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自民党総裁任期
安倍総裁 「連続3期9年」に延長

中国国家主席任期 
習近平国家主席 任期撤廃

ロシア大統領任期  
プーチン大統領 任期2期12年の2期目を目指す
 


 
 
 
 
 
権力 一度覚えた振回す楽しさ 快感
初心 忘れて自分の世界 自分の価値観
周囲 忖度 平伏す
お金 使い放題
取巻き優先 民を忘れる
延命 規則・法律 全て無視
 
自民党総裁任期 
自民党、総裁任期「連続3期9年」に延長 党大会で了承 2017/3/5
自民党は5日、東京都内で党大会を開き、総裁任期を現行の「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長する党則改正を正式に決めた。2018年に連続2期の任期満了を迎える安倍晋三首相(総裁)が3選に向けて立候補できる環境が整った。党大会では、二階俊博幹事長が党則と総裁公選規程の改正を報告し、了承された。任期延長は高村正彦副総裁がトップを務める党・政治制度改革実行本部が昨年10月に取りまとめた。国政選挙で勝利することを前提にすれば、安倍首相が来年の総裁選で3選を果たすと、最長で21年9月まで続投が可能になる。その場合、第1次政権を含めた首相の在任期間は約10年、3500日超の歴代最長政権も視野に入る。
総裁任期3期9年、延長決定 首相在任が21年まで可能 2017/3/6
自民党は5日、東京都内のホテルで第84回党大会を開いた。総裁任期を「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長する方針を正式決定した。安倍晋三首相(党総裁)は、来年9月の総裁選で3選されれば、2021年9月までの在任が可能となった。首相は演説で、憲法改正発議に向けて議論を主導することに意欲を示した。連続3期目に入った場合、首相在任期間が19年11月に戦前の桂太郎首相の2886日を抜いて歴代1位になるほか、20年の東京五輪を首相として迎えることになる。今後は憲法改正の発議や次期衆院選の時期などが焦点となる。任期延長は昨年10月に党・政治制度改革実行本部で方針が決まっていた。首相は演説で「自民党は憲法改正の発議に向けて、具体的な議論をリードしていく。それこそが自民党の歴史的使命だ」と述べ、改憲項目の絞り込みを進める考えを強調。昨年7月の参院選で27年ぶりに単独過半数を回復したことにも触れ、「国政選挙に4連勝しても緊張感を片時も忘れずに挑戦し続けることを誓う」と、長期政権に意欲を見せた。経済については「この4年間で雇用は170万人増えた。賃金も上がり、国・地方合わせて税収は22兆円増えた」と成果を例示し、「アベノミクスの果実を使って社会保障分野を充実する。成長と分配の好循環をまわしていく」と訴えた。17年の党運動方針も決定した。憲法改正について「憲法審査会や各党との連携を図り、憲法改正原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」として「発議」を初めて明記した。次期衆院選については「『常在戦場』の精神の下、謙虚な姿勢で臨む。勝てる候補の擁立に努める」と必勝を期している。来賓として出席した公明党の山口那津男代表は「内外の諸課題を考えた時に政治の安定こそが、ただ一つの確実な道だ」とあいさつし、自公連立政権を継続する重要性を改めて強調した。 
 
 
 
 
 
中国国家主席任期 
習氏、マフィア一掃宣言、批判弾圧懸念も 2018/1/27
中国の習近平国家主席は「黒社会」と呼ばれるマフィアなどの犯罪組織の一掃キャンペーンに乗り出した。習氏は、黒社会の「後ろ盾」となっている地方の共産党幹部も容赦しない方針を表明。汚職を摘発する反腐敗闘争と連動させ、民衆の支持を広げたい考えとみられる。新たなキャンペーンのキーワードは「掃黒除悪(黒社会の一掃と悪の排除)」。習氏は11日に開かれた党中央規律検査委員会の会議で「掃黒除悪を反腐敗と結び付け、闇の組織だけでなく背後にいる後ろ盾も捕まえないといけない」と檄(げき)を飛ばした。24日の国営新華社通信によると、習氏の指示を受けた形で、党と政府は「掃黒除悪闘争の展開に関する通知」を出した。通知は「黒社会と後ろ盾に厳罰を下す」と宣言。黒社会だけでなく、不正に手を貸す党の末端組織幹部も取り締まると強調した。ポルノ、賭博、薬物、マルチ商法、誘拐に関係する組織が重点的な摘発対象となる。
国家主席の任期撤廃へ 習氏長期政権に布石 2/25
新華社電によると、中国共産党中央委員会は25日、憲法が規定する2期10年の国家主席と副主席の任期を撤廃することなどを求める憲法改正に関する提案を発表した。2013年に就任した習近平国家主席(党総書記、64)が23年以降も主席にとどまり、長期政権を可能にする狙いがあるとみられる。中国の憲法第79条第3項は、国家主席と副主席の任期について「2期を超えて連続して就任することはできない」と定め、3選を禁じている。党中央委はこれを削除し、「全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の毎期の任期と同一とする」との部分だけ残すよう求め、任期の上限を事実上なくした。憲法改正案は3月5日に開幕する全人代で審議され、可決される見通し。中国の憲法改正は2004年以来14年ぶり。
中国国家主席の任期撤廃、終身制を意味せず 3/1
中国共産党機関紙の人民日報は1日付の論説記事で、国家主席の任期を撤廃する改憲案について、終身制を意味するものではないと主張した。共産党は2月25日、国家主席の任期を撤廃する憲法改正を提案。実現すれば、習近平国家主席は2023年以降も続投できることになる。人民日報は長文の論説で、任期撤廃はあらゆる面で党の指導力を強固にするための「重要な手立て」と指摘。その上で憲法改正が「党や国の指導者の引退制度を変更したり、指導部の終身制度を意味するものではない」と訴えた。また、党・軍・国を統率する規則はすべて同じだとし、「国状と調和し、党や国のために長期の平和と安定を実現するよう設計されたシステムだ」と強調した。
中国 “国家主席の任期撤廃” 憲法改正案を全人代に提出 3/5
中国で全人代=全国人民代表大会が始まり、国家主席の任期の制限を撤廃することなどを盛り込んだ憲法の改正案が提出されました。改正案は今月11日に採択され、習近平国家主席が権力を集中させたまま無期限に主席にとどまることが可能となる見通しです。
中国の重要政策などを決める全人代は5日午前、北京の人民大会堂で開幕し、2004年以来14年ぶりとなる憲法の改正案が提出されました。
改正案には習近平国家主席の指導思想が習氏の名前を冠した形で盛り込まれているほか、国家主席の任期を2期10年までと定めた規定を撤廃するとしています。
改正案について全人代常務委員会の王晨副委員長は「各地で数多くの共産党員や幹部、庶民が、任期の撤廃を訴えてきた」としたうえで、「共産党トップの総書記にも任期の規定はなく、国家主席も同様にすることで党中央の権威を維持し、国家の指導体制を強化することにつながる」などと説明しました。
国家主席の任期は、死去するまで絶大な権力を握り続けた毛沢東が晩年、文化大革命を発動し、中国全土を混乱に陥れた反省から1982年に憲法に盛り込まれたもので、国民の一部には任期の制限を撤廃することに懸念の声も出ています。
改正案は今月11日に採択され、習主席に権力が極めて集中したまま、2期目の任期を終える2023年以降も無期限に主席にとどまることが可能となる見通しです。
また、5日はこれに先立って、李克強首相が向こう1年の重要政策を示す政府活動報告を行いました。この中で、李首相はことしの経済成長率の目標を去年と同じ6.5%前後に据え置くと発表し、成長の速さよりも成長の質を重視して、従来の構造改革の路線を進め、課題となっている過剰債務や環境問題の解決に重点的に取り組む姿勢を示しました。
また、通商政策について、李首相は「貿易の保護主義に反対し、みずからの合法的な権益を断固として守る」と述べて、今週にも、鉄鋼製品などに高い関税を課す異例の輸入制限措置の発動を決める意向を表明しているアメリカのトランプ政権をけん制しました。
このほか、国防政策については「『習近平強軍思想』の指導的地位を確立し、中国の特色ある強軍の道を歩まなければならない」と述べて、軍備の増強を一層進める姿勢を示しました。これについて中国財政省は5日、ことしの国防費の伸び率を去年を上回る8.1%とすると発表しています。
任期撤廃案に拍手
中国で5日から始まった全人代=全国人民代表大会で、国家主席の任期の制限を撤廃することなどを盛り込んだ憲法の改正案が説明され、改正案のうち、制限の撤廃に関する部分にさしかかったところで会場の人民大会堂では一部から拍手が起きました。
さらに、制限の撤廃に関する部分がすべて読み上げられると、今度は、会場全体からひときわ大きな拍手が沸き起こりました。この際、壇上に座った習近平国家主席は特に表情を変えることなく、会場全体を見渡している様子でした。
5日の全体会合が終わったあと遼寧省の代表の男性は、「今回の憲法改正はとてもいいことであり、庶民の心を満たしてくれるものだ。会場で起きた拍手は憲法改正に賛成であるというわれわれ代表たちの心の声を反映している」と話していました。
また、四川省の代表の女性は、「憲法改正は中国の現代社会が新時代に発展していくために必要なものだ。終身制になるという心配はない」と話すなど、憲法改正に賛成する声が多く聞かれました。
習近平氏の盟友 王岐山氏の処遇に注目
今回の全人代=全国人民代表大会では習近平国家主席の盟友とされ、去年の共産党大会で定年の慣例どおり最高指導部を退いた王岐山氏が出席し、政府人事が決まる全人代での処遇に改めて関心が集まっています。
5日開幕した全人代で、王岐山氏は共産党の最高指導部のメンバーとともに北京の人民大会堂のひな壇に姿を見せました。
共産党幹部らの汚職摘発に辣腕(らつわん)を振るい、習主席の権力の集中を支えた王氏は、去年、最高指導部である政治局常務委員を退きましたが、香港メディアは「事実上8番目の常務委員だ」などと伝えていました。
このため全人代では、王氏が国家副主席などの要職に就き、習主席の補佐役として外交や汚職摘発など幅広い分野で影響力を保ち続けるとの見方が強まっています。
習主席の名前 13回言及
ことしの全人代=全国人民代表大会は、去年の共産党大会で習近平国家主席が強固な権力基盤を固めて2期目の指導部を発足させたあと初めての開かれたもので、李克強首相が読み上げた政府活動報告では、習主席の名前が繰り返し言及され、習主席への権力の集中ぶりをうかがわせました。
政府活動報告の冒頭では、この5年を振り返り、「去年の党大会で、『習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想』の歴史的地位が確立した」とたたえました。
その後も、「習近平同志を核心とする党中央」などと習主席の名前を繰り返し、国防政策については、「『習近平強軍思想』の指導的地位をしっかりと確立し、揺るぎなく中国の特色ある強軍の道を歩まなければならない」と強調しました。
結局、政府活動報告の中で、習主席の名前は合わせて13回言及され、去年は8回、おととしは6回だったのに対して大幅に増えていて、習主席への権力の集中ぶりをうかがわせました。
李首相「核心意識」読み飛ばし
5日開幕した全人代=全国人民代表大会で李克強首相が、政府活動報告の中で予定されていた「核心意識」という言葉を読み飛ばす一幕がありました。
「核心」という言葉は、毛沢東や※トウ小平などに対して使われ、習近平国家主席もおととし、公式に「党中央の核心」と位置づけられて、最高指導部の中でも一段ぬきんでた存在であることが明確となっています。
今回の全人代では習主席へのさらなる権力集中が進むものと見られ、外国メディアの間では、李首相が「核心意識」という言葉を読み飛ばしたことについて関心が集まっています。
(※トウは「登」に「おおざと」)
永久に最高指導者の地位 可能に
5日から始まった全人代=全国人民代表大会で、国家主席の任期の制限を撤廃することなどを盛り込んだ憲法の改正案が提出されたことについて、中国の政治や社会の現状に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は「共産党大会のよくとしに憲法改正案が提出されたのは非常に驚くべきスピードだ。国家主席の任期がなくなることで、党、軍、国家のすべての領域を統括し、永久に最高指導者の地位を持ち続けることが可能になったと言える」と指摘しました。
一方で、「毛沢東時代、権力が1人に集中したことが国家を破綻寸前にまで追い込んだ経験をしている世代の人たちは非常に危険だと感じている」と述べて、国民の一部は懸念を感じているはずだと指摘しました。
また、経済政策について、「問題があっても今の政治体制が続くかぎり、成長率を維持するため、採算性を度外視して国有企業を優先し続ける」と述べて、政府が進める経済の構造改革は難しいとする考えを示しました。
さらに外交については、「国外で中国脅威論が出始めたことで大国との協調関係とか、周辺国との友好関係という言葉を使って外国との協調路線を打ち出しているが、国内で一強体制が作られることによって外交でも強く出なければ国内で認められない状態になっている。このため外交的な柔軟性はそれほど持てない可能性がある」と指摘しました。 
中国「国家主席の任期撤廃」改憲案―習近平は「成功した独裁者」になれるか 3/5
3月5日、中国で全国人民代表大会(全人代)が開会します。今回の最大の注目点は、国家主席の任期に関する憲法の条項の改正です。
今回の全人代で、国家主席の再選に上限がなくなれば、習近平主席の一強支配が強化、長期化することになります。そのため、憲法改正の動きは「皇帝の復活を促すもの」とみなされ、昨今の強気な外交とも相まって、各国に警戒が広がっています。
ただし、習近平への権力集中が進むことは確かですが、それは必ずしも習氏が「成功した独裁者」になれることを意味しません。むしろ、支配を強化するほど、習氏は自らの支配を掘り崩しかねないジレンマに直面することが見込まれます。
「独裁の完成」か?
まず、今回の憲法改正について取り上げると、中国の憲法では国家主席がその座にいられるのは5年の2期まで、つまりその上限は10年間。米国大統領が4年の任期を2期までの最大8年間と定められているように、多くの国では公職につける期間に制限が設けられています(日本の知事や市町村長にはそれがない)。任期に上限がなければ、「役職が権力をもつ」のではなく「個人が権力をもつ」ことになりやすいからです。
中国の場合も、初代国家主席だった毛沢東が1976年に死亡した後、後継者の地位をめぐって権力闘争が激化し、国政が極度に混乱。安定的な権力の移譲を目指したトウ小平によって、1982年の憲法改正で国家主席の任期制が導入されたのです。つまり、中国の国家主席は「独裁者」であっても、この任期制があることで、一定の歯止めがかかっていたといえます。
以前、私が『世界の独裁者』のなかで「独裁者」の規準としてあげた三つの規準を簡略化して表すと、以下のようになります。
   1.行政、立法、司法にまたがる大きな権力をもつ
   2.辞めさせられない
   3.反対派を抑え込む
このうち、これまでの中国の国家主席の場合、1と3は文句なしに該当していました。しかし、先述の任期制は本人の意思にかかわらず権力を振るえる期間に制限を設けるもので、2の条件にとってのハードルでした。今回、憲法が改正されれば、この点でも中国の国家主席の権力が強くなることは確かです。
「失敗した独裁者」とは
「独裁者」への道をひた走る習近平主席は、権力を一元化することで国内改革を加速させようとしています。しかし、権力を集中させることが成功を約束するとは限りません。
一般的に「独裁者」は嫌われますが、その一方で経済の発展や治安の回復といった成果を生むには、多くの人が話し合うよりトップダウンの方がよいという意見も根強くあります。民主主義と独裁のいずれが経済パフォーマンスがよいかというテーマは、主に欧米諸国の政治学者が統計的手法などを用いて研究していますが、議論に決着はついていません。強いていえば、ケースバイケースというのが順当でしょう。
むしろ重要なことは、仮に一時期よい成果をあげても、そのパフォーマンスを維持できなくなった時、「独裁者」のもとでは軌道修正が難しくなることです。実際、「世界の三大独裁者」とも呼べるローマ帝国のカエサル、フランスのナポレオン、ドイツのヒトラーは、いずれも政治的な混乱や停滞を恐れる世論を背景に、一時は絶対的な権力を握りましたが、それぞれが暴走し始めた時、誰も止められなくなりました。その結果、最終的にこの三人はそれぞれ暗殺、遠島、自殺という悲惨な末路をたどりました。
ここまでいかなくとも、ソ連のスターリンや中国の毛沢東の場合、生前には批判を口にすることすら許されませんでしたが、その没後に(直後かどうかはともかく)後任者によって方針が転換されたり、負の歴史が封印されたりしました。
このように悲惨な末路をたどったり、その行いが後の世に否定的に扱われた「独裁者」は、「失敗した独裁者」と呼べるでしょう。
「成功した独裁者」とは
ただし、その一方で、歴史には「成功した独裁者」も登場します。そのうちの一人、ローマ帝国の皇帝セプティミウス・セウェルス(146-211)は、「目指すべき君主像」としてニッコロ・マキアヴェリの『君主論』でも再三言及されています。
軍略と政治的駆け引きに長けたセウェルスの治世、ローマ帝国は現在のイギリスにあたるブリテン島からエジプトやトルコにまで至る広大な版図を安定させ、空前の繁栄を極めました。全権を握るセウェルスの前では、市民だけでなく将軍も兵士も息を呑んで圧倒されたといいます。
その統治が成功した一つの理由には、貴族と市民の間に位置する兵士を優遇し、兵士が市民に乱暴狼藉を働いて私腹を肥やすことを黙認しながらも、兵士による反乱は厳しく取り締まったことがありました。
つまり、中間層にあたり、帝国の統治に不可欠の兵士を甘やかして「なめられる」ことは避けながらも「恨まれる」ことも避け、自らの支配に協力させたことで、セウェルスは天寿を全うできたのです。セウェルスは権力を引き継がせた二人の息子への遺言で、「仲良くしろ、兵士を豊かにしろ、他はどうでもいい」と言い残したといわれます。
自らの支配に不可欠の個人や勢力の満足感を引き出すことで「成功」したセウェルスには、「側近の裏切り」という「独裁者」としては最悪の結末を迎えたカエサルとの決定的な違いを見出すことができます。
「独裁者」というと、いかにも一人で全てを握る人間のようにイメージされます。しかし、セウェルスに限らず、少なくとも「成功した独裁者」は戦争の勝利や経済の発展といった成果をあげることで人々を納得させるだけでなく、自らの支配に半ば率先して協力する勢力や個人を獲得することでその立場を守り、いわば「英雄」になることができたのです。
誰が習近平を支えるか
この観点からみると、習近平主席の前途は必ずしも安泰といえません。一強体制を築いた習氏による国内改革には、メディア規制や少数民族管理の強化など政府に批判的な人々の不満を呼ぶものだけでなく、共産党体制を支える勢力から「恨みを買う」ものが少なくないからです。
先述のように、国家主席の任期制はトウ小平によって導入されました。トウ小平は改革・開放を推し進め、市場経済化を推進しました。今回の憲法改正の動きは、そのトウ小平の路線を翻すものといえます。
ところで、「万人の平等」を強調する社会主義から市場経済への転換で、最も恩恵を受けたのは現在の富裕層です。トウ小平の「先に豊かになれる者から豊かになればよい」という先富論に基づいて豊かになった富裕層は、いわば共産党のこれまでの支配の申し子ともいえます。
ところが、習近平体制のもとで腐敗・汚職の摘発が進むなか、中国では大物実業家への取り締まりが強まっています。2018年2月、中国政府は国内最大手の保険企業、安邦保険集団の経営を管理下に置き、創業者の呉小暉氏が詐欺罪で訴追されました。また、3月には急成長するエネルギー企業、中国華信能源の責任者も当局から取り調べを受けています。
トウ小平が進めた市場経済化は、中国社会に根深い汚職を爆発的に広げる結果になりました。しかし、とにかく経済成長を優先させてきたこれまでの最高責任者たちは、政敵に連なる汚職を暴く以外、これらを積極的に取り締まってきませんでした。その意味で、習氏による反汚職キャンペーンは、トウ小平が道を開いた今の体制の受益者に「これまでとは違う」ことの見せしめになっているといえます。
派閥抗争以上の取り締まり
同様のことは、人民解放軍に関してもいえます。軍も共産党体制を支える要ですが、改革・開放のもとで腐敗・汚職も広がりました。しかし、軍人をも時に粛清した毛沢東と異なり、トウ小平や江沢民、胡錦濤といった習近平の前任者たちは「軍の満足感」を優先させ、その腐敗・汚職を半ば放置してきました。
これに対して、習近平主席による反汚職キャンペーンは人民解放軍にまで及んでいます。2017年4月、「党規約に違反した」として、共産党中央委員会のメンバーを務めた経験もある王建平将軍が逮捕されました。習近平体制のもとでは、毛沢東時代と同じく軍内部に監視要員が配置され、反対派の取り締まりが強化されています。そのため、王氏の一件は、氷山の一角に過ぎません。
このような腐敗・汚職の取り締まりは、「政府内の派閥抗争」の文脈で語られやすいものです。つまり、反汚職キャンペーンという大義名分のもと、習氏は異なる派閥のメンバーを粛清してきたという見方です。
しかし、2015年6月に無期懲役の判決が下った周永康被告は、もとは習氏と同じく江沢民・元国家主席の系列に属していました。ここからブルッキングス研究所のチェン・リーは、「共産党体制のもとで増殖した汚職・腐敗は共産党体制そのものの正当性を揺るがしており、その取り締まりは派閥抗争以上の意味がある」と指摘しています。
海外から中国に進出する企業にとっても、あるいは中国から物資を調達している各国にとっても、その汚職対策は重要な課題です。また、富裕層や軍高官の摘発は、結果的に習近平主席への権力集中を促すものといえます。とはいえ、既得権益層に対する取り締まりが急速に進むことが、結果的に共産党体制の支持者の恨みを買うことになることもまた確かです。
「独裁者」のジレンマ
これまで世界には数多くの「独裁者」がいましたが、道徳的、倫理的な良し悪しはともかく、その多くは「登場する必然性」があって登場しました。さらに、どんな「独裁者」にも必ず支持者がいました。つまり、いくら本人に権力欲が色濃くあったとしても、それだけで「独裁者」が生まれるわけではありません。
中国の場合、市場経済化でたまった膿とも呼べる腐敗・汚職が共産党の支配の正当性を脅かしつつある状況が、これを立て直す者としての習近平主席の台頭を促しました。言い換えると、共産党支配という既存のシステムが経済成長と引き換えに社会に不満や憎悪を増幅させるなか、それでもそのシステムを支えるために「立て直す」必要があるという認識が体制内で広がったことが、習近平という時代の子あるいはモンスターを産んだといえます。
ただし、習氏が推し進める反汚職キャンペーンは、政敵の追い落としだけでなく、腐敗・汚職の追放という理念に沿ったものとしても、今まで「甘い汁を吸ってきた」共産党支持者を自ら切り捨てることになり得ます。それは、少なくともセウェルスが示した一つのモデルケースとは異なるものです。その意味で、共産党を立て直そうとすればするほど、習近平主席は「成功した独裁者」になるのが難しくなるジレンマに直面することになるといえるでしょう。 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
ロシア大統領任期  
ロシア大統領 直接選挙で選ばれ、任期は6年。3選は禁じられている。当初の任期は4年だったが、2008年の憲法改正で12年から延長された。ソ連崩壊後の新生ロシアの初代大統領エリツィン氏は任期途中で退任し、プーチン氏が2000年に就任した。08年まで2期務めた後、側近のメドベージェフ氏を後継に据えた。
ボリス・エリツィン
   第1期 1991/7/10 - 1996/8/9
   第2期 1996/8/9 - 1999/12/31 (任期途中で辞任)
ウラジーミル・プーチン
   代行 1999/12/31 - 2000/5/7
   第1期 2000/5/7 - 2004/5/7
   第2期 2004/5/7 - 2008/5/7
ドミートリー・メドヴェージェフ
       2008/5/7 - 2012/5/7
ウラジーミル・プーチン
   第3期 2012/5/7 - (在任中)  
ロシア大統領選挙とプーチンの迷い 2018/2/22
ロシア大統領選挙の投票まであと一か月を切りました。プーチン大統領の圧勝との見方が強まっています。しかしその一方、プーチン大統領自身がロシアをどの方向に引っ張ろうとしているのか、まだ示していません。欧米との対立、長期政権への停滞感、そしてプーチン大統領に迷いが見えます。 大統領選挙を通じてロシアがどの方向に向かおうとしているのか考えてみます。
ロシア大統領選挙には共産党、ロシア自民党など体制内野党、そして反政府のリベラルな候補などプーチン氏を含めて8人が立候補しています。しかしプーチン大統領に対抗できる候補者はおらず、選挙戦は事実上プーチン大統領への信任投票となっています。プーチン大統領は持ち前のパフォーマンスで活発な選挙運動を繰り広げています。厳冬の一月、ロシア正教の慣例に合わせて凍り付いた湖で沐浴をしました。ロシア正教の信者への意識と65歳になりましたが、健康であることを誇示しています。特に力を入れているのが若者たちへの訴えです。前回は与党統一ロシアからの立候補でしたが、今回は、無所属として立候補しました。若者のボランティア組織などが立候補に必要な30万の署名集めを行いました。若者の間でのプーチン支持を活性化させることを狙っています。30歳以下の若者たちの人口がすでに全人口の三分の一を超えています。ロシアの将来を担う若者がプーチン支持の主体となっていると示したいのです。プーチン大統領は今回の大統領選挙で得票率70%、投票率70%、70×70という目標を非公式に掲げています。今の支持率からみて得票率70%を獲得するのは可能でしょう。難しいのは投票率70%です。前回の選挙でも投票率は65%でした。過去一度も投票率が70%を超えたことはありません。
それでも高い投票率での圧勝が必要なのは、プーチン大統領にとって最後の任期となる可能性が強いからです。ロシアの憲法では大統領の任期は連続二期まで、しかも2024年の任期の終わりには70歳を超えています。プーチン大統領としては国民の圧倒的な支持を背景に強い権力を握りながら、ポストプーチンの後継者を育て、指名したいのです。選挙の結果は、プーチン大統領の圧勝で動きません。しかしその選挙戦の中で奇妙なことが起きています。前の年の12月に次の年の内政外交の方針を示す大統領の年次教書演説、2018年に入ってもまだ行われていません。大統領選挙に合わせて行うという理由もあります。しかし年次教書はさらにずれ込み来月初めになると言われています。これは異常とは申しませんが、異例の事態です。私はそこにプーチン大統領の迷いを見ます。
前回2012年の大統領選挙、一度首相に退いたプーチン氏が大統領に復帰した選挙では、激しい反プーチンデモが行われました。プーチン氏は愛国主義を中核とする内政や外交の選挙綱領ともいえる7つの論文を発表して、いわば正面突破の形で選挙戦を乗り切りました。今回は今のところ過去の実績を羅列するのみで、ロシアをどこに導きたいのか、明確に示していません。そもそもプーチン大統領の力の源泉は国民の圧倒的な支持です。
プーチン氏への支持率の推移です。低い時で60%、高い時で80%を超えます。しかし国民が国の状況に満足しているというわけではありません。
ロシア人は北風が吹くとまとまる傾向がありますので、今は正しい方向と考える人が多くなっていますが、それでも間違った方向に向かっていると考える人は、30パーセントはいます。間違っているとの回答が上回った時期もあります。つまり政治や経済の状況が悪くてもロシア国民のプーチン支持は変わりません。国民はプーチン大統領がいつも自分たちの身近にいて自分たちのことを考えてくれる善き皇帝・ツァーリととらえているのです。私は政治家としてのプーチン氏の本質は、「国民が心の中で何を求めているのか」嗅覚にたけたいわば「天才的なポピュリスト」と考えています。過去の例を見てみましょう。
2000年のはじめ、ロシアの誇りが地に落ちていた時にプーチンは「安定と国への誇り」を率直に訴えました。そしてロシアが高度経済成長の兆しが見えるとGDPの10年間での倍増、つまり豊かになろうと呼びかけました。国民の要求を後追いする月並みのポピュリストではなく、国民自身が気づいていない希望や願いを先取りして打ち出し、道を示していく。そこに政治家プーチンの凄みがあります。
その皇帝・ツァーリに今回は迷いが見えます。今回の年次教書は、大統領府のワイノ大統領府長官、キリエンコ副長官、ペスコフ報道官などごく少数の側近が中心となって準備を進めています。このチームが次期政権の中枢を担うでしょう。私が注目しているのは年次教書の準備にクドリン氏が大きな役割を果たしている点です。クドリン氏はプーチン政権のもと長く財務相を務め、最良の財務大臣と欧米からも評価された経済専門家で、プーチン大統領とは友人です。しかし政治的にはリベラルな見方で、2012年以降は政権から離れ、強権的な政策を批判することもありました。そのクドリン氏を年次教書の準備に招いたことに、大統領自身は変化の必要性は感じている、つまり経済を成長させるためには改革が必要だと思っているのでしょう。しかし改革が政治改革に踏み込めば体制を揺るがす恐れもある。何をどの程度変えるべきか、プーチン氏自身の迷いがあると私は見ています。
「ロシアにプーチンはいらない」と激しく反発しているのが、汚職追及の活動家である反体制派のナワリヌィ氏らです。若者中心の選挙ボイコットを呼びかける反プーチンデモが行われています。今回は前回ほどの広がりは見せておらず、選挙戦そのものを揺るがしていません。デモをする反体制の若者、逆に最初に紹介したプーチン支持に集まる若者、いずれの若者にも体制への閉塞感や不満が潜んでいます。政権よりの世論調査機関の調査でも60パーセントの若者が自己実現は困難だと答えています。その原因として就職困難や失業など経済的苦境、それに汚職やたかりなど体制の腐敗が挙げられています。若者たちはロシアの現状には大きな不満を抱いており、有能な若者の海外流出は続いています。すでに愛国主義だけでは国民の求心力を継続するのには限界が近づいています。変化は必要だ、ロシアの将来像が示さなければならないと思いながら、いまだにそれが示せないことに、圧勝が確実視される選挙ですが、プーチン大統領にとって意外と苦しい選挙となっているように私には思えます。
大統領選挙では二つの点で重要です。一つは選挙運動の中枢が次期政権の中核となります。そしてもう一つは、選挙戦の中で、大統領自身が、国民が求めるものをどのように感じるかです。2000年の大統領就任から実質的な権力を握り続けて18年、今回の大統領選挙は、ポストプーチンの始まりと言えます。プーチン大統領の最大の課題は、後継者を育て、権力をスムーズに移行すること、そしてロシアの方向性を定めることです。大統領選挙後にはプーチン大統領を支えてきた外交チームを含めて大幅な人事の刷新がささやかれています。若手の登用も行われ、場合によっては大胆な経済改革に踏み込むかもしれません。またアメリカ、ヨーロッパとの関係改善の模索も行われるでしょう。
しかしロシアをめぐる国際情勢は2000年当時と比べてもはるかに厳しく、内政外交の雪解けかそれとも、孤立した愛国主義の維持か、今回の大統領選挙を見る限り大統領の迷いとともにロシアでは混沌とした状況が続くように思われます。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
2018/3