詭弁大明神

安倍首相 
自民党総裁選 連続三選果たす

 


詭弁
屁理屈 ・ こじつけ ・ いかさま(如何様) ・ ごまかし ・ 虚偽 ・ 欺瞞 ・ 欺騙 ・ 詭計 ・ 詐欺 ・ 枉惑 ・ ペテン ・ 山勘 ・ 瞞着 ・ 権謀術策 ・ 権謀術数 ・ 詭辯  
大明神
1 神号の一種。神の尊称。一般的に、信仰の厚い神に対する尊信からその神名に付けて呼ぶ神号。稲荷大明神など。
2 人名、事物名、状態を表す語などの下に付けて、神に見たて、それに対する尊崇・感嘆・喜び・願望などの強いことを表す語。  
 
 
●8/18
「安倍陣営から圧力」、齋藤農水相 具体的説明しない考え 
自民党総裁選をめぐり、石破派に所属する齋藤農林水産大臣は、安倍総理の陣営から圧力をかけられたと明かしたことについて、名前など具体的な説明はしないとの考えを示しました。
「私が申し上げたことは金曜日の私の発言で尽きていまして、改めて追加をしたり改めて解釈をしたりする、そういうことはありません」(齋藤健農水相)
齋藤農水大臣は先週、安倍総理の陣営から内閣の一員が石破氏を応援するならば辞表を書くよう圧力をかけられたと明らかにしていました。
齋藤大臣は圧力があった事実を肯定しつつも、「事前によく考えた上で発言している」と述べるにとどめ、具体的な発言者の名前などは明かしませんでした。 
 
 
●9/14
自民党は自由か? 安倍氏と石破氏が論争
○ 安倍氏「まっとうな経済取り戻した」 
日本記者クラブ主催の討論会が始まった。まずは「自民党総裁になった場合に実現を目指す政策について」。安倍晋三首相は「まっとうな経済を取り戻した」「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交で存在感を取り戻した」と政権運営の成果を強調。教育無償化や高齢者が働ける環境づくり、社会保障制度の改革を実現する考えを示した。憲法改正について「戦後70年、一度も行えなかった憲法改正に挑戦する」とも述べた。
○ 石破氏、アベノミクスの問題点指摘
続いて、石破茂・元幹事長は重視する政策課題について「この国が30年先、50年先、100年先にきちんと存続するため、今やらねばならないことを明確にする」と強調した。地方創生に取り組む考えを示しながら、「一人ひとりの所得を増やさなければ消費は増えない」と指摘。「金融政策でそうなったか。そうなっていない」と述べ、「異次元の金融緩和」を中核とするアベノミクスの問題点を指摘した。
○ 安倍氏が石破氏に「地方創生の問題点」質問
冒頭のやりとりの後、司会者が、それぞれが聞きたいテーマを設定して相手に質問してください、と促した。まず安倍氏が「地方創生の問題点」を石破氏に問うた。「安倍政権は地方創生に取り組み、初代大臣が石破さん。すばらしい先鞭をつけていただいた。地方税収は増え、有効求人倍率も上がり、求職者のマッチングも進んでいる。どこに大きな問題があったのか」と問うた。石破氏は「地方の中小企業は黒字でも、後継者がいないから会社をたたまざるを得ない。人がかえってこないことが最大の問題だ。中小企業に伴走する仕組みをつくりたい。農業、漁業、林業でどう付加価値を上げるのかを具体的に示していく」と訴えた。
○ 安倍氏「東京の経済良くなれば、地方の農産物の価格上がる」「トリクルダウンと言ったことはない」
アベノミクスが始まったころ盛んに聞かれた言葉「トリクルダウン」。景気拡大効果が大企業や富裕層から中間層や低所得層にも広がるとされたが、安倍氏と石破氏はそろって懐疑的な見解を示した。口火を切ったのは石破氏だ。「東京や大企業の成長の果実が、やがて地方や中小企業に波及するという考え方を私はとっていない。経済のメカニズムが違う。そういうトリクルダウンみたいな話が(政府の)『骨太の方針』に記述があるのでやや違和感を感じる」安倍氏は「石破議員から『安倍政権がとっているのはトリクルダウンの政策だ』という趣旨の話があったが、私はそんなこと一度も言ったことはない」と反論。「地方対東京の対立構図ではなく、東京の経済が良くなれば地方でつくる農産物の価格も上がる。そういう相関関係もある。ただ『したたり落ちる』という考えをとったことはない」と強調した。
○ 石破氏、安倍氏に「誠実な説明」「少数意見の尊重」を強調
続いて、石破氏の質問。「民主主義のあり方について総裁に伺いたい」と切り出した。安倍氏の政権運営は、国会での法案の採決強行の連発、森友・加計(かけ)問題をめぐる説明不足などが問題視されている。石破氏は「誠実に国民に説明する」「いかに少数意見を尊重するか」が重要だと訴えた。安倍氏は背筋を伸ばし、やや神妙な顔つきになって石破氏の話を聞いた後、「石破さんのおっしゃる通り」と受け止めたうえで、「政府を担っている以上、批判に答えるのは義務」と強調した。石破氏は「国民の納得をどう高めるか」と重ねて質問。安倍氏は、「安倍政権において文書の改ざん、行政をめぐる問題で国民の不信を招いた。これは私の責任でありますから、改めておわび申し上げたい」。型どおりの釈明だった。
○ 憲法での自衛隊の位置づけ、両氏が応酬
安倍氏は憲法での自衛隊の位置づけについて取り上げた。「自衛隊は憲法における軍隊でないという考え方を私たちはとっている。国際法的には軍隊であるという立場をとっている。これに対して批判されているが、石破さんが総理になったときには、自分のご主張にあわせて変える考えか」これに対し、石破氏は「国際的には軍隊、国内的には違う。ずっとこれが続いていいとは思わない」と反論した。
○ 安倍氏「70歳超の受給開始、3年でやっていきたい」年金制度
石破氏が取り上げたのは「社会保障のありかた」。「医療保険が設計されたときは結核、今はがん、認知症と性質が変わってきている。介護が受けられることは死守しなければいけない。どうやって保険制度を変えていくか」と安倍氏の考えを尋ねた。安倍氏は年金制度改革をめぐり、「70歳を超えても受給開始年齢を選択できるようにする。3年でやっていきたい」と期限を切った。安倍氏は「生涯現役時代」を掲げ、高齢者にも働きやすい環境を整えることを訴えている。
○ 石破氏、防災省「被災者のため必要」
石破氏が提唱する「防災省」創設をめぐり、安倍氏は「全省庁をタイムリーに糾合して指示できるのは総理大臣だけ。防災大臣が言ってすぐにできるものではない」と述べ、否定的な認識を改めて示した。石破氏は「災害対応は24時間365日、専任の大臣、専任のスタッフで平時からやっていくことが必要。被災者の側、国民の側に立つために必要だと確信している」と訴えた。
○ 安倍氏「便宜図っていない」 石破氏、職員自殺「真摯に受け止めを」 森友問題
討論会は第2部に移り、報道各社の論説委員らによる質疑に入った。冒頭、安倍氏への質問は森友・加計学園問題に集中した。質問者が「国民の疑問を率直にぶつけたい。不支持の一番の大きな理由が、総理大臣が信頼できないということ。不徳のいたすところと答えておしまいにしてはいけない」と切り出した。安倍氏は「私の妻や友人が関わったので、国民が疑念を持つのは当然」と釈明しつつ、「私の指示、妻が関与したことは(財務省の文書に)一切ない」「金銭的なものをもらって便宜を図ったわけではない」とこれまでの説明を繰り返した。一方、石破氏は森友問題をめぐる財務省の文書改ざんが発覚した後、近畿財務局の職員が自殺した問題を取りあげた。「なんで命を絶たれたか。そのことは政府・与党として真摯(しんし)に受け止めないといけない」と述べた。
○ 安倍氏「1強ではない、批判言っていただければ」 石破氏「誠実な説明なしに、改憲やっていいと思わない」
自民党は自由に議論できるのか。党内は閉ざされたような雰囲気ではないか。そう問われ、安倍氏は「実は私はまったくそうは思っていないんです」と笑いながら否定した。「私は1強とか言われておりますが、そんなことは全然ありません」安倍氏の説明は自民党の「中選挙区時代」の権力闘争の歴史に移る。「自民党といっても派閥の集合体ですから、新しい総裁が生まれた次の日から、その総裁を倒すための闘争が始まっていました」「我々は福田派にいましたら、いかに田中政権を倒すか、自民党をよくするっていうのは、そういう時代だったんですよ」では今はどうか。安倍氏は「小選挙区制度になって総裁のもとで共に戦っていく」「各部会においては相当、専門的な知識のうえに、闊達(かったつ)な議論が行われていると思います」と述べた。「私は至らない人間ですから、私の批判は当然あるだろう」とし、「どんどん言っていただければ」と語った。これに対し、石破氏は安倍氏との違いを問われた。石破氏は「同じ自民党ですから、方向性が違うはずはない」としつつも、憲法に言及。「憲法ときちんと向き合うということは、日本の国ときちんと向き合うってことです。国民に向けて、一人ひとり誠実な説明なくして、私は憲法の改正なんてやっていいとはまったく思わない。そういうやり方が、方法論として異なる」と語った。
○ 安倍氏、プーチン氏は「平和条約に意欲」
ロシアのプーチン大統領が日本との平和条約の年内締結を提案し、北方領土交渉を先送りする考えを示唆したことについても取り上げられた。安倍氏がプーチン氏の提案について公の場で言及するのは初めて。その内容に注目が集まった。質問者が「22回会っていて、共通認識すらなかったのか」と問われ、安倍氏は「専門家はあなたとは結構違う考え方を持っている人が多いんですよ」。日ロ間で行われた過去の会談や秘密交渉の記録を読み、プーチン氏と会談に臨んできた、と切り出した。プーチン氏の今回の発言については「様々な言葉からサインを受け取らなければならない」とし、「平和条約をちゃんとやろうよと言ったことは事実だ」と述べた。その上で、「もちろん日本の立場は、領土問題を解決をして平和条約を締結する」と強調。そうした日本政府の立場については「あの発言の前も後もちゃんと私は述べておりますし、プーチン大統領からの反応もある」と明かした。ただ、プーチン氏の反応については「今、申し上げることはできません。交渉の最中でありますから」。安倍氏は「平和条約が必要だということについて意欲が示されたのは間違いない」と改めて訴え、「今年11月、12月の首脳会談は重要な首脳会談になっていく」と語った。
○ 安倍氏、2度の消費増税延期「正しい判断だった」
財政健全化の覚悟を問う質問が安倍氏に飛んだ。「党員だけではなく国民も財政に不安を持っている。財政健全化の計画を示すか」と聞かれた安倍氏は、来年10月に予定される消費税増税について「予定通り引き上げたい」とした。そのうえで「軽減税率も今回は行う。今まで(増税分の)約8割を借金返しに使っているが半分は子育て支援に使う。マクロ的な衝撃は少ないだろう」と述べ、増税が大きな消費落ち込みにつながらないよう対応する考えを示した。一方で、安倍政権下で2度にわたり消費増税を延期したことについては「正しい判断だったと思う。(反動減で)税収が減ったら元も子もない」と強調した。
○ 安倍氏、憲法9条2項維持「与党で賛成得られる条文」
続いて、憲法をめぐる議論に。安倍氏は9条の1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持)を残したまま自衛隊を明記する改憲案を提唱した理由について、「まず与党の中で賛成を得られる条文にする責任が、リーダーとしてあるのではないかと考えた」と述べた。9条改正に否定的な公明党を懐柔するための方策だったことを示唆した。そのうえで「政治家は学者でも評論家でもない。正しい論理を述べていればいいということではない」と指摘。実際に改憲を実現できる可能性を高める道筋を選ぶ必要性を強調した。一方、石破氏は2項を削除し、自衛隊が「戦力」であることを明確にすべきだと主張している。
○ 安倍氏、共産党の改憲反対に言及「状況変えていく必要がある」
憲法改正で論点となっている自衛隊の位置づけをめぐり、安倍氏が「共産党バッシング」ともとれる言葉を連発した。質問者が「安倍さんはそもそも2項の削除論だった。公明党への配慮と現実可能性で変えたなら、(2項の)火だねは残るが目をつぶったということか」と尋ねた。これに対し、安倍氏は「自衛隊が誇りをもって任務をまっとうできる環境をつくることは私の責任」と強調した。そのうえで共産党について「彼らは憲法改正に反対することを明確に打ち出している。これは変わらないです。共産党ですから」と切り出し、「自衛隊と地域の人たちの様々な催しがある。でも結構、反対運動をされていて、中止になったものもずいぶんある。そういう状況を変えていく必要がある」と指摘した。9条に自衛隊の存在を明記する必要性を訴えるために共産党にわざわざ言及したことは議論を呼びそうだ。
○ 石破氏、総裁選「延ばせば良い、逃げてはいけない」 安倍氏、国連総会・補正予算…「ほっといて党首選びとはならない」
総裁選のあり方も問われた。石破氏は「災害もあった。だけども総理大臣選びなんだから国民に向けて安倍さんはこう思う、わたしはこう思う。それをできるだけ多くやって、国民にみてもらうのは自民党の責務だと思いますよ」と訴えた。「災害対応は大切です。だったら延ばせば良いじゃないですか。外遊は大切でしょう。そうであれば期間を変えれば良いじゃないですか」。さらにこうたたみかけた。「国民から逃げてはいけない」一方の安倍氏。「石破さんが延期しろといいましたが、23日からわたしは国連総会に行って日米首脳会談などもあるんですよ」と反論。補正予算の編成や予定されている国際会議を列挙して、「それをほっといて、党内の党首選びを優先しろとはならない」。さらに「東京でも演説会をやめろと私は一回もいったことはありません」と強調し、「東京で演説会をやりたい。こう考えております。できるだけ多くの方に足を運んでいただきたい」と述べた。
○ 安倍氏「平成のその先へ」、石破氏「着々寸進 洋々万里」
討論会は終了し、安倍、石破両氏が握手して退席した。司会者から控室で揮毫(きごう)したという書が披露された。安倍氏は「平成のその先へ」。石破氏は「着々寸進 洋々万里」。
寸評
森友・加計「審判仰いだ」 安倍氏、にじむ本音
「やっている感」を演出すれば、都合の悪い問題は国民に忘れ去られる――。自民党総裁選で初めての討論会を通じて、安倍晋三首相のこんな政治手法と狙いが垣間見えました。
報道各社からの首相への質問は、森友・加計学園問題に集中しました。「国民が疑念を持つのも当然」「慎重に謙虚に丁寧に政権運営にあたりたい」「文書の改ざんは二度とあってはならない」。安倍さんは先の通常国会で繰り返したように、紋切り型の釈明に終始しました。
その中で、本音がにじむ場面がありました。昨年9月の唐突な衆院解散をめぐり、こう言ったのです。
「この問題も含めて、昨年総選挙を行い、この問題で行ったわけではないが、このことの議論をいただいた。その意味で、国民の審判を仰いだ」
ちょっと待ってほしい。首相は解散時、少子高齢化と北朝鮮情勢への対応を挙げて「国難突破解散」と銘打ったはずです。事実上の不意打ち解散で、森友・加計問題のリセットを図ったことがうかがえました。
自民党が大勝したものの、その後に新たな文書の存在や公文書改ざんが発覚し、問題は再燃しました。そして首相は問題を「公文書の適正な管理」に置き換え、疑惑からの逃げ切りを図っています。
討論会ではさらに、質問者から「国会答弁でも誠実に答えていない」との指摘が出るとこう答えました。
「ご批判を真摯(しんし)に受け止め、誠実に答弁していきたい。大切なことは、信頼回復の道は、一つひとつお約束したことを実行していくことだと決意している」。これも、説明責任を逃れる露骨なすり替えです。
一方の石破茂・元幹事長の訴えも物足りませんでした。教科書に出てきそうな主張を誠実そうに並べるばかりでした。言葉が踊らないのはスタイルだとしても、迫力不足の感は否めません。社会保障や財政再建などの政策論争も細切れで、議論は深まりませんでした。
石破氏は「同じ自民党なので、(安倍氏と)方向性が違うはずはない」と言いました。そうであったとしても、疑惑であれアベノミクスや改憲の行方であれ、「国民が知りたいこと」を首相から引き出せるのはいまや石破氏しかいないのも事実なのです。 
 
 
●9/20
安倍晋三首相が連続3選果たす
自民党総裁選は20日、国会議員の投開票と党員・党友票の開票が行われ、安倍晋三首相(63)が石破茂元幹事長(61)を破り、連続3選を果たした。任期は平成33年9月末までの3年間。首相は10月1日に内閣改造・党役員人事を行い、秋の臨時国会に新体制で臨む方針だ。
首相は選挙戦で、現職の強みを生かし、雇用状況の改善など経済政策「アベノミクス」や外交など5年9カ月にわたる政権の成果を強調。憲法9条に自衛隊を明記する憲法改正を唱え、秋の臨時国会への党改憲案提出を目標として打ち出した。
一方、石破氏は地域経済の潜在力を引き出す地方創生を看板政策に掲げ、アベノミクスの見直しや、防災省の創設などを訴えた。「首相官邸の信頼回復」も掲げ、政権への批判票の取り込みを図ったが、届かなかった。
首相は、自身の出身派閥で党内最大の細田派(94人)をはじめ7派中5派の支持を受けたほか、自主投票の竹下派(55人)の衆院議員27人や菅義偉(すが・よしひで)官房長官に近い無派閥議員らが支持した。党員票でも確実に得票した。石破氏は石破派(20人)と竹下派会長の竹下亘総務会長や同派参院議員18人らが支持してきた。
今回の総裁選は、首相の9月末の任期満了に伴い実施され、6年ぶりの選挙戦となった。
首相は24年の総裁選で国会議員による決選投票で石破氏に勝利し、同年の衆院選を経て首相に復帰。27年は無投票で再選された。自民党は昨年、「連続2期6年まで」だった総裁任期を「連続3期9年まで」に延ばす党則改正を行っていた。
総裁選は国会議員票と党員票各405票の計810票で争われた。
安倍首相が自民党総裁3選 石破氏は810票中254票
自民党総裁選は20日午後開票され、安倍晋三首相(63)が石破茂・元幹事長(61)を破って、連続3選を決めた。任期は2021年9月までの3年間。
総裁選は1人1票の投票権を持つ国会議員票405票と、党員・党友による地方票405票の計810票で争われた。首相は553票(議員票329票、地方票224票)を獲得し、254票(議員票73票、地方票181票)だった石破氏を破った。
国会議員票については、朝日新聞の事前の取材で首相は337票を集めていたのに対し、石破氏は50票にとどまっていた。だが、実際の投票結果では石破氏が20票以上を上乗せし、首相は取材の数字を下回った。
議員票で圧倒的にリードし、首相の3選が確実視される中、焦点になっていたのは地方票だった。首相は地方票でも石破氏に勝利したものの、石破氏の獲得票は、両陣営の事前の予想を上回った。
自民党総裁選、安倍首相が連続3選 石破氏254票と善戦
自民党は20日午後、党本部で総裁選の投開票を実施した。安倍晋三首相が石破茂元幹事長を破り、連続3選が決まった。獲得票は安倍氏が553票、石破氏が254票で、安倍首相が主要派閥を押さえて圧勝した。
ただ、石破陣営も目標とする200票を上回り善戦した。
安倍首相は国会議員票で329票、地方票で224票を獲得。石破氏は国会議員票73票、地方票181票を獲得した。投票は100万人強の党員・党友の票を換算しなおした地方票405、国会議員票405のうち合計807票の有効票で争った。
安倍首相には麻生派や二階派など主要派閥が早くから支持を表明し、議員票の8割を押さえ、当初から圧勝を目指していた。しかしアベノミクスの恩恵が必ずしも及んでいない地方では、石破氏の人気も根強く、地方票では接戦となった。地方議員に対する安倍陣営による激しい締め付けが報道されたことも影響した可能性がある。安倍陣営は、地方票の獲得目標とした55%(222票)はクリアーした。
国会議員票では、石破氏は自身の派閥と参院竹下派を中心に50議席程度と予測されていたが、上積みされた。20日は従来投票先を公表してこなかった小泉進次郎筆頭副幹事長が石破氏支持を表明し、影響が注目されていた。
当初は「95対5の戦い」(竹下派)と見られていた石破氏が善戦したことで、安倍政権としても人事・政策面で石破陣営に一定の配慮を行なう可能性がある。この結果、憲法改正や外交、財政・金融政策など重要テーマでは、政策運営が難しさを増す可能性がある。半面、来年の統一地方選や参院選に向けて対野党で厚みのある党内議論も期待できそうだ。
自民党総裁選 安倍首相が連続3選 石破元幹事長破る 
自民党総裁選は20日午後、国会議員票と党員・党友票が開票され、安倍晋三首相(63)が石破茂元幹事長(61)を破って連続3選を果たした。任期は2021年9月までの3年間。
首相は国会議員票329票、党員票224票の計553票。石破氏は国会議員票73票、党員票181票の計254票だった。
当選後、首相は「石破氏の健闘をたたえたい。全身全霊を傾けて任務をまっとうする」と表明。内政、外交の課題に挙党一致で取り組む考えを示した。
小泉進次郎氏、石破氏を支持 
自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長は20日昼、党総裁選で石破茂元幹事長に投票することを明らかにした。党本部で記者団に「石破さんに入れる」と語った。総裁選で態度未定や不明の国会議員が小泉氏以外に10人おり、小泉氏の発言がこうした議員の投票に影響する可能性もある。
小泉氏は周辺に、石破氏支持の理由について「自由な論争のある自民党であることを国民に伝えることが大事だ」と話したという。小泉氏は2012年の総裁選でも終了後に石破氏に投票したことを明らかにした。
安倍首相、自民党総裁選で連続3選 金融への影響 
20日投開票の自民党総裁選では、553票を獲得した安倍晋三首相が、254票の石破茂元幹事長を破り、連続3選を決めた。安倍首相が主要派閥を押さえて圧勝したが、石破陣営も200票の目標を上回り善戦した。
注目の来年選挙、リスクは安倍首相の早期退陣
<三菱UFJモルガン・スタンレー証券・シニアマーケットエコノミスト 六車治美氏>
自民党総裁選は安倍首相の連続3選という結果に終わった。事前に安倍首相の圧勝という予想もあったが、国会議員票・地方票とも石破氏が善戦した。党内で安倍首相の政治手法に対して批判をしやすくなったともいえる。次の焦点は、来年の統一地方選と参院選。総裁選の結果や今後の世論調査が来年の選挙にどのような影響をもたらすかだ。来年の選挙結果次第で、安倍首相が早期退陣を迫られるリスクシナリオを市場は意識する必要もありそうだ。今回の総裁選で政策議論が高まらなかったのは残念だ。そのため、市場が次の政策として何を織り込んでいいのか、わからない面も出てきた。アベノミクス「3本の矢」のうち、成長戦略が力抜けし、「骨太の方針」も目玉が見当たらなくなっている。安倍首相には初心にかえって政策運営を進めて欲しい
株安は一時的、海外勢の日本株買いをサポート
<JPモルガン証券 チーフ株式ストラテジスト 阪上亮太氏>
石破元幹事長の票が多めに出た印象がある。ただマーケットに影響を及ぼすほどの差となったわけではない。ほぼ市場の想定通り、安倍首相が多数の支持を受けて再選されたと解釈している。政治の安定が確認されると海外勢は日本株を買いやすくなる。株安は一時的な反応だろう。サプライズは全くない。今年は海外勢は日本株を大幅に売り越している。日本企業の堅調な業績を考慮すれば「売り過ぎ」の感があった。買い戻しが入りやすい地合いにある中での今回の結果は、海外勢の日本株買いのサポート材料という位置づけになる。当面は消費増税の取り扱いや社会保障改革、憲法改正の動きが焦点になる。経済政策は基本は従来通りだろう。憲法改正のトーンが強く出てくると、マーケットでは嫌気されるリスクがあるが、これは支持率次第。一方で、参院選などを前に安倍政権に不透明感が出た場合、金融政策の出口が近づくと市場が受け止める可能性はある。
円高でも円安材料でもない
<みずほ証券 チーフFXストラテジスト 鈴木健吾氏>
自民党総裁選では、安倍首相が石破元幹事長を破り連続3選が決まった。安倍首相が圧勝することは、市場にほぼ織り込み済みだったことや、石破氏が予想以上に善戦したことで、為替市場は総裁選の結果を、円高材料とも円安材料とも捉えなかった。今月に入ってドルは堅調だが、112円半ばを超えることが出来ていない。背景には米国と他国を巡る貿易協議や貿易摩擦がある。これまでの経緯では、米国が対中追加制裁関税を決めた同日に、中国が報復措置を発表し、その3、4日後に米国が新たな制裁関税措置を発表している。米国が対中制裁追加関税の第3弾を決定したのは17日なので、そろそろトランプ大統領が追加措置を発表してくるタイミングで警戒される。また、19日からカナダと米国は北米自由貿易協定(NAFTA)交渉を巡る協議を再開しており、日本と米国は25日に首脳会談を開く予定で、その前に通商協議も予定されている。米中協議の進展には時間を要すると見られるが、カナダと日本の協議がある程度まとまれば、世界貿易戦争の脅威が米中貿易競争へとサイズダウンすることが見込まれ、ドルも113円に向けた機運が高まる可能性がある。 
 
 
 
 
 
 
 
 


2018/9