専守防衛 観測気球

専守防衛 解釈変更はお手の物
「6月の日銀短観の数字を見て・・・この先危ないぞ・・・また違う展開はあると思う」
「増税をやめるなら国民の信を問うことになる」
萩生田幹事長代行 アドバルーン 観測気球

影の薄い野党
とことん追いつめる
 


 
 

 

判官贔屓
あまりの弱い者いじめ
良き時代の日本人 心に火がつきます
窮鼠猫をかむ
勝ちはありません 変な妥協は捨て
野党の「筋」をとおしましょう
一党政治
独裁政権 完成
セレモニーは スタンディングオベーション 
 
  
 
 

 

●専守防衛
1
日本の防衛戦略の基本的姿勢を指す。その内容は「相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その防衛力行使の態様も、自衛のための必要最低限度にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最低限度のものに限られる」とされている (1989年版『防衛白書』) 。こうしたきわめて受動的な防衛戦略は、日本の政治状況から生み出された独特の防衛構想であり、軍事的な合理性よりも、憲法問題など内政上の要請をより強く反映したものである。
2
先制攻撃や自国領土外軍事活動を行わず、相手から攻撃を受けた時に初めて自衛力を行使すること。武力行使を禁じた日本国憲法に基づく、戦後日本の防衛戦略における根本姿勢であり、自衛隊の主任務・特質とされる。防衛白書(2014年版)では、攻撃に対する防衛のみ行うことに加え「その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る」としている。
3
第二次世界大戦後の日本で練られている軍事戦略である。戦略守勢とも言う。専守防衛は戦後の日本(自衛隊)の基本的な軍事戦略とされてきた。自衛隊の基本戦略、戦術思想の根幹を成している。防衛上の必要があっても相手国に先制攻撃を行わず、侵攻してきた敵を自国の領域において軍事力(防衛力)を以って撃退する方針のことを意味する。その内容は、全般的な作戦において、相手の攻撃を受けてから初めて軍事力を行使すること、その程度は自衛に必要最低限の範囲にとどめ、相手国の根拠地への攻撃(戦略攻勢)を行わないこと、自国領土またはその周辺でのみ作戦することなどである。戦力不保持・交戦権否認を規定する日本国憲法第9条と整合性を持った受動的な軍事戦略とされている(もっとも、同条の解釈については種々の議論がある)。なお、ドイツ連邦軍も、第二次世界大戦の反省から、かつては専守防衛を原則としてきた。しかし、1990年代にカンボジア、ソマリア、ユーゴスラビアに派兵するようになっており、またドイツの最高裁判所は、議会の承認を得たものなら海外派兵は憲法違反ではないとの判断を下している。ドイツ軍が現地で殺害に加担したり、戦死者を出すようになっており、ドイツにおいては専守防衛の原則は過去のものとなっている。
武力攻撃予測事態における先制的自衛権
専守防衛の議論の中で今日、最も大きな議論は先制的敵基地攻撃の合憲性等についてである。有事法制をめぐる議論において、日本政府は、弾道ミサイル攻撃や核兵器攻撃に対し他国を攻撃する以外に自国を守る手段がない場合であれば他国への攻撃も自衛権の行使の範囲内であり、日本国憲法9条に抵触しないという見解を示している。 なお、2005年7月22日、改正自衛隊法の成立により、発射の兆候なしにミサイルが飛来した場合、緊急対処要領に基づき防衛庁長官(現・防衛大臣)の権限により現場指揮官への迎撃命令が可能とされた。  
 
 

 

 
 

 

●観測気球
 
 

 

自民・萩生田幹事長代行、消費増税見送りに言及=「国民の信問う」 4/18
自民党の萩生田光一幹事長代行は18日のインターネット番組で、10月に予定される消費税率10%への引き上げについて「6月の日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)の数字をよく見て『この先危ないぞ』と見えてきたら、また違う展開はあると思う」と述べ、見送りの可能性に言及した。
萩生田氏は「増税をやめるなら国民の信を問うことになる」と語り、安倍晋三首相が衆院解散・総選挙に踏み切る必要があるとの認識を示した。  
日商会頭、萩生田発言「信じられない」 4/18
日本商工会議所の三村明夫会頭は18日の定例記者会見で、自民党の萩生田光一幹事長代行が10月に予定される消費税率の引き上げを見送る可能性に言及したことを「信じられない」と批判した。三村氏ら日商幹部は同日午前に麻生太郎財務相と会談し、引き上げに伴う軽減税率への対応などで協力を求められたばかりだった。
萩生田氏は増税判断の材料に6月の日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)の結果を挙げた。しかし、三村氏は「中福祉小負担から中福祉中負担に変えるのが消費税の意味合いだ」と指摘。「足元の若干の景気の振れで(引き上げを)諦めるのは理解できない」と疑問を呈し、「必ず上げると思っている」と語った。  
 
 

 

自民・萩生田氏、増税延期言及は「個人の見解」 4/19
自民党の萩生田光一幹事長代行は19日午後、消費税率8%から10%への引き上げ時期を今年10月から延期する可能性について言及した自らの発言は「個人の見解」であり、リーマンショック級の出来事がない限り予定通り実施との政府方針に「異議を唱えたつもりはない」と釈明した。党本部で記者団に語った。
萩生田氏は「10月に10%を国民の皆さんにお願いする、この基本姿勢に私の考えは変わりない」と話した。増税を延期する判断材料の一つとして日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)などを挙げた真意について「小さな足元の数字だからと言って見落とすことのないように、聞き漏らした声がないか、全国の仲間の皆さんとしっかりその声を聞いていく、その姿勢を示した」と説明した。
同時に短観のみならず、国内総生産(GDP)速報値、世界経済のリスクなどを含めて「しっかりと目配りし、万万が一にも景気の腰折れがないよう、きちんとした政策を総合的に対応していく必要がある」とも述べた。増税延期なら国民に「信を問うということになる」との発言については、「過去の例にならって何らかの国民の了解を得る必要性があるのではないかということに言及した。もとより解散権は総理の専権事項なので、その例にならって例示したのみだ」と語った。

萩生田氏の消費増税延期発言に関する受け止めは以下の通り。
麻生太郎財務相(19日、閣議後会見):消費増税は全世代型の社会保障体制を構築するため、「安定財源確保していく意味においても必要」
菅義偉官房長官(同):「リーマンショック級の出来事が起こらない限り、10月に10%に引き上げる」、「予定通り引き上げられるよう、経済運営に万全を期していく」
立憲民主党・福山哲郎幹事長(18日、党ウェブサイト):「やっと景気の悪化を認めた。消費税の増税の延期まで示唆をした。いよいよブレだしたという印象だ」
国民民主党・大塚耕平代表代行(19日、NHK放映):「官邸と連携した観測気球を上げ始めたと捉えるのが合理的だ」 
萩生田氏「消費増税延期もありうる」発言の波紋 4/19
とうとうというかやはりと言うべきか、安倍晋三首相の側近が今年10月からの消費税率引き上げの延期に言及した。しかも、その場合には衆院解散・総選挙を断行するとの見方も示し、10連休突入を前に「5月の解散風」が永田町に吹き始めた。
政界では、今国会での会期末解散による衆参同日選論が取り沙汰されており、消費税10%先送りは「首相が伝家の宝刀を抜く大義名分になる」(自民幹部)と受け止められている。与党内には「参院選に向けて、党内の引き締めを図るため」(閣僚経験者)との指摘がある一方、「首相は同日選断行で国政選7連勝を狙う気だ」(自民若手)との声も出て、疑心暗鬼が広がっている。
発言の主は首相側近の1人、萩生田光一幹事長代行。同氏は18日のDHCテレビのインターネット番組に出演し、10月の消費税率10%への引き上げについて、「6月の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の数字をよく見て『この先危ないぞ』と見えてきたら、崖に向かい皆を連れていくわけにいかない。違う展開はある」と増税延期の可能性を指摘。そのうえで「増税をやめるなら国民の信を問うことになる」と、その場合は安倍首相が解散に踏み切るとの見方を示した。
2012年の再登板時から消費増税に慎重だった安倍首相は、2014年11月には増税延期を理由に衆院解散を断行して圧勝。前回参院選直前の2016年6月には再度増税延期に踏み切り、同年7月の参院選で勝利を収めている。それゆえ、与野党は今回の萩生田氏の発言を「首相の意向を踏まえた観測気球」(立憲民主党幹部)と受け止めた。
菅義偉官房長官は18日の記者会見で「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、(消費税率を)10月に10%に引き上げる予定だ。政府の方針にまったく変わりはない」とこれまで通りの見解を表明。
併せて「国会で首相や私が責任をもって答えており、それがすべてだ」と萩生田氏の発言は個人的なものと強調し、景気判断についても「内需を中心とした成長が続いており、緩やかに回復しているという基調は変わっていない」と説明した。そして、麻生太郎副総理兼財務相は19日に「安定財源の確保が必要だ」と引き上げ延期を否定した。
また、経済界では日本商工会議所の三村明夫会頭が18日の会見で、萩生田氏の発言について「信じられない」と厳しく批判した。三村氏ら日商幹部は同日午前に麻生財務相と会談し、消費税引き上げに伴う軽減税率への対応などで協力を求められていた。三村氏は「中福祉小負担から中福祉中負担に変えるのが消費税の意味合いだ。足元の若干の景気の振れで(引き上げを)諦めるのは理解できない。(首相は)必ず上げると思っている」と苦々しげに語った。
その一方で、消費税引き上げに反対する野党側は敏感に反応し、衆参同日選への警戒感も広がった。立憲民主党の福山哲郎幹事長はツイッターに投稿し、「増税延期は私たちがかねてから主張しており、当然だ」としたうえで、衆院解散については「堂々と受けて立つ用意がある。野党で協力して、安倍晋三政権を倒す絶好の機会を得たと考えている」と戦う姿勢をアピールした。さらに、19日には「政府の経済政策に関する予算委員会をただちに開くべきだ」と要求した。
国民民主党の玉木雄一郎代表もツイッターで「消費税増税先送りを口実にした衆参同日選の可能性が高まったといえる。政権はバラバラな野党の現状を見透かしている」として、持論の野党総結集促進を訴えた。共産党の志位和夫委員長は記者団に「重大な発言だ。われわれは今の経済情勢では増税できないと言い続けてきた。増税に突っ込むなら安倍政権もろとも吹き飛ばす決意だ」と厳しい表情で語った。
野党側はそろって「アベノミクスが失敗だったことを認めたもの」(又市征治・社民党党首)などと批判したが、連合の神津里季生会長は「将来世代にすでに過大な負担を先送りしている。そんなことを繰り返すべきではない」と増税延期には反対の立場を明確にした。
連合も含め、国政選挙に向けた野党共闘の態勢づくりは遅々として進んでいない。立憲民主と国民民主の感情的対立が原因だけに、「野党がバラバラの現状をみれば、首相が野党せん滅を狙って解散してもおかしくない」(立憲民主党幹部)との声も相次いでいる。
そこで注目されるのが今後の政治日程との絡みだ。萩生田氏は衆参同日選については「日程的に難しい」と述べた。確かに、今国会の会期末は6月26日で、その直後の28、29日に大阪で20カ国・地域(G20)首脳会議が開催される。「もし、会期末に解散して同日選となれば、日本で初めてのG20を『政治空白』の中で主催することになり、国際儀礼に反する」(首相経験者)との指摘が多い。
さらに、萩生田氏が挙げた「6月の日銀短観」の公表は7月1日とみられており、短観を踏まえて増税延期と解散断行となれば、「1週間程度の会期延長が必要」(自民国対)となるからだ。
ただ、首相サイドは当初、G20直後に首相とロシアのプーチン大統領による首脳会談で懸案の北方領土問題と日ロ平和条約締結への基本合意にこぎ着け、それを大義名分とした衆院解散・衆参同日選を狙っていたとされる。このため、「日ロ合意は遠のいたとしても、G20や日ロ首脳会談の国会報告を理由とした会期延長はありうる」(自民国対)との見方も出ている。
政府が国会会期を7月3日まで1週間延長すれば、日銀短観を踏まえた解散断行による衆参同日選の投開票日を7月28日(日曜日)に設定することが可能になる。
もちろん、首相にとって衆参同日選断行は「のるかそるかの大ばくちになる」(首相経験者)のは間違いない。「参院選単独なら政権への中間評価だが、同日選なら政権選択選挙になる」(細田派幹部)からだ。過去2回の同日選と同様、衆参で自民が勝てば「安倍4選による超長期政権も現実味を帯びる」(同)が、負ければ首相退陣の危機に陥りかねない。
21日に終わる統一地方選は「全般的に自民堅調で野党は弱い」(自民選対)のが実態だ。しかし、21日投開票の衆院大阪12区、同沖縄3区の補欠選挙は「大阪は維新、沖縄はオール沖縄が優勢」(自民幹部)とされ、第2次安倍政権では例のない自民の「ダブル敗北」の可能性が強まっている。加えて、桜田義孝五輪担当相や塚田一郎国土交通副大臣の失言による辞任も政権への打撃となっている。
安倍首相らは、統一選後の天皇陛下退位・新天皇即位という歴史的皇室行事やそれに伴う「令和」への改元を滞りなく進められれば、「お祭りムードで内閣の不祥事は国民の意識から消え、内閣支持率も下がらない」(官邸筋)と余裕を見せる。
その一方、与党内には「安倍政権のおごりとゆるみが止まらなければ、選挙は厳しくなる」(自民選対)との不安もあり、「あからさまに1強維持を狙った同日選となれば、国民の反安倍感情が拡大しかねない」(自民長老)との厳しい見方もある。
増税延期についても与党内の財政再建派は「そんなことをしたら、首相は嘘つきの烙印を押され、政界は大混乱に陥る」(自民税調幹部)と指摘。財務省幹部も「今回増税できなければ、日本の未来はない」と顔をしかめる。首相の盟友を自認する麻生財務相や岸田文雄政調会長も増税延期に反対する立場を明確にしており、安倍首相が延期に踏み切れば政権を支える自民実力者も敵に回しかねない。
自民党内には「首相側近を気取って勝手なことを言うのはけしからん」(3役経験者)との声もあり、萩生田氏も18日夜には「首相から指示を受けて発言したわけではない。(首相らに)迷惑をかけて申し訳ない」と肩をすくめたとされ、19日も終日、釈明に追われた。ただ、これまでの同氏の言動からみても「首相の意向を忖度しての観測気球」(岸田派幹部)との臆測は消えず、首相らが否定したとしても、会期末に向けて与野党入り乱れての神経戦が続くのは間違いなさそうだ。 
 
 

 

広がった「6月3日解散、30日投開票」説 4/22
安倍晋三首相の側近で自民党の幹事長代行を務める萩生田光一衆議院議員が、右翼系のネット番組に出演し、消費増税の延期を匂わせた上で解散総選挙の可能性にまで言及した。
同氏の立場を考えれば、首相の意を受けて観測気球を上げたと見るのが普通。永田町は、一斉に衆参ダブル選挙に向けて走り出した。
同時に広まったのが、衆議院解散と投開票の日程。改元直後に、この国の政治が大きく動く可能性が出てきた。
波紋広げる萩生田発言
18日、右派の論客や政治家が出演することで知られるネット番組「真相深入り!虎ノ門ニュース」に出演した萩生田氏の発言が、政界を揺るがした。
これまで政府が否定してきた“景気の落ち込み”をあっさり認めた上で、消費増税の延期に言及。さらには「信を問う=解散総選挙」という総理の専権事項にまで踏み込んだ。党の幹部とはいえ、萩生田氏の肩書は「幹事長代行」で、権限があってないような役職。加計学園疑惑で官房副長官を引かせるしかなかったため首相がゴリ押しして就かせたポストで、萩生田氏には何の決定権もない。時期的にも、首相の了解がなければできない発言だとみられている。
ある自民党関係者の話。「問題の発言は、官邸側が萩生田に頼んだことだと聞いている。萩生田は、首相にとって特別な存在だからだ。観測気球という見方は当たっているし、地ならしの意味もあるだろう。国民が増税延期にどう反応するのか、野党がどう動くのか――そのあたりを見極めたかったということ。増税延期も解散も、総理が決めることであって、総理との意思疎通がなければ、できる発言ではない。萩生田は政策マンではないが、議員秘書からの叩き上げで、そんなこと百も承知だ。“解散総選挙をやる”ということであり、つまりは衆参ダブル選挙になるということだ」
前出の永田町関係者が言うとおり、首相にとって萩生田氏は特別な存在だ。下は、2013年5月に萩生田氏自身がブログに添付した写真。左端が安倍首相、右端でビールを片手にポーズしているのが萩生田氏。そして真ん中に立つ人物は、首相の“腹心の友”加計学園の加計孝太郎理事長である。場所は首相の別荘。萩生田氏が自慢げに紹介したこの写真は、彼の立ち位置を示す証拠の1枚と言えるだろう。
広まった「6月30日」投開票説
ここ数日、多くの政界関係者にダブル選挙の日程が伝わってきたという。「6月3日解散、同月30日投開票」というものだ。もともと参議院選挙は7月4日公示、21日投開票が見込まれていたのだが、萩生田発言を機に出所不明の上、なぜ6月なのか判然としない情報が一気に広まった。主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が6月28〜29日に予定されており、萩生田氏も「(解散総選挙は)なかなか日程的に難しい」と否定的に話しているにも関わらずだ……。ある野党の衆議院議員は、ため息交じりにこう解説する。
「おおかた、総理周辺が流した日程だろう。(ダブル選が)6月でなければいけない理由があるのかもしれない。例えば、重要な経済に関する統計結果が出てくるとか…‥。早くやった方が得なのは分かっている。野党は、準備どころか候補者がいない状況なんだから。衆参ダブルなら相乗効果が見込めるため、自民党が勝てると踏んでいるんじゃないか。たしかに、野党の足並みは揃っていない。これまで(の国政選挙)と同じパターンになるかもしれない」 
たしかに、野党は準備不足。国民民主党と立憲民主党が勢力争いに現を抜かす状況が続いており、衆院選の候補者擁立どころか、早くから「夏」だと分かっていた参院選の野党間調整すら進んでいない。多くの有権者が野党に対する失望感を強めており、一時は勢いのあった立憲の支持率も下がる一方となっている。自民党の大多数の衆院議員が、「候補者がいない野党に負けるはずがない。やるならいまだ」と考えているはずだ。そこに萩生田発言――。そよ吹く程度だった「解散風」が、突風となるのに時間はかからなかった。
萩生田発言後、菅義偉官房長官は18日の記者会見で「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、(消費税率を)10月に10%に引き上げる予定。政府の方針にまったく変わりはない」との見解を表明。麻生太郎副総理兼財務相も19日、「萩生田から初めて日銀短観という言葉を聞いた」と不快感をあらわにし、「リーマン・ショックのようなことがない限り、これまで通り(増税実施)」として菅氏同様に引き上げ延期を否定した。しかし、政治家発言の裏を読むのが永田町。関係者の間からは「麻生は本気で怒ったが、菅さんのは芝居。総理と腹を合わせている。実際、自民党の衆議院議員は選挙区に張り付いており、選挙用のポスターを発注した奴もいる」といった声も上がっている。
衆参ダブル選挙に向けて走り出した永田町。自民党のある古参議員は「ここまで来たら、ダブル選への動きはなかなか止まらないだろう。総理は勝負に出るんじゃないか」と話している。 
 
 

 

「少しはまともな観測気球を」で一致 4/23
自民党の衆院補選の2敗の衝撃が大きい。選挙戦の終盤には首相・安倍晋三に近い、党幹事長代行・萩生田光一の消費税延期発言に政界全体が翻弄(ほんろう)された。10月の消費税増税について「景気はちょっと落ちている。6月の日銀短観でこの先は危ないと見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない。違う展開はある」と述べ、消費税増税の先送りに含みを残した。「その場合は国民の信を問うことになる」と首相気取りの発言を展開したのだ。
メディアは萩生田を側近と称するが、それは総裁特別補佐、官房副長官などを歴任しているからではない。落選中には加計学園疑惑で話題の千葉科学大学危機管理学部で客員教授になっており、首相や同大学理事長とじっこんの間柄を想起してのものだ。当選5回で入閣経験もない、だが安倍政権の間でしか入閣はかなわないと考えている党内同僚議員は意外と多く、自民党内によくある「今だけ偉い議員」の1人だ。
それを裏打ちするように萩生田発言に対して副総理兼財務相・麻生太郎は19日の記者会見で「どういうつもりで言ったんだろうね、萩生田から初めて日銀短観という言葉を聞いた気がする」と皮肉ったが、党内にはこの日銀短観も間違いで「5月20日発表の1〜3月GDP速報値ではないか。短観も速報値もどっちでもいいんだよ、そもそもどっちも知らないだろ、萩生田は。観測気球が上がれば役割をこなしたことになるのだろう」(ベテラン議員)との見方が強い。ただ、政策通でなく、知名度を含めて中途半端な萩生田の発言では観測気球になり切れずアドバルーンがしぼんだところが、首相の誤算だったということか。萩生田発言は結局、官房長官・菅義偉が打ち消し麻生が打ち消した。幹事長・二階俊博は22日の会見で「個人的見解で、相談や了解があったわけではない」と不快感を示した。少しはまともな観測気球を上げられないものか、が政界の一致した見方だ。 
「税や憲法をどこまでおもちゃにするのか」原口国対委員長 4/23
原口一博国対委員長は23日、山井和則国対委員長代行、自由党の日吉雄太国対委員長とともに、国会内で定例記者会見を開いた。
冒頭、原口委員長は「もう残りわずかとなったが、来週には、天皇陛下のご退位と、皇太子殿下のご即位に関する一連の行事が執り行われる。国民の祝福の中でつつがなく行われることを願う。新しい時代が平和と祝福に満ちたものでありますように」と語った。スリランカで起こった同時爆破テロ事件については「犠牲となった方々のご冥福をお祈りするとともに、けがをされた方々に衷心よりお見舞い申し上げたい」と述べるとともに「非道な無差別テロを決して許さない。最大限の言葉で非難する」として、「わが国としても国際社会と連帯し、テロの根絶に引き続き臨んでいく」と語った。
先に行われた統一自治体選後半戦と2つの衆院補欠選挙について、「特に沖縄3区については屋良朝博(やら・ともひろ)さんが野党共闘の中で立派な成績で当選をされた。また大阪についても一つの民意が示された。その民意をしっかりと酌みながら国会運営をに取り組んでいきたい」と述べた。また今回衆院補選で「私たちは、明確な対立軸をしっかりと打ち出し、自民党候補を打ち破ることができた。この勢いを参院選に向けて継続していきたい」とも語った。
自民党の萩生田光一・幹事長代行の一連の発言については、「本当に政権の緩みと言うか、観測気球と言うのか、『税や憲法をどこまでおもちゃにするんだ』という思いがある。ただ国体役員会でも確認をしたが、もう私たちはこういうノイズに付き合うのやめようと。こんなことで憲法審査会の審査を伸ばしていたら、私たちが積み残していた国民投票法改正案の審議がどんどん遅れるだけ。プロレスで言うと場外乱闘に持ち込もうとする相手をもう振りほどいて、私たちは国会の本分を全うしていきたい」と述べた。
原口委員長は最後に「今日、盟友である枝野立憲民主党代表が各党に呼びかけをされるそうだ。国対としては、衆院でもかつての民主党ぐらいの大きな固まりを再び作り、そして来るべき参院選挙に備えることが大事ではないかと思っている」「明日の両院議員総会では、自由党さんとの連携強化について報告があり、今後の対応を協議することになっている。これは大きな結集に向けた第1弾だ。日吉自由党国対委員長とはこうして、ずっと(共同)会見を進めてきたが、さらなる連携強化の核となれるように、頑張っていきたい」と述べ、定例会見を締めくくった。 
衆院補選2連敗と萩生田氏;爆弾発言を読む 4/23
自民党内で、今回の衆院補選2連敗の動揺が拡がっています。大変にけっこうなことです。この党は、元々確固たる理念があって結集した党ではないために、無風状態になるとすぐにダラけます。その弛緩ぶりはこの間の無能大臣たちのバカぶりによく現れています。こういう傾向に歯止めがかからず大臣の首を切られていくことになれば、朝日が嬉しげにいう「補選2敗の自民、「悪い流れ」 安倍1次政権の再来懸念」(4月22日)の流れが現実味を帯びてきてしまいます。
一面で、今回の沖縄と大阪の2連敗は、官邸にとって折り込み済みのはずでした。それは官邸が、最後の最後まで現地応援に腰が重かったのをみればわかるでしょう。首相は大阪に行っても、軽く選挙区に行って一度演説をして義理を果たすと、もっぱら吉本新喜劇で万博のアピールをしてお茶を濁しました。万博が維新の目玉なことは首相は百も承知でしょうから、首相の立ち位置がどこにあるのかがわかります。
渋々ながらも大阪入りしたのは、あの二階氏の突き上げがうるさかったからだと言われています。
「維新が圧勝した7日の大阪府知事・市長選で官邸は静観。自民党内から「(官邸の)サボタージュがあったとすればけしからん」(二階氏)との声が上がり、首相は選挙最終日の20日になって、ようやく大阪入りした」(朝日4月22日)
沖縄もしかりです。3区はデニー知事の牙城だった地区です。デニー氏の地盤・看板を引き継いだ後継者が選ばれてあたりまえでした。そこにわざわざ島尻氏という、自民党県連の数少ない有為な人材をぶつけてしまうのは、島尻氏を潰すつもりなのかとうがった見方のひとつもしたくなります。あれだけ大差で負けると、島尻さんに次の選挙はないかもしれませんよ。
これらを主導したのは、自民党中枢にとぐろを巻く二階幹事長でした。この人物はいわば小型田中角栄です。こんなエピソードもあるそうです。
「野党の抵抗で法案審議が暗礁に乗り上げたとき、二階氏は野党のキーマンだった大幹部が可愛がっている孫の誕生日を覚えていて、その子にプレゼントを贈った。いたく感激され、法案に成立の道筋をつけた。それを臆面もなくやってのけるのが二階さんの凄味だ」(週刊ポスト2017年12月22日号)
ですから二階幹事長は細野氏を自民に引き入れたように、よく言えば「来る者は拒まず」の融通無下、ハッキリいって自派が増えればなんでもやる、選挙は勝てれば共産党とでも組んでも平気、故翁長氏とはいちばんウマが合った本土政治家で、中国に媚びを売る必要があれば中国指導者の銅像を建てることさえ厭わないというご仁です。狭い意味での政治のプロで、オールド自民党の体臭がプンプンします。しかし無能ではないので歴代政権において重用されてきました。
ところで自民党という党は、首相は会社でいえば日経連に出向している会長、幹事長が社長という役回りです。現実の党務を仕切るのはあくまでも幹事長で、首相が持っているのは執行部の人事権だけです。ですから、自民党は官邸と自民党執行部の間の一定の緊張関係の中で存在しているともいえるわけです。
さてこんな時に、萩生田発言と衆院補選惨敗という二つの大事件が発生しました。荻生田氏の発言は朝日新聞4月19日によれば、 このようなものでした。
「景気が非常に回復傾向にあったが、ここへきて日銀短観を含めてちょっと落ちている。次の6月はよく見ないといけない。本当にこの先危ないぞというところが見えてきたら、崖に向かってみんなを連れていくわけにはいかないので、そこは違う展開はあると思う。そこは違う展開とは10月に予定されている消費増税の3度目の凍結・延期のことだ」(朝日新聞4月19日)
荻生田氏が言ったことは、消費増税は景気判断をして判断するもので、決められているからやるという機械的なことでよいのか、というあまりにも常識的なことでしたが、自民内で袋叩きにあうはめになります。
即座に反応したのは、麻生財務相でした。
「どういうつもりで言ったんだろう。萩生田(←呼び捨てですぜ)から始めて日銀短観という言葉を聞いた気がする」
まるで失言したようですが、荻生田氏からすれば失言王から言われたくはないやといったところだったでしょう。まぁ麻生さんからすれば、「オレの専管事項の消費増税にイチャモンつけやがって、そのうち首を切ってやるからな」と言いたかったのでしょうが、この人は増税頑固派のひとりです。
というか自民党内の99%は、強弱の差こそあれ首を並べて消費増税派です。違うのは、私が知る限り首相と官房長官くらいなものですからイヤになります。
いうまでもありませんが、この荻生田発言は多くの人が指摘しているように、首相が観測気球として「言わした」ものです。荻生田氏がここで言った「日銀短観」とは、日銀がアンケート方式で景気実感を調査し年4回発表する「企業短期経済観測調査」のことです。この短観で示される大企業、特に製造業の業況判断指数は、景気を判断する重要な指標とされています。
ところがこの景気指標が芳しくありません。大企業製造業の業況判断指数は、2017年12月調査の+25ポイントをピークに連続低下し続け、最新の19年3月調査では7ポイントの大幅悪化となり+12へ低下しました。2年前から半数の大企業製造業が景気は悪くなったと答えたのです。
ここで荻生田氏が「次の6月はよく見ないと」といっているのは、次回7月1日に発表される日銀短観の2019年6月調査のことで、6月調査の大企業製造業の業況判断指数がさらに低下したら(たぶんそうなるのは必至ですが)、景気は「この先危ないぞ」ということになります。世界経済を見ると、中国経済の減速、EUの不安定、米国の利上げなどと問題は山積されていて、明るい材料は皆無です。
この様な状況で確実に個人消費を直撃する消費増税などは、まさに自殺行為以外何者でもありません。
ただしこれを再々延期するとなると、これまた問題が山積しています。というのは消費増税は、民主党野田政権下の法律によって行政化された案件だからです。(立憲民主さん、思い出してね)
したがって今年10月の消費税率引き上げを延期するためには、いくつかの法律の改正が必要です。ひとつめは税率引き上げを2017年4月から19年10月に変更した際に改正した「消費税法の一部を改正する法律」(16年11月成立)の再改正です。
ふたつめは、すでに国会で成立している2019年度予算の大規模な組み換えが必要です。19年度予算には消費増税の財源を活用した幼児教育の・保育の無償化、介護人材の処遇改善、年金生活者支援給付金など「社会保障の充実」に関する予算が計上されています。
実際には、カネに色はないので、どこにどの財源が投入されてもわからないのですが、既に増税による増収分を予算化してしまっています。これがみこめなくなると、財務省は「財源がなくなったぁ」とヒヨドリのようにギャギャーいうことでしょう。実際は公共事業なら建設国債を発行すればいいだけで、使途に見合った国債発行にチェンジすればいいのです。財務省の緊縮財政脳に浮かばないだけのことです。
三番目には、「消費税引き上げによる経済への影響の平準化」のための臨時・特別措置約2兆円が既に計上されています。例のキャッシュレス決済のポイント還元2798億円などです。また公共事業予算約1.3兆円も組まれています。
確実に落ち込むことが予想される個人消費に対して、焼け石に水なことはわかりきっていても、既に予算化されていることは、動かせない事実です。となると、消費増税を凍結・延期するのなら、19年度予算の修正案を国会に出して通さねばならないことになります。
さて、ここからが法律から政治の領域となります。実は荻生田氏が言うように7月まで待たないでも、景気の動向はおおむね分かっています。それは3月の景気動向指数が5月13日、さらに1〜3月期のGDP速報が5月20日にでるからで、ここで以後の景気判断はだいたいできてしまいます。
萩生田氏が言うように6月短観は7月1日の日銀短観発表になりますから、消費増税をストップするには消費税法と予算の改正案を国会に上程せねばなりません。すると通常国会の会期末は6月26日で、短観発表前に終わってしまいますから、会期を延長する必要がありますが、それ以前に5月20日頃にはなんらかの判断を下すことは可能なわけです。
あるいはそこまで見ないでも、政治判判断があれば連休明けにでさえ可能です。それはひとえに首相のタイミングと決断力です。
タイミングといえば、自民党増税頑固派の大物たちは、軒並み今回の統一地方選で敗北して力を弱めました。竹下派は島根で大こけし、麻生氏は福岡で恥をかきました。二階氏は衆院補選を二つ連敗させ、政治責任をとらされても文句がいえない立場です。
自民党陣笠議員たちは、衆院2連敗を受けて自分たちの首も危ないことが身に沁みたはずです。そんな時に、これだけ国民に評判が悪い消費増税ができるのかどうか、議員諸氏の皆さん、真剣に悩むことです。
首相は明らかに消費増税の3回目の延期を念頭においています。少し前までは絶望的に見えた消費増税阻止も、ひょっとするとひょっとすると、あるいは・・・、といった状況です。皮肉にも、この衆院補選2連敗がよい刺激になりました。
消費税増税を止めるのは、さきほど述べたように国会審議にかけて修正案を通す必要があります。すなわち、消費増税阻止を大義に掲げた衆参同時選挙を敢行し、圧倒的に増税延期が国民の「民意」だとわからせる必要があります。 
 
 

 

安倍総理の吉本新喜劇”飛び入り”、萩生田発言の真意、衆参ダブル選? 4/24
自民党にとって、第二次安倍内閣が発足してから初の"完敗"に終わった衆議院大阪12区と沖縄3区の補欠選挙。夏の参院選の"前哨戦"とも言える戦いでの敗北に安倍総理は「参議院選挙に向けて、自民党として一人一人が今回の選挙の結果を胸に刻みつけて、今一度しっかりと身を引き締めていかないとならない」とコメント、二階俊博幹事長は「必ず今後の戦いにおいて勝利し、この屈辱を晴らしていきたいと思っている」と話した。
一方、野党の立憲民主党・長妻昭選対委員長は「自民党失速ということを我々は感じている。再度野党共闘を強力に進めていきたいと思う」としている。
安倍総理の吉本新喜劇”飛び入り”、萩生田発言の真意は
投開票日前日である20日の安倍総理のスケジュールを見てみると、午前に大阪・寝屋川市に入り街頭演説。その後、午後にはG20サミットの施設視察を終えた後、吉本新喜劇に出演している。
22日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した政治ジャーナリストの細川隆三氏は、安倍総理のスケジュールについて「徹底的にやろうという感じはなかった。本来は選挙の応援で入ったのだから、午後も回ればいい。そこは憲法改正で協力関係がある維新への遠慮があったんだと思う。この間の知事選、市長選も官邸は静観の構えだった。選挙の応援は最終日に入ってもダメで、もっと前に入らないといけないので、そもそも勝てるとも思っていなかったのだろう」と話す。
ジャーナリスト・キャスターの岸田雪子氏は、「吉本新喜劇に出演したということを維新に対する遠慮という点から見ると、応援のためだけに行ったわけではないという言い訳にもなる。また、全国でも報道されることになるので、演出の意味もあったのではないか。もともと全国的に見て、大阪と沖縄は自民党の政権基盤が弱い"2トップ"と言われていた。自民党内でも早い段階から今回の補選は厳しいと言われていたし、負けたのも想定内という雰囲気があるとは思う。ただ、安倍総理には12年前の参院選で負けたという苦い経験があるので、同じ"亥年選挙"になる今年の参院選に対する危機感は強まっていると思う」と分析した。
また、経済アナリストの森永卓郎氏は「安倍さんはほくそ笑んでいると思う。今回の補選で負けたことによって党内の危機感が高まり、消費税増税延期が通りやすくなるからだ」と指摘した。
そこで注目されるのが、自民党の萩生田光一幹事長代行によるインターネット番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』での「(6月の日銀短観を見て)万が一、景気が腰折れすれば何のための増税なのか。与党としてよく見ながら対応したい」という発言だ。この"増税延期論"は波紋を広げ、翌日には萩生田氏が「私の個人の見解を述べた。政府の方針に異議を唱えるつもりはない」と釈明に追われることとなった。
細川氏は「萩生田氏はスタンドプレーをしない人。やはり与党の引き締めと、消費税増税を延期について経済界、世論の反応はどうだろうかという観測気球だろう。もちろん計算済みの発言だ。観測気球を上げるのが上手な二階幹事長としては、代行の萩生田さんにやられてあまり面白くなかったのではないか」と推測。森永氏は「もともと萩生田氏は経済の専門家ではないし、麻生財務大臣も"彼の口から日銀短観という言葉を初めて聞いた"と発言した。では、誰かから聞いて発言したのだろうか」と疑問を呈した。
衆参ダブル選の可能性は…?
そんな中、菅官房長官は22日夕方、「衆議院の解散は総理の専権事項である。総理がやるといえばやるし、やらないといえばやらない。だから私からのコメントは控えたいと思う」と発言。にわかに衆参ダブル選挙への憶測が飛び交っている。
これについて細川氏は「安倍さんは選挙が好き。ダブル選挙をやって勝てばレガシーになるので、その可能性は0ではないと思う。僕は五分五分よりも少ない気はするが、支持率が今年に入って奇妙な上がり方をしていること、野党がまとまっていないことからすると、チャンスかもしれない。安倍総理としては、総裁の任期が来年9月まで、衆議院の任期が10月まで。逆算すると時間がないし、これを逃すと、次の総裁が解散しなければいけない。しかし任期満了選挙は極力しないし、消費税を上げた直後もできないので、やるとすれば東京五輪の直後しかない。それでも経済がどうなっているか分からない。また、公明党の人たちは統一地方選挙で疲れてしまっていて、そこに衆参ダブル選挙となれば大変だ。公明党の動きが鈍くなると自民党の得票にも影響するし、公明党が嫌がることをするのは、自民党にとっては結果的に損になるからだ。危険な賭けだ」とコメント。
岸田氏も「やりたいのはやりたいだろうし、そのタイミングをずっと探っていると思う。もともとは日露外交で成果を挙げてから、というのが目標だったが、それは叶いそうもないし、後ろに倒せば倒すほど、追い込まれての解散になるので、ハンドリングができなくなる。だからなるべく今年中に、というのはあると思う」との見方を示した。
一方、森永氏は「私は6月26日の会期末にバーンと解散すると思うただ、逆に消費増税をやめ、幼稚園・保育園の無償化をやれば絶対に支持率は上がる。財務省が嘘をついているだけで、今の日本は事実上借金を1円も抱えておらず、財政もとてつもない黒字を出している。だから財源も問題ない」と持論を展開した。
参院選でも野党は勝てるのか?
議論を受け、編集者の箕輪厚介氏は「野党は"自民党が失速していることを示している"と主張しているが、野党はいつもそれだけだ。そうでなくて、自分たちは誰が何をやってくれるのか、それが伝わって来ない。だから投票する時、悪いところもあるけれど、安定している自民党から変えようとは思わないのだろう」と指摘。
カンニング竹山は「大阪はこないだのダブル選の流れ、沖縄も県知事選や住民投票の流れがある地域なので、野党が自民に勝ったということでは決してないと思うし、参院選でも票を伸ばせるかというと、それも違うと思う。自民が負けたといっても、まだまだ頑張らないといけないのは野党だし、それがないと参院選になっても盛り上がらないと思う。逆に言えば野党にとってはチャンス。ここで誰かが大きく旗を掲げて引っ張ってくれれば、自民党に票を入れたことがある僕のような層もなびくのではないか」と話していた。 
自民・萩生田氏「観測気球」の読み方 6〜8月まで衆参ダブル選は可能 4/24
自民党の萩生田光一幹事長代行が、「6月の日銀短観で示す景況感次第で、消費増税の延期もありうる」と発言した。増税が先送りされた場合、「国民に信を問うことになる」と述べた一方、衆参ダブル選挙については「日程的に難しい」とした。
これは、典型的な「観測気球」である。政治的な問題に対して、世論がどうなっているのかを探るために、政治家がぶち上げるものだ。並の政治家ではニュース価値がないが、安倍晋三首相の側近とされている萩生田氏が言ったので、各メディアに取り上げられた。
萩生田発言は、18日のインターネット番組「真相深入り!虎ノ門ニュース」で出た。番組名を出しているのは、主要朝刊紙では産経だけである。ソースをきちんと書けないメディアは情けない。
番組では、萩生田氏がジャーナリストの有本香氏の質問に応じているが、くだけた感じで萩生田氏は対応し、しゃべってしまったように見える。番組の最後に、有本氏が「萩生田さんはお立場があるので何も言えていませんが」とコメントしていたのが印象的だ。
筆者は、ゴールデンウイークの10連休の間は政治空白なので、誰かが消費増税延期の観測気球をぶち上げると思っていた。10連休で紙面に載る記事が少なくなるので、上げた気球を観測するには最高だ。ちょっと早かったが、萩生田氏が実行したのだろう。
当然、財務省も誰かが観測気球を上げるという見通しを持っていたはずだ。17日、財政制度等審議会の分科会を開催して、本コラムでも紹介したIMF財政モニター(2018年10月公表)やMMT(現代貨幣理論)を批判し、消費増税を予定通り行う決意を強調した。そういう情報戦の中で、萩生田発言はドンピシャリのいいタイミングになった。
今後の日程を見てみよう。萩生田氏が言及した日銀短観の6月調査は、7月1日に公表される。それを見て国民に信を問うための衆院解散というのは、今国会の会期末が6月26日なので、国会延長していないとできない。参院議員の任期は7月28日までだが、国会延長すれば、7月28日から8月上旬にかけて衆参ダブル選を行うことは可能だ。
延長しない場合でも、参院選は、6月30日、7月7日、14日、21日に可能である。20カ国・地域(G20)首脳会議が6月28、29日と大阪で開催されているが、理屈上はどの日でもいい。要するに、萩生田発言は、6月末から8月上旬までのダブル選挙の可能性を世に知らしめたのだ。本コラムでは、まだ消費増税をぶっ飛ばせる可能性を指摘していたが、萩生田発言は政治的にも可能であることを言った。そうなると、世論がどのように反応するのか。消費増税推進派からは萩生田発言を非難する声も強いが、全体ではどうなのか。
新しい「令和」時代を迎えるにあたり、消費増税が必要かどうか、じっくり考えてみよう。 
 
 

 

「ワイルドな憲法審査を進めていかないといけない」 萩生田氏の失言 4/25
安倍晋三首相の側近中の側近、萩生田光一自民党幹事長代行の数々の発言が波紋を広げている。一体どのような思惑があるのだろうか? その反響とともに、あらためて振り返ってみたい。
萩生田自民党幹事長代行 「6月の日銀短観で、この先は危ないと見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない。違う展開はある」 共同通信 4月18日
4月18日、自民党の萩生田光一幹事長代行がインターネット番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)に出演し、10月に予定されている10%への消費税増税を先送りする可能性を示唆した。増税先送りは「まだ間に合う」と指摘した上で「その場合は国民の信を問うことになる」と明言。衆参ダブル選挙の実施に含みを持たせた。
総裁特別補佐、官房副長官などを歴任している萩生田氏は、安倍晋三首相の側近中の側近。落選中には安倍首相の腹心の友、加計孝太郎氏率いる加計学園グループの千葉科学大学危機管理学部で名誉客員教授も務めていたほど。
萩生田氏は「今まで(消費税増税を)『やります』と言い続けた前提は、景気が回復傾向にあったから。ここへきて、ちょっと落ちていますよね。せっかく景気回復をここまでしてきて、腰折れして、またやり直しになったら、何のための増税かということになってしまう」と、景気が「落ちている」のをあっさり認めて上記の発言へと続いた(プレジデントオンライン 4月19日)。アベノミクスの破綻を自ら認めた格好だ。
与野党は萩生田氏の発言を「安倍首相の意向を忖度しての観測気球」と受け止めた(東洋経済オンライン 4月19日)。これまで安倍首相は2回の増税延期を国政選挙の直前に表明し、いずれも圧勝してきたからだ。夏の参院選に向けて自民党内の危機感が高まっている中、3度目の増税延期から衆参ダブル選挙へなだれ込むというシナリオが浮上している。立憲民主党の福山哲郎幹事長はツイッターで「増税延期は私たちがかねてから主張しており、当然だ」とした上で「われわれとしては、解散を堂々と受けて立つ用意がある」と発言した(4月18日)。
一方、菅義偉官房長官は18日の記者会見で萩生田氏の発言をすぐさま完全否定。「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、10月に引き上げる予定だ」とあらためて強調した(読売新聞オンライン 4月19日)。世耕弘成経産相も「リーマンショック級のことが起きないかぎりは、法律に定められているとおり、10月1日から上げていくということだ」と打ち消している(TBS NEWS 4月19日)。麻生太郎財務相は「(増税準備に取り組んでいる)企業は迷惑している」と述べ、「日銀短観という言葉を知っていたか」と経済政策に携わった経験が少ない萩生田氏を皮肉った(時事ドットコムニュース 4月19日)。
萩生田自民党幹事長代行 「安倍総理大臣と意思疎通したわけではなく、政治家としての私個人の見解だ」 NHK政治マガジン 4月19日
党の内外の反応を受けて、萩生田氏は19日に記者会見を開き、「政府の方針に異議を唱えたつもりもない」「10%への引き上げをお願いする基本姿勢に変わりはない」などと釈明した。また、「国民の信を問うことになる」と発言したことについては、「仮に国民と約束した消費増税を凍結や先送りするなら、過去の例にならって何らか国民の了解を得る必要性があるのではないかと言及した」と述べた。
22日、萩生田氏と同席して記者会見に臨んだ自民党の二階俊博幹事長は、「個人的見解で、相談や了解があったわけではない」と不快感を表明(時事ドットコムニュース 4月22日)。公明党の山口那津男代表は「到底論外」とした上で、萩生田氏の「国民に信を問う」という発言については「信を問う資格があるのは総理だけ」と切り捨てた(FNN PRIME 4月22日)。日刊スポーツの政治コラム「政界地獄耳」は萩生田氏の発言について「首相気取り」「少しはまともな観測気球を上げられないものか」とこき下ろしている(4月23日)。
しかし、繰り返しになるが、萩生田氏の発言が「個人の見解」だと考える人は少ない。政治評論家の本澤二郎氏は「萩生田さんは安倍首相の『スポークスマン』に等しい存在。『萩生田さんの発言=安倍首相のご意向』と考えるべきです」とコメントしている(日刊ゲンダイ 4月20日)。
二階氏は萩生田氏と反目していると言われているが、衆参ダブル選挙に関しては、「総理が『やる』と言えば、我々は総理の下にあるのですから、当然(衆参W選を)やりますよ。総理の判断に従うのは当たり前のことです」と断言している(『文藝春秋』5月号)。萩生田氏の発言の背景には、安倍首相ならびに首相官邸の意図が見え隠れしている。
萩生田自民党幹事長代行  「新しい時代になったら、自民党は少しワイルドな憲法審査を進めていかないといけない」 NHK政治マガジン 4月18日
こちらも同じ『真相深入り!虎ノ門ニュース』での発言。同番組は作家の百田尚樹氏、タレントのケント・ギルバート氏らがコメンテーターとして出演中。過去には安倍晋三首相や自民党の杉田水脈衆院議員も複数回出演したことがある。萩生田氏は5回目の出演だった。よっぽど居心地が良いらしい。
衆議院の憲法審査会が、野党との調整がつかず、開催の見通しが立たないことについて萩生田氏は「この状況を国民は望んでいない」「やるしかないところまで来ている」と断言。「新しい時代になったら、自民党は少しワイルドな憲法審査を進めていかないといけない」と言い放った。与野党の合意なく、憲法審査会の開催を強行する考えを示したものだ。
萩生田氏は「ここまで丁寧に我慢してきた。令和になったらキャンペーンを張るしかない」とも発言している(TBS NEWS 4月18日)。新元号が憲法改正と何の関係があるのだろうか? 
萩生田自民党幹事長代行 「特定の野党を非難したわけではなく、わが党の話なので撤回はなじまない」  日本経済新聞 4月19日
萩生田氏の発言に野党は猛反発し、18日も憲法審査会は開催されないまま。結局、萩生田氏は19日、「野党の皆さんに不快感を与え、結果として(18日に)協議が成立しなかった。憲法審査を前に進めていただきたいという私の本意とは違う」と謝罪した(時事ドットコムニュース 4月19日)。
しかし、萩生田氏は同時に「撤回はなじまない」と発言を撤回しないことを強調している。一応謝罪はしたが、「ワイルドな憲法審査」はやるということなのだろう。
安倍晋三首相 「令和元年という新しい時代のスタートに立ち、この国の未来像について真正面から議論を行うべきときに来ている」 産経新聞 4月23日
23日、超党派の国会議員らでつくる新憲法制定議員同盟が大会を開き、外遊中の安倍首相がメッセージを寄せた。
「平成は自衛隊への国民の信頼が揺るぎないものとなった。違憲論争に終止符を打つことが政治家の責任だ」「教育は全ての子供たちに真に開かれたものとしなければならない」と強調した安倍首相は、あらためて憲法改正に関して自衛隊明記と教育の重要性を強調。さらに新元号と憲法改正を結びつけて、憲法改正に関する議論を呼びかけた。
萩生田氏の「令和になったらキャンペーンを張るしかない」と安倍首相の発言はピタリと符号している。相変わらず新元号と憲法改正の関連は不明だが、「萩生田氏の発言=安倍首相のご意向」という考え方は間違いないだろう。消費税増税の延期と衆参ダブル選挙も憲法改正へのステップなのかもしれない。 
 
 

 

衆院補選で2連敗の安倍政権が消費税10%延期「不可避」の訳 4/26
「消費増税延期と衆院解散・衆参ダブル選挙の可能性」を匂わす発言で政財界に大きな動揺をもたらした、自民党の萩生田幹事長代行。与党幹部は火消しに追われましたが、安倍首相の側近中の側近である萩生田氏の言葉だけに、様々な憶測が流れているようです。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、同発言の裏には消費増税先送りを選挙対策に利用したい安倍首相の意があるとし、その根拠を記しています。
またも選挙対策で消費増税先送りか
沖縄と大阪、二つの衆議院補欠選挙はいずれも自民党候補の敗北に終わった。
安倍首相は衆院大阪12区補選の応援のため大阪入りし、なぜか吉本新喜劇の舞台に登場してまで大阪人の気をひこうとしたが、若い自民党候補を勝たせるほどの力にはならなかった。
いずれも苦戦が予想されていたとはいえ、今夏の参院選を前に、出鼻をくじかれたかっこうだ。
こういう状況だと、ますます気になるのは、自民党幹事長代行、萩生田光一氏がインターネットテレビで発言した内容だ。
「6月の日銀短観の数字を見て、危ないぞとなったら、崖に向かって皆を連れていくわけにはいかない…消費増税をやめるとなれば、国民の了解を得ないといけない。信を問うことにもなる」
安倍首相が消費増税の延期を表明して衆議院を解散し、参議院とのダブル選挙にする可能性もあり得るというのだ。
先週「自民党の議席減を鈍らせる、国民民主党内の『小沢一郎アレルギー』」で、「増税延期」どころか「減税」の可能性まで永田町で囁かれていると書いたが、萩生田氏の発言からも、消費増税を嫌がる安倍首相の本音が透けて見える。
さすがに萩生田氏は「個人的見解だ」とかわすが、つい口が滑ったというより、“確信犯”だろう。
萩生田氏といえば、面がまえも体格もでかい。今井秘書官が安倍首相の参謀総長とするなら、腕力をウリにした親衛隊長のようである。東京都議を経て2003年に衆院選に出馬し当選したのも、拉致問題を通じて知り合った安倍氏の勧めだったとか。
2009年に落選すると、安倍氏の“腹心の友”加計孝太郎氏が理事長をつとめる加計学園の千葉科学大学で客員教授にしてもらい、急場をしのいだ。
2012年に国会へ戻った後は、安倍首相に総裁特別補佐として取り立てられ、15年10月には内閣官房副長官に任命された。側近中の側近ともいわれるが、要するに安倍首相には頭が上がらない。
その萩生田氏が、かなり右に偏ったネットメディアで、安倍首相の専権事項だと与党の言う「解散」について語ったのである。
首相の意を受けてアドバルーンを上げ、世間の反応をうかがうのが目的。そう見られるのも仕方がない。いやむしろ、増税中止、衆院解散ダブル選挙への地ならしではないかという疑いも出てこよう。
消費増税で不況がさらに深刻化し、アベノミクスの失敗を隠しきれなくなる事態を、安倍首相が恐れているのは間違いない。
実質賃金が下降し続けているこの国で、予定通り消費税を上げたらどうなるか。国内消費がガクンと落ちるのは、わかりきってる。それを回避するのは、財務省や輸出売上の還付額が大きい企業を除き、大方の国民が納得できることに違いない。
だが、社会保障のために消費増税が必要だと唱えながら、ここぞという時には何度も同じ“中止カード”を選挙対策として使うという安倍首相の政治手法は、あまりに姑息であり、国民に対して不誠実ではないか。
消費増税はもともと民主党政権時代に、民主、自民、公明の三党が合意し5%の消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる法案を成立させたものだ。
14年4月、消費税は予定通り8%になったが、この引き上げが日本経済に与えたダメージは今に至るまで尾を引いている。
安倍首相はアベノミクスで経済が活性化するので消費税をアップしても大丈夫と豪語していたが、周知の通り、この政策で潤ったのは株高、円安を享受できる大企業や富裕層だけだ。
消費税を8%にしてから約半年後の14年11月18日、安倍首相は翌年10月に予定される10%への引き上げを延期すると表明し、衆議院の解散を宣言した。そのときの記者会見。
「7月、8月、9月のGDP速報が発表されました。成長軌道には戻っていません。40名を超える有識者から御意見を伺いました。…消費税10%への引き上げを法定どおり来年10月には行わず、18カ月延期すべきであるとの結論に至りました。重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきである。そう決心いたしました。今週21日に衆議院を解散いたします」
安倍首相は「2017年4月に確実に消費税を10%へと引き上げる」と断言した。それを信じるに足る根拠はあるかと問われ、アベノミクスによる賃金上昇をあげた。
「来年、再来年、そしてそのまた翌年、賃金が確実に上がっていく。名目所得が上がり、そして実質賃金も上がっていく状況をつくっていくことによって、そういう経済をつくっていきたい」
この会見から1カ月も経たない12月14日に投票された衆議院選挙は、安倍首相の思惑通り、自民党が291議席を獲得、公明党と合わせて議席数の3分の2以上を維持した。前回同様の大勝だった。
「賃金を上げて確実に10%に」という安倍首相の発言とは裏腹に、その後も実質賃金は下がり続けた。それでも、安倍首相は国会で「リーマンショック級の出来事が起こらない限り消費税を引き上げる」と答弁を繰り返した。
雲行きが怪しくなったのは16年5月に開かれたG7の伊勢志摩サミット直前だ。同年5月16日の衆院予算委員会で馬場伸幸議員の「消費税の増税は延期すべきではないか」という質問に対し、安倍首相はこう答えている。
「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り引き上げていく従来の方針には変わりはないが、いずれにせよ適時適切に判断してまいります」
その翌日の参院予算委員会で、さっそく櫻井充議員がこの発言を取り上げた。
「ちょっと従来と変わったような御答弁です。この適時適切というのは一体何を指しているんでしょうか」
方針は変わらないとしつつも安倍首相は「時期等も含めて、判断は適時適切に行っていきたいということでございます」と答えた。
時期の判断すなわち「延期」を示唆しているとも受け取れる発言だった。
このすぐあとの5月26日から開催された伊勢志摩サミットで、安倍首相が「リーマン・ペーパー」と呼ばれる資料を各国首脳に配って、「世界経済が危機に陥る大きなリスクに直面している」と強調したのは記憶に新しい。そんな状況とは、とうてい思えなかったからだ。
実は、安倍首相が国会で「延期」を示唆する答弁を行っていたころ、今井秘書官を中心とする経産省ラインで「リーマン・ペーパー」の作成準備が進められていたのだ。
2016年6月1日、安倍首相は再び消費増税の延期を表明した。17年4月に予定されていた10%引き上げの時期をさらに2年半延期し、19年10月にするとした。
「新しい判断であります」とごまかして「確実に消費税を10%へ引き上げる」という約束を反故にしたわけだ。会見で述べた延期の理由はこうだった。
「新興国や途上国の経済が落ち込み、世界経済が大きなリスクに直面している。こうした認識を、伊勢志摩サミットに集まった世界のリーダーたちと共有しました。…新たに危機に陥ることを回避するため、適時に全ての政策対応を行うことで合意し、首脳宣言に明記されました。直面しているリスクは、リーマンショックのような金融不安とは全く異なります。しかし、私たちは、あの経験から学ばなければなりません」
リーマンショック級ではないが、そうならないよう、経験から学んで消費増税をやめます、というわけだ。恐るべき政権である。「新しい判断」と言えば、いかようにでも公約を破ることができる悪しき例を政治史に残してしまった。
安倍首相は消費増税延期表明をして同年7月の参院選を戦い、自民党は圧勝、議席を6つ増やした。
先日の萩生田発言は、二度あったことが三度もありうることを明確に示したものだ。
選挙に勝つためなら、どんな手段も厭わない。そんな安倍政権の体質からすると、たとえば米中貿易戦争や英国のEU離脱問題などをリーマンショック級の経済危機とこじつけて、消費増税を先送りし、有権者の歓心を買うというえげつない選挙作戦をまたまた仕掛けてくるとしても、不思議はない。
安倍首相の約束を信じるのが間違い、と言われれば、それまでだが。 
 
 
 
 

 



2019/4