ソフトバンクは投資会社です

通信会社ではありません

ソフトバンクは投資会社です
投資効率の悪い 会社・事業からは撤退します
 


今の Yahoo JAPAN
 
 
 
 
 

ソフトバンク傘下 ヤフー レンタルサーバー・サービス
昔 色々と便利なサービスがありました
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レンタルサーバー・サービス 儲からない?
 
 
 
 
 
 
●パナマ文書問題、孫正義氏「ほとんど利益は出なかった」 2016/5
世界各国の首脳や富裕層の隠れた資産運用を明らかにした「パナマ文書」の報道を続けている国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は5月10日、タックスヘイブン(租税回避地)に設立された約21万社の企業リストなどを公表した。リストにはソフトバンクのグループ会社など有名企業の名前も含まれており、各企業は相次いで経緯を説明するコメントを出した。NHKニュースなどが報じた。
この日、ソフトバンクグループの孫正義社長は記者会見で、「パナマ文書」に記載された2社に計約2億6000万円を出資していたことを明かした。孫氏は「私も驚いた。租税回避の意図はない」と話した上で、2社については「どちらもソフトバンクが設立した企業ではなく、事業目的の企業への少額出資だ」と述べた。株式はすでに売却済みで「ほとんど利益は出なかった」と説明した。
一方で、タックスヘイブンが、租税逃れに利用されているのではという指摘について孫社長は「世界的な投資会社が、そういう形態を取って行っている状況なので、我々だけがそのルールと違う形でやると投資競争には勝てない。世界的にルールの見直しがあれば、我々も同じようにそれに従う」と述べたと、テレ朝newsが報じた。
パナマ文書には総合商社の丸紅と伊藤忠商事の名前も含まれていた。丸紅の国分文也社長は10日の決算会見で、関連会社などを調査をしているとした上で「今のところ違法性は全くないし、租税回避を目的にして会社を設立することはない」と述べた。その一方で「タックスヘイブンでは会社を設立する手続きが簡易なことや、パナマやシンガポールなど金融や商品の取り引きの中心ということもあるので、コンプライアンス上の問題や違法性がないという確認は当然したうえで、ビジネス上の判断から今後もそういう場所に拠点を置くことは否定しない」と話した。
伊藤忠商事はNHKニュースの取材に対し、法人への租税回避との指摘を否定した。また、同社の鉢村剛常務は時事ドットコムの取材に対し、「台湾企業が中国で銅関係のビジネスを行うために立ち上げた会社に出資し、それがタックスヘイブン地域にあった」と、同社の関連会社がパナマ文書に載っていた経緯を説明した。
一連のパナマ文書問題については、政府としても対応する構えだ。菅義偉官房長官は10日の記者会見で「適正、公平な課税の実現に努めるべきだということは全く変わりない。今後も適切に対応していく」と述べた。また、麻生太郎財務相もこの日の閣議後会見で「日本が議長を務めるG7でも議論をしていかないといけない」とし、5月に開かれるG7(主要7カ国)の財務相・中央銀行総裁会議や伊勢志摩サミットで議題とし、租税回避を防止するため連携を目指す方針を示した。
パナマ文書は4月上旬に報道されてから、ロシアのプーチン大統領の友人や中国の習近平国家主席の親族など、各国首脳が関与している疑いも次々に明らかにされている。市民から厳しい批判を受けたアイスランドのグンロイグソン首相は辞任に追い込まれた。また、スぺインのソリア産業相もパナマ文書に記載された中米バハマの法人への関与を報じられたことを受け、辞表を提出した。  
●ソフトバンクの孫正義氏にメンツつぶされた経団連 2017/2
昨年12月、ロシアのプーチン大統領来日の際の、ある経営者の動きが経済界で物議を醸している。ソフトバンクグループの孫正義社長だ。東京都内で開催された会合で、プーチン大統領と親しげに肩を抱き合いながら立ち話していたことだ。就任前のトランプ大統領とも会談したばかりのタイミングで、わずか10日の間に、米露の両トップと対話したことになる。この成果を評価する声があるのと同時に、会合の主催サイドからは、抜け駆け的な行動に批判の声も出ている。
問題となったのは昨年12月16日、東京都千代田区の経団連会館で開かれた財界人らによる会合「日露ビジネス対話」でのことだ。プーチン大統領が出席することから、会場には金属探知機を通ってからでないと入室できないような厳しいセキュリティーがかけられ、物々しい様子だった。
プーチン大統領、安倍晋三首相の会場到着で、会合が始まる予定で、当初告知されていた予定時間の直前に、会場に孫社長が着いた。
ソフトバンクグループは経団連に加盟している企業であるため、孫社長が登場してもおかしくないが、ここ数年は、経団連の活動に対して、参加することはなく、経団連会館での孫社長登場に違和感を覚える報道陣も多かった。
その中で、会合が始まる直前に、孫社長が会場を後にした。この様子を見ていた報道陣も「会合の開始がかなり遅れているので、他のスケジュールもあり、帰ったのでは」とみていたが、とんでもないことになっていた。
別の部屋に控えていたプーチン大統領と安倍首相が合流し、入場する直前に、会場前のフロアで、孫社長がプーチン大統領と親しげに肩を抱き合いながら立ち話をしたのだ。
会合の会場内だけでなく、会場前のフロアにもテレビカメラが陣取って、撮影していたため、その様子が映っていた。
さらに、記者の問いかけにも、孫社長は応じた。
「トランプ米次期大統領と電話で話す予定があって、プーチン大統領からも『ぜひよろしく伝えてくれ』と頼まれた。今度、われわれは米国に投資するが、『ぜひロシアにも』と頼まれた」。孫社長はプーチン大統領との立ち話の内容をこう明かした。さりげなく、アメリカ、ロシアの2トップの橋渡し役になっていることをアピールした格好だ。
さらに「(プーチン)大統領から『ロシアに来てほしい』といわれたので、5月前後に行こうかと思う。『人工知能(AI)とか最先端の技術を開発していこう』という話があった」と続けた。
関係者や報道陣の多くがすでに会場に入っていたため、孫社長とプーチン大統領の立ち話に気付かない状況だったが、会合終了後のニュースで取り上げられ、波紋が広がった。
ある財界人は、この孫社長の行動を高く評価する。「ビジネスになるとなれば、さまざまなコネクションを駆使して、面談を取り付ける。その徹底した動き方は尊敬に値する」と称賛。また、IT業界の経営トップは「トランプ氏、プーチン氏の双方に短期間で面談している人物は世界でもそういない」と驚く。
しかし、今回の孫社長の行動でメンツをつぶされたのは経団連だ。事務局の多くは、ごった返す会場でのさまざまな対応などで、孫社長が会場に来ていることも知らない上、プーチン大統領と立ち話をした事実も把握していなかった。
テレビのニュースでも日露ビジネス対話で、経団連の榊原定征会長、プーチン大統領、安倍首相らがあいさつしている会場内の映像などが使われることは少なく、孫社長とプーチン大統領の会話が、あたかもプーチン大統領を迎えての日本の経済界の動きとして、放映された形だった。
ある経団連事務局の幹部は、「さすがに会場が経団連会館、経団連が中心になって開催している会合で、プーチン大統領と話すのなら、ひと言、経団連に断りを入れるべきだった。マナー違反だ」と憤りを隠せない。
経団連と孫社長には遺恨もある。孫社長が前回、経団連の会合に出席したのは平成23年11月。定例理事会の席で、直前に経団連がまとめたエネルギー政策の提言を批判したときだ。提言では原子力発電所の早期再稼働を要請したが、孫社長は「安全・安心の検証がなされていないうちに再稼働を求めるのは遺憾」と訴えた。意見は通らず、その後は、会合に出席せず、経団連とは距離を置く格好になっていた。
ただ、孫社長とプーチン大統領の立ち話をセッティングしたのは経済産業省との情報もあり、経団連としては怒りのやり場を持っていけないままとなっている。  
●10兆円ファンド 孫氏が発明したいもの 2017/3
ソフトバンクグループは近く、サウジアラビアなどと共同でつくる10兆円規模の投資ファンドを発足させる。社長、孫正義は投資家か、事業家か。トランプ大統領との会談や3兆円超を投じたアームの買収、米携帯スプリント問題など、知られざるエピソードをもとに、5回連載でソフトバンクの次を読み解く。
首相随行をドタキャン
ファンド設立にかける孫の執念は、その足取りをたどると浮き彫りになってくる。
昨年9月3日、東京・赤坂の迎賓館。孫はサウジの副皇太子、ムハンマド・ビン・サルマンと会談した。2人が話しあったのが、孫が提案した10兆円ファンドの構想だった。ムハンマドは初来日に合わせて数々の財界人と面会したが、孫とは特段に意気投合したようで、同行したサウジ国営通信に2人が談笑する写真を配信させている。
実はこの日、本来なら孫はロシアのウラジオストクにいるはずだった。日ロ首脳会談に臨む首相の安倍晋三に随行し、ロシア電力大手トップと会う予定だったが、直前になってキャンセルした。首相に同行する財界人がドタキャンするのは異例中の異例だ。孫はそこまでしてムハンマドとの会談を選んだのだ。
そして1カ月余り後の10月13日、孫はサウジの首都リヤドに飛んだ。ファンド設立の合意書にサインするためだ。孫は閣僚たちとの握手を済ませると足早に空港に向かい、プライベートジェットに乗り込んだ。向かう先の東京で待っていたのは、米アップル最高経営責任者(CEO)のティム・クックだった。
CEOとして初来日したクックは文字通り分刻みのスケジュールをこなしていたが、孫は直前になってクックに頼み込んで会食の時間をずらしてもらっていた。
今回はドタキャンは避けたもののアップル側は突然の予定変更に慌てた。だが、食事を取りながらの会話は孫のファンド構想で盛り上がり、クックはファンドへの参加を快諾した。
日米政財界の大物を翻弄してまで設立を急いだ10兆円ファンド。孫はなんのためにそんなものをつくったのだろうか。常々「私は事業家」と主張する孫がなぜ「投資」なのだろうか。
ポートフォリオも作らない
その謎を解くカギが孫が言う「群戦略」だ。孫流投資の真意が一般に理解されず「ソフトバンクは投資会社だ」と言われる理由はここに集約されると言える。
孫流投資の特徴をまとめると次のようになる。あくまで投資であり英アーム・ホールディングスのような完全買収は別になる。
将来有望だと見たベンチャー企業に出資を通じて資本関係をつくる。ただし、孫がより重視するのは「同志的結合」だ。経営者同士の信頼関係と言い換えられるだろう。
信頼関係を結ぶためには長期間の資本関係が前提となる。ソフトバンクの株式保有期間は平均で13年半に及ぶ。
少額だけ出資して事業価値が上がれば売り抜けるような手法は取らず、一般の投資ファンドのようにリスクを最小化するためのポートフォリオをつくることもない。もちろん空売りなどの投資テクニックは使わない。株の売買でキャピタルゲイン(値上がり益)を得ることが目的ではないからだ。
孫は原則として投資先の筆頭株主になる。経営はそのまま任せるが、孫は「自分が経営するつもりで考える」。その過程で孫の言う同志的結合が生まれるというのだ。
では、なぜ投資を通じて同志的結合をつくるのか。孫の言葉を借りれば「300年以上続く企業グループをつくるため」だ。ちなみに「300年」には、孫が尊敬する坂本龍馬など維新の志士が倒した江戸幕府より長続きする企業をつくるという野望が込められている。
孫がフィールドにする情報産業はとにかく栄枯盛衰が激しい。ひとつの事業に頼り過ぎると時代の変化に取り残される。ならば投資を通じて緩やかな企業群をつくり、次の時代に勝ち残れる事業をつくろうという超長期の生き残り策が群戦略だ。そのための打ち出の小づちがサウジとの投資ファンドというわけだ。
興味深い話がある。7年ほど前にソフトバンクの戦略担当チームが実際に調べて孫に報告した話だ。
競走馬とサケ
「なぜ一時期、英国は競馬で勝てなくなったのか」
競走馬のサラブレッドが最初に定義されたのは1791年といわれる。英ジョッキークラブが認定した456頭で、その血統は「ジェネラル・スタッド・ブック」に記録された。20世紀初頭、英国ではこの本にすべての先祖が記録された馬しかサラブレッドと認められなくなった。その後、競馬新興国のフランスや米国の馬にどうしても勝てなくなった。
英競馬界の衰退の原因は行き過ぎた純血主義だ――。こう結論づけた孫は、異なるDNAを取り込んでこそ馬も会社も強くなると考えた。
かといって、勝ち残るDNAを探すのは簡単ではない。この点、孫が好んで使うのが「サケのふ化理論」だ。
メスのサケは一度に2000〜3000の卵を産むとされるが、その中で生き残るのはオスとメスの1匹ずつだと孫は考える。1匹より多すぎると川がサケであふれるし、少ないといずれ絶滅するからだ。その中で生き残る1匹を見抜けるか。いかに名伯楽の孫でも答えはノーだ。
現代は人工知能(AI)の発達がいよいよ加速する時代に差しかかる。孫はAIが人類の知恵の総和を上回る「シンギュラリティー」が30年以内には到来すると予想する。「そうなるとあらゆる産業が再定義される」。フィールドは際限なく広がり、勝ち残るサケを見つける作業はますます困難になるだろう。
「いずれ理解するだろう」
孫は新ファンドを使って将来は投資先を5000社にまで増やす構想を掲げる。その5000社はいずれも孫が見込んだ起業家たちが率いる。選び抜いた起業家たちがDNAを交差させ、勝ち残る1匹のサケを見つけるのだ。
「実は『群』がなくても30年はやっていける。30年でピークを迎えるような成功を目指すならね。でも300年を考えればそれではダメだ」
そこで必要なのが群戦略と言う。
「孫正義は何を発明したか。チップでもソフトでもハードでもない。たったひとつ挙げるなら300年成長し続ける組織構造を発明した。(後生の人に)そう言われるようになりたい」
これこそが投資家・孫正義の真の狙いだ。なかなか理解されないのは本人が一番よく分かっている。
「ソフトバンクってただの投資会社かという批判をよく受けますが、腹の中ではこう思っていますよ。いずれあなたがたも理解する時がくるでしょう。300年以内にはね」 
●安倍首相よりも早かった孫正義社長とトランプ氏の会談 2017/11
初来日の日程を終了したトランプ大統領は、アジア歴訪真っ最中である。メディアでは、トランプ大統領と安倍首相との会談を好感する報道が多い。しかし、2016年12月、あるニュースが世間を騒がせたことをご存知だろうか。トランプ氏と、ソフトバンクの孫正義社長がニューヨークで電撃会談した件である。
今回、紹介するのは『孫社長のYESを10秒で連発した 瞬速プレゼン』。 筆者の、三木雄信氏が、「世界一つかまりにくい上司」のもとで鍛えられたスキルが凝縮された一冊。そして、その上司の名は、ソフトバンクグループの孫正義社長である。
電光石火のアポが取れた理由とはなにか
――トランプ氏が大統領になることが確定してから、日本企業の経営者に会うのはもちろんこれが初めての機会。日本の安倍首相との初会談が実現したのさえ、それから約2カ月も経ってからのこと。そこにはどのような秘密があったのだろうか。
「なぜ孫社長は、面識のないトランプ氏にいち早く会うことができたのか。それは『相手がイエスと言うしかない提案を用意したから』です。会談終了後、トランプ氏と並んで報道陣のカメラの前に現れた孫社長の手には、『今後4年間でアメリカに500億ドルを投資し、5万人の雇用を創出する』と書かれた資料がありました。」(三木氏)
「この提案をプレゼンするために、孫社長はトランプ氏にアポをとったのです。これをトランプ氏が断るわけがありません。トランプ氏は選挙中から一貫して、『アメリカ国内の雇用を増やす』というキーメッセージを繰り返し発し続けてきました。つまり、彼が最も強く求めているのが『雇用』だったわけです。」(同)
――孫社長は承知の上でトランプ大統領が望む通りの提案を持っていったことになる。トランプ氏が孫社長を大歓迎して迎えることは予測されていたのである。
「もちろん孫社長も、何の見返りもなく巨額の投資をするわけではありません。ソフトバンクが買収したアメリカの携帯通信大手のスプリントは、同じく通信大手のモバイルとの合併を模索しています。アメリカの認可が下りず、一度は合併話もストップしましたが、規制緩和を進めてくれればチャンスが巡ってくると予想できました」(三木氏)
「孫社長はそこまで見通して、ウィン・ウィンの提案を用意したのです。その後、スプリントとTモバイルが合併に向けて非公式の協議を再開したというニュースが伝えられています。相手が求めるものを知り、相手が了承するしかない状況を作り出せば、ー発で相手からイエスを引き出せる。準備段階で勝負は決まっていました。」(同)
相手が「イエス」以外言えなくなる状況
――三木氏によれば、「話す前に勝負をつける」のは、孫社長の得意技とのことだ。2006年、ソフトバンクはボーダフォン日本法人を買収し携帯電話事業に参入する。買収額は、1兆7500億円。金融機関がイエスと言うしかない状況をつくりあげていた。
「5年前まで、ソフトバンクは通信事業で何の実績もありませんでした。そんな会社が『融資してくれ』と言っても、断られるだけです。2001年にADSL事業に参入。自社のユーザーを大きく増やしてから、今度は日本テレコムを買収して、固定電話会社としての実績や経営ノウハウ、ブランドを手に入れました。」(三木氏)
「こうしてソフトバンクは、1000万人のユーザーを持つ『大手通信事業会社』という地位を獲得しました。そして、ここぞというタイミングで金融機関からイエスを引き出し、ボーダフォン買収に必要な資金調達を成し遂げたのです。」(同)
――「話す前に勝負をつける」方法。程度の差はあっても、ビジネスに関わる人であれば経験していることが多い。レベルはまったく異なるが、私が経験した事例をお話したいと思う。相手のメリットと置き換えればわかりやすいかも知れない。
メーカーA社は国内を代表する企業で東証1部に上場している。しかし業績悪化で採用が2年間凍結されていた。再開したいが大義が見当たらない。私が提案したのは前年に導入した「成果主義の撤回」だった。社員が「成果主義」という言葉に拒否反応を示しているだけだったので表現を変えた。人事部の説明に言葉が足りなかったことが原因である。
そして私はA社の会議である質問をした。「採用凍結を決定したのは誰ですか?」。結局、誰が言い出したかわからない。「業績悪化→成果主義→リストラ→採用凍結」という思い込みだったのである。翌週、採用再開の報道が流れる。すると、競合他社の営業マンが大挙して押し寄せる。ベンダーを交えた会合があり私は人事部側の席に着席した。
人事担当者は、「今回の採用は尾藤さんに任せたのであとは指示に従ってください」と話して席を立つ。当然、その場は紛糾しなにも決まらない。数日後、場を改めることになる。業界大手の就職サイトを運営する会社は、担当役員の常務が事業部長以下、数名を引き連れてきた。しかし、またしても私は人事部側の席に着席することになる。
各社はディテールの提案をしてきた。私は、「採用が成功したら担当者の成果、失敗したら当社の全責任。皆さまにご迷惑は掛けません」という主旨で関係者に根回しをして言質をとっていた。当時、私は30代だったが印象深いプロジェクトだったので今でも思い出すことがある。これは、三木氏が提案する「イエス」にしかならない交渉に近いかも知れない。
「即断・即決」を引き出す秀逸テク
三木氏のもとには、社内から「この書類に孫社長のサインがほしい」「孫社長の了承をとってくれ」といった依頼が、毎日、山のように押し寄せる。これらの承認をもらうのが三木氏の役目になるが、孫社長をつかまえるのは容易ではない「孫社長の手が空いたら相談しよう」などと悠長なことを言っていたら永遠に了承は取れない。
緊急性が高い事案であれば、5秒でも10秒でも孫社長をつかまえて、その場で即答してもらう必要性がある。瞬時に相手に説得するにはなにが必要なのか。本書にはそれらのノウハウがまとめられている。仕事術の本には「おや?」というものが少なくないが、本書は本物であることも申し上げておきたい。さて、読者の皆さまの答えは「イエス」だろうか。  
●大企業病に抗うヤフー、タイムマシンはもう不要 2018/2
親会社ソフトバンクGとの関係は変わるか?
成長しているが安定志向で独自性に乏しい──。こんな揶揄もあったヤフーが生まれ変わろうとしている。米国を後追いする「タイムマシン経営」から、イノベーションを生む企業を目指す。ビッグデータの活用でライバルに先んじようともくろむが、立ちはだかるのは忍び寄る大企業病だ。 (日経ビジネス2017/12/4号)
「すごい活気だな」
かつて「赤プリ」と呼ばれた旧・赤坂プリンスホテル(東京・千代田)の跡地に立つ高層複合施設。11月上旬、17階のコワーキングスペース「LODGE」を訪れた大手IT企業の社員は思わず唸った。コワーキングスペースとは、起業を志す人や設立間もないベンチャー企業の社員など複数の利用者が共有する仕事場のこと。数々のイノベーションを生んだ米シリコンバレーを真似て、ここ数年、日本でも不動産会社などが各地に設置している。
だが、LODGEを運営しているのは、この複合施設に本社を構えるヤフーだ。都心の一等地の1フロア、約400坪をぶち抜いた大部屋に所狭しとデスクが並ぶ空間では、ヤフーの社員証を首からぶら下げた者と外部の利用者が隣り合わせになって仕事をしている。そんなごった煮的な雰囲気を気に入ったこの会社員は帰り際、入り口近くにある自己紹介カードにこう書き残した。
「グーグルからこんにちは!」
受付窓口で身分証明書を提示すれば無料で社外の者でも使える。グーグルのようなライバル企業の社員も利用できる。会議室やカフェも併設している。ヤフーがこんな場を設け、起業家はもちろん、競合企業の社員であろうとお膝元に呼び込むのは、外部とのネットワーク作りや新たな事業のアイデア探しにつなげたいという狙いがある。
「このままでは踊り場」
2016年10月の本社移転を機に設けたLODGEは、いかにもIT(情報技術)企業らしい空間である。だが、その裏にあるのはヤフーの強い危機感だ。
「過去20年で何か新しいものを生み出せたか。まだまだ足りない。このままでは成長の頂きを目指せず、踊り場で止まってしまう」。厳しい表情で語るのは宮坂学社長だ。
同社が産声を上げたのは日本のインターネット黎明期だった1996年。現ソフトバンクグループ社長の孫正義氏らが、ネット検索で先行していた米ヤフーとの合弁で設立した。そこからネット検索サービスやニュース配信サービスを足がかりに、国内を代表する大手ネット企業の1社に上り詰めた。
米国で成功したビジネスモデルをいち早く日本に輸入することで先行者利益を得る。日米の時間差を利用した孫氏流の「タイムマシン経営」の先駆けが日本のヤフーだった。96年から16年間社長を務めた故・井上雅博氏の下、ネット競売の「Yahoo!オークション(ヤフオク)」や、ポータルサイト事業の強みを生かしたネット広告事業は圧倒的なシェアを握り、今なお中核事業として大きな収益を上げている。
2012年から社長を引き継いだ宮坂社長は「爆速経営」を掲げ、スマートフォン対応を展開。天気予報からカーナビまで多様なスマホアプリで集客し、広告費や手数料収入につなげてきた。
「パソコン中心だった自社サービスをスマホに載せ替えることで成長を続けられた。最低限の成功は果たせたのではないか。当社のサービスを月に一度以上利用する会員は約4000万人に上る」と宮坂社長は胸を張る。
確かにパソコン全盛期に築いた資産をスマホに移植する点では一定の成果を収めた。だが、IT各社がイノベーションにしのぎを削る中、新サービスを生み出し、市場をリードできたかというと疑問符が付く。法人向けに強いネット通販のアスクルを15年に買収したことで売上高こそ伸びたが、利益率には陰りが見える。15年3月期に46.0%だった売上高営業利益率は、17年3月期に22.5%に低下した。先行投資がかさんだことも利益を圧迫したが、新たなライバルの登場によって事業領域を侵食されているのが現実だ。
個人間取引の新手法として1999年に始め、20年近くにわたって市場をリードしてきたヤフオク。ここ数年は、流通額の伸び率が1ケタにとどまる。現在、個人間取引で盟主の座にあるのはフリマアプリのメルカリだ。
「ヤフオクを過剰に進化させるうちに、新たな顧客ニーズへの対応が遅れてしまった」とEC事業を統括している川辺健太郎副社長は話す。ヤフオクは売り手が設定した時間内に入札の最高額を競う。ヤフーは取り引きの安全性向上を軸に機能の追加を続けてきたが、基本的な仕組みは変えずにいた。だがスマホの台頭で、オークションで時間をかけて価格を上げるより、手軽に売りたい層が若者を中心に急増した。
新たな個人間取引ニーズをすくい取って一気に成長したのがメルカリだった。売り手が設定した価格で買い手が現れれば、即、売買成立となる。ヤフーも17年2月からメルカリと同様の機能「フリマモード」を追加したが、急成長するメルカリとの差は広がっている。
さらに強みであるニュース配信事業でも後発が迫る。ICT総研が17年2月に実施したニュースアプリの利用率調査。「Yahoo!ニュース」は25.8%で首位だが、「LINE NEWS」も21.8%と急激に追い上げている。
今やグループ社員は1万人
ヤフーを揺るがしかねないのは「外患」だけではない。「内憂」にも頭を悩ませている。
「私たちは権限を持たされていないので、新しいことなんて考えられません」
最近、ある幹部が若手に「新しい事業のアイデアを」と意見を求めたところ、こんな答えが返ってきた。この幹部は嘆く。「優秀でマネジメントに長けた人は多いが、多少無茶な取り組みでもやり抜く突破力が不足気味だ」
12年に「201X年に営業利益を現在の2倍に上げる」とぶち上げた宮坂体制。12年3月期の業績を基準にすると「営業利益3300億円」を19年までの目標に掲げたことになる。17年3月期は1920億円だった。
目標達成に向け、M&Aも積極的に進めてきた。アスクルのほか宿泊・飲食予約サイト運営の一休などの国内企業を相次いで子会社化。その結果、今や社員数はグループ全体で1万人だ。
膨張する企業組織に忍び寄る“大企業病”。別のヤフー幹部は「創業期から会社を引っ張ってきた執行役員以上にはベンチャー気質が根強く残っているが、その下のリーダークラスには事なかれ主義の者もいる」と明かす。
主力事業が盤石だったこれまでは、それでも良かった。だがヤフーの原点であるタイムマシン経営はもはや通用しない。新たなビジネスアイデアの供給源だった米ヤフーは、グーグルやフェイスブックなどとの競争に敗北した。この2社にアップルとアマゾン・ドット・コムを加えた「ビッグ4」はやすやすと国境を越え、お膝元の日本を侵食している。自らがイノベーションを起こさなければもはや生き残れない。
もちろん手をこまねいているわけではない。イノベーションを起こすための仕組みづくりは急いでいる。中でも経営資源を集中させているのが、各種サービスの膨大な利用履歴、ビッグデータの活用技術の開発だ。
ヤフーはパソコンの検索サービスに使われるポータルサイトで高いシェアを持ち、ヤフオクやヤフーショッピングのようなEC(電子商取引)でも幅広いユーザーを持つ。「ネット通販のアマゾンと検索のグーグルを足し合わせたような豊富な種類のデータを集めている。日本では一日の長がある」(川辺副社長)。だが、これまでその強みを十分に生かせていなかった。事業ごとに組織の縦割りが進み、各部門が個別にデータを管理してきたからだ。
今年4月、新たな幹部職がヤフー社内に誕生した。「CDO(最高データ責任者)」。その役割はバラバラに管理されていたデータを統合し、分析結果を各サービス相互に利用するという全社プロジェクトを推進することだ。データをAI(人工知能)で横断的に分析し、個々の利用者に提案・表示するコンテンツや広告、オススメ商品などの精度を高めるのが狙いだ。
実サービスでの検証は既に始めている。ニュースなどの閲覧履歴をAIに分析させたところ「ポータルサイトに訪問した人の滞在時間を7%伸ばすことができた」(CDOを務める佐々木潔・執行役員)という。まずは1つのサービスにAIを利用しただけだが、今後は複数サービスのデータ活用を目指す。そのための仕組み作りも進めている。
利用者の嗜好を浮き彫りに
ヤフーショッピングを例に取ると、現在は買い物をしている顧客に対し、購入履歴などのデータだけでオススメ商品を表示する仕組みになっている。しかし、その顧客がヤフーのニュースサイトでどんなニュースを見て、どんなキーワードで検索サービスを利用したか、といった情報まで組み合わせると、より精度の高い提案が可能になる。「日本の顧客を最も知っている会社になる」と宮坂社長は意気込む。
日本貿易振興機構によると、16年の国内ネット通販市場は、シェア1位のアマゾン(20.2%)と2位の楽天(20.1%)が拮抗している。3位のヤフーは両社の半分以下の8.9%にとどまった。
2強に対抗するため打ち出した秘策が、親会社のソフトバンクグループとの連携強化だ。具体的には今年2月から始めた「ポイント10倍キャンペーン」。ヤフーショッピングの利用で与えられるポイントは、通常100円の買い物につき1ポイント。それに対し、ソフトバンクのスマホ利用者には10倍の10ポイントをつけた。これもあって17年4〜9月期のヤフーショッピングの取扱高は前年比39%増の1407億円と大きく伸びた。ただ、ソフトバンクとの折半となったポイント原資の負担が重く営業利益は5%減となった。
仮に、宝の持ち腐れとなっていた顧客データを的確に分析できるようになれば、こうした「実弾」攻勢による疲弊を回避しつつ、2強を追うことができる。
もちろん、こうした手法は競合他社も進めている。グーグル、アマゾンだけでなく、LINEや楽天など、国内外のライバルもこぞってビッグデータの収集と活用に突き進んでいる。ヤフーが先行している保証はどこにもない。
ビッグデータというイノベーションを推進するカギもやはり人にある。
もともとポータルサイトを入り口とする広告事業を中核としてきたヤフーには「営業の会社と思われがち」という悩みがあった。「実はネットインフラを支えるエンジニアリングの会社なのだということを、もっと広く認知してもらう必要がある」と藤門千明・上級執行役員CTO(最高技術責任者)は話す。
なおも巨大なポータルサイトとして、また3位とはいえネット通販業界での主要プレーヤーとして、そのシステムを支える2500人の技術者が社内には存在する。ただ、タイムマシン経営を続けてきたヤフーの場合、どちらかと言うと、イノベーションを起こすよりも安定的にシステムを運用することに意識が置かれていた面がある。
ライバルとの競争に打ち勝つ人材を集めるために採用活動を刷新した。今年4月、CTOの直轄組織「クリエイター人財戦略室」を新設。従来の人事部門に代わって、エンジニアの採用活動を主導する体制に改めた。採用面接には現場のエンジニアはもちろん、CTOも席を並べ、応募者を吟味する。
既に働いているエンジニアやデザイナーの意識改革にも乗り出している。その一つとして、10月に「マイポラリス」という制度を導入した。
これは自発的な知識習得やスキル向上にかかる費用として、1人当たり月1万円まで支給するというもの。支給対象は約3000人。書籍の購入や勉強会への参加など使いみちは自由だが、何に使ったか社内でオープンにすることをルールとしている。
「社内でエースと呼ばれるエンジニアが見えないところでどんな努力をしているのか。若手は、それを知るだけでも参考になるはずだ」と藤門CTOは話す。年間売上高が8000億円を超えるヤフーにとって、かかる費用はさほどでもないが、大企業病に陥りがちな社員に刺激を与えるために、こうした細かい仕掛けも始めた。
今年で設立から21年が経過し、日本のネット産業の興隆と軌を一にしてきたヤフー。パソコン向けのネット市場を席巻することで成長してきた故・井上社長時代を同社の第1期とすれば、後に来たスマホの台頭に追随するため手を打った宮坂社長の「爆速経営」は第2期に当たる。いま訪れているのは、ビッグデータで革新的なサービスを狙う第3期だ。ライバルとの競争に加え、打倒「大企業病」という社内の闘いが、新たなステージでの成否を左右する。
親会社との関係も変化へ
ヤフーの経営を考える上で避けて通れないのが、親会社であるソフトバンクグループとの関係だ。
これまで投資家や業界関係者の間には「豊富な資金を持つヤフーがソフトバンクの資金繰りのため、都合良く扱われているのではないか」との疑念が根強くあった。実際、2009年にソフトバンクがデータセンター子会社を約450億円でヤフーに売却。14年に勃発したヤフーによるイー・アクセス買収中止騒動も、こうした見方を強めることになった。
ヤフーは当時、ソフトバンク傘下で国内携帯電話4位だったイー・アクセスをソフトバンクから買収すると発表。ヤフーの検索サービスなどを手軽に利用できるスマホの開発や、イー・アクセスの販売店を通じた顧客接点の強化を打ち出したが、この買収でソフトバンクに約4500億円を支払うことが判明。ヤフーの株主が「親会社の資金繰りを助けるためか」と反発する中、計画は発表から2カ月で白紙に戻った。
こうした経緯もあったが、両社の関係は今後変化していきそうだ。ソフトバンクグループがサウジアラビア政府などと総額約10兆円を拠出した投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を作ったためだ。これによって、ヤフーは資金の出し手としてではなく、このファンドの出資企業が持つサービスや技術を日本に導入する際、協力する形が増えるとみられる。ヤフー社内に設けられた専門組織「ビジョンジャパン推進室」が中心となって、国内での事業展開のあり方を検討していくという。 
宮坂学社長に聞く / まだ一息つく場面じゃない
――昨年、設立20年を迎えました。
「振り返ってみると、前社長の井上(雅博)さんが事業全体の基礎を固め、それをスマホの世界に引き継いだのが私の代でした。この数年は『このままでは会社が潰れるぞ』と全社で危機意識を共有し、スマホシフトを進めてきました。ある程度うまくいったと言えます。でも、そんな時だからこそ、まだ一息つく場面じゃない、気を引き締めなければと思っています」
「今まで当社は新事業を追加しながら成長してきました。今後も新しい挑戦を続けます。その一つが日本のEC市場でトップに立つこと。競争は厳しいですが、諦める必要はないと思っています。国内の物販のうち、ネットを介して売買される比率は日本はまだ5%程度。将来、20%ぐらいまではいくでしょう。まだ勝負はついていません」
――ライバルに勝つための方策は。
「競合サービスに10個の機能があったら、自社のサービスには11個の機能を用意する。私はそれを『差別化』と呼んでいます。大事なことですが、すぐにライバルに真似されてしまう。差別化だけでなく、ライバルが真似したくてもできないことをやる。それを私は『差異化』と呼んでいて、こちらを最も重視しています」
――ヤフーはどこで差異化するのですか。
「ネット検索からEC、決済までワンストップで展開しているところはユニークな点でしょう。それぞれの利用履歴のビッグデータをもっと連携して分析すれば、ユーザーの“行動ゲノム”のようなものを把握できるようになり、大きな強みになるはずです」
――取り組みが実現するのはいつですか。
「よく聞かれるのですが、明確に答えるのは難しいですね。成果が出そうなサービスから少しずつ導入し、連携させるデータの対象も段階的に広げるのが現実的です。すでに一部のサービスに取り入れ、効果が出ています。商品の購入履歴や決済履歴のデータを分析し最適な広告配信につなげるといった仕組みを実現するには様々な課題がある。この山を登りきらない限り、永遠に差別化との戦いから抜けられません」
「今年は井上さんが交通事故で亡くなり、米ヤフーが事実上消滅したという意味で大きな節目でした。一つの時代が終わり、我々はどう戦っていくのか。グローバル市場で当社はあまりに小さいという事実に行き着きます。世界のIT大手と同じ戦い方をしたところで勝てるはずがない。我々にしかできない戦い方で勝負していきます」 
 
 
 
 
 
 
 
 


2018/10
 
●今のYahoo! JAPANって実際どうなの? 2016/6
ホリエモンが指摘する“ヤフーが抱える2つの欠点”
ホリエモンこと堀江貴文が、自身のメルマガに寄せられた質問に答えるYouTube番組「ホリエモンチャンネル」。『堀江貴文のQ&A「日本限定がウィークポイント!?」〜vol.630〜』では、ホリエモンが日本インターネット界の大御所・Yahoo! JAPAN(ヤフー・ジャパン)を徹底分析。
今回取り上げた質問は、「Yahoo! JAPANをどう評価していますか。圧倒的なブランド力と多くのユーザがいることで得られる広告収入が主な収益だと思います。新体制になってからは、PCからスマホへ徐々にシフトしているため、時代の流れに置いていかれるということはない­と思います。
また、EC革命と称してヤフーショッピングの出店料を無料にしたこともプラスに働いていると思い­ます。しかし、パッとしないというのが正直な印象です。堀江さんが考えるYahoo! JAPANの将来性・強み・弱みを聞きたいです」という質問。
「ヤフーには、スマホのイメージがない!」
ホリエモンは、「それでも非常に大きな収益を持っているよね。パッとしないと思うのは、やはりサービスが日本限定なこと(恐らく本家Yahoo!とのライセンス絡み)だと思うので、アメリカのYahoo!の再編問題次第ということになるかな。あと、経営者はもう少しアグレッシブになっていいと思うよ」と回答。
2013年に代表取締役が宮坂学氏に替わったこともあって、「多少は攻めの姿勢を見せるようになった」と評価するホリエモン。とはいえ、そもそも日本のYahoo!は構造上、あまり派手な事業をすることができない。ヤフー株式会社(Yahoo Japan Corporation)は、あくまでYahoo!本社の事業を日本で運営しなければならないからだ。
そのため、例えば多くのIT会社のような海外への展開などはYahoo! JAPANには不可能。「国内事業の買収などをして、本業との相乗効果を狙うくらいしかできないよね」とホリエモンは分析している。
そうした事情を差し引いても、ホリエモンはヤフー株式会社の活動には満足していない。その大きな要因は、スマホシフトに成功していないこと。サービスがスマホに対応できていないということではなく、未だにYahoo! JAPANにはスマホのイメージがないということだ。
「昔から使っている人が使っているイメージしかないよね」
とはいえ、Yahoo! JAPANの権威が全くなくなったわけではない。例えば、ベンチャー界隈やメディア界隈を中心に、「ヤフトピ(Yahoo!ニューストピックス)に載った」というのは、やはり一つの達成点として認知されている。
ホリエモンによれば、騒がれる割にはヤフトピに載ってもそこまでPVが伸びるわけではないらしい。一定の指標になってはいるが、こまめにチェックしている人は案外多くないということだろうか。
他にも、Yahoo!オークションの並行輸入品や中古本は、Amazonでも取り扱っており、最近ならよりライトな同業としてメルカリも存在している。ヤフオクならではの強みがほとんどないということだ。
これらの現状から、ホリエモンは「Yahoo! JAPANって、昔から使っている人が使い続けているイメージしかないんだよね」と結論。これは、大企業の中年社員が会社に来て、すぐにYahoo! JAPANのトップページをざっと眺める、いわゆる「ヤフーチェック」のようなイメージそのままだ。
もちろん、ヤフトピのように権威を維持している部分もあるが、それは単に認知度が高いからにすぎない。逆に言えば、認知度はあるものの他社で代替できないサービスがほとんどないのが、いまのYahoo! JAPANだといえそうだ。
ホリエモンが言う「昔から使っている人が使い続けている」とは、言い換えれば、新しいものや便利なものに飛びつく若者ではなく、最先端を追うのを辞めた人が惰性で使っているサービスだということ。これは、「スマホに対応しきれていない」という指摘とも直結する問題だ。
未だ圧倒的な認知度を誇っているものの、イマイチパッとしないYahoo! JAPAN。現在のイメージを一新する大革新が起こらなければ、もしかしたら衰退の一途をたどるのかもしれない。 
●ヤフーとグーグルの提携に問題点はないか 2010/8
日本のインターネットサービス最大手ヤフーと米ネット検索最大手グーグルが7月27日、提携を発表した。グーグルが最新の検索エンジンと検索連動型広告配信システムを、ヤフーは買い物やオークションの情報をそれぞれ互いに提供する。この結果、国内の検索サービスではグーグルのシェアが90%を超えることになる。米ヤフーは昨年、エンジンの自社開発を中止するとともにマイクロソフトのエンジン「Bing(ビング)」への切り替えを決めていた。今回の提携に問題点はないのか。