G7 世界経済の現状認識 不一致

世界経済の冷え込み
引き合いに出された「リーマンショック」

世界経済の現状認識
原因は別物 当然 これからの展開・対応も別物
不一致 当り前
 


G7伊勢志摩首脳宣言(2016/5/27) 
 
 
 
 
 
財政出動
もう日本で効果のない手法を なぜ
アリバイ作り
消費増税の再延期
借金地獄 国家破綻
ヨーロッパのどこかの国の二の舞
そのころ間違いなく 安倍さん首相引退
馬鹿な台本を書いたお役人も 退官退職金で左団扇
アベノミクス 三本の矢
最初の一本 円安株高誘導 大成功
海外投資家に大貢献
自慢のグラフ お忘れに
( 2008 リーマンショック / 2012 矢を射る)
 
NYダウ [10年]
 
日経平均 [10年] 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
2016/5
 
 
 
 
 
 
 
G7 伊勢志摩首脳宣言 2016/5/27 
 
前文
我々G7 首脳は、地球規模の経済的及び政治的な主要課題に対処するため、2016 年5 月26 日及び27 日に伊勢志摩で会合を開催した。世界的な成長は、低成長のリスクが残る中、依然として緩やかであり、かつ、潜在成長力を下回っている。拡大した地政学的な紛争、テロ及び難民の流れが、世界の経済環境を複雑にしている。暴力的過激主義、テロリストによる攻撃及び他の諸課題の増大は、既存のルールに基づく国際秩序並びに全人類に共通する価値及び原則に対する深刻な脅威をもたらしている。
G7 は、これら諸課題に対処するための国際的な取組を主導する特別な責任を有する。我々は、自由、民主主義、法の支配及び人権の尊重を含む共通の価値及び原則によって導かれるグループとして引き続き結束する。さらに、我々は、持続可能な開発のための2030 アジェンダ(2030 アジェンダ)及び気候変動に関するパリ協定の昨年の採択に続き、我々のコミットメントを実施するために更に努力する。我々は本日、経済、安全保障及び開発に関する広範な政策的項目について、目に見える進展を遂げるための我々の能力を発揮し、また、世界の平和、安全及び繁栄を確保するための主要な課題の解決に向けた道筋を、我々の行動を通じて明示する。 
 
G7 伊勢志摩経済イニシアティブ 
我々は、より強固な長期の世界的成長の基盤を整えつつ、現在の経済的諸課題に共同で対処することを誓約する。これに従い、我々は、強固で、持続可能な、かつ、均衡ある成長の達成に貢献するための対応として、以下の諸分野において我々のコミットメントを発展させた。
○ 世界経済
世界の成長は、我々の喫緊の優先事項である。我々は、国別の状況を考慮しつつ、強固で、持続可能な、かつ、均衡ある成長軌道を速やかに達成するため、我々の経済政策による対応を協力して強化すること及びより強力な、かつ、均衡ある政策の組合せを用いることにコミットする。
我々は、債務を持続可能な道筋に乗せていくための取組を継続しつつ、世界的な需要を強化し、供給側の制約に対処するため、全ての政策手段―金融、財政及び構造政策―を個別的にまた総合的に用いるとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、強固で、持続可能な、かつ、均衡ある成長を達成するための我々の取組を強化することに対する3 本の矢のアプローチ、すなわち相互補完的な財政、金融及び構造政策の重要な役割を再確認する。
我々は、強じん性を高め、債務残高対GDP 比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、経済成長、雇用創出及び信認を強化するため我々の財政戦略を機動的に実施し、及び構造政策を果断に進めることに関し、G7 が協力して取組を強化することの重要性について合意する。我々は、成長、生産性及び潜在産出量を増加するために構造改革を進展させること並びに構造的な課題への対処に際して自ら模範を示すことにコミットしている。我々は、環境、エネルギー、デジタル・エコノミー、人材育成、教育、科学及び技術など、経済成長に資する分野への更なる投資にコミットする。
○ 移民及び難民
G7 は、現在進行中の移民及び難民の大規模な移動を、世界的な対応をとる必要がある地球規模の課題として認識する。我々は、難民、その他の避難民及びその受入れコミュニティの即時の及びより長期的なニーズに応えるための世界的な支援を増加することにコミットする。G7 は、国際金融機関及び二国間ドナーに対し、資金的及び技術的な支援を促進することを奨励する。
○ 貿易
我々は、労働者、消費者及び企業のための経済的な機会を創り出すために貿易を活用することにコミットしている。我々は、我々の開かれた市場を維持すること及びあらゆる形態の保護主義と闘うことへのコミットメントを再確認する。我々は、自由貿易を更に促進するため、ルールに基づく多角的貿易体制を強化し、WTO における交渉を促進することにコミットする。我々はまた、環太平洋経済連携協定(TPP)、日EU 経済連携協定(EPA)、環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)及び包括的経済貿易協定(CETA)を含む地域的な貿易協定を通じての貿易の自由化努力を奨励する。我々は、工業部門、特に鉄鋼における世界的な過剰生産能力は、世界的な影響を伴う差し迫った構造的課題であり、この問題は、市場を歪曲する措置を取り除き、もって市場の機能を高めることを通じて、緊急に対処する必要があると認識する。
○ インフラ
我々は、世界の需給ギャップに対処するため、「質の高いインフラ投資の推進のためのG7 伊勢志摩原則」を支持し、我々自身のインフラ投資を同原則に沿ったものとするよう努める。我々は、さらに、国際金融開発機関(MDBs)を含む関連するステークホルダーに対し、それら機関のインフラ投資及び支援を同原則に沿ったものにすることを奨励する。
○ 保健
我々は、経済的繁栄及び安全保障の基盤となるであろう「国際保健のためのG7 伊勢志摩ビジョン」に詳述されている、国際保健を前進させるための具体的な行動をとることにコミットする。我々は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を促進し、並びに我々の経済に深刻な影響を与える可能性がある公衆衛生上の緊急事態及び薬剤耐性(AMR)への対応を補強することを主導するよう努めることにコミットする。我々はまた、これら及びその他の保健分野において、研究開発(R&D)及びイノベーションを促進することを強調する。
○ 女性
我々は、全ての女性及び女児がエンパワーされ、持続可能で、包摂的で、かつ、公平な経済成長に積極的に携わる社会の創出にコミットする。我々は、教育や訓練などの能力構築によることのほか、科学、技術、工学及び数学(STEM)分野における女性の積極的役割の促進によることを含め、女性及び女児をエンパワーすることにコミットする。我々は、我々の行動のための共通の指導原則として、「女性の能力開花のためのG7 行動指針」を支持する。
○ サイバー
我々は、経済成長及び繁栄のための一つの不可欠な基盤として、アクセス可能で、開かれた、相互運用可能な、信頼できる、かつ、安全なサイバー空間を強く支持する。我々は、革新的なビジネス・モデル及び安価で、普遍的な、かつ、質の高い情報通信技術(ICTs)へのアクセスを可能にし、並びにデジタル・リテラシーを向上させるため、デジタル・デバイドを埋めることにより、生活の質の向上のためのデジタル導入を促進する。我々は、「サイバーに関するG7 の原則と行動」を支持し、断固たる行動をとることにコミットする。
○ 腐敗対策
腐敗と戦うための我々の集団的及び個別的行動は、経済成長、持続可能な開発並びに平和及び安全の維持にとり決定的に重要である。我々は、公共調達の透明性を改善し、財政的な透明性を向上させ、腐敗対策のための能力を強化し、及び法執行に関する協力を強化するための措置をとることを決意する。我々は、腐敗防止に関するグローバルな計画を前進させるに際して自ら模範を示すための我々のコミットメントとして、「腐敗と戦うためのG7 の行動」を支持する。
○ 気候
G7 は、引き続き指導的な役割を担い、パリ協定の可能な限り早期の批准、受諾又は承認を得るよう必要な措置をとることにコミットするとともに、2016 年中の発効との目標に取り組みつつ、全ての締約国に対し、同様の対応を求める。我々は、更なる野心を時間の経過とともに促進しつつ、自国が決定する貢献を、早期に透明性をもって、かつ、着実に実施することで先導することにコミットする。また、我々は、5 年ごとに行うグローバルな評価手続の定期的な検証に積極的に参加することにコミットする。我々は、2020 年の期限に十分先立って今世紀半ばの温室効果ガス低排出型発展のための長期戦略を策定し、通報することにコミットする。
○ エネルギー
我々は、パリ協定の実施のためにエネルギー・システムが担わなければならない役割の重要性を認識しつつ、世界経済の非炭素化を可能にするエネルギー・システムへの転換に向けた取組を加速することを決意し、温室効果ガスの削減を伴う経済成長を確保するため、エネルギー技術におけるイノベーションの支援並びにクリーンなエネルギー及びエネルギー効率の奨励に更に投資することにコミットする。我々はまた、現在のエネルギー価格水準によって増大する不確実性に直面し、エネルギー投資、特に質の高いエネルギー・インフラ及び上流開発における投資の促進において、主導的役割を果たすことにコミットする。 
 
世界経済 
世界経済の状況
世界経済の回復は続いているが、成長は引き続き緩やかでばらつきがあり、また、前回の会合以降、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まってきている。近年、世界的な貿易のパフォーマンスは、期待外れの状況にある。弱い需要及び未対応の構造的な問題が、実際の及び潜在的な成長に負荷を与えている主な要因である。非経済的な由来による潜在的なショックが存在する。
英国のEU からの離脱は、より大きな国際貿易及び投資に向けた傾向並びにこれらが生み出す雇用を反転することになり、成長に向けた更なる深刻なリスクである。悪化した地政学的な紛争、テロ及び難民の動きは、世界の経済環境を複雑にする要因である。我々は、新たな危機に陥ることを回避するため、経済の強じん性を強化してきているところ、この目的のため、適時に全ての政策対応を行うことにより、現在の経済状況に対応するための努力を強化することにコミットする。 
政策的対応
このような背景に照らし、我々は、各国の状況に配慮しつつ、強固で、持続可能な、かつ、均衡ある成長経路を迅速に達成するため、我々の経済政策による対応を協力して強化すること及びより強力な、かつ、均衡ある政策の組合せを用いることにコミットする。我々は、必要に応じて短期的及びより長期的な成長を支えるため、強固な政策的対応を講じる用意がある。我々は、債務を持続可能な道筋に乗せていくための取組を継続しつつ、世界的な需要を強化し、供給側の制約に対処するため、全ての政策手段-金融、財政及び構造政策-を個別にまた総合的に用いるとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、強固で、持続可能な、かつ、均衡ある成長を達成するための我々の取組を強化することに対する3本の矢のアプローチ、すなわち相互補完的な財政、金融及び構造政策の重要な役割を再確認する。我々は、成長が、包摂的で、多くの雇用を伴い、かつ、我々の社会の全ての層の利益となることを確保することに引き続きコミットしている。
金融政策当局は、そのマンデートと整合的に、非伝統的な金融政策も含め、経済回復及びデフレ脱却を支援することにコミットしてきた。しかしながら、金融政策のみでは、強固で、持続可能な、かつ、均衡ある成長に繋がらない。
我々は、強じん性を高め、債務残高対GDP 比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、経済成長、雇用創出及び信認を強化するため我々の財政戦略を機動的に実施し、及び構造政策を果断に進めることに関し、G7 が協力して取組を強化することの重要性について合意する。これにより、我々が、新たに生じつつあるリスク並びに緊急の社会的及び人道的ニーズに対応することも可能となる。
我々はまた、質の高い投資を支える支出を重点化することを含め、税制及び公共支出を、できるだけ成長に配慮したものにしている。我々は、生産性、雇用、包摂性及び成長を支えるため、我々の歳出及び歳入の構成を考慮する。我々は、我々の財政的及び構造的政策が持続可能な社会保障サービスを支え、当該サービスが我々に共通の人口動態に関する課題への対処に寄与することを確保することにコミットする。我々は、適切な水準の公共投資を確保することを意図するとともに、民間部門との連携による資源の効果的な動員によることを含め、不足に対処するための質の高いインフラ投資を促進する。我々は、環境、エネルギー、デジタル・エコノミー、人材育成、教育、科学及び技術など、経済成長に資する分野への更なる投資にコミットする。
我々は、成長、生産性及び潜在産出量を増加するために構造改革を進展させること並びに構造的な課題への対処に際して自ら模範を示すことにコミットしている。労働市場改革は、我々の経済のいくつかにおいて引き続き重要である。我々は、女性、若者及び高齢者による労働市場参加を推進し、また、雇用の機会と質を改善することにコミットする。我々は、柔軟性、包摂性及び失業者に機会を提供することを確保するため、積極的な労働市場政策を促進することにコミットする。
我々は、物価安定を達成することの重要性を認識し、賃金の動態が生産性と整合的であるべきことを強調する。我々は、企業がその収益を生産的な形で投資及び賃金に回すことを支える強固なコーポレート・ガバナンスの枠組みを確保することにコミットする。我々は、新たな企業参入に対する障壁を下げることを含め、競争、起業家精神及びイノベーションを促進している。イノベーションは、持続可能な成長を実現するために極めて重要である。競争はイノベーションの源であり、我々は、知的財産権を保護することにコミットする。
我々は、工業部門、特に鉄鋼の世界規模での過剰な生産能力は、世界的な影響を有する構造的な課題であることを認識する。
我々は、為替レートは市場において決定されること及び為替市場における行動に関して緊密に協議することという我々の既存の為替相場のコミットメントを再確認する。我々は、我々の財政・金融政策が、国内の手段を用いてそれぞれの国内目的を達成することに向けられてきていること、今後もそうしていくこと、そして我々は為替レートを目標にはしないことを再確認する。我々は、全ての国が通貨の競争的な切り下げを回避することの重要性を強調する。我々は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを再確認する。
安定的で強じんな国際金融アーキテクチャーは、経済及び金融の安定のために極めて重要である。我々は、2010 年のIMF クォータ・ガバナンス改革の発効を歓迎し、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMF への我々のコミットメントを再確認する。 
金融規制
我々は、持続的な経済成長という我々の目標の達成に資する、G20 金融セクター改革の課題の、適時の、完全な、かつ、整合的な実施を支持するというコミットメントを改めて表明する。我々はまた、規制改革の課題の主要な要素の最終化に引き続きコミットする。我々はまた、銀行セクターにおける資本賦課の全体水準を更に大きく引き上げることなく、バーゼルV枠組みの一貫性を確保し、有効性を最大化するため、その枠組みの要素を改良するバーゼル委員会の作業に対する支持を再確認する。我々は、シャドーバンキング、資産運用業及びその他の市場型金融活動に関連するものを含め、金融システムにおいて生じつつあるリスク及びぜい弱性を引き続きしっかりと監視し、必要に応じ対処する。我々は、各国・地域及び各資産クラスにおける市場流動性の変化の程度、原動力及び予想される持続性を包括的に評価し、必要に応じ政策手段を検討するという、他の基準設定主体と協力した金融安定理事会(FSB)の作業を歓迎する。
我々はまた、重大で意図せざるいかなる影響にも対処することを含め、改革の実施と影響の監視を、我々の全体的な目的とそれらとの整合性を確保するため、引き続き向上させる。この点に関し、我々は、関連する改革の複合的な影響及びセクターを越えた相互作用を含む、G20 金融規制改革の影響分析を向上させるためのFSB 及び基準設定主体による作業を歓迎し、規制改革の実施及び影響に関するFSB の第2 回G20 向け年次報告を期待する。我々は、技術的に可能となった金融イノベーションの、金融の安定性及び市場の健全性に対する潜在的な影響を管理しつつ、それらイノベーションの経済的利益を享受する考えである。我々は、金融分野におけるサイバーセキュリティを促進し、G7 各国間での協力を強化するための、この分野のG7 サイバー専門家グループの作業を歓迎する。我々はまた、G20/OECD のコーポレート・ガバナンス原則の効果的な実施を歓迎し、支持する。特に、我々は、その原則の評価メソドロジーの策定を期待する。 
租税及び透明性
G20/OECD 税源浸食と利益移転(BEPS)パッケージの着実な、一貫性ある、かつ、足並みを揃えた実施は、税制への市民の信頼を回復させ、経済活動に従事する全ての者にとって、世界的に公平な競争条件を達成するために極めて重要である。我々は、模範を示しつつそのプロセスをリードすることに引き続きコミットする。我々は、BEPS パッケージの幅広い実施を確保するため、全ての関連し、関心のある国・地域がBEPS パッケージの実施にコミットし、かつ、新たな包摂的枠組みの第1 回会合が6 月に京都で開催されることに留意しつつ、その枠組みに参加することを奨励する。
税に関する情報の透明性向上を通じて税制に対する市民の信頼を回復するため、我々は、全ての金融センター及び国・地域を含む全ての関連する国による自動的情報交換に係る基準の、コミットした期限までの実施及び多国間条約への署名のG20 による呼びかけ並びにOECD に対する「税の透明性に関する非協力的地域を特定するための客観的基準」の策定の要請を再確認する。
これらの行動は、非協力的国家・地域に対して検討され得る防御的措置の可能性と併せて、全ての関連する国・金融センターによる、税の透明性に関する合意された基準の実施へのコミットメントの確保を助ける。
我々は、世界的に競争条件を公平にするためには、途上国の税制や税務行政に関する能力強化が不可欠であると認識する。我々は、この分野における支援の量と質の双方を向上させるため、アジス税イニシアティブの諸原則にコミットしており、その他の国に対しても、同様のコミットメントを奨励するとともに、開発途上国、先進国及び関連機関が定期的に情報や知見を共有できる機会を提供するために、「税に関する協働のためのプラットフォーム」が積極的に活用されることを求める。
法人及び法的取極の実質的所有者の透明性の改善は、腐敗、脱税、テロリストへの資金供与及び資金洗浄のためにこれらの主体や取極が悪用されることを防止するために極めて重要である。我々は、透明性に関する国際基準の履行にコミットし、全ての国・地域に対し、そのようにするよう求める。この点について、我々は、金融活動作業部会(FATF)及び税の透明性と情報交換に関するグローバル・フォーラムが、 10 月のG20 財務大臣・中央銀行総裁会議までに提示することとなっている、実質的所有者情報の入手可能性及びその国際的な交換に関するものも含む、国際基準の履行改善のための方法についての初期提案に期待する。 
貿易
貿易及び投資は、成長、我々の国民の繁栄及び世界的な持続可能な開発の達成の主要な原動力である。それは、広範な物品及びサービスへの我々のアクセスを可能にし、競争力を向上させ、それによって投資を呼び込み、雇用創出及び改善された生活水準に繋がる。我々は、国際的に認められた、労働、社会及び環境上の基準が、世界的なサプライ・チェーンにおいてより良く適用されるよう引き続き努力する。
我々は、労働者、消費者及び企業のための経済的な機会を創り出すために貿易を活用することにコミットしている。このような高度に相互に関連し合う世界経済において、保護主義は、負の影響しか生み出さない。我々は、我々の開かれた市場を維持すること並びにスタンドスティル及びロールバックによることを含むあらゆる形態の保護主義と闘うとの我々のコミットメントを再確認する。
我々は、貿易及び投資に対する障壁を削減すること並びに我々の経済を自由化することによって競争力を向上させることに引き続きコミットしている。我々は、公的輸出信用を含む全ての分野において公平な競争条件を確保することの重要性を認識し、また、この点に関し、我々は、公的に支援された輸出金融の指針を策定するための国際作業部会に対する我々の支持を改めて表明するとともに、全ての参加者に対し、積極的な関与を通じて実質的な進展を追求することを奨励する。
我々は、特に鉄鋼の世界規模での過剰生産能力が、我々の経済、貿易及び労働者に与える負の影響を認識する。特に、我々は、海外へ生産能力を拡大するために与えられる支援を含め、市場を歪曲し、世界規模の過剰生産能力を助長する、政府及び政府によって支援された機関による補助金その他の支援について懸念している。我々は、このような補助金等の支援を特定し、その排除を求める協調的な行動によることを含め、市場機能を向上させること及び調整を奨励することによってこの問題に対処する措置をとるにあたり、速やかに行動することにコミットしている。この点に関し、我々は、OECD その他のフォーラムなどの場を活用しつつ、他の主要な生産国と協議するとともに、必要に応じ、かつ、WTO ルールの規則及び規律と整合的な形で、我々の権利を行使するための広範な貿易政策上の措置及び行動を検討する用意がある。我々の専門家は、この問題によって影響を受けている他の国と協力しつつ、引き続き行動を調整する。
我々は、WTO で具現化されている、ルールに基づく多角的貿易体制が、強固で、繁栄した世界経済の構築を支えてきたことを強調する。我々は、WTO の機能を、交渉、紛争解決及び監視に係るものを含め、引き続き強化する。我々は、ナイロビにおけるWTO 閣僚会議の成功裡の結果を歓迎し、最近の閣僚会議において達成された成果を確固たるものとするため、貿易円滑化協定の2016年末までの速やかな発効及び「貿易のための援助」に対する協調的なアプローチによることを含むその完全な実施並びに合意されたとおりの情報技術協定(ITA)拡大の実施を求める。我々は、未来志向の協定を念頭に、9 月のG20 杭州サミットまでに、広範な環境製品に対する障壁を撤廃する、野心的な環境物品に関する協定(EGA)の妥結を目指す。我々はまた、 2016 年末までに、野心的で、バランスのとれた、かつ、互恵的な新サービス貿易協定(TiSA)について交渉を妥結することを期待する。同時に、我々は、様々なフォーラムにおける我々のパートナーとの前向きなポスト・ナイロビ協議を促進し、未解決の及び新たな課題並びに新たな形式の交渉に対処する。デジタル技術及びグローバル・バリュー・チェーンが世界的な物品、サービス及び投資の動きを変革する中、我々は、全てのWTO 加盟国に対し、WTO が中小企業(SMEs)を含む民間部門及びその他ステークホルダーのニーズに対応するよう建設的に取り組み、かつ、切迫感をもってジュネーブにおける交渉を再開することを呼びかける。より多くの途上国がこの変わりつつある環境からの利益を享受し始めてきている中、我々は、成長及び開発に対する貿易の積極的な役割に新たな光を当てる必要性を認識するとともに、OECD 及びその他国際機関による有益な取組に期待する。
我々は、多角的貿易体制の有益な補完及び礎石として、様々な形態による貿易自由化の取組を奨励する。TPP の署名は、アジア太平洋地域の共通の貿易ルールの土台を構築し、貿易を統合するための重要なステップであり、我々は、各TPP 署名国に対し、国内手続を完了することを奨励する。我々は、2016 年のできる限り早期に、包括的で、レベルの高い、かつ、バランスのとれた日EU・EPA について大筋合意に達することに向けた、日本とEU の強固なコミットメントを歓迎する。
我々は、できる限り早期に環大西洋経済の潜在成長力を活用することを視野に入れ、野心的で、包括的で、高い水準で、かつ、互恵的なものであるならば、本年にもTTIP の合意に達するため、必要な政治的意思を傾注することにコミットしている。我々は、CETA に本年署名するとのカナダ及びEU の共通のコミットメントを歓迎する。我々は、カナダ及びEU に対し、できる限り早期にCETAを発効させることを奨励する。 
インフラ
インフラ投資の世界的な需給ギャップは、雇用創出を含む現在の成長及び世界が直面している開発課題にとって深刻なボトルネックである。量的な面での効果的な資金の動員が不可欠であることを認識しつつ、我々は、質的な側面を欠いた投資は、より高額のライフサイクルコスト、より低い耐久性、不公平な分配効果、大きな負の環境的及び社会的影響並びに自然災害及び気候変動による影響に対するぜい弱性を有するインフラを導入する結果となり得ることを強調する。したがって、我々は、生産性の向上に対する重要な貢献を伴って、強固で、持続可能な、かつ、均衡ある成長を促進し、我々の社会における強じん性を向上させるとともに、2030 アジェンダ、パリ協定及びアディスアベバ行動目標において特定されているものを含む開発課題に対処することにより、持続可能な開発を前進させるための世界的な取組に貢献するため、政府、国際機関及び民間部門を含むステークホルダーが、質の高いインフラ投資の推進を通じて現存するギャップを埋めるために一貫して取り組むことが極めて重要であることを再確認する。
そのような質の高いインフラ投資を推進するため、我々は、附属書に規定されたとおり、我々自身のインフラ投資を、「質の高いインフラ投資の推進のためのG7 伊勢志摩原則」に沿ったものとするよう努める。我々は、さらに、関連するステークホルダー、具体的には政府、MDBs を含む国際機関及び民間部門に対し、PPP プロジェクトのように、価格に見合った価値及びインフラの質を完全に考慮した、透明性があり、競争的な調達手続の導入及び促進を含め、インフラ投資及び支援を同原則に沿ったものにすることを奨励する。 
保健
我々は、個人のみならず国家にとっても、保健が繁栄及び安全保障の基盤であることを強調する。2030 アジェンダの歴史的な採択が行われた後初のG7サミットであるこの節目において、我々は、全ての段階における健康的な生活及び全ての個人のための健康安全保障を確保し、かつ、国家の包摂的な経済成長を促進する、そこに盛り込まれた保健関連の持続可能な開発目標(SDGs)を実施することに完全にコミットしている。この点において、我々のリーダーシップがかつてないほどに必要とされている。UHC は、全ての保健目標を支える包括的な枠組みを提供する。UHC を達成するため、保健システムは、強固で、強じんで、持続可能であり、かつ、その対象となる人々の現在及び将来のニーズに応えるものであることが必要である。このことは、女性、子供及び青少年の精神的及び身体的な健康を促進すること、いかなる種類の差別もなく、性と生殖に関する健康及び権利を確保すること並びに栄養不良及び環境的な要因及び高齢化によるものを含む感染症及び非感染性疾患に対処することを含むが、これらに限定されない。
我々は特に、「健康危機に対する世界的な対応に関する国連ハイレベルパネル」による取組を含め、世界中の広範囲の専門家から提供された知見を通じて、エボラ出血熱の流行から教訓を学びつつ、保健システムが、強じんであり、かつ、パンデミックその他の深刻な事態のような地球規模の公衆衛生上の脅威に対応し、より良く備え、及びこれを予防する能力を備える必要があることを認識する。公衆衛生上の緊急事態に対する迅速かつ効果的な対応はまた、世界保健機関(WHO)改革、迅速な対応のための速やかな拠出を可能にする資金調達メカニズム、関連するステークホルダー及びシステムの間における行動の協調的な実施並びに国際保健規則(IHR)のより良い実施を必要とする。
我々は、UHC に向けた取組や成果、保健システム強化(HSS)並びに公衆衛生上の緊急事態に対する準備や対応が、AMR によりもたらされる重大な脅威によって、更に危機にさらされていることに留意する。我々はまた、これらのほか、顧みられない熱帯病及び貧困に起因する感染症並びに高齢化に関連する状態のような保健分野において、既存の治療法を維持・展開し、また、新たな治療法を発見するためのR&D 及びイノベーションの重要性及び貢献を認識する。
これらの点を念頭に、我々は、別添に示されているとおり、「国際保健のためのG7 伊勢志摩ビジョン」に詳述されている以下の分野において、具体的な行動をとることに特にコミットする。我々はまた、我々の保健大臣に対し、9 月の神戸での会合において、これらの分野に関して必要な行動につき更に詳しく検討するよう指示する。 
公衆衛生上の緊急事態への対応強化のためのグローバル・ヘルス・アーキテクチャー(国際保健の枠組み)の強化
エボラ出血熱の流行が大規模流行となった原因の一部として、関係するステークホルダー間の迅速かつ協調した行動の欠如があったことを認識し、我々は、既存の組織を強化することにより、グローバル・ヘルス・アーキテクチャーの強化を主導することにコミットする。
我々は、公衆衛生上の緊急事態に対する、より迅速で、効果的かつ協調的な対応を可能にし、また、支援するための、当該アーキテクチャーにおけるWHO の中心的な役割を再確認する。この観点から、我々は、WHO 本部、地域事務局及び国別事務所の3つのレベルを通じて「One WHO」アプローチをとることを含め、適時に、及びその必要な資源を認識しつつ、WHO が緊急及び広範な改革を実施することを強く求め、かつ、支持する。我々はまた、公衆衛生上の緊急事態に対する適切な対応を確保するため、十分な、責任ある、かつ、適時の資金拠出が極めて重要であることを強調する。この関連で、我々は、国際社会に対し、WHO による迅速な初動対応を可能にするため、緊急対応基金(CFE)を支援することを要請する。さらに、各国政府、多国間機関及びNGO による緊急対応を支援するため、我々は、パンデミック緊急ファシリティ(PEF)の立上げに関する世界銀行による公式発表を歓迎するとともに、G7 メンバー国を含む国際社会に対し、この目的のために技術的及び資金的な貢献を行うことを招請する。我々は、また、関連する国際機関に対し、PEF と、CFE を含む他の関連する資金調達メカニズムとの間の調整を確保することを求める。
我々は、特に感染症におけるWHO の中心的役割並びに感染症の流行が小規模から大規模に発展し、公衆衛生上の緊急事態に至るまでの期間全体を通じて、WHO が、特に国際連合人道問題調整事務所(OCHA)のような既存の調整機構を活用しながら、継続性があり、予測可能で、迅速かつ効率的な対応の必要性を考慮し、大規模な感染症の流行や公衆衛生上の緊急事態において関係するパートナー間の調整を主導する取組を加速していることにつき、賞賛する。我々は、WHO 及びOCHA に対し、国連事務総長(UNSG)の下で、WHO、国連及び他の関係するパートナー間における連携のためのアレンジメントを検証し、強化し、及び公式化すること並びにG7 保健大臣に対してその進捗について9 月に報告することを招請する。
エボラ出血熱及びジカウイルス感染症の最近の流行は、自然発生的、故意的又は偶発的なものであるかどうかを問わず、公衆衛生上の緊急事態の予防、検知及び対応を向上させることが不可欠であることを浮き彫りにしている。その観点から、我々は、世界健康安全保障アジェンダ(GHSA)を通じて行うことを含め、WHO のIHR 目標の遵守を進展させることに引き続きコミットしている。
我々は、76 の国及び地域に対し具体的な支援を提供するための協調的なアプローチに対する我々の支援並びにWHO 及び他の関連する機関との緊密な協調に基づき、国家計画策定に関するこれらのパートナーへの支援を新たにする。我々は、各国のIHR コア能力の強化についての主要な責任は各国にあること認識しつつ、これらのパートナーが、国連食糧農業機関(FAO)や国際獣疫事務局(OIE)などの他の機関とのパートナーシップにより、 WHO によって発表され合同外部評価(JEE)の共通で測定可能な目標を達成するよう支援することを意図する。我々は、また、そのような評価を我々のパートナーと共有し、支援し、及び行うことにコミットする。IHR の実施を強化するため、及び、新健康危機プログラムの実施に即して、我々は、WHO に対し、国際危機管理能力・警戒・対処部門及びそのリヨン事務所などの既存の組織並びに「世界健康安全保障の国別評価のためのアライアンス」による新たな取組を基礎とすることを奨励する。我々は、パンデミックに対する備え及びその予防を強化するために、関連する国際機関の資金を動員することの重要性を認識し、国際開発協会など、世界銀行を含むそれらの機関との間でこの問題について協議することを期待する。 
強固な保健システム及び危機へのより良い備えを有するUHC の達成
我々は、誰一人取り残さないとの原則に基づき、UHC の達成を加速化することの重要性を認識し、特に途上国において、保健システムを強化し、より強じん、包摂的、費用負担可能、持続可能、かつ、公平なものとするため、我々の支援及び協調を強化することに対するコミットメントを改めて表明する。この目的のため、我々は、特定の疾病に関する取組を含め、関係する全てのステークホルダー及び様々な国際的な場/国際的イニシアティブの取組及び知見を調整するための国際的枠組みの強化の必要性を強調する。この関連で、我々は、国際保健パートナーシップ・プラス(IHP+)の原則の確保を追求し、かつ、「健康なシステム、健康な暮らしに関するロードマップ」などのイニシアティブによって支援される「UHC2030」の設立を支持する。我々はまた、分野横断的にUHC に向けた取組を促進し、及び触媒するための特使を指名することにつき、国連事務総長との意見交換を期待する。我々は、IHR コア能力の強化を含め、公衆衛生上上の緊急事態の予防及び備えの向上が、保健システム強化に関する取組の一部となることが期待されていることを確認する。
その一方で、我々はまた、保健システムが特にぜい弱な低所得国(LICs)及び低中所得国(LMICs)における保健システム強化の喫緊の必要性を考慮し、WHO を含む関係するパートナーとの協働により、各国の主導による保健システム強化を支援することにコミットしている。この関連で、我々は、WHO 及び他の関連する国際機関との連携の必要性を強調しつつ、アフリカにおいてUHC を促進する世界銀行の取組を歓迎する。我々は、グローバル・ファンド(GF)などとのパートナーシップにより、エイズ、結核及びマラリアを終息させることにコミットしている。この目的のため、我々は、9 月のモントリオールでのGF 増資会合の機会を捉え、GF の第5 次増資の成功を完全に支持するとともに、伝統的な及び新たなドナーに対し、増資を支援するよう求める。
UHC の促進はまた、全ての個人の生涯を通じて健康を守り、改善するためのサービスの提供を必要とする。我々は、そのような取組の一環として、急速な人口動態の変化に伴って緊急の対応が必要とされる分野に集中しつつ、性と生殖に関する健康と権利及びサービス、予防接種、より良い栄養並びに緊急事態及び災害におけるニーズに応じた対応へのアクセスを提供するための取組によることを含め、女性及び女児、青年並びに子供の健康を促進することを引き続き主導する。この観点から、我々は、「エブリ・ウーマン、エブリ・チャイルド」を支援するグローバル・ファイナンシング・ファシリティ、Gavi ワクチン・アライアンス及び「女性、子供及び青少年の健康のための世界戦略」などのプラットフォームを歓迎するとともに、ポリオ撲滅のための目標達成への我々の継続したコミットメントを再確認する。我々はまた、高齢者にやさしいコミュニティを促進すること及びコミュニティが認知症にやさしいものとなることへの支援を含む多分野にわたるアプローチを通じ、一方の性に特有の側面にしかるべく配慮しつつ、活動的な高齢化を促進することにコミットする。この目的のため、我々は、本年日本で開催される活動的な高齢化に関するフォーラムを通じて行うことを含め、知識及び経験を共有し、並びに途上国を奨励する。我々は、革新的な研究開発のための前向きな環境を促進すること、医薬品及び医療へのアクセスを奨励すること並びに保健システムの持続可能性を確保することという立ち上る課題を認識する。また、我々は、これらの問題について、各国の特別な状況、優先事項及び保健システム設計を認識しつつ、次回のG7 保健大臣会合の機会において行われる意見交換を歓迎する。 
薬剤耐性(AMR)
WHO の薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン並びにFAO 及びOIE の関連決議の採択を含め、AMR との闘いにおいて適切な進展が見られるが、より多くのことが行われる必要がある。G7 によるこれまでのコミットメントを基礎として、我々は、人及び動物の健康、農業、食品並びに環境を含む分野を考慮し、多分野にわたるワン・ヘルス・アプローチを積極的に実施し、及び強化するための共同の取組を行うことにコミットする。我々は、分野横断的なサーベイランスを全ての分野において強化するため、並びに他の国及び民間部門のパートナーとの協力により、加速された支援を通じて効果的な抗微生物剤へのアクセスを向上するため、既存の抗菌剤の保存によることを含め、抗微生物剤の有効性を維持するために特段の努力を行う。我々はまた、AMR に直面する中で、感染症と闘うために必要な新しい診断薬や薬剤を製薬会社が提供していないという市場の失敗に対処する必要性を認識しつつ、AMR に関する研究開発(R&D)を促進するための新たなインセンティブの潜在的可能性を検討することにコミットするとともに、国際社会に対し、更なる行動をとることを要請する。このような背景の下、我々は、多分野にわたる世界的、地域的、国内的及びコミュニティの協働による取組を通じて「グローバル・アクション・プラン」の効果的実施を促進する国連総会における「AMR に関するハイレベル会合2016」を支持することにコミットしており、また、AMR に関するワン・ヘルスEU 閣僚会合、アジアAMR 東京閣僚会議、GHSA・AMR 行動パッケージなどにおいて強調されている既存のイニシアティブを認識する。  
女性のエンパワーメント及びジェンダー間の平等
我々は、女性及び女児のエンパワーメント並びにジェンダー間の平等は、我々の社会の経済的、社会的及び政治的領域に、彼女たちが変化の担い手として平等に参画するために不可欠であることを強調する。世界的に、女性及び女児は、彼女たちの完全な潜在力を実現することを阻む障壁及び差別に、依然として直面している。我々はまた、女性の権利を促進し、及び保護することの重要性を確認し、また、暴力的過激主義の脅威、現在続いている避難の危機及び長引く紛争や災害に対処する場合を含め、平和及び安全を確保するための主要な当事者としての女性の役割を認識する。したがって、全ての女性及び女児がエンパワーされ、持続可能な、包摂的であり、かつ、公平な経済成長及び平和のために積極的に関与する社会並びにその人権が普遍的に尊重され、かつ、保護される社会を構築することは、引き続きG7 の目標である。我々は、この強い確信を念頭に、SDGs の実施及び気候変動への対処におけるジェンダーに配慮したアプローチを主導することにコミットしており、また、我々の国内政策及び公的財政管理が、公平、ジェンダー間の平等並びに女性及び女児のエンパワーメントを促進することを確保しつつ、SDGs の全体を通じて、及び全ての政策分野において、ジェンダー間の平等を主流化することを計画する。我々は本日、以下の3 つの分野を特に強調する:能力構築を含め女性及び女児がエンパワーされること、 STEM 分野における女性の積極的な役割を促進すること、並びに「女性・平和・安全保障」の議題において具体的な進展を達成すること。 
完全な潜在力を開花させるための女性及び女児のエンパワーメント
過去のG7 サミット、女性との対話のためのG7 フォーラム及び国際女性会議(WAW!)の成果を基礎として、我々は、民間部門の積極的な参加を呼びかけつつ、UN Women の女性のエンパワーメント原則(WEPs)を我々自身も促進することを含め、女性の平等の権利、完全かつ効果的な参加、同一の労働に対する同一の賃金及び指導的地位への平等の機会を確保することを決意している。
我々はまた、女性の経済的エンパワーメントに関する国連ハイレベルパネル(HLP)の任務を支持する。我々は、質の高い教育及び訓練によることを含む能力構築によって女性及び女児の機会を拡大すること並びに女性及び女児がその完全な潜在力を開花することを支援することに対する我々のコミットメントを改めて表明する。そのようなコミットメントを行動に移すため、我々は、ジェンダー間の平等、保健及び教育分野のSDGs を基礎とする、附属書に記載されている共通の行動指針「女性の能力開花のためのG7 行動指針:持続可能な、包摂的で、かつ、公平な成長と平和のために」を支持する。我々は、他の関心ある国に対し、これらのコミットメントに参加することを招請する。 
STEM 分野及び職種における女性の積極的な役割の促進
我々は、国際競争力の極めて重要な決定要素は人材であること、また、STEM 分野及びキャリアにおける女性の積極的な役割を促進することは、人材プールを拡大し、かつ、創造性及びイノベーションを高め、また、経済成長及び生産性につながることを認識する。我々は、より高給な職への女性のアクセスを改善し、性別による賃金格差を縮小することを目指す。そのような利益にもかかわらず、STEM 分野を卒業する女性の数は増加している一方で、STEM 職種で雇用されている女性の割合は、過去10 年間においてわずかな変化しか見られない。我々は、教育及び訓練に加え、女性が直面する性別に基づく偏見を除去し、機構的な変化を促進し、並びにこれらの職種におけるジェンダー間の平等を促進する法的及び政策的な環境を創ることが重要であることを強調する。この観点から、我々は、STEM 分野及びキャリアにおける女性の進出を促進するための世界的な気運を醸成するため、OECD、UN Women 並びにその他の国際機関及びステークホルダーとのパートナーシップにより、G7 イニシアティブとしての「女性の理系キャリア促進のためのイニシアティブ(WINDS)」を立ち上げる。 
「女性・平和・安全保障」における具体的進展
我々は、紛争及び紛争後の状況において、紛争からの避難時又は移住時に、並びに自然災害のさなか及びその事後において、性的暴力を含むあらゆる形態のジェンダーに基づく暴力が増加していることにがく然としている。したがって、我々は、性的及びジェンダーに基づく暴力を、防止するための全ての取組を、我々の社会におけるものも含め行いつつ、全ての形態のジェンダーに基づく暴力に立ち向かい、被害者を支援し、かつ、不処罰の文化に取り組むべく加害者の責任追及の重要性を再確認する。我々はまた、「女性・平和・安全保障」の目標を前進させるために国連などと協力することにコミットしている。この関連で、我々は、全ての国に対し、性的搾取に対する国連事務総長のゼロ・トレランス政策及び国連安全保障理事会決議第2272 号の完全な実施を支持するよう求める。我々は、国連安全保障理事会決議第1325 号及びそれに続く決議に従い、紛争の予防及び解決、調停、平和維持、人道的対応、平和構築並びに紛争後の復興における女性の積極的な、かつ、意味のある参加の重要性を強調する。したがって、我々は、全ての国に対し、昨年の安保理決議第1325 号に関する国連安全保障理事会ハイレベル・レビュー会合における各国のコミットメントを実施するよう求めるととともに、「女性・平和・安全保障」に関する国家行動計画又は類似の、ジェンダー間の平等関連戦略を策定し、及び実施するための他の国による取組に対し、財政的及び技術的に支援することに引き続きコミットしている。さらに、我々は、国際紛争調停者に占める女性の割合が少ないことを認識し、そのような地位における女性の数を増加させることにコミットする。 
サイバー
我々は、経済成長及び繁栄のための一つの不可欠な基盤として、アクセス可能で、開かれた、相互運用可能な、信頼できる、かつ、安全なサイバー空間を強く支持する。これはまた、自由、民主主義並びにプライバシー及び人権の尊重などのG7 共通の価値を高める。我々は、国家及びテロリストを含む非国家主体の双方によるサイバー空間の悪意のある利用に対し、密接な協力の下で、断固とした強固な措置をとる。我々は、国際法がサイバー空間において適用可能であることを再確認する。我々は、既存の国際法のサイバー空間における国家の行動への適用、平時における国家の責任ある行動に関する自発的な規範の促進並びにサイバーに関する国家間の実務的な信頼醸成措置の発展及び実施から構成される国際的なサイバー空間の安定に関する戦略的枠組みを促進することにコミットする。この文脈において、我々は、2015 年の国連政府専門家会合報告書を歓迎するとともに、全ての国に対し、この報告書の評価及び勧告を指針とすることを要請する。我々はまた、いずれの国も、企業又は商業部門に競争上の優位性を与えることを意図して、ICT により可能となる、営業上の秘密その他の企業秘密に係る情報を含む知的財産の窃取を実行し、又は知りつつ支援すべきでないことを再確認する。我々は、プライバシー及びデータの保護やサイバーセキュリティを尊重しつつ、インターネットの開放性、透明性及び自由を確保するため、情報の自由な流通及びデジタル・エコノミーの全ての主体によるサイバー空間への公平かつ平等なアクセスを促進することにコミットする。我々は、オンラインでの人権の保護及び促進にコミットする。我々は、政府、民間部門、市民社会、技術コミュニティ及び国際機関による十分かつ積極的な参加を含むインターネット・ガバナンスに関するマルチステークホルダー・アプローチを促進することにコミットする。我々は、ICT 環境においては、その他の全ての環境における場合と同様に、国家が安全、安定及び繁栄を促進する特有の責任及び役割を有することを認識する。我々は、デジタル連結世界の潜在力を最大化し、地球規模課題に対処し、デジタル・デバイドを埋め、包摂的な発展を実現し、2030 アジェンダに関する進展を成し遂げるため協力することにコミットする。我々は、開かれた、相互運用可能な、信頼できる、かつ、安全なサイバー空間を促進し、保護するため、附属書に掲げる「サイバーに関するG7 の原則と行動」を支持する。我々は、サイバー空間の安全及び安定を促進するための我々の政策協調及び実務的な協力を強化するため、サイバーに関する新たなG7 作業部会を立ち上げることを決定する。 
腐敗対策
腐敗は、我々の共通の価値、とりわけ法の支配、民主主義及び公正な競争に根本的に反する。我々は、腐敗と戦うための我々の集団的及び個別的行動は、経済成長、持続可能な開発並びに平和及び安全の維持にとり決定的に重要であることを改めて表明する。我々は、世界的な腐敗の問題の重大さを認識しつつ、腐敗と戦うとの我々の新たなコミットメントを明示し、また、世界の至る所で透明性を確保する、附属書に掲げる「腐敗と戦うためのG7 の行動」を支持する。我々は、国連腐敗防止条約(UNCAC)及びOECD 外国公務員贈賄防止条約そのようなその他の重要な国際文書の効果的な実施を促進し、また、個別のレビュー・メカニズムへの完全な参加を促進する。
我々は、国際社会における腐敗対策の行動並びにオープン・ガバメント・パートナーシップ、採取産業透明性イニシアティブ(EITI)及び国連グローバル・コンパクトのような価値あるイニシアティブを活性化するために英国が5 月に主催した腐敗対策サミットによって創り出された成果及びモメンタムを歓迎する。我々は、国際的な腐敗対策のアジェンダを、他の国際場裡におけるものも含め、前進させるに際して自ら模範を示すことにコミットする。 
 
外交政策 
テロ及び暴力的過激主義対策
我々は、あらゆる形態のテロを強く非難する。市民及びその他の犠牲者を対象とし、ISIL/Dae’sh、アル・カーイダ及びその他のテロ組織によって行われる攻撃、残虐行為及び人権侵害は、平和と国際の安全並びに全人類に共通の価値及び原則に対して深刻な脅威をもたらす。我々は、特に、アクセスが開かれていて警備上の防壁が限られるがゆえにぜい弱な場所並びに文化的財産を狙ったテロ攻撃の増加について、深刻な懸念をもって留意する。インターネット及びソーシャル・メディアは、テロリストの勧誘やテロ資金の調達及びテロ攻撃の計画や調整のような、テロ、暴力的過激主義及びその他の犯罪目的のために世界中で悪用されている。航空保安もまた、全ての国に対し、テロの脅威に対応するために発展し得る、適切かつ持続可能な安全措置の実施を確保することが求められる世界的な課題である。
我々は、世界的な安全保障上のこの喫緊の脅威と闘うため、国際社会が共同の、かつ、協調された更なる取組を行うことが不可欠であることを改めて表明する。我々は、民間部門、市民社会及びコミュニティとの継続した協力及び「社会全体による」アプローチの重要性を強調する。
我々は、世界的に、地域的に、二国間で、及び国内的に既に行われている集中的なテロ対策の取組を賞賛する。我々は、ギャップを埋め、そのような既存の取組を加速させることの重要性を強調するとともに、G7 は、世界的な発展の触媒として、国際的な人権上の義務を完全に遵守する形で国際社会と協力しつつ、テロ対策措置の効果的な実施の促進において主導的な役割を果たすことができることを再確認する。我々は、外国人テロ戦闘員並びにテロ関連物資及び機材の流れを防止するため、引き続き協力する。我々は、仙台でのG7 財務大臣・中央銀行総裁会議の「テロ資金対策に関するG7 行動計画」において宣言されたとおり、テロ資金対策への我々のコミットメントを改めて明言する。
テロ集団への身代金の支払いは、彼らのリクルートに向けた活動を支え、また、テロ攻撃を組織し、実行する彼らの作戦能力及び将来的な身代金目的の誘拐事件に対するインセンティブを強める収入源の一つであり、それによって我々の国民に対するリスクが増大している。我々は、身代金を支払わず、我々の国民の生命を守り、かつ、関連の国際条約に従ってテロ集団の生存及び繁栄を可能とする資金を得る機会を減少させるという我々の決意を改めて明確に表明し、全ての国に対し、そのようにするよう求める。我々は、暴力及び憎悪の連鎖を断ち、かつ、暴力的過激主義の発生及び蔓延を防止するため、意見、文化及び信仰の相違がどこに存在しようとも、平和的共存、多様性の尊重、寛容性及び包摂的な対話を促進することにコミットする。この点に関し、我々は、「暴力過激主義防止のための国連事務総長行動計画」を歓迎し、その実施を呼びかけ、及び真の国連全体によるアプローチを実践する力強い国連の指導モデルを支持する。
我々はまた、地元コミュニティ、特に女性及び若者の役割並びに教育及び対話によることを含む、他の意見を表明させる力の強化の重要性を強調する。
我々はまた、テロ及び暴力的過激主義対策のための能力構築を必要としている国に対する支援のための連携強化にコミットする。
これらの原則を具体的な行動に移すことを決意しつつ、我々は、添付の「テロ及び暴力的過激主義対策に関するG7 行動計画」に記載されている行動をとることにコミットする。我々は、関連する国連安全保障理事会決議の実施を支持し、情報共有を促進し、国境警備を強化し、航空保安を向上させ、テロ資金対策を講じ、文化財の密輸入と闘い、暴力的過激主義を防止し、及びこれに対抗し、民間部門との我々の関与を強化し、並びに我々の能力構築支援を更に連携させるために取り組むことにコミットする。我々は、同行動計画の実施を定期的に評価することにコミットする。 
移民及び難民危機
難民、庇護申請者、国内避難民(IDPs)及びぜい弱な移民の数が第二次世界大戦以降最大の水準にある中で、G7 は、現在進行中の移民及び難民の大規模な移動を、人権を完全に尊重し、かつ、適用可能な国際法にのっとりつつ、世界的な対応をとる必要がある地球規模の課題として認識する。我々は、人道上の影響及び大規模な避難の根本原因の双方に対処しつつ、この課題を人道的及び効果的に管理することを最優先する。人々の大規模な移動は多面的な現象であり、自然災害と同様に紛争、国家のぜい弱性及び安全の欠如並びに人口構成、経済及び環境の変化からもたらされる根本原因に対処する必要がある。したがって、国際社会は紛争予防、安定化及び紛争後の平和構築に向けた努力を強化するとともに、貧困を削減し、平和、グッド・ガバナンス、法の支配及び人権の尊重を促進し、包摂的な経済成長を支援し、並びに基礎的サービスの提供を向上させるための解決策を見出すことに焦点を当てるべきである。
我々は、人道、開発及びその他の主体の間でのより緊密な連携の必要性を認識しつつ、我々の国際的義務と整合的な貿易及び投資を支援するその他の措置と同様に、人道的支援、資金的支援、開発援助及び協力を通じて、難民、その他の避難民及びその受入れコミュニティの即時の及びより長期的なニーズに応えるための世界的な支援を増加することにコミットする。我々は、特に教育、医療、インフラ並びに人権及び公平な機会の促進に関する、影響を受けている地域の社会経済開発の増加を目指す。我々は、効果的な移民の管理に関する2030 アジェンダの実施の重要性を認識し、出身国及び通過国であるアフリカ、中東及び近隣諸国へ特別な注意を払いつつ、我々のパートナー国との開発協力を強化することにコミットする。
G7 は、国際金融機関及び二国間ドナーに対し、難民、その他の避難民及びその受入れコミュニティに対する資金的及び技術的な支援を促進することを奨励し、かつ、特に、「中東・北アフリカ(MENA)地域支援のための新規融資イニシアティブ」の立ち上げを歓迎する。我々はまた、「シリア危機に対応するためのEU 地域信託基金(Madad 基金)」、「トルコにおける難民のためのEU ファシリティー」及び「アフリカのためのEU 信託基金」といった既存の機能及び資金調達メカニズムとの緊密な連携を求める。我々は、ヨルダン、レバノン及びケニアなどの最も影響を受けている受入れ国に対する支援を増加することの重要性を強調するとともに、ロンドンにおける「シリア危機に関する支援会合」の成果を実施することを支援することとなるトルコとの緊密な協力を継続する。シリアの危機は、長期化する避難民問題に対処する上で、国際社会が、全ての所得レベルの、かつ、全ての地域の開発途上国を支援するためのより良い態勢を備える必要性を浮き彫りにしている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界食糧計画(WFP)及び国連児童基金(UNICEF)のような、関連する国際的な人道及び緊急支援機関への世界的な支援の増加は、不可欠である。
我々は、経済移民及び難民の流れ急増の根本原因に対処するための、広範かつ長期的な戦略及び措置をとることを呼びかける。我々は、雇用、教育、医療サービス及び基礎インフラへのアクセスを支援するための資金調達並びに技術的助言を通じ、難民及びその他の避難民並びにその受入れコミュニティのために持続可能な生活を提供することについて、各国を支援する手段が必要であることを認識する。我々は、他の世界銀行出資国と共に、世界銀行に対し、難民を受け入れている国々を支援するためのツールキットを拡大するための新たなプラットフォームを整備するよう求める。我々はまた、欧州投資銀行が、地中海地域及びアフリカにおける持続可能な開発、極めて重要なインフラ及び社会の一体性を支援する長期的な危機対応イニシアティブを構築する方法を探求していることを歓迎する。
移住のための合法なルートは、非正規の移住への対処と並行して、国内及び地域的枠組と整合的に強化される。G7 は、最大数の難民を受け入れている国に対する圧力を緩和するため、一時的な難民受入れ及び第三国定住制度の構築を奨励する。既存のイニシアティブによる貢献を認識し、第三国定住の機会及び他の形態による安全かつ法的な人道的受入れを拡大するための取組が継続されるべきである。我々は、受入れコミュニティの安定及び繁栄並びに帰還後における母国の復興に貢献する将来の資産として難民の能力を強化するため、難民のための教育及び雇用の機会の創出につき、前線にある国々を支援することにコミットする。
G7 は、難民の地位に関する条約及び同議定書の中核的原則を促進すること及び迫害から逃れる者に対して逃避先を提供することを通じ、国際的保護のアプローチを強化することを支持する。しかしながら、保護の枠組みは正当な難民・移民の審査を免れるために使われてはならないことも明らかである。これらの目的のため、迫害から逃れる個人は、最初に入国した安全な国において効果的な保護を与えられるべきであり、政府は、難民並びに受入れ国及びコミュニティに対し国際的な人道支援及び開発援助を提供することと併せて、安全で秩序ある第三国定住プロセスの機会を提供するべきである。
同時に、我々は、難民の地位に関する条約及び同議定書に基づくものを含む、国際的保護の対象でない移民の安全な、かつ尊厳ある帰還及び再統合を円滑化するため、出身国及び中継国との協力を奨励する。我々は、移民の密入国及び現代の奴隷制と闘うこと並びに出身国、中継国及び目的国と共に人身取引の被害者を保護することを継続することを決意する。我々は、国連国際組織犯罪防止条約及びその議定書をはじめとする関連する国際文書の締結及び完全な実施を呼びかける。
さらに、我々は、人道危機に対応するための国際システムの長期的な能力及び有効性を強化する国連主導の取組を支持する。そのような国際システムは、(i)人道的支援のための資源を増加すること、(ii)強じん性及び防災に投資すること並びに避難民問題の恒久的解決を追求することにより、人道援助への依存を低減すること、(iii)資金ベースを拡大すること、(iv)人道支援提供システムへのアクセス、その効率及び効果を高めることを含む。我々はまた、人権侵害を含む、避難民問題の根本原因に対処することの重要性を改めて表明する。
G7 は、シリアを含む出身国での持続可能な政治的解決のみが、難民を含む強制的な避難民の問題に対する永続的解決をもたらすことを想起する。
我々は、世界人道サミットを歓迎し、また、9 月にニューヨークで行われる国連総会での「難民及び移民の大規模な移動に関するハイレベル会合」及び「難民に関するハイレベル・サミット」に期待する。 
ドーヴィル・パートナーシップ
我々は、MENA の国々の経済及びガバナンス改革に係る取組を支援するための、ドーヴィル・パートナーシップに対するコミットメントを改めて表明する。
我々は、移行期にあるアラブ諸国(ACTs)が直面している、暴力的過激主義の台頭、軍事紛争の激化、複雑な人道危機及びかなりの数の難民を含む新たな諸課題を認識する。我々は、安定性、民主化及び包摂的な経済成長の必要性を強調する。そのため、構造的な経済改革、ガバナンスの改善、女性のエンパワーメント及び強固な市民社会の参加の重要性を強調する。
ドーヴィル・パートナーシップは、引き続き、ACTs、地域パートナー及び関連する国際機関との対話及び協力のための重要なプラットフォームである。我々は、この地域における女性の社会経済的役割を促進すること及びこの論点について専門家会合を開催することにコミットする。我々は、「経済的ガバナンスに関するドーヴィル・コンパクト」、「金融包摂のための行動計画」及びMENA移行基金から資金提供を受けたプロジェクトを実施するとの共通のコミットメントを歓迎する。我々は、中小企業関連プロジェクトの重要性を認識し、また、ACT 中小企業行動計画の更新を奨励する。我々は、国ごとに適応したアプローチによりACTs を支援することに引き続きコミットする。 
シリア
我々は、全ての当事者及びその支援者に対し、国際シリア支援グループ(ISSG)の取組に基づいて達成された全国的な「敵対行為の停止」を完全に履行することを求める。我々は、特にアレッポ市内及びその周辺でのシリア政権による「敵対行為の停止」違反を最も強い表現で非難し、全ての当事者が市民に対する無差別の攻撃を停止しなければならないことを改めて表明する。我々は、全ての当事国が、更なる無差別の攻撃の停止を確保するための取組を強化するとのISSG のコミットメントを歓迎し、また、2016 年5 月9 日の共同声明における、「主として文民及び停止の全ての当事者が居住する地域における航空作戦を最小化するためにシリア当局と協働する」とのロシアのコミットメントを歓迎する。我々は、ロシア及びイランが、シリア政権に対して新たな停戦の遵守及び文民に対する攻撃の停止を促すことを期待するとともに、停止の全ての当事者に対し、停止の期間を遵守するよう強く促す。我々は、国際社会の全てのメンバー及び当該紛争の当事者に対し、国連特使の取組を支持するため、関連する全ての国連安全保障理事会決議、特に第2254 号、第2258 号及び第2268 号を完全に遵守し、並びにジュネーブ・コミュニケに基づいたシリアにおける包摂的かつ平和的な政治的移行にコミットすることを強く求める。我々は、国連安全保障理事会決議第2254 号によって設けられた2016 年8 月1 日という目標期日までに、当事者が、完全な執行権を持つ、広範で包摂的かつ非宗派的な移行統治機構を含む真の政治的移行のための枠組みについて合意に達することをISSG が改めて明確に表明したことを歓迎する。
我々は、シリアにおける人道状況の悪化に深刻な懸念を表明し、全ての当事者、特にシリア政権に対し、人道支援機関による迅速で、安全で、制限がなく、かつ、持続的なシリアにおけるアクセスを、特に包囲された地域及び到達することが困難な場所において即時に認めること並びに女性及び子供を含む恣意的に拘束されている全ての人々を解放することを求める。我々は、指定され、包囲された全ての地域への国連による人道アクセスが否定される場合には、国際連合世界食糧計画が必要とされる全ての地域のために空輸及び空中投下計画を直ちに実行すべきであるとの、2016 年6 月1 日以降のISSG のコミットメントを歓迎する。我々は、避難民及びその受入れコミュニティを支援すること、シリアの長期的かつ持続可能な紛争後の安定化及び復旧に向けて取り組むこと並びに暴力的過激主義を助長する状況を撲滅することにコミットしている。
我々は、シリアでの化学兵器の使用に関する化学兵器禁止機関(OPCW)による調査結果に関し深刻な懸念を表明する。OPCW 及びOPCW・国連共同調査メカニズムへの実践的かつ政治的な支援は、それらをシリアにおける化学兵器の使用に関与した人々を特定し、その責任を問うために不可欠である。 
イラク
我々は、政治的・経済的改革を加速化し、国民和解を加速するイラク政府の取組とともに、イラクの統一、主権及び領土的一体性並びにイラク国民に対する我々の継続的な支援にコミットする。
我々は、イラク軍のISIL/Da’esh との戦いにおける努力を称賛する。我々は、国際社会に対し、人道支援の拡大及びISIL/Da’esh から解放された地域の安定化努力への支援を含め、イラク政府を引き続き支援することを要請する。我々はまた、IMF 及び他の国際金融機関と協調し、改革を通じて財政面での課題に対処し、経済を強化するイラクの取組に対して支援を提供すること及び必要に応じてそれを促進することにコミットする。この支援から、イラク・クルディスタン地域を含む全てのイラク人が利益を受けることが極めて重要である。この文脈で、G7 は、国際金融機関からの支援を補完するため、二国間支援及び他の金融支援により36 億米ドル以上を動員している。  
イラン
我々は、包括的共同作業計画(JCPOA)の完全かつ効果的な履行を積極的に支援することに対する我々のコミットメントを再確認する。JCPOA に規定された核関連の経済制裁及び金融制裁の解除は、イランにとって、国際社会に再び関与するための機会となる。我々は、イランに対し、地域において建設的な役割を果たし、それにより、政治的解決、和解及び平和を達成するための取組に貢献すること並びにテロリズム及び暴力的過激主義の拡散を防止し、及びこれに対抗するために協力することを呼びかける。我々は、国連安全保障理事会決議第2231 号に背ちする弾道ミサイル実験を進めるとのイランの決定を深く懸念する。我々はさらに、イランに対し、国際的な人権に関する義務を遵守することを呼びかける。  
北朝鮮
我々は、北朝鮮による1 月の核実験及びそれに続く弾道ミサイル技術を使用した発射を最も強い表現で非難する。これらの行為は、複数の国連安全保障理事会決議に違反しており、地域及び国際の平和及び安全に対して深刻な脅威を与えるものである。我々は、北朝鮮に対し、関連する全ての国連安全保障理事会決議及び2005 年の六者会合共同声明の下でのコミットメントを即時かつ完全に遵守し、今後いかなる核実験や発射も行わず、また、その他の不安定化をもたらす行動や挑発的行動も行わないことを要求する。我々は、国際社会に対し、関連する国連安全保障理事会決議を完全に履行し、執行するよう呼びかける。また、我々は、北朝鮮の人権侵害に対して遺憾の意を表明するとともに、北朝鮮に対し、拉致問題を含む国際社会の懸念に直ちに対処するよう強く求める。  
ウクライナ/ロシア
我々は、ウクライナにおける紛争は、外交手段によって、また国際法、特にウクライナの主権、領土の一体性及び独立を尊重する法的義務の完全な尊重によってのみ解決され得るとの確信をもって連帯する。我々は、ロシアによるクリミア半島の違法な併合に対する我々の非難を改めて表明し、同併合の不承認政策及び関係者に対する制裁を再確認する。
我々は、停戦合意に違反してコンタクト・ラインに沿って継続的に行われている暴力を懸念する。我々は、全ての当事者に対し、ミンスク合意の下で求められている完全な停戦合意につながる具体的な措置をとることを要請する。我々はまた、全ての当事者に対し、ミンスク合意に従って可能な限り早期にドネツク及びルハンスク地域のいくつかの場所において地方選挙を実施するとの観点から、各自のコミットメントを遅滞なく履行することを要請する。我々は、ミンスク合意の完全な履行並びにノルマンディー・フォーマット及び三者コンタクト・グループの取組に対する我々の最も強い支持を強調する。我々は、ロシアが、自国のコミットメントに従って行動し、及びコミットメントを完全に充足するように分離派に対し影響力を行使することを期待する。我々は、危機の緩和に資する形での欧州安全保障協力機構(OSCE)の主要な役割を強調し、全ての当事者、特に分離派に対し、OSCE の監視要員に紛争地域全域への完全かつ妨害されないアクセスを提供するよう呼びかける。
我々は、制裁の期間はロシアのミンスク合意の完全な履行及びウクライナの主権の尊重に明確に関連付けられていることを想起する。制裁は、ロシアがこれらのコミットメントを履行したときに後退され得る。しかし、我々はまた、ロシアの行動に応じて必要ならば、ロシアのコストを増大させるため、更なる制限措置をとる用意がある。我々は、ロシアがこれまで自ら行ったコミットメント及び国際法を遵守することを確保するため、並びにこの危機に対する包括的、持続可能、かつ、平和的な解決に至るため、ロシアとの対話を維持する重要性を認識する。
我々は、ウクライナが包括的な構造、ガバナンス及び経済改革を実施するためにとっている措置を称賛及び支援するとともに、ウクライナに対し、当該プロセスを継続し、及び加速することを奨励する。我々は、ウクライナに対し、腐敗対策及び検事総局を含む司法の改革のモメンタムを維持し、拡大することを強く求める。我々は、この目的のために長期的な支援を提供することに引き続き完全にコミットしている。我々はまた、キエフ駐在のG7 大使によるウクライナ・サポート・グループの取組を賞賛する。
我々は、大災害から30 年後の今年、チェルノブイリ原子力発電所のサイトを安定的かつ環境上安全な状態にするために、ウクライナと共同で取り組むとの我々のコミットメントを再確認する。 
リビア
我々は、正式な宣誓までの間、国民統一政府(GNA)の閣僚が任務を担い、各省に対する監督権を行使することを承認する首脳評議会の布告を歓迎する。我々は、リビアの唯一の正統政府としてのGNA と緊密に連携し、全てのリビア関係者に対し、GNA の権限を認め、リビア政治合意を履行することを求める。我々は、平和、 安全及び繁栄の回復を助け、並びに深刻な人道上の苦しみに対処するため、GNA に支援を提供する用意がある。我々は、コブラー国連事務総長特別代表による、リビア政治合意の完全履行を促進する継続的な努力に対する我々の完全な支持を表明する。我々は、増大するテロの脅威、リビアにおける人身取引並びに移民及び武器の密輸について引き続き深く懸念する。我々は、リビアの全ての当事者及び治安部隊に対し、ISIL/Dae’sh と戦うリビア政治合意に従い、かつ、GNA と協調し、統一指令の実施に迅速に取り組むよう強く求める。
我々は、GNA による、リビアの金融機関及びリビア国営石油公社に対する唯一の、かつ、効果的な監視を支持し、それらが全てのリビア人の利益のために機能することを確保する。我々は、そのような機関の統合性及び一体性を損ない得る活動に対する懸念を表明し、リビアから原油を不法に輸出しようとする全ての試みを非難する。我々は、GNAが、国連指定のテロリスト・グループに対抗し、また、同国の至る所でSIL/Dae’sh と闘うために必要な致死的武器や物質を調達するため、国連リビア制裁委員会に対する適切な武器禁輸措置の免除要請を提出するとのGNA の意図を完全に支持する一方で、適用可能な国連安保理決議に従い、武器禁輸を続けるとの我々のコミットメントを再確認する。  
アフガニスタン
アフガニスタン政府がテロと闘い改革を実施していることを受け、アフガニスタン及びその国民に対する我々の長年のコミットメント並びにアフガニスタン政府に対する我々の継続的な支援という点において我々は微動だにしない。我々は、アフガニスタンにおける安全及び安定に対する脅威を引き続き懸念するとともに、アフガニスタン政府主導の和平プロセスの構築に向けた取組を強く支持する。我々は、アフガニスタンにとって改革の継続及び進展に対するコミットメントを再確認する上で、かつ、国際社会にとってアフガニスタンに対する政治、治安及び開発に関する支援についてのコミットメントを新たにする上で重要な機会となる7 月のNATO ワルシャワ・サミット及び10 月のアフガニスタンに関するブリュッセル会合への国際社会の他のメンバーの参画に期待する。  
中東和平プロセス
我々は、双方の当事者に対し、二国家解決を脅かし得る措置を含め、更なる悪化を避けるよう強く求めるとともに、中東和平カルテットにより実施されるものを含め、交渉による解決に向けて行う国際的な取組を強く支持する。我々は、来るパリでの閣僚会合を歓迎する。  
イエメン
我々は、全ての当事者に対し、関連する国連安全保障理事会決議に従った政治的移行の再開を含む、イエメンでの紛争を終結させる包摂的で、平和的な解決及びイエメン経済の再建に向けて取り組むことを呼びかける。我々は、イエメンにおける暴力を終結させるため及び全ての当事者に対して停戦を完全に遵守することを要請するため、イスマイール・ウルド・シェイク・アハメド国連事務総長イエメン担当特使による、クウェートで現在行われている和平対話を促進する取組を完全に支持する。我々は、同国の全ての地域への迅速で、安全な、かつ、阻害されない人道支援アクセスを可能とするため、全ての当事者が直ちに措置をとることの必要性を強調する。 
アフリカ
我々は、安定、安全、包摂的で説明責任のあるガバナンス並びに経済成長及び多様化が、引き続きアフリカの長期的繁栄及び持続可能な開発の基盤であることを確信している。我々は、これらの分野において多くのアフリカのパートナーによって成された進歩を認識し、マリ及び南スーダンでの最近の前向きな進展並びに中央アフリカ共和国及びブルキナファソでの成功裏の政治的移行を歓迎する。我々はまた、特にチャド湖流域、サヘル地域及びアフリカの角における、テロ及び暴力的過激主義に対抗するアフリカのパートナー間の一層の協調を歓迎する。我々は、腐敗対策、ガバナンスの向上、経済の強化及びあらゆる形態の暴力的過激主義の壊滅のためのアフリカの取組に関するものも含め、我々が2015 年にナイジェリアでプレッジした支援を継続し、かつ、深めることにコミットする。我々はまた、腐敗及びこの地域における経済の多様化と同様、スーダン、チャド湖流域、南スーダン、ソマリア、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国及びブルンジでの一貫した不安定性及び深刻な人道的状況を含め、引き続き存在する現下の諸課題及び重大な障害の直接的及び根本的な原因の双方に対処する必要性を認識する。我々は、それゆえに、紛争を予防及び解決し、民主的制度を強化し、人身取引と闘い、非正規移住を管理し、通常兵器の違法な取引と闘い、若者のために雇用を創出し、腐敗をさらし、かつ、対処し、持続可能な開発及び強じん性を促進することを含め、これらの取組におけるアフリカ各国のオーナーシップの重要性を強調しつつ、これらの課題に対処するアフリカ及び地域機関の取組を引き続き支持する。我々は、アフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)を引き続き支援し、ソマリアの治安部隊の発展を引き続き支持する。我々はまた、野生動物の違法取引と闘うとの我々のコミットメントを再確認するとともに、状況の緊急性を認識しつつ、国連総会で採択された決議69/314 への我々の以前のコミットメントを更に再確認する。  
ベネズエラ
我々は、ベネズエラ政府に対し、ベネズエラ政府及びその市民が、人々の意思を尊重しつつ、ますます危急の迫るベネズエラの経済的・政治的危機を解決する平和的手段を見いだすため、公正な裁判及び適正手続へのアクセスを提供する基本的権利、民主的プロセス、自由及び法の支配を完全に尊重し、かつ、政府と市民との対話を可能とする状況を作るよう求める。我々は、ベネズエラの行政機関及び国会が、この目的のため、緊急に協働することを求める。  
海洋安全保障
我々は、海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映された国際法の諸原則に基づく、ルールを基礎とした海洋秩序の維持、信頼醸成措置により支えられ、法的手段によるものを含む平和的紛争解決及び持続可能な海洋の利用並びに航行及び上空飛行の自由の尊重に対する我々のコミットメントを改めて表明する。我々は、国家が、国際法に基づく主張を行い、及び明確にすること、緊張を高め得る一方的な行動を自制し、自国の主張を通すために力や威圧を用いないこと並びに仲裁を含む法的手続を通じたものを含む平和的な手段による紛争解決を追求することの重要性を再確認する。
我々は、国際及び地域協力を通じて、海上安全及び海洋安全保障、特に海賊との闘いを強化することの重要性を再確認する。
我々は、東シナ海及び南シナ海における状況を懸念し、紛争の平和的管理及び解決の根本的な重要性を強調する。
我々は、海洋安全保障に関するG7 外相声明を支持する。  
不拡散・軍縮
我々は、不拡散及び軍縮に関する課題が、我々の最優先事項の一つであることを再確認する。
我々は、国際社会の安定を促進する形で、全ての人にとりより安全な世界を追求し、核兵器のない世界に向けた環境を醸成するとのコミットメントを再確認する。この文脈で、我々は、「核軍縮及び不拡散に関するG7 外相広島宣言」及び「不拡散及び軍縮に関するG7 声明」を承認する。我々は、とりわけ大量破壊兵器の拡散を防ぎ、これに対抗することに関連する条約、特に核兵器不拡散条約、化学兵器禁止条約及び生物兵器禁止条約の普遍化に引き続きコミットする。
国連改革及び国連平和活動のレビュー我々は、強化された、より効果的で、かつ、効率的な国際連合を実現することの重要性及び必要性を再確認し、この目的のため、安全保障理事会などの国際連合の改革の継続的関与の重要性に留意する。
我々はまた、国連平和活動及び平和構築活動に関する進行中の改革プロセスを支持し、国連加盟国、国連システム並びに関連する国際及び地域のパートナーによる、これらのプロセスを前進させるための更なる取組を呼びかける。我々は、PKO サミットにおけるプレッジを歓迎し、その適時の履行を強く求める。 
人権
我々は、全ての人々の人権及び基本的自由、平和的な多元的共存並びに多様性の尊重の促進及び保護に対する我々の支援にコミットする。我々は、国際人権法及び国際人道法の下での義務の遵守が平和及び安全の礎であることを想起する。我々は、人権及び基本的自由の遵守の普遍的な尊重の促進における国家と市民社会との間の協力の重要性、人権の擁護者及び他の市民社会の関係者の独立した声の重要性を再確認する。  
原子力安全及び核セキュリティ
我々は、原子力安全セキュリティ・グループの報告書を歓迎する。福島第一原子力発電所の事故から5 年、我々は、世界中で最高水準の原子力安全を達成し、維持することに対する我々のコミットメントを再確認し、また、原子力計画を有する全ての国及び原子力移転を含む国際的な原子力協力に関与している全てのステークホルダーに対し、強固な安全基準と基盤を促進することを求める。この点に関し、原子力安全条約を含め、原子力安全のための多国間協力の枠組みへの完全な参加は不可欠であり、我々は全てのステークホルダーに対し、積極的な関与及びこれらの枠組みの継続的な強化を求める。我々はまた、ワシントンでの第4 回核セキュリティ・サミットの成果を歓迎する。我々は、核物質及び他の放射性物質のセキュリティを引き続き優先する。我々は、世界的な核セキュリティ構造の更なる強化に取り組む。我々はまた、特に閣僚級のIAEA 核セキュリティ国際会議において、核セキュリティに関する我々の政治的交流を継続する。 
 
気候変動、エネルギー及び環境 
気候変動
我々は、パリでの歴史的な業績を歓迎し、気候変動に対する我々の世界的な取組における継続的なコミットメントのみならず、COP21 のモメンタムを維持し、緩和、適応及び資金に関する長期目標を含め、パリ協定の速やかな、かつ、成功裏の実施を確保するとの我々の決意もまた再確認する。この文脈において、我々は、全てのG7 諸国を含む、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のほぼ全ての締約国がパリ協定に署名した事実を歓迎する。G7 は、引き続き指導的な役割を担い、可能な限り早期の協定の批准、受諾又は承認を得るよう必要な措置をとることにコミットするとともに、2016 年中の発効との目標に取り組みつつ、全ての締約国に対し、同様の対応を求める。
我々は、時間の経過に伴い、野心の向上を促進しつつ、自国が決定する貢献を早期に透明性をもって、かつ、着実に実施することで先導することにコミットする。また、我々は、世界全体の実施状況の5 年ごとの定期的な検討に積極的に参加することにコミットする。
我々はまた、世界の平均気温の上昇を、工業化以前の水準と比較して摂氏2 度を十分に下回るものに抑えること、気温の上昇を、工業化以前の水準と比較して摂氏1.5 度までに制限するための取組を追求すること並びに今世紀後半に温室効果ガスについて発生源による人為的な排出と吸収源による除去との均衡を達成することの重要性に留意しつつ、2020 年の期限に十分に先立って今世紀半ばの温室効果ガス低排出型発展のための長期戦略を策定し、通報することにコミットする。
我々は、全ての締約国に対し、主要排出国を含む全ての国によるパリ協定の、効果的な、かつ、透明性のある実施のための詳細ルールについて合意するために、技術的な作業に建設的に関与することを奨励する。
我々は、他のドナー国と共に、意味のある緩和のための行動及び実施の透明性の文脈において、2020 年までに年間1000 億米ドルを共同で動員するとの目標の達成に向け、着実に前進しつつあることを認識しつつ、官民双方の資金源からより多くの気候資金を提供し、動員するための我々の取組を継続する。我々は、その他の国に対し、気候資金を提供し、又は引き続き提供し、かつ、動員することによって、開発途上国が緩和及び適応に取り組み、国家の気候計画(NDCs)の実施に際して支援することを奨励する。
我々は、MDBs 及び開発金融機関による、より多くの水準の気候資金を提供するとのコミットメントを歓迎する。我々は、MDBs 及び開発金融機関に対し、開発戦略において気候変動行動を主流化し、また、この目標を達成するために各国主導のプログラムを支援すべく自らのバランス・シート並びに民間資金及び他のパートナーを動員する能力を最大限可能な範囲で用いることを求める。この目標の文脈において、我々はまた、最もぜい弱な開発途上国において増大するニーズへの対応に際して、適応計画及び行動を支援するために資金を動員し、並びに適切な技術移転及び能力構築を促進するとの我々の継続的なコミットメントを強調する。
我々は、これまでの進展を歓迎し、気候リスク保険拡充のイニシアティブ、気候リスクに関する早期警報システム(CREWS)やアフリカ再生可能エネルギー・イニシアティブのような、気候リスク保険、早期警戒システム及びアフリカにおける再生可能エネルギーに関する関連のイニシアティブを更に促進する用意がある。我々はさらに、リマ・パリ行動アジェンダを通じた、民間部門、国家以下の主体及びその他の者の関与を歓迎する。我々は、我々が共有する気候変動の課題に対して世界全体が効果的、かつ、長期的に対応していくにあたって、イノベーションが重要であることを認識し、ミッション・イノベーションにおいて指導的な役割を担う考えである。我々はまた、これに関する民間部門のリーダーシップを歓迎する。我々は、国内政策及びカーボン・プライシング(炭素の価格付け)などの手段を含めた、排出削減活動へのインセンティブの提供の重要な役割を認識する。
我々は、炭素市場プラットフォームの設立及び東京で開催予定のその最初の戦略的対話を歓迎する。
我々は、国際航空分野における効果的な取組の喫緊の必要性を認識し、建設的な対話への関与を通じ、第39 回国際民間航空機関(ICAO)総会で決定に至ることにより、2020 年からの炭素中立な成長を可能とするため、市場メカニズムに基づく排出削減枠組(GMBM)の採択のために協働するとの我々の強いコミットメントを表明する。我々は世界の全ての首脳に対し、本年後半に決定への支持に加わることを奨励する。
我々はまた、短期的な温暖化速度を遅らせることを助けるための、ブラック・カーボン、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)及びメタンを含む、寿命の短い気候汚染物質の排出の緩和の重要性を認識する。特に、我々は、我々のメタン排出を抑制することを決意し、また、国内措置の採用の重要性を更に認識する。
我々は、モントリオール議定書の下でHFCs 対策に向けた作業を行うとの同議定書締約国によるドバイでの決定を歓迎するとともに、HFCs の段階的削減に係る野心的な同議定書改正の2016 年中の採択を支持し、その実施に向け、改正が採択された後には、同議定書多数国間基金を通じて追加的支援を提供する考えである。
我々は、エネルギーの生産及び利用が世界の温室効果ガスの排出の約3 分の2 を占めるという事実を踏まえ、エネルギー部門が気候変動に対処する上での重要な役割を果たさなければならないことを認識する。我々は、非効率な化石燃料補助金の撤廃に引き続きコミットしており、全ての国に対し、2025 年までにそのようにすることを奨励する。 
エネルギー
エネルギーは、世界の経済成長を支える上で極めて重要な役割を果たす。この点を念頭に、我々は、現在のエネルギー価格水準によって増大する不確実性はあるものの、世界経済の将来の成長に対するリスクを緩和するため、エネルギー投資を円滑にする上での主導的な役割を果たすことにコミットし、かつ、関連するステークホルダーに対し、エネルギー部門、特に質の高いエネルギー・インフラ及び上流開発への投資を持続させることを奨励する。我々は、エネルギー・システムがパリ協定の実施において果たさなければならない重要な役割を認識する。この点に関し、我々は、世界経済の脱炭素化を可能とするエネルギー・システムへの移行に向けた我々の作業を加速することを決意する。我々は、ミッション・イノベーションに対する我々の強い支持を改めて表明し、温室効果ガスを削減しつつ経済成長を確保するため、エネルギー技術の革新を支え、かつ、クリーンでエネルギー効率の高い製品、設備及び建物を奨励する更なる投資にコミットする。我々は、エネルギー効率及び水力発電を含む再生可能エネルギー並びにその他の国産資源の活用に関する強化された取組を支持する。
我々は、2014 年にブリュッセルで、また、2015 年にエルマウ城で決定された、エネルギー安全保障の原則及び行動の実施を継続するとの我々のコミットメントを再確認するとともに、「グローバル成長を支えるエネルギー安全保障のための北九州イニシアティブ」を支持し、国際エネルギー機関(IEA)を含むパートナーとの連携で達成された進展を歓迎する。我々は、日本の液化天然ガス(LNG)市場戦略、EU のLNG 及びガス貯蔵戦略、IEA による天然ガス安全保障に関する計画を含む、パイプラインガス及び液化天然ガス(LNG)の双方の天然ガスについてのエネルギー安全保障を強化するための具体的行動を歓迎する。我々は、仕向地条項の緩和、価格指標の確立及び開かれたアクセスを有する十分かつ強じんなインフラの構築等により、更なる透明性及び柔軟性がある、良く機能する天然ガス市場を強化し、また、世界レベルでのLNG サプライ・チェーンの戦略的な視点を促進する継続的な取組に対する我々のコミットメントを再確認する。我々はまた、我々のエネルギー部門におけるサイバーセキュリティの向上及び電力安定供給の分野における我々の協力の強化に関する継続的な作業にコミットする。
ロシア連邦とウクライナとの間の継続中の危機に関し、我々は、エネルギーが政治的威圧の手段や安全保障上の脅威として用いられるべきでないことを改めて表明する。我々は、ウクライナにおいてエネルギー政策の重要な改革が進行中であることを歓迎し、ウクライナに対し、エネルギー部門の更に野心的な改革を強く要請する。我々はまた、ウクライナの国営ガス配送システム事業者及び関連する国際的事業者との間の協力強化を求める。
我々は、福島第一原子力発電所における廃炉及び汚染水対策の着実な進展、並びに福島の状況に関する国際社会の正確な理解の形成に向けて、国際社会と緊密なコミュニケーションの下でオープンかつ透明性をもって日本の取組が進められていることを歓迎する。原子力の利用を選択する国にあっては、原子力は、将来の温室効果ガス排出削減に大いに貢献し、ベースロード電源として機能する。これらの国においては、原子力政策に対する社会的理解を高めるために、科学的知見に基づく対話と透明性の向上もまた極めて重要である。我々は、原子力の利用を選択する全ての国に対し、独立した効果的な規制当局を含め、安全性、セキュリティ及び不拡散において世界最高レベルの水準を確保し、その専門的な知見や経験を交換することを求める。我々は、国際原子力機関(IAEA)、OECD 原子力機関(NEA)及び世界原子力発電事業者協会(WANO)などの国際機関を通じて相互協力と情報交換が行われることを歓迎する。  
資源効率性及び3R
資源の持続可能な管理及び効率的な利用の達成は、 2030 アジェンダにおいて取り上げられており、また、環境、気候及び惑星の保護のために不可欠である。持続可能な物質管理及び循環型社会の重要性に留意し、我々は、「富山物質循環フレームワーク」を支持する。この新たな枠組みは、資源効率性及び3R(リデュース、リユース、リサイクル)に関する我々の取組を深めるための共通のビジョン及び将来の行動のための指針を提供する。我々は、引き続き「資源効率性のためのG7アライアンス」を通じて協力する。我々は、また、イノベーション、競争力、経済成長及び雇用創出を促進することも目標として、資源効率性を改善するために企業及びその他のステークホルダーと共に取り組む。我々は、全ての国に対し、我々のこれらの取組に参加することを奨励する。
我々は、資源効率性及び3R に関する我々の取組が、陸域を発生源とする海洋ごみ、特にプラスチックの発生抑制及び削減に寄与することも認識しつつ、海洋ごみに対処するとの我々のコミットメントを再確認する。さらに、我々は、科学的知見に基づく海洋資源の管理、保全及び持続可能な利用のため、国際的な海洋の観測及び評価を強化するための科学的取組を支持する。 
 
開発 
持続可能な開発のための2030 アジェンダ
2015 年は、2030 アジェンダの歴史的な採択、パリ協定、アディスアベバ行動目標と共に、全ての国における貧困削減及び持続可能な開発への我々のアプローチにおける新たな時代の幕開けとなった。このアジェンダは、持続可能な開発の、環境、社会及び経済という三つの側面を均衡ある形で統合し、全ての国に普遍的に適用される。2030 年アジェンダは、2030 年までに貧困を撲滅し、世界を持続可能なものに変革するという国際社会の揺るぎない決意を反映し、誰一人置き去りにせず、より平和で、安定した、包括的で、かつ、繁栄する国際社会のための基礎を築く。この目的のため、我々は、平和と安全、開発及び人権の尊重が相互に関連し合い、かつ、補強し合うものであることをよく認識しつつ、17 のSDGs の、統合された不可分の性質を強調するとともに、2030アジェンダの実施を、人間中心の、かつ、地球に配慮した形で、国内的及び国際的に進めることにコミットする。我々は、全ての国々及びステークホルダーに対し、マルチステークホルダー・アプローチを確保するため、再活性化され、かつ、強化されたグローバル・パートナーシップの下で、この共同の取組に携わることを強く求める。
我々は、持続可能な経済への世界的な移行に実質的に貢献するため、野心的な国内の行動をとることを決意する。我々は、国内の行動に加え、ぜい弱なグループにおける個人の尊厳及び人間の安全保障の促進を特に強調しつつ、2030 アジェンダを実施するための開発途上国の取組を支援することにコミットする。我々の共同の対応における重要な要素は、全ての女性と女児のエンパワーメントとジェンダー平等、国際保健、質の高いインフラ投資、特に後発開発途上国(LDCs)の若年者のための支援、平和及び安全に対する脅威への対応の活性化、強制移動及び現代の奴隷制度への対処、産業人材育成、包摂的なイノベーション、食料安全保障と栄養、CONNEX イニシアティブ、世界津波の日を通じての活動を含む災害リスクの低減への支援、気候変動の緩和及び適応への支援、エネルギー安全保障及び持続可能なエネルギー、海洋ゴミに対処することを含む資源効率性及び3R 並びに持続可能な森林経営及び違法伐採の根絶を含む。我々は、また、世界人道サミットを歓迎する。
我々は、全てのステークホルダーと連携しつつ、2030 アジェンダの不可欠な部分である第3 回開発資金国際会議のアディスアベバ行動目標の適時の実施に対する我々の強いコミットメントを確認する。我々は、政府開発援助(ODA)及びその他政府資金(OOF)が、開発のためのその他の資金源の触媒として、また、それを補完するものとして果たす重要な役割もまた再確認すると同時に、優先事項の中でも、国内資金源の動員並びに国内及び外部の民間投資を刺激することが可能な好ましい環境の創出が第一義的に重要であることを強調する。この観点から、我々は、持続可能な開発を前進させるための革新的なパートナーシップ及び資金の仕組みを引き続き追求する決意である。我々はまた、国民総所得(GNI)に対するODA 比0.7%目標などの我々のそれぞれのODAコミットメントや、後発開発途上国に対するODA の減少傾向を逆転させ、かつ、ODA をそのニーズが最も大きい国に一層振り向けることに対するコミットメントを改めて表明する。我々は、安全保障、開発、気候変動及びジェンダー間の平等が相互に依存しており、また、繁栄し、平和なアフリカを確保するための手段となっていることを認識しつつ、アフリカにおける課題に対処することが、SDGs の実現のための中心となることを確認する。このため、我々は、アジェンダ2063 及びその最初の10 年間の実施計画に記載されたようなアフリカの開発願望の促進を、アフリカ連合及びそのメンバーと協力して支援する用意がある。我々は、アフリカ開発会議(TICAD)、イタリア・アフリカ閣僚会議、EU・アフリカ・パートナーシップ及び米・アフリカ・リーダーズ・サミットを含む我々の二国間及び多国間のアフリカ各国との連携によることも含め、そのような支援を行う。我々は、2016 年8 月27 日及び28 日にケニア・ナイロビで、初のアフリカ開催となるTICAD VI が、世界の理念をアフリカのための行動に移す重要な節目となることを確認する。 
食料安全保障及び栄養
飢餓及び栄養不良を終わらせることは、 2030 アジェンダの基本的な要素である。SDGs を達成するためのより広範な取組の一部として、我々は、2030 年までに開発途上国における5 億人を飢餓及び栄養不良から救い出すという我々の目的の達成に向け、関連するパートナー及びステークホルダーと連携し、具体的行動に共同で携わる。
「食料安全保障及び栄養に関する広範なG7 開発アプローチ」を基礎として、我々は、(i)女性のエンパワーメント、(ii)農村から都市にわたって人々が直面する多様な食料安全保障上の課題を認識する人間中心のアプローチを通じた栄養の改善、(iii)農業及びフード・システムにおける持続可能性及び強じんさの確保といった優先分野における共同の行動を概括する「食料安全保障と栄養に関するG7 行動ビジョン」を支持する。我々は、関連する国際的なイニシアティブとの相乗効果を向上させることにコミットする。
我々は、SDGs 及び気候変動に関するパリ協定に沿った、世界の食料安全保障及び栄養に関するグッド・プラクティスの発展を支持する。これは、農業の可能性を拡げる取組、農村コミュニティの活性化並びに農業及びフード・システムにおける生産量、生産性、責任ある投資、貿易及び持続可能性の向上を含み得る。
我々は、日本で開催される食料安全保障及び栄養に関する国際シンポジウム並びに成長のための栄養サミットを歓迎する。  
複雑な契約交渉の支援強化(CONNEX)
我々は、当初採取部門に焦点を当て、複雑な商業契約交渉のための分野横断的かつ具体的な専門性を開発途上にあるパートナー国に対して提供するため、 CONNEX イニシアティブの下での我々の取組を強化することにコミットする。現状の一次産品価格の下落は、開発途上国が自国の天然資源から公正な収入を確保することを支援するためには良い契約を交渉することが重要であることを明確に示している。我々は、開発途上国における国内資源の動員を促進し、SDGs の達成に貢献するよう設計された「持続可能な開発に向けたCONNEX 基本指針」を支持する。我々は、開発途上国において能力を構築し、また、採取部門のガバナンス及び透明性を向上するため、CONNEX を既存のイニシアティブに合致させることにコミットする。更なる進展は、OECD と共に設立されたネゴシエーション・サポート・フォーラム及び東京で開催される能力構築と透明性に関するCONNEX 国際会議を含む、ステークホルダーとの緊密なパートナーシップを通じて追求する。  
G7 説明責任
我々は、我々が行った約束について、オープンな、かつ、透明性のある方法で、説明責任を持つことに引き続きコミットする。我々は、我々の開発関連コミットメントに関する3 回目の包括的な報告書である「伊勢志摩進捗報告書」を歓迎する。この報告書は、2030 アジェンダの実施に向けたG7の重要な貢献を強調する。前向きな成果は、保健、食料安全保障、教育及びガバナンスなどの分野で見られる。我々は、我々のコミットメントに対する進展を引き続き監視する。  
 
結語 
我々は、イタリア議長の下、2017 年に会合することを楽しみにしている。
(了)