安倍総理 「外遊」外交

奥様との楽しい時間

成果の上がらぬ内政 
恰好づけの「外遊」
気分転換  憂さ晴らし 逃避行
 


 

 

2018(平成30年)/12018/22018/32018/42018/52018/62018/7
2017(平成29年)2016(平成28年)2015(平成27年)2014(平成26年)2013(平成25年)
「外遊」外交史
 
  
 
 
●なぜ安倍政権は「戦後最強の内閣」になったのか
2012年以降の2次にわたる安倍晋三内閣は、戦後日本政治史の中でも顕著な「強靱(きょうじん)性」を発揮してきた。安倍内閣は、過去5年半近くの政権運営の過程で幾度も「失速」が語られたものの、5度の国政選挙を勝ち抜くことで権勢を維持してきた。しかし、目下、安倍内閣の「強靭性」にも陰りが見え始めた感がある。
現下の財務省や防衛省を舞台にした政官関係に絡む混乱が軒並み、安倍内閣の政権運営の「歪み」として語られ、それを安倍内閣の責任として詰問する声が高まっているのである。数刻前まで既定のものとして語られた今秋の自民党総裁選挙に際しての「安倍三選」も、予断を許さなくなったと指摘する向きもある。
既に幾度も指摘してきたように、筆者が下す内閣評価の基準は、第一が「外交・安全保障政策を切り回せるか」であり、第二が「経済を回せるか」である。この評価基準に照らし合わせれば、安倍内閣の政権運営は「上手く切り回している」と観るのが順当であろう。
事実、例えば米誌『タイム』(2018年4月30日号)は、毎年恒例の「世界で最も影響力のある100人」を発表し「指導者」部門で2014年以来4年ぶりに安倍首相を選出した。オーストラリアのマルコム・ターンブル首相は選評中、「安倍氏の自信に満ちた力強いリーダーシップは日本の経済と先行きへの期待をよみがえらせた」と評した。
また、ロイター通信(4月23日配信)が伝えた「4月ロイター企業調査」の結果によれば、「安倍晋三首相が自民党総裁に3選されることが望ましいか」という問いに「諾」と答えた大手・中堅企業は73%に達した。加えて、この記事は「次の政権も安倍首相続投による与党政権継続が望ましいとの回答が6割を占めた。次期首相も5割が安倍首相を支持した」と伝えている。
こうした安倍内閣への評価を前にして、湧き上がる「安倍、辞めろ」の声には、日本の政治風土に根づく悪しき気風が反映されている。それはすなわち、「対外意識の希薄」と「民主主義理解の貧困」である。
振り返れば、昭和中期以降、すなわち冷戦期の「55年体制」下、日本政界では金銭や女性に絡むスキャンダルが頻発した。リクルート事件や東京佐川急便事件といった金銭絡みのスキャンダルが相次ぐ一方で、女性スキャンダルで地位を追われた宇野宗佑元首相や山下徳夫元官房長官の姿は、そうした「55年体制」崩壊前夜の政治様相を象徴していたといえよう。
もっとも、こうしたスキャンダルが日本の国益上、大した損害を与えていると認識されなかったのは、それが「経済力だけは大きいが対外影響力は乏しい」国の出来事であったからである。しかも、往時は「『永田町』が混乱しても『霞ヶ関』がしっかりしているから、大した問題ではない」という理解は、半ば自明のように受け入れられていたのである。
しかしながら、平成に入って以降の日本が直面したのは、「バブル崩壊」後の長期にわたる経済低迷の一方で、「国際貢献」の名の下に一層の対外関与が要請される状況であった。そして、現在に至って、日本の立場は「経済力の減退を対外影響力で補わなければならない」というものに変質しているのである。
筆者が指摘する「対外意識の希薄」とは、「経済力の減退を対外影響力で補わなければならない」日本の立場を顧慮せずに、専ら国内統治案件の議論に熱を上げる様子を指している。北朝鮮情勢の展開次第では、日本を取り巻く国際環境が激変するかもしれない局面で、「森友・加計」問題の議論に過剰な精力が費やされている現状は、その典型的な事例であるといえる。
しかも、「対外影響力」を担保する条件の一つが、政治指導者が築いた人的ネットワークの豊かさである以上、こうした国内政局の紛糾の結果として、安倍首相が国際政治の舞台から退場することになれば、それが日本の国益に及ぼす影響は甚だしいものになるであろう。
また、筆者が指摘する「民主主義理解の貧困」とは、民主主義体制下であればこそ政治人材の発掘と養成は重大な課題であり、政治人材は「取り換え引き換え」のできる存在ではないという理解が浅いという様子を指している。
日本では、なぜか政治人材に関してだけは、「使い切る」とか「もったいない」という感覚が働かないようであるけれども、そうした様相は、民衆の当座の感情で政治が直接に左右されるという意味での「ポピュリズム」や「モボクラシー(衆愚政治)」の傾向を加速させるのである。
世間には、筆者を「安倍応援団」の一人だと観る向きがあるかもしれないけれども、筆者は、そのように自ら思ったことは一度もない。筆者が支持し応援しているのは、あえて言えば「安倍内閣下の対外政策展開」や「日本の外交」であって、安倍晋三という政治家お一人ではない。当節、「何が重要か」を見誤らない議論が大事であろう。 
 
 2018/1

 

●日・エストニア首脳会談 平成30年1月12日
本12日午後16時50分(現地時間)から約50分間、エストニアを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、ユリ・ラタス・エストニア共和国首相と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
ラタス首相から、安倍総理の初のエストニア訪問を歓迎する旨述べたのに対し、安倍総理から、独立100周年への祝意を述べた上で、北朝鮮問題を始めとする国際社会の課題に対し緊密に協力していきたい旨述べました。
2 二国間関係
(1)安倍総理から、昨年8月の日・エストニア租税条約署名を受け、早期発効に向けた手続を進めるとともに、今後、JETROの企業ミッション派遣や業務委託先となる拠点新設も進め、両国間の投資・経済関係を促進したい旨述べました。
(2)両首脳は、租税条約署名、ワーキング・ホリデー制度導入に向けた協議開始を始めとした二国間の人的交流の推進、今回のビジネスミッションの同行による経済関係の発展を歓迎しました。
(3)共同記者会見でも安倍総理から述べたとおり、エストニアはサイバー分野での取組が進んでおり、これを踏まえ、両首脳は、サイバー協議等の機会を活用し、引き続き両国の協力を進めていくことで一致し、その観点からエストニアに所在するNATOサイバー防衛協力センターへの日本の参加が承認されたことを歓迎しました。また、ラタス首相よりサイバー・ITのエストニア社会にとっての重要性について説明があり、サイバー分野の重要性につき意見交換を行いました。
(4)両首脳は、日本とバルト間の協力を更に推進していくため、「日バルト協力対話」を創設することで一致しました。
3 日EU関係
(1)両首脳は、法の支配に基づく国際秩序が挑戦を受ける中、その維持・強化こそ、基本的価値を共有する日本と欧州が共に取り組むべき外交安全保障上の最重要課題であることを確認しました。
(2)また、安倍総理から、日EU・EPA交渉妥結に際し、EU議長国としてのエストニアの協力に感謝するとともに、両国間の貿易投資関係を強化すべく、同EPAの早期発効に向け、引き続き協力していくことで一致しました。
4 その他
(1)北朝鮮については、両首脳は、核武装した北朝鮮は断じて受け入れられず、あらゆる手段により圧力を最大限まで高め北朝鮮の政策を変えさせる必要があることを確認しました。また、拉致問題については、安倍総理から早期解決に向けた理解と協力を求め、支持を得ました。
(2)ロシアについては、安倍総理から、最近の日露関係について説明しました。両首脳は、G7を始めとする同志国との連帯を維持しながら、対露関係において緊密に連携していくことを確認しました。
(3)また、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の重要性を確認し、緊張を高めるいかなる一方的行動や現状変更の試みに対しても反対することで一致しました。 
●日・ラトビア首脳会談 平成30年1月13日
本13日11時10分(現地時間、日本時間18時10分)から約45分間、ラトビアを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、マーリス・クチンスキス・ラトビア共和国首相と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭、クチンスキス首相から、独立100周年という記念すべき年に、安倍総理の初のラトビア訪問を歓迎する旨述べたのに対し、安倍総理から、日本にお迎えした際に訪問の招待を受けた後、一か月で早速、この記念すべき年に、日本の総理として初めてラトビアを訪問でき、大変うれしく思う、北朝鮮は今や欧州全体にとっての重大な脅威であり、国際社会の課題に対し緊密に連携していきたい、今回は経済ミッションも同行していることから、バルト海の物流拠点であるラトビアとの経済関係を強化したい旨述べました。両首脳は、長く続く両国の友好な関係を更に発展・強化することを確認しました。
2 二国間関係について、両首脳はJETROの企業ミッションの派遣等を通じた貿易投資関係の活発化や、ワーキング・ホリデー制度に係る協議の早期開始を始め、人的交流の更なる強化のために協力していくこと、さらに、科学技術や高等教育の分野での協力強化で一致しました。また、近く予定されるベルグマニス国防大臣の訪日の機会等を通じ、日ラトビアの間で安全保障面での議論を一層深めていくことで一致しました。さらに、両首脳は、日バルト間の協力を一層推進させるため、「日バルト協力対話」を創設することで一致しました。
3 日EU関係について、両首脳は、法の支配に基づく国際秩序が挑戦を受ける中、その維持・強化こそ、基本的価値を共有する日本と欧州が共に取り組むべき外交安全保障上の最重要課題であることを確認するとともに、両国間の貿易投資関係を一層促進すべく、日EU・EPAの早期の発効に向け、引き続き協力していくことで一致しました。
4 北朝鮮問題に関し、両首脳は北朝鮮の核武装は認めない、北朝鮮への圧力を最大限に高めていくことが必要であることを確認しました。また、安倍総理は、拉致問題の早期解決の重要性についても理解を求めました。
5 また、海洋の安全保障についても意見交換を行いました。
6 なお、首脳会談に引き続き、安倍総理は、同行している日本のビジネス関係者も同席する形で、クチンスキス首相主催昼食会に出席します。 
●日・リトアニア首脳会談 平成30年1月13日
1月13日午後17時40分から約35分間、リトアニアを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、サウリウス・スクバルネリス・リトアニア共和国首相と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
両首脳は、日本とリトアニアの間には杉原千畝氏を通じた絆があることを確認し、杉原氏の勇気ある行動は、今日も人道的な重要な意義があるという見方で一致しました。
2 二国間関係
(1)安倍総理から、今後、JETROの企業ミッション派遣を進め、両国間の投資・経済交流の更なる促進を期待する旨述べました。両首脳は、科学技術、ライフサイエンスなど医療分野、Fintechなどの分野で両国間の協力を進めていくことで一致しました。
(2)両首脳は、ワーキング・ホリデー制度の導入に向けた協議の更なる加速化で一致しました。
(3)安倍総理から、リトアニア名誉領事館が新たに岐阜県に開館することを歓迎しました。
(4)両首脳は、日本とバルト間の協力を更に推進していくため、「日バルト協力対話」を創設することで一致しました。
3 日EU関係
(1)両首脳は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が挑戦を受ける中、その維持・強化こそ、基本的価値を共有する日本と欧州が共に取り組むべき外交安全保障上の最重要課題であることを確認しました。
(2)安倍総理から、日EU・EPA交渉妥結に際し、リトアニアの協力に感謝するとともに、発効による両国の経済関係の強化を期待する旨述べました。
4 北朝鮮
両首脳は、核武装した北朝鮮は断じて受け入れられず、新たな安保理決議の完全履行を含め、あらゆる手段で圧力を最大限まで高め、北朝鮮の政策を変えさせる必要があることで一致しました。また、拉致問題については、安倍総理から早期解決に向けた理解と協力を求めました。 
●日・ブルガリア首脳会談 平成30年1月14日
1月14日(日曜日)16時30分(現地時間。日本時間23時30分)から約50分間、ブルガリアを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、ボイコ・ボリソフ・ブルガリア首相と日・ブルガリア首脳会談を行いました。概要は以下のとおりです。
1 冒頭発言
冒頭、安倍総理より、日本の総理として初めて、また私自身としては35年ぶりにブルガリアを訪問でき大変嬉しい、EU議長という重責を担うボリソフ首相に心から敬意を表すると共に、成功をお祈りする、日EU関係強化に向け協力したい旨述べました。ボリソフ首相よりは、日本の総理のブルガリア訪問を心より歓迎する旨述べました。
2 日・ブルガリア関係全般
(1)二国間関係について、安倍総理から、2019年は日ブルガリア関係にとって、交流開始110年、外交関係樹立80年、外交関係再開60年にあたり、この機会に「3つの周年」実行委員会を立ち上げ、この意義深き年を祝賀したい旨述べました。
(2)両首脳は、人的交流をはじめとした協力を更に発展させることで一致しました。また安倍総理は、ドンチェフ副首相を日本へ招待する旨述べました。
(3)安倍総理は、経済交流の促進のため、本年中にJETROミッションを派遣する旨述べました。これに対し、ボリソフ首相からは、ブルガリアはEUへのアクセスに適しており、また経済指標もEUの中でもっともよい部類に入る旨述べました。両首脳は二国間経済関係を一層発展させることで一致しました。
3 日EU関係
日EU関係については、両首脳は、法の支配に基づく国際秩序が挑戦を受ける中、その維持・強化こそ、基本的価値を共有する日本と欧州が共に取り組むべき外交安全保障上の最重要課題であることを確認しました。その上で安倍総理は、欧州が一体性を保ち、強く結束し、今後も統合を着実に推進することが重要である点を強調しました。また、両首脳は、日EU・EPAの交渉妥結は、世界中で保護主義の動きが広まる中、日EUが自由貿易の旗手としてその旗を高く掲げていくとの揺るぎない政治的意思を全世界に対して示すものとの認識を共有しました。同EPAの早期の署名・発効に向け、引き続き協力していくことで一致しました。
4 西バルカン支援
(1)ボリソフ首相からEU議長国として西バルカン地域の欧州統合という課題に優先的に取り組んでいる旨の説明がありました。これに対し、安倍総理は、日本としても西バルカン地域の安定を重視しており、「西バルカン協力イニシアティブ」の下、この地域全体への協力を更に推進していく旨述べました。さらに、ドナー国として西バルカン諸国を支援するブルガリアに対し、ドナー国としての日本の知見を共有する用意がある旨述べました。
(2)これに対して、ボリソフ首相から、同「イニシアティブ」を歓迎する旨の発言がありました。
(参考)西バルカン協力イニシアティブ
EU加盟を目指す西バルカン地域各国の経済社会改革を支援し、西バルカン地域の各国間の協力を促進させることを目的としたもの。具体的には、外務省に西バルカン担当大使を新設し、各国との対話を強化するほか、地域全体の課題である防災、環境等の分野で専門家派遣やセミナー開催を通じて日本の先進的知見を共有する予定。また、新規の協力案件発掘・形成のため年内にJICA調査団も派遣する予定。
5 北朝鮮
安倍総理より、北朝鮮は、今やソフィアまで射程に入れ得る弾道ミサイルを発射するなど、欧州全体にとっての脅威である、北朝鮮をはじめとする国際社会の諸課題に対し共に連携したい旨述べました。両首脳は、核武装した北朝鮮は断じて受け入れられず、新たな安保理決議の完全履行を含め、あらゆる手段により圧力を最大限まで高め、北朝鮮に政策を変えさせなければならないことを確認しました。また、拉致問題については、安倍総理から早期解決に向けた理解と協力を求め、支持を得ました。 
●日・セルビア首脳会談 平成30年1月15日
1月15日(月曜日)15時50分(現地時間。日本時間15日(月曜日)23時50分)から約60分間、セルビアを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、アレクサンダル・ブチッチ・セルビア大統領と日・セルビア首脳会談を行いました。概要は以下のとおりです。
1 二国間関係全般
(1)安倍総理から、両国の関係は着実に進展しており、対セルビア初の円借款である「ニコラ・テスラ火力発電所排煙脱硫装置建設計画」の進捗を歓迎する旨述べました。また、昨年派遣したJETROミッションの成果についても述べたほか、青年海外協力隊の派遣取極に関する書簡の署名を歓迎しました。
(2)これに対し、ブチッチ大統領から、セルビアは外国投資に対する様々な優遇措置を用意している他、様々な国々とFTAを結んでおり、大市場へのアクセスが良いとの利点があることから日本企業のセルビア進出を歓迎したい、これを機に日本との経済関係を更に発展させたい旨述べました。
2 日本と西バルカン地域の協力
安倍総理から、日本と西バルカン地域全体の協力を発展させるため「西バルカン協力イニシアティブ」の下、この地域全体への協力を更に推進したい旨述べ、具体的には、(1)西バルカン担当大使を新設し、対話を強化、(2)新規の経済協力案件を発掘するためのJICA調査団の派遣、(3)地域協力のためのセミナーの開催を提案しました。これに対し、ブチッチ大統領からは、同「イニシアティブ」を歓迎する旨の発言がありました。
3 セルビアのEU加盟プロセス
安倍総理からは、セルビアのEU加盟プロセスの着実な進展を歓迎する、日本は引き続きセルビアの改革努力を支援していく旨述べたのに対し、ブチッチ大統領からはEU加盟に関する日本からの支援に対して謝意の表明がありました。
4 コソボ
(1)安倍総理から、EU支援の下でセルビアが実施するコソボとの対話を支持する、セルビア・コソボ間の関係正常化の実現に向けて建設的な役割を果たすことを期待する旨述べました。
(2)これに対して、同席したダチッチ第一副首相兼外相から、コソボ問題に関するセルビアの立場について説明があり、西バルカンの平和と安定に向けて努力する旨発言がありました。
5 北朝鮮
安倍総理より、北朝鮮は、今やベオグラードまで射程に入れ得る弾道ミサイルを発射するなど、欧州全体にとっての脅威である、北朝鮮を始めとする国際社会の諸課題に対し、共に連携したい旨述べました。両首脳は、あらゆる手段により圧力を最大限まで高め、北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動を示した上で対話を求めてくる状況を作る必要があることで一致しました。拉致問題については、安倍総理から早期解決に向けた理解と協力を求めました。
6 その他
両首脳は、様々な国際場裏における協力やロシア、中国等の国際情勢についても意見交換を行いました。 
●日・ルーマニア首脳会談 平成30年1月16日
1月16日(火曜日)16時10分(現地時間。日本時間23時10分)から約50分間、ルーマニアを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、クラウス=ヴェルナー・ヨハニス・ルーマニア大統領と会談し、共同記者発表を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭発言
冒頭、ヨハニス大統領から、日本の総理大臣の初めてのルーマニア訪問を歓迎する、2018年はルーマニアにとって近代国家として歩みを始めてから100周年であり、今回の安倍総理のご訪問を契機に両国関係をより発展させたい旨述べました。安倍総理からは、ルーマニアは欧州の地理的要衝に位置し、基本的価値を共有する重要なパートナーであり、北朝鮮問題を始め国際社会の諸課題で緊密に連携したい旨述べました。また、経済を始め、幅広い分野で協力関係を一層高い次元に引き上げたい旨述べました。
2 二国間関係
二国間関係について、安倍総理から、経済関係の緊密化が顕著であり、多くの日本企業がルーマニアに進出し、アジア最大の投資国として約4万人の雇用を創出している旨述べ、円借款案件「ブカレスト国際空港アクセス鉄道建設計画」を着実に進め、両国の友好関係の象徴としたい旨述べました。さらに、人的交流の活性化に向けたビザ免除措置の決定を伝達しました。これに対して、ヨハニス大統領から、日本企業のルーマニア進出とビザ免除措置の決定を歓迎する旨の発言がありました。
3 日EU関係
日EU関係について、安倍総理は、欧州が一体性を保ち、強く結束し、今後も統合を着実に推進することが重要である点を強調しました。また、両首脳は、日EU・EPAの交渉妥結は、世界中で保護主義の動きが広まる中、日EUが自由貿易の旗手としてその旗を高く掲げていくとの揺るぎない政治的意思を全世界に対して示すものとの認識を共有し、同EPAの早期の署名・発効に向け、引き続き協力していくことで一致しました。
4 北朝鮮
北朝鮮問題について、両首脳は、核武装した北朝鮮は断じて受け入れられず、新たな安保理決議の完全履行を含め、あらゆる手段により圧力を最大限まで高め、北朝鮮の政策を変えさせる必要があることで一致しました。また、拉致問題の早期解決の重要性について認識を共有することができました。
5 その他
両首脳は、法の支配に基づく国際秩序が挑戦を受ける中、その維持・強化こそが、基本的価値を共有する日本と欧州が共に取り組むべき外交安全保障上の最重要課題であることを確認しました。 
 

 

 
 2018/2

 

●日独首脳会談 平成30年2月6日
本6日午後6時頃から約60分間、安倍晋三内閣総理大臣は、訪日中のフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー・ドイツ連邦共和国大統領との間で首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。なお、首脳会談後、安倍総理大臣夫妻は、シュタインマイヤー大統領及びエルケ・ビューデンベンダー同令夫人を歓迎するための夕食会を開催しました。夕食会は、日独関係にゆかりのある方々を各界からお招きし、和やかな雰囲気の中で行われました。
1 二国間関係
(1)安倍総理大臣から、大統領として初めてとなる訪日を歓迎するとともに、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有し、欧州の結束を力強く牽引する重要なパートナーであるドイツと、北朝鮮問題をはじめとした国際社会の諸課題について緊密に連携していきたい旨述べました。
(2)シュタインマイヤー大統領から、日本とは民主主義、人権、法の支配といった価値を共有しており、この分野で重点的に協力していきたい旨述べました。
(3)両首脳は、ベートーベンの交響曲第九番(「第九」)の日本初演100周年である本年を「DAIKU2018」と名付け、日独交流を一層深める契機とすることで一致しました。
2 日EU関係
(1)日EU関係について、両首脳は、基本的価値を共有する欧州の結束を維持していくことの重要性を確認し、そのために日独で連携していくことで一致しました。
(2)両首脳は、日独が共に自由貿易の旗を掲げていくことが重要であるとの観点から、日EU・EPA及び日EU戦略的パートナーシップ(SPA)の早期署名・発効に向け、引き続き協力していくことで一致しました。
(3)また、シュタインマイヤー大統領から、欧州域内の安定という観点から、安倍総理大臣が先般の南東欧訪問の際に提唱した「西バルカン協力イニシアティブ」によるこの地域への日本の関与を歓迎する旨述べました。
3 北朝鮮
安倍総理大臣から、北朝鮮は、今やベルリンも射程に入れる弾道ミサイルを発射するなど、欧州全体にとっても重大な脅威であり、国際社会が結束する必要がある旨述べました。両首脳は、国連安保理決議の完全な履行を含め、あらゆる手段により圧力を最大限まで高め、北朝鮮に政策を変更させる必要があることで一致しました。また、安倍総理大臣から、拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求めました。 
●日韓首脳会談 平成30年2月9日
本9日、午後3時15分頃から約60分間、平昌オリンピック開会式に出席するため平昌を訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談を行ったところ、概要以下のとおり(我が方同席者:西村内閣官房副長官、谷内国家安全保障局長、長谷川補佐官他)。
1 日韓関係
(1)安倍総理から、「日韓合意は、国と国との約束であり、政権が代わっても約束を守ることは、国際的かつ普遍的に認められた原則。日本政府は既に約束を全て実施している。韓国側も、日韓合意で『最終的かつ不可逆的』な解決を確認した以上、合意の約束を全て実行してほしい」との趣旨を述べた。また、「徴用工」問題についても日本側の立場を述べた。
(2)その上で、安倍総理から、地元下関と釜山の地方交流に触れつつ、「文大統領と共に未来志向の日韓関係を築いていきたいと心から願っている」旨を述べ、そのためにも「日韓合意や『徴用工』問題について適切な対応をお願いしたい」旨を述べた。さらに、安倍総理から、「本年秋の『日韓パートナーシップ宣言』20周年を未来志向の関係構築の契機とするべく努力したい」旨述べた。
2 北朝鮮
安倍総理から、「南北対話が平昌五輪の成功に向けて進められたことを評価。しかし、北朝鮮は核・ミサイル開発を継続している。『微笑み』外交に目を奪われてはならない。五輪後は正念場、北朝鮮が非核化に向けた真剣な意思と具体的な行動を示すことが極めて重要。北朝鮮の差し迫った脅威を直視し、日韓米が連携して最大限の圧力をかけるとの方針がぶれてはならない。核武装した北朝鮮は決して受け入れられない。安保理決議で規定された制裁の履行は国際社会全体の義務である。洋上での物資の積替え(いわゆる『瀬取り』)等の北朝鮮の制裁回避への対応は急務。日韓米3か国で連携して対応を進めていきたい。拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる最重要課題。早期解決に向け、引き続き緊密に連携したい」旨述べた。その上で、両首脳は、非核化が最終目標であること、そのために国連安保理の制裁決議を全ての加盟国が遵守し、圧力を最大限まで高めていく必要があることで一致した。
3 その他
安倍総理から、「日韓中サミットをできる限り早期に開催したい」旨述べ、両首脳は日韓中サミットの早期開催に向けて協力していくことで一致した。 
●日・ノルウェー首脳会談 平成30年2月14日
本14日午後6時15分から約45分間、安倍晋三内閣総理大臣は、訪日中のアーナ・ソールベルグ・ノルウェー王国首相と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
安倍総理大臣から、ソールベルグ首相の訪日を歓迎するとともに、日本とノルウェーは「平和国家」「海洋国家」であり、ノルウェーは、EU非加盟国として、独自の立場から積極的に国際社会の平和と安定に貢献しており、今回のソールベルグ首相の訪日を機に、両国の友好・協力関係を更に発展させていきたい旨述べました。これに対し、ソールベルグ首相は、両国は既にあらゆる側面において良好な関係にあるが、これをさらに発展させたい旨述べました。
2 二国間関係
両首脳は、企業間の交流を更に活発化し、相互の貿易・投資を拡大するなど、将来の両国間の経済関係を一層強化することで一致しました。また、両首脳は、人的交流を促進し、女性の活躍や学術交流、科学技術・イノベーション等の分野で協力を促進することで一致しました。
3 国際課題への対処
両首脳は、様々な地球規模課題への対処、特に、持続可能な開発目標(SDGs)推進のため、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
4 北朝鮮
北朝鮮については、両首脳は、北朝鮮の非核化なしに地域・国際社会の安定はなく、北朝鮮に政策を変えさせるため、圧力を最大限まで高めていく必要性を確認しました。また、安倍総理大臣から、拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求めました。 
●日・チリ首脳会談 平成30年2月23日
本23日午後6時15分から約45分間、安倍晋三内閣総理大臣は、実務訪問賓客として訪日中のミチェル・バチェレ・ヘリア・チリ共和国大統領と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。会談には、西村康稔内閣官房副長官及び野上浩太郎内閣官房副長官他が同席しました。首脳会談後、両首脳が立ち会いの下署名式が行われました。次いで両首脳による共同記者発表が行われ、日・チリ共同プレス発表が発出されました。その後、安倍総理大臣主催の晩餐会が和やかな雰囲気の中で行われ、両国関係の幅広い話題に会話が及びました。
1 日・チリ首脳会談
(1)冒頭発言
ア 安倍総理大臣から、バチェレ大統領の訪日を歓迎するとともに、バチェレ大統領の指導力の下、チリが来月TPP11の署名式を主催するなど、自由貿易を牽引していることに敬意を表した上で、TPP11協定の早期発効に向けて引き続き緊密に協力していきたい旨述べました。また、本日の会談において、北朝鮮問題を始め、国際社会が直面する諸課題につき意見交換を行いたいと述べました。
イ これに対し、バチェレ大統領は、今回の訪日招待に謝意を表した上で、本年3月にサンティアゴで行われるTPP11の署名は、自由貿易にとって非常に重要なことである等述べました。
(2)二国間関係
ア 安倍総理大臣から、昨年の日本・チリ外交関係樹立120周年では、秋篠宮同妃両殿下のチリ御訪問や、チリの日系社会の活動を含め、様々な交流が行われたことに言及し、今般、両国関係を「戦略的パートナーシップ」に引き上げ、二国間関係や国際場裡における諸課題につき協議する「政策対話」等を通じて、二国間や国際場裡での協力を一層深めたい旨述べました。また、安倍総理大臣から、2019年からチリに防衛駐在官を配置予定であり、防衛分野における協力関係の促進を期待する旨述べました。
イ また、経済分野に関して、両首脳は、2007年に発効した日・チリ経済連携協定(EPA)、2016年に発効した租税条約等の経済枠組み構築を通じ、両国の経済関係が一層発展していることを歓迎しました。安倍総理大臣から、防災分野の協力である「KIZUNA(キズナ)」プロジェクトが成功裡に進展していることに言及し、2020年までの人材育成目標を2千人から4千人以上に倍増する旨述べました。また、両首脳は、今般、三角協力に関する覚書(「日本・チリ・パートナーシップ・プログラム(JCPP)2030」)が署名されることを歓迎しました。
ウ これに対し、バチェレ大統領から、両国の外交関係樹立120周年に関連する活動について紹介され、防衛分野及び貿易・投資分野における協力、さらに、防災分野を始めとする日本・チリ間の三角協力を一層進展させたい旨の発言がありました。また、バチェレ大統領から2017年のチリにおける森林火災に際する日本の支援への謝意表明があったことに加え、国連の持続可能な開発のための2030アジェンダの実現に向けて協力したい等述べました。
エ さらに、両首脳は、ワーキング・ホリデー制度が本23日に運用開始されること、スポーツ分野における協力覚書が今般署名されること、及び運転免許に関する協定の実質合意を歓迎し、様々な分野における国民交流を更に発展させていくことで一致しました。
(3)地域情勢・国際場裡における協力
ア 北朝鮮問題を含む地域情勢や安保理改革を含む国際場裡における協力に関し、両首脳は、協力関係を深化させていくことで一致しました。また、両首脳は2019年にチリで開催されるAPECに向けて協力していくことを確認しました。さらに、共に海洋国家として自由で開かれた海洋秩序の重要性について議論しました。また、安倍総理大臣から「自由で開かれたインド太平洋戦略」を説明し、両首脳は、議論を継続していくことで一致しました。
イ 北朝鮮問題に関し、安倍総理大臣から、北朝鮮への圧力を最大限まで高める必要がある、また、拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を期待する旨述べました。これに対して、バチェレ大統領は今回長崎を訪問することに触れつつ、チリは核不拡散と北朝鮮の核開発への反対について確固たる立場を有しており、日本と一貫して協力してきた旨述べ、両首脳は、緊密に連携していくことで一致しました。 
 
 
 2018/3

 

●日・スリランカ首脳会談 平成30年3月14日
本14日午後6時過ぎから約60分間、安倍晋三内閣総理大臣は、公式実務訪問賓客として訪日中のマイトリパーラ・シリセーナ・スリランカ民主社会主義共和国大統領との間で首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
(1)安倍総理大臣から、スリランカ独立70周年への祝意を表するとともに、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、特に連結性強化や海洋分野での協力を強化したい旨述べました。
(2)これに対し、シリセーナ大統領から、2016年の伊勢志摩G7サミット以来の訪日であり、今回の訪問を契機に両国間の協力を強化していきたい旨述べました。
2 経済・経済協力
(1)安倍総理大臣から、日本は、コロンボ港などの港湾、運輸及びエネルギー等の分野で「質の高いインフラ」整備を通じてスリランカの発展を全力で支援していく旨、また、スリランカの国民生活に根差した支援を行うために、保健医療サービス改善のための高度医療機材等の供与に係る約106億円の円借款、土砂災害対策強化に係る技術協力及び廃棄物処理マスタープラン策定支援を実施していく旨伝えました。
(2)これに対し、シリセーナ大統領から、今回の高度医療機材等の供与を含め、日本の支援に対する謝意の表明があり、港湾、運輸及びエネルギー分野等でのインフラ整備における日本からの支援に期待する旨述べました。
3 海洋・安全保障・防衛 
(1)安倍総理大臣から、先週、河野克俊統合幕僚長がスリランカを訪問するなど両国間の防衛・安全保障分野における交流が活発化していることを歓迎するとともに、能力構築支援、海自艦船の寄港等への協力や人的交流を通じて、防衛・安全保障分野における協力を更に推進していきたい旨、また、日印海保連携訓練へのスリランカのオブザーバー参加や海保分野での専門家派遣等により、海洋分野における協力を更に強化していきたい旨述べました。
(2)これに対し、シリセーナ大統領から、海洋・防衛・安全保障分野での日本との交流や協力を評価しており、更に推進していきたい旨述べました。
4 地域情勢・国際情勢
両首脳は、北朝鮮を含む国際情勢について意見交換を行い、北朝鮮については、過去の教訓を踏まえ、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ不可逆な方法での核・ミサイル開発の放棄を実現するために、最大限の圧力を継続していくことの必要性を確認しました。また、安倍総理大臣から、拉致問題の早期解決への協力を要請し、シリセーナ大統領から理解を得ました。 
 
 
 
 
 2018/4

 

●日・イラク首脳会談 平成30年4月5日
本5日午後6時過ぎから約45分間、安倍晋三内閣総理大臣は、実務訪問賓客として訪日中のハイダル・アル・アバーディー・イラク共和国首相との間で首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
安倍総理大臣から、イラクにおけるISIL掃討及び復興の進展へ祝意を表した上で、日本はイラク国民による一致団結した復興への取組を今後も後押ししていく、2019年の外交関係樹立80周年を契機として両国関係を幅広い分野で発展させたい旨述べました。これに対し、アバーディー首相から、招待に感謝する、今回の訪問を契機として両国間の協力を更に強化したい旨述べました。
2 二国間関係
安倍総理大臣から、日本は今般署名する上水道及び灌漑インフラの整備などを着実に実施しイラク復興を後押しする、また、本日の国際会議を踏まえ、社会に蔓延する武器の回収を通じて復興の土台である治安の安定に国際社会とともに協力していく旨述べました。また、安倍総理大臣から、最近のイラクの治安強化に係る取組を評価している旨述べ、イラク中南部3県の危険レベルを引き下げる方針を伝達しました。さらに、安倍総理大臣から、日本企業がイラクに進出し、復興に更に貢献するためには良好なビジネス・投資環境の創出が鍵である旨述べ、その実現に向けたイラク政府の取組を要請しました。また、両首脳の立ち会いの下、円借款「バスラ上水道整備計画(第二期)」(194億1、500万円)及び「灌漑セクターローン(フェーズ2)」(154億6、500万円)に関する書簡の交換が行われました。
3 地域・国際情勢等
両首脳は、北朝鮮や中東を含む国際情勢について意見交換を行うとともに、国際場裡における協力について意見交換を行いました。 
●日・ブータン首脳会談 平成30年4月11日
本11日午後6時30分から約45分間、安倍晋三内閣総理大臣は、訪日中のツェリン・トブゲー・ブータン王国首相との間で首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
(1)安倍総理大臣から、2014年の訪日以来のトブゲー首相との再会を歓迎、日本とブータンの友好関係は、皇室・王室関係者の往来、経済協力などを通じて培われた信頼に裏打ちされており、トブゲー首相の今次訪日を契機に、日・ブータン関係を、政治、経済、文化、人的交流等、あらゆる分野で一層発展させていきたい旨述べました。
(2)これに対し、トブゲー首相から、日本による温かいおもてなしへの感謝と、これまでの日本からの幅広い分野における経済協力に対して深い謝意を述べるとともに、後発開発途上国(LDC)からの卒業を目指し、第12次5か年計画が本年7月から開始されるので日本からの支援を期待する旨述べました。
2 二国間関係
(1)二国間関係総論
ア 安倍総理大臣から、ブータンは、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有するパートナーであり、地政学的に重要な位置を占めるブータンを重視する、トブゲー首相と引き続き手を携えて両国関係の更なる強化に努めたい旨述べました。
イ これに対し、トブゲー首相から、日本が国際社会の平和と繁栄に向けてリーダーシップをとっていることに敬意を表したい、日本は国際社会の平和と安定に貢献する能力を有しており、国連安全保障理事会常任理事国入りを支持する、王室・皇室間の交流により関係が強化されている旨述べました。
(2)経済協力
ア 安倍総理大臣から、今後開始されるブータンの第12次5か年計画や、現在実施中の電力マスタープランの策定や橋梁建設の重要性を踏まえ、持続可能な成長と脆弱性の軽減を含む、ブータンの経済社会開発を支援していく旨述べました。また、今後、ブータンの若手行政官を始めとする優秀な人材に対し日本で研修する機会を確保する新たな事業を検討する旨述べました。
イ これに対し、トブゲー首相から、第11次5か年計画への日本の支援として、耕耘機や橋梁などに言及しつつ、第12次5か年計画などへの支援表明に感謝、さらに、新たな人材育成の事業に期待する旨述べました。
(3)人的交流
ア 安倍総理大臣から、日本はブータンに対し、これまでに青年海外協力隊員とシニア海外ボランティアを約600人派遣しており、今後、ブータンで需要のある、警察等の分野での更なるボランティア派遣を検討する旨述べました。また、ブータン人の日本語留学生の増加を歓迎し、留学生活の後押しのために連携したい旨述べました。
イ これに対し、トブゲー首相から、警察等の分野でのボランティア派遣の検討を歓迎するとともに、ブータンでの日本語能力試験の実施に向けて協力したい旨述べました。
3 地域情勢・国際情勢
両首脳は、北朝鮮問題を含む地域情勢について率直な意見交換を行いました。北朝鮮については、過去の教訓を踏まえると、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ不可逆な方法での核・ミサイルの廃棄を実現するために、最大限の圧力を維持しなければならないことを再確認しました。また、安倍総理大臣から、拉致問題の早期解決への理解と協力を求め、トブゲー首相から支持を得ました。 
●日・スイス首脳会談 平成30年4月12日
本12日午後4時10分から約40分間、安倍晋三内閣総理大臣は、訪日中のアラン・ベルセ・スイス連邦大統領兼内務大臣との間で首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。なお、首脳会談後、安倍総理大臣は、ベルセ大統領を歓迎するための夕食会を開催しました。夕食会は、日・スイス関係にゆかりのある方々を各界からお招きし、和やかな雰囲気の中で行われました。
1 二国間関係
(1)冒頭、安倍総理大臣から、ベルセ大統領の初訪日を歓迎するとともに、基本的価値を共有する重要なパートナーであるスイスと、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持のため連携したい旨述べました。
(2)ベルセ大統領から、日本とスイスは基本的価値を共有し、国交樹立から150年以上の間、日・スイス関係は様々な分野で発展しており、国際社会が直面する諸課題に協力して取り組んでいる旨述べました。
(3)また両首脳は、イノベーション立国を目指す両国の間で、科学技術分野における協力を一層推進することで一致しました。
2 北朝鮮
安倍総理大臣から、北朝鮮による完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での核・ミサイルの廃棄を実現するための圧力維持の必要性について説明し、両首脳は、北朝鮮の核・ミサイル廃棄の実現に向け協力していくことで一致しました。また、両首脳は拉致問題の早期解決の重要性について一致しました。
3 国際場裡における協力
両首脳は、国連やアジア欧州会合(ASEM)等多国間の協力枠組においても協力していくことで一致しました。 
●日米首脳会談 平成30年4月18日
4月17日及び18日(現地時間)、米国フロリダ州出張中の安倍晋三内閣総理大臣は、ドナルド・トランプ米国大統領と3回にわたって日米首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。(第1回:17日15時00分から約55分間、通訳のみが同席するテタテ(1対1)形式、第2回:17日15時55分から約70分間、少人数会合、第3回:18日14時50分頃から約1時間50分間、ワーキングランチ)。
1 北朝鮮
○ 両首脳は、来る米朝首脳会談を含めた北朝鮮問題への今後の対応に関し、両国の方針を綿密にすり合わせ、北朝鮮との接触(talks)の全ての分野に関して両国が完全に連携し続けるとの意思を表明した。また、引き続き、日米韓三か国が緊密に連携していくことが重要であることを確認した。
○ まず、両首脳は、最近、北朝鮮の側から対話を求めてきていることは、日米韓三か国が緊密に協力し、中国など国際社会とも連携して、北朝鮮に最大限の圧力をかけてきた成果であるとの認識を共有した。また、両首脳は、これまでの韓国政府の努力を賞賛した。
○ 両首脳は、北朝鮮自身から非核化に向けた具体的な取組が対外的に明らかにされていないことに留意し、引き続き、北朝鮮の意図をしっかりと分析することが必要であるとの認識で一致した。
○ その上で、両首脳は、北朝鮮に対して最大限の圧力を維持していくことを確認した。米国が「全ての選択肢がテーブルの上にある」との立場を維持していることを踏まえ、安倍総理は、このトランプ大統領の信念を持った姿勢への支持を改めて表明した。また両首脳は、北朝鮮が対話に応じることのみをもって、見返りを与えるべきではなく、この方針を国際社会として堅持する必要があるとの認識で一致した。
○ 両首脳は、北朝鮮の非核化の実現にコミットすることを確認した。両首脳はまた、北朝鮮が完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる弾道ミサイルの計画を放棄する必要があることを確認した。 両首脳は、こうした目的を達成するために北朝鮮が具体的な行動を取る必要があるとの認識を共有した。
○ 安倍総理は、トランプ大統領に対し、来る米朝首脳会談において拉致問題を取り上げるよう要請した。トランプ大統領は、昨年11月に訪日した際、拉致被害者の御家族と面会し、強い印象を受けたことに言及しつつ、金正恩国務委員長との会談でこの拉致問題を取り上げ、北朝鮮に対し日本人拉致問題の早期解決を働きかけることを確認した。
○ 両者は、韓国を含む国際的なパートナーと緊密に連携しながら、北朝鮮による制裁回避の問題に取り組み、国際社会が関連安保理決議を完全に履行することの重要性につき一致した。この文脈で、トランプ大統領は、北朝鮮関連船舶による違法な船舶間の物資の積替え(いわゆる「瀬取り」)に対する日本政府の取組を賞賛するとともに、米国は他の多様なパートナーと共に、日本と連携してこの取組を進めていくことを表明した。
○ 両首脳は、米朝首脳会談等を通じて、事態が打開されることへの期待感を共有するとともに、北朝鮮はアジア・太平洋の成長圏に隣接し、立地条件に恵まれている、また勤勉な労働力があって、天然資源もあり、北朝鮮が正しい道を歩めば市民を豊かにすることができる、それらを活用するなら、北朝鮮には経済を飛躍的に伸ばし、民政を改善する途があり得る、そこにこそ北朝鮮の明るい未来はあるとの認識で一致した。
2 経済
○ 両首脳は、インド太平洋地域における自由で公正な交易を守ることが必要であることを確認した。
○ 安倍総理から、日本企業による米国への投資と、それを通じた米国の雇用と輸出の拡大への貢献や、日本企業による米国産エネルギー購入額の増大等を説明し、トランプ大統領はこれを歓迎した。
○ 両首脳は、双方の利益となるように、日米間の貿易・投資を更に拡大させ、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域における経済発展を実現するために、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議」を開始し、これを麻生副総理とペンス副大統領の下で行われている日米経済対話に報告させることで一致した。
3 日米同盟
○ 現下の北朝鮮情勢を踏まえ、トランプ大統領は、核及び通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を通じた日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを改めて確認した。
○ 両首脳は、平和安全法制及びガイドラインの着実な実施を通じた日米安保協力の一層の推進を再確認した。
○ 両首脳は、在日米軍の運用能力及び抑止力を維持しつつ、引き続き沖縄を始めとする地元の負担を軽減するために、共に取り組みたい旨述べた。両首脳は、普天間飛行場の辺野古崎沖への移設が同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを改めて確認するとともに、同盟による地域の平和及び安全を提供する能力を確保するためにも、普天間飛行場代替施設(FRF)の建設計画の着実な実施を求めた。さらに、両首脳は、安全な運用に継続的にコミットしていくことで一致した。
○ 両首脳は、東シナ海及び南シナ海における状況について懸念を共有し、引き続き日米で共に連携していくことを再確認した。両首脳は、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されること、また、現状変更を試みるいかなる一方的行動にも反対することを再確認した。
○ 安倍総理から、厳しい安全保障環境に対応するため、今後とも米国装備品を含め、高性能な装備品を導入することが、我が国の防衛力強化のために重要であることを伝え、トランプ大統領はこれを歓迎した。
4 その他
○ 両首脳は、自由で開かれたインド太平洋地域の実現に向け、日米の協議が進展していることを歓迎するとともに、国際スタンダードに適合した質の高いインフラ開発を含め具体的な協力を進展させていくとの認識で一致した。
○ 両首脳は、中国についても議論を行い、中国が地域及び国際社会の平和、安全及び繁栄のために更なる貢献を行うよう働きかけていくことの重要性を共有した。 
 

 

●安倍外交の成果を問う 4/2
トランプ大統領は選挙期間中から、「貿易赤字が米国の雇用を奪っている、貿易赤字の原因は相手国の不公正な政策のためである」と、訴え続けてきました。そして、相手国の政策の変更を求め、聞かない場合には関税をかけ、赤字の削減を求めると宣言していました。
大統領の反自由貿易姿勢は、長年抱いてきた筋金入りの信念でしょう。しかし、この考え方は根本的に間違っています。米国は貯蓄率が低く、旺盛な消費によって消費財の輸入規模が大きい国です。一方、賃金等の生産コストの上昇により、製造業は比較優位を失い、競争力が低下しています。この米国の経済構造こそが、輸出の減少・輸入の増加を招き、赤字の要因となっています。
単に関税をかけ輸入を減らすという手法は、真の貿易赤字対策にはなりません。報復合戦が始まり、保護主義が連鎖拡大すれば、世界中が不利益を被ることになります。
しかし、米国は3月23日、鉄鋼輸入への関税25%とアルミニウム輸入への関税10%を課す措置を発動しました。本年11月に中間選挙(大統領選挙の中間の年、4年に1度実施される上下両院議員の選挙)が行われますので、トランプ支持層にアピールしようという狙いでしょう。
自国中心主義の「米国第一」よりも、もっと了見の狭い「支持者ファースト」といえる愚行です。しかし、各国は大統領を翻意させることも有効な対策を講じることもせず、関税措置の適用免除を得ようと躍起になりました。そして、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、欧州連合(EU)、メキシコ、韓国は関税の適用を免れました。
今回適用を免れた国々はみな、安全保障上の脅威を理由に米国が課した関税について、自国の輸出は米国の国家安全保障を脅かすことはないと強調したようです。国家安全保障のリスクという観点からすれば、日本の鉄鋼等の輸出もそのようなリスクはないはずです。けれども、日本は中国やロシア等と同様に関税措置の対象となってしまいました。
世界のリーダーの中で安倍総理ほどトランプ大統領との協調に前向きな人物はいなかったはずです。総理は大統領就任前のトランプ氏と他国の指導者に先駆けて真っ先に会談しました。その後も、彼の別荘を訪ねたり、一緒にゴルフに興じたり…。日米首脳間の個人的信頼関係は、日本外交にとって当面の好条件だと思われていました。
ところが、「日本の安倍総理らは、これほど長く、米国を上手く利用できるなんて信じられないとほくそ笑んでいるだろう。だが、こうした日々はもう終わりだ」と、トランプ大統領は言い放ちました。日本の対米黒字を標的にした2国間交渉を仕掛ける腹でしょう。
大統領自らが選んだ政府高官が次々とくび、あるいは辞任しています。同盟国といえども「トモダチ」などという生ぬるい関係ではなく、不利な政策転換が冷徹に迫られる可能性が大だと覚悟しておくべきでしょう。 
●安倍首相、「外交で挽回」とは考えが甘すぎる 4/3
満開だった桜も散り、新年度がスタートし、混迷が続く政局も新たな段階を迎えた。安倍晋三政権を揺さぶる「森友問題」は、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が終わっても真相究明には程遠く、内閣支持率が下落する中で内政面での危機打開策は見当たらない。そこで首相が狙うのが、連続的な首脳外交による政権浮揚だ。5年3カ月余の第2次政権では、何度か政権危機があったが、その都度、危機脱出のツールとなったのが「安倍外交」だからだ。
首相は4月中旬以降、「国会対応は他人事」といわんばかりの過密な首脳外交日程を設定しつつある。しかし、「外交での成果で急落した支持率を回復させようとの思惑はミエミエ」(共産党)との批判が多い。北朝鮮情勢を含めて日本を取り巻く外交環境は極めて危機的なだけに「日本が下手に手出しをすると大火傷する」(外交専門家)との指摘もある。今回の首相の外交攻勢は結果的に「とらぬ狸の皮算用」になりかねないリスクもはらんでいる。
今後3カ月の首相の外交日程は、未定のものも含めて、通常国会会期末(当初)の6月20日まで目白押しだ。まず、4月17日から20日に設定されたのが、ドナルド・トランプ米国大統領との日米首脳会談のための訪米。続いて4月末からの大型連休にはサウジアラビアなど中東各国を歴訪し、場合によってはイランにまで足を延ばす計画とされる。
また連休明けの5月上中旬には長年の懸案である日中韓首脳会談の東京開催を調整中で、続く下旬には首相がロシアを訪問してのウラジーミル・プーチン大統領との日ロ首脳会談が予定されている。さらに6月上旬には毎年開催の主要国首脳会議(G7サミット)でカナダを訪れるが、ここにきて、その前後に北朝鮮・平壌に乗り込んでの金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との日朝首脳会談実現も模索しているとされる。
対北朝鮮問題では「蚊帳の外」に置かれた日本
いずれも、今後の日本外交の進路にも直結する極めて重要な首脳外交だが、永田町・霞が関でも「あまりに過密で、首相の体力と精神力の限界を超えるのでは」(外交専門家)との不安が広がる。特に、北朝鮮核開発への対応が中心となる東アジアの安全保障問題は、金委員長の3月末の電撃訪中による中朝首脳会談以来、北朝鮮の外交攻勢が急進展する中、「日本が蚊帳の外に置かれていた」(同)ことで、首相の一枚看板だった「地球儀を俯瞰する外交」も色あせ始めている。
首相が「過去に例のないほど親密」と自賛する日米首脳の友好関係も、ここにきて「予測不能」のトランプ大統領が仕掛けた貿易戦争などで軋轢(あつれき)が強まっている。このため首相は今後、「過去5年余の安倍外交の成功体験」が通用しそうもない、極めて厳しい首脳外交の試練に直面することになる。
首相にとって、今回の外交攻勢の第一歩となるのが日米首脳会談だ。昨年2月の訪米時と同様に、トランプ大統領の別荘であるフロリダ州の「マールアラーゴ」での会談となり、3日間で2回の首脳会談と3度目のゴルフ対決が予定されているという。
北朝鮮危機打開のための歴史的米朝首脳会談が「5月中に開催」とされるだけに、日本側は「北の非核化」に加えて「拉致問題解決」を大統領に働きかける考えだ。対する米側は、このほど大統領が決定した鉄鋼・アルミ輸入制限措置に伴う日本への追加関税適用などの日米貿易交渉を絡めて、首相と政治的取引をする姿勢をにじませている。
日米両首脳はこれまで、「ドナルド・シンゾー」と呼び合う親密な関係を維持してきたが、大統領は今後の日米貿易交渉については「(安倍首相らの)笑顔を見ることは少ないだろう」とツイートするなどトランプ流ディール(取引)でけん制しており、表向きは仲のよさをアピールできても、現実的には両首脳の蜜月関係にひびが入る可能性も少なくない。このため、今回ばかりは重要課題での「完全な一致」などは期待できないのが実情だ。
そもそも、平昌五輪への選手団派遣表明から始まった"金正恩劇場"とも呼ばれる北朝鮮の外交攻勢は、各国関係者の度肝を抜く金委員長の電撃訪中による中朝首脳会談開催で、国際社会に衝撃を与えた。4月27日の開催が決まった金委員長と文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領との南北首脳会談と、その先のトランプ大統領との米朝首脳会談への地ならしであることは明らかだが、問題は、金委員長の訪中が米韓両国には事前に伝わっていたのに、日本にとっては「寝耳に水」(自民幹部)だったことだ。
置き去りの首相、「中国から説明受けたい」
3月27日の佐川氏証人喚問の翌日の28日に、中国が26日の首脳会談開催を録画も含めて公表したが、首相は国会答弁で、事前連絡もなかったという「外交的失態」を、事実上認めざるを得なかった。金委員長訪中を匂わす"お召列車"の中国入りの動画や写真が、インターネットに次々投稿されている中での失態は、「日本が北朝鮮問題で置き去りにされている」(自民幹部)との厳しい現実を国民の前に露わにした。
画像で見る限り、夫人同伴の歓迎行事で満面の笑みを浮かべて握手を繰り返すなど、中朝首脳は「中朝同盟関係」を世界にアピールした。トランプ大統領も会談直後の29日、「金正恩が私と会うのを楽しみに待っているとのメッセージを受け取った」とツイッターに書き込んだ。にもかかわらず首相が「中国からしっかりと説明を受けたい」などと国会で答弁している姿は、国民から「日本外交は大丈夫なのか」との声が出るのも当然だ。
だからこそ首相は、「トランプ大統領の最も信頼する相談相手」(外務省幹部)として、日米首脳会談で直談判する機会を求めたわけだ。ただ、「いったんは決まった」(首相周辺)とされる4月2日の首脳会談開催が、「米側の都合」で半月も先延ばしとなった経緯からも、「日米会談が首相の思惑通りの展開となるかは疑問」(自民幹部)との声が広がる。
また、首相にとって21回目となるプーチン大統領との日ロ首脳会談も一筋縄ではいきそうもない。金委員長が中朝首脳会談に続いて、ロ朝首脳会談のための電撃訪ロを模索しているとの情報も飛び交っており、首相が長年積み重ねてきたプーチン大統領との友好関係にも、北朝鮮への対応で亀裂の生じる可能性が指摘されている。その一方で、同大統領が日本の悲願の北方領土返還で譲歩する見通しもないとされるだけに、関係者の間でも日ロ会談での外交的成果に期待する向きは極めて少ないのが実情だ。
そこで、首相サイドが画策するのが、小泉純一郎元首相以来14年ぶりの日朝首脳会談だ。一部報道では「北朝鮮が6月初めを検討」と具体的日時まで取り沙汰され、政府も「検討中」(菅義偉官房長官)であることを認めている。もちろん、5月末までに米朝首脳会談が実現し、「北の非核化」などで一定の前進があることが大前提とされるが、自民党内からは「もし、首相が平壌に乗り込んで、金委員長から拉致被害者帰国の約束でも引き出せば、支持率も一気に回復する」(執行部)と期待する声も出る。まさに「起死回生の一打」(同)というわけだ。
ただ、北朝鮮側は日本政府が圧力強化を唱えていることに対し、3月中旬に「永遠に平壌行きのチケットが買えなくなる」と警告している。このため、同委員長が米中両国首脳に対して行ったような掌(てのひら)返しの「外交的変身」をしない限り、「日朝首脳会談が実現しても、北朝鮮が日本側の足元を見透かした強硬姿勢に出る」(日朝関係専門家)との見方が支配的だ。
2012年暮れの第2次政権発足以来、首相が進めてきた「地球儀を俯瞰する外交」は、国際社会でも一定の評価を獲得し、国民に対する「世界の安倍」のアピールで、高い内閣支持率を維持できる要因ともなってきた。国会での激しい与野党対立を招いた「新安保法制」や「共謀罪」を強行成立させる際に、首相が野党側の激しい政権攻撃をしのげたのも、「安倍外交」への国民レベルでの高評価が背景にあったことは間違いない。
あがけばあがくほど政権危機は強まる?
しかし、財務省による組織ぐるみの公文書改ざんという「平成政治史に残る大事件」(小泉進次郎自民党筆頭副幹事長)がもたらした「森友政局」での国民不信は、これまでの安倍政権を襲った政治スキャンダルとは「深刻さの次元が違う」(同)のは否定できない。政府与党首脳の間には「佐川氏喚問で疑惑追及は一段落」(自民執行部)との楽観論も広がるが、後半国会では、働き方改革関連法案など重要法案処理の見通しはまったく立っていない。
首相は今国会を何とか乗り切ることで9月の自民党総裁選での3選につなげたい考えとされるが、自民党額賀派の次期会長となる竹下亘総務会長は3月末の講演で「(総裁選は)1カ月前までは(首相の)3選が確実だった。(情勢は)ちょっとしたことでくるっと変わる。本当に分からない」と指摘した。その一方で、「内閣の大黒柱」とされる麻生太郎副総理兼財務相が「森友のほうがTPP11(11カ国による環太平洋経済連携協定)より重大と考えている」と新聞の報道ぶりを批判して、「森友問題の責任者の言葉とは思えない」などと野党や国民の猛反発を受けて謝罪に追い込まれたことも、政権危機を増幅している。
こうしてみると、4月中旬以降の連続首脳外交で、「あがけばあがくほど奈落の底に引きずりこまれる『森友政局』という蟻地獄」(自民長老)からの脱出を狙う安倍戦略が奏功するかどうかが、「夏以降の安倍政権の命運を決める」(自民幹部)ことになるのは間違いない。 
●政治記者50人に聞いた「安倍政権、いつまでもつか」の答え 4/17
「去年のモリ・カケだって乗り切ったじゃないか」安倍は周囲にこう語ったが、口調は気弱そのものだったという。政局をもっとも身近で観察する精鋭記者たちが、「真実」をこっそりと教えてくれた。
記者の7割が「総裁三選はない」
前代未聞の公文書改ざん騒動などで、安倍官邸は混乱に次ぐ混乱状態にある。5年半にわたる長期政権を支え、巧みな情報操作では人後に落ちない菅義偉官房長官や、総理秘書官の今井尚哉にしても、もはや制御不能なのだ。
官邸クラブ・平河クラブに所属する記者を中心に、第一線で安倍政権を取材する新聞・通信・テレビの記者たちは、すでにそのダッチロール現象を冷静に見極めている。本誌は政治記者50人に緊急アンケートを実施した。
安倍晋三は、今も総裁三選を夢見る。だが50人の記者のうち実に34人(68%)が、「安倍は三選されない(総理を辞める)」と考えているとわかった。
安倍政権の機関紙とまで言われてきた新聞のベテラン記者が記したコメントを読んで欲しい。
〈三選はもはや、ありえない。5月には退陣するのではないか。これまで「安倍べったり」だった読売新聞の幹部からも、読者離れを気にして、総理を支える雰囲気がなくなった〉(読売・40代・男)
〈昭恵夫人の国会招致が避けられない状況になれば即退陣。解散カードをちらつかせる力すら失い、今国会中の退陣は既定路線〉(産経・40代・男)
読売・産経両紙の紙面には決して載らない「記者の目」である。
いつになるのか?
安倍が総理の座を捨てる方法について、彼ら「政局のプロ」たちの意見は、大きく2つに分かれる。
1 9月の総裁選までに辞任する
2 辞任はしないが、総裁選出馬を断念する
1の辞任シナリオで、もっとも早いのが〈3月末の予算成立と引き替えに、4月に退陣〉(朝日・40代・男)というもの。
〈3月27日の佐川(宣寿)前国税庁長官の証人喚問で、かえって疑惑が深まり、昭恵夫人への喚問の声が強まる。持病の潰瘍性大腸炎が悪化すれば、すぐにでも幕引きするだろう〉(毎日・30代・男)
ただ、安倍よりも先に、麻生太郎の去就がポイントと考える記者が多い。50人中39人(78%)が、いずれ麻生は財務大臣を辞任するとみている。
〈財務省のトップが責任を取らなければ、内閣支持率の低下は止められない〉(時事・30代・男)
〈退任しかないだろう。あとは、タイミングだけだ〉(読売・40代・男)
だが、麻生の去就を巡って、官邸では混乱が続いている。根底に横たわるのは、官邸の守護神・菅と麻生との確執だ。
麻生は「辞めたくても辞められない」
3月中旬、財務省2階の大臣室を、菅が訪れた。
「もともと昭恵さんが悪いんだろう」
麻生のダミ声だ。絶叫に近い大声だったため、廊下にまで口論が聞こえてきたという。消費税への軽減税率導入の是非など、さまざまな点で対立してきた2人が、森友問題の幕引きを巡って意見が食い違った。もう菅のコントロールは利かない。
ある与党幹部が言う。
「麻生さんが『書き換えは3月11日に知った』と発言した後で、菅さんは『5日から6日にかけて国交省から書き換え前の文書の存在を知らされていた』と明らかにした。両者のあいだでは、事前のすり合わせすら不可能な状況に陥っている」
実は、書き換えを知った翌12日の時点で、麻生は財務大臣を最終的に辞任することを決断していた。幕引きを自分がはかることで、安倍に恩を売ろうと考えたのだとみられる。ところが――。
「菅さんは麻生さんに『辞任のタイミングではない。辞められたら困ります』と反対した。安倍総理も2度にわたって極秘に麻生さんと会談し、『辞めないでほしい』と懇願している。
麻生さんが辞任すれば総理の責任が追及され、政権が持たなくなるというのが、菅さんの判断だった」(同)
今回のアンケートでも、この安倍と菅の状況を読んだ回答がいくつかある。
〈麻生の辞任があれば、政権内のバランスは崩れる〉(産経・40代・男)
〈麻生が退任すれば、安倍総理へ矛先が向かい、総崩れになる可能性が高まる〉(共同・40代・男)
公明党幹部が言う。
「菅さんは時間稼ぎを狙っている。佐川氏の証人喚問では新事実が出ないから、いずれ世論はおさまるとみている」
それで済むはずもない。
もう金正恩に会うしかない
いまや安倍の頼みの綱は、ただの一つしかない。
〈南北会談、米朝会談と、日本が外交で取り残されるなか、北朝鮮関連でなんらかの緊迫状況が起こり、その対応に一気に目がいけば、安倍が救われる〉(毎日・40代・男)
外交。安倍がもっとも得意としてきた分野のひとつだ。その「神風」効果に頼るほかないのだ。
〈昨年は窮地に陥るたび、北朝鮮のミサイル問題への対応で危機を脱してきたが、今回は金正恩の暴走は考えにくいから、窮地を脱する「切り札」がない〉(北海道・40代・男)という声もあるが、官邸は懸命に外交スケジュールを組み立てている。
「4月訪米でのトランプ会談が、まずは最大のチャンスだ。GWには、40年ぶりの首相訪問となるイランをはじめとした中東歴訪を計画し、帰国後すぐ東京で日中韓首脳会談を設定する。外交で一定の主導権を握れば、森友問題の目くらましにはなる」(官邸幹部)
さらに、秘書官の今井と内閣官房副長官の杉田和博が、外務省を経由して躍起になっているのが、失地挽回のための「ウルトラC」である。
「南北会談と米朝会談の後、6月下旬には日朝首脳会談を設定し、拉致被害者の帰還を金正恩に約束させる。ここまでこぎ着けられれば、支持率は必ず持ち直す」(同)
安倍の最大の「願望」である。その頃、国会会期が終了し、森友問題の追及も収束すれば――。
〈支持率を下げても戻してきた過去がある。今回の森友問題で、直接の総理の関与の証拠があるわけでもないから、会期さえ終われば、支持率は戻る〉(毎日・40代・男)
かくして、今までのシナリオ通り、安倍が三選される――そう考える記者が、50人中16人(32%)いるのも事実なのだ。
〈通常ならば、『内閣支持率が下がれば選挙に勝てなくなる』と、総理への辞任圧力がかかるものだが、今年は国政選挙がないうえ、野党は分裂状況で非常に弱い。そのため、安倍総理が地位にしがみつくことが可能になる〉(日経・30代・男)
鍵を握るのはやはり「進次郎」
9月の総裁選まで、安倍は辞任しないという。ただ、そうであっても、安倍が総裁選出馬を断念するという意見も多い。
〈少しでも負ける可能性があるなら、出ないだろう。だから支持率と他派閥の情勢を見極めたうえで、出馬を断念し、岸田への禅譲路線を考える〉(NHK・40代・男)
ポスト安倍は誰か?今回の結果は以下だ。
1 石破茂(17人)
2 岸田文雄(16人)
3 安倍晋三(16人)
4 河野太郎(1人)
安倍が辞めるなら、石破か岸田かの一騎打ちだ。
〈禅譲シナリオも含めて、岸田が本命。ただ、来年の参院選も睨んだ人気取りのために、アンチ安倍で改革イメージのある石破に勝機が出る可能性はある〉(毎日・50代・男)
〈小泉進次郎が石破につけば、党員票を含めて石破が勝つ公算が大きくなるし、そうなれば新竹下派も二階派もなびく〉(共同・40代・男)
〈佐川喚問では何も終わらず、昭恵夫人の証人喚問が行われないかぎり、国会は空転を続け、政権は崩壊することになるだろう〉(毎日・40代・男)
すでに政局は大きく動き出している。 
●日米首脳会談〜安倍首相はどこまで「したたか」に取り組めるか 4/19
日米首脳会談〜ポイントは拉致問題と経済問題
安倍総理大臣とトランプ大統領の日米首脳会談は、2日目の本日、両国の貿易や投資などについて議論を重ねた。総理は日本の立場を説明したうえで、貿易や投資問題を話し合う新たな枠組みを提案したと見られている。
飯田> まず全体として2日間、どうご覧になりましたか?
鈴木> ポイントはまさに「拉致問題」です。これを米朝首脳会談でちゃんと取り上げて欲しいというのを、トランプ大統領が「分かった」と言うのかどうか。それと、日米間の貿易問題ですね。通商問題と言ってもいい。これでアメリカは1対1の交渉で、FTA(自由貿易協定)で。とにかくアメリカファーストの人ですから、アメリカに都合のいいことばかり押しつけてきて、日本はどうなのか。日本はTPPでしっかり枠組みを作ってアメリカに備えるのを我慢して、いままでやってきた。このせめぎ合いですね。
初日は、「北朝鮮の拉致問題を米朝首脳会談で取り上げる」と言ったのは、進展だと思います。だけど、経済でどこまで押し込まれるのか。日本が押し返すのか。どういうタフな交渉になったか。そこが大きなポイントだと思います。
飯田> 経済についての2日目の会合の頭の部分だけ、カメラも入っていましたが、トランプ大統領は「何しろ貿易赤字が問題だ」と。「これを削減。縮小均衡にしたい」と仰っていたとか。
最後に安全保障を持ち出してくる米〜安倍首相が試される会談
鈴木> 日本からすれば言い分は山ほどあります。だけど、古くは通産省(現在の経済産業省)のOBの人たちも言うけれど、とにかく日米の1対1の通商交渉は、常に日本は負けてきている。かつて橋本龍太郎さんが大臣のとき一矢報いましたが、他はほとんど負けている。何故かというと、結局アメリカは、最後に安全保障を持ち出すんですよ。「誰が日本を守ってる?」と言われたとき、どうしても日本は譲らざるを得ない部分がある。まさにいまがそれです。北朝鮮のことでも、「拉致問題解決についてお願いする。さあ、その代わりに通商交渉では?」みたいに言われたとき、どこまで日本が筋を通していくのか。その辺、安倍総理は非常に難しい、試される会談になると思います。
飯田> 経産省の官僚に聞くと、「アメリカが言ってくるより前に外務省もストップをかける」みたいな話もしています。
経済に関してはTPPを絡めながらのタフな駆け引きとなる
鈴木> 安倍総理とトランプ大統領は、世界の首脳のなかでも非常に密接ですが、「パートナー」としてということであれば、なおさらイエスマンではなく、言うべきことは言うような関係になって欲しい。少なくとも言うべきことは言う姿勢を見せていくのは、大事だと思います。それが、安倍さんの下降中の支持率を跳ね返す試金石にもなってくる。今度の日米首脳会談の成果というのは、そこが、支持率を挽回できるかということにも直結するのです。
飯田> 日米首脳会談後の共同記者会見がアメリカのフロリダ州でこれから行われますが、いま安倍総理とトランプ大統領が会見場に入ってきて、まずはトランプ大統領から冒頭発言となっていますね。これはホスト役の首脳側からやるということです。
2日目の議論は拡大した形で。総理だけでなく、西村官房副長官とか、茂木経済財政担当大臣も中に入っている。向こう側もUSTR(米通商代表部)のライトハイザーさんだったり。異例と言われましたよね。「新しい形で、茂木さんとライトハイザーさんがやる」みたいな報道もありましたが……。
鈴木> いままでは麻生さんとペンスさん。副総理と副大統領でやっていましたが、もう少し多様化するような交渉になっていくだろうと見ていいと思います。単純に2トップがやるのではなく、TPPも絡めながらの駆け引きになってきますね。1対1の交渉しながらTPPのステージにどう戻せるか。ようするに、「こっちを譲り、こっちを取る」みたいな複雑な交渉になっていく。それで、経済閣僚が日本も入っているということは、実はこの首脳会談では、北よりも、経済。実務的なところで言うと、経済の方が大きな課題になっている可能性があります。
飯田> それで言うと、韓国に対しアメリカがFTAの再交渉をやって、為替の条項を入れてきましたよね。「通貨安、あまりやるなよ」と。これが日本に対しても来ると、けっこうキツいものがありますね。
鈴木> ようは、この通商交渉を見る場合、従来の日米……これは安倍さん周辺の外交ブレーン議員が言っていたのだけど、「日米問題と言うより、トランプ・日本問題」と。
飯田> ようするに、個人ですね?
米国内に向けての外交をするトランプ大統領
鈴木> そうです。トランプという珍しい大統領。何かというと、すでに中間選挙ではなく2期目に向け、国内でいろいろな準備を始めているくらいなのです。トランプ大統領の支持率は、コアなところでは止まっていますが、いまだに高くない。そういうなかで、トランプの政策は常に国内向け。国内の世論や支持率、支持層に向けられている。これが言い換えればアメリカファーストということかもしれないけど、トランプファーストなのですよ。だから、それでいくと、何を言ってくるのか分からない。逆に言うと、昨日まで言っていたことを急に変えてくることもある。さらに逆に言うと、日本を利用することもある。たとえば今度の米朝首脳会談も、日本は一生懸命に必死に「圧力だ!」と連携してきたけれど、CIA長官のポンペオさんが極秘に北朝鮮に行っていた。これも驚きましたよね。実はそこまで水面下で米朝で事前に話をしていた。こういうことが、日本にちゃんと教えられてきたのか。ハシゴを外されていないか。
トランプは「初の米朝首脳会談」と盛んに言うわけですよ。これはどこに向けて言っているのか。「世界の問題」とまで、昨日安倍さんと一緒のときも言いましたよね。「世界のトランプ」を演出することにより、国内世論に向けてということを考えているのではないかな、と。
日米通商交渉でも、彼のアメリカでの支援者・業界に有利になるような形に何を言い出すか分からない。日米というより、トランプを見極めて日本も対応しなければいけない。この辺が、従来の日米通商交渉と違うと、安倍さん周辺が言っています。
飯田> アメリカの世論みたいなものに、ものすごく敏感ということですね。すると、外交交渉で1対1ということもありますが世論工作みたいなところ、この辺が中国や韓国の上手いところじゃないですか。日本も負けていられないところですね。
安倍首相に求められる外交での「したたかさ」
鈴木> これも前から言っています。安倍さんは外交に自信を持ってやっていますが、たとえば北朝鮮問題も、みんなで「圧力」と言っていましたが、逆に日本だけ抜け駆けして「拉致問題してくれるなら、独自に日朝首脳会談して、平壌宣言に戻してもう1度やってもいいよ」くらいのことをやる「したたか外交」が、安倍さんの課題になってくると思います。
飯田> トランプ大統領の冒頭発言がまだ続いていますが、メモでの情報によると、まずシリア攻撃についても言及し、「素晴らしい作戦だった。同盟国の働きに感謝する」と。「北への最大限の圧力を総理と確認した。朝鮮半島を非核化する、日米で緊密に連携する」と発言したようです。「北へ最大限の圧力を確認」という意味では、既存の路線を確認し、朝鮮半島の非核化に言及……この辺は予想されたところではありますね。
鈴木> そうですね。非核化はもちろんです。日本にとっては、拉致問題をどこまで入れ込んでくれるのか。本気でどこまでやってくれるのかを見なければダメですね。 
●安倍政権の外交成果を絶対に認めない朝日新聞 4/21
朝日新聞・佐藤武嗣編集委員が4月19日付で「トランプ氏に押し切られ、出し抜かれ…首相、乏しい成果」とのタイトルの記事を書いています。
「乏しい効果」とのことですが、朝日新聞は「安倍首相が今回の訪米でどのぐらいの成果を出すもの」と期待していたのでしょうか。その点を明確にした状態で論評しなければ、後付けで書き手が好きなように評価を下すことが可能になる実態を把握する必要があると言えるでしょう。
「米フロリダ州のトランプ米大統領の別荘地を訪問中の安倍晋三首相は18日(日本時間19日)、日米首脳会談の2日目に臨んだ。日本との貿易不均衡に不満を募らすトランプ氏が、二国間の自由貿易協定(FTA)の早期協議を強く迫り、首相も通商問題を二国間で協議する新たな枠組みを設置することで合意した。」
朝日新聞が報じた記事の論調は以下のものです。
○ 通商面
・ アメリカに TPP 復帰を促す考えも、トランプ大統領がツイッターで事前に否定
・ 二国間の貿易協議の場を設けることで押し切られる
・ 鉄鋼・アルミ関税撤廃の成果を得られず
○ 外交面(=北朝鮮情勢)
・ ポンペオ CIA 長官が極秘で北朝鮮を訪問→ 安倍首相はトランプ大統領に出し抜かれた
・ 拉致問題の解決が “他国任せ” では道筋を描くこともおぼつかない
・ 日本の対北朝鮮政策が練り直しを迫られることは間違いない
内容は「安倍政権を批判するため」という主張で成り立っており、記事そのものにも問題があるレベルと言えるでしょう。批判するために都合の良い出来事のみをピックアップしているからです。
通商交渉は「引き分け(=ドロー)」で終わった
朝日新聞は「安倍政権が期待するアメリカの TPP 復帰はトランプ大統領が事前に否定した」との理由で、安倍政権を批判しています。しかし、日米 FTA を期待するアメリカも、「FTA 交渉には応じない」と麻生財務相に釘を刺されているのです。
また、「二国間で貿易協議する新たな枠組みを設ける」との発表から押し切られたと結論づけていますが、内容を意図的に隠していることが問題です。
・ 日本名:自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議
・ 英語名:talks for free, fair and reciprocal trade deals
読者に「『枠組み協議』に合意した」との印象を朝日新聞(や佐藤編集委員)は抱かせたいのでしょう。しかし、英語では "talks" であり、「意見交換の場を設ける」との意味合いが強いのです。
日米の双方が期待する結果(日本は TPP、アメリカは FTA)を得ていないのですから、「押し切った」との評価は不適切です。朝日新聞は「安倍首相が今回の訪米でトランプ大統領に TPP 再加入を決断させること」が成果の判断基準としていたのでしょうか。評価基準を明記することもメディアの責務と言えるでしょう。
「北朝鮮情勢についての成果」は認められる
次に、安倍首相の北朝鮮外交は「圧力と対話」という方針です。
経済制裁を科す形で「圧力」を加え、米朝首脳会談という「対話」という形になったのです。朝日新聞は「圧力がなくても、北朝鮮は対話に応じた」と主張したいのでしょうか。その認識が間違いであることは北朝鮮が示してきた態度が示していると言えるでしょう。
「日本は蚊帳の外に置かれた」と左派は主張したいのでしょうが、そもそもの認識に誤りがある状態です。中国が主導する AIIB (アジアインフラ投資銀行)の件と同じ轍を踏んでいることを思い出さなければなりません。
ポンペオ CIA 長官が北朝鮮を極秘訪問したことで「トランプ大統領に出し抜かれた」と(朝日新聞が)言うなら、安倍首相だけでなくムン・ジェイン大統領(韓国)や習近平総書記(中国)も出し抜かれたことになります。
北朝鮮情勢は “具体的な進展” を見せておらず、日本の対北朝鮮政策を急いで変更する必要性は現時点では皆無なのです。少なくとも、拉致問題が解決するまで国交正常化に向けた動きを本格化させる必要はありませんし、ましてや経済協力金の拠出など以ての外という姿勢を貫く必要があるのです。

「アメリカとの通商交渉」にせよ、「北朝鮮情勢」にせよ、これからが本番なのです。『最終目標』と『(最終目標のために)現時点で取り組んでいる課題』を “一緒くた” にした状態で評価するなど論外であることを自覚しなければなりません。
朝日新聞の論評は「今回の交渉で『最終目標』を達成できなかった安倍政権の成果は乏しい限り」と批判していることと同じという認識を持っておく必要があると言えるのではないでしょうか。 
●「偏差値バカ」財務省… 強まる「消費増税凍結」論 4/23
 安倍首相は対北外交で成果挙げ衆院解散か
財務省が「無間地獄」に落ち込んだ。決裁文書改竄(かいざん)に加え、福田淳一事務次官(58)のセクハラ発言疑惑など、前代未聞の不祥事を次々と引き起こし、最強官庁の信頼は地に落ちた。霞が関のスーパーエリートの実態は「偏差値バカ」と見破られ、「消費税率10%への引き上げは絶望的」との見方が強まっている。「何でも反対」の野党陣営は国会審議に応じず徹底抗戦の構えだが、日米首脳会談を終えて帰国する安倍晋三首相は局面転換を模索している。永田町では、安倍首相が国会会期末までに、北朝鮮問題などで外交成果を挙げ、「『消費増税凍結』などを争点に、衆院を解散し、国民に信を問うのでは」との観測も広がりつつある。
安倍首相は20日夕、ドナルド・トランプ米大統領との首脳会談を含む一連の訪米日程を終えて、帰国した。
注目の首脳会談では「強固な日米関係」を確認し、北朝鮮問題で「拉致被害者の帰国」と「核・ミサイル放棄」まで、最大限の圧力を維持する方針で一致した。貿易問題では、閣僚レベルで「自由で公正な貿易のための日米協議」を開始することで合意した。
逆風続きの政権にとって、「外交での得点」をアピールする絶好の機会だったが、日本の報道は「財務省スキャンダル」にかき消された。
ハレンチ極まるセクハラ疑惑の泥沼化を招いた「主犯」の1人は、麻生太郎副総理兼財務相だ。組織防衛を最優先する財務省の暴走を、所管閣僚として制御できなかったことは、明らかだ。
福田氏は18日、麻生氏に辞意を申し出て、「事実上の更迭」となったが、与党内からも「遅きに失した」との批判が噴出した。麻生氏が、官邸の「更迭判断」を16日に覆していなければ、逆風はここまで強まらなかったはずだ。
財務省は、セクハラ発言を否定する福田氏の主張を踏まえ、省の顧問弁護士を通じて報道各社の女性記者に調査協力を要請した。これには「恫喝(どうかつ)だ」「第三者性を確保できない」などと激しい反発が巻き起こり、財務省記者クラブが抗議文を提出する事態に発展した。
19日には、テレビ朝日が女性記者の「セクハラ被害」を公表し、財務省に抗議文を提出した。「週刊新潮」も最新号で、福田氏の新たなセクハラ発言を公表した。
ところが、福田氏は「(会話の)全体をみれば、セクハラに該当しない」などと、悪あがきとも受け取れる姿勢を崩していない。
全体を見なくても、女性記者に「抱きしめていい?」「胸触っていい?」「キスしていい?」といったフレーズを発しただけで即アウトだ。国家公務員試験に上位合格した秀才集団は、単なる常識知らずなのか。
止まらない「不祥事の連鎖」と「傲慢体質」に、倒閣運動ありきの野党は「安倍首相も辞めていただかないと、膿のもとは絶てない」(立憲民主党の辻元清美国対委員長)などと、内閣総辞職への圧力を強める。
こうしたなか、国民に新たな負担を強いる来年10月の消費税増税は厳しくなってきた。政府・与党内でも、増税後に予想される個人消費の落ち込みを防ぐための景気対策議論は停滞している。
永田町では、内閣支持率は下落したが、政党支持率で「自民党1強」が変わっていない状況を受けて、「安倍首相は、対北朝鮮外交で成果を挙げ、内閣支持率が上昇すれば、『増税凍結・延期』を掲げて解散に打って出るはずだ」と、主戦論を唱える自民党関係者もいる。
こうした状況をどうみるか。
経済ジャーナリストの荻原博子氏は「これまで景気回復の実感が広がっていないところに、決裁文書改竄(かいざん)やセクハラ発言疑惑などの財務省の不祥事が直撃した。増税など、とうてい不可能だ。強行すれば、国民から『財務省をつぶせ!』と怒りの声が巻き起こり、混乱が拡大するだろう」と述べた。
事態の打開には、「政治のリーダーシップ」が不可欠との声もある。
経済評論家の上念司氏は「財務省に自浄作用は期待できない。組織を解体し、歳入と歳出の担当部門を分離するとともに、日銀がインフレ目標を達成するまで、増税は止めるべきだ。実現には政治主導の力が必要で、何でも『安倍政権批判』に結びつけるのは、間違っている」と指摘している。 
●低下した支持を外交成果で挽回?安倍内閣 4/28
GW中に閣僚13人が外遊―中国メディア
2018年4月27日、環球網は、支持率が低下している安倍晋三内閣が民意を取り戻すべく、ゴールデンウイーク期間中に閣僚が各国を飛び回って精力的に活動すると報じた。
記事は「日本では28日より約10日間のゴールデンウイークに入る。しかし安倍内閣は基本的に休むことなく、軒並み外国を訪問する予定だ。中東諸国を歴訪する安倍首相のほか、13人の閣僚が海外出張を行う」とした。
そして、安倍首相が29日から5月3日までイスラエル、パキスタン、アラブ首長国連邦、ヨルダンを正式訪問し、中東諸国との経済面、国防面の関係を強化するとともに、中等の和平に努力する友好的な姿勢を示す予定であることを紹介。河野太郎外相は5月2日から6日にかけて韓国と米国を訪問し、両国外相と日米同盟や日米間の協力関係について意見交換すると伝えている。
また、財務省の一連のスキャンダルについて野党から責任追及の声が出ている麻生太郎副首相・財務相は3日にフィリピンで開かれるアジア開発銀行の年次総会に出席し、小野寺五典防衛相は4日よりエストニアとフィンランドを訪問すると紹介した。
そのうえで、「東アジア情勢の変化に対応するため、ゴールデンウイーク中に外遊する閣僚が昨年より3人増えた。同時に、森友・加計学園問題などのスキャンダルが頻出して政府に対する批判や疑念が浴びせられるなか、安倍内閣は外交成果によって民意を取り戻そうと試みている」との分析が日本メディアから出ていることを伝えた。 
●南北会談で“外交の安倍”のウソが露呈 4/30
南北首脳会談が終わり、ゴールデンウィークが始まった。
これに先立ち、安倍政権の支持率低下に危機感を募らせた安倍総理は、北朝鮮問題で蚊帳の外にされているというイメージ払しょくを狙って日米首脳会談を行ったが、米朝首脳会談で拉致問題を取り上げると約束してもらっただけで何の成果もなく帰国した。
追い打ちをかけるように、南北首脳会談では、南北に米を加えた3カ国、または米中2カ国を加えた4カ国協議を行うことが発表され、ますます「蚊帳の外」のイメージが広がってしまった。
「外交の安倍」は完全に不発どころか、逆にそれで躓いてしまった安倍総理としては、次の切り札である「経済の安倍」で勝負するしかなくなってきた。そのため、来年秋の消費税増税の影響緩和を大義名分として、来年度予算での巨額の対策費計上などが早くも画策されている。いつも繰り返される支持率目当てのただの大盤振る舞いである。
しかし、いくら目の前の株価や大企業の利益が上昇したからと言って、地方経済を含めた日本経済の競争力が回復するわけではない。安倍総理の立場に立っても、このままでは、彼にとっての最重要課題である中国との軍拡競争に勝ち抜くことなど夢のまた夢という状況だ。
日本経済の長期展望を語る時、財政赤字や少子高齢化と社会保障の問題などが議論の中心になっている。しかし、私が最も不安に感じているのは、日本の競争力の源が揺らいでいるということだ。中でも、人材と新規事業の創出における日本の立ち位置を冷静に見つめてみると、凍り付くほどの恐怖感に囚われる。
先進国から転落しかかっている日本
まず、これはかなり広く認識されていることかもしれないが、日本は今どれくらい裕福な国だと見ることができるのかを再確認しておきたい。国民の豊かさを図る代表的指標が一人当たり国内総生産(名目GDP)だ。そのランキングで見ると、日本は世界何位くらいに位置するのかと聞かれたら、先進国のトップが集まるG7(先進国首脳会議)というものがあるから、3位くらいか、まあ、悪くても7位くらいかなと思う人がいるかもしれない。しかし、日本の順位は世界25位(2017年のIMF統計より)。90年代は、最高3位で、一貫してベスト10に入っていたから、その地位の低下は明らかだ。25位と言えば、先進国から転落寸前と言っても良い。
そうは言っても、アジア・中東諸国に比べれば、まだまだ断トツ1位だろうと考えたくなるが、実はアジア・中東でも、日本の位置づけは大きく後退している。順位は毎年変動するが、17年は、マカオ、カタール、シンガポール、香港、イスラエルに次いで6位(2017年のIMF統計より)である。イスラエルとは為替レート次第で順位は入れ替わる可能性はあるが、今やシンガポールに追いつくのはほとんど不可能という状況だ。
経済規模では、まだまだ日本の規模は大きいが、ついこの間中国にGDPで抜かれたと思ったら、今や中国は日本の2.5倍近くにまで成長している。つまり、日本経済の規模は中国の4割程度しかないのだが、これも意外と知られていない。
将来を担う企業が育たない日本
米中では、新興企業が短期間で急成長し、世界を動かす影響力を持つまでになるが、日本ではそういう動きが全くない。安倍政権もそうした事態を憂慮し、お得意の「成長戦略」で、新興企業などのビジネス環境を他国に負けない水準にしようとぶち上げた。その時のスローガンが、世界銀行が発表するビジネス環境ランキングで「先進国3位を目指す」というものだった。そもそも、「先進国」3位としたのは、ビジネス環境の整備には途上国が非常に力を入れていて、既に上位に陣取っているので、世界3位というとあまりにも実現性がないから、先進国に限って3位に入ろうというまやかしの目標にしたのだ。しかし、この構想は全く不発。かえって順位を落とす結果となった。2017年の世界ランキングでは、日本はベスト20にも入れず34位。35位のロシアに激しく追い立てられるという始末だ。ベスト5には、1位のニュージーランドに続いて、2位シンガポール、4位韓国、5位香港とアジア3カ国が並び(表1)、この他にも15位に台湾が入っている。
つまり、世界各国が新規事業を育てようとそのための環境整備に邁進しているので、日本が多少アリバイ作りの政策をやっているだけでは、完全に置いてきぼりになっているということなのだ。このままでは、さらに世界との差は開き、新規事業の成長で大きな後れをとるのは確実だ。
将来を担う人材教育でアジアに遅れる日本
日本経済の将来を占ううえで最も重要なのが、人材だ。そこでも日本はアジア諸国に大きく遅れている。
世界の大学ランキングというものがあるが、実は、日本の大学は、東大でも世界46位と大きく順位を下げている(Times Higher Education2018)」。
世界ではどうしてもアメリカやイギリスの大学が上位に入るので、アジアだけのランキングで見るとどうなるか。当然東大が1位だと思う人が多いかもしれないが、実は、毎年順位を落としてついに8位まで下がってしまった。1位シンガポール国立大学、2位清華大学(中国)、3位北京大学(中国)、4位香港大学、5位香港科技大学、5位南洋理工大学(シンガポール)、7位香港中文大学で9位と10位は韓国の大学である。上位21校中(20位が2校あるので21校)のうち、日本は東大と京大(11位)の2校だけ。中国は7校、韓国と香港が5校、シンガポール2校だった。
将来のことを考えると、子供や孫の進学では、東大や京大よりも中国やシンガポールや香港の大学を勧めた方が良いということになるのだが、実は、日本人には、これらの大学に進学するのは極めて難しい。語学の壁があるということもあるが、それ以上に入試のレベルが、中国などの大学の方が日本よりもはるかに難しいからだ。
中国の受験競争の激しさは有名だが、その厳しさに負けて、日本の高校に留学して日本の一流大学を目指す動きがここにきて急速に強まっている。先日もNHKのニュースで放送していたが、宮崎県の私立高校が中国で留学生獲得の営業をかけたら多くの優秀な中国の学生が応募してきた。今や学生の過半が中国人で、日本の大学に全員が合格している。留学生に聞くと、中国で良い大学に入るのは難しいから諦めて、日本の大学を目指すことにしたという。彼らにとっては、日本語で受けるとしても、まだ中国よりは易しいというのである。それほど、日本と中国の若者の学力に差がついているということになる。
この傾向は、経営大学院(MBA)については、より顕著だ。フィナンシャルタイムズが発表した世界のMBAランキング2018では、ベスト100のうち大半はアメリカの大学院だが、アメリカ以外では、英国の14校に次いで2番目に多くランクインしたのが、中国の7校だった。1位スタンフォード(米)、2位INSEAD(仏)、3位ペンシルバニア大ウォートン校などの常連に交じり、何と中国の中欧国際工商学院が8位とベスト10入りをして世界を驚かせている。その下に続く9位がMIT(マサチューセッツ工科大)、10位カリフォルニア大バークレー校と聞けば、そのすごさがよくわかる。5、6、7位がハーバード、シカゴ、コロンビアだが、今の勢いだと、10年以内にトップの座を占める可能性もあると言われるほどだ。ちなみに、この大学院の卒業生の卒業直後3年の平均年収は、16万2858ドル。1ドル110円で計算すると1791万円だ。日本のMBAを卒業してもほとんど箔付け程度にしかならないのと比べると雲泥の差と言って良いだろう。
この中国の大躍進に対して、日本のMBAがベスト100にいくつ入っているのだろうかと思って、ランキングを上から順にスクロールしてみると、ついに一番下の100位まで行っても発見することはできなかった。つまり、100位以内にゼロである。中国の7校に比べて、何とも寂しい話だ。
これらの情報は秘密でも何でもない。新聞などでも報じられている。ただし、記者に何の問題意識もないので、これが何を意味するのかが理解できず、極めて小さな扱いでごく一部の情報を載せるだけである。
一方、優秀な若者は徐々にこうした事実に気づき始め、東大よりも海外の有名大学を目指す動きが広がっている。しかし、それは、残念ながら、まだごく一部である。
それを象徴する話を聞いた。元民主党女性議員の令嬢が、上智大学を卒業後、香港の大学院に進学した。それをその元議員が友達に話したら、「上智まで出たのに、なんでまた、香港なんかに出したの?」という反応ばかりが返ってくるというのだ。その元議員の令嬢は、メールでこう連絡して来たという。
「ママ、中国は日本をドンドン追い越してるのに、日本人は、気づいてない。それって、相当ヤバくない?ここで勉強したことをちゃんと生かせる仕事がないから、日本に帰っても仕方ないね。アメリカかシンガポールで仕事を探すわ。給料もずっと高いから」
もう一人、カリフォルニア大バークレー校でMBAを取って、アメリカで今年起業したある日本人の若者の話を聞いた。
「日本に帰る理由を考えたけど、一つもなかった。強いて挙げれば、そこそこおいしいご飯がタダ同然で食べられることかな。ランチの定食が10ドル(1100円)なんて信じられないよね。アメリカだと、その何倍もするからね。でも、アメリカの大都市なら、お金さえ出せば、おいしい店はたくさんあるし、日本の何倍も稼げるから、結局、安いご飯は大した魅力にはならないな」
そして、こう付け加えた。
「日本人留学生は、ほとんどが政府や企業のひも付きで、日本に帰る前提で勉強している。留学は箔付けというレベルだから、米国で独立して活躍できる人材は少ないね。中国人ならたくさんいるよ」
日本の未来を支えるはずの若者のレベルが国際比較でこんなに低下しているとしたら、日本経済の将来は本当に危機的状況にあると言って良いだろう。
しかし、よく考えると、それ以前に、「日本礼賛」論がもてはやされる中、こうした事態を国民が認識していないこと、そして、何よりも安倍総理という政府のトップがその深刻さを全く理解する能力がないように見えることこそ、最大の危機ではないだろうか。  
 
 
 
 2018/5

 

●日・ヨルダン首脳会談 平成30年5月1日
5月1日午前11時30分から約60分間、ヨルダンを訪問中の安倍総理は、アブドッラー2世・ヨルダン国王陛下と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 両首脳は、まず、地域情勢(北朝鮮、シリア、中東和平)につき議論を行い(少人数会合:約30分)、その後、二国間関係(経済協力、経済、治安・テロ対策)につき議論を行いました(拡大会合:約30分)。
2 地域情勢については、
(1)まず、北朝鮮については、安倍総理から、最新の状況及び日本の立場に
ついて説明しました。具体的には、核武装した北朝鮮は決して認められない、北朝鮮よる大量破壊兵器及び弾道ミサイルのCVIDを実現するため、最大限の圧力を維持しなければならない、中東が制裁の抜け穴となってはならない、ヨルダンによる北朝鮮との外交関係の断絶を高く評価する、拉致問題について早期解決に向けて理解と協力を要請するといった点を述べました。これに対しアブドッラー国王は、北朝鮮に対する日本の立場を支持する旨を再確認しました。
(2)中東和平について、アブドッラー国王から、二国家解決、エルサレムを巡る問題、UNRWA(ウンルワ)などに関する日本の立場に感謝する旨の発言があり、両首脳は、中東和平プロセスを再開させる必要があること、当事者間の対話が重要であること、米国の関与が重要であることで一致しました。またアブドッラー国王から、「平和と繁栄の回廊」構想に対する高い評価が示されました。
(3)シリア情勢について、シリア危機の解決のためには、政治プロセスの進展が重要であること、また、米国やロシアの役割が重要であることについて両首脳は意見の一致をみました。
そのほか、イランやサウジアラビアを巡る情勢についても意見交換を行い、地域の安定に向けて日本、ヨルダン両国で協力を進めていくことを確認しました。
3 二国間関係については、
(1)安倍総理からは、(ア)昨年9月以来の再会を嬉しく思う、(イ)伝統的友好関係にあるヨルダンとは、前回訪問以降の3年間に、外交、安全保障、経済などあらゆる分野で協力が強化されてきた、(ウ)今回の訪問を機に、両国の関係を戦略的パートナーシップに格上げし、今後、協力を飛躍的に発展させたい旨を述べました。
(2)経済協力については、安倍総理から、ヨルダンの安定は地域の安定に不可欠であり、ヨルダンの社会的・経済的安定を確保し、発展を後押しするために、引き続き可能な支援を行う考えを述べ、支援の具体策として、以下を述べました。
(ア)難民受入れの負担軽減のため、ヨルダンとレバノンを対象に、世銀のグローバル譲許的資金ファシリティ(GCFF)を通じた支援を実施してきており、今般新たにGCFFに1000万ドルの早期拠出を行うこと。
(イ)シリア危機に関連し、ヨルダン向けに400万ドルの緊急無償資金協力を行うこと。
(ウ)多くのパレスチナ難民を抱えるヨルダンにとって重大な問題であるUNRWAが財政的に厳しい状況にあることを受け、日本は、3月に2350万ドル、4月に1000万ドルの新たな支援を表明していること。
こうした日本の取組に対し、アブドッラー国王から深い謝意の表明がありました。
(3)経済については、両首脳は、今般、二国間投資協定が実質合意に至ったことを歓迎し、これが、両国の経済関係が飛躍するきっかけとなることへの期待を表明しました。
(4)治安・テロ対策については、ISILの支配地域は縮小したが、テロ・暴力的過激主義がグローバルな課題であること、アカバ・プロセスに関するアブドッラー国王のイニシアティブが有効であること、4月29日に河野大臣が出席した第2回アカバ・プロセス会合の成功を歓迎すること、今後もこの分野での協力も着実に進展させていくことを歓迎しました。アブドッラー国王から、特にアカバ・プロセスに関する日本との協力に感謝する旨の発言がありました。 
●日・パレスチナ首脳会談 平成30年5月1日
5月1日午後7時15分から約45分間、パレスチナを訪問した安倍総理大臣は、マフムード・アッバース・パレスチナ大統領と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
アッバース大統領から、安倍総理に対する歓迎の辞、それから日本のパレスチナに対する変わらぬ支援について、深い謝意の表明があり、これに続けてパレスチナを巡る状況について説明がありました。これに続き、安倍総理から、2年ぶりの再会を歓迎しつつ、今回は、エルサレム問題等、厳しい状況にあるパレスチナに対して、日本は二国家解決を支持しており、また、和平に積極的な役割を果たす決意を伝えるために来訪した旨述べました。また、第一次安倍政権時に建設に合意したジェリコ農産加工団地、いわゆるJAIPを翌2日に初訪問することに触れ、今次訪問による日本パレスチナ関係の更なる発展を期待する旨述べました。
2 中東和平
引き続き、両首脳は、中東和平について議論をしました。安倍総理からは、日本は、パレスチナにとってエルサレム問題がいかに機微かを良く理解しており、エルサレム問題を含め、これまでの国連諸決議や当事者間の合意に基づき、交渉により解決すべきとの立場であり、日本は大使館をエルサレムに移すつもりはない旨説明しました。また、米国の役割は不可欠であり、米国から提案の提示があれば、これに向き合い交渉につくことが重要であること、最終的には、当事者間の直接交渉がなければ解決には至らない旨指摘しました。さらに、日本は、アッバース大統領の非暴力と平和路線を支持する、交渉を始めるための環境づくりのためできるだけのことをする旨伝えました。これに対し、アッバース大統領から、日本による一貫した支持、支援に対する感謝の表明があり、中東和平の実現に向けた日本の役割に期待する旨述べました。
3 対パレスチナ支援
次にパレスチナ支援に関して、安倍総理から、日本はこれまで約18.6億ドルのパレスチナ向け支援を実施してきたこと、4月24日に国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への1千万ドルの追加支援を決定したこと、また新規食糧支援も行う用意があること、さらにガザでの水等の基礎インフラは最低限の生活に必須であり、日本は、ガザ中央淡水化プラント建設計画に対し、1千万ドルを上限とした支援を行う旨を既に表明していること等につき説明しました
4 「平和と繁栄の回廊」構想
次に、「平和と繁栄の回廊」構想に関し、両首脳は、JAIPからヨルダン国境までのアクセス道路建設に関する、四者閣僚会合での合意を歓迎し、安倍総理から、日本は、アクセス道路建設を支援する用意がある旨、そして早期着工を期待している旨を述べました。アッバース大統領からは、このプロジェクトはメイドインジャパンであり、素晴らしいものである、パレスチナに希望を与えるものであり、今後とも協力していきたい旨発言がありました。
5 パレスチナ情勢
安倍総理から、パレスチナ情勢に関し、ガザの人道状況の改善と安定には、パレスチナの和解を通じ、パレスチナ自治政府がガザを統治することが不可欠である旨述べ、これに対して、アッバース大統領から、パレスチナ民族評議会(PNC)の成果を含めた今後の見通しについて説明がありました。
6 北朝鮮情勢
北朝鮮情勢につき、安倍総理から、大量破壊兵器と弾道ミサイルについての完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な非核化(CVID)を実現するため、最大限の圧力を維持しなければならない、中東が制裁の抜け穴となってはならない、さらに拉致問題は最重要課題である、といった日本の立場について説明しました。アッバース大統領からは、日本の立場を支持する、拉致問題の解決に向けて協力していきたい旨の発言がありました。 
●日・イスラエル首脳会談 平成30年5月2日
5月2日午後12時5分から約130分間、イスラエルを訪問した安倍総理大臣は、ビンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 首脳会談
(1)冒頭
ネタニヤフ首相から訪問を歓迎する旨述べ、二国間関係の進展の評価とともに、さらにその関係を強化・拡充していくことへの期待が示されました。これに対し安倍総理から、3年ぶりにイスラエルを訪問し、再会できて嬉しい旨述べ、日イスラエル関係が、第二次安倍政権発足時と比べ、日本からの投資額は約120倍、進出企業数は約3倍になるなど、経済を中心に飛躍的に発展していることは大変喜ばしい旨述べました。その上で、今次訪問を機に、ネタニヤフ首相と共に今後、経済分野、政治・安全保障分野を含め両国関係全体の強化を、一層加速化させていきたい旨述べました。
(2)二国間関係
二国間関係について、両首脳は、両国は共に厳しい安全保障上の課題に直面していることを確認し、経済的な関係の発展を歓迎しつつ、今後は政治・安全保障面も含めて戦略的な協力を深化させていくことを確認しました。この観点から、両首脳は、新たに外務・防衛当局間協議を立ち上げることで一致しました。また、安倍総理から、変化の早いサイバーの脅威に対し、国を挙げて対処するイスラエルの取組を高く評価する旨述べ、両首脳はサイバー面での協力を強化していくことを確認しました。両首脳は、イスラエルのベイルシェバにあるサイバーセキュリティーコンプレックスへ専門家を派遣することに合意しました。安倍総理は、サイバー能力やイノベーションの基となる科学技術は両国とも得意分野であり、多様な研究開発協力の進展を望む旨述べ、これにネタニヤフ首相も同意しました。さらに、安倍総理から、昨年、「日イスラエル・イノベーション・ネットワーク(JIIN)」が設置されたことに触れ、若手起業家のイスラエル派遣、サイバー、イノベーション、バイオ等の先端分野のセミナーやマッチング等を推進予定である旨述べました。これに対し、ネタニヤフ首相からは、このような日本の取組や姿勢を評価し、日本の技術とイスラエルのイノベーションを組み合わせれば、大きな可能性が広がることに触れ、様々な分野で協力関係を深化させていきたい旨述べました。
(3)中東和平
中東和平に関し、安倍総理から、日本は二国家解決を支持していること、和平実現には当事者の直接対話及び米国の関与が不可欠であり、イスラエルの建設的関与も重要である旨述べつつ、入植活動についても自制を求めました。さらに、「平和と繁栄の回廊」構想の推進についても議論し、安倍総理は、4月29日の四者閣僚会合でのJAIPからヨルダン国境までのアクセス道路建設の合意を歓迎する旨述べ、早期着工に向けたイスラエルの引き続きの協力を要請しました。これに対し、ネタニヤフ首相から、「平和と繁栄の回廊」構想に関する日本の取り組みを歓迎し、これに関する取り組みを強化していく、和平プロセスの進展のためには当事者間の対話が重要である、といった発言がありました。
(4)北朝鮮
北朝鮮問題について、安倍総理から、北朝鮮の具体的な行動を見極める必要であること、過去の教訓を踏まえ、制裁緩和のタイミングを誤ってはならないこと、核武装した北朝鮮は決して認められないこと、北朝鮮によるCVID(WMD及び弾道ミサイル)を実現するため、最大限の圧力を維持しなければならないこと、中東が制裁の抜け穴になってはならず、引き続きイスラエルとも連携し、各国に北朝鮮との関係の見直しや制裁回避への対応強化を呼びかけたい、拉致問題の早期解決に向け、理解と協力を要請、こういった日本の立場を表明しました。これに対し、ネタニヤフ首相から、日本の立場を完全に支持する旨の発言がありました。
2 拡大首脳会談
続いて、日本企業関係者を交えた日イスラエル拡大首脳会談が開催され、主要日本企業8社の代表らが出席しました。冒頭、安倍総理から、両国の経済関係は飛躍的に発展しており、第二次安倍政権発足時と比べ、イスラエルに進出した日本企業数は25社から70社となり3倍、日本からの投資額は11億円から1、300億円に達し、120倍となった旨述べ、二国間投資協定も発効、益々の関係拡大が見込まれると述べました。さらに、官民合同のJIINのプログラム等を通じて、民間企業同士の関係拡大、ビジネス関係者の往来を増加させたいとの考え方でイスラエル側と一致した点について触れました。また、紅海死海プロジェクトは、地域の水不足の改善に寄与すると同時に、地域の信頼醸成にも資する事業と認識している旨、日本企業も関心を示しており、事業の円滑な進展を期待している旨述べました。最後に、イスラエルとの関係が深い日本企業の幹部に同行いただいた点に触れ、今後、日・イスラエル関係拡大の担い手となってくれることを期待する旨述べました。これを受け、ネタニヤフ首相からは、両国間の経済面の協力強化に対する期待が示されました。同行した日本企業の関係者からも発言があり、ネタニヤフ首相からはイスラエル企業の紹介や同企業との連携の可能性について言及がありました。最後に安倍総理から、今回イスラエルを訪問した日本企業が、イスラエルにおける投資や事業を拡大させ、両国関係の強化の礎となっていくことを期待する旨述べて締めくくりました。 
●第7回日中韓サミット 平成30年5月9日
5月9日(水曜日)午前10時から11時15分まで東京の迎賓館において第7回日中韓サミットが開催されたところ、概要以下のとおり(出席者:安倍総理大臣、李克強中国国務院総理、文在寅韓国大統領)。
1 総論
(1)初の単独開催から10年目の本年、約2年半ぶりの日中韓サミットで日中韓協力の現状・将来について議論。サミットの定期開催を再確認した。協力の新たなスタートを切り、「開かれ包摂的な」日中韓協力に向けた連携を促進した。
(2)南北首脳会談直後、米朝首脳会談を控える重要なタイミングで開催されたことを踏まえ、地域の平和と繁栄に大きな責任を共有する3か国首脳が集まる機会に、北朝鮮情勢を始め、自由貿易の推進など地域・国際情勢についても議論。
2 日中韓協力
(1)3首脳は、幅広い分野における3か国協力の着実な進展を歓迎し、そのための日中韓協力事務局(TCS)による取組を評価した。また、個別の協力案件の現状や将来の方向性について議論を行った。オリンピック・パラリンピックを契機とした人的交流をはじめ、金融、エネルギー、環境、防災、情報通信等における協力を推進することについて一致した。また、日中韓協力をより「開かれ包摂的な」形に進化させていくことについても確認した。
(2)安倍総理からは、この10年の取組みについて、「未来志向で包括的な協力を探求することを決意した」と述べた第1回日中韓サミットの共同声明の精神を強調したい、未来志向の協力は着実に進展した、投資協定の発効に加えFTA交渉が進行中、人的交流は倍増、前回サミット以降、21の閣僚級会合が開催され、100以上の協力プログラムを実施、また、日中韓三国協力事務局の設置により日中韓協力が「制度化」した、第1回サミットからちょうど10年であり、協力の新たなスタートを切りたいと述べた。
3 地域・国際情勢
(1)北朝鮮問題
3首脳は、朝鮮半島の完全な非核化という共通の目標を確認するとともに、北東アジアの平和と安定に向け、引き続き緊密に協力していくことで一致した。
3首脳は、北朝鮮による、核兵器を含む大量破壊兵器及び弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での廃棄に向け、安保理決議に従って、3か国で協力を進めることを確認した。安倍総理からは、北朝鮮に具体的な行動をとらせる必要があること旨強調した。
また、拉致問題ついては、安倍総理から、早期解決に向けた両首脳の支援と協力を呼びかけ、理解を得た。
3首脳は、どうすれば、北朝鮮が正しい道を歩み、明るい未来を描いていくことができるのか、その道筋について、率直な意見交換を行った。安倍総理からは、拉致、核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、日朝平壌宣言に基づき、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指すとの考えに変わりない旨述べた。
(2)東アジア地域協力
3首脳は、EAS、ASEAN+3で連携していくことやASEAN統合に共に貢献していくことについて一致した。安倍総理からは、日本は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進していく、こうした考え方に賛同して頂きたい旨述べた。
(3)国際経済
3首脳は、自由貿易を推進し、質の高いRCEPの早期妥結及び日中韓FTAの交渉加速化に向けて連携していくことで一致した。安倍総理からは、日本はアベノミクスによりデフレ脱却への道筋を確実に進んでいる、活力ある日本を作り、地域と世界の経済成長に貢献したい旨述べた。
(4)地球規模課題
3首脳は、SDGsの推進、保健、気候変動等の分野で連携していくことで一致した。安倍総理からは、テロ、サイバー犯罪、違法薬物取引といった国境を越える犯罪に関し、日中韓が一致団結し、水際取り締まりや第三国の能力構築を含む対策を強化したい等述べた。 
●日韓首脳会談 平成30年5月9日
安倍総理大臣は、5月9日午後1時頃から約50分間、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領と日韓首脳会談を行い、その後ワーキング・ランチ形式の昼食会を約1時間行ったところ、概要以下のとおり。
1 冒頭、安倍総理から、文在寅大統領の訪日を改めて歓迎する、南北首脳会談直後の電話会談、そして、徐薫(ソ・フン)国家情報院長の派遣を通じた、詳細な情報共有に感謝する旨述べた。また、文大統領のリーダーシップにより実現した歴史的な南北首脳会談を契機として、北朝鮮の非核化に向けて前向きな動きが見られることを歓迎するとともに、来る米朝首脳会談に向けて、日韓で力を合わせ、北朝鮮から具体的な行動を引き出したい旨述べた。さらに、本年は、「日韓パートナーシップ宣言」20周年の記念の年であり、未来志向の日韓関係構築に向けて文大統領と共に努力したい旨述べた。
2 両首脳は、日中韓サミットに引き続き、北朝鮮問題の解決に向けた具体的な方策を議論した。安倍総理からは、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄(CVID)との目標を堅持すべき旨述べた。両首脳は、北朝鮮による豊渓里(プンゲリ)核実験場の閉鎖は非核化に向けた前向きな動きであり、米朝の枠組みを通じて、北朝鮮から、既に発表されている核実験・ICBM試験発射の中止及び豊渓里核実験場の廃棄のみならず、CVIDのための更なる具体的な行動を引き出していくことで一致した。拉致問題については、安倍総理から、文大統領が拉致問題に関する日本の立場を金正恩委員長に直接伝えたことに改めて謝意を表し、両首脳は、拉致問題の一日も早い解決に向けて引き続き協力していくことで一致した。
3 さらに、日韓関係について、両首脳は、今年10月に「日韓パートナーシップ宣言」20周年を迎えることも踏まえ、日韓関係を未来志向で発展させていくことを確認し、今後10月の20周年に向けて外交当局間で議論を進めていくことで一致した。また、安倍総理から「そのためにも困難な問題を適切にマネージすることが重要である」旨を述べ、在釜山総前の「労働者像」の問題や慰安婦問題に関する日韓合意について提起した。その上で両首脳は未来志向の関係を築くために困難な問題をマネージしていくことが重要との認識で一致した。
4 最後に、両首脳は、引き続き両首脳による「シャトル外交」を実施していくことで一致し、具体的な日程については外交ルートで調整していくことで一致した。 
●李克強・中国国務院総理の訪日 平成30年5月9日
安倍総理は、5月9日午後4時15分頃から約1時間50分、迎賓館において、公賓として来日中の李克強(り・こくきょう)中国国務院総理との間で日中首脳会談を行うとともに、歓迎晩餐会を催したところ、概要は以下のとおりです。(当方:河野外務大臣、世耕経産大臣、西村官房副長官、野上官房副長官、谷内国家安全保障局長、横井駐中国大使ほか、先方:王毅国務委員兼外交部長、何立峰国家発展改革委員会主任、鐘山商務部長、程永華駐日大使ほか同席)。
1 冒頭発言
(1)安倍総理から、李総理の再任を祝し、再任後初の外遊先として日本を選んだことに謝意を表明した。また、日中平和友好条約締結40周年を日中関係の新たなスタートとなる年としたい旨述べ、概要以下のとおり発言した。
ア 両国の協力や交流をあらゆる分野で拡大し、「戦略的互恵関係」の下、全面的な関係改善を進め、日中関係を新たな段階に押し上げていきたい。
イ 李総理の訪日を第一歩として、今後、自分の年内訪中、そして、習近平国家主席の訪日と着実にハイレベル往来を積み重ねていきたい。首脳同士の相互往来を通じて、日中関係の進展を両国国民に実感してもらうことが重要。
ウ 日中両国は、地域及び国際社会の平和と繁栄に大きな責任を共有。両国関係の改善・発展は、各国の期待に応えることにもなる。李総理と共に努力していきたい。
(2)これに対し、李総理から、概要以下の発言があった。
ア 重ねての訪日招請に感謝。今回、自分は総理就任後初めて訪日。
イ ここ数年、両国は風雨を経て曲がり道をたどったが、本日の歓迎式典に参加し、風雲は過ぎ去り晴れ空となった。
ウ 国際会議でお会いした際、関係改善への希望、お互い歩み寄ることの必要性をお話しした。その後、改善の勢いを保ち、今回の自分の公式訪問により、両国関係は正常な軌道に戻った。今後、新たな発展を得て長期にわたる安定した健全な発展を目指すべき。
エ 両国は、世界の主要な経済体として、重要な責任を有している。
オ 40周年の機会に条約の精神を振り返り、両国関係が正常な軌道に戻ることは、両国の利益のみならず、世界の期待にも応えるもの。
2 日中関係総論
(1)李総理から、冒頭発言を敷衍する形で、日中関係に関する中国側の基本的な考え方につき説明があり、これに対して安倍総理からは、日中平和友好条約締結40周年に触れつつ、先人達の精神を受け継ぎ、より成熟した日中関係へと向かう新たな道を切り開いていきたい旨述べ、特に首脳同士の信頼関係の構築が重要である旨を強調した。
(2)また、李総理からは、安倍総理の年内訪中について招請があり、両首脳は、安倍総理の年内訪中、そして、その後の習近平国家主席の訪日と着実にハイレベル往来を積み重ねていくことで一致した。
3 経済関係の強化
(1)安倍総理から、本年は中国の改革開放40周年であること、日本は一貫して中国の改革開放政策を支持・支援してきており、日本の対中投資は1兆円、中国における日本企業の拠点数は3万を超え、中国の雇用創出にも大きく貢献していることを説明の上、この基礎の上に、経済分野での新たな協力関係を構築していくことの重要性を強調した。李総理からは、日本の中国の改革開放政策に対するこれまでの関与を振り返りつつ、共に自由貿易を擁護したいとの発言があった。
(2)両首脳は、4月に行われた日中ハイレベル経済対話の議論も踏まえ、主に以下の点で一致した。
ア 新技術や急速な少子高齢化への対応の中での新たな協力分野の開拓
両首脳は、これら分野に関連する当局間の覚書が署名されたことを歓迎した。
イ 自由経済貿易体制の維持・推進のための、国際ルールに基づく、自由で開かれた、公正な経済秩序の構築
(ア)両首脳は、日中社会保障協定への署名を歓迎するとともに、両国企業の負担軽減を実現するため、同協定の早期締結を目指すこととした。
(イ)金融協力について、安倍総理から、中国の最近の金融市場の対外開放措置を歓迎するとともに、金融協力の実現に向けた大きな進展への期待を述べた。これに対し、李総理からは、日本に対して2、000億元(約3.4兆円)の人民元適格外国機関投資家(RQFII)枠を付与することが伝えられた。また、両首脳は、人民元クリアリング銀行の設置、円=元の通貨スワップ協定の締結のための作業を早期に完了させることで一致した。さらに、李総理は、日系金融機関への債券業務ライセンスの付与及び中国市場参入について法令に基づき早期に進める旨述べた。
(ウ)両首脳は、食品貿易について、日本産コメの対中輸出拡大に向け、精米工場等の追加が今回実現したことを歓迎した。また、東日本大震災後の日本産食品に対する輸入規制について、共同専門家グループを設立することで一致した。
(エ)両首脳は、RCEPや日中韓FTAの交渉についても連携を強化することを確認した。
ウ 第三国における協力や地球規模課題への対応
(ア)両首脳は、第三国における日中民間経済協力について、日中ハイレベル経済対話の下、省庁横断・官民合同で議論する新たな「委員会」を設け、具体的な案件を議論していくこと、また、民間企業間の交流の場として「フォーラム」を安倍総理の訪中の際に開催することで一致。
(イ)安倍総理からは、開放性、透明性、経済性、財政健全性等の国際スタンダードが確保されることを踏まえた上で、個別案件ごとに協力の可能性を検討するとの日本の立場を改めて説明。
(ウ)気候変動や生物多様性等の環境問題及びSDGs(持続可能な開発目標)を始めとする共通の課題についても協力を深めていくことを確認。
4 国民交流の促進
(1)両首脳は、良好な国民感情が二国間関係の安定的な発展に不可欠の基礎であるとの認識を共有し、本年の「40周年」記念事業や2020年の東京オリンピック・パラリンピック及び2022年の北京オリンピック・パラリンピックの機会も活用しつつ、観光、文化、防災等、あらゆる分野の国民交流をこれまで以上に促進していくことで一致した。
(2)観光交流については、昨年の中国人訪日観光客が延べ736万人に上ったこと、李総理が長年、日中間の青少年交流に尽力してきたこと等が話題になり、引き続きこうした国民間の往来を後押しすることで一致した。
(3)安倍総理から、今般の日中映画共同製作協定への署名や、本年4月に日中文化交流政府間協議が9年ぶりに再開したことに言及した上で、文化交流を進めることを確認した。
(4)安倍総理から、2008年の四川大地震に対する日本の支援や、2011年の東日本大震災に対する中国の支援について言及した上で、防災分野での協力を進めることを確認した。
(5)李総理から、両国親善の象徴として、中国から日本に対して新たなトキ2羽の供与を行う旨が表明され、安倍総理から謝意を表明した。
(6)両首脳は、人的往来の基礎となる領事分野での協力を進めることで一致し、特に、日中犯罪人引渡条約及び日中受刑者移送条約の早期締結に向けて交渉を加速することで一致した。
5 海洋・安全保障
(1)両首脳は、東シナ海の平和と安定が日中関係改善の基礎であるとの考えの下、東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするとの共通認識を改めて確認した。
(2)両首脳は、海洋・安全保障分野における相互信頼醸成の重要性について認識を共有し、この観点から、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムが10年に及ぶ協議を経て妥結したことを歓迎した。また、これを契機として、両国の防衛当局間の対話と交流を更に促進することでも一致した。この関連で、先般、6年ぶりに再開した佐官級交流の重要性についても言及があった。
(3)両首脳は、東シナ海資源開発に関する「2008年合意」について、その完全な堅持を確認し、その実施のための協議の再開を目指して意思疎通を一層強化することで一致した。
(4)両首脳は、日中海上捜索救助(SAR)協定の早期締結に向けた作業や、海上法執行機関の信頼醸成や海洋環境・海事分野の協力の加速・拡大でも一致した。また、日中安保対話や日中高級事務レベル海洋協議等の枠組みの重要性を確認した。
6 北朝鮮
(1)安倍総理から、先週(5月4日)習近平国家主席との間で初の電話会談を行い、率直かつ有意義な意見交換を行うことができたことを述べつつ、その上で、最近の北朝鮮の動きは、日米や中国が国際社会と連携して北朝鮮に圧力をかけてきた成果であり、今週(5月7−8日)の金正恩委員長による訪中も含め、中国の努力を評価した。
(2)両首脳は、北朝鮮の非核化が日中共通の目標であることを確認するとともに、先般の南北首脳会談を前向きな動きとして歓迎した。
(3)安倍総理からは、北朝鮮による、全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全、検証可能、かつ、不可逆的な方法での廃棄を実現するよう、日中で連携していくことが重要である旨述べ、両首脳は、安保理決議の完全な履行は引き続き日中共通の立場であることを確認した。
(4)安倍総理からは日朝平壌宣言に基づき、拉致、核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を目指すとの考えに変わりはないとの考えを伝えた上で、拉致問題の早期解決に向け、日中間で協力していくことで一致した。
7 晩餐会
(1)5月9日午後7時5分頃から約1時間半、安倍総理主催の歓迎晩餐会が開かれ、両首脳は、経済交流等の話題について、友好的な雰囲気の下で懇談を行った。
(2)晩餐会には、日本側から、政治、経済、文化等の各分野において日中関係の発展のために貢献のあった関係者が招待された。 
●日・サモア首脳会談及び夕食会 平成30年5月15日
本15日、午後6時15分から約50分間、安倍晋三内閣総理大臣は、公式実務訪問賓客にて訪日中のトゥイラエパ・ファティアロファ・ルペソリアイ・サイレレ・マリエレガオイ・サモア独立国首相兼外務貿易大臣と首脳会談を行い、続いて同首相と夕食会を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、トゥイラエパ首相の訪日を歓迎するとともに、第8回太平洋・島サミット(PALM8)では、日本と太平洋島嶼国のパートナーシップの深化や協力の強化につき有意義な議論を行い、トゥイラエパ首相と共に成功に導きたい旨述べました。これに対し、トゥイラエパ首相から、日本政府の心のこもったおもてなしに感謝する、日本を公式の賓客として訪問するのは初めてであり、PALMの共同議長としての日程とひと続きの日程を組んで頂き感謝する、PALMは日本と太平洋島嶼国の関係の鍵となる重要な枠組みである旨述べられました。
2 また、安倍総理大臣から、医療機材供与のための約2億円の無償資金協力を行う考えを表明し、サモアの自立的・持続的発展を後押ししたい旨述べました。これに対して、トゥイラエパ首相から長年の日本によるサモアの重要セクターに対する援助に対し謝意が表明されました。また、両首脳は、スポーツ交流・人的交流の強化についても一致しました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の具体化に向けて連携していきたい旨述べ、トゥイラエパ首相から同戦略の下でのパートナーシップの重要性への認識が示されました。また、両首脳は北朝鮮を含む地域情勢での連携、国際場裡での協力強化で一致しました。
4 首脳会談後、日本とサモア及び太平洋島嶼国全体との関係強化に長年にわたり貢献してきたトゥイラエパ首相の功績に感謝と敬意を表し、安倍総理大臣からトゥイラエパ首相に対し、旭日大綬章を伝達しました。
引き続いての夕食会は、非常に和やかな雰囲気で行われ、幅広い話題について意見交換が行われました。 
●日・パラオ首脳会談 平成30年5月18日
本18日、午後3時20分から約20分間、安倍晋三内閣総理大臣は、第8回太平洋・島サミット(PALM8)出席のため福島県いわき市滞在中のトミー・E・レメンゲサウ・Jr.・パラオ共和国大統領と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、来年はパラオ独立、日パラオ外交関係開設25周年の年であり、両国関係を一層緊密化していきたい旨述べるとともに、PALM8では海洋の安全保障や海上保安能力の向上、気候変動、防災等の地域が抱える課題について議論したい旨発言しました。また、16日に署名式を実施したバベルダオブ島の廃棄物処分場に関する無償資金協力(約13億円)等を通じて、日本は引き続きパラオの持続可能な発展を後押ししたい旨述べました。
2 これに対し、レメンゲサウ大統領から、日本がPALM8を主催することに感謝の意が示され、更に、廃棄物処分場に関する支援は、パラオの環境保全にとって重要であるとして日本の支援に対して感謝の意が示されました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、パラオと連携・協力していきたい旨述べました。これに対し、レメンゲサウ大統領から、全ての国は法の支配を重視すべきである旨述べ、双方は、同戦略の下で連携していくことで一致しました。
4 レメンゲサウ大統領から、パラオは、日本の天皇・皇后両陛下の訪問された日を祝日としており、毎年多くの日本人が訪れる旨を紹介し、安倍総理大臣から謝意が示されました。
5 この他、安倍総理大臣から、日本漁船の安定的な操業への配慮、遺骨収集事業における協力を要請しました。両首脳は、捕鯨等の国際社会における課題及び協力や北朝鮮を含む地域情勢について意見交換を行いました。 
●日・ミクロネシア首脳会談 平成30年5月18日
本18日、午後3時50分から約15分間、安倍晋三内閣総理大臣は、第8回太平洋・島サミット(PALM8)出席のため福島県いわき市滞在中のピーター・マーティン・クリスチャン・ミクロネシア連邦大統領と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、本年は日ミクロネシア外交関係開設30周年であり、両国関係を一層緊密化していきたい旨述べるとともに、PALM8では海洋安全保障や気候変動、防災等の地域が抱える課題について議論したい旨発言しました。また、防災・減災能力の強化のため2億円の無償資金協力を行う考えを表明しました。
2 これに対し、クリスチャン大統領から、長年にわたる日本の支援に対して感謝の意が表されるとともに、PALM8の成功に向けた日本のリーダーシップに敬意を表する旨述べました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、ミクロネシアと連携・協力していきたい旨述べました。これに対し、クリスチャン大統領から、引き続き緊密に連携していきたいとの意向が示されました。
4 この他、安倍総理大臣から、日本漁船の安定的な操業への配慮、遺骨収集事業における協力、拉致問題の早期解決に向けた協力を要請しました。クリスチャン大統領からは、北朝鮮問題での連携の意が表明されました。 
●日・マーシャル首脳会談 平成30年5月18日
本18日、午後4時15分から約30分間、安倍晋三内閣総理大臣は、第8回太平洋・島サミット(PALM8)出席のため福島県いわき市滞在中のヒルダ・C・ハイネ・マーシャル諸島共和国大統領と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、本年は日マーシャル外交関係開設30周年であり、両国関係を一層緊密化していきたい旨述べるとともに、PALM8では海洋安全保障や気候変動、防災等の地域が抱える課題について議論したい旨発言しました。また、海洋環境保全の促進のため2億円の無償資金協力を行う考えを表明しました。
2 これに対し、ハイネ大統領から、長年にわたる日本の支援に対して感謝の意が表され、双方はPALM8の成功に向けて協力していくことで一致しました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、マーシャルと連携・協力していきたい旨述べ、双方は同戦略の下、連携していくことで一致しました。
4 この他、安倍総理大臣から、日本漁船の安定的な操業への配慮、遺骨収集事業における協力を要請しました。両首脳は、捕鯨等の国際社会における課題及び協力や北朝鮮を含む地域情勢について意見交換を行いました。 
●日・キリバス首脳会談 平成30年5月18日
本18日、午後4時50分から約20分間、安倍晋三内閣総理大臣は、第8回太平洋・島サミット(PALM8)出席のため福島県いわき市滞在中のターネス・マーマウ・キリバス共和国大統領と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、マーマウ大統領の訪日を歓迎するとともに、明日のPALM8では海洋の安全保障・海上保安能力の向上、気候変動や防災等の地域の課題について充実した議論をしたい旨述べました。また、災害に強いインフラ整備等のため3億円の無償資金協力を行う考えを表明しました。
2 これに対し、マーマウ大統領から、長年にわたる日本の支援に対して感謝の意が表され、双方はPALM8の成功に向けて協力していくことで一致しました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、キリバスと連携・協力していきたい旨述べ、双方は議論を継続していくことで一致しました。
4 この他、安倍総理大臣から、日本漁船の安定的な操業への配慮を要請しました。両首脳は、捕鯨等の国際社会における課題及び協力や北朝鮮を含む地域情勢について意見交換を行いました。 
●日・クック首脳会談 平成30年5月18日
本18日、午後5時20分から約20分間、安倍晋三内閣総理大臣は、第8回太平洋・島サミット(PALM8)出席のため福島県いわき市滞在中のヘンリー・プナ・クック諸島首相と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、プナ首相の訪日を歓迎するとともに、明日のPALM8では海洋安全保障や気候変動、防災等の地域が抱える課題について充実した議論をしたい旨述べました。また、災害に強いインフラ整備等のため2億円の無償資金協力を行う考えを表明しました。
2 これに対し、プナ首相から、今回の訪日に際する日本の暖かいおもてなしを嬉しく思う、草の根無償資金協力を始めとしたこれまでの日本の支援に感謝する、PALMプロセスを通じた日本のリーダーシップに敬意を表する旨述べられました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、クックと連携・協力していきたい旨述べ、引き続き議論していくことで一致しました。プナ首相からは共感が示されました。
4 さらに、両首脳は、再生可能エネルギー等の国際社会における課題及び協力や北朝鮮を含む地域情勢について意見交換を行い、プナ首相からは、拉致問題を含め北朝鮮に関する日本の立場に支持が表明されました。 
●日・パプアニューギニア首脳会談 平成30年5月18日
本18日、午後5時50分から約30分間、安倍晋三内閣総理大臣は、第8回太平洋・島サミット(PALM8)出席のため福島県いわき市滞在中のピーター・オニール・パプアニューギニア独立国首相と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、昨年APEC以来の再会を嬉しく思うと述べるとともに、2月にハイランド地方で発生した震災へのお見舞いを述べました。また、災害に強いインフラ整備等のため3億円の無償資金協力を行う考えを表明するとともに、PALM8では海洋安全保障や気候変動、防災等の地域が抱える課題について議論したい旨発言しました。
2 これに対し、オニール首相から、これまでの日本の支援に対する感謝の意が表され、双方はPALM8の成功に向けて協力していくことで一致しました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、PNGと連携・協力していきたい旨述べ、双方は同戦略の下で連携していくことで一致しました。
4 安倍総理大臣から、日本漁船の安定的な操業への配慮、遺骨収集事業に於ける協力、拉致問題の早期解決に向けた協力を要請しました。オニール首相は、拉致問題を含め北朝鮮に関する日本の立場を支持する旨述べました。 
●日・ナウル首脳会談 平成30年5月18日
本18日、午後6時30分から約20分間、安倍晋三内閣総理大臣は、第8回太平洋・島サミット(PALM8)出席のため福島県いわき市滞在中のバロン・ディバベシ・ワンガ・ナウル共和国大統領と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、訪日を歓迎する旨述べるとともに、ナウルの独立50周年に対する祝意を表明しました。また、本年は日本とナウルの外交関係樹立50周年の節目の年であり、これを契機として二国間関係を強化したい旨述べました。さらに、明日のPALM8では海洋の安全保障、海上保安能力の向上や気候変動、防災等の地域の課題について充実した議論をしたい旨述べました。さらにアイウォ港整備のために2.5億円の無償資金協力を通じた支援を行う考えを表明し、ナウルの持続可能な発展を後押ししたい旨述べました。
2 これに対し、ワンガ大統領から、アイウォ港はナウルにとっての一大事業であり、日本からの支援に感謝するとともに、ナウルは日本との友好関係を重視しており、国際社会において日本の立場を強く支持する旨発言がありました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下でナウルと連携・協力していきたい旨述べ、引き続き議論していくことで一致しました。
4 この他、安倍総理大臣から、日本漁船の安定的な操業への配慮や拉致問題の早期解決に向けた協力を要請しました。ワンガ大統領は、拉致問題を含め北朝鮮に関する日本の立場を支持する旨述べました。 
●日・バヌアツ首脳会談 平成30年5月19日
本19日、午後2時26分から約26分間、安倍晋三内閣総理大臣は、第8回太平洋・島サミット(PALM8)出席のため福島県いわき市滞在中のシャーロット・サルワイ・タビマスマス・ バヌアツ共和国首相と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、本年1月にバヌアツに日本の公館を開設し、これを機会に両国関係を一層緊密化していきたい旨述べるとともに、先ほどのPALM8では海洋の安全保障、海上保安能力の向上、気候変動、防災等の地域が抱える課題について充実した議論ができた旨述べました。さらに防災能力向上のため2.5億円の無償資金協力を通じた支援を行う考えを表明し、バヌアツの持続可能な開発を引き続き支援していく旨述べました。
2 これに対し、サルワイ首相から、初訪日とそれに際する日本側のおもてなしに対する感謝が表明されるとともにPALM8が成功裏に終了したことを歓迎し、バヌアツにおける日本の公館の開設等を通じて、1981年の国交樹立以来深化してきた二国間関係を更に高いレベルに引き上げたい旨述べました。サルワイ首相から、これまでの日本の開発援助に感謝する旨述べました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、バヌアツと連携・協力していきたい旨述べ、双方は、引き続き議論していくことで一致しました。
4 安倍総理大臣から、拉致問題の早期解決に向けた協力を要請しました。更に両首脳は、国際社会における課題及び協力や北朝鮮を含む地域情勢について意見交換を行いました。 
●日・ツバル首脳会談 平成30年5月19日
本19日、午後2時53分から約20分間、安倍晋三内閣総理大臣は、第8回太平洋・島サミット(PALM8)出席のため福島県いわき市滞在中のエネレ・ソシネ・ソポアンガ・ツバル首相(Hon. Enele Sosene SOPOAGA、 Prime Minister of Tuvalu)と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、訪日を歓迎するとともに、先ほどのPALM8では海洋安全保障、海上保安能力の向上、気候変動や防災等の地域の課題について充実した議論ができた旨述べました。さらに、電力の安定供給及び公共交通サービスの向上のため、2億円の無償資金協力を行うこと等を通じて、ツバルの持続可能な発展を引き続き支援していく考えを表明しました。
2 これに対し、ソポアンガ首相から、この協力はツバル全島のエネルギーの安全保障つながるものであり、日本からの支援に感謝する、ツバルは国連を含む国際社会の場において常に日本を支持している旨述べられました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下でツバルと連携・協力していきたい旨述べ、双方は引き続き議論していくことで一致しました。
4 この他、安倍総理大臣から、日本漁船の安定的な操業への配慮や拉致問題の早期解決に向けた協力を要請しました。また、両首脳は、捕鯨等の国際社会における課題及び協力や北朝鮮を含む地域情勢について意見交換を行いました。 
●日・ソロモン首脳会談 平成30年5月19日
本19日、午後3時29分から約20分間、安倍晋三内閣総理大臣は、第8回太平洋・島サミット(PALM8)出席のため福島県いわき市滞在中のリック・ホウエニプウェラ・ソロモン諸島首相(Hon. Rick HOUENIPWELA、 Prime Minister of Solomon Islands)と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣から、本年は日ソロモン外交関係開設40周年であり、両国関係を一層緊密化していきたい旨述べるとともに、先ほどのPALM8では海洋安全保障、海上保安能力の向上、気候変動や防災等の地域が抱える課題について議論できた旨発言しました。また、ホニアラ空港整備に関する無償資金協力(約44億円)等を通じて、ソロモンの持続可能な発展を引き続き支援していく考えを表明しました。
2 これに対し、ホウエニプウェラ首相から、ホニアラ空港整備を含め日本からの長年の様々な分野における支援に感謝する旨述べました。
3 安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下で、ソロモンと連携・協力していきたい旨述べ、双方は引き続き議論していくことで一致しました。
4 この他、安倍総理大臣から、日本漁船の安定的な操業への配慮、遺骨収集事業における協力、拉致問題の早期解決に向けた協力等を要請しました。また、両首脳は、捕鯨等の国際社会における課題及び協力や北朝鮮を含む地域情勢について意見交換を行いました。 
●安倍晋三内閣総理大臣と王岐山中国国家副主席との立ち話 平成30年5月25日
サンクトペテルブルク国際経済フォーラム出席のためロシア・サンクトペテルブルクを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、同フォーラムの会場において、王岐山(おう・きざん)中国国家副主席との間で短時間の立ち話を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭、安倍総理大臣から、王岐山氏の国家副主席就任への祝意を述べた上で、同氏が副総理時代に日中ハイレベル経済対話の議長として日中関係の発展に貢献したことへの謝意を表明しました。
2 その上で、双方は、先般の李克強・中国国務院総理による訪日が大きな成功を収めたことを踏まえ、現在の日中関係改善の流れの下で、経済を始めとする各分野における両国間の交流や協力を更に拡大していくことで一致しました。
3 また、安倍総理から、現下の情勢を受け、北朝鮮問題における日中両国の連携を強化する重要性を指摘し、王副主席からも賛意が示されました。 
●日仏首脳会談(ワーキングランチ) 平成30年5月25日
本25日、午後0時30分(日本時間午後6時30分)から約50分間、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに出席するためロシア・サンクトペテルブルクを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、エマニュエル・マクロン・フランス共和国大統領と首脳会談(ワーキングランチ)を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
冒頭、安倍総理大臣から、パリ市内での襲撃事件の犠牲者に哀悼の意を表しつつ、昨年9月の国連総会以来の再会をうれしく思う、「ジャポニスム2018」の開催等を通じて、「特別なパートナー」であるフランスとの関係を二人で飛躍的に発展させたい旨述べました。これに対し、マクロン大統領から、再会をうれしく思う、日仏関係はますます重要であり、7月の総理訪仏に際にはこの関係をさらに深化させたい旨述べました。
2 二国間関係
(1)安倍総理大臣から、自由で開かれたインド太平洋を実現するため、「太平洋国家」であるフランスと協力を深めていきたい旨述べたのに対し、マクロン大統領から、第8回太平洋・島サミットへニューカレドニア及び仏領ポリネシアが初めて招待されたことに対し謝意を述べつつ、太平洋に海外領土を有するフランスとしても、インド太平洋の軸を重視している旨述べました。
(2)両首脳は、同地域における両国間の協力を深めていく重要性を確認するとともに、特に共同訓練や対話等を通じて海洋安全保障分野における協力を具体化していくことで一致しました。
(3)また、両首脳は、防衛協力の深化の重要性を確認し、その基盤となる物品役務相互提供協定(ACSA)の早期署名を実現するべく緊密に連携していくことを確認しました。
(4)更に、両首脳は、来年は日仏がそれぞれG20・G7の議長国であることを踏まえ、両国で緊密に連携して国際社会の諸課題に対処していくことで一致しました。
3 北朝鮮情勢
(1)両首脳は、北朝鮮による完全な、検証可能な、かつ不可逆的な核・ミサイル放棄を実現させるため、引き続き緊密に連携し、圧力を維持していくことで一致しました。
(2)また、安倍総理大臣から、拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を要請しました。
4 イラン情勢
マクロン大統領から、米国のイラン核合意からの離脱について、フランスが提案する「新たな合意」等フランスの立場について説明がありました。これに対し、安倍総理大臣から、日本としても核合意を支持する旨述べた上で、両首脳は、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。 
●日露首脳会談 平成30年5月26日
5月26日、安倍総理大臣は、ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン・ロシア連邦大統領との間で、21回目となる日露首脳会談を約2時間45分にわたり実施しました。
1 平和条約締結問題
(1)北方四島における共同経済活動
ア 共同経済活動の実現に向けた作業が「新たな段階」に入ったことを確認しました。今後の進め方について、以下のとおり一致しました。
○ 首脳会談後速やかに、各プロジェクト候補に参加する日露双方の事業者を特定。
○ 本年7月又は8月を目途に、事業者中心の「ビジネス・ミッション」を四島に派遣。
○ 「ビジネス・ミッション」の結果を踏まえた次官級協議の開催や、局長級作業部会の開催を含め、プロジェクトの早期実現に向けた作業の加速化を事務方に指示。
イ 首脳間で特定された5件のプロジェクト候補(注)について、具体的に一致している点も多々あり、その進展を確認しました。
(注)(ア)海産物の共同増養殖プロジェクト、(イ)温室野菜栽培プロジェクト、(ウ)島の特性に応じたツアーの開発、(エ)風力発電の導入、(オ)ゴミの減容対策
ウ 各プロジェクト候補の円滑な実施に資する人の移動の枠組みについて、検討を一層加速することで一致しました。
(2)元島民のための人道的措置
日露の取組が平和条約締結に向けた信頼醸成に大きく寄与しており、取組の継続が重要であるとの認識の下、航空機による特別墓参を、天候が許せば、7月にも実施することで一致しました。
2 北朝鮮
(1)安倍総理から、日朝平壌宣言に則り、核・ミサイル、拉致問題を包括的に解決し、国交正常化を目指していくとの一貫した立場を説明しました。プーチン大統領から理解が示されました。
(2)朝鮮半島の非核化を進めるとの日露共通の立場を確認し、その上で、米朝首脳会談が開催され、同会談が成功するように後押ししていくことで一致しました。
(3)拉致問題について、早期解決に向け、安倍総理からプーチン大統領に支持と協力を呼びかけ、理解を得ました。
3 幅広い分野での二国間協力
(1)政治対話:本年後半に日露「2+2」を開催すること、また、9月にウラジオストクの東方経済フォーラムの際に再度会談することで一致しました。
(2)非伝統的脅威への対応:新たに以下の3つの具体的な成果を確認しました。
○ 麻薬犬訓練プロジェクトの実現に向け、日露共同で研修を開始すること。
○ アフガニスタンや中央アジアの麻薬取締官への研修事業の対象を管理職に拡大すること。
○ マネロン対策に関し、本年夏に日本の専門家をロシアの関係機関に派遣すること。
(3)経済:
○ 安倍総理から、昨年9月の首脳会談以降、8項目の「協力プラン」の下、新たな民間文書が50件以上署名され、130件超のプロジェクトが生み出された旨説明しました。両首脳は、着実に具体化していることを歓迎しました。
○ JBICとRDIFの共同投資枠組み等の「協力プラン」を支えるファイナンス面での進展、労働生産性向上とデジタル経済の協力に関する新たな共同行動計画の署名を歓迎しました。
(4)文化・交流:史上初の「日本におけるロシア年」「ロシアにおける日本年」の開催を歓迎しました。 
●日・ベトナム首脳会談 平成30年5月31日
本31日、午後6時15分から約60分間、安倍晋三内閣総理大臣は、国賓として訪日中のチャン・ダイ・クアン・ベトナム社会主義共和国主席と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。会談には河野太郎外務大臣、石井啓一国土交通大臣、西村康稔内閣官房副長官、野上浩太郎内閣官房副長官、薗浦健太郎総理補佐官、衛藤晟一総理補佐官他が同席しました。また、会談後、両首脳は、日越共同声明を発出するとともに、協力文書の署名・交換に立ち会い、共同記者発表を行いました。
1 冒頭
(1)安倍総理大臣から、クアン国家主席の国賓としての訪日を心から歓迎、昨年11月のダナンでのAPEC以来の再会を嬉しく思う旨述べ、本年は外交関係樹立45周年であり、昨年の天皇皇后両陛下の御訪問及び今回のクアン国家主席の訪日を始め、多くの記念行事が盛大に行われており、両国間の素晴らしい友好が示されている、今般のクアン国家主席の訪日を機に、あらゆる分野で両国関係を更に発展させていきたい旨述べました。
(2)クアン国家主席から、今次訪問における日本政府、天皇皇后両陛下及び国民からの心温まるおもてなしに心から感謝する、外交関係45周年という友好感あふれる雰囲気の中、両国関係の新たな発展段階を切り開いていくため、その方向性や協力分野につき意見交換したい旨述べました。
2 二国間関係
(1)安倍総理大臣から、クアン国家主席が昨年のダナンでのTPP首脳会合で共同議長を務めたことに謝意を表し、引き続きTPP11の早期発効に向けて両国が協力したい旨述べました。また、ベトナムの持続的成長のため、国際スタンダードに則った質の高いインフラ整備、産業競争力強化、人材育成等を力強く支援する旨述べ、職業訓練に円借款を供与する方針を伝えました。さらに、日越大学、高専教育モデルの活用、アジア健康構想の下での協力など、国民生活に直結する協力を広げていきたい、日本語教師育成や、文化・スポーツ交流、人的交流を促進したい旨述べました。その他、刑事共助条約及び受刑者移送条約の正式交渉を開始したい旨述べました。
(2)クアン国家主席から、日本はベトナムにとって長期的かつ最重要のパートナーである、引き続き活発な要人往来を通じて政治的信頼を強化したい旨述べました。防衛・安全保障の分野について、実質的な協力を幅広い分野で進めていきたい、両国の防衛当局間の「共同ビジョン声明」に基づき協力を進展させ、サイバー、人材育成、PKO、ダイオキシン除去、海上法執行能力の強化、海洋政策の立案等で協力をお願いしたい旨述べました。日本からのODAはベトナムの経済・社会発展に大きく貢献してきた、大規模インフラ整備、製造業・裾野産業、気候変動対策、農業等の分野を中心に、引き続きODAによる支援をお願いしたい、今後も日本からのODAを効果的に活用したい旨述べました。外交関係樹立45周年に際し、文化交流や人的交流が深まっていることを喜ばしく思う、観光や地方間交流を含め、更なる友好関係の発展に共に取り組みたい旨述べました。
(3)安倍総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、本年の日・メコン首脳会議も見据え、海洋安全保障や連結性強化の協力を一層具体化したい旨述べました。これに対し、クアン国家主席から、地域の平和、安定、発展に資する取組を歓迎する旨述べました。
3 地域・国際情勢
(1)安倍総理大臣から、北朝鮮問題について、米朝首脳会談が、拉致、核、ミサイル問題の包括的な解決に向けて前進する機会となることへの期待を表明し、両首脳は、関連安保理決議を完全に履行していく必要があるとの認識で一致しました。また、拉致問題の早期解決に向けた協力も確認しました。
(2)両首脳は、南シナ海問題について、外交的取組が非軍事化につながり、国際法の完全な遵守及び平和で安定した南シナ海の実現に貢献することが重要との認識を共有しました。安倍総理大臣から、ベトナムの外交努力を支援する旨述べました。クアン国家主席からは、ベトナムが本年8月からASEAN対日調整国となる、日本との連携を一層緊密にしたい旨述べました。
(3)両首脳は、安保理非常任理事国選挙への立候補を相互に支持することを改めて確認しました。 
 

 

●今は中東より朝鮮半島を―安倍外交センスに疑問も― 5/2
安倍首相は連休中の4月29日から5月3日までアラブ首長国連邦(UAE)、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンの中東各国を訪問している。連休中の首相の訪問外交は、いまや恒例となり外交に強い安倍首相のイメージを形成するための大きな“売り”となっている。
しかし、隣の朝鮮半島で大きな地殻変動が起きつつあり、唯一残っているとされる戦後の冷戦構造に風穴が開こうとしているこの時期に、なぜ朝鮮半島を差し置いて中東訪問なのか。その外交センスに疑問を持つ日本人が多いのではないか。
先日行なわれた韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の首脳会談で「板門店宣言」を合意した。内容は「朝鮮半島の完全な非核化」を共通の目標にするほか、休戦協定から65年の今年中に「終戦」を宣言し、休戦協定から平和協定への転換を目指すことを確認した。
朝鮮半島は歴史的転換へ
朝鮮の両首脳は南北朝鮮の分断の象徴となっていた軍事境界線の38度戦の前で握手し、その後手を携えて二人で共に北側・南側に足を踏み入れた。金委員長は「200メートルという短い距離を越えて来たが、境界線は人が越えにくい高さでもないのに、あまりにも簡単に越えられた。この歴史的な席に11年もかかったことを考えるとどうしてこんなに長くかかったのか、大変だったのか、という思いがした。」と感慨深げにつぶやいていたのが印象的だった。
しかしこの会談と面会で南北和解が全てうまく終わったかといえば、決してそうではない。和解の精神と原則を確認したものの、今後の具体的内容の詰めは、むしろ厄介で交渉も難しいと予想されるからだ。
南北の和解の具体化はうまくゆくか
例えば北の非核化をどう確認し、証明してゆくのか、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の非核化は約束したが、日本にとって脅威の近・中距離の核ミサイルをどうするのか、在韓米軍に依存すると予想されるミサイルの処分はどうするのか、北がミサイルを撤去、処分した後の北の体制保証をどう実現するのか、非核化の証明をどのように行なうのか――などの問題をどんな手続きで具体化してゆくのか。さらに、米朝、北朝鮮と韓国の交流をどう進めてゆくのか、監視と保証を北・南、アメリカ、中国だけでやるのか、ロシア、日本も入って行なうのか、日本の拉致被害者の送還をどう取り扱うのか、今後の軍事バランスをどうするのか、援助などをどう決めてゆくのか――等々、詰めるべき問題はヤマほどある。これらを考えると今回の会談が、本当に新しい歴史の出発点になり得るのか、あるいは途中で崩壊し、結局パフォーマンスだけで終わってしまうのか、まだ誰も成功の確信を持ってはいないのだ。トランプ米大統領は「歴史的な前進だ」と評価しつつも、具体的な成果をみるまでは“圧力”をかけ続けると言明しているのである。
日本はアメリカの後を追い続けるだけでいいのか
問題は日本だ。対北朝鮮問題ではずっとアメリカの後を追い続け、“圧力”を口にしてきた。そのアメリカは文在寅韓国大統領の強力なイニシアチブで北の金正恩委員長を引っ張り出し、トランプ大統領はその努力に応ずる形で金委員長との会談を約束した。その間、日本はほぼカヤの外に置かれ、南北首脳会談が終わってから文大統領やトランプ大統領と話し合ったというのが実情だろう。
朝鮮半島情勢の行方は日本にとって極めて重大な問題だ。だが、その重要な進展の中で、これまで話し合いの中に入れず間接的な情報しか取れてこなかったのではないか。
いつもカヤの外だった日本
米朝首脳会談まであと1ヶ月足らずだ。日本は中東訪問も大事だが、今後の日本の運命に直接関わる朝鮮半島情勢について韓国、北朝鮮、アメリカはもちろんのこと中国、ロシア、台湾、東南アジア諸国などと死に物狂いで話し合いを続け、日本の立ち位置をしっかりと定めておくべきだろう。
かつての日中国交回復、今回の北朝鮮でも日本は大事な時にカヤの外に置かれてきた。しかし日本は真ん中にいて情報を取り、日本の立場を関係国に主張しておくべきだろう。幸い北朝鮮は日本との話し合いにも前向きと聞く。外交を売りとする安倍内閣なら、この二ヶ月足らずの間に日本の立ち位置、主張を決められるように全力を尽くすべきだろう。
首脳たちの個性も分析を
細かな虫の目で観察し、大所高所から見る鳥の目、そして朝鮮半島と日本の歴史を顧みて正しい判断をして欲しいものだ。また、首脳会談は首脳の個性キャラクターが大きく反映するといわれる。日本はもう一度関係国の首脳たちの物の考え方、性格、人柄なども早急に知っておくべきではなかろうか。 
●安倍外交が限界露呈、支持率回復の頼みの綱も「成果ゼロ」 5/15
これまで、安倍晋三首相ほど目まぐるしくスローガンを打ち出す首相はいなかった。2013年にアベノミクスと「3本の矢」を掲げて以降、14年の「女性活躍」→15年の「新3本の矢」と「1億総活躍」→16年の「働き方改革」→17年の「人づくり革命」といった具合だ。
しかもアベノミクスは「2年で2%」という「デフレ脱却」の物価目標を6度延期したあげくに、18年4月には達成時期を「撤廃」してしまった。プライマリーバランスを黒字化する財政健全化目標の達成時期も2020年から2025年へと先送りの方向。他にも「待機児童ゼロ」も逆に待機児童が増え続けているなど、掲げた政策目標のほとんどが達成されていない。
そして最近では、外交も成果ゼロだ。
「外遊」は5年で63回 内政の失敗を挽回する手法は限界に
安倍晋三首相ほど「外遊」の多い首相はいない。先の大型連休中の中東訪問は、首相になった2012年から実に63回目になる。ほぼ月に1度は「外遊」している勘定だ。
それで「安倍外交」は、どういう成果を上げているのだろうか。
結論を先に言えば、この「外遊」もほとんど成果を上げていな。
内政も外交も掲げた目標をほとんど達成していないのに、なぜ高い支持率が維持されてきたのだろうか。実は、そこにこそ安倍政権の政権維持の手法が隠されている。
まず何よりも、次々とスローガンを打ち出すことで、何かに「挑戦」している印象を与えることだ。と同時に、前の政策の失敗が検証されないうちに、次の政策目標を出していき、「空手形」を打ち続けることで、政策の失敗を検証させる暇を与えないことだ。
そして政策の失敗や森友・加計問題などの「疑惑」が表面化して支持率が落ちるたびに、北朝鮮の脅威などをあおったり、「外交」で各国首脳らとの関係強化を演出したりして政権への求心力を維持するやり方だ。
実際、「外遊」によって国内での野党などの追及をかわすこともできるし、国外での記者会見は、一方的な「説明」を垂れ流す場に利用しやすいからだ。
けれども、こうした手法にも限界が見えてきた。外交もほとんど成果らしい成果がないことが露呈し始めているからだ。
「北朝鮮カード」は使えず 対話モードへの転換で「蚊帳の外」に
そのことが浮き彫りになったのは、4月の訪米だった。
4月17日から20日、国内では森友問題や防衛省の「日報」問題などの「五大疑惑」を抱えて国会で厳しい追及を受けている最中に訪米し、トランプ大統領と会談した。
この時も、トランプ大統領とのゴルフなどで仲良しぶりが演出されたが、外交の成果はほとんどなかった。
肝心の北朝鮮問題では、トランプ大統領に米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるように頼んだだけで終わった。一方で経済問題では、目指していた米国の「TPP(環太平洋連携協定)への復帰」はトランプ大統領からあっさり「拒否」され、日米でも二国間交渉をのまされた。
選挙公約を覆してTPPに参加したにもかかわらず、米国が抜けて失敗し、その復帰を「説得」しに行ったはずが、逆に米国に二国間貿易交渉に引きずり込まれてしまった。
「北朝鮮カード」は、米国自体が「和平モード」に転換してしまって使えなくなってきており、実際、日米首脳会談の後も、内閣支持率が低迷したままだ。
もはや世界は「ジャパンパッシング」で動く状況に陥っている。
実際、北朝鮮の非核化問題と緊張緩和については、安倍首相はほとんど「蚊帳の外」に置かれている。
このことはある意味、当然だろう。
北朝鮮問題では、政権維持のために北朝鮮リスクをあおることしかしてこなかったからだ。
北朝鮮のミサイル実験のたびに、「Jアラート」を繰り返し鳴らして人々を田んぼにしゃがませ、昨年10月には、北朝鮮の脅威をあげ「危機突破解散」と銘打って解散権を乱用した衆議院選挙で多数の議席を獲得した。
実際、北朝鮮外交でも、安倍首相は「話し合いのための話し合いは無意味」と繰り返し、少しでも対話の機運が出てくると、「北朝鮮は何度も約束を反故にした」と言い続け、防衛費の増強を行った。
韓国の文在寅大統領が北朝鮮にピョンチャン・オリンピック参加を促し、実現させた際も、安倍首相は当初、開会式への出席を渋った。
首相の強硬姿勢に呼吸を合わせるように、河野太郎 外相も、南北の首脳や中国の習近平国家主席らが、朝鮮半島の安定や南北の平和的共存に踏み出した中朝会談、南北会談の前後にも「圧力」一辺倒の外交を崩そうとしなかった。
「北朝鮮と国交断絶をせよ」とか「北朝鮮は核実験を準備している」といった発言を繰り返した。
だがこうした発言に対して、米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮研究グループ「38ノース」は、衛星画像では裏付けできないとし、中国外務省の耿爽副報道局長が4月3日の記者会見で「足を引っ張らないでほしい」と批判する一幕もあった。
実際、4月27日の南北首脳会談が成果を収めたのは、むしろ「アベ外し」が成功に導いたと言ってよいだろう。
南北は対話の積み重ねによって、首脳会談で、朝鮮半島の「完全非核化」を共通目標とし、朝鮮戦争の終戦と平和協定を目指すことで合意し、共同宣言では南北と米国の3者あるいは中国を加えた4者会談で実現していくことが明記された。
米国と歩調をあわせたつもりで強硬姿勢をとっても、米国自身、さらに中国もすでに発想を切り替えたドライな外交戦略を取り始めているのだ。
「外交」というのは、国民のニーズに応じて相手国に主張し、相互の主張とすり合わせつつ、粘り強く交渉していくのが基本である。
そうした基本姿勢がないまま、かたくなに強硬路線をとったり、逆にただ媚び、「仲良し」を演出するだけでは、相手も日本の主張をまともに受け止めないだろう。
このことは、最近の日米関係で見ればオスプレイ(CV22)の横田基地配備が典型的だ。
4月3日に在日米軍は、事故多発を懸念する地元住民に知らせることなくオスプレイ5機の横田基地配備を通告し、2日後には配備を終えてしまった。日本政府が抗議をした様子もない。そもそも交渉になっていないのだ。
トランプ大統領の交渉術の特徴は、ビジネスマン的なディール(取引)にある。まず相手にふっかけ、相手が譲歩したら落着させるというパターンであり単純明快だ。
北朝鮮問題でも中国との貿易摩擦でも、こうしたディールを仕掛けている。ある意味で、北朝鮮も中国も同じように、トランプ大統領相手にふっかけて交渉している。
ところが、安倍首相には、ディールの成功体験がなく、方法論すら持っていないように見える。これでは交渉にならず、相手の言うがままにされていく。
「仲良し」演出しても 「取引外交」には通用せず
貿易交渉は、相手が言うがままの典型だ。
「アメリカファースト(米国第一主義)」を掲げるトランプ大統領は、今年3月8日に「国家安全保障」を理由にあげて鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す文書に署名した。
この関税強化措置については、EU加盟国、韓国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチンが適用除外になった。
ところが、安倍首相が大統領と「蜜月関係」にあるはずの日本の除外対象にしてくれとの要望は聞き入れられなかった。
トランプ大統領は、さきの日米首脳会談でも、日本からの貿易赤字を問題にして譲らず、日米間の2国間貿易協定を主張し、結局、ライトハイザー通商代表部代表と茂木敏充経済再生相の間で「協議」することで合意させられた。これは事実上の二国間貿易「交渉」だ。
安倍首相は2012年12月の衆議院選挙での公約を裏切って、TPP交渉に参加した。ところが、トランプ大統領がTPP離脱を表明。それ以降は、米国をTPPに復帰させると主張してきたが、今回の会談の結果は、そうした主張から大きく後退することになっている。
交渉能力に乏しい安倍政権では、二国間「協議」では自動車でも農産物でも大幅譲歩を迫られるだろう。
何よりトランプ大統領は11月に中間選挙を控えている。
だがロシアゲート事件を抱え、次々と閣僚を交代させて挽回を図ろうとしているが、支持率は低迷している。
今年の3月13日に行われた米東部ペンシルベニア州の下院第18選挙区の補欠選挙で、共和党は民主党に敗北した。ここはトランプ氏が大統領選で勝利する要因となったラストベルト地域である。
トランプ大統領は中間選挙で勝つためには、5月8日の「イラン核合意離脱」表明でユダヤ人ロビーや石油資本を満足させる一方で、米朝首脳会談で朝鮮半島の「非核化」を実現させることだと、そして日本から貿易交渉で大幅な譲歩を勝ち取ることだと、考えているのではないか。
しかし、それは安倍政権にとっては外交の「失敗」を意味する。
中東外交も米国に「追随」するだけ 政策を検証すべき時期だ
大型連休のさなかも、安倍首相はイスラエル、パレスチナ、UAE、ヨルダンを訪問した。
米国が「イラン核合意」を離脱し、またエルサレムをイスラエルの首都として一方的に承認し、米国大使館をエルサレムに移転することで、中東では不安定化のリスクが強まっている。だが中東訪問でも、外交感覚のズレが浮き彫りになっただけだった。
中東訪問を総括する記者会見の場をヨルダンにしたこと自体がズレていて、ジョークなのかと疑った。
ヨルダンは日本の呼びかけに応じて1月に北朝鮮と断交している。中国をはじめ関係国の多くが、北朝鮮に対して「対話」路線で動き出しているなかで、強硬路線をとる数少ない国と言える。
その国で記者会見をすれば、北朝鮮問題で対話を拒んで「蚊帳の外」になったことを追及されることはないと、首相や外務省は考えたのだろうか。
会見で安倍首相は、関係国と連携して「対話」と「圧力」の両面を進めていく対北朝鮮政策は2002年の平壌宣言以来「一貫している」と言い、北朝鮮問題に関して米中韓朝4ヵ国の対話の「蚊帳の外」に置かれたことを否定しようとした。
南北会談後に文在寅韓国大統領と電話会談をして慌てて情報を収集し、その後も習近平国家主席との電話会談や、日中韓首脳会談で関係国との連携を演出しているが、実態は「蚊帳の外」の状況を取り繕うのに精いっぱいの状況だ。
「イラン核合意離脱」でも、独仏英の3首脳が反対し、連携してトランプ大統領に働きかけてきたが、日本はこうした欧州諸国の和平の動きでも「蚊帳の外」だった。
たしかに、安倍首相は中東訪問最終日(5月2日)にイスラエルとパレスチナ双方を訪問したが、中東和平のための「中立」的な外交をしてきたとは思えない。
トランプ大統領は米国大使館のエルサレム移転に抗議するパレスチナに対して、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への拠出金6500万ドル分(約72億円)の支払いを凍結し、パレスチナに自分の「和平提案」に応じろと要求している。
その状況で安倍首相がパレスチナのアッバス議長との会談で述べたのは、日本がUNRWAに1000万ドルを拠出するので、「アメリカから交渉の提案があれば、応じるべきだ」ということだった。
そもそもイスラエルのガザへの攻撃や米国のUNRWAへの拠出拒否には口を閉ざしておきながら、日本がちょっとカネ出すからアメリカの言うことを聞けというのは、中東和平を目指した独自の外交だと言えるのだろうか。
いまや安倍外交は成果がないことが次々に露呈している。
もし安倍首相が「外遊」を、求心力維持のための国内向けの「印象操作」として大事だと考えているのなら、もはや賞味期限が切れていると言ってよいだろう。
問題は、内政も外交も取り返しのつかないような「失敗の山」が累々と築かれ続けていることだ。
「成長戦略」で掲げた原発輸出「セールス外交」にしても、東芝の経営破綻危機後も、ベトナム、台湾での原発建設中止、リトアニアでの計画凍結など、次々、行き詰まりを見せている。
日立が進める英国原発事業も事業費は3兆円に膨れ上がり、日本側は1兆5000億円を負担するが、そのうち大手銀行の融資に「政府保証」をつけてまで原発輸出をしようとしている。
損失が出た場合、税金で補填するのである。それでも、英国側は3分の1しか出さず、残りの資金繰りのめどがついていない。トルコでの原発建設の事業費も4兆円以上に倍増し、伊藤忠が撤退を決めた。
失敗の山が一つまた一つと増えないうちに安倍政権が掲げてきた政策をきちんと検証すべき時期に来ている。 
●”蚊帳の外”安倍首相の悪あがきは関係国のいい迷惑のお邪魔虫 5/23
考えることは自分のプライド維持と国内向け宣伝。小さすぎる最高責任者”外交の安倍”の次なる滑稽戦略(宣伝)は、シンガポールでの米朝首脳会談に飛び入り?

来月12日にシンガポールで開催が予定されている史上初の米朝首脳会談。安倍首相が当日、現地入りするのではないかという仰天情報が飛び交っている。政府は、外務省の金杉憲治大洋州局長を派遣する方針だ。
さんざん対北「圧力」を唱え、北朝鮮との対話を拒否してきた安倍首相が、今になってノコノコ出かける理由は何なのか。
「安倍さんは北朝鮮問題で“蚊帳の外”といわれていることを非常に気にしています。政権が気をもんでいるのは、中国や韓国が米朝会談に何らかの形で参加すること。実際、その可能性はゼロじゃありません。そうなると、日本はますます『置いてきぼり感』が強くなってしまう。中国と韓国が現地入りするなら、とにかく自分も行って『一緒の写真に納まりたい』と考えているようです」(外交関係者)
要するに、蚊帳の外と批判されないようにしたいというワケだ。一説には、安倍首相は24日から訪問予定のロシアで、プーチン大統領に「一緒にシンガポールに行こう」と呼びかけるのではないか、とか、米朝会談が行われる隣の部屋で待っているつもりらしい、といった話も流れている。
金正恩に会えるのか
問題は、たとえ現地入りしたとして、金正恩委員長に直接会うことができるのか、「蚊帳の外とバカにされたくない」という動機だけで、外交成果なんて期待できるのか、ということだ。元外交官の天木直人氏はこう言う。
「安倍さんは、行くなら、金正恩と会わなければ、みっともなくて帰ってこられないでしょう。『拉致被害者全員の即時帰国』と意気込んでいる以上、手ぶらで帰国できるはずがない。成果ゼロでは、ただの恥さらしですからね。かといって、従来通り圧力一辺倒の主張を繰り返しに行くだけでは融和ムードに水を差すことになる。北は『拉致問題は解決済み』という立場です。仮に安倍さんがシンガポールに行くとして、どのような“成果”を持ってこられるか見モノですね」
「外交の安倍」を自負しているようだが、安倍政権の5年間で拉致問題は何も進展していない。北朝鮮とコンタクトするルートすらない。「北京の大使館ルートを通じて対処」「米国と完全に一致」などと壊れたレコードのように唱え続けているだけだ。とうとう、金正恩から「日本はなんで拉致問題を直接言ってこないのか」と揶揄される始末である。どこが「外交の安倍」なのか。

このことをDさんにいうとまず「Is he invited?-彼は招待されているの?」
一国の首相が現地に行くのは、太平洋局長を派遣するのとは全く意味が違う。
米朝会談である。日本が首をつっこむ結われも余地もない。そうでなくても、金正恩はアメリカ主導で言いなりにならないための揺さぶりと、中国との関係強化をアメリカに見せつけている。自分が偉大であると思い込むことが大好きなトランプの虚栄心、中間選挙を睨んで花火をあげたい国内情勢、そしてなにより巨額の富を生む、北朝鮮開発利権とその強力なライバル中国を睨んで、トランプ・アメリカの方がなんとしてもと、会談成功に前のめりの状況を作り出している。トランプの性格分析も的確だ。
そんなトランプにとって、安倍氏がやってくるなんてことは、大事なディナーの席にハエが紛れ込むのと同様で、煩わしく不快なだけし、当然全ての列席者の不興も招く。
だからトランプはバカなペットを遊んでやる暇はない。長い忍耐と交渉で米朝会談までこぎつけた立役者の文在寅大統領も同様で、来てもらっては困ると思っているだろうし、内心この宗主国気分丸出しの外交音痴の隣国の首相を立ててやる筋合いはないと思っているだろう。中国も同感で、歴史修正主義者の安倍を助ける気は毛頭ない。もちろん日本首相参加が重要な平和の要なら大人の彼らは無視はすまいが、今では、”蚊帳の外”で、がなりたてるトンチンカンなお邪魔虫にすぎない。
米中韓以上に日本情勢を情報収集し、安倍現状を分析している北朝鮮は、安倍首相にほんのチョツピリでも、国内向け宣伝のチャンスを与えたりしないだろう。日本からの賠償金だの支援だの、アメリカと国交を結び中国と友好関係を強め、韓国と民族融合の絆を取り戻せば、いくらでも、ATM並みに引き出せる。日本包囲網完成だ。今どうこうするの必要はない。
仲良しのプーチンも、自分が参加したければ、中国を通じてでも参加できる。トランプも拒否はしないだろう。なんで、お邪魔虫を連れて行ってあげなくてなならない。恩など売らなくても、このうすらバ*の坊ちゃんからは、これもATM並みに、いくらでもお金を引き出せる手腕がプーチンにはある。安倍と違って、各国首相連に無視できない存在感を示すプーチンは、その気になれば、いろいろ固まった時に、さっとやって来て利権にあずかるハゲタカ方式は得意中の得意だから。
安倍首相が行く行かないの選択肢が自分にあると思っているなら滑稽だ。自分は仲良しのつもりで、呼ばれてもいないパーティーに、しかも、実は嫌われていて迷惑なので、招待されなかったのに、のにのこのこ出かけてゆくのは、成果0どころかマイナス。
真剣勝負の各国首脳の間を、例の屁っ放り腰の揉み手でウロウロする安倍が目に浮かぶ。
日本の恥をこれ以上広めないでくれ。蚊帳の外が悔しかったら、人の助けを借りず、自力で日朝首脳会談をやってみろ。 
 
 
 
 2018/6

 

●日米首脳会談 平成30年6月7日
6月7日(現地時間)、米国ワシントンD. C. 訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、ドナルド・トランプ米国大統領と日米首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。(マイク・ペンス副大統領と河野太郎外務大臣が同席する形でのテタテ(1対1)形式:12時10分頃から約45分間、ワーキングランチ形式:12時55分頃から約55分間。)。
1 両首脳は、6月12日に予定されている米朝首脳会談への対応を含め、北朝鮮問題に関する今後の方針について綿密なすり合わせを行い、米朝首脳会談が、拉致、核・ミサイルといった諸懸案が前進する歴史的な会談となるよう日米、日米韓で緊密に連携していくことで一致しました。
2 両首脳は、北朝鮮に対して安保理決議の完全な履行を求め、現行の措置を継続して、北朝鮮から具体的な行動を引き出していくことで一致しました。
3 安倍総理から、昨年11月のトランプ大統領訪日の際、拉致被害者御家族にお会いいただいたことへの感謝を伝え、改めて拉致問題に関する経緯や御家族の切実な思いを説明したのに対し、トランプ大統領からも、改めて、米朝首脳会談で拉致問題を提起する旨の力強い発言がありました。両首脳は、引き続き拉致問題の早期解決に向けて、日米で緊密に協力していくことを再確認しました。
4 安倍総理から、明8日から開催されるG7シャルルボワ・サミットでは、G7の首脳で結束して、米朝首脳会談に向かうトランプ大統領を後押しする力強いメッセージを発出したい旨を述べ、両首脳は、G7サミットにおいても緊密に連携していくことで一致しました。
5 両首脳は、米朝首脳会談後、速やかに日米、日米韓で情報共有を行い、方針のすり合わせを行うことを確認しました。
6 また、両首脳は、経済、貿易についても議論を行いました。安倍総理からトランプ大統領に対し、対日貿易赤字額以上に米国にある日系企業が輸出を行っていることや、日本企業による米国への投資を通じた米国の雇用への貢献、防衛装備品や日本企業による米国産エネルギーの購入額の増大等を説明したのに対し、トランプ大統領から一定の評価が示されました。両首脳は、今後、「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議」(FFR)の場で議論していくこと、第一回会合を茂木内閣府特命担当大臣(経済財政政策)とライトハイザー米国通商代表との間で7月に開催する方向で調整していくことを確認しました。 
●安倍総理大臣のロシア訪問の際の安倍昭恵総理夫人の活動 平成30年6月8日
平成30年5月24日から26日、安倍昭恵総理夫人はロシアを訪問した安倍総理に同行し、様々な交流活動を行いました。
1 日本語・日本文化関係者との昼食懇談(サンクトペテルブルク)
5月25日(金曜日)正午から約90分間、安倍総理夫人は、サンクトペテルブルクで、様々な形で日本語及び日本文化の発信に尽力のある関係者と懇談しました。安倍総理夫人は、それぞれの活動を通じた思いに耳を傾け、こうした熱心な活動が日露両国の相互理解に大きな貢献となっているだけでなく、日本人にとっても日本文化を再発見するきかっけとなる旨述べました。関係者からは、「ロシアにおける日本年」を通じ、日本に対する関心の高まりがそれぞれの活動を後押しすることへの期待が述べられました。
2 サンクトペテルブルク市83番学校(バラの学校)視察(サンクトペテルブルク)
5月25日(金曜日)午後3時から約80分間、安倍総理夫人は、サンクトペテルブルク市83番学校を訪問し、ポリャコヴァ校長より同校のユニークな取組について説明を受けた後、実際に行われている日本語授業(小学生、高校生)の様子を視察し、交流を行いました。最後に、児童生徒による日本語の歌やダンス等が披露され、安倍総理夫人からは、子どもたちへ昭恵文庫等を贈呈するとともに、日本語学習を通じて日本についてより一層関心を持ち、将来は両国の架け橋となってほしいとの期待を伝えました。
(参考1)サンクトペテルブルク市83番学校
11年制をとるロシアの典型的な公立の小中高一貫教育校。英語と日本語の教育に特に力を入れており、全児童・生徒のうち、約半数の500名が日本語を学習(1994年から日本語教育を開始)。浜口庫之助作詞・作曲の「バラが咲いた」を校歌に、また折り鶴とバラを学校のエンブレムとし、「バラの学校」の愛称で親しまれている。現在日本人教師はいないが、茶道、生け花、弓道等の日本文化の講座も行われているほか、日本語歌等のコンサート、生け花の展覧会など、多くの文化行事を行っている。
(参考2)昭恵文庫
安倍総理夫人は、訪問国における日本語学習や日本文化の更なる普及や交流の促進に役立つようにとの願いから、関連団体の協力を得て、海外訪問先の日本人学校や日本語、日本文化のプログラムを実施する学校や大学に日本関連書籍や日本語教材を寄贈している。
3 障害児及び小児期からの知的障害者第一寄宿舎視察(サンクトペテルブルク)
5月25日(金曜日)午後4時10分から約85分間、安倍総理夫人は、障害児及び小児期からの知的障害者第一寄宿舎を訪問しました。安倍総理夫人は、寄宿舎の施設を視察した後、ここで生活しながら学ぶ訓練生らと交流したほか、訓練生による演目披露による歓迎を受けました。安倍総理夫人は、先生方と訓練生の熱心な姿勢及び障害を持つ方々が、生き生きと自立して生活できる環境に感銘を受けました。
(参考3)障害児及び小児期からの知的障害者第一寄宿舎
障害を持った児童・生徒が、自身の可能性を最大限に活かして人生を楽しめるように支援する、サンクトペテルブルク市社会政策委員会傘下の施設。寄宿舎には4歳から中等教育までの、主に知的・精神的障害を持つ未就学児・児童・生徒ら約300人が生活し、医療的ケアや子供達の障害に合わせた教育活動を実施。障害を持った若者に対する職業訓練リハビリテーション等の活動も行われており、主に寄宿舎卒業生からなる100名程度の18歳以上の知的障害を有する若者が自立を目指して生活。文化活動やスポーツも活発に行われており、知的・精神的発達障害を有する人によるスポーツの世界大会「スペシャルオリンピックス」でも、多くの児童・生徒が入賞。
4 国際交流基金モスクワ日本センター訪問(モスクワ)
5月26日(土曜日)午後2時45分から約60分間、安倍総理夫人は、国際交流基金モスクワ日本センターを訪問し、同センターにおける折り紙講座や日本語講座に参加している様々な世代のロシア人受講生と交流しました。安倍総理夫人は、日本語及び日本文化を身近に感じて、今後も楽しみながら学習を継続してほしいと期待を述べました。
5 「ロシアにおける日本年」関係者との夕べ(モスクワ)
5月26日(土曜日)午後4時10分から約70分間、安倍総理夫人は、「ロシアにおける日本年」関連事業の実施に尽力している関係者と意見交換しました。関係者からは、同事業がロシア国民において広く受け入れられ、日露両国のさらなる協力関係に資することへの期待が示されると、安倍総理夫人からは、事業の成功を祈念するとともに、この事業が日露両国の相互理解の促進と更なる交流の拡大につながることを希望する旨述べました。 
●日独首脳会談 平成30年6月8日
6月8日(金曜日)17時45分(現地時間)から約40分間、G7シャルルボワ・サミット出席のためカナダを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、アンゲラ・メルケル・ドイツ連邦共和国首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
安倍総理から、ドイツ新政権樹立に改めて祝意を述べるとともに、ドイツと引き続き緊密に協力していきたい旨述べました。また、本8日ドイツが安保理非常任理事国選挙に当選したことに対し、祝意を述べました。これに対しメルケル首相から、再会できてうれしい、明年は日本がG20議長国を務めることもあり、その前に早期に訪日したい旨述べました。
2 地域情勢
両首脳は、北朝鮮による生物・化学兵器を含む全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄(CVID)を実現させるため、両国で緊密に連携していくことで一致しました。また安倍総理から、拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め、支持を得ました。
3 二国間・日EU関係
両首脳は、EU加盟を目指す西バルカン諸国の改革を、日独で連携して後押ししていくことで一致しました。また両首脳は、昨年3月のCeBIT(情報通信見本市)の際に署名されたハノーバー宣言を始め、IoT/インダストリー4.0分野での協力を進展させ、日独でデジタル社会をリードしていくことを確認しました。さらに、日EU経済連携協定及び日EU戦略的パートナーシップ協定の早期署名・発効に向け、引き続き協力していくことで一致しました。 
●日英首脳会談 平成30年6月8日
6月8日、現地時間午後4時50分(日本時間9日午前5時50分)から約40分間、G7首脳会合出席のためシャルルボワを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、テリーザ・メイ英首相と日英首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
安倍総理から、昨年8月のメイ首相訪日以来の再会を歓迎する、昨年の訪日後、日英関係は大きく進展し「次の段階」に入りつつあると述べた上で、両国は基本的価値を共有しルールに基づく国際システムを擁護するグローバルな戦略的パートナーであり、北朝鮮問題を始め国際的課題への対応に緊密に連携するとともに、G7サミットでも引き続き有意義な議論ができるよう日英で主導していきたい旨を述べました。メイ首相からは、昨年8月の訪日以降、日英関係が「次の段階」に入ったことに合意する、日英両国は価値観を共有しており、特に、自由かつ公正な貿易という概念の重要性を世界に推進するチャンピオンである旨を述べました。また、メイ首相から安倍総理に年内できるだけ早期に訪英してほしい旨要請があり、安倍総理としても今後日程を検討する旨述べました。
2 北朝鮮
両首脳は、北朝鮮による生物・化学兵器を含む全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄(CVID)の実現に向け、両国で緊密に連携していくことで一致しました。さらに、安倍総理から、「瀬取り」監視のための英海軍艦艇派遣を改めて高く評価し、両首脳は引き続き連携を深めていくことで一致しました。また、拉致問題については、安倍総理から早期解決に向けた理解と協力を求め、支持を得ました。
3 二国間関係
両首脳は、日英間の安全保障分野での協力の進展を評価し、メイ首相から、今年後半にフリゲート艦「アーガイル」を派遣する、陸軍種共同訓練も行う旨を述べました。また、英国のEU離脱について、安倍総理から、日系企業の声に引き続き耳を傾けるよう要請するとともに、移行期間の設置や英EU間での高いレベルの市場アクセス・基準調和の実現等を通じ、自由で活発な経済活動が維持されることへの期待を伝えました。これに対し、メイ首相から、英とEUの間で移行期間の設置につき認識が一致しており、これにより円滑にEU離脱が実現される、企業に不確実性を与えず、離脱による混乱が生じないように配慮したいとの発言がありました。
4 地域情勢及びグローバルな課題
両首脳は、ミャンマー情勢、イラン情勢等の地域情勢、グローバルな課題への対応についても意見交換し、日英で協力していくことで一致しました。 
●日伊首脳会談 平成30年6月8日
6月8日、現地時間午前11時35分(日本時間9日午前0時35分)から約30分間、G7首脳会合出席のためシャルルボワを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、ジュゼッペ・コンテ伊首相と日伊首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
安倍総理から、首相就任に祝意を述べるとともに、G7サミットへの初めての参加を歓迎しました。その上で、日本は、基本的価値を共有するイタリアとの関係を重視しており、今後、コンテ首相と手を携えて仕事ができることを嬉しく思う旨述べました。コンテ首相からは、安倍総理にお会いできて嬉しい、日伊両国が基本的価値を共有していることは同感である、経済分野を含めて両国関係を更に強化していきたいとの発言がありました。
2 北朝鮮
両首脳は、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄(CVID)を実現させるため両国で緊密に連携していくことで一致しました。また、拉致問題については、安倍総理から早期解決に向けた理解と協力を求め、支持を得ました。特に、コンテ首相からは、拉致問題について、残念な事件であり、日本国民の方々の気持ちをよく理解しているとの発言がありました。
3 その他
両首脳は、その他の地域情勢やグローバルな課題への対応等についても意見交換し、日伊で協力していくことで一致しました。また、両首脳は、できる限り早い時期に相互訪問を実現すること、その実現に向けて調整することで一致しました。 
●日加首脳会談 平成30年6月8日
6月8日午前9時05分頃(現地時間)から約60分間、G7シャルルボワ・サミット出席のためにカナダを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、ジャスティン・トルドー・カナダ首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 両首脳は、本日から開催されるG7サミットの取り進め方を中心に意見交換を行いました。今回のG7サミットは、米朝首脳会談の直前の重要な局面で開催されることから、北朝鮮についてG7首脳が一致団結して力強いメッセージを発出することが重要であるとの認識で一致しました。
2 具体的には、両首脳は、北朝鮮による生物・化学兵器を含む全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄の実現に向け、両国で緊密に連携していくことで一致しました。また、安保理決議の完全な履行を徹底するため、いわゆる「瀬取り」を含む北朝鮮の制裁回避に関して、安倍総理から先般のカナダ軍哨戒機の派遣に対し謝意の表明があり、引き続き協力して対処していくことで一致しました。
3 また、安倍総理から、これまでのカナダによる拉致問題の早期解決に向けた理解と協力に謝意を表したのに対し、改めてトルドー首相から本件に関する支持がありました。
4 両首脳は、G7に関連して、貿易、地域情勢、女性・ジェンダー等についても意見交換を行いました。
5 両首脳は、二国間関係についても意見交換を行い、日加国交樹立90周年の本年、日加ACSA署名、日系自動車企業による対カナダ投資、人工知能等の革新技術分野での両国間の民間連携の進展等、日加関係が着実に強化されていることを歓迎するとともに、引き続き二国間関係を強化していくことで一致しました。更に、TPP11協定について、双方で国内手続を進め、早期に発効させることの重要性について一致しました。 
●G7シャルルボワ・サミット 平成30年6月9日
6月8日及び9日、カナダ・ケベック州にて開催されたG7シャルルボワ・サミットに安倍総理が出席したところ、概要は以下のとおりです。
(1)総論
世界経済が相互依存を深める中、グローバル化などに対する不安や不満が、保護主義への誘惑を生み出し、国と国の間で利害対立を生じさせることがありますが、そうした中にあっても、今回のG7サミットでは、ルールに基づく国際秩序の促進、保護主義との闘いの継続、ルールに基づく国際貿易体制の重要性について確認するとともに、公平な競争条件を促進するための様々な措置について一致しました。安倍総理は、国際社会に平和と安定をもたらすのは個人の自由な発想と活動を保証する自由、民主主義、人権、法の支配といったG7が共有する普遍的価値に他ならず、国際社会の牽引役としてG7がこれまで以上に役割を果たしていくべき旨力強く訴えるとともに、イノベーションと雇用、貿易、北朝鮮、ジェンダーなどに関する議論を主導しました。
(2)各論
ア 世界経済
安倍総理から、世界経済が引き続き堅調に推移し、新興市場国全体の強靱性が強化されている一方で、一部の新興国経済に変調が見られる中、市場の不安を払しょくするため、自由で公正な経済秩序を発展させ、世界の成長を牽引してきたG7が一致結束することが重要と指摘し、G7が引き続き市場動向を注視していくことなど、G7が協調して世界経済の安定に役割を果たしていくことを確認しました。
イ 貿易
貿易を巡っては、活発な意見交換が行われ、全体の方向性として、WTOの機能改善の必要性を含め、自由で公正な貿易を如何に実現していくのか、また、非関税措置障壁や補助金等の市場歪曲的措置に関し、忌憚の無い議論が積極的に行われました。そして、自由で、公正で、互恵的な貿易及び投資が、成長や雇用創出の主要な原動力であるとの認識の下、G20ハンブルク・サミットの結論に改めてコミットするとともに、WTOの近代化、強制的な技術移転などのの不適切な知的財産の保護への対処、市場歪曲的な産業補助金及び国有企業などに関する国際ルール等の構築、鉄鋼をはじめとする過剰生産能力問題への対処、及び輸出信用に関する新たな国際指針の策定などの重要性についても一致しました。安倍総理からは、G7が貿易制限措置の応酬に明け暮れることはどの国の利益にならず、不公正な貿易・投資慣行に断固対抗し、自由で公正な市場を守っていくとのメッセージをG7として結束して発信すべき旨主張しました。
ウ イノベーション・雇用
人口減少、少子高齢化、人工知能(AI)等の技術の進展、如何に持続的な成長をしていくのか、また、こうした技術の発展、AI、デジタル化、ビッグデータに如何に対応していくのか、さらに、人材育成・教育などの観点、女性の活躍促進などについて議論が行われました。新しい技術が進展しているという時代背景について共通認識の下、それらに対して、如何に持続的、かつ包摂的に成長していくかについて問題意識を共有しました。安倍総理より、少子高齢化、人口減少といった日本が世界に先駆けて直面する課題に関し、アベノミクスや女性の活躍推進といった政策によるこれまでの成果を紹介したほか、イノベーションについては、過度に恐れるのではなく、可能性を前向きにとらえるべき旨指摘しました。また、データの国外移転や外国企業の参入阻害、技術移転強要等の統制的な手法によるデジタル保護主義の動きが拡大していることへの懸念とともに、プライバシーやセキュリティーを尊重しながらも、情報やデータの自由な流通を含む、開放的で公正な市場環境の整備が重要であると述べ、日本としても、グローバルなルール形成に貢献していく考えを示しました。また、経済の電子化の進展により、例えば国境を越えた電子書籍、音楽配信等、新たなビジネスモデルの市場が大きくなってきている中、既存の課税原則では十分に課税できておらず、国際社会が協調して対応することが重要であり、G7が主導的役割を果たすべきこと、また明年のG20議長国である日本がしっかりと議論を進展させたい旨強調しました。
エ 外交・安全保障
(ア)北朝鮮
北朝鮮情勢については、安倍総理が議論をリードし、首脳間で突っ込んだ議論を行いました。安倍総理の発言に対し、各国から賛同と、支持が得られた結果、G7として、北朝鮮による全ての大量破壊兵器、弾道ミサイル及び関連施設の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄の実現が必要であること、そのために北朝鮮に対し、関連国連安保理決議の完全な履行を求め、具体的な行動を引き出していくこと等で一致し、米朝首脳会談の成功を後押ししていくことを確認しました。さらに、何よりも重要な拉致問題についても、安倍総理からの即時解決に向けた理解と協力の呼びかけに対し、支持を得ました。
(イ)中国
アジア情勢について議論する中で、中国の最近の動向についても議論が及びました。議論の結果、G7として、中国が、地域及びグローバルな課題を解決するため、建設的な役割を果たすよう促していくことが重要との点などで一致しました。
(ウ)ロシア
ロシアとの対話と関与は必要であり、北朝鮮を始め、諸問題においてロシアの建設的役割を引き出すことが必要との基本的認識に立って、議論に参加しました。
オ ジェンダー平等
今回のG7では、分野横断的なテーマとしてジェンダーが取り上げられ、全てのトピックにジェンダーの視点を含めて議論が行われました。これにより、伊勢志摩サミット等に引き続き、ジェンダー主流化が一層加速されました。特に、女性の活躍は経済成長に資するものであり、それを推進するためにも、質の高い教育やワークライフバランスの促進が必要で、具体的には、途上国における女性の教育支援、女性の理系分野への進出、さらには男女の賃金格差等の是正が必要との議論が行われました。また、その一方で、デジタル化がもたらす新たな課題にも対処が必要であり、オンライン暴力、ハラスメント等の撲滅の重要性についても一致しました。安倍総理からは、女性の活躍推進をアベノミクスの成長戦略の中核に据え、安倍内閣の最重要政策のひとつとして「女性が輝く社会」の実現に取り組み、2014年から国際女性会議WAW!を主催していることなどを紹介するとともに、来年、WAW!を、2019年G20議長国としてW20(注:Women 20。G20のエンゲージメント・グループの1つで、例年、G20参加国の女性リーダーが集まる会議を開催し、サミットに向けた提言を発出。)と合せて開催することを表明しました。また、日本として、途上国の女児・少女・女性のための質の高い教育、人材育成のために、2億ドルを拠出し支援するとのコミットメントを発表しました。また、カナダ議長国のイニシアティブにより、「ジェンダー平等アドバイザリー評議会」が立ち上げられ、提言が提出された上で、サミットにおいても朝食会に同評議会メンバーを招待し、G7首脳との間で闊達な意見交換が行われました。
カ 気候変動・エネルギー
グローバルな課題である気候変動対策のために、排出量削減に加え、低炭素社会の実現を国際社会が進めることが重要であり、これは経済にとってマイナスではなく、成長との両立が可能との議論が行われたほか、海洋の温暖化は生物多様性にも悪影響を及ぼしつつあり、これらを踏まえ、パリ協定の実施、及び循環型社会の実現にむけて協力していきたいとの意見が出されました。安倍総理からは、気候変動問題に関し、エネルギー転換・脱炭素化におけるビジネスの活性化が、今後の世界の経済成長を牽引するエンジンである旨言及するとともに、パリ協定に掲げられた二度目標達成に国際社会全体が向かうよう、G7が脱炭素化を実現していく姿勢を示していくことが重要であり、日本が有する高い技術力を活用しながら、世界の脱炭素化を牽引していく旨強調した。また、パリ協定の着実な実施に向け、環境と成長の好循環を回転させ、ビジネス主導の技術革新を促す、これまでの常識にとらわれない新たなビジョンとして、長期戦略策定に向けた検討作業を加速するよう指示した旨表明しました。
キ 海洋(アウトリーチ)
12か国の招待国(アルゼンチン(G20議長国)、ジャマイカ、ハイチ(カリコム議長)、セネガル、南アフリカ、ルワンダ(AU議長国)、ケニア、セーシェル、バングラデシュ、ベトナム、マーシャル諸島、ノルウェー)及び、招待国際機関として国連、IMF、世銀、OECDの4機関を交え、特に沿岸部の強靱性の構築、海洋の健全性の強化、海洋プラスチックごみ対策等について議論が行われました。安倍総理から、防災は、日本の重要課題の一つであり、2011年の東日本大震災等を通じて蓄積した知見を世界の人々のために役立てていくべく、2015年の国連防災会議をホストし「仙台防災枠組」を推進していること、また、海洋ごみ対策については、とりわけプラスチックごみは、海洋の生態系に悪影響を与え得るほか、人の健康にも影響を及ぼしかねず、一カ国だけの努力、更にはG7や先進国だけの努力で解決できるものではなく、途上国を含む世界全体の課題として対処する必要があること、プラスチックごみの削減には、伊勢志摩サミットでも推進したリデュース・リユース・リサイクルの3Rや、廃棄物処理に関する能力の向上等の対策を国際的に広げていくことが不可欠であり、日本としても、そのための環境インフラの導入支援の協力を推進し、来年のG20でもこれらの問題に取り組みたいことを述べました。総理が述べた海洋ごみ対策は、途上国を含む世界全体の課題として対処する必要がある点について各国首脳から賛同の意が表された他、気候変動の影響やその適応策、強じん性向上のためのインフラ整備、資金アクセスの向上、科学的知識に基づく海洋資源管理、生物多様性の保護などについて活発な意見交換が行われました。また、何名かの首脳から、海洋での経済活動の基盤である海洋の安全保障の重要性についても指摘があり、安倍総理からもこれに支持を表明しました。 
 

 

●完全に詰んでいる安倍政権の"ウルトラC" 6/4
森友、加計、日報隠し、セクハラ問題……
これはもう政権の末期症状だろう。空転続きの国会のことである。火の手は安倍晋三首相から名指しで報道姿勢を批判された朝日新聞から上がった。森友学園への国有地売却問題で、国会に提示された財務省の決裁文書に書き換えがあったことをスクープしたのだ。鑑定価格をはるかに下回る破格の値段で国有地が払い下げられた経緯について、「価格を提示したこともなければ、いくらで買いたいと言われたこともない」と財務省は説明してきた。ところが、朝日の記事では当時の決裁文書には「価格提示を行う」などの記載があって、これが書き換えられた疑いがあるという。政府は「書き換えはない」と撥ねつけた。ところが当の財務省が「書き換え」を認めたために、安倍政権は一気に窮地に陥った。事前の価格交渉を否定する答弁を繰り返してきた佐川宣寿前国税庁長官(財務省前理財局長)は辞任に追い込まれ、財務省は森友学園に約8億円の値引きを正当化するための口裏合わせを依頼していたことまで認めている。
一方、首相が「与り知らない」で押し通してきた加計学園の獣医学部新設問題にも再び火がついた。獣医学部誘致を進めてきた愛媛県や今治市の担当職員は国家戦略特区に申請する以前の2015年4月に首相官邸で政府関係者に面会している。このときに愛媛県職員が作成した記録文書が存在し、政府側の出席者である柳瀬唯夫首相秘書官(現在は経済産業審議官)が「本件は首相案件」と述べたことが記されていると、これまた朝日新聞が報じたのだ。柳瀬氏は面会を否定しているが愛媛県の中村時広知事は自らヒアリングして「首相案件」文書の存在を確認したと明言し、同様の文書が獣医師行政を所管する農林水産省でも見つかった。柳瀬氏の嘘は明らかだ。
安倍首相は国家戦略特区の事業者が正式決定した17年1月20日以前は、加計学園が申請していることを知らなかったと国会で答弁している。しかし首相の名代である首相秘書官が、それ以前に今治市の担当職員と面談して「首相案件」と言いきっているのだ。学園理事長の加計孝太郎氏を「腹心の友」と呼ぶ安倍首相が「知らなかった」では済まされないだろう。
しかも、愛媛県や今治市の担当者が官邸を訪れた際、加計学園の事務局長が同行していたことも判明した。つまり首相の名代が事業主体の加計学園の関係者に会って、ほどなく「首相案件」、つまり安倍首相の意を汲んだものとして獣医学部新設を認可され、土地の無償提供や校舎建設にかかわる補助金支給で100億円を超える税金が使われたことになる。安倍首相は加計理事長と何度も行っているゴルフや食事の代金について「私が払ったり、向こうが払ったり」と答弁している。利害関係者である加計学園の「請託」を受け、加計理事長の接待を受けていたと立証されれば、完全に受託収賄罪である。
安倍政権は完全に詰んだと思っている
「冒頭解散」で封殺したはずのモリカケ問題の“真実”がめくれ上がり、陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報に続いて政府が「存在しない」としてきたイラク派遣部隊の日報が見つかるなど防衛省の情報隠しが次々と明らかになって、ついには財務事務次官がセクハラ疑惑で辞任に追い込まれた。元東京地検特捜部の検事だった郷原信郎氏が「“安倍王将”は『詰み』まで指し続けるのか」とブログで指摘しているが、私も安倍政権は完全に詰んだと思っている。秋の自民党総裁選で安倍首相の三選はもはやありえないし、総裁選を待たずして職を辞する可能性も出てきた。
悲しいかな、安倍晋三というリーダーを退出させるのは、総理大臣としての彼の仕事ではない。アベノミクスにしてもアベクロバズーカにしても、21世紀の経済というものを理解していないお粗末な経済政策ではあるが、退陣を余儀なくされるような問題は引き起こしていない。
今国会を空転させているのは、安倍氏が首相として行った直接的な仕事ではない。安倍晋三という個人の極右思想、あるいは復古主義的な思想信条、それに共鳴する右派人脈や古い友人関係、さらに安倍首相の意向を過剰に忖度する取り巻きや役人によって引き起こされたのが森友学園問題であり、加計学園問題なのだ。園児に「教育勅語」を暗唱させるような気持ちの悪い学校法人に入れ込んだのは安倍晋三・昭恵夫妻の個人的趣味であって、森友学園への国有地払い下げに安倍首相が直接関与しているわけではないだろう。
陸自の日報問題についていえば、これも首相の仕事とは直接関係ない。安倍首相としては安保法制によって自衛隊の任務を拡大し、海外派遣の実績をつくりたかった。安保法制の適用第1号になったのが、民主党政権時代から派遣している南スーダンPKOだ。自衛隊のPKO参加5原則の1つは「紛争当事者の間で停戦の合意が成立していること」で、派遣当初は南スーダンでは南北の停戦合意があった。しかし停戦合意が破られて現地の治安は悪化、「戦闘地域に自衛隊を派遣するのはPKO法違反であり憲法違反」との声が高まった。17年3月に安倍政権は急遽、南スーダンPKOから自衛隊の撤収を決める。表向きの理由は「南スーダンでの活動が5年を迎えてひとつの区切りがついた」からだが、現地の情勢悪化が影響したとの見方が強い。
そうした現地の情勢を克明に記録しているのが、陸自が作成した日報だ。しかし日報の情報公開請求に対して防衛省は「陸自がすでに廃棄した」と拒否。「日報」を出せと野党に詰め寄られた当時の稲田朋美防衛大臣も「廃棄した」と国会で答弁して引責辞任に追い込まれた。おかしな答弁を繰り返した稲田元防衛大臣も“安倍友”であり、森友学園の訴訟を担当した“森友フレンズ”である。
結局、南スーダンの日報データは発見されて、隠蔽の経緯を防衛省が調査していくうちに、今度は政府が「存在しない」と説明してきた小泉純一郎政権時代のイラク派遣の日報まで見つかった。04年から06年の合計435日分、約1万5000ページもの日報だ。そんなに大量の文書が“発見”されたのは陸自の研究本部。貴重な海外派遣の記録を後世に伝えるために保管していたのだ。「存在しない」日報が存在したことに、「シビリアンコントロールが利いていない」とか「背広組が制服組にバカにされている」と野党が騒いでいるが、そうではない。戦場の現実を知らないバカな背広組がいるから、恥をかかせないように制服組が隠してくれていたのだ。
アメリカは尻尾を振りすぎる日本をバカにしている
モリカケや日報問題で安倍首相が退陣に追い込まれるとしたら、私は超不本意である。政策そのものが間違っていたという政権評価の本質が隠れてしまうからだ。
一方、安倍政権の外交の成果はどうかといえば、これも評価できるものは何もない。当初、安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を標榜して、戦後秩序の見直しを威勢よく訴えた。しかし戦後秩序をつくったのはアメリカであり、それを見直すということは東京裁判や占領政策、沖縄返還などの見直しにつながる。アメリカにとって不都合な真実もそこには隠されている。だからアメリカは安倍政権を当初警戒し、冷たくあしらった。
先の戦争の反省から、日本人の当事者意識が低かった戦後秩序の見直しはどこかでやらなければいけないと私は考えているので、安倍首相が本気で取り組んだら高く評価したと思う。しかし、アメリカに頬を張られた安倍首相は方向転換して、土下座外交に転じる。アメリカ議会や真珠湾で歯の浮くようなアメリカ礼賛演説を行い、トランプ大統領の当選祝いに我先にと駆けつけた。注文通り、IR(統合型リゾート)推進法を3週間で通してみせた姿勢は対米従属どころか、対米隷属といっていい。これまたアメリカ大統領としてのトランプの要望というよりトランプ支援者である(ラスベガス・サンズなどを経営する)シェルドン・アデルソンの要望を受けたものであった。
そうした茶坊主的な使い走りで日米関係が以前より強固になったかといえば、そんなこともない。トランプ大統領は貿易問題など言いたい放題に圧力をかけてくる。尻尾を振りすぎる日本をバカにしているきらいさえある。そんなアメリカべったりの外交をバックに中国や韓国、北朝鮮への強硬姿勢は崩さず、関係は冷え込んだまま。この5年で安倍首相が頻繁に会った世界の要人はロシアのプーチン大統領だが、結局、アメリカに遠慮があるから、ロシアとの距離もまったく縮まっていない。
安倍首相が日本のリーダーとして訪問した国は約5年で76カ国・地域に及ぶという。それだけの時間と飛行機の燃料代を費やしながら、日本の存在感はこの5年で非常に薄れた。韓国、北朝鮮の南北融和でも、周辺の関係国で日本だけが置いてけぼりのムードが漂っている。それでも政権当初に掲げながら一向に進まなかった「拉致問題の解決」につながれば、安倍外交唯一の成果となるのだが。 
●日露首脳会談は“ゼロ回答”? 6/13
 すれ違いにもがく安倍首相を取り巻く冷めた空気
こんなに成果が乏しい会談は珍しい−。5月下旬にモスクワで行われた日露首脳会談には、こんな厳しい評価が目立つ。北方四島での共同経済活動は早期に取り組む5つの事業に関する調査団派遣の合意にとどまり、事業化の前提となる日露双方の法的枠組みを害さない新たな枠組みに関しては進展がなかった。焦点の平和条約締結交渉も前進への意欲が示されただけで具体的な言及はなかった。
その予兆はあった。安倍晋三首相(63)が外遊する前は必ず「勉強会」と称する打ち合わせがあり、外務省の次官や審議官、局長らが首相官邸に出向く。5月24〜27日の首相訪露では、外務省幹部はいつも以上に頻繁に官邸に出入りした。
ただ、勉強会から戻った幹部の言葉は総じて少なめで、表情も硬かった。首相とプーチン大統領との会談は今回で21回目という「異例の多さ」(外交筋)もあり、領土問題の進展を期待する空気があった分、その落差は印象的だった。
現地ではロシアのペースに振り回された。25日のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムでの首相の講演は約2時間遅れで始まった。26日のクレムリン(大統領府)での首脳会談は開始時間になると突然、クレムリン内のプレスルームに設置された大型テレビにプーチン氏が閣僚会議を開く様子が映し出された。
首相はホテルで待機を余儀なくされ、会談開始は予定より約50分遅れた。会談後に予定していた共同記者会見は「ロシア側の強い要望」で一方的に、記者の質問を受けない「共同記者発表」に切り替えられた。
記者発表でも、並んで座った両首脳の違いは鮮明だった。首相は時々、プーチン氏のほうを向き、笑みを浮かべて話す一方、プーチン氏は終始前を向いて堅い表情を崩さなかった。平和条約締結交渉に関し、首相は「着実に前進していく決意を2人で今日、新たにした」と述べたが、プーチン氏は「両国民に受け入れられる解決策を辛抱強く探すことが重要だ」と発言。温度差が浮き彫りになり、問題解決は前途多難であることをうかがわせた。
記者発表の前には、8項目の日露経済協力プランに関する文書交換式が行われ、両国の閣僚や企業幹部が両首脳の前で次々と記念撮影に応じたが、参加したある日本企業の幹部はこうつぶやいた。「随分待たされて疲れた。こんなに時間にルーズなロシアとビジネスなんてできるのかな…」

ロシアの対応について、日露関係に詳しい関係者は「首相が9月の自民党総裁選に3選できるかを見極めている」と話す。
森友学園や加計学園をめぐる一連の問題で政権批判が続く日本の政治状況を「プーチン氏もロシアの国会議員も、こっちが驚くほどよく知っている」という。別の外交筋は「プーチン氏と波長が合う間柄といわれる首相が3選できなかったら、これまでの日露の信頼関係は終わりだ。領土交渉は振り出しに戻る」と指摘する。
首相が3選したとしても、任期は最長で3年間だ。プーチン氏の任期は6年間あり、領土問題解決に道筋をつけるために残された時間は3年間しかない。
そんな中、国民の愛国心をあおり、長期政権への不満をそらそうとするプーチン氏が北方領土問題で譲歩したとみられれば「弱腰」に映り、政治リスクを抱えることになる。北朝鮮情勢では、朝鮮半島の非核化を「共通の目標」とするが、旧ソ連時代から北朝鮮とつながりが強いロシアと、米国と緊密に連携する日本との利害は異なる。日露首脳の個人的な友好関係だけで平和条約締結交渉を前進させるのは限界がある。

5月30日の党首討論で「最後の段階ではプーチン氏と最終的な判断をしなければならないと思っている」と決意を示した首相は、決して無為無策ではない。経済協力では、サンクトペテルブルクの国際経済フォーラムで詳細に踏み込んだ。
ロシアが北極圏で昨年から液化天然ガス(LNG)生産を開始し、アジア向けLNG輸出に注力しているのを踏まえ「日本は世界最大のLNG輸入国だ。必ず日露のウインウインが成り立つ」と呼びかけた。
また、「ロシア人のライフスタイルを変えるお手伝い」として、最新の内視鏡診断による医療費低減や、部品工場の生産性向上による労働環境の改善などで日本が協力し、「『信頼の経済』をつくる実践を日露はともにしている」と訴えた。プーチン氏や富裕層、北方領土周辺のロシア人だけでなく、ロシア国民に広く理解を得やすい経済協力で局面を打開する方針だ。
気になるのは外務省内の冷ややかな空気だ。首相訪露に同行したロシア課長が「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない行為を行った」として6月4日付で停職9カ月の懲戒処分となった。後任人事が焦点だったとき、「今ロシア課に行ってもね…」と話す職員がいた。
官邸関係者が外務省の日露交渉への対応に不満を持っているとの報道が出ると、外務省幹部は「僕たちは首相の意向を最大限実現するようにやる。でも、首相が変わったら日露の協議が止まるということのないようにやっていくのが外交官の仕事だ。官邸とは立場が違う」と語っていた。世界で最も強硬的な指導者であるプーチン氏を相手に厳しい交渉に臨む首相の足下はおぼつかないようだ。 
●国会32日間延長、IR法案・外交成果で安倍首相は3選目指す 6/20
政府・与党は、通常国会の会期を7月22日まで32日間延長することを決めた。安倍晋三政権が重要法案と位置付ける働き方改革法案や、カジノを含む統合型リゾート(IR)関連法案の成立へ万全を期す。法案成立という実績や「外交成果」を追い風に、安倍首相は9月の自民党総裁選における3選を確かなものにしようとの戦略がありそうだ。
20日朝の国会内で記者団に囲まれた自民党の二階俊博幹事長は、会期延長の理由として「働き方改革法案などの重要法案を確実に成立させるため」と述べた。
複数の関係者によると、安倍首相周辺は当初、国会の会期が延長されれば、森友・加計問題で新材料などが出てきた場合、国会で批判が再燃するリスクも視野に延長に消極的だったという。
しかし、20日現在で働き方改革法案、IR関連法案、TPP(環太平洋連携協定)関連法案は、軒並み参院で積み残されている。
その一方、最近の内閣支持率の上昇などもあり、延長した際のリスクは低下。同時に重要法案の成立によるメリットは大きいと判断したようだ。
自民党・参院執行部の中には、7月末までの会期延長を目論む声もあったが、7月22日まで32日間の延長を決断したという。
ただ、安倍首相は7月11日から欧州などを歴訪する予定で、その間の審議はあまり進まない見通し。与野党の対決法案を審議するには「32日間の延長でも、ギリギリの日程」(与党関係者)という。
ある与党関係者は、IR関連法案の優先順位が高いのは、自民党が公明党に配慮した結果と説明する。公明党は党内にギャンブル依存症対策を重視するべきであるとの声が多く、同対策を原案よりも厚めにした経緯がある。
それでも世論調査などでIR法案の早期成立に反対の声が多く、公明党の重視する来年4月の統一地方選や来年夏の参院選との「インターバル」をなるべく長くするため、今国会で成立させる方針を決めたとみられている。
また、別の与党関係者は、米政権内にIR関連法案の早期成立を望む声があり、そうした動きを「忖度」した方が、今後の日米関係にとってプラスとのムードも政府・与党内の一部にあったと話す。
さらに公明党は、水道事業の基盤強化のため、事業者間の広域連携を図る水道法改正案などの成立も目指すよう要請している。18日に発生した大阪府北部地震で水道管が破裂し、断水が継続していることも同法案の成立を促す動きにつながっている。
加えて合区で議員数が減った県選出議員を別の形で議員にする道を開く参院定数6増を図る公職選挙法案も、成立を図る法案リストに加わった。
だが、一部の有識者からは、身を切る改革とは反対方向の「お手盛り」との批判が出ており、野党もこの法案に反対の意向を示している。
安倍首相周辺は、6月10日の新潟県知事選で与党系候補が勝利して以降、政局の流れが安倍首相にとって有利になってきたと判断しており、延長国会で重要法案が次々と成立すれば、首相の実績を強調し、自民党総裁選に臨めるとの展望を描いている。
また、自民党内には、会期延長で自民党総裁選への立候補を予定している石破茂・元幹事長らの立候補声明の時期が後ろ倒しになり、安倍首相にとって有利になるとの思惑もあるという声が出ている。
一方、IR関連法案に反対する立憲民主党など野党側は「法案に外資規制が含まれておらず、海外に国富が流出する」(19日の衆院本会議で立憲・福田昭夫衆院議員)として廃案を主張。また、「森友・加計問題に終わりはない」(与党関係者)との見方もあり、時間の経過とともに新材料が浮上する可能性もある。18日の参院決算委員会では、共産党の辰巳孝太郎議員が森友問題を巡り新たな内部文書を独自入手したとして、政権を追及した。
自民党内では、総裁選の展望に関して、現職である安倍首相の優位は揺るがないとの見方がある一方、世論調査で内閣支持率と不支持率が拮抗(きっこう)していることもあり、「総裁選までの3カ月間に環境はいつでも急変する」(自民党関係者)と慎重な意見もある。  
 
 
 
 2018/7

 

●第25回日EU定期首脳協議 平成30年7月17日
7月17日(火曜日)、東京にて、17時30分から約30分間、安倍晋三内閣総理大臣は、ドナルド・トゥスク欧州理事会議長及びジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長との間で第25回日EU定期首脳協議を行いました。定期首脳協議に先立ち、約1時間の少人数会合が実施され、定期首脳協議後には、日EU経済連携協定(EPA)及び戦略的パートナーシップ協定(SPA)の署名式、共同記者会見が行われました。また、今回の定期首脳協議に際し、共同声明が発出されました。
1 日EU・EPA及びSPAへの署名
(1)両首脳は、5年以上に及ぶ交渉を経て、日EU・EPA及びSPAに署名しました。
(2)安倍総理は、両協定の署名は、日EU関係をより高い次元に引き上げる価値のある画期的なものであるとの認識を示した上で、EPAへの署名は、保護主義的な動きが世界で広がる中、日本とEUが自由貿易の旗手として、世界をリードしていくとの揺るぎない政治的意思を世界に鮮明に示すものであり、EPAを礎に、今後も日EUが自由貿易の旗手として、WTOを中心とする多角的自由貿易体制を堅持、発展させていきたい旨述べました。また、SPAの署名については、基本的価値を共有する日EUの協力関係を一層深め、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序を維持・拡大し、国際社会の平和と繁栄をリードしていく基礎となるものであるとの認識を示した上で、今後、同協定に基づき、幅広い分野での対話・協力を一層強化していきたい旨述べました。
(3)これに対し、トゥスク議長から、欧州と日本は地理的には遠く離れているが、日EUが政治的にも経済的にも、これ程までに近づいたことはない旨の発言がありました。また、ユンカー委員長から、日EU・EPAは、公平性と価値を核とした協定であり、世界に対して範を示すものである旨の発言がありました。
2 日EU関係
(1)英国のEU離脱
安倍総理から、EUと英国の間の離脱協定交渉の行方を懸念をもって注視している、企業活動等への悪影響を避けるため、透明性及び予見可能性の確保が不可欠である旨述べ、引き続き適時の情報提供を要請しました。また、英国には日本企業も多く進出しており、移行期間中の法的安定性の確保は不可欠である旨述べました。 これに対し、ユンカー委員長からは、英EU間の離脱の現状につき説明がありました。また、EU側として法的安定性が確保される移行期間を含む離脱協定がまとまるよう、交渉の妥結に向け全力を尽くすとの立場が示されました。
(2)個人データの越境移転
安倍総理から、日EU当局間で相互に認定をすることで一致し、日EU間の相互の円滑な個人データ移転の枠組みを実現するために2018年秋までに双方の必要な手続を完了することにコミットしたことを歓迎する旨発言した。これに対し、ユンカー委員長は、データフローの重要性を指摘しつつ、関係者の努力に敬意を表しました。
(3)この他、両首脳は、安全保障、連結性、日本産農林水産品等の輸入規制、世界経済及び貿易等についても議論し、幅広い分野で戦略的に協力していくことを確認しました。また両首脳は、本年10月にブリュッセルで実施されるASEM首脳会合に向け、緊密に連携していくことを確認しました。
3 地域情勢
両首脳は、北朝鮮問題を始めとするアジア情勢、イラン核合意を含む中東情勢などの地域情勢についても忌憚ない意見交換を行いました。特に、北朝鮮問題について、両首脳は、北朝鮮による、全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄を実現するとの目標を改めて確認するとともに、国連安保理決議の完全な履行に向け、日EUで引き続き連携していくことで一致しました。また、安倍総理から、拉致問題の早期解決に向け、北朝鮮と直接向き合う決意を伝えるとともに、理解と協力を求め、トゥスク議長及びユンカー委員長より支持を得ました。 
 

 

●被災地で見せた安倍晋三首相の顔 7/24
6、7月に相次いで発生した大阪北部地震と西日本豪雨。安倍晋三首相(63)はいずれも被災地を訪れて被災者を励まし、現場で災害復旧や生活支援に全力を尽くす警察官や自衛隊員らを慰労してきた。欧州・中東訪問を中止するほど強い災害対応への思いを持つ首相が被災地で見せた“顔”とは−。
首相が6月以降に訪れた被災地は、6月18日に発生した最大震度6弱の大阪北部地震の大阪、7月に発生し14府県で200人以上が亡くなった西日本豪雨の岡山、愛媛、広島の計4府県に上る。特に、広島県への視察は股関節の痛みを理由に一度中止したが、改めて視察を決定し、21日に実行した。
その理由について菅義偉官房長官(69)は18日の記者会見で「自身で被災地を訪問して、現場を自らの目でしっかりと確かめて、被災された方々の生の声を丁寧に伺い、今後の対策に十分生かしていきたい、そういう強い思いを持っている」と述べた。
首相の思いを示す行動は、各地の被災地で見られた。大阪府茨木市では、陸上自衛隊が設置した入浴施設の視察中、集まった被災者たちと握手をしたり、写真撮影に応じたりしていた。予定にはなかったことだった。
避難所では、避難者の手を握りながら「大変だよね」「応援しますからね、頑張ってね」などと激励した。中には、首相が膝をついて話しかけると、感極まったのか泣き出す人もいた。
被災者への対応としては当然なのかもしれない。しかし、首相が膝をついて手を取りながら相手の話を親身に聞いている様子や、被災した子供たちの頭をなでているときに浮かべるほほえみは普段見ることがない一面で、正直驚いた。
被災地への同行取材では、支援の成果も体感した。岡山県で訪れた避難所となっている小学校での屋外での取材中、ドアの隙間から涼しい空気が漏れてきて、建物内にクーラーが設置されていることに気づいた。そうした支援の効果を把握するためにも、被災地視察の有効性は高いと感じた。
被災地で意外だったのは、首相も出席して自民党議員が7月5日夜に東京・赤坂の衆院議員宿舎で開いた懇談会「赤坂自民亭」についての批判の声が聞こえなかったことだ。気象庁が大雨の可能性を指摘していた時間帯での飲み会に批判が出ていた。
沖縄県で6月に開かれた沖縄全戦没者追悼式では、一部の参列者が首相のあいさつに対し「帰れ」「モリカケー(森友、加計)」などとやじを飛ばした。今回の被災地視察でそうした声が出てこなかったのは、被災地では過去のことより、現在の災害対応や復旧支援に目が向いているからなのだろうか。
広島県呉市の避難所で首相と握手をしていた女性は「わざわざ来てくれてうれしい。被災者を勇気づけ、現状をみてよくしてくれると思う。行方不明の人がまだいるので、早く見つけてほしい」と話していた。
首相はいずれの災害においても発生後、速やかに被災地入りをしている。大阪は発生から3日後、西日本豪雨で最初に訪れた岡山県は大きな被害が明らかになってから4日後だった。災害対応の姿勢としてはあるべき姿だろうが、一方で首相の訪問が災害対応や復旧作業に追われている被災自治体へ与える負担も少なからずある。
首相には厳重な警備が必要になる。たとえば広島県での視察では、高速道路の出口に警察官を配備し、他の車を一度停車させ、首相や同行記者らが乗るバスの一団を通過させた。災害復旧現場を訪れれば作業に当たっていた自衛隊員らの一部は一度、手を止めて首相の訪問を受け入れなければいけない。
他方で、被災地自治体としても首相の視察受け入れの大きなメリットがあることも事実だ。首相は被災自治体を訪れる度に知事らと面会し、がれきの処理の支援や今後を見据えた防災・減災対策の推進などを求める要望書を直接受け取った。
意見交換を踏まえ、首相は「財政措置については、被災自治体の皆さまには心配することなく安心して迅速に災害復旧に取り組んでいただきたい」などと表明した。政府から災害対応のための費用を得ることは、地方自治体側からすれば不可欠な要素だ。
それでも「赤坂自民亭」報道の影響なのか、世論の評価は厳しい。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が7月21、22両日に行った合同世論調査で、政府の復旧・復興に向けた対応について「評価する」が43・8%だったのに対し、「評価しない」が45・0%だった。政府は24日の閣議で、西日本豪雨災害を激甚災害に指定する。首相は一連の被災地視察を生かし、今後、どのような対策を取っていくのかが注目される。  
 
 

 

 
 

 

 
 

 

 

 



2018/7
 

 

 2017
●日米首脳会談 平成29年2月10日
2月10日、ワシントンD.C.出張中の安倍晋三内閣総理大臣は、ドナルド・トランプ米国大統領との間で、午後12時10分頃から約40分間、日米首脳会談を行い、その後の共同記者会見に引き続き、午後1時40分過ぎから約1時間、ワーキングランチを行ったところ、概要以下のとおり。また、両首脳は共同声明を発出した。
1.日米首脳会談
(1)冒頭・総論
安倍総理から、就任後の早い時期に首脳会談ができ、再会を大変嬉しく思うと述べ、本日、エアフォースワンで一緒にフロリダに行き、トランプ大統領と長い時間を過ごすことができるのは大変楽しみである旨述べた。これに対しトランプ大統領から、再びお目にかかれて嬉しい、総理の訪米を歓迎する旨の発言があった。また、安倍総理から、トランプ大統領が掲げる偉大な米国、強い米国を歓迎し、両首脳は、日米同盟の絆を一層強固にするとともに、アジア太平洋地域と世界の平和と繁栄のために、日米両国で主導的役割を果たしていくことを確認した。
(2)地域の安全保障環境と日米同盟
両首脳は、新たな段階の脅威となっている北朝鮮の核・ミサイル開発や東シナ海・南シナ海における一方的な現状変更の試みを含め、一層厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境について議論し、懸念を共有するとともに、こうした状況において、日米安全保障条約と地位協定に基づく在日米軍の存在が重要であり、日米同盟を不断に強化していく必要があること、さらに、日米同盟を基軸として、同盟国・有志国との間で重層的な協力関係を強化し、同盟ネットワークを構築していくことが重要であるとの認識を共有した。また、安倍総理から、これまでの安全保障に関する日本の役割や取組について、しっかりと説明し、両首脳は、共同声明にある認識で一致した。
(3)日米経済
両首脳は、幅広い分野を含む日米の経済関係を更に高め、協力をしていくことにより、双方にとって利益のある関係を構築してくことができるのかについて、率直かつ建設的な議論を行った。安倍総理からは、日本企業による米国における投資や雇用の実績など、日米経済関係の現状についての考えも説明し、両首脳は、日米経済関係の重要性について認識を共有した。また、両首脳は、今後、日米経済関係を更に大きく飛躍させ、日米両国、アジア太平洋地域、ひいては世界の力強い経済成長をリードしていくために対話と協力を更に深めていくことで一致し、麻生副総理とペンス副大統領の下で経済対話を立ち上げることを決定した。
2.共同声明
安倍総理とトランプ大統領は、日米同盟及び経済関係を一層強化するための強い決意を確認する共同声明を発出した。
政治・安全保障分野に関しては、両首脳は、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、同地域における平和、繁栄及び自由の礎である日米同盟の取組を一層強化する強い決意を確認した。特に今回、(1)拡大抑止へのコミットメントへの具体的な言及や、(2)日米安全保障条約第5条の尖閣諸島への適用、そして(3)普天間飛行場の辺野古移設が唯一の解決策であることを文書で確認した。
経済については、日米両国が、自由で公正な貿易のルールに基づいて、両国間及び地域における経済関係を強化することに引き続きコミットしていくことを確認したほか、双方の利益となる個別分野での協力を積極的に推進していくことでも一致した。これらの課題に取り組んでいく観点から、両首脳は、麻生副総理とペンス副大統領の下で経済対話を立ち上げることを確認した。
3.ワーキングランチ
アジア太平洋地域の平和と繁栄の礎である日米同盟は、防衛・安保のみならず、経済によっても支えられており、「摩擦」という言葉に象徴された日米経済関係は遠い過去であることを確認した。この文脈で、安倍総理からトランプ大統領に対して、日本企業は現地生産を通じて米国に多くの雇用・投資を生み、米国の良き企業市民として米国と常に共に歩み、摩擦を乗り越えてきたことについても伝えた。これに対してトランプ大統領からは、日本企業による米国への投資への評価・歓迎の意が表され、両首脳は、ウィンウィンの関係を作っていくことで一致した。また、安倍総理から、数年間に及ぶ困難な交渉を経て結実したTPP協定は最先端の貿易・投資ルールであり、21世紀のスタンダードとなるとの考えを踏まえつつ、同協定の経済的・戦略的意義について説明し、両首脳は、日米両国は戦後一貫して自由貿易を堅固に支持し、率先して推進し、そして現在の繁栄を実現してきたとの認識で一致した。両首脳は、活力ある日米経済関係は、日米両国、アジア太平洋地域、ひいては世界経済の力強い成長の原動力かつ雇用創出の源泉であり、この両国の経済関係を更なる高みに発展させることで一致した。その上で、麻生副総理とペンス副大統領の下での経済対話においては、経済政策、インフラ投資やエネルギー分野での協力、貿易・投資ルールの3つを柱とすることで一致した。 
 

 

●日独首脳会談 平成29年3月20日
3月20日(月曜日)11時50分(現地時間)から約90分間、CeBIT(情報通信見本市)出席のためドイツ訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、アンゲラ・メルケル・ドイツ連邦共和国首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
両首脳は、今回CeBITへ118社の日本企業が参加したことが日独間の緊密かつ高度な協力の象徴である旨強調したほか、日独がアジアと欧州を牽引し、共通の価値に基づき国際社会の諸課題に共に対処する重要なパートナーであり、日欧が米国とともに連携して国際社会の諸課題に取り組んでいくこと、またG7が従来以上に結束して安全保障及び経済面で揺るぎない連携とコミットメントを示すことが重要であるという点で一致しました。
2 経済分野における二国間協力
両首脳は、第四次産業革命に関し、昨日署名された日本の経済産業省・総務省とドイツ経済エネルギー省との間の共同宣言(「ハノーバー宣言」)の署名を歓迎するとともに、イノベーション、人材、自動車等の分野において一層緊密に連携することで一致しました。また、両首脳は、自動運転や人工知能を始め、関連分野における日独協力を進展させ、IoTを通じた社会・経済の変革を日独でリードしていくことの重要性を強調しました。さらに両首脳は、今回のCeBITにあわせて実施されている日独の中小企業交流に言及し、新たなビジネスの誕生に向けて中小企業間のIoTに関する交流を更に後押しする意思を確認しました。
3 地域情勢
両首脳は、EU情勢、ロシア・ウクライナ情勢、東アジア情勢といった地域情勢について幅広く議論し、率直な意見交換を行いました。
(1)日EU関係
両首脳は、国際社会が「変化の時」を迎える中、自由で開かれた国際社会を維持するためには、日欧米の安全保障及び経済面での揺るぎない連携が今まで以上に必要である点で一致しました。また安倍総理は、欧州が強く結束することの重要性を指摘し、そのためのメルケル首相のリーダーシップを求めました。また、英国のEU離脱に関して、透明性、予見可能性の確保および移行期間設定の重要性を説くとともに、日本企業の円滑な経済活動が維持されるよう配慮を要請しました。その上で、両首脳は、日欧が米国とともに自由貿易の旗を掲げ続けなければならないとの点で一致し、日EU・EPAのできる限り早期の大枠合意に向けて引き続き連携していくことを確認しました。さらに、安倍総理から、東日本大震災から6年経った今も、震災復興は政権の最重要課題であると述べた上で、福島県産等の食品の輸入規制の撤廃を要請しました。
(2)対米関係
両首脳は、双方が最近トランプ大統領と相次いで会談したことに触れつつ、地域及びグローバルな課題の解決に向けて、日欧が米国と連携していくことの重要性で一致しました。
(3)ロシア・ウクライナ情勢
両首脳は、ウクライナ情勢が日欧米にとっての重要な課題であり、ミンスク合意の履行を働きかけていくこと、また、ウクライナ自身が国内改革を進めることが肝要であるという点で一致しました。その上で、両首脳は、ウクライナ情勢の改善に向け、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。また、安倍総理から、北方領土問題の解決に向けた決意を述べ、日露間で対話を進めることの重要性を述べました。
(4)北朝鮮
両首脳は、最近の弾道ミサイルの発射を踏まえ、実効性を確保すべく日独で連携していくことで一致しました。また、安倍総理から、拉致問題の解決に向けた独の理解と支持を求めました。
(5)インド太平洋
両首脳は、インド太平洋の自由で開かれた海洋秩序を確保することの重要性と、この地域の安定と繁栄の促進のために連携することで一致しました。
4 G7/G20に向けた連携
両首脳は、自由で開かれた経済こそが平和と繁栄の礎であることで一致するとともに、今次サミットにおいて、G7の価値・結束・責任が揺らがぬことを世界に発信することが重要である点で一致しました。また、安倍総理より、質の高いインフラ・保健・女性・気候変動など、伊勢志摩サミットの主要な成果について、メルケル首相が議長を務めるG20ハンブルク・サミットに繋げるべく議論をリードしていきたい旨述べました。 
●日仏首脳会談 平成29年3月20日
3月20日、訪仏中の安倍内閣総理大臣は仏大統領府においてオランド大統領と日仏首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。会談は、午後7時から約45分間行われ、引き続いて共同記者発表及び夕食会が行われました。
1 冒頭
(1)安倍総理からは、先週のIMFパリ事務所及びオルリー空港での事件について、フランスの治安対策に連帯の意を表明した上で、日仏は、国際社会の課題に対応するグローバルな責任を有する特別なパートナーであり、オランド大統領との緊密な連携により、日仏間の友好関係には新たな拡がりと戦略性が付加された旨を述べました。
(2)これに対しオランド大統領からは、安倍総理の訪仏を歓迎すると共に、日仏の「特別なパートナーシップ」を更に推進したい、また、フランスは日本の南シナ海への懸念や北朝鮮の脅威についても認識している旨述べました。
2 二国間関係
(1)両首脳は、会談後に行われた原子力協力に関する世耕経産大臣とロワイヤル環境・エネルギー大臣間文書への署名と、日本企業のニューアレバへの出資に関する合意文書への署名を歓迎しました。両首脳は、今後更なる原子力協力を進めていくことで一致しました。
(2)インド太平洋については、安倍総理は、インド太平洋の地域の広大な海域を国際公共財として維持し、自由で開かれた海洋秩序を確保することにより、この地域の安定と繁栄のために緊密に連携していきたく、今後フランスとは、地域の沿岸国に対する海洋安全保障、テロ対策等の分野での能力構築支援を行うことを追求したい旨述べました。その観点から、両首脳は、4月末にフランス練習艦隊「ジャンヌ・ダルク」が訪日し、グアム等のアジア太平洋地域において日仏英米4か国による共同訓練を実施すること、また6月中旬のパリ国際航空宇宙ショーへの海上自衛隊P−1哨戒機の派遣等を通じ、安保・防衛協力を一層深めることで一致しました。
(3)両首脳は、アフリカでは(1)持続可能な開発、(2)保健、(3)安全の3つの柱に沿って協力を推進することで一致しました。
(4)両首脳は、明年フランスで日本文化の粋を集めて大規模に紹介する行事「ジャポニスム2018」の成功に向けて、引き続き協力していくことを確認しました。
3 日EU関係
(1)安倍総理から、国際社会が「変化の時」を迎える中、自由で開かれた国際社会を維持するためには、日欧米の安全保障及び経済面での揺るぎない連携が今まで以上に必要であり、また、強い欧州は世界のためになり、欧州統合が着実に力強く推進されていくことを日本は支持する旨述べました。また、両首脳は、日EU・EPAの早期の大枠合意を実現することで一致しました。さらに、安倍総理からは福島県産等の食品輸入規制の撤廃を要請しました。
(2)英国のEU離脱に関しては、安倍総理は、日系企業の活動にできるだけ影響が出ないよう配慮を要請しました。
4 グローバルな課題・地域情勢
(1)両首脳は、気候変動については、パリ協定発効後のモメンタムを維持し、同協定の実施指針の策定に向けて、日仏で連携していくことを確認しました。
(2)北朝鮮については、両首脳は、最近の弾道ミサイルの発射を踏まえ、安保理決議の実効性を確保すべきことで一致しました。
(3)東シナ海・南シナ海情勢については、両首脳は、法の支配に基づく国際秩序の維持のため、緊密に連携していくことで一致しました。
(4)ロシア・ウクライナについては、両首脳は、ミンスク合意の履行を働きかけていくことで一致しました。
(5)両首脳は、これらの地域及びグローバルな課題の解決に向けて、日欧米の連携が重要であることで一致しました。 
●日EU首脳会談 平成29年3月21日
ブリュッセルを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、トゥスク欧州理事会議長(H.E. Mr. Donald Tusk、 President of the European Council)及びユンカー欧州委員長との間で、現地時間21日午後12時20分から約50分首脳会談を行いました。概要は以下のとおりです。
1. 冒頭
安倍総理から、3月9日の欧州理事会におけるトゥスク欧州理事会議長の再選に対してお祝いの言葉を述べ、また、ローマ条約署名から60周年を迎えたEU統合の歴史やEUが欧州内や国際社会の諸課題に取り組んできたことに敬意を示しました。また、両首脳は、国際社会が多くの難題や不確実性に直面していることを踏まえ、我が国と欧州との連携がかつてなく重要であり、自由貿易や海洋の安全保障等、法に基づく国際秩序の維持・強化に向け、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
2. 日EU関係
(1)2017年は、EU加盟各国における選挙や英国のEU離脱プロセス開始により、欧州の今後を左右する重要な節目となることを踏まえ、安倍総理から、EUの将来に関する議論が、欧州全体の結束を維持する方向に向かうことへの期待を表明しました。また、同様の観点から、英国との離脱交渉に当たっては、透明性・予見可能性の確保や移行期間の設定は全関係者にとって重要であり、日系企業の円滑な経済活動が維持されるよう配慮を要請しました。これに対し、EU側は、英国が昨20日、3月29日に離脱通知を行うとしたことを受け、4月29日に欧州理事会(注:首脳会合)を開催するが、最大限の確実性と透明性を図る旨述べました。
(2)日EU経済連携協定(日EU・EPA)については、安倍総理より、自由貿易の旗を掲げ続けることが重要であり、戦略的パートナーシップ協定とともにできる限り早期に大枠合意し、共に世界に範を示していくべきと述べました。EU側からは、日EU・EPAは、双方の経済を大きく活性化するものであり、残された論点は難しいものだからこそ残ってはいるが、包括的でバランスのとれた合意を目指していく旨述べ、双方の強い政治的意思を確認しました。
(3)また、安倍総理から、個人データの越境移転につき対話が進展していることを歓迎するとともに、個人情報を適切に保護しつつ、相互の円滑な枠組みの早急な整備に向け対話を加速したいと述べました。更に、福島県産等の日本食品等を対象とする輸入規制の撤廃を要請しました。
3. G7・G20に向けた連携
(1)両首脳は、保護主義や内向き志向の台頭も懸念される中、自由で開かれた経済こそが平和と繁栄の礎であることを確認し、G7の価値・結束・責任は揺らがぬことを世界に示すことの重要性に一致しました。
(2)また、両首脳は、世界経済の下方リスクや格差への不満にも対処する必要があり、全ての政策手段を用いていくことを再確認すべきとの点で一致し、鉄鋼をはじめとする過剰生産能力問題への取組を一層加速していくことを確認しました。
4. 地域情勢
また、両首脳は、南シナ海、東シナ海、北朝鮮を含むアジア情勢、欧州情勢、中東情勢等について忌憚のない意見交換を行いました。 
●日伊首脳会談 平成29年3月21日
3月21日(火曜日)午後6時から約70分間、イタリア訪問中の安倍内閣総理大臣は、イタリア首相府において、パオロ・ジェンティローニ・イタリア首相と日伊首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
(1)安倍総理から、外相としても日伊関係強化に尽力されたジェンティローニ首相と共に働けることを楽しみにしている旨述べました。さらに、安倍総理より、日伊は普遍的価値を共有し、共に国際社会の諸課題に取り組む重要なパートナーである旨述べ、G7前議長として、タオルミーナ・サミットの成功に向け、議長であるジェンティローニ首相を全力で支援したい旨述べました。
(2)これに対しジェンティローニ首相から、文化、政治、歴史的背景のもと、昨年の日イタリア国交150周年を機に、さらに関係を発展させていきたい旨の発言がありました。
2 G7タオルミーナ・サミットに向けた協力
(1)G7については、今年イタリアは昨年の我が国に続いてG7議長国を務めるので、G7タオルミーナ・サミットの成功に向けた新旧議長間の緊密な連携を確認しました。特に、世界における保護主義や内向き志向の台頭も懸念される中で、G7の価値・結束・責任が揺るがぬ事を世界に示すべきとの点で一致しました。
(2)具体的には、両首脳は、世界経済の成長軌道への回帰を確固たるものとし、下方リスクや格差への不満にも対処する必要があり、G7が世界経済をリードしていく上で、財政出動も含め、全ての政策手段を用いていくことを再確認しました。また、両首脳は、保健及び女性の活躍等の伊勢志摩サミットの主要課題を更に進展させることで一致しました。
(3)政治・外交分野でも、東アジア情勢や海洋安全保障といったテーマについて、G7が引き続き議論を深めていく重要性を確認しました。
(4)ジェンティローニ首相からは、アフリカの食料安全保障の問題を取り上げたいとの発言がありました。
3 日EU関係
両首脳は、日EU・EPAの早期の大枠合意を実現するために緊密に連携していくことで一致しました。
4 地域情勢
(1)東シナ海・南シナ海情勢について、両首脳は、法の支配に基づく国際秩序の維持のため、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
(2)北朝鮮については、最近の弾道ミサイルの発射を踏まえ、安保理決議の実効性を確保すべく両国で連携していくことで一致しました。また、安倍総理からは、北朝鮮による拉致問題について、日本とEUで国連人権理事会に決議を提出しており、引き続きイタリアからも理解と支持を得たい旨を説明し、ジェンティローニ首相からその解決に向けた取組への理解と支持を得ました。
(3)両首脳は、ロシア・ウクライナ情勢についても意見交換を行い、G7の結束を重視しながら、緊密に連携していくことを確認しました。
5 二国間関係
(1)両首脳は、テロ対策について協力を深めていくことを確認しました。
(2)両首脳は、防衛装備品・技術移転協定の交渉を開始することで一致しました。
(3)また、安倍総理から、福島県産等の日本食品等を対象とする輸入規制の撤廃への期待を表明しました。これに対し、ジェンティローニ首相からは、安全な食品について規制を撤廃していくとの約束を果たしていく旨発言がありました。 
 

 

●日露首脳会談 平成29年4月27日
4月27日、ロシアのモスクワを訪問した安倍総理大臣は、プーチン大統領との間で、17回目となる日露首脳会談を約3時間10分程度実施しました。昨年12月のプーチン大統領訪日時の成果の上に立って、両首脳は、平和条約締結問題、国際情勢(シリア、北朝鮮等)、経済、文化・人的交流等幅広い分野で率直に議論しました。
1 平和条約締結問題
昨年12月の首脳間の合意事項の具体的な進展として、以下の3点で一致しました。
(1)航空機を利用した元島民による特別墓参の実現(6月中にも実施)。
(2)共同経済活動に関する四島への官民現地調査団を派遣(5月中にも実施)。
(3)本年8月末の歯舞群島への墓参の際に追加的な出入域ポイントを設置。
こうした取組を積み重ね、四島における協力で様々な成果を出していく姿を日本人と現在四島に住んでいるロシア人が実感することは、平和条約の問題の解決の意義への理解に繋がるものであり、平和条約締結に向けたプロセスの一環です。
2 日露関係全般(今後の政治対話)
両首脳は、7月7・8日にドイツ・ハンブルクで行われるG20首脳会合の際に再会することで一致しました。安倍総理は9月にウラジオストクで行われる東方経済フォーラムに出席する予定である旨改めて表明しました。安倍総理から、今後、岸田外務大臣とシュヴァロフ第一副首相との間の貿易経済日露政府間委員会の共同議長間会合も適切なタイミングで実現したい旨言及しました。
3 国際情勢(テロ、北朝鮮、シリア等)
(1)テロ対策
安倍総理は、サンクトペテルブルクの地下鉄爆破事件につき改めて弔意を表明し、テロ対策等の「非伝統的脅威」への対応で協力したい旨言及しました。アフガニスタン及び中央アジアの麻薬対策要員の訓練での日露協力「ドモジェドヴォ・プロジェクト」の更なる発展を確認しました。
(2)北朝鮮
安保理常任理事国かつ六者会合のメンバーであるロシアの建設的な役割を促し、国連の場を含め、北朝鮮問題につき日露で協力していくことで一致しました。
(3)シリア
安倍総理とプーチン大統領との間で、率直に意見交換しました。
(4)ウクライナ
安倍総理から、情勢改善にはミンスク合意以外に道はなく、ロシアを含む全当事者の建設的な行動を働きかけました。
4 経済、文化・人的交流
(1)経済
安倍総理から、8項目の「協力プラン」具体化の中で、医療と都市環境に関する協力の進捗及びメリットを映像を用いてプーチン大統領に提示。「協力プラン」の具体化を更に進め、互恵的な日露経済関係を発展させていくことで一致しました。両首脳は、「協力プラン」の作業計画の改正、山口県とクラスノダール地方の協定を含む28件の文書への署名、日露租税条約の改正交渉の実質合意を歓迎しました。
(2)文化・人的交流
2018年の「日本年」「ロシア年」に関し、両首脳は、共通の開会行事を日露共催で来年実施する方向で調整することを確認しつつ、行事の拡充を指示しました。安倍総理は、プーチン大統領のイニシアチブである、ロシア文化の紹介行事である「ロシアの季節」の最初の開催国として日本が選ばれたことを日露関係重視の現れとして歓迎しました。6月4日の開会式に総理自らが出席する旨伝達しました。 
●日英首脳会談 平成29年4月28日
4月28日12時15分から、英国を訪問中の安倍内閣総理大臣は、チェッカーズ(英首相公式別荘)において、テリーザ・メイ首相とテタテ(室内及び庭の散歩)、ワーキングランチ及び協議形式で、合計約2時間40分の会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。なお、チェッカーズに招待されるのは日本の総理としては田中角栄総理に続き安倍総理が2人目であり、昨年に続き2度目。メイ首相が就任してから外国の首脳がチェッカーズに招待されるのは今回が初めてとなります。
1 冒頭
(1)両首脳は、お互いを、普遍的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーとして重視しており、安全保障・防衛、経済分野に加え、女性の活躍推進等の共通の国内課題への対応において緊密に連携し、世界に範を示していくことで一致しました。
(2)メイ首相は、EU離脱に関する国民投票実施後の日本企業の英国への投資を歓迎する、離脱交渉については、日本企業の活動に配慮するとともに、日本企業のみならず、他国の企業を含め、投資しやすい環境を維持したい旨述べました。
2 G7タオルミーナ・サミットに向けた協力
(1)両首脳は、保護主義や内向き志向の台頭も懸念される中で、G7の価値・結束・責任が揺るがぬことを世界に示すべきとの点で一致しました。
(2)具体的には、両首脳は、世界経済の成長軌道への回帰を確固たるものとし、下方リスクや格差への不満にも対処する必要があり、すべての政策手段を用いていくことを再確認しました。また、両首脳は、質の高いインフラ、保健及び女性の活躍といった伊勢志摩サミットの主要課題をさらに進展させることで一致し、こうした取り組みは日英に共通の国内課題への対処にも有益である点を確認しました。
(3)政治外交分野でも、近年G7で議論を深めてきた、東アジア情勢や海洋安全保障といったテーマについてG7が引き続き議論を深め、声を合わせていく重要性を確認しました。
3 日欧関係
(1)英国のEU離脱
安倍総理から、日本は強い欧州を支持する、強い欧州は世界に平和と繁栄をもたらす、英国のEU離脱後も欧州の強い結束が維持されることを期待する旨述べました。また、英国のEU離脱交渉において、英国が、離脱に際する透明性・予見可能性の確保や移行期間の設定等を重視していることを評価し、円滑な企業活動の維持のため引き続きの配慮を要請しました。両首脳は、日本とEU離脱後の英国との間の経済関係・産業分野のパートナーシップの維持・強化に向け、緊密に連携していくことで一致しました。
(2)日EU・EPA
両首脳は、世界で保護主義の動きが顕著になる中で、日欧が米国と共に自由貿易の旗を高く掲げ続けなければならないこと、自由貿易の旗手を自認する日本と英国が共に手を携えリーダーシップを発揮していくことで一致しました。この観点から、両首脳は、日EU・EPAの早期の大枠合意を実現するため緊密に連携していくことで一致しました。
(3)輸入規制の撤廃
安倍総理から、震災からの復興は最重要課題であり、科学的に安全と証明された福島県産等食品に対する輸入規制撤廃に向けた協力を要請しました。
4 二国間関係
(1)安倍総理から、英国の高速鉄道計画「HS2」においても日本企業が貢献できることを期待する旨を述べました。これに対し、メイ首相からは、様々な日本企業との協力関係を強化していきたい旨述べました。
(2)両首脳は、メイ首相が内務大臣時代に設立に尽力した国家サイバーセキュリティセンターを会談後に安倍総理が視察することに触れながら、2020年の東京五輪に向けてもセキュリティ対応について知見の共有を進めていくことを確認しました。
5 安保・防衛協力
(1)安倍総理からは、インド太平洋が国際公共財であり続け、いずれの国にとっても自由で開かれていることが重要である旨述べました。両首脳はその目的のため、航行の自由を含む法の支配に基づく秩序の支持、海上法執行能力の向上支援や共同訓練等の安保・防衛協力を具体的に推進していくことで一致しました。
(2)両首脳は、英海兵隊が同乗するフランス練習艦隊「ジャンヌ・ダルク」が明日29日に訪日し、グアム等のアジア太平洋地域において日仏英米4か国での共同訓練を実施することは、航行の自由への我々の強いコミットメントを示すものとして高く評価する点で一致しました。
6 地域情勢
(1)北朝鮮に関し、両首脳は、新たな段階の脅威であり、更なる挑発行動に対し、現在ニューヨークで行われている国連安保理での協議でも引き続き両国で連携していくことで一致しました。安倍総理からは、拉致問題の解決は安倍総理の最重要課題である旨を説明し、メイ首相からその解決に向けた取組への理解と支持が表明されました。
(2)東シナ海・南シナ海情勢に関し、両首脳は、法の支配に基づく国際秩序の維持のため、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
(3)シリア情勢に関しては、両首脳は、シリアで行われた化学兵器の使用は絶対にあってはならず、事態が複雑化する今こそ、日英の緊密な連携が重要であるとの認識で一致しました。
(4)米国については、両首脳は、地域及びグローバルな問題の解決に向けて、米国とその最重要国である日英の連携が重要であることで一致しました。 
 

 

●日米韓首脳会談 平成29年7月6日
7月6日19時35分(現地時間)から約75分間、安倍総理は、G20ハンブルク・サミット出席の機会をとらえ、在ハンブルク米国総領事館において、トランプ米国大統領及び文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領との間で、両大統領の就任後初となる日米韓首脳会談を行ったところ、概要以下の通り。(日本側は野上官房副長官他、米国側はティラソン国務長官他、韓国側は康京和(カン・ギョンファ)外交部長官他が同席。)
1 冒頭、安倍総理から、トランプ大統領と文在寅大統領と共に地域及び国際社会の平和と安全のために全力を尽くしていきたい、国際社会の最優先事項は北朝鮮問題であり、三首脳が一堂に会することは重要な意義があり、日米韓で北朝鮮の核の放棄に向けた戦略を共有する上で歴史的な機会である、三首脳で国際社会の取組を主導していきたい、安全保障分野をはじめとする幅広い分野において日韓・日米韓の未来志向の協力関係を進展させていきたいと述べた。
2 続いて、安倍総理から、4日の北朝鮮によるICBM発射成功との発表は、北朝鮮問題が国際社会の最優先事項であることを示すものであり、今回の発射を受け国際社会による北朝鮮に対する圧力を一段引き上げる必要がある旨述べた上で、北朝鮮とは対話のための対話は意味がなく、北朝鮮に真剣に対話させるために今は圧力が必要であり、安保理においても厳しい措置を含む新たな安保理決議の採択に向けて日米韓で引き続き緊密に連携していくべきと説明した。また、安倍総理から、中国の役割が重要であり、米国が決定した中国の団体等に対する制裁を評価する旨述べた。また、日韓・日米韓の安全協力の継続の重要性を強調しつつ、協力分野を更に拡大していきたい旨述べた。
3 安倍総理から拉致問題に関する理解と協力を求めたのに対してトランプ大統領及び文在寅大統領から支持を得た。
4 三首脳は、(1)三か国で緊密に連携して北朝鮮に対して更に圧力をかけていくこと、(2)中国が更なる役割を果たすよう共に働きかけていくこと、(3)米国が中国の企業等への制裁を科したことにつき日韓も米国と連携していくこと、等について一致した。 
●日露首脳会談 平成29年7月7日
G20ハンブルク・サミットの際に、安倍総理とプーチン大統領との間の18回目となる日露首脳会談を約50分実施しました。(全体会合約35分、テタテ約15分)。
1 北方領土問題
○ テタテ会談で、平和条約締結問題を中心に突っ込んだ議論を行いました。
○ 本年4月のモスクワでの首脳会談における合意事項が着実に実現していることを確認し、歓迎しました。昨年12月の合意事項の実現に向けた着実な取組みを通じて両国の信頼を深めることが、平和条約の締結につながるとの共通認識の下で議論しました。
(1)北方四島における共同経済活動
ア 6月末に派遣された官民調査団による現地調査が極めて有意義であり、今後の検討の加速につながることを確認しました。
イ 8月下旬にモスクワで外務次官級の協議を開催することで一致しました。現地調査の結果も踏まえ、9月の首脳会談に向けて、今後必要となる法的枠組みの議論も含めて、プロジェクトの具体化に向けた議論を進めます。
(2)元島民による北方四島への往来の円滑化
ア 6月に天候を理由に実現しなかった航空機を利用した特別墓参について、双方が実現に向け十分な準備を行ったことを評価しました。9月の適切な時期に実現すべく調整していくことで一致しました。
イ 閉じられた区域へのアクセスについても議論しました。
○ 北方四島におけるロシアによる先行発展領域(TOR)の設定に関し、安倍総理から日本の立場を伝達しました。
2 北朝鮮問題
○ 安倍総理から、国際社会の声を無視し、核・ミサイル開発に邁進する北朝鮮に対して、圧力強化が必要であることを強調しました。ロシアがさらに大きな役割を果たすよう働きかけました。
○ プーチン大統領からは、日本の懸念は十分に理解するとした上で、ロシアとしても核不拡散体制と矛盾する北朝鮮の行動はやめるよう働きかけている旨紹介がありました。
3 米露関係
○ 安倍総理から、様々な国際問題を解決するためには、米露の協力が不可欠である旨述べ、今般、米露がしっかりと会談を行ったことを歓迎しました。
4 経済
○ 8項目の協力プランを含む、これまで議論されているプロジェクトに関し、最新の状況について議論しました。
5 今後の政治対話
○ 9月にウラジオストクで開催される東方経済フォーラムの際に安倍総理が訪露し、再度会談を行うことを確認しました。 
●日・トルコ首脳会談 平成29年7月7日
7月7日午後3時53分から約40分間、安倍晋三内閣総理大臣はG20出席のため訪問中のドイツ・ハンブルクにおいて、レジェップ・タイップ・エルドアン・トルコ共和国大統領と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
安倍総理から、昨年のクーデター未遂を克服し、困難な時期に憲法改正国民投票の実施に踏み切り、国民の支持を勝ち取ったエルドアン大統領の決断力に改めて敬意を表する、先日のチャヴシュオール外相訪日では両国間の歴史的な友好関係に基づいた多層的な二国間関係の構築で一致しており、我々首脳間の絆も益々強くしていきたい旨述べました。エルドアン大統領から、安倍総理と再会できて嬉しい、クーデター未遂事案が発生した際にトルコに対して支援を表明してくれた最初のリーダーとして改めて感謝する旨述べました。
2 二国間関係
(1)安倍総理から、様々なレベルで両国民間の交流を深めていきたい旨述べたほか、日本企業のトルコへの関心の高さに言及しつつ、更なる貿易・投資拡大に向けEPAや社会保障協定の交渉を進めたい、宇宙分野における協力促進を含め、今後もトルコにおけるインフラ事業への日本企業の参画を期待する旨述べました。また、安倍総理から、トルコ・日本科学技術大学設置法のトルコ国内での発効を歓迎し、未来に向けた両国間協力の重要な基盤となる同大学設立に向けた協力を再確認しました。
(2)これに対し、エルドアン大統領から、日本との協力を重視しており、さらなる両国間の経済関係の発展のためにもトルコへの日本人観光客を増やしたい、トルコ・日本科学技術大学は優秀な研究者や学生を一堂に会させる重要なプロジェクトである旨述べました。
3 地域情勢
このほか、両首脳は、北朝鮮や中東情勢について意見交換を行いました。 
●日印首脳会談 平成29年7月7日
1 安倍総理は、7月7日15時05分から15時40分までの間、G20出席のため訪問中のドイツ・ハンブルクにて、ナレンドラ・モディ・インド首相との間で会談(両首脳間で9回目)を行いました。
2 冒頭、モディ首相より、国際会議の機会のたびにお会いでき嬉しく思う、2014年以来の日印のパートナーシップは大きく開花しており、安倍総理のインド訪問を心待ちにしていると述べました。これに対し、安倍総理から、昨年日本でお会いして以来、再会できて嬉しい、日印の戦略的な対話は進んでおり、本年のインド訪問を楽しみにしていると述べました。
3 安倍総理より、モディ首相と共に「日印新時代」を更に大きく飛躍させ、インド太平洋地域と世界の平和と繁栄を主導していきたい、来るインド訪問においては、「自由で開かれたインド太平洋戦略」と「アクト・イースト」政策の連携を具体的に示したい、と述べました。これに対し、モディ首相より、日印両国は民主主義や法の支配の秩序作りの上で大きな役割を果たす、日印の連携を更に一層強化していきたいと述べました。
4 その後、両首相は、政治・安全保障、高速鉄道、経済・経済協力等の日印間の主要課題、さらに地域情勢について率直な意見交換を行いました。
(1)安倍総理より、来週の日印米海上共同訓練マラバールは日印防衛協力、日印米協力の象徴であると述べ、モディ首相からも日本との防衛協力、日印米三か国による具体的協力を更に進めていきたいと述べました。
(2)安倍総理より、日印原子力協定の早期発効及び原子力協力の具体化への期待を表明し、モディ首相より日本側取組への謝意が表明されました。
(3)両首相は、ムンバイ・アーメダバード間の高速鉄道についても、具体的成果を早期に示せるよう着実に進めていくことで一致しました。
(4)両首相は、地域の諸課題について、首脳間での率直な議論が重要であることで一致するとともに、北朝鮮をめぐる問題等について更に情報交換を行い、国際社会による制裁が実効的なものとなるよう緊密に連携していくことを確認しました。 
●日韓首脳会談 平成29年7月7日
本7日9時40分(現地時間)から約35分間、G20サミットに出席するためドイツ・ハンブルクを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領との間で日韓首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおり(日本側同席者:野上官房副長官、長谷川総理補佐官、谷内国家安全保障局長他、韓国側同席者:金東兗(キム・ドンヨン)経済副総理兼企画財政部長官、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官他)。
1 冒頭安倍総理から、文大統領と共に未来志向の新たな日韓関係を構築していきたい、文大統領と緊密に意思疎通を行い、政治・安保、経済、文化など、あらゆる分野で交流や協力を発展させていきたい、地域の平和と安定のため、北朝鮮問題に関する連携も更に強化したい旨を述べた。
2 続いて、安倍総理から、戦略的利益を共有する最も重要な隣国同士である日韓両国があらゆる分野で協力や交流を進め、未来志向の関係を築くことは地域や世界の安定と繁栄にもつながる、地方都市交流や観光協力を特に強化し、お互いの国民感情の改善につなげたい、来年の平昌(ピョンチャン)オリンピック、2020年の東京オリンピックの機会を捉えて両国の交流を活性化させたい、両国の未来を担う青少年の交流を力強く進めていきたい旨を述べ、日韓関係を未来志向で進めていくことについて文大統領との間で一致した。
3 北朝鮮問題については、安倍総理から、6日の日韓米首脳会談では、(1)三か国で緊密に連携し、北朝鮮に圧力をかけ、また、中国が役割を果たすよう働きかけていくこと、(2)中国企業等に制裁を課すことにつき、日韓が米国と連携していくことについて一致することができた、今は最大限の圧力をかけることが必要であり、対話の時ではない、北朝鮮の核・ミサイル開発を止めるためには、北朝鮮の外貨獲得源を遮断することが必要、地域の平和と安定を確保するためにも、日韓・日韓米の安全保障協力が重要である旨を述べ、引き続き日韓・日韓米で緊密に連携していくことを確認した。
4 日韓関係について、安倍総理から、日韓両国は隣国であるがゆえに難しい問題があるのも事実だが、こうした難しい問題が全体の日韓関係に悪影響を及ぼさないよう適切にマネージすることが日韓両国共通の利益である、日韓合意は未来志向の日韓関係を築いていくための欠くべからざる基盤である旨を述べた。
5 最後に、両首脳は引き続き緊密に意思疎通を行っていくことで一致し、「シャトル外交」を再開させることで合意した。 
●日米首脳会談 平成29年7月8日
7月8日、G20ハンブルク・サミット出席のためドイツ・ハンブルクを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、現地時間午後2時48分から約30分間、ドナルド・トランプ米国大統領との間で日米首脳会談を行ったところ、概要以下のとおり。
1 冒頭、トランプ大統領から、ハンブルクで様々な議論をしてきた、安倍総理とは北朝鮮問題を中心に議論してきたが、北朝鮮の核・ミサイルは大きな脅威であり、引き続きこのような議論を続けていきたいとの発言があった。これに対し、安倍総理から、トランプ大統領と個別に会談できて嬉しい、北朝鮮を含む地域の安全保障環境は一層厳しい、国際社会が直面する課題を議論し、日米同盟の強固な絆を改めて世界に示したい旨述べた。
2 北朝鮮問題について、安倍総理から、北朝鮮に対する圧力を一段階引き上げる必要があることを強調しつつ、先日の日米韓首脳会談において、3か国首脳で一致した立場を確認したことは有意義であった旨述べ、両首脳は、引き続き緊密に連携することで一致した。
3 両首脳は、今回それぞれが地域のパートナーとの間で行った会談を踏まえて、地域情勢について意見交換を行った。安倍総理から、日中関係が正しい道筋に戻りつつあることを説明し、これに対して、トランプ大統領から、安定した日中関係は地域の平和と安定に資するものであり歓迎するとの趣旨が表明された。
4 両首脳は、こうした地域情勢についての議論を踏まえた上で、両者の強固な絆と盤石な日米同盟が、周辺各国との関係を両国がそれぞれ改善・強化していく基盤となっていることが、今回のG20に際しての一連の会談で確認されたとの認識を共有した。両首脳は、両国がこうして各国と個別に関係を強化する中で、両国がこれら各国から前向きな関与を引き出していくこと、そして、このような形で両首脳間の絆と日米同盟が地域と世界の平和・繁栄に貢献していくことになるとの認識を共有した。
5 経済関係について、安倍総理から、年内に開催予定の第2回日米経済対話において、今後も日米経済関係に関して建設的な議論を行いたい旨述べ、トヨタ、ホンダ、ダイキン等、日本企業の新規投資が活発である点を述べた。トランプ大統領からは、日米二国間貿易赤字の問題と相互的なマーケットアクセスの重要性に言及があり、安倍総理から、麻生副総理とペンス副大統領の間で、日米がウィンウィンの経済関係を一層深めていくために、しっかりと議論していきたい旨述べた。
6 安倍総理から、トランプ大統領の訪日を楽しみにしている旨述べたのに対し、トランプ大統領からも、早期に訪日することを楽しみにしている旨の発言があった。 
●日・ノルウェー首脳会談 平成29年7月8日
現地時間7月8日12時40分から約35分間、G20ハンブルク・サミットに出席するためドイツ・ハンブルクを訪問中の安倍総理は、ソールベルグ・ノルウェー首相と日ノルウェー首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 総論
(1)両首脳は、海洋における法の支配の徹底や北極等の幅広い分野で、協力関係を一層発展させていくことで一致しました。
(2)安倍総理から、捕鯨分野での良好な協力関係を維持したい旨述べました。
2 二国間関係
(1)両首脳は、親密な皇室・王室関係を基礎として、女性の活躍やイノベーション等の幅広い分野で協力を促進していくことで一致しました。
(2)安倍総理から、本年も「国際女性会議WAW!」を東京で開催予定である旨紹介し、両首脳は、世界でのジェンダー平等達成のため、今後とも協力していくことを確認しました。
3 地域情勢
(1)東シナ海・南シナ海情勢について、両首脳は、法の支配に基づく国際秩序の維持のため、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。また、中国との二国間関係についても意見交換を行いました。
(2)北朝鮮については、両首脳は、7月4日の北朝鮮による弾道ミサイル発射も踏まえ、北朝鮮への圧力強化が必要であることを確認しました。また、安倍総理から、拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求めました。
(3)ロシアについては、安倍総理から、最近の日露関係について説明し、ソールベルグ首相からもロシアとの関係について説明がありました。
4 英国のEU離脱
両首脳は、英国のEU離脱による企業への影響を最小化するべく、英国及びEUへの働きかけにおいて緊密に連携していくことで一致しました。 
●日中首脳会談 平成29年7月8日
7月8日9時頃(日本時間16時頃)から約40分間(同時通訳)、G20サミット出席のためドイツ・ハンブルクを訪問中の安倍総理は、ハンブルク市内のホテルにおいて、習近平・中国国家主席との間で日中首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおり(日本側:野上内閣官房副長官、谷内国家安全保障局長、長谷川総理補佐官、秋葉外務審議官ほか、中国側:楊潔篪国務委員、王毅外交部長ほか同席。)。
1 冒頭
(1)冒頭、習主席から、日中は互いに重要な隣国である、日中関係の健全な発展は、両国国民の福祉に関わり、アジアと世界にとっても重要な影響を持つ、G20杭州サミットの際にも会談を行った、本年は日中国交正常化45周年、来年は日中平和友好条約締結40周年である、双方は、責任感と使命感を持って、日中関係が正しい方向に改善・発展していくよう推進していくべきである旨述べた。
(2)これに対し、安倍総理から、習主席と共に国交正常化45周年を祝したい、先月上野動物園で生まれたパンダも元気に育っている、来年の日中平和友好条約締結40周年、更にその先も見据え、関係改善の勢いを更に大きく育てていきたい、日中両国は、世界第二・第三の経済大国であり、地域や世界の安定と繁栄に貢献する大きな責任を共有している、とりわけ北朝鮮の核・ミサイル開発は新たな段階の脅威であり、喫緊の課題である、連携を強化していきたい旨述べた。
2 日中関係
(1)総論
ア 習主席から、以下の旨を述べた。
(ア)日中国交正常化から45年間の経験と啓発に基づき、日中双方は、大局的・長期的観点に立脚し、平和・友好・協力の大きな方向性を正しくつかみ、行動面でも着実な努力をすべきである。日中間の4つの政治文書等の政治的基礎を大切にしながら、実際の行動をもって関係改善を進めていきたい。
(イ)国交正常化以来、日中双方が合意した4つの基本文書等は、台湾問題を含め、日中関係の政治的基礎である。
(ウ)経済・貿易協力は日中関係の推進力であり、実務協力を推進するべきである。
(エ)文化、教育、メディア、地方、青少年等の分野で広範な交流を進め、両国関係の社会と民意の基礎を打ち固めることが可能である。
イ 安倍総理から、以下の旨を述べた。
(ア)45年前、両国は、日中共同声明を発出して国交正常化を果たし、日中平和友好条約においても、平和友好関係の発展を確認した。2006年に自分が訪中した際には、「戦略的互恵関係」の考えを提唱。2008年の共同声明では、「互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」との原則を確認した。これらは日中関係の基礎である。
(イ)日中の新しい関係の構築に向けて進めていきたい。アジアは世界の経済成長の源泉。同時に、様々な課題もある。こうした中、日中両国が連携し、グローバルな課題も含めた様々な課題を克服していきたい。
(ウ)両国首脳の頻繁な意思疎通は、両国の経済活動の活発化や両国の国民感情改善にも大いに寄与する。
(エ)日中韓サミットを早期に開催し、首脳の相互訪問実現も念頭に、共に道を切り開いていきたい。
(オ)台湾に関する日本の立場は、1972年の日中共同声明で表明されているとおり。台湾海峡の平和と安定は、地域・世界にとって極めて重要。当事者間の対話を通じて平和的に解決されることを期待。
ウ その上で、両首脳は、以下の点について一致した。
(ア)両国は、日中共同声明や日中平和友好条約を始めとするこれまでの日中間の合意を基礎としながら、引き続き、日中関係の改善を進め、安定的な関係構築を進めていくこと。
(イ)特に、両国首脳同士がリーダーシップを持って関係改善を進め、直接対話を行っていくことが重要であり、今後の様々な国際会議の機会や将来的な二国間訪問も念頭に置き、首脳間の対話を強化していくこと。
(ウ)「45周年」と「40周年」は、国民交流を進める絶好の機会であり、互いに関連の取組を強化し、こうした流れを、2020年と2022年の東京及び北京におけるオリンピック・パラリンピックの機会も活用して、更に拡充していくこと。
(エ)両国国民の利益のためにも、経済面の協力を更に発展させ、金融、観光、貿易、環境・省エネ等、各分野の協力を一層深化させていくこと。特に、日中の金融協力について、関係当局間で積極的に意思疎通を進めていくこと。
(オ)「一帯一路」を含め、日中両国が、地域や世界の安定と繁栄にどのように貢献していくか議論していくこと。
(カ)日中間には様々な課題もあるが、経済は経済、民間交流は民間交流として、発展させていくことが重要であること。
(2)懸案の適切な処理
ア 安倍総理から、東シナ海の状況を改善するよう、中国側に求めた。また、いかなる地域でも、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が重要である旨を指摘した。
イ これに対し、習主席からは、東シナ海の平和と安定を維持していく旨述べた。
ウ 両首脳は、日中防衛当局間の「海空連絡メカニズム」の早期運用開始に向けて共に努力していくことで一致した。また、日本側から、東シナ海における日中協力に関する「2008年合意」の実施について働きかけた。
エ 安倍総理から、邦人拘束事案について提起し、前向きな対応を求めた。
3 北朝鮮
(1)安倍総理から、今は北朝鮮への圧力を強化することが重要であるが、中国の役割は極めて重要であり、更なる建設的な役割を果たしてほしい旨を強く働きかけた。拉致問題に関し、協力を期待する旨述べた。
(2)両首脳は、朝鮮半島の非核化は日中共通の目標である旨を確認し、一層緊密に取り組んでいくことで一致した。 
●日・シンガポール首脳会談 平成29年7月8日
本8日、午前10時50分から約30分間、安倍晋三内閣総理大臣は、G20に出席するため訪問中のドイツにおいて、リー・シェンロン・シンガポール首相と会談したところ、概要は以下のとおりです。会談には、野上内閣官房副長官他が同席しました。
1 冒頭、安倍総理から、リー首相の訪日、タン大統領の国賓訪日を含め、昨年は両国外交関係樹立50周年を大いに盛り上げることができた、次の半世紀も、協力関係を一層発展させたい旨述べました。これに対し、リー首相からは、九州の洪水についてお悔やみを述べるとともに、昨年の外交50周年における様々な成果を基礎に、さらに二国間関係を進化させたい旨述べました。
2 マレーシア・シンガポール高速鉄道計画について、リー首相より、年末までに入札手続きを開始するので、強力な提案をお待ちしている旨述べたところ、安倍総理から、シンガポールの要望に沿った提案を行うので、新幹線の導入を強く期待する旨述べました。
3 安倍総理より、日EU・EPAの大枠合意に達したことを紹介し、両首脳は、TPPの早期実現及び質の高いRCEPの早期妥結を目指し緊密に連携することを確認しました。
4 両首脳は、南シナ海をめぐる問題や北朝鮮についても意見交換を行い、緊密に連携していくことを確認しました。また、安倍総理大臣から拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め、支持を得ました。 
●日英首脳会談 平成29年7月8日
現地時間7月8日10時15分から約30分間、G20ハンブルク・サミットに出席するためドイツ・ハンブルクを訪問中の安倍総理は、メイ英国首相と日英首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
(1)安倍総理から、先般のロンドンでの火災、ロンドン橋等での一連のテロ事件にお見舞いを申し上げる、テロを断固非難し、連帯を表明する旨述べました。
(2)これに対し、メイ首相から、4月のチェッカーズ以来の会談を嬉しく思う、お見舞いに感謝するとともに、テロ対策について引き続き協力していきたい旨述べました。
2 北朝鮮
(1)北朝鮮に関し、両首脳は、4日の弾道ミサイル発射も踏まえ、今は対話ではなく、北朝鮮への圧力強化が必要であること、中国の役割が重要である事を確認しました。また、新たな安保理決議の早期の採択に向けて、安保理においても引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
(2)拉致問題については、安倍総理から早期解決に向けた理解と協力を求めました。
3 日EU関係、英国のEU離脱
(1)両首脳は、日EU・EPA及びSPAの大枠合意を歓迎し、早期締結に向けた協力を確認しました。
(2)安倍総理から、英国のEU離脱交渉を注視している旨述べつつ、離脱による企業への影響を最小化するよう、配慮を要請しました。これに対し、メイ首相から、引き続き日英経済関係の強化のために日本とも協議していきたい旨述べました。
4 安保・防衛協力
両首脳は、安保・防衛分野についても、日英間で今後とも協力を深めることで一致しました。 
●日・スウェーデン首脳会談 平成29年7月9日
現地時間7月9日現地時間9時25分から約60分間、スウェーデンを訪問中の安倍総理は、ロヴェーン・スウェーデン首相と日スウェーデン首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
(1)安倍総理から、4月にストックホルムで起きたテロで犠牲となった方々への追悼の意を表明しつつ、卑劣なテロを断固非難する、強い連帯を表明する旨述べました。また、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有するスウェーデンとの関係を重視している旨述べ、今回の訪問を契機に、来年の外交関係樹立150周年に向けて、幅広い分野での両国の協力関係を一層発展させたい旨述べました。
(2)これに対しロヴェーン首相からは、スウェーデン訪問を歓迎するとともに、特に、イノベーション、女性の活躍といった分野において、日スウェーデン関係の協力を更に推進したい旨、またビジネス分野においても良好な二国間関係を基礎に更に発展させていきたい旨述べました。
2 二国間関係
(1)安倍総理から、昨年2月に訪日されたカール16世グスタフ国王陛下とは懇談の機会を得て光栄、本年4月にはヴィクトリア皇太子殿下が訪日し、両国の皇室・王室間の親密な関係は良好な二国間関係の礎である旨述べました。
(2)両首脳は、来年の外交関係樹立150周年に向け、女性の活躍やイノベーション等の幅広い分野で協力を促進することで一致しました。
(3)特にイノベーション分野に関し、今回の首脳会談に合わせ、日本の大強度陽子加速器施設「J−PARC」と、スウェーデンにおいて建設が進む欧州核破砕中性子源「ESS」との間の協力に関する文書が交換されました。
(4)両首脳は、安全保障分野の情報共有や防衛装備・技術協力のあり方につき引き続き検討しつつ、安保・防衛協力を推進することで一致しました。
(5)安倍総理から、本年も「国際女性会議WAW!」を東京で開催予定である旨紹介し、両首脳は、世界でのジェンダー平等達成のため、引き続き協力していくことで一致しました。
(6)両首脳は、両国間の人的・経済交流を促進するため、日スウェーデン社会保障協定の交渉を引き続き鋭意進めていくことで一致しました。また、交渉中のワーキング・ホリデー制度に関する協定について、2018年の外交関係樹立150周年に向け、交渉を加速させることで一致しました。
(7)ロヴェーン首相から、様々なつながりにより新たな付加価値が創出される日本のコンセプトである「コネクテッド・インダストリーズ」との協力推進につき言及があり、両国間で何ができるかについて検討していくことで一致しました。
3 日・EU関係
(1)安倍総理から、我々は自由で開かれた、ルールに基づく国際社会を維持していかなければならない旨述べました。両首脳は、欧州が、国際社会の諸課題に引き続き日米と共に取り組むパートナーであり続けること、また、英国のEU離脱後も結束した欧州が国際社会の平和と安定に積極的に貢献していくことの重要性を確認しました。
(2)英国のEU離脱に関し、安倍総理から、英国のEU離脱交渉を注視している旨述べつつ、離脱による企業への影響を最小化するよう、配慮を要請しました。これに対し、ロヴェーン首相からは、日本の企業の多くが英国に進出していると承知しており、ご懸念を共有する、スウェーデンも、ビジネス・フレンドリーであり、代替の進出先候補になり得る旨述べました。
(3)日EU経済連携協定(EPA)に関し、安倍総理から、保護主義的な動きの中、EPAと戦略的パートナーシップ協定(SPA)の大枠合意を実現できたことは、日本とEUが自由貿易の旗を高く掲げ続けるとの強い政治的意思を示す世界に対する力強いメッセージである旨述べ、両首脳は、この成果を基礎として、これらの協定の早期締結に向け、引き続き協力していくことで一致しました。
(4)安倍総理から、福島県産等の日本食品等を対象とするEUの輸入規制の撤廃への協力を要請したのに対し、ロヴェーン首相からは、しっかり対応していきたい旨述べました。
4 地域情勢
(1)東シナ海・南シナ海情勢について、両首脳は法の支配に基づく国際秩序の維持のため、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
(2)北朝鮮については、両首脳は、7月4日の北朝鮮による弾道ミサイル発射も踏まえ、北朝鮮への圧力強化が必要であることを確認しました。また、安倍総理から、拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め、支持を得ました。
(3)ロシアについては、安倍総理から、最近の日露関係について説明し、両首脳は、対露政策を連携して進めていくことを確認しました。 
 

 

●日・モンゴル首脳会談 平成29年9月6日
1 東方経済フォーラム出席のためにロシア・ウラジオストクを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、6日午後6時(現時時間)から約50分間、ハルトマー・バトトルガ・モンゴル国大統領との間で、日・モンゴル首脳会談を行いました。
2 安倍総理から、本年7月のバトトルガ大統領就任への祝意を述べるとともに、モンゴルは日本にとって地域の重要なパートナーであり、バトトルガ大統領との間でも、本年3月に両国間で策定された「戦略的パートナーシップのための日本・モンゴル中期行動計画」に沿って、引き続き真に互恵的な「戦略的パートナーシップ」の構築に向けて連携していきたい、新ウランバートル国際空港の早期開港に向けてバトトルガ大統領の協力を得たい旨述べました。
3 バトトルガ大統領から、同国際空港を始めとするモンゴル経済発展のための日本側のこれまでの支援や、国際通貨基金(IMF)支援プログラムでの日本による財政支援に対して謝意の表明がありました。また、引き続き日本との関係を重視しており、日本との協力関係を進めるため同席の朝青龍氏を大統領特使に任命した旨の発言があり、今後の両国間での様々な協力への期待が示されました。
4 安倍総理から、北朝鮮が日本の上空を通過する弾道ミサイル発射に続き核実験を強行したことは、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、断じて容認できない、北朝鮮に対する実効的な圧力を強化する必要がある旨述べました。両首脳は、国連安保理決議の厳格かつ全面的な履行の重要性を確認するとともに、拉致問題の早期解決を含め、両国が引き続き協力していくことを確認しました。 
●日露首脳会談 平成29年9月7日
9月7日、東方経済フォーラム出席のためロシア・ウラジオストクを訪問した安倍総理大臣は、プーチン大統領との間で19回目となる日露首脳会談を約3時間超にわたり実施しました。
1 平和条約締結問題
両首脳は、北方四島における共同経済活動に関し、昨年12月の首脳間の合意事項に基づく具体的な進展として、早期に取り組むプロジェクトとして以下5件の候補を特定しました。今後、双方の立場を害さない法的枠組みを検討し、できるものから実施していくことで一致しました。また、これら以外のプロジェクトの可能性も引き続き協議していくこととしました。
(1)海産物の共同増養殖プロジェクト
(2)温室野菜栽培プロジェクト
(3)島の特性に応じたツアーの開発
(4)風力発電の導入
(5)ゴミの減容対策
○ 両首脳は、5件のプロジェクト候補の検討のため、10月初めを目途に追加的な現地調査を行うこと、各プロジェクトの具体的検討と全てのプロジェクトに共通して必要となる人の移動の枠組みに関する検討を加速することで一致しました。これらの検討を進めるため、今後、局長級作業部会を設けることとなりました。
○ また、海上交通の安全確保の観点から、双方の法的立場を害さない形で、貝殻島灯台の改修プロジェクトを検討することとしました。
○ 両首脳は、元島民の方々のための人道的措置として、アクセスが閉ざされていた国後島の瀬石周辺への墓参が8月に実現したこと、8月末の歯舞群島墓参の際に臨時の追加的な出入域ポイントが設置されて元島民の方々の身体的負担が大きく軽減されたことを高く評価しました。
○ 両首脳は、9月下旬を目途に航空機を利用した特別墓参を実施することを確認しました。
○ 安倍総理から、元島民の方々のより自由な往来に向けた協議継続を働きかけました。
2 北朝鮮問題
安倍総理から、北朝鮮による我が国上空を通過する弾道ミサイルの発射及び核実験の強行は、我が国のみならず地域全体へのこれまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会全体で最大限の圧力をかけることが重要であることを強調しました。両首脳は、9月3日に北朝鮮が強行した核実験は、朝鮮半島及び地域の平和と安定に対する深刻な脅威であるとの認識で一致し、今後も日露間で緊密に協力していくことで一致しました。
3 幅広い分野での二国間協力
政治対話:両首脳は、11月のベトナムAPECの際の再会で一致しました。訪露招請のあった河野外相のモスクワ訪問について、11月又は12月に日露外相会談及び貿易経済日露政府間委員会を行うべく、具体的な日程調整を継続することで一致しました。
防衛交流・安全保障:安倍総理から、9月に実施された日露の安全保障当局間の協議で率直な議論ができた旨述べるとともに、両首脳は、11月にサリュコフ地上軍総司令官、12月にゲラシモフ参謀総長が訪日し、防衛・安全保障に関する議論を継続していくことを確認しました。
経済:両首脳は、改正租税条約の署名、8項目の「協力プラン」全体に関わる事項としてJBIC・RDIFによる10億ドルの共同投資枠組みの設立、デジタル経済の実現に向けた協力等の成果を歓迎しました。安倍総理から医療、都市環境の分野での協力を確認するとともに、両首脳は、「協力プラン」の具体化を更に進め互恵的な日露経済関係を発展させていくことで一致しました。
(参考)官民で56件の文書に署名。民間文書は昨年12月以来、合計で100件に達した。
文化・交流:両首脳は、来年の日本年・ロシア年の準備を幅広い分野で進めることを確認しました。5月25日のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムに日本がゲスト国として参加すること、翌26日の両国共催の相互交流年の開会行事をモスクワのボリショイ劇場で開催することで一致しました。両首脳の両行事への出席を調整していくこととなりました。 
●日韓首脳会談 平成29年9月7日
本7日午前9時35分(現地時間)から約50分間、東方経済フォーラムに出席するためロシア・ウラジオストクを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領との間で日韓首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおり(日本側同席者:河野外務大臣、野上官房副長官、長谷川総理補佐官、谷内国家安全保障局長他、韓国側同席者:金東兗(キム・ドンヨン)経済副総理兼企画財政部長官、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官他)。
1 冒頭、安倍総理から、7月に引き続き文大統領と会談でき、嬉しい、先月(8月)は文大統領と3度の電話会談を行い、4日にも北朝鮮の核実験を受けて電話会談を実施するなど、首脳同士で現下の様々な問題について意見交換できる関係が構築でき、嬉しく思う、北朝鮮による相次ぐ挑発行動は、これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、これまで日韓・日韓米で歩調を合わせ、緊密に連携してきており、引き続き協力を強化したい、また、幅広い分野で協力や交流を進め、未来志向の新たな日韓関係を構築していきたい旨を述べた。
2 また、北朝鮮問題について、今週の核実験以来、国際社会全体で北朝鮮に対する圧力強化の流れは加速、日韓・日韓米として、この機運を最大限に活用し、これまでとは異次元の圧力を課すべく取組を進める必要がある、北朝鮮の挑戦に対処するため、日韓米の安保・防衛協力が引き続き重要である旨を述べた。文大統領からは、現在の厳しい情勢に関する安倍総理の見方に同意、強力な安保理決議の追求を含め、今は最大限の圧力をかけるときであることにも同意、韓国は北朝鮮と国境を接しており、韓国国民の不安が高いとの言及があった。両首脳は、今は圧力強化が重要であるとの認識を共有しつつ、より強力な安保理決議採択を追求すること、中露へ働きかけていくことを含め、日韓・日韓米で引き続き緊密に連携していくことを確認した。
3 日韓関係について、安倍総理は「徴用工」問題や慰安婦問題についての日本側の立場を説明し、困難な問題を適切にマネージしたい旨を述べた。その上で、安倍総理から、日韓両国が未来志向の関係を築くことは、地域や世界の安定と繁栄につながるもの。政治・安保や経済はもちろん、青少年交流や観光協力などの人的交流を強化し、お互いの国民感情の改善につなげたい旨を述べた。
4 最後に、両首脳は引き続き首脳同士で率直な意見交換を行っていくことを確認した。 
 

 

●安倍外交は物味遊山?総理の100カ国歴訪が評価されていない理由 2017/1
安倍総理を語る上で何といっても欠かせないのが、外交。「安倍外交」という言葉がうまれるほど心血を注いでいることで知られていますが…、今回の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では最近の「安倍外交」を振り返りながら、総理が「本当に実ある外交を行っているのか?」というシビアな問題に正面から斬り込みます。
ぐらつく安倍外交。今年の荒波を乗り越えられるか?
安倍政権の最大の売りは外交といわれ、題目は「地球儀を俯瞰する外交」として世界中を飛び回っている。いったい安倍外交の成果は何かということを本日は考えてみたい。
地球儀を俯瞰する外交を点検
歴代総理に比べ安倍首相は実に外交に熱心で、この4年間での訪問国は100ヵ国を超え、外国首脳との会談は200回に達し、電話会談も含めると300回ともいわれる。アメリカのトランプ大統領とはいち早く会談し、ロシアのプーチン大統領との会談も15回に及ぶ。さらに、中国、アジア各国、ヨーロッパ、アフリカ、中東、中南米とまさに地球を俯瞰する「地球儀外交」は間違いなく、歴代の首相と比べても特筆されるほどだ。
そのこともあってか、内閣支持率はほぼ50%台で安定。去年暮れの真珠湾慰霊の旅を終えると60%台後半まで上がった。支持率の上昇、首脳会談の回数が多い中で「本当の成果はどうなのか?」ということを点検してみたい。
米ソ両国との外交成果は…
確かに「訪問回数」こそ多いが、行っていない所を順番に周っているだけという感もある中で訪問国が増えてきた。
成果を考えてみると、去年の暮れ期待をふくらませた「日露首脳会談」では、日露平和条約、北方四島の話も経済協力の話だけで政治分野はしぼんでしまった。過去15回もあって、進むどころか、巻き戻ったようにもみえる。以前お伝えしたようにエリツィン時代は実現一歩手前まで進んでいた(「またもロシアに翻弄されるのか。北方領土が日本に一番近づいた日」)が、安倍政権になり巻き戻った感も否めない。
今後、トランプ氏が「親ロシア外交」を行なうと表明しており、トランプ氏とプーチン大統領が仲良くなると、 日本がはじき飛ばされる恐れがないとはいえない。そういう意味でいうと、ロシア外交は成功したとはいえないだろう。
さらに、安倍首相は日本時間の12月28日にオバマ大統領と最後の首脳会談を実施。日本の真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊するアリゾナ記念館を訪れた。そこで、安倍首相は「歴史に残る激しい戦争を戦った日本とアメリカは、歴史にまれな、深く、強く結ばれた同盟国」と日米同盟強化を誓った。確かに言葉は美しいが、オバマ大統領との間で日本の奇襲攻撃やアメリカによる原爆投下についてきちんと話し合いをしている気配はない。
外交全体はちぐはぐな印象も
そんな安倍首相の真珠湾訪問の翌日、稲田防衛大臣が靖国を参拝。稲田大臣は安倍首相に同行して真珠湾を訪問し、日本の真珠湾攻撃による戦没者を慰霊したばかりにも関わらず、A級戦犯を合祀した靖国へ防衛大臣として参拝した。このことは、中国や韓国などとの問題にも影響がでるとみえ、なんだか全体として「ちぐはぐ」なようにみえる。
この影響により、稲田大臣が靖国に参拝した翌日に今度は韓国の日本総領事館前に慰安婦像が再び市民団体によって設置された。今回、韓国政府は前回のように強制撤去をしなかった。日本政府はそこで対抗措置として駐韓国日本大使や総領事を一時帰国させたほか、日韓通貨交換(スワップ)の取り決め協議の中断や日韓ハイレベル経済協議の延期などの方針を発表した。そういう意味からも全体がちぐはぐで、成果はいまひとつ上がっていないといえる。
韓国側は政治的に不安定な状況であり、日本への反発も日々増加している。現在、韓国政府には統治者能力が皆無であり、韓国政府はこの少女像の設置に関しては各地方に判断を一任している。こうなってくると対日関係も危うくなる。さらに日中韓の首脳会談がずっと延期されたままで、日本の韓国に対するあり様が非常に難しい状況となってきた。
先が見えない日米関係
トランプ氏は在日米軍の負担をもっと増やせと語り、現状日本の75%負担に更なる増加を要求。メキシコなどに工場を作ろうとするトヨタに対し、メキシコでの工場建設計画を撤回しなければアメリカで高い関税をかけるとツイッターで警告。その影響か、トヨタは本日1.1兆円投資すると表明。トヨタはアメリカでの雇用は減らさないなどの主張があるにもかかわらず、このようなトランプ氏の一企業に口先介入するという動きは気になる。
日本の役割を果たしているのか…
トランプ氏の「二つの中国」発言で米中関係は緊張状態にあるが、これに関しては日本はなんとなくだんまりを決め込んでいる。さらに、中国による南沙問題によって東南アジアが分断されつつあり、その中でこの問題に関しても日本が動いた形跡はない。これらのことからも確かに世界を周ってはいるが、「本当に実のある外交を行なっているのか?」という感じがする。
汗をかく外交の重要性
過去の日本の外交と比較して考えると、日本の国益に関して本気で動くということが大事だと思うのだが…。
例えば、田中角栄氏は資源外交として欧米の石油資本を敵にまわし、中東産油国と直接取引する道を開いた。この結果、アメリカの逆鱗にふれ田中氏は退陣を余儀なくされたが、日本の「中東外交」「油外交」の基礎を築いたといえる。また、中曽根氏はレーガン氏と「ロン・ヤス」関係をうんと深め、その結果日米摩擦を鎮静化させている。
現在、先に述べたように中国によって東南アジア諸国が分断されつつある。さらに中東ではそれぞれ日本と親しいイランとサウジアラビア両国が断交状態となっている。これらに対して日本が仲介したり、動いているという形跡はなく、この件に関しても汗をかくことがもう少し大事なのではないかと思う。
数字が示す首相の影響力…
数字から今の安倍政権を見てみるといまいちなところがある。先月発表されたフォーブス誌の「世界の人物影響力ランキング」で1位は「プーチン大統領」、2位が「トランプ氏」、3位が「メルケル首相」、4位が「習近平主席」などが続き…、「安倍総理」は37位。日本は世界第3位のGDP大国であり、安倍首相は100ヵ国も周っているのに影響力では評価されていない。これまで各国を周っていたのは単なるにぎやかしとパフォーマンスだけだったととられかねないので、もう少し頑張ってほしいという気がする。
今年は世界各国でトップが変わるタイミングで、世界がさらに右傾化が進む危険性もある。その中で安倍首相の動きは注目されるはずであるが…。
今年は、オランダ(3月)、フランス(4〜5月)、ドイツ(9月)、イタリアも総選挙が前倒されて今年になる可能性もある。イギリスのEU離脱の話もどう動くのか…。
こういった中で、ただ周るだけでなく日本は何を考えているのかをもっとぶつけ、仲介できるところは仲介し、日本の存在感を示してほしい。 
●多国間外交でも成果なし、安倍首相「内憂外患」 2017/2/10
2日の東京都議選で惨敗した安倍晋三首相が8月3、4日頃に予想を越える大規模な内閣改造に踏み切る見通しだ。問題のある閣僚を替えてムードを刷新し、急落した支持率を引き上げる狙いだ。
8日、毎日新聞や産経新聞などによると、都議選で応援演説で政治中立を規定した自衛隊法に反して支持を呼びかけて波紋を呼んだ稲田朋美防衛相とテロ対策法案(共謀罪)の国会答弁でまともに答えられず資質が問題視された金田勝年法務相は、今回の内閣改造で交替が確実視されている。特に、稲田防衛相は6日、九州地方の集中豪雨で自衛隊が捜索救助にあたっていた時、約1時間、防衛省を離れて外部の行事に参加し、再び批判を受けている。
産経新聞は「ポスト安倍」の一人とされる岸田文雄外相と塩崎恭久厚生労働相も交替すると見通した。同紙は、岸田外相の場合、「本人の意向も踏まえ、党要職に起用する」と伝えた。後任の外相後任には、外務副大臣の経験もある茂木敏充・自民党政調会長が有力だという。
一方、政権の要である麻生太郎副首相兼財務相、菅義偉官房長官は留任する模様だ。自民党役員人事では、二階俊博幹事長と高村正彦副総裁などは留任する見通しだ。
同紙は、「安倍首相は国民の信頼回復に向け、新体制発足にあたり、明確なメッセージを打ち出すことも検討している」と伝えた。安倍内閣の支持率は先月の毎日新聞の世論調査で36%まで下がった。 
 
 2016

 

●日伊首脳会談 平成28年5月2日
5月2日(月曜日)11時30分から約60分間、安倍内閣総理大臣は、ヴェッキオ宮において、マッテオ・レンツィ・イタリア首相と日伊首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 二国間関係
(1)冒頭、レンツィ首相からは、友人である安倍総理を地元フィレンツェにお迎えでき嬉しい、安倍総理と協力して既に良好な二国間関係を一層強化したい旨述べました。
(2)これに対し、安倍総理から、レンツィ首相の地元フィレンツェを訪問できたことは喜ばしい旨述べました。
(3)両首脳は、国交150周年を迎える本年、政治、安全保障、経済、文化・人的交流といった様々な分野で、すでに良好な日伊関係を一層発展させていくことで一致しました。
(4)特に、両首脳は、日本企業によるイタリアへの大型投資が相次いでいることを歓迎し、両国間で産業協力を一層進めていくことを確認しました。
2 G7伊勢志摩サミットに向けた協力
(1)安倍総理から今月末に開催されるG7伊勢志摩サミットでは、価値観を共有するG7らしい戦略的な議論をし、世界経済とテロや難民問題について、G7の結束と力強いメッセージを示したい旨述べました。
(2)これに対し、レンツィ首相からは賛意が示され、今年のG7は世界の諸課題に対処する上で非常に重要なタイミングで開催されるものであり、安倍総理の強いリーダーシップに期待している旨の発言がありました。
(3)両首脳は世界経済を再活性化させるため、G7には、構造改革の加速化に合わせて、機動的な財政出動が求められているとの認識で一致し、伊勢志摩サミットでG7として明確なメッセージを発出することを確認しました。
(4)両首脳は本年と明年のG7議長国として緊密に協力することを確認しました。 
●日仏首脳会談 平成28年5月3日
5月2日午後7時35分から約50分間、また、午後8時45分から約90分間、訪仏中の安倍内閣総理大臣は仏大統領府においてオランド大統領と日仏首脳会談及びワーキング・ディナーを行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
(1)オランド大統領から、安倍総理の訪仏に対する歓迎の意を表しつつ、重要なイベントであるG7の準備の一環として、世界経済や地域情勢、気候変動等について意見交換したい、仏はG7伊勢志摩サミットの成功に向けて日本を支持している旨述べました。
(2)安倍総理から、仏を3年連続で訪問でき嬉しく、緊密に協力してG7伊勢志摩サミットを成功に導きたい旨述べるとともに、熊本地震の際の連帯の意と弔意の表明に謝意を表しました。
(3)両首脳は、日仏間の「特別なパートナー関係」の下、首脳レベルの頻繁な交流を通じて安全保障・防衛、イノベーション、アフリカ等の分野での協力を力強く発展させていくことで一致しました。
2 G7伊勢志摩サミット
(1)安倍総理から、最大のテーマとなる世界経済とテロや難民問題への対応については、G7の結束と力強いメッセージを示したい旨述べた上で、中国の景気減速への懸念、原油価格の低下、暴力的過激主義や中東からの難民への対応で世界経済は不透明感が増大しており、こうした時こそG7が世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引しなければならず、また、テロ・暴力的過激主義はG7が先頭に立って取り組むべき最優先課題である旨述べました。
(2)オランド大統領は賛意を表明しつつ、現下の世界経済の状況に鑑みG7サミットで経済成長に焦点を当てることは当然である旨述べました。
(3)両首脳は、為替市場の急激な変動は避けるべきであること、構造改革を進めるとともに、機動的な財政政策により効果的に需要を創出する必要があることで一致しました。
3 日仏関係/日EU関係
(1)両首脳は、安全保障・防衛、原子力、文化、アフリカ等において更に協力していくことで一致しました。特に、日仏友好160周年である2018年に日本文化の粋を集め、大規模に紹介する「ジャポニスム2018」をパリで開催することで一致しました。また、アフリカにおける協力は(ア)持続可能な開発、(イ)保健、(ウ)安全の3つの柱に沿って進めていくことで一致し、本年8月にケニアで開催されるTICAD VI向けて協力していくことを確認しました。
(2)日EU・EPAについては、本年のできる限り早期の大筋合意のために双方で努力していくことで一致しました。
4 地域情勢・安保理改革
(1)両首脳は北朝鮮の核・ミサイル開発は国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり、北朝鮮に対する圧力を強化していく必要性について一致しました。
(2)両首脳はまた、ウクライナ情勢の改善の唯一の指針はミンスク合意であること、このためウクライナとロシアの双方への継続した働きかけが必要であること、ロシアとの関係では圧力とともに対話を行っていく必要があることで一致しました。
(3)この他、両首脳は、中国や中東情勢などについても意見交換を行うとともに、安保理改革実現に向けて協力していくことで一致しました。 
●日・ベルギー首脳会談 平成28年5月3日
5月3日正午から約50分間、ブリュッセルを訪問中の安倍総理大臣は、シャルル・ミシェル・ベルギー王国首相と首脳会談を実施しました。概要は以下のとおりです。
1 冒頭発言
(1)ミシェル首相から、150周年の記念すべき年に安倍総理の訪問を歓迎する、ベルギーでは多くの日本企業が活動している、この機会に二国間関係をより一層発展させていきたい旨発言がありました。
(2)これに対し、安倍総理から、3月のブリュッセルのテロ事件の犠牲者及び御家族にお悔やみ及びベルギーへの連帯の意を伝えました。また、先月の熊本地震の際の連帯の意と弔意の表明に感謝しました。さらに、日本・ベルギー友好150周年の大きな節目を共に祝いたい旨述べ、首脳レベルの訪問を通じて、テロ対策、経済等幅広い分野で日ベルギー関係を発展させていきたい旨述べました。
2 日ベルギー関係
(1)安倍総理から、日本・ベルギー友好150周年において関連事業が開催されることに触れつつ、在留邦人の安全も含めた治安の確保等、ベルギー当局の協力を要請したのに対し、ミシェル首相から、ベルギーにおいて日本人・企業が安全に過ごせるように取り組んでいく旨の発言がありました。
(2)両首脳は、ベルギーとの租税条約改正が実質合意に至ったことを評価しつつ、デジタル・ICT分野を含め、二国間経済関係をさらに深化させていくことで一致しました。
3 テロとの闘い
安倍総理から、G7伊勢志摩サミットでもテロ対策は最大のテーマの一つであり、G7として力強いメッセージを発出したい旨述べると共に、テロとの闘いにおける我が国の取組を説明しました。ミシェル首相は、G7における安倍総理のイニシアティブを支持する旨述べました。両首脳は、テロ対策に関する二国間協議を年内に開催することで一致しました。
4 日EU関係
両首脳は、本年のできる限り早期の日EU経済連携協定(EPA)の大筋合意及び戦略的パートナーシップ協定(SPA)交渉の早期妥結に向けて引き続き努力していくことを確認しました。
5 地域情勢
両首脳は、ウクライナ情勢の改善の唯一の指針はミンスク合意であり、ウクライナとロシアの双方への継続した働きかけが必要であるとの認識で一致したほか、中国及び南シナ海情勢についても意見交換を行いました。両首脳はまた、8月に開催されるTICAD VIも念頭に、アフリカの開発と発展に向けた協力について協議を行っていくことで一致しました。 
●日EU首脳会談 平成28年5月4日
ブリュッセルを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、トゥスク欧州理事会議長及びユンカー欧州委員長との間で、現地時間3日午後5時45分から約45分間首脳会談を、午後6時30分から約75分間夕食会をそれぞれ行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭、トゥスク議長及びユンカー委員長からの歓迎の辞を受け、安倍総理から、3月のブリュッセルにおけるテロ事件の犠牲者及びご家族に心からお悔やみ申し上げる、先月の熊本における地震の際のEUからの連帯の意と弔意の表明に感謝する、トゥスク議長及びユンカー委員長と緊密に協力し、G7伊勢志摩サミットを成功に導くとともに、日EU関係の一層の強化についても議論したい旨述べました。
2
(1)日EU関係について、日EU双方の首脳は、戦略的パートナーである日EU間で交渉中の経済連携協定(EPA)の本年のできる限り早期の大筋合意及び戦略的パートナーシップ協定(SPA)の早期妥結を実現するよう、両交渉担当者に交渉の加速化を指示することで一致しました。
(2)また、安倍総理から、日EU航空安全協定の正式交渉開始を歓迎する、EUの福島県産品等の日本産食品等の輸入規制緩和が着実に進んでいることを評価するが、撤廃に向け更なる取組を期待する旨述べるとともに、個人情報の円滑な越境移転促進は重要であるので、同分野での日EU間の対話を加速していきたい旨述べました。
(3)両首脳は、安全保障分野において共通安全保障・防衛政策(CSDP)ミッションの活動と日本のODAの連携、アデン湾での海賊対処のための共同訓練など協力が進展していることを歓迎するとともに、この分野の協力を一層強化することで一致しました。
3 伊勢志摩サミットについて、安倍総理から、世界の諸課題について、価値観を共有するG7らしい議論をしたい、最大のテーマとなる世界経済とテロや難民問題への対応について、G7の結束と力強いメッセージを示したい、世界経済の持続的かつ力強い成果を牽引するため、構造改革の加速化と共に、機動的な財政出動も辞さないという、一段と強いメッセージを伊勢志摩サミットで出すべき旨を述べました。これに対し、先方より、EU側の優先事項がG7の主要議題となっている旨評価するとともに財政出動の役割の重要性についても賛同を得ました。
4 このほか、両首脳は、中東情勢、アジア情勢及びウクライナ情勢等国際情勢の幅広い課題について忌憚ない意見交換を行いました。 
●日独首脳会談 平成28年5月5日
5月4日(水曜日)17時45分から約50分間(現地時間)、ドイツを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、ベルリンから約60kmに位置するメーゼベルク城(独政府迎賓館)において、アンゲラ・メルケル・ドイツ連邦共和国首相と会談を行い、さらに19時00分から約2時間、ワーキング・ディナーを実施したところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
(1)冒頭、メルケル首相から、安倍総理のドイツ訪問に対する歓迎と熊本地震についてお見舞いの言葉があり、世界の平和と安定に向け、G7において日独間でさらに協力を進めたい旨述べました。
(2)安倍総理から、3年連続の訪独をうれしく思う、日独は基本的価値を共有するグローバル・パートナーであり、メルケル首相と協力してG7伊勢志摩サミットを成功に導きたい旨述べました。
2 G7伊勢志摩サミット
(1)安倍総理から、世界経済を再活性化させるため、構造改革の加速化に合わせて、機動的な財政出動が求められており、伊勢志摩サミットでG7として一段と強いメッセージを発出したい旨述べました。メルケル首相が言うとおり、構造改革は最も重要であり、自分もアベノミクスの「三本目の矢」を最も重視しているとして、日本国内での政策について説明しました。
(2)メルケル首相からは、財政出動においては自分はフロントランナーではないが、金融政策、財政政策及び構造改革を同時に進めていくことが重要である旨述べ、特に民間投資喚起の重要性を指摘しました。また、メルケル首相から、為替の急激な変動は望ましくないとの発言があり、両首脳は、為替の安定に向け協力していくことで一致しました。
(3)両首脳は、構造改革と財政出動をバランスをとって進めていくことの重要性について完全に一致し、シェルパによる話し合いを経て、伊勢志摩サミットにおいて首脳間でさらに議論を継続し、G7としてのメッセージをまとめることを確認しました。
(4)安倍総理から、伊勢志摩サミットにおいて、テロ・中東、ロシア・ウクライナ等について議論を行いたいと述べ、特に、国際社会の最優先課題であるテロと暴力的過激主義について、両首脳は、普遍的価値を共有するG7が先頭に立って取り組んでいく必要があることを確認しました。
3 二国間関係
(1)安倍総理は、日独は基本的価値を共有するグローバル・パートナーであり、アジアと欧州の主要リーダーとして、国際社会の諸課題への対処において重要な役割を担っている旨述べました。両首脳は、このような認識の下、日本の「平和安全法制」の成立を契機に、日独が連携して、国際社会の平和と安定に一層積極的に貢献していくことを確認し、来月に開催予定の日独外務・防衛当局者間協議を通じた対話を継続していくとともに、本年中にサイバー協議を立ち上げることで一致しました。
(2)両首脳は、日独が科学技術とイノベーションで世界をリードしており、先週、日本の経済産業省とドイツの経済エネルギー省の間でIoTとインダストリー4.0に関する共同声明が発表されたことを歓迎しました。さらに、メルケル首相から、来年のCeBIT(情報通信見本市)への安倍総理の招待と日本のパートナー国としての参加希望が述べられ、安倍総理からは、諸般の事情が許せば出席したい旨述べました。
(3)このほか、両首脳は、デュッセルドルフ日本商工会議所設立50周年を歓迎するとともに、中小企業連携や日EU・EPAを更に進展させていくことを確認しました。
(4)安倍総理から、緊密な日独関係を一層強化するべく、ガウク大統領を日本に招待したい旨伝達し、メルケル首相から、ガウク大統領は日本への関心が高く、訪日を楽しみにしている旨述べました。
(5)両首脳は、ベルリン日独センターと日独フォーラムが人的・知的交流における重要なツールであることを確認し、引き続き積極的に活用していくことで一致しました。
4 地域情勢
(1)両首脳は、ウクライナ情勢、東アジア情勢、中東情勢、難民問題といった地域情勢について幅広く議論し、踏み込んだ意見交換を行いました。
(2)特に両首脳は、東アジア情勢について、国際社会における力による一方的な現状変更の試みは、法の支配といった普遍的価値に基づく国際秩序への挑戦であり、受け入れられない点につき一致しました。また、北朝鮮の核・ミサイル開発は地域のみならず国際社会の平和と安全に対する重大な脅威である点を確認しました。メルケル首相からは、先般の日韓合意を高く評価するとともに、これが北朝鮮への対応にも良い影響を与えることを期待している旨述べました。
(3)ウクライナ情勢に関し、安倍総理は、先月訪日したポロシェンコ大統領に対し、ミンスク合意の完全履行と国内改革の加速を求めるとともに、ウクライナが改革を進める限り日本はその努力を後押しする旨述べました。メルケル首相からは、ノルマンディー・フォーマットでの努力を継続し、ウクライナが状況改善への努力とともに、選挙法改正等の改革を進めていくことが必要であると述べました。その上で、両首脳は、ウクライナに加え、シリアやISIL等についても、ロシアが建設的な役割を果たしていくことが重要であるとの認識で一致しました。
5 国連安保理改革
両首脳は、国連安保理改革について、G4の連携が重要であるとの認識で一致し、引き続き協力していくことで一致しました。  
●日英首脳会談 平成28年5月5日
5月5日10時50分から約1時間、安倍内閣総理大臣は英首相官邸においてデービッド・キャメロン首相と日英首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
(1)キャメロン首相から、安倍総理の3度目の訪問を歓迎する、G7伊勢志摩サミットに向けて意見交換を行うと共に、経済、安全保障等強固な二国間関係についても議論したい旨述べました。また、熊本地震の犠牲者等に対する哀悼の意を表しつつ、協力の申し出がありました。
(2)安倍総理から、哀悼の意の表明に謝意を表しつつ、統一地方選挙当日という英国にとって重要な日にお会い出来て嬉しい、キャメロン首相と緊密に協力してG7伊勢志摩サミットを成功に導きたい、今回の訪英を通じて、日英の強固なパートナーシップを更に発展させたい旨述べました。
2 G7伊勢志摩サミット
(1)安倍総理から、価値観を共有するG7らしい戦略的な議論をしたい、最大のテーマとなる世界経済とテロや難民問題への対応について、G7の結束と力強いメッセージを示したい旨述べ、キャメロン首相から賛意が表明されました。
(2)世界経済について、両首脳は、G7が世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引していくことで一致し、金融政策、機動的な財政出動、構造改革をそれぞれの国の事情を反映しつつ、バランスよく協力して進めていくことが重要であるという点で一致しました。
(3)両首脳はまた、テロ・暴力的過激主義がG7が先頭に立って取り組むべき最優先課題であることで一致しました。
3 日EU関係
(1)安倍総理から、英国のEU残留・離脱に関する国民投票に関し、本件は英国民が決めることであるとした上で、強いEUに英国がいることが良い、英国がEUのメンバーであることは日本から英国への投資にとっても最善である等説明し、日本の国益の観点から英国のEU残留が望ましいという考え方を伝え、EU残留を支持するキャメロン首相から謝意が表明されました。
(2)両首相は、本年の出来る限り早期の日EU・EPA大筋合意及びSPAの早期妥結に向けて、双方が柔軟性を示しつつ、リーダーシップを発揮していくことで一致しました。
4 日英二国間関係
(1)安倍総理から、英国が日本を「アジアにおける最も近しい安全保障パートナー」と位置づけたことを評価しつつ、日英連携を更に進めたい旨述べたのに対し、キャメロン首相から賛意が示されました。
(2)両首脳は、ダイナミックな戦略的パートナーである日英両国の関係が進展していることを評価しつつ、経済、安全保障・防衛分野を始めとする幅広い分野で協力を一層進めていくことを確認しました。  
●日露首脳会談 平成28年5月7日
5月6日、ロシアのソチを非公式に訪問した安倍総理大臣は、プーチン大統領との間で、約3時間10分にわたり日露首脳会談を行った。会談は、午後3時50分から約2時間の首脳会談(通訳のみを交えた両首脳による35分間の会談を含む)、その後約1時間10分間のワーキングディナーという形式で行われた。
1 平和条約締結問題
(1)両首脳の間で北方領土問題について突っ込んだやり取りが行われた。その結果、これまでの交渉の停滞を打破し、突破口を開くため、双方に受入れ可能な解決策の作成に向け、今までの発想にとらわれない「新しいアプローチ」で、交渉を精力的に進めていくとの認識を両首脳で共有した。日露二国間の視点だけでなく、グローバルな視点も考慮に入れた上で、未来志向の考えに立って交渉を行うこととし、このアプローチに立って、次回の平和条約締結交渉を6月中に東京で実施することで一致した。
(2)この関連で安倍総理から、日露双方が静かな交渉環境を維持するために互いの国民感情に配慮し、相手の国民感情を傷つけるような行動や発言を控えるべきであることを指摘した。
2 日露関係全般(政治対話・要人往来)
(1)ハイレベルの政治対話と往来を活発に行っていくこと、首脳レベルでも様々な国際会議の機会も活用し対話を続けていくことで一致した。プーチン大統領から安倍総理に対し、9月にウラジオストクで行われる東方経済フォーラムへの招待があり、安倍総理はこの招待に応じ、その際に再度首脳会談を行うことで一致した。
(2)プーチン大統領の訪日については、その準備を進めていくことを確認し、今後、中身のある訪問となるよう準備を進める中で、引き続き最も適切な時期を探っていくことで一致した。
(3)これ以外にも、5月のトルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領全権代表、6月のナルィシュキン国家院議長、本年後半のマトヴィエンコ連邦院議長の訪日といった今後のハイレベルの往来を確認した。
3 経済、安全保障分野、文化・人的交流等の二国間関係
両首脳は、経済、安全保障、文化・人的交流等の分野での日露間の協力が進んでいることを評価し、大統領の訪日に向け、こうした二国間の協力を進めていくことで一致した。
(1)経済分野
(ア)プーチン大統領から経済分野をはじめ幅広い分野での協力への関心が示され、安倍総理から、我が国として日露経済交流の促進に向け作業を行っていることを紹介し、8つの項目(下記注)からなる協力プランを提示した。プーチン大統領から高い評価と賛意が表明された。
(注)(1)健康寿命の伸長、(2)快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市作り、(3)中小企業交流・協力の抜本的拡大、(4)エネルギー、(5)ロシアの産業多様化・生産性向上、(6)極東の産業振興・輸出基地化、(7)先端技術協力、(8)人的交流の抜本的拡大
(イ)両首脳は、製造業、農業、エネルギーなどの分野における最近の協力プロジェクトの進捗を確認しつつ、貿易経済政府間委員会、近代化諮問会議等も活用しながら、互恵的な協力を進めていくことで一致した。
(ウ)安倍総理から、さけ・ますの流し網の代替漁法により、日本の漁船の操業機会が確保されるよう、ロシア側の協力を要請したのに対し、プーチン大統領から、代替漁法の検討に向け日本とよく協力し、漁業分野の協力に取り組んでいきたいとの反応があった。
(2)安全保障分野
信頼醸成や透明性確保の観点から、日露安全保障協議及びテロ対策協議を近く実施すること、防衛当局間の交流及び海上保安庁・国境警備局間の交流を継続することで一致した。
(3)文化・人的交流
文化・人的交流を活性化させることで一致した。安倍総理から、人的往来に関連し、我が国が査証緩和を戦略的に検討する中で、ロシアも重点対象の一つとしていることを紹介した。
4 国際情勢
ウクライナ、北朝鮮、シリア、中央アジア、アフガニスタン等の国際情勢について率直な意見交換を行い、安倍総理から、国際社会の重要なプレイヤーであるロシアが様々な国際問題において建設的な役割を果たすことへの強い期待を伝達した。
(1)ウクライナ
安倍総理から、全ての当事者によるミンスク合意の完全な履行が実現し、情勢が改善することを強く期待するとして、ロシアによる武装勢力への影響力行使と情勢改善への貢献を求めた。同時に、安倍総理から、先月訪日したポロシェンコ大統領に対してもミンスク合意の完全な履行を働きかけたことを紹介した。
(2)北朝鮮
安倍総理から、北朝鮮では本日6日から党大会が行われているが、弾道ミサイル発射等の挑発行動が継続していることを深刻に受け止めており、各国による安保理決議の履行の徹底が必要である、拉致・核・ミサイルといった諸懸案の解決に向けて圧力を強化すべき、決議違反に対しては安保理が一致して明確かつ迅速なメッセージを送ることが重要である旨述べた。プーチン大統領から、北朝鮮について日露の立場は一致しており、北朝鮮による核保有、冒険的行為は認められないとの反応があり、両首脳は、北朝鮮が更なる挑発活動を行わないよう、引き続き日露で連携していくことで一致した。
(3)シリア情勢
安倍総理から、「敵対行為の停止」に向けた米露の協力を歓迎しつつ、シリアの政治プロセスにおいて、ロシアが一層建設的な役割を果たすことで事態の打開が図られることを期待する旨、また、アサド政権によると考えられる空爆で病院が被害を受け、市民が犠牲になっていることに関し、ロシアからの働きかけを要請した。
(4)中央アジア・アフガニスタン
安倍総理から、物流網の整備で中央アジアの連結性を高めつつ、テロや麻薬の流れを絶つとの目標の達成に日本も積極的に関与していることを強調し、この地域での日露の協力も進めたい旨、日本はアフガニスタンへの主要援助国であり、麻薬対策分野でも様々な協力を行っている、同分野における日露協力を今年から中央アジアにも拡大していると述べたのに対し、プーチン大統領から協力事業への高い評価が示された。 
 

 

●安倍総理大臣のペルー訪問 平成28年11月19日
安倍総理大臣は11月18日(金曜日)から19日(土曜日)にかけて、APEC首脳会議開催国であるペルーを公式訪問した。
安倍総理大臣は、現地時間午後5時51分から約40分間、ペルー大統領府「トゥパク・アマル」の間にて、クチンスキー大統領と会談しました。
(1)冒頭、クチンスキー大統領から、安倍総理大臣の公式訪問に感謝するとともに、長い外交関係を有する日本との関係を更に強化したいとの発言がありました。
(2)安倍総理からは、公式訪問招待への感謝と共に、ペルーAPECの大成功を確信し日本として協力を惜しまない旨述べました。また、安倍総理大臣は、ペルーは日本が中南米地域で最も長い外交関係を有する国であり、日本とペルーは、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する重要なパートナーである旨述べました。両首脳は、こうした両国の関係を一層前進させるべく、次の点で一致しました。
ア 戦略的パートナーシップを構築し、政策協議を開始します。
イ 租税条約の締結に向けた協議を開始します。
ウ クチンスキー大統領と、TPP協定の早期発効のため、お互いの国内手続の完了に向けて、一層努力します。
エ 2019年の日本人のペルー移住120周年を「日ペルー交流年」として、両国の交流を拡大させていきます。
(3)さらに、安倍総理大臣から、クチンスキー大統領が進めるインフラ整備、自由開放的な経済政策を歓迎するとともに、インフラ、情報通信技術、防災対策、環境対策、教育といった幅広い分野で協力関係を更に進めていく旨述べました。
(4)両首脳は、国際社会の諸課題についても幅広く意見交換しました。
安倍総理大臣からは、最近の東アジア情勢について説明するとともに、地域及び国際社会の平和や安全の確保には、航行の自由の確保や法の支配の貫徹が不可欠である旨発言しました。両首脳は、とりわけ、地域の平和や安全の確保のためには、海洋における航行の自由の確保や法の支配の尊重が重要であることについて意見交換しました。クチンスキー大統領からは、日本の積極的平和主義及び平和安全法制に対し、支持が表明されました。安倍総理大臣は、拉致問題を含む北朝鮮問題について言及するとともに、核・ミサイル開発に対する懸念を表明しました。クチンスキー大統領は、かかる懸念を共有しました。国連安保理改革については、クチンスキー大統領から、日本の常任理事国入りについて支持がありました。 
●ペルーAPEC首脳会議の際の日露首脳会談 平成28年11月19日
11月19日(現地時間)、APEC首脳会議出席のためにペルー・リマを訪問中の安倍総理大臣は、プーチン・ロシア連邦大統領との間で、約1時間10分にわたり日露首脳会談を行った。会談は、午後5時30分から同席者を交えて約35分間、その後日露双方の通訳のみを交えた両首脳のみで約35分間行われた。来月に予定されるプーチン大統領の訪日に向けた準備状況を両首脳で直接確認し合う最後の機会となった。
1 総論
(1)プーチン大統領から、外交当局間を始め二国間関係を前進させるメカニズムが再開され、貿易経済分野の関係の活発化に向けた作業も継続している旨の肯定的な評価が示された。
(2)安倍総理から、来月の訪日に向けて幅広い分野で活発な協議が行われ、準備が着々と進んでいることを歓迎する、地元山口県長門市も訪問準備で盛り上がっている、12月15日の長門市での会談の翌日は東京で会談することとしたい旨述べた。また、ウラジオストク訪問後も、マトヴィエンコ連邦院議長の訪日、世耕大臣の訪露、谷内国家安全保障局長の訪露、シュヴァロフ第一副首相の訪日による貿易経済日露政府間委員会等、両国間の政治対話が活発化している旨指摘した。
2 プーチン大統領訪日に向けた準備
(1)プーチン大統領から、両国間の活発な政治対話・要人往来について前向きな指摘があり、また、安倍総理が提案した8項目の「協力プラン」は日露関係を前進させる上で良いものであるとして、その具体化に言及。また、人的交流も更に伸ばしていきたい旨述べた。
(2)これに対し、安倍総理からは、9月のウラジオストクでの会談以降、自分から直接指示を出し、訪日に向けた準備を進めさせている、大統領訪日の前に岸田大臣が訪露して、詰めを行う旨述べた。
3 平和条約締結問題
平和条約締結問題について、安倍総理から、ウラジオストクの会談で時間をかけて真剣に話し合った結果を受けて、この2か月半の間、更に考えを深めてきたと述べ、プーチン大統領からは、両国外務省間で平和条約締結交渉が継続していることへの言及があった。この問題については、その後、両首脳だけの間で意見交換が行われた。
4 経済分野
経済分野については、安倍総理から、世耕大臣が訪露してモスクワで開催された8項目の「協力プラン」のハイレベル作業部会の結果を受け、大統領訪日に向けた優先プロジェクトの成果作りが進展していること、及び、「協力プラン」の具体化に関する作業計画が合意されたことを歓迎する旨述べ、世耕大臣から合意文書を両首脳に手交した。
5 国際情勢
安倍総理から、シリア、北朝鮮、ウクライナといった国際問題において、ロシアが果たすべき建設的役割についての日本の立場を述べ、まずは岸田大臣とラヴロフ大臣との間で意見交換した上で、山口で我々首脳の間でも話し合いたいと述べた。 
●日・コロンビア首脳会談 平成28年11月19日
現地時間11月19日午後2時(日本時間11月20日午前4時)から約20分間、安倍晋三内閣総理大臣はAPEC首脳会合で訪問中のリマにおいて、マヌエル・サントス・コロンビア共和国大統領と日・コロンビア首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 安倍総理大臣からは、サントス大統領のノーベル平和賞受賞を改めて祝福すると共に、和平プロセスへの引き続きの支持を表明しました。また、コロンビアの国造りを後押しすべく地雷除去に関する10億円の無償資金協力の実施を決定したことを伝えました。また、安倍総理大臣より、コロンビアにおける新たな和平合意への到達を歓迎し、早期の和平実現への期待を述べました。
2 サントス大統領からは、地雷除去に関する日本の支援は非常に有効なものであるとし、新たな支援への感謝を述べるとともに、新たな和平合意のコロンビア国会で審議が重要なものとなる旨を述べました。
3 両首脳は、コロンビアの平和定着・国造りにとっても重要な日・コロンビアEPAの交渉が最終段階にあり、交渉の早期妥結を目指すことを確認しました。
4 両首脳は、北朝鮮情勢を始め、国際場裡での協力についても意見交換を行いました。 
●日・ニュージーランド首脳立ち話 平成28年11月19日
11月19日(日本時間20日)、APEC首脳会議に参加するため、ペルー・リマを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、ジョン・キー ・ニュージーランド首相と短時間立ち話を行ったところ、概要以下のとおりです。
1 安倍総理から、NZ南島における震災に関し、改めてお見舞いの言葉を伝えるとともに、海上自衛隊が派遣したP-1哨戒機が収集した情報が、災害救助活動に役に立つよう祈っている旨述べました。これに対し、キー首相からは、いただいた情報は、被災状況の把握に重要であり、今後の復興にも役立つとして我が国の協力に謝意が示されました。
2 両首脳は、自由貿易の推進の重要性について確認をするとともに、TPPに関し、両国が一層連携をしていくことで一致しました。 
●日・ベトナム首脳会談 平成28年11月20日
20日午後0時20分(現地時間)から約30分間、APEC首脳会議に参加するためペルー・リマを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、チャン・ダイ・クアン・ベトナム社会主義共和国主席と、日・ベトナム首脳会談を実施したところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
安倍総理から、クアン主席の4月の就任に祝意を示し、貴主席と首脳会談ができることは光栄である旨伝え、日ベトナム関係は、「広範な戦略的パートナーシップ」の下、最良の関係にあり、その象徴となる来年春の天皇皇后両陛下のベトナム御訪問が成功するよう、クアン主席の御協力をお願いしたい旨述べました。また、安倍総理は、来年のベトナムAPECの成功に向け全面的に協力したい旨述べました。クアン主席からは、本日安倍総理とお会いできたことを非常に嬉しく思う、貴総理よりの就任への祝意へ感謝、日ベトナム関係は非常に良好であり、広範な戦略的パートナーシップの下、幅広い分野で協力が進展していることを嬉しく思う、本年1月の党大会後もベトナムの対外方針は不変であり、日本はベトナムにとって最優先のパートナーである旨述べました。
2 二国間関係
クアン主席は、日本は貿易、投資、ODA供与において最大のパートナーであり、ベトナム政府および国民に向けられた多大な関心に感謝し、引き続き様々な分野でのハイレベル、地方間、国民間の交流を強化していきたいと述べました。クアン主席は、天皇皇后両陛下の御訪問を高く評価し、二国間における大変重要な行事となる旨述べました。また、クアン主席は、安倍総理のベトナム再訪を強く望んでいる旨述べました。クアン主席は、来年11月にはダナンでAPECを開催予定であり、APEC成功に向けた支援をお願いしたい旨述べました。また、クアン主席は、現在二国間の貿易は良好であり引き続き投資分野でも日本からの投資を歓迎する旨述べました。安倍総理は、天皇皇后両陛下への御招待に感謝し、来年のAPEC成功に向け、全面的に協力する旨述べました。また、安倍総理は、自分に対する招待も大変嬉しく思う、ハイレベルの交流とともに、国民間の交流も進めていきたい旨述べました。安倍総理は、日本は、ベトナムの最大の援助国であり、今年度上半期に約1、200億円の支援を表明したことを紹介し、今後も質の高いインフラ整備を中心にベトナムの発展に向けて最大限の協力を行っていくことを伝えました。安倍総理は、日系企業は既に多大な投資を行っているが、投資が一層増大することを期待し、そのためにもビジネス環境整備に取り組まれていることに敬意を表するとともに、投資環境の更なる改善を期待している旨述べました。また、安倍総理は、クアン主席から要請のあった、ベトナムに対する消防・救助車両の供与等について、今月、協力に向けた調査を開始することに加え、公安省水上警察に対する水上警備艇の供与を決定したことを伝達しました。更に安倍総理は、ベトナムから累次の要請がある新造巡視船の供与について、準備を進めたい旨述べました。安倍総理は、日ベトナム関係が歴史上最も良好な状態にあるが、さらにこれをクアン主席と共に発展させていきたい旨述べました。
3 地域・国際場裏の協力
安倍総理とクアン主席は、南シナ海問題について、法の支配に基づく紛争の平和的解決の重要性について一致し、引き続き連携していくことを確認しました。また、両首脳は、TPPに関し、自由貿易の流れを止めるべきではなく、国内手続きをそれぞれ進めていくとの立場で一致しました。その他、双方は北朝鮮問題等に関しても有意義な意見交換を実施しました。 
●日米首脳立ち話 平成28年11月20日
11月20日午後1時05分(日本時間では11月21日午前3時05分)頃から短時間、APEC首脳会議に参加するため、ペルー・リマを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、バラック・オバマ米大統領と立ち話を行ったところ、概要以下のとおりです。
1 両首脳は、この4年間、日米両国が、アジア太平洋地域の平和と繁栄のために同盟の強化に取り組むにあたり、双方が強いリーダーシップを発揮してきたことについて、互いに高い評価と感謝を述べ合いました。
2 また、両首脳は、現下の国際情勢に対処するため、日米両国が引き続き、共に手を携えて取り組む必要があるとの認識を共有しました。 
●ペルーAPECの際の日中首脳間の会談 平成28年11月20日
APEC首脳会合に出席するためペルー(リマ)を訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、現地時間20日午前11時(日本時間21日午前1時)過ぎから約10分間、APEC首脳会合会場内において、習近平・中国国家主席との間で会談を行ったところ、やり取りの概要は以下のとおりです。なお、本会談は、APEC首脳会合の関連行事として行われたIMF専務理事との非公式対話の直後、両首脳が会場において自然な形で歩み寄り実現したものです。
1 安倍総理から、次のとおり述べました。
(1)9月に杭州で習近平主席が述べたように、来年の日中国交正常化45周年、再来年の日中平和友好条約締結40周年の機会に、日中関係を改善させたい。
(2)年内に開催予定の日中韓サミットの際には李克強総理が初めて訪日されることになるが、日中の二国間関係の文脈においても、実りの多い訪日としたい。また、国民レベルにおいても交流を進めたい。
(3)懸案を適切に処理しながら、大局的な観点から安定的な関係を築いていきたい。
2 これに対し、習近平国家主席から、次のとおり述べました。
来年及び再来年を活用して関係改善を進めたいとの安倍総理の言葉に印象付けられた。日中両国は、4つの基本文書及び2014年11月の4項目に沿って、友好的な考えの下、生産的な議論を積み重ね、懸案を適切に処理し、国民感情を醸成し、関係を改善させていくことが重要である。 
●安倍総理大臣のアルゼンチン共和国訪問 平成28年11月21日
安倍総理大臣はアルゼンチン共和国を訪問し、11月21日(月曜日)にブエノスアイレス市における行事に参加した。
現地時間21日午後12時30分(日本時間22日午前0時30分)から約50分間、安倍総理大臣は、大統領府官邸において、マクリ大統領と会談を行いました。
(1)冒頭、マクリ大統領から、安倍総理大臣の訪問を歓迎するとともに、貿易・投資を中心に新しい両国関係を築いていきたく、日本企業に期待している、また、観光、スポーツ、科学・技術の分野でも両国関係を発展させていきたいとの発言がありました。
(2)安倍総理大臣からは、公式訪問招待への感謝と共に、日本の現職総理大臣として57年振りにアルゼンチンを訪問でき嬉しい旨述べました。また、日本とアルゼンチンは、日系社会の存在もあり、100年以上友好的な関係を築いており、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する重要なパートナーです。こうした両国の関係を一層前進させるべく、両首脳は次の点で一致しました。
ア 戦略的パートナーシップを構築します。
イ 投資協定交渉の早期妥結を目指します。引き続き、投資及び貿易の発展やビジネス環境改善のための取組を着実に進めます。
ウ アルゼンチンがメルコスール暫定議長国となる明年前半に日・メルコスールの対話を進めます。
(3)さらに、安倍総理大臣から、マクリ大統領が自由開放的な経済政策を推進し、中南米の変化を牽引していることを歓迎しました。また、4月の首脳会談以降、経済界の参加を得て協議枠組みが発足するなど、インフラ分野を始めとして、アルゼンチンのビジネス機会への日本企業の理解と関心が増進されていることに言及し、今後、アルゼンチンへの日本からの民間投資が更に進むよう、JBICやNEXIを積極的に活用するとともに、アルゼンチンの産業人材支援などを通じて、日本企業のアルゼンチンでの活動を支援する取組を更に進めていくと述べました。
(4)両首脳は、国際社会の諸課題についても幅広く意見交換しました。
安倍総理大臣からは、最近の東アジア情勢について説明し、地域及び国際社会の平和や安定の確保には、航行の自由の確保や法の支配の貫徹が不可欠である旨発言しました。安倍総理大臣から、拉致問題を含む北朝鮮問題についても言及するとともに、核・ミサイル開発の懸念を表明し、マクリ大統領はかかる懸念を共有しました。また、両首脳は、アルゼンチンが主催する2017年WTO閣僚会議や2018年G20サミットに向けて協力していくことでも一致しました。 
 

 

 
 2015

 

●日米首脳会談 平成27年4月28日
4月28日9時50分から約2時間、ワシントンDC出張中の安倍総理は、オバマ大統領との間で日米首脳会談を行ったところ、概要以下のとおり。今回の機会に、(1)日米共同ビジョン声明、(2)核兵器不拡散条約(NPT)に関する日米共同声明、(3)より繁栄し安定した世界のための日米協力に関するファクトシートを発出した。
1 冒頭発言
(1)オバマ大統領より、安倍総理は日本経済を前進させ、再活性化しようとしており、米国はその努力を支持している旨述べた。また、オバマ大統領より、日米間では安全保障関係を更に活性化するための試みが行われており、日米両国がこの地域において様々な課題に取り組む上で同盟の強化が重要である、様々な国際場裡やグローバルな課題への取組において、日本ほど心強いパートナーは存在しない、安倍総理の勇気と強さは、米国にとっても世界にとっても重要である旨述べた。
(2)これに対し安倍総理より、今回の訪米は戦後70年の節目の年の訪米であり、歴史的意義を有する、公式訪問の招請に感謝する旨述べた。また、安倍総理より、2年前の安倍総理の訪米、1年前のオバマ大統領の国賓訪日、そして今回の公式訪問と、そのたびごとに日米同盟は格段に強化されてきた、本日の会談を通じて、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値の上に立つ日米同盟が、アジア太平洋や世界の平和と繁栄に主導的な役割を果たしていくとの力強いメッセージを内外に向けて発信したいと述べた。
2 日米関係
(1)安全保障
(ア)安保・防衛協力
両首脳は、4月27日に行われた日米「2+2」の成功を評価し、そこで発表された新ガイドラインの下、同盟の抑止力・対処力が一層強化されることを確認した。また、安倍総理より、日本の安保法制整備につき、精力的に作業中であることを説明した。これに対しオバマ大統領より、日本の取組を支持する旨の発言があった。
(イ)米軍再編
安倍総理より、普天間飛行場の移設に関し、先般翁長沖縄県知事と初めて会談し、知事は辺野古移設に反対していた、しかし辺野古移設が唯一の解決策との政府の立場は揺るぎない、沖縄の理解を得るべく対話を継続する旨述べた。また、安倍総理より、そのためにも、県外のオスプレイ訓練増加、嘉手納以南の土地返還等、沖縄の負担軽減は政府の優先課題である、普天間飛行場の5年以内の運用停止については、日米「2+2」の場で岸田外務大臣からケリー国務長官に対して伝えた、環境補足協定も早期に署名したい、日米同盟への国民の支持を得るため協力頂きたい旨述べた。これに対しオバマ大統領より、沖縄の負担軽減に引き続き協力していく旨述べた。さらに、安倍総理より、在沖縄海兵隊のグアム移転は、グアムの戦略的拠点としての発展を促し、米国のリバランス政策にも資する、連携して着実に進めたい旨述べた。
(2)TPP
(ア)安倍総理より、米議会でのTPAの審議が進展していることを歓迎し、オバマ大統領の努力を評価する旨述べた。両首脳は、TPPは地域の経済的繁栄のみならず、安全保障にも資するなど、戦略的意義を持つことを改めて確認した。
(イ)安倍総理より、先日行われた甘利TPP担当大臣とフローマン通商代表の交渉に触れ、日米間の残された課題について前進があったことを歓迎する旨述べた。両首脳は、日米間の協議の進展はTPP全体の妥結の大きな推進力となることを確認し、日米が交渉をリードし、早期妥結に導いていくことで一致した。
3 地域情勢
(1)アジア情勢
(ア)安倍総理より、先般のバンドン会議で行われた日中首脳会談を紹介した。
(イ)両首脳は、日米が中核となり、法の支配に基づく自由で開かれたアジア太平洋地域を維持・発展させ、そこに中国を取り込むよう連携していくことで一致した。また、中国のいかなる一方的な現状変更の試みにも反対することを確認した。オバマ大統領からは、日米安保条約第5条が尖閣諸島を含む日本の施政下にある全ての領域に適用される旨改めて発言があった。
(ウ)両首脳は、南シナ海の問題に関し、ASEANの一体的対応の支持等、日米で様々な取組を推進していくことを確認した。
(エ)両首脳は、AIIBに関して日米両国の基本的な立場を確認した。安倍総理からは、アジアには膨大なインフラ需要があるが、AIIBのような金融機関を作るのであれば、公正なガバナンスが必要となる、この観点から日米で協力し、中国と対話していくとの考えを述べた。
(オ)安倍総理より、日韓関係改善に向けた日本の努力につき説明した。オバマ大統領からは、そうした日本の努力を支持する旨述べた。
(カ)北朝鮮に関し、安倍総理より、日本は、核、ミサイル、拉致といった諸懸案の包括的解決を目指すとの方針で一貫していることを説明した。両首脳は、北朝鮮の核・ミサイル問題への対応で日米韓の連携を改めて確認した。また、安倍総理から、拉致問題の早期解決に向けた決意を述べ、オバマ大統領からは、改めて理解と支持の表明があった。
(2)ウクライナ情勢
安倍総理より、ウクライナ現地情勢を注視し、G7の連帯を重視しつつ、問題の平和的・外交的解決に向け、ロシアへの働きかけを含め適切に対応する旨述べた。両首脳は、引き続きウクライナの改革努力を支援していくことで一致した。
(3)イラン
安倍総理より、イランの核問題交渉における先般の合意を歓迎する、オバマ大統領の政策を完全に支持する旨述べた。また、安倍総理より、先般のバンドン会議で行われた日イラン首脳会談につき紹介し、引き続きイランに働きかけ、独自の役割を果たしていく旨説明した。
4 グローバルな課題
(1)両首脳は、同盟でのグローバルな協力の重要性が向上しているとの認識で一致するとともに、気候変動、感染症対策につき議論した。
(2)このうち、気候変動に関しては、安倍総理より、日本はCOP21での全ての国が参加する枠組みの採択に向け積極的に貢献していく旨述べた。また、安倍総理より、排出削減に関する日本の取組については、G7サミットの際に、国際的に遜色のない野心的な目標に関する日本の考え方をしっかりと説明したいと考えている旨述べた。 
 

 

 
 2014

 

●日独首脳会談 平成26年4月30日
4月30日(水)、ドイツを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、アンゲラ・メルケル・ドイツ連邦共和国首相と首脳会談(ワーキングランチ)を行ったところ、概要は以下のとおりです。一致した事項の内容については、「今後の日独の協力に関するファクトシート」のとおりです。
1.冒頭
(1)冒頭、メルケル首相から、安倍総理のドイツ訪問に対する歓迎の言葉があり、両国関係の発展に向け協働したい旨述べました。
(2)安倍総理から、日本の総理大臣として2009年以来のドイツ訪問を実現でき喜ばしい、日独は基本的価値を共有し、グローバルな課題に対処するパートナーであり、来年及び再来年のG8サミット議長国であるので協力していきたい旨述べました。
2.安全保障分野
(1)両首相は、日欧を巡る安全保障環境は、厳しさを増しており、同様の挑戦に直面している、また、力による現状変更の試みへの対応は、国際秩序に関わる重大な共通課題であることを確認しました。
(2)両首相は、安全保障分野での協力強化で一致した他、官民日独安全保障対話の定期化など、安全保障分野の対話を緊密化させることに合意しました。
(3)両首相は、日独が共に部隊を派遣しているソマリア沖・アデン湾における部隊間の連携の継続に一致しました。
3.地域情勢
(1)両首相は、ウクライナ情勢について、力を背景とする現状変更は決して容認できず、これは一地域の問題ではなく、国際社会にとっての問題であるとの認識を共有するとともに、日独間で協力していくことが重要であるとの認識で一致しました。
(2)安倍総理から、ウクライナの安定のためには、(ア)経済の改善、(イ)民主主義の回復、(ウ)国内の対話の促進が必要、そのために、日本は、すでに発表した約15億ドルの支援を実施したことに加え、新たに(イ)民主主義回復のために、欧州評議会の緊急支援策へ30万ユーロを拠出した旨述べるとともに、大統領選挙が、少数派の参加を確保し、透明かつ公正な形で実施されることが最も重要との観点から、大統領選挙への選挙監視団への要員派遣を予定している旨述べました。さらに、(ウ)国内の対話と統合の促進のためOSCEの特別監視団のための50万ユーロの拠出を決定した旨述べました。
(3)安倍総理から、東アジア情勢については、力による現状変更の試みは許されず、国際秩序や法の支配が尊重されるべきことを日独の共通の立場として繰り返し示していくことが重要である旨述べました。
(4)安倍総理から、拉致問題について、独の引き続きの理解と協力を求めました。
4.経済・社会分野
(1)両首相は、来年及び再来年のG8サミット議長国であることから、2015年G8サミットに向けて、安保理改革やポスト2015年開発アジェンダなどにおいて、緊密に協力していくことを確認しました。
(2)両首相は、女性の役割の向上、少子高齢化など、共通の課題に関する対話促進を確認した他、中堅・中小企業の協力を進めて行くことを確認しました。
(3)両首相は、現在交渉中の日EU・経済連携協定(EPA)の早期締結に向けた協力を確認しました。
5.人的・知的交流
(1)両首相は、人的・知的交流を活性化すべく、ベルリン日独センターの活動強化、日独フォーラムの活性化、シンクタンク間の協力の重要性につき確認するとともに、それらの活動を積極的に支援していくことで一致しました。
(2)両首相は、観光分野では、地方を含め双方の観光客の増加を目指すことで一致しました。 
●日英首脳会談 平成26年5月1日
本1日、安倍総理は英国首相官邸にてキャメロン首相と、12時から約30分間日英首脳会談を、続いて約80分間ワーキング・ランチを行ったところ、概要以下のとおりです(会談にはヘーグ外相が、昼食会には同外相に加えてハモンド国防相、モード・オープンガバメントパートナーシップ担当大臣、デイビー・エネルギー担当大臣他が同席)。なお、会談後、日英共同声明及び気候変動とエネルギー分野の附属文書が発出されました。
1.日英首脳会談
(1)冒頭
安倍総理から、忙しい中での首脳会談開催への感謝に加え、4月26日にアフガニスタンにて5名の英国軍兵士が亡くなられたことに対し、改めてお見舞いを申し上げる旨述べました。
(2)経済
安倍総理より、成長戦略の三本の矢について説明し、日本が長く続いたデフレで失われた「自信」を取り戻しつつある旨述べました。これに対し、キャメロン首相は、日本の取り組みを評価する、英国も近年経済が上向いてきており、両国の経済の回復は、世界経済に資するものである旨述べました。日EU・EPAについては、安倍総理より、欧州との経済連携は日本の成長戦略の重要な柱であり、世界経済を牽引する日欧でグローバルな貿易・投資のルール作りを前進させたい、そのためにも、2015年中に大筋合意に達するとの目標で一致できたことは喜ばしい旨述べました。これに対し、キャメロン首相より、早期締結に向けて交渉が更に進展することを期待するとして、そうした方向への支持の表明がありました。EUによる日本産食品等への輸入規制について、安倍総理より、科学的根拠に基づき規制の撤廃・緩和が進むよう、改めて英国の理解と協力を求めました。これに対し、キャメロン首相は規制の状況を調査する旨述べました。日英間の経済分野での協力については、安倍総理より、日本企業が、鉄道や原子力発電所など英国のインフラ整備に貢献していることは喜ばしい旨述べました。これに対し、キャメロン首相より、今日は良いニュースがあったとして、東芝ウェスティングハウス社による投資の話があり、こうした投資により、雇用が創出され、またそれにより低炭素ベースロード電源等を実現することにつながり、英日間の良好な関係が今後さらに拡大していくことの象徴となる旨応じました。さらに、それ以外も含め、日本企業の進出は、雇用創出に貢献し、英国経済にも資するものとして、大いに歓迎する旨述べました。安倍総理より、首脳会談に先立ち対日投資セミナーに出席し、英国企業に対して対日投資促進を直接呼びかけたところであり、先日発表した対内直接投資の残高を2020年までに倍増する目標に向け、安倍総理自ら取り組みを行っている旨述べたところ、キャメロン首相からも関心が示されました。
(3)原子力、G8のフォローアップ
両首脳は、福島第一原発の廃炉など民生原子力分野での協力や、英国が議長を務めた昨年のG8のフォローアップ等についても議論を行いました。
(4)英連邦
安倍総理より、英連邦との協力について、英連邦は英国と歴史的な関係が深い国々との絆を深め、民主主義の推進に貢献していると評価する旨発言がありました。さらに、昨年、我が国議員が英連邦議会協会の年次総会にオブザーバーとして参加した、今後とも、議会交流等の促進を期待する旨述べました。
2.ワーキング・ランチ
(1)安全保障
安倍総理より積極的平和主義について、我が国の取組みを説明し、今後の英国のアフガニスタン撤退等を踏まえ、英国がアジア太平洋地域に更に関与することを歓迎しました。キャメロン首相は、日本の安全保障分野における積極的な役割を歓迎しました。今後、安全保障面での協力を拡大するため、両首脳は、(ア)日英間での外務防衛閣僚会合の開催、(イ)ACSAの締結交渉の開始、(ウ)自衛隊と英軍の共同訓練の強化を目指すことに合意しました。
(2)東京オリンピック・パラリンピック等
2019年の日本におけるラグビー・ワールドカップ、及び2020年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向け、両大会の準備の協力に関する文書が署名される見通しであることを両首脳は高く評価しました。また、今後、サイバー対策、栄養改善、警備等の分野で協力を推進することで一致しました。
(3)女性
安倍総理より、「女性の力」を最大限活用することの重要性について説明し、両首脳は、日英が国際社会との協力や途上国への支援を強化していくことで一致しました。また、安倍総理より、女性に関する国際シンポジウムへの英国の協力を要請しました。
(4)地域情勢
両首脳は、ウクライナ情勢について議論し、ウクライナの安定のためには支援が必要との点で、認識を共有しました。安倍総理より、今回新たに民主主義回復のために欧州評議会の緊急支援策へ30万ユーロ、国内の対話と統合の促進のためのOSCEの特別監視団に50万ユーロの拠出を決定した旨説明しました。また、25日の大統領選挙が平和裏に実施されることの重要性の確認、さらにはウクライナ情勢の解決に向けて、日英両国間で緊密に協力していくことに関し、両首脳間で合意を得ました。
この他、東アジア情勢についても意見交換を行いました。 
●日・ポルトガル首脳会談 平成26年5月3日
5月2日(金曜日)、ポルトガルを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、パッソス・コエーリョ・ポルトガル首相と、午後7時から約1時間首脳会談を、続いて約1時間半の夕食会を行ったところ、概要以下のとおりです。
1 総論
(1)冒頭、パッソス・コエーリョ首相から、500年近い日本とポルトガルの歴史の中で、初めての総理の訪問であるとして、大変厚い歓迎の意の表明がありました。
(2)安倍総理からは、史上初の訪問として、その歴史的意義に喜びと責任を感じる旨述べました。
(3)両首脳は、長い歴史的交流を有し、共に海洋国家である両国が基本的価値を共有するパートナーであるという認識に立って、(ア)海賊対策を含む海洋を中心とする安全保障協力、(イ)互いの経済成長に資する協力、(ウ)南米・アフリカ等のポルトガル語圏諸国での協力等の3つの意義を確認しました。
こうした認識の下、両首脳は、二国間関係等についての協力の拡大に向けて、安全保障、経済、文化面でそれぞれ具体的な議論を行い、その成果が日・ポルトガル首脳間共同コミュニケに盛り込まれました。
2 地域協力(ポルトガル語圏諸国(CPLP)との協力)
(1)安倍総理から、両国は双方のポルトガル語圏及びアジアでの知見を生かし、重層的な協力を進めたい旨述べました。さらに、ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)サミット(注)へのオブザーバー参加申請の意向を表明したところ、パッソス・コーリョ首相からは、日本のCPLPサミットへの参加の意向を歓迎する、早期の実現に向けて全面的に協力したいと述べました。
(2)また、両首脳は、ポルトガルが、資源が豊富で成長の可能性が高いアフリカへの潜在的なゲート・ウェイであるとの認識を共有し、まずは、現地情勢についての情報交換、具体的協力の進展に向けて、双方が関心を有する国の在外公館の間での連携を強化することで一致しました。
(注)ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)サミット
○ ポルトガル語圏諸国間の「連帯」深化、ポルトガル語の公用語化を目標とし、1996年初のサミットがリスボンで開催。(1)加盟国間の開発支援(警察・司法、医療、教育中心)、(2)民主化への相互協力(選挙監視団の派遣等)、(3)大学間交流、査証・移民問題への取組、(4)文化事業等を共同事業として実施。
○ ポルトガル、ブラジル、アンゴラ、モザンビーク、ギニアビサウ、サントメ・プリンシペ、カーボヴェルデ、東ティモールの8カ国。本部はリスボン。議長国は任期2年。2年毎開催のCPLPサミットを機に交代。現議長国は、東ティモール。
3 政治及び安全保障
(1)両首脳は、安全保障については、「力」による現状変更の試みへの対応は国際秩序に関わる共通の課題であるとの認識で一致しました。また、海洋における法の支配の確保が両国共通の利益であり、国際法に基づく公海における自由の確保と維持の重要性を確認しました。
(2)安倍総理から、国際協調主義に基づく積極的平和主義と我が国立場を説明し、パッソス・コエーリョ首相からは、平和と安定に向けた国際的努力に積極的に寄与する日本の意思と取組を歓迎するとの表明がありました。
(3)両首脳は、海上の防衛問題を始め両国の防衛当局間の経験を共有する機会の探究や、海賊対策での連携の重要性を確認しました。また、今後、ポルトガルに本部を置く欧州海上保安機関(EMSA)との将来的な協力も含め、安全及び環境分野での当局間の協力を促進していくことで一致しました。
4 経済
(1)安倍総理から、ポルトガルの経済状況の改善、EU、IMFの支援から卒業見込であることを歓迎し、ポルトガルの取組への敬意を表しました。これに対し、パッソス・コエーリョ首相からは、ポルトガルの経済改革の取組に関する説明があり、厳しい困難を国民の努力により乗り越え、経済は回復しつつある旨述べました。
(2)また、パッソス・コエーリョ首相からは、日本の成長戦略(アベノミクス)によって日本の経済が回復し、世界経済にダイナミズムを与えると指摘の上、大変高い評価が示されました。安倍総理からは、先方からの詳細かつ具体的な質問も踏まえ、成長戦略(アベノミクス)についての丁寧な説明を行いました。
(3)両首脳間で、両国間の貿易投資には潜在性があり、特に、ポルトガルから日本の投資の増大への期待が表明され、今後、日本貿易振興機構(JETRO)とポルトガル投資貿易振興庁(AICEP)との協力促進や新エネルギー・産業総合開発機構(NEDO)によるスマート・コミュニティの実現に向けた協力を進めていくことで一致しました。
(4)さらに、安倍総理からは、ポルトガル産豚肉の対日輸入を解禁した旨述べ、両首脳は、食料及び農畜産分野の交流を促進していくことで一致しました。また、安倍総理からは、残存する日本産食品等に対するEUの輸入規制が科学的根拠に基づき見直されるよう求め、パッソス・コエーリョ首相からは理解が示されました。
5 文化・人的交流
(1)両首脳は、両国の若者を始めとする人的交流強化のため、ワーキング・ホリデー導入に向けた協議を具体的に開始することで一致しました。
(2)また、両国の観光分野での協力促進、長い交流の歴史を踏まえた両国史料館どうしの協力や2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたスポーツ分野での協力を促進していくことで一致しました。
(3)さらに、日・ポルトガル、また、日・EU間の協力促進のため、両国の共催という形で、本年秋にリスボンにて有識者の会議を開催することとなりました。
6 日EU・EPA
パッソス・コエーリョ首相からは、日EU・EPAの交渉の継続及び更なる進展への支持が表明され、早期締結に向けて両国間で協力をしていくことを確認しました。
7 国際場裡における協力
両首脳は、開発途上国における女性のエンパワーメントの推進に向けて協力することで一致しました。パッソス・コエーリョ首相からは、本年後半に日本政府が主催する女性のエンパワーメントに関する国際的行事の成功に向けて、協力していくとの意図が表明されました。
8 結語
最後に、安倍総理からパッソス・コエーリョ首相に対し、訪日招待の意向を表明し、同首相のできるだけ早期の訪日実現について一致しました。 
●安倍総理大臣のスペイン訪問 平成26年5月4日
5月4日、安倍総理大臣はスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを訪問し、ラホイ・スペイン首相主催インフォーマル・ワーキング・ランチにおいて、日スペイン首脳会談を実施したところ、概要以下のとおりです。また、これに先立ち、安倍総理大臣夫妻は、空港到着時から同行したラホイ首相夫妻の案内により市内視察を行いました。
1 日スペイン首脳会談
(1) 贈呈品交換
インフォーマル・ワーキング・ランチに先立ち、安倍総理大臣はラホイ首相との間で、贈呈品の交換を行いました。ラホイ首相からは同首相の出身地であるガリシア地方のワインが贈呈され、安倍総理大臣からは日本酒が贈呈されました。
(2)冒頭
安倍総理大臣から、ラホイ首相の歓待に感謝するとともに、昨年10月のラホイ首相の訪日の成果である「平和、成長、イノベーションのためのパートナーシップ」の進捗を評価しました。これに対して、ラホイ首相から、安倍総理大臣の来訪への謝意を述べるとともに、日本との関係をきわめて重視している旨述べました。
(3)二国間関係
ア 総論
安倍総理大臣から、日本スペイン交流400周年を契機に両国間のハイレベル交流が活性化しているとした上で、昨年6月の皇太子殿下のスペイン御訪問の際にここサンティアゴ・デ・コンポステーラで受けた温かい歓迎に感謝する旨述べました。また、スペイン側対日友好議員連盟が再結成されたことを歓迎する旨述べました。
イ 安全保障
安倍総理大臣から、我が国における最近の安全保障政策を説明するとともに、「積極的平和主義」への理解と支持を求め、ラホイ首相からも理解が示されました。また、両首脳は、両国の防衛当局間の協力・交流の強化で一致しました。
ウ 観光・文化分野等の交流
このほか両首脳は、観光、スポーツ、文化の分野での両国間の交流が進展していることを歓迎するとともに、ワーキング・ホリデー制度の導入に向けた交渉の加速で一致しました。
(4)中南米地域における協力
両首脳は、昨年10月の首脳会談の成果として、両国の在外公館間で、現地情勢につき意見交換が実施されていることを評価しました。
(5)経済関係
ア 二国間経済関係
中南米、アジアにおけるゲートウェイとして、双方の強みを提供しあうことが有益である点で一致しました。また、安倍総理大臣から、スペイン企業からの日本への投資を大いに歓迎すると述べました。
イ 日EU・EPA
両首脳は、日EU・EPA交渉の早期妥結の必要性の認識で一致しました。
(6)地域情勢
この他、両首脳は、ウクライナ、東アジア等の地域情勢についても意見交換を行いました。
2 市内視察
(1)安倍総理大臣夫妻は、ラホイ首相夫妻から、「望みの丘(モンテ・デ・ゴソ)」について、フランス各地からピレネー山脈を越えスペイン北部を通り聖地サンティアゴに向かうというサンティアゴ巡礼道の最終行程部分にある丘について説明を受けました。 また、巡礼者の銅像がそびえ立つ見晴台からは、大聖堂を含むサンティアゴ市を一望するとともに、昨年10月に「日本スペイン交流400周年」を記念し、日本の方角を向いて建てられた記念碑を視察しました。
(2)続いて、安倍総理大臣夫妻は、キリスト十二使徒の一人である聖ヤコブの遺骸が祀られており、カトリック教会でも最も人気のある巡礼先であるサンティアゴ大聖堂を訪れました。17世紀後半に造られたチュリゲラ様式の中央祭壇の聖ヤコブの像、大聖堂内上層部、ボタフメイロ(巨大香炉)等を視察しました。 
●日仏首脳会談 平成26年5月5日
5月5日午前10時15分から約1時間15分間、安倍内閣総理大臣は仏大統領府においてオランド大統領と日仏首脳会談を行ったところ、概要は以下の通りです。なお、会談には、フランス側にはヴァルス首相、ファビウス外相、モントブール経済相他が同席し、日本側には加藤官房副長官他が同席しました。会談後、「日仏共同プレスリリース」及び「危機管理における日本国外務省とフランス共和国外務省の協力に係るプレスリリース」が発出されました。
1.冒頭
安倍総理から、日仏両国は基本的価値を共有し、国際社会の諸課題に共に取り組む国であり、グローバルな安全保障環境が厳しさを増す中で、両国の協力の必要性はかつてなく増大している旨述べました。これに対しオランド大統領からは、昨年訪日した際に、多くの政府要人に迎えられ、日仏二国間関係の発展を決意したが、その後様々な取り組みが行われ、政治・安全保障、経済、文化の全ての分野で素晴らしい結果が出ており喜ばしい旨述べました。
2.政治・安全保障
(1)安倍総理から、積極的平和主義について説明し、オランド大統領より歓迎と支持が表明されました。また、安倍総理から、公海における航行および上空飛行の自由と安全の確保は国際社会の共通課題であり、海洋安全保障を重視すること、1月に日仏連携して海賊対策を行ったことは日仏協力に有意義であったことを説明し、両首脳はこうした認識を共有しました。(2)両首脳は、1月の外務・防衛閣僚会合は、両国関係にとって大きな進展をもたらしたとの認識を共有しました。また、防衛装備協力に関する協定交渉の開始について一致しました。(3)安倍総理から、1月のアフリカ訪問において躍動するアフリカを体感した旨紹介しつつ、PKOセンターを通じた人材育成のために新たに190万ドルの支援を予定しており、そのうち50万ドルをマリの平和維持学校に拠出することを決定した旨述べました。オランド大統領は、こうした日本の貢献を評価し、両首脳は、平和維持における人材育成などで協力していくことで一致しました。(4)安倍総理から、フランスはニューカレドニア等太平洋に領土を有する「太平洋の友人」であり、我が国として、フランスがアジア太平洋地域への関与を強化することを歓迎する旨述べました。
3.経済
(1)両首脳は、経済成長においてはイノベーションが重要であることで一致し、会談直後の署名式においては、安全性の高い新型原子炉ASTRIDを含む高速炉の技術開発協力に関する取決めが署名されました。また、高性能繊維の研究開発協力に関する覚書も署名されました。(2)両首脳は、日本の航空会社によるエアバス購入もきっかけに、更なる二国間経済関係の強化への期待を表明しました。(3)安倍総理から、欧州との経済連携は我が国の経済成長の重要な柱であり、産業界の期待も高い旨述べ、両首脳は可能な限り早期の日EU・EPAの締結を目指すことで一致しました。
4.女性の活躍
安倍総理から、「女性が輝く社会」の実現に向け、相互の施策に学びたく、9月に日本で予定されている女性に関する国際シンポジウムへの仏の協力を要請し、オランド大統領は快諾しました。
5.文化・スポーツ交流
学生間の交流強化のため、高等教育機関における学位の相互認証に関する協定が会談直後に署名された上、日仏の柔道家をイスラエルとパレスチナに派遣することで一致しました。また、2019年のラグビー・ワールドカップや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた協力について一致しました。
6.地域情勢
(1)ウクライナ
ウクライナの安定のために支援が必要との認識が共有され、安倍総理から、今回新たに民主主義回復のために欧州評議会の緊急支援策へ30万ユーロ、国内の対話と統合の促進のためOSCEの特別監視団のための50万ユーロの拠出を決定した旨述べました。また、5月25日に予定されているウクライナ大統領選挙の平和的かつ民主的な実施が重要であるとの認識で一致し、引き続き対話を通じて安定に向け努力していくことを確認しました。
(2)東アジア情勢
東アジア情勢についても意見交換を行い、とりわき北朝鮮については、拉致問題を含め解決のために引き続き協力していくことで一致しました。 
●日・スロベニア首脳会談 平成26年5月6日
1.フランスを訪問中の安倍晋三総理大臣は、現地時間6日午前11時20分から11時45分まで、アレンカ・ブラトゥシェク・スロベニア共和国首相と会談しました。
2.冒頭、安倍総理は、日本が議長国を務める2014年OECD閣僚理事会において、副議長国スロベニアから多大なるサポートを得たことに謝意を述べ、旧ユーゴスラビアのフロントランナーであるスロベニアが、西バルカンの安定と発展に積極的に貢献していることを高く評価している旨述べました。両首脳は、ウクライナ情勢に見られるように国際情勢が大きく変化する中、国際社会の様々な課題に協力し対処していくことで一致しました。
3.また、安倍総理は、昨年のパホル・スロベニア大統領訪日及び秋篠宮同妃両殿下のスロベニア御訪問を通じて両国間の交流が深まっており、二国間経済関係が発展していることを歓迎する旨述べました。また、両首脳は、スマートコミュニティなど経済分野での日・スロベニア間の協力の進展に期待を表し、安倍総理は、「スマートな」日・スロベニア関係へと発展させていきたいと述べました。
4.安倍総理とブラトゥシェク首相は、国連安保理改革や人間の安全保障、ポスト2015年開発アジェンダ、女性の活躍等について意見交換を行いました。また、安倍総理は、「積極的平和主義」の立場から、地域・国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に貢献していく決意を述べ、日欧を取りまく安全保障環境を踏まえ、スロベニアを含む欧州と連携していきたい旨述べました。 
●日・ベルギー首脳会談 平成26年5月7日
5月7日午後4時15分から約45分間、安倍内閣総理大臣はエグモン宮においてディ=ルポ・ベルギー首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
ディ・ルポ首相から、ベルギーへの訪問に感謝すると共に、2016年には外交関係樹立150周年を迎え、日本はベルギーにとって重要なパートナーであり、貿易・投資も非常に良好である旨述べました。これに対し、安倍総理より、欧州訪問の締めくくりに「欧州の首都」ブリュッセルを訪問できて非常に嬉しく、昨日はフィリップ国王陛下に謁見でき、ベルギーのおもてなしに感謝したい旨述べました。
2 二国間関係
(1)政治・安全保障
安倍総理より、「積極的平和主義」の立場から、地域・国際社会の平和と安定のためにこれまで以上に貢献したい、また、安全保障分野、特に、両国間で外交当局間、防衛当局間の意見交換をより一層緊密化したい旨述べました。これに対し、ディ=ルポ首相から、日本の国際社会の平和と安定への積極的な貢献を歓迎するとともに、「積極的平和主義」は両国の更なる協力の可能性を開くものであり、両国間で平和と安定のための経験を共有したい、外交当局間、防衛当局間の意見交換を歓迎する旨述べました。
(2)経済
ディ=ルポ首相より、日系企業の欧州本社がブリュッセルにあり、雇用に貢献している旨述べ、安倍総理より、多くの日系企業が欧州でのビジネスのゲートウェイとしてベルギーに進出している旨述べました。両首脳は、日ベルギー間の貿易・投資を更に拡大させるために東京で貿易投資促進セミナーを開催し、多くの日系企業の参加を促すことで一致しました。
(3)文化交流・人的交流
安倍総理から、2016年の日・ベルギー外交関係樹立150周年に際し、日本として周年事業を実施し、文化交流を強化したい旨述べました。これに対し、ディ=ルポ首相から賛意が表されると共に、科学技術交流も強化したい、また、ワーキング・ホリデー制度を早期に導入し、若者に相互の文化や言語を学ぶ機会を与えたい旨述べました。
3 地域情勢
両首脳は、東アジア情勢やウクライナ情勢について意見交換をしました。 
●安倍総理大臣の欧州訪問 平成26年5月9日
安倍総理は、4月29日から5月7日まで、ドイツ、英国、ポルトガル、フランス、スペイン、ベルギーを訪問したところ、全体の意義と成果は以下のとおりです。
欧州は、日本と、自由・民主主義・法の支配・人権などの基本的価値を共有し、その価値を基盤に、世界の平和と繁栄の実現に向けて、共に行動する同志です。また、欧州は、言語の力や歴史的背景などによって、アフリカ、中南米、中東など、世界の各地域がつながり結ばれる「結節点(コネクティング・ポイント)」です。更に、欧州は、国際世論をつくる発信力、主要な国際的枠組みにおける規範形成力、世界のGDPの30%を占める経済規模を有しています。
このような観点から、日本が「地球儀を俯瞰する外交」を展開する上で、欧州は強力なパートナーであり、EUとの共同プレス声明の副題が示すとおり、共に行動するパートナーです。今回の欧州訪問を通じて、主に以下の5つの柱について連携・協力を強化しました。
1.「アベノミクス」を通じた世界への貢献
各国首脳との会談を通じ、アベノミクスに対する期待と関心が引き続き高いことが伺えました。本年は、日本のOECD加盟50周年にあたり、閣僚理事会議長国を代表して、安倍総理より基調演説を行いました。日本が現在進めている経済・財政政策と、世界経済への貢献について、世界に力強く発信し、各国からは強い期待が寄せられました。また、シティで開催した晩餐会では、昨年6月に同じ場所で演説を行ってからの1年間にアベノミクスが生んだ効果を具体的に説明し、日本の努力と成果が参加者から高く評価されました。 また、アベノミクスによって再興した日本と、力を取り戻しつつある欧州経済の連携強化も確認しました。ドイツ・英国・フランス・ベルギーで欧州企業関係者と活発な意見交換を行い、お互いに投資を活性化し、叡智を寄せてイノベーションを推進していくことで一致しました。さらに、日EU・EPAについて、総理自身から、欧州訪問中、様々な機会を通して、2015年中の大筋合意を目指したいとの考えを伝えるとともに、各国首脳と包括的かつ高いレベルのEPAの早期締結の重要性を確認しました。
2.日欧の安全保障協力を通じた「積極的平和主義」の実践
ウクライナ情勢からも明らかなように、日本と欧州の安全保障環境は密接にリンクし、厳しさを増しています。また、海洋における「法の支配」を含め、共通のグローバル課題がより深刻になっています。NATOの最高意思決定機関である北大西洋理事会(NAC)での総理演説や、各訪問国・機関の首脳との会談を通じて、日欧の安全保障環境に関する共通認識を醸成するとともに、「積極的平和主義」を旗印とする日本の安全保障政策について、高い評価と支持が相次いで表明されました。欧州は、日本が「積極的平和主義」を実践していくに当たり、価値を共有する重要なパートナーです。今回の欧州訪問を通じて、「法の支配」を堅持し、海洋の自由といった原則を全ての国と改めて確認しました。各訪問国との二国間だけではなく、地域全体の安全保障に取り組むNAT0・EUとの間においても、安全保障協力を具体的に前に進めました。例えば、マリ、コンゴ民主共和国等におけるEUの平和・安定化のための活動との連携、ソマリア沖・アデン湾の海賊対処のためのNATO・EUとの共同訓練、防衛装備技術に関する英国、フランスとの協力等、具体的な協力案件に合意しました。
3.「女性が輝く社会」の実現に向けた日欧協力
「女性の力」を最大限活かすことは、21世紀を平和で豊かな時代にしていくためのキーワードであり、日本は、「女性が輝く社会」の実現に力を入れて取り組んでいます。欧州は、女性分野の先駆者であることから、各訪問国・機関の首脳との会談で、ウィメノミクスと安全保障分野での女性の参画と保護という2つの角度から、女性を取り上げました。主な成果として、9月に日本で開催予定の「女性の輝く社会に向けた国際シンポジウム」に関し、各界で活躍する女性リーダーの参加も含め、その成功に向けて協力していくことで一致しました。また、NATO本部に女性の政府職員を派遣することで合意しました。
4.欧州における日本の魅力増進
日本と欧州が、それぞれの精神性や価値に裏付けられた文化の普及を行うことは、更なる相互理解にとって重要です。今回の欧州訪問の機会を捉えて、例えば、駐フランス大使公邸において、オランド大統領の出席を得て、和食を紹介するレセプションを開催し、共通語になりつつあるUMAMI、季節感、おもてなしを始め、日本ならではの「心」を発信しました。また、各訪問国の首脳との会談や、英における2019年ラグビー・ワールドカップ及び2020年東京オリンピック・パラリンピックの協力に関する覚書の署名、ロンドン・オリンピックのレガシーの視察を通じて、2020年に向けて、オリンピック・ムーブメントの推進を始め、スポーツに根付く世界共通の価値を共に広めていくことへの決意もあらためて示しました。
5.G7ブリュッセル・サミットに向けた連携強化
来月のG7ブリュッセル・サミット前に、ウクライナでは情勢が更に緊迫し、大統領選挙がひかえており、その平和的かつ民主的な実施が極めて重要です。各訪問国・機関の首脳等との会談において、ウクライナ情勢について率直な議論を行いました。各国からは、日本が欧州各国との連帯を示していることに対し高い評価が示され、日本のウクライナ支援に対して謝意が表されました。また、ウクライナ情勢の安定のためには、ウクライナ自身の政治的・経済的な安定が不可欠であり、これを支援していくべき点で一致しました。更に、ロシアとの関係では、各国間でニュアンスの違いはあるものの、ロシアとの対話のドアを開けておくべきであり、ロシアが国際社会の責任あるプレーヤーとしての役割を果たすよう促すべきとの意見が大勢でした。

今回の訪欧における、以上5つの柱での成果を基に、日本が、「地球儀を俯瞰する外交」を展開する上で、世界の平和と繁栄の実現に向けて共に行動する強力なパートナーとして、欧州との連携や協力をさらに強化していきます。 
 

 

 
 2013

 

●日米首脳会談 平成25年2月22日
2月22日、米国出張中の安倍総理は、約1時間45分にわたり、オバマ大統領との間で首脳会談及びワーキングランチを行ったところ、概要以下のとおり。
1.日米関係
(1)総論
(ア)冒頭、オバマ大統領からの歓迎の挨拶の後、安倍総理より、日本外交の基本方針を説明し、日米同盟の強化は我が国の外交の基軸である旨述べた。また、より強い日本は米国にとっての利益であり、より強い米国は日本にとっての利益であることから、日本として、防衛力の強化や力強い経済の再生に取り組むと同時に、幅広い分野で日米間の協力を強化していきたい旨述べた。
(イ)安倍総理より、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しくなっている中、日米同盟を一層強化していくことが重要であるとの認識を示した上で、外交は世界地図を俯瞰して考えるべきと思っており、日米同盟を基盤としつつ、地域の諸国とも連携を深めることが重要と考えている旨述べた。また、日米の協力関係はグローバルな課題への対応でも力を発揮すべきものであり、テロ対策、アフガニスタン、イランといった課題についても、協力を強化していきたいと述べた。
(ウ)安倍総理より、オバマ大統領を日本に招待したい旨述べ、これに対しオバマ大統領より、日本は大好きな国である旨の反応があった。
(2)安全保障
(ア)安倍総理より、厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、我が国は米国と共に責任を果たす考えである旨述べ、防衛費の増額、防衛大綱の見直し等、我が国自身の防衛力の強化に取り組んでおり、また、集団的自衛権についての検討を開始し、これらの取組を同盟強化に役立つものにしていく考えを説明した。また、総理より、日米安保体制の抑止力向上のため、幅広い分野で協力を進めていきいと述べ、安全保障環境の変化を踏まえ、日米の役割・任務・能力の考え方についての議論を通じ、ガイドラインの見直しの検討を進めたい旨述べた。オバマ大統領より、日米同盟は日本にとってのみならず、太平洋国家としての米国にとっても極めて重要である旨述べ、同盟強化に向けた日本の取組を歓迎した。両首脳は、双方の外務・防衛閣僚に、「2+2会合」も活用し、安全保障上の重要課題をフォローアップするよう指示することで一致した。
(イ)安倍総理より、米軍再編については、現行の日米合意に従って作業を進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を実現していく旨述べた。両首脳は、また、普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めていくことで一致した。
(ウ)安倍総理より、宇宙・サイバーの分野で、日米の包括的対話を立ち上げることになったことを歓迎する旨述べた。
2.アジア太平洋地域情勢
(1)中国
(ア)安倍総理より、中国との関係は日本にとり最も重要な二国間関係の一つであり、個別の問題をめぐり対立があっても、「戦略的互恵」の観点からwin-winの関係を構築していきたい旨述べた。
(イ)両首脳は、尖閣諸島を含む状況について議論を行った。安倍総理より、日本は中国に対して冷静に対応してきている旨述べるとともに、政治レベルを含め、中国と対話を継続していく考えを述べ、日米同盟を基礎としつつ、この地域を力ではなくルールが支配する地域にすべく協力していくことで一致した。
(2)北朝鮮
(ア)両首脳は、北朝鮮の情勢について意見を交換し、先般の北朝鮮の核実験に対する懸念を共有した。また、総理より、このような北朝鮮の挑発行為は容認すべきではないし、報償を与えるべきではない、これまでの様々な働きかけにもかかわらず、北朝鮮は核開発、ミサイル開発を進めてきており、この現実に対して、改めて日米韓が一致結束して対応する必要がある旨述べた。
(イ)安倍総理より、国連安保理決議を通じて、国際社会が明確なメッセージを発するべきであり、安保理が新たな強い決議を採択し、制裁の追加・強化を実施することが重要である、日本としても協力していきたいと述べた。また、総理より、安保理以外の制裁も含め、日米で協力していきたい旨述べた。両首脳はこの問題での協力を確認した。
(ウ)両首脳は、北朝鮮の核・ミサイル活動も踏まえ、弾道ミサイル防衛協力を進め、米軍のTPY-2レーダーを我が国に追加配備する方針で一致した。
(エ)北朝鮮による拉致問題について、安倍総理より、自分の政権のうちに完全に解決するとの決意を表明し、これまでの米国の理解と支持に感謝を述べた。
(3)韓国との協力
(ア)安倍総理より、韓国は価値観と利益を日本と共有する最も重要な隣国である旨述べ、両国間には難しい問題も存在するが、大局的な観点から、朴槿恵次期大統領との間で、未来志向で重層的な日韓関係を構築するために共に努力していきたい旨述べた。
(イ)両首脳は、現下の北朝鮮情勢等を踏まえ、日米韓の連携がこれまでにも増して重要になっているとの認識を共有した。安倍総理より、日本としては、安保分野を含め、日韓、日米韓の連携を強化していきたい旨述べた。
3.中東・北アフリカ情勢
(1)両首脳は、日米両国民に犠牲者が出たアルジェリアのテロ事件を受け、双方に対しお悔やみを述べあった上で、日米間でテロ対策協力を強化し、米国主導のグローバル・テロ対策フォーラム(GCTF)での連携、日米テロ協議の開催等を通じ、地域諸国のテロ対策能力強化支援等の具体的協力を進めていくことで一致した。
(2)オバマ大統領より、アフガニスタン、イランに関する日本の取組に対して感謝の意が表明された。これに対し安倍総理より、日本はアフガニスタンへの支援を継続する旨述べるとともに、イランについては、日本は引き続きイラン産原油の輸入量を削減していくと同時に、日本が有する対話のチャネルを通じて、建設的対応に応じるようイランへの説得を試みる旨述べた。
4.経済
(1)総論
オバマ大統領より、安倍総理の行っている大胆な経済政策については日本国民が評価していると承知していると賞賛した。
(2)TPP
(ア)安倍総理より、日米が協力して、アジア太平洋における貿易・投資に関する高い水準のルール・秩序を作っていくことの意義は大きい、一方、TPP交渉に関しては、先の衆院選では、「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する」という公約を掲げ、また、自民党はそれ以外にも5つの判断基準を示し、政権復帰を果たした等の状況を説明した。
(イ)その上で、安倍総理から、1)日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在すること、2)最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであること、3)TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められないこと、の三点について述べ、これらについてオバマ大統領との間で明示的に確認された。
(ウ)こうした点を含め、両首脳間でじっくりと議論が行われ、その結果、日米の共同声明にある事項について首脳間で認識が一致した。
(3)エネルギー
(ア)安倍総理より、震災後、我が国では増大する燃料費の削減が喫緊の課題であり、米国産の液化天然ガス(LNG)の対日輸出が早期に承認されるよう改めてお願いする旨述べた。これに対しオバマ大統領より、米国における輸出許可についての審査はまだ続いているが、同盟国としての日本の重要性は常に念頭に置いている旨述べた。
(イ)安倍総理より、低炭素社会実現のため、これまで両国間で取り組んできたクリーンエネルギー開発・普及に向けた協力に加え、ファイナンス等のビジネス分野に協力範囲を拡充していきたい旨述べた。
(ウ)安倍総理より、我が国の原子力政策について、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」との前政権の方針は、ゼロベースで見直し、責任あるエネルギー政策を構築する旨述べるとともに、米国とは国際的な原子力協力のパートナーとして様々なレベルで緊密に連携していきたいと述べた。これに対しオバマ大統領より、クリーンエネルギーや原子力の分野で、日米間の協力を進めていきたい旨の反応があった。
(4)気候変動
安倍総理より、気候変動に関する2020年以降の新たな国際枠組みは、全ての国が参加する公平で実効的なものであることが不可欠であり、そのために、中国等の新興国をどのように参加させるかが大きな課題である旨述べた。また、総理は、日本は技術で世界に貢献していくとの考えを説明した。両首脳は、日米間で緊密に協力していくことを確認した。
(5)超電導リニア技術(マグレブ)
安倍総理より、オバマ大統領の推進する高速輸送鉄道網の計画を賞賛し、高速鉄道の意義に言及しつつ、我が国で既に確認走行段階に入りつつある超電導リニア技術の米国への導入を日米協力の象徴として提案した。オバマ大統領及び同席のバイデン副大統領は、この提案を関心を持って聞いていた。
5.その他(子の親権)
安倍総理より、子の親権に関するハーグ条約及び条約実施法の国会提出を目指し、先日与党内プロセスを終了したことを説明し、国会での承認が得られるよう取り組んでいく旨述べた。 
 

 

●日露首脳会談 平成25年4月29日
ロシアを公式訪問中の安倍総理は、4月29日、モスクワ・クレムリンにおいてプーチン大統領と日露首脳会談及び午餐会兼ワーキングランチを行ったところ、概要と評価以下のとおり。
1. 全体概要  
4月29日モスクワ時間13時25分から約2時間にわたり、安倍総理はプーチン大統領との間で少人数の首脳会談(日本側同席者は世耕官房副長官、原田駐露大使、斎木外審、上月欧州局長)を行い、幅広い分野について密度の濃い意見交換を行った。続いて15時35分から約1時間10分間、江藤農水副大臣や同行している経済界の代表も同席して、プーチン大統領主催午餐会兼ワーキングランチが行われた。 
2. 日露関係全般
会談の冒頭、プーチン大統領から、日露関係は発展傾向にあり、貿易額も過去最高を記録したが、両国の潜在力に見合った水準には達していない旨述べた。これを受けて、安倍総理から、日露両国がパートナーとして協力の次元を高めるのは時代の要請である旨述べ、「力強く繁栄するロシア」をつくるとのプーチン大統領の目標と、「強い日本」をつくるという総理の目標の共通点を指摘しつつ、その目的のためにも両国間に戦略的パートナーシップを構築することが必要である旨述べた。
3. 安全保障
(1)安全保障分野については、総理から、戦略環境の変化の中で、日露両国がアジア太平洋地域の平和と安定に共通の責任を有していることを指摘し、安全保障・防衛分野での協力強化の重要性につき両首脳の認識が一致した。
(2)具体的には、外務・防衛閣僚による「2+2」会合の立ち上げに合意した。また、防衛交流を拡充し、テロ・海賊対策を含む協力の新たな分野を模索していくことで一致した。国際テロリズム、国際組織犯罪に対する関係当局間の協力強化についても一致した。
4. 平和条約交渉
(1)平和条約交渉については、安倍総理から、日露関係発展の未来図を描くに当たって、平和条約締結に向けた展望が欠けてはならない旨述べた。両首脳は、戦後67年を経て日露間で平和条約が存在しないことは異常であるとの認識を共有し、双方の立場の隔たりを克服して、2003年の共同声明及び行動計画において解決すべきことが確認されたその問題を最終的に解決することにより平和条約を締結するとの決意を表明した。
(2)安倍総理から、この困難な問題の解決には、プーチン大統領と自分の決断が不可欠であることを強調し、両首脳は「日露パートナーシップの新たな未来志向の地平を模索する中で、両首脳の議論に付すため、平和条約問題の双方に受入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させる。」との指示を各々の外務省に対し共同で与えることで一致した。
5. 国際情勢
(1)国際情勢については、安倍総理から、アジア太平洋地域の責任あるプレーヤーとしてのロシアの役割への期待を表明し、EAS、APECをはじめとして、日露双方が参加する地域協力枠組みにおける更なる連携を行っていくことで一致した。
(2)挑発的言動を繰り返している北朝鮮については、北朝鮮の核保有を断じて認めないこと、北朝鮮が一連の安保理決議を誠実に履行するよう日露で連携していくことで一致した。
(3)また、拉致問題について、総理からロシアの理解と協力を要請し、プーチン大統領から理解と早期解決への期待が示された。
6. 経済
(1)経済関係については、少人数会合においても、午餐会兼ワーキングランチの場でも議論された。ロシア側からは、シュヴァロフ第一副首相、ドヴォルコヴィッチ副首相のほか、6名の閣僚、セーチン「ロスネフチ」社長ほかロシアを代表する企業のトップが出席した。
(2)まず、プーチン大統領から、エネルギー、農業、医療、運輸、インフラ等各種分野での協力、極東・東シベリア開発における協力など、日本との経済協力推進への期待が述べられた。
(3)安倍総理から、金融政策、財政政策、成長戦略の「三本の矢」で日本経済の復活を図っており、成長戦略の重要な要素である海外展開の観点から、約30名のCEOを含む総勢約120名という日露関係史上最強最大のミッションが同行したと紹介した。そして今回の経済ミッションの3つのテーマである、(1)農業・食品、(2)医療、(3)都市環境・省エネの各分野における日露協力の推進について一致した。
(4)両首脳は、今後日露両国が極東・東シベリア地域の発展のために協力し、その将来の青写真を描くため、官民協議を開催することにつき合意した。また、この関連で、JBICとロシア直接投資基金・対外経済銀行による投資プラットフォームの創設を歓迎した。
7. 文化・人的交流
文化・人的交流の関連では、人的交流の充実により、両国関係の裾野を広げ、相互理解を深化させる重要性につき意見が一致した。両首脳は、文化センター設置協定の署名を歓迎し、また、2014年を日ロ武道交流年とすることを決定した。
8. 政治日程
少人数会合において、安倍総理から、プーチン大統領と今後できる限り頻繁に会っていきたいと述べ、プーチン大統領から賛意が示された。また、安倍総理から、2014年中のプーチン大統領の訪日を招請したところ、プーチン大統領から謝意が表された。
9.評価
(1)日本の総理として10年ぶりとなる公式訪問において、プーチン大統領との間で「日露パートナーシップの発展に関する共同声明」を採択し、日露協力の具体的あり方を指し示すことができたことは有意義。
(2)平和条約交渉については、ここ数年停滞していたが、今回の会談で交渉を再スタートさせ、加速化させ、しかも両首脳の議論に付すことに合意したことは大きな成果。
(3)安倍総理がプーチン大統領との間で幅広い問題について胸襟を開いてじっくり話し合ったことを通じて個人的信頼関係が生まれた。
(4)今回の総理訪問は、今後の日露関係に新たな弾みと長期的方向性を与えるものになったと考えられる。 
●安倍総理大臣のサウジアラビア訪問 平成25年5月1日
安倍総理は、4月30日(火曜日)から5月1日(水曜日)まで、サウジアラビア(ジッダ)を訪問した。
○ アブドッラー国王との電話会談
安倍総理は、午後10時から約10分間、アブドッラー国王と電話会談を実施。安倍総理からは、同国王の体調がすぐれない中での電話会談の実施に謝意を述べつつ、6年ぶりの総理としてのサウジ訪問で戻ってきたとの感を抱く、前回の訪問でいただいた勲章は大きな栄誉だった旨述べた。双方は、政治、経済、文化等の分野で包括的パートナーシップを強化することで一致。同国王は、日本に最大限協力したい、日本とは永遠に友好関係を維持したい旨述べた。
○ サルマン皇太子との会談
安倍総理は、午後9時半から約45分間、サルマン皇太子と会談を実施。双方は、二国間協力を政治・安全保障分野にも拡大し、安全保障対話を新設し、防衛交流を進めることで一致。安倍総理より、東日本大震災後の省エネ、原発の安全性を紹介しつつ、原子力協力に関する事務レベル協議を進めることで一致。また、双方は、経済分野での関係も一層強化することで一致。さらに、中東地域情勢についても意見交換。 
●安倍総理大臣のアラブ首長国連邦訪問 平成25年5月2日
安倍総理は、5月1日(水曜日)〜2日(木曜日)、アラブ首長国連邦(アブダビ及びドバイ)を訪問した。
5月1日 ムハンマド・アブダビ皇太子との会談
安倍総理は、午後7時40分から約40分間、ムハンマド・アブダビ皇太子との会談を実施した。双方は、重層的パートナーシップを拡充し、政治、経済、文化・人的交流等の幅広い分野で包括的パートナーシップを構築することで一致した。
○ 政治
双方は、外交当局間のハイレベル協議を高頻度で実施し、外交・防衛当局間の安全保障対話を次官級/局長級で実施することで一致した。安倍総理より、G8ドーヴィル・パートナーシップの重要性を指摘しつつ、中東・北アフリカ地域の安定化のために今後総額22億ドル規模の支援を実施する旨述べたところ、先方より賛意が得られた。
○ 経済
安倍総理より、UAEによるエネルギーの安定供給に謝意を述べつつ、引き続き安定供給を要請した。また、日本としても省エネ・再生可能エネ・原子力等の分野で貢献が可能である旨述べた。さらに、安倍総理は、インフラ開発、医療協力、人材育成の重要性に言及し、先方もこれに賛同した。
○ 文化・人的交流
安倍総理から、若い世代の人材育成の重要性、アブダビ日本人学校での生徒受け入れ、今後5年間で500人のUAE人留学生を受け入れる旨述べ、双方は、教育協力を強化することで一致した。人的交流を深めるためにも同皇太子の訪日を招請したところ、先方は是非日本で会いたい旨応答した。さらに、安倍総理は、外交・公用旅券所持者に対する査証相互免除と観光目的等の一般旅券所持者を対象とした数次査証の付与措置を導入することとした旨述べたところ、先方からは高い評価が示された。 
●安倍総理大臣のトルコ共和国訪問 平成25年5月4日
安倍晋三総理大臣は、5月3日(水曜日)、トルコを訪問した。
エルドアン・トルコ首相と首脳会談
政治
○ 安倍総理から、エルドアン首相の訪日を招請し、エルドアン首相から、可能な限り早期に日本を訪問した旨応じた。また、外相間の定期協議を立ち上げ、今年度中にダーヴトオール外相の訪日により第1回協議を日本で開催することで一致した。エルドアン首相からは、本年10月のボスポラス海峡横断地下鉄開通式典への安倍総理出席を招請した。
○ 外務当局を始め、財務、保健、教育、文化、防衛、治安、防災分野での協議、対話、協力を進めることで一致した。
○ シリアについて、エルドアン首相から、情勢の深刻化、特に大量の難民流出への懸念を表明したのに対し、安倍総理から、トルコの難民受入れに敬意を表すると共に、我が国の人道支援等の取組についても説明し、連携して対処することで一致した。
○ 国際場裡での協力については、テロとの闘い、軍縮・不拡散、アフガニスタン警察官訓練等の第三国に対する援助といった分野において引き続き協力していくことを確認した。
経済
○ 両国間の貿易・投資を促進し、両国の経済関係を更に高いレベルに引き上げること、この関連で、日トルコEPA交渉の将来の妥結へのプロセスを加速することで一致した。
○ 原子力については、エルドアン首相から、シノップ原発について日本に排他的交渉権を付与する旨表明があり、安倍総理から、本日2つの協定が署名されたのは喜ばしい旨述べた。
○ 通信放送衛星事業、ボスポラス海峡横断地下鉄、イズミット湾横断道路橋を始めとする各分野における日本企業のトルコでのプロジェクトへの参加や投資等の協力が進んでいることを歓迎し、今後ともこれらの分野で日本が更に貢献していくことへの期待を表明した。
文化・人的交流
○ 防災分野について、安倍総理から、トルコのような所得水準の高い国でも我が国の知見、技術が活用できるよう円借款を制度改善した旨述べ、この分野での協力を進めることで一致した。
○ 科学技術について、エルドアン首相から、科学技術に関する日トルコ合同での大学設立について提起があった。安倍総理からは、関係機関間の覚書を始め科学技術分野での協力を進めていきたい旨述べた。
○ 宇宙分野について、安倍総理から、トルコの宇宙事業発展のため、日本として今後とも官民一体となって支援したい旨述べた。  
 

 

●日・ポーランド首脳会談 平成25年6月17日
6月16日(日曜日)、ポーランドを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、ドナルド・トゥスク・ポーランド共和国首相と首脳会談(午前10時30分過ぎから11時15分まで)及びワーキングランチ(午前11時40分から12時25分まで)を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1.二国間関係
(政治・防衛交流)
(1)冒頭、安倍総理から、日本の総理大臣として10年ぶりにポーランドを訪問できたことは喜ばしい、民主主義、自由、人権等の基本的価値を共有する中・東欧の雄たるポーランドとの間であらゆる分野で協力していきたい旨述べました。トゥスク首相から、安倍総理のポーランド訪問に対する歓迎の言葉があり、伝統的な両国関係の更なる発展に向け、安倍総理と協働したい旨述べました。
(2)両首脳は、歴史上一度も対立関係に立ったことのない両国間で防衛協力を強化することで一致しました。8月には、海上自衛隊の練習艦隊が初めてポーランドに寄航することについて、トゥスク首相から歓迎の意思の表明があり、両国間で防衛協力の連携を図ることを確認しました。また、今秋には、初となる防衛当局間協議を開催することで合意しました。
(経済関係)
(1)安倍総理から、V4+日本首脳会談の開催に至るトゥスク首相のイニシアティブへの感謝を表明しました。トゥスク首相から、安倍総理は勇気ある経済改革を実施していると賞賛し、アベノミクスの展開に着目していると述べた上で、ポーランドも安定して経済が発展し、東欧における金融経済の中心となりつつある、日本とポーランドがより安定した、バランスのとれたパートナーとなっていくことを期待し、日本との関係を重視していきたい旨述べました。
(2)また、エネルギー分野について、トゥスク首相より、原発、再生エネルギー、スマートグリッド等の分野での協力を進めていきたい旨述べ、石炭依存度の割合が高いポーランドにおいては、クリーンコール技術に対する関心が高く、技術力の高い我が国との共同研究への期待が表明されました。
(3)両首脳は、良好な二国間経済関係を更に強化していく観点からも、現在交渉中の日EU・EPAの早期交渉妥結に向け協力していくことを確認しました。
(交流促進)
(1)両首脳は、ポーランドにおける日本の伝統文化に対する関心の高さや世界的に著名なデザイナーであるコシノジュンコ氏の協力で6月15日(土)に行われた日本食に関するレセプションに言及しつつ、国民間の一層の交流促進の重要性を確認しました。また、両首脳は、2014年の日本美術技術博物館開設20周年及び「V4+日本」交流年は、大変良い契機であり、互いに機運を盛り上げていくことで一致しました。
(2)この観点から、両首脳は、日・ポーランド間の直行便の就航が交流促進を更に深めていくことを期待するとともに、現在交渉中のワーキング・ホリデー制度の早期導入に向け、交渉を加速化することで一致しました。
2.東方パートナーシップ
(1) 安倍総理より、東方パートナーシップ対象国の民主化・市場経済化は、同地域のみならず世界の安定に不可欠と考えており、トゥスク・ポーランド首相の同分野におけるリーダーシップを評価する旨述べました。
(2) トゥスク首相より、日本の東方パートナーシップ対象国への関与を歓迎する旨の発言がありました。
(3) 両首脳は同分野において今後も両国が協力していくことで一致しました。
3.国連安保理改革
両首脳は安保理改革の必要性で一致しました。この関連で、トゥスク首相より、日本の常任理事国入りを支持するとの発言がありました。
4.地域情勢
(1)両首脳は、両国が関心を有する地域情勢について意見交換を行いました。この関連で、北朝鮮に対し、核保有を断じて認めない、挑発行為を行わず、一連の安保理決議を誠実かつ完全に実施すべきとの強いメッセージを送り続ける必要があるとの認識で一致しました。また、安倍総理は、拉致問題解決に向けた強い決意を表明し、トゥスク首相より、日本の立場を支持する旨の発言がありました。
(2)トゥスク首相より、アフガニスタンの民生支援に関し、日本の経験から学びたいとの発言があり、これに対して安倍総理より、昨年のアフガニスタン東京会合にも言及しつつ、今後両国間で協議していきたい旨応答しました。 
●日・ハンガリー首脳会談 平成25年6月17日
6月16日(日曜日)午後3時40分から4時00分過ぎまで、ポーランドを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、オルバーン・ヴィクトル・ハンガリー首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1.二国間関係
(1)安倍総理から、6月16日が自由と民主主義のために命を捧げたナジ・ハンガリー元首相の追悼記念日であることに言及しつつ、基本的価値を共有するハンガリーとの関係を強化するため、本年、オルバーン首相を日本に招待したい、次期V4議長国となる貴国と協力していきたい旨述べました。
(2)これに対し、オルバーン首相から、訪日招待に感謝する、本日の「V4+日本」首脳会合のフォローアップとしても貴国を訪問することを楽しみにしている旨述べました。
2.経済関係
(1)両首脳は、両国間経済関係の強化を目指すことで一致し、その関連で、両国間で交渉を行っている社会保障協定が、可能な限り早期に署名され、発効することを目指すことで一致しました。
(2)特に、エネルギー分野に関し、両首脳は協力の潜在性が大きいとの認識で一致しました。
(3)また、オルバーン首相から、日EU・EPAを支持しているとの発言がありました。 
●日・スロバキア首脳会談 平成25年6月17日
6月16日(日曜日)午後4時15分から4時35分まで、ポーランドを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、ロベルト・フィツォ・スロバキア共和国首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1.二国間関係
両首脳は、日スロバキア外交関係樹立20周年を祝賀するとともに、20周年を記念し、秋篠宮同妃両殿下がスロバキアを御訪問されることを通じ、基本的価値を共有する両国の関係がさらに深まる点で一致しました。
2.経済関係
(1)両首脳は、7月に、スロバキアでナノテクノロジーなど先端材料に関するワークショップが、独立行政法人日本科学技術振興機構、スロバキア科学アカデミー及び国際V4基金により開催されることを歓迎しました。
(2)両首脳は、二国間経済関係の強化に向けて協力していくことを確認しました。
(3)特に、エネルギー分野に関し、両首脳は協力の潜在性があるとの認識で一致しました。
(4)また、フィツォ首相から、安倍総理の経済政策が具体的成果を上げていることに注目しているとの発言がありました。
3.安保理改革
フィツォ首相から日本の常任理事国入りを支持するとの発言がありました。 
●日・チェコ首脳会談 平成25年6月17日
6月16日(日曜日)午後4時50分から5時10分まで、ポーランドを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、ペトル・ネチャス・チェコ共和国首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1.二国間関係
(1)両首脳は、基本的価値を共有する二国間で、今後も二国間関係をさらに強化していきたい旨述べました。
(2)安倍総理から、6月初旬にチェコで起きた大規模洪水による被害に対しお見舞いの言葉を述べたのに対し、ネチャス首相より、あたたかい言葉に感謝するとの発言がありました。
2.経済関係
(1)両首脳は、二国間経済関係の強化に向けて協力していくことを確認しました。なお、両国間では、研究開発分野など高付加価値につながる分野での協力を推進していくことを確認しました。この観点から、両首脳は、7月に日チェコ科学技術協力協議の開催を歓迎しました。
(2)特に、エネルギー分野に関し、両首脳は協力の潜在性があるとの認識で一致しました。また、ネチャス首相より日EU・EPAを支持しているとの発言がありました。 
●日露首脳会談 平成25年6月17日
6月17日午後11時10分(英国時間)から約40分間、安倍総理は、G8首脳会合に出席するため訪問中の英国ロック・アーンにおいて、プーチン・ロシア連邦大統領との間で首脳会談を行った。
1.日露関係全般
(1)会談の冒頭、安倍総理から、4月の訪露に続き、プーチン大統領と会談の機会を得たことは意義深い旨述べた。
(2)これに対してプーチン大統領から、5月、日本の北極評議会オブザーバー資格がロシアも支持して認められたこと、INPEX(国際石油開発帝石)とロスネフチによるマガダンの油田開発に関する協力協定の署名、6月の日本におけるロシア文化フェスティバルのオープニング等に言及して、総理訪露後の日露関係の発展についてレビューした。
2.政治日程
先般の首脳会談での合意に基づき、政治対話をテンポ良く行うことが重要であり、本年秋のラヴロフ外相の訪日について両首脳間で意見の一致が見られた。
3.平和条約交渉
両首脳は、先般の首脳会談の合意に基づき、双方に受入れ可能な解決策を見出すべく、両首脳がグリップを効かせながら次官級の交渉を進めることで一致した。
4.経済
(1)安倍総理から、先般の訪露は、農業、医療など新しい分野の協力推進を含め、日露経済関係の発展に新たな刺激を与えた旨述べ、また、プーチン大統領も冒頭触れたが、エネルギー分野でロスネフチとINPEXがマガダンの石油共同探鉱に合意したことを歓迎する旨述べた。
(2)プーチン大統領からは、日露間のエネルギー分野での協力が進んでいることを評価するとともに、更なる協力関係の発展に期待する旨述べた。
5.国際場裡における協力
(1)両首脳は、引き続きG8、G20の枠内で連携していくことで一致した。安倍総理から、ロシアが議長国となる本年のG20、来年のG8の成功に向け協力していきたい旨述べた。
(2)北朝鮮情勢について、両首脳は、G8が断固とした態度を示し、北朝鮮の核保有を断じて認めないとのメッセージを送り続ける必要があるとの認識で一致し、引き続き両国間で連携することを確認した。 
●日伊首脳会談 平成25年6月17日
6月17日(月曜日)午後7時55分(現地時間)から約25分間、安倍晋三内閣総理大臣は、G8サミットに出席するため訪問中の英国ロック・アーンにおいて、エンリコ・レッタ・イタリア共和国首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
イタリアでは2月に上下両院選挙が行われ、4月に民主党のレッタ首相を首班とし、中道左派・右派双方が参加する「大連立」政権が発足したところであり、今回は両首脳間の初会談です。
1.安倍総理から、レッタ首相の就任と政権の発足に改めて祝意を表したところ、レッタ首相から、イタリアは、経済再建を課題としており、経済再生の取り組みとして安倍総理の経済政策に強い関心を有している旨述べました。これに対し、安倍総理から日本の経済政策について説明が行われました。
2.レッタ首相から、少子高齢化は日伊共通の課題であるが、アクティブな高齢者層をいかに拡大するかが課題である旨述べ、安倍総理もこれに同意しました。
3.レッタ首相から、安倍政権の経済政策は、イタリア経済にとって良い手本となるため、是非訪伊し、経済政策についての講演会を行ってほしい旨述べたのに対し、安倍総理は、お招きに感謝する旨述べました。
4.最後に、安倍総理から、日本の農産品に対する輸入規制の緩和・撤廃について理解と協力を求めました。 
●日独首脳会談 平成25年6月17日
6月17日(月曜日)午後6時40分(現地時間)から約40分間、G8サミット出席のためロック・アーン(イギリス)を訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、アンゲラ・メルケル・ドイツ連邦共和国首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1.冒頭、安倍総理から、ドイツで発生した洪水被害について心からのお見舞いを述べました。旧知の両首脳は、基本的価値を共有する両国が国際場裡で様々な課題について協調して取り組んでいく旨一致しました。
2.我が国の経済政策について、安倍総理から、長引く不況を脱却し、日本経済の再生を成し遂げるため、従来の考え方にとらわれない大胆な手法であらゆる政策資源を投入し、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「成長戦略」を三本の矢として日本経済の再生に向けて取り組んでいる旨説明しました。さらに、「成長戦略」の具体例として、福島県とドイツの州との間で、再生可能エネルギーに加え、医療機器分野の協力が進んでいることを挙げ、日独の地域間協力も深化させていきたい旨述べました。また、メルケル首相は、日本の財政健全化に大きな関心を示し、安倍総理から、今後、健全化目標を達成するための中期財政計画の具体化の検討を進めていく旨説明しました。
3.安倍総理から、欧州債務危機に対する日本の支援に触れた上で、日本と欧州は、経済的に深い相互依存関係にあり、欧州最大の経済大国であるドイツによる継続した指導力に期待する旨述べました。また、両首脳は、日EU・EPAの交渉の進展が重要との点で一致しました。
4.安倍総理から、東日本大震災からの復興を進める上で、日本産品に対する輸入規制が障害となっており、EUにおける規制の撤廃に理解を求めました。 
●日加首脳会談 平成25年6月17日
17日午後2時30分(日本時間17日22時30分)頃から約30分間、G8サミット出席のために英国ロック・アーンを訪問中の安倍総理は、ハーパー加首相との間で日加首脳会談を行ったところ、概要以下のとおり。
1.日加関係総論
冒頭、安倍総理から、再びハーパー首相と共に仕事ができることを嬉しく思う、日本とカナダは基本的価値を共有するアジア太平洋地域のパートナーであり、経済や安全保障の二国間の課題やアジア太平洋地域情勢につき連携・協力を進めていきたい旨述べた。また、安倍総理から、2006年に初めてお会いした時に提起頂いたハーグ条約は、5月に国会の承認が得られ、6月12日には国内実施法も可決・成立した旨述べた。これに対しハーパー首相から、2007年のハイリゲンダム・サミット以来の再会を果たせて嬉しく思うと述べるとともに、ハーグ条約のニュースは良いお話である旨応じた。
2.経済
安倍総理から、日本は7月からTPP交渉に参加することになっている、TPPや日加EPA等を通じて、貿易・投資を拡大していきたい旨述べた。また、安倍総理から、低廉且つ安定的なLNGの日本向け輸出が、インフラ整備等の進展により、早期に実現することを期待する旨述べた。これに対しハーパー首相から、TPPと日加EPAについては総理と同意見である、LNGに関しては、現在プロジェクトが進められているが、総理のおっしゃるとおりになることを希望している旨述べた。
また、ハーパー首相から、日本の経済プログラムに大変関心を持っている、非常にアグレッシブな政策であり、成功をお祈りしている、この後のG8サミットで話を聞かせて頂くことを楽しみにしているとの発言があった。
3.安全保障
安倍総理から、厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境を踏まえ、カナダとの安全保障面での協力を大変重視していると述べた上で、次回の日加次官級「2+2」対話を近いうちに開催すべく調整を進めていきたい、また、日・加物品役務相互提供協定(ACSA)の交渉を加速させていきたい旨述べた。これに対し、ハーパー首相から、そういう方向で進めていきたいとの反応があった。
4.北極に関する協力
安倍総理から、北極評議会の議長国でもあるカナダとは、北極に関する協力を積極的に進めたく、まずは当局間の意見交換を強化したい旨述べ、ハーパー首相からも賛意が示された。
5.地域情勢
両首脳は、シリア情勢や、中国、北朝鮮等のアジア太平洋地域情勢について意見交換を行った。 
●日英首脳会談 平成25年6月17日
6月17日(月曜日)午前11時30分(現地時間)から約50 分間、安倍晋三内閣総理大臣は、G8サミットに出席するため訪問中の英国ロック・アーンにおいて、デービット・キャメロン英国首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1.冒頭
安倍総理から、キャメロン首相に対し、就任後幾度となく電話でお話していたことからも、今回お会いすること楽しみにしていた、北アイルランドにおけるG8サミットの開催は、和平達成を世界にアピールするものであり、祝福したいとした上で、本日はG8の主要課題や二国間関係の具体的な進展について確認したいと述べました。
キャメロン首相から、日本は英国にとってアジアの最重要パートナーであり、議長国として安倍総理のG8出席を強く歓迎し、お互いに協力してサミットを成功に導きたい旨述べました。
2.G8関連
安倍総理から、キャメロン首相の掲げる「3つのT」(貿易、税、透明性)を強く支持する旨述べ、日本における経済政策の取組を紹介しました。シリアについては、日本としても引き続き同国の安定に向け協力する姿勢を説明し、また、東アジア情勢についても意見交換を行いました。これに対し、キャメロン首相から、「3つのT」支持に対する感謝の念が表明されると共に、北朝鮮による日本人拉致問題について、日本のスタンスを強く支持している旨述べました。
3.二国間関係
(1)両首脳は、安全保障・防衛分野における具体的な協力の進展を歓迎し、特に以下について合意しました。
(ア)アルジェリア・テロ事案の緊密な協力を受け、テロ対策の国際連携の重要性を認識しつつ、引き続き協力を強化すること。
(イ)防衛装備品協力のための枠組みと情報保護協定につき実質的に合意し、早期の署名を目指すこと、また、防衛装備品協力の具体的案件として、化学防護衣の性能評価方法に関する共同研究を実施していくこと。
(ウ)サイバー分野において引き続き協調すること。
(エ)今後のハイレベル対話や交流のあり方について工夫すること。
(オ)本年の日英21世紀委員会において提案された、首脳間のビデオ・ホットラインの設置について今後検討すること。
(2)安倍総理から、日本における経済政策に関する説明を行ったあと、両首脳は、日EU・EPAで連携し、二国間経済関係の更なる強化のために協力していくこと、特に、日本企業が投資しやすい環境作りに努めていくことで一致しました。 
●日・アイルランド首脳会談 平成25年6月20日
6月19日、安倍晋三内閣総理大臣は、公式訪問先のアイルランド(ダブリン市内)において、エンダ・ケニー・アイルランド首相との間で、11時55分(日本時間19時55分)から約45分間首脳会談を、13時15分(日本時間21時15分)から約60分間ワーキングランチを、それぞれ行ったところ、概要以下のとおりです。
1.冒頭
(1)ケニー首相から、日本の現職総理として初のアイルランド訪問を心から歓迎するとの発言がありました。またその際、安倍総理が、アイルランドを象徴する色である緑のネクタイとポケットチーフを着用していることについても感謝の意が示されました。
(2)これに対し、安倍総理から、以下の3点について述べた上で、ケニー首相にも是非訪日していただきたいと述べました。
ア 現職総理として初めてアイルランドを訪問できたことは大変光栄である。
イ 日本とアイルランドは、基本的価値を共有し、また自然と共生する伝統を共有している。
ウ 自分(総理)の訪問を機に、あらゆる層で両国間の交流・協力を深めていきたい。
2.アイルランドの重要性
(1)安倍総理から、以下の2点について述べました。
ア アイルランドが40年前のEC加盟以降、持ち前の勤勉さを発揮して発展してきた歴史、また、現在、自らも債務危機からの脱却に取り組みながら、この半年間、議長国として、困難な時期にあるEUをとりまとめてきたことについて、高く評価する。
イ このように日本とアイルランドは「価値」とともに「勤勉さ」という美徳も共有しており、また、ともに経済再生と成長に向けて取り組んでいるという、共通の立場にある。
(2)これに対して、ケニー首相から、アイルランドの努力を評価していただき感謝すると述べた上で、日本からの投資拡大においてJETROが果たしている役割についても感謝の意が示されました。
3.二国間関係
(1)安倍総理から、安倍政権の経済政策の現状について説明した上で、今後の二国間協力関係について、成長戦略の3つのキーワードに沿った形で次の3点を提案しました。
ア 「チャレンジ」を可能にする人材育成を進めること。本年5月に署名された「教育・科学技術・文化・スポーツ分野における協力に関する覚書」を機に、あらゆる分野・レベルでの交流を促進していきたい。
イ 「オープン」な貿易・投資関係の促進。アイルランドに進出している日本企業が更に活動しやすい環境整備に向け、ケニー首相からも御支援いただきたい。また、日EU・EPAの早期妥結は極めて重要であり、EU内の自由貿易派の旗手たる貴国と引き続き連携して、良い交渉結果を出したい。
ウ 競争力強化のための「イノベーション」。アイルランドで盛んな医療機器・医薬品産業は、まさに「イノベーション」の本丸であり、日本の製薬会社も進出している。この分野での民間経済交流にも期待する。
(2)これに対して、ケニー首相からも、それら3つのキーワードは両国の「共通のDNA」であるとして、強い賛同を得ました。
また、ケニー首相から、世界経済は日本経済の再生を必要としており、安倍総理の経済政策に期待するとした上で、欧州債務危機からの脱却に向けたアイルランドの取組や、経済分野を中心としたEU議長国としてのアイルランドの取組について説明がありました。また、アイルランドはユーロ圏ほぼ唯一の英語国であり、欧州市場へのゲートウェイとしての位置づけにある、最も経済力の強い国の一つである日本からアイルランドへの投資を促進するために支援していきたいと述べました。さらに、日本は世界一の長寿国であり、医療分野での協力の余地は大きいとの発言が大きく、この分野でのイノベーション推進のために協力していきたい旨述べました。
(3)安倍総理から、日本産品に対するEU輸入規制の緩和・撤廃に向け、アイルランドの理解と協力を得たいと述べました。
4.地域情勢及び国際的な課題(ワーキングランチで議論)
(1)アジア情勢
ア 安倍総理から、アジア太平洋地域の目覚ましい成長と厳しさを増す安全保障環境を説明し、アジアの安定と繁栄について利害を共有する欧州との連携が重要である旨述べたのに対し、ケニー首相から、連携強化への強い支持が示されました。
イ 両首脳は、北朝鮮問題についても意見交換を行いました。とりわけ、拉致問題については、安倍総理から、自分の政権で完全に解決する決意であると説明したのに対し、ケニー首相から、理解と支持が示されました。
(2)アフリカ情勢
安倍総理から、TICAD V及びG8サミットで、テロ対策を含め、サヘル地域の平和と安定につき重点的に議論されたことを紹介し、両首脳は、アフリカの平和と安定の実現のため、共に連携していくことで一致しました。
(3)地球規模の課題
両首脳は、安保理改革及び軍縮・不拡散分野における協力を今後一層促進することで一致しました。
(4)その他
両首脳は、開発援助、シリア等について意見交換を行いました。 
 

 

●日加首脳会談 平成25年9月24日
9月24日(火曜日)、オタワを訪問した安倍総理は、約1時間半にわたり、ハーパー首相と日加首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおり(カナダ側は、ニコルソン国防大臣、リッツ農務大臣、ファスト国際貿易大臣、オリバー天然資源大臣、日本側は、加藤官房副長官、奥田在カナダ大使等が同席)。
1. 冒頭
安倍総理から、ケニアにおけるテロ襲撃事件において、カナダ人が亡くなったことにつき、哀悼の意を表明した。
2. 日加関係
(1) 全般
両首脳は、基本的価値を共有するアジア太平洋地域のパートナーであるとして、政治・安全保障分野においても連携・協力を深めていくことを確認した。安倍総理から、東日本大震災の際のカナダからの支援に感謝するとともに、震災後、カナダが日本産食品輸入規制や旅行制限をいち早く撤廃したことに改めて謝意を伝達した。多くの日本人がカナダに対し親しみをもっているとして、自分が大学時代にBCのペンティクトンに1週間等夏休みに滞在した経験がある旨紹介した。
(2) 安全保障協力
安倍総理は、厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境を踏まえ、カナダとの安全保障協力を重視しており、地域の平和と安定のために様々な取り組みを行う予定であるとして、カナダとの協力も強化していきたい旨述べた。これに対し、ハーパー首相から、かかる日本の安全保障政策を歓迎し、支持するとの発言があった。具体的には、両首脳は、第二回次官級「2+2」対話をできるだけ早期に実施し、意思疎通を強化することを確認し、また、物品役務相互提供協定(ACSA)の実質合意を歓迎した。また、サイバーセキュリティの分野でも協力を強化することについても意見の一致があった。
(3)経済
安倍総理から、アベノミクスについて説明し、ハーパー首相から高い評価を受けた。また、安倍総理から、TPPや日加EPA交渉等を通じて、貿易・投資関係を更に拡大していきたい、TPPは戦略的観点からも重要でありカナダとも協力していきたい、日加EPA 交渉についても、TPP交渉の進捗状況も見つつ、引き続き取り組んでいくと述べた。安倍総理から、カナダからの低廉かつ安定的なLNG輸入を実現したい、そのための具体的方策につき、両国の資源エネルギー担当大臣(注:当方は茂木経産大臣)の間で早期に協議を進めるようお互い指示したいと述べ、先方からも同意が得られた。安倍総理から、LNG輸入価格の低減のための債務保証優先枠や、シェールガス事業に対する出資支援等を紹介し、対カナダの案件でも活用したいと述べ、また、日本企業参画事業の早期輸出承認、外国労務者のビザ発給要件の緩和、連邦政府と州政府の効果的連携を図ってほしい旨求めた。これに対し、カナダ側から、エネルギーの分野では日加関係は補完的であり、連携を進めていきたい旨述べた。
(4)航空関係の拡大
両首脳は、観光促進のため、羽田空港の昼間の時間帯の双方の航空企業の就航開始に向けて協議を開始することで一致した。
(5)北極及びその他交流
北極評議会の現議長国でもあるカナダとの間で、北極に関する協議を強化することで一致した。安倍総理は、青少年交流、姉妹都市交流、科学技術交流の進展を歓迎した。
3. 地域情勢
(1)北朝鮮
安倍総理から、北朝鮮については、(1)核保有を断じて認めない、(2)一連の安保理決議を誠実かつ完全に実施すべきとの強いメッセージを送り続ける必要があることを指摘すると共に、拉致問題についての理解と協力を引き続き求めた。
(2)中国
安倍総理から、日中関係は日本にとって最も重要な二国間関係の一つであり、大局的観点から協力を進めていく用意がある、対話のドアはいつもオープンであるとの日本の基本的立場につき説明した。
(3)シリア
両首脳は、14日に米露間で合意されたシリアにおける化学兵器の完全な廃棄に向けた枠組みが合意されたことを歓迎。安倍総理から、シリア政府に対して真摯な対応を求め、その行動を注視したいとの基本的立場を説明。また、暴力の停止と政治的対話の開始、劣悪な人道状況の改善は喫緊の課題であり、今後、ジュネーブ2を始めとするプロセスへの参加・貢献を通じて、シリア情勢の改善・正常化に向け、国際社会と連携して取り組んでいきたい旨述べた。さらに、安倍総理から、日本は、人道支援について追加的支援を検討中であることを説明し、国際機関を通じた人道支援の面で日加両国が引き続き連携していくことを確認した。
(4)イラン
安倍総理から、日本の取り組みを説明した。
4.国際場裡での協力
安倍総理から、女性が一層輝く社会の実現のための国内での取り組みを説明し、また、開発についても、ポスト2015年開発目標の策定に当たって、人間の安全保障を指導理念として進めるよう我が国の考え方を説明し、カナダと緊密に協力していきたい旨述べた。
5. その他
安倍総理から、東京オリンピック・パラリンピック開催決定に際してのカナダの支援に謝意を表したのに対し、ハーパー首相から日本開催が決定されたことに祝意の表明があった。 
●日仏首脳会談 平成25年9月25日
9月24日(火曜日)午後6時15分(日本時間25日(水曜日)午前7時15分)から約30分間、国連総会出席のためニューヨークを訪問中の安倍内閣総理大臣は、フランスのオランド大統領と会談したところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
(1)2020年東京オリンピック・パラリンピックについてオランド大統領から祝意表明があり、安倍総理からフランスの支援に対して感謝の意を述べました。
(2)安倍総理より、ナイロビのテロ事件でフランス人2名が犠牲になったことに心から哀悼の意を表しました。
2 中東情勢
(1)シリア情勢について安倍総理から、以下の点を述べました。
(ア)国連調査団の報告書がシリアにおいて化学兵器が使用されたと結論づけたが、改めて化学兵器の使用を強く非難する。
(イ)シリアにおける化学兵器使用の問題は、北朝鮮や他の大量破壊兵器を有している国へも波及するものであり、日本にとっても他人事ではない。シリア政府の真摯な対応の有無等を注視している。化学兵器禁止機関(OPCW)の決定を補強する強力な安保理決議が採択されるべきである。
(ウ)シリア問題の解決に向けたフランス政府の取り組みに敬意を表する。オランド大統領がテレビインタビューで述べたとおり、米ロ合意は重要なステップであるが、この問題のゴールではない。
(エ)シリア情勢悪化の責任は、人道状況の悪化を顧みないアサド政権にあるのは明らかであり、日本としてシリアにおける暴力の停止と政治対話の開始、劣悪な人道状況改善のための国際社会の努力に貢献し、難民支援や支援国支援にも積極的に取り組んでいく。
(2)これに対して、オランド大統領から、シリア問題に対する日本の立場に感謝の意が述べられ、これから米ロ合意を実行に移していけるかが重要である旨、シリアの人道状況は危機的であり、その改善のために引き続き日本との連携を重視していく旨述べました。
(3)両首脳は、強力な国連安保理決議が必要との認識で一致しました。
(4)また、イラン情勢について、オランド大統領より、イランのローハニ大統領との会談について説明があり、安倍総理からは、高村自民党副総裁が総理特使としてイランを訪問したこと等について紹介しました。
3 福島第一原発
安倍総理より、福島第一原発の廃炉に向けて全力で取り組んでいくという姿勢を示しました。また、正しい情報発信を行うとともに、世界に開かれた形で、世界の技術や叡智を結集し、解決に取り組んでいきたい旨、フランスと今後も緊密に連携していきたい旨述べました。これに対してオランド大統領から、フランスとして、いつでも日本を支援する用意がある旨述べました。
4 経済成長戦略
経済に関して、安倍総理より、6月に新たな成長戦略「日本再興戦略」を発表し、これを全力で実行に移しているところであり、その過程では、技術大国・イノベーション大国であるフランスとの協力を重視している旨述べました。 これに対してオランド大統領から、国際競争力を高める上で、日仏間の協力が有益である旨、またフランスは日EU・EPAを支持している旨発言がありました。
5 最後に、オランド大統領から、フランス訪問の招待があり、安倍総理からこれに感謝しつつ、できるだけ早期に訪問したい旨述べました。 
●安倍総理大臣とアッシュ第68回国連総会議長との会談 平成25年9月26日
本26日(木曜日)午後2時55分から約10分間、安倍晋三総理大臣は、アッシュ第68回国連総会議長と会談したところ、概要は以下のとおりです。なお、本会談は安倍総理の一般討論演説終了後に行われましたが、総理の演説終了後には、パプア・ニューギニアなどの数カ国の代表団が総理に歩み寄り、口々に素晴らしい演説であったとの評価を表明しました。
1 冒頭、アッシュ議長より、先ほどの演説に感銘を受けた、これは日本国内の取組を世界に広げようとする素晴らしいイニシアティブであるとの発言がありました。
2 安倍総理より、昨日の総理夫妻主催レセプションへのアッシュ議長の出席に謝意を表明するとともに、より深い意見交換を行うため、アッシュ議長を日本に招待するので、早期の訪日を検討いただきたい旨述べました。これに対し、アッシュ議長より、招待に感謝するとの発言がありました。
3 安倍総理より、国連創設70周年である2015年は安保理改革の実現に向けてモメンタムを高める絶好の機会であり、アッシュ議長が改革の進展に向け、指導力を発揮することを期待する旨述べたところ、アッシュ議長より、2015年に向けて改革のプロセスを進めなければならず、そのために自分としてもできる限りの努力をしたい旨の発言がありました。
4 安倍総理より、ポスト2015年開発目標については、人間の安全保障に基づき、保健分野や防災等の課題に対処しうる枠組みとすべきであり、また、女性を巡る課題については、国際的取組を強化すべく、具体的な施策を実施していく旨述べたところ、アッシュ議長より、先ほどの演説で総理が述べられた女性を巡る課題についての具体的コミットメント、特にUN Womenへの更なる貢献を高く評価し、感謝しているとの発言がありました。 
●日・パキスタン首脳会談 平成25年9月26日
9月26日(木曜日)、10時10分(日本時間26日(木曜日)午後11時10分)から約25分間、安倍内閣総理大臣は、国連総会に出席するために訪問中のニューヨークにおいて、ミアン・ムハンマド・ナワズ・シャリフ首相との間で日・パキスタン首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1.冒頭
安倍総理からシャリフ首相に対し、(@)首相就任に対する祝意、(A)5月の総選挙がパキスタンの民主主義の定着に向けた大きな一歩になったことへの評価を述べ、(B)22日にペシャワルのキリスト教会で発生したテロ、及び24日に発生した大地震により多くの死傷者が出たことに対し、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、日本政府を代表して哀悼の意を表明しました。
2.二国間関係
(1)安倍総理から、(@)パキスタンの政治的安定と経済発展は南西アジアの安定と成長にとって重要であること、(A)パキスタンの将来のために日本として協力したいこと、(B)日パキスタン間の新たなパートナーシップを構築していきたいことを表明しました。
(2)シャリフ首相から、これまでの日本の支援に対して謝意を表明すると共に、2010年及び2011年の洪水に際する緊急支援等、日本は、パキスタンが困っている時にいつも助けてくれる友人であり、今後、貿易・投資等二国間関係を更に強化していきたいとの期待が述べられました。
3.新政権の取組
(1)安倍総理から、(@)シャリフ政権が目下の課題である財政と経済の立て直し、及び治安の改善に最優先に取り組んでいることへの評価、(A)日本企業による投資促進や日パキスタンの経済関係を強化するためにも、カラチ等の主要都市の治安の改善及び電力問題を解決することが重要であること、(B)シャリフ首相のリーダーシップに対する期待を述べました。
(2)シャリフ首相より、パキスタン政府の治安改善に向けた努力、及び経済・財政の立て直しに関する取組につき説明がありました。
4.地域情勢
(1)アフガニスタンについて、安倍総理から、アフガニスタンの安定には、パキスタンの協力が鍵となっている旨述べたのに対し、シャリフ首相から、8月のカルザイ大統領のパキスタン訪問を含め、最近の状況について説明が行われ、アフガニスタンとも協力して地域の安定に取り組んでいく考えである旨述べました。
(2)インドについて、安倍総理から、本年7〜8月、国境の管理ラインにおいて、パキスタン・インド間で、銃撃戦等が断続的に起きたことを懸念している旨、両国間の問題が対話を通じた平和的手段で外交的に解決されることを強く望む旨述べました。これに対して、シャリフ首相から、パキスタン・インドの間には色々な難しい問題があるが、シャリフ政権としては、インドとの対話を深めていきたいと考えており、この国連総会の機会に、シン首相との首脳会談を行う予定である旨述べました。 
●日・イラン首脳会談 平成25年9月26日
9月26日8時40分(現地時間)から30分弱の間、ニューヨークにて、安倍総理とローハニ・イラン大統領との間で日イラン首脳会談が行われたところ、概要以下のとおり(岸田外務大臣及び加藤内閣官房副長官ほかが同席)。
1 冒頭発言
(1)ローハニ大統領より、安倍総理から大統領就任への祝辞を頂いていたこと及び高村総理特使を派遣して頂いたことに謝意を述べた。これに対し、安倍総理からは、改めてローハニ大統領の就任に祝意を示しつつ、30年前に当時の安倍晋太郎外務大臣と共にイランを訪問したことをよく記憶している旨述べた。
(2)また、安倍総理から、高村総理特使に対するおもてなしに謝意を述べつつ、その報告によれば、ローハニ大統領が穏健なアプローチで国際社会との建設的協力を目指すとの立場を示していることを歓迎する旨述べた。
2 核問題
(1)安倍総理より、ローハニ大統領率いる新政権に対する国際社会の期待は大きく、核問題の解決に向け、この絶好の機会の窓を是非活用して欲しい、国際社会はそれを注視している旨述べた。
(2)また、安倍総理から、イランが国際社会の懸念を払拭し信頼を回復すること、及び、具体的な進展がみられることを強く期待している、機会の窓はいつまでも開いている訳ではない、この機会を捉えて柔軟性を示すことが問題解決の鍵である旨述べ、日本としての立場から問題の解決に協力したい旨述べた。
(3)これに対し、ローハニ大統領より、イランの核問題は早期に解決したい旨述べた。
3 二国間関係
ローハニ大統領は、文化・経済等の分野における両国間の伝統的な関係に言及しつつ、環境、麻薬対策、地域情勢等の分野での協力を強化していきたい旨述べ、双方は、協力の強化について今後議論していくことで一致した。
4 シリア等
安倍総理から、シリア情勢についてのイラン側の見解を質したところ、ローハニ大統領より、関係国等とも協力しつつ、問題の早期解決に向けて取り組む決意が示された。これに対し、安倍総理から、日本としても大量破壊兵器の問題は北朝鮮のこともあり他人事ではなく、シリアの化学兵器の廃棄に向けた動きを支持している、なお、北朝鮮の核・ミサイル及び拉致問題についても解決したい旨述べた。 
 

 

 

 



安倍総理 「外遊」外交

2018
(
平成30)

66日〜611

米国訪問及びG7シャルルボワ・サミット(カナダ)出席

524日〜527

ロシア訪問

429日〜53

中東訪問(アラブ首長国連邦、ヨルダン、イスラエル及びパレスチナ自治区)

417日〜420

米国訪問

29日〜210

平昌オリンピック開会式出席(韓国)

112日〜117

欧州訪問(エストニア、ラトビア、リトアニア、ブルガリア、セルビア及びルーマニア)

2017
(
平成29)

119日〜1115

ベトナムAPECダナン首脳会議及びASEAN関連首脳会議出席(フィリピン)

918日〜922

72回国連総会出席(米国)

913日〜915

インド訪問

96日〜98

3回東方経済フォーラム出席(ロシア)

75日〜711

欧州訪問(ベルギー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク)及びG20ハンブルク・サミット(ドイツ)出席

525日〜528

G7タオルミーナ・サミット出席(イタリア)及びマルタ訪問

427日〜430

ロシア及び英国訪問

319日〜322

ドイツ、フランス、ベルギー及びイタリア訪問

29日〜213

米国訪問

112日〜117

東南アジア(フィリピン、インドネシア、ベトナム)及び豪州訪問

2016
(
平成28)

1226日〜1228

ハワイ訪問(米国)

1117日〜1123

APEC首脳会議への出席(ペルー)、ペルー及びアルゼンチン公式訪問並びに米国立寄

918日〜924

71回国連総会出席(米国)及びキューバ訪問

94日〜99

G20杭州サミット及びASEAN関連首脳会議出席(中国、ラオス)

92日〜93

東方経済フォーラム出席(ロシア)

825日〜829

6回アフリカ開発会議出席、ケニア訪問及びシンガポール訪問

820日〜823

リオデジャネイロ・オリンピック閉会式出席(ブラジル)

714日〜716

モンゴル訪問及び第11回アジア欧州会合(ASEM)首脳会合出席

51日〜57

欧州(イタリア、フランス、ベルギー、ドイツ、英国)及びロシア訪問

330日〜43

米国核セキュリティ・サミット出席

2015
(
平成27)

1211日〜13

インド訪問

1129日〜122

COP21首脳会合出席(フランス)及びルクセンブルク訪問

1118日〜23

フィリピンAPEC首脳会議及びASEAN関連首脳会議(マレーシア)出席

1113日〜17

トルコ訪問及びG20アンタルヤ・サミット出席

111日〜2

日中韓サミット出席(韓国)

1022日〜28

モンゴル及び中央アジア5か国訪問(トルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン)

926日〜102

70回国連総会出席(米国)及びジャマイカ訪問

65日〜9

ウクライナ訪問及びG7エルマウ・サミット出席(ドイツ)

426日〜53

米国訪問

421日〜23

アジア・アフリカ会議60周年記念首脳会議出席(インドネシア)

329日〜30

故リー・クァンユー元シンガポール首相国葬への参列

116日〜21

中東(エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治区)訪問

2014
(
平成26)

119日〜17

APEC首脳会議(中国)ASEAN関連首脳会議(ミャンマー)及びG20首脳会合(豪州)出席

1015日〜18

10回アジア欧州会合(ASEM)首脳会合出席(イタリア)

922日〜27

69回国連総会出席(米国)

96日〜8

バングラデシュ及びスリランカ訪問

725日〜84

中南米(メキシコ、トリニダード・トバゴ、コロンビア、チリ、ブラジル)訪問

76日〜12

ニュージーランド、豪州及びパプアニューギニア訪問

63日〜7

G7ブリュッセル・サミット出席(ベルギー)、イタリア及びバチカン訪問

530日〜31

シンガポール訪問

429日〜58

ドイツ・英国・ポルトガル・スペイン・フランス及びベルギー訪問

323日〜26

核セキュリティサミット出席等(オランダ)

27日〜9

ソチ・オリンピック開会式出席等(ロシア)

125日〜27

インド訪問

121日〜23

ダボス会議出席(スイス)

19日〜15

オマーン・コートジボワール・モザンビーク・エチオピア訪問

2013
(
平成25)

1116日〜17

カンボジア・ラオス訪問

1028日〜30

トルコ訪問

106日〜10

APEC首脳会議等(インドネシア)及びASEAN関連首脳会議(ブルネイ)出席

923日〜28

カナダ訪問及び国連総会出席(米国)

94日〜9

G20サンクトペテルブルク・サミット及びIOC総会出席(ロシア・アルゼンチン)

824日〜29

中東・アフリカ諸国訪問(バーレーン・クウェート・ジブチ・カタール)

725日〜27

マレーシア・シンガポール・フィリピン訪問

615日〜20

G8ロック・アーン・サミット出席及び欧州諸国訪問(ポーランド・アイルランド・英国)

524日〜26

ミャンマー訪問

428日〜54

ロシア及び中東諸国(サウジアラビア・アラブ首長国連邦・トルコ)訪問

330日〜31

モンゴル訪問

221日〜24

米国訪問

116日〜19

東南アジア訪問(ベトナム・タイ・インドネシア)