総理の品格

国会中継 審議のやり取り 
庶民  政治家の素顔を知る 
  
総理  売られた喧嘩を買うがごとき 
知る限り 異次元の答弁
 


新旧首相対決 
 
  
  
  
  
  
きつい野党質問に応える 
前ふり言葉は  前政権 (現野党) の失策 
比較論議にすり替える
  
前政権でも・・・だった 
真剣に取り組みましたか 
我々が 解決できないのは・・・だからです
  
前政権でも・・・だった 
謝罪しましたか 
我々が 脇が甘いのも同じです お互い反省しましょう
  
前政権では・・・だった 
先送りしたでしょう 
我々は 先送りせず 委員会を立ち上げました
  
  

   
2016/2 
 
新旧首相対決 
安倍晋三首相は19日の衆院予算委員会で、衆院の定数削減などに関する民主党の野田佳彦前首相の批判に対し「みなさんはただ1人も議員は削減していない」などと反論した。 
 
定数削減  
野田佳彦氏「安倍総理。お久しぶりです。覚えてますか。野田佳彦でございます。実はですね、総理経験者がこういう形で現職の総理と質問をするというのは異例の話らしいですね。私も実際、躊躇しました。というのは、会社でいうと立場は違いますけども前社長と現社長ですから、あまり対立的に論争する姿が国際社会からみてどう映るかなと思うときに、どうかなという気持ちが率直に言ってありました」  
「ただ、最近ですね、私が解散をして落選をしてしまって、まだ戻れない同志たちから、さまざまな声を聞いてるんですが、あのとき民主党が大敗し、同志をいっぱい失いました。彼らの中には、消費税を堂々と語り、ネクストエレクションよりネクストジェネレーションだと言って、そして定数削減を確約してあるからと主張して散っていった仲間がたくさんいました。定数削減が、残念ながらいまだに実現されてないことは、敗北をしたことは悔しいけど、名誉ある戦死だと思っていたわれわれにとって、その名誉すら無くなりつつある、という声を聞かしてきました」  
「私は今日、その辺からも、4年前のやり残したことを決着をつけなければいけない。今日そういう思いで、バッターに立たせていただいたわけであります。まず、あの2012年の11月14日、当時内閣総理大臣の私と当時野党第一党自民党総裁であった安倍総理との間で、約束を交わしました。その約束の中身を覚えてらっしゃいますか」  
安倍首相「3年ぶりにこうして元気な野田さんにお目にかかれて私は大変うれしく思います。そこで2012年の党首討論でお約束したことは何かということであります。あのとき問題になっていたのはいくつかあるのですが、1つは0増5減であります。0増5減をただちに実行するということ。そしてまた定数の格差の是正を行っていくということであったんだろうと、こう思うわけであります。あのとき私が野田総理に申し上げたのは、こういうことだった。定数を削減するということについては民主党もわが党も国民にお約束をしている」  
「しかし同時に、選挙に関わることであるから、まさにそれは民主主義の土俵を作っていく。民主主義の土俵を作っていく上において、私と野田さんが決めるというのはこれはまさに傲慢な態度であって、少数政党、また党首討論に代表を出していない人たちの党の話も聞かなければならない。このように申し上げたわけであります。かつては例えば、政府に有識者の会議をつくることもありましたねと申し上げたと記憶しているところであります。このお約束にのっとって、われわれはまさにその後0増5減を実行したところであります。残念ながら0増5減の区割り法案にですね、民主党が反対をされたことは大変残念なことでありました。0増5減で約束したにもかかわらず、それに対して反対をなぜされるのかな、この思いであったことは申し上げておきたいと思います」  
「そして、その後ですね、私が申し上げた通り、まずは政権を取った後ですね、各党で協議する、それをスタートさせました。小さな政党も入れて協議すべきだとこう申し上げていましたから、小さな政党も入れて協議をした。残念ながらこの協議は各党の利害が調整できずうまくいかなかったわけでございました。しかし、答弁が長くなって恐縮だが、その上で議長の下に第三者機関を作る私は提言をしたが、当時は多くの野党もその私の提案に対して反対をされました」  
「しかしその後ですね、議長の下に第三者委員会が作られたわけでございます。そしてその答申がなされ、来週22日ですか、その答申に向けて多くの党が前向きに検討を進めているところでございますから、これはかつてまさに各党が利害を正面に出してぶつかり合っていたときに比べれば大きな前進でないかなとこう思う。政治は結果でございまして、定数削減を言うのは簡単ですが、実際に実行するのはそう簡単ではない。われわれは0増5減を実行し、そして、このたび各党がこの提案に対し、この答申に対し、それを前向きに検討するところまでは来たわけでございます」  
「そして先ほど自由民主党の田村委員にお答えをさせていただきましたように、この今度のですね、いわば簡易調査、国勢の簡易調査で出る結果において区割りを改定するわけでありますが、その際にですね、議席の10減をしっかりとこれは盛り込んでいきたいと、こう考えているところでございます」  
野田氏「あの、いつもこんな感じなんですか?私はですね、約束を覚えてますかという質問をしたんです。いまなんかその第三者機関の答申とかいろんな話をされました。0増5減とか。私が聞きたかったのは約束の本質の中身です」  
「よく聞いていただきたいと思います。これからちょっとご注意頂きたいと、限られた時間なのでお願いしたいと思います。約束の中身をかいつまんで言うと、まあ、われわれは社会保障と税の一体改革ということで国民の皆様に税を負担していただく、国民の皆様にご負担をお願いする以上は、まずはわれわれが身を切る覚悟を示さなければいけない」  
「だから定数削減を実現しましょうと、0増5減とか過去の話をされてましたけれどもいろんな経緯がありました。それは水掛け論をしたくありませんよ。それはまあ、もうさかのぼっては言いません。約束をしました。約束しようと言いました。提案しました。安倍さんはやりましょうと言いましたよね。やりましょうと言ったんです。次の通常国会で、2013年の通常国会で定数削減を含む選挙制度改革をしっかりやりますよと言ったんですよ。その約束を受けて、私はあなたから要請のあった衆議院を解散をするという約束を果たしたんです。11月14日の党首討論、そして11月16日に解散をしたんですね。私は約束を果たしたつもりです」  
「ところが、約束したはずの次の国会で定数削減を含む選挙制度改革を果たすということは、残念ながら実現できませんでした。できないまま今日に至っているわけなんですね。ということをまず確認をさせていただきたいという風に思うんです。ここからが議論のスタートなんですね。これは口約束ではないんですよ。テレビの前で国民の前で約束したことだから国民の皆様も覚えているんですね。にもかかわらず約束を果たしましたか、ということを聞いても、違う話ばっかりおっしゃった」  
「私は、一言ぐらい結果をいまだに出しきれないことについて国民の皆様におわびの言葉があるのかなと思ったら、驚きました、今の答弁。じゃあそこでちょっとパネルをお願いしたいと思いますが、こういう形で11月16日に、合意書をまとめています。“民主党および自由民主党および公明党は衆議院選挙に関し、次の通り合意する。1.衆議院定数削減については選挙制度の抜本的に見直しについて検討を行い、次期通常国会までに結論を得た上で必要な法改正を行うものとする”。努力規定でありません。きっぱり書いています。2012年11月16日、民主党国会対策委員長、先ほど質問されていた山井和則さん。自民党は浜田さん。公明党は漆原さん。それぞれがしっかりと署名をされています」  
「改めて、この合意書を交わしたことを思い出していただき、知らないとはいえないと思いますよ。お互いの党の国会対策責任者がまとめたんです。本来ならばかつての細川さんと河野さんとのように、あなたと私で合意文書を交わしたかったと思いますが、解散を決めたときでしたので、国会対策責任者にお任せをし、そのうえで解散をしているわけであります。改めてこの合意書を確認をした上で、残念ながらこの通りにできていないことについて、改めて答弁をお願いしたいと思います」  
首相「まず約束について言えば、8月に当時の谷垣総裁と野田さんとの間において、われわれは野党だったが、消費税法案、一体改革について賛成するという決断をした。しかし同時に、野田さんは『近いうちに解散する』。これが約束だった。それと念のために申し上げておくが、あの年の暮れの選挙、なぜみなさんは大敗したか。それは身を切る改革として消費税を引き上げるから負けたのではないんです。消費税を引き上げるという約束は私たちもしているんですから。同じ約束をしている私たちは勝って、みなさんは負けた。そのこともかみしめていただきたいと思う次第です」  
「(ヤジが飛び交い…)民主党のみなさん、ちょっとうるさいです。今私と野田さんが党首討論を。野田総理、いつもこんななんですよ。ですから静かな議論ができなくて大変残念ですが、せっかく今日は3年ぶりに野田さんが出てこられたのだからしっかりと議論させていただきたいと思っている。そして繰り返しになるが、0増5減だって約束したじゃないですか。約束にしたのに、ここにいるみなさん、みんな区割り法案に反対票入れたじゃないですか。0増5減が一番喫緊の課題だったんじゃないですか。みなさんはただ1人も議員は削減していない。ただ私たちは0増5減の約束は果たしていると申し上げておきたい」  
「そしてこの約束(3党合意)であります。この約束を守っていく。この約束を守っていくのはわが党の責任もあるが、互いの共同責任です。誰かだけに責任があるわけではない。われわれは30減の提案をしている。合意に至らなかったのは本当に残念だと思っている。でも残念だということは、これ3党が代表して名前を書いているんですから、3党がそれぞれの責任をかみしめなければいけないと思います。そこで私は責任を果たすために、このままではうまくいかないという中において、議長のもとに第三者委員会を作った」  
「そしてそのもとで成案を得て、政治は結果でもあるし技術でもある。みなさんだって3年間あったんですから。3年間でただの1人も削減していないじゃないですか。しかもみなさんは80人削減すると言っていたんじゃないですか。80人と言って0になってしまった。われわれは30人と言ったけど残念ながら果たすことができなかった。それは合意にのっとって協議した結果。これみなさんととともに同じ責任があると思っています。そこでわれわれは今回、第三者委員会から出てきた結果について来週22日に各党が持ち寄ることになっているが、そこでしっかり成果を得られるよう期待したいし、私は自民党総裁としてのリーダーシップも発揮していきたい。そう考えているところだ」  
野田氏「いやあ、ビックリポンですね。本当に驚きますね。これでは前向きな議論ができない。ずいぶん過去にさかのぼってお話をした。私は答弁する立場じゃないが、いろいろおっしゃったから反論しないといけない。われわれの政権の任期中に1人も議員の数を減らさなかった。その通りです。でも理由がある。2012年の通常国会に、議員定数を40削減する法案を提出した。そのとき、(ヤジが飛び交い…)聞いてくださいね、総理もね。お互いに気にしないでやりましょう。ちょっと議論させてください」  
「申し上げますが、40削減の法案を出したんです。自民党も定数削減を選挙公約で出しているから対案を出してきたり修正するのかと思ったら、審議拒否だったじゃないですか。参院はそちらの数のほうが多いから審議もできなかった。やろうとして潰したのは自民党なんです。だから11月16日、緊急避難で0増5減を成立させなければいけなかった。だからわれわれは賛成した。その後0増5減にも違憲の判決が出ましたね。次々と」  
「だから、区割り法については違憲状態というのが出ているんだからもっと冷静にきちんと議論しようと言っていたら、強行採決をあなたたちがしたんじゃないですか。ということをなんで私が今答弁しないといけないのか。私が聞いたのは、この同意書を見てどう思うか。端的に言ってほしいんです。期限が区切ってあるが、約束をしたことをできなかった。もちろん各党に責任があるというのは間違いない。われわれが無関係とは言わない。だが、第一党の責任が一番重いんじゃないですか。その自覚はないんですか。結果的には、こんなことを天下の総理大臣に言いたくないが、通常国会、2013年までにできなかったということは、国民に嘘ついたことになりませんか。嘘をついたことになるんですよ。それに対する痛みも責任感も感じない今の答弁には私は満身の怒りをこめて抗議したい」  
「ご苦労されて調査会が1月に答申を出していただいた。われわれはこの答申をそのまま法制化していいと思っている。すなわち2010年の国勢調査を踏まえて県の枠も超えた定数配分を答申が出しているアダムズ方式を使って、その上で10議員定数削減する。そういう法案を作ろうと、われわれの政治改革本部で決定した。これは党の方針だ。同様のことを維新のみなさんも決められたと聞いているし、おそらく公明党のみなさんもそういう思いだと思う。とすると、これまで定数削減を主張してきた政党は足並みがほぼそろっている」  
「その中で、今までは自民党の方針は2020年よりも先に先送りをしようという、とても答申を守っているものではなかった。2020年の国勢調査を踏まえての対応というと、結果が出るのは2021年。それを踏まえて区割りし、周知徹底するなら2022年以降ですね。私との約束から10年以上たっちゃう。そんなひどい話があるかと思って、今日私はここに立った。ところが今日午前中の答弁では、ずいぶん前倒しする発言をされたようだ。改めてこの調査会の答申について、安倍総理、自民党はどういう方針で臨まれるのかを私にご説明いただきたい」  
首相「第一党に大きな責任がある、それはその通りであります。私も第一党の党首として責任があると思っています。でも、同時にですね、皆さんが第一党であったときには皆さんに責任があるわけでありまして、結果をしっかりとお互いにかみしめようではないですか。自分たちが第一党のときはそれは実は自民党のせい。しかし、自民党が第一党のときは自民党のせい。先ほど野田さんに申し上げましたよね。わが党の議員はほとんどやじをとばしていませんが、おたくの議員はやじばっかしですよ。だからお互いに指示を出そうではありませんか。行儀よく聞いているんですから、そちらの席も少しは静かにしていただかないと、私とせっかくの野田さんとの議論でありますから、落ち着いて議論をしようじゃありませんか」  
「みなさんよろしいですか。すこし静かな雰囲気を作っていただきたい。そこでお互いに、それぞれの党がしっかりと責任を果たしていくことが求められています。その中でですね、確かに時間はかかりましたが、ここまではきました。そして私が総理総裁を務めている間にここまできました。そして、その中で、先般第三者委員会から答申がだされた。この答申の範囲内で対応していこうということを申し上げています」  
「それは事実上3つのことを言っているのだろう。こう思います。1つは先般の最高裁の判決がありましたから、5年ごとの簡易の国勢調査にのっとって、これは区割りを調整して、まずは違憲状態を解消していこうということであります。そしてその先に10年ごとの国勢調査にのっとってアダムズ方式を取り入れていこうと、こういうことでありました。そこで私がいま申し上げていますのは、では5年の国勢調査、簡易調査にのっとって区割りの調整をしていきましょう。それは、その実行していくためにはそのための法案も出さなければいけませんし、さらには区割りを確定する法律を通していく。0増5減と同じ」  
「そして私が申し上げているのは、その際、10減を行おうと。第三者機関の答申ということについて言えばですね、第三者機関においては必ずしも1人当たりの有権者の数は日本は欧州と比較して多いとはいえない。むしろ少ない方だという結論に立っていますが、各党が国民との約束の中で削減するという約束をした以上、10程度ということが出されているわけでありまして、われわれはそれを行っていく。いま野田さんがおっしゃったように、32年の国調にあわせて、という議論がわが党にあるのは事実でありますが、それは今日、自由民主党の田村議員からの質問でお答えをさせていただいたように、先送りはせずに、それは決めていく。いまだ自民党では議論していますが、総裁としてその方向に議論をまとめていきたいと考えている」  
野田氏「まあ2020年以降に先延ばすということはやめる、ということからは前進をしたという風に私も思います。そういう意味では、きょう答弁に立った、かろうじて意味があると私は思います。質問をした意味があったという風に思うのですが、ただですね、これもうちょっと本当は詰めないといけないのは、さっきおっしゃったように、2015年の国勢調査(国調)をふまえて定数削減をするというお考えですね。われわれは2010年のあの大がかりな国調を行いたいと思っています」  
「もちろん直近の国調で微調整は必要かもしれませんが、それをふまえて都道府県別の定数配分もやるという中で、そこから導き出される7増13減という小選挙区の削減と比例区の4削減を実現するという法改正が、答申にのっとった私はやり方だと思うんです。ストレートに言うならば。どの国調にもとづくのか、ということによって微妙に変わってくる可能性がありますね。あるいはアダムズ方式をするかどうかもまだ確定していないようですが、その技術的な方式によっても変わる可能性がある」  
「そこに細部と技術的な要因に党利党略が出る可能性があります。私はそうあってはいけないと思うんで、せっかく定数削減は前に倒して実現しようとしてきたことは良いけれど、あまりその細部や技術的なものにこだわって、小異をずっとこだわると、まさにそれはちゃぶ台かえしになりかねないと思いますので、ここでする話ではないかもしれないけど、細部や技術的な問題にこだわりすぎて、各党との足並みがそろわないようになることを、ぜひ総理の指導力で自民党に徹底していただきたいと思いますが。いかがですか」  
首相「これは確かに野田さんのおっしゃるとおりだと思います。細部にこだわりすぎないことも大切であります。どうしてもこの問題、ずっと熱心にやってきた方はですね、どうしても細部にこだわるんですね」  
「しかし、あまり細部に、しかしそれは党利党略ではなくて細部に、やっぱりかなり技術者的にこだわっているということも、もしかしたらあるかもしれませんが、しかし同時に高い立場に立って最終的にはつめていきたい。そして今、大事なことを野田さんもおっしゃったんですが、党利党略が入ってはならない。例えば、小選挙区の6減をどのように決めていくのかということもございます。これは客観的な一定のルールで決めていかなければならないと思っています。そこはですね、私が決めることではなくて、まさに来週22日に各党が集まるのですからその場においてですね、決めていただきたいとこう考えております」  
野田氏「まあ、細部にこだわりそうな方のお顔が思い浮かんだものですから、私も要注意だという風に思います。まあ、あの、ずっと、まあ『どや』という感じでご説明をされていました。一定の前進だと思いますよ。ただ率直な私の感想をちょっと厳しく聞こえるかもしれませんが、あの、申し上げたいと思います。ここまでようやくきたと、やっとここまできたと」  
「でもまだ一里塚だと思うんです。あの私はですね、トゥーリトル、トゥーレイトだと思います。まず、トゥーレイトから。遅きに失したなと、ここまでくるのは。本来ならばさっきの合意書お示ししましたけれどもやはり2014年の4月に消費税率を8%に引き上げるまでに、実現をしておくべきだったと。そして、先般の選挙を、まあ解散時期はそりゃ総理が決めることでありますが、先般の総選挙の前に実現をし、一票の格差を是正しておくべきだった。これはもう取り返しがつきません。その意味では私はトゥーレイトだったと思います」  
「そして、トゥーリトルなんですよやっぱり10は。これはもうせっかくの答申ですから、これはまず10削減ということをお互いに努力し合って実現する。この国会で法改正を行う。ここまではなんとしても持っていかなければならないと思いますが、それで留まっては私はいけないと思うんです」  
「私はさっき、たまたま2012年の通常国会で40法案だしたけどダメだったという昔の話をしましたけれども、まあ、10で終わるのではなくて、引き続き定数削減も含めた選挙制度改革についてはお互いに協議していこう。そこの確約まで頂きたいと思うのですが、いかがでしょうか」  
首相「今後ですね、今後どのように選挙制度を作っていくのかについては、これはまず来週ですね、この答申に対して各党が自分の考え方を持ち寄るわけでありますから、今ここでそれを前もって全て申し上げるわけにはいかないわけでありまして、まずここでですね、これなんと言っても私の下に作った第三者機関ではなくて、議長の下に作った第三者機関でありますから、一時的には委員で考えるということでございまして、議長もしっかりととりまとめていかれるという考え方もお示しになっておりますから、来週ですね、まずは各党がどのような考え方を持ちよるか」  
「そして議長の下においてですね、進めていく。その中でわが党がどういう方針をとるかということに初めて私は総裁として指導力を発揮していくつもりでございますが、まずはですね、今後どのように進めていくかということについても、そこで議論していただきたいと思っています」  
野田氏「いや、もちろん第三者機関の答申は長のもとですすめていく。その終わった後のさらなる定数削減を含めて、あるいは選挙制度改革についてはこれは政党間の協議だと思いますので、先ほど強く要請をしたということでございました」  
 
経済  
野田氏「次にですね、まだ少しお時間がありますので、経済の話をさせていただきたいという風に思うんです。まあ、今週の月曜日に去年の10月から12月期のGDPの速報値が出ました。まあ、マイナス前期比で0.4、年間率でマイナス1.4というまあ残念な数字でありましたけども、そういうことも含めて実質GDPです。経済を見る目で私は重要な経済指標だと思いますがこのご認識はございますか、総理」  
首相「まあ、当然実質GDP、いわば成長していく力でございますから当然、実質GDPというものは重視しております。しかし同時にわれわれは今、目標はデフレ脱却でありますから、この実質GDPと名目GDPがですね、逆転していたという状況は良い状況ではないわけでありますから、これをわれわれは再逆転することができました。これをしっかりと維持をしていかなければいけないと、こう考えています」  
野田氏「あの、まあ実質GDPは大事な指標であるということのご認識も頂きましたので、それを踏まえての議論をしていきたいというふうに思います。あの、パネルを作らさせて頂いております。上の方のですね、グラフはわれわれ民主党政権の時の2009年の10月から12月期から、私の政権の終わり2012年の12月までの実質GDPの年平均の数字1・7%とその曲折をたどったグラフでございます。その下が安倍政権の3年間でございまして、これは実質GDP年平均でとると0・6%になるんですね。お互いにデコボコがありますが、年平均で換算するとこのようになります」  
「これは内閣府の出しているGDP統計も踏まえて作ったものですから、私が勝手に作ったものではありません。という形ですね、これに基づいてですけども、下のね、0・6%って、あれだけアベノミクス、アベノミクスとか3本の矢とか言ったわりには低いという気がしませんか? なぜ0・6%に甘んじているのか、ご説明頂けませんか」  
首相「平均で言ってると思いますが、いわば3年間でどういう結果をだしているのかということで申し上げますとですね、実質GDPは1・9%伸びております。そして名目では5・6%伸びていているということでありまして、そこで見れば名目GDPが実質DGPをしっかりと上回っているのはデフレではないという状況を作ったからであります。それはまあ平均なんですが、例えば民主党の場合は実質GPは確かにプラス5・7%でありまして、先ほど私が申し上げましたわれわれの1・9%より多いのでございますが、でも、みなさんの時のですね、実質GDPはプラス5・7ではありますが名目は0・7なんですね」  
「この差はデフレ、この5%はデフレなんです。デフレだったから実質は5・7%になっているということでありました。そのときはデフレにどっぷりと漬かっていたということでありまして、これを、デフレを肯定するのであればですね、これは良い数字ということになるわけでありますが、われわれは違います。われわれはデフレから脱却をしなければならないということにおいてまさに名目が実質を上回る、つまりしっかりとデフレから脱却をしているという姿を作ったわけであります」  
「同時にもうひとつ申し上げますと、税収はどこから出てくるかと言いますと、実質ではなく名目GDPが増えていかなければ税収は上がらないということになりますから、われわれは民主党政権時代よりも、われわれは21兆円税収を増やすことができたということも併せて申し上げておきたいとこのように思いますし、大切なことはもう野田さんもおそらく十分にご承知だろうと思いますが、雇用が一番政治にとって、雇用を確保していくということが大切であります。われわれはしっかりと雇用を増やし失業者を減らし、倒産を減らしているわけであります」  
「野田さんも私もですね、お互い1回総理大臣をやり、そして総理大臣を辞めた、これはお互いにやはり失敗から学ぶことが必要なんだろうなと思いました。私はやはりデフレ脱却が大切だと学び、政策を磨き、そしてこのたびなんとかデフレではないという状況を作り出すことができたと。このように考えております」  
野田氏「いや〜本当に困りましたね。実質GDPでの議論をしようと、だからこの指標を出したんですね。名目に持っていきたい気持ちも分かりますよ。分かりますけども、名目の意味も分かります。で、デフレがいいなんて私も全然思ってませんよ」  
「だけど、だけどですね、最近賃金で考えてください。名目賃金が増えたって、輸入物価が高まってですね、実質賃金が下がってということがずっと続いているわけであって。実質を伴わない名目の上昇だったら逆に生活が苦しくなるんですね。それと同じことであって、まず実質の実力のところをどう見るかということを冷静に数字に向き合って議論することが大事だと思ってこういうグラフを出している訳なので、あまり名目、名目とふらないようにしかもまた雇用とか税収とかなんか違う方向に行きましたけども、あのひとつ悪いクセがありますね」  
「総理、申し訳ないけど。民主党よりは良くなったという、その民主党を酷評して自画自賛をするという答弁なんですいつも。しかもその材料がね、材料がだいたい右肩上がりのグラフだったら良い方だったら、例えばですよ、よく使われるのは税収ですよ、われわれこれだけ税収を増えたと。われわれだって麻生大臣いる前で申し訳ないが、麻生大臣のころに比べれば税収増やしているんです。右肩上がりのそのグラフの時に自分はここにいる。途中にいた民主党はここじゃないかというそういう指摘ですいつも。同じです、同じ。そういう問答をしたって意味がないので、その悪いクセは直していただいて是非数字に向き合ってほしいんです」  
「いいですか? 私はもう、答弁されると違うとこいっちゃうんでいきますよ。いきますけどね。0・6%で終わっているということは、一番の大きな原因はですね、潜在成長率がわれわれの時も苦しかったけれども、今0・2%近傍じゃないですか。0%に近いんじゃないですか。これを上げていかなければね、外的な要因とか天候とかあればマイナスに落ちちゃうんですよ。それがこの数字の危険だと私は思っているんで、もっと3本の矢もいいんだけど、成長戦略にもっと力をいれて実現をしていかないとですね、これは問題意識が共有できるでしょ? そういう議論をしたかったんです」  
「全然違う答弁になっちゃったから、そういう議論にならないんです。われわれの1・7%はですね、別に自画自賛するつもりはありませんが、いろんなことが要因でありますが、私はずっと3年3カ月、財政を担当していました。民主党の政権で力を入れたのはですね、ほとんどの予算を減らしました。増やしたのは社会保障と中小企業と地方なんですね。社会保障、困ったとき、弱ったときのサービスをしっかり守って、そして中間層を守って低所得者の暮らしを守ること。中小企業。日本を守っているのは中小企業ですよ、100年以上続いている企業は世界で4万社あります。日本2万7千社もあるんですよ。ほとんど中小企業ですよ。この人たちが力を持つようにすること」  
「そして地方、地方交付税3年増やしました。一括交付金やりました。このように日本の力を底上げをする分配に力を入れたんです。再分配に力を入れているんです。トリクルダウンではやっぱり0・6でおわっちゃうんですよ。トリクルアップの方が私は今のこの時代には必要ではないかと思うんです。そこが私たちと安倍さんとの立ち位置の違いです。そんなことを言われると頭にくると思うんで、感情的になるかもしれませんけども、是非ですね、今は参考として聞いていただきたいし、これからぜひ取り入れていただきたいと思います。いかがですか?」  
首相「やはり反省から学ばなければならないなあと、改めてお話を伺っていて思った。私は第1次政権のとき、あのときもそれまでの統計から見れば企業は最高の収益を上げていた。しかしなぜ賃金が増えなかったか。そういうことも考えながら、私は新しいアベノミクスという政策を磨き、実行している」  
「名目と実質の話をされたが、名目と実質、テレビを見ている方も理解していただかなければならない。デフレーターを足していくわけで、マイナスになれば引いていくわけだが、デフレならこれがそのまま乗っかるわけなので大きく見えるということを申し上げたわけで、話を切り替えたわけではない。小さい話と言っていたが、それが大きいんですよ。小さい話と言うのはデフレを小さく考えているんだろうと思う」  
「私はデフレこそ変えていかなければならない。そこでデフレではないという状況を私たちは作った。そして私たちは潜在成長率を当然重視しているから、3本の矢の3本目は成長戦略であって、成長戦略をさらにしっかり打ち出していきたいと思っているし、かなり今までできなかったことをやっていると思っている。そして今後、野田さんがおっしゃった、しっかりと底上げをしていく。われわれはそのために最低賃金も3年連続大幅に上げて50円上げた。そしてパートタイマーのみなさんの時給は過去統計を取った中で最高になっている。そういうことをなぜできたかといえば、政労使の対話をスタートした。今までやっていなかったことをスタートした」  
「これは第1次政権の反省の上に行っているわけで、われわれはいわゆるトリクルダウンをとっているのではなく、成長力を底上げしていこうということだ。成長と分配の好循環を回していく。まずしっかり成長を確保しながらその果実を分配に回していく。この成長と分配の好循環を回していくことで、掲げた3つの的に向かってしっかりと政策を進めてめていきたいと考えている」 
 
政治姿勢  
野田氏「もう私の持ち時間がきた。本当はもっと突っ込んで聞きたいところだが、今日印象として申し上げます。私の質問への対応、これまでの予算委での対応を含めてだが、やっぱりね、きちっと数字に向き合う素直さをもっと持ってほしい。どうしても最後は自画自賛の路線ばっかりに行くじゃないですか」  
「そんな路線に集まっている人たちがいっぱい集まっているから、今の経済財政諮問会議、どうですか。潜在成長率2%なんかでいろんなことを計算しているんでしょ。2020年。こんなことをやっていたらダメですよ。政権のポチばっかりみたいな人たちと。そんなんでいい知恵出てこないと思う。今の発言は撤回しましょう。ポチはね。でも言い過ぎたけれど、気をつけてください」  
「むしろ異論反論にももっと耳を傾けていただきたい。もう亡くなってしまったが、クレージーキャッツのハナ肇さん、ご存じですか。喜劇役者の。あの人は非常にいい言葉を残している。「自分が人の演技が下手に見えたときがあった。そのときは、まったく自分は成長していないときだ。自分の後輩でも本当に下手な役者でも、この人はこんなにいいところを持っているんだなと気付くときがあるときは一番伸びた」と言うんですね。そういうことで。(会場から笑い)そういうことで、ご忠告申し上げて質問を終わりたい。ありがとうございました」  
新旧首相対決を終えた野田前首相 
衆院予算委員会で安倍晋三首相との約3年3カ月ぶりの“直接対決”に臨んだ民主党の野田佳彦前首相は19日、質疑後に国会内で記者団の取材に応じ、論戦の手応えを語った。  
質問に立った思い、きっかけは  
「さきほどの質疑の中でも申し上げましたけど、私なんかが立っていいのかなという気持ちを持っていましたけれども、定数削減が膠着状態のまま4年目に入ってしまいつつある。(解散に伴う衆院選で落選し)失った仲間もいっぱいいるわけで、『落とし前』をつけなければいけない時期だったものですから、その役割は最大限果たしていきたいと思って立ちました」  
首相の答弁について感想は  
「前倒しの定数削減をしてきた。なんか、ご自身のリーダーシップのようなお話ですけど、あまりにも後ろ向きだった自民党がようやく各党並みになってきたというだけですので、そんなに評価する話ではもともとないんですよね。それよりは、きょうも時間が足りなかったんで細部を詰めていませんけど、アダムズ方式をきちっと受け入れるのかとかですね、このあたりから党利党略が出そうだった気がしますので、十分気をつけながら各党協議を進めてほしいと思います」  
定数削減が実現できなかったことへの謝罪がなくて「驚いた」と発言した  
「驚きましたね。あまり品性のないやり方はしたくないと思ったので、あまり『ウソつき』的なことは言いませんでしたけど、安倍さんもおっしゃってましたけど、私が『近いうちに』と、『解散を』と言ったのは平成24年の8月8日でした。11月14日に党首討論を経て16日に解散するまで、3カ月の間ずっと、安倍さんも含めて私を『ウソつき』発言。その悔しさはずっと腹におさめながら…。だから、きょうは、あまりそのことは言いませんでしたけど、やっぱり、25年の通常国会で合意書に基づいて結論出せなかったということは、残念ながらウソをついたことなんですね。それをもっと恥じてほしいと思うし、開き直った答弁が多かったので、反省の弁がないなと、責任感がないなということを痛感しました」  
定数削減、あるいは3党合意の約束は、現状で果たされていると思うか  
「定数削減まだできていないんだから、果たされていません。だから、安倍さんと自民党にとっては挽回するラストチャンスだと思うので、きっちり答申通り、早く法案づくりにいけるようにやってもらいたいと思いますね」  
「『社会保障と税の一体改革』の本体の話は、きょうは私ね、残念ながら時間がなくてできませんでしたけど、本当は軽減税率もやりたかったんですね。『軽減税率で総合合算制度導入見送り』なんてのは、本当に一体改革の魂が分かっていない動きだと私は思うんです。総合合算制度のような、例えば一家の家庭で考えると、大黒柱が倒れたと。脳卒中で倒れたと。急に医療費も介護費もかかるようになり、しかも子供まで持っていたら一挙に自己負担が増えるわけでしょ? 誰でも起こること。そこにキャップを設けて国が後押しをしようというのは、あるべき社会保障の姿ですよ。それは消費税で支えていくべきですよ。それをやめてね、大間のマグロだとかね、霜降りの和牛とか、そんなものを買う人たちの分も軽減される財源に行くんでしょ? 本末転倒ですよ。一体改革の意味が分かっていない。しかも財源手当は6000億円やらないでしょ。財源なくして政策なしです。社会保障と税の一体改革は、財政健全化も目標に入っているわけですね。これ、もう政策じゃないですよ。財源は後から決める。選挙終わってからでしょ? ネクスト・エレクション(次の選挙)しか考えてない。ということも含めて言いたいことはいっぱいあるんですが、まあ、きょうはやめておきましょう」  
政権をかけて解散をされたわけだが、この3年3カ月、どんな思いで国会をみていたか  
「私のもとで解散をして、負けたわけですから、まあ敗軍の将ですからね、あまり出ばったことをしてはいけないと。むしろ、無念の思いで頑張っている人たちに一人でも多く戻ってきてもらえるようにということで、地方を回ったりとか、そういうことをずっとやってきました。これからもそうしたいと思います」  
今後も予算委などの場で首相と対決していきたいという思いは  
「言おうと思ったらキリがないから。いっぱいありますけど。ただ、大変優秀な論客もいますから、そういう人たちが頑張ってくれると思います」  
定数削減について首相は、リーダーシップを発揮したいという答えにとどまったが  
「きょうも言いましたけど、『トゥーリトル・トゥーレイト(小さすぎて、遅すぎる)』ですから。『トゥーレイト』はもう取り返しがつかないんだけど、『トゥーリトル』はまだ取り返しつくんでね。まずは確実に10削減させるというところからスタートした上で、われわれも諦めないで、引き続き定数削減を含めた選挙制度改革ですね、人口割だけではなくて、いろんな面積も含めて、いろんな知恵もね、区割りについてはあるっていう話も党内ではありますから、党内の意見しっかりまとめながらやっぱり各党と積極的に呼び掛けて協議をしていくということだと思います」  
消費税の10%への引き上げについて、野田氏としてはどのような考えか  
「基本的には、法律通りに粛々と上げられるようにしなければいけない責任が、今の安倍政権、あると思うんですね。それは、1回延期してますけど、期限を決めたのは安倍政権ですから、それを達成できるようにするということ。あとはやはり社会保障と税の一体感が損なわれてきていると思うので、そういう修正とか含めてやってもらわなければいけないと思います」  
再増税は民主党としては理解できないということになるか  
「『民主党として』とかは、ちょっと、私は言う立場じゃない」  
野田氏は環境が整っていないとお考えか  
「まだ、その判断を私はしていません。基本的には上げていくべきなんです。上げなければ、私はどういうきっかけで財政危機に陥るか分からないと思っていますから。そのためにも国民の理解が必要なんでね。しっかりと一体改革の魂を忘れないで改革を進めるということはやってもらわなければいけないと思いますね」  
野田氏との論戦の直前に定数削減前倒しを“前出し”する首相の手法についてはどう感じたか  
「できるんだったら最初からやれっていう…。何をねえ、ほんとに…。見え透いているんですよ。あまりにも自民党が後ろ向きだったことを、普通の政党並みにしただけのことじゃないですか? サプライズでも何でもないですよ、こんなの。ドヤ顔で言うな、というふうに思いますよ、率直に言って。ちょっと言い過ぎたね、ごめん(笑)」