豊かさを実感できる社会をつくる」というフレーズを多用します。多様性を重視し、聴衆一人一人に語りかける演説が特徴です。
また、「暮らし」という言葉も多く使われています。老後や子育て、教育など、個人の暮らしへの投資を強化するという党の経済政策の表れです。アベノミクスからの転換を訴えていることがわかります。
国民民主党の玉木さんは、「年金」、「安心」、「運用」と年金問題を中心的に取り上げています。
公明党の山口さんは「声」。「小さな声を、聴く力」というのが党のスローガンになっているんです。大衆の声を政治にくみ上げるという党の姿勢を示しているんです。
共産党の志位さんは、「安倍」。「安倍政治」、「安倍改憲」ということばを使って、安倍政権を批判したり、政治の転換を訴えたりしています。
日本維新の会の松井さんも「年金」とともに「大阪」が目立ちます。大阪で進めた改革を強調しています。
社民党の吉川さんも「年金」。年金問題を真っ正面から取り上げています。
データから見えてきた「争点」
そうなんです。各党首が、どんなテーマに時間をかけて話しているのか分析したところ、もっとも時間を割いていたのが「年金・社会保障」。次いで「消費税・経済政策」。この2つのテーマで3割から4割を占めていました。
さらに、「年金」という言葉とともに語ったワードを分析したのがこちら。
与党は「年金」とともに「財源」や「運用」。
野党は「年金」にあわせ「安心」や「財源」などとなっています。
安倍さんは「野党は財源に裏打ちされた提案はせずに、不安ばかりをあおっている」と野党批判の文脈で使っています。「負担を増やさずに給付を増やす、そんな打ち出の小槌はない」とも。
野党側も、「財源」に触れているんですね。小さいですが「所得再分配」という言葉にもあるように、高所得者や企業に対する課税の強化や、いっそうの行財政改革などで財源を捻出するとしています。
少子高齢化が進み、まったなしの課題。今、年金を受け取っている世代だけでなく、将来受け取る若い世代の不安も払拭できるような議論を期待したいです。
もう一つの争点「憲法」
そうですね。全体でみると、3番目に多いテーマです。しかし、各党ごとに分析するとおもしろい結果になりました。
自民党は「14.7%」 共産党は「14.8%」 社民党は「18.4%」と、多くの時間を割いています。
これに対し、立憲民主党、国民民主党、公明党、日本維新の会の4党はなんと「0%」でした。
安倍さんは、今回の選挙では「憲法改正を議論する政党を選ぶのか。責任を果たさず、議論をまったくしない政党を選ぶのかの選挙だ」と、二者択一のテーマ設定をしています。
実は安倍さんが、国政選挙で「憲法」をここまで積極的に取り上げるのは今回が初めてです。過去の選挙では、公約には掲げたけれど、演説はアベノミクスなど経済政策が中心でした。国会での憲法論議が進んでいないことから、野党の消極的な姿勢を批判し、違いを際立たせたい考えです。
この2つの党は、憲法改正に反対の立場です。憲法を守り、いかす政治の実現を訴えています。
憲法スルー?
立憲民主党の枝野さんと国民民主党の玉木さんは、「国民の関心が高いのは暮らしや経済であり、憲法への関心は高くない」としています。議論から逃げているわけではなく、憲法は、優先順位が低いので、わざわざ街頭演説では取り上げないという考えなんです。
また、憲法改正を公約に掲げている日本維新の会の松井さんも、街頭演説では、年金など、暮らしの問題や、行財政改革などが訴えの中心です。
公明党は、憲法改正の議論そのものは否定していないけど、自民党が目指す自衛隊明記には慎重な立場です。国民の関心も高まっておらず、十分に議論が深まっていない現状では、積極的に取り上げる必要はないという考えなんです。
いずれの党首も、党首討論会などで質問されれば、明確に主張を述べています。
聴衆に何が一番響くのかを考えて、テーマを選んでいるんだと思います。
そうですね。党によって、かなり温度差があることがわかります。安倍さんは憲法改正の議論を提起していますが、必ずしも、かみ合った議論になっているとは言えないと思います。
演説にも耳を傾けてみよう!
各党の主張や政策を、党首演説から読み解いてきましたが、どうでしたか?
今回分析したのは、選挙戦序盤の2日間の演説です。選挙期間の中で、演説の重点や内容が変わっていくこともあるので、何がどう変わったのか、見ていく必要があります。
政治家は言葉が商売道具。選挙中は、威勢の良い言葉や聞こえの良い言葉が聞こえてきますが、本当に信用できる党首・政党はどこか。実際に演説に耳を傾けてみると見えてくるかもしれません。  
 7/9

 

安倍首相と三原じゅん子の政見放送がまるで北朝鮮!  7/9
全国遊説でデタラメな数字を並べて“年金は大丈夫”と振りまき、本サイトでもお伝えしたように「民主党の枝野さん」とわざと間違えるという演説を繰り返している安倍首相。その姑息さには目を覆いたくなるが、さらに驚くような光景を、昨晩、国民に向けて繰り広げた。
というのも、昨晩NHKで自民党の政見放送が流されたのだが、安倍首相とともに現れたのは、参院本会議で「民主党政権の負の遺産の尻ぬぐいをしてきた安倍総理に感謝こそすれ」「恥を知りなさい」と述べた三原じゅん子議員。そして今度は、安倍首相と並び座りながら、三原議員が安倍首相を崇めたてまつるという、醜悪な政見放送を垂れ流したのだ。
一体、どんな放送だったのか。三原議員はまず最初に、こう口火を切った。
「総理、いま国際情勢は、米中貿易摩擦、北朝鮮情勢、英国のEU離脱問題、緊迫する中東情勢など、激動のなかにあります。こうしたなかでG20大阪サミットの議長を務められました。手応えはどうでしたか?」
対北朝鮮外交では蚊帳の外、中東問題では「架け橋外交」どころか海外メディアにも批判される始末で、G20でも存在感を示したのは「エレベーターを付けたのはミス」発言で冷ややかな視線を浴びたくらい。にもかかわらず、そうしたことはすべてなかったことのようにして前振りする三原議員には唖然とさせられるが、対する安倍首相は、満面の笑みでこう述べた。
「世界は結束できる。そう信じて、精一杯、議長役を務めました」
「貿易で生まれた富がすべての人に行き渡るルールをつくることが大切です。公正なルールが必要なんですね。この点は、私はトランプ大統領にはっきり、申し上げているんです」
まったく何を言っているんだか。トランプの顔色を伺ってばかりで「首脳宣言」でも「保護主義と闘う」という文言を盛り込もうともしなかったというのに、こんなところで「トランプ大統領にももの言えるオレ」をアピールするって……。だが、さらに三原議員はこう畳みかけたのだ。
「そのトランプ大統領を大相撲に招待するなど、総理は蜜月ぶりを世界に存分に発信しておられますね」
トランプ大統領は排外主義政策を押し出して世界から差別主義者だと非難を浴びているというのに、恥ずかしげもなく「蜜月ぶりを世界に存分に発信しておられますね」と称賛する。だいたい、その「蜜月」の内実は、言われるがままイージス・アショアやステルス戦闘機を大量購入し、貿易交渉でも参院選後には農産物の関税大幅引き下げに応じる密約を交わしていると見られ、その上、日米安保の見直しを迫られているような状態だ。
しかし、水を向けられた安倍首相は、こう断言する。
「深い関係にあるからこそ、何でも率直に言い合える仲なんです」
もう頭がクラクラしてくるが、このあとも三原議員は「世界はトランプ大統領のTwitterに釘付けです」「これまでの大統領のイメージと異なり型破りな方ですが、実際、トランプ大統領はどんな方なんでしょうか?」などと安倍首相に質問。延々と“トランプ大統領との仲良し安倍首相”PRをつづけ、安倍首相も「拉致問題の解決に向けて全力で取り組んでいく決意」とまったく成果のない拉致問題に話を繋げたのだ。
トランプ仲良し自慢のあとは、改元を安倍首相の手柄とPRし政治利用
政見放送なのに、初っ端から長い時間をかけて取り上げるテーマがトランプとの関係性って……。いや、トランプ仲良し自慢のあとはもっと酷かった。次に三原議員が安倍首相に振ったのは、こんな話だった。
三原「令和の時代がはじまって2カ月ですが、ずいぶんと世の中に浸透していますね。元号の制定は大変な責任と重圧だったと思います」
安倍「おかげさまで、令和を、多くの国民のみなさまから評価・歓迎していただき、ホッとしています。令和の時代を切り開く、若い人たちが評価してくれていることを聞いて、大変うれしく思いました」
安倍首相が改元を政治利用するために元号選定を主導したことは本サイトでもお伝えしてきたことだが、ここまで臆面もなく自分の手柄にし、堂々と改元を選挙利用するとは──。しかも、ここから三原議員は「令和の時代にも安心できる、責任ある社会保障制度をつくることは、わたしたち政治家の責任」と繋げ、ようやく国民の生活に直結する年金問題へ移るのだが、三原議員はこのように話題を誘導した。
「一部の野党は、高齢者のみなさんにとって大切な年金を政争の具にし、具体的な政策も示さないまま、ただただ不安を煽るだけの議論に終始していることは、大変残念に思っています。わたしたちだって、高齢者のみなさまの年金を少しでも増やしたいと思っています。しかし、そんな打ち出の小槌はあるのでしょうか」
いやいや、問題の発端は「老後は年金に頼るな、自助で2000万円貯めろ」という報告書案を金融庁が出したことで、国民の不安を煽ったのは政府だ。それに野党は具体的な政策も出しているのだが、そうした事実は無視して安倍首相は「逆から言えば、政策次第で、年金を増やすことは、十分に可能です」と言い、さんざんデタラメさが指摘されているアベノミクスの成果を並べ立てるだけ。
そして、安倍首相が粉飾された虚偽の成果を主張すると、三原議員がこんな合いの手を入れるのだ。
「アベノミクスのもとで、経済は順調ですね」
「(民主党政権の)あのような時代に戻してはなりません。アベノミクスによって、日本経済は一変しました」
「外交では、世界の真ん中で輝く、新しい日本外交のかたちをつくろうとしています」
「安倍総理は、内政では、子ども・高齢者など、弱い立場にある人の声に耳を傾けながら、できるかぎりの政策を進めておられます」
都合の悪い事実はなかったことにし、「経済を強くした安倍総理」「世界の真ん中で輝く安倍総理」「弱者にやさしい安倍総理」とひたすら礼賛をつづける──。かと思えば、今度は怒気を露わにした口調で、三原議員はこう啖呵を切った。
さんざん安倍首相礼賛したあげく、年金問題を野党批判にすり替え!
「それに引き換え、野党は、日ごろは与党の揚げ足取り。政策の議論を重ねないまま、選挙目当てで、人気取りだけで、実現できるかも怪しいような政策を言い始める。所属政党はコロコロ変わり、対案なしで何でも反対、やることすべてがブーメラン、何度この光景を見たことか。こんな野党には、絶対に、負けるわけにはいかない……! 心からそう思います」
安倍首相を褒め称えるときは高い声でにこやかなのに、野党の批判はいかにも恐ろしいことを話すかのような低い声色でおどろおどろしく語る三原議員。 あの参院本会議での三原議員の演説は、まるで北朝鮮の最高人民会議を彷彿とさせるものだったが、今度は朝鮮中央テレビの女性アナウンサーを見ているかのようだ。しかも、じつはこの文言、問題となった参院本会議とほとんど同じものだった。
つまり、今回、安倍首相は、国会という場で安倍首相を「崇拝」し、「野党は恥を知れ」と攻撃した三原議員による演説を、諫めるでも反省するでもなく、政見放送で“再現”させたのである。
実際、「こんな野党には絶対に負けるわけにはいかない」と三原議員が述べたあと、安倍首相は笑顔でこんなことを言い出した。
「この前の三原さんの参議院本会議での演説は、すごい迫力でしたね。国民の代表としての自覚、国会で議論に臨む姿勢。非常に印象的でした」
三原議員の演説は批判を浴びたが、一方でネトウヨや安倍応援団は「まったく正論」「スカッとした!」「流石女番長」などと絶賛していた。ようするに、安倍首相はお友だちの極右ネットテレビ番組に出演するだけではなく、ついに政見放送でまで、そうしたネトウヨ受けを意識しはじめたのだ。
いや、これはネトウヨ受けというだけではなく、“自分への礼賛と自分の敵への一方的な攻撃”という独裁国家のプロパガンダさながらのやり方がごく普通に受け入れられる国にしようとしているのだろう。そうでなければ、とてもじゃないが、こんな知性のかけらも感じられないような酷い内容を政見放送として用意するはずがないからだ。
野党&メディア攻撃本配布問題といい、選挙を通してどんどんあきらかになっていく安倍自民党の気持ち悪さ……。しかし、最大の問題は、国民がこれに慣れてしまうことのほうだろう。 
 7/8

 

日米安保廃棄掲げる共産との共闘…野党の弱みつく安倍首相 7/8
安倍晋三首相(自民党総裁)は8日、自民候補応援のため参院選岩手選挙区(改選数1)の3カ所で街頭演説を行った。岩手は国民民主党に加わった元民主党代表の小沢一郎衆院議員の影響が強く、自民は平成4年以来、野党勢に苦杯を喫してきた。27年ぶりの自民勝利に向け、首相の弁舌はヒートアップした。
「『共産党と、批判ばかりしている野党は何も生み出すことができない。政策を具体的に進めていきたい…』。そう決意して3年前に自民党と立ち上がってくれた」
首相は、岩手選挙区の自民候補が平成28年7月に民進党(当時)を離党して自民に移籍した経緯について盛岡市内でこう述べ、主要野党の姿勢を批判した。同選挙区で自民候補と競る無所属新人候補は、国民に加え立憲民主党、共産党などが推薦する。首相の矛先は共産と立民などが掲げる政策理念のズレに向いた。
「共産党は日米安全保障条約の廃棄、自衛隊は憲法違反だから解消していくと述べている。この政党に相手候補は支えられているんです」
続けて首相は立民幹部の多くが民主党政権中枢を担ったことを念頭に、枝野幸男代表が訴える保育士の処遇改善についても切り捨てた。
「枝野氏は、党首討論で『われわれはもっと(保育士の給与を)増やしていく』というが、調べてみると民主党政権では保育士の待遇は引き下げられていたんです。出来もしない公約を掲げることは簡単。大切なことは財源を得て実行していくことだ」
首相はこう述べ、自公政権への支持を求めた。 
大荒れの応援演説 安倍首相に「帰れ」「やめろ」の大合唱 7/8
小雨がチラつく空模様となった7日、JR中野駅前で「国難首相」と「こんな人たち」が再会――。自民党は今回の参院選でも安倍首相の遊説日程を公表しない“ステルス作戦”に出ているが、7日の中野駅前には首相演説を一目見ようと聴衆が駆けつけた。大メディアの世論調査は「自民圧勝」を伝えているが、演説の様子を見る限りとんでもない。有権者の怒りは着実に高まっている。
「かーえーれ! かーえーれ!」「安倍やめろ! 安倍やめろ!」
7日15時半から中野駅北口ロータリーで始まった自民党候補の遊説。
開始から20分後、安倍首相が登場した途端、街宣車後方の両サイドに集まった人たちから、一斉に怒声と罵声が入り交じったヤジの大合唱が始まった。選挙演説の場というよりも、殺気漂う糾弾集会といった雰囲気で、どうみても“ステルス作戦”は大失敗だ。
日刊ゲンダイの記者がざっと数えたところ、集まった聴衆は1000人ほど(主催者発表は約3000人)。ロータリーや沿道は人でごった返した。
マイクを握った安倍首相は早速、お得意の野党批判を開始。「(憲法改正の)議論をしない政党」などと声を張り上げると、街宣車の前に陣取った支持者から「安倍総理」のコール。しかし、たちまち「安倍やめろ!」の大合唱にかき消されてしまう。さらに安倍首相がトランプ米大統領について「話の筋が通っていれば『シンゾー分かった、協力するよ』と言ってくれる」などとニヤケながら懸命にアピールすると、聴衆からは「ただの(米国の)犬じゃねえか」と鋭い突っ込みを食らう始末だ。
慌てた自民党スタッフらが<安倍総理を支持します>などと書かれたプラカードを掲げたものの、「安倍やめろ!」の迫力に押されてタジタジ。司会者が「安倍総理コールをしましょう」と呼びかける事態になり、中野駅前は「安倍やめろ!」と「安倍総理」の叫び声が交ざり合う異様な状況となった。
安倍首相は2017年夏の都議選最終日、ヤジを浴びせる聴衆に向かって「こんな人たち」とブチ切れし、選挙で惨敗。以来、日程を公表せずにゲリラ的に遊説する「ステルス作戦」を展開しているが、コソコソと逃げ回る姿が逆に「こんな人たち」の怒りの火に油を注いでいるようだ。
「6年半の実績をアピールしたいなら正々堂々と有権者に訴えればいいのに、『ステルス作戦』で自民党のセコさだけが目立っています。安倍首相は新潟で行った演説で、アベノミクスを礼賛する景気のいい話ばかりしていましたが、国民の実感とかけ離れた感覚が『安倍やめろ』コールにつながっているように思います」(ジャーナリストの横田一氏)
選挙の結果はまだまだ分からない。  
安倍首相が応援演説で「言い間違い」連発 「民主党の枝野さん」を定番文句に? 7/8
参院選で安倍晋三首相(自民党総裁)が応援演説する際、立憲民主党の枝野幸男代表を「民主党の枝野さん」と「言い間違い」をする場面が頻発している。その後に「毎回、党が変わるから覚えられない」などと「釈明」を加え、演説の定番文句になりつつある。
4日の公示以降、首相の「言い間違い」と「釈明」を最初に確認できたのは、6日午後の滋賀県草津市での街頭演説。「野党の枝野さん。民主党の、あれ民主党じゃなくて今、立憲民主党ですね。どんどん変わるから覚えるのが大変」と話すと、聴衆から大きな笑いが起こった。同日夕の大阪市内での演説でも「この前、民主党の枝野さんと討論、民主党じゃないや」と述べた。
翌7日は、千葉県内と東京都内で行った計6カ所すべての街頭演説で同様に「言い間違い」をして、聴衆の笑いを誘おうとした。
首相の「言い間違い」は毎回、介護や保育の現場で働く人の待遇改善を訴えるくだりで出ている。枝野氏が保育士の待遇改善を訴えていることに言及し、「3年3カ月で全く待遇は改善されていないどころか、1・2%下がっている」などと、かつての民主党政権を批判している。 
参院選有権者の関心は年金4割 憲法改正は4番目 7/8
産経新聞社とFNNが実施した参院選の中盤情勢調査で、重視する政策・争点を聞いたところ、「年金など社会保障」が40・6%で最多だった。「老後資金2千万円」問題を受け、年金をはじめとする社会保障への有権者の関心が高いことが浮き彫りになった。一方、安倍晋三首相(自民党総裁)が議論の活性化を求めている「憲法改正」は7・1%で、「景気や経済対策」(19・4%)、「消費税率の引き上げ延期」(9・0%)に続いて4番目だった。
老後資金が年金以外で2千万円必要とした金融庁金融審議会の報告書をめぐり、野党が政府の対応や年金制度の不安を追及する一方、与党は制度の持続可能性や低年金者への給付金などをアピールしている。
調査では特に野党支持層で「年金など社会保障」を重視する姿勢が目立った。立憲民主党を支持するとした人の52・1%、国民民主党を支持する人の50・6%が重視すると回答した。
ただ、自民党支持層で35・5%、公明党支持層でも48・5%を占めており、21日の投票日に向け、与党側はより丁寧な説明を求められそうだ。
首相は参院選の争点に憲法改正議論の是非を掲げているが、有権者の関心が高まっているとはいいがたい。自民支持層でも「憲法改正」を重視すると答えたのは7・3%で、公明支持層では2・5%と伸び悩んだ。
むしろ改憲に反対している野党を支持する人の方が関心が高く、立民支持層の7・8%、共産党支持層の14・4%、社民党支持層の16・1%が重視すると回答した。
参院選では10月の消費税率10%の引き上げも争点の一つとなっており、賛成の自民、公明に対し、立民など野党は延期や凍結を主張している。
消費税の延期を重視するとの回答は野党支持者の方が多く、立民の支持層で11・1%、国民で13・7%を占めた。一方、自民は5・4%、公明も5・4%にとどまった。 
 7/7

 

安倍首相の街頭演説で“批判派潰し”の異様光景! 7/7
マイクを通した「安倍総理!」という掛け声に対し、さまざまな場所から沸き上がる「安倍やめろ」コール……。本日15時30分から東京・JR中野駅前でおこなわれた自民党街頭演説会での光景だ。
今回の中野駅前での遊説をはじめ、安倍首相がおこなう街頭演説の情報を自民党は公式HPで一切告知していない。2017年の都議選の演説で「安倍やめろ」コールが繰り出され、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と声を荒げて以降、安倍首相は街頭演説の日程を一般告知せず突然現れるという“ステルス”演説をおこなうようになったが、今回も同様の手口に出ているのだ。
さらに、事前の党員への告知では、今回の中野駅前の街頭演説は「東京での最初で最後の総裁遊説」と銘打たれていたのだが、急に本日、立川駅前での街頭演説に安倍首相が登場すると発表。さらには吉祥寺駅前の演説会でも、急遽、演説をおこなうことに。「東京では最初で最後」という告知は一体、何だったのか……。
市民を「こんな人たち」と呼んで敵視・分断し、批判を浴びるのを恐れて正々堂々と姿を現さない総理大臣などもってのほかだが、演説も酷いもの。党首討論でもさんざん繰り返している一面的な数字やデータを並べてアベノミクスの成果を誇っては“年金は大丈夫”と主張する一方、“悪夢の民主党政権”を強調。さらに、笑い話のようにこんなことも述べた。
「民主党の枝野さん……あ、すみません、民主党じゃなくて、立憲民主党ですか? 毎回変わるから覚えきれませんが」
まるで「うっかり間違えちゃった」というふうに語っていたが、じつはこれ、昨日おこなわれた大阪での街頭演説でも同じようにしていた話。つまり、いまはなき“民主党”を印象づけるための“うっかり演技”なのだ。
まったく、民主党の倍以上の7年近くも政権を担っておきながら、いまだに民主党ディスに固執する姿勢にはウンザリさせられるが、もちろん、市民も黙ってはいない。きょうも中野駅前に安倍首相が登場すると、多くの人たちが「年金をどうするか、ちゃんと説明しろ!」「民主党の話はもういいよ!」と、国民の不安に向き合わない安倍首相に反対する声をあげた。
それは一箇所にとどまらず、さまざまな場所で口々にあがったのだが、酷かったのはこのあと。「安倍やめろ!」と反対する市民がいる場所に自民党のポロシャツの上からカッパを来た関係者らが、「がんばれ自民党」「安倍総理を支持します」という横長の看板を掲げ、反対市民のプラカードを覆い隠したからだ。
ここ最近の安倍首相が参加する街頭演説会では、安倍政権に反対するプラカードを市民が掲げるや否や自民党関係者が自民党の幟で覆い隠すという手段に出ていたが、そうした行動に批判が起こったからか、今度は「支持者の意見」で隠すようになったのだ。
しかも、「安倍NO」という垂れ幕を掲げていた市民を写真におさめようとするメディア関係者がいるなか、その垂れ幕に傘を密着させて嫌がらせをする者が。市民は交通整備をおこなっていた自民党ポロシャツ+カッパの男性に対し、ほかの人を交通の邪魔になるからと言うなら、その男性にも声をかけてと抗議したのだが、自民党関係者と思しきその男性は拒否。その模様を本サイト編集部員が撮影していると、編集部員を自民党支持者だと勘違いしたのか、「写真撮って! 共有するから!」と言われてしまった。
それだけではない。そうした自民党関係者らだけではなく、こんなプラカードを掲げた者たちも大量に表れたのだ。
「おい、TBS 偏向報道は犯罪なんだよ!」「おい、金平茂紀 偏向報道は犯罪なんだよ!」「テレ朝は石器時代のような偏向ヤメろ」
当たり前だが石器時代に報道機関など存在しないし、テレ朝はむしろ安倍政権忖度に大きく傾いているのだが……。しかし、そうした者たちが反対市民の前を陣取りつづけていたのである。
ともかく、政権与党が姑息なやり口で市民の意志表示を封じ込めるなど恥ずべき異常事態だが、安倍首相はどこまでもこんな選挙戦を押し通すのだろう。
だが、こうした安倍自民党がいかに酷い選挙戦を展開しているのかは、メディアは伝えない。報じても、それは開票後になるだろう。だからこそ、多くの人にこの実態を知って欲しいと願うばかりだ。 
安倍晋三 と 丸川珠代(自民党・東京選挙区)の演説内容 7/7
丸川珠代 自民党公認候補の演説
12年前、安倍総理の下で初当選をさせていただきました。そしてこの6年間は、環境大臣、オリンピックパラリンピック担当大臣を務めさせていただきました。
皆さんの、こうして立川で安倍総理の声を聞いていただける、想いを聞いていただける、本当に嬉しいことです。皆さんおいでくださってありがとうございます。
いよいよ来年、7月24日は、オリンピックの開会式です。およそひと月と少しにわたってオリンピックパラリンピックが開催され、そしてここ多摩でも競技が行われます。ずっと「多摩で競技を」その願いを持って、頑張って参りました。 珠代の“たま”は“三多摩”の“たま”。その思いはずっと変わっていません
ぜひ、私たちが選手たちの活躍に勇気をもらって、私たちもまた新しい挑戦に踏み出してみよう。そんな力をもらえるような、素晴らしい2020年の大会にしていきたいと思います。そしてとりわけ子ども達には「日本人って凄いんだ」「日本ってこんなに素晴らしいんだ」そう素直に思ってもらえる大会にしたいと思います。
彼らが生き抜いて行く激動の未来。 彼らの中に日本人としての誇りをもってもらえたら、これほど強い心のレガシーはありません。そして安倍総理の下でこの子どもたちに、平和な未来を手渡したいと思います。
今まさに日本は激動の中にあります。安倍総理のリーダーシップのもとで、この東アジアに最後まで残った冷戦構造、北朝鮮をめぐる問題は大きく動き始めました。ぜひともこの動きを前にどんどん進めていきたい。安倍総理の下で強固な日米同盟をさらに強力なものにして、国際社会に拉致問題と北朝鮮の核とミサイルをめぐる問題を、この重要性をしっかりと理解をしてもらう。協力をしてもらい、私たちの子ども達には、核やミサイルの心配のない未来を手渡していきたいと思います。
そして私たちの国は私たちで守る。そのことを国民の皆様と強い意志のもとで共有できる。そんなことができるような憲法を変えていけるように議論を深めていきたいと思います。
私の子どもも、6年前は哺乳瓶を持っておりました。今、もうランドセルを背負って学校に通っております。子供たちの安全と未来を守る、大人の大事な仕事です。30年後を生きる子ども達のために、インターネットやあるいはプログラミング教育、しっかり充実をさせ、人工知能やロボットを使う側の人間として育ってもらいたい。そして人工知能やロボットが社会の構造をしっかりと支えている未来こそ、人間としての力、人の心を理解しそして人の心を察して、ともに協力しながら新しい創造をしていく。そのような力を子ども達に身につけさせてあげたいと思います。
一方で高齢化はまさに東京でこれから進んで行きます。関東以外の多くの都道府県では、もうすでに高齢化率が 30%に達しておりますが、東京はまだ23%。これからまさに2040年に向かって、高齢者の数が他の地域にないスピードで、量で、ボリュームで増えていきます。皆さんのお住まいの地域で本当に今の介護のサービスの在り方でいいのか、医療のあり方でいいのか、もう一度丁寧にチェックをしていきたいと思います。
私自身大臣になった翌日に、母が介護疲れで倒れました。大臣になって、会見をやって、翌朝まで電話が繋がらない…。おかしいなあと思って母の住む家に行ったら、玄関でひっくり返っておりました。どうすることもできなくて、そのまま救急車呼んで、私はまた仕事に戻りました。正直働きながら家族の看護をする、あるいは介護をする、これは本当に至難の技です。
今、ダウン初日に開けてくれる介護の相談窓口も増えてきましたが、ここ東京だからこそ、そしてこの多摩、通勤時間が長いです。こういう地域だからこそ そのライフスタイルに合わせた、働きながら介護をする、あるいは子育てをしながら介護をする皆さんが、本当に生活を維持できるような介護・医療のあり方をしっかり作っていかなければいけません。そして何よりも、この一度倒れて、でも軽度の認知症になって、病院から出てきた時は一人で暮らせない。そんな状況の要介護の状況になっていた母が、きちんとリハビリをして、 しっかり規則正しくご飯を食べて、運動をして、地域の皆様あるいは施設の皆様とコミュニケーションを取り、社会参加をすることによって、また今仕事に戻ることができています。
私たちは人生の中で、色々な危機や病気やいろんなことがあったとしても、また健康を取り戻すことができる医療介護が地域にあるんです。これをさらに充実をして、皆さんお一人お一人が人生100年時代、社会の力を生み出す、輝く存在になっていただける、そういう基盤を作っていきたいと思います。皆さんの長生きを幸せにお支えをしたい。
そして子を育てる母として、子育てが温かく受け入れられる東京を作っていきたいと思います。
どうぞ、丸川珠代、丸川珠代をご支援ください。よろしくお願いを申し上げますありがとうございます。
安倍晋三 自民党総裁の応援演説
皆様こんにちは。自由民主党総裁の安倍晋三でございます。この雨の中、駅前にこんなに沢山の方、お集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまわが党の公認候補、丸川、丸川珠代。まさに“三多摩”の“たま”であります丸川珠代から、“たま”しいを込めたご挨拶がございました。
この東京でも、参議院選挙、実は大変厳しい戦いであります。我党は2名の候補者を出しております。全体でも大変な激戦、厳しい厳しい戦いでございますが、私たちにとってどうしても必要な人材が丸川珠代であります。
ご承知のように、安倍内閣において丸川さんにはまず環境大臣を務めてくれました。『パリ協定』に向かって、何回も世界に足を運びながら、この協定をまとめていく上において、国内においても海外においても、大変な努力をしてくれました。
そして次は オリンピック・パラリンピック担当大臣。いよいよ来年オリンピックパラリンピックを迎えるまでになりました。様々な課題を、彼女のリーダーシップで乗り越えることができました。同時にまた丸川珠代さんは、自民党の厚生労働部会長、社会保障政策の政策立案の責任者を務めていただきました。実は私も若い頃、同じような場に立ったことがあります。
今まさに自らの人生において、介護で頑張る子育てをしながら、いかにそれが大変だったか身をもって経験した丸川さん。実は、認知症対策基本法を取りまとめていただいたんです。それは認知症になっても、住み慣れた地域でそのまま住み続けることができる。社会や地域や、そして介護や医療にしっかりと支えられながら、その後の人生の質も維持できる。と同時に、その予防もしっかりとやっていく。予防と共生、その2本柱の認知症基本法について、その取りまとめを行い、提出まで至りました。1日も早く提出をさせたい、こう思っています。この素晴らしい人材である丸川珠代さん、皆さんのお力でもう一度国会に送っていただけますようによろしくお願い申し上げます。
先般、皆さま、G20が初めて日本で開催され、あのトランプ大統領も、プーチン大統領も、そして習近平主席、多くの人たちが日本に集まりました。難しい課題もあった。自由貿易の問題、あるいは環境・気候変動の問題。これは丸川さんが環境大臣として取り組んできた課題だ。しかしなかなかこれをまとめるのが大変でした。そして最後の最後の瞬間に、会議の場において、議長を私は勤めていたんですが、この議長役を麻生さんに変わってもらって、私自身がトランプ大統領と直談判をいたしました。そうしたらトランプ大統領は、妥協案を壁に書いてくれました。この妥協案を持ってフランスのマクロン大統領やあるいはドイツのメルケル首相と話をして、最終的に「難しい」と言われた首脳宣言を出すことができました。しっかりと環境を守っていく。その方向に向かって前進することができたんです。プラスチックのゴミも、2050年、世界中から海に出ていかないということでも一致することができました。
皆さんトランプ大統領っていうのは、型破りの大統領だとおそらく皆さんそう思っているんだろうと思います。しかし皆さん、意外とトランプ大統領は人の話に耳を傾けてくれます。“意外と”と言うとちょっと語弊があるんですが、話の筋さえ通れば「わかった。晋三、協力するよ」こう言ってくれます。米国は日本にとって唯一の同盟国であります。もし日本が侵略を受けた際には、アメリカがまさに日本を守るために戦ってくれる。このアメリカの大統領と信頼関係を作っていくことが、日本の総理大臣の最低限の責任だと私は思っています。
平和安全法制も成立をしました。日米同盟が私たちのもとで、いまだかつてないほど強固なものとなっています。日本を守っているのはまさに『日米同盟の抑止力』と『自衛隊』のみなさんであります。
日々自衛隊の皆さんは365日24時間汗を流してくれています。でも皆さん、この“自衛隊”、「憲法違反だ」と、例えば共産党はそう主張しています。
災害があった時に真っ先に駆けつけて、命知らずで国民を守る。この自衛隊を未だに“憲法違反”だと言っている政党があるんです。皆さん、こんな状況に終止符を打つために、私たちは憲法に『自衛隊』と明記をして、こうした論争に終止符を打っていきたい。こう考えているんです。
そして最後に決めるのは国民投票。国民の皆様であります。皆様に判断していただくためには国会議員がちゃんと議論しなければダメですよ。しかし憲法審査会においては野党が審議拒否をして、この1年間、衆議院においては2時間あまり、参議院においてはたった3分しか審議がなされていない。これは残念。そして国会議員としての 職務を果たしているとは私は言えないんじゃないかと思います。
この選挙で問われているのは、丸川さんや私たちのように、未来に向かってしっかりと憲法を議論していく候補者や政党を選ぶのか、あるいは国会議員の責任を放棄して、議論すらしない候補者や政党を選ぶのか。それを決める選挙であります。私たちはしっかりと責任を持って議論し、前に進めてまいります。
そしてこの選挙、年金も大きな課題になっています。野党からは、財源に裏付けをされた具体的な案は出てこない。不安ばっかり煽っている。年金は老後を支える、老後の生活を支える柱であります。しかし、年金の財源は皆さん、…(聞きとれない)…の皆さんのまさに保険料とそして税金で支えられています。負担を増やさずに 年金額を上げて行くことはできません。打ち出の小槌はないんです。
ですから私たちはしっかりと責任を持って、財源を確保して、厳しい方々を支援していきます。例えば、低年金の方々に対して、10月から消費税の財源を利用して、年最大6万円の給付を行ってまいります。また、年金の低い方々にとっては「介護保険料大変だ」そういう声を聞きます。そこでやはり、10月から介護保険料を2/3に軽減してまいります。私たちはやるべきことをやっていく。
今日は大変たくさんの若い皆さんにこの会場に足を運んで頂きました。嬉しく思います。皆さんにとって、将来人口が減っていく中にあって、高齢化が進んでいって、「自分達は年金もらえるんだろうか」不安を持っておられる方がたくさんいらっしゃると思います。でも皆さん、政策によっては年金額を守り、増やしていくことだってできるんです。
私たちの経済政策で、この6年間で雇用は380万人も増えたんです。新しく380万人働き始めた。つまり保険料だって増えたんです。そして6年連続、今世紀に入って最高水準の賃上げが続いて、この4月、年金額を増やすことが皆さんできたんですよ、皆さん。
そして皆さんの大切な積立金、お預かりをしている積立金。一部は株式市場で運用している。この株価平均、民主党政権時代は1万円を割っていた。大きく割っていた。今2万円を超えてますから。この運用益は、なんと53兆円になる。分かりやすく言うと、民主党政権の3年間の13倍にすることができたんです。年金を守っていく、それは強い経済を作っていくことであります。これからもしっかりと強い経済を作ってまいります。
私たちが強い経済を作って、経済の成長させた結果、今年度の税収は過去最高 。あのバブル期を上回りました。東京の法人関係税収も6割も増えた。雇用だって増えた。果実を私たちはみなさんにとって大切な社会保障分野に…(聞きとれない)…ています。例えば介護の受け皿。安心のために、50万人ぶんの介護の受け皿をわたしたちはしっかりと作っていく。
この現場で頑張っている、介護士の皆さんの待遇も改善してきました。月5万1000円、私たちは改善し、さらに…(聞きとれない)…の皆さんには1万円の上乗せを行ってまいりました。
そして保育。53万人ぶんの保育の受け入れの整備をして、東京において大幅に待機児童を減少してまいりました。そして、そこで頑張る保育士のみなさんの待遇だって改善してきました。月4万1000円の改善をし、さらに経験を積んだ方には4万円月上乗せをしてまいりました。
この前、皆さん、党首討論したら、民主党の枝野さん…あ、すいません、『立憲民主党』でした。毎回毎回、党が変わるから覚えるのが大変。立憲民主党の枝野さんが「自民党政権、全然待遇を改善していない」こう言っていましたが、いま申し上げましたようにそれは嘘です。そして「自分たちが政権を取ったら、思い切って待遇を改善をする」こう言っていました。
では自分たちが政権を担っていたあの時代、果たして保育で頑張る皆さんの待遇は改善されたか?私と丸川さんで調べてみました。驚くことに全く待遇は改善されていない。…どころか、マイナス1.2%であります。なんとマイナスだったんです。
できもしない公約を述べることは簡単です。大切なことはしっかりと財源を確保して、実行していくことであります。
私たちは、お約束したことはこれからもしっかりと実行してまいります。皆さん、政治にとって大切な役割は“雇用を作って、働きたい人が働く場を作っていく”ことであります。今私たちの政策によって、有効求人倍率、東京ではなんと2.12倍になった。つまり100人の求職者に対し、212人分の雇用がある。求職があるという状況を作ることができたんです。これは民主党政権時代の倍であります。
今年の4月、高校大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高水準になっています。そして、とうとう全国で、全ての都道府県で有効求人倍率は1倍を超え、正社員の有効求人倍率もとうとう1倍を超えた。つまり正社員になりたいというひとりの人に対し、ひとり分の正規の雇用があるという“まっとうな社会”を、私たちは初めて作り上げることができたんです。この流れを変えてはだめです、皆さん。さらに強くしていこうではありませんか。12年前、丸川さんが初めて当選をしたあの選挙。私の責任で自民党自体は残念ながら惨敗をいたしました。自民党が惨敗をした結果、政治は安定をしない。そしてとうとうあの民主党政権が誕生しました。決められない政治、バラバラな政治、経済は停滞していく。失業者は今よりも100万人も多かったんです。そして、中小企業・小規模事業者は、今よりも4割も多く倒産していた。『連鎖倒産』という言葉が日本中を覆っていた。…(聞きとれない)…どんなに頑張ったって工場閉めるしかなかったんです。
若い皆さんが なかなか就職できなかったあの時代。いよいよ令和の時代を迎えて、来年オリンピック・パラリンピック。あの時代に逆戻りするわけにはいかないじゃないですか、皆さん。 
共産党と野党共闘を攻撃 安倍首相が街頭演説 7/7
安倍晋三首相は6日、滋賀県内3カ所と大阪市内で街頭演説し、日本共産党と野党共闘への攻撃を展開しました。
野党統一のかだ由紀子候補と自民党候補の事実上の一騎打ちとなっている滋賀県の長浜市で、安倍首相は、「共産党は日米同盟廃棄、自衛隊違憲を言っている」「その共産党に応援されているのが相手候補だ。統一候補の重要なメンバーが共産党だ」と主張。草津市ではさらに「根本的な考え方に大きな問題があるし、バラバラだ」と野党共闘を攻撃しました。しかし、この間の党首討論でも、こうした首相の攻撃は論破されています。市民と野党の共闘は、13項目の共通政策で一致点と共闘の大義を明確にしています。
草津市では改憲にも言及。「(改憲を)しっかり議論する政党・候補者か、議論すら拒否する候補者や政党かを選ぶ選挙だ」と声を張り上げました。
演説場所のJR草津駅前に居合わせ、小学生の息子と安倍首相の車列を見送っていた50代の女性は、「改憲よりも他にやるべきことがある。安倍さんの9条改憲は子どもが戦争に送られるようになるもので、やめてほしい」と語りました。 
安倍首相「ステルス遊説」破られる 日程の情報漏れ 7/7
自民党が続ける安倍晋三首相の参院選戦略「ステルス遊説」が7日、早くも破られた。公示後初の日曜日、首相は千葉県と東京を遊説したが、一部日程の情報が事前に漏れたこともあってか、演説会場に「反安倍」グループが押しかけ、政権の実績を強調する首相に「やめろ」コールを繰り返す事態となった。
今回の参院選で、党のホームページ(HP)に首相の遊説日程だけ記されず、「ステルス」戦略が徹底されている自民党。その隠密作戦が、破られた。
首相は7日、参院選で初めて首都圏を遊説。千葉2カ所、東京4カ所を回った。スタートのJR蒲田駅前では特に混乱は起きなかったが、次のJR中野駅前では、首相の到着前から不穏な雰囲気。「自民党は恥を知れ」などのプラカードを持った人やグループらが選挙カーの周辺に集まり、警官や党側がピリピリした様子で警戒していた。
街頭演説が始まると、「やめろ」「帰れ」など、首相に批判的な怒号が飛んだ。首相がやじに反論した、17年都議選の秋葉原演説に似た雰囲気。首相が到着するとさらにボルテージは上がり、遊説の声がかき消されるほど。支持者が「安倍総理!」と応戦し、演説会場は混乱に陥った。
首相は、G20大阪サミットや安倍政権での経済、雇用状況の実績に触れた上で、年金制度をめぐる野党の主張を「不安をあおっている。強い経済をつくらなければ、年金制度は守れない」と批判。終了時には「声援を送ってくださり、ありがとう」と繰り返し、やじには反応しなかった。
自民党が首相遊説で「ステルス戦略」を取るのは、首相に批判的なやじを警戒したためといわれる。関係者によると、この日の一部の首相遊説日程は、選挙広告で新聞に掲載されていたという。4日の公示後、報道各社に発表された日程に一部の予定が含まれない「半分ステルス」もあり、党側が神経質になっているのがうかがえる。ただ純粋に首相の演説を聞きたい有権者も多いはず。「ステルス遊説」は、引き続き議論を呼びそうだ。 
 7/6

 

安倍首相「経済強くなった」演説アピールの悪辣トリック 7/6
選挙戦の演説で、安倍首相は「過去最高の税収」をやたらとアピールしている。
「私たちは経済を強くしています。経済を強くすれば税収は増える。今年(2018年度)の税収は過去最高になった。あのバブル時代も超えたのです」(福島市での第一声=4日)
素直に聞けば〈安倍政権がバブル時代を超えるような“強い経済”を築き、その結果、過去最高の税収を実現した〉という意味になるが、ペテン首相の巧言に引っ掛かってはいけない。
確かに、財務省が2日に発表した一般会計決算によると、18年度の税収は60兆3563億円と過去最高で、バブル期の1990年度(60兆1058億円)を超えた。しかし、〈経済が強くなった〉というのは大ウソだ。
1990年度と2018年度の「基幹3税」の税収の増減を見れば一目瞭然(別表)。低所得者ほど負担がキツい逆進性の極みと言える「消費税」が13兆円も増え、逆に「法人税」や「所得税」は計12兆円も減っている。庶民の負担を増やした主犯は、安倍政権だ。
14年に消費税を5%から8%に引き上げた一方、政権発足前は37%だった法人税を段階的に引き下げ、18年度は29.74%になった。15年度には所得税の最高税率を50%から45%に引き下げた。
つまり、企業や富裕層の税を軽減し、低所得者の薄い財布から消費税をふんだくった結果、最高の税収に達したのである。安倍の税収増のアピールは、「こんなに弱い者いじめをしました」と自慢しているようなものだ。
「バブル時代を超えるような“強い経済”を今、どこの誰が実感しているのか。バブル末期の90年度は、景気が過熱気味だったため、金利(公定歩合)が6%に引き上げられました。一方、安倍政権下で金利はゼロからマイナスに踏み込みました。“弱い経済”が一向に強くならないからです。強い経済で税収が増えたわけでは決してない。低所得者に過大な負担を押し付けた結果を、アベノミクスの成果にすり替えているのだから、悪辣です。野党やメディアはもっと突っ込むべきです」(立正大客員教授の浦野広明氏=税法学)
このまま、消費税が10%にアップすると、5兆円超の税収増。それでも安倍は「強い経済で税収が増えた」と自慢する気なのか。参院選で、ペテン首相を引きずり降ろすしかない。  
自民冊子の元ネタ「テラスプレス」、公示後も更新続く... 7/6
自民党本部が所属国会議員に配布した冊子「フェイク情報が蝕(むしば)むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識」をめぐり、TBS系ニュース番組の党首討論で意見が交わされる一幕があった。冊子に関しては、新聞や他のテレビ局も記事を出しており、ちょっとした注目を集めている。
冊子発行元とされる情報サイト「terracePRESS」(テラスプレス)については、「運営主体や連絡先が不明」(毎日新聞)と指摘されており、実際にサイトを見ても、運営社(者)に関する情報は見当たらない。「テラスプレス」は、冊子に関する記事がメディアに出始めた以降も、記事更新を数日おきに続けており、参院選公示後も新しい記事を出した。どんな内容なのか、J-CASTニュース編集部が確認してみた。
参院選公示の前日(2019年7月3日)夜、「news23」(TBS系)は、与野党の党首(社民は幹事長)7人が討論を行った。この中で、番組はこの冊子を取り上げた。
「本格的な選挙戦を前にちょっと刺激的な資料が出回っています」
として、自民党本部が「選挙演説の参考に」との案内文をつけて(所属国会議員に)配ったと説明した。小川彩佳キャスターが実物を手にし、表紙にはタイトルの他、国会議事堂の絵や、下部に「terracePRESS」と書かれているのが分かる。目次ページや、「立憲民主・枝野代表の無責任を嗤う」との見出しの記事と、よだれを垂らして視点も定まらない様子の枝野幸男代表の似顔絵イラストが載っているページも開いてみせた。
安倍晋三首相は「党本部でですね、いろんな冊子を配ってますが、私、いちいちそれを見ておりませんので、全く知らないんですが」と述べた直後、「(冊子の見出しにあるように)無責任だと言えば、無責任だと思いますよ」と野党批判につなげた。小川キャスターは、話を冊子に戻そうとしたが、安倍首相は
「ちょっとねえ、そのマンガ(編注:イラストを含む当該冊子)なんかより、大切なことじゃ...」
と主張した。野党側からは、共産党の志位和夫委員長が「人格をおとしめるようなものを平気で作る。出所不明の文書を自民党の本部として国会議員に配るのですから、選挙をまじめにやる資格がないと言われても仕方ない」と批判。国民民主党の玉木雄一郎代表も「こういう冊子は、やめてくださいよ」と注文をつけた。
日本維新の会の松井一郎代表は、「出所不明のものを自民党が配るのは大人気ない。横綱・自民が」と述べたが、「大事な参院選挙の党首討論で、出所不明のアレをね、その本をね、TBSが取り上げてやるような話なんかな」と番組側へ疑問も呈した。冊子に関する話は、さして議論も深まらないまま終わった。
この冊子をめぐっては、6月11日に自民党の参院議員のひとりがツイッターで「頂きました」と、冊子の写真を添えて情報発信している。次第にメディアでも注目を集め、たとえば6月21日には「FNN PRIME」(フジテレビ系)サイトが「『トンデモ野党』過激な内容 自民党が配布 謎の冊子」と報じている。毎日新聞(ウェブ版、以下同)も6月29日に「自民党本部が国会議員に配った冊子に物議『まるでネトウヨ』 首相を礼賛、他党やメディア徹底非難」と伝え、「自民が推す『演説用資料』に身内も困惑 発行者の正体は」(朝日新聞、7月2日)という記事も。
いずれも、「発行元は、正体不明のネットサイトだった」(FNN)、「テラスプレスの運営主体や連絡先は不明」(毎日新聞)と指摘しており、朝日記事では、サイトへのアクセス数がニュースサイトとしては、不自然な程に少ない実態にも言及している。
テラスプレスのサイトをみると、「terracePRESSでは報道で語られていない事実を皆様に伝えるべく最新のニュース情報をお伝えいたします」とある。運営社(者)に関する記載は見当たらない。広告枠もない。一方、「terracePRESS」ツイッター(サイトからのリンクや公式マークはなし)では「Chiyoda-ku, Tokyo(東京都千代田区)」を所在地として掲載している。ただ、こちらもフォロワー240人と、ニュースサイトとしてはやはり非常に小さな数字だ。
確認できる初出の記事は、約1年前の2018年7月13日配信の「安倍政権の経済政策で戦後最長の景気拡大を実現へ」だ。目次ページでは、1ページに概ね5記事が表示され、32ページに及んでいる。単純計算すると、150〜160本の記事があるようだ。
最近の記事を見てみると、数日置きに1本程度の記事を更新している。特段、今回注目されている冊子に触れてはいないようで、従来のトーンで野党批判などを続けている。見出しを並べてみると、
6月26日「尋常ではない立憲候補の『消費税廃止』」
6月28日「噴飯の"日米密約説"」
7月1日「自由貿易の重要性掲げ成功したG20」
7月3日「野党は『恥を知れ!』と喝破した三原じゅん子氏」
といった調子だ。そして7月5日、参院選公示後に初めての記事が更新された。
見出しは「『老後2000万円不足問題』の真実」。冒頭で、この不足問題が多くの国民の関心を呼んでいるとして、「それはメディアや野党がことさら歪曲してこの問題を伝えているからだ」と、メディア・野党批判を展開している。
記事の文字数は1400字程度で、締めの部分では「もちろん、高齢者の生活をどのようにしていくのかの議論は必要だ。それをあたかも多くの国民が路頭に迷うような宣伝だけに力を入れる野党の姿勢では、建設的な議論は不可能だ」と、やはり野党に厳しい目を向けている。ただ、冒頭と締めの部分以外は、問題の発端となった金融庁の審議会の報告書をめぐる経緯などを淡々と説明している。末尾には「terracePRESS編集部」の署名がある。
ツイッターなどには、「terracePRESS」の運営社(者)をめぐって様々な憶測が飛び交っている。  
 7/5

 

安倍首相が新潟入り「混乱の再来」野党共闘を批判 7/5
参院選2日目の5日、安倍晋三首相は自民党が「激戦区」に指定している新潟選挙区に入り、野党共闘を批判した。
改選1の新潟選挙区は、首相と麻生太郎財務相への「忖度(そんたく)発言」で国交副大臣を辞任した塚田一郎氏と、野党統一候補の無所属・打越さく良氏が激しく争っている。忖度発言が響き、塚田氏は自民支持層の6割しか固めていないとされ、自民党は危機感を強めている。
先月18日、震度6強の地震を記録した村上市など4カ所で街頭に立った首相は、自衛隊の合憲性を巡っても野党間で主張が異なるとして「こんな大事なことでまとまっていない。決められない政治、混乱の再来になる」と批判。前日、新潟入りした麻生氏も「野党統一って何です? 統一できるんだったら何で別れたの。おかしいでしょうが」と非難しており、野党共闘批判を強めている。6日は菅義偉官房長官が新潟入りする。 
 7/4

 

政党党首の「第一声」
●自民党・安倍晋三総裁(首相)
自民党総裁の安倍首相の第一声は、福島市飯坂町の果樹園での演説。演説時間は20分36秒だった。福島選挙区では、森まさこ氏(自民)、水野さち子氏(無所属)、田山雅仁氏(諸派)が立候補している。

皆さま、おはようございます。安倍晋三でございます。いよいよ参院選挙、スタートしました。そして、戦いの火ぶたを切る、私の自民党総裁としての第一声、この果樹園に、雨の中、足下の悪い中お集まりをいただいたこと、本当に感謝申し上げます。
また今日は、災害対策のため官邸で会議があり、到着が遅れたことをおわび申し上げたいと思います。
この福島選挙区、全国有数の激戦区なんです。本当に、本当に、厳しい戦い。いま森さん、必死で頑張ってくれています。
私たちの代表である、この福島県の代表である、森まさこがんばれというお気持ちで、この雨の中、この場にお集まりいただいたことを厚くお礼を申し上げます。ありがとうございます。
あの東日本大震災から8年が経過しました。発災後、森まさこさんは、国会から直ちに地元に帰って、いち福島県人としても、一人でも多くの命を助けよう。
皆さんにとって大切な、食料や水や、物資やライフラインを確保するため、夜を徹して、まさに髪をふり乱して本当に頑張っていた。そして復旧復興を進めるために、政策提言、議員立法、いつも中心にいたのは森まさこさんなんです。
当時私たちは野党だった。しかし、谷垣総裁の下、自民党は全面的に当時の政府に協力しました。しかし残念ながら、民主党政権の下、遅々として復興は進まなかった。皆さん、ご承知の通りです。
私たちは、野党である悔しさ、申し訳ない思いで、胸が震える思いだった。政権奪還の原点であります。
福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。この考え方の下、政権奪還後、復興庁のもとに、省庁の縦割りを排し、現場主義を徹底してきました。
私も首相に就任して40回被災地を訪問しました。その際、皆さんから声を伺った。「風評被害なんとかしてください」。何度この声を聞いたことでしょうか。
我々は政権復帰後、外交力を生かして規制緩和のために全力を尽くしたんです。先ほどいただいた、本当においしい桃。
丹精込めて作ったこの桃が、風評被害でどんなに頑張ったって輸出できない。発災後、54の国や地域が、福島県の農林水産物に規制をかけたんです。
政権奪還後、規制を緩和するために全力を尽くしてきた。その結果、32の国・地域、農産物に対する規制を完全に撤廃しました。
その結果、福島県の農産物の輸出は、発災前よりも、とうとう4割増えて、過去最高になったんですよ。
この桃についても、安倍政権において、タイやマレーシア、規制を撤廃してもらった。その結果、発災前の22年よりもとうとう桃の輸出も増えました。
先般G20の会議がありましたね。あの際、EU首脳と会談し、福島県の農産物と水産物の規制緩和、約束をしてもらいました。
これからもしっかりと、強い外交力をもって、規制撤廃に向けて全力を尽くしていきますし、そして、福島の復興に全力、取り組んでまいります。そのためにも森まさこさんの力が必要であります。
先般のG20にはトランプ大統領やプーチン大統領、習近平主席など、多くの首脳が日本に集まり、世界の課題について議論をしました。
それぞれのリーダー、みんな、自分の国を背負っていますし、大変タフな人々なんです。ですから、みんな、自分の国の主張をする。まとめるのはそう簡単なことではない。日本は議長国であります。
しかし皆さん、日本というのはできない約束はしない。約束したことは実行してきた。ずっと、日本人は代々、そういう徳と信頼を積んできたんですね。
まあ「トラストミー」と言った人もいましたが、例外ではあるんですが、基本的にはみんな、日本はまじめに約束を守ってきた。この信頼、議論を進めていく、まとめていく上では、大きな力になりました。
自由貿易の問題、あるいは環境問題については、大変な議論だった。環境については本当に最後の最後まで揉めたんですが、会議の現場で、私は議長の役を麻生さんにちょっと代わってもらって、トランプ大統領のところにいって直談判をしました。
そこでトランプさんは最終的に「これだったらいいですよ」という案を示していただき、メルケル首相やマクロン大統領とも話をして、最終的にG20の首脳宣言を発出することができた。
これも皆さまのおかげで、6年間、首相を務めさせていただき、どの首脳とも、何回も首脳会談を行い、本音で話ができたり、お願いすることができた結果だと思っています。
トランプ大統領は、皆さんおそらく型破りの大統領だという印象をお持ちだと思います。まあ確かに、今までの大統領とタイプは違うんです。
しかし、意外と人の話を聞くんですよ。「意外と」と言うとなんなんですが、まあそういう印象を持っている人が多いんだと思います。私の話の筋は通っていると思うとですね、「あ、シンゾーわかった、その通りにするよ」と、こう言ってくれるんですね。
私は今まで何回も首脳会談を行い、ゴルフばっかりやっているという非難もありました。でも、世界で一番忙しい大統領の時間をそれによって独占でき、いろんなことも言えます。
平和安全法制を成立させて、日米同盟を助け合うことのできる同盟になった。助け合うことのできる同名はその絆を強くした。私とトランプ大統領の信頼関係の下、日米同盟の絆はかつてないほど強固なものとなりました。
そんなものは必要ないと言っている人もいるんです。例えば共産党です。共産党は日米同盟は廃棄する、こう言っていますね。それだけではありません。自衛隊も憲法違反だと言っている。この雨の災害でも出動してくれた。
そして、東日本大震災であんなに頑張ってくれた自衛隊は憲法違反だと言っている。
この共産党に支援されているのが、この福島県の相手の候補です。
野党統一候補。まさに、この共産党は統一候補を決めている勢力の一員なんです。先般の党首討論会でも自衛隊は憲法違反であり、解消する、明確に志位委員長は言った。
で、枝野さんにも聞いてみたんです。「一緒に統一候補を応援しているが、あなたどうなんですか」と。
こう聞いたら、彼は「自分は合憲だと思っています」と、こう言いました。でも、そんな大事な問題を横に置いて、統一候補を応援するんですか。
例えば、あなたはもし、福井県というのは共産党の候補が統一候補です。「あなたが福井県民だったら、この共産党候補者に一票あなたは入れるんですか」と問いかけました。なかなか彼は、答えをはぐらかして答えなかった。
でも、とうとう最後に、TBSの番組で「一票を入れます」「共産党の候補に一票を入れる」。これは、ほとんど連立政権を作っていこうというようなもんじゃありませんか。
でも、彼はこう言い訳をしてました。「でも野党の統一候補は、自衛隊は憲法違反だという自分の主張はしないことになっている」。
本当かなと思ったら、これは嘘だったんですよ。沖縄においては統一候補、「自衛隊は憲法違反です」と、堂々と記者会見で述べているんです。こんな大切なことでも統一できていない。もし当選してきたら、またバラバラで決められない政治の再現です。
私たちは、こういう論争に終止符を打つために、憲法に自衛隊を明記するということを公約に掲げています。
憲法は、最後は決めるのは国民投票、国民の皆さまであります。そのためには、やはり審議をしなければなりません。それが国会議員の責任ですよね。
であるにも関わらず、憲法審査会においては1年間で衆議院で2時間あまり、参議院ではなんと3分しか議論されていない。これ皆さん、おかしいじゃありませんか。
この選挙で問われているのは、私たちのように、しっかりと国会議員としての責任を果たして、議論をする候補者、政党を選ぶのか。
議員としての責任を果たさず、審議を全くしない政党や候補者を選ぶのか。それを決めていただく選挙でもあります。私たちは未来に向かって、しっかりと議論を進めてまいります。
そしてまた、年金の問題。野党は財源に裏打ちをされた具体的な提案は何もせずに、不安ばっかり煽っています。年金は皆さんの、大切な老後の生活の柱です。
しかし、この年金の財源は、現役世代の保険料の負担と、そして税金です。この負担を増やさないで、年金を増やすことはできません。打ち出の小槌はないんです。
ですから私たちはしっかりと、財源を手当てし、本当厳しい方々に政治の責任で光を当てています。
例えば、低年金の方に対しては、この10月から消費税を使い、年最大6万円の給付をおこなっていく。
あるいは、「介護保険料、大変だよ」という方が多いと思います。それを3分の2に低減してまいります。私たちは言ったことは必ず実行してまいります。
しかし、だんだん少子高齢化が進めば、支えられる人口が増えて、支え手が減っていく。不安だよね。そうおそらく沢山の方が思っておられんだと思います。
しかし皆さんね、政策によっては、年金額を増やしていくことだってできるんですよ。この6年間、雇用が大きく改善して、380万人の方々が、新たに仕事に就き始めた。そのうち女性の方は270万人。
今日も福島県中から素晴らしい女性の皆さんに集まっていただいて、この会場も明るくなっています。
新たな働き手、支え手が増えたことによって、年金の保険料収入は、減らずに、逆に増えたんです。そして6年連続、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが続いていく中において、今年4月皆さん、年金の給付額、増えました。
私たちが正しい政策を進めていけば、年金の財政はしっかりとし、増やすこともできます。
そして、皆さん、大切な年金は、株式市場でも運用している。民主党政権時代では1万円を割っていた。大きく割っていた。でも、今は2万円を超えていますね。
ですから運用益はどうなったかといえば、とうとう44兆円も増えたのです。民主党政権時代の10倍も増やしています。
年金財政の基盤を確かなものとして、安心なものにするためには、経済を強くすること。私たちは経済を強くしています。
たとえば経済を強くしていけば、税収だって増えるんですよ。税収は今年、過去最高になった。地方税も過去最高になっています。あのバブル時代も超えたんです。
そして、この福島県はどうか。景気に左右される法人関係税収、民主党政権時代と比べて、7割も税収を増えました。この増えた果実を、私たちは社会保障にしっかりとつぎ込んでいきます。
先ほど、森さんも述べられた、森さんも一生懸命頑張ってきた保育の受け皿。53万人分、整備をしました。頑張っている保育士の皆さんの待遇を改善し、この6年間で月4万1000円、待遇を改善し、しかも経験を積んだ方は最大4万円の上乗せを確保することができたんです。
今、民主党も「私たちは待遇改善しますよ」「それが大切ですよ」とまぁ言ってます。だったらじゃあ民主党政権時代、どれぐらい保育士の皆さんの待遇が改善されたのかなぁ、調べてみたんですよ。
民主党政権時代、介護士の皆さんの所得は増えていない。どころか、民主党政権時代の3年間で、保育士の皆さんの待遇はマイナス1.2%だったのです。減ってたんですよ。
大切なことは、しっかりと財源を得て、実行していくことであります。私たちはさらに、待機児童ゼロを目指して、しっかりと政策を前に進めてまいります。
そして、いよいよ今年5月、令和の時代を迎えましたね。令和の時代。若い皆さんに未来を切り開いていただかなければなりません。私たちが進めてきた政策、やっぱり働きたい人が働ける。そういう日本を作っていくことであります。
47全ての都道府県で有効求人倍率は1倍を超えた。この福島県においては1.5倍。つまり100人の求職者に対して、150人分の仕事があるという状況を作った。
正社員になりたいという1人の人に対して、日本全体では1人分の正社員の仕事がある。今年、高校や大学を卒業した若い皆さんの就職率は、過去最高水準になっている。
若い皆さんが自らの力で、自らの未来を切り開いていくことができる、まっとうな社会を私たちは作り上げることができたんです。
そして令和の時代。もうすでに森さんが述べられたように、子供たちに思い切って、若い世代に投資していく。10月から消費税を使って、幼児教育と保育の無償化を行い、来年4月からは、真に必要な子供たちの高等教育の無償化を行う。
家庭の経済状況がいくら厳しくても、頑張れば専修学校や大学に通える。そういう日本を作っていこうではありませんか。
この少子高齢化への対策、もっともっと早くやるべきだった。それがなかなかできなかったのは、私の責任でもあります。12年前、私が総裁を務めていたとき、自民党は参議院で惨敗をした。そして国会はねじれた。そしてあの民主党政権が誕生した。
決められない政治の中で、経済は低迷し、中小企業・小規模事業の倒産件数は、今よりも4割も多かったんです。若い皆さんがどんなに頑張ったって、なかなか就職できなかった。そういう時代になってしまった。悔やんでも悔やみきれません。
皆さん、あの時代に逆戻りするわけにはいきません。どうかそのためにも、森まさこさんに、大きな力を与えていただきますように、お願いいたします。
今回の選挙は公明党の皆さんにもご支援を頂いています。与党でしっかりと力を合わせて、政治の安定を確保していきたいと思います。
来年、東京オリンピック・パラリンピック、聖火リレーはこの福島県のJビレッジからスタートします。初めての競技も、福島県から始まる。まさに、世界の真ん中で福島県が輝くんですよ。復興は次のステージに入っていく。
その担い手、どうか森まさこさんに、その担い手として頑張っていただけますように、議席を与えていただきますように心からお願いを申し上げまして、私の第一声とさせていただきたいと思います。
どうぞ皆さま、森まさこ、森まさこ、森まさこ、森まさこをよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。  
●立憲民主党・枝野幸男代表
枝野代表の第一声は、東京・新宿駅東南口での演説。演説時間は14分12秒だった。

雨模様にも関わらず、お集まりいただいたり、足を止めて聴いていただいた皆さん、本当にありがとうございます。立憲民主党代表の枝野幸男でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
いよいよ、参議院選挙がスタートしました。安倍政権が発足して6年半、確かに株価は上がりました。日本の企業収益は、過去最高。最も大きな儲けを出し続けています。
昨日も日本記者クラブやテレビ局で、いわゆる党首討論を行いましたが、「こんなに良いんだ」という数字を安倍さんは、いつもいつも繰り返しおっしゃられます。本当にこの6年で、あなたの暮らしは良くなったのでしょうか。日本の社会は良くなったのでしょうか。
安倍政権の下で、確かに雇用は増えているかもしれないけれども、非正規雇用が300万人も増えて、全体の働く人の4割にも達しようとしているんです。
2人以上の所帯の中で、貯蓄がゼロという皆さんが、3割を超えていらっしゃるんです。年収200万円以下の2人以上所帯、100万人増えて、1100万人を超えている。
どうやって老後のためにこうした皆さんは、2000万円を貯めたらいいんでしょうか、貯めるれんでしょうか。どうしてこんな状況の中で、消費税をさらに上げることができるんでしょうか。
日本全体で見たら、いい数字はあるかもしれないけれども、皆さん、お一人お一人の暮らしは、暮らしの安心はどんどん壊されてきた。そんな6年半だったんじゃないでしょうか、皆さん。
これ以上暮らしを壊されてはいけない。暮らしの安心を取り戻さなければない。暮らしを守る。生活を防衛するための、そのための夏の戦いに皆さん、していこうではありませんか。
日本は、大きな大きな転換期を迎えています。いや、むしろ、転換期を越えているんです。
増え続けてきた人口は、急激に減りはじめ、減り続ける。人類が経験したことがないような超高齢社会です。
「1億総中流」と言われていたそんな社会が、先ほど申した通り、格差と分断がどんどん激しくなっています。
それだけお一人お一人の暮らしは多様化し、多様な価値観を大事にしなければならけない、そんな社会になっている。
にもかかわらず日本の政治は、平成どころか、まだまだ昭和の時代のど真ん中にいるような、そんな政治が続いてしまっているのではないか。
新しい時代を迎えたのならば、いまこそ社会の変化に合わせた、政治の大きな大きな変化を、私たちの手で作っていこうではありませんか。
政治が変われば、この国は、この国に住む、一人ひとりの暮らしは、もっと、もっと良くなります。
平成の30年間、経済は低迷した。格差は拡大した。でも、日本は、この間も、世界の国から稼いできていて、日本全体としては、ますます豊かになってきたんです。
ところがその豊かさが、かつてのように、儲けた企業から、国民への暮らしへと渡っていかない。企業の中に、内部留保されてしまっていて、皆さんのところに行っていない。
だから格差は拡大する。だから分断が大きくなる。だから不安が大きくなる。
そして、不安が大きいから、貧困が増えているから、日本の経済にとって、一番大事な6割を占めている消費が冷え込み続けていて、結局は社会の活力がどんどん失われているのではないでしょうか。
しっかりと、一人ひとりの暮らしを、家計を、豊かにしていく、そういう社会にしていけば、そういう経済にしていけば、もっともっと、皆さん、私たちは一人ひとりが真の豊かさを実感できる社会を作り、消費が増えて、経済がもっと元気になる。そんな社会を作っていくことができるんですよ、皆さん。
それができるのは、政治だけです。
企業の経営者の皆さんは、儲かったお金、できるだけ抱えておきたい。当たり前です。安く人が雇えるなら、できるだけ人件費を抑えたいのは当たり前です。だから政治が必要なんです。
しっかりと、働いたら、まっとうに給料を払い、サービス残業なんていう、とんでもない日本語がこの国にはある。残業したら、残業代はちゃんと払わなければ違法なんです。犯罪なんです。ちゃんと政治が取り締まれば、もっともっと皆さんのところにいく所得はあるんです。
労働法制という法分野があって、その分野で、しっかりと働いたら、きちんと給料を払え。長時間労働をさせるな。人を雇うときには、原則として、本人が希望すれば正社員だ。
こういうルールをしっかりと取り戻していく中で、一人ひとりの皆さんに、豊かさが行き渡っていく、そういう社会を私たちは作っていきます。
一貫して訴えていることを、ここでも言わせてください。特に、少子高齢社会の中で、ますます必要性が高まっているのに、低賃金だから人手不足という、こんな矛盾を生じている介護職員の皆さん、保育士さん、こういう人たちの給料は、政治が決めれば上げられるんですよ。そういう政治にしていこうではありませんか。
少しでも現場で働く皆さんが、さらに意欲を持って、安心して働き、そのことによって、老後や子育ての安心が高まっていく。こういうお互いさまに支え合って、社会全体の活力を引き出していこうではありませんか。
こんな社会が作れれば、私たちはもっと豊かさを実感できます。
そしてもう一つ。私たちは、多様な生き方を、多様な暮らし方を、もっともっと、互いに認め合う社会を作っていこうではありませんか。
画一的な「金太郎あめ」のような社会で、そのことを前提にした政治で、通用しないということは、きょう今、お話しいただいたこの参議院選挙に挑む仲間たちの話で、皆さんにもご理解いただけたんじゃないでしょうか。
1年と9カ月ほど前、衆議院選の最後の全国遊説でも、この新宿駅前でマイクを持たせていただきました。あのときも雨でした。
あのとき、私は「立憲民主党はあなたです!」と、呼びかけさせていただきました。「政治が機能しないせいで、いろいろな困難にぶつかっていらっしゃる、お一人、お一人の有権者の皆さん、そのあなたこそが立憲民主党です」。呼びかけさせていただきました。
その声に応えて、勇気を持って立ち上がってくれたのが、今前にいる、この参議院選挙に挑む仲間たちであります。
みんな当事者であり、現場を経験し、そのお一人お一人の、多様な暮らしの声が届いていないという怒りを持って、現場の声を、当事者の声を伝えていかなければならないという使命感を持って立ち上がってくれた仲間であります。
ぜひ皆さん、東京の選挙区の塩村文夏さん、山岸一生さん。すみません、投票では一票しか使えませんので、皆さん2人が当選できるように、よく考えて、1票を有効に使ってください。
そして比例代表の仲間。個人名で書いてください。「立憲民主党」と書いていただいても有効です。でも、それぞれの現場の、当事者の声を届けたい、届けなければいけない。
そんな思いで立ち上がってくれた、この仲間たちの一人ひとりの思いに、皆さんの思いを託していただきたい、そう思っています。
こうしたメンバーが、そして全国では、今回の参議院選挙の立憲民主党の候補者、選挙区の半分は女性です。比例代表区の45%が女性です。
そして、こういう多様な当事者、現場を知る仲間が立ち上がってくれています。こうした仲間を当選させれば、国会の景色は変わります。皆さんの力で、国会の景色を変えようじゃありませんか。
この多様な当事者が、当事者の代表として国会に来たその先駆者である川田龍平さんの下で、みんながそれぞれ当事者の声、現場の声を上げたら、日本の政治は間違いなく変わります。社会は変わります。是非、皆さんの力を貸してください
「令和デモクラシー」。今回の選挙のビラなどに、大きく書かせていただいています。
私たちが、皆さんが、この選挙で、みんな1人、1票を持っている。投票に行ける。当たり前のことではないんです。
明治に「自由民権運動」というのがあって、当時の皆さんが頑張ってくれたから、議会ができたんです。「大正デモクラシー」というのがあって、当時の皆さんが頑張ってくれたから、普通選挙というのが実現されたんです。
今、日本の民主主義は、バージョンアップが求められているんじゃないでしょうか。
上の方で、情報を出さずに、隠蔽、改竄をしてごまかして、国民の暮らしの足下に目を向けない政治。この民主主義をバージョンアップさせるためには、まさに「大正デモクラシー」に匹敵するような、いや、それを超えるような民主主義のバージョンアップを、皆さんと一緒に進めていきたい。そう思っています。
梅雨時です。どこに行っても雨かなと心配をしておりますが、全国を回って訴えていきます。山岸さんと塩村さんは、東京を全地域をまわって訴えていきます。比例代表の仲間は全国を回ります。
ぜひ皆さん、ちょっとずつで結構です。皆さんの周りのお知り合いの仲間に声をかけてください。
まずは「投票に行こうよ」。そこからでもいいんです。
民主主義は、民主主義の主役は、あなたです。あなたが動けば政治は変わる。あなたが動けば暮らしは変わる。動かないで待っていたら、変わることはありません。待っていても、どんどんどんどん、この間進んだ格差と分断が広がっていくだけです。
ぜひ、あなたの力で、あなたの力で、この国の民主主義をバージョンアップさせて、一人ひとりが真の豊かさを実感できる、そんな社会をつくっていこうではありませんか。
私たちも頑張ります。でも、この国には、この社会には、あなたの力が必要です。あなたの力が必要です。あなたの力が必要です。
ともに、新しい時代の扉を、私たちとともに開いていきましょう。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。  
●国民民主党・玉木雄一郎代表
玉木代表の第一声は、静岡県掛川市での演説。演説時間は7分11秒だった。

皆さん、おはようございます。今日も足元が悪い中、こうして中に入れないぐらい、多くの皆さんが榛葉賀津也候補の出陣の四季にお集まりいただきましたこと、国民民主党代表の私からも、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
今日は文字通り、掛川城で出陣の式だと思って。私も朝早く起きて、心を奮い立たせて、ここにやってまいりました。
掛川城といえば山内一豊ですから、私、四国の出身なので、何かの縁を感じますよね。やられた側かもしれませんが。
ただ、新幹線に乗って、こちらに来るときに、今日は雨が降っていましたから富士山は見えませんでしたけれども、美しい田畑、茶畑、みかん畑、見ながらここに来ました。
やっぱり地方、地域はいいな。そんなことを感じながら、農家の長男としても、私農家の長男なんですよ。心を躍らせながらここに来ました。
そして、富士市を過ぎたころから、工場がいっぱい見えてきて、小さい頃、教科書で習ったような、まさに工業地帯。そしてそこで、毎日汗を流して一生懸命働いている、そんな地域を間近に感じながらここにやってまいりました。
そう。ここ静岡県には、働く人の声があります。現場に一生懸命頑張る人の思いが詰まっています。そしてその思いを、しっかりと受け止め、国政につないできたのが榛葉賀津也ではないでしょうか、皆さん。
今日私が、党の代表として、第一声の場をここに選んだのには意味があります。それは榛葉さんが我が党にとって、欠くことのできない人材だということ。だけではなくて、日本の政治にとって榛葉賀津也が不可欠だからです。
そういう意味であ、今回の選挙は、これからの日本の政治の未来を占う、あるいは決める。そんな大事な選挙であるということをぜひ皆さんと共有したいと思います。
そして、御本人からも話がありましてけれども、今の政治、皆さんも見ていてどうですか。本当に国民のための政治になっているでしょうか。
昨日も私、安倍晋三首相とテレビで討論会をやりましたけど、いつもの通りですよ。聞いたことに答えない。でも、聞いていないことはいっぱいしゃべる。で、時間がなくなって、予算委員会もテレビも終わってしまう。
こんなことに慣れては駄目です。もっといい議論を、これからの日本の暮らしのあり方、政治のあり方、外交のあり方、皆さん聞きたいですよね。
でも、そのことが聞けない政治になっていることを、変えていかなければならない。
そしてもう一つ。国民の生活、暮らし。これを守る政治をもう一度取り戻しましょう、皆さん。その意味では、この参議院選挙静岡選挙区は大激戦。今の権力者と、かつての権力者を相手に、庶民の代表榛葉賀津也が戦う。私はそんな選挙だと思っていますよ。
もう一度、政治は、国民の暮らしのために、生活のためにあるんだ。そのことを、もう一度取り戻す選挙にしていきたいと思います。
そのために我々、国民民主党は、今回の選挙の大きな柱として「家計第一の経済政策」を掲げました。
確かにアベノミクス、うまくいったところもあります。株価は上がりました。でも好循環を回すスタート地点を私たちは変えていきたい。
これまでのアベノミクス、いや、これまでの経済政策は、常に企業、とりわけ大企業にまず重点を置いて、そこが豊かになれば、だんだんその恩恵が中小企業に、家計に、地方に広がっていく。こういう前提で作っていました。
でも、もう何十年もこういうやり方をやってきて、どうですか。皆さんのところに、恩恵は届いていますか。届いていない人が多いんですよ。
だから、この好循環の出発点を変えたいんです。まず何よりも家計を豊かにすることによって、そしてGDPの6割を占める消費を盛り上げ、消費する力がつけば、企業はモノを作ったら初めて売れるようになります。
売れて業績が上がれば、賃金を上げる、そういう余力も出てくるんですよ。この好循環を回すやり方を、消費を軸とした好循環を回す。この経済政策に、変えていこうじゃありませんか。
そして、家計を重視する政策ができるのは、庶民の代表、榛葉賀津也しかいないんですよ、皆さん。
税金を使う側。かつて使った側ではなくて、本当に働いて、税金を払っている側の、そんな立場の政治を皆さん、もう一度作り上げようではありませんか。
そして、みんなが安心して、そして何よりも、これからを生きる子供たちが、夢と希望を持って、このふるさと静岡県を語れる。日本を誇れる。そんな世の中に変えていくための戦い。
皆さんと一緒に、榛葉賀津也、当選に向けて、勝ち抜きたいと思いますので、どうぞ皆さん最後の最後までよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
静岡選挙区では、牧野京夫氏(自民)、徳川家広氏(立憲)、榛葉賀津也氏(国民)、鈴木千佳氏(共産)、畑山浩一氏(諸派)が立候補している。 
●公明党・山口那津男代表
山口代表の第一声は、神戸市中央区での演説。演説時間は15分2秒だった。

神戸の皆さん、おはようございます。なっちゃんです。ありがとうございます。
いよいよ、本日から参議院選挙がスタートいたします。21日の投票日まで、向こう17日間、全力で戦わせていただきます。
ここ兵庫選挙区からは、ただいまご挨拶を申し上げました高橋光雄候補、初陣であります。公明党公認、そして自由民主党推薦で戦わせていただきます。
この兵庫をはじめ、公明党は、全国で7つの選挙区に候補者を擁立致しました。さらには、比例区には17人の候補者を擁立させていただきました。
そして、この7つの選挙区、全員当選。さらには比例区では6人以上の当選を目指して、力を合わせ、過去最高の議席獲得へ向けて、全力で走り抜いてまいる決意であります。
どうぞ、皆さまのお力で、ここ兵庫選挙区、高橋光雄をはじめ、公明党の候補者、勝たせていただきますように、心からお願いを申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私も東京選挙区で立候補させていただきました。しかし、この兵庫選挙区が、わが党の選挙区候補の中で最も厳しい選挙区ということで、東京選挙区はしばらくお留守番にして、この神戸へ赴いてまいりました。
どうか、どうか、この山口那津男の決意を、お受け取りいただいて、高橋光雄を押し上げていただきますよう重ねてお願いを申し上げます。
今回の選挙は、令和の時代、新しい時代、初めて行われる国政選挙となります。
これからの時代を、どう形作っていくか。それが問われる、極めて重要な選挙であります。
そして、いま世界を見渡せば、米中貿易摩擦、あるいはヨーロッパではEU離脱をめぐって、いろいろな軋轢が生じております。
こうした世界の激動のなかで、ともすれば分断、対立の流れが強い。しかし、この日本が、そして世界が、平和と安定を保っていくためには、日本こそが、対話で協調を生み出して、そして協力の実績をつくる先頭に立っていかなければなりません。
また国内を見れば、人口減少、少子高齢化がものすごいスピードで進んでいきます。世界の先進国の中で、最も早く、この人口減少、少子高齢化を経験する日本が、どうやってこの難しい課題を乗り越えていくか。
そうした国内の課題、そして世界の課題を前にしたときに、この荒波を乗り切るためには、何よりも政治が安定をしなければならないのであります。
そして、この日本の政治の安定のためには、連立政権に公明党がなくてはなりません。
もう一つ、政治に大事な要素は、国民の皆さまの声を聴く政治を進めるということであります。この国民の声を聴く実践がなければ、私たちの声が届かない。そうした不信感になってしまえば、政治に信頼は生まれません。
この私たちの声が政治に届く。そう皆さんに思って頂けるようにすることが、政治に対する信頼と希望を生みだしていくわけであります。
公明党こそ、その国民の声を聴く政治、そして皆さんの、たとえ小さな声でも、それを聞き取って、そして形にしていく。
その小さな声を聴く力のある公明党がいればこそ、政治に信頼と希望が生まれ、真の意味の、政治の安定がつくれるわけであります。
どうか、その先頭に、公明党の高橋光雄を勝たせていただきますよう、重ねてお願いを申し上げます。
今日は、日本港運協会会長でいらっしゃる、そしてこの度、高橋光雄後援会の会長をお引き受けいただきました、久保、ごめんなさい。久保昌三会長にお越しいただきました。この久保様のお話を伺いました。
かつて、アフリカのモザンビークを安倍首相とともに訪れたそうであります。その時に、安倍首相に同行して、ポルトガル語に通じた高橋光雄さんが、現地の方々と安倍首相をつないで、見事な通訳を務めていた。
そうしたことを目の当たりにした久保昌三会長であります。そうしたご縁が下で今回後援会の会長をお引きいただいたわけであります。本当にありがとうございます。
モザンビークといえば、かつては内戦で相争い、国土は荒廃し、都市はもう焼けただれる、そういう厳しい状況にありました。
まず、その戦乱を収めて、最初に安定の道を作りだしたのは、国連のPKOであり、そして日本からも自衛隊を派遣をして、そのモザンビークの平和を維持することに携わったのであります。
私は当時、防衛政務次官をしておりました。この日本の自衛隊が、モザンビークのPKOで活躍する姿を激励するために、私自身もモザンビークに赴いて、マプトあるいはベイラという都市、ここでの、その平和維持活動をしっかりと見届け、応援をしてきたわけであります。
おかげでこのモザンビークが安定をした。そしていよいよ経済発展、開発を進めていく。その時に、高橋光雄さんがモザンビークの大使館で活躍をすることになったわけであります。
この自由な貿易のもとで、日本の投資をすすめていこう。そういう方向づけのために、モザンビークと日本の投資協定を結ぶ。その大仕事をやったのが高橋光雄さんだったわけであります。
それがもとになって、いまモザンビークは自分自身の力で力強く発展の途をたどりつつあります。PKOで助ける、投資協定で助ける。そうした働きが、日本のこの世界の平和と安定を導く力になっているわけであります。
こうしたことを実行するためにも、日本の政治が、政権が、しっかり安定をしていなければ、その道を進める事が出来ないわけであります。公明党の実践力を、ぜひとも国際政治の舞台でも生かさせていただきたい。その先頭に高橋光雄を立たせてください。皆さん、よろしくお願いいたします。
さて、この人口減少、少子高齢化時代を迎えるこの日本。国民の声を聴く政治、小さな声を聴く力、これが今の日本の政治に一番必要なことであります。
公明党はその小さな声を聴く実践活動を、昨年100万人訪問調査運動を全国に展開して行いました。
皆さまの声、幼児教育、子育て、あるいは、介護の課題、中小企業のテーマ、そして防災、減災の不安解消。いろいろな声をうかがう中で、もっとも多かった声の一つは「子供の教育にお金がかかりすぎるんです。心配です。何とかしてください」。そういう声でありました。
この声を受けて、いよいよ教育負担の軽減を図ろうということで、公明党が掲げた政策、実現の見通しが立ちました。
この10月からは、幼児教育の無償化をいよいよ実行致します。来年4月からは大学などの高等教育の無償化も一部スタートいたします。
さらには私立の高校生の授業料実質無償化、これも来年4月から実行致します。
こうやって、無償化三本柱、無償化三本柱を公明党が進めることによって、実現することができたのであります。
しかし、大きな財源が必要となります。そこで、私たちの社会保障、年金、医療、介護に並んで、子育て支援という4つ目の柱を社会保障に位置付けました。
これを安定的に進めるためには財源をしっかり、安定的に恒久的に得られる財源が必要ということで、消費税を生かすことと致しました。
この消費税をこの秋、10%に引き上げさせていただきますが、その税収を生かして、子育て支援を含めた、全世代型の社会保障に消費税を生かさせていただく。そういう道を開いたのは、公明党なのであります。
高齢者の皆さまに使っていた税を、これを剥がして子育てのために使うというのではありません。新たに皆さまからお預かりする消費税を、その子育て支援のために、新しく使っていく。そういう道を作るから、高齢者の皆さまも安心。
そして若い世代をしっかりと育てて、将来の日本を背負っていただく人に育てて、さらには良き納税者として、その先の未来もしっかりと受け持っていただく。
そういう道がこれからの日本にとって大事であります。そうした子育て支援も含めた全世代型社会保障、これを国民の皆さまの声を聴いて、そして道を開いたのは公明党であるということを強く訴え申し上げたいと思います。
あわせて、この消費税を生かして年金が満額いただけないという方々に対しては、この年金生活者支援給付金、これも最高額で年間6万円、これを差し上げる制度も10月からスタート致します。
さらには介護保険料、所得の少ない高齢者の方々には、この介護保険料を軽くするということも、合わせて行ってまいりたいと思います。
こうやって、全世代型社会保障を充実させるために、消費税を生かさせていただくとともに、消費者の皆さんが、日々の毎日の買い物で、「ああ、税が重い」という感覚を和らげるために、軽減税率もあわせて実行させていただきます。
そして、この今の日本の景気。世界の流れの中で大事な時期でありますから、この景気対策として、例えば子育て世帯や、高齢者のためにはプレミアム付き商品券を発行し、そしてまた世界の経済の流れの中で、キャッシュレス化を進めるために、ポイントを差し上げる。そういう対策も行います。
そして大きな買い物である住宅や自動車については、減税をやり、そしてまた給付も行い、両方でこの景気対策をあわせて日本の経済を支えていきたいと思います。
これだけやった上に、公明党は、高橋光雄は、納税者のに重いご負担をお願いするんだから、自ら身を切る姿勢を示し、そして歳費20%返上する。そういう志を示しております。
どうか、この誠意ある、高橋光雄の姿勢を、何としても皆さま、受け止めていただいて、政界へと送り届けていただきますように、参議院へと送り届けていただきますように、心からお願いを申し上げます。
これからの時代、今、雨の多い季節、水害も心配です。かつて地震も起きました。この阪神・淡路を経験した、その高橋光雄であり、高橋親子であればこそ、防災・減災のその先頭に立って働くことができます。
災害に強い日本、災害に強い兵庫、災害に強い神戸をつくるために、高橋光雄を働かせてください。どうか、どうか、皆さまのお力で、なんとしてもこの兵庫選挙区、高橋光雄、全力で頑張ります。勝たせてください。勝たせてください。勝たせてください。
何卒、何卒、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。ありがとうございました。ありがとうございました。兵庫選挙区では、加田裕之氏(自民)、安田真理氏(立憲)、高橋光雄氏(公明)、清水貴之氏(維新)、金田峰生氏(共産)、原博義氏(諸派)が立候補している。 
●日本共産党・志位和夫委員長
志位委員長の第一声は、新宿駅西口での演説。演説時間は26分29秒。国政政党では最長だった。

皆さん、お早うございます。日本共産党の志位和夫でございます。
日本の命運を分ける参議院選挙が始まりました。皆さん、この参議院選挙を、安倍政治さよならの審判を下し、国民の誰もが希望を持ち、安心して暮らせる日本をつくる選挙にしていこうではありませんか。
政党を選ぶ比例代表選挙では「日本共産党」と書いていただける方を広げに広げまして、小池晃さんをはじめ7名以上の当選のために、どうかお力をお貸しください。よろしくお願いいたします。
大決戦の首都東京の選挙では、吉良よし子さんの勝利のためにどうか皆さまのお力をお貸しください。重ねてお願い申し上げます。
皆さん、尊厳をもって、生きるための一票を、どうか今度の選挙では日本共産党に託してください。よろしくお願いいたします。
年金問題が、大争点に浮上しています。年金の2000万円不足が大きな問題になっていますが、問題はそれにとどまりません。
マクロ経済スライドによる、給付水準の引き下げという大問題があります。
私、党首討論でこの制度の廃止を求めたところ、安倍首相は「ばかげた政策」と言ってこれを拒否し、これを廃止するためには7兆円の財源が必要だと言いました。
これは言葉を換えて言いますと、皆さんの年金を7兆円の規模で奪うことを認めた発言にほかなりません。これでやられますと、今、40歳以下の方は厚生年金も国民年金も月2万円、ご夫婦で4万円、減らされます。
特に国民年金、満額でも6万5000円ですが、この問題、現在価格で3割減らされましてね。国民年金6万5000円、3割減らされまして4万5000円になってしまいます。どうして暮らせますか。
この問題追及しますと、安倍首相は制度の安定が必要だと言います。しかし、いっくら制度が安定したって国民の暮らしが滅んでしまったら、何のための公的年金だということになるじゃありませんか。
今でさえ貧しい年金を、マクロ経済スライドでもっと貧しくしてしまう政策こそ、馬鹿げた政策ではないでしょうか。
日本共産党は、マクロ経済スライドをやめて、減らない年金にするための、具体的な財源策を示しております。
第1に、高額所得者優遇の保険料の仕組みを正すことで、1兆円の保険料収入を増やしてまいります。
第2に、200兆円の年金の積立金を、株価のつり上げに使うんじゃなくて、年金の給付に計画的に使わせようじゃありませんか。
第3に働く人の賃上げと正社員化を進めて、年金の支え手を強くして参ります。
この3つの合わせ技によって、減らない年金にすることはできる。そして、低年金の方には、年一律6万円の上乗せを行い、本当の意味での年金の底上げをやってまいります。
皆さん、マクロ経済スライドで7兆円も年金を削るのか、それとも減らない年金にするのか。これが年金問題の最大の争点です。
日本共産党への一票で安心の年金への、第一歩を踏みだそうじゃありませんか。
消費税10%を許していいのかも大争点です。私が党首討論で中止を求めたところ、安倍首相は「内需は堅調だから、予定通りやる」と言いました。
皆さん、内需は堅調ですって。びっくりしますね。いったい、日本経済のどこを見てるんでしょうか。
2014年の8%への増税をきっかけに、家計消費は実質で25万円も減りました。働く人の実質賃金は、10万円も減りました。
内閣府の景気動向調査は、2カ月連続で悪化じゃないですか。日銀短観の景況感も、2カ月連続で悪化じゃないですか。
これだけ、景気悪化の赤信号がともっているのに、増税を強行するというのは、愚の骨頂ではないでしょうか。
皆さん、今からでも止めることはできます。税金のあり方を決めるのは、安倍首相じゃありません。主権者である国民の皆さんです。
今度の参院選で野党を勝たせていただいて、共産党を伸ばしに伸ばしていただいて、10%は必ず止めようじゃありませんか。
それでは、共産党はどうするのか。今、求められているのは、家計を応援し、格差と貧困を正し、国民の誰もが、希望を持って暮らすことのできる政治への切り替えです。
共産党は「くらしに希望を 3つのプラン」を掲げてこの選挙を戦っております。
第1は、8時間働けば普通に暮らせる社会をつくることです。皆さん、中小企業への支援を抜本的に強めて、最低賃金は今すぐ直ちに、時給1500円を目指し、全国一律最低賃金性を創設しようでありませんか。
政府が賃金水準を決められる、保育、介護、障害福祉で働く人の賃金を上げてまいります。一般の労働者に比べて10万円も少ない、国の責任で、まず5万円引き上げ。一般の労働者と同じにしてまいります。そうすることで、保育士さん不足、介護士さん不足も解消されるのではないでしょうか。
残業代ゼロ制度を廃止し、「残業は週15時間、月45時間、年360時間以内」にし、これを法律で厳格に決めて、例外なくすべての労働者に適用し、この日本から過労死をなくそうではありませんか。
第2に、暮らしを支える社会保障を築いてまいります。国民健康保険料が高すぎます。やむなく払えずに滞納し、保険証を取り上げられる。
お医者にかかれず、命を落とす方が後を絶ちません。値上げなど、とんでもありません。全国知事会が言っているように、公費1兆円を入れまして、協会健保、中小企業のサラリーマン並みに、大幅に値下げをしようではありませんか。
全国全ての自治体で子供の医療費の助成制度が実現しております。ところが国は、医療を無料化した自治体に、ペナルティーを科して予算を減らしています。
やることが、アベコベじゃないですか。ペナルティーをなくし、子供医療費の無料化、国の制度にしていこうではありませんか。
第3に皆さん、お金の心配なく学び、子育てのできる社会をつくってまいりましょう。
全ての学生を対象に、学費を直ちに半分にし、段階的に無料にしてまいります。
返済不要の給付制奨学金、月3万円、70万人分からスタートしてまいります。全ての若者がお金の心配なく、のびのびと学べる日本をつくっていこうじゃありませんか。
安心して子供さんを預けられる認可保育所を、30万人分増設し、待機児童を解消いたします。そして皆さん、憲法26条に則して、学校給食を含めて義務教育の完全無償化を実現しようじゃありませんか。
これが日本共産党の「暮らしに希望を、3つの提案」です。いかがでしょうか。
3つのプランを実行しますと7.5兆円。家計を応援する政策になってまいります。7.5兆円と言いますと、消費税3%分です。消費税を8%から5%に下げるのと同じ家計の応援効果が出てまいります。
そんなことできるのかなと、おっしゃる方もいるかもわかりません。できますよ皆さん。この消費税10%を中止し、3つのプラン、パッケージで実行するための新たな財源は7.5兆円ですが、消費税に頼らない別の道でまかなってまいります。
中小企業の皆さんが払っている法人税の実質負担率は18%。大企業は10%しか払っていません。
優遇税制のおかげです。大もうけしている大企業には、せめて中小企業なみに払ってもらおうじゃありませんか。これで4兆円出てまいります。
それから皆さん、所得1億円超えますと、大金持ちになればなるほど、所得税の負担率が下がってしまいます。
株で大もうけしている富裕層には、応分の負担をしてもらおうではありませんか。これで3.1兆円出てまいります。もう一声必要です。
払う義務のない米軍への「思いやり予算」はやめようじゃありませんか。辺野古の美しい海を埋め立てている米軍再編経費、日本国民の血税だってのは腹が立ちますね。これもやめようじゃありませんか。これで4000億円出て参ります。
ここまでで、ちょうどきっかり7.5兆円出てまいりました。政治の姿勢を変えれば財源をつくることができるんです。
それに比べましてね、事故原因も分からないF35戦闘機に1兆円。なんに使うかも分からない「イージス・アショア」に6000億円。トランプ大統領の言うままの高額の武器の爆買いはやめて、暮らしにお金を回そうじゃありませんか。
皆さん、これをやるには財界に正面からモノが言える政党が必要です。日本共産党は党をつくって97年、財界献金ビタ一文受け取っておりません。
こういう党が伸びることが、皆さんの暮らしを守る一番確かな力になるのではないでしょうか。どうか日本共産党、伸ばしに伸ばしてください。吉良よし子さん、必ず勝たせてください。よろしくお願いいたします。
憲法の問題も大争点です。安倍首相は「憲法を議論する党か、議論しない党かが争点だ」と言っています。しかし皆さん、これは争点そらしです。そこに争点があるのではありません。
自民党は、公約に「早期の憲法改正を目指す」と書いているじゃないですか。安倍9条改憲を、許していいのかどうか。ここにこそ、本当の争点があるということを、私は訴えたいと思うのであります。
安倍9条改憲のどこが問題か。自民党が取りまとめた9条改定の条文案を見れば一目瞭然なんです。
この条文案は、9条1項・2項の後にこう書いてある。「前条の規定は自衛の措置をとることを妨げない」。こうして、自衛隊の保持を明記しております。
「前条の規定は妨げない」ということになりますと、9条2項の制約が、もう自衛隊に及ばなくなってしまうじゃありませんか。
2項が残っても、立ち枯れになり、死文化してしまうことになります。無制限の海外での武力行使が可能になってしまいます。
このような恐ろしい道は、断じて拒否しようではありませんか。
それじゃあ皆さん、安倍9条改憲の真の狙いはどこにあるんでしょうか。
トランプ大統領が最近の記者会見でこう言いました。
「もし日本が攻撃されれば、私たちは日本のために戦う。しかし、米国が攻撃されても日本が戦う必要がない。変えなければいけないと安倍首相に話した」
こう言いましたね。昨日の党首討論会でもこれ問題になりました。
実は皆さん、安倍首相もかねてから同じ主張をやっているんです。「軍事同盟とは血の同盟だ」と、はっきり言っているんです。
世界中に展開する米軍に、いったん事が起きたら自衛隊が米軍のために血を流して戦う。そういう自衛隊にしていく。これが9条改憲の真の狙いだということを、私は告発したいと思うのであります。
それから板門店で、3回目の米朝首脳会談が行われ、対話によって、朝鮮半島の非核化と平和体制の構築を築く動きが進展しております。
今、日本がなすべきは憲法9条を替えることではありません。憲法9条を生かして、北東アジアにASEANのような共同体をつくる平和外交こそ、求められているのではないでしょうか。
皆さん、世界に誇る平和憲法を、守り、生かそう。
この平和への一票は、党をつくって97年、命がけで、反戦平和を貫いてきた日本共産党にお寄せください。よろしくお願いいたします。
皆さん今度の選挙は、各党に候補者を男女同数にすることを努力義務とした、政治分野における男女共同参画法施行後、初めての国政選挙です。
ジェンダー、平等への姿勢が問われます。この間、性暴力やハラスメントに対して、勇気を振り絞って声をあげる人たちが続いております。
そして、そういう方々を孤立させてはならないと、「#metoo」「#withyou」、合言葉にしまして市民の運動が広がっていることは、日本社会にとって大きな希望ではないでしょうか。
世界を見ますと、ILO(国際労働機関)でハラスメント禁止条約が圧倒的多数で可決されるという画期的な出来事が起こりました。これも大きな希望ではないでしょうか。
私は、ジェンダー、平等は全ての人の人権と尊厳を大切にする、社会への扉を開くものであると思います。
皆さん、国内外での希望ある流れを大きな力にしまして、ジェンダー平等後進国から抜け出そうじゃありませんか。
昨日の党首討論で、「選択的夫婦別姓に賛成ですか」、これが各党首に問われました。「賛成」に手を挙げなかった人が一人だけいました。安倍さんですよ。
皆さん、ジェンダー・平等社会をつくるためにも、安倍政権には退陣してもらおうじゃありませんか。
日本共産党の今度の参議院選挙の候補者40名のうち、22名、55%が女性であります。ここには、党をつくって97年、女性が全く飲む権利状態だった、そういう時代から男女同権、両性の平等、女性差別の撤廃を求め続けてきた日本共産党の姿が示されていることを、皆さんにお伝えしたいと思います。
皆さん、ご一緒に力を合わせて、誰もが尊厳を持ち自分らしく生きられる、そういう社会を作っていこうじゃありませんか。頑張りましょう。
今日はさまざまなお話をしましたが、これらを実現する希望は、市民と野党の共闘にあります。
この間、野党の党首会談も開きまして、改選数1の「1人区」の全てで野党統一候補を実現し、全国32の1人区のすべてで候補者を一本化を実現をして、この選挙を戦っております。
市民連合の皆さんとの共通政策で消費税、憲法、原発、沖縄、こういう国政の中心問題も含めて、共通の旗印が立っているということも、皆さんにご報告しておきたいと思います。
最大限の共闘の体制で戦い、32の1人区の全部で、自民党を打ち破って、勝利を勝ち取るために、頑張り抜く決意を申し上げたいと思います。
そして皆さん、どうか日本共産党を躍進させてください。
国民の皆さんの切実な願いを、実現しようとしますと、日本の政治の2つのゆがみにぶつかってまいります。財界中心とアメリカ言いなり。このゆがみにぶつかってまいります。
このゆがみの、大元からメスを入れ、本当に国民が国の主人公と言える民主主義の国をつくろうということを綱領に掲げている政党が日本共産党です。
この党を伸ばしてこそ、皆さんの切実な願いを実現する道が拓かれるのではないでしょか。
比例は共産党。この声を、広げに広げていただきまして、どうか我が党の誇る小池書紀局長をはじめ、7名以上の勝利を勝ち取らせていただきますよう。心からお願いいたします。
そして吉良よし子さんは、ブラック企業の根絶に取り組み、社名を公表させるという、戦後労働行政がやったことないことをやらせた。素晴らしい働きを6年間やっております。
吉良さんは都民の声、国民の声を、全身で受け止め、政治を変える素晴らしい力を持った政治家です。必ず押し上げて頂きますようよろしくお願いいたします。
以上をもって、第一声とさせていただきます。今日をスタート点に、私も全国駆け巡って、躍進の先頭に立つ、そのための全力を尽くす決意を申し上げて、訴えとさせていただきます。ありがとうございました。がんばります。 
●日本維新の会・松井一郎代表
松井代表の第一声は、大阪市中央区での演説。演説時間は19分20秒だった。

皆さん、こんにちは。おはようございます。
まず最初に皆さんのおかげで先週ね、G20。トランプさん、プーチンさん、習近平さん、世界20カ国の首脳と総数37の国際機関、そういう人たちをこの大阪にお迎えして、大満足して帰っていただきました。ありがとうございます。本当にね、皆さんのおかげです。
大体ね、「G20やろう」と言ったとき、大阪以外の人たちは「大阪でやって大丈夫なの?」なんて、そんな雰囲気だった、まあ完璧でしたね、皆さんのおかけで。どこに行ってもおもてなしの心いっぱいで。
僕もね、トランプさんとまあ話しましたよ。河内弁で、河内弁でね。英語できませんから。
わかったのはね、とにかく「大阪、ビューティーフル」と言ってくれてました。「ホスピタリティーにあふれている」と。これを言ってくれてましたよ。ほんとにね、これは皆さんに必死になって協力いただいた。心から感謝をしたい、こう思っております。
だから少しずつ大阪、元気になってきました。皆さんもご承知のように、この大阪に大勢の人が集まるようになってきた。でも皆さん、10年前どうだったでしょうかということなんです。
結局、役所の中、まあ中にばっかりお金使って、新しいサービスができない、おもてなしをする準備ができない、大勢の人をお迎えする環境が整えられないということで、どんどんどんどん衰退をしていた。
でも、橋下さんが2008年に知事になり、僕がその後を引き継いで、12年間徹底して、改革をやり、財源を生み出し、サービスを拡充し、街をきれいにしてきた。
その結果、大阪は今、世界の都市の中でも、これは我々が言ってるんじゃないんですよ、海外のメディアが言ってるんですけど、世界で3番目に住みやすい街だという評価もいただいてきたわけですよ。
やればできるということんです。改革で生み出した財源で、我々はこの大阪において教育無償化を実現してきた。
ところがやっぱりね、永田町の住民の皆さんにはどうも伝わりません。昨日も党首討論で、自民党安倍総裁、共産党の志位さんまで党首討論いってきましたよ。
この10月に消費増税が行われる。でも増税しなくても現実に、大阪では私立高校の無償化は8年前からやってるわけです。
今年4月からは、吉村前市長が準備をして、実行したんですけど、今年4月からは幼稚園、保育園、3歳から教育費無償化、実行しています。
それでも別に、大阪で皆さんに増税をお願いしてるわけじゃありません。
何が言いたいか。政治ってのは結果責任なんで、結果見てもらいたい、全国の皆さんに。徹底して改革をやれば、消費増税なくても、この教育無償化は実現できるんですよ。
安倍総理は、今回の増税で教育無償化を実現すると言うけども、その前にですね、まず徹底的に行革をやり、財源を生み出す努力をして、そして、どうしても社会保障費、足りないときにもう一度、国民の皆さんに判断いただく。
今の時点で増税するなんていうのは、国民の皆さんに負担をこれからも負担を押し付けていく、安易な増税なんです。これ何とか止めるために、我々に力を持たせていただきたい。
そしてね、永田町の人たちが、まあとにかくね、永田町の人たちは一般の人たちと感覚が違う。
その一番は、永田町というのはあまりにも裕福、なれ合い、ぬるま湯のなかでね、自分たち優遇、厚遇されすぎてるから、全く本当に一般の人たちの今の生活実態、状況が伝わってないんじゃないかなと、こう思いました。
これは共産党と徹底に昨日もやりましたけどね、僕は「身を切る改革、志位さん、約束じゃないですか。文書交通滞在費の領収書の公開」。
2年前の衆議院の総選挙で僕がやったら、志位さんも「やる」と言ったのに、2年たって出てきたのは、自分たちが勝手に作ったメモ1枚ですよ。
自分が作成したメモ1枚で「オープンにしている。使い道を明らかにしているじゃないか」と。そんなメモ1枚、なんぼでも鉛筆なめなめで書けるわけですよ。
それ言うと、「維新の会は文書通信交通滞在費、余ったの、自分たちの政党の支部に寄付してるじゃないか」と言うんです。
あの政党支部というのは、政党支部からお金を使うとき、これは全部1円から領収書公開なんです、政治資金規正法の中で。この領収書をごまかしたのは、(前)堺市長の竹山(修身)さんだけ。
維新の会は領収書のごまかしはしておりません。同じことやればいいんです、彼ら。
ところが、自分たちは、何とか言い訳しようと思って、自分たちで使った先のメモを勝手に作ってきた。こんなおかしな話はありません。「じゃあ、その先の領収書、どうなるの」と言っても、なんら返事ありませんでした。
彼らも低所得者の皆さん、弱い人に寄り添うと言いながら、彼らは一番の高所得者ですから。
今、国会議員の年収なんていうのは2000万円を超えてるわけです。2200万円。
増税の時の約束は、これを2割カット、これが約束だったのに、このカットすら、いまや約束をほごにされたままなんです。
こんな状態で10月の増税、そのまま許していけば、これから間違いなく、社会保障費は増大いたします。年金は足りなくなります。これもう、年金で夢物語を語っても仕方ないんです。
年金の今の現状、そして今後の課題。こういうものをあからさまに、正直に、皆さんに申し上げて、そして抜本的に制度を変えなければ、もつはずないんです。
年金制度というのはスタートしたとき、まず最初に年金受け取られた方々は掛け金はかけていないんです。
現役世代の掛け金でスタートしたとき、当時の高齢者の皆さん、この皆さん方に、年金で老後安心して暮らしていただくとスタートしてきた。
そのときは大体、平均寿命が60歳をちょっと超えたくらいだったんです1970年の頃、前回の万博のときに、平均寿命が70歳なんです。
そのときの高齢化率っていうのは7%。いま今日現在でも、高齢化率は3割弱。大阪で言えば、27%の人が高齢者。そして今の日本の平均寿命、男性が84歳、女性が87歳なんです。
今の日本の医療の技術だとか、薬の、高度な薬、質がいい薬が出てきた。そういうこと考えると、間違いなく日本の平均寿命は人生100年時代を迎えます。
そんな中で高齢者の皆さんに安心して老後過ごしていただくためには、年金制度、これ抜本的に見直さなければなりません。
我々が考えている年金制度というのは、まず一旦、今、頂いている方の年金はきちっと守っていく。それは我々も含めた将来世代、次の世代も含めて今、受け取っている方々の年金守るためには、これは税を投入して、やりくりしていく。
でも今後、いま日本の中で、年金制度は破綻するんじゃないのと、若い人を中心に、大体、厚労省の試算でも200万人の人が年金に加入をしておりません。こういう人たちは、将来年金は受け取れないと思ってるから加入しないんです。
この人たちにもやはり加入していただいて、年金の掛け金をかけてもらう。そのためには、一度、年金制度を抜本的に見直して、いまの賦課方式から積み立て方式に見直していく、そういう大胆な改革が必要なんです。
それともう一つ。所得をしっかりと把握をするということなんです。年金でなければ生活できない人、この人たちには年金を届けて、年金を支給をさせていただいて、生活は安心できるように支えていく。これは当然です。
ところが今の時代、年金がなくても十分だ。年金が入ってきているかどうかも忘れている人たちがたくさんいるんです。
それはこないだ麻生財務相が、ご自身でおっしゃってました。「年金もろてるか、もろてないか、わからん」と。
だから、もらわなくても、全然生活平気なんです。そういう人たち、高齢者になっても、現役世代以上の所得がある人たちは、少しそこは我慢してもらって、全体で支えていく仕組みを考えていかなければなりません。
日本では、マイナンバーカードというカードも普及させて、本当に必要な人にこの年金が届く、こういうシステムを皆さんと一緒に作り上げていきたい。
そうすることによって、まさに100年安心、平均寿命が100歳になった、日本が寿命100年時代になっても安心して住み続けられる日本を作ることができると思っております。
今回の選挙は、非常に厳しい戦いです。この大阪においても。なんと言っても、また4つの議席を我々2人の候補者で、2人とも当選させていただかなければならないと、こう思っております。
相手陣営もみんな必死ですから、徹底的にどの政党も、維新を、我々を標的にしてくるんでしょう。
でも皆さん、この大阪において、我々がやってきたこと、やってきた政策を実行してきたことには自信があります。
そのことによって、10年前の大阪と、今の大阪を比べれば、よっぽどマシな大阪をいま作ってきた、ここは自信があるんです。12年前の知事さんも「元知事よ」って言ってね、今この選挙に立候補されてますよ。
「私が元知事」と、なんでも言いたい放題。もう「万博も私の手柄」「G20も私の手柄」。あなたのときはそんな話、一切出ているませんがね。むちゃくちゃ言ってる。
「大阪を良くしたのは自分だ」なんて言っているけど、皆さん12年前の大阪を思い出してもらいたい。
ずっと赤字で、皆さんへのサービスはカット、カット。借金は皆さんにツケ回しばっかり。なのに、自分は報酬は満額もらって、退職金も8300万もらって、「はい、さよなら」ですから。こんなおかしい話はありません。
ねえ皆さん、政治というのは現実なんです。生活そのもの。結果責任です。結果を見ていただいて、我々まあ少しはマシな政治を、この大阪ではやってきたと思いますんで。100点満点でないのは十分承知しております。
そりゃ我々にも足りないところは沢山ある。でも、我々は言ったことは守ってまいりました。
選挙っていうのは、政策を訴えて、それを実行していく。これが選挙で政治家を選ぶ基準です。100点満点はないけど、口先でいいことだけ言う。
結果、当選すれば知らんぷり。この当選すれば知らんぷりが、まさに皆さん、増税のときの国会議員の身を切る改革というものなんです。
2011年の、あの震災の後に、2012年、復興増税がスタートした。今も皆さんは、市民税に上乗せで、東北の皆さんを支えるために、復興増税の負担を、皆さんが支えていただいてるんです。
そのときの約束が、身を切る改革だったんです。
何も、我々から言い出した話なんじゃないですこれは、国会議員においても。
復興増税のときに、国民の皆さんに負担お願いするんなら、国会議員も当たり前だと。そのときは、自民党から共産党まで、全会一致で、国会議員の報酬2割カット、スタートをさせたんです。
ところが2年すると、「国民の皆さん、忘れただろうな。もういいんじゃないの」と、知らんふりして元に戻してるんですよ。
まさに約束を違えて、ほごにしている。これじゃあ、皆さん「公約ってなんだったの」ということになります。
我々も100点満点はありませんが、言ったことは守ってまいりました。ぜひ、まともな政治を、まともなね、国政において、野党を作りたいと思いますんで、皆さんのご支援の輪を。
東徹。僕が府議会の同期で、徹底的に大阪府が厳しい時代から一緒に改革をやってきた。実績も十分でありますご承知のとおりです。東徹、これを必ず参議院議員として国会に送り返してもらいます。
そして、梅村みずほさん。なぜ梅村なのと言う言葉が、よく僕のところに質問されます。知名度もないんじゃないの今まで聞いたこともないし、梅村さんってどこの人?なぜ梅村さんを選んだのっていう話がありますが。
選んだ理由は、ただ一つ。政治と距離があるところで、家庭の母親として、働く女性として、まったく政治と関係のないところで、様々な経験をしてきた。ごくごく一般の人だからです。
そして梅村さんが子育てをするにあたって、やっぱり不自由がたくさんある。もっと国が支援してもらうこと、行政が支えること、もっとあるでしょと。そういうことを実行してもらえないと、これからの少子化、止められない。
これをご自身で実感したから、まさに今までの生活を一旦横において、維新の会のメンバーとして頑張りたいということで、覚悟をもって参加してくれました。だから永田町の感覚と全く違う人だから、我々は梅村さんを公認をいたしました。
皆さんね、家庭で2票ある人は1票ずつ分けていただきたい。4票の人は2票ずつ。
奇数の時がややこしい。3票の時は、残りの1票をどうするか。まあこれはね、皆さんのご自由な判断で、東か梅村にしていただきたい、こう思っておりますがね。その場合はもう1人どなたかに声をかけてもらって、偶数になるように、是非ともよろしくお願いをいたします。
まあ暑い中の選挙ですから、応援していただいている皆さん、水分を補給しながら、熱中症にならないように、この熱い戦い、我々の背中を押していただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。ありがとうございます。
大阪選挙区では、太田房江氏(自民)、亀石倫子氏(立憲)、杉久武氏(公明)、にしゃんた氏(国民)、辰巳孝太郎氏(共産)、東徹氏(維新)、梅村みずほ氏(維新)、濱田健氏(諸派)、足立美生代氏(諸派)、尾崎全紀氏(諸派)、数森圭吾氏(諸派)、佐々木一郎氏(諸派)が立候補している。  
●社民党・吉川元幹事長
社民党は不出馬を表明した又市征治党首に変わって吉川幹事長が第一声に望んだ。演説場所は新宿駅南口。演説時間は13分06秒だった(*緊急車両通過による演説中断を含む)。

新宿駅南口ご通行中の皆さま、社民党でございます。いよいよ今日から17日間の参議院選挙、選挙戦がスタートいたしました。
私ども社民党は、この東京選挙区から朝倉玲子さん、非正規の労働問題、取り組んできた朝倉玲子さんを公認候補として擁立をいたしました。東京選挙区、朝倉玲子を何卒皆さまの力強いご支援もお願いいたします。
また比例区に於いては、社会民主党に対する力強いご支援も併せてお願いいたします。
今回の参議院選挙、国民の暮らしの安心と、そして平和がかかった、とてもとても重要な選挙であります。
6年半に渡って続いてきた安倍政権の下で、国民の暮らしは壊されてまいりました。
いまだに統計、明らかにされていませんが、実質賃金は低下をする。そして年金もカットをされる。その中で実に、6割の人が生活が苦しいと、厚生労働省の調査に答えております。
この事実、この実態を改善することこそが、今、まさに政治に問われているものであります。
あの金融庁の報告書。老後、2000万円の資産が必要だ。衝撃的な内容の報告書であります。
これまで政府は、「年金は100年安心」、そのように吹聴をしてまいりました。国会においても、安倍総理、そして麻生財務大臣も、100年安心と繰り返し発言をして参りました。
しかし、安心だったのは制度が続くだけ。実際にもらえる年金額、とりわけ国民年金、基礎年金部分は、将来的に3割削減をされるという内容であります。
かつて国民年金は、自営業者の年金でありました。しかし、雇用が劣化をし、そして非正規雇用が増える中で、働き手の中にも国民年金しか、かかっていない方が沢山増えてまいりました。
所得は低く、金融資産も持たず、そして今よりも国民年金、基礎年金が3割目減りするとすれば、これは事実上、暮らしていけない年金であります。
とても100年安心の年金とは言えない。この制度を今、安倍政権は100年安心と吹聴を続けております。
私ども社民党は、現在行われている、この基礎年金部分、国民年金が毎年目減りをする、このマクロ経済スライドを直ちに中止をし、そして、この暮らせる年金、基礎的暮らし年金、最低保障年金の設立を強く訴えてまいります。
また、この今回の年金問題を通じて、明らかになったのは、やはり雇用の劣化であります。
総理は、ことあるたびに「雇用者が増えた」「働く人が増えた」と吹聴いたします。しかし、その内実を見れば、安倍政権になって非正規雇用が300万人増えます。今や、2100万人を超える方が、不安定でそして賃金の安い非正規雇用、そのような実態の中で働いております。
企業が一番活躍しやすい国。それはまさに、働く人たちが一番暮らしにくい国でもあります。
この労働法制を抜本的に規制を強化をして、そして働く人たち、安心して働き、結婚し、子供を産み、育て、老後を迎えられる。そのような雇用の質の確保を、これを我々社民党は、この参院選で訴えて参りたいと思います。
そして、あの金融庁の報告の後、財政制度審議会、そして経済財政諮問会議の骨太方針、出されました。
実は原案にはいろいろな言葉が載っておりました。「自己責任」「自助努力」という言葉も入っております。
もちろん、私たちが日常暮らすときに自己責任、自助努力で頑張る部分は沢山ございます。
しかし、国や行政が、国民に対して、自助努力を求め、自己責任を言うことは、これは政治の責任放棄であります。
皆さん少し考えてみてください。困ったことがあった。役所に相談にいった。そしたら役所で、「それは自己責任ですね。自助努力で何とかしてください」。こんな行政や国の在り方、抜本から変えていかなければならない。
そのためにも、この選挙戦。そして非正規労働の問題を半生に渡って取り組んできた朝倉玲子さん、東京選挙区の朝倉玲子さんに、ぜひ皆さまの一票を預けてください。託してください。そして比例区、社会党に皆さまの一票を何卒宜しくお願いいたします。
今、安倍外交が大きな問題になっております。安倍外交、果たして成果が出ているでしょうか。
実に80カ国、そして、54兆円もの巨額の資金援助を、各国に安倍総理は約束をして参りました。
しかし、北方領土の問題、あるいは拉致の問題、さらには日米の貿易の問題、何一つ結果が出ておりません。
それどころか、朝鮮半島の問題をめぐっては、唯一、日本だけが蚊帳の外。これが今の安倍外交の実態であります。
そして、先日G20。トランプ大統領が来日をいたしました。そこでは、今の日米安保、日本が攻められればアメリカは守るが、アメリカが攻められたときは日本は守らない。こんな話が飛び出して参りました。
そして、いま中東では緊張が高まっております。仮に、中東で大きな戦争にアメリカが突入をした場合、当然トランプ大統領、日本に対して自衛隊の派遣を求めてくることは、火を見ることよりも明らかであります。
かつての日本であれば、憲法上、集団的自衛権の行使はできない。このように拒否をすることができましたし、事実、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争、自衛隊を戦地に送ることはありませんでした。
しかし、今から4年前、国民の多くが反対をし、憲法学者のほとんど全ての方が、憲法違反といった、あの集団的自衛権、行使を容認する戦争法を強行採決をしてしまいました。
今、戦後74年にわたって、海外で戦争をすることなく平和を守ってきた今の日本の政治が、この安倍政権の下で岐路に立っております。
国会の役割が重要です。自衛隊を派遣する場合、国会での事前承認が原則必要になってまいります。
その時に、安倍総理に、ただただひたすらについて行く議員ばかりか、それとも憲法の精神を守り、国民の暮らしと平和を守る、そうした議員を国会に送り出せるのか、これがこれからの日本の岐路を、大きく左右する選択であります。
今回の参議院選挙、国民の暮らし、そして平和な暮らし、これを守るために我々社民党、全力を挙げて戦って参ります。
この東京選挙区からは朝倉玲子さん、公認候補として擁立をしました。今日から17日間、東京を駆け巡り、そして、働く人たちの思いに答えられるそんな政治の実現を訴えてまいります。
また比例区、今回の選挙戦、社民党にとっても瀬戸際、崖っぷちの戦いでもあります。正念場の戦いでもあります。
結党以来、憲法を守ることを党是としてきた社民党。国政政党として、これからも国会の中で働かせてください。
ぜひ、皆さまの力強いご支援、社民党そして朝倉玲子にお願いをいたしまして、私からの訴えとさせていただきます。ご静聴、ありがとうございました。 
 7/4

 

政党公約 7/4
●自民党
〔外交・防衛〕地球規模の課題解決に向け、世界をリード▽米国やオーストラリアなど普遍的価値を共有する国々との連携を強化し、自由で開かれたインド太平洋を実現▽北朝鮮の核・ミサイルの完全な放棄を迫るとともに、最も重要な拉致被害者全員の帰国を目指す▽ロシアと領土問題を解決し、平和条約を締結▽中国などの近隣諸国とは、国益を十分踏まえ、戦後日本外交を新たなステージに導く。
〔経済〕消費税率10%への引き上げの際、経済への影響を乗り越えるため十二分の対策を講じる▽GDP600兆円経済を実現し、成長と分配の好循環をつくる▽事業継承時の相続税ゼロなど、かつてない制度で中小企業・小規模事業者を応援▽エネルギーの安定供給と低コスト化を両立するための技術革新を図り、原発を含む2030年の最適な電源構成の確実な実現を目指す。
〔社会保障〕社会保険の適用を拡大する「勤労者皆社会保険」の実現▽最低賃金の全国加重平均1000円▽女性の就労支援や政治参画の促進▽総合的な子どもの安全対策に徹底的に取り組む▽認知症の人が尊厳を保持しつつ安心して暮らせる社会の実現。
〔年金〕年金受給開始時期の選択肢の拡大など、人生100年時代にふさわしい年金制度を構築▽一定以上の収入を得ている場合、年金を減額・停止する在職老齢年金を廃止・縮小。
〔地方創生〕自動走行や遠隔医療、ドローン宅配などを地方から展開し、ローカル・イノベーションを推進▽環太平洋連携協定(TPP)や日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)発効による不安を払拭(ふっしょく)し、農林漁業者の経営発展を後押し▽30年に外国人観光客6000万人を目指し、地域の観光資源を磨き上げ、戦略的な訪日プロモーションを推進。
〔復興・防災〕東日本大震災の被災地域を20年度までに復興▽さまざまな自然災害時にライフラインを維持できるよう交通・物流インフラを強靱(きょうじん)化▽脱炭素社会を実現。
〔憲法改正〕「現行憲法の自主的改正」は結党以来の党是▽国民の幅広い理解を得るため、党内外での議論をさらに活発に行い、衆参の憲法審査会での議論を丁寧に深め、改憲原案の国会提案・発議を行い、国民投票を実施し、早期の憲法改正を目指す。
〔その他〕20年東京五輪・パラリンピックのレガシー(遺産)としてバリアフリー化を進める▽海洋プラスチックごみによる汚染問題を受け、30年までに使い捨てプラスチックの25%排出抑制。
●立憲民主党
〔外交・防衛〕米軍普天間飛行場の辺野古移設工事を中止、普天間返還交渉を実施▽在日米軍基地負担の軽減と日米地位協定の改定を提起▽安全保障法制を廃止▽専守防衛の範囲を超えない抑制的かつ効果的な防衛力を整備▽北朝鮮の核・ミサイル開発と拉致問題解決に向け交渉に着手▽北方四島の帰属問題を解決▽貧困、気候変動問題などグローバルな問題解決に貢献。
〔経済〕消費税率10%への引き上げを凍結▽中小零細企業への支援を拡充しつつ、5年以内に最低賃金1300円への引き上げを目指す▽介護・医療・保育などの分野で賃金を引き上げ▽官民の非正規雇用を正規雇用化しワーキングプアを解消▽残業代完全支払い・みなし残業禁止などによってまっとうな働き方を実現▽職業訓練プログラムを充実。
〔社会保障〕医療・介護などの自己負担額に、所得に応じた上限を設ける「総合合算制度」を導入▽待機児童解消と保育の質向上を目指す▽児童虐待やいじめを受けた子どもたちの保護と保護者への支援を強化▽公立小中学校の給食を無償化▽給付型奨学金と無利子奨学金を拡充▽基礎研究や研究開発の助成を拡大。
〔年金〕老後に備え「大きな蓄えがなくても安心できる社会」を目指す▽年金の最低保障機能を強化。
〔地方創生〕農業者戸別所得補償により、農業者の所得を底上げ。
〔復興・防災〕東日本大震災からの復興、災害に対応▽防災庁設置を目指す。
〔憲法改正〕国民の権利拡大に寄与する観点から憲法論議を進め、憲法9条改悪や解釈改憲には明確に反対。日本国憲法の原則を徹底して守る。
〔その他〕女性・女系皇族への皇位継承資格拡大や女性宮家創設を容認。安定的な皇位継承に向け議論▽選択的夫婦別姓を導入▽性的少数者(LGBT)差別解消で法制定、同性婚を可能とする法改正も▽各議会での男女比均等を目指す▽性犯罪関係刑事法改正を目指す▽原発再稼働を認めず、原発ゼロ基本法案の早期成立を目指す▽30年までの石炭火力発電所全廃を目指す▽廃プラゼロ法を制定▽被選挙権年齢を20歳に引き下げ▽公文書管理法と情報公開法を強化▽特定秘密保護法、共謀罪法などを廃止。
●公明党
〔外交・防衛〕日朝国交正常化を実現▽ロシアと領土問題を解決し平和条約を締結▽在日米軍の再編や訓練の県外分散移転の着実な実施などで沖縄の負担軽減を実現。
〔経済〕消費税率引き上げで軽減税率、プレミアム付き商品券などを実施▽最低賃金を20年代半ばには47都道府県の半数以上で1000円以上へ引き上げ▽1時間単位で年次有給休暇を取得できる制度を導入。
〔社会保障〕高齢者医療制度を含む健康保険の医療費の適正化策を強化▽健康診断の受診の有無を国民健康保険制度に連動させる仕組みを構築▽認知症施策を推進▽介護職のイメージアップや参入促進、キャリアアップのための研修への支援を強化。
〔年金〕年金受給開始年齢の多様化や在職老齢年金を見直し▽低年金者に月最大5000円を支給する「年金生活者支援給付金」を円滑に実施▽被用者年金適用を拡大。
〔地方創生〕地方も都会と同じような働き方や医療などのサービスを受けることができる地域づくり▽道の駅などを拠点とした自動運転システムによる新たな移動手段を導入▽スマート農業・林業・水産業を実現。
〔復興・防災〕地域経済に活力と成長をもたらす「防災・減災ニューディール」を強力に推進▽防災訓練などを通じた地域の「災害対応力」を強化。
〔憲法改正〕改正を否定するものではない▽自衛隊は違憲の存在ではなく、9条への自衛隊明記は慎重に議論。
〔その他〕国会議員歳費を10%削減▽持続可能な開発目標(SDGs)達成へ貢献。
●国民民主党
〔外交・防衛〕安全保障法制などの廃止法案、周辺事態法改正案、領域警備法案などを成立▽日米地位協定の改定・辺野古新基地建設を見直し。
〔経済〕軽減税率やポイント還元を伴う今回の消費税引き上げには反対▽子育て支援拡充のため「子ども国債」を発行▽巨大IT企業などへ課税を強化▽年収500万円以下で賃貸住宅で暮らす世帯の家賃に月1万円を補助▽自動車の任意保険料、塾代など民間教育費を特定支出控除対象に。
〔社会保障〕医療・介護・障害福祉などにかかる自己負担の合計額に上限を設ける「総合合算制度」創設▽0〜2歳児の幼児教育・保育無償化の所得制限をなくし、完全無償化▽現在15歳までの児童手当を18歳まで引き上げ、一律で月1万5000円に▽給食費は無償化、学年費(副教材など)も補助▽裁量労働制の厳格化など「安心労働社会実現法」を制定▽男性を含め一定の育児休業付与を事業主に義務化。
〔年金〕低所得年金生活者に最低月5000円を加算給付▽短時間労働でも厚生年金加入できるよう適用を拡大。
〔地方創生〕一括交付金の復活▽普通車以下の高速道路料金を土日祝日1000円、平日2000円の上限定額制に▽高齢者事故対策で安全運転サポートカーに限定した免許を創設▽総合的な農業者戸別所得補償制度を導入▽全国の駅前、飲食店にWi−Fi設置を支援。
〔復興・防災〕被災地の復興を加速▽東京電力福島第1原発の事故処理、廃炉を進める。
〔憲法改正〕未来志向の憲法を議論▽自衛権行使の限界を曖昧にしたまま、9条に自衛隊を明記すべきでない。
〔その他〕税と社会保険料の公正な徴収のため「歳入庁」を創設、統計作成事務を「統計庁」に一元化▽参院議員定数を6減▽30年代を目標に、できるだけ早期に原子力に依存しない社会(原発ゼロ社会)を実現▽選択的夫婦別姓を実現▽女性天皇を容認、女性宮家を創設。
●共産党
〔外交・防衛〕F35など米国製兵器の「爆買い」など大軍拡をやめ、軍縮へ転換▽イージス・アショアの配備を撤回▽辺野古新基地建設を中止し、普天間基地の無条件撤去を要求▽日米地位協定を抜本改正▽日米安保条約をなくし、対等・平等の立場に立った日米友好条約を結ぶ。
〔経済〕消費税率10%への増税中止▽大企業優遇税制を是正し、中小企業並みの負担を要求▽富裕層に有利な証券税制を是正▽最低賃金を直ちに全国1000円に引き上げ、速やかに1500円を目指す▽日米自由貿易協定(FTA)交渉を直ちに中止▽TPP協定から離脱し、食料主権・経済主権を尊重した貿易協定を進める。
〔社会保障〕保育・介護・障害福祉労働者は月5万円賃上げ▽小学校就学前の子供の医療費を所得制限なしで無料化▽安倍政権が行った生活保護削減を中止し、支給水準を回復▽障害者(児)福祉・医療を無料化。
〔年金〕マクロ経済スライドを廃止▽高額所得者優遇の保険料を見直し▽巨額の年金積立金を年金給付に活用▽低収入の年金生活者に一律月5000円・年6万円を現在の年金額に上乗せ給付。
〔復興・防災〕原発再稼働を中止し、全ての原発で廃炉のプロセスに入る▽放射能汚染水の海洋放出に反対▽放射能測定体制の縮小・廃止をやめ、国が責任を持って長期の健康診断を実施。
〔憲法改正〕9条改憲に反対し、断念に追い込む▽自衛隊を海外で戦争させる安保法制を廃止▽「北東アジア平和協力構想」を推進し、地域と世界の平和に貢献。
〔その他〕深刻な海洋汚染をもたらしている廃プラスチック問題解決のため、国内でのプラスチック製品の製造削減とリサイクル徹底を推進▽小選挙区制を廃止し、比例代表中心の選挙制度に改革。
●日本維新の会
〔外交・防衛〕集団的自衛権行使の要件を日本周辺の米軍防護に限定▽普天間基地の負担を軽減、日米地位協定を見直し▽防衛費のGDP1%枠の撤廃▽弾道ミサイル、サイバー・宇宙空間防衛体制を強化。
〔経済〕消費増税凍結▽租税特別措置を廃止▽AI、ブロックチェーン、暗号資産に注力▽ベンチャー企業を育成。
〔社会保障〕義務教育のほか幼児教育、高校、大学などの教育を無償化▽重大な児童虐待を撲滅▽多子世帯を減税▽正規、非正規雇用の格差を是正▽高齢者向け運転免許制度を創設▽障害者の就労、雇用環境を整備。
〔年金〕働いても年金が減らない制度を構築▽公的年金を社会保険として受益と負担を均衡させるため、賦課方式から積み立て方式に移行。
〔地方創生〕道州制、大阪都構想を実現。
〔復興・防災〕復興財源は議員歳費、公務員給与の削減、特別会計の剰余金などを活用し復興増税を行わない▽脱原発依存体制を構築▽電力自由化を推進▽脱炭素社会を推進。
〔憲法改正〕道州制実現を含む統治機構改革▽憲法裁判所設置▽各党に改正項目提案を促し、維新が衆参両院の憲法審査会をリード。
〔その他〕議員報酬3割カット、議員定数3割カット▽首長と参院議員を兼職可能とする▽被選挙権年齢を18歳に引き下げ。
●社民党
〔外交・防衛〕集団的自衛権行使を容認した閣議決定を撤回▽日米安保条約は経済や文化面での協力を中心にした平和友好条約へ転換▽辺野古新基地建設に反対▽日米2国間の新たな貿易協定を阻止し、TPP11と日欧EPAから離脱。
〔経済〕消費税率10%への増税に反対▽所得税の累進性を強化、内部留保をため込む大企業への法人課税を強化▽最低賃金は全国一律1000円に引き上げ、1500円を目指す。
〔社会保障〕医療、介護の自己負担や保険料の増大、生活保護費の切り下げをストップ。
〔年金〕マクロ経済スライドを中止▽年金支給年齢の引き上げに反対▽最低保障年金を創設。
〔地方創生〕権限・財源の自治体への移譲を進める。
〔復興・防災〕原発新増設は全て白紙撤回し、既存原発の再稼働に反対▽被災者生活再建支援法における支援金最高額を引き上げ。
〔憲法改正〕憲法改悪に反対し、外交努力による紛争解決などを掲げる「平和創造基本法」を制定。
〔その他〕被選挙権年齢を一律5歳引き下げ。  
 7/4

 

安定した政治で改革推進 安倍総裁が福島で第一声 7/4
令和初の国政選挙となる第25回参議院通常選挙が7月4日、公示され、選挙戦がスタートしました。
福島市内で選挙戦の第一声を上げた安倍晋三総裁は冒頭、「民主党政権の下、遅々として(東日本大震災からの)復興は進まなかった。私たちは野党である悔しさ、申し訳ない思いで胸が震える思いだった。政権奪還の原点だ」と語り、引き続き東北の復興に全力で取り組むと訴えました。
今回の参院選で野党は1人区で統一候補を擁立していますが、国民の生命と財産を守っている自衛隊を違憲と主張する政党が入っていることを問題視。「大切なことも統一できていない。もし当選したら、またバラバラで決められない政治の原点だ」と痛烈に批判しました。
さらに国会で憲法論議が進んでいない状況を踏まえ、「国会議員としての責任を果たし、議論をする候補者、政党を選ぶのか、議論をしない候補者、政党を選ぶのか。それを決めていただく選挙だ」と力説。最後に「あの時代に逆戻りするわけにはいかない。与党でしっかりと力を合わせて、政治の安定を確保していかなければならない」と述べ、わが党への支援を力強く訴えました。 
露骨な国民騙しの美辞麗句 安倍自民の公約は嘘ばかり 7/4
第25回参院選が4日公示され、21日の投開票に向け、17日間の“選挙の夏”が始まった。
安倍首相は「政治の安定」を訴え、改憲の争点化に躍起だが、冗談じゃない。もっと言えば今回の争点は、野党が強調する「老後資産2000万円問題」や「消費増税」でもない。これらのテーマも重要だが、もっと大事な焦点がある。
6年半に及ぶ「嘘も100回つけば真実になる」を地で行く詐欺師政権に、国民はまた騙されるのか。それとも今度こそ詐欺に気付き、目を覚ますのか。それこそが、最大の争点である。
今度の選挙でも露骨な「国民騙し」と「争点隠し」のオンパレード。ペテン政権の公約はハッキリ言って、「全て詐欺かイカサマだ」と言っていい。
どの世論調査でも「重視して欲しい政策」でトップの「年金など社会保障」も自民の公約は嘘だらけ。堂々と「高齢者の皆さんが安心して暮らせる社会保障」とうたうが、それが絵空事だと露呈したのが「2000万円問題」ではないか。
麻生金融担当相は「政府の政策スタンスと異なる」と問題の報告書の受け取りを拒否したが、これに「年金の給付水準が下がっていくことは、2004年の年金改革の際、すでにデザインされていた」と、毎日新聞の2日付夕刊で指摘したのは社会保障に詳しい東大名誉教授の大沢真理氏だ。
大沢氏は「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人。将来の給付が減るからこそ政府の社会保障国民会議は08年、「社会保障の機能強化」を図り、年金制度への信頼回復が必要との報告書をまとめた。
その認識は2度の政権交代後も共有されてきたが、安倍政権は根底から覆した。
昨年の「骨太の方針」で、機能強化から「基盤強化」に方針転換。費用の抑制や適正化・効率化など、信頼回復とは正反対の身勝手な内容だ。
社会保障給付費の対GDP比も、2012年度の22・06%から2016年度は21・68%と安倍政権下で低下。
前出の毎日記事で、大沢氏は〈高齢化が進み、対GDP比への上昇圧力となるのに、下がっている。こんな事態は他国に例を見ません〉と批判。今年の「骨太の方針」の社会保障政策についても、〈書いてあることは「70歳まで働け」「病気になるな」「要介護になるな」「お上に頼るな」の4点に要約できます〉と語っていた。
「学者の会」の大沢氏が列挙した事実だけでも、「高齢者の安心」なんて公約は真っ赤な嘘。安倍政権の弱い者いじめの実態がよ〜く分かる。
選挙直前に今年の「骨太の方針」に盛り込んだ「就職氷河期世代支援」も欺瞞に満ちている。
氷河期世代を「人生再設計第一世代」と言い換える「上から目線」がネット炎上したように、多くの国民は安倍政権に「おまえらが言うな」と怒っている。その上、氷河期世代の正規雇用化の数値目標は、3年間で30万人増。昨年の非正規労働者の数は前年比84万人増の2120万人に上る。今さら30万人増なんてスズメの涙にもならない。
そもそも氷河期世代は長期不況下に、小泉政権の製造業への派遣解禁で生み出された“国策の犠牲者”だ。その小泉政権で幹事長や官房長官など要職を歴任、総理に駆け上がったのが安倍である。氷河期世代の生活をメタメタにした張本人が救済者気取りの「印象操作」とはヘドが出る。労働問題に詳しい法大教授の上西充子氏はこう言う。
「安倍首相は以前、『この国から非正規という言葉を一掃する』と豪語しましたが、その決意の結果が低いハードルとは情けない。達成可能な数字で“やっている感”を演出している感じです。氷河期世代の暮らしを安定させるなら、公営住宅の整備や非正規から正規への転換を促進すべき。少なくとも有期雇用の非正規の無期転換ルールを強化し、『雇い止め』の恐怖を取り除けば非正規の発言力は必ず増す。何もしない政権の救済方針は氷河期世代をビジネスの道具にしているように見えます。規制緩和で派遣労働者を増やし、大手製造業や派遣会社を儲けさせ、今度は安定した職に就くための職業訓練と称して派遣会社に国の予算を回す。そのカネを不安定な雇用環境の人々に直接、渡した方がよっぽど救われます。これでは氷河期世代を食い物にした二重搾取です」
救済者の顔をした“銭ゲバ”に騙されてはいけない。
自民が公約に掲げる「子供の未来・安全に、大胆に投資」の目玉策「幼児教育・保育の無償化」もデタラメの極みだ。
無償化で入園希望者が殺到すれば待機児童問題はさらに深刻化し、恩恵を受けられるのは運良く子供を預けられた世帯だけとなりかねない。
待機児童を抱え、本当に苦しい世帯は、恩恵ゼロだ。
しかも、年間7764億円もの予算が投入するのに、その恩恵は富裕層に偏る。
保育所の利用料などは既に保護者の所得に応じて減免されているためで、内閣府の試算によると、低所得の住民税非課税世帯には、予算の1%しか配分されない仕組みなのだ。
「安倍政権の弱者救済策は“誇大広告”ばかり。たとえば『同一労働同一賃金』は、厚労省が『正規と非正規の労働者の間で不合理な格差があってはならない』と定めたガイドラインに法的拘束力はない。2年前に定めた『全国平均の最低賃金1000円』も、ずっと『早期に』と目標を立てながら、いまだ達成できていません。家計第一で、暮らしと労働の安定を訴える野党に“ウチらもやっています”とポーズを示す『争点隠し』を図っているのでしょう。こうした“言葉のゴマカシ”は安倍政権の常套手段とはいえ、あまりにも姑息すぎます」(上西充子氏=前出)
中身スカスカの暮らしの救済策で、「弱者の味方」ヅラとは本当に許しがたい。 
憲法・年金・消費税で攻防=問われる「安倍政治」−参院選公示 7/4
第25回参院選が4日公示され、21日の投開票に向け17日間の選挙戦が始まった。2012年末から6年半余りにわたる安倍晋三首相(自民党総裁)の政権運営に評価が下される。与党は「政治の安定」を掲げ、改選議席の過半数確保を目指す。野党は全国で計32ある改選数1の「1人区」で統一候補を擁立して対抗する。消費税増税や年金制度、憲法改正などを争点に、与野党の論戦が熱を帯びそうだ。
参院定数を6増する公職選挙法改正により、今回の改選数は124議席、選挙後の定数は245議席となる。与党が掲げる改選過半数は63議席。ただ、首相は勝敗ラインについて「与党で非改選も含めた過半数」と設定しており、自民、公明両党で53議席を確保すれば達成できる。
首相は改憲論議を進めることの是非を問う考えを繰り返し強調している。参院で改憲発議に必要な3分の2を維持するためには、与党と日本維新の会などを含む改憲勢力で86議席を獲得する必要がある。
与野党党首は全国各地で第一声を上げた。首相は福島市の果樹園で、東日本大震災の復興に最優先で取り組む姿勢をアピール。宿願である改憲について「議論する政党を選ぶのか、しない政党を選ぶのかを決める選挙だ」と訴えた。
公明党の山口那津男代表は、同党が最重点区に位置付ける兵庫入り。神戸市で街頭演説し、「日本の政治の安定のためには、連立政権に公明党がなくてはならない」と強調した。
これに対し、立憲民主党の枝野幸男代表は東京都内でマイクを握り、「生活を防衛するための戦いにしよう。政治が変われば暮らしは良くなる」と主張。国民民主党の玉木雄一郎代表も静岡県掛川市で「国民の生活を守る政治を取り戻そう」と呼び掛けた。
共産党の志位和夫委員長は都内で、10月からの消費税率10%への引き上げについて「景気悪化の赤信号がともっているのに、増税強行は愚の骨頂だ」と批判。日本維新の会の松井一郎代表は大阪市で「安易な増税を止めていきたい」と力を込めた。
社民党は体調不良の又市征治党首に代わり吉川元幹事長が都内で街頭演説。老後資金の「2000万円不足」問題に絡め、年金支給額を抑制する「マクロ経済スライド」の廃止を求めた。  
安倍首相が「印象操作」と揶揄するも「どこが?」と疑問の声 7/4
安倍晋三首相(64)が7月3日、日本記者クラブ主催の党首討論会に登場。挙手で回答する質問に返答した直後「印象操作だ」という趣旨の発言をした。Twitterでは「印象操作」がトレンド入りするほどの話題となり、「どこが印象操作なのか」と疑問の声が上がっている。
今回の党首討論会には安倍首相のほかに公明党・山口那津男氏(66)や立憲民主党・枝野幸男氏(55)など7名の党首が参加した。そのなかで登壇者が質問に“イエスかノーか”を挙手で示す場面があった。
安倍首相は「原発の新増設を認めない」「選択的夫婦別姓を認める」の2項目で7名中ただ1人、手を挙げなかった。また「LGBTなど性的少数者への法的権利を認める」という問いについて、挙手しないのは安倍首相と山口氏の2人だけだった。
すると「単純化してショーみたいにするの、やめたほうがいいですよ」と安倍首相は話し、さらにこう持論を展開した。
「政策的な議論をちゃんとしないとですね、イエスかノーかということでは政治はないですから。いまの段階で答えられなくてもただちにノーではないんですから。印象操作するのはやめたほうがいいと思いますよ」
すると記者団は、こう返した。
「でも安倍さんはこれまでも説明されてきたわけでしょ?説明もなしにただ手を挙げろっていったわけじゃありませんから。難しい問題を簡単に賛成反対とはなかなかいかないと、わかったじゃないですか」
記者団のいうように、これまでも安倍首相は自身の考えを説明してきた。12年12月に出演したTBSの番組で「新たにつくっていく原発は、40年前の古い、事故を起こした東京電力福島第1原発とは全然違う」ために「原発の新増設」について意欲的であると示した。さらに13年5月の参議院・予算委員会では電力の安定供給などを理由に挙げ「(新増設は)ある程度時間をかけて、腰を据えて検討していく必要か゛ある」とも発言。しかし16年1月と18年1月の衆議院本会議では「現時点では想定しておりません」と慎重な姿勢も見せている。
「選択的夫婦別姓」については先月30日のネット党首討論で「夫婦別姓の問題ではなくて、しっかりと経済を成長させ、みんなが活躍できる社会を作っていくことではないか」「いわば経済成長とは関わりがないというふうに考えています」と発言し、話題を呼んだばかりだ。
また「LGBTなど性的少数者への法的権利」について例えば同性婚に関することでいうと、安倍首相は15年2月の参議院・本会議で「現行憲法の下では、同性カップルの婚姻の成立を認めることは想定されていない」と発言している。16年6月に自民党が制作した政策パンフレットにも憲法24条の観点から「同性婚容認は相容れません」と記されており、同パンフレットは杉田水脈議員(52)の「生産性」発言が話題になった18年8月にも自民党の公式サイトに再掲載された。
党首討論会の直後、立憲民主党・蓮舫氏(51)はTwitterを更新。首相の「印象操作」発言について《これは印象操作ではなくて、公開された場でのシンプルな質問への挙手》と苦言を呈している。さらにTwitterでは「どこが印象操作なのか」と安倍首相の発言を疑問視する声が上がっている。
《この流れからなんで「印象操作」になるの? 挙手をしない理由をわかりやすく説明すればいいだけの話じゃないの?》
《意見に自信がないのか、恥ずかしいと思っているのか。印象操作だなんだって、なんか卑屈だな》
《印象操作も何も、事実やん。この人がpmでいる限り日本語までおかしくなる。こんなんでいいの?》 
 7/3

 

「終わったらまたバラバラに...」 安倍首相、党首討論で「野党共闘」批判 7/3
参院選の公示を前日に控えた2019年7月3日、与野党7政党による党首討論会が東京・内幸町の日本記者クラブで開かれた。
野党からは消費税率の引き上げや年金などをめぐり安倍晋三首相(自民党総裁)を追及する声が相次いだ。32ある1人区には、野党が候補者を一本化して統一候補を立てて臨む。与党側は、「(参院選)終わったらまた、バラバラになりますよね」(安倍氏)などと、完全には政策が一致しない中で統一候補を立てたという点に集中して野党批判を展開した。
討論会は2部構成で、前半部分では登壇者が別の登壇者を指名して質問できる。口火を切ったのが公明党の山口那津男代表だ。山口氏は財源の問題について、立憲民主党の枝野幸男代表に
「共産党は増税中止と言っている。立憲民主党は凍結という立場のようだ。立憲の候補予定者の中には『消費税はゼロでもいい』、こう叫んでいる人もいる。しかし枝野さんは、かつての民主党政権の時に3党合意を推進した立場だ。こうした野党が統一候補を立てる中で、責任ある財源を示すべきだ」
と、10月に予定されている消費税率の引き上げについて、野党間でも立場が割れていることについて疑問をぶつけた。これに対して、枝野氏は
「1人区で一本化した野党各党は、消費税を当面上げられる状況にはない、ということでは完全に一致している」
などと反論。立憲としては、法人所得税の引き上げや金融所得課税の強化を主張していることを紹介した。
安倍氏は、
「立憲主義という立場に立っているのであれば、候補者を1人にしぼるにあたって、憲法という、しかも自衛隊が合憲か違憲かという最も大切な点は統一すべきではないのか」
などと自衛隊をめぐる違憲論をやり玉にあげて枝野氏に質問した。立憲民主党は、自衛隊は合憲だという立場だが、共産党は違憲だと主張している。安倍氏は、共産党の候補が野党統一候補になる選挙区も多数あることを指摘し、こういった地域について
「立憲民主党を支持する方は、共産党の候補者に入れるように働きかけているのだと思う。もし枝野さんが福井県民だったら、共産党の候補者に1票を入れる、ってことになるんですか?」
などと指摘した。
野党共闘を後押しする民間団体「市民連合」は5月29日、4野党1会派(立憲、国民、共産、社民、社会保障を立て直す国民会議)に政策要望書を手渡しており、これが事実上の野党間の政策協定だと位置付けられている。ここでは、憲法9条改正阻止や、安保法制の廃止をうたっている。この点を念頭に、枝野氏は、
「有権者の皆様に『今の政治の継続でいいのか、それとも軌道修正が必要ではないのか』という明確な選択肢を示したと思う」 「憲法違反である安保法制は廃止とするという点で、5党1会派は一致している。その考え方に基づく候補者に当選してもらいたい」
と主張したが、立憲支持者が共産党候補に投票すべきか、という安倍氏の問いに直接は答えなかった。
安倍氏は、枝野氏が質問に答えなかったことに加え、(1)枝野氏が6月30日のネット党首討論で、統一候補が当選した場合、自衛隊が違憲だという主張は「(任期中の)6年間は国会で言わないことで一致したと理解している」と述べたこと(2)にもかかわらず、沖縄選挙区(改選数1)の野党統一候補予定者が自衛隊が違憲だと主張していること、などを挙げ、野党共闘のあり方を非難した。
「枝野さんの言っていることと違うんじゃないですか?こんなに根本的なところで違う。政府を倒すためだけに統一候補を選んでいる。(参院選が)終わったらまた、バラバラになりますよね。また決められない政治の再現としか、私は言えないのではないかと思います」
なお、仮に自公政権が倒れ、共産党が連立政権の一角を占めるようなことがあれば「当面の野党連合政権としては自衛隊を容認するし、政府の憲法判断としては合憲という立場をとる」(18年10月・志位和夫委員長)と説明している。  
 7/2

 

トランプ氏が安倍首相称賛 7/2
トランプ米大統領は1日、ツイッターで、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で議長を務めた安倍晋三首相について「ミスは一切なく完璧だった」と称賛した。
トランプ氏は「素晴らしく、よく運営されたG20だった」と安倍氏をたたえた。「日本国民は(安倍)首相をとても誇りに思うに違いない」とも述べた。
大阪サミットに続いて訪れた韓国の文在寅大統領にも歓待に謝意を表明。「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談を呼び掛けて良かった。良いことは起きるものだ」と強調した。 
 7/1

 

安倍首相「エレベーター」発言が波紋=野党、配慮欠くと批判 7/1
安倍晋三首相が20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の夕食会で、大阪城にエレベーターを設置したのは「大きなミス」と語ったことが波紋を広げている。参院選の公示を4日に控え、主要野党は障害者や高齢者への配慮を欠く発言だと批判を強めている。
発言は大阪城公園内で先月28日に開かれた参加国首脳との夕食会のあいさつで出た。首相は大阪城について「天守閣は今から約90年前に16世紀のものが忠実に復元された」と紹介。その際、「しかし、一つだけ大きなミスを犯してしまった。エレベーターまで付けてしまった」と語った。
これに対し、生まれつき両手足がない障害を持つ作家の乙武洋匡さんがツイッターに「とても悲しい気持ちになる」と書き込むなど批判的な声がネット上で拡大。立憲民主党は「(首相の)感覚が全く理解できない」とする枝野幸男代表の発言を党のツイッターに掲載した。
共産党の小池晃書記局長も1日の記者会見で「多様な人々の人権を一顧だにしない。こういう人が首相であることが最も大きなミスだ」と切り捨て、選挙戦で訴えていく考えを示した。  
 4/20-

 

安倍総理、争点は「政治の安定」「憲法改正の議論についても問いたい」 6/26
今国会が会期末を迎えたことを受け、安倍総理が記者会見を開き、来月4日に公示される参院選について「最大の争点は、安定した政治のもとで新しい時代への改革を前に進めるのか、それともあの混迷の時代へと逆戻りするかだ」と述べた。
会見の中で安倍総理は「急速に進む少子高齢化、激動する国際情勢、こうした課題から目をそむけること無く、私たちは新しい時代を切り開いていかなければならない。平成の時代、こうした課題は長く放置されてきた。決められない政治、決められない政治の中で総理大臣は毎年のようにころころと変わった。そのきっかけを作ったのは私の責任。12年前の夏の参院選で自民党は歴史的な惨敗を喫し、国会ではねじれが生じ、混乱続く中、あの民主党政権が誕生した。悔やんでも悔みきれない。12年前の深い半生が今の私の政権運営の基盤になっている。新しい令和の時代を迎え、あの混迷の政治には二度と逆戻りをさせてはならない」とした。
また、憲法改正については「最終的に決めるのは国民の皆さまの投票。私たち国会議員にはその材料を提供する大きな責任がある。少なくとも議論する責任がある。しかし、この1年間で憲法審査会の議論は立憲民主党、共産党など、一部の野党が審議に出席しなかったことから、衆院でたった2時間、参院では3分しか議論がされていない。議論すら行われない、これでよいのかどうか、参院選では国民の皆さまに問いたい。憲法の議論すらしない政党を選ぶのか、国民の皆さまにしっかり考えを示し議論を進めていく政党や候補者を選ぶのか、それを決めていただく選挙でもある」とした。 
「具体政策に自信ないのか」 野党が総理会見を批判 6/26
安倍総理大臣は通常国会の閉会を受けて記者会見し、来月の参議院選挙について、最大の争点は安定した政治のもと改革を前に進めるか、混迷の時代に逆戻りするかだなどと訴えました。
これについて、野党側からは批判が上がりました。
立憲民主党の福山幹事長は記者会見で「政治が安定するかしないかを争点にするということは、具体的な政策に自信がないか、成果をあげられなかったと認めざるを得ないのか、どちらかとしか言いようがない。われわれは、憲法審査会を拒否しておらず、CM規制で参考人を呼んでやるべきだと言ってきた。予算委員会から逃げ回ったのは安倍総理大臣であり、とやかく言われる筋合いはない」と述べました。
その上で福山氏は「『暮らしの安心回復選挙』と位置づけ、暮らしの安心をどう作り、所得をどう上げていくのか、具体的に国民に提示する中で戦っていきたい。前回、野党側は1人区で11議席を獲得したが、11議席以上は最低条件だ」と述べました。
国民民主党の玉木代表は記者会見で「『年金の信頼性が着実に強固になっている』と思える根拠が手元にないことが、参議院選挙の争点になっていくのではないか。よく、安倍総理大臣は、民主党政権の悪口を言うが、そういう政治から、早く脱却しなければいけないのではないか。悪口を言う前に自分が定めた目標が実現できているのかどうかに、真摯に向き合っていただきたい」と述べました。 
首相が辛坊治郎の番組で野党を批判、参院選で自民党を選ぶようアピール 6/25
金融庁報告書に端を発した年金問題の影響で内閣支持率を落としている安倍首相。NHKが21〜22日に実施した世論調査の結果では、内閣支持率は42%で前回より6%も下落。政党支持率でも自民党は5.1%落とした。
参院選を前に安倍首相も焦り気味らしく、先週末の22日は“お友だち”メディアに出演しまくった。
まず、辛坊治郎が司会を務める読売テレビの『ウェークアップ!ぷらす』に日本テレビのスタジオから生出演し、その後は加計学園問題を「朝日新聞のフェイク」と断じたこともある夏野剛・ドワンゴ社長が聞き役を務めたニコニコ生放送の番組をハシゴ。夜には櫻井よしこが主宰する極右ネットテレビ「言論テレビ」への出演収録分が放送された。
しかし、これがひどいシロモノだった。もともと安倍首相のPR媒体と化しているニコニコや「言論テレビ」はともかく、『ウェークアップ!ぷらす』では、参院選前にもかかわらず、事前運動丸出しで、一方的な主張を約45分にわたって繰り広げたのだ。
たとえば、いま最大の関心事となっている年金問題。司会の辛坊が「公的年金の仕組み全体を見直す考えはあるんでしょうか」と質問すると、安倍首相は「その立論自体がちょっと間違っている」として、こんな話を延々とはじめた。
「高齢者が増えていきますから、いまよりは代替率が減っていきますが、そこにはですね、そこのレベルにはしていく。そのかわり、マクロ経済スライドを入れてですね〜」
そう、あの党首討論で見せた「マクロ経済スライド」解説を繰り返し始めたのだ。しかも、そのマクロ経済スライドでどんどん給付が下がっていくことをネグって、マクロ経済スライドのおかげで「将来世代の所得代替率を確保」できるようなことを言いだす始末。こんな話を聞かされて国民に納得しろというほうがどうかしているが、もっと驚いた発言があった。
安倍首相は「(党首討論で質疑した)4党の方々について若干反論させていただきますと」などと言い出して、党首討論における立憲民主党・枝野幸男代表が提案した総合合算制度と、高所得者優遇の保険料を見直し財源とすることを提案した志位和夫・共産党委員長への猛批判を突如としてはじめたのだ。
「枝野さんが言ってる意見はまったく意味のない意見だと思います」
「共産党が言っている『マクロ経済スライドを止めてしまえ』、これは乱暴な議論ですね」
そんなに野党党首に言いたいことがあるなら、お友だちメディアに出る前に国会で集中審議を開催したらいいではないか。というか、それ以前に、参院選前のこのタイミングで、特定の政党の党首がテレビにひとりで出てきて、野党の主張を一方的に攻撃する。これって地上波で許されることなのか。
この安倍首相の暴走には、さすがの辛坊も大慌て。「総理、申し訳ないです。やっぱりちょっと各党の方に来ていただいて論じないと不公平になりますので、ここで総理だけの反論を聞くわけにはなかなかいかないんですが」とフォローせざるを得ないほどだった。
だが、安倍首相の暴走は年金問題だけではない。外交問題については、現実に起きていることを無視した“パラレルワールド”的主張を繰り広げた。
何しろ、誰が見ても行き詰まっている北方領土問題について、安倍首相は「前進する可能性はある」とアピールしたのである。しかも、その根拠として述べたのは「2年前の長門合意において、プーチン大統領と平和条約を私たちの手で締結をするという真摯な決意を共有することができた」というもの。
ところが、この安倍発言から数時間後、プーチン大統領がロシア国営放送に出演し、北方領土の日本への引き渡しについて「そんな計画はない」とはっきりと明言したことが報じられてしまったのだ。「決意を共有した」と思い出に浸っているのは安倍首相だけで、プーチン大統領は安倍首相と過ごした温泉旅館でのことなどすっかり忘れてしまっていたのである。
これでは安倍首相に良いところなしでマズいと思ったのか、辛坊は北朝鮮問題に話題を振り、安倍首相が「前提条件なし」と方針転換したことについて「北朝鮮のトップは他の国とは何回も交渉を重ねてるのに日本だけは交渉ができていないことに焦りを総理は覚えたのではという報道がありますが、私はねえ、総理の性格からして多分それはないだろうと」とフォロー。「これ、無条件に会うと言いながら、常識的には、どこかで拉致が動くんじゃないかという感触を持ったからではないかと想像するんですが」と質問した。
すると、安倍首相は、なんと、「それはもちろんそうですね」と返答したのだ。
え、拉致問題が動く感触を政府は持てているのか──。そう驚いたのもつかの間。安倍首相はこう続けたのだった。
「私だけが会ってないから会おうと努力するって、そんな軽薄な考え方は持ってませんが、極めて、その見方はですね、薄いというか、一面でしか見てない見方なんだろうと思いますが」
拉致問題が動く感触を持っているかどうかを訊かれているのに、「自分だけが会えていないから焦っているというのは間違いだ!」という主張を繰り出す……。これには辛坊も安倍首相の話に割って入るように「総理、どうでしょう。水面下で何か交渉が進んでいるということは?」と再度、尋ね返したのだが、その答えは、「私自身が向き合わなければならない」。それってほとんど「気合ダー」って言ってるのと同じでは……。
もはやコントを見ているようだが、外交で成果をあげるどころか失敗ばかり重ねているのだから、こんな展開になるのは当然の話だ。むしろ、誇れるような成果も身のある反論もできないのに、よくもまあヌケヌケとテレビになど出演できたものだと、違う意味で感心するほどだった。
しかし、この日の『ウェークアップ!ぷらす』で、もっとも「この人、何言っちゃってるの?」と強くツッコまざるを得なかったのは、このあとだ。
辛坊が任期中に憲法改正する意思があるかを尋ねると、安倍首相は「残念ながらですね、憲法審査会において審議がなされていません」と述べ、なぜかイギリスやドイツ、カナダの首相と比較しても自分は長時間、国会に出席しているという主張をはじめ、再び憲法審査会が開かれていない現状を指摘。安倍応援団として改憲に向けてもっと強い言葉を期待していたであろう辛坊は、痺れを切らしたようにまったく同じ質問を畳みかけたのだが、すると、安倍首相はこんなことを言い出したのだ。
「当然、目指していますが、私ひとりでは目指してもですね、それは成し得ない。ですから、今度の参議院選挙においては、審議すらしない政党を選ぶのか、審議をする政党を選ぶのか、それを決めていただきたい。その上においてですね、選挙後にしっかりと議論を進めていきたいと思っています」
審議する政党がいいか、審議すらしない政党がいいのか、参院選で選んでほしい……ってお前が言うか、という話だろう。
言っておくが、国会では衆参で3月から予算委員会が開かれておらず、野党が要求している集中審議を与党が拒否しつづけている。ようするに、統計不正や、トランプとの貿易交渉密約問題、F35爆買いとその安全性の問題、景気動向指数が「悪化」に転じたなかでの消費税増税の是非、そして年金問題と、審議すべきことは山ほどあるというのに「審議すらしない」でいるのは、安倍自民党なのだ。
世論調査でも年金問題には高い関心が寄せられているが、憲法問題をいますぐ審議すべきという声はまったく高まっていない。つまり、国民が強く求めている議題からは選挙前だからと逃げつづけながら、国民から特段の要請もない憲法審査会を持ち出して自民党を「審議する政党」と胸を張るなんて、正気とは思えない。端的に言って、頭がどうかしているのではないか。
いや、問題はそれだけではない。「審議する政党か審議すらしない政党か、参院選で決めろ」という安倍首相の主張は、総理大臣としてではなく、完全に自民党総裁としての発言だ。
国会の会期延長をせず安倍首相が解散を言い出さなければ参院選は7月21日投開票になると見られているが、そんな選挙まで1カ月を切ろうかというタイミングで、テレビに政党の党首が単独出演して選挙の呼びかけをおこなうのは、放送法違反にあたる行為ではないか。
実際、冒頭でも紹介したように、年金問題で野党の批判をはじめた安倍首相に対し、辛坊が「各党の方に来ていただいて論じないと不公平になりますので」「総理だけの反論を聞くわけにはなかなかいかない」と述べたが、これも放送法違反になりかねないために発せられたもの。だが、それだけにかぎらず、安倍首相は野党批判をして選挙における自党のアピールを繰り出したのだから、これは完全にアウトだろう。
いや、選挙前のタイミングだとわかっていながら、安倍首相を単独出演させるテレビ局もテレビ局なのだ。放送法に抵触しかねないとして、野党代表も呼ぶか、安倍首相の出演を見送るのが普通だろう。しかし、御用メディアはそうした問題になる可能性があることをわかっていながら、安倍首相を出演させ、鋭く責任追及するでもなく、言いたい放題のアピールをさせるのである。
支持率が下がっても「やってる感」で乗り切ればいいと考えている無責任総理に、不公平であることを承知しながら手を貸す御用メディア。こんな状況を、メディアはいつまでつづける気なのだろうか。 
安倍首相が大阪補選街頭演説 籠池夫妻現れ劇場化? 4/20
夏の参院選の前哨戦となる衆院大阪12区、沖縄3区の両補欠選挙(21日投開票)は20日、選挙戦最終日をを迎えた。安倍晋三首相(64)は大阪12区の党公認候補を応援するため大阪入り。異例とも言える3カ所での街頭演説に臨んだ。大阪府寝屋川市内の演説には森友学園前理事長の籠池泰典被告(66=詐欺などの罪で公判中)が姿を見せ、“籠池劇場”を展開した。安倍首相は演説後、大阪市内の笑いの殿堂「なんばグランド花月(NGK)」で吉本新喜劇に飛び入り出演した。
京阪電鉄寝屋川市駅前での街頭演説。安倍首相が登場すると、聴衆から大きな歓声が上がった。1つの選挙区では異例の3カ所目の応援演説。自民党新人の北川晋平氏(32)の手を持ち上げると、経済政策「アベノミクス」の成果を強調した。
「経済を成長させ、税収を子育て世代に振り向けてきた」。大阪12区は4人が争う大混戦。2補選の結果は安倍首相の政権運営に影響を与えるだけに、2敗はできない。大阪12区には大阪ダブル選を完勝し、勢いに乗る維新が新人の藤田文武氏(38)を擁立。リードを保っている。
大阪ダブル選は静観していた安倍首相だが、党からの要請を受けて重い腰を上げ、大阪入りした。対抗する維新については演説では一言も触れず、これまでの実績を強調した。
寝屋川市駅前の演説には籠池夫妻が姿を見せた。街宣車の上に立った安倍首相からバス停を挟んで約20メートルの距離に、2人が陣取った。2人の前には自民党関係者が立ちはだかり、安倍首相からの“視線”を徹底ガード。演説が始まると、諄子被告は「ウソや〜! ウソつきや!」と何度も大声を張り上げた。
「あと10日ほどで新しい時代、令和が始まる」と安倍首相が聴衆に訴えると、籠池被告は大きく首を振り、眉間にしわを寄せた。周辺には「森友問題」のプラカードなどを持った人も集まり、首相演説の終盤には「安倍、帰れ」コールもわき起こった。
演説が終了後、籠池被告は「令和? あれはやっぱり『命令』の『令』なんですよ。すがすがしいとかは後でこじつけたもの。とんでもない暦を入れたもんだ」とバッサリ。徹底ガードには「これも命令があってのものでしょう」と吐き捨てるように言った。“籠池劇場”をやり過ごした安倍首相は、NGKへ移動。吉本新喜劇に飛び入り出演し、新喜劇の定番「ズッコケ芸」は封印したが、笑いをとった。
安倍首相の衆院補選応援に籠池被告バッサリ「演説が下手」 4/20
安倍晋三首相(自民党総裁=64)が20日、衆院大阪12区補欠選挙(21日投開票)の自民党公認候補・北川晋平氏(32)を応援するため、大阪・寝屋川市内などで街頭演説に臨んだ。今回の補選で首相が応援に立つのは初めて。
京阪寝屋川市駅前の演説では、「私も若い頃はこれくらいイケメンでしたよ。これからの政治には若い力が必要」などと北川氏への支持を訴えかけ、駅前ロータリーを埋め尽くした聴衆からは、「がんばれー!」の声とともに「帰れ!」や「安倍辞めろー!」のヤジが飛んだ。
詐欺罪などで公判中の森友学園前理事長・籠池泰典(66)、諄子(62)両被告が演説を聞きに訪れた。両被告の前には党の支持者、関係者らが“壁”を作り、警備関係者も動向を見守るなど徹底ガード。静かに聞き入った泰典被告とは対照的に、諄子被告は「うそつき!」「調子のいいことばっかり言って!」などと何度もヤジを飛ばし、周囲からは安倍首相に対して「帰れ!」コールが起こるなど一時は騒然としたが、安倍首相は気にするそぶりもなく演説を終えた。
籠池被告は「演説が下手。昔よりは少しましになったけど、自分の実績を言うだけで、国民の心をぐっと動かせるものが何もない。昔の政治家、田中角栄さんとか『ああ、そうやんか』と涙を流したりしたもんですよ。そういうのが何もない」とバッサリ斬り捨てた。
最後には、報道陣に求められ「春清し 心のさざなみ いかにすらむ」とおなじみの一句を詠んでみせた。  
 
 
 
 
 
 

 



2019/7
 

 

●勝てば官軍負ければ賊軍
戦いに勝ったほうが正義になり、負けたほうが不義となる。道理はどうあれ強い者が正義者となるというたとえ。 道理がどうあろうとも、勝った者が正義になるということ。どちらにも道理はあろうが、結局は勝ったほうが正義になり負けたほうが悪になってしまうという意味、転じて、どんな卑怯な手を使おうが勝ってしまえばあとはどうとでもなるという意味。

「勝てば官軍」の由来は、慶応4年(1868年)におきた戊辰戦争のエピソードといわれています。戊辰戦争とは、西郷隆盛率いる「新政府軍」と徳川慶喜率いる「旧幕府軍」が衝突した、明治時代幕開けのきっかけとなった内戦です。戊辰戦争は鳥羽・伏見の戦いから始まり、全国を股にかけた攻防の末、開戦から1年後の五稜郭の戦いにて新政府軍の勝利で終戦します。終戦後、それまで官軍として仕えていた旧幕府軍は座を奪われ、戦争に勝利した新政府軍が新たに官軍に任命されたのです。このエピソードから「勝負ごとに勝ってしまえば道理がどうであれ正義となること」を意味する「勝てば官軍負ければ賊軍」という言葉が誕生したのです。

(類語) 弱肉強食 / 小股取っても勝つが本   (対義語) 勝負は時の運  
    懺悔の値打ち

 

●嘘も方便
1 嘘をつくことは悪いことだが、時と場合によっては必要なこともあるということ。「ものごとがスムーズに運ぶためには、嘘が必要なこともある」とか、「大きな善行を成し遂げるためなら、小さな非行は許される」という意味のことわざです、「目的を達成するための使う便宜的な手段」をあらわし、あくまでも相手の利益になることを前提に、やんわりと嘘を肯定している表現です。
2 「嘘をつくのは良くないが、物事を円満にまとめるためには、嘘をつかなくてはならない時もある」という意味のことわざです。「嘘」には「事実でないこと」「人をあざむくために言う、事実に反したこと」という意味があります。また、「正しくないこと」「不適当なこと」という意味もあります。そして、「方便」とは「目的を果たすための一時的な手段」という意味を表します。もともとは仏教語で、衆生(しゅじょう:全ての生き物。特に人間を指す)を導くのに用いる、便宜的な方法のことをいいます。

本来「方便」は仏教語で、仏が衆生を教え導くための便宜的な方法の意味。「嘘も方便」の成句は江戸時代から見られ、『法華経譬喩品』の「三車火宅」のたとえに由来するといわれる。このたとえは、ある老人の家が火事になり、その中で何人かの子供が遊んでいた。老人が「危ないから早く逃げなさい」と言っても子供たちは耳を貸さなかったため、「外に出ればお前たちが欲しがっていた羊の車、鹿の車、牛の車があるよ」と言って外へ連れ出したというもの。
「嘘も方便」は、同じく仏教に由来する「有相方便(うそうほうべん)」という言葉を茶化したものだともいわれています。「有相」とは形あるものという意味で、対義語は形をもたない「無相(むそう)」です。仏が伝えようとする真理は形のないもの(無相)なので、そのままでは人間が理解することはできません。それを言語や絵画、仏像などの目に見える形(有相)にしたものが、真実ではないが真実に近い「方便」です。

(類語) 嘘は世の宝   (対義語) 嘘は泥棒のはじめ  
 
 

 

●「トップの矜持」 思い出した昔話 
昭和天皇とダグラス・マッカーサーの会見
昭和20年(1945)9月27日、昭和天皇がダグラス・マッカーサーを訪れ、会見しました。歴史的な会見として知られます。
昭和20年8月15日、玉音放送によって、日本の敗戦が国民に知らされました。この時、昭和天皇が心を痛めていたのは、自分の臣下であった者が、戦争犯罪人として裁かれることでした。「自分が一人引き受けて、退位でもして、収めるわけにはいかないだろうか」。昭和天皇は、木戸内大臣にそう洩らされたといいます。
8月30日、連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーが厚木に到着。その3日後の9月2日、東京湾に入った戦艦ミズーリ艦上において、降伏調印式が行なわれました。 マッカーサーは、以後、政策立案は連合国総司令部GHQが行なうと日本政府に通告。GHQは本部を皇居の隣に移すと、9月11日、事前通告なしに東條英機元首相をはじめとする37人を戦争犯罪人として逮捕、拘留しました。前日、アメリカ議会では、昭和天皇を戦犯として裁く決議案が提出されています。
その少し後のこと、新たに外相となった吉田茂が昭和天皇に招かれて宮中に赴き、マッカーサーに会いたいという意向を告げられました。9月20日、吉田は天皇の意向をマッカーサーに伝えます。マッカーサーは自分が天皇にお目にかかるのはよいことだと思うが、天皇の自尊心を傷つけたり、困らせることがあってはならないとして、アメリカ大使公邸での会見を告げました。
9月27日午前10時。シルクハットにモーニングの正装の昭和天皇を乗せた車が、アメリカ大使公邸の門を潜りました。もちろん、これはただの会見ではありません。側近たちは天皇のお命を心配し、天皇ご自身は自分に日本人と皇族の運命がかかっていることを承知されていました。公邸玄関にマッカーサーの姿はなく、2人の副官が出迎えます。マッカーサーはレセプションルームで天皇を出迎え、奥の部屋に案内しました。会見が始まる前、写真撮影があり、その中の一枚が教科書にも載っている、あの写真です。
写真撮影後、2人の会見が始まりました。そこでどんな会話が交わされたのか、公式の記録はありません。しかし、マッカーサーは回顧録に次のように記します。
「天皇の話はこうだった。『私は、戦争を遂行するにあたって日本国民が政治、軍事両面で行なったすべての決定と行動に対して、責任を負うべき唯一人の者です。あなたが代表する連合国の裁定に、私自身を委ねるためにここに来ました』 ――大きな感動が私をゆさぶった。死をともなう責任、それも私の知る限り、明らかに天皇に帰すべきでない責任を、進んで引き受けようとする態度に私は激しい感動をおぼえた。私は、すぐ前にいる天皇が、一人の人間としても日本で最高の紳士であると思った」(『マッカーサー回顧録』1963年)
また、この時、同行していた通訳がまとめた天皇の発言のメモを、翌日、藤田侍従長が目を通しています。藤田は回想録にこう記します。
「…陛下は、次の意味のことをマッカーサー元帥に伝えられている。 『敗戦に至った戦争の、いろいろな責任が追求されているが、責任はすべて私にある。文武百官は、私の任命する所だから、彼らには責任がない。私の一身はどうなろうと構わない。私はあなたにお委せする。この上は、どうか国民が生活に困らぬよう、連合国の援助をお願いしたい』
一身を捨てて国民に殉ずるお覚悟を披瀝になると、この天真の流露は、マッカーサー元帥を強く感動させたようだ。
『かつて、戦い破れた国の元首で、このような言葉を述べられたことは、世界の歴史にも前例のないことと思う。私は陛下に感謝申したい。占領軍の進駐が事なく終わったのも、日本軍の復員が順調に進行しているのも、これすべて陛下のお力添えである。 これからの占領政策の遂行にも、陛下のお力を乞わなければならぬことは多い。どうか、よろしくお願い致したい』」とマッカーサーは言った(藤田尚徳『侍従長の回想』昭和36年)。
会見は当初、15分の予定でしたが、35分にも及び、会見終了後、マッカーサーの天皇に対する態度は一変していました。感動した彼は予定を変えて、昭和天皇を玄関にまで出て見送るのです。マッカーサーの最大の好意の表われでした。
人を動かすものとは何か、昭和天皇のお姿が、すべてを語っておられます。日本がまな板の上に乗せられたあの時に、昭和天皇がいらっしゃったことは、日本人にとってどれほど大きな意味があったか、そんな気持ちになります。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

●嘘も方便 1 
嘘も方便の「方便」の意味と由来
「嘘も方便」の意味や由来を学ぶ前に、まずは「方便(ほうべん)」という言葉の意味と由来を辿ることと致しましょう。
方便とは、もともとは仏教用語であり、サンスクリット語の「ウパーヤ」の翻訳です。
ウパーヤという言葉は
○ 到達する、近づく
○ 目的に近づく、到達するための巧みな手段や優れた方法
という意味で御座います。
ゆえに、本来は「嘘」の事ではなくて、目的に近づくため、仏教においては悟る事に到達するためであったり、衆生を救うための巧みな手段・方法の事であります。仏の導きや救いの働きを、方便という言い方をするとき、教義や教えを押しつけるのではなくて、救いたいと思うお目当ての人、救いたい対象の人を救うという謙虚な姿勢の表れという味わいも御座います。
嘘も方便の由来ともなったであろう仏教の例え話と、そこに見出す意味
方便というと、現在は「嘘も方便」という、なんだか言い訳がましい使い方をされるまでにさすらった言葉でありますが、その由来となった一要因となった話が御座います。
私は、方便という言葉の意味や由来を考える際、二つの方便にて人々を導き救った例え話を思い出します。
一つは、法華経の「法華七喩(ほっけしちゆ)」に記されている「三車火宅・譬喩品」です。あるところに、長者(お金持ちのこと)の家に子供達がおったのですが、家が燃えさかる具合になってしまいました。しかし、長者が子供達に対して、外に出て避難するように諭しても、子供達は言う事を聞きません。そこで、何とか燃えさかる家から子供達を外に出すために、「お前達が欲しがっていた車が、家の外にある。」と言って、子供達が外に出るようにしむけ、見事に成功します。この時に、「羊車と鹿車と牛車」を子供達が欲しがっていて、それは実は外には無かったのですが、外にあると子供達に伝える事によって事なきを得た、という話です。
この「実は無い羊車と鹿車と牛車がある」と言ったのが方便です。子供達としては、欲しかった者が無かったから、がっかりして長者を「嘘つき」とののしったかもしれません。でも、結果として命が助かったわけですから、本来的な方便の意味が、ここに読み取る事が出来ます。
もう一つの話は、これは私が子供の頃に浄土宗のお坊さんから教えて貰った話です。
釈尊(お釈迦様・ゴーダマブッダ)がいらっしゃった時代、ゴータミーさんという女性がいました。ゴータミーさんは、長者と結婚して子供とのご縁にも恵まれましたが、そのお子さんは早くに他界したのです。しかし、お子さんの他界を受け容れられないゴータミーさんは、お子さんは病気にかかっていると、ずっと抱きかかえたままです。
そうした中、縁あって釈尊と出会い、お子さんを生き返らせて欲しいと懇願します。そこで釈尊は「誰も他界した人を出していない家から、芥子(けし)の実を貰ってきなさい」と、ゴータミーさんに伝えられました。そして、ゴータミーさんは早速、家々を回って芥子の実を探し歩きますが、「他界した人を出していない家」から、芥子の実を頂くことは出来ません。そしてやがて「他界した人を出していない家はどこにも無い、誰もが愛別離苦を経験しているのだ」と気がつき、お子さんを弔うに到ります。
これも、釈尊がゴータミーさんの「愛別離苦」の苦から救うために、方便によって導いた例え話であると、私は味わい、頂いております。
方便の由来を辿ると「嘘」という意味ではないけれど「嘘も方便」とさすらった
お伝えした仏教の例え話から方便の由来や例え話を辿ると、方便によって救われた人達がいることがわかります。特にゴータミーさんの話は、四苦八苦の一つ「愛別離苦」という苦しみから、ゴータミーさんが救われるように釈尊が導かれている事から、仏教的な味わいを頂ける話だと思うております。このように、方便とは、救いや気づき、苦しみから救われるという目的に近づく、あるいは到達するための言葉であり、そのような意味であることは把握出来る事でありましょう。
しかし、方便の中には、時には結果として嘘となってしまう、嘘をつくこともあります。これは、無いものを在ると言った、「比喩品・方便品」の長者の話からも分かる通りです。子供達を救うためとはいえ、嘘をついてしまったことは事実であります。それゆえに、方便には、時には嘘を言うこともあり得るという場面もあり、その事が時代や意味の変遷を経て「嘘も方便」という言われ方をするまでにさすらったのだろうと、私は観ております。
方便とは、本来謙虚さと覚悟を要する意味を含む
私は、方便とは本来「謙虚さと覚悟の無きものが、軽々しく用いるものではない」と、頂いております。間違っても、自分都合の言い訳だったり、自分勝手な都合で真実をねじ曲げて、利益を独占したりするための事では無い、そのように思うのです。「嘘も方便」という意味も、救いたい人がいて、でも真実だけを伝えてもどうしても救われない、ゆえに心苦しくても嘘を伝えてでも救う、そのような謙虚さと覚悟を要する事であると考えます。
故に、方便とは嘘という意味ではありませんし、「嘘も方便」とは、嘘をついてでも相手を救いたい、目的に到達してほしい、その気概がなければならないのです。
その事を踏まえた上で、現代における「嘘も方便」という言葉は、どのようなニュアンス(語感)や意味で使われているか、改めて考えるべき事ではないかと存じます。仕事で間違ったり、ちょっと何かをちょろまかしたりして、それがバレたら「いやいや、嘘も方便だし」とか、そんな使われ方をしていないでしょうか。それは、「嘘も方便」ではなく、単なる「嘘つき」であり、「妄語(もうご・真実とは違う事を言う、嘘偽りの言葉や語り)」でしかありません。
妄言を吐くことや、自分だけが助かりたい、自分だけが得したいという言い訳がましい「嘘も方便」は、戒めたいものであります。
方便を仏教用語としての意味と由来を改めて学ぶと見えてくる「嘘も方便」の在り方
嘘も方便という言葉について、批判的なことを申し上げましたが、言い訳がましい使い方を戒めております。娑婆世界に生きていると、どうしても「嘘も方便」となるような場面に遭遇することも御座います。その時に、自分都合では無く、本当にその人を救うために、方便を用いる事が出来るか、この在り方こそが大切であると私は頂いております。
そもそもとして、仏教では嘘をついたり、物事を偽ることを戒めております。
その事を示す戒や生活規範に「不妄語戒(ふもうごかい)」があり、このことからも仏教では嘘を明確に禁じて戒めている事が読み取れます。また、口業(くごう)という、言葉や語ることに関する戒めや、調える・律する事も仏教では大切に説いています。このお堂(ブログ)でも、「両舌」や「綺語」を戒める話を何度かしてきていますが、その辺りからも読み取って下さった方がいらっしゃるかと存じます。
このように、嘘や偽ることを戒める仏教ですから、「方便」は仏教用語であっても「嘘も方便」は後の世でさすらった末の言葉で有る事は、想像していただけることでありましょう。
こうした背景があるから、私は「嘘も方便」は、もの凄く覚悟がいる事であると頂いておるのです。例え、目の前の人を救うためであり、導くためとはいえ、「嘘も方便」を用いる事は、仏教が戒める「不妄語戒」を破ることになるのです。その業を背負い続ける覚悟があるかどうか、それを背負ってでも相手を救いたいと思える慈悲心があるかどうか、「嘘も方便」という言葉から、私はそのような事を学ばせて頂く次第であります。  

 

●嘘も方便 2
嘘も方便の意味と使い方
誤解されている「嘘も方便」
「嘘も方便」と聞いて、どんな意味を思い浮かべるでしょうか?時々「自分に都合の良い嘘をついてもいい」という意味で解釈をしている人がいますが、それは間違いです。「嘘も方便」には、たしかに嘘をつくことに対して肯定的な意味もありますが、それはどんな嘘をどんな目的でつくかによります。なんでもかんでも、嘘をつくことが許されるわけではありません。「嘘も方便」の正しい意味は、自分の利益のために嘘をつくことではなく、人のために嘘をつくことで、誰かを救うという意味です。この「誰かを救う」というところが大切で、一般的には「時と場合によっては、嘘も手段として必要である」のように解釈されていますが、嘘をつくことによって誰かを救うことが目的でなければいけません。
どんな「嘘も方便」があるか?例文の紹介
社会人になると、時として機転を利かせることが必要なときがあります。このようなとき、「嘘も方便」を実行することで誰かを救うこともあります。ここにその例文をいくつか書いてみます。
・「帰国子女だから英語はわかるけど、取引先の○○部長は英語が得意そうだから、嘘も方便で英語を話せないことにしておいたわ」 →打ち合わせなどに外国人がいる場合、誰かが通訳をすることになります。大切なお客様が張りきっているなら、帰国子女といえども、出しゃばらない方がみんなのためですね。
・「嘘も方便、とはいうけど、○○君はただの嘘つきだな」 →嘘も方便というのは、誰かのためにつく嘘です。日常的に嘘をついていたら、信用をなくしてしまいますね。
・「部長が買ってきてくれたお土産、賞味期限切れていたけど、美味しかったですってお礼言っておいたわ。嘘も方便よね」 →せっかく上司が買ってきてくれたお土産が賞味期限切れでは上司に恥をかかせてしまいます。笑ってお礼を言っておけば丸く収まりますね。
「嘘も方便」の具体例
例1 婦人服売り場にて
試着した客:「おかしいわ。いつもと同じサイズを着てみたのに、なんかきついわ。太ったのかしら?」
店員:「そちらのメーカーは少しサイズが小さめなんですよ。どのお客様にも、ワンサイズ上をおすすめしております」
本当はお客様が太ったのでしょうけど、服が小さいのだと嘘をつくことで、お客様の心を傷つけなくてすみます。
例2 旅館にて
客(電話で):「○月○日、部屋あいてますか?」
予約係:「あいにくその日は全館空調点検をすることになっておりまして、2日間閉館いたします」
本当は従業員全員で慰安旅行に行くのですが、正直に言うと「あの旅館は従業員が遊ぶために客を断るのか!」と悪いイメージがついてしまいます。「予約がいっぱいです」と言うと、お客様が近くを通りかかったときに嘘がばれてしまうので、閉館にしました。
例3 新入社員が上司とともに取引先に伺って、先方に見積書を渡した時
取引先:「あれ?この金額、電話で言ってたのより高いよ」
新入社員:「申し訳ございません。お得意様価格ではなく、通常価格で作成してしまいました。早急に訂正いたします」
本当はその見積書は上司が作ったものなので、上司のミスなのですが、新入社員が罪をかぶることで、上司と会社のダメージを最小限にできます。取引先も、新入社員ならば仕方ないと諦めてくれます。
類語・対義語
では、ここで嘘も方便の類語と対義語をみてみましょう。「嘘も方便」によく似た言葉として、「嘘つき世渡り上手」という言葉があります。そのままの意味で、嘘つきは世渡りが上手い、という意味ですが、嘘をつくことで誰かが救われるなら、世渡りも上手でしょうね。また、もうひとつ類語ですが、「嘘をつかねば仏になれぬ」という言葉もあります。たとえ仏様でも、悩んでいる人を救う為には方便として嘘をつく、という意味です。長じて、人間が嘘をつくのも当然である、という意味になります。
それでは、対義語はどうでしょうか。よく対義語として使われるのが、「嘘つきは泥棒の始まり」です。嘘ばかりつく人は人の物も盗む、という意味ですが、嘘をついてはいけない、という戒めですね。人のためになるなら、嘘をつくこともいたしかたないという「嘘も方便」とは、「悪い嘘」と「良い嘘」の対比となっている点で、真逆の意味の言葉です。子供の頃、嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれる、と言われませんでしたか?この言葉は嘘をつくことを厳しく禁じています。ついても良い嘘があるとする「嘘も方便」とどちらを信じたらいいのか、ちょっと迷ってしまいますね。
「嘘も方便」の由来は仏教
「嘘も方便」にみる仏教の教え
意外ですが、「嘘も方便」は、仏教に由来する言葉です。「嘘も方便」の「方便」というのは、仏教用語で、衆生(しゅじょう・人間をはじめすべての生物のこと)を真の教えに導く為に用いられる手段のことです。つまり、人を正しい道に導くためには嘘をつくこともいたしかたない、という意味になります。
このように、もともとは人を救い、正しい道に導くために嘘を認めていたのですが、今日では少しニュアンスが違って、都合良く嘘をつくことを「嘘も方便」だと思っている人がいるようです。それでは、具体的には仏教ではどのように「嘘も方便」を使っていたのでしょうか?仏教界に伝わる「嘘も方便」を次でご紹介します。
仏教界に伝わる「嘘も方便」・1
法華経で説いている7つのたとえ話で、「法華七喩(ほっけしちゆ)」というのがあります。ここに記されている「三車火宅(さんしゃかたく)・譬喩品(ひゆぼん)」のお話です。
ある時、長者の家が火事になりました。家の中には子供達がいたのですが、夢中で遊んでいて火事に気が付きません。長者が呼んでも一向に外に出てこないのです。困った長者は、子供達に向かって「お前達が欲しがっていた車が、家の外にあるぞ」と叫びました。この言葉で子どもたちは次々に外へ出て来て、皆無事に逃げることができました。このたとえ話では、車など外にはなかったのに子供たちを助けるために嘘をついたのです。しかしこうして嘘をつくことによって、子供たちの命が助かったのです。このように、人を救うために嘘をつくことを「嘘も方便」といいます。
仏教界に伝わる「嘘も方便」・2
こちらは「長老尼の譬喩」の中の「キサーゴータミーの譬喩」というお話です。あるところに、キサーゴータミーという女性がいました。キサーゴータミーは裕福な夫と結婚して子宝にも恵まれたのですが、その子供は早くに亡くなってしまいました。どうしても子供の死を受け入れられないゴータミーさんは、偶然出会ったお釈迦さまに、「どうか子供を生き返らせてください」と懇願しました。するとお釈迦様は、「誰も死者を出していない家から、芥子の実を貰ってきなさい」とキサーゴータミーに言います。
お釈迦さまに言われた通り、キサーゴータミーはあちこちの家を回って、死者を出したことがない家の芥子の実をもらおうとします。しかしどの家も家族を亡くしたことがって、誰も死者を出したことがない家などないのです。そこでキサーゴータミーは悟りました。愛する人との別離は、自分だけではなく、誰もがその苦しみを経験しているのだと。お釈迦様は、このようにして「嘘も方便」を実行したのです。
正直だけでは生きられない?
ビジネスの世界では、ある意味騙し合いなところもあります。お互い、手の内を隠しながらスリリングな交渉をすることもあるでしょう。なんでも正直に言うことが一番かというと、そうとは限りません。お互い、それぞれ腹の底から思っていることとは違うと薄々気付いていても、やはり付き合いの中では、多少の嘘をついて人間関係をスムーズにすることも時には必要です。上司を立て、取引先に気を使い、うまく関係を築いていくためには、やはり嘘も方便なのかもしれません。 

 

●嘘も方便 3
おかあさんが小さい子供に苦手なものを食べさせようとして、「野菜も食べないと大きくなれないよ」「たくさん食べた子にはサンタさんがご褒美をくれるらしいよ」といった他愛のない作り話をすることがありますが、そんな風にすこしだけ事実とは違う「罪のない嘘」のことを「嘘も方便(うそもほうべん)」といいます。
「嘘も方便」の意味と間違えやすい言葉
「嘘も方便」の意味は「便宜的な手段」
「嘘も方便」とは、「ものごとがスムーズに運ぶためには、嘘が必要なこともある」とか、「大きな善行を成し遂げるためなら、小さな非行は許される」という意味のことわざです。つまり「目的を達成するための使う便宜的な手段」をあらわし、あくまでも相手の利益になることを前提に、やんわりと嘘を肯定している表現です。
「方便」と「詭弁」の違い
「嘘も方便」は、「詭弁(きべん)」と混同されることがありますが、詭弁をひとことで言うと「こじつけ」とか「無理な言い訳」という意味で、本来筋の通らないことを無理矢理に正当化することです。「嘘も方便」の意味は「嘘も目的を達成する手段のひとつ」なので、互いに異なる意味の言葉です。
「嘘も方便」には2つの由来がある
「嘘も方便」の由来1 仏教用語
「方便」はもともと仏教から生まれた言葉で、「仏でも衆生を教え導くためには嘘をつくことがある」との言い伝えを由来としています。一般に、嘘は「本当でないこと・正しくないこと・事実でないこと」で、社会通念上はもちろん良くないことですが、もう一方の「方便」は単なる嘘ではなく、「真実でもないが嘘でもない」というとても微妙なものです。
「方便」の語源は「ウパーヤ(upaya)」
「方便」の語源はサンスクリット語の「ウパーヤ(upaya)」で、「(目的に)近づく」という意味にあとから漢字を当てたものです。
「ウパーヤ(方便)」は、解脱(悟り)のために必要な仏の智慧「般若(はんにゃ)」を体得する手段として欠かすことができないものとして、位置づけられています。
「嘘も方便」の由来2 「有相 方便(うそう ほうべん)」
「嘘も方便」は、同じく仏教に由来する「有相方便(うそうほうべん)」という言葉を茶化したものだともいわれています。「有相」とは形あるものという意味で、対義語は形をもたない「無相(むそう)」です。仏が伝えようとする真理は形のないもの(無相)なので、そのままでは人間が理解することはできません。それを言語や絵画、仏像などの目に見える形(有相)にしたものが、真実ではないが真実に近い「方便」です。
「嘘も方便」の類語と対義語
「嘘も方便」の類語は「嘘は世の宝」
「世渡りのためには嘘をつくことも大切」と教えることわざは多く、「嘘も誠も話の手管(てくだ)」「嘘も追従も世渡り」などのほかに、「嘘は世の宝」とまで言うものもあります。現在では「敢えて本当のことを言わない」と「事実と違う偽りを語る」は同じ「嘘」ですが、古くは使い分けられていたという説もあります。
「嘘も方便」の対義語は「嘘は泥棒のはじめ」
「嘘は泥棒のはじめ(嘘はどろぼうのはじまり)」とは、簡単に嘘をついていると、そのうち人のものを盗むことも簡単にできるようになるよという戒めの言葉です。
「嘘も方便」の実際の使い方
「嘘も方便」の使い方
わたしたちは日ごろから結構な頻度で「嘘も方便」を使っています。
「大丈夫です」「そんなことないです」「秒で終わります」「あと5分寝かせて」「残念ですが先約があって」「また連絡するね」などはその典型で、とりあえず相手の批判や心配をほかに逸らせることが目的です。このように、嘘とまでは言えないが真実とも少し違うのが「嘘も方便」で、「モノは言いよう」などと表現されることもあります。
「嘘も方便」は映画の中にもたくさんあります。中でもとくに代表的な人気作「La vita è bella(邦題:ライフイズビューティフル)」は第二次世界大戦下のホロコーストを舞台にしたイタリア映画で、家族を恐怖心と絶望から守るために方便を使う父親が主人公の物語です。
「嘘も方便」を使った例文
我が家では、夫が私の初恋の相手ということになっている。夫婦円満のキーワードは「嘘も方便」だ。
カノジョいわく、女性に「いつもきれいだね」と言うと本当に美しくなるらしい。まさに嘘も方便ってやつだ。

「嘘も方便」とは言いますが、嘘と方便は別のものです。「方便はどこまで許されるか?」と議論されることがありますが、違法行為は論外としても、真実から離れているという点では嘘も方便も違いはありません。ただ咎めることのできない嘘のことを、わたしたちは「方便」と呼ぶのではないでしょうか。「嘘も方便」をより良い人間関係と豊かな人生のためにお役立てください。  

 

●ときにはウソも方便 4
ときには相手を傷つけないため、人との和を守るため、ウソをつくことも思いやりですね。では、そんな「ウソ」と「ホント」との絶妙なバランスは、どのあたりにあるのでしょう?
心理学誌「Psychology Today」で、Elizabeth Svoboda氏は、真実を語ることの長所と短所について採り上げています。正直さや率直さに対する反応は、人によって異なるもの。ウソを好む人もいれば、あえてついたウソがトラブルの元になる場合もあります。逆もまた真なり、です。
では、ウソとホント、どちらの方がカンタンに言えるのでしょうか? もちろん、真実を語るほうが、ウソをつくよりもカンタンです。なぜなら、ウソをつき続けるのはなかなか骨が折れるからです。とはいえ、「正直者」を追求しすぎると、様々な反響がありうるのも事実です。
しかし、実は「正直」には、似て非なる2つのものがあります。「真実」と「正直な意見」には、明らかな違いがあるのです。たとえば、「花瓶を割ったのは、ボクです」というのと、「キミのウェブサイト、ヒドイよね」というのは、違います。後者の場合、ウェブサイトの評価は主観的なものですので、語り手の正直な意見であったとしても、それは必ずしも真実を表しているとはいえません。こういう場合は、「自分が思うに〜(I feel〜)」をつけたほうがよいかもしれません。例えば「キミのウェブサイト、あのネコの画像を取ったほうがいいかな、って思うんだけど...」といった具合です。
Svoboda氏は「ウソ」と「ホント」の使い分けのコツとして、以下の3点をあげています。
1 .ホントのことを話すことが、状況の改善につながるか考える / 真実を語ることが、状況の改善につながる可能性を持っているか、冷静に考えよう。
2. 相手方の意図を汲み取り、これにあわせる / たとえば「私たち、親友でしょ?」という相手の問いかけを、真正面に受け止めて「そうでもないよ」と答えるよりは、「最近なんだか寂しい感じ? もっと頻繁に一緒に出かけたほうがいいかな?」と、相手の意図を汲んで受け流したほうがいい。
3. よりよい人間関係づくりのために「ホント」を利用する / ヒトは、相手からちょっとした秘密をさらけ出してもらうことで、親近感を持つもの。よりよい人間関係の構築のためには、本当のことを打ち明けるのも有効。 
ウソとホントの使い分けも、コミュニケーションのひとつ。表面上の言葉尻や体裁だけでなく、相手の真意や周りの「空気」を読んだ上で、臨機応変に対応することがポイントのようですね。  

 

●「嘘も方便」だけど「方便」は「嘘」ではない 5
さて、・・・の中で「方便」という言葉が使われておりました。「嘘も方便」ということわざに出てくる言葉として知られている言葉ですが、実に誤解されやすいこの言葉。「方便」という言葉について、誤解されないようにもうちょっと解説してみたいと思います。
さてこの「方便」という言葉、元はインドの言葉「upāya(ウパーヤ)」という言葉に由来します。この「ウパーヤ」という言葉は、近づく、到達する、というのが原義であり、そこから到達するための手立て、手段、という意味が派生したとされています。
日本語としては先述の「嘘も方便」ということわざとして用いられる場合がほとんど、ということもあってか、どうしても「方便」というのは「嘘」のことである、というイメージが根強くあります。あるいはそれが行き過ぎて、「方便」という言葉自体が「嘘」という意味で使われるケースも見られます。しかし、「方便」という言葉には、本来「嘘」という意味はありません。「嘘も方便」というのは、「嘘も、場合によっては何かしらの良い手立てとなり得る」ということを表しているだけで、「方便」は「嘘」とイコールではないのです。この点が、大きく誤解されることなので、是非とも注意していただきたいことです。
さて、それではこの「方便」。「近づく、到達する(ための手立て)」という意味がある言葉ですが、一体何に近づき、到達するための手立てなのでしょうか。仏教においてそれを考えるならば、それはやはり「さとり」であり、「仏に成る」ことです。このことに導き、たどり着くためブッダが用いた勝れた手立てが「方便」なのです。その中でも、特に有名なものとしてよく挙げられるのが、「法華七喩」と呼ばれるもので、「法華経」の中に見られる7つの例え話です。今回はその一つ、「化城宝処」の喩えをご紹介します。
“人里から遠く遠く離れた地に、素晴らしい宝物が眠っていました。そこにたどり着くには、猛獣も多く出現するなど、とても困難な道程でした。しかしそこを目指す一団がおりました。その一団の中にはいろんな人がおりました。そのため、途中で疲れてしまう人、弱音を吐く人などもいます。一行は長い苦労の果てに、途中で頓挫しそうになります。そんな中、その一団にはただ一人、勝れた智慧を備えた導師がおりました。あと一息で素晴らしい宝が手に入るのに、ここで引き返そうとは、なんと哀れなことかと考え、勝れた力で、道の先に大きなお城の幻を出現させます。そしてもう少し頑張れば、あの城で休むことができますと、一行を励まします。そして城で休み、再び旅路を進む力を回復させると、導師はその城は仮の目的地にすぎないとして消し去ってしまいます。そして本当の目的地である宝の元へと、たどり着くことができたのでした。”
このエピソードでは、勝れたリーダーが、人びとを遠くてその姿さえ見えない本当の目的地(=宝)にたどり着かせるために、途中に仮の目的地(=城)を設定することによって、到達させるという手立てが用いられています。こうして誰にでもわかる仮の目的地を設定することが、一つの「方便」になっています。そしてこのエピソードの中にある宝とは、本当のさとりであり、このリーダーこそブッダであるということが喩えられています。
しかし「方便」は仮に設定されるものであるから、嘘に近いものと理解されるかもしれません。「嘘も方便」という言葉も、このような誤解から生まれた言葉と考えることもできます。しかし「嘘」と「方便」の違いは、それが間違いなくさとりへと至るためのものであるか、というところにあります。「方便」は我々の用いる嘘のような虚言ではなく、ブッダの智慧と慈悲の表れでもある、ということです。それは、言葉で表せない真理の相を、なんとか私たちに理解できるように形を変えて示されたものである、とも言えるでしょう。
そう考えてみますと、私たちに伝え残されている仏法どれもが、真実のさとりの世界から、ブッダによって示された「方便」であると見ることもできます。ブッダが我々のために手を変え品を変え示してくれた、さとりへとたどり着くための手立て、「方便」。それを元にして、私たちもまた、さとりへの道を歩ませていただけるのですね。