所信表明にスタンディングオベーション

野党不在の政治

国民のための政治 所信表明の文言 
どなたか舞台裏から解説してください
補正予算 文言とお金(税金)の割振り 応分の対応していますか


 
第百九十二回国会 / 安倍内閣総理大臣所信表明 9/26
一 はじめに
世界一への執念。
歴代最多のメダルラッシュとなったリオ五輪では、世界の強豪たちに真っ向勝負を挑み、最後の一瞬まで勝利を諦めない選手たちの姿に、日本中が感動しました。
四年後の東京オリンピック・パラリンピックは、必ずや、世界一の大会にする。何としても、成功させなければなりません。同時に、我が国の「未来」を切り拓く。私たちもまた、世界一暮らしやすい国、世界一信頼される国を目指し、新たなスタートを切る時です。
参議院選挙で、自由民主党と公明党の連立与党は、目標の改選過半数を大きく上回る勝利を得ることができました。
「この道を、力強く、前へ」
これが、選挙で示された国民の意思であります。安定的な政治基盤の上に、しっかりと結果を出していく。国民の負託に応えていく決意であります。
この国会に求められていることは、目の前の課題から逃げることではありません。挑戦です。いかに困難な課題にもチャレンジし、建設的な議論を行って「結果」を出すことであります。
一億総活躍、地方創生、農政新時代、そして地球儀を俯瞰する外交。安倍内閣は「未来」への挑戦を続けます。世界の真ん中で輝く、日本の「未来」を、皆さん、共に切り拓いていこうではありませんか。
二 災害復旧・復興
この夏、台風10号をはじめ記録的な豪雨が相次ぎました。お亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。北海道、東北を中心に各地で、生活インフラ、収穫間近であった農作物などに甚大な被害が発生しており、激甚災害として、その復旧に全力を挙げてまいります。更なる防災・減災対策に取り組み、国土強靱化を進めます。
熊本地震から五か月。仮設住宅への入居はほぼ完了しましたが、更に災害公営住宅の建設、保育所や介護施設の復旧など、被災地の生活再建を加速します。中小・小規模事業者、農林漁業者の皆さんの事業再開を支援し、生業の復興も進めます。特別交付税を増額し、被災自治体の財政負担を軽減します。一日も早い復興を目指して取り組んでまいります。
東北では、外国人宿泊者が昨年、震災前を上回りました。「観光先進地・東北」を目指し、新たなチャレンジを支援します。福島では、中間貯蔵施設の建設、除染など住民の帰還に向けた環境整備、廃炉・汚染水対策を着実に進めながら、未来のエネルギー社会を拓く「先駆けの地」として、新しい産業の集積を一層促進してまいります。
あの大震災、困難の日々を胸に刻みながら、被災地の皆さんと力を合わせ、新しい東北の未来を切り拓いてまいります。
三 アベノミクスの加速
(国際協調)
英国のEU離脱、失速する新興国経済。世界経済は今、大きなリスクに直面しています。新たな危機に陥ることを回避するため、G7が協力して、全ての政策対応を行う。伊勢志摩の地で合意しました。英国のEU離脱の判断に際し、G7が緊密な協議を行い、速やかに行動しました。先般のG20では、中国をはじめ新興国とも、この危機感を共有しました。世界経済の成長と市場の安定のため、国際協調の強化に、更なるリーダーシップを発揮してまいります。
(政策総動員)
G7の議長国として、日本はその責任を果たす。あらゆる政策を総動員いたします。事業規模28兆円を超える経済対策を講じ、内需を力強く下支えします。アベノミクスを一層加速し、デフレからの脱出速度を最大限まで引き上げてまいります。有効求人倍率は、47全ての都道府県で1倍を超えています。史上初めての事です。実質賃金もプラスに転じ、6か月連続でアップ。雇用の拡大、賃金の上昇による「経済の好循環」が生まれています。この流れをより確かなものにする。本年、最低賃金を、時給方式となって過去最大の25円引き上げます。1000円を目指し、社会全体の所得の底上げを図ります。「経済の好循環」の成否は、全国の中小・小規模事業者の皆さんの元気にかかっています。生産性向上、販路開拓などの努力を後押しします。下請法の運用基準を13年ぶりに抜本改訂し、下請取引の条件改善を進めます。低利融資による資金繰り支援と併せ、地域経済を支える金融機関のセーフティネットである金融機能強化法を延長します。消費税率10%への引上げを30か月延期します。平成31年10月の実施に向け、軽減税率導入へ準備を進めます。それまでの間、逆進性対策として、所得の低い世帯への給付を行います。消費増税が延期された中にあっても、2020年度の財政健全化目標を堅持します。アベノミクスの果実も活かし、優先順位を付けながら社会保障を充実していきます。無年金者対策は喫緊の課題であり、来年度中に、年金受給資格期間を25年から10年へと短縮します。「成長と分配の好循環」を創り上げてまいります。
四 一億総活躍
経済対策のキーワードは「未来への投資」。一億総活躍の「未来」を見据え、子育て支援、介護の拡充を進めます。
「介護離職ゼロ」を目指し、50万人分の介護の受け皿を前倒しで整備します。介護休業に積極的な事業者を新たな助成金で支援します。
「介護の仕事は、本当にやりがいがある。そのことを国民の皆さんに正しく理解してもらいたい。」
介護福祉士を目指す学生、小金栞さんから聞いた言葉が、私の耳から離れません。大きな希望を持って介護や保育の道を進んだ、こうした皆さんの高い使命感に、私たちはしっかりと応えていかなければなりません。
技能や経験に応じた給料アップの仕組みを創るなど処遇の改善に取り組みます。補助者の活用などにより現場の負担軽減を進めます。再就職準備金を倍増する他、あらゆる手を尽くして、必要な人材の確保に努めていきます。
保育の受け皿整備を加速します。小学生の放課後の受け皿づくりも、学校施設を活用し、全国で展開します。子育て支援を拡充することで、「希望出生率1.8」に向かって、歩みを進めてまいります。
「みんな限界にチャレンジしている」
パラリンピック三大会に出場した佐藤真海さんが、かつて私に語ってくれました。リオ・パラリンピックでは、限界を全く感じさせないアスリートたちの姿に、日本全体が勇気をもらいました。
障害や難病のある人も、お年寄りも若者も、女性も男性も、一度失敗を経験した人も、誰もが生きがいを感じられる社会を創ることができれば、少子高齢化というピンチも、大きなチャンスに変えることができるはずです。
2020年、そしてその先の未来に向かって、誰もがその能力を存分に発揮できる社会を創る。一億総活躍の「未来」を皆さんと共に切り拓いてまいります。
その大きな鍵は、働き方改革です。働く人の立場に立った改革。意欲ある皆さんに多様なチャンスを生み出す、労働制度の大胆な改革を進めます。
子育て、介護など多様なライフスタイルと仕事とを両立させるためには、長時間労働の慣行を断ち切ることが必要です。
同一労働同一賃金を実現します。不合理な待遇差を是正するため、新たなガイドラインを年内を目途に策定します。必要な法改正に向けて、躊躇することなく準備を進めます。「非正規」という言葉を、皆さん、この国から一掃しようではありませんか。
定年引上げに積極的な企業を支援します。意欲ある高齢者の皆さんに多様な就労機会を提供していきます。
各般にわたる労働制度の改革プラン、「働き方改革実行計画」を、今年度内にまとめます。可能なものから速やかに実行し、一億総活躍の「未来」を切り拓いてまいります。
若者こそ、我が国の「未来」。若者への投資を拡大します。本年採用する進学予定者から、その成績にかかわらず、必要とする全ての学生が、無利子の奨学金を受けられるようにします。給付型の奨学金も、来年度予算編成の中で実現いたします。
五 地方創生
一人の若き農業者と、先日、山形で出会いました。
「美しい田んぼを守っていきたい」
22歳の工藤ひかりさんは、農業の道を志した理由をこう語ってくれました。汗水流して収穫したラズベリー。「おいしかったよ」という声に大きなやりがいを感じているそうです。
農家の平均年齢は今、66歳を超えています。他方、一見困難に思える、その世界に飛び込み、チャレンジする若者たちがいます。
過疎化、高齢化。地方が直面する困難は、深刻です。しかし、特色ある農林水産物、豊かな自然、伝統・文化。それぞれの地方が持つ個性は、いまだ十分に活かされているとは言えません。ここに、大きなチャンスがあります。
安倍内閣は、地方創生の未来に、大胆に投資していきます。
財政投融資を活用し、リニア中央新幹線の全線開業を最大八年間前倒しします。整備新幹線の建設も加速し、東京と大阪を大きなハブとしながら、全国を一つの経済圏に統合する「地方創生回廊」を整えます。それぞれの地方が、自らのアイデアで、自らの未来を切り拓く。自治体による地方創生への挑戦を、新しい交付金によって応援します。
(観光立国)
宮崎の油津港では、海外からのクルーズ船が、4年前の3倍に増えました。英語での観光案内を地元の高校生たちが買って出るなど、地域に活気が生まれています。旅行収支が、昨年、史上初めて1兆円の黒字となりました。外国人観光客は、3年間で2倍以上に増え、本年、過去最高、2千万人を大きく上回る見込みです。次は、4千万人の高みを目指し、観光分野に大胆に投資します。岸壁の整備、客船ターミナルの建設など、クルーズ船受入れのための港湾整備を進めます。滑走路の増設など地方空港の機能を強化します。那覇空港や高松空港では、来月から入国審査手続の一部を事前に行うバイオカートを導入し、審査待ち時間を最大3割短縮します。最先端技術を積極的に活用し、世界一の出入国管理体制を整えてまいります。2018年を目途に、三大メガバンクのATMコーナーの半分、3千台で、海外発行のカードを使えるようにします。クレジットカードのIC対応を義務化し、外国人観光客の皆さんが安心して決済できる環境を整えます。世界一安全な国創りも欠かせません。多くの若者たちの将来を奪った軽井沢スキーバス事故の教訓を踏まえ、貸切バス事業への監査機能を抜本的に強化し、許可更新制を導入します。ホテルなどの建設を後押しするため、本年から容積率規制を大幅に緩和しました。Wi‐Fiの整備なども支援します。「観光インフラ整備プログラム」を年内に策定し、外国人観光客4千万人時代を見据え、投資を加速してまいります。
(農政新時代)
これからの成長の主役は、地方。目指すは、世界であります。3年連続で過去最高を更新してきた農林水産物の輸出は、本年も、昨年を上回るペースです。TPPの早期発効を大きなチャンスとして、1兆円目標の早期達成を目指します。その先には、欧州とのEPAの年内大筋合意を目指すなど、「良いものが良い」と評価される経済ルールを世界へ広げ、おいしくて、安全な日本の農林水産物を、世界に売り込みます。輸出基地、輸出対応型施設を全国に整備します。国際的に遜色ない生産性を目指し、経営規模の拡大も支援します。農政新時代。その扉を開くのは改革です。農家の所得を増やすため、生産から加工・流通まであらゆる面での構造改革を進めていきます。肥料や飼料を一円でも安く仕入れ、農産物を一円でも高く買ってもらう。そうした農家の皆さんの努力を後押しします。年内を目途に、改革プログラムを取りまとめます。夢や情熱を持って、農林水産業の「未来」に挑戦する。そうした皆さんを、全力で応援してまいります。
(世界一を目指す気概)
世界シェア7割。欧州、アジアなど世界中で、今、カニ蒲鉾が一世を風靡しています。その製造装置で、世界の市場を制覇したのは、地方の中小企業です。百年前に誕生した一軒の蒲鉾店は、機械化の工夫を凝らした先に、ものづくり企業へ生まれ変わりました。蒲鉾だけでなく、豆腐や菓子の製造装置など新製品を次々と開発。高い技術力を活かし、世界の食品メーカーに販路を拡大してきました。「限りなき挑戦で、世界のオンリーワンを目指す」。宇部から、世界へ、挑戦を続けています。ひたすらに世界一を目指す気概。オンリーワンで世界を席巻する匠の技。こういう皆さんが挑戦を続ける限り、日本はまだまだ成長できる。皆さん、今こそ、臆することなく、自信を持って、世界一を目指していこうではありませんか。
六 地球儀を俯瞰する外交
「一生懸命頑張れば、東京ではメダルを取れるかもしれない」
リオ五輪・水泳に参加したユスラ・マルディニ選手の言葉です。内戦のシリアを逃れ、凍える寒さの海を泳ぎ切りました。暗い海で、ボートの中の子どもたちを安心させるため、笑顔を見せながら泳ぎ続けたそうです。
ドイツでも諦めずに練習を続けました。そして目標の地、リオへ。初の難民代表団の一員として、夢のプールサイドに立ったユスラさんは、世界中の難民の人たちに、このメッセージを送りました。
「夢は叶えられる」
2020年「夢」の舞台となる我が国は、その国際社会の期待に応えなければなりません。
地域紛争、大量の難民、相次ぐテロ、地球温暖化。世界は多くの困難に直面しています。日本は、積極的平和主義の旗を高く掲げ、国際社会と手を携え、世界の平和と繁栄に貢献する決意であります。
日本の外交・安全保障の基軸は、日米同盟。これは不変の原則です。日米の絆を一層強化し、「希望の同盟」として世界の諸課題に共に立ち向かってまいります。
その強い信頼関係の下、抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担軽減に全力を尽くします。
北部訓練場、4千ヘクタールの返還を、20年越しで実現させます。沖縄県内の米軍施設の約2割、本土復帰後、最大の返還であります。0.96ヘクタールのヘリパッドを既存の訓練場内に移設することで、その実現が可能となります。もはや先送りは許されません。一つひとつ、確実に結果を出すことによって、沖縄の未来を切り拓いてまいります。
今月、プーチン大統領と14回目の会談を行いました。領土問題を解決し、戦後71年を経ても平和条約がない異常な状態に終止符を打ち、経済、エネルギーなど日露協力の大きな可能性を開花させる。本年中に大統領訪日を実現し、首脳同士のリーダーシップで交渉を前進させていきます。
韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国であり、未来志向、相互の信頼の下に、新しい時代の協力関係を深化させてまいります。
中国の平和的発展を歓迎します。地域の平和と繁栄、世界経済に大きな責任を持つことを、共に自覚し、「戦略的互恵関係」の原則の下、大局的な観点から、関係改善を進めてまいります。
これまで延べ百を超える国・地域を訪れ、地球儀を俯瞰する視点で積極的な外交を展開してきました。自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携を深めてまいりました。
「我々は、核兵器のない世界を希求する勇気を持たなければならない」
本年、現職の米国大統領として初めて、オバマ大統領による被爆地・広島への訪問が実現しました。唯一の戦争被爆国として、我が国は、「核兵器のない世界」を目指し、国際社会と共に、努力を積み重ねてまいります。
北朝鮮がまたも核実験を強行したことは、国際社会への明確な挑戦であり、断じて容認できません。弾道ミサイルの発射も繰り返しており、強く非難します。このような挑発的な行動は、北朝鮮をますます孤立させ、何の利益にもならないことを理解させるべく、国際社会と緊密に連携しながら、断固として対応してまいります。核、ミサイル、そして、引き続き最重要課題である拉致問題の包括的な解決に向けて具体的な行動を取るよう強く求めます。
東シナ海、南シナ海、世界中のどこであろうとも、一方的な現状変更の試みは認められません。いかなる問題も、力ではなく、国際法に基づいて、平和的・外交的に解決すべきであります。
そして、我が国の領土、領海、領空は、断固として守り抜く。強い決意を持って守り抜くことを、お誓い申し上げます。
現場では、夜を徹して、そして、今この瞬間も、海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が、任務に当たっています。極度の緊張感に耐えながら、強い責任感と誇りを持って、任務を全うする。その彼らに対し、今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか。
 
七 おわりに
先月、天皇陛下が、国民に向けておことばを発せられました。天皇陛下の御公務の在り方について、御年齢や御公務の負担の現状に鑑みる時、その御心労に思いを致し、有識者会議において国民的な理解の下に議論を深めていく考えであります。
(未来への架け橋)
橋を架ける。熊本の白糸台地は、江戸時代、水に乏しい不毛の大地でした。この困難の中に、布田保之助は、希望を見出しました。水路橋を架け、山から水を引く。高さ20mもの石橋は当時存在しませんでした。30億円を超える費用を捻出しなければならない。高い水圧、大雨、想定外の事態に何度も失敗しました。それでも、保之助は、決して諦めませんでした。30年以上にわたる挑戦の末に、「通潤橋」を完成させました。熊本地震で一部損壊したものの、今でも現役。150年にわたり白糸台地を潤し、豊かな実りをもたらしてきた。まさに「未来への架け橋」となりました。少子高齢化、不透明感を増す世界経済、複雑化する国際情勢、厳しい安保環境。我が国は、今も、様々な困難に直面しています。  私たちに求められていることは、悲観することでも、評論することでも、ましてや、批判に明け暮れることでもありません。建設的な議論を行い、先送りすることなく、「結果」を出す。私たちは、国民の代表として、その負託にしっかりと応えていこうではありませんか。憲法はどうあるべきか。日本が、これから、どういう国を目指すのか。それを決めるのは政府ではありません。国民です。そして、その案を国民に提示するのは、私たち国会議員の責任であります。与野党の立場を超え、憲法審査会での議論を深めていこうではありませんか。決して思考停止に陥ってはなりません。互いに知恵を出し合い、共に「未来」への橋を架けようではありませんか。
御清聴ありがとうございました。 
 
  
 
首相が所信表明 働き方改革実現に向け決意 9/26
安倍総理大臣は、衆参両院の本会議で所信表明演説を行い、あらゆる政策を総動員してアベノミクスを一層加速し、デフレからの脱却を目指す考えを示したうえで、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現など、安倍内閣の重要課題、働き方改革の実現に向けた決意を表明しました。また、天皇陛下が「生前退位」の意向がにじむお気持ちを表明されたことを受けて、有識者会議で国民的な理解のもとに議論を深めていく考えを示しました。
演説の冒頭、安倍総理大臣は、台風10号などで、北海道や東北を中心に大きな被害が出たことに触れ、防災・減災対策に取り組むとともに、熊本地震や東日本大震災からの復興を着実に進めていく考えを示しました。
そして安倍総理大臣は、「イギリスのEU離脱や、失速する新興国経済。世界経済は今、大きなリスクに直面している。あらゆる政策を総動員してアベノミクスを一層加速し、デフレからの脱出速度を最大限まで引き上げていく」と述べ、内需を下支えするため、事業規模が28兆円余りとなる経済対策を講じる考えを示しました。
また、安倍総理大臣は、この経済対策について、「キーワードは『未来への投資』だ。一億総活躍の『未来』を見据え、子育て支援や介護の拡充を進める」と述べました。
そのうえで、「一億総活躍の大きなカギは働き方改革だ。働く人の立場に立った改革、意欲ある皆さんに多様なチャンスを生み出す労働制度の大胆な改革を進める」と述べ、長時間労働の是正や「同一労働同一賃金」の実現、それに高齢者の就業促進などに向けた実行計画を、年度内に取りまとめる考えを改めて示しました。
また、安倍総理大臣は、大学などに進学する人を対象とした奨学金について、「来年度から、成績にかかわらず、必要とするすべての学生が、無利子の奨学金を受けられるようにする」と述べたほか、返済の必要がない給付型の奨学金の実現も急ぐ考えを示しました。
そして、安倍総理大臣は、先の通常国会から継続審議となっている、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の承認を求める議案について、臨時国会で早期成立を目指す考えを示したほか、農家の所得向上に向けた構造改革を進めるため、年内をめどに改革プログラムを取りまとめる考えを示しました。
また安倍総理大臣は、沖縄のアメリカ軍北部訓練場の一部返還に向けて、政府が、返還の条件となっているヘリコプター発着場の施設工事を進めていることについて、「北部訓練場の返還は本土復帰後、最大の返還だ。確実に結果を出すことによって沖縄の未来を切り拓いていく」と述べ、沖縄の基地負担の軽減に取り組む考えを強調しました。
外交面で、安倍総理大臣は、まず日ロ関係について「領土問題を解決し、平和条約がない異常な状態に終止符を打つ」と述べ、ロシアのプーチン大統領との会談を重ねることで、交渉の進展に意欲を示しました。
また中国とは『戦略的互恵関係』の原則のもと、関係改善を進めていく考えを示す一方、「東シナ海、南シナ海、世界中のどこであろうとも、一方的な現状変更の試みは認められない」と述べ、中国の海洋進出をけん制しました。
さらに北朝鮮が核実験などを繰り返していることについて、「国際社会への明確な挑戦だ」として、国際社会と緊密に連携して、断固として対応していく考えを示しました。
また、安倍総理大臣は、憲法改正をめぐり、「憲法はどうあるべきか、それを決めるのは政府ではなく国民だ。その案を国民に提示するのは、私たち国会議員の責任だ」と述べ、国会の憲法審査会で与野党の議論が深まることに期待を示しました。
一方、安倍総理大臣は、天皇陛下が「生前退位」の意向がにじむお気持ちを表明されたことを受けて、「天皇陛下のご公務の在り方について、ご年齢やご公務の負担の現状に鑑みるとき、そのご心労に思いを致し、有識者会議で国民的な理解のもとに議論を深めていく」と述べました。
 
 
 
菅官房長官「早期のTPP協定承認を」
菅官房長官は午後の記者会見で、「TPPが生み出す効果を1日も早く実現するために、わが国が率先して動くことによって、早期発効の機運を高めていきたいと思う。政府としては、早期のTPP協定の承認と関連法案の成立を求めていきたい」と述べました。
また菅官房長官は、憲法改正について、「政府の考え方は一貫して、『憲法審査会で大いに議論して国民世論が深まるのが大事なことだ』と常に言い続けているし、きょうの演説も全くそのことと一緒だった」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は、今後の憲法論議について、「自民党としては、将来のあるべき憲法の姿を世の中に政党として示している。野党として、憲法が今のままでいいのかどうかも含めて明らかにする中で、議論が深まれば国民に提示して判断を仰ぐのが、民主主義の基本ではないか」と述べました。
自民 二階幹事長「すばらしい演説」
自民党の二階幹事長は、記者会見で、「安倍総理大臣の、政権運営に対するなみなみならぬ決意を国民に訴えたもので、熱のこもった、すばらしい演説だった。これだけの支持率を誇る自民党を束ねる代表者だから、あれほどの迫力は、おのずから、体内からにじみ出るものがあるのだろうが、意気込みといい、国民に対する責任感といい、大変よかった」と述べました。
公明 山口代表「力が入っていた」
公明党の山口代表は、国会内で記者団に対し、「これまでの安倍政権の取り組みの成果を踏まえ、今後の具体的な目標をわかりやすく示していたし、強調したい所は具体例をまじえながら訴えていて、安倍総理大臣自身、力が入っていた」と述べました。
また、山口氏は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、「なぜ自分たちの生活や仕事に必要なのか、国民に実感を持ってもらうことが大事だ。アメリカ大統領選挙などを見て、なぜわが国がこのタイミングでTPPを締結することが大事なのか、丁寧に説明する必要がある」と述べました。
 
 
 
民進 蓮舫代表「総花的な内容」
民進党の蓮舫代表は、記者団に対し、「伝わるものが全くない総花的な内容だった。いったい何に重きを置いて、国民に何を伝えたいのかの思い入れが、今までで、最もなかった演説で残念だ。演説には、子どもの貧困や行政改革、女性の活躍の文字が全くなかったことも残念だ。安倍総理大臣の頭の中では夢のような社会が実現をしているようだが、私たちは現実をもっと見た提案をしっかりしていきたい」と述べました。
共産 志位委員長「不誠実な演説」
共産党の志位委員長は、記者会見で、「安全保障法制は、強行採決から1年たち、全面的な運用段階に入りつつあるのに、ただのひと言も、語らなかった。自分にとって都合の悪いことは一切語らずに隠し通す、大変不誠実な演説だった。安全保障法制やアベノミクス、それに、TPPや憲法など、国政の根幹の問題で、安倍政権がやろうとしていることは、どういう内容で、どこに問題点があるのかを追及し、対案を示す論戦をしていきたい」と述べました。
維新 馬場幹事長「内容があまりなかった」
日本維新の会の馬場幹事長は、記者会見で、「補正予算案は、経済対策の面で十分なものになっているとは思えず、規制緩和や行財政改革にも強い決意を感じる演説ではなかった。新産業の育成にも言及がなく、内容があまりなかった」と述べました。
また、馬場氏は、「自民党の一部の議員が立ち上がって拍手をしていたが異常な光景だ。落ち着いて真摯(しんし)に議論し合う状況ではなくやめるべきだ」と述べました。
生活 小沢代表「抽象的な言葉の羅列」
生活の党の小沢代表は、記者会見で、「言葉、文章は、大変きれいで、うまいものだったが、具体的には、あまり感心させられたところはない。特に外交は、『誰と会った』とか、『何か国訪問した』というだけで、具体的にどんな成果があったのかは全くなく、抽象的な言葉の羅列だった」と述べました。また、小沢氏は、「議場で、自民党議員が起立して拍手して、本人も拍手してというのは異様な光景だ。今まで日本の議会では見られないことで、ますます不安を感じた」と述べました。 
 
まるで北朝鮮 安倍首相所信表明に自民“総立ち拍手”の異様 9/27
「北朝鮮みたいだ」――と、小沢一郎氏が批判したのも当然だ。とうとう、この国は“将軍サマ”を個人崇拝する独裁国家のようになり始めている。
26日衆院本会議で行われた安倍首相の所信表明演説は異常だった。演説中、自民党議員が一斉に立ち上がり、力の限り、拍手を送ってみせたのだ。金正恩の演説に対して、北朝鮮の幹部たちが一心不乱に拍手する姿とウリ二つだった。
さすがに、自民党の補完勢力である日本維新の会の馬場幹事長まで「異常だ。異様な光景だ」と驚き、共産党幹部は「二十数年国会にいるが、ああいう光景は初めて見た。気持ち悪い」と漏らしている。異様なスタンディングオベーションは、演説の途中、安倍首相が自分で拍手し、その拍手に呼応する形で起きている。
「どうやら総立ちの拍手は、自然発生的に起きたようです。最初は『どうせ官邸が事前に振り付けをしたのだろう』と思ったのですが、指示はなかったと聞いた。でも、自然に起きた方が薄気味悪い。北朝鮮というより、ナチスのような感じでした」(野党関係者)
しかも、スタンディングオベーションは、安倍首相が愛国心を煽るような演説をした後、起きている。
〈わが国の領土、領海、領空は、断固として守り抜く〉〈現場では、夜を徹して、海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が、任務に当たっている〉〈彼らに対し、いまこの場所から、心からの敬意を表そうではありませんか〉と、安倍首相が呼びかけた後、発生している。政治学者の五十嵐仁氏はこう言う。
「独裁は歓呼と歓声の中から生まれます。安倍1強と指摘されてきたが、ついに一線を越えてしまったと思う。この先、安倍首相がスタンディングオベーションを促すたびに、自民党議員は応じざるを得なくなるでしょう。ひとりだけ立ち上がらないと白い目で見られてしまう。独裁体制は、こうして生まれます。しかも、ただでさえ社会がキナ臭くなっているのに、今回、自衛隊をたたえた後、起きている。非常に危険な構図です」
いずれ、全国民が北朝鮮のように「安倍首相、マンセー」と言わされる日が来るのではないか。  
 
もはや北朝鮮、安倍首相の所信表明「自民党議員の起立・拍手」の裏側! 見た目の異様さ以上に恐ろしい事態が 9/27
こいつはヒトラーか、金正恩にでもなったつもりなのか。昨日、衆院本会議で行われた安倍首相による所信表明演説をみて恐怖で鳥肌がたった。それくらい、あの光景は不気味なものだった。
国会中継を見ていない人のために、改めて経緯を振り返っておこう。それは、安倍首相が演説で北朝鮮の核実験問題を取り上げた後のことだった。いきなり陶酔的な口調で「我が国の領土、領海、領空は、断固として守り抜く。強い決意を持って守り抜くことを、お誓い申し上げます」と宣言した後、こう続けた。
「現場では夜を徹して、そして、いまこの瞬間も海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が任務に当たっています。極度の緊張感に耐えながら強い責任感と誇りをもって任務を全うする。その彼らに対し、いまこの場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」
安倍首相がそう言うと、自民党議員らが次々に立ち上がり、拍手を始めたのである。途中で安倍首相自身も拍手をはじめ、じつに10秒近く、拍手は続いた。途中で大島理森衆議院議長が「ご着席下さい」と注意しても、拍手は鳴り止まなかった。
首相の所信表明演説でこんなパフォーマンスが繰り広げられたのは、おそらく戦後の日本でははじめてだろう。ファシズムを想起させるこの異様な光景には、野党や一部メディアからもさすがに「まるで北朝鮮や中国共産党の党大会だ」「言論の府にふさわしくない」という批判の声が上がった。
しかし、このパフォーマンスには見た目の異様さ以上にもっと恐ろしい問題が隠されている。
そのひとつが、安倍首相が今回、“起立して拍手”を促す際、「海上保安庁、警察、自衛隊に敬意を表す」という大義名分を掲げていたことだ。これは明らかに、今後、起きる事態を想定したものだと考えられる。
「海保や警察のこともふれていましたが、安倍首相の演説の目的が自衛隊にあったことは明白です。これから先、自衛隊に『命をかけさせる』事態が起きるのは確実ですから、そのための地ならしをしたということでしょう」(全国紙政治部デスク)
「命をかけさせる」事態というのはもちろん、安保関連法に基づく「駆けつけ警護」の開始だ。自衛隊は、PKO派遣先の南スーダンでその新任務に初めてつく可能性が高いが、南スーダンは今、武力紛争状態にあり、自衛隊宿営地の目と鼻の先でも銃撃戦が繰り返されている。今月17日、稲田朋美防衛相はマラリア薬のアレルギー症状が出たという理由で直前になって南スーダン視察を“ドタキャン”したが、これも戦闘に巻き込まれる懸念があったためではないかとも言われているほどだ。当然、そのような場所で駆けつけ警護を行うことは、自衛隊員の命を奪う可能性が非常に高くなる。
安倍首相は今回の演説で、駆けつけ警護については一言も語らなかった。つまり、実際の危機が間近に迫っていることを巧妙に隠しながら、あらかじめ自衛隊員の“英雄化”をはかっておくことで、殉職者が出た場合の反発を最小限に押さえ込もうとしたのではないか、というのだ。
「他にも、安倍首相は将来、尖閣諸島をめぐる武力衝突や朝鮮半島への派兵なども念頭に入れているはずです。そのために、自衛隊員に敬意を表するポーズをとりながら、『国のために命を捧げるのは当然』という空気をつくりだそうとしているのでしょう」(前出・全国紙政治部デスク)
いずれにしても、今国会の所信表明演説で繰り広げられた事態は、まさに安倍政権による「戦争のできる国」「国民が国家のために命を投げ出す国」づくりの一環だった、そう考えるべきだろう。
さらにもうひとつ、今回のパフォーマンスで露わになったヤバいことがある。それは、安倍首相の呼びかけにほとんどの自民党議員が立ち上がり、一斉に拍手を送ったことだ。
「今回のパフォーマンスは、安倍さんの側近幹部や閣僚が手下の若手議員に事前に指令を出し、リードさせたものらしいですが、最終的にはほぼ自民党議員全員が立ち上がって拍手を送っていた。これは、今の自民党の状況をそのまま物語っているといえるでしょう。安倍首相の独裁体制が完全にできあがっていて、誰も逆らえない。若手議員はむしろ、政権中枢に取り入るために、率先してタカ派的姿勢、歴史修正主義的姿勢をアピールしている状態です」(政治評論家)
日本が戦後、ずっと自民党政権による一党支配が続いていたにもかかわらず、民主主義をかろうじて守れてきたのは、自民党内に保守からリベラルまで多様な意見があり、それがある種のバランス装置として機能してきたからだった。ところが、安倍政権下でそのバランス機能は完全に失われ、いまや自民党は“安倍サマの党”になってしまったのだという。
「この流れは、小選挙区比例代表制によって総裁が人事と金を握ることになったことから始まったもので、小泉政権時代にもあった。しかし、安倍首相はその流れをさらに陰湿なかたちでエスカレートさせています。とにかく自分たちに逆らう非主流を徹底的に干し上げ、ときには謀略で陥れ、党内の抵抗勢力を一掃してしまった。一方で、選挙では、自分たちに逆らわない議員、同じ極右的思想をもつ新人に率先して公認を出していった。こうした結果、二階(俊博)幹事長はじめ、かつては“面従腹背”といわれていた幹部も次々に安倍さんの軍門に下って、独裁体制ができあがったというわけです」(前出・政治評論家)
ようするに、いまの自民党は、安倍が自衛隊を戦地に送れと言えば、すぐに戦地に送る、憲法改正とをやると言えば、党を挙げてやる、そんな体制ができあがってしまっているということらしい。
しかも、恐ろしいのは、自民党でいま、この独裁状況を「総裁任期延長」によってさらに固めようという動きがあることだ。自民党の総裁任期は、連続2期6年までとなっているが、二階幹事長を中心に、それを連続3期9年あるいは無期限に変更する議論が始まっているのだ。
もちろん、この総裁任期延長も安倍首相の意向によるものだ。安倍は2013年、五輪の東京招致が決まった直後、側近記者に「東京五輪はオレが呼んだんだから、オレがやるのが当然だろう」と語っていたというが(「週刊ポスト」2016年9月16・23日号)、リオデジャネイロ五輪の閉会式では「東京で会いましょう」と堂々と宣言し、任期延長の野望を隠さなかった。
しかし、総裁任期が長期に及ぶことは、必ず党の私物化や専横、腐敗をうむ。だからこそ、多くの民主主義国家では、政権を担う政党の総裁任期に制限をもうけてきたし、自民党でもこの任期だけは厳格に守られてきた。支持率の高かった中曽根首相や小泉首相の時代ですら、任期延長は実現しなかった。ところが、安倍首相はそのタブーを破って、本当の独裁体制を築こうとしているのだ。
しかも、いまの自民党をみていると、これに反対している有力議員は石破茂、小泉進次カ、岸田文雄外相くらいしかおらず、延長は確実な情勢だ。「任期無期限」になりそうな気配さえ漂っている。
ヒトラーというのはさすがにオーバーかもしれないが、このままいけば、安倍首相がロシアのプーチン大統領並みの独裁者になる可能性は極めて高い。その意味でも、昨日国会で繰り広げられたものは、たんなるパフォーマンスではない。明日の日本の政治を先取りした光景なのだ。 
 
 
 
全国紙は平気で嘘をつく 10/5
安倍首相は9月26日の所信表明演説において、「これからの成長の主役は、地方。目指すは世界」として環太平洋連携協定(以下、TPP)の早期発効への期待感を表した。この点、すなわちTPPについて新聞各紙が9月26・27日の社説やそれに類する紙面で、どのような論評を下したかを検討するのが今回のテーマである。
岡山県立図書館にある地方紙29紙と全国紙5紙を閲覧した結果、TPPに言及していたのは地方紙19紙、全国紙2紙であった。なお、福島民友と福島民報は未着、新潟日報、岩手日報、産経新聞は両日で取り上げていた。
地方紙は、拙速なTPP発効を危惧して慎重審議を求めており、TPPに期待を寄せ早期発効を求めたものは皆無であった。
首相の「前のめり」危惧≠ニいう見出しの中国新聞(27日)は、「大筋合意から1年が経過したのに暮らしに与える影響について説明が尽くされたとは言いがたい。特に農業従事者の疑問は解消されていない。農業分野の関税では、...日本の大幅譲歩が明らかになった。にもかかわらず政府は情報開示に後ろ向きで、交渉経過については口を閉ざす。加えてTPP発効に伴う経済効果や影響試算の妥当性については疑問点が残ったままだ。これでは法案成立以前の段階であろう」と手厳しく、「農家の懸念が現実となるような問題も浮上した」として、国が管理する輸入米入札、いわゆるSBSを巡る不透明な取引を指摘し、それが事実なら、新たな輸入枠が設けられても国産米価格への影響を「ゼロ」と試算してきた前提が崩れ、政府の説明の信頼性が揺らぎかねない、としている。さらに、米大統領選で、クリントン、トランプ両候補がTPPに否定的な姿勢を示しているのにもかかわらず、日本だけ先行して今国会の承認にこだわる必要はないとしたうえで、「強引な採決などもってのほかだ」としている。
岩手日報(27日)と河北新報(26日)も同様な論調でSBS問題を指摘するとともに、岩手日報は、共同通信社の世論調査で、TPPに関して7割が「慎重な審議」を望んでいることからも、「米国の動向が不透明で、政府への疑念も晴れない以上、今国会での承認にこだわるべきではない」とした。河北新報も、「与党多数を背景にした強行採決など断じてあってはならない」としたうえで、「TPP熟議国会」であることを期待している。強行採決に釘を刺しているのは少なくない。愛媛新聞(27日)が「特定秘密保護法や安保法の強行成立で見せた強引な手法を繰り返すことは、決して許されない」、西日本新聞(27日)が「与党の公明党には自民党の「行き過ぎ」を政権内でチェックするブレーキ役を期待したい」としている。

地方紙でのこのような慎重論に対して、全国紙では発効積極論が目立っている。
「どれだけ本気で発効させたいのか。日米両国から強い覚悟を感じ取ることができない」と、檄を飛ばしているのが産経新聞(26日)である。米大統領選で民主、共和両党候補がいずれもTPP批准に反対し、発効が危ぶまれていることから、今訪米時に「安倍首相がTPPを成長戦略の柱に据えると考えているなら、米国内の保護主義の高まりに強い懸念を発信すべきだった」が、オバマ大統領と直接、発効への決意を確認する作業が抜け落ちていた、と無念さを滲ませたうえで、「自由貿易を重視し、成長につなげる意義を、首相には国内でも明確に語ってもらいたい」と、注文をつけている。さらに翌27日には、「数の力」を改革に向けよ≠ニいう見出しで、「参院選勝利を経て、政権基盤はより強固になった。指導者にはその力を改革の遂行に向けることが求められる」とし、「国民に不人気な政策、痛みを伴う政策であっても必要性を説き、推し進めることこそ、安定政権に課された課題である」と再度の檄を飛ばすとともに、「TPPの発効に向け、承認案の成立にどれだけ力を注ぐのかも焦点だ」と迫っている。
やや手が込んでいるのが読売新聞(27日)である。「所信表明演説」と銘打たれたところでは、「TPPは成長戦略の柱の一つである。今国会で確実に承認すべきだ」と結論のみ。ところが、「農業とIT」と銘打たれたところでは、「日本が得意とするハイテク技術を生かし、生産性の低い農業の国際競争力を高めたい」との書き出しから、IT化が進めば、収益性が高まり農業が成長産業になり、若者や企業など多様な担い手が呼び込めて、輸出競争力も一段と引き上げられる、と春風が吹けば桶屋が儲かる的なIT春風論≠展開している。もちろん、構造改革による大規模化や中核的農家への支援集中、さらには規制緩和によって企業参入のハードルを下げること、といった条件を付すことも忘れてはいない。

地方紙と全国紙、真逆ともいえる論調、まさにどっちやねん≠ニいったところである。例えば、今回のような真逆の内容の地方紙と全国紙を読み比べたとき、地方在住の読み手は、全国紙が国民全体の総意を表し、地方紙の見解はあくまでもわが地域独特の少数意見だろう、と思うはずである。しかし、各地方の民意を丹念に集めたものが地方紙の社説となっているとすれば、国民の総意は地方紙総体にあらわれていると判断すべきである。
そのような視点から全国紙を読み返せば、そこにあるのは市井の人々の息づかいを映し出したものではなく、まったく異なる世界の住民の鼻息だけをうかがったものである。気鋭のジャーナリスト堤未果氏的に表現すれば、「全国紙は平気で嘘をつく」。
日本農業新聞(27日)のコラムのオチは「巧言令色、鮮(すくな)し仁」であった。巧言を弄する代表的政治家は安倍首相とJr.小泉。そして今回、全国紙にもその傾向があることが明らかとなった。巧言といえば、「巧言乱徳」という「表面を飾った聞こえのよい言葉は、是非を問わずに聞きいれられてしまいがちだから、道徳を乱すおそれがつよい」ことを意味する四字熟語もある。
自民党二階幹事長は27日の代表質問中に野党側からやじを受け「黙って聞け」と発言(今度は、ヤジ首相に対しても、この苦言を呈していただきたい)、その二階派総会では、福井照衆院議員がTPP承認案に関して、「西川公也先生の思いを強行採決という形で実現するよう頑張らせていただく」と、地方紙の多くが禁じ手とした強行採決を臆面もなく宣言する始末。まさに乱徳の極み。
地方紙に代表される「地方の眼力」を、謙虚に学ぶべき時が来た。
 
 
 
 
 

 
2016/10